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1987/09/04 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第10号
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1987/09/04 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第10号

#1
第109回国会 本会議 第10号
昭和六十二年九月四日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
  昭和六十二年九月四日
   午前十時開議
 第一 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する
  法律の一部を改正する法律案(第百八回国会
  内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
 第二 学校教育法及び私立学校法の一部を改正
  する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九
  回国会衆議院送付)
 第三 日本航空株式会社法を廃止する等の法律
  案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆
  議院送付)
 第四 食糧管理法の一部を改正する法律案(第
  百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送
  付)
 第五 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改
  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、所得税法等の一部を改正する法律案及び地
  方税法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、日程第二
 一、日程第一
 一、日程第三より第五まで
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 所得税法等の一部を改正する法律案、地方税法の一部き改正する法律案、以上両案について提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。宮澤大蔵大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえ、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるため、所得税法、たばこ消費税法、取引所税法、有価証券取引税法、印紙税法、国税通則法、租税特別措置法等の一部を改正することといたしております。
 以下その大要を申し上げます。
 第一に、所得税につきましては、中堅所得者層を中心に、負担の軽減及び合理化を行うこととしております。
 すなわち、税率構造について、最低税率の適用対象所得の範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、新たに十六万五千円の配偶者特別控除を設けることといたしております。
 また、給与所得者につきまして、特定支出の額が給与所得控除額を超える場合には、申告により、その超える部分を控除することができることとして、申告納税の道を開くこととしております。
 さらに、老年者控除を現行の二倍の水準に引き上げるとともに、公的年金等に対する課税について、老年者年金特別控除及び給与所得控除の適用にかえ、新たに公的年金等控除を設けることといたしております。
 第二に、利子課税等につきましては、実質的な負担の公平を確保する等の見地から、少額貯蓄非課税制度、郵便貯金非課税制度及び少額公債の利子非課税制度を、老人等に対する利子非課税制度に改組することとし、これら以外の利子所得に対しては源泉分離課税を行うこととする等の措置を講ずることといたしております。
 また、勤労者財産形成貯蓄非課税制度を廃止するとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子に対しては低率による課税を行うことといたしております。
 第三に、資産性所得に対する課税を一層適正化する見地から、土地税制及び有価証券の譲渡益課税についてその見直しを行うこととし、土地税制につきまして、所有期間二年以下の土地等の譲渡をした場合の譲渡益に対する重課の特例等を時限的に設けるとともに、所有期間が五年を超える一定の土地等を譲渡した場合の譲渡所得を長期譲渡所得とする等の措置を講ずることといたしております。
 また、有価証券の譲渡益課税につきましては、先物取引による所得をその課税対象に加えることとしております。
 第四に、間接税等につきましては、まず、たばこ消費税につきまして、現行の税負担水準を維持する等の見地から、税率等の特例措置の適用期限を昭和六十三年三月三十一日まで延長するとともに、日本たばこ産業株式会社の納期限の特例措置を廃止することとしております。
 次に、取引所税につきまして、各種有価証券の先物取引の間の課税の均衡を図る見地から、その税率について所要の見直しを行うこととし、また、有価証券取引税につきましては、各種有価証券間の課税の均衡を図る見地から、転換社債券等の税率を引き上げるとともに、金融の国際化等に配慮して、一般の譲渡の場合の株券等の税率を引き下げる等の措置を講ずることとしております。
 その他、印紙税につきまして、円建て銀行引受手形に対する負担軽減措置を講ずるほか、登録免許税につきまして、土地に関する所有権の移転登記等に対する負担を一・五倍とすることといたしております。
 第五に、申告水準の維持、向上を図るため、各種加算税の割合を引き上げることとするほか、所要の措置を講ずることとしております。
 また、施行期日につきましては、原則として昭和六十二年十月一日から施行することとしておりますが、利子課税の改正、給与所得者の特定支出の控除の特例の創設、公的年金等の課税に関する改正等については昭和六十三年一月一日から施行する等、改正内容に合わせて施行期日を定めております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして次のとおり修正が行われております。
 その第一は、所得税の税率について、課税所得二百万円以下の部分に適用される三段階の税率を、百五十万円以下の部分につき一〇・五%、百五十万円を超え二百万円以下の部分につき一二%の二段階に改めること、第二は、非課税貯蓄制度の改正、利子所得の分離課税等利子課税制度に関する改正についての実施の時期を昭和六十三年一月一日から同年四月一日に延期すること、第三は、勤労者財産形成住宅貯蓄契約及び勤労者財産形成年金貯蓄契約に基づく預貯金等の利子等については所得税を課さないものとすること、第四は、利子課税制度のあり方についての見直しに関する規定を設けることであります、
 以上、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(藤田正明君) 葉梨自治大臣。
   〔国務大臣葉梨信行君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(葉梨信行君) 地方税法の一部を改正する法律案につきましてその趣旨を御説明申し上げます。
 今回の地方税制の改正に当たりましては、最近における社会経済情勢の変化等に即応した税制全般にわたる改革の一環として住民負担の軽減及び合理化等を行うことを基本としております。
 以下、その概要につきまして御説明申し上げます。
 まず、個人住民税につきまして、中堅所得者層を中心とした負担の軽減合理化を図る観点から、税率構造の簡素化及び累進度の緩和、基礎控除額等の引き上げ並びに配偶者特別控除の創設等を行うこととし、昭和六十三年度及び昭和六十四年度に実施することとしております。
 次に、住民税における利子課税制度の合理化を行い、老人等に対する利子非課税制度に係るものを除く利子等及び金融類似商品の収益について、一定税率で都道府県が課税する仕組みの住民税の利子割を創設し、昭和六十三年一月一日から課税することとするとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子等については低率で課税することとしております。
 このほか、所要の改正を行うこととしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして次のとおり修正が行われております。
 その第一は、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子等について、住民税の利子割を非課税とすること、第二は、住民税の利子割の課税の実施時期を昭和六十三年四月一日とすること、第三は、利子所得に対する地方税の課税のあり方についての見直しに関する規定を設けることであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。赤桐操君。
   〔赤桐操君登壇、拍手〕
#9
○赤桐操君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対して質問を行うものであります。
 まず、中曽根総理に税制改革の基本理念と今回提案の税法改正の関係を伺います。
 総理は、六十年九月二十日の政府税調への諮問で、「公平かつ公正な国民負担の実現、簡素で分かりやすい制度の確立及び活力ある経済社会の構築を目指し、かつ、国民の選択の方向を十分くみとり納税者の理解と協力を得られるような望ましい税制のあり方について審議を求める。」と言い、また、「税負担の軽減、合理化のための方策について明らかにし、次いで、その財源確保のための方策等を含めた税制改革の全体的方向について明らかにすることとされたい。」とも述べております。
 これは、恐らく中曽根総理の税制改革の考え方の真髄であったはずでありまするし、納税者の立場からしても、税制はそうあってほしいということであります。
 百八国会に提案された売上税を主体とした税制改革は、公約違反と弱い者いじめの税制で、認めるわけにはまいりませんが、中曽根総理の立場で考えれば、それなりに体系化されていたことも事実であります。そのポイントは、直接税を減税し、大型間接税の創設で増税を行い、税制度を間接税重視型に変えようというものでありました。
 これに比べ、今回の税制改正は、後段で細かく指摘し質問いたしてまいりますが、一言で言えば、全く体系のない拙速で支離滅裂であり、売上税がだめならこちらでという定見のないやり方ではないでしょうか。これでは総理が諮問の中で言っておりまする「納税者の理解と協力」が得られるとは思えないのであります。
 政府の税制改革の考え方は、直接税負担の軽減と代替措置としての大型間接税創設で、シャウプ税制の直接税中心の税制度をヨーロッパ型の間接税重視の税体系に移行するということでありましたし、これが社会経済情勢の推移と将来の展望を踏まえた税制と国民に訴えてきたことはお忘れではないでしょう。
 今回の税制改正は、この基本原則とは百八十度異なる、直接税である所得税の減税を行う一方で、同じ直接税であるマル優制度廃止による利子課税を導入しようという、まさに直射直の税制改正であります。何ゆえそのようになったのか、変わったのかを伺いたいのと、総理があれほど固執していた直間比率是正の税制度ないしは税体系の改革は取り下げられたのか、伺いたいと思います。
 国民の間には、所得税の減税でつって、近い将来穴埋めのための増税、それも大型間接税の導入を政府はねらっており、直間比率是正の立場を捨てたわけではないとの疑念と不信感がありまするので、この点を明確にしていただきたいと思います。
 次に、今回の所得税改正で減税優先を明確にしたことは一応評価できますが、減税額は衆議院における修正を経ても一兆五千四百億円という小ぶりであり、これでは内需拡大型経済成長の最も有力な武器である個人消費に活を入れるには力不足であります。我々野党が要求しております二兆円減税が実現するよう政府に一段の努力を要求するものであります。
 なお、六十二年度減税については、六十一年度の剰余金と六十二年度税収の過小見積もりによる年度内自然増収で減税財源は十分あることを申し上げておきたいと思います。
 次に、マル優制度廃止についてただしたいと思います。
 私どもは、厳格な限度管理を行い、悪徳マル優利用者を締め出すとともに、多くの庶民の生活を守り、老後の保障のためにマル優制度は存続すべきであるとの立場に立っております。総理がサミットでマル優廃止を口にしたことで、これは国際公約などの説も耳にしますが、これほどばかげた話はございません。国内の政策決定を外圧をつくり出して、これを利用して国民に押しつけようというようなことは断じて許されないからであります。
 マル優を初め庶民が貯蓄に励むのは、病気や子供の教育等の不安と将来の出費に備えるためであり、さらに、高齢化社会を迎え、中高年齢層は老後生活の自助努力の一環として行っていることは多言を要しないところでございます。こうした貯金の利子に税金をかけて取り立てようというのは、広義に解するならば、生活費非課税の原則に反するとも言えるのであります。
 政府は、六十五歳以上の高齢者や身体障害者のマル優は存続すると宣伝いたしておりますが、この税制改悪をごまかそうとしているものでありまして、マル優は社会保障政策ではありません。一億国民の大多数が必要とする毎日の生活にかかわる政策であることを忘れてはならないのであります。
 マル優制度は不公平税制の最たるものと総理は発言されました。不正利用があることは否定できません。しかし、これまで不正利用を放置してきたのは自民党政府であることも事実であります。ほんの一握りの悪徳資産家を締め出すためにマル優を廃止するのは、角を矯めて牛を殺すのたぐいと言わなければなりません。
 さらにまた、マル優廃止に伴って生ずる不公正についてどう対処されるのかを伺いたいと思います。
 従来、分離選択課税によって利子所得に三五%の税率で税金を納めていた人は、今回の一律分離課税によって税率が二〇%になりますると、大変な減税の恩恵を受けることになるのであります。これまでの分離選択課税の預金者は金持ち階級でありまするのに、何ゆえそれほど優遇されなければならないのか、多くの零細なマル優預金者には理解できないところでありまして、国民にわかるように御説明を願いたいと思います。
 マル優が不公平税制の最たるものとマル優攻撃に熱心な総理は、他の資産所得、特に株の売買利益、キャピタルゲインについては黙して語らずですが、こちらは公平税制が実施されておりましょうか。昨今の株式市場の状況は、六十一年度の有価証券取引税が当初見積もりの六千三百三十億円の二・二倍の一兆三千六百六十四億円が納付されたことを見ても、キャピタルゲインが巨額に上っていることは間違いありません。しかし、周知のごとく原則非課税と言っていいほど優遇されているのであります。
 日経新聞によりますれば、全国上場株式の時価総額は、六十一年度中に百二十兆円も増加し、この二五%が個人の保有株で、株主のキャピタルゲインはおよそ三十兆円と推定され、仮に二〇%の税率としても、六兆円の税収が可能になると指摘いたしておるのであります。マル優廃止による税収の五倍となるのであります。
 政府はまた、いろいろとへ理屈を並べて、キャピタルゲインに対する課税回避をいたしておりますが、米国におきましては、納税者番号制を使ってキャピタルゲインの約九〇%を把握いたしておることはだれよりも税務当局が御存じのはずであります。要は、やるかやらないかの問題であります。結局、政府のお目こぼし政策によって、国家財政の負担でマネーゲーム奨励、キャピタルゲイン擁護を行っていると言っても遺言ではないと思うのであります。
 さらに、日銀を初め金融機関等の調査で、預貯金と株式等の貯蓄形態別の資産形成を見ますると、高額所得者と金持ちの株式保有比率が高いことは明らかであり、総務庁貯蓄動向調査によれば、貯蓄に占める有価証券保有比率は、低所得層の第一分位は四・〇%、高所得層の第五分位が二八・三%となっております。今日の財テク、マネーゲームの風潮で所得階層間格差が拡大し、社会的不平等が一段と広がっていることは否めません。
 そうした状況下でのマル優の廃止は、資産課税の中で取りやすい勤労大衆のとらの子の利子を懐に手を突っ込んで取るやり方で、許されるものではないのであります。蔵相の御答弁を求めます。
 次に、減税財源問題で政府の態度を明確にしていただきたいと思います。
 所得税減税一兆五千四百億円に見合う減税財源は、六十二年度に関しては前年度剰余金等で賄えるといたしまして、今、目前に迫っておりまする六十三年度の予算編成とも絡んで、来年度以降の減税財源の目途はどうなっているのか、答弁を願いたいと思います。マル優廃止によって平年度九千五百七十億円の増収になるというのが政府の説明であるようでありますが、前国会の税制改革論議では、六十二年十月一日からマル優廃止で初年度四百五十億円、平年度の税収に達するには五ないし十年の歳月を要するという説明でありました。そうしますると、六十三年度の減税影響額にはマル優廃止の効果はとるに足らないということになるかと思いますが、どんな対策を考えておられるのか御答弁を願いたいと思います。
 次に、将来を展望した税制度のあり方と関連して、今回の一律分離課税方式の導入は不公平税制拡大の突破口となる危険はありませんか。
 私どもは、国の税制の中心に直接税を据え、その主柱である所得税は、総合課税と超過累進の方式で行うことが公平税制樹立に不可欠の要件であると確信いたしております。
 したがって、今回のように利子所得だけを取り出し、資産家、大金持ちも貧乏人も構わずに一律二〇%課税というやり方は、税制をゆがめ不公平な税負担を強いることになると考えるのであります。最近の政府の動きは、クロヨン等に見られるごとく、所得の捕捉と総合課税の実行には限界があるとの立場で、所得税の原則遵守とは逆に分散型の税制をねらっているように思われてなりません。また、所得分割を容易にした点で不公平と批判されている税制を、公平税制確立の方向に改めるのではなく、不公平批判の口封じのようなやり方の糊塗策を弄して新たなゆがみをつくるような点が目立ち過ぎるのであります。
 八月七日の与野党幹事長・書記長会談の申し合わせの中に、利子課税制度のあり方については総合課税問題を含めて五年後に見直しを検討するとの項目があります。これは、所得税制が分割・分散化の傾向を強めつつあることに与野党の代表がくぎを刺したと理解いたしておりますが、政府はどうお考えですか。したがって、一律分離課税は、たとえ法案が成立いたしましても、時限立法であり、所得税の原則である総合課税に戻すことを明確にすべきだと思いますので、蔵相の答弁を求めたいと思います。
 最後に、税制改革失敗の政治責任及び歳入予算のあり方について伺いたいと思います。
 百八国会での公約違反の大型間接税導入のもくろみは、国民的総反撃によって関係六法案の廃案と六十二年度歳入予算の執行不可能な事態を招いております。この前代未聞の大失政の責任はだれがおとりになるのでありますか。政治にはけじめと責任が大事ではないでしょうか。その責任を放棄したまま、百九国会では、税制改革に筋道をつけるなどという言い方で、中曽根総理の任期満了までの指導力の衰えを回避し、政権の座を維持する方便に税制改正を利用しているという批判的論調が強いのでありますが、総理の御答弁を求めたいと思います。
 さらに、売上税収入を柱とした六十二年度予算は、執行不可能の状況にありながら、先ごろの補正予算で一指だにも触れず放置された政府の責任は重大であります。歳入予算は国会で議決した予算とどんなに違っても構わぬというのが政府の見解でありましょうか。これでは憲法八十三条の国会の議決に基づいて国の財政を処理しなければならないとの規定は死文化し、財政民主主義は空洞化してしまいます。このような欠陥予算を放置している政府の責任を追及し、答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(中曽根康弘君) 赤桐議員にお答えをいたします。
 まず、直間比率是正の御質問でございますが、戦後四十年間にわたる社会経済情勢の著しい変化に即応いたしまして、シャウプ税制以来の税制に対し全般にわたって根本的な見直しを行うことにより、二十一世紀を展望した新しい税制を確立することは、ぜひとも行わなければならない喫緊の課題であると考えております。
 今回の税制改正法案は、税制全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえて、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を取りまとめたものでございます。
 今後の税制改革の展望につきましては、さきの衆議院議長のあっせんにおける、直間比率の問題もあり税制改革は急務である旨の御指摘を踏まえまして、政府としても、この協議会の推移を見守りつつ、慎重に検討してまいる考えでおります。
 二兆円規模の減税実施の御要望でございますが、今回政府が提案しました減税案は、中堅所得者層の税の重圧感、不公平感に配慮して、働き盛りの中堅サラリーマンの税負担を大幅に軽減し、あわせて内外からの内需拡大の要請にこたえるために行うものであります。減税規模でも、当初案の約一兆円に比しまして三千億円程度の上積みが図られ、一兆三千億円程度といたしましたところ、衆議院において、この案に対して、与野党幹事長・書記長会談における与党からの提案を踏まえ、議院修正による減税の上積みが行われまして、この修正を含めた減税額は、昭和六十三年度において地方税を含めて二兆円を超えるものとなり、現下の厳しい財政事情を踏まえたぎりぎりのものであると考えております。
 マル優問題でございますが、非課税貯蓄制度について何らかの方法により不正利用を防止して存続すべきではないかとの御指摘については、巨額の利子所得が課税ベースから外れており、給与所得、事業所得との間で税負担の不公平をもたらしていること等、現行制度自体が抱えている基本的問題点の解決には役立たないと考えられる。
 また、老後生活に充てるための所得の確保の問題であれば、老年者控除の水準や年金に対する課税のあり方等との関連で総合的に考えるべきであって、利子課税のあり方との関連でのみ取り上げることは必ずしも適当ではないと考えられます。
 金持ち優遇ではないかという御質問でございますが、今回の改組は、現行非課税貯蓄制度に内在するさまざまな問題を解消するための抜本的な見直しの必要から起こったものであります。これは本格減税のための恒久財源を確保するためにもまた不可欠であると考えておる次第であります。
 一律分離課税は、利子所得の発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性といった特異性に配慮して、簡素、中立、効率といった要請にもこたえるものとして採用したものであります。一律分離課税への移行は、むしろ高額所得者に負担の増加を求め、実質的な公平を進めるものになるものと考えられます。したがって、金持ち優遇であるという御指摘は当たらないと思います。
 減税財源につきましては、恒久財源を確保しつつ実施することが必要であります。
 今回の税制改正法案における減税の恒久財源については、利子課税制度の改正を中心として、期限の付されておる税制上の特例措置その他のものまで含めれば、何とか財源措置に見合ったものとなっておると思われますが、それによる税収が平年度化して歳入増加が完全に実現するには、なお時間を要するところであり、そのための財源措置については、今後各年度における歳入歳出両面を通ずる財政運営全体の中で処理してまいる考え方でございます。
 売上税問題に関する御質問でございますが、売上税は廃案となりましたが、将来、直間比率を含む各税制の抜本的改革というものは議長あっせんにもございまして、与野党の課題であり、我々がこの問題を放棄したものではないのでございます。これを政権の座を維持するための方便にしているという発言は当たらないものなのであり、政府としては、あくまでもこの衆議院議長のあっせん案に基づく総括的な税制全般の改革を目指して、その入り口としてこのような改革に与野党の御協力をいただきながら入ろうと、そういうふうにしているものなのであります。大きな将来の問題については、協議会の御論議等も見守りたいと思っておると申し上げたとおりであります。
 売上税を計上したままの予算に対する御批判でございますが、売上税関連部分の手直しは、見積もりである歳入予算の手直し及び歳出予算に計上された売上税分の削減であり、直ちに手直ししなくても支障は生じないものと考えております。政府としては、今後他の補正要因の動向も十分見きわめた上で、例えば第二次補正というような考えに立って、次の機会に御指摘の部分についてあわせて手直しをいたす考えでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、キャピタルゲイン等の資産所得課税についての問題でございますが、このたびの御提案によりまして、有価証券の譲渡益については課税ベースをかなり拡大いたすことにいたしております。
 また、土地の譲渡益につきましては、短期所有につきましてはこれを重課するということ、それから個人の事業用資産の買いかえの特例のときにはこれを一部縮減するというようなことを考えておりますし、また登録免許税の引き上げも御提案申し上げておるところでございます。
 一般的に資産所得に対する課税が甘いではないかという御指摘がございました。いろいろな事情で行政上の体制がなかなか公平な課税まで整備できていないという問題もございます。そういうことも考えながら、今後引き続き勉強してまいらなければならないと思っております。
 次に、マル優制度についてお尋ねがございまして、これはもう御承知のとおりでございますが、現在この制度によって課税を免れておる利子がほぼ十六兆円あると考えられます。給与所得、事業所得等に比べてこの資産所得である利子所得がなぜ課税を免れているのかということは、我が国としては、長いこと富国強兵あるいは戦後の資本蓄積ということで怪しまずにやってまいりましたけれども、ここまでまいりますと、資産所得であるだけに、なぜ免税なのかということは、やはり一遍考えるべき問題ではないかと思っておるところでございます。
 それで、この制度を改組することでだれが一番利益を得るかということにつきまして、現実の問題としては、高額所得者の方が与えられた特典をフルに利用できるという意味では、つまり枠を残さずに使えるという意味では比較的には受益が大きいと考えます。その点をわかるように説明せよということの御指摘がございましたけれども、ちょっとくどくて申しわけございませんが、標準世帯でございますと四人でございますから、一人についての枠は九百万円でございます。したがって、三千六百万円の枠を標準世帯の高額所得者はフルに利用できるということになります。三千六百万円の元本を仮に五分といたしますと、それは百八十万円でございますから、今後新たにそれに二〇%の税が課されることになると三十六万円でございますが、現在はそれが免税になっておる。枠をフルに利用できる人ほど受益が大きい。これは当然のことでございますけれども、そういうことと考えておるわけでございます。
 それから、この一律分離課税ということは一体どうなのかということでお尋ねがございました。
 これは、おっしゃいますとおり、本来すべての所得が総合されるというのが、そして累進税率の適用を受けるというのが、所得税のあるべき最終的な姿だとは思っております。ただ、現実の問題として、先ほど総理も言われましたが、利子所得は非常に大量に発生する、それも多様でございます。いろいろな商品がございますし、また、その間であっちからこっちへ動くというようなことがございますから、これを的確に捕捉、管理するとなりますと、何か納税番号のような制度が恐らく必要である。また、そのほかに納税者であるとか、あるいは金融機関、郵便局、国、地方の税務当局等々、相当の費用負担を強いることになります。今の税務執行体制からそれがすぐには現実的でないということを考えております。
 この点につきましては、しかし、衆議院におきまして議院修正がありまして、この「利子所得に対する所得税の課税の在り方については、総合課税への移行問題を含め、必要に応じ、」「五年を経過した場合において見直しを行う」、こういう御修正がございました。もしこのような御修正が最終的に国会の御意思となります場合には、もとよりその趣旨に従いまして誠実に対処いたさなければならないと思っております。
 それから、昭和六十三年度以降の、六十二年度もそうでございますが、減税財源はどうなるのかということでございます。
 六十二年度は減税先行ということが一般に各党の御意見のように思われます。今年度は幸いにして前年度の歳入剰余金がございますので、お許しを得まして、これの全部残りを使わせていただければ、まあ何とか処理ができるかと思っております。
 六十三年度につきましては、実はそういうような見通しははっきり立っておりません。赤桐議員が言われましたように、利子課税がフルに財源になりますためには数年を要すると思われますので、これが六十三年度の減税財源として十分働くとは想像ができません。恐らく二千億とか、そういう単位のものではないかと考えられますので、今これを財源と考えるわけにはまいりません。したがいまして、六十三年度をどうするかということは、私としても、これから歳入歳出全体を通じて実はかなり悩んでおる問題でございます。このような大きな恒久的な減税には恒久的な財源を必要とすると思っておりますが、この点につきましても、衆議院におきましては、殊に税制改革協議会というものが成立しておりまして、そこでもこれから御検討いただくことでありますので、しばらくその推移を見守らしていただくべきかと思っております。
 最後に、欠陥予算についてお話がございました。
 御指摘の点は、前国会において売上税等々が全部廃案になった、しかし、先般補正予算を出しましたときに、そのことについて、歳入面においても歳出面においても何ら補正をしていないではないかということは、これは御指摘のとおりでございます。
 先般、補正のときに申し上げたかと存じますが、形式的に申しますと、政府の税制改革案が廃案になりました結果、当初のいわば現行の税制に返るというのが、形式的にはどうしてもそうなるわけでございますが、ただ、現行の税制につきましては、政府も改革を考えましたし、また、各党各会派において、例えば所得税の減税は少なくとも必要であるというような御意見はもうコンセンサスになっておりますから、廃案になったからといって、もう一遍現行の税制で補正をということはいかにも、形は整いますが、現実的でないことは明瞭でございます。したがって、先般の補正におきましては、この売上税等に関する部分は、歳入面も、一部歳出面もございますので、全部これに変更を加えませんでそのままにいたしてございます。現在の姿は、したがいまして、予算に整合性がないとおっしゃられれば、そのとおり今その姿になっております。
 政府といたしましては、このたび税制改正についての国会の御意思が決まれば、年度が終わりますまでにこの点をもう一度補正をいたしまして、歳入歳出間の整合性を確保しなければならない、そういうふうに考えておりますし、また現実には、それに至りますいわば中途の段階に今あるということでございまして、御指摘の点はそのとおりでございますから、年度終了までにこれはきちんと整合性を整えなければならないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(藤田正明君) 渡辺四郎君。
   〔渡辺四郎君登壇、拍手〕
#13
○渡辺四郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に御質問いたします。
 冒頭に、地方税の柱であります住民税が多額にわたり紛失した事件が起きております。このことについてお伺いいたします。
 福岡県京都郡苅田町で、住民税が長年にわたり町収入役名義の裏口座に振り込まれ、数千万円が使途不明と言われている事件が報道されてから既に五カ月以上経過をいたしました。マスコミの報道内容からも、これほど公務員の業務上横領、背任の疑いがあるのに、なぜ事件の解明にこんなに時間がかかるのか、これは納税者だけでなくて、多くの方々が疑問を持っています。
 法務大臣、納税者の立場からも、ぜひひとつ事件の早期徹底究明を求めていただきたいと存じますが、その捜査の進捗状況についてお示しいただきたいと思います。
 続いて税制改革について伺います。
 まず、総理にぜひとも明らかにしていただきたいのは、税制抜本改革、さらには大型間接税については放棄したのか否かという点であります。
 昨年は減税の裏には売上税がくっついてまいりました。今度はそんなことはないのかあり得るのか、国民の前に明示すべきであると考えます。
 第二に、ことしは地方財政にとっていろいろな意味で異常な状態が続いております。
 当初予算編成時において、政府は、売上税創設、マル優廃止を既成事実化させるため、その部分の自治体予算への計上を強要しました。しかし、六十二年度地方財政計画は、売上税、マル優廃止法案が廃案となる中で、その税目すらも消え、政府予算全体とともに根拠なき財政計画の状態が続き、今や地財計画自体が地方財政に混乱を与え、自治体の財政運営を大きく阻害しております。
 そこで、この際、総理は、こうした混乱を招いたことについて全国の自治体に謝罪し、その責任の所在を明らかにしていただきたいと考えます。
 第三に、政府の説明によると、売上税、マル優の影響額及び法人関係税の増税の見送りによる地方税収の落ち込みは、六十二年度交付税に特例加算するとされています。しかし、その財源はもともと六十一年度決算剰余金の交付税繰入分であり、地方の固有財源であります。国の責任による地方の税収減を地方固有の財源で穴埋めするということは、すなわち地方財政に責任と負担を転嫁することにほかなりません。なぜ国の自前の財源で補てんをしないのか、大蔵大臣、自治大臣から地方が納得し得る御答弁を求めたいと思います。
 税制改革と地方税について伺います。
 私は、シャウプ以来の税制抜本改革とされながら、なぜ地方の意見が全く考慮されていないかということを問題にしたいと思います。今日において税制改革を行うのであるなら、国と地方の税源の再配分は当然検討されてしかるべきであります。しかし、大蔵省と自治省は、抜本改革に当たり、早々と国と地方に中立という覚書を取り交わしております。
 私は具体的に提案したいと思います。
 その一つは、国による地方に影響を与える政策の変更、特に税、財政制度の改革については、地方の意見、意思を尊重すべきであると考えます。地方税改革等について自治体に何らの発言権もないというのは余りにも理不尽ではないでしょうか。この際、総理の明快な御所見をお伺いしたいと思います。
 二つ目は、抜本改革と言いながら、社会保険診療報酬課税の適正化、法人事業税の改善、非課税特別措置の廃止など、地方税改正の懸案事項は何ら手がつけられていません。何ゆえこうした数々の課題を放置しているのかという点であります。
 例えば社会保険診療報酬に対する事業税の非課税等は、地方税における不公平税制の象徴であり、財源的にも約六百億円の減収を招いております。また、国の租税特別措置という政策的税制優遇になぜ地方が一律に従わなければならないのか、自主課税権の著しい侵害と言えますが、自治大臣の具体的な答弁をお伺いします。
 次に、地方税改正についてお伺いをします。
 第一に、所得税の最低税率は一〇・五%で据え置かれ、個人住民税は二・五%を三%と〇・五%引き上げられ、また税体系刻みの改正で、一部ではありますが、中堅所得層以下には一ないし二%の引き上げとなり、逆に高所得層は一ないし二%の減税となるようです。税収の関係から最低税率を引き上げたりすることは問題であります。私も住民税の応益負担主義という考え方を全面的に否定するものではありませんが、所得課税である以上、社会的再配分機能を否定することはできないと思います。自治大臣の御見解をお聞きします。
 第二に、類似の問題として、課税最低限についてお伺いをします。
 住民税においては、扶養控除等の引き上げにより課税最低限は若干引き上げられますが、所得税の課税最低限との格差は厳然としております。課税最低限の格差は何ら合理性のあるものではなく、非課税限度額という当面の方便ももはや改めるべきと考えますが、自治大臣の御所見をお伺いします。
 第三は、八月七日の与野党幹事長・書記長会談において、所得税の刻みをさらに動かすことによって二千四百億円の減税上積みが約束されました。所得税の刻みと住民税の刻みは整合するものでなくてはならないはずです。私は、個人住民税減税も所得税と同様に上積みし、刻みのアンバランスを是正すべきだと考えますが、自治大臣の所見をお伺いいたします。
 また、総合課税とのかかわりにおいて新たに利子課税制度の見直し規定が盛り込まれましたが、今後どのような検討作業を進めていくのか、自治大臣にお伺いをいたします。
 次は、地方財政対策について若干お伺いします。
 今年度補正予算による地方財政の財政需要額は、その大半を地方債によって措置するとされています。これにより地方財政の借金構造はさらに深化するとともに、交付税制度の硬直化も進行せざるを得ません。地方交付税法第六条の三の二項の趣旨を今後どのように尊重されていこうとされているのか、具体的に自治大臣にお示しをいただきたいと思います。
 また、その関連で、NTT株売却益の相当部分は、無利子貸し付けによる地方債への組み込みという形ではなく、地方財源として配分されるべきであると考えますが、自治大臣の御所見をお伺いします。
 さらに、緊急経済対策においては、地方単独事業の八千億円の追加要請は、修正された地方財政計画にどのように盛り込まれているのか、自治大臣の明快な御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、補助金カットと国民健康保険財政について伺います。
 財政再建計画が破綻した以上、自治体に対する補助金カットを続ける合理性はなくなったと考えます。また、新たな負担転嫁など論外と言えます。この際、カット中止と原状回復、そして新たなカットは絶対に行わないことを約束していただきたい。大蔵大臣の明快な御答弁をお願いいたします。
 また、国民健康保険財政は、今や市町村財政圧迫の一番大きな要因となっています。その上、国の施策の見込み違いによって国保に対する市町村一般会計からの持ち出しは限界に達しています。そこで、国保の今日の現状からも、ましてや国保の仕組みからいっても、当面、国は直ちに補助率をもとに戻し、不足分の手当てを行うべきであります。そして、国保の経過から見ても、私は国民健康保険制度を抜本的に変改しなければ解決しないと思いますが、総理の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(中曽根康弘君) 渡辺議員にお答えをいたします。
 まず、税制の改革と大型間接税の御質問でございますが、先ほど来申し上げましたように、シャウプ税制以来の日本の税制を総点検いたしまして、このひずみ、ゆがみ、不公平感、重税感等を改正しようというので、税制全般にわたる根本的な見直しを行わんとしつつあるものであり、また、しようとしておるものなのであります。
 間接税の問題につきましては、衆議院議長あっせんにおきまして、まず税制改革全体が非常に重要な課題であるととらえられ、その中に直間比率の見直しということも緊急の課題であるととらえられて与野党合意をしておるところでございます。そのために税制協議会が持たれたところでございますが、今後とも、このような議長あっせんの趣旨に沿いまして、政府及び自民党はこの問題を検討していきたい、そういうふうに考えており、また、与野党の協議会の推移を政府としては見守ってまいりたい、そういう考えに立ちまして、初心忘るべからず、そういう考えでおるわけであります。
 地方財政計画につきましては、地方財政計画を参考として売上譲与税を予算に計上した地方団体については、その収入が見込めないこととなりまして、この点大変心苦しく恐縮に存じておるところでございます。地方税法改正案及び地方交付税法改正案が成立すれば、地方団体の財政運営に支障は生じないものと考えます。このために、関連法案の早期成立をお願いいたしたいと思います。
 地方の意見を尊重した税制改革をやれという御議論については賛成でございます。
 今回の税制改正につきましても、税制調査会には地方団体関係者も委員として参画しておられますほか、地方公聴会も数次にわたり実施しているところであり、今後とも税財政改革については地方制度調査会や税制調査会等の御意見を承りつつ適切に対処してまいります。
 国保財政の安定化の問題でございますが、国民健康保険制度については、先般の老人保健法の改正による老人医療費の負担の公平化の措置を通じて、財政運営の安定化が大きく図られていくものと認識しております。
 また、退職者医療制度の影響については、厳しい財政状況のもとでありましても、国としても最大限の努力をして所要の財政措置を講じたところであり、今後とも誠意を持って対応してまいりたいと思います。
 なお、国保制度のあり方については、現在、学識経験者による国保問題懇談会の場で幅広く基本的な検討が進められておりまして、その結論を待って適切に対応してまいりたいと考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣葉梨信行君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(葉梨信行君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 まず、売上税対応分の地方交付税の減収を昭和六十一年度の地方交付税の精算額で補てんしたことにつきましての御質問でございます。
 売上税は、国税、地方税を通じての減税の補てん財源としてその創設が考えられたものでございまして、その減収分について国において別途の税源が確保されるような場合は格別でございますけれども、今回のような場合に専ら国の責任において補てんすることは、現実問題として困難であると考えているところでございます。
 なお、交付税の不足額の補てんに当たりまして、当初の特例加算千百三十五億円は、引き続きこれを確保することとしておりまして、御理解いただきたいと思います。
 次に、地方税改正につきまして、いろいろな懸案事項があるが、これを是正していないではないか、こういう御質問でございますが、今回の税制改正は、早急に実施しなければならない改正項目を取りまとめたものでございまして、その中で住民税として利子割の創設をいたしましたことは、利子等に対します住民税課税という長年の懸案を解決するものでございます。
 地方税には、なお御指摘のような懸案が残されておりますが、これらにつきましては、今後税制調査会の答申を踏まえ、引き続き取り組んでいく所存でございます。
 次に、市町村民税の最低税率の引き上げにより低所得者が増税となるのではないかという疑問を御質問で申されましたけれども、今回の個人住民税の改正案におきましては、課税最低限の引き上げをあわせ行っております。いろいろな控除を引き上げております。その結果、低所得者層についても負担が軽減されることとなっている次第でございます。
 それから、住民税と所得税の課税最低限及び非課税限度額の制度についての御質問でございますが、住民税は負担分任の性格を持っておりまして、所得再配分機能を強く持っております所得税とその課税最低限を一致させる必要はないと考えております。非課税限度額の制度につきましては、課税最低限の水準、地方財政の状況等に配慮しながら、低所得者層の税負担に配慮を加える措置として必要であると考えるものでございます。
 住民税減税の上積みによる刻みのアンバランスを是正せよ、こういう御質問でございますが、住民税と所得税は税の性格が異なっておりまして、本来、税率構造も異なるものでございます。住民税においても、既に昭和六十三年度以降相当規模の減税を実施することとしているところでございます。したがいまして、減税の上積みは考えておりません。
 さらに、利子課税制度の見直しにつきましては、法案が成立しますれば、政府におきましても誠実に検討をしてまいりたいと考えております。
 次に、地方交付税法第六条の三第二項の趣旨を尊重せよという御質問でございますが、地方財政が極めて厳しい状況にあることを考慮し、今回の追加公共事業等の地方負担につきましては、全額を地方債によることなく、三千五百億円の地方交付税の増額を図ることとしておるところでございます。今後とも地方歳出の徹底した節減合理化を図るとともに、地方税、地方交付税などの地方一般財源の充実を図っていく所存でございます。
 NTT売却益と地方財政についての御質問でございますが、NTT株式の売り払い収入を地方財源として活用することも考えられますけれども、NTT資金は国債整理基金に帰属しておりまして、地方財源として活用することに直ちになじみにくいという考え方もあるわけでございます。当面、できる限り地域の実情や地方団体の要望を反映した運用がなされるべきものと考えている次第でございます。
 最後に、地方単独事業と地方財政計画についての御質問でございます。
 地方単独事業費約八千億円の追加は、地方団体が当初予算計上額に追加して計上することを期待する額として地方財政対策に盛り込んだ額でございまして、当初の地方財政計画の範囲内のものでございます。
 なお、今回の緊急経済対策に際しまして、特別に道路、河川等の追加事業に対しまして地方債の充当率引き上げ等を行いまして、地方団体が単独事業の追加を行いやすくしておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣遠藤要君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(遠藤要君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 苅田町前収入役らに対する住民税の業務上横領の事件については、議員も御承知のとおり、東京地検において本年の四月に告発を受理いたしております。そのような状態で内偵捜査を実施しておりましたけれども、事案の解明のためにはさらに多数の関係者の事情聴取が必要であるということから、去る六月の二十九日、犯罪地であり、かつ関係者の多数現在する福団地検に移送され、現在、同地検において捜査中であり、同地検においては、事案の真相を解明するため厳正な捜査が行われているものと承知いたしております。
 なお、本件に関連して、福団地検に対して、地方自治法違反、地方公務員法違反、公文書毀棄等でも告訴、告発がされているが、これら事件につきましても、現在同地検において捜査中でございます。
 以上申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(宮澤喜一君) ほとんど自治大臣がお答えになっておられますが、先般売上税が廃案になりました結果、その二〇%に相当いたします分、二千二百億円余りが地方財政としては収入として見込めなくなったわけでございますので、これを当然補てんする必要が生じました。その上に、このたび補正予算で公共事業が相当追加されましたので、地方の負担が増加いたします。それらを合わせまして、ネットで三千五百億円、六十一年度交付税の精算額を財源として補てんをいたしたところでございます。
 次に、利子課税制度をこれからどうするかということでございますが、先ほども申し上げましたような衆議院の修正がございまして、もし五年後に必要に応じ見直しをするということが国会の御意思として決定いたしますれば、政府としてはもとより誠実にこれに対処いたしてまいりたいと思います。
 それから、過去におきまして、国の財政の事情から、公共・非公共につきまして負担・補助率の引き下げをお願いいたしまして、あちこちでいわば御迷惑をおかけし、御理解をお願いしてやってまいっておりますが、地方の財政の運営に支障を生じないように対処いたしておるつもりでございます。今後のことにつきましては、これから予算編成に関係をいたしますので、ただいま明確に申し上げにくいところがございますが、慎重に検討をいたします。
 いずれにいたしましても、地方の財政運営に支障を生じないようにそれはそれとして対処いたさなければならないと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(藤田正明君) 片上公人君。
   〔片上公人君登壇、拍手〕
#19
○片上公人君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 言うまでもなく、税制改革はまさに差し迫った国家的課題であります。ところが、総理は、これを逆手にとって、減税先行の美名のもとに、売上税導入を真のねらいとした税制改悪を強行しようとしたため、これが廃案とされたことは全国民周知の事実であります。廃案となった後、各党による税制協議会の場でその後の取り扱いを協議することとなったのでありますが、我が党は、税制改革を行うに当たり、国民のすべてが納得できる内容とするため、時間をかけて慎重に対応すべく協議会の場に臨んだのであります。
 しかるに、今回の内容を見ますと、我々が強く反対し、廃案に追い込んだマル優の廃止を、十分な協議を経ることなく、所得税減税と抱き合わせて提案しているのであります。さらに、今回の税制改正案は、いわゆる税制改革の一環としての改正なのかどうか、その位置づけすら明確にされていないのであります。
 ところで、政府は、今回の税制改正案について、中堅所得者層の減税に重点を置いたものであると説明しております。しかし、その内容は、人的控除はわずかばかりの配偶者特別控除を創設しただけで、最高税率を初め、課税所得が三千万円を超えるような高額所得者には税率を五%も一〇%も引き下げるという内容であるにもかかわらず、最低税率は据え置かれたままであります。
 このため、課税所得五十万円以下の低所得者にとっては、結論として税率による減税はゼロであり、いわゆる上積みによる減税もありません。ようやく年収五百万円の平均的サラリーマンだと四万七千円の減税にすぎないのに対して、三千万円の場合は三十六万円、五千万円の場合は百四十万円、一億円の場合は四百三十六万円の減税になるのであります。
 また、今回の税制改正の柱として、マル優等の少額貯蓄非課税制度を原則廃止に追い込む一方で、高資産家階層が適用されている三五%の源泉分離課税が廃止され、二〇%へと減税されようとしております。これでは、俗に言う金持ち減税そのものであり、新たな不公平が生じるではありませんか。そして、税制が担っている所得再分配の機能を放棄することにほかならないではありませんか。国債の利払い費が社会保障関係費を上回り、歳出の二〇%を超える現状において、三千万円以上の高所得者層、そして高資産家階層に対して大幅減税を行う理由がどこにあるのか、お伺いしたいのであります。
 最低税率をせめて〇・五%引き下げ一〇%にすべきであります。この最低税率一〇%の実施を含め、減税総額二兆円規模の実施が消費支出を伸ばし、内需拡大を進める上でぜひ必要と考えますが、総理のお考え、再考の余地をお伺いいたしたい。
 内需拡大策の決め手として政府が打ち出した緊急経済対策の一環だという今回の減税についても、一部の高所得層の消費拡大はあり得るにせよ、大多数の国民の消費拡大にはつながらないと言わざるを得ませんが、今回の税制改正による経済効果をどのように認識しておられるのか、見解をお聞かせ願いたい。
 総理は、マル優等廃止の必要を説明する中で、マル優の悪用についてたびたび言及されております。政府は、総額約三百兆円に上る非課税貯蓄のうち、どの程度が悪用されていると考えているのか。不正利用の額、不正利用者の割合をつかみ、これが相当の部分を占めているというのならともかく、政府はその実態をすら明らかにしようとしないではありませんか。
 私は、大部分の国民はまじめに税法を守っていると確信いたします。平均的に見て、現在の一世帯当たりのマル優等適用の貯蓄は五百万円程度であり、四人家族だと三千六百万円の非課税枠にはるかに及ばないのであります。一部の不心得者がいることを過大に宣伝し、それを理由にマル優等を廃止してしまうことは、国民の税に対する不信感を増幅させる以外の何物でもありません。
 また、廃止の理由にしなければならないようなマル優、郵貯等の悪用による脱税を許してきた当局の責任は一体どうなるのでしょうか。大蔵、郵政両大臣にお伺いしたい。
 マル優等の非課税貯蓄制度は、広く国民各層に根づいた制度であり、公的年金等の社会保障制度に十分な信頼を置けない我が国においては、今後の高齢化社会を見据えた場合、低所得者にとっては、これまで以上に非課税貯蓄制度に依存せざるを得なくなるのは火を見るより明らかであります。政府は、その自助努力の手段さえ国民から奪おうというのでしょうか。総理の真意を伺いたいのであります。
 さらに、問題としなければならないのは、マル優を廃止する一方で、同じ金融資産からの所得であるキャピタルゲインは依然として原則非課税のままに放置されている点であります。過熱状態となっている昨今の株式、債券市場において、高資産家階層による莫大なキャピタルゲインを非課税としていることについて、政府はこれまで所得捕捉が不可能であることをその理由としてきました。しかし、米国のような個人のプライバシーを極度に尊重する社会においてさえ、社会保障番号によってキャピタルゲインがかなり捕捉されていると言われております。
 国民皆保険など、全国民をカバーできるような体制を持つ我が国においても、米国同様にキャピタルゲインを捕捉する体制の整備は可能であり、これによって、不公平税制の最たるものと言われてきたキャピタルゲインについて適正な課税が実現できるはずであります。緊急かつ最重要の不公平解消に向けて、総理及び大蔵大臣の具体的かつ前向きの答弁を求めるものであります。
 また、今回の改正案はサラリーマンの財形貯蓄の非課税措置にまで手をつけようとしております。
 我が国の財形貯蓄制度は、欧米先進国の制度と異なり、国や事業主からの給付金がないのが一般的で、いわば完全な自助勢力に依存しているのであります。このため、実質上非課税措置が唯一の制度促進の要素であるにもかかわらず、今回これに課税することは、まさに勤労者財産形成制度の根幹を揺るがすものと言わざるを得ません。なぜなら、改悪後の一般の財形貯蓄は単なる天引き貯金にすぎず、勤労者の資産形成は絵そらごとに終わりかねないからであります。二〇%課税は撤回すべきではありませんか。労働大臣及び大蔵大臣の所信をお伺いいたします。
 次いで、国民が強い関心を持っている医療費控除についてでありますが、今回の改正において足切り限度額を五万円から十万円に引き上げるとのことでありますが、一気に二倍というのは、これは無謀であります。しかも、これまでの足切り限度改正の推移を見ると、十万円であったものが五十年度に五万円へと、医療費負担による国民生活への配慮が見られたにもかかわらず、今回もとに戻すという逆行は認めるわけにはまいりません。これでは、国民の税に対する不信感を増長するだけではありませんか。修正のお考えはないか、明らかにしていただきたい。
 次に、法人税についてであります。
 所得税減税先行という政府の前宣伝とは裏腹に、本年三月末をもって租税特別措置法による税率上乗せの規定が期限切れとなったため、現時点では法人税減税だけが単独先行しております。賞与引当金及び配当軽課制度の廃止、外国税額控除制度の見直しなどの制度改正を含めた一体的な法人税改革を待たず、法人税率の引き下げだけを先行させたことは遺憾であります。
 所得税については、減税とマル優廃止を抱き合わせながら、法人税は減税だけということでは国民は納得できないのであります。税制改革の当初案には、これらの一体的な改正案が盛られていたにもかかわらず、今回の改正案において増収措置が欠落している理由を明らかにし、今後の法人税改革の意図をお示し願いたい。
 次に、地方税改正についてであります。
 まず、個人住民税の減税は、当初案によれば、昭和六十二年度、すなわち本年度から実施され、その規模も平年度で七千五百億円余を予定していたのであります。ところが、今回示された改正案によると、六十三年度に先送りした上で、初年度五千億円、平年度六千六百億円に大幅に縮小されております。国民の重税感は所得税だけでなく住民税にも集中しており、住民税減税に対する要求はますます高まってきているのであります。なぜ住民税減税を当初案より大幅に縮小したのか、さらに、その実施を一年先送りしたのはいかなる理由によるのかを伺いたい。所得税の減税が与野党の話し合いで上積みされましたが、住民税にも上積みこそすれ縮小すべきではないと考えますが、自治大臣の御見解を承りたい。
 最後に、固定資産税についてであります。
 来年は三年ごとに行われる固定資産税の評価がえの年に当たります。東京周辺の地価は暴騰し、一年で二倍から三倍の値上がりを示しております。政府は、地価の抑制策についてどのような方針をお持ちか、具体策を明らかにしてもらいたい。
 この異常な地価の上昇が、そのまま固定資産税の評価がえにつながるとすれば、住民の税負担は著しく増大し、負担に耐えられません。どのように対処されるか伺いたい。特に、個人の住宅用地は、地価が上昇したからといって何ら利益を受けるものではありません。生活の基盤となっている一定規模以下の住宅用地については、より一層の減免措置を講ずるか据え置くべきと考えますが、総理並びに自治大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(中曽根康弘君) 片上議員にお答えをいたします。
 今回の減税は金持ち減税ではないかという御質問でございますが、所得税の最高税率につきましては、その水準が高過ぎる場合には、勤労意欲や事業意欲に好ましくない影響を与えることが懸念されるところであり、今回はこれを引き下げたところでございます。今回の引き下げによりましても、国際水準からしますとまだ高いという状況にあるのであります。
 今回の利子非課税制度の改組は、現行非課税貯蓄制度に内在するさまざまの問題を解消するための抜本的見直しの必要から行うものであります。また、これは恒久財源を確保するためにも不可欠の措置であると申し上げたところであります。
 特に、一律分離課税は、利子所得の発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性といった特異性に配慮して、簡素、中立、効率といった要請にもこたえるものとして採用したものであり、むしろ、先ほど大蔵大臣から御説明がございましたように、これは高額所得者に負担の増加を求める結果になるものと考えております。したがって、金持ち優遇税制とは考えておりません。
 二兆円規模の減税を実施せよというお示してございますが、これも先ほど来申し上げましたように、六十三年度におきましては、地方税を含めますと大体二兆円を超えるものにもなると考えておるのであります。
 マル優の廃止の問題につきましては、現在の制度は、個人貯蓄の七割以上がその適用を受けている結果、巨額の利子所得が課税ベースから外れており、給与所得、事業所得等との間で税負担の不公平をもたらしておる、また、高額所得者ほどより多くの利益を事実上得ている、また、不正利用がかなり見受けられる、さらに、戦時中や戦後の経済復興期と異なって、世界一の資本輸出国となった今日において、貯蓄奨励といった目的で一律的に政策的配慮を行う必要は薄れてきている、時代が変わってきているということ、また、外国からの非難も高まっている、そういういろいろな諸般の事情から、老人あるいは未亡人のような方々、身体障害者のような方々、そういう弱い方々に対してはこれを存置しておく、そういう形によって改組いたしておるものなのであります。
 キャピタルゲイン課税の問題につきましては、有価証券譲渡益について全面的に総合課税を行う場合には、譲渡損の取り扱いも含め、取引の把握や課税資料の収集等のため実効性ある措置が不可欠でありまして、納税者番号制等を含む本格的な管理体制の導入なくしては適正に執行はできないのであります。
 しかしながら、納税者番号制あるいは納税者番号制度を含む本格的な管理体制の導入については、国民的合意が形成されているとは考えておりません。有価証券譲渡益については、これまでに引き続き、究極的には原則課税を志向しつつ段階的課税強化を一層推進することが適当であると考えております。
 今回、政府が提案した税制改正案におきましては、公平、公正な負担を実現するために、有価証券の譲渡益課税について、その課税対象を大幅に拡大しておるところでございます。
 地価の高騰対策につきましては、東京等の地価高騰対策に対しては、地方分散、宅地供給の促進を図るほか、土地取引規制の強化、超短期重課制度の創設等、土地税制の見直し等により、投機的土地取引等の抑制に努めておるところであり、また、金融政策についても自制を強く要請しているところでもあります。
 先般、新行革審に対しまして、基本的かつ総合的な土地対策について提言を願いたい旨を要請いたしました。今後とも、政府一体となりまして、効果的かつ総合的な地価対策を強力に推進してまいる考えでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの所得税減税でございますが、中堅所得者層を中心に負担の軽減合理化をいたしておりますので、そういう意味では消費の拡大等を通じて内需拡大に資するところがあるであろうと考えております。殊に利子課税でございますが、これは今度御提案をいたしておりますが、これはすぐに大きな歳入になる性格のものではございませんので、いわば減税分がかなり先行する、事実上そういうことになりますので、ただいま申し上げたようなことを申し上げることができると思います。
 次に、マル優につきましては、総理から御答弁がございましたので重複を避けます。
 なお、社会保障番号などによるキャピタルゲインの捕捉につきましても、総理の言われましたとおりでございます。
 次に、財形貯蓄の問題でございますが、このたび勤労者の財産の形成の中で、老後に備える年金貯蓄、それから、今住宅問題がこういうことでございますから、住宅取得のための貯蓄、これは特に政策目的で支援しようということで、これらにつきましては、あわせて五百万円までの利子等について低率の分離課税をするということを政府は考えたわけでございますが、衆議院の御修正によりまして、これは非課税とすべきであるというのが衆議院の御意見でございました。いずれにいたしましても、これは特定の政策目的のためにいたしたことでございまして、一般的に財形貯蓄を特別扱いするという考え方ではございません。
 もっとも、今度、財形貯蓄制度の改正におきまして、一般の財形貯蓄を財形年金貯蓄または財移住宅貯蓄にシフトさせる、変更することが、一定の条件のもとにはできるということが決まったと承知いたしております。
 それから、医療費の足切りの限度額を引き上げたことは適当でないという御指摘でございました。
 一般的に所得税にはいろいろな意味での控除がございまして、いろいろな意味でのその支出をこれでカバーするという考え方になっておりますが、その中で、特に平均を超える支出を特別に扱うという考え方をとっておりまして、医療費控除はその一つでございます。現在の五万円と決めましたのは昭和五十年でございますが、その後、医療費の水準が上がってまいっておりますことと、家計の平均的な所得もふえております。そういうことから考えまして、十何年据え置きましたので、十万円にするということは適当なことではないか。特別の平均を超える支出について特例を設けるという精神から申しますと、それで適当なのではないかと考えております。
 最後に、法人税の問題の御指摘がありまして、これは実はおっしゃったとおりでございます。
 政府といたしましては、法人税率を一・三下げると申しますか、もとに戻しますと同時に、賞与引当金あるいは配当軽課制度の廃止などを一緒に実施をいたしたいと考えまして、いわばそれは増税分になるわけでございますが、当初案にはそのように御提案をいたしたわけでございます。しかし、国会の御審議の過程におきまして税率引き下げ分だけが確定をいたしましたので、ただいま言われましたような部分は実現をいたしておりません。今回は、当面、早急に実施いたすべき税制改正だけをお願いいたそうと存じましたので、この点に触れておりませんけれども、これは今後の問題としてやはり処理をいたさなければならない、当初のような考え方を今後実現をしなければならないと、そういうふうに考えておりますことは御指摘のとおりでございます。(拍手)
   〔国務大臣唐沢俊二郎君登壇、相手〕
#22
○国務大臣(唐沢俊二郎君) 郵便貯金の限度額管理についてお答えを申し上げます。
 郵政省といたしましては、従来から郵便貯金の限度額管理について努力してまいりましたが、特に、昨年一月以降、預け入れのときの公的書類による本人確認を一層厳格にいたしましたし、さらに、コンピューターによります全国一本の名寄せも実施いたしました。このようにいたしまして限度額オーバーが発見されました場合には、限度額の範囲に抑えるようにいたしております。
 今後とも郵便貯金の限度額管理を厳正に実施してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(平井卓志君) 財形貯蓄の問題につきましては、ほとんど大蔵大臣から御答弁があったわけでございますが、サラリーマンにつきまして資産形成のおくれが見られる実情と国民各層とのバランスを十分に考慮しまして、サラリーマンにとって特に必要性の高い老後生活の安定を目的とする年金貯蓄及び持ち家取得の促進を図るための住宅貯蓄について、特別の優遇策を講じますとともに、その他の目的を限らない一般財形貯蓄については優遇措置を廃止するという選択をいたした次第であります。
 今後とも財形制度につきましては、制度全般にわたりまして充実に努めてまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣葉梨信行君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(葉梨信行君) 住民税の減税規模についての御質問でございますが、さきの通常国会に提出されました住民税減税案は、売上譲与税の導入を前提としたものでございます。今回の減税案におきましては、利子割のみを恒久財源とせざるを得なかったことから、これに見合った規模としたところでございまして、今回の減税規模が縮小されているという御指摘は当たらないと考える次第でございます。
 なお、平年度ベースで約六千六百億円の減税規模は過去最大のものでございます。昭和六十年度の個人住民税所得割決算額の一割に達するものでございます。
 次に、減税の実施時期を昭和六十三年度からとした理由でございますが、住民税は、その仕組み上、年度途中に改正しますと課税事務の全面的なやり直しが必要となるわけでございます。このために、市町村とか給与支払い者の事務処理量が膨大となるなどの問題がございまして、現時点では実際上実施は困難でございます。
 最後に、昭和六十三年度の土地の評価がえ及び住宅用地の固定資産税についての御質問でございます。
 まず、土地の評価がえにつきましては、大都市地域におきます買い急ぎとか将来における期待価格等によります特異な地価の状況にも十分配慮しながら、課税団体と調整を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、二百平方メートル以下の小規模住宅用地につきましては、その税負担の緩和を図る配慮のもとに、一兆円を超える軽減措置を講じてきている次第でございます。さらに、その規模を据え置くといたしますと、税負担の公平を損なうばかりでなく、将来にわたりましてゆがみ、ひずみをもたらすことになることを考えますと、適当ではないと考えている次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(藤田正明君) 近藤忠孝君。
   〔近藤忠孝君登壇、拍手〕
#26
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、所得税法一部改正案に対し質問いたします。
 総理、あなたの税制改革のやり方は、民主主義と国民主権、議会制民主主義の原理に全く反するものであることを最初に強調しておきます。
 「大型間接税とかマル優廃止とか、そういうようなことを私がやるもんですか」、これが昨年同時選挙における総理の公約です。この公約をかなぐり捨てた二つの大増税法案は、当然のことながら列島騒然となる国民の怒りと猛反対により、さきの国会で廃案となりました。これが国民の審判であります。しかるに、総理、あなたはこれに耳を傾けず、我が党を排除した税制協議会の議を経たと称して、わずか二カ月後にこのマル優廃止法案を提出いたしました。これが国民に対する重大な背信行為でなくて一体何でありますか。
 総理は、マル優廃止を突破口に、再び税制協議会を足がかりにして、直間比率見直しの名による大型間接税導入の作業を進める態度をあからさまにしております。公約違反の大増税は二つ一緒では困難だが、分離して一つ一つ提案すれば国民をだませるとの魂胆がありありであります。国民主権と議会制民主主義に対する重大な挑戦と言わなければなりません。本法案の撤回と新たな大型間接税導入計画の断念を強く求めるものであります。
 総理、最近の財テク、マネーゲームや狂乱地価のもとで、国民の間に所得格差に加え深刻な資産格差が広がっているのであります。このような中で、今回のマル優廃止は、大資産家の貯蓄については、最大の不公平税制是正に必要な高額利子所得総合課税化への道を完全に放棄し、選択分離課税の税率三五%も二〇%に減らす一方、従来非課税であった庶民の貯蓄に対しては、どんな低所得者のものでも一律二〇%の税率を課そうとするものであります。これは、税は能力に応じて負担するという近代税法の基本である応能負担の原則に反しませんか。また、大資産家優遇の結果、国民の間の資産格差拡大に一層油を注ぐことになりませんか。
 さらに、マル優廃止に伴って、金融機関の総合課税利子分についての支払い調書提出義務がなくなります。二〇%の税金さえ払えばどんな性格の金でも全く野放しで、銀行預金は脱税資金の温床になり、架空名義や名義分散などによる相続税逃れ勝手ということになりませんか。不公平是正と言いながら、結局は新たな不公平への踏み込みだという批判にどうこたえますか。
 マル優の不正利用は現行制度で十分チェックできます。国税庁は六十五歳以上の限度枠管理のためにコンピューターを使って名寄せをすることにしていますが、これは全体についてもできるはずであります。昨年、国税庁が本人確認強化のために準備完了した限度管理の電算機システムで実現可能ではありませんか。答弁を求めます。
 マル優廃止は、マル優が貿易摩擦の原因だというアメリカの圧力に屈したものであり、国民への公約よりもアメリカへの約束を優先させたものでありますが、果たしてマル優廃止によって国民の消費拡大、内需振興が図られるものでありましょうか。個人の貯蓄率の高さは、我が国社会保障の不備の反映であり、住宅、教育、その他将来の必要に備えてやむを得ず蓄えているのであります。賃上げ抑制、長時間労働、社会保障の抑制、地価高騰などを放置していては真の内需拡大は実現いたしません。
 むしろ問題なのは、大企業の貯蓄とも言うべき内部留保の高さであります。近年、我が国の大企業は、膨らんだ内部留保を、本来の事業ではなく、財テク、マネーゲームに投じ、投機利潤を追い求めております。この巨額の資金の流れを大きく変え、国民本位の内需拡大の方向に向けることが必要であります。そのためには、大企業の財テク活動による利益への追加的課税や、外国為替投機に対する適切な規制が必要ではありませんか。
 次に、減税の問題についてただします。
 政府は、減税の上乗せを強調しておりますが、衆議院審議段階の修正額はわずか二千四百億円にすぎません。このうち、審議再開の条件として自民党が示し、社公民各党がのんだ再上積み額の四百億円は計数整理によるものであり、何ら実質的減税の上積みではありません。悪法を通すためのこそくな手段と言われても仕方がないではありませんか。
 所得減税の方法も問題であります。人的控除は一人三十三万円に据え置かれたままであるのに、最高税率七〇%は一〇%も引き下げられます。減税の効果が高額所得者の方に多く及ぶ金持ち優遇ではありませんか。特別配偶者控除についても、給与世帯三七%の片働き世帯にしか減税の効果が及びません。すべての世帯に減税の効果が及ぶ基礎的な人的控除の引き上げによる課税最低限の引き上げの方がより公平ではありませんか。共働き世帯の場合は、大半の世帯が増減税差し引き増税になることを政府は認めながら、どの階層にも減税の効果が及ぶかのごとき宣伝をするとは一体何事でありますか。また、所得税非課税の低所得世帯にとっては、減税なしの増税だけではありませんか。これでどうして公正な税制改革と言えますか。
 以上、答弁を求めます。
 我が党は、このような増税つきのわずかな減税ではなく、増税なしの三兆円減税を求めるものであります。財源はあります。株式や公社債の売買額は急増し、ことしは二県円に近づくと言われていますが、ここに有価証券取引税を〇・一%上乗せするだけで数兆円の増収になります。ところが、政府は逆に引き下げようというのであります。
 また、現在の株式譲渡益のうち、課税対象は年間わずか五億円にすぎません。キャピタルゲイン原則課税にすれば、さらに多額の税収が得られます。コンピューター時代の今日、納税者総背番号制をとらなくても、これに対する課税は可能であります。なせ実施しないのでありますか。
 現在、大企業の海外進出は、産業の空洞化など国内経済に梁刻な影響を与えていますが、このような大企業は、外国税額控除制度によりまして、資本金三百億円以上の巨大企業だけで年間五千三百億円も税免除がなされております。この際、抜本的に縮小することを求めます。
 増資でほろもうけをしても課税対象とならない株式時価発行差益非課税制度、大企業の株式投機に拍車をかけている受取配当益金不算入制度なども当然に見直されるべきであります。答弁を求めます。
 本法案は、このような当然の措置に手をつけておりませんが、法人税は税率上乗せ廃止によって四千億円の減税を先行させております。これに対する法人の増税はないばかりか、新たに投資減税も行っていますが、これらは大企業に対する一層の優遇措置ではありませんか。
 以上、私は、マル優廃止反対、大幅減税と税制の民主的改革、そして地方自治の確立を強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(中曽根康弘君) 近藤議員にお答えをいたします。
 マル優廃止法案の再提出の問題でございますが、先般の選挙の際、私はマル優等の非課税貯蓄制度については、老人とか母子家庭とかの社会的に弱い人についてはこれを維持していく、しかし、不正を行っている者については是正しなければならない、そのように申し上げて、そのとおり実行しておるのでありまして、公約違反ではございません。改正案を撤回する考えもございません。
 次に、応能負担の原則の問題ですが、今回、政府が提出した税制改正法案においては、利子所得の発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性といった特異性に配慮して、簡素、中立、効率といった要請にもこたえるものであり、一律分離課税を採用しました。
 高額所得者は、通常、まず非課税貯蓄を限度いっぱい利用し、さらに割引債の一六%源泉分離課税制度を利用していると考えられております。非課税貯蓄制度の不正利用もかなり見受けられることも勘案すれば、一律分離課税への移行はむしろ高額所得者には実質的に負担増加の結果になると、そういうふうに考えております。
 源泉分離選択課税の実態を見ると、その利用者は高額所得者に偏っているわけでは必ずしもないのであります。したがって、今回の利子課税の改組案が応能負担の原則に反するという御指摘は当たりません。
 次に、今回の税制改正では、資産に関する課税については公平、公正という抜本的見直しの理念を踏まえ、利子課税の見直しを行うとともに、有価証券の譲渡益について思い切った課税ベースの拡大を図っておるところであります。
 また、土地の譲渡益についても、超短期所有土地等に対する重課制度を実行し、個人の事業用資産の買いかえ特例の縮減等、課税の一層の適正化を図るほか、土地の登記に対する登録免許税の引き上げ、有価証券取引税の見直し等の措置も講じております。したがって、大資産家優遇という結果ではありません。
 次に、投資減税の問題ですが、法人税の減税先行は、租税特別措置法による暫定税率の期限切れによるものであり、中小法人に対する税率も引き下げられているところです。
 一方、今回の税制改正法案で提案申し上げている特定開発研究用資産の特別償却制度は、さきの緊急経済対策の決定を受けて民間の研究開発を促進する観点から創設することとしているものであり、また、特定の中小企業者や事業転換を行う特定の事業者には償却率の割り増しを行う等、その内容から見ても大企業優遇であるとの批判は当たらないのであります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変多岐にわたる御質問でありましたのですが、まとめましてお答えを申し上げます。
 まず、マル優の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、これだけの現在の枠をいっぱいに使えるというのはどうしても高額所得者でございます。低額所得者は枠をいっぱいに使えないのでございますから、結果として、これをやめるということ、改組するということは、高額所得者の方の負担が大きいということになろうと思います。
 支払い調書を軽便にすることができるだろうというのは、そのとおりでございます。大変な事務負担でございますから、できるだけこういうことは簡略にできればいたした方がいいと思います。
 架空名義の預金、これをどういう状況においても根絶するということは困難な問題でございますけれども、相続税との関連などで申せば、結局、それは税務調査の問題であろう、今度の制度改正とは直接に関係がないように私は思います。
 マル優について、不正利用をこうやれば防げるというお話がございましたけれども、今度改組いたしますのは、不正利用のこともさることながら、先ほど申しましたように、どうして一般にこのような資産所得を優遇しなければならないかという、そういう問題意識であったことは先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから、今度の一兆五千四百億円という減税額は、これはどういう経緯であったかと申し上げますと、八月七日に各党の、各党と申し上げますと、共産党はお入りでないので失礼でございますが、それ以外の各党でございますが、その与野党の書記長・幹事長会談におきまして、二千億円をひとつ上積みしたらということを与党の幹事長が御提案いたして、八月二十六日にそれを詰めるということになりました段階で、事務当局の方へ、仮に百二十万円までの税率を一〇・五%とする、二百万円までを一二%とすれば、どのくらいの減税になるであろうか、ひとつ計算してみてくれという依頼が自民党の幹事長からございまして、御承知のように、この二千億というふうにぴちっと、控除でございますとか税率とかの刻みがございますから、ぴちっとその数字が出ませんので、上か下へ行くわけでございますが、その刻みで計算いたしましたら一兆五千四百億円となった、こういう経緯でございます。
 それから、基礎的な人的控除をもっと引き上げた方がいいのではないかということでございますけれども、それはつまり課税最低限を引き上げるということになります。それだけ納税者を減らしていく、納税しない人がふえるということですが、我が国の課税最低限はもう相当高い水準でございますから、このようなかなり所得水準が高くなった我が国では、むしろ人的控除の引き上げではなくて、教育費や住宅費などがかさんでまいります勤労層に対しての税率の軽減の方が私は政策としては正しいのではないかと思います。
 それから、もう一つ申し上げておきますが、本当に人的な控除を広げますと、一番の受益者は一番税率の高いところの人でございます、上積みになりますから。したがいまして、そういたしますと所得の高い人がかえって大きな受益をいたします。
 それから、共稼ぎ世帯のお話がございましたが、これはもともと仮に六百万円から七百万円とかいう所得がございましたら、それは一人で稼得するよりは二人で稼得いたしております方がはるかに税負担は少のうございます、累進が低くなりますから。それは多分六割とか七割ぐらいの負担になりますので、問題はむしろそういうことになっておるということでよろしいのではないかと思います。
 それから三兆円の減税と言われました。正直を申しまして、恒久財源が見つかっておりませんので、今程度のことでもなかなか大変だと実は思っておりますことを申し上げさしていただきます。
 それからもう一つございました外国税額控除ですが、租税の二重課税排除のためには国際的に確立された外国税額控除制度がございますけれども、御指摘のように、二重課税の排除という趣旨を超えてどうも控除が行われているらしい問題点がございますから、それをできるだけ是正したいと考えました。
 それから最後の、法人については減税だけが行われて受取益金不算入等々が伴っていないではないかということは、そのとおりでございます。政府としては、当初案では両方並行して行いたいと考えておりましたが、国会の御審議の結果、減税だけが成立いたしましたので、これはいずれかの機会に私どもとしても検討させていただきたい問題でございます。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(近藤鉄雄君) 非課税貯蓄制度の改正が貯蓄率に与える影響について御質問がございましたが、家計が住宅購入や老後の生活など、将来の支出を目標として貯蓄する場合には、目標達成に必要な貯蓄額を増加させるために家計貯蓄率を上昇させるという面がございますが、一方におきましては、貯蓄することがこれまでよりも不利になるわけでございますので、むしろ消費を増加させ、家計貯蓄率を低下させるという効果もあるように思います。いろいろな効果がございますので、その強弱についてはいろいろ見方がございますが、総じて申し上げますと、家計貯蓄の利子弾力性は小さい、すなわち利子が変わっても貯蓄に余り大きな影響を与えないというのが、理論的にも実証的にも大方の見方であるというふうに考えます。
 いずれにいたしましても、今回の税制改正法案におきましては個人所得税の大幅な減税を行う、そしてこれを先行して、非課税貯蓄制度の改正に先行して行うものでございますので、改正は、全体としては消費の拡大、内需拡大に資するものであると考えている次第でございます。(拍手)
#30
○議長(藤田正明君) 山田勇君。
   〔山田勇君登壇、拍手〕
#31
○山田勇君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま提案されました所得税法等の一部を改正する法律案並びに地方税法の一部を改正する法律案につきまして、中曽根総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、総理は、税に対する国民一般の感情をどのように認識しているのでしょうか。今日のような福祉社会にあっては、その福祉の財源や公共事業のため、ひいては国民全体の幸福の増進のために、国民がそれぞれの負担能力や公共サービスの享受の度合いに応じて喜んで税を納めるという気持ちを育てることが大切ではないでしょうか。国民のすべてが笑顔で税金を納める、何とすばらしいことでしょう。
 しかし、一般的に見て、現実はそれとはかなりかけ離れたものになっていると言わざるを得ません。その背景には、国民の間に蔓延している税に関する不公平感が挙げられます。すなわち、税制面では、重税感に加えて、トーゴーサンとも呼ばれるところの給与所得者を中心とする不公平感であります。
 一方、税の使い道である政府の支出面では、補助金などの非効率、むだ遣いに対する納税者の不信であります。この支出面については、行政改革の断行以外に方法はないわけでありますが、補助金の整理、削減はほとんど手つかずのままで、単に国の補助率だけをカットし、地方への負担の転嫁が行われています。
 中曽根内閣が成立以来最重要政策の一つとして掲げてきた行政改革の達成度について、五年間を振り返りどのような認識をお持ちでしょうか。まず第一に、総理の御所見をお伺いいたします。
 ところで、国民の税に対する不満のもう一方の柱であります税制面については、その改革が今や最も重要な政治課題となっております。この改革においては、当然、国民の不公平感を払拭することにその主眼が置かれなければなりません。
 そこで、第二に、利子課税制度の問題、すなわちマル優制度の廃止についてお尋ねをいたします。
 政府の提案理由説明によりますと、それは「実質的な負担の公平を確保する等の見地から」原則廃止するとされています。もしそのように考えるのであれば、なぜマル優の不正利用防止を図ろうとしないのでしょうか。例えばマル優カードの導入などによって個人預金の名寄せを徹底すれば、マル優の限度額管理は十分にできるはずであります。ところが、そのような努力を放棄して一律分離課税を行おうという政府の姿勢は、明らかに行政の怠慢と言わざるを得ません。
 しかも、マル優の原則廃止は、今後高齢化社会が一層進んでいくことを考え合わせるならば、問題なしとは言えないのであります。政府は、六十五歳以上の高齢者に対してはマル優を存続させるのだから十分だと考えているのでしょうが、六十歳で定年を迎え、これからは退職金を中心に生計を立てていこうと思っている人々にとってはどうでしょうか。長い間一生懸命働いて、やっと手にした退職金をほとんどの人は預金して、その預金が目減りするのを最小限に抑えようとするのであります。ところが、もし二〇%の一律分離課税が適用されるとしますと、実質的にはかなりの増税となってしまいます。しかも、マル優廃止の見返りともいえる所得税減税は、退職してしまえばその恩恵すら受けることができないのであります。また、マル優廃止は、小口預金者に対しても不公平をますます助長することになりかねません。
 政府は、大目預金者も同一の税率が課せられるのだから公平であり、むしろ大口預金者は多額の税を納めることになるとでも言うのでしょうか。金融の自由化が進み、大口預金の金利が通常の預金のそれよりも高くなっている現在、同率の課税では従来の税率よりも大幅に引き下がり、しかも、利率の高い大口預金者の方が利子の取り分においてずっと有利になってしまうのではないでしょうか。これでは金持ち優遇というそしりは免れません。このようなマル優制度の廃止に伴う問題について、総理並びに大蔵大臣はどのようにお考えになっているのかお聞かせを願いたい。
 第三は、所得税と地方税の減税についてであります。
 中堅所得者層の重税感、税の不公平感を解消するためにも、また、政府の国際公約でもある内需の拡大を促す意味でも、大規模な所得税減税は急務であります。我々は二兆円規模の所得税減税を先行させることを要求してまいりましたが、政府・自民党は、わずか一兆五千億円余りで済まそうとしているであります。
 地方税の減税についてもその規模は十分とは言えず、しかも、六十三年、六十四年と二段階に分けてようやく行うことになっております。これでは内需拡大に結びつく効果はそれほど期待できないのではないでしょうか。六十一年度の決算剰余金やNTT株売却益は、補正予算や国債整理基金への繰り入れ予定額を差し引いたとしても、合計三兆八千五百億円も余裕があると考えられるのでありますが、なぜ政府はその財源の一部を用いて減税の上積みを行おうとしないのでしょうか。
 加えて、減税の内容についても、扶養控除やサラリーマンの特定支出控除制度など不十分であり、給与所得者の不満を解消するのにはほど遠いものと言わざるを得ません。総理並びに大蔵大臣、自治大臣に御所見をお伺いいたします。
 第四は、株式売却益や土地に対する課税についてであります。
 勤労者の所得に対しては源泉徴収でいや応なく課税する反面、株式売却益に対しては実質野放し状態になっています。このため資金的に余裕のある人が株式投資に走り、最近の株価の高騰となったことは説明するまでもありません。土地についても政府の無策の結果、投機の対象となり、都心部の異常なまでの地価高騰を招いたわけであります。土地を持っている人はその恩恵を受けたでしょうが、これから住宅を取得しようとしている勤労者にとっては、マイホームを東京近郊に持つことはもはや不可能としか言いようがありません。このような一部の人ばかりが膨大な利益を享受し、持てる者と持たざる者との格差がどんどん拡大していることに対して政府はどのような認識をお持ちでしょうか。
 加えて、来年は固定資産税の評価がえの年に当たります。最近の地価の高騰を考えますと、大幅な固定資産税の上昇が予想され、このままでは都心部の人口の空洞化に一層拍車がかかると思われます。現在三本立てになっている土地の評価方法の問題を含め、土地税制のあり方について議論を十分深めておく必要があると考えます。以上について、総理並びに大蔵大臣、自治大臣の答弁を求めるものであります。
 さて、税制改革は総合的かつ長期的な視野に立つことが不可欠であり、その場しのぎの拙速主義であってはなりません。そこで、二十一世紀をにらんだ抜本的な税制改革の視点の中で、今回の改正案をどのように総理は位置づけているのか、お尋ねいたします。任期残りわずかとなった総理として、有終の美を飾る意味からも、後世の国民から、ああ、中曽根総理のおかげで喜んで納税の義務が果たせる世の中になったと評価を受けるような税制改革の基盤づくりを、後に続くニューリーダーの方々にしっかりとバトンタッチされることを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(中曽根康弘君) 山田議員にお答えをいたします。
 まず、税に対する国民感情でございますが、公平、公正、簡素というようなことを政府側としては実行いたしまして、国民の皆様方が喜んで税を負担していただくようにすることが大事であると思います。これから社会保障を充実させ、あるいは公共的サービスをさらに拡大し、あるいは高齢化時代に対応していくためには、ある程度国民の皆さんに御負担願わなければならないことになると思います。そういう意味におきまして、よく国民の皆さんに事態を御理解いただきまして、また、公平感のもとに喜んで税を納めていただくようにすることが政府の責任である、このように考えて努力してまいるつもりでおります。
 次に、補助金の整理削減については全く同感でございまして、政府といたしましても、行政改革の一環として、中央、地方を通ずるこれらの努力をしてきた次第でございます。特に、地方で同化、定着した事務事業の一般財源化、補助率の見直し、統合、メニュー化等の整理合理化を推進して補助金総枠を厳しく抑制してまいりましたが、今後とも積極的に努力してまいりたいと思います。
 行政改革の達成度いかんということでございますが、与党、野党、皆さんの御鞭撻をいただきまして一生懸命努力してまいりました。幸いに臨調及び行革審の答申を最大限に尊重しつつできるだけ実行してまいりましたが、三公社の民営化、中央省庁の組織再編、許認可等の整理合理化を初めとする規制緩和、年金、医療等の制度改革などある程度前進することができたと思います。
 今後もこれらの答申をさらに実行していくように全面的に努力してまいるつもりであります。私は、行政改革は三代の内閣、十年の仕事である、こう申してまいりまして、まだやるべきことは山積していると思うのでございます。
 マル優廃止に伴う問題でございますけれども、今回の税制改革におきましては、所得税の減税、特に中堅サラリーマン、働き盛りの方々に対して重点を置いた減税政策を推進しておるところでございます。マル優制度の廃止に伴いまして、老人とかあるいは母子家庭とか身体障害者以外は二〇%の御負担を願うことになりましたが、仮にそのような御負担を願うことにいたしましても、減税とのプラス・マイナスを考えてみますと、かなりの減税に今回はなるように配慮いたしてやっております。
 また、金持ち優遇ではないかというお示しでもございましたが、先ほど来申し上げましたように、実際このマル優制度をうまく使っているのはお金持ちの方でございまして、そういうような面から一律二〇%を課税されるということはかなりの負担増になってまいると思うのでございます。
 そのほか、いろいろキャピタルゲインその他に関する課税も今度は強化しておるところでございます。
 減税の上積みに対しましては、先ほど来申し上げましたように、今回の衆議院における修正等を加えますというと、来年度以降におきましては、地方税も含めまして二兆円に及ぶ減税になる、こういうことで御理解いただきたいと思うのでございます。
 NTT株式売却益の使途は、これは国民共有の負債である国債償還に充てることとして制度的に確立さしておるところであります。いずれこのように収入が見込めなくなってしまう一時的な財源を減税の恒久財源に充てることはできないのでありまして、減税に使うということは適当でないと思うのであります。
 資産課税につきましても、先ほど来申し上げましたように、今回の税制改正の中におきましてもいろいろ御審議願保っておるわけであります。
 有価証券譲渡益について思い切った課税ベースの拡大を図る、土地の譲渡益についても超短期所有土地に対する重課制度の創設、個人の事業用資産の買いかえ特例の縮減等課税の一層の適正化、土地の登記に対する登録免許税の引き上げ、有価証券取引税の見直し等の措置を講じておるところでございます。
 地価の高騰対策につきましては、土地転がしの防止のために、超短期の重課制度の創設等々の対策を講ずべく今御提案しており、さらに、金融面から見ましても、土地転がしに悪用されないように金融の自粛を特に要請もいたしておるところでございます。
 先般、新行革審にも御提言をお願いいたしましたが、自民党といたしましても、政府と一体となって土地政策に対して重点的な政策を強化していこうというので体制を確立したところであり、政府も懸命な努力をするつもりでございます。
 税制の抜本的改革につきましては、先ほど申し上げましたように、衆議院段階において衆議院議長のあっせんがございまして、税制の抜本的改革は必要である、また直間比率の見直し等も緊急な課題である、そういうふうに指摘されておりまして、今回は、その一環といたしまして、減税政策を先行させてお願いをいたしておるわけでございますが、この衆議院におきまする税制協議会の状況等も踏まえまして、税制の抜本的な改革及び直間比率の問題の打開等について政府としても努力してまいらなければならない、そう考えております。ニューリーダーの皆さんもそういうようなお気持ちでいらっしゃいますので、ぜひこれも引き継ぎしてまいりたいと考えておるところでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) マル優につきましてお尋ねがございましたが、先ほども申し上げましたが、このたびの考え方は、不正利用ということもさることながら、この十六兆に近い利子所得が、しかもこれは資産所得でございますから、どうして非課税でなければならないのかという問題意識を持ったわけでありまして、特に社会的な配慮を必要とすべき方々には新しい制度としてこれを改組することがいいのではないか、こう考えたわけでございます。
 それから、その際の高齢者の年齢のことでございますけれども、どうして六十歳としなかったかということ。実は老人福祉法など国の老人福祉に係るいろいろな制度の適用年齢が御承知のように六十五歳でございますので、ここで実は線を引かせていただいた、これは一つの選択の問題であったわけでございます。
 それから、NTTの問題につきましては、総理がただいまお答えになられました。
 資産課税につきましても、今総理のお答えがございましたが、もう一つ土地の評価についてのお尋ねでございました。
 相続税の場合には、地価公示価格との関連で申しますと、相続税は何しろすぐ課税をいたしますものですから、この評価をかた目にすると申しますか、値幅の下限に近い水準で評価をいたしております。
 それから、固定資産税との関連でございますが、固定資産税は毎年でございますが、相続税は御承知のようにそうではございません。それから相続税の評価額は毎年改めておりますが、固定資産税は三年に一度でございますから、この点にも幾つかの相違がございます。
 ただ、いろいろ公的な評価があって、その整合性がなかなかとれていないではないかということは、一元化というのは容易ではないと思いますけれども、整合性を何とかして確保するということについては、一層の努力が必要であるということは私どもも認識をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣葉梨信行君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(葉梨信行君) 住民税減税と内需拡大の関係について御質問がございましたが、平年度ベースで約六千六百億円の住民税の減税規模は過去最大のものでございます。これは昭和六十年度の個人住民税所得割決算額の一割に達するのでございます。したがいまして、所得税の減税と相まちまして内需拡大に寄与するものと考えている次第でございます。
 昭和六十三年度の土地の評価がえ及び土地税制についての御質問でございます。
 昭和六十三年度の土地の評価がえにつきましては、大都市におきます買い急ぎとか、将来における期待価格等によります特異な地価の状況がございますので、こういうことにも十分に配慮しながら、課税団体と調整を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
 なお、土地税制のあり方につきましては、総合的な土地対策の一環として、今後、新行革審を初め、各界の御意見を参考として検討されるべきものと考える次第でございます。(拍手)
#35
○議長(藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#36
○議長(藤田正明君) この際、日程第一を後に回したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 日程第二 学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長田沢智治君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔田沢智治君登壇、拍手〕
#38
○田沢智治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、臨時教育審議会の答申を踏まえ、高等教育の改革を積極的に推進するため、文部省に、大学に関する基本的事項を調査審議する大学審議会を新設するとともに、既設の大学設置審議会及び私立大学審議会を再編統合して、大学の設置認可等について調査審議する大学設置・学校法人審議会を設置しようとするものであります。
 なお、衆議院において、施行期日についての修正が行われております。
 委員会におきましては、中央教育審議会との関係、大学自治の尊重、委員の構成と運営のあり方、私学の自主性尊重の必要性などについて熱心な質疑が行われるとともに、参考人の意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 次いで、質疑を終局することを決定いたしました。
 討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して久保委員より反対の討論が、自由民主党を代表して林委員より賛成の討論が、日本共産党を代表して佐藤委員より反対の討論が、それぞれ行われ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、四項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○議長(藤田正明君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。久保亘君。
   〔久保亘君登壇、拍手〕
#40
○久保亘君 日本社会党・護憲共同を代表する私の討論は、ただいま議題となっております学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場を明らかにするものであります。
 今日、二十一世紀を前にして、私たちはかってない歴史の転換点に立っています。近代産業社会は、高度の物質文明をもたらした反面、地球環境の破壊、豊かさの陰での飢えと貧困、核戦争による人類生存の危機、さまざまな社会の病理現象など、内外ともに大きな課題に直面しています。
 このような時代を主体的に生き、社会の進歩と人類の福祉と平和を目指していくためには、学問研究の創造的発展と国民一人一人の先見性、創造性を持った主権者としての成長、発達、さらには、それを保障する生涯学習体制の整備が不可欠であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
そのため、大学を中心とする高等教育機関の役割は極めて大きいものであることは申すまでもありません。
 急激な社会経済の変化の中で、大学への要望も一層高まっています。その意味で大学改革は重要な課題であります。したがって、今後の大学のあり方について広い視野から議論し、改革の方向を提示するための国民合意の審議機関は、一般的に言って必要だと考えます。社会党が、以前、文部省から独立した機関としての大学委員会の構想を明らかにしたのもそうした考えからであります。
 言うまでもなく、大学改革は、真理の探求という不変の理念を踏まえ、憲法の保障する学問の自由と大学の自治を前提として行われなければなりません。いやしくも資本や経済の論理に立って、真理の追求よりも経済効率を優先させる本末転倒の外部から強要される改革であってはならないのであります。
 しかるに、今回政府から提案されました大学審議会は、政府に都合のよい隠れみの的存在となり、審議会の勧告、答申を利用して、大学自治を侵害し、自主的改革を許さず、政府の大学管理支配政策を押しつけるものではないかという疑念をぬぐい去ることはできません。
 以下、具体的に反対の理由を述べます。
 まず、本法律案は、国民の期待にこたえることなく任務を終えた臨教審答申実施の最初の法案でありますが、大学関係者の合意を得ぬまま拙速かつ強引に提案されたことであります。しかも、政府・自民党は、衆議院では参考人の意見も聞かぬまま我が党議員の質問中に採決を強行し、参議院文教委員会でも十時間足らずの審議で採決を行ったことは、国民合意の大学改革に逆行し、学問研究の自由と大学の自治を踏みにじって大学支配政策を進めようとする姿勢を露骨にあらわすものであります。学問の自由と大学の自治が失われた後に何が起こるか、歴史の教訓に学ぶまでもありません。
 次に、法案の内容についてであります。
 第一に、大学審議会は文部大臣の諮問機関であり、政府からの相対的自立性を制度的に保障されていません。これでは、審議会の政治的中立性は確保できないのであります。しかも、大学審議会は、答申や建議にとどまらず、勧告という強い権限を持ち、審議対象も、大学に関する基本的事項と広範囲であります。なぜ勧告なのかという質問に対する政府の答弁は、全く説得性を欠いております。これでは、大学審議会は恣意的運用によって政府の隠れみの的機関となり、教育基本法十条に反して、教育を政治が不当に支配する危険性が極めて大きいと言わざるを得ないのであります。
 第二に、審議会の根幹とも言うべき委員の選出基準は、全く抽象的で根拠を欠いており、具体的な基準は政令にゆだねられているのであります。しかも、その政令の内容も、骨子すらいまだに明らかとなっていないことに至っては、議会軽視も甚だしいと言わなければなりません。
 かつて六〇年代に大学管理法案が提出されようとして、大学関係者の強い反対で政府は断念したのでありますが、そのときの法案には大学審議会と同趣旨の内容が盛り込まれていました。しかし、そのときですら、国立大学の学長が互選した者、日本学術会議が推薦する者、学識経験を有する者で構成することが明記されていたのであります。そのことと比較すれば、本法案の問題点は一層明らかであります。
 文部省は、臨教審答申を受けてプレ大学審とも言うべき大学改革協議会を発足させましたが、そのメンバーを見ると、財界、産業界の委員が五人、臨教審委員が六人を占めています。臨教審委員の選出においても、教育学者が一人もおらず、教育現場の経験者が極めて少なかったことをあわせて考えれば、臨教審や大学改革協議会のメンバーが横滑りし、財界主導の外部からの大学改革になるのではないかというのは決して杞憂ではありません。
 ここでさらに問題なのは、この大学改革協議会は、まさに大学審議会の先取りとして広範なテーマで審議されたと伝えられますが、衆議院においてその審議の資料を提出すべきであるとの我が党の強い要求にもかかわらず、提出しなかったことは、文部省の秘密主義を示し、本大学審議会の問題の性格を示すものであると同時に、国会無視であると言っても過言ではありません。
 第三に、審議会運営のあり方についても、一切が政令事項とされている上に、その基本的事項も全く明らかにされていないことであります。大学関係者や国民に開かれた運営がなされるかどうか極めて問題であります。
 第四に、私立大学審議会を廃止することは、私学の自主性を尊重するという私立学校法の精神が形骸化しないかという疑問が大きいのであります。
 しかも、現行私大審は、学長等二十名で構成することが法律で明記されていますが、本法案ではその歯どめも外されているのであります。
 最後に、文部大臣がしばしば一部の例をもって大学や大学関係者を一方的に批判されていることは看過できない問題であります。いたずらに大学関係者の文部行政に対する不信感をあおるのではなく、対話を通じて信頼関係をつくり出し、各大学の自主的改革を励まし、財界、企業のひもつき寄附に頼らずとも、大学の教育研究の発展が保障される文教予算を確保することこそ、憲法、教育基本法に基づいて文部行政の責任者のとるべき姿勢であることをあえて申し上げたいのであります。
 また、大学関係者に対しても、学問の自由と大学の自治を守るため、大学の自主的改革に一層の努力を望みたいのであります。
 以上、本法律案に反対する理由を申し述べ、私の反対討論を終わります。(拍手)
#41
○副議長(瀬谷英行君) 佐藤昭夫君。
   〔佐藤昭夫君登壇、拍手〕
#42
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案、すなわち大学審議会設置法案に対し、断固反対する立場から討論を行うものであります。
 本法案は、中曽根内閣の戦後政治の総決算、すなわち戦後培われた民主的諸制度を破壊する政策の一環として提案されたものであり、大学の自治、学問の自由を侵害し、戦後の大学と高等教育のあり方を根本的に転換する極めて重大な内容を持つ法案であります。
 にもかかわらず、衆参両文教委員会の審議は、ともにわずか十時間足らずのまま、質疑打ち切り、強行採決を繰り返し行ったのであります。このことは、文部省が大学改革協議会の資料提出を拒み、いたずらに審議を混乱させたことと相まって、国権の最高機関である国会の審議を形骸化させるものであり、これこそ中曽根内閣のファッショ的政治手法を示すものとして、私は満身の怒りを込めて糾弾するものであります。
 まず、このことを強く指摘し、本法案に反対する具体的理由を述べます。
 反対の第一の理由は、大学審議会が学問の自由と大学の自治を根本から破壊し、大学に対して時の政府が介入、統制する仕組みをつくり上げるということにあります。
 この審議会は、内閣承認、文部大臣任命の委員二十人によって構成され、文部大臣に対して異例の勧告権を持つというものであります。しかも、審議の対象は、大学の管理運営、教員の人事や教授会の権限、教育内容と方法、人材養成計画、大学整備計画、大学評価問題など大学問題全般にわたり、本来大学の自治に属する事項まで調査審議の対象として、強力な勧告権を行使し、行政当局を通じて助言、援助の名による介入、統制を合法化することにほかならないからであります。
 反対の第二の理由は、この大学審議会が政府と財界のために役立つ大学づくりを目指しているということであります。
 これまでの臨時教育審議会答申が示しているように、高等教育機関の高度化、多様化、個性化など、大多数の大学には劣悪な教育研究条件を放置して安上がりな教育を押しつけながら、他方では、独占資本の要求する先端科学技術の研究開発とその人づくりのために少数の特定大学のみを超エリート化するなど、徹底した差別選別体制の確立をねらっています。
 また、本法案に関する質問の中で明らかになったように、SDI研究への参加、防衛大学校の普通大学格上げ問題、大企業寄附講座の導入など産官軍学協同の強化、これらは日米軍事同盟体制国家づくりと産業構造の転換などの国家目標に大学を動員していくものであり、断じて容認できないのであります。
 反対理由の第三は、大学審議会が臨教審の教育改革全体の突破口としての役割を果たすものになるからであります。
 すなわち、日本の全学校教育体系をエリート養成と新しい労働力の効率的養成の差別選別体制へと全面的に転換させようとしています。このような改革が実施されるならば、戦後打ち立てられた教育の機会均等の原則に基づく民主的学校体系そのものが破壊されることになります。
 しかも、臨時教育審議会は、学校教育に君が代、日の丸を押しつけることを全面的に打ち出し、中曽根首相は、国家の統一を図るため天皇の存在が大切であるとして、国家としてのまとまりを教育において教えていく、それには国歌や国旗が必要だと述べているのであります。これは天皇を中心とした時代錯誤の国家主義教育を押しつけるものであり、主権在民を定めた憲法、そして憲法の掲げる理想を実現するという教育基本法に真っ向から反するものではありませんか。このような国家主義教育の押しつけと、大学の自治、学問の自由を奪う大学審議会の設置はまさに一体のものであります。
 このような重大な問題点があるからこそ、今日、多くの大学人が心から反対、危惧の念を表明しています。現在、反対声明を出している教授会は、立命館大学全学部、福島大学経済・教育学部教授会を初め十五大学、二十六教授会。有志の反対表明は、東京大学百五十五氏を初めとして約百大学、一教授会連合に上ります。それも高知短期大学では全教官の一〇〇%、岩手大学では八〇%というように大多数の意思となっているのであります。さらに、反対の意見は、大学、教育関係者のみならず一万二千団体、署名三十万名にも急速に上っているのであります。こうした反対の声を押し切っての採決の強行は全く言語道断ではありませんか。
 私は、歴史を振り返ったとき、権力によって大学の自治と学問の自由が脅かされるときは民主主義の危機であり、二度と繰り返してはならない侵略戦争への道であったことを心から指摘しなければなりません。このような大学自治侵害の歴史を語るときに、文部大臣は、骨とう品のような話だと一笑に付しました。ここにも中曽根内閣の持つ反動的本質が如実にあらわれているのであります。大学審議会の設置は、日本の将来にはかり知れない禍根を残すとともに、日本の教育全体にとっても大きな不幸をもたらすものと言わなければなりません。
 臨教審路線に基づいて大学審議会の進める高等教育改革は、あの教学分離、教授会否定の筑波大学方式が全国どこの大学にも受け入れられず、筑波大学の内部からも大きな批判が巻き起こっているように、必ずや失敗することは明らかであります。
 我が党は、あくまでこの悪法に反対し、大学の真に民主的な改革のため闘い抜くことを表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)
#43
○副議長(瀬谷英行君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#44
○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#45
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#46
○副議長(瀬谷英行君) この際、法務大臣も出席されましたので、後に回しました日程第一に戻り、議題といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○副議長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。
 日程第一 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長三木忠雄君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔三木忠雄君登壇、拍手〕
#48
○三木忠雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、簡易裁判所設立後の社会事情の変化にかんがみ、その配置を適正化し、その機能の充実強化を図るため簡易裁判所の新設、廃止、管轄区域の変更等を行おうとするものでありまして、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、町田簡易裁判所及び所沢簡易裁判所を新設すること、第二に、五日市簡易裁判所ほか二十庁の事務を取り扱っていない簡易裁判所を廃止し、三崎簡易裁判所ほか百庁の小規模簡易裁判所及び大都市地域に所在する十七庁の簡易裁判所を廃止し統合すること、第三に、新島簡易裁判所ほか八庁の簡易裁判所の管轄区域の変更及び市町村の廃置分合等に伴う所要の整理を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、簡易裁判所の理念、統廃合の基準の立て方、受け付け事務のあり方、統廃合される地域における今後の事件処理の方法及び大都市地域に存する簡易裁判所の一律一庁化等につきまして質疑が重ねられましたほか、参考人の意見を聴取するなど慎重に審査を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して一井委員より、日本共産党を代表して橋本理事より、それぞれ本法律案について反対の意見が表明されました。
 次いで、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、守住理事より、簡易裁判所の機能の一層の充実強化を図ること等を内容とする自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び西川委員共同提案に係る附帯決議案が提出され、全会一致をもつて本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#49
○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#50
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#51
○副議長(瀬谷英行君) 日程第三 日本航空株式会社法を廃止する等の法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長田代富士男君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
#52
○田代富士男君 ただいま議題となりました日本航空株式会社法を廃止する等の法律案について運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、日本航空株式会社の自主的かつ責任ある経営体制の確立及び航空企業間の競争条件の均等化を図るため、日本航空株式会社法を廃止するとともに、これに伴う必要な措置として、外国人等の取得した定期航空運送事業者の株式の取
り扱いの特例等について所要の規定を整備しようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同安恒理事より反対、自由民主党吉村理事より賛成、日本共産党小笠原委員より反対の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、安恒理事より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案に係る日本航空株式会社の完全民営化に当たり配慮すべき六項目から成る附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#53
○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#54
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#55
○副議長(瀬谷英行君) 日程第四 食糧管理法の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長岡部三郎君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔岡部三郎君登壇、拍手〕
#56
○岡部三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、最近における麦作をめぐる諸情勢の変化に対処して、麦の政府買い入れ価格について、生産性の向上及び品質の改善に資するように配慮しつつ、生産費その他の生産条件、需要及び供給の動向、物価等を参酌して定めようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人を招いてその意見を聴取するとともに、本法改正の基本的考え方、新しい算定方式の内容、生産性向上成果の農家への還元、現行の算定方式についての見解、農政審議会報告との関係、麦の品質改善のための施策、麦の品質改善と価格政策の関係、麦の生産性向上のための施策、基盤整備に要する農家負担、麦が輪作及び転作に果たす役割、輸入小麦の安全性、国内産麦の流適合理化のための施策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して菅野委員より反対である旨の、日本共産党を代表して下田委員より反対である旨のそれぞれ発言がありました。
 討論終局の後、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、六項目にわたる附帯決議を全会一致をもって行いました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#57
○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#58
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#59
○副議長(瀬谷英行君) 日程第五 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長大木浩君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔大木浩君登壇、拍手〕
#60
○大木浩君 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国際的な平和と安全を妨げると認められる違法な貨物の輸出及び海外への技術の提供が、我が国の対外取引の正常な発展と我が国経済の健全な発展を阻害するおそれが強まってきている状況にかんがみ、これら違法な輸出等に係る罰則及び制裁の強化等を図ろうとするものであります。
 すなわち、国際的な平和及び安全の維持に関連ある特定の貨物の輸出と特定の技術の提供についてこれを特掲し、その規制の趣旨を明確化するとともに、罰則を最高懲役三年から五年に、輸出禁止等の行政処分の期間を最高一年から三年に、それぞれ延長する等の措置を講じております。
 委員会におきましては、長時間にわたり慎重な審査が行われ、ココム運営の実態と政府の今後の対応、東芝機械事件の経緯、米国議会における包括貿易法案審議の今後の見通し、国際的な平和と安全の維持の具体的な内容、罰則強化の趣旨等の諸点について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同福間理事より反対、自由民主党前田理事より賛成、公明党・国民会議矢原委員より反対、民社党・国民連合井上委員より賛成、日本共産党市川理事より反対の意見が述べられました。
 次いで採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#61
○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#62
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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