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1987/09/07 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第11号
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1987/09/07 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第11号

#1
第109回国会 本会議 第11号
昭和六十二年九月七日(月曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
    ―――――――――――――
  昭和六十二年九月七日
   午前十時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 労働基準法の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)       、
 第二 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関
  する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、元内閣総理大臣岸信介君逝去につき哀悼の
  件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 元内閣総理大臣岸信介君は、去る八月七日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、同君に対し、弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 同君に対する弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされました元内閣総理大臣正二位大勲位岸信介君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
     ―――――・―――――
#5
○議長(藤田正明君) 日程第一 労働基準法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。平井労働大臣。
   〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(平井卓志君) 労働基準法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 労働基準法に定める労働時間に関する規定等は、昭和二十二年に制定されて以来改正されることなく今日に至っておりますが、この間、我が国の経済社会は未曾有の発展を遂げ、二十一世紀に向けてさらに大きな変化が予想されているところであります。
 このような状況の中で、労働時間の短縮は、労働者の福祉の増進、長期的に見た雇用機会の確保等の観点から重要であるのみならず、特に最近においては、経済構造の調整、内需拡大等の観点からも、重要な課題となっており、国際社会における我が国の地位にふさわしい労働時間の水準とする必要性が高まっております。
 労働時間の短縮は、労働生産性向上の成果を労働時間短縮にも適切に配分すること等により労使の自主的努力によって進められることが基本でありますが、我が国においては、労使の自主的努力のみに期待することは困難な事情もあり、あわせて適切な法的措置をとることによって労使の自主的努力を補完し、その促進に資することが必要であると考えられます。
 また、労働基準法制定当時に比して第三次産業の占める比重の著しい増大等の社会経済情勢の変化に対応して、労働時間に関する法制規制をより弾力的なものとすること等も必要であると考えられます。
 このため、政府としては、かねてから中央労働基準審議会において労働時間法制等の整備について検討をいただいておりましたが、昨年十二月、同審議会から建議をいただきましたので、この建議に沿って法律案を作成し、同審議会にお諮りした上、ここに労働基準法の一部を改正する法律案として提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、法定労働時間の短縮であり、欧米諸国において社会的実態として定着している週四十時間労働制を法定労働時間短縮の目標として明らかにするとともに、他方、我が国の労働時間の実態等を考慮し、当面の法定労働時間については、週四十時間労働制に向けて段階的に短縮されるよう命令で定めることといたしております。なお、中小企業等については、法定労働時間の短縮に当たって一定の猶予期間を設けることができることといたしております。
 第二は、労働時間に関する法的規制の弾力化であり、第三次産業の占める比重の増大等の社会経済情勢の変化に対応し、また、労働時間の短縮に資するため、労使協定の締結等一定の要件のもとに、フレックスタイム制、三カ月単位の変形労働時間制、一週間単位の非定型的変形労働時間制を認めることといたしております。
 第三は、年次有給休暇制度の改善であり、年次有給休暇の最低付与日数を六日から十日に引き上げるとともに、労使協定により計画的付与ができることといたしております。また、パートタイム労働者等所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇については、通常の労働者の所定労働日数との比率に応じた年次有給休暇を付与することといたしております。なお、年次有給休暇の最低付与日数の引き上げについても、中小企業については一定の猶予期間を設けることといたしております。
 その他、労働者が事業場外で業務に従事する場合等における労働時間の算定について合理的な算定方法を定めることといたしております。
 また、賃金について、一定の確実な支払いの方法による場合には、通貨以外のもので支払うことができることとするほか、退職手当について、就業規則の記載事項の整備を図るとともに、退職手当請求権の時効の期間を延長することといたしております。
 最後に、この法律の施行期日は、周知に必要な期間を考慮し、昭和六十三年四月一日といたしております。
 以上が労働基準法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 なお、労働基準法の一部を改正する法律案は、衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりでございます。
 第一に、三カ月単位の変形労働時間制について、労働大臣は、中央労働基準審議会の意見を聞いて、命令で一日及び一週間の労働時間並びに連続して労働させる日数の限度を定めることができるものとすること。
 第二に、使用者は、三カ月単位の変形労働時間制及び一週間単位の非定型的変形労働時間制に関する労使協定を行政官庁に届け出なければならないものとすること。
 第三に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、新法の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。糸久八重子君。
   〔糸久八重子君登壇、拍手〕
#8
○糸久八重子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に対し、質問をさせていただきます。
 ILOがこの三日に発表した「世界の労働」報告書において、西側先進工業国では労働時間が短縮傾向にあるのに日本だけが逆に突出していると指摘されていると新聞報道は伝えております。一九八五年の時間外勤務、欠勤を除いた製造業部門の年間労働時間は、日本が断然トップで、西側十五カ国平均より三〇%、つまり五百時間も長くなっているというのであります。欧米先進諸国との著しい格差が一向に改善されないところか、むしろ拡大の傾向さえ見られる。これでは国際経済摩擦は一向に解消せず、また、我が国が働き中毒患者の国と非難されてもいたし方ありません。
 ことし四月に発表されたいわゆる新前川レポートは、「これまでの経済成長の成果が生活の質の向上に反映されているとは言い難い状況」の「象徴」の一つとして「長い労働時間」を挙げるとともに、「今後中長期にわたり労働時間を着実に短縮し、我が国の経済力にふさわしいものとすることが、画期的な国民生活向上の必須の要件である。」と強調しておりますが、こうした基本的な認識については私も全く異存がありません。
 問題は、我が国が実現すべき労働時間や休日、休暇の水準はどのようなものか、それをいつまでに、また、どのようにして確実に実現するかであります。
 これまでの経過を見れば、我が国での法的措置が必要不可欠なことは今やだれの目にも明らかであり、したがって、政府も、事ここに至ってようやく労働基準法の改正案を提出するに至ったものと私は受けとめております。しかし、その内容を見ますと、極めて不十分であるばかりか、生活の質的向上の観点からは、むしろ逆に改悪につながる部分さえ盛り込まれております。
 そこで、以下、順次質問いたします。
 質問の第一は、週四十時間労働制の確立についてであります。
 政府案は、労基法の本則に週四十時間を明記することとはしたものの、実際には、附則により、当面適用する労働時間を政令にゆだね、段階的に本則に近づけることとしております。しかし、肝心の週四十時間制の実施時期が不明確なのであります。
 私は、こうした段階的引き上げ措置自体を全く否定するものではありません。しかし、労働基準法のような刑罰をもって強制する法律のまさに核心的な部分を、期限も定めず、全面的に政令にゆだねてしまうことは、罪刑法定主義に反するおそれがあります。期限を明記する必要があるだけでなく、その期限もできるだけ短くする必要があると思うのですが、中曽根総理、いかがでしょうか。
 さらにまた、段階的引き上げ措置の内容についても、本来は、年次有給休暇の場合のように、法律に明記すべきではないでしょうか。私は、当初は週四十四時間とし、できる限り速やかに、例えば三年後には週四十時間とすべきだと考えているのでありますが、総理、いかがお考えでしょうか。
 第二は、変形労働時間制、特にその女子労働者などへの影響についてであります。
 三カ月変形制などの導入について、政府はその時短促進効果を強調しておられます。しかし、最近の西欧諸国のいわゆる弾力化の経過や実態を指摘するまでもなく、労働時間の短縮については、本来、まず男子労働者の長労働時間の抜本的改善を図り、男女ともに職業生活と家庭生活を両立できるようにし、また、男女平等に働けるような社会的基盤を整備することを優先させるべきであります。それが女子差別撤廃条約の精神なのであります。
 政府は、改正案の立案に当たって、このような重要な観点を忘れてしまったのではないでしょうか。
 中曽根総理、あなたは婦人問題企画推進本部長でもあります。この点について明快な答弁を求めたいと思います。
 さて、衆議院では、三カ月変形制の上限規制など三点の修正が議決されました。これは野党四党の共同要求の一部が政府・与党に受け入れられたものでありますが、それでもなお問題が残っているのであります。仮に、上限規制が行われたとしても、一日八時間の原則が崩されるわけですから、幼い子供や寝たきり老人を抱えながら働く労働者は働き続けることが困難になり、また、夜間の学校に通いつつ働く勤労学生も学業を続けられなくなるおそれがあります。育児、介護等の家族的責任は、我が国の現状では、多くの場合、女性の肩にかかっております。
 そこでお伺いいたしますが、総理、あなたは変形労働時間制が女子労働者に及ぼす影響について一体どのように認識しておられるのか、心配されるようなことはないとここで断言できるのでしょうか。
 私は、まず、妊産婦については、母性保護の観点から、当然変形制の適用除外とすべきであり、さらに、育児、介護、通学等の特別な事情のある労働者についても、変形制の採用に際しては十分配慮する義務を負わせる必要があると思うのですが、労働大臣の明快な答弁を求めたいと思います。
 第三は、年次有給休暇についてであります。
 新前川リポートは、「二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に年間一八〇〇時間程度を目指す」とし、その内容として、完全週休二日制実施及び年次有給休暇二十日完全消化を挙げております。ところが、政府案は、現行の最低付与日数六日を十日に引き上げるにとどまっております。
 総理は、年休二十日時代をいつ実現しようと考えておられるのか、また、そのためにどのような措置を講じなければならないと考えておられるのか、お答え願います。
 第四は、時間外・休日労働についてであります。
 これは毎日、毎週の生活時間、生活リズムにかかわる問題であり、生活の質的向上という観点からは極めて重要な問題であります。それにもかかわらず、政府案がこれについて何の規制措置も講じようとしていないのは一体どうしたわけですか。
 私は、今直ちに規制の具体的時間数などについて決定することが困難だとしても、今後は時間外・休日労働を法的に規制できるような措置だけは、今回ぜひとも講じておかなければならないと考えるのでありますが、この点につきましても、総理の前向きかつ積極的な答弁を求めるものであります。
 第五は、事業場規模による適用の猶予措置、格差づけの問題であります。
 強行法規により、労働時間水準の引き上げを図ろうとする場合、それが大幅なものであれば、一定の猶予措置を講ずる必要が生じることを我が党も全く否定するわけではありません。しかし、法のもとの平等という観点からいって、その期間はごく短く、その対象範囲もできるだけ限定することが必要だと考えますが、総理の基本的な見解を賜りたいと存じます。
 この問題に関連して、第六に、中小企業における時短の促進、援助措置等についてお伺いいたし
ます。
 一般に、我が国の労働条件については、企業規模による格差が著しいのでありますが、これは我が国産業、雇用の二重構造にも原因があります。特に、中小企業の大部分を占める下請企業については、労働時間の短縮を促進するためにも、これまで以上に強力な保護措置を講ずる必要があると考えますが、通産大臣の御見解と対処の方針、決意のほどをお聞かせください。
 次に、激しい同業者間競争や経営優先、仕事優先の企業社会など、欧米諸国に見られない我が国産業、企業の体質も、労働時間短縮を進める上で大きな障害となっております。また、最近、営業時間や操業時間が延長される傾向が見られますが、これに伴って労働時間が延長されたり、労働者の健康や生活リズムを損なう深夜労働がふえつつありますが、この問題についての見解と今後の対処の方針について、通産大臣及び労働大臣からそれぞれお答えいただきたいと思います。
 さらに、今日、急激かつ大幅な円高の圧力のもとで、輸出産業などの経営環境が悪化しておりますが、これを雇用労働者や下請企業にしわ寄せする傾向が見られることも見逃せません。これでは労働者や下請中小企業が泣かされるだけで、貿易摩擦は一向に解消せず、いわゆる円高悪循環に陥ってしまいます。この問題についても、通産大臣及び労働大臣から、それぞれ率直な見解と対処方針を明らかにしていただきたいと存じます。
 こうしたさまざまな問題の解決を図りながら、中小企業における労働時間の短縮を進めなければならないわけですが、そのためには思い切った財政上その他の援助措置が必要であります。この点につきましても労働大臣の御答弁をお願いいたします。
 さて、第七に、官公庁や金融機関の閉庁、閉店問題でありますが、政府はこれまで、公務員の労働条件については、基本的にいわゆる民間準拠方式を採用し、閉庁については余りにも慎重な態度をとってきました。しかし、欧米諸国では、金融機関や学校も含め、土曜閉庁がとうに社会常識となっているのであり、我が国においても土曜閉庁を実施すること自体、急がなければなりません。しかも、その社会的波及力は大きいのでありますから、今日、一層重要なのであります。総理の前向きかつ積極的な答弁を求めるものであります。
 第八に、法の実効確保についてでありますが、現在の労働基準行政の組織、機能は極めて不十分であります。指導監督体制を大幅に充実強化する必要がありますが、労働大臣の率直な御見解を賜りたいと存じます。
 最後に、総理、与党の総裁としての任期も余すところわずかになったあなたは、今、口を開けば、税制改革の糸口だけは何としてもつけたいと強調しておられます。しかし、あなたが固執しておられるマル優制度の廃止は、弱い者いじめ、重大な公約違反であり、広範な勤労国民が反対しているのであります。
 私は、むしろ緊急かつ重要な国民的課題となっております労働時間の短縮、それも生活の質的向上の観点に立った労働時間の短縮を、今後、早急かつ確実に進めるために必要なさまざまな措置についてこそ今国会で講じておくべきであり、これにこそ固執すべきだということを申し添え、以上御質問した点につきまして、国民の前に積極的かつ前向きの姿勢を示していただけることを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(中曽根康弘君) 糸久議員にお答えをいたします。
 まず、週四十時間制実施の時期の明記の問題でございます。
 この移行の時期については、新前川リポートの目標の実現を図るために、一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるように努力する所存でございます。
 しかし、労働時間の動向は、労使の努力、経済情勢等によって左右されるものでありまして、現時点で移行時期を確実に見通すことは困難であるので、法律に明記することは不適当であると考えます。
 次に、労働時間の段階的短縮時期の明示の問題でございますが、当面の法定労働時間については、週四十六時間とするが、改正法施行後三年を目途にできるだけ速やかに週四十四時間とする所存でございます。
 次に、男子労働者の時短促進の問題でございます。
 今回の改正においては、法定労働時間を週四十時間に向けて段階的に短縮していこうとしておりますが、これは中小企業の実態等を考慮すればやむを得ない措置でございます。
 しかし、これによって、特に女子労働者については、時間外・休日労働の上限が規制されていることから、総労働時間が確実に短縮され、家庭生活との調和を図るためのゆとりがより大きくなると考えております。
 変形労働時間制の女子への影響の問題でございますが、労働時間に関する法的規制の弾力化は、労働基準法制定当時に比して第三次産業の占める割合が著しく増大している等の社会経済情勢の変化に対応するとともに、労使の工夫により労働時間短縮を進めやすくするというための問題でございます。
 変形労働時間制の導入に際しては、妊産婦や育児等、特別の事情を有する女子労働者については、労使協定の中で必要な配慮が加えられるものと考えられますが、政府としてもそのような配慮がなされるよう指導してまいる所存でおります。
 法定労働時間の猶予措置の限定の問題です。
 法定労働時間に対する猶予措置については、対象となる事業場はなるべく少なく、また、猶予期間の長さはできるだけ短くすることが望ましいと考え、政府も努力いたしたいと思います。
 年休の最低基準の引き上げの問題ですが、中小企業に及ぼす影響等を考慮して、年次有給休暇の最低付与日数を六日から十日に引き上げることとしておりますが、今後におきまして、一層の引き上げについては検討課題と認識しております。
 時間外労働の法的規制の問題は、労働時間の短縮を実効あらしめるためには、時間外労働時間の縮減も重要な課題と認識しております。このため、労使が締結する時間外労働協定について指針を設け、指導を行っておるところでありますが、今後さらに年間の時間外労働時間数の限度を含む新しい指針を作成するとともに、その遵守の徹底を図ってまいる所存であります。
 金融機関の週休二日制の問題でございますが、金融機関の週休二日制の拡大については、昨年八月より、これまでの第二土曜日に加え第三土曜日を休業日としたところであります。
 今後、さらにこれを拡大することについては、金融界のコンセンサスのみならず、広く利用者たる国民や企業等の理解を得ながら進めていくべきものであると考えます。
 国家公務員の完全週休二日制の問題ですが、外国の状況を見ますと、我が国においても完全週休二日制を目標として努力する必要があります。
 公務員の週休二日制については、当面、人事院の勧告にもある四週六休制への円滑な移行に努める。また、閉庁方式の導入については総務庁を中心に現在検討中で、前向きにこれは努力してまいりたいと思っております。
 学校五日制の問題ですが、学校五日制の問題は、社会情勢の変化を考慮して、教育水準や授業時数の確保など、教育課程の問題でもあります。また、教員の勤務形態など、学校運営の問題でもあります。さらには、子どもの生活行動の問題等をも勘案しつつ総合的に検討しなければならないと思います。
 この問題については、現在、教育課程審議会において検討が行われておりまして、その審議結果などを踏まえて慎重に対処することといたしたいと思います。
 国民生活の質的向上の問題につきましては、質の画期的な向上を図っていくためには、我が国の経済構造を内需主導型に変革していく、それによって生活の質の転換を図っていくということが基本であると思います。そのため、政府は、昨年五月に決定された経済構造調整推進要綱に基づき、各種の施策の具体化に努めております。
 さらに、五月に提出された経済審議会建議を踏まえ、労働時間の短縮のほか、住宅の質的改善、良質な社会資本ストックの整備等、諸般の施策を推進することにより国民生活の質的向上を実現してまいりたいと思います。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(平井卓志君) 妊産婦について変形労働時間制の適用を除外することにつきましては、関係委員会での議論を踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えております。
 変形労働時間制の導入に際しましては、育児担当者、介護の責任を有する者等については、勤労学生と同様、労使協定の中で必要な配慮がなされることが望ましいので、政府としても十分指導してまいる所存であります。
 営業時間、操業時間の延長に伴う問題につきましては、労働省としては、営業時間等の延長が、労働時間の延長その他労働者の負担の増大をもたらさないよう関係者に慎重な配慮をお願いしているところでございまして、今後とも必要に応じ要請を行うなど適切に対処してまいる所存であります。
 労働時間の短縮を大胆に進めてはどうかという問題でございますが、国際協調と国民生活の質の向上を目指して経済構造の調整を進めることが現下の最も重要な課題でございまして、労働時間短縮はその重要な柱の一つと認識をいたしまして、鋭意努力する所存でございます。
 中小企業の労働時間短縮を進めますためには、政府の指導、援助が重要であると認識いたしております。このため、中小企業集団への援助を中心に、今後一層、中小企業に対する指導、援助の充実強化に努めてまいる所存であります。
 組織、定員等指導監督体制の充実につきましては、現下における労働時間短縮の重要性にかんがみ、最大限の努力をしてまいる所存であります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(田村元君) 円高等に伴う構造調整を円滑に進めるに当たりましては、内需の拡大を図るとともに、産業の新たな発展分野の開拓を図っていくことが必要でございます。
 構造調整に際しまして、労働条件の悪化や下請企業に対する不当なしわ寄せを生じることがないよう、政府といたしましては、労働基準法、下請代金支払遅延等防止法など、関係法令の厳正な運用に努めてまいる所存でございます。
 また、我が国労働時間は欧米諸国を上回っております。今後、中長期にわたりまして労働時間を着実に短縮し、我が国の経済力にふさわしいものとすることが、画期的な国民生活向上の必須の条件であると考えております。
 このため、従来から労働時間の短縮につきまして、企業の自主的努力を促すとともに、これを可能とすべく技術開発や設備投資の支援等を通じて、企業の生産性向上を促進するなどの施策を行ってきたところでございますが、今後とも施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 下請中小企業対策につきましては、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用によりまして、下請取引の適正化を図るとともに、六十二年度において下請取引あっせん体制を一層充実し、また、新分野進出などのための技術開発補助事業及び低利融資制度、これは金利年四・二%のものでございますが、これを創設するなど、下請中小企業の構造転換の円滑化に努めているところでございます。
 今後とも、当省といたしましては、これらの施策を通じまして、下請中小企業対策に万全を期してまいる所存でございます。(拍手)
#12
○議長(藤田正明君) 中西珠子君。
   〔中西珠子君登壇、拍手〕
#13
○中西珠子君 ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案について、私は、公明党・国民会議の立場から総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 私は、ILOで二十数年働いていた関係もございまして、国会の場でも、これまであらゆる機会をとらえて労働時間短縮の必要性を訴えてまいりました。そしてことしの三月、労働時間の短縮のためと銘打って労働基準法の改正案が国会に提出されたとき、さすがは仕事師の中曽根内閣と喜んだわけでございます。ところが、基準法の改正案の内容をよく見ますと、失望と落胆を禁じ得ませんでした。
 その理由の第一は、法案は週四十時間制を明記しておりますが、これは実施時期もはっきりしない目標値であります。その上、法案は一日八時間制の原則を崩し、労働時間の大幅な弾力化を導入し、労働者の健康破壊や家庭生活の崩壊にもつながるような危険性をはらんでいるからであります。
 本改正案は、日本の長時間労働に対する海外からの批判をかわそうという意図と経営の効率化への配慮のみが先行して、労働基準法の本来の目的である労働者の保護という観点や、国民生活を物心両面でゆとりのあるものにしていこうという視点が欠落しているという印象を受けます。総理の御所見を伺います。
 第二の問題点は、本法案は、本来法律で規定すべき労働条件の基本的部分の多くを命令に委任していることです。最近、政省令委任の傾向がとみに強まっておりますのは国会審議を軽視するものと言わざるを得ません。憲法第二十七条二項は「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」と規定しており、これに基づいて労働基準法は、労働者の「人たるに値する生活」を保障するための最低の労働基準を設定し、刑罰によってこれを守らせる規範性の高い法律のはずです。ところが、改正案では、労働者の基本的人権を守る上で重要な労働時間の規制の内容が命令にゆだねられ、それが段階的に変動する上に、事業場規模によって異なり、また、施行の時期もずれて複雑化するために、労働基準法の規範性が弱まって、労働基準監督も非常に困難になると思いますが、総理の御見解を伺います。
 また、労働時間短縮の実施に当たり、中小企業に対する配慮は必要ですが、労働条件の格差を拡大するような長時間労働を許容するよりも、時間短縮を容易にするために、税制、金融、下請保護その他財政面で中小企業に対する援護策をとり、週四十時間制の早期実現を図ることが国際協調と国際信義の上からも急務だと考えます。労働大臣、通産大臣の見解を伺います。
 第三の問題点は、労使協定による措置の大幅な拡大であります。改正法案は、三カ月単位の変形労働時間制、一週間単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制の適用や年次有給休暇の計画的付与などを労使協定にゆだねております。
 現在、労働組合の組織率は、全国で約二八%、民間部門では二一%に低下している上、中小企業労働者の過半数が未組織であります。こういった日本の労使関係の実情を見るとき、労使協定を締結するための従業員代表の民主的で公正な選出の手続や従業員からの意見聴取義務、こういったものの法定が必須であると考えます。さもないと、個々の労働者、殊に女子労働者の権利が無視または軽視される危険性が大きく、現行の労基法の有する個別的な労働者保護の性格が弱まってしまうことにはならないでしょうか。この点について総理の御所見を伺います。
 次に、法案の中身について伺います。
 週四十時間制実施の時期は一体いつなのでしょうか。政令は三百人以上の事業場については週四十六時周でスタートし、三百人以下の事業場は改正法施行後三年間は猶予するそうですが、これは全事業場の九九・八五%、ほとんど全部が現行の週四十八時間制のままで少なくとも三年間据え置かれることを意味します。これでは移行措置が余りにも緩慢であり、紀元「二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に年間一八〇〇時間程度を目指す」という新前川リポートの目標達成は不可能ではありませんか。
 労働省の六十一年度労働時間総合実態調査から見ても、三百人以上の事業場については週四十四時間からスタートすることは可能であり、三百人以下の事業場全部を現行のまま据え置くのではなく、適用を猶予する対象をもっと厳しく限定すべきだと考えますが、労働大臣の御意見を伺います。
 次に、変形労働時間制の問題ですが、変形労働時間制は一日八時間の原則を崩し、残業手当なしの長時間労働、過密労働を生み出し、労働と生活双方のリズムを狂わせ、労働者の肉体や精神に障害をもたらすおそれがあります。殊に家庭責任の大部分を女性が負担している現状では、女子労働者の七割近くを占める既婚の働く女性とその家族に与える影響は深刻であり、フルタイムでは働けなくなってしまうおそれがあります。
 三カ月単位の変形労働時間制については、衆議院段階の修正で一歩前進を見ましたが、現行の労働基準法第六十六条の妊産婦の時間外・深夜・休日労働の免除規定との関係はどうなるのでしょうか。変形労働時間制のもとで行われる所定内の長時間労働が母体や胎児に及ぼす悪影響を考えると、妊産婦は変形労働時間制の適用から除外すべきだと考えますが、総理の御所見を伺います。
 また、一カ月単位の変形労働時間制についても、一日または一週の労働時間の限度と連続して労働させ得る日数の限度を設けるべきであり、また、労働者代表の公正な選出方法を講じた上で労使協定の締結を要件とし、その届け出を義務づけるべきであります。労働大臣の御所見を伺います。
 年次有給休暇については、付与日数の最低基準が十日になるのは三百人以上の事業場だけであり、現在、一男子労働者総数の八〇・八%、女子労働者総数の八八・二%が働いております三百人以下の事業場では、改正法施行後三年間は現行どおり、四年目から八日となり、七年目でやっと十日になります。その上、計画的付与により、自由にとれる年休は五日だけということになると、本人の病気や家族の病気看護、子供の学校の行事などのために年休を使っている既婚の女子労働者にとっては大きな痛手であります。個人の年休権の制約となるような計画的付与よりも、むしろ不利益な取り扱いを年休取得を理由としてやってはならないという規定を法律の中に入れる方が、年休取得率を高めるには効果があると思いますが、労働大臣の御意見を伺います。
 百五十カ国を対象にしたILOの調査によると、年次有給休暇の最低基準が六日である国は、日本を入れて世界じゃうで五カ国にすぎません。たった五つです。二週間未満の国は全体の約一〇%にすぎません。約四五%、六十七カ国がILO基準の三週間を上回っています。世界のGNPの一割を占める日本なのに、この面でも国際的に余りにもおくれていると言わざるを得ません。年次有給休暇の最低基準は、事業場規模の別なく、もっと大幅に引き上げるべきだと考えますが、国際国家日本を標榜されている総理の御所見を伺います。
 日本は、長時間労働で不当な競争を行っているという汚名を返上するためにも、一日も早く公正な国際労働基準を達成するとともに、国民が人間としての尊厳を保ち、健康で文化的な生活ができるような労働基準法の改正内容にしなければならないと私は思いますが、総理の御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(中曽根康弘君) 中西議員にお答えをいたします。
 労働基準法本来の目的の問題でございますが、今回の改正は、法定労働時間の短縮を目的とするものでありますが、労働時間の短縮は、新前川リポートにも指摘されておりますとおり、経済構造調整のための重要な施策であり、国際協調と国民生活の質の向上を目指しております。そして、今回の改正におきましては、目標の明定、早期出発、着実前進、段階的調整、こういう考えを持ちまして早期出発ということが非常に大事であると考えた次第なのであります。
 次に、規範性の欠落の問題でございますが、今回の改正においては、法定労働時間を週四十時間制を目標に政令で段階的に短縮していくこと、その場合、中小企業等には一定の猶予期間を設けること等を内容としていますが、それは中小企業の労働時間の実態から見て必要な措置と認識しております。
 政令で定める労働時間については、その範囲、定め方、手続等を法律上明らかにいたしておりまして、憲法上の問題は生じないと考えます。
 労働者代表の選出方法でございますが、労働基準法に定める基準について、基本的な部分は法令で定めますが、細部は労使協定にゆだねることとしておりますことは、実態に即した規制とするために必要なことと認識しています。
 そして、各種労使協定の締結当事者である労働者代表については、適切な方法で選出されるよう十分指導してまいる所存でおります。
 妊産婦の変形労働時間制の問題でございますが、妊産婦について変形労働時間制の適用を除外することについては、関係委員会での御議論を踏まえて適切に対処してまいる考えでおります。
 次に、年休の最低基準の問題であります。
 今回の改正においては、特に中小企業に及ぼす負担等を考慮して、年次有給休暇の最低付与日数を六日から十日に引き上げることとしておりますが、その一層の引き上げについては、今後の検討課題であると認識しております。
 国際労働基準の達成につきましては、今後とも努力してまいる所存でございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。中小企業に対する援助策の問題でございますが、中小企業の労働時間短縮を進めますためには、政府の指導、援助が重要であることは御指摘のとおりでございます。このために、中小企業集団への援助を中心に、今後一層、中小企業に対する指導、援助の充実強化に努めてまいる所存であります。
 また、中小規模事業場の労働時間の実態を考慮いたしますれば、法定労働時間は、中央労働基準審議会の建議に沿って、当面は週四十六時間とすることが適当であると考えております。週四十時間制への移行時期につきましては、新前川レポートの目標の実現を図るために、一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるよう努力する所存であります。
 また、当面の法定労働時間の適用を猶予される事業場の範囲につきましては、規模別、業種別の労働時間の実態に即してできるだけ限定する考えであります。
 また、一カ月単位の変形労働時間制につきましては、基本的には、従来からある四週間単位の変形労働時間制と同一のものでございまして、これまでの運用に照らしても、御指摘のような規制は必要がないと考えておるところであります。年次有給休暇の取得に伴う不利益取り扱いにつきましては、労働基準法の趣旨に反しますので、これまでもその是正に努めてきたところでございますが、さらに徹底してまいる所存であります。
 ただし、御指摘のような規定を労働基準法に設けますことにつきましては、種々問題もございまして、慎重な検討が必要であると認識いたしております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(田村元君) 中小企業の労働時間短縮のための条件としては、中小企業の経営基盤の強化、生産性の向上が不可欠でございます。
 政府といたしましては、中小企業の経営基盤の強化及び設備投資促進、技術力向上、情報化への対応等による中小企業の生産性の向上を図る見地から、税制、金融上の措置など各種の施策を講じているところでございます。
 こうした中小企業施策の推進を通じまして、下請企業を含む中小企業における労働時間短縮を含め、労働条件の向上が図られることを期待している次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(藤田正明君) 内藤功君。
   〔内藤功君登壇、拍手〕
#18
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 労働時間の大幅短縮は、我が国の労働者と家族の最も切実な要求であり、雇用の確保、内需拡大のためにも緊急の国民的課題であります。しかるに、本法案は、時間短縮どころか、日本と世界の労働者の一世紀以上に及ぶ労働運動の成果である八時間労働制を根底から破壊しようとするものであります。
 経済大国日本と称される今日の経済発展の陰には、世界に悪名高い我が国の超長時間労働と低賃金構造があります。本来、労働時間大幅短縮など労働条件の改善こそ直ちに行うべき問題です。にもかかわらず、長時間労働を固定化し、労働者に残業手当なしの超過労働を強要し、財界、大企業の要求にこたえようとするものであります。その結果、資本、企業には年間数兆円規模の残業手当額節減による利潤を保障することになります。これこそ中曽根内閣の財界奉仕の本質を示すものであります。本法案は、労働者保護法であるべき労働基準法を、企業保護法、搾取保護法へと大きく変質させるものであります。
 本法案は、労働時間の弾力化の名のもとに、変形労働時間などの導入、拡大により八時間労働制を破壊するものであります。衆議院修正の内容も、変形労働時間制そのものは容認した上で、一日及び一週間の労働時間の限度を定めるなどのわずかな規制をしたにすぎず、本質をいささかも変えるものではありません。日本共産党は、八時間労働制を破壊する本法案に断固反対するものであります。
 労働基準法制定後四十年余を経た現在、直ちになすべき真の改正は何か。それは一日八時間労働制の厳守、変形労働時間、みなし労働条項の全面削除であり、週四十時間、週休二日制の完全実施であり、また時間外労働の上限の明記、割り増し賃金率の引き上げ、深夜交代制労働の禁止等、日本共産党が八月二十一日に発表した真の時間短縮実現のための緊急対策を実施する以外にありません。
 総理、国際社会における日本というのならば、先日のILO報告書も指摘している先進国に比べて極めて長い労働時間について、我が党の緊急対策を尊重し、抜本的改善をこそなすべきではありませんか。特に、時間外労働の上限の明記、割り増し賃金率の引き上げについて改正をしないのか、答弁を求めます。
 以下、法案の内容に即し質問します。
 第一点。本法案により一日八時間労働制が破壊されることになります。現行法にも四週間の変形労働時間制がありますが、これ自体ILO一号条約違反の疑いがあります。しかるに、本法案はそれを一カ月に拡大し、三カ月や一週間の変形労働時間制、フレックスタイム制を新たに加え、さらに労働時間のみなし制を導入、拡大しています。かように一日八時間の例外を次から次へとつくり出し、一日八時間とは、一週の労働時間を一日に割り振ったときの目安、文字どおり名目のみにしようとするのであります。のみならず、極めて長い残業時間の上限の規制は全く行おうとしておりません。これでも八時間労働制が崩されると思わないのですか。
 第二点。政府は、この法案で労使協定が変形労働時間制等の要件とされているから、これによって労働者の利益が守られると言います。それならば、中小企業など労働組合のない事業場において、労使協定を結ぶ労働者代表の選出についての条項を、指導ではだめなのですから、そういう条項を入れますか。管理監督者以外の者のうちから直接無記名投票によって選挙するという規定を入れる考えはありますか。
 そうでない以上は、労働組合のない事業場では、労使協定といっても、労働者の利益と意思を真に民主的に反映できる保障は全くないではありませんか。そのような状況で労使協定と言ってみても、変形労働時間制などの乱用を防ぐ歯どめになり得ないことは明白ではありませんか。
 第三点。本法案は、家事、育児について事実上多くの負担を背負っておる女子労働者の働く機会と権利を奪うものであります。多くの女子労働者から強い反対の声と運動が起こっていることを総理は知っていますか。「退社時間が夜の八時、九時、十時というふうになったら、保育園へ子供をあずけて働らくことなどできません」こういう切実な訴えの手紙が私の手元にあります。これに総理はどう答えられますか。
 先日、総理は、衆議院本会議の答弁で、「男女雇用機会均等法、労働基準法の保護規定等も適用されておるので、」心配はないと言いました。しかし、一昨年改正された労働基準法六十六条によりますと、妊娠中の女子労働者が請求したときは、時間外、休日、深夜の労働をさせてはならないのであります。ところが、本法案により変形労働時間制が加わりますと、八時間を超えても、残業としてではなく、所定労働時間として、九時間、十時周の就労をさせられることになります。せっかく獲得した女子労働者保護の規定自体も、かように本法案によって覆されることは明らかではありませんか。この一事をもってしても、均等法、労基法の保護規定があるから心配ないなどとよくも言えたものであります。
 第四点。変形労働時間制導入によって、昼間働き、夜、定時制高校、大学二部、夜間中学等に学ぶ人たちの学習の権利が侵されます。このようなことは断じて許されないと思いますが、どうですか。文部大臣としてこのような改正には断固反対
すべきではありませんか。
 第五点。本法案は三十二条一項で週四十時間をうたっており、これだけを世界に宣伝すれば、いよいよ日本も四十時間制になったかと思います。ところが、附則の読みかえ等によりまして、当分の間四十六時間、しかも、三百人以下の事業場では、労働者の八四・八%ですが、これは週四十八時間。四十時間になる時期は全く無限のかなたです。まさに羊頭狗肉の手法と言わざるを得ません。
 我が国の新聞、民放、印刷、広告、出版の労働組合等が、八月二十日付ニューヨーク・タイムズに意見広告を載せ、米国内で大きな反響を呼んでおります。これには、改善されるように見えますが、実際はごまかしです、いつから週四十時間が実施されるのか実施時期は決まっていませんと書いてあります。これが本当です。日本が四十時周制に今すぐにも移行するような、諸外国を敷くような宣伝は、政府として断じて許されないと思いますが、いかがですか。
 第六点。年次有給休暇の最低付与日数の引き上げを大きな改善のように言いますが、三百人以下の事業場については当面六日で、現行法と同じです。ILO百三十二号条約は、休暇はいかなる場合にも三労働週を下回ってはならないと定めております。直ちにこの国際的水準に引き上げるべきではないですか。
 日本における年次有給休暇の取得率が低い原因の一つは、年休を請求した人に対する賞与や昇給昇格での不利益取り扱いがあるからです。行政指導では足りないのです。問題があると言うのですが、どんな問題があるのですか。法律上明確にこれを禁止すべきであると思いますが、いかがですか。
 終わりに臨みまして強調したいことがあります。労働時間、休暇の権利というものは、労働者の生命、健康、家庭生活、文化生活のみならず民主政治の消長、活力にもかかわるまさに国政の重要問題なのであります。一九二二年党創立のときから八時間労働制を掲げて闘ってきた日本共産党は、本法案に断固反対して、真の時間短縮の緊急実施のために、広範な労働者、国民とともに奮闘する決意を表明いたしまして、私の質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(中曽根康弘君) 内藤議員にお答えをいたします。
 まず、緊急対策と労働時間短縮の問題でございますが、労働時間短縮は、新前川リポートにも指摘されているとおり、経済構造調整のための重要な施策と認識しております。
 そのための労働基準法改正案としては、我が国の実態に照らして、公労使三者構成の中央労働基準審議会の建議に基づく政府提出の改正案が適当であると考えておるのであります。
 時間外労働の規制については、時間外労働の上限を法的に規制することは、時間外労働が我が国の労使慣行のもとで雇用維持の役割を果たしていること等から適当ではない。また、割り増し賃金率の引き上げについても、労使の自主的な話し合いに任されるべきである、これが適当であると考えております。
 変形労働時間制と八時間労働の問題でございますが、労働時間に関する法的規制の弾力化は、労働基準法制定当時に比して第三次産業の占める割合が著しく増大している等の社会経済情勢の変化に対応するとともに、労使の工夫により労働時間短縮を進めやすくするためにも必要であると考えています。なお、今回の改正においても、一日八時間労働制の原則は崩してはおりません。
 労働者代表の民主的選出につきましては、中央労働基準審議会の建議に基づき、適切な方法で選出されるよう十分指導してまいる所存でおります。
 変形労働時間と女子の働く権利の問題でございますが、この導入に際しては、育児等特別の事情を有する労働者については、労使協定の中で必要な配慮が加えられるものと考えますが、政府としてもそのような配慮がなされるよう指導してまいります。
 妊産婦への影響については、妊産婦の保護について関係委員会での御議論を踏まえて適切に対処してまいります。
 次に、諸外国の認識の問題です。
 今回の改正は、法定労働時間を直ちに週四十時間とするものではなく、中小企業の実態等を考慮し、段階的に週四十時間としようとするものであり、このことは、改正法案を見れば明らかであり、このような段階的措置は我が国にとってはやむを得ない問題であると考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。
 年次有給休暇の最低付与日数を直ちに三労働週といたしますことは、我が国における年次有給休暇の実態等から見て不適当と考えております。
 年次有給休暇の取得に伴う不利益取り扱いにつきましては、労働基準法の趣旨に反するものでございますので、これまでもその是正に努めてきたところでございますが、さらに徹底してまいる考えであります。御指摘のような規定を労働基準法に設けますことにつきましては、種々問題もあり、慎重な検討が必要であると認識いたしております。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対します質問は、変形労働時間によって定時制、通信制並びに夜間大学の学生の勉学に支障を来すのではないかという御質問でございます。
 今回のこの労基法改正は、全体的に申しまして、労働時間の短縮を目指したものであると聞いております。つきましては、この変形制を導入されることによりましても、勤労青少年福祉法等において、事業者は定通制の学生に対しその学ぶ時間を確保する義務がございますので、このように我々も強力に指導してまいりたいと思っております。また、夜間大学に通っております学生につきましても、従来どおり一層の時間確保に努力していくつもりでございます。
 なお、この制度が実施されました後におきましては、労働省とも協力いたしまして、事業主が時間を確保することを依頼するとともに、随時その実態調査をいたしまして、学生の勉学の時間確保に努力いたす覚悟でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(藤田正明君) 抜山映子君。
   〔抜山映子君登壇、拍手〕
#23
○抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表し
て、ただいま提案された労働基準法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 現在、労働時間の短縮は焦眉の魚とも言うべき課題となっており、国民の関心も極めて高いものがあります。内需を拡大し、貿易黒字を解消するとともに、国民にゆとりと潤いのある生活を保障するためには、先進国に比べて二百時間から五百時間も長い労働時間を速やかに短縮しなければなりません。
 四月二十三日に発表された新前川レポートでも、西暦二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に年間総実労働時間を千八百時間に短縮することがうたわれており、これは諸外国から国際公約と受けとめられています。
 このような中で、本改正法案が週四十時間制を定めたことは、遅きに失したりとはいえ歓迎するものであります。しかしながら、本改正案では、四十時間制は法文上のことであり、実際には政令で定められる週四十六時間労働が当分続くこととされています。労基法はその第一条で、「この法律で定める労働条件の基準は最低のものである」と規定しております。しかるに、労働時間について、実際に施行されていない四十時間制という目標を掲げているだけでは労基法の基本的性格に反することになります。少なくとも政令において四十六時間から四十時間に短縮していく日程を明確にしなければなりません。既に衆議院の方で、三年後を目途に四十四時間に移行し、一九九〇年代のできるだけ早い時期に週四十時間制に移行するよう努力する旨の答弁を得ておりますが、目途にとか努力するということでは、労基法第一条との整合性に欠けることになります。四十時間制完全実施が昭和何年になるのか明確にされたく総理の御答弁をお願いします。
 次に、年次有給休暇についてお尋ねいたします。
 現在、日本の勤労者の年次有給休暇の取得日数は九日程度と、先進諸国の二十日から一カ月に比べて極めて低い水準にとどまっております。今回の改正案では、年次有給休暇の最低付与日数が六日から十日へ引き上げられますが、これをILO百三十二号条約の三労働週、すなわち十五日まで速やかに引き上げる必要があります。また、中小企業に対する経過措置も、施行後三年間は六日、その後の三年間は八日と余りにも緩慢であります。少なくとも一年一日ずつ引き上げることが必要と考えますが、労働大臣の御所見をお伺いします。
 さらに、年次有給休暇をとることについて、会社による賃金、昇格などにかかわる不利益取り扱いを恐れ、ちゅうちょする傾向があります。年次有給休暇取得による不利益取り扱いについては何らかの措置を検討すべきだと考えますが、労働大臣の御答弁をお願いします。
 次に、中小零細企業対策について質問いたします。
 労働時間短縮を進めるには、中小零細企業に対するきめ細かい奨励措置をとる必要があります。この分野における労働時間短縮を促進するため、具体的にどのような環境整備を行うつもりか、総理にお伺いいたします。
 今回の法改正において、中小零細企業に対しては、法定労働時間について経過措置がとられることになっております。しかし、業種によっては、事業所規模で仮に百人程度であっても、中小企業に分類するのはふさわしくないものがあります。一律に輪切りにするのではなく、業種と事業所規模を組み合わせてきめ細かく対処し、猶予対象をできるだけ限定すべきだと考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、時間外労働についてであります。
 日本の労働時間が長い原因の一つに、時間外労働の長さがあります。時間外労働の短縮について、どのような具体的指導、規制を行っていくお考えか、お伺いいたします。
 続いて、変形労働時間制についてお尋ねいたします。
 変形労働時間制はあくまでも例外的なものであり、これの乱用を防ぐためには厳しい規制を加える必要があります。三カ月単位の変形労働時間制については一日、一週間、並びに連続して労働する日数について限度を定めることができるとの修正がなされ、一日の労働時間の限度については、十時間とするのが常識的な線であると政府も既に衆議院で答弁しています。一週間の限度もできるだけ低く抑え、五十四時間程度とすることにし、連続して労働する日数についても、少なくとも週一日は休みがとれるよう六日程度とすることが適当でないでしょうか。労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 変形労働時間制の影響を最も大きく受けるのは婦人労働者であります。昨年四月から施行された男女雇用機会均等法は、労働生活と家庭生活の調和を図ることを理念として掲げています。また、母性保護については差別の対象としてはならないとし、これを拡充していくことを定めております。この趣旨を体して、少なくとも妊産婦については変形労働時間制の適用除外にすべきであります。労基法では、生後一年に達しない乳児を育てる女子については、一日二回各三十分の育児時間が与えられています。この規定の効果を希薄にせぬためにも、変形労働時間制の適用除外が必要であります。
 さらに、未就学の幼児を抱えている者、寝たきり老人や病人を抱えている者、勤労学生については、本人が請求した場合、変形労働をさせてはならないと定めるべきと思いますが、いかがですか。
 なお、変形労働時間制が導入されると、過度の疲労を伴うVDT作業に従事する労働者について、健康に与える影響が憂慮されます。一日の作業時間の枠を設けることがせひ必要であります。
 三カ月単位の変形労働時間制及び一週間単位の非定型的変形労働時間制については、それぞれ上限の規制と労働協約が要件とされることになりましたが、一カ月単位の労働時間についても規制が必要です。同じく上限規制と労働協約を要件とすべきと思いますが、以上についていずれも労働大臣の御答弁をお願いします。
 法というものは、好ましくない現状を打破する姿勢が必要です。本改正を現状追認に終始せしめることなく、真に新時代の推進役たらしめるよう強く要請して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 抜山議員にお答えいたします。
 まず、四十時間労働制への移行時期の明記の問題でございます。
 新前川リポートの目標の実現を図るため、一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるよう努力する所存でございます。
 しかし、労働時間の動向は、労使の努力、経済情勢等によって左右されるものであり、現時点でその移行時期を確定的に見通すことは困難であるので、法令上明記することは不適当であると考えます。
 中小企業の時短への環境整備でございますが、政府の指導、援助が重要であると認識しております。
 このために、今後一層、中小企業への波及力の大きい公務員、金融機関の週休二日制の推進に努めるほか、中小企業集団に対する援助を中心とする指導、援助の充実強化に努力してまいる所存であります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(平井卓志君) 今回の改正におきましては、特に中小企業に及ぼす負担等を考慮して、年次有給休暇の最低付与日数を六日から十日に引き上げることとしておりますが、その一層の引き上げにつきましては、今後の検討課題と認識いたしております。
 なお、経過措置期間中でございましても、本則どおりの年次有給休暇が付与されることが望ましいことはもちろんでございますので、御趣旨も踏まえて必要な指導を行う所存であります。
 年次有給休暇の取得に伴います不利益取り扱いにつきましては、労働基準法の趣旨に反しますので、これまでもその是正に努めてきたところでございますが、さらに徹底してまいりたいと考えております。
 また、法的規制はいかがかということでございますが、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、そのような規制を労働基準法に設けますことにつきましては、種々問題もございまして、慎重な検討が必要であると認識いたしております。
 当面の法定労働時間の適用を猶予される事業場の範囲につきましては、規模別、業種別の労働時間の実態に即し、できるだけ限定する考えであります。
 時間外労働の短縮につきましては、労使が締結する時間外労働協定について指針を設け、指導を行っているところでございますが、今後、さらに年間の時間外労働時間数の限度を含む新しい指針を作成するとともに、その遵守の徹底を図ってまいる所存であります。
 三カ月単位の変形労働時間制における一日、一週等の上限につきましては、御趣旨も踏まえましてさらに検討さしていただきたいと考えております。
 妊産婦について変形労働時間制の適用を除外するということは、これも先ほど来御答弁を申し上げておりますように、関係委員会での御議論を踏まえて適切に対処してまいる所存であります。
 勤労学生につきましては、勤労青少年福祉法第十二条に基づき、労働時間について必要な配慮をすべきこととされているところでございまして、育児担当者、介護の責任を有する者等につきましても、勤労学生と同様、必要な配慮がなされるように指導してまいる所存であります。
 VDT作業につきましては、一日の作業時間をできるだけ短くするとともに、一時間に十分ないし十五分の休止時間等を設けるようただいま指導いたしておるところでございます。
 一カ月単位の変形労働時間制につきましては、基本的には従来からある四週間単位の変形労働時間制と同一のものでございまして、これまでの運用に照らしても、御指摘のような規制は必要がないものと考えております。
 以上であります。(拍手)
#26
○議長(藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#27
○議長(藤田正明君) 日程第二 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。斎藤厚生大臣。
   〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(斎藤十朗君) 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 国立病院・療養所は、昭和二十年の発足以来、国民医療の確保に大きな役割を果たしてきたところでありますが、近年、疾病構造の変化、医学医術の進歩等により医療内容はますます高度化、多様化してきております。また、この間、他の公私医療機関の整備が年々進められ、マクロ的に見れば、我が国の医療機関の量的な確保はほぼ達成されつつあると言えます。
 このような情勢の変化を踏まえ、適切かつ効率的な医療供給体制の確立が喫緊の課題となっておりますが、国立病院・療養所については、今後、他の公私医療機関と連携しつつ、国立医療機関にふさわしい役割を積極的に果たしていくために、昭和六十一年度を初年度として今後おおむね十年を目途に、相当数の施設の移譲または統合を行うなど再編成を進めていくことといたしております。このため、資産の譲渡等に関する措置を内容とする国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案を第百四回国会に提出したのでありますが、継続審議となった後、第百五回国会において衆議院の解散に伴い廃案となり、成立を見るに至らなかったものであります。
 しかしながら、再編成の円滑な実施を図るとともに、再編成に伴う地域医療の確保に資するため、第百七回国会に再度この法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、国立病院等の移譲に係る資産の譲渡の特例についてであります。国は、公的医療機関の開設者等が国立病院等の移譲を受け医療機関を経営しようとするときは、当該国立病院等の資産を、地方公共団体に対しては無償で、地方公共団体以外の者に対しては時価からその七割を減額した価額で譲渡することができることとしております。
 第二は、その他の資産の譲渡の特例についてであります。国は、公的医療機関の開設者等が国立病院等の資産の譲渡を受け引き続きその者の開設する医療機関の用に供しようとするときは、当該資産を、地方公共団体に対しては時価からその五
割を減額した価額で、地方公共団体以外の者に対しては時価からその三割五分を減額した価額で譲渡することができることとしております。
 第三に、国の補助についてでありますが、移譲を受けて医療機関を開設する公的医療機関の開設者等に対し、国は当該医療機関の運営に要する費用を補助することができることとしております。
 以上のほか、国立病院等の資産の譲渡を受けて開設される医療機関の運営が円滑に行われるように医師を派遣する等の必要な配慮を行うことなどを規定しております。
 なお、この法律の施行期日につきましては、公布の日としているところであります。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして、地方公共団体以外の公的医療機関の開設者等に対する資産の割引率を、移譲の場合は七割から九割に、譲渡の場合は三割五分から四割五分に、それぞれ引き上げることを内容とする修正が行われております。
 以上が、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。稲村稔夫君。
   〔稲村稔夫君登壇、拍手〕
#30
○稲村稔夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案に対し、総理並びに関係各大臣に質問したいと存じます。
 さて、総理、あなたはみずからの内閣を仕事師内閣だと胸を張られることがよくありますが、あなたの政権下での五十八年度から六十二年度に至る五年間の予算の伸び率を見ますと、国債費と地方財政関係費を除いて、この間の一般歳出では〇・一%の減になっているにもかかわらず、防衛関係費が実に三六%増と大幅な伸びを示しているのであります。そして、こうしたもとでの社会保障関係費は、高齢化の進展のため、毎年一割程度の経費の当然増が見込まれていたにもかかわらず、五年間でわずかに一一・一%増にとどまっているのであります。
 このようにして、一口で言わせていただきますならば、防衛費だけを例外に扱いながら、他の面では、連年、国庫負担の削減、縮小に腐心してきたのが、総理、あなたの言う戦後政治の総決算であり、あなたの言う仕事師たちがやってきた行革路線の実際なのであります。したがって、私は、今回の国立病院等の再編成計画なるものも、結局は、いろいろな名目をつけながら、国庫負担の削減、縮小、それと国民医療費の抑制をねらっただけのものではないかと大いに疑いを持って見ているのであります。
 そこで、以下、その疑問の主なものについて質問を行いたいと思うのであります。
 まず第一は、政府は一体、今後の社会保障政策をどのように展開しようとしているのかということであります。
 そもそも、高齢化社会に向けて増大する社会保障関係財源をどのように確保していく考えなのか。これまで政府は、場当たり的な削減以外に、適切な見通しに立ったその対応策については全く示し得ていないのであります。否、短期的にすら理解に苦しむ対応であります。例えば厚生省予算で言えば、六十一年度以降の高率補助一律引き下げ措置を前提としても、七千億円の当然増が見込まれるのに、財政当局が示した概算要求基準の枠は四千四百億円。当然不足する二千六百億円と新規施策のための所要財源はどうするのですか。
 厚生省は、概算要求においてこれらの具体的な財源手当てのめどが立っておりますか。財政を握る大蔵当局は、この再編成が計画どおり完了すれば、国家財政にどれほどの寄与があると見込んでおられるのですか。また、厚生省は、何か医療保険財政にメリットがあるとでも皮算用しておいでになるのですか。大蔵大臣並びに厚生大臣にこれらの点を明確にしていただきたいのであります。
 そして、総理、本来ならば、再編成計画を提起される前に、こうした事柄、すなわち財源を含めた政策展望が明確にされていなければならないにもかかわらず、あいまいなまま提案をされているという理由が伺いたいのであります。
 第二は、今日のさまざまな医療環境の変化の中で、国立病院・療養所に求められている役割は何かという点であります。
 政府は、今回の再編成計画で、国立病院・療養所で行う医療を高度専門医療と位置づけて、地域での一般的医療は地方自治体や民間にゆだねようとしておりますが、それでは、これまでの、地域住民の医療需要に基づいて高度かつ総合的な診療機能を発揮し、地域専門医療の指導的役割を果たしてきた国立病院、そして国民の疾病構造の変化のもとで、結核のみならず各種難病、小児慢性疾患、脳卒中リハビリテーションなどの長期慢性疾患に対する専門的医療機能の役割を担ってきた国立療養所をどう評価しているのでありましょうか。
 そして、このように地域医療供給体制と深くかかわり合いながら、国民の医療機関として評価されてきている多くの現場での努力の積み重ねは、この再編成計画の中ではどのように位置づけられているのでありましょうか。これらをどのように認識して今回の再編成合理化案を作成したのか、政府の基本的考え方を明確にしていただきたいのであります。
 特に、総理、国立医療機関の地域との長い歴史的つながりを無視してまでもあえて合理化を強行したいとする理由は何か、御説明をいただきたいのであります。
 第三は、この再編成計画で、最終的に国立医療機関の数量的規模はどの程度になるのかということであります。
 それは、統廃合、経営移譲の対象施設のみがリストアップされておりますが、全体計画での十年後の国立医療機関の病床数や職員数等その数量的規模が、ただ単年度ごとに統廃合、移譲の対象施設名とその病床数を次年度予算の概算要求に盛り込むというだけの、全く雲をつかむような話だからであります。
 また、ここで生み出される要員についても、必要に応じ医療スタッフを中心に再配分すると言うが、一方では人減らし行革路線が推進されているのであります。これでは全く保証にはならないではありませんか。ましてや、医療職を除く事務、現場の職員が、合理化の名のもとに排除されるのではないかとの不安に覆われるのも当然のことであります。
 少なくとも、再編成計画と銘打って発表する以上、変化する医療環境や国民医療とのかかわり、整備のための財源、病床数、要員等多角的に肉づけをした将来像を明らかにすべきだと思うのでありまして、それがなければ、ただ施設を減らし職員を減らしさえすればよいという無責任な行政改革だと言われてもいたし方ありますまい。もしそうでないと言われるならば、はっきりとした将来像を示していただきたい。厚生大臣のお考えが伺いたいのであります。
 また、総理、行政改革とは、人減らし、金減らし、国の仕事の自治体への押しつけ、民活という名目での国民サービス事業からの国の撤退がどうも先行しているのではないかと思いますが、このことを行革の成果だと評価しておられますか。御所見を承りたいのであります。
 第四は、国立医療機関の再編合理化を図る理由として財政の効率化が挙げられておりますが、それは医療供給体制の地域格差を拡大するだけではないかということであります。
 というのは、統廃合、経営移譲の対象施設が、三百床未満を中心に、医療に恵まれない山間僻地、離島等、いわゆる特例地域にある国立病院。療養所に大きく偏っているからであります。
 例えば地元入院患者や一般医療の比率の高さ、地元に公立病院のないこと等を挙げて、佐渡、淡路、壱岐、対馬の離島にある医療施設のすべてを移譲の対象にしているのであります。しかし、公立病院さえなかった医療に恵まれない離島だからこそ、一般医療や地元患者の比率が高くなるのは当然ではありませんか。とするならば、政府の言う効率化とは、まさに僻地、離島べっ視であり、医療過疎を新たにつくり出すもの以外の何物でもないと言わざるを得ないのであります。もしそうでないと言われるのでありましたら、本計画によって病床不足地域の施設が統合で廃止され、逆に病床過剰地域の施設が拡充されるなどという珍現象が生まれるのではないかという可能性をどう説明されますか。
 この際、かねてから我が党が主張しているような、僻地、離島等の施設は過疎地域を担当する地域中核病院として整備する等の思い切った方向で、これらの地域住民が安心して適正な医療が受診できるようにしてはいかがですか。
 第五は、地方自治体への経営移譲の問題であります。
 昭和六十年に医療法が改正され、都道府県が地域医療計画を作成することになっておりますが、この計画は現在までにどれだけの都道府県が策定しているのでありましょうか。国立病院・療養所の再編成は、これらの都道府県の地域医療計画と整合性がなければ、地方には計画的に進めよと指示しながら国の方は勝手にやるという御都合主義になってしまいます。国立医療機関のあるすべての地域医療計画が出そろうまで、大きな計画変更は差し控えられたらいかがですか。
 第一、今回の再編成計画に関連して、自治省事務次官の各都道府県知事あての通知には、「各地方団体においては、公立病院を取り巻く厳しい経営環境、地方財政の厳しい現状等にかんがみ、経営移譲の問題については慎重に対処すること。」としているのでありますから、政府部内の考え方も必ずしも一致していないのではありませんか。
 さらに、私は、国民のだれでもが納得できる再編成計画になるよう努めるのが政府の責任だと思うのでありますが、もしそうだとすれば、国民の国立医療機関に対する期待が那辺にあるかを十分に掌握することから始めるべきではありませんか。今日、全国の自治体の九〇%を超える二千九百九十八議会が、国立医療機関の存続と充実を求める決議を行っている実態をどのように認識しているのか、厚生、自治両大臣から納得のいく御答弁をお願いしたいのであります。
 そして、総理には、あなたがお好みの人々を集めての審議会をつくるよりも、地方のこうした声を聞くことの方が何層倍も肝要なことだと思いますが、いかがですか。お考えを伺いたいのであります。
 最後に、政令事項の扱いについて厚生大臣に伺います。
 本案の中で、移譲の譲渡先として明らかにしているのは公的医療機関であり、それ以外は政令事項とされておりますが、そこでは厚生大臣の指定するものとして民間機関にまでその間口を大きく広げているようであります。これはまず、地方自治体に経営を押しつけ、それができなければ民間でということなのでありましょうか。いずれにしても、この政令事項の存在は、最も望ましいと思われる自治体への移譲、譲渡がいかに困難であるかを政府自身が認めているからではありませんか。
 加えて、対象施設の職員の身分の取り扱いについて、法律には示されておりません。この扱いは一体どうなるのでありましょうか。地方自治体ばかりか、民間を含めるということになりますと、職員の処遇、要員数等には大きなばらつきがあります。民間に移譲された場合の対応が特に心配であります。これまで熱意を持って医療とそれを支えるために献身してきた職員でありますから、その働く場が保障できないような移譲、譲渡は絶対に行わないということをこの際、明確にしていただきたいのであります。
 以上で私の質問を終わりますが、国立病院等の再編成なるものは、なぜ再編成しなければならないか、その根拠も、また将来どのようになるか、その未来像も、さらにはその財源的根拠も、何もかもあいまいであります。したがって、厚生省の地方機関である地方医務局長、そして現場の国立病院・療養所の長がこの統廃合、経営移譲に反対して、大臣に上申書まで提出しているではありませんか。だから、私は、この計画は全く不当なものだと断ぜざるを得ないのであります。衆議院で若干の修正がなされたとはいえ、本質に何らの変わりがないばかりか、対象施設の施設だけの安売り促進策にすぎません。
 本国会の会期もいよいよあすまでということになりました。議了を急ぐことなく、本院において国民の納得のいくよう時間をかけて十分な審議を行うべきであります。政府の再考を重ねて促し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(中曽根康弘君) 稲村議員にお答えをいたします。
 社会保障政策と再編成計画でございますが、今後、我が国は急速に高齢化が進展しますが、活力ある長寿社会を実現するためには、揺るぎない社会保障制度を構築することが不可欠であります。このような観点から、これまで医療、年金等について長期的展望に立った改革を進めてまいりました。
 医療供給体制については、量的な面ではかなりの水準に達しており、今後は医療資源を効率的に活用しつつ、医療需要の増大、多様化等に対応していく必要があります。このためには、医療施設相互の機能分担と連携を図っていくことが重要な課題であります。
 今回の再編成の目的は、このような観点から国立病院・療養所の果たすべき役割を明確にし、国立医療機関にふさわしい機能の充実強化を図っていくものなのであります。
 今までの国立病院等見ますと、戦前、戦中、陸海軍病院というようなものから今日の国立病院になったものが多くございまして、地域的にも必ずしも今日のような社会経済情勢の激変に対して適切な位置にあるかどうか疑問のものも出てまいりつつあります。あるいは最近における長寿社会あるいは病気の複雑性、社会情勢の変化等々を考えてみますというと、やはり国立病院の果たすべき機能というものについても考える余地が出てきていると思います。重点的に非常に高度な医学あるいは医療のセンターとして整備する、そして地域の医療と連携して民間あるいは公的機関との機能分担を十分にしていく、そういう時代に入ってきたのではないか。そういうような要請を踏まえまして、今回のような改正を考えたところでもあるのであります。
 国立病院・療養所は、今申し上げましたように、旧陸海軍病院や療養所などを引き継いで発足したものが多くありますので、配置基準、計画性について決定されたものは、今日の段階から見ると、必ずしも適切でないものが多うございます。今回の再編計画は、国立病院・療養所の置かれている状況を踏まえまして、二十一世紀に向けて国立医療機関としての機能を明確にし、充実強化を図っていくという考えに立つものであります。
 行政改革についてでございますが、政府は、臨調及び行革審の答申を最大限に尊重し、活力ある福祉社会の建設、国際社会に対する積極的貢献等を目指して、三公社の民営化、中央省庁の組織再編、許認可等の整理合理化を初め、規制緩和、年金、医療等の制度改革など各般にわたる行政改革の推進を図ってきております。
 しかし、まだ推進の途上であり、今後とも活力ある福祉社会の建設等を目指して、時代の変化に対応しつつ、行政の広範な分野にわたり聖域なき見直しを進め、簡素にして効率的な政府の実現に最大限努力してまいります。
 国立病院・療養所の再編は、これから実施していかなければならない重大な課題であると考えております。計画の実施に当たりましては、地元関係者と十分話し合いまして、御理解と協力を得ながら円滑に進めてまいる所存でございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(斎藤十朗君) お答えいたします。
 まず、厚生省予算についてでありますが、昭和六十三年度概算要求に当たりましては、国民生活の基盤となる社会保障制度の安定的運営が確保されるよう最大限の努力をいたすとともに、長寿社会にふさわしい社会保障制度を目指した施策については、特に重点的に配慮いたしております。
 概算要求基準と当然増の差額二千六百億円は、厚生年金国庫負担の繰り延べ額の増等で九百億円、医療費関係を初めとして千七百億円をそれぞれ減額する形で対処いたしております。
 次に、再編成計画と医療保険財政についてのお尋ねでありますが、今回の再編成は、保険財政とは別途の観点からでありまして、国立にふさわしい機能の充実強化を図る趣旨で提案いたしておるものでありまして、財政に幾ら寄与するかというような試算はいたしておらないところでございます。
 また、国立病院・療養所の役割についてでありますが、これまで国立病院・療養所は、国民医療の向上に多大な貢献をしてきたと考えております。しかしながら、医療を取り巻く環境の変化等を踏まえ、国立病院・療養所が真に国立医療機関として国民の期待にこたえられるようその質的強化を図ることが今回の再編成の目的であります。すなわち、国立医療機関としての重要な役割は、私的医療機関や他の公的医療機関と連携をとりながら、これらが担うことが困難な機能を果たしていくことであります。
 国立病院・療養所の機能としては、各種難病、結核、重症心身障害等の専門医療及びがん、循環器病等における高度医療などの政策医療を担うとともに、地域医療従事者の教育研修、臨床研究などを重要な役割として担っていくことといたしております。
 計画の具体的な将来像についてというお話でございますが、国立病院・療養所が国立にふさわしい役割を果たすためには、医療スタッフ及び施設設備を高水準のものとしていかなければなりません。そのために、再編成に伴って生じた定員等の余裕について、医療スタッフを中心に再配置し機能の強化を図っていくことといたしております。病床数、スタッフ等については、自治体を初め地元関係者と話し合いながら、この構想の具体化を進める中で固めていくことが適当であると考えております。
 また、離島、僻地等の医療と再編成についてのお尋ねでありますが、離島、僻地等の対策は医療政策の重要な課題でありますが、その医療の確保については、第一義的には、地方自治体等が中心となって対応することが適当であると考えており、国はその推進が図られるよう各種の助成措置を講じてきているところでございます。
 再編成を進めるに当たりましては、離島、僻地等や病床不足地域の特殊性にかんがみ、地域の医療が確保されるよう十分配慮してまいりたいと考えております。
 次に、地域医療計画との関係については、現在、八県が計画を策定いたしておりますが、各都道府県が地域医療計画を策定していく段階で十分調整を図少ながら、整合性が保たれるようにしてまいりたいと考えております。
 次に、お尋ねの自治省の通達は、経営移譲については自治体病院として引き受けた場合の将来の採算性、一般会計の負担等について十分検討して慎重にするようにとの趣旨と理解をいたしております。
 今回の国立病院・療養所の再編成は、行政改革大綱等を受けて実施するものであり、再編成を推進することについて政府部内で不調和があるとは考えておりません。
 自治体の反対が多いではないかというお話でございますが、再編成の趣旨につきましては、総論としては、国民の大方の御理解を得られるものと
思います。しかし、具体的実施に当たりましては、地域医療に重大な支障を来すことのないよう、自治体を初め地元関係者と十分話し合い、理解を得ながら進めてまいる所存でございます。
 また、本法案の特例措置の対象範囲についてでありますが、国立病院・療養所の再編成の実施に当たっては、後の医療の確保が重要な問題であり、移譲先等については、自治体を初めとする公的医療機関のほか、引き続き安定的に運営する基盤を有する公的性格の強い法人を対象としたいと考えております。
 また、最後でございますが、現在働いている職員の身分についてでございますが、職員の希望をできるだけ尊重する等、生活の不安を来すことのないよう十分配慮していかなければならないと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) 厚生省の予算は御指摘のように多額の当然増を常に抱えておりますので、今日まで財政再建に当たりましては特段の協力を受けているところでございます。とは申しながら、ただいま厚生大臣も言われましたように、今後とも真に必要な経費につきましては、重点的、効率的に資金配分をするように努めてまいらなければならないと思っております。
 このたびの再編成は、医療の高度化を目指すものでありまして、財政的な観点と申しますよりは、国立病院等が高度先駆的医療など国立医療機関として真にふさわしい医療を提供していくために、公共性、効率性等の観点から再編成を進めるものと承知いたしております。
 再編成が完成いたしましたときの国家財政へどのぐらいの寄与かというお尋ねで、ただいまから予測することは困難ではございますけれども、六十二年度に一般会計がこの会計へ繰り入れております額は千四百二十二億円でございますが、このたびの移譲に係る国立病院等三十四施設の六十一年度決算における収支不足額は数十億程度でございまして、一般会計に繰り入れております千四百億円余りから申せばさして大きな額ではございません。(拍手)
   〔国務大臣葉梨信行君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(葉梨信行君) 国立病院の地方団体への経営移譲に対します考え方でございますが、国立病院・療養所の再編成に当たりまして、その移譲の相手方といたしまして公的医療機関等が考えられておりまして、その一つとして地方団体も挙げられた次第でございます。地方団体への経営移譲につきましては、地方における行政改革も喫緊の課題でございますし、現在の自治体病院を取り巻く厳しい経営環境とか、地方財政の厳しい現状等にかんがみまして、地方団体としては慎重に対処すべきであると考えている次第でございます。
 次に、地方議会の国立病院存続要望決議の認識の御質問でございますが、多くの地方団体が国立病院・療養所の存続と充実を求める決議を行っておりますのは、その再編成によって地域医療の確保に支障が生ずるのではないかという御心配から出ているものと考えております。したがいまして、国立病院・療養所の再編成に当たりましては、地域医療の確保に配慮し、地元と十分に協議し、その理解のもとに進められていくことが肝要であると考える次第でございます。(拍手)
#35
○議長(藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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