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1987/09/18 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第12号
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1987/09/18 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第12号

#1
第109回国会 本会議 第12号
昭和六十二年九月十八日(金曜日)
   午後七時四十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十二号
  昭和六十二年九月十八日
   午後三時開議
 第一 民法等の一部を改正する法律案(第百八
  回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
 第二 旅客鉄道株式会社が建設主体とされてい
  る新幹線鉄道の建設に関する事業の日本鉄道
  建設公団への引継ぎに関する法律案(衆議院
  提出)
 第三 労働基準法の一部を改正する法律案(第
  百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送
  付)
 第四 円高不況及び雇用不安対策に関する請願
 第五 教育費の父母負担の軽減と教育の機会均
  等の拡充に関する請願
 第六 書道教育振興に関する請願(二件)
 第七 鉄道・航空運賃の身体障害者割引制度の
  内部障害者への適用拡大に関する請願(十一
  件)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日中国交正常化十五周年に当たり、日中友
 好関係の一層の増進に関する決議案(嶋崎均
  君外十七名発議)(委員会審査省略要求事件
 )
 一、日程第一
 一、外国人登録法の一部を改正する法律案(第
  百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送
  付)
 一、日程第二及び第三
 一、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関す
  る法律案(第百七回国会内閣提出、第百九回
  国会衆議院送付)
 一、精神衛生法等の一部を改正する法律案(第
  百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送
  付)
 一、流通食品への毒物の混入等の防止等に関す
  る特別措置法案(衆議院提出)
 一、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔
  慰金等に関する法律案(衆議院提出)
 一、公害健康被害補償法の一部を改正する法律
  案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆
  議院送付)
 一、日程第四より第七までの請願及び小規模障
  害者作業所等の助成に関する請願外九十五件
  の請願
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 嶋崎均君外十七名発議に係る日中国交正常化十五周年に当たり、日中友好関係の一層の増進に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。鳴崎均君。
   〔嶋崎均君登壇、拍手〕
#5
○嶋崎均君 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四派共同提案に係る日中国交正常化十五周年に当たり、日中友好関係の一層の増進に関する決議案につきまして、提案者を代表して趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    日中国交正常化十五周年に当たり、日中友好関係の一層の増進に関する決議案
  日中共同声明により日中両国間の国交が正常化されて以来今日まで、日中平和友好条約の締結をはじめ、両国間の友好関係が広汎多岐にわたり着実に進展してきたことは、国民とともに慶賀にたえない。
  政府は、本年、日中国交正常化十五周年を迎えるに当たり、日中関係の重要性にかんがみ、日中共同声明及び日中平和友好条約の諸原則及び精神に基づき、両国友好親善の一層の増進を図るため、最大の努力をいたすべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 昭和四十七年九月二十九日の日中共同声明により両国間の国交が正常化され、本年で十五周年に
なります。この間、両国の友好関係は、両国国民と政府のたゆまぬ努力により着実な進展を遂げ、アジアの安定と繁栄、さらに世界の平和に寄与してきたのであります。
 この決議案は、日中関係の重要性にかんがみ、政府に対して、今後とも両国の友好親善関係を一層推進するため、日中共同声明及び日中平和友好条約にうたわれた諸原則及び精神を常に念頭に置き、これに基づいて最大の努力をいたすよう要請するものであります。
 何とぞ皆様の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#7
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 ただいまの決議に対し、内閣総理大臣から発言を求められました。中曽根内閣総理大臣。
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいまの御決議に対して所信を申し述べます。
 政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を十分に体しまして、今後とも、日中共同声明及び日中平和友好条約の諸原則及び精神に基づき、日中友好関係の維持発展に最大限の努力を払ってまいる所存であります。(拍手)
     ―――――・―――――
#9
○議長(藤田正明君) 日程第一 民法等の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)及び本日委員長から報告書が提出されました
 外国人登録法の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)を日程に追加し、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長三木忠雄君。
   〔三木忠雄君登壇、拍手〕
#11
○三木忠雄君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 まず、民法等の一部を改正する法律案は、養子制度の充実等を図るため、従来の養子制度のほかに、子の利益のため特に必要がある場合において、家庭裁判所が審判により、婚姻障害を除き実親側との親族関係を終了させて、養父母との間に強固で安定した親子関係を成立させる特別養子制度を新設するとともに、従来の養子制度についても、配偶者のある者が縁組をする要件を緩和し、あわせて親族関係の変更に伴う氏の変更に関する規定の整備等を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、特別養子制度新設の趣旨、特別養子縁組における実親の同意、実の親子関係の断絶、従来の養子制度における夫婦共同縁組要件の緩和等につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わりましたところ、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、外国人登録法の一部を改正する法律案は、外国人登録制度の適正化及び合理化を図るため、登録等の申請をする場合における指紋の押捺は原則として最初の申請の場合に限るとともに、在留の資格が確認されていない者等について市町村長による登録事項の確認の期間を短縮することができることとし、あわせて登録証明書の引きかえ交付及び代理受領に関する規定の整備等を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、指紋押捺制度の必要性、合理性、登録証常時携帯義務規定の運用、罰則の妥当性等につきまして質疑が重ねられましたほか、参考人の意見を聴取するなど慎重に審査を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して矢田部委員より、公明党・国民会議を代表して猪熊理事より、日本共産党を代表して橋本理事より、それぞれ本法律案について反対の意見が表明されました。
 次いで採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、守住理事より、外国人登録制度のあり方についての検討、法運用に当たっての配慮等を内容とする自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び西川委員共同提案に係る附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 まず、民法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#13
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 次に、外国人登録法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#14
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#15
○議長(藤田正明君) 日程第二 旅客鉄道株式会社が建設主体とされている新幹線鉄道の建設に関する事業の日本鉄道建設公団への引継ぎに関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長田代富士男君。
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
#16
○田代富士男君 ただいま議題となりました旅客鉄道株式会社が建設主体とされている新幹線鉄道の建設に関する事業の日本鉄道建設公団への引継ぎに関する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、新幹線鉄道の建設の効率的かつ円滑な実施体制を整備するため、旅客鉄道株式会社が建設主体とされている整備新幹線の建設に関する事業を日本鉄道建設公団に引き継がせようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党小笠原委員より反対の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#18
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#19
○議長(藤田正明君) 日程第三 労働基準法の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)及び本日委員長から報告書が提出されました
 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案(第百七回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
 諸神衛生法等の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)を日程に追加し、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長関口恵造君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔関口恵造君登壇、拍手〕
#21
○関口恵造君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、労働基準法の一部を改正する法律案の主な内容は、第一に、法定労働時間の短縮であり、週四十時間労働制を法定労働時間短縮の目標として明らかにするとともに、当面の法定労働時間については、週四十時間労働制に向けて段階的に短縮されるよう命令で定めること、第二に、労働時間に関する規制の弾力化であり、一定の要件のもとに、フレックスタイム制、三カ月単位の変形労働時間制、一週間単位の非定型的変形労働時間制を認めること、第三に、年次有給休暇の最低付与月数を六日から十日に引き上げるとともに、労使協定による計画的付与ができることなどであります。
 委員会におきましては、参考人からの意見聴取を行うとともに、週四十時間労働制への移行時期、当面の週法定労働時間と適用猶予措置、変形労働時間制、年次有給休暇の最低付与日数などの諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、自由民主党を代表して佐々木理事より妊産婦に係る変形労働時間制の適用除外等に関する修正案が、また、日本共産党を代表して内藤委員より修正案が、それぞれ提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同より原案並びに自由民主党及び日本共産党提出の両修正案に反対、自由民主党より原案並びに自由民主党提出の修正案に賛成、日本共産党提出の修正案に反対、日本共産党より原案並びに自由民主党提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、自由民主党提出の修正案並びに修正案を除く原案は多数をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、本法律案に対しまして附帯決議が全会一致をもって付されております。
 次に、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案は、国立病院及び国立療養所の再編成の円滑な実施を図る等のため、国立病院または国立療養所の資産の譲渡などに関する特別措置を講ずるものであります。
 委員会におきましては、参考人からの意見聴取を行うとともに、再編成計画の基本指針、地域保健医療計画との整合性、離島、僻地における医療の確保、職員の処遇等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同より本案に反対、自由民主党より本案に賛成、日本共産党より本案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 次に、精神衛生法等の一部を改正する法律案の主な内容は、近時の精神医療等をめぐる諸状況の変化を踏まえ、国民の精神保健の向上を図るとともに、精神障害者等の人権に配慮しつつその適正な医療及び保護を実施し、並びに精神障害者等の社会復帰の促進を図るため、法律の題名を「精神保健法」に改めるとともに、国民の精神的健康の保持及び増進に関する事項、精神医療審査会の設置、精神保健指定医制度の導入、任意入院の手続等に関する事項、精神障害者社会復帰施設に関する事項その他の事項に関して所要の措置を講ずるものであります。
 委員会におきましては、精神障害者の人権擁護の推進策、社会復帰促進策、精神医療における診療報酬のあり方等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 討論はなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 なお、本法律案に対し、附帯決議が全会一致をもって付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(藤田正明君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。千葉景子君。
   〔千葉景子君登壇、拍手〕
#23
○千葉景子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案について、反対の討論を行うものであります。
 政府は、行財政改革の名のもとに、五十七年度以降の各年度の予算編成において、社会保障関係について、医療保険に見られる患者、地方への負担転嫁、年金の給付水準の引き下げ、各種国庫負担の繰り延べ等、毎年国庫負担の削減、縮小に意が向けられてきました。
 今回、政府が提案している国立病院・療養所の再編成計画も、国の果たすべき役割分担の明確化、効率化の名のもとに統廃合、移譲を通じて、これら機関に振り向けられていた国庫負担を削減、縮小するとともに、我が国医療について、供給体制からの再編成を通じて、国民医療費の抑制をねらいとしたものであり、国鉄赤字ローカル線廃止の病院版とも言い得るのであります。
 そうした政府の基本的考え方は、到底納得できないところであり、かかる立場から数点にわたって反対の意見を述べたいと思います。
 第一に、今回の再編成計画は、財源難対策の側面を持つと同時に、さまざまな医療環境の変化の中で、国立病院・療養所に求められる役割は何か、そうした問いに対する回答であるはずであります。
 政府は、この問いに対し、国立病院・療養所で行う医療を高度専門医療と位置づけ、地域での一般的医療は地方自治体や民間にゆだねようという考えであります。国立病院は、地域住民の医療需要に基づき、高度かつ総合的な診療機能を発揮し、地域・専門医療の指導的役割を果たしてまいりました。また、国立療養所においても、国民の疾病構造の変化のもとで、結核のみならず各種難病、小児慢性疾患、脳卒中リハビリテーションなどの長期慢性疾患に対する専門的医療機能の役割を担ってまいりました。現実に地域の医療供給体制と深くかかわり合い、国民医療機関として地域住民、国民各層にその存在が深く定着した地域医療を行ってまいりました。
 そのような意味から、国立医療機関の今日まで果たしてきた役割、機能に改めて日を向けるべきであると思うのであります。そうして、そのための充実強化こそ緊急の課題であると思います。第二に、政府の発表している再編成計画は、統廃合、移譲の対象施設名がリストアップされているだけで、対象施設の病床数はもちろんのこと、最終的に国立医療機関の病床数、職員数の規模をどの程度にしていくのかは一切明らかにされておりません。
 厚生省の説明では、単年度ごとに統廃合、移譲の対象施設名とその病床数を次年度予算の概算要求に盛り込むことになると言っており、全体計画では十年後の国立医療機関の規模を提示できないという無責任なものとなっております。
 また、政府は、統廃合や経営移譲により生み出された要員について、必要に応じて医療スタッフを中心に再配分すると説明しておりますが、今日のような行革路線のもとでその保証のないことは明らかであります。まして、医療職を除く事務、現場の職員、さらに定員外職員は、合理化の名のもとに退職させられたり転勤を余儀なくされるのではないかと不安に陥れられております。少なくとも再編成計画と銘打って発表する以上、整備のための財源、病床数、要員等について多方面からの検討を重ね、肉づけをした将来像を明らかにすべきだと思うのであります。
 第三に、国立医療機関の再編合理化を図る理由として、財政の効率化が挙げられております。
 したがって、経営移譲の対象施設は、三百床未満の施設を中心に、医療に恵まれない山間僻地、離島に集中しているのであります。こうした地域は、自治体病院や民間医療機関では運営の困難なところであり、それがゆえに国が担当してきたは
ずであります。このように医療に恵まれない地域から国立の医療が撤退することは、医療供給体制の地域格差を一層拡大し、国民がひとしく医療を受ける権利を奪うことになるのであります。政府の説明する効率化は、まさに医療過疎を新たにつくり出すことにつながると言わざるを得ません。
 第四に、昭和六十年に医療法が改正され、都道府県が地域医療計画を作成することとなっていますが、国立病院・療養所の再編成は、そうした計画の中で、国、公、私の役割分担や、病院と診療所の機能分化や連携などの問題と絡めて議論がなされなければならないと思います。
 国がひとりで高度先進医療、政策医療を担当していくといっても、都道府県の医療計画と整合性を持ったものでなければ意味がありません。
 今日、全国の自治体の九〇%を超える二千九百九十八議会が国立医療機関の存続と充実を求める決議を行っていることをどのように認識しているのか、全く不可解であります。現在のような地域の財政状態、政治環境の中で、赤字を背負い込むような自治体への経営移譲は全く困難であります。
 第五に、本改正案で移譲、譲渡先として明らかにしているのは公的医療機関であり、それ以外は政令事項とされ、政府の説明では、公益法人のうち厚生大臣の指定するものにまでその間口は大きく広げられているのであります。
 この事実は、最も望ましいと思われる自治体への移譲、譲渡がいかに困難であるか、政府自身が認めていることにほかなりません。さらに問題なのは、対象施設の職員の身分の取り扱いについて政令事項にゆだねられている点であります。そこでは、移譲先の意向による職員の選別を認めるおそれもありますし、また、転勤を余儀なくされる事態をも現出しかねないことを意味しているのであります。
 委員会の質疑を通じても、以上申し上げた諸点は明確にされず、審議が尽くされたとは到底言い得ないところであります。
 以上、反対の意見を申し述べ、討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(藤田正明君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#25
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 ます、労働基準法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
 本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#26
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。
 次に、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#27
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 次に、精神衛生法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#28
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#29
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長岡部三郎君。
   〔岡部三郎君登壇、拍手〕
#31
○岡部三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。本法律案は、流通食品への毒物の混入等を防止するための措置等を定めるとともに、流通食品に毒物を混入する等の行為を処罰することにより、国民の生命または身体に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の平穏と安定に資することを目的とするものであります。
 委員会におきましては、参考人を招いてその意見を聴取するとともに、グリコ・森永事件等の捜査状況、法律案提出に至る経緯、法律案成立後の犯罪等の抑止効果、処罰規定に係る「流通食品」「毒物」等の定義をめぐる問題と量刑の均衡、毒物混入等の届け出義務と裏取引の防止効果、製造業者等の届け出義務及び犯罪捜査への協力義務と警察権の拡大、流通食品への毒物の混入等の防止策と関係行政機関の連携体制、製造業者等の損失と援助策の内容、関係労働者への救済策、一般消費者の保護と被害の補償等につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 なお、下田委員より、本法律案について、閉会中も継続して審査すべき旨の動議が提出されましたが、賛成少数をもって否決されました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して諌山委員より反対である旨の発言がありました。
 討論終局の後、採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、届け出義務、協力義務等をめぐって国民の人権を不当に侵害する事態を生ずることのないよう万全を尽くすことなど、四項目にわたる附帯決議を行いました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#33
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#34
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
 台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長名尾良孝君。
   〔名尾良孝君登壇、拍手〕
#36
○名尾良孝君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院内閣委員長提出によるものでありまして、その内容は、人道的精神に基づき、台湾住民である日本の旧軍人もしくは旧軍属であった戦没者等の遺族及び戦傷病者で著しく重度の障害の状態にある者に対する弔慰金または見舞い金を支給するため、昭和六十三年度からできるだけ速やかに必要な財政上の措置を講ずるものとし、その講ぜられた措置に基づき、日本赤十字社は、台湾にある救護及び社会奉仕を業務とする機関を通じて弔慰金または見舞い金を支給するものとすることであります。
 委員会におきましては、質疑、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本委員会におきましては、本法律案を可決すべきものと決定した後、各派共同提案に成る次の決議を行いました。
    台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する決議
  政府は、「台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律」が制定された場合、同法の実施に当たっては、千九百七十二年九月二十九日に発出された日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明及び千九百七十八年八月十二日に北京で署名された日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約にある諸原則を遵守し、精神を尊重すべきである。特に同共同声明第二項(日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。)及び第三項(中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。)において表明された日本国政府の立場を堅持すべきである。
  右決議する。
 以上、申し添えます。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#38
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#39
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
 公害健被害補償法の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。環境特別委員長松尾官平君。
   〔松尾官平君登壇、拍手〕
#41
○松尾官平君 ただいま議題となりました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案につきまして、環境特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、近年における大気汚染の態様の変化を踏まえ、第一種地域の指定がすべて解除された場合において、指定解除前に認定を受けた者に対する補償を指定解除後も継続して行うため、指定解除前にはい煙発生施設等を設置していた者から汚染負荷量賦課金を徴収すること等、費用負担に関する規定の整備を図るとともに、公害健康被害補償協会を公害健康被害補償予防協会に改め、大気汚染の影響による健康被害を予防するため、健康被害防止事業に関する業務を行うことができるよう所要の改正を行い、その新業務に必要な経費の財源として、新たに大気汚染の原因者及び関係者から拠出される基金の設立を定めるものであります。
 委員会におきましては、指定及び解除の要件を示さずに、現行の四十一指定地域を全面解除することの是非、専門委員会報告と中公審答申との相違点、中公審会議録の非公表と国会審議との関係、内閣総理大臣による関係地方自治体の意見聴取手続、窒素酸化物等自動車排ガスによる交通公害対策、都市型複合汚染による健康影響と調査研究のあり方、補償給付にかわる健康被害防止事業の実効性と基金構想等の諸問題について質疑が行われるとともに、関係地方自治体、費用負担者及び公害患者の代表並びに学識経験者の参考人から意見を聴取いたしました。その詳細は会議録によって御承知願います。
 また、東京都板橋区大和町の交差点及び大気汚染測定局を現地視察して実情調査を行うなど、慎重に審議を行ってまいりました。
 質疑を終了いたしましたところ、本法律案に対し、自由民主党を代表して曽根田委員より、公布の日から起算して三月を超え六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することを内容とする修正案が提出されました。
 なお、曽根田委員提出の修正案は、予算を伴うものでありますので、稲村環境庁長官から意見を聴取いたしましたところ、政府としてはやむを得ない旨の発言がありました。
 次いで、討論に入り、日本社会党・護憲共同を代表して渡辺委員より修正案及び原案に反対、自由民主党を代表して石井委員より修正案及び修正部分を除く原案に賛成、公明党・国民会議を代表して高桑委員より修正案及び原案に反対、日本共産党を代表して近藤委員より修正案及び原案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって修正議決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、我が国の最近の大気汚染は、二酸化窒素と大気中粒子状物質が特に注目される汚染物質であることにかんがみ、二酸化硫黄のみならず、これらの物質を大気汚染の要素として認め、対策を一層推進すること等、九項目にわたる自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の共同提案による附帯決議が全会一致で付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○議長(藤田正明君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。田渕勲二君。
   〔田渕勲二君登壇、拍手〕
#43
○田渕勲二君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行うものであります。
 本法案は、工業都市地域を中心に硫黄酸化物の濃度が減少し改善されたとして、現行の四十一の第一種指定地域を一挙に全面解除しようとしているものであります。しかも、これは制度上もはや大気汚染による公害病患者は出ないと決めつけたものであり、これからは大気汚染でぜんそくになっても汚染者の費用で補償されることはなく、新たな患者は当然の権利である補償の道を閉ざされるわけであります。これは昭和四十九年に民事責任を踏まえた損害賠償制度として発足し、公害被害者の補償、救済のみならず、大気汚染による公害の予防にも重要な役割を果たしてきた本法の精神を踏みにじり、本制度の空洞化をもたらすものであり、このことは環境行政の変質と大幅な後退を示すものであります。
 当委員会が行った板橋区大和町交差点の現地調査によっても明らかなごとく、今日なお、大都市や幹線道路沿線における窒素酸化物、大気中粒子状物質による複合汚染は依然として改善されておらず、公害患者は増加しております。このような現状において、大気汚染と健康影響との因果関係に
ついて、科学的知見の集積による合理的な説明もないまま、弱い立場の公害被害者を切り捨てるということは、国民の健康と生活を公害から守ることを目的とする環境行政の原点を放棄したまさに暴挙と言わざるを得ません。
 政府は、今回の法改正は、中公審答申を踏まえて、本制度をより公正で合理的なものとするものであるとしておりますが、中公審の専門委員会が、「現在の大気汚染は、慢性閉塞性肺疾患に何らかの影響を及ぼしていることは否定できない。また、局地的汚染と感受性の高い集団の存在に留意すべきである」と指摘した重要な点を本答申はねじ曲げ、事故以外にはあり得ない判断条件を勝手に作文して、これに当たらないとし、指定地域の全面解除の方向を打ち出しておるのであります。
 そればかりでなく、答申は、東京都の調査の結果、幹線道路沿道での局地的汚染では、女性の肺がんや乳幼児の呼吸器疾患への影響を示唆した点をも無視するなど、極めて不公正、不合理なものであり、国会の審議を通じても納得できる説明はなされておりません。
 殊に遺憾なのは、この専門委員会報告と答申との相違点をただすため必要不可欠である中公審での部会、専門委員会及び作業小委員会における議事録や関係資料の委員会提出要求を拒否したことであります。国会が必要かつ正確な資料に基づいて法案を納得できるまで審議することは当然の責務でありますが、委員会の協議に基づく委員長の資料提出要望をあくまで拒否するということは、中公審の申し合わせを隠れみのにして国会の審議権を妨害するものであり、断じて許すことはできません。
 さらに問題なのは、本法案の提出の過程において、本件諮問を付託された中公審の環境保健部会とそのもとに設置された専門委員会、作業小委員会のいずれについても、被害者ないし被害者団体の推薦する委員が一人も存在しなかったことであります。それに引きかえ、経団連初め第一種指定地域の解除を強く要求してきた団体の責任者を初め、原因者や費用負担者である産業界を代表する委員が相当数を占めている事実を見ましても、このような構成は中公審の使命と目的に反する全く不公正なものと言わざるを得ないのであり、かかる審議過程を経た答申に基づく法案は、直ちに撤回すべきであります。
 次に、本法案は、第一種指定地域を全面解除した後は、個人に対する個別の補償ではなく、総合的な環境保健施策を推進することとしておりますが、中公審会長がその早急な具体化を求めたにもかかわらず、事業メニューの開発や自治体との関係及び助成基準等はなお明らかではありません。また、新事業を支える基金についても、事業ベースでの積算根拠や国を含めた拠出者並びに拠出方式等が不明確なままであります。これで果たして実効性のある環境保健施策が講ぜられるのか全く疑わざるを得ません。
 また、公害認定患者は毎年約九千人も増加しておりますが、地域指定解除によって公害患者が一人もいなくなるということは全くナンセンスであります。
 総理は、法案審議の中で、地域指定解除後においても、科学的調査の結果により再び指定することもあり得るとの答弁を行ったのでありますが、その具体的な再指定の要件は明らかにされておりません。
 我が国の最近の大気汚染は、二酸化窒素と大気中粒子状物質が特に注目される汚染物質であります。したがって、これらの物質を地域指定の要件である著しい大気汚染の要素として認め、速やかに指標化を図るべきであります。
 また、主要幹線沿道等の局地的汚染については、科学的な調査研究を積極的に推進し、その結果に基づいて被害者認定の要件を明確にすべきであります。これらの具体的な内容が明確にされない以上、総理の再指定の約束は全く内容のないその場限りの答弁と言わざるを得ません。
 さらに、今回の法改正は、初めに地域指定全面解除の結論があって、後は形式的な手続を踏んだにすぎないとの批判も出されておりますが、このことは本法案の提出の過程においても、中公審の審議に企業側の代表を参加させながら公害患者側の代表を除外したこと、五十一の関係自治体のうち四十五の九割にも及ぶ反対、慎重の意見を全く無視したこと、また、委員会の審議において都合の悪い中公審の資料の提出をあくまでも拒否したことなどから見ても明らかであります。
 確かに、昭和四十年代に比べて工場から出る硫黄酸化物の濃度は減少傾向をたどっていると言われておりますが、その制度の何らかの見直しは必要であるかもしれません。しかし、大気汚染の程度を測定する際の指標とされた窒素酸化物や浮遊粒子状物質の汚染は何ら改善を見ることなく、依然として深刻な状況が続いていることは、専門委員会報等も認めているところであり、硫黄酸化物による汚染の改善だけに着目して一気に制度を廃止するに等しいこの変更は、まさに無謀と言うほかございません。なぜ制度の現実に見合った改善策がとれないのか、四十一指定地域の全面解除ではなくて、再調査を行った上で国民や公害患者の皆さんが納得する見直しが図れないのか。血の通った施策をとるべき立場の環境庁が、産業界だけの意見を優先させて一拠に変更してしまおうとする政府の態度にはどうしても私は納得することができません。このような手続的にも、内容的にも、また現実的にも多くの矛盾と問題を抱えた法案は、直ちに撤回すべきであり、これを多数の力で成立させることには断固反対するものであります。
 本法案については、公害患者を初め多くの関係者が注目しているのであります。弱い立場の公害患者を一方的に切り捨てるばかりでなく、公害防止の歯どめを放棄する本法案の成立を推進した政府・自民党は、環境庁の存在意義をも否定したものであることを警告して、本法案に強く反対する決意を表明して討論を終わるものであります。(拍手)
#44
○議長(藤田正明君) 高桑栄松君。
   〔高桑栄松君登壇、拍手〕
#45
○高桑栄松君 私は、公明党・国民会議の立場から、公害健康被害補償法の一部改正案につきまして、反対の意見並びに私の提案を述べさせていただきたいと思います。
 まず最初に、健康被害とその対応につきまして、私の次の三つの考え方を述べたいと思います。これはこの法案についての私の批判の、そし
て私の提案の基本となる考え方でございます。再度申し上げさしていただきたいと思います。
 一つは、健康にかかわる行政は、これは医学的判断に基づくべきものであるということであります。二番目は、公害による健康被害については、疑わしきは救済するというのが基本理念であったはずであるということであります。三番目は、健康と疾病の関係は連続したスペクトラムである、したがいまして、ある時点を境としてオール・オア・ナン、こういうことはないということであります。
 これが私の基本的な考え方の三つの条件でございますが、さて、現状における大気汚染はSO2主役から御承知のようにNOx、それから浮遊粒子状物質を含む複合汚染へと移行しつつあります。これは特に都市型大気汚染の特徴とされるものであります。このことは中公審の専門委員会報告あるいは東京都の調査、それから大学、研究所のリポートにも明らかでございます。公害健康被害という言葉の公害とは、SO2ではないのでありまして、これは複合汚染が公害のもとということなのでありますので、大気汚染対策は複合汚染対策へと視点を移すべき段階にあるということは、これは明らかであろうと思います。
 そこで、現状における複合汚染を無視して地域指定を全面的に解除するということは、医学的に甚だ疑問があります。その細かい理由につきましては、この法案が提案されたときの趣旨説明の際の私の質疑にも出しましたし、委員会においてもしばしば申し上げさせていただきました。私は、全面解除というのは時期尚早であると考え、反対をいたします。
 二番目は、指定解除について意見聴取を地方自治体に求めておられます。その回答は、九割が反対であるということであります。疑わしきは救済するという基本理念を申し上げましたが、この点に立ちましても、民意は尊重されるべきであると私は思います。
 次は、都市型大気汚染の主役がNOx、そして浮遊粒子状物質に移ったと申し上げたのでありますけれども、このNOx及び浮遊粒子状物質というのは、第一義的な侵襲部位が気道抹消部である、つまり呼吸器系の一番奥まで入っていくということがございます。これはSO2とはまたこの到着地点が違うということでございます。
 さらに、重要な知見が出てきております。NO2の存在下で芳香族炭化水素が発がん物質に変わるのではないかということが論じられております。これらを考慮いたしますと、私は長期慢性影響、特に肺がんとの関連に注目すべきであるということを申し上げたいと思います。そして、その対策は未来を予測して急ぐ必要があるというふうに考えるのであります。
 現状を見ますと、大気汚染物質中の一部のもの、つまりSO2でありますが、この濃度が改善されていることは私は確かだと思います。しかし、一方、新たな物質、すなわちNOx及び浮遊粒子状物質による汚染が進行していることも明らかであります。これらを勘案いたしますと、地域指定の解除に関して再検討もあり得ると私は思います。しかし、それには次のような条件があると私は考えます。
 まず一つは、大気汚染対策の目安として複合汚染の環境基準ガイドラインというようなものを設定する必要があります。今までは、大気汚染というものは単体で決めております。複合となると、これは一足す一は二であるか、あるいは一足す一は三になるか、ひょっとしたら一・五になるかわからない。したがいまして、相乗的であるか相加的であるか、あるいはマイナスに働くかわかりませんが、この複合汚染の環境基準というものの組み合わせが大変たくさん出てくるわけでありますので、これは研究を待っていては随分時間がかかるのじゃないかと私は思います。したがいまして、そういうデータが出るまで待たないのは少くとも科学的ではないとむしろ私は思うのです。予防医学的に考えれば、とりあえずは複合汚染の環境基準ガイドラインというようなものを暫定的につくりまして、これを一つの目安として対策を進めていく必要があると思います。
 二番目は、汚染の地域特性であります。複合汚染ということは幾つかの条件が重なる。今三つ挙げられておりますけれども、本来もっとあっていいわけです。しかし、今大きな対象汚染物質が三つ挙げられておりますが、その三つの条件がいろいろあるわけでありますから、そういう複合汚染状況に応じて、全面解除ではなくて、個別的に条件を検討して解除については検討する必要があるのではなかろうか、こう思います。
 三番目は、疾病と健康の関連は連続的なものであって、断絶はないというお話を申し上げました。したがいまして、新患者に対して、解除後の新患者というものをどう扱うかということは、私は医学的立場ではやはり公害との関連において考えるべきことだと思うのです。したがいまして、新患者に対しては、経過期間であるとか、あるいは認定条件等を新しくセットいたしまして、そういったことでの中間措置を私は考えるべきであるということが私の提案でございます。
 以上、私の反対理由と提案を申し上げさせていただきまして、本法案に対する反対討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#46
○議長(藤田正明君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#47
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
 本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#48
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。
     ―――――・―――――
#49
○議長(藤田正明君) 商工委員長外二委員長から報告書が提出されております日程第四より第七までの請願、及び本日、社会労働委員長外二委員長から報告書が提出されました小規模障害者作業所等の助成に関する請願外九十五件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
#51
○議長(藤田正明君) これらの請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 これにて、休憩いたします。
   午後八時四十六分休憩
   〔休憩後開議に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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