くにさくロゴ
1987/07/28 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 環境委員会 第1号
姉妹サイト
 
1987/07/28 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 環境委員会 第1号

#1
第109回国会 環境委員会 第1号
本国会召集日(昭和六十二年七月六日)(月曜日
)(午前零時現在)における本委員は、次のとお
りである。
  委員長 林  大幹君
   理事 小杉  隆君 理事 武村 正義君
   理事 戸沢 政方君 理事 福島 譲二君
   理事 山崎平八郎君 理事 岩垂寿喜男君
   理事 春田 重昭君 理事 滝沢 幸助君
      石破  茂君    江崎 真澄君
      小沢 一郎君    片岡 武司君
      河本 敏夫君    齋藤 邦吉君
      杉浦 正健君    田澤 吉郎君
      平泉  渉君    大出  俊君
      金子 みつ君    山口 鶴男君
      遠藤 和良君    斉藤  節君
      岩佐 恵美君    田中 角榮君
―――――――――――――――――――――
昭和六十二年七月二十八日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 林  大幹君
   理事 小杉  隆君 理事 武村 正義君
   理事 戸沢 政方君 理事 福島 譲二君
   理事 山崎平八郎君 理事 岩垂寿喜男君
   理事 春田 重昭君
      石破  茂君    小沢 一郎君
      片岡 武司君    齋藤 邦吉君
      杉浦 正健君    平泉  渉君
      森  美秀君    金子 みつ君
      馬場  昇君    村山 喜一君
      遠藤 和良君    斉藤  節君
      吉田 之久君    岩佐 恵美君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 稲村 利幸君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       山内 豊徳君
        環境庁企画調整
        局長      加藤 陸美君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 目黒 克己君
        環境庁水質保全
        局長      渡辺  武君
 委員外の出席者
        議     員 福島 譲二君
        大蔵大臣官房企
        画官      栃本 道夫君
        通商産業省基礎
        産業局基礎化学
        品課長     榎元 宏明君
        自治省財政局調
        整室長     二橋 正弘君
        環境委員会調査
        室長      山本 喜陸君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十三日
 辞任         補欠選任
  山口 鶴男君     嶋崎  譲君
同日
 辞任         補欠選任
  嶋崎  譲君     山口 鶴男君
同月二十八日
 辞任         補欠選任
  河本 敏夫君     森  美秀君
  大山  俊君     村山 喜一君
  山口 鶴男君     馬場  昇君
  滝沢 幸助君     吉田 之久君
同日
 辞任         補欠選任
  森  美秀君     河本 敏夫君
  馬場  昇君     山口 鶴男君
  村山 喜一君     大出  俊君
  吉田 之久君     滝沢 幸助君
    ―――――――――――――
七月六日
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の
 一部を改正する法律案(福島譲二君外四名提出
 、第百八回国会衆法第一二号)
 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、第百八回国会閣法第三六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の
 一部を改正する法律案(福島譲二君外四名提出
 、第百八回国会衆法第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○林委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 環境保全の基本施策に関する事項
 公害の防止に関する事項
 自然環境の保護及び整備に関する事項
 快適環境の創造に関する事項
 公害健康被害救済に関する事項
 公害紛争の処理に関する事項
以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○林委員長 第百八回国会福島譲二君外四名提出の水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案につきましては、第百八回国会におきまして既に趣旨説明を聴取しておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の
  一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#6
○林委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
#7
○馬場委員 臨時措置法にかかわって環境庁に質問を申し上げたいと思います。
 まず、この措置法が施行されましてから約九年たっているわけでございますが、この九年間に申請件数は百九件だと承知しております。そういたしますと、年平均十二件の申請になるわけでございます、九年間でございますから。これは間違いございませんね。
#8
○目黒政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の件数につきましては百九件でございます。
#9
○馬場委員 時間がございませんから端的に質問に答えていただきたいと思うのですが、熊本県に基本的な審査会があるわけでございます。この熊本県の審査会と環境庁に設けられておりますところの臨時審査会、六十一年度だけで申請者が熊本県の場合は五百二十九件の申請があります。そして、国の臨時審査会は六十一年度は七件です。熊本県の審査会は、処分いたしましたのが累積いたしておりますので、六十一年度に千五十三件を処分いたしておりますが、国の臨時審査会の処分はたったの二件でございます。六十一年度のこの申請処分件数、間違いございませんね。
#10
○目黒政府委員 先生おっしゃるとおり、間違いございません。
#11
○馬場委員 そこで、国が六十一年度にこの臨時審査会を動かすのに使った経費は幾らか、それと対比して熊本県の審査会が使用した経費は幾らなのか。私が調べましたところ、わかっておればお知らせいただきたいのですが、六十一年度、国は三億円ぐらい使っているのじゃないか、県は八億六千万円ぐらい使っているのじゃないか、こう思うのですが、これはいかがですか。
#12
○目黒政府委員 環境庁全体といたしまして九億八千六百六十八万円ということでございまして、そのうち認定業務関係のみにいたしますと二億九千七百万円余り、それから県等への補助額ということになりますと四億一千八百八十六万円余りということでございます。
 それから熊本県の方でございますが、これは全部合わせましてこの対策費関係が八億六千七百二十一万円余り、そのうち国からの補助等が三億五千四百七十六万円、それから県費が五億一千万円というふうなことでございます。
#13
○馬場委員 今幾つかの数字を申し上げたのですが、国の審査会は大臣、年に一回やっているのですよ。熊本県の審査会は年に十一回やっているのです。そうして今費用を見てみますと、熊本県は大体八億六千万円経費を使っている、東京のこの臨時審査会は三億円使っている。それで件数は、さっき言いましたように処分したのは熊本県が千人を超して、国はたった二人なんです。二人処分するのに三億円を使っている。県は千人以上処分するのに八億六千万円使っている。この件数の少なさ、費用の多さ、こういうことについて、これは大臣何か所感ありませんか。――これは大臣に所感を聞いているのですから。あなたは大臣じゃないでしょう、保健部長でしょう、大臣に今は聞いているのです。
#14
○稲村国務大臣 今の先生の御質問、この趣旨が徹底していないということで、国と県との差は率直な所感というふうに求められましたので、いわゆる水俣病患者側の、あるいはそれに類する方々の間で理解が、国でもあるということの趣旨が徹底していない点もありますが、今後徹底をさせていくということで、そういうふうに思うし、また私個人の所感は確かにお金が三億余と八億との差、二名と千名、もう少し国としても効率をというふうに私も率直に感じられるわけでございます。
#15
○馬場委員 これはだれが考えてみても、たった二人を処分するのに、水俣病であるかないかを認定するのに三億円使うのです。一人に一億五千万円使っているのです。これを国費のむだ遣いと言わずして何をむだ遣いと言いますかね。
 そして、今、次に質問しようと思ったところでお答えをいただいたのですが、私は、なぜ国のこの審査会に申請者がないのかということは、趣旨が徹底していないからじゃないのです。趣旨を知っているから申請しないのです。申請しない運動というのも現地に起こっているのですから。そういうことで、問題はその趣旨徹底と全然違うのです。
 そこで、もう少し具体的に言わなきゃ大臣おわかりにならないと思いますが、こういうことは私は予測いたしまして、九年前の昭和五十三年にこの法律を審議しますときに、申請者ありませんよ、国費のむだ遣いになりますよということを私は警告を言っておるのです。しかし、皆さん方が一生懸命頑張ってやろうということだったから、ではこういうことをやったら少し理解もあるかもしれないということで、幾つかのことをここで提案したのです。それについて、まず私がこれは申請はありませんよという話をして、それで結論はこの審査会に患者側の信頼がないからなんですよ。そこで、そういうことを質問いたしましたら、提案者の福島委員は、患者さん方の信頼を失うようなことがあってはいけない、そういう意味合いにおけるこの審査委員の任命なりあるいは審査会の運営というものが、患者さんたちの信頼を失わないようにしなければいけない、提案者としてそう思います、こういうことを答えられたんだ、そして、私がまた環境庁に対しましてもこの審査会の委員の任命に気をつけなさい、運営に気をつけなさい、そしてそのことの基本は患者との信頼関係ですよということの質問をいたしましたのに対しまして、当時の本田保健部長は、馬場委員御発言の趣旨を体して任命をしたり運営をするようにいたしたいと思います、こういう答弁があっておる。
 私はこれを信じました。そして、お互いにこの委員全員の意思として附帯決議がついているのです。この附帯決議は、認定業務については患者との信頼回復に努めること、委員の任命に当たっては患者の信頼を失うことがないよう十分配慮すること、こういうことがこの委員会で議論され附帯決議にもなっておるわけでございますが、その後運営を見てみますと、この委員の任命に当たって患者の信頼を得るような営みが一つも行われておりません。運営に当たってもそういうことは行われていない。だから全然患者の信頼がない、だから申請をしない、こういうことになって、二人を処分するのに三億円も使うというような国費のむだ遣いをやっている。それがこの臨時審査会だという状態に今日実はなっているわけでございますが、今私が言いました当初これをつくりますときのこの委員会の意向というもの、附帯決議というものをどう生かそうと努力をしたのかということについて、何か努力あったのですか。
#16
○目黒政府委員 先生の御指摘の点でございますが、ちょっとその前に例の経費の点でございますが、先ほどもう少し詳しく申し上げればよろしかったのですが、国の経費の認定作業分のうち、臨措法に関係いたしますのは八百三十二万五千円ほどでございます。ちょっと訂正させていただきます。
 それから、今の先生のおっしゃったことにつきましては、恐らくこの委員の任命ということも一つの大きな柱かと思いますが、この委員の任命に当たりましては、患者の信頼を得るという観点から多くの先生方を任命しておるわけでございます。例えば、熊本県あるいは鹿児島県の審査会の会長をしておられる方とか、あるいは熊本大学あるいは鹿児島大学のそれぞれの大学の中で非常にこの水俣病について権威を持っておられる方といったような方々を中心にいたしまして、またあるいは新潟大学の先生方、いずれも鹿児島大学、新潟大学それから熊本大学、三大学ともこの水俣病の発生当初からいろいろ深いかかわり合いを持っておられるわけでございますので、こういう大学を主として、そこからそれぞれの権威ある先生方をお願いいたしまして、そしてこの審査に当たりましては十分に趣旨を生かすべく御努力をいただきまして、大変豊富な先生方を任命したということでございます。
 また運営等につきましても、この臨時措置法は、私どもやはり趣旨が十分生かされていなかったということはございますけれども、国としては、県と並行いたしまして御承知のような臨措法の制度をつくっている。そしてまた、そういう道が開けているということに意義があるというふうに考えているところでございまして、もちろん申請がえをしてこられる方が少なかったということについては、今後とも法の趣旨が十分に生かされますように努力をしてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
#17
○馬場委員 何もやっていないくせに、言葉の先だけでごまかそうとしたってだめなんですよ。信頼関係があるというのは、ここで相当議論したわけですよ。これは熊本大学の先生であれば、鹿児島大学の先生であれば、新潟大学の先生であれば信頼関係は――あなたたちはそう思うかもしれぬけれども、患者との信頼関係を回復するようにして任命するなり運営しなさいというのに、患者とは何もやっていないじゃないですか。そういうことがあります。
 それでは具体的にもう一つ聞きますけれども、この臨時審査会で棄却された人が異議申し立てをしましたか。何件あったですか。そしてこのときには、あったとすれば、この不服審査、異議申し立てが、熊本県と臨時審査会は非常にシステムが違うからこれはおかしいと議論になって、そのときに今度は不服審査、異議申し立てがあったときには、その人の主治医のカルテを見て異議審査をいたしますということが法の修正にもなっておるのです。異議申し立てがあったか、そしてそれがあったときに主治医のカルテをどう見たか、これはどうですか。
#18
○目黒政府委員 この異議申し立ての処理状況でございますけれども、現在までに十件申し立てがなされているのでございまして、そして処理をいたしておるのでございますが、この不服申し立ての手続は、臨時措置法におきましては行政不服審査法というものの範囲内で行うという、先生御承知のとおりの制度をとっているわけでございますが、この異議申し立ての際に主治医の鑑定意見、これはやはりこの臨時措置法の第六条にございますように「異議申立ての場合における鑑定」ということで、主治医の診断書と申しますか、そういうふうな意見につきましても十分尊重するというふうなこと、これにつきましてそういうふうに記載があるわけでございます。
 私どもはこの法律あるいは附帯決議の趣旨に沿いまして、疫学の調書とかあるいは各科の所見等必要な資料を整理いたしまして、文書によって鑑定依頼をいたしております。また、不服審査会及び主治医の意見を求めまして、それらが十分尊重されるように、その相違点等を十分審理した上で決定をいたしているということになっておるのでございます。
#19
○馬場委員 では、この十人について主治医のカルテをとりましたね。私が言っているのは主治医ですよ。
#20
○目黒政府委員 カルテということではございませんで、主治医の鑑定意見といったようなものを、この法に書いてございますようなことをとったわけでございます。
#21
○馬場委員 これはここで議論しましたときは、カルテをとるということになっているのですね。だから、いずれにしてもそういうことが十分行われていないのですよ。これは大臣、今幾つかの問題、まだたくさんあるのでよ。審査回数が少ない、一人に対する費用が訂正されても一人八百万もかかっている。私は、ちょっとその数字もおかしいと思うのですけれども、そういうところで、金は要るわ申請は少ないわ信用はしてないわ、こういうことでこの八年間、九年間の審査会の存在意義というのはもうない。また後で言いますけれどもこれには幾つかの意図があって、はっきり言いますと熊本県が県債を発行する。今八百億も、これについては五百億も起債しているのですが、熊本県、県債を発行してください、国においてもこういう委員会をつくって努力をいたしますよ。それから、裁判で不作為違法の判決が出ている。不作為違法じゃない、こういうことも国につくりましたよという裁判対策、県債を発行する対策、政治的な意図によってこういうものができたということは患者はみんな知っておる。そして切り捨てが行われておる。だからこれには申請しないのです。そういう意味で存在価値はないということをまず申し上げて、これは一方的に言うのですけれども、大臣に言ったって大臣はつくったときを余り御存じございませんから答弁は求めませんけれども、そういうことだということをまず認識しておいて今からの議論に参加してもらいたいと思います。
 それで、次は水俣病全体の認定業務の促進、これは不作為違法、認定業務がこんなにおくれておるのは、あなた方がやるべくしてやる行政をやらない、違法だという判決が出ておるわけでございますが、今後の見通し、水俣病はどれだけ今後申請者があると思うか、現在熊本県と鹿児島県だけでも五千人くらい認定の審査待ちで滞留しておる、これをどうやって解消していくのか。そして、今後どれくらい認定者があって、この問題はどういうぐあいにして発展していくのだろうか、こういう見通しについて何かお持ちですか。
#22
○目黒政府委員 この水俣病の認定業務の促進につきましては、先生御承知のように五十二年六月の関係閣僚会議の申し合わせ等に従いまして、幾つかの認定業務の促進についての国としての対応が決められているわけでございます。ちょっと申し上げますと、判断条件についてとか熊本県における検診審査体制の整備とか県外検診機関の設置とか国における認定業務実施等々といったような認定業務の促進ということを決めまして、それに従いまして私どもやってまいったわけでございます。
 現在、申請の総件数は、六十二年三月末で全部合計いたしまして一万六千九百十九件ということに相なっておるわけでございます。このうち、認定しております件数は二千八百四十八件、棄却件数が八千五百二十六件、未処分の件数が五千五百四十五件、こういう数字でございます。処分の件数は、傾向から申しますと五十九年度、六十年度、六十一年度でそれぞれ増減しながら七百件等々といったことで、六十一年度では県、国の努力によりまして、今まで五、六百件、七百件程度でございましたのが千三百件になった、ふえているということでございます。
 そして申請者数につきましては、申請するか否かということはこれは本人のお考えというか意思というものでございますので、認定者数については、認定か否かについては審査会の専門的な判断に係るものでございますが、申請件数については御本人の意思というものがあるわけでございまして、今後の見通しということにつきましては大変難しいのでございます。
 現在の未処分者が解消される時期でございますけれども、六十一年度になりまして非常に進んできたという数字の方の経過から申しますと、処分件数が増加をしておりますので、このままの状態で進んでまいりますと近いうちに未審査の方がなくなってくるのではなかろうか、いわゆる未処分あるいは未審査といったようなものがなくなってくるのではなかろうかというふうに考えるのでございますが、国、県一体となりまして、先ほど申し上げました閣僚会議等の申し合わせによりまして、今後とも推進に努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。
 なお、熊本県の知事さんは、これは熊本県のものでございますけれども、来年の秋ごろまでには未処分者をほぼ解消したいというふうな趣旨のことを県議会で述べておられるというふうに私ども聞いているところでございます。
#23
○馬場委員 後で基本的なことを議論いたしますけれども、水俣病全体の被害だとか不知火海沿岸に住んでいる人たちの健康状況とかなんとか、基本的データがないから今後どうなるかということがわからないのですよ。それはわからないのが当たり前です。わかるような努力をしていないからです。
 そこで、現在滞留しておりますのが鹿児島、熊本で五千人を超しているわけで、これは熊本の知事さんが来年の秋ぐらいまでにはと県会で答弁しておられるのを私も知っています。しかし、二百五十人検診、二百人審査体制では来年度中には終わらないのですね。これはだれが計算してもわかる。それはそれとして議論はおいておきますけれども、先ほどあなたはだんだんスピードがついてきたとおっしゃる。これは私に言わせますと、あなた方が非常に卑劣な行為を行っているからです。あえてそう言います。
 水俣病問題の解決というのは、まず患者の心を知らなければだめだと私は言い続けてきております。心を知って、信頼関係のもとで進めていくのが真の水俣病対策なんですよ。ところが、滞留して進まない。どういうことをしたかというと、例えば検診に行ったところがけがをするような検診の仕方をする。おまえはにせ患者だ、検診する必要はないというようなことを言う。いろいろ信頼関係を損なう。病気で、どうだろうと心配して行く者に対してそういう検診をする。だから、切り捨てるためにあのお医者さんはこうしているんだということで、信頼関係がないから検診をしない。信頼関係が出るまではやらない。立派なお医者さんを、そして信頼できるような検診をしなさいという要求が出ている。それに対して、検診を受けない者には研究治療費はやりませんと言って、七百人ぐらいについてはあなた方は研究治療費を打ち切って、これで落としていく。そうすると、やはり弱いから検診をする、そこでスピードが上がってくるというおどしで検診をさせる。
 もう一つは、今まで審査会では非常に心配をして慎重にやって、疑わしきは認定ということもあったし、一人でも患者の切り捨てがないようにということでやってきているわけです。ところが、特別医療手当というのを出した。これは棄却した者に――棄却というのは水俣病ではないぞということでしょう。それに今度は特別医療手当を出す。水俣病ではない者にそういう手当を出すというのはおかしな話でしょう。しかし、それはあなた方には意図がある。切り捨てるためにやっているのだから、あなた方には意義があるでしょう。そして、医療手当を受ける人は再申請をしないという条件でしょう。だから、こういうことを県は言っているのですよ。特別医療手当が出たところが処分が非常に早くなった。そして、今まで棄却した者、大体六〇%にこの特別医療手当を出すから、これを九〇%くらい出すようにすればますます処分の認定は早くなる。そうしてもらいたい。それから、再申請をしてはならぬという要件なものだから、再申請がだんだん減ってきた。だから認定のスピードが速くなったんだ。これはまさにおどし、卑劣な行為でしょう。そういうことにして認定業務を進めていっている。不作為違法と言われた違法状態を解消しようとしている。これは水俣病の解決にはならない。これは水俣病を圧殺する以外の何物でもない。
 そこで、私はこのことを一つ一つ議論しておっても仕方がないから、結論一つだけ質問しますけれども、今まであなたは水俣病ではないと棄却された人が亡くなって、解剖されて認定された人は何人おりますか。
#24
○目黒政府委員 死亡後認定者数でございますが、合計二百三十六名ということでございます。
#25
○馬場委員 あなたは水俣病ではないよと言って棄却をされて、そして亡くなってから解剖してみたらこれは水俣病であったということで認定されるわけです。ところが今度、特別医療手当なんかを出して切り捨てた。そして切り捨てて、この人がまた体が悪くなって再申請するとすると、この特別医療手当はもう出さない。特別医療手当をもらった人は再申請をしないのです、しないという条件だから。再申請をしなければ、亡くなった場合に解剖して水俣病であったと言っても、申請をしていないのですからこれは水俣病としては認められない。
 そうするとこの制度をやっていきますと、今言った二百何十名というのは、過去は救われたのだけれども、これは切り捨てになってしまう。そうしますと、この法の精神、ここで環境庁長官、環境庁の統一見解として一人も落ちこぼれ、見落としのないように救済いたしますというのが法の精神で、この委員会でも環境庁の統一見解としてあらゆる大臣が答弁されているわけです。これが切り捨てになってしまう。長官、実はこういうことになるんですよ。だから、これだけ認定業務がおくれておる。そして、それを促進するために研究治療費だとか特別医療手当とか、私に言わせますとこそくな卑劣な手段で、そういうことで認定を促進しようとしておる、これは真の促進ではないと思うんです。
 いずれにしても、大臣に質問を通告しておりましたけれども、認定業務がこんなにおくれておるということは、健康被害補償法の第一条には被害者を速やかに救済するというのが法の精神なんです。ところが、もう三十年も四十年もたってまだこういう状況というので、そして申請してから五年も六年も滞留しておる人がおるのですから、この認定審査業務のおくれておることについて、法の精神に照らして長官はどういう感想をお持ちですか。
#26
○稲村国務大臣 先生御指摘の認定業務のおくれにつきましては、私どもこの業務の促進につき、国及び県が一体となってよく連絡を取り合って努力してきたつもりでございますが、未処分者が多数存在する事実は正直遺憾に思います。
 その理由として、水俣病か否か、判断困難な事例が多くなっていること、死亡者や県外在住者等通常の検診が行えない者がいること、患者団体の一部に検診拒否運動がなされたこと、再申請など申請者が多いこと等が考えられますが、できる限り国、県一体となってこのおくれを取り戻さなければならないと思っております。
#27
○馬場委員 これはそういう枝葉末節なことではなしに、患者との信頼関係がないからそういうことになっているのですよ。そして、今のままの状況でいきますと、こそくな手段あるいは卑劣な手段をとらない限り進まないのです。本当にまともな法に基づく救済をやろうと思えば今の状況は、もう認定審査の業務は破綻しておる。熊本県の前の知事も、もう認定制度は破綻しておるということをはっきり言っておる。そういうことで私は、これは根本的な対策を立てなければ進まないということを申し上げて、根本的対策はこうすればいいじゃないかということは後で私は申し上げますから、そのときに意見を聞かせていただきたいと思います。結論として、認定業務というのはもう破綻しておりますよということをまず申し上げておきたいと思います。
 次に、もう少し破綻しておる事項が、水俣病についてまだたくさんあるのです。
 まず県債の問題でございます。結局、チッソが支払い能力がないものだから熊本県が借金をして、チッソが補償金を払うのにチッソに貸し付けを今やっておるわけでございます。それで、数字を言いますと、チッソが患者に対して補償金を支払うのに県が県債を起こしてチッソに貸し付けておる金額が、この六十二年度、今日まで四百二十三億六千百万円である。それから、水俣湾のヘドロ処理の工事を今やっておるわけでございますが、このヘドロ処理の会社の負担分を県が立てかえて払っておる、こういうヘドロ県債、これが今日まで二百四十五億九千四百万、合計熊本県が水俣病関係で起こしております県債というのは、六十二年今日現在六百六十九億五千五百万円です。これは間違いありませんね。
#28
○加藤(陸)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
#29
○馬場委員 それから、この貸し付けが五年据え置き三十年償還、こういうことになっておるわけでございますが、補償金で借りた分を六十二年度からずっと――これは一覧表を要求したんですが、もうずっと返済していかなければならぬわけです、元金、利子を。それから、ヘドロで借りております県債をまたチッソは元金、利子つけて償還していかなければならないわけでございます。こういうことで、例えば今で県債を打ち切ったにしましても、昭和九十何年というのがあるかどうかわかりませんけれども、西暦で言った方がいいんじゃないかと思いますが、わかりやすく言うと昭和九十何年まで返さなければいかぬわけですね。だから私は、約千五百億くらいは返さなければならぬと思うのですが、その年度の返済計画というのは、一覧表をつくれば、きょうで締めますとすぐできてくるわけでございますが、そういう中で、この六十二年、三年、四年、五年、この辺の、ヘドロのものといわゆる補償金のもの合計して、償還金額は大体どのくらいになりますか。
#30
○加藤(陸)政府委員 先生の御指摘でございます。これは計算の仕方、いろいろ難しい問題があることは御理解いただきたいのでございますけれども、ここ数年の間の推定でやってみますと、大体四十億から五十億の間の数字と推定されます。
#31
○馬場委員 大体四、五十億というのをチッソは県から借りました県債の返済に充てていかなければならない。それが昭和九十四、五年まで、まだ今から県債を借りたら続いていくわけでございますが、とにかく一つの県が一つの会社に現在既に六百七十億円ぐらい貸しているわけです。異常な事態でございます。ところが、来年度からどうするかということについては、またことしじゅうに国と県で話し合いをすることになっているのですが、この県債を来年度以降も続けなければならない状態ですか、続けようと思っているのですか、どういう姿勢ですか。
#32
○加藤(陸)政府委員 大変深刻な御質問でございますけれども、PPPの原則に基づく負担者であるチッソの返済能力、徐々に好転はしておるように見ますけれども、今後も今のような状態が早急に解消するというわけにはなかなかまいらぬのではないかな、これは推定が入っておりますので御理解賜りたいと思いますけれども、そういう状況と考えております。
#33
○馬場委員 チッソのことは、後で大蔵省とか通産省とか来ているから聞くのだから、これは県債は今後も続けようと思っているのか思っていないのかという質問です。どうですか。
#34
○加藤(陸)政府委員 お答えいたしますが、続けようと思っているということよりも、続けざるを得ないのではないかなということでございます。
#35
○馬場委員 通産省の方に聞きますが、チッソの今日の累積赤字は、今チッソ株式会社はどれだけ持っていますか。
#36
○榎元説明員 六十一年度の決算によりますと、千四十七億となっております。
#37
○馬場委員 この二、三年のチッソの経営状況で、少し黒字を出しているようですけれども、この二、三年、どのくらいの業績になっていますか。
#38
○榎元説明員 数字で申しますと、五十八年度五億二千万円の経常の利益でございましたが、五十九年度十七億八千万円、六十年度二十七億二千万円、六十一年度四十三億五千万円ということでございます。
#39
○馬場委員 今聞きましたとおりに、チッソ本体が既に累積赤字を千四十七億持っている、そして、今利益を少しずつ上げてきたと言いますけれども、補償金の額よりもそれはちょっと下回っておる、こういうことでございますから、さっき局長言われましたように、このまま続けばやはり県債というのは出さざるを得ないという方向になっている。
 そこで自治省にお聞きしますが、一つの県がこのような膨大な県債を出している、その中身はもう御存じのとおりですが、これは地方財政法から見たらどう判断されますか。
#40
○二橋説明員 お尋ねのように、一つの県が一つの企業に非常に多額の貸し付けを行っておるわけでございまして、財政運営ということからいきますと極めて異例のことであると思います。
 お尋ねの、財政法に照らしてどうかということでございますが、これにつきましては、現在の財政法で貸し付けのための地方債を起こせるということになっております。それからヘドロ事業につきましては、公害防止に関します国の財政の特別措置法がございまして、その条文によりまして地方債をもって財源とすることができるという規定が置かれております。法律上、明文に照らして考える限りは、問題はないというふうに考えております。
#41
○馬場委員 地財法によりますと、そういう地方債を起こすときには、そしてそれを貸し付けるわけですから、これは五条一項の二号ですよね、地方債を起こして貸し付ける。しかし、その前提としては、返済能力があるということがこの貸し付けをする前提であり、地方債を起こす前提である。このチッソが貸し付けの、法に照らして問題ないとおっしゃいましたが、返済する能力があると自治省は考えておるのかどうか。
 もう一つは、やはりこの補償金――地方債を起こして公共事業等に貸し付けるというのはありますが、これは補償金ですよ。だから、返済能力があるところじゃないと貸せないでしょう。それから、やはり公共的な色彩を持つものでないと貸せないでしょう。こういう点について、これは地財法の上からそれでも問題はない、こういうぐあいに自治省は考えているのかどうか。
#42
○二橋説明員 おっしゃいますように、地方財政法で地方債を起こせるケースというのは一応限定的に列挙いたしております。その中に貸付金の財源とする場合ということが入っておりまして、ただ、その場合でございましても、おっしゃいますように、借りた相手方から償還される見込みがあるということがもちろん前提になるのはおっしゃるとおりでございます。
 今回の、今行われておりますチッソに対します貸し付けは、重々御承知のような経緯で始まったわけでございますが、地域経済の安定、あるいは補償の完遂といいますか、そういうことを果たすために地方財政法の趣旨にもとることではないという判断をして、現在のような県債の発行が行われておるわけでございます。
#43
○馬場委員 これをどんどん今までのような状態で続けていってもいいと自治省は判断しているのですか。
#44
○二橋説明員 地方財政法で地方債を起こせるケースを限定いたしておりますのは、財政の健全性を確保するという観点からでございますし、貸し付けの財源とする場合でももちろん償還財源の見込みがあるということが前提でございますので、当然に今のような状態をいつまでも続けてもいいというふうな性質のものではなくて、その都度今申し上げましたような地方財政法の趣旨に照らしながら判断をしていく必要があるというふうに思います。
#45
○馬場委員 大蔵省に聞きますけれども、今この補償県債は大体資金運用部資金で七〇%引き受けで、市中銀行で三〇%を引き受けておるようでございますが、これは何で資金運用部資金で一〇〇%引き受けられませんか。
#46
○栃本説明員 お答え申し上げます。
 チッソの水俣病の患者に対します補償金の支払いについてでございますが、先ほどから御答弁がありますように、いわゆる原因者負担を原則としつつ、金融支援措置によりましてチッソ株式会社の経営基盤の維持強化を通じまして患者に対する補償金支払いに支障が生じないように配慮するとともに、あわせて、地域経済あるいは社会の安定に資することとしているわけでございます。
 このような観点から、県債を発行しまして国と民間金融機関がこれを引き受けるという形で、国、県、民間金融機関、三者一体となりまして協力を行うという方式をとってきていること、先生十分御承知のとおりでございます。資金運用部といたしましても、この熊本県の発行する県債の引き受けにつきまして、そういう趣旨で精いっぱいの努力を重ねてきているところでございます。
#47
○馬場委員 これは、一〇〇%引き受けるということが要請があった場合にはどうしますか。
#48
○栃本説明員 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げましたように、本金融支援措置は、国、県、民間金融機関、これが三者一体となりまして協力を行うということを基本原則としております。今後ともこの観点から、チッソに対します金融支援措置が円滑に行われますように関係者間で協議してまいりたいと思っております。
#49
○馬場委員 なかなか難しくて答えにくいと思いますが、チッソは返済能力があると考えてこの県債を続けておるのか、これは各省庁、今言いました環境庁、大蔵省、自治省、通産省、答えてください。
#50
○加藤(陸)政府委員 大変難しいお尋ねでございますけれども、先ほど来通産省の方からも御説明が若干ございましたが、チッソ株式会社そのものの努力ということによりまして、体質改善が効果を上げつつある状況でございます。数字はもうあえて申し上げませんが、若干の金額の、四十億円程度の経常利益が上がっておるという現状はございます。ただ、今後の見通しという問題をあわせ考えなければなりませんので、認定患者の皆さんの数の問題、それから石油工業界の景気の推移という問題、これは一概に予測というのは、申しわけありませんがなかなか難しい問題でありますけれども、チッソが収益の拡大に鋭意努力され、また補償金支払いを全うするということが一番重要だというふうに考えておるわけでございまして、政府としても、金融機関による金融支援措置の継続、あるいはチッソ子会社に対する開発銀行の融資の検討依頼を行うということとか、総じてチッソの経営基盤の強化を図ってきておりますし、今後とも努力していきたいと思っております。
 これらのことをあわせ考えますと、返済能力を期待してまいりたいと思っておるわけでございます。
#51
○榎元説明員 先ほど局長からもお話がありましたとおり、なかなか先の見通しを出すのは難しいわけでございます。
 私どもといたしましても、チッソ株式会社及びその主要子会社の主力分野でございます石油化学等の分野につきまして特定産業構造改善臨時措置法に基づきまして設備処理だとか、そのほか懸命な対応策を講じてまいったわけでございまして、その結果先ほど数字で御紹介申し上げましたとおり、五十六、七年の本当にどうなるかなと心配した状況からやっとここまで来れたということでございます。
 ただ、法律だけでここまで来たわけではございませんで、世界全体の需給環境が好転しているとか、あるいは原油の価格が下がったことに伴いまして原料ナフサが低下しているといったようなよい材料もあったわけでございまして、総じてこういう結果に達することができたということでございます。また、チッソ株式会社におきましても、いわゆる汎用品の分野だけではなくて、液晶であるとかあるいは電子材料その他ファインケミカルであるとか、そういった新規事業分野に非常に大きな注力を割いておりまして、私どももこの分野での収益面への寄与に支援をしてきたわけでございます。
 こういったことの成果が先ほどの数字に出てきておりますが、全体としてどういったことになっていくか、いろいろなファクターがございますから確定的なことは申せませんが、私どもとしては、一刻も早くチッソの自立化ができるように期待しているところでございます。
#52
○二橋説明員 この金融支援措置をとるに当たりましては、チッソ株式会社が償還財源を確保していただくということが重要な点でございます。私どもといたしましては、ただいまチッソの経営内容につきまして御説明がございましたけれども、あらゆる経営努力をしていただいて、その償還財源の確保に努めていただくように期待をいたしているところでございます。
#53
○栃本説明員 お答え申し上げます。
 大蔵省としましても同様に考えてございます。
#54
○馬場委員 大臣、今お聞きになったとおりの現状でございますが、だれだってチッソの今の状況を見た場合、これだけ、七百億も県債なんか持っている状態で果たして支払い能力があるのだろうかと。支払い能力を期待したいという言葉は皆出るのですけれども、本当に支払い能力があるかどうかということは、だれも自信を持たないし確信は持たない。熊本県民も全部持たないのですよ。そこで、熊本県はこの県債を発行するに当たりまして、チッソに万一のことがあった場合にはどうしてくれるのですか、これが熊本県民の本当の気持ちなんですよ。
 そういうことで、これを発行しますときに関係閣僚会議に対しまして、万一の場合どうしてくれるんだということをはっきりしてくれ、そうしなければ県債は出せないということでその都度その都度交渉してきた。現在まで、チッソに万一のことがあった場合も熊本県には迷惑をかけないという閣議の了解事項、関係閣僚会議の申し合わせがあるのです。迷惑をかけないといっても、それじゃ一〇〇%国が見てくれるのか、迷惑をかけないというのは五〇%か八〇%か一〇〇%か、こういう問題がある。だんだん交渉して、いささかも迷惑をかけないというところまで今来ている。大臣、万一の場合には熊本県に迷惑をかけないのですか、どうですか。
#55
○加藤(陸)政府委員 先生に御質問の中でも言っていただきましたように、チッソの経営基盤の強化を図って、そのような事態が生じないように万全を期するのがまず第一でございますけれども、万一の事態が発生したときは、先生御指摘のとおり、水俣病に関する関係閣僚会議におきまして、国において所要の対応策を講ずる旨の申し合わせが行われております。これは、先生が御指摘されたとおりでございますので、お答え申し上げます。
 その余は、さらに大臣のお気持ちの方を……。
#56
○稲村国務大臣 各関係省庁の責任者の方々が大変苦しい御答弁、察せられ、私としては十分理解できますが、関係閣僚会議の申し合わせがそのとおりになされるように、私もそう願い、またそうしていきたいと環境庁の立場から考えます。
#57
○馬場委員 熊本県が努力をしないと言うのじゃないのですね。例えば今患者さんたちというのは、三十三か三十四の都道府県に散らばっておるのです。そして、もう熊本県民でなくなった人もおるし、鹿児島県民も非常に多いわけです。そういう人をまとめて、何で熊本県だけが県債を出して苦労しなければならぬのか、そういう考え方も一部にあって、さっき言ったように非常に心配をなさっているのですから、大臣はいささかも心配ないようにと言うけれども、私はこの問題について、もう行き詰まってはっきり答えが出せない、はっきり答弁もできないという状態に県さえも追い込まれてきている、こういう事実認識というのははっきりしておるのじゃないかというぐあいに思います。さっき言ったように、認定業務も行き詰まっておるのですよ。県債もこのままでいったらもう行き詰まるのです。
 そういう状況の中でいま一つ問題になるのは、今この問題で、日本の戦後の歴史あるいは戦前を含めてもそうかもしれませんが、一つの事件でこんなに裁判が多くある事件はないと私は思います。いわゆる民事の裁判があります。行政の裁判があります。刑事の裁判があります。そして、例えばヘドロ工事の差しとめ仮処分とかの判例もあります。チッソの株主総会の決議を無効だというような訴訟もある。私が調べたところ、全部で十六件裁判が行われて、結審したのもありますし、係争中のものもあるわけでございますが、刑事事件幾ら、民事事件幾ら、行政事件幾ら、その他幾らというこの裁判の中身わかりますか。わかったら言ってください。名前はいい、件数だけでいい。
#58
○目黒政府委員 数字のみ申し上げます。
 今係争中のものでございますけれども、民事に係るものが七件ございます。それから行政に係るものが一件、刑事事件に係るものが四件、いずれにしても国、県が関与しておるものが八件というふうに私ども理解をいたしておるものでございます。
#59
○馬場委員 あなた、確定したものは言わないね。確定したものはほとんど負けているから言わないのでしょう。新潟の第一次裁判は負けて確定しているでしょう。水俣の第一次裁判も負けて確定している。水俣の二次裁判も負けて確定している。不作為違法の裁判も負けて確定している。にせ患者事件も負けて確定しておる。川本輝夫の刑事事件も負けて確定しておる。確定しているのはこれだけありますけれども、みんな負けている。これも言わなければならない。私は知っているから聞きませんけれども、全部で十六件あるのですよ。
 長官、これだけ一つの事件で民事、行政、刑事、その他争われるというのは、結局異常な状態だと私は思うのですよね。これについて、異常な状態の中の一つの側面を見ますと、やはり水俣病について、行政、企業、こういうものが水俣病を発生させた、水俣病を拡大させた、水俣病の救済をおくらせた、そして患者との信頼関係がないというところから、こういう裁判が異例なほど多く起こっておるわけでございます。これは、行政や企業に対する患者の不満とかうっせきとかというもののあらわれなんですよね。こういう点について長官はどう思っておられるのか。
 水俣病は、今刑事事件とか裁判にあらわれただけではないのですよ。はっきり言って、水俣病で皆さん方が考えておられるのは、体を壊したわけですから、もとの体にしてくださいというのが一番ですよ。そして、金なんかは要りません、治療して早く治してくださいというのがその次ですよ。社会的に水俣病だからって差別しないでくれ、少しは働けるのだから仕事を与えてください、こういう患者の基本的な願いというのは何一つ解決していないのです。そして、そのほかに、住民にとって見れば、快適な地域の環境に戻してくださいとか対立のない明るい水俣にしてくださいとか、このために高度経済成長にも乗りおくれてしまっております。経済的にも社会的にも、福祉でも教育でも文化でも、みんな水俣病という忌まわしいこの現実の中で地域はおくれてしまっておるのです。そういうものを活性化してくださいという基本的な願いが何一つされていない、そういう上に今言った県債の問題も認定の問題もある、そしてこういう裁判という形で噴き出しておるというぐあいに私は思うのです。
 こういうことについて、今日水俣病の裁判が多いという今私が言ったことを含めて、長官、水俣病の現状についてどうお考えですか。
#60
○稲村国務大臣 先生の御意見のとおり、大変訴訟が多発している現状は遺憾であると思います。幾つかの訴訟が提起される中には、行政のあり方について言及した判決も出されていることは承知しておりますが、係争中のものなどもございますので、私自身具体的なコメントは差し控えたい。しかし、先生が、お金も要らない、自分に健康を取り戻してください、そういう本当にお気の毒な患者のお気持ちは十分理解でき、私も御同情申し上げます。
 いずれにいたしましても、環境庁としての今後の態度は、医学を基礎として救済すべき人に対しては誠意を尽くして救済しなければならない、こういうふうに考えております。
#61
○馬場委員 具体的なことを長官は余り御存じないから具体的なことは聞きませんけれども、先ほどから何回も言っておりますようにこういう状態が起こっておる、こういうことは結局行政の人が、長官なら長官が患者さんとか地域の住民とかと、これはもう具体的なことじゃないですが、まず信頼関係を取り戻すようなことはやらなければならないのではないか。それから、何でこんなに混乱しておるかというと、どれだけ被害があったとか、その被害の全体像というのが明らかになっていない。もちろん、水俣病像というものも明らかになっておらない。被害の実態というものも明らかになっていないのです。いずれにしても、三十年たちましたけれども、もう一回原点のところに行って、環境庁の姿勢、水俣に環境庁が体を運ばれるのですが、この行政の姿勢を原点に戻して、患者さんや地域の住民たちと信頼関係を取り戻して、そこから今行き詰まっておりますいろいろな問題の一つ一つの解決に当たっていくという姿勢が私はぜひ必要だと思う。
 私は十年前も、発生して二十年ですから、十年前もこのことを言ったのです。そして五年前も、ずっとこれは言い続けてきているのですが、こそくなことじゃなしに、こう薬を張るのじゃなしに原点のところから直す、そのためにはまず信頼関係を取り戻して、すべてのことを原点から洗い直していくという姿勢が必要じゃないかと思うのですが、どうですか。
#62
○稲村国務大臣 原点に立って患者の立場を理解するという今の先生の御意見は、ごもっともだと私も思います。
#63
○馬場委員 実は、そのことをこの法律を審議するときに、昭和五十三年にこの委員会でも議論して確認をしているのです。国会の意思としても確認しているのです。まず基本的には水俣病の現状はどうあるのかということを、この国会では決議として確認しております。
 その決議の中に、水俣病問題の混乱の原因は、あのころは二十二年でしたけれども、二十二年たった今日においても被害の全体像というものはわからない、及ぼした影響も明らかでない、だから、その実態を正確に把握する、その原点に立って水俣病対策をやりますということをこの委員会で満場一致で決議しているのです。そして、それを正確な文章で読んでもいいのですけれども、これは異例な決議ですよ、この委員会で委員が発議して委員会は満場一致で決議したのですから。
 それは、今言いましたように、「水俣病は事実判明後、二十二年を経た今日においても医学的病像さえも、今なお未解明であり、被害の全体像及びそれが及ぼした影響等について、実態が明らかでない。」云々とあって、「完全な水俣病対策を樹立するには、基礎となるべき水俣病問題の総合調査を行う必要がある。」こういうことがあって、具体的にどういうことを調査するのかという調査事項として、「水俣病の健康被害、漁業被害及び環境破壊等、医学的、生物学的調査」、そして今度はその水俣病が各分野、社会経済、教育、文化あるいはいろいろ地方自治、そういうものに与えた影響、こういうものを調査しますということをこの委員会で決議しております。そういう決議があったんですが、このことが九年たった今日ほとんど行われていないということになって、きょうまた同じような質問をしておるわけでございます。
 だから本当にもう繰り返しますけれども、水俣病に対して行政とか企業あるいは携わった政治家という、国会議員もそれに含めていいんじゃないかと思いますが、大きい罪を犯している。これは三つの大罪、そのほかにもありますが、発生を未然に防ぐことができなかった罪、被害を最小限度にとどめなくて最大限に拡大した罪、被害者の救済を懈怠しておる罪、この三つの大罪というのを今でも私たちは持っているんじゃないか。そして持っているだけじゃなしに、今の行政を見てみると、決議しておるのにかかわらず、その被害の全体像を明らかにする努力を環境庁もほかの省庁もしていない。していないところか、さっき私が言いましたように隠ぺいをして、ここで終わりにしようかと押しつぶそうとさえしておる、こういうような状況があるわけでございます。
 それで、私はこのことについてまずこうしたらいいんだということを今から申しますから、大臣、お答えいただきたいと思うのですが、五十三年に決議した水俣病の総合調査は行うべきである、国会の意思ですから、国民の意思ですから。それと、この前解散で廃案になりましたが、また今週中に出しますけれども、この法律の前に水俣病総合調査法という法律を議員提案で私は出している。今度も出します。しかし私が出さなくても、これは決議があるんですから委員会の、委員長の提案とする法律にしてもらってもいいし、あるいはその中は皆で話し合って修正してもいい。あるいは環境庁の、政府の提案にしても、話し合って内容は変えるところは変えて政府の提案にしてもいい。いずれにしても、こういう総合調査をする法律というのをまずつくるべきじゃないか、そういうことです。
 それで、調査をするにしても全体像が明らかにならないんですけれども、まずあの不知火海沿岸に水銀が垂れ流しをされたときに二十万人住んでいるんです。猫が狂い死にしたところのその地域だけでも十万人住んでいるんです。その人たちはみんな水銀の汚染に暴露されているわけです。それから、熊本県も鹿児島県も第一次検診、第二次検診、第三次検診とやった。それで何千人と沿岸住民の一斉検診をしたんだ。毛髪の水銀量なんかをはかったんだ。それから十年たった後、熊大の武内さんを会長とする研究班が調査をしました。一斉検診をやったんです。そうしたら大体十名に一名ぐらいは、これは水俣病だと思われるような人がそういう一斉検診の中でも出てきておるんです。そういうように、大体底辺の深さというのはその辺でわかる。しかし、それを今度は国の力で正確にそういう調査をしてもらいたい。こういうことについて、この総合調査についての大臣の見解をお聞かせ願いたい。
#64
○稲村国務大臣 五十三年の国会決議を踏まえて、先生の大変御熱心な御意見を聞かされました。
 水俣病につきましては、その発生以来、原因の究明及び健康被害の実態を把握するため、その都度必要な住民健康調査が大学、自治体の手により行われてきてはおりますが、環境庁におきまして、水俣病の健康被害に係る医学的調査の方法等につき検討を行っているところでございまして、先生の言われる総合調査につきましても、できる限り早く結論を得たいと考えております。
#65
○馬場委員 国会決議になってから九年ですよ。私が法律を出してから十年です。そして、できるだけ早く結論を出したいというようなことを今おっしゃっていただいたわけですけれども、十年たっても結論が出ないというのではおかしいと思いますから、ぜひやっていただきたい。
 それから、その次に何をするかということです。今、中曽根さんはあるいは政府は改革好きで、行政改革をやる、教育改革をやるとかなんとか言ってやりまして、行政改革に対しては行政改革のための臨時の審議会をつくられた、教育改革については自分の直属の臨教審をつくられたということですが、私は、さっき言った認定業務が破綻しておる、県債がもう一千億近くにそろそろなろうとしておる。そして、その他いろいろな課題があるのです、後で申し上げますが。やはり各省庁、これは水俣病問題は世界の公害の原点ですから、本当にこの問題をやらなければ、第四、第五の水俣病なんて起こる可能性がありますよ。
 そういうことで、また今だんだん新しい化学物質なんかできてきて、毒性の研究もせぬで使われていくとかいろいろあって、この環境委員会でも、前の三木さんとかあるいは石原さんとかそれから鯨岡さんでもそうでしたが、そのほか石本さんでもそうでしたが、長官が皆言っておられるのは、やはりこれが引き起こったのも、今日混乱しているのも政治家に責任があるのだ、やはり水俣病問題というもの、世界の公害の原点の水俣病問題をきちんと解決しなければ、二十一世紀の文明というのは語ることができないんじゃないか、こういうことを大臣自身も言われておるんです。私もそうだと思いますから、公害の原点水俣病を解決するのは非常に大きい地球規模の問題、こう思います。
 だから、国がばらばらな行政じゃだめなんです。大蔵省はこう言っておる、通産省はこう言っておる、あるいは自治省はこうだ、環境庁はこうだ、総理府はこうだじゃいかぬから、仮称ですけれども水俣病問題対策審議会というようなものを内閣につくって、そしてそこで総合的な、さっき言った総合調査をしたデータの上に立って、今行き詰まっておるものをどうやっていこうかということを検討して、それが結論を出したものは、今度は各省庁が責任を持ってそれを実行する。そういう拘束する権限を法的に持つような水俣病対策審議会というものを内閣につくってはどうか。
 そうして、まずそこで何をやるべきかということは、私は、水俣病像の解明と治療法、これが原点ですから、水俣病像の解明と治療法を発見しなければいけない。そのための行政体制をどういうぐあいにしてつくっていくかということをまず議論してくれ、こういうことをしたらいいんじゃないかと私は思うのです。
 今原爆二法がございますが、まず原爆被害を受けた住民の医療に関する法律というのがあるでしょう、御存じのとおり。それから原爆被害者に対する特別措置法という法律と二つありますが、私は水俣病についても、仮称ですけれども、水銀の汚染に暴露された住民の医療に関する法律、原爆の法律と同じような水銀の汚染に暴露された住民の医療に関する法律、これはあの水俣、不知火海沿岸に一定の期間居住をしておって、そして年齢もあるでしょう、こういう年齢の人でというようなものを調べてつくって、そういう人に水俣病医療手帳というようなものを与えて、そしてその人たちの健康管理だとか医療をやっていく。そうすると、全部の健康管理、それの中から水俣病像というのも出てくるし、治療法というのも解決してくるし、さらに原爆二法のもう一つの特別措置に関する法律と同じような法律をつくれば、そこで福祉的な医療手当を出すような法律をつくることもできる。
 こういうようなことをやって、お金の問題をどうするのだというのはPPPの原則がありますが、この間の裁判でも国、県に責任があったのですから、チッソと国とか県とかが金を出し合って、そういう法律を施行するのに使う金というのは基金なんかをつくってそういうことをやったらいいんじゃないか、こういうぐあいに思います。それが基本的なこと。そういうことをこの審議会でまず議論したらどうか。
 その次には水俣病の判断条件。水俣病も四十六年に次官通達が出て、五十二年に判断条件が出て、五十三年に新次官通達が出て今日に来ているのですが、新しい判断条件が出てから十年たっているわけですから、新しい科学的知見とか経験も積んできているのですから、こういう混乱している状況の中でさらに判断条件というのも見直しをして、そして認定の促進、行さ詰まっているものの促進というのはこういうぐあいにして促進していくんだ、こういうぐあいにやってはどうか。
 それから、さっき言いましたように県債。行き詰まるのですから、今の法律の中でこの行き詰まったときの対策ができるのか、新しい法律をつくって行き詰まった県債をどう措置していくかということを考えなければならぬという県債の問題。
 そしてもう一つは、芦北、水俣地域の振興計画。閣議でつくっているのですけれども、何一つやっていない。私はやはり、県の計画で実施すると今なっていますけれども、これを国の計画として大型プロジェクトとして、例えばあの忌まわしかった不知火海沿岸を国際的な環境福祉都市あるいは教育文化都市にするという大型プロジェクトをつくろうじゃないか、そういうようなこともこの審議会で議論していく。
 そういう中で、ぜひそういう総合調査をやって、被害の全体像、及ぼした影響をわかって、その上に水俣病対策審議会というものを国につくって、今言ったような行き詰まっている問題をみんな解決をして、そして水俣病の完全対策を樹立していく。こういう方法を原点に返ってやるべきじゃないかと私は思うのですけれども、長官、どうですか。
#66
○稲村国務大臣 御指摘のように、この水俣病を公害の原点としてとらえるべきである、そのために総合調査研究機関というものを設けたらどうか、そういう御指摘に対し、先ほど私も答弁申し上げましたとおり、早急にその実現方を進めねばならないな、こう思います。
#67
○馬場委員 念を押して言うようですけれども、先ほど言いました解決の基本は原点に返る、原点に返るということは被害の全体像、及ぼした影響をきちっと把握する、そして対策を立てるときには患者と信頼関係、地域の住民と信頼関係を樹立していくということ。で、総合調査をやる。そのために私は、国の力でやるとすればやはり法律をつくらなければできないと思うのです。法律をつくって総合調査をやって、今言ったことを明らかにして、その上でさっき言ったような対策をつくる。今行き詰まっているものに対しては、法的措置をとらなければやはりいけないと思うので、県債の問題にしても、認定促進の問題はまあ判断条件でいいかもしれませんが、あとは底辺をどう救っていくか、医療とか治療とかの研究をどう進めていくかというときには、やはり水俣病の医療手帳というようなものでずっと長い観察も必要だと思いますから、こういうことについて今提案をしたのですけれども、大臣、ぜひひとつ御検討願って、ほかの省庁とも連絡をとって、今言った総合調査、水俣病対策審議会設置ということについて格段の努力をお願いしたいということで、再度念を押しておきます。
#68
○稲村国務大臣 先生の水俣病に対しての本当に長い間の御研究、御熱心な取り組みに本当に敬意を表しますし、先生のヒューマニズムにつながるそうした姿勢、御意見、正直深く敬意を表します。
 今の先生の構想につきまして、今後水俣病対策の推進の上で十分誠意を持って参考にさせていただきたい、こう思います。
#69
○馬場委員 参考ではなしに実施してもらいたいのですけれども、また、その途中どういう検討をなさったかということはその都度お聞きしたいと思いますが、これをやらなければ解決しないのですから、後でまたまとめて申し上げますけれども、私は、その考え方というのは三十年やって、この国会でももう五十回近く水俣病の質問をやっているのです。これは、裁判が多かったのも異例ですけれども、国会の中でこんなに一つの問題の質問をやらなければならないというのも異例なんですよ。そういう意味で、ぜひ実行してもらいたいと思います。
 そこで、こういう基本的な原点に返ってこの法律が上がるときから始めておったら、もう相当な成果が出ていると思いますね。ところが、十年おくれてしまったわけです。また今から始めた場合でも、基本的なことからやると、やはり時間はある程度かかると思うのです。しかし、二十一世紀に向かってまで間に合わせればいい、どれだけ時間がかかってもやった方がいいと私は思いますけれども、当面やらなければならぬ問題はまだあるわけですから、当面やらなければならぬ問題を今からちょっと申し上げておきたいと思います。
 判断条件が今非常に問題になっているのですね。判断条件が問題になっておりますが、基本には、これは大石さんが長官のときに、水俣病は一人も見落としかないように完全に救済されなければならないという国会答弁がありました。そして、この臨時措置法を議論するときに、五十三年次官通達というのを相当議論いたしました。各委員から熱心な意見が出た、心配も出ました。そういうときに、ついに各委員の議論を受けて当時の山田環境庁長官は、大石長官が確認されました水俣病にかかわっては一人も見落としかないように救済する、そういう基本方針で臨みますということを環境庁の統一見解ですということで、文章をここで読み上げられたのです。そういう経過もあるのですが、私は今の状況を見てみましても、例えば特別医療手当をもらっていた人が死んで、時には死後認定が三百人出ているわけですけれども、この人は死後認定の権利も失うわけですから、これは一人でも完全に救済するということの趣旨に合わないと思うのです。
 それから、五十二年の判断条件が出ましてからもう十年実はたっているのです。その間に、新しい経験も積んだし科学的知見もできているし、水俣病研究センターもあっているのですから、そういう中でもうことしぐらいまた専門家にお話をして、経過は要りませんから、これは目黒さん、あなたが答弁するのかどっちが答弁するのか、局長がしらぬけれども、少なくとも専門家でこの時期における判断条件を検討する、そういう作業はすべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
#70
○目黒政府委員 御指摘の判断条件のことにつきましては、この委員会でもいろいろ御議論をいただき、私の方でも御答弁申し上げたという経緯がございます。が、前回の専門家によります会議が一昨年行われまして、それに従って判断条件については現行どおりというのが一応出ているところでございます。それからまたもう一つは、裁判の方でもいろいろございますけれども、例えば全身性があるいは神経系の疾患かどうかということについても、それぞれ裁判の中でも違った意見が出ているということも事実でございます。したがいまして私どもは、こういういろいろな、科学的にもあるいはまた裁判の上でも、あるいはまた前回の専門家会議の間においても、専門家会議を開いて判断基準を現行のままというふうに判断をしてからまだ一年ちょっと、ほほ二年でございます。そういうような状況の中で、いろいろ御意見あるいはいろいろな方面の御判断等もあろうかと思いますが、私どもの方としては現在の判断基準をそのまま続けてまいりたい。また、御指摘の専門家の集まりにつきましても、私どもは、一、二年前に当時の科学の知見を集めましてそういう判断をいただいたわけでございますので、特に専門家会議というふうなことを再び招集するということではなく、この判断基準は現行のままでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#71
○馬場委員 あなたなんか、歴史に汚点を残す部長じゃないかと私は思いますよ、ちょっと言い過ぎになるかもしれませんけれども。
 そこで、司法認定がありますね。行政認定との関係はどう思っているのか。それから二次の判決、三次のこの間の判決、これも判断基準は厳し過ぎるというのが出ていますね。そしてこの専門家というのは、あなたたちが自分たちの都合のいいような人を集めて、それに悪いけれどもあなた方はお医者さんというとはれものにさわるようにして、水俣病の基本姿勢というのはこうなんですよということで積極的に協力してくれ、何か言うたらおれは委員引き受けぬから余り強いことは言えぬなとか、そんな配慮をいっぱいやっている。そうではなしに、やはり裁判がこう言うた、それで、地域住民、被害者その人が一番病気のことは知っているのですよ。そういうことでそういう人たちの意見を聞く、裁判所の厳し過ぎるといった意見を聞く。十年も知見がたったじゃないか、だから今度は専門家も別の人もたくさんおるわけですから集めて、少なくとも定期的に一年に一回ぐらいはこの基準は見直すんだ、検討するんだ、そういうことをやらなければならぬ。
 そこで、司法認定と行政認定はどう考えておって、厳し過ぎると二次、三次の判決で言っておるのですが、これに対して考え方はどうですか。
#72
○目黒政府委員 まず、行政認定と司法認定という問題でございます。司法判断と申しました場合に、水俣病のとらえ方につきましては、先生今お話がございましたけれども、熊本の二次訴訟では病像は神経疾患である、それで全身性の疾患説を退けているのでございます。しかしながら、三次の訴訟では全身性の疾患である、そして神経系障害に限らない、こういうふうな病気の基本的な問題について、裁判でも二つの考え方が出ていることも事実でございます。
 また、司法判断といったような場合にも、今申し上げましたような幾つかの問題があるということと同時に、水俣病のとらえ方を見ても異なっているような場合に、私ども医学を基礎として救済すべきものは救済したいという観点に立っている立場から申しますと、私どもとしては医学界のコンセンサスを得た現行の判断基準に基づいて行わなければならない、またそれが適切であろうと考えているのでございます。
 また、先生の御指摘が個々の判断というふうなことであるかどうか、私ちょっわかりませんでしたが、個々の患者さんについていろいろな判断があることもまた事実でございますけれども、これについては行政認定と司法認定との間のいろいろな差等があるような場合につきましても、個別のところは現在検討いたしておるところでございます。
 なおまた、全体的な問題でございますが、現行の判断条件は医学のコンセンサスに基づいたものであるというふうに私ども理解しているわけでございまして、先ほど来申し上げましたような形で進めてきておるわけでございます。科学につきましては、先生御承知のとおり日進月歩、進歩するものでございます。将来判断条件を変更する、あるいはすべきょうな新しい医学的な知見というものが出てくるようになりますと、これまた新たな医学的なコンセンサスが当然形成されるのじゃなかろうかというふうに私ども考えておる次第でございまして、現在のところは科学の医学的なコンセンサスを待っているというようなところで、新たなものが出るまでは私ども現行のままでというふうに考えておる次第でございます。
#73
○馬場委員 判断条件というのは環境庁の使うお医者さんのコンセンサスであって、国民全体のコンセンサスになっていないのです。
 それから、今言われた中で司法認定と行政認定がありますね。これが食い違っていますね。これはなぜ食い違っているのか、そういうところを調整し研究する気持ちはあるのですか。
#74
○目黒政府委員 裁判の場合には、個別の方に対する司法の判断というものはそれぞれ個別にございますし、それから私ども行政の公健法に基づく水俣病であるか否かの認定につきましても、個別の方についてあるわけでございます。その場合に、どのような判断で行政認定がいくのか等々につきましては当然個別の問題でございますので、これについては私どもどのようにするかを現在県とも相談をしながら検討をしているところでございまして、先ほど申し上げたのはそういう趣旨で申し上げたわけでございます。
#75
○馬場委員 科学は日進月歩をするということと、もう一つは、国民のコンセンサスという場合、学者なんかも医者なんかもたくさんおるわけですから、そういう方にもう少し門戸を広げて、例えば公開で判断基準を討論するとか、地域の患者さんたちを集めてその公開の討論に参加させて聞くとか、あらゆる格好で一番いい判断条件を求める努力はずっとしていかなければならぬ。今の判断条件が絶対でございます――行政では絶対でしょうけれども、世間ではそれは通らぬということを申し上げておきます。
 そこで医療研究事業ですけれども、医療研究事業で検診を拒否しておる人にはこれを打ち切っていますね。検診を拒否して打ち切られておる人が、私の調べでは七百三十八人おるのです。これは行政が何ら反省をしなくて、行政がやっていることは絶対だぞ、言うことを聞かないおまえらには罰を与えるぞ、水俣病の救済というのはそういう筋合いの問題ではないのです。どういうことがあっても救済しなければならないのです。そしてまた、患者は差別をしてはならないのです。ところが、それは言うことを聞かぬからといって差別をし、言うことを聞かぬから救済してやらぬぞ、こういうのは水俣病行政の基本を間違っている。やるべきことは、なぜ検診拒否が起こっているのか、起こらないようにするにはどうすればいいのか。それは完全な信頼回復なんですよ。だから信頼回復の努力をして、納得してもらって検診をしてもらうということが原則である。だから、この検診拒否をしておる人に対して研究医療手当を打ち切るというのはやめなさい、やめてもらいたいという意見がほとんどですが、これはどうですか。
#76
○目黒政府委員 今御指摘の検診を拒否しておられる方々が治療研究事業の対象になっていない、こういうことでございますけれども、この治療研究事業の目的というのが、病状の経過を観察するという一つの目的があることも事実でございます。しかしながら、検診を受けていただけないということについて、これは先生おっしゃるとおり、確かに信頼関係を持って私ども努力をしていかなければならないわけでございまして、できるだけ申請者の方々の御理解を賜りたい、こういうふうに思っておるわけでございますが、熊本県は六十一年度から、検診に応じない方々に対して治療研究費の打ち切り措置というのを行っているわけでございます。これは今私が申し上げましたように、この治療研究事業の趣旨等から申しますと、環境庁としてもその判断と申しますか、熊本県の対応については私どもも理解できるところでございます。やはり検診をして審査会にかけて水俣病であるかどうかということを判断する。医学を基礎とした判断の一番のもとでもございますので、一定の割り切りを行いまして、ただいま申し上げましたような措置も仕方がないのじゃなかろうかと思っておるのでございます。また、検診を受ける意思がある方々については検診が終わりますと、拒否をしておられた方々につきましてもその間の医療費は、二年間に限ってさかのぼって支給するというような措置も出ているわけでございます。
 いずれにいたしましても、先生冒頭におっしゃっておりましたような信頼関係に基づいて私ども申請者の方々の御理解をいただきまして、検診にはぜひ応じていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#77
○馬場委員 議論すれば、そういう措置というのは、行政にとってはもう三重、四重、五重の間違いを犯すということになるのですが、時間がありませんからあくまでも検診してもらうように信頼回復して、こういう差別はやってはいけない。まだたくさん質問があったのですが、時間が余りないのです。
 次に、特別医療事業について申し上げたいと思うのですが、これについて再申請をしないという条件がついております。再申請をしないという条件をつけた場合に、一人でも見落としのないようにするのが水俣病の認定業務の本質です。一人でも見落すことになるのじゃないですか。
#78
○目黒政府委員 特別医療事業を行いました趣旨というのが、先生御承知のようにそれぞれ申請して棄却された方々、その方々が水俣病としては棄却をされたわけでございますけれども、何らかの神経症状は持っておられるわけでございます。したがいまして、その神経症状の原因というものが何であろうかということについては、御心配になっておられるということも当然でございますし、私どもといたしましても、それぞれの方が持っておられるそういうような神経症状について原因の解明をするという趣旨で、この特別医療事業を始めたものでございます。したがいまして、再申請をするということになりますと、むしろこれはその方が自分の症状というものについては水俣病であるかどうかということの一点について、もう一度その判断をしてほしいというお考えで再申請されたものというふうに私ども考えておるわけでございます。そういたしますと、この特別医療事業の趣旨というものから申しますと、私ども、これにつきましてはそういう方々には支給できない、こういうような考え方で、いずれにいたしましても原因を究明するということにこの特別医療事業の目的を置いていることから、そのような考え方、そのような対応になっているのでございます。
#79
○馬場委員 水俣病でないと棄却した人の原因を何で究明する必要があるのですか。水俣病でないということで棄却したのでしょう。棄却した人、水俣病でない人も、だれでも訪ねてきたらその原因究明をやってくれますか、水俣病でない人がいっぱいおるんだから。では、ないと言った人に何でそんなことをするのですか。
#80
○目黒政府委員 ある一定の症状、神経症状を持った方がともかく申請をされる、その結果水俣病ではない、こういうふうに判断をされた場合に、やはり自分の持っておられる病気、その病気が何の原因であるかということについて引き続き御心配になっている、こういうことを含めまして、私どもはその原因というものを明らかにすることがその方にとっても大変よろしいのじゃなかろうか、また私どもにとってもそういう同じような症状でございます、恐らく神経症状という範疇に入るものでございますので、そういう似たような症状についてその原因を明らかにするというふうなことを行っていくことが、先ほど申し上げました科学的な知見への第一歩であろうかとも思いますし、あるいはまたこの患者さんにとっても、その原因を明らかにしていくことができればこれが一番よろしいのじゃなかろうか、こういうふうなことからあくまでも原因究明という、こういう趣旨で行っているのでございます。
#81
○馬場委員 原因究明というと、それは何の病気かという病名を診断するわけでしょう。いずれにしましても、とにかく時間がないのですけれども、これは水俣病ではないということで医療特別を出すということは、従来、四十六年通達なんかからいきますと、この人たちは皆水俣病と認定されているのですよ。だから、それを五十二年判断基準で切り捨てているものだからそれを政治的にこういうので救おう、政治的というか救おう、そしてそのためには再申請してはいかぬぞということであなた方はやっているわけですから、これははっきりさっき言いましたけれども、県もそう言っているんだから、これができたところが、聞かされたのは六〇%これを適用した、今度棄却された人、九〇%これを適用されたらだれも再申請しないようになるから認定は早まる、こういうことを言っているのですが、認定促進のための切り捨て、これ以外の何物でもないので、どんなにあなたが理屈をつけようとも、これは長い目で見てごらんなさい。
 そして、あなたは科学的知見を得るためにやるのだ、科学的知見が得られてその人が水俣病であったときには、再申請してはならぬとなっているのですから、どうなるのですか。少なくともこの人たちが、結論からいうと、亡くなって解剖して水俣病であったとした場合には水俣病になれないのです、再申請してはならぬとなっているのだから。そういうことで、これこそ一人でも見落としのないように救済するという精神からこれは間違っている。だから再申請はさせなければならない。こういうことをすれば大分そういう罪は減るのです。そういうことをまず考えておいていただきたいと思うが、この事業について熊本県などはもう少し拡大してくれというような要望があっているようですが、これについてはどうなんですか。
#82
○目黒政府委員 お答えいたします。
 この事業は、先生御承知のとおり、やはり専門家の会議の結論の一部からこういう考え方が出てきたのでございますけれども、その後、先生の今御指摘になりました拡大、充実ということについてでございます。これについては、いろいろな御意見があることは私ども承知をいたしております。しかしながら、この特別医療事業というのは、始めてからまだやっと一年たつかたたないか、こういうような現状でございます。そして、こういうような現状の中でこの事業そのものをさらにまた一年未満のうちに変えてやるということ、これについてもいろいろ問題があろうか。あるいはまた、先生御指摘のように拡充せよという意見、両方の意見があるわけでございますけれども、私どもの方といたしましては、現在の時点ではこのものについてはもうしばらく勉強してまいりたい、これを拡充するしないというふうなことについて判断を下すに当たっては、いましばらくのお時間をいただきたいというふうに考えているところでございます。
#83
○馬場委員 大臣、これはもう本当に、この法の精神からいってもこの委員会の決議からいっても歴代大臣の答弁からいっても、この患者というのは一人も見落としをせずに全部が救われるようにやるんだというのがもう原則中の原則、みんなが確認しておるわけでございます。しかし、いやしくもこの制度によって患者を切り捨てるというようなこと、患者を差別するというようなこと、こういうことは絶対あってはならないということをはっきり申し上げて、この適用を受けるような人は本当は水俣病の患者だと言ってもいいんだということを大臣ちょっと知っておいていただきたいと思います。
 そこで、時間がありませんから、ヘドロ処理の跡地の問題で二つだけ心配事があるから、大臣にお願いと要望をしておきます。
 一つは、いろいろ跡地利用懇談会とかなんとかが意見書を出しますね。それも一つの参考でしょう。しかし、水俣のあそこをどうしたいかというのは、患者さんを初め地域の住民に一番かかわることですから、あの跡地利用を計画するときには患者さんとか地域住民の意見を十分聞くということと、それから、何かイベントをやれとか何とかをやれとか言うけれども、何か六十四年にイベントをやると、やあ大変立派な行事ができました、きれいになりました、これでもう水俣は終わりでございますと、水俣病にふたをするとか終わらせるというようなイベントとか、そういう行事であってはいけないし、絶対そういうことはいけない。こういうことは注意してやってくださいということを申し上げておきたいと思いますが、いかがですか。
#84
○稲村国務大臣 今の先生の御意見、十分承りました。
#85
○馬場委員 それから次に、福島先生もおられますけれども、けさも熊本県知事も来まして、熊本県出身のすべての国会議員も集まったのですが、そういう中で私も意見として申し上げ、ついこの間、熊本県の二区の選出の衆議院、参議院全部集まりまして、いわゆる環境大学を水俣につくろうという案がいろいろあるのですね。私は、国立国際環境大学をつくれという私案を出しています。それから、県立てつくってはどうかというような意見もあるのです。第三セクターでつくってはどうだろうか。今、私立でつくろうという動きもあるのです。そこで県とか市とか、どういう設置形態がいいのかということを提案者がお互いに固執せずに話し合って、こういうことでよかろうという結論を見出そうと今一生懸命努力しています。そういうことで歴代の環境庁長官も、あの公害の原点水俣に環境大学をつくるのはいいことだということで皆賛成しておられるわけでございますが、この環境大学の設立について現長官もぜひ応援をしていただきたいということをお願いしておきたいと思いますが、いかがですか。
#86
○稲村国務大臣 馬場先生が鯨岡さんや石本元長官等に、ここずっと御熱心にこのことを説かれているのを見さしていただきました。環境庁としては、事務的に文部省とそういう環境大学というものについて話し合いはしているようでございますが、私個人としても、こういう地球規模の環境を考えるとか東京での国際環境委員会の宣言、この間のUNEP等々で環境問題が非常に大きく叫ばれ、特に日本はそうしたものに対しての拠出国としては屈指の国でもございますし、私なりに理解をさしていただきたいし、そういう方向が生まれることを念願しております。
#87
○馬場委員 せっかく環境庁長官になられたのですから、念願じゃなしに推進の方に、ひとつ応援の方に回って頑張っていただきたいと思います。
 そこで、事務的な話ですけれども、WHOの水俣病研究の国際セミナーを水俣で開くということについて計画が行われておるのですが、現在それはどうなっていますか。
#88
○目黒政府委員 国立の水俣病の研究センターが五十三年の十月に発足してから、先生先ほど来お話しのとおりのことがずっとあって、いろいろ研究を続けて実績を上げてまいったのでございますが、昭和六十一年の九月にWHOから協力センターの指定を受けたわけでございます。そして指定を受けたことに伴いまして、今後このセンターとWHO、それから諸外国の研究機関の研究体制を確立する、そして研究者の国際交流あるいは情報の交換といったことを推進してこの有機水銀の健康影響の解明に努める、こういうことで今動いているわけでございます。それで、本年の九月にこのセンターのセンター長がWHOのセミナーを来年度に開催するというために、WHOの担当部局と具体的な打ち合わせを行う予定になっているのでございます。
 現在そういう形で、そのほかいろいろ事務的な細かい打ち合わせも当然進んでいることと思いますが、基本的には所長さんが向こうとそういう打ち合わせをするのが今のところ一番大きな動きになっているのでございます。
#89
○馬場委員 それは、大体来年開かれるという見通しはあるのですね。
#90
○目黒政府委員 来年度に開くという予定で、一応今詰めているようでございます。これは各国ともいろいろ事情もあるようでございますので、研究者の日程とかそういうものも含めまして今WHOと調整しておりますが、私どもの方としては開く予定であろうと考えているところでございます。
#91
○馬場委員 時間があと二、三分ですけれども、最後に政治家、環境庁長官両方の立場で、稲村さんにぜひ申し上げておきたいと思うのです。
 稲村長官がこの前の第百八国会で所信表明演説をなさいました。私も聞かせていただいたわけでございますけれども、長官はこの所信表明の中で本当に立派なことを言われたわけでございます。二十一世紀に向かって環境、公害行政と真剣に私は取り組んでいきます、ここでこういう所信表明の演説をなさいました。私は、本当に二十一世紀に向かって、例えば水俣病問題というのを考えなきゃならぬ、公害の原点ですから。そういう意味で二十一世紀の人類の未来というものを、水俣病の解決というものが象徴しておることになるんではないか、こういうぐあいに実は私は思っておるわけでございまして、二十一世紀の人類の未来を推しはかるような大切なことを私たちは今水俣病対策として、公害の原点の対策をやっているんじゃないか、そういう位置づけをしなきゃならぬと思いますし、ここで私たちが水俣病問題を正しく解決せずに、目黒さんみたいに押しつぶしてしまおうというようなことをやったら、もう二十一世紀はだめだと私は思う。本当に水俣病を正しく解決する、完全に解決する、今のこのエネルギー、この力こそ二十一世紀の新しい文化を創造する力になるんだ、私はそう理解しておりますし、そうしなきゃならぬ。
 事実、日本がそれをやらなければ、今水銀中毒事件というのが、私が知っている中でもカナダ・インディアンの居住地区にも水銀事件があります。中国の松花江にもあるのです。ベネズエラにもあります。タイにもあります。ブラジルにもあります。フィリピンにもあります。ニカラグアにもあります。こういうところで水銀汚染事件というのが報道もされているのですよ。だから、世界の公害の中で水俣病というのをここではっきり解決する。そうすると、先ほど言いましたように、だんだん新しい化学物質というのが発見されて、毒性があるかないかわからぬのにだんだん文明の進展という名において使われていっておる、こういう状態になるわけですから、少なくともこの水俣病を、二十世紀の人類のわがままとか欲とかそういうものが地球を病気にさせて、がんにして、そのがんの腫瘍が水俣にあらわれたのだ、これをきちんと整理せぬと地球全体ががんになってしまうんだ、二十一世紀はこうなるんだ、そういうような位置づけに公害の原点、水俣病対策をぜひしなきゃならぬ。
 そういう意味から、先ほどからいろいろなことを質問しておるわけでございますけれども、ぜひそういう立場で、あと任期がどれだけあるかわからぬけれども、あなたがまた続いておられても結構ですが、やめられるときには環境庁の職員を集めて、こういう格好で、私が今言ったようなことで、おれは短かったけれども十分おまえたちはやれ、そういう方針でも示してもらいたいという気持ちでいっぱいですが、長官どうですか。
#92
○稲村国務大臣 環境問題、特に今先生の熱心に問われる水俣公害に対して、私も先生の熱心さに打たれると同時に、心構えとして病人に対する痛みを理解しなければならない。これからの環境行政の重要な柱として水俣病の取り組みもしなければならない。今の先生の御意見を踏まえて、限られた時間でございますが頑張りますし、今後も私も政治家として、今の先生の御意見を踏まえて自分なりに対処してまいる所存でございます。
#93
○馬場委員 終わります。
#94
○林委員長 村山喜一君。
#95
○村山(喜)委員 三月三十日に熊本地裁における判決がございまして、不作為の行為に対する厳しい審判が下ったわけでございますが、私は三十一日に長官にお会いをいたしまして、こういう判決を受けて、やはり行政としても今日まで大変な苦労をしながらきょうの日を迎えた、その患者の人たちの気持ちにこたえてほしいという要請を政府委員室で行ったことを思い出すのでございます。それ以来お会いをしていないのでございますが、いよいよそういう中で私たち水俣の隣にあります鹿児島の方としては、もらい公害だという認識でございました。したがいまして、そういう公害の発生源、チッソが海の中に有機水銀を投げ込んでそれが広がって汚染が拡大をしていく、不知火海が汚染をされていく同じ水域の中にあるわけでございますから、そういうような意味において、出水から出水郡、特に長島から東町という島の方でございますが、ここら辺に患者がどうもおりそうだなと思ってはおりました。
 しかし、今度の第三次訴訟に加わっている人たちや東京裁判に加わっている人たちの数を調べてみますと、大体千三百人の中で鹿児島の関係者が二百五十人くらい出ておるようでございます。そこで、一体どういうような認定状態になっておるんだろうかというので、一番ひどいところの地図をつくってきてもらいたいということで、今長官の方に見てもらっておるわけでございますが、これは鹿児島の出水、米ノ津の名護という港町でございます。ここは水産の根拠地でございまして、エビを中心にする養殖漁業等も盛んにやっておるところでございます。そこに出水の市の漁業協同組合が上の方にございますが、その向こう側は不知火海でございます。右側の方は米ノ津がある。こういう形でございますが、これを見ていただけばもう本当に町全体が認定患者で、赤印が認定をされた人たちです。そして原告の患者の数を黄色く塗ってございますが、一目瞭然とはこのことだろうと思うのでございまして、こういうような状態に立ち至っている地域の問題を私たちもやはり関心を持たざるを得ない。
 また、それはもらい公害だという気持ちで眺めておったんではいかぬ。やはりこの際、公害の原点に戻って、もう公害をなくしていくという基本的な姿勢をきちっとすると同時に、それによって被害を受けた人たちを早く救済をしないと、先ほども馬場さんの質問に対していろいろお話を承ったのですが、もう後がそんなに長くない人たちがいっぱいいらっしゃるわけですから、死んでしまってその後解剖をして、ああ、あなたは認定患者でしたよ、そういうような患者に認定をしますということでは、何のための行政であろうか、何のための政治だろうか。やはり生きているうちに救済をしてもらわなければ、政治は死んだものになってしまうんじゃないかという気持ちで質問をいたしたいと思います。
 そこで、私は、本会議の関係がございまして五十分までしか時間がございませんから、あと四十分程度の中での質問でございますから、きょう解明ができない問題はまた他日に譲らしていただきたいと思っておるところです。
 そこで、まず法案をお出しになっている福島先生、先生も関係者でございまして、そういう意味で非常に一生懸命おやりいただいているわけでございますが、ここに法案として出てまいりましたその背景は先ほど説明をお聞きをいたしました。そのことにつきまして、私もほんのちょっとだけ触れさせていただきたいのですが、この提案の法律案の後ろに、法案を施行するのに必要な経費というのが平年度七百万円というように書いてございます。そういたしますと、これは延長法案でございますから十月一日から施行ですが、三年間延長するという中身でございますけれども、先ほど百九人の話はお聞きをいたしましたが、そうなると、これからことしは何人これでやろうとお考えになっているのか、これは事務当局の方から説明を願いたいと思うのです。
#96
○目黒政府委員 これからの予定でございますけれども、私ども事務的には一応百三十人ぐらいの方々が、この臨時措置法に伴う申請をされるのではなかろうかということで準備をしているところでございます。
#97
○村山(喜)委員 そこで、私はこれは不思議でならぬのですよ。今まで九年の期間の中で百九人でしょう。今度は一年間でそれよりも多い百三十名をやろうとおっしゃる。意欲はいいですが、なぜそういうことができるのだろうか。過去九年間は百九名の実績しかないのに、ことし一年でそれを上回る百三十名がどうしてできるのだろう。不思議でならないのでございますが、その中身を説明願いたい。
#98
○目黒政府委員 先ほどお答え申し上げました百三十人と申しますのは一年ということでございますけれども、これは先ほど来御説明申し上げましたことでもございますが、この臨時措置法に伴います国が受け皿になっている分と同時に、県の方からも申請できるように二つのバイパスがあるわけでございます。私ども、今回の改正によりまして、申請される、されないは別として、新たに対象者として千三百五十人ぐらいの方々を予定しておりますので、その辺のところから考えまして、私ども百三十人程度を最初の予定ということで組んでいるものでございます。
#99
○村山(喜)委員 先ほど馬場委員の質問に対しての答えの中から、どうもはっきりしない問題点を二、三私は指摘をしてまいりたいと思うのです。
 今、公害によります被害を受けた場合の措置法がございますが、公害健康被害補償法の四十五条を見てみますと、「公害健康被害認定審査会は、委員十五人以内で組織する。」二項として「委員は、医学、法律学その他公害に係る健康被害の補償に関し学識経験を有する者のうちから、都道府県知事又は政令で定める市の長が任命する。」こうなっておりますが、鹿児島県のこの審査会それから熊本県の審査会はどういう人数でどういう人で構成されておりますか。氏名はいいです、人数だけでいいです。
#100
○目黒政府委員 熊本県の審査会におきましては十名でございます。そのほかに専門員というふうな構成になっておるわけでございますが、いずれも神経内科あるいは眼科、耳鼻科、小児科といったような医師から成っておるのでございます。
 それから、鹿児島県につきましては十名でございますが、いずれも病院の院長先生あるいは耳鼻科あるいは眼科あるいは神経内科といったような医師から成る委員構成になっているわけでございます。
#101
○村山(喜)委員 長官、極めて内容的に重要な問題でございます。このことをよく銘記していただいて御答弁を願いたいのですが、ずっとここ三十年ぐらいの水俣の今日の問題点を拾い上げて総括をしていきますと、認定をめぐる問題というのが非常に動いている。四十六年、五十二年、五十三年ですか、そして今度の判決なども含めて考えてまいりますると、この中で認定審査会の先生方が果たしている役割というのは決定的な意味合いを持っておるのです。昔、公害救済法という法律の時代は医者だけでやっておったのです。医者というのはそれぞれの権威者でございまして、目黒部長もなかなかの権威者でございますが、非常に頑固者が多いのです。一遍自分の主張を言うたらそれを撤回することをしない、そういうような気質の人がお医者さんには非常に多いわけでございます。
 そこで、現行のいわゆる公害健康被害補償法を制定しますときに、そういう専門領域では視野が狭くなる。水俣病もわきの方は見えなくなる、正面しか見えないそうですが、そういうような視野の狭い立場からだけの委員ではぐあいが悪い、だから、やはりそこには法律に明るい人も必要じゃないか。それから公害に係る健康被害の補償に関して学識経験のある人も必要だということで、しかも人員は十五名以内ということで法律もつくったんですよ。そうしたら、その法律のとおりにやっていないのが環境庁なんです。これははっきり指摘をしておきます。そうして専門のお医者さんだけが十名でやっていらっしゃる。これは昔から公害救済法の時代の遺物じゃございませんか。私はそういうように見える。
 それは、やはり単に病理学的な判断だけでなしに、疫学的に意味のものやあるいは社会科学的な意味も含めて、今日人間というのはその地域の中で人間として生きているんですから、水俣病という公害病は人間としての存在を否定するような病状に追い込んできたんです。勇気がなかったんです、当時の官僚たちが。行政をやってきた皆さん方の先輩が勇気がなかったためにそういうことを見逃したんです。あのときにああすればよかったなと思っていることが多いんです。私たちはそれを、二度とそういうようなことをやってはいかぬと思うのでございます。
 そういう意味で、やはりそういう法律の趣旨がそこにあるんだということに思いをいたしながら、もっと今の判断基準というようなものについても、この際、もう三十年の歴史がたったんですから、もう一回原点に立ってどうしたらいいかということを基点に置いて問題をとらえていく必要があるんじゃないだろうか。これは政治家である稲村長官に私はお尋ねしたいわけです。どうでしょう。
#102
○目黒政府委員 二つの点でございますが、一つは医師の点でございますが、やはり医学を基礎として救済すべきは救済するという趣旨のことで私ども進んでおるということからいたしまして、やはりこの審査会の最大の任務がこれは水俣病であるか否かという医学的な判断というものが優先するという考え方から今のような構成になっているというふうに私ども考えているわけでございます。
 それからもう一つは判断条件の問題でございますが、これは、やはり先ほど来御説明申し上げましたように、科学的な、医学的なコンセンサスを得たものとして、六十年十月、医学専門家によりまして検討いたしました結果、現行の判断基準が適切なものであるというふうな御判断をいただき、私どもはそれを取り入れて、まあ適切なものであろうということで、現在の判断条件についてはこれは現行のままで参りたい、こういうふうに考えているところでございます。もちろん、先ほど申し上げましたように、あるいは今後新たなる医学的な知見あるいは科学的な知見といったようなものが出てまいりましたときには、これは将来検討ということもあろうかと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現在この判断基準を現行のまま進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#103
○稲村国務大臣 水俣病につきましては、三十年たって今なお解決するに至っていないことを遺憾に思います。しかしながら、水俣病問題は複雑かつ経緯のある問題でもございますし、患者の救済、ヘドロ処理、地域振興、裁判等多くの問題を含んでおるものと考えております。今先生御指摘の御意見も十分参考にさせていただきまして、今後とも関係する県や省庁等とともにこの問題の解決に努めてまいりたいと思います。
#104
○村山(喜)委員 模範答弁をお読みになるのも結構なんだけれども、じゃ目黒部長にお聞きしますが、鹿児島県と熊本県の医学的判定の基準というのは同じでしょうか、同じでございませんか。
#105
○目黒政府委員 この審査会の先生方あるいは審査会の会長先生方を初め、この医学者同士、いわゆる神経内科あるいはほかの眼科、耳鼻科含めまして、皆様方、研究発表とかあるいは研究会とかあるいは神経学会といったようなところで同じグループで同じような研究をしあるいは臨床を行っておられた方々でございます。それでございますので、基本的な水俣病に対する考え方ということについては皆さん全く一緒でございます。また、判断基準につきましても、鹿児島県、それから特に井形先生、鹿児島県の会長さんは大変この道の権威でございますし、十分熊本の審査会長とも御相談の上、一つの同じ考え方に基づいて判断をされておられる、こういうふうに私ども理解をしておるところでございます。
#106
○村山(喜)委員 私は第五十回の鹿児島県の公害健康被害認定審査会の答申書というのを見てみました。これは塩田信行君、名古西、今長官に差し上げましたが、そこには塩田信行君の場所が書いてございます。その地図を見てください。彼のところなんですが、これの医学的判定の中でマルを回しているのが4なんです。4は何というふうになっているかというと、「水俣病の判断条件に該当せず」というのにマルが回してあるのです。いいですか。これは考えられる疾病の名前並びに合併症としては抹消知覚障害、こういうことでございます。ところが、熊本県の認定審査会の答申書にはこういうような項目がございますか。私は見たことがないのですが、どうでしょう。
#107
○目黒政府委員 先ほど申し上げましたように鹿児島県と熊本県は同じ考え方でございますが、今先生御指摘の点については、同じ考え方でございますが、表現は水俣病ではないというふうな項目に熊本県の方ではなっているわけなんでございまして、裏表といったような形で同じような項目が並んでおるわけでございます。
#108
○村山(喜)委員 その熊本県の項目、出してくださいよ。私は鹿児島県のものは1から6までちゃんと持っています。
 そこで、大臣、これはやはり今も井形先生の話が出ましたが、私も尊敬する医者であることにおいては目黒部長と同じでございますが、この方が、さっき答弁がありましたいわゆる特別医療事業制度というものをつくるときに、その意見書も見てみましたが、水俣病でないというふうに却下しておるけれども、しかしボーダーラインというのですか、そういう神経症状が残るという説明をさっきされていましたが、そういうような場合にはやはり新しい病名を見つけるためにという答弁をされておりましたけれども、やはりその疑いがある、ボーダーライン層で、該当するというふうにはっきりそこまではいけないが、何らかの関係があるんじゃないかというような意見等もあったという、少数意見のところに意見書が出ておりますが、これはかねての説からいえば井形先生の説であろう、こういうふうに推察するわけです。
 そういうようなことから、私はこの問題は、鹿児島県の判断基準の中には、水俣病の判断条件に該当しないという、国が新たに定めた認定の基準に関するそういうようなものを中心にして見たときに、それが一番ふさわしいものに該当するということでマルが回しであるのだと思うのであります。さっき馬場君の質問でもありましたが、水俣病でないというのにマルを回しておいて、そして特別医療事業でそれを見てあげるというのは、これは筋が通らないんじゃないですか。あなたはさっきおかしな説明をなさっておったけれども、ないという判断が下ったのも特別事業で見てあげる、これはごまかしですよ。ですから、判断基準から見てどうも判断条件に該当せずというのであれば、これは病状がどういうふうに変化していくか見ていかなくちゃならぬ。原因がわかるまで見てみましょう。そして、ボーダーライン層にあるような人なんだというふうにぴんときて患者にも納得がいくけれども、だめですよと言われておって、では特別医療事業で見てあげましょう、こんな審査会の権威を傷つけるような判断を医学的にするということ自体が間違いじゃないですか、どうですか。
#109
○目黒政府委員 この特別医療事業のできました発端は、今先生からお話がございましたように、六十年十月に開かれました専門家会議の結論から出てきたのでございます。それで、この文章といいますか、最後の結論部分でございますが、「水俣病と診断するには至らないが、医学的に判断困難な事例があるということについて留意することが必要である。」こういうふうな考え方でおられたわけでございます。したがいまして、先生方、医学の神経内科あるいは神経系の病気の考え方からいきますと、これは明らかに水俣病ではないということがわかっておってもそのほかに似ているような症状がある、そういうふうなものの原因の疾患、この原因がいつも論争点になるわけでございますので、その原因については明らかでないというものもある、こういうことはやはり留意していく必要がある、こういういろいろな御議論をいただいた結果出てきたものでございます。
 私ども環境庁といたしましては、やはり専門家会議の御意見を外しまして、この原因を究明するということ、棄却されて、なお、原因は水俣病ではないけれども一つの神経系の疾患になっている人、この人に対する原因、これはやはり皆さん方は大変心配しておられるでございましょうし、こういうものについて明らかにするということが特別医療事業の趣旨だということで始めたものでございまして、この事業の進め方あるいは内容等につきましても当然両審査会の先生方を初めとしましていろいろ御意見を聞き、また御賛同をいただきながら私ども進めてまいってきたものでございます。
#110
○村山(喜)委員 稲村長官、今二つの、熊本県側は水俣病ではないというのにマルを回して医学的な診察の結果を出しておるのです。こっちの鹿児島県の場合には、これは基準に照らし合わせて判断条件に該当しないのだということにマルを回している。それは同じだとおっしゃるけれども、同じではない。該当しないのを何で水俣病の治療、そういうような特別医療の中に組み込まなければならないのかということになる。そういうのに該当しないからもう少し状況を見てみましょうというのであるならば、これは医学的な知見として成り立つと私は思うのだけれども、どうもおかしいな、これは私だけではないと思います。
 そこで、長官、専門的な領域について医学的な立場から専門委員を選んでそれに意見を聞くのは、審査会の委員の先生方がやっていいでしょう。審査会の委員の先生方もみんなお医者さんばかり、専門の委員の人もお医者さんばかり。いいですか。そして法律には、法律に詳しい人やそういう補償業務について詳しい人も委員にしなさいと書いてある。それは怠っている。そして医学的な知見を持っている人たちの判断には従いなさいと言ってごりごりに押しつけてやろうとするところに今日の問題が一向に片づかないということになっている。この法律の運営について責任を持って執行するのは長官ではないですか。目黒さんではないでしょう。目黒部長ではないはずです。そういうようなことについて今まで論議されたことはございませんか。医者ばかりでやるように法律がなっているのだったら結構です。そうしたら法律をつくり直さなければならぬでしょう。そうではなしに、そういう委員の選び方というのは法律で明記してある。明記してあれば、そのとおりおやりになって、悪ければ直せばいいでしょう。おやりにもならないでそのまま過ごしてきた環境行政が今日の混乱のもとになっているのじゃないでしょうか。私はそのことを憂えるのですが、それについての見解がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。――あなたに聞いているのじゃないのです。
#111
○目黒政府委員 ちょっと事務的に答弁をさせていただければと思いますが。
 先生御指摘の法律家の問題でございますけれども、法律家を入れるという趣旨は、障害の程度を判定するということから入れているというふうな法律の趣旨でございます。この場合に、現在この補償協定で先生御承知のように別の委員会でこの障害の程度については処理をしているのでございます。したがいまして、今の審査会につきましては専ら医学を基礎として判断をする、こういうふうな形になっているのでございます。
#112
○村山(喜)委員 おかしいですよ。どこに書いてあるのです。長官、御答弁いかがですか。私は目黒さんに聞いているわけではございませんで、稲村長官にお答えをいただきたい。法の解釈なり法の執行の責任者という立場からお答えいただきたいと言っているのでずよ。
#113
○稲村国務大臣 私自身不勉強で大変申しわけなく思います。先生の御指摘につきもう一度勉強さしていただきたいと思います。
#114
○村山(喜)委員 勉強してください。
 そこで、これは保健部長に聞きますが、この水俣病の医療の救済の問題につきまして、特別医療事業というのが六十一年の六月からの棄却に係る人から実施をされる。それから一年間過ぎた人については、医療研究事業ですか、それで救済をする。いろいろこうして実態を調べてみますと、夫は認定をされて、それと同じような生活をしている妻は認定をされないで特別医療の対象としておるんだが、はり、きゅうもやりたい、通院のための交通費が出ないのでそれは何とか見てくれないかというのがあるわけです。それから、同じようなのがたくさんございますね。夫は認定、本人は棄却、再申請中だ、それでバス代が足りません。それからこれは、夫は死んでから解剖してもらってそこで認定された。本人は二回申請をしたが棄却をされて、今特別の医療制度で救済を受けておるというのやら、悲惨な例がたくさんございます。こういうようなのを見ながら、水銀に汚染をされた魚を食べてそういう症状が出て、水俣病という特徴的な病状を呈しているというのに、同じ家に住み同じ物を食べておるのに、片一方は認定をされないで何回出してもだめだ、それでこういうようなことで特別医療制度を受けておりますがということでございます。一体これはどういうふうに解釈をしたらいいのか。
 それから、さっきの質疑の中で、特別医療事業の申請をした人は再申請をしないという条件つきでやるんだ、そういうことのように聞くのですが、そうなると、この人が事実上死んで解剖の結果水俣病だというのがわかった場合には一体どうなるんだろう。
 それから、熊本県の方は何とかして特別医療事業を拡大をしたいということで準備をしておるというのが新聞に出ましたが、環境庁は来年度の予算要求の中ではそれは拡大をするようなことは考えていないということで、では県単で熊本県はやるのかやらないのか。大体これは補助事業として頭に描いておったんだけれども、そんなことは補助が出ないということになるとやれないからしばらく見合わせようじゃないかというような話が新聞でも出てきているわけでございますが、来年度予算要求に対するこの特別医療事業というものはどういうふうに進めようとしていらっしゃるのか。この問題については、行政で認定をした者は医療手当から何から全部出る。司法が判断を下してしまった者は事実上特別医療事業扱いになっているわけですよ。皆さん方が控訴をしていらっしゃるわけですからそういうことにならざるを得ない。そうすると、今の二つの判断が存在をする中で一体どのようにしてこの問題を解決するかということになれば、やはり審査会が医者という一つのカテゴリーの中で問題をとらえて、それだけで主張していけばそういうことになる。やはり幅広い立場から社会問題としてこの問題を見なければならないという点から考えると、審査会のメンバーの選び方が非常に重要じゃなかろうかという気がいたすわけでございますが、それは意見として、解剖認定の取り扱いの問題と特別医療事業の再申請との関係をお答え願いたいのです。
#115
○目黒政府委員 まず、判断の問題でございますけれども、これはやはり個々別々にそれぞれの症状とか疫学的な条件とかいろいろなものを総合的に判断をして審査会でもってそれぞれの判断に到達したもの、こういうふうに私ども理解をしているのでございます。したがいまして、今御指摘のようなことも判断の過程においてはあり得ると考えているのでございます。
 それから、行政と司法の問題でございますけれども、これについては、行政の判断、司法の判断、今の時点でダブっているものにつきましては今後検討していくということで先ほどお答え申し上げたのでございますけれども、個別の問題でございますのでそれぞれ今後対応していくというふうに考えているのでございます。
 それから、死亡の問題でございますが、死後の問題につきましては私どもこの審査会で総合的にいろいろな科学的な知見から御判断をいただいたものでございますので、現在のところではそのようなことはないのではないかと考えているのでございます。
 それからまた、特別医療事業の来年度予算計上のことについてでございますが、来年度の予算につきましては、先ほどお答え申し上げましたように県の御意見もございますので、私ども県とも十分慎重に連絡をとりあるいは意見を交換し合いながら慎重に対応していきたい、こういうふうに思っているのでございまして、現在の時点ではいましばらくお時間をいただきたい、こういうことでございます。
#116
○村山(喜)委員 あと二分しかありませんが、最後に裁判十六件、さっき馬場委員の質問にございました。それであなた係争中のものだけを説明しましたね。そうしたら馬場委員の方から、あとは全部あなた方が負けたんじゃないかと言われたのですが、裁判の結果は、係争中のものを除きまして、環境庁の方に軍配が上がったのが何件ありますか。
#117
○目黒政府委員 今係争中を除きまして、確定したのが四件ございますが、例えば新潟水俣病第一次訴訟は昭和電工が被告でございます。それから水俣病の第一次訴訟はチッソ、同じく第二次訴訟もチッソ、それから不作為違法確認訴訟が熊本県知事というふうなことでございます。したがいまして、国の段階のものにつきましては現在いずれも係争中ということでございます。が、いずれにいたしましても、今までの被告については原告の主張が入れられたものが四件というふうなことでなっておるわけでございます。
#118
○村山(喜)委員 これで終わりますが、長官、今お聞きのとおりなんです。ですから、行政は余り国民の実態から離れたりしないように、国民の信頼を取り戻すようなことをやってください。あなたもどういう格好になられるかわからぬけれども、やはり終わりをよくするのが政治だろうと思います。このことは中曽根内閣のことにも言えるのではないでしょうか。きちっとした対応の仕方をして、人間が破壊をされたような状態を継続するようなことにしないようにお願いをいたしまして、終わります。
#119
○林委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時五十分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十二分開議
#120
○林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。斉藤節君。
#121
○斉藤(節)委員 まず最初に、私は水俣病患者の実態につきましてお伺いしたいと思うわけでございます。
 私、国会図書館に原本があるかと思って行ったのですが、私、前に持っていたのですけれども、大学をやめましたときに大学へ返してきたものですから原本がないわけでありますけれども、こういう本がございます、「エンバイロンメンタル・ケミストリー アン・イントロダクション」。これは環境化学のことでございます。この「エンバイロンメンタル・ケミストリー アン・イントロダクション」という本でありますけれども、L・T・プライドという人が一九七三年に書いた本でございます。この本に出ているわけでありますけれども、この本の最初のところ、ちょっと読んでみたいと思うわけでございます。
 これによりますと、まずこういうことが書いてあります。「水銀」のところで、これは水環境の問題を取り上げたところでございますけれども、「予期されなかった危険」ということで書いておるわけであります。
  水銀の性質に対して一般の関心が集まったのは比較的最近のことで、一九五〇年代の初期であった。水俣の漁師とその家族および猫に奇妙な病気の兆候が現われた。視野狭さく、視力減退、筋力の進行性萎縮、しびれ、まひ、さらには、昏睡、そしてついに死に至る病であった。日本列島の南のはずれの小さな湾に面した水俣市は、漁業と化学工業の二つの産業を基盤としていた。住民に“奇病”と呼ばれたこの病気は、その後の研究によってアセチレンからアルデヒドを合成するさいに、触媒として用いられた水銀が湾内に多量に排出された結果であることが明らかにされた。工場のプラントの近くの底泥の水銀濃度は二〇〇〇ppmにも達し、水中でも一・六〜三・六ppb(海水中には通常〇・一ppb以下)であることが示された。住民の日常の食料の主要なタンパク源である魚には、水銀が五〜二〇ppmも含まれていた。ちなみにアメリカのFDAにより許可されている
 のは〇・五ppmである。こういうことで水俣の病気が紹介されているわけであります。
 最初、水銀の地球環境における移動あるいは化学的性質のまだはっきりしないような点がありまして、そのようなことからどのような食物連鎖があるかということもわからなかったわけでありますが、それがだんだんわかってきたわけであります。いわゆる水俣にこのようなチッソのような化学工場が誘致されなかったら、恐らく水俣の人々は現在も幸せな生活をしていたのじゃないかな、そんなようなことを私は感ずるわけでありますけれども、環境庁としてこの水俣病患者の実態をどれぐらい把握しておられるのか。その被害の実態ですね、どういう人たちがまだ救済されていないのか、どういう生活を送っておられるのか、また、水俣から県外へ出ていった患者がおるはずですけれども、そういう人々はどうなっているのか。長官はよく原生林とかあるいは自然林などの調査にお出かけになるわけでありますけれども、こういった水俣病患者の実態を視察されたことがおありかどうか、ちょっとそれを最初にお聞きしたいのでありますが、いかがでございますか。
#122
○稲村国務大臣 先生からの水俣患者の実態をということでございますが、まだ私は熊本や鹿児島や、そうした現地に行って自分で多くの方々と直接話したことはございませんが、こちらに裁判の結果、代表の皆さんがおいでになって御意見を聞かせていただいたことはございます。
#123
○斉藤(節)委員 長官はよく視察などをされるエネルギッシュな方でございますので、もしあれでしたら現地なども視察されて、どういう状況なのかということを見ていただければありがたいと思っているわけであります。
 まず環境庁の方々にお伺いします。どういう人たちがまだ救済されていないのか、また、どういう生活を送っているのか、また、県外患者の実態はどんなのか、その辺をおわかりであれば御答弁願いたいと思います。
#124
○目黒政府委員 水俣病の被害者についてでございますが、この病気の発生以来、原因の究明とか、あるいは健康被害の実態を把握いたしますために、その都度必要な住民調査が行われてきたのでございます。また、一応必要な調査は完了したものというふうに現在私ども考えているのでございます。しかしながら、環境庁におきましては、水俣病の被害にかかわります医学的な調査ということについて、今後どのような調査が必要かとかあるいはその可能性といったようなものにつきまして引き続き調査を行っている状況でございます。
 また、その申請の状況でございますけれども、これは六十二年の三月末の数字でございますが、これまでに一万六千九百件の方が申請をされておりまして、そのうち一万一千三百七十四人の方を処分をしております。認定したものが二千八百四十八、棄却が約八千五百、未処分のものが五千五百四十五ある、こういうような状況でございます。
 また、県外の患者の状況でございますが、県外の患者の状況につきましてはなかなか把握が難しい点もございますが、一応六十二年三月末の時点で申請をしておりますものにつきましては、九百六十九人の方が県外からの患者で申請をしておるものでございます。また、そのうち認定をしたものが七十六名、未処分のものが四百四十一名残っている、こういうような状況にあるわけでございます。
#125
○斉藤(節)委員 今お聞きしましたように、かなりの数の方々がいらっしゃいまして、また県外にも九百六十九人、こういう患者がいるということでございますけれども、こういった患者の方々、あるいはまだこれから認定をされるかどうかといったような、そういった疑わしい方々、いわゆる被害者と総称して私呼ぶことにいたしますけれども、そういうような被害者の方々の要求というのはどんなものかといったようなことですね。私もいろいろ書物なども読ましていただきましてわかったわけでありますけれども、いわゆる水俣病被害者として救済してほしい、そういうような要望をしているわけでございます。そしてまた、充実した医療を受けたいんだと。認定者は通院のための交通費はもちろん、はり、きゅう、マッサージ、温泉も可である。いろいろ充実した医療をある程度受けているわけでありますけれども、まだ認定されていない、まだ中途半端な、これはまた後でお尋ねしたいと思うのですけれども、いわゆる治療研究の状態にある人々、こういう人々はいわゆる保留者も含めてまだ認定されていない。そういうような人々などは通院交通費、はり、きゅう、マッサージなどもいいというわけであります。それに対して棄却された人々、これはまた後でいろいろ議論をしたいと思うのでありますけれども、特別医療事業に含められている人々、こういった人々は、やはり、はり、きゅう、マッサージなどもしてほしい。これは主治医といいますか、その治療しているお医者さんがオーケーであればいいということでありますけれども、しかしまだ十分でないということで、ぜひこういったものも受けたい。
 それからまた、被害者の要求としては、安心して生活を送りたいんだということを言っているわけです。仕事をしたいけれども働けない、また仕事もない、そういうようなことで、働けない場合は年金が欲しいんだといったようなことも要求しているわけでございます。また、まだ水俣病に対しまして国民全体の理解が深まっていないのじゃないか、正しい水俣病の姿を国民に広めてほしい。それで、水俣病に対する差別だとか偏見はまだあると言っているわけでありますけれども、例えばにせ患者というような烙印を押されて誤解されている場合があるわけでありますけれども、こういうようなものもなくしてほしい。そういったようないろいろの要求があるわけでありますけれども、これに対して環境庁といたしましてはどのような努力をされておられるのか、また後ほども議論はいたしますけれども、そういった問題についてまず御答弁願いたいと思います。
#126
○目黒政府委員 環境庁といたしましては、毎年一回は公害デーという日に患者さん方にお会いする、大臣が会われるということになりますが、その他機会あるごとに被害者の方々の要望をお聞きしているわけでございます。また、これまで勘定してみますと、六十一年度でございますけれども、この水俣病の件につきまして水俣病の被害者の方々から七回陳情を受けておるわけでございまして、そういうものに対して機会あるごとに対応しているということでございます。今後も今先生がおっしゃいましたような被害者の要望等をお聞きしながら認定業務を促進するといったような水俣病対策の推進に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
#127
○斉藤(節)委員 いろいろ努力されているということはわかるわけでありますけれども、まず認定処分の状況について入っていきたいと思いますけれども、その前に、県外患者がどんなような要求をしているかということについてもお調べになったことがございますか。ちょっとその辺御答弁願いたいと思うのです。県外患者でございます。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
#128
○目黒政府委員 県外の患者の方々につきましても、これは検診機関とかあるいはPRといったような点でいろいろ御要望があったわけでございますけれども、県外に移転いたしました方々については、現行制度におきましても、水俣病にかかったと思われる者はだれでも申請ができるという形になっております。また、そういう医療機関が東京ですと国立病院医療センター、あるいは大阪病院あるいは国立の名古屋病院といったようなところに指定の機関もございますし、そのようなことを今後ともPRをしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#129
○斉藤(節)委員 そこで、ではその認定処分の状況からまずお聞きをしてまいりたいと思うわけでありますけれども、私ここに資料をいただいておりまして、認定、棄却、保留、こういった件数が
どのくらいあるかということがわかるわけでありますけれども、この法案がまた出されましたのは、いわゆる認定業務が進展しないということで、引き続き三年間やろう、延ばそうということでございますけれども、この法案は、前回、昭和五十九年四月十三日の金曜日に委員会がありまして、これはやはり同じ水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案というこの法案でございますけれども、そのときに私、当時の政府委員あるいは上田長官あたりにもいろいろ要望しておいたわけでございます。あの当時も、一生懸命やっているのだということの答弁をいろいろいただきました。しかし、なかなか進まない、難しい面もあるというようなことを長谷川政府委員が答弁しておられるわけでありますけれども、それに対して私は最後に、
  人間は感情の動物でありますからちょっとしたことでも、特にそういう被害に遭われているような患者は精神的にももろくなっておりますので、そういう点、いたわる気持ちでやっていただかないと、ちょっとしたことを問題にして拒否したりなんかすると思うわけです。そういう弱い立場にある人々ですから、その辺をよく理解された上で診断、臨床などもやっていただきたいと思う。そして、的確に迅速に認定業務を進めていっていただきたい、
このように私は御要望申し上げておったわけであります。これは五十九年であります。
 しかし、資料をいただいた「水俣病認定業務促進臨時措置法の改正問題」というのを調べてみますと、その後の申請者が確かに非常に少ないのですね。年度別申請者数を見ますと、五十九年三名、六十年四名、六十一年七名、六十二年はまだ途中でありますけれども、今のところ二名だということで、非常に少ないわけですね。いろいろ努力されておられることは先ほど来聞いてわかりました。しかし、何とかこれを促進しなければならないと思うわけでありますが、これにはかなりの環境庁に対する患者側の不信感もあるのじゃないかなと思うわけでありますけれども、その辺いかがでございますか。
#130
○目黒政府委員 水俣病の認定の状況といいますのは、先ほど申し上げましたとおりのことでございまして、六十二年三月末で二千八百四十八名が認定してある。特にまた、未処分者が五千五百四十五名あるということが一つの大きな問題点だということで、いろいろ御意見があるところでございます。また、この認定業務が進まない、あるいは今先生がお話しいただきましたような不信感というものは、私どもの方としてはいろいろな機会あるいはいろいろな方法、こういったようなものをもちましてできるだけ私どもの方の法の趣旨あるいは行政の考え方について御理解賜るように努力をしているところでございます。
#131
○斉藤(節)委員 そういうふうに行政が一生懸命努力しておられることはわかるわけでありますけれども、何か検診のやり方、また検診医、これにも問題があるのじゃないか、そんなふうにも思うわけであります。その辺はどうでございますか。
#132
○目黒政府委員 検診のやり方は、私ども、一定の指定いたしましたところで公正かつ中立的な立場で行わなければいけないということで、検診あるいは審査会といった手段を使いまして認定をしているところでございますが、確かに先生御指摘のように、検診につきましてはこれに応じない方がおられることは事実でございます。そういう方々は一体どういう理由がということもございますけれども、少なくともこの申請者が水俣病であるかどうかを判断いたしますためには、とにもかくにもまずは申請者の方々に検診を受けていただくことが一番必要なのでございます。そして、申請をしていながら検診を受けていないということは大変遺憾なことなのでございます。熊本県におきましては、六十一年度から検診に応じない者に対しまして一定のいろいろな、先ほど申し上げましたような対応をするというふうなこともしているわけでございますが、少なくとも検診をした場合に、そのやり方といったようなものについては、私どもも、検診医を含めましてできるだけ努力をいたしまして、患者さんたちの信頼にこたえることができるようにということで現在行っているところでございます。
 また、検診医につきましても、水俣病の検診にかかわります専門家、特に神経内科を中心といたしました専門家の方々にお願いいたしまして、適正な検診が行われるように今行っているところでございます。
#133
○斉藤(節)委員 確かに言われますように、検診を受けなければ水俣病患者か、病気かどうかということは完全にわからぬわけでありまして、結論を出すには当然だと思うのですけれども、検診を受けていただくような方向に努力しなければならぬ。そのためには、先ほども申しましたように検診医――何か聞いた話で私現場を見たわけではありませんから何とも確実なことは言えませんけれども、例えば視野狭窄の症状があるかどうかということを調べるときに、きちっと科学的に固定するとかなんかして、そして光の反応があるとかないとか、角度でやる。やり方はいろいろあると思うのですけれども、それがただ座らせておいてこれが見えるか見えないかと口で言う。固定も何もしてないから、見えるだろうと言われて、はい、見えますというようなことになってしまうこともあるのじゃないか。そういうことも検診医によって随分違うのだ。先ほども申し上げましたようにやはり感情の動物でありますから、おどかされますとおどかされてしまう。こういうような客観的な診察、やっておられるのだと私思いますけれども、そういう話も聞きますので、その辺いかがなものか。もしそういうことがあれば問題だな、そんなふうにも思っているわけであります。診察はあくまで科学的に、しかも客観性のあるデータを出していかないとならぬと私は思うわけでございまして、そういう点検診医に問題があるかないか、環境庁さんとしてさらによく見ていただきたい、そんなふうに私は思うわけでございます。
 それから審査会の運営の問題。これは時間がありませんから申し上げませんが、私、資料をいただいておりますけれども、開催回数とかなんとか、その辺に問題があるのじゃないかなといったような気もします。そういうようなことで大変問題があるのじゃないかと申し上げておきたいと私は思うわけであります。
 次に、新規申請者がなぜ今も出てくるのか。資料をいただいておりますが、これによるとずっと出てきておるわけです。その辺はどんなふうにお考えになっておられるのか。それから、再申請者がなぜ今多いのかといった問題、それから保留は答申保留と処分保留があると思いますけれども、なぜ多いのか。これらの判断条件のために救済できずに保留なのか、その辺の御判断、御答弁願いたいと思うわけであります。
#134
○目黒政府委員 今幾つが御指摘があった点でございますが、一つは認定申請者が大量に滞留している、こういう問題でございます。
 これは、今先生からもお話がございましたように、公正、適正かつ客観的なデータを得るべく検診に努力をし、あるいは審査会におきましても公正な立場から専門家の御審議をいただいているところでございます。
 それから、認定申請が今なお多いのはなぜかというふうなことでございますが、これは一つは加齢性の変化、つまり老齢化いたしますといろいろな水俣病に似たような神経系の症状が当然出てくるのでございまして、そのようなことから、自分のかかっております病気の原因がやはり水俣病じゃないのかといったようなことから申請をしてこられる方がおられるのじゃなかろうか、こういうことでございますが、明確な、はっきりした、なぜというようなことはわからないのでございますが、大体そんなことではなかろうかと私ども考えております。
 それから再申請につきましては、この問題は先ほど来先生からいろいろ御指摘がありました、あるいはお話がありました中で、今信頼関係と申せばそれに尽きるかもしれませんけれども、私どもの方から申し上げますと、適正かつ科学的な判断というものを審査会にお願いをいたしまして、その結果、棄却となったわけでございます。しかしながら、先ほど来申し上げたような事情も含めまして、加齢というようなことも含めましてやはりまた申請をしてこられる方々が多いのでございます。
 それから保留、答申保留、いわゆる答申を審査会が保留をしているというふうなものでございます。水俣病の判断については先ほど来申し上げておりますような医学的なものでとにかく一つの判断をしていくということでございますので、その場合に審査会の中で保留になるというものは、例えば今申し上げました加齢現象、老齢化といったようなものとかあるいは合併症ですね、ほかの病気に起因いたします合併症といったようなもののために非常に判断しにくいものがあるということが一つの例でございます。
 それからもう一つは、症候の変化が非常に大きい、非常に病状が変わってくるといったようなことからこの判断が非常に困難であるというものも出てくるのでございます。
 それから三番目には、一応水俣病ではないというふうに考えたとしても、水俣病の疑いを全く捨て切れないものも当然含まれてくるわけでございまして、このようなものもあるわけでございます。そしてまた、この審査会では検診等をきちんといたしまして明確な医学的な結論が出る時点まで答申を保留するといったようなことが出てくるわけでございます。
 単に判断条件に合致してないから直ちに保留ということではなくて、今三つほど申し上げましたけれども、このようなことを含めまして、いろいろな角度から見て総合的に保留となっているというのが現状でございます。保留と申しますのは、審査会の中での保留という意味でございます。
#135
○斉藤(節)委員 その判断のことにつきましては、また後ほど議論したいと思うわけでございます。
 その前に、治療研究事業についてお伺いをしておきたいと思うのです。
 これは資料をいただいておりますけれども、いつからどういう趣旨で実施しておられるのか、事業内容と拡充の経緯について、この辺ちょっと御答弁願いたいと思うわけでございます。毎年度の費用の負担なども資料をいただいておりますけれども、随分たくさんお金がかかっているわけでありますけれども、この辺のこと、それから県外患者に対する認定、処分の状況、こういったものについてまず御答弁願いたいと思うわけでございます。
#136
○目黒政府委員 治療研究事業のことでございますが、この治療研究事業は四十九年にスタートしたものでございまして、この事業は、水俣病の認定に関しまして申請から処分との間が非常に長期間にわたるということがあるわけでございます。この間、申請者の病状の変化というものを把握するという目的で、この治療等に要した経費の一部を助成するという目的で実施したものでございます。
 その内容でございますけれども、医療費の自己負担額、これを負担するということ、それから手当てといたしまして、はり、きゅう、マッサージといったようなものに対する手当てとか、はり、きゅう等の施術費といったものも含めてこの治療研究費で見るようなことになっておるわけでございます。原則は、いろいろ手当て的なものが入っておりますけれども、この医療費の自己負担分、例えば国民健康保険といたしますれば、残りの三割分あるいは五割分といったような残りの部分について負担をするというふうになっておりまして、この自己負担の最高額は今一応月額五万四千円というふうなことにいたしておるのでございます。
 それから、県外居住者についての処分の状況でございます。県外居住者につきましては、六十二年度三月の時点で処分をいたしました者が七十六名でございます。申請したのが、先ほど申し上げましたが、全部で九百六十九名申請しておりまして、そのうち認定が七十六、それから棄却をした者が四百五十二、未処分の者が四百四十一名、こういうことになっておるわけでございます。これらの県外患者さんにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、いろいろPRをしている、あるいは三つの国立病院で、それぞれ東京、大阪、名古屋といったようなところで指定機関の指定を受けられるような制度をつくっているというのが今の現状でございます。
#137
○斉藤(節)委員 これはよくわかったわけでありますけれども、これはまた後で、治療研究と医療事業のところでまた議論をさせていただきたいと思っております。
 次に、水俣病の認定基準についてお尋ねしたいと思うわけでございます。
 先ほどの「環境化学入門」という本、「インバイロンメンタル・ケミストリー」、あの本についてまた申し上げたいのでありますけれども、まず水銀というのは、今かなりわかってきたわけでありますけれども、環境における水銀の移動及び食物連鎖の中での濃縮は、水銀が自然の系内でアルキル水銀の形、特にメチル水銀、これはモノメチルです、及びジメチル水銀に変化することによって促進されるのだ、こういうことを述べております。これらの事実は、一九六〇年代にこの反応の存在を検証した研究者たちにとって大きな驚きであり、そして恐怖でもあった。水銀の可溶性無機塩及びフェニル、これはアリル塩といいますけれども、フェニル水銀化合物は毒ではあるが、脳細胞を侵しその機能を永久に傷つけるアルキル化合物ほど危険ではない。つまり水俣病の場合にはアルキル水銀でございます、メチル及びエチル、モノもジもありますけれども、こういった化合物でありますので、こういうアリル化合物、いわゆるフェニル化合物というもの、これはよく種芋の消毒に使ったものでございますけれども、今これはもう使っておりません、禁止されておりますけれども、それから無機塩類、無機水銀類、こういったものはいわゆるここで言っているように脳神経細胞を侵さない。だがしかし、アルキル化合物は非常に危険である。特にモノメチル水銀は生物体内で移動できないので長時間体内にとどまる。そしてモノメチル水銀分子中の水銀はたんぱく質、特に酵素の中で水素―硫黄結合をつくっている硫黄に強く引きつけられる。このように水銀は細胞膜内部に結合し、細胞本来の働きを変化させる。これは砒素とか鉛も同じような働きをするのだというようなことを言っておりますけれども、このアルキル水銀化合物は、炭素分子と強い結合を持つ水銀を含んでいて容易に分解しないので、その活動は数週間から数年間継続するんだ、こういうことを言っているのでありますけれども、環境庁の方、水銀の体内における生物学的半減期はどのぐらいだと思っておられますか。
#138
○目黒政府委員 今先生のお話にありましたメチル水銀の人体への影響につきましては、先生御承知のように喜田村先生の御報告等がございまして、この報告によりますれば、半減期は大体七十日というふうに私ども聞いておりまして、大体その程度であろうかというふうに承知をいたしておるところでございます。
#139
○斉藤(節)委員 そうなんです、私も大体そのくらいじゃないかなとは思っていますけれども、この本によりましても半減期七十日と書いてあるのですが、人によりましてはいろいろ長い半減期を想定している方もいらっしゃいますけれども、仮に七十日といたしますと七十日でもとあった量の半分になるわけです。また七十日でもとあった量の半分というふうに二分の一、二分の一とずっと減っていくわけで、だから半減期というわけですけれども、いずれはなくなるかもしれませんがかなり長い時間残るということは言えると思うわけでございます。しかもそういうような半減期を持っているようなもの、いわゆるどういうふうに病気が変わっていくのかといったようなことはまだわかっていないのじゃないかなと思うわけでございます。
 普通のもの、水俣病像というのは、ハンター・ラッセル症候群、ハンターとラッセルによって得られた症候群を挙げられて、これは激症でございまして、そういうハンター・ラッセル症候群というものが発表されていて、それに合致するかどうかということで判定基準になっていたと思うのです。しかし慢性の場合、いわゆる半減期で体内に入った水銀がどんどんなくなっていくということでございましたら、体には残っていないけれども、しかも分析できないほど少なくなっているかもしれないけれども、しかし最初期神経細胞などを侵した場合にそれは永久に傷ついている。それが最初のうちは体も元気ですし若いしそういう状況で余り症状としてあらわれてこなくても、先ほども質問しておられましたけれども、なぜ一家で同じ飯を食って同じ状況にありながら片方が認定されて片方が認定されないんだという話がありましたけれども、あれはもっともな話だと思うのです。その人の体力によりますし、いろいろ状況が違うわけですから、一人一人の個体が違うわけですから、同じ飯を食ったからといってそういう症状が早くあらわれるか遅いかという時間的なものもありますし、また場合によっては体力、生命力の旺盛な人は、水銀は傷つける前に排せつして髪の毛とかつめから出ていきますから、そういうことで残らないために症状がなかったかもしれません。それはやはり一家でも認定される人とされない人があると思います。しかし、これは一回どこか傷つけられますと、長い間にその症状がどこかで、さっき保健部長が言われましたように合併症みたいになって出てきて、加齢化した、年とったからあれだというので言われますけれども、年とったがために前に傷つけられていたものと後で体力的な問題で起こってきたものと一緒になって病気になるかもしれないわけですから、そういう意味で慢性水俣病的なものについて非常に注意しなければならないのではないかなと私は思うのですけれども、その辺いかがですか。
#140
○目黒政府委員 慢性の微量のメチル水銀によります毒性というふうなことについては、まだ研究者あるいは学者の間でもいろいろな意見がある、あるいはまた確立されたものがないというふうに私ども承知いたしているわけでございます。慢性あるいは遅発性といった水俣病と呼んでいるわけでございますけれども、そういったものの発症ということについては、私どもは現在まだ検証されたものがないというふうに聞いているのでございます。
 また、加齢性の水俣病というものにつきましても、そういうものが果たして出てくるのかどうか、そういう点につきましてもまだそういうふうにはっきり検証されたというふうには聞いてないのでございます。
 いずれにいたしましても、この辺の科学の問題というものにつきましては今後の科学の知見の発達と申しますか、科学の発達というものを待って対応してまいりたいと考えているところでございます。
#141
○斉藤(節)委員 そういうことからそのときそのときの科学的水準によって、また客観的に診察して認定あるいは非認定、却下ですね、そういったことをやっておられるのだと思います。そういうことで医療事業の問題が起こってくるのだと思いますけれども、まず、そういったものに入る前にちょっとお尋ねしたいのでございます。
 ここで四十六年の事務次官通知それから五十二年の部長通知、いわゆるこの通知二つによって認定される患者のあれが随分変わってきていると私は思うわけでございます。資料をいただいたわけでありますけれども、その資料について見ますと、私ちょっとパーセンテージを出してみたのでありますけれども、いわゆる申請者数それから認定者数それから棄却者数、保留者数というのが四十四年から六十一年までのデータがここにございます。これは環境庁さんからいただいたデータでございます。これを私ちょっと四十六年から五十二年まで、それから五十二年から六十一年までというものについて認定者数と棄却者数についてパーセントをとってみたわけです。このパーセンテージをとってみましたら、四十六年は認定者数が九七・四%、棄却者数が二・六%。以後四十七年からずっと言っていきますと、認定者九五・三%、棄却が四・七%、四十八年が認定者八〇・一、棄却が一九・九、四十九年が三五・九%の認定者、棄却が六四・一%、五十年が四五・五%認定、五四・五%棄却、五十一年が三五・一%認定、棄却が六四・九%、五十二年が三六・九%認定で六三・一%棄却。今度、五十三年になりますと認定が二二・一%、棄却が七七・九%、五十四年が一三・二%の認定、八六・八%棄却。五十五年に至っては認定が六・三%で、九三・七%が棄却されている。これはいろいろの事情があると思いますけれども、四十六年から五十二年までは認定者のパーセンテージはかなり高いのですね。しかし、五十三年以後パーセンテージがずっと減ってきて、六十一年に至りましては四・五%の認定に対して九五・五%の棄却。これは高齢化したり何かして水俣病であるかどうかということの認定の判断が非常に困難になってきていること、いろいろな事情が入ってきていると思いますけれども、しかしパーセンテージがこんなにぐっと下がってきているのは、いわゆる四十六年の通知と五十三年の通知の上に判断基準といいましょうか判定基準にかなりの文言上の差が出てきているんじゃないかな、そんなふうに私は思うわけでありますが、この辺はいかがですか。
#142
○目黒政府委員 ただいまの認定率の問題でございますけれども、これは全般的な印象ということでございますけれども、これはもう関係者の方々が御存じのように一番初期、これはいわゆる激症型といったものを中心とした非常に重い方が多かった、それから現在では、これも比較の問題でございますけれどもどちらかというと軽症の方が多い、こういう事実が一つあることは事実でございます。それから、やはり御指摘の時点には、四十三年に排出規制が行われているということでございますから、そんなことも含めまして、中毒でございますので、こういうものも一つ作用になっているのではなかろうか、また申請件数も非常にふえてきているといった事情等々がございます。
 また、四十六年と五十二年の通知の間に差があるんじゃないかといったようなことを先生お話してございましたけれども、まあこの辺につきましては私どもは五十二年の七月に判断条件について環境保健部長通知と五十三年七月に環境事務次官通知が出してあるわけでございますけれども、この二つの通知についていろいろ御意見があったわけでございますけれども、この水俣病の判断を適切に行うということ、そして水俣病の認定業務を促進するというために、四十六年の環境事務次官通知以後いろいろな機会にいろいろな形でこの水俣病の範囲といったものについての基本的な考え方をいろいろな時点で明らかにしておるものでございます。また、この医学的知見ももちろん進んできておりまして、そういったものを踏まえまして再確認をするという目的を持ちまして統合整理したものが五十二年の環境保健部長通知あるいは五十三年の事務次官通知といったことでございまして、私どもこの二つの通知の間には何ら差はないと考えているものでございます。むしろこの四十六年の通知で出していたものについてはっきり整理統合した、それで再確認をしたと考えているものでございます。
#143
○斉藤(節)委員 私が述べた数字には有意な差はないということでございますけれども、ここに「水俣病第三次訴訟判決」という本があります。判決文だけじゃなくていろいろなコメントも入っているわけでございますけれども、これは既にごらんになっていらっしゃると思います。ここにこの判断基準の変化について述べているわけですね。「右判断条件、新次官通知が昭和四六年事務次官通知を変更したことは明らかである。」私も読んでみて、なるほどそうだと思っています。「第一に昭和四六年事務次官通知では、知覚障害等の症状のいずれかの症状があればよいとしていたものを、複数の症状の組合せを要求し、第二に有機水銀の影響を否定し得ない場合も水俣病の範囲に含むとしていたのを、「個々の事情について曝露状況などを慎重に検討のうえ判断すべきもの」と後退し、さらに「蓋然性が高い」ことを要求し、第三に四六年事務次官通知が指摘した疫学的資料を軽視し、「高度の学識と豊富な経験」にもとづく「医学的」な判断を強調した。」と書いてあるわけでありますけれども、私もこの二つの資料をいただきまして読んでみましたら、そういう感じは否定し得ないわけでありますけれども、その辺いかがでありますか。
#144
○目黒政府委員 先ほど御指摘の点でございますけれども、いろいろな御意見があることは私ども承知いたしておりますが、この五十二年七月あるいは五十三年七月のそれぞれの環境保健部長通知及び事務次官通知につきましては、これは四十六年の通知を再確認するという目的でもって統合整理したというふうに私ども判断いたしておりまして、こういうものでございますので、私ども、二つの間に差はないと考えているところでございます。
 また、そのよって立ちます判断基準につきましては、その後、先生御承知のとおり六十年十月に開催された水俣病の判断条件に関する専門家の会議におきましても、一応現行の判断条件は妥当である、そのほかいろいろ細かな症状等についての御報告がありましたけれども大まかそういうふうな御報告があり、そういう意見に従いまして、私ども現行の判断基準をそのまま行ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。いずれにいたしましても、先生御指摘の二つの通知につきましては差はないというふうに私ども考えておるのでございます。
#145
○斉藤(節)委員 いずれにしましても私は保健部長のおっしゃることはちょっと納得し得ないわけでございます。やはり判断基準は四十六年よりもこの五十二年及び五十三年の通知の方が厳しくなってきているということは否定できないと私は思うわけでございます。そういう意味で、先ほど挙げましたパーセンテージ、有意な差はないということでございますけれども、しかし差が出てきているのではないかな、私はそんなふうに思うわけでございます。
 そこで、時間がだんだんなくなってきまして、本当はたくさん申し上げなければならないことがありますのでちょっと質問をはしょりまして、申しわけございませんけれども特別医療事業について移らせていただきます。
 この事業内容ですが、先ほどもちょっと申し上げましたように、いわゆるマッサージ、はり、きゅうといったものを受けるときには治療医の判断によって行われる。ふだんは許されてないということでございます。これは午前中も議論になっていたようでありますけれども、いわゆる棄却された人に対してこういうようなことを行っているということは、考えようによっては、水俣に住んでいたといったようなこともある、しかも捨てがたい症状もあるといったようなことから、棄却はされているけれども、つまり水俣病患者ではないとしておきながら、なおかつ治療費は負担しましょうということだと思うのです。
 そこで、私考えますに、治療研究事業の方と、それから六十一年にせっかく特別医療事業が開始されたわけでありますけれども、患者を全然水俣病患者と認めないというように棄却してしまうことは、これは医学的に、そのときの科学的水準によって判断されたのでありましょうけれども、そういうことから考えますと、やはりある程度疑わしいことがあるわけですから、これをいっそのことやめてしまう、全部保留にしてしまう、棄却しないで患者を全部保留。そうするとマッサージも鍼灸もいいしというようなことになりますし、それから通院費も出してあげられるというようなことになって、やはり疑わしいからそういう特別医療事業なんという、わけのわからないと言ったら大変失礼でありますけれども、そういうような、いわゆる棄却をしておきながら、あなたはまだ研究の余地ありというようなことですから、これはあいまいな事業だと私は思うのですね。そういう点でいっそのことやめてしまって治療研究事業一本にしまして、棄却者はすべて保留者というように直してしまって患者の面倒を見てはどうか。患者というか疑わしい人ですね。その辺いかがでございますか。これは初めての新しい提案だと思うのでございます。
#146
○目黒政府委員 特別医療事業、これは棄却者に対しまして行うものでございますが、これは先ほども申し上げましたように、棄却はされたけれどもまだほかの要因がある、その原因を解明しなければいけないという趣旨でやっているのでございます。それから、先生がもう一つお話しになりましたのは治療研究事業。これは先ほど御説明申し上げましたとおり四十九年からスタートしているものでございますけれども、この二つはそれぞれ目的が違うということでございまして、治療研究事業、前からやっておりますものはあくまでも申請をする途中でまだ判断がつかないということでございます。申請をしまして処分するまでの間非常に長期間かかっているわけでございますが、その長期間かかっております間に病状の変化というものを研究していこう、こういう趣旨から出しているのが治療研究事業なのでございます。したがいまして、認定という処分は、患者さんあるいは申請者の方々にしてみれば申請した後何年も処分が行われないということについては――公正かつ適正に行うという認定業務の立場からいたしますと、できる限り早く処分は行うというのが一つのやらなければならないことでなかろうか、こういうふうに私は思っているのでございます。したがいまして、すべてを保留にする、つまり処分を延期するあるいは長引かせるということにつきましては私ども考えておらないのでございます。
 また、治療研究事業については、いろいろ治療研究事業の性格あるいは目的からいって、先ほど来先生のお話しになりましたような内容の特別医療事業とは違った内容の診療内容がございますけれども、それはやはり種類が違う、それぞれの趣旨、目的の範囲内で必要な事業を行うということで私ども考えておるのでございます。また、いずれにいたしましても、この特別医療事業につきましても、この事業を実施してまだ一年しかたっていないということ等含めまして、今後の事業の実績の推移とかあるいは県等の意向も聞きながら慎重に対応してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#147
○斉藤(節)委員 おっしゃることはわからぬでもないわけでありますけれども、しかも特別医療事業は昨年六十一年からでございますからまだ実績がはっきりしていない、そういう点もわかるわけであります。しかし、いずれにしましても処分として却下した。あなたは水俣病ではありませんよと言っておいてなおかつ治療費を支給するというのは、ほかの病気の人、例えば水俣病以外の一般の病気の人も変だなと思うのじゃないかなと思うのですね。では我々みんなくれよなんということになってしまっては困るのではないかと思うのでございます。だから私は、処分は処分、処分しなければならない、保留というのは中途半端でやはり問題だと思いますけれども、一応水俣市あるいはその近辺、そういうところで四十六年以前に住んでいたというのですか、そういう方々はそこでは何らかのこういう汚染された魚とかそういったものを食べているのではないかと思うわけですね。
 そういうことで、先ほども申し上げましてくどいようでありますけれども、メチル水銀あるいはエチル水銀が体内に入ってきたことは事実ではないかと思うわけです。そういう意味で脳神経細胞のどこかが傷つけられているという疑いはやはり持たれるわけでありますから、そういうような水俣におったという人でありますから、棄却したけれどもまだ不安であるということなんでしょうから、この際、治療研究事業ですか、その方と同じ扱いをしてあげた方が私はいいのじゃないかなと思うわけでございます。何かマッサージ、鍼灸は指定されなければだめだとか、あるいは通院費はだめだといったようなことで大分差別があるわけでありますから、この際同等の扱い、これは特別医療事業という名目でも結構でありますけれども、同じような扱いをしてあげた方がすっきりするのではないかなと思うわけでございます。
 そういう点で、もう時間がなくなりましたからこれでやめなければならぬわけでありますけれども、来年度予算において特別医療事業、昨年からですからまだ実績ははっきりわからぬわけでありますけれども、幾らかでも増額してもっと優遇するようなことができるかできないか。その辺について前向きの御答弁をお願いしたいと思うのでございますけれども、いかがでございますか。
#148
○目黒政府委員 特別医療事業につきましては、昭和六十一年の六月以降、千二百六十名ほどが棄却されておりまして、そのうち対象要件該当者が八百四十四名、それでそのうち適用を申請して対象になった方が約五四・九%ということで、四百六十二名の方が対象になっているのでございます。こういうような状況の中でございますが、いずれにしてもこの事業の実績の推移をもう少し見てみたいということ、それからまた熊本県等の意向も聞きながら、この点については私ども慎重に対応してまいりたい、このように考えているのでございます。
 この特別医療事業につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、水俣病ではないが、しかしながら何らかの原因があるという方々にその原因を解明する目的で出しているという性格上から申しましても、だからといって治療事業と一緒というわけにはなかなかまいらないわけでございます。いずれにいたしましても、今後この内容あるいはこの経過等を見ながら慎重に対応してまいりたいと考えているところでございます。
#149
○斉藤(節)委員 では、最後でありますけれども長官に御決意をお聞きしたいのであります。
 この水俣も三十何年もたっていまだにこういうような状況にあるということは私は大変残念だなと思うのでございます。できたら早く全面解決――この第三次訴訟も判決はああいう状況になりましたけれども、国としてはまた上告しているというような状況でございまして、私は大変遺憾だと思うのでございます。それは国の事情もあると思いますが、この辺で全面解決に向けて長官としてはどのようにお答えになっておられるのか、その辺の御決意のほどをお聞かせ願いたいと思うわけであります。
#150
○稲村国務大臣 先生の大変見識のある水俣病に関しての御高見を拝聴しておりまして本当に敬意を表します。
 この水俣病につきましては、本当に長い間いろいろと政府あるいは県が取り組んでおりながらいまだ解決に至っていないことはまことに遺憾でございます。先生の御意見のように水俣病問題は何とか解決しなければならない。しかしこの事態、複雑な経緯もありますし、患者の救済、ヘドロ処理、地域振興、裁判等多くの問題も含んでおりますが、私どもは関係する県や省庁等ともよく協議をいたしましてこの問題の解決に努力したい、こう思います。
#151
○斉藤(節)委員 よろしくお願いいたします。
 以上で終わります。どうもありがとうございました。
#152
○山崎(平)委員長代理 春田重昭君。
#153
○春田委員 それでは、最初に長官の方にお伺いしたいと思います。
 先ほどの同僚議員の質問でも、水俣病というのは公害病の最たるものである、世界的に本当に名の知られた公害病である、こういう形で指摘があったわけでございます。日本はおろか世界的に水俣病ということは知られているわけでございますけれども、そこで、水俣病の発生が公式に確認されたのはいつなのか長官自身御存じなのかどうか、お伺いしたいと思うのです。
#154
○稲村国務大臣 今からおよそ三十年前、正確には昭和三十一年と記憶しております。
#155
○春田委員 三十一年五月と私は聞いておるわけでございまして、水俣病が発生してからちょうど三十一年になるわけですね。しかし水俣病の問題は解決されていない。その陰で患者の皆さん方は日々大変な生活を強いられている、こういうことでございます。
 三十一年たったということで、ある新聞の報道等には、水俣病というのはそういった裁判の判決が出たときには脚光を浴びるけれども、それ以外は風化されつつあるのではなかろうか、こういったことも書いてあるわけでございますけれども、風化されつつある水俣病という表現を大臣はどうとらえておられますか、お聞きしたいと思うのです。
#156
○稲村国務大臣 水俣病はこの間の裁判でああした結果が出されました。水俣病自体、公害の原点であると先ほど来私も諸先生の質問に答えておるとおりでございますが、申すまでもなく大変気の毒な病気でありまして、こうした公害が再び起こらないよう、また起こしてはならない、万全を期さねばならないと私自身も考えております。そういう認識でおります。
#157
○春田委員 たとえ年月が何十年たとうが、水俣病の問題については環境庁が存在する限り決して忘れてはならないし、その抜本的な救済に向かって努力すべきであろう、こう私は思っておるわけであります。
 そこで、ことしの三月三十日でございますか、第三次訴訟の判決が熊本地裁で出されたわけでございますけれども、環境庁としての御意見を承りたいと思うのです。
#158
○目黒政府委員 この三月の判決以後、私ども控訴したわけでございます。これは国の主張等とも、お互いの主張が相反するといったようなところでございましたが、いずれにいたしましても、裁判のことはさておきましてその後水俣病の認定を促進するということが何よりも大事なことではなかろうかということでございますので、医学を基礎といたしまして救済すべき者は救済するという私ども従来から考えておりますことに従いまして、認定業務促進のために努力をしておるところでございます。
#159
○春田委員 救済すべきところは救済していくということでございますが、現実には救済されてないわけでございますので、抜本的なそういった救済を考えていただきたい、このように私は主張しておきたいと思うのです。
 ところで、今回の臨時措置法につきましては福島先生がお出しになったわけでございますけれども、先生手持ちぶさたみたいでございますから質問させていただきます。
 今回の三月三十日の第三次訴訟におきましては、原告側の全面勝訴となったわけでございます。この判決を受けて今回の臨時措置法の延長にはこれがどう生かされているのかどうか、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
#160
○福島議員 三次訴訟の判決がどう生かされておるかということでございますか。
#161
○春田委員 判決をもって今回の臨時措置法にどう生かされているかということです。
#162
○福島議員 大変突然の御質問で、どういうふうにお答えしたらいいかにわかに判断いたしかねますが、三次訴訟の判決につきましては、私は率直に言っていろいろな立場で問題点が大変多いのではないかと思っております。それは、先ほど来判断条件等の問題についていろいろと質疑が行われておりましたけれども、環境庁として医学的な専門家の手によってのきちっとした判断条件をおつくりになっておいでになりまして、かつ水俣病であるかどうかの判断は神経性疾患であるということのほかに幾つかの組み合わせを必要とするという形で従来とも行政判断はいたしてきたわけでありまして、これに対して三次訴訟は、神経性疾患だけでも一つの症状によって水俣病であるという、いわば司法における判断を示されたというところに非常に象徴的な差があるわけであります。私は医学の専門家でありませんのでどちらが正しいかということを私の判断において言うわけにまいりませんが、今までの環境庁が医学の専門家を集めて衆知を集めて判断をされたことによってこの問題は考えていくべきだと思っておりますし、そういう意味では、今回の判決というのは、率直に申し上げますと裁判官はいつの間にお医者さんの経験を積まれたのかな、こんな感じがいたしております。
 ところで、この議員立法の問題でございますが、これは三次訴訟の結果によって直接的に左右されたものではございません。八年前、むしろ立法の過程は九年前になりますが、この五年間を三年間延長しましてこの九月三十日に期限が切れるという、その期限を前提といたしまして、なおかつたくさんの未処分者がまだ残っておるという状態の中で、実績は大変残念なことにまだわずか百九人ということではございますけれども、今後ともこの臨時措置法、国の認定審査会をつくることによって少しでも未処分者の処分が円滑に進むように寄与するようにという趣旨で提案をいたした次第でございまして、直接的に三次訴訟の判決によってこの議員立法の内容等について格別の変更を考えたということではございません。
#163
○春田委員 なぜそんな質問をするかといえば、せっかくつくった臨時措置法が本当に目的、趣旨に沿った機能を発揮しているかどうかといったら、これから質問いたしますけれども、私は、決してこの臨時措置法が生かされた法案ではないと思っているわけでございますので、そういった質問をしたわけでございます。
 先ほどの三次訴訟の問題でございますが、確かに判断状況は科学的知見のもとで患者を認定するか棄却するかになっているわけでございますが、裁判では、それだけでは判断条件は非常に狭さに失している、厳し過ぎる、その上で行政的な温かい救済が必要ではないかという形の裁判の判決ではなかろうか、私はこう思っているわけですよ。そういった行政的な配慮というのが今後の患者の認定業務を促進する上で非常に大事であるからそういった判決が出されたのではなかろうか。その意味で私は、今回臨時措置法がちょうど改正されるわけでございますから、それは入れるべきではなかろうかど思ってこう質問しているわけでございます。
 例えば過去、六十年の八月、福岡高裁、また六十一年の三月、熊本地裁における判決が出ているわけでございますが、そういった判決を受けまして、環境庁は、特別医療事業や治療研究事業等新しい事業等を、中身は若干問題がございますけれども、一歩前進の行政上の配慮をしているわけでございます。そういった意味で、私は、今回臨時措置法がちょうど改正されるときでございますから、この判決を受けてそういったさらに抜本的な改正が必要ではなかろうか、こういった意味で質問したわけでございまして、どうかその点を御理解をいただきたい、こう思っているわけでございます。
 そこで、水俣病患者の申請数及び処分状況についてでございますが、まずこれを数字をもってちょっとお示しをいただきたいと思っているわけでございます。
#164
○目黒政府委員 大まかな数字について申し上げておりますが、少し細かく御説明申し上げます。
 まず、申請総件数でございますが、三県合わせまして一万六千九百十九件の申請者でございます。その内訳は、熊本県が一万一千七百四十六、鹿児島県が三千百七十一、新潟県が二千二ということでございます。そのうち、総計で一万六千九百のうち約四千四百一件の再申請の方を含んでおります。各県別に申し上げますれば、熊本県が一万一千のうち三千人余り。鹿児島県が三千百七十一の中に千百四十六件。新潟県、市含めまして二千二件のうち二百五十四人の再申請者を含んだのが申請の総件数でございます。
 次に、処分の件数でございます。
 処分の件数は総計一万一千三百七十四件でございます。そのうち再審請のものが千八百二十四件あるのでございます。それぞれの県別に申し上げますと、熊本県が処分をいたしましたものが七千五十八件、鹿児島県が二千三百二十八件、新潟県及び市が千九百八十八件ということでございます。この一万一千余の処分いたしましたうち認定をされましたものが総数で二千八百四十八件でございます。県別の内訳から申しますと、熊本県が千七百三十二件、鹿児島県が四百二十六件、新潟県、市が六百九十件、総計は二千八百四十八件というのが認定をされたものでございます。棄却されたものは総計八千五百二十六件でございますが、この内訳は熊本県が五千三百二十六件、鹿児島県が千九百二件、新潟県、市が千二百九十八件、こういう状況でございます。
 先般来いろいろ御議論いただいております未処分の件数でございますが、これが五千五百四十五件あるわけでございまして、その内訳は、熊本県が四千六百八十八件、鹿児島県が八百四十三件、そして新潟県、市が十四、こういうふうな状況でございます。この五千五百四十五のうち保留をしておるものがあるわけでございますが、その保留が千二十八件あるわけであります。そのうち熊本県で保留をしておるものが八百六十一件、鹿児島県が百六十六件、新潟県が一ということでございます。いまだ未審査のものが四千五百十七件ということで、熊本県において未審査が三千八百二十七、鹿児島県が六百七十七、新潟県、市が十三件といったようなことで、少し細かくはなってしまいましたが、これが数字の今の認定状況でございます。
#165
○春田委員 細かい数字を御説明いただいたわけでございますが、認定患者は申請者のうちわずか二割にも満たないわけですね。したがって、申請の段階でも、それぞれ地元の医療機関によって診断を受けるわけです。それで申請するわけですね。それがかなり、一万六千人ですか、おいでになるのに、実際認定されるのが二割にも満たないということは、いわゆる検診での診断に大きな違いがあるのではないか、こう思わざるを得ないわけですね。
 時間もございませんので先に進みますけれども、いずれにいたしましても、同僚議員からも質問が出ておりましたけれども、この判断条件が非常に厳しい。先ほど言ったように昭和六十年の福岡高裁、昭和六十一年の熊本地裁、またことし三月三十一日の熊本地裁の判決でも、判断条件は非常に狭きに失していると指摘しているわけでございまして、この判断条件を見直さない限り、私は、この水俣病の認定業務は促進されない。申請、棄却、そして再申請といった繰り返しであって、何ら認定業務の促進につながらない、こう言わざるを得ないわけでございます。こういった点で、先ほどから言っているように医学的知見、科学的知見はそれとして、そういった行政面の配慮、行政で血も涙もあるような配慮が私は必要ではなかろうか、こう思うわけでございますけれども、どうでしょうか。
#166
○目黒政府委員 先生御指摘のように、この判断条件についてでございますが、それぞれの判決の中で水俣病の判断条件については厳格に失する、これが六十年八月十六日の福岡高裁、通称熊本二次訴訟と言われておるものでございます。あるいは狭さに失する、これが六十一年三月二十七日の熊本地裁、六十二年の三月三十日熊本地裁といったようなものでございますが、私どもの方の主張が理解されてないという面もあって、大変残念なのでございます。
 しかしながら、この判決をよく病像について見てみますと、いわゆる熊本二次訴訟というものにおきましては、判断基準等々のもとになっております病像でございますが、二次訴訟では神経系の疾患である、全身性の疾患ではないというふうになっておるのでございますが、熊本の三次訴訟では神経系障害には限らない、全身性の疾患だ、こういうふうになっておるのでございます。また、それに対して私ども国、県の主張は、神経系の疾患である、こういうふうな主張をいたしておりまして、同じ裁判の中でも幾つかの差があるということも事実でございます。また、この診断につきましても、疫学的な条件とかその判断の判断条件につきましても一概にすべて同じような形では出てこないのでございます。と申しますのは、当然もとになっております考え方が違っておりますので、それぞれ微妙な差があることも事実でございます。いずれにいたしましても、私どもはいろいろな病像、兆候を極み合わせましたものを基本にいたしました総合的な判断が必要であるということは依然として主張をいたしてきておるのでございます。
 また、お答えがダブって恐縮でございますけれども、やはり私どもはこれらの裁判の判決を踏まえまして、六十年の十月に専門家会議を開きまして、この席で水俣病の病像について専門家の御意見を賜っておるわけでございます。いろいろこの病像等で御議論いただいたことにつきましても、それぞれ御報告、御意見をいただいているわけでございますが、大まか締めくくりますと、現行の判断条件についてはそのままでよろしい、妥当であるという御意見をいただいているのも事実でございます。私どもこのようなことを踏まえまして、環境庁といたしましては、水俣病患者の救済はあくまで医学を基礎として行われるべきである、救済すべき人については速やかに救済していくという基本的な考え方にのっとりまして現行の判断基準を続けてまいりたい、私どもこのように考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、この未処分五千人という、表現はいかがかと思いますが中途半端といいますか、処分をするまでに非常に時間がかかるという事態だけは、とにかく認定を促進するということによって努力をしなければいけないと私ども思っておるところでございます。
#167
○春田委員 確かにお医者さんの集まりでございます専門家会議では判断条件は的確である、こう出ているわけでございますけれども、しかし先ほど来言っているように、それはそれとして、裁判では出ているのだからやはり行政面、政治面のそういった温かい、いわゆる患者救済のための諸施策が大事ではないか、こう言っておるわけですよ。科学的、疫学的知見は当然ですよ。それとともに、いわゆる政治面のプラスアルファというのがこの水俣病の抜本的解決策の今後の大きなファクターを示しているのではなかろうかと私は思っているから言っているわけです。
 ところで時間がございませんので、福島先生、この臨時措置法が出されたのは昭和五十四年二月ですね。目的は、認定業務が遅滞しているからそれを促進するということで進められたわけでございますけれども、今日まで八年間やってきてどうですか、本当に臨時措置法をつくってそれだけの効果があったかどうか。
 その前に、対象者はどれぐらいあって、実際に臨時措置法を利用したといいますか、この国の機関を利用した方は何名ぐらいおるのか、その数字を先に示してください。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
#168
○目黒政府委員 対象者数でございますが、五十四年二月末現在では千四百九名ということでございまして、合計百九名が臨時措置法の施行のときに申請をいたした者でございまして、申請件数が百九件、そのうち処分をいたしました者が……
#169
○春田委員 それはいいです。
 そこで先生、せっかくこういった臨時措置法をつくりながら、対象者が千四百名もおって八年間で百九名しか受けていないのですよ。要するにバイパスをつくった、せっかく臨時措置法をつくりながらこういった数字では意味がないのじゃないでしょうか。
#170
○福島議員 確かに御指摘のようにこの八年間で百九件にとどまっておりまして、当初私どもが期待しておった実績が上げられなかったことは率直に申し上げて残念でございます。しかしながら、認定審査の促進は水俣病の問題にとって最も根底的な課題でございまして、百九人といえどもその処理が進んだことは無視ができないところだと思います。今後は申請者の御理解をいただきながらより多くこのバイパスを利用していただくように、提案者として期待をいたしたいと思います。
 ただ一つ申し添えたいと思いますが、当初、国の審査会をつくったときの背景でありますが、県側に国に対する不満、環境庁に対する不満というものが非常に強くありまして、水俣の問題を専ら県に押しつけておる、国は何も手伝ってくれないではないか、こういう空気が非常に強くありました。極端な議論としては、県議会におきまして、この認定審査業務は国の機関委任事務であるのでその返上を決議するというような事態になりまして、国としても何らか応分のお手伝いをしなければ県の認定審査業務そのものが機能しないおそれがある、そういう状態になってまいりまして、国の機関、国のバイパスをつくることによって県の機関委任返上の動きもとどまった。そういう意味では、県の認定審査会が現在がなり処理を進めておりますのも、一面、国がこうやってバイパスをつくった結果によるんだ、それに負うところも大きいんだと御理解をいただきたいと思います。
#171
○春田委員 ゼロよりも一応百九名申請しているわけですから、それはそれで評価できると思いますけれども、鳴り物入りでつくった臨時措置法にしては対象者が千四百九名おって百九名というのは、一割にも達していないわけですから、本当にこのバイパス法案が機能を発揮していないと私は言わざるを得ないのです。今回の改正で若干対象範囲を、公健法施行後五年以内ということで対象者が千三百五十人ぐらいですか、ふえるみたいでございますけれども、過去八年間で百九名しか受けてないのに今後三年延長しても果たしてどれだけの効果があるかと疑問を持たざるを得ないわけであります。過去のいろいろな経験を踏まえながらいろいろな御努力をされると思いますが、その見通しはどうお考えになっておりますか。
#172
○目黒政府委員 この点については、確かに先生おっしゃいますように臨時措置法の方へ申請がえをしてくることについて、この申請者御本人の意思によるものでございますので確たる見通しを立てることは大変難しいのでございますが、私どもは、いずれにいたしましても臨時措置法の趣旨が対象者の方々に十分理解されまして、この制度が十分活用されるようにということで努力をしてまいりたい、このように思っているのでございます。私ども、先ほどちょっとお答えを申し上げましたけれども、当面、年間百三十人ぐらい対象者として受け入れられるような用意をいたしているということでございます。
#173
○春田委員 理解されていないから、実際、せっかくのバイパス法をつくっても申請者が少ないわけですから、抜本的な改正をやらない限り、今回も三年延長して三年後どれくらいの申請者が出てくるかは三年たってみなければわかりませんけれども、私は疑問を持たざるを得ないわけでございます。
 時間がなくなってまいりましたけれども、最後に、特別医療事業はいわゆる棄却者に対しまして一定の要件があればこの対象になるわけであります。事前のレクの段階で、この対象要件該当者は何名いるのか、現在この事業を受けている人は何名いるのかと聞きましたところ、熊本では六百四十二名のうち三百五十六名が受けている、鹿児島では二百二名のうち百七名ですか、半分の方がこの特別医療事業を実際受けていることになるわけでございますが、これとても、せっかく判決を受けて一歩前進の事業を六十一年六月から施行したわけでございますが、半分ぐらいしか受けていないという点に欠陥があるのではなかろうか、こう思っているわけでございます。
 先ほど同僚議員が質問したように、はり、きゅう、マッサージ等、医者の同意がなくても受けられるような施策も必要であろうし、またリハビリ等の費用も国の方で負担して、特別医療事業の充実をさらに拡大していく、こういったことが必要ではなかろうかと思っておるわけでございます。そういった面で本当に申請者が納得していきやすい、そういった事業にしていただきたい、このようにお願いするわけでございますけれども、そういった点でどうお考えになっておりますか。
#174
○目黒政府委員 この特別医療事業につきましては、今先生のお話がございましたような事業の対象要件に該当するとされた者が事業の適用申請をするかあるいは水俣病認定を再申請するか、二つの道に分かれるわけでございます。どちらをとるかは御本人の自由な考え方によるわけでございますし、あるいはまた御自分の症状に対してどういうふうに考えているかというその考え方にもよるのではなかろうかと思うのでございますが、これまでの状況を見てみますと、ちょっと数字で申しますと、六十一年七月から六十二年三月までパーセントで申しますと、対象要件該当者数と適用者数の比率を申しますと、当初三三%ぐらいのが逐次毎月ふえてまいりまして、三月末五四・九%というふうに上がってきておるのでございます。したがいまして、私は今日までのこの実績を見てみまして、同事業は該当者の方々に受け入れられつつあるのではないかと考えているのでございます。したがいまして、私どもといたしましても、この特別医療事業につきましては今しばらくこの実績等を踏まえまして様子を見守ってまいりたいというのが私どもの考え方でございます。しかしながら、この特別医療事業のやり方等につきましてはいろいろ各方面の御意見もございます。県当局とも相談をしながら十分慎重に対応していかなければならないのじゃないかと思っておりますし、いずれにいたしましても、いい方向へ向かっているのじゃないかと私どもこの事業については考えておるところでございます。
#175
○春田委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにいたしましても、患者団体や弁護団からもこの特別医療事業をさらに拡大してほしいという要望も出ているわけでございますから、そういった方々の意見もよく聞いて、ひとつ本当にそういった特別医療事業が患者の皆さん方にとって非常に救済になるようなそういった内容にしていただきたい、こう思っているわけでございます。
 長官も本当に任期が残り少ないわけでございますけれども、この問題は先ほど言っているとおり、申請者の約二割に満たないわけですね、認定されている人が。そういった面でこの水俣病の抜本的な対策は、やはり行政が、環境庁が、第一に長官が英断を持ってやる以外――三十年たってまだ二割に満たないわけですから、私はそういった形で患者の立場に立って、そういった行政の温かい手を差し向けるべきだろう、こう主張するわけでございまして、長官の最後のコメントをいただきまして質問を終わりたいと思っておるわけでございます。
#176
○稲村国務大臣 春田先生の熱心な御意見を拝聴させていただきまして、十分先生の意見を踏まえて頑張りたいと思います。
#177
○春田委員 終わります。
#178
○林委員長 岩佐恵美君。
#179
○岩佐委員 まず今度の法律案の審議に当たりまして、環境庁長官の基本姿勢について幾つかお伺いをしたいと思います。
 ことしの三月三十日に水俣病第三次訴訟の判決が出されています。この判決を踏まえてこの法律案の審議をしていく必要があると私は思っておりますけれども、この判決に照らして、環境庁のみずからの責任を長官はどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
#180
○稲村国務大臣 先般、水俣病に関して判決をいただいたわけでございますが、水俣病は本当に気の毒な病気である、こうした公害が再び起こらないように私たちは万全を期さねばならないとその判決で改めて感じました。
 ただ、水俣病の発生、拡大に関し国家賠償法に基づく国の責任が認められたことにつきましては、さらに上級審の判断を仰ぐことが適当ではないかと考えた次第でございます。
#181
○岩佐委員 今の長官の御答弁は全く判決の精神を受けとめたものだとは言えないと思います。水俣病の悲劇を生んだ政府自身の責任に対する反省が全く見られないわけです。一九七二年ストックホルムでの人間環境会議に出席された当時の大石環境庁長官は、水俣病に関して次のように発言しておられます。この原因の究明がおくれたことと政府を含める関係者の対策が手ぬるかったために悲劇は増大した、早急に十分な救済の手を差し伸べなかったことに政府は責任を痛感している、こういうふうに明快に述べておられるのです。この率直な反省、これは参加をされた各国代表の共感を呼んでいるわけです。今の長官の発言とはえらく違うと思うのですね。この点について率直な御意見をお伺いしたいと思います。
#182
○稲村国務大臣 ストックホルムの宣言についてはもちろん私も理解できますが、この水俣病に対する行政責任はどうかという先生の問いに対しまして、法律的には国の責任ではないのだ、国に対する損害賠償を求める第三次訴訟は現在福岡高裁で係争中であります。また第二点として、行政としての責任はもちろん感じてはおります。責任は感じておりますが、国民の健康を守れず水俣病が発生したことは遺憾であり、私としては水俣病の認定業務の促進に一生懸命努めねばならないと思っております。
#183
○岩佐委員 判決は、国や県が汚染の最もひどかった時期に被害の拡大を食いとめるための必要な措置をとってこなかったことは行政上なすべきことを怠って住民に被害を与えたということで違法行為である、こういうふうに指摘をしています。具体的には食品衛生法や漁業法等の適用によって汚染された水俣湾内の魚介類の捕獲、販売等の禁止の措置をとるべきであったのにそれをしなかったこと、それから通産省による行政指導やいわゆる水質二法、水質保全法、工場排水規制法の適用によりチッソ水俣工場排水の浄化または排出停止の措置をとるべきであったのにそれをしなかったこと、この二点を挙げているわけです。このように判決は事実に即して行政の責任を厳しく問う中身となっています。水俣病患者の発生、広がりについて行政責任がきちんと問われているわけです。ですから、私はもっと率直にこのことについて長官に反省の態度を表明してもらいたいと思っているわけです。
#184
○稲村国務大臣 先ほど先生にお答えしましたとおり、もちろん行政としての責任は感じております。そういうことで、国民の健康を守れなかった、水俣病が発生したことは遺憾であると私は申したとおりでございます。
#185
○岩佐委員 アメリカの国立衛生院の疫学部長をしていたカーランド博士という方が昭和三十三年、三十五年に水俣現地を訪れています。そして、昭和三十五年に「ワールド・ニューロロジー」、国際神経学会誌という雑誌、これに水俣についてのレコメンデーションズ、勧告を発表しています。その中の第一項で漁獲禁止の法的措置をとること、第五項で水銀ヘドロの除去をすること、第六項で同種工場の水銀使用の削減をすること、また七項目で疫学的調査の必要、こういうことを指摘をしているわけです。これはカーランドのレコメンデーションズ、勧告です。その英文とそれから訳文、手元にあるわけでございますけれども、このことについては当時新聞にも発表をされているわけでございます。昭和三十四年から五年当時、カーランドの勧告を日本政府がちゃんと実施をしていれば水俣病の拡大はなかったのではないかというふうに思うし、少なくとも我が国のアセトアルデヒド工場についての調査をしていれば、第二の水俣、新潟水俣病を防ぐことができたはずだというふうに思っています。カーランドの勧告というのはごく常識的な医学的な見解です。ですから日本政府が率直にこのような意見を受け入れていれば水俣病の深刻な事態を回避をすることができたはずであります。そういう意味で私は、国の責任は非常に重いということを指摘をしたいと思います。この点について、長官いかがでしょうか。
#186
○稲村国務大臣 先ほど答弁申しているとおりでございます。水質保全局長から補足をさせます。
#187
○渡辺(武)政府委員 先生先ほど御指摘ありましたように、今回の判決では国にも水俣病の発生拡大につきまして責任があるという判決が下されました。そして先ほどお話しになりましたように、いろいろな法律、私たち環境庁含めまして四省庁につきましてそれぞれ担当しております個別法の運用につきましての御判断があったわけでございます。ところが、その御判断の中にそれぞれ省庁が考えております、あるいは主張しております事柄と違った判断がそれぞれ示されたわけでございまして、例えば私たち環境庁につきましては、かつて存在いたしました水質保全法に基づく水質の指定をいたしまして水質基準を設定すべきであった、時点といたしましては三十四年当時、このようにおっしゃっておられるわけでございます。ところが、私たちも事実関係をいろいろ勉強させていただいたわけでございますけれども、その三十四年当時におきましてはどうしても水質基準の設定、これはいろいろ条件が整わなければできない仕事でございますが、それは不可能であったわけでございます。そのような点を裁判におきましても主張したにもかかわらず、それが認められなかったというようなこともございまして、各省庁いろいろお話し合いをした結果でございますけれども、控訴になったということでございます。もう一つ環境庁の関係では、原告の方々が水俣病であるか否かにつきましては医学に関する高度な知識と豊富な経験によって判断することが必要であるという主張につきましても、これが認められなかったということ等があったわけでございまして、裁判官の判断は裁判官の判断としてあるわけでございますけれども、私たちといたしましてはそのような御判断につきましては納得いたしかねる点があるということでございます。
#188
○岩佐委員 水質問題等について今説明があるわけですけれども、各省庁ともいろいろできませんでしたというようなみずからの理屈を言っているわけでありますけれども、私は、患者さんにとってそれはもう全く背信行為であるというふうに思います。例えば水俣病の公式発見というのは昭和三十一年五月とされているわけですけれども、翌年三十二年には水俣病が魚介類の摂食が原因であるということが突きとめられていたわけですね。三十二年八月に熊本県が食品衛生法による漁獲禁止の方針を国に示したところ、厚生省はこれにストップをかけたわけです。昭和三十四年十一月に食品衛生調査会が有機水銀説を厚生大臣に答申したけれども、翌日厚生大臣は食品衛生調査会水俣食中毒特別部会を、まだ研究が終わっていないのにそれを解散させてしまう、こういうふうなことがあるわけです。
 これら幾つかの事例を見ても、当時の国の姿勢が水俣病を防止するということを怠ったところか水俣病防止の努力を妨害する、そして水俣病を広げてしまった。だからあれだけの大きな惨事になっているわけでありまして、そういう点では今回の判決の指摘は当然だと思うし、いろいろと理屈を述べられて責任を回避される、これはとんでもないことだと思います。
 今、大臣から行政的な責任は感じておられるというふうなことが言われたわけでありますけれども、既にこの訴訟は判決までに七年を経ているのです。原告患者七十人のうち十人はもう亡くなっておられるのです。残る患者も平均年齢は六十三歳であります。発病以来三十年余りも苦しみに耐えてきた患者さんに生きているうちに救済、そういうことを本当にやることが今の国に課せられた義務だというふうに私は思います。まだこの先七年も八年も裁判を続けて苦しみをもっともっと増幅させる、これはとんでもないことだと思います。
 今、水質保全局長からるる、何かできなかったことの説明がありましたけれども、こういう水俣病について率直な反省がないということ、これが全面解決をおくらせていることだと思うのです。私は、長官が先ほどの行政責任を感じておられると言うのであれば、国は控訴を直ちに取り下げて、原告については判決どおりの賠償金を払って救済をすべきだと思います。そして、他の放置をされている数千人の患者さんについては判決の線に沿って救済をすべきだと思います。本当にどんな思いで患者さんが救済の手が差し伸べられることを待ちわびているかということをぜひ長官は知っていただきたいというふうに思います。
#189
○稲村国務大臣 先ほど来と重なる部分もございますが、行政責任を感じているということを繰り返して申し上げましたと同時に、裁判の取り下げということでございますが、環境庁が窓口というようなことで、関連の農水省や厚生省、そういう省庁と十分意見を交換した上で、本件はやはり訴訟問題であるので上級審の判断を仰ぐことが適当である、こう考えて協議の上、上級審での審理の結果を待つことしたわけでございます。国としては、これまで公害健康被害補償法に基づいて医学を基礎として救済すべき人は救済するのだと幾度も申しているとおり、水俣病の救済に努めておるところでございまして、いろいろ十分でないところもございますが、今後とも国、県一体となって現行制度の着実な運用に努めてまいりたいと考えております。
#190
○岩佐委員 七年も訴訟の中で苦しめられて、そしてまたようやく勝訴判決が出たにもかかわらず賠償金は一円も支払われない、そして今なお苦しんでいる患者さんたちは本当にあしたどうやって生きていこうか、そういう状況に置かれている。そういうことについて、私はもっともっと長官に胸の痛みを感じてほしいというふうに率直に思うのですね。そこのところをきちっと押さえていただかないと、今後の公害対策、そういう点でまた同じ過ちを犯すのではないかということを非常に私は心配するわけです。
 実は、水俣協立病院の藤野医師の調査によれば、不知火海のある島で昭和四十六年と五十二年から五十三年、つまり六、七年の間を置いて同じ住民三百四人に対して水俣病検診を実施したところ、手足の感覚障害など水俣病の症状がこの間に激増しているわけです。
 さらにチッソ水俣工場が水銀を排出しなくなってから、水俣に引っ越してきて魚介類を多食して水俣病の症状を示すようになった例、これも七例報告されているわけであります。
 去る七月四、五日の二日間、大阪で民医連と水俣病弁護団によって熊本、鹿児島県以外の患者を掘り起こし、救済するための検診が行われました。受診者が八十二名おられたわけですが、そのうちの六五%、つまり五十三名が水俣病と診断されました。疑いのある人が九名という結果でありました。新患者は中学校、高校卒の方々で関西へ集団就職した方が多くて、苦痛に耐えてきた患者も多かったということであります。大阪府在住の四十六歳のある会社員は、家が貧しかったため、中学まで毎日のように魚釣りをして水銀汚染された魚をおかずにし、両親は発病して死亡した、兄も認定患者になった、しかし水俣病とわかれば会社を首になると思い、二人の子供にも症状をできる限り隠してきたということなどが切々と訴えられた。そういう記事が七月六日付の毎日新聞や京都新聞で報道されているわけです。
 私は、具体的に、熊本、鹿児島での住民健康調査はもとより県外の関係者の健康調査を積極的に行うべきであると思いますけれども、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
#191
○目黒政府委員 調査のことについてのお尋ねでございますが、先生御承知のように水俣病にかかったというふうに考えている方々はだれでも申請をすることができるという現行のシステムになっているのでございます。したがいまして、私どもは、まずこの現行の制度、申請、認定という制度を着実に運用していきたいということをまず第一に考えているところでございます。
 また、県外の申請者の方々につきましても、私ども、東京では国立病院医療センター、名古屋では国立名古屋病院、大阪では国立大阪病院の三カ所で県外の検診機関を設置いたしておりまして、県外の方々のために制度を着実に運用できるようにしているのでございます。
 また、県外へ移転した方々の実態でございますが、水俣市等におられました方々が県外へ移転したということを確実に把握するということについてはなかなか難しいのでございます。水俣病の認定制度におきまして、申請した方々で県外におられるということについては私どもよく把握をいたしておるわけでございますけれども、水俣病にかかったと思われる方はいつでも申請できるという今の制度を活用していただくことが県外の方々にとっての一つの方法ではなかろうかというふうに考えているのでございます。
 いずれにいたしましても、私ども、県外の方々については機会をとらえてPRをいたしまして今の制度を着実に運用してまいりたいということでございまして、特に現在の時点で調査等というものについては考えておらないということでございます。
#192
○岩佐委員 先ほどから認定制度について議論があります。私も後で議論をしたいと思いますけれども、要するに患者切り捨ての認定制度。現地熊本や鹿児島でも認定しないという実態にある中で県外なんかもとよりという感じなわけですね。こういう姿勢だから現在の患者さんたちは救われない、健康調査なんかおぼつかないというのが実態なのではないですか。もっと本当に患者さんの立場に立って、いろいろな医師団やいろいろな地域の方々の協力を得て健康調査を大きく行っていく必要があるということを私は再度主張をしておきたいと思います。
 それからもう一つ、熊本県は毎年魚介類の水銀値を調査しています。私の手元には熊本県の五十八年から六十年の三カ年のデータがありますけれども、これは工事水域のデータですが、例えばメバルは総水銀最大値が〇・四一ppm、カサゴは一・五四ppm、スズキは一ppm、クロダイは二・四四ppm、ササノハベラ〇・七七ppm、イシモチは一・五六ppm。そういうふうに総水銀の規制値〇・四ppmをかなり上回っているデータがあります。また、去年の十一月、私たち熊本に調査に行きました。そのとき直接県の公害部から、ちょうど間近な昭和六十一年の七、八月のデータをいただきました。そのときのデータでは、最大値がスズキで総水銀〇・六四ppm、それからクロダイが二・七一ppm、カサゴが一・一七ppmと相当高い数値の汚染であるというふうに伺ってかなりショックを受けました。
 水俣湾内の魚は漁獲しないというふうになっていますけれども、これは漁協が自主規制をしているだけで法的規制はない。当時伺ったときにも、魚は湾内だけではなくてあちこち泳ぎ回るし、それから湾内で釣りをしていらっしゃる方も結構いらっしゃるということが言われましたし、また規制値を超えたお魚が市販されていて大問題になったこともあるということでございます。しかも、総水銀〇・四ppmというのは、私もこの規制値が決められたころちょうど消費者問題に取り組んでいたときでありますが、これはもう全国の消費者、オールジャパンを対象にして決められた規制値であります。魚を多食する人、特に既に水銀の汚染魚を食べてきた人などは、これは全然頭にないわけですね。ですから、こういう人たちに対してはなおさら別の対応が必要だと思います。環境庁として他省庁とも連絡をとって汚染魚対策をとるべきだと思いますけれども、この点についてお考えをいただきたいと思います。これはできれば大臣答弁でいただきたいと思います。
#193
○渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。
 先生今御指摘のように、水俣湾の締め切っておる中の水域におきましては魚の基準値〇・四ppmを超える汚染魚がいることは事実でございます。そのようなこともありまして、これも先刻御承知だと思いますが、水俣湾につきましては水俣市の漁協が漁獲の自主規制というのを四十八年から現在までずっと行っておるわけでございまして、漁業者はそれを守っているわけでございます。
 ところが、この自主規制はそういう意味で漁業者の自主規制でございますので、それ以外の一般の方々におきましてはそれが徹底いたしませんものですから、そのような漁業者以外の方々につきましても魚介類をそこではとらないようにということで、県なり市が中心になりましてパトロール船で監視をしたり看板を出したり等々いろいろな方法をもちまして、魚をそこでとらないということの周知徹底方の措置をとっておると聞いておるわけでございます。しかしながら、たまにそれを聞かないで中に入って釣りをしておる方がいらっしゃるということも新聞等の情報を中心に私たちも存じ上げておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今先生も御指摘になりましたが、今後熊本県がより一層周知徹底の措置が必要な場合には必要に応じて講ずるということになりますように、所管庁でございます水産庁とも私たちよく相談してまいりたいと存じておる次第でございます。
#194
○岩佐委員 今度の判決でもう一つ重要なことは、原告患者のすべてが水俣病だと認められたということです。七十名の原告患者の行政認定審査によります認定、棄却の内訳はどうなっているか、ちょっと教えてください。
#195
○目黒政府委員 六十一年十二月一日現在の数字でございますが、総計七十名のうち未処分者三十五名、棄却者が三十名、認定者が五名、こういう数字でございます。
#196
○岩佐委員 認定されていたのが五名だけだったということですね。つまり、あとはみんな国や県が認めてこなかった患者さんです。これが裁判では水俣病だということで認められた。このことは、今の県や国の行っている認定審査制度に大きな問題があることを示しているというふうに思います。
 そこで、法案提案者にお伺いをしたいと思うのですが、以上のように、今回の判決によって水俣病を拡大させた国や県の責任、患者救済をおくらせてきた国の責任が明らかにされたという新しい段階ですね。そういう段階に立って患者の救済を本当に真剣に考えるならば、これまでの認定制度についての法律を単純に延長する、そういうことだけでは間に合わないのじゃないかと思いますけれども、基本姿勢についてお伺いしたいと思います。
#197
○福島議員 認定措置法は、今委員御指摘のような形においてこの判断をどうするか、そういういわば非常に高尚な次元の話ではございませんで、むしろ器をどうするかというだけの話でございます。国の認定審査会は県の認定審査会ともどもに認定審査を進める上に当たっての器をつくっておるだけでございまして、そこの中で未処分者をどうするか、判断基準に基づいて認定をするか、あるいは棄却をするか、あるいは留保にするか、これは全く別の次元の話だと思っております。
#198
○岩佐委員 認定制度について少し質問を深めたいと思います。六十一年度末までの延べ申請者数、うち認定、棄却、保留、未審査の内訳、過去三年間の合計がどうなっているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#199
○目黒政府委員 過去全体では申請件数約一万七千件、認定件数が二千八百四十八、棄却件数八千五百二十六、保留件数七千百五十五ということでございますが、御指摘の五十九年から六十一年度までの三カ年間につきましては申請件数が二千六百三十、認定件数が百八十三、棄却件数が二千五百五十、保留件数が九百四十二、こういう数字になっておるのでございます。
#200
○岩佐委員 申請しても認定されない人が非常にふえているわけですね。特にこの三年で二千六百三十人も申請して認定は百八十三人、一割にも満たないわけです。棄却が二千五百五十人とふえている。非常に認定が厳しくなってきているというふうに思いますが、なぜこんなに厳しくなっているのでしょうか。
#201
○目黒政府委員 この件につきましてはいろいろな要素が考えられようかと思いますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、水俣の始まった当初はやはり非常に劇症の方が多かったということと、それから、三十年たってどちらかといえば、比較すれば軽症の方が多いというような病状の変化というものも当然ございます。あるいは申請件数の変化といったものもあるかと思います。そのようなものを含めていろいろな要因があってこのような状況になっているのではなかろうかと考えておるのでございます。
#202
○岩佐委員 先ほど同僚委員からこの点について議論があったわけでありますけれども、この一つの原因について私たちは、先ほど同僚委員が指摘をされたように昭和四十六年の環境庁事務次官通知の要件と、五十二年の環境保健部長の通知の中身が違ってきていることによることが多いのではないかと思っております。四十六年の通知によれば、後天性水俣病についてはその症状は「四肢末端、口囲のしびれ感、言語障害、歩行障害、求心性視野狭窄、難聴」などであり、「精神障害、振戦、痙攣その他の不随意運動、筋強直などをきたす例もあること。」とされ、いずれかの症状があってその原因の全部または一部として経口摂取された有機水銀が関与していることが否定し得ない場合は水俣病と認める、こういうふうになっているわけですね。
 ところが、五十二年の場合には、「後天性水俣病の判断条件」が示されて、昭和五十三年の事務次官通知によって認定審査に当たってはこの判断条件によって行うものとされたわけです。この判断条件の中身は、感覚障害、連動失調、求心性視野狭窄などの症状が単独であらわれた場合には水俣病に含めず、認定された幾つかの症状の組み合わせに該当するかで判断する、あるいは有機水銀の関与が否定できない場合を含めるとはしていないということなど、全体として四十六年の通知より厳しくなった。だからこれだけ認定患者が減ってきているというふうに理解をしているわけです。
 四十六年と五十二年の間には、四十八年の第一次訴訟での原告側勝訴、患者とチッソの間での補償協定締結がありました。この協定によってその後の認定患者は裁判をしなくてもチッソから補償を受けることができるようになったわけです。しかし、このことは逆に、チッソからすれば認定患者が余りふえたら困るということになるわけです。五十二年の判断条件の背景には、患者切り捨てを進めようとするチッソ、いわゆる加害企業の側の事情があったのではないかと思います。実際、五十二年を境に認定の率はぐっと下がっているわけです。
 ちょっと具体的な数字を再度確認をさせていただきたいと思いますが、昭和四十六年から五十一年までの認定・棄却者数、それから五十二年から六十一年までの認定・棄却者数は幾つになっているか言っていただきたいと思います。
#203
○目黒政府委員 四十六年から五十一年までの認定件数が千五百九十七、棄却件数が千二十五、それから五十二年から六十一年度は認定件数千二十五、棄却件数七千四百九十六ということでございます。
#204
○岩佐委員 要するに、五十一年以前、判断条件が出される以前には認定が棄却の一・五倍あったわけですね。ところが、判断条件が示された後は逆に棄却の方が認定の七倍になっている。数字が歴然と今申し上げたような事実として裏づけをしているというふうに思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。
#205
○目黒政府委員 御指摘の数字ではございますが、私ども、この五十二年の判断条件についてあるいは五十三年七月の、それぞれの環境保健部長あるいは事務次官の通知につきましては、先ほど来申し上げておるところでございますが、四十六年から五十二年あるいは五十三年までの間にいろいろな機会にいろいろな形でこの水俣病の範囲に関します基本的な考え方、こういったようなものを出してきているわけでございます。また、医学的な知見というものの進展、そういったようなものを総合的に含めまして、この四十六年の通知を再度確認する目的を持って統合整理をしたのが五十二年並びに五十三年の通知なのでございます。したがいまして、私どもはこの二つの間に差はないというふうに考えているのでございます。
#206
○岩佐委員 全く納得できない答弁であります。事実が歴然と示していることだというふうに思います。
 次に、昨年六月から特別医療事業が実施されているのですが、この特別医療事業の対象になる人はどういう人でしょうか。簡単に。
#207
○目黒政府委員 この特別医療事業につきましては、御承知のように専門家会議の意見の結果から私ども判断して出てきたものでございますが、棄却される者のうち四肢の感覚障害等、一定の要件を満たした者がその方々が持っている疾病の原因を解明することができるようにという趣旨でつくったものでございまして、対象はそういうふうな方々でございまして、治療費の自己負担分を助成するというような内容のものでございます。
#208
○岩佐委員 昨年六月以降の熊本県、鹿児島県における生存する棄却者と、そのうち四肢抹消の知覚障害を有する人の数はどれだけでしょうか、割合でいうと何%になりますか。
#209
○目黒政府委員 御指摘の点、今ちょっとパーセントを計算しておりますが、実数で申しますと、棄却された者が千二百六十名、そのうち生存者が千二百四名、対象要件の該当者が熊本県で六百四十二名、鹿児島県で二百二名、総計八百四十四名でございまして、それぞれのパーセントは熊本県が六七・三%、鹿児島県が八〇・八%、総計いたしますと七〇・一九%というのが四肢の感覚障害が認められた者、対象要件該当者でございます。
#210
○岩佐委員 要するに、四十六年通知の基準に照らせば、これらの特別医療事業の対象となる患者は皆さん水俣病になる。熊本では六七・三%、鹿児島では八〇・八%の方が対象になることだということを私は示していると思いますし、やはり四十六年、五十二年の通知は明らかに違いがあるというふうに思います。
 第三次訴訟の判決は、水俣病か否かの判断について、五十二年の判断条件は「狭さに失する」ものであり、このような判断条件によれば「単に神経精神科、内科、眼科、耳鼻咽喉科等の各専門分野において、メチル水銀曝露の事実を軽視もしくは無視した各単科的医学的判断が示される傾向」を招き、「メチル水銀曝露の事実の存否との有機性のない単科学的医学的見解を単に無機的に集合したにすぎないような結論を導きやすい」と批判しています。これは法律用語でありますから、私も舌をかみそうになりますし、聞いておられる方は何かというふうに思われると思いますけれども、要するに国の認定基準についての考え方でいけば、これは患者切り捨てになるということで批判をしている文章であります。既に、何回も裁判所からこうした国の姿勢については批判をされているわけであります。こういう基準にしがみついている限り全面的な解決はできないし、いつまでも患者さんを苦しめるというふうなことになるだけだと思いますけれども、この点についてお答えをいただいてもまた繰り返しの答弁になると思いますので、お答えはいただかなくて結構ですけれども、よくその辺はきちっと受けとめていただきたいと思います。
 認定のための検診や審査の方法についても大きな問題があります。例えば、申請の際には医師の診断書を添付することになっているけれども、主治医が水俣病だと診断していても全く参考にもされない。疫学調査は重視されません。器械による検診が多過ぎます。検診結果は所定の審査資料用紙に要約されてしまい、生のデータがよくわからないという状況があります。この資料に基づいて、審査会での審査は一件当たり五分くらいで終わってしまうというふうにも言われています。
 第三次訴訟判決においても、被告側が証拠として提出した検診結果や審査会資料について「熊本県の分にあっては検診医の氏名すら公表せず、被告らの実施した検診がどの程度熟達した神経内科の専門医によってなされたのか明らかではないし、患者が汚染された魚介類をどの程度多食したのかという疫学的条件を抜きにして、また患者との基本的な信頼関係の有無とは関係なく、各科目毎に機械的に実施した検診によって得られた一般内科、神経内科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科の各所見と臨床検査成績等をバラバラに記載したのみ」で「信ぴょう性に乏しい」、こういうふうに裁判の判決では断定をしているわけです。こういう裁判でその信憑性を疑われた資料に基づいた認定審査、これではまともな結果が期待できないと思いますけれども、環境庁の御見解を伺いたいと思います。
#211
○目黒政府委員 今の御指摘の点でございますが、一つは審査会の審査の内容と申しますか、方法といったようなことになろうかと思いますが、この審査会の審査は高度の医学的な判断を必要とするものでございまして、非常に公正を期するという観点から統一的に行われております検診、そのデータをもとにして行われているのでございます。もちろんこの認定申請書に添付されております主治医の診断書、これは添付されておるわけでございますが、これについても認定審査会に提出をされておるのでございまして、必要に応じて参考にしているのでございます。
 いずれにいたしましても、先生おっしゃいました疫学を含めました総合的な観点から、この審査会は専門家の方々によって御審査をいただき、所定の判断をしている、こういうふうに考えているのでございます。
#212
○岩佐委員 なるほどというふうに思えないわけですけれども、この認定促進臨時措置法の施行後の国の認定審査会の開催状況、それから認定審査処分の実績を示してほしいと思います。
#213
○目黒政府委員 この審査会でございますが、五十四年十二月二十日に第一回が開催された後、現在までに十回開催されているのでございます。最近は六十一年七月二十一日に開催されたのでございます。この臨時措置法によります処分につきましては、六十二年三月末現在で申請百九、認定二十七、棄却七十二、未審査十、こういう状況でございます。
#214
○岩佐委員 この法律はもともと昭和五十三年に制定されたときから、同年の環境庁事務次官通知とセットであります。認定促進ではなくて棄却促進、つまり患者切り捨てを進める役割を持つものだということで、私たち共産党は一貫してこの法律に反対をしてまいりました。実際にはこうした批判もあって申請そのものが少ない、ほとんどその機能を果たしていないという結果になっていると思います。今言われた数字でも、六十年度はついに一回も審査会が開かれないとか、六十一年度は一回開いて患者二人を処分したのみであるとかいうことであります。国の認定事業は、結局国も患者救済のために努力をしているというポーズを示すためのシンボルでしかないという批判もあるわけです。患者が期待している認定促進と現実は余りにもかけ離れている、そういう実態であると思いますけれども、この点いかがですか。
#215
○目黒政府委員 これは先ほど来お答えしていることでもございますが、この臨時措置法は、国においても直接認定業務を行うことによりまして認定を促進する、こういうことで行っているものでございます。また、旧救済法の申請未処分者については、現在二百名を切るまでに減少しているのでございまして、国と県と一体になりまして認定業務を推進していく上で一定の役割を果たしてきていると私ども考えているのでございます。今回の改正によりまして、さらに対象者の枠が拡大されることになるわけでございますので、認定業務の促進に資するものと私ども考える次第でございます。私どもは、この法の趣旨が対象者の方々に十分理解されまして、本制度が活用されるように今後も全力を挙げてまいりたい、このように考えておるのでございます。
#216
○岩佐委員 再度提案者にお伺いしたいと思います。
 この法律自体、施行されてから結局その認定制度がいかに問題が多いかということで、臨時措置法を延長しても患者切り捨てを促進するだけだということで患者さんから期待されない、しかも棄却された患者さんは再び申請する、これを繰り返すということで一向に全面解決にならないわけですね。ですから、この際全面解決を抜本的に考えていく必要があるというふうに思いますけれども、提案者の御意見をお伺いしたいと思います。
#217
○福島議員 御指摘のように、この国の審査会をつくることそのものが水俣病認定問題の全面的な促進、解決につながるものとは私どもも思っておりません。ただ、先ほども春田委員の御質問にお答え申し上げましたように、県自身の気持ちとして、国にも一緒になってやってほしい、協力してほしいという気持ちが大変強くあるわけでありまして、そういう意味ではこういう機関を国自身つくることによって県もまた認定審査会を活用しながら一生懸命この問題に取り組んでいく、そういう形であろうと思っております。
 全面解決の問題は解決の問題として、別途真剣に取り組んでいくべき問題であろうと思っております。
#218
○岩佐委員 率直な提案者の御意見だったと思います。ただ、県の方が国にも一緒に解決してもらいたい、そのために努力してほしいのだというようなことを期待している割に、国の制度は余りにも患者の皆さんに評判が悪い、そして裏目に出ているという実態があるわけですから、少しもありがたく思われないような制度というのは直ちに改めていくべきだと思います。残されている数千人の被害者をすべて救済することなしには水俣病の全面解決はあり得ない。これは今提案者も指摘されたところだと思います。
 残されたこれらの患者がどういう苦しみを背負っておられるのかということについて、長官はぜひ一度現地に行って患者の声を直接聞いていただきたい。また、この委員会としても一度現地へ行ってみるべきだと思います。先般、私は、海江田政務次官が患者の皆さんとお会いになった席に同席しました。そのときに皆さんから実情が訴えられ、ぜひ現地に来ていただきたいというふうな要望が出された際に、私も現地にぜひ行ってみたいと思いますという回答がありましたけれども、水俣病の被害というのはどういう現実なのかということをぜひ知っていただきたいと思います。
 私も現地に行って、本当にひどいと思いました。例えば頭痛や手足のしびれなど肉体的な苦痛に加えて、手が震えて茶わんやコップも持てないという実態です。ちょうど海江田政務次官がお会いになったときも、患者のお一人がコップをとる動作をされました。本当に震えてコップが取れない、そして水なんかも全然飲めないわけです。演技でも何でもなく、本当にそういう苦しい現実にそこに居合わせた方々は息をのむ、そういう一瞬があったわけですけれども、毎日がそういうことの繰り返しなのですからとても大変です。それから、味やにおいがわからない。食べることというのは私たち人間にとっては本当に大事なことですし、食べたいという意欲を満たすというのはとても重要なことだと思うのです。それが、味もにおいもわからないというような状況であります。それから、おふろの温度もわからないのですね。それで熱くても入ってしまう、あるいは冷たくても入ってしまうというようなことで、風邪を引いたりやけどをしたりということはしょっちゅうあるということですね。これも本当に大変なことだと思います。それから、視野狭窄で物にぶつかる、サンダルやスリッパが脱げてしまってもわからないという状態。まず日常生活さえまともにできません。ですから、当然仕事もできない、あるいは子供も産めない、家族関係にもひびが入るというようなことで、どんなに苦しい事態を皆さんが経験しておられるか。これは、先ほど同僚の委員からいろいろ指摘がありましたけれども、まさに人間破壊だというような実態だと思います。
 ですから、水俣病の被害者を救うためには、水俣病患者としてきちんと認める、そしてこれまで被害者がこうむった損害を賠償する、そしてまた充実した医療、年金等による生活の安定を保障する、水俣病に対する差別や偏見をなくすことが必要だ、これが非常に重要なことだということを私は繰り返し強調したいと思います。現地に行く件については、後でまた環境庁長官あるいは委員会としても御検討をいただきたいと思います。
 このことに関しまして当面最低限直ちに行うべきこととして、先ほどからいろいろ委員の皆さんから指摘されています医療面での対策があると思います。現在、認定外の患者を対象として治療所究事業と特別医療事業、この二つの事業があります。この事業の法的根拠、給付内容、対象、予算規模及び財源について簡潔に説明をしていただきたいと思います。
#219
○目黒政府委員 お答えいたします。
 治療研究事業は、申請後一定期間を経て処分を受けていない者または保留者に対して医療費の自己負担分等について公費負担をする事業でございます。それから、この事業は国の交付要綱に基づきまして県が実施しているものでございまして、事業に要する費用は国が二分の一を補助しております。国の六十二年度の予算額は約一億八千四百万円でございます。
 それから、特別医療事業につきましては、棄却者のうち一定の要件を有する者に対して医療費の自己負担分を公費で負担する、こういう事業でございまして、この事業も治療研究費と同様に国の交付要綱に基づいて県が実施し、実施要領を定めているものでございます。また、本事業に要する費用は国が二分の一を補助しているということでございます。国の六十二年度の予算額は約二千四百万円ということでございます。
#220
○岩佐委員 私、前回の委員会でも指摘をしました。現在の医療事業についてはいろいろと不満が多いわけです。治療研究事業は、棄却されてしまうと再び申請しても一年間受けられません。そこで、棄却されないように検診を拒否する人がいて、三回以上検診に呼び出されても来なければ給付を打ち切る、こういうふうなことが行われています。これは先ほども指摘があったところであります。いつ打ち切られるかわからないというような、医療救済としては極めて不安定なものであります。特別医療事業については、はり、きゅう、マッサージが認められなかったり通院費などの手当てがない、期限が三年でその先ほどうなるかわからない、この点は前回私が当委員会で質問したところであります。
 熊本県は、特別医療事業について、はり、きゅうなども認められるように、また通院費や温泉療養などの各種手当も支給できるように予算増額を要求しています。現在国の予算額は、今御説明があったように二千四百万円であります。倍にふやせば十分実現ができる内容だというふうに思いますけれども、この医療事業の充実についてお伺いをしたいと思います。
#221
○目黒政府委員 この二つの医療事業につきましては、それぞれ一定の要件あるいは一定の制約のもとに私ども実施をしているものでございまして、この点につきましては、該当する方については一定の判断に従って支給をするということでございます。
 それから、熊本県の方からの予算要求云々というお話でございますが、この事業、特に特別医療事業につきまして事業の内容を拡充するという点につきましては、この見直しについては今後の事業の実績の推移とかあるいは熊本県自体の意向というものについても十分聞きながら慎重に対応してまいりたい、私どもこのように考えておるところでございます。
#222
○岩佐委員 現在の医療事業は、実際には医療費を給付しているにもかかわらず、医療費を給付するという法的根拠はありません。研究費という名目で支出されているわけですね。医療補償ではなく、患者を研究対象とすることに対する代償という形をとっています。このため、研究の役に立たないはり、きゅうはだめだとか、あるいは医療という点からは、これはだめとかあれはだめとかいうことがありますから、極めて不十分なものになっているわけです。本来水俣病と認められるべき患者を棄却をして、そして医療費を払うという筋の通らないことをやっている。ですからこういう矛盾が出てきているし、その矛盾によって患者さんが戸惑っておられるし、不満も多いということだと思います。法的根拠に裏づけられた十分な医療補償をすべきだというふうに私たちは思いますし、これが患者さんの切実な要求だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#223
○目黒政府委員 私どもは、この特別医療事業等につきましては環境庁も県も一体となって進めているのでございます。特に、一定の神経症状があるといった者へ医療給付支給を行っているわけでございますし、また先生がおっしゃったように研究といった形で行っているのでございます。したがいまして、私ども現在、この事業の趣旨をこのまま続けてまいるということで、これが水俣病の認定促進、あるいは特別医療事業につきましては棄却された方で病気について非常に御心配になっている方々についてその病気の原因解明、先ほど来申し上げているようなことで、それは棄却された方々に結果としてアフターサービスのような形になっているものでございますが、やはり趣旨は研究あるいは原因解明というふうなものでございます。私どもの方といたしましてはこのことについて特に法的な根拠とかは考えておりませんで、現在の制度を着実に運用してまいりたい、このように考えているところでございます。
#224
○岩佐委員 提案者にお伺いしたいと思います。
 六十一年度の特別医療事業への国の補助金は、患者さん千五百十七人に対して三百九十三万円、一人当たり二千円ちょっとであります。同じ六十一年度の国の認定審査会関係の予算は、先ほど答弁ありましたが八百三十三万円です。これだけかけて、一回審査会をやって二人の患者さんを処理しただけであります。患者さん一人について経費四百万円であります。六十二年度の特別医療事業への国の補助金の予算は、先ほどから出されているように約二千四百万円であります。六十年度の国の認定審査会の予算が同じ二千四百万円です。この年は一度も審査会をやっていないわけであります。要するに、臨時措置法を延長してシンボルにすぎない審査会に予算をつけるくらいなら、その分を特別医療事業に回した方がいいのではないかと思えるような結果となっているわけであります。現実に患者さんの皆さんのために動かないようなこういう法案の延長ということだけでは本当に情けないと思いますけれども、提案者にお伺いをしたいと思います。
#225
○福島議員 経費の面で国の認定審査会は大変むだではないかという一つの御意見であろうと思いますが、それはそれとして、わずかではございますが八年間百九人、一応形として決着をつけることができたことのほかに、先ほど申し上げましたように県自身の認定審査業務がこれによっていわば担保をされたということをお考えいただきたいと思います。
 同時に、先ほど来、国の認定審査会は大変評判が悪いということでございましたが、認定率も国の場合が二七%、県の場合が二五%ということでありまして、決して国の認定審査会の方が認定が厳しいという結果ではございません。ただ、公健法でも、認定審査会というのは地域に密着した、地域住民に近いところでやった方がいいという基本的な考え方で県なり市に任せておる。やはり認定審査業務は基本的な考え方としては今申し上げたような地域に近いところでやる方が地域住民にはなじみやすいんだな、またその結果が今のような国のバイパスに申請をされる方が非常に少なかったという結果ではないかなと思っております。
 なお、特別医療事業を充実せよという一面での御質問でもあろうかと思いますが、この問題は県の方でも非常に強い希望があることを私も伺っておりまして、今、環境庁との中に立って何か少してもいい案が考えられぬか、なお折々相談をしておるさなかでございまして、委員が御指摘のお気持ちもわからないではないわけでございます。
#226
○岩佐委員 八年間で百九人、数千人の患者さんからすれば本当にわずかな事業でしかすぎない、わずかな実績でしかすぎないということであります。また、国の認定と県の認定のパーセントの比較がありましたけれども、別に私は国が悪くて県がいいというふうに言っているわけではありません。この認定制度そのものについて、県が行っている分についても現地に行って、私は問題があると思っています。ですから、先ほどから申し上げているように、数千人に上る患者さんを一体どういうふうにトータルとして水俣病全面解決のためにやっていくのか、そのことが今問われている、非常に重要だ。ですから、その中でこの法律を延長する、時期を延長したからといって解決できないではないですかということを指摘をしているわけであります。
 最後に、熊本県の県債問題についてお伺いをしたいと思います。
 熊本県の県債発行の理由、それから現状と見通しについて、先ほど出ていますので、お伺いをしたいと思いましたが、県債の額は結構でございます、トータルで六百億円以上ということでありますが、理由、現状、見通し、この点について率直にお聞かせください。
#227
○加藤(陸)政府委員 お答えいたします。
 まず理由でございますが、原因者負担という原則を堅持しながら患者さんに対する補償金の支払いに支障を生じないようにするという要請にこたえていくためには、チッソの今までの経済的な状況を勘案いたします場合には、この方法で財源補てんをするしかないということでございます。
 それから、金額はよろしいということでございますので省略させていただきまして、今後の見通しということでございますが、現在まで県債によって調達されたお金に対する償還の問題はなかなか苦しいものがあるわけでございますけれども、これも先ほど他の委員に対してお答え申し上げたところでございますので、簡単にさせていただきまして、見通しという点でございますが、これは非常に難しい見通しをお答えになるわけでございますけれども、補償額といいますか、補償対象人数の推移等から始まりまして、いろいろな要因がございますので簡単には推計というわけにはまいらぬわけでございますが、金融的な援助というようなことでチッソの経営も円滑にいくように支援してまいりたいとは思っておりますけれども、後、県債がいかなる見通しになるかというのはなかなか一概にお答えはできかねるものでございます。
#228
○岩佐委員 熊本県の年間予算が四千五百億円になっているのですね。そのうちの六百七十億の県債でありますから、これは非常に重大な問題だと思います。だから当委員会でも県知事をお呼びして御意見をお伺いしたらというような意見も私ども持っていたわけでありますけれども、その点について、県債も泥沼に陥ってしまう、患者さんも今のままでは本当に医療救済もままならないというような状況で、何としても患者さんの全面解決に向けてこの三月三十日の判決を契機に大きく動かしていかなければいけない。今までの経緯はあるにしても、矛盾は矛盾として率直にみんなそれぞれが認めて前向きにやっていかなければいけない。そうでないとあっちこっちひずんでしまうというふうに思うわけです。最後に大臣の、そういう困難な事態の中での基本姿勢について御所見をお伺いしておきたいと思います。
#229
○稲村国務大臣 水俣病につきましては、先ほど来先生の御意見を拝聴し、また本当に三十一年余り解決に至っていない、本当に遺憾でございます。しかしながら、この問題は大変複雑な経緯もありますし、患者の救済、ヘドロの処理、地域振興、裁判など多くの問題を含んでおるものでございますので、できる限り努力して、関係省庁一致し、さらに県との連絡をとって患者の皆さんのお苦しみを理解しながら頑張りたいと思います。
#230
○岩佐委員 終わります。
#231
○林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#232
○林委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。稲村環境庁長官。
#233
○稲村国務大臣 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する内閣の意見要旨を申し上げます。
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案については、政府としては異存はございません。
    ―――――――――――――
#234
○林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#235
○林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#236
○林委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、武村正義君、馬場昇君、春田重昭君及び吉田之久君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。馬場昇君。
#237
○馬場委員 私は、ただいま議決されました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につき、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講すべきである。
 一 認定審査に当たっては、水俣病患者が一人でも見落されることのないように、全員が正しく救われるような精神にのっとって行うこと。
 二 認定業務の不作為違法状態を速やかに解消する措置を講ずるとともに、認定業務の促進について患者との信頼関係の回復を図ること。
 三 水俣病については、医学的に判断困難な事例があることにかんがみ、科学的知見の積み重ねを踏まえて水俣病像及び判断条件について一層の検討を重ねること。
 四 水俣病問題の重要性にかんがみ、速やかに住民の健康の状態、水質汚濁の状態等について総合的な調査を実施し、その結果に基づいて地域の実情に応じた水俣病対策を確立すること。
 五 水俣病多発地域の住民については、その健康状態を長期にわたって把握し、必要に応じて適切な措置を講ずることにより健康被害の予防を図ること。
 六 水俣湾公害防止事業の進捗状況を踏まえ地域の特性を生かした具体的な振興策を一層推進することにより、水俣・芦北地域の活性化を図るように努めること。
以上でありますが、その趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので、説明を省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
 以上であります。
#238
○林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#239
○林委員長 起立総員。よって、武村正義君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、稲村環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。稲村環境庁長官。
#240
○稲村国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#241
○林委員長 この際、お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#242
○林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
   〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#243
○林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト