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1987/08/21 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 環境委員会 第3号
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1987/08/21 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 環境委員会 第3号

#1
第109回国会 環境委員会 第3号
昭和六十二年八月二十一日(金曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 林  大幹君
   理事 小杉  隆君 理事 武村 正義君
   理事 戸沢 政方君 理事 山崎平八郎君
   理事 岩垂寿喜男君 理事 春田 重昭君
   理事 滝沢 幸助君
      石破  茂君    小沢 一郎君
      片岡 武司君    森  美秀君
      金子 みつ君    斉藤  節君
      岩佐 恵美君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 稲村 利幸君
 出席政府委員
        環境政務次官  海江田鶴造君
        環境庁長官官房
        長       山内 豊徳君
        環境庁企画調整
        局長      加藤 陸美君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 目黒 克己君
        環境庁大気保全
        局長      長谷川慧重君
 委員外の出席者
        通商産業大臣官
        房審議官    安藤 勝良君
        建設省道路局国
        道第一課長   堀  泰晴君
        環境委員会調査
        室長      山本 喜陸君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月二十一日
 辞任         補欠選任
  河本 敏夫君     森  美秀君
同日
 辞任         補欠選任
  森  美秀君     河本 敏夫君
    ―――――――――――――
八月二十日
 公害指定地域の全面解除反対等に関する請願
 (安藤巖君紹介)(第五一四号)
 同(斉藤節君紹介)(第五一五号)
 同(田中美智子君紹介)(第五一六号)
 同(井上一成君紹介)(第五六三号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第五六四号)
 同(上田卓三君紹介)(第五六五号)
 同(左近正男君紹介)(第五六六号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第五六七号)
 同外一件(水田稔君紹介)(第五六八号)
 同(土井たか子君紹介)(第五八六号)
 同(中村正雄君紹介)(第五八七号)
 公害指定地域の解除反対等に関する請願(岩垂
 寿喜男君紹介)(第六二三号)
 同(左近正男君紹介)(第六二四号)
 同(中村正雄君紹介)(第六二五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、第百八回国会閣法第三六号)
     ――――◇―――――
#2
○林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。
#3
○金子(み)委員 公害健康被害補償法の具体的な質問に入ります前に、長官その他にお考えを聞かせていただきたいことがございますのでお願いをいたします。
 その一つは、長官にお願いしたいのですが、大気汚染と国民の健康、その因果関係を踏まえて環境庁の責務というようなものをどんなふうに考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたい。
#4
○稲村国務大臣 先生の御質問でございますが、環境行政は国民の健康保護を使命とするものであるとまず考え、あくまでも、国民の健康と生活を守る立場から、時代の変化に対応した施策を進めていくことが基本であると考えております。
 今回の公健制度の見直しは、現在の大気汚染の状況、その健康への影響を踏まえ、制度をより公正で合理的なものとし、今後は大気汚染による健康被害の予防に重点を置いた総合的な環境保健施策を推進しようとするものでございます。また、窒素酸化物対策などの大気汚染防止対策を一層強化することとしており、国民の健康の確保に万全を期してまいりたい、こういうふうに強く考えております。
#5
○金子(み)委員 では、続けてお尋ねします。
 今回の法改正を計画なさるに当たりまして、あらかじめ中央公害対策審議会に諮問をなさいました。そして、その諮問に対して中公審からの答申が出されておりますが、この答申と同時に、会長の和達会長から別に会長談話というものを発表していらっしゃいまして、この会長談話というのは大変意味が深く、そして非常に重要な内容を持つ談話だと私は思うのでございます。今、時間の関係で一つ一つは申し上げません。みんなおわかりだと思いますので申し上げませんが、この談話をごらんになりまして環境庁となさっては、この談話そのものをどのように受けとめられたのかということと、そして、その談話の内容を制度改正の中にどう取り込まれたのか、あるいは取り込まれなかったのか、その辺を伺わせていただきたいと思います。
#6
○稲村国務大臣 お答え申し上げます。
 昨年十月の中公審の答申に際し和達会長が談話を出しておりますが、これは、答申を取りまとめるに当たり、一部の委員から指定解除について反対あるいは時期尚早との意見があったため、これを明記するとともに、総会の総意を受けて今後の環境保健に関する施策の実現、大気汚染防止対策のより一層の推進等に万全を期するよう行政に要請をしたものと受けとめております。
#7
○金子(み)委員 わかりました。
 そういたしましたら、その次のお尋ねは今回の制度見直し、会長の談話もございましたし、そのほか、前回の委員会などでも質疑が行われておりますし、いろいろ問題の多い法改正でございますけれども、環境庁とされては、この制度見直しの結果環境行政は進展するというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。まさか後退するとお考えになっているとは思いませんけれども、余り進展はできないのじゃないだろうかと率直にお考えになっていらっしゃるのかもしれないななどと私などは思いますが、果たしてこれがどの程度進展していくものなのか、進展できるものとお考えになっていらっしゃるのか、その辺の考えを聞かせていただきたいと思います。
#8
○稲村国務大臣 今回の公健制度の見直しは、現在の大気汚染の状況を踏まえ、先ほども申し上げましたとおり、制度を公正かつ合理的なものとしよう、こう考えたからでございまして、これまでの公害患者に対する個別の補償から、今後は地域の住民を対象として、大気汚染による健康被害を未然に予防するため、健康被害予防事業の実施等総合的な環境保健施策を積極的に推進することとしております。また、窒素酸化物対策などの大気汚染防止対策も一層強化するなど、時代の変化に的確に対応して環境行政を一層進展させていこう、こういうふうに強い決意を持って臨んでおります。
#9
○金子(み)委員 大変結構だと思いますが、それではいま一つ重ねてお尋ねをいたします。
 この制度改正に関しましては、今回だけでなく前回も、そしてまた二年前にも何回か審議がなされているわけでございますけれども、その幾つかやりました中で附帯決議も出されております。特に最近、六十年三月二十五日のときの附帯決議が何項目かございます。九項目附帯決議がついているのでございますけれども、この附帯決議の実施状況はどうなっているのでしょうか。附帯決議はついたけれどもそれはそれなりであって、一向それに手がつけられていないのか、手をつけられたのか、どの点まで実施がなされてきているのか、それを伺いたいと思うのです。
#10
○稲村国務大臣 先生御指摘の附帯決議におきましては、総合的な交通公害対策の推進、窒素酸化物等と健康被害との因果関係の究明、さらにはその結果に基づいた地域指定の見直し等貴重な御指摘をいただいております。環境庁としては附帯決議に盛られた事項について諸施策を推進しており、今後とも引き続き努力していく所存でございます。
#11
○金子(み)委員 ちょっと続けてお尋ねしますが、今後とも一生懸命にやっていくとおっしゃるのですが、附帯決議、どの辺までできたのかお聞かせいただけますか。
#12
○加藤(陸)政府委員 お答えいたします。
 非常に多岐にわたる立派な御決議をいただいておるのでございますが、六十年には九項目ほどの事項が議決されておるわけでございます。例えば、幹線道路周辺における環境の改善を図るために総合的な交通公害対策を進めろ。個々の事項につきましては、関係省庁とも協力しながら対策を進めておるわけでございますが、なかなか難しい面もございますし、都市集中の急激な進展に伴います困難もあるわけでございますけれども、諸施策、特に立体交差あるいは右折路線の整備であるとか、さらには流通をスムーズにするための交通規制ないしはターミナルの整備等を進めてきておるというものがございます。これは今後とも引き続き推進しなければならぬものでございます。
 それから、幾つかの項目の中でございますけれども、大気汚染の改善がなかなか進んでいない指定地域等における工場、事業場の新増設に対して、特に大気の汚染防止に配慮しなさいというような事項もございますが、これはSOx等を中心にします対策につきましては相当な進展をしてきておるというふうに認識しておるわけでございます。もっとも、交通公害対策としてのNOx分については、いまだなかなか十分と言えないxも残っておる点はございます。
 それから、この公健法の中で水俣関係も述べられておるわけでございますが、本日の御審議とは直接は関係ないわけでございますけれども、広い意味で一緒に申し上げますと、国立水俣病センターについての体制充実、さらには研究の推進というような事項につきましては、それなりの施設整備の進展と促進、充実が図られてきておる等々でございます。
 各項目全部については申し上げ切れませんけれども、そのように最大の努力を尽くしてきておるところでございます。
#13
○金子(み)委員 わかりましたが、附帯決議の内容というのはなかなか実現しがたいものだということを今も改めて感じさせられました。例えば、あるときの審議の結果決議された附帯決議というものは、次の審議の段階で準備される審議課題の中に含み込まれていくべきものではないかなと思っておりましたが、なかなかそうもいっていないようでございます。附帯決議というのはつけておけばいいんだみたいな形にならないように、附帯決議が決議されたということは、法案審議の中で十分できなかった部分について、さらに附帯決議を決議することによって追加してと申しますか補欠してと申しますか、そのことを実現させることによって本体の審議された法律案の内容が充実されていくというものではないかというふうにも思います。附帯決議、今まで二年間ですが、思うように進んでいないみたいにおっしゃっていらっしゃいましたので、今後そういうことにつきましては十分考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一つのお尋ねは、これは事務的にお答えいただければ結構だと思うのでございますが、中央公害対策審議会の中で、審議会が審議をいたしてまいります過程の上で必要に応じて小委員会をつくられるということはよくあることでございます。今回も、小委員会の形と思いますが、専門委員会と作業小委員会というものが二つつくられておりますね。この二つの委員会の相互の位置づけをどういうふうにお考えになってこの委員会を運営してこられたのか、そのことを実は伺いたい。上下関係があったのかなかったのか、どういうふうに取り扱ってこられたのか、それをひとつ聞かせていただきたい。
#14
○目黒政府委員 二つの専門委員会と作業小委員会の相互の関係でございますが、専門委員会は大気汚染とか公衆衛生とか臨床医学等の分野の専門家から成るものでございまして、ほとんど医学の方々を中心として行ったものでございます。昭和五十八年十一月の環境庁長官からの諮問事項について環境保健部会の中で検討すると決まりましたときに、この前提といたしまして、大気汚染と健康被害との関係につきまして科学的評価を行うことがまず必要であろうということで、しかも、その検討が医学等の高度の専門領域に属するものであるということから環境保健部会の下に新たに設けられた、こういうものでございます。この小委員会では四十二回にわたって御審議をいただいたものでございます。
 一方、作業小委員会の方は、この専門委員会報告が出ました後、再びこの専門委員会報告について環境保健部会で御審議をいただいた後、この部会において専門委員会報告、いろいろ御検討いただいたのですが、この審議を促進するという観点等から、部会のメンバーの中であらかじめ制度面から専門委員会報告の検討あるいは各方面からの意見等についての考え方の整理といったようなことを行うことを目的として設けられたのが作業小委員会でございます。したがいまして、専門委員会と作業小委員会は環境保健部会においてそれぞれ独立に設置されたものでございまして、作業小委員会において専門委員会で検討された非常に高度に専門的な結果を踏まえて検討が行われたということでございます。
#15
○金子(み)委員 それでは、以上のことを伺いまして、それらを基盤にして具体的な質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に指定地域の問題なんでございますが、この指定地域における指定の要件というのがございますね。この指定要件は大気汚染が著しい、環境基準の二倍以上、これはSO2についてということになっているようです。それから、患者数が多い、普通の地域の二倍以上の患者数があるということ、そういうようなことで地域の指定をなさった。
 そこで、私がお尋ねしたいのは、指定地域を決められたことについて云々するのじゃないのですが、発生した患者の問題なんです。四十一指定地域をおつくりになった。そこで、この四十一指定地域におけるぜんそくなどの患者、もっといろいろございますが、公害患者として認定して、そして補償をするためにはどういう人を対象にするかということを決めていらっしゃるのですけれども、それによれば四十一の指定地域に住んでいる人、通勤している人、あるいは居住期間が一定の期間以上であること、指定疾病にかかっていること、これは慢性気管支炎とか気管支ぜんそく、ぜんそく性気管支炎、肺気腫など、こういうような患者さんを一口にぜんそくなどの患者という言い方をしておられるようですが、この指定地域の中に住んでいらっしゃる、今の条件の範囲内にいらっしゃる方であれば、ぜんそくなどの患者は大気汚染が原因になって公害患者になったものだと全部みなしたのです。そしてそれを補償するというふうに制度的に割り切ったのだとおっしゃるのはわかったわけでございますが、その割り切り方の問題なんです。
 そう割り切って出発したその割り切り方が、まあ考え方の問題だと思うのですけれども、随分大ざっぱな考え方だなと私は思いました。この法律が出発したのは四十九年ですか、その時代から考えまして、こういう範囲の考え方で割り切っていけば発生する患者はどんどんふえるだろう、当初の時代に想像できなかったぐらいに患者の数はきっとふえていくのじゃないかということが推察できるわけです。それは目算できなかったのかなと私は思っているわけです。ばい煙発生防止の努力があったにもかかわらず患者はふえています。患者のふえ方が非常に多い。新規認定者は毎年九千人もあるのです。資料によりますと、その九千人の中で治った方もいらっしゃるし死亡なさった方もいらっしゃるとすると、差し引きネット三千人ということになる。これが今日なお毎年毎年ふえていっているわけです。私はこの増大ぶりは、この決め方が大ざっぱであったためじゃなかったかという気がするのです。
 法律ができてから五、六年後の昭和五十四、五年から今日に至るまで患者が増大したその患者の中身ですが、調べてないからわからないと思いますけれども、一方でSO2が下がってきていますから、患者が出てくるはずがないぐらいに下がっているとすれば、もう要らないと言えるぐらいになっているとすれば、にもかかわらずネット三千人ふえているということは、患者の原因がSO2でなくてNO2に移行してきているのじゃないかというふうにも考えられます。その二つのどちらもがぜんそく病の患者を発生させる原因になるわけですから、そういうふうに考えると初めの考え方が大変に大ざっぱであった。ところが、幸いばい煙などの努力によってSO2の数字はぐっと低下してきているという事実がありますから、それだけを見てこの法律を運用していらっしゃるということになると間違ってこないかという懸念がございます。それだけを見る限り、幸い下がってきたのだからここはいいチャンスだということになるのでしょうけれども、だからといって一括廃止をするのは非常に乱暴というか、行政手段としてはきめが粗過ぎるのじゃないかと思います。いかがでしょう。
#16
○目黒政府委員 御指摘の点につきましては、一つは、なぜそのような割り切りを行ったのだろうかといった当初の考え方があろうかと思います。今先生から御指摘がございましたように、発足当初からこの制度においては割り切りを行っているわけですが、患者の認定についての割り切りというのが一つございました。もう一つは費用負担についての割り切りということで、二つの割り切りを行ってまいったわけでございます。
 まず患者の認定に関する割り切りということでございますが、これは今先生からも御指摘ございましたように、大気汚染以外の原因でも発病するぜんそく等の患者につきまして、暴露条件とか居住条件、あるいは指定地域内にいるといった一定の形式的な要件を満たして指定疾病にかかれば、原因のいかんを問わずすべて大気汚染による患者とみなして認定して補償を行う、こういう一つの割り切りが御指摘のようにあったわけでございます。もう一つは費用負担についての割り切りということで、この補償をする場合の費用負担については、個々の汚染原因者を特定するということではなくて、全国のばい煙排出者を汚染原因者というふうにみなしまして、その汚染原因者からその地域及びその排出量に応じて費用負担する、この二つでございます。
 この割り切りを行いました理由は、第一番目にございますのはその病気自体が非特異的な疾病であるということ、つまり、原因がいろいろ多原因であるというこのぜんそく等につきまして、大気汚染と個々の患者の発病との間に直接の因果関係を明らかにすることが不可能であったということが第一番目の理由としてあるのでございます。それから二番目は、都市や工業地域におきます著しい大気汚染の原因者が不特定多数で、だれが健康被害の原因者であるかどうか特定できないという困難があるのでございますが、制度発足当初、非常に激甚な著しい大気汚染、それからそれによる患者の多発というようなものを背景として、行政的に制度として被害者の迅速な保護を図るということでこの割り切りが必要であったというふうに私どもは理解をしておるのでございます。
 それで、特に毎年新しい認定患者が出て九千人ということでございますが、これが疾病の多発ということを証明しておるのじゃないかというふうなお尋ねでございますし、また、NO2との関係もあるのじゃないかといったような御指摘でございますが、御承知のように、ぜんそく等の指定疾病というのは大気汚染以外にもいろいろな原因があるわけでございます。現在の大気汚染がぜんそく等の主たる原因とは考えられないという大前提があるわけでございまして、その大前提の中でただいま申し上げましたような割り切りをいたしてきたわけでございます。ぜんそく患者をすべて大気汚染によるものとみなしておるために認定患者が増加する原因が即大気汚染のみの影響であるというふうに結論づけることができないのであります。
 なお、先生のお話の中にもございましたけれども、気管支ぜんそくの患者はこの十年間に全国的に増加の傾向にあることは事実でございます。その原因等につきましては、国民の健康の意識とか医療水準の向上、あるいはアレルギー素因者の増加とか、都市的な生活様式が拡大して食生活や住居の環境等が変わってきたとか、高齢化が進んできたとかいったようなことが考えられておるのでございます。そういう観点から私どもは、この専門委員会報告あるいはそれを踏まえた中公審答申等の内容から見まして、NOxを含めて総体としての大気汚染の中で、健康に及ぼす大気汚染の影響というものは主たる原因ではないという再々繰り返しお話申し上げておりますこの結論、そういうものからいってもこの制度の合理性が維持できないという観点からこの指定地域の解除というところに踏み切ったのでございます。
#17
○金子(み)委員 なかなか難しいことでございますね。行政と割り切りとが果たしてうまくマッチするかどうかということは非常に難しいことなんで、今御説明を伺っておりますと、割り切らなければならなかったといいますか割り切ることにしたと申しますか、その基本になっているものは、患者を認定することとそれに対する補償が出ている、こういうところにあるのじゃないかなと思います。しかもその補償は国が予算を取って補償していることではなくて、原因者負担でその補償を賄ってきているというところに割り切らなければならなかったという点があったのじゃないかなと思うのですけれども、これはちょっと言い過ぎになるでしょうか。そうだとは思えないとお考えなんでしょうか。その点ちょっとおっしゃってください。
#18
○目黒政府委員 御指摘の点でございますが、この制度発足当初の考え方の中に、当事者の間に、煙を出す原因者である負担者側と実際に出ている患者さん、この両方のことを考え、あるいはこの原因がよくわからないということも考えた上で、この大気汚染というのは一定の地域だけに、例えばどの工場でというわけにもいかないわけでございまして、指定地域外も含めまして、今御指摘がございましたけれども、極めて広範な煙を出す企業全体が対応しなければいけない、またその補償を行わなければいけない、そのような観点から、この補償を行うには民事上の責任を踏まえた補償、現行制度といったようなものの形を当時としては、いろいろな経緯あるいはただいま御説明申し上げました割り切ったというようなことからとったのでございます。
#19
○金子(み)委員 納得はしませんけれども、事情はよくわかりました。そういう考え方で進んでこられたのだからこそ今度も思い切って一括廃止というような割り切りもきっとできたのですね。そんなように、私は思っております。
 それでは次の質問に入ります。
 一つわからないことがありますのは、大気汚染の現状というものは、いただきました資料を拝見してもわかりますが、初め原因の主体であった二酸化硫黄の濃度の関係の変化、推移、それから二酸化窒素濃度の問題につきましても同じように変化が来ている。それと三つ目の大気中粒子状物質などの変化もある。この三つとは限りませんが、大体この三つが大気汚染の原因じゃないかと考えられているのだというふうに理解いたします。
 この三つのものの動きを眺めてまいりますと、そういうものを根拠にして今度の法改正のもとがつくられたのだと思うのですけれども、そのことについて専門委員会の報告の中にそれがはっきりとうたわれているわけでございますね。「現在でも我が国の大気汚染は、二酸化硫黄、二酸化窒素及び大気中粒子状物質の三つの汚染物質で代表しているというふうに言ってもいいと思う。我が国の最近の大気汚染は、二酸化窒素と大気中粒子状物質が特に注目される汚染物質であると考えられる。」というのは最近の情勢のことですね。そして、「現在の大気汚染が総体として慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できない」。これは専門委員会の御報告の中身になりますけれども、しかしながら、振り返ってみれば昭和三十年から四十年代では今のような状態ではなかったということを言っておられるわけです。その当時は「我が国の一部地域において慢性閉塞性肺疾患について、大気汚染レベルの高い地域の有症率の過剰をもって主として大気汚染による影響と考え得る状況にあった。」というのは二酸化硫黄の問題を中心に取り上げていらっしゃると思います。「これに対し、現在の大気汚染の慢性閉塞性肺疾患に対する影響はこれと同様のものとは考えられなかった。」というふうに報告していらっしゃるのは御承知のとおりです。そこで、留意事項として「局地的汚染の影響」と「大気汚染に対し感受性の高い集団の存在が注目されてきている。」とつけ加えてあるわけですね。非常に重要な部分だと思います。
 こういう報告をおもらいになった、その結果として審議会は、作業小委員会でもその結果を受けとめて法律的、制度的に検討を行って、そして総会を開いてその結果を環境庁長官に答申しておられますが、その結論が今申し上げたようなことを踏まえた上での結論なんだということになると思います。「現在の大気汚染の状況下においては、地域指定を継続し、又は新たに指定して、地域の患者集団の損害をすべて大気汚染と因果関係ありとみなし、大気汚染物質の排出原因者にその填補を求めることは、民事責任を踏まえた本制度の趣旨を逸脱することとなり、よって、現行指定地域をすべて解除し、今後、新規に患者の認定を行わないこととすることが相当と考える。」という結論を出していらっしゃるのです。
 私が理解しにくいのは、初めに申し上げた今の大気の状況、それから大気汚染と病気の関係を医学的立場から専門委員会が専門的に検討を加えた報告を出しておられる。そして大変に重要な懸念事項もつけ加えておられる。こういうようなことが報告されておりますにもかかわらずどうしてこのような結論が出されたのだろう、なぜこういう結論に結びつくのかなというふうに思うのです。ここら辺がどうも理解できない点なんですが、そこをひとつ説明していただけませんか。
#20
○目黒政府委員 御指摘の点でございますが、これは一つは、先ほども御説明申し上げましたが、この専門委員会と作業小委員会の位置づけということも絡んでこようかと思います。先生の御指摘の点を踏まえてお答え申し上げますと、専門委員会報告が出た後の審議の経過は、専門委員会の報告を環境保健部会でまず伺ったわけでございます、そしてそれを受けて直ちに今度は作業小委員会をつくったのでございます。この専門委員会の報告を検討するための作業小委員会のメンバーでございますが、環境保健部会のメンバーの中から医学及び法律等の専門家で構成しております。そこであらかじめ制度面からの検討を行う、こういうふうな仕組みにしたわけでございます。
 次に、まず作業小委員会では、専門委員会の委員長から直接専門委員会報告の内容について説明を受けたわけでございまして、その説明を受けた後、十分にそのほかについても検討を行ったのでございます。またさらにこの専門委員会報告の結論あるいは各方面の御意見あるいは制度の基本的な考え方等のほかに、制度の見直しに必要な事項、こういうものについてはほとんどすべてといっていいような検討を行ってまいったのでございます。その結果を、環境保健部会の中には専門委員会のメンバーも入っておられるわけでございますが、その専門委員会のメンバーを含めました環境保健部会でさらにまた作業小委員会の結果を検討いたしまして、そして一つの結論に到達したわけでございますが、その環境保健部会の報告の内容を、さらに大変重要な事柄であるということから総会を開きまして、広く委員の意見を聞くといったような慎重な手続を行いまして、先ほど大臣からもお答え申し上げましたような会長の談話が出るといったようなことも含めまして答申に至ったということでございまして、まず極めて専門委員会報告を含めて慎重に検討を行ったという経緯がございます。
 それから、次にこの内容でございますけれども、今先生がお話しになりました内容の中で最も取り上げましたものは、現在の大気汚染は健康に何らかの影響を及ぼしている可能性というのは否定できないけれども、ぜんそく等の主たる原因とは考えられないというような点についてでございまして、専門委員会の報告あるいは中公審の答申等を見てまいりますと、この点を中心に制度の合理性を保つために地域指定を解除するといったような結論に到達したというふうに私どもは理解をしているところでございます、
#21
○金子(み)委員 今の御答弁で、こういうような大気汚染の状況だけれども、やはり主たる原因が硫黄酸化物であるというところに重点を置いて最初から出発したこの制度なんですね。だから、その変化をずっと追ってきて、その結果その原因ではなくなったというふうに解釈をして認定と補償とを切り離す、こういうふうになったのだと思うわけです。そういうふうに見てくれば、それはそれで一つの考え方は成り立つと思うのですけれども、実際問題としてはそれだけではないのです。今御説明にもありましたように、必ずしも二酸化硫黄だけの問題ではないということが事実として証明されているわけでありますから、これからまた新しい患者が発生するということは当然考えられることですね。ですから、その新しく発生してくる患者の問題をどうするかというのは次の大きな問題だと思います。それは後ほどまたお尋ねさせていただきますが、そういうことがあるということをやはり考えの中に入れておかなければならないし、むしろそういうこれから発生してくるような患者があってはならないというのが本当の行政の目的だと思いますから、発生させないためにどうするかという問題なんかがこれからの重要な問題になるだろうというふうに思います。これは次の問題としてお尋ねすることにいたします。
 私が次にお尋ねしたいと思っておりますことは、この制度を改正するに当たって地方自治体の意見を聞かなければならないということになっておりまして、環境庁は地方自治体の意見をお聞きになった、そしてその意見をずっとおとりになって、それに対する考え方も答えていらっしゃるようです。この地方自治体から返ってきました自治体の意見、五十一自治体の意見書というものなんですが、これはそちらにもおありになるでしょうから一つ一つ申し上げなくてもいいと思いますけれども、全く反対だという自治体が二十一自治体あるわけです。同意できない、適切でない、納得しがたい、全面解除を前提としないでほしい、賛意を表することはできないといろいろな言い方があるわけです。
 具体的には「二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準が未達成で、なお改善を要する状況にある。環境基準が達成されるのを待って解除を行うべきではないか。」というふうな意見もあっております。あるいは「窒素酸化物の健康影響を十分解明しないまま、指定解除の結論を急いだように見受けられる。」いろいろな言い方があるわけでございますが、反対の意見が非常に強い。それから慎重論というのもあるわけです。慎重に検討してもらいたい、慎重な対処が望まれるというような言い方もあります。わずか六団体だけが条件をつけてやむを得ないという意見書を出している。
 こんなふうに五十一団体のうちの六団体だけがまあしようがない、条件をつけて賛成しようじゃないかというような意見を出しているというふうなことでございますと、ほとんどの自治体、九〇%ぐらいまでが反対だというような自治体の反体意見を押し切ってまでもやらなければならなかった理由があるに違いない。反対意見は自治体だけではなくていろいろなところからも出ていることは御承知だと思いますけれども、特に環境庁が意見を求められた自治体からこういう回答と申しますか意見として出てきているということについてはどういうふうにお考えになりますか。細かいことはまた後ほどにいたしまして、そういうことについて、環境庁はこれも割り切っていかれるわけですか。
#22
○目黒政府委員 地方自治体の意見を聞くということは、これは私ども公健法の二条四項に基づいて地方公共団体の御意見を聞いたわけでございます。この地方自治体から意見を聴取するという趣旨でございますが、これは単純に自治体の賛否をとりまして多数決で物事を決するということではないのでございまして、関係自治体の意見を参考にいたしまして制度を適正に運営するためのものであるというふうに理解をいたしているのでございます。したがいまして、環境庁といたしましては、広範な内容を有します自治体の意見についても、結論だけではございませんで、その御意見の背景となった理由あるいは状況等も含めまして十分に検討をしてまいったところでございます。
 それで、今回の意見聴取につきましては、今先生からもお話がございましたけれども、大都市の地方公共団体を中心といたしまして、大気汚染についてはなお改善を要する状況にあること及び窒素酸化物等の健康影響についての科学的な解明が不十分であること等の理由から、指定地域の解除に対して慎重な対応を求める意見が多く見られ、また、新たな健康被害の予防事業あるいは大気汚染防止対策といったようなことについても非常に強い要望が寄せられたわけでございます。私ども、この御要望あるいは御意見等を重要な御指摘と受けとめまして、健康被害の予防事業の実施等々の先ほど来申し上げました環境保健施策というものを実施いたしますとともに、大気汚染防止対策を一層強化することにより万全を期したいということで行ってまいっているところでございます。
#23
○金子(み)委員 地方公共団体のいろんな意見が出ていることについて今御答弁ありましたが、私は、その中でも東京都が複合大気汚染健康影響調査というのを実施されて、そしてその実施に基づいて意見を出されたというふうに理解しているわけです。そこで、この東京都の調査の問題と絡めて、関係して幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
 作業委員会のお話も今出ましたが、昨年十月六日に作業委員会がつくった答申の原案が環境保健部会全体の確認をとれなかったということを、これは新聞記事ですが見たんです。それはなぜだろうというふうに考えましたら、それは専門委員会、これは先ほど来御説明ありましたので詳しくあれを申し上げませんが、この専門委員会が環境保健部会でこのようにおっしゃっているみたいなんですね。というのは、報告の結論部分では、最近の大気汚染は二酸化窒素と大気中粒子状物質が特に注目される、専門委員会ではそのように言っているのにこれを省略しているなど、専門委員会報告の引用の仕方がおかしいんじゃないか。それから局地的汚染のひどい沿道地域を簡単に解除しているけれども、これは窒素酸化物を無視しているとしか思えないというようなことを含めて鈴木委員長がかなり強く、自分たちが研究した報告の引用と理解が間違っていると批判なさったので、それを受けて報告をされた作業委員会の答申原案は認められなかったと申しますか、確認をとれなかったんだというふうに考えられるんですけれども、そういうことはあるんですか。
#24
○目黒政府委員 御指摘の作業委員会の答申原案と申しますか作業の一つの過程でございますが、一つのものについて部会の全員の合意を得られなかった云々というような御指摘と受けとめているわけですが、部会の各委員がどのような考えで御発言になったのかということについては、それはそれぞれの先生方のお考えがあろうというふうに私ども承知しているわけでございます。また鈴木先生がどのような御発言をされたかというふうなことにつきましては、この審議会の中でだれがどのような発言をされたかというふうなことにつきましては、この審議の公正を図るといったような観点から、どうであったというふうなことについてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますので御理解を賜りたいと思っておるのでございます。
 会長の談話にもございますけれども、もちろんいろいろな御意見がその中ではあったんでございますが、その中の総意としてやはりあの答申案でいこう、こういう答申の内容でいこうというふうに決まったわけでございます。先ほど来その経緯とか手順といったようなものについては御説明申し上げましたので差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても鈴木先生、いろいろ御指摘のような点があったかなかったかというような点を含めて差し控えさせていただきたい。しかしながら総意としては、とにかく皆様方の御意見としてあのようにまとめられたものというふうに私ども理解をいたしているところでございます。
#25
○金子(み)委員 引き続いて同じ問題に関係するのですが、専門委員会の報告の中で私は一つこだわることがあるのです。ずっと報告していらっしゃる中身、それでわかるのですが、一番最後に留意事項というのをつくっていらっしゃるでしょう。私はこの留意事項というのにひどくこだわるのですけれども、なぜ留意事項にされたんだろうかということが非常に気になっておりました。本来ならば留意事項なんということにしないで本文の中に、本論の中に入るべきものだったのではないかなと思ったりもするわけです。これを留意事項にされた理由というのがわがらなかったのですが、いろいろ調べてみましたらこういうことのようでございます。
 これは東京都の調査と絡んでくるのでございますね。私はここからそのことを考えつくんですけれども、四月八日、専門委員会は報告をまとめて公表しました。同じ日に引き続き環境保健部会が開かれたわけですね。その席上で鈴木委員長が説明をしておられるわけです、委員会の報告を。そしてその説明をしていらっしゃる報告の中でこういうことがあるんですね。今まで大気汚染対策というのは面として考えてきたけれども、ここまで来たら重点的な問題、例えば線なりポイント、点なりという面で細かい配慮が必要になってくるんじゃないかというふうに忠告していらっしゃるのです。それについて専門委員会報告では、「局地的汚染」という言葉を使った。それが留意事項の中に入ってくるわけですね。「局地的汚染」という言葉であらわしておきましたが、そういう「局地的汚染」の影響は非常に考慮を要します。ただ、私たちはその資料を持っていなかった、細かい資料を持っていなかったので「局地的汚染」という言葉を使ったのですというふうに言っておられるのです。私たちはその資料を持っていなかったということなんですけれども、それは専門委員会でそれをなさったということでなくて、ここで言っていらっしゃるのは東京都の調査のことを意味しておるというふうにわかるわけです。
 東京都は環境庁の依頼を受けて、複合大気汚染健康影響調査検討委員会、こういうものを設置されて、そしてずっと検討をしてこられた。そして、このことについては五十三年から五十九年度にかけて調査を進めてきて、症状調査と疾病調査と患者調査と死亡調査と、基礎的、実験的研究という五つの分野に分けて、主として幹線道路に関した調査研究を行ってきた。六十一年三月には報告書がまとまっておりましたということなんですが、この専門委員会が報告を環境保健部会に出されて、そして専門委員会を終了したのは四月のうちなんですね。それでこの東京都の報告はまだその時点では届いてきていなかった。それでその検討委員会の東京都の報告、ですから私は、鈴木委員長がここで言外に含めていらっしゃることは、資料を持たなかったということは東京都の資料を見ることができなかったということなんだろう、私はそう推察したわけです。
 東京都の資料というのはその後環境庁へ出てきているのですね、五月に出てきている。三月にできているのになぜ五月に出てきているのか、その辺のことは東京都の手続の問題であるのかもしれないと思っておりますけれども、新聞なんかによりますと、環境庁が東京都に圧力をかけて、報告はおくらせてくれよと言われたというようなことが新聞報道では出ています。これを一〇〇%信用するかどうかというのは別問題ですけれども、そんなことがないこともないのかなと思ったり、いろいろ勘ぐったりもいたします。というのは、もしこの報告が早く出てきていて、専門委員会がそれを検討することができたならば、専門委員会の報告の内容は変わっていたかもしれないというふうに考えられるからなんですね。そうするともっと充実したと申しますか、キーポイントに触れた、琴線に触れた報告ができていたんじゃないだろうか。留意事項として残さなければならなかった、あるいは「局地的汚染」という言葉で表現しなければならなかったという専門委員会の悔しさというのか残念さがここに出ているような気がするのです。私はその点は非常に残念だった、遺憾だったと思う。
 どういう関係で、手違いか知りませんが、専門委員会というものがあるのだから、その専門委員会に重要な専門的な資料を検討させるべきだったと思うのですね。ところがそれをやってないのですよ。むしろその専門的な資料は専門委員会に出されないで、その後開かれている作業委員会の方へ出されている。作業委員会は、さっき御説明もありましたけれども、作業委員会の中に科学者は一人しかいませんよね。一人入っていらっしゃることは見ましたけれども、でも彼は公害の専門家じゃない、疫学の専門家でもない行政官です、公衆衛生の医師ではありますけれども。そういうふうに私どもは理解しますが、そこへ出されて、そして結論が出されてしまったということはいかにも残念だと思います。常識から考えても、こういうものは専門委員会があるのだから、専門委員会が一応報告を出した後だったかもしれないけれども、そういうときは別にもう一遍開かしてもいいんじゃないですか。そして専門委員会の意見を得て、作業委員会がそれを制度的にあるいは法律的に考えて報告を出すというふうにするべきであったのじゃないかなと私は思いました。
 そしたら、やはり同じようなことを思っていらっしゃる方があるのですね。東京都の調査委員会の座長をやっておられる吉田亮先生、この先生は千葉大の医学部長さんです。この千葉大の医学部長さんが、御自分でおっしゃっていらっしゃるのですね。この先生がおっしゃっていることは、
  東京都の「健康影響調査」は、二酸化窒素・浮遊粉じんを中心とする複合大気汚染の人体への健康影響をかなり明白に示唆したものである。
 中公審報告には、「専門委員会報告後現時点に至るまでの間にも、更に、大気汚染と健康被害との関係に関する知見について、東京都における複合大気汚染健康影響調査等新しいものが出てきているが、それらの知見を考慮しても専門委員会の結論として示された現時点での大気汚染と健康被害、特に慢性閉塞性肺疾患との因果関係の評価を変えるものではないと判断される」とあるが、
ここでだれが判断したかということをこの吉田座長は懸念していらっしゃるのです。というのは、作業委員会の中に、東京都のこの純粋に専門的な資料を検討し、解明し、評価して判断できる人がいたのだろうかという疑問が吉田先生の頭の中にはあるわけですね、おかしいぞ、だれが判断したんだと。非常に強く指摘をしていらっしゃるようでございます。
 こういうような人間の健康に深いかかわり合いを持つ公害問題を担当し、先ほど冒頭に大臣が人間の健康を守り促進するための環境を、状況を改善していく仕事をするとおっしゃっていらっしゃいますが、その立場から考えたら、基本になるのはやはりこういった専門的な、医学的な、科学的な資料だと私は思うのですよ。それを、こんな立派な資料があるのに活用できなかったというのは本当に残念でなりません。それだけじゃなくて、それを活用しないで、言葉は悪いですけれどもネグっちゃったわけですね。無視したというのでしょうか、そういうふうにしか受け取れない。これは、この吉田座長の発言を読んでみても、いかにも吉田先生は残念だと思われたでしょうし、残念どころのものじゃなかったんだと思うのです。そういう態度では最初の大臣の御発言の意図には沿わないですね、こういうことをやったんでは。私は全く同じ考え方をここで持ちます。確かにこのとおりだと思うのです。こういうことは絶対にあってはならないと思うのです。
 なぜこういうことをしてしまったのか。私は常識ある役人だったらこんなことはしないはずだと思うのですが、強い圧力か何かがかかってきて、それがこのような結果になってしまったのかもしれないとすら憶測をいたします、そんなようなことがあったのかなかったのかもちろん知りませんよ。ですけれども、あってはならないことだと思います。大臣の御発言から考えて環境庁がそんなことをするはずはないと思うのにこういう結果を出してしまった、なぜそういうことになったのだろうか、私は大変に残念でなりません。
 ですから、こういうことを考えますと、やはりこの制度は、都道府県の意見も九〇%以上反対しているし、それから沿線の住民ももちろん反対しているし、それだけではなくてお医者さんたちも反対していらっしゃるし、弁護士さんも反対しておられるし、いろいろ反対している人たちが多くて、これをこのままいかせたら大変じゃないかと言っていらっしゃる方が多いその中で、あえていくその意味は何ですか。私はこの際環境庁は勇気を持って、割り切ってという言葉をよくお使いになりますが、ここでこの制度は今回はもう一遍見直すために据え置いて、改めて再検討するという考えをお持ちにならないでしょうか。ぜひそれをやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
    〔委員長退席、戸沢委員長代理着席〕
#26
○目黒政府委員 この東京都の調査の件、それから留意事項の件等含めましてお答えを申し上げます。
 まず第一に、この専門委員会報告で局地的汚染を留意事項とした理由、これはもう先生もおっしゃっておられますけれども、専門委員会報告で検討の対象としたものは、主としてこの大気汚染の人口集団への影響ということをやったので、これはもう再々御説明申し上げているとおりですが、この局地的汚染、これは沿道等ということも当然主に考えておられるわけでございましたが、こういう局地的な汚染の影響について科学的な知見が十分でない、やはりこれを今後調査研究していくべきだろう、沿道の問題というものを科学的知見の立場からも非常に強調したいという趣旨で留意事項とされているというように私ども理解をしているわけでございます。
 この中央公害対策審議会の答申では留意事項を配慮してないんじゃないかということにつきましては、先ほど来、また先般も御説明申し上げましたように、局地的汚染の問題については研究とか調査とか、あるいは大気汚染防止対策等々行っておるのでございます。
 それで問題の、先生が御指摘になりました東京都の調査の点でございます。この東京都の調査につきましては、これは先生御承知のように五つの調査から成っておるのでございますが、この東京都の調査の中間報告、これはもう専門委員会でも取り上げておったのでございます。いろいろ御議論もいただいているのでございます。また、この東京都の調査には環境保健部会の数人の専門家がかかわっておったことも事実でございます。また、この部会の中には、先ほど来申し上げているように、四人の専門委員会の委員の先生も兼任といいますか、部会の先生で専門委員会の先生になっているという方もおられるわけでございます。こういう先生方が御議論をいただいたのでございます。この先生方が科学的な知見等々を総合いたしまして、答申の中にもございますように、東京都の調査自体については、特にこの結論を変えるものではないという趣旨のことで答申にも触れているのでございます。
 東京都の調査につきましては先般も御審議をいただいたのでございますが、五つの調査から成っているのでございます。この東京都の専門委員会では、大気汚染と健康被害との関連を示唆するといったようなことについてはございますけれども、因果関係ということについては未解明な部分が残っているので、なお研究、検討を加える必要があるというような趣旨のことが行われているのでございます。このようなことをすべて総合いたしまして、先ほど来申し上げておりますように、この環境保健部会では専門委員会の先生方も含めて御検討をいただいた結果、答申に盛り込んだという経緯でございます。
 また、御指摘のような圧力云々というようなことについてはございません。むしろ専門委員会の先生方の中でいろいろ御審議を慎重にいただき、科学的な知見を踏まえ、かつ科学的な知識を有する先生方が十分入って御審議をいただいたものというように私ども理解をしているところでございますので、どうぞ御理解を賜ればと思っているところでございます、
#27
○金子(み)委員 圧力みたいなものはあってはならないことですから、なかったことは結構なことだと思います。
 そこで、引き続きなんですが、どうもわからないことが幾つも出てくるのです。その一つは、今の局地汚染に関連することなんですが、中公審の答申の中に局地汚染について触れている部分がございますね。その部分では、「専門委員会報告は、主として一般環境の大気汚染の人口集団への影響について検討しているが、これよりも汚染レベルの高い局地的汚染の健康影響については、考慮を要すると述べている。」確かにそうですね。そこで「専門委員会報告において局地的汚染の内容は具体的には述べられていないが、」これは述べられなかったのです、資料がなかったから。「一般環境より明らかに汚染レベルの高い所としては、例えば一部の幹線道路沿道が挙げられる。しかしながら、局地的汚染の健康影響について評価を行うには、科学的知見が十分ではなく、留意事項とされているものである。このため、調査・研究及び大気汚染防止対策を一層推進するほか、後述する健康被害防止事業について、これらの地域も対象とすることが適当である。」そこで、一部の幹線道路も含めて指定地域のすべてを解除してしまっていることなのですが、「することが相当である。」というふうに書かれているのですね。その辺がよくわからない。この幹線道路の問題は留意事項として述べられて付加されているわけですが、それをそういったものをも含めて今度解除してしまったということ、言うなれば、一切ひっくるめて全面解除ということにしたらいいであろうという意味なのでしょうか。そういうふうにとれるのですが、随分乱暴だなと思います。そういうような言い方をしておられるのですが、それはそういうふうに解釈してもいいわけでしょうか。
#28
○目黒政府委員 御指摘の点は、沿道についてNOx等も含めてちゃんと考慮して検討した上で、私どもがとっているような結論に到達できるのかどうかという趣旨に私ども受けとめたわけでございますが、この専門委員会報告でも、先ほど来御議論いただいておりますように、一般環境よりも汚染レベルの高い沿道等、こういうものは考慮を要するということで留意事項としてまず指摘はされておるのでございます。しかしながら、現在の科学的知見によってもこのような地域を制度の対象として補償給付を行うべきとは判断できない、したがって、このような状況下において沿道の指定を行うことは妥当ではないと考えるというのが答申に出ているわけでございます。
 それで、この考え方は、先ほど来申し上げておりますように専門委員会報告をつくられた専門委員の先生方、東京都の調査にかかわられた先生方あるいはこれまでの科学的知見等々を総合して、全国を含めて総体として現在の大気汚染では主たる原因とは言えない云々という考え方をすべて基本にいたしているのでございまして、そういう中でも今後の研究課題の一つとして留意事項として述べられている、こういうふうに私ども理解しておるのでございます。したがいまして、私どもNOx等を踏まえまして、科学的知見が十分に入った結果の結論であろうというふうに理解をしているのでございます。もちろんNOxあるいは沿道対策等につきましては、答申でも指摘を受けておりますように、総合的な対策あるいは予防的な対策、予防事業といったようなことで私どもその対策に十分取り組んで努力をしているところでございます。
#29
○金子(み)委員 この答申の中に出てくることで理解のできない点がもう一つあります。それは、今こういう状態だからこういうふうにするという結論を出してやりますね。ところが、大気なんというものはいつも同じではありませんから変わっていきます。大気の状態が変わっていく。それで「再び著しい大気の汚染という事態が引き起こされるという懸念も完全には払拭できない。」そのとおりだと思いをする。「したがって、常に大気汚染と健康影響の状況を監視し、そのような事態を避ける努力を行うとともに、万一不幸にもそのような事態が起これば、直ちにそれに対応した行政措置を採り得るようにすることが必要である。」というふうに答申に言われております。
 また、これと関連すると思いますが、前回、岩垂委員が質問されたことに対する環境庁の御答弁でしたけれども、もしそういうようなことがあったら、将来発生が著しくなったときは再び地域指定を行うこともあるというような御答弁がありました。それはまた随分矛盾した、今、今後も懸念があるということを頭の中に置きながら今回一挙に廃止するというのは、何か非常に理解に苦しみますね。今後そういうことがあるかもしれないと思うのだけれども、それが起こったときには今廃止したものはまたもう一遍指定することがあり得るというようなことになるのでしょう。だということは、大変に粗雑だと申しますか矛盾していると申しますか、何か考え方が一貫していない。そういうことは非常に不安だと思います。そこら辺はどういうふうに理解したらいいのですか。
#30
○目黒政府委員 前回岩垂先生にもお答え申し上げたところでございますが、地域指定の解除と申しますものは、現在の大気汚染のもとでは本制度の合理性が失われたために行うという、前回から申し上げてきたことでございますが、将来万一大気汚染の状況が悪化した場合にはやはり地域指定は再度行うというふうにお答えを申し上げたわけでございます。これは、この制度発足当初は非常に激甚な大気汚染の状況下にあったことは事実でございます。それが非常に態様の変化、特にSOxの濃度が低下したといったようなことを含めまして現状のような大気の状況になってきたのでございまして、私ども、万一三十年代、四十年代のような非常に激甚な汚染がまた再び生じた場合には、これに対しては万全の策をとるということから、やはり将来悪化したときにはもう一度指定もあり得るという趣旨でお答えを申し上げたわけでございます。
 この点は中央公害対策審議会の答申の最後の方にも触れておられるわけでございまして、この制度については今私が申し上げた趣旨のことが書いてございまして、この制度はこのような事態が生じた場合に備えて速やかに対応できるよう今後ともこの制度そのものは存続していくべきだ、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう状況に備えてこの公健法制度そのものを存続しているのだというその趣旨を酌んで私どもそのように判断をしたのでございます。したがいまして、地域指定を解除し、あるいはまた制度を発足し、あるいは将来万一の場合に備えてまたこれの指定を行うということで、いつでも大気汚染の状況ということに関連してくるものというふうに私ども理解をしているところでございます。
#31
○金子(み)委員 それはそれなりにわかりますけれども、でも、それだったら、また起こったらまたやるというような行政のあり方というのは、どうも行政のあり方としては適当ではないと私は思うのです。それだったらば、今回一挙に全面解除などということにしないで、段階をつけるとかあるいは部分的にするとか、何か方法があったのじゃないかなと思いますけれども、あえてこうなさったというのは、やはり経済的側面を全面的に持っている加害者、企業ですね、これに免罪符を与えて、とにかくここで一遍、たまたまSO2が下がってきたのだからいいチャンスだ、これ以上続けていったらどこまで費用がかかるかわからないからもうこの辺でとめたいというような気持ちもあってかどうか知りませんが、とにかくここで打ち切りをして、そして、逆算してその理由づけをつくり上げたみたいに考えたらちょっと言い過ぎでしょうかね。何かそこら辺はそんな気がするのです。
 指定をするときにはあんなに緩慢な大ざっぱなとらえ方をして指定地域をつくって、その中にいる人はみんな対象になるのだといって大盤振る舞いをして進めてきたらば目算が違っちゃって、どんどん費用は上がるばがりで企業はとても大変だ、これ以上続けていったらどうしようもないというようなことがあって、たまたまSO2が下がってきた、努力のかいももちろんあったのですよ、だけれども下がってきたからいいチャンス、ここでひとつやらなければ、これ以上続けられたら企業が大変だというようなこともあったのじゃないかなどと私どもは勝手な想像をいたします。そんなようなこともあって、ここでまたその思い切り方がすごく大胆で、一挙に今度はやめちゃう。やるときは一挙に全部やり、やめるときも一挙に全部やめちゃう。私は行政としてもやりにくいだろうと思うのですね、こういうやり方は。
 ですから、きっと環境保健部長なんかは専門的な立場から考えればとてもじゃないが本当にやりにくくてしようがないということだろうと思いますが、そういうふうにあえてしなければならなかった。これは、やはり加害者負担の進め方でやってきた結果こういうことになってきたのじゃないかなというふうに思います。よかったか悪かったかということは判断していただきたいのですが、理由は逆算してつくり出したのだというふうに考えられるのですよ。そうでなかったら余りに乱暴です。そうでなかったらとてもじゃないが大変だろうと思うのですよ。
 そんなふうに考えていますけれども、再び状態が変わったときにはもう一遍やるという考えも持っていらっしゃるようですからそれを進めていかなければなりませんけれども、それより前にやめることの方を考えた方がいいのじゃないかな、こう思いまして申し上げているわけでございます。大変に答弁がしにくいかもしれませんけれども、そういうふうにすら私たちには考えられるのですよ。ですから、環境庁とされてはやりにくくておられるだろうという考えももちろん持ちますけれども、この際は何とかこれは抑えたいものだと思いますので、そういうふうに申し上げたわけでございます。
    〔戸沢委員長代理退席、委員長着席〕
#32
○目黒政府委員 御指摘の点についても当委員会でも何度か御審議をいただいた点でございます。審議会あるいは各段階でのいろいろな判断の中で出てまいりました最大の一つのことは、現状の大気汚染というものでは原因者と、それから補償を受ける被害者といいますか健康の被害を受けた方、こういう方々のはっきり主たる原因とは言えない、因果関係が確立てきない。この制度を公正にするためには、補償するという観点から、やはりこの原因者と被害を受けた方々といったようなところがはっきりした因果関係が必要なのでございます。先般来も御説明申し上げましたけれども、昭和三十年代、四十年代の非常に激甚な大気汚染の時代には、因果関係はある程度割り切れるような状況であったわけでございます。これは疫学的手法を初め、いろいろな科学的な知見も踏まえてできる。しかしながら、現在の大気の汚染の状況ではそのようなことができない、こういうために指定地域を解除するという方向に私ども踏み切ったのでございます。
 また、この大気汚染に対して健康の被害が懸念されるというような面もありまして、この辺につきましては予防的な観点から予防事業を実施する、あるいは調査研究を推進する、あるいは環境保健サーベイランス・システムを構築するといったような総合的な施策を行ってきているのでございます。これも審議会の答申の中にあるわけでございますが、現状の大気の汚染の中では個別な補償を行うというには非常に合理性がない、むしろ個々に補償するというよりは、地域全体に対して予防的な観点あるいは医療的な観点からこれを予防する、あるいは回復に努めていくということが妥当ではなかろうか、そういう提言を受けているわけでございまして、私どもそういう御提言を受けでそのような施策を講じることといたしているのでございます。
#33
○金子(み)委員 そこで、方向をちょっと変えて別の質問にいたしますが、これからの問題です。指定を解除するまでの問題はいろいろまだ残りますが、一応そこで打り切りまして、指定を解除した後、先ほどもちょっと触れましたが、患者が変わらないで発生してくるだろうというふうに考えられます。そういう場合に、前と同じような状態になったらまた新しく指定をするというのが先ほどのお話の中に出ていたわけですけれども、私はむしろ前と同じような状態になることを恐れますから、そういうふうにしないために予防事業と申しますか、今部長おっしゃったように地域全体に対する対策を立てなければいけないと考えるわけでございますが、そのためにはどういうことを計画していらっしゃるのだろうかということが一つです。
 それから、その費用は基金で行うことになっているようでございますが、その基金で十分だろうか、確かに間違いなくその基金で行えるんだろうかということが一つ。この答申を拝見してみましたらそれに関連したところがございます。現在の大気汚染でも、慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしていることを否定できない、さらに、今後あってはならないことだけれども、再び著しい汚染が引き起こされた場合には云々というのがありまして、「万一不幸にもそのような事態が起これば、直ちにそれに対応した行政措置を採り得るようにすることが必要である。」何をなさいますか。この答申の中では、「必要に応じて所要の措置を早急に講ずるためのシステム、すなわちサーベイランス・システムを早急に構築する必要がある。」というふうにうたわれているわけでございますけれども、このサーベイランス・システムの構築について環境庁はどういうふうに受けとめていらっしゃるか。三つほどまとめて御質問いたしましたけれども、それらについて答弁いただきたいと思います。
#34
○目黒政府委員 まず、先生御指摘の予防事業、これからの事業でございますが、これを私ども通称新事業というふうに呼んでいるわけでございます。これは今度の私どもの考え方でございますが、目的と申しますと、やはり現在の大気汚染が何らかの影響を及ぼしているというふうな先ほど来申し上げましたことによりまして、国や地方公共団体が現在行っておりますものにさらに補完してより効果的なものにするといったような観点から、大気汚染による健康被害を予防しようという目的で行っている事業なのでございます。
 その内容でございますが、この事業は、人の健康に着目をいたしました環境保健事業と、環境そのものに着目をいたしました環境改善事業の二つに分かれるのでございます。これはいずれもこの前提といたしておりますのは、一つの地域の全体の人口集団を対象として行うという先ほど来申し上げました中公審の趣旨からこの事業を行っているのでございますが、まず第一は、大気汚染の健康影響等に関する調査研究ということでございます。それから第二点は、医師とか保健婦等による呼吸器疾患に対します相談とか指導あるいは疾病予防のための健診といったようなものがあるのでございます。それからもう一つは、大気汚染等の影響によって起こってくる指定疾病等の患者さんが医療にかかっておられるわけですが、この医療の呼吸器の外来の整備充実といったような内容、三つの大きなポイントがあるのでございます。それを行いますためにさまざまのことを考えておったわけでございます。
 もう少し詳しく申し上げますと、例えば健康診断等につきましてはある種の検査をするとか、あるいは身体的な健康影響ということについてどういう状況であるかというふうな御心配の方々に対して、どのようなものであるか、あるいはどういうところで治療を受けたらいいかとか、あるいは具体的内容等々によって具体的な方向を相談に乗ってあげるといういわゆる相談指導的なもの、こういうものが一つの大きなポイントになっているのでございます。このほか細々したものといたしましては、先ほど医療機関の外来の整備というふうに申し上げたのでございますが、外来の整備のほかに例えば機能訓練事業というふうなことも行う予定でございます。あるいは気管支ぜんそくの児童等を対象といたしまして、療養上有効な水泳訓練あるいは音楽教室といったようなものもこの事業の中で行ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
 それから環境改善の事業でございますが、これはあるいは大気保全局長の方から細かなことが続いてあるかもしれませんけれども、例えば交通公害防止のための計画づくりとか、低公害車の普及促進等々、あるいは環境の質自体を健康被害を引き起こす可能性のないものにする研究や計画の推進、こういったものがあるのでございます。このような新事業を対象とする地域を管轄いたします地方公共団体が、今大ざっぱにくくって申し上げましたけれども、そのほかにプールの整備といったものも含めていろいろメニューがあるわけでございます。そのようなものの中から適当な事業を選択して実施していただく、それに対して助成を行うという考え方をいたしておるのでございます。この事業の性格はこの法律改正案の中にも明記しているのでございますが、いわゆる四号関係の業務あるいは五号関係の業務というふうに二つに分けて考えることもできるのであります。一つは協会自体が行うものでございまして、もう一つは先ほど申し上げたような地方公共団体が協会の助成を受けて行うものでございます。
 続いて費用負担について局長の方からお話を申し上げまして、後でまたサーベイランス・システムについて御説明申し上げたいと思います。
#35
○加藤(陸)政府委員 基金ができて事業が行なえるかというポイントについて私の方から御説明させていただきます。
 結論から申し上げますと、事業は必ず行なえます。まさに今回改正法案を出しておる目的の一つがそれでございます。今回御審議をいただいて成立しました暁には必ずこういう事業を行わせていただく。もちろんそのためには、五百億の規模を考えておるわけでございますが、この基金が特殊法人の中に設立されなければならないわけでございます。この点につきましては、関係方面は協力するという合意を既にまとめておられる旨の報告を受けております。
#36
○目黒政府委員 続いて、サーベイランスのことについてお答え申し上げます。
 このサーベイランス・システムにつきましては、先生御指摘のように、中公審の答申を踏まえて私ども実施することといたしておるわけでございます。このサーベイランス・システムと私どもが考えておりますのは、長期的に予測するといったようなことで、まず一つの地域の人口集団の健康状態と大気汚染との関係を定期的にかつ継続的に観察していく、そして必要に応じて所要の措置を講ずる、こういうシステムでございます。具体的に申しますと、環境モニタリングとか健康モニタリングといったようなものでございまして、この健康モニタリングの中にはさまざまな統計とか調査といったようなもの、いろいろな地域に関します大気汚染の健康影響に関連があると思われるもの、そういうもののデータを集積いたしまして解析し、評価をするというものでございます。
 それで、このサーベイランス・システムは、現在まだ我が国においては大気汚染のものに関しては具体的なものとして行われていないものでございまして、現在、このサーベイランス・システムを構築しますためにその具体的な方法論について検討をいただいているのでございます。具体的には、環境保健総合検討会の中にサーベイランス班といったようなサーベイランスについて集中的に御検討いただく研究班を組んでおりまして、既にこの六十二年度からパイロットの調査を行う予定にいたしているところでございまして、私ども、この六十二年度から行いますサーベイランスの状況を見まして、またあるいはその方法論等をさらに検討いただきまして、このサーベイランス・システムを構築するという方向に今動いているところでございます。
#37
○金子(み)委員 今かなり詳細に御答弁いただいたわけですが、そういうふうに計画を進めて実施するということになりますならば、それに関して一つ、二つお尋ねがあります。一体いつ実施なさるのか。これから調査をなさるわけでしょうが、その調査あるいは研究というのはどれくらい時間がかかるものなのか、その結果どれくらい役に立つものかということになるわけですけれども、お尋ねしてみたいと思います。それはいかがですか。
#38
○目黒政府委員 まずこのサーベイランス・システムの検討の状況でございますけれども、この点につきましては、現在幾つかの地域をパイロットでやっているわけでございますが、この制度自体は一つの健康モニタリングと申しますか、地域全体の健康状況をとるという行為自体が非常に長期的な要素を持っているのでございます。例えば、これはまだ具体的なものとして取り上げていないのでございますが、御検討いただいている中身の一つでございますが、地域全部の一年間の各種の調査の結果があるわけでございますから、そういう結果を少なくとも一年間はまとめてみるという作業も当然その検討の段階で入ってくるわけでございます。例えばこれは死亡者をとるかどうかは別といたしまして、年間の死亡者の数、これをどういうふうにするかとか、実際に各種のデータの中に大気汚染と関連ありと思われるのはどことどこまでをとるのかといった具体的な問題もございます。
 したがいまして、サーベイランス・システムの構築というのは私どもできるだけ早い時期にお願いしたいと思ってはおりますけれども、かなり重要なものでもございますし、また具体的にこのようなものを実施することは初めての経験でもございますので、慎重に取り組みたいと思っているのでございます。かなり早い時期と思っておるのですが、年単位のデータを集積するということでございますので、早くても二、三年はかかるのじゃないだろうかと私ども考えているところでございます。
 それから新事業の方でございますが、予防事業につきましては先ほど局長の方からもお話をしてございますけれども、基金の状況もございますので、解除を行った時点から具体的に地方公共団体と話をし、あるいはまた、直接行うものにつきましてはデザインを組みながらできるだけ早い時期に直ちに取りかかりたいと思っているところでございます。
#39
○金子(み)委員 私は、調査研究をしていただいたり新しい予防事業を進めていただいたり、結構だと思いますけれども、それはなさるのだったらやはり素早くやっていただきたいのです。今度指定が解除になった直後直ちに実施するということはお約束いただけませんか。
#40
○目黒政府委員 この新しい事業につきましては直ちに行うという方向で私ども取り組みたいと思っております。
#41
○金子(み)委員 ぜひそうしていただかなければ意味がないと思いますから、それをお願いしたい。
 いま一つお尋ねしたいのは、御説明がありましたのを伺っておったのですが、今のような新しい事業が実施されますと、今まで対象となりにくかった集団、言葉をかえて申し上げれば、専門委員会の報告の中にもありましたけれども、汚染されやすい特定の集団というものがありますが、その特定の集団、それも子供だとか年寄りだとかというのではなくて、見逃されやすい集団があるのだということを環境保健部長はこの前の委員会でも答弁していらっしゃいました。見逃されやすいと申しますか通常の調査にはひっかからないグループですね。グループが小さいのか、あるいはどういうのかはまだよくわかりませんけれども、そういうものをとらえることができるようになるのでしょうか、サーベイランス・システムあるいはその他の調査をなさって。見逃されやすいグループというのがあるから問題なんだということはこの前もお話し合いがあったと思います。そういうものもつかみ取ることができるのかどうか、それがやはり大きな問題だと思うのです。見逃されやすいグループというのがいつも出てきて問題になりますが、それも含むことができる調査でありますかどうですかということです。
#42
○目黒政府委員 今の留意事項の中の見逃されやすい集団といいますか、このものに対しましては、この留意事項にそもそもこれが出されました一つの考え方は、感受性の非常に高い集団につきましては、専門委員会報告を出されるときにいろいろお話を私ども伺っておるわけですが、通常の疫学調査において検出し得ないような少数の集団、一体そういうのはあるのかないのかということがまず問題になるわけでございます。専門委員会では、児童とか老人といったようなものについては調査の中で入ってくる。例えば、私どもが先ほど来申し上げておりますようなサーベイランスにいたしましても、あるいは新事業の中で行ってまいりますいろいろな相談やなんかにいたしましても、はっきりしたものについてはその調査なりあるいは通常の行政対応の中にはっきり入ってくるのでございます。したがいまして、その面については特に配慮を要しない。しかしながら、科学の世界のことでございますので、必ずそういう疫学調査といったようなものだけではひっかかってこないものがあり得る。これは言葉が適当であるかどうかは別といたしまして、非常に特異的な体質というものがあるのかないのか、もし特異的な体質というものがあるとすれば、それは一体どういうふうにしてその人たちを健康診断や各種の対策の中でつかまえていくのか、とにかくとらえられないような集団がどういうものかということをまずはっきりさせなければいけない、こういうことをこの専門委員会では非常に御指摘になっていたわけでございます。
 この集団については、それでは一体どうしたらいいだろうか。これにつきましては、当然サーベイランスを検討していただいております研究班においてももちろん御審議いただけるものと思っておりますし、またそのほか各種の研究調査の中でいろいろな分野が多角的な角度からどういうものであるかということをまず明らかにし、そしてそれに対する対応をしていくのだろう、こういう手順になりますので、この点につきましては、今申し上げましたような中でさらに調査や研究をしていく必要があるであろうと考えておるわけでございます。また、この先生方の御意見の中から出てきたものでもございますので、この点については当然十分に御審議がいただけるものと思っております。また、その結果何らかのものが出てくるということでありますれば、直ちにいろいろな行政の対応の中にそれを反映するべく努力をしていかなければならないのじゃないか、このように考えているのでございます。
#43
○金子(み)委員 そこで、これからなさる事業あるいは調査研究に注文をつけたいのです。調査をなさり、研究を進めていらっしゃる対象となる地域なんですけれども、これは東京だとか京浜地域ですとかあるいは大阪ですとか、大都市の周辺とか大都市が中心になるというふうに考えられておるようですけれども、私は、これから決められることだとは思いますけれども、それをお決めになるためには都道府県、地方自治体の意見もぜひおとりになっていただきたい。
 と申しますのは、今は自動車公害なんというのは日本の場合は全国的にあるのですね。東京とか大阪とか名古屋とか、必ずしもそういった大都市周辺だけではなくて、国道が全国に通されておりますでしょう、そうするとその国道の沿線というのは今日でも物すごい被害が起こっているわけですよ。ですから、対象となる地域を決して大都会だけに限定されては困るということです。幹線道路の沿線だったならば対象地域を全国的にとらえてほしいということを要望として申し上げておきたいと思います。
 それから、今の事業と関連することだと思うのですけれども、現行法で行っている保健福祉事業というのがありますでしょう。これは次の、今御説明のあった新しい事業との結びつきが必ず出てくると思うのですけれども、現在どの程度のことが行われているのでしょうか。ちょっと御説明ください。
#44
○目黒政府委員 この点につきましては、先生からも当委員会等において前回も御指摘をいただいているのでございますが、この公害保健福祉事業と申しますのは、健康被害を受けた方に対する救済というものが、何をおいてもまず健康を回復させることだ、健康回復というのをまず最重点にしておるのでございます。したがいまして、現行の制度の中では、損害の補償ともいうべき補償給付の支給を行っておりますが、そのほかに損なわれた健康を回復させる、そして回復した健康を保持増進させるために必要な事業ということで公害保健福祉事業というのを行ってきているわけでございます。
 これは、これからいろいろ申し上げるわけでございますが、この事業につきましても関係の方々からその内容とか進め方についてもいろいろな御意見を私ども承っておるのでございますが、現行としてはこのように行っているのでございます。まず第一はリハビリテーションの事業というのがございます。それから転地療養の事業というのがございます。それから三番目に療養具の支給、あるいは家庭療養指導といったようなものが主な項目なのでございます。
 まずリハビリテーションでございますけれども、このリハビリテーションの事業と申しますものは、第一種の指定地域の認定患者に対しまして運動療法等の機能回復訓練を行う、こういうことでございまして、具体的に申しますと、例えば訓練指導あるいは知識の普及といったことを行うわけでございます。あるいはリハビリテーションのために一泊、二泊のプログラムを実施いたしまして具体的に指導するとか、あるいは禁煙教室とか、あるいはプール等におきましてリハビリテーションを行うといったようなもの、あるいは音楽療法といったようなもの、そういうようなものを行っているのでございます。
 それから、二番目の転地療養でございますけれども、第一種の地域の認定者を、児童とか大人とか未就学児童といったような年齢階級等いろいろな実情に応じてグループ分けをいたしまして、一定期間の希望する日に非常に空気のきれいな自然環境のもとで保養する、あるいは療養指導訓練等具体的にそこで行う、あるいは効果が一体どういうふうになっているのかといったようなことを含めて行う事業でございます。これは、かなりいろいろ実施されておるわけでございますが、具体的には高原に行くとかあるいは海浜等のところで実施しているものでございます。
 それから、療養具の支給は、第一種の認定者でございます特級あるいは一級の方々の自宅療養者に、空気清浄器等を支給するというのを行っているのでございます。
 それから、家庭療養指導事業につきましては、認定患者のお宅へ保健婦が家庭訪問をいたしまして、具体的な日常生活上あるいは保健上の問題等について指導を行う、こういうようなことを行っているのでございまして、このほか若干細かいことについてはございますけれども、このような日常生活の指導を含めた今の四つの点について福祉事業というのを行っているのでございます。この費用等につきましては、二分の一を汚染原因者が負担する補償協会の費用ということになりますが、残りの二分の一を都道府県と国が折半して負担をいたしております。
 これらの事業と申しますのは、先ほども一番当初に申し上げましたけれども、都道府県知事等が各地域の公害健康被害者の実情等に応じて環境庁長官の承認を受けて実施する、このような手順で行っているものでございます。これについてはいろいろ御不満や御意見等あるのは事実でございますが、私どもこれにつきましても、改正後も認定患者については、既存の方々については補償を継続するということをいたしておりますので、その一環といたしまして、医療費等の給付を行うということ以外にこのような健康回復のための事業も今後も充実してまいりたい、このように考えているところでございます。
#45
○金子(み)委員 いろいろ伺ってみますと、それは公害保健行政みたいな感じになりますね。そうなってきますと、本来なら公害保健行政とでも申しますか、公害の問題、医療の問題、保健の問題、養護の問題というようなことは環境庁と厚生省と両方のお役所の仕事のように考えられます。これはどういうふうに進めていったら両方の役所がうまくいけるのかどうかわかりませんが、そんな感じがいたします。ですから、自治体の場合でも保健所が公害福祉事業をするのが本来の役割ではないかなというふうにも思います、今のような話からいきますと。ですけれども、今の日本の行政体系の中では、公害保健行政体制というものはないわけですね。そういうものがないものですからばらばらに、別々にというようなことになって、やることはやっているんだけれども効果的にぴたっといかないというような歯がゆさも出てくる。ここら辺を何か上手にいけないものかなというふうに考えております。
 ですから、これは一つの考えですが、将来は今までのような単に福祉事業としてやるのではなくて人を対象にする行政、公害問題を起こす原因、濃度だとか何だとかという問題は純粋に公害の原因ですから探求する必要があると思いますけれども、同時にそれが影響を及ぼすのは人すなわち国民の健康ですから、それを対象とした行政にしていかなければならないと考えます。今までは公害による健康被害の後追い行政でしょうか、病人が出ちゃった、さあ大変だ、それを補償しよう、こういうことでしょう。それでは本当に手おくれだと思いますから、そういう後追い行政ではなくて、しかもお金で補償するという問題ではなくて、病気を発生させないように事前に予防するというところに力点が置かれなければ、いつまでたってもこの公害患者の問題は解決できないと思うのです。それが非常に懸念されるところなんです。ですから、地域環境保健計画のようなものをきちんと位置づけして、これは国家事業ですから、国や自治体の責任を明確にした行政にする。それが今ないと思うのです。そういうことが必要ではないだろうかというふうに考えています。
 そこで、かつて東京都の公害環境保健部長ですか、やっていらした田尻宗昭さんという方がいらっしゃいますが、この方は同じような考えを持っていらっしゃって、私も同じ気持ちなんですけれども、彼はさらに進めて、法律の名称を公害健康被害予防救済法としたらどうだという提言をしていらっしゃる。法律の名前がそれがいいかどうかは別といたしまして、考え方としては私も同じ考え方を持つわけでございます。そういうふうに今御説明ありました保健事業あるいは予防事業とかを発展させていく、ただ公健法に基づく予防事業という行き方にしないで、今申し上げましたように、地域環境保健というものの計画はきちっと位置づけをして、それを独立させて運営させていけるようにしていってほしいなというふうに考えるわけでございます。
 そのようなことができるのかどうかなんですけれども、私は今お話を伺っていて、環境庁だけでなさるのはなかなかしんどいことだし、これは何か考えて行政の体系づけをして実施するというふうにやっていただけないものかなと思いまして、そのことをひとつお尋ねしてみたいと思うわけでございますが、それはいかがでしょうか。
#46
○目黒政府委員 御指摘の点は、中公審の答申等におきましても予防的な観点が重要であるということについては、私どももまたそのように考えているところでございます。
 先生が最初に御指摘になりました実際問題として現在どのように行われているかということでございますが、指定地域の大部分は保健所を持つ政令市と申しますか、市あるいは区自体が保健所を持っているというようなところが多いのでございまして、このようなところでは実際上先生から御指摘がありましたようないろいろな意味での矛盾あるいは縦割り行政といったようなこともあろうかと思いますが、各保健所あるいは衛生部局等がこの問題を行っておりまして、そこの中で保健所の職員等が行っているというのがあるのでございます。そういうところが幾つというのは今手元にちょっとございませんが、かなりのところがそのような形で、保健所なり保健所長なりのもとにこのような保健福祉事業をやっているところが多いというふうに私ども認識をいたしておるのでございます。
 もちろん、御指摘のような例外的なと申しますか二つに分かれてしまっているところもございます。しかしながら、それぞれの地方公共団体の方々に伺いますと、結局は厚生省の傘下にございます。あるいは医療機関とかあるいは保健所とか、具体的に申し上げますと、老人保健法なりあるいは母子保健法の関係でいろんな検診やら相談やら保健指導はもう現実に体制を組んで行っているのでございます。それらの体制を実際に使っているところもある、あるいは使い切れないところもある、そのような状況にあるのでございます。私どもの方といたしましては、このような点につきましては、当然これまでも厚生省傘下の、厚生省の管轄にあります、そのような所管にございますようなシステムに対しては互いに協力し、あるいは実際問題としても地方の自治体ではそれを一緒にやっていく、こういうような現実もございますので、今後とも厚生省あるいはその他の関連の省庁と十分打ち合わせをしながら、現在以上にこの点が円滑に進められますように努力をしてみたい、このように思っているのでございます。
 また、この法律の名称等の問題もいろいろございますけれども、今回「等」というようなものを入れました。提案理由のところで御説明申し上げましたような形ではございますが、法律の目的にやはりはっきり予防的なものを加えるというふうなもので明記しているところでございます。
 それから最後に、総合的な地域環境保健計画をつくるということで、計画的にかつ予防的な観点から一つの地域環境保健計画のようなものをつくってはどうか、そして国や地方自治体の責任を明確にしていったらどうかという御提言でございますが、先ほど来御説明申し上げました実態もあるわけでございます。それで、御指摘の地域環境保健計画につきましては、この性格、一体どういうふうに割り切っていくのか、実態上は一緒にやっている点はあるんですが、どういうふうに区分けをしていくかとか、具体的な性格とかあるいはどういう地域にどういうふうに行うかとか、あるいはそのほかの事業との位置づけとかいろいろ検討すべき面があるのでございます。したがいまして、実際問題としては今動いておってもそれをどういう形にまとめていくかということはやはり一つの大きな課題であろうと思っておりまして、私ども、これは一つのこれからの検討しなければいけない大きな課題だというふうに考えております。
 今後、この総合的な環境保健を実施するということでは、できるだけ計画的にこの御提言のようなもの、果たしてこの地域保健計画といったような形ではっきりとどこまで規定できるかは別といたしまして、総合的な環境保健施策の推進というものについては、私ども、関係省庁とも協力しながらできる限り計画的に進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
#47
○金子(み)委員 早速うまいこといくかどうかは別といたしましても、縦割り行政の弊害を改めながら、関係の省庁とは十分連携をとりながら、効果が上がるような行政を実施していただきたいとお願いする次第であります。
 そこで、ちょっとここで建設省に、お尋ねは少しですけれども、東京外郭環状道路の問題です。この外郭道路の計画の目的とそれから計画実施の進捗状況というんでしょうか、これを簡単にまず御説明いただけますか。
#48
○堀説明員 お答えいたします。
 東京外郭環状道路は、東京都心から半径約十五キロメートルの地域を結ぶ延長八十五キロメートルの環状道路であります。本路線は、東京都市圏の都心方向に集中する交通を適切に分散、導流するとともに、都心に起終点を持たない交通をバイパスさせるなど、首都圏交通体系の根幹的な道路として重要な役割を果たすものであると考えております。
 このうち埼玉県和光市から千葉県市川市に至る一般国道二百九十八号線につきましては、昭和四十五年度から直轄事業として事業化してまいりました。埼玉県内を中心に鋭意整備を推進してきておりまして、昭和六十一年度末までには十四・八キロメートルを供用しております。また関越自動車道の練馬ジャンクションから常磐自動車道の三郷インターチェンジに至る延長約三十キロメートルの専用部につきましては、昭和六十一年度高速自動車国道として事業に着手し、現在地元説明、用地買収及び事業を行っているところであります。今後とも事業の一層の推進を図ってまいりたいと存じております。
 以上でございます。
#49
○金子(み)委員 大体計画を進めてから二十年ぐらいたっているわけですけれども、随分時間がかかっているわけですよね。私はこういうふうに理解しているんです。事業がなかなか進まない理由が幾つかあるんだと思うのですけれども、そのうちの大きな理由は、道路が計画されているその沿線に住んでおられる住民の方たちの強い反対があるということを聞いております。その住民の方たちの強い反対というのは何かといったら、それはNOx、いわゆる自動車公害、自動車がまき散らす公害に対する反対なんですね。主としてNOxのこととかあるいは振動、騒音、そういうようなことがあるというふうに聞いていますし、それからいま一つは、生活環境を破壊される、こういうことで非常に反対しておられるわけです。
 私が関係しているところは東京の杉並区なんですけれども、杉並区では反対の意見書を前後十回出していますね。そのようにこれは地域住民の御要求です。場所としては善福寺公園の横を突き抜けるわけですね。あそこは静かで環境のいい最高の住宅地なんですね。そこを四車線道路ですかが走ろうとするというようなことで、非常に住民は恐れおののいているわけなんです。こういうような反対意見が多いということを聞いていらっしゃるだろうと思いますが、どうですか。それからいま一つは、それに対して何か対策をお考えになっていらっしゃるかどうか、それをお聞かせ願いたいと思います。
#50
○堀説明員 ただいま先生御指摘のように外環の中ではまだ事業の進捗が必ずしも思わしくない箇所がございます。その理由といたしましては、やはり地域の分断であるとか環境の悪化というようなことが生ずるのではないかという御心配の向きがございまして、そういったことで事業がなかなか進まないという箇所があることは事実でございます。そういったことを踏まえまして私どもといたしましては、地域全体として受け入れられる計画はどういう構造になるのかというようなことを鋭意調査を進めているわけでございまして、できるだけそういった問題のないような構造の検討を今しておる次第でございます。
#51
○金子(み)委員 一つだけ。御計画ではいつまでに仕上げるなんというようなことはないわけですね。決まっているんですか。
#52
○堀説明員 現在まだ事業に着手していない区間につきましていつまでに事業を完成させるという計画は持っておりませんけれども、できるだけ事業の重要性にかんがみまして計画を早くまとめて進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#53
○金子(み)委員 長官、今のお話お聞きになっていらっしゃったと思うのですけれども、これは東京だけの話ですが、東京だけじゃなくてほかの地域にも計画されていることだと思います。今時間もありませんので質問をいたしませんでしたけれどもね。私は東京都の外郭環状道路のことだけを質問したのですけれども、こういうようなものが実現していくということになりますと、これは今後の環境庁の問題になりますよ。また自動車公害です。局地汚染の原因になるわけですね、幹線道路のことですから。ですから、これはまた環境庁の仕事ということになって切りがないですね。それをどうしろ、こうしろという意味ではありませんけれども、環境庁となさっては、こういう問題が新しく出てくるわけでございますから、先ほど来今度の指定地域を解除した後の計画というのにうんと力を入れてもらいたいとお願いもいたしましたが、非常に問題が大きい、これからもこれだけで済まない、次々と同じような問題が起こってくる、日本じゅうそうなるのじゃないだろうか。主に大都市が中心にはなるでしょうけれども、大都市だけでなくて、見逃されやすいところがよその地域にもあるだろうと思います。
 とにかく国じゅうがそんなことになって、かつての、何十年か昔の公害列島みたいに、別の理由の公害列島みたいになるのじゃないかという心配すら全くないとは言えないと思います。その辺を環境庁長官は考えておいていただきたいと思うのでございますが、私は最後にこういうことを申し上げて、長官の御意見をいただきたいと思っているわけでございます。
 この公健法を中心といたしまして問題が起こり始めたときからのことを考えているわけでございますが、中曽根首相の私的諮問機関である経済政策研究会というのがあるようでございますけれども、ここが今から三、四年前に「これからの経済政策と民間活力の培養」と題する報告書を取りまとめられました。お読みになったかと思いますが、その中に、民間活力を地域開発に導入する場合の最も有効な方法として各種規制の緩和、これを掲げておられる。それで、この報告と相前後して、政府は環境アセスメント制度の法制化を挫折させてしまいましたね。環境アセスメントはできなかった。それから、大気、水など環境基準の未達成状況をそのままにしております。環境基準に到達していないものをそのままに放置してあるし、あるいは基準そのものを緩和させたこともありますね。
 さらに今度、公害健康被害補償制度の見直しを図る。次々とこういうふうにしておられるのですが、環境行政の柱である公害規制あるいは環境破壊の未然防止、それから被害者救済、これは既に実施しておりますが、後追い事業です。これらのことごとくを骨抜きにして、今度の法改正によって、個別公害規制から環境管理行政への展開を政府は自分の手で封じてきてしまったのじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。大変に遺憾だと思いますし、問題があると思うのです。これは地域住民の方たちでなくて、地方自治体やそれからお医者さんや弁護士さん、あるいは環境保健部会や中公審の中においてすら反対の意見が出ていたのです。決して満場一致じゃなかった、御存じのとおりです。そういうことから考えますと、今ここで無理して、初めに指定解除ありきみたいなことにしないで、今回は勇断をもって撤回すべきじゃないかというふうに思います。それを含めて長官の御意見、御所見を承りたいと思います。
#54
○稲村国務大臣 金子先生が国会議員の中で最も国民の健康、福祉を守る立場に立たれて情熱を傾けられていることは私はよく承知し、敬意を表しているところでございまして、今外郭環状道路の問題に触れられまして、この問題は環境への影響が事実大変大きなものがあると思い、道路の建設に当たっては適切な環境影響評価の実施などによって、公害の防止及び自然環境の保全が十分に図られるよう行政を進めることを心がけねばならないことは、これは先生の御指摘をまつまでもございません。
 さらに開発と環境保全について、中曽根内閣の私的諮問機関の規制緩和の点に先生少し触れられましたが、特に開発と環境保全、保全に重点を置きながら先進国としてのふさわしい環境アセス、環境保全を行政として本当に力を傾けなければならない、情熱を傾けなければならないことは申し上げるまでもございません。
 そういう観点に立って、この公健法の解除、先生今質問されましたが、私どもはこの公健法についてより合理的なものとするために今改正を求めている。そういう点で幾つかのアンバランスの点も感じられ、国民の目から見て公正であり合理的なものにしたい、こう心がけて提案申し上げているところでございますので、御理解を賜ればありがたいと思います。
#55
○金子(み)委員 私はいろいろと申し上げて、そういうことを考えれば今回はこの法案を撤回するべきじゃないかと申し上げたのですが、その辺はお触れにならなかったけれども、いかがですか。
#56
○稲村国務大臣 そういうことで大気の状況、いろいろNOx対策も含めて予防という点を強く打ち出し、具体的には、この指定地域と一メートル違ったところで同じ条件の人でも指定を受けていない、同じ恩恵に浴せないというようなアンバランスのところも考えながら、公正、適正、合理的にこの法を改正して予防、先生もこの質疑に立って予防という点に力を入れられたらということを今私も拝聴いたしましたが、そこを心がけていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
#57
○金子(み)委員 指定解除を撤回なさる御意思がないことがわかって大変残念でございますけれども、質問を終わります。ありがとうございました。
#58
○林委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十九分開議
#59
○林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。春田重昭君。
#60
○春田委員 まず、公害健康被害補償法の今回の改正の概要につきまして、簡潔に御説明いただきたいと思います。
#61
○目黒政府委員 今回の改正につきましては、まず、大気汚染と健康被害との関係ということを調べますために各種の調査等を行った結果を含めまして、五十八年十一月に我が国の大気汚染の態様の変化を踏まえて第一種地域のあり方について中央公害対策審議会に諮問をしたのでございます。その後、同審議会では専門委員会あるいは作業小委員会等の御審議をいただき、環境保健部会で答申の案を取りまとめまして、六十一年の十月に「第一種地域のあり方等について」の答申をいただいたのでございます。
 その答申の結果、私どもの方といたしましては、四十一の第一種の指定地域の指定の解除、それから既存の認定患者に対する給付は存続する、それから新たな事業といたしまして、個別の補償にかわって地域全体の、いわゆるこの種の健康被害の予防対策といった観点からの新しい事業を行うこと等を決めたわけでございます。これらのことを行うに当たりまして、所要の法律改正を行うこととして今回提出したのでございます。
 その改正の具体的な内容でございますが、まず第一は法律の題名とそれから目的の改正、これが第一番目でございます。
 まず題名は、公害健康被害補償法ということでございましたのを公害健康被害の補償等に関する法律ということに変えることとしたのでございます。
 それから二番目は、その目的がこれまでは健康被害の補償ということに限られておりましたのを、健康被害の補償に加えまして健康被害の予防というものを目的の中に加えたのでございます。
 先ほど申し上げましたように、指定地域の解除に当たりまして、これまでの既認定患者に対します補償給付を可能といたしますために、その費用を負担する仕組みを決めたのでございます。第一番目は納付義務者についてでございます。第二番目にはその賦課金の額についてでございます。この費用負担に関する規定をまず整備いたしております。納付義務者につきましては、指定解除前に大気汚染の原因者であった事業者というものを主として行う。それから二番目に、この賦課金の金額に対しましては、指定解除前の排出量を基礎に算定いたしました賦課金額、つまり指定解除を行います以前に排出をしましたものについてこれを過去分ということにいたしまして、そういういわゆる過去分の賦課金額、それから指定解除をした後の毎年の排出量を基礎に算定をいたしました金額を現在分といたしまして、それぞれの額を賦課金の額として規定をいたしたのでございます。
 次に、第三番目は公害健康被害補償協会の業務等に関する改正でございます。これは先ほど申し上げました予防的な観点を加えましたために、名称を公害健康被害補償協会から公害健康被害補償予防協会と改めたのでございます。
 次に、協会に、大気汚染の影響によります健康被害を予防いたしますために必要な事業に関する業務を加えたのでございます。まずその第一番目は、協会自体がこれを行います健康被害の予防に関します調査研究等のものでございます。第二番目といたしまして、健康被害の予防に関します計画の作成あるいは健康相談、健康診査、施設整備等を行う地方公共団体に対する助成を行う、こういう業務があるのでございます。また、協会には今の事業を行いますのに必要な費用を運用によって得るために、汚染原因者等から拠出されます拠出金から成ります基金を設けるということにいたしたわけでございます。
 以上が今回の公害健康被害補償制度の改正にかかわります経緯並びにそれに関する法律改正の概要でございます。
#62
○春田委員 公害健康被害補償法、これからは公健法という形で呼ばせていただきますけれども、この法律は大気汚染で問題となりました四日市公害裁判ではい煙、特にSOxの排出企業が敗訴をいたしました。そして被害者の患者が勝訴したことにより、これが全国的に広がるのを懸念して国、環境庁が企業と被害者の仲介をした形で昭和四十八年十月制定、昭和四十九年の九月から実施されている法律でございます。いわば水俣病の法案とともに公害から人間の健康を守る法律でありまして、健康を守る原点であろうと私は思っておるわけでございます。この法律が大きな問題点を残したまま今回改正されるに当たり、私は反対の立場でこれから種々御質問を展開してまいりたい、こう思っております。
 そこで長官にお伺いいたしますけれども、環境庁は昭和四十六年に設置されました。環境庁設置法には環境庁の任務としてこう書いてあります。「環境庁は、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全を図り、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」「主たる任務」というのは、私は国民の健康で文化的な生活の確保であろうと思っておるわけであります。しかし残念ながら今回の法改正につきましては、国民の健康確保より企業の論理が優先された形で出されているのではないかと危惧を持っているわけでございます。長官は、中公審の答申があったから、こういう御答弁であろうかと思いますが、私はこの中身をつぶさに検討してみまするに、必ずしもこの時期にこの改正が必要であるかどうか、時期尚早の感があるのではないかという感じを持っておるわけでございます。長官は、今回の法改正が現時点で最高の法案と思っておられるかどうか、まずお尋ねをしておきたいと思っております。
#63
○稲村国務大臣 春田先生から環境庁の創設の意義、人の健康を守り環境を保全し、より文化的な生活をする、その御指摘のとおり私どもは環境行政にかかわらねばならない、私自身もまさにそう考えております。
 そして、公健法の改正時期が今が最適であるかどうかという御質問でございますが、この解除について本当にいろんな意見が出ておることは承知しておりますし、今回の制度の見直しは、大気汚染の状況を踏まえて中公審の十分な三年にわたる審議をいただいた。これも賛否両論の中で私どもが公正かつより合理的なものにしようという考えを固めて、ベストではないがこの辺で踏み切った方が将来の、二十一世紀を迎えるに当たって、このままの形を続けるよりは、予防ということを重点にしながら中公審の先生方の御意見、この答申を踏まえて踏み切るべきだ、こう考えて、ベターだという結論に達してこの改正の御審議をお願いしている次第だと私は考えております。
#64
○春田委員 ベストではないけれどもベターである、こういうことでございます。
 中公審の和達会長が談話の中で、今回こういった形の答申をする、しかし行政にあえて言いたい、血の通った行政をやっていただきたい、こういった後ろ髪を引かれる思いで今回の中公審の答申が出されたと私は認識しているわけです。そこで大臣は、環境庁としては、答申は今後の環境保健対策の方向を示した大変貴重なものであると考えており、今後これを十分尊重して適切に対処してまいりたいという談話を発表されております。十分尊重する、これだけでは言葉が足らない、あの苦しみの中で大変な御苦労をなさっている患者団体の皆さん方の心情を考えたときに、短い文章でただ単なる尊重していきたいだけでは患者の皆さん方は納得しないのではなかろうかと私は思っているわけでございます。私は、環境庁の存在を宣揚するためにも、もうちょっとこの談話の中で患者の皆さん方の立場も考えながら、和達会長があえて血の通った行政と言われたものを含めながら、今回の法改正については環境庁の態度を出していただきたいと思うわけでございますけれども、再度長官の御答弁をいただきたいと思うのです。
#65
○稲村国務大臣 先生から御指摘をいただきましたが、改めて患者の痛みを理解し、血の通った環境行政の方向で私どもも取り組んでいく、患者の立場を本当に理解していかなければならないし、先生の言われた気持ちはこちらも全く同様でございます。
#66
○春田委員 私は反対であり、撤回する立場でございますけれども、法案が出された以上これは質疑をしなければなりませんので、何点かにわたってお尋ねしてまいりたいと思います。
 最初にこの認定患者の要件でございますけれども、これにつきまして簡潔に御説明をいただきたいと思うのです。
#67
○目黒政府委員 患者の認定要件でございますが、公健法に基づきます第一種地域に係ります患者の認定要件は、指定地域、暴露要件、それから指定疾病、この三つがあるのでございます。
 まず第一の指定地域の要件といたしましては、認定申請者が申請時に第一種地域の地区内に居住しているか一日のうちに八時間以上過ごすことが常態であること、これが第一の要件でございます。
 第二の暴露要件とは、第一種地域内での居住、通勤等が一定期間以上続いていることでございます。
 それから指定疾病の要件とは、気管支ぜんそく等四つの指定疾病にかかっていることでございまして、この三つの要件を満たせば認定を行うことといたしているのでございます。
#68
○春田委員 その中で指定地域の要件でございますが、昭和四十九年の中公審の答申の中では、法の実施に係る重要事項について項目としてその目安が出ているわけでございます。
 一つは、環境濃度が年平均値で〇・〇五ppm以上であること、環境基準の二・五倍ですか、こうなると思います。さらに、有症率がいわゆる自然有症率の二倍ないし三倍以上であること、こうなっております。ところで、当時の有症率、それから環境濃度ということでございますが、有症率は要するに指定地域の――指定地域というのは決まっていませんから、濃度が高いところを問診で行われたと思うのです。また環境濃度については測定器が必要であろうと思いますが、必ずしも全国にあったのではなかろうと思います。こういったいわゆる正確なデータや調査がなされないままに指定地域が四十一カ所になったのではなかろうかという声もあるわけでございますが、環境庁はどうでしょうか。
#69
○目黒政府委員 地域の指定でございますが、第一種の地域は公健法の二条一項に基づきまして、先生も御指摘になりましたとおり、相当範囲にわたる著しい大気汚染があるということと疾病が多発、この二つについてそれぞれのデータを持ち寄っているわけでございます。具体的にこれらの地域を指定するに当たりましては、まずそれぞれの地域の大気汚染の状況から必要と認められた地域の指定基礎調査というものを行ったわけでございます。そして、指定の要否をそれから判定をする、こういう手続を経てきておるのでございます。
 御指摘のように当時は測定局あるいは測定の方法、有症率の決め方、患者の発生多発ということの決め方、それはBMRC等の今と違ったいわゆる疫学的手法を用いて行ってきたのも事実でございます。そのほかに、当時のそれぞれの地域におきましては大気汚染の状況が非常に激しい場合、それほどでもない場合、いろいろあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましてもこの疫学的手法等を用いまして、あるいはまたその指定地域のあり方、例えば今の公健法が発足いたします以前から非常に高度の汚染地域になっておりましたのが指定地域の中にあるわけでございます。それぞれの地域、例えば西淀とか川崎、四日市といったようなかなり前から相当厳しい汚染状況があり、しかもそれに伴う患者が臨床的にもあり、またBMRC等の手段を使ってもそれがある程度証明されているというような地域もあるわけでございます。また環境の状況につきましても、指定の基準には達しておるけれどもそれほどでもないというようなことも過去においてあるわけでございます。いずれにいたしましても、過去の状況とがそれぞれの地域がその指定の時点で置かれていた実情、それを総合的に判断いたしまして私ども地域の指定を行ってきたのでございます。
#70
○春田委員 私は大阪の守口に住んでいるわけです。守口は今回この指定地域の中に入っているわけですね。お隣に門真市というのがあるのですが、これは守口と大体同じような都市形態でございまして、高速道路も走っているわけでございますが、守口が指定地域になって門真が入っていないということで、門真市域の皆さん方からおかしいではないかという声も随分上がっていたわけでございまして、そういった面では同じ地域の中で線引きが必ずしも厳しくできないという面があると思うのです。そういった中でこういう声が出てきたのではなかろうかと私は思っているわけでございますが、既に四十一地域は決まって、それが全面解除になろうとしているわけでございますからそれは別として、今回法改正することによって既存認定患者の方たちは従来どおり守っていかれる、こういう考え方が出ておりますけれども、もし法改正が成った場合、現行認定患者につきましても今後さらに審査体制が厳しくなっていくのではなかろうか、そういった心配な面もあるのですけれども、どうお考えなのですか。
#71
○目黒政府委員 現行の審査の体制と申しますか申請から認定に至るやり方といいますものは、これは先生御承知のようにまず申請をいたしましてそして受け付けをし、主治医の診断書等をもとにしてそれを総合的に今度は指定の機関で医学的な検査をまず行う。そうして認定審査会におきまして認定審査の一つの御意見をいただき、そしてそれぞれの地方自治体の長が認定する、こういう手続を経ているわけでございます。御指摘の点につきましては、恐らく認定審査会の意見内容等々というものもかなりいろいろあるのではなかろうかという御指摘かと思うわけでございますが、この認定審査会につきましては、それぞれの分野のその地域での専門家を配置いたしまして、これまでもこの認定審査につきましては厳正に公正に行ってきたところでございまして、また今後もそれと同じように続けていく、このように考えているところでございます。
#72
○春田委員 従来から私は不正が行われていると言っているのではないんですよ。厳正公正に行われたと思いますけれども、いわば今回の改正が、一つは新しい患者を認めないということでございますから、そういった面では患者を減らすのが一つの――厳しい言い方ですればそうなっているわけですよ。そういったことで今後の認定審査にかかっても従来どおり、手続はそうでございますけれども、新たな条件を加えて、いわゆる既存の認定患者の方たちを狭くしていくといいますか、そういったことは絶対ない、このように目黒さん、言えますか。
#73
○目黒政府委員 私どもはあくまでも従来とってきたと同じような方法でこの認定審査あるいは更新のことにつきましても行っていく予定でございまして、特に意図的に患者の数を減らすとか絞り込むといったようなことを考えているものではございません。
#74
○春田委員 もう一点。もしこの法案が成立いたしましてある時期、六月以内で公布となっておりますけれども、それが実施されたならば、その実施の前にこの患者の方といいますか、医師の診断を受ける、それで従来と違った厳しい審査体制を組む、それもない、このように思ってよろしいですね。
#75
○目黒政府委員 私どもはこの指定地域の解除がまず行われるまでの間はこれまでと全く同じように、御指摘のような特に厳しく意図的にするとか、そういう制限をするとか、あるいは特別の条件を付するというようなことはございません。またその解除後もそれは更新等あるわけでございますけれども、これについても従来と全く同じような形でやっていくということでございます。
#76
○春田委員 次に、指定地域の全面解除の理由でございますが、先ほども御説明がございましたけれども、さらに具体的に御説明をいただきたいと思います。
#77
○目黒政府委員 地域指定解除の主な理由は、次のようなものでございます。
 この専門委員会報告を踏まえて中公審で答申をいただいたわけでございまして、私どもその答申を踏まえて踏み切ったわけでございますが、現在の大気汚染の状況が総体としてぜんそく等の認定疾患の主たる原因にはならない、こういうことが非常に大きな一つの判断になっているのでございます。そういたしますと、この主たる原因ではないということを申しますと、原因者から費用負担を取り、そしてまたそれを患者に対して支給を補償するという形の現在の制度の合理性がなくなってきた。したがって、この現行の指定地域、これは法発足当時からある程度の割り切りを行ってきたものでございますが、それが合理性がなくなってきたということから私どもこの指定地域の解除ということを行うこととしたのでございます。また、さらに個別の患者の補償というものを行わずに今後は一定の地域を対象といたしまして予防的な観点から各種の事業を進めていこう、このように考えているのでございます。先ほど申し上げましたように、これまでの認定患者に対しましてはこれまでと同じような補償を続けていく、このように考えているところでございます。
#78
○春田委員 指定地域の全面解除の理由というのは、専門委員会の報告を踏まえながら、今答弁があったわけでございます。大気汚染と指定疾病の関係が主たる原因ではない、したがって、民事責務を踏まえた補償は合理性がない、こういうことでございます。同じ専門委員会の報告の中では、「現在の大気汚染が総体として慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できない」としている項目もあるわけです。したがって、決して疑いが完全に消えたわけではない。私は、環境庁というのは、科学的といいますか医学的なそういった知見がなくとも、先ほど言ったように和達会長が血の通った行政をしてほしいと言ったのはそこにあるのではなかろうかと思うのですよ。冒頭長官にお伺いしたように、環境庁の目的そして任務、これは明らかに国民の健康を確保するという形になっているわけです。そういったことを考えれば、主たる原因ではないとしても、何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないとしているこちらに環境庁としては比重を置きながらこの扱いを考えるべきであろう、こう私は主張するわけでございますが、どんなものでしょう。
#79
○目黒政府委員 御指摘の点については、そのとおりこの可能性は否定できないと専門委員会報告の中にあるわけでございます。ここに述べてございますような健康被害の起こるかもしれないという懸念につきましては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、健康被害予防事業というものを実施する、そしてまた調査研究を推進する、あるいは環境保健サーベイランス・システムの構築をするといったような総合的な環境保健施策を充実するということとあわせまして、大気汚染防止対策の強化により国民の健康保護に万全を期するということを考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、この制度の基本になっております民事を踏まえました考え方といたしまして、先ほど来申し上げておりますが、合理性を持つことができなくなった、つまり因果関係がはっきり言えなくなってきたというところに大きな原因があったわけでございます。しかしながら、この健康被害の懸念ある者につきましても、環境庁といたしましては先ほど申し上げました対策を行い、それを充実強化してまいる、こういうことを考えているのでございます。
#80
○春田委員 要は地域レベルの事業といいますか対策を考える、こういうことでございます。しかし、大気汚染によって苦しむのは人間なんですよ、患者なんですよ。そういったことから考えれば、先ほどから言っているように、環境庁の設置された第一義は、人間そのものの健康を守っていくのが環境庁の存在理由であろうと私は思うのですよ。当然そういった患者個々の、人間そのものをやはりきちっと救済しながら地域全体レベルのそういった事業等も行うべきであって、人間をないがしろにしたそういった事業というものは環境庁がとるべき態度ではない、こう私は思うのであります。長官、どうでしょうか。
#81
○目黒政府委員 事務的に先にちょっと御説明を申し上げますが、この懸念されます健康被害の問題につきましては、先ほどちょっと説明が不十分でございましたけれども、やはり個別に補償を行うということについての合理性はないのでございますけれども、それぞれの地域全体に住んでおります人々、人口集団に対する対応でございます。
 したがいまして、これも表現は異なってはおるのでございますが、集団全体に対しまして先ほど申し上げましたような相談、指導を行う、あるいは予防的な健診を行う、あるいは医療体制を整備する、あるいは総体的なサーベイランスのシステムを構築する、あるいはまた環境を改善するといったような施策を考えているのでございまして、私ども、そのような方向で努力してまいりたい、このように考えているのでございます。この環境庁設置の考え方に基づいて、国民の健康を保護するという方向で努力してまいりたい、このように考えているところでございます。
#82
○春田委員 ただいまの説明というのは、せんだって同僚議員の岩垂議員の質問でも、そういった形の中で、環境庁がこういった対応を考えているという形で理事会で書類が出てきたわけでございますが、目黒さんからそういった御答弁がございましたのであえて質問させていただきますけれども、いわゆる環境庁の考え方というのは、これは、患者個々の治療費の負担とか交通費の支弁とかそういったものを含めながら考えているのかどうか、ちょっと突っ込んだ形になりますけれども、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
#83
○目黒政府委員 これは、先般理事会にお配りをいたしました「大都市における気管支ぜん息等に関する研究調査」、このことについて恐らく御指摘のことと私は受けとめておるわけでございます。これは先ほど申し上げました予防的な事業の一つとして、この基金の事業の一つとして行われる、私どもこういうふうに考えているのでございますが、この目的は、あくまでも健康回復、こういうことを主眼といたしまして、その健康回復を行うための原因究明、こういう目標があるわけでございます。これがまず第一点でございます。
 それから、御指摘のこの内容でございますが、やはりこの対象といたします患者については、現在認定をいたしております患者さん、そういうような患者さんが将来それぞれの地域で起こってくる、その方々を対象としたい、このように考えているのでございます。
 その内容でございますが、これは、ある程度の医学的な諸検査とかあるいは問診とか保健指導とかそういったようなものについては、私どもの方で費用を負担しながらこれを行うということを考えておるのでございますが、それ以上のものに踏み込みましたもの、例えば現行行っておりますような一つの基本的な手当、こういうようなものについては考えておらないのでございます。したがいまして、先ほど申し上げました諸検査あるいはいろいろな住居環境の調査等々を行いますに当たっての実費程度のものを私どもは考えておりますけれども、いずれにいたしましても、現行の補償制度で行っているようなものについては考えていないのでございます。
 なお、この辺につきましては、私どもはさらに、この期間とか対象地域等々ということにつきましては、まだ今後の検討課題ということで、今なお鋭意検討をいたしているところでございます。
#84
○春田委員 今後の検討課題ということでございますので、あえて私は質問いたしませんけれども、やはり患者個々に還元ができるような、具体的なそういった内容にしていただきたい、こう強く主張しておきたいと思っております。
 次に、地域指定の解除の要件については、昭和四十九年の十一月の中公審の答申の中にこう書いてあります。
  地域指定の解除要件としては「著しい大気の汚染」がなくなり「その影響による疾病が多発」しなくなることが考えられる。具体的には相当期間(例えば五年程度)にわたり大気の汚染の程度が一度か環境基準を満たす程度に改善され、かつ、その地域における新しい患者の発生率が自然発生率(大気の汚染が極めて軽度の地域でみられる患者の発生率)程度に低下することが要求される。
ということで、大気の汚染の程度というのがいわゆる環境基準を満たすことが第一項目、そして、新しい患者の発生率が指定地域外の患者と同じ自然発生率に低下するということが指定解除の要件となっているわけでございますが、実は六十一年十月の答申では、この重要二項目について明快に出ていないわけでございます。これは明らかにする必要があるのではないかと私は思いますが、環境庁はどう思っておりますか。
#85
○目黒政府委員 四十九年度の答申で示された解除要件をなぜ使わないのかといったような御趣旨の御質問というふうに私どもは受けとめておるわけでございますが、この四十九年十一月の答申の時点におきましては、大気汚染による健康被害の状況が改善される過程においてもなお大気汚染の影響の程度が定量的に判断できる、つまり、四十九年当時の大気の状況の中では、さらにこれから大気がどんどん改善されていっても、患者の有症率その他、かなり定量的に大気汚染の健康に与える影響を判断できるだろうというふうに予測をしておったものでございます。
 しかしながら、現在の大気汚染の状況におきましては、我が国の大気汚染の程度を、疫学等のものを含めまして定量的に判断することが困難になってきたのでございます。つまり、大気汚染の程度が以前に比べてそれほど高くなくなってきたために、その中での患者に対する、あるいは健康影響に対するものがどの程度出るかといったような有症率の問題が、なかなか定量的に判断することが困難になってございました。したがいまして、今回の答申では、現在の大気汚染の状況下では、四十九年当時のこのものは使えなくなってきているというふうに審議会では判断をいたしまして、現在は、この全国のNOxを含むすべてを含めた大気汚染の状況下では、先ほど来申し上げておりますようなぜんそく等の疾病の主たる原因ではない、こういう結論に達してきたのでございます。
 いずれにいたしましても、この大気汚染がもともと、指定地域の中で相当数の患者が大気汚染が原因だ、こういうふうに認定できていたような状況と、それから現在ではそれが、大多数が大気汚染が原因であるといったような形で定量的に判断できない、こういうふうに変わってきたというところが大きな理由になっているというふうに私ども理解をいたしているのでございます。したがいまして、解除要件をまつまでもなく、このような状況下では現行の指定地域をすべて解除することが妥当であるということでございます。
#86
○春田委員 この六十一年十月の答申を読んでみますと、ただいま説明があったように、定量的な判断の困難性を述べたり、それから大気汚染以外の因子が今日では与えているのではなかろうかという形で、いわゆる四十九年十一月の中公審答申と違った見解を出しているわけですね。
 なぜこのように四十九年十一月と六十一年十月の答申が違うのか。それは、要するに四十九年十一月の解除要件が今時点では満たすことができないからなのです。例えば、この中公審の答申では、先ほど言ったように、まず新しい患者の発生率は指定地域外の自然発生率程度に低くなることということでしょう、環境庁は、この新しい患者の発生率を六十一年四月の国保のレセプトで行った、四十一地域の中で四地域だけを選んでやった、全部やっていない、ところが、結果的にはその四地域の中でも指定地域外よりも新規発生患者の方が非常に多いという結果が出た。こういう結果が出ているので、四十九年十一月の解除要件の理由に当たらないわけですよ、それが大きな理由ではないのですか。
#87
○目黒政府委員 これはあくまでも私ども、審議会の御意見でございますが、大きな違いは、先ほど申し上げましたように、一つは四十九年制度発足当初の科学的な知見と、それからさらに現状での科学的知見、これは大気汚染のとらえ方あるいは有症率のとらえ方、今国保のレセプト等の御指摘がございましたけれども、とらえ方が変わっている、あるいは相関のいろいろな科学的な知識というようなものもさらに積み上げられておるといったようなことを含めて、今の時点での科学的知見等を踏まえてこのような判断に達したものと私ども理解しているのでございます。
 ただ、御指摘のこのレセプト調査、それから指定地域の受診率を行いましたこのATS調査。等々、これは一部しか調査してないではないかということでございますけれども、あくまでもこの二つの調査は、例えば国保のレセプト調査のみならずATS調査というものも行っておるわけでございますが、これについては対象人員の数が非常に大きいとか、あるいは例えば二つの調査をやっているのでございますが、片や七万余り、片や十二万六千余りといったような世界にも例を見ないような非常に多くの対象を含めたものでございます。この制度もそういう関係で非常に一つの評価を得ている調査ではございます。
 しかしながら、このような調査の中では、現在の我が国の最高濃度レベルの大気汚染の影響をもこの中で入れているのでございまして、現行の四十一指定地域を含めた我が国の大気汚染と健康被害との関係ということで判断をしたものと私ども理解をしているのでございます。したがいまして、個々の指定地域については調査は必要ない、このように考えているところでございます。
 なお、この専門委員会は、これらの調査のほかに疫学調査、これは一つの有症率の調査でございますが、これに加えて動物実験とかあるいは臨床的な知見あるいは暴露実験等々を踏まえまして医学的に総合的に判断を下したものというふうに私は理解しているのでございます。
#88
○春田委員 いずれにいたしましても四十一地域を全面いわゆる解除するのですから、当然それだけの覚悟で環境庁は臨まなければならない。わずか四地域でもってそして判断する。四地域でも新しい患者の方というのは指定地域が多いわけですよ。それをもって全体をつかむことはできないと私は思うのです。四十一地域全員、全地域をやってそして初めてそれを出すべきじゃないかと私は思うのですよ。これはそんな中公審の答申だけのせいにしては困りますよ。要するに解除要件に合わないから、こういったことをあなたたちは採用しないのでしょう。
 さらに第二点の、大気汚染の程度が環境基準を満たすことになっている、こういうことが解除要件の二項目にございますね。大気汚染の原因というのは、目黒さん、SOxだけではないことは御存じのとおり。NOxやSPMを含んだそういった総合的、複合的な汚染というものが今言われているわけですよ。ましてNOxやSPMというのは環境基準を満たしていないじゃないですか。四十九年十一月の解除要件に全く合ってないじゃないですか。どうなんですか。
#89
○目黒政府委員 御指摘でもございましたが、四十九年当時の解除の要件と申しますのは、やはりSOxというものを基準に考えておったわけでございます。当時はNOxについてはまだ科学的な知見等からなかなか判断ができないというふうなことで、SOxを基礎とした条件であったわけであります。ここいらも、先ほどの審議会の二つの、四十九年の答申と、それから十年以上たった今回の六十一年の答申との一つの差ではなかろうかと思っているのでございます。
 それからもう一つは、NOxの問題でございますが、今度の制度改正の中で硫黄酸化物による汚染が改善される一方で、窒素酸化物とそれから大気中の粒子状物質の汚染がほぼ横ばいに推移するという大気の様態の変化を踏まえて私ども行ったわけでございます。また、この環境基準という御指摘もございましたけれども、この環境基準は健康で快適な生活のため、これを維持達成させるための望ましい基準でございまして、それを超えたら直ちに病気になるというものではないのでございまして、この専門委員会報告ではそのようなことをすべて含めまして、現在の大気汚染では何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できない、しかしながら因果関係については判断できないという先ほど来申し上げている趣旨の結論に達したわけでございます。したがいまして、NOxも含めたものとして私ども理解をいたしておるのでございます。
 なお、専門委員会報告では、このNOxとSOxと粒子状の物質、いわゆるSPM、この三つをもって代表されるというふうに触れておられますけれども、少なくともこの三つを含んで先ほど来申し上げている結論に達したのでございまして、私ども御指摘のようなことではなく、科学的知見を踏まえ、現在の与えられる限りの最高の知識をもってこのような判断に到達したというように理解をしているところでございます。
#90
○春田委員 いずれにいたしましてもこの四十九年十一月の答申と六十一年十月の答申と大きな相違があろうと私は思うのです。いわゆる六十一年十月の答申は灰色なんですよ。というのは、灰色にせざるを得なかった。指定基準のそういったいわゆる解除の要件が、NOxやSPMについてはそういった基準が出せなかった、また新しい患者の発生率も非常にふえていっている。そういった状況の中で、私はこの中公審の答申が非常にあいまいな形で出されてきたのではなかろうかと思っているわけであります。
 したがって、長官、中公審のいわゆる総会というのが行われた。これは中公審が設置されて二回目のことだそうです。総会というのはめったに開かれない。かつて自動車排出ガスの規制のときに一回行われて、今回の公健法が個別議題での総会としては二回目である、そんな重大な要件を含んだ総会であったわけです。ところが、総会の委員は八十名、出席したのは五十五名である、こうなっております。それで賛成したのが六名か七名であり、反対者は五名で、残り四分の三の方たちはほとんど無言であったと新聞でも報道されているわけです。そして、専門委員会の鈴木委員長がこの作業小委員会でも欠席されている。こういったいろいろな中公審の答申に至る経過をずっとつぶさに見てみれば、委員の先生方も今回のいわゆる抜本改正といいますか、改悪ですよ、これについては相当な御意見があったと私は言わざるを得ない。
 そういった中で、いわゆる矛盾した中で問題を残したままで今回の改正案が出ているということは、これは公害から人間の健康を守るいわゆる原点の法としては非常に時期尚早である。NOxやSPMの個々の評価をして、また新しい患者の発生率もつぶさに四十一地域全体をやって初めて、こうなんですということを出すべきじゃないかと私は思うのです。そんなものがあいまいな形の中で出てきて、そして御審議いただきたいといっても審議できませんよ。ましてや中公審のメンバーの中には患者団体が入っていない、財界の方たちが多く占められている。そういった中で、私は中公審を批判するわけじゃないけれども、本当に公正と言うならば、少なくとも病状を訴える、苦しみをわかっている患者団体を入れて答申を出していただきたいと言わざるを得ないのです。四十九年十一月の答申の解除要件が満たされないから、あえて独自のそういった見解を出して、そしていかにも状況が変わっていますからというようなやり方というのは、環境庁のやるべきことじゃないのじゃないですか。
 これはあなたたちは中公審と言うかもしれないけれども、環境庁の意見も随分中公審で言っているじゃないですか。私は、六十一年十月のこの中公審答申は、頭に解除ありき、そしてその作業が進められた、厳しく言えばそう言わざるを得ないような状況になってきている。本当にこの審議会の良識ある方たちはそういった形で判断なさっているのです。私は、それを環境庁に察していただきたいし、それを行政面で生かしていくのが血の通った環境庁の政治ではないかと思うのです。そういったことを含めて私は環境庁に、再度中公審に諮問をし直すべきじゃないですか。
#91
○目黒政府委員 先生の御指摘の点についてでございますが、この中央公害対策審議会、この中に総会あるいは部会あるいは専門委員会報告等々、先ほど来御説明申し上げているような手順を踏んできたのでございます。もちろん、専門委員会報告あるいは専門委員会、作業小委員会あるいは部会、総会を通じまして、それぞれ具体的な問題としてではなく、いわゆる科学的知見をめぐり、あるいは法律制度の問題をめぐり、あるいは最後の総会の場合には結論をめぐっていろいろ御意見があったことは事実でございます。これは、審議会がそのような形の中でいろいろな御意見を吸収し、あるいは御審議をいただきながらこのような結論に達したものと私どもは考えているのでございます。また、この審議会の答申に至る過程におきましても、たしか昨年の六月であったかと記憶をいたしておりますが、この審議会の部会でも患者団体の代表の方等においでをいただいて御意見を賜ったのでございます。また、そのほかその都度それぞれの患者団体の御意見を拝聴し、あるいはお聞きする機会を持っておったのも事実でございます。また各般の団体、いろいろな団体からいろいろな御意見が出たわけでございますけれども、それぞれの御意見も私どもその都度審議会の方へお示しし、あるいは私どもの方もその意見を踏まえ、あるいはその御意見を聞きながら、受けとめながら今日の結論に到達してまいったのでございます。いずれにいたしましても、私ども、制度を公正に持っていくというためにはやはり今のこの判断がベターではなかろうかという先ほどの答弁でもございますが、そのように考えてきたところでございます。
 なおまた、健康被害が懸念をされるような状況に対しましては、先ほど申し上げましたような今後の対応ということで努力してまいりたい、このように考えているところでございまして、私どもの立場といたしましては、やはりこの現在の方針で今後も臨みたい、このように思っているところでございまして、指定を解除し、既存の認定患者の補償は継続し、新しい事業を進める、このような方針を守ってまいりたい、このように進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
#92
○春田委員 私は、中公審がそういったいろいろな二年ないし三年かけて検討されてきた、そして科学的、疫学的な知見のもとで、合理性のもとでやられたと思いますけれども、少なくともいわゆる総会のさなか、時間制限もあったと思いますけれども、そういった意思をはっきり言った方は五十五名の参加の中でわずか十名程度なんですよ。だから私は、中公審の先生方たちが、全員といかないまでもほとんどの方たちがこれはやむを得ないな、そういった形でとられたならばそれなりの理解のしょうがあると思うのですけれども、先ほど言ったような実態からいって、非常に問題点が残されたままで出されてきたように思えてならないのですよ。だから私は、環境庁は、差し戻してもう一回お願いいたします、こういってやっても決して遅くはない、拙速は避けるべきだと思うんですよ。
 ところで、患者に対する補償の費用負担でございますが、費用負担の割合と、賦課金を負担している工場、事業場というのは大体どれくらいあるのですか。
#93
○加藤(陸)政府委員 お答えいたします。
 まず、費用負担の割合とお尋ねの件でございますが、所要額は、最近におきましては総額約一千億となっております。それの負担割合とおっしゃいます趣旨は負担者のグループの割合だと思いますので、いわゆる八対二と申し上げておりますが、工場、事業場、いわゆる煙突から出る煙の関係が八、それからいわゆる移動発生源という分が二の割合と相なっております。
 それから負担する事業所の数、これは年によって多少動きますけれども、大体八千から八千五百カ所でございます。
#94
○春田委員 八千から八千五百という御答弁でございますが、中小企業の事業場、全体の中で割合は大体どれぐらいあるのですか。
#95
○加藤(陸)政府委員 中小企業、いわゆる資本金一億未満、従業員三百人未満という大体の考え方でまいりますと――先ほど八千五百から八千と申し上げましたが、最近の数字で八千六百でございました。訂正させていただきます。そのうち千八百が先ほど申し上げましたいわゆる中小企業の工場数でございます。
#96
○春田委員 加藤局長から費用負担については工場、事業場が八割、自動車重量税が二割ということで御説明がございました。
 工場、事業場の排出するSOxが減ってきているのは事実でございます。そういった面で、先ほどから私が述べているように、NOxとかSPMにつきましては、特に大都市では環境基準をオーバーしている。したがって、この八対二の割合を変えることによって現行制度が維持できるではないかという意見もあるのです。これは局長、どうお考えになりますか。
#97
○加藤(陸)政府委員 お尋ねの点でございますが、先生も御承知のとおり、この八対二の割合というのは、固定発生源と移動発生源それぞれの発生するSOx及びNOxの総量、したがいまして、固定発生源からもSOx、NOx両方出ておりますし、移動発生源からもSOx、NOx両方出ております、ただ、移動発生源の場合はNOxの方が圧倒的に多いということでございますが、それぞれのSOx、NOxの総排出量の比率を基礎にして決めてきたものでございます。
 先生いみじくもおっしゃいましたように、SOxの排出量というのは減少してきております。ただ、全国の総排出量というオーダーで見ますと、減少はしてきておりますけれども、ただいま申し上げました、その総排出量の比率は当初八十数%対十数%という比率で、一八%前後だったと思いますが、比率で八対二となっておりましたが、これをずっと毎年調査の上、監視し続けてきておるわけでございます。推移を見てまいりますと、細かい数字は省略させていただきますが、工場、固定発生源の方が八割を切っております。しかし七六・何%とか七・何%。それから移動発生源の方の総量が二二・何%、三・何%という形できておりまして、結局八対二の割合を変更すべきところまでは総排出量ではきておらないという状況でございますので、御趣旨はよくわかりますけれども、これを変えるというところにはまだ至っていない。それから他方、これで財源が云々という御発想にもつながっておるやに承りましたけれども、今のような実情も含め合わせますとこの関係ではちょっとそういうつながりにはなかなかならないものだというふうにお答えせざるを得ません。
#98
○春田委員 この患者の実態といいますか患者の苦しみは地方自治体が一番知っているわけです。そこで環境庁は、四十一指定地域の地方自治体に意見を求めるという形で、意見を求めるために照会を出されておりますけれども、これは全国から、対象県数は何県あって何県返事があったのか、まずそこから御説明いただきたいと思うのです。
#99
○目黒政府委員 全国の四十一の指定地域を含む地方公共団体並びにそれをカバーしております大阪府、東京都を含めた各県、そういったところの五十一から御意見をちょうだいしたのでございます。
#100
○春田委員 その五十一自治体の中で、指定地域解除に賛成といかなくても前向きに、要するにこの解除については理解いたします、こう意見書が出たところは何件ありますか。
#101
○目黒政府委員 私ども先般来御説明申し上げているわけでございますが、この自治体からの意見につきましては、さまざまな理由から、地方公共団体それぞれ置かれております実情あるいは状況等から特に大都市の地方公共団体、こういうものを中心といたしまして、大気汚染についてはなお改善を要する状況があるとかあるいは窒素酸化物の健康影響についての科学的解明が十分でないといったような理由から、指定地域の解除に対して慎重な対応を求める意見が多く見られたことも確かでございます。また、今後の新たな健康被害の予防事業とかあるいは大気汚染防止対策等についても強い要望が寄せられていたのでございます。
 いずれにいたしましても、私どもが地方自治体から意見聴取を行っております趣旨は、単純に地方自治体の賛否をとって多数決によって物事を決するということではございませんで、やはり各関係地方自治体の意見を参考に入れまして、そして制度運営の適正を期するということであるというふうに理解をしているのでございます。したがいまして私どもの方といたしましては、環境庁としては広範な内容を持っておりますそれぞれの意見、それぞれ非常に広範な、先生御承知のとおり非常に分厚いものでございます、広範な内容を有しますこの地方自治体の意見についてその結論だけでなく、この背景となっております理由とか状況といったようなものも含めて検討をいたしているところでございます。
    〔委員長退席、戸沢委員長代理着席〕
#102
○春田委員 そういった苦しい答弁しかできないわけですよ、結局。だから、賛成と明確に言ったところはないし、たとえ条件をつけたとしてもそういったいわゆる理解を示したところはないと私は思うのです。目黒さんは、大気汚染といいますかNOx対策がそういった形で大半の自治体から出てきた、それさえやれば地方自治体も理解してくれるんじゃなかろうかというそちらの方に重点を置きながら、地方自治体の意見を環境庁なりに受け取っているんでなかろうかと思うのです。しかし、毎年毎年行われている大都市のいわゆる公害の主管局長会議の中では、やはり沿道住民の健康被害調査をやってほしい、再三環境庁に対して要請がありながら、そういったいわゆる健康被害実態調査なんかやってないわけでしょう。だから、環境庁が今回法改正に伴って基金で保健事業と改善事業とをやっていくと言っても、その実効性、具体性というのは、非常にやはり各地方自治体から疑われているわけですよ。患者の実態を知っているのは地方自治体ですよ。その地方自治体、五十一自治体から一自治体でも、今回の法改正は合理性があるといった形で賛成らしき考え方をしたところはどこにもないのですよ。それを、いわゆるNOx対策をやれば理解してくれるのではなかろうかということで、安易に考えてやっていては、私は環境庁の考え方、甘いと言わざるを得ないのです。
 ところで、今回新聞でもちょっと報道されましたけれども、この解除の照会で、模範回答というものが出回ったということが大きく新聞に出ましたね。これは環境庁は知っていると思うのですが、環境庁が関与していたのですか、これは。
#103
○目黒政府委員 当時の新聞に先生御指摘のようなことが載ったのは事実でございますけれども、私どもと地方公共団体との関係と申しますのは、単に意見聴取のみならず、日々の、日常の、主管局長会議とおっしゃいましたけれども、いろいろな各レベルの会議あるいはそれぞれの、例えば指定地域について申し上げますれば、各種の保健福祉事業やあるいは各種の業務の中で、それぞれの地方公共団体と密接に連携をとりながら環境行政を行っているのが現実でございます。
 しかしながら、私どもはこの意見聴取を行います際に、御指摘のようにこの意見聴取に際して環境庁として地方公共団体に圧力をかけたというようなことは、一切ないのでございます。地方公共団体の求めに応じまして、一体考え方、それをもし向こうから聞かれれば、私どもは来庁された地方公共団体の職員の方と、これは通常の業務の中でいろいろ連絡をとりながら、この問題を含めていろいろな問題について議論をすることも、あるいは協議をすることもあるわけでございます。あるいはまた関係団体からの意見が、こういうのが来ているとか、あるいはこの保健福祉事業についてはこのような意見が寄せられているとか、あるいはこういう要望があるといったようなことについても、私ども互いに意見を交換し合いながらやっているのでございますが、圧力をかけたというようなことは一切ないのでございます。
#104
○春田委員 私は圧力をかけたとは言ってないですよ。関与しているかと言っているのですよ。だから環境庁は、今回本当に患者側の立場に立つのか、企業側のサイドに立つのかによって、要するにどっちでもいい、そういった回答ができるわけですよ。つまみ食いができるわけですよ。そういった面で、新聞でありますけれども、特に反対の声が強かった東京都とかそういった強い自治体のところには、そういった模範回答なるものは行っていない。いわゆる前向きの姿勢を示している自治体のところには、そういったいわゆる文書が出回ったという形で――首をかしげていますけれども、新聞に載っているのですから私は言っているわけでございますけれども、そういったことで、それを知っているのは環境庁じゃないわけでしょう、本当に。そういったいわゆる疑惑を招かないような毅然たる態度をもとっていただきたいなと思っておるわけでございます。
 今、目黒さんから、通常の文書だけではなくて日ごろから意見交換をやっておるということでございますが、長官、患者が一番多いのは東京、大阪ですね。神奈川等もございますけれども。法改正に伴って、直接、庁から、公健法の改正については環境庁はこういう立場に立っておるけれどもどうなんだと、じかに意見を聞かれたことはありますか。
#105
○目黒政府委員 私どもの方では、地方公共団体に、二条四項という、御指摘のような形では私どもは文書で行ったのでございます。それから、そのほか、公害デーとかあるいは各種の知事さんとの集まりとか、懇談会とか、そういうふうなものは、私ども開催をいたしているところでございまして、そういう知事さんレベルと大臣の間にいろいろな、環境行政全般にわたります協議と申しますか、意見の交換という場があるのは事実でございます。
#106
○稲村国務大臣 春田先生の御質問で、ずばりこの問題を掲げての討議はございませんでしたが、四十三号線沿いの尼崎、西宮等の市長のNOx対策についての要望では一回、一時間余にわたって意見を聞かせていただきました。
#107
○春田委員 四十三号線の神戸地裁の判決は、患者個々については賠償するのはちょっと認めがたいという形の、地域全体レベル、騒音とか、そういったことについては判決が出たわけでございます。私は、この問題につきましては、四十一地域全域、それを抱える十都府県があるわけでございますが、全部の首長さんの意見を聞くというのは大変かもしれないけれども、多くの患者を抱えて困っている自治体、とりわけ東京都なんというのは独自でそういった国ができないのをカバーしながらやっているわけでしょう。そういったことで私は、少なくともそういった多くの患者を抱える自治体の長の御意見というのは長官からじかに聞いていただきたかったな、こういうことです。今後の環境行政もございますので、長官大変お忙しいと思いますけれども、画竜点睛といいますか、キーポイントについては長官みずからが御意見を聞くのが大事じゃなかろうか、こう思っておりますので、今後のこともありますので、大臣の方にお願いをしておきたいと思っておるわけでございます。
 ところで、私はこの問題、質問しようかどうか、随分悩んだのですけれども、反対の立場でございますから、基金の問題を聞くのはちょっと踏み込んだ形になりますけれども、いずれにいたしましても、基金構想なるものが出ておりますので、ちょっと触れておきたいと思うのです。
 指定地域を解除された地域を中心に、健康被害防止事業を行う基金構想というものが出されているわけでございますが、この事業の財源にはどれぐらいの基金の積立金を考えているのか、御説明をいただきたいと思います。
#108
○加藤(陸)政府委員 新事業という名前で御説明申し上げておるような関係のものを考えますと、大体基金の額にして五百億程度の額を考えております。
#109
○春田委員 当初、一部新聞報道では、一千億という形が出ておりましたけれども、これは財界から値切られたのですか。
#110
○加藤(陸)政府委員 値切られたとか、そういう関係につきましては何ともお答えしようがないわけでございますけれども、五百億は確保するということで考えております。
#111
○春田委員 この基金構想なるものは相当前から出ておりまして、環境庁なりに御苦労なさったのだと思いますけれども、いわゆる法改正ありきの中で、環境庁がこういう財界との下交渉をやられたという形が報道されておるわけでございます。当初は一千億という話も出ておりましたので、相当値切られたのではないかとお尋ねしたわけでございます。
 この基金の拠出者はどう考えているのですか。
#112
○加藤(陸)政府委員 今回御審議をお願いいたしております改正法律案に載っておるものでございますが、「大気の汚染の原因となる物質を排出する施設を設置する事業者その他大気の汚染に関連のある事業活動を行う者」が拠出するということでありまして、具体的に平たく言いますと、ばい煙発生施設等設置者、それから自動車の製造業者というような方々がこれに当たるというふうに想定をいたしておるわけでございます。
#113
○春田委員 先ほどのいわゆるばい煙排出企業の中で、中小企業は千八百社あるという形でお答えいただきましたけれども、中小企業の中には相当な資金をつぎ込みながらSOx対策をやって減らした、その努力が報われないという一方の意見もございます。資本金をオーバーしていわゆる賦課金を出しているそういったガラス工場等もあるという意見も聞いておるわけでございますけれども、その意味でこの基金の拠出者には中小企業は対象外にすべきであろう、またすべきである、私はこう思っておりますけれども、どうでしょうか。
#114
○加藤(陸)政府委員 基金の拠出者のお話に入ります前に、先ほど私申し上げました八千六百、そのうちいわゆる中小企業、資本金一億以下、就業人員三百人以下の定義に当たるものを千八百と申し上げました。その前提になるものをちょっと御説明をつけ加えさせていただきます。
 世の中に中小企業というものはもっと数が多うございます。つまり、ばい煙発生施設を有する工場、事業場数としては七万余りございます。そのうち、賦課金を負担しておられる工場、事業場が八千六百ということで、負担をさせているというところの数字だけ申し上げたものですから、先生十分御承知の上でのことと存じますけれども。といいますのは、ある一定量以下の排出ガス量、ノルマル立米五千とか一万以下、これは地域によって違いますが、こういうところからは負担を求めないことといたしておる点をまずつけ加えさせていただきます。
    〔戸沢委員長代理退席、委員長着席〕
 さて、その上ででございますが、基金の負担をどうしていくかという問題、これはまだ、御審議いただいた上幸いにして実施段階になりましたらのことでございますけれども、その実施細目につきましてはさらに詰めていかなければいかぬところでございまして、これは特殊法人である補償予防協会に設けるというものでございますので、今ここで、しかも今の段階で云々するのはちょっと早計でございます。ですから、余り詳しくはあれでございますけれども、先ほどちょっと御説明でつけ加えましたように、ある基準立米以下の排出量のところ、比較的少ない排出量のところは、賦課金の場合でございますけれども、対象にしないでいるというようなこともございます。ですから、その辺は先生おっしゃいました御趣旨も十分踏まえながら、いずれ関係者の御協議をお願いしなければなりませんけれども、そのときには私どももそういうことを十分念頭に置きながら、いろいろな御相談なり、指導といいますとちょっとおこがましゅうございますけれども、適切に対処をしてまいりたいと存ずるものでございます。
#115
○春田委員 時間が非常に切迫してまいりましたので、あと、この地方自治体の意見の中でNOx対策をという声が随分上がっていたわけでございます。そこで、このNOx対策についてひとつお尋ねしていきたいと思います。
 環境庁はNOx対策、今公健法でやっておりますけれども、タイミングを図るようにきのうプレス発表されまして、きょうこれが出ておりますけれども、そういう面では環境庁は非常に巧妙であるといいますか感心をしているわけです。話は違いますが、かつて水銀問題が大きな社会正義問題になったときも、環境庁がいろいろ調査して、被害はございませんということで一遍におさまったという経緯もあるわけでございます。そういったことで、環境庁というのは非常に時を得てうまいこと新聞発表するなど、率直なことを言えば感心しているわけです。
 大気汚染にかかわる地域指定を解除する場合、地方自治体が一番心配しているのは、大都市沿道の窒素酸化物が高い水準にある、今までの環境庁の対策が不十分なので住民の不安が解消されていない、こういうことでございます。そこで、環境庁は今後どのように沿道住民に対する心配、懸念をなくしていく対策を講じようとしているのか、まずお尋ねしたいと思います。
#116
○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。
 沿道を中心にして、いわゆる交通公害が非常に大きな問題になっているわけでございますので、交通公害対策ということで従前からもいろいろな対策を講じているところでございます。
 まず一つは、道路を走っております車の排ガス規制の問題でございますが、この排ガス規制につきましては、従前から技術の発展を待ちながら逐次規制を行っているところでございまして、御案内のとおりことしの一月においては、大型ディーゼルトラックの一五%削減あるいはライトバンの乗用車並み規制等の窒素酸化物の排出量を大幅に削減する告示の改正等を行いまして、それぞれの自動車の規制を逐次強化いたしているところでございます。中公審におきまして、引き続き車の排ガス量の規制については現在も検討いただいているところでございます。
 それから、車そのものとは別に、車の全体の流れといいますか量をもう少し効率的に動かすことを考える必要があるだろうということで、京浜、阪神地区におきまして地方自治体あるいは関係省庁を入れましてこういう交通流、人流、物流というその流れについてどのようにやったら一番効率的に人が動くことができるのかというようなものにつきましても、現在それぞれの地区においていろいろ検討いたしておるところでございます。それから、最近は道路の立体交差だとか右折専用車線をつくることによりまして道路の渋滞が少なくなって排ガス量も減ってくるというような知見、あるいは国公研におきます道路構造による研究成果というものもいろいろ新聞等に出ておるわけでございますので、そういうようなもろもろの調査結果、成果を踏まえながら、私どもも総体的に交通公害問題について取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#117
○春田委員 NOx対策のかなめはやはり発生源であると思うのですね。窒素酸化物の環境基準の達成がおくれている原因の一つには、自動車の排出規制が不十分であると言われているのです。特に最近では高速道路がどんどん建設されていっている、そういったことで自動車の走行パターンが変わってきたのですね。自動車排ガス規制の前提となる走行パターンが現状と違ってきておりますので、せっかくのその効果が減殺されていくおそれもあるわけです。そこで、この走行モードを見直す必要があると私は思うのですが、どうお考えになっておりますか。
#118
○長谷川(慧)政府委員 自動車の走行モードのお話は、ただいま先生から御指摘ございましたように現行の乗用車のテンモードといいますのは十年前のかなり古い走行実態からつくっておるものでございますから、確かに現在の高速道路の伸展等に伴います自動車の走行実態は必ずしも反映されていないというような御指摘が従前からございまして、私ども五十九年度から三カ年をかけまして大都市地域における走行実態の調査を実施いたしているところでございます。その結果、高速道路の延伸によります高速走行の増加等の実態がある程度わかっているわけでございます。現在その結果につきましては解析を続けているところでございまして、この解析等を行うことによって、中公審において必要な排ガス特性の把握なり現行モードとの比較ということをやりながら新しいモードの必要性等について議論を進めてまいっているところでございます。
#119
○春田委員 大型トラックのディーゼル車ですが、最近非常にふえているわけですね。大型トラックではエンジンは直噴式と副室式があるらしいのですけれども、現在直噴式のエンジンが使われている。このエンジンの方が副室式より強いわけでございますが、その分窒素酸化物の排出量も大きい。そこで、いわゆる直噴式の規制強化が今まではなまぬるかったのではないかという声もあるわけでございまして、私は次回の規制強化に当たってはこの直噴式の車の規制を避けて通れないと思っておりますけれども、環境庁はどうお考えになっておりますか。
#120
○長谷川(慧)政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、特に大きなトラックにつきましては副室ではなかなか馬力が伴わないということで直噴のディーゼルが非常に多い形になっておるわけでございます。直噴と副室のディーゼル車におきます排ガス量もやはり直噴の方がどうしても少し多くなるという傾向がございまして、私どもも従前から、直噴、副室を含めまして大きなトラックに対するNOxの排出ガスにつきましては何とかもう少し技術等を開発していただいて排ガス量を減らしていきたいというぐあいに思っているところでございます。ただいま先生からお話がございましたように、特に直噴式ディーゼル車に対する規制についてはより一層の技術の進展を待って対応してまいりたいと思っております。
#121
○春田委員 さらに、大型トラックではエンジンについての機械的な改善で排ガス規制に対応してきたのでありますけれども、これだけでは排出量の削減も小幅になってしまうという声もあります。もっと抜本的な対策技術を適用する必要があると私は思っておりますけれども、環境庁はこの点、どうお考えになっておりますか、
#122
○長谷川(慧)政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、特に大型トラック等につきましてはかなり規制強化をやっておりまして、その低減技術が非常に高度、複雑なものになっておるわけでございまして、エンジン本体の改良のみではなかなかこれ以上の大幅な低減といいますのはいろいろなことで難しい状況にあるわけでございます。
 それで、今後のNOxの低減対策といたしましは、先生からお話ございましたように、普通の乗用車等が使っております排出ガス再循環装置といいますものが大型車の方へ使えればかなりの排ガス量を減らすことが可能であろうというぐあいに思っておるわけでございますが、実際問題といたしましては、ディーゼル機関の特性から黒煙が大幅にふえてまいるとか、あるいは耐女性なり信頼性の問題等がございましてなかなか難しい問題を抱えているわけでございます。現在ディーゼルが使っております軽油でございますけれども、その軽油中の硫黄分、S分の低減を図ることによりましてこういう耐女性、信頼性の問題がある程度解決するという文献等もあるわけでございますので、私どもといたしましては、いわゆる低硫黄軽油の研究を進めてまいりたい。低硫黄軽油の使用を前提といたしまして排ガス再循環装置の普及といいますか、大型トラックに取り込むことによりましてその大型トラック等の排ガスの量を減らすことができるのではなかろうかというぐあいに思っているところでございますので、このような調査を今後行いまして、必要に応じて規制強化等をやってまいりたいと考えております。
#123
○春田委員 ことしの一月に自動車の排ガスの規制を強化したわけでございますが、今後、NOxを減らすためにも直噴式の車に重点を置いた新たな規制の強化、さらにディーゼル車の黒煙の問題、先ほど言った走行モードの見直し等の問題があろうと思うのです。こうした問題に対応する規制の強化を一刻も早く行うべきであると私は考えておりますけれども、この規制を大体いつごろと考えているのか、お答えいただきたいと思います。
#124
○長谷川(慧)政府委員 ただいま先生からお話ございましたディーゼル車等の車からのいわゆる窒素酸化物の一層の低減なり、走行モードの見直しなり、あるいはディーゼル黒煙の低減ということにつきましては、いろいろの調査なり研究等を行っているわけでございますが、こういう調査研究等を行いつつ、中公審において現在審議を進めておるところでございます。できるだけ速やかに答申をいただきたいというぐあいに考えておるところでございます。
#125
○春田委員 速やかに答申をということでございますが、環境庁としては大体いつごろと考えているのですか。具体的な時期というのはわからないですか。
#126
○長谷川(慧)政府委員 非常に難しい調査研究等を行うわけでございまして、そこらの結果を踏まえながら中公審において御議論いただきまして答申をいただくという形になっておるわけでございますので、なかなか事務的にいついつまでといいますのは申し上げづらいわけでございますが、私どもといたしましては、ただいま先生からお話がございましたようにいろいろな対策を講ずるに非常に大事な部門でもございますので、できるだけ早く、六十四年度中に、できればその半ばくらいまでに答申をいただければと思っているところでございまして、ここら辺につきましては今後とも中公審によろしくお願い申し上げたいというぐあいに思っております。
#127
○春田委員 時間が参りましたのできょうはこれで質問を終わりたいと思いますが、最後に長官、先ほどから論議してきたわけでございますが、今回の法改正については、大気汚染の原因でございますいわゆるSOxが減る一方でNOxやSPMが相変わらず横ばい状態である、大都市の沿道周辺では環境基準をオーバーしている、そして大気汚染が今回のいわゆる気管支ぜんそく等との関係も否定できない、こういった中公審の答申もあるわけでございまして、こういったいわゆる複合汚染等の解明がなされない中で、またNOx対策が十分になされない中で全面解除というのは非常に乱暴きわまりないやり方であろう、私はこう言わざるを得ない。したがって、地域指定解除というのは、拙速をやめて、四年ないし五年じっくりこういった解明や対策をやりながら段階的に解除をやっていっても決して遅くはないのではないか、こう私は思っておるわけでございます。
 何回も言いますけれども、企業サイドではない、あくまでも患者個々の、そして人間に光を当てていくのが環境庁の目的であり、存在価値であるのではなかろうかと私は思っておりますし、その最高の長が長官であり大臣でございますので、そういった形で、本当に被害に数十年苦しんできた方、またこれから新しく発生するであろう患者の方たちに、国の唯一の救済機関は環境庁以外ないわけですから、そういった立場でこの問題をとらえていただきたいと私は強く主張するわけでございまして、長官の覚悟といいますか決意といいますか、そういったものを再度お伺いして、終わりたいと思います。
#128
○稲村国務大臣 先生の再三にわたる健康を守るという御熱意あふれる御意見をできるだけ体して、環境行政の基本に立って私なりに頑張りたい、環境庁としても一生懸命努めたい、こう申し上げて、御理解いただきたいと思います。
#129
○春田委員 通産省の方にせっかくおいでいただいたのですが、次回に譲るといたしまして、きょうはこれで終わりたいと思います。
#130
○林委員長 滝沢幸助君。
#131
○滝沢委員 委員長、御苦労さま、長官初め皆さん、御苦労さまです。
 前回に続きましていろいろと御質問を申し上げたいと思いますが、時間が限られておりますので、できれば御答弁を率直に、端的におっしゃっていただきたいと思います。
 世の中「地獄のさたも金次第」と言うのですね。何か短歌を勉強しておりましたら、あらゆる和歌、短歌の上の句をそのまま生かして、その後に「それにつけても金の欲しさよ」と言うといい歌になるのだそうですよ。「大江山いくのの道の遠ければそれにつけても金の欲しさよ」「働けど働けどなお我が暮らしそれにつけても金の欲しさよ」というぐあいなそうですな。それほど金というのは大事なのですよ。今度のこの公害補償、せきをしている人が診察を受けて、大気の汚れに基づくものだという判こをお医者さんにちょうだいして役所に出せば補償をして差し上げるということで、要するに金のさたですわ。これを改正されようということも、しょせんは金にまつわることじゃないかと思うのです。
 そこで、今の制度の中で、自動車と各種工場等の費用の分担というのはどういうふうにされていますか。簡単にどうぞ。
#132
○加藤(陸)政府委員 工場八割、自動車二割でございます。総額が約一千億余りでございますので、工場八百億余り、自動車関係二百億余りということでございます。
#133
○滝沢委員 そうでした、たびたびどうも説明を受けるのだけれども。
 そこで、その八対二というのを今度は工夫するのでしょう。工夫するんですよね。そうしましたら、今度はどのようなぐあいに手直しをするのですか。そうした結果、どのような推移でこれは負担が変わっていきますか。
#134
○加藤(陸)政府委員 御質問ではございますが、工夫するということではないかと存じます。この八対二となった経緯と申しますか理由、これは中央公害対策審議会における検討に基づきまして、この制度発足の当初からでございます。昭和四十九年以来でございますが、そこで言われておりますことは、全国の固定発生源、工場と自動車関係それぞれのSOx、NOxの総排出量の比率ということでございまして、確かに先生御指摘のように比率は八二%対一八%ぐらいから始まりまして、七六%対二四%というようなところへ変動はいたしてきておりますので先生変えるんでしょうとおっしゃったのかと思いますけれども、この比率は八対二が妥当な状況の幅にございますので、その点はちょっと……。
#135
○滝沢委員 その中で工場等が負担するものは地域的に格差があると思うのですね。そういう分担はどうなっておりますか。特に指定地域とその指定以外の地域との負担の状況はどうでしょうか。
#136
○加藤(陸)政府委員 お答えいたします。
 この賦課金は、先ほどもお答えいたしましたが、全国で約八千六百の工場、事業場から徴収しておるわけでございますが、全国の地域別に見てまいりますと、六十一年度の都道府県別の徴収金額の上位から申し上げていきますが、上位三県では、北海道約七十六億、二番目が愛知県でございまして約七十二億、神奈川県約四十六億円となっております。ちなみに、認定者の多い東京、大阪におきましては、東京二十八億、大阪三十四億円という負担になっております。
 それから、これを指定地域とその他地域の負担割合ということで分けてみますと、最近では、六十一年度の申告実績によりますと、賦課金総額の三四%が指定地域、それから北海道から九州に至るその他の地域が負担しておられるのが六六%という数字に相なっております。
#137
○滝沢委員 つまり指定されて、煙その他で空気を汚して患者を出して指定されているところは日本じゅうから集めた金の三四%しか負担していないのですよね、そして六六%というのは罪のないところから取っているんだよね、これに不満があるのでしょう。だから今度の見直しというようなことも出てきたのでしょうけれども、率直に言いまして、私は東北でございますが、北海道は指定地域でなかったように思うが、そういうところの工場その他が、特に北海道は随分とこれを納めているわけでありまして、愛知なんというのはこれを出したりもらったり、どっちが多いのか知りませんけれども、神奈川ももらうべき立場のようでありますが、そういうことに対する不満は、あした四日市の市長さんでも呼べばまた違った数字が出てくるかもしれませんけれども、不満はあるでしょう。そういう意味で、患者を出していないところを安くしていくという工夫がないのですかね。
#138
○加藤(陸)政府委員 これは、患者を出してないところを特にどうこうというのはなかなか難しい問題があるかと思いますが、この制度、公害健康被害補償制度における費用負担につきましては、汚染原因者負担を基本といたしておるわけでございます。しかし、指定地域の大気汚染に関係するのは、必ずしも当該地域内に所在する事業者だけには限らないこと、それから、大気汚染に対しましては、やはり空気でございますので、事業者は共同で責任を負うのが適当でないかというようなこと等を考慮して、費用の負担は、先ほどお答え申し上げましたように、広く全国から求めることとしておるわけでございます。
 しかし、先生もまさに言っておられるわけでございますが、指定地域はその他地域と同じというのはいかがなものであるということから、実は現行制度におきましても、同じ煙の排出量に対しましても、大気汚染の状況の格差等を考慮いたしまして、料率に差を設けております。これは九対一、平均でございますが、地域によっては九よりもっと上のところもありますし、ちょっと低いところもありますが、同じ一立米当たりでも九対一という差はつけてあるわけでございます。ただし、それをさらにどうこうというわけにはちょっとなかなか難しいということを一番冒頭に申し上げたわけでございます。
#139
○滝沢委員 ですから、これは被害を出したということに対する民事責任を補償するという精神だと聞いておりますから、その意味においては、おっしゃるように、それは理屈のつけようですわな。人間のほとんど住まない、私の会津のごとき工場が煙を出した、しかし、それが四日市にせきを起こさせるものだろうかというあたりが難しいところですよ。もちろん患者さんを見捨ててはならない、患者さんに対して温かい補償、補償という言葉にひっかかるといえばひっかかるのですが、愛の手を伸べるということは、これは国家の責任だと私は思いますよ。だけれども、おとといから申し上げているとおり、私は複合私害、こう申し上げたのだけれども、公害なんというのは本当は企業の人間、その企業に対してこびへつらっている行政の思想、これはやはり将来改善されなくてはならない。必ず責任者があるのですから、責任者を糾明して、責任者が補償するのが当然なのですから、私は公害という制度そのものが一つの甘えと割り切りだと思うのです。
 それはそれといたしまして、そういう意味からいいますと、へ理屈をつければ、確かに患者を出してない地域の工場等も負担をするという理屈も立つけれども、しかし、これにはやはり格差をつけていただけるということがなければ、公害のない、つまり今までの指定地域を解除するのだそうであるけれども、今まで解除されなかった時代のことを考えてみても納得いかぬものがあるじゃないか、これは公共団体もそのとおり、工場等もそうだ、こういうふうに思うのです。
 そこで、指定地域が解除された後の費用負担はどう変わってきますか。
#140
○加藤(陸)政府委員 若干御説明をつけ加えさせていただかないとなりませんが、指定地域解除前に既に認定を受けられた方々に対しまして、従来どおり補償給付の支給を行うという前提にまず立っております。その費用につきましては、現行どおり、その八割分を全国の工場等が負担する、残りの二割は自動車関係ということになるわけでございますから、指定解除後にそれがどうなっていくかという問題につきましては、既認定患者の人数がどう変動するかという問題によって額はいろいろ変わってまいりますけれども、負担の方法についてだけまず申し上げますと、解除後は、既認定患者にかかる費用に充てるものですから、既認定患者が、被認定者が過去の大気汚染の影響を受けたものであるというふうに考えられるところから、指定解除前の汚染原因者に負担を求めるということで、賦課金の額は指定解除前の排出量を基本に指定解除後の排出量も勘案して算定していく、こういう方式でまいりたいと思っておるわけでございます。
#141
○滝沢委員 同じはげでも、加藤さんのはげは頭がいいからはげ、私は頭が悪いからはげたみたいで、どうもわからぬようでございます。しかし、私はくれぐれも申し上げますが、被害を出していない、患者のいない、したがって今まで指定もされていない地域の公共団体や工場等が、被害を出している、患者を出している地域のために過大な負担をさせられるということはやはり納得いかないと思うのです。重ねてひとつ長官に、これらについて各地、各層から理解の得られる工夫が今後される見通しがあるかどうか、承りたいと思います。
#142
○稲村国務大臣 公健制度の運営に必要な費用につきましては、全国の大気汚染の原因者が共同して費用を負担するという考え方に基づき、負担を広く全国に求めてきておるところでございます。現在、そのようにやっております。今後の運用に当たっては、先生の本当に人生の貴重な体験に基づかれた、真理をついているなと私は先ほどから正直拝聴させられておりますが、御意見を体して、それが生きるような方向で環境行政が努力しなければ、こう私も思います。
#143
○滝沢委員 お金の話ばかりしていると夢がないのでありますが、しかし今日までも実は福祉的な面については患者の皆さんにも具体的には随分と御不満があったことでございます。ところで、今度新しく、個々の方々には補償しないというようなことで、いわば予防対策のような形で、公園を整備したり道路を整備したり環境を整備したりなさるということでありますが、それらの仕事というのは今度積み立てるという新しい基金を使ってなさる。そうしたときに、これは具体的にはどのようにされることであるか、また、その基金を使っていく計画等についてもひとつ承っておきたい。特に申し上げたいことは、この制度が変わるならば、このような患者さんあるいは地域住民に対する福祉の施策等について後退することのない一つの約束をちょうだいしたい、こういうふうに思います。
#144
○目黒政府委員 まず、御指摘の公害保健福祉事業についてでございますけれども、認定患者の方々からさまざまな御要望をいただいているのは事実でございます。この事業は、認定患者の健康の回復と保持増進ということのために特に行われている事業でございます。したがいまして、この事業につきましては、引き続き御要望を踏まえてこの充実に努めてまいりたい、このように思っているのでございます。
 また、御指摘の基金による事業でございます健康被害防止事業の点でございます。この健康被害防止事業と申しますものは、人の健康に着目いたしました環境保健事業、いわゆる健康に関したものと、それから環境そのものに着目した環境改善事業、この二種類から成るのでございます。
 環境保健事業の方は、原則として第一種地域の指定を解除された地域の人口集団を対象といたしまして例えば健康相談を行う、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、保健婦や医師等による健康相談あるいは健康診査等を行いまして健康の確保や回復を図るものでございます。また大気汚染の健康影響等に関する研究、これも行ってまいりたい、このように思っているのでございます。特に調査研究と、それから今申し上げましたけれども、医師、看護婦等による呼吸器疾患にかかわります相談とか指導あるいは病気の予防のための健診、こういったようなものをまず考えているわけでございます。また三番目には、大気系の呼吸器の病気でございますので、この医療体制を万全にするというふうなことから、呼吸器外来の整備というものによりまして医療の充実を図ってまいりたい、この三つが一つの目玉と申しますか主な項目でございまして、これらを内容といたしまして、先ほど申し上げましたけれども、さまざまの研修や研究やあるいは各種の事業やそれから施設整備のための助成、このようなことを行っているのでございます。
 それから環境改善に関する事業といたしましては、例えば交通公害防止の計画づくりあるいは低公害車の普及促進等によりまして、環境質自体を健康被害を引き起こす可能性のないものとするものでございまして、低公害車の普及促進等に関する調査研究、地域の大気環境改善のための計画の作成等といったような事業を内容とするものでございます。
 この二種類の事業、それぞれこれは協会の基金の事業として行うものでございますが、基金の事業として行うに当たりまして、一つは協会自体が直接行うもの、これは例えば研究とか研修とかPR、こういったようなものは協会自体が行うものということで基金から出してまいりたい、このように考えております。それからもう一つのものは、私ども各種のメニューを用意してあるわけでございますが、各地方公共団体がそのメニューに従いまして今ざっと申し上げました項目につきましてそれぞれ選んでいただきまして、その行う事業につきまして助成を行う、こういう形のものを考えているのでございます。
#145
○滝沢委員 そうしたお仕事をなさる上で私が心配しておりますのは、一つは負担金を出していただく企業側の協力ですよね。もう一つ大事なのは、県市町村を初めいわゆる公共の協力、特に私は今までの国の行政をいろいろと見ておりまして、正直な話、強い省庁と弱い省庁がある。そういう意味では今おっしゃったようなことは建設省ないしは自治省あるいは厚生省、あるいはまた自動車の排気が問題だというならば、どのような機能の自動車の開発を奨励ないしは認可すべきか、あるいはまた使う油の品位を指定することもできましょうし、その意味では通産省や運輸省との関係もございましょう。そういうものの協力体制が混然一体となって環境庁を中心としていくならば成果をおさめることもできようが、今日までのことを考えますと、どうもなかなかそういうぐあいにいかぬと思うものですから大変心配しているわけでございます、これは長官いかがなものですか。
#146
○稲村国務大臣 全く滝沢先生の御指摘のとおり、環境庁が今挙げられた一連の省庁との単なる調整役でなく、もう少し真剣に、前向きに国民の健康を守る、環境保全をするという積極的な姿勢で調整、企画、機関車役、牽引車の役をしていったらすばらしい環境保全ができるのだろう、こう思います。大変な御指導をありがたく思います。
#147
○滝沢委員 そこで、前回私は一番最初に、中公審の委員の任命が適当なんだろう、適当といえば適当――適当というのはいいかげんという意味とまことに結構という意味と二つありますが、そこのところはそれにしましても、会議録を公表したらどうだと言いましたらそれはできぬというのです。できないのは、何か中公審の最初の会議のときに申し合わせたとかなんとか言っておりまして、中公審自体のことだからなんておっしゃるのだけれども、そんなのは言いわけであります。いやしくも国の行政にかかわる審議会等が公費を使って審議をされた議論の経過――それを言うとちゃんと部会報告とか新聞とかに言っておりますなんて言いますけれども、そんなことで済むものではなくて、やはり国民に開かれた姿勢というものが私は必要だと思います。長官、私は何も中公審に限って言っているわけではありません。いろいろの審議会等がございますが、それらすべてのことについての中曽根内閣のといいますか、あるいは戦後政治の一つの姿勢を、思想を私は問うているわけでありまして、これが閉鎖された中で、政府の御都合がいいというとまた語弊がありますけれども、委嘱をしまして、そうしてこういう結論をちょうだいしましたというわら半紙一枚の結論だけで、だれ先生が何とおっしゃったかという審議の経過、内容は一切発表できませんだけで済まされるわけではないと私は思いますよ。いわんや議会でこれを要求するという発言が幾つかの政党からなされているのですから、だめですからだめですぐらいのことでは、見せない、聞かせない、教えない、非公開三原則みたいな、三木内閣か何かが言ったみたいな話がどこまでも通るものではありません。そういう意味では、私は何も速記録を全部リコピーして全国民に配れとは言いませんよ。しかし、けさほども理事会の中でいろいろ議論のあったところだけれども、国民の前に開かれた、いわんや国会の前に開かれた、委員の諸先生が苦労して結論を得られました経過や思想をわかっていただくという姿勢が必要ではないか、私はこう思うのですが、いかがなものですか。原則論として申し上げているのです。
#148
○目黒政府委員 この点につきましては、前回の当委員会におきまして先生からも大変厳しく御指摘をいただいたところでございます。また、先ほど来の繰り返しになってしまうわけでもございますけれども、私どもこの審議会の中では、特に今回のように賛否両論が分かれている、いろいろな真っ向反対の御意見が世間の中にも非常にあるようなもの、そういうものを議論をしていただいているわけでございます、またこれはこのような対決的なと申しましょうか、このような非常に意見の相対立したような案件のみならず、そのほかの案件も含めまして、だれ先生がどのようなことを言ったとか、あるいは一番大事なのは、やはり審議の経過の中で、最初Aと言っておった、最初一つの判断をなさっておった方々もその議論のうちに次第にまた意見が変わってくるということも、これはよくあることでございます。この点につきましても、前回当審議会におきましていろいろ出たのでございますけれども、そのときにも部会長の方からそれに対する御意見ということでお話があったことがあるのでございますが、それを御披露いたしますと、やはりいろいろな異なった意見がだんだんだんだんと議論をしていくうちに当初とは変わってくる、そして次第に全体として一致した形へだんだんと動いていく、こういうのが多くの場合の審議の中の実態でございます。これは先生よく御承知のとおりのことでございまして、そういう中でだれがどのような意見を言い、どのようなことになっていったかということよりも、むしろ最後の意見、最後の総体としてまとまった意見というのが最も大事である、こういうようなことが一つございます。
 そのほかに、前回御説明いたしましたように、やはり審議をあるいは議論を公正かつ自由に保つということ、これはやはり必要なことでございまして、それぞれの先生方が個別的に個人的ないろいろな形での意見具申、あるいは圧力がどうかわかりませんが、賛否両論の御意見があろうかと思いますけれども、そういうものを含めた御意見というものもこの審議会場外でお受けになることもあろうかと思います。
 そのようなものをすべて踏まえまして、やはりまた、かつ先般申し上げましたような審議会として一つの方針ということで、長くは申しませんが、まとめた、こういう経緯もございまして、これらのことを総合いたしまして、原則として個々の委員がどのような御発言をされたのかについて、やはり私どもの方としては申し上げることもできないわけでございますし、議事録の公開ということについてもできないのでございまして、この点御理解を賜りたい、このように思っている次第でございます。
#149
○滝沢委員 ありがとうございました。
 今のお話を聞いて、私は中公審の先生方に心から敬意を表しますよ。というのは、私は国会にいて本当にばかなことをやっている国会だなと思うのは、会期何百日なんて決めますよね。だけど、こう一つの法案が提案されようということになるでしょう。賛成のものは何百日たっても賛成、反対のものは最初からもう反対。それは幾ら会議をやっても演説をしても変わらないんですよね。これは学者先生だけあって、こうやったが、三日目には、どうもおれの考えはおかしいのかな、四日目には、なるほどそっちがもっともだなと変わりなさるというのだから、私は本当に心から敬意を表しますよ。
 私はいつか、国会で演説をするとき、ノー原稿で適当にこういうようにやるものだから党内にいろいろありまして、もっとまじめにやれ。それは、まじめにおれが汗を流して、君たちのように汗をぶつぶつ流しながら演説をして、原稿を、ございますをありますとも読まないでまじめに読んで、それで賛成の党が反対になったり反対の党が賛成になったりするならおれもやるよ。だけれども、決まっちゃっているのでしょう。だから、今の日本の国会なんていうのは、自民党から一人、社会党から一人、各党から一人出て、はい自民党三百八賛成、はい共産党何ぼ反対、株主総会と同じですよ。やっても同じなんだ。だから私は今の国会を軽べつするのだけれども、そういう意味では私は中公審の先生方に心から敬意を表するわけで、お伝えください。
 それほどの学者の意見を、そういう科学的な良心的な意見をどうして国民の皆さんにわかっていただこうと思わないのですか。ところが、知らぬは何とかばかりなりというんですよ。これが出回ったらどうしますか。出回ったときだれが責任を負いますか。
 私が言っているのは、防衛問題等の国家機密を言っているのじゃないのです。本当に、こういう国民のみんなが知っていたがる、そして外国に知らせたってちっとも安全保障上の問題なんかない、こういう会議をなぜ公開できないかと言っている。しかし、その会議録のようなものが世間にあまねく出回ったらどうするのですか。おれが出したのじゃないから、おれの責任じゃないなんて、局長言うのですか。どうですか。
#150
○加藤(陸)政府委員 出回ったらということでございますが、そのようなことが……(滝沢委員「あり得ないですか」と呼ぶ)いいえ、それはあり得ないかどうかは、ちょっと私ではお答え切れないわけでございますが、そういうことがあってはならないという職務をしょっておるところでございますので、それ以上出回ったらどうするかというのは、もうそれはそのときの状況において最も適切な対応をとるしかしようがございませんけれども、ちょっと答えにならないような答えでございますが……。
#151
○滝沢委員 同じあれでも少しあなたの方が頭がいいんだよね。しかし、どこかの女学生が妊娠したような話で、あるまじきことがあることがあるのですよ。
 このことを決定的に最後に決めた審議会はいつでしたか、あれは。
#152
○目黒政府委員 六十一年の十月三十日でございます。
#153
○滝沢委員 時間がなくなりますから、私も早くしますからあなたの方も早くお願いします。
 そのときの会議録は何ページですか。わかりませんか。
#154
○目黒政府委員 ちょっと私、議事録のことについては、何ページというようなことは記憶してないのでございますが。
#155
○滝沢委員 それは四十九ページです。そして、最後のページは十七行書いて、余白がなお八行残っているのだよね。そして最後に会長談話をどう発表するかということを議論していらっしゃって、私はお会いしたことはどっちもないから大した義理もないからいいのですけれども、渡辺委員という先生が、この談話の発表、これはだれに対してやるのですかなんて。こんなのは当たり前の話だ。そうしたら会長さんが、社会に向かってです。これもおかしいけれども、諮問を受けたところへ発表するなんて。何も社会に向かうはずはないのだ。これは新聞記者の話だ。そうしたら渡辺先生が、記者会見はするのですかしないのですかみたいな話ですね。そうしたら会長が、いや、大臣に向かって出すのです。やはり会長の方が少し頭がいいよね。そして結局は、渡辺先生は、それは文書ですか言葉ですかと、こうおっしゃっているのです、会長は文書でしますというようなことを言っているのですよ。
 その日の会議に拍手が何回出たか知っていますか。
#156
○目黒政府委員 私もその会議に、終始最後の総会のときには出ておりましたけれども、残念ながら拍手その他、私も一生懸命夢中でございましたので、ちょっとそのようなことについては記憶をしていないのでございます。
#157
○滝沢委員 そうした委員は、職務上知りたる何とかの何とかというのがありますよね。その守秘義務がありますか。
#158
○目黒政府委員 正確なことはちょっと今手元にございませんが、検討してみないと私正確なことは申し上げられないのでございますが、たしか私の記憶では、守秘義務はあろうというふうに、当然委嘱されておるのでございますので準公務員ということで、というふうに私は記憶を、そのようなことではなかろうかと思っておるのでございます。
#159
○滝沢委員 私たち政党なんというのはおもしろいのだよ、選挙の候補者同士がごちゃごちゃしているときに、まして党内がもめているときなんか、きょうの会議は絶対秘密、今配った資料は会議が終わったときはみんな回収しますと言うのです。ところが、出てくると、新聞記者なんか、私みたいな人のいいのをつかまえて、どうだったんですかなんと言うものだから、こっちも人情にほだされて、つい一つ二つしゃべっているうちに、彼ら商売人だから、びんびんとつないで、ちゃんと本当の会議録よりも正確な会議録があしたの新聞に出ているのだね。それと同じで、いいですか、六十一年十月三十日の会議録は私が暗唱するほど読んでいるのですから、表紙が何行に書かれて、一番最後に終わりと書いてある。どんな終わりですか。終了の終、了、おはり、おわり、どうですか。
#160
○目黒政府委員 いずれにいたしましても、私、ちょっと現在記憶していないのでございます。
#161
○滝沢委員 ちょっと棒を引っ張って、終了の了です。そしてまた棒を引っ張って、棒だか線たかの長さだけはそのとき物差しを持たなかったからはかっておかないけれども、内容は暗唱するほど読んでいますよ。だから私は言っているのです。
 そんな非公開でございますなんて言ったって、それはあまねく知れ渡るのですから、しかし局長たる私が発表したのではございません、これでしょう。そんなことで勤めておる者を役人根性というのですよ。国民に理解していただきたいという姿勢を私は問うているのです、別に会議録の何ページにだれ先生がこう言ったのはけしからぬなんて言っているわけではありませんよ。そしておっしゃるとおり、だんだん会議をしているうちにお考えが変わる、これはいいことですよ。そのために会議はやるのでしょう。最初理解の少ない人に執行部がいろいろ説明したり、ディスカッションしているうちにみんなの考えがおのずからまとまるところにまとまっていって、最後に少数のなにがありましても、大方ここにたどりついたというところに会議の意義があるのでしょう。
 私が暗唱するほどですから、患者の皆さんやその他関係ある方々はもっともっと夢に見るほど精通していらっしゃるのじゃないですか。その上で公表しろとおっしゃっているのだから。そういうことなんですよ、世の中というのはそうなんです。これはここだけの話だけれども君にだけ言うんだからなんて言ったら、一番広がるんですよ、それが世の中でしょう。
 そういうことですから、非公開でございます、非公開でございますから公開できません、そういうことの繰り返しで議会はごまかせない、こういうふうに私は申し上げているわけで、決して中公審だけをしかっているのじゃありませんよ。中曽根政治と言ったら中曽根さんに悪いかもしれません。戦後政治という言い方がどうか。自民党政権と言ったらまた自民党の先生方がいらっしゃるからこれもちょっとなんですが、今日の日本の行政のあり方に対して私は大きな警告を歴史に向かって申し上げているつもりです。いずれこういうものは全部公開されるときがありますよ。そうしたときに、ああそれは二十年前に読んでおいたみたいな話でしょう。どうでしょう、私は何もこれをいつどこに出せ、出さぬという議論をしているのじゃありませんよ。こうした政治の理念、手法に対して私は反省を求めているのです。長官、いかがですか。
#162
○稲村国務大臣 長官という立場と政治家という立場ということで先生の御意見、なるほどなと思って先ほどから感心させられておりますが、彼らの行政の立場、公務員としての今の守秘義務という立場を今理解もできるし、正直今いろいろと考えさせられて、勉強しなければならないなと思っております。
#163
○滝沢委員 いや、そのくらいの答弁をしなければ大臣になれませんよ。
 しかしこれは、私は暗唱するほど読んだと言いますが、全部暗唱できるかどうかわかりませんが、大体の流れは頭の中に入っています。そして、残念ながらだれ先生がどうおっしゃったかぐらいのことはわかりますよ。もちろん、その先生方に私はお会いしたわけでもありません。しかし、それほどに既に世に出回っているんですから。これはこの審議会だけではありませんけれども、閣議の席はかたい話でしょうけれども、折に触れて大臣の方々とも話し合って、このようなものはできる限り原則は公開する。その大原則を確立していただくことは、何もこの環境行政だけではなくて、教育にしろ地方自治にしろ必要なことではないのか。それが今日以後の政治理念というものであろう。それでこそ初めて国民は政治を信頼し、これに協力をしようという姿勢がわき上がってくるのじゃありませんか、そのように私は考えまして、どうかひとつそうした精神に一日も早く切りかえていただきたいと思うのです。大臣、私はあなたのことを責めて言っているのじゃありませんよ。どうかひとつ意のあるところをくんでいただきまして、重ねて御意見を承りたいと思います。
#164
○稲村国務大臣 先生の大変貴重な御意見をよく拝聴させていただきまして、今後の参考にさせていただきたいと心から思います。
#165
○滝沢委員 最後にお願いがあります。お願いの質問なんておかしな話でありますが、実は私は残念だと思うのは、日本は、何事につけそうなんだけれども、よく話せばわかるだろうし、わかっていただかなければならぬことがわからぬまま不毛の対立が多いんですね。ですからこの公害問題について、私は最初からああした制度、公害というものにみんな片づけてしまって、一緒くたにしてこれを国が補償しようとか、あるいは企業がとにかく無差別、無差別という言葉はおかしいけれども、大変差別のある話だから、そして負担させようとかいうようなことではなくて、もっともっと細かに私害、私的責任を追及する姿勢であった方がいいんだけれども、こういうふうになってきたんだから、今度はいわば見直そう、しかしその見直しも要するに思い切った割り切りなんですね。だから、患者の皆さんがいろいろと不安と不満を持っていらっしゃるんじゃないですか。しかし既に認定された方々については補償を続けていただくというのですから、それそのものは御納得いただくかしりませんけれども、ボーダーラインのような方々で今も不安におののいていらっしゃる方々に対して積極的に政府の立場を、考えを説明して、そしてそれらの方々の治療に遺憾なきを期していただく。そして企業に向かっても厳しく、これは決して公害じゃない、なんてあなたたちの立場では言えないだろうけれども、これは皆さんの、企業の責任においてひとつきれいな国土づくり、健康な国民の生活を守るために協力していただかなければならぬということを思い切ってもっと強調していただいて、事の全きを期してちょうだいしたいと思うのですが、これをひとつ要望させていただきまして、委員長、いろいろと御配慮ありがとうございました。長官以下皆さん、どうも御苦労さまでした、どうもありがとうございました。
#166
○林委員長 岩佐恵美君。
#167
○岩佐委員 前回議論いたしました、気管支ぜんそくの患者はこの十年間全国的に増加をしている、この増加率の問題でありますけれども、この増加率は、認定のぜんそく患者の増加率と同水準だという論拠になっている厚生省の調査の件であります。この厚生省の患者調査というのはもともと大気汚染の影響を調べるためのものではありません。病院などの医療施設の利用状況を調べる調査であります、だから、大気汚染のひどい地域、それからそうでない地域を分けて調べているわけでもありません。一年のうちの一日しか調べていない。七月の第二水曜日に病院に来た人だけを調べたものであります。だから、たまたまその日が全国的に寒かったりすると患者がふえてしまうかもしれない。病院の設備が拡充されていることによって来る患者さんがふえるかもしれない。そういういろいろな要素が入るのは当然であります。ですから、単純に比較に使えるようなものではない、これはもう私のような素人でもそうだというふうに思います。ですから、前回も指摘をしましたように、大体専門家は、これは有症率を調べるためにつくられた資料ではない、こういう資料を使うのは非常に問題である、おかしいというような指摘があるわけです。もし専門委員会に出されていたら、こういう資料というのは恐らくまともにそういう対象にならないし、議論にもならないということだったというふうに思うのです。
 もう一度聞きますけれども、専門委員会、四十二回やられた会議のうち、一体いつこの資料が出されたんですか。その部分の会議録、これはあるはずだと思うのですね、これを示していただきたいと思うのです。
#168
○目黒政府委員 最初にちょっと、先生の御質問の前提でございます有症率をこの患者調査でもって議論をした、こういう御指摘でございますが、私が前回お答え申し上げ、あるいは中央公害対策審議会の答申の中にございますのは、この気管支ぜんそく等の認定患者の数がふえている、これはもう有症率でも何でもございません、実数でございますが、この患者の数がふえているということをもって、イコール大気汚染の影響によるというふうなことは言えない、因果関係はそれほどはっきりしてない、大気汚染だけで起こるものではなくて、その他の原因でも起こる、その一つの例示あるいは根拠として患者調査を使ったということでございます。
 それから、第二点目の御指摘の件でございますが、専門委員会は議事録はとってないのでございます。
 それから、環境保健部会で検討を行った点につきましては、答申において「被認定者の増加について」というところの項に記してあるのでございます。
 それから、専門委員会において検討の際に、先生方の念頭には、臨床の方々を含めて、小児ぜんそくといったようなことの増加あるいは気管支ぜんそくの増加ということについては当然医師の常識としてふえているという認識はあるのでございます。繰り返し申し上げますけれども、有症率の一つの根拠ということで御議論をいただいたという意味で申し上げたのではないのでございます。
 したがいまして、あとは長くなりますから割愛をいたしますが、先回申し上げましたように、患者調査の結果自体は、認定患者の増加をもって直ちに大気汚染の悪化と結びつくということではないというのに使ったということで御理解をいただきたい、こう思っておるものでございます。
#169
○岩佐委員 要するにこの調査は、公害の指定地域での患者さんはふえているけれども、全国的にもそういうぜんそくの患者さんがふえているから、だから公害の指定地域に特有のことではない、他の原因があるんだというようなことでこの資料は使われているわけですね。
 今言われたように、これはもうこの間も議論しているわけですね。保健部会ではこれは議論したでしょう、それは証拠があります。しかし、お医者さんだとか疫学の関係の方だとか、そういう方々が参加をしている専門委員会でこれが議論をされたかどうか、これは非常に大きな問題なんですね。要するに、全国的な調査によってぜんそくの患者さんがふえているということが指定地域の患者さんがふえていることを打ち消す、そういうような資料として使われている。指定地域を全面解除する、そのための論拠として大変大きなウエートを担っているわけですね。
 だから、専門委員会の専門家の方が、この厚生省の十年間の、どこかの病院あるいは診療所、全国的にもうどこを調べているのだかわからない、しかもある一日ですよね、七月の第二水曜日というようなある一日だけを調べている、これをもってして患者が全国的にふえている――それはふえているかもしれないけれども、指定地域あるいは指定外の地域がどれだけ入っているかわからない、あるいはたまたま寒い日だったかもしれないし、どういう日だったかもわからないじゃないですかということで、そういう数字をもとにして比較をするというのはおかしいと専門家自身が言っているわけですから、だから、では専門委員会のいつのどういう時点でこれが検討されたのか、どういう資料が出されたのか、本当に検討されたんですかということを聞いているわけですね。この間は、検討したかどうかについて、検討したと思いますというふうなあいまいな答えですから、それではいつの専門委員会で検討されたんですか、その出した資料を提示してください、こういうことを言っているので、答えをそらさないで、その二点について、いつの専門委員会で議論をした――してないなら、してないでいいのですよ。したなら、いつの専門委員会で議論をした、あれだけひとり歩きしている資料なんですから、それを明確にしてもらいたいのです。どういう資料を出したのか、その同じ資料を私たちにも示してもらいたい、そのことを言っているわけです。
#170
○目黒政府委員 これは二つの点があると思います。私はお答えをそらすという意味で申し上げているのではないのでございまして……(岩佐委員「出したか出さないかだけ、いつと、もう端的に答えてください、時間がないのですから」と呼ぶ)私が申し上げたいのは、専門委員会がすべてではない、専門委員会の専門委員を含めた部会でも検討しているということを申し上げたいのでございます。
#171
○岩佐委員 答弁をそらさないで、ちゃんとやってくださいよ。
#172
○目黒政府委員 それは二番目にお答えを申し上げます。
 最初の前提が一つあるわけでございます。(岩佐委員「そんな前提はもういいです」と呼ぶ)それで、その専門委員会の中で、私ども、既存の認定患者の数というものについてはその都度、この三年間四十二回の中で必要に応じて資料として出していること、これはもう当然のこと、毎年のことでございますし、出しているのでございます、それについては私どもはっきりわかっているのでございますけれども、それ以外のことについては私ども現在の時点ではわからないのでございます。
#173
○岩佐委員 要するに非常に重要な具体的な事実について当委員会で、その専門委員会で資料が討議をされたかどうかということすらわからないし、言えない、こういう状況の中で指定地域を全面解除する、これはもう本当に許されないことなんですね。
 この指定地域の全面解除というのは公害企業、財界の一貫した要求なんです。なぜ中公審が公害企業、財界の要求にこたえて指定地域全面解除の結論を出したか、その背景の一つには中公審の構成の不公正さがあると思います。これは当委員会でもほかの委員も指摘をしているところであります。
 中公審の環境保健部会二十四名の中にも、それから専門委員会十三名の中にも患者の代表や患者団体が推薦する学者は一人も入ってないのです。逆に公害企業、財界の代表は保健部会に経団連の岩村さん、鉄鋼連盟の小林さん、自動車産業の関係の代表の方、そして財界と関係の深い学者委員がたくさん入っているわけです。これで公正な審議が行えるはずがないのです。
 なぜ患者代表を入れないのですか、あるいは患者さんが推薦される学者委員を入れないのか、その点について伺いたいと思います。
#174
○目黒政府委員 この件につきましては先般来お答えをたびたび申し上げてきたところでございます。当委員会においてもお答えをしたと思いますが、繰り返しになりますが、この環境保健部会のメンバーの中には先ほど申し上げましたように専門委員会のメンバーも当然入っているわけでございます。また、患者の認定や診療に直接当たっている方も入っているわけでございます。したがいまして、患者の皆様方の実情等は十分に審議の中に反映しているというふうに考えているのでございます。
#175
○岩佐委員 大体、産業界は代表者そのものが入っていらっしゃる、患者は、その患者を診ている人が入っている、これじゃ患者自身が入っていることにはならないわけですね。中公審の設置を定めた公害対策基本法の目的は、「公害対策の総合的推進を図り、もって国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全すること」である。公害をなくし国民の健康を守る環境をつくるための審議会であります。企業の代表ばかり入って、患者、被害者の代表が入っていない、これは法の趣旨にも反します。実際に法の運用に支障が出るのは当たり前のことであります。
 今回審議の対象になっている公健法は、四日市裁判などで加害企業集団の賠償責任が明確にされたことを踏まえてつくられたものです。財界と被害者との間の民事裁判における和解的解決を法制化したようなものだ、こういうふうにも言われています。だからこそ、裁判で言う原告、被告双方が対等、平等な立場に立って初めて公正な審議が保障されると思います。それを加害企業の代表だけ審議会に加えて、そして運営をする。全く不公正な運営で、これは世間的に通らない話だと思うのですね。まさに民主的な運営などとは言えない、そういうものになるのは当然だと思うのです。なぜ患者の代表を入れないのですか。
#176
○目黒政府委員 患者の皆様方の御意見につきましては、この部会でも直接患者の代表の方々に来ていただいて、先ほども申し上げましたようにいろいろな御意見あるいは御要望等について伺っているところであります。
#177
○岩佐委員 患者の意見を聞いたとしても、それは参考程度じゃないですか、しかも回数はわずか一回じゃないですか。このときには産業界からも同時に意見を聞いているのですよ。意見を聞いてもらうだけというのと、審議会の場で委員としてちゃんと発言をする、こういう立場はこれはもう根本的に違うのですね。そんなことはだれにだってわかるのじゃないですか。
 さらに、当委員会で繰り返し指摘してきていますけれども、答申は専門委員会で検討もしていない資料を勝手に引用している、そういう疑いが非常に強い。さっきの十年間の患者のふえている、そういうのだってそうですね。文章をねじ曲げて解釈をする、これはもう既に多くの委員からもいろいろな形で指摘があったところであります。全く不可解な部分がたくさんあるのですね。
 ところが、裁判だったら傍聴者もいる、記録も公表される。国会だって非公開なんですね。しかし、傍聴はされているし議事録は公開されます。何でその審議会の審議内容が非公開なのか。密室で一体何が行われているか。加害企業はわかっているのですよ。患者や国民だけが知らない、国会もわからない、こんなばかなことがあるでしょうか。公害患者はもちろん、国民の健康や命にかかわる重要な審議ですね。それを何で公に――この間の委員会でも指摘をされています。委員の方は公、そういう立場で審議会に参加をされているのですね。そういう人たちがこそこそしながら審議をしなければならない、そんなのはおかしいですね。結局患者の代表が入っていたらまずい、あるいは国民や国会に知られたらまずい、そういう何かがあるからこんな結果になっているのじゃないか、そういうふうに疑わざるを得ないわけですね。患者の代表を当然審議会に加えるべきであります。
 それから、公健法の重要な審議を、国権の最高の機関、国会で行っているのです。何度も何度も繰り返し、会議録のこの部分はどうなっていますか、この会議ではどうなっているのですか、資料が出ない、事実が明らかにされない、そういう中でこんな重要な法案を御審議いただきたい、私はそういうのは通らないと思うのですね。こういう不正常な中での審議、私は質問しながら本当に心からの憤りを覚えるのです。ちゃんと必要な資料を出す必要がある、そのことを求めます。
#178
○目黒政府委員 この公害健康被害補償制度の改正に伴いまして、先生から中公審の審議の状況あるいはその手順あるいはその結果としての報告内容等について御疑義と申しますか、御指摘がありましたので、お答えをいたします。
 まずその点につきましては、再々当委員会でもこれまでにお答え申し上げましたように、私ども審議会の中で、例えば専門委員会におきましても四十二回、それは膨大な資料をもとにいたしまして審議をいただいたということでございます。また、専門委員会の中にもこの四十二回の審議の中でいろいろな意見があり、ある先生の意見が、先ほど申し上げましたようにいろいろ変わっていったということがあるのも事実でございます。しかしながら、いろいろなことがありながらも、総体として専門委員会報告という形でまとまって、そこで専門委員の先生方が了承したわけでございます。また、その専門委員会報告は、その次の環境保健部会におきまして十分、専門委員会の委員長からの報告を受け、しかもまだ、その報告の作成に参加した四名の専門委員を含んで、この科学的な知見の妥当性も含めてもう一度またそこで議論をしているのでございます。先生が御指摘のように、専門委員会だけで文章化したもの以外はすべてこれは疑義があるという御指摘については、私どもはそのようには考えていないのでございます。また、審議会の委員の先生もそのように考えておられないというふうに私ども理解をしているのでございます。また、私も何も先生のこの御指摘に対して、真っ向反対の考え方というふうに受け取られるかもしれませんけれども、事実は今申し上げたとおりのことでございます。
 また、議事録の公開の件でございますが、これは、この長い三年にわたる審議の中にはやはりいろいろな御意見が直接ないし間接、あるいは報道機関あるいは雑誌等々を含めまして、先生方のお考え等についても個人的ないろいろな意見、非常に強い意思表示というものが関係者の間から行われたことも事実でございます。また、審議会の中では三年有余の間にいろいろ意見も変わってまいりました。いずれにいたしましても、総体として答申案に出ておりますようなこととしてまとめられたのでございます。
 また、先ほど来申し上げました理由でもって、審議会の内部の、どの先生がどのようにということにつきましては意見を述べるのを差し控えさせていただきたいということでございます。前回、先ほどもこの点については御返事申し上げたとおりでございますので、どうぞその点御理解を賜りたい、このように思っておるところでございます。
#179
○岩佐委員 大体都合のいい資料しか出さない、都合の悪い資料を出さない、これは非常に問題だと思うのですね。
 委員長にもお願いをしておきたいと思います。当委員会として私どもが再三要求している資料について、全部、膨大なものを、先ほども滝沢委員が言われました、全国民一人一人に配れなんて言っているわけじゃないのですね、この審議会の、この委員会の質疑に必要な資料を出してほしいということを言っているわけですので、ぜひ当委員会としても資料提供を促進するように委員長にもお取り計らいいただきますように強く要望を申し上げたいと思います。
 今の答弁から私が思うのは、結局環境庁のやり方は中公審を隠れみのにして都合のいいように法改悪を進める、それ以外の何物でもないと思うのです。中公審の委員の中には答申に反対の委員もいました。あるいは環境保健部会でも何人かの反対の委員がいるのですね。質問も出ているのですね。あるいは、御異論がありました、こうなっているわけですね。そういう反対者の意見というのは封殺をされている。例えば答申も結局最後に会長の談話という形で、反対論もありましたというふうになっていますけれども、普通答申では、両論併記する、こういう答申だってあるのですね。生産者、消費者、中立委員、学者委員などで構成されている米価審議会、この場合には両論併記なんですね。反対意見だってちゃんと答申に併記されるのです。ところが、中公審はどういうわけかこれが両論併記もされない。委員の中からは、ちゃんと反対意見があったことを併記してほしいという要求があるのです。それにもかかわらずこういうことが行われない。これは中公審が構成が不公正だからこんな非民主的な運営がまかり通っている、そういうこと以外の何物でもないと思うのです。
 しかも、その答申が出る十月三十日以前に環境庁は財界の代表と何回か会って、指定地域解除を前提として、基金の額についてあれこれ相談をしています。これこそ中公審ないがしろ、形骸化、環境庁の意のままの機関、そういう以外の何物でもないと思うのです。こういう非民主的なやり方、これはもう本当に許されない。結局環境庁が、目的、一つの結論を持って、中公審を利用してこういう結論を出したということで、こうした公健法の改悪は絶対に認められません。これは直ちに撤回をすべきだ、こんなあいまいな形で、何かわけのわからない中で強引に解除に持っていく、これは絶対に認められません。
#180
○目黒政府委員 先生の御指摘でございますが、先ほどお答え申し上げましたように、この審議会の答申、先生おっしゃるとおり、これは会長の談話にもございますように、いろいろな意見があったわけでございます。また、この種の審議会といたしまして、すべての審議会がそうでございますが、いろいろな意見があるのは当然でございます。しかしながら、繰り返しお答え申し上げますけれども、このようにいろいろな御意見のある中で、審議会の総意として、このような形で出すということについては総意としてまとまったわけなのでございます。
 また、構成云々について先生の御指摘でございますけれども、先ほど来申し上げているものと同時に、私ども、この審議会のメンバーと申しますものは我が国の公害あるいはこの種のものに対する最高の権威者を集めておるのでございます。このような方々からの見識ある御審議の結果ということで受けとめているので、御理解を賜りたいと思うのでございます。
 また、基金の問題についてでございますが、この基金の問題について制度を見直してまいります検討過程の中で、各方面の関係者、患者の団体の方々を含め、あるいは財界の方々を含め、いろいろな方々からいろいろな意向を賜り、あるいは御要望を賜り、あるいは意向を打診して審議の参考にしているということは通常行われているものなのでございます。しかし、今回の中公審の答申においては、その骨子が定まらない段階で関係者と合意をしてしまったなどということはないのでございます。
#181
○岩佐委員 しかし、現実には中公審の答申が出る前に、環境庁は財界といろいろ四百億だとか五百億だとか、そういう話をしている。しかも、指定解除を前提にしてそういう話し合いをする。これらがいろいろな出版物、例えば「エネルギーと環境」あるいは一般の新聞だとかそういうところで報道されている。これは本当に許しがたい事態だ。結局中公審の答申をリードしていく役割を果たしているじゃありませんか。
 それで、大臣に今までの問題で端的にお伺いしたいと思うのですが、中公審の構成の不公正、やり方が非民主的である、これは患者の代表を入れていないことに非常に大きな問題があると思うのですね。大臣としてこの点についてどうお考えか、御答弁いただきたいと思います。
#182
○稲村国務大臣 岩佐先生からの中公審は公正には考えられないという御意見はこの前のときも聞き、またきょう強調されておりますが、公害対策に関する学識経験者によって構成されておる、私はそういうふうに信じまして、これまで公害対策に関する基本的または重要な事項を調査、御審議していただいている、そういうことで、これまで中公審の運営も公平になされておるものと私は信じております。また、今後も公正な御審議がいただけるもの、こう信じております。
#183
○岩佐委員 学識経験者以外に産業界の代表は入っているのですね。さっき申し上げたように経団連の岩村さん、鉄鋼連盟の小林さん、自動車産業界の代表、そういう人たちは入っています。しかし、一方の患者さんが入っていないですね。その点についてどうですかということを伺っているのです。
#184
○稲村国務大臣 私は、目黒部長の答弁を聞いておりまして、患者さんと直接接触を持つ医学者も入っておりますので、これで十分御理解いただけると思います。
#185
○岩佐委員 大臣、そういうことでは全く誠意がないですね。産業界の意見をいろいろ知っている人が学識経験者で入っていれば、では、産業界だって入る必要ないじゃないですか。この議論ばかりでやっていると時間を食いますので次に移りますけれども、本当に誠意がないということをつくづくと痛感をして、このことについては厳重に抗議をしたいと思います。
 次に、答申の内容について少し伺いたいと思います。
 十一ページで指定地域についての考え方として「@ 人口集団に対する大気汚染の影響の程度を定量的に判断でき、A その上で、その影響が、個々の地域について、地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなすことに合理性があると考えられる程度にあること、」これは前からいろいろ議論になってきているところですが、定量的に判断できる、そういうことでありますけれども、同じページの下の方に「疾病に対するすべての要因のうち、大気汚染による影響が過半となっている」、こういう記述があります。つまり、大気汚染以外にもたばこだとか気候風土だとか遺伝的体質だとか職業だとかいろいろな要因があって、その中で大気汚染が何%ぐらいの比重を占めるかを明らかにするということなんでしょうか。「過半となっている」というのは、それらが大体半分ぐらいそういうことの影響だということがはっきりしていることを示しているのでしょうか。
#186
○目黒政府委員 この「人口集団に対する大気汚染の影響の程度を定量的に判断」し得る云々という文章、それからその下の「過半」云々、このことでございますが、前段の「影響の程度を定量的に判断でき、」ということは、簡単に申し上げますと、疫学等の手段を使いまして一般に大気汚染物質が具体的にどの程度になれば地域の有症率がどのくらいになるかを示すことができるということを意味しているのでございます。また、下段の方に「過半」云々というふうにあるわけでございますが、このことは、当時の昭和四十九年あるいは三十年代、四十年代の大気汚染が非常に激しい時代、急性症状を伴うような非常に激しいときには、それぞれの地域の住民の中で臨床的に見ても患者さんがどのぐらい出るということがわかったのでございます。また、それを疫学的な調査で実証した場合に、仮に一定の地域でこの有症率ということで疫学的な手段等を使ってみてもこれが使えるといったことで過半数になっているという意味のことを申し上げているのでございます、
#187
○岩佐委員 いろいろな原因がある中で大気汚染の占める割合が何%かをはっきりさせるということがそもそも現在の科学の到達点で可能なんでしょうか。他にどういう原因があるのかも、そのすべてについて解明されているわけでもないわけですね。この二要件というのはもともと無理なことを求めている。
 専門委員会の鈴木委員長自身が、ことしの二月五日に法廷での証言で、この二つの要件を満たすような病気があるかという問いに対して、これをお書きになった人に逆にそれを質問したい、事故以外にはあり得ない、そう答えています、さらに、現実を知らない人が頭の中で考えた文章であり医学的真実に反する文章だ、こう述べておられるわけです。専門委員会の委員長がこのように批判しているこの二つの要件は全く非科学的なものであります。この点どうですか。
#188
○目黒政府委員 鈴木先生の御発言、それから今の二つの条件は医学的に無理じゃないかということでございますけれども、四十九年当時は、臨床的にもSOxを中心とする大気汚染が大きな影響を与えていたということははっきり実証されていたのでございます。これにつきましては、当時の四日市の病院あるいは四日市周辺の診療所等の臨床的な治験報告等もあったわけでございます。そのような中で、有症率等をはかります疫学的な手段でもってしてもそれが可能であったのでございます。しかしながら、アンケートの方式を用います現在のATSあるいはBMRCにいたしましても、疫学的な手法によりましては今のような有症率を云々することは今の大気汚染の状況ではできない、これが専門委員会報告の結論だったわけでございます。
 また、鈴木先生の御発言でございますが、先生が御指摘になったようなことを鈴木先生が言及されたことについては私どもも聞いているのでございますが、先ほどから何遍も申し上げておりますように、鈴木先生は審議会のこの答申については総意として同じようなお考えを持っておられると私は考えておるのでございまして、またそれが専門委員会報告に反映されているのでございます。また、先生がおっしゃったのはあくまでもこの制度自体が抱えております医学と制度、この二つの割り切りを行っているわけでございまして、これは先生も御承知のことと思いますが、割り切っているわけでございます。この割り切った点について、医学的なサイドから言えば、当然そのようなことは医学的だけでは非常に無理があるということはその委員会その他の中においても議論の上で、現状の大気のもとでは有症率というものは使えないのだということをはっきりと結論として専門委員会の報告の中に明記されておるわけでございまして、それをとりまして、さらにまた鈴木先生の専門委員会報告に基づきます、先生とその御報告を都会あるいは作業小委員会等で直接長時間にわたって伺った上での結論でございます。
#189
○岩佐委員 この間の裁判の判例は、例えば昭和四十七年の四日市判決では、大気汚染以外にも年齢、気象、遺伝因子、たばこなどの他の原因があることを認めておりますけれども、これらのさまざまな原因の中で大気汚染がどれだけの割合を占めるかなどという定量化を試みていないわけですね。そして、大気汚染が人口集団に健康影響を与えていると認められさえすれば、その地域で生活していた個々人についても大気汚染と病気との法的因果関係を認め、企業側の賠償責任を認めております。その後の昭和五十年の大阪国際空港控訴審判決でも、あるいは昭和五十六年の日本化工クロム労災判決でも、昭和六十年の予防接種東海地方訴訟判決でも、こういう判例でも同様の法的因果関係についての考え方をとっているわけです。これは前回の委員会で、四十九年当時の中公審の医療分科会が見解表明されましたそれと同じ考え方に立っているわけであります。六価クロムや騒音あるいは予防接種についても、病気と他の諸原因との間の定量的比較ができなければ賠償責任は認めないというような厳しい条件を求めていないわけです、他の原因があったとしてもそれは法的因果関係を否定する根拠にはならない、もし否定しようとするなら他の原因のみによって病気が生じたということを証明する必要があるのだ、これが今までの判例の考え方だし、もともと中公審のこの法制度ができたときの考え方であると思うのですが、この中公審の今度の二つの要件はこういう判例の流れにも逆行するものだと思うのです。いかがですか。
#190
○目黒政府委員 これは二つの要素があろうかと思っておるのでございます。
 第一の点は、最初にも御説明申し上げましたけれども、当時の四日市の判決あるいは四日市市の状況は、具体的には、四日市の病院で患者さんが増発する、それについてはそのときに大気汚染が非常に悪くなっていたというはっきりしたデータがあるわけでございます。同時にそのころ、同じような疫学的手法を使ってみてもそれが定量的に大体同じと考え得るというふうにそこをみなしたというところにあるわけでございます。したがいまして、個々の問題、個々のものについてはともかく、制度としてこれを私どもは割り切ったというところにこの制度が発足当初から抱えておる一つの割り切りの問題があるのでございます。それで、この中公審におきましては、民事上の損害賠償にかかわります専門家の方々も入っておられまして、この専門家の本当の損害賠償等にかかわりますこの種の法的な面での御審議の結果でございまして、この専門委員会あるいは作業小委員会、さらには環境保健部会を含めましていろいろな医学面あるいは法律制度面、それからあらゆる資料等を使って出たこの判断については妥当なもの、私どもこのように考えておるのでございます。
#191
○岩佐委員 しかし現実に、現在九千人の新規認定患者が発生をしている。認定されておられる方だけでそれだけおられるわけで、もっと多くの患者さんが発生をしておられる。ところが、その発生しておられる方、過去においては因果関係があったけれども、今の時点ではもう因果関係がない、それは資料が足りないから、新しく発生する患者さんについては因果関係があるとは言えないのだ、そういうぐあいに言うというのは、環境庁自身が例えばNOxだとかそういう因果関係について資料を持たないからこれは新しい法制度になじまないのだというのであれば、まさに環境庁自身がやるべきことをやらないで指定地域を全面解除するということになるのじゃありませんか。それで、東京都のきちんと出ている資料については、この委員会でも何度も議論されておりますけれども、専門委員会には中間報告しか出していない。最終報告まできちんと出して、そこで十分議論をしてもらうというような手続は踏んでいないのですね。いわゆる疫学の専門家とかそういう方々がおられない保健部会でのみこれは議論をしているということになっているじゃありませんか。そういう点では私は、環境庁の本当に割り切りだ、割り切りだというけれども、肝心かなめの調査をちゃんとしないでおいて、それで因果関係がありませんからとばさっと切る、九千人の患者さんは一体どういうことが原因なのか、本当にみんな怒ると思うのですね。今まで認定された方についてだって、それはどういうふうになっていくのだということに当然なるわけですから、やはり従来から言われている大気汚染と患者さんの発生がもうはっきり出ているということがわかれば、その大気汚染と患者さんとの間の関係、それは患者さんが体が弱いとかいろいろなことがあるかもしれないけれども、大気汚染によってそれは増悪をされているということでのプラスアルファになっていくわけですから、そこのところははっきりと従来も議論をされてきていることであるし、法律的な割り切りで九千人の方を、新規の患者さんをばっさり切るような指定地域の解除というのは全く筋が通らない、環境庁、やるべきことをやっていないじゃないですかということを指摘せざるを得ないわけですが、いかがですか。
#192
○目黒政府委員 環境庁といたしましては、先般来御質疑をいただいておりますように、この疫学調査、これは世界的にも非常に大規模な、二、三万あるいは十何万といったような二つの調査、それからレセプトの調査あるいは現在までに専門家の方々の中で集めることができる科学的な知見、そういうものをすべて集めた上での現在の時点での結論なのでございます。また環境庁としてもそのような資料を集める努力、あるいは実際に私どももそういう調査をいたしたのでございます。そのような調査を基本といたしまして、もう何遍も申し上げておりますので簡潔に申し上げますけれども、結論のみ申し上げますが、動物実験あるいは疫学調査あるいはその暴露実験等を踏まえて総合的に、医学的に判断を行ったものでございます。
#193
○岩佐委員 環境庁が実施した疫学調査の問題ですけれども、前委員会でも指摘をしました。一つは、地域のとり方がまずい、これはもう申し上げました。もう一つは、対象者の年齢のとり方、幼児や高齢者など病気にかかりやすい層を除外しています。前回の答弁では小学生の親をとったから結果としてそうなったと言っているわけですが、そのような調査計画を立てれば結果がどうなるか、最初からわかっている話なんですね。現在の認定患者を調べてみますと、五十歳以上が四割を占めています。幼児を含めると四五%になります。さらに六十年度の新規認定者で見ると、五十歳以上が二九・八%、幼児が二三・四%、合わせて五三%にもなるわけです。これだけ患者の発生率の高い世代を除外して調査をやった、それでは十分な結果が出ないのは当たり前なんですね。わざとゆがめた調査をした、こう言われても仕方がないというふうに思います。
 時間がありませんので、私はきょうのところは指摘をして結論を急ぎたいというふうに思いますけれども、こういうように毎年九千人以上の新しい認定患者が出ている、それが現実なんです。それなのに、大気汚染と患者との因果関係がはっきりしないから新規患者を全部ばっさり切り捨てる、現に大気汚染による患者さんが発生しているのにそれらの人々を認めない、こういうふうな論理に持っていこうとすると、今まで委員会で時間がないから少ししか指摘をすることができませんでしたけれども、それでも私は大変な無理があるというふうに指摘をすることができると思います。その無理が、一つは中公審の構成の不公正、また検討資料が不十分である。専門委員会の先生方に、イソップ物語ではないけれども、ツルにお皿で料理を出すようなそういう資料しか出さなかった、こういうような問題もあると思います。都合の悪い資料、議事録の非公開、そういうことも行われています。まさに、環境庁が乱暴な結論をまず出してすべてその結論に当てはめるためにいろいろ細工をしている、これが実態だと思うのですね。私はそうでないというふうな納得のいく答弁が何回やっても得られないのですね。本当に許せないと思います。委員長に先ほど必要資料を環境庁から提出をする手だてをとっていただくように要求しましたけれども、こういう状況というのは本当に許せません。
 きょうは私の地元の首都圏中央連絡道が通ります裏高尾からも住民の方々が来られていますが、今東京では、この間の委員会でも指摘しました外環道路あるいは首都圏中央連絡道、そして湾岸道路、たくさんの道路がつくられようとしているわけでありますけれども、その一方でNOxの達成率が五十三年の緩和された達成率さえ守られていない、達成率が二〇%以下だという状況にあります。こういう状況の中できょうは、本当に患者の皆さんと一緒にこれから私たちの環境は一体どうなるのということで、そういう住民の方や、あるいは十三年間NOxを測定してこられた消費者団体、婦人団体、そういう方々も傍聴に来ておられるわけでありますけれども、こういう状況の中でこのような公害をさらに野放しをする公健法の改悪法案、絶対に認められませんし、これは撤回をすべきである、そのことを本当に心から訴えまして、私のきょうの質問を終わらせていただきたいと思います。
#194
○林委員長 岩佐委員に申し上げますが、資料要求の今の件につきましては、けさの理事会でお話ししましたので、その線をもって進めていきたいと思っております。
 次回は、明二十二日土曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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