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1987/08/18 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 運輸委員会 第2号
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1987/08/18 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 運輸委員会 第2号

#1
第109回国会 運輸委員会 第2号
昭和六十二年八月十八日(火曜日)
    午前十時七分開議
出席委員
  委員長 鹿野 道彦君
   理事 小里 貞利君 理事 亀井 静香君
   理事 久間 章生君 理事 関谷 勝嗣君
   理事 津島 雄二君 理事 吉原 米治君
   理事 西中  清君 理事 河村  勝君
      亀井 善之君    鴻池 祥肇君
      田中 直紀君    二階 俊博君
      平林 鴻三君    増岡 博之君
      箕輪  登君    山村新治郎君
      若林 正俊君    小林 恒人君
      新盛 辰雄君    戸田 菊雄君
      石田幸四郎君    中村 正雄君
      中路 雅弘君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 橋本龍太郎君
 出席政府委員
        運輸政務次官  柿澤 弘治君
        運輸省国際運
        輸・観光局長  中村  徹君
        運輸省航空局長 山田 隆英君
        運輸省航空技
        術部長     中村 資朗君
 委員外の出席者
        大蔵大臣官房参
        事官      沖津 武晴君
        労働省労政局労
        放課長     山中 秀樹君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部企
        画課長     小島 迪彦君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社代表取締役
        社長)     山地  進君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社常務取締役
        役)      長岡 聰夫君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社常務取締役
        役)      十時  覚君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社常務取締役
        役)      桜庭 邦悦君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社取締役)  霞  重雄君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社国際旅客事
        業総本部営業本
        部長)     稲川 広幸君
        運輸委員会調査
        室長      荒尾  正君
    ―――――――――――――
 委員の異動
八月六日
 辞任          補欠選任
  中路 雅弘君      辻  第一君
 辞任          補欠選任
  辻  第一君      中路 雅弘君
同月七日
 辞任          補欠選任
  中路 雅弘君      柴田 睦夫君
 辞任          補欠選任
  柴田 睦夫君      中路 雅弘君
    ―――――――――――――
七月三十一日
 北陸新幹線の早期本格着工に関する陳情書(金
 沢市広坂二の一の一石川県議会内宮下正一)(
 第二九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本航空株式会社法を廃止する等の法律案(内
 閣提出、第百八回国会閣法第五九号)
     ――――◇―――――
#2
○鹿野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本航空株式会社法を廃止する等の法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
#3
○戸田委員 日航法の廃止に当たって、殊に航空政策、なかんずく経営主体の問題を中心にいたしまして質問をしてまいりたいと思います。
 現在航空行政の基本になっているのは、航空憲法と言われるもの、すなわち、四十五年の閣議了解事項、それを具体化した四十七年の運輸大臣通達、四五、四七体制と言われるもの、これは今度完全民営化によって廃止をされる、こういうことになるわけでありますね。したがって、今後の経営ないしこれにかわる対応策というものはどういうふうに考えられておるか、その見解をまず大臣からお願いします。
#4
○橋本国務大臣 委員が御指摘のとおり、昨年の六月、運輸政策審議会の答申をいただきまして、航空企業の運営体制のあり方につきましては今大きな変革を行いつつある最中でございます。
 もちろん、この答申の趣旨に基づきまして、安全運航の確保というものに最重点を置きながら航空企業間の競争を促進していく、そしてその航空企業間の競争促進というものを通じて利用者の利便の向上を図ることを基本といたしまして、新たな航空政策の展開を図っておるわけでございます。具体的にその内容として出てまいりますものは、国際線の複数社制、また国内線におけるダブルトラックあるいはトリプルトラック化、そして現在御審議をいただいておりますこの法律を通過、成立させていただいた段階におきまして行われる日本航空の完全民営化、こうしたことがその柱となっております。
#5
○戸田委員 今大臣が言われました競争の促進、こういうことについては後で触れたいと思いますが、昭和六十一年六月九日、「今後の航空企業の運営体制の在り方について」ということで運輸政策審議会答申がなされておるわけですね。これを見ますると、一つは、「基本的考え方」として「安全運航の確保を基本としつつ、企業間の競争を通じて、利用者の要請に応じたサービスの向上、経営基盤の強化、国際競争力の強化等」、これを目指す、こうなっているのですね。そういうことになりますると、例えば航空の安全確保を基本とする、こういうことでありまするが、今日までの事故件数といいますか、それはどのくらいありましょうか。これは事務当局で結構です。
#6
○中村(資)政府委員 お答えいたします。
 昭和五十年からのデータしかございませんが、本年六十二年までの総発生件数が、トータルとしては実は出ておりませんけれども毎年約四十ないし五十件ということで、これは小型機の事故を含めてでございますけれども、大型機だけに限って申しますと、五十五年が四件、五十六年が一件、五十七年が四件、五十八年が二件、それから五十九年が三件、六十年が五件、六十一年が四件、六十二年が四件、こういうことになっております。
#7
○戸田委員 極めて簡略にして答弁をされましたが、前もって運輸省から資料をいただいておきました。今言われますように、五十六年発生件数四十件、五十七年が三十六件、五十八年が四十六件、五十九年が三十二件、六十年が四十一件、六十一年が五十二件、合わせまして二百四十七件あるのですね。この六年間の中でそのくらい膨大な事故が起きている。年間に換算をしますと、これは何と四十一件発生している。詳細のものもいただいております。このくらいプリントに、五年間の中で事故がいっぱいある。
 同僚議員も後で安全問題等についてはそれぞれ触れます、私の質問の後で具体的に日航事故等含めて触れますが、このくらい多く事故が発生している。安全を第一として、こういうことでいろいろやられているのですけれども、全然改良されておらない。したがって、これら事故撲滅のために本当にどういう体制でいくのが一番いいのか、この辺の見解をひとつ伺っておきたい。
#8
○中村(資)政府委員 確かに今先生おっしゃいましたように、事故件数が年間四十件ぐらいということで、小型機を含めますと非常に大きな数になっております。
 私どもといたしましては、毎年それぞれの事故の内容を詳細に洗いまして、細かいそれぞれの対応策を立ててきておるところでございまして、それなりにそれぞれの事故を少しずつ減らしてきておる、こういうことを考えておるわけでございますが、なおかつ、今後も一生懸命事故の少しでも発生を少なくする方向での努力を傾注していかなければいけないというふうに考えておりまして、現実には、個々のケースごとに運航管理の担当者あるいは検査官、こういうそれぞれの職種の者がそれぞれの持ち分に応じて努力をしてきておるところでございます。
#9
○戸田委員 これは後で具体的な対策等についてはまだ触れますけれども、このくらい多くの事故が発生しておるのですね。
 この中で殊にニアミス、これは最近もあったようでありますけれども、共同管制管理下においてやっているという状況ですね。民間、軍事、これを分離することはできないのですかね。
#10
○山田(隆)政府委員 お話しのように、最近も八月十一日ですか、ニアミスではないかということで全日空の機長から報告が出されております。
   〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
 最近のニアミスの状況を申し上げますと、六十一年は機長からの報告もございません。それからその前の六十年が一件ございましたが、これも調査の結果といたしましてはニアミスではないというふうに判断しております。それから五十九年の場合、機長からの報告は三件ございましたけれども、ニアミスと判断されたものが一件ということでございます。以前はかなり機長からニアミスの報告もございましたし、年間一件から多いときで三件くらいのニアミスと判断されたケースがございます。
 ニアミスにつきましては、私ども個々の事例についてその発生原因というものを究明いたしまして、施設とか運用、両面での所要の改善を図ることによりまして、また必要に応じて関係機関に対し注意を喚起するということで、ニアミスの防止に努めておるところでございます。
#11
○戸田委員 これは「今後の航空行政の方向」ということで、航政研シリーズ、ナンバー二百二十三号、六十二年四月二十五日発行、三十八ページでありますが、「今後の航空企業の運営体制の在り方について」六十一年六月九日運政審答申、こういうことになって、前段で局長が講義をなされておる。いろいろと言われておりますけれども、確かに安全を基本にしてと言うけれども、具体的な内容については全く触れてあるところがないですね。だから、そういう面で明確に、安全を確保するためにこれとこれとこういう対応方針でもってまいりますよというものがあっていいんじゃないかと私は考えるのです。
 今運輸省では、航空憲法の見直しの研究会というものを設置して、それででき得れば六十二年度中に内容というものを発表したい、こういうことでいろいろ研究されておると伺っておるのでありますが、その内容はまだ煮詰まっておりませんか。
#12
○山田(隆)政府委員 今の先生の御質問ですが、私ども、いわゆる航空憲法の見直しにつきましては、昨年の運輸政策審議会の答申でもって終わったというふうに考えております。
 今の御質問、ちょっと趣旨がはっきりいたさないわけでございますけれども、今私どもが検討しておりますのは、昨年の運輸政策審議会では、企業の運営体制の見直しについて行ったわけでございまして、その中で運賃問題については必ずしも詳しく触れておりません。そこで、現在航空局でやっておりますのは、運賃の問題につきましていろいろ学識経験者の方にも参加をしていただきまして、航空局に運賃問題懇談会というのをつくりまして、運賃問題についていろいろ検討をしているということでございます。
#13
○戸田委員 いろいろと検討いたしましても、今回のこの廃止案の内容なるものは、運輸政策審議会の答申、これを一歩も出てないのですね。その中身を掘って、例えば航空憲法と言われる骨格についてもどうあるべきかというようなものがかわって出てくるべきだ、必要じゃないか、私はこういうふうに考えるのですが、それは一向に出てこない。例えばさっき大臣もいろいろとお話しなされましたが、運政審答申では、航空の安全確保を基本とし、サービスの向上、経営基盤の強化、国際競争力の強化、こういうものを目指します、こういうふうになっていますね。それ以上一歩も出てない。だから、今指摘をしたような二百四十七件、こういった過去のいろいろな事故発生があるにもかかわらず、これに対する対応というものも出ていない、こういうことでは、やはり国民の信頼を買うということにはなかなかいかないのじゃないだろうか、そういうような気がするのですが、それは大臣どうでしょうか。
#14
○橋本国務大臣 これは委員の御指摘でありますけれども、私は、運政審の答申の上を出ていないと言われる御指摘はそのとおりであろうと思います。と申しますよりも、まさにその運輸政策審議会の答申というものが私どもの今後目指すべき方向を示していただいているわけでありますから、その限りにおいてその答申を出ていないと言われることは私はそのとおりだと思います。
 ただ、それではということになりますと、では運輸省として何らの努力をしていないのかという御指摘になりますならば、例えば先ほど委員のお読み上げいただきました過去の数年間の事故の発生状況の数でありますが、実は私の手元にありますのと多少数字の違いはございますけれども、大体の傾向は同じことであります。そしてその中で、例えば特に昨年の場合には、小型航空機に係ります事故の発生件数というものが例年になく高い数字を示しておりました。でありますから、航空事業者及び自家用航空機の運航者に対しまして、航空法令の遵守でありますとか、的確な気象情報の把握でありますとか、あるいは無理のない飛行計画による運航の実施などを指示いたしております。
 また、先ほど御指摘をいただきましたニアミス問題につきましても、例えば施設面の改善といたしまして、航空路監視レーダー網の整備でありますとか、管制情報処理システム等の整備を行っておりますし、運用面の改善という視点から考えてみました場合にも、管制方式などの改善でありますとか、管制官など航空保安要員の訓練体制の整備でありますとか、地道な努力というものは着実に続けられております。その点私は、委員の御指摘になりました方向とは実態は異なっている、地道な努力が続いておると信じております。
#15
○戸田委員 私は、安全確保の大前提は整備、補修にあるんじゃないかという気がするのですね。今回の日航事件につきましても、運輸省の調査報告書等々を見ましても、やはり検修ミスといいますか補修、整備ミス、これが原因、結果的にはああいう大惨事が起きたというようなことが指摘をされて、今日強制捜査というような段階まで立ち至っておるわけですが、その整備の内容でありますけれども、どういう整備内容がございますか、今の検修制度。
    〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
#16
○中村(資)政府委員 お答えいたします。
 一般的に整備あるいは修理、改造というようなことを行います場合には、定期航空会社におきましてはできるだけ自主的な自主整備といいますか、自社で整備を行うということを一般的に行っておるわけでございますが、時たま非常に工数がふえたとか特殊な専門的な知識が必要である、こういうような場合に外国社あるいは外注先に委託をすることがございまして、そういうケースが今回の日本航空機事故の一つのケースであったわけでございます。
 で、この場合におきましては、委託をいたしますと当然その領収検査が行われるわけでございますが、委託先におきましても委託先の検査官といいますか、検査を専門に行う者が当然指名をされるわけでございまして、その委託を受けた会社の検査員の方がまず一義的に検査を行います。なおかつ、その整備を委託をいたしました側、主としてこれは定期航空会社でございますが、そういうところでももちろん委託をする上での検査員の派遣といいますか検査員を指名いたしまして、それが検査を行う、こういうことになっておるわけでございます。
#17
○戸田委員 いろいろ職員の皆さんから御意見を拝聴しましたが、現在A、B、C、各検修制度があります、でき得ればD検修制度を入れてもらいたい、こういう要望があるんですね、希望が。これはどうなんですか。
#18
○中村(資)政府委員 お答えいたします。
 日本航空の整備体制につきましては、今回の事故を契機にいたしましていろいろな整備体制の強化を図ってきたわけでございますが、今おっしゃいましたいわゆるD整備と言っておりますものが、確かに従来のDC8だとかボーイングの727というような飛行機につきましては設けられておったわけでございます。昭和四十年代の後半になりまして、ボーイング747型機が導入をされましてから以降の機体につきましては、こういうD整備と呼ばれる整備作業の機会を設けなくても十分に信頼性管理によって整備が行われる、こういうことになりまして、その整備体制が変わってきたわけでございます。
 こういう747以降の機体につきましての考え方といいますものは、特に構造関係で申しますと、構造のふぐあいの発生頻度が使用実績の多いものに非常に高いということに着目をいたしまして、全世界の中で使用実績の多い航空機について検査を行いまして、ふぐあいを早い機会に発見をする、そしてその是正対策を世界じゅうの同型式の航空機に事前に反映をさせていく、こういうような方式が採用されたものでございます。この方式といいますのは、必要な情報を早期に入手いたしまして処理をするという、情報処理を含む信頼性管理体系という体系を整備の中へ取り入れたものでございまして、合理的な整備方式であるというふうに考えておるわけでございます。
 なお、飛行回数の多いボーイング747SR型六機につきましては、事故後の一斉点検の結果を踏まえまして、従来のサンプリング方式ではなくて全数点検の整備方式に切りかえてきておるわけでございます。
#19
○戸田委員 大臣、いろいろそういった安全点検の検修制度は非常に大事なウエートを占めると私は思うのです。したがって、現行のA、B、C検修制度からさらにD、これを設置することは検討願えませんでしょうか。
#20
○橋本国務大臣 私は技術的な知識を全く持っておりませんので、技術部長の答弁をもってこれにかえたいと存じます。
#21
○戸田委員 今の技術部長の話では設置まではいきませんね。検討しますか。
#22
○中村(資)政府委員 ボーイング747型機のD整備につきましては、現在日本航空におきましては、このD整備を分割いたしまして一部はC整備の中へ入れた、それから一部は特に機会を設けましてH整備、ホスピタライゼーション整備という名前で呼んでおります整備の中へ分散をいたしたということでございます。一般的に世界でやっておりますのは一万五千時間ぐらいの時間間隔で行われる整備でございます。したがって、現在日本航空で行っておりますH整備、これは機種によって若干異なりますが、平均をいたしますと長距離型のLR型につきましては一万五千時間ぐらいでやっておるわけでございますし、SR型にっきましては九千時間ぐらいの間隔で行っておるというふうに考えておりまして、実質的にはD整備がそのいずれかのうちに入って行われておると理解をしておりまして、D整備そのものを設ける必要はないのではないかと考えておるわけでございます。
#23
○戸田委員 これは後でまた触れることにしますが、いずれにしても、技術部長の専門的な立場でそういう見解を持っておられるようですが、これは検討していただきたいと思います。
 次に移りますが、内容が多いものですから、時間が足らなくなるものですから、要点だけ質問してまいりたいと思っております。
 今航空会社は国内三社あるわけですが、それぞれ資本金はどのくらいですか。通告内容と順序不同で申しわけありませんが。
#24
○山田(隆)政府委員 お答えいたします。
 主要な定期航空三社について申し上げますと、日本航空が資本金六百九十六億円でございます。それから全日本空輸が六百五十六億円、東亜国内航空が九十五億円でございます。
#25
○戸田委員 御存じのように日航六百九十六億、全日空六百五十億、東亜九十五億、日航と全日空はやや拮抗という状況、しかし、東亜に至っては九十五億ですから、全社経営基盤の強化ということになりますとこれから大分ハンディがあるのですね。こういったいわば経営基盤の強化について運輸省としては今後どういう対応で成長を試みていくのか、どうですか。
#26
○山田(隆)政府委員 基本的な考え方は、先ほど来お話が出ております昨年の運輸政策審議会の答申の趣旨に沿って行うものでございまして、今後は企業間の競争を通じて利用者の要請に応じたサービスの向上に努めますとともに、経営基盤の強化等の実現を図っていくということでございまして、競争を通じまして各社の自主努力によってそれぞれの会社が経営基盤の強化に努めていただきたいということを期待しておるわけでございます。ただ、今お話がございましたように、現に定期運航している航空会社の間ではかなりの格差があることも事実でございます。自由な競争を行った場合に体力のあるところがどんどん勝ち残っていくということも考えられますし、同時に運輸政策審議会の答申の中では、適正な競争を確保するために企業間の体力の格差にも当分の間配慮する必要があるということも言っておりますので、そういうことも念頭に置きまして今後の路線展開等に対応していきたい、かように考えております。
#27
○戸田委員 各社拮抗体制というのはなかなか難しいと思うのですね。年数が要ると思います。そういう状況からいけば、大きい日航や全日空はそのパイを分け合って云々、こういうことは邪道じゃないかと私は思うのです。やはり小さい方を引き上げてそれが自動的に大きくなっていくような、それは積み取り率のシェア、乗客のシェアあるいは路線の配分、便数の配分、こういった経営の基盤に抵触してくる問題だろうと思うのです。そういうことになりますと、先ほど大臣がおっしゃられたように、今後民営化されると日航、全日空、国際線は二社体制をとりますよ、こういうことになります。東亜は入っていかないのですね。現行の機材状況その他からいけば無理のない話じゃないかと思いますが、そういう点については今後どういうふうに考えていきますか。
#28
○山田(隆)政府委員 今のお話は国際線の複数社制についての考え方ということかと存じますけれども、私どもは、国際線について日本航空と全日空だけの進出を認めるということではなくて、東亜につきましても、企業としてその意思があり能力がある場合には国際線の進出を認めていくという考え方でございます。
#29
○戸田委員 しかし、今は東亜航空については国際線の近距離チャーター等々に限られているのじゃないでしょうか。文字どおり国際線にそのまま参入をするということにはなっていないのじゃないでしょうか。路線の配分と便数の配分はどのように考えておりましょうか。
#30
○山田(隆)政府委員 ただいま確かに東亜国内航空は近距離のチャーターしか実施しておりませんけれども、これは東亜国内航空の現在の機材状況等からいってやむを得ないというか、あるいは東亜国内航空自体がそのような国際便の実施だけを希望しておるということでございます。私ども、将来東亜国内航空が国際線に進出したいという希望を持っているということを承知しておりますし、それから東亜国内がそのような能力を持った時点において、これは相手国との関係もございますけれども、そういう状況が許した場合には、東亜国内航空の国際線への進出を認めていくという考え方でございます。決して現在東亜国内航空を近距離チャーターに限っているということではございません。
#31
○戸田委員 そうしますと、国際線と国内線、三社の配分は結果的にどういうふうになるのですか。
#32
○山田(隆)政府委員 国際線、国内線の配分とおっしゃられますけれども、特にそれを関連づけて考えているわけではございませんで、運政審の答申にございますように、国際線につきましては、企業の意欲と能力に応じて、もちろん路線の状況あるいは相手国との関係等を考慮しながら複数社制、それは二社あるいは三社の進出を認めていくということでございますし、それから国内につきましては、競争促進を図るということで、需要の多いところにはダブルトラッキング化、トリプルトラッキング化を進めていく、こういうことでございます。
#33
○戸田委員 これは大事な問題ですからちょっと確認をしておきたいのですが、従前は日航、全日空、東亜の事業分野、これは日航が国際線、国内幹線、それから全日空が国内幹線、ローカル線、それから東亜がローカル線、将来幹線を認めろ、こういうことでしょうね。そうしますと、今の局長の答弁ですと、航空行政の終着駅としては、国際線を日航、全日空の二社体制にいたします、それから国内は幹線、ローカル線、ともに三社体制にいたしますよ、こういう理解でよろしゅうございますか。
#34
○山田(隆)政府委員 四十五年、四十七年体制では、それぞれの航空企業につきまして事業分野を定めておったわけでございまして、ただいま先生お話がございましたように、日本航空の場合は国際線並びに国内幹線と、それから全日空が国際線については近距離チャーター、国内については幹線とローカル線、TDAは当初ローカル線を主体にして、力がつき次第だんだん幹線に進出を認める、このように事業分野をはっきり決めておったわけでございますけれども、昨年の運輸政策審議会の答申では、そのような事業分野を決めることは適当でないということで、競争促進を通じて利用者の利便の向上等を図るということで、その際には各社の従来決めておりました事業分野の枠というものは取り払うということになったわけでございます。
 その結果といたしまして、国際線につきましては複数社制を進めていくということで、その複数社制と申しますのは決して二社ということではございません。それは二社以上ということでございまして、現在主として日本航空が国際線定期を運航しておりますが、昨年来新しい航空政策のもとで、全日本空輸も幾つかの国際定期路線に進出してまいりました。決してその二社に限っているということではございませんで、先ほども申し上げましたように、TDAについても今後諸条件が整備すれば国際線の進出を認める、あるいはTDAに限らず、仮にほかの会社が出てきた場合にもそのような諸条件が整えば認めていく、決して二社に限っているということではございません。
 それから国内線につきまして、従来は日本航空がいわば幹線に限られておったわけでございますけれども、運政審の答申にもありますように、幹線、ローカル線という区別をやめまして、日本航空につきましても国内幹線の区別にとらわれずに進出を認めていく。ただ、もちろんその進出を認める場合には、路線の需要あるいは空港の発着能力または企業体力の格差、こういったものについても配慮はいたしますけれども、以前のような事業分野に縛られるということではございません。それが新しい航空政策であるわけでございます。
#35
○戸田委員 従前に縛られずに弾力運用で参りますよ、こういうことですね。
 日米協定の内容というものはどういうものですか。
#36
○中村(徹)政府委員 お答え申し上げます。
 日米航空協定につきましては、一九五二年に本協定が結ばれて、それに基づきまして日米航空関係というものは進んできたわけでございますけれども、現在の実際の運用ということになりますと、昭和六十年に暫定協定が結ばれまして、それに基づきまして複数社制というものが日本側に導入されたわけでございます。したがいまして、そういう暫定協定というものによって、本来の航空協定に積み重なって新しい航空関係を今つくっておるという状況になっておるわけでございます。
#37
○戸田委員 今おっしゃられたとおりだと思うのですが、六十年、暫定協定、そして一九八七年四月、ことしですね、六十二年、日米航空協定というものを締結された。その結果、日本貨物航空、NCA、この新規参入は認めます。それから、新たに国際線に全日空、東亜の参入も認めます。これは画期的なものじゃないかと思うのですが、いずれにしても、そういう協定になりました。しかし、幾つかの、峠を起さなければいけないような関門が私はあると思うのです。それは一つは何かというと、今の国際空港、満杯状況ですね。この許容量を一体どう拡大をするかということが一つあるかと思います。
 それから、運輸省の路線配分ですね。従前ですと、そう言ってはなにだけれども、非常に日航有利という状況であったわけですね。三社拮抗体制で、いろいろ局長が言われたような方向でこれからやられるのでしょうけれども、そういうことになりますと、日航のパイを分け合ってやっていくようなことは邪道だと私は思うのです。そうじゃない方式でこれからの他二社の発展というものも考えていかなければいけないのではないかというような気がいたします。
 そこで問題になるのは、私は以遠問題だと思うのです。例えばアメリカの場合は、日本に参りまして以遠、これは自由にどこでも選定して行けますね。ところが、日本がアメリカに行った場合には、ニューヨーク以遠、これは欧州向け。それから、ロサンゼルス以遠、これは南米。サンフランシスコ以遠、これは中米。ところが、南米と中米の方はアメリカの航空密度が満杯ですから、行っても採算がとれない、そういう欠陥があるのですね。だから、これは現在やっておるところはないでしょう。この面の克服はどういうことになっておるのですか。
#38
○中村(徹)政府委員 ただいまアメリカ以遠と申しますと、日本航空がロサンゼルスから南米リオデジャネイロ、サンパウロに週二便行っているわけでございます。日米航空関係全体の中で以遠権が均衡を失しているではないかということは年来からの私どもの主張でございまして、昨年の九月から実施しております包括的な協定改定交渉ということを継続的に行っているわけでございますが、そういう交渉を通じまして、以遠権、それだけではなくて、その他の路線権あるいは指定企業数の問題、そういった問題につきまして日米間の航空権益の総合的均衡を達成するように努力しているところでございます。
#39
○戸田委員 いろいろ言われますが、私は、この日米協定というものは非常に日本に不利益な状況になっているのではないかと思うのですね。確かに便数からいけば、旅客便数、貨物便数ともそれぞれ入っておりますが、それでも米側が有利だ。例えば米側の参入企業、旅客で三社、貨物で二社でしょう。日本の場合は旅客二社、貨物一社ですね。こういう点からいっても、以遠問題一つとらえてみても、アメリカには極めて有利な条件になっておりますが、日本には極めて不利な状況、こういう協定ではないかと思うのです。私は、これは今後改善をすべき内容ではないかというように考えますが、どうですか。
#40
○中村(徹)政府委員 ただいま申し上げましたように、日米間につきましては航空権益に不均衡があるというのが日本側の主張でございまして、それに基づきまして米国側と航空交渉を続けているわけでございます。そして六十一年九月以来、包括的な協定改定交渉というのを実施しておりますので、そういう交渉を通じまして航空権益の総合的な均衡を図ってまいりたい、そのように考えておりまして、努力しているところでございます。
#41
○戸田委員 経営基盤の最大をなす路線の配分、便数の配分あるいは日米協定、二国間協定等々踏まえまして、しれはいかようにこれから改善をしていかなければいけないか、その辺の見解について大臣から一言。
#42
○橋本国務大臣 今委員から日米間の航空権益につきましてのお話が出ております。我が国の民間航空が第二次世界大戦後独立を回復して以来今日までの歩みの中で、この不均衡というものは確かに存在をし、現在も全く改善され切ったと申し上げる状況でないことは委員御承知のとおりであります。そしてその間におけるたび重なる交渉の中で、少しずつではありますけれども、総合的な均衡を目指す努力が今日までも続けてこられました。そしてその努力が今後も引き続いて行われるものと私は理解をいたしております。ただその場合に、路線権なら路線権だけ、あるいは以遠権なら以遠権だけで論ずるのではなく、指定企業数あるいは路線権、以遠権等々航空権益全体を眺めながら、我々は日米の総合的均衡を目指すための努力を今後とも続けてまいりたい、そのように考えております。
#43
○戸田委員 内容はわかりました。
 それでもう二点ほど、現在羽田、成田、大阪、いわゆる幹線空港が満杯状況にございますね。この解消策はどのように考えておられましょうか。各空港ごとに説明をしていただきたい。
#44
○山田(隆)政府委員 おっしゃるように、現在日本の国内の空港能力には非常に制約がございます。特にその中でも首都圏並びに関西、近畿圏における空港能力というのに大きな制約があることは先生おっしゃるとおりでございます。
 そこで、その基幹空港についての能力の拡張策といいますか制約の解消策といったものについて申し上げますと、まず第一に東京国際空港、羽田空港でございますが、東京国際空港の離発着容量は、年間約十六万回と見込まれておりますが、現在既にその限界に達しておりまして、おっしゃいますように新規路線とか増便に応じられないような状況にございます。そこで、運輸省といたしましては、空港の離発着能力を年間十六万回から二十三万回に増便し、あわせて航空機の騒音対策を図りますために、現在の羽田空港を沖合に展開いたしまして拡張する計画を持っておりまして、このための工事に五十九年の一月から着手をしておるところでございます。
 本事業は関係者の御協力も得まして着実に進んでおるところでございまして、来年の七月には、第一期計画といたしまして新たに三千メートルの新A滑走路が完成、供用される予定でございまして、これにより離発着能力というものを年間二万回程度増加できるというふうに考えております。それから、事業といたしましては、その後第二期工事で西ターミナル地区の整備、さるに第三期工事といたしまして新B並びに新Cの二本の滑走路と東ターミナルを整備する計画が残されておりますが、これにつきましてもできるだけ早期に完成、供用できるよう全力を挙げてまいりたい、かように考えております。
 次に、新東京国際空港、成田空港でございますけれども、この空港は現在四千メートル滑走路とこれに附帯する施設をもって運用されておりまして、現滑走路の処理可能な発着回数は、ダイヤ調整を余り必要とせず運用上も適切なサービスレベルを保てる状態で年間約九万回ぐらいというふうに見込まれております。さらにピーク時の大幅なダイヤ調整を行ったり、運用上利用者にも種々の支障が生じてもやむを得ないというふうに考えますと、処理可能な限界的な回数は年間十一万回ぐらいと見込んでおります。他方、現在の使用状況を見ますと、昭和六十一年度におきましては、発着回数は年間八万五千回に上っておりまして、滑走路の能力の限界に近づいておるわけでございます。このため、今後とも増大する航空需要に対処するために、我が国を代表する国際空港として当初計画に従いまして空港を早期に完成させる必要があるというふうに考えております。
 現在問題といたしましては、空港予定用地内に八戸の農家が残されておりますが、この農家との話し合いを行いながら、同時に既に取得しております公団用地内での建設工事というものを進めまして、昨年の十一月の閣議決定されました空港整備五カ年計画にありますように、昭和六十五年度までに空港の概成を図りたいというふうに考えておりまして、昨年秋以来、将来のエプロン地区での用地造成等可能な工事を鋭意実施しているところでございます。
 次に、大阪国際空港、伊丹空港でございますけれども、これにつきましては、その発着枠につきまして、環境対策上の配慮から、昭和五十二年十月以降一日当たり三百七十回という発着枠の制限を行っております。その内訳は、ジェット機が二百回、それから残りがYS機ということになるわけでございますが、このような制限を設けておりますために、地方空港からのジェット機の乗り入れの要望あるいは諸外国からの新規乗り入れ要望等に十分こたえることができない状況にあります。
 このような状況を打開するために、関西国際空港を昭和六十八年三月開港を目途にことしの一月から着工したところでございまして、現在鋭意人工島であるとか連絡橋の建設工事の進捗を図っておるところでございます。関西空港は一期計画、これは滑走路一本を整備するわけでございますが、それが完成いたしますと十六万回の離発着能力を有することになりまして、大阪国際空港よりも離発着能力が向上いたしますほか、大阪国際空港にありますようなジェット枠の制約が除かれることによりまして、今後増大が予想されます航空需要に相当程度対応することができるであろう、かように考えております。
#45
○戸田委員 いずれにいたしましても、今局長が言われたように、例えば羽田空港沖合の拡張第一期工事六十三年、第二期は六十八年完了ですね。それから現行の便数でいきますと四百ないし四百二十便が五割増しの六百便ぐらいに増していく、こういう考えのようです。成田空港は、第二期の工事完了が五、六年後、二本の滑走路整備ということになっているのですね。それから大阪空港、これは六十年度末に泉州沖に関西空港着工で、これも六十七年ころ完成、今おっしゃられたようにこういうことですね。
 そういうことになりますと、完全民営化を日航やりましたよ、しかし、こういった国際空港は満杯状況で、これを解消しないのでは競争条件は整いません、こういうことになりますね。そうなりませんか。そういうことになりますと、民営化して、言われるところの経営基盤強化なりあるいは競争条件の促進等々の問題はこれから五年後ということになる。そういうことになりませんでしょうか。
#46
○橋本国務大臣 それはちょっと委員、問題の視点の置き方を私どもと異にしておるような感じがいたします。と申しますのは、確かに各空港における能力の問題は今局長から御答弁申し上げたとおりでありまして、非常に厳しいものがございます。しかし、これはひとり日本航空のみではなく、全日本空輸にいたしましても東亜国内航空にいたしましても同じ条件の中で日常業務を行っているわけでございます。
 今回、この日本航空の完全民営化というものを通じて私どもが求めておりますものは、日本航空に対して与えられている保護もまた責任も他の航空企業と同等のレベルにこれをそろえて、対等競争を実施していくことがそのポイントであります。かといいまして、先ほどから御論議がありましたように、完全民営化をし、それぞれの航空企業の発展を求めていきます中で、日本航空の例えば国際線の現在の権益を他の企業に強制的に譲り渡すというようなことを考えるものではないのでありまして、いわば他企業と同等の法律上の権益と責任を持って自主的な企業経営に当たる、それが日本航空の民営化に求めておるものでありまして、それと空港の制約とは必ずしも同一視野の中で御論議をいただく問題だとは私は考えておりません。
#47
○戸田委員 大臣の答弁がありましたけれども、これはそういうことを見越して、だから運政審の答申内容においても指摘のされている点ではないかというふうに私は考えるのですね。と申しますのは、運政審ではこう言っているのです。現下の日本の状況は、いわゆる航空の安全確保、サービスの向上、経営基盤の強化、国際競争力の強化等々を前提に置いて、現在の日本の状況というものは最適であるとは断言しがたい環境にあります、こう指摘しているのですね。特に交通容量の不足という制約があります。こう断定している。ですから、当面は弾力的な行政運営を行っていくことが適当であると考える。こういった条件が整備されるのは、満杯解消後六十八年以降に大体そういう趣旨というものが生かされる、こういう状況になっていくのではないかと思うので、私は、そういう意味合いではここ五年後にそういう状況が相整う、いわば考えられるところの競争条件その他についてもそうした状況に入っていく、こういうことになってくるのではないかと思う。
 だからそう急がなくてもいいんじゃないだろうか。だから暫定期間を置いて、二年ぐらい鋭意検討して、各般の整備状況が整ったところでそれで民営化に踏み切ってはどうか。したがって、施行期日の半年以内という実施期間はもう少し延ばしてもいいんじゃないかという気がいたしますが、どうでしょう。
#48
○橋本国務大臣 その点は、残念ながら私は委員と意見を異にいたします。これは繰り返しになりますけれども、確かに狭隘な国土の中で広大な敷地を要する飛行場の建設というものがそうたやすいものでないことは、これは委員の御理解もいただけることでありましょう。そして航空局長から、航空局としての三大プロジェクトとして今進めております三つの国際空港の今後の整備について御報告を申し上げましたが、これにいたしましても相当な時間を要するものであることは間違いがございません。しかし、それならばこれから先もあと数年間、委員は二年という時間をお示しになりましたが、日本航空をいわば特殊会社としての地位にとどめる、法的な規制も保護もそのままに存続をする、これは全く異質の問題だと私は考えております。
 そして現に、日本航空を主軸とした今日までの我が国の航空企業は世界の中でも極めて大きな役割を果たすに至りました。そしてその中で、我が国の航空政策の変化とともに全日本空輸も既に国際線に進出を果たし、東亜国内航空も既にチャーター便の実績を積み上げつつあります。そうした中で、これからなおかつ二年あるいは委員のお考えのような形であればそれ以上にわたるかもしれませんが、日本航空というものを特殊会社の地位にとどめておくことによっていかなるメリットが生ずるのか、私にはむしろその方が問題を生じやすいものではなかろうかと考えております。複数社制を採用し、国際線に今後進出していく新たな路線を考えた場合におきましても、特殊会社としての地位を持つ日本航空は全日本空輸やあるいは東亜国内航空とは対等競争の条件にならないことは委員、既に御指摘のとおりであります。
 そうなりますと、今後なおかつ我が国との間に定期航空路線の開設を求めている国、三十九カ国、既に定期航空路を持ち、その増強を求めている国もまた非常に多い中で、我が国が複数社制をもって国際線における競争を続けるとするならば、私は、むしろ一日も早く法的な保護も規制も外し、国内企業として対等の地位における競争条件を日本航空に与えることの方が我が国の航空企業の将来にとって大きな積極的なメリットを想定し得るのではなかろうか、そのように考えております。
#49
○戸田委員 もう一点だけ別の角度からお伺いをしておきたいのですが、今後の新しい機材購入の計画、これは各社どういう状況にありましょうか。
#50
○山田(隆)政府委員 今後の各社の機材購入計画につきましては、私ども一応各社から聞いておるところを申し上げますと、まず日本航空につきましては、昭和六十二年度から六十六年度まで合計で三十機というふうに聞いています。金額は総計で約三千五百億円程度。ただ、これは大分先の話でございますので、現時点における計画ということで、当然将来それは変わり得るということは御理解願いたいと思います。それから全日空が三十七機で、約三千四百億円程度、東亜国内航空が十八機で、八百五十億円程度、かように聞いております。
#51
○戸田委員 三国際空港の緩和政策を含めて、おおむね六十六年ですから、それに符合させた形で今の新機材購入等々を計画されているようですね。これは内容を見ますと、今発表になったように非常に莫大なものですね。日航だけで三十機、三千五百億、とれはすべてアメリカから購入ということになりましょう。従前は特殊会社として各般の助成その他ありましたし、融資その他についても比較的容易だ、そういう有利な立場にありましたが、今後は日航としては独自にやっていかなくちゃいけないですから、これは大変な資本投下ということになりましょうが、そういう面の金融政策その他についてどういう御判断を持っておられますか。
#52
○山田(隆)政府委員 定期航空会社の機材購入のための金融政策でございますけれども、これはひとり日本航空に限らず、ただいま申し上げましたように、ほかの各社もかなり大幅な新しい機材の購入計画を持っておりまして、これらにつきまして六十二年度の予算の際に、輸出入銀行及び開発銀行から新たに定期航空会社の航空機材購入のための制度金融を設けたところでございます。その主な内容といたしましては、融資比率が五〇%、利率は輸開銀の特利を適用するということでございます。それから、返済期間はたしか十五年だったかと思います。このような新しい制度を六十二年度から発足させまして、これによってかなりの資金調達が可能になるかと思います。もちろん、このほかに各社ともそれぞれ、各社において資金調達の道を図ることも当然努力されるというふうに私どもは期待しております。
#53
○戸田委員 後でこれは具体的に大蔵省を含めて質問してまいりたいと思いますので、今の機材購入の投資等についてはこの辺で終わっておきたいと思います。
 いずれにしても、新機材購入あるいは空港の整備等と符合させて、六十八年以降大体そういう条件が整うようでありますけれども、しかし、既存の空港拡充その他だけではなくて、空港を考えるときはもう少し新増設も考えてもらいたいと思いますね。例えばきのうの朝日にもありましたが、これは「橋本運輸大臣殿」ということで、御存じになっていると思いますが、一定の投稿があります。なぜ国際空港を札幌に設けないんだと。内容としては、この方は何かアラスカを通ってシアトルに行くらしいのですが、そのとき札幌へ、もとの大学の同窓生か何かで、ちょっと寄っていきたい、こう言ったら、航空券が、羽田−千歳−北米と思っておったのが羽田−千歳−羽田−成田−シアトル、こうなっておる、それは国際空港がないからですよという返答だった、こういう話で出ております。だからそういうことからいけば、一方において改良、拡大、一方において新増設、これがあっていいじゃないか。
 例えば仙台は、今アメリカに一番近距離と言われている。これは第二種空港ですね。これを少し引き上げて国際空港にしてもらうということになれば、新幹線で二時間で行きますから成田コースと余り変わらぬ、そういう状況になりますね。今の三空港だけに頼っておって満杯解消といっても、これは限度があると思うのですね。だから、そういう面の構想も含めてこれは検討の対象になり得ないかどうか。大臣どうでしょう、見解は。
#54
○橋本国務大臣 これは、決してこの三空港だけが将来ともに我が国の国際空港であると申しておるわけではございません。そこはどうぞ御理解をいただきたいと思います。そして現に、例えば福岡においでをいただきましても、また他の空港においでをいただきましても、外国機は着陸をいたしております。
 しかし、これは我々の都合だけで決められるものではございません。相手の国の相手の航空企業がどこに行きたいという希望を出してくるか、これは現実に成田であり、あるいは伊丹にあります大阪空港であります。そしてその需要も考えれば、当面、我々はやはり羽田の沖合展開を含めたこの三つの主要プロジェクトに全力投球をしていかなければ、現実の航空行政が成立をしないという実態にあることも御理解をいただきたいと思います。
#55
○戸田委員 殊に今後の国土開発、四全総、これは多極分散型、こういうことで考えておられるようですから、これに符合をさせて交通体系の整備というものも成っていくのが当然必要じゃないだろうかというような気がいたしますので、この点はひとつ十分御検討をお願いしたいと思います。
 時間がかかってしまいましたが、次に運賃の問題です。少し詳細にやりたいと思ったのですが、ちょっとこちらで持っている資料でもって質問してまいりますので、誤っておればひとつ指摘をしていただきたいと思うのです。
 最初に、航空運賃の決定基準はどういうふうになっていますか。
#56
○山田(隆)政府委員 航空運賃の決定の基準でございますけれども、航空運賃は、原価を基本といたしまして、適正な経費に適正な利潤を含めたものということで決定されておるところでございます。
 国内におきましては、このような考え方に基づきまして、できるだけ原価を反映するように、路線別に運賃の設定に努めておるところでございます。また国際につきましては、国際航空運送協会、IATAと言っておりますけれども、国際航空運送協会の調整を踏まえまして、航空企業から運賃設定の申請が出されますと、運輸省といたしましては、これが適正なものである場合に認可してきている、こういうことでございます。
#57
○戸田委員 今言われましたように、コストプラス利潤、それを乗客数で割る、こういうことで運賃が制定されている。それから、もう二点ほどあるのは、各路線ごとに独立採算制を原則といたします。その場合、各社ごとにコストは違うはずですね、生産性が低ければ運賃は比較的高くなる、こういうことになると思う。それから、国鉄と同じように遠距離逓減法というものを採用している。四つぐらいを大体基準として運賃が制定されておる。
 そこで、具体的にお伺いするのですが、東京−大阪間の航空運賃は幾らですか。
#58
○山田(隆)政府委員 東京−大阪間、現在ジェット料金込みで一万五千六百円でございます。
#59
○戸田委員 今のは四月以降の現行運賃ですね。四月以前の国鉄のグリーン車運賃が、四・四%ないし五・四%、地域運賃が採用されまして上がりました。その前、四月以前は航空運賃がグリーン運賃より高いですね。これはコストによって計算をすればそうならないんじゃないでしょうか。
#60
○山田(隆)政府委員 航空運賃につきましては五十七年の一月以来そのまま据え置かれておりまして、先ほど申し上げました東京−大阪の運賃一万五千六百円は、五十七年一月以来ずっと変わっておりません。他方、国鉄の運賃でございますけれども、四月の時点での運賃、私手元に持っておりませんけれども、六十一年九月以降の国鉄運賃を見ますと、グリーン料金で一万八千円というふうに承知しております。
 国鉄との比較を申し上げますと、五十七年一月、国内の航空運賃改定時に、航空が一万五千六百円に対しまして国鉄のグリーン運賃が一万五千九百円であったというふうに承知しておりまして、そのとき既に航空運賃の方がグリーン料金よりは安くなっておりまして、その後航空運賃は据え置き、他方国鉄運賃は五十九年、六十年、六十一年と値上げされまして、ただいま申し上げたような格差が生じているというふうに理解しております。
#61
○戸田委員 これは明らかに、航空会社の採算以外の何物かでこういう運賃が制定されている、こうしか理解できないのですが、どうしてこういう計算になりましょうね。
#62
○山田(隆)政府委員 航空運賃の決め方は、先ほど申し上げましたように、基本的に適正なコストプラス適正な利潤ということで、各社ごとに総合原価主義というのをとっております。ただ、先ほども先生からお話がございましたように、各路線別の原価というものも配慮しておるということでございます。東京−大阪の運賃の場合、一万五千六百円と申しますのは、そのような配慮に基づいて、路線の需要であるとかキロ程であるとかそういうことも配慮した運賃でございまして、ほかの路線との対比におきましても決してバランスを失した運賃ではないというふうに考えております。
 他方、国鉄運賃の決め方につきましては、私必ずしも詳細に承知しておりませんけれども、国鉄運賃は全国一律で決まるということもあって、東京−大阪の場合比較的高い運賃になっているのではないか、かように考えております。
#63
○戸田委員 国策として両交通機関の共存を図ってということだと思うのです。しかし、航空運賃の決定基準というものは明確なんですから、そういうものにのっとって運賃は計算をして、利用されるお客に利便を与えるというのが一番いいと私は思うのですが、これはひとつ検討していただきたい。
 時間がありませんからこちらで資料によって質問をいたしますが、国際運賃の場合、いわゆるIATA、国際航空運送協会、これは民間国際機関でありますけれども、ここで決定されるわけですね。最終的には、各国政府の認可ということになりますから日本でいえば運輸大臣の認可ということになりましょうが、それで決定される。いずれにしても、この国際運賃というものは旅客、貨物ともここで決められる、こういうことになっていると思うのですね。
 そういうことでいきますと、一番問題になっているのは割引の種類と割引率の多寡ですね。諸外国に比較をしましてこういうものが日本は非常に少ない。もう一つは、運賃計算の為替レート、円ドルレートを二百九十六円で設定しておる。これはずっと変わらない。今現に百五十円を割るといったような極めて円高状況にあるわけです。そういう状況の中でも二百九十六円を一貫して踏襲している。ただし割引換算をやりますよということで、若干の割引換算、〇・八でしたかの割引換算率で値引きをするように計算をされるみたいですが、なぜ一体今日の円ドルレートが百五十円になっているときに――非常に難しさはあると思いますよ。変動相場制ですから、時によって市場でいろいろ違ってくるということがありますから安全基準を設定しなければいけませんけれども、それにしても二百九十六円というのは少し高過ぎる。これはどう考えておりますか。
#64
○山田(隆)政府委員 まず初めに、先生のおっしゃいました国際運賃がIATAで決められるということでございますけれども、決してIATAで決めるということではございませんで、IATAで調整が行われる。それに基づきまして各航空会社は申請をいたしまして、私どもは、IATAで決められて航空会社が申請した運賃は、そのまま認める場合もございますし、それに対して修正を加えて認可するという場合もございます。それを御理解願いたいと思います。
 次に、二百九十六円の問題でございますけれども、これは運賃決定の基準ということではございませんで、二百九十六円と申しますのは、主として航空会社間で精算を行うための共通単位を設定するために用いられている換算率でございます。
 今実際に決められております運賃といいますのは、それぞれ発地国の通貨建てとなっておりまして、日本発の運賃は円建てで決められております。またアメリカ発の運賃はドル建てで決められております。これは、以前固定相場制のときにはすべてドル建てで決められておりましたので、いわゆる方向別格差という問題も生じなかったわけでございますけれども、為替が変動相場制に移行いたしまして以来、このように発地国通貨建てで決められておりますので、それぞれの運賃が相場の変動に応じて変わるという仕組みになっておりません。したがいまして、為替の変動が起きますと、両方向から発する運賃の間に、実勢レートと比較した場合に差が出てくるということはおっしゃるとおりでございます。
 現在の日米の航空運賃につきまして経緯を若干申し上げますと、かつて円が割に安い時代、昭和五十七年から六十年ぐらいの間は、逆に日本発の運賃の方が安い時代もございました。しかしながら、六十年の後半から急激に円高が進行いたしまして、日本発の運賃が実勢レートで換算しますと、米国発の運賃に比べて割高となったということは確かでございます。現在、方向別格差につきましては、基本的にはそれぞれの航空企業の収支等を勘案して決めるということで、為替レートが変更したからといって直ちにそれに合わせてレートを合わせるということではございませんけれども、長期間方向別格差のようなものが生じるということは決して好ましいことではないということで、私どもといたしまして、航空会社を指導いたしまして、できるだけその方向別格差の解消に努力させておるところでございます。
 現在のレートを申し上げますと、ことしの七月までは、日本発の米国向け往復運賃をアメリカ発日本向け運賃で割った数字で比較いたしますと、一ドルが約百九十九円程度でございました。しかしながら、ことしの七月に日本発の方を七・四%引き下げまして、米国発を五%引き上げまして方向別格差の是正を行いました結果、日米のそれぞれの往復運賃の比較で見ますと、レートとしては約百七十六円程度になっておるということでございます。決してその二百九十六円がそのまま運賃に反映しているということではございません。
#65
○戸田委員 今局長が言われたのは、後から操作し直したので、従前あるいは現行でもそうなんだ。二百九十六円というものは厳然として守り通した、これが今の実態です。確かにIATAのレート決定についてはその国々のあるいは会社の独自判断でこれは決められる問題ですから、それはそれでいいと思うのですが、しかし、余りにも今の円高その他の状況の中で、あくまでも二百九十六円を守り通すというのはやはり国民からしてみれば理解のできないところじゃないでしょうか。ですから、割引換算率などというものじゃなくて、本体の二百九十六円というものをどうするかということで、これは検討していただきたいと思うのです。
 そういうことから、時間がありませんから、日米運賃の比較を若干質問しておきたいのです。
 例えば東京−ホノルル間、旅客運賃一キロメートル当たり二十一・五円ですよ、東京−グアム間二十六・二円、ニューヨーク−ロンドン一キロメートル当たり十七・七円、パリ−ニューヨーク十六・五円、フランクフルト−ニューヨーク間十五・一円。ですから、太平洋関係は運賃コストが一キロ当たり大体二十一円ないし二十六円、大西洋になると十五円ないし十七円、極めて格安なんです。私は、それは全部レートのしき方にある、こういうふうに見ているのです。したがって、こういう基本的な問題についての検討を加えてもらいたい。
 それから貨物料金についてもそうですね。例えば東京−ホノルル、それから東京−ロサンゼルス、これは一キロメートル当たり二十七銭ですよ。東京−ニューヨーク、これも二十二銭。ところがニューヨーク−パリ、ニューヨーク−ロンドン、ニューヨーク−フランクフルト、これは今の前段の三区間よりも、太平洋線の大体三分の一程度で格安になっておる、こういう状況です。
 ですから、こういう状況を招来するというのは、結局日本のそういう根底のしき方が二百九十六円というところに置いているからそういう状況になるのだろうと私は思うのです。コストは余り変わらない。燃料代とか機材費とかそういうものについては変わらない。しかし、こういうふうに極端に太平洋線が大西洋に対して割高になっておるというのは、日本の航空運賃の設定の出発点がそういうところにあるからそういう結果を招来している、私はこういうふうに見ているのですが、これはどうですか。
#66
○山田(隆)政府委員 まず、一ドル二百九十六円の問題でございますけれども、これについては、日本航空もこの換算率を使うことにより生産ロス等も生じているというような状況もございまして、現在IATAの場でこの一ドル二百九十六円の換算率を撤廃するような方向で努力しておるところでございます。
 それから次に、各国際路線間の運賃の比較についででございますけれども、私ども承知しておりますのは、必ずしもただいま先生がおっしゃいましたような運賃の開きがあるというふうには理解しておりません。運賃につきましてはいろいろな種類がございまして、普通運賃、それから制限つきの運賃であるとか割引運賃等がございまして、その特定の運賃をとった場合に、ただいまお話しございましたような運賃が存在するかということも考えられますけれども、私どもが理解しておりますのでは、例えば東京−ロサンゼルス線で申しますと、往復ベースですけれどもキロ当たり十八円となっておりますのに対しまして、ニューヨーク−パリの運賃はキロ当たり二十八円ということになっております。これはただいま申し上げましたように、ニューヨーク−パリについては各種割引運賃も多いわけでございますから、そのような割引運賃の中にはこれよりはるかに安い運賃もあろうかと思いますけれども、同時に太平洋運賃につきましても、あるいは制約つきの割引運賃の場合にはこれより安い運賃もあるということでございます。
 それから貨物運賃につきましても、貨物につきましては一般的に品目であるとか貨物輸送需要の規模等が路線ごとに異なりますために、それぞれの路線ごとにそのコストに見合った運賃設定が行われておるわけでございます。それから数量に応じて、例えば少量の貨物に適用される運賃は比較的割高だ、それから大量の貨物に適用される運賃は比較的安い運賃になりますし、それから品目によっても運賃が異なっております。
 仮に今四十五キロ未満の貨物に適用される運賃で見てまいりますと、東京−ニューヨークのこれは一般貨物の運賃でございますけれども、一般貨物に適用される運賃は一キログラム当たり一キロメートル当たりで二十二銭になりますのに対しまして、ニューヨーク−フランクフルトで見ますと十六銭ということで、もちろん大西洋の方が安いわけでございますけれども、先生御指摘ほどの差はないというふうに理解しておりますし、また逆に、ドイツ・マルクがやはりドルに対して割高になっておりますために、フランクフルトからニューヨーク向けの運賃で見ますと二十銭ということで、これは東京−ニューヨークの運賃とそう大差はないというふうに考えております。
#67
○戸田委員 具体的な内容は幾つもありますけれども、時間の関係で割愛をさせていただきますが、いずれにしても、今のような矛盾が出るというのは、例えばこの前記レートで計算して、米国から日本に来る運賃は、例えば千ドルを一としますと二十九万六千円になるわけですね。しかし、三年ぐらい前の為替レートは一ドル二百四十二円だと理解していますが、仮に二百四十円だと二十四万円で済むことになるわけでしょう。現在一ドル百五十円なら十五万円で済むのです。二十九万六千円と十五万円では大変な差でしょう。そういうふうに旅客、貨物両運賃についてそういう矛盾が出てきているわけです。だから、これは全体としてこれから検討していただきたいと思います。
 それから次に、時間がなくなってあれなのですが、この際大蔵省にお伺いしておきたいのですが、結果的に今度の完全民営化はまず何をおいても株放出ということにあるのじゃないかと思うのです。NTTの再放出株、これが大体十月下旬にやられる。追っかけ日航も参ります、銀行の株も参ります、こういうことになりまするが、これら三機関の株の放出とその額、どれくらいになりましょうか。
#68
○沖津説明員 まず、NTTの株式売却の件でございますが、現在市場関係者等と早急に売却準備を進めているところでございます。
 売却の数量でございますが、予算上の株式処分限度数である百九十五万株を原則として一括して売却したいというふうに考えでございます。具体的な時期については、今後市場動向、売却体制等に関する関係者の意見を聴取しながら適切な選択を行いたいと存じております。それから、言うまでもないことでございますが、実際の売却高というものはそのときの市場によるということでございます。
 次に、日本航空の株式の売却でございますが、これについては言うまでもなく、国会での御審議の結果を踏まえた上で、大蔵大臣の諮問機関でございます国有財産中央審議会に諮問、付議することになろうと存じます。基本的にはこれも証券金融市場の動向に十分配意しつつ、年度内に売却しよう、そういうふうに考えております。
#69
○戸田委員 これは私の推測あるいはきのうの日経等々を参考にしているわけでありますが、NTT株の再放出が大体百九十五万株、額にしておおむね五兆円。日航は約二兆円、銀行が一兆円、おおむね八兆円くらい、十月以降。すると、シンジケート団でこれを消化し切れない状況があるから、今銀行では増資その他のいろいろな工作をやっているわけでありますが、そういうもの等含めて消化し得る状況になりますかね。殊に日航の株、これは放出することになりますが、どういう見通しを持っておられますか。
#70
○沖津説明員 ただいま先生具体的な数字をおっしゃったわけでございますが、それは恐らく現行の時価等で算出されたものだと存じます。ただ、そのJALの金額につきましては、二兆円という金額をどういうふうに算出したか、ちょっと私どもでは了解できないようなところもございますことをまず申し上げたいと思います。
 それで、今先生おっしゃったようにかなりの規模の売却を予定しているわけでございますが、そういうことを踏まえて私ども、市場関係者等から幅広く意見を聴取しているところでございます。もちろん市場の先行きによるところでございますが、例えば現在、日本の個人の金融資産の残高というものは五百四十兆程度あるそうでございます。そういうものが、かつ年間に四十兆ぐらいの大きさで伸びている、そういうことを踏まえますと、現時点で考えますと、不測の事態が起きれば別でございますが、まずは円滑に消化が可能ではないかというのが大方の意見であるというふうに受け取ってございます。
#71
○戸田委員 そこで、ひとつ検討していただきたいのですが、NTT株放出の際も職員の持ち株制というものをできないかどうか、当時の竹下大蔵大臣にいろいろ検討していただいたのですが、それはいいでしょう、これは表向きそういうことは言えないけれども、そういうことになっている。だから、日航の状態を聞きますと、持ち株制というものは制度として存続しております、こういうことですから、今回の放出に当たっても、何%がいいか、それはわかりませんよ、それは市場競争でやることですから公式に委員会等でこうしなさいというようなことは言いませんが、十分な配慮をしていただきたい、こう思うのですが、これは大蔵担当官と運輸大臣を含めてひとつ。
#72
○山田(隆)政府委員 現在日本航空の政府が持っております株の放出につきましては、先ほど大蔵省の方から御答弁ございましたように、この法案の成立後、国有財産中央審議会の議を経て具体的な手続等について検討されるわけでございますけれども、運輸省といたしましては、運輸政策審議会の答申にもありますように、株の放出に当たりましては、今後の日本航空の円滑な事業活動の維持にも十分配慮する必要があるというふうに考えております。この意味で、放出株式の一部を安定株主として職員の持ち株会が購入するということは適当なことと考えておりますので、今後関係者とも相談してまいりたい、かように考えております。
#73
○戸田委員 わかりました。
 それで、いろいろと運賃の問題を検討してまいりましたけれども、日本の国内航空運賃が世界的に一番割高だというのはどうしても税金が高いからだと私は思うのです。例えば航空券の一〇%の通行税、これは今まで何回か私も要請してきたのですが、いまだ実現されてない。通行税はかつて戦費調達の手段として、当時飛行機に乗るというようなことは一つの奢侈税的な、そういう意味合いで課税をした。その役割は終わったと思うのですね。だから、今税制の抜本的見直しがあるのですから、そういうものに含めてこういったものをひとつ検討していただきたい。飛行機はもう大衆利用ですから、五千万人にもなっているのですから、いわば大衆の足ですから、そういうものにいまだにこういう戦前の残滓を残しておくということは、私は、やはり税制上からいっても、現実の対応策からいっても意味をなさないのじゃないかという気がしますから、そのことが一つであります。
 もう一つは、燃料税あるいは空港使用料、こういった公租公課について非常に高い。今回のように完全民営化、大転換ですから、これはNTTの場合もたばこの場合にも激変緩和措置として、きょうは自治省を呼んでおりませんが、固定資産税を初め、あるいは各般の燃料税その他こういったものについても別途三年とか五年とか激変緩和措置として減免措置をとってはどうか、こういう考えを持っていますが、これはどうでしょう。
#74
○山田(隆)政府委員 まず、日本国内の航空運賃が諸外国に比較して非常に高いというお話がございましたけれども、私どもは決してそういうふうには考えておりませんで、確かにアメリカ等に比較いたしますと、アメリカは各種の割引運賃が導入されておりますので、そのようなものとの比較では高い面があるかと存じますけれども、逆にヨーロッパの航空運賃等は日本の航空運賃よりもはるかに高いというふうに承知しております。ただ、それにいたしましても、私ども、企業努力等を通じて今後の航空運賃をできるだけ低減なレベルにする努力はしていきたいと思っております。
 その一つの方法として、ただいま先生おっしゃいました通行税の問題があるわけでございます。確かに通行税というものは当初は奢侈的なサービスに対して課されるものでございまして、現在も、鉄道の運賃の場合でございますとグリーン車であるとかあるいは特別の寝台車、船舶の場合も特等とたしか一等でしたか、そういう上等級の運賃に課されておりますのに対しまして、航空運賃の場合はすべての運賃、料金に課されておるところでございます。
 このような意味から、私どもといたしましては、今のように航空というものが大衆的な交通機関になってきた現状からいいますと通行税を課することは適当ではないというふうに考えておりまして、昨年も通行税の廃止の要望を行ってきたところでございまして、売上税の導入に伴いまして通行税の廃止が来年一月から予定されておったわけでございますが、御承知のような税制改正の経緯にかんがみまして現在では廃止の予定が立っておりません。そこで、来年度の税制改正要望といたしまして、引き続き通行税の廃止の要望をことしも出していきたいというふうに考えております。
 それから次に、燃料税の問題でございますが、この燃料税は現在空港整備の財源となっておるところでございまして、現在のようにまだ空港整備を積極的に推進する必要のあるような状況では、これを軽減することはかなり難しいのではないかというふうに考えております。
 ただ、空港使用料につきましても、これは各国との比較でも比較的高い水準にございますので、私どもとしては、この空港使用料は五十五年に引き上げましてその後改定をしておりません。今後とも、空港整備との兼ね合いでできるだけ航空企業の負担の軽減には努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#75
○戸田委員 ぜひ今のようなことで御努力を願いたいと思うのですが、殊に四十五年から空港整備特別会計等々を設置いたしまして、今日まで設備投資その他に大量の金額を投資しているのですね。例えば五十八年でいきますと、空港整備事業に対して六百九十三億円、防音装置その他を含めて環境対策費が九百二十一億円、それから空港維持費六百四十二億円、膨大な金を特別会計から投資している。これは全部自前方式でやっているわけでしょう。そういうものに対して、例えば道路だったら重量税、目的税でもってどんどん五カ年計画で道路建設をしていく、こういうことですから、そういう面の自前方式の観念、費用の使用法等々があっていいと私は思うのですね。ですから、今の問題を含めまして十分検討していただきたいと思うのですが、運輸大臣の見解を伺いたいと思います。
#76
○橋本国務大臣 十分検討はいたします。
#77
○戸田委員 ほかに、労務政策について若干尋ねておきたいのですが、今地方労働委員会あるいは中央労働委員会、各種委員会等に提出されている不当労働行為事件はどのくらいありましょうか。
#78
○山中説明員 現在日本航空について中央労働委員会に一件、東京地方労働委員会に一件、計二件の不当労働行為事件が労働委員会に係属していると承知しております。
#79
○戸田委員 山地社長が来ていますから一言見解を伺っておきたいのですが、今後の労務対策の対応策をどのように考えていますか。
#80
○山地参考人 私どもの経営になりましてから労務方針というものを出しまして、各組合、今六つございますけれども、六つの組合を差別することなく信頼関係を取り結びつつ経営の任に当たりたい、かように考えております。
#81
○戸田委員 今関係四組合あるわけですが、一様にいろいろと参考意見を拝聴いたしました。その結果、組合の状況としては乗員組合一千四百人、客室乗員組合二千四百人、全日航労組一万三千人、日航労組三百五十人等々で、四つの組合が併存しているんですね。こういう状況になったというのはどういうふうに社長は理解されていますか。
#82
○山地参考人 今四つの組合と申されましたのは、おっしゃるように乗員組合が副操縦士の組合でございます。それから、客室乗務員組合というのは客乗の職員の一部の二千四百人がつくっている組合でございます。あと、客乗の社員の約三千名ぐらいは全日本航空労働組合、全労というところに所属しております。それから、全労というのはあと地上職の職員の大部分を抱えている組合でございます。それから日航労組というのは地上職の一部三百何人の社員が構成している組合でございます。日本航空の組合の歴史というのは、長い間にある種の離合集散を加えて今日に至っておるわけでございますが、そのほかに最近はパイロットの機長の組合というものもございます。それから機関士というのがございますけれども、それの先任の機関士の組合というのが別途できて、全部で六つになっているわけでございます。
 私ども経営の立場から申し上げれば、組合というのは一つであるのが理想でございます。しかし、組合というものは組合員が決めることでございますので、組合の方々が、従来の歴史というものももちろん大事でございますけれども、今後の民営化後の日本航空のあり方を考えていただいて、またいろいろと組合のあり方を御検討いただけたらというふうに考えております。
#83
○戸田委員 私も決していいことだとは思っていません。しかし、いろいろな分裂というものは、やはりそれなりにその歴史的な因果関係、こういったものがずっと積み重ねられて今日に及んでおる。その資料もいっぱいあるわけです。例えば分裂したその歴史というようなことで、詳細にその分裂のケースがあります。例えば昇格、昇給あるいは配置等々で非常に差別があるのではないかというふうなことが指摘されていますよ。
 これはある客乗の公式に発表になっているものですが、ずっといっぱいあるのですけれども、その一部をちょっと読ませていただきたいと思うのです。「管理職からの組合脱退勧誘について」ということで、あるスチュワーデスの方がパーサーの昇格試験を受ける。ところが管理職の人から、あなたは成績は非常にいいのだけれども、残念ながら組合員としての行き方がどうもまずいというようなことで昇格試験前にいろいろと説得、折伏をされた、こういう状況なんですね。読んでみますと非常に素直で、私が会社に入ってきたのは決して組合運動をやるためではなくて、仕事をやるために入ってきました、こう言っているんですよ。そういった純粋な方が、仮に四つあるうちのある一つの組合に入っておったということで、それも成績が極めて優秀だというのにもかかわらず、実力もあるというのにもかかわらず昇職試験が全部オミットされてきている。辛うじて五回目でようやく昇格試験に合格をいたしました、こういうことなんですね。そういったものが全部、機長さんを初めよくあるんですよ。
 だから私は、差別をせざるいわゆる労使対等、そして話し合い等々で今後の労務政策というものを進めていってはどうか。前会長の伊藤さんはそれで大分御苦労なされた。この前、同僚議員に対する答弁でも、橋本大臣も慰留を説得したけれどもどうしてもやめざるを得なかったというようなことを言っておりましたけれども、そういうことでひとつ今後努力をしていただきたいと思うのですね。見解どうですか。
#84
○山地参考人 今具体的に客室乗務員の問題をお取り上げいただきましたわけでございますが、昨年の十一月ごろ、私ども客室の昇格問題につきまして、著しく滞留している人たち、これは客室乗務員の高年齢化に伴いまして滞留があっているわけでございますが、その解消のための案を提示して昇格を実施したわけでございます。基本的には先ほど申し上げましたとおり、組合の所属による差別ということは行うつもりはございません。よきパートナーとしてどの組合とも信頼関係を結び、日本航空の民営化後の再建に取り組んでいきたい、かように考えているわけでございます。
#85
○戸田委員 これは「客乗雑誌」というのに載っておるのです。先ほど来不当労働行為の提訴件数についてお伺いしましたが、これを見ましても、例えば役員の不当解雇事件があって、あるいは第一次機長昇格差別事件があって、年休取得拒否事件があって、第二次機長昇格差別事件があって、不当賃金カット請求事件、組合別不当ユニット事件、パーサー昇格差別事件、組合脱退工作事件、教官不当配置事件、KUL遺族補償の問題、警告書、編成裁判、佐藤PS処分、こういっぱいあるのですね。だから、こういうことが次々と出てくることは、やはり労務管理政策上どこかに欠陥があるのではないだろうか。近代化政策として不可欠なものですから、やはり人間対人間の信頼関係を得るために話し合いをしつつ指導して、そして円満決着のつくような形ですべてこれからの対応措置というものを考えていただきたい、このように考えます。
 労働省お呼びしまして、時間がなくて以下いろいろな問題について触れられませんが、現下、これは日本の大勢としては週休二日制の完全実施という方向で関係閣僚の皆さんにも、この間、私は党の責任者になっておるものですから、お会いをしていろいろと要請をいたしました。その結果、ほとんどが前向きでこれはやりましょう、こういうことですね。そういう状況になっておりまするから、これは労働省としては今後の考え方としてどういうものをお持ちですか。ちょっと見解を。
#86
○小島説明員 週休二日制を含めまして労働時間短縮というのは労働行政にとって最重点課題の一つでございます。それで、まず週休二日制を進めるにはどうしても労使間あるいは一般の利用者、消費者、その辺まで含めまして全体的に理解が進む必要がございます。そういう点で、啓発活動を大いに進めていくのが一つでございます。
 それからもう一つは、中小企業は経営上もなかなか難しいわけでございますが、そのほかにも横並びの意識がございます。その辺でなかなかやりにくいという問題がございますので、中小企業を集団としてとらまえまして指導して、何とか努力をしていただくようにということでやっております。
 また、今回四十時間制という、将来的にはこちらの方に持っていきたい、週休二日制というのはやはり週四十時間労働制でございますので、それを目標といたします労働基準法の改正法案を今国会に提出しているところでございます。そのほか、金融機関の土曜閉店制あるいは公務員の週休二日制、その辺につきましては関係省庁と連携をとって進めてまいっておるところでございます。
#87
○戸田委員 あと二分しかありませんから一括締めくくりで終わりたいと思います。
 五十九年十月、総務庁の航空行政についての監査結果報告、これによりますと、運航乗務員二千八十八人の一五%、三百十九人余剰人員であります。そのうち副操縦士が余剰として二百六十人、こういうことであります。いろいろと稼働労働時間等を見ましたが、やはり相当オーバー労働ですね。最高六十五時間なんというのもある。
 そういう状況ですから、我々が今主張するように国家公務員、地方公務員、金融諸団体、こういった面でも先行して二年以内でもって週休二日制完全実行ということになると、全体で雇用創出三十万人くらいになる。そういうことを日航に対しても適用するとすれば、当然余剰人員というものは解消していくのではないだろうかというような気がいたしますので、そういう面の今後の配慮、これは社長と運輸大臣にお伺いしたい。
 もう一つは、ずっと今までのいろいろの論議の中で四件、これはぜひ大臣の御見解として伺っておきたいのです。
 それは、やはり今後の日航の経営は自社判断で、すべて自前方式でできるようなものにしていく必要があるだろう、これが一つであります。それから運賃その他サービスの向上に向けて再検討して、そして世界の常識並みの運賃制度というものを確立していく必要があるのではないだろうか。それから事故防止のために、安全確保のために検修制度その他に抜本的なメスを入れて、安全というものを確保していく。そして労使関係について人間的な信頼を得るような労務政策というものをしいていく必要があるだろうというような気がいたしますが、そういう点についての最終の見解を大臣にお伺いして、終わります。
#88
○橋本国務大臣 私は、今委員の御指摘になりました問題点、それぞれ大切な問題であると思います。そして完全民営化後の日本航空の経営というものが健全であるための努力は当然払われるであろうと思いますし、委員、運賃を世界の常識と言われましたが、私は、日本の運賃が世界の常識に外れて安過ぎるとも思いませんし、高過ぎるとも考えておりません。今後も常識の範囲内で進められるものであろうと思います。
 また安全という点についてお触れをいただきましたが、私は、これは運輸業全般、安全というものが何よりもその業の信頼の基盤をなすものでありますし、殊に航空企業というものにとりましては、安全の確保というのはすべてに優先する目標であると思います。そしてそのための努力というものは今日までも払われてきたと信じておりますし、今後においても当然そういう努力は払い続けられるものと信じております。
 また労使関係につきましては、労使双方が、みずからが参画する企業の将来というものに向けて信頼感を持ち、一体となって企業の前進に向かってくれることを願っております。
 以上です。
#89
○山地参考人 今先生御指摘の副操縦士の過員の問題につきましては、総務庁の御指摘等を参照いたしまして諸施策を実施した結果、今やその当時に比べまして三分の一に減っております。さらに二、三年後には副操縦士の過員も自然に解消していくという状態でございます。
 それから日本航空の労働時間でございますけれども、所定就業時間は週三十七・五時間でございまして、航空業界トップとは言えないまでも、一般企業に比べては決して遜色のない水準にあるというふうに理解しておりますけれども、より一層業績の向上、社員の福祉向上というものに努めてまいりたいと考えております。
#90
○戸田委員 どうも委員長、四分ばかりオーバーして申しわけありませんでした。ありがとうございました。
#91
○鹿野委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時五十六分開議
#92
○鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小林恒人君。
#93
○小林委員 昨日の新聞報道によりますと、日本航空本社に対して、これは現地の警察でありますけれども、群馬県警が家宅捜索に入った、こういう経過がございました。
 言うまでもなく、五百二十人のとうとい生命がいっときにしてお亡くなりになるという、こういう大惨事であっただけに、警察の側の捜査も慎重の上に慎重を期したと考えますが、それにつけても、既に九二年間を経過をして初めて日航本社に対しての家宅捜索。報道によりますと、さらに運輸省航空局の出先などに対する家宅捜索も検討されているやに伺いますけれども、遺族の気持ちを思うとき、いっときも早く、正確な意味での原因究明あるいは結論というものを待ち望んでいると思われるのであります。ある意味では遅きに失した作業であったのかもしれませんけれども、こういった事象に対して、日本航空社長としての御感想をお伺いしたいと思います。
#94
○山地参考人 先生のおっしゃるように、五百二十名の方の犠牲を出した、こういった事故に対して、私どもも大変遺憾に思っておる次第でございまして、こういった事件の問題に対して、国の方でどういうふうにお考えになるか、まさに群馬県警の家宅捜索ということが第一歩として行われているわけでございまして、私どもとしては、従来から群馬県警の取り調べに対しましては一切包み隠さず御説明をするように、社員には徹底しているつもりでございます。従来、六十名にわたる聴取者というものを出しているわけでございまして、今後もこういった態度を持してまいりたい、かように考えております。
 おっしゃるように、安全な運航の維持ということが私どもに課せられた最大の使命であると思っておりますし、そういったためにも、今回の群馬県警の立入検査、今後の刑事責任の追及ということは極めて大事なことであろうかと思いますので、一層その態度を持してまいりたい、かように考えております。
#95
○小林委員 同問題で航空局にもちょっとお尋ねをしたいのであります。
 朝日新聞の昨日の夕刊の伝えるところによりますと、航空局長は「コメントは避けたい」とされているわけであります。「運輸省の責任については、航空事故調査委員会の最終報告書によると、航空局の検査に問題があったとはされておらず、我々もそう受け止めている。」こうおっしゃっておられるようですが、報道のとおりですか。
#96
○山田(隆)政府委員 ただいま先生おっしゃいました朝日新聞の報道の記事、ほぼそのとおりでございまして、私どもといたしましては、事故調査報告におきまして運輸省の責任が指摘されたというふうには考えておりませんし、また航空法に定められた手続に従って検査を全うしたというふうに考えております。
#97
○小林委員 新聞の報道というのは非常に重要な役割を果たすと思いますし、むしろこの大惨事にかかわってそれぞれの箇所がどのような責任をとるのか、どのような責任を全うすることによって亡くなられた遺族の皆さんに対して安堵感を与え、やがて航空社会の中で安全で最も敏速な交通機関として繁栄をしていく足がかりをつくるのか、そういった意味では、現在の段階で、警察の側としては、将来的に運輸省の出先についても家宅捜索を進めていきたいという方針だということが官憲の側の認識として事実だとするならば、私はもう少し正確な意味で対応すべきであったのではないだろうか。
 これは単に遺族の皆さん方に対する物の発想だけではなしに、航空行政というものを預かる運輸省の側としての物の言い方としては、我々は事故調の中で出てきた結論の範囲内で、過ちは全くなかったのだ、責任はなかったのだという、いわゆる責任回避を運輸省みずからが国の内外に明らかにしたことにすぎないのではないのか、こんな気がしてならないのであります。運輸大臣、いかがですか。
#98
○橋本国務大臣 けさ、閣議後の定例の記者会見の席上、同趣旨の質問がクラブの方々から私にもございました。そして私も、これについてのコメントは差し控えたいということを申しました。ただこれは、委員のおとりになった感じと航空局長あるいは私が申し上げているコメントを避けたいという気持ちには若干食い違いがあるようであります。私どもは、この大きな事故による結果というものを見詰めながら、運輸省自身が安全対策というものに対しその後の対応の努力は続けてまいりました。その努力というものと現に進展しつつある群馬県警による刑事責任の調査とはおのずから異質なものがございます。
 そしてその刑事責任追及の一つのプロセスとして日本航空に対しての強制捜査が行われました。そして巷間、運輸省にもあるいはというお話がございます。そして運輸省も、先刻日本航空の山地社長から申し述べられましたように、その捜査に対して一切の秘匿といったような状態はつくらずに協力をしてまいったはずでありますし、これからもまたそういう体制をとっていくでありましょう。そしてその捜査の進行の過程について意見を求められましたのでコメントすべきではないと考え、コメントすべきではないというそのとおりの気持ちを申し上げたことであります。その点についてはどうぞ素直に御理解をいただきまして、私どもの意のあるところをお酌みいただきたいと存じます。
#99
○小林委員 これ以上の議論をすることもいかがかという気がしますし、大臣がおっしゃられている見解について私も全くそれを否定するものではありません。しかし、ちょうど三周忌という節目を迎えて、悲しみも新たに、願わくは航空機のより安全な運航をと願う国民の気持ちをより大切にする、こういったことが私はもっともっと重要視をされてしかるべきではないのか、こういう気持ちが大変強く受けとめられたがゆえにあえて冒頭に以上のような質問をさせていただいたわけであります。今後特に遺族の皆さん、国民の皆さんに、安全で敏速な生活交通としての航空産業というイメージが定着できるような一層の努力を心から念願をしておきたいと思っています。
 日本航空の民営化問題が出てきた経緯を考えてみますと、第一は臨調答申に始まって昨年六月の運政審の答申をもとにして今日に至ったわけであります。同僚の委員の皆様方の質疑をじっと聞いておりまして、いろいろ問題があり、私も果たして日航の民営化がうまく行くのだろうか、また日本の航空事業自体が果たしてどうなっていくのかという点についていささかの疑問を持たざるを得ません。日航の内部事情の複雑さも絡みいろいろな問題点があり、率直に言って心配が頭をかすめていくわけであります。半面、二十一世紀に向けての航空需要の増大はますます広がるものと考えます。そしてそれを利用する国民の期待も大きいものと思うのでありますが、それにはまず安全が絶対必要条件だと思いますし、本日は限られた時間の中で十分には質問ができないのは残念でありますけれども、時間の許す限り航空政策また本案関係について質問をしてまいりたいと思います。
 まず第一に、今回の日本航空の完全民営化のねらいは一体何なのかについてお伺いをしたいと思います。
#100
○橋本国務大臣 日本航空が戦後我が国が独立を回復した後、速やかに自主的な国際航空運送事業というものを開始いたしますために特殊法人として設立をされた経緯がございます。しかし、その後の航空輸送の著しい発展の中で、同社を含め航空企業の経営基盤というものも強化されてまいりました。その結果、国際線、国内線ともに競争の促進が可能となりました。そして利用者の利便の向上を図ることも適当であると考えられ、企業間の競争条件の均等化を急ぐ必要があると考えられてまいりましたことがまず第一でございます。
 また、とかく親方日の丸意識などと批判をされます日本航空の体質改善のために、完全民営化により自主的かつ責任のある経営体制を確立することが適当であると考えられ、これらにより経営の効率化、サービスの向上等を期待して今回の措置に踏み切ったものでございます。
#101
○小林委員 それでは完全民営化の具体的措置内容について伺いたいと思います。また、この法案は予算関係法律案ではないのは一体なぜなのでしょうか。
#102
○山田(隆)政府委員 このたびの法案で日航の完全民営化の措置を予定しておるわけですが、その中での具体的措置といたしましては、日本航空株式会社法の廃止をうたっておるわけでございます。それから日航の完全民営化といたしましては、この日航法の廃止とあわせて、現在日航の株式のうち約三分の一強政府が株を保有しておりますけれども、この政府所有株を完全に放出いたしまして、政府の持ち株比率をゼロにするということでございます。
 予算関係法案にこの法案をしなかったということでございますけれども、この法案成立に伴いまして、政府といたしましては六十二年度中に株の売却をする予定でございまして、六十二年度予算におきましても売却収入として三千六百十七億円を計上いたしております。ただ、日本航空株式会社法の第三条におきましては「政府は、予算の範囲内において、会社に対して出資することができる。」と定めておるわけでございますが、政府に一定割合の株式保有を義務づけておるわけではございませんので、現在御審議中の法案が成立せず、日本航空株式会社法が廃止されなくても一定の政府所有株式の売却は可能と考えておりますし、従来も、日本航空株式会社法のもとで株式の売却を行ってきたところでございます。
 歳入予算というのはあくまでも歳入額の見積もりでございまして、株価の変動により実際の歳入額が変動することも予想されるわけでして、現在予算に計上しております予算額につきまして、この法案が必ずしも成立しなくても予算の執行を困難にするような決定的な要因とは考えられないということで、予算関係法律案として取り扱わないこととしたものでございます。
 なお、過去の例を見ましても、東北開発株式会社のように、特殊会社の民営化に際しまして、日本航空の場合と同様に政府所有株式を売却することを見込んでおりましたが、そのような場合にも民営化法案を非予算関係法律案として取り扱っている例がございます。
#103
○小林委員 各国における航空企業の民営化の現状は一体どうなっているのか、お知らせをいただきたい。
#104
○山田(隆)政府委員 各国における民営化の現状でございますが、一般的に申しまして、国際定期航空運送は巨額の資金を必要とするものであることなどの理由から、強大な民間航空企業を数多く有しております米国を除く諸国におきましては、政府が大幅な出資を行いまして、ナショナルキャリアとしての国際定期航空会社を設立しておる例が多いわけでございます。しかしながら、航空輸送の著しい発展に伴います企業基盤の強化などを背景といたしまして、我が国のみならず諸外国におきましてもナショナルキャリアたる航空会社の民営化の動きが見られるわけでございます。
 その具体的な例といたしましては、六十年から六十一年にかけてシンガポール航空それからマレーシア航空、アリタリア航空の政府保有株式の一部放出が行われましたほか、本年二月には、英国航空の政府所有株式のすべてが民間に売り出されるというような措置がとられているところでございます。またエアカナダにつきましても、六十二年から六十三年にかけて政府所有株式を放出するということが計画されていると聞いております。
#105
○小林委員 航空政策に関する問題についていささかお伺いをいたしたいと思います。
 昨年六月の運政審の答申を何回も読ましていただきました。政府としては今後の我が国航空企業の新たな運営体制をどのようにしようとしているのか、また運政審答申後の競争促進の状況はどうなっているのかということが、ただいまの国際的な状況と照らし合わせて私にはちょっと理解の行き届かないところがあります。御見解を賜りたいと思います。
#106
○山田(隆)政府委員 今後の航空政策の方向でございますけれども、昨年六月に運輸政策審議会として、これからの我が国航空企業の運営体制のあり方についてという御答申をいただいたわけでございます。私どもといたしましては、今後の航空政策はこの答申の趣旨に沿って基本的に考えていきたい。
 具体的な考え方といたしましては、まず安全運航の確保というものを図りつつ、航空企業間の競争促進を通じて利用者利便の向上を図るということを基本といたします。具体的な進め方といたしましては、国際線につきましては、これまで原則として日本航空一社体制ということでやってきておりましたのを複数社制にしていく。それから国内線につきましては、日本航空はこれまで幹線に限られておりましたが、そういう幹線、ローカル線というような区別もやめまして、今後国内線のダブルトラック化あるいはトリプルトラック化というものを進めて競争促進を図っていこう。あわせて競争条件を均等化するというような理由からいって、日本航空の完全民営化も進めるということにしておるわけでございます。
 さらに、そのような政策にのっとって具体的な路線展開として、昨年以降実施してきたものといたしましては、まず国際線につきましては、全日空の国際線の進出を認めてきたわけでございまして、東京−グアム線、東京−ロサンゼルス線、東京−ワシントン線それから東京−大連・北京線、東京−香港線、東京−シドニー線、最後の東京−シドニー線は本年の十月開設予定でございますが、これらの国際線の開設を認め、国際線複数社制化を進めてきたわけでございます。それから東亜国内航空につきましては、六十一年九月以降国際チャーター便の実現を見ております。また日本貨物航空につきましては、東京−香港線、東京−シンガポール線、そして東京−アムステルダム線。東京−シンガポール線につきましてはことしの十月予定しておりますし、また、六十三年には東京−アムステルダム線の開設も恐らく実現されるのではないかというふうに考えております。
 それから、国内線でございますけれども、国内線につきましては先ほど申し上げましたように、日本航空につきましては、従来幹線とされたもの以外の路線といたしまして、昨年の七月以来、東京−鹿児島、東京−小松、名古屋−福岡、名古屋−札幌といったような路線の開設を認めてまいりまして、それぞれのトリプル化あるいはダブル化というものを図ってきたわけでございます。さらに、全日空あるいはTDAについて国内幹線等の増便を認める。さらに、これまでは沖縄を中心にして運航を行っておりました南西航空につきまして、那覇から松山路線の開設を認める。また、従来辺地、離島を中心として運航しておりましたエアーニッポン、もとの名前を日本近距離航空と言っておりますけれども、このエアーニッポンにつきましては、福岡−小松、福岡−鹿児島といったような路線についての進出を認めてきたわけでございます。
#107
○小林委員 日本航空の完全民営化で、今後の航空政策はそれではさらに変わるのかどうかという問題が一つありますね。具体的にお示しをいただきたいと思います。
#108
○山田(隆)政府委員 日航の民営化に伴いまして航空政策というものは直ちに変わるということではございませんで、先ほど申し上げましたように、今新しい航空政策の展開ということで、国内線における競争促進策の推進あるいは国際線における複数社制化というものを進めておるわけでございまして、日本航空の民営化というのは、そのための競争条件の均等化ということが一つの理由になっておるわけでございます。
#109
○小林委員 これは日本航空の側に御質問申し上げた方がよろしいのかと思いますが、午前中の質問でも同僚議員が触れられておりますけれども、新聞にも多く出ました件でありますが、航空企業における円高差益の発生状況にかんがみて、その分運賃の値下げというのは単純に考えてできないものなのかどうかという素朴な疑問が国民の間には大変広範囲に存在をするわけです。この点についてどのようにお考えでしょうか。
#110
○山地参考人 私ども日本航空の国際線の外貨と円の比率でございますけれども、収入面で約三割ぐらいが外貨建て、ドルとかポンドとかいろいろあるわけですが、全部ひっくるめますと三割ぐらいが外貨建てでございます。それから、支出の方も約三割ぐらいが外貨建てでございます。したがって、為替が変わった場合に収入も支出も同じように変わってしまうものですから、為替の変動だけでは、我が社に円高のメリットということが起こらないわけでございます。もちろん、石油の値段がドル払いでありますので、その分だけ為替の影響があるんじゃないかというようなことをおっしゃるわけでございますけれども、これは収支面で今言ったようなことでくくられるわけでございます。ただ、石油が下がること自体、つまり、円高でなくて為替とは関係なく石油が下がった部分についてメリットがあるということは事実でございます。
#111
○小林委員 航空運賃そのものは、航空法の中に定められておって、運輸大臣の認可事項になっているわけです。
 それで、これまでの質疑の中でも数多く議論がありましたけれども、例えば沖縄−東京というものを基準にして見た場合に、その他の路線というのは非常に割高になっているのではないか、こういった議論、とりわけ、南北格差が大き過ぎるのではないか、こういう議論が数多くありますし、あわせて、参議院の段階でも若干議論になりましたけれども、航路の変更に伴って、短縮されているんだが運賃の改定をしなかった。それらの問題については、できるだけ早い時期にという大臣答弁もなされているわけですけれども、現行の国内運賃について盛んに言われる南北格差、こういったものについて運輸省はどのように考え、どのように検討されてこられたのか、経過をお知らせをいただきたいと思います。
#112
○山田(隆)政府委員 南北格差の問題につきましては、私どもも問題があるということを認識しております。
 現在の航空運賃の決め方と申しますのは、基本的には適正な原価プラス適正な利潤ということになっておりまして、実際の運賃の設定のいたし方といたしましては、企業ごとに総合原価を見て判断するわけですが、その際にあわせて、今申し上げましたような路線の原価というものも反映して路線ごとの運賃を決めるということになっております。
 その場合に、路線のコストでございますけれども、路線のコストといいますのは、一般的に申しますと、距離が長くなれば比較的キロ当たりの運賃は安くなる。これは、運賃のコストが固定費と可動費に分かれるわけでございますけれども、固定費の方は、例えば着陸料のようなものは距離に関係なしに一定額の経費がかかる、それに対して可動費、燃料費あるいは乗員の手当等は、距離によってあるいは時間によって変わってくるので、比較的距離のあるところは高くなるわけでございます。そういう要素を勘案いたしますと、基本的には、距離の長いところがキロ当たりの賃率は安くなるということになります。
 それから、需要の多いところ、これも、需要の多いところは航空企業の機材の効率的な運航もできますので比較的割安になる、逆に需要の少ないところは割高になるということでございます。また需要の季節的波動のあるところ、これはやはりどうしても航空企業の機材稼働の効率が悪くなりますので比較的割高になる。それに反しまして、年間を通じて同じような需要のあるところが比較的安くなるということでございまして、このような諸要因によりまして路線別の原価が決まるわけです。
 北海道の場合ですと、一般的に申しまして、札幌は特殊でございますけれども、その他の地域につきましては九州の各地域に比べまして需要が少なくなっておりますし、また、年間を通じての季節的な波動性ということも北海道の方が大きいわけでございまして、一般的にそのコストが割高になるということは事実でございまして、その点につきましては御理解を願いたいと思うわけでございます。ただ、北海道方面につきましては、今先生がおっしゃいましたように、さらに運航ルートの変更がございます。これは、五十九年の七月に新しく東北方面の飛行ルートが設定されました結果といたしまして、北海道方面はそれ以前に比べましてルートが短縮されております。それだけに一層割高感があるということは私どもも認識しておるわけでございます。
 このような状況でございますので、この問題をどういうふうに取り扱うかということにつきまして、実は私ども、現在航空局に運賃問題懇談会というものを設けまして、学識経験者の方々の御参加を得て、この南北格差の問題だけではございません、方向別格差等の問題、いろいろ含めまして運賃問題について御議論いただきまして、この秋には何らかの結論が取りまとめられるものというふうに考えておりまして、こういったところでの御議論も踏まえて今後この問題に対応していきたい、かように考えております。
#113
○小林委員 運輸省航空局の中に航空運賃問題懇談会が昨年十一月二十日にでき上がって、学識経験者の皆さんの御意見を伺いつつ、もう既に六回会合をされたということについては伺いました。ただ、五十七年に運賃改定をやって、五十九年にルート変更があって、にもかかわらず運賃には触れなかったというのは怠慢だったのですか、それともその程度のものはさわる必要がないという御判断をされたのですか、どちらですか。
#114
○山田(隆)政府委員 航空運賃は五十七年に改定されまして、それ以来ずっと据え置きのままになっております。その間、諸物価はある程度上昇しておりまして、コスト面でも物によっては上昇を見ているものがあるわけでございます。私どもといたしましては、ルート変更によるコストの減少ということはございますけれども、同時にその他の要因によるコスト増もあるということで、五十七年の次の運賃の改定時期にこの問題についての調整を行いたいというふうに考えておりました仁ところが、事故等もございまして到底運賃値上げの状況にないこともございまして、五十九年以降なかなか運賃改定の時期がなかったわけでございます。
 一つの契機といたしましては、通行税の廃止が、本年度の税制改正が決まったとき、昨年の政府の予算案決定の時期でございますけれども、その際には六十三年の一月から通行税廃止ということが予定されておりましたので、その時点を一つの契機としてこのような問題についての解決も図ろうと考えておったわけでございますが、御承知のような経緯でもって通行税廃止も今のところめどが立っておりません。
 したがいまして、今の段階で、いつの時点で運賃改定に手をつけられるかということを申し上げるのは非常に難しいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、運賃問題懇談会の結論を得た時点で、それらを踏まえてこれらの問題について今後航空局として検討していきたいということでございます。
#115
○小林委員 航空局長、航空にかかわる運賃及び料金の認可は申請に基づく行政処分なんですね。申請がなければ何もやらないでいいわけでしょう。そういうぐあいに聞こえますよ。ルート変更が行われました。今局長の答弁を聞いていますと、通行税というのはこれは別なんですよ。運賃、料金というものとごっちゃにして国民の皆さんに理解してくださいと言ったって、そんなわけにはいかないわけです。運賃、料金は運賃、料金なんです。そのほかに、通行税というものは国の責任において課しているだけなわけでしょう。これが始末がついたときに整理をしようと思ったなんというのは、まさに怠慢なんじゃないですか。そして申請のない事項について改定をすることは事実上できないわけでしょう。航空の運賃、料金改定というのは、変更もできないわけでしょう。
 いろいろ長々と答弁してくれるけれども、私の質問の答えになってないんですよ。冒頭の私の、怠慢だったんですかという言い方に対してはこれは答えになってないんですよ。正確に言ってください、やらなかったのかやったのか。それから、運輸省として、認可をしてきた側として、航空各社に対してどういう指導をしたのか、ここだけはっきりしてくれればいいんですよ。
#116
○山田(隆)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、運賃の変更というものは航空会社の申請に基づくものでございます。ただし、もちろん航空局といたしましても、運賃の実態をいろいろ判断いたしまして、運賃を変更すべきときには行政指導として航空企業に対して運賃の改定を指導しておるわけでございます。私どもといたしましては、航路の短縮によるメリットは確かにございますけれども、同時にコストアップの面もあるということで、五十九年のルート変更に伴って直ちに運賃の改定をするようにという指導はしてまいりませんでした。
#117
○小林委員 運輸省が長年防衛庁とも協議を積み上げながらルート変更をされてきた経緯については、私も関心を持っていましたからよくわかっているのですよ。
 特に三沢上空から青森上空にかかわる部分での飽和状態を解消しながら、訓練空域を中間に割いても釧路ルートを開設したり、あるいは本州上空を飛ぶルートについても十分検討しながら精査をしていく。こんな航空図を一枚入手するのに、私は三カ月も四カ月もかかって入手した時期があるのですから。防衛庁から、これは一枚五万円もするからあなたにはやるわけにいかないので借用証を書けとまで言われたのですから。素人がこんなものを見てもわからないだろうと言われながら、私だって必死になって勉強してきているのですよ。そして安全のためにもルート変更は必要であるという議論を踏まえてルートが変更されたものだとすれば、たとえ五十キロであろうと四十九キロであろうと短縮をされたら短縮をされたなりに、もっと厳正に、運賃、料金というのは速やかに手をつけられなければならなかったはずなんじゃないですか。五十九年からもう何年たったのですか。
 南北格差があるという問題を取り上げたときに、北海道新聞なんかが伝えるところによると、金額としては通行税一〇%から見れば微々たるものであるというある運輸省幹部の談話まで出ているのですよ。とんでもない話じゃないですか。間違いなら間違いだったとはっきり言ってくださいよ。
#118
○山田(隆)政府委員 まず、最後におっしゃいました、通行税一〇%から見れば微々たるものであるということを、航空局幹部がどのような場所で言ったか、私承知しておりませんが、私は決してそのようには考えておりません。
 それから、運賃の改定の問題でございますけれども、五十七年に改定いたしまして、その後の各社の収支状況を見てみますと、五十七年には、事故もございましたために、定期航空三社でもって合計で経常損益が二百七十五億円というマイナスになっております。その後の状況を見ましても、五十八年が百二十四億円の経常利益、五十九年が三百四十億円、六十年は八十億円、これも事故の関係かと思いますけれども非常に減っております。それから、六十一年に二百四億円と。このように、航空三社全体で約一兆五千億円ほどの収入がございますけれども、経常利益は非常に微々たるものでございます。先ほど最初に申し上げましたように、航空運賃というものは適正なコストプラス利潤ということで、もちろん適正なコストについてはいろいろ論議のあるところかと思いますけれども、現在の各航空会社の経営状況を見ますと、少なくとも全体として決して過剰な利益を上げているとは言いがたい。
 再々申し上げていますように、一方でコストが下がる面があっても他方でコストが上がる面もあるということで、コストの下がる面だけをとらえて直ちに運賃を改定するというようなことは従来もやってないわけでございまして、私どもとしては、全般的な運賃改定の中でこのような問題を解決していきたいというふうに考えていたわけでございます。
#119
○小林委員 航空局長、まじめに議論しましょう。
 運賃を定義づける際に、企業そのものがペイしたかしないか、その中に大事故が起こったか起こらないかということがペイしたかペイしなかったかの要素になるのですか。はっきりしてください、それは。
#120
○山田(隆)政府委員 事故があったからといって、ペイしなかったために直ちに運賃を値上げするというようなことは私どももちろん考えておりません。ですから、基本的に適正なコストと適正な利潤に見合ったものであるということでございまして、法律にも書いてございますけれども、適正な運営のもとにおけるコストと適正な利潤を賄う運賃であるべきだということで、事故が起こって赤字が出たからといって運賃を上げるようなことは、これは毛頭考えておるところではございません。
#121
○小林委員 はっきりしないのですよ。事故が起こったとすれば、法律の中で明らかに事故に対応する保険をかけなさいとまで法律では書かれているのですよ、航空法の中には。いいですか。事故があったりなどして経営そのものは損益の中で赤字が計上されたなどということがありました、その他の要素もありました、したがって、航空運賃についてはさわりませんでしたという理由になるのですか。全然この質問に対して答えてないじゃないですか。正確に答えてくださいよ。
#122
○橋本国務大臣 大変おしかりをいただいて申しわけないことでありますけれども、事務方の答弁を私から補足をさせていただきたいと思います。
 と申しますのは、先ほどから御論議のありますように、円高の影響というものは国際線の場合にプラスにもマイナスにも働く要素がある。これは御理解をいただいたとおりであります。また国内路線の価格決定についての理論的なベースというものは、これも御理解をいただいたとおりであります。それに基づいて委員は御質問になられました。
 そして確かに、五十九年に距離を短縮いたしました際にそれは還元されるべきであったものかもしれません。私は、航空行政と申しますよりも運輸行政に本当に素人でこの座につきましたので、過去の経緯については熟知をいたしておりませんが、確かにその時点において手直しをしなかったということが、それだけを取り上げて御論議をいただけば、航空局の対応が遅かったという御指摘も当たるかもしれません。ただ同時に、局長が御説明を繰り返し申し上げておりますように、さまざまな変動要因を持つ航空運賃というものを、その上下の瞬間瞬間をとらえて上げ下げをすることは利用者の利便にも必ずしもつながるものではないことは御理解がいただけると思います。
 ただ先日、参議院の論議の中でこの距離短縮についての御指摘を私は受けまして、この点については私どもも念頭に置いております、そして懇談会が現在論議をしておられますけれども、その意見というものがまとまりました段階で我々は航空運賃というものを考える機会を持つことになると思います、そしてその場合に、他の地域とは異なり北海道地域の場合に、この距離短縮というものが厳然としてあるという事実を私は忘れておりませんということを申し上げました。
 さまざまな点からの問題の御指摘をいただきましたけれども、私どもの意のあるところも御理解をいただきまして、過去の責任についての御論議はお許しをいただきたいと思います。
#123
○小林委員 わざわざ大臣が総括してそのような御答弁ですから、時間もありませんからそれ以上の議論をすることはいかがかとは思いますけれども、定期航空運送事業者の申請に基づく行政処分であるというこのことが運賃を値上げするときにだけ適用されて、運賃が当然下がってもいいと判断をされるようなときには適用されないのか、こういう問題が一つは残るのですよ。そのときに要素として、総合原価主義だから、インドでもって事故が起こりましたとか、モスクワの空港で航空機事故を起こしました、御巣鷹山でもって事故がありました、こんなことまで理由にされたのではこれは適正な運賃というのは出てきませんよ。正確な意味で運賃とはという定義を国会の場の中でも明確にしていくということが大切なのであって、私は、その点について特に注文を申し上げておきたいと思いますし、細かく申し上げませんが、南北格差についてはできるだけ速やかに、距離が短縮をされておるのですからこの解決をしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思っています。
 それからもう一つ。これだけ航空路がネット化をされると、つい最近も私は体験をしたのだが、東京から六月一日以降稚内空港に向けて航路が開設をされた。よく調べてみるとこれは不定期航路である。七月十八日から八月いっぱい飛行機は飛びません、こういうことになるわけですね。千歳を経由して、千歳空港からあるいは丘珠空港から稚内空港に飛ぶと四千円運賃の格差が出てくるのです。乗り継ぎ運賃というものをその運賃問題懇談会の中で検討された経過がありますか。
#124
○山田(隆)政府委員 ただいまおっしゃった乗り継ぎ運賃の問題については運賃問題懇談会で検討した経緯がございます。
 それからなお、補足して御説明させていただきますと、稚内の直行便につきましては、羽田の空港発着能力に問題があるために一番ピークのときに休止せざるを得ないということでございますが、その辺の事情は御理解願いたいと思います。
#125
○小林委員 陸上交通の中でも乗り継ぎ運賃というのは非常に大事な問題で、しかし、生活交通として利用者の利便を図っていく上では、乗り継ぎ運賃制度というものをより幅を広げていくために運輸省も今日まで随分頭を悩ましてきた部分ですね。私は、あえてここでこの航空という問題の中で乗り継ぎ運賃制度を取り上げるのは、これは陸上交通に比較をすると会社数が非常に少ないわけです。こういう時期にやっておかないと、これはなかなかできなくなっていく性格のものだと判断をするわけです。
 同時に、航路、定期輸送、こういったものがネット化されればされるほどあちこちの空港に直行便が飛ぶようになる。たまたま運輸省の都合なのかあるいは航空会社の機材不足の都合なのか、お客様の都合ではないことで欠航になってしまうことがある。そういった場合に、どこかの空港から乗り継ぎをしなくてはならない。そのために、同じ目的地に向かおうとした一人のお客様が、理由はわからないわけではないけれども間違いなく四千円ないし五千円の運賃高になっていく、こういうことを余儀なくされるわけですね。これはできるだけ早い時期に解消することを含めて、これもまた要望しておきたい事項だと思っているわけです。
 一般公共の用に供してきた、公衆の利便に著しい関係のある運送機関については、そういった今申し上げたような部分というのは大変重要なことでありますし、加えて、私が質問する以前に通行税の問題がもう既に運輸省の側から取りざたされましたから、ついでにお伺いをしておきたいと思いますけれども、通行税そのものは運賃の中に入っているという認識ですか。正確にお知らせをいただきたい。
#126
○山田(隆)政府委員 通行税は運賃に対して一〇%課されるということで、正確に申しまして運賃の中には入ってないというふうに理解しております。
#127
○小林委員 通行税は運賃の一〇%ということで、それでは年間どれだけの金額が一般会計に入っているのか。また、他の交通機関と比較してどの程度の割合を航空は占めているのかについてお尋ねをします。
#128
○山田(隆)政府委員 まず、六十年度の通行税の税収額でございますけれども、航空、国鉄、民鉄、旅客船含めまして全体で七百五十五億円でございまして、そのうち航空分が七百十億円。したがいまして、全体に占める割合は九四・二%になっております。
 それから通行税の空港整備特別会計への繰り入れ率でございますが、通行税は基本的には一般会計でございまして、当然空港整備特別会計に入るものではございませんが、従来の経緯から申し上げますと、予算のシーリングがあるまではほぼ通行税見合いのものが空港整備特別会計に入っておりました。それが、その後シーリングの結果といたしまして年々繰り入れ率が減っておりまして、六十二年度で申しますと約四五%になっております。
#129
○小林委員 運輸大臣にこれはぜひお伺いもしたいし、お願いもしておきたい件でありますけれども、今議論になっております通行税、実に交通産業の中の九四・二%は航空業界が担っている、こういう状況なんです。売上税との関係ではこれは半額になるのかという認識があったり、ゼロになるのかという言い方があったりいろいろしてきたわけですけれども、私は、そういった税制という大変難しい議論以前に、ぜいたくな乗り物として通行税を賦課してきた、こういうことなんだと思うのです。
 だとすると、これだけ国民大衆の非常に幅広い皆さん方の利用する生活交通になってきているものに、あえて税金をかけるということ自体に矛盾を感じませんかという問いかけを大臣にしたいのであります。利用者の負担を少しでも安くしていただく、そういった見地から、大蔵大臣とも十分御相談をいただいて努力をしていくお気持ちがございますか。願わくは精いっぱいの努力をしていただきたいということなんでございますが、いかがでございましょう。
#130
○橋本国務大臣 今日のように航空機が広く国民各層の足として利用される状況の中で、その利用をぜいたく品とみなすというのは過ちだと私自身思います。そしてこれに通行税を課すことは適当でないと考えておりますので、昨年も運輸省としては廃止の要望を大蔵省にいたしましたし、遺憾ながら、それが他の要件の巻き添えでうまくいかなかったということでありますので、今年におきましてもその方向で大蔵省に対しての要求はいたしたい、そのように考えております。
#131
○小林委員 間もなく時間ですし、まだ幾つかの質問がありますが、後日に回したいと思います。
#132
○鹿野委員長 次回は、明十九日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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