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1987/08/19 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 運輸委員会 第3号
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1987/08/19 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 運輸委員会 第3号

#1
第109回国会 運輸委員会 第3号
昭和六十二年八月十九日(水曜日)
    午前十時四分開議
出席委員
  委員長 鹿野 道彦君
   理事 小里 貞利君 理事 亀井 静香君
   理事 久間 章生君 理事 関谷 勝嗣君
   理事 津島 雄二君 理事 吉原 米治君
   理事 西中  清君 理事 河村  勝君
      井出 正一君    小渡 三郎君
      岡島 正之君    亀井 善之君
      木村 義雄君    北川 正恭君
      田中 直紀君    二階 俊博君
      平林 鴻三君    増岡 博之君
      箕輪  登君    山村新治郎君
      若林 正俊君    小林 恒人君
      新盛 辰雄君    戸田 菊雄君
      石田幸四郎君    中村 正雄君
      中路 雅弘君    村上  弘君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 橋本龍太郎君
 出席政府委員
        運輸政務次官  柿澤 弘治君
        運輸大臣官房長 棚橋  泰君
        運輸省地域交通
        局長      熊代  健君
        運輸省航空局長 山田 隆英君
        運輸省航空局技
        術部長     中村 資朗君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   広瀬  権君
        科学技術庁研究
        開発局宇宙企画
        課長      青江  茂君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社代表取締役
        社長)     山地  進君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社常務取締
        役)      長岡 聰夫君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社常務取締
        役)      十時  覚君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社常務取締
        役)      桜庭 邦悦君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社取締役)  霞  重雄君
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社国際旅客事
        業総本部営業本
        部長)     稲川 広幸君
        運輸委員会調査
        室長      荒尾  正君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月十九日
 辞任          補欠選任
  魚住 汎英君      木村 義雄君
  鴻池 祥肇君      井出 正一君
  山村新治郎君      岡島 正之君
同日
 辞任          補欠選任
  井出 正一君      鴻池 祥肇君
  岡島 正之君      山村新治郎君
  木村 義雄君      魚住 汎英君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本航空株式会社法を廃止する等の法律案(内
 閣提出、第百八回国会閣法第五九号)
     ――――◇―――――
#2
○鹿野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本航空株式会社法を廃止する等の法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田幸四郎君。
#3
○石田委員 日航法の廃止に伴いまして航空行政も大きく変わってくると思うのでございますが、そういった意味で、まず航空行政の基本的な問題から御質問を申し上げたいと思うわけでございます。
 日航が完全に民営化されるに従いまして、航空企業全体の運営をめぐる問題で、政策的にはやはり競争促進というところに重点が置かれてくる、このように思うのでございます。そこで、どの程度の競争原理の導入が可能か、このことがかなり重要なテーマになってくるのではないかと思うわけでございます。鉄道その他とは違いまして、航空業界、主たる航空会社は三社ということになるわけでございます。今までの、過去のいろいろな経過もありましょうし、またこの航空三社をそれぞれ考えてみましても、日航が国の力によって今日まで発展をしてきた経過もあって、全日空、東亜国内航空あるいはその他の小さい航空会社はやはりハンディがあるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 そこでまず、そういう状況を踏まえながら、一体この競争原理というものがどんな形で導入をされてくるのか。路線の設定の問題もありましょうし、あるいは航空運賃の問題もかなり多様化してくるのではなかろうか、こういうことも考えられるわけでございまして、特に日航が民営化されまして、その出発の時点で競争原理というものを運輸省がどうリードしていこうとしているのか、ここら辺の考え方をまず伺っておきたい、こう思います。
#4
○橋本国務大臣 大変多岐にわたる、しかも基本的な部分についての御質問でありますので、多少の時間をちょうだいをしてお答えを申し上げたいと存じます。
 御承知のように、我が国が独立を回復いたしまして後、日本の航空企業を一日も早く国際社会の中で競争にたえられるものにするために日本航空が特殊会社としてスタートをした経緯は御承知のとおりであります。しかしその後の世界の航空業の流れの中で、おかげさまで我が国の航空企業というものもそれぞれに順調な歩みを続けてまいりました。そして今日、まさに昨年の六月、運輸政策審議会から答申をいただいたわけでありますけれども、いわば、従来の国際線を日航一社にゆだね、そして他の航空企業は国内にとどめるという姿は時代に合わなくなってきております。
 そしてこの答申を受けまして、まず何よりも航空企業として基本に置かなければならない安全性の追求、安全というものを中心に置きながら航空企業間の企業競争の促進を通じて利用者の利便の向上を図ることを基本としながら新たな航空政策の展開を必要とする段階になりました。そしてその具体的なものとすれば、国際線における複数社制、また国内線のダブルあるいはトリプルトラック化、そして日本航空自身の、いわば従来の特権的な立場から外れて他の企業と同等の立場での公正な競争を促進するための完全民営化、私どもはこうしたプロセスを踏みつつあります。そして既に全日空は国際線に進出をし、東亜国内航空もチャーター便において国際線への参入を果たしております。逆に、従来日本航空が路線運航いたしておりませんでした国内線の中にダブル、トリプルを目指して新たな路線設定も行われる状況になりました。また南西航空にいたしましてもエアーニッポンにいたしましても、それぞれの新しい路線を設定いたしつつあります。
 そうした中で私どもがこれから航空企業に求めなければなりません。番の基本は、何といいましても安全の確保でありますが、その上に立って企業運営の合理化、効率化が図られて、健全な経営基盤のもとにおいて公共輸送機関としてのより適切な輸送サービスの提供を可能にする努力をしてもらわなければなりません。
 そこで、委員の御質問に触れる部分でありますが、この競争の促進の中で一面忘れられてはなりません大事な問題は、まさにぜいたく品ではなくなった航空というものが、地域住民の足としていわば生活上必要な路線として設定をされております例えば離島、僻地等にもおのずから同じことが言えましょう。こうした路線につきましては、採算性ということだけを追求するならば今後の存続の困難なものもあるいはあろうかと思います。しかし、こうした生活上必要な路線につきましては、不採算であっても運航を維持することが当然求められるわけであります。このためには、これらの生活上必要な離島路線の維持を可能とするように、航空企業について採算路線の運営についての配慮を加えるといった必要もございます。また、経営基盤の強化に資するような路線展開については、それぞれの企業の能力と性格に応じてこれを認めていかなければなりません。こうした措置と並行して、事業運営の効率化、合理化、また運賃水準の適正化を図っていくことによりまして、生活路線としての離島路線などを運航する航空企業の経営が維持されることを私どもは願っております。しかし同時に、地域の足というものをみずから確保するという視点からまいりますと、こうした対策の上に地元の援助、協力というものが加わっていくことを私どもは望みたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今日ただいまにおいても、またこれからにおいても、航空企業の最大の基盤というものは安全の確保でありますから、この視点を外すことだけは今後ともにあり得ないことである、そのように考えております。
#5
○石田委員 航空局長にちょっとお伺いしますが、今後の航空産業に対する需要の拡大というものが話題になっておるわけです。最近の景気の回復の兆候あるいはまた社会活動の活発化、産業構造の転換、いろいろな社会的な要素があるわけでございますが、私どもも当然航空に対する需要は拡大基調になるであろうというふうに思うのでございますけれども、この点運輸省としてどういう見込みを持っていらっしゃるか、できますれば数字を含めて予測をお願いいたしたい。
#6
○山田(隆)政府委員 航空輸送需要に対する運輸省の考え方でございますけれども、基本的には航空輸送需要と申しますのは今後とも堅調な伸びが期待されるというふうに考えております。
 まず、航空輸送の特性と申しますのは高速性あるいは快適性といったようなことで、ほかの交通機関に比べまして時間短縮効果も大きいわけでございます。最近の所得の向上あるいは余暇時間の増大といった国民生活が向上する中で、今後航空輸送需要に対する国民のニーズが高まってくるであろう、それから同時に我が国の国際化の進展ということを考えますと、国際線における需要の増加というものも当然考えられると思うわけでございます。
 最近の輸送実績を見てまいりますと、昭和五十六年から六十一年までの過去の伸び率を見てみますと、国際線における伸び率が旅客でもって年平均六・九%程度でございます。それから、貨物はさらにそれを上回る伸び率、一〇%以上の伸び率を示しております。それから、国内線は最近伸び率がやや鈍化しております。その原因といたしましては五十七年と六十年におきます日航の事故などもあるかと思いますが、ことしに入って国内線の需要は相当堅調に伸びておるわけでございまして、今後事故の影響等がなくなればこれもある程度の伸びが期待できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
#7
○石田委員 大臣、そこで国内あるいは国際線の需要の伸び、そういう状況の中で航空行政はまさに民営化の方向へ進んでいくわけで、民営化ということになりますと、先ほどから申し上げておりますように競争の原理が働かなければならない。同時に、大臣が強調されました安全問題については当然航空三社、その他の会社も鋭意努力されているところだと思いますけれども、やはり運輸省が本格的にこの取り組みを強化していかなければならない使命があると思うのです。この安全問題に対する的確な技術的条件と申しますか、あるいはそれを監督するいろいろな措置、そういったものが満たされれば、やはり自由化の時代が来たわけでございますから、路線の設定あるいはまた運賃の問題、そういったことも基本的には規制を加えないでいくべきであろうと思います。しかしそうはいいましても、それは基本的な問題でございまして、具体的な取り組みということになりますれば飛行場の問題もございましょうし、そこにいろいろな附帯的な条件が出てくるわけでございますから、完全自由化ということはなかなか望めないわけですね。安全の問題を一応別に置いて議論をいたしますと、そうすると競争原理の切り口というものはどういうところに運輸省として考え方があるのか、この点について何か御所見があれば承りたいと思います。
#8
○橋本国務大臣 大変難しい御指摘ではございますけれども、私なりにそれをかみ砕いて考えてみますと、確かに委員が御指摘になりますように我が国の狭隘な国土の中で飛行場の設置そのものにさまざまな制約の加わる状況を考えますと、またその上空の混雑というものを考えましたときに、路線設定が完全に自由ということはあり得ないと私は思います。そして、そのためにはできるだけの空の交通整理を必要といたしますから、運輸省自身が努力をし、それぞれの要望に従えるための管制方式のより改善の努力を怠らないこと、あるいは着陸誘導システムについての工夫を加えること等さまざまなケースがありましょう。また、いわば一時的なダンピング競争によってせっかくダブルあるいはトリプルにした路線から他社を排除するような行為が他の路線の運賃の犠牲となって行われるようなことは避けなければなりません。そうなりますと、基本的に幾つかの部分については、運輸省としては認可あるいは規制の措置は持たなければなりませんけれども、それを越える、例えば割引運賃の設定でありますとか、そうした分野については、また非価格的な競争力、サービスといった面において私は航空企業の自由な創意というものは当然これから先一層生かされていくものだと思っております。
#9
○石田委員 競争原理を推し進めていくというのはいろいろな制約もあってなかなか難しい、こう思います。特に路線の設定については飛行場との関係、今大臣がおっしゃった空の過密化の問題もありましょうし、この切り口は必ずしも競争原理の一つの条件にはなりにくい、どれから羽田、成田その他の地方の飛行場の整備をしていかなければならない状況の中でございますから難しいと思います。
 そこで、一つの競争原理の切り口としては、今も触れられたわけでございますけれども、やはり運賃の問題ですね。どういうようなサービスをつけてそういった一つの商品を開発していくか。そこら辺が競争原理が働き得る問題ではないのかな、こういうふうに思うわけです。
 ただ、先ほども大臣が触れられましたように離島航路の問題、いわゆる公共性を重視しなければならない問題が片一方にあるわけですね。これは私の単なる一つの私見なんですけれども、どうしても赤字を覚悟でやらなければならない路線については、やはり公共サービスという点からむしろ運輸省がそれに対するはっきりした責任を持つ。その上で、片方においではいわゆる競争原理が働くようなシステムというものは考えられないのだろうか。いわゆる赤字路線を抱えながら運営をしていく、それも確かに一つの方法でございますし、運輸省当局から考えたらその方が指導も簡単なんだと思うのですね。しかしながら、そういった路線を一つの足かせにしておいたのでは経営主体というものが弱まってくるのではないのか。そこら辺のところが何かもう少し基準を設けて、そして競争原理が働く方向へリードをしていくべきではないのかな、そういう気がしておるわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
#10
○橋本国務大臣 国がこうした部分に対して手を差し伸べるとすれば、やはり税制を活用する手法が一つあろうと思います。現に通行税の減免の措置、あるいは普通着陸料の減免の措置、こうした措置を現在も実施をいたしております。私は、今後ともにこういうものは存続をされていくであろうと思いますし、また通行税自体を私どもは特殊の場合を除いてはぜいたく品ではなくなった航空機からは外してもらいたい、本年も大蔵省に対して要求をいたすつもりでおりますから、ここがまた変われば違った対応を当然考えていかなければならぬ部分があろうかと思います。
 ただ、その部分を越えていきました場合には、それぞれの地域を抱えます地方自治体にそれぞれの地域の住民のみずからの足を確保するという視点からの御努力をいただくことが本来の姿ではなかろうかと存じます。と申しますのは、それぞれの要件に相当な違いがございますし、必ずしもその対象になるものは離島だけではなかろうかという気持ちもございます。将来コミューター航空等が発達をいたしました場合、いわば他の交通機関においては陸上の僻地とされる部分を航空機輸送でつなぐといったケース、こうしたものを想定した場合には当然おのずから違った対応を考えなければならなくなるであろうと思います。そうしますと、例えば地方財政に対しては別途の裏打ちの有策を国は考慮をしながら、それぞれの地域における住民の足をみずからが確保するという視点からの地方自治体の財政措置といったものが検討されてしかるべきではなかろうかと思います。現在一つの例を手元で調べてみますと、例えば新潟県が新潟−佐渡線に対する欠損補助を現在実行しておられます。また、長崎県が二地点間の事業への出資と欠損の補助を自治体として計上しておられます。私は、こうしたそれぞれの地域における努力というものを基本において考えてまいるのが本筋ではなかろうか、それが今後の航空路の発展のためにもむしろ必要なことではなかろうか、そのように考えております。
#11
○石田委員 それではちょっと視点を変えてお伺いをするわけでございますが、この航空業界の自由化に伴って、一体それでは運輸省は今までどおりの規制あるいは方針、そういったものをそのまま貫くのか、そこにあるいは大きな変化が何か出てくるのか。確かに抽象的な言葉では民営化に伴う航空行政というものは変わってくるような印象は受けるんでございますけれども、今幾つかのそういう切り口のお話を申し上げたわけでございますけれども、その中からなかなかイメージが浮かび上がってこない。アメリカなどにおいてはかなり規制緩和が進んでいる、そんな話も承るわけでございますけれども、この航空業界の民営化、自由競争というような方向の中で運輸航空行政というものはどの角度でどのように変わってくるのか、どうもイメージがはっきりしてこないのですけれども、航空局長いかがですか。
#12
○山田(隆)政府委員 新しい航空政策におきまして、競争原理を導入していくということは基本になるわけでございますけれども、その際に具体的にどういうふうに変わっていくのかという御趣旨の御質問かと存じます。
 まず多少抽象的になるかと思いますが、また大臣の御答弁と重複する部分があるかと思いますが、私ども基本的に考えておりますのは、今後できるだけ企業の自主的な判断というものを尊重していきたいということが根底にございます。具体的な問題といたしましては、国内線につきましては従来は企業ごとに一定の事業分野を決めておったわけでございますけれども、そのような事業分野というものを取り払いまして、企業の能力があれば、あとは空港需要あるいは全体の需要等を見て複数社制といいますかダブルトラック化あるいはトリプルトラック化を認めていくということでございます。これまでの航空行政と変わった点といたしまして、そのような従来の事業分野にとらわれないで行政をやっていく、その際に航空行政といたしましては、一定の基準をできるだけ明確なものを出して、その基準の中でそれに沿って企業が自主的に判断をして事業展開等を行っていくことを認めたいというのが基本的な考え方でございまして、先ほど申し上げましたダブルトラック化、トリプルトラック化について申し上げますと、ダブルトラック化の場合には七十万人以上または主要空港間の場合には三十万人以上、それからトリプルトラック化の場合には百万人以上の需要のあるところに積極的にそれを推進していくという基準を出しまして、その基準のもとで、あとはできるだけ企業の自主的な判断に基づいてそういうことを実現していくということにしているわけでございます。
 それから、運賃の面に関しましても、できるだけ企業の自主的判断を尊重するということでございまして、これも具体的な今後の基準といたしましては、通達を出しまして、各種の割引運賃につきましては基準運賃から三五%の範囲内でのものはほぼ自由に認める。運賃の認可制自体は維持しますけれども、行政の運用といたしましては極力弾力的に運用していくというようなことを考えておるわけでございます。
#13
○石田委員 それでは、この自由化問題、特に日航の民営化の問題についてこういう議論が当然出てくるわけですね。日航は三十五年間国営企業として優先的に路線の確保や財政上の措置があったわけでございますので、かなり企業格差が出てきている。本年三月期の有価証券の報告書を見ますと、日航の営業収入が七千七百九十一億ですか、それに比較して全日空の営業収入が四千七百九十四億、東亜国内航空が千五百三十一億、日本アジア航空、日本貨物航空、その他を入れて全体で七千二百七十三億、日航一社の方がこの数字を上回っておるわけでございまして、日航の民営化後において各航空企業に対して競争原理を働かせようとしているわけでございますけれども、実際は力の格差というものがぬぐい去れないわけでございまして、その点を踏まえたいわゆる公平な競争原理、こういったものについて運輸省はどう考えていこうとしておられるのか、そこら辺を伺いたいと存じます。
#14
○山田(隆)政府委員 確かにおっしゃいますように、我が国の定期航空運送事業者の間にはかなりの格差があることは事実でございます。今後の航空政策の展開に当たりまして、私ども基本といたしますのは昨年の運輸政策審議会の答申に述べられた考え方でございまして、適正な競争の確保を図るということでございます。現在までいろいろな事情によりまして各企業間に格差がございますので、競争促進策を進めるに当たって、将来にわたっての実効ある競争を担保するためには、当分の間、行政運営に当たって企業間の体力格差に配慮をすることもやむを得ないという御答申の趣旨でございまして、このような考え方に基づきまして、競争を促進する場合にも企業間格差というものを十分念頭に置きながら行政運営を行っていきたいということでございます。
#15
○石田委員 具体的なことを述べるのはこの際かなり困難な問題だろうと思いますので、そういう方針については承りました。
 山地社長の方にお伺いをするわけでございますが、今の議論、やはり先発企業として今日の航空業界の発展を促進をしてきた、そういった今までの功績については私どもも高く評価をいたしておりますが、やはりこれから自由競争の時代ということになる。過去のそういった三十五年間にわたる国の助成等があっての大きな発展であった。そういう点を踏まえて、先発企業として日航が大きな財力を持ってどんどん競争のために相手を押しつぶしてもということになってくると、また混乱が生ずる。当然自由競争を促進しなければなりませんけれども、そこら辺との兼ね合いというものがかなり難しいと思うのですけれども、いわゆる先発企業の社長とされてどうお考えになるのか、承りたいと存じます。
#16
○山地参考人 公的な審議会である運輸政策審議会でそういった御見解があるわけでございますので、日本航空が今まで三十五年間国の手厚い補助のもとにここまでなりまして、企業間の格差ということをおっしゃられるわけですから、私どももそういうことは率直に認めざるを得ないわけでございますが、若干ブレークダウンしてこれを考えさしていただきますと、さっきおっしゃいました日本航空の七千億に上る収入は国際線と国内線に分かれておりまして、例えばそれを国内線に分解いたしますと、日本航空の国内線の売り上げは六十一年度千七百三十五億、それに対しまして全日空は四千五百二十四億の収入を上げておられるわけでございます。それから、羽田の非常にタイトな飛行場のスロットというものは、私どもは七十四でございます。これは成田の空港が開くときと全然変わっておりません。それに対して全日空さんの持っておられるスロットは、成田の開港時が百九十九でございましたけれども、今は二百二十六でございます。今羽田の発着枠というのは航空企業にとっては大変な財産価値があるわけでございますが、そういった羽田のスロットから考えても国内においては明らかに全日空さんが力がある、収入もある。
 これも実際上の話でございますけれども、ただいま名古屋−札幌線というものを私どももやらさしていただいておりますが、これは二便でございます。ところが、全日空さんは三便やっておられまして、夏場のシーズンになりますと八便の運航が可能なわけでございます。私どもは二便以上ふやすことができないような状況でやらさしていただいているというようなこともございます。国際線におきましては、私どもおかげさまで全世界にネットワークを持って強力な経営をさしていただいておりますけれども、国際線における私どものシェアというのは全体の旅客数の中で四〇%を切って三五、六%でございます。つまり、それだけ競争のもとに日本航空というのは国際線では戦っている。国内線というのはトリプルあるいはダブルトラックというようなことが時代の要請になるように、やはりかなり独占的な路線があった。そういうような路線構造の違いというものが、国内を主としてやっておられた全日空と日本航空の間では存在する。
 そこで、国際線の方にお入りになるということについては、審議会の答申の中で高需要路線、あるいは新規に獲得される路線、あるいは増便する場合、こういうようなことで他の航空企業が入る。私は、それはそれなりに結構なんでございますけれども、ただ、国際的な競争とそれから国内会社同士の競争というのにはかなり質的な差があるのじゃないか。この自由化政策が実施されて以後、我々も経験さしていただいたわけでございますが、全日空あるいはNCAそれぞれワシントンあるいはロサンゼルス、あるいは貨物ですとニューヨークあるいは香港、各地にいろいろの経験をさしていただいて、やはり外国他社との競争とあるいは国内会社同士の競争というのにはかなり違いがあるというふうに思います。
 それから、国内について、私どももローカル線に入れていただきまして、改めて全日空あるいは星TDAの力強さというものは、これは売り上げがどうしても伸びないという場合はやはりそれなりの営業力の差があるということは、率直に認めざるを得ないケースというのもございます。例えば鹿児島に私ども入らしていただく、あるいは小松に入らしていただいても、これは根強い力の差があろうかと思います。しかし、私どもといたしましても、それらに今後方をつけて対等に競争し、利用者の方々の利便の向上に尽くしていきたい、かように考えております。したがって、私は、企業間格差はあると思いますけれども、やはりケース・バイ・ケース、いろいろお考えいただかなければいけないんじゃないかなという気持ちを持っております。
#17
○石田委員 それに関連して、日航法はこれで廃止になるわけでございまして、今まで日航の関連事業というものは、やはりこういった国の投資が行われてきた会社としての関連事業の拡大というのは、それなりの制約があったわけでございますね。私は国鉄問題を今まで長い間やってきましたけれども、あれだけの赤字を抱えておった国鉄として、関連産業の開発によるいろいろな収益を求めていくというのは重要な施策の一つであるというふうに主張してきたわけでございますが、今回民営化されましたからかなりそういった制約がとれたわけでございます。この日航法の廃止に伴って、関連産業の開発という問題についてはどういうふうにお考えなのか。まず、運輸省から伺いましょう。
#18
○山田(隆)政府委員 現在の日航法では、おっしゃいましたように関連事業についての制約がございます。日本航空株式会社法によりまして、「会社の目的」として、「日本航空株式会社は、国際路線及び国内幹線における定期航空運送業並びにこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とする。」こういう枠をはめられておりまして、その関連事業というのは、本来の定期航空運送事業に附帯する事業に限られているということでございます。具体的には、日本航空の定款にその関連事業も含めた事業範囲を決めておるわけでございますが、日航法の「会社の目的」から来る制限があるわけでございます。
 ただ、今回この日航の完全民営化法案が成立し、日本航空が完全民営化される際には、定款も当然に変更されるものと考えておりまして、その際に従来のような日航法から来る制約はなくなるわけでございまして、全日空であるとかTDAであるとか他の航空会社と同等の立場に立って関連事業を行うことができるわけでございまして、当然現在の事業範囲より拡大されるものというふうに考えております。
#19
○石田委員 もう少し、完全民営化でございますからそういった意味で、関連産業を開発していくということに対する規制は一〇〇%なくなる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#20
○山田(隆)政府委員 法的には一〇〇%なくなるというふうに考えてよろしいかと思います。ただ、航空運送事業といいますのは公共事業でございますので、当然まず本来の公共事業に支障を及ぼすようなそういった関連事業というのは適当でないということで、本来の航空事業にプラスするような関連事業がなされるのが適当ではないか、かように考えております。
#21
○石田委員 同じ問題を山地社長に伺います。
#22
○山地参考人 ただいまの御質問でございますが、日本航空株式会社の定款というのがございまして、その定款によりますと、現在は、「(1)国際路線及び国内幹線における定期航空運送事業 (2)不定期航空運送事業及び航空機使用事業 (3)航空機整備事業 (4)前各号に附帯する損害保険代理業
 (5)第一号乃至第三号に附帯関連する事業」と、今航空局長の御答弁にございましたように、日本航空株式会社法の精神を酌みましてある程度限定をされているわけでございます。
 しかし、今後日本航空株式会社法が改正された場合には、私どもとしては、この定款の内容を変えさせていただく、むしろもう少し自由に、幅広い活動ができるようにしたいという気持ちはございます。それは来るべき株主総会で提案するということになる予定でございますが、その考え方といたしましては、私どもとしては、従来に増して事業領域を拡大して多角化を行いまして、当社に蓄積されたノーハウとかあるいは技術力、さらには人的な資源というものも大いに活用をして、普通の会社であったならばやるであろうような活動をさせていただきたいと思います。
 それで、中期計画におきましては、総合生活文化産業というものを私どもの会社の理念といいますか事業領域に定めまして、リゾート開発あるいはホテル、生活文化事業、情報産業、高度技術、エンジニアリング等の分野への関連産業の展開を計画したいと考えておるわけでございます。もちろん、中核は航空機輸送事業であるということは、これは変わることはない、こういうふうに思っております。
#23
○石田委員 それでは、もう少し航空行政一般の問題に戻りまして質問を続けさせていただきたいと思います。
 コミューターの問題がかなり話題に上っておるわけでございます。運輸省としても、来年度の概算要求の中にこれに関する予算要求をされたと聞いておりますが、その規模、それから、どの程度の箇所を着工されようとしておるのか、そこら辺の御報告をまずお願いします。
#24
○山田(隆)政府委員 コミューター航空に対する予算措置といたしましては、現在、六十三年度概算要求に向けて運輸省部内で検討中でございます。
 コミューターにつきましては、本年四月に航空審議会に地域航空輸送問題小委員会というものを設けまして、この小委員会でコミューター問題に関する種々の御議論をいただいておるわけでございまして、小型航空機による地域航空輸送のあり方とかこれに伴う空港整備のあり方等について調査検討していただいて、その推進方策を取りまとめていただきたいというふうに申し上げておるわけでございます。
 その中で今後の助成のあり方というものも当然方向が示されると思いますけれども、私どもといたしましては基本的に、こういう審議会の考え方も踏まえまして来年度の予算要求を考えていきたいと思うわけでございますが、さしあたり現在、検討段階で申し上げますと、コミューター空港の整備につきましては、新しい公共事業の方策であるNTT株の売却益を活用した助成制度というものを来年度の予算要求において検討しておるところでございます。これは、御承知のように、六十二年度補正予算におきましてヘリポートの整備について同趣旨の助成制度を設けたところでございますが、同じようなことをコミューター空港につきましても考えていきたいということでございまして、箇所数、規模についてはまだ確定しておりませんので、申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
#25
○石田委員 大臣に伺いますが、コミューター空港の展望について、全国に百四十カ所ぐらいという議論も一方においてあるわけですが、それらの数字的な問題については、航空局長の立場からは今言うことは不可能であろう、こういうふうに思うのでございますが、大臣、将来を展望されまして、コミューター航空の需要というものは相当大きいものとお考えでございますか。今ある人に聞けば、百四十カ所ぐらい計画をすべきだ、そういうようなことを聞いたこともあるわけでございまして、全国で百四十カ所となると、四十七都道府県でございますから相当な数になりますね。そういった状況を踏まえて、それらの展望についてどんなお考えをお持ちでしょうか。
#26
○橋本国務大臣 これは私、全く素人でありまして、何とも判断がつきません。ただ私は、従来言われております滑走距離の短い、固定翼の機体に限ってコミューターというものを考えました場合には、言われるほど細かい航空網が引かれるほどの航空需要が、鉄道あるいは道路の状況等々考え合わせました場合に伸びていくとは私は必ずしも自信を持って申し上げられる状況にはないと思います。むしろ、ヘリコプターまでを含めて考えさせていただいた場合には、日本の小型航空機による輸送というものはまだまだ相当大きな需要があると私は思いますし、これは本当に百何十カ所も必要になるかもしらぬと思いますけれども、固定翼の小型機による特定地域間輸送にコミューターというものを限定して考えました場合には、必ずしもそれほど大きなものにはならないのではなかろうか。それは、我が国の地形、気象条件等々をあわせて考えた場合にそんな感じを持っております。
#27
○石田委員 大臣は厚生大臣もやられたわけでございますから、ヘリによります救急医療の問題、これはかなり今拡大されつつある。また、山間僻地という状況を考えますと、自動車あるいは汽車等ではとても間に合わないということで、この要望は高まっておるわけでございますが、これは、こういったコミューターの飛行場をこれから設置するについて、今の御答弁を伺いますと、ヘリを含めた考え方というようなことの方がより機能的であろうというようなお考えでございますけれども、ここら辺は厚生省とこれからお打ち合わせをする、救急医療との絡みも考慮するというような方向で行くべきものなのかどうか、そこら辺のお考えは何かございましょうか。
#28
○橋本国務大臣 これは今、あくまでも私個人の意見を申し上げたわけでありまして、運輸省としての考え方でないことは御理解をいただきたいと思います。
 ただ、今の委員のような御意見を伸ばしてまいりました場合には私はもう一つ考えておきたいことがございます。
 それは、防災活動に対する航空機の利用という視点でありまして、こうした視点を考えました場合にも、私は、実は固定翼による定点輸送というものよりもヘリコプターによる輸送の伸びの方がなお一層大きいのではなかろうかという気持ちを持っております。ただ、ヘリポートの整備につきまして運輸省としては踏み切ったばかりでありまして、現在またそれぞれの自治体の要望も必ずしも固まっておりません。そうした状況の中で、私は、恐らく近い将来において、そうした意味では、例えば消防庁あるいは警察庁そうして厚生省等々と意見を交わしながら運輸省航空局としてヘリポートの整備をしていく、あるいはコミューター空港の整備をしていく時期が参ろうか、そのおうに感じております。
#29
○石田委員 さらにコミューターに関してお伺いをするわけでございますが、これは、今お話がございました固定翼によります飛行機、そういうものが概念としては浮かんでくるわけでございますが、いずれにしても滑走路の短いものが考えられなければならないわけでございますけれども、このように来年度の概算要求等にもそれは出てくる。ような状況ということを考えますと、ここ三、四年の間に急速にこの問題が進展をしてくるのではないかという感じがしてなりません。そういう際に、例えば航空機の機種は一体どんなものが考えられるのかなという気がしてならないわけでございますが、ここら辺について何かお考えがあれば承りたいと思います。
#30
○山田(隆)政府委員 コミューターの航空機の機種でございますけれども、コミューター航空という場合にいろいろな定義の仕方があるかと存じます。非常に広い意味で言いますと小型航空機による輸送ということで、先ほど大臣からも申し上げましたようにヘリコプター等も入るかと存じますけれども、現在私どもが予算要求との関連で今後予想されるようなコミューターの機種を申し上げますと、コミューター空港の規模としては、滑走路が大体八百メートルから千メートル程度のものを整備していくことを考えていこうと思っておるわけでございますけれども、これらの空港に就航できる航空機であって、双発のターボプロップ機、そして旅客が十五人乗り程度以上のものを挙げるといたしますと、まず現在我が国で就航しておりますものとしてデハビランド式DHC−6型、ドルニエ式228型、ブリテンノーマン式BN−2型、ノーマッド式N24型等がございます。また、そのほか世界の諸国で就航しておるものといたしましては、デハビランド式DHC−7型及びDHC−8型、アエロスパシアル・アエリタリア式ATR−42−200型等が考えられようかと思います。
#31
○石田委員 科学技術庁の方にお伺いをするわけでございますが、例の「飛鳥」の問題ですけれども、この開発見通し、これはどんな状況になっておりましょうか。
#32
○青江説明員 お答え申し上げます。
 御指摘のファンジェットのSTOL機の開発ということでございますけれども、この開発は五十二年から科学技術庁の航空宇宙技術研究所におきまして手がけておるわけでございますけれども、五十二年から、それまでの基礎的な研究の成果を踏まえまして今御指摘の「飛鳥」の設計に着手をいたしまして、以降関連の要素技術の開発でございますとか搭載用のエンジン、機体等の開発、製作といったものを進めまして、六十年の十月に初飛行に成功してございます。以降六十一年度から三カ年計画で、すなわち来年度の末までという予定をもちまして現在飛行実験を続けている最中というところでございます。今後でございますけれども、「飛鳥」の開発と申しますのはまさにエンジンからすべてにわたりまして日本人の手で手がけた、仕上げたというものでございまして、この開発経験は極めて貴重ということで、そのデータ等を今後に向けて有効に活用していくということが大変重要というふうに認識をしてございまして、今後それらのデータの整備、データベース化そしてそれの補完的な解析的な研究といったふうに今後取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
#33
○石田委員 ちょっとほかの視点になりますが、このように航空産業の発展と同時にこういったコミューター航空の展望が開けてきているわけでございますが、その中に欠かすことのできないものはやはり操縦士のいわゆる養成という問題だと思うのですね。いろいろ伺ってみると、この操縦士の養成というのはそう簡単なものではないということを伺っておるわけでございまして、コミューター航空の展望を考えてみますと、かなりテンポは速いんじゃないのかなというふうにも思います。操縦士が求められるというようなことになろうと思いますので、そういう時代を踏まえて操縦士の養成の問題、現状はどうなっているのか、将来どう考えているのか、その辺の御答弁をちょうだいをいたしたいと思います。
#34
○中村(資)政府委員 お答えいたします。
 今のお話は二つに分けてお答えをしなければならないのかと思いますが、一つは定期航空運送事業で実際に働いております乗員の今後の養成計画がどうなるか、こういうお話だと思います。
 操縦士につきましては、このところ定年退職者の増加がかなり見込まれております。また六十一年六月の運政審の答申を受けました後、航空企業間の競争促進が図られるということで、必要とされる乗員数も徐々に増加をしてきておる、将来見込みといたしまして増加が見込まれておるところでございます。一方、操縦士の養成でございますが、公共輸送機関の安全の確保及び健全な発展のため、こういうことで私ども昭和二十九年から航空大学校によりまして国みずからその養成を行ってきておるところでございまして、今後とも定期航空会社の主力となる操縦要員につきましては航空大学校において養成を行いたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 しかし、今申し上げましたように、需要の増大には当然対処していかなければならないというふうに考えておりまして、各航空会社によります自社養成というものが当然これから図られるようになってくるであろう。これは各航空会社で操縦要員といたしまして新規に採用いたしました職員を自社の養成施設で養成をしていく、こういうやり方でございます。それからさらには、従来も行っておったわけでございますが、自衛隊の操縦士からの採用、いわゆる割愛と言っておりますが、これにつきましてもその確保を図るためには必要であるということで、現在も防衛庁との間で話し合いを進めているところでございまして、こういう全般的な需要見通しを踏まえて今後の対応を考えてまいりたいというふうに思っております。
 それから、二点目のコミューターの関係の要員、乗員関係の需給関係はどうなるであろうか、こういうお話でございましたが、一般的にはコミューター関係は非常に何年もかかって機長になるというわけではございませんで、比較的短期間にその乗員が養成できるということもございます。それと現在航空大学校では、ヘリコプターでございますけれども、年間十名程度の要員の養成もあわせて行っておるわけでございまして、それと諸外国で乗員の関係の技能証明を取ってこられる方もこのところふえてきておりますので、そういうことを根拠にしてこれから養成を図ってまいることになるかと思いますが、いずれにいたしましても、このコミューター関係の乗員養成につきましては現在航空局の中で地域問題に関する検討会を開いておりますので、その中で今後の詰めを行ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#35
○石田委員 大分時間がなくなってしまいましたので、ちょっと個別的な問題で伺っていきたいと思います。
 その一つは、航空需要の拡大に伴いまして飛行場の問題、これは運輸大臣に伺いたいのでございますが、多分に自衛隊との共有の飛行場、空港、そういったものがあるわけでございますけれども、千歳あたりは滑走路を別にしてというような方向できているようでございます。私も地方を回っておりますと、自衛隊が同じ滑走路を共有しているということについては、多分に需要の拡大の阻害になっている。それはそれなりの自衛隊の責務があるわけでございますから、別にそれを非難するわけではありませんが、やはりこれは運輸省としては自衛隊との調整を図りつつ、滑走路程度は別にしていくということになりますれば、その空港の需要の拡大にも大きく貢献できるのではないか、そういうような方針はお持ちでないのかなというふうに思っているのですが、いかがなものでしょうか。
#36
○山田(隆)政府委員 現在自衛隊と民間空港と共用している空港につきましては、まず民間空港に自衛隊が利用しておりますのが九空港ございます。この中には例えば名古屋であるとかあるいは福岡であるとか、こういう空港がございます。また自衛隊の空港に民間機が乗り入れている空港が五空港ございます。
 このような共用飛行場につきましては、一般論としては私ども民間の航空機とそれから自衛隊の航空機とは分離されることが好ましいと存じますけれども、我が国の狭隘な国土事情から飛行場の適地が求めがたいということ、それから今申し上げましたように、それぞれの共用飛行場におきます現在の離発着回数から見ますとなおまだ余裕がある、こういったようなことから、やむを得ないのではないかと考えております。
 ただお話にございました千歳空港につきましては、現在の自衛隊の飛行場の東側に新たに民間専用の空港の整備を進めることにしておりまして、近く供用開始が予定されるところでございます。
#37
○石田委員 将来ともにそういう方向にいきますか、その他の地方の空港について。
#38
○山田(隆)政府委員 それは結局ケース・バイ・ケースになると思いますけれども、当該空港に余力があるかどうか、今後の航空需要がどれくらい見込まれるかというようなことによって決定していきたいと考えております。
#39
○石田委員 それでは日航の方にお伺いをするわけでございますが、日航の民営化の問題で各紙はそれぞれ社説でこの問題を取り上げておるわけでございますが、そのいろんな論点を絞ってみますと、いわゆる中期計画の問題、これが果たして計画どおりいくのかどうかということに対する不安感、それからもう一つは、やはり労働組合との関係、その信頼関係、それが非常に大事である。この二つが際立って大きな問題として取り上げられているわけですね。中期計画を拝見いたしましても、確かに素人的に見ても、こういう計画では少し厳しいなという感じがしているわけでございます。それに対する自信のほどはいかがかということ。
 それからもう一つは、国鉄改革を見ますと、組合の要求は当初民営化反対というようなことが大きな反対運動の軸であったと思うのですね。しかし時代の流れとともに民営化やむなしかというような空気も労働組合の中では生まれてきて、それを推進する組合も出てきた。そういう中から組合としては雇用の確保を第一義的に考えなければならない、職場の確保というものを考えなければならない、そういうところに焦点が当たってきて、そして推進側の組合がだんだんふえてきた、こういうことであろうと思うのです。そしてまた、実際民営化になってみて、ここら辺の労使関係というものはかなり共通の意識を持って、軌道に乗ってきたような感じもするわけでございます。そういった点におきまして、従業員との、組合関係と申しますかこれとの信頼をどうこれから確立していくのか、ここら辺が一番焦点ではないのかなというふうに私は思います。私、今運輸委員をやっている関係もありまして、この法案の質疑に当たりましていろいろな方がいろいろな書類をたくさん送ってこられるわけなんですけれども、それを子細に拝見しておりますとかなり厳しい対立関係にあるなということを思わざるを得ない。全部が全部そうだとはもちろん申し上げませんけれども、部外者がそれを拝見しておって、真相というものは両方から聞いてみなければなかなかわからないことですから、どこにどういう問題点があってということまではよくわかりませんけれども、いずれにしてもこの信頼関係を確保しない限りにおいては民営化の軌道というものは成長してこないのじゃないか、こういう気がしてならないわけです。この二つの問題について社長の方からお答えをいただきたい。
#40
○山地参考人 中期計画と労使関係ということであったかと思うのでございますが、中期計画の実現を危ぶむ御批判がある、それから中期計画が出たときも、非常に抽象的で具体性に欠ける、こういう話であったわけですが、私どもの中期計画で割と明確であったのは路便計画、それから機材計画、これはかなり具体的に書いてあるわけでございます。この計画自体が、路線計画にしても随分欲深な計画じゃないかという御批判も片やあるわけでございます。もちろん、路線というものは政府の方の御裁定を仰ぎながら充実させていかざるを得ないと思うわけでございますけれども、私どもが路線の増便についてかなり書いてございますのは、外国の会社が非常に拡張的な路便計画をお出しになっているものでございますから、私どももどうしてもそれにフォローしてシェアを確保しなければいけないという事情がございます。しかし、政府の方の御判断あるいは情勢の変化等で路便をそういうふうにふやす必要がない場合には、またそれなりの対応をしながら収益の増強に当たらざるを得ないというふうに考えております。
 それから、抽象的であったのは、これも再三御説明しておりますとおり組合といろいろ話をしながら理解を深めつつ実施しなければならない事項というのは我が社には大変多うございまして、その点については年次ごとに各組合の理解を得る努力をするという方が現実的であるという事情のためにかなり抽象的になったわけでございます。
 しからば、組合との関係は今後どうなんだということでございますが、組合関係がこれだけ難しい状態で推移してきたというのはそれなりの歴史があったと思いますけれども、やはり特殊法人ということの経営をやっていた、経営の自主性が欠けていた、もう少し言えば当事者能力も若干欠けていたかもしれないというようなことと無縁であるとは思えないわけでございまして、民営化後は率直に組合に経営の状況について理解を求めますし、組合の方々の御要求についても真剣に耳を傾けていくつもりでございますので、私は、民営化後の日本航空というのは労使関係について改善するであろうということを期待しておるものでございます。
#41
○石田委員 労使関係の問題については言葉の上でどういうふうに言ってみたところでこれまたどうしようもないわけで、これは過去のしがらみももちろんありましょうけれども、いずれにしても、働く人々が張り合いを持って、そして日航という会社を育てていこうという決意に立たなければ私は大きな前進はないというふうに思います。ひとつ全力を挙げて組合との信頼関係の回復のために御努力を願いたいということを御要望を申し上げておく次第でございます。
 次に、警察庁の方にお伺いをするわけでございますが、日航のジャンボ機墜落事故調査について新聞記事によりますと、群馬県に特捜本部ができて日航本社あるいは運輸省等への強制捜査が行われようとしているというふうに報道されておるわけでございます。アメリカのボーイング社に対するいろいろな調査も当然必要になってくると思うのでございますけれども、一つ問題点としまして、運輸省あるいはアメリカのボーイング社に対する捜査がどのような形で行われていくのかなというふうに思います。この点についてのお答えをいただきたいと同時にまた、群馬県の県警本部としてかなりの人数を動員してこれに当たられておるようでございますが、この事故はそもそも航空技術の問題が非常に深くかかわっておるわけでございますので、失礼な言い方かもしれませんけれども、捜査に当たられる方々はそういった科学技術に関して、特に航空技術に関しては素人の方が多かろうと想像をするわけでございまして、警察庁として支援体制をかなりしっかり組まないと難しいのじゃないか、こういうことも考えておるわけでございますが、最初にその二点を伺っておきたいと思います。
#42
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 本件事故事件発生以来、群馬県警察本部といたしましては特別捜査本部を設置いたしまして、かつ専従捜査体制で臨みまして、今日まで鋭意捜査をしてきたところでございます。関係者の事情聴取あるいは必要箇所の捜索等を既に行ったところでございますが、さきに運輸省航空事故調査委員会から鑑定結果をいただいておりますので、そういう専門的な意見を踏まえまして刑事責任の追及に向けまして今後所要の捜査をしてまいりたいと思っております。何分にも現在捜査中の事件でございますので、今後どのように展開するかということにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、御質問の中のボーイング社に関する捜査をどうするのかということでございますが、この事故が五十三年の大阪空港におけるいわゆるしりもち事故に起因する、そのときの修理をボーイング社がやったということでございますので、警察といたしましても、ボーイング社につきましては重大な関心を持って捜査をしておるところでございます。ボーイング社関係者からの事情聴取など米国に対する捜査共助依頼等につきましては、現在検討いたしておるところでございます。しかし、何をもちましてもまず当面は国内における捜査を徹底していきたいというふうに考えております。それから、群馬県警の捜査体制でございますが、中核となっておりますのは五十名の専従捜査員でございまして、これらは専門的知識を有する者あるいは語学に堪能な者、こういう者を選抜して指名いたしておりまして、群馬県警では最も強力な捜査体制を組んでおるところでございます。しかし、いずれにいたしましても大変高度の技術的、専門的な知識を持たなければならないという事件でございますので、警察庁におきましても、この種事件の捜査指導を任務といたします特殊事件捜査指導官、あるいは鑑識指導を行います特殊事件鑑識指導官、さらには専門的、技術的助言を行います科学警察研究所係官、これらを機会あるごとに群馬県警に派遣をいたしておりまして、その捜査指導に当たらせますとともに、この種事件の捜査要領や過去の捜査教訓等々につきましていろいろ捜査上の参考に供させていただいておるところでございまして、群馬県警と緊密な連絡をとってやっておるところでございます。
#43
○石田委員 本格的な捜査が開始されたばかりでございますからそれ以上のことを申し上げるのは難しいかと思うのですが、いずれにいたしましても、こういう事故の刑事責任というものが、あれだけの人命が損なわれたわけでございますので、大変大きな問題であろうと思いますね。
 ただ、私たちが国民の立場から見て、一つの捜査の結論がもう五年も十年もかかるというようなことではこれは非常に納得できない。しかしそういった技術的な問題の研究、あるいはそういった調査等にもかなりの時間を要する問題でございましょうから、もちろんいつまでというようなことは言い得るわけはありませんけれども、そういった気持ちを、遺族の方はもちろんのこと、また国民ひとしく、なるべく早い機会に結論を得ていただきたいものだ、こういうふうに考えているところなんですね。そこら辺に対する決意のほどをひとつお述べいただきたいと思います。
#44
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 先生御案内のとおりただいま捜査中でございまして、かつ、今後どのくらい日数がかかるかということは今後の捜査の展開いかんにかかわることでございますので、現時点で具体的にその日数を申し上げられないのが実情でございます。
 ただ、先生お示しのとおり難しい事件でございますので、綿密かつ慎重に捜査をいたさなければなりませんが、できるだけ迅速に捜査をしてまいりたいというふうに考えております。
#45
○石田委員 運輸省の方にお伺いをするわけでございますが、この日航ジャンボ機の事故以後、そういった安全問題に対する監督機能の強化というものをしてこられたわけでございますけれども、現時点において特に際立ったそういうような監督機能の強化、そういったものは今も何か考えておられますか。
#46
○中村(資)政府委員 六十一年度の予算で四名の整備審査官をお認めいただいたわけでございまして、それらの職員を活用いたしまして、安全性の強化に向けてエアラインとの定例会議その他を通じまして今頑張っておるところでございます。それと今回、七月二十四日だったと思いますが、航空事故調査委員会から提出をされました勧告、建議あるいは所見というものに対する対応策をまとめて、私どもの方から事故調査委員会の方にこういうことでやりますということを通報したところでございまして、その指針に従って今後鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 なお、今後もボーイング社あるいはアメリカの連邦航空局の関係で安全をさらに高めるためのいろいろな施策が出てまいるかと存じますけれども、これらにつきましても私ども連絡を強化いたしまして、鋭意努力を重ねてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#47
○石田委員 あと十分ばかりありますので、航空運賃に関して御質問を申し上げたいと思うのでございます。
 今話題になっております輸入航空券の問題です。
 外国へ安く旅行する工夫の一つとして輸入航空券の利用法がある。香港やソウルなどで航空券を購入して日本に送ってもらい、安い料金で日米、日欧を往復できる方法が利用者の人気を集めておった。しかしこれは、輸入航空券は航空法違反であるというようなことで、日本航空を初め二十七社の航空会社が搭乗お断りというようなことで締め出しをしておられるわけでございます。ある新聞の社説によりますと、そういうようなことは、締め出しというのは筋が違うのじゃないか。現にそういうような、これは円高問題にも絡んでおるわけでございますが、さまざまな形で運賃に対する各社の対応というようなものが現在でも格差がある方法で売られておるわけですから、その一環としてはこういうものが存在すること自体そういうシステムがとり得るんではないかというような反発もあるように思うのでございますが、この問題についてどういうようなお考えがございましょうか、運輸省に伺います。
#48
○山田(隆)政府委員 ただいまお話しございました輸入航空券の問題につきましては、私ども、運賃というものが現在それぞれ発地国建ての通貨に基づいて決められているということからいいますと、法律の規定からいって適正でないというふうに考えておりまして、航空会社がそのような航空券を所持して利用したいというお客様に対しまして搭乗を拒否するということは、これはやむを得ないというふうに考えております。ただ、基本的な問題といたしまして、私ども運賃につきましては、本委員会においても再々申し上げておりますように、現在、為替レートの変動、とりわけ急激な円高の進行によりまして日本発の運賃が相対的に割高になっているという事情がございます。このような事情が長期に継続するということは決して好ましいことではないということで方向別格差のために種々の努力を払ってまいったところでございますし、今後もそのような方向で努力をしたいというふうに考えております。
#49
○石田委員 その問題で為替相場の変動がございますから一概に言えないのかもしれませんけれども、変動の幅というものを見ながら、何%か変動があったときには航空運賃の見直しを考えるとかあるいは半年なり一年なりの期間を置いて考えるとか何らかの基準があってしかるべきではないのか。どうも外国へ行く場合の日航の運賃が他の国々の航空会社に比較してかなり高目であるという批判が現にあるわけですね。そこら辺に対してどういうような対応の原則をしいておられるのか、その点についても御答弁をいただきたいと思います。
#50
○山田(隆)政府委員 ただいまも申し上げましたように、国際運賃というものが基本的にはそれぞれの発地国におきまして発地国通貨建てで決められるという現状から申し上げますと、為替レートの変更に伴いまして日本発の運賃、それから外国発の運賃を現行為替レートで換算した運賃との間で開きが出る、外国発の方が相対的に安くなるという方向別格差を生じるのはやむを得ないというふうに考えております。この方向別格差の是正の措置といたしましては、運輸省といたしましては昨年も七月、十月及び十二月において日米、日欧、日豪等の路線におきまして方向別格差縮小のための措置を講じてきたところでございますし、さらに本年におきましても、七月十五日から日米路線につきましては日本発の往復運賃を七・四%下げたところでございます。また、本年十月実施を目途に日欧路線につきましては、個人旅客が、バックキャビンといいまして、従来の団体席でございますが、こういった席を利用して安くできる制度の導入等について検討しておるところでございます。先生お話ございましたように、何%開いたら是正するという基準を一概に設けるということは非常に難しいと思います。方向別格差の是正といたしましては、通貨の強い国の方の引き下げとあわせて、場合によっては通貨の弱い国の引き上げという手段によって行われる場合もあるわけでございまして、相手国もございますし、できるだけそのような状況を改善する方向で私どもとしては努力を今後とも続けたいということでございます。
#51
○石田委員 これで私の質問時間は終わりでございますので、これ以上の質問を申し上げないわけでございますが、いずれにいたしましても、私は航空業界としては日航の民営化に伴って新しい時代を迎えた、こう思わざるを得ません。また、これから科学技術の進展ということも、超電導の問題等が今大きくクローズアップされておるわけでございますが、いずれにいたしましても、科学技術の進展ということが考えられるわけでございます。そういうことに伴いますと、やはり高速化の問題も出てくるでございましょうし、いろいろな問題が出てくると思います。運輸省としましても、あるいは日航といたしましても、それらの新しい技術開発をすると同時に、どうかひとつ安全性の問題をより重視して、そして国民の期待にこたえていただきたい、このことを御要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#52
○鹿野委員長 河村勝君。
#53
○河村委員 まず、山地参考人にお尋ねをいたします。これから民営になれば、よほどのことがなければもう国会にお呼びすることもないでしょうから、この際、これからの新生日本航空の運営にかかわることが多いので、あなたに質問することが多いと思いますので、お聞きをいただきたいと思います。
 まず伺いたいのは、おたくでおつくりになった六十二年から六十五年度までの中期計画というのを読みました。しかし、これは先日この委員会であなたがはしなくもおっしゃったように、路線計画、機材計画だけであって、だけとは言いませんけれども、ほとんどそれが主たる部分であって、本当に新しく民営日本航空としてスタートして、これから何をやろうかという意欲の感じられるものが中身にないという印象を強く受けました。特に、一昨年あれだけの大事故を起こした後であるにもかかわらず、安全対策について具体性のあるものは何もないし、かつ、これから国の政策変更、航空政策の変更に伴って激烈な競争時代に入る。したがって、そこでは生産性の向上というのが非常に大きな要素にならなければならない。これについても断片的にちょこちょこあるけれども、一体どうしようかということがうかがわれないのですが、一体どういうつもりでこの中期計画をおつくりになったのか、一体本当にこれからどうしようかという計画をおつくりになる気がないのか、その辺のところはどういう考えでおられるのか、それをお尋ねをします。
#54
○山地参考人 今の中期計画の中に、冒頭の部分でございますけれども、「絶対安全を維持・推進するための施策の充実」というような表現を行っておりますけれども、その他の部分において安全の確保ということについて章を設けたりあるいはページ数を割くということが少ないというようなことについての御質問かとまずは思うのでございますが、私どもの中期計画をつくる前から、事故を起こして、かつ、運輸省の方からいろいろ御指導をいただき、私どもも全社を挙げて事故の再発を防止するという諸般の施策を実施中でございまして、したがって、それを再掲しないということがまずその当時の事情として御理解を賜りたいと思うのでございます。
 ただ、それじゃその実施中あるいは実施することに今後なるであろうというものはどんなことがあるのかということでございますけれども、それは整備の関係で申し上げますと、747のSRというのをこの期間中に五機更新をするとか、あるいは整備の人員の安定的な採用を再開するとか、あるのは747のセクション四十一の検査を実施するとか、あるいは点検ハンガーの建設をする、あるいは重整備のハンガーを建設する等、私どもの既に実施というようなことで織り込み済みのことについては再掲を避けた。その表現としては大変難しいのでございますけれども、我が社を挙げて事故後の対策を実施していた。これは私どもの会社が始まって以来、量的にも多いし質的にも非常に高い安全対策というものを実施しておりましたものでございますから、この中期の中で改めてそれを取り上げてなかったということでございます。
 それから、路線計画それから機材計画ということについて非常に重点があったのは事実でございますけれども、これはやはり収入面でどれくらいの収入を確保できるのかということは私どもの計画を立てる上に大変重要なことでございまして、過去の中期計画あるいは五カ年計画等においても中核はそれであったわけでございます。
 ただ、御指摘のとおり、これからの厳しい競争を勝ち抜いていくためにはどうしても生産性の向上をするということが必要であるわけでございまして、それらについては、抽象的ではございますけれども、私どもとしては項目としては相当のものを掲げてございまして、例えば地上職の間接の削減とかあるいは委託化の推進とか支店業務の一部委託化、あるいは運航乗務員の編成等勤務条件の見直しや外部乗員の導入、それから客室乗務員の編成の見直し、外国人乗務員の拡大等々、項目としては私どもはできるだけ挙げてあるわけでございます。
 それじゃ、なぜそれが抽象的かということでございますが、これは毎度御説明しておりますとおり、各年次計画において組合とよくお話をして、理解を求めながら実施していくというのが現実的であろうという判断をその時点でしたわけでございます。したがって、それらのものについて既に交渉に入ったりあるいは説明に入ったりしているものもるるあるわけでございまして、今後そういった実績を踏まえながら、かつ、路線についても運輸省等のお考えあるいは客観情勢の変化等に応じながら、この中期計画を毎年見直して実際的なものにつくり上げていきたい、かように考えております。
#55
○河村委員 それでは、あと具体的に逐次お尋ねをいたします。
 安全の問題について、運輸大臣、今回の事故調査委員会の報告についてでありますが、大部のものでありますけれども、私はあれを通読して、要点だけは読みました。ところがこの報告というのは、一番おかしいなと思うのは、事故発生と直接かかわりのある部分については表現が極めてあいまいであるということなんですね。例を挙げますと、大抵責任はないという表現になっているのです。ところがそれは一貫性がない。ボーイング社に委託をしたことは妥当である、それから、日航とボーイング社の合意した修理の全体計画はほぼ妥当である。事故調査委員会でほぼ妥当なんていう表現は、私は適切だとは思いません。
 特に一番矛盾が甚しいのは、五十三年の大阪空港におけるしりもち事故で発生した後部圧力隔壁の亀裂を修復した部分のその後の点検ですね。これについて、特別な点検箇所に指定しないで一般的な目視検査によったことは、同型機の運航においてこの部分に危険な亀裂等のふぐあいが発見されたことがないからそうしたのであろう、だから妥当な点検方法であると考える、こう言っているんですね。しかし、これの表現もおかしなもので、同型機の運航においてこの部分に危険な亀裂等のふぐあいが発見されたことはないかもしれないけれども、同時にそこに亀裂が生じてそれを接合して使っておったという例もないのですから、一般的な例じゃないんですよね。それにもかかわらずわざわざそう書いて、それで妥当な点検方法であると考えられる。しかし、それではやはりちょっとぐあいが悪いと思ったらしくて、しかしながら十分とは言えない点があったと考えられる。妥当だ、だけど十分ではなかった。それで、一転して勧告の部分になりますと、今度は一般論にしてしまって、特定の部位を指定して検査することも考えるべきである。何言っているんだかわからないんですよね。妥当な方法だ、だけど不十分であったかもしれない、だからこれからは特定な部位を定めて検討することも考えなければならないというような勧告をする。
 私は、こうした慎重になり過ぎた事情がわからないこともないけれども、しかし運輸省としては、この問題についてはこうしたあいまいな表現にはとらわれないで、事故責任とは別に事故防止対策というものを考えなければならないですね。だから、この妥当であるとか適切であるということにとらわれないで、事実関係だけは詳細に並べて記述してありますから、それをもとにして今後事故防止対策というものを確立するように全力を挙げるべきであると私は考えるのですが、運輸大臣は、これをお読みになり、かつ対策を考えるに当たってどうお考えになっていますか。
#56
○橋本国務大臣 委員は、事故調の報告につきましてさまざまな御批判をなされました。私は、この報告書を運輸大臣として非常に真剣に受けとめております。そして、いずれの言葉をもってしても、現実に起きた事故、その結果失われた人命というものを否定することはできません。その限りにおきまして、通常では本当に考えられないような、みずからが考えみずからが決めた修理の方式を、それとは違った修理の仕方をしたというような、考えられないような事柄が現実にあったということも否定はできません。そうした事実を踏まえた上で、私はこの報告書を厳粛にちょうだいをいたしました。
 ただ、技術的な問題点につきましては私はよくわかりませんので、技術部長の方から、その結果として現在対応いたしました内容についての説明をさせたいと思います。
#57
○河村委員 対応した結果は、資料をもらっていますからもう答弁は要りません。だけれども、私はあれだけで十分だとは思っていませんので、その点も後で触れますが、事故責任があるかないかということと事故防止対策とは別ですから、くれぐれもそういう観点からこれからの安全対策は考えてほしい、それを要望しておきます。
 しかしそれにしても、私は随分納得のいかないところがあるのですね。私は、事故が起こった直後に、後部圧力隔壁の壊れた部分の修理した写真をもらいました。見て、何でこんな不細工な修繕の仕方をやってそのまま使ったのだろうということに根本的な疑問を持ちまして、今度の事故の責任はここにあるに相違ない、この委員会の席でもすぐ後で、原因はここであろうということを申したのです。第一に疑問なのは、日本航空があれを修理する際に、なぜ下半分を取りかえるというようなこそくなことをしたのか。圧力隔壁全体を取りかえておれば何でもないことなんで、そう大した金のかかることでもないし、一体、なぜそれがまず第一に頭に浮かばなかったかということに非常に疑問を持っているのですが、なぜこういうことをやったのでしょうか。
#58
○山地参考人 私も技術屋ではございませんから詳しいことはわかりませんけれども、バルクヘッドというのはそもそも二つの部分を継ぎ合わせてつくってあるというのが、一体の、丸くなっているバルクヘッドであるわけですね。したがって、製造時からその継ぎ目があるわけです。その継ぎ目を利用して修理するということでございますので、私どもの技術員の方では妥当な修理方法であるというふうに考えております。ただ、その設計をいたしますのは修理を委託されましたボーイング社でございまして、ボーイング社が製造会社としてそういった選択をしたということであると思います。
#59
○河村委員 その辺がどうもよくわからないんで、ボーイング社でつくったんだからボーイング社に任せようと、一体これからそれだけで済ませていっていいものだろうか。私も、二つを継ぎ合わせたものだというのは今初めて聞いたのですけれども、しかし、それはリべットで継ぎ合わせたなんというものじゃないのでしょう。それは完全に溶接するなり圧接するなり、そうしたものじゃないのですか。どうなんです。
#60
○十時参考人 お答えいたします。
 プレッシャー・バルクヘッドの下半分を継ぎ合わせる場合に、既存の穴、すなわち既に取り外した部分の穴が残っておりまして、その部分を利用いたしまして下半分のプレッシャー・バルクヘッドに穴をあけまして、それで接合いたしております。それで、修理ミスが起こった部分と申しますのは、その穴をつないでいった場合に、エッジマージン、すなわち機材のへりとリベットの穴との距離が十分でない部分がございまして、その部分につきましてスプライス・プレートといいます継ぎ板を入れた部分がございます。それによって起こったわけでございます。その継ぎ板の入れ方がまずかったわけでございます。
#61
○河村委員 それならば、間に継ぎ板を当ててリベットを打つ。それを、二列のリベットで打つというボーイング社との相談の上でつくった修理計画があったわけですね。それが、一列のリベットでしか打たれていなかったということですね。それは、立ち会ったときでも事後の引き渡しの際の確認のときでも、リベットが一列で打たれたか二列で打たれたかというのは見ればわかる話でしょう。それがどうしてわからないで引き取ったのか、それも私は非常に疑問に思っているのですが、どうなんですか。
#62
○十時参考人 お答えいたします。
 リベットは全部二列に打たれておりました。すなわち、外から見ました限りにおきましてはリベットの列の数は正常であります。それで、一列しか通っていなかったという部分は、先ほど申し上げました継ぎ板、これを切断しておったために、継ぎ板としましては一列しか通っていないということになります。すなわち、繰り返しますけれども、外観から見ましたリベットの数は正常でありました。
 以上であります。
#63
○河村委員 なるほど。事故調査委員会の報告を読んでいてもそこまでははっきりしていないのです。
 それともう一つ、今後のこととして伺っておきたいのですが、目視点検ということです。これはむしろ運輸省に伺った方がいいのだろうと思うのですが、目視点検というのは、今度の事故調査委員会でも建議の方では「目視点検による亀裂の発見に関し検討すること。」「目視点検によってどの程度の亀裂を発見できるかについては、現在十分な資料がない状態である。」こう書いてあるのですね。そんな心細いものをこれまでずっとやってきたのでしょうか。一体、目視ということ自体私は非常に疑問を持っております。私は航空機のことは余り知りません。しかし、鉄道のレールにしても、レールの亀裂や何かを発見するには磁気探傷器とかその他の器材を使って内部にできた亀裂の発見をやっております。航空機のような先端技術を要するところで目視だけでもって材質疲労の度合いを点検しようというのは、どうも私には信じられないのですが、一体なぜこんなことが行われて今ごろ点検しなければならないのか。また、これからどうしよう。というのか。これは、運輸省の方に伺いましょうか。
#64
○中村(資)政府委員 なかなか御説明の難しいところかと思いますが、実は後部圧力隔壁と申しますのは製造前の段階で設計をいたしますときに……
#65
○河村委員 ちょっと待ってください。そういうことを言われると困るので、一般的に、目視点検というものを材質疲労あるいは亀裂を発見するのに今後ずっと使っていくのか、一体どうするのか、そういうことで、具体的なことを……。
#66
○中村(資)政府委員 目視点検というのは非常に重要な航空機の検査項目、検査方式の一つでございまして、今後も大いに使っていかざるを得ない方法の一つであるというふうに考えております。
 これは、今そこのお話に到達をしようかと思ったのですが、亀裂はかなり進行の速度が遅いものであるということが設計の時点で確認をされておるわけでございますので、そういう遅い亀裂、例えばこの場合ですと、後部圧力隔壁でございますと四十数センチになってもまだ圧力隔壁は正常な状態でもつ、亀裂が起こってももっというような設計になっておるという前提がございまして、そういう前提でいきますと、目視で十分発見できる。今回の場合はたまたまリベットの穴の周りに非常に多数の小さな亀裂が発生をいたしまして、それが一気に破壊につながったということで、そういうことまでは設計の段階で想定をされてなかったということが一番の原因ではないかというふうに思っております。
#67
○河村委員 私が聞いているのはそんなことじゃなくて、では一体今後も目視だけでやっていくのか、磁気とか電波とか、そういうものを使った点検というのは考えてないのか、それを聞いているので、長々と言いわけを聞きたくはありません。
#68
○中村(資)政府委員 今回の事故を契機にいたしまして、使用時間の長いものにつきましては非破壊検査法を各種の方式で採用してまいりたいというふうに思っております。
#69
○河村委員 どうも何か心細いことで、運輸大臣、これは本質的な検査体制の問題なんですね。ただ目で見るというのは、それをこれからもお使いになるのは結構だけれども、それだけに頼っておるというのはどう考えても心細いので、ぜひ検討してほしいと思います。
 そればかり伺っておりますとほかのことを質問できなくなりますから、とにかく事故というのは、私も陸上の方では随分自分自身が経験がありまして、決して同じところで同じ種類の事故というのは起きないもので、必ず予測しないところに事故が起きるのです。ですから、これは日本航空におかれてもそういうつもりで安全対策というのをもう一遍この辺で見直しをして、この事故だけにとらわれないで対策を考えてほしいと要望しておきます。
 次に、生産性向上についてでありますけれども、今日本航空としては同業他社に比べて、これは給与と見合うことでありますが、生産性において、給与において他社とのバランスをどう考えておりますか。
#70
○山地参考人 大変広範のお話だと思うのでございますけれども、地上職、あるいは運航乗務員あるいは整備あるいは客乗、いろいろな社員がいるわけでございますが、私どもの社員はそれぞれの部署において生産性を向上させつつあるというふうに考えております。
#71
○河村委員 先日のこの委員会で乗務員の生産性の問題に関連をして、運輸省航空局長でしたか、答弁された。ユナイテッド航空と日航と比較して、日米間の同じ機種の例をとって、ユナイテッド航空では三人でやっておるけれども日本航空は五人乗せているんだというお話がありましたが、現実にそういう格差があるのか、あれば、いかなる事情によってそういうことが起きているのか。
#72
○山田(隆)政府委員 どういう乗員編成を行うかということはそれぞれの航空企業が労務条件を念頭に置いてお決めになることではないかと思います。現実に日米間の路線につきましてユナイテッド航空の場合と日本航空の場合とでは編成数には差があるというふうに私ども承知しておりまして、今手元に詳細な資料を持っておりませんけれども、成田−ニューヨークに関しましては、日本航空が現実に六人のコックピット運航乗務員を乗せておりますが、それに対しましてユナイテッド航空は四人という例がございます。ほかの路線につきましても航空会社によって差があるということでございます。
#73
○河村委員 日本航空としては、本質的には生産性の差ということになるわけですが、一体これだけの差があることについてどう考えておりますか。
#74
○山地参考人 運航乗務員に関していえば、いろいろの路線において私どもの会社と他の会社の乗務員の差はございます。ただ、これは長年の歴史の中でつくられてきたものでございますので、私どもの中期計画に書いてございますように、運航乗務員の編成数についてもいろいろと話を積み重ねることによって妥当なものに直していくということを考えております。既にナンディとかシドニー等につきましては、ある種の改革について経営側の案を組合側に提示して話を進めておるところでございます。
#75
○河村委員 妥当な線にというのは、六人と四人だったらどっちが妥当だと思っているのですか。
#76
○山地参考人 今航空局長の御答弁のありましたように、それぞれの会社、いろいろなポリシーがあろうかと思います。それから路線の構成もかなり違っていると思うのです。アメリカの会社というのはほとんどが国内線でございまして、その一割が国外に出る、こういう路線構成が大部分でございます。日本航空の場合には大部分が国際線でございまして、国内線はほとんど短いところしかない、そういう会社であるわけです。それからカンタスというような会社は国際線だけしかやっておりませんけれども、恐らく路線構成というのは日本航空とはかなり違いがあるわけでございまして、そういった各社の路線構成等も編成数については考えていかなければならない要素になるわけでございまして、その他いろいろと運航乗務員の勤務条件については組合とよく話をしながら詰めていきたい、かように考えております。
#77
○河村委員 路線構成云々というお話だけれども、今の比較というのは同じ日米間の航路の比較だから、それは余り理由にならないと思いますが、労使関係のことがあるのでしょうから、余り的確な答弁ができないのもわからぬことはないのですけれども、意欲だけは持ってもらわないと困るので……。
 もう一つ、ボーイング747の400という航空機が最近採用されて、アメリカでも国内でも使われているという話でありますが、これは運輸省どういう状況になっているのですか。
#78
○中村(資)政府委員 ボーイング747−400でございますが、米国のボーイング社が現在開発をしている航空機でございまして、当該機は操縦士及び副操縦士の二名で運航される予定と聞いております。この航空機の製造国政府によります型式証明の審査は現在進行中でございまして、完了いたしますのは六十三年末ごろというふうに聞いております。
#79
○河村委員 そうすると、またこれは実際には使われていないのですか。
#80
○中村(資)政府委員 そのとおりでございます。
#81
○河村委員 そうすると、これは二人乗務で賄われる仕組み、構造になっているというように聞いておりますが、それは事実ですか。
#82
○中村(資)政府委員 設計上はそういうことになっております。
#83
○河村委員 まだ採用段階になっていないというのであれば、それはこれ以上お尋ねするのはやめておきます。
 それから、中期計画の中の「人件費効率化」の中に「外国人乗務員の拡大、」というのがあるのですが、「人件費効率化」の中にこれが書いてあるのはどういうわけで、何を考えておられるのか伺いたい。
#84
○山地参考人 私どもの会社で外国人の乗務員を使っておりますのは南米線、それから中国人が乗っておりますのが香港線あるいはアメリカ線でございまして、これは言語サービスとかあるいは機内サービス全般にわたって外国からのお客様に対しては非常にサービスになると思うわけでございます。今後こういった外国人乗員をヨーロッパ線においてはイギリス人、ドイツ人を雇いまして、日本からそれぞれの、ロンドンとかバリの大きな飛行場に着きまして、それから支線に行った場合にはそういう方々が乗るというようなことを考えておるわけでございます。
#85
○河村委員 計画はわかりましたが、それが人件費の効率化になるというのはどういうところにあるのですか。
#86
○山地参考人 人件費単価の問題が一つブラジルあるいは中国等においてはあろうかと思いますが、その他日本から例えばヨーロッパへ行きまして、ヨーロッパのほかの町へ同じようなスチュワーデスが行くというのに比べますと、現地の方がそこからそれぞれのヨーロッパ内を乗務するという方が経費的に安くなるというようなことでございます。
#87
○河村委員 そういう雇い入れの市場というか仕組みというものができ上がっているわけですか。一人一人探してきて雇う、通常の雇用関係でそういうふうにやることになっているのですか。
#88
○山地参考人 これはそれぞれの基地におきまして通常の採用をし、雇用契約を結ぶということでございます。
#89
○河村委員 わかりました。この生産性の問題については、これから一番真剣に考えてもらわなければならぬことだと思います。しかし微妙な問題もあるようですから、この席ではこれ以上お尋ねをしませんが、発足でありますから、精力的に、困難を排除して取り組んでほしいということだけを申し上げておきましょう。
 きのうの質問の中で、円高差益がなぜ還元できないかということで、収入支出それぞれ三〇%ずつドル建てになっておるから、だから差し引き相殺されてゼロになるんだ、こういうお話でしたね。そうすると、二つ問題があると思うのですが、これは営業損益で見た話ですか。例えば機体の購入費なども含めて支出の三〇%、収入の三〇%ということになっているのですか。
#90
○山地参考人 営業損益でございます。
#91
○河村委員 ですから、この間の答弁はうそがあるのです。営業損益の収入支出だけで相殺されてゼロになっても、航空機のような大きなものを買う場合には、円高は当然プラスになっているはずなんです。それと原油安、これも当然これとは別にあるはずですね。ですから、五十九年、二百四円レートで運賃その他が計算されてから後、今日まで二年間、六十年、六十一年、円高差益と原油安差益、これは一体どのくらいになるのですか。
#92
○山地参考人 先ほどの営業損益ということで御批判賜ったわけでございますけれども、営業外損益の中に金利とかその他があるわけでございます。そういったことは恐らく、航空機の購入代金につきましては金利、保険料その他のことが起こると思いますけれども、当初の円高を受ける当該機というのは、私どもの航空機の総額の中では、その年度については大した金額ではございません。したがって、営業損益が円高を受けるかどうかの大宗を占めるというふうに私は思うわけでございます。
 それから、円高の一部には原油の購入代金が為替でセーブできたものがあるわけでございますけれども、原油の問題については原油そのものが値下がりしたというようなことで私どもとしては利益を受けているというのがございまして、原油の場合には、円高差益及び燃料安の両方を合わせまして、六十年対比で七百六十一億という数字がございます。その七百六十一億のうちの円高差益による影響というのは百六十三億。したがって、この百六十三億というのは、私どもの営業費用と営業収益の中の営業費用に百六十三億は入っているとお考えいただいていいと思います。
#93
○河村委員 そうすると、差し引き五百億は原油安によるメリットがあるということですね。
#94
○山地参考人 そのとおりでございます。
#95
○河村委員 運輸省の方は、運賃改定を考える場合に当然こういうものは要素の中に入れてあるんだろうと思いますが、それはどう考えておるのですか。
#96
○山田(隆)政府委員 運輸省といたしましては、運賃改定の際に諸経費の中でコストが下がるものがあればそれは当然要素に勘案いたします。同時にまたコストが上昇したものについても勘案していくということでございます。
#97
○河村委員 それでは次の問題として、この中期計画の中で「事業領域の拡大」ということをうたっておりますね。航空事業そのものはそう大きな利益を生むものではないから、当然事業領域を拡大するのは結構であります。ただ、今回の法改正に当たって、いろいろなところからいろいろな情報が入ってきました。中には信ずべからざるものもあれば、これはおかしいなと思うものも随分ありました。それを一々申し上げることはやめますが、その中で一、二、せっかく事業領域を拡大してもそれがマイナスに働いたのでは何にもならないので、これまでやっておる中でHSSTの問題についてちょっと伺います。
 これは運輸省に伺いたいと思いますが、運輸省は、日本航空で開発されてきた、リニアモーターカーと言っていいのか磁気浮上式鉄道と言ったらいいのかよくわかりませんが、これは方式は違うようだけれども国鉄とダブってやっていましたね、これを日本航空に継続してやらせるつもりでいるのですか、何かこれに対する方針を明らかにしたことがありますか。
#98
○熊代政府委員 お答えいたします。
 先生御承知のように、旧国鉄がいわゆるマグレブと言われております超電導反発式の高速鉄道の開発をやっております。ただ、これはそのほかに、今御指摘の日本航空で手がけてまいりましたHSST、これは常電導の吸引式で、時速三百キロメートルぐらいを目標としたものでございます。四十九年ごろからこういう新しい方式の鉄道の開発――運輸省としましては、旧国鉄のやっておりました主として長距離の都市間に対する磁気浮上方式の鉄道の開発、同時にHSST、EMLというのもあったわけですけれども、三百キロぐらいで都市の通勤あるいは都市近郊との間の領域、さらには空港等へのアクセスといったような分野においてこういう新しい鉄道技術の開発がそれなりに有用であるということで、運輸技術審議会でそれを開発する場合の技術的な、どういうことをやったらいいかということの建議をいただいたこともございまして、マグレブと通称されております旧国鉄の方式のほかに、HSSTについてはそれなりの有用性があるということで、そういう方針で臨んでおります。ただ、御承知のように民間の開発ということで進められておりまして、基本的にはその民間の技術開発を経済性あるいは需要との関係等で、運輸省としてはそれを見守るという対応をしてまいった次第でございます。
#99
○河村委員 見守るというのは恐ろしく無責任なやり方ですね。これだけの大きな開発プロジェクトを一つの企業でやろうというのはそもそも無理でしょう。方式は違うといったって、現実に国鉄でやっているものが既に実用化の段階に入ってきて、そんなに長距離でなくても、例えば千歳−札幌とかなんとかいうところにどうかという話まで出てきているときに、こういう二重に開発を民間企業にやらせておくというのは非常なロスであろうと思うのだけれども、運輸大臣どう思いますか。
#100
○橋本国務大臣 私は一般的に申しまして、それぞれの企業がそれぞれの目標を持ち、独自の技術開発に取り組むことがいかぬとは思いません。
#101
○河村委員 そうすると、大臣は結構だと言っているのだけれども、日本航空はこれからも開発を進めていくつもりですか。
#102
○山地参考人 五十二年のときにいろいろ政府の方のお話もございまして、特殊法人である日本航空が持つのはふさわしくないということでHSST会社というのをつくったわけでございます。ただ、HSST会社は私どもの技術陣が行っておりまして、私どもの方の技術的支えがなければ恐らく経営ができないだろうと思います。私どもの技術を派遣しているゆえんは、やはりHSSTというのは航空技術に関連がある、つまり技術者としてHSSTの実用化の過程で技術的な修練を得る、技術的なノーハウを得るという目的があるから私どもが出しているわけでございまして、今は林という社長がHSST会社を経営しているわけでございます。
#103
○河村委員 現在会社は成り立っているのですか。
#104
○山地参考人 実用化をこれからしようということで、実用化ができますとそれなりの収益が上がってくるということでございます。
#105
○河村委員 どうも私には非常な難物を抱えているようにしか思えないのですね。現実にこの会社が、既存のノーハウは多少生かせるのかもしれないけれども、これから先開発を続けるだけの費用を日本航空が持たない限りこの小さな会社ができるはずはないと私は思うのです。
 そうすると、そういうお金をこれからも日本航空は投資していくつもりなんですか。
#106
○山地参考人 HSST会社ができた際に、私どもとしては経済的援助は一切行わないということを契約に盛り込んでございます。
#107
○河村委員 経済的援助は行わないと言って日航の社員を派遣してやっておれば、それは即経済的援助でしょう。人件費というのは一番大きいのですから、通常の経済援助以上でしょう。
 それに私の聞くところによれば、会社が融資を受ける、日にちはいつだかわかりませんが、六十億の融資を受ける際に日航の山地社長がそれに対して一札を入れておるというようなことがありますが、それは事実ですか。
#108
○山地参考人 HSSTが融資を受けるときに念書というものを出しまして、協力念書ということでございますが、これは先ほど触れました私どもとHSSTの間の契約にある条項に従ってHSST会社の今後については私どもも協力しますと書いてある。つまり経済的な協力は一切しないと明確に書いてあるわけです。人員の派遣は行う。人員の派遣を行うのは日本航空の技術的な水準を高めるため、つまり日本航空のために出しているというふうな整理にしているわけでございます。
#109
○河村委員 これ以上伺っている時間がありませんけれども、これからなお開発を進めていくとすれば非常に大きな投資が必要だし、現実に片方で実用化されている方式が出てくれば、それは結局むだに終わるのでしょう。ですから私はこの種の子会社――実情子会社ですよね、こういうものを何とか清算する時期に来ているのではないかと思うのですが、そういうことは考えていないのですか。
#110
○山地参考人 今現実に融資が行われようとしているわけでございます。ということは実際にプロジェクトがあるということでございまして、そのプロジェクトができますと、HSST会社としてはその事業の、HSSTの実用化ということが本格的に進む、今そういう新しい段階を迎えているということでございまして、今私どもの人員の派遣を取りやめるというようなことは考えておりません。
#111
○河村委員 自信があっておやりになることなら、これは民間会社になるのですから我々がとやかく言うことではありませんけれども、実際にプロジェクトがあるといって、今この会社が持っているノーハウをそのまま使ってすぐでき上がるという段階に私はないのではないかという気がしているのですが、自信があるというなら、これ以上私は申す筋合いではありませんので、今後の課題として見守っていきたいと思います。
 関連会社の中で幾つかの話題がありますが、その中で私も一番これは少し非常識だなと思ったのは、日航開発の問題の中で、ニューヨークのエセックスホテルの買収、昭和六十年十一月ですね。このときの買い上げた単価の高い安いというのはこれは水かけ論ですから言っても仕方がないと思いますけれども、そのためにその買い入れ価格の八〇%を融資に頼って、その融資の際の利率が年利一二%であるというふうに報道されておりますが、これは事実ですか。
#112
○山地参考人 報道に近い数字でございまして、当時のアメリカにおける長期プライムレートというのは一〇%を超えていたかと思いますが、そういった場合の融資というのは長期プライムレートの上に二%ぐらいを上積みするのが通常の例でございます。
#113
○河村委員 ところが、これはあなたの方でお調べになったかどうか、当然調べてなければならないのですけれども、ちょうどこの昭和六十年というのはアメリカの金利がどんどん下がりつつある時期だったわけですね。ですから私の知るところによれば、この買収したのが十一月ですけれども、この年、六十年の一月のプライムレートが一〇・五、五月が一〇、六月が九・五、どんどん下がりつつある時期ですね。もう翌年の三月になれば九%、それから八%と下がっていく時期でしょう。ですから、こういうプライムレートが下がっている時期に一二%というのはどう考えても非常識じゃないかと思いますが、そうはお考えになりませんか。
#114
○山地参考人 その時期というのは為替が円安から円高に移りつつある時期とちょうどオーバーラップしている時期だと思うのでございますけれども、今御指摘のとおり十一月ごろは一一・二五%というのが長期プライムレートだったというふうに記録には出ているわけでございまして、アメリカにおける金利高、しかも私どものホテルはアメリカにあるわけでありまして、アメリカからの収入を賄うという意味ではアメリカの融資を受ける方が合理性があるということで、したがって先ほど御説明したとおり長期プライムレートの上に二%乗っけるというのが通常の商慣習であるという点からはやむを得なかったんだろうと思います。
#115
○河村委員 間違ったとは口が裂けても言えないのでしょうけれども、もう一遍よくお調べになった方がいいので、しかしやるとき、このぐらい大きなものを決定するときには子会社の仕事であっても日本航空自体が関与をされているんでしょう、どういうやり方でやっているのですか。
#116
○山地参考人 これだけのプロジェクトをするときに、私どもの役員とそれから日航開発の役員とが合同役員会というものをつくりまして密接な連絡をしたわけであります。合同役員会をつくったこと自体についてもいろいろと御批判があるわけでございますけれども、そこで計画を練ったものをそれぞれの役員会つまり日本航空は日本航空の役員会、日航開発は日航開発の役員会で当然かけなければならないものはかけながらこれの実現を図ってきたということでございます。
#117
○河村委員 これだけの高い金利を払って買って、このホテルの今日までの営業成績はどうなっておりますか。
#118
○山地参考人 税引き前の数字で、ドルでございますけれども、一九八五年で百五十四万ドル、それから八六年で千百九十二万ドルの赤字でございます。
#119
○河村委員 ホテルのことですから最初二、三年赤字であってもそれは構わないのですけれども、しかしホテル経営の常識からいうと、一二%の利率でお金を借りて買ってやるというのは、私はどう考えても常識的でないと思う。仮に当時のアメリカのプライムレートとそう大きな差がなかったにせよ、営業そのものを考えたら、ホテルの経営ということを考えたら、私はそんな高い金利で買うべきものではなかったはずだと思うのですよね。これも成り立つか成り立たぬか、これからの勝負ですから、今ここで言っても始まりませんけれども、私は今までそうした経営的な判断についてやはり甘さがあったのじゃないかということを強く懸念をしております。ですから、これからはぜひとももうちょっとシビアな感覚で物を考えてほしい、それを特に強調してお願いをしておきます。
 時間がなくなってしまいましたので伺う余地がなくなってきましたが、一つだけ、前々から問題になっているドルの先物予約のことでありますが、六十一年、六十二年でこれによる差損は幾らになっていますか。
#120
○長岡参考人 お答えいたします。
 六十一年度に関しましては予約をとりました先物の総額は三億ドル弱でございまして、これを仮にとらなかったと仮定した場合の差額はほぼ百億円でございます。
#121
○河村委員 これは予約の予定価格は、八六年から九〇年までは百九十一円から百九十五円、九一年から九三年までは百八十四円から百八十六円、こういうように聞いておりますが、十年間ぐらいは大体こんな見当で予約をしてあるわけですか。
#122
○山地参考人 これも既に報道をされた数字でございますけれども、六十一年度が百九十五円でございまして、最終の七十一年度が百五十五円、その間逐次下がっております。
#123
○河村委員 しかし、これは百五十円台で五年間推移しただけでも一千億以上の差損になりますね。これは今さらどうにもならないのですかね。これはどうやって処理するつもりですか。
#124
○山地参考人 私どものドルバランスで一番大きいのは機体の購入でございまして、それが長期的にどうしても対ドルでは私どもが赤字があるので、どうやってそれをヘッジするかということでこれは始めたわけでございますが、そういったような事情も踏まえまして機体の償却費としてこれを処理するということでございますので、例えば今の百億というのは十年間で各年度に十億ずつぐらい、もしこのまま推移すると仮定した場合でございますけれども、十億ぐらいずつ乗っけていく、初年度は約三億ぐらいでございます。
#125
○河村委員 時間が来ましたので、中途ですけれどもこれでやめます。いろいろあなたの方にも言い分があるでしょうけれども、我々の目から見ると、やはり経営感覚の甘さというのはすべてにつきまとっているように思います。ひとつこれから新しい発足に当たって、社を挙げてもう一遍出直すつもりでシビアにやってほしい。それを申し上げて、これで終わりにします。
#126
○鹿野委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十一分開議
#127
○鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中路雅弘君。
#128
○中路委員 日航ジャンボ機墜落事故から二年になりまして、先日もテレビを見ていたのですが、五百二十名という航空史上例のない犠牲者を出したわけですが、テレビの画面でも、二度とこんな惨事を繰り返さないように万全の対策をという遺族の声もありますし、これは国民の共通の願いだと思います。改めて今問われているのは、空の安全の責任を負う航空行政ではないかと思うのです。
 最初に、前回七月二十八日の私の質問、終わりの方が時間切れになったものですから、御答弁について一言言いたかったのですが、その問題から入ります。
 前回の私の質問に対して運輸省航空局の技術部長だったですか、日航の死亡事故率について私がATAの統計で取り上げました。そうしましたら、御答弁の中でICAOの方の例を挙げて、それよりも日航は死亡率が低いという答弁をされたのですが、私は、完全民営化を前にして日航の事故体質や安全軽視の姿勢、これが改めて問われているという問題に関連して質問をしたわけです。そして主要な航空会社の比較ということになれば、ICAOの場合は後進国も入っていますけれども、これは明らかに日航の方が死亡事故率も高いわけですから、一例として挙げて、こうした問題について航空安全行政に携わる運輸省として一層の監督、また指導が必要ではないかという趣旨で御質問したわけですね。私の資料が間違っていれば反論されてもいいのですけれども、別の資料で低いんだ低いんだという方を強調されるような答弁の姿勢では少し困るなと思ったものですから、改めて私は、安全の立場から運輸省の責任の問題の質問をしているのであって、それについて一言最初にお答えいただきたいと思うのです。
#129
○中村(資)政府委員 お答えいたします。
 七月二十八日の回答につきましては、事故率の数値そのものについてのお尋ねというふうな理解をしておりまして、手元にあった資料を世界の航空会社の比較資料ということで数値をお話ししたわけでございます。大変失礼をいたしたわけでございます。しかし、御指摘のとおり、事故率そのものにつきましては、基礎となるデータの種類だとかあるいは対象となる期間あるいは事故の定義なんかによりましてもさまざまな数値が出てくるわけでございます。
 しかしながら、日本航空で近年事故が多発していたということにつきましては全く事実でございますので、その原因は機材のふぐあいだとかあるいは基本的事項を遵守しなかった乗員個人の不注意によるものなどさまざまでございますけれども、運輸省といたしましては、同社に対し、同種事故の再発防止を徹底するために業務改善勧告あるいは運航整備体制の充実強化に関する指示などを行ってまいったわけでございます。運輸省といたしましては、今後さらに日本航空に対しまして、機材の整備点検の徹底だとか定期訓練等の種々の教育訓練の場において、乗員の安全性に対する意識の高揚を図るとか、全社一丸となって安全対策を実施をし、安全運航を確保することにより利用者の信頼を得るように指導してまいる所存でございます。
#130
○中路委員 私、きょうは航空安全の確保と労使関係の問題に関連して御質問したいと思うわけですが、航空安全の確保にとって健全な労使関係が必要であるということは当然であると思います。また航空輸送事業における航空安全確保のためには、労働組合の方からのいろいろな提言やそういうものに十分耳を傾けていくということですね。組合の別による差別があってはならないわけです。そういう意味で、組合がある意味ではまたチェック機能も持つ必要があると考えますが、航空安全との関連でいわゆる健全な労使関係ということが非常に重要な要素になっているということについて、最初に大臣から一言御見解を聞きたいと思います。
#131
○山田(隆)政府委員 運輸省として、航空の問題につきまして安全が何よりも基本であるということを深く認識しております。そしてその際、航空企業における労使の問題につきましても、それが安全問題に関係する場合があるかというふうにも承知しております。
    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
 私どもとしては、労使のそういった正常な関係というものがひいては安全の向上にも資するということで、そういう点常々指導しておるところでございますし、それから、ただいま先生おっしゃいましたような、労働組合としてのチェック機能という面にもその意義を認めるところでございまして、これは単に労働組合だけではございませんけれども、広く関係者から安全問題につきましていろいろ批判があれば、そういうものを十分留意して安全問題に取り組んでいくべきである、かように考えております。
#132
○中路委員 今の御答弁でも労働組合のチェック機能の意義を認めておられるわけですが、今、日本航空の最大の労働組合は全日本航空労働組合、いわゆる全労と言われている組合ですが、日本航空と全労の間で三六協定を結んでおられますが、この全労の中には、大部分が地上職だと思います、一部の客室が入っておりますけれども、乗員の職種の職員はほとんど入っていないと思いますが、最初組合の構成についてお聞きしたい。
#133
○山地参考人 おっしゃいますとおり、乗員の人は全労の方には入っておりません。
#134
○中路委員 三六協定は乗員の勤務条件まで規定するわけですし、労使協定は企業の過半数の職員を占める労働組合と決定することができるわけですけれども、しかし、本当に安全第一と考えるならば乗員との話し合い、先ほども、組合がまたチェック機能も持つ意義にも触れられましたけれども、直接乗員との話し合いなしで乗員の勤務条件をいろいろ決めていくということにはやはり問題があるのではないか。そういう意味で、せめて三六協定を乗務関係の職種に限ってでも乗員とよく話し合って、新たな協定をつくるような努力をすべきではないかと考えるわけですが、いかがですか。
#135
○山地参考人 いわゆる三六協定というものでございますけれども、労働基準法に基づく協定でございますが、場所的観念によって決定された事業所ごとに、それぞれの事業所で今先生のおっしゃいますように、過半数を組織する組合がある場合は当該組合と協定できるというのが法の要請であるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
 一方、各職種の労働条件については、それぞれの職種を組織している組合、乗員組合の場合には乗員組合でございますが、そこと取り決めを行っておるわけでございまして、運航乗務員の勤務につきましては、乗員組合との間に運航乗員の勤務に関する協定、いわゆる勤務協定を締結いたしましてこれを適用しておりますが、今申し上げました三六協定によって、この勤務協定を凌駕して勤務させるということはございません。
 それから先生がおっしゃいました乗員組合との間でいろいろ議論を積み重ねなければいけないんじゃないかということでございますが、運航乗務員に係る時間外の労働につきましては、乗員組合との間で取り決めるべく、三六協定と同内容のものを持った労働協約としての時間外労働に関する協定案を従来から提案しておりまして、再三にわたり協議の申し入れを行っておりますけれども、まだ乗員組合の理解を得るところには至っておりません。
#136
○中路委員 これから若干、主として日航の出席されている皆さんにお聞きをしていきたいわけですが、昭和六十一年二月に日航をやめた大島利徳氏について、全労の役職、どういう役職を経験したのか、現在どのような会社の役員になっておられるのか、ちょっと経歴について一言お聞きしたい。
#137
○山地参考人 大島氏は昭和四十二年四月に日本航空に入社いたしまして、昭和四十八年七月から昭和六十年六月までの間、全日本航空労働組合の専従でございました。昭和六十一年の二月末付で日本航空を依願退職をいたしまして、現在は旅行代理店でございますユニオンインターナショナル株式会社の専務をしておられます。
#138
○中路委員 全労の副委員長もやり、ずっと専従だったわけですが、この大島氏が日航をやめるときはどういう役職でやめられましたか。
#139
○山地参考人 記録によりますと、六十年の六月一日に管理職に昇格をいたしまして、そのときに形式退職をいたしておりますけれども、六十一年の二月二十八日に実際上の退職をいたしております。
#140
○中路委員 今お話しのように管理職までなっているわけですが、組合の専従の間ずっと毎年成績最優秀の五号俸ずつ昇格していっておるわけですね、会社の業務には携わっていないわけですけれども。そして今お話しのように管理職になっているわけですが、標準の昇給なら当然難しいことであります。こういう昇給ですね。いわゆる組合専従をやって、しかも日航の職員の平均昇進に比べてもはるかに高い異例なことがやられているわけですが、こうした成績最優秀の昇進が組合専従の間、毎年行われているというのは会社にどういう貢献があったわけですか。
#141
○山地参考人 組合との労働協約に専従者の復職後の取り扱いという規定がございまして、専従期間中は不利益をこうむらないものというふうなことを内容としたものでございます。専従というのは、私どもの経営の方からいたしましても、組合の専従に人を出すということは組合を私どもとしてはよきパートナーとして認めていくゆえんでございまして、その組合に行った方々について不利益をこうむらないようにするということはやはりしかるべき理由があるものというふうに考えております。
#142
○中路委員 平均の昇給というのでなくてもう毎年最高の、最優秀成績の昇給を続けてきたという点では本当に異例な昇格をしているわけです。
 そこでお聞きをしますけれども、これは一般紙等も一部書いていますけれども、ツルマークの使用問題です。マスコミでも問題になっていますが、日本航空としてこの問題の事実経過についてどのように認識されていますか。
#143
○山地参考人 お尋ねの件はAGS通商の羽根布団の問題であろうかと思いますが、まず、ツルマークつきの羽根布団が販売された経緯でございますけれども、昭和五十八年の十二月から六十年の三月にかけまして、立川株式会社ほかが製造いたしました羽根布団を空港グランドサービスの子会社でございますAGS通商が販売元となりまして、アップル社を総代理店として、アップル社より委託を受けた数社が販売をいたしたということでございます。
 AGS通商は当該布団の販売一枚につきまして千円のコミッションをアップル社より受け取る契約を締結し、アップル社はその契約に基づきましてAGS通商に対しコミッションを支払っていたわけでございまして、羽根布団の包装カバーにツルマークとともに「発売元・日本航空グループ、AGS通商」と表示をいたしておりまして、羽根布団にこのマークがついておるために日本航空がそもそも売っておるというような印象を与えたわけでございますが、その当時は、日本航空の関連会社がツルマークを使うということについては何ら規定がなかったようでございますが、このような事態にかんがみまして販売の中止を申し入れたというふうに記録でなっております。
#144
○中路委員 今おっしゃったように、アップル社のツルマークの使用の問題ですけれども、このAGS通商から日航の関連事業部にツルマークの使用について八三年の八月に使用申し入れが行われていますが、これはだれが認可をしたわけですか。
#145
○山地参考人 先ほど御説明いたしましたように、ツルマークの使用につきましては当時は手続上しかるべき規定がございませんで、そういったお話はございましたけれども、それを許可とか認可とかそういったような関係は起こらなかった。ただ、そういう話はお聞きしたという程度だそうでございます。
#146
○中路委員 さっき使用料千円とおっしゃいましたけれども、これはこうした使用料もかかわる問題なんですね。全然規定がないというのも大変不思議なことなんですが、時間の関係がありますから私の方で幾つか話を進めますけれども、この認可の最終決裁をしたのは関連事業部の当時の秋重課長補佐と言われています。これは六月十一日の乗員組合との団体交渉の席上で皆さんの方が述べられているわけですね。上司は関与していないということです。この秋重氏はやはり一年前まで全労の副委員長を務めていた人であります。今千円の使用料とおっしゃいましたけれども、これは権利に関する問題ですが、このツルマークの使用料金は該当する金が支払われていないと思います。どうですか。
#147
○山地参考人 今のツルマークの問題につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、AGS通商とアップル社との間の関係でございまして、当社は一切関係ないわけでございます。したがって、私どもの方の許可とかそういった手続も、私どもが受けるなら許可というようなこともあるいは意味があったのかもしれませんけれども、AGSとアップル社との関係でございます。したがって、そのアップル社とAGSの間で金銭の授受がどのように行われたかということについてはただいま資料を持っておりません。
#148
○中路委員 アップル社がAGSに支払う契約になっているということは、羽根布団一枚について千円、これは乗員組合との団体交渉でも述べられていることですが、実はこのツルマークは使用料金が支払われていないのですね、そういう契約があっても。ではどこからどこにこの支払いが行われたか。これも六月十九日の乗員組合の団交の席上で、AGSからネオコスモという会社の社長の鈴木常平という人の口座に五百万円、使用についての紹介といいますか、成功報酬ということで五百万円払われているということは、当時団体交渉で述べられているところなんです。私は、この問題をきょう取り上げたいのですが、いろいろ調べてみました。
 このネオコスモという会社、社長が鈴木常平、ここに金が支払われているのですが、これは既に倒産しているのですね。支払いが行われる前に不渡りで倒産をしている会社なんです。その口座に五百万円支払われている。それだけではなくて、アップル社から八四年一月から十二月までの間に、毎月二百万ずつ、九月だけどういうわけか抜けていますけれども、二千二百万円支払われているということですね。ネオコスモ株式会社取締役社長鈴木常平の富士銀行の高輪台支店の普通預金通帳に支払われている。入ると、もう二、三日で全部引き出されていますけれども、簡単に日にちを言いますと、五十九年の一月二十八日に二百万、二月二十七日同じく二百万、三月二十三日二百万、四月二十七日二百万、五月二十三日二百万、六月二十六日二百万、七月二十三日二百万、八月二十日に二百万、九月が抜けて、十月が九日に二百万、十一月二十六日に二百万、十二月二十五日に二百万、それ以外に皆さんが団体交渉で認められていますAGSからこの口座に、五十九年三月三十日に三百万、五月十五日に百万、六月二十六日に百万、五百万払われて、すぐ二、三日で全部引き出されています。
 この鈴木常平という社長は、その妹さんが、先ほど私がお尋ねしました大島氏のいわば愛人といいますか、今一緒に住んでおられる――トンネル口座になっているわけです。このことは、ある雑誌で鈴木常平氏が、私のところに入ってくるこの金は、全部妹のところへ行くのです、私のところへは全然入ってないのですと語っていますけれども、合計しますと、したがって五百万と二千二百万、二千七百万の使用料ということで、実際には日航の子会社AGSには全く入らないで、鈴木常平の口座に入れられてきたという経過があるわけですね。
 そして御存じのように、このアップル社というのは、原価二万三千円くらいの羽根布団、これにツルマークをつけて九倍近い、新聞にも出ていましたけれども、十九万八千円で販売している。霊感商法に等しい、詐欺まがいだということで、不良品も続出する、消費者からクレームも出るということで、AGS、日航にも意見を言い、販売活動の中止を申し入れて、これは解約になるという経過になっているわけですね。
 ツルマークの使用料金と思われる合計二千七百万円が倒産した会社の個人の口座に支払われていることについて、どのようにお考えですか。日航の子会社ですよ、これは。
#149
○山地参考人 AGS通商が羽根布団の販売に関しましてネオコスモに五百万円を支払っておりますけれども、これは、この商談をAGSにあっせんした会社がネオコスモであるので、その報酬として五百万円を支払ったというふうに聞いております。
 なお、アップル社の方は、先ほど先生のおっしやった千円の使用料をどういうふうに払ったのかということを私どもは知りませんし、また、アップル社がなぜそんなところにお払いになったかということについても、私どもはつまびらかにしておりません。
#150
○中路委員 少なくともAGSが五百万円、成功報酬を出したということはお認めになった。それが全く関係のない、倒産した会社の社長の口座に入っておることについて、日航としてAGSについて何か指示されたのですか。調査されたのですか。
#151
○山地参考人 先ほど申し上げましたとおり、ネオコスモには商談のあっせんの報酬として五百万円を払ったということでございますが、その口座に払った理由というのは、相手方からその銀行振込口座を指定されたので、その時点で倒産していたかどうかということは、認識はなかったということでございます。したがって、契約があったかどうか知りませんけれども、報酬を支払う相手方はここにあった。契約上そういうふうなことを履行したにすぎなかった。したがって、その金がどこに行ったかというのは、倒産会社の場合には債権者がいろいろおられると思うので、そこの問題だろうと思います。
#152
○中路委員 その金がどこへ行ったかというのは、これは八七年八月の「創」という雑誌に「腐敗の温床、日航と全労の癒着を糺す」というのが出ていますけれども、この中にこういう文章があるのです。「ネオコスモというのは、鈴木氏がかつて経営していた会社の名前」で、その名義人である鈴木氏の妹が大島氏と今一緒に住んでいる愛人といいますか鈴木和子氏で、この口座は、鈴木氏がここで言っているのですが、「名義は俺だけれど、金はみんな俗を素通りして妹のところへ行ってしまうのだから」と、こぼしているというのが出ているのですね。だから、今社長が、金がどこに行ったかわからないとおっしゃいましたけれども、明らかにこれは大島氏のところへ行っているわけです。しかもこの五百万は、お認めになったのですけれども、私が取り上げましたのは、二千二百万、それ以外に入っている。毎月二百万ずつ入っておる。使用料ということで同じ口座に振り込まれている。いわば二重の横領ということに、少し厳しい言い方をすれば、なるわけです。
 私は、こういう点にいろいろと日航の腐敗と言われている問題――今取り上げました大島氏は、先ほど言いましたように全労の専従をずっとやっていた。ほかの組合は、昇給、昇格というのはこれまで数年、十数年おくらされてきたのですよ。そして組合の専従ということで、いつも成績最優秀の昇格が行われてきた。やめるときは役職でやめる。そして今のように日航のツルマークを使って、いわばこうした不正が行われている。いろいろの裏金づくりが行われているということですね。こういう癒着にメスを入れないと、私は、正しい労使関係をつくっていかないと、今の日航の体質は変わらないではないかという意味で一例を挙げたわけです。
 こうした問題は今いっぱいあって、氷山の一角のように出されています。私は一例だけ挙げましたけれども、ほかに幾つもこうしたことが新聞、雑誌等マスコミを今にぎわしておるわけですが、社長はどのように認識されておりますか。
#153
○山地参考人 私ども、調べた事実関係は以上のようなことでございますけれども、一般的に申し上げれば、日本航空の社員並びに関係会社というのはそれなりに世間の注目を浴びており、責任のある立場にあるわけでございますので、いささかも外部から批判がされることのないように身辺を慎むべきである、かように考えております。
#154
○中路委員 先ほど私が取り上げました大島氏が今専務をしているユニオンインターナショナルという旅行代理店があります。これも全労が一千二百万出資していますし、大島氏が二千三百万出資しているわけですね。この出資金についてもいろいろ言われていますけれども、それはおきまして、今度ここの常務取締役、大島氏は専務をやっていますが、常務取締役に就任されたのが三塚前運輸大臣の秘書をそれまでやっていた庄司格氏なんですね。その庄司氏がことしの四月の株主総会で常務取締役に就任をしたわけですが、そのあいさつで、これも雑誌に出ていますけれども、伊藤会長をおろしたのは自分と大島氏と三塚代議士が相談してやったことだと誇らかに語ったと雑誌は書いているのです。もしこういうことが事実やられているとすれば、政府や自民党の議員、全労が一緒になって日航大事に介入するというようなことが事実だとすれば、私は重大なことだと思うのです。
 そしてユニオンインターナショナルとか、あるいはきょうは時間の関係で取り上げませんけれども、日航の生協から分離したエルファスユニコの問題、これも今大きく問題になっていますけれども、こういう中で、資金を背景にしてもしこうした大事に介入するやり方が行われたとすれば、これは大変重大な問題だと思うのです。こうしたことが一般マスコミにも出ているわけですが、どのようにお考えですか。
#155
○山地参考人 ユニオンインターナショナルというのは、航空同盟が同盟傘下の労働関係旅行需要に対する良質な旅行の提供という観点から企画したものでございまして、当社に対してもその支援方の依頼があったという会社でございます。したがって、この会社の設立自体には私どもとしても関与はしているわけでございますけれども、今おっしゃられた大方がどういう活動をされているのかということについては、私どもとしては関知しておりません。
#156
○中路委員 臨時行政改革推進審議会の参与をやっている屋山太郎さんが、最近の「ボイス」という雑誌の七月号に「大丈夫か日本航空」という相当長いものを書いていますけれども、この中で屋山さんが、屋山さんでさえと私は言いたいわけですけれども、繰り返し強調しているのは、全労以外の労働組合員に対する昇給差別、会社と癒着した全労役員の腐敗、他の組合から一切管理職は登用されず、昇給も昇格も数年ないし十数年もおくれているのがこれまでの常だ、こうした日航の放漫経営の原因はすべて、こうした経営者と全労という組合の癒着の結果だと言うことができると屋山氏が雑誌に書いているわけです。
 私は一例を挙げましたけれども、やはりこうしたことがいろいろ世間から日航の体質の問題として問われているのじゃないか。先ほど同僚議員の質問で、差別のない労使の関係ということを社長が強調されましたけれども、私は、改めてこうした体質にメスを入れ、本当に差別のない、信頼ある労使関係を築いていくことが安全問題と関連して日航に非常に問われていると思うのですが、もう一度社長の認識をお聞きしたい。
#157
○山地参考人 経営にとりまして労使関係の安定、労使間の信頼関係の樹立ということは大変重要なことでございまして、労使の安定なくして経営の安定はないというふうに私どもは考えております。したがいまして、私どもの経営におきましては、公正な人事ということをもう一つの別の柱といたしておりまして、今後とも、皆から信頼される公正な人事というものの確立に邁進してまいりたいと思います。
#158
○中路委員 私が何人がお会いした日航の現職の幹部の方は、先ほどツルマークの布団の問題を一例で挙げましたけれども、二、三こうした問題をお話ししましたら、本当に自分たちも胸を痛めているんだ、恐らく日航職員の七割、八割の人たちは事実こういうことを知っているんだ、そして胸を痛めているんだという話を聞きました。その点では、本当に今の会社の幹部の人たちが新しい決意でこうした問題にメスを入れていただきたいと私は思うわけです。
 私は、この問題の終わりに運輸大臣にちょっと、日航社長とのやりとりをお聞きになっていたと思いますけれども、正しい労使関係ということについてやはり行政側でも十分な指導が必要ではないかと思います。今一例を挙げて日航社長と質疑をいたしましたけれども、お聞きになっていて一言御認識、お考えをお聞きしたいと思います。
#159
○橋本国務大臣 労使双方ともに一昨年の夏の事故を思い起こして、真剣な対応をしてもらいたいと思っております。
#160
○中路委員 また機会を見まして、私はこうした関連の問題は取り上げたいと思います。
 もう一つ、時間も余りありませんが、実は先々週ですか沖縄県に数日、主として基地の問題で調査に行きました。この問題は改めて別の関係の委員会で御質問したいと思いますけれども、その中で、那覇空港の空港長あるいは管制部長にもお会いをし、あるいは全運輸の労働組合の皆さんとも懇談をし、レーダー等も、直接現場を案内していただき見させていただきましたが、それと関連して一言きょう御質問したいのですが、進入管制権の問題です。
 これは運輸省に主としてお聞きしたいのですが、御存じのように那覇空港は二種の空港ですが、全国第四位の交通量といいますか、十五年前の復帰のときには約七十万だったのですが、観光客もふえて今五百万、六百万と言われている空港ですね。それと、空港は自衛隊との共同使用になっていますし、空域は放射線状にアメリカの訓練演習空域になっている。そういう中で民間機を誘導する管制官の苦労を現場で見てきたわけです。
 御存じのように、十五年前、復帰の際に日米の合同委員会で、一九七二年五月十五日に「沖縄における航空交通管制」の合意事項というのがあります。合意事項の第三項に「嘉手納飛行場及び那覇飛行場の周辺における航空交通の安全運航上の必要性にかんがみ、これらの飛行場に対する進入管制業務は、単一の施設が実施すべきであることについて相互に合意する。」管制は単一の誘導がやはり必要だ。これは当然なんですね。その次なんですが、「したがって、合衆国政府は、日本政府がこれら飛行場に対するレーダー進入管制を行うことができるまでの暫定期間、これら飛行場に対する進入管制業務を実施するものとする。」という合意があるわけです。
 だから、この合意に基づいて今非常に複雑なんですね。東京を出発しますとずっと運輸省の関係で沖縄の空まで行って、それから嘉手納の米軍の管制で空港の方まで行く、そこからまた日本の方に着陸の際は移るという段階になっているのは御存じだと思うのですね。進入管制のところを嘉手納の管制所が握っている。だから、大変複雑な管制業務になっています。しかし、この日米合意は、これらの飛行場、嘉手納、普天間、那覇に対するレーダー進入管制を日本側が行うことができるまでの暫定期間米軍が実施をするという合意なんですね。
 きょうはほかの委員会の関係で外務省の方に来てもらえなかったものですから、外務省にこの合意事項についてのレクもいただきました。ここで言う暫定期間というのは、言われているとおりですが、レーダー進入管制を行うことが、復帰の十五年前、当時は日本側が技術的にもまだ困難だった、それができるまでの間というのがここで言う暫定期間だという外務省のお話です。私は空港長や管制部長にもお聞きしました。もう全く技術的には問題ないんだ、自分たちはこの進入の管制業務については自信があるんだ、あとは政治の分野で解決していく問題だけだということを運輸省の現場の人たちは皆おっしゃっています。復帰から既に十五年たっているわけですね。しかし、沖縄の空の管制はまだ日本側に移っていないという状態ですが、現場の人たちは、もう全く技術的にそういう問題、困難はないんだということを言っておられますが、最初に、運輸省はどういう認識なんでしょうか。
#161
○山田(隆)政府委員 沖縄の航空管制の問題につきましては、ただいま先生からいろいろお話がございましたように、那覇空港の進入管制については米軍が管制をしておりまして、その地域に至るまでの航空路の管制並びに那覇空港に関する飛行場管制は運輸省が行っているという現状にございます。そしてこの進入管制の問題につきましては、沖縄返還の際の合意に基づきまして、今おっしゃられましたように、運輸省が進入管制を引き受けるまでの間米軍が実施するということになっておりまして、現在の運輸省の体制といたしましては、技術的には十分この進入管制を行う能力はあるというふうに私どもは考えております。ただ、もちろん直ちに行えるということではなくて、その進入管制を行うためには、それに見合った人員を整備するあるいは施設を整備するということが当然必要かと思いますけれども、そのための必要な期間があれば、運輸省としては、この進入管制を取り扱う技術的な能力があるというふうに私どもは考えております。
 そこで、この沖縄の進入管制業務の返還問題につきましては、実は私どももかねがね運輸省への返還に向けて手続を進めておりまして、これまでやってまいりましたことといたしましては、昭和五十八年夏以来、実務者レベルの意見交換の場で、当方からこの返還につきましての米側の意向打診を行ってきたところでございます。しかしながら、米側はこれに対しまして、非常に重要な問題であるということで慎重に検討したいという旨を述べておりまして、その検討結果が近々に出てくるようには期待しがたいというふうに考えております。
#162
○中路委員 沖縄からの帰りに日本航空に乗ったのですけれども、北側に向けて飛ぶときは本当に超低空なんですね。三百メートルぐらいで二十七キロほど超低空。ジャンボ機は一気に上昇するわけですけれども、非常に危険な超低空の飛行をやる。どういう理由だと聞いたら、嘉手納、普天間の米軍の方の航空路と交差しているのですね。向こうは六百メートル、だから、こちらは三百メートルで超低空で上がらなければいけないという大変困難な話もしていました。
 いずれにしても、日本側が全部握れば、空の安全は今よりベターになることは決まっているわけですね。しかも十五年もたってなおそのままの状態にある。合意事項でも、暫定期間ということをはっきり言っているわけです。しかも「合衆国政府は、日本政府がこれら飛行場に対するレーダー進入管制を行うことができるまでの暫定期間」、暫定期間ということにはほかに条件があるのかと外務省に聞きましたけれども、この文章で言われているとおりだ、前には日本側に技術的な困難があったから、これができればという話を外務省もしているわけですね。
 今の答弁もそうですけれども、現地で私も念を押して空港長にも聞きました。全部の管制業務を引き受けてやる自信があるのかということで聞きましたら、大いにある、技術的に大丈夫だ、いろいろアメリカの那覇の訓練空域というのがあっても、管制権を与えてくれれば自信を持って飛行機の誘導ができる、問題は政治の方であとは解決してもらえればという話を、先ほど言いましたように繰り返し現場の人たちも言っていますし、今運輸省も、技術的には、あといろいろ施設、人員等をあれすればできるというわけですから、私は改めて運輸大臣にお願いしたいわけです。
 当然外務省と協議もしなければいけないと思いますけれども、既に十五年たっているわけです。日米の間の復帰の際の合意に基づいて、技術的に問題がないとすれば、既にこの暫定期間というのは過ぎているわけですから、沖縄の空の管制権は日本側にゆだねるということについて、話し合いをアメリカ側ときちっとやっていただくということについて、運輸大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#163
○橋本国務大臣 今航空局長から御答弁を申し上げましたとおりに、運輸省としては管制の自信は十分に持っております。そして五十八年以降、既にこの話し合いを実務者レベルで始めております。問題は日米合同委員会における問題でありますので、外務大臣に、御意見のありましたことを含めて、私どもは自信があるという意思を明らかにしたいと思います。
#164
○中路委員 外務省がきょうは出席していないので、外務省の方について詰めた質疑はできないわけですけれども、運輸大臣はそういうお話もされていますから、ひとつ外務省とも協議をしていただいて――沖縄はこの秋に国体があるのですね。沖縄は、観光客は文字どおり空でしか入ってこれませんから、空港の整備の問題、これも別の機会にまた別の委員会で質疑したいと思いますが、自衛隊との共用で、最近もまた事故がいろいろ起きているわけです。
 全運輸の航空労働者でつくっている航空安全会議がまとめた調査を見ますと、昨年一年間でニアミスを経験した民間航空のパイロットは七十二人、内容的に自衛隊機などの軍用機や空港周辺での他飛行機とのニアミスが目立っているということで、これはパイロット八百九十八人を対象にしたアンケート調査にも出ています。この中にも那覇空港上空での航空自衛隊との事故の問題等もいろいろ出ているわけですが、こうした問題を安全の立場から解決していく上でも、今の複雑な進入管制が解決できるように、占領時代からいえば既に四十二年にわたって空の管制権が日本側にないという異常な状態ですから、その解決のためにひとつ努力をしていただくということをお願いして、質問を終わりたいと思います。
#165
○津島委員長代理 小林恒人君。
#166
○小林委員 昨日に引き続いて若干質問をさせていただきたいと思っております。
 昨日、国内運賃の南北格差問題について若干の御意見を伺っておりましたけれども、当面七月に一部修正をされましたけれども、国際航空運賃に関連をして幾つかお伺いをしておきたいと思っております。
    〔津島委員長代理退席、亀井(静)委員長代理着席〕
 まず、国際運賃の方向別格差運賃、既に幾つかの議論がございますけれども、この格差問題についての基本的な考え方をお伺いをいたしておきたいと思います。
#167
○山田(隆)政府委員 近年の円高傾向に伴いまして、通貨の弱い外国発運賃を現行レートで円換算いたしました場合に、日本発の運賃に対して相対的に安くなっておりまして、いわゆる方向別格差の問題が生じているということは私ども十分承知しておるところでございます。この現象は、変動相場制のもとでは不可避的なものであるというふうに考えておりますけれども、長期にわたって相当の格差が続く場合は、航空会社の経営状況も勘案しながら漸次この縮小のための措置を講じておるところでございます。
 昨年も、七月、十月及び十二月において日米、日欧、日豪路線におきまして方向別格差縮小のための措置を講じたところでございますし、さらに本年につきましても、ただいま先生からお話しございましたように、七月十五日から日米路線につきまして、日本発の往復運賃を七・四%下げたところでございます。
 また運輸省といたしましては、本年十月実施を目途といたしまして、日欧路線につきましては、個人旅客が従来の団体席でございますバックキャビンを利用して安く旅行できる制度の導入といったようなものについて検討しておるところでございます。今後、方向別格差の是正について、運輸省としてはできる範囲で一層の努力をしたいというふうに考えております。
#168
○小林委員 運輸省の側から提示をされました指数を拝見いたしますと、昭和四十八年対六十二年七月段階で、日本発四十八年を一〇〇といたしますと今年で一二九、米国発四十八年を一〇〇といたしますと、六十二年七月現在で二二五という、こういった指数が出ていることについては承知をいたしております。また、この数日間為替レートの変動が若干激しさを増しつつありますから、そういった意味では、為替相場をどこに設定をして試算をすることがベターなのかということになれば数々の議論があるのかと思いますが、ともあれ国際航空運賃の割高感、国民が一番痛感しているのが現状だと思うわけであります。
 例えば東京発ロンドン着だと一ドル百五十四円で計算をして片道四十万五千百円、ところが、現地のロンドン発東京だと九百四十一ポンド、二十三万四千九百二十一円、その差が何と片道で十七万円も生じてくるわけであります。
    〔亀井(静)委員長代理退席、委員長着席〕
 ところがもっと驚くことに、最近のロンドンの旅行会社の店頭には、ロンドン発東京着て片道三百二十ポンド、七万九千八百八十八円という表示で売買されているという実情があるわけでありまして、同じ例がまだまだほかにもあるのですけれども、このような現状をどのように思われているかというのが一つであります。実はここにロンドンの店頭で表示をされております写真を持参をいたしておりますので、ちょっとお目通しをいただきたいと思います。
 それからもう一つは、今後このような状況を是正する努力をどのように考えているのか、どんな方法を検討しているのかということになるわけですけれども、これはある日突如としてこういった状況があらわれてきたわけではございませんで、今日まで数々の問題が生じているだけに、おおよそ政府の一つの指針として、是正を具体化するためのスケジュールなとできるだけ早い時期に明示をすべきと考えますが、いかがでありましょうか。
#169
○山田(隆)政府委員 方向別格差の問題につきましては、確かに最近急激な円高傾向のために航空局としても非常に重要な問題であるというふうに認識しておるところでございます。
 今先生からお話のございましたロンドンの店頭において非常に格安の運賃の広告が出ているというお話でございましたけれども、これにつきまして実は私ども承知しておらなかったわけですが、運賃につきましてはいろいろな種類がございます。正規の運賃の場合に比較いたしまして、ヨーロッパ線の場合ですと団体運賃でございますと五割引きくらいの運賃が存在しておりまして、一部に、本来であれば団体で使用しなければならないのを個人のお客に団体のチケットを回しているというケースもございまして、日本国内におきましても同じようにいわばダンピングというようなものがあるということは、私どもも承知しておるところでございます。
 先ほどのお話にありましたロンドンの格安運賃というものは、少なくとも私の認識では正規の運賃ではない。国際運賃の場合に日本政府とイギリス政府、両国政府の認可を得る必要があるわけでございますけれども、そういった正規の手続をとられた、認可された運賃ではないというふうに考えておりますし、そのような運賃ということであれば日本発の運賃でもかなり大幅な割安運賃が存在することは事実ではなかろうかというふうに考えております。
 私どもとしては、基本的には利用者間の公平を確保するためには、ある特定の者だけがそういったダンピングの運賃を利用できるというような状態は決して好ましいことではない、もしも本当に運賃を下げられるような状況であれば正規の運賃を下げるようにしていくべきであるというふうに基本的に思っております。このような問題につきまして、昨日も申し上げたところでございますけれども、現在航空局に運賃問題懇談会というものをつくっておりまして、国内線の南北格差の問題だけのみならず、国際運賃における方向別格差の問題についても、これをどういうふうに取り扱うべきかということについていろいろ御議論をいただいておるわけでございます。
 今、具体的に今後どういうふうにしていくのだというお尋ねがあったわけでございますけれども、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、方向別格差というものが長期間にわたって存在するようなことは決して好ましいことではないだろう、そのようなものにつきましては、航空企業の収支状況等も勘案しながらこれの是正に努めていきたい。そして具体的には、通常の普通運賃の格差の是正を図るとともに、それからそのほかに、場合によっては各種の割引運賃の適用を行って、日本の利用者の方々が実質的に安く旅行ができるような、そういう各種割引運賃の導入等も図っていく、それによってこういった問題に対する対応を図っていこう、このように考えております。
#170
○小林委員 こういった質として非常に悪質な運賃が横行するということは、それぞれの代理店はもとより航空会社の権威にもかかわることであり、これがひいてはダンピング競争に発展をしていくという可能性を持っているものだけに、できるだけ早期の解決策を求めておきたい、こう思っているわけです。
 それともう一つ、国際運賃の関連で、私は、どうも航空運賃の場合は基準がないなどいう気がしてしようがないのです。例えばざっと調べてみますと、成田発パリ行きなどという飛行機は、直行便で行きますとキロ数にして一万四百キロぐらいなんですね。アンカレ経由で行きますと一万三千三百二十五キロぐらいですか、ざっと三千キロぐらい北回りで行くと長くなる。しかし運賃は同じ、こういうことになるわけですね。理屈的に考えますと、アンカレに着陸すれば空港使用料もかかるだろうし、着陸料もかかるでしょう。そういうことを考えると運賃が同じでもしょうがないのかな。また逆に利用者の側からすれば、同じ目的地に到着するために三千キロ近い、短時間で目的地に到達できるという理屈はあるわけですね。
 しかし、現実の問題として三千キロの運賃というのは一体どうなっているのだろうか。非常に大きい数字なんです。札幌−東京間片道で約九百キロでしょうか、三倍を超えるぐらいのキロ数長く飛ぶことになるわけですし、アンカレに着地すれば一時間ないし二時間ぐらいは当然あそこでロス時間が生まれてくるという問題があるわけですね。こういったことが一つ。
 もう一つは、南の側ではコモンレートの適用地域が存在するのに、私の住む札幌圏はコモンレート適用除外地域ということになっているわけです。アンカレから日中、成田に向かって飛んできますと根室岬がはるかに拝見できる、こういったところを通って成田に来る。成田からまた料金を払って千歳あるいは釧路に飛び返るという状況なんです。コモンレートそのものの適用についても、これは国際間の協定があるのでありましょうけれども、難しいことはわからぬではありませんが、前向きで検討する気持ちがあるのかどうなのか。一つは運賃の単価のあり方と、コモンレートの問題について御質問しておきたいと思います。
#171
○山田(隆)政府委員 国際航空運賃の決め方と申しますのは、基本的には原価に適正な利潤ということで決めるわけでございますけれども、個々の路線ごとの運賃を見てみますと、ただいま先生おっしゃいましたように、必ずしも国民の皆さんから見て納得しがたい面があることは確かではなかろうかと思います。
 国際運賃の場合非常にふくそうしておりまして、同じ目的地へ行く場合にいろいろな路線が考えられる。今お話がありましたように、仮に日本からヨーロッパへ行くとした場合に、南回りで行くルートもございますし、それから北回りで行くルート、それから最近はシベリア直行便というルートがございまして、確かに南回りで行く場合とシベリア直行で行く場合とは非常に距離も時間も短縮されております。ところが、運賃は日本からヨーロッパへ行く場合に同一の運賃になっております。
 もともと沿革的な経緯もございまして、当初、飛行機が長距離飛べないような時代にはすべての方々が南回りを利用していた、南回り経由をもとにして日本とヨーロッパの運賃が決められたという経緯がございます。その後、アンカレジ経由ができ、さらにモスクワ経由あるいはシベリア上空直行というのができて、だんだん距離は短縮されたわけでございますけれども、それではその間、運賃の方はそれに応じて下げられたかというと、決して下げられておりませんで、ほぼ横ばいではなかったかと思います。もちろん、他方ではその間経費がかなり増大しておりますので、そういう経路の短縮もあっていわば値上げは免れていたということが言えるのではなかろうか、そういうことも考えられるわけでございます。
 他方、今アンカレジ経由の場合には確かに着陸料等の余分のコストがかかるわけでございますけれども、シベリア直行の場合も、これは無制限にシベリア直行ができるというわけではございませんで、ソ連との間の協定に基づいて一定の権利を得てそれを行使して飛べるというような状況になっております。しかもその権利の行使に当たってはそれなりの対価を払わざるを得ない。そういうことで、シベリア直行便の場合にアンカレジ経由に比べて燃料代とか着陸料そのまま安くなるということではない。それからソ連に支払う対価というものを差し引きますともちろんシベリア直行の方が経費的に安くなりますけれども、その差はそんなに大きくはないということでございます。
 そういったいろいろな事情がございますので、国際運賃の場合、単純に短い、直行路線をそれだけ安くするということは非常に難しいわけでございますけれども、最近はまた直行路線についてはそれに見合った運賃を設定するという状況もございますので、私ども、今後そういう問題も含めていろいろ検討はしていきたいと考えております。
 次に、コモンレートの問題でございますけれども、コモンレートもいろいろな過去からの経緯がございまして、ヨーロッパの場合ですと、先ほども申し上げましたように、東京から南回りを経由してヨーロッパに行くという関係で、その経路の途中にあった日本国内の地点からヨーロッパに行く場合には同一運賃で行けるということになったわけですけれども、それよりも遠い、昔で言えば札幌から東京を経由して南回りでヨーロッパに行ったわけで、その場合に札幌と東京の運賃というのは余分にいただいたわけです。ただし、その後アンカレジ経由になると逆になったわけでございますけれども、IATAの調整の場でそういう調整がなかなかつかないというようなこともございまして、確かにおっしゃるような問題点ということでは私ども認識を持っております。この点も運賃問題懇談会でいろいろ御審議いただきまして、その御審議を踏まえて今後検討を進めたい、かように考えております。
#172
○小林委員 そこで、今回の改正案について幾つかお伺いをしておきたいと思います。
 まず第一に、第二条の関係になりますが、外国人等による株式取得を制限する趣旨及び具体的な取り扱いはどうなるのかという問題が一つあります。また、この制限は国際的に問題にならないのかというささやかな疑問を持ちます。あわせて、各国における航空会社の外国人持ち株制限の実情はどのようになっているのかについてお尋ねをしておきたいと思います。
#173
○山田(隆)政府委員 定期航空運送事業の免許につきましては、各国とも、自国民による実質的所有及び実効的支配を維持するため、外国人等による会社の議決権に占める割合が一定割合以下であることを免許の一要件といたしますとともに、当該要件を満たさなくなることによる免許失効というものを会社が自己防衛することが可能となっているわけでございます。
 また、航空権益を交換する二国間航空協定におきましても、航空企業の自国民による実質的所有及び実効的支配が権益行使の要件とされておりまして、今回の取り扱いが国際的な問題となることはないというふうに考えております。今回の措置は、会社が上場を維持しながら免許の失効を防止するために自己防衛ができるよう法律上の根拠を持たせたものでございまして、これまでの日航法の中で外国人の持ち株が三分の一以上を超えないようにすることができるという規定がございましたが、この日航法がなくなるわけでございまして、それにかえまして、航空法上、同趣旨の規定を設けようとするものでございます。このような規定は、放送法であるとか電気通信事業法においても同様の規定が置かれておりまして、外資規制の面からは問題がないというふうに考えております。
 また、各国におきますところの航空会社の外国人持ち株制限の状況でございますけれども、各国とも似たような措置をとっておりまして、外国人等によりまず会社の議決権に占める割合が一定割合未満であることを免許の要件といたしております。ただその具体的な割合は、各国の法制度の違い等から一律ではございませんで、米国におきましては四分の一、それからカナダ、西ドイツ及びフランスにおきましては二分の一となっております。我が国におきます三分の一というのはその中間に存在するわけでございます。またイギリス、オーストラリアにおきましては、法律上自国民による実質的所有が免許要件というふうにされておりまして、具体的な数字では割合が示されておりませんけれども、対外交渉等も踏まえました行政当局の基準といたしましては、英国の場合には三五%というのが一つの目安になっているというふうに承知しております。
#174
○小林委員 次に、附則の第三条の関係になりますけれども、政府保証債、借入金の現状と今後の償還予定、また日航の民営移行に関して資金調達上の問題は生じてこないのかどうか、この件についてお伺いしておきます。
#175
○山田(隆)政府委員 政府保証債及び政府保証借入金の残高でございますけれども、六十二年三月末におきまして、それぞれ三千二百四十五億円及び百億円でございます。これらは昭和七十六年度末に償還される予定でございます。このように政府保証債の発行及び政府保証の借り入れを行ってきておりまして、六十一年度におきましても、これらによりまして五百四十九億円の資金を調達してきたところでございますが、完全民営化になりますとこのような政府の保証が受けられなくなるわけでございます。
 このため、六十二年度予算におきまして政府系の金融機関、開銀及び輸銀でございますが、それによる長期低利の資金の手当てがなされておりまして、六十二年度におきましては航空四社でもって千百五十億円でございます。そのうち日本航空におきましては五百八十億円を見込んでおるところでございます。
#176
○小林委員 最後に、私は、昨日の質問の冒頭でも若干触れさせていただきましたけれども、航空事業の存続のかぎは何といっても安全ということが一番のキーポイントだと考えるのです。先ごろの日航機事故はいろんな教訓を与えました。最近に至っても、お盆を前にして神戸市のある遺族のお医者さんから、たった一人の娘を失って、今日なお遺影を前にしながら、もうそんなに月日がたってしまったかと涙する日が続いています。できるだけ早い時期での問題の解決をと。この人の場合、特に生活感ということからすればたった一人の娘を失ったという悲しみだけがあるのでありまして、お医者ですから生活的に決して困るわけではない。問題はこの事故を教訓にしてどれだけの安全施策が国あるいは日本航空そのものによってなされるのか、このことがとりもなおさず遺族に対する補償ではないかということをしみじみとお手紙で訴えられました。
 そういった点では、今日なお遺族補償問題についてなかなか具体的に前に進んでいかないという難しい問題があるのでありましょうけれども、運輸省の考え方あるいは進捗状況について大臣の御所見を伺って、終わりにしたいと思います。
#177
○橋本国務大臣 今のお話を伺いながら改めて当時を思い起こしておりましたが、今回のこの事故の御遺族に対する補償につきましては、本来日本航空と御遺族の当事者の間における話し合いによって決まるべき事項でありまして、現在までのところでは百五十七名についてようやく話し合いがまとまったというように聞いております。
 日本航空自身は、JA八一一九号機事故ご被災者相談室を設け、御遺族のお世話をする担当者を置き、御遺族のお気持ちを酌みながら交渉を進めていると報告を聞いております。しかし一方、御遺族の中からはその措置そのものに対する不満の声も私自身のところに届いてまいります。本件が基本的に当事者間の問題でありますだけに、運輸省としての立場も大変立ち入りづらいものを持っておりますが、私どもは、日本航空を監督している立場として、日本航空に対して誠意を持って補償交渉を進めるように指導しているところでありますし、円満な解決を期待をしているところであります。今後もその姿勢を保ち続けてまいりたいと思います。
#178
○小林委員 ありがとうございました。
#179
○鹿野委員長 吉原米治君。
#180
○吉原委員 いよいよ質問者の最後になりましたが、私の受け持つ航空事業の安全対策を主としてお尋ねする予定でございました。同僚議員たくさん、私で十三人目ですから、十二人の方がそれぞれ質問をされておりますので、重複をしない範囲でお尋ねをしたいと思います。
 まず橋本運輸大臣、お尋ねをしたいわけでございますが、前国会、百八回の国会の中で、ことしの五月二十二日でございましたが、大臣の所信表明に対して私は党を代表して質問に立ちました。その質問の一番最終場面で、実はいろいろやりとりの前段があるわけでございますが、結果的に、今回日本航空を完全民営化することについては、民営化しなければ事故はなくならない、こういう意味の発言をされたわけでございまして、再質問の時間がないときを大臣は意識して言われたのかどうか知りませんけれども、再質問ができなかった。
 私は、そのときに、民営の会社であろうと特殊法人の事業体であるとにかかわらず、少なくとも安全対策、事故防止対策なんというものは、事業主体が何であろうと関係なく、最重要の課題である、こう思って質問をしておったわけでございますが、いや、とにかく民営化しなきゃ事故はなくならぬ、こういうことをおっしゃっておるわけでございまして、これは大臣ちょっと、特に航空事業に対する安全対策、官であっても民であっても関係なく、最重点的に安全対策と取り組まなきゃならぬ、私はそういう課題だと思っております。
 議事録をここに持ってきておりますが、大臣は「民間企業である航空会社の方が事故が発生しておらないということは、民営化の方向が間違っていないという傍証にもなろうかと思います。」こう議事録に載っておりますが、事故を起こすか起こさないかという問題と、今回のように特殊法人から、言ってみれば完全民営化にするわけでございますが、そのこととは、私はいささかかかわり合いはないのじゃないか。むしろ、従来のような特殊法人の日本航空、非常に政府の目が行き届きやすい、そういう事業体であればこそ、安全対策に最も力を注ぐ必要があったのじゃないか。そういう観点から考えますと、大臣ちょっとこの事故問題と民営化という問題とは何か勘違いなさっていらっしゃるのかな、こんな気がいたしますが、いかがですか。
#181
○橋本国務大臣 私の答弁を引用されましたので、私も委員の御質問そのものに触れながら、改めて私の考え方を申し上げたいと存じます。
 委員からちょうだいをいたしました御質問は、まず第一に日本航空の伊藤会長の辞任をされました後の大事について、欠陥人事であるというところから始まっております。そして日本航空の体質というものには何か特殊なものがあるのではないのか、全日空にしても東亜にしても現実に航空事業をしており、事故も、皆無とは言えないが、日本航空のように回数は多くない、こういう前提を置かれまして、「民営化されると、当然のごとくより以上の効率的な運営ということが持ち出され、それがために合理化も進むでしょう。」そして「完全民営化されますと、ますます民営としての営利追求型の体質は避けられないだろう。」そういう中において「運輸省は、民営になったらどうやって日航の体質をチェックするのか」、こういう御質問でございました。
 でありましたから、私は確かに、「お言葉を返すようでありますが、」という前置きをつけまして、「委員が御指摘になりましたとおり、」現在特殊会社である日本航空に比べて、「民間企業である航空会社の方が事故が発生しておらない」、これは委員の御指摘のとおりのことでありますから、「ということは、民営化の方向が間違っていないという傍証にもなろうかと思います。」ということを申し上げたわけであります。安全の確保というものは、航空事業において最も基本的な課題であり、いかなる場合にも揺るがせにできないものであることは当然であります。安全の確保についても、経営形態にかかわりなく、企業として万全を期すことも当然であります。
 ただ私が申し上げたいことは、完全民営化を契機として、職員の士気の向上が図られ、そしてそれを通じて企業が一丸となって安全運航に徹する体制がとられるということを期待しておるわけでありまして、必ずしも私は、私の申し上げたことが不適当だとは考えておりません。安全は民営化されようとされまいと、確保しなければならないことであります。先日私が御答弁を申し上げた際の委員の御質問のように、特殊会社であり、現在の日本航空よりも完全に民営化されたらばなおさら事故が起きるのではないかという御質問については、私は、現実に民間企業として経営されている航空企業の方が事故が少ないという委員のお言葉をそのまま引用させていただいた次第であります。
#182
○吉原委員 それなれば、少なくとも私の考え方とは間違いないわけでございまして、何か官である、特殊法人である日本航空だから安全対策がおろそかになっておるというふうな御認識であったのかな、そういう懸念をちょっとそのときにいたしましたのでお尋ねをしたわけでございます。言われるように、それが特殊法人であろうと民間会社であろうと、安全対策については手抜かりのない対策を当然のごとくやらなければならぬ、そういう課題であろうかと思います。
 そこで大臣、それなら一体、民営化後、この日航の会社が再びああいった惨事を繰り返すことはよもやあるまいと、期待はだれもしたいわけでありますが、自信がおありでございますか。少なくとも既存の国内のあとの二社と比較して、この際民営化したんだから将来にわたって再び事故を起こさない、期待感は別ですよ、期待感は別として、そういう自信がおありでございますか。どうでございますか。
#183
○橋本国務大臣 これは大変意地の悪い御質問をいただいたものだと思いますけれども、私なりの率直な気持ちを申し上げさせていただくならば、万全の保証を置ける技術的な素養があればと思います。しかし、私にはその技術的な知識はありません。しかし、ここにちょうど日航の社長以下日航の諸君もお呼びを受けておられますので、私は、この場をかりて日航の皆さんに聞いてもらいたいと思います。
 過去我が国にはいろいろな航空事故があり、そのたびに不幸な犠牲者を出しました。そしてそれぞれの航空企業は、その受けたダメージを払拭するために本当に血のにじむような苦労をしてまいりました。航空企業各社の中に私どもの友人もおります。そしてそのたびにその社員は、全く関係のない部署におる者も含めて、本当に憔悴し切っておりました。今日、一二三便の事故以来三回忌を過ぎ、果たして当時の日航職員が受けた衝撃と、また、社会的に受けた影響を職員すべてが心の中に本当に今日も刻んでいるかどうか、そう考えるときに、私は大変心寂しい思いをいたしております。
 国鉄の分割・民営化のときにも、私は職員から随分たくさんの手紙をもらいました。無記名の手紙が――もう少しお聞きいただきたい。名前を書いていない手紙も随分ありましたが、途中から正々堂々と自分の住所、氏名を書いて、私にもいろいろな意見を送ってこられるようになりました。本日、社長に一通の実例をお見せしましたけれども、日航の内部から私に届く手紙はいずれも名前がありません。職員でなければ書けない文章でありますが、いずれも名前が書かれておりません。この体質は本当に日航の諸君全員で直してもらわなければならぬ。安全ということを心がけるからには、少なくとも社内の心の一致がなければならぬはずであります。
 今の委員の御質問に直接の答えになるかどうかわかりませんが、民営企業として近く出発するであろう日本航空の諸君、私は、正々堂々と自分の名前を明かして自分の意見が公表できる社内の佐賀に一日も早くなってもらいたい、それが国民の信頼を本当に万全なものにする第一歩だ、そう信じておることだけを申し添えます。
#184
○吉原委員 伊藤前会長路線は今もって変わっておりませんという答弁、これは我が党の井上一成質問に対して今度の国会になってから大臣がお答えになった言葉でございますが、そこで、これは日航の社長にお尋ねしたい。
 最高経営会議通知第五号というのがございますが、この中で、これは大臣が井上質問に対してお答えになりましたように、この経営会議の考え方は今もって変わっていない。これは確認してよろしゅうございますね。
#185
○山地参考人 今御質問のございました最高経営会議通知第五号は労務方針ということでございまして、労務方針を出すときには全役員が参加いたしましてこれを作成いたしたものでございます。かなりいろいろと難しい問題がありました中で出したものでございまして、先日私も引用させていただいたとおり、私は、それを忠実に実行していく、こういうつもりでおります。
#186
○吉原委員 その労務方針なるものの一番最後の方に「今日、労使という立場の相違があっても、日航人として、また日航人以前に人間として対等かつ尊厳な関係にあることを自覚し、ヒューマニズムに基づく相互尊重・相互信頼・相互扶助の精神を堅持する。」こういう文面が最後の段階にある。こういう方針を既に出されて社内に周知徹底をされておるにもかかわらず、昨日の我が党の戸田質問の中で、私も唖然としたのですが、今もって中労委で一件、都労委で一件の不当労働行為の係争案件があるということを聞いたわけでございます。都労委、中労委それぞれ一件ある不当労働行為の中身というのはどういう中身であって、いつごろ発生したものなのか。
 私が日航の問題に携わるようになりましたのは、不当労働行為事件が頻繁に行われておるということからかかわり合いを持つようになったのですが、あの当時の不当労働行為事件は既に和解で解決したはずなのにと思っておりましたところが、戸田質問で中労委と都労委に一件ずつ係争案件があるということを聞いて意外と驚いたわけでございますが、この中身はどういうものなのか。この労務方針の中で、わざわざ私が読み上げたこれが特に使の方にも周知徹底しておるということになりますと、こんなものはいち早く和解をして取り下げるべきものじゃないのか。片一方で手を握って一緒にやろうと言いながら、片一方でびんた張っておるようなことでは、私は、本当の意味で労使気合いが入らない、こう思いますから、この中身と、いつごろ発生したものなのか、ちょっとお聞かせ願いたい。
#187
○山地参考人 ただいま残っておりますのは二つでございまして、一つはパーサーの昇格事件で中労委にかかっているわけでございますが、昭和五十年度のパーサー昇格選考に当たりまして組合間の差別があるという客乗組合の救済申し立てに対して、東京都労委の方でそれを一部を認めましたけれども、会社が中労委に再審査を申し立て、審理は終了しましたけれども、最近中労委よりの勧告もあり、現在和解のテーブルに着いております。それから、この該当の者は全部パーサーにその後昇格はしております。
 それからもう一件は、都労委の方でございまして、昭和五十五年四月昇給差別事件でございまして、会社としては、不当労働行為か否かの前に差別があるとする事実の提示自体が明確でないので却下すべきであるとの主張をいたしましたが、昭和五十七年十二月結審後都労委の判断待ちの状況になっておるわけでございます。
#188
○吉原委員 会社の社長の気持ちはわかりましたが、それに対して和解のテーブルに着かれたのか、用意があるとおっしゃったのかちょっと今聞き漏らしたのですが、それに対して関係組合の方はどういう対応でございますか。
#189
○山地参考人 パーサー昇格事件の件につきましては、中労委の勧告を待って現在和解のテーブルに着いております。したがって、そこで話が進んでいるわけでございます。それから片方の都労委の方につきましては、まだ結審後都労委の方の御判断を待っているという段階でございます。
#190
○吉原委員 今わざわざ立派な労務方針を掲げられておるわけでございますから、この精神からいきますと、この種の不当労働行為事件は恐らくスムーズに話がつけられるべきものだというふうに考えますので、一層の会社側の御努力をお願いしたい、こう思います。
 そこで、もう一つ同じこの労務方針の中に、国際的にも国内的にもトップクラスの労働条件を目指して云々という条項がございます。全くすばらしい、いい方針を出されておるものだなと私も大いに期待をしておるわけでございますが、そうではありますものの、完全民営化ともなりますとより一層、一方では株主の配当もしなければならぬ、企業としての一定の利潤を生み出さなければならぬ、こういうことを並行的に実現を図っていかなければならぬわけでございまして、労働条件は世界一の労働条件、企業もそういう意味では世界一の企業になってもらわなければならぬと思いますが、そういうことが現実に方針として掲げられておりますけれども、果たして実現できるのかな、こういう気がしてなりません。
 というのは、一方では「思い切った合理化不可欠」、こういう見出しで山地社長の写真入りで出ておる。何新聞かコピーでちょっとわかりませんが、その中の中期計画の事務レベル案、これが詳細に載っておりますけれども、この中に太平洋、欧州の高収益路線を大幅に増強する、あるいはこのための乗員を確保するため、現在他社に比べ手厚い状態にある乗員編成を一部見直し、他社並みに省力化する、あるいは地上業務の外部委託化を進めて、地上職千百人程度を関連会社に出向させる、あるいはまたボーナスの支給率も現在の六・四カ月から五カ月ぐらいに抑え、人件費の抑制に努める、役員報酬もそういう意味では五%ぐらいカットする。この中期計画の中で出されておる方針と、最高経営者会議で出されておる労務方針の中の国際的にも国内的にもトップクラスの労働条件を実現させるのだ、中期計画とこれをすり合わせて照合してみた場合に、私はいささか矛盾を感じてならない。
 むしろ一般の民間会社、私も民間会社の出身でございますが、そういう意味では、合理化をして利潤を追求するということになりますと、必ずと言っていいぐらい人件費に手がかかる。普通の企業者のやり口でございますが、後段申し上げましたこの中期計画の中で触れられておるような、また後ほどちょっと触れますけれども、そういうのが案外日本航空の本音なのかな、つまり人件費を抑圧し地上職員も千何百人出向させる、そういう方針の方が本音なのかなと思いますが、いかがでございますか。
#191
○山地参考人 ただいまの御指摘の労務方針の中の国際的レベル云々のところでございますけれども、ここには最初の「目的」のところで、「国内業界においても、また国際的にもトップクラスの競争力をめざして経営力を強化するとともに、」その後に「企業の社会性・公益性にも留意しつつ、国内業界においても、また国際的にもトップクラスの労働条件と労働環境をめざし、長期的な計画に基づいてその実現をはかる。」と書かれております。私どもの考え方としては、経営力を十分つけて社員の皆さんの労働条件の改善を図っていきたい。経営者としては、当然のことながら社員に十分な福祉の実現を図っていきたい、こういうことでございます。
 それからもう一つ、新聞の報道でございますけれども、それは中期計画の計画過程で出た文章かと思いますけれども、当然のことながら、これも各年のペースアップあるいはボーナス等についてはそれぞれの年次における状況で決まるものでございまして、私どもが今から幾らにするということを申し上げてもそのとおりになるものではないと考えております。
#192
○吉原委員 私が結果的に主張したいのは、今日までは特殊法人という企業体でやってこられて、そこまでは思いが行かなかったかもわかりませんが、これから先完全民営化になりますと、さっき大臣とのやりとりの中でも触れ、大臣自身も触れられていらっしゃいましたが、とかく民間企業ともなると利潤追求型になりやすい、そういう体質を持つわけでございまして、結果的にはそれが社員の労働条件に影響を与えたり、そしてまた利用者の運賃値上げにそれがしわ寄せをされたり、利潤追求のためにそういう影響が出てくると私も懸念をするわけでございます。そういう意味で、そうでなくとも航空運賃は高いという認識があるわけでございますが、これから先も、そういう社内の合理化に伴って結果的に運賃値上げ等をたびたび行うようなことがないように私は強く希望をしておきたいと思います。
 そういう観点から、同じ中期計画の中で費用の効率化というのが触れられております。その中で、航空燃油費の調達方式の多様化、あるいは整備費については新技術開発による部品の効率化あるいは自社技術高度化による整備品質向上、あるいはまた地上サービスの委託費については委託方式の見直し、こういった点がそれぞれ費用の効率化の中にうたわれておるわけでございますが、これらは一体具体的にはどういうことをやろうとされておるのか。地上サービス委託費のところまで三つございますが、あと五分しかございませんので、それぞれ具体化について、例えば調達方式はこうだ、こうして安い燃油を調達するんだとか、整備費あるいは地上サービスはどういう部門を外部委託しようというのか、簡潔にお答えください。
#193
○山地参考人 航空燃油費でございますけれども、より安価な燃油を購入するための調達方法とかあるいは調達先を柔軟かつ幅広く求めるということでございまして、従来もタンクを賃借するとかあるいはタンク単位で燃料を購入するというようなことで燃油費の節約に努力してきているところでございます。
 それから、地上サービスの委託の問題でございますが、委託すべきものと自社で行う業務を整理いたしまして、サービスを強化すべきところは強化するとともに費用の効率化を図っていきたいということでございまして、区分については現在検討中でございますし、整理次第、順次実施していきたいと思います。
 あと、整備の二点につきましては、技術的なもので、十時常務よりお答えさせていただきます。
#194
○十時参考人 それでは簡単にお答えいたします。
 自社技術高度化による整備品質向上といいますのは、例えば今までエンジンの中の状況を調べるのに一人一人がボアスコープというちょうど胃カメラみたいなものを飲み込ましてそれによって調べておったものを、現在ではカラーTV化にしまして、それをみんなが見られるように技術開発をして品質の向上を行っているという例がございます。
 それから、新技術開発によります部品の効率化というものを例示いたしますと、現在オゾンコンバーターというものがございまして、これは、高空を飛びますとオゾンによって人体が多少影響を受けるわけでございますけれども、このコンバーターの触媒、これを劣化の都度廃棄しておったものを再生できる技術を開発しております。そのような形で効率化に努めております。
 以上でございます。
#195
○吉原委員 決められた時間が参りましたから終わりますが、この三日間かけて、しかも延べで十三名も質問者が立ちましていろいろな角度から質問をされておるわけでございます。私も終始答弁をできるだけ細かくメモしておったわけでございますが、結局、民営化後の日航によくなる部分は期待はできましても、自信を持って――日航の政府持ち株を放出して完全民営化するということが一体本当にいいことなのかなと疑問を持たざるを得ない数点の課題がございます。
 きょうは安全問題の細かいことを、例えばサンプリング方式も若干前国会で尋ねたのですけれども、お答えをいただくことになりませんでした。きょうも、残念でございますけれども、このサンプリングチェック方式、そういうことで一体日航の航空事業の安全性というものがこれからなお一層充実強化されていくのかどうなのか、甚だ心もとないわけでございまして、特に労使問題は、西中議員の質問に対して、人事問題と労使問題は別問題だというふうに大臣はお答えになっていらっしゃいますが、少なくとも完全民営化として新しいスタートをする場合に、いい意味の労使気合いが合わないと立派に企業は発展していかない。職場では親のかたき同士が同居しておるような体制であってはならぬと私は思うのです。
 そういう意味で、民営化後も引き続いてこの労使問題の正常化、あるいは親方日の丸ということがよく言われるわけでございますが、私に言わせれば親方日の丸の意識を持っておるのは今の経営者、今までの経営者だ、労の方にもないとは言えませんけれども、親方日の丸意識があるのは経営陣の方だと言いたいわけだ。そういう点を考えてみまして、今すぐ完全民営化するのは、もう少し時間をかけた方がいいのじゃないかな、こう気持ちを新たにしたわけでございます。そういう意味で、後ほど採決でございますが、我が党の態度を明らかにしていきたいと思います。
 大変時間がなくて意を尽くさない質問になりましたが、以上で私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
#196
○鹿野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#197
○鹿野委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。関谷勝嗣君。
#198
○関谷委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成の討論を行うものであります。
 本案は、昨年六月の運輸政策審議会の答申及び同月の臨時行政改革推進審議会の答申、さらには、それらの答申の考え方にのっとった昨年末の閣議決定に従い、日本航空株式会社の自主的かつ責任ある経営体制の確立及び航空企業間の競争条件の均等化を図るため、同社を完全民営化しようとするものであり、以下に申し上げる理由により賛成いたすものであります。
 第一には、我が国における航空運送は、国際線、国内線ともに著しい発展を遂げ、日本航空株式会社を含めた我が国航空企業は大きく成長し、その企業基盤も強化されてまいりまして、今日では日本航空株式会社は世界有数の航空企業となり、特殊法人としての同社の設立目的はおおむね達成されたと見られることであります。
 第二には、航空事業は企業間競争の促進により利用者利便の向上等を目指すべきであり、全日本空輸におきましては既に昨年三月から国際線の運航を開始し、また、日本航空も昨年七月から国内の新規路線の運航を開始しているところでありますが、このような状況にかんがみれば、我が国の国際航空運送事業の発展のため、日本航空に対してのみ政府の助成措置を講じる意義はもはやなくなり、むしろ日本航空を完全な民間会社とすることにより、他の航空企業との競争条件を均等にすることが必要であると考えます。かかる観点からも、同社を完全民営化することは極めて妥当なものと賛意を表するものであります。
 第三には、日本航空に対しましては、政府の規制及び助成を廃止することにより、同社の自主的かつ責任ある経営体制を確立することが緊要であると考えることであります。これにより、創意工夫を生かした積極的な事業展開や、いわゆる親方日の丸意識の払拭による経営の効率化、顧客サービスの向上等が期待できると考えられ、これまた賛意を表するものであります。
 以上、本案に対し賛成の理由を申し上げましたが、政府に対しましては、今後も日本航空を含め航空企業の安全対策が最大限に実施されるよう、また、我が国の航空事業が今後とも健全に発展するとともに、利用者利便の向上が図られるよう適切に指導監督されることを要望いたします。
 さらに、日本航空に対しましては、完全民営化後も安全運航の確保に全力を傾注するとともに、信頼関係に基づく安定的な労使関係を築き上げ、活力のある民間企業として国民の厚い信頼を得るよう、全社一丸となって日々努力を重ねられますことを要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#199
○鹿野委員長 小林恒人君。
#200
○小林委員 日本航空株式会社法を廃止する等の法律案に対する反対討論。
 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました日本航空株式会社法を廃止する等の法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対の基本的な理由は、この法案の意図することが、これまで国民に大きな犠牲と苦痛を強要してきた中曽根行革の流れに沿うものであり、本委員会でもしばしば取り上げられたように、その端的な理由が企業間の競争をさせるということが主たる目的とされていることであります。
 我々は、ちょうど二年前のあの痛ましい悲劇を思い浮かべるとき、そして今多くの遺族が悲しみをこらえながら生き、そして日本航空との賠償交渉等についても幾多の障害に出会っていることを知るに及び、なぜこれほどこの時期に完全民営化を急がなければならないか、率直な疑問を抱かざるを得ないのであります。
 政府も会社も、安全については当然企業存立の絶対条件であることを強調していますが、しかし、そのための施策は着実に進んでいるかといえば、社内の幹部間、労使間など社が一丸となった体制がいまだ確立されていないのではないかと危惧される状況があると言わなければなりません。
 そしてまた、これらの安全確保の施策の実施については、ニアミスの続発にも見られるごとく、米軍や自衛隊の訓練空域の設定の問題をも含め、解決すべき多くの課題についての政府の対応のおくれもあります。
 今日、航空は幅広く国民の間に利用される状況でありますが、それだけに、我が国航空行政のあり方は重大さを増していると言わなければなりません。こうした時期にいたずらに競争意識だけが強調されることは、一面では、親方日の丸の払拭とか、自立の精神を持たせることについては効果はあることは否定できないでしょうが、それが航空行政あるいは公共輸送の使命を持つ公的企業にとって基本とすべきことかどうかについては、疑問も残るところであります。
 よって我々は、改めて今後の航空行政、航空事業のあり方について、言葉ではなく事実をもって絶対安全体制の実現、そしてその上に立って国民一人一人から愛され、信頼される事業の遂行をなし得る条件と体制の整備のために全力を尽くすべきであることを強く主張するものであり、その意味においては、このたびの法案については時期尚早であることを申し上げ、反対の意見表明とするものであります。(拍手)
#201
○鹿野委員長 中路雅弘君。
#202
○中路委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、日本航空株式会社法を廃止する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 討論に入る前に、今日大量輸送機関である航空機は民間航空の国内線だけでも年間四千六百万人が利用し、文字どおり国民の足として生活と経済に欠かせない存在となっているのであります。
 こうした中で、今改めて問われるのは、空の安全に責任を負う立場にある政府が国民の願いにどうこたえてきたのかであります。残念ながら、政府と日本航空は抜本的な安全対策をとらないばかりか、臨調行革路線に基づき、運輸政策審議会答申に見られるように、航空憲法を廃止して、航空自由化、競争促進政策を推し進めているのであります。このような政府や日本航空の態度は、二年前の日航大事故の教訓を生かさず、空の安全への国民の願いに逆行するものであることを指摘せざるを得ません。
 次に、本法案の反対理由を申し上げます。
 反対理由の第一は、本法案によって安全軽視、利潤第一主義の経営体質をさらに助長するということであります。日本航空の山地社長が、かつてのように航空輸送産業で高収益を期待しにくい、多角化の推進という観点からも完全民営化が必要と述べていることは、それを如実にあらわすものであります。
 秋が本委員会でも明らかにしたとおり、日本航空の子会社である日航開発等の放漫経営は目に余るものがあります。政府は前回の航空法改悪によって、この放漫経営に何ら具体的な対策をとらず、事実上これを放置しているのであります。完全民営化はこのような事態を一層助長するものであり、断じて許すことはできません。
 同時に、このような利潤第一主義の体質は、安全を軽視することにつながることも明らかであります。現に日本航空は完全民営化に向けて、約一割、九百人もの大幅人員削減計画を決定し、新たに導入を予定している新型ジャンボ機の乗員編成についても、航空安全を直接担っている多くの乗務員の意見を無視して航空機関士を廃止する方向を打ち出しています。日本航空のこうした方向が本法案によって一層促進され、安全軽視が進むのは必至と言わなければなりません。
 反対理由の第二は、本法案による日航の完全民営化をきっかけに、各社の高収益路線への集中と、そこでの競争の激化をもたらすことは明白であります。このような各社間の競争激化が不採算路線やローカル線の切り捨てを促進させ、国民にとって必要な空の足が奪われる重要なきっかけになることは不可避であります。
 最後に、本委員会の私の質問で、政府は日航法を廃止する理由を何ら具体的に明らかにできないばかりか、膨大な額に上るドル先物予約による損失や子会社の乱脈、放漫経営に何ら手をつけずに日航完全民営化を強行することは、日航経営陣の無責任にとどまらず、最大の株主である国民への背信行為であることを指摘せざるを得ないのであります。
 我が党は、大量交通機関、特に多くの人命が一挙に失われる航空機事故を防ぐため、安全無視の利潤追求体質に厳しい規制を求めることを綱領に明記している唯一の政党であります。そうした人命尊重、安全最優先の立場に立つ党として、政府、日本航空の態度を厳しく批判することを明らかにして、反対の討論を終わります。(拍手)
#203
○鹿野委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#204
○鹿野委員長 これより採決に入ります。
 日本航空株式会社法を廃止する等の法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#205
○鹿野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#206
○鹿野委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、小里貞利君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。小里貞利君。
#207
○小里委員 ただいま議題となりました日本航空株式会社法を廃止する等の法律案に対する附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付いたしましたので、朗読を省略いたします。
 本附帯決議は、本日までの法案審査の過程におきまして委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、本案の実施に当たり、政府において特に留意すべきところを明らかにし、本案の円滑な実施に遺憾なきを期そうとするものであります。
 以上をもって本動議の趣旨の説明を終わります。
    ―――――――――――――
   日本航空株式会社法を廃止する等の法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、日本航空株式会社の完全民営化に当たり、次の事項に関し、特に配慮すべきである。
 一 今後の航空政策として、航空企業間の競争を通じて利用者利便の向上を図るため、国際線の複数社制、国内線のダブルトラック・トリプルトラック化を推進することとし、その際日本航空株式会社とその他の航空企業との企業体力の格差及び路線構成等に配慮し、航空企業の健全な発展を図るよう努めること。
 二 安全の確保が輸送機関に課せられた基本的な責務であることにかんがみ、航空の安全が十分に確保されるよう、航空企業に対し適切な指導・監督を行うこと。
 三 日本航空株式会社に対し、自主的かつ責任ある経営体制の確立、関連事業の適正化、労使関係の信頼性の向上等を図り、経営基盤の強化を図ることにより、航空運賃の一層の適正化等利用者サービスの向上に努め、公共輸送機関としての社会的責任を果たすよう指導すること。
    ―――――――――――――
#208
○鹿野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 小里貞利君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#209
○鹿野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣。
#210
○橋本国務大臣 ただいま、日本航空株式会社法を廃止する等の法律案につきまして慎重な御審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。
 また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府として十分の努力をしてまいる所存であります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#211
○鹿野委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#212
○鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#213
○鹿野委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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