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1947/09/26 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 決算・労働連合委員会 第4号
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1947/09/26 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 決算・労働連合委員会 第4号

#1
第001回国会 決算・労働連合委員会 第4号
  付託事件
○國家公務員法案(内閣送付)
○國家公務員法の規定が適用せられる
 までの官吏の任免等に関する法律案
 (内閣送付)
昭和二十二年九月二十六日(金曜日)
   午後二時四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(下條康麿君) これより本日の連合委員会を開会いたします。昨日に続けて審議いたしたいと思います。昨日は懇談会でありましたけれども、出入りで結局二十五名、過半数でありましたので第一回の委員会として取扱いたいと思いますが、如何でしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(下條康麿君) それではさように認めます。國務大臣が見えておりますから御質問なりなにか……。
#4
○山下義信君 昨日御質疑がありましたかどうか、本員は中途退席いたしましたので、重複いたしておりましたらばお許しを願いたいと思うのでございますが、この公務員法案によりまして任命が行われまする職員の範囲でございますが、第二條第十二項によりますと、現業廳、公團その他これらに準ずるものの職員はこの法案によらないような御規定になっておりますようでございます。現業廳と申しますと、言うまでもなく鉄道省、逓信省関係が厖大な現業員がありますわけでございます。もとよりこれらは他の或いは労働基準法、そういったものによりまする建前になっておるのであろうとは思うのでございますが、この法案を御立案相成りまするときに、現業廳というものに対しまする御方針というものはどういうふうにお考になりましたのでしょうか。これを除外するということになりますると、殊に或いは公園その他の職員も悉く除外いたすということになりますると、官公吏の大部分というものがこの法案の規定外に相成るように心得るのであります。それらに関しまして御当局はどういうふうな御方針でおいでになりますか、承りたいと存じます。
#5
○政府委員(前田克己君) 現業廳と申しましても、ここで主として考えておりまするのは、國家企業に從事する職員、これを主として頭に置いて考えたのであります。國営企業の場合でも企業経営という見地から見ますると、同種の民間の業務と相似た所があり、繰つてその職員の処遇につきましても同じような考慮が拂われなければいかんと思うのでありまして、その半面、一般行政官廳の普通の行政事務をやつておりまする職員とは、相当その身分等につきましても異なるものがあると思うのであります。で、むしろ一般官廳の業務に從事する者と同一の規律に属せしめますよりも、各企業そのものの特色に應じました規律に属せしめた方が、企業の経営に適当であると考えたのであります。例えば人事管理というような部面から言いましても、これは企業能率の増進というような見地から考えた方がよろしい部面が非常に多く、その外船與でありまするとか、任用試験等につきましても、人事院で統轄する一般の行政職員とは相当違つたことが考えられると思うのであります。そういうわけで、一應この國家公務員法案におきましては、特別職として法律の適用を排除しておるのであります。併しながら勿論これを無法律のままで放置するわけには行きませんので、別に現業廳の職員に対して、いわば現業廳職員法というようなものを制定する必要があると考えられるのであります。又その人事行政の綜合というような点も、或程度人事院で扱わせるのが適当だ。かように考えておる次第であります。
#6
○山下義信君 一應御説明を承つて置くことにいたしておきまして、尚関連いたしまして伺いたいと思いますことは、只今の現業廳の特異な点を二、三お述べになりましたのでございますが、その中で人事に関しまする管理というようなものが、一般の官廳と又違つたところがあるということでございますが、これは正しく私共も了承いたしますが、併し今度は反対に申しますというと、一般官廳の官公吏というものが、殆ど普通の企業体の職員の人事の動き方と似たような傾向を最近持っておりますることも事実であります。例えば人事につきましては、職員組合にいちいち相談をし、その承諾を得なければ人事が行われないというがごときことが、公の團体契約としまして随所にそれが見られておるのでございます。この公務員法によりますというと、現在のそういうような実際の有様というものが少しもこの法案の中に盛られていないように見受けるのでございますが、当局におきましては人事につきまして、只今現に行われているがごとき職員組合の意向を重く見て行くというような点をお取入れになるお考がないのであるかどうかという点を、関連して伺いたいと思います。
#7
○政府委員(前田克己君) これは昨日岩間委員の御質問で一應お答をいたしましたが、現在職員組合が或程度各官廳におきまして人事権に関與していることは事実であります。併しこれも現在の法令上そういうことが認められているわけではありませんので、任免権者が法令によって任ぜられておりまするその任免権の裁量内の事項として行われておるわけであります。政府といたしましては、職員組合が人事に関する関與を法令上認めることは、これは適当でないと考えておる次第であります。從つてこの法令にも、それを認めるような規定は全然おいておらないのであります。ただ現在の官公吏をどういうふうに考えるかということは、これは又別途運用の問題として考えるべき問題であります。固より任免権者が法令に基いていたします実際の任免につきまして、職員組合の者から建設的な参考意見を提示する。この程度は結構と思うのであります。法令上の人事権を拘束するがごとき関與は、本法の趣旨から言うと認め難いと、かように考えております。
#8
○山下義信君 運用の上におきましては多少考慮の余地があるが、法律としてさような性質のものは取入れることはできんという御答弁でございます。そういたしますと、この官吏の人事につきまして、いわゆる天降り的な命令人事でなくして、廣く民主的な性格を持つた人事をやろうというようなお考はないと心得まして宜しうございますか。
#9
○政府委員(前田克己君) この國家公務員法案の適用の対象になっております職員は、大体二條に列挙してありますものを除きました職員ということに相成るのでございます。結局純然たる行政の事務をやる人間であります。これはこの法案において非常な重点をおいております職階制の官制によりまして、これらの職員というものは高度の技術性と専門性が要請せられるようになるのでありまして、まあ極端に申しますと、一種の機械のようなふうに考えているわけであります。如何なる政党の下でも、如何なる内閣の下でも、その命令を受けまして、自由自在に動くべき機械を形造る。こういう意味合であります。從つてこれが任免等につきましても、職階制等による試験選考等によりまして、極めて科学的に行われる。あまりこの公務員法案の適用の対象となっております職員につきまして、特に民主的な任命方法というようなものを考えることは必要がない。かように考えておる次第であります。
#10
○山下義信君 官吏を全く機械的に公平無私にお取扱になろうという御趣旨で、今言つたような民主的なそういうような行き方はしたくないという御答弁でありました。一應承つて置くのでございます。これは小さいことでございますが、序に伺いたいと思いますのは、第二條の第十一号に「任命について國会又はその両院若しくは一院の選挙、」こうあるのでございますが、國会とか又その両院の「同意」はどういうふうになるのでございましょうか。
#11
○政府委員(井手成三君) 私からお答えいたします。実際の法律の文言といたしまして両院の同意と書いてあります例は、会計檢査院法でございます。これは各院毎に同意がいるのであります。それから尚更に公正取引委員会の委員長、委員、これは衆議院だけの同意になっております。いわゆる独占禁止法に規定がございます。それから國会即ち両院の議決によって一つの意思表示になる。これは今後立法を予想しております今度の地方自治委員会の委員、これは御審議を受けておりますが、まだできておりません。それから本案の人事官も両院の同意となっております。一院が反対になりまして、いはゆる憲法に予想しておりますような方法で行くという規定がございます。そういうような工合に各個の例によりまして、それを予想して書いたのでございます。それぞれの可否はその方の法律で十分研究したいと思います。
#12
○吉川末次郎君 昨日お尋ねいたしまして御答弁を受けたのでありますが、尚自分で腑に落ちないので、又同様な質問はほかの委員からもなされたのでありますが、同様に私は当局の御答弁を十分に納得するところまで至っておりませんので、重ねてお尋ねすることをお許しを願いたいのであります。
 昨日お尋ねいたしましたことの中で資料の御提出を願いたいということに対する私の希望でありますが、それに対して資料が御用意がないというような御答弁でありましたが、行政調査部から「職階制度の研究」とかいうパンフレツトを御出版になっているようでありまして、尚それは行政調査部で、アメリカからこの人事行政制度を確立するために來られた顧問の方の行政調査部員に対する講義を集録したものであるというようにも書かれたようでありまして、若し頂けるものであるならば我々に御配付が願いたいと思うのであります。尚三宅事務官から「イギリスの人事行政の諸問題」というプリントを頂きましたが、外の方にもお配り願えれば結構だと思っております。尚私が特にお願い申上げたいことはお出しになっております職階制度の説明というプリントの中に職階制度につきましては、一九二三年において米国にクラスイフイケーシヨン・アクトというものが公布せられたと書いてありますが、今度の法案につきましては、アメリカの制案をいろいろ御踏襲になっておることは、当局の御説明の中にもあったと思うのであります。嘗て日本の官僚が旧帝國憲法その他の法律制度におきまして、プロシヤの法律制度を母法として踏襲いたしましたように、やはりこの法律におきましても、母法とも言うことができるような、アメリカその他の國かも知れませんが、恐らくアメリカの法律がおありだろうと思うのでありまして、若しございましたならば、今申しました一九二三年のフエデラル・ガヴアメントのクラスイフイケーシヨン・アクト、これは多分翻訳をお持ちなっているに違いないと思うのでありまして、どうか一つ我々に御配付願いたいと思うのであります。
 尚この法案を読みまして、極めて日本語として生硬なる法律的なタームが使われております。先日も申上げましたように、五條における「人事官は、人格が高潔で、」云々であるとか、読んでいきますと極めて新しい文言、例えば附則第二條の第三項でありますが、「「臨時人事委員」と読み替えるものとする。」なんという言葉も、非常に我々には新しい言葉でありますが、これが母法の翻訳的な法律であるとすれば、それぞれ原語もあるだろうと思いますが、そういうものとも照し合せたいと思いますので、どうぞその母法というものがありましたら、一つ是非お示しが願いたいのであります。
 それからこれ又、先日お尋ねいたしたことでありますが、全体といたしまして後程更にお尋ねいたしたいと思いますが、政党の排撃、いわゆるスポイル・システムということが一つの骨子になっていると考えるのでありますが、それに関連いたしまして、私は昨日殊に現在のような民主革命の遂行期においては、そうした民主革命の線に沿つたところの深い思想的理解をもつた、同時に行政官としての技能を併有しているところの人間を採用する必要がある。行政組織の隅々にまでそういう人を配置するの必要があると申しまして、労働省が婦人児童局長に山川菊榮女史を採用されたのは好人事であるということを申しましたところが、齋藤國務相の御答弁には、政党の人でも容易にこの法律によって採用ができるようになっておるということのお話がありましたが、例えば山川菊榮女史が婦人児童局長に採用されましたのに、ちょっと見ましたところ、この法律ではやはり特別任用によって、あのような形で採用されることはできないように思われるのでありますが、普通の吏員と同じように、やはり吏員の競争採用試験をくぐつて行かなければならないというようになっているのではないかと思うのであります。昨日非常に多忙でありまして、よくまだこの点を檢討しておりませんので、私の考に間違いがありましたらお裁きを願いたいのであります。これは私が思ったそのままの気持で伺つているのでありますから、そのように御了解願いたいのであります。
 第三番目は先程から申上げておりますし、外の同僚諸君からも御尋もありまして、私の最も聴きたいことであり、又昨日の御答弁で不満足である点であります。これは重ねて申しますが、この法案全体を通じましての私の考えからいたしまして、基本的にこの法律案がもっておるところの最も大きな欠陷であると考えますので、くどくどしく更に御答弁を促す次第でありますが、この法律がアメリカの制度を踏襲しておられる。ところがアメリカと日本の、官吏と政党との関係というものが非常に違つているという両者の相違、非常に大きな基本的な政治的な相違といもうのをは無視して、この法律がアメリカの制度を無批判に直訳的な態度で採択せられているということであります。日本の官僚は狭義におけるところの政党、即ち議会の政党、政友会とか民政党とか、或いは今日の社会党とか、自由党とか、民主党とかいうような議会行動を中心といたしますところの政党に対立して來たところの、非常に大きな一つの政治的グループ、政治的な勢力であったと思うのでありまして、廣義に解釈いたしますならば、私は政党というものを政権争奪のための政治的手段と考えますならば、そういう意味においては誠に有力なる政党であったと考えるのであります。而もその官僚というところの政党は、政治的手段は旧帝國憲法のもっておる封建性、或いは法律的にはその規定されているところの大権行爲の無制限に廣汎であるということに乘じまして生まれて來ましたところの、私は廣義の政党であると考えるのであります。ところがアメリカにおきましてはそういうような日本の官僚のような封建的な政治的利害関係上に立って來たところの廣義の政党、或いは政治的手段というものは、政治的にはなかったと考えるのであります。その官僚は自分が封建的な利害関係の上に立って、狭義におけるところの議会政党と今日まで闘争を続けて來たということが、今日までの日本の明治以來の政治史であると考えるのでありますが、この狭義におけるところの政党、即ち議会政党、政友会、民政党というような政党と官僚が闘いますときには、常に政党というものはいけないものである。政党が悪いものであるというようなことばかり言って参りまして、そうして日本で高等文官試験の制度のようなものができましたのも、やはり官僚が自己擁護のために、政党に対して政党勢力を排除することを目的として作つたということも、非常に大きな動機をなしているのではないかと思うのであります。ところが官僚は自分の政治的な欲望というものを達成いたしますときにおいて、いろいろな外國の制度をば自己擁護のために利用いたすのでありますが、特にアメリカの制度を利用いたしまするときには、全く國情と政治的事情が違つておりますところの米國の政治的な制度を局部的に理解した自己擁護の利害と、そうして或いは又アメリカに対するところの無知とを原因といたしまして、そうして日本にしばしば輸入して來ておることが極めて多いと思うのであります。例えば地方自治体に政党というものはあつてはならんものであるというようなことは、知らず知らずの間に日本人の間における一つのオルソドツクス的な権威を形作つて來たのでありますが、そういうことも亦官僚がアメリカの一部に行われておりますところの議論を、右に申しましたような動機からいたしまして日本に直訳輸入いたしましてそうして自分の自己擁護のために利用しておる面が非常に多いのであります。アメリカにおきまして、こういうこの文官任用制度、シビル・サーヴイスの制度というものが確立いたしましたのは、十九世紀の終り頃じゃないかと私は考えるのでありますが、今の地方自治体におきましても亦やはり、スポイルシステム即ちアメリカで言われるところの政党員の文官分取制度を排撃して、そうしてシビル・サーヴイス・エキザミネーシヨンを行わなければいかんというようなことが頻りにいわれて來たことは、國家においても、又地方自治体においても、そういうことが非常に言われて來たのであります。特に十八世紀の終り頃におきまして、米國においてはそうした政党員が地方自治体の、政府の重要職に就いて、政党の一色で以て地方自治体の役人の地位を占めるということが誤つたデモクラシイであるというように考えられておりましたのでありますが、そのために能率が上らないで、情実及び政治的な原因によって左右されるものでありますから、ビジネス・サークルに比べて、非常に職員の能率が上らないというので以て、そうしたシビル・サーヴイス・エキザミネーシヨンということが、必要であるということが非常に言われて來たと私は記憶いたしておるのであります。尚その外それに関連いたしまして、米國の地方自治体、殊に都市におきまして、偶に違憲であるとか、そうした涜職事件等も、政党を中心といたしまして行われたものでありますから、地方自治体において政党員の猟官運動はこれを止めなくちやいかん、というので、十九世紀から二十世紀の初頭にかけましての盛んなるミユニシパル・リフオーミング・ムーヴメントが起りまして、そうしてそれに関連して政党の自治体におけるところの排除というようなことも言われて來たのでありますが、それを無批判に日本の官僚は受容れまして、そうして全然事情の、コンデイシヨンの違つた立場で、自己のために頻りにそういう議論を利用いたしまして、この間行われました知事の選挙におきましても、尚地方自治体には政党はないものであるということを、やはり東京の安井知事その他の諸君が各府縣において、尚そうしたことを言っておるのが窺われるような事情なのであります。それと同じようにこの法案についても、アメリカに行われて來たところの政党の猟官運動というものをば止めさせなくちやいかんということを非常に骨子といたしておりまするところの米國の公務員の制度というものが、全くそうした両國の政治事情の相違というものを無規して採択されておる。そうしてそこには地方自治体におけるところの政党排撃という間違つた議論と同じように、官僚の自己擁護というような面が潜在意識的にやはりこの中にあるということをどうしても我々は考えざるを得ないのでありまして、右につきまして、昨日齋藤國務相から御答弁を伺つたのでありますが、齋藤國務相は、國務大臣として齋藤大先輩には役不足であるところの、こういう行政調査部の仕事を恐らく下僚任せにしてやつておいでになるのではないかと私は実は推察いたしますが故に、日本における自由主義、民主主義の運動の先達者でありました齋藤さんが、どうも齋藤さんのお持ちになっておるところの政治的見解から非常に遠いところの官僚組織の温存に貢献するような、こうした法案を齋藤さんの下において出されるような結果になっておるのじゃないかと思われるのであります。これが私はくどいようでありますが、極めて根本的な本法案が持っておるところの基本的な欠陷であると考えるのでありますが、今まで御答弁もあったことでありますが、もう一度一つ右についてはっきりした御答弁を得たいと思うのであります。
#13
○國務大臣(齋藤隆夫君) 私は答弁をするのは実は下手でありまするからして、私の考が徹底しておるか否やは疑問に思っておりますが、不徹底なことがありますならば、何回でも一つ繰返し繰返しお尋ねを願いたいと思ひます。
 政党と官僚との関係は、やはり國々によってそれは違います。アメリカにはアメリカの習慣がございましょうし、日本には日本の傳統がありますので、アメリカの事情を以てそのまま日本を律することはできませんので、この公務員法を制定するに当りましても、無論アメリカのみならず、他の二三の國の立法も参照した積りでございまするが、その結果昨日ちょっと申しましたように、日本は日本の國情、日本の刻下のあらゆる状態に照らして、日本に行われ得べき、又日本に行なって適当であるというこの考を以て、この公務員法を作成したのでございまして、決してこのアメリカの法律をばそのまま持つで來たという趣旨では決してないのでありますので、この点は幾重にも御了承を願つて置きます。要はこの法案に規定しておりまするそのことがいいか惡いかということについて十分な御批評を承りたいと思います。私の見るところによりますというと、日本の官僚の組織及びその弊害は、長い間の問題でございまして、遡つて見れば限りもなく、明治以來官吏というものに対する不合理千万な傳統であります、一種の封建思想でありますが、これが官僚をして國民と懸け離れて、國民の怨嗟の的となつたという重要な点であると思いますが、そういうことをば、でき得る限り一つ叩き壊したい。日本は御承知の通り戦争に敗けまして、國情がすつかり変りまして、新憲法ができまして、國家組織が根本から変革せられた。官吏というものも、これまでは天皇の官吏でありましたものが、それが天皇の官吏でなくして國民の官吏であると、こういうような工合に、すべて國家の組織からしてあらゆる方面において、いわゆる民主革命が起つておるのでありましてこの民主革命の趣旨に基きまして、官吏制度をも変えたいということが出発点になりまして、こういうような法律ができたのでありますからして、この法律に規定しておりまする事柄自体につきまして、この條項に刻下の新要求に應ずることができぬ点がありますならば、一つ御意見も承り、又十分に國会の権能によって御修正を願いたいと思います。我々の考えました点は、どうもこれまでは、これ以上進んだところの立法をする必要はないし、又これが今日の時勢に適したるものである。こう考えましてこういうような立法ができたのであります。私自身は乏しきを行政調査部に持っておりますけれども、私の考と行政調査部でやつておりますことは、少しも齟齬はありません。私は及ばずながら長い間自由のために闘つて参りましたけれども、私が闘つたところの趣旨は、この法案によって決して没却されるものでなくして、或意味においては、この法案によって相当な目的を達することができる。こういう工合に考えておるのでありまするから、これは見解の相違になりますけれども、私は責任を以てこの法案作成の任に当つておりますので、その点は返す返すも誤解のないようにお願いいたします。そういうことでございますからして、どうかこの案そのものについて、一つ御審議を願いまして、これがアメリカのスポイル・システムをば奉じておる。こういう考から來ておるから、この法案はその出発点において間違つておるというようなお考は一つ御修正を願いたい。こう思うのであります。誠に要領を得ぬかも知れませんが、私の意見としてこれだけのことをばお答え申しておきます。
#14
○政府委員(前田克己君) 吉川さんの外の二つの御質問にお答えいたします。この法案によって、労働省の婦人兒童局長に、山川菊榮さんを登用したようなことができるかどうか。これは第三十六條但し書におきまして、人事院の承認のあった場合には、競争試験以外の能力の実証に基く試験、これを選考と呼んでおります、この方法によることができるという規定がありまして、これでその途が開かれておるのであります。三十六條但し書で考えておりまするのは、例えば運傳手とか、タイピストとかいうように、一定の資格なり、或は特別の教育を受けた者については、改めて競争試験をやる必要がない。そういう場合が一つ。それから二つには民間の専門家、或は非常に適任な方を特殊なポストに登用する場合に、この方法による。こういう意味合であります。
 それから最初に御要求のありました資料でありまするが、これらの資料はいずれも行政調査部の方にございますが、ただ部数が、全員にお配りするだけ直ちに間に合うかどうかちょっと分り兼ねますので、調べました上で、成るべく御要求に副うようにいたしたいと思います。
#15
○吉川末次郎君 齋藤國務相の御答弁甚だ不満足でありますが、私自らの意見を修正する必要はないと考えております。その上は意見の相違でありますから、これで質問は打切ります。
#16
○川上嘉市君 國務大臣にお伺いいたします。本法案にあります恩給法というものは、これに接続して制定せられると思いますが、大体いつ頃お決めになるか。その御予定御腹案、又御規定なさるとすれば、恐らくは今日の物價の情勢でありましては、官公吏が一生の間勤めて、そうして老後を養うとか、或いは老後自分の住宅を作るとか、生活の安定を得るということになると、恐らくは今日の予算で言えば一人について百万円ずつ出してもまだ昔の一万円にも及ばぬというようなことになると思いますが、そんなことについて、どんなふうな御腹案を以つて将來おやりになるのでありますか。又御腹案がありますかどうか。その点について伺いたいと思います。これは極めて重要な問題でありまして、すべての事業関係の、いわゆる退職手当とかいうような問題に全部影響するので、それらの手当は余程考慮せぬというと、民間の会社がどこもかしこも、退職経理というものを作つてくれと要求しても、その点においで実は恐ろしくて作れぬというのが現状ではないかと思います。どういうような御腹案か、御伺いいたします。
#17
○國務大臣(齋藤隆夫君) 恩給法の改正は、大体において私は時勢の要求であると思っております。現在の恩給法をば、相当に改正しなければならぬということは、これは政府の方におきましても同感でございます。でありますからして、この法案の百六條にも、恩給に関する規定を設けまして、「恩給に関して必要なる事項は、法律によってこれを定める。」とありますから、あまり遠くないうちにおいて、恩給法の根本的改正をしたいと、こういう考を持っておりますからして、その点については、十分に審査をする積りでおります。今の恩給法は相当の程度において改めなければならぬと、こう思っております。
#18
○川上嘉市君 お作りになるのは当然だと思いますが、その点はいつ頃か。先程申しますように、どんなふうなことでこの時局を乘り切るお考でありますか。何かそのことについて御腹案がありましたならば、大体の御意向を承りたいと思います。
#19
○國務大臣(齋藤隆夫君) 今これというて具体的な腹案もできておりませんから、人事院ができましてから、人事院がこの規定と睨み合せて、適当な具体的の法案を考えたいと思っておりますが、今はまだ別に具体的の案はできておりません。
#20
○川上嘉市君 希望として申上げますが、只今申しましたように、全部の勤労者或いは社員とか、すべての人の待遇というものに、全部影響しますからして、余程愼重に御考慮あらんことを希望いたします。
#21
○委員長(下條康麿君) ちょっと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#22
○委員長(下條康麿君) 速記を始めて……。
#23
○松井道夫君 私は判檢事と國家公務員法、その関係についてお尋ねしたいと思うのであります。判事につきましては、この法案の第二條の第三項の十七号に裁判官ということが書してございまして、この法律の適用が排除せられておるようであります。そこでお尋ねしたいのでありますが、この法律に規定されておりまするあらゆる事項で、裁判官についてどういう所で、どういう形式によって規定されるのであるかということをお尋ねしたいのであります。今の判事につきましては、御承知の通り裁判所法というのがございまして、この中でいろいろ任用関係、その資格といったようなものを規定してございまするが、併し裁判所法において規定されておらない部分も沢山あるのでありまする例えば恩給といったようなものは規定してないかと存ずるのであります。その外職階制というものが新たに法律によってできるのでありますが、裁判官も亦職階制といったような行き方で將來相成つて行くのであるかどうか。それは先程申しましたように、どういう機関でどういう形式でそういうものが定められて行くものであるかということをお尋ねしたいのであります。次に検事でありますが、檢事は第二條の第三項の各号に載つておりません。これはこの法律の適用を受けるのであろうと存じます。さような趣旨であろうと存ずるのであります。然るに檢事につきまして、御承知の通り檢察廳法というものができておりまして、それについていろいろ任用の資格その他が定まつておるのであります。この法律の任用の、この適用を受けるとすれば、檢察廳法は、これは改正せられる御意向なのであるかどうか。或いは檢察官についての特色として檢察廳法は、その儘にして置かれるのであるかどうか。ところで件察廳法におきましては、司法試験を受けまして、その司法試験がこの國家公務員法におきまして「どういった試験に入られるか、それは分りませんが、その司法試験を受けまして、その後司法修習生といたしまして、或期間を修習いたしまして、それから修習生の考試というものを受けまして、そうして初めて今の檢察官に任用せられまするところの資格を得るのであります。さような特別の規定になっておりまして、その司法修習生の考試、試験の「修習」という文字が使つてありますが、司法修習生の修習、それは今の裁判所法に規定してありますところの、司法修習生の修習というものと同じでありまして、その後もいろいろ判事側との人事の交流を考えまして、何年間判事をやつたものは、一級官の檢察官になることができるとか。そういったような、又裁判所におきましても、檢事から判事に任用せられるような規定になっておるのであります。それで将來この檢察廳法を変えられるにいたしましても、或いはこの法律をその儘特色として残すといたしましても、この公務員法及び檢察廳法との関連におきまして、更にこの檢察官に関する法律と裁判所法、判事に関する法律との釣力合におきまして、いろいろ問題が起るのではないかと存ずるのであります。その点につきまして、この裁判所法自体の改正も考えられておるのかどうか。そういうことが問題になって参ると存ずるのであります。更にこれは最近の新聞紙上にちらほらと見えるのでございますが、司法省が解体せられるようにすでに決定したのであるといったようなことが見えておるのでありまするが、檢事が一体將來どういう官廳の下に窮極的に置かれるのか。そういうことがいろいろ檢事に関する身分、待遇その他につきまして、それの関連におきまして問題になると存ずるのであります。例えば普通の行政機関と同じ一つの省が担当いたすか。或いはそうでない別個のやや独立的のものができまして、そこでやることになるのか。そういうことが判事との釣り合その他を考慮する上において問題になって來るのじゃないかと存ずるのであります。一般の判事と檢察官というものをどの程度別個に取扱い得るかということについて問題になって來ると存ずるのであります。いずれにいたしましても、檢事がどういう官廳の下に配属せられるのであるかということ、これをこの際伺つて置きたいと存ずるのであります。いろいろ錯雑いたしまして、お汲み取りにくかったかと存じますが、要するにこの法律と裁判所法、檢察廳法の関係、それから將來司法省がどういうことになるか、検事がどういった官廳の下に置かれるのかということをお尋ねする趣旨であります。尚参考のために申して置くのでありますが、檢察廳法においては、「檢察官の受ける俸給については、別に法律でこれを定める。」ということに第二十一條に規定してあるのでありまして、これは一般の官吏と別個の俸給に関する規定によるという趣旨であろうと私存ずるのであります。その辺とも関連いたしまして御答弁を願いたいと思います。
#24
○政府委員(井手成三君) 只今の御質問は非常に実体を掘下げておられますし、やや専門に入っておりますので、私からお答えさして頂きたいと思います。非常に詳しく、且正しい御批判でございまして、いちいち私御尤もに承ました。実はこの國家公務員法は、大きな筋を先づ第一段階として踏み出したのでありまして、その後これに並行し、且これに伴なって行く法律案が全部どういう形になるかということは、まだ政府として決定的にはなっておりません。併しこの法案が出ますのにつきまして、関係当局者としまして考えておりますところを申上げて、御了承を得たいと存じます。
 先ず第一に裁判官の方でありまするが、これは第二條の特別職に入っております。この特別職に対する立法はどうなるだろう、この法律は一般職に適用しておりまして、特別職にはこの法律は適用しておりません。特別職にはどうなるだろうと申しますと、特別職の中にありまする、例えば國務大臣とか、官房長官とか、政務次官とか、或いは又現業廳の職員等はこの規定を適用いたしませんと、現在適用になるベき法律はなくなるわけであります。私どもはこの法律が施行されまする時、即ち現行の一般職及びこれらの特別の官吏に通じて現在の俸給令も適用になっております。或いは官吏服務規律も適用になっております。或いは分限規定等も、部分によってでございますが、適用になっております。そういうものがなくなってしまつて、一般職にはこの法律が適用になり、特別職は全然ブランクになるということがあつてはなりませんから、この法律が施行されて、現行の規定がなくなりまするまでには、そういうものにつきまして必要なる規定を置きたいと思っております。例えば官房長官と政務次官、大臣になりますれば、服務規定の中で、政党に関係の部分というようなものは、これは外しますけれども、他の方は大体よいのじゃないだろうか、いわゆるクラシフイケーシヨン、職階制度は必要でないであろうとか、クラシフイケーシヨンによって俸給を決めるのでなくて、俸給はきちつと固定していいであろうとか、いろいろ研究いたしておりますが、いずれにしても必要な立法をしたいと思っております。それから特別職の中のもう一つのグループは、現在特別職がある部分であります。先程お仰せになりました如く裁判官につきましては、現在では特別の規定を置きまして、恩給法その他服務規律もそうでありまするが、一般規定は一應被つしおつて、その上に特別規定を置くことになっております。今回これは特別職になりますと、その特別規定は残りますけれども、一般規定は消えてなくなります。これはどうするかということも今日から研究しなければならん問題でございまして、恐らくこの法律が試行されますまでには、現在の特別規定の根本に基きまして、裁判官について必要な法令が、一つの纒つた法令ができるだろうと考えております。更に次の檢察官でございまするが、これが只今縷々お仰せになりました如く、準司法官のような立場にあることは御存じの通りでございます。憲法でも司法の部分に檢察官のことをちょっと觸れております。これは基本的には行政官と考えておりますけれども、やつております仕事は、非常に司法官に近い部分を持っております。判檢事の交流の問題であるとか、事務修習を共通にするとか、色々な問題がございます。この法の立て方といたしましては、裁判官は別個の法令で行くということにはっきりいたしましたが、檢察官の方は附則の十三條に参りまして、一應はこの法律が被つて行くし、併し準司法官としての特殊性を相当これは強くしませんと、檢察官の実情に合いませんので、先程俸給の問題、事務修習の問題、或いは資格の問題と仰せになりました如く、十三條に一應は基本的にはこの適用を受ける。併しその分限の問題にしても何にしても、相当裁判官に近いものにして行く。或いは檢察官特有の規定を必要とするというので、この十三條については、外交官についての特例、学校教員についての特例、その他についていろいろ幅は違うと思いますが、それぞれの特例ができると思っております。目下この法律を御進行頂きまして、成立の曉には、施行までには我々は馬力をかけて、その必要の規定を整備したいと考えております。その次に司法省の解体の問題に関係して、檢察官の身分、所属、指揮等はどういうことになるだろうかという御質問でございます。実は行政機構の問題は、行政官廳法が現在應急規定としてございまして、先ず來年の五月二日まで一ヶ年間有効となっております。從つて政府では齋藤國務大臣を首班といたしまして行政調査部ができまして、根本的な改革を独自の立場でやつておるわけであります。然るところ連合軍との交渉もございまして、いろいろと新しい行政機構も緒に就いております。そういう意味からして、司法省を如何にするか、檢察廳について如何なる形をとるかということは、基本的な研究はございました。併し國家公務員法を出すまでには、まだ決まつた形を実は持合せておりません。併しいろいろと事態が進行して参りまして、司法省問題が十分に研究しなければならないというような段階になっておりますので、私どもは急いでこの檢察官、檢察廳に関するものは内閣の触れ工合、或いは裁判所の触れ工合から最も妥当な所に落着けたいと思っております。いろいろとまだ私どもとして私見はございますが、今日申上げるまでに至っておりませんので、お許しを願いたいと存じます。
#25
○松井道夫君 今のに引続きまして、今の檢事の所属その他司法省の解体の問題につきましてこの際齋藤國務大臣から発表できる範囲でお話願いたいと存ずるのであります。それからもう一点お尋ねしたいのは、これは齋藤國務大臣でなくても、どなたでも結構でありますが、檢察官は特別職として第二條に入れることができないかどうかという点をお尋ねしたいと思います。
#26
○國務大臣(齋藤隆夫君) 司法省の解体ということもありませんが、これまでの司法省とは少し内容及び形式の違つたものができるように思っております。御承知の通りに最高裁判所ができまして、そうして立法、行政、司法の三機関が同等の見地に立つことになりましたから、これまで司法省と言えば、やはり裁判官の方も監督するようなことになっておりましたけれども、この方はすつかり最高裁判所ですべて関係することになりました。司法省はこれに向つて口を出すことができません。從つて司法省の機構を改正しなければならんことになりまして、司法省のいわゆるアトニー・ゼネラル、何か檢事総長とか訳しておりますが、何も檢事総長に限つたことでありません。併し日本に檢事総長ということも変でありますから……。司法省という名前は宜しくない。司法省といえば、やはり法律を司つておつて、裁判官に対して何か命令がましいことをするようにこれまで思われておつたし、そういうような傾向も幾らかあったのでありまして、そういう傾向も根本から棄ててしまう。そういう意味から司法省という名前も変えなければならんことになって、それではどうするか。内閣に直属する廳とするか。名は法務省としようじゃないか。法務省はいかんから法務廳にしようじゃないかというようなことにも考えております。それから現在の法制局も法務省、すべて國家の法律制定等に関することは、法務廳、若しくは法務省において全般的にやるという。この考からして今の法制局も法務省、法務廳の方に合併するようになるかも知れません。併しまだそれは最後の確定じやございませんが、そういう方向に向つて進めておるということを御承知を願いたいと思います。
#27
○政府委員(井手成三君) 檢察官を特別職に入れることはできないだろうかという御質問でございましたが、実は第二條の特別職と、附則十三條の一般職にしておいて特例を置いて行こうというのは、それぞれ段階でございまして、こうでなければならないという筋はないのでございます。大体特別職に置きましたのは、一般職に置くのには相應わしくない。丁度言葉を裏から申すようでございますが、普通の一般職というのは職階制というものを中心にして、そうして一面人事院が相当公正に人事を扱つて行くという。この二点が大きな点でございますが、政務官のようなグループ、これを一般職に入れるのは如何にもおかしいというので、所務官は先ず特別職になっております。親任官、これも我が國の昔は親任官でございましたが、現在では認証を受けております官、これもいわゆる職階制によって生活と何とかに應じて給與を増減するとかいうのは、如何にもおかしいのであります。これを第二グループとして外しております。現業廳的のものは現業の特殊性というようなものの見地から相当違つた角度からやつた方が宜いというので外しております。それから顧問、参與的のものは、これは本務とはしない。他に職を持っておることも許されておるというようなことで、これは本條の一般職と區別したが宜い。その次は裁判官、これは立法司法、行政という見地から、これは観念から見ても外したが宜い。それから三権分立から言いまして、國会の方の系統の職員、これも國家公務員であるけれども、人事院が統轄するというな角度では如何にもおかしい。外したが宜い。これは特別法ができまして、便宜人事院が所掌するようなことになるかも知れませんが、それは今後の立法でありますが、筋として一應一般職と別のものにしよう。この十三條の方に外しましたのは、これはどちらにするかという境い目のものだと思いますが、一應一般職に入れて、特殊性を発揮するものは、多く特殊性のものであり、特別職に近いものになると思いますが、この辺が妥当であろうと思って、ラインを引いた次第でございます。
#28
○中野重治君 一つは昨日大臣から答えて頂いて分つたことではあるのですが、この問題を考えて行くのに、これは日本の法案として、我々が國民の代表としてこれを討議して行くというふうに、私は大臣の答をお聴きしたのですが、そう取つてよろしいかということが一つ。
 それから第二は、この前二月一日のトライキのときに、將來國家公務員法というような大きな重要な法律ができる場合には、その法案の作成に労働組合側の了解を得る。或いはそれと協議をするというようなことが約束されて、これは当時中央労働委員会でもそういうふうに裁定したと言いますか。こういう約束が公に取交わされたのですが、今度この法案ができて來た手続をみておるというと、組合側に対して何らの通告もなされていない。それで一般にこの法案がぽつと出て、それであわててこれについて頭を捻るというような状態になっているのですが、あのときそういうふうに約束されたのが破られて、こういう方式で法案が出るということは、法案の出される根本的な手続上の建前で非常に面白くない。こういうことが今後繰返されるようなことがあつてはならないと思いますが、なぜこの法案が出る場合に、あそこで約束されたことが守られなかったか。又この法案がこういう形で出たのであるけれども、これを一遍元に戻して、一方では公聴会を開くなりなんなり、取るべき手続を取つてやるという、そういう意思があるかないか。なぜかと申せば、これは非常に重大な問題で、私は数字をはっきり知りませんが、恐らくこの法案が法律となって統括する。いわゆる國家公務に関する労働者は六十万人くらいになるでしようし、それから國家公務員法には、傳えられておる教師に対する身分上の問題、それが当然これに絡みついて來る、或いはその中に大きな意味では包含されるというようなことになりますから、昨日あたりからいろいろ他の委員の方の意見乃至質問にもありましたように、法案全体が極めて官僚的なものと……これは私もそういうふうに考えるのですが、見解の相違は別として、鬼に角國家公務員法によって非常に沢山の、数十万の勤務者が統括されるわけですから、こういう重大な問題については、二月一日のストライキのときのその約束に從つてやられねばならん。こういうふうな考から、なぜそういう方式が手続上正式に取られなかったか。又取られなかった以上、これを改めて正しいルートに載せて、問題を討議して行こうという意図があるかないか。その点ちょっとこの二つの問題についてお聽きしたい。
#29
○國務大臣(齋藤隆夫君) 第一の御質問の、この法案を日本の立法として審議を進める積りかどうかというような御趣旨であったと承りましたが、無論アメリカの立法でもなければ、諸外國の立法でもなく、日本の立法として國会に提出しておるので、これは当然のことであると思います。それからこの法案を作成するに当つて、官公職員組合にどうして諮らなかったかという御質問でございまするが、その中に昨年の何か二月のゼネストのときに、そんな約束があったというお話でありますが、私は実は全く存じておりません。私自身も全く初耳であります。それからしていつか官公職員組合の方が私に面会を求められまして、そうして今度の國家公務員法の草案を拵えるにあたつて、官公職員組合に委員を作つて、委員に諮問するとか、或いは何かその方面に相談をしろというような意味のお尋がありましたからして、私はきつぱりと答えました。それはしない。断じてしないということを申しました。なぜしないかと言えば、それは我々は、原案であるからして、この原案はあなた方の代表者が國会に集つておつて、國民の代表者が國会で審議するのだから、國会議員の中でも君等の代表者もあるのだから、これが即ち立憲政治であつて、政党政治であつて、民主政治だから、これ以上のことはできない。私は遠慮なく断りました。今日でもその考を持っております。官公職員組合の人が、この法案について御意見があるならば、自分等が選挙しておるところの國会議員を通じて、そうして適当の審議をするというのが、今日の政治組織でありまするから、いちいち政府が原案を作ります場合に当つて、あちらこちらに相談しておったならば、これは限りがありませんから、政府の原案は読んで宇の如く原案でありますから、これは絶対的の効力を持っておるものでありませんから、國会において自由に取捨選択せられる。その國会に官公職員組合の代表者を送つておられるのでありますから、別にその方面に向つて改めて諮問する必要がないと、こう私は考えておりまして、今日におきましてもその考を持っております。それだけのことをお答え申し上げます。
#30
○北村一男君 私はまだこの法案を全般的に読んでおりませんから、或いは他に私のお尋ねするようなことは詳しく決めてあるかも知りませんが、大体一通り見ましたるところ、これはやはり官僚勢力の温存のための法律であるということを、他の委員の方も申されましたが、私も同様に考える者であります。この訳は、大体官吏の懲戒というものが非常に緩やかである。例えて申しまするならば、農家には供出させる。そうしてその裏付けとして肥料、農機具を計画的に配給する。こういうことをいうていながら、さて実際に当りますと、なかなかそれが実現しない。併しながら供出は容赦なく取る。そうして言うことをきかんければ、又事情止むを得ないものでも、それを認めないで、強権の発動をする。こういった例は地方に乏しくないのであります。その場合に計画配給の任に当つた官吏は、配給ができなかったのは國内事情で止むを得ないといって、恬として恥じない。これに対して未だ曾てどういう懲戒が下されたか。私はその例を聞かんのであります。そういうのに対しても、この法案でどういうことをお決めになつたのか、それを具体的にお教え願いたい。それから人事官という者は、これを見ると相当重要な職務を持っておるものと思うのでありますが、それがなんだか條文にいろいろ書いてありますが、結局退職するものとす。こういうようなことで、退職すればそれですでに責任を果したというようなふうに解釋されますが、この刑法とか何かを犯さなくても、大変國民に迷惑をかけた場合において、ただ退職だけで済まして、それで差支ないのか。その点をはっきりお答え願いたい。
 それからもう一つは、この條文の各所に人事院規則というものを謳つてありまして、政党役員であった者はどうとか、随分政党に対しても、人事院規則というものは強力に働いておる。それからその外にも人事院規則々々といって、各所に謳つてありますが、これは人事院規則というものは、人事官会議の議決を経なければならんというので、あとで決まるのでありますが、若し國会でこの規則を承認して、あとでこの廣汎な権限を持つような人事院規則が決められた場合において、これをどういうような方法で國会として是正するか。そういう方法をお示し願いたい。必ずこれはあとで問題になると考えます。だからそれをはっきりお答え願いたい。
#31
○政府委員(前田克己君) 先ず最初の御質問で、懲戒に関連した点でありますが、本法案全体を通じまして、能率的な運営ということを主として非常に重きを置いて狙つておるのであります。従ってこれがためには、能率の評定表というものを作りまして、常時その官職を能率的にやつているかどうかということを科学的に考査をいたしまして、これを資料といたしまして、昇任或いは降任等の基礎とするわけであります。尚極端な場合には、懲戒処分、こういうことになるのでありまして、その懲戒処分につきましても、信賞必罰の精神を迅速に発動させるために、從來の如き懲戒委員会というような形式的な手続は廃しまして、どしどしこれを実行するような工夫をいたしております。懲戒委員会の手続を廃しました点については、又別の御批判もありますが、これは一方これに対する救済制度の如きもので、その点を補うことにいたしました。要するに能率のメ場ということを非常にやかましく言っておるのであります。分限の所におきまする、降任とか、或いは降級の場合におきましても、官職に対する適應性、或いはその官職に属する事務を十分な成績を以て挙げ得ないというような時には、身分の保障が薄くなる。こういう規定も置いてあるのでありまして、これらの規定の活用によりまして、國家公務員の能率発揚ということに遺憾なきを期したい。こう思っておる次第であります。
 それから第二の人事院規則の点でございますが、この人事院規則は、この法律の施行につきまして、通常の場合でありますれば、政令と相成るのであります。人事院というものが、総理大臣の統轄には属しますけれども、半独立的な役所であるという点、それからこの法律の施行に属しまする事柄が、非常に専門的、技術的な事柄が多い。こういう点におきまして、政令を排しまして、人事院規則の制定権を認めておるのであります。ところで随所に人事院規則という規定が出て参りまして、その委任が多過ぎるというお感じであります。併しこれは、その中には可なり一般の法律におきましても施行細則として決め得るような、非常に細かい事柄も多いのでありまして、むしろこの規定を置きましたのは、政令ではなくして、人事院規則によるべきことを明かにするような場合も少くない重要なことが規定されることもありますが、この場合におきましては、國会の承認を得まして、任命せられました人事官の会議によりまして決められるのであります。この人事官に、その方面の有識者を得るならば、規則の中立性を確保するというような点から申しましても誤りがないと、かように考えまして、人事院規則に委任の規定を置いておる次第であります。
#32
○北村一男君 私は特に先刻農民に対する点をお伺いしたのは、御承知の……これは午前中の他の委員会においても、私は質問したのでありますが、農民というものは、損得に拘らず、農産物を作らなければならんという宿命的の産業でありますので、それで特にお尋ねしたのであります。具体的に私がお尋ねしたことにお答え願いたいのは、若しもこの配給計画というものを立てて、配給ができないというような計画を立てた官吏は、どういうふうに懲戒をなさるか。つまり農民には遺憾なく供出を取つていらつしやる。諾かんければ、このいろいろの強権を発動なさる。そのために自殺をした者も我我の縣には少くないのであります。ところが一面そういう無理な計画を立てて、それから配給すべき物をできなかったというような官吏に対しては、どういう措置をおとりになるかということを具体的に承りたいと思います。そこをはっきりお答え願いたい。
#33
○政府委員(前田克己君) 法案の條文に即してお答えいたしますれば、第七十七條におきまして、第一號に、勤務実績が挙らない場合には、降任をし、又は免職をすることができるということで、只今御指摘のような事例もこれに該当する場合があると考えるのであります。それからそれが極端になりますれば、懲戒の問題になりまして、第八十一條に、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」、これによりまして、同條に規定されますような処分を受けることになる。かように考えております。
#34
○中野重治君 さっきの大臣からのお答の中味は承りましたが、二・一ストライキの時の公約の言葉は知らなかったと言われたのですが、そのことは知らなかったということは分りましたが、知つた場合、その元の政府がやつた約束を、この新しい今の政府の出す法案を出して行く手続の上で、どういうように取扱おうとお考になりますか。
#35
○國務大臣(齋藤隆夫君) お尋の趣旨は、ちょっと理解し兼ねますが、この公務員法を制定するに当りまして、原案を作る時に、官公職員組合に諮るというようなことをば、前の内閣がその方面の約束をしたかということは、私全く存じませんから、今度の公務員法作成の場合におきましても、その点は看過しておるのであります。私は前の内閣がそういうことをやるわけはないと思いますが、それをよく調べて見ますが、やつたとすれば、私はそういうことは少しやり過ぎではないかと、あの時の情勢に應じてそんなことをやつたのではないかという氣がいたします。前内閣がなにをやつたにしても、私が先程申しましたように、この案を作るにつきまして、職員組合の方から交渉がありましたけれども、それは御免を蒙るという返事をしておきました。その理由は、先程申しましたように、もう職員組合に限らず、一般國民の代表者が國会に集つたこの國会の権能によって、この法案を審議せられるのでありますからして、國民代表の実は挙つておるからして、この以上法案を作る際に当つて、いちいちあちらの部類、こちらの部類に相談しておりましたら限りがありませんので、私はできないと御返事しただけでありまして、それ以上は考を持っておりません。これだけのことを申上げて置きます。
#36
○太田敏兄君 第一点は第五條の人事官の決定方法でありますが、これは昨日もちょっと質問をいたしまして御答弁を願つたわけですが、その御答弁が極めて不徹底でありましたので、重ねてお尋ねしたいと思うのでありますが、ここに内閣が「両議院の同意を経て」とありまするが、これは実際上の問題としまして内閣が或候補者を議院に諮問した場合に、これの適否を決するということは実は実際問題からしてむづかしいと思うのです。それは或特定の個人の名前を出された場合に、その長所を挙げるのは差支ありませんが、或いはその人の欠点とか、短所を言う場合に、それは公開の席上でその人を攻撃することにもなりまして、事実上國会においてこれを審議するということは非常にむずかしいことであると思うのであります。そこでそれは一應國の代表の府である國会へはかるということは、民主的のような恰好ではありまするが、事実におきまして民主的な処置とは言えないと思うのであります。そこで昨日も申上げましたように、例えば最高裁判所の判事を選定する方法のように、或選挙母体を作りまして、その選挙母体が最も適当とする候補者を推薦する。そしてその候補者の中から國会の同意を得て内閣がこれを任命するというような方法をとりますれば、比較的民主的な選出ができるのではないかと思うのであります。当局はそういうような最も民主的な選出の方法をとられる意思があるかどうか。やはり國会の同意だけで民主的だとせられるのであるか。もう一度明快なる御答弁をお願いしたいと思います。
 それから第二点は第八條の二にありまする人事官の弾劾のことでありまするが、ここでは内閣総理大臣の訴追に基き、公開の弾劾手続によって罷免することがあると書いてありますが、これは弾劾を内閣総理大臣だけにここに制限されておりまして、そして國民的な弾劾の途というものは開かれていないのであります。そこで私は内閣総理大臣と同時に、國会にも又これを弾劾する権限を與えるということにすれば、一つの國民的弾劾の途が開けて來るのじゃないかと思うのであります。その意味におきましてこの第二項は、國会又は國務大臣の訴追に基くというふうに訂正いたするならば、この弾劾の内容がもっと適切になるのではないかと思うのであります。これにつきまする当局の見解を伺いたいと思います。
 それから第三点は第十九條の「人事院は、職員の人事記録に関することを管理する。」とありまして、そうしてその次の項には、総理廳、その他の機関をして、これを保管せしめるとありますが、そうすると結局人事院というものは、人事記録に関するものを管理するだけであつて、主管は総理廳、その他の機関に保管せしめる。こういうふうに文字通りに見て行きますると、人事院は記録の保管はしないのであるかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
 それから第四点は第二十一條の人事院は、この法律に基く権限で重要でないものについて、これは他の機関に行わしめる。この他の機関という文字を使つたのでありますが、これは一体どういう機関を当局は予想されておるのであるか。これを具体的に伺いたいと思うのであります。以上四点であります。
#37
○政府委員(前田克己君) 先ず第一点の人事官の選任でありますが、これは昨日申上げましたことを又繰返すようになりまして、或程度以上は見解の相違ということになるかと思うのであります。人事官の選任につきまして何らか諮問機関、或いは推薦機関というようなものを置く。こういうことも勿論考えられるのでありまするけれども、人事官の職務は政治的というよりは純粋な技術的、且専門的な性質のものであります。行政の実際にも通暁しておらなければならないものでありまするので、第五條に定める資格を備えました候補者を内閣が責任を以て愼重に選考いたしまして、而も今後の内閣というものは、大体國会で多数を取られた政党の政党内閣ということが前提となるのであります。それを國民輿論の判断に問うために、更に両院の同意を得て任命するということを以ちまして、十分民主的な方法である。こう考えるのであります。又いろいろな点から考えますると、これが人事官を選ぶのに一番適当な方法であると、かように考えておる次第であります。人事官の弾劾について國会にその権利を認めないかというお尋ねでございまするが、これは廣く人事官に限らず、國家公務員について國民に弾劾の権利はあるわけであります。本法案につきましては、國民或いは議会から直接これを弾劾するという規定は設けておらないのであります。憲法十五條も必らずそういう途を開くという意味とは解釋をいたされないのでありまして、國家公務員一般についてもそうでありまするが、人事官の場合につきましても、罷免すべき場合を國民の代表者たる國会の議決により法律で定めまして置けば十分でありまして、個々の罷免ということは内閣においてこれを行われるのが適当と、かように考えておる次第であります。
 それから第三は人事記録のお尋ねでありますが、これはお尋ねの如く人事院においては保管はいたさない建前になっております。二十一條の権限の委任、これを他の機関というのは、その事項によっていろいろの場合があると思うのでありますが、一般的には結局各國家公務員の所属いたしまする所属廳の長に軽度のものは委任する場合が相当できる。かように考えておるのであります。
#38
○太田敏兄君 第四点の他の機関という……
#39
○政府委員(前田克己君) 他の機関というのは、一番多いのは國家公務員の所属する所属廳の長というのが、一番多い場合であると考えます。
#40
○太田敏兄君 只今の答弁に、お言葉を返すようでありまするが、人事官というものが専門的、技術的又行政的の手腕がいるものであるから、一種の推薦若しくは選挙の方法は適切でないという御答弁でありますが、併し先にも例に挙げました最高裁判所の判事の職務の如きは、これは決して一般的のものじやなくて、極めて専門的であり、技術的であり、行政的のものであると思うのでありますが、そうすると今の政府委員の御答弁によりますと、ああいった極めて専門的、技術的、行政的な判事の選任の如きも、二つの推薦若しくは選挙の方法をとつたということが惡いということになるのでありまして、そういうような専門的、技術的、行政的な性質を持つところの判事すらも、そういうふうな推薦若しくは選挙の方法をとつておりますから、人事官だけが、そういう意味においてできないということはないと思いますが、これにつきましてどうも前後撞著したような感がありますので、重ねてお尋ねいたします。
#41
○政府委員(前田克己君) これは見る人によりまして、いろいろ見方の相違があると思うのでありますが、むしろ最高裁判所の判事のごときは人事官以上に技術的、専門的な人でありまして、却てこの場合などは國会の同意というようなことによりましては、適材を得るのは困難じゃないかと思うのであります。推薦機関といたしまして、専門的な人の集りを作る。こういう方法によっておるのであります。人事官につきましては、勿論先程申上げましたように非常に技術的な仕事をするのでありまするけれども、人数も少数でありまするし、又或程度國会に出してその批判を仰ぎ得る余地があると思うのであります。それでこのように規定をいたしたものと御了承願いたいと思います。
#42
○姫井伊介君 この職員の採用は競争試験によるといったような原則的なものから考えまして、第三十七條の直近下級の等級、それから試験によって昇任するという事項でありますが、これは有能な優秀な者を抜擢するという点から申しますと直近下級といったように限定しないでもいいじゃないか。試験を受けて十分な資格を持っておる者ならば、その途を開いて行くのが原則に叶うのじゃないかと、かように考えます。その辺の御見解を……。次は四十六條でありますが、受験の資格を人事院の規則は定めるということであります。受験の資格を複雑に考えれば限りがないので、或いは法の上に規定することの繁雑があるかとも存じますが、二十七條の規定の如く平等に一切のものを扱うということをいたしまするならば、從來のように必ずしも学歴なんといったようなものに拘わらないでもいいじゃないか。そうすると大体の規定というものが、標準規定というものが法の上に出されるのじゃないか。その次に平等の條件で公開されるということがあるといたしまするならば、やはりこの辺の受験資格というものは法律の上にはっきりさせる必要がないか。これに関連いたしまして四十七條を見ますると、この公告方法につきましては或程度小さく書いてあります。これから考えましてもやはりこの資格というものが、少くとも概念的なものであつても、具体的なその事項が挙げられることが適当ではないかと考えるのであります。その家は四十七條につきましての試験科目でありますが、この試験科目につきましては、受験者の素質とか、或いは性格、操行といったようなものを、やはり何かの方法によりまして鑑別することを考えなければ、單に從來のように試験科目によって合格いたしましても、人間そのものに大きな欠点があるということによりまして、いろいろの問題を惹起いたすのであります。この辺の人間そのものの精神的な價値といったようなものにつきましての何かの御用意がありますか。つまり採用につきましてのお考がございますかということをお尋をいたします。最後にこれは言葉尻を取るようでありますが、さっき山下委員の御質問に対しての御答弁であったかと思いますが、職員を機械的に見て行くという言葉があったのでありますが、これは往々にして誤解を生じ易いことで、從來労働を商品と見るといったようなことで、いろいろな論議もされて來た時代もあったのであります。殊にこの法案におきまするところの服務とか、或いは能率とかいったような点から考えましても、やはり人権を尊重する。人というものにつきましても考を及ぼしますならば、機械的に見るということは、私はどうかと思うのでありまして、この点はやはり人を人と見るという点から考えて行くべきものじやなかろうかと、私の私見を申し添えまして質問を終ります。
#43
○政府委員(前田克己君) 先ず三十七條の昇任の場合の競争試験でありまするが、これは法律の規定によりまして、直近下級の等級の官職の在職者における試験、これは職階制というものが組立てられました暁におきましては、昇進ということも極めて系統的になって参りまして、その資格要件等も嚴重になります。又一般の職員が一般職といたしまして、長い将來官職に勤務する。そういうふうになるのであろうということも考えますると、漸次順を追つて上るということが普通の場合においては適当と考えまして、この規定を置きました次第であります。ところが勿論、場合によりましては直近下級でありませんでも、ずっと下の方におきましても抜擢をして、その職に就けるに適当な人がある場合が考えられるのであります。で、この場合は三十五條におきまして、官職に欠員を生じた場合においては、任命権者は昇任の方法でもよし、採用の方法でこれをとつてもよろしい。降任というのはちょっと例外の場合と思いますが、昇任、採用、いずれの場合でも差支ない。こういたしておるのであります。この法律におきまして採用と申しますのは、その前の三十四條に規定いたしておりますように、昇任、降任及び轉任以外の方法で、官職に任命することを申すのでありまして、從來我々の使つておりました採用といふ言葉の意味とは、少しく違うところがあるのであります。即も外部から新たに人を新任する場合、それから只今のごとく現在官廳におりまするが、同一職種内におきまして、二級も三級も下の人を上げる場合、それから違う職種に属する人をとつて來る場合、これらがいづれも採用に入って來るのであります。従って採用の方法におきまして、或いは数等下級の官職にある人、或いは他の全然違つた職種に属しておるけれども、官職に対する十分な資格要件を備えた人をとる。この方法があるわけであります。次に四十六條の受験資格についてのお尋ねでございます。これは大体、この受験の資格として考えておりますのは、四十四條でいわれておることであります。ところが四十四條も極く抽象的なことしか書いておらないのでありますが、これで考たられますのは、年齢による制限或いは身体的の條件による制限、場合によりましては、或る程度の学歴というようなことが考えられるのであります。ただ今回は、上は局長から下は一傭人に至りまするまで、全部試験ということになりましたので、この受験の資格を全部法律に書くということも、非常に困難かと思われますので、ここには抽象的な規定を置いておる次第であります。それから四十七條の試験科目についてのお尋ねでありますが、この採用試験の場合につきまして、純粋な、学問的な試験以外に、いわゆる智能檢査に属するようなものは、これを取入れて行きたいと考えておるのであります。その外、その人がいい性格を持っておるかどうか、操行がどうであるかというようなことは、これは試験科目と申しますよりは、むしろ只今の受験の資格要件の方で何らかそういう点が考え得るのではないかと思うのであります。御意見もございましたので、将來この制度を具体的に確定いたしまする際には、十分その点を考慮したいと考えております。
 それから最後に、先程職員は如何なる政党による内閣の下でも、その指示に從つて機械のごとく活動すべきものである。こういうことも申しましたがこれは全く誓えにそういうことを申しましたので。むしろ職員と申しますよりも、この法案によって作られます官僚制度というものが、機械の歯車が噛み合つて行く如く、動いて行くべきものである。こういうふうに御了解を願いたいのであります。職員自身の個人的な人格の尊重ということは、これは特に尊重いたさなければならんことであります。例えば小さな例でございますが、九十七條で命令に從う義務ということを規定いたしておりますが、その場合にも、上司の職務上の命令だ從うということで、職務以外の私用のごとき命令に從う必要はないという積りで、特に職務上という言葉を入れたりいたしまして、新憲法の下に保障せられる個人の自由或いは権利というものは、私どももおろそかに考えてはおらん積りでございます。
#44
○吉川末次郎君 議事進行について申します。この法案の内容は非常に重大でもありまするし、又條文も百余條にも及んでおりまして、複雑であると考えるのでありますが、これは質問が大分内容の細かいところにまで及んでおるようでありますが、本日は大体これくらいに終つて頂きまして、全体の審議は、逐條的に一つやつて頂くということの必要があるのじゃないかと考えるのでありますが、一つ委員長においてお考えを願いたいと思います。
#45
○小野哲君 只今吉川さんから御発言がございましたが、もうすでに逐條の質疑應答にも入っておりますので、私は実は昨日は極く短時間しか出席しておりませんので、今日実は篤と質疑をしてお聽きいたしたいように思った次第でございます。併しこういう厖大な法律案の逐條審議をいたして行きますにつきましては、先程北村さんからもお話がありましたし、これに対して政府委員からもお答がございましたが、やはりこの法律の内容を、執行上必要な内容を決めます人事院規則の要綱でもお出しを願いますれば、説明を伺うのに大変好都合ではないか、かように思うのであります。特に本法案の附則によりますと、この法律案は一時に全部が施行されるのではないので、それぞれ施行の期日も異なっておりますし、又この法律案と関連いたしました國家公務員法の規定が適用せられるまでの暫定法律案を見ましても、適当の時期までは、人事院規則も政令なみに扱うというふうなことにもなっておりますので、先程はその内容について触れる御説明を伺うわけに参りませんでしたが、その点につきましても審議の便に供するために、規則案の概要でも御説明願えれば大変好都合だと存じます。私は本日はさような意味合におきまして、質問はいたしませんでしたけれども、逐條に入りました際に、又政府当局に対していろいろとお聽きしたい。かように存じております。
#46
○委員長(下條康麿君) ちょっと速記を止めて
   〔速記中止〕
#47
○委員長(下條康麿君) 速記を始めて……それでは本日はこれにて散会いたします。尚出席者が定足数に達しましたから、便宜委員会として取扱いたいと思っております。
   午後四時十五分散会
 出席者は左の通り。
  決算委員
   委員長     下條 康麿君
   理事
           太田 敏兄君
           西山 龜七君
           山下 義信君
   委員
           吉川末次郎君
           北村 一男君
           中川 幸平君
           平野善治郎君
           小川 友三君
           小野  哲君
           伊達源一郎君
           千田  正君
           西田 天香君
  労働委員
   委員長     原  虎一君
   理事      堀  末治君
   委員
           天田 勝正君
           山田 節男君
           荒井 八郎君
           平岡 市三君
           奥 むめお君
           川上 嘉市君
           竹下 豐次君
           姫井 伊介君
           松井 道夫君
           中野 重治君
           岩間 正男君
  國務大臣
   國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
  政府委員
   法制局次長   井手 成三君
   総理廳事務官
   (行政調査部総
   務部長)    前田 克己君
ソース: 国立国会図書館
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