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1987/09/02 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 農林水産委員会 第8号
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1987/09/02 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 農林水産委員会 第8号

#1
第109回国会 農林水産委員会 第8号
昭和六十二年九月二日(水曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 玉沢徳一郎君
   理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君
   理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
   理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君
   理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君
      上草 義輝君    大石 千八君
      大原 一三君    太田 誠一君
      木村 守男君    菊池福治郎君
      小坂善太郎君    田邉 國男君
      谷垣 禎一君    森下 元晴君
      保岡 興治君    柳沢 伯夫君
      山崎平八郎君    石橋 大吉君
      坂上 富男君    新盛 辰雄君
      田中 恒利君    竹内  猛君
      前島 秀行君    武田 一夫君
      玉城 栄一君    中村  巖君
      藤原 房雄君    藤田 スミ君
      山原健二郎君
 出席政府委員
        農林水産省食品
        流通局長    谷野  陽君
 委員外の出席者
        議     員 宮崎 茂一君
        議     員 白川 勝彦君
        衆議院法制局第
        二部長     坂本 一洋君
        警察庁警務局犯
        罪被害給付室長 松田 和雄君
        警察庁刑事局刑
        事企画課長   古川 定昭君
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   広瀬  権君
        法務大臣官房参
        事官      東條伸一郎君
        参  考  人
        (財団法人食品
        産業センター理
        事長)     池田 正範君
        参  考  人
        (全日本食品労
        働組合連合会中
        央執行委員長) 田村 憲一君
        参  考  人
        (弁護士)   藤崎 生夫君
        農林水産委員会
        調査室長    羽多  實君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月二日
 辞任         補欠選任
  五十嵐広三君     坂上 富男君
  辻  一彦君     新盛 辰雄君
  吉浦 忠治君     中村  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  坂上 富男君     五十嵐広三君
  新盛 辰雄君     辻  一彦君
  中村  巖君     吉浦 忠治君
    ―――――――――――――
九月一日
 減反の拡大と押しつけ中止等に関する請願(柴
 田睦夫君紹介)(第一〇一二号)
 農産物の市場開放反対等に関する請願(藤田ス
 ミ君紹介)(第一〇一三号)
 米の輸入反対等に関する請願(馬場昇君紹介)
 (第一〇一四号)
 同(東中光雄君紹介)(第一〇一五号)
 同外二件(藤田スミ君紹介)(第一〇一六号)
 同外一件(山原健二郎君紹介)(第一〇一七号
 )
 米の輸入反対、食糧管理制度の改善等に関する
 請願(藤田スミ君紹介)(第一一一七号)
 農産物の市場開放阻止等に関する請願(山原健
 二郎君紹介)(第一一一八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
九月一日
 農産物の輸入自由化阻止等に関する陳情書外九
 件(神戸市中央区下山手通五の一〇の一兵庫県
 議会内末松芳外九名)(第一二四号)
 地域農林漁業の振興に関する陳情書(福岡市博
 多区千代四の一の二七藤本巧)(第一二五号)
 竹島周辺の漁業安全操業の確保に関する陳情書
 (高松市番町四の一の一〇香川県議会内木村嘉
 己外三名)(第一二六号)
 日朝民間漁業暫定合意書の再締結に関する陳情
 書(高松市番町四の一の一〇香川県議会内木村
 嘉巳外三名)(第一二七号)
 国内漁船の安全操業の確保に関する陳情書(福
 岡市博多区東公園七の七福岡県議会内中村忠
 和)(第一二八号)
 農業労働災害共済制度の新設に関する陳情書
 (高松市番町一の八の一五高松市議会内諏訪博
 文)(第一二九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特
 別措置法案(宮崎茂一君外五名提出、第百七回
 国会衆法第六号)
     ――――◇―――――
#2
○玉沢委員長 これより会議を開きます。
 第百七回国会、宮崎茂一君外五名提出。流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。
 本日は、本案審査のため、参考人として財団法人食品産業センター理事長池田正範君、全日本食品労働組合連合会中央執行委員長田村憲一君、弁護士藤崎生夫君、以上三名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。池田参考人、田村参考人、藤崎参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、池田参考人にお願いいたします。
#3
○池田参考人 委員長のお許しを得まして、流通・食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案についての私の意見を申し上げたいと存じます。
 私は、財団法人食品産業センター理事長をいたしております池田でございます。結論から申し上げますと、私といたしましては、この法案はぜひとも通していただきたいというふうな立場でお話を申し上げたいと存じます。
 御案内のように、昭和五十九年三月にいわゆる怪人二十一面相なるもめがグリコ・森永事件を引き起こしまして以来、警察庁が認知をしておられます件数だけをとりましても、この種類の犯罪は五十九年に五十一件、六十年に百一件、六十一年には二百二十二件というふうに累年驚異的に倍増の形で件数がふえておるわけでございます。
 日本の食品企業全体の情勢を申し上げますと、国民経済計算ベースで、国民全体が一年間に支払っております飲食費は、昭和六十一年でおよそ五十兆円に達しておりますけれども、その六〇%強に相当いたしますところの約三十兆円というものが食品企業のシェアになっておるわけでございます。食品工業、食品の卸、小売、飲食店といったような食品産業をマクロにとらえますと、その全体の就業者数は七百万人に達しておりまして、いわば農業、水産業を合わせました五百万人の就業者を上回るところまで来ておるわけでございます。
 また、全製造業に占めます食品工業の地位も、事業所の数で申し上げますと八万二千、一〇・九%、従業者数で百二十万人、一〇・五%、それから出荷額でも今申し上げました三十兆円弱で一〇・五%と、それぞれ全製造業の一割を占めておるわけでございまして、特に出荷額におきましては、御案内の電機とか自動車といった我が国の有数な大産業部門に続いて第三位を占める一大産業分野に成長いたしておるわけでございます。
 国民は、毎日の食料品を、グリコ・森永事件の舞台となりましたスーパーから四二%購入をいたしておりまして、これがまた犯罪の舞台になっておるということが、国民食生活での非常に大きな脅威になっておるわけでございます。
 食品工業は、申し上げるまでもないことでございますけれども、安全でないものは食品でないわけでございまして、したがってそういう大前提に立って食品を製造し、包装し、しかも国民の食糧の安定供給という社会的な使命を遂行するという立場にあるわけでございますが、今回の製品のいたずら、異物とか毒物の故意な混入といったようなことに対しまして、目下のところ、国際的に見ましても、残念ながら完全に安全に包装するという技術が実は確立を見ていないわけでございます。飲食品の価格のほぼ一割が包装費に相当するわけでございますが、タンパー・レジスタント・パッケージ、安全包装という言葉が出ておりますけれども、幾つかの種類、方法を現在各メーカーともとっておるわけでございます。
 かつてこの事件が起きます前には簡単にあけられた包装につきましても、あるいは御承知の先生方も多いかと思いますけれども、例えばフィルムによってオーバーラップをする、そしてシールするというようなこと、あるいは破って中身を取り出すという形以外には取り出せないようなブリスターストリップパック、あるいは商品が台紙とプラスチックの容器で固定されているといったバップルパック、あるいはシュリンクのシールバンドによってパックされているようなもの、プラスチックとか金属性のパックを使うものといったようにあらゆる手段を講じてこの種のいたずらを防止するための工夫を凝らしているわけでございますけれども、いかんせん食品というものは単価の安いものでございます。したがって、これに内容物を超えるような大きなコストをかけてパックするというわけにもまいらないわけでございますし、また現在の技術水準から見まして、先ほど申し上げましたように若干のお金をかけましても、絶対不可能という形になりますとあけること自体が非常に不可能な形になってまいりますので、どうしても技術的に困難ということで、これは国際的にもどうも難しいということが現状では言われておるわけでございます。したがって、そういう前提のもとで我々としてはこの種のいたずら行為に対して対抗していかなければならないという苦境にあるわけでございます。
 グリコ・森永事件の犯罪発生の特徴といたしまして私ども考えておりますことは、包装の弱点とかあるいはセルフサービスといったような販売形態の間隙をついて、手っ取り早く企業をおどして金銭を強奪するといった短絡化の傾向があること、それから世界的な風潮でございますが、労せずして一獲千金を夢見るといったような傾向、それから電話、手紙、CDカードというようなものを利用いたしまして、自分では全く表に姿をあらわさないで金銭を奪取する陰湿な性格などが指摘できようかと思うわけでございまして、これらは都市化現象あるいは情報化社会を迎えました現代の社会的病理現象の一つではないかというふうに考えておるわけでございます。
 現行刑決におきましては、殺意はないけれども、中毒などを起こさせるようなつもりで毒物を混入したよう狂場合に、そのことによって死傷の結果が起きなかったような場合、傷害未遂の規定はございませんので犯人を処罰することはできないわけでございます。また、仮に結果的に処罰することができましても、毒物混入行為そのものを罰する規定はないわけでございます。それからまた、偽計業務妨害罪の法律もございますけれども、これはまた三年以下の懲役または二十万円以下の罰金という程度でございまして、国民を底知れぬ恐怖に陥れ、大きな社会不安を引き起こすこのような行為に対する刑罰といたしましては少し軽過ぎるのではないかと考えられておりまして、ぜひともこの際、先生方のお力をもちまして罰則の強化について格段のお計らいを願いたいというふうにお願いをいたす次第でございます。
 一方、企業側といたしましては、みずからの責任ではないが、毒物混入、恐喝の対象となりますと、スーパー側からは、俗に棚割りと申しますが、各社の製品をそれぞれ棚に一定のシェアで並べて、これを消費者がスーパーではセルフサービスで取って買うわけでありますけれども、どのくらいのシェアをどこの棚に持つかということは、実はメーカーにとっては死命を制するほどの大きな意味を持つわけでございます。ところが、この種の問題が起きますと、小売店側といたしましては、これは消費者に対する迷惑もありますし、みずからの店の問題もございますので、当然棚卸しになるわけでございます。全面撤去ということになるわけでございます。安全確認ということになりますまでには非常に長期にわたって多くの従業員や、場合によってはその家族までも動員をしなければならぬということになりまして、非常に多くの努力と費用とを使わなければ原状復帰ができないというのが現状でございます。
 例えば一番最初に大きな問題になり、全国から救援活動まで起きました某製菓会社の場合におきましても、五十九年の九月十二日に一億円要求の一通の脅迫状が舞い込んだのがもとでございますけれども、二十日に某新聞がスクープし、漏れまして、この新聞記事が全国的にマスコミの取り上げるところになりました。
 十月の同社の売り上げは、前年同月比で六割減ってしまう、また翌十一月の販売額も、約百億円強の一月の売り上げでございましたが、七十億円程度の減となるというふうなことで、返品が続出したわけでございます。
 スーパー、デパートからは、もちろん同社の製品というものは全面撤去のやむなきに至りまして、工場生産も半減をすることになり、パートの従業員四百五十人を自宅待機、その後全員解雇というところまで追い込まれたわけでございます。この一カ月間の損失は十億を超えるというのが同社の計算でございました。したがって、当然同社ではテレビコマーシャルもやめるあるいは広告媒体も一切中止するというところに追い込まれました。事件後三カ月たちました後、株価は半分近くに落ちるというようなことでございました。
 全国の救援運動として千円パックのお菓子を皆さんに買っていただくということで、職場を通じてそういったものの売りさばきをやることによってようやく日銭を稼いで会社をつなぐというようなところまで追い込まれたわけでございまして、従業員とその家族約三千人が動員されまして、全国の主要な小売店三千店を回って歩くという悲惨なところまで追い込まれたわけでございます。ボーナスも、従業員のボーナスは二割カット、支給日も十日間もおくらせる。あるいは三年間は業界最低のベースアップにとどめる。
 現在の同社の業績は、前年度比で六十年度八九・二%、五十九年度は八一・一%、それから六十一年度、要するにことしの三月までの業績でも九三・二%ということで、三年たっても同社の実績は三年前の水準にまで達しないというのが現状でございます。また、この菓子会社以外にも幾つかの会社が脅迫の対象にとらえられておりまして、そのうちの一つは、先生方も御記憶にあろうかと思いますけれども、実は恐喝が成功してしまった事例があるわけでございます。しかも、これが大きく報道されまして、この会社に対する非難はもとよりでありますけれども、残念ながら、それから以降犯罪が激増してしまったわけでございます。
 警察庁は、企業に対して、裏取引をするなということで、異例の協力要請を農水省を通じて私ども業界に出されたわけでございまして、私ども食品産業センターといたしましても、傘下の会員団体を通じまして、裏取引が行われないように、この悪影響について十分考慮するように、協力を要請した次第でございます。ちなみに、アメリカでは一九八二年に鎮痛剤のタイレノール事件というのが起きまして、青酸カリを混入したわけでありますけれども、この犯人は今もって逮捕されておりません。しかし、実は七名の死者が出たわけでございまして、翌一九八三年に米国議会では法律改正が行われて、重罰規定が導入されたというふうに承っております。
 以上申し上げましたようなことで、アメリカの例では、未遂につきましても罰金が三百七十五万円から三千七百五十万円という非常に大きな罰金額になっておりまして、死亡につきましては、最低額が千五百万円、最高額三千七百五十万円。重傷を負わせた場合にも、同じく千五百万円から三千七百五十万円ということでございまして、懲役も、十年以下から無期までいろいろと分かれておるわけでございます。
 食品への毒物混入は、企業恐喝事件としては最も卑劣なやり方であろうと私どもも考えておりまして、一般消費者を人質にとって無差別に人命を危険にさらすということでございます。特に菓子とかアイスクリームとかいうことになりますと、これは文字を読めない子供が人質になったということになるわけでございまして、単に注意書きを書いたくらいではおさまらないわけでございます。また、毒物混入、恐喝の対象となりました企業の製品は、今申し上げましたようにスーパー等の店頭から撤去をされまして、安全確認の日まで莫大な損失をこうむりながら原状の回復を待つ、こういう形に追い込まれるわけでございまして、業界といたしましては、一日も速やかに国会の御審議を得まして毒物混入法案を成立させていただきますように、切に御指導、御援助をお願いして、私の参考人としての意見を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
#4
○玉沢委員長 ありがとうございました。
 次に、田村参考人にお願いいたします。
#5
○田村参考人 全日本食品労働組合連合会中央執行委員長の田村であります。
 全日本食品労働組合連合会は、食品企業の労働組合で構成をしておりまして、現在百三十五組合が加盟をしております。食品産業で働いております労働者並びに労働組合といたしましては、本法案につきまして賛成の立場で意見を申し上げます。
 食品産業には多くの労働者が従事しており、安全で質のよい製品を適正な価格で安定的に生産、販売するために日夜努力しております。私たちは、食品産業が健全に発展し、企業経営が順調に推移することを通じて雇用の安定と労働条件、福祉の向上を実現できるわけでありまして、労働組合も協力し、生産性の向上や製品の安全衛生、品質管理の徹底に努めております。このような立場と努力がいわれなき理由により、ある目突然はがき一枚、電話一本でおどかされ、奈落の底に陥れられてしまう、生活基盤を失いかねない事態が現実に起きており、解決していない事例が多数あるわけでありまして、大変困っているわけであります。本法案の必要性の背景的理由としてのグリコ・森永事件は完全解決に至らず、まことに悔しい思いであります。当時の状況は広くマスコミに報道され、世間からの同情も呼び、被害企業と労働者に対する激励と御支援をちょうだいし心から感謝をしているところですが、その影響は今日まで残っております。
 事件発生によって受ける労働者、労働組合への影響やその後の問題点といたしましては、第一に、労働条件向上に向けた活動は事件勃発によりすべて中断され、企業防衛に協力するというより組合の組織を挙げて、一つには流通段階の製品の安全確認、二つには製品の直販活動、三つには世間への状況説明と支援要請、さらに犯人に関する情報収集などに取り組むわけでありますが、業績の急激な悪化に伴い、賃金や一時金初め労働条件は大幅にダウンせざるを得ない状況に追い込まれるわけであります。
 例えば森永製菓の場合、この三年間の平均賃上げは定期昇給を含めて三%であり、食品労連の大手の平均より毎年一%強低く、事件の直後はベースアップは行われませんでした。また一時金も年間で毎年平均より〇・五カ月以上低く、事件の最中の年末一時金につきましては二〇%カットとなったところです。その結果、森永製菓の組合員の平均賃金は食品労連の大手の平均より一万七千円以上低くなり、初任給も食品労連大手の中では最低水準に落ち込むというようなことになっているわけであります。
 第二に雇用不安の問題が生じます。
 森永製菓の場合には臨時従業員やパートの方が四百五十名雇用打ち切りとなりましたし、当時は生産、販売活動がほとんどゼロに近い状態になっていたわけてあります。社員につきましても、当事者でなければわからないような大きな不安が続いたわけであります。また、グリコ製菓につきましても、関連下請企業の雇用調整が行われまして、本来構造不況業種に限って適用される雇用保険法に基づく雇用調整助成金の支給対象に指定され、その給付を受けて雇用調整をせざるを得なかった企業もあったわけであります。
 第三には、労働過重、強化の問題があります。
 店頭での商品チェックや緊急時の対応のため長時間の勤務が続き、それも俗に言うサービス労働ということでありまして、休日出勤や自宅待機あるいは家族総動員体制などの苦労が、職場だけでなくて家庭生活にも及んでいるわけであります。私ども食品労連といたしましても、上部団体である中立労連や全民労協その他の労働団体、労働組合の理解協力を得ながら、昭和五十九年の秋以来一連の取り組みや政府、政党に対する要請もしてきたところであります。私どもといたしましても、流通食品に毒物を混入させるというような行為を世の中からなくす、防止するための法的、行政的措置を望み、求めておりました。
 その基本的な考えは、第一には流通食品に毒物を混入させて企業や消費者を脅迫し、社会に不安を引き起こすような行為は社会悪であり、法に違反するということを国、国民が決意をもって明確にし、広く国全体に徹底していただきたいと思います。法違反には当然厳しい措置も必要だと思うわけであります。
 第二には、もしそのような事件が発生した場合、関係者が協力し合い犯人の不正な要求に応じない体制が大事であり、そのためには届け出義務は社会的な責任であろうかと思います。
 第三には、事件が発生した場合には適切な流通維持を図り、被害企業に対する援助と救済措置を講じていただかないと、私企業としては、多くの従業員を抱えて長期間企業活動がストップし、倒産もしかねないわけであります。その補償はどこにも持っていけないのが現実ではなかろうかと思います。このような観点から見まして、本法案につきましてはほぼ私たちの考えに沿った内容となっており、成立されるよう強く望む次第であります。
 なお、本法案が行政法規なのか刑罰法規なのか、オーバーラップしているというような御意見もあるやに聞いておりますが、法の趣旨につきましては、社会正義と善意の発想に基づく法案と理解しております。
 グリコ・森永事件の際、大変気になることが一部でささやかれました。それは、犯人が捕まっても、人身を殺傷していないのであれば大した罪にはならないのではないかということ。犯人はそれを承知でやりているのではないかというようなことだとか、また、被害の大きさから見て、社会正義に立ち向かうより経営の本音として取引に応じた方が得策であるのではないか、現実的な選択をした方が企業として生き延び、従業員を守れるのではないかという声がかなりあったということです。また、最近の傾向として、要求や目的をはっきりさせないで嫌がらせをするというような事例も見られるわけであります。健全な社会秩序を維持し、公正な社会を築き上げていく上でこのようなことがあってはならないわけであります。本法案により、そのような疑問や不正が起こらないようきちんとしていただきたいと思うわけであります。法律があっても犯罪は完全にはなくならないのも事実でありますが、現状では決め手となる防止策もないのではないかと思いますし、私どもといたしましても、本法案が成立いたしました場合、一つのよりどころとして大きな安心感を持つことができると思うわけであります。
 最後に、本案につきまして私どもも勉強させていただいたわけでありますが、本案の文言上若干不明瞭な点もあるように思うわけであります。御審議の過程で明確にしていただきたいと思いますし、また本案が成立した場合、施行に当たって補強していただくことを要望いたしまして意見を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#6
○玉沢委員長 ありがとうございました。
 次に、藤崎参考人にお願いいたします。
#7
○藤崎参考人 ただいま御紹介いただいた弁護士の藤崎生夫です。この法案について若干意見を申し述べさせていただきます。
 まず結論を先に申し上げますと、問題なしとしない点はありますが、この法案におおむね賛成いたします。
 そこで、いささか疑問を感じる点を先に述べますと、まず、素朴ではありますが、現行刑法で賄えるのではないかという点であります。
 ちなみに現行刑法を見てみますと、業務及び業務者を保護するものとして偽計による業務妨害罪、これは刑法二百三十三条でありますが、この規定を見ますと、「偽計ヲ用ヒ人ノ信用ヲ毀損シ著グハ其業務ヲ妨害シタル者八三年以下ノ懲役又ハ二十万円以下ノ罰金ニ処ス」と規定しております。業者の財産権を保護するものとしては恐喝罪がございまして、これは刑法二百四十九条ですが、これも条文上「十年以下ノ懲役ニ処ス」と規定しておるわけであります。
 他方、一般国民の健康あるいは生命身体の保護でありますが、傷害罪の規定がございまして、これは刑法二百四条でありますが、「十年以下ノ懲役又八十万円以下ノ罰金若クハ科料ニ処ス」と規定されておりまして、今までもこういう規定が運用されてきたわけであります。したがって、これらの規定をあわせ活用すれば、現在の状況にもかなりの部分適用されるのではないかという考えを持っております。
 第二に、法定刑がこの法案ではかなり重たくなっているわけですが、その点も一つ気がかりな点ではございます。さきに引用しました業務妨害罪の自由刑は三年以下の懲役でありますし、また傷害罪の前段階的犯罪と言われている暴行罪の身体刑であります自由刑は二年以下の懲役です。ところがこの法案の第九条一号及び二号は「流通食品に、毒物を混入し、添加し、又は塗布した者」及び「毒物が混入され、添加され、又は塗布された飲食物を流通食品と混在させた者」は「十年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」これは現行刑法の先ほどの傷害罪、暴行罪の規定と比較して重たいと言えると思います。さらに、毒物混入が進んで人を死傷させた場合ですが、刑法の傷害致死罪は「二年以上ノ有期懲役」、これは刑法二百五条に規定がございます。ところがこの法案では、「よって人を死傷させた者は、無期又は一年以上の懲役に処する一〇」すなわち無期刑が規定されているわけでありまして、かなり重罪として扱っていると言えます。これらの点が現行刑法の体系と均衡がとれているものかどうか、その辺、私としては少なからぬ疑問を持っているわけです。
 第三に、用語にも問題がなくはないと思います。刑罰法規ですから構成要件は明確でなくてはならないという原則がございますが、構成要件上幾つか問題があるのではないかと思います。例えば、第二条によりますと、「「流通食品」とは、公衆に販売される飲食物をいう。」という包括的な規定をしておりますが、この点は、今まで惹起した事例があるわけですから、それらを参考にしてある程度限定ができるのではないかというようなことも考えております。また、「毒物」の意義ですが、この法案の第二条二項三号で「前二号に掲げる物以外の物で、その毒性又は劇性が前二号に掲げる物の毒性又は劇性に類似するもの」と、いわゆる類似性の原則を掲げて拡張しているわけですが、これが果たして、法律が成立いたしまして施行され、適用された後に何か問題が起こらないかというような思いもあります。
 第四に、その他でございますが、この法案第四条では、一般人に対する警察等への通報義務を課しているわけですが、果たして国民感情に合致するものかという点も気がかりでございます。
 以上のような疑問点も私は感じるわけですが、やはり飲食物に毒物を混入し、あるいは混入するとして社会を恐怖に陥れるという犯罪類型は極めて卑劣な犯罪でありますし、明らかに明治四十一年施行の現行刑法の予想してないものであることは明らかであると思います。
 また、この種犯罪の特質として、極めて容易に、かつ、隠密裏に実行できる点から、人がやったから私もやるというような模倣性があるわけです。例えば、発生件数をとっても、昭和五十九年五月から同六十二年六月までで四百十件の多数に上っておりますし、発生件数は最近さらに増加しているというような資料もあるようです。したがいまして、模倣性が強いという点に着目いたしまして、また先ほどの手段の卑劣性を考え合わせで、この種犯罪を阻止するあるいは抑止するという効果的な法規が現行法にないということを前提に、この法案はいたし方ないというふうに考えるわけです。
 以上、私の意見を終わります。(拍手)
#8
○玉沢委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○玉沢委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
#10
○竹内(猛)委員 参考人の皆さん仁は御多忙中御出席をいただいて、貴重な御意見をありがとうございました。
 まず最初に藤崎参考人にお伺いをいたします。
 近年、飛行機のハイジャックあるいは新幹線をハイジャックする、同じように食品に対して毒を入れたというようなことで、それを人質にして金をとろう、まあやり方はいろいろあるけれども同じような形のものであって、これが今日まで世間を騒がしてきたわけです。こういうようなものに関して今までの刑法等々において、先ほどもお話がありましたが、まだやはりそれに適用されない部分がある。したがって、特例法あるいは抑止力というような形でよのような法案が議員立法として出されたものと思いますが、この辺との関係でどのようにお考えになられるか、お伺いします。
#11
○藤崎参考人 先生御指摘のように、要するに人質とかあるいは恐喝、単なる恐喝ではなくて欺罔性ですね、人をたぶらかすというような形の犯罪が出てきたのは、やはり最近の交通手段、高速度交通手段とかあるいはコミュニケーションの発達というような社会的な現象と関連してこういう犯罪が出てきておるというふうな理解が一般にされていると思うのです。刑法は、先ほど申し上げましたように明治四十一年当時のもの、その後多少改正されておりますが、根本的な改正は全くないわけでありまして、明治四十一年といいますと、高速度交通機関というのは全く存在しておらないし、また、新聞等のマスコミュニケーションもなかったわけですから、当然この種の犯罪に対する対応はなかったわけです。また、もう一つちょっとつけ加えますが、やはり世界共通性の発生があるわけであって、日本も世界の一員で相互に諸外国と関係しているというような点から、例えばアメリカで起きたタイレノール事件が日本にすぐ波及するというような環境がありますので、やはり臨機応変に法律で措置をするということが必要になるということは否定できないと思います。
 したがって、先生の御質問に対しては、こういう法律は積極的にやっていくべきだ、ただし、用語とか適用面についてはやはり慎重な面が必要であるというのが私の意見です。
#12
○竹内(猛)委員 ありがとうございました。
 それでは、池田参考人にお伺いします。
 森永・グリコ、こういう問題が発生をしてからもう既に四年ぐらいたちます。先ほど来いろいろお話がありましたが、この間に六百十件以上を超える事件が起こった、こういうことを報告をされておりますけれども、これに対する経営者側としての損失、損害というものはどれくらいのものであったのかということをちょっと教えていただきたい。
#13
○池田参考人 先ほど冒頭の説明の中で某菓子会社の点については申し上げたわけでございますが、実はこの会社側の損失というのは、御案内のように経営の信用に非常に大きい影響力を持つわけでございます。したがって、ほとんどの会社でどのくらいの本当の損害があったかということ、しかもそれが経営の存立にまで響くかどうかという微妙な点についてはほとんど秘中の秘でございまして、出さないわけでございます。したがって、通常のベースで申しますと、その年における全体の売上高がどのくらい減ったかといったようなことを最後の決算で説明書きで読むという程度が中心でございまして、今おっしゃいましたような、特別のそういう犯罪によって直接引き起こされた損害額が幾らかということにつきましては、必ずしも表立ってつまびらかにしておらないわけでございます。
#14
○竹内(猛)委員 食品産業というのは二十八兆という生産をしているというような中でどれくらいの損失ということはやはり計算をして、生産をして得べき利益がこのくらいの損失になったということぐらいは報告していただいた方が親切じゃないか、こういうふうに思いますけれども、いかがなものでしょうかね。――いいです。
 次に、田村参考人にお伺いしますが、先ほどのお話を伺っていますと、当然労働者として得べき賃金値上げあるいはボーナス、こういうものがもらえない職場がたくさんあったということになりますと、これも会社が得べき利益が得られなかったと同じように、労働者としても当然の権利としての賃金やあるいは休暇等々を供出して、会社を守るために犯人を押さえる、取り締まる、こういうようなことをやられたと思うのですけれども、その辺の損失というものについてはどれくらいに計算をされるのかということをお伺いしたいですね。
#15
○田村参考人 先ほど申し上げましたように、森永製菓の組合員の労働条件が賃金と年間一時金とが大幅に低下している。平均賃金で計算いたしますと一万七千円下がっているわけでありますし、そのトータルは約二十万円、年間一時金が〇・五カ月下がりましたから、これだけで約十万円、そのほかに時間外労働、あるいは休日出勤をしてもその間は俗に言うサービス労働というようなことで、代休をとったり時間外を請求するというようなこともやはり苦しい状況のもとではなかなかできないというのが実態でありますから、そういったものも含めますと数十万円以上の損失をこうむった。
 それ以上に、一時的に雇用打ちどめというような形で臨時従業員やパートが職を失うというようなこともあったわけでございますから、このような事件が発生いたしますと、他の例でも多かれ少なかれ同じような事態に追い込まれるのではないかというふうに思います。
#16
○竹内(猛)委員 今度お三人にお伺いしますが、この法案は今農林水産委員会で審議をしておりますけれども、しかし、慎重に審議をして参議院を無事に通った後の取り扱う所管省庁はどこがいいのかということですね。例えば、原料をつくるところは農林水産省になりますね。ところが、外国から輸入するものは、これはある意味においては通産省になる。お菓子などの生産は、これはまさに通産省の管轄かもしれません。そして刑罰ということになるとこれは法務省だ。それから毒物というようなことになるとこれは厚生省になりますね。こういうように各省庁にまたがった問題があります。一体どこが担当をしたらいいのかということと、特にもう一点藤崎さんにお伺いしたいことは、この法律が通った場合に警察権力が拡大をしてくるのじゃないかという心配が世間にはありますね。そういうおそれのないようにするためにどうしたらいいのかという点も含めてちょっとお答えをいただきたいと思います。
#17
○池田参考人 それでは、ただいまの先生からの御質問にお答えをいたしたいと思います。
 主務大臣という場合に、所管物資の主務大臣ということになりますと、当然酒類につきましては大蔵大臣、その他の飲食物については農林水産大臣ということになろうかと思いますが、しかし、それを原因として起こった刑罰の問題になれば当然これは法務省の管轄、こういうことになりますので、したがって、全体としての法律の所管につきましては、それぞれ主務大臣が当たることになろうかと思います。
 この法律は、特に刑罰だけでなくて、これが起こりました被害企業が職員を含んだ非常に大きな被害に巻き込まれるというふうなことから、行政上の指導、助言等の措置等につきましても触れられているように承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、それらを含めて考えますと、それぞれおのずからその所管物資を所掌する大臣が当面主務大臣として扱うことで支障がないのではないかというふうに考えております。
#18
○田村参考人 食料品の生産、流通の所管省庁は大蔵省、農水省、通産省であるわけでありまして、そういう点からは、この法律の持つ性格が行政法規的な、そういう内容が中心になっているというように私どもとしては思いますので、それぞれの所管省庁でやっていただくということになるのではないかというように思いますが、森永事件の場合に関係省庁が幾つかにまたがっているというようなことから、行政機能を一本化させる必要があるのではないかというようなことをお願いしてきた経過もあることを申し添えます。
#19
○藤崎参考人 先生の二つの御質問のうち第一の点は、前の参考人とほとんど同じですので省略させていただきます。
 第二の警察権力の抑制の点ですが、私としては、これは全く個人的な見解ですが、例えば、こういう事件が起こっているよという一つの世間に対する公示、これはどういう機関がなされるかはまた検討しなくちゃいけませんけれども、こういう事件が起こっているよという、そういう公示された事件について協力義務を発生させるというような考え方はいかがかと思うのですが、現在のところそのぐらいのアイデアしかないのですが……。
#20
○竹内(猛)委員 いろいろとお伺いをしてきましたが、最後に、この法律というのは行為におけるところの社会悪と社会的正義の問題になると思う。この法律が慎重審議の上成立をしたときに、現在の陰湿ないろいろなものに対して一つの決め手、要するに抑止力になり得るかどうかということについての御感想についてちょっと三人から、簡単でいいですからお伺いしたい。
#21
○池田参考人 仮に今の原案に書いてございます刑罰の程度にまで高められますと、抑止力としてはかなりの力を持つのではないかと思います。特に企業側といたしましては、現在の刑法のもとでは、殺す気がなく故意、過失をもって傷害未遂に終わった場合、しかも相手が死ななかった場合、傷害を受けなかった場合には、この行為自体を縛る規定が全く何もないわけでございますので、したがって、そういう毒物を混入する行為自体について、刑罰の対象としてこれをとらえるという形が確立いたしますと、これはやはり非常に大きな効果を持つというふうに思うわけでございます。
#22
○田村参考人 この法案が成立いたしました暁には、食料品に毒物等を混入させるということが社会悪であり法律に違反するんだ、そういうことが広く国民の間に浸透していけば、非常に大きな抑止効果が期待できるというように信じております。
#23
○藤崎参考人 私も、抑止力については有効であるというふうに考えております。
#24
○竹内(猛)委員 参考人の皆さんには、どうもお忙しいところをありがとうございました。これで終わります。
#25
○玉沢委員長 水谷弘君。
#26
○水谷委員 最初に、藤崎参考人にお伺いをいたします。
 先ほど先生の御意見の中で、用語の問題等について十分に注意をしなければならぬ、特に、構成要件の不明確性、罪刑法定主義に基づいた場合のそれらの問題の御指摘がございました。私が特にお伺いをいたしたいのは、第四条で報告義務規定がございますが、「警察官等への届出」、この中に、「流通食品への毒物の混入等があったことを知った者はこという表現になっておりますが、私たちは、これがいわゆる国民一般に対して縛りをかけるような、そういうおそれが十分考えられる、法を制定してこれがひとり歩きをした場合に、そういう懸念を持っているわけでございます。特に具体的な問題で恐縮でございますが、この点についてのお考えをお教えいただければありがたいと思います。
#27
○藤崎参考人 私も先生と同じような疑問で先ほど申し上げたのですが、ではその対案というか、それに対して何か案があるかと言えば、ちょっと残念ながら、私の頭の程度ではまだ対案はございません。やはり何か縛りをかけるのが必要じゃないかというのは同感でございます。残念ながらこの程度のお答えしかできないので、申しわけありません。
#28
○水谷委員 ありがとうございます。
 池田参考人に御意見をいただきたいと思います。
 先ほどお話の中に、この事件の発生件数等についてのお話がございまして、五十九年五十一件、六十年百一件、六十一年二百二十二件と、年々この犯罪が増加の傾向をたどっておる。私ども、マスコミの報道等は注意をして見ておりますが、グリコ・森永の事件発生のあの当時のいわゆるマスコミの報道もそうでございますし、業界の皆様のアピール、それから国民全体の受けとめ方、こういうものを見ていきますと、どうも当時の状況とまた今の状況が大分違うような感じがしているわけです。すなわち、国民の側として現時点において、深刻な問題としての受けとめ方がかつてよりもかなり希薄になっているのではないか、このような感じがするわけでございます。
 この種の事件というのは、やはり業界の皆様方が団結をし断固たる対応をなさる、そういう姿勢をしっかりお持ちになった上で、事件の発生等が現在においても許せない、非常に異常な状況が続いているということを日常的に国民の前に明らかにしていっていただくことが国民合意を形成する上で非常に大切かな、このように考えております。
 それともう一つは、この今回の特別立法では、いわゆる恐喝の段階、金を出さないと毒物を混入するぞ、こういうおどしをかけてきた、その段階についてのいわゆる届け出義務とかそういうものは一切ないわけでございまして、私たちとしてみれば、実はそういう段階でこれに対応できる体制が組まれませんと、こういう事件を本当に防止していく手だてにはならないのではないかな、これは業界としては大変厳しいことになるかもしれませんが、そのような考え方まで持っておるのでございますが、その点についてはどのようにお考えになられるか、お伺いをしておきたいと思うわけでございます。
#29
○池田参考人 この新しい法律がありませんでも、現行法のもとで、企業としての社会的な責任ということから、業界全体が団結してこの問題を解決していこうという対応につきましては、実は先ほど冒頭の御説明の中で、某社が不幸にして恐喝罪を成立させるような形での結果が表に出た、そのことがその後の犯罪の激増を誘発してしまったという苦い経験を実は私どもは持っているわけでございまして、したがってそれ以降、警察側からの無論内部指導もあったわけでございますけれども、業界自体といたしましてもこの問題の扱いにつきましては全部団結して、とにかく断固妥協しないという決意のもとに当たろう、こういうことで、少なくとも主要企業につきましてはしばしば会合を開きまして、各社長みずから出てもらって対応策を協議してまいったわけでございます。
 ただ、非常に残念なことに、食べ物を扱うという弱い商売でございまして、一たんこれが報道面で表に出ますと、いかに団結と申しましても被害をこうむるのはその会社の製品でございます。しかもその会社の製品自体の被害のこうむり方は、森永製菓の場合には既に百三十億を上回る損害をこうむるというようなことで、ちょっと表に出ただけでも大体数億の被害というものがすぐ出てまいりますものですから、特別のことが行われませんで放置をされておりますと、企業としてはその弱みにつけ込まれるというすきをどうしてもつくらざるを得ない。非常に嫌なことですけれども、そのことが業界の内部でさらにお互いの疑心暗鬼にまで及ぶというおそれもないわけではないわけでございます。したがって今先生御指摘の、断固として、業界としての一致した強い態度でのこの問題に対する対処の仕方を裏打ちするためにも、何とかここで法律をつくっていただいて、強く当たれるような体制組みをしていただきたいというのが私ども業界の共通の希望でございます。
#30
○水谷委員 業界としては、この種の事件に巻き込まれるということは本当に災害みたいなものでございまして、大手の企業の方であっても今おっしゃったとおり大変な打撃を受ける、ましてそれが弱小のメーカーになりますと、それ一つで企業が全く死んでしまうという大変な事態になるわけでございます。この特別立法とあわせて、そういう企業の救済措置、そういうことについての政府として対応すべき御要望といいますか、何か御意見がございましたら……。非常に難しい問題とは思いますけれども、未然に防ぐ、そしてまた断固たる対応をするということはもちろん大事でありますが、不幸にしてそのような事件に巻き込まれて甚大な被害を受けた企業として、それに対する救済、対応、どういうふうに手だてを講じていくべきか、御要望等がございましたら、池田参考人そして田村参考人から御意見を伺いたいと思っております。
#31
○池田参考人 今非常にありがたいお言葉をいただいたわけでありますが、実はこれは、犯人が捕まる捕まらないにかかわらず、その間に企業としてはいや応なしに大きな被害をこうむるわけでございまして、製品が売れなくなるということを通じてではございますけれども、職員の雇用関係にも大きな影響を与えるというふうなことから、毒物混入があった場合における製造業者の対応策の中で、事後対応のできない分野について何とかひとつ対応策がないものだろうかということを前前から業界でも相寄って相談をしてまいったわけでございます。
 その一つは、やはり緊急の低利融資といったような形、あるいは場合によってはほとんど利子を考えないでも済むような形での融資というふうなこともあろうかと思います。それからまた、場合によっては、現在日本では認められておりませんけれども、共通の保険ですね、危害に対する保険、これを一つ何か手だてとして考える手はないだろうか。ただ問題は、この種の保険というものは、保険に入っているということが加害者側というか犯人側にわかりますと、そのことだけで効果がなくなる、さらに誘発をする可能性がある、こういう問題が非常にございますものですから、日本では現在そういう形のものは認められておりませんけれども、私どもといたしましては、秘密の保険であってもいいと思いますが共通の保険で、しかも業界が一定の金額を積み立てるということを前提にして結構でございますけれども、何らかそういうリスク保険を認めていただけるような制度的なお考えがいただければ、これは非常にありがたいことだというふうに考えております。
#32
○田村参考人 労働組合の立場からも、グリコ・森永事件の際に、どういう救済措置が講じられるのか検討をしたわけであります。また、政府に対する要請の中で、製品の販売につきましては支援をしてほしいとか、あるいは金融面でのお願いもしてきたところでもあるわけでありますが、政府としても、私企業に対する特別な支援ということは現行の法律では非常に難しい面もあるのではないかなというように思うわけであります。本法律が成立しました際には、この法案の第八条がどのように有効に機能していくのかということを大きく期待しているわけであります。
#33
○水谷委員 藤崎参考人にお尋ねしますが、これは実際に不特定多数の国民に対する大変な挑戦をする犯罪行為でございまして、その被害に遭ったいわゆる国民の側の救済措置というものについての考え方、これはどういうふうにしていくべきだとお考えになっておられるか、御意見がございましたらお伺いをしたいと思います。
#34
○藤崎参考人 私の記憶では、犯人が特定されない犯罪によって例えば生命を奪われだというような場合は、何か政府の特別の補償があったと思うわけですね。それからひき逃げの場合も、道路交通法に何かあったと思うのですが、やはりそういうような法制も考えてもいいのじゃないかと思います。
#35
○水谷委員 参考人の皆様、大変お忙しいところ、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
 以上で終わります。
#36
○玉沢委員長 神田厚君。
#37
○神田委員 参考人の皆さん方には、大変貴重なお話をありがとうございました。
 まず最初に、池田参考人にお尋ねをいたします。
 先ほど、グリコ・森永事件以降、かなりの件数の類似の事件があったということでありますが、今度の法律案では通報義務というものが一つの考え方になっておりますけれども、通報するということがなかなか困難なような状況もあったというように聞いております。現実はもっと多くの事件がというかそういうものがあるのだけれどもなかなか通報できないというような状況があるかのように聞いておりますが、その辺はどうなのでありますか。
#38
○池田参考人 今お話がございましたように、実際はそういった意味での脅迫もしくはそれにまがうような形の接触を受けながら、表に出ないということを頭に置いて、いわば表立った行動をとらずに終えるといったようなケースがないのかどうか、これは実は全くわからないわけでございます。さっき申し上げましたように、そのことがむしろ業界の中での疑心暗鬼を呼んで業界の団結を一時的には非常に困難にする、そういう問題、実は私ども、非常に悩んだわけでございます。したがいまして、実質的にはこの何倍かあるんだといううわさはよく耳にいたしますけれども、実際にそれじゃどこの会社がいつそれをそういう形で措置したかということについては実は確認をしていないのが現状でございます。
#39
○神田委員 同様に、労働者の立場で現場におられます関係でいろいろ情報もあるかと思うのでありますが、田村参考人、ちょっとひとつ。
#40
○田村参考人 この種の問題につきましては、企業としても組合としても非常に神経質にならざるを得ないわけであります。万が一事件が発生した場合、しばらくの間はやはり社内におけるトップシークレットというような扱いがされているのが実態ではないかと思います。従業員という立場からそれを知るということは、むしろマスコミ等を通じて社内にそういう事件が起きていたということを初めて知り得るというようなケースも聞いているわけであります。
 なかなかこの扱いについては難しい面も多々あろうかと思いますけれども、こういうような法案がきちんと整理されれば、そういうことについてはより情報がきちんと処理されるのではないかというように思っているわけです。
#41
○神田委員 先ほど田村参考人は、この法案の中で文言についても不明確なところがあるというような御感想を述べておられましたが、具体的にどういう点を御指摘でありますか、差し支えなければ御指摘をいただきたいと思いますが。
#42
○田村参考人 例えば流通食品の定義とかあるいは毒物の範囲とか、さらに第八条の国としての施策の内容ですね。こういった点について御審議の過程で明確にされ、また施行の段階で補強されることを望んでいるわけであります。
#43
○神田委員 それから罰則強化の問題がそれぞれ指摘をされておりますが、この点はお三人の参考人の方はこの程度でいいのか、なおもう少し緩和をした方がいいのか、その辺のところについての御意見をそれぞれお聞かせいただきたいのでありますが。
#44
○池田参考人 業界といたしましては、当初森永事件等が起きました直後におきましては、実はもう少し強い刑罰を科してほしいというような意見も業界の中には多々ございましたけれども、その後現行刑法の、例えば水道の水に毒を入れた場合の罪とか、あるいはかめの中の水に毒を入れた場合の罪とかいったような形で類似の刑罰がいろいろあるようでございますので、それらと比較をいたしますと、その中間的なところに大体今回の刑罰の重さが置かれておるようでございますので、この辺が適当ではないかというふうに現在は考えております。
#45
○田村参考人 他の法律とのバランスもあろうかと思いますけれども、先ほど池田参考人が申し上げましたように、今日食品の流通につきましては大量販売ということになっておりますし、水道水と同じような扱いがされてもしかるべきではないかなと思うわけであります。ただ、このことが量刑バランスでより刑罰を重くしろということではないことを申し添えます。
#46
○藤崎参考人 私は先ほどバランスの問題を取り上げたわけですが、確かに現行刑法の業務妨害罪などを比較すると、この法案の刑は重たいというような感じはございます。ですが、この法律を業務者の保護と見るのかあるいは社会一般の保護法益を問題にするかで多少見方も違ってくるので、社会一般の保護法益を重視するのだといえばこの程度の十年以下の懲役もやむを得ないのじゃないかと考えます。
#47
○神田委員 最後にそれぞれ参考人の方からお聞かせいただきたいのでありますが、この法律が成立をして施行されるという段階になりますね。その施行に当たって注意しなければならない点、問題はないのかどうかということについてはそれぞれどういうふうにお考えでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
#48
○池田参考人 私どもといたしましては、特に問題が起きました後被害を受けました企業に対する救済措置が万全に行われませんと、被害の打撃がそのままで残されますと、単に企業の問題だけではなくて社会不安が地域的に起きてまいります。特に大企業の場合には地域的にも大きな被害が出てまいりますので、したがって先ほど田村参考人からもお話がありましたけれども、特にこの第八条における製造業者等に対する必要な措置についていま少しく内容的に充実された方策がとり得れば、それは個別企業でありますので当然限界はあると思いますけれども、こういう非常事態のもとにおける必要な措置について十分御配慮が願えればありがたいということが特に希望でございます。
#49
○田村参考人 法律が施行された場合に、この法律に基づいて防犯のための管理体制がとられるわけでありますが、その管理体制がどのような水準、内容になっていくのか、特に中小企業等につきましては余り厳格な管理体制がとられた場合に、またそれによりいろいろな問題もあろうかと思いますので、その辺についてどの程度の管理体制をとっていくのがこの法律の趣旨に沿っているかどうか、検討していただくことをお願いしたいと思います。
#50
○藤崎参考人 私は警察官等への通知義務を規定した第四条について、これは適用上緩やかにしなければいけないと思います。
 その理由は、日本では小規模の例えばおばあさん一人で店をやっているというような駄菓子屋とかそういうたぐいの店もあるわけですから、そういう方に、これは罰則は罰金となっておりますが、厳格に適用されたのでは気の毒ではないかという感じがいたします。
#51
○神田委員 ありがとうございました。終わります。
#52
○玉沢委員長 山原健二郎君。
#53
○山原委員 最初に藤崎先生にお伺いをいたします。
 先ほど、陳述の中で疑問点を幾つか述べられました。そして、しかし毒物混入行為そのものを取り締まる法規がないことにかんがみ賛成であるという御発言であったように思います。間違っておったらお許しください。私も現行法規で十分対処できると考えておりますが、あえて先生が御心配される向きがあるとするならば、現行法として毒物及び劇物取締法がありまして、例えばここに、何人も流通食品に毒物を混入等してはならないという旨の条文を加える等の改正措置で足りるのではないかという気もするわけでございます。こういう現行刑法体系の均衡を崩しまして、例えばこのことを契機にして警察権限を拡大する、そういう措置等を含む新規立法などは必要ないのではないか、こういうふうに思うのでございますが、この点についてどうお考えでしょうか。
#54
○藤崎参考人 毒物及び劇物取締法の立法目的は、あれは医薬品関係の方面からの取り締まり目的ではないかと思います。今回問題になっておりますのは、恐喝、詐欺、傷害致死といったような一つの新しい犯罪類型でございますので、これに対してはやはりそこの面を的確にとらえた法律の制定は考えられてしかるべきだと考えております。
#55
○山原委員 現行刑法体系にないような規定が盛り込まれているわけでございまして、もしこれが成立するとすれば刑法体系全体にこれが及んでいくという懸念を持つわけでございますが、この点に関しまして、かつてこれが問題になりましたときに東京弁護士会から出されました文書をここにちょうど持っております。これは意見書でございますが、これによりますと、二つの点から危惧の念を持っておられるわけですね。
 一つは「特別措置法案は、およそ刑罰法規を制定するに際しての民主的手続き及び罪刑法定主義の原則を一切無視し、刑罰万能主義のもとに刑罰(重罰)の威嚇力によって犯罪を防止しようというもので、その根本思想は、当会がこれまで一〇年余にわたって反対してきた改正刑法草案と全く軌を一にしており、」ということで反対の意見です。
 もう一つは、加えてこの法案は「警察への通報・協力も法的に義務付けており、警察の権限を著しく拡大するものとなっています。」この二つが加わって基本的人権の侵害、法体系のバランスを崩すものだということで反対しておられるわけですね。この点についてはこれから論議がなされるところだと思いますが、これについて先生のお考えを簡単にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
#56
○藤崎参考人 東弁で何か意見書が出ているということは私も承知しておりますが、確かに意見書指摘のような見方もできるかと思いますけれども、やはり社会全般の、総合的な見地から考えなくてはいけない面もあるかと思って私の先ほどの意見になったわけです。
#57
○山原委員 池田参考人また田村参考人に一言お伺いいたします。
 被害業界としての実情のお話がございましたし、またそこで働いている労働者、従業員の方たちの置かれている苦悩やその他お話がございまして、その現状についての理解はもちろんさせていただきました。
 同時に、この問題はもともと、あのグリコ事件が起こりまして既に三年半たっておりますが、この間に肝心の犯人が逮捕されていないという実情があるわけです。逮捕が先決である。ところがこの事件を利用して、皆さんがお考えになっておるのと逆に警察権力の拡大につながる法案になってしまえば、これは元も子もなくなるわけでございます。今まで国会で論議された中で、例えば金澤警察庁刑事局長は、現場逮捕を目前にして逃亡される、こういった事実が何回かあったというふうに言われておりまして、捜査の不備の問題があるのです。それを棚上げにして法律を変えるということに私は危惧の念を持っているわけです。現行法規に照らしましても、もし犯人が検挙され、あるいは起訴され裁判にかけられたならば、極めて情状の重い量刑であるということは一致した見解である。いわゆる重罰を科すことができる事件である、こういうふうに言っているわけですね。したがって、現行法においても重罰あるいは複合罪を科すことができるというのがほぼ一致した法務省関係の見解だろうと思うのです。そういう意味で、必ずしも新しい法律をつくらなくてもまずこのことを解決していくことが大事じゃないかと私は思うのですが、これが第一点です。
 それからもう一つは、第四条、第五条によりまして警察への届け出義務あるいは協力義務というのが出てまいります。例えば従業員の場合に、毒物が混入されたなどということを知る由もないことが多いわけですね。ところが通報義務がある、届け出義務がある、あるいは協力義務がある。警察が介入してきて、あなた当然知っておっただろう、それを知らないと言ったら、うそじゃないかというようなことで一般に介入することができる法律になっているわけでございまして、これはほとんど他に例を見ないところなんですね。このことを考えますと、むしろ逆にそれを許す形で皆さんが被害者になりかねないという心配があるわけですが、このことについて論議をされておりましたら御答弁をいただきたいのです。
#58
○池田参考人 第一点の、そもそももとになった怪人二十一面相なも犯人の逮捕がないということについては、実はこの問題を私どもも非常に恐れております原因になっておることは事実でございます。しかしながら、逮捕ができるかできないかの問題は業界側の問題ではないわけでございますので、何とか早く逮捕していただきたいということは常に意見としては申し上げているわけでございますが、ただ、今の怪人二十一面相なる者自体の事案について、それが重罰を科し得る構成要件を持っておるかどうかについては、私ども業界としてはつまびらかにいたしませんけれども、コピーキャットと申しますか、物まねをして実施するというのが現在たくさん出ておるわけでございます。その中には、犯意の中で必ずしも最初から殺人なり傷害にまで持っていくという目的を明確にしないまま、いわばいたずら的にやるという形のものがかなり含まれておるわけでございます。
 米国でも新しい法律をつくった一つの原因は、そういういたずら的なものを処罰する法規がない、しかも、それが社会病理的な現象として後から後からとにかく絶えず出てくるというふうな形で、いわば犯罪の一つのジャンルになってしまった、したがってこれを何とかする必要があるというふうなことから出てきたのだと私どもも思うわけでございます。先ほどちょっと申し上げましたけれども、そういう形で未遂に終わったものについても処罰がされるんだという体制ができますと、やはりそういうふうな犯罪に対する誘因を断ち切る上で非常に大きな効果があるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
 また、協力義務の問題でございますが、実は経過として私どもは、通報を怠りますとそこで刑罰があるという形については、いわば一種の被害者意識といいますか、そのサイドに立たされるというふうなこともございまして、もう少し訓示的なやわらかい規定というふうなことにならないものかという感じを抱いた時期もございました。その後、いわば犯人側が企業をつかまえましてがんじがらめにして、事実上の解決を迫るというふうな行き方が非常に強く露骨に出てまいりました。特に企業が小さい場合にはどうしても事なかれ主義というふうなことになりがちな面もあるわけでございますので、むしろこの際、犯人がそういうふうに企業側を陥れることについて、企業自体もそこへ陥れられにくい形の条件というものも要るのではないか。
 ただ、それが必要以上に強く出てまいりますと、企業としては非常に困難な場合も想定されますので、したがって、単に脅迫が行われただけですぐ協力義務と申しますか通報義務というふうな形が形罰を伴ってあらわれるということではなくて、明らかに毒物混入というものが明確に認められたというふうなことについての場合だけに限るというふうな、法律上の中身を明確にすることで実はやむを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#59
○田村参考人 犯人がいまだ逮捕されていないケースが多いわけで、このことについては大変遺憾に思っているわけですが、グリコ・森永事件の際も犯人に関する情報の収集、あるいは警察に対するいろいろな御意見もあったわけですが、聞いている範囲内では、現場ではかなり一生懸命努力をされていた、にもかかわらず現実には犯人が逮捕されなかったということだというように理解をしております。被害を受けた企業の組合員心情としては、かなり厳しい見方をしているというのが率直なところだろうと思います。これだけ大変な事態になり、その影響が甚大であるわけでありまして、そのことが犯人をより一層憎いというような見方に立たざるを得ないということではないかなというように思います。
 それから、届け出義務につきまして、毒物の混入事実が明確に判明すれば、それは法律を守るべく企業としての責任体制のもとで対処されるべきものではないかというように思います。
#60
○山原委員 これでおきますけれども、ちょっと法体系になじまないものが出ていまして、その点で心配をしてお尋ねをしたわけです。
 終わります。
#61
○玉沢委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
#62
○玉沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 第百七回国会、宮崎茂一君外五名提出、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
#63
○田中(恒)委員 大変難しい法案を拝見いたしておるわけでありますので、質問も極めて幼稚な面があるような気がいたしますが、法の全体の姿、その中で若干心配をされておりますような諸事項について御質問さしていただきます。
 まず最初に警察庁からお聞きをしておきたいと思いますが、この問題の背景には、五十九年の三月の江崎グリコ社長の誘拐事件というものが非常に大きな動機になっておるわけでありますが、あの事件のその後の捜査状況はどういうふうになっておるのか、その後グリコ・森永事件に類似する事件がどのような傾向をたどり、どのような特徴を持っておるのか、この点について要約で結構ですから、まずお示しをいただきたいと思います。
#64
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 まずグリコ・森永事件のその後の捜査経過いかんということでございますが、御案内のとおり、昭和五十九年三月十八日にグリコの江崎社長が誘拐されまして、この誘拐事件を発端にいたしまして御案内のとおりの一連の食品企業が恐喝されたものでございます。一昨年の八月に犯人グループがマスコミに対しまして犯行中止を示唆します内容の挑戦状を送りつけてまいりましたが、これを最後にその後具体的な動きは起こってございません。
 これまでの捜査状況でございますが、大阪、兵庫、京都及び滋賀の各府県警察を中心にいたしまして、全国の警察を挙げまして当面の最重要課題として取り組んでおりますが、具体的には似顔絵の男の割り出し、犯人が使用したタイプライターの特定、無線機等遺留品の捜査等を鋭意推進してまいっております。今後とも既定の捜査方針に基づきまして粘り強く着実に捜査を進めてまいりたいと思っております。
 次の御質問のグリコ・森永事件に類似した犯罪の発生状況いかん、それからその事件の特徴的傾向ということでございますが、お尋ねの食品企業等の企業を対象とする恐喝事件が多発する傾向にございまして、特に昨年の七月、大手食品企業が裏取引により多額の現金を犯人におどし取られたというようなことが明るみに出て以降、この種事件が激増いたしました。しかし昨年八月をピークにいたしまして、その後は徐々に減少をいたしております。本年に入りましてからは月平均五件強で推移いたしておるところでございます。
 ちなみにこれまでの年別の発生状況を申し上げますと、五十九年は五十一件、これは五月以降の数字でございますが五十一件、六十年が百一件、六十一年が二百二十二件、六十二年、これは八月三十一日現在でございますが、四十七件というふうになっております。ことしになりまして発生件数は減少いたしておりますものの、その犯行態様を見ますと、単に食品メーカー等に対しまして脅迫文を送るだけでなくて、青酸入り商品をもあわせ郵送しまして、スーパーにこれをばらまくぞという脅迫をしたというような、グリコ・森永事件と同じ態様の悪質な事件が依然として出ておる状況でございます。
 特徴的な傾向といたしましては、ほとんどの場合が脅迫文を送りつけるなど文書による脅迫をするというのが大半でございます。また、その要求に応じなければ食品に毒物を混入する旨脅迫するというものが多発しておるわけでございます。さらには現金受け渡し場所を頻繁に変更するなど、その手口が巧妙化、悪質化するといった傾向が見られるところでございます。
#65
○田中(恒)委員 大体事件の捜査の状況を大まかに報告をいただきましたが、問題は、つまりこの事件の犯人が逮捕されていない、この事実ですね。これが今なお続いておる中でこういう法案が出たというところから、国民の世論というか声の中には、グリコの犯人もよう逮捕せずにいろんな協力義務などを訳せる法案を出すということについての御批判をあちこちで私ども耳にいたします。なるほどなと思わざるを得ません。そういう意味では、法案に直接関係ありませんが、私はやはり犯人逮捕に向けての警察庁の汗をかく姿というものがもっと国民に示される必要があると思います。
 あといろいろありますが、そういう中で本法が制定されることによってこういう事件の防止がどこまで期待されるのかという点について、これまたいろいろ意見があるわけであります。むしろ警察権の強化につながっていくのではないか、不特定多数の国民がこういう事件の中で警察の捜査の対象になる度合いがひどくなるのではないか、こういう不安等もあるわけであります。この点については提案者の方ではいろいろ御検討されたと思いますが、どのようにお考えになって提案をせられたのかこの際改めてお尋ねをしておきたいと思います。
#66
○宮崎議員 御承知のようにグリコ・森永事件というのは、流通食品に毒物を混入いたしまして、そして社会的な不安をかき立てたわけでございまして、消費者の側からいきますと、そういう食品を買って食べると死ぬかもしらぬというような非常な不安がございますし、またスーパーなんかに並べられておりますのは子供用の食品が多うございますから、やはりその点におきまして社会的な不安というのは非常に大きいと思うのです。ですから、こういった人の生命に関する問題、これを防止するということ、この点は何とかしなければならぬということでその当時から私ども考えておりました。
 先ほどお話しのようにまだ犯人が検挙されないのは非常に残念でございますが、行政官庁、製造業者等、あるいはまた関係の方々もみんな総合的な考え方で防止しようというためにこの法案を出したわけでございまして、警察権限の強化とかそういったことは毛頭考えておりませんし、なおまた警察は警察で、犯罪に対しまして極力犯人を捜してもらうように期待をいたしておるわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
#67
○田中(恒)委員 これは法制局にお尋ねした方がいいと思いますが、この法律の性格について、一つは刑罰を科していくという面があります。いま一つは、今も宮崎先生の方からお話があった行政措置法的な面がありますね。この二つが混合しておるというのでありますが、例えば刑罰については、今の刑法を中心とした体系の中でほとんど処理されるのではないか。毒物を混入した罪が一つ足らないと言われておりますが、犯罪そのものの全体的な罰ということに、なっていくと、グリコ事件にいたしましても罪名が十五あるとか二十あるとか言われておるほどでありまして、今の体系の中でも処理できる条件がほとんどである、こういうふうに我々は聞いておるわけであります。しかし、行政上の措置というものを今度新しく立法化していくことによって、ある面ではいろいろな事件に対する事前の防止や事件が起きた場合の迅速な処理などについて前進もあろうし、あるいは先ほど参考人からも意見陳述があったように大変な被害を業界あるいは労働者が受ける、そういうものに対応する施策というのは一歩前進するのかな、こんなふうにも理解しておるわけであります。
 この法律の体系について、特に将来どういう方向にこれが位置づけられていくのか、もし法制局の方で御見解がございましたらお聞きをしておきたいと思うわけであります。
#68
○坂本法制局参事 お答え申し上げます。
 いわゆる行政法と言われるものの中には、各種の行政措置を定めるとともに自然犯的な犯罪に対して処罰規定を定めているものがございます。例えば水道法、それから放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律などがこの例に当たりまして、水道法では、水道事業についての認可とか供給義務とか各種の規定のほかに一、五十一条で、水道施設の損壊等に対する処罰規定を定めております。それから放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律では、放射性同位元素による各種の危害の防止措置を定めるとともに、あわせて五十一条で、放射線発散危険とかそれによる致死を処罰するという規定を設けております。これらの法律はいずれも行政法規的規定を置くとともに、刑法を拡充強化するような性格を持つ基本的犯罪について規定を設けておりまして、このような定め方は立法上特に問題があるということにはなっておらないというように法制局としては理解しております。
#69
○田中(恒)委員 それは私も知っておるというか勉強させられましたが、この法律は行政法的な性格が強いのか、刑罰法的な性格が強いのか、両方宙ぶらりんでございますということなのか、その辺どうですか。
#70
○坂本法制局参事 どちらかと申しますと行政的措置の部分が多いということで、やや自然犯的に近いのは九条の処罰規定でございますけれども、これとても一応微量の毒物混入についても処罰するということがありますので、必ずしもいわゆる自然犯的なものばかりとは言えない、そういう理解をしております。
#71
○田中(恒)委員 わかりました。
 内容について二、三お尋ねをいたします。
 この法律の対象につきまして法第二条第一項においては流通食品についての定義がなされておりまして、「公衆に販売される飲食物」、こういうふうに規定をされておるわけであります。実は私は愛媛県でありますが、愛媛県のこれまた私の選挙区内でありますが、先般野村町というところで学校給食に青酸カリが混入をされるという大変な出来事が発生をいたしました。私は二、三日いろいろな形でその現場を見たわけでありますが、これは特に農村でありますから、都会とはまた違った意味の人間関係の中で住民が大変な苦悩をいたしました。これは学校給食であるということでどうもこの法律の対象にはならないのではないか、こういうふうにお聞きもいたしております。ともかく流通をする飲食物で不特定多数の人々を対象としたものということになっておるようでありますが、流通をしないものもいろいろございますね。今私が申し上げた学校給食などに毒物が混入せられたような場合はこの法律の対象外というふうに理解をされるものでしょうか。改めてこの席で確認をしておきたいと思うわけであります。
#72
○白川議員 お尋ねの点でございますが、結論から申しますと、これには該当いたしません。と申しますのは、学校給食の場合は販売の用に供せられている食品とは言えないと思います。その点からでございます。
#73
○田中(恒)委員 そういたしますと、例えば牛乳などに入る、その牛乳が学校へ回されたといったような場合でも対象になりませんか。
#74
○白川議員 牛乳業者が学校に売る、その牛乳はもちろん流通食品でございますが、学校は最終消費者であるわけでございます。買った者がどのようにして児童生徒に飲ませるかという問題は、そこからは販売の行為ではないわけでございますから、消費者である学校が買って生徒が飲むという間に万一毒が入れられたりした場合というのは、流通食品に対して毒を混入したということにはならないと思います。
#75
○田中(恒)委員 ケース、ケースで物の流れの過程で区分をしていくと、販売という前提をつけた、つまり正札がついたもの、こういうことになると、正札がつかないものでも、場合によれば不特定多数の大衆の中に入り込んで売る場合も考えられはしないか。具体的なケースによってはそういう心配がありまして、「販売される飲食物」という規定がちょっと気にかかる点があるわけであります。ただ、これはさまざまな現象、出来事が起きるのでありましょうから、そういう中で将来問題になりはしないか、こういう心配を持っておりますので、改めてこの点を意見として申し上げておきたいと思います。
 そして、法第二条第二項の一号、二号、これは非常に明確に、「劇物取締法別表第一及び第二」、それから「薬事法第四十四条第一項又は第二項の規定により厚生大臣が指定した医薬品」、こういうふうにあります。第三項は「前二号に掲げる物以外の物で、その毒性又は劇性が前二号に掲げる物の毒性又は劇性に類似するもの」、こういうことになっておりますね。
 実はこの規定でありますが、これは、私は法律の専門家ではありませんが、人を処罰するという場合の法律の概念規定としては非常に漠として、こういう規定で処理されると、運用によっては非常に広がっていく心配がありはしないか、少なくとも処罰の対象になるということについてはできるだけ縮めていくということにならないと、法律として妥当ではないのではないか、こういう意見が非常に私どもの党の中にはございます。改めてこの規定についての、特に第三号について何らかの措置をとらなければいけないのではないかというふうに我々は思いますが、この点について、提案者がこの法文に至るまでの過程あるいは今日のお考えについてお示しをいただきたいと思うわけであります。
#76
○宮崎議員 御承知のように、第一号、第二号というのは、きちっと毒物の名前が法律に書いてございます。したがいまして、このことについては問題はないわけでございますが、おっしゃるように第三号に、一号、二号に毒性並びに劇性が類似したもの、こういうふうに書いてございます。私どもは今お話しのようにこの対象物を広げようという気持ちは毛頭ございませんで、実際は一号、二号と同じ程度と申しますか、これは専門家に言わせるとそうじゃないのかもしれませんが、私ども素人では同じ程度のものが何かあるんじゃないか、こういうふうに考えまして、現に法制局あたりで聞きますと、これは何かあるそうでございまして、それならばそういったものを――三号をむしろ削除するということになりますと、一号、二号と同じ毒性のものを利用したときには犯罪にならない、そういうことになるんで、やはりこれは入れておかなければいけないんじゃないか。
 ただし、お話しのようにこれを拡大解釈して、もっと毒性の低いものまでやろうという意思は毛頭なかったわけでございまして、このように書かざるを得ないな。「類似」という言葉が、ちょっと少し毒性の低いものというふうに解釈されはしないかというお話でございますが、私どもは一号、二号と変わらず毒性の同程度のもの、こういうふうに解釈しておりまして、そして三号を除くことによってこの毒性を利用した犯罪というものが処罰の対象にならない、こういうことを防ぎたいというような気持ちから書いたわけでございまして、なお詳細は法制局その他から答弁させます。
#77
○田中(恒)委員 今の宮崎先生の御答弁の中にあります、そういう「類似するもの」というものは具体的にこういうものでございますと、こういうふうに何かの形で示していくという措置が必要ではなかろうかと思うわけであります。いろんな毒性に転化をしていく成分というか要素というか、そんなものになるのでしょうから極めて多岐にわたる面もあるのでしょうが、何か常識的にこういうものが薬事法なり毒物劇物取締法以外にございますというようなことが、あるということでありますが、その点について説明はしていただけましょうか。
#78
○白川議員 人に害を与える毒物、劇性があるものというのは、発見されているもの、発見されないものを含めて無数にあるわけでございます。そのうち、どういう形式であれ、どれだけという形で特定をした以上は、犯罪としてはそれを使わなければ逆に本罪の構成要件からは外れてしまうということで、何ともこれはだれが考えても立法形式としてはおかしいということになるわけでございます。
 そういたしますと、考え方としては、毒物とか劇物とかいうものを一般的、抽象的に決めておくというのが普通の方法であるわけでございますし、刑法なんかだったら、人を殺傷したというときに殺傷の手段までは一々書いてないわけでございます。そういうような意味で、抽象的、一般的にそのように書くことはできるわけでございますが、私どもは、刑法の重要な一部を変更するわけでございますから、そのような大それたことはしない方がいいだろうということで、まずできるだけ具体的に書こうということで、法律の上で列挙してある毒物及び劇物に関する法律とか、薬事法の方にせっかくそういうようなものがあるわけでございますから、まずそれを書く。しかし、どうしてもそれで読み取れないものがあるわけでございます。
 具体例を申し上げますと、例えば中間生成物などでイソシアン酸メチル、これはカーバメート系農薬の中間体などで発生されるものでございます。それから試験研究の目的などの途中で出てくるものがいっぱいあります。カビ毒、アフラトキシンとかいろいろなものがあるわけでございます。鉱物の中にも硫黄鉱などもありますし、廃棄物の中にも溝がいっぱいあるものはございます。
 そういうものがいっぱいあるわけでございまして、それらをどこかの法律にまとめて書いてあるかというと書いてないものでございますから、一号、二号というようなものを前提としながら、それと同じくらいの毒性の強いものを使って本罪を犯した場合は罰する、この方が、少なくとも毒物、劇物とは何ぞやということを一般的、抽象的に規定するよりももっと限定したことになるのではないだろうか。そういうことでこのような構成要件にいたしたわけでございます。この点をまた御理解をいただければ幸いでございます。
#79
○田中(恒)委員 その辺の問題はたくさんあってなかなか法律には書けないのでしょうが、行政措置の一番大きなのは政令でしょうが、政令なりあるいは指導の行政通達なり、そんなものでできるだけ要件を区分して明確にして、この種のもの、この種のものといったような形で整理をして示すことはできますか。そういうことをしてはいかがですか。
#80
○白川議員 おっしゃる趣旨はよくわかるのでございますが、具体的に挙げたもの以外を使った場合、具体名を挙げて、その具体的な名前以外は犯罪に当たりませんという方式をとる限り、もし犯人がよく調べて、これは項目の中に載っていない、そうすると本罪は成立しないんだ、こういうことに論理必然なるわけでございます。ですから、法形式が政令であれ、省令であれ、具体的に名前を挙げたもの以外のものを使えば本罪は成立しない、これは明らかに社会常識あるいは本法の目的からいって趣旨に反するであろうということで、最後はある程度抽象的に書かざるを得ないのではないだろうか、こういうふうに思うわけでございます。
#81
○田中(恒)委員 この第四条の「毒物の混入等があったことを知った者」ということでありますが、この毒物の混入があったという認識は、大体どういう条件の場合に法律的にはこの条項を発動していくのか。つまり脅迫が来た、毒物を入れるぞとか入れたとかいう脅迫状が来た、こういう時点なのか。あるいは店先で青酸カリらしきものか青酸カリを入れるのを現場で見たとか、この「知った」という状況判断はいかなる条件の中で判断されていくのか、この点についての提案者のお考えをお聞きしておきたい。
#82
○宮崎議員 非常に核心をついた質問でございまして、私どももこの点は非常に困ったわけでございます。後でこういう届け出義務を担保するための罰則がございます。それとの関係でどの程度のことを届け出義務にするか、非常にいろいろ議論百出したところでございますが、現在は毒物を混入したぞということを犯人から電話があるとかなんとかで通知しただけでは、これは知ったということにならない。本当に毒物が入っているかどうか、それは確かめられないわけでございますので、そういう通知を受けて、本当に入っているのかなということでその食品を検査してみると、ああ、なるほど青酸カリが入っておったというときから構成要件として確認をする必要がある。そしてまた、確認をしたことを同僚か何かに、こういうことをやったらこういう毒物が出たぞ、これはよく処置しないといかぬ、そして相手の人はわかりました、こういうような構成要件がなければ、毒物ということと故意にやったということも犯罪要件になりますから、そこのところが――書いてありますのをただすらっと読みますと「あつたことを知った」、こうなっておりますが、具体的にそういったような幾つかの条件を考えて、届け出義務というのは非常に細かく狭めて、本当に事実であったという点だけに絞って書いたわけでございまして、「あったことを知った」というのは非常に簡単な用語でございますけれども、そういったようなことを書いているわけでございます。どうぞ御理解を賜りたいと思います。
#83
○田中(恒)委員 届け出の方は後段の質問につながるわけでございますが、毒物が入っておるという確認、例えば試験場の試験結果によってこれには青酸カリが入っておりますというような分析報告が出た場合、これは確実に確認されますね、それ以外に客観的な諸条件から見て、どう見ても毒物が入っておるというふうに一般酌に判断されるような条件、要件というようなものなのか。しかし試験研究機関の分析証とかなんとか、そういったものが証拠資料として伴った場合に確認されるということなのか、何だか怪しいし、あれをどうも入れたということで確認という行為が起こって次の届け出義務というものにつながっていくのか、この込もう少し条件を幾つか示していただきたいと思うのです。
#84
○白川議員 第三条に書いてありますとおり、毒物混入等があったということは実は略称しているわけでありまして、「流通食品に毒物が故意により混入され、添加され、若しくは塗布されること又は」云々とあるわけでございまして、毒物が故意に確実に入ったという場合のみを指すわけでございます。ですから、例えば青酸カリと書いてあるようなあいまいな瓶の中の物質が何か入れられたらしいというようなことでは、そもそも本体の瓶が本当に青酸カリを入れている瓶であるかどうかというようなものが不確定である場合、すなわち毒物らしきものがどうも入った気配があるとか入ったらしいぞという程度ではこの「知った者」には入らないわけであります。おそれはありますけれども、それでは、まだ我々が想定しております毒物が故意によって確実に混入されておるという事実が発生したとは言わないわけでございます。
 ですから、もしこれを刑罰規定と一緒に読むならば、青酸カリと書いてある瓶から何か物体を入れたらしい、ところが肝心かなめの中は砂糖であった、同じように白に見えるけれども。それはもともと毒物が故意に混入されたという実態がないわけでありますから、不能犯というか構成要件該当性がない、こういうことになろうかと思います。
#85
○田中(恒)委員 そこで、今の御答弁を聞く限りにおいては、客観的に毒物であるという認定が可能な諸条件がそろわないと「知った」という条件にならない、こういうふうに理解をいたしたいと思いますが、同時に「知った者」、つまりたまたまどこかにおって、毒物が入ったということを、客観的なそういうものも整えながらわかった人がそのことによって直ちに届け出をしなかった場合に処罰の対象になる、そういうことが考えられる。警察は、毒物が入ったかどうかということについていろいろな捜査が始まっていくし、私もその野村町の例などを見ると、これはまことに異常な雰囲気を醸し出してくるわけでありますから、そんな場合には、よく心配される善意の個人がそういう刑の対象になっていくのじゃないか、こういう声が当然起きておるわけでありますが、そういうところまで通報義務を訳せなければいけないということについては、ちょっとこれは行き過ぎではないか。大体通報義務を訳せるということ自体が、今の法律の体系の中ではちょっと出ておると言われておりますね。
 しかし、この種の事件の態様が、例えば企業が裏取引でお金で解決するものは解決していく、そういう商習慣――商習慣じゃないが、この種の事件の裏側に潜むものを明らかにするためには、何か義務化をしなければいけないということでこんな条文ができたというふうにも聞いておるわけであります。しかし、それが非常にたくさんな個人にかぶさっていくということになっていくと、やはりこれは大きな問題になってくると思うのです。そういう意味で「知った者」というものについて、私どもはここのところはいま一遍再検討しなければいけない、こういう考えを実は持っておるわけでありますが、この点について、提案者の方でお考えがございましたらお答えをこの際いただいておきたいと思うわけであります。
#86
○宮崎議員 ただいまの御質問は、「知った者」というのが一般の人方に、非常に大勢の人に及ぶんじゃないか、ですからそういう人力は報告義務は課せられるのか、そしてまた、それに対する警察の取り調べ、そういったものはあるんじゃないかというような御心配のようでございますが、私どもも、実は毒物が確実に入っているという確証をつかむことのできる人というのは一般人はほとんどいないのじゃないか。皆無と言ってもいいんじゃないかという気持ちでおりまして、その点につきましていろいろと疑問がございます。ですから柔軟に対処いたしたいと考えてぶりまして、そういうような心配のないように、本当に知っておったというのは、製造業者があるいは販売業者が、そういう何か通報があって、自分の商品だからこれはどうかと言って試験場へ行ってやってみたら入っておった、こういうような人に限定をいたしたい。一般的に、あそこの店はどうも毒が入ったらしいぞということで通報の義務を訳せるというようなことには考えていないわけでございます。
#87
○田中(恒)委員 ここのところの条文については、私どもは、こういう義務規定を課するところに基本的に問題がある、こういうふうに理解をいたしておりますが、今御答弁をいただいた範囲では、知った状態というものが、個人の目で見たとか聞いたとかということだけでない条件があるようであり、それでいくと、保健所あるいは会社の研究所とか公の分析ができる機関でないとなかなかないように思うのです。そうなると、やはりここのところはそういう趣旨を生かした内容に変えていくことが必要ではなかろうか、こんなふうに思っておりますので、この際申し上げておきたいと思います。
 同時に、第四条の義務規定に関連して第十条で罰則があるわけであります。この罰則が義務規定の裏づけということのようでありますが、私どもは、本来罰則は必要でないと思います。これは二十万円ということになっておりますが、この二十万円以下というものの根拠は何かあるのですか。
#88
○白川議員 お尋ねの趣旨をちょっとはみ出るかもわかりませんが、第四条について改めて御説明を申し上げたいと思います。
 届け出義務というと、一見捜査への協力をしてもらいたいという感じがしないでもないだろうと思いますし、警察当局としてはそこのところに期待をいたしておるのかもわかりませんが、立法趣旨そのものを改めて申しますと、罰則がついているこの第四条の趣旨は、要するに毒物が入った食品が一般に出回り、それを一般消費者が食すると、生命身体に非常な危険が生ずる、そういうことは何としても防止しなければならない。ここに一番の重点があるわけでございまして、やばかったりおかしかったら警察に知らせなさいよという立法趣旨ではないわけでございます。
 それはどちらにあるのかといいますと、むしろ第五条の「毒物の混入等に関する犯罪の捜査が円滑に行われるよう、捜査機関に対し、必要な協力をしなければならない。」入ったかどうかわからぬけれども、入ったおそれがあるというものはこちらの方でむしろ読み取ろう、こういたしておるわけでありまして、ここのところをそういう面で正確に御理解いただきたいと思いますし、我々はそのようにしたという意味で、第五条には逆に罰則はかかっておりません。
 さて、二十万円の件でございますけれども、先生御指摘のとおり、第三者がそのような犯罪をやっているらしいということを警察に知らせるという一般的な義務は、確かにないことの方が圧倒的に多いわけでございます。公務員などの場合は、犯罪があると思料するときは告発義務その他はありますが、一般人の場合は先生おっしゃられたとおりないのがむしろ原則でございます。ただ、冒頭申し上げましたとおりこの第四条の目的は、流通食品は大量に生産されるものが多いわけでございますが、それを人が食すると大変大勢の人の生命身体に危険が生ずる。お互いにこの世の中に生活をしている者として、少なくともそういうことは警察当局に知らせてもらって、そういう被害が発生するのを事前に防止する、それらはお互いに社会人としての義務があるのではないだろうかということで罰則にしたわけでございます。体刑その他はございません。罰金二十万円以下ということで、類例はそんなに数ある方ではございませんが、爆発物取締罰則などですと五年以下という懲役でございます。銃刀類所持等取締法によると十万円以下の罰金ということでございますが、それよりもちょっと重たいのではないかということで二十万円にした、こういうことであります。
#89
○田中(恒)委員 提案者のお考えはある程度理解できましたが、この罰則規定と届け出義務との関連についてはなお私どもの方でいろいろ議論が起きておるところでございまして、検討をさせていただきたいと思っております。
 この法案の第八条は、先ほどお聞きをすると、方向としては行政法的な内容が厚い、こういう御答弁をいただいておるのですが、製造業者等に対する指導、助言、資金のあっせんその他の措置ということになっておるわけですが、確かにグリコの事件を見ても業界や働く人々が大変な迷惑を受けておるということは現実であります。こういうものに対して行政がどういう措置をしていくのか。実は、きょうも質問の通告ということから各省にも申し上げておったのですが、時間がございません。グリコ・森永事件を見る限りにおいては、労働者に対する給付の措置が労働省にあるし、通産省に保険の機構があるし、さらに中小企業に対する助成措置がある、こんなものが現状ありますね。この法律ができたからといって、これが新しく強化をされるようなことになっていくのか現状のままなのか、その点どこか、農林省まとめてちょっとお答えいただけませんか。
#90
○谷野政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の第八条の措置でございますが、グリコ・森永事件の場合にも各省相協力をいたしまして諸般の措置を講じたわけでございます。ただいま先生御指摘のような措置もございますし、さらに指導、助言といたしましては、いろいろな関係企業に対する製品管理の徹底でございますとかパッケージの改善、こういうようなことについての助言、指導ということを行ったわけでございます。そのときにはもちろん本法がない状態で行ったわけでございますが、私どもといたしましては、この法律によりましてこのような根拠となります規定が制定されるということに相なりますと、従来とりました措置もより円滑に進められるようになるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#91
○田中(恒)委員 そこで、ちょっと二つだけ一緒に質問をさせていただき、お答えもいただきたいと思います。
 一つは、この法律を見ますと、主務大臣という規定がありまして、これが農林水産省である、これは行政組織法の建前からということのようでございますが、参考人に対する各党の質問の中にも出てきておったように各省にばらばらになっておる。この法律を見ても、主務大臣がやること、それから国の施策でやること、あるいは各省が持っておるいろいろな法律体系の中でやること、それぞれでやっていく、こういうことになっておるわけでありますが、全体として統一というか連絡協調体系というものを一本というか、十分な意思の統一とやり方について各省が力を合わせなければいけない問題がこの種の問題については非常に多いと私は思うのですね。そういうものについて、法律では、主管庁は具体的には農林水産大臣ということになるようでありますが、やはり政府全体として統一調整をしていく、こういう必要があると思いますので、この点については、もしこの法律が制定をされるとどういうふうな措置を考えるべきなのか、提案者の方でお考えがあればそのことについて御意見を言っていただきたいし、政府の方に法律を受けてこういうことが考えられるという点があったらお示しをいただきたい。それが一つ。
 それからもう一つは、私はこの法案を見まして、確かにこういう異常な今日の新しい犯罪に対応するために、刑法に欠落しておった毒物混入罪と称すようなものを中心にしていろいろな法が組まれたということについて一定の理解を示しますが、そのことがもたらす危険性というか、どうもそれがあるような気もして多少もたもたしておる面もございます。ただ一つ、これはこの法律の中でということではありませんが、しかし考えれば考えられないことはないと思うのは、毒を飲んだ、あるいは食べた被害者、この被害者を一体どう見るべきなのか、あるいは企業に対しても融資やいろいろな指導、助言などは出ておるわけでありますが、この法の対象にならないと言われたが、私のところの学校給食の事件を見る限りにおいては、住民の異常な恐怖感とお互いの猜疑、そこへ警察が入っていく。異常なマスコミ、世論がまくし立てるわけでありますから、そうなりますと、民間の諸団体、例えばあそこの場合はPTAなんかというのは、役員なんかは本当に一カ月、二カ月ぐらい仕事をぶっ飛ばして連日連夜このことについて協議をしておる。大変な迷惑を受けておるのですね。そういうものに対してどういうふうに考えたらいいのか。
 特に被害者に対してはどういう措置があるのか。聞くと、何か通り慶事件のときにつくった犯罪被害者等給付金支給法、この法律に基づく措置しかないということであります。これは必ずしもこの種の事件だけではなくてたくさんの問題があると願いますが、やはり被害者に対するいわゆる救済策というか、政府としても対応策というものが何らかの形で考えられる必要があるのじゃないか、こういうふうに私は実は思っておるわけであります。この点について、これは提案者の方がいいと思いますが、お考えございましたらお聞かせいただきたいと思うわけであります。
#92
○宮崎議員 この第八条に関しまして、いろいろな措置をとる場合にどの省がどうやるのだというお話でございますが、いわゆる流通食品を担当しておりますのは主に農林水産省でございますし、大蔵省は酒類を担当しておりますから、主務大臣というのはこの二つの大臣でございます。しかしながら、薬物でありますとかあるいはまた法的規制の刑罰の問題でありますとかは法務省であり、あるいはまた厚生省なんかにも関係があるわけでございますので、各省その点は適宜連絡をとり合って、例えば農林省が中心になってこの問題については関係省集まっていただいて協議するとか、そういうことになろうかと思っておるわけでございます。政府側の答弁はひとつ農林省にやっていただきたいと思います。
 それからいま一つ、この法律の中では被害者に対する問題がないじゃないかというお話で、私ども、現行法その他でそういった気の毒な方々を何とかひとつ救わなければいかぬという気持ちは持っておりますが、そこまで、これを明記するところまで今回はいっておりません。
#93
○谷野政府委員 ただいま御指摘の関係行政機関の連絡協力体制の件でございますが、グリコ・森永事件の際には各省の連絡協議会が設置をされまして、内閣官房の方が事務局をお務めいただいたという例があるわけでございます。私ども流通食品を主管いたしております立場といたしまして、今後このような問題を処理するに当たりましては、そのような先例に徴しまして各省庁間の連絡体制が緊密に行われますように、私どもなりに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#94
○松田説明員 お答え申し上げます。
 私の方では、この種の事件で被害に遭った者の救済措置、特に犯罪被害給付金の支給対象にならないか、こういう御質問があったわけでございますけれども、流通食品に毒物、劇物等を故意に混入させるなどの行為によりまして死亡または重度の障害を負う事案が発生した場合におきましては、通常その被害者の遺族なりあるいは本人に遺族給付金または障害給付金。これが支給されることになります。
#95
○田中(恒)委員 時間が来ましたから終わりますが、これは自民党の議員提案で出たわけですけれども、私は、やはりこの被害者対策というものは、いろいろな法律の中で正直言って今のものだけですが、今のものは全くのお見舞い金といったようなものでありまして、そんなものでなかなか済むような状態ではないと思いますから、今後の大きな政治課題として十分にひとつ与党の方でも、我々の方もいろいろな角度から検討さしてもらいたいと思っております。そのことだけ申し上げて終わります。
#96
○玉沢委員長 坂上富男君。
#97
○坂上委員 坂上富男でございます。
 農水委員会での発言は初めてでございましてふなれでございますので、あるいは御迷惑をおかけをすることがあろうかと思いますが、よろしくお願いをいたしたいと思います。また、本法律案の提案者が大変秀才の誉れ高い白川勝彦議員でありますので、あえて私の方から質問するほどのことでもないのでございますが、若干私がわからない部分について御質問をさしていただくという角度からの御質問をお許しいただきたい、こんなふうに思っております。それからまた、この法案については私は賛成の立場で御質問をいたしたい、こう思っておるわけでございます。
 まず警察庁ですか、グリコの事件が五十九年三月起きたと言われておりますが、この前にも類似犯罪は起きているんじゃございませんか、どうですか。今まで隠されていたのじゃないですか。
#98
○広瀬説明員 グリコ事件以前に同種の犯罪がなかったかという御質問でございますが、いろいろな企業に対しまして脅迫文を郵送するというような形態のものはあったと思いますけれども、食品に毒を入れるというようなものは私自身は聞いておらないという状況でございます。
#99
○坂上委員 私はやはり警察はそういう部分が甘いのじゃなかろうかと実は思っているわけです。私は、やはりこういうことはもうスーパーあるいはデパート、そういうような広い、しかも犯罪の盲点となるところにずっと行われていたんだろうと思うのです。ただ、届け出がなかったりこんなに大げさにならないうちに処理がなされておったものだから、解決がなされてこういう問題にならなかったのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。そうだといたしますと、犯罪の模倣性ということを言われたわけでございますが、この模倣性に対していわば一般予防の立場からこの法案の提出がなされる、こういう意味のようにも一面聞いておるわけであります。だといたしますと、今申されましたところの通報義務、そんなような点が本件の法案に対してやはり大きな問題点になるのだろうと私は思うのです。いろいろお聞きをしておりますと、どうもこういう犯罪ができるだけ表面化しないうちに、そして、できるならば自分らの企業の中で解決をした方がいいのじゃなかろうか、しかし、これが一般公衆に知れ渡ると放置もできないというような部分もあるのじゃなかろうか、こんなようなことをこの法案を審議する上において考えておるわけでございます。
 そこでまず警察庁、グリコからでいいですが、さっき報告があったのですけれども、一体今日まで総数どれくらいの犯罪があったのか、それからどれだけ検挙があったのか、検挙率、そして今どれだけ起訴があったのか、どれだけ判決が確定をしたのか、使われた毒物、劇物が何なのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#100
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 五十九年五月以降の数字を申し上げますが、五十九年五月以降本年八月三十一日まで、全部で四百二十一件の企業恐喝事件が起こっているわけでございます。このうち、検挙いたしましたのは二百四十四件でございまして、検挙率は五八・〇%でございます。しかし、例えばただ一度だけ脅迫文書を会社に送りましてその後は何もしないといった、いわゆる荒唐無稽的なものを除きまして悪質なもの、例えば執拗に何回も脅迫しますとか、現金の受け渡し場所を設定するといった、私ども現場設定と呼んでおりますが、そういう悪質なものにつきましてはほとんど検挙をいたしておる状況でございます。
 この検挙いたしました二百四十四件につきまして起訴率はどのぐらいかということでございますが、八五%ほどが起訴になっております。残りの一五%でございますけれども、これは、例えば共犯者でありまして犯状が軽微であったという者が起訴猶予等の処分になっておるというような状況でございます。
 どのくらい裁判で有罪になったかというのは、現在ちょっと手持ちの資料がございませんので、答弁いたしかねる状況でございます。
 実際に毒物が入れられましたもの、これは、必ずしも食品に入れられたということではなくて、被害企業等に郵送で毒物を送りつけたというものも含んでいるわけでございますが、全部で五十九件ございまして、青酸系が十八件、殺虫剤が十九件、除草剤が八件、その他十四件となっております。その他はシンナー等のもの、あるいは覚せい剤というようなものでございます。
#101
○坂上委員 毒物、劇物はこの法律で別表に記載してあるわけでございます。白川議員が類似品目を挙げられたわけでございます。白川議員が挙げられましたものはありますか、劇物、毒物に。そして、今お話しになりました別表、どれとどれだということの御指摘ができますか、捜査課。
#102
○広瀬説明員 ちょっと、ただいま詳細に検討しておりませんので答弁できません。申しわけありません。
#103
○坂上委員 白川先生、大変恐縮でございます。先生が類似毒物、劇物と挙げたものは、別表のどの毒物、劇物に類似するのですか。
#104
○白川議員 ちょっと前段の質問がわからなかったもので、済みません。
#105
○坂上委員 先生が劇物、毒物の類似品をさっき挙げられました。これは劇物取り締まりに関する法律の別表の何に類似するのかということをお聞きをしているわけです。先生の挙げられた品目はどの品目に類似しているのかを聞いているわけです。――お調べになって、後で結構です。
#106
○坂本法制局参事 お答え申し上げます。
 毒物劇物法に別表で載っております毒物とか劇物、これの薄性とか劇性が類似するというととで、毒性、劇性の類似ということになっておるわけです。ですから、別表に載っているもの全般的に見て毒性、劇性が類似するものであればかかるということになります。
#107
○坂上委員 田中先生から、構成要件から見て大変拡張し過ぎる、しかもややあいまいさを持つのじゃなかろうか、こういう御指摘があるわけであります。私もそうだと思いますよ。今法制局の部長さんの御答弁を聞いても、類似というのは別表一、二に少し似ていればいいんたというような御答弁でございます。これじゃ罪刑法定主義に反すると思うのです。先生はそれでも譲歩しておっしゃった、政令でもって決めてもいいじゃないかと。私は罪刑法定主強からいって反対です。
 部長、水道混入罪は、いわば人の健康に害を与えるもの、こういう特定になっているわけでございます。これと類似とどう違うのですか。
#108
○坂本法制局参事 刑法の水道混入罪の方は、人の健康に害があるということで非常に範囲が広いということです。こちらの方は、まず最初に挙げております毒物、劇物というのは、毒性とか劇性が一定の基準を設けていまして非常に厳しいものですから、それに類似するというのは、刑法のような規定の仕方をすると広がるということで、非常に絞り込んだ意味でこういう表現になっております。
#109
○坂上委員 そうすると部長さん、人の健康に危険を及ぼすものについては、一部処罰の対象にならぬのがこの法律から出てくるのですね。
#110
○坂本法制局参事 そのとおりでございます。人の健康に少々害を……
#111
○坂上委員 具体的にどんなものですか。
#112
○坂本法制局参事 これは例えば、腐敗したものとかそういうものはこちらの方ではいわゆる毒物の定義に入りませんので、そういうものは入らないということでございます。
#113
○坂上委員 ちょっとよくお聞きください。毒物、劇物があって初めて類似品になるんだ、こうおっしゃるわけです。こんな毒物、劇物が入っていないものがこの対象になるというと、ちょっと矛盾じゃございませんか。市販も、腐敗品は食品衛生法にきちっと処罰規定があるでしょう。それとの関係はどうですか。
#114
○坂本法制局参事 食品衛生法の方は、主に営業者を中心にして、しかも、故意とはかかわりなくそういう人の健康を害するようなもの、こういうものも法の処罰する対象になって、規制の対象が全く違うということです。
 それからもう一つ、こちらの方で「類似するもの」という書き方になっておりますのは、具体的に、試験段階の中間生成物のようなものは、名前がないとか名前は特定できないとかそういうものであって、しかも毒性、劇性が毒物、劇物と類似するということであれば、やはりこれは規制対象に入れるということになります。
 これは、先ほど政令で規定すればどうかというお話もありましたけれども、毒物とか劇物として別表に掲げられているものは普通製品として販売されているもので、試験研究段階でできている中間生成物のようなものは大体名前のないものも多いものですから、そういう製品化しないものは、毒物、劇物あるいは事業、創業として別表に指定されておりませんので、それと同じ毒性、劇性があるものはやはりここで拾っていこうということで、あくまでもその毒性、劇性に着目して類似するということですから、相当絞り上げたつもりの規定になっております。
#115
○坂上委員 さて、ちょっと警察の方にお願いです。
 毒物を使った、こういうことでございますが、検挙された中で、毒物、劇物が犯罪にどれぐらい使われたのですか。それから、未発見のものに何割ぐらい。何も入れもしないで、また、毒物、劇物でなくて脅迫の材料に使ったのは結構です、きょうは毒物、劇物混入罪についての質問をやっているわけでございますから、その範囲での質問でございますから。
 それから、捜査する上において、例えば業界のこういう協力が実はなかなか容易じゃないんだとか、あるいは何でグリコとかこういう部分は挙がってこないのか、検挙できないのかというような、何か困っておられる捜査上の問題点があったらお聞かせをいただきたいと思います。
#116
○広瀬説明員 毒物、劇物がどれくらい入っていたかという御質問でありますが、全体の四百数十件のうちの五十九件ということでございます。また、その量はどのくらいかということでございますけれども、これは個々ケース・バイ・ケースによりまして違うわけでございまして、致死量といいますか、そういう致命的な量が入っておったというような報告はほとんど聞いておらないという状況でございます。
 それから、グリコ・森永事件等々の事件の検挙の困難性ということでございますが、グリコ・森永事件は、犯行時間帯が夜間であったという場合が多いわけでございます。それからまた、犯人が車を使っておるというようなこともございまして、有効な目撃情報がなかなか得られないというのが一つの理由でございます。それから、いろいろな遺留品があるわけでございますけれども、大量生産あるいは大量販売されておる物、ほとんどがそういう大量販売の物でございまして、その物からの追跡捜査が大変困難であること、以上のような理由から捜査が長期化しておるという状況でございます。
#117
○坂上委員 どうですか、警察庁、挙げられる見込みと自信はいかがです。
#118
○広瀬説明員 私も大阪の刑事部長をやらせていただいておりましたが、先ほど申しましたように、大阪、京都、兵庫、滋賀県、これらを中心にいたしまして懸命な捜査をいたしておりますし、また警察庁といたしましても一一四号という指定事件にいたしまして、全国警察の最大関心事ということで取り組んでおるわけでございます。これだけ社会を騒がした事件でございますので、何としても挙げなくてはいかぬということで懸命に努力をいたしております。一日も早い解決に向けましてさらに努力をいたしたいと思っております。
#119
○坂上委員 検挙ができない。せめて検挙してもらいたい、そして犯罪を防止したいというあらわれがこの立法だろうと私は思っておるわけです。警察の立場で、これが立法化されますと捜査の上でどの程度役立ちますか。
#120
○古川説明員 お答え申し上げます。
 ただいま捜査一課長が答弁申し上げましたように、全国の警察を挙げてこの種事犯について努力をいたしておるわけでございますが、ただいま御審議いただいておりますこの法案が立法化されました場合には、その法案の趣旨を我々も十分体し、法案の意図しておるところを十分踏まえて、また特に「捜査機関への協力」という規定も予定されておるようでございますので、そのような規定に沿って努力をしていくということによりまして相当の効果が上がるのではないかという期待を持って見ておるところでございます。
#121
○坂上委員 警察当局が日夜を分かたぬ御努力をなさっていることは、私たちも知っておるわけでございます。そんなことはないと思うのでありますが、ほかの先生がおっしゃいますとおり、これを乱用いたしまして、国民の基本的な人権の侵害に及ぶことを恐れておるわけでございまして、本来、今おっしゃったような凶悪犯、これを摘発し挙げてもらうことと防止することが任務でございますので、特にそのようなことを老婆心ながらひとつ要請をしながら、皆様方の今後の捜査に期待したいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 さて、白川先生、こういう実例の場合どうなりますか。さっき田中先生が給食のことをお話しになったら、先生はこの法律の適用にならないとおっしゃったように思うのですが、ちょっと例を申し上げますけれども、朝、牛乳屋さんが牛乳を卸すために並べて用意をするわけであります。そこに混入をされたわけでございます。一つはデパートに持っていく、一つはスーパーに持っていく、一つは給食のところに、持っていく。これはやはりこの法律の対象にならないのでしょうか。
#122
○白川議員 先生お尋ねのいずれの場合も、牛乳屋さんが販売のために所持、保管している状態の牛乳に毒物を混入したら、文字どおり「流通食品への毒物の混入等」に当たる、こういうように考えます。
#123
○坂上委員 そうだといたしますと、学校給食で物を買う、これもやはり、被害者でありますが、この犯罪の成立になるわけであります。
 さてそこで、溝の入ったことが給食の段階でわかった場合、通報義務者はだれになるのでございますか。
#124
○白川議員 牛乳が学校に運び込まれて、それから児童生徒の方にやられるわけでしょうが、原則として、例えば給食をする主体、学校になるのかどこか私よくわかりませんが、いずれにしろ給食をする主体と生徒とのやりとりの問題、牛乳をやるというのは販売ではないと思いますから、それは流通食品に毒物が混入されているという状態ではないと思いますので、この法律で言う届け出義務には構成要件上当たらない、こう言わざるを得ないのではないかと思います。もちろんそれは、届け出ることは必要でございますが、四条が想定している届け出義務違反の問題は起きないと私は存じます。
#125
○坂上委員 この法律が保護しようとする法益というのは、何なんでございましょうか。
#126
○白川議員 それは、まず国民の生命身体を守るということが第一でございます。そして、いろいろな関連の行為を罰することによって流通食品そのものへの信頼性もあわせて守りたい、こういうことでございます。
#127
○坂上委員 警察庁、今お話のありましたもので、人が死んだり傷害が出たりしたんでしょうか。
#128
○広瀬説明員 人が死んだ事実はございませんし、傷害の事実も聞いておりません。
#129
○坂上委員 そうしますと白川先生、今警察庁の答弁で、今までの犯罪の中で人が死んだり傷ついたことはないというのです。だといたしますと、混入行為、どうもこれが今回の大きな問題点でありまして、どちらかといいますとこれが恐喝の手段に使われているわけでございます。飲食すればあるいは結果が発生したのかもしれませんけれども、今までの捜査の過程を見てみますと、毒物劇物の混入に対するこの法律の保護であって、混入の結果に対する保護でもなさそうなんですが、立法者としてはこれはどういう点をねらわれたのでございますか。
#130
○白川議員 まことに恐縮でございますが、まず先ほどの点を若干、補充させていただきたいと思うのです。
 私、先ほど田中先生の方から御質問がございました、学校が牛乳を買ってから毒物を混入されたという、あの事件というかああいうのを頭に入れていたものですから、流通食品への毒物混入には当たらないと申し上げたのでございますが、もし先生のお尋ねが、既に自分が買った時点において毒が入っていた、それを給食婦が見つけたという場合ならば、それは毒が入った流通食品を自分で買ったわけでございますから、届け出義務に当たるということでちょっと補充をさせていただきたいと思います。
 ただいま御質問がございました点でございますけれども……
#131
○坂上委員 立法趣旨、要するに毒物混入で死傷者は出ていないということですが……。
#132
○白川議員 それは幸いなことに出ていないわけでございますけれども、その点につきましては確かに先生のおっしゃられますとおり、今までの犯罪類型では流通食品に毒物を入れたぞということが確かに脅迫の手段、恐喝の手段になっておるようでございます。しかし、本来的に一番大切なのは、流通食品に毒が入れられたというケースが起きた場合に一番大変なのでございまして、そして同時に、この種の事件が非常に社会的にも大きな反響もありますし、同時に、おどかされている御本人にとりましても食品業者にとりましては自分たちの売り物に毒物が入れられるというところに特に大きな恐怖感を覚えるわけでございます。
 そういう意味で、この法律の本来の刑罰法規についてだけ言うならば、やはり不特定多数の人が食する流通食品に対して毒を入れる行為そのものが極めて反社会性が強い、こういうところに注目をいたしているわけでございます。
#133
○坂上委員 物に対する毒物混入の刑罰なのでございますが、しかもそのものは飲食物でございますが、確かに販売とは言っておりますけれども、スーパー、デパート等に陳列をされているもの、こういうたくさんの人の出入りするところに毒物の混入、混在、牛乳の中に毒物を入れて持ってきて一緒に並べていくという混在、こういうところに問題があるわけです。でありますから、混在というようなことを考えてみますとどうでしょうか、法制局でいいですが、どの程度離れていた場合を指すのか、例えばデパートの売れる場所に、ぽこっとあった、あればどこでもいいのか。混在というのはやはり同一物とほぼ同じ場所にあるということが条件だろうと思うのですが、この解釈はどうしたらいいのでございますか。
#134
○坂本法制局参事 例えばチョコレートの場合は必ずそのチョコレートの中に入っているという、混在しているという、そういう状態ではなくても該当するというように我々は理解しております。
 これは、例えばスーパーの中で同じ食品を売っている、そこへ、全く別の種類の食品のところへチョコレートを混在さしておっても、これはやはりスーパーなどでは子供なんかはそのチョコレートを拾ってバスケットに入れたりする可能性があるわけですから、そういうことを考えると、必ずしも同一品種でなくとも混在になり得るというように解釈しています。
#135
○坂上委員 そうすると、部長、食品は地下にあった、八階に混在品を置いた場合も犯罪ですか、混在による犯罪になるのですか。
#136
○坂本法制局参事 同じデパートの中の全く別なところ、あるいは通路に置くとかそういう場合には一応当たらないのじゃないかと思います。通路というのは食品売り場でない、出てきた通路、玄関の辺へ置くとか、こういうものは当たらないというふうに解釈しております。
#137
○坂上委員 これはどうでしょうかね、類似の品物を混在の目的で廊下に置くあるいは地下と八階に置いても、そういうものがあったということで大変な影響が出るのじゃないですか。ですから、私は、いかなる場所にあろうと同一の建物内にある限りは混在だというふうに考えるのですが、どうですか逐条解釈の上で。
#138
○坂本法制局参事 お答え申し上げます。
 この法律の保護法益は流通食品に対する国民の信頼の保護ということが一つあるのじゃないか。これはどういうことかと申しますと、我々現在生活していく上においては流通食品に頼らざるを得ない。その流通食品について、そういうものが入っていると国民が非常に不安感を持つということですから、そういうことから言いますと、今お話ししたように保護法益は別に流通食品を扱っている企業の保護とかそういうことでございません、ですから同じ建物の屋上とかそういうところにあっても、別に流通食品そのものに対する信頼の保護という保護法益とはかかわりない混在であるということですから、混在に当たらない、そのように解しております。
#139
○坂上委員 部長、私の質問はデパート内と言ったわけであります。屋上というのはもう外でございますので、そういうふうに言われますと私はそのとおりだと思いますよ。だけれども、牛乳の中に毒の入ったのがあのデパートの中にありますよ、なぜならばここの廊下にあるこのものがそうです、さて、それと同じものが地下に売っておりますよということになりますと影響ないですか。いかがです。
#140
○坂本法制局参事 今のようなケースの場合は、流通食品そのもの、それに対する信頼の保護ということと直接かかわりがないのじゃなかろうか。例えば衣料品売り場のようなところへ置いてあったような場合というのは、これは外から持ってきたものを置いてあるわけですから、必ずしも流通食品そのものに対する信頼の保護ということと結びつかないのじゃなかろうか、このように解しております。
#141
○坂上委員 ちょっと今度観点を変えまして、食品衛生法との関係をお聞きいたします。これは立法者の方にお聞きをしたらいいのでしょうか、あるいは先生おわかりになったら。
 食品衛生法第二十二条です。これは、こういう腐敗をしたり危険なものについては除去命令がここにあるわけでございます。これと特別措置法は、第六条あるいは第七条あたりとはどういう関係を持つのですか。
#142
○白川議員 お尋ねの点でございますが、七条に同様の趣旨の規定がございまして、特に第二項でございます。「混入等があった場合において特に必要があると認めるときは、製造業者等に対し、当該流通食品又は飲食物につき必要な措置をとることを求めることができる。」この中には一時販売の停止であるとかあるいは撤去であるとかこういうものも、その必要性がある場合は必要最小限として主務大臣はそういう措置を求めることができる、こういうふうに規定いたしております。
#143
○坂上委員 では、こういう命令に従わぬ場合は営業取り消し、こういうこともあり得るのですね、この条文によって。
#144
○白川議員 それはございません。
#145
○坂上委員 ない……。二十二条が適用になれば、命令に従わないんだから営業取り消しというようなことが自然に出てくるのじゃなかろうかと思いますが、これまた御検討を賜りたいと思っております。
 それから、第八条でございます。「資金のあっせんその他の措置を講ずる」、これはストレートに食品衛生法の二十六条に来るんですか。国庫負担半額。どうです。農水省、お答えいただいてもいいですよ。
#146
○坂本法制局参事 もともと食品衛生法の規定といいますのは営業者の行為が中心なんですね。営業者自体が食品衛生上問題のある食品を提供するとか製造するとか、そういう問題でありまして、第三者が故意に毒物を混入するというような、この法案で予定しているようなものは直接対象としていないわけです。先ほどの撤去とかの規定も、一応食品衛生法の規定に違反した場合の撤去なんですね。こういう犯罪行為による毒物の混入、こういうものを前提にしていない撤去じゃないかというように私どもは解しておるのです。
#147
○坂上委員 だから聞いているのですよ。それでは食品衛生法は全然適用にならぬのかね。間違いないですか。じゃ、これはどうなるのです。第二十六条「国庫負担」。二十二条の規定による廃棄に要する費用だ。これはみんな、毒物が入れられて腐って廃棄命令が保健所から出た、そうした場合は半分を負担すると書いてある。これはやはり適用させないといけないのじゃないですか。じゃ、何を期待して国はこうしてくれと言ったのです。
#148
○白川議員 本法を私ども立案者でいろいろ検討しているときに、命令もできるようにしようということも検討いたしましたけれども、毒物が入っているということがわかった場合には、これは国が命令するまでもなく販売業者、製造業者の皆様方はそれらを撤去する。そして、そんなものをわざわざ命令されるというようなことがなくても心配ないという御意見でございましたし、命令というような強権を発動する必要もなかろう、こういうことでございますから、全く国としては「求めることができる。」という形にしておるだけでございます。したがいまして、国として命令というようなものがございませんから、当然のことながら補償という概念もない、こういうことになるわけであります。
#149
○坂上委員 私は、今の答弁を聞いておりますと、やはり食品衛生法の適用があると思います。その適用の結果、この法律が通れば、国はこれだけのものはやる義務があると私は思うのです。これは十分厚生省とも御検討いただいて、していただきたいと思います。もちろん、これに対する協議をなさってないのでしょう。初めてでしょう、こういう問題を提起したのは。検討なさったのですか。
#150
○白川議員 それらの点は大議論いたしました。しかし、命令その他のことについては必要ない、そこまでのことを求めなくても、販売業者、製造業者ともそのようなものを万が一にも売るということはない。したがって、想定されないことに関してあえて命令などという仰々しい、まさに行政権力の拡大的なものを法律に書く必要はないであろう、こういうことで、あえて「求めることができる。」というふうにとどめたわけでございます。
#151
○坂上委員 私の質問していることはこういうことです。毒物が入れられた、そこの食品が全部腐ってしまった、腐ったために撤去命令が出た、撤去命令が出て、その撤去命令に従わなかった場合は営業停止はあり得る、これは当然です。それから、従って撤去した、費用に百万かかった場合は、食品衛生法二十六条で国が半分負担する、こう書いてあるわけです。だから、これは負担するんだろう、こうお聞きをしているわけです。その議論はやったのですかと聞いているのです。
#152
○坂本法制局参事 この法案で予定しているものは第三者による毒物の混入ということになりますから、本来食品衛生法で予定している目的とは違うわけですけれども、食品衛生法は全く適用にならないということではございませんで、一応食品衛生法で予想されている目的と違うということを申し上げておるので、この点については、当初食品衛生法的な観点からの規制も原案で検討したのですけれども、これは厚生省の方は食品衛生法の方でおやりになるということで、あくまでもこの法律に取り込まないということで、一応腐敗している物質とかそういうものは全く本法案で言う毒物とは関係のない事項ですから適用されませんけれども、有毒物質、こういうものがもし食品にまじっている、それによる販売停止とかこういう問題が起きた場合はそちらの食品衛生法の系列で、全く食品衛生法の措置ということで、これは別途考えられ得る問題だと思います。
#153
○坂上委員 時間が迫ってきましたので聞くのですが、さて、この目的は確かに食べ物、飲み物にもそうなんでしょうが、デパート、スーパー等にある例えば化粧品、こういうところに混入されたら御婦人は大変だ。でありますから、どうも飲食物に限る必要はないんじゃなかろうか。化粧品、それから「医薬品及び医薬部外品を除く。」こう書いてあるのでございます。これはみんなデパートに陳列してあって、同じようになっておるわけであります。ここにやってもこの犯罪がない。しかも、今警察庁にお聞きいたしますと、脅迫の手段で使っているだけなんですね。結果的な傷害ということはまだ今まで出ていないわけです。そうだといたしますと、どうせやるんだったら化粧品、医薬品、医薬部外品、やはりこれをしなければいけないのじゃなかろうかなという気はするのでございますが、これはいずれまた後から追加になるかどうかわかりませんが、立法者はその辺どの程度お考えになったのですか。
#154
○白川議員 お答えいたします。
 医薬品あるいは医薬部外品につきましては、確かに私どもが口にいたすものでございますけれども、これらについては、これらの安全性その他にかんがみまして、製造過程から販売に至るまで非常にいろいろな規制があるわけでございまして、これらの取り扱いをする範囲というのは、一般の流通食品を販売するのに比べまして非常に限られておるわけでございます。また、販売をする過程におきましても薬剤師が取り扱うとか、そういうことも多いわけでございますし、形状その他でも、こん包その他も非常に頑丈にしているということで、それらはそれらの規制をする法律があるわけで、それらで足りるであろう、こういうことでそれらはあえて除外したわけでございます。
 それから化粧品につきましては、先生おっしゃるとおりいろいろあろうかと思いますが、本法の主たる目的は、まず第一に国民の生命を守るということでございますので、それに比べれば化粧品の場合というようなものはストレートに人の命を失わせるというようなことはないであろうということで、あえて除外いたしたということでございます。
#155
○広瀬説明員 先ほど致死傷の結果は出ていないという御報告を申し上げましたが、これはあくまで、流通の過程に置かれたそういう食品に毒物が塗布等をされまして、その結果致死傷が出たか、こういうふうに私、解釈いたしまして、致死傷の結果は出ていない、こういうふうに申し上げました。しかし、これはたまたまいろいろな措置が功を奏しまして致死傷の結果が出なかったということでございまして、例えばグリコ・森永事件の場合ですと、シールが一つとれた、これは「毒入り危険」というシールを張っておったわけでありますが、このシールがとれたということになりますと大変な危険性があるという、たまたま結果は出なかったのですけれども、物すごく致死傷に至る危険性があるということを御理解いただきたいと思います。
#156
○坂上委員 時間がありませんので、最後でございます。
 先生方、これはどうですか。製造業者、輸入業者も突然こういう適用を受けるわけです。これは各業界とも十分お話しになったのですか。
#157
○白川議員 この法律は議員立法でございますが、現実には私どもの考えだけではなくて各省庁が持っておりますいろいろな知恵もおかりしながらつくったわけでございます。
 その中におきまして、製造業者等を現在でも所管いたしております農林水産省を通じまして業界の方がどのようにこの立法について思うかということについては、もちろん一番時間を割いてヒヤリングをしたところでございます。そのときに、現在とは大分情勢が違いまして、まさにグリコ・森永事件というものを中心として最も自分たち自身が今被害に遭っている当事者である、こういうような非常に強い意識を持っておりまして、先ほど申し上げましたが、届け出義務の点であるとか撤去命令その他の点につきましては、ナーバスといっていいくらい、国の側から強権的な発動をすることに関しては非常に率直な意見が出されまして、そしてまたいわゆるそういう犯罪の被害に遭っていることに関してはできるだけ十分の応援措置をとってもらいたい、応援もなくて頑張れ、頑張れ、変なことをしたら罰するぞということでは私どもはついていけないということで、そういうことで十分意見を聴取し、それらを十分配慮した結果、本法律案のようになった、こういうふうに御理解いただければ幸いでございます。
#158
○坂上委員 私の尊敬する白川先生ですから落ちはないと思うのですが、私の聞いたところによりますと――私の言っているのは製造業者、輸入業者なんです。販売業者は一生懸命陳情して、つくってください、こう言っている。この法律ができますと突然――食品の製造業者は私だっていっぱい関係があるわけです。全然伝わってきていないわけであります。これに捜査協力義務があるわけです。報告義務があるわけです。大変なことが、全く直接関係のない皆様方にも影響が実は出てきておるわけでございますので、十分こういう業界の代表の方とお話をしていただかなければ大変なことが起きるのじゃなかろうか、私はこう思っておるわけでございます。衆議院だけでなく参議院もあるわけでございますから、これは各省が遺憾ないようにしておる、こうおっしゃっておりますからそれを信じますけれども、実は第一線の皆様方はそういうことを全く知りません。食品製造業者は全然知りません。この法律ができるとこうなってきますよというようなことをこの間私、話をしたのでありますが、全く何でございますかというような対応でございました。
 以上で私の質問を終わりますが、できるだけ犯罪が拡大しないように、犯罪の防止に実効があるように、そしてまた検挙に大変力を与えるように、そんなようなことを願いながら私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#159
○玉沢委員長 中村巖君。
#160
○中村(巖)委員 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案ということで自民党の方から御提案になっておられるわけでありますけれども、まず最初に、提案者の方にお伺いをしたいと思います。
 いわゆるグリコ・森永事件というものが発生をいたしましたのは五十九年のことであったと思っております。その当時、その種犯罪がしょうけつをきわめるというようなことがあって、それに対しては何らかの対策をしなければならないだろうということでみんな考えておったわけであります。その時期にこの法案もつくられたのだろうと思っておりますけれども、その後、この法案が継続審議、継続審議、こういうことでまいりました。もうそろそろそういう時期は過ぎたから、この法律もここまで成立しなかったら要らないんじゃないかな、こんな感じになっておったところに今回この成立を図ろう、こういうことでやられておられるわけでございまして、何でこの時期に、もういいじゃないかなと思われる時期にこの法律の成立を図ろうとされるのか、その辺のことからまず伺ってまいりたいと思います。
#161
○宮崎議員 御承知のようにグリコ・森永事件の発生したのは五十九年でございまして、私ども自民党の中に六十年から、この問題について、こういった社会不安を起こすことのないように、そしてまたそういう犯罪者を厳罰するような、そういうようなことを考えてみろということで始まったわけでございまして、百七国会ですかに成案を得まして出しておったわけでございます。これが継続審議になりまして、また百八国会にもお願いをいたしたのですが、いろいろの御都合かと思いますがまた継続審査になりました。そして今国会につながってきたわけでございます。
 おっしゃるように、もうグリコ・森永事件みたいなあの当時の非常な雰囲気というのはなくなったではないか、こういうお話で、私も大分そうだろうと思いますが、しかし事件の数は、類似の小さなものが群発しておるわけでございます。そして何といっても、私どもは、この種の毒物を混入したということについて社会不安というのが非常に大きい、まだまだ成立した方がこれはプラスになる、そしてまた総合的に、行政官庁も製造業者等も全部この悪質な犯罪に立ち向かってやる必要というのは今でもやはりあるのではないかと思っておるわけでございまして、どうかひとつそういった意味で今国会の成立をお願いをいたしたいと思う次第でございます。
#162
○中村(巖)委員 毒物を混入されるというようなこういった事態が起こった場合に、国なり地方公共団体なりのいろいろの措置というものを決める一方で、そういった犯罪に対して対処をするという意味で刑事法的な犯罪処罰規定を置いているわけでありますけれども、提案者の方としてはこういうふうな処罰規定を設けることによってこの種犯罪を抑止することができるのかどうかというこの効果についてどういうふうにお考えになっておられるのかということを伺いたいわけであります。私どもとすれば、これをつくってもやはりやるやつはやるんじゃないかな、こんな感じがしているわけでありますけれども、その辺はいかがでございましょう。
#163
○宮崎議員 近年そういった犯罪が後を絶たないわけでございますが、本法案を成立させることによりまして、単に、刑法の罰則変更ということだけではなしに、いわゆる行政機関も国も、そしてまた一般の国民もこういった悪質な犯罪に立ち向かう決意をひとつ示す意味からも、この法律案というのは非常に重要な意味を持っているんじゃないかと私は思うわけでございまして、この法案にいろいろと盛り込まれておりますが、こういう総合的な政策というものが重なってこの種の犯罪を防止する役に立つのじゃないか、かように考えている次第でございます。
 要は、やはりこういった国民の生命を人質にとったような悪質な犯罪に対しては国も国民も一緒になって立ち向かっていく、そういうような心構えが必要じゃないかと考えておりまして、十分役に立つのじゃないか、こういうように確信をいたしております。
#164
○中村(巖)委員 そこで、警察にお尋ねをするわけでありますけれども、この法律自体はグリコ・森永犯に対しましては事後立法、こういうことになりますので適用されない、こういう結果に終わるわけであります。
 まず、グリコ・森永事件について、今日なお検挙をされていない、この法律ができたからといって検挙されるということもないと思いますけれども、その検挙されていない状況の中で、捜査の状況、どういうふうになっているのか、捜査の体制がどうなっているかということをお伺いしたい。その点が一点。
 やはりそのグリコ・森永犯罪以後、これに類似をするところのさまざまなその種事件というものが起こっていると思いますが、その種事件が今なお頻発をする状況にあるのかどうか。その事件が、内容的には、やはりまさにこの法案が成立をしたら適用対象になる事案であるのかどうかということについてお答えをいただきたいと思います。
#165
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 グリコ・森永犯の犯人は一応犯行をとどめておりますので、この法律ができましてもグリコ・森永犯には適用がないことになろうかと思いますが、仮定の問題でございますけれども、また動き出すという形もございますので、その場合には適用になることは当然のことだと思います。
 グリコ・森永事件の捜査状況の現状でございますが、五十九年三月十八日発生以来、関係府県で鋭意取り組んでまいりまして、警察庁といたしましても最重要事件であるということで、第一一四号事件と指定いたしまして、鋭意捜査をしてまいっております。
 現在までの捜査方針でありますが、似顔絵の男の割り出しですとか犯人が使用いたしましたタイプライターの特定あるいは遺留品、膨大な量の遺留品でございますが、それを丹念につぶしておるという状況でございます。この既定方針に基づきまして、着実にかつ粘り強く捜査をすれば何とか検挙に結びつくのではないかということで、大いに頑張っておるところでございます。
 このグリコ・森永事件の発生の後、便乗犯といいますか、同じように食品企業をおどしまして、要求を聞かないときにはスーパー等に毒入り食品をばらまくぞというように脅迫をした事案が頻発をしたわけでございまして、五十九年以降、全部で四百二十一件を数えておるわけでございます。ことしになりまして四十七件ということで、若干数的には減っておるわけでございますが、なお食品メーカーに対しまして脅迫状とともに青酸物を入れるというような悪質なものも引き続き起こっておるということで、安閑とできない状況にあるところでございます。
#166
○中村(巖)委員 今お尋ねの中でちょっと私の質問が明確でなかったのか、警察庁の方でお調べがなかったのかわかりませんが、実際に流通食品に毒物を混入し添加し、また塗布した、そしてもしくはそれを流通食品と混在させた上で脅迫なり恐喝をしたという、そういう犯罪は森永事件以降起こっているのでしょうか。
#167
○広瀬説明員 まず先ほど捜査体制いかんという問題でございましたが、現在関係都府県で約六百人の専従体制でやっております。
 それから同じように、流通過程に毒を入れたかというものにつきまして、警察庁に報告が入っております最大の事件はこのグリコ・森永事件でございまして、そのほか五十九年以降でございますけれども、九件ほど、これは食品売り場にそのまま置いたということではなくて、あるいはレジ等のちょっと離れたところに置いたというようなものも含んでおりますが、六十一年に九件あったということでございまして、そのほかの年には起こってございません。
#168
○中村(巖)委員 警察にお立ちを願ったのでついでにお聞きをしておきますけれども、ロッテでございましたか、いわゆる脅迫に屈して裏取引をした、こういう事案があったように報道をされていますが、この事犯というのはどういう事犯でございましたでしょうか。他に警察としてはその種裏取引に応じた、金品を提供したという犯罪を聞知しておられるかどうか、お伺いをいたします。
#169
○広瀬説明員 お尋ねのロッテ事件でございますが、これは二つの事件から成っております。
 まず第一番目の事件は、昭和六十年九月十二日ロッテ社社長あてに次のような脅迫文が郵送されております。「青酸やニコチン入りのロッテ製品を日本中にばらまく、いやなら三、〇〇〇万円を支払え」云々という脅迫文を郵送いたしまして、さらにニコチンを塗布した見本のチョコレートを指定の駅のコインロッカーに入れまして脅迫したわけでございます。同社では警察に届け出ることなく、犯人の指示に従いまして犯人が指定する銀行口座に三千万円を振り込み、犯人が全額を引き出したという事件が第一事件でございます。
 第二事件は、第一事件に味をしめました犯人が昭和六十一年六月二十三日再び同社社長あてに、「毒入りチョコ・ガムを準備した。見本を東京駅のコインロッカーに入れた。五、〇〇〇万円を出せ」、そういうふうに記載をしました脅迫文を郵送して脅迫したという事案でございますが、警視庁に届け出がございまして、これを受けました警視庁といたしましては直ちに捜査本部を設置いたしまして捜査をいたしまして、昭和六十一年七月三日、犯人が、要求した金額が振り込まれているかどうか、これを確認するために港区虎ノ門所在の銀行のキャッシュディスペンサーを操作した、その操作中のところを張り込み中の警察官が発見して逮捕したという事案でございます。
 その他、裏取引をしたものがないかどうかということでございますが、私はないと信じたいのでございますが、何分にも暗数にかかわることでございますので確としたお答えができないわけでございます。
 ただ、現場の捜査といたしましては、こういう脅迫を受けた企業というのは大変困りまして、応じるか警察に届けるかいろいろ困っておるのが実態ではないかと思いますし、私ども警察といたしましては、できるだけその被害企業に警察を頼ってくださいということで御説得を申し上げて、犯人の要求に乗らないように指導いたしておるところでございます。
#170
○中村(巖)委員 今のロッテ事件でございますけれども、警察の最後にお尋ねをするのです。
 仮定の問題ですが、仮に今審議中の法案というものがその事犯が発生している時点で既に成立をしておったとしても、この法律は処罰規定の関係で適用する余地というものはなかったんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
#171
○広瀬説明員 ちょっと御質問の意味が……。申しわけありませんがもう一度お願いいたします。
#172
○中村(巖)委員 今審議中のこの法案が先ほどのロッテ事件の当時に既に成立をしておったといたしましても、適用の余地はなかった事犯ではないか、そのロッテ事件は。それをお尋ね申し上げたのです。
#173
○白川議員 私の方からお答えするのが妥当だと思いますので。
 先生お尋ねの点は届け出義務の点であろうかと思うわけでございますが、その点につきましては、御案内のとおり、例えばロッカーの中に毒物を入れてあるようなものを見せて、おれはうまい形でこうやって毒物が入ったものをつくることができるぞという単なる意思表示であるだけでございまして、実際入ったかどうかは、例えばロッテ当社は確認できるわけではございませんから、そういう意味では先生のおっしゃるとおり、届け出義務違反の問題は起きないと存じます。
#174
○中村(巖)委員 届け出義務の問題と同時に、九条の罰則の関係についてもこれを適用する関係にはなかったんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#175
○白川議員 混入してない限り、この法律の適用はないと思います。
#176
○中村(巖)委員 では、警察の方、結構です。
 次に、提案者の方にお伺いをするわけでありますけれども、第三条に、国はこういうような毒物の混入、混在等を防止するために必要な施策を総合的に講ずるように努めなければならない、こういうふうになっているわけです。地方公共団体についても準じた施策を講ずるように努力する義務が書かれてあるわけでありますけれども、立法提案者といたしましては、そういう施策というものをどういうものがあり得るという想定のもとに、またどういうものを期待をしてこの法案をつくられておるのかをお伺いをいたします。
#177
○宮崎議員 第三条のこの必要な国の施策でございますが、具体的に申し上げますと、厚生省がやっております毒物管理体制を強化してもらいたいということを連絡するとか、それから防犯体制、犯人を捕まえるためにスーパーとかそういったところに防犯体制を整備強化してもらいたい、あるいは食品の包装、なるべくそういった毒物を入れないような包装にしてもらいたいとか、いろいろなことがあろうと思います。これはその流通食品を担当する各省でいろいろお考えいただきたい、こういう一つの精神規定であるとともに、また今申し上げました具体的なことを想定をしているわけでございます。
#178
○中村(巖)委員 そこで、その総合的な施策というものが、言ってみれば各省庁において行政指導を通じてやってほしいということを求めている、こういうことですか。
#179
○宮崎議員 そのとおりであります。もちろん各省連携する場合もあるでしょうし、協議する場合もあろうかと思います。
#180
○中村(巖)委員 同時に七条で、主務大臣は、毒物混入等のおそれがあると認めるときは、製造業者等に対して、混入等の防止のためにとるべき措置に関し必要な指導または助言をすることができる、こういうふうに定めてあるわけですけれども、ここに言う主務大臣というのは何を指しているのか、それから期待される指導または助言というものはどういうものがあり得るのかということをお尋ねをし、さらにその七条二項において、「必要な措置をとることを求めることができる。」というのは、「必要な措置」というのはどういうことを考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
#181
○宮崎議員 「主務大臣」が第七条に書いてございますが、これは、この法案は流通食品への毒物の混入でございますので、もちろん流通過程において食品を扱う省でございまして、例えば酒類は大蔵大臣、そのほかの飲食物は農林水産大臣が流通を担当しておりますので、このお二方の大臣になろうかと思うわけでございます。
 それから、この第七条、八条は御承知のように、そういう毒物を入れられた食品に対して必要な命令あるいはまた必要な措置、こういうふうに書いてございますが、こういったものに対しまして、その業界に対してこうしたらどうだということで強制命令ではございませんので必要なそういったような、あるいはこの品物を最終的には店頭から撤去するというようなことをしたらどうかというようなことまで入るわけでございまして、いろんなその他この前グリコ・森永事件で経験もいたしましたようなことを指しているわけでございます。
    〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕
#182
○中村(巖)委員 指導、助言あるいは必要な措置ということが書いてありまして、命令ということは書いてないわけでありますから、それは強制的なものはないんだろうというふうに思いますけれども。私がそもそも疑問としていることは、毒物の混入等の防止のためにとる措置というのは、それを防止をするために有効な措置というのはあるいは助言、指導というのはどういうものがあるのかな、こういうことでございまして、こういうことをやったら存効な措置なんだという特段のお考えがあれば承りたいわけでありまして、今お話でグリコ・森永事件の際にとられたような措置だ、こういうようにおっしゃるんですけれども、それはどういう措置がとられたのか私どもの方では余りつまびらかにしておりませんので、その辺のことをお答えいただきたいと思います。
#183
○谷野政府委員 グリコ・森永事件の当時とりました私どものいわゆる行政指導的な内容に照らしましてお答えを申し上げますと、商品の点検等の店内管理の強化でございますとかあるいは包装の改善、シュリンク包装で、一たん開きますともとへ戻らなくなるというような包装をするとかあるいはラベルを工夫する、そういうようなこともございます。また、店頭に品物を並べないで見本により販売をする、こういうような方法も考えられるわけでございます。これらは品目によりまたケースによりましてそれぞれ異なるわけでございまして、そのような措置につきまして助言、指導を行うということを、この法律が通過いたしますれば私どもとしてはやらなければならないことになろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#184
○中村(巖)委員 農林省の方からお答えがありましたので、改めて今度農林省の方へお尋ねを申し上げていきたいと思います。
 農林省がこういう流通食品に対して何らかの権限を持った主務官庁であろうということは私どもも何となくわかっているわけでありますけれども、こういうグリコ・森永事件ないしはそれに類似の事件が起こった場合に、農林省とはそもそも流通食品の製造、輸入、または販売業者に対してどういう権限を持っているのだろうか。逆に言えばこの法律なかりせば何にも権限がないのかということをまずお尋ねを申し上げたいと思います。
#185
○谷野政府委員 農林水産省は、その設置法によりまして、農林畜水産物、飲食料品、油脂等の生産の増進、改善及び調整並びに流通及び消費の増進、改善及び調整を図ることにつきまして、行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う行政機関であるというふうに定められておるわけでございます。このような設置法の一般的な権限によりましていろいろな行政指導等を行うわけでございますけれども、これが具体的な法に基づきます権限とかそのようなものということになりますと、同法に基づきまして各種の法令で規定をされた権限を遂行するものであるというふうに定められておるわけでございます。したがいまして、そのほかの法律におきましても各種の権限等が具体胸に定められておるわけでございますが、詳細にわたりますので、別表の列挙のようなことになりますのでお答えは省略させていただきますが、本法が成立をいたしますれば、そのような各種の法律の一つとして私どもがいろいろな職務を与えられる、こういうことになろうかと考えるわけでございます。
#186
○中村(巖)委員 そこで、日本の官庁というものはいろいろな形で行政指導あるいは業者に対する助言をやっておりますし、ある場合には行政指導という名によって一定の措置を求めるということもやっておるわけですね。それと同時に、先ほどのお話ではありませんけれども、グリコ・森永事件のときにはこういう措置をやりましたというふうに言っておられる、それが有効な措置であったということでもありますが、そうなるとこういう法律がなくたって、農林省としては、農林省が必要と考えた措置は食品製造業者等に対してなし得るのではないかな、こんな気がいたしますけれども、その辺はやはりこの法律がなければ農林省としては困るのだということがございますのでしょうか。
#187
○谷野政府委員 ただいま御指摘のようにグリコ・森永事件の当時におきましては、私ども担当の省といたしましてそれなりにいろいろの手段を尽くし、また各省庁にお願いをいたしまして、内閣官房の御主宰のもとに連絡会議も設定をされまして、国として各行政機関が一体となってこれに当たったわけでございます。
 今回の法律は、そのときのいろいろな事実関係を一つの基礎として規定が設けられておるわけでございまして、このような規定が法律に明定されるということになりますれば、より円滑なる実施を図るのに役立つのではないかというふうに考えているわけでございます。
#188
○中村(巖)委員 次に八条の関係でありますけれども、「国又は地方公共団体は、」「必要な指導、助言、資金のあっせんその他の措置を講ずるよう努めなければならない。」こういうふうにあります。まず提案者の方へ伺いますけれども、国または地方公共団体が具体的にどういうような措置をとることを期待しているということになりますか。
#189
○白川議員 いろいろ考えられるわけでございますけれども、一つは、このような犯罪があった場合一番大切なことは、刑罰法規的にそういうところと裏取引をしてはならないとかということを強くするよりも、みんなでそういう卑劣な犯人に対して頑張ろうという人たちをバックアップするということだろうと思います。それが強いて言えば国民の食品流通に対する信頼感あるいは生命、身体も守ることになるわけでございますが、やはりその先頭には国や地方公共団体が立たなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。グリコ・森永事件でもそういう支援というのが非常に大きくて、頑張ってくれたわけでございます。そういう意味で具体的に何がやれるかというと、例えばこの前のときにやられたように職域注文販売制度の推進であるとか金融上の措置であるとか、あるいは直接これに関連したわけではございませんが、企業内容が非常に厳しいということになれば、労働省あたりもこれはほうってはおけないという形で御支援申し上げましょうとかということがあったわけでございます。そういうようなことを考えますと、一つ一つのケースによって具体的に何ができるかということは千差万別だと思いますが、そういうことを全体でやるということで非常に大きな成果が期待できるものである、そのように確信をいたしておるわけでございます。ですから、言葉は「必要な指導、助言、資金のあっせんその他の措置」というふうにありきたりでございますけれども、要は国や地方公共団体がここにどれだけの努力をするか、具体的な中身を盛り込むかということは、そのケース、ケースでいろいろなものがあろうと信じております。
#190
○中村(巖)委員 ただいまの御説明は大変よくわかるのですが、言ってみればこの法律ができれば食品流通業者はある程度の負担を免れないということになるわけで、負担はありますけれども、いざという場合に国あるいは地方公共団体がこういうことをしてくれるのだな、そういう期待があればそれもそれ、忍んでいかなければならないということになるのだろうと思っております。国あるいは地方公共団体のとってくれる措置というもの、つまりそれは言い直せば企業にとってのメリットであるわけで、そういうメリットが具体的にどういうものがあるのかということがある程度明らかになっていないと非常に困るのじゃないかな、そういう意味でもう少し具体的にこういうことができますよというお話がないのかな、こういうことでございますので、さらにございませんでしょうか。
#191
○谷野政府委員 私ども、この法律が成立をいたしました後にこの法律の趣旨に基づきまして、これに即した対策について検討をすべき立場にあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、また先生御指摘のように、グリコ・森永事件のときには政府関係金融機関から関連企業への融資を行うとか中小企業信用保険についての特例措置を講ずるというような金融的な措置を講じた例があるわけでございます。また御指摘のような職域注文販売等、販路につきましてそういうものに立ち向かっための支援というようなことも行ったわけでございます。さらに具体的に製品管理を徹底するという際に、包装技術とか商品管理技術につきまして、それの開発なり普及ということも一つの課題になっていくのではないかというふうに考えるわけでございます。現在どのような仕組みがあらかじめ組まれておるかということは申し上げる段階に立ち至ってないわけでございますが、そのようなグリコ・森永事件当時の事情を十分勘案をいたしまして、所要の対応につきまして検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#192
○中村(巖)委員 では別のことをお尋ねを申し上げますけれども、第二条の「定義」の部分で、第二項に一号、二号、三号とありまして、一号、二号というのは具体的でございます。なぜかならば、毒物劇物取締法別表にはきちっとその品物の品目が掲げられているわけでありますし、また「薬事法第四十四条第一項又は第二項の規定により厚生大臣が指定した医薬品」というものも極めて明白であるわけでありますけれども、第三号で「前二号に掲げる物以外の物で、その毒性又は劇性が前二号に掲げる物の毒性又は劇性に類似するもの」、こういうふうになっておるわけで、「毒性又は劇性が前二号に掲げる物の毒性又は劇性に類似するもの」、なかなか苦心をしたというか、難しい表現がここに使ってあるわけであります。
 「類似する」という文言、ただそこだけを見ますときに、やはり何となく品物の範囲がかなり無限大に広がってしまうのではないかなという危惧を感ずる人もあるわけでございまして、そういう点で、前二号に掲げるものの毒性と掲げてないものの毒性が類似するということはどういうことを意味しているのかなということでございますけれども、その点についてお尋ねを申し上げます。
#193
○宮崎議員 これは罰則の規定に関係をいたしますので、非常にその範囲を限定しなければならないということは承知いたしておりまして、第二項の一号、二号というのは、お話しのように、きちっと別表で書いてございます。しかしながら第三号は、「類似する」というのはちょっと漠然として、もっと範囲が広がるんじゃないかというお説でございまして、私ども、この第一号と第二号以外に、同じような程度の劇性、毒性、劇物あるいはまた中間生成で名前のないもの、こういったものを故意に犯人が使った場合、そういう場合にはこれは犯罪にならない、逆に言いますとそういうことにもなりかねないなということから、そういう盲点をなくするためにつくったわけでございまして、ほかにもこういった法律の規定の例はあるようでございます。これは、ただいまお話しのようになかなか的確に規定しにくいところでございますが、運用に当たっては、なるべく一号、二号と同じ程度あるいはそれ以上のところだけをやってもらいたい、私は気持ちとしてはそういう気持ちでおるわけでございます。
#194
○中村(巖)委員 そうなりますと、当該問題のものの毒性あるいは劇性というものが、一、二号のものの毒性は毒性、劇性は劇性と対比をして性質的にというか、物質の性質上、物的な性質上においてほぼ同程度のもの、こういうふうに理解をすべきだということになりましょうか。
#195
○白川議員 掲げられているものについては構成要件該当性があるわけですが、要するにここに掲げられていない物質が使われた犯罪が起きた場合、具体的にそういう物質を入れたものがこの犯罪に当たるかどうかということになりますと、そういう余り劇性、毒性がはっきりしないものについては、犯人がこれは相当毒性が強いものだとただ主観的に思っただけでは足りないので、やはり客観的には、事件が起きたときに、捜査当局やあるいは裁判所において、当然のことながら、その毒性についてのいろいろな検討がなされるものだと思うわけでございます。そういうときに、毒物、劇物という形で規定されているものについては、例えばマウスやラットに対する実験その他があるわけでございまして、そういうところで、どのくらい投与したらどういう結果が出るかというようなこともわかるし、具体的に犯罪が行われればどういうものが使われたかということははっきりするわけですから、そういうようなところの鑑定などを求めたりして、例えば害がないとは言わないけれども毒物や劇物に比べたらはるかに害が少ないというような場合は、もともと犯罪構成要件がなくなるということなのではないか。犯人が幾らこれは毒性が強いものだと錯覚していても、そういうふうに処理すべきものと存じます。
#196
○中村(巖)委員 毒性とか劇性というのは化学上、定量的、定性的にはっきりした概念なのかどうかということも私もよくわからないわけでありますけれども、少なくともこういうふうな書き方をした、その意図は、単なる危険なるものという意味じゃなくて、ある意味で理化学的にその性質においてあるいはその薬理的効果においてほとんど同程度だ、たまたま毒劇物法あるいは薬事法に指定をされておらないというだけで、それらのものと変わらないということを意味しているというふうに理解してもよろしいでしょうか。
#197
○宮崎議員 大体常識的にはそういうことだと私も考えております。
#198
○中村(巖)委員 なかなか難しいことでございまして、たまたま私ここでたばこを吸っておりますけれども、ニコチンなんというのは、これはどういうことになるのかな。先ほどもロッテの事件でニコチンを投与して云々と警察の方の御説明がございましたけれども、こんなものがどうなるのかなということ、これを判定する基準というのはどこに求めたらいいのかということになるわけでございます。ちょっとややこしくして申しわけありませんけれども、この考え方をもう一度そういう点からお聞かせをいただきたいと思います。
#199
○白川議員 ニコチンについては、私さっき、薬事法かどっちかに具体的な品名として載っていたような記憶がございます。ニコチンについてはそういうことでございます。よろしゅうございますか。
#200
○中村(巖)委員 そうなると、だんだん話が変になりますけれども、火のついてないたばこをほぐして飲食物の中に混入をした、こういう場合においても、後の罰則等の関係ではやはり処罰せられるべきもの、こういうことになりましょうか。
#201
○白川議員 ニコチンそのものは劇物か薬物か、私、今ちょっと時間がないのでわかりませんが、どっちかに具体的に指定されておりますが、その場合に含有量という問題が入ってくるのだろうと思います。例えば非常に危険なものであっても、その量が極めて少ない場合、現にたばこなどは、飲まないというか、要するに吸うものでございますから、劇物もしくは薬物の方の規制対象にはならないわけでございます。ですから、ここで想定されている毒物というものは、ニコチンそのものをどういうふうに食品の中に入れたかということでございまして、たばこを入れれば当然ニコチンが入ることになるのでしょうが、その範囲というのはニコチンをもろに入れる場合に比べたらはるかに少なく入れるわけでございまして、そういうような場合は毒物を入れたということにならないのではないのだろうかなという気がいたします。ただ程度問題なのではないだろうかと思います。
#202
○中村(巖)委員 私もそんな気がしているのですが、そこで、さっき、定量的に、定性的にと、化学上の劇性というか毒性というかそういうものが量の面でも同じような形になっていない、例えば大変微量なものであって、それ自体は劇毒物に指定されているものにある量に達すればほとんど類似と言い得るけれども、その量に達しない場合には類似だとは言えない。こういう場合には入れた量によって罰則の適用があったりなかったりする、こういうことにならざるを得ないので、その辺もややこしい話だなというふうに思うのですけれども、そういうことも考えられるわけですか。
#203
○白川議員 非常に微妙な問題で、私もさらに細かく検討しなければいけないのだろうと思うのですが、この法律の規定の仕方そのものはさっき言ったとおり毒物を食品の中に混入するということでございまして、あえてその毒物その他をああいうふうに規定しているということは、先ほど坂上委員からの御質問にありましたように、刑法にあるような人の健康を害するものより程度の高いものであるというのが当然の前提でございますからこういう規定をしているわけなので、そういう意味では一つの特別規定であるわけでございますから、量その他によっては人の健康を害するもの程度で本法に言う毒物を混入したことには当たらない、こういうふうに解釈されるべきだろうと思いますし、現実にまたそうしてもらわないとほかとの絡みでこれは均衡を失することになるのではないだろうか、そういうふうに思います。
#204
○中村(巖)委員 そこで、罰則規定の関係でありますけれども、法務省の方からもおいでをいただいていると思いますが、まず九条の罰則規定の関係で、この種立法が出されたときに、まず第一に「毒性又は劇性に類似するもの」というものをどういうふうに解釈をされるか、御意見を承りたいと思います。
#205
○東條説明員 お答え申し上げます。
 新しい法律で「類似するもの」という概念、今提案者の方から御説明のあったようなものであるというふうに理解しておりますが、具体的に何らかのものが使用された場合には、それが一体ここに言う「類似するもの」に当たるかどうかということにつきましては、その都度検察当局、我々あるいは警察等関係機関、英知を絞らなければいけないと思いますが、ただ刑法的な面で見ますと、犯罪者の立場に立って物を考えてみますと、犯罪の事実の認識としてはそれらのものがここに言う「類似するもの」という概念に当たるかどうかということまで判定は要しないわけでございまして、ある物を入れたという認識で我々のいわゆる故意というものは成立するわけでございます。そのものが実体的にこの法律に当たるかどうかということは、一号、二号のように特定されておりますと判定は容易でございますが、三号の「類似するもの」ということになりますと、先ほど来御説明のありましたような基準に照らして具体的に当たるかどうか、最終的にはもちろん裁判所が決定されることでございますが、我々が訴追をする前にこの法律の趣旨に照らしてその都度決定していかなければならないことだと思っております。
#206
○中村(巖)委員 法務省としてはそういうお答えでいたし方ないのかもしれませんが、犯罪構成要件がもう一つ明確でない。それは確かに故意があるというためにはこういうものを入れたということの認識があればいいんで、その可罰性まで認識をしている必要はないということはあるかもしれませんけれども、犯罪構成要件を定めるというのは、大方世間の者に対してこういうものが犯罪になるよということを明示をするという目的でありますから、わからないということでは、事後的にいろいろ判断をするんだとおっしゃられてもちょっと困ったなというふうに思うわけでございます。
 さらに私が主として法務省にお尋ねをしたい点は、かつて私、法務委員会でもって当時の筧刑事局長にお尋ねをしたことがあるのですけれども、この今回の法案の中で第九条の罰則が「十年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」こういうことになっておりまして、これは法務省が法制審議会にかけたところの改正刑法草案、それの中の二百五条の飲食物毒物混入罪というものが定めておりますところの「三年以下の懲役に処する。」というこれとの権衡を失しているではないかという点でございます。その点をどういうふうに考えるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#207
○東條説明員 お答え申し上げます。
 まず最初に、先ほど私が何か類似するものが事後的な判断になるというような印象を受けられたようなお話でございますが、行為者としましては、要するに率直に行為者の立場に立って考えてみますと、毒の強いものを入れてやろうという認識でやっておるわけでございますからその程度でいいんではないか、このように考えておりまして、構成要件的に前二号に掲げる要するに非常に毒性の強いもの、劇物性の強いものに似たようなものを入れたという認識であればまあ足りるということで、事前に不明確という心配は余り持っておりません。
 それから、ただいまお尋ねの改正刑法革案の二百五条の二項、お尋ねのとおり「多数人の飲食に供する物又はその原料に、毒物その他健康に害のある物を混入した者も、前項と同じ」ということで、法定刑といたしましては三年以下の懲役ということで、比較しますと、言うまでもなく上限は十年と三年でございますのでこの法案の方が重い。下限の方は、この法案、罰金刑がついておりますので、改正刑法草案の方が重いわけでございますが、法制審で審議されておりました当時、この種の案を考えましたときの背景事情と現在のいわゆるグリコ・森永事件発生以後の状況とが若干違っているのではないかということが指摘できるかと思います。当時の事情あるいは御承知かとも思いますが、これを設けなければいけないという直接の事情は、事業場や工場や学校等で一斉に給食等が行われるという事態がありまして、その中に混入される、要するに多数人が一遍に食べるものに入ってしまうと困るじゃないかという発想があったようでございます。ところで、グリコ・森永事件になりますと、もちろん多数人が迷惑をこうむる可能性はあるわけでございますが、むしろ広く出回っているものでだれが被害者になるかわからないという、不特定の者に非常に大きな不安感を与えるという要素が強いので、若干物の眺め方が違っているのではなかろうかと思います。また、刑法の場合は飲食物自体を有害物質化するという一種の自然犯的な行為をつかまえようとしておりますが、この法律の罰則というのは、極めて広範囲にわたる国民の健康に危害を及ぼしあるいは及ぼすということで不安感を与えるという事態の発生を防止しようということで、罰則のほかにいろいろ総合的な施策を設ける中で二条に毒劇物を列挙して、そのようなものを入れれば処罰するという形でつかまえていこうということでございますので、今申し上げたような理由から、改正刑法草案の法定刑それから現在の法案の九条の法定刑との違いにつきまして私どもとしてはそれほどおかしなものだとは考えていないところでございます。
    〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕
#208
○中村(巖)委員 提案者にお伺いをいたしますけれども、第九条の罰則で、このような行為を処罰するということでありますけれども、もとより第九条第四項にありますように、殺人の行為をもってしたりあるいはまた傷害の行為といいますか、傷害の行為は暴行の行為かもしれませんけれども、そういう行為をもってする行為については、そういう行為があったとしても、それはそれらの殺人罪、傷害罪あるいは暴行罪との観念的競合ということになるわけで、やはり四項に書いてあるように重さに従って処断されることになるということであります。
 そこで、そうなると、そういう現行刑法の各条があるにもかかわらずこの第九条をつくっているという趣旨はどこにあるのか、これを考えるわけでありますけれども、その点はいかがでしょうか。
#209
○宮崎議員 今回のグリコ・森永事件にあるような、一般に非常に流通している食品の中に毒を入れる、そして社会不安をかき立てるという犯罪というのは新しい体系の犯罪だと思っておるわけでございます。社会不安といいますと騒擾の罪なんてございますけれども、そういったものにも類似している。あるいはまた、今さっきお話しのように刑法草案の二百五条の問題、そういったものにも毒を入れるという行為自体は似ているわけでございますが、ただいまも法務省から話がございましたように、こういった社会を騒がせた毒物を混入するということ、そしてこれは国民の生命にかかわる問題でありますし、また非常に不安が多い。あるいはまた平穏な国民生活とか流通食品の流通を確保するといった社会的な意味からいいまして、どうしても食品に毒物を混入すること自体が今の刑法では不十分である。そう考えまして、そしてまたそれと一体的になりまして、ただ単に刑法の改正だけではなくて、いわゆる行政官庁も国民もみんな一緒になってそういう犯罪に対抗しようということで総合的な特別立法にしたわけでございまして、そのような意味から立法の意味はあるだろうと考えておるわけでございます。
#210
○中村(巖)委員 精神というかお考えはそれなりにわかるわけでありまして、それと同時に、他の規定が意味があるのだということもわかるわけでありますけれども、九条プロパーで考えてみましたときに、恐らくそういう劇毒物というようなものを食品に混入させるのはほとんどの場合に殺人の行為があるか傷害の行為があるか、こういうことになるわけで、殺人の行為があればこんな法律をつくらなくたって、殺人罪の方は死刑に処することができるわけでありますから大変に重いわけであります。傷害にいたしましても十年以下の懲役ということで、この九条とほぼ同じ法定刑になっているわけであります。そういうものを待たずしてなお九条という罰則をつくる必要性というのはどこにあるのかということをお尋ね申し上げているわけでございます。
#211
○白川議員 お尋ねの趣旨はごもっともかと思うわけでございますが、先ほど先生が挙げられました改正刑法草案の規定その他を見ましても、こういうようなものが必要であろうというふうな認識は徐々に出てきているわけでございます。たまたまグリコ・森永事件というようなものにかんがみまして、将来におきましては刑法も改正刑法草案のような趣旨でそういう規定が設けられることもあるであろう、しかしそれを待っているだけというわけにもいかない、まだこういう改正が将来なされた場合に、それを先取りするというのもいかがなものであろうか、こういうこともありまして、一つは流通食品という、多数人が飲食に供するものというようなものに比べますと、もっとさらに特化されたものだと私、思うわけでございますが、それらに着目をして一つは構成要件に該当しようということがまず第一にあるわけでございます。
 それから、傷害というか、特に殺人の行為というようなものについては既にあるではないかということでございますが、これらが実はいろいろ微妙でございまして、例えばよほど薬物に関する専門的知識がある犯人なら別でございますが、普通我々は毒と言えば毒であるわけでございますが、専門家に尋ねますと、例えば注射液として注射した場合は猛毒であるけれども、口で飲んだとしたら死ぬという結果が起きないで軽い結果しか起きないとかいろいろなものがあるというふうに聞いております。そういうふうにいたしますと、やはり殺人の意思がある、あるいはあるとしてもそれ自身は不能犯である場合もあるわけでございます。そういうようなことを考えますと、やはり流通食品に毒物そのものを入れる、本人は人を殺すに足りるだろう、こう思って入れたものでも、実はそういう結果が全然ないとしたならば結果としては不能犯になってしまうわけでございます。しかし、現実に身体には有害である、こういうような物質もあるわけでございます。
 そういうようなことを考えますと、やはり流通食品におよそ毒物と言われているものを混入するということ自体を、やはり非常に反社会性のある行為である、こういうふうに規定する法律がなければならないのではないだろうか。こういうことで、現実にはいろいろな薬物で、今申し上げてみましたように、例えば注射液としてならば猛毒であるけれども、経口として飲んだ場合には害がないとは言わないが、それほど直ちに人が死ぬことはないという場合は、殺人罪というような適用はできないのじゃないだろうかという気がいたします。そういうところで、やはりこのような規定をする意味は十分あろうかと思います。
#212
○中村(巖)委員 御説明がよくわからないところもありますけれども、議論をすればいろいろあると思います。しかし、時間がなくなりましたので、この辺で終わります。
#213
○玉沢委員長 神田厚君。
#214
○神田委員 毒物混入防止法案につきまして御質問を申し上げます。
 午前中の参考人の陳述とそれから午後の質疑を通じまして法案の内容も大分明らかになってまいりましたが、限られた時間でありますので、簡潔に何点かの質問をさせていただきます。
 ただいまもちょっと御説明がありましたが、現在刑法があるわけでもありますけれども、あえてこの当該法案を提出をするという意義は一体どこにあるのか。刑法では不十分という御説明もいただきましたが、改めて御説明をお願いいたしたいと思います。
#215
○宮崎議員 御承知のように、グリコ・森永事件というのは流通食品に毒物を混入しまして、そして社会不安を巻き起こす、そういったような新しい型の犯罪でございますので、なかなか刑法その他の――まあグリコ・森永事件そのものは身の代金目的の誘拐罪でありますとか恐喝とか、そういった既定の刑法上の罰則を加えればいいですけれども、これから起こる類似の犯罪というものは刑法だけでは不十分じゃないか、やはりこういったものを、社会不安を解消するためには、流通食品に毒物を入れること自体を罰しなければなかなかこの犯罪には対抗できないんじゃないか、こういう気持ちで流通食品に毒物を入れるということ自体に着目をいたしまして、そこへ犯罪として処罰する、こういうことにした次第でございます。
#216
○神田委員 次に、飲食料品について農水大臣が毒物混入防止のため、指導、助言等を行うことができる、こうなっておりますが、農水省だけで対応が可能であるのかどうか、この点につきまして御説明をいただきたいと思います。
#217
○宮崎議員 農水大臣は、御承知のように流通食品の一部分の主務大臣で、流通の主務大臣でございます。酒類等は大蔵大臣でございますが、流通食品の一般は農水大臣でございます。ところが農水大臣だけでいろいろな処理ができるか、こういう御質問でございますが、農水大臣でできるところはやっていただいて、そうでないところは、関係行政機関がたくさんございます。厚生省も関係がございましょうし、あるいはまた警察庁はもちろん関係がありましょうし、そういった各省の行政機関に要請をしながらそういう行政措置をとっていこう、こういうことでございます。
#218
○神田委員 そうしますと、今答弁もございましたが、当該法案が通った場合には、どのような省庁が関連省庁となって、当該省庁はどのような措置を講ずることになるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
#219
○谷野政府委員 ただいま御指摘のように、この法律に定められました諸措置は、関係各省にまたがるわけでございます。私どもは第七条の主務大臣、これは流通食品のうち酒類は大蔵大臣でございますが、その他につきましては農林水産大臣が主務大臣ということになるわけでございますけれども、第七条の関連につきましては主務大臣として直接措置をする、こういうことに相なろうかというふうに思っております。その他の、第八条でございますとか第三条は「国」というふうに書かれておるわけでございまして、これらの製造業者に対する製品管理等の指導、助言等は農林水産省が中心となって行うわけでございますけれども、資金のあっせん等につきましては、政府関係金融機関を所管をいたします省庁におきまして直接的にはこれを監督をしていらっしゃるわけでございますから、そちらの方にお願いする、こういうことになろうかと思うわけでございます。さらに、防犯体制でございますとか毒物の管理体制ということになりますと、それぞれ警察庁でございますとかあるいは厚生省その他がそれぞれの権限に基づいてやっていただいておるわけでございますから、それらの省庁がこれに当たっていただくことになるというふうに理解をいたしております。
#220
○神田委員 それでは次に、九条一項をつくった理由はどういうことか、刑法と特に違う点は何でありますか。
#221
○白川議員 これがある面では本法律案の刑罰法規で言うなら最も主たるところでございます。
 このような法律がもしございません場合はどういうことになるかというと、飲食物の中には当然水も含まれるわけでございますが、水道であるとか浄水に関しては、そういう中に毒物や人の健康を害するものを入れる場合というものは現に法律がございます。ですから、そちらの方でも罰しようと思えば罰せられるわけでございます。しかし、食品の中に毒物を入れるというそのこと自体を罰する法律はそれ自体ございません。ですから、毒物を入れるという行為は刑法的には意味がないのであって、その結果、人が死ぬんだろうか死なないのだろうかということだけに問題がいくわけでございます。もちろん、青酸カリを入れたとしたならばこれは当然人を殺すために入れたということになるわけでございますから、殺人罪の適用があろうかと思いますが、そのような形でない場合、要するに食品の中に毒物を入れること自体は、もしそれが人を殺すような殺傷力がないという場合でございましたら、それ自体は殺人未遂か、場合によったら、殺人の気持ちはあったのだけれども結果としてはそういうのは全然人を殺すに値しないということで、不能犯、不問に付すということもあるわけでございます。そういう意味で、およそ流通食品の中に毒を入れようということについては罰しようということでこの九条を制定する必要がどうしてもあるわけでございます。
#222
○神田委員 次に、当該特別措置法案が国民の基本的人権を侵害し、法体系そのもののバランスを崩す、一部にこういう意見もありますが、この点につきましてはそういうようなことにはならないのかどうか、御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
#223
○宮崎議員 この法案は、御承知のように一般国民の生命を守ろうという趣旨でございまして、おっしゃるような国民の人権問題ということにはならないのじゃないかと思っております。
 ただ、例の警察への通報義務がございますが、これはやはり毒物が入っておってそしてだれが食べると死ぬのじゃないか、そういうようなときでございますから、それはやはり通知していただくというのが筋じゃなかろうかと考えておりまして、そのほか人権問題というのは全然関係はないのじゃないか、私はそういうふうに考えております。その点につきまして十条の罰則があるわけでございますが、その点は四条の関係ですが、これは非常に絞って、本当に毒物であるかどうか、あるいはそれを確実に確認をして知ったかということに限定をしておりますので、人権関係とかそういったことにはならないのじゃないかと考えております。
#224
○神田委員 この法案の作成のきっかけになりましたグリコ・森永事件等の問題がございますが、先ほども質問がありましたけれども、グリコ・森永事件の捜査の現況は先ほど聞かしていただきましたが、進展の状況といいますか、そのめどといいますか、これはどのようにお考えになっておりますか。
#225
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 一昨年の八月に犯人が終結宣言みたいなものを出しまして、その後は具体的な動きを一切とめておるわけでございますが、警察といたしましては関係府県で約六百人の体制で鋭意捜査をいたしておりますけれども、何分にも有効な情報がなかなか得られないということで捜査は長期化いたしておりますが、一日でも早く全面解決に結びつけますように、鋭意努力をしてまいりたいと思っております。
#226
○神田委員 午前中の参考人に対する質問の中でも言及されておりましたが、当該法案をつくれば第二のグリコ・森永事件等は回避し得るというふうにお考えになっておりますか。抑止の効果といいますか、その点についてはどういうふうにお考えになっていますか。
#227
○宮崎議員 この法律案は、御承知のように総合的に犯罪を防止しようということで、各省あるいはまた製造業者等全部、そういう社会的な悪徳犯人に対抗しようということでございますから、これがないときとあるときとを考えますと、私は、こういうものを成立させていただきまして、そしてその上でまた行政官庁とも相談をしながら、製造業、その他の販売業の方々とも連携をとりながら対処していくということになりますれば相当な効果が期待できる、こういうふうな確信をいたしている次第でございます。
#228
○神田委員 次に、第三条で「国の施策等」について書かれておりますが、具体的にどのような施策を考えておりますか。
#229
○宮崎議員 第三条の言いますところの「国の施策」というのは、国のできるいろいろな点がございますけれども、例えば毒物の管理体制を強化するとかあるいはまた販売店の防犯体制を整備強化するとか、そういったようなことが考えられているわけでございまして、各省におきましていろいろと考慮していただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#230
○神田委員 次に、第四条の「毒物の混入等があったことを知った者」とはどういうような状態を指すのか。これは修正でちょっといろいろ文言も変更されておりますが、その点、具体的にどういうふうなことを指しているのか。また、この四条によってこの法律は一体どういうことを期待をしていることになるのか、その点を御説明をいただきたいと思います。
#231
○宮崎議員 第四条のいわゆる警察への通報義務でございます。毒物が確実に流通食品に添加されたとかあるいは混在しているということを知った人、こういうことになっておりまして、これは、単に犯人から入れたぞということで電話があっても、これが知ったということにはならないと私どもは考えております。実際そうかどうか衛生試験所等で検査して、自分の工場でも検査してみて、果たしてそれが毒物であるかどうかという確証、確認を得て、なるほど毒物が入れてある、こういうことを確認をした上で知った人と、こういうふうに非常に限定をしているわけでございまして、その点十条との関係が出てまいるわけでございますが、その点についていろいろと御議論があるし、諸先生方から、一般の善意の第三者に対して迷惑をかけるのじゃないかというような話がございますが、そういった意味では毛頭ございません。
#232
○神田委員 次に、第五条に「必要な協力」というような文言がございますが、これはどのような状態を指すのでありますか。
#233
○白川議員 第五条については、文字どおり、捜査機関が犯人を捜査し、あるいは犯罪の被害を防止するためにいろいろなことをしなければならない、こういうことがあるわけでございますが、それらすべてを含むということになるわけでございます。
 全体といたしましては、犯罪の捜査が円滑に行われるようということでございますので、我々が特に期待したいのは、罰則はかけないけれども、このような犯罪の対象にされたというあたりからいろいろと情報を教えていただくということが本当は特に必要なのではないかと思うわけでございます。例えば、流通食品に確実に毒物が入ったというような場合は、製造業者等も、それでもなおかつ裏取引だとかあるいは黙っているというようなことはほとんど考えられないわけでございますが、いろいろ、そういうことが確実でなくて告知をされたとか脅迫を受けたというような、そういうところが本当は微妙なんだろうと思うのですが、そういうようなこと。それは全くいたずら電話の場合もあろうかと思いますが、もしお金を払わなければ確実に入れられてしまうというようなことがあって、業者としてはもうお金を払ってその犯人からは解放してもらいたいというようなこともいろいろあろうかと思います。このような混入等に関する犯罪ですから、確実に混入されたということではなくて混入されるおそれがある場合のような、大多数がこういうケースが多いわけでございますが、そういうときを含めて、まず通報してもらうというようなこともこの中に当然に読み取れるわけでございます。
 それ以外に、いざ捜査を始めるとなったならば、いろいろとまた細かいことを捜査当局に教えていただかなければ、捜査当局の方も適切な捜査が遂行できないわけでございますので、そういうことはまた協力してください、こういうことでございます。そういうふうに御理解いただければ幸いでございます。
#234
○神田委員 これは通告はしていなかったのですが、午前中の参考人のお話や何かで、被害の実態が報告されまして、それで、その被害に遭った企業を救済する措置を何らかの形で考えてくれないかというような要望も強く出されておりました。この点につきましては、法律とは直接関係はありませんけれども、どんなふうな形でお考えになっておられますか。
#235
○宮崎議員 被害に対しましては、第八条に、「製造業者等に対し、必要な指導、助言、資金のあっせんその他」と書いてございます。この前のグリコ・森永事件のときには、森永製品をバックで売るようなことをあっせんをしたわけでございます。そしてなおまた、資金のあっせんでございますとかあるいはまた雇用問題でありますとか、そういった現行法でできる各省が持っている権限を使ってそういったものを救済をしよう、こういうような趣旨でございまして、これは、そういった被害が出ますと各省協議しながらやっていくだろう、そういうことを期待をしているわけでございます。
#236
○神田委員 この防止法案はどちらかというと、とにかく、法律ですからそれによって規制をするという感じでありますが、未然に毒物の混入を阻止するということは、これは法律で罰則を決めただけではだめでありまして、つまり、行政などがかなりきめ細かな指導をしていかなければならない問題だと思うのでありますが、その点についてどういうふうにお考えになりますか。
#237
○宮崎議員 御承知のように、この法案が成立いたしますと、そういったきめの細かい配慮が必要だと思います。私は、今の神田先生の御説、ごもっともだと思っておりまして、実際にそういう指導をしていくということが必要だと考えております。
#238
○神田委員 終わります。
#239
○玉沢委員長 山原健二郎君。
#240
○山原委員 質問の最後になりましたので、重複する面があるかもしれませんが、質問をいたします。
 この法案の提出あるいは作成の段階で、日弁連等の関係団体と協議をされているでしょうか。
#241
○白川議員 日弁連という具体的な御指摘でございますが、日弁連と具体的な協議というようなことは別にやっておりません。ただ、お尋ねの点でございますが、全体としての法体系の上でまずどうだろうかというようなことが非常に問題になるわけでございます。この法律だけ特に突出するということについては、大変日弁連も関心を持っております。そういう面では、そういうことに関しては法務省あるいは法律の専門家その他から十分事情は聴取をいたしております。
#242
○山原委員 けさも参考人に申し上げたのですが、東京弁護士会は反対の声明を発表しておられます。これは意見書を出しておりますね。さらに、日弁連の中でも、重大な問題として反対の意向が随分強いということも聞いておりまして、こういう法曹界の見解というのはかなり重い比重を持っているわけですね。例えば刑法の抜本改正案について、日弁連の反対もありましてこれが長年にわたって取り組むことができない状態も続いているわけでして、そういう意味では非常に重みを持っているというふうに感じるわけです。特に、人権に関する刑罰の問題が入ってまいりますから、そういう意味で私が心配しておりますのは、こういう非常に深い関係を持ち、関心を持っておる団体が、この法案が拙速に過ぎますと、全く寝耳に、水とかあるいは寝首をかかれたとかいうようなことになりかねない情勢がございますので、こういう法案については当然慎重な審議が必要であるということを最初に申し上げておきたいと思います。
 さて、グリコ・森永事件の犯人の罪名としてどういうものが考えられるかということですが、法務省おいでになりましたらお答えいただきたいのです。
#243
○東條説明員 お答え申し上げます。
 いわゆるグリコ・森永事件につきましては、先ほど来警察庁の方から御答弁ございましたように現に捜査中でございまして、したがって、いかなる罰則が適用できるものなのか断定的に申し上げることはできないわけでございます。
 ただ、今日まで一応表面にあらわれております事実関係を前提といたしますと、当初からずっと一連の流れがございますが、身の代金目的拐取ですとか身の代金要求の罪とか監禁致傷、強盗致傷、放火、恐喝未遂、殺人未遂、業務妨害などの罪名が想定されるということでございます。
#244
○山原委員 かつて、これが問題になりましたときの八四年十二月十四日の衆議院法務委員会で、筧法務省刑事局長がこういう答弁をしておられますね。「現行法規に照らせば、もし犯人が検挙されて、真相解明して起訴がなされ、裁判になるというような場合に、現在の状況から判断いたしましても、それぞれの罪名について極めて情状の重い類型であるということは一致して言えようかと思います。」こういうふうに断言しておられまして、さらに同局長は、罪名について主なものだけとして、一、江崎グリコ社長の監禁致傷あるいは身の代金目的拐取、二、森永製菓等に対する恐喝未遂、三、青酸ソーダ混入品の配布は事実関係いかんによっては殺人未遂の成立もあり得る、四、これらの行為による威力業務妨害、五、工場等への放火で建造物侵入あるいは建造物放火、六、脅迫状の送付で脅迫、七、男女二人の監禁、八、ピストルを使用したので銃砲刀剣等違反などが適用されるとしておりまして、これらに対する刑罰は、一番重いのが無期懲役、場合によっては殺人未遂で死刑まであると述べております。さらに、毒物について言うならば毒劇物取締法もあり、刑罰は以上述べられた数種の罪の併合罪として科せられるものであり、こういうふうに述べておりまして、まさに重罰の適用が現行法においても存在するわけでございます。
 こういうふうに考えますと、つまり現行法規でも十分重罰を科することはできますし、新たな立法措置は必要ではないではないかという理屈が強いわけですね。あえてここに出してきたのは何かということです。これは先ほどからお答えを聞いておりますけれども、なお、ここで一度はっきりさせていただきたいのです。
#245
○宮崎議員 グリコ・森永のいわゆる過去の犯罪につきましては、お話しのようなことを私も伺っております。今の御質問は、こういった刑法の処罰がいろいろあるのにあえてこのような法律をつくるのかということでございます。
 これから、この法律が成立した後の問題でございますが、そういったグリコ・森永型の犯罪、つまり私どもが日常買って食べている流通食品に毒物を混入した、そして社会を非常な不安に陥れる、こういう類型のことに対しては現行法では少し不足しているのではないか、こういうふうに考えております。そしてまた、流通食品に対する毒物混入という犯罪を中心にいたしまして、そういうことのないように総合的な政策、総合的な規定をいたしまして、こういった種類の犯罪を極力防いで、人命の失われることを防ぎ、また、私どもの日常の生活が安心してやっていけるように、こういう趣旨で立案をしたものでございます。
#246
○山原委員 けさ、弁護士の藤崎さんの陳述にもあったわけですが、あの方は随分疑問点を持っておられるのですね。毒物混入行為そのものを取り締まる法規がないということでこの法案には賛成であるというふうにおっしゃって、よく聞いていると反対であるかのような論理を展開されながら、同時に、そこのところで賛成だ、こうおっしゃったものですから、私は質問の中で、毒物劇物取締法がありまして、もしどうしても必要というならば、何人も流通食品に毒物を混入等をしてはならないという規定を入れるならば、何も現行刑法体系のバランスを崩さなくてもできるのじゃないかということを申し上げたわけでございます。
 類似犯罪の頻発を理由にして、こうした類の犯罪については現行法規では対処できないという言い方も、私はまことに不十分な論拠だと思いますが、この点はいかがですか。
#247
○白川議員 グリコ・森永事件にどういう法律が適用できて、犯人をどう罰することができるか、こういうことについては、先生が御指摘のとおりだと思います。
 ただ、何度も宮崎先生の方からもお話をしておりますとおり、国民の今日にするものの七割、八割が実は流通食品であるわけでございます。そこに毒物を入れるということは、万一本当にそれが行われたら大変な被害が出てくるわけでございますし、そのような行為というのは例えば森永にしろグリコにしろ大変大きな会社でございますが、そこからただ単に何らかのいろいろな他の手段で全員を奪取しようということに比べたならば、いわゆる大勢の人をあわせて不安に巻き込むわけでございますし、現にグリコ・森永事件が起きたときは二つの商品そのものは事実上ほとんどすべてのスーパーマーケット、商店から影を消した。また、そうしなければ逆に国民も納得できないということもあったわけでございます。
 そういう意味では、現行法規で十分対処できるということではなくて、流通食品に毒物を混入するというのは明らかにもう一つ守らなければならない大事な法益に対する重大な犯罪行為ではないだろうか、こういう点に着目をして、流通食品に毒物等を混入するという行為を罰しようという一つの規定を設けたわけでございまして、厳罰主義とか重罰主義とかといういろいろな反対意見もあるようでございますが、それはむしろ当たらないと思っております。
#248
○山原委員 先ほどこれは参考人の池田さんでしたか、いたずらというのが出てきましたね。ちょっと私もたじろいだわけでございますけれども、いたずらにしましても類似犯行であることは間違いありませんし、それは業務の妨害にもなるわけですね。それに対してはことごとくそれに対応できる法的処分もあるわけでございまして、全く何もないいたずらという特異なものを契機にして法律を強化し、また警察の力まで拡大をしていくというやり方には賛成できないわけでして、そこの点はお考えと違うと思います。国民の不安とかそういうものはもちろんわかりますからね。これに対して対応しなければならぬのはもちろんでありますけれども、そこのところは納得できないのです。類似犯が頻発するのは、考えてみるとやはりあのグリコ・森永事件の犯人をいまだ逮捕していないという肝心かなめのところが残っているわけですね。その他のものについては先ほど説明がありましたようにそれ相応の検挙もしたり逮捕もしたり、またそれへの処置もしたということが報告されておるわけでございますが、こういう同類犯を防ぐという一番の肝心のところは、何といっても肝心かなめの犯人を逮捕するということですね。これが警察当局において失敗をしておる。これは前の法務委員会でも法務省の方から説明されておりますが、何遍となく失敗をし取り逃がす、このことがあるわけでして、この失態を反省して一刻も早く真犯人を捕まえるということに重点を置くべきであって、この肝心かなめの問題を新しい法律にすりかえるということは許されないことだと思うわけです。しかもその上に、今申しましたように警察の力を拡大するということについては、まさにこれは言語道断な考え方であるというふうに考えております。
 その意味において、法案の幾つかの問題点について質問したいのですが、今まで問題になりました第四条ですね。毒物混入を知った者に警察官等への届け出義務を課し、しかも第十条で違反者を「二十万円以下の罰金に処する。」としておりますが、この規定を盛り込んだ理由は何かということでございますが、簡単にお答えいただきたいのです。
#249
○宮崎議員 グリコ・森永事件の犯人が捕まらないということは私どもも先生と同じような気持ちで、早くひとつ捕まえてやっていただきたいと思うわけでございます。
 その問題と、この法律で警察権限の拡大を意図しているのではなかろうかといった意味の御発言かと思いますけれども、実はこれは決してそういったことではなくて、やはり国民の生命を守り、そしてまたそういった毒物混入ということから発生しますところの私どもの社会的な不安、そういったものを取り除こうという趣旨でございまして、流通食品に毒物が入ったということの事実を知った人は警察官に届けてください、こういう規定をしているわけでございまして、その知ったということがうわさとか単なる電話連絡とかそういったことではなくて、本当に毒物がその商品の中に入っているということを実際に実証して確認をして知った者、第四条でございますが、届け出義務はそのように考えているわけでございまして、それに対するこの届け出義務を担保するための罰則二十万円というのはそういった意味でございます。どうぞひとつ御理解を賜りたい。
#250
○山原委員 法務省の方へ伺いますが、一般人に対して届け出義務違反を罰するというような、こういう法律といいますか規定といいますか、そういうものはほかにございますでしょうか。
#251
○東條説明員 お答え申し上げます。
 全法律をくまなく調べたわけではございませんのであるいは漏れているものがあろうかと思いますが、一般人に対して何らかの事由があったときに届け出義務を課しまして、その届け出のなかったことを処罰する法律として見当たりますものを申し上げますと、一番軽いのは軽犯罪法一条の十八号で、これは自己の占有する場所の中に老幼、不具、傷病のために扶助を要する音あるいは死体などを発見したのに速やかにこれを公務員に申し出なかった者を処罰するという規定で、もちろん拘留または科料という軽微な罰金でございます。
 それから、御承知かと思いますが、銃刀法の二十三条に、銃砲刀剣類を発見しあるいは拾得した者は速やかに最寄りの警察官に届け出なさいという規定を置きまして、その違反につきましては三十五条で十万円以下の罰金にする、こういう規定がございます。
 それから、非常に罰則の重いもので適当かどうか存じませんが、古い法律で爆発物取締罰則という法律がございます。この七条は「爆発物ヲ発見シタル者ハ直に警察官吏ニ告知ス可シ連フ者八百円以下ノ罰金ニ処ス」、それから八条は、第一条から第五条の、これは爆発物取締罰則の使用犯罪でございますが、「ノ犯罪アルコトヲ認知シタル時ハ直警察官吏若クハ危害ヲ被ムラントスル人ニ告知ス可シ連フ者ハ五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」。こういうのが罰則を伴ういわゆる一般人に対する届け出義務。
 少しモディファイされたものといたしましては、例えば伝染病予防法というこれも古い法律でございますが、第四条に「伝染病又ハ其ノ疑アル患者若ハ其ノ死者アリタル家ニ於テハ」「直ニ其ノ所在地ノ市町村長、検疫委員又ハ予防委員ニ届出ヘシ」、そしてその義務主体は、例えば家の中でありますと当時の概念で世帯主、それから社寺等でありましたらそこの管理の責任者ということに限定はいたしますが、やはり届け出ない者について、これは三十一条でございますが罰則を科するという、こういうのがさしあたり見渡したところ見つけ出した規定であるということでございます。
#252
○山原委員 極めて特殊と言ってはあれですけれども、伝染病あるいは銃砲を持っているというのは、これは明白なことでありますし、爆発物取締罰則、これは太政官布告で明治十七年にできた、こう言われているわけですが、現憲法のもとにおいてはこれは問題は別だと思いますね。そういう特異な法規定と言えると思いますが、例えば毒物が混入されたかどうかということなどについては一般の人には判断しにくいことなんですね。けれども、それを届け出なければ罰則があるということになってきますと、例えば警察の判断で、毒物混入を知っていた疑いがあるとして特定の者に対してこれを強制捜査するとかあるいは検束するとか、そういう規定の根拠になり得ないという保証はないわけですね。そういう意味で、これは警察の職権乱用に結びつく危険性を持っているわけでございまして、そういう意味でいろいろこの法案に対して御意見が出ているわけでございます。
 また、第九条で、流通食品への毒物混入等を行った者に対しては「十年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」となっておりますが、ここでも、時間がなくなってきましたが、法務省の方に一言簡単に聞きたいのですが、昭和四十六年十一月に法制審刑事法特別部会が決めました改正刑法草案では、飲料水や多数人の飲食に供する物またはその原料に毒物その他健康に害のあるものを混入した者は三年以下の懲役に処する、こういうふうになっていると思います。これらも考えましたときに、改正刑法草案自体については随分法曹界からも反対がありまして、いまだにこれは成立をしていない。そういう批判として、この草案の刑罰がいわゆる重罰主義であるという意見が出ているわけですね。
 そういうことから考えまして、いろいろこの法案について気持ちをおっしゃっておられます、そのことはわからないわけではありませんけれども、法案としてはこれは非常に問題を持っている法案である。現行法で十分対処できる状態であるにもかかわらず、こういう重大な問題点を持っている法案を出されたことに対して私は反対をしたいと思います。そういう意味で、撤回をしていただきたいという気持ちを持っておるわけでございますが、少なくとも撤回をするとはおっしゃらないと思いますね。そういう意味で、どういうお考えを持っておるか、ちょっとここで伺っておきたいのです。
#253
○宮崎議員 第四条の規定がいわゆる警察権力の拡充じゃないか、知った疑いのある者まで調べるのではないか、こういうようなお話でございますが、現実に言って一般の人にはほとんどいないんじゃないか、私はそういうように考えております。知っだということも、故意に毒物を混入するというその混入したことと、毒物がその中に入っているということを実証しなければ、この第四条というのは届け出る必要はない、こういうふうに考えますので、常識的には一般の人はそういうことにかかわり合いはないんじゃないか、こういうふうに考えております。もちろん、この「知った者」というものについて各党間でいろいろな御意見があるように承っておるわけでございまして、その点はひとつ弾力的に考えたいと思っております。
 なおまた、第九条の罰則の問題でございますが、先ほどもちょっと法務省の方で答弁がございましたが、私ども、特に懲役十年以下、三十万円の罰金というのが現行法の中で非常に突出しているというふうにとれませんので、浄水への毒物混入でありますとか水道に対する犯罪でありますとかいろいろなものと、それからまた社会不安を起こすところの騒擾の罪、これは十年以下の懲役でございますが、そういったいろいろなことと考えあわせて、そう突出しているとは思わないわけでございます。要は、罰則の方ではなくて、そういう社会的な不安、この前のグリコ・森永事件のときのあの不安を思い出していただきまして、人命に関する問題でございますし、特にまた、スーパーに並べられているものは実際は字の読めない子供たちの食べる食品が多いわけでございまして、そういう意味から、私どもは、人命の安全そして私どもの社会生活の安寧を願ってこの法案をつくり、そして総合的にそういった悪質犯に対抗しよう、こういう趣旨でございますので、御理解を賜りたい。もちろん、すぐ撤回するということは考えておりません。
#254
○山原委員 食品に毒物を混入するなどということが人道的にも許されてよい行為でないことはもちろんです。それからまた、今おっしゃいました子供を含めて国民の生命の安全を守るという点からもおっしゃっておられることはわかるのです。しかし、これが一たび法律として動き始めたときにどういう事態が起こるかということについては当然正当な論議をしておかなければならないところでございまして、そういう意味で、私いかにも老婆心かのごとく言っているわけですけれども、一たび警察の権力というものを拡大していけば、場合によっては際限のない力を発揮していくわけですね。そういう点から考えまして、過去の経験から申しまして、これについては十分な歯どめをかけなければならないというのは、これは私どもだけの考え方でなくて、法曹界あるいは先ほど言いました東京弁護士会にしましてもあるいは日弁連等にしましてもいろいろの意見があることはもう間違いございません。その意見の重みというものは、私たちはやはりかみしめていく必要があると思うのです。
 私は、この農水の委員会にこの法案が出されましたときに、もちろん食品の問題に関しますから農水の委員会の責任において論議をすべきだとは思います。けれども、一たび法律また刑事罰の問題ということになってまいりますと、国会の中にはそれなりの機関もあるわけですね、例えば法務委員会とか地方行政委員会とかいうところがあるわけでして、少なくともこれらとの連合審査等を経まして、慎重審議の結果これに対する決着をつけていく、こういう態度をとっていただきたいということを、これは委員長にも切に御要請を申し上げまして、私のきょうの質問を終わらせていただきます。
#255
○玉沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 次回は、明三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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