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1987/09/01 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 社会労働委員会 第9号
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1987/09/01 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第109回国会 社会労働委員会 第9号
昭和六十二年九月一日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
   委員長 堀内 光雄君
   理事 稲垣 実男君 理事 戸井田三郎君
   理事 長野 祐也君 理事 丹羽 雄哉君
   理事 浜田卓二郎君 理事 池端 清一君
   理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君
      粟屋 敏信君    伊吹 文明君
      小沢 辰男君    大野  明君
      大野 功統君    片岡 武司君
      木村 義雄君    古賀  誠君
      佐藤 静雄君    自見庄三郎君
      高橋 一郎君    戸沢 政方君
      中山 成彬君    野呂 昭彦君
      藤本 孝雄君    三原 朝彦君
      箕輪  登君    持永 和見君
      伊藤 忠治君    大原  亨君
      川俣健二郎君    田邊  誠君
      永井 孝信君    村山 富市君
      大橋 敏雄君    草川 昭三君
     平石磨作太郎君    吉井 光照君
      塚田 延充君    児玉 健次君
      田中美智子君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 平井 卓志君
 出席政府委員
        労働大臣官房審
        議官      野崎 和昭君
        労働省労働基準
        局長      平賀 俊行君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部長 若林 之矩君
        労働省婦人局長 佐藤ギン子君
        労働省職業安定
        局長      白井晋太郎君
 委員外の出席者
        通商産業省産業
        政策局企業行動
        課長      広瀬 勝貞君
        中小企業庁計画
        部振興課長   瓦田 栄三君
        運輸省貨物流通
        局陸上貨物課長 小幡 政人君
        社会労働委員会
        調査室長    石川 正暉君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月一日
 辞任        補欠選任
  河野  正君    川俣健二郎君
  新井 彬之君    草川 昭三君
同日
 辞任        補欠選任
  川俣健二郎君    河野  正君
  草川 昭三君    新井 彬之君
    ―――――――――――――
九月一日
 国立病院・療養所の縮小再編成中止等に関する
 請願(村山富市君紹介)(第一〇〇三号)
 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法
 律案反対等に関する請願(川俣健二郎君紹介)
 (第一〇〇四号)
 同(小林恒人君紹介)(第一〇〇五号)
 同(永井孝信君紹介)(第一〇〇六号)
 同(小林恒人君紹介)(第一一〇八号)
 同(中村茂君紹介)(第一一〇九号)
 同外一件(早川勝君紹介)(第一一一〇号)
 同外九件(山下八洲夫君紹介)(第一一一一号
 )
 高齢者の就労対策の充実に関する請願(河野正
 君紹介)(第一〇〇七号)
 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法
 律案の廃案等に関する請願(馬場昇君紹介)(
 第一〇〇八号)
 労働基準法の改悪反対、労働条件改善の促進に
 関する請願外四件(河野正君紹介)(第一〇〇
 九号)
 同(佐藤徳雄君紹介)(第一〇一〇号)
 労働時間週四十時間制の早期実現等に関する請
 願(永井孝信君紹介)(第一〇一一号)
 労働基準法の改悪反対等に関する請願(安藤巌
 君紹介)(第一〇八〇号)
 同(石井郁子君紹介)(第一〇八一号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第一〇八二号)
 同(浦井洋君紹介)(第一〇八三号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第一〇八四号)
 同(金子満広君紹介)(第一〇八五号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第一〇八六号)
 同(工藤晃君紹介)(第一〇八七号)
 同(児玉健次君紹介)(第一〇八八号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第一〇八九号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第一〇九〇号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第一〇九一号)
 同(田中美智子君紹介)(第一〇九二号)
 同(辻第一君紹介)(第一〇九三号)
 同(寺前厳君紹介)(第一〇九四号)
 同(中路雅弘君紹介)(第一〇九五号)
 同(中島武敏君紹介)(第一〇九六号)
 同(野間友一君紹介)(第一〇九七号)
 同(東中光雄君紹介)(第一〇九八号)
 同(不破哲三君紹介)(第一〇九九号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一一〇〇号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第一一〇一号)
 同(正森成二君紹介)(第一一〇二号)
 同(松本善明君紹介)(第一一〇三号)
 同(村上弘君紹介)(第一一〇四号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一一〇五号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一一〇六号)
 労働基準法の改悪反対、最低基準の大幅引き上
 げ等に関する請願(上田卓三君紹介)(第一一
 〇七号)
 国立明石病院及び国立神戸病院の統合計画中
 止等に関する請願(永井孝信君紹介)(第一一
 一二号)
 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法
 律案の反対等に関する請願外七件(権藤恒夫君
 紹介)(第一一一三号)
 同外十件(坂口力君紹介)(第一一一四号)
 同外二件(柴田弘君紹介)(第一一一五号)
 同外五件(武田一夫君紹介)(第一一一六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
九月一日
 精神衛生法改正に関する陳情書外一件(東京都
 新宿区西新宿七の九の七藤沢敏雄外六十四名)
 (第一一二号)
 後天性免疫不全症候群対策の充実強化に関する
 陳情書外十五件(奈良県奈良市登大路町奈良県
 議会内浅川清外十五名)(第一一三号)
 保育事業の整備充実に関する陳情書(北海道小
 樽市花園二の一二の一小樽市議会内工藤正道)
 (第一一四号)
 国民健康保険財政の健全化に関する陳情書外三
 件(高松市番町一の八の一五高松市議会内諏訪
 博文外三名)(第一一五号)
 覚せい剤・麻薬等の乱用防止に関する陳情書
 (福岡市博多区東公園七の七福岡県議会内中村
 忠和)(第一一六号)
 姿勢均整法の制度化に関する陳情書(東京都渋
 谷区代官山一八の六小関勝美)(第一一七号)
 精神障害者等の年金制度に関する陳情書(東京
 都清瀬市竹丘一の五の一七の一〇八小渕正吉)
 (第一一八号)
 食品添加物の規制に関する陳情書外一件(鳥取
 県八頭郡八東町大字北山六三の一八頭町議会内
 山根君太郎外一名)(第一一九号)
 労働基準法改悪反対等に関する陳情書外八件
 (名古屋市東区芳野二の三の九宇佐美吉勝外十
 一名)(第一二〇号)
 労働基準法の改悪反対、労働条件改善の促進に
 関する陳情書外三件(広島県佐伯郡廿日市町地
 御前四の三の一岡原美知子外三名)(第一二一
 号)
 労働基準法改正に関する陳情書(大阪市北区西
 天満二の一の二熊谷尚之)(第一二二号)
 雇用対策の充実強化に関する陳情書外十一件
 (名古屋市中区三の丸三の一の二愛知県議会内
 松井浩之外三十一名)(第一二三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、第百八回国会閣法第五七号)
     ――――◇―――――
#2
○堀内委員長 これより会議を開きます。
 第百八回国会内閣提出、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
#3
○永井委員 八月二十一日に、この労働基準法の改正問題について、私は本会議で代表質問をさせていただきました。引き続き二十五日には、この委員会で、私の同僚の伊藤議員から質問がなされたわけでありますが、それを系統的に引き継いでひとつ御質問を申し上げてみたいと思うわけであります。
 まず、変形労働時間制の問題でありますが、欧米諸国の場合は、もう御承知のように、一日八時間、一週四十時間以内で、そしてかつ完全週休二日制というものが確立をし、その制度がもう既に社会常識となった上でいわゆる弾力化ということが取り組まれてきたわけですね、問題になってきました。また欧米諸国を見ますと、仕事の時間、つまり使用者のための時間と生活の時間、つまり自分や家族のための時間と仕事の時間をはっきり区別をして、自分の時間を確保するのは当然だという考え方が社会的に確立しているわけですね。
 こういう実態に立って、この変形労働時間制について御質問を申し上げていくわけでありますが、フランスや西ドイツあたりを見ますと、一日や一週の労働時間の規制、つまり上限の設定がなされています。またアメリカなどでは、上限の設定よりも、賃金の上において規制を加えています。例えば割り増し賃金というのは五〇%とするようになっているわけですね。これらが、この弾力化条項の関係でいいますと、強い規制の働きをしているわけです。したがって、我が国におきましても、弾力化をするといたしましても、まず生活時間の確保の考え方、あるいは一日八時間以内、週四十時間、完全週休二日制が社会的に確立した後のことにすべきであって、今このことが課題になっていると私は思うのであります。また、仮にその一日八時間、週四十時間、完全週休二日制というものが確立したその場合でも、変形制については、一日、一週当たりの労働時間の上限規制や、あるいは一週二日の休日、せめて一日の休日は必ず与えなければならない、こういうことにするなど、厳しい規制が必要不可欠だと私は思うのであります。このことについて労働省の見解をお伺いいたしたいと思います。
#4
○平賀政府委員 今回の法改正により導入されます三カ月単位の変形労働時間制は、原則として三カ月平均で週四十時間以下とし、これを超えて労働させたときは割り増し賃金を支払うことを要件としており、週四十時間制を先取りする事業場に認められる制度であると言えると存じます。
 御指摘のような問題につきましては、この制度が乱用されるおそれはないものと認識しておりますが、一部に強い御懸念を示される向きもありますので、本委員会における規制措置を含めた御議論を踏まえ、適切に対処いたしたいと考えております。
#5
○永井委員 次に、労働基準法の研究会というのがありますね。ここから報告が出されているわけでありますが、季節的に業務の繁閑の差が大きいものについて、いわゆる弾力化によって労働時間の短縮を期待するというような考え方に立っておるわけですね。こうした考え方からいたしますと、三カ月単位の変形労働時間制というのは、季節によって業務の繁閑の差が大きい業種に限定して適用すべきだと私は思うのでありますが、どうでございますか。
#6
○平賀政府委員 三カ月単位の変形労働時間制は、季節によって業務の繁閑の差が大きい事業について、その業務の繁閑に応じた労働時間、休日を組む、これによって総労働時間の短縮を図ろうとするものであり、季節によって業務の繁閑の差の少ない業務については、適用は考えられないと存じております。
#7
○永井委員 それでは、季節によって業務の繁閑の差が大きい事業の中には、例えば貸し切り観光バスのように、日ごとの労働時間をあらかじめ特定することができずに、仮にこれを特定して定めたといたしましても、お客さんの都合とかあるいは交通事情などによって日ごとの労働時間が変わることが多い、そのために労働時間の弾力化を認めるということになりますと、労働者の生活が阻害されるおそれの大きい事業と言えると私は思うのであります。このような事業については、三カ月単位の変形労働時間制の規定を適用すべきではないと考えるのでありますが、どうでございますか。
#8
○平賀政府委員 御指摘の貸し切り観光バスのように、業務の性質上、一日八時間、一週四十六時間を超えて労働させる日または週の労働時間をあらかじめ定めておくことが困難な業務、または労使協定で定めた時間が業務の都合によって変更されることが通常行われるような業務については、三カ月単位の変形労働時間制を適用する余地はないものと考えます。
#9
○永井委員 三カ月の変形制という問題でありますが、先ほど指摘いたしましたように、私はこの厳格な規制というものが必要不可欠だと思うのでありますが、さらにこうした規制をいたしましても、なお時間外労働が行われるというのであっては、一体何のための変形制、何のための上限規制がわからなくなってしまうと私は思うのですね。したがって、一カ月の変形制ということも含めまして、変形所定労働時間を設定した場合は、時間外労働は絶対認めない、こういうことにすべきではないかと思うのですが、どうでございますか。
#10
○平賀政府委員 まず、三カ月単位の変形労働時間制は、業務の繁閑に合わせて所定労働時間を設定することを認めることにより時間外労働をなくし、全体としての労働時間を短縮することを目的としたものであり、この変形制を採用する場合には、突発的なものは別として、恒常的な時間外労働はないことを前提とするものであると考えております。また制度的にも、三カ月単位の変形労働時間制は、所定労働時間を三カ月平均で一週四十時間以下とし、それを超えて労働させたときは割り増し賃金を支払うことを要件としていることから、三カ月単位の変形労働時間制のもとで所定労働時間を超えて労働させると、三カ月単位の変形労働時間制をとらないで、同じ時間労働させる場合に比べて使用者にとってはかえってコストアップになる、この意味で、この制度は制度自体の中に時間外労働に対する抑制機能といいますか、そういうものがあると考えております。
 また、御質問の中に一カ月単位の問題がございましたが、一カ月単位の変形労働時間制を採用した場合にも、同じく恒常的な時間外労働がないことが望ましいことは言うまでもございません。
#11
○永井委員 けさの新聞に労働省が調査した七月の勤労統計表が出ました。それで見ますと、昨年の七月と比べて所定外労働時間がたしか三%以上ふえた、こういう報道がなされておりました。それに対してコメントがついているわけでありますが、そのコメントを見ますと、所定外労働時間がふえたことは、いわば景気の回復を証明したものだと思うというコメントがついておりました。この労働基準法の改正に当たって、私どもは何としてでも時間短縮を前進させようというときですから、勤労統計表が発表されることは、これは毎月のことでありますから当然なことかもしれませんけれども、たまたまきょうの私が質問する日に、所定外労働時間の増加が景気の回復を証明したことになるということで、いわばこの所定外労働時間を拡大することが何かいいことのような印象を私は受けました。本当にこれから労働時間を短縮していこうとするときに、統計表を発表するのはいいのでありますが、所定外労働時間の増加ということについて労働省はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#12
○平賀政府委員 所定外労働時間は、我が国の場合、雇用を維持するという観点から、雇用の調整を所定外の労働時間で行うというような慣行がございます。そこで昨年の七月の時点、そのあたりはいわゆる円高不況といいますか、そういうことで製造業の所定外労働時間が非常に落ち込んだ時期、その前の年より一〇%下がった時期でございます。したがって、昨年を通じて所定外労働時間というのは、最近の実績からすると、かなり低いレベル、言ってみれば最近十年来でかなり低いレベルにあったということは言えると思いますが、それが多少ふえたということは、いわば雇用調整を、若干所定外労働時間をふやすということで調整をされた、そういうことを認識して、それがコメントになったというふうに理解をしております。
#13
○永井委員 さて、三カ月変形制の問題に集中してえらい恐縮なんでありますが、これについて、今の御答弁を聞いておって、なお見逃すことのできない問題点があります。
 例えば妊産婦の問題でありますが、一日八時間以上も妊産婦が働かされたり、あるいは場合によっては休日も働かされる、こういうことになりますと、母親にも胎児にも悪影響を及ぼすおそれが十分にあると私は思うのですね。これは明らかに母性保護ということについて反することだと私は思います。現行の労働基準法六十六条におきまして、たとえ時間外、休日労働に関する労使協定があったといたしましても、「妊産婦が請求した場合においては、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。」こう規定しているわけですね。したがって、妊産婦について申し上げますと、三カ月変形制の労使協定が仮に締結された場合であっても、これを本人、当事者が拒否することができることを法律に明記する、そのことが当然だと私は考えますが、これについて大臣の所見を伺いたいと思います。また一カ月変形制についても基本的に事情は同じでありまして、同様の措置を講ずべきだと私は思うのでありますが、御見解を賜りたいと思います。
#14
○平井国務大臣 一カ月や三カ月の変形制が導入された場合の妊産婦に対する御懸念の問題でございますが、この妊産婦の保護につきましては、本委員会の議論を踏まえまして、御指摘のような御懸念のないように、適切な対応ができるような方法を検討してまいりたい、かように考えております。
#15
○永井委員 さらにつけ加えてお聞きいたしますが、この三カ月の変形制に一定の規制が仮に加えられたといたしましても、乳幼児、小さいお子さんあるいは家庭で介護が必要とされるようなお年寄りを抱えている場合、そういう家庭の労働者がこれを適用された場合には、家族的責任と職業上の生活というものを両立させることが極めて困難になると私は思いますね。こうした家族的な責任というものについては、我が国の実情というものは、ほとんどが女性の労働者の肩にかかっていると言っても過言ではないと私は思うのです。こうした女性労働者が変形制のもとで働かされるということになりますと、事実上退職を強要されると同じことになってしまうおそれがある。これは本会議で私が質問したことでありますが、またそうならないという保証はどこにもないのですね。また働きながら高校や大学などの夜間の学校に通ったり職業訓練を受けたりする若者もおりますが、こうした教育訓練をこの変形労働時間制の導入によって断念せざるを得なくなるおそれもあると私は思うのです。
 ILOの百五十六号条約、つまり千九百八十一年の家族的責任を有する労働者条約あるいは男女雇用機会均等法あるいは勤労青少年福祉法などを引き合いに出すまでもなく、このような家族的責任などの特別な事情のある労働者については、当然変形制の適用から除外するか、あるいは妊産婦と同じように適用を拒めるようにするなどの措置が私は当然必要だと思うのでありますが、これまた御見解をお聞きいたしたいと思います。
#16
○平井国務大臣 委員が今おっしゃいますように、育児担当者とか介護の責任を有する者、さらには勤労学生などに対する特別な配慮はいかがなるのか、こういうことでございましょうが、定時制高校生等につきましては、事業主は、勤労青少年福祉法第十二条によりまして、「当該勤労青少年が教育を受けるために必要な時間を確保することができるような配慮をするように努めなければならない。」こととされておりますが、今御指摘のございました育児担当者、さらには介護の責任を有する者等につきましても、これと同様の配慮がなされるよう通達を出しまして、使用者に対し指導をしてまいりたい、かように考えております。
#17
○永井委員 ぜひひとつ今大臣の御答弁されましたように、通達などできちっと実効の上がるようにお願いをしておきたいと思います。
 さて、この三カ月の変形制ということについて、繰り返し恐縮でありますが、この変形の期間がこれまでより大幅に延長されるわけですね。その延長によって、制度の趣旨に反して、いわば政府が法改正をしようというそのねらい、趣旨に反して、これが意図的に乱用されることが非常に懸念をされているわけであります。したがって労使協定を義務づけるだけに終わらせてしまってはならない。労使協定を義務づけるだけではなくて、その届け出というものを法律上きちっと規定して義務づける、そしてその届け出を受けた労働基準監督署などがそれを厳重にチェックできるようにすべきじゃないか。就業規則と同じように、届け出の義務はあるけれども、あるいは労働組合の意見を添付しなくてはならないと法律で定めているんでありますが、届け出を受けた労働基準監督署は単に受けるだけで終わってしまう。あるいは労働組合の意見の添付についても、それを具体的に反映させるということにはなっていない。片道切符ですね。そうならないように厳重にチェックできるような機能をきちっと持って対応すべきだと私は思うのですが、どうでございますか。
#18
○平賀政府委員 私どもといたしましては、この制度が乱用されるおそれはないものと認識しておりますが、一部に強い御懸念を示される向きもありますので、本委員会の御議論を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#19
○永井委員 その適切な対処ということを御信頼申し上げたいと思うのでありますが、労使関係の現状、あるいは幾つも出てきている地域の実態などから見て、その言葉どおりに、一〇〇%、ああ、わかりましたとは、私も気持ちとしてなかなか言いにくいのであります。しかし、通達なりあるいは行政指導、あらゆる点を含めてきちっとチェックできるように、再度重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
 さて、その次でありますが、八月二十一日の私の本会議質問でも取り上げたのでありますが、新前川レポートも今後は生活の質の向上ということについて非常に強い意思を表示していますね。そういう生活の質の向上という観点に立って、我が国の長い労働時間を改善しなければならないというふうに貫かれているわけです。こうした観点に立ちますと、現行の四週変形制ももちろん問題があります。四週変形制は交代制労働と結びついて労働者の健康にも大変な悪影響を及ぼしている、こういうことが各種の調査報告でも幾つも指摘をされてきているわけであります。したがって、この場合でも、三カ月変形制について私が先ほど指摘しましたように、当然規制措置を講ずる必要があると考えますが、どうでございますか。
#20
○平賀政府委員 従来から四週間単位の変形労働時間制は労使協定の締結等を要件としておりませんが、これによって特段の問題が生じているとは聞いておりません。また、これまでは御設問の中にありましたように、二十四時間連続操業の職場や運輸交通事業、病院などの一部の事業に導入されているものが多かったということでございましたが、今後は週四十六時間と仮定しますと、そこで四週五休制ということになりますと、やはり一カ月単位の変形労働時間制による、あるいは四週間単位で運用する場合が多くなると思います。その意味では、この制度は休日増にも利用できるものと考えております。したがって、現行以上に要件を厳しくすることは、従来の経験からも特に考えておりません。
#21
○永井委員 この四週変形制でありますが、これを今度は一カ月変形制に改めるということですね。この変形制は、使用者が就業規則で定めると、今の法律の関係でいきますと、事実上一方的に導入できることになっていくわけであります。しかも、新たに導入される三カ月変形制のように、週平均労働時間の短縮が条件となっていないわけですね。最近の経済情勢や経営環境、あるいは今まで私たちが体験してきました我が国の経営者の体質、こういうものなどを考えますと、今度の法改正問題を契機にして、これを採用する企業が今後うんとふえていくことも十分想定できるわけであります。したがって、一カ月の変形制につきましても、今指摘いたしましたように、規制措置が当然必要であって、せめて労使協定の締結やその届け出を要件とすべきだと考えますが、どうでございますか。
#22
○平賀政府委員 一カ月単位の変形労働時間制におきましても、労働者の意思が適正に反映されますよう、就業規則変更の届け出があった際など、労働者代表の意思を確認し、適切に指導してまいりたいと存じます。
#23
○永井委員 次に、一週間単位の非定型的変形制についてお尋ねをいたします。
 この変形制が採用されました場合は、日ごとの労働時間というものは、就業規則などで特定されないで、前週末までに通知されることになっております。したがって、日ごとの労働時間というのは、労働者の都合を無視して使用者で一方的に決められてしまう、これが問題ですね。労働者の生活に当然そのことが悪影響を及ぼすおそれがあります。したがって、使用者が労働時間を決定するに当たりましては、労働者の同意を得ることとするか、少なくとも本人の意思を尊重しなければならないこととする必要があると私は考えますが、これについてひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
#24
○平井国務大臣 今おっしゃいました一週間単位の非定型的変形労働時間制につきましては、労働省令におきまして、使用者が各日の労働時間を決めるに当たって本人の意思を尊重することを要件に加えることといたしております。
#25
○永井委員 ひとつそこはきちっと押さえてもらいたいと思います。
 次に、フレックスタイム制について触れてみたいと思います。
 この制度は、始業時間、終業時間を労働者本人が自由に決められることが要件となっているわけですね。そのとおりですね。しかし、理屈はそうであっても、場合によっては、この制度の趣旨に反しまして、企業側の都合によって勝手にいわゆるコア時間帯というものが決定されたり、フレックス時間帯に業務命令を発したりするおそれが十分にあります。したがって、このようなことが起こらないよう使用者に対する指導を十分行うべきだと思いますが、これについてどうお考えでございますか。
#26
○平賀政府委員 フレックスタイム制でございますが、この制度におきましては、第一に、就業規則により始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねることを定めることを要件とし、これによって対象労働者が始業及び終業の時刻を自主的に決定できる労働契約上の権利を持つことを明確にするとともに、第二に、労使協定によって対象労働者の範囲、労働時間に関する枠組みを定めることを要件としております。これらによって労働者の自主的な時間管理が保障されておりますし、御設問のような例は、これらの要件を満たしておらないものでございますので、これらはフレックタイム制には該当しないと存じますが、もちろん新しい制度でもございますし、制度の趣旨の周知徹底を図り、御指摘のようなことがないよう十分指導に努めてまいりたいと存じます。
#27
○永井委員 次に、法定労働時間の適用猶予措置ということについてお尋ねをしてみたいと思うわけであります。
 我が党は、来年四月からは週四十四時間制、そして三年後には週四十時間制を実施すべきだと主張しているわけであります。我が党としても、このようにした場合、小規模企業にとってはそれが過大な負担となる、そういうこともあるということも十分承知をいたしています。その場合には、一定の猶予措置を講ずることも当然必要となってくるでありましょう。そのことは必ずしも否定いたしませんが、しかし、労働基準法というのは、労働者の保護法としてあくまで労働条件に関する最低基準を定めるものであって、基本的には、労働者がどのような規模の企業で働こうとも、あるいは事業場で働こうとも一律に保障されなければならない、私はそう考えるわけであります。企業や事業場の規模によって最低労働条件が異なるようなことは、本来認められてはならないことだと私は思います。したがって、まずこのような猶予措置の期間ということについては、これが長期にわたれば、法のもとに平等という観点からいたしましても、憲法に違反することを免れず、当然必要最小限とすること、例えば二年以内として、かつそれを法律に明記すべきであると私は考えるのでありますが、御見解を賜りたいと思います。
#28
○平賀政府委員 我が国におきましては、業種や規模、特に企業規模あるいは事業場規模による労働時間の格差が大きいために、法定労働時間の短縮に当たって、すべての事業場に画一的にあるいは同時に行うこととすると、全体が中小零細規模の班業場の労働時間の実態に引きずられてしまう、したがって、その引き上げが困難になるというおそれがございます。そこで、労働時間の実態が立ちおくれております中小零細規模の事業場等について、一定の猶予期間を設けながら法定基準を引き上げるということが必要であろうと存じます。
 しかし、御質問にありましたように、労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律でございます。したがって、一時的であっても、余りにもそういった広い例外を設けることは適当ではございません。したがって、基本的には猶予期間の対象となる事業場はなるべく限定し、またその期間もなるべく短くすべきものであると考えております。
#29
○永井委員 さらに、この猶予措置の対象範囲でありますが、これはできるだけ絞り上げること、例えば私が申し上げる基準が絶対的にいいというものでもないかもしれませんけれども、しかし社会常識から考えて、あるいは事業の実態から考えて、せめて三十人未満ぐらいに限定することが必要だと私は思うのですが、どうでございますか。
#30
○平井国務大臣 猶予期間の対象問題につきましては、本会議においても御質疑があったわけでございますが、当面の法定労働時間の適用を猶予される事業場の範囲については、規模別、業種別の労働時間の実態に即して、その当該規模、また業種に属する事業場の相当部分の所定労働時間が週四十六時間以下となっているかどうかを基準にいたしまして、具体的には中央労働基準審議会の意見を聞いて決定することといたしました。できるだけ限定してまいりたいと考えております。
#31
○永井委員 大臣、恐縮ですが、本会議で私が指摘いたしましたように、事業所の数はざっと三百五十万ぐらいあると言われているのですね。そのうち、政府がこの法改正の中に盛り込んでいるような三百人以下という事業所を大体の概数で調べてみますと、三百二、三十万事業所に該当するというのです。だから、今大臣も中央労働基準審議会にもう一回意見を聞いて、こういうお話でありますが、本当に時間短縮を進めて、雇用の拡大を図っていくためにも大きな役割を持たせていこう、雇用創出の機会を拡大していこうということになりますと、この猶予期間の対象が広がれば広がるほどその趣旨は生かされないということになってくるわけです。だから、私はあえてせめて三十人未満と言っているのでありまして、今大臣の御答弁がありましたけれども、ここは非常に大事なところでありますから、もう一回重ねて大臣の決意を伺っておきたいと思います。
#32
○平井国務大臣 御指摘の問題につきましては、なかなか厳密な判断が難しい点もございますし、規模別、三百人以下等という一つの基準の設定の仕方においても内容がさまざまでございますので、ただいまお答え申し上げましたように、相当部分の所定労働時間が現実に週四十六時間以下となっておるものは除外するということになりますと、私はまあかなり限定されるのではないかと思いまするし、またできるだけ限定すべきであるというふうに考えております。
#33
○永井委員 時間の関係ではしょって恐縮でありますが、次に特例、換算問題についてお伺いしてみたいと思うわけであります。いわゆる法四十条の特例問題及び労働時間の換算的取り扱いということですね。
 政府の改正案によりますと、これらについて直接取り上げてはおりません。現在、十人未満の商業あるいはサービス業などについて、一日九時間週五十四時間制というものが特例適用されているわけです。今日、週四十時間制を目指そうとしているときに、このような長時間特例を残すということは、私は問題があると思います。早急にこれは廃止すべきであると考えますが、どうですか。
#34
○野崎政府委員 御指摘のとおり、商業・サービス業の労働時間の特例につきましては終戦直後からあったものでございますが、最近の情勢に照らし、これは基本的には廃止すべきものであるということで、数年前から段階的、計画的に廃止の作業を進めているところでございます。
#35
○永井委員 また、中央労働基準審議会の建議について見ますと、零細規模の商業・サービス業などについていわゆる労働時間の換算取り扱いを提起しているわけですね。これは長時間労働の固定化につながっていくと私は思います。手持ち時間は労働時間であるという原則を否定することにもなってきます。これは絶対に導入すべきでないと思うのでありますが、これについてもあわせて見解を伺いたいと思います。
#36
○平賀政府委員 先ほど野崎審議官が特例の問題についてお答えいたしましたが、零細規模の商業・サービス業の労働時間の取り扱いにつきましては、今までずっと中央労働基準審議会で、特例の問題として段階的に廃止するという方向で御検討いただきましたが、これまでの経過なども踏まえて、さらに中央労働基準審議会で十分に御審議をいただき、適切に対処いたしたいと考えております。
#37
○永井委員 その次に、下請保護措置の問題についてお伺いしてみたいと思います。
 これまた私が本会議の質問で強調したのでありますが、労働時間の短縮問題というのは、今の産業界の実態からいって、ある意味では中小企業労働者の問題あるいは中小企業の問題であるとも私は考えています。特に我が国の中小零細企業の大半を占めていると言われている下請企業について言いますと、親企業や発注元あるいは取引先から早期に定められた時間に納品を迫られて、仕方なく長時間労働や時間外あるいは休日労働ということでこれに対処していったり、あるいは単価の引き下げを要求されて、それが長時間労働にはね返ったりしているのが実情ではないか、こう思うわけでありますが、労働省としてのこれに対する御認識を伺っておきたいと思います。
#38
○平賀政府委員 御指摘のように、我が国の中小企業、特に製造部門などにおきましては、元請・下請関係にあるようなものが多いと存じます。そういった場合に、やはり下請企業で労働時間を短縮しようとする場合に、親企業あるいは発注元等の配慮が非常に重要である、こう認識しております。このため、労働省といたしましては、中小下請企業集団の労働時間の短縮を進めるに当たりましては、親企業等の協力を得ることが極めて大切であると考えておりまして、今後ともこういった親企業、関連企業等の労働時間短縮問題についての十分な御協力を要請してまいりたいと思っております。
#39
○永井委員 我が党は、公正取引委員会や通産省などに、今申し上げてきたような、こういう体質あるいは構造というものについて改善をすべきだ、このように要求してまいりました。労働条件の確保や改善についても、あわせて強力に指導するように要求をしてまいりました。労働省も、労働者の保護官庁として、そういう立場に立ってもらわないと、労働者は持っていくところがないわけですから、労働者の保護官庁として、関係各省庁に対して積極的かつ強力に働きかけるべきだと私は思うのでございますが、どうでございますか。
#40
○平賀政府委員 労働省の重大な使命として、労働条件の向上があり、その中でも現下の最大の問題、重要な課題の一つとして労働時間の短縮があると認識をしております。ただ、先ほど下請企業の問題もございましたけれども、労働時間の短縮を図ろうとする場合にいろいろ関連が深うございます。経済の構造調整とかあるいは企業経営の面とか、さらには我が国の産業政策、経済政策などにも深いかかわりがございます。したがって、労働時間短縮対策の推進に当たりましては、もちろん労働省が一生懸命やりますけれども、政府全体で取り組んでいくことが極めて重要であると認識しております。このため労働省といたしましては、通産省その他産業を所管する官庁などと協議を行うなど、関係省庁と連携を強めながら労働時間短縮に努めているところでございます。
 特に、中小企業におきましては、労働時間の短縮を進めるに当たりまして、経営基盤や元請・下請関係等の問題が、先ほど申し上げましたように非常に重要でありまして、私どもといたしましては、今後とも必要に応じて通産省その他関係省庁に特に協力を求めながら、労働時間短縮の積極的な推進に努めていきたいと存じます。
#41
○永井委員 次に、年次有給休暇の問題について触れてみたいと思うわけであります。
 周知のように、我が国の年次有給休暇の日数が少ないことも、我が国の年間総実労働時間が欧米諸国に比べて著しく長くなっている大きな要素だと私は思っています。欧米諸国では四労働週ないし六労働週の水準となっているわけです。我が国の場合には、規模三十人以上の企業で見た場合でも、平均付与日数が十五日間程度であります。実際の取得日数というのは八日程度にすぎないわけです。しかも、この取得日数はふえていくのではなくて、過去二年間見ましても逆に減っています。政府案というのは、最低付与日数を現在の六日から十日に引き上げるということにしておりますが、これでは極めて不十分だと私は思います。世界の先進国の仲間だと言い、私がよく言うことでありますが、日本が事実サミットの主催国になったこともある、そういう先進国であるとするなら、こういう問題についても当然欧米諸国の水準に追いつき追い越さなくてはいけないと思うのでありますから、そういう面からいくと極めて不十分だと思います。
 一九七〇年に採択されました年次有給休暇に関するILO百三十二号条約、私はこれも本会議で取り上げたのでありますが、三労働週以上としているわけです。したがって、少なくとも三労働週、つまり週休二日制を前提とすれば最低でも十五日は付与すべきではないかと思うのでございますが、どうでございますか。
#42
○平賀政府委員 我が国の労働時間の長さといいますか、労働時間が欧米諸国に比べて長いという要素の中に、もちろん週休二日制がおくれている、そういう所定労働時間が長いという要素、それからいろいろな雇用慣行等の事情で超過勤務が長いという要素などと並びまして、実は休暇の取得日数、特に年次有給休暇という形で休暇を取得する日数が非常に少ないというのが重要な要素になっていることは先生御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、今回の改正案を御審議いただきました中央労働基準審議会においても、年次有給休暇の問題、特に最低付与日数を何日とするかにつきまして、かなりの御議論がそこに集中をしておりました。審議の焦点の一つになっていたと言うことができますが、我が国における年次有給休暇の付与日数の実態は、特に中小企業での状況が低い、そういう中小企業の負担を考慮して、結局基準法研究会の御提案どおりに六日から十日に引き上げる、こういうことが適当とされたものでございます。したがって、原案もそういう考え方に立っております。
#43
○永井委員 政府の答弁を聞いていますと、政府は一体ILO条約というものを批准する気があるのかどうなのか私は疑いたくなります。世界で、極めてILO条約の批准率の低い、そういう汚名をかぶせられている日本でありまして、いろいろな面で日本は立ちおくれているわけですね。それは一つには、政府のそういうILO条約に対する、それを批准しなくてはいけない、条約に即応した国内法の整備をしなくてはいけない、実態を引き上げていかなくてはいけないという熱意も欠けていると私は思うのでありまして、これは承服できません。もっと積極的な答弁を再度求めたいと思うのでありますが、大臣の御答弁をお聞きいたしたいと思います。
#44
○平井国務大臣 ただいま御指摘の問題でございますけれども、年次有給休暇の最低付与日数の一層の引き上げにつきましては、原則として労使の一層の自主的な努力が必要であろうかと思うわけであります。当然政府といたしましても、今後の検討課題の一つであるというふうに認識をいたしております。
#45
○永井委員 今指摘しましたように、最低十日というのは余りにも不十分だと私は思います。こんなささやかな措置につきましても、なお適用猶予措置が講ぜられるということは大変な問題だと思います。この程度の引き上げ措置でありますと猶予措置など全く要らない。これが先進諸国と言われている仲間の中で、欧米諸国はぐうんと前に進んでいるわけでありますから、欧米の水準を超えて規定しようとしている、だからこれには一定期間では無理があるから猶予期間を与えるとかいろいろなことがあっても、それは私は納得できるのでありますが、欧米諸国の水準と比べて極めて低い、最低十日という水準にとどまっているにもかかわらず、この猶予措置をとるということは、私は納得できないわけであります。少なくとも猶予措置の対象範囲を極力絞って、例えばこれまた三十人未満程度の企業とするとか、あるいは猶予の期間につきましても、六年間などという長期にわたるものではなくて、例えばその半分の三年以内にするとか、この辺について再度お考えを聞きたいと思います。
#46
○平賀政府委員 先ほども申し上げましたけれども、中小零細規模の年次有給休暇付与の実態は、私どもの調査によりましても、大きな規模の事業場を入れて全体として法定の六日になっているところが六〇%以上ございます。特に、小さな規模の事業場につきましては、六割、七割、八割といいますか、そういう実態にございます。したがいまして、審議会の審議の過程におきましても、最低付与日数の増加は難しいのではないか、むしろできるだけ付与日数の中で取得率を向上させる方が先決ではないかという議論もございました。しかし、年次有給休暇として取得する日数の低さというのが、我が国の全体としての労働時間を長めている非常に大きな要素になっていることは事実でございますので、そういった小さな規模の事業場でも、猶予措置を講じても最低付与日数を引き上げるべきだ、そういう考え方のもとに、原案のように、一定の期間の後では六日を十日に引き上げるということで法改正を御提案したわけでございます。
 御指摘のように、確かに日本の有給休暇のとり方というのは欧米と違うところもございます。しかし、何とかしてこれを引き上げなければいけないということでございますので、私どもは、その本則に十日と入れたということは、少なくともその十日は必要であるということであります。それでも確かに、そのレベルはILO条約に規定する、例えば十五日というものには及ばないけれども、少なくとも猶予期間であっても、その十日以上をとることがやはり世界の水準であるということを十分御理解をいただき、こういった指導をしながら、もちろんその取得率の向上等もあわせて、我が国らしいやり方でも有給休暇をたくさんとっていただくように、私どもも全力を挙げて努力したいと考えております。
#47
○永井委員 今の日本の労使関係でいいますと、後で触れますけれども、与えられるべき休暇というものが完全に消化できないような状況にも置かれているわけですね。それは企業がすべてにおいて優先する、労働者の生活よりも企業の企業活動そのものが優先するという発想からそうなってきているわけですね。だから、この猶予措置問題についても、初めに猶予措置があって、だからある程度付与日数を引き上げていこうという発想ではなくて、付与日数を引き上げることが前にきて、特殊な条件の場合は猶予期間を設けるとか、こういう発想がないと、発想が狂っているわけですよ、我々と。これではいつまでたっても、私はまともな人間らしき生活をするようになっていかないと思うのですが、これについてもう一言お答えください。
#48
○平賀政府委員 年次有給休暇を取得するということが生活の質の向上にもつながる、そういう意味で、新前川レポートでも千八百時間を達成するためには、一つは完全週休二日制を定着すること、それから同じく年間二十日程度の年次有給休暇を完全に取得するということが目標と考えられております。私どもとしましては、生活の質の向上を図るために、年次有給休暇を国際水準でとるということがぜひ必要なことと考えて、最大限努力してまいりたいと思います。
#49
○永井委員 このILOの百三十二号条約ですけれども、年次有給休暇の取得の資格について、六カ月以上の勤務を条件としてはならないとしているわけですね。現行法は一年以上の継続勤務あるいは八割以上の出勤ということを条件としています。政府案はこの点について何ら改善しようとされていないわけですね。この点につきましても、ILO条約のように措置すべきだと私は思うのです。そうしませんと、ILOにもちろん労使の代表も行っておりますが、政府の代表も行っている。政府の代表も賛成をして条約を採択した。しかし法改正について言えば、ILOが条約で定めたその資格条件についても、そのことを今度のように改善しようとしていない。これではいつまでたってもILO条約を批准できませんよ。この点はどうでございますか。
#50
○平賀政府委員 ILOの諸条約、いろいろとございます。年次有給休暇につきましては、一つにはILO条約の中でも、三週間といいますか三労働週を最低とらなければいかぬということと、あわせて二労働週は連続してとらなければいかぬということと、先生御指摘のように、取得の要件について、六カ月以上の勤務を要件としてはならない、いろいろな規定が定められております。
 我が国で年次有給休暇の制度が導入された戦後の労働基準法が施行されて四十年になりますが、年次有給休暇のとり方というのは、このILO条約に盛られております慣行といいますか、欧米的な慣行とかなり違う形で進展をしてきている。そういう意味では、我が国の労働慣行とILO条約に定められておることとなかなかフィットしないところはございます。しかし、先ほどから御答弁申し上げておりますように、できるだけ我が国にふさわしい形で年次有給休暇の取得日数をふやしたい、基本的にはそう考えております。
 そこで、六カ月以上の要件をどうするかという問題でございますが、我が国の現行法で定められております、一年間継続勤務して、その期間の全労働日の八割以上を出勤したことを、その年次有給休暇付与の要件としているという点につきましては、やはり我が国の多くの企業で定着しております終身的な雇用慣行といいますか、そういうものに沿っていることでもあり、現段階ではこれを変更することはちょっと難しいと考えております。
#51
○永井委員 今の局長答弁は、私どもの要求からいきまして非常に不満そのもの、納得できませんが、この同じ有給休暇の関係について、さらにお尋ねをしていきたいと思うわけであります。
 労働省も御承知のはずでありますが、出稼ぎ労働者というのがありますね。かねてからこの出稼ぎ労働者の皆さんは年次有給休暇の付与を要求をしてきていらっしゃるわけでありますが、労働省としても、この要求に当然積極的な態度で応じるべきだと思うのでありますが、どうでございますか。
#52
○平賀政府委員 出稼ぎという形態で建設業等に働かれる方々につきましては、一般的にいいますと、契約の形態として継続勤務とはなっておりません。したがって、ただいまも申し上げました労働基準法上の年次有給休暇の規定は適用されないという場合が一般的であると存じます。しかし、現実にはしばしば同じ事業主に反復して使用されているという実態も確かにございますので、今回、実はパートタイムの方について比例付与を改正案として御提起申し上げました。出稼ぎ労働者の実態は必ずしも一様ではありませんけれども、そういった形で勤務されるような方々等につきましては、やはり現実の実態は業界のあれがいろいろございますけれども、できるだけそういうような年次休暇が事実上与えられるように関係事業主の方々にも十分指導し、いろいろと御相談をしてまいりたいと存じます。
#53
○永井委員 次に、この年次有給休暇の関係で、不利益な扱いを受けている問題について私は取り上げていきたいと思うわけであります。
 年休が完全に取得されていないという問題があります。これは今申し上げたとおりでありますが、これについて申し上げてみますと、労働者が年休をとろうとした場合、使用者側からさまざまな嫌がらせがあったり、賃金とか昇進あるいは昇格などに響くのではということがあったときには、とろうにもとれなくなってしまうわけですね。この点では、今の日本の労使関係という立場に立って考えると、極めて残念なことでありますが、労働者は弱い立場に置かれておるわけであります。まして、最近のように雇用情勢が悪化すればするほど労働者は必然的に弱い立場に立たされてしまいがちであります。
 しかし、この問題では行政の側に私は大きな責任があると思います。昭和五十三年六月の行政通達、いわゆる基発第三百五十五号では、皆勤手当の支給やボーナスの算定において、年休そのものを欠勤扱いすることについて、直ちに法違反とは認めがたい、こう言っているわけですね。ここにあります基発三百五十三号では、「精皆勤手当の額の算定に際して、年次有給休暇を取得した場合には不利益を与える取扱いをするため、年次有給休暇の取得が抑制される事態がみられるので、以下の点に留意して監督指導に当たること。」こう言われておるわけですね。その中で、直ちにそのことが法違反になるとは認めがたい、こういうふうに触れているわけですね。これは労働省の指導としては大変な問題だと私は思うのです。しかも驚いたことに、昭和三十年十一月三十日の通達、この基収四千七百十八号によりますと、「過去における案出勤日数に応じて賞与を支給することは、労働基準法違反とはならない。」こう言っているわけですね。もう一回触れますよ。」これは基収四千七百十八号の中身で、問答形式によって労働省が答えた形になっているわけであります。「年次有給休暇の買上の予約をし、これに基いて法第三十九条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じ乃至請求された日数を与えないことは、法第三十九条の違反であるが、過去における実出勤日数に応じて賞与を支給することは、労働基準法違反とはならない。」こう答えているわけであります。これは労働者の立場に立てば大変なことですよ。
 ちょっと話題が変わりますが、この前賃金の遡及措置について、この委員会で七月の末に私が取り上げましたときに、その基発は、この中身を改正する、事実上廃止するということの答弁をいただきました。今まで戦後四十何年たって先進諸国と言われる近代国家に成長して、経済は世界が目をみはるような成長を遂げてきて、その陰で働いてきた労働者が過酷な労働条件から脱し切れないでいる。その労働者の保護をすべき労働行政が、いろいろ調べてみると、その基発とかなんとかといういろいろな通達の中で、結果的に労働者の保護ではなくて、労働者の保護をすることを放棄するにふさわしいことが次々出てくることに私は驚いているわけであります。先日、このことについて労働省に確かめたのでありますが、この通達はまだ生きているということであります。こんなことでは年休取得による不利益な取り扱いというのはなくなるわけがない。三十年のこの通達は直ちに廃止すべきだ、廃止して年休取得による不利益な扱いを公正化させないように、法的措置を含めて強力な行政指導を行うべきだと私は思うのでありますが、これについて明確な御答弁をお伺いいたしたいと思います。
#54
○平賀政府委員 最低基準を運用する労働基準法三十九条の規定に反するかどうかという解釈の問題につきまして、御指摘の通達などは、その法違反を形成するかどうかという立場から出された通達でございます。しかし、年次有給休暇の問題については、再三お話し申し上げておりますように、年次有給休暇をできるだけとっていただかなければならない、そういうことが時代の要請になってきております。
 まず第一点、御指摘の通達につきましては、労働基準法改正とともに通達の大幅な整理をするということを考えておりますので、早急に廃止したいと考えております。
 また、精皆勤手当とか賞与の額の算定に際して、年次有給休暇を取得した日数を欠勤として扱うあるいは欠勤に準じて扱うとか、いわゆる不利益取り扱いと言われているものにつきましては、労働者の権利として認められ、とることが必要であると考えられます年次有給休暇の取得を事実上抑制し、むしろ労働基準法三十九条の趣旨に反するものと考えられますので、今後とも十分に指導をし、その指導を徹底させてまいりたいと存じます。
#55
○永井委員 今御答弁いただいたのですが、三十年に出されたこの通達は、直ちに廃止すべきではないか、廃止すべきだと今私は求めているわけです。もう一回明確に答えてください。
#56
○平賀政府委員 御趣旨はよくわかります。ただ、そういうことでございまして、この通達はそういう意味では事実上死に体になっていると私どもは考えております。
#57
○永井委員 どうもいま一つ腹の中にすぽっと入らないわけですけれども、大臣、もう一回繰り返して言いますよ。
 労働省は労働者を保護する行政官庁なのですね。その労働省が、法律がつくられた、その法律を適用するに当たって、それぞれの実態においてはいろいろな問題があるだろう、そこまではいいのです。その問題について労働省がいろいろな通達を出すのでありますが、少なくとも労働者の権利が侵害されたりあるいは企業の側が労働者の権利を侵害することを結果として容認するような通達があったのではならない。いろいろ調べてみると、この間の賃金遡及措置もそうでありましたし、今回のこの問題もそうでありますが、私は厳格に言って労働者の保護という立場に立ったものとは言えないと思うのですが、そういうことでは、働きバチとかいろいろなことで批判も受けているのでありますが、日本の労働行政というものはなかなか前進をしていかないのではないか、こう聞いているのであります。どうでございますか。
#58
○平井国務大臣 ただいま御指摘の通達、昭和三十年十一月三十日の通達でございますが、局長からも実態に即してもう死に体であるという答弁でございましたが、この通達につきましては、率直に申し上げて廃止するところであります。
#59
○永井委員 わかりました。
 それでは、次に入ります。
 事業場外とか裁量労働という問題について触れてみたいと思うわけでありますが、この事業場外労働ということについては、これまでも施行規則第二十二条によりまして、例えば新聞記者の皆さんなどについてもいわゆるみなし労働時間制が認められてきているわけであります。きょうも後ろの方には新聞記者の皆さんがたくさん取材に来ておられるわけでありますが、その仕事に費やす時間あるいは拘束される時間が長いのに比べて、賃金は極めて低いという話を私は具体的に新聞記者の皆さんからも聞いております。これは一つの実態ですね。あるいはコンピューター関連の労働者からも同じようなことが聞かされています。
 政府案によりますと、これら事業場外労働について、労働の実態に応じた労働時間の算定が行われるようにするための措置だと説明がされているわけでありますが、現状の実態から見て、この制度が労働者に不利益に利用されるおそれが多分にあると私は思います。事志と違ってといいますか、そういうことが十分に想定できます。したがって、そのようなことがないようにするために、すべての労使協定の締結とその届け出を義務づけることにしまして、趣旨に反することが行われないように必要なチェックを厳しくするようにすべきだと思います。また、その厳しくチェックできるような体制もあわせて労働省は持つべきだと思うのですが、どうでございますか。
#60
○平井国務大臣 今おっしゃいますことは、事業場外労働の場合に、不利益にならぬように労使協定の締結、さらには労使協定の基準監督署への届け出というものは考えないかということでございますが、事業場外で労働する場合につきまして、すべて労使協定の締結を義務づけますことは、事業場外労働が突発的に生ずるような場合もございまして適当ではございませんが、そのような場合は別として、常態として行われる事業場外労働につきましては、あらかじめ労使協定を締結しておくよう指導してまいりたいと考えております。
 また、御指摘の届け出でございますが、これにつきましては、法定労働時間を超える労働時間を定める労使協定、三六協定でございますけれども、労働基準監督署への届け出を義務づける方向で中央労働基準審議会に諮る所存でございます。
#61
○永井委員 その次に、技術革新とのかかわり合いでありますが、技術革新の進展や産業構造の変化に伴って、研究開発と言われる高度に専門的な業務に従事する労働者が極めて増大をしてきています。このような労働は、目標や課題は設定されたといたしましても、具体的にあれこれというふうに指示することができない仕事の性格を持っているわけですね。こうした分野の労働者の現状を見ますと、企業間競争の中で、いわゆる納期時間などに追われでしばしば夜も星もなく集中的に働かされるという実態がたくさん出てきています。そのことから強度のストレスがたまったり、体を壊したり、中には自殺者を出すということにもなっているわけです。これは高度な社会に発展したその陰で必ず起きてきていることだと私は思うのであります。また現実に起きてきているわけです。
 政府は、このような特殊な労働について、その実態に応じた労働時間の算定が行われるような措置だと説明しているわけでありますが、この裁量労働について、まず客観的に対象業務を特定することができるはずでありますから、労使協定ではなく命令で定めることとすべきではないかと私は思うわけであります。またこの制度が労働者に不利益に利用されることのないように、労使協定の届け出に当たっては厳重にチェックすべきだと思うのでありますが、これまたお考えを聞いておきたいと思います。
#62
○平賀政府委員 裁量労働の問題につきましては、御指摘のように、非常に新しい技術の進展あるいは研究開発業務などの状況に応じて新しく提案申し上げた制度でございますが、御指摘のような御趣旨を十分に踏まえまして、まず法の周知徹底を図りたいと存じます。また対象となる業務につきましては、通達で主要なものを明示し、届け出があった際に適切に指導することといたしたいと存じます。
#63
○永井委員 ところで、いろいろな労働形態があるわけでありますが、特殊な労働形態の問題についてちょっとお聞きをしておきたいと思うわけであります。
 それは自動車の運転という業務でありますが、政府はこの七年来、我が国の労働時間短縮の目標として年間二千時間を掲げてきたわけですね。何も嫌みで言うわけじゃありませんよ、嫌みで言うわけじゃないけれども、政府がそういう目標を掲げてきたことがそのまま着実に達成されておれば、昭和六十年には二千時間以内になっておらなくてはいけなかったのですね。私も記憶にあるのですが、この社会労働委員会でも何回かごの労働時間問題で私が質問をしましたときに、歴代の労働大臣は昭和六十年までに二千時間に到達するようにいたしますという答弁を繰り返していらっしゃる。しかし、現実には六十二年になっても二千時間をはるかに超えているわけですね。とりわけこの自動車の運転者の場合、年間三千時間も超えているというのが大変多くの例で見られるわけであります。そのこともトラックによる交通事故が絶えない背景になっていると私は思うのですね。
 いわゆる長時間労働によって過労運転に陥る。このことについて改めて監督をする立場にある運輸省に聞いておきたいと思うのでありますけれども、事故を防止すること、安全運転の確保という観点からいたしまして、この自動車運転者の労働時間の改善が極めて重要だと思うのですが、運輸省の御認識を聞かせてください。
#64
○小幡説明員 先生御指摘のように、トラックを初めとする自動車運転手の労働時間問題につきましては、安全問題ということから極めて大事な問題であると考えておりまして、特にトラックにつきましては、その問題が大きゅうございますので、本年度は過労運転の防止を最重点に置いて監査を実施するなど、関係業界に対する指導を強めておるところでございます。
#65
○永井委員 この問題は非常に重要な問題ですから、ちょっと掘り下げて聞きますが、この間私は交通安全対策特別委員会でこの問題について触れました。一つの例として申し上げたのです。
 ある運送会社は、その自動車の運転者に対して運行計画を示して、そのとおりに輸送に当たるように指示いたしました。その例というのは、新聞に大きく書かれたことでありますから、御記憶にあるかと思いますが、函館の運送業者でありました。その函館の運送業者は、荷物を積んで岡山まで行かせる。岡山から金沢へ行き、金沢から小田原へ来る、小田原から東京へ来て、東京からまた函館へ戻る。それは全部むだのないように、行くときに荷物を積むこと、帰りに空便で帰ってこないように荷物を確保することを含めてです。もう一回言いますよ。函館から岡山、岡山から金沢、金沢から小田原、小田原から東京、そして東京から函館。これを出発してからどんなことがあっても七十五時間以内に帰ってこいという命令なんですよ。だから、その運転者は金沢でわずか二時間しか仮眠しなかった、たった二時間しか。そして小田原へ来る途中に居眠り運転で一家六人の乗ったライトバンをはねて、全員殺してしまった。これは端的な例でマスコミに取り上げられました。
 こんなことは大なり小なり随所に出てきていることなんです。あえてここで私は論議をしようとは思わなかったのでありますが、ちょっと時間の関係からいって申し上げておきたいと思うのです。
 その一つは、かんばん方式なんです。かんばん方式というのは、昔は一つの企業が生産をするときに、当然そこに必要な部品は全部まとめていつでも使えるように、予備品というのですか、全部倉庫に保管をしておきまして、必要な都度それを出してきます。今そんなことをやっている大企業はほとんどないのです。この間もある自動車会社にほかの問題で視察に行きました。そこの会社の幹部に御説明していただいたのでありますが、大きな倉庫がある。この倉庫は製造するための部品とかそういうものを全部確保してあった倉庫なんです。今は輸送方法、調達方法が変わりまして、この倉庫は無用の長物になりました、こういう御説明であります。その企業はそれでいいのですが、定められた時間に定められた品物を関連企業から間違いなく生産をしている企業に届ける。いわゆるむだを省くために倉庫も要らないという実態なんです。そのためにトラックの運送業者などは大変な責任を負わされるわけですね。もし定められた時間に部品が到達しなかったら、今度最後の生産工場では生産ができなくなるわけですからペナルティーが与えられる。ところがその輸送会社の実態というのは、元請があって下請があって孫請があって、こういう形になっておる。だんだんそのしわ寄せが下にいくものですから、今言った函館の運送業者のようなことなりました。
 これは事故を起こした本人は懲役三年でしたか、はっきり定かに覚えておりませんが、三年ぐらいでした。ところがそれを命じた企業者は、たった十日間十台のトラックの運送を停止するという処分でとどまってしまうわけです。こういうことが実態なんです。これが事故につながり、そして大型トラックでいいますと、長時間労働の背景になっているわけですから、そういう面で、運輸省はいろいろ御指導なさっていると思うのでありますが、今の長労働時間の一つの象徴的と言える輸送関係について、どのような御見解を持っていらっしゃるか、もう一回お答えください。
#66
○小幡説明員 先生御指摘のように、実はかんばん方式等から始まりまして、現在ジャストインタイムと言われる荷主さんの非常に厳しい御注文をいただいた形での運送が広がっております。我々といたしましても、これがトラック経営あるいは先生御指摘のような交通安全というところに問題を惹起するようなことになりますと非常に問題でございますので、そういう実態について今つぶさに勉強しているところでございますし、そういう問題につきましては、関係省庁とも連絡を密にいたしまして、荷主さんに対する理解、協力というようなことも考えてみたいということで勉強を続けているところであります。
#67
○永井委員 そういう御認識なら、私はまだ不十分だと思いますけれども、本当にそういうものを改善する決意がもう一つにじみ出ていないですね、私から言いますと。しかし、一応そういう認識を持っていらっしゃるとすると、労働時間の改善に取り組んでいる労働省のこれからの取り組みについて全面的に協力すべきだと私は思いますが、ここで協力するということを改めてひとつ約束してください、当然のことだと思いますが。
#68
○小幡説明員 先ほど申し上げましたように、労働時間につきましては、労働問題のみならず交通安全ということ、特に運輸産業のかなめの安全問題にもかかわってまいりますので、我々としては、この総労働時間の短縮問題につきましては、労働省と緊密な連携をとりつつ努力してまいりたいと思っております。
#69
○永井委員 もう一つお尋ねしておきます。
 これは労働省にもかかわり合いがもちろんあることなのでありますが、トラックの長距離運転に従事している人が事故を起こしたりした場合に、当然労災の適用になりますね。この労災の適用について、いわば過労運転ということの原因が、見解の相違で対立をしてなかなか労災認定がされないというケースもあるのです。これはもちろん労働省の所管でありますけれども、今申し上げたように、トラックの運転者の皆さんが三千時間を超えるというふうな長労働時間を余儀なくされているということから、労災事件に発展することが極めて多いと私は思うのですね。もちろんそこには、この時間短縮と直接関係はありませんけれども、過積みの問題もありますね。いろいろ運輸省に聞きますと、このように指導していますと指導文書を持ってくるのですよ。幾ら指導文書を持ってきても、なかなか末端まで届きません、そういう指導文書は。いわゆるトラック協会というところでどのように処理されているかわかりませんけれども、なかなか末端まで浸透しない。こういうことがそういう長労働時間に結果として拍車をかけてしまうということになっておるわけでありますから、運輸省としての責任は極めて重いと私は思います。しかも労働時間の短縮は、世界的な日本に対する要求にもなっているわけでありますから、労働時間を具体的に短縮をして、雇用機会を創出させていくということが、今言っている貿易摩擦ということですか、外国からの圧力にも十分にこたえることができるということになっていくと私どもは思うのでありますので、繰り返して恐縮でありますが、もう一回運輸省が、私らからすると異常な決意と言えるくらいの決意を持って当たりますということくらいはきちっとしてもらいませんと、きょうはここに運輸大臣は来ていませんけれども、なかなか労働時間短縮について、私どもがよしこれで何とか成果が上がるなということになっていきませんので、ひとつお答えください。
#70
○小幡説明員 先ほど申し上げましたように、実は個別の末端の事業者に至るまでの指導監督を徹底したいということで、本年度は過労運転の防止、それから過積み、この二点を最重点とした全国的な監査を実施中でございます。そういうことを通じまして、末端までわたった指導監督を徹底したいということを考え、努力中でございます。
#71
○永井委員 大分時間もなくなってまいりましたので、もう大体ここらで質問を集約しておきたいと思うのでありますが、労働省は、今運輸省と私が質問してやりとりいたしました自動車運転者の労働時間を改善するために、八年前にいわゆる二七通達を出しておるわけですね。この二七通達を出して自動車運転者の労働時間問題の改善に取り組んできたはずでありますが、しかし、私が今申し上げたように、現実にはほとんど改善されていないのですよ。しかも労働時間はさらに長くなる傾向さえ見られております。片方で国鉄がJRになりましたね。ローカル線が廃止をされてきました。片方で今度また何か閣議でも決められたそうでありますけれども、大変な高速道路網をさらに建設する、こういう話であります。在来の道路ならさておいて、高速道路が発展すれば発展するほどトラックによる長距離輸送は当然ふえてくるのです。そのことが物流形態も変えていくのでありますが、その変革していく物流形態の中で、今申し上げたような自動車の運転者に対する労働時間の問題点がさらに大きく浮かび上がってくるわけであります。したがって、この自動車運転者の問題につきましては、その事業のあり方も含めまして、当然法律的な規制措置を講じたり、あるいは単なるこれまでのような通達による指導だけではなくて、抜本的な対策が必要だと私は思うのであります。これはだれの目から見ても明らかだと思うのですね。
 現在、この問題については、中央労働基準審議会で小委員会が設けられて検討が進められているわけでありますが、運輸省もただいま約束してくれたことでもありますし、運輸省を初め関係各省庁の責任者にも積極的に小委員会に参加してもらって、広い角度から関係省庁一体となって、早急に真に実効性のある結論を出すことが大事だと私は思います。例えば年内にもその結論を得られるように努力をして政府の原案で施行期日は来年の四月一日と法改正を求めているわけでありますが、少なくとも同じ労働時間の短縮という大きな課題を持ち、その中でさらに大きな焦点が当てられるべきである自動車の運転者の問題については、来年の四月からは有効な施策というものが必ず実施できるように、私はここで労働省として明確に約束してもらいたいと思うのです。労働大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。
#72
○平井国務大臣 委員おっしゃいますように、自動車運転者の労働時間につきましては、いろいろお話ございましたさまざまな問題もございます。したがって、早急にその改善を図ることが必要であると私は認識をいたしております。
 この自動車運転者の労働時間の規制にかかわる問題につきましては、御指摘のとおり、現在中央労働基準審議会に関係業界の労使代表が参加する自動車運転者労働時間問題小委員会が設置をされまして、検討が行われているところでございますが、この問題につきましては、今次法改正と一体のものとして、早期にこの小委員会の結論が得られますように、引き続いて努力をしてまいるべきものと思っております。
#73
○永井委員 時間が大分なくなってまいりましたので、これで終わりたいと思うのでありますが、現在の労働の実態といいますか、統計資料で数字を並べて済むだけの問題ではないということなんですね。その数字の裏に隠されている問題というのは、大変な問題をたくさん含んでいる。法改正をする以上は、その統計数字の裏に隠されている問題にまで当然メスを入れるつもりで法改正をしていきませんと、実際の効果を上げることは極めて困難になってくると私は思うのです。
 労働省は、きょう労働省の創設四十周年記念日であります。非常におめでたいことでありますが、四十周年の記念日を迎えたきょう、私が繰り返し繰り返し申し上げてきましたように、先進国と言われ、近代国家と言われている、しかも世界から貿易摩擦で今厳しい対象にされているわけでありますが、そういうときに労働省は四十周年を記念して新しく一歩踏み出す。その一歩踏み出すのは、あくまでもこの高度に発展した経済社会において、労働者の保護をする立場に立っての労働行政でなければならない。
 そういう意味で、私は今たくさんの問題を、一つ一つ深く掘り下げることはできませんでしたけれども、問題提起をしてきました。具体的に修正も求めております。ひとつ積極的に私どもの要求や提言を受け入れてもらって、この二〇〇〇年時代、二十一世紀を迎えて、それにふさわしい労働実態というものが成熟していきますように、再度労働大臣の決意を伺って、私は終わりたいと思います。
#74
○平井国務大臣 御案内のように、労働の内容、就業の形態が非常に高度化、多様化してまいりました。また経済問題一つとらえましても、非常に大きな転換期であろうかと思います。今お話ございましたが、ちょうど本日、労働省設置四十周年ということで、決意を新たにニュー労働省として行政の需要に対して的確に今後こたえていかなければならぬ。本委員会でお願いを申し上げております時間短縮問題にいたしましても、時代の要請とも申しましょうか、そういう実態に即して、着実に、できるだけ早く時間短縮を実現いたしまして、国民の生活パターンも大きく変えていかなければならぬ。そういう中で国民各層の生活の質的な向上を図る、そして勤労者の生活の安定、また福祉の向上ということが我々労働省の非常に大きい政策目標でございまして、御指摘の点を十分に踏まえまして、今後とも一層努力を重ねてまいる決意でございます。
#75
○永井委員 まだたくさん問題はありますが、あとの問題は、この後引き続き同僚の村山先生の方から質問していただくことにいたしまして、私の質問を終わります。
#76
○堀内委員長 村山富市君。
#77
○村山(富)委員 通産省見えていますか。基準法問題に入る前に、この際、通産省の見解も承っておきたいと思うのです。
 ILO条約というのは、単に労働者の人権を守るとかあるいは保護をするというだけではなくて、国際的に労働時間等を平準化することによって、国際的な公正競争がなされるような前提条件を整備する、こういう意味のねらいもあるのじゃないかと思うのです。日本の労働者は、そういう意味では国際的にも長時間労働、働き過ぎるというようなことが批判の対象になっているわけです。公正競争を維持するために、その前提となる国内的条件を整備するということは、やはり必要なことではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
#78
○広瀬説明員 申し上げるまでもありませんけれども、公正競争ということを考えます場合に一番問題になるケースは、賃金とかあるいは原材料の費用といった生産のコストが正当に製品の販売価格に反映されていない場合とか、あるいはブランドの侵害等工業所有権の侵害をされた製品が売られておるといったような場合だと存じております。したがいまして、我が国の労働時間が欧米諸国と比べて比較的長いから、それが直ちに不公正な競争をしているということにつながるということではないと思います。
 しかしながら、申すまでもございませんけれども、我が国の経済は、今や規模においても世界の経済の一割以上を占めるに至っておる、競争力もむしろ高過ぎる、強過ぎることが問題になっておるというような時世でございまして、これだけの経済規模、競争力というのを、むしろ国民生活の質的な充実につなげていく、それで今までの輸出依存型の産業構造から内需主導型の産業構造に変えていくということが非常に大事な時期に来ているのではないかと思います。本年四月の経済審議会のレポートあるいは同じく五月の政府の緊急経済対策におきましても、そういった面から労働時間の見直しあるいは短縮ということが議論をされておりまして、私どもも、御指摘のように、労働時間の見直しや短縮というのを、政府としても期待をしておるわけでございます。
#79
○村山(富)委員 これは参考までに聞きたいと思うのですが、仮に日本の労働者の労働時間を西ドイツ並みにしたという場合に、国際競争力にどういう影響があると思われますか。
#80
○広瀬説明員 国際競争力につきましては、今一番問題になっております為替レートの問題とか技術力あるいは資本装備率等々、国際競争力を規定していく要因が多々あろうかと思います。したがいまして、労働時間のみから決まるものではないと思いますけれども、我が国の場合、賃金の額といいますのは、月額単位で決まっていることが多いわけでございますから、労働時間の短縮ということになりますと、単位時間当たりのコストの上昇ということになるわけでございまして、その面では競争力の減少につながることになろうかと思います。
 他方、労働時間の短縮ということになりますと、それだけ労働者が、あるいは従業員が時間を有効に活用することによりまして、能力や労働者のモラルの向上といったようなことも図られるわけでございまして、むしろ生産性上昇の要因になるのじゃないかというような試算もあるわけでございます。
 いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、我が国の経済の規模あるいは競争力は、もう既に欧米並み、それ以上のところまで来ておるわけでございますから、我が国としましては、内需志向型の経済構造をつくっていくという意味で、労働時間の短縮等も考えて、国民の生活面での質的向上を図っていく必要があろうかと思いますで私どもとしましては、労働時間の短縮というのは、経済構造調整を進める上で非常に重要なテーマの一つではないかと存じておる次第でございます。
#81
○村山(富)委員 いろいろ説明はあると思うのですけれども、端的に申し上げますと、日本の長時間労働というものが国際競争力を強化していく一因になっておることは否定し得ないと思うのですね。それがまた結果的には異常な黒字をもたらしておる。それが逆に、今度は円高ではね返ってきておる。こういう悪循環を繰り返しておる。
 ですから、今お話がございましたように、日本の経済構造を外部依存から内需依存に体質を変えていくとかいろいろな要因はあると思いますけれども、時間短縮というものも、例えばコストを若干上げて均衡を保っていく、同時に余暇をつくることによって内需喚起に奉仕していく、いろいろな意味で効用があると思うのですね。そういうことから、労働時間の短縮というのは、国際的、国内的な要因から考えてみても、緊急の課題になっておる。これは五年先、十年先の問題でなくて、今どうするかという問題なんですね。そういう意味から申し上げますと、私は積極的に時間短縮に取り組んでいく必要があると思うし、これはまさに緊急の課題ではないかと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
#82
○広瀬説明員 全く先生の御指摘のとおりだと思います。そういう意味で、私どもとしましては、労働時間の短縮ができるような環境をつくっていき、企業みずからがそういうことに対応できるような体制を整えていく必要があると考えております。
#83
○村山(富)委員 通産省の方が見えていますから、お尋ねしておきたいと思うのですけれども、先ほど永井委員からもお話がありましたけれども、時間短縮ができない最大のネックは、企業間競争が不公平である、同時に元請・下請・孫請といったような日本の経済構造に要因があると私は思う。しかも、その下請の中では全部競争ですからね。ですから、例えばAという元請の企業に対して十の下請がある。こうした場合に、その十の下請は、できるだけ品質のいい物を安く、時間に間に合わせて納品をしようというので、まさに競争なんです。その競争する下請の中で、労働時間の短縮とか労働者の権利とか言っておったのでは企業はもたぬ、つぶれてしまう、だからここは目をつぶって働いてくれ、こういう企業からの要請がありますと、労働者はやむなく働くのです。だから労働基準法違反もあるし、全く労働基準法なんか無視されているという職場も現実にあるわけです。こういう現状をどう打開していくかという努力がなかったら、労働時間の短縮はなかなかできないのではないか、言うほど簡単ではないというふうに私は思うのです。
 そこで、いろいろ申し上げる時間がありませんから、端的に言っておきたいと思うのですが、例えばフランスなんかの場合、労働協約を持っていない企業の労働者が労働協約を適用されている企業の下請関係にある場合、その労働協約の拡張を申請すれば適用は可能となる、こういう制度がつくられておりますし、それから一般的拘束力を持ったような西ドイツの場合もあります。ですから、元請と下請の関係は、力の関係でもって労働時間の短縮ができるとかできないとかいうのではなくて、労働者を保護するということからすれば、法の前には平等なんだから、同じ企業、同じ工場の中で働いている労働者が元請も下請も同じ労働条件で働かされておるということをつくらしていくことが大事ではないかということから考えた場合に、そういう点も検討していいんではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
#84
○平賀政府委員 元請・下請の関係がある、あるいは構内に下請があって、親会社と下請会社とでそれぞれ法定労働時間が異なる場合がある、あるいはそれそれ労働協約が異なるというようないろいろな場合があろうかと思います。しかしそういった場合に、労働協約を拡張的に適用するというようなやり方は、必ずしも実態に沿わないと思います。結局構内下請、そういった場合について、下請企業の労働時間その他について親企業の協力を待ちながら、関連企業の労働時間の問題あるいはその辺の労働条件のあり方等について一つのグループとして指導してまいりたい、こう思います。
#85
○村山(富)委員 そういうことを言っておったのではなかなかできないのです、これは現実に競争させられているわけですから。そして円高でもうけが減れば、その減った分だけは全部下請にかぶせていくのですよ。だから下請はますます厳しくなる。労働者は過酷になる。こういう縦系列の経済構造というものに対してもっと配慮するものがなければ、なかなか時間短縮はできないのではないか、私はこう思うので、時間がないから、これ以上触れませんけれども、通産省も労働省もそういう意味における時間短縮を促進をしていくという意味からすれば、もっとお互いに協力し合って改善ができるように推進をしていくという努力をしてもらいたいと思いますから、そのことだけをお願いしておきます。
 そこで、次に移りたいと思います。
 今通産省の見解も聞いたわけですが、労働時間短縮というのは、国際的にも国内的にも緊急の課題となっているということはだれも否定しないわけです。これまでの当委員会の政府の答弁を聞いていますと、週四十時間労働制の実現についてどうも消極的過ぎる、余りにもできない実態を強調し過ぎているんではないか。それだけに私はここではっきりさせておきたいと思うのですが、そういう実態があればあるほど、その実態を解消することが必要ではないか。その実態を改善するためには、どうしても法的措置が必要であるということを私は強調して申し上げておきたいと思うのである。またそのためにこそ今回労働基準法の改正が俎上に上って問題になっておるというふうにも理解されるわけです。
 これまで再三指摘されておりますように、政府の統一方針であり国際的公約ともなっている新前川レポートを見ますと、二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に年間総労働時間を千八百時間程度とすることを目標にしている。この目標を実現するためには、できるだけ速やかに週四十時間制に移行しなければならないことは明確なんです。今までの答弁を聞いておりますと、どうもそのことについては消極的過ぎるというふうに思われるのですが、もっと積極的な、前向きな答弁をこの際いただいておきたいというふうに思うのです。
#86
○平井国務大臣 委員のおっしゃいます週四十時間制への移行時期の問題でございますが、当委員会でできるだけ早期ということでいろいろ御議論をいただいておりますけれども、今おっしゃいました新前川レポートの目標の実現を図るために、一九九〇年代前半に移行できるように極力努力をいたしてまいりたいと思います。
 同時に、私の率直な感じで申し上げますと、時間短縮というのは、一つの補完的な、かつ、かつてない有効な方法として、所定内労働時間を切り込んでいくという基準法の改正をお願いいたしたわけでございますけれども、総労働時間の短縮ということを考えてみますると、なかなか一つの法律改正だけですべて実現するわけでございませんで、同時によく話題になっております公務員の問題、金融機関の問題、国民各層のコンセンサス、なかんずく当委員会で御議論をいただいております中小企業に対する今後の時短促進の問題等々総合的な政策を持って、この問題に極力取り組んでいかなければならない、時間短縮の進めぐあい、一にかかってここらあたりに問題点があろうかと私は考えております。
#87
○村山(富)委員 今一九九〇年代の前半というお話があったわけですが、前半といったって相当の幅があるわけですよ。私は、今までずっと議論されてまいりました労働時間短縮のための当面する課題というものを考えた場合に、やはり早期に移行できるようにすることが望ましいと考えるわけです。そこで一九九〇年代の前半の半ばといえば、一九九三年くらいまでに週四十時間制に移行できるように努力すべきじゃないかというように考えるのです。労働時間短縮というのは、やはり目標を設定して、労使が計画的にその目標が実現できるように努力していく、同時に行政府もそのために援助し指導し協力していく、こういう全体の努力がなければ、今大臣が言われたようになかなか実現できないと思うのです。目標が漠然としていますと、計画的に努力していくということもできませんから、この際、ある程度目標を明らかにしておく必要があるのではないか。ですから、一九九〇年代の前半というのではなくて、もう少し目標を明確にしておくことが必要ではないかというように思うので、再度大臣の見解をお聞きしたいと思うのです。
#88
○平井国務大臣 一九九〇年代の前半、できるだけ早期ということでございまして、御議論の中で一九九三年なのか九五年なのかいろいろ御議論ございましたけれども、私としては、御趣旨に沿うような方向、またその時点において最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#89
○村山(富)委員 そういうことでなくて、一九九〇年にできれば一番いいわけですからね。ひとつお願いしておきます。
 次に、当面の週法定労働時間についてお尋ねしたいと思うのですが、今の日本の労働時間の実態等を考えた場合に、早急に欧米並みの労働時間水準に近づけるためには、週四十六時間というのではなくて、週四十四時間制からスタートするということくらいを想定することが必要ではないかというように思うのですが、どうでしょうか。
#90
○平賀政府委員 週四十四時間制からスタートをせよという御質問でございますが、現状におきましては、週四十四時間を超えている事業場の労働者数の割合といたしまして、これが五三%でございまして、さらに事業場数の割合でいきますと、これが七〇%になります。中小規模事業場の半数以上が現段階では現行法の週四十八時間にとどまっているという実態を考慮しますと、法定労働時間は、中央労働基準審議会の建議に沿って、当面は週四十六時間として、できるだけ早い時期に四十四時間とすることが適当と考えております。
#91
○村山(富)委員 いや、それは私は今局長の答弁を聞いていますと、さっき言いましたように、現状を余りにも肯定し過ぎて、是認し過ぎていると思うのです。やはり前向きに、一歩でも二歩でも前に進もうという気があるなら、現状を引っ張っていくというくらいの出発点が必要ではないかというふうに思うのです。
 週四十六時間では、事実上労働時間が短縮されるとは思いませんし、同時に本気になって時間短縮をやるという気があるのかどうか疑わしくなるとさえ言わなければならぬくらいに私には受けとめられるのです。したがって、この点についての大臣の答弁をここで改めてお聞かせいただきたいと思うのです。
#92
○平井国務大臣 今局長も申し上げたわけでございますが、当面の法定労働時間につきましては、週四十六時間とするわけでございますが、法改正施行後三年を目途に、できるだけ速やかに週四十四時間といたしたいというふうに考えております。
#93
○村山(富)委員 できるだけ速やかに。さっき言いましたように、目標を設定して、目標に計画的に近づいていくという努力は必要ですからね。やはり目標を設定するということが大事だと私は思うのですよ。そうでなければ漠然と、速やかにとかいろいろ言ってみたって、それはなかなか実現はしにくいし、これは何といっても労使の協力が必要なんですよ。労使の協力と努力があって初めて実現できるわけですからね。私はやはりもう少し明確な目標設定というものが必要ではないかと思うので、再度お尋ねしたいと思うのです。
    〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
#94
○平井国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、時間短縮の方向についてはどなたも御異論はないわけでございます。
 ただ、この設定年次というのが、すべて現状を肯定して、そこにこだわり過ぎるのではないかという委員の御指摘がございますけれども、私ども決してそうではございません。相当部分の問題点を抱えております中小企業等の現状を考えました場合に、やはりできるだけ早期という中で、中小企業等に配慮しながら、実際的効果は、今後の我我の施策、また労使の努力、国民の理解ということではなかろうかと考えておりますので、そういう方向で最大限の努力をいたしたいと考えております。
#95
○平賀政府委員 中央労働基準審議会の建議では、できるだけ早い時期に四十四時間に移行するということが述べられておりますが、その点につきまして、先ほどの大臣の御答弁を補足いたしますれば、まず少なくとも三年を目標として設定し、その中でもできるだけ早い時期に実施したいということで最大限努力する、こういうことでございます。
#96
○村山(富)委員 時間の関係もありますから、次に移らせてもらいます。
 次に、時間外あるいは休日労働の問題についてお尋ねしておきたいと思います。
 我が国の時間外・休日労働時間が多いことも、年間総実労働時間が欧米諸国に比べて著しく長いものになっている一つの要素になっていることは否定し得ないと思うのです。この問題につきましては、先ほどもお話があったのですが、賃金あるいは実質可処分所得等々が密接に関連しておりますし、恒常的残業の場合なんかは、残業収入が月月の生計費にあらかじめ組み込まれている、こういった現実的な問題もあると思うのです。しかし、当面、時間短縮が生活の質の向上ということを念願し、課題にしている限りにおいては、やはり時間外労働とか休日労働は、原則としてはあってはならないものであるというふうに思うのです。
 そこで、今指摘しましたような現実の賃金とか生活の問題等々の関連についても改善を加えながら、可能な限り時間外労働等については何らかの法的規制を加えていくことが必要ではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#97
○平賀政府委員 労働時間の短縮を実効あらしめるためには、御指摘のように、所定外労働時間、超過勤務の縮減を図るということが非常に重要な問題になっておると考えております。ただ、我が国の雇用慣行のもとでは、雇用調整を所定外労働時間の増減で行うことによって、労働者の雇用の安定を図るということも、企業の労働政策として行われておるのも事実でございます。
 また、所定外労働時間の実態も、業種等でかなり差がございまして、時間外労働の上限を法律で一律に規制することは、少なくとも現状においては適当ではないと考えます。したがいまして、労使の自主的な努力によって、所定外労働時間の削減を図ることがまず適当であると考えております。
#98
○村山(富)委員 私は、せっかく勤労者の生活の質の向上ということを課題にしておる限りにおいては、長時間働いて、時間外で賃金を稼いで生活の糧にしているような実態というものは、やはり解消する必要があると思うのですね。そのためには、時間外労働とか休日労働なんというものは、法律的にある程度規制をする必要があるのではないかと思うのですが、その際、今後の検討の課題として、少なくとも時間外労働については、男女とも一律二時間、四週二十四時間、年間百五十時間ぐらいを目途に規制をする必要があるのではないかと考えますから、今後の検討課題として十分検討していただきたいと思いますが、その点はどうでしょうか。
#99
○平賀政府委員 時間外労働の目安といいますか、時間外労働の一種の制限をするための目安について今御指摘がございましたけれども、現在、私どもとしましては、時間外労働について三六協定を結ぶことが法律上の要件になっておりますけれども、その件につきまして、協定締結の指針を示して、それに基づいて指導をいたしております。
 そこで、当面、昭和六十三年度に時間外労働協定に関する実態調査を行いまして、それに基づきまして、従来の一日あるいは一カ月ということばかりでなくて、年間の労働時間数の目安を含む新しい指針を策定することを検討しております。
#100
○村山(富)委員 今までの局長の答弁では、なかなか了解ができない面もあるわけです。先ほど来、何遍も言っておりますように、勤労者の生活の質の向上ということが、当面一番求められている課題だということを考えた場合に、私は、時間外労働とか休日労働なんというものは、できるだけないにこしたことはないわけですから、所定の労働時間に働いて、そして家族的な生活が保障されていくということが前提でなくてはならぬと思うので、これはもう少し踏み込んだ見解を大臣からお聞きしておきたいと思うのです。
#101
○平井国務大臣 ただいま局長から年間の時間外労働時間数の目安を含む新しい指針を作成することとしたいという答弁がございましたけれども、今後、労働基準監督署における時間外労働協定届けの受理に際しましては、この指針の遵守につきまして、適切な指導を行いまして、その遵守の徹底を図っていきたいというふうに考えております。
#102
○村山(富)委員 残念ながら時間がありませんから、次に移ります。
 今回、提出されている改正案を見ますと、前提として労使協定というものが非常にウエートを高めているわけです。ある程度労使協定に問題の処理がゆだねられているというふうに思われるわけですね。それだけに、労使協定の重みが増しておるわけですが、これは一見妥当なように見えまするけれども、残念ながら今の日本の労働実態というものを見た場合に、組織されている労働者の率は全体として三割を下回っておる。特に民間労働者の場合には二割強にすぎない。こういう現状から考えた場合に、労使協定というものが本当の意味で労使が対等に協定されたものになり得るだろうかということを考えると、大変危惧される面があるわけです。特に三六協定などの例を挙げてみますと、使用者側に立つ監督的立場の労働者が締結の当事者となっておったりするような例もたくさんあるわけです。したがって。その協定が本当の意味でそこで働いておる労働者の意見を代弁しているかどうか、代表しているかどうかということについては大変疑わしい面があるわけです。そういう点から考えますと、せっかく法律改正が労使協定を前提に重く位置づけられておるということを考えた場合に、この法律が本当の意味で労働者の保護になるのかどうか、妥当なものになるのかどうかということは、労使協定が妥当であるかどうかということにもかかってくるわけですから、したがって、労使協定を締結する当事者である労働者代表というものは、民主的に選出される、本当の意味で労働者の声が代弁できるというようなことが保証されることが必要ではないかと思うのですが、そういうことに対する手だてというものは何か考えておりませんか。
#103
○平賀政府委員 民間の企業あるいは民間の事業場における労働組合の組織の状況については御指摘のとおりでございます。しかし、労使協定の締結というのは、労働組合がない場合であっても、労働者の適切な意見を反映できるようなものでなければいけないことは、これまた言うまでもございません。新しい御提案ばかりでなくて、各種労使協定の締結の当事者につきましては、中央労働基準審議会の建議において「適正なものとなるよう三六協定の場合と同様の指導をする。」べきものとされておるところでございまして、私どもといたしましては、適切な方法で労使代表が選出されるよう十分指導してまいりたいと存じます。
#104
○村山(富)委員 適切な方法で代表が選出されるようにするということですけれども、これは例えば立候補制にして、秘密で労働者が全員で投票するとかなんとかいうような仕組みというものを、ある意味では法律的に決められるものなら決めてもらいたいし、それができなければ、行政指導でそういう点も十分反映して、本当の意味で声が代弁でき、代表できるような体制というものをつくるようにしていくことが必要ではないか。これは労使協定の前提がそうでないものになったら、この法律の意味というものはなくなるわけですからね。私はそういう意味で大変重要視しているわけです。もう一遍御答弁いただきたいと思うのです。
#105
○平賀政府委員 労使代表の実態、それから手続ともに適切なものであるよう、十分指導してまいりたいと存じます。
#106
○村山(富)委員 では、次に移りますが、現行法では就業規則の作成及び届け出の義務は、「常時十人以上の労働者を使用する使用者」となっているわけですね。今の産業構造の変化などに伴いまして、サービス業などの小零細規模の事業所が増加しており、今後ともふえていく可能性がある。そうしますと、十人以上ということでは適正を欠くのではないかというふうに思われるので、今後は就業規則の作成、届け出の義務を十人未満にも適用するように改めるべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#107
○平賀政府委員 十人未満の事業場における就業規則の作成の現況等を見ますと、現時点でその就業規則の作成義務をこういった分野に及ぼすということはなかなか難しいと存じます。ただ、就業規則というのは、御案内のように、労働条件を決める非常に重要な基礎になるものでございます。したがって、人を雇う場合には、そういう取り決めというものが必要であるということだと私ども存じておりますし、中央労働基準審議会の建議を踏まえまして、十人未満の事業場の場合であっても、その就業規則の整備が図られるよう十分指導してまいりたいと存じます。
#108
○村山(富)委員 今も申しましたように、産業構造がどんどん変化してまいりまして、小零細企業というのはどんどんふえていくわけですね。こういうところにこそ労働時間短縮のための指導が必要なんです。法の徹底が必要なんですよ。したがって、こういうところに就業規則が整備されるかどうかということは、時間短縮問題に大変大きなかかわり合いがあるというふうに私は思うのです。そこでもう少し積極的な取り組みと指導が必要ではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
#109
○平賀政府委員 小さな規模の事業場におきまして、労働時間、休日、休暇あるいは始業、終業時刻などが明確になるということ、言いかえれば、それは就業規則等によることが通常であると考えますけれども、あらかじめそういうような規則を設定するということは、まさに労働時間管理のイロハであり、イロハというよりも基礎であり、極めて重要であると認識しております。したがって、先ほど労働時間短縮を指導することとあわせて、就業規則をこういう小さな事業場でもつくるように指導すると申し上げましたけれども、さらに私どもとしましては、こうした点について専門的な知識を持った人々などが小さな企業を対象にアドバイスする、こういうような仕組みを設けて、単に指導するということばかりでなくて、具体的に就業規則を作成することについての援助なども行ってまいりたいと存じております。
#110
○村山(富)委員 それではひとつぜひ徹底するように方策を考えていただきたいと思います。
 それから、今回の改正案を見ますと、今問題にいたしました就業規則や労働契約法制などの基本的な事項が見送られています。先ほど来申し上げておりますように、産業構造や就業構造が変化をして、多様な雇用の形態や就労形態がふえてきつつある。こういう現状に照らして考えた場合に、例えば車持ちトラック労働者がふえるとか出向や在宅労働もふえるとか、こういう多様な変化の中で使用者あるいは労働者あるいは事業者、事業主等々の基本的な定義が現状に合わなくなっておるのではないかと思われる節もたくさんあるわけです。このままでは本当の意味で労働者の保護が確保されないのではないかと思われる節もあるわけです。したがって、これらの問題の解決のために、労働者保護の観点に立って早急に検討し、法的な措置を講ずる必要があるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#111
○平井国務大臣 ただいま委員がおっしゃいました労働契約また就業規則に関する基本的問題につきましては、改正法施行後、これはまさしくできるだけ速やかに中央労働基準審議会に検討の場を設けまして、できるだけ早く結論を得たい、そのように努力をいたしたいと考えております。
#112
○村山(富)委員 ぜひひとつ議論を深めて、早急に結論が出せるようにしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。それから、先ほど来申し上げておりますように、何といっても我が国では未組織労働者が圧倒的に多い。そのために劣悪な労働条件のもとで働いている労働者がたくさんおる。しかも日本の産業構造等から考えてまいりまして、基準法違反は一向に減らない。極端に言えば、もう基準法なんか全然無視されてやられておる職場さえうんとある。私はある意味で企業の公正な競争は必要だと願うのですけれども、過当競争になりますと、どうしても行き過ぎた競争が、労働時間の問題や賃金の問題や労働強化の問題やいろいろな意味で労働者にしわ寄せが来るというようなことを考えた場合に、やはり法の趣旨の徹底というものが何よりも必要ではないかというふうに思うのです。
 そういう点から考えてまいりますと、今の労働省の持っておる監督行政で十分可能であるかどうかということを思いますと、やはり基準監督署の監督官が少ないのではないか。監督実施率は、現在聞いていますと、五%程度と言われていますけれども、これを少なくとも二〇%程度に引き上げる。そして監督官を計画的に増員しながら、普及の徹底を図り、指導の徹底を図って、言われるように、目標に向かって労働時間の短縮が実現できるように、その努力は当然やってしかるべきではないか。しかし、現状から考えた場合に、やはり監督官が少な過ぎると思うのですが、その点はどうでしょうか。
#113
○平井国務大臣 労働基準法の実効確保と申しましょうか、さらにはただいま議題になっております現下における労働時間短縮の重要性にかんがみまして、また今回の改正による新しい法制度の適正な運用が確保されなければならぬということでございますので、組織、定員等行政体制の充実につきましては、あらゆる知恵も出しながら最大限努力すべきものと考えております。
#114
○村山(富)委員 単に監督官を増員するだけでなくて、行政を指導する体制というか行政の仕組みというものを、この際検討を加えて、もっと整備充実を図っていく必要があるのではないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。
#115
○平賀政府委員 労働基準局の重要な仕事というのは、労働基準法に基づいて監督をするということもさることながら、特に労働時間短縮の問題などについては、中小企業を初め広範な事業場について指導するという仕事が非常に重要な意味を持っていると考えます。したがって、私どもの業務の体制についても、そういう観点から十分考えていきたいと存じております。
#116
○村山(富)委員 これは重ねて申しますけれども、本当の意味で労働基準法を徹底させる、そして短縮の目標に向かって速やかに実施していくようにするためには、労使の努力が必要だ、それに側面的に監督指導をしていく行政が必要だと思いますから、少なくとも行政が立ちおくれないようにしてもらう必要がある。その点はひとつ十分考えて進めていただきたいというふうに思うのです。
 なお、労働時間短縮を早急に進めるために、例えば今中央に中央労働基準審議会があります。地方には地方労働基準審議会があるわけです。私もずっと前地方労働基準審議会の委員をしたことがありますけれども、正直に申し上げまして、余り機能していないと思われます。そこで、せっかく時間短縮というものが国全体の大きな課題になっているときでもありますし、労働省も積極的に推進をしていこうというのですから、もう少し地方の労働基準審議会を活用していくような方法を考えてもいいのではないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。
    〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
#117
○平賀政府委員 労働時間の短縮、特に中小企業の労働時間短縮が最も重要な課題でございます。そのためには、都会地もさることながら、地方の中小企業、地場の中小企業における労働時間の短縮についての私どもとしての体制が必要でございます。御指摘の地方労働基準審議会につきましては、その地方における指導的な労使の方々が参加をしておられます。私どもとしましては、御指摘の趣旨を踏まえまして、地方労働基準審議会がこういった問題について十分御活動いただけるように十分検討してまいりたいと存じております。
#118
○村山(富)委員 同時にこの際、例えば先般法制化されました労働者派遣法の場合、適正運営協力員というものがつくられておりますね。それから労働安全衛生法の場合には災害防止指導員のような制度が設けられているわけです。私は、労働基準法の場合にも、労働基準法が普及徹底するよう推進をする協力員制度といったようなものを、この際検討していいのではないかと思いますし、現在地方に設けられております時短の懇談会というものがありますね。この時短の懇談会等の機能も強化して、大臣が言われるように、総合的に時間短縮が進められるような手だてを講ずる必要があると思うのですが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#119
○平賀政府委員 労働時間短縮、特に中小企業の問題の解決を図るためには、行政のチャネルばかりでなくて、民間の関係団体、あるいはその民間の組織などを通じていろいろなアドバイスをする等のことが重要であると考えておりますので、私どもとしましても、先生御指摘のように、民間にそういう協力をしていただく方、協力員のようなものを活用するという方式を十分に検討してまいりたいと存じております。
#120
○村山(富)委員 次に、これは心配している向きがありますから、この際確認しておきたいと思うのですが、この改正案では、賃金の口座支払い等を法制度化することとしていますね。特に賃金の口座振り込みについては、昭和五十年の通達にありますように、労働者の意思に基づいているものであること、労働者が指定する本人名義の預金または貯金の口座に振り込まれること、振り込まれた賃金の金額が所定の賃金支払日に振り出し得る状況にあること等を要件とすることになっていますが、この点については変わりはございませんか。
#121
○平賀政府委員 賃金を口座振り込みによって支払うことにつきましては、昨年十二月の中央労働基準審議会の建議を踏まえて法的に明確にいたしたわけでございますが、この場合、預貯金口座の指定は労働者自身が行うこととする等、御指摘の点などについては、従前と同様の取り扱いをしてまいる所存でございます。
#122
○村山(富)委員 今まで永井委員の質問も加えて、基準法の改正問題で当面問題点となりそうな点を指摘しながら質疑が行われてきたわけですが、改正案は三カ月の変形労働制など新しい制度が導入されるわけです。一方、時間外・休日労働の規制やあるいは先ほど議論になった自動車運転者の労働時間等の規制、その他労働契約、賃金及び退職金関係の抜本的改正等の法的措置はすべて先送りになっておる。特に変形制の拡大につきましては、私に言わせますと、時間短縮と引きかえに変形制が導入されたのではないか。少なくともヨーロッパなんかでは週四十時間、週休二日制が実施されていくということを前提にして変形制がとられているわけです。ところが日本の場合にはそうじゃないのです。だから、これが悪用されますと、労働者に対する被害が大変大きくなる。これは先般も参考人の意見聴取で婦人の代表の方が申しておりましたけれども、婦人は働けなくなるのではないか。一方的に会社の都合、工場の都合、使用主の都合によって変形労働制が決められますと、子供を保育所に迎えに行けないとか子供を持った奥さんはもう勤められぬとか、こういう事態が起こってくるのではないかということも心配されるわけです。私も、悪用されますと、いろいろな意味で影響が大変大きいということが懸念されることは、否定し得ないと思うのです。
 そういう全体の今度の改正案の動向というものを踏まえて考えた場合に、この法が施行されて、一体変形労働時間制はどういうふうに動いていくのか、時間短縮はどういうふうに動いていくのかといった全体の推移を見ながら、例えば一定の期間を置いて見直しをすることもある意味では必要ではないか。先ほど申し上げましたが、例えば労働者派遣法の場合、三年後に見直しが明記されておる。こういう事例もあるわけですから、今度の基準法の改正は、そういう意味で幾多の懸念される問題点もはらんでいるわけですから、この法が施行されたある時期に見直しをすることが必要ではないかということについてどういうふうにお考えでしょうか。
#123
○平井国務大臣 今回の改正によりまして、労働時間に関する法的規制が弾力化をされましても、私どもは労働者の生活に御懸念なさるような影響を与えるとは考えておりませんが、やはり新しく導入される制度でもございますので、改正法の施行状況を見守りまして、必要があれば見直しを含めて適切に対処すべきものと考えております。
#124
○村山(富)委員 もう大体以上で私の質問を終わりたいと思うのですが、ただ、私は重ねて強調しておきたいと思うのですけれども、冒頭にも申し上げましたように、時間短縮がなかなかできにくい要件というのは、中小零細企業等々多く持っておるというところにやはり問題点があるというふうに思うのですね。
 先ほども問題になりましたけれども、特例で九時間で五十四時間、これは五人までの事業場については来年の四月までに解消をするということになっておりますけれども、四人以下一人までの事業場は依然として残っていくわけです。今四人以下のいろいろな事業場を考えた場合に、そういう必要があるだろうかということを考えた場合に、例えば家族だけで商店を経営しているとかサービス業をやっているとか、例を挙げて大変恐縮ですけれども、美容院を考えた場合に、もう二十四時間開業しておっても、来る方のお客がそれぞれ必要に応じた時間に来るわけですから、交代制勤務を行えば、それは十分できるわけです。したがって、そういう対応を考えた場合に、九時間で五十四時間なんという時間制度を是認しているということ自体が、本気になって時間短縮をやる気があるんだろうかというふうに疑わざるを得ないと私は思うのです。これはひとつぜひ先ほども意見がありましたけれども、中基審等にも諮って積極的に解消に向かって努力していただきたいというふうに思います。
 それから、年休の問題もございました。年休はやはり労働者に与えられたある意味では権利ですから、持つ権利にいろいろな格差があるというのは私は問題じゃないかと思うのです。しかも、猶予期間というのは、さっきも議論がありましたけれども、六年でしょう。六日間から十日間にするというのは四日間ですよ。一年を通じてわずか四日間でしょう。その四日間を与えるかどうかということがそれほど経営に大きな影響がありますか。私はそんなことはないと思うのですよ。だから、これはやる気になればできることだというふうに思いますし、六年間も猶予期間が必要だろうかということを考えますと、私は疑問視せざるを得ないわけです。
 この点はもうくどく申しませんけれども、そういう実態というものを考えた場合に、特例を廃止する必要があるし、同時に本当の意味で労働者の賃金格差や時間格差や権利の格差等々是正する気持ちがあるのなら、この際格差を是正する方向にもっと積極的に取り組んでもいいのではないか。余りにも現状を是認し、肯定し過ぎているのではないかということを重ねて強調しておきたいと思うのです。
 そこで、そういう点も踏まえて、最後に大臣のこの問題に取り組む決意をお尋ねしておきたいと思うのですが、残念ながら、今までの議論の中で、週四十時間制の実施時期及び当面の週法定労働時間等につきましては、最後まで意見の一致を見ることができなかったわけです。これは極めて残念に思います。しかし、国際的にも国内的にも法定労働時間を短縮する必要があるということについてはどなたも異論はない、意見の一致するところだと思います。
 そこで、仮に意見の一致を見ることができなかった週四十時間を一九九三年ぐらいをめどにする、あるいは週法定労働時間制を三年ぐらいをめどに実施ができるようにしたい。さらにまた三年後に――三年後かどうかわかりませんけれども、適当な時期に見直しをしたい、こういう発言もあったわけです。
 そこで、今申し上げましたような目標はあくまでも目安である。したがって、何度も申しますけれども、労使の努力、行政の適切な指導助言等々によって速やかに時間短縮は可能になるような方途を講ずることが必要なんです。またその努力をすることは当然であります。したがって、できるだけ速やかに週四十時間制の実現や週休二日制や週法定労働時間制が四十四時間から四十時間になるといったような段階的な問題も解消される等々の努力が必要ではないかというふうに思うのですが、これだけ国際的、国内的に大きな課題になり、労働者の生活の質を向上してゆとりある勤労者の生活が保障されるようにしていこう、こういう念願で基準法も改正されようとしておるわけですから、しかも多くの労働者が期待しています。その期待にこたえる労働大臣の決意のほどを承って、私の質問を終わりたいと思うのです。
#125
○平井国務大臣 御案内のように、新前川レポート等に示されております時間短縮問題は、現内閣のまさしく方針でございまして、また現下の大変重要な政策課題である、こういうことで本改正案をお願いしておるわけでございます。そういう意味で本改正案は労働時間短縮のための唯一無二とは申しませんが、労働時間短縮のための極めて重要な手段であると認識をいたしておりまして、新たな法制度のもとで労働時間短縮に各省とも挙げて総力を挙げたい、かように考えております。
#126
○村山(富)委員 では、終わります。
#127
○堀内委員長 午後一時十分から再開することとし、この際、休憩をいたします。
    午後零時二十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十二分開議
#128
○堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉井光照君。
#129
○吉井委員 私は今回の労基法の改正について質問をするわけですが、既に数多くの方々から質問がございまして、私の質問も多分重複するところが多々あると思いますが、その点ひとつお許しを願いたいと思います。
 まず、今回の改正案が労使に与える影響について、大臣のお考えをお伺いしたいと思うのです。
 ことしの六月に、山口県内の主要産業の一つであります水産食品製造業のうち、従業員が五人以上の百十四事業所を対象に山口労働基準局が一斉監督を実施したわけですが、その結果、百十四事業所のうち七十四事業所が、労働時間管理また機械設備の安全管理、また賃金管理に手落ちがあって、労働安全衛生法や労働基準法また最低賃金法に違反をして、その違反率が六四・九%、このように言われておるわけですが、中でも労働条件関係が六十八件あった、こういうことです。これは言いかえれば、事業所の規模が小さくなればなるほどその違反率は高くなる傾向を示しているのではないか、このようにも思うわけですが、いわばこれが現行の労基法下におけるところの零細企業の実態ではないか、このような気もするわけでございます。
 今回の労基法の改正は、御承知のように、四十年ぶりの改正でございますが、四十年も経過をいたしますというと、いろいろと今の労基法にも問題はあるものの、やはり一応現行法が定着をしているのではないかというふうなことも言われているわけです。そこで今回のこの改正が労使双方にどのような影響を及ぼすのか、それぞれの立場でこの労基法への対応の仕方が異なっていると思います。例えば大企業の労使の考え、また中小企業、零細企業、こういったそれぞれの立場によって考え方が違うと思いますが、今申し上げました、いわゆる大企業、それから中小企業、零細企業、またパート労働者を主体とした企業、及びそれぞれの企業労働者についてどういうふうな考えを持っているのか、大臣の御意見からお伺いをしたいと思います。
#130
○平井国務大臣 今回の法改正は、御案内のように、法定労働時間週四十時間制を目標にいたしまして、段階的に短縮すること等を内容といたしておるわけでございます。労使双方の労働時間短縮のための努力は、この法律改正によって一層促進されると考えております。そういう結果、労働時間が着実に短縮されるものと私は期待をいたしております。
 なお、御指摘もございましたが、中小零細企業につきましては、一定の猶予期間を設けることといたしておりますが、これも将来的には、労働基準法本則の週四十時間の法定労働時間等が適用されることになるわけでございますから、現状の労働時間の状況から見ますると、これは相当の努力が必要であるというふうに認識をいたしておりまするし、同時にこの法律案の改正のみならず、ただいまも検討が行われており、近々実施になりますけれども、公務員関係等々の時間短縮もあわせて行われているというふうなことでございますから、今回の法改正は、労働時間の実態から見ますると、率直に申し上げて、中小企業にかなり大きな負担をかけるものと考えておるわけでございます。改正法案は、中小企業の労働時間の実態、現下の経済情勢を勘案いたしまして、段階的に着実にその実現を図ることとするなど、必要な配慮を行わなければならぬとしておるわけでございます。そういう中で、中小企業におきましても、労働時間短縮の必要性を認識されまして、格別の努力をされること、これを特に望みたいわけであります。
 さらに、今御質問がございましたけれども、やはり今後実態に即して、零細企業、中小企業というのは、過去の経過からも時間短縮は非常に進めにくかったわけでございまするし、また大企業は御案内のようにほとんどが相当程度行われておるわけでございますから、その辺を私どもは十分理解をいたしながら、実効ある措置をとっていかなければならぬ、かように考えております。
#131
○吉井委員 そこで、今回の論議の中で一番大きい焦点と言えるのが、やはり週四十時間の実施時期であろうかと思います。労働省は一九九〇年代前半のなるべく早い時期、こういうことでございますが、いろいろな難しい点はあるとしても、こうした抽象的な表現ではなくして、一九九〇年代前半というのですから、もう五、六年先でございますので、はっきり何年までというふうに表現ができないのか。私は、むしろはっきりさせた方が、双方やる気にもなるし、また実効性が伴うのではないか、このようにも思うわけでございます。したがって、その間、労働省としてはどのような具体的な努力を重ねていこうとされるのか。こうした目標を達成することにおいて欠くことのできないものが、週四十時間への移行のための計画、いわゆる青写真ですね。そこで労働省としては、さしむき来年度は、この週四十時間の実現に向けてどういう努力をされようとしておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#132
○平賀政府委員 現在御審議いただいております労働基準法の改正案をもし今国会で成立させていただきましたならば、来年度の当初四月一日から施行ということで予定をしているわけでございます。したがいまして、私どもが現在考えておりますのは、来年度におきましては、まず改正労働基準法の成立ということでその周知徹底を図る、特に中小零細企業において労働時間短縮を進めていくためには、基準法の役割が非常に大切だと思っております。
 そして具体的には、さらに法律に基づいて、その法律の周知徹底を図るというほかに、まず第一は、全国あるいは地域レベルにおいて社会的、国民的合意の形成がまず重要だと考えております。このために懇談会とかあるいはいろいろなセミナーの開催とかいうことを既にやっておりますが、そういうものをさらに強化したいと思っております。
 それから第二点は、中小企業への問題について波及効果が非常に大事でございますので、関係各省とも連携をとりながら、公務員あるいは金融機関の週休二日制の推進については一層努力したいと考えております。
 それから第三点は、中小企業において労働時間の短縮が進まない原因の一つとして、やはり同業他社との関係、同じ地域、同じ業種の他の事業所との関係等が非常に重視されておりますし、この点につきましては、やはり各地域レベル、それも私どもの出先に監督署がございますけれども、そういう監督署のレベルにおきましても、中小企業のグループといいますか、やはり時間短縮について協議をしていただきますグループをつくっていただく等によりまして、そういう集団的な取り組みによる指導援助などを図っていきたい、具体的にはそういうことを考えております。
#133
○吉井委員 そこで、またもう一つの大事な点は、数年前まではサラリーマンの中で生きがいの第一について、やはり仕事という考え方が非常に多かったわけですが、社会経済国民会議のアンケート調査を見ましても、仕事が生きがいと答えた人が七五%、このように言われております。ところが昨今サラリーマンの中にも、その生きがいの第一を、仕事ではなくして家庭や余暇生活等に求める人の比率が非常に高まってきておる。こう考えますと、生きがいの場として地域コミュニティーが重要性を増すのは当然だと思います。現に各地では魅力ある町づくり運動が起こっておるわけですが、これはすなわち人々が生活の場として、また生きがいの場として、地域コミュニティーを重視し始めるようになってきたのではないか。そして人々の余暇時間がふえてきたこと、また環境アメニティー意識が高まってきたため、このようにも思われるわけです。したがって、自治体も政府も人々のこのようなアメニティーやそれから精神面の福祉ニーズにこたえられるように、地域の環境アメニティーの改善と文化、学習活動などを促すことが今からの重要な政策課題になってくるのではないかと思うわけです。
 私も、こうした政策を今回のような労働時間の短縮と並行して、この余暇対策をどのようにやっていくのか、この余暇対策も積極的に進めていかなければならない、このように思うわけですが、労働省としては、どのような具体策を考えていらっしゃるのか。私は今までのような各省別の縦割りではなくして、やはりもう一本化したものがここででき上がっていかなければならないのじゃないか、またそういう時代に来ているのではないか、このように思うわけですけれども、ひとつ大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
#134
○平井国務大臣 御指摘のとおり、余暇対策というのは、今後の政策としても非常に重要になってまいるわけでございます。そのためには、まず何と申しましても、ある程度十分な時間的ゆとりがあることが前提でございます。こうした観点からも週休二日制、また連続休暇の普及等に当面全力を挙げて努めなければならぬと考えております。
 さらに、それによって生じた余暇の有効活用と申しましょうか、それに資するように、勤労者の多様化しつつあるニーズの現状、動向、どういうものであるか、ここのところを的確に把握して、それを踏まえまして、今後具体的な検討を進めてまいるというふうに考えております。
#135
○吉井委員 では次に、改正のねらいとその実効性についてお尋ねをするわけです。
 今回四十年ぶりに改正されようとしているこの労基法の真のねらいについて、今回の質問を通じ、また先ほどから大臣は、労働時間の短縮等の問題は大企業ではもう既にできておって、結局中小零細企業対策である、このように再三述べられているわけですが、この改正案でそれが本当に達成できるかどうかということが非常に疑問なわけです。
 例えば所定外労働時間を見ましても、現在は月間五十時間の行政指導があるわけですが、このままで果たして年間総労働時間の減少になるのかどうか、非常に疑問を抱くわけですが、この点はいかがですか。
#136
○平井国務大臣 御指摘のように、労働時間の短縮と申しますのは、総実労働時間の短縮でございますから、これを実効あらしめるためには、所定外労働時間の縮減ということも大変重要な問題でございますが、ただ、我が国の雇用慣行を見ておりますと、やはり雇用調整を所定外労働時間の増減で行う、そして労働者の雇用の安定が図られておるという一面もこれは事実でございますし、所定外労働時間の実態も、業種等で御承知のようにかなりの差がございます。したがいまして、所定外労働時間の上限を法律で一律に規制することは、少なくとも現状においては適当ではないのではないかと考えます。そしてやはり労使の自主的な努力によって所定外労働時間の縮減を図ることが妥当であろうと考えておるわけであります。
 そういう観点から労働省といたしましては、御指摘のように、景気の変動等にかかわりのない恒常的な労働時間、長時間労働を改善するために、労使が締結いたします三六協定でございますが、これで定める時間外労働の限度に関しまして目安を設けて、これに基づいて今まで行政指導を行っているところでございます。今後この対策の徹底が図られなければなりませんし、さらにこの目安につきましては、午前中にも局長から答弁申し上げましたように、来年度実態調査を行いました上で、年間の時間外労働時間数の上限を設けるために見直しを行うということにいたしておるところでございます。
#137
○吉井委員 次に、完全週休二日制についてお尋ねをいたします。
 昭和六十一年におきまして、三十人以上の企業に勤める労働者の場合、その七八%が何らかの週休二日制の適用を受けているわけです。また企業の割合から見ても、完全週休二日制以外の週休二日制を採用している企業は、これは六十一年度ですが五〇・九%とほぼ半数を占めているわけでございます。一方、昭和五十五年におけるところの十人から二十九人の企業におきましては、週休二日制を採用している企業も適用されているわけですが、労働者の割合もかなり低いわけです。このように企業間格差が生ずる理由について、どのようにお考えになっておられるのか、お聞かせを賜りたいと思います。
    〔委員長退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
#138
○野崎政府委員 先生御指摘のとおり、週休二日制につきましても、大企業と中小企業との間では、中小企業に相当な立ちおくれが見られるところでございますが、この原因といたしましては、御承知のとおり、週休二日制が普及いたしましたのは、四十年代の後半からオイルショックにかけましての五年ほどの間に非常に急速に進んだわけでございます。この時期に大企業で週休二日制が非常に進んだのでございますけれども、中小企業につきましては、経営上の問題等もございまして、それに乗りおくれたと申しますか、その時期に余り普及しない間にオイルショックが起こってしまった。その後経済成長が非常に停滞いたしまして、そうした中で中小企業におきましては、先ほど来御答弁申し上げているとおり、同業他社との競争関係とかあるいは取引先との関係とかいったことで、五十年代になりましても、週休二日制の普及が依然として進んでいない、そういうことが原因になっているというふうに考えております。
#139
○吉井委員 労働時間短縮には完全週休二日制の実施というものは必要不可欠なことと思うのですが、その実施状況を見ますと、先ほど述べました完全週休二日制以外の週休二日制の採用よりもはるかに低い、かつ企業間格差があるわけですが、経済審議会の経済構造調整特別部会報告書によりますと、二〇〇〇年に向けたできるだけ早期に完全週休二日制の実施を目標として掲げているわけですが、二〇〇〇年まで十三年あるわけですが、どのようなスケジュールで進もうとされておるのか、この点はいかがですか。
#140
○平賀政府委員 午前中以来新前川レポートの目標に関しての御質問がございますが、二〇〇〇年に向けてできるだけ早い時期に千八百時間、完全週休二日制等の普及を目的とするものにつきましては、御答弁申し上げておりますように、一九九〇年代の前半に努力目標を設定して、できるだけ早い時期に実現するようにやりたいと考えております。
 さらに、新前川レポートでは、そのためのスケジュールといいますか、そのためのステップとして、現在私どもが計画をしております労働時間短縮の展望と指針ということで、まず年間総労働時間二千時間という目標を一九九〇年代の入り口において達成する、これをまず第一のステップとして実現を図りたい、こう私どもは考えておるわけでございます。
#141
○吉井委員 完全週休二日制に移行されるならば、当然残業規制というものが強化をされるわけですが、確かに一時間当たりの賃金単位は上昇するかもしれませんが、残業手当が大幅に減少する、したがって絶対額では減収になる。したがって、一般の中高年者からは、休みよりも金を、こういう生計費面の要求が非常に強いことも事実だろうと思うのです。その反面、若年者からは金よりも休み、こういうことになっているわけですが、遊びのために金がかかるという悪循環も逆に考えられるわけですね。
 そこで、単なる余暇管理程度のものでは不十分で、副業、例えば休日にアルバイトをするとか、他の事業所で働くことも場合によっては認めざるを得ないのではないか、こういう意見もあちらこちらで聞くわけですが、この点はどうでしょう。
#142
○野崎政府委員 先生御承知のとおり、欧米諸国では、労働時間短縮が進みますと、御指摘のように、本業以外にもう一つ仕事を持ちまして働く方が非常にふえてまいりまして、したがって、実際の労働時間は見かけよりも長いのではないか、そんな議論もされているところでございます。しかしながら、我が国の現状について見ますと、労働時間短縮を求める国民のお気持ちというのは、やはり今よりもより質の高い生活を求めたいという強いお気持ちが基本にあるように思いますし、また日本の労働慣行から考えましても、当面は完全週休二日制が普及するというような段階で考えます限りは、外国に見られるようなそういった問題は余り生じてこないのではないだろうか。いずれにいたしましても、労働時間短縮の結果生じました余裕ができるだけ国民の生活の質の向上という形で活用されますことを期待しているところでございます。
#143
○吉井委員 そこで、民間の大企業のみ完全週休二日制の実施が進んでも、先ほどからいろいろと御答弁もいただいたように、中小零細企業の時短はなかなか進まないわけですが、ことしの人事院勧告にありますように、国家公務員の隔週週休二日制また土曜閉庁の検討及び自治体においてもできる範囲において完全週休二日制を早急に実施すべきだ、このようにも思うわけです。確かに学校、病院等は、その性格上難しい面もあるわけです。しかし、役場の市民課窓口等は、市民が利用しやすい土曜、日曜日に勤務をして、平日に週休二日制にしてもいいのではないか、このようなことも言われておりますし、また土曜日半ドンでは労働効率も非常に悪いのではないか、こういうことも言われるわけですが、こういった点はどうでしょう。
#144
○平井国務大臣 本年の人事院勧告では、御案内のように、国家公務員について四週六休制の本格実施を勧告いたしますとともに、その報告の中で、今御指摘のございました週休二日制の将来展望から土曜閉庁方式の導入が望ましい、こういう考え方を表明いたしておるわけでございます。この勧告は経済審議会建議の方向にも合致をいたしておりまして、特にその波及効果を考えますると、民間の週休二日制を推進していく上でも非常に重要なポイントの一つであろうかと認識いたしております。したがって、労働省としましては、その実現ができるだけスムーズに図られますように、関係省庁と特に連携を密にしてやってまいる考えてあります。
#145
○吉井委員 経済企画庁の消費・貯蓄の展望研究会は、八月四日に、サラリーマン世帯の世帯主全員が完全週休二日制に移行すると、家計消費支出は年間で国民総生産の〇・五%分、すなわち一兆七千億円ふえる、こういう試算報告をまとめたわけです。また消費を拡大するには、企業が完全週休二日制を進めたり、また有給休暇の消化率を高めるなど労働時間を短縮する必要がある、このように強調しておるわけでございます。なぜならば、今後家計消費支出のうち、レジャー、教養費などの生活の充実を求める、いわゆる時間消費型消費といいますか、この割合が高まる、このように指摘をしておりますし、現にその割合は五十年には一二・一%だったのが、六十一年になりますと一六・三%までに伸びる、そして二〇〇〇年にはこれが二五%程度に達する、このように見ているわけでございます。このように完全週休二日制が消費拡大につながり、ひいては内需拡大につながる、こういう見方についての御見解はいかがですか。
    〔丹羽(雄)委員長代理退席、長野委員長代理着席〕
#146
○平賀政府委員 御質問の経済企画庁の分析と方向的には一致しているものと思いますが、私どもといたしましても、労働時間の短縮、特に完全週休二日制が実現する、あるいは有給休暇の取得が大幅に拡大するということに伴いまして、自由時間が増加し、それによって新しい消費機会が拡大される。特に先生の御質問にもありましたように、自由時間の利用の仕方が、単に休養するという消極的なものよりも、旅行するとかスポーツをするとかいう積極的な型に変化することによって、新しい消費支出の増大が見込まれる、あるいはそういった全体としての生活パターンの変化によって、さらに新しい産業が起き、新しい産業がさらに新しい需要を呼ぶというような事態も考えられますので、そういう意味で生活パターンの変化が内需の拡大に寄与するのではないかと考えております。
 ちなみに、私どもの出しております労働白書、最近の昭和六十一年版におきましても、もし完全週休二日制が適用されたと仮定しまして、所得水準が現在のままであるとすれば、余暇関連支出が約二兆九千億円、これにさらに波及効果を含めると、全体として五兆円以上の内需の増大があると推計しているものもございます。
#147
○吉井委員 今御答弁いただいたわけですが、今おっしゃったように、労働省の労働時間の現状調査、これは労働者数で見た完全週休二日制の普及率は二七・一%となっておるわけです。これで完全に週休二日制でない労働者が今の所得のままですべて二日制に移行すると、今おっしゃったいわゆる余暇関連支出は年間約二兆九千億増加する。そしてそれに伴うところの中間需要も含めますと、国内生産は約五兆六百億円ふえる。さらに雇用創出効果は約五十万。このように見ていらっしゃるわけです。このような非常に興味深いデータが発表されたわけですが、この積算方式、積算根拠、これはどういうところにあるのか、これをお聞かせ願いたいし、まあこういう計数というものは、現状認識から考えるならば、それこそ夢のような話なんです。したがって、これはあくまでも希望的観測なのか、それともこれはぜひ実現しなきゃならないという目標であるのか。ぜひ実現すべき目標であるならば、それこそ年次計画というものが必要になるのではないかと思うのです。そこらの点をひとつお答え願いたいと思います。
#148
○平賀政府委員 御質問は、私がお答えをいたしました昭和六十一年版の労働白書についての積算の根拠ということであると思いますが、現在週休二日制がまだ先生御指摘のように非常におくれておる。そのおくれておる週休二日制が完全に適用されたものとして、新しくできた自由時間を利用するについて、利用先について現在の状況から推定いたしまして、まずスポーツ関連に約九千三百億円、それから趣味とか創作関連に約一千二百億円、娯楽関連に約一兆七百億円、そして観光関連に約七千五百億円という、いろいろな産業関連あるいは現在の消費支出の動向などから推計をして、そして中間需要も含めて最終需要として五兆六百億円の需要増がある。したがって、その五兆六百億の需要増に対して五十万人の雇用創出効果があると推計したわけでございます。
#149
○吉井委員 次に、完全消化率五〇%という非常に低い年次有給休暇について一点だけお伺いしておきたいのですが、改正では最低日数を六日から十日にふやされたものの、そのうち五日は病気休暇など個人的理由で取得できるわけですが、それを超える休暇日数はいわゆる計画取得ということになっております。いわゆる企業の都合で日を指定してとらせることにしようとしているわけです。問題は有給疾病休暇制度の法律がないことだ、このように言われておりますし、それゆえに病気になったときの用心のために有給休暇というものを残しているのだ。したがって、年次有給休暇の取得向上のためには、法律で疾病有給休暇や看護有給休暇の制度の導入というものがどうしても必要になってくるのではないか。そうすれば、かからなくてもよい病気にかからずに済む場合もあるでしょうし、また病状が重くならないうちに早期治療が受けやすくなる、こういうことも考えられるわけですが、いかがですか。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
#150
○平賀政府委員 有給の病気休暇といいますか、そういうものを法定するべきであるという御趣旨の御質問であろうかと存じますが、我が国の場合は、確かに年次有給休暇の利用という中で、そうした短い期間の病気への対応も行われていることは事実でございます。ただ、多くの事業所で法律の制度とは関係なく病気休暇の制度あるいはそういった場合に所得補償を行うという制度を持っておるところもございます。また欧米諸国でも、そこまで制度的にあるいは法的に保障したところという例は極めて少ないように思います。したがいまして、私どもといたしますれば、そういった場合の取り扱いについて、さらに当面は労使慣行の形成といいますか、そういう形で事態が進む、もちろん年次休暇のとり方等についての新しい慣行、特に年次休暇をできるだけ取得するという格好の慣行があることが望ましいと思っておりますし、そういうことで休暇の取得方法あるいは休暇の長さその他について労使慣行において事態が進展することを当面は見守っていきたいと考えております。
#151
○吉井委員 次に、パートタイマーの労働改善についてお尋ねをしておきたいのです。
 アメリカのスーパー業界におきましては、週休二日制を導入したためにパートタイマー比率が増大をした、そして全従業員中の五〇%を超えた、こういう話も聞いておるわけですが、我が国としても当然同じようなことが言えるのではないかとも思うわけでございます。パート労働者は六十一年に全国で五百三万人、十年前の一・二五倍に増加をして、雇用者に占める割合も一一・七%までに上昇をしてきたわけでございます。最近でも、企業側にとっては労務コストを総体的に安くできるということから、求人は一層活発化してきておるわけですが、一方円高不況下で、輸出産業を中心としてパート労働者の人員整理に伴うトラブルも増加し始めている、このようにも聞いておりますが、実態はどうなっておるのか、またその対策についてはどのように考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
#152
○平井国務大臣 おっしゃいますように、パートタイム労働者の労働条件、また雇用の安定等につきましては、雇い入れに際して労働条件が不明確である、パートタイム労働者の特殊性に配慮した雇用管理等が行われているとは言いがたい状態も見られる等々の問題点が指摘をされておるところでございます。したがって、労働省といたしましては、パートタイム労働者についても労働基準法等の労働関係法令が適用されますので、その周知徹底を図りますとともに、パートタイム労働対策要綱に基づきまして、パートタイム労働者の労働条件の改善、さらには雇用の安定等を図るために、さらに一層啓発指導を進めていかなければならぬと思うわけでございます。今後とも施策の充実に努めたいところでございます。
#153
○吉井委員 パート労働者の実態を踏まえて、今回の改正ではパートタイム労働者の年次有給休暇の取り扱いについて、現在行政通達で行われていたものを、中央労働審議会の建議に基づいて、所定労働日数が週四日以下の場合でも、その所定労働日数に応じて付与する法的措置を講じている、第三十九条第三項に新設をされたわけでございます。この点は非常に評価ができるわけでございますが、しかし、パート労働者も原則労基法が適用されるとは言いながら、現実にはまだまだ非常に弱い立場に置かれている現状を考えるならば、さきのパートタイム労働対策要綱を労基法上に明記すべきではないか、私はこのようにも思うわけですが、いかがですか。
#154
○平井国務大臣 労働省としましては、当面は労働基準法等の労働関係法令の履行確保を図る、そしてただいま申し上げました対策要綱に基づいて啓発指導の充実を図っていく。御指摘ございましたように、では今後法律でどうするかということになりますと、これはまた実態を見ながら、傍ら要綱に従って啓発指導もやりながら、今後の実態に即して考えていくものと思います。
#155
○吉井委員 次に、みなし労働時間制の見直しについてお尋ねをいたします。
 セールスマン、新聞記者、営業マン、こうしたいわゆる外勤労働については、現行労基法には何ら規制がありません。ただ、労基法施行規則二十二条で規定するのみということですが、この規定については、従来から勤務条件に関する基準は法律で定めると憲法二十七条で規定しているにもかかわらず、法律たる労基法に何ら規定がなく、命令たる施行規則に労働時間の原則を大幅に緩和する規定を設けるのは違憲ではないか、このような疑問が出されていたわけでございます。
 そこで今回、労基法の第三十八条の二で、事業場外労働における時間外労働時間の算定方法を明文化したという点、これも非常に評価できると思います。しかし、同条の内容について見ますと、なお不明確な点や欠陥があるように思われるわけですが、まず同条の第一項ただし書きは具体的にどのような場合を想定した規定なのか、また当該業務とはどのような業務を指しておるのか、通常必要とされる時間については、いかなる資料を根拠にしてこれを定めるつもりなのか、また命令にはどのようなことを定めることを考えているのか、お伺いをしたいと思います。
#156
○野崎政府委員 先生御指摘のとおり、事業場外労働に関する従来の規定は、労働基準法の施行規則にございましたけれども、法形式上も若干問題がございました。また内容的にも、事業場外で労働をして、労働時間を算定しがたい場合には、所定労働時間労働したものとみなすとのみ書いてございまして、その仕事が客観的に見て、所定労働時間の中では到底おさまらないような場合におきましても、所定労働時間七時間なら七時間、八時間なら八時間働いたものとみなされてしまうという問題点もあったわけでございます。そういった問題点を解決するために、今回法律で内容面も含めて整備をさせていただいたわけでございます。
 お尋ねのただし書きの規定でございますけれども、ただいま申し上げましたように、事業場外で労働をした労働時間が、その業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが必要であると見られるような場合には、通常必要とされる時間働いたものとみなすという規定でございます。
 では、通常必要とされる時間は何時間かということになるわけでございます。この点はなかなか一義的には決めがたいのでございますが、通常人が通常の状態で仕事をするために必要な時間、あるところへ行ってある仕事をする、その日その日でいろいろな事情はございましょうけれども、通常の人が通常労働する場合にかかる時間をもって働いた時間とみなすという規定でございます。ただ、そういたしましても、労使間で通常必要とされる時間が何時間かという判断をめぐりまして、また紛争が生ずるおそれもございます。したがいまして、あらかじめ労使間でその時間数を協定されておる場合には、その協定された時間を通常必要とされる時間とみなそうというのがこの規定の趣旨でございます。
 なお、先生お尋ねの命令でございますが、この規定は労働時間に関するみなし規定でございまして、この規定の適用があるからといって休憩時間等の適用が除外されるわけではございません。そういった点を規則で明らかにしたいと思っているところでございます。
#157
○吉井委員 同条第一項及び第二項では、通常所定労働時間を超えて労働することが常態として存在するときは、当該業務の遂行に通常必要とする時間働いたものとみなす旨を定めているわけで、そのみなし時間が特定されなければならないのに、なぜみなし時間を特定すべき労使協定を法文上義務づけていないのか、この点どうですか。
#158
○野崎政府委員 先ほどのような事情でございますので、通常必要とされる時間をあらかじめ労使で協定しておくことは非常に望ましいことであると思います。しかしながら、事業場外労働というのは、そういうことをあらかじめ想定できるようなケースだけではなくて、文字どおり突発的に、今まで行ったことのないようなところに出張してこい、そんなような業務もあるわけでございまして、そういうものについてはあらかじめ協定しておくことが困難である。したがいまして、すべての場合について労使協定を締結することは義務づけておりませんけれども、常態として事業場外労働が行われる業務で、あらかじめ労使でみなし労働時間を協定することが可能なものについては、できる限り協定していただくよう指導させていただくつもりでございます。
#159
○吉井委員 同じようなことになるかもしれませんが、同条第三項は労使協定の届け出義務を規定しているわけですが、この規定については、法定労働時間を超える労働時間を定めている労使協定だけが該当することになっているわけですね。この点についても、事業場外労働時間が実態に応じて算定されるようにする意味で、事業場外労働時間を定める労使協定すべてについて届け出を義務づけることが必要ではないか、このようにも思うわけですが、いかがですか。
#160
○野崎政府委員 お尋ねの届け出につきましては、御指摘のとおり、法定労働時間を超える時間を協定するものについて届け出を義務づけたいというふうに思っているわけでございますが、その理由といたしまして、労使で協定される時間というのが、例えば所定労働時間が七時間の場合に、七時間三十分というような、所定労働時間は超えておりますけれども、法定労働時間未満の時間を協定することが場合によってはあるかもしれない。もしそういうものがございました場合には、そのようなものまで届け出を義務づける必要はないだろうということで、一応法定労働時間を超えるもののみ届け出を義務づけることにいたしているわけでございます。しかしながら、そういうふうにいたしましても、届け出を義務づけられない協定というのは、非常に例外的な数少ないものではないかというふうに思っております。
#161
○吉井委員 では、次に休日増と賃金問題について、具体例を挙げてちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、A社は昭和六十一年一月から隔週週休二日制に踏み切って年間二十六日の休日増としたわけです。ところが六十一年四月から六月にかけて業界は非常に好調で、A社の受注も急増して、毎日の残業ではとても消化し切れない状況となったわけです。したがって、やむなくA社は従業員に隔週休日とした土曜日の出勤を命じようと思って、組合の幹部に事前了解を求めたところ、次のような回答をされたというのです。いわゆる受注急増の現状を知っているから土曜出勤には反対はしない。ただし、土曜出勤は休日出勤扱いとして日割り計算の一・二五を支払ってもらいたい。ところが会社はとんでもないということで反論をしたわけですが、隔週の土曜日にした際に収入保障し月給制にしたということは、その土曜日の賃金は既に支払っているわけだから、二十三日の労働に対して二十五日分の賃金を支払っている以上、その二日の出勤に対して別途日割りの一・二五を支払ういわれはないというのが会社側の見解です。さて、この場合、どういう処置をしたらいいのか、労働省にお伺いをしたいと思います。
#162
○野崎政府委員 大変微妙なまた難問でございまして、どのようにお答えすべきか非常に難しい問題でございますが、二点ほどは申し上げられるのではないか。まず一つは、隔週二日でございますので、法定の一週間に一日の休日を上回っている休日でございます。したがいまして、労働基準法が割り増し賃金の支払いを命じておりますのは、法定の休日、一週間に一日あるいは四週四日の休日についてのみでございますので、御指摘の例の場合には、法律上は割り増し賃金を支払う義務はないということは一つ言えると思います。しかしながら、一般的に申し上げまして、実態としては法定休日を上回る休日につきましても、多くの場合割り増し賃金が支払われているというのも、また世間一般の実態でございます。そのほか、先生御指摘のように、隔週週休二日制にしたときに、賃下げはなかったというような事情もあるようでございますが、そういった事情をすべていろいろ勘案していただきながら、最終的にはやはり労使のお話し合いで決めていただくしかない問題ではないか、そういうふうに思います。
#163
○吉井委員 では最後に、今回の改正の目的というものが本当に日本の企業の八割を占める中小零細企業対策にあるとするならば、これらの企業で働く労働者と使用者の立場を真に対等としなければならないと思うわけです。大企業のようにしっかりした労働組合を持たない中小零細企業では、また規模が小さくなればなるほどその組織力というものが弱くなっていく。そして組合などないのが現状でございます。今回の改正案には数多くの労使協定の規定が盛り込まれていて、一見非常に公平のように思われるわけですが、しかし組合をつくることができないような零細企業で、どうやって対等な立場での労使協定を締結することができるのか。労働者の代表といっても何を基準に決めるのか。勤続年数や役職では、かえってまた使用者とのつき合いが長いだけに労働者の代表とはなりにくいのではないか、こういうことも考えられますし、この点を法的にどのような担保措置を講ずるのかを明確にしない限り、この労使協定という言葉も絵にかいたもちになるのではないか、このように危惧をするわけでございますが、最後にこれらの点につきまして、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
    〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
#164
○平井国務大臣 ただいま御指摘ございました点につきましては、午前中にも御質疑がございました。各種労使協定の締結当事者につきましては、御案内のように、中央労働基準審議会の建議におきましても、「適正なものとなるよう指導をする。」かようになっておるところでございまして、そのような意味では、まさしく適正な方法で選出をされるよう労働省としては今後この点を十分指導してまいる所存でございます。
#165
○吉井委員 以上で質問を終わります。
#166
○浜田(卓)委員長代理 草川昭三君。
#167
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三であります。
 本法案の提起以来、私も自分の地元を少し歩いてきたわけでございますが、私の場合は支持者が非常に中小零細企業で働く方が多いものですから、いろいろな話をしてまいりますと、時間短縮は非常に結構だけれども、働く労働時間というのがわかりやすくしておいてもらわなければ困りますよ、わかりずらくなるというのは大変困る、こういう意見が率直な声としてございました。もちろん今もいろいろな意見が出ておりましたけれども、一体残業収入というのはどのようになるのだろうか。私も長い間現場で働いてまいりましたから、働く人の残業収入に対する依存度、大変大きな関心があることは十分承知をしておるわけでございまして、そういう意味で少し法定労働時間の将来のあり方、変形労働時間で今与野党で詰められている問題について、私なりにもう一度大臣なり局長にお伺いをしたいと思うのです。
 まず第一は、週四十時間制への移行時期についていろいろな意見が出ておりますが、答弁を聞いておりますと、一九九〇年代前半にできるだけ速やかにという言葉が挿入をされて、移行できるように努力をしたい、こういう答弁に終始をしております。私はその前段にある新前川レポートの目標という言葉にこだわるのですけれども、前川レポートというのは、いわゆる国際的な公約をしよう、あるいは構造転換をしよう、あるいは内需刺激をしようという大義名分で出てきたわけでございますので、国際的に大変関心を呼ぶ方針なんですね。だから、その国際的に非常に関心があるものには、一九九〇年代前半にできるだけ速やかにというような言葉だけでは、かえってこの前川レポートというような言葉を使わない方が正直ではないだろうか、こう私は思うわけであります。でございますから、もしできるだけ速やかに移行するというならば、俗に言う九〇年代の前半ですから、その前半というのは五年間なのか、あるいは残されたところの時間帯を二年と見るのか、さすればその半分で二年なり三年なりということになるのではないかと思うのですが、その点、詰めた話をいま一度大臣から答弁を願いたい、こう思います。
#168
○平井国務大臣 その問題、たびたび御議論をちょうだいいたしまして、午前中局長からもお答えをいたしましたように、四十六時間から段階的に入るわけでございますが、一九九〇年、ここのところでやはり何としても現行の総労働時間を二千時間、これをとにかく達成しなければならぬ、そしてその後九〇年代の前半できるだけ早い時期に、こうなっておりますが、御案内のように、決してこのレポートそのものの考え方と政府の考え方とそう大きい差があるわけでございませんで、最終的には千八百時間という総労働時間を二〇〇〇年までのできるだけ早い時期に達成しなければならぬ。ただ、委員御案内のように、率直に申し上げて、それは一九九三年なのか九五年なのかというふうな御論議になりますると、これはお言葉を返すようでございますが、ただいまいろいろ御苦心をいただいておる公務員の問題もございまするし、今後の経済状態もございますし、さらには中小企業等に一層の御理解もいただかなければなりませんし、そういう意味では、一九九〇年代前半できるだけ早い時期というところでひとつ御理解をいただきたい、かように、思うわけでございます。
#169
○草川委員 大臣からお言葉を返すようでと言われたので、こちらもお言葉を返しますが、結局私が言いたいのは、労働時間というのは国民的な合意を得なければいけませんというのが一つあります。同時に使用者側にも理解を求めなければいけない。同時にまた日本の産業構造という面を考えますれば、大企業、中小企業、下請という産業構造があるわけでありますから、下請が実施をできるには大企業がそれなりの単価というものも考えてやらなければいけない。こういうトータルな意味でこの時間短縮に取り組みませんと、後で出てくる変形労働時間というような問題を逆に逆手にとられるようなことも出てくるわけなんで、大きな意味でタイムスケジュール、大きな意味での大きな矢印で、全国民の皆さんよ、経営者の皆さんよ、労働者の皆さんよ、中小企業の皆さんよという、それがきょう大臣の答弁の中に出てくることが一番大切ではないだろうか、私はそういう意見で申し上げておるわけであります。ですから、その趣旨をよく踏まえて、また二番目、三番目の御答弁をしていただきたい、こう思うわけであります。
 二番目に、これは当面の法定労働時間について、三年を目標に四十四時間というようなことを野党の方も言っておるわけでありますが、それも大臣からの御答弁、午前中には出ておりますけれども、いま一度御確認を願いたい、こう思います。
#170
○平井国務大臣 もう既に御答弁申し上げましたように、三年をめどと申し上げましたが、これは実態に即して言えば一年でも半年でも早い方がいいのでございまして、そこらあたりをめどにして、さらに短縮すべく最大限の努力をやっていかなければならぬ、かように考えております。
#171
○草川委員 それに伴って、私が今質問の前に、国民的な大きな合意が必要だし、押さえるところは押さえなければいけないというような趣旨を言ったわけですが、付随して、どのような積極的な労働時間短縮についての呼びかけを各界になされるのか、お伺いしたいと思います。
#172
○平賀政府委員 労働時間の短縮につきましては、単に法的な措置のみならず、基本的には労使双方がそれに向かっての御努力をいただくことがまず肝要であるとともに、国民全体としての御理解も必要かと存ずるわけでございます。
 そこで、まずその国民全体の合意形成として、労使のみならず各界の有識者に集まっていただいて、そういう懇談会あるいはシンポジウム等もやっております。さらに労働時間短縮のためには、所定労働時間の短縮ばかりではなくて、連続休暇の取得あるいは年次有給休暇の有効活用、そういった意味も込めまして、昨年からゆとり創造月間ということで、非常に変わった題名でございますけれども、ゆとりのある生活時間を設定する、あるいはその中で休暇をとっていただくということでキャンペーン活動をやっております。
 さらに、産業界といいますか産業別といいますか、特にその産業、業種の実態に即して労働時間の短縮をやっていただきたいということで、そういう業界団体等への働きかけも必要であると考えておりますし、それを計画をしているところでございます。また地域における問題につきましては、各地域における労使の方々のいろいろな懇談の場を設けることも必要であると思いますし、また地域の中小企業団体あるいは関係団体への働きかけも行っております。さらには公務員あるいは金融機関の問題のように、労働省のみならず政府を挙げて取り組まなければならない問題もございますので、関係各省等とも十分連携をとりながら施策を講じていきたいと考えております。
 以上、主なところを申し上げました。
#173
○草川委員 私が今も申し上げておりますのは、今局長の答弁それぞれ出ておりますが、大きい組合なり会社の労使関係というのはしっかりしておりますから、そんなに心配はないと私は思うのです。それから公務員の方々もそれなりの組織がしっかりしておりますから、受け入れ体制も十分あると思うのです。私が一番主張したいのは、日本の本当の産業構造というのは、下請、中小企業、零細企業、こういうところによって産業が支えられているわけでありますから、どちらかといえば労働構造というのは二重構造、三重構造になっておるわけであります。このことは、私は社労があって発言の機会がありますと、いつもこの問題を労働省にも申し上げておるわけでありますが、実態はそうだと思うのです。きょうはまた、この法律が施行されると、どのような状況が出るのかという心配のことを後で問題提起をしますが、問題はそういう意味で、ぜひ親企業対中小企業のいわゆる単価の決定、そういう面でも時間短縮によるところのコストアップの吸収という意味を労働省サイドも働きかけていただきたいし、きょうは通産省も呼んでおりますけれども、通産省もそういう下請に対する配慮をしてもらいたいということを、私は特に強く申し上げておきたいと思うわけであります、
 それから三番目に、いわゆる猶予される事業場の範囲についてできるだけ限定をするということになっておるようでありますけれども、これを業種的にはどういう業種を想定しているのか、あるいは三百人以下なのか、あるいは百人以下なのか、五十人以下なのか、そこら辺を少し詰めた答弁を求めたい、こういうように思います。
#174
○平賀政府委員 今後のその手続といたしましては、中央労働基準審議会で、労使の方々もメンバーとなっておりますが、そこで十分に検討をいただくことになろうかと思いますけれども、業種別、規模別に現在の所定労働時間の状況を十分検討し、その上で、例えば所定労働時間が四十六時間に達していないところが相当程度あるようなところなどについては、やはり猶予しなければいけないということですが、逆に、ある規模においても、所定労働時間が四十六時間に達しているところの割合が相当程度認められるようなところについては、猶予する必要はないのではないか、そういう具体的かつ慎重な検討を経た上でお決めいただきたいと考えておるのでございます。
#175
○草川委員 審議会で当然専門家の方々なり労使の方々の参加で決められることでございますが、ぜひ中小企業の範囲の特定を、余りずるずると認められると、結局本来の趣旨が損なわれることになりますので、その点はしっかりとした対応を立てていただきたいと思うのです。
 私どもも中小企業のおやじさんとよく会うと、それは大変ですよという悩みの方が多いのですよ。ですから、私も中小企業の経営者の方々に、割り切るときには割り切らないとだめですぞ、国際的な関係なり内需刺激の問題なり雇用の創出なりいろいろな点を考えると、この際、割り切られる方がいいのじゃないですかと言うと、草川さん、それはわかるけれども、親会社の方にも一言物を言いなさいよ、こういうことがいつもはね返ってくるわけです。私は繰り返し申し上げますけれども、それにトータルな意味で取り組みませんと、この時間短縮というのは成功しないのではないかと思うわけであります。
 そこで、今度は変形労働時間制についてお伺いしたいのです。
 これは一カ月と今度の新しい三ケ月単位の問題で随分議論になっているわけですけれども、いわゆる上限という問題がここでも繰り返し議論になっております。その上限について、なぜ上限というものを設けなければしり抜けになるかということを我々委員側が主張するのか、それに対して労働省の方はどういう規制をするのか、あるいは連続労働日数の上限についても、あるいは一週間の上限時間、一日の上限時間のあり方について、具体的に答弁を求めたい、こう思います。
    〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
#176
○平賀政府委員 変形労働時間の問題についてはたびたび御答弁申し上げておるところでございますが、現在の労働基準法において四週平均して四十八時間という形での変形労働時間の制度がございます。これにつきましては、基準法施行後四十年の運用の中で、格段の上限規制の問題はございませんが、私どもとしては問題なく運用されているものと理解をいたしております。
 そこで、今回新しく導入されます変形労働時間の制度、特に三カ月の期間、従来の四週に比べて三倍強の長期にわたっての繁閑の調整ができるような変形労側時間の制度についてでございますが、それにつきましては、現在の平均四十八時間に対しまして、通常四十時間、小さな規模の事業所でも四十四時間ということで平均のセットをしておる。それからあわせて、それを導入するにつきましては、労使協定を義務づけておる。その二点の新しい歯どめを加えることによって、従来の経験にもかんがみ問題を生ずることがないという考え方を持っております。
 ただ、特に女性の方々等につきましては、忙しい時期において一日の労働時間が長くなる、それがほかの時期において調整されて短くなるとしても、長い時間の労働が可能ではないか、そういうことでの御懸念が指摘されておるのでございます。私どもといたしましては、そういう御懸念があるというのは現実でございますので、これもしばしば御答弁申し上げておりますように、そういう御懸念に対しては、当委員会の審議の状況その他を十分お聞きしまして、特に規制措置等についての御審議の状況も承りました上で適切に対応したい、こういうふうにお答え申し上げておるところでございます。
#177
○草川委員 この点については、いずれ法案修正等の場で出てくる問題と思います。
 一つ、こういうことはどうかというのですが、現在でも四週間という一つの区切りがありますけれども、これが今度は一カ月という区切りになるわけですね。そうすると、四週間と一カ月は同じじゃないかという意見があるのですけれども、我我もよく勉強してまいりますと、二、三日の違いなんだけれども、大したことはないというんだけれども、例えば月末に非常に繁忙の銀行なら銀行というものを想定しますと、これが一カ月単位になって、計算する起算日をまたいで考えますと、平均の労働時間、残業時間が随分減るということにもなりますね。従来のような四週間と区切ってしまいますと、その歯どめの方がかえってきついのではないか、弱くなるのじゃないかという問題点もございます。いわゆる残業制限ということにもなるわけでありますし、どのようにその点を考えるのか。あるいは業種によりますけれども、例えば旅館業だとかレジャー業なんという職種を想定いたしますと、四週間なり一カ月というものの違いが随分出てくることになるわけでございます。その点、最初に私が申し上げましたように、労働者にとって毎日の労働時間というものは、労働時間帯が一定していることが大切だという基本的なものがあるわけでありますから、それが変形労働時間ということによって乱用されるというおそれはないのだろうか、その点の心配があるわけでございますが、どのようにお考えになられるのか、お伺いします。
#178
○平賀政府委員 四週間平均して四十八時間という従来の変形労働時間制が、今度一カ月になるということ、日にちについては多少延びるということですが、これも先般来御答弁申し上げているように、現在でも四週間の運用の中で既に一カ月ということで計算上そういう運用をしておるところもございます。それから現在まで四十年間の運用の経過から見て、一カ月あるいは四週間の単位での変形時間については懸念されるような問題はないと私どもは確信をしております。
 ただし、今度三カ月単位の新しい変形時間の導入あるいは一週間単位の非定型的な変形時間制等、変形時間制についての新しい規定が導入されることになっております。そういう意味では、御懸念のように、一カ月の問題について新しい懸念が生ずるのではないかということも考えられます。私どもとしましては、そういう乱用とかいう事態が便乗的に起きるというようなことについては十分配慮し、むしろこの時期、こういった問題について厳重に指導してまいりたい、こう考えております。
#179
○草川委員 そこの点がうちとしては判断の非常に大切なところなんです。今局長は、そういうように厳正な対応をする、乱用を戒めるということ、これはもちろん今後の問題でありますけれども、私どもが本法案について最終的な態度を決めるにも、大変大きな判断材料ではないかと思います。そういう意味で今の局長の答弁を私はそれなりに評価をしたいと思うわけであります。
 そこで、時間をどんどん食っていきますので、この問題について最後になりますけれども、いわゆる本人の意思の尊重ということを要件に加えるというのを私どもも要求しておるわけでございますが、その点今後どういうように受けとめられるのか。あるいは妊産婦に対して変形労働時間制を適用除外するということについては、午前中の議論にもあったようでございますけれども、この法案成立のために、今後とも詰めた話をされるつもりなのかどうかお伺いしておきたい、こういうように思います。
#180
○平賀政府委員 各野党の共同修正要求を見せていただきましたが、その中に一週間単位の非定型的な変形労働時間について本人の意思を尊重するべきであるというような御指摘がございまして、ただいまの御質問はその趣旨であろうかと存じますが、その点につきましては、今後そういう本人の意思を尊重するという要件をこの運用について加えていきたいと考えております。
 それから、妊産婦の問題については、午前中大臣が御答弁申し上げましたように、そういう趣旨を考えながら、今後とも十分適切な対応をしてまいりたいと存じております。
#181
○草川委員 まだ法案成立までにはいろいろと私どもの意見を反映する機会もあるわけでございますが、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 そこで、今度は労働時間短縮と雇用の拡大という問題の相関関係についてお伺いしたいわけであります。
 当然のことながら、労働時間短縮というものは雇用機会の確保ということを頭に置いておられると思うのです。その雇用拡大効果について、労働省は先般労働白書を出しておりまして、昭和四十五年−五十年−五十五年接続産業連関表によって試算をすると、約五兆六百億、約五十万人の雇用創出というようなことを言っておみえになります。これは大変難しい議論でありますけれども、どのような形でそういう数字が出てくるのかお伺いしたい、こう思います。
#182
○平賀政府委員 先ほど吉井先生の御質問の中にもございましたが、現在週休二日制が完全に適用されているわけではございませんが、これが完全に適用されるものと仮定をしまして、そうした場合に自由時間がふえるということで、新しい需要が各部門にわたって生ずるであろう。特に、単に休養するということではなくて、例えばスポーツをする、あるいは趣味、創作活動に従事する、あるいは娯楽関係に出ていく、あるいは旅行等観光に出ていく、そういった分野に現在までの統計資料等を使いまして推計をいたしまして、新たに生ずる需要といいますか、そういう需要と、さらに波及効果あるいは中間需要なども計算をしまして、それによって内需の拡大効果がある、その内需の拡大効果に伴って、新しい産業分野あるいは新しい需要が創造された分野で雇用がふえるだろう、そういうことを推計いたしまして、需要の増として五兆六百億円、それから雇用の増加として約五十万人という推計をしたわけでございます。
#183
○草川委員 経済は生き物でありますし、全国的な雇用調査を進められる上において大変難しい問題があると思うのでございます。
 私が今から申し上げるのは、雇用増加数、例えば今五十万という数字だとか三十二万人という数字を出しておみえになりますが、それがどういう形で増加になるのか。いわゆる常用労働者としてふえていくのか、あるいはパートとしてふえていくのか、あるいは人材派遣業という形でふえていくのか、その将来の展望をぜひ示していただきたい、こう思うのであります。
 その前に、先ほど来から私は中小企業の問題をたくさん取り上げておりますが、時間短縮に伴う中小企業対策というものは非常に深刻な問題があると思うのですが、中小企業庁としてはどのような対応をされるのか。通産省から振興課長が見えておられると思うので、お伺いしたいと思います。
#184
○瓦田説明員 お答え申し上げます。
 中小企業は大企業と比較いたしますと、生産性の面でも大きな格差がございますし、その基礎となります資本装備率につきましても、大企業と比べまして四分の一程度の水準と、非常に大きな格差があるわけでございまして、労働時間短縮につきましては、中小企業にとりましては非常に大きな問題であるということは事実でございます。しかしながら、この労働時間短縮というのも大きな世の流れでございます。こうした時代に中小企業が力強く生き残る必要があるわけでございますが、そのためには、やはり中小企業の経営基盤の強化を図る、また生産性の向上を図るということが不可欠であるというふうに考えております。
 こうした観点から、中小企業庁といたしましては、中小企業の経営基盤の強化を図り、あるいは設備投資を促進し技術力を向上させる等によりまして、その生産性の向上を図るという観点から、税制、金融上の措置を初めといたしまして、各種の施策を講じているところでございます。このような中小企業施策の充実を今後さらに図ってまいりまして、これを推進することによりまして、労働時間の短縮を含めまして、中小企業におきます労働条件の向上が図られるよう努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
#185
○草川委員 今中小企業庁の方からいわゆる設備投資の増加あるいは生産性の向上等いろいろなことの施策が必要だということを言っておみえになりますが、私は先ほどから労働省にお伺いをしておりますが、もちろん生産性の向上運動も必要でありますし、それから合理化ということも出てくるわけでありますけれども、抜本的な問題は、やはり親会社に対してコストアップをどのように要求し、親会社がそれを認めるかというところに尽きるのではないかと思うのであります。もちろんそればかりではないということは十分承知をした上での質問でありますが、労働省はそのあたりの配慮をどのようにして実効ある政策を進められるのか、お伺いしたいと思います。
#186
○平賀政府委員 確かに先生御指摘のように、中小企業における労働時間の短縮を考える場合に、中小企業、特に製造部門の多くの事業所が元請・下請の関係に立って、下請企業として経営をしているということは事実でございます。その場合に、親会社における所要の配慮ということが極めて重要であるということは認識しておるところでございます。したがいまして、一つは、産業界において時間短縮を進める場合に、親会社の立場でどういうように下請企業の時間短縮を進めるかということを十分御検討いただく。またその面への要請をするということと同時に、各地域において企業グループといいますか、中小企業のグループあるいは一つの業種におけるグループとして物事を考える場合に、親会社と子会社との関係あるいは親会社としての配慮、そういう点についてどのようなことが必要かというようなこと。そういうものについて、一つは広い意味での産業界を考える、あるいはある地域における問題を考える、そういった場合に元請・下請の関係を十分考慮して対策を進めること。さらに労働省といたしましては、ここに通産省の方もお見えでございますけれども、産業を所管している官庁とも十分連携をとりながら。そうした面での対策あるいは考え方あるいは施策の進め方等について御協議を申し上げてまいりたいと思います。
#187
○草川委員 通産省ともども、この労働時間短縮に取り組むに当たっての相当大がかりな対策というのは、私が指摘したことを含めてぜひ行っていただきたいというように思うわけであります。
 その次に、時間短縮がどんどん進む、それは通産省が今おっしゃいましたように、一面では近代化という形でそれを吸収していくという面があります。ところがもう一つは、パート労働者というのがふえていくのではないだろうか。これは先ほど吉井委員の質問がございましたので、私はきょうはやめておきますが、そういう新たな雇用形態というものがふえていくのではないかという心配があります。その一つとして労働者派遣事業というものがあるわけでありますが、これは今全国的に労働者派遣事業というのは非常に大きな位置づけになってきております。
 たまたま私が東京都下の女性だけの人材派遣業はあるのかといって調べますと、もちろん女性だけのということではございませんけれども、八割から九割女性の方々だけの人材派遣業もございます。いわゆるワープロだとかオフィスオートメーションというような仕事。しかも東京に本社がございますところの大手商社の本社自身の動向を調べてまいりますと、大手商社が一〇〇%出資で人材派遣業を経営してやっている。だから一方で時間短縮があって常用労働者、常用雇用がふえていくならば、私は先ほど労働白書の中から問題提起をしたわけでございますけれども、それもわかるのですが、一面そういう方々がふえることをどう見るのかという問題があるわけであります。
 ただ、ここで私の基本的な考え方、スタンスを申し上げておきますと、そうしませんと御理解がないと思うのですが、産業構造がどんどん変わってくると、人材派遣業のような労働者派遣事業のようなものはどうしてもふえてくる。だから、いい労供はどんどん育てるべきだが、中には悪い労供が現実には現場の中にはあるのですよ。生産ラインに労供の適用業種を拡大してもらいたいという中小企業のおやじさんなんかの声も事実あるわけです。私は説得するわけですよ。それは間違っていますよ、そこはつらくてもあなた、そういうものではない。いわゆる人材派遣業の適用業種というのは、今決められている範囲なのだから、その中であなたは仕事をやりなさい。まかり間違ってもそういうところに手を出すべきではないというようなことを言っておりますが、言っては悪いけれども、いい労供はこの際どんどん伸ばすべきだが、悪いのは労働省の非常に厳重な対応が必要だという趣旨を言いたいわけです。だから、もし労働時間短縮が悪い労供が出ることによって置きかえられるとするならば問題である。また同時に、逆にいい労供の活動までブレーキをかけることもいかがなものか、こういう感じがするのですが、その点労働省の御見解を賜りたいと思います。
#188
○白井政府委員 お答えいたします。
 先ほどからの御議論の中で、時間短縮の結果が雇用増に結びつく、それがどういうふうな計算になるのかというようなお話、いろいろございましたが、これは先生御指摘のように非常に難しい問題でございます。時間短縮で直接に雇用増に結びつくかというと、これはなかなか短縮したところですぐ雇用増になるというわけじゃなくて、先ほどの労働白書の計算等におきましても、時間短縮の普及効果と申しますか、そういう波及効果によりまして雇用の増大が図られるということだと思います。
 したがって、まず時間短縮の問題そのものでいきますと、その場合に、時間短縮するために、正規採用を減少をして、パートなり派遣労働者をふやすということは、本来の時間短縮の趣旨には沿わないものだというふうに考えておりますし、また時間短縮というものは、全体の労働者の労働条件を上げていこうということでございますので、そもそもそういう趣旨ではございませんし、そういう方向には流れていかないのじゃないかというふうに私は考えております。
 ただ、御指摘のいい労供、悪い労供の問題があるわけでございますが、この派遣の対象業務としましては、今先生おっしゃいましたように、我が国の需給の状況等から申しますと、確かにいろいろな需要や供給の要素から今後ふえていくというふうに私は思います。しかし、我が国の雇用慣行との調和、または常用雇用労働者の雇用の安定、いわゆる雇用機会の確保の観点から、派遣法を通させていただくときに、対象業務としましては、専門的な知識、技術、経験を必要とする業務、また就業形態、雇用形態等の特殊性により特別の雇用管理を必要とする業務に限定させていただいたところでございますし、派遣期間につきましても、一定の制限を設けさせていただいているところでございます。そういうそもそもの法の運用の趣旨から申しまして、いい労供がふえていくように、またそれが労働力需給システムに適正に運用されていくように労働省としては配慮してまいりたいというふうに考えております。
#189
○草川委員 もう時間がなくなりましたので、あと二問ほどですが、労働省が今回の概算要求で総合雇用対策を促進するという中に、外国人労働者受け入れのあり方など「展用問題に関する調査研究の充実」というのがあるんですね。外国人労働者の採用について、この前、私は決算委員会で具体的な男ジャパゆきの雇用契約のモデルを示して問題提起をしたのですが、その後も男性の外国人労働者と目される方々というのはふえておりますね。男ですよ。フィリピンの場合は昭和六十年で二万一千百六人、バングラデシュで昭和六十年に二千七十人、タイで二万四千七百四十九人、パキスタンで八千人というように入国をされてみえるわけであります。
 それで、かねて新聞等でも出たように、建設現場だとか中小企業の末端で外国人労働者が作業をしておるという実態を私自身が目で見てきておるわけでありますが、これは本当に容易ならぬ事態だと思うし、中小企業の実態からいうと、そういう点についても、話を聞けば経営者の悩みというのはそれなりにわかるわけであります。そういう点を踏まえまして、労働省としてどのような考え方で外国人労働者受け入れのあり方についての概算要求をなされたのか、お伺いしたいと思います。
#190
○白井政府委員 お答え申し上げます。
 先生決算委員会でいろいろと御指摘いただきまして、我々としましても、それらを参考としながら内部で検討いたしているわけでございますが、あの際御指摘になりましたいろいろな問題につきまして、特に中間でそれをあっせんする人々の問題、それから不法入国に対応する問題等につきましては、現在の法律によりながら対応してまいらなければならない。政府の方針としましては、現在の状況から見ますと、やはり単純労務を受け入れるということについては消極的な態度で対応してまいるというのが現在の政府のとっている態度でございます。
 しかし、あのとき御指摘いただきましたように、中間で不法ないろいろな利益を上げている者、その他の問題についてどうするのだ、それからさらに今後外国人労働力全体の問題をどう考えるのだというような御指摘もございました。こういう国際化時代でございますので、人の問題そのもの、労働力そのものについて国際的に見てどういうふうに取り扱うかということがまず必要な点でございまして、これを国際的にどういうふうに取り扱われているか、各国の状況を見ながら、先進西欧諸国におきましても、従来の経緯、非常にたくさん入れながら、さらに後で困ったとかいうようないろいろな経過もございます。そして現在とっている状況等を十分に把握してまいりたい。
 それから、単純労務だけではなくて、商社、大企業、それから中小企業でも先進企業等におきましては、いわゆる外国人労働者を雇わざるを得ない、またはそれらの国際化を図っていく必要があるというような面の要求も持っていると思います。それらの実情もまた把握してまいりたい。
 そういう点を踏まえて、そんなに長い時間をかけることはできないわけでございますけれども、来年度早々には、そういう実態調査、状況調査を行いまして、我が国のとるべき態度を決めさせていただきたいと思って概算要求させていただいたわけでございます。
#191
○草川委員 これは私の個人的な見解でありますが、学生、学者あるいは技能者、こういう方々が日本の国内においていろいろな意味で知恵をかしていただくなり力をかしていただくような場はどんどん提供すべきだと思います。しかし、現在日本の恥部と言われるような、人の嫌がる仕事を彼らに与えて、それを黙認するというようなことは許されては相ならぬ、こういう私の意見であります。ぜひその趣旨でやっていただきたいと思います。
 時間が最後になりましたので、一問お伺いをします。
 実は労働災害でございますが、最近産業用ロボットの事故、これは死亡災害の統計は出ておりますが、ロボットによる死亡災害以外の事故率というのは出てないと思うのです。ですけれども、私が承知をしておる限り、最近ロボット事故というのは非常に多くなりつつある。ところがそれに対してどういう対応を立てたらいいのかといいますと、例えばクレーンだとクレーン協会、クレーンの機械そのもののメンテナンスの検査協会というのがあります。それできちっとした労働安全衛生規則というのがあるわけですね。ボイラーについてもメンテ要員の有資格者がいるかいないかきちっとしておりますね。いわゆる点検というのがあるわけです。ところがロボットというのは売りっ放しでして、ロボットの性能がどこで傷むのか壊れるのか、全然メーカーとしても点検というのはやられていない。結局買った工場側が点検をする以外にはないわけですね。ですから、私はこの際、ロボット事故というのは非常にふえてきておりますので、定期的な検査、整備を専門的に行うような、ボイラ協会のようなものあるいはクレーン協会のようなものがあってしかるべきではないか、そのための検討を図っていただきたいという問題提起をして、これは大臣からでも結構でございますので、総括的な答弁をいただいて、私の質問を終わりたい、こう思います。
#192
○平賀政府委員 我が国の産業界においてロボットの普及度が急速に高まっている、世界有数のロボット使用国になっていることは事実でございます。それに伴ってロボットの誤操作あるいは誤作動といいますか、そういう形で、最近数年間平均しますと、年に二件ぐらいロボットによる死亡事故が起きております。
 本来ロボットというのは、危険な作業について人間にかわってやるということで、クレーン、ボイラー等と本質的には異なるものだと思っておりますが、最近の技術の進歩に伴う新しい形態の災害として、既に安全衛生規則にその点を規定しております。災害の形態等によって、私どもとしては総合的にどうすればその安全が確保されるのか、十分に研究してまいりたいと存じます。
#193
○草川委員 以上で終わります。
#194
○堀内委員長 田中慶秋君。
#195
○田中(慶)委員 労基法の改正の問題の中で、今回四十時間への移行の時期の問題、この辺について大臣とちょっと詰めてみたい、こんなふうに思っております。
 今回の改正に当たって、当面の週法定時間四十六時間とする考えを変えるおつもりがないかどうか、まずこの辺について冒頭に質問をさせていただきたい、こんなふうに思います。
 なぜならば、新前川レポートの政策は国際的に公約をされている、今までの一連の中での認識は、この辺については一致されていると思います。労働大臣としても、これらについて二十一世紀まで千八百時間という政策目標からして考えてみると、四十六時間のスタートでは不十分だと言える、具体的な根拠がないように思います。ですから、この辺の根拠があったならば、これらを含めて答弁を願いたいと思います。
#196
○平井国務大臣 たびたび御指摘をいただいておる問題でございますが、つまり委員のおっしゃいますところは、二十一世紀までに千八百時間に切り込むためには、四十六時間スタートで十分と言えるのか、こういうことであろうかと思いますが、先ほど来、当委員会でも御答弁申し上げておりますように、一つの目標といたしましては一九九〇年、ここで二千時間を一応切りたい。そして一九九〇年代前半の早い時期に千八百時間に向けて最大限の努力をいたしたい、こう申し上げておるわけでございまして、御案内のように、たびたび申し上げておりますけれども、やはり労働基準法の改正だけをもっては時間短縮は非常に難しい問題でございます。そういう意味では、国民の御理解なり、さらにまた公務員の完全週休二日制、土曜閉庁というふうに総合政策をもってこの問題を推進していかなければならぬというふうに考えております。そういう意味では、そういうふうな施策とあわせまして、この改正案が成立をいたしますと、さらに今後の時間短縮については、各界においてそれなりの御理解もいただけるもの、また私どもも、中小企業を中心にして、それなりの指導援助等も含めまして、そういう難点も克服してまいりたい、かように考えております。
#197
○田中(慶)委員 いずれにしても、この四十時間という、具体的にお示しされたことについては評価をするわけでありますけれども、この一連の中で、それぞれのプログラムがあってしかるべきだ、こんなふうに思うのです。
 先ほど来明確になっていない、例えば四十時間の到達の時期、一九九〇年代の前半できるだけ早い時期にという、こういう形の一連の答えが出ているわけですけれども、一九九〇年代前半のできるだけ早い時期というと、少なくとも一九九五年以前という形になるわけです。これが前か真ん中か後ろかということになると、真ん中です。前半ということは、日本語の解釈は難しいかもわかりませんけれども、一九九五年以前にあって前半ではなかろうか、私はこんなふうに考えるわけであります。
 そんなことを考えてみますと、この一から五をそれぞれ数字的に分散しても、一九九三年くらいが今言葉で言われている一九九〇年代前半のできるだけ早い時期、こんなふうな解釈になるわけでありますけれども、これでよろしいかどうか、大臣の御答弁をいただきたい。
#198
○平井国務大臣 一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるよう努力をしたいと当委員会で御答弁申し上げておるわけでございます。このような見地に立って、御趣旨に沿うように最大限の努力をいたしたいと考えております。
#199
○田中(慶)委員 大臣の答弁も余りすっきりしていないのですけれども、その辺は私は言いたいことを言っているわけではありませんので、数字的に今申し上げたような形で、前半、真ん中、後半、これが日本語の解釈だと思いますし、前半という形になると、その一から五の数字を並べてみますと、三ぐらいが前半のできるだけ早い時期ではないか、こんなふうに解釈をさせていただきます。
 そこで、次に質問をさせていただきたいわけでありますけれども、大体その前半という形になってまいりますと、この四十六時間のスタートというのは大変無理ではないか、私はこんなふうに思うわけです。一方、この四十六時間をスタートとした場合において、その前半までのプログラムを考えてみますと、これはいずれかの時期に細かく具体的に整理をしていかなければいけない。四十六時間、四十四時間、四十時間という整理になっていくと思うのです。そういう点では、いろんな答弁の中で、この四十四時間の到達時期というものが三年後あるいは二年後、こういう形の問題があると思いますが、この辺をすっきりとしていただくために、私は重ねて御答弁を求めるわけでありますけれども、この辺の時期を明確にしていただきたいと思います。
#200
○平井国務大臣 これは先ほど来御答弁申し上げましたが、当面の法定労働時間につきましては、お答えしたとおり週四十六時間といたすわけでございますが、改正法施行後は、三年を目途にできるだけ速やかに週四十四時間といたしたいというふうに考えております。
#201
○田中(慶)委員 そこで、大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、そういう一連の中で、今回も経過措置の問題があるわけであります。
 経過措置の問題の中で、先ほど来議論をされているわけでありますが、三百人の人員を抱える企業というものが、この一連の中で三百人というものが、解釈によっては大企業にもなるしあるいはまた中小企業にも分類するであろう、この辺を今まで重ねて主張してきたところでございます。今回の皆さんのこれらに対する問題について、事業所の範囲についてはできるだけ限定をするということになっておりますけれども、このできるだけ限定というのは、今までも私は何回か申し上げてまいりました。三百人というのは大企業の分類にも入る。ですから業種別に、例えばクリーニング屋さんであろうと商店であろうと、こんなことを考えた場合においては、それぞれ十人でもあるいは三十人でも大企業の部類に、業種によっては入るわけでありますから、その辺は一応明確にしておく必要があるであろう、こんなふうに思いますけれども、いかがでございますか。
#202
○平井国務大臣 これも午前中局長から御答弁を申し上げたところでございますが、この適用を猶予される事業場の範囲問題というのはいろいろ考え方ございましょうけれども、やはり規模別、業種別の労働時間の実態に即しまして、その当該規模、業種に属する事業場の相当部分の所定労働時間が週四十六時間以下となっているかどうかを基準にしまして、具体的には中央労働基準審議会の意見を聞いて決定することといたしまして、できるだけきめ細かく、かつ限定するという方向で考えてまいりたいと思っております。
#203
○田中(慶)委員 一方において、この一連の経過措置というのは、これからの日本の産業において、それぞれ中小企業がこの経過措置によって、また逆な面で生きる道かという問題も出てくるわけであります。一方においては時短をしなければいけない、一方においては中小企業のそれぞれ生きる道を考えなければいけない、こういう問題で、それぞれ先ほど来附帯決議等々の問題で検討されていたわけでありますけれども、この一連の中で中小企業の皆さんが今後とも時間短縮をするための環境整備、そのためには指導やあるいはまた助成、育成というものを検討しなければいけないであろう、こういうふうにも考えるわけであります。
 御案内のように、日本の繊維を初めとするあらゆる分野において、今韓国初め台湾等々のNICSの問題を含めて考えるならば、中小企業さんの経営者の皆さんは、この時間短縮というものと、これからの自分たちの生きる道、こんなことを考えたときに大変悩まれているわけでありますけれども、こういう点では時間短縮の環境整備、助成、指導、育成、こういうことを労働省としてどのようにお考えになっているのか、考え方をお聞かせいただきたいと思うんです。
#204
○平賀政府委員 労働時間の短縮、特に今御審議いただいております労働基準法の改正に関連して労働時間の短縮を考えなければならないのは、御質問にありましたように中小企業の問題でございます。労働時間短縮をどう進めるかということにつきまして、中小企業の問題として考えるというのは私どもの基本的な立場でございます。
 その場合に、御質問にございました中小企業が労働時間の短縮を進めるための環境整備、これは極めて重要な事柄でございます。私どもといたしましては、中小企業が時間短縮を進めやすくするように、特に地域における中小企業のグループといいますか、中小企業に集まっていただいて、そこで時間短縮を進める問題点は何かとか、あるいは中小企業が時間短縮を進めるためのどういう方策、援助が必要かとか、そういうような中小企業自体で時間短縮を促進しやすいような話し合いの場をつくるということ、それから中小企業について特に役所の側で指導することももちろんですけれども、やはり事業を経営する立場、あるいは民間の立場で中小企業に時間短縮についてアドバイスをするような方をお願いするとか、あるいはそういった中小企業について時間短縮を容易にするためには、先ほどからも御質問の中に出ておりました元請・下請関係についていろいろな配慮をするということを、特に元請の大企業側に要請することも重要だと考えております。そういった取引関係の適正化のための指導、援助なども、関係省庁とも十分打ち合わせをして、その適正化を期するということを含めて、中小企業の時間短縮が促進されるための環境整備に全力を挙げてまいりたいと存じております。
#205
○田中(慶)委員 いずれにしても、これからの日本の産業が生き抜くために、あるいはまた国際的に日本が生き抜くために労働時間の短縮もあろうと思います。さらにはまた中小企業といえども、企業は人なりと言われるように、こういう点では人材の確保をする面でも時短も必要であろうと思います。同時にそれを、少なくても中小企業育成という前提からしますと、労働省だけではなく各省庁との連携をとりながら、合理化の問題や近代化の問題、さらにはまたそれぞれの制度、政策、例えば保証協会、保証制度の問題、さらには減価償却の問題等々で通産との連携や他のあらゆる省庁との連携も出てくるのではないかと思います。この一連の連携を密にしながら、全体的に労働政策というものがこれからの日本の産業の中に定着し、かつまたそれがワークシェアリングというような形の中で雇用や産業の発展につながる、こういうことを含めて、これは推進をしていただきたい、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#206
○平井国務大臣 中小企業対策につきましては、もう委員の御指摘のとおりでございまして、そういう御趣旨の方向で努力をいたしたいと考えております。
#207
○田中(慶)委員 そこで、この一千八百時間を達成するには、四十時間の目標もさることながら、年次有給休暇というものも当然ここに付与されるわけであります。今回年次有給休暇が六日から十日への引き上げという、こういう形では少なくてもILOの基準から見て、まだ不十分であろう、こんなふうに思っているわけであります。国際労働基準への引き上げは今回も無理だというような考え方を述べられておりますけれども、少なくても三労働週というものがこの引き上げる最低条件として私は必要だ、こんなふうに思いますけれども、これはお認めになられますかどうか、この辺について御見解を述べていただきたいと思います。
#208
○平井国務大臣 中小零細事業場の七割から八割が最低付与日数は六日であるという実態から見まして、今回の改正が六日から十日への引き上げにとどまりましたことは、これはやむを得ないものと考えているところでございます。
 なお、委員がお述べになりました問題でございますが、将来の適当な時期にILO条約の水準を参考に、さらに付与日数の増加を図ることを検討していきたい、こう考えております。
#209
○田中(慶)委員 例えば今回も年次有給休暇についても、事業所規模三百人以下については三年ごと二段階で十日に引き上げる、こういう定めになっているわけであります。附則の百三十三条にこんな形になっているわけであります。つまりこのことを具体的なプログラムに直してみますと、一九八八年から九一年までが六日、九一年から九四年までが八日、九四年四月から十日、こんな形になるのではなかろうかと思いますけれども、これでは十日までの引き上げ措置として余りにも緩慢ではないかと思うわけであります。千八百時間を一つの目標時間として達成することになってまいりますと、これらの一連の問題がネックになりはせぬか、こんなふうにも思います。
 そこで、今みたいに三年に二日というような形ではなくして、具体的に一年に一日ずつという形でやっていけば、それは消化をしやすいのじゃないか。中小企業の人たちでも、三年に二日消化するということになると、どんな形で消化していいかわからない。一年に一日ずつ消化をするという形になっていけば、これは当然目標としてやりやすいのじゃないか、こんなふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
#210
○平賀政府委員 御指摘のように、千八百時間の年間実労働時間を達成するためには、週休二日制の完全実施、完全定着と並んで年次有給休暇を二十日程度完全取得をするという状態が必要でございます。そのためには、中小企業におきましても、年次有給休暇の付与日数をふやすということも必要でございます。中小企業の現在の状態からして、法律で強制する付与日数を経過措置なしに一遍に引き上げるということは困難でございますけれども、それだからといって中小企業において年次有給休暇の最低付与日数の引き上げが必要でないということではございませんで、私どもとしては、再三お答え申し上げているように、それをできるだけ指導してやっていく、その場合に、先生の御提案は非常に現実的かつ適切なものと存じますので、御趣旨に沿うように着実に努力をしたいと考えます。
#211
○田中(慶)委員 きのうも参考人で商工会議所の代表の方が言われていたように、こういうものは何か決めていただければ、それに基づいて消化をしやすい、こういうことでございましたので、今局長が言われるように、この辺については明確にちゃんとした御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
 そこで、これと直接因果関係にあろうかと思いますけれども、実は新前川レポートが打ち出されたとき、労働大臣も労働団体の皆さんといろいろなことを話されたと思います。そういう一連の中で、実は年次有給休暇を取得したときの不利益扱いの問題で同盟がことしの一月調査をしました。この調査対象労働者の中の約三割が、賃金、昇給、昇進などについて、年休の取得によって不利益扱いがあったという回答が出ているわけであります。今日の日本における有給休暇の取得率の低さというものも、この辺から来ているのかな、推察でありますけれども、こんなふうに考えるわけであります。そういう点では、不利益扱いをしないという実効ある措置をとるべきではないかと考えているわけであります。少なくとも法律の中にこのことを、訓示規定等々を含めて何らかの形で明示をする必要があるのじゃないか、こんなふうに思いますけれども、いかがですか。
#212
○野崎政府委員 先生お尋ねの年次有給休暇を取得した場合に、精皆勤手当を支給しないとか賞与の額を減額するというような措置がとられますと、労働者に労働基準法上の権利として認められております年次有給休暇を取得することを事実上抑制する効果を持つと考えられますので、労働基準法第三十九条の趣旨に反するということで、これまでその是正に努めてきたところでございまして、この機会にこの是正をさらに徹底してまいりたいと思っているところでございます。
 なお、実態的な数字のお話でございますが、ただいま先生の御指摘のございました三割というのは、私どもの予想を超える非常に多い数字でございます。私どもの方の調査をしております内容で見ますと、五%から一割程度あるかないかというような数字ではないかと思っておりますが、そういった点も含めまして、またさらに検討、研究させていただきますとともに、先生がただいま御指摘になりましたような行政指導を法文上訓示規定のような形で書くということにつきましては、労働基準法はそういう努力義務的なことを書く法律ではございませんので、立法技術上問題もございますけれども、そういった点につきましても、さらに検討、研究させていただきたいと思います。
#213
○田中(慶)委員 実は私もこの調査結果のデータを見て驚いたわけであります。これは私がでたらめに言っているわけではありませんで、その三割という数字が明らかになっているわけでございまして、こういうことを考えたときに、確かに法制上問題があるのかもわかりません。しかし、全体的に今労働時間の短縮とか有給休暇の問題を含めて検討されているときに、反面においてその足を引っ張るようなことを現実にされたのでは、やはり自分が一番かわいいものですから、年休もなかなかとらないという形になってくるのではないか、こんなふうに思います。そういう点では、今法制上検討するということでありますから、これは本当に真剣に検討して、きょうの中で間に合わなければ、次の機会を含めながら、これを実効あるような形で扱っていただきたい、重ねて要望しておきますので、見解を伺いたいと思います。
#214
○平賀政府委員 先ほど審議官から御答弁申し上げましたけれども、御趣旨に沿うよう私どもとしても十分検討させていただきたいと存じます。
#215
○田中(慶)委員 労働時間というものは、定時間内労働と時間外労働という形でトータルが千八百時間という問題になってくるのではないかと思います。時間外規制の問題についてお伺いを申し上げたいと思います。
 今回の改正法案では、時間外規制について全く触れられておりません。時間外労働が長時間労働をもたらし、また雇用調整弁として利用される現状を考えるときに、失業の防止、ワークシェアリングの視点からも、時間外労働の規制は必要であろうと考えます。何らかの法規制、つまり時間外労働の上限規制などが必要であろうと思いますけれども、法的規制が無理だとしても、少なくとも年間の総労働時間、時間外というものの目安を考えておく必要があろうと思います。この辺についていかにお考えになっているのか、あるいはまたどのような指導をされているのか。お伺いをしたいと思います。
#216
○野崎政府委員 労働時間短縮を本当に実効あらしめるためには、御指摘のとおり、所定外労働時間の縮減ということも重要な課題であると考えております。ただ、先生よく御承知のとおり、我が国の雇用慣行のもとにおきましては、所定外労働時間の増減で景気変動に対応しているという面がございまして、言いかえますと、所定外労働時間が若干長目であるということが、また日本の労働者の雇用の安定につながっているという面もあるわけでございます。また所定外労働時間の実態を産業別、業種別に見ますと、産業、業種によって非常に大きな差がございまして、そういった点を考え合わせますと、法律で一律に上限規制をするということは、少なくとも現状においては適当でないんではないか。そういった点につきましては、労使の自主的努力によりまして、さらに所定外労働時間の短縮を期待しているところでございます。
 しかしながら、労働省といたしましても、そういった労使の努力に対する一つの目安を与えるという意味におきまして、時間外労働協定で労使が時間外労働の長さを定める場合の目安をつくっております。一番中心になる規制は一月五十時間ということでございますが、この目安につきましては、来年度実態調査を行いまして、先生お話しの年間の総労働時間の目安、これは現在ございませんので、これをつくることも含めまして、目安の見直しを行いたい、そういうふうに思っておるところでございます。
#217
○田中(慶)委員 実は、私は全体的なワークシェアリングという視点からも、この労働時間の時間外規制というものが必要であろうと思う。今実態調査のお話が出たんですけれども、一九八五年の推計によってアメリカは百七十二時間、イギリスは百六十一時間、西ドイツは八十三時間、これに比べますと、日本は二百十九時間、こういう形で、今残業時間が減るどころか逆にふえているような傾向なんです。
 こういう実態を考えてみますと、やはり何といっても、この時間外の規制というものを何らかの形でする必要があるであろう、私はこういうふうに考えているわけであります。これらについて、大臣から来年度時間外の問題について実態調査をするということでありますけれども、今申し上げたワークシェアリングの問題、失業の問題等々含めて、単なる景気の歯どめということだけではなく、全体的に時間短縮という前提をし、そういう全体の中で仕事を分け合うという観点からして、私は明確にする必要があるんじゃないか、こんなふうに思うのですけれども、答弁をいただきたいと思います。
#218
○平井国務大臣 これはまさしく御指摘の点は、私も理解をいたすところでございまして、時間短縮というのは、所定外、所定内を含めた総実労働時間でございます。そういう意味では、時間外労働時間を縮減いたしませんと、実態に即して考えるとなかなか時間短縮は進まない、ここらあたりも一つのネックであろうか。そしてただいま審議官がお答えを申し上げましたように、従来も目安を持って指導をいたしてまいりましたが、来年度実態調査を十分行いました上で、年間の時間外労働時間数の上限を設けるための見直しを行わなければならぬというふうに考えております。
#219
○田中(慶)委員 そこで長時間労働、時間外労働という問題を考えたときに、先ほども同僚議員から質疑をされておりましたけれども、自動車運転手の労働時間の問題は、中基審の建議で、関係労使等を加えた検討の場を設けて引き続き検討するという、こんな形になっているんではないかと思います。この検討の場を速やかに設置すべきだと思いますし、また具体的にこれらについて労働省として考えられておると思いますけれども、この辺について、自動車運転手の労働時間についても、今回の法規制とあわせて何らかの改正をする方向、努力、指導、こういうことが必要ではないか、こんなふうに考えているわけです。私は先ほどの同僚の質問と観点を変えて、今度の法規制とあわせて、一日も早く何らかの形でこのことが実現できる解決策を見出してやることが今回の審議ではなかろうかと思いますので、この辺についてお伺いをしたいと思います。
#220
○平井国務大臣 自動車運転者の労働時間問題は、さまざまな御指摘を当委員会でもいただきました。そしてまた現在、おっしゃいましたように、自動車運転者労働時間問題小委員会が既に設置をされまして、検討が行われておるところでございますが、この法改正が行われまして、同時にできるだけ早期に結論が得られ、同時進行できるというふうな点において、これは大いに努力しなければならぬというふうに考えております。
#221
○田中(慶)委員 今自動車運転手のお話を申し上げたわけでありますが、事業場外労働というものも、当然これは一連の問題であろう、こんなふうに思うわけであります。突発的に生ずるものは別として、常時行われる事業場外労働について、これらの問題については労使協定を締結するように指導するということでありますが、あらかじめ労使協定を指導するということは、具体的に、大臣、どのような考え方で指導されるのか、お伺いをしたいわけであります。
#222
○野崎政府委員 事業場外労働につきましては、これまでは「通常の労働時間労働したものとみなす。」というだけの規定になっていたわけでございますけれども、これだけの規定でございますと、セールスマンあるいは新聞記者の方等にその例が見られるのでございますけれども、所定労働時間を超えて労働することが常態となっているというような方について問題が生ずるわけでございます。したがいまして、そういった方につきまして、「通常必要とされる時間労働したものとみなす。」とすることが必要ということで、今回の改正になっておるわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、そういう場合に、「通常必要とされる時間」というのはどういう時間か、言葉で申しますと、通常人が通常の状態でその仕事をするために必要な時間というふうに説明できるかと思いますが、実際問題としてはなかなか判断困難でございまして、労使間で争いの起こるおそれもございます。したがいまして、そういった時間につきまして、労使間でよく御相談いただきまして、実態を一番よく御存じの労使の間であらかじめ決めておいていただく、そういうことが必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
 そういう意味で、突発的に起こるケースは別として、そういった協定を結んでおいていただくことが、こういった問題の処理を円満にするという見地に立ちまして、通達その他で十分指導してまいりたいと思っております。
#223
○田中(慶)委員 そこで、これらに対する届け出の問題でありますけれども、今回の考え方として、法定労働時間を超える労働時間を定めるものについては、届け出を義務づける方向で中央労働基準審議会に問う、こういうことでありますが、そのとおりですか。
#224
○平井国務大臣 そのとおりであります。
#225
○田中(慶)委員 そうしますと、これは少し後退しているんじゃないかと思うのです。というのは、「時間計算(第三十八条の二関係)」の中で「ハ」というところがあります。
 「事業場外労働」というものがありますけれども、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなすものとすること。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、命令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなすものとすること。
こういう一連の中で、「使用者は、命令で定めるところにより」という中で、「労使協定を行政官庁に届け出なければならないものとする」、こういう法律があるんですよ。そうすると、今そういう中で義務づけも方向で中央労働基準審議会に問うということになると若干違うのではないでしょうか。
#226
○野崎政府委員 先生御指摘の規定は改正法案の三十八条の二の第三項の規定かと思います。「使用者は、命令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。」ここでございます「命令」の内容をただいま申し上げたわけでございまして、実質的になぜそういうことをするのかという点でございますけれども、事業場外労働で労働時間が算定しがたい場合のまず第一のメルクマールは、所定労働時間ということになるわけでございます。まず「所定労働時間労働したものとみなす。」しかし、常態としてその仕事をするためには所定労働時間を超えるというような場合には、実際に必要とされる時間とする、こういう構えになっているわけでございますけれども、その前段の所定労働時間というのは、事業場ごとにいろいろの決め方がされております。法定労働時間は八時間でございますけれども、場合によっては、これが七時間とされている場合もあるかもしれない。みなし時間が七時間を超えて七時間三十分というふうにみなされている場合に、そのような協定まで届け出させることが果たして必要であろうかという点を勘案いたしまして、法定労働時間までの短い時間をみなし時間としているものについては届け出の必要はないであろう。しかし、法定労働時間を超えるようなものにつきましては、三六協定との関係でいきましても、これはぜひ届けていただく必要がある、そういうような考えに立ちまして、ただいま申し上げましたような考え方で審議会に御諮問申し上げたいというふうに、現在のところ思っているところでございます。
#227
○田中(慶)委員 わかりました。その辺の解釈が若干違っておりましたものですから、まずその辺を明確にしておいていただきたいと思うのです。
 次は、変形労働時間の問題について若干お伺いをしたい、こんなふうに思うわけであります。
 変形労働時間については、かねてから私どもは一日、一週、一カ月、それぞれの日数、限度を明確にする必要があるであろう、こんなふうに考えていたわけでありますけれども、一日の限度がまだ明確になっていない。そういう点では一日の労働時間というものが上限を含めてどうなっているのか。一日八時間、上限二時間なら十時間、この辺を明確にする必要があろうと思うのですけれども、大臣に答弁いただきたいと思うのです。
#228
○平井国務大臣 変形制の導入につきましては、今委員御指摘のように、悪用、乱用されることがないように、上限規制を行うべきでないかという御指摘でございますので、そういうふうな方向で私どもは結論を出したいというふうに考えております。
#229
○田中(慶)委員 重ねて審議官にお伺いしますが、今大臣の答弁で、一日限度管理八時間労働プラス二時間で十時間という形で御答弁をいただいたわけでありますけれども、一週、一カ月、こういう一連の問題を含めて、これからそれぞれ審議を明確にして、限度管理をちゃんとしていただきたい、こんなふうに思いますが、いかがですか。
#230
○野崎政府委員 大臣からお答え申し上げましたように、また当委員会の御審議の結果、三カ月単位の変形労働時間制につきまして、上限規制が行われるという前提に立って考えました場合の一日、一週あるいは連続労働日数の内容につきましては、まず一日につきましては、ただいま十時間というお話がございましたけれども、その十時間という数字は、ほかの立法例あるいは外国の実態等から見まして、一応常識的な数字ではないかというふうには感じますけれども、何分改めて今回出てまいりました問題でございまして、これまで私ども十分研究してまいっておりませんので、さらによくそういった数字については研究させていただきたいというふうに思う次第でございます。
#231
○田中(慶)委員 大臣の答弁よりあなたの答弁の方が後退したのでは困るのですよ。大臣は一日十時間ということを、そしてまた一週、その他の問題についてはこれからいろいろ検討するということです。まずスタートラインの一歩がちゃんと決まらない限り、一週も、一カ月もできるわけはないわけですから、その辺だけはちゃんときょう明確にしておいていただきたい。そうでしょう。一日の原則が明確にならない以上、一週もならなければ一カ月もならない。まず一日というものを明確にして、その辺だけはきょうはっきりしておいていただきたい。
#232
○野崎政府委員 私、ただいま大臣の御答弁を補足させていただいたわけでございまして、大臣の御答弁と全く内容は同じであるというふうに私自身は思っております。
#233
○田中(慶)委員 そういう前提に立って、これからまた若干変形労働時間について詰めさせていただきたいと思います。
 この一週間単位の変形労働時間制は、婦人労働者に与える影響が極めて大きいということを婦人団体を初めいろいろな各所で言われているわけであります。労働基準法の六十七条に定めるところによって、育児時間を必要とする婦人労働者あるいはまた寝たきり老人や病人を抱えた婦人労働者等々の問題については、この変形労働時間といえども、一週間単位の中で個人の意思の尊重というものをもっと明確にする必要があるんじゃないかな、こんなふうに思うのですけれども、いかがでございますか。
#234
○平賀政府委員 一週間単位の変形労働時間制の運用に関しましては、御婦人の方々、特に子供さんを抱えておられる方あるいは老人の介護を要する方、その他いろいろと御事情があろうかと存じます。したがいまして、その場合に、そういった事情を配慮いたしまして、御趣旨のおとり労働省令において使用者が一週間の各自の労働時間を決めるに当たって、労働者各人の意思を尊重することを要件に加えたいということで考えております。
#235
○田中(慶)委員 ぜひそのような形でしていただきたいと思います。最近、特に今の寝たきり老人等々の問題が多くなってきているわけでありまして、高齢化を伴ってどうしてもそういうことが多いわけでありますから、その辺をぜひ明確にしておいていただきたいと思います。
 そこで大臣、最近出生率が下がっていますね。日本の出生率というものは今大体どのくらいか御存じですか。
#236
○平井国務大臣 私の記憶では一・七ぐらいでないかなと考えております。
#237
○田中(慶)委員 夫婦二人で一・七というと、これは人口統計学上日本の将来の人口というものはだんだん高齢化が増して、そしてやがてはそれが少なくなっていくわけですね。そうしますと、今、この将来の日本を考えても、人口が何とかふえていく方法を考えなければいけないであろう。そうすると、そういう点では少なくとも妊産婦の問題が、先般も大臣の前向きな姿勢が見られたわけでありますけれども、今回の変形労働時間というものから、こういう一連の環境からして、除外をすべきである、こういうことを明確に大臣に申し上げました。大臣も大変前向きの答弁をされたわけですけれども、この辺について、最後の詰めですから、もう少しちゃんと詰めておかなければいかぬ、こんなふうに思うのですけれども、あらゆる環境を含めて、その辺を明確にお答えをいただきたい。
#238
○平井国務大臣 前回も御質疑があったわけでございますが、妊産婦の保護につきましては、本委員会の議論を踏まえまして、いろいろな面から考えて、御懸念のないように、法的措置の問題も含めまして、適切な対応ができるような方法を検討してまいりたいと考えております。
#239
○田中(慶)委員 こういう一連の中で、妊産婦問題等も含めながら、今回の変形労働時間、少なくても従来の四週から三カ月という形になっていくわけであります。そのことが職場減らし、人減らしあるいはまたいろいろな形で従来の正規労働がパートタイマーになるようなことであってはいけないであろう、こんなふうに思うのです。そうなってくると、この変形労働時間というものが、仏つくって魂入れず、こういう形になっていくのではないかと思うのです。こういう一連の問題を含めて、やはり変形労働時間というものに対する正規な、徹底した認識を企業の皆さん方にしていっていただく必要があるのではないか。それがこれからの日本の経済や産業の発展につながる、こういう起爆剤にする必要があるのではないか、こんなふうに思うのですけれども、大臣、いかがですか。
#240
○平井国務大臣 おっしゃいますとおり、変形制の導入も、角度を変えて考えましたら四十時間、四十四時間というのを先取りした中で利用されるわけでございまして、私は、この変形制の導入そのものは、時間短縮の促進に今後資するものと考えております。
 いずれにしましても、御懸念の向きのないように、また実態に即して時間短縮が効果的に行われますように、全力を挙げたいと考えております。
#241
○田中(慶)委員 時間もありませんので、最後に総括的に大臣にお伺いしたいと思います。
 日本は国際的に見て、今まさしく働きバチであるとかいろいろなことを言われております。しかし私は、反面、これからの日本が持続的な経済成長も保っていかなければいけないであろうし、さらにはまたそのためには国際協調もしていかなければいけない、こんなふうに思うのです。ところが今、日米関係一つとっても、日本に対する好意的な発言どころか、最近、昨日の日経においても、アメリカの国民そのものの日本に対する信頼はだんだん薄れでいっている、こんな話をそれぞれ日本の現地で働いている皆さんやあるいはまた向こうで活躍されている皆さんが述べられているわけであります。こういうことは、やがてそれぞれ労働時間や労働環境という問題に具体的な指摘をされてくるであろう。こんなことを考えたときに、一日も早くこの労働時間の短縮というものがそういう面からも必要であろう、私はこんなふうに考えているわけであります。
 特に、この一連の中で心配されているのは、アンフェアであるという、アクションプログラムの問題もいろいろなことを言われてまいりました。そして今回の労働時間についても、少なくても日本はアメリカやイギリスと比較して二百時間以上、西ドイツやフランスと比較して五百時間以上、こういう形で時間がそれだけ多く離れているわけてあります。こういう一連のことを考えたときに、この時間短縮というのは、国際的な公約という話も出ましたし、前川レポートの問題も出ました。OECDの中における閣僚の約束でもあるわけであります。こういう一連の形で、少なくても今回の時間短縮というのは、労働大臣として国際的にも国内的にも大きな責任があるわけでありますから、これを本当に実現をしていただきたい。重ねてこの辺に対する考え方を求めたいと思うのです。
#242
○平井国務大臣 御案内のように、日本が大変な経済力と申しましょうか影響力の大きい国家になったわけでございます。それだけにまた風当たりも強いわけでございます。また現在は、御意見ございましたように、経済問題一つとってみても、世界的に我が国にとりましても非常に大きい転機が参っている。そういう中で日本の国際協調、またその責任、あり方を問われておるわけでございまして、当面、本委員会で議題となっております時間短縮の問題につきましても、まさに御趣旨は委員が述べられたとおりでございまして、その御趣旨を踏まえて、今後全力を挙げて対処してまいりたいというふうに考えております。
#243
○田中(慶)委員 時間が参りましたので、終わりますが、最後にこのことだけ申し上げておきたいと思います。
 日本の産業構造は大きく変わったと思います。鉄鋼、造船そして電機、自動車と言われた産業構造が大きく変わってきました。そうしますと、頭脳集約型産業にこれから生きていかなければいけないわけであります。こういう一連の問題を含めて、やはり時短というものが、次の労働に対するあるいはまた次のあらゆる問題に対する具体的なエネルギーにするためにも、時短あるいは有給休暇というのは必要であるということを改めて強調しながら、ぜひ御検討いただくことをお願い申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
#244
○堀内委員長 田中美智子君。
#245
○田中(美)委員 政府は、今度の改正で週四十時間を本則で定め、大幅な時短になるというような大々的なPRをしてきました。しかし、法案の中身を細かく検討してみますと、附則で、当分の間、三百人以上の事業所では四十六時間、それ以下の事業所は四十八時間。ですから、時短の対象になる人数は約三十五万人にしかすぎません。この人数は全労働者四千四百万人中〇・八%が時短の対象になるにすぎないわけです。これは四十時間制というPRから考えますと、いかにまやかしであるかということがはっきりしているのではないかと思います。
 質問に入りますが、労働省の提出した数字によりますと、三百人以上の事業所では、現在四十六時間以下を達成しているところ、これは四十時間、四十四時間というのもある、こういうのが九四・七%になっています。三百人以上の事業所でありながら五・三%が週四十六時間以上である、こういう業種はどういう業種にあるのでしょうか。
#246
○野崎政府委員 お尋ねの規模三百人以上の事業場で週四十六時間の基準にまだ到達していない事業場の割合が多い業種は運輸、交通業、清掃業等でございます。
#247
○田中(美)委員 特に、この運輸は最も労働時間が長いということで問題になっておるにもかかわらず、三百人以上の事業所の中から附則百三十一条三項によって除外しているというのはどういうことですか。
#248
○野崎政府委員 お尋ねの附則におきましては、当面の法定労働時間を適用猶予できる対象といたしまして、一定の規模以下の事業、それから一定の業種の事業を挙げているわけでございます。しかしながら、この規模、業種をどのように定めるかということにつきましては、先ほど来の本委員会での御議論でも繰り返し出ておりますように、現在まだ決まっておりませんで、法案成立の後、十分検討いたしまして、案をつくり、審議会にお諮りし、その御意見をお聞きした上で決める、そういう段取りになっているわけでございます。
#249
○田中(美)委員 本当に時短をしようという気持ちがあるなら、三百人以上の四十六時間を実際にやっているところには四十時間を当てはめる、四十六時間よりはるかに上がっている建設業とか運輸業、三百人以上でも、こういうところこそまずこれを時間短縮していかなければならないのに、こういうところを、むしろ多いところを削除していくというような、これはレクの中でもはっきりと労働省言っているわけですからね。こういうことでは、やはり四十時間制を掲げながら、実際には困っているところは削除する、長くなっているところは削除していく、ここに労働省が本気で時短に取り組んでいないという姿勢があらわれていると思います。もうこの問題は時間がありませんので、これだけにとどめておきます。
 今ここに、これは西ドイツのポスターです。委員の方にも皆さんにもちょっとお見せします。こういうふうになっています。西ドイツのポスターですね。これを見ますと、まさに労働者の、人類の闘いといってもいいか、ずっと昔から労働者が闘って六十時間制をかち取った、そして四十八時間制をかち取った。よく見てくださいよ、労働省の方。そして四十時間制も完成した。現在は三十五時間、これがもう焦眉のところに来ている。ほとんどここまで来ている。今の子供の絵がありますでしょう。よく見てください。ここに子供がいますでしょう。この子供が大人になるときは、二十一世紀の初めには三十時間になる、ここまで来ているのです。世界の趨勢はここまで来ているんですね。こういう中で日本がまだ四十六時間、これがもうほとんどでしょう。今度の改正で時短、時短、時短、労基法改正と言わないでも、PRするときには時短法なんということを自民党の議員は言っているじゃないですか。何が時短法ですか。四十六時間、これは圧倒的な九四・七%が四十六時間です。そういう点では、四十時間になっていないということは、世界の趨勢から見ても全く恥ずかしい状態になっているということを言いまして、いかにこれがまやかしであるかということを言うことができると思います。
 さて、次の質問にいきますが、マスコミ関係の労組の皆さんが労基法反対海外意見広告実行委員会というのをつくりまして、ニューヨーク・タイムズに、八月二十日、新聞の意見広告を出しました。これがニューヨーク・タイムズの半面ですね。新聞の半面を使ってこういうものを出されているわけです。まだ十日ぐらいしかたっていないのですよ。この反響はすごいのですね。これはどういうことを書いているかといいますと、「ごまかしの改正法案が今、国会に」「我々日本人は生まれながらの働き中毒ではありません」ということがここに書いてあるのですね。これに対する反響ですね。これはほんのきのう、きょうの反響なんです。まず、これが出ましたら、全米のネットワークのCNNというテレビが日本の二人のマスコミの婦人にインタビューしたものを放映しています。それからアメリカのウォールストリート・ジャーナルという全国紙が、自分の新聞にもこの意見広告を載せてくれ――載せれば売れるということですね。これだけアメリカ人の関心が強いということです。アメリカだけではありません。ヨーロッパのオランダの新聞社からも、この広告を載せてくれ、「まやかしの労基法が今、国会で」というのを載せてくれ。それからイタリアのザ・スタンプという新聞の新聞記者、それからフランス、西独の新聞記者、こういうところから問い合わせが来ています。これは労働省にも取材でどんどん来ているようですので、労働省は御存じですから、それをどう思いますかということを聞いたって始まらないと思います。
 それで、まだこういうことがあります。これはもう本当につい最近です。アメリカのカリフォルニア大学のフリードランド教授という社会学者ですけれども、この方がニューヨーク・タイムズのこれに対して賛意を表明している手紙が来ているのですね。その中にこういうことが書いてあるのです。極めてスキャンダラスな内容だ、私が一番驚いたのは、日本の法制度がいまだに四十八時間制が残されていることだ、三十六時間制を掲げるべきだ、こういう手紙をよこしているわけです。それだけではありません。カナダのブリティッシュコロンビア大学の法学部のザルツバーグという助教授が、これには非常に関心がある、だから資料をぜひ送ってほしい、日本の弁護士や法学者を紹介してほしいという反響が来ています。こういう問題になっていますので、今後イギリスのガーディアン紙には、もう二、三日うちには、またこの意見広告が載ります。次々また載れば、世界でこれは大問題になっていくわけです。
 こういう世界でも驚かれるような労基法の大改悪が、わずか十時間の審議できょうここで採決されていく。これでは国際的に日本がどのような大きな批判を受けるか、まさに恥ずかしいというような状態が起きてから大臣はどうするのかということを聞いても始まりませんので、時間がありませんので、次の質問に移ります。
 日経連の増田雅一さんという法制部長ですか、この方が労働法学研究会報というところに「暇なときの無駄な拘束時間を繁忙期に廻すことによって時間外労働時間を減らすという点で変形労働時間制やフレックスタイム制は非常に合理的な制度である」ということを言っていられます。この八月二十五日の児玉議員の質問に対しても、労働省は、このように暇なときの時間を繁忙のときに回すということはいいことなんだという答弁をしていられます。
 それで質問したいわけですが、例えば三カ月の変形労働時間制が導入された場合、この場合には、四月、五月、六月でちょっとやってみますよ。よく時間を聞いていてください。四月には九時から二時三十分まで働く、五月は九時から五時三十分まで働く、六月は九時から八時三十分まで働く。こうしますと、四月の二時三十分から五時三十分まで働くはずの三時間と六月の五時三十分から八時三十分まで働いた三時間、同じ三時間ですね。この中身は大きく違うと思いますけれども、労働大臣どうお考えになりますか。――大臣に聞いています。
#250
○平賀政府委員 最初に事務的に御答弁をさしていただきます。
 変形労働時間を含めて今度の労働基準法の改正は、日本の実態に即して労働時間を短縮するための有効な手段と私どもは考えております。
 それをまずお答えした上で、ただいまの御設問でございますが、御設問の趣旨、よくわかりません。要するに、こういう形で常時仕事が必要な場合、繁閑の調整をするといいますけれども、どういう形で労働時間を設定すべき場合というのは、実は私どもはよくわからないのでございます。頭で考ればそういうことはあるかもしれませんけれども、常時労働すべき実態にある職場で、こういう形での労働時間の設定が行われるというのは、通常予想し得ないと考えております。
#251
○平井国務大臣 今の具体的な事例につきましては、基準局長が申し上げたとおりでございますが、委員におかれましては、まやかしの改正というふうに言われました。そこのところは大変残念ながら私どもと解釈が違うところでございまして、基本的にこの変形労働は、いろいろ本委員会で御議論はいただきましたけれども、やはり週四十時間、四十四時間の導入というものを前提にして行われるものでございまして、時間短縮には大いに資するものであるというふうに私は考えております。
#252
○田中(美)委員 私の聞いたことに答えられないから、そういう横っちょのところで答えているのです。まやかしの労基法というのは、このニューヨーク・タイムズに出たというので、私がまだまやかしとは言っていません、私は賛成ですけれども。
 私は、二時半から五時半までの三時間働くのと、五時半から八時半まで働くのと、この三時間は同じ三時間でも違うじゃないかと言っているのですよ。それに対して答えられない。あなたたちだってわかるでしょう。きょう午後から三時間、二時半から五時半まで働くのと、五時半から八時半まで働くのでは、体でも何でも違うでしょう。これは明らかに同じ三時間でも、社会的にも健康的にも家庭的にも中身は全く違うのですよ。それに答えられないから、そういう質問の中身がわからないなんて、こんな小学生でもわかるようなことをわからないというようなことを基準局長が言うというのは何事だと思いますよ。
 それで、次の質問は育児時間の問題です。
 育児時間は、これが労基法で、合わせますと一時間もらえるわけですね。そうすると、今まで五陣半に退社のときには、育児時間をとって一時間早く帰る、こういうことが可能なわけですね、ところが今度は、所定内労働時間が八時半になったとき七時半に帰してもらう。同じ一時間でも育児にとって中身が違うでしょう。大臣、どう思いますか。
#253
○平井国務大臣 そこらあたりの時間の選択というのは、労働者代表の選択いかんであろうかというふうに考えております。
#254
○田中(美)委員 選択といったって、所定内労働時間が八時半なのに、一時間、途中で帰るということはできますか。そんなことが可能ですか。これも結局は同じ一時間でも、後の一時間は育児にはほとんど役に立たないということですよ。こういう実態を何もわからないで、こういうこともそのままにして、こういうようなことをしてろくな答えもできない。頭が上げられないでしょう。大臣、下を向いてばかりじゃないですか。
 最近、ことしの五月に、新日本婦人の会というのがありますが、ここがわずかですけれども約六百人の調査をしております。この中で、夫との対話は大体どれぐらいあるかというので、一日平均で三十分から一時間しかない。現在がですよ。中には相当数、一日の夫との対話が三分というのですね。行ってらっしゃい、お帰りなさい、早くおふろに入ってよ、これしか夫婦の会話がない、こういうように答えているのですね。
 こういう状態の中で、こういう変形労働が入ったら、もう家庭はめちゃくちゃになってしまいます。保育所に迎えに行くこともできませんし、本来の保育のあり方というものが薄れて、保育所ではなくて、託児を重点にするようなベビーホテルが繁盛して、公立の保育所の後退につながる、こういう形に結果的になる。さっきの例でいきますと、四月のように暇なときに寝だめ、遊びだめ、家族の団らんだめをやれ、こんなことを言ったって、これはめちゃくちゃな問題だと思うのです。
 だから、今回の法改正は、労基法の本来の労働者保護を極端に薄めて、そして労基法の特例の部分を大幅に広げて、労基法の特殊な部分が労基法の母屋を取ってしまうというような改悪だというふうに私は思います。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
 次の質問に移りますが、妊産婦の問題です。
 これは均等法案が一昨年審議されましたときに、婦人局やまた労働大臣が、直接保護にはうんと力を入れるんだ、間接保護は緩めて男と平等にしていくんだ、こういう言い方を盛んにされまして、直接保護に力を入れる、こう言われた。この直接保護に力を入れるということは私も賛成でした。間接保護を緩くするというのには、私は賛成しません。しかし、直接保護ではあなた方と一致していたのですね。だから労基法六十六条で、申し出のあった場合には時間外労働はしなくてもいいのだということなったのです。これは本当に、唯一の改正と言うとちょっと言い過ぎかもわかりませんが、高く評価していたところです。
 労働省の婦人少年局が出されました「母性の健康管理テキスト」というのがあります。その三十五ページに、「所定の労働時間以外に残業を行っている者は、低体重児」、「低体重児」というのは、未熟児のように平均よりうんと小さいということですね。「低体重死出産が多く、また残業時間が多くなるにつれ、その率が高まる傾向がみられる。」ということを出しているのですね。
 こういう中で、今度の変形労働で、所定内労働時間が六時になり、七時になり、八時になるということは可能じゃないですか。そうなったときに、時間外労働というのは、もし七時ならば七時からの時間外労働はやらなければならない。八時なら八時以後はやらなければならない。――この均等法のときは、またこの婦人少年局の出した「健康管理テキスト」によれば、退社が五時か五時半で、それ以後働いたら母体にも、またおなかの赤ちゃんにも差しさわりがあるから六十六条をつくったんじゃないですか。これに対してどうお考えになりますか。――大臣、答えてくださいよ。答えられないのですか。
#255
○平井国務大臣 今委員のおっしゃいました労働基準法第六十六条は、妊産婦が請求した場合には、妊産婦の時間外、休日労働及び深夜労働をさせることは禁止しておるところでございます。現行の、今議題になっております変形労働時間制につきましては、適用は除外しておりません。
 改正法案に規定されておりますところの三カ月単位の変形労働時間制は、この現行の変形労働時間制よりも、御案内のように、一層厳しい要件をつけておるわけでございまして、そういう意味で、妊産婦について適用除外とする必要はないというふうに考えたところでございます。
 いずれにしても、この妊産婦の保護につきましては、労働基準法の運用上十分に留意するということもたびたび申し上げておりまするし、関係事業場をさらに一層十分指導する等、適切に対処する所存であります。
#256
○田中(美)委員 十分に留意するとか適切に対応するとか、言葉はただですから何とでも言えますけれども、現在、医労協の調査によりますと、看護婦さんの調査をしたところが、妊産婦の八割が異常妊娠になっておりますし、三割が異常出産になっているのですね。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
看護婦さんは、御存じのように夜中までも働いてもらわなければならないわけですね。その人たちが現在。夜中や準夜勤やこういう働きをしている中で、こういう状態、八割も異常妊娠になっているのですね。これが今大問題になって、これは何とか直さなければならない、夜中まで働いてもらわなければならないけれども、こういう健康破壊にならないように対策をしなければならないという大きな社会問題になっているときに、こういうものもほっ散らかしてろくにできないでおいて、適切に対応するとか十分に配慮するとか言っても、もう五時、六時以後幾らでも働かせられるというような状態で、幾ら留意したって慎重にしたってできるはずがない。信用できないじゃないですか。
 そこでお聞きしますが、大臣は、この問題について婦少審に諮問しましたか。
#257
○平井国務大臣 今回の改正法案につきましては、婦人少年問題審議会にその要綱を御説明申し上げました。
#258
○田中(美)委員 婦人局長にお尋ねします。
 婦人局長は、これを婦少審で述べたり、また大臣に、この点は困るというような御意見を述べていられますか。
#259
○佐藤(ギ)政府委員 今回の法改正は、先ほど先生からもお話ございましたように、全体的な労働時間を短い方に持っていこうということを第一の目的にした法改正でございます。婦人局では、機会均等を確保するということを一番に考えておりまして、やはり女子だけにげたを履かす、特別の措置をするということは、決して均等を確保する上では望ましいことではございませんので、男子の労働時間が短くなっていくということは、私どもとしても大変歓迎すべきことと考えているわけでございます。
 ただ、妊産婦等の問題につきましては、理論上は一時的に時間が長くなるというときがあることもあり得るかと思いますので、先ほど大臣からもお話ございましたけれども、妊産婦については特別の措置をするよう省内でも話し合っておりますし、先ほど先生御指摘ございましたように、母性の健康管理のための指導基準を婦人局ではつくっておりまして、症状に応じてさまざまな配慮をいたしますように事業場には指導いたしていみところでございます。
#260
○田中(美)委員 婦人局長は今の労基法改正が時間短縮になると思っていられるようですけれども、それは今ちょっと別にして、しかしやはり部分的には妊産婦が長時間働かなければならないということに危惧を持っていらっしゃるから、そういう意見を述べたと言ってらっしゃるわけですね。
 これは大臣に言うことなんですけれども、政府の中で婦人の立場を守るところは一体どこにあるんだ。いつでも婦人の問題というのは落とされていく。人口の半分は婦人なんですね。働く婦人は半分ではありませんけれども、これはどんどん半分に近づいてきておるわけですね。そういうふうに考えたときに、労働省の中にいろいろな局がありますけれども、婦人局長の意見というのはもう十分に、ほかの局長より十分に聞かなければいかぬのですよ。そういう点では、婦人局長もそれぐらいの見識を持って――本当に男女が平等になって、女だ男だと言わなくてもいい社会になれば別です。しかし、サミットに参加する国の中で婦人問題後進国と言われている日本で、いかにいろいろなところで婦人の問題が落とされているか。こういうことは、特別の権限を与えろというわけではありませんけれども、やはり婦人局長の意見をもっと重視して、そういう意味での見識を婦人局長も大いに持っていただきたいし、大臣は婦人局長の意見を聞いて、少しでも妊産婦やまた婦人労働者に関係のあることは謙虚に聞かなければいかぬと思うのです。それをほっ散らかして吹っ飛ばしていくようなことでは、審議だけはしました、しかし実際には、法案の中ではほっ散らかしているじゃないか、こういうことでは困ると思います。そういう意味で、婦人局長にもっと頑張ってほしいし、大臣は婦人局の言うことにもっともっと耳を傾けていただきたいというふうにお願いします。
 それで、次の質問に移ります。
 これは労働者の学習権の問題ですけれども、変形労働制が、一週間、二カ月、三カ月、また私から言わせれば骨抜きのフレックス制、こういうものが入りますと、大学の二部とか定時制とか、こういうところでの勤労学生の学習権が奪われていくということが起きてくることを、大臣は、また労働省はお考えになっていたのかということをお聞きしたいわけです。
 もう一つ、あわせて聞きますが、各種学校や専修学校、これは無数にあります。私も驚きましたけれども、電話帳をちょっと一枚見ただけでも、居合道場、囲碁・将棋、エアロビクス教室、英会話教室、栄養学校、易・占い学校、歌謡教室、空手道場、調理士学校、テニス教室、電子式オルガン教室と無数にあるのですね。これは昼のものは全部除いています。夜だけにしているのですけれども、こういうものを利用して、生涯教育としてこういうところに行こうとする人たちが、変形労働が入りますと、全部とは言いませんが、事実上行かれなくなってしまうということに果たして気がついているんだろうかというふうに私は思います。
 それで、千駄ケ谷の駅前にあります津田英語会というところに行って聞いてきました。日曜日、土曜日を構わず、年間通して多い日は三千人、少ない日でも二千人来ているそうですね。こういう人たちのほとんどがサラリーマンの男女だということを言っているわけですね。ですから、こういう変形労働がばあっと広がった場合に、こういうところが経済的に非常に影響を受ける、倒産が出るとか、日本経済に影響を与えるのではないかというふうに思うのと同時に、生涯教育として、働きながらいろいろな勉強をしたいという人たちが、できない人たちがふえてくれば、日本の文化のレベルの後退にもかかわるのではないか。こういうところまで変形労働が影響するということはお考えになったのでしょうか、お答えください。
#261
○平賀政府委員 今度の労働基準法改正によって着実に労働時間の短縮を進める、それによって個人生活にゆとりをもたらして、先生がおっしゃったようないろいろな自己啓発のための学習あるいは趣味を向上するための学習、そういう機会をできるだけふやすようになることを期待しておるのでございます。
 なお、三カ月単位の変形労働時間制を採用することによって、そういう機会が減りはしないかということでございますが、これまた私どもがたびたび御説明申し上げておりますように、現在でも四週間の単位で理論的には相当大幅に変形労働時間が採用できるような規定がございます。しかしその中でも、御説明にありましたように、そういう学校が非常にはやっているということでございます。言いかえれば、変形労働時間制が非常にたくさん出てきても、現在でもそういう規定があるから、そういう変形労働時間制のためにそういった産業あるいは学習企業が衰退しているということではなくて、むしろ繁栄しているということでございます。三カ月単位の変形制が導入されることによって、そういうような危惧が進行するということを私どもとしては考えておりません。
#262
○田中(美)委員 一カ月というのはどこでもできるでしょう。三カ月は年間に繁閑期のあるところですから、数としてはまだ圧倒的とは言えないかもしれません。しかし、一カ月だったらどこだってできるじゃないですか。現在でも、そういうところへ行きたくても、英会話を習いに行きたくても、銀行などは月末になったら大変でしょう。病院の事務だってレセプトの計算で大変でしょう。英会話に三カ月行きたいといったって行かれない人はいっぱい出ているのですよ。これは今度法的にこういうものができたら、行けなくなる人がふえるに決まっているじゃありませんか。そういうことも考えないで、まともに答えないということは、もうあなた方は答えられないんですよ。わかっているけれども、答えられないのです。
 時間がありませんので、次に移りますが、今度は残業がとられるという問題です。よく聞いていてくださいよ。よく聞かないからわからない。簡単なことなんです。
 例えば、三カ月の変形労働の場合、これはデパートの配送係をやっているTさんという四十歳の女性の賃金表を十一月、十二月、一月と私はもらってきたのです。これで計算しますと、十一月には一・二時間残業をした。十二月には二十二・六時間、これはお歳暮のときですからね。一月には二十一・九時間働いて、残業が三カ月で四五・七時間、いいですね。それから今度はお中元のときですね。五月に一・五時間残業した、六月は二・四時間残業した、七月には二十時間残業した。これを合わせますと二十三・九時間ですね。これを合計しますと六十九・六時間このTさんは残業しているんです。そしてその残業代として十四万一千百八十円をもらっているのです。ところがこれが三カ月の変形労働制になりますと、Tさんが働いた時間を平均にしますと四十一・五三時間ですね。そうしますと、残業は一・五三時間しかありませんので、一挙に十四万一千百八十円から三千百八十円にまで下がってしまうのですね。これは三百人以上のところでそうですね。それ以下だったら、これは全部ゼロになります。
 それからもう一つ、これも私の知人の銀行で働いておりますA子さんという三十五歳の女性の賃金票をもらってきました。この人は一カ月変形で、昨年の十月の賃金票でやったわけです。これでしますと、一日から三日までは残業しない。五日から九日まで一時間残業した。十二日から十七日までも一時間、十九日から二十三日までも一時間、そして月末に二十六日から三十一日まで合わせて十二時間の残業をしたのです。これを全部合わせますと、このA子さんは十五時間の残業をしました。これによって残業代をもらったわけですが、これが平均が四十三時間になりますね。そうしますと、これは四十四時間に足りませんので、一挙に残業がゼロになる。これは残業代十二万もらっていた、これが一挙にゼロになる、こういうふうに残業が減るということがあり得るわけですね。これは大臣、こういうこともあり得るということはお認めになりますか。
#263
○平井国務大臣 これは先ほど来御議論もいただいておりますが、この変形制を導入した場合、時間外労働時間が減るということは、理論上はあり得る話であります。
#264
○田中(美)委員 働く時間が一時間も減っていなくても、残業がとられるということは理論上はあり得る、おかしな返答をしますね。
 これは八月九日の朝日新聞で、しばしば児玉議員も国会で使われましたけれども、「こりゃ手品だ 残業代減らし 流行の兆しそのタネと仕掛け」、こういう見出し、これは物すごい反響を呼んだのですね。これは大変だということになった。だから労働省は、今度の国会で通らなかったらこの法案は通らない、こう言っているじゃありませんか。だから大急ぎできょう採決して通そう、全くけしからぬ。労働省の人がそう言っているのですね。遅くなったら通らなくなる、これがみんなに知れ渡ったら通らなくなる。
 そしてここに、朝日新聞に出ていますが、「試算したら 企業の節約5兆円?」今残業が、この間の委員会ではっきりしましたのは、十兆円か十一兆円払われていますでしょう。約五兆円も残業をカットする。それは理論上だけですか。まさに事実は小説より奇なりという言葉がありますけれども、事実は法律より奇なりというような、まさに、マジックのような形で労働者から残業代を吸い上げていくというのが今度の改正法案の大きなねらいの一つではありませんか。
 時間がありませんので、次の質問に行きます。年休の問題です。
 年休が五日しか自由にならない。年休というのは本来労働者の自由選択のはずですが、五日しか自由にならないというのはどうしてですか。お答えください。時間がありませんので、大臣、お答えください。
#265
○野崎政府委員 先生御承知のとおり、我が国の年休の状況を見ますと、付与日数は十四・九日でございますが、取得日数は七・五日でございまして、取得率はわずかに五〇%にとどまっているわけでございます。
 その原因につきまして、中央労働基準審議会におきまして労使の方で非常に熱心に御審議いただきましたが、その中で比較的効果を上げている方法というのがこの計画年休ということでございます。そういうことで、この計画年休ということが年休の消化率を上げる非常に有効な手段であるという結論に達したわけでございますが、そうは申しましても、個々人の個人的な事情によって使われる日数も残しておく必要があるだろう、実際に使われている日数の平均が七・五日でございます。この内客を分析しますと、個人的事情というのは大体四日ぐらいである、そういうことで、五日留保しておけば十分だろうということで、これは要するに年休の消化率を上げるための方法でございます。
#266
○田中(美)委員 よくもそんなぬけぬけとうそを言いますね。昭和四十八年三月二日の最高裁の判決では、よく聞いていてください大臣、最高裁の判決ですよ。「休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時、これに対する使用者の承認の観念を容れる余地はないものといわなければならない」こう言っているのです、わかりましたか。「使用者の承認の観念を容れる余地はない」ということは、これは最高裁の判決で労働者の年休は自由選択なんだということがはっきりしているのです。それが取得率が少ないから、それを理由にして――なぜとれないのかということは、これは年休を金で買い上げる企業があったり、嫌がらせをして年休をとらせないようにしたり、昇進や何かに年休をとると関係する、そういうような形でとれないようにしているのじゃないですか。これを直せば、だれだって年休はとりたいですよ。それがとれないのです。イタリアなんか憲法でとらなければいけないということになっている国だってあるでしょう。それが現状は七日しかとってないとか、そういうばかなことをあなたが言うということはとんでもないことだと思うのです。
 それで私は、あなたは五日がいいことになったと言いますけれども、なぜなったのかというのを聞きたいのですが、時間が足りませんので、そこまで聞きませんけれども、なぜなったのかということをきちっと答えてないでしょう。だから私はこう思うのです。なぜか、なぜこうなったのかということを私はこう思うのです。それはよく大臣聞いていてください。変形労働制になりますと、一日五時間働けばいい月と一日十二時間働かなければならない月が出てくるということは理論上可能でしょう。そうしますと、労働者は賢いですから、一日五時間働く月はせっせと精勤しますよ。そして一日十二時間働かなければならない月は、このときにぱっと年休とりますよ。そうしたら事実上の労働時間は短くなりますでしょう。こういう知恵を働かす可能性は、私は職業革命家ですから違いますけれども、私が労働者だったらそうやりますよ。そうさせないために五日間しか自由にとらせない、長時間働く日にはとらせないというのがねらいではありませんか。全くあなた方は、労働省というのは、きょうは四十周年記念でしょう、祝賀会があるでしょう。労働省ができたとき労働者はどんなに喜んだか。労働者の保護のために労基法もできて、これからはいいんだ。まさに労働基準監督官が職場に入ってきたときにはみんな歓迎したものです。ところがどうですか、今の労働省は。一体だれの指示でこんなおかしなことを考えたのですか。財界の指示としか私には思われません。
 それで、最後に労働大臣に伺います。
 労働大臣は、本会議の質問のときにも、変形労働の導入などは乱用されないと言われましたし、さっきも基準局長が、理論的にはあっても、そういうことはそんなに広がらないような言い方をしましたけれども、やはりそうですか、大臣。
#267
○平井国務大臣 その問題については、従来から御答弁申し上げておりますように、過去の四週間単位の変形労働制におきましても、過去の経過の中で、それが悪用され乱用されたという実態はございませんし、またこのたびの改正法は、さらに要件を厳しくしておるという点から、そういう御懸念はないものと申し上げているところであります。
#268
○田中(美)委員 四週間なんというのは、だあっとさっきの銀行みたいにやられちゃうのです。だけれども、大臣はそういうことはないと言われる。ということは、大臣も企業のトップでいらっしゃるから、企業のトップを信じていらっしゃるのでしょう。御自分も御自分を信じていらっしゃるのでしょう。信じていらっしゃるのですか。いや、返事はいいですけれども信じていらっしゃるのですか。
 大臣、大臣は昨年の六月まで――(発言する者あり)静かにしてください。去年の六月まで西日本放送で会長をしておられました。ところがこの西日本放送というところは、昭和五十年五月から昭和六十一年十月まで、十一年五カ月、三六協定も結ばないで残業させていたのです。明らかに労基法違反をこの会社は十一年五カ月やっていたのですね。そういう人が企業のトップを信用するというのは、みんなおれと同じだという意味で信用していらっしゃるのですか。返事は結構です。
 この問題は、去年の九月に三六協定は改定されました。だから過去のことを言っているのです。過去といったってついこの間のことですよ。それで平賀労働基準局長にお願いします。
 西日本放送は昨年の九月に三六協定を結んで、残業はさせられることに正式になりました。その前は不当に違法でやっていたのですね。そのときに同時に就業規則を変更しているのです。この会社は労使協定を十年前に結んでおります。にもかかわらず、この就業規則を一方的に三点にわたって変更しているのです、去年の九月に。
 この三点というのは、一つは、今まで労使協定では一日拘束時間八時間、実労働七時間と書かれていたのです。ところが去年の九月に、一日拘束時間八時間、括弧して休憩を含む、こういうふうに変わったのです。どう変わったかおわかりですか。昼休みですね。昼休みの十五分がカットされる可能性が出てくるというふうに一方的に改悪された。二つ目は、労使協定では土、日は休日に昭和五十三年からなっておりました。ところが去年の九月に四週八日と変更したのです。ということは、四週間のうちに八日間休日をやればいい、こういうふうになった。毎週土、日は休みだったものが、四週の中でどこか八日間休みをやればいいというふうに変わったということは、どこが悪くなったか、基準局長おわかりでしょう。三番目、その次は年休です。年休は労使協定では、初年度は二カ月目から一日、四カ月目から三日、六カ月目から四日、八ケ月目から六日、十ケ月目から七日と規定されていたのです。これは昭和四十四年からです。ところが就業規則で昨年これは全部ゼロになりました。全部パアにしたのです。その上、夏休みは三日とうたわれたにもかかわらず、これも取っ払ってしまったのです。
 このような労使協定に反した就業規則の変更をしたということは、労働基準法九十二条違反だと私は思います。それで基準局長に、速やかにこれが事実であるか調査をし、事実であるならば、是正命令でこれを直させる、そしてどのようにしたかということを私に報告していただきたいと思います。ちょうど時間になりましたので、質問を終わりますが、調査をしていただけますね。
#269
○平賀政府委員 具体的な事情については把握しておりませんが、お聞きした限りにおいては、非常に労働条件のいい会社のように思います。
#270
○田中(美)委員 九十二条違反でしょう。九十二条違反を調査してください。調査するかしないか。うそか本当かわかりませんから、調査してください。
#271
○平賀政府委員 就業規則の変更については、それなりの合理的な理由が必要だというふうに解釈しておりますが、具体的な事情については、基準法の問題かあるいは民事上の問題かよくわかりませんけれども、実態を把握したいと存じます。
#272
○田中(美)委員 質問を終わります。
#273
○堀内委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#274
○堀内委員長 この際、本案に対し、丹羽雄哉君及び児玉健次君から、それぞれ修正案が提出されております。
 提出者より順次趣旨の説明を求めます。丹羽雄哉君。
    ―――――――――――――
 労働基準法の一部を改正する法律案に対する修
  正案
    〔六号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#275
○丹羽(雄)委員 ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、第一に、三カ月単位の変形労働時間制について、労働大臣は、中央労働基準審議会の意見を聞いて、命令で一日及び一週間の労働時間並びに連続して労働させる日数の限度を定めることができるものとすること。
 第二に、使用者は、三カ月単位の変形労働時間制及び一週間単位の非定型的変形労働時間制に関する労使協定を行政官庁に届け出なければならないものとすること。
 第三に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、新法の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#276
○堀内委員長 児玉健次君。
    ―――――――――――――
 労働基準法の一部を改正する法律案に対する修
  正案
    〔六号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#277
○児玉委員 日本共産党・革新共同を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案に対する修正案について、趣旨説明を申し上げます。
 政府案は、現行労働基準法の根幹である一日八時間労働制を破壊し、変形労働時間制、みなし労働の導入など企業の都合にあわせて、労働時間を自由自在に伸縮できるようにするものです。これは八時間を超えて何時間働かせても、時間外手当を支払う必要がなくなるという資本、企業のための改悪であると言わなければなりません。
 このような労働基準法の改悪は、労働者の健康と家庭生活を破壊し、特に婦人労働者の働く権利そのものを奪うものです。
 よって、現行の八時間労働制を厳守し、これを根本から崩す変形労働時間制、みなし労働等の導入条項を全面削除し、一週の所定労働時間を四十時間と定め、週休二日制を原則とすることが修正案の第一であります。
 第二に、労働時間の短縮を行うためには、我が国の長時間、過密労働の原因になっている時間外労働を規制しなければなりません。時間外労働について一日二時間、年間百二十時間の上限を定め、割り増し賃率を大幅に引き上げることとしています。
 第三に、深夜交代制労働は、公共性、公益性を有し、あるいは生産技術上真にやむを得ないものとして定める場合は特例として認めるが、原則として禁止したことです。
 第四に、年次有給休暇は労働者の請求によって自由に取得できるものとし、最低付与日数を二十日としたことです。また、就職初年度やパート労働者への比例付与ができるようにするとともに、労働基準法上の権利行使に対する不利益取り扱いを禁止したことです。
 第五に、VDT、コンベヤー作業などの過密労働を規制するために、国が作業の基準を定め、その実行を企業に義務づけるようにしたことです。
 第六に、労使協定の締結当事者の選出手続の民主化を定め、直接選挙によって選出するようにしたことです。
 第七に、使用者が、労働時間の短縮に当たって、賃金の引き下げを行ってはならないことを明記したことです。
 第八に、労働時間短縮に伴う中小企業経営への影響を考慮し、必要な助成を行うこととしたことです。
 以上が本修正案の内容です。この修正案の実現こそ、真に労働時間短縮を進める確かな道であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#278
○堀内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#279
○堀内委員長 これより本案及び両修正案を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。高橋一郎君。
#280
○高橋(一)委員 私は、自由民主党を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案について、自由民主党提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成するとともに、日本共産党・革新共同提出の内閣提出法案に対する修正案に反対の意を表するものであります。
 今日、労働時間の短縮は、労働者の福祉の増進、長期的に見た雇用機会の確保等の観点から重要であるのみならず、特に最近においては、経済構造の調整、内需拡大等の観点からも重要な課題となっており、国際社会における我が国の地位にふさわしい労働時間の水準とする必要性が高まっております。
 もとより、労働時間の短縮は、労働生産性向上の成果を労働時間短縮にも適切に配分する等により、労使の自主的努力によって進められることが基本でありますが、我が国においては、労使の自主的努力のみに期待することは困難な事情もあり、あわせて適切な法的措置をとることによって、労使の自主的努力を補完し、その促進に資することが必要であると考えます。
 したがいまして、このような必要性にかんがみ、労働基準法を適切に改正する必要があると私どもは考えます。
 このたびの政府案は、このような必要性に対応して、法定労働時間を週四十時間を目標に段階的に短縮すること、第三次産業の拡大等の社会経済情勢の変化等に対応して、フレックスタイム制、三カ月単位の変形労働時間制等労働時間に関する法的規制を弾力化すること等を内容とするものであり、時宜を得た適切な内容であると考えます。
 また、修正につきましても、三カ月単位の変形労働時間制につきまして、一日、一週の上限時間、連続労働日数の上限を定めるとともに、労使協定の届け出を義務づけること、法施行後三年を経過したときに、新法の施行状況を勘案して必要な措置を講ずること等を内容とするものであり、いずれも妥当なものと考えております。
 一方、日本共産党・革新共同提出の修正案については、非現実的であり、賛成しかねるものであります。
 以上の理由により、私は、自由民主党提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成するとともに、日本共産党・革新共同提出の修正案に反対するものであります。
 以上で私の討論を終わります。(拍手)
#281
○堀内委員長 伊藤忠治君。
#282
○伊藤(忠)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、政府提出の労働基準法の一部を改正する法律案及び修正案につきまして、反対の立場で討論を行います。
 四月に出された経済審議会の建議、いわゆる新前川レポートを引き合いに出すまでもなく、我が国は今国民生活の質の画期的な向上を目指して、経済社会全体を大きく変革していかなければならず、そうした基本的観点から、欧米諸国から厳しく批判されている我が国の長労働時間の改善を図らなければなりません。
 労働時間の短縮は、我が国労働者の健康の確保やゆとりの時間を確保するためばかりでなく、国際公正労働基準の確立、ワークシェアリングによる雇用機会の創出、さらには高齢化社会への対処や男女雇用平等の推進など、実にさまざまな観点から求められているのでありまして、まさに当面する緊急かつ重要な国民的課題となっているのであります。
 今回の法改正は、こうした課題にこたえるものでなければならないのに、政府案は極めて不十分であるばかりか、むしろ生活の質的向上に逆行する部分さえ含んでいるのであります。
 政府案の主な問題点を指摘すれば、第一に、法定労働時間の短縮措置についてであります。
 政府案は、週四十時間を法律に明記することとしているものの、附則により当面の労働時間を命令で定めることにしております。我が党は、当面四十四時間とし、改正法施行後、三年後を目途に四十時間制に移行させるべきだと考えているのでありますが、政府は、当面四十六時間、三年後を目途に四十四時間とする考えで、なお週四十時間制の実施時期は定かでなく、それこそ当面は棚上げされてしまっているのであります。
 第二は、変形労働時間制の拡大についてであります。
 新たに導入される三カ月変形制について、一日及び一週間の労働時間の限度や連続労働日数の限度を命令で定めることができるよう修正されたり、週間単位の非定型的変形制について、省令で本人の意思の尊重を要件に加えたり、これらの変形制についても労使協定の届け出義務を負わせたりすることは、我が党の要求に合致することではありますが、妊産婦を変形制の適用除外とすることや育児、介護、通学等の特別な事情のある労働者に対する配慮の義務づけ、従来の四週変形制への規制措置など、なお問題が残されております。
 第三は、年次有給休暇の付与についてであります。
 政府案は、最低付与日数を現行の六日から十日に引き上げることとしておりますが、欧米諸国が四ないし六労働週という水準となっており、ILO条約でも三労働週以上とすることを求めていることなどから考えても、極めて不十分と言わなければなりません。ILO条約が年休取得の資格について六カ月以上の勤務を条件としてはならないとしているのに、相変わらず一年勤続という条件を改善しようとしていないことも問題であります。
 第四は、事業場規模による格差についてであります。
 政府案は、週法定労働時間の適用について猶予措置を講じることになっておりますが、労働基準法は労働者保護法として労働条件の最低基準を定めるものでありますから、猶予措置を講じることがやむを得ない場合であっても、法のもとの平等という原則に照らして、この期間はごく短期間、その対象範囲もできる限り限定すべきであります。政府案ではこの点極めてあいまいと言わなければなりません。
 最後に、新前川レポートも指摘しているように、「今後中長期にわたり労働時間を着実に短縮し、我が国の経済力にふさわしいものとすることが、画期的な国民生活向上の必須の要件」であり、完全週休二日制、週四十時間労働制の確立、年休付与日数二十日水準の実現のため、我が党は引き続き奮闘する決意であることを申し添えて、私の反対討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#283
○堀内委員長 田中美智子君。
#284
○田中(美)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 改正案に反対する第一の理由は、日本と世界の労働者の闘いの歴史的成果であり、現行労基法の根幹とも言うべき一日八時間労働制を、変形労働時間制の大幅な導入によって根底から破壊しようとするからです。すなわち、現行の定型的労働時間にかわるものとして、一週間、一カ月、三カ月の変形労働時間やフレックスタイムを打ち出していますが、そのねらいは、企業の都合に合わせて所定内労働時間を自由自在に伸縮し、繁忙期に八時間以上を超えて連日労働者を働かせるためのものです。
 第二は、そのことによって、世界に悪名高い我が国の超長時間労働を固定化し、労働者にただ働きを強制し、資本、企業に五兆円を超える残業代ただ取りの手品で、巨大な規模の超過利潤を保障しようとするものであります。これらはそもそも労働者保護法であるべき労働基準法を、企業保護法、搾取保護法へと大きく変質させるものであります。
 第三に、法案の唯一の売り物である週四十時間制は、いつ実現するのか規定されておらず、霧の中に包まれ、遠い将来の願望にすぎないことであります。
 このような大改悪が労働者の健康と家庭をますます破壊し、とりわけ保育所の送迎などを困難にさせ、公的保育所の存在を揺るがし、女子労働者の働く権利そのものを大きく奪う結果になります。
 加えて、一昨年、妊産婦の残業禁止規定が新設されたにもかかわらず、改正案はこれを死文化させているのです。
 定時制高校、大学二部、専修、各種学校などで働きながら学ぶ人たちから学習権を奪うものでもあります。
 社会、公明、民社各党の共同修正要求を受けた形で自民党から修正案が出されましたが、これは八時間労働制の破壊、変形労働時間制の新しい大規模な導入を容認するなど、日本の労働者を一層の長時間、過密労働に駆り立てる今回の労基法大改悪を改める内容とはなっていません。共産党・革新共同は、真に労働者の要求にこたえるため、抜本的修正案を提出したのであります。
 以上の理由から、日本共産党・革新共同は、政府提出の改正案並びに自民党提出修正案に断固として反対し、撤回を強く求めるものです。
 最後に、今回の法案が、労基法制定四十年にして、最も重要な労働時間法制の根幹的条項を大幅に変更するものであるにもかかわらず、わずか二日間、十時間の審議で採決することは絶対に認められません。強く抗議して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#285
○堀内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――
#286
○堀内委員長 これより労働基準法の一部を改正する法律案及び両修正案について採決いたします。
 まず、児玉健次君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#287
○堀内委員長 起立少数。よって、児玉健次君提出の修正案は否決いたしました。
 次に、丹羽雄哉君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#288
○堀内委員長 起立多数。よって、丹羽雄哉君提出の修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#289
○堀内委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#290
○堀内委員長 この際、本案に対し、戸井田三郎君外三名から、自由民主党、日本社会党。護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。池端清一君。
#291
○池端委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    労働基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  労働時間を着実かつ可及的速やかに短縮することが、国民生活の質的向上、中長期的に見た雇用機会の拡大、国際協調の観点から重要であることにかんがみ、政府は次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一 中小・零細企業における週休二日制等労働時間短縮を促進するため、環境整備を進めるとともに、必要な指導・援助の拡充に努めること。また、下請企業における労働条件の改善・向上の観点からも、取引条件の適正化のためなお一層の指導監督を行うこと。
 二 年次有給休暇について、今後適当な時期に、ILO条約の水準を参考にさらに付与日数の増加を図ることを検討すること。
 三 労働者が年次有給休暇を取得したことを理由として不利益な取扱いがなされることがないよう、使用者に対しなお一層適切な指導を行うこと。
 四 各種労使協定の締結当事者である労働者代表の選出については、労働者の意思を適正に反映した選出が行われるよう指導すること。
 五 十人未満の事業場も含め小規模事業場において就業規則の整備が行われるよう、適切な指導を行うこと。
 六 労働基準法の履行確保、労働時間短縮の一層の促進を図るため、労働基準監督官等の増員をはじめ労働基準行政体制の充実強化を図ること。
 七 公務員の閉庁方式による完全週休二日制、金融機関の土曜閉店による完全週休二日制、小中、高等学校の土曜休日制の早期実現に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#292
○堀内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 戸井田三郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#293
○堀内委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、平井労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平井労働大臣。
#294
○平井国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
    ―――――――――――――
#295
○堀内委員長 お諮りいたします。
 本案に関すも委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#296
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#297
○堀内委員長 次回は、明後三日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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