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1987/08/19 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 外務委員会 第2号
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1987/08/19 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 外務委員会 第2号

#1
第109回国会 外務委員会 第2号
昭和六十二年八月十九日(水曜日)
    午前十時七分開議
出席委員
  委員長 山口 敏夫君
   理事 甘利  明君 理事 浦野 烋興君
   理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君
   理事 中山 利生君 理事 神崎 武法君
   理事 永末 英一君
      石原慎太郎君    小川  元君
      大石 正光君    鯨岡 兵輔君
      椎名 素夫君    竹内 黎一君
      武村 正義君    中山 正暉君
      森  美秀君    岡田 利春君
      佐藤 観樹君    伏屋 修治君
      薮仲 義彦君    渡部 一郎君
      岡崎万寿秀君    松本 善明君
  出席国務大臣
        外 務 大 臣 倉成  正君
 出席政府委員
        内閣参事官
        兼内閣総理大臣
        官房会計課長  河原崎守彦君
        内閣官房内閣安
        全保障室長
        兼内閣総理大臣
        官房安全保障室
        長       佐々 淳行君
        外務大臣官房審
        議官      川上 隆朗君
        外務省アジア局
        長       藤田 公郎君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   恩田  宗君
        外務省経済協力
        局長      英  正道君
        外務省条約局長 斉藤 邦彦君
        外務省国際連合
        局長      遠藤  實君
 委員外の出席者
        防衛庁防衛局運
        用課長     大森 敬治君
        防衛庁教育訓練
        局訓練課長   柳澤 協二君
        外務大臣官房審
        議官      遠藤 哲也君
        厚生省援護局業
        務第一課長   村瀬 松雄君
        資源エネルギー
        庁石油部計画課
        長       横田 捷宏君
        外務委員会調査
        室長      門田 省三君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月十九日
 辞任         補欠選任
  村上誠一郎君     小川  元君
  正木 良明君     薮仲 義彦君
同日
 辞任        補欠選任
  小川  元君     村上誠一郎君
  薮仲 義彦君     正木 良明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際緊急援助隊の派遣に関する法律案(内閣提
 出、第百八回国会閣法第六三号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府と
 の間の条約の締結について承認を求めるの件
 (第百八回国会条約第二号)
 政府調達に関する協定を改正する議定書の締結
 について承認を求めるの件(条約第一号)
     ――――◇―――――
#2
○山口委員長 これより会議を開きます。
 第百八回国会内閣提出、国際緊急援助隊の派遣に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
#3
○佐藤(観)委員 国際緊急援助隊の派遣に関する法律案について、私もかつて当衆議院の災害対策特別委員長を仰せつかって国内の災害対策について担当したこともございますので、基本的にはこの法案に賛成という立場でなお一層注文やら希望を申し上げ、かつ若干の想定におきます疑問なり懸念なりというものを払拭するために質問したいと思うのでございますけれども、せっかく大臣、この暑い中に南西アジアヘ、八月九日から十六日という一番暑いときに一番暑いところへ行かれたわけでございますので、若干その点についてお伺いしたいと思うわけでございます。
 大臣の御答弁の中にあると思いますので、経過等については私の方から申し上げませんけれども、とかく中近東というと、日本の場合には石油の問題があって大変目が行きやすい。ASEANはやはり隣の国だというので大変関係が深い。おととしてございますか、インドの首相も日本へ見えたりして、そういった意味では、あるいはアフガニスタン問題でパキスタン等々あるわけでございます。しかし、どちらかというと、率直に言って、日本外交の中で関心というのが薄かったのではないか。
 そこに外務大臣が行かれて御苦労なさってきたわけでございますけれども、今度の南西アジア――インド、スリランカ、バングラデシュでございますけれども、訪問の意義、そして大臣のみずからの評価としての成果と申しましょうか、それからこの国々が日本に期待をしているものを大臣みずからどういうふうに受け取りになられたか、その点から、まずお伺いしたいと思うのでございます。
#4
○倉成国務大臣 ただいま先生がお話しの南西アジアの地域、いわゆるSAARC、これはバングラデシュのエルシャド大統領の提唱によってできた一つの組織でございますけれども、インドがその中で一番人口が多い、七億五千万ぐらい、SAARC全体を合わせますと約十億でございます。
 今佐藤委員がお話しのとおり、ASEANと中東とにまたがるちょうど中間地帯になりますし、また中国、ソビエト、そういう地域とも接しているところでございます。またインド洋を扼している、日本の商船隊が航海するところでもある非常に重要な地域でありますが、これらの地域については残念ながらなかなか目が行き届かないで、日本の外交といたしまして、私は就任以来ぜひSAARCの方に参りたいという考え方を持っておりましたけれども、なかなか機会を得ませんでした。したがいまして、今回SAARC七カ国全部回ることができませんでしたけれども、インド、スリランカ、バングラデシュの三カ国を選んで歴訪いたした次第でございます。その前に御案内のとおりパキスタンの首相並びに外務大臣が日本に参っておりましたので、そういうこともございまして、時間の関係上三カ国に限ったわけでございます。
 これらの地域は、御承知のとおり地勢も違いますし、民族も非常に多民族が集まったところでもございますし、また宗教的に申しましても多様性に富む、地域的な面でも大変多様性に富む地域でございますし、また歴史的に考えてまいりましても独立後間もないというような国々もございます。しかし、全体として考えてまいりますと、濃淡の差はございますけれども、一人当たりの国民所得が非常に低いという状況でございまして、一次産品の値下がり等におきまして大変経済困難に直面している。したがいまして、日本といたしましてもこれらの国々と友好関係を深めるとともに、国際国家日本としてできることがあれば、これらの国々に従来も多少の貢献をいたしておりますけれども、さらにこの地域に相互の信頼関係と、そして我が日本の貢献をいたしたいということで参りました。
 そういう意味におきまして、インドにおいてはちょうど百五十年来の大干ばつということでございまして、千五百万トン食糧が減産する。ちなみに日本のお米の生産は、実際は減反いたしておりますが千二百万トン、そういうことを考えると大変なものであるということでございました。さらに、ちょうどタミール族の問題等も和解直後でございましたので、ガンジー首相と率直な意見の交換を国際情勢を含めていたしました。
 スリランカにおきましては、御案内のとおりタミールの合意ができましたけれども、インド軍が六千名常駐しておりますし、沖合には二隻のフリゲート艦クラスの軍艦がちょうど我々のホテル、道路から見えるところに連絡用としているというような状況でございましたので、ジャヤワルダナ大統領を表敬し会談をいたしまして、このタシール問題の解決の合意を基礎として成功を祈るということを申し上げたわけでございます。ちなみにジャヤワルダナ大統領は、サンフランシスコ条約においてただ一人日本のために、憎悪に報いるに憎悪をもってしては解決しない、愛をもってしなければならないということで日本の賠償問題に関しまして大変な貢献をしていただいた大恩人でございまして、当時は大蔵大臣だったと思いますけれども、そういうこともございまして、これらの地域に対する援助を強化していこうということでございます。
 バングラデシュの場合は、御案内のとおり、これも非常に財政上厳しい、パキスタンから非常に血を流して分離した地域でございますが、非常に親日的でございますけれども、いろいろ問題を抱えている。ここはまた六十年来の大洪水でございまして、飛行機から見ましてもほとんど部落と部落との間を船で連絡している状況でございましたけれども、我々が見た地域は洪水としては余りひどくないところで、もっと北部の方はひどい、ラングプルという大統領の出身地等は非常にひどいということでございましたので、先方の要請にこたえまして十万トンの食糧援助をいたすというようなことで、日本の外交の幅を少しでも広めようということで目的を一応は果たし得たと思っておる次第でございます。
#5
○佐藤(観)委員 今大臣からお話がございましたように、インド、バングラデシュが十年ぶりですか、スリランカは三十年ぶりに外務大臣が訪問されたということでございまして、倉成外務大臣の高い見識に対して敬意を表するところでございます。
 まずインドとパキスタンをとってみても、パキスタンとバングラデシュをとってみても大変いろいろなことが複雑に錯綜しているわけでございますし、またその中では、新聞の報ずるところでは、ゴルバチョフ書記長のINFグローバル・ダブル・ゼロに対してガンジー首相が大変賛意を表する、しかし残念ながら核拡散防止条約には署名をしないというようなお話もあって、もちろん日本とSAARCだけの話ではなくて、世界的な問題でまだまだいろいろな課題が残っていると私も思うわけでございますし、向こうからも日本企業になるべく来てもらいたい、あるいは貿易の不均衡を直してもらいたいといういろいろな希望もあったやに聞いているわけでございます。これが直ちに解決するほど生易しいことではないと私も思っておるわけでございまして、そういった意味では、今後ともいわばアジアの友邦としてより深いおつき合いをしていく必要があるのじゃないかと思うのであります。
 その中で、今大臣も触れられましたように、バングラデシュで六十年ぶりの大洪水ということで、六十八県のうちの四十五県でございますか、千二百万人の方々が冠水をしている、被災をしているというふうに聞いておるわけでございますけれども、日本が一番早く食糧につきまして十万トン、あるいは世界食糧計画を通じて百万ドルの融資枠というのでしょうか、拠出をしますという話をしたということは大変意義のあることじゃないかと思っておるのであります。
 本法案と関係をしますことからいいますれば、とかく日本の援助というのは金は出すけれども人は出さないと言われている、これを今度変えようなるべくそういう方向じゃない方向でより充実していこうというのが本法案の趣旨だと思うわけでございますが、今回のこのバングラデシュの援助につきましては、例えばこれからの都市の開発あるいは復興、その他農業地域も水をかぶっているということになるといろいろな問題が残ると思うわけでございます。たしかあそこは塩害もあったのではないかと思っておりますが、そういった技術的な援助、人的な援助というのも必要かと思うのであります。当面住宅建設等もあるでしょう。こういったことは、向こうから要望がなかった、したがって今回はそういった経済的な援助で終わった――終わったという表現がいいかどうかわかりませんが、経済的援助でした、こういうことで理解をすべきなんでしょうか、どうでございましょう。
#6
○倉成国務大臣 バングラデシュのお話がございましたけれども、申し落としましたが、バングラデシュには青年海外協力隊、それから民間のオイスカからも出ておりまして、若い青年の方は大体農業指導を中心にしております。女性の方もかなり行っておりまして、この地域の布の刺しゅうであるとか編み物であるとか、いろいろなそういう指導をしまして、幾分でも商品化していくということで、大変献身的にこれらの地域の中に溶け込んで、非常に厳しい条件の中で懸命に頑張っておられまして、私その現場を全部見ることはできませんでしたけれども、幸いお集まりいただいた方々に対しまして激励を申し上げた次第でございます。しかし、お話しのように、まだまだいろいろ技術的な面等で御協力申し上げるべき点があるのではないかと思うわけでございますので、足らざるところはさらに我々も現地のニーズに合わせて最善を尽くしたいと考えておる次第でございます。
#7
○佐藤(観)委員 それで、法案の中身に入りたいと思うわけでございますけれども、冒頭申し上げましたように、私は、自然災害あるいは産業災害というのでしょうか、そういったことについて日本ができ得る経済的、技術的あるいは人的援助をするのは、国際協力云々という難しい言葉を出す前のいわば当然のこととしてやるべきではないかという基本的な考えを持っておるわけであります。
 そこで、ちょっと事務当局にお伺いしたいのでありますけれども、今日まで例えばエチオピアの干ばつの被災民の救済とか、おととしのメキシコ地震の被災者の救済あるいはコロンビアの火山噴火の被災者に対する救援とか、日本としても十分ではなかったにしろ医師を派遣したりいろいろな形の専門家を派遣したりしてきているわけです。しかし、諸外国を見ますと、いろいろなしとが日本は経済力の割にはと申すのでしょうか、足りないのじゃないかということでこの法案になったと思うのでありますけれども、ちょっと疑問に思いますのは、今まで個々にそれはそれなりに新たな法律なしにやってきたわけですね。今度の法律をもって国際緊急援助隊というものの派遣をやることのメリットと申しましょうか、どういう新たな意義が生ずるのか、その点を御説明願いたいと思います。
#8
○川上政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、従来からこのような緊急援助隊法といったものなしに国際協力事業団の技術協力というカテゴリーで協力をやってきたわけでございますが、我が国としましては、やはり国力にふさわしい国際的な責務を果たす必要があるという認識に基づきまして、海外の地域、特に開発途上地域でございますけれども、こういうところで起こった大規模な災害に対しまして、被災国等の要請に応じて緊急の援助活動を行う人員を援助隊として派遣するに当たっての根拠、手続等を明確にすることによって国際緊急援助体制を整備する必要があるというのが基本的な理由でございます。
 このような考えに基づきましてこの法律を制定し、かつ制定することによって、法律の立て方といたしましては、別表に掲げてあります行政機関というものがその職員に対しまして国際緊急援助活動を行わせる根拠を明確にすることができる。それから、援助隊のうち特に救助人員として必要な都道府県警察、市町村消防でございますが、こういう職員の参加を国として地方に要請し得る根拠及び有職員が海外で活動を行い得る根拠が明確になるということでございます。それから、国際緊急援助隊の派遣及びその派遣に必要な手配の業務というものもJICA、国際協力事業団でございますが、これの業務であることを明確にするということでございまして、こういうことによって国際緊急援助隊の派遣体制というものを先ほど申し上げましたように一層整備することができるという趣旨でございます。
#9
○佐藤(観)委員 そこで、その前に大臣にお伺いしておくべきだったかと思うのでありますけれども、細かいことは大臣いいのです、事務当局からお伺いしますから。かねてからの懸案のこの国際緊急援助隊、倉成外務大臣時代に初めて法律に基づいてこういったものができるわけでございますけれども、大臣の基本的な心構えと申しましょうか、姿勢、意気込みと申しましょうか、そのあたりを少しお聞かせ願いたいと思います。
#10
○倉成国務大臣 御案内のとおり、現在も、この法律ができる前も、我々はコロンビアの災害とかメキシコの地震とかいろいろな機会に日本から医療チームを派遣したり災害の技術者を派遣したりいたしておりましたけれども、ただいま政府委員からお答えいたしましたとおり、これだけ国際国家日本として経済的に成長した日本といたしましては、やはり大きな災害、また非常に手の行き届かない地域に対する災害等につきまして組織的に対応する必要がある。
 そのためには、関係各省庁はもちろんのこと、地方公共団体あるいは民間、そういう方々を常時動員できる、そして連携を保っておく必要があるということもございますし、またこれらの方々が海外でいろいろそういう活動をしておられるときに事故に遭われたというような場合にはそれなりの体制をしっかり整えておく必要があるということ等もございまして、この法律の成立によって従来我々が行っておりましたこれらの活動をより組織的に、より効率的に、そして迅速に活動できるようにいたして、日本という国が本当に世界のそういう自然災害あるいは人的な災害というものについて貢献する国であるというイメージをつくることが私は大変大事なことだと信ずるわけでございまして、その一歩としてこの法律の御審議をお願いいたしている次第でございます。
#11
○佐藤(観)委員 そこで、少し逐条的に基本的な点をお伺いをしていきますけれども、第一条の「目的」のところに「この法律は、海外の地域、特に開発途上にある海外の地域において大規模な災害が発生し、又は正に発生しようとしている場合にこということで、「大規模な災害」ということが書いてあるわけです。
 その後を読んでいきますと、「当該災害を受け、若しくは受けるおそれのある国の政府又は国際機関の要請に応じこということで、そういった災害を受けるあるいは受けるおそれのある国の政府または国際機関が要請をしてくれば、いわば当然日本としても援助に駆けつけるべきなのであって、「大規模な災害」というその「大規模」と書いてあるのは何か特別意味があるのでしょうか。
#12
○川上政府委員 先生御指摘のとおり、途上国等における災害はいろいろな形態のもの、規模のものがあるわけでございまして、法律に言う大規模ということがどういう意味かということでございますが、我々としては被災国の住民の生活や経済に著しい影響を与える災害であって、通常その国独自には対処できない規模という程度のことを考えております。つまり、そういうものがこの法律に言う大規模という意味であるということでございます。
#13
○佐藤(観)委員 大規模とか中規模というのは別に規模の大きさをはかる計測があるわけではないので、今御説明があったように通常その国だけでは対処できないというものであれば、政府なりあるいは国際機関を通じて援助の要請が来るわけですよね。ですから、法律の「目的」のところにわざわざ「大規模な」というふうに書いた意味がわからないのです。
 その国の政府なりあるいは国際機関が要請してくれば、あるいは日本の方から、うちの方の力添えいかがでございましょうかというふうに聞くぐらいの姿勢があっていいのであって、「大規模な」とわざわざつけた意味がよくわからないのです。
#14
○倉成国務大臣 基本的な考え方でございますので、私から申し上げたいと思いますが、御案内のとおり世界でいろいろ自然災害、人為災害含めまして大小さまざまの災害がございますけれども、十日に一回ぐらいは起こっておるわけでございます。したがいまして、その一つ一つについて全部日本が緊急援助隊を派遣するとかいうことは事実上不可能でございます。したがいまして、その中でやはり緊急を要し、また到底その国一国では対応できないというような災害に対しましてこの法律を適用していく。それでは、どこまででどうかということになりますと、やはりそのときの状況に基づき判断をしていく、また、国際的にも相互に協力していくということが大事じゃないかという趣旨でいわゆる「大規模」という言葉が掲げられているというふうに思っておる次第でございます。
#15
○佐藤(観)委員 それから、ちょっと愚問になるかもしれませんが、法案自体は「援助隊」という表現になっていますね。救援とか救助、これは意味が同じなのか。それとも救援とか救助というのはもう少し意味が狭くて、援助の方が後々、例えば都市の開発の問題なり復興の問題なり大変幅広いという内容の違いがあって援助隊ということになっておるのでしょうか。
#16
○川上政府委員 御質問の点でございますが、援助隊という名称になっているのはそのとおりでございます。
 援助隊の活動ということでとらえてございまして、法案第二条には援助隊の活動として次の任務を行うということで、「救助活動」「医療活動」、それから「災害応急対策及び災害復旧のための活動」というものが列挙されております。ここで「救助活動」と申しますのは被災者の捜索だとか救出といったようなものを考えておるわけでございまして、御質問の点に戻りますれば、やはりこの救助という概念はこの法律では援助という概念よりは狭い概念としてとらえておるわけでございます。
#17
○佐藤(観)委員 そうなると、救援というのは一体どういうイメージ、中身の違いがあるかという疑問が若干あるのでありますが、余り本質的なことじゃないので飛ばしまして、その次に、第五条のところの「外務大臣の国際協力事業団に対する命令」であります。
 「外務大臣は、第一条の目的を達成するため適当であると認める場合には、国際協力事業団に対し、国際緊急援助活動を前条の規定に基づき行う国若しくは地方公共団体の職員又は同事業団の職員その他の人員を国際緊急援助隊として派遣するよう、命ずることができる。」「その他の人員」というのは今大臣からもちょっとお話があった青年海外協力隊等だ、いわゆる民間人だと思うのでありますけれども、法律のありようとして「その他の人員」を他の地方公共団体や国家公務員といったものと同じような書き方で、「命ずることができる。」という書う方にしていいものなのかどうかということがちょっと疑問なのでありますが、その点はいかがでございますか。
#18
○川上政府委員 お答え申し上げます。
 第五条の立て方でございますが、外務大臣は事業団に対して「派遣するよう、命ずる」ということでございまして、派遣を命じているわけでございます。したがって、今おっしゃいました民間人等が派遣される場合には、国際協力事業団の総裁の委嘱によりまして出ていくという形になっています。
#19
○佐藤(観)委員 そうしますと、これは「国際協力事業団に対し、」「命ずることができる。」国際協力事業団が今度は青年海外協力隊等々にもお願いをする、こういうふうに読んでいいですね。
    〔委員長退席、甘利委係員長代理着席〕
#20
○川上政府委員 そのとおりでございます。
#21
○佐藤(観)委員 その次に、国家公務員、地方公務員の方はいわばその職責でございますから御協力を願うのは当然といたしましても、一番気になるのは民間人の扱いでございます。
 今度の法律で国家公務員、地方公務員の方は、ここに出ていただく場合には公務出張という形になると思うのでありますけれども、登録をしてある民間人の方、ひょっとしたら私立の病院のお医者さんなり看護婦さんなり、あるいは青年海外協力隊の方もいらっしゃるでしょうし、こういった民間の方がこういったことで協力していただく、今後そういうケースが非常にふえてくるし、ふえてこなければいかぬのじゃないかと私は思っているから質問するわけでありますけれども、その際の取り扱いと申しましょうか、出張その他の取り扱いというのはどういうふうになるのですか。
#22
○川上政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、民間人が出ていく場合にはJICA総裁から委嘱を受けて嘱託出張というような形になるわけでございますが、実際上御質問の取り扱い上の差異というのが一番関係してまいりますのは補償の点かと思います。
 公務員が、国家公務員も地方公務員もでございますが、出張する場合には、国家公務員の場合には国家公務員災害補償法というものが公務出張となりますので適用になります。
 それから、地方公務員が出張する場合には、今回の法案の第四条によりまして、都道府県警察あるいは市町村消防職員が出張する場合には公務出張ということになりますので、地方公務員災害補償法というものの適用を受けることになります。
 民間人が出張する場合には先ほどのような出張の関係になるわけでございますが、これは労働者災害補償保険法の適用を受けることになります。
 したがいまして、その三つの補償法を比較しますと、実体的にはほとんど補償に差異がないというふうに私ども承知いたしております。
#23
○佐藤(観)委員 これからだんだん、大臣ではございませんが、十日に一回大きな災害が起こってくるというようなことを一応想定しますと、国家公務員あるいは地方公務員の方々にいろいろな形で御協力を願う、これはいわば国、地方公共団体という公的機関の枠組みの中だからある程度いろいろなことがやりやすいと思いますが、それだけではなくて、これからある程度民間の方にもいろいろな形で援助していただくということが当然必要になってくるだろう。その際に一番考えられるのは青年海外協力隊の方々の過去の蓄積と申しましょうか経験と申しましょうか、これが非常に生きてくるのじゃないだろうかと思うわけであります。
 そういう観点から見てまいりますと、皆さん方も大変御努力をなさって、大変青年海外協力隊も育ってきたという感じがいたします。私もパキスタンにアフガニスタンの難民問題で行ったときに大変現地の方、大臣じゃございませんけれども、すぐ近くでございますから、同じように農業の指導やらいろいろやっていらっしゃるのを見て、本当に日本人の一人として誇りにも感じましたし、横目に海外を見ると確かに人数的にはアメリカに次ぐぐらいまできているわけでありますけれども、これから国際社会の中の日本ということを考えますと、次の時代を担っていただくこういった青年の方々が海外で実地にそういった方々を指導するという言葉はよくないかもしれませんが、技術の向上にいろいろな御援助をするということは大変必要なことじゃないか。
 そういう観点から見ますと、いろいろな予算的な措置もございますし、年齢的にもある程度限界があるものですから、なかなか難しさはあると思いますけれども、皆さん方の資料によりますと、延べとして六十一年四月現在六千四百一名、派遣中の方がことしの六月三十日現在千七百八名、帰国中の方が五千五百二十二名というふうに聞いておるわけでございますけれども、率直に言って、せっかく英語だけじゃない、ほかの話学もしていただいて早いところ習得されて、それで、もちろん御本人の希望が一番大事でございますけれども、二年で帰ってしまうというのも、こういう言い方をしていいかどうかわかりませんが、若干もったいないような気もする。もちろん御本人の希望もございますから、いや、もう二年間いい経験で結構ですという方もいらっしゃいますし、もちろんまだそういったことをやりたい方は海外事業団でいろいろな格好でやっていただく。
 我が国は武力的な援助は一切しない国是でございますから、そういった意味でこういった技術援助、本当にその国民と国民とが接する、こういった援助の一つの形態である青年海外協力隊というものは、人数的にも身分的にもあるいは内容的にもさらにふやしていく必要があるのじゃないだろうか。
 そして、今度の法案について言えば、そういった方々は日本に帰られるとお仕事を持っていらっしゃるわけでありますから、直ちにというのはまことに大変だと思うのですけれども、たしかこれは年に二回でございますが訓練もしているようでございますから、そういった方々をよりたくさん登録して、いざというときには、自分も仕事を持っているからそのときは行けなくても他の方に余裕があるというような大きなシステムづくりというのをしていく必要があるのじゃないか。そのためにも青年海外協力隊は一つの大きな力により一層なっていくのじゃないかと思うわけでありますので、その点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#24
○倉成国務大臣 青年海外協力隊につきまして大変高い御評価をいただきまして、私、大変感激いたしておる次第でございます。
 ただいまお話しのように、青年海外協力隊の事業は我が国青年のボランティア精神と協力精神に支えられたものでございまして、開発途上国の人づくり、国づくりに独自の貢献をなし、すぐれた国際協力について国内及び派遣国の双方において極めて高い評価を受けているところでございます。
 したがいまして、先生がお話しのように、何かありましたときに協力隊の経験のある方がその国に行きますと、単なる技術だけじゃなくて、人的なつながりあるいは言葉の問題、土地カン、そういういろいろな意味において大変役立つ、ほかの方々と一緒にそういう方々が行くことになるとすばらしい効果を上げ、効率的に仕事ができると思うわけでございます。そういう意味ではこれらはオイスカ等とあわせてもっともっと拡充していくべきものではないかなと思っておる次第でございます。したがって、この数の拡充が昭和五十七年度年間派遣約四百三十名、一年に派遣するわけでございますから、従来残留している方はそれにオンされるわけでございますが、昭和五十八年度以降の三年間でほぼ倍増の八百名、一年に派遣する数になっておりまして、昭和六十二年度の年間派遣数八百八十名ということになっておるわけでございます。
 したがって、大変乏しい予算の中でございますけれども、青年海外協力隊については先生方のお力によって格別御配慮を得ているわけでございますけれども、率直に申しますと、まだまだ足らない、もっと思い切って、本当に画期的に思い切ってこの仕事を拡充したいというのが私の偽らざる気持ちでございます。したがって、こういう方々が行かれた際の支援体制の強化あるいはまた帰国された場合の就職その他のお世話、そういう足腰の強化について今いろいろと外務省当局でも勉強し、また体制を整えつつあるところでございます。したがって、数の増加につきましては、これからも我々も最大の努力をいたしますが、先生方にも御支援をお願い申し上げる次第でございます。
 なお、年限の点、二年をもっと延長したらどうかという問題につきましては、事務当局からお答えさせたいと思います。
#25
○英政府委員 青年海外協力隊員の派遣は原則二年ということは、御案内のとおりでございます。しかしながら、先方から非常にいい仕事をしているのでもう少しいてほしい、本人ももう少しいたいというようなときには三年、四年の延長を認めております。現実にそういう希望がある場合には大体満たされるとお考えいただいていいのじゃないかと思います。
 ただ、青年協力隊の活動は、ボランティア、若い時期に外国、特に途上国の人と接するという目的がございまして、なるべく多くの人にそういう機会を提供したいということもあるものでございますから、その点を考えて一応原則二年ということで多くの人に参加していただくということにも配慮しているということでございます。
 それから、この緊急援助隊の活動に青年協力隊のOBをもっと活用すべきじゃないか。これはまてとにごもっともな御指摘でございまして、大臣から御答弁申し上げましたように、現地の土地カン、そういういろいろな知識、人的な関係等のある人がそういうリエゾンのような役割で行ってくれることは大変いいことでございまして、協力隊員の方もお帰りになればまた仕事を持たれるわけですから無理は申し上げられませんけれども、できる限り多くの方にそういう登録をしていただいて、現在百名ぐらいの方が登録をされております。現実にエチオピアの場合、コロンビアの場合、ソロモン、エルサルバドルのケース、この四つの派遣に十五名の方が、看護婦でありますとか調整員というような形で参加しておられます。これは御指摘のように、そういう方向で働いていただくということは大変望ましいことだと思っております。
#26
○佐藤(観)委員 国際的な災害救助という面からいっても、備えあれば憂いなしでもあるし、災害は忘れたころにやってくるというのは何も日本だけのことではないと思うので、そういう意味ではいわば常備的システムである消防庁ほかそういった方々も重要でございますし、あわせてそういった民間の方々の御協力もいただくということがぜひ必要ではないかと思っております。
 その意味では大臣からも青年海外協力隊について大変力強い御決意をいただきましたので、あわせて、これから国際社会における日本のあり方として、当然経済的な援助というのも大事でございますけれども、私が大学のときですから随分古いことになりますが、この前亡くなられましたけれども、グンナー・ミュルダールの言葉で、経済的、物的な援助をするよりも全部教育にやったらどうだというような、それは一つの極端な物の言い方であるけれども、要するに、大臣が言われたように人づくり、国づくりということに自発的な力をその民族から引き出すということが非常に必要なのじゃないか。日本はおかげさまでこうなった。これだけの経済力あるいは技術力を持っている。人的資源という言葉はよくないかもしれませんが、そのためにこの力を使う必要があるのじゃないか。
 そこで、もう一つ、本題とは外れるのでありますけれども、我々も経済援助というのはこれから倍増しようということで二年前倒し等々常に努力しているわけでありますけれども、あわせてそういった中に例えばシルバーエージの方、もう会社を退職されてお子さんは全部巣立ってしまったしお孫さんとという方が、自分の持っているものを例えば中国で自分が今までやったことを指導をするというようなこととか、まだまだいろいろな意味でやり方があるのじゃないか。
 もちろんシルバーエージのそういった活動も若干始まっておりますけれども、こういったこともかつて日本が戦争で大変な災害を与えた国々に対して本当に謝罪的な意味も含めてそういった方々を派遣をしていく、あるいは中国との関係でいえば留学生の方々についても、私ども若干お手伝いしていることがあるのですけれども、これは本題じゃないものですからそれ以上のことは申し上げません。まだまだ留学生についても枠が少ないのじゃないだろうかと思いますので、その辺の広い意味での物的援助もこれからは非常に重要でありますけれども、そういった人的、技術的、ソフト面における援助、日本版マーシャル・プランと言っている方もいらっしゃいますけれども、そういったことが非常に重要になってくるのじゃないかというふうに思いますので、その点につきましても、ひとつ大臣により一層御奮闘を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
#27
○倉成国務大臣 ただいま佐藤委員のお話しの点は、全く同感でございます。日本がこれから国際国家として生きていくためには大規模な青少年の交流、その一つとしては留学生の問題を、今お話がありました。この問題は主題でございませんので多くは触れませんけれども、今官費、私費入れまして日本に対する留学生、外国から参っておりますのは一万八千名でございます。本当に微々たるものでございまして、インドネシア一つとりましてもアメリカへの留学生が五千名を超しております。次は西ドイツ、これは五千名前後。日本はわずか二百六十八名ということでございます。もちろん企業等に若干研修に来ている人は除いております。そういうことを考えてまいりますと、一番日本の地域的に近い東南アジアのインドネシアでさえそういうことであるということになると、これはゆゆしいことである、本当にこれはもう抜本的に考えなければいけないと私は思っております。
 さらに本題に入りますけれども、今お話しの、相当経験を持ち、医療についてもあるいは土木技術についてもあるいはいろいろなその他の人文関係につきましても大変知識を持たれた方が、元気であるけれども何か世の中に奉仕したいという方々が、世界の人類の幸せのためにお役に立ちたいという方々が随分たくさんおられると思うのです。私もあっちこっちから、いろいろな方からお便りをいただきます。
 しかし、そういう方々が何かやろうとしても、やはりそれをスムーズにそういう人々の気持ちが発揮できるような組織が必要でございますので、そういう方々を登録しておいて、そしていざというときに条件が整えばそういう地域に行っていろいろお働きいただいて御経験を生かしていただくということは非常に大事じゃないかと考えておるわけでございまして、私はやはり日本の今日一番欠けておるのはボランティア活動、そういうものについても我々国民がさらに真剣に考えていくことが大切ではなかろうかと思っておる次第でございまして、ただいまの御指摘の点は全く同感でございますので、さらに我々も勉強いたしましてそういう活動が大変能率的に行われるように努力をいたしたいと思いますので、またお気づきの点があればいろいろ御示唆をいただけば幸せと思います。
#28
○佐藤(観)委員 さて、過去日本もこういった自然災害に対しまして救助をいろいろな格好でしてきたわけでありますけれども、とかく日本の場合には、先ほどちょっと触れましたように、金は出すけれども手は出さない。おととしのメキシコ地震のときにもアメリカが百万ドル、カナダが百万ドルという経済的援助に対して、日本は百二十五万ドルと大変な金額を出しておった割には、例えば新聞では「影薄い日本の援助」「金額多いが人不足」というようなことで、他国との人的な比較が書いてある。
 フランスが特別機二機で百七十九人の医者、それから十九人のレスキュー隊、犬十五匹を送ったのを初め、スイスが四十人、イタリアが二十二入と犬十一匹を派遣するなど、各国が十人単位で派遣をしている。それに対して日本は当初日赤のお医者さん四人でございましたか、看護婦さんもちろん連れてということでございましたが、一々数字を挙げませんけれども、比較をしますと、どうも日本の場合には残念ながら人の数が少なかったということでございます。
 ただし、その後のメキシコ地震の場合には地震の専門家を出すとか、あるいは都市計画まで入ってそういったノーハウを援助する、都市の再建に向けて援助するというようなことも当然やっているわけでございますけれども、しかし全体を見ますと、そこにいらっしゃる日本人からも、日本はよくやっているというそういう称賛ももちろんあるけれども、金額的に出している割にはそういった面が今までどうも欠けていたのではないか。
 例えばメキシコ地震のような場合には、もちろん相手国との調整がございますから、本来は日本が押しかけていくという性格のものでないと思いますが、かなり外国の場合には、メキシコとフランスと特別な関係が歴史的にあることもわかりますけれども、そういった意味では、今度の法案が成立することによってそういった批判、つまり金は出すけれども手は出さないというような批判は、今度は救助チームができるわけでありますからレスキュー隊その他が行けるようになるわけでございますので、なくなってくるんだろうか。
 いろいろ研究してみますと、レスキュー隊の犬の問題だけはどうもなかなか一挙にはいかないようであります。大変効果があるようでありますが、なかなか一挙には、八メートル下のにおいまでかぎ分けるというのは一朝一夕にできることではないので、犬の問題は日本ではなかなか難しいやに聞いておりますけれども、少なくともお医者さんなり看護婦さんなりあるいはレスキュー隊なり、そういった人的な援助をよりふやしていくというようなこの法案でなければいかぬと思いますが、この点はいかがでございますか。
#29
○英政府委員 佐藤委員御発言のとお力、非常によく御存じでいらっしゃいますので、今後私どもとしては、この法案の成立が実現いたしました場合には、やはりそういう体制の整備、また関心の増大、補償等の整備を通じまして、従来ともすればお金と物をやっておればよかったというものから人と人とのつながりというふうに移っていく大きな転機になるということを期待しているわけでございます。
 御案内のように、本当に日本が国際的な災害に人を派遣しなければいけないという気持ちが出てきましたのはこの両三年でございます。私どもはやはり国民のそういう問題に対する意識の急速な増大というものに大変力強い支援を受けております。委員御指摘のとおり、今後そういう方向でぜひ努力してまいりたいと思っております。
#30
○佐藤(観)委員 それからそういった災害時になると、日本人がほとんどの国に行っているというときに、海外在留邦人の保護の問題、これはおととしのメキシコの例を挙げませんけれども、若干手落ちがあったのではないかというようなことがございまして、そのことは一々今から申し上げませんし、またよくやったという称賛の手紙等も私も拝見しましたので申し上げませんけれども、いずれにしろ異常事態ということになりますと、一番重要なことは情報の確保、特に発展途上国ということになりますと、一切通信網が途絶えてしまう。ですから、どのくらいの本当の規模なのかわかるということが一番最大の対応するのに必要な手だてであるわけでありまして、その意味では、今度商用ファックス通信費新規に十一公館、自動車電話三十三公館、六十二年度予算が三億五千四百万円というように聞いておりますし、それからNHKの海外向けの短波放送につきましても出力をアップしたり、あるいは難しい、よく聞こえにくいところに対する対応等の調査団を派遣するというようなことを聞いておるわけでありますが、世界で今百七十公館、大使館がございますが、この今申しました三億五千四百万円ぐらいで、これは何年ぐらいでどのくらいで整備がつくことなんでしょうね。
#31
○英政府委員 突然の御質問で手元にちょっと数字を持っておりませんので、一般的なお答えになるのをお許しいただきたいのでございますけれども、現在、邦人の海外旅行者が五百万人を超す、この急速な増大、それから五十万人を超える邦人が海外で仕事をしていらっしゃるという大変な国際化の時代に入っているわけでございます。
 率直に申し上げまして、そういう邦人の方のお世話、私どもの言葉で保護という言葉を使いますけれども、邦人保護に当たる在外公館の体制、それから仕組み、それから御指摘の緊急時の連絡体制というものが遺憾ながら立ちおくれているということは私は事実であろうと思います。
 予算の逼迫の折から、なかなか私どもが一気にそういうことに完全に対応できるようなふうにはなかなかいかないのでございますけれども、先生方の御支援を得て、近年急速に強化をしているつもりでございます。何年たったらどうなるんだということについては、私もちょっと担当ではございませんし答弁できませんが、気持ちといたしましては、外務省としては在外公館の機能を飛躍的に強化してこういう問題に遺漏なきを期すということをひとつやっていきたいということでございます。
#32
○佐藤(観)委員 ある意味では情報さえしっかりしていれば余分な心配なりあるいはそこから出てくるところの不安、新たな騒動といってとが発生しないわけでありますので、そういう意味では、これから私も大蔵省のその他の予算措置、よくさらに見ますけれども、いずれにしろやはりこれは早く体制を整える必要があるのじゃないだろうか。今局長からもお話があったように、旅行で行くだけじゃない、そこに勤めていらっしゃる方等々もいらっしゃるわけでありますから、そういった意味ではそういった在留邦人の保護体制の中の特に通信網の整備等について、より早急にひとつ体制をなお一層整えていただきたいということを申し上げておきたいと思うわけであります。
 それから次に、総理府来ていらっしゃると思いますけれども、アメリカとの貿易摩擦の関係で、政府調達ということで政府専用の航空機を二機買うということで既に補正予算で手付金が八十億円ですか、ついているようでございますけれども、一体この政府専用の航空機の運用というのは何に使うのか。天皇陛下あるいは総理以下閣僚等の海外へ行く場合というのは当然あると思いますけれども、今議論しておりますこの緊急援助隊の要員というものを相手国に運ぶというような場合というのは想定をしているのかどうなのか、一体どういう運用の範囲を考えているのか、お聞かせを願いたいと思います。
#33
○河原崎政府委員 お答えをいたします。
 今回購入を予定いたしております政府専用機につきましては、その主要目的は総理大臣の輸送でありますとか、あるいは緊急時におきます在外邦人の救出のための輸送というようなものを基本的に考えておるわけでございます。
 ただいま先生御指摘のようなケースにつきましては、今後の検討課題というふうに考えております。
#34
○佐藤(観)委員 これは飛行機の代金というのは二機で三百八十八億、こう聞いているわけですね。これは二機常時整備をして、今お話があったように何かあったときに在留邦人というものを救出する。これは余りあってはいかぬし、もちろん閣僚が海外に出るというのはこれは随分いろいろあると思いますけれども、それぐらいで二機三百八十八億かけるというわけにも、やはり国民の税金ということからいうと考えなければいかぬじゃないか。
 一体これは経常費と申しましょうか、特に在留邦人の救出なんというと、いつどういう状況であるかわからないわけですね。すると絶えず整備をしていかなければいかぬ。私も災害の委員長をやったときに、各県のヘリコプターの購入の話が出たことがあるのでありますけれども、あのヘリコプターも災害用というと、ほとんど毎日整備していかなければいかぬので、飛行機そのものよりもその整備する人員の確保と、特にヘリコプターなんて大変難しい整備のようでございますから、そちらの方にお金を食うという話を聞いたのでありますけれども、一体これはどのくらい維持費にはかかるものですか。
#35
○河原崎政府委員 ただいま御指摘のように、航空機というのは大変に整備が必要ということでございまして、そういうこともありまして、私ども少なくとも二機が必要であると考えておるわけでございますが、具体的な管理運用の費用につきましては、現在、実は国がどこまで整備するか、あるいはまた主要な検査、点検のようなことは民間に委託した方が効率的ではないかと考えておりますが、そういう分をどの辺まで民間に委託するか等につきまして実は検討中でございまして、こういう検討の過程でございますので、実は人員をどのぐらいこちらが抱え、あるいは民間にどのくらいを委託するかというあたりがはっきりした上で計算できるものと考えておりまして、現時点におきましては維持管理費を算出することは難しいと思っております。
#36
○佐藤(観)委員 前の緊急の通信網の整備、ファックスを買うのにお金がない、お金がないと片方で言っておきながら、二機三百八十八億のものを、一体維持費が年間どのくらいかかるかというのを計算せずに大きな高い買い物をするというその感覚というのは、どうも私は国民の一人として、そんなばかな話はないじゃないか。河原崎会計課長さんの責任だと私は申しません。申しませんが、常識的に考えてみたって、こういう維持費というのは大変なお金がかかる。
 中曽根さんが五年の間に海外に随分行かれたわけだけれども、それでもいろいろなお金をかけたって十億円ぐらいのものじゃないかという計算をされているものから考えますと、一体こういった航空機を二機、確かに国の威信ということは一つは国際化の中で私は全く否定をしませんから、その意味ではすべてを、こんな高い買い物をしてというわけじゃございませんが、しかしこれだけのものを買う限りは、一体維持費がどのくらいかかるのかということぐらいはちゃんとやはり、例えば今会計課長からお話があったように、国がどこまで整備をするのか、じゃどこまで整備した場合にはどのくらいになって、あるいは主要な整備については民間にどの辺まで委託したらどうなんだというぐらいのものをやはり当然考えて物を買うというのが常識でなければいかぬのじゃないかと私は思うわけでございますが、何かありますか。
#37
○河原崎政府委員 御指摘のように、効率的に飛行機を運用しなければいけないということでございますが、いずれにいたしましても、今管理運営体制を今後詰めていく過程でそういうことを念頭に置いて考えてまいりたいと思います。
 なお、これは余談かもしれませんが、現実に飛行機を購入いたしまして納入されるまでの間に実は四年程度かかるのではないかと思っておりまして、その間に御指摘の管理運営体制につきまして万全を期するようにしてまいりたいと思っております。
#38
○佐藤(観)委員 やはりそれは余談です。これだけのものを買うときに、河原崎さんの責任と私は言っているわけではないので、政府自体の対応としておかしいんじゃないか。
 あわせて、今使用目的として、総理以下の閣僚が海外へ出られるときということと、何かクーデターその他の政治的な変動があったときの在外邦人の救出ということを言われたわけでありますが、しからば、今法案になっております国際緊急援助隊を運ぶことというのはどうしてここから外れているのですか、どうして外したのでしょうか。
#39
○川上政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま総理府からも答弁がございましたように、基本的には、政府専用機は、総理大臣の輸送、緊急時における在外邦人救出のために使うというふうなラインで考えているわけでございます。
 国際緊急援助隊の輸送につきましては、先ほど来御指摘のように、従来いろいろなケースがあったわけでございまして、従来のこういう経験に照らして我々考えてみました場合に、民間の定期便というものを主として使ってきたわけでございますが、こういうもの、それから、必要に応じましてチャーター便の活用というようなことによりまして十分対応が可能であるというふうに我々考えているわけでございます。
 先ほど総理府からも指摘がありましたように、政府専用機にかかわる諸般の問題というものは現在政府の部内で検討中でございまして、将来の検討課題というふうに考えております。
#40
○佐藤(観)委員 チャーター便で間に合うといえばみんな間に合うんだよ、今言ったようなケースの場合、総理だって今までやってきたわけですから。ですから、一方は国家の威信もあっただろうし、アメリカとの関係もあるだろうから、高いものを買われたなら買われたで、やはり効率的に使うことが国民に対するせめてもの責任ではないかと私は思うのですよ。
 その際に、このようないわば意義ある緊急援助隊の方々を、もちろん人数はこれからもう少しお医者さんや看護婦さんやその他の方の専門チーム、レスキュー隊もふえるという前提ですから、その意味では、高い買い物をして維持費に大変お金をかける以上、効率的に使う。むしろ外してあるというのが私はよくわからないのであって、その点は当然考えるべきだと私は思うのであります。大臣、いかがでございますか。
#41
○英政府委員 この問題は現在いろいろ検討が行われている段階でございます。御指摘のように、では援助隊が何人派遣されるのかとか、そういう今までの経験から照らしますと、やはり従来の対応ぶりでできるだろうということで考えておるわけでございます。しかし、政府専用機の問題に関連して今後引き続き検討されていくべきだろうというふうに考えております。
#42
○佐藤(観)委員 それともう一つ、いろいろと私が懸念、疑問と言ったのは、この航空機は一体だれが操縦するのですか。
#43
○河原崎政府委員 先ほど申しましたような目的のために総理府におきまして購入することとしておりまして、操縦も含めましてその管理運用につきましても、現時点では総理府で行うということを考えておりますが、なお具体的な運用体制というもののあり方につきましては、専門的な面にわたる点もありますので、今後関係省庁と十分相談してまいりたいというふうに考えております。
#44
○佐藤(観)委員 総理府といつでも、総理府の現在いらっしゃる方で操縦できる能力がある方はいらっしゃらないと思うので、簡単に言えば民間から頼むか、あるいは自衛隊から身分を移管して操縦するかのどちらかしか、これは物が物ですからないのですよ。
 それで、航空専門家に私もちょっと聞いてみたけれども、これは定期航空路ですね、どこに行くにしても。大体まず首都に行くというのが航空機の大きさからいっても常識的だと思うのですけれども、日航のように専門的なところでも定期航空路を飛ばすのに一カ月間がないみっちり訓練をする。緊急だというときに、一体自衛隊の人が飛んだことのない空路を飛べるのですかね。私は、これは大変疑問だと思うのですよ。
 それと、もう一つ非常に疑問に思いますのは、恐らく総理府で自衛隊の方をという場合には身分を総理府の方にして、併任というのでしょうか、併任という形にすると思うのですね、きっと。この前の天皇陛下をヘリコプターに乗せられたときには、あれは後ほどだったですか自衛隊法を改正してヘリコプター自身も自衛隊のヘリコプターにしたようでありますが、いずれにしろ自衛隊法の改正で操縦できるようにしたわけであります。
 今度の場合には、今検討中ということでありますが、民間に委託しない限りは自衛隊が飛ばすということになると思うのでありますけれども、これは常識的に考えてみてもコンパスがあればわかるというようなものではないわけで、しかも、例えばあなたが言うように国際的な紛争があってそこから邦人を救出するというところがあらかじめ想定できるわけではないから、操縦するのに訓練をできるわけではないわけですよ。そういったことからいいますと、先ほど大臣ともやりとりをしておりますように、こういった操縦士の方もひとつ民間の方と連携をして、民間の方は全日空であろうと日航であろうと、極端な話をすればエールフランスであろうと、御協力をいただけるものだったら、その航路を飛んでいる方は仕事のサイクルでちょっと御無理を願うことになると思います。時差のことやいろいろなことがあると思いますが、それの方が私は安全ではないか、常識的ではないかと思うのでございます。
 今の段階で物を言えば恐らく検討中ということでしょうが、これは常識の問題として、自衛隊の方も新しいところ、地球の裏側までぴゅんぴゅんと飛んでいくというのはあれだけの飛行機でそれは無理だ、これは私が言うのではなくて航空専門家がこう言っているわけであります。
 私は、いろいろな国際的な紛争にこの緊急援助隊が巻き込まれないようにするためには、一つは、システム的にもその操縦自体は民間の方がやっていただけるような、先ほどシステム、システムと申しましたが、やはりそういった格好にして、なおかつ、せっかく国際緊急援助隊というのをしょうということでありますし、これだけ高い買い物をして経常費をかけていくわけでありますから、すべきだというふうに思いますが、いかがでございますか。
    〔甘利委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席〕
#45
○英政府委員 日本は国際的な交通のネットワークの一つの中心になっておりまして、そういう意味では非常に発達した民間の航空網があるわけでございます。そこで、国際緊急援助隊の輸送問題につきましては、先ほど来そういう民間機の活用というもので対応できるというふうに申し上げている次第でございます。
 特に、政府専用機の話で今問題となっております邦人の救出、それから緊急の自然災害等に対する対応、状況はいろいろ違う面もあると思います。災害は忘れたときにやってくる、突然来るわけでございますから、まさに先ほど大臣が迅速、効率的に対応しなければいかぬということで、迅速にこういうときに対応するということで従来いろいろな経験を積んできたわけでございますけれども、実績で申し上げますと、多くの場合は二十四時間以内に派遣が行われている、遅くとも四十八時間以内に行われているということでございますので、私どもとしては輸送問題については民間の定期便の活用、それから場合によってはチャーター便、チャーター便を使った場合はまだ実は一度しかございません。昨年五月のソロモン群島におけるサイクロン災害の際に、パプアニューギニアとソロモンの間を移動するときにチャーター便を使ったということでございます。そういうような形でやっていこうということを考えておる次第でございます。
#46
○佐藤(観)委員 高い買い物、航空機を買ってどうして使わないか、私、よくわけがわからないですね。チャーター便でいい、チャーター便でいいといったら、総理が行くんだってチャーター便でよければ、邦人救出の場合にはいろいろ、これは現場が現場でございますから、現地の非常な混乱があるからこれはなかなか難しい問題があろうかと思いますけれども、そういった緊急の場合も想定をして飛行機というのはいろいろ整備をしていかなければいかぬわけで、そういった意味では緊急援助隊の派遣でも使った方が――高い買い物の飛行機を使わないというのは私はよくわからないのでありますけれども。
#47
○英政府委員 先ほど来御答弁申し上げて、繰り返しになって恐縮でございますが、現在検討中ということでございまして、使用する可能性を全く排除している、こういうことではないわけでございます。
 それから、蛇足かもしれませんけれども、やはり航空機があるからそれを使う、その方が効率的なのか、それとも数少ない人数の援助隊を派遣する場合にはやはり迅速に同じように民間機を使えば行けるかというような技術的な問題等々がございますので、こういう点はこれからの検討課題というふうに私どもは考えております。
#48
○佐藤(観)委員 時間も大分迫ってまいりました。もうちょっと進めますけれども、不幸にして発展途上国では、こういった災害と、それから所によってはゲリラが反政府運動をやっていたり、武力紛争をしていたり、いろいろ複雑なところが残念ながらあるわけですね。
 今度の、派遣をする場合に、一つの想定でございますけれども、こういった災害の発生と同時にクーデターが起こってくる。想定ですよ、クーデターが起こってくるというようになった場合に、向こうからは要請はされたわ、しかし、もう一つ何か政府ができそうなというような、政治紛争に巻き込まれそうなケースというのは、ないにこしたことはないけれども、往々にして発展途上国の場合にはあり得る危険性がある。我々の国際緊急援助隊というものは、そういう政治紛争に巻き込まれるようなことになってもらったのでは困ると思うのでございます。もちろん、想定を前提としての御質問でございますが、そういう場合にはどうなさいますか。
#49
○英政府委員 もちろん基本的に自然災害等を対象とした派遣でございます。
 想定の問題で、今御指摘のような政治的な対立、軍事的な対立等に巻き込まれる可能性はないかという御指摘でございますが、この点につきまして、もちろんその状況等をいろいろ判断しなければいけないのだと思います。第三条で外務大臣が派遣を適当と認めるということの中に、やはりそういう問題もすべて検討に入れた上で派遣が適当であるかどうかということを考えるというふうになろうと理解しております。
#50
○佐藤(観)委員 次に、毎日毎日、新聞を開きますと大変心配なのがイラン・イラク情勢でございます。
 国連の決議が七月二十日に決議五九八であって以降、何かその動きと全然逆の方向に、アメリカがクウェート・タンカーの護衛作戦を始めて触雷をする、その後メッカでイラン人の巡礼団がサウジの官憲と衝突をして死傷者が出るというような動きになって、せっかく初めて安保常任理事国五カ国が一致をしてできた決議というものと逆方向に事態は残念ながら進んでいるように、外から見ると見えるわけであります。
 たしか十五日の新聞だったと思いますが、イランがオマーン湾の機雷の掃海を開始をしたということを見て、やれやれこれはイランが敷設をしたのではないのかと思っていたら、どうも他の報道ではユーゴスラビアから二千個だったかな、機雷を購入するなんということが、真実かどうかわかりませんが、そんな話が出てくるというようなことで、大変また、せっかく国連安保理事会の決議ができましても、これ必ずしもイランがはっきり受諾するともしないとも言わないというようなことになっておって、まだ具体的な成果というのは残念ながら出ていないわけであります。
 そこで端的に幾つか御質問したいのでありますし、それから最後に外務大臣自体も六月十四日にイランを訪問されておられますし、七月二十六日にはジュネーブでイランの外務大臣にもお会いになっているわけでございますので、そういったことを踏まえて日本は何をすべきかということについてこの問題の最後にお伺いしたいのでありますが、その前にこの国連決議に、国連憲章の三十九条及び四十条のもとに行動するということで、これはかなり拘束力のある決議である、一方、もしこのことが実現をしない場合にはその次には武器禁輸というような制裁措置に進む性格を持っている決議であるというような解説もされているのでありますけれども、そのあたりはいかがなのでございましょうか、まずその国連決議の中身のことについてお伺いしたいと思います。
#51
○恩田政府委員 この決議でございますが、先生御指摘のとおり、三十九条及び四十条のもとに行動する、こういうことで、その第一項で「全ての軍隊を撤退させることを要求する。」こういうのがございます。この要求は、したがって三十九条及び四十条のもとの行動でございますので、拘束力があるということでございます。
#52
○佐藤(観)委員 そこで大臣、ちょっとお伺いしたいのでございますけれども、イランがこの国連安保理事会の決議の受諾の拒否をしないというのは幾らか明るい見通しがある反応だというふうに、イラン・イラク問題で大変腐心をなさって今日まで当たられた大臣の感触と申しましょうか、解釈と申しましょうか、外交ですから必ずしも全部言えることではないかと思いますが、そのあたりはどういうふうに見られているのか。
 それから、特にこの国連決議の第六番目に、「事務総長に対し、イラン及びイラクと協議の上、中立的機関に紛争責任の調査を付託する問題を探求し、出来るかぎり速やかに安全保障理事会に報告するよう要請する。」ということで、「中立的機関に紛争責任の調査を付託する」という項目があるわけです。ただし、前に「イラン及びイラクと協議の上」ということでございますけれども、ただ、イランの方が事務総長が来られることについて必ずしも拒否をしていないというような反応も示しているわけでございますね。その辺等を全体的に勘案をいたしまして、特に今日まで日本の外務省としてもまた倉成外務大臣としてもイラン・イラク問題については大変御苦心をいただいているわけでございますけれども、難しい問題でございますが、先行きどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。
#53
○倉成国務大臣 イラン・イラク戦争は始まってからもう既に六年数カ月、七年になんなんとする本当に泥沼に入ったような状況でございますし、我が国は、日本の石油の輸入量の約五五%はペルシャ湾、ホルムズ海峡を通ってきておるという現実を考えますと、これは単に石油の供給という意味だけではなくして、ペルシャ湾の安全、またイラン・イラク紛争の及ぼすいろいろな意味における影響ということを考えますと、一日も早くこれを終結させなければいけないということでございます。
 この点につきまして、御案内のとおり、安保の常任理事国の間でずっといろいろな問題を検討されてまいっておりまして、日本は非常任理事国でございますので、最初の相談にはあずからなかったわけでございます。いずれにしましても、常任理事国がまとめる決議をできるだけイラン、イラク双方に受諾できるような現実的なものにする必要があるという観点からベネチア・サミット等におきまして私ども、中曽根総理また私、それぞれ先方、アメリカその他の国々に対しまして、その決議案をイランが特に受け入れられるような形にするべく努力をいたしました。これは我が国がイラン、イラク双方に対してパイプを持っておる唯一と言ってよいぐらいの先進国であるという点からでございます。
 そこで、いわばベネチア・サミットの決議におきましてはジャスト・アンド・イフェクティブという言葉を入れたわけでございます。それはどういうことかと申しますと、サダム・フセイン大統領を処罰しなければ、やめなければ停戦をしないというイランの主張は国際場裏に受け入れられるものではない、しかし戦争の責任というものについてはひとつ公正な立場で何らかの形で将来明らかにするということで、ジャスト・アンド・イフェクティブという言葉を、最初は少し変わった文言でございましたけれども、入れて、そのことを踏まえまして、私はモロッコを経ましてテヘランに参りまして、ベラヤチ外相、それにハメネイ大統領、それにまたラフサンジャニ議長とそれぞれ相当長時間にわたりまして会談をしたわけでございます。
 イラン側としましては、私どもの主張に対する反発を随分示しておりましたけれども、その後脚案内のとおり国連の常任理事国の意見がまとまりまして、さらに非常任理事国にこれの相談がございまして、常任理事国、非常任理事国合わせて十五カ国全会一致でただいま先生のお話のような決議ができたわけでございます。これに対してイラク側はこれを直ちに受諾するということでございましたが、イラン側についてはこれに難色を示してきたというのが現実の姿でございます。
 したがって、私どもといたしましては、事実上ペルシャ湾で衝突が起こらない、事実上陸上戦闘も抑制されるということになってくれば、その間にいろいろ和平のチャンスが生まれてくるのではなかろうか。したがって、そういう自制をぜひやってほしいということをイラン側に対しましてもイラク側に対しても申し入れたところでございます。ところが、御案内のとおり、その後触雷事件等が起こりまして、いろいろな国がペルシャ湾にプレゼンスをするという形になってきておりまして、事態は本当に深刻な状態になってきておるわけでございます。したがって、日本としてはこの状態、事実上の戦争が鎮静化してくるという状態が長く続いていけば、その中にいろいろなチャンスが生まれてくるのではなかろうかということでございましたが、例のメッカ事件等でまたいろいろな問題が起こったので、非常に頭を悩ましておるところでございます。
 しかし、イラン側は、ただ一つ救いと申しますか、国連の事務総長が安保理の決議を実行するために来るのであれば、これは困る、しかし、デクエヤル事務総長が独自の立場で、公正な立場で調整に乗り出すということであればウェルカムする、テヘランに来ることについて歓迎する、そういう姿勢を示しておりますので、国連の事務総長の調整ということが一つの大きな手がかりになると思います。
 私どもといたしましては、国連の事務総長ができるだけ活動しやすいように、そしてその活動が効果を生むような環境づくりをするということが日本の立場ではなかろうかと考えておる次第でございまして、まことに隔靴掻痒の感がありますけれども、我々としては絶えず情勢を分析し、あらゆる国から情報をとりながらこれに対処しておるというのが現状でございます。
#54
○佐藤(観)委員 日本は、当然アメリカと同じように武力を持ってということをやるべきでない、また私に言わせればそれを国是としておるところでございますから、外交的努力というのは率直に言って限界があるだろうし、倉成外務大臣が大変御努力をしていただいておりますことに敬意を表しますとともに、大臣からお話がございましたように、イラン、イラク双方にパイプがある先進国という立場、ひとつこの立場で一日も早くイラン・イラク戦争が解決をするという方向になお一層御努力をお願いしたいのであります。
 ついては、通産省に来ていただいていると思いますけれども、やはり日本人として、石油情勢ですね。今まだオマーン湾にも機雷が随分浮いているのでしょうけれども、何度かの石油ショックの過程で石油備蓄ということに大変努めできたので、こんなことはあってはなりませんけれども、一朝オマーン湾あるいはペルシャ湾に事があったときに、何といっても石油というのは日本経済の最も脆弱部分でございますから、その辺の日本の対応というのはどういうふうになっているか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
#55
○横田説明員 現在のペルシャ湾情勢、通産省といたしましても重大な関心を持ちまして、外務省等の情報もいただきながら注視いたしておりますが、今の状況のもとでは、私ども結論的には石油供給上の大きな問題を惹起するということはないと考えておる次第でございます。現に国際的なスポット価格の動向等もメッカ事件で一時高騰いたしましたけれども、最近ではむしろ落ちつきぎみという状況で推移いたしております。
 そこで、万一の不測の事態があればという御指摘でございましたけれども、私ども、例えばホルムズ海峡の閉鎖といった事態は、現在では予想されるシナリオとは全く考えておりませんけれども、仮に、全く仮定の話といたしましてあえてそういう事態を想定いたしましても、一つにはOPEC諸国の供給余力あるいはその他のOPEC以外の諸国の生産増の能力、さらにはお話のございました石油備蓄もこれまで営々と積み重ねてまいりました。官民合わせて百四十日というところまで参っておりますので、国内の安定供給に支障を生ずることはない、こう考えておる次第でございます。
#56
○佐藤(観)委員 一日も早くペルシャ湾、オマーン湾のこういった紛争が解決するように望むわけでございます。
 次に、時間も大変なくなってまいりましたが、ココムに関連をします外為法の改正問題について、これはいずれ法案が出、きょうも理事会で商工委員会との連合審査も申し込むよう発言をしておいたところでございますので、詳しくはまたその機会にさせていただきますが、ただ、憲法上からいっても罪刑法定主義からいっても、国際的な平和及び安全の維持という非常にわからない範疇でさらに一網をかけるということになりますと、自由貿易を促進しなければならぬという基本的な立場からいって大きな問題があるというふうに私思っておりますので、若干の問題だけお伺いをしたいと思うわけであります。
 基本的にはココム自体が冷戦構造の中でできたものであるということで、既に昭和四十二年でございますか、水田大蔵大臣時代に、いみじくも当時大蔵委員長が田村現通産大臣だったということのようでございますけれども、むしろこれは解消、縮小すべき性格のものであるという方向にあったわけでございます。今回こういった一企業の問題からココムというのがまたまた焦点を当てられたということでありまして、その意味では、いわば法律違反を犯した一つの事件だったわけでありますので、法律を改正すればこれが防げるのかどうかということについては私たちは大変疑問を持っております。ただアメリカが高飛車に出てくれば日本はそれに追随をするという日本のあり方というのは、私は基本的な点で大変問題があるのではないかと思うわけであります。
 あわせて、外為法あるいはそれを実施するところの貿易管理令の別表というもの自体がこれまた極めてあいまいで、通産省がいいと言えばいい、わからないところはパリ送りをするということで、国民からみれば結局は法律や政令、省令を読んだだけでは事が確定できないという法体系自体は、民主主義あるいは貿易、経済という生き物を扱うものとしては、しかも基本的には秘密協定である、あるいは紳士協定であるということから申しますと大変問題があるのではないかと私は思う。
 その上に今度の改正法では国際的な平和及び安全の維持という、一見わかったようで何を基準にしてこの国際的な平和及び安全の維持ということを図り得るのか。結局は何か事があったときに通産大臣と外務大臣がお互いにいろいろ協議をするということになると思うのでありますが、今度は民間人からしてみますと、結局その場で基準なしに事をやられたのでは、実際に自由貿易というのは成り立たないのではないか。全部通産省にこれいいでしょうかとお伺いを立てなければいかぬ。しかもそれは共産圏だけではなくて、第三国から共産圏に入るものもあるわけですね。それをまた一々言われたのでは、貿易自体が大変長い時間がかからなければ輸出ができなくなる。
 しかも今のような時代に、武器輸出というのは、これも国会で何度か議論があったように、ヨーロッパであろうとアメリカであろうとあるいは共産圏であろうと武器輸出三原則ということになっていて否定をしてきたわけでありますし、むしろ穴をあげたのは中曽根内閣ということになるわけでありまして、武器の問題は別として、汎用品に至ってはなかなか範囲が確定できない。例えば、この前問題になっておりましたけれども、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国にトラックを送って、それを軍隊が使うということになるとこれもいけないのか。
 それから、ある商社が中国向けに電話局用の電話の交換機を輸出しようとしている。これも大変いろいろ審査を重ねているようでありますけれども、これとて電話局用といったって軍隊に使えば、電話交換機でありますから、まして光ファイバーかなんかにすれば、これはもう汎用品というのは範囲が非常に特定できなくなってくるわけですね。その上に今申しましたように国際的な平和及び安全の維持というようなことになってくれば、これはもう一々全部お伺いを立てなければ貿易ができないという事態になりかねない。
 本格的にはさらに法案の提出時期を待ってやりますけれども、大臣、基本的に通産省と外務省との間にどうもいろいろのいきさつがあって、そして外交に携わる外務大臣あるいは外務省という立場からいえば物を言わせてもらわなきゃ困るということだと思うのでありますが、これは貿易という生き物を扱うものとしては今度はますますわかりにくくなっているし、ましてや国際的な平和及び安全の維持というのは大変節陸が大き過ぎて範囲が定まらないということになってくると思いますが、大臣のお考えはいかがでございますか。
#57
○倉成国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、貿易というのは元来自由であるべきである。ガットの体制その他もそういうルールを決めたものでございます。したがって、貿易にいろいろな意味で制限を与えるということについてはなるたけこれをやるべきでないというのがやはり基本的な考え方でなければならないと思います。
 したがって、世界が本当に平和で、そして平和とか安全とかいうことに何ら心配がないという状況になればこのような規制は必要ないと思うわけでございますけれども、他方、御承知のとおり今日のような国際情勢の中におきまして、多くの紛争が起こり、力の均衡で平和が保たれているというような状況にございますと、やはりその陣営においてみずからの利益を守っていかなければならないということで、NATOの参加国と日本と大体十六カ国がメンバーになりましてココムといういわば申し合わせ、任意の協議機関をつくっておるわけでございます。したがって、それぞれ国の実情に応じましてその国がそれぞれの立場でいろいろな、特別な法律をつくっているところもございますし、いろいろな形で規制をいたしておるわけでございまして、我が国はたまたま外為法、貿易管理令によってこの規制をしておるということでございます。
 しかし、今先生お話しのように技術が日進月歩でございますし、特にソフトの面になりますとこれは非常に難しいわけでございますね。ハードの面ですとスペックその他で割合わかると思いますが、ソフトの面になると汎用とこれが戦略的に使われるかどうかという区別は非常に難しい点もございますし、また二万件も三万件もということになると、これをどうやって審査していくかということについてはよほどの工夫が要ろうかと思います。
 したがって、こういうことをどういう形でこれからやっていくかということについて、今回の不幸な事件を契機といたしまして通産省にも十分その体制を整えていただくと同時に、外務省といたしましても、種々の情報、種々のそういうものについての問題点というのをもし我々がキャッチすることができますれば、それについて通産省にいち早く通報し、そして意見を申し述べる、また通産大臣の方からもこれはどうだろうかという問題については我々に意見の照会をしていただく、そういう相互の協議をするということをすることがより効率的であり、より審査を適正にすることができると考えておるわけでございます。
 しかし、申請があってからいたずらに長く引き延ばして貿易をやられる方に大変迷惑をかけるということがないように、どういうふうに具体的にやったら一番よいかということをそれぞれ関係省でよく話し合って協力し合っていくことが必要でありますし、また民間自身が自主的に一つの一定の基準をつくればそれに基づいて体制を整えていくということ、官民一体となってやることが必要ではなかろうかと思います。
 したがって、先生お話しのように、こういうココムというような制度がなくなるような世の中をこれからつくっていくということが将来の我々の理想でございますけれども、残念ながら現実の世界はそういうことでないものでありますから、やむを得ずこのような規制をしなければならないということではなかろうかと思うわけでございます。
#58
○佐藤(観)委員 大臣が言われているのは、西側の一員としてということを強調されているのが大きな柱だと思うのでありますが、しからば、ではアメリカ自身がココムの特例認可申請、私の手元にあるのは一九七八年の数字でありますけれども、千六百八十件のうち千五十件がアメリカの特例認可申請ですよね。それで千五十件というのは全部認可されている。アメリカ自体が一番多く、いわば共産圏向けというかソ連向けといいましょうか、ココムのリストの中にあるものの中で特別に認可をしてもらいたいという申請を出しているわけです。フランスなんかは、そんなにココムを厳しくするのならおれのところは脱退すると言うし、イタリアはイタリアで、たしかココムの議長国ですよね、でもこれはココムに分担金を出していないというような対応をして、結局は自由主義圏というのでしょうか、そちら側でいわば各国とも輸出のシェアをおのおのの業界の中で広げているというのがココムの専門家の一致した見方であるわけです。
 そういうことから見ますと、日本だけがまたアメリカ向けに言いわけのように外為法を改正していくということは、これは片方ではウルグアイでなるべく貿易を自由化しようじゃないか、多角的関税交渉ということで自由貿易をなるべく広げていこうと言いながら、一方では対共産圏との貿易、経済交流というのをますます細くしていくということは、世界経済の発展にとってみてもよくないことだと私は思うのです。
 ましてや、いずれもっと詳しくしますけれども、罪刑法定主義からいって、とにかく外為法から貿易管理令、では貿易管理令では何がだめかがわかるかというと、百七十八品目がココムだと言われているわけでありますけれども、ではそこで百七十八品目を見ればそれがココム違反になるのかどうかというと、これもとてもじゃないが、非常に漢としたものしか書かれていない。これをもって罰則を三年以下の懲役を五年以下の懲役にするということは憲法上からいっても大変問題があるというふうに私は思っておるわけでありますが、諸外国の、つまり西側の一員としての諸外国の対応と比較してみても、日本だけがみずからの首を絞めている格好になっているのではないかというふうに思うのでございますが、大臣はいかがでございますか。
#59
○倉成国務大臣 いずれ外為法の審議の際にいろいろ御議論いただくことと思いますけれども、私どもはやはり日本だけが不利な条件になるというようなことは強要するわけにはまいりません。
 したがって、各国と十分話し合いをいたしまして、日本が不利にならないようにするために最善の努力をするということは当然でございまして、これは今回の事件に関しましては、西側の一員としてと同時に我が国自身の安全保障に大きな影響を及ぼす、そういうふうに認識をしておるわけでございますので、やはりこういう機会にひとつ改めてココム体制というものについて全体としてよく関係国で話し合いをし、そしてこの問題を処理していくことが大事であろうか、迅速にかつ全体の貿易体制において支障がないようにバランスをどうやってとっていくかということについて、先生のただいまの御指摘の点を十分踏まえながら最善を尽くしてまいりたいと思う次第でございます。
#60
○佐藤(観)委員 最後になりますけれども、いよいよお盆も終わりまして御先祖様は帰られたわけでありますけれども、私もずっと韓国の問題をやっていて思いますのは、韓国だけではございません、今でいえば朝鮮民主主義人民共和国、つまり韓半島というのでしょうか、朝鮮半島というのでしょうか、かつて日本が統治をしたところで、当時の言葉でいえば強制労働で内地に連れてこられた朝鮮籍の方々がたくさんいらっしゃって、人によっては御承知のようにサハリン、昔の樺太に残留されたまま今なおソ連と韓国という外交関係の問題もあって国に帰れない、せめて会うだけでも会いたいと言って、大変日本の戦争のつめ跡というのは戦後四十二年たってもそのまま生きているという問題があるわけであります。
 特に強制労働で連れてこられた方々、私も予算委員会で随分その問題をやったこともございますけれども、細かいことは申し上げませんけれども、今そういった方々の遺骨が目黒の祐天寺に千百四十柱納められているという状況になっているわけであります。一体、日本として、八月十五日には戦没者追悼の式典をやられるわけでありますが、あくまでこれは日本人の被害者あるいは戦争の犠牲の方々であって、日本が一方では加害者であったということをやはり日本は忘れてはならぬし、外交の中でもこの点は十二分に頭に置いてやらなければいかぬことが近隣諸国との間で非常に大きなウエートを持っていると私は思っているわけであります。今厚生省来ていただいていると思いますので、目黒の祐天寺にございます御遺骨というのはどういうふうに一体日本としては供養をしていらっしゃるのか、ちょっと報告していただきたいと思います。
#61
○村瀬説明員 朝鮮半島出身の元日本軍人軍属の遺骨につきましては、昭和四十六年から祐天寺に保管方をお願いいたしておるところでありますが、これらの遺骨は納骨堂に丁重に安置されておりまして、寺側の御好意によりまして毎日供養されておるところであります。
 また、厚生省におきましても、厚生大臣及び援護局長のお花をお供えいたしておるところでございますが、毎年八月には援護局の幹部職員が祐天寺の方に参りまして拝礼を行っているところでございます。そのような状況にございます。
#62
○佐藤(観)委員 これは大臣、外務大臣であると同時に大変長い間経験を積まれた政治家のお一人として、今課長さんからも御説明がございましたけれども、私たちが戦後の外交をやるときに、加害国であったということを忘れてはならぬ。これは中曽根総理と予算委員会でも随分やってまいりましたし、もう細かいことば申し上げませんけれども、そういった意味では、まだまだ残された台湾人の兵隊の方の被害の問題等もございますし、挙げていけばいろいろな問題がまだ残っているわけでございますが、せめてひとつ、これは外務大臣というよりもむしろ直接の担当は厚生大臣になるかもしれませんが、政治家の一人として、やはり国として今課長さんから御説明があった以上の何らかの格好の追悼をする。これは朝鮮半島の両方の国の御遺族の方がわからない場合も随分あるわけでございますけれども、そういった意味では、両国の真の心の友好という面からもぜひ必要なことではないか。
 このことをちゃんとしないと、日本は経済大国になって物は豊かになったけれども、心は過去のことは知らぬぷり、知らぬぷりとは私は申しませんけれども、被害者の側から見るとやはりそうとしか見えないのではないだろうかということを思いますと、私も政治家の一人として、ぜひこれはさらに国として今厚生省から御説明があった以上の供養をやることが朝鮮半島の方々との本当の意味での心のつながり、なかなかそれ自体ででき上がるものではないと思いますけれども、やはりそのこともぜひ必要なのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#63
○倉成国務大臣 ただいまお話しの点はまことにごもっともでございます。できるだけ御遺族の方に御遺骨をお返しするという基本的な立場をとっておりまして、この点に関しましては、もう既に八千八百三十一柱の方の御遺骨を御遺族にお返し申し上げておるわけでございまして、五十九年の四月、韓国政府からもまた御要請がありまして一柱お返しした。しかし、残念ながら千四百前後のお柱がまだ遺族が確認されないでそのままにされて祐天寺に安置されているということでございますが、何分この問題の処理につきましては、厚生大臣にもよく御相談申し上げまして、いかなる方法が一番適切であるかということを厚生大臣その他の所管大臣と御相談をいたしてみたいと思います。
#64
○佐藤(観)委員 終わりますが、今大臣のお話がございましたように、引き取られた御遺骨というのはまだ関係人がいろいろな形でいらっしゃるのですが、残されているものは、ほぼこれは朝鮮民主主義人民共和国側の関係者ないしは全く御遺族がわからない方だと思うのです。そうすると、解決の方法といっても、朝鮮民主主義人民共和国と日本国政府との関係が今のようにあること自体非常に問題があるので、これはまたいずれかの機会にやりますけれども、具体的なことになりますと、この御遺骨の問題は、さらに大きな前進を見るということはなかなか難しいのではないか。
 やはり日本人の心情として、何らかの形で国としてもなお一層、お祭り申し上げるというのでしょうか、御供養申し上げるということがどうしても必要なのではないかと思いますので、大臣もお話しございましたように、ひとつ厚生省とも御相談をいただきたい。なぜ外務委員会でこれをやるかといえば、やはりこれは高度の民族同士の問題あるいは外交の基本にかかわる問題だと思っておるわけでございますので、その点も申し添えまして私の質問を終わりたいと思います。
#65
○中山(利)委員長代理 午後一時二十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十分開議
#66
○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡部一郎君。
#67
○渡部(一)委員 国際緊急援助隊の派遣に関する法律案の審議に当たり、ただいまより数点にわたり御質問をいたしたいと存じます。
 私は、まずこの法案の提出に際しまして、多くの既成事実を乗り越え、困難な中に調整、御努力をいただいた関係当局、なかんずく外務省を初めとする諸氏の御努力に対して深い敬意を表するものでございます。
 我が国が国際社会において品位ある、そして多くの尊敬を集める立場を確保するためには、世界的な見地から国際的な協力を十分に実施するということが大切なことは言うまでもないわけでありますが、とかく従来の日本は、災害等の事態において資金は出すけれども労力を出さないというようなやり方で批判を集めてきたところであります。経済的な実力を増せば増すほど資金だけ出して労を惜しむというような日本の態度というものが定着いたしますならば、それは我が国外交にとって不幸なイメージをつくったことになるばかりか日本国の将来にとって大きなマイナスを生ずるのではないかと思うわけであります。
 日本は災害国であり、ある意味では水害、地震を初め災害に身構えている点では世界の中で非常に大きな特色を持っているところでありますし、その対応は世界の中でも群を抜く能力を持ち合わせている国であるわけでありますから、当然世界的な災害の発生時においては、これに対して緊急に対応する能力を持つという点では従来から多くの協力が要請されてきたところでありますが、従来の日本の援助というと決してそういう態度ではなくて、物の援助についてはともかくとして細やかな援助というものを欠いているうらみがあったわけであります。
 一九八四年、すなわち昭和五十九年のエチオピアの難民救済の際、当時外務省においてはそれこそ飢餓ランチなどを発明されて、従来の官僚の姿勢を一歩前進されたアイデアで取り組まれましたし、またエチオピアの難民に対して大量の毛布を贈呈する運動が与野党挙げて沸き上がり、日本のこうした問題に対する取り組みが大きく変わった時期と言われているわけであります。
 私は、当時外務大臣でいらっしゃいました安倍大臣にこの一九八四年の末、こうした問題については我が国ではお金をただ上げるだけではなく、災害に対抗して我が国の青年だちが出かけていき、行政のノーハウと民間のノーハウと日本国民の英知とをよりすぐった応援ということが一方であるべきであり、また一方において、そうした援助をする場合の必要な材料というものをことごとく用意していくという態度がふだんから必要なのではないかということを申し述べたいきさつがあるわけでございます。
 それから約半年間、ああでもなければこうでもないというので多少のお打ち合わせ等を繰り返しておりましたところ、メキシコ地震が一九八五年の九月に起こったわけでございます。この際におきましては、安倍大臣が緊急融資として五千万ドルを携行されて現地に乗り込み、災害無償百二十五万ドルと合わせ多額の現金を現地で拠出された覚えがあるわけであります。
 当時、ともどもアメリカを訪問中で、私はその報告をテレビで見ておりましたが、日本側の援助は、小切手を携行された大臣が先方政府と握手しているシーンが目立つだけであったのに対しまして、西独あるいはフランスあるいはイタリア等の援助部隊は、現地に飛ばした輸送機の中からブルドーザーが旗を立てて出てくる、あるいは青年がシャベルを担いで出てくる、あるいはレスキュー部隊が、新品のレスキュー隊員の格好をした青年たちが町の中を駆け回っている、あるいはジープが空輸され、そのジープにアメリカの国旗が翻っているというような様子を多数見ることができたわけであります。
 私は、まさにここに問題があったなと思います。というのは、日本の援助は、お金の点において一回ごとに幾ら出すかということについては検討するわけではありますけれども、金額にばらつきが多過ぎる。あるときは十万ドルとか五万ドルなどという災害補償もあるけれども、あるときは五千万ドルを超す融資もある。相手国のレベルや災害の規模にもよるのでしょうけれども、日本の災害に対する協力というのはしばしば上下があり過ぎるという批評が一つある。もう一つは、労力を惜しまず現地に踏み込む青年の姿というものが見当たらなくて、せっかくの援助というものが相手国民に対する激励、支援、鼓舞、そうした意味では効果が薄くなっている面があるのではないか、そのようなことを痛切に感じてきたわけであります。
 私は、その意味におきまして、この国際緊急援助隊の派遣についての御構想については満腔の謝意と支援をしたいという気持ちでいっぱいなのでございます。私の立場から、こうした気持ちではございますけれども、本法律案の提出に当たり、大臣はいかなるお気持ちでここまでやってこられたのかどうか、まずその辺から伺いたいと存じます。
#68
○倉成国務大臣 ただいま渡部委員は一九八四年のエチオピアの干ばつの救済、それから一九八五年の九月に起きましたメキシコの地震に対する救援等々についてお触れになりましたけれども、かねてから緊急援助の問題につきまして渡部委員から大変な御関心をお示しいただきまして、外務省を初め関係の当局に対して大変な御支援を賜りましたこと、この機会をかりまして厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 それにいたしましても、今仰せのとおり、私はお金だけで済むものではない、やはり日本は地震とか水害とかあるいはその他いろいろな災害を受けでおりますし、またいろいろな意味において知識も有しておるわけでございますから、こういうものはそういう知識と経験というものが非常に物を言うということでございますので、お金だけではなくして、こういう災害に対しましては迅速に、的確に、そしてなおかつ、心のこもったものでなければならないと私は考えておる次第でございます。
 そういうためには、やはりかねてからいろいろな諸準備を整えておく必要がございますし、また、これに携わる人たちが真剣に使命感に徹してやることが大事じゃないかと思う次第でございます。なお、そういうことに携われた方々に対しまして、こういう方々は決して物質を求めたり名誉を求めたりするものではございませんけれども、しかし何らかの形で感謝の気持ちをあらわすことができれば幸いではなかろうかと思った次第でございます。
 今回私がインドに参りました際も、これは百五十年来の大干ばつということでございましたし、バングラデシュに参りました際は、六十年来の大洪水ということでございました。したがいまして、時間が許せば現場に私自身参りまして、多少私も災害の経験を持っておりますので、お手伝いなり御助言を私自身が申し上げたいというくらいの気持ちでございましたけれども、この法律を御審議いただきまして通過させていただいた暁には、この緊急援助隊創設の精神を忘れることなく、我々全力を挙げてこの機構を生かしながら、世界の方々に、日本の国民は真にそういう他国の人々の苦しみを、悲しみをともに分かち合うという気持ちの国民であるということを認識してもらうべく最善の努力をいたす所存でございます。
#69
○渡部(一)委員 このような法案に対する提案は、公明党の同僚議員である薮仲義彦君が昭和六十年十一月二十二日の建設委員会におきまして、コロンビアの災害に対して日本の高度な技術を持つレスキュー隊が国際的に出動することができないかと提言をされました。私は、同月の二十二日、国際的な災害が起こったとき国際的な災害救助隊を編成できるシステムを政府が考えるように要請をいたしましたが、こうした提言は私たち二人に限らず多くの各方面で言われ、検討されてきたことであります。
 今回の法律案を拝見いたしますと、国際救急医療チームと国際緊急援助隊と青年海外協力隊のOBチームと専門家チームの四部門から構成されていると聞いているわけでございますけれども、私どもはまず、人員と機材、部門、この三方面につきましてより多くの充実をお願いしたいなと思っているわけでございます。
 法案としてはよろしいのでございますけれども、私どものささやかな経験を申し上げますと、神戸でポートアイランドというのができまして、そこへたくさんの外国人をお迎えして小さな万博のようなものを行ったわけでございますが、外国人がたくさんおいでになるのに通訳がないよというのが最大のネックになったわけでございます。
 そのときに、通訳として御案内をしたり、あいさつをしたり、道案内するようなボランティアが欲しいということを市長の名で呼びかけましたところ、八千名の応募者がございまして、そして来たお客さんを全部巧みに処理したいきさつがあるわけでございます。日本国民は、ボランティアをする勇気がなかったり、知恵がなかったり、金がなかったりするのでは毛頭なくて、やりたいけれどもどこへ行って手伝ったらいいかわからないということが大量にあるのではないかというのが、私の心に残る経験でございます。
 今回の国際緊急援助隊と申しますと、この法案がもしできたことが明らかになった瞬間に、私たちも応援したいけれどもどうだろうかという問い合わせが殺到することは目に見えているわけであります。それに対して、予算がありませんとか、受け付ける場所がありませんとか、そういう部門は望まれておりませんというような言い方で拒否し続けるとしたならば、それは日本国民の、国際国家、友好国家日本としての立場を傷つけるものに逆になるのではなかろうかと私は思っているわけであります。
 法案の審議を少し越えているわけでございますが、こういう日本国民の要望を名簿に記載して、いよいよのときにはお願いできますよというようなことができないものかどうか。また名簿に記載された方々に対しては、一年間有効の適切な準隊員証などというようなものを渡せないものだろうか。あるいはこういうふうにして派遣された人々に対して、その努力と貢献に対して外務省は適切な報償の措置をとるべきではないのか。あるいは勲章の授与に対しても、一定のある期間を経てそれをその中に繰り込んで考えることがあってもいいのではないか。
 あるいは通訳などというものは、現実、外国人と接触する仕事を私の町では大変多くするわけでございますが、仕事をする人の倍ほど大体通訳業務に手間がかかる。踏み込んだ場合に、スペイン語で話される方のところへ日本語でしゃべろうとしたら、まず話は何分の一しか通じないわけですから。通訳を担当される方の人数はもっと多くていいのではなかろうか。特別よりすぐりの人が少数というよりも、もう少しレベルが低くてもみんなで手伝いできるというような体系もこれは考えられるべきではないだろうか。
 言ってみれば、私の今言っていることは、国民全部が入りたい国際緊急援助隊というものにしていただきたいし、そういう人たちを適当な形でエンリストする方法を御考慮いただいてもいいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#70
○倉成国務大臣 詳細の問題につきましては政府委員からお答えさせますけれども、ただいまいろいろ渡部委員から貴重な御提言がございました。その一つ一つについて私はもっともなことばかりだと思うわけでございますが、具体的にこれをどう本当に組織立てていくか、あるいは今申されたようなことを生かしていくかということについては、我々真剣にひとつ検討いたしてみたいと考えておる次第でございます。
#71
○川上政府委員 ただいま外務大臣からお答えがございましたけれども、先生御指摘のいろいろな専門家あるいは医者等々、特に民間の方を頭に置いていらっしゃるのかと思いますが、これらの方々をエンリストしておいて、登録しておいて、緊急の場合の活動に参加していただくという制度は、御承知のとおり一部既にやっておりまして、青年海外協力隊につきましては、特に調整活動、それから今御指摘のありました通訳、これは大変重要な任務になるわけでございますが、従来とも、例えばコロンビア、メキシコといったようなスペイン語を話す地域において、過去にスペイン語の地域で活躍した青年協力隊のOB等が派遣されまして活躍した経緯がある次第でございます。
 そういうようなことで既にやっておるわけでございますが、さらに特定の技術者、専門家につきましても、災害応急対策だとか復旧といったような面で将来専門家の方々に行っていただくことが多々あるわけでございますが、そういう場合にそういう方をエンリストしておいて、至急、非常に短時間に派遣できる体制をつくるというようなことは、極めて貴重な御意見として承って検討させていただきたいと思っております。
#72
○渡部(一)委員 それからもう一つは、公務員の出張の規定であります。
 これはかなり面倒なことになるわけでございまして、私の知っております一つの例を申し上げますと、兵庫県の県立病院の医師で特殊な心臓のバイパス手術の世界的な名医と言われる方がいるわけであります。その方が実際に外国から要請を受けて講演に行く。このバイパス手術については御本人は世界的なレベルにあられるものですから、行くとその地域の医療は非常にレベルが上がるのですけれども、行くときに当然、一々県庁の許可を得なければならぬわけであります。
 ところが、県の医者として給与をもらっている以上は余りたくさん行くわけにはいかぬわけでありまして、おのずから制約というものが生じてくる。そうすると、しまいには、それは許可は一々もらえるけれども、無理になってくる。無理になってくるだけではなくて、同僚の中のささやきが心配になってくる。私はどうしても行きたいんだけれども、みんなが同じボーナスを――あいつは外国にばかり行っていい格好しているのに、同じボーナスをたまには遠慮したらどうなのかと言われているのではなかろうかという本人の後ろめたさというのが生じてくる。
 公務員というものが日本国の公務員あるいは地方自治体の公務員である以上は、こうした精神状態に落ち込むことは当然のことであり、日本国公務員が国際公務員でない以上は、その両者を代替するわけにはいかないと思われるのであります。したがって、どうしても公務員の場合は命令あるいは指令によってこれが行われなければならないわけであり、その意味でこの援助隊の機構が、何人こういう人が必要だということの意味が非常に決定的になるだろうと私は思っているわけであります。
 したがって、これは大変よい組織ができた、公務員も自由に行けるようになるなと思いますけれども、この援助隊の方から一々医者何百人出せとか言うだけでなくて、本人たちが自分たちはこういう救助活動に参加したいということを逆に申請できるルールにしておきませんと、また同じことが起こるのではなかろうか、こう思っているわけであります。
 つまり、言い出すことについての自由を与えませんと、国際緊急援助隊活動に熱心な公務員というのは公務員の中で疎外される可能性がある。せっかくの公務員というものが活動ができなくなるおそれがある。したがって、公務員の方は命令で出る少数者以外だれも口をきかなくなる。むしろ嫌がった顔をして出ていくことが国際緊急援助隊隊員の基本的な礼儀作法になってしまうなどということがあったら、仏つくって魂入れずの形になることでありましょう。
 したがって、公務員は国際緊急援助隊の中に一年に一回、二年に一回ぐらい出かけていくのが当たり前だ、むしろ出ていくことが当然だし、公務員として立派なことだという雰囲気とそういう教育とがつくられるということが非常に大きなテーマになると思うのであります。この辺についてどういう御方針でいかれようとされているのか承りたいと存じます。
#73
○英政府委員 渡部委員から御指摘された点は、大変重要な現実の問題であるわけでございます。基本的には、やはり意識の改革というものがなければそういうふうになっていかないんだろうと思います。
 地方公務員の方でも地方公務員としてのお仕事があります。ですから、その方がいなくなったときにほかの人に負担がかかる、そういうことがあるものですから、こういう法律の成立に伴い、外国でこういう活動をやることが地方で働くのと全く同じ、またはそれ以上であるという意識がどんどん深まってくるということ。それから、人員の手当てがきちっとなされていない場合には、現実に本人が行きたいと言っても周りの人が迷惑をこうむるから困るということもあるのだろうと思うのです。
 これはどういうふうに対応していいか、率直に申し上げて直ちに知恵は出ない点でございますけれども、やはりそういう活動が今後日本国民、広く国家公務員、地方公務員、民間の方も含めて行われる、これが当たり前のことなんだという意識を深めるということに私ども積極的にPRなり努力をいたしまして、そういう御指摘のような問題が起こらなくなるようにまずやっていかなければいけないだろうと思います。具体的に地方公務員、地方自治体等にどういうお願いをするかというようなことにつきましては、ちょっと考えてみたいと思います。
#74
○渡部(一)委員 今回、この業務を扱う国際協力事業団とされましては、外務大臣の監督、指示を受けることになっておりますが、今の問題とも絡めて伺っているわけですが、政府関係各機関に対してこの業務に対する教育、あるいは率直に言えば命令権というようなものが存在するのかどうか、私はちょっと心もとない点があるわけであります。
 例えば、大規模災害だ、消防庁から三百人人を出してよというような、消防庁が予想している数なんかよりはるかに大きなメンバーが要求されたとする。例えば、またもっとひどい場合で、今度チェルノブイリの原子力災害で私たち肝を冷やしたわけでございますが、チェルノブイリのような災害が御近所で暴発したとする。そこのところで、それに対する災害対応能力がないとする。そうしたような場合に、それに取り組むためのメンバーというのは、一通りでないレベルのメンバーが要る。
 そういう場合に、外務大臣がすぐ命令を出して、各官庁協力してくれたまえ、出してよというふうに呼びかけられるのか。あるいは地方公共団体まで声をかけられるのかどうか。医師会にまで声をかけられるのかどうか。そういう指示権がどの程度あるのか。その辺について、この国際緊急援助隊の機能と申しますか指示権はどの程度のものなのかな。ちょっと弱過ぎるのではないかな。実際動かす段になると心配が出てくるな。少人数ならこの機構でうまくいくことは明らかだが、そこのところはうまくいっているのかな。この辺が私の疑問とするところでありますが、いかがでございましょうか。
#75
○英政府委員 確かに国際協力ということで、特に途上国を中心とする大規模な災害にできる限り手を差し伸べたいという気持ちは広くあると思いますけれども、それを行う際には、やはり日本側の与えられたポテンシャルといいますか、潜在能力というものを前提として考えなければいけない、そういう意味においてはやはり制約というものがある、これは否めない事実だと思います。
 登録を事前に民間の方にしていただいて、これも二十四時間で行っていただくわけですから、大変な負担をお願いすることになります。その用意のある方にたくさん登録していただく、さらには、この関係の行政機関はまさにこういう活動に参加するということで手を挙げておられるわけでございますから、私どもは、そういう機関と協議を密接に持って、今渡部委員の御指摘のあったような大きな規模の協力をする、その能力をふやすということに全力を尽くしていきたいと思います。
 基本的には、この第三条に書かれておりますように、外務大臣とこの関係行政機関の長ないし国家公安委員会等と協議を行うということで、そこの点が弱いという御指摘だと思いますけれども、現状においては事実面においてそういう体制を強化していくというやり方でいくのが適当であろうかと思います。
#76
○渡部(一)委員 この機構は初めから全部完璧につくる必要はないと私も思います。小さく生んで健やかに大きく育てればいいと思います。その意味で、私は、考えておられる御方向が成功裏に成就されるように声援もしたいし、頑張ってもいただきたいと思っておるわけであります。
 ただ大臣、ここのところで片づけておかなければならないのは、今も申しましたが、原子力災害の体なのでございます。これは原子力事故援助条約第七条では、援助を要請した国は、援助が有償で提供される場合には、援助に関する経費を負担することになっておりますが、原子力災害の場合は有償無債の判断あるいはその基準、この辺がちょっと明快でないようなのでございます。
 これはもちろん安全保障とか防衛とかの問題と絡むために、うまく打ち合わせされてなかったためかもしれませんけれども、今後におきましてはかなり深刻な大問題になるのではなかろうか。極東における最も優秀な科学国であります日本国としましては、こうした災害にも身構えておく必要があるのではないかと思いますが、その辺は今どのあたりになっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
#77
○遠藤説明員 渡部先生今御指摘のように、原子力災害の場合には大きなものもあれば小さなものもあると思いますけれども、一応有償にはなっているのでございますけれども、どうも今の御指摘のようにこの援助条約第七条で次のような場合には心としてはなるべく無償でもって考えてもらいたい、こういうふうな規定になっているわけでございます。
 どういうふうな場合にできれば無償、少なくとも無債を考えてほしいという場合といたしまして、例えばその原子力災害が非常に大きくてなかなか財政的に大変だというようなときにはやはり無償も考えてほしい。それから、あるいはその災害を受けた国が発展途上国の場合、そういうふうな国の場合にもぜひできれば無償で、あるいは災害を受けますのが全く原子力施設を持っていない国もあり得るわけでございまして、そういう国の場合にはノーハウもなければ、かなりの場合財政的にも大変だ、こういうようなことで、できればそういう場合にも無償の方向を考えてほしいということです。建前としましては確かに有償というような建前になっているわけでございますけれども、同時に今申し上げたような場合等々無償を考えてほしいということで、私はそこら辺に心はあるのかなという感じはいたします。
#78
○渡部(一)委員 それから大臣、今のお話とまた関連いたしますのですが、この救助活動に伴う費用でございますが、目下のところは予算措置で一応の予算というのがあるわけであります。百も承知でいらっしゃる方にこんなことを申し上げるのは何なんですが、災害というのは費用の見積もりのできる程度の災害というのは大体災害じゃないという言葉があるくらい、災害というのは不確定要素が非常にある。レベルも違う、大きさも違ってくる。
 そこで、一般論として申しているわけでございますが、災害予算を、そういう大き目になった場合、外務省の予算からお出しになるのか、政府全般の予備費からお出しになるのか、あるいはJICAの積み立てたものの中から出すのか、ニュアンスは全然違ってくるわけでございますが、大きな災害になったとき費用の拠出についてはどういうルールで大体やろう、あてがおう、こう考えておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#79
○川上政府委員 委員御指摘の点でございますが、もちろんその災害の規模にもよるわけでございますけれども、我々といたしましては、JICAの交付金というもので十億円をただいま手当て――毎年、六十一年度あるいは六十二年度もそうでございますが、十億円を交付金から出すということで予算手当てはしております。
 もし御質問のようにこれで間に合わなかった場合、これはJICA予算の中での何らかの形での流用、それから場合によっては補正予算なんかで手当てするということも可能かというふうに考えております。
#80
○渡部(一)委員 恐縮ですが、それはJICA型の答弁だ。JICAの役人の答弁の範囲を出ていないのであって、私の言うのは、今妥当なところをある程度考えておかないと、法律というのもルールというのもひとり歩きしてJICA予算の枠の中でしか処理できないというふうに解釈されることもできてしまうし、JICAは手当てできるだけいっぱいに努力するが、だめな分については総理の指揮を仰いで外務大臣がいろいろ処置するとも言えるのだし、今の御答弁は極めて重大な将来の枠組みを決定する答弁になってしまうわけなんですね。
 だから、ここはどうしても、政治家であり、かつ、こうした問題についての御見識がうたわれておる外務大臣に何か言っていただかないとどうしょうもないのではないかなと私は思うのですが、どうでしょう。これはJICA予算、JICAの交付金から出す、それは当然ですね。そこのある間はそれで出す、それは結構です。それがちょっとはみ出してきた、それはJICAの中で補正か何かで出す。これも結構です。それは当然のことだ。
 さてその次、もうちょっとけた外れになってきた場合にどういう処置をおとりになられるか、この辺の心づもりを担当大臣として、また閣僚としてお述べいただくと、将来のこの法案解釈に対する一つの指針ができるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#81
○倉成国務大臣 ただいま政府委員からお答えしたとおりでございますが、JICAが主体となってこれを運用するわけでございますから、JICA予算、そして交付金が足らないときにはやりくりをする、しかしどうしても足らないときには当然予備費をお願いしてこの問題を片づけていくというのが筋じゃなかろうかと私自身は考えております。
#82
○渡部(一)委員 ありがとうございました。大変いい御答弁をいただきまして、もう、けたがうんと大きくなりましたから大変喜んでおります。
 さてその次、自衛隊の海外派遣に隠れみのになるのではないかと批判された経緯が途中であるわけであります。この法案の作成上、誤解があるのは当然のことではございますけれども、そうした誤解にこたえるために政府の立場を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 現在の政府のお立場は、私の知るところによりますと、政府の四十四年四月の答弁書によれば、「わが国には固有の自衛権があり、その限界内で自衛行動をとることは憲法上許されるとの見解のもとに、いわゆる「海外派兵」は、自衛権の限界をこえるが故に、憲法上許されない」という基本的御答弁だと理解をいたしておるわけであります。そしてその後だんだん、いろいろつけ加わってはおりますけれども、基本的にはそうでございますが、自衛隊法の規定がない以上、海外での活動の任務を自衛隊に与えていない以上、自衛隊員の海外派兵はあり得ない、もう一つのくさびがとまっている、こう理解しているわけであります。この辺の御答弁は、現在この法案の審議において再確認されるものであるかどうか、もう一回明示していただきますとよろしいかと存じます。
#83
○英政府委員 法案の別表に掲げております関係行政機関の中には、ごらんのとおり防衛庁が含まれておりません。自衛隊がこの法律に基づいて国際緊急援助活動を行うことができることにはなっておりません。
 それから、この緊急援助隊の派遣につきましては、これまでの経験に照らしまして関係十六省庁、都道府県警察、市町村消防、そういう方面の協力によって十分対応可能である、このように考えております。
#84
○渡部(一)委員 この法案の「別表(第三条関係)」と書いてありますところに、ただいまお述べになりました十六省庁の名前が書き上げられているわけでありますが、法案審議の際にこれほど多くの省庁が一つにまとまってこうした法案の中に書き込まれているというのはまことにユニークかつ斬新的なことだと思うものであります。
 心配いたしますのは、これらの関係省庁が、言ってみればJICAの旗のもとにJICAの親玉である外務大臣の指揮のもとにうまくまとまることができるのかどうか、まとまることに異存があるのかないのか。当然ないから法案を出されたとは信じますけれども、政府は一体となって外務大臣の指揮のもとにこの国際緊急援助隊というものをつくり上げていくということはうまくできているのかどうか、その辺をお示しいただきたいと存じます。
#85
○川上政府委員 緊急援助活動の場合に、救助活動、医療活動等々いろいろな種類のチームが派遣される可能性があるわけでございます。それらのそれぞれの活動を担うチームは外務大臣の調整のもとに被災地で活動するという仕組みになっておりまして、この点は、第六条に、外務大臣は被災国政府等と連絡を密にして、その要請等を考慮して活動の調整を行うという趣旨の規定がございます。
 それから、もちろん言うまでもないことでございますが、第三条で、派遣に当たりまして、各行政機関、ただいま御指摘がございました多数の行政機関と十分協議をいたしまして、先方の要請等を十分踏まえた形で協議して必要なところへ出していくということをやっております。そういう協議に基づいて派遣された各チームが、ただいま申し上げましたように、外務大臣の調整のもとに行動を行うという法律の立て方になっている次第でございます。
#86
○渡部(一)委員 では最後に、大臣にぜひ所信を披瀝していただきたいと思うのであります。
 この国際緊急援助隊は、明らかにこれから多くの難問を乗り越えながら我が国が養成しなければならない極めて大切なアイテムだと私は信じます。そして、先ほどからの討議においても明らかなように、予算措置のやり方も日本の国内各予算とちょっと違ったやり方が必要ですし、公務員のこの援助隊に参加する意識、教育の問題についても今後にゆだねられた点がございますし、それから多数の日本国民が参加したいということに対する処理に対してもまだこれからいろいろ決めなければなりませんし、まさにこれから指揮監督される方向というものは多彩をきわめているわけであります。まさに、外務省の知的創造力が憲法の精神にのっとり、国際的に評価されるチャンスではなかろうかと私は思っているわけでありまして、今後の御指導、御活躍を期待したいわけであります。
 そこで、大臣の御決意を最後にハイライトでお述べいただきますと、後のためにまことにいいのではないかと思っておるわけでございますが、よろしくお願いします。
#87
○倉成国務大臣 ただいま委員御指摘の点、非常に重要な問題であろうかと思います。各省庁間、十六省庁にまたがる問題でございますし、国家公務員の場合、また、地方公務員も含めましてそういうことでございますから、日ごろからできるだけこの間の風通しをよくし、絶えず密接に連絡をし合っておくということが必要でもございます。また、民間の御協力を得る場合におきましても、やはり民間の方々とも十分よく御連絡を密にするということが大切だと思います。
 したがって、指揮命令とかいうことを離れて、そういう各省庁間が人道的な見地に立って、災害であるとか予期せざるいろいろな事柄に対しまして国際国家日本がその役割を果たしていくということでございますから、ささいな権限争いをしたり、ささいなことで意見が対立するということはあり得ない、また、あってはならないと思うわけでございますので、そういう面については最善の努力を調整官庁としていたす所存でございます。
#88
○山口委員長 次に、永末英一君。
#89
○永末委員 国際緊急援助隊は、我々民社党といたしましても、かねてからこれに対する法的整備並びにその充実を要求をしておったものでございまして、今回これが法律にまとめられておることは賛成であります。
 我々が国際国家として生きていかねばならぬ、こういう立場に立ちます場合に、物を売りつけるだけの国家であってはならぬのであります。もしこの地球上に不時の災害を受けて困っている国がある、その国に対して日本国が強力な援助を行える体制を常に持っておる、そしてまた、それを実施をしていくということは極めて重要な我が国の国際的責務の一端を果たすものだと考えておりまして、この法律案がまとめられたことは賛成であります。
 ところで、この法律案を読みますと、少しわからぬことがあるので聞いておきたいのですが、最後に八つの省、八つの庁について協議する相手方として第三条関係で書いてございますが、消防庁というのがございますが、消防庁は自治省のいわば外局みたいな形でございまして、しかも、実動部隊の消防の公務員は市町村に所属いたしておるわけでございます。したがって、法文中におきましても、市町村の消防機関の職員に国際緊急援助活動を行わせることができるというような項目が四条五項にはございまして、つまり消防職員はそれぞれ市町村の職員として給与を受けている業務関係にございまして、ところが、その予算を見ているもの、また市町村自体は自治省の管轄であります。
 国家公安委員会が第三条において外務省と同様に全国の警察に対する関係機関として並べられてございまして、警察庁が書いてございまして、それらの関係で自治体の警察官に対しましても似たようなことが行われるのでございますが、自治体の警察官の身分関係は直接にはそれぞれの警察部局でございますが、都道府県知事であることは間違いない。
 そうしますと、市町村長や都道府県知事を所轄しておるのは自治省でございまして、自治省という名前が抜けておるのは一体いかがであろうか。この援助隊法が成立をして、それによってそれぞれの警察官あるいは消防職員が援助隊活動を行う、それぞれの給与等の費用、さしあたっての費用の支弁者は自治体の長が払っておる、こういう形になっておるが、その大もとを見ている自治省は全く協議機関ではない、そういう姿でいいのですか。
#90
○川上政府委員 お答え申し上げます。
 まず、別表の中に消防庁は入っておるけれども自治省は入ってないという点でございますが、委員御指摘のとおり、消防庁は自治省の外局ということでございますけれども、各庁の長官はその機関の事務を総括して職員の服務についてこれを統括するという国家行政組織法第十条の規定がございます。したがって、消防庁の職員は消防庁の長官が指揮をしているという関係になっていると承知いたしております。もし自治省を入れるとすれば、自治省の職員を出すということとの関係でございますが、この場合は自治省の職員に出ていただく必要性は必ずしもないということで自治省は入ってないということでございます。
 それから、都道府県警察でございますが、これは国家公安委員会が都道府県警察に対して指示をするという手続を踏むというふうに承知いたしております。
#91
○永末委員 消防庁の職員は消防庁の長官に指示権限があります。市町村の消防職員に対して消防庁長官は何ができるのですか。
    〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
#92
○川上政府委員 御指摘の点でございますが、法案第四条第四項でございますが、消防庁長官は前条の協議、つまり外務大臣との協議に基づきまして、市町村に対してその消防機関の職員に国際緊急援助活動を行わせるよう要請することができる、これは要請というふうに理解いたしております。
#93
○永末委員 消防庁長官は要請するだけであって、それを実施する機関は市町村長でしょう。
#94
○川上政府委員 そのとおりでございます。
 「市町村は、」第五項でございますが、「前項の要請を受けた場合には、その消防機関の職員に国際緊急援助活動を行わせることができる。」という立て方をいたしている次第でございます。
#95
○永末委員 市町村長に対して消防庁長官は所轄力はありますか。
#96
○川上政府委員 私どもの承知いたしておりますところによりますれば、消防組織法等によりますと、国の消防組織から市町村消防に対しては、法的には助言、勧告、指導、要請等のみを行い得るにとどまるということになっておると承知いたしておりまして、本法案においても、国家公安委員会の場合とは違って、指示ではなくて要請という言葉を使っておるわけでございます。
#97
○永末委員 結局、市町村の消防職員を国際緊急援助隊の隊員として出す場合、その命令をする者はそれぞれ当該の市町村長なのではありませんか。違いますか。
#98
○川上政府委員 そのとおりでございます。
#99
○永末委員 その市町村長の事務を統括しているのは自治大臣でしょう。自治省がないということは、そういうことが行われているにかかわらずこれは自治大臣は知らぬでよろしいという法律ですか。
#100
○英政府委員 基本的には、この法律は海外で緊急援助の活動をする人を派遣する法律、そういうことでそれに必要な手続を定めているわけでございますが、第四条の第五項、これはいわゆる創設規定でございまして、これに基づいて市町村が要請を受けた場合、すなわち消防庁長官から市町村に対する要請を受けた場合に機関の職員に国際緊急援助活動を行わせることができる、そういうふうにここで創設されているということでございます。
 その点について……(永末委員「そんなこと聞いているんじゃないよ、自治省と関係ないのかと言っている」と呼ぶ)自治大臣が知らなくていいかという点につきましては、この法律とは離れて、やはり自治大臣に必要な御協議なりそういうことをすることは、もちろん必要に応じて行われることと思います。
#101
○永末委員 我々は提案されている法律案の審議をしているのであって、法律以外のことを言っておるんじゃありませんよ。超法規的な自衛隊の動かし方をやらなければならぬと言って首を切られた統幕議長もございましたね。どうして書いておかないんですか。
 外務大臣は、自治大臣がそんなことを知らない状況を起こしていいとお思いですか。あなたは第五条によって命令権を与えられるようでありますけれども、自治大臣が自分の所轄する市町村長、その職員である消防職員が出ていく、それを自治大臣が知らない、そんな状態でいいと思いますか。
#102
○川上政府委員 消防組織法上の関係で申し上げますれば、消防組織法の体系というのは、我々の所管しておる法律ではございませんが、あくまで消防庁長官と市町村との面接の関係を法律上規定しているわけでございまして、自治大臣ということではないというふうに承知いたしております。
#103
○永末委員 消防庁長官からいえば、全国の消防機関との関連をそれに書いて当たり前のことである。しかし、その市町村は自治大臣が所管している機関でしょう。その自治大臣の知らぬことを外務省が消防庁長官と連絡したりすれば、自治大臣の所管の方の市町村や府県知事が何か事を動かす、そういうことが統一的な政府の機関行動と言えるのかどうかということを聞いているのです。外務大臣。
#104
○斉藤(邦)政府委員 ただいまの一連の御質問に対するお答えというのは自治省の方からお答えするのが適当なんだろうと思いますけれども、多分事前の御通告がなかったと存じますが、そのために自治省が来ておりませんので、一般論として私からお答えさせていただきたいと思います。
 ただいまの御質問の自治大臣と消防庁長官、ないし消防庁長官の要請で動く市町村長との関係につきましては、これは自治省の中の指揮命令系統の関係の問題として、消防庁長官が通常の事務の範囲内という形で自治大臣に報告をしてその周知徹底を図るという形で不統一というような問題は避けられることになるのではないかと想像いたします。
#105
○永末委員 これは各省庁にこうやって関連がある法律案でございますし、各省庁は各省庁のそれぞれの運営の仕方をやっているわけでございますから、我々は立法府としてこれを見た場合にどうも穴があいているのじゃないかと思いますが、これは検討していただかなければ、穴があいていることをそのままにしてあったのではよくない。この法律で穴があいてない運用ができるというならそれは別でありますが。
 外務大臣、あなたは五条で国際協力事業団に対し、その職員の派遣を命ずることができると思うのです。この法律によって与えられるのです。どうなんですか。
#106
○倉成国務大臣 外務大臣といたしましては、JICAに対して指示をし、こういう派遣を命ずることができるわけでございますが、その前に、今委員が御指摘のように、第三条に基づきまして関係の行政機関と協議をするということになっておるわけでございます。しかし、こういう重要な問題をいろいろやります場合には、ここには内閣官房その他入っておりませんけれども、閣議その他でも十分話し合いをする機会は当然あろうかと思うわけでございまして、行政組織法上の形でこの法律体系ができておると思うわけでございますので、自治大臣もこういう緊急援助隊派遣というようなことは閣議に報告をし、そして皆さんによく御納得いただくようにするのは当然の任務だと思いますので、この法律で十分機能を果たし得ると思う次第でございます。
#107
○永末委員 第五条におきまして「国若しくは地方公共団体の職員」と「国際協力事業団の職員」と「その他の人員」と三つ書いてございますが、区別がありますでしょう。
#108
○川上政府委員 第四条の規定に基づきまして公務出張をすることになる国もしくは地方公共団体の職員、またはJICA、国際協力事業団でございますが、これの職員、その他の人員というのは、民間人と、それから休職で参る地方公務員等がこれに含まれるわけでございます。
#109
○永末委員 公務員ならば公務出張は当然でありますが、その他の者については外務大臣がストレートには命令できませんな。これはどういうものですか。
#110
○英政府委員 永末委員の御質問は、第五条の規定の最後に、外務大臣が事業団の職員を派遣することを命ずることができるということで、外務大臣が事業団の職員を命ずるのは規定としておかしいんじゃないか、こういう趣旨だというように伺ったのですが、この第五条の規定は派遣をするように命ずることができるということで、外務大臣の命令は派遣の命令でございまして、派遣する人員についてはそれぞれ組織でその人を派遣するということを決めるわけでございます。
#111
○永末委員 法文は明瞭に読めるように書いておいてもらわないと、外務大臣が公務員以外の者に命じたのでは、これはおかしな社会になりますね。今解釈について伺いました。
 ところで、先ほど問題が出ましたが、三条関係で一番最後の別表に省、庁が書いてございまして、防衛庁は書いてない。防衛庁には相談したんですか。
#112
○英政府委員 国際緊急援助隊の派遣につきましては、この二、三年いろいろな経験を積んできておるわけでございます。その関係で、どういう関係省庁の御協力を得ればできるかということを我々は検討したわけでございます。
 それで、その関係のあり得る官庁の中で、防衛庁の参加がなければこの緊急援助隊活動ができないかということについては、私どもはこれまでの経験に照らして防衛庁の参加がなくても十分対応が可能である、そういう判断をいたしまして、それに基づきましてこの法律をつくったわけでございまして、そのために防衛庁から自衛隊の参加をするための別表に防衛庁をかけてほしいという要請はございませんでしたし、また私どもも防衛庁の方にそういう要請は行っておりません。
#113
○永末委員 最近この国際緊急援助隊が出ておりますが、これは大体医療関係でございまして、一人から三十二名、件数にして十件ほど出ております。つまり自衛隊と関係のない緊急援助隊を送っているわけなんです。
 ところで、同じようにメキシコの地震であれコロンビアの火山流の災害であれカメルーンの有毒火山、エルサルバドル地震災害等々で、外国はアメリカ、英国等もたくさんの国際緊急援助隊を送っておりますが、それは軍隊を送っておりませんか。ないし軍人を送っておりませんか。あるいは軍用飛行機を送っておりませんか。御答弁願いたい。
#114
○川上政府委員 お答え申し上げます。
 御質問の趣旨は、諸外国の緊急援助において軍隊がどういう形で絡んだ実態があるのかということと承知いたしますが、海外での大規模な災害の発生に際しまして、各先進国はケース・バイ・ケースで対応しているわけでございますが、国によっては軍の要員が救助隊等として参加したり、軍用機または船舶を利用していることもあるようでございます。
 我が方で承知しております限りでは、軍隊を緊急援助に利用した最近の主な例としましては、アメリカ、イギリス等がコロンビアの火山噴火、エルサルの地震、メキシコの地震等に軍を輸送等に利用している例を承知いたしております。なお、例えばスイスは軍を使用しないということを原則としているようでございまして、アメリカの場合は原則として民間人の輸送には民間機を利用する、大量の救援物資等を輸送する必要のある場合には軍隊の輸送機を利用するということにしているものと承知いたしております。
#115
○永末委員 今の御答弁で明らかなように、アメリカないしイギリス等、フランスもございますが、軍人を送り、軍用航空機を利用している、艦船も利用したというお話がございました。我が方は医療関係に限って少人数の者を送っておる。これははっきり違いますね。
 さて、私伺いたいのは、防衛庁はこの法律ができることを知っておったのですか。
#116
○大森説明員 お答えいたします。
 防衛庁といたしましても、法律案ができました段階で法令協議ということで外務省の方から法案の内容及び外務省を中心として緊急援助隊の派遣の体制についての考え方について御連絡を受けました。
#117
○永末委員 防衛庁は自衛隊法によって国内における災害に対しては災害派遣が決められておる。また地震の防災派遣も決められておる。海外のものについては日本の自衛隊は考えないのだというのが防衛庁の方針ですか。
#118
○大森説明員 お答えいたします。
 先ほど外務省の方から御答弁があったとおりでございますけれども、私どもといたしましては、外務省を中心とした関係省庁の検討におきまして、国際緊急援助隊の派遣につきましては、これまでの実績に照らし、警察ですとか消防その他の関係十六省庁により十分な対応が可能であり、自衛隊としての協力が得られなければ援助活動を行えないというような事態は当面考えられないというふうな御判断だということでございますので、防衛庁といたしましては具体的な検討は行っておりません。
 ただ、一般的に申し上げまして、自衛隊が参加するということになりますと、自衛隊の持っております組織的な行動力の活用というのがまず考えられると思いますけれども、国際的な救助の場面でそのようなことがあるのか、一般的には難しいのではないかと思われます。
 いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、今後の援助隊の活動の実績を見まして、自衛隊の協力が求められるような具体的な事態が出てきた段階で十分検討をいたしたいと考えております。
#119
○永末委員 今までに外務省からなかったというのは、外務省は自衛隊員が相当な人数行って、あるいは機材を持っていってやるような計画をしなかったからであります。十分ななんて、十分というのは自分で範囲を限っておいてやっておるわけです。これは小規模な侵略に対応するような話ですな。
 外国でやっていることについて今報告があった。外国は軍用機を飛ばし、軍人を送っている。機材も持っていっているでしょう。大地震があって、それの原状復旧をしなければならない、そういう問題は防衛庁は研究したことはないのですか。
#120
○大森説明員 私ども、外務当局から聞いております緊急援助隊の活動につきましては、技術的な専門家の派遣を中心にして考えておられるようでございまして、先ほど申し上げましたように、自衛隊の組織的な行動力といいますかマンパワーといいますか、そういうものを活用した参加というふうなことにつきましては防衛庁として具体的に検討はしておりません。
#121
○永末委員 外務大臣、お聞きのとおりでございまして、我が国の自衛隊は国内の災害については法律上の定めがあって行くわけですね。そして国民は、なるほど自衛隊でなくては災害復旧はできない問題があるということを災害のたびごとに知らされておるわけです。
 一たん国際的な問題になると。お医者さんと看護婦と調整員と称する人が少人数行っている。しかし外国は、似たような状態で軍人を送っておる。しかし、これは武力使用を目的としたものではございません。武器を持っていくわけではない。人命救助、そして災害復旧を目的とした機材を持っていくのである。日本の外務省のやる国際緊急援助のやり方、外国のやっておるやり方を並べてみた場合、我々はどう思われておるとお思いですか。
#122
○倉成国務大臣 いろいろな災害等に対する援助のやり方については、それぞれの国がそれぞれの考え方、またそれぞれの国情に応じてやっておると思う次第でございます。
 今委員の御指摘の点は、日本の自衛隊は国内の災害に対しては大変な働きをするけれども、海外の災害についてはどうして協力しないかという御趣旨かとも承るわけでございますけれども、御案内のとおり、再三政府委員からお答えしておりますとおりに、これまでのところ、自衛隊の参加なしに十分我が方の援助は対応し得るという観点に立っておるわけでございます。ただし、長い将来にわたって考えた場合に、自衛隊の参加、協力を得る必要があるかどうか、適切であるかどうかということは、国会においてもいろいろ議論があるところでございます。
 また、今後実際にこのような法律の体制のもとで積み重ねられた経験の結果、援助隊の派遣似実績を見ながら検討していったらいかがなものかと思うわけでございまして、現実問題として自衛隊の参加があるためには、自衛隊の任務全般との関連におけるこの種の活動をどう位置づけるのか、あるいは法制面での諸問題について考え方を十分整理しておく必要があると承知しておる次第でございまして、当然のことながら、この問題につきましては、国会を初め国内の各方面の声に広く耳を傾けて判断すべきものだと考えておる次第でございます。
#123
○永末委員 自衛隊員が海外へ参ることにつきましては、武力行使を目的としない、すなわち武器を携帯しないでそして出ていく、そういうことが可能であるというのは、例えば自衛隊法百条の五におきましても、国の機関から依頼があった場合には、自衛隊員は飛行機を輸送して、国賓あるいは内閣総理大臣その他政令で定める者の輸送を行うことができる、その地域は国外であってもよろしいということは、きちんと国会で報告されていますね。
 つまり、武力行使の目的でなければいわゆる海外派兵ではない、こういうことである。したがって、自衛隊法の改正を行って、今のようなこういう海外の災害が起こった場合に緊急援助を行うことができるとやれば送れるではありませんか。そう思われませんか、大臣。
#124
○倉成国務大臣 国会の中でもいろいろ永末委員のような御意見の方もたくさんいらっしゃいますし、いろいろな御意見があろうかと思うわけでございまして、いずれにしましても、この法律を的確に運用してまいりまして、その実績を踏まえた上で、ただいま御指摘のような問題については検討すべきものでなかろうかと考えておる次第でございます。
#125
○永末委員 防衛庁は、この種の問題は考えないのですか。御答弁願いたい。
#126
○大森説明員 お答えいたします。
 先ほどの繰り返しになるかと思いますけれども、現在聞いておりますところですと、自衛隊の能力を必要とするような事態は考えられないということでありますので、具体的な検討はしておりませんが、今後の運用の実績を見まして、自衛隊の協力が必要だというふうな事態が生じますれば、その段階で法制面その他の面につきまして検討を加えていきたいというふうに考えております。
#127
○永末委員 今の御答弁を聞いておりますと、今までは自衛隊の能力を必要としない国際緊急援助であった。そうじゃないのだ。自衛隊の能力を必要とするような部分は他国がやっておったのであって、我が国がやっておる援助は、我が国がやってきた、我が国のやっていることだけに目を向けて、自衛隊なんか行かぬでいいんだ。国内における災害に対する対応でどういう能力を自衛隊が持っておるかは、防衛庁の人は知っているわけでしょう。それを、今までは海外援助については何も自衛隊要らぬのだなんて、そんな判断は間違っておるよ。なぜなら、よその国が軍人や機材の輸送のために飛行機を使うのですから。それを研究しておいてください。いずれまた、しかるべき機会に答弁を求めます。
 さて、安全保障室長は来ておられると思いますが、一体我が国の自衛隊は自衛隊法に基づいて仕事をしているわけである。しかし同時に、自衛隊員の使用については安全保障上の重要な問題だと私は思います。しかも、その自衛隊員は自衛隊法に従って国内における災害復旧については動いていくのであります。国際的には今のところ防衛庁は知らぬ顔しておるし、外務省側からもそれを動かそうというような要請はない。現行法律にはございません。しかし、自衛隊法に根拠を与えるならば行き得る問題だと私は考えます。もし国の安全保障を全体的に考えているところが安全保障室であるとするならば、あなたの方の調査研究の中にもそういうような項目、対象があってしかるべきだと思いますが、安全保障室長の見解を伺いたい。
#128
○佐々政府委員 お答えいたします。
 先生よく御承知のように、内閣安全保障室は昨年の七月一日、安全保障会議設置法によって設けられたものでございます。私どもの与えられた任務は、内閣法、内閣官房組織令、そして安全保障会議設置法によりまして、内閣法十二条によるところの総合調整を要する事案のうち主として国の安全にかかわるもの、こういう任務付与が行われているところでございます。
 今回の国際緊急援助隊、この法案は所管が外務省でございまして、第三国において災害が発生をしたときに、これに対し、いわばサミット国にふさわしい国力、国情に応じた国際的な責務を果たすための援助を行う、こういうことでございまして、我が国の安全にかかわること、我が国の平和と独立、安全を脅かすような国防事項あるいは新たに任務付与されましたところの国の安全にかかわる重大緊急事態対処という任務の範囲内に入っておりません。
 また、この十二条の総合調整権と申しますのは、各省庁の見解が不統一になり、それが政策遂行上妨げになる場合に総合調整が行われるものでございまして、先ほど来外務省、防衛庁等関係省庁の御答弁にございますように、本件に関しましては自衛隊を除くということで調整が行われておりましたために、内閣安全保障室としては合い議も受けておりませんし、調整を行っておらない、こういうところから本件に関しては内閣安全保障室は現在関与いたしておりません。
 しかしながら、先生御指摘のとおり、将来海外派遣という概念と、重大な災害がよその国にあったときに、世界の一流の国家であるところの日本がどの程度の援助をすればよいのか、こういう問題については、先ほど外務大臣御答弁のとおり、実績を踏まえた上で今後検討すべき課題であろうかと考えております。
#129
○永末委員 よその国の災害、困難について我が国の法律でストレートに規定できるかどうか問題があるかもしれませんが、例えばその災害によって、邦人がそこにおって、そして被害を受けたり、あるいは戦乱状態が起こったために急遽その国を脱出しなければならぬ、一般の民間航空機では怖い、戦闘に巻き込まれるかもしれぬ、こういう場合にはまさに自衛隊機が行けばその任務を達成し得る、しかし自衛隊法には規定がない、こういうことで行けないというのなら、自衛隊法に邦人救出、今のような困難なときに邦人の救出に限って自衛機を使うことができる、こういう条文をつくれば行けることに法律上はなると思いますが、安全保障室長はどう思いますか。
#130
○佐々政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のような重大な事態が外国において起こり、現在在外同胞は五十万人と言われており、また旅行客も年間六百万近いと承知をいたしておりますが、こういう日本国民の安全の問題ということになりますと、この国際緊急援助隊の問題とは別であろうかと存じます。
 現在のところ、自衛隊法によって自衛隊にそういう任務は与えておりませんけれども、海外における同胞の安全の確保、保護ということは外務省の領事事務の所管ではございますが、政府を挙げて真剣に検討をすべき課題であろうと考えております。
#131
○永末委員 そういう戦乱の場合の急速に邦人救出をやらなくちゃならぬというのは国際緊急援助隊の問題ではありません。しかし、これらの日本人は全部旅券を持っていっているのであって、外務大臣は究極的にはこれらの在外邦人に対する生命の安全を守る義務があろうと私は思う。
 したがって、そういう場合に民間航空機がよたよたするのであるならば、あなたは、ひとつ自衛隊法の改正を行って、自衛隊機を飛ばして武器を持たないで邦人救出だけをやってこい、こういう法律をつくることはいいと思われませんか。
#132
○倉成国務大臣 委員のお気持ちはよく理解できるわけでございますけれども、やはりこれらの問題につきましては慎重に世論の動向、また国会の論議、また自衛隊法の精神、そういうことを踏まえながら検討すべきものと心得ております。
 しかし、ただいまの御意見は貴重な御意見として十分承っておく次第でございます。
#133
○永末委員 世の中のことは一寸先はやみでございまして、どういう戦乱で我々の邦人がどれだけ緊急脱出をしなければならぬか、いつ起こるかわからない、のんびりとやっておってはいかぬのでありますから、せっかくひとつ御研究を願って考えをまとめ、国会にお諮りを願いたい。我々民社党の意思は早くやれということであります。
 さて、これまでも国連の平和維持活動につきましては、平和維持軍は、フォース、軍という言葉を使っておりますので、いろいろな問題がございましたが、例えば一九七四年五月三十一日安保理事会決議三百五十号でつくられましたイスラエル、シリア間の停戦の維持及び監視、兵力引き離しと兵力制限の査察のためにつくられた監視軍、オブザーバーフォースというものでございますが、それに参加しているカナダは通信部隊と兵たん、ポーランドは兵たんを引き受けておる。鉄砲を持って戦争をする任務ではないわけですな。そのほかのものは鉄砲を持って、事があれば交戦し得る、こういう体制でいっておる。こういうものにも参加する意思はありませんか、外務大臣は。
#134
○遠藤政府委員 お答え申し上げます。
 国連の平和維持活動につきましては、大別いたしまして、いわゆる兵力引き離しを目的といたします国連平和維持軍、それから主として監視を目的といたします監視団と両方ございます。
 そこで、この監視団の場合にはほとんどの場合は武器を携行いたしません。他方、いわゆる平和維持軍の方は少なくとも自衛のための小兵器は携行するということになっております。
 いずれにいたしましても、我が国の場合は、武力行使を伴わない平和維持活動につきましては、自衛隊が派遣されることを憲法上禁止されているというわけではないというふうに考えておりますけれども、現在の自衛隊法はこの任務を与えておりません。また現在、政府がこの方向で自衛隊法を改正するというふうな検討を行っていないことは既にたびたび答弁があったとおりでございます。
#135
○永末委員 今までの解釈は全部承知をいたしておりますので、その上で御答弁願いたいのですが、今既に触れられました、例えば一九四八年につくられて現行もございます国連のインド・パキスタン軍事監視団、オブザーべーショングループと称せられるもの、これも武器を携行しない部隊でありまして、各国の軍人が参加している。それから国連パレスチナ休戦監察機構、これはスーパービジョンオーガニゼーションと称して、いずれもフォースとは言っていない。武器を携行していない。こういうものに対して、自衛隊法が改正せられれば参加してよいとお考えですか。
#136
○遠藤政府委員 我が国といたしましては、国連の平和維持活動にさらに積極的に貢献するために、従来から実施しております財政面での協力に加えまして、現行法令下で可能な要員の派遣、関連資材の供与による揚力も検討していきたいというふうに考えております。
 具体的には、例えば南アフリカの不法統治下にありますナミビアを国連監視下の選挙を通じまして平和裏に独立させる、そういう役割を有する国連ナミビア独立支援グループ、略称UNTAGと申しますが、このグループヘの選挙監視要員の派遣、関連資材の供与を行うことを積極的に検討することを決定しております。このUNTAGは、既に形式的には設立されておりますけれども、これはまだ諸般の情勢もございまして実施されておりません。
#137
○永末委員 我が国は、先ほどの兵力引き離し監視軍などというものに対しましては特別分担率に基づく分担金を払っておりますし、今話題に上しましたこの監視団ないしは監察機構なるものに対しては、国連に我々が拠出している予算の中から払われておる。つまり、金は出すが人は出さない。その日本の態度というのは、外国から見ておりまして、国連の平和維持機能に日本が積極的に参加をし、やっておると映ると思いますか、外務大臣。
 このごろ新聞で伝えられるところによりますと、多国籍監視軍、これは軍とオブザーバーと書いてありますが、マルチナショナル・フォース・アンド・オブザーバーズ、訳は監視軍だそうでありますが、エジプトとイスラエルの兵力引き離しについて、これに金だけ出そうということを来年度予算で検討されておられるのですが、日本は金持ちだ、金持ちだと言われておる。金だけ出す人間か、人は送らないのだ。人も自衛隊法を改正すれば送れるではありませんか。金だけ出せばいいのですか。このMFOは国連ではない。国連では、ソ連の拒否権によって国連の機構になり得なかった。だから、いわば国連と違う、全然別物である。そういうところへ新たに金を出そうと考えておられるようだが、金は出すが人は出さぬ、こういうことが日本の国連並びに国際的平和維持活動に対する機能である、こういうことですか、お答え願いたい。
#138
○恩田政府委員 先生御指摘のMFO、多国籍軍・監視団でございますが、これはエジプト、イスラエル、米国の設置議定書によってつくられたものでございまして、現在参加協力国を含めまして十一カ国でございます。このMFOから、日本政府に対しては財政的な困難から財政的な援助を欲しい、協力を欲しい、こういう要請がございまして、現在それにどう対応するか検討中でございます。
#139
○永末委員 外務大臣、今の基本的な方針についてあなたの御方針を承りたい。国連並びに国際的平和維持機能に対しては、我が国、日本国政府は金を出すが人は出さぬ、これでやっていくのであるということであるかどうか、伺いたい。
#140
○倉成国務大臣 ただいまのMFO、マルチナショナル・フォース・アンド・オブザーバーズ、これに対する答えはただいま政府委員からお答えしたとおりでございまして、資金協力によって我が国の中東和平の実現についての具体的な貢献をするつもりでございます。
 また、先ほどお話しのピースキーピング・オペレーション、PKOについては、ただいま財政的な分野での協力をしているというのが現状でございます。したがいまして、現在のところは御案内のとおり資金面の協力でございますが、憲法、法律の許す範囲内でどういうことができるか、そういうことはこれから十分検討をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
#141
○永末委員 最後でございますが、この前ある外国人が来まして私に聞くのです。おまえのところはペルシャ湾からたくさん油を運んでおるが、その油船がやられて何かするのか、アメリカやその他のヨーロッパの国々、ソ連もそこへ艦船を送って平和通航を容易ならしめるようにやっておるが、日本は何かするのか、こう聞かれまして返答に困りました。沈められてもしょうがないと思っているのかと言うから、何ともしようがないと日本政府は思っておるのだろうな、こう答弁はしながら、これは一遍外務大臣に聞いてみなければいかぬな。しょうがないですか、外務大臣、最後にお答え願いたい。
#142
○倉成国務大臣 中東問題、特にペルシャ湾の問題につきましては我が国も重大な関心を持っておるわけでございまして、我が国の石油の輸入量の約五五%がホルムズ海峡を通ってまいってきておる、特に毎日大体十四、五隻の日本の船が停泊している、こういう状況であるわけでございますから、これについては重大な関心を持っておるわけでございますが、我が国が現在とっておる立場は、外交的な努力によってこの問題についての貢献をしたい。
 特にイラン、イラクに対しましては、サミット参加国としては唯一と言ってよいほど日本が双方の国に対してパイプを持っておりますので、私が先般サミットの後、モロッコを経ましてテヘランを訪れまして、ベラヤチ外相、ハメネイ大統領、ラフサンジャニ議長等とそれぞれ会談をし、またジュネーブにおきましてさらにイランのベラヤチ外務大臣と接触をいたしましたのもこの外交的な努力の一環でございまして、あらゆる機会をとらえましてイラン、イラク双方に対しまして一日も早くこのイラン・イラク戦争が終わるように最大の努力をただいま傾けておるところでございます。したがって、現在のところは御案内のとおり外交的な努力に全力を注ぐというのが我々のとっておる立場でございます。
#143
○永末委員 国際国家としては地球上にいろいろな国がございますけれども、どの外国人が見ましても日本人が国際平和の確保あるいはまた我が国の安全のためにも通常の努力をしているというぐあいに認められなければ、国際国家たる資質を疑われるのではないかということを我々は心配をいたしております。せっかく御努力のほどをお願いいたします。
#144
○浦野委員長代理 次に、岡崎万寿秀君。
#145
○岡崎委員 国際緊急援助隊についてお尋ねいたします。
 海外、特に発展途上国での大災害の発生に際して、日本から国際緊急援助隊を派遣するということ、それはそれなりに必要だろうと思います。しかし、ここで二、三懸念があるので、重ねて質問をしておきたいと思うのです。
 一番の懸念というのは、国際緊急援助隊の中に自衛隊が含まれることはないのか、自衛隊の海外派遣に道を開くようなことにならないのか、このことがこれを見た多くの国民の懸念するところなんです。一応別表の中には関連行政官庁として防衛庁は入っていません。しかし、これは改正すればいつでも挿入できることになりますし、この懸念は何によってはっきりと否定できるか、御答弁願いたいと思うのです。
#146
○倉成国務大臣 先ほどから各委員からいろいろ御質問がございまして、お答えしたとおりでございまして、今回我々が提案しております法律の中には自衛隊は入っていないわけでございますから、この点は自衛隊の問題は起こってこないというふうに御理解いただきたいと思います。
#147
○岡崎委員 現在入っていない、そしてこれからも起こってこない、まことに結構だと思いますが、入ってこないというのはこれからもということでよろしゅうございますね。
#148
○倉成国務大臣 現時点の問題でございまして、長期、将来にわたって考えた場合に自衛隊の参加を考える必要があるかどうか、また適当であるかどうかという問題については、先ほどからお答えしたとおり、国会においてもいろいろ御意見がある、恐らく岡崎委員は消極的な御意見ではなかろうかと推察するわけでございますけれども、積極的な御意見の方もいらっしゃるわけでございます。
 したがって今後実際上のこの法律の体制のもとでいろいろな試みをいたしてみまして、果たして自衛隊の派遣が、参加が必要かどうかということを見きわめました上で自衛隊の任務全般との関係におけるこの種の活動の位置づけや法制面での諸問題についての考え方を十分整理して納得のいく形でやるべきものであろうかと考えるわけでございまして、当然のことながら、この問題については国会のみならず国内の各方面に広く耳を傾ける必要があろうかと思う次第でございます。
#149
○岡崎委員 中曽根首相は、昨年一月三十日の衆議院本会議でこの問題に触れて、国際援助隊につきましては、自衛隊の参加という問題は、一つの検討対象であると思っておりますと言っているのですね。その後検討した結果、現時点では取りやめということになったと思いますけれども、これは検討の結果でございますね。
#150
○倉成国務大臣 現在御提案しておりますのが政府の考え方でございますし、政府の案でございます。
#151
○岡崎委員 現時点では検討の結果入れないことになっているけれども、将来にわたって入れないということは断言できない、入れることを検討するかもわからない、そういうことでございますか。
#152
○倉成国務大臣 将来にわたっての問題についてはもう先ほど委員に詳しく、るるお話をしたとおりでございます。
#153
○岡崎委員 そうすると、入る懸念があるわけですね。これは重大なんですよ。
 そうなりますと、それが一つの窓口となって自衛隊の海外派兵につながりませんか、外相はそう思いませんか。
#154
○倉成国務大臣 まだ何も、いろいろな御意見を聞いた上で検討に値するということを申しておるわけでございますので、仮定の問題についていろいろ今お答えすべき性質のものではないだろうと思う次第でございます。
#155
○岡崎委員 いろいろと御意見を聞いた上で、またその時点になって検討に値するということは多分に憂慮すべき問題があるということを指摘しておきたいというふうに思います。
 もう一つ問題点として考えられるのが、国際紛争にこの緊急援助隊が介入することはないのか、そのことでございますが、この法案の中で、大規模の災害発生にというふうに書いてあるのですけれども、これは自然災害だけではなくて、例えば内乱や武力紛争やさらに戦争など、こういうことにもこの大規模の災害は含まれるのかどうか、御答弁願います。
#156
○英政府委員 戦争、内乱等戦闘地域における武力の使用による直接の被害は、本法に言う災害には含まれません。
#157
○岡崎委員 含まれないということ、これは厳にしっかりと確認しておきたいと思うのです。
 大規模災害に際しての緊急援助ということは、あくまでも人道的な立場でなくてはいけないというふうに思います。そうしますと、人道的な立場ですから、我が方は今西側の一員だというふうにおっしゃっていますけれども、この立場を超えて、つまり政治的、戦略的な立場を超えてこういう派遣の問題は考慮しなくてはいけないというふうに思いますが、それでよろしゅうございますか。つまり片方に参加しないということなんですよ。それはどうなんでしょう。――つまり、東側、西側、特定の立場に立ったものでなくて、あくまで人道的な立場で臨むものであるかどうかということを再確認しておきたいのです。
#158
○英政府委員 国際国家としての日本が、人道的な立場からこういう災害に対してできる限りのことをする、こういう趣旨でございまして、東とか西とかというようなことは関係ないというふうに了解しております。
#159
○岡崎委員 当然、東とか西とか特定の立場ではなくて、人道的な立場でこの問題は対応していくということでございますね。
#160
○英政府委員 そのとおりでございます。
#161
○岡崎委員 しかし、いろいろな問題がありますので、私たちは憲法の立場からいっても、国際紛争を平和的に解決する立場から見ても、この問題については、なお国際緊急援助隊がそういう国際紛争に介入したりあるいは巻き込まれたりすることがないように厳重に注意をしていく必要があろうと思います。
 自衛隊の海外派遣の問題あるいは国際紛争という問題等から見ましても、この国際緊急援助隊、それはそれとして必要な措置でございますけれども、こういう懸念を抑えるためにも、私は、附帯決議として次のようなことを当委員会においてはっきりと確認することが必要であろうというふうに思います。
 これは試案でございますが、「政府は本法の施行にあたり、次の事項に留意すべきである。 一、昭和二十九年に国会が自衛隊の海外出動を禁止した決議をおこなっているので、国際緊急援助隊への自衛隊の参加は、将来にわたってこれをおこなわないこと。 一、国際緊急援助隊の国外派遣にあたっては、憲法にもとづいて、国際紛争に関与することがないよう配慮すること。」このようなことが附帯決議として決議されることを要望しておきたいと思います。
 さて、それと関連しまして、今日のペルシャ湾問題についてお尋ねをしたいと思います。
 アメリカの海軍はクウェートのタンカー防衛、護衛の名目でペルシャ湾に今巨大な軍事力を集中しているわけでございます。九月末には約三十そう近い空母、戦艦を含めた海軍艦船を集中するというふうに報じられていますし、兵力は何と二万五千にもなるということでございます。これはベトナム戦争以来の大規模なものなんです。この間は、イラン機と称する飛行機に米軍機がミサイルを発射するというふうな事故もありますし、機雷問題等々も今大きな国際的な関心事になっているわけです。
 こうした米軍の軍事力の集中投入と関連しまして、まさにペルシャ湾周辺が一触即発の緊張状態になっているということ、これはだれしも懸念するところなんです。これについては湾岸諸国の意見等々も報じられていますけれども、大変当惑をしている。イラン・イラク戦争というのは当事国だけで結構で、ほかに波及することを望まない、これが中東や湾岸諸国の大方の意見であるというふうに聞きます。日本の世論あるいはマスコミの論調等を見ましても、こういう米軍の軍事力の投入については極めて批判的でございます。
 これは日本の全国紙の八月十二日付の社説でございますけれども、「米国がペルシャ湾内の軍事的緊張を高め、戦争の一層の国際化につながりかねない行動をとっているのは困ったことだ。力の論理や砲艦外交に傾いた今の行き方には賛成できない。」少し飛んで、「米国は中東で、かつてのベトナムでのような泥沼化への道をたどっているのではないか、とさえ評され始めている。」と言っております。
 外相にお聞きしますけれども、こういうペルシャ湾の緊張状態を強めている米軍の軍事力の葉中投入についてどうお考えになりますか。
#162
○倉成国務大臣 先ほどからしばしば御答弁申し上げておるとおり、ホルムズ海峡を通ってまいります石油、我が国の輸入量の約五五%がホルムズ海峡を通ってくるということを考えてまいりますと、ここにおける安全航行、また我が国の船舶の安全のみならず、少なくとも世界の国々の石油を供給しているこの安全航行を確保するということは非常に大事なことだと思います。
 したがって、一番いいことは、イラン、イラク双方が少なくともペルシャ湾において事を起こさないということが大事じゃないか。しかし、その根源は、やはりイラン・イラク戦争が終わらなければどうしても双方の攻撃というのがやまないということで、イラン・イラク戦争の停止ということを私は先般イラン側に行って強く要請をしたところでございます。
 ただいま米艦船のお話に触れられましたけれども、御案内のとおりクウェートがソビエトに保護を求めまして、三隻のソビエトの船籍の船ということで、いろいろソビエトがこの中に入っていたことは委員が御承知のとおりでございます。その他の国々も、いろいろ関係国が随分たくさんこの船舶の航行安全のためにプレゼンスしているというのが現状のわけでございますし、その中にまた機雷が横行するということで、我々この事態を非常に憂慮しておるわけでございます。
 したがって、イラン、イラク双方に対して、事実上この地域における戦闘が行われない、鎮静化していくということが必要でありますと同時に、この地域にプレゼンスしております諸外国の艦船が、また諸外国自身が冷静にいろいろな問題に対処していくということが一番大事なことではなかろうかと私は思うわけでございまして、イラン、イラク双方に対してのみならず、その他の諸国に対しましても冷静に対処することを求めておる次第でございます。
#163
○岡崎委員 冷静に対処することは結構でございますけれども、今の米軍のこの軍事力の大投入は、冷静な投入に値するでしょうか。そのことは大変懸念される点なんです。私たちはやはりこれを好ましいとか、やむを得ないとかという形で見るべきじゃないと思いますけれども、大臣、どうでしょうか。
#164
○倉成国務大臣 各国それぞれ立場があって、その判断に基づいて行動しておるわけでございますから、私がここで一々ソビエトがどうであるとかアメリカはどうであるとか、そういうことをコメントする立場にはございません。
#165
○岡崎委員 少なくとも日本の外務大臣ですので、国会で聞かれた場合はやはり、今私はマスコミの論調等を紹介しましたし、また沿岸諸国の懸念についても紹介いたしましたけれども、それはそれとして、事実として、大臣、見識を持って御答弁願いたいと思うのですね。やはりオーバーじゃありませんか。クウェートのタンカーを防衛するにしても、それは単に名目になって、事実上、ペルシャ湾に対する軍事的、政治的な意図があると思わざるを得ないような状況をアメリカ軍は展開していませんか。そういうことに対してはっきり物を言うのがそちらの言われる友好国の態度じゃないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
#166
○倉成国務大臣 御案内のとおり、クウェートが最初に助けを求めたのはソビエトでございまして、ソビエトがこれにこたえたということが発端であることは御承知のとおりですね。そのことを全然委員はお話しにならないわけでございます。
 したがって、それが適当であるかどうか、ソビエトのプレゼンスが適当であるかどうか、あるいはこれに対してアメリカがどういう態度をとったのか、イギリス、フランスその他の国々がどのような態度をとっているかということについては、それぞれの国の自主性で、判断に基づいてやっておることでございますので、私はこれを一々コメントする立場にはございません。
 しかしながら、これらの国々が最大限の自制をもってこの問題に対処することが必要であるということはあらゆる機会をとらえて申しておることでございまして、その詳細についてこの場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもは最大限の努力をいたしまして不測の事態が起こらないように関係国の自制を求めておる。イラン、イラク、戦争当事国のみならず関係国すべてに対してそういう態度をとっておるということは、はっきりここで申し上げることができると思います。
#167
○岡崎委員 いずれにせよ、米軍の巨大な軍事力の投入ということはペルシャ湾の緊張を一層激化してイラン・イラク戦争の早期解決には何の役にも立たない。むしろ今の緊張の元凶になっていると私は思いますし、日本としてもそういうことについては率直に意見を言うべきであろうというふうに考えます。
 中曽根首相はベネチア・サミットで、日本はペルシャ湾から最も利益を得ている国なので、安全航行、平和の維持に非軍事的な応分の貢献をしなければならない、こういうふうに述べられていますが、一方アメリカ議会の方でも援護協力金法案等の動きもありますし、日本にも年間百四十億ドルの財政援助を求める声もあるようでございますが、どういう名目であっても、こういう米軍のペルシャ湾での行動に対して財政的な援助をすべきでないというふうに思いますけれども、これは確認してよろしゅうございますか。
#168
○倉成国務大臣 米国から日本に対する要請は何も来ておりません。したがいまして、今ここで委員にお答えする立場にないということを申し上げたいと思います。
#169
○岡崎委員 中曽根総理が言われた非軍事的な応分の貢献ですね、この中には財政負担も入りますか。
#170
○倉成国務大臣 適当な合理的な国際スキームがどういう形でつくられるか、そういう国際スキームができてペルシャ湾の安全を保障していくということになれば、日本として憲法、法律が許す範囲内でできることはいたすべきであろうと思うわけでございます。
#171
○岡崎委員 外相はベネチア・サミットの外相個別会談でも同じようなことをおっしゃっていますね。国際スキームというのは枠組みですけれども、これは国連を中心としたものでなくても、例えば多国籍のそういう軍隊の場合でも国際スキームという形で援助があり得るのですか。大臣のお考えをお願いします。
#172
○倉成国務大臣 それが国際的に判断して、合理的な適切なスキームであれば、必ずしも国連によらなくても、これに貢献することはあり得ると思います。
#173
○岡崎委員 米軍に直接の財政的支援はしないけれども、国際的な適切な枠組みができた場合、また合理的な根拠があれば支援することはあり得る、こう理解してよろしいですか。
#174
○倉成国務大臣 またいかなる組織ができるかということはわからないわけでございますが、そのスキームなるものを見て、それが我が国の憲法、法律に照らして、また国民の感情、あるいは国会等の議論、そういうものを踏まえながら我々はそれを判断していこうと思っておる次第でございます。
#175
○岡崎委員 ワインバーガー・アメリカ国防長官は八月十一日に、機雷掃海の国際部隊の創設に参加するよう関係各国に要請をしたというふうに報じられていますけれども、もちろん日本には来ていませんね。
#176
○倉成国務大臣 日本には参っておりません。私は何も報告を受けておりません。
    〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
#177
○岡崎委員 こういうものに参加できないのは当然でございますけれども、私は、金の面も含めまして、ペルシャ湾の緊張を激化する状況に日本がいささかも手をかすことは、憲法の立場から見ても好ましくないし、やるべきではないというふうに考えるわけです。今お話を承っていますと、何らかの名目があれば財政援助等はするかもわからないような、検討の余地を残すような御答弁でございますけれども、これは厳に慎むべきであろうというふうに考えております。
 レーガン政権は力の論理に基づいてこのペルシャ湾に軍事的プレゼンスを強めているわけでございますが、むしろこのことこそが今のペルシャ湾の問題を複雑にし、緊張を激化する根源になっている。こういうアメリカ軍がペルシャ湾に軍事力を過度に投入し集中するような状況、そうして中東に対するいろいろな介入にわたるようなことをやらないように強く要求するのが日本の立場ではないかというふうに思いますし、そうして国連の安保決議もありますので、双方が平和的な早期解決を目指していくということ、そういう方向にこちらが貢献しなくてはいけないというふうに考えますけれども、大臣、この点でもっとアメリカの今の軍事力の投入については批判的な目でこのペルシャ湾問題を見る必要があると思いますが、最後に一言どうですか。
#178
○倉成国務大臣 根本的にはやはりイラン、イラクが戦争をやめるということにあろうかと思います。しかし、すぐそれができないならば、事実上その戦争の規模がだんだん小さくなっていくというか、少なくともペルシャ湾におけるいろいろな戦闘が行われないということになってくれば、おのずからいろいろな問題が解決していくと思うわけでございますけれども、残念ながら現在の時点はそういう事態になっていないわけでございますので、我々としては外交努力をもって最善を尽くして、イラン、イラク双方の国のみならず、関係諸国に対して自制を求め、この問題がうまく片づいていくように最善を尽くしたいと思うわけでございまして、先般安保理の常任理事国を中心としてつくりました案をもとといたしまして非常任理事国も入りまして全会一致で採択しました停戦に関する決議が双方によって守られていくということが望ましいことであると思っておる次第でございます。
#179
○岡崎委員 関連して話を進めますと、十八日の報道で、外務省は来年度の予算の概算要求の中にシナイ半島に駐留するアメリカを中心としたいわゆる多国籍監視軍、MFOでございますが、これに駐留経費を負担するということになっているようでございますけれども、その内容を明らかにしてほしいと思います。
#180
○恩田政府委員 MFOの方からは日本政府に対して資金協力の要請がございます。現在、部内でこれにいかに対応すべきかということを検討中でございます。
#181
○岡崎委員 これは単なる要請だけで、概算要求の中に織り込むことが決まっているわけではありませんか。
#182
○恩田政府委員 検討の結果、来年度の概算要求に盛るべきであるということになった場合はそういうことにいたしたいと思っております。
#183
○岡崎委員 まだ決まっていないわけですね、報道されていますけれども。
#184
○恩田政府委員 概算要求は九月一日、大蔵省の提出したときにファイナルな形になるというふうに承知しております。
#185
○岡崎委員 では、この点でかなり質問しようと思っていましたけれども、そういうことでしたら後の機会にしましょう。
 それでは、今日的な問題としまして米軍機のワイヤ切断事件についてお尋ねしたいと思います。
 十二日に奈良県の山中で米軍のミッドウェー艦載機によってワイヤが切断されるという事件が起こったわけですね。米軍機が岩国基地から厚木基地に向かう途中であったと聞いていますけれども、当然有視界飛行でありますので、これは防衛庁の方にフライトプランが出ていると思いますが、出ていますか。
#186
○柳澤説明員 ただいま御指摘になりましたとおり、厚木を飛び立った飛行機でございますので、厚木の管制は防衛庁でやっておりますので、厚木の管制機関に提出されております。(発言する者あり)
#187
○山口委員長 岡崎君に申し上げます。
 議題に沿って御質疑のほどをお願いします。岡崎万寿秀君。
#188
○岡崎委員 この問題も近々に起こっていますし、しばらく開かれていませんでしたので、この問題についてやはり一言聞くぐらいのことはそれぞれやっているでしょうからね。それじゃ簡単にやりましょう。(発言する者あり)
 それじゃちょっと休憩してください。彼もやっていますし、皆さんやっているのです、少しはね。
#189
○山口委員長 質疑を続行してください。――委員長の忠告に沿って質疑者は質問してください。
#190
○岡崎委員 そういたしましょう。米軍の地位協定によりますと、基地から基地、それから訓練区域から訓練区域への移動は認めているのですけれども、しかし、今回の場合は、これは通常の航法訓練だったというわけですね。こういうことは地位協定からいってもおかしいと思いますけれども、これは外務省どうでしょうか。
#191
○藤井(宏)政府委員 地位協定ではどのような訓練が可能であるかということについて、地位協定自体で規定しているわけではございません。もちろん、地位協定は安保条約の趣旨に従いまして、米軍がその目的を達成する上での必要な行動、例えば今委員が御指摘になりました施設、区域間の通行でありますとか、あるいは一定の訓練を含めましてそれを行うことを許容しているわけでございます。
 もちろん米軍の行動と申しますのは、通常、施設、区域を提供する以上、その施設、区域の中で行われるというのは一つの考え方でございますけれども、同時に施設、区域外におきましても米軍はいろいろな行動が可能であります。例えば飛行訓練というものにつきましても、ただいま委員御指摘の航法訓練を含めましてそれは地位協定上施設、区域外においても可能であるというふうに考えます。
 ただ、あらゆる訓練が施設、区域外において可能であるかと申しますれば、例えば極端な例でいきますれば、射爆の訓練というようなものにつきましては、当然のことでございますけれども、施設、区域外におきまして、あるいは特定の訓練区域あるいは訓練空域外におきましてこれを行うということは地位協定がこれを認めるところではないというふうに存じます。
 いずれにいたしましても、施設、区域外におきます米軍の行動が我が国の公共の安全に関しまして十分妥当な注意を払うことが必要であるということは当然なことでございます。
#192
○岡崎委員 安全について考慮するのは当たり前でしょうけれども、こういうことが認められますと、二百メートルの低空を飛んでワイヤを切ったわけでしょう。万一これが物が運ばれたりしていますと、当時そこにいた人たちにとっては大変な問題が起こるわけですね。こういうことが航法訓練ということで全国自由にできることになりますか。これは大問題になるのですよ。どうですか。
#193
○藤井(宏)政府委員 先ほどるる御答弁申し上げましたように、地位協定自体がどのような訓練が可能であるかということを一々規定しておるわけではございませんで、地位協定が示しておりますところは、当然のことでございますけれども、その米国の訓練が我が国の公共の安全に妥当な注意を払っているということでございます。
 したがいまして、個々のケースに従いまして合理的な判断がなされるべきであるということでございますが、今回の飛行訓練について言いますれば、明らかにロープを切断したということでございまして、これは我が国の公共の安全に十分妥当な考慮が払われていなかったというふうに感じましたので、我が政府といたしましては直ちに米側に対してまして原因の究明、再発の防止、それからこのような事態を起こしたことは遺憾であるということを伝えたわけでございます。
#194
○岡崎委員 では、あと一問だけこれでお願いしたいと思いますけれども、第五条というのは基地間あるいは訓練区域間を移動することができるということで非常に限定的に書いているわけですね。それを今回のように極めて危険な、訓練という言葉を使っていますけれども、ああいうことをやるならば、これは地位協定からいっても大きな逸脱であると思うのです。
 単なる、移動することができるというのが地位協定第五条でしょう。そうじゃないのですね。本当に訓練と称して山中のV字形のところを舞い上がっていくという形のものでしょう。地位協定上、こういうことができるかどうか。私は明らかな違反だと思いますが、どうでしょう。
#195
○藤井(宏)政府委員 先ほどから申し述べておりますように、米軍の我が国領域、領空におきます活動は単なる施設、区域間の移動だけではございませんで、米軍が全体として我が国の公共の安全等に十分な妥当な考慮を払った上で、米軍が安保条約、地位協定の目的を遂行する上に必要な行動をとるということが可能でございます。
 したがいまして、このようなことが行われますこと、特に今回の事件について言いますれば、先ほど申し述べましたようにロープを切断したという事実がある以上、ただいま申し述べました公共の安全に妥当な注意を払ったかどうかというところが問題でありますので、現在原因の究明を求めているわけでございますけれども、一般的に申しまして、このような飛行訓練それ自体が地位協定に違反するということは、そのようには考えません。
#196
○岡崎委員 まだ極めて不十分でございますけれども、援助隊法に戻りましてちょっと加えておきたいと思います。
 これを実際遂行する国際協力事業団、これは外務省においてもいろいろと指導援助されていると思いますけれども、これが十分にこういう問題を処理解決していくだけの体制、機能を持っているのでございますか。
#197
○英政府委員 国際緊急援助活動につきましては、ここ数年の経験を持っております事業団に行わせますことは、その必要なサービスといいますかそれらを実施するような趣旨でございまして、もちろんこういう活動が規模が大きくなってまいりますればそれに応じた要員の確保等をする必要が出てくるかとも存じますけれども、当面の体制でできるというふうに考えております。
#198
○岡崎委員 この中で救助の実動部隊としては警察庁、それから消防庁と海上保安庁であろうというふうに思いますけれども、実際の現場の指揮はどれがとるのですか。
#199
○川上政府委員 例えば救助隊員、救助チームということで派遣された場合には、それぞれの救助チームの中において、市町村消防隊の場合には消防、それから都道府県警察がチームとして派遣された場合には警察というような形での指揮系統になろうかと思います。
#200
○岡崎委員 それをトータルしてどなたが見るのですか。
#201
○川上政府委員 緊急援助活動を実態的に見てみますと、それぞれの被災地に救助チームあるいは医療チーム、各種専門家といったものが派遣されるわけでございますが、それぞれの活動は先方政府のそれぞれの機関と一体となって緊密な連絡をとりながら行うという場合が非常に多うございます。したがって、必ずしも日本が派遣した救助チームあるいは医療チームの間の指揮命令系統といいますか、そういうものは必要はない、統一的な指揮命令系統というものは必ずしも必要ないということでございます。
 しかも派遣期間なんかもまちまちの場合が多うございます。そういうことでございますので、今申しましたように統一的な指揮命令系統は必要ないわけでございますが、全体として、やはり我が国が派遣した緊急援助隊でございますので、それなりの調整、統一性というものは必要であるというふうに考えております。これは法律案の第六条によりまして外務大臣が調整の機能を行うという形となっております。
#202
○岡崎委員 では、時間が参りましたので、これで終わります。
#203
○山口委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#204
○山口委員長 これより本案に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#205
○山口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#206
○山口委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、浦野烋興君外三谷から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。浦野烋興君。
#207
○浦野委員 提案者を代表して、趣旨の説明を行います。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    国際緊急援助隊の派遣に関する法律案に対する附帯決議(案)
  海外の地域における大規模な災害発生に際し、我が国が国際緊急援助活動を積極的に行うことは、人道的見地及び国力にふさわしい国際的責務を果すとの見地から、強く望まれるところである。
  よって、政府は、本法の施行にあたり、左記事項について留意し、最善の努力を払うべきである。
 一、国際緊急援助活動の効率的実施を確保するため、その実施体制の一層の整備充実に努めること。
 一、海外における緊急援助活動にあたっては、全体の調整を保ち、統一ある活動に留意し、最大限の効果を上げること。
 一、国際緊急援助活動にあたる参加者の生命、身体の安全の確保はもとより、国、地方、民間を問わず、補償等につき十分配慮すること。
 一、国際緊急援助活動に関して講じた措置については、随時、当委員会に報告すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#208
○山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#209
○山口委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
 この際、本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。倉成外務大臣。
#210
○倉成国務大臣 ただいま国際緊急援助隊の派遣に関する法律案を御可決いただきまして、まことにありがとうございました。本法案の成立により幅広い国民の参加による総合的な援助体制の整備が一層進むことになり、我が国として国力にふさわしい国際的責務を果たす上で前進となると確信いたします。
 今後、国際緊急援助活動を実施する上で、本法案の御審議の過程におきまして賜りました貴重な御意見や御提案につきましては十分にこれに留意し、また法律案とともに可決されました附帯決議の内容につきましては、御趣旨を十分に踏まえ、今後適切に対処してまいる所存でございます。まことにありがとうございました。
    ―――――――――――――
#211
○山口委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#212
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#213
○山口委員長 次に、第百八回国会から継続になっております所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件並びに政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。
 これより両件について政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣倉成正君。
    ―――――――――――――
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件
 政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#214
○倉成国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、カナダとの間の現行租税条約にかわる新たな租税条約を締結するため、カナダ政府と数次にわたって交渉を行いました結果、昭和六十一年五月七日に東京において、我が方安倍外務大臣と先方ステイアース在京大使との間でこの条約に署名を行った次第であります。
 この条約は、現行条約に比し、条約全般にわたって最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れたものであり、従来我が国が諸外国との間で締結した租税条約同様OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。
 この条約の主な内容といたしまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する所得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる利得に対する租税につきましては、相手国において全額免除することとなっております。また、投資所得に対する源泉地国での税率につきましては、配当に対するものは親子会社間の配当については一〇%、それ以外の配当については一五%、利子及び使用料については一〇%を超えないものとしております。
 この条約の締結によって日加間の二重課税の回避等の制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府調達に関する協定は、東京ラウンドの成果の一つでありますが、この議定書は、同協定に基づいて設置された政府調達に関する委員会での交渉の結果、昭和六十二年二月にジュネーブにおいて作成されたものであります。
 この議定書は、政府調達に関する協定の適用対象となる政府調達の範囲の拡大、入札の手続の改善、落札に係る情報の公示等につき同協定を改正することについて規定いたしております。
 我が国がこの議定書を締結することは、政府調達の分野における国際的な競争の機会の増大により期待される世界貿易の拡大に寄与するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第でございます。
 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#215
○山口委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は、来る二十一日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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