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1987/08/18 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 法務委員会 第4号
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1987/08/18 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 法務委員会 第4号

#1
第109回国会 法務委員会 第4号
昭和六十二年八月十八日(火曜日)
    午前十一時三分開議
出席委員
  委員長 大塚 雄司君
   理事 井出 正一君 理事 太田 誠一君
   理事 熊川 次男君 理事 保岡 興治君
   理事 坂上 富男君 理事 中村  巖君
   理事 安倍 基雄君
      逢沢 一郎君    赤城 宗徳君
      上村千一郎君    佐藤 敬夫君
      宮里 松正君    小澤 克介君
      橋本 文彦君    冬柴 鉄三君
      安藤  巖君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 遠藤  要君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 根來 泰周君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 清水  湛君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総長      草場 良八君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  山口  繁君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  櫻井 文夫君
        最高裁判所事務
        総局経理局長  町田  顯君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  上谷  清君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  吉丸  眞君
        最高裁判所事務
        総局家庭局長  早川 義郎君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
八月四日
 刑事施設法案の早期成立に関する請願(左藤恵
 君紹介)(第一六九号)
 同(江口一雄君紹介)(第二八八号)
同月七日
 刑事施設法案の廃案に関する請願(矢島恒夫君
 紹介)(第三二七号)
 同(安藤巖君紹介)(第三九〇号)
 同(野間友一君紹介)(第三九一号)
 刑事施設法案の早期成立に関する請願外四件
 (渡辺美智雄君紹介)(第三九二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出、第百八回国
 会閣法第五二号)
     ――――◇―――――
#2
○大塚委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所草場事務総長、山口総務局長、櫻井人事局長、町田経理局長、上谷民事局長、吉丸刑事局長、早川家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○大塚委員長 内閣提出、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本文彦君。
#5
○橋本(文)委員 前回、簡裁の統廃合それから新設の問題でお聞きしましたけれども、積み残しがございましたので、その続きをさせていただきます。
 今回の簡裁の統廃合に従いまして自動的に区検の統廃合も行われるわけでございます。まず法務省にお伺いいたしますけれども、この区検の統廃合によりまして予算的にはどのくらいの数値が出るのでしょうか。
#6
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 検察庁は裁判所に対応して置かれるというふうになっているわけでございまして、検察庁法二条一項によりまして「最高検察庁は、最高裁判所に、高等検察庁は、各高等裁判所に、地方検察庁は、各地方裁判所に、区検察庁は、各簡易裁判所に、それぞれ対応してこれを置く。」ということになっております。問題になりますのは区検察庁、これは今回の簡易裁判所の整理統合、すなわち廃止に伴いまして法律上当然なくなるわけでざいます。これらの区検察庁は、いずれも簡易裁判所が小規模庁であると同じように非常に小規模のところでございます。現実に職員が二人とか三人程度しかおらない、こういうような実態にあるわけでございます。そういうところの職員が受入区検察庁と申しますか、簡易裁判所が統合されることによってまた検察庁の事務もそちらに移るということになるわけでございますが、予算的な面から見ますと、これによって特に人が減るということはございません。
 法務省の予算は御存じのように八割が人件費であるというようなことでございますので、予算的には大した影響はない、金額的には大きな影響はございません。しかしながら、この区検察庁を維持するために日常的に使う光熱水科とかそういうようなものは当然なくなるわけでございまして、そういう意味では経費の節約に当然つながってくるというふうに見ております。ただ、私ども、金額的にどの程度になるかというような正確な計算は、これはちょっと難しいということで、正確な数字をお答えすることができないのはまことに申しわけないことだと思っております。
#7
○橋本(文)委員 関連いたしまして、その区検察庁の庁舎の敷地、この跡地の利用問題はどうなっているのでしょうか。
#8
○清水(湛)政府委員 この区検察庁が廃止されますと、当然そこに区検察庁がなくなりますので、行政財産ではなくなるということにまずなります。行政財産としての用途を廃止いたしまして、従来小さな区検でございますと地元市町村から借り上げるというようなものもあったわけでございますけれども、そういうものにつきましては当然返還いたす、こういうことになろうかと思います。それから、それ以外の国有財産につきましては、行政財産としての用途を廃止いたしまして大蔵省に所管がえをする、こういうことに相なろうかと思います。その上でこの普通財産としての財産を大蔵省がどのように御処分になるかということは、これは大蔵省の問題であるというふうに私どもは考えております。
#9
○橋本(文)委員 裁判所と法務省にお伺いいたします。
 この簡裁あるいは区検の廃止に伴いまして、その跡地の問題につきまして地元の自治体から何とか有効に使わしていただきたいというような声があったように聞いております。ただ単に大蔵省の所管であるから後はわかりませんという形でもって地元は納得したのでしょうか、いかがでしょうか。
#10
○町田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、跡地につきまして地元市町村から利用したいという申し出のあるところが相当数ございます。法律的に申しますと、先ほど司法法制調査部長が申しましたとおり、行政財産の用途を廃止いたしますと普通財産になって大蔵大臣に引き継ぐということになるわけでございますけれども、引き継いだ財産の処分権限も大蔵大臣にあるということにはなりますが、従前からの簡易裁判所が地元にありましたことによりまして、いろいろ地元にお世話にもなってきております。また、今度の廃止につきましても御協力をいただいているわけでございますので、私どもといたしましては、地元が利用等の御要望を持っておられるときにはなるべくそれが実現しますように強力に財務当局に働きかけていきたいと思っておりますし、必要な資料の作成等にも協力していきたいと考えております。
#11
○清水(湛)政府委員 法務省の区検の敷地についてもほほ同じような問題があるわけでございますけれども、裁判所と若干違う面は、ほかの法務官署、登記所と区検察庁が同じ建物に入っておるというようなところもあるわけでございまして、そういうものは、先ほど私ちょっと正確には申し上げませんでしたけれども、直ちに行政財産としての用途を廃止して大蔵省に引き継ぐということにはなりません。むしろ登記所も最近非常に事件がふえて忙しいというようなことで、その建物を登記所の方で使わしていただく、こういうようなことになるケースもあります。それ以外の純然たる用地、行政財産としての用途を廃止して大蔵省に引き継ぐというような土地につきましては、先ほど最高裁の経理局長がお答えいたしましたように、大蔵省の処分権限の問題ではございますけれども、私ども側面から地元関係者の要望というようなものは十分に伝えたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#12
○橋本(文)委員 前回、参考人の意見をここでお聞きいたしましたけれども、いわゆる答申の数から随分減りまして、一人の参考人は、辛うじて三けたになった、だからまあよしとすべしであるというようなことを冗談まじりに言っておりましたが、このように答申と現実にこの法案審議では数が減っているわけでございますけれども、どのようにこの数が食い違ってきたのか、それだけ地元の方で残せという声があったと思うのですが、どういう基準でこの法律案の数となったのか、その差の問題をお願いいたします。
#13
○山口最高裁判所長官代理者 法制審答申では、御承知の相関表の位置を基本としながら、各地の実情を十分掌握した上で存廃について考えろ、こういう御指摘でございました。地域の実情と申しますのは、管内人口でございますとか事件数の動向でございますとか、あるいは併設されております家庭裁判所の事件数であるとか地域全般の交通事情あるいは地域開発計画、こういうふうな状況を地方自治体あるいは弁護士会等の関係機関から十分意見を聴取した上で、それを踏まえて存廃について考えろ、こういうことでございました。
 私ども、答申をいただきました後、各自治体にもお伺いいたしましたし、各地の単位弁護士会あるいは単位司法書士会、さらには警察、検察庁、調停協会等関係諸機関にいろいろ御意見を伺ったわけでございます。その結果、この相関表の枠の中には入っておりますものの、非常に管内人口が多く、増加傾向にあるとか、あるいは事件数も近時増加傾向にある、あるいは最近急にふえたというようなところがございます。このあたりは、やはり今後の事件数の動向を見なければならないということで除外したわけでございます。
 それから、今度は事件数も非常に少なくて、しかも交通事情が非常に悪い陸の孤島のようなところがございます。今回の適正配置におきましても、やはり離島における住民の方々の裁判を受ける権利というものは考えていかなければならないということで離島は除外しているわけでございますが、陸の孤島というようなものにつきましては、やはりそれは除外してしかるべきであろうということで統合対象から外して考えたわけでございます。陸の孤島とは言えませんけれども、管内面積が非常に広うございまして、市町村が散在しておる、管内全般の交通事情あるいは冬季の交通事情等を勘案いたしまして、やはり多少地元の月々に御不便を多くおかけするような地域もまた出てきたわけでございます。そのようなところも除外いたしました。そういうふうな地域事情を把握しながら存廃について考えました結果、百四十九庁の対象庁のうち四十八庁除外いたしまして百一庁に絞り込んだ、こういうことでございます。
#14
○橋本(文)委員 今回の改正は、廃止するという問題とそれから新たに新設するという、全く違った角度からなされておりますけれども、本来的に言うば、お考えを聞いておりますと、なるべく統合して審理をスピードアップするとか、いろいろな意味で効率的な裁判をしょうというような動きがあるように思うのです。そういう状況の中で、わざわざ所沢市と東京都の町田市に新たに簡易裁判所が設置されるというのはどういうわけなのか、どういう具体的な数字がその根拠になっているのか、それをお示し願いたいと思います。
#15
○山口最高裁判所長官代理者 今回の簡易裁判所の適正配置の趣旨と申しますのは、何度も御説明申し上げておりますように、簡裁設立後の社会事市の変動に応じて簡裁の再配置を考えるべきではないか、こういう理念からスタートしているわけでございます。最初に統廃合ありというふうな形では考えておりませんで、現在の社会事情に相応するような簡裁の配置を考えなければならない。そういたしますと、片方では利用度が少なくなっている簡易裁判所、しかも交通事情がよくなっている今日、統廃合は考えなければならない。しかし他方、人口急増地帯がございまして、多少とも交通事情の不便なところが出でございます。そういうところにつきましては、やはり現在の社会事情に相応して簡易裁判所の新設も考えるべきではないだろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
 ただいま御指摘の町田市あるいは所沢市、所沢は御承知のように人口がどんどんふえております。そういう所沢市、狭山市等を含めますと管内人口がやはり五十数万人になるわけでございまして、そこらあたりの事件数と申しますものは、所沢につきましては、現在川越簡裁で処理しておりますけれども、川越簡裁の事件のほぼ半数以上も占めている、こういう状況がございますので、将来の発展状況も見込んだ上で、所沢にこの際簡易裁判所を新設すべきではないか、かように考えたわけでございます。
 町田につきましても、三多摩の方で人口がどんどんふえている、こういう状況がございまして、八王子簡裁で今事件を処理いたしておりますけれども、なかなか八王子簡裁へ出向くのにもやや不便な面がある、そういう点から町田にも新設すべきではないか、かように考えたわけでございます。
 そのほかにも弁護士会等の御意見を伺いますと、大阪の四条畷市でございますとか京都の八幡市でございますとかあるいは奈良の生駒、橿原あたり、そのほかいろいろございまして、いろいろな御要望もあったわけでございますが、人口の大きさあるいは増加状況、事件数の動向等を勘案いたしまして、現時点で新設を考えるべきなのは町田と所沢ではないか、かように考えたわけでございます。
#16
○橋本(文)委員 所沢につきましては、事件数が半分以上を占めているということでもって新設をする、これはわかりました。町田の場合は、その八王子簡裁に占める事件数というのはどの程度なのですか。
#17
○山口最高裁判所長官代理者 町田の場合につきましても、半分とまではいきませんけれども、相当の割合を占めていたと思っております。
#18
○橋本(文)委員 大都市の簡易裁判所を一カ所に集中させるという構想から、北九州もその中に入っておりましたけれども、現実的には北九州は一カ所でなくて二カ所になりましたね。これはどういう理由から二カ所になったのでしょうか。
#19
○山口最高裁判所長官代理者 法制審議会の答申におきましても、東京、大阪、名古屋、北九州等の大都市部の独立簡易裁判所については、各都市の実情を十分に勘案しつつ、できる限り統合することとされていたわけでございます。
 北九州市内につきましては、門司と折尾の簡裁が配置されていたわけでございますが、この検討をいたします場合、北九州市が人口百万以上を擁するという意味で大都市であるということとともに、それが東京、大阪、名古屋の場合と異なりまして門司市、小倉市、若松市、八幡市、戸畑市というものが昭和三十八年に合体してできたものであるという特殊性もございまして、それらも踏まえながら慎重に検討したわけでございます。その結果、門司につきましては、管内の地域から小倉までの交通事情も全般的に良好でございますし、小倉に統合することによりまして現在よりも充実した事件処理を行うことができるであろうというふうに考えたわけでございます。
 ところが、折尾につきましては、いろいろ検討してまいりますと、簡裁の所在地自体は北九州市内にございますけれども、それは八幡西区の西部に属しておりまして、その管轄区域内には中間市とか遠賀郡の四町、芦屋町とか水巻町、岡垣町、遠賀町というのがございますが、それを含んでおりまして、管内のうち北九州市以外の地域が、管内面積の六五%、それから管内人口の五五%を占めておりまして、それらの地域からは小倉簡裁までの交通事情は必ずしもよくありません。一時間四十分あるいは一時間二十分というふうに、ある程度かかるわけでございます。これらの地域の住民にとりましてはむしろ折尾が地域の中心的な存在であるようでありまして、文化的あるいは行政的、経済的にも必ずしも小倉地区と一体感を持っているようには見受けられなかったわけでございます。弁護士会その他の関係機関の御意見等を伺いましても、やはりそういうふうな御指摘がございまして、それで折尾は除外して門司だけを統合することになったわけでございます。
#20
○橋本(文)委員 今回の統廃合の問題は経済事情の変化とかあるいは社会情勢の変化とか交通手段の変化とか、いろいろな情勢の変化を勘案してなされているようでございますけれども、どうも聞いておりますと、交通事情ということが非常に大きなウエートを占めるのじゃないかというふうに思うのです。
 この審議で、下級裁判所の件でございますが、地方裁判所に関して聞くのはちょっと筋違いかもしれませんけれども、いわゆる人口急増という点からすると、神奈川県の相模原市は五十万を超えました。神奈川県におきましては横浜、川崎に次いで三番目の都市ですが、そのほかに神奈川県には支部がございまして、横須賀であるとかあるいは小田原にあるわけですね。それははるかにこの相模原市よりも人口が少ない。こういう状況の中で、地元の方では相模原市にぜひとも地方裁判所の支部を、あるいは家庭裁判所の支部を設置すべきであるという声が最高裁の方にも行っていると思いますけれども、この問題も端的に言えば、相模原市は交通事情からすれば現在横浜へ行くのも簡単ではないか、そういう論理が先行すれば支部をつくる必要はないということになります。その辺、将来地裁の支部設置につきましてはどういうお考えを持っておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
#21
○山口最高裁判所長官代理者 現在ございます地家裁の支部、これは甲号支部が八十五片、乙号支部が百五十七庁に上っておりますが、いずれも簡裁と同じように昭和二十二年に発足しているわけでございます。その設置状況と申しますのは発足当時とほとんど変わっておりませんので、約四十年の間に社会事情が大きく変わったという点につきましては、簡裁の場合と同様な問題がございまして、支部の適正配置というものも今日の時点では考えなければならないと思っているわけでございます。
 私ども昭和五十九年一月の段階でいわゆる三者協議会に裁判所の適正配置問題を討議してもらいたいというふうに問題提起をいたしましたときには、簡易裁判所の適正配置、それから地家裁支部の適正配置、あるいは支部の甲号乙号の区別の見直し、こういうようなテーマを掲げまして討議をお願いしたいというふうに申したわけでございます。弁護士会側の御意見といたしましては、まず最初に簡易裁判所の方から論議してしかるべきではないかということで、弁論の整理のようなことをいたしまして、簡易裁判所の適正配置について協議を進め、法制審議会の御審議をお願いして今日の法案の形に結実したわけでございますが、私どもといたしましては、幸いこの法案が成立しました暁には、従来から申しておりましたように、支部の問題につきましても三者協議会で御討議いただきたいというように考えております。
 支部につきましては、御承知のとおりこれは規則マターでございますので、今度は最高裁判所の規則制定諮問委員会の御審議を三者協議会の後仰いで、規則改正を経てその適正配置を図らなければならないと思っております。この場合に、先ほど簡裁の新設について申しましたと同じように、社会事情の変化に応じて新たに支部を設置しなければならないところがございますれば、それはその支部の新設という形で考えていかなければならないかというふうに考えております。
 御指摘の相模原簡易裁判所につきましては、警察、地元自治体等から支部設置の要望が最高裁の方にも出されているところでございまして、私ども十分地元の御要望は承知しているところでございます。その管内人口の増加状況あるいは見込まれる事件数等から見まして、支部適正配置の検討過程で新設の検討がなされることになろうかというふうに考えております。
#22
○橋本(文)委員 先ほどのお答えでは、百四十九が百一になったわけでございますけれども、その中には陸の孤島も含まれている、事件数が少ないけれどもいわゆる庶民の裁判所として残しておくべきであるというふうな考えかと思います。しかし現実には、利用者が少ないあるいは事件数も少ないということから今回の統廃合が行われたわけでございますが、何かそれを残しておくというのは何となく釈然としない、そうすると、やはり残したけれども、従来事務移転という形でもってなし崩しに裁判所をなくしてきた、そういうことを今後もまたするのではないかと思うのです。だから、今回も本来ならばあえてこの法改正をしなくても事務移転という手続で裁判所の数はある程度なくせると思うのですが、それをしないで法案にするのは一体何なのか。それから今後の問題として、百一あるけれども、その残った裁判所、陸の孤島のような簡裁がやはり今後も事務移転というような形でもって機能をなくしていくのではないかということを恐れるわけなんですけれども、いかがでしょうか。
#23
○山口最高裁判所長官代理者 事務移転につきましては、裁判所法三十八条で、特別の事情によって官署としての人的物的施設について障害が生じている場合に地方裁判所の裁判官会議の議決で行われるわけでございます。確かにこれまで種々御指摘もございましたように、当初からの未開庁もございましたし、その後の事務移転庁につきまして事実上の廃止状態が永続したという状況もございました。
 昭和三十九年ごろの段階で、当法務委員会におかれましても、そういうふうに事実上廃庁状態に置かれている裁判所につきましては、存廃について十分検討した上で必要な措置、法改正の措置が必要であればその措置をとるべきであるというふうな附帯決議をいただいたところでございます。私どもその段階で、やはりこれは法改正を必要とするものは法改正で行わなければならないわけでございまして、そのための検討もいたしたわけでございますが、これもその当時、臨時司法制度調査会の意見書によりまして簡裁の整理統合を検討することということがうたわれておりましたので、簡裁の整理統合の中でその点も検討したわけでございます。
 ところが、簡裁の整理統合についてはさらに慎重になすべきであるというふうな御議論が起こってまいりましたがために、法改正までに至らずに今日に及んできたわけでございます。法律では設置が認められているものの、事実上の廃止状態を永続することは国民に対して私どもとしては責任を果たしていないわけでございますので、やはりそういう点は国会の御審議を経てきちんと法律でお定めいただくのが相当であろうというふうに考えまして、今回、事務移転庁も含めました簡裁の統廃合について法案の提出をお願いし、御審議をいただいているわけでございます。
 今後の問題といたしまして、例えば庁舎の建てかえ等を要します場合に事務移転をすることはあろうかと思います。それから、遠い将来のことを考えますと、そのときどきの状況によりましてやはり事務移転をすることも、これは当然あり得るだろうと思います。現在の百一庁以外について近い将来に事務移転をしてなし崩しに廃庁状態に持っていこうというようには、現在の段階では考えておりません。やはりそのときどきの状況に応じて真に何をなすべきかを考えながら対処してまいりたいというふうに考えております。
#24
○橋本(文)委員 最後に、今度はマンモス簡易裁判所の件でございますけれども、例えば東京の例をとりますと、相当先になるようでございます。この予算額、どの程度の予算が必要なのか、またどの程度の時期にでき上がってくるのか、その構想をお聞かせ願いたい。
#25
○町田最高裁判所長官代理者 東京の集約簡易裁判所の庁舎でございますけれども、私ども現在、霞が関地区のAブロックと言っております、高地裁とか法務省等がございます、あのブロックの中につくりたいと考えております。
 具体的に申しますと、現在、前の東京地裁、東京高裁の跡地に法務省、検察庁の庁舎が建つ予定でございます。それが建ちました後に、検察庁等がそちらに移ります。その跡に我々の考えております簡易裁判所の庁舎を建てたいと考えております。したがいまして、まず法務総合庁舎が建ちますのが前提でございますので、明確な見通しというのは難しゅうございますけれども、恐らく七、八年後ぐらいには実現できるのではなかろうかと考えております。
 そういった状況でございますので、まだ具体的に何百億かかるというような計算もできておりませんので、予算的に幾らになるかという点は、申しわけございませんが、まだ確定しておりません。そういう状態でございます。
#26
○橋本(文)委員 具体的に聞きますけれども、そうすると、現在の日比谷公園の門のところにある最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁が入っているあの建物のところに建つということですか。
#27
○町田最高裁判所長官代理者 あの建物の部分全部ということではございませんで、あの建物の部分の一部分ぐらいになろうかと考えております。
#28
○橋本(文)委員 相当先の話のようなんですけれども、具体的にどの程度のものをつくるかという構想もないのですか。例えば、面積は何平米、階数にして何階、どういう規模のものとか、設備とか。
#29
○町田最高裁判所長官代理者 実は私ども、あそこに新たな簡易裁判所を建てます場合にもう一つ考えておりますのは、御承知のとおり東京家庭裁判所がちょっと離れたところにあるわけでございます。これも建ちましてから二十年以上たっております。事件数等の動向をにらみ合わせますと、非常に手狭にもなってきております。できましたらあそこに家庭裁判所も一緒に持ってきたいと実は考えているわけでございまして、そこら辺全部ひっくるめてどのぐらいになるかというのは、現在のところ正確な数字を出す段階までには至っておりません。かなりの大きさのものを当然建てなければいけないと考えているわけでございます。
#30
○橋本(文)委員 法務省にお伺いいたします。
 必然的に区検も一本化されるわけでございますけれども、この区検は、今最高裁の方から話がありました法務総合庁舎の中に入ってくるわけですか。
#31
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 法務、検察の総合庁舎の建設につきましては、恐らく六十三年度の予算要求の中で明確な形がとられる、特に一般の財政事情が非常に厳しいわけでございますので、特定国有財産整備特別会計という形に乗っけてこれを整備するということになっておりますので、その段階でその全貌が明らかになるというふうに私ども考えておりますが、先ほど最高裁の経理局長がお答えになった法務検察総合庁舎の中には、今のところ区検察庁が入るということは全く予定されていないというように私は承知いたしております。簡易裁判所の建物が先ほど経理局長がおっしゃった、ほほその地域に建つわけでございますが、それに近接して区検察庁の建物も建てる、こういうことになるのではないかというふうに今のところ予定いたしております。
#32
○橋本(文)委員 以上で終わります。
#33
○大塚委員長 中村巖君。
#34
○中村(巖)委員 今回の下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案でございますが、この中身は、裁判所の方では簡易裁判所の適正配置、こういうふうにおっしゃっているようでありますけれども、実は中を見ますと、二つの簡易裁判所を新設するということはあるものの、要は簡裁を統廃合する、こういうことに尽きるわけでありまして、適正配置というのは美名であるということにならざるを得ないのだろうというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、簡易裁判所を統廃合いたしまして廃止をいたしますと、この簡易裁判所を利用する国民の側からするならば、当該地域の国民からするならば利便性が失われる、これは明らかなことでございまして、権利救済機関を利用する利便性が失われるということは、言い直せば権利救済が薄くなる、こういうことにつながってくるわけでありまして、この失われるものと得るものと、その考量の間でこの問題を考えなければならないのだろうと思っておりますけれども、この利便性を薄くするということを凌駕をするところのメリットと申しますか、その効果というようなものをどういうふうに考えておられるのか、改めて伺いたいと思います。
#35
○山口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所が設置されましてから四十年経過しているわけでございますが、その間に社会事情の大きな変動がございまして、裁判所の利用度合いに極端なアンバランスが生じたわけでございますね。片方では、利用度が非常に少なくて、ほとんど仕事のない裁判所がある。そこでもやはり、店を構えております以上、職員を二人、三人と配置しておかなければならない。他方では、事件に忙殺されている簡易裁判所がございまして、そこでは必ずしも十分な司法サービスが提供されていない。
 そういう状況がございました場合に、私ども国民の負託を受けて裁判所の運営をつかさどらせていただいております立場といたしましては、やはり国民全体に身等した、かつ充実した司法サービスを提供すべきであろう。こういう観点からいたしますと、利用度の少ない簡易裁判所を統廃合いたしまして、それによって生じた人的余力というものを多忙な部門に振り向けることによりまして、より一層充実した司法サービスを提供してさしあげることができるのではないだろうか。それから、利用度の少ない簡易裁判所におきましては、やはり月一回あるいは週一回、月二回といった形で裁判官がてん補するのをお待ちいただかなければならない。しかも、必ずしも充実した裁判所ではございません。それよりも、少し足を延ばしていただくことにはなりますけれども、裁判官が常駐し、職員も多数おり、施設等も整った裁判所を御利用していただければ、期日指定等の面でもより充実したものが期待できるのではないか、そのことの方がむしろ国民全体に充実したサービスを提供できるゆえんではないだろうか、そういうふうに考えて今回の統廃合を考えたわけでございます。したがいまして、御不便をおかけする面はございますけれども、より充実した裁判所を御利用していただくということである程度カバーできるのではないだろうか。
 それで足らない面がやはり出てまいります。どうしても足が遠くなりますので、御不便な面が出てまいります。そういうところにつきましては、定期的にあるいは随時に出張をいたしまして、調停なり審判なり受け付け相談なりをやらせていただいて、地域住民の方々の御利用の声にこたえていきたい、かように考えているわけでございます。
#36
○中村(巖)委員 そういうふうにおっしゃられましても、本来裁判所が多数ある方がそれは便利に決まっていることでございまして、ただ、その多数裁判所を維持するに足るだけの予算なり人員なりというものを最高裁判所はお持ちにならないから、つまり維持ができない。つまり裁判所が、裁判官が常駐しておらないような状況ができてしまう、あるいは職員の数が極めて少ない、こういうことになってしまうからこそ、少し遠く離れてももっと充実した裁判所へ、こういうふうにおっしゃることになるわけで、その職員なりあるいは施設なりの充実というものを現状のまま図ることができれば、それはそれにこしたことはないのだろうというふうに思うのでございます。にもかかわらず今日こういうようなことをしなければならないということは、やはり簡裁の充実強化について最高裁判所の御努力が今日まで足りなかったのではないだろうか、こういうふうに考える部分もあるわけでありますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
#37
○山口最高裁判所長官代理者 昭和二十二年に簡易裁判所が少額の民事事件あるいは軽微な刑事事件、これを簡易な手続で迅速に処理する、国民に親しまれる裁判所としてスタートしたわけでございます。その当時、法案作成の過程におきましては、例えば、その当時市町村の数が一万ぐらいございましたけれども、市町村ごとに対応して置くべきでないかという議論もございましたし、警察署が千百ございましたけれども、警察署ごとに対応して置くべきではないかという議論もあったわけでございます。ただ、それはいろいろな審議の過程を経まして、結果的には五百五十七でスタートしているわけでございます。
 裁判所といたしましては、政府の方の御協力もいただきまして、当初はバラック住まいでございますとか倉庫の二階を借りているとか、場合によりますと警察署の一部を借りてスタートしたわけでございますけれども、昭和二十年代、三十年代にはかなりの予算を獲得いたしまして、その当時といたしましては、木造ではございますけれども、立派な庁舎を建てて簡裁の運営に当たってきたわけでございます。簡裁判事につきましても徐々にその充実を図ってきて、三十年代以降になったわけでございます。
 三十年代以降になりますと、これは社会が安定してまいりまして、二十年代に多うございました刑事の統制令違反というような事件あるいは窃盗事件というものがかなり減ってまいっております。民事の事件の方も、農事調停等が結構ありましたのが、やはり社会が落ちついてまいりますと減ってまいります。そういうふうに事件数が減ってまいりまして、その結果として裁判官を常駐しておくわけにはいかないような状況になってきた。
 これはどうも洋の東西を問わずあるようでございまして、フランスの場合も、二千ほどの治安裁判所がございましたけれども、昭和三十年代に四百数十の小審裁判所に改編しているわけでございます。そのときもやはり司法の集団移住は田舎からの集団移住の後を追って行われたというふうなことが言われているようでございまして、私どもの方の簡易裁判所もやはりそのような人口の都市集中、それに伴う事件数の減少ということでそのような結果になったのではなかろうかと思っております。
 その後いろいろな議論の過程がございます。昭和四十五年に事物管轄の改正をしていただきましたときにも、簡易裁判所の特則を活用するようにということで、私どももそれなりの努力をしてきたつもりではございます。それから、昭和四十九年には調停制度の改正がございまして、これにつきましてはかなりの力を注ぎまして、その当時四万件を切りそうであった調停事件もその後どんどんふえてくるような形になったわけでございます。
 それなりに私どもは努力してきたわけでございますが、いかんせん社会事情の激変に伴いまして、利用度の少ない簡易裁判所がやはり利用度の少ないままにとまっておる、こういう状況でございまして、これまで簡易裁判所の運営につきましていろいろな御批判のあることも承知いたしております。今回の適正配置を契機といたしまして、本当に国民によく利用していただく簡易裁判所という姿をつくり出していただきたい、かように考えているわけでございまして、ひとつ御理解を賜りたいと考えております。
#38
○中村(巖)委員 先般この委員会におきまして参考人の意見を聴取をいたしまして、私どもも意見を聞かしていただいたわけでありますけれども、その中で、簡易裁判所の理念というものがどういうものであるかということについて若干論議があったようでございまして、殊に弁護士団体の方におきましては、やはり簡易裁判所というのは地域の駆け込み裁判所であるということで、これが小型地裁あるいは昔の区裁判所のようなあり方であっては、これは簡裁の理念に反するのだ、こういうことの意見が強いようであります。私どももいささかそういうふうに思っているわけでありますけれども、今度の簡易裁判所の統廃合の結果として、やはり簡易裁判所の理念が変わってしまって、最高裁、高裁、地裁の一連の系列下にある、いわば昔の区裁判所のような形になってしまうのではないかということが懸念されるわけでありますけれども、そういう点について最高裁としては簡裁の理念をどういうふうに考えて、今後、統廃合後運営をしていくおつもりなのか、伺いたいと思います。
#39
○山口最高裁判所長官代理者 多くの学者の方々の御指摘がございますように、簡易裁判所の理念と申しますものは、発足の経緯等からいたしますと必ずしも一義的に規定できない面があるようでございます。私どもといたしましては、簡易裁判所の理念あるいは性格と申しますものは、先ほども申しましたように、少額、軽微な事件を比較的簡易な手続で迅速に処理する、しかも調停あるいは支払い命令という国民が利用しやすい手続を専ら担当しているという意味で、国民に親しみやすい簡易裁判所であるというふうに考えております。
 私ども、今回の適正配置によりまして、そのような簡易裁判所の性格なり理念なりを変えるつもりはございません。むしろそういう性格なり機能なりというものをより充実した方向で発揮できるように力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
#40
○中村(巖)委員 今回の統廃合によってより充実した簡易裁判所をつくりたいということは最高裁判所が常々おっしゃっているところでありますけれども、それを実現をするためには、やはり予算の裏づけというものが必要であるわけであります。今度簡易裁判所が統廃合されてしまうということによって、定員面においてもあるいはまた施設費の面においても、やはりそれだけ簡易裁判所の数が少なくなったのだからもうそれだけの予算は要らないのではないかということで予算を削減されてしまう、こういうことになりますれば、統廃合した部分をもって残る簡易裁判所の充実に充てようという考え方は画餅に帰してしまう、こういうことになるわけでありまして、その辺について、統廃合をした結果として予算面でいろいろな制約を受けるというおそれがないのかどうか、その辺を伺います。
#41
○町田最高裁判所長官代理者 先ほど来総務局長から申し上げておりますとおり、今回の簡易裁判所の適正配置は、私ども裁判所といたしましてはあくまでも簡易裁判所の充実強化にあると考えております。したがいまして、私どもとしては、これによって予算が減るということは全く考えておりません。むしろこれによって予算を増額し、一層簡易裁判所を拡充強化したいと考えております。
#42
○中村(巖)委員 今予算のことを申しましたけれども、職員の面におきましても、職員の定員がこれによって減るというようなことが起こり得るのか、あるいはまた定員を減らすというような考え方があるのか、現在廃止が予定されている裁判所の職員、これを今後はどういうふうにしていくのか、その辺のことを人事局長にお伺いをしたいと思います。
#43
○櫻井最高裁判所長官代理者 定員の面におきましても、先ほど経理局長が説明申し上げましたように、簡易裁判所の充実強化という観点から、定員を減らしていくという考えは持っていないわけでございます。ただ、この統合されていく裁判所自体は、これはなくなっていくわけでございますので、そこに配置された職員というものは他に移していくということになるわけでありますが、例えばその受け入れをする裁判所、それからまた事件が増加していて手当てを要する裁判所、そういったところの定員をふやしていくことによって裁判所全体の運営を強化していくということを考えているわけであります。
 具体的には、現在統合される裁判所で勤務している人たち、この人たちが異動によっていろいろ私生活の面で不利益あるいは支障が生じないかどうかというところが問題になるわけでありますが、その点は、現在まで私どもでいろいろ調べたりしておりますところでは、非常に地元との定着性の度合いの強い方、これが二割程度というふうに考えております。職員全部で二百八十名程度おりますが、その中の二割程度の人が地元への定着性、つまり管内での不動産の所有とかあるいはその土地での生活期間の長さとか、そういったような点から考えて非常に定着性が強いというふうに考えられるわけであります。こういった人たちにつきましては、なるべく近隣地への異動ということによって、支障あるいは不利益がないようにいたしたいと思っているわけであります。統合される各裁判所の受け入れ庁はいずれも非常に近いところにあるわけでありまして、職員が転居を希望しないような場合は、その異動先を探すことについてはそれほどの困難はないというふうに考えております。
#44
○中村(巖)委員 今の点で、異動を余儀なくされる職員、あるいはまたそれらの職員が所属する職員団体というか労働超合、そういうようなところからのこの統廃合に対する反対の意向というものは最高裁の方に来ておりますでしょうか。
#45
○櫻井最高裁判所長官代理者 この簡易裁判所の適正配置の問題そのものにつきましては、この問題が企画されたときから、必要に応じて当局の方から職員団体である全司法労働組合の方にその必要性等についての説明はいたしてきたわけでございます。ただ、この適正配置問題そのものは、これは国家公務員法で申します「国の事務の管理及び運営に関する事項」に当たるものでございますので、この問題そのものについての当局と職員組台との交渉というものは行われてはいないわけでありますが、私たちとしましては、職員の理解を得るという観点から、この問題が起こりました当初からこの問題についての説明は十分いたしてきたわけでございます。
 その機会に、職員団体の方の意向というものは当局の方にも述べられております。職員団体としましては、この簡易裁判所の配置そのものには問題がないわけではないけれども、しかしいわゆる組織減らしあるいは人減らしというような合理化と申しますか、あるいはいわゆる裁判所版の行革と申しますか、そういったものにつながるという観点から反対であるというような意向は述べられております。それに対しまして私どもの方では、それがそうではないというゆえんを今まで説明してきたところでございます。先日、六月十五日にも全司法労働組合の委員長以下中央執行委員と最高裁判所の事務総長が会見いたしまして、その適正配置問題についての当局の考え方というものをさらに説明をして理解を求めたという経過になっております。
#46
○中村(巖)委員 今回の統廃合につきましては裁判所としてもいろいろ御努力をせられまして、関係の地方公共団体等々に説明をされ、了解を得られるということをなすっているわけでありますけれども、先般同僚委員が質問をされましたように、例えば愛知県の西尾簡易裁判所のように、やはり地方自治体等々の地元で反対が大変に強いというところもなきにしもあらずである。私ども仄聞するところによれば、岡山県あたりにおいてもあるいは山梨県あたりにおいてもかなりの反対があるというようなことでございますけれども、今、正直におっしゃっていただいて、反対の状況というものはどういうふうになっておりますでしょうか。
#47
○山口最高裁判所長官代理者 地元自治体の御意向あるいは地元自治体のお述べになる地元の実情と申しますものは、私ども、六十年の五、六月の段階、それから六十一年三月の段階、これは法制審発足の段階でございます、それから六十一年の秋の段階、大体大まかに分けますとその三つの段階でそれぞれお伺いしてきたわけでございます。最初の段階では、やはり所在地の自治体は、その町のステータスにかかわるとか、あるいはあるものは一つでもなくなるのは嫌だとか、あるいは町の過疎化に……(中村(巖)委員「現時点でどうなっているか、それだけ」と呼ぶ)現時点では、私ども再三お伺いいたしておりまして、せんだって西尾の御指摘もございましたので、その御指摘があった後また名古屋の所長方に伺っていただきました。それで、いろいろ横並びと申しますか、他庁との関係とか、そういうことを十分御説明申し上げまして、やはりこういう状況ではやむを得ない、もちろん反対は、陳情はしているけれども、ということで納得をしていただいている、御理解をいただいている段階であるというふうに考えております。これは山梨県の場合でもそうでございますし、岡山の場合でも私どもはそのように受けとめております。
#48
○中村(巖)委員 最高裁の事務総長にお伺いを申し上げたいというふうに思います。
 今回こうやって簡易裁判所が廃止統合をされる、こういうことになりますと、常々総務局長もおっしゃっておりますように、これからの残された簡裁の充実強化ということが大変重要になってくるわけでございまして、その辺について人員面、施設面等々、最高裁としては具体的にどういうふうにしていこうというふうにお考えになっておられるのか、まずそれをお伺いをしたいと思います。
#49
○草場最高裁判所長官代理者 先ほど来総務局長その他から詳しく御説明申し上げました今回の簡易裁判所の適正配置ということの趣旨を十分念頭に置きまして、施設、人員を今後充実してまいり、また、手続につきましてもそういう前提のもとでいろいろ検討を加えまして、そういう趣旨に沿いました簡裁の充実に努めてまいりたい、かように考えております。
 具体的に申し上げますと、人員の面では、今回見直しの対象となっております独簡の約百四十庁が裁判官非常駐庁でございます。この法案によりまして、そのうちの約九十カ庁が統合されるわけでございますが、なお五十カ所について裁判官の非常駐庁が残るわけでございます。これらにつきましては、今回統合の対象から除外されました理由あるいは事件数等を考慮いたしまして、必要に応じ順次常駐化を図ってまいりたい、かように考えております。
 また、一般職員については、廃止される簡裁に勤務しております職員数が約二百数十名に上りますが、これらの人員を受け入れ庁あるいはその他の事件が増加傾向にあります簡裁を中心としまして配置して、事務処理の充実を図ってまいりたい、かように考えております。
 次に、施設の関係でございますが、現在木造の庁舎も相当数ございまして、必ずしも十分とは言えない状況でございますが、本法案成立後の未整備庁舎につきましては、早急にこれを整備しますとともに、その他の設備あるいは備品等につきましても十分な手当てを講じてまいりたい、かように考えております。
 また、手続の面でも、簡裁の充実強化という趣旨に従いまして、簡裁の機能がより一層十分に発揮されますように、この機会にいろいろの観点から検討を加えてまいりたいと考えております。この検討の過程におきましても、簡裁におきます受け付け事務の改善あるいは調停手続の充実、さらには事務処理の全体的な合理化、OA化等の指摘、要望が出されておりますので、これらを踏まえまして、今後継続的に検討してまいりたい、かように考えております。
#50
○中村(巖)委員 さらに事務総長にお伺いをしますけれども、審議の過程で最高裁の方では、今後こういうふうに簡易裁判所を廃止統合したとしても、国民の利便のために巡回のいろいろな相談であるとかあるいは調停であるとか、そういったようなことを考えていきたいということをおっしゃっておられるわけでございます。確かに、そういうものが実現をされますならば、その国民の不便は緩和されるということになろうかと思うのでございます。具体的に今そういうものについての構想をどうお持ちなのか、あるいはまた具体的な案を考えつつあるのか、その辺のことを、国民にこういうことはお約束できるんだということをお話しいただきたいと思います。
#51
○草場最高裁判所長官代理者 私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、簡裁を御利用なさる国民の方々の利便ということをできるだけお図り申し上げていきたい、かように考えております。したがいまして、ただいまお話のございました出張調停あるいは出張審判といったようなことは、現行法で十分手当てができますものですから、地元の方の御要望、御意見等を伺いながら、各地の裁判所でどういうニーズがあるかといってとを十分検討した上で、具体的な計画を立てつつある段階でございますので、その辺の遺漏なきを期してまいりたい、かように考えております。
#52
○中村(巖)委員 もう一点、大都市簡裁の統合の問題になりますけれども、これは本来、先ほど来総務局長が言われているようなニーズが少なくなったからとか、あるいは利用度が少なくなったから、こういうこととは関係がないので、むしろ全然違った観点からのお話であるわけでありますけれども、この面につきましても、大都市簡裁の集約化という中で今後どういうことを国民に約束できるのかというか、こういうことを果たしていきたいということについての最高裁のお考えを事務総長からお伺いをいたします。
#53
○草場最高裁判所長官代理者 大都市簡裁の統合につきましては、一方におきましてできる限り合理的あるいは効率的な事務の処理を図りますとともに、他方においては、増大いたします都市部の多様なニーズにこたえるという裁判事務処理の体制をしくことが大都市簡裁集約の目的でございます。したがいまして、私どもといたしましては、これを集約いたしました暁には、事件の種別あるいは態様に応じましてできる限り専門的な事件の処理体制をとりますとともに、OA機器の導入を含む事務の合理化を図ってまいりたい、また、受け付け調停等の事務の充実を図ることなどを考えております。もとより、これらの点につきましては、今後の都市部におきます事件のあり方にもかかわることでございますし、また、大都市部における簡裁の統合の実現までにはある程度時間もあることでございますので、これらにつきましては、裁判所を御利用なされる弁護士会とか司法書士会あるいは警察等の方々の御意見も十分に伺った上で、具体的な姿を詰めてまいりたい、かように考えております。
#54
○中村(巖)委員 最後に一点、法務省の方に伺いますけれども、簡易裁判所がなくなりますと、区検も勢いなくなるわけでありまして、そうなりますと、やはり区検への参考人の出頭であるとか、あるいはまたそれよりも罰金の納付等々について国民の便利さが失われる、こういうことになるわけでありまして、簡易裁判所あるいは家庭裁判所の出張所につきましては出張等の審判、調停等々を考えたいというお話でありますけれども、区検察庁につきましてはこの辺のことについて何らかの処置が考えられるでしょうか。その点をお伺いをいたします。
#55
○清水(湛)政府委員 簡易裁判所と比較いたしますと、区検察庁は刑事事件だけということで、民事とか調停事件がございませんので、事務量的にはさらに小規模である、こういうことになるわけでございますけれども、委員御承知のとおり、交通違反の、いわゆる交通即決事件というのは区裁判所で行われているわけでございます。これも事務量的には大した事務量ではございませんけれども、数が非常に多い。現実に、もう特定の日を決めまして、裁判所、検察庁、警察関係者が一堂に会して一括処理をするというようなことをやっているわけでございます。
 そういうようなことで、区検がなくなりますとそういう面について若干の不便が生ずるということも全く考えられないわけではございませんので、場合によっては、それは地域地域の実情によりますけれども、警察署等をお借りして、そこに副検事あるいは裁判官、警察関係者というような方が集まっていただいて一括処理をするというようなことも考えられるというふうに私どもは思っております。できるだけ地域の方々に御不便をかけないように裁判所ともども私どもも考えてまいりたい、かように考えております。
#56
○中村(巖)委員 終わります。
#57
○大塚委員長 安藤巖君。
#58
○安藤委員 まず、前回に引き続きまして、西尾簡易裁判所の件についてお尋ねしたいと思うのです。
 先ほど同僚委員の方からの質問に対しまして、西尾簡易裁判所の統廃合の問題については、当該自治体へ名古屋地方裁判所の方から赴かれていろいろお話をなさった結果のことをおっしゃったのですが、結局どういうことだったのですか。
   〔委員長退席、井出委員長代理着席〕
#59
○山口最高裁判所長官代理者 名古屋の所長の御報告によりますと、西尾におかれましても、あるいは幡豆、一色、吉良におかれましても、できれば存続させていただきたい、しかし統廃合やむを得ないという事情もわかる、こういうお話でございました。
#60
○安藤委員 私も聞いておるのですが、名古屋地裁の事務局長さんがお出かけになったそうです。所長さんがお出かけにはならなかったようですね。――いや、私の聞いているところではそうですが、西尾の市長さんもそれから幡豆、一色、吉良のそれぞれの町長さんも統廃合には反対であるというふうにはっきり意思表示をしたというように伺っております。ですから、いろいろこれまでも御答弁の中にありましたように、地方自治体の意向というのを十分尊重するという姿勢を引き続きしっかり貫いていただきたい、このことを要望しておきます。
 そこで、今度は一転をいたしまして九州へ行きたいと思うのです。九州の、これは福団地裁管内なんですが、前原簡裁、これは福岡簡裁へ統合するということになっておりますが、これは志摩町ほか二町が管轄区域内であります。ところで、この三町がそれぞれことしの三月に統廃合反対という決議をして最高裁判所あるいは法務省の方へ反対の決議を提出しておられると聞いておるのですが、それはそのとおりですか。
#61
○山口最高裁判所長官代理者 そのように承知しております。
#62
○安藤委員 先ほどのお話ですと、法制審が審議を開始されたとき、それからいろいろ要綱を設定なさったとき、それから法案を準備する段階というふうに、自治体からの要望書なるものはそういう段階だとおっしゃったのですが、ことしの三月に至ってもこういうような反対決議が、もちろん西尾の簡裁管内ではこれまで申し上げたとおりですが、ちゃんとあるわけですね。
 そして、この前原簡裁は志摩町ほか二町ですが、これは糸島郡という郡の中にあるわけですね。そして、今ここでは糸島市という市をつくって市制に移行するための準備を着々と進めているという状況にあると伺っているのです。そうなりますと、この糸島市、まだ仮称でございますけれども、面積では、九州の中では北九州市、福岡市に次ぐ第三位。これは福岡県かな。とにかく相当広い面積を擁することになると伺っております。ですから、こういうような行政の状況からすると、余計この前原簡裁というのは充実強化をすべきではないかと思うのですが、この辺はどういうふうに考えておられますか。
#63
○山口最高裁判所長官代理者 前原町につきましては、住宅建設が急速に進められておりまして、福岡市のベッドタウン化が進んでいるわけでございます。前原町では六十五年には人口五万人に達する見込みである、そういう際に市制移行を検討したいというふうなこともおっしゃっておられたことは私どもも承知いたしております。ところが、人口は最近はやや増加傾向にはございますけれども、三十年当時七万六千六百でありましたのが現在では七万三千五百ぐらいということで、まだ三十年当時の規模には達していないわけでございます。
 三十年当時は、民訴それから調停、刑訴合わせまして百四十一件ほどございました。現在では、例えば六十年で見ますと九十八件、六十一年で見ますと百十五件というふうに、三十年当時に比較いたしますと事件数はそんなに伸びていないわけでございます。ベッドタウン的なところにおきましては、事件数は人口の増加が伴いましても余り伸びてこない傾向がございます。
 そういうふうな状況にありますことと、これはもう御承知のように国鉄あるいは地下鉄での福岡簡裁までの時間的距離というものが非常に短うございます。たしか三十二分ぐらいだったのではないかと思っておりますが、そういうふうに福岡簡裁に至近の距離にある。二丈町というところが多少離れておりますが、それにいたしましても四十二分でございます。そういう状況でございますと、今後の事件の伸びは余り期待できないのではないだろうか。
 統合を考えます場合には、法制審の答申におかれましても、相関表上の位置を基本として各地域事情を考えながら存廃を考えろ、こういうことでございまして、相関表上の位置づけからいたしますと、前原の場合は千葉の大原、大分の三重と同じランクにありまして、千葉の大原、大分の三重もやはり統合として考えなければならない。そういう関係からいたしまして、前原についても統合はやむを得ないものと考えたわけでございます。
#64
○安藤委員 先ほど私が申し上げました糸島市構想に対応するようなお考えは全く誇っておられないようです。だから、この辺のところも十分考慮さるべきだと思うのですね。
 それから、一番遠いところで二丈町四十二分、この事件数と所要時間の相関表、法制審議会がおつくりになった、これによると四十五分以内というふうになっております。しかし、事情をお聞きしますと、遠いところの人は四十五分では福岡簡裁へ行くのに信号無視かスピード違反をやらぬ限りは行けないというのです。そうなると、裁判所へ出頭するために信号無視、スピード違反、これを奨励するみたいなことじゃないですか。それでないと行けないというのですよ。となったら、これは重大問題ですよ。そうまでして行かなければ裁判所に行けない、それで何で国民に親しまれる裁判所なのか、これはどうしてもわからぬのです。これはもう一遍考えていただきたい。本当にそういう状況なんです、この四十五分以内というのは。先ほどおっしゃった四十二分というのも恐らく信号無視、スピード違反の話じゃないのですか、その辺はどうですか。
#65
○山口最高裁判所長官代理者 この所要時間の算定方法につきましては、自家用車をお持ちの方につきましては自家用車を御利用いただくということも考えるべきであるという御意見もあったわけです。しかし、自家用車を持っていないそういうクラスの人々をどう考えるのか、こういう御反論もございまして、私ども所要時間をとります場合、どなたでも御利用いただけます公共交通機関による所要時間をとっております。したがいまして、自家用車でいらっしゃいますと、国道が渋滞しているとかであるいは多少時間がかかるのかもしれませんが、国鉄、地下鉄を御利用していただいて前原から福岡簡裁までお出向きになるのに三十二分ということになっております。自家用車ではございません。
 それから二丈町につきましても、深江というところから国鉄を御利用していただいて四十二分で行ける、こういうことでございます。
#66
○安藤委員 公共交通機関というのが大原則だと思うのですがね。それも、駅へ着いてから歩くとかパスに乗るとかということもあろうかと思いますし、そして今おっしゃったようにマイカーの人にはマイカーを利用してもらうということも考えるということですと、先ほどお尋ねしているような状況になるというのが切実な地元の人たちからの訴えなんですから、それはもう十分考慮さるべきであるというふうに申し上げておきます。
 それから宇佐簡裁ですね。これは大分県ですが、中津の簡裁へ統合するということになっておるようです。この宇佐は、先ほど来申し上げております相関表によりますと、六十分以内というふうになっております。ところが、院内というところから中津の簡裁に行くには二時間半かかるというのです。とてもじゃないが、六十分というのは納得できない。これは一遍その辺のところも十分検討していただきたいと思うのです。どうですか。
#67
○山口最高裁判所長官代理者 公共交通機関による所要時間を算定いたします場合、どの点を基点にするかということが問題になってまいります。簡裁の管内に市町村が多数存在いたします場合、どの点をもって管内の交通事情を代表する地点にするかということが問題になるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘の宇佐の場合、字佐市の中心地の駅から中津の簡易裁判所に着くまでの、これは中津の駅前から徒歩で十分かかるということも計算に入れておりますけれども、それが四十八分なわけでございます。やはり簡易裁判所所在地というのが人口的には一番大きゅうございますし、裁判所の利用者も一番多いわけでございますから、管内によりましては中津に近いところもございますし、遠いところもあるわけで、代表的な地点といたしまして簡易裁判所の所在する市町村の中心地点から隣接簡裁まで公共交通機関でどれくらいかかるか、こういうことで所要時間を出しているわけでございます。
 院内町は、御指摘のように中津から少し離れております。私どもの計算によりますと、院内町からは役場前でパスに乗りまして、円座というところでまたパスに乗り継ぎまして、中津の駅前から歩きまして合計で九十五分でございます。院内町の中にもいろいろそれぞれ部落の所在するところがございますから、一番遠いところからはかってみますとあるいはおっしゃるように二時間近くかかるのかもしれませんが、院内町の中心地点から中津簡裁までは、私どもの集めた資料によりますと九十五分でございます。
#68
○安藤委員 ここであれこれ言っておっても始まりませんが、院内町からパスで先ほどのお話のように乗り継いで二時間半だ。もちろん院内町の範囲がありますからあれですが、やはり管内のすべての人が親しみを持って利用できるということを考えるとすれば、中心街ばかりというのはどうかというふうに思うのです。だから、その辺もきちっとこれは検討していただく必要があるというふうに思います。今の九十五分だって、これは相関表からすれば六十分以内ですから三十五分超過しているのですよ。
 それから宇佐の簡易裁判所、これは裁判所がおつくりになったものだと思うのですが、統計があるのです。これは統廃合の対象になっているほかの簡裁でも同じだろうと思いますし、これまでもいろいろ申し上げてきたのですが、民事訴訟、それから調停、刑事訴訟手続、これが事件数の計算の基礎になっているわけですけれども、この宇佐の簡易裁判所の統計を見ましても、督促手続は昭和六十年五百二十七、六十一年六百十三にふえておりますし、それから過料というのがあるのですね、戸籍の届け出違反とかなんかの過料、これを出して納めに行かなければならない。これは六十年三十、六十一年二十八と少し減っておりますが、ほとんど横並び。それから雑事件というのが六十年四百八十三件、六十一年五百四十一件。それから略式、これが昭和六十年千四百四十八、それが六十一年千五百六、こういうふうにふえているわけですね。そういうことからしますと、この交通即決事件、これは略式だと思うのですが、これを入れないのはおかしいと思うのですね。これほど住民の皆さん方はこの簡易裁判所にかかわりを持っておられるという、これは事実だと思うのです。だから、この辺のところをお考えになる、それから先ほどの裁判所へ行くまでの所要時間の数ということから考えると、これは相関表の関係から見ても統廃合の対象にするのはおかしいじゃないか、私はどうもそうとしか言いようがないと思うのですが、この辺どうですか。
#69
○山口最高裁判所長官代理者 三者協議会の過程におきましても、裁判所の利用度合いを示すものとして何を基準にすべきであるか、いろいろ議論があったわけでございます。私どもといたしましては、基準を立てます場合、地域住民の裁判所利用の便というものを示すものが指標として一番正しいであろう、かように考えたわけでございます。裁判所の事務量自体を指標にいたします場合には、今御指摘のように過料とか略式、支払い命令あるいは雑事件というものも全部カウントしなければならないわけでございますけれども、地域住民が全く利用しないのに裁判所の事務量が相当あるというような事態を仮に想定いたしますと、その裁判所は別にそこに置かなくてもいいということになるわけでございます。したがいまして、地域住民の方々が裁判所に出向く手間というものを考えまして、裁判所に出頭しなければならない事件、これをまず基準とすべきではないだろうか。そういたしますと民事訴訟、民事調停、刑事訴訟というふうになってくるわけでございます。これがまた簡易裁判所の一番基本的な事件でもあるものでございますから、これで裁判所の利用度合いを示すスケールにするのが一番いいであろう、かように考えたわけでございます。
 今御指摘の支払い命令でございますが、これは調査の結果によりますと九十数%が管外の債権者の方の申し立てでございます。地域の方々がお申し立てになるケースというのは非常に少のうございます。それから、略式命令につきましては、確かに刑事司法手続をトータルとして見ます場合、その方々が簡裁に対応して置かれます区検察庁に出頭する便というものも考えなければならないわけでございますが、この略式命令の多くは御指摘のように交通即日処理事件でございます。交通即日処理事件につきましては、警察、検察庁、裁判所が一堂に会しまして流れ作業的にやっていく、一日に数十件も処理できる、こういう形で今処理いたしておりますので、もし必要がございますれば出張して処理することも可能でございますので、そういう点を勘案して略式命令もカウントしなかったわけでございます。
 そういうことで弁護士会にも御説明申し上げ、法務省にも御説明申し上げまして、三者協議会におきましては、日弁連においても最終的にこの基準については特に意見を述べない、異論がないというふうにおっしゃられたわけでございます。法制審議会におきましても、そういう略式命令あるいは支払い命令のカウントをどうするかという点の御議論もございましたけれども、私ども御説明申し上げまして、その基準でよかろうというふうに御了承いただいたわけでございます。それに従って作業を進めてきたわけでございます。
    〔井出委員長代理退席、委員長着席〕
#70
○安藤委員 略式手続の関係については必要によっては出張することもあり得るとおっしゃったのですが、そうすると略式手続については出張することを前提にして、これだけの数千件という、ほかの簡易裁判所のいろいろな略式手続の事件数も多いのですけれども、二千件を超すところもあるし、二千件近いところもあるし、ここは千五百六件ですが、出張して処理するということを前提にしてこれは数の中に入れなかった、そういうふうにお聞きしていいのですか。
#71
○山口最高裁判所長官代理者 先ほども申しましたように、事件を処理するために当事者が裁判所に出頭を要する事件ということで考えておりますから、民訴、刑訴、調停ということになるわけでございます。略式命令は出張処理する前提で外したということではございません。略式命令が相当ございまして、非常に時間がかかって、交通即日処理をされるのに統合庁へ出向くのが非常に御不便であるというような事情がございます場合には出張処理でカバーすることもできるわけでございますから、そういうのは地域の個別事情としていろいろ考えて統廃合を決めてきたわけでございます。
#72
○安藤委員 不便がございますればとおっしゃったのですが、これは統廃合の対象になっている簡裁の略式手続の件数からすると、すぐ近くの人は余り痛痒を感じない人もいるかもしれませんが、相当多数の人が不便を感ずると思うのです。出頭しなければいかぬのですからね。だから、そういう数字も入れてもう一度法制審で議論をし直していただく必要があるのではないかと思うのですけれども、これは強く要望しておきます。後で家裁の出張所の問題も申し上げます。
 続いて矢部簡裁、これは熊本県の矢部町、清和村、それから蘇陽町ですね。熊本県といいましても、ほとんど宮崎県の県境に近いところです。蘇陽町に至ってはまさに県境に接しておるわけですが、統廃合の問題につきましては、これはなかなか数少ないのではないかと思うのですけれども、熊本県議会が統廃合反対という意見書を採択して最高裁へ提出してみえると思うのです。そしてさらに、管内二万五千人のうち一万人の人、これは成人のほとんど全部のようですが、この人たちが統廃合しないで存続してほしいという請願署名をしておられるというふうに聞いておるのですが、こういう事実は御存じですか。
#73
○山口最高裁判所長官代理者 熊本県議会において決議をされましたことと、それから、かなり多数の方々の請願書が出たということは承知いたしております。
#74
○安藤委員 となると、やはりこれは地方自治体並びに管内住民の人たちの意向を尊重するということからすると、成人のほとんど全部が反対だと言っておみえになっているのにそれを無視しているとしか言いようがないと思うのです。そして、これは御船簡裁へ統合するということになっておるようですが、矢部は六十分以内で御船簡裁へ行けるというふうにこの相関表にはあるのですが、先ほど言いました蘇陽町、ここからは今までの矢部簡裁の場合でも裁判所へ行くのは一日仕事だ、それが御船ということになると、とてもじゃないが一日仕事ではだめで一泊しなければいかぬ、こういう状況にあるというのです。こうなったら六十分以内というのもいいかげんなものだなというふうに思わざるを得ませんし、一泊していかなければ裁判所へ行けない、それが簡易裁判所だと、手軽にげた履きで、親しみやすい少額、軽微な事件を簡易迅速にとおっしゃるけれども、全然その要望にこたえないということになるのじゃないですか。その辺はどういうふうに考えておられますか。
#75
○山口最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、矢部簡裁管内にございます蘇陽町、これは蘇陽町の一部でございますけれども、そこから御船まではかなり時間がかかります。私ども、統廃合を考えます際に、地元に参りましていろいろ地元の御意向も伺いました。蘇陽町につきましては、蘇陽町の一部を高森簡裁が管轄しているわけでございまして、統合するのであればむしろ矢部簡裁管内にございます蘇陽町の一部はそっくり高森簡裁の方へ統合してくれ、こういう御要望がございました。蘇陽町から高森簡裁までは、バスを利用いたしまして約七十七分でございます。現在はたしかバス便が少しよくなっておりまして、これがさらに短縮しているかと思いますけれども、そういう状況でございますので、私どもとしては決して蘇陽町の住民の方々に御不便をおかけする結果にはなっていないと考えております。
#76
○安藤委員 いや、御不便をおかけする結果になると思うのですがね。そうしますと、先ほど蘇陽町の一部を高森簡裁の方へ云々というお話がありました。私もちょっと聞いておりますが、そういうようなことも含めて考えるというふうに伺ってよろしいのですか。
#77
○山口最高裁判所長官代理者 今回御審議をいただいております管轄法によりますと、蘇陽町の一部は高森簡裁へ統合するということで御審議いただいておるわけでございます。
#78
○安藤委員 しかし、先ほど申し上げましたように、一泊しなければいかぬというところが出てくるということは間違いない事実でありますので、もう一遍お調べいただきたいということを申し上げておきます。
 ところで、先ほどちょっと申し上げたのですが、これは宇佐簡易裁判所の事例で申し上げるのですが、そのほかにも例えばこれは大分県ですか、三重、国東、それから大根占、ほかにもあると思うのですが、家庭裁判所の出張所が併設されておりますね。この問題につきましては、先日同僚委員の方から質問がありまして、統廃合になったら併設されている家裁の出張所もなくなってしまうんじゃないか、これはどうなるんだというお話がありましたが、この宇佐簡易裁判所の先ほど来申し上げております統計によりますと、六十年、六十一年だけ申し上げますけれども、大分家庭裁判所宇佐出張所の家事審判が六十年が百三十七件、六十一年二百十二件、そして調停が六十年二十四件、六十一年三十三件、家事相談六十年三百六十九件、六十一年三百二十二件、これも結局御船の方に打っちゃうわけですね。――いや、これもなくなっちゃうわけですね、統廃合になれば。これだけの相談あるいは調停、審判を申し立てる人たちは非常に不便を強いられることになると思うのですね。先ほど言いましたように、三重、国東、大根占などでも同じ状況が出てくると思うのです。この関係はどういうふうにお考えになるのですか。本当にこれは不便を強いることになるんじゃないですか。
#79
○早川最高裁判所長官代理者 家庭裁判所の出張所は、議員御指摘のとおり、既存の簡易裁判所の施設や人員を利用して行う、そういうことになっておりますので、簡易裁判所が廃止された場合には家庭裁判所の出張所もそれに伴って廃止される、こういうふうな運命に相なるわけでございます。
 議員御指摘のように、こういった福岡高裁管内の家庭裁判所の出張所というのは全部で十九庁あるわけでございますが、そのうちの七庁が今度の簡裁の統廃合に伴って廃止される、そういうことになろうかと存じます。こういった庁におきましては、御指摘のようにかなりの数の相談、事件等もございますが、こういったものは受け入れ庁の方に来ていただくか、あるいは出張審判あるいは出張調停等を考えておりますので、そういった機会にあわせて相談も行うということになりますと、もともと家庭裁判所の出張所は裁判官が出向いて、出張して事件の処理を行うということでございますので、今回出張処理を行うということになれば、それと一緒に書記官も帯同していく、その書記官等が事件の処理の間に家事相談等も行う、こういうことになろうかと思います。
#80
○安藤委員 先回、学者の方、それから日弁連、司法書士会連合会の方々から参考人として御意見を拝聴しましたが、そのときにもたしか家庭裁判所の出張所で扱っている件数を申し上げて、それが全部その出張所でできなくなるんだ、これだけの件数ができなくなるんだという点についてはどういうふうにお考えになっておられるのだろうかとお尋ねしましたら、そういう数字までは存じ上げませんでしたというお話があったと思うのですね。だから、そういうものを全部のけものにしておいて、悪く言えば隠しちゃって、そして法制審議会の審議をお願いしたみたいなふうにも思えてならぬのですわ、それは先ほどの略式もそうですけれども。その辺のことを考えますと、これは全く親しみやすい簡裁の精神からも逸脱すること甚だしいというふうに思わざるを得ないと思うのです。
 そこで、先ほど、統廃合になって百一の独立簡裁がなくなる、もともとそれは裁判官が出張しておったんだけれども、書記官それから廷吏さん、事務官の方がおられる、人数が余る、だから人員削減というようなことがあるのではないかという心配をされた御発言があったのですが、私はもちろんそんなことがあってはならないし、それから、充実強化を一層やるんだというふうに再三強調しておられる、そういうところからすると、これに便乗して人員削減しようなんということは毛頭考えないで、従前からきちっと私どもは申し上げてきておるのですが、さらに裁判所としては、こうなるとこれは簡裁はかりではなくなるのですが、地裁の判事それから速記官、書記官、事務官の方を含めて、増員ということによって充実をしていくんだ、こういうようなお心構えであるべきだというふうに思うのです。この点、これは事務総長さんにお伺いしたいと思うのですが、そういうようなことはいかがでございますか。
#81
○草場最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては事件の処理体制に遺憾なきを期してまいりたい、かようなことを基本方針として考えております。したがいまして、ただいまお話のございました簡易裁判所の適正配置後の姿でございますが、この法案が成立しました暁には、私どもとしてはそういった簡易裁判所の事件の適正迅速な処理という観点から遺漏のないような人員の配置を図ってまいりたい、かように考えております。
#82
○安藤委員 それからもう一点、事務総長にお尋ねしておきたいのですが、これは前にもそういう趣旨の質問もありましたけれども、事物管轄の拡張のときにもこれは議論したのですが、簡裁が本来の親しみやすい裁判所、国民の裁判を受ける権利、これをしっかりと守る、そういうようなことで役割をこれまでも不十分ながらも果たしてきたと思うのですが、やはりそういう簡易裁判所設立の理念というものはしっかりと踏まえ、さらにこれを充実させていくということが必要だと思うのですね。だから、その辺のところをしっかりやっていくんだということをやはり一言伺っておきたいのです。
#83
○草場最高裁判所長官代理者 この適正配置に伴いまして、私どもといたしましては、簡易裁判所が少額、軽微な事件につきまして簡易迅速な事件の処理を図るということがこの法案の審議をお願いします趣旨でございます。したがいまして、そういう立場から申し上げますならば、今後人員あるいは施設の面で、例えば裁判官の非常駐庁をできる限り解消するとか、そういった面での手当てをしてまいりたいと存じますし、あるいは施設面で未整備の庁舎の建てかえを促進してまいりたい、かように考えますが、それと同時に、手続面におきましても、例えば受付の充実とかあるいは調停の充実、そういった面で十分な体制をとってまいりたい、かように考えております。
#84
○安藤委員 最後に、法務大臣にお伺いしたいのです。
 今度のこの簡裁の統廃合の問題につきまして、これは日本司法書士政治連盟東京会というところが昨年の衆参同時選挙のときに、東京都の統廃合の問題につきまして各党の候補者の方々に対して、反対か賛成かの意見を求めるアンケート調査をしたのですね。それによりますと、時間がありませんから私の方から申し上げますが、自民党二十二名のうち七名の方が回答を寄せられた。三一%ですね。賛成一、反対五、その他一、これは慎重にということです。自民党都連会長の鯨岡先生も反対、こういうことです。それから社会党十一人中九人回答、全員反対。公明党十二人中賛成一、反対八。私ども共産党十二名中十二名全員反対。民社党七名中四名回答、反対一、その他、慎重にというのが三、こういうふうです。
 自民党のことだけ申し上げるのですが、反対五ですよ。となると、これは政治家としての法務大臣にお尋ねするのですが、大塚委員長は御回答をなさっておられない、慎重な態度をおとりになったと聞いておりますけれども、これは公約だと思うのですよ、選挙のときのアンケートに対して私はこうだと言うのですから。これはやはり自民党の方にも守っていただく必要があるのじゃないかと思うのですよ、売上税とかマル優廃止の問題ではありませんが。この点どういうふうにお考えなのかをお伺いして、私の質問を終わります。
#85
○遠藤国務大臣 簡易裁判所のこの問題については、先生よく御承知の中でのお尋ねのようでございますけれども、よその地域の話を申し上げると、いろいろ先生から電話なり直接お伺いされるとまたひっくり返る場合もありますので、私の宮城県の面を通じてお話し申し上げたいと思うのですが、町長さんとか議長さんが正面切って聞かれると、賛成だという人はないのです。しかし私的にお聞きすると、裁判所も、今国自体が行革だ、財政再建をやっているとき、川向こうの火事を見ているような格好で、三権分立とはいいながら、いかないのでしょうねというような話が出ている。そういうようなことも一つはございましょうけれども、簡易裁判所の機能強化ということを考えると、それから先ほど来先生お話しの、これからも人員をもっとふやしてやっていけというのにも、お参りのない神主さんもおるし、また本当に忙しい場所もあるというようなことでは、人員の要求もいろいろ複雑なことになってくる、そういうふうな点が考えられてこの法案が提出されているというような現状でございます。
 また、東京都内の国会の先生方の、今先生発表の数字でございますけれども、やはり政治家というのは自分で公約したことは守り抜きたいということはどなたも同じだろうと思いますが、また沈黙を守っている人の気持ちということは、これまた大切なことだなと思っておりますので、この面については先生も私も、議員としての行動については言わず語らずの間に御理解ちょうだいできると思いますので、御了承願いたいと思います。
#86
○安藤委員 終わります。
#87
○大塚委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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