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1987/08/18 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 地方行政委員会 第2号
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1987/08/18 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 地方行政委員会 第2号

#1
第109回国会 地方行政委員会 第2号
昭和六十二年八月十八日(火曜日)
    午後四時五十七分開議
出席委員
  委員長 石橋 一弥君
   理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君
   理事 渡海紀三朗君 理事 西田  司君
   理事 野呂 昭彦君 理事 安田 修三君
   理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君
      石渡 照久君    越智 通雄君
      金子 一義君    北村 直人君
      鈴木 恒夫君    高橋 一郎君
      友納 武人君    中山 利生君
      加藤 万吉君    左近 正男君
      佐藤 敬治君    中沢 健次君
      山下八洲夫君    柴田  弘君
      経塚 幸夫君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 葉梨 信行君
 出席政府委員
        自治大臣官房長 持永 堯民君
        自治大臣官房審
        議官      森  繁一君
        自治大臣官房審
        議官      小林  実君
        自治大臣官房審
        議官      渡辺  功君
        自治省財政局長 矢野浩一郎君
        自治省税務局長 津田  正君
 委員外の出席者
        地方行政委員会
        調査室長    大嶋  孝君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二十九日
 辞任         補欠選任
  石渡 照久君     玉生 孝久君
  越智 通雄君     山崎  拓君
  金子 一義君     田邉 國男君
  高橋 一郎君     木村 守男君
  竹中 修一君     佐藤  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  木村 守男君     高橋 一郎君
  佐藤  隆君     竹中 修一君
  田邉 國男君     金子 一義君
  玉生 孝久君     石渡 照久君
  山崎  拓君     越智 通雄君
    ―――――――――――――
八月十八日
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五号)
 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第六号)
七月三十日
 交差点事故防止に関する請願(辻第一君紹介)
 (第三六号)
 同(安藤巖君紹介)(第九五号)
 同(田中美智子君紹介)(第九六号)
 同(藤田スミ君紹介)(第九七号)
 同(松本善明君紹介)(第一二四号)
 留置施設法案の廃案に関する請願(佐藤祐弘君
 紹介)(第四一号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第九八号)
八月四日
 交差点事故防止に関する請願(柴田睦夫君紹介
 )
 (第一六七号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第一六八号)
 同(寺前巖君紹介)(第二一八号)
 地方財政の確立に関する請願(近藤元次君紹介
 )
 (第二一六号)
 地方財政の充実に関する請願(魚住汎英君紹介
 )
 (第二一七号)
同月七日
 留置施設法案の廃案に関する請願(矢島恒夫君
 紹介)(第三二六号)
 同(安藤巖君紹介)(第三八八号)
 同(野間友一君紹介)(第三八九号)
 ビジネスホテル等における風俗関連営業の取り
 締まり強化に関する請願(斉藤節君紹介)(第
 四七四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
七月三十一日
 地方自治の確立に関する陳情書(宮城県栗原郡
 若柳町字川南戸の西四若柳町議会内佐藤清夫)
 (第四号)
 地方自治法改悪反対に関する陳情書(岡山県津
 山市山北五二〇津山市議会内末永弘之)(第五
 号)
 極左暴力集団の排除に関する陳情書外一件(長
 崎市江戸町二の一三長崎県議会内古藤恒彦外一
 名)(第六号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
五号)
 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第六号)
     ――――◇―――――
#2
○石橋委員長 これより会議を開きます。
 ただいま、内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の両案が本委員会に付託になりました。
 この際、両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。葉梨自治大臣。
    ―――――――――――――地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案
   〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○葉梨国務大臣 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。
 最近における社会経済情勢の変化等に即応した税制全般にわたる改革の一環として住民負担の軽減及び合理化等を行うこととし、個人住民税について税率構造の緩和、基礎控除額等の引き上げ及び配偶者特別控除の創設を行うとともに、住民税における利子課税制度の合理化等の改正を行う必要があります。
 以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。
 次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
 その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。
 個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、中堅所得者層を中心とした負担の軽減合理化を図る観点から、税率構造の簡素化及び累進度の緩和並びに基礎控除額等の引き上げを行うとともに、配偶者特別控除を創設し、これとの関連において配偶者に係る白色申告者の事業専従者控除の控除限度額を引き上げることとするほか、老年者控除額の引き上げ等を行うことといたしております。これらの改正は、昭和六十二年度及び昭和六十四年度に実施することといたしております。
 また、住民税における利子課税制度につきまして、道府県民税として利子割を創設することとし、老人等に対する利子非課税制度に係るものを除く利子等及び金融類似商品の収益について、利子等の支払い等を行う金融機関等の営業所所在地の都道府県が、その支払いの際、一定の税率により、他の所得と分離して課税する仕組みを導入するとともに、都道府県から市町村に対し、個人に係る利子割額に相当する額の五分の三を交付することといたしております。
 その二は、事業税についての改正であります。事業税につきましては、道府県民税及び市町村民税と同様に、配偶者に係る白色申告者の事業専従者控除の控除限度額を引き上げる等の措置を講ずることといたしております。
 その三は、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税についての改正であります。道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税につきましては、昭和六十一年度における地方財政対策の一環として講じられた税率等の特例措置の適用期限を昭和六十三年三月三十一日まで延長することといたしております。
 その四は、電気税についての改正であります。繊維製品及び紙の製造の用に供する電気に係る税率の軽減措置の適用期限を昭和六十五年五月三十一日まで延長することといたしております。
 その五は、納税環境の整備についての改正であります。過少申告加算金、不申告加算金または重加算金について、自主申告に係るものを除き、その割合を百分の万引き上げることとするほか、地方税の確定金額等に係る端数計算の基準額について所要の引き上げを行うことといたしております。
 このほか所要の改正を行うことといたしております。
 以上が、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 地方財政の現状にかんがみ、地方公共団体の財源の充実・確保を図るため、昭和六十二年度分の地方交付税の総額について、所要の加算を行うとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。
 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 まず、昭和六十二年度分の地方交付税の総額につきましては、同年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額は一般会計の当初予算に計上された額とするとともに、昭和六十一年度分交付税の精算額五千七百六億円を加算することとして地方交付税法第六条第二項の規定に基づき算定した額に、交付税及び譲与税配付金特別会計における剰余金の活用により加算することとした五百十億円及び地方交付税の総額の特例措置額三千三百十七億八千万円を加算した額から同年度分の利子の支払いに充てるため必要な額三千四百六十一億円を控除した額とすることとしております。
 これにより、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保するとともに、補正予算に基づく追加公共事業等の実施のための一般財源所要額三千五百億円を地方交付税の総額として増額しようとするものであります。
 また、昭和六十六年度分から昭和六十八年度分までの地方交付税の総額につきましては、昭和六十六年度及び昭和六十七年度にあってはそれぞれ千百六十億円を、昭和六十八年度にあっては千百七十五億円を加算した額とすることとしております。
 次に、昭和六十二年度の普通交付税の算定につきましては、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げ等に伴い増加する経費に対し所要の財源を措置し、あわせて、生活保護基準の引き上げ、老人保健施策等高齢化への対応に係る経費の充実等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善、教育施設の整備、私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設、市町村道、下水道等住民の生活に直結する公共施設の整備及び維持管理に要する経費、消防救急対策、公害対策等に要する経費、地域の活性化の促進に要する経費、国際化への対応に要する経費の財源を措置することとしており、さらに、投資的経費について、地方債振りかえ後の所要経費の財源を措置することとしております。また、補正予算により増額された公共事業等に要する経費について所要の措置を講ずることとしております。
 以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○石橋委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○石橋委員長 これより両案に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。石渡照久君。
#6
○石渡委員 既に本会議で質疑された問題もありますけれども、確認を含めて質問させていただくわけであります。
 今回の地方税法改正法案に盛り込まれた改正内容はどのような考え方で提案されたのか、改正の基本的な考え方をまず自治大臣からお聞かせいただきたいと存じます。
#7
○葉梨国務大臣 我が国の税制は、シャウプ勧告に基づきまして昭和二十五年に国、地方を通ずる現行税制の基礎が確立され、四十年近くを経過しているわけでございます。この間、我が国の社会経済におきましては、産業構造あるいは就業構造の変化、所得水準の上昇と平準化、あるいは消費の多様化、サービス化、人口の高齢化、国際化等の進展など、著しい変化がございました。最近におけるこのような社会経済情勢の著しくかつ急激な変化を背景としまして、税制に関しましてさまざまなゆがみ、ひずみ等が指摘されておるところでございまして、また、国民の税に対します重税感と申しますか不満感が高まってきているわけでございます。このようなことから、税制全般にわたる見直しを行って、国民の理解と信頼に裏づけられました税制を確立することが喫緊の課題となっているところであります。
 今回の税制改正案は、このような税制全般にわたる改革の必要性を十分に踏まえた上で、その一環として税制改革協議会の御論議も念頭に置きながら、当面緊急に実施しなければならない住民負担の軽減及び合理化等を行うものでございます。
 その主な内容でございますが、個人住民税につきましては平年度六千六百億円の減税を行うこととしておりまして、累進税率構造の緩和とか基礎控除額等の引き上げや配偶者特別控除の創設等の改正を昭和六十三年度及び昭和六十四年度の両年度にわたって実施いたします。
 また、道府県民税としまして昭和六十三年一月一日から利子割を創設いたしまして、老人や母子家庭あるいは障害者等に対する利子非課税制度に係るものを除く利子等につきまして、その支払いを行う金融機関等の営業所所在地の都道府県が一定の税率で分離課税を行うことといたしまして、その五分の三を各市町村へ交付することになっております。
 地方たばこ消費税につきましては、昭和六十一年度の地方財政対策の一環としてとられました税率等の特例措置の適用期限を昭和六十二年三月三十一日まで延長するほか、住民税につきまして土地税制の見直しを行うこととしているわけでございます。
#8
○石渡委員 住民税の減税が二段階で行われることになっているわけでありますが、それはどのような理由からでありましょうか。
#9
○葉梨国務大臣 今回の改正におきます住民税減税のための恒久財源は、道府県民税利子割をもって充てることとしておるわけでございます。ただいま申し上げたとおりでございます。しかしながら、利子割収入が平年度化するまでには何年かかかるわけでございまして、昭和六十二年度に直ちに最終的に予定しているだけの利子割の収入が見込めるものとはなっておりません。そのために、住民税の減税規模を、平年度ベースではおおむね利子割の収入に見合う規模とするわけでございますが、現下の地方財政の状況も考えまして、昭和六十三年度には第一段階として約五千億円規模の減税といたしまして、昭和六十四年度から約六千六百億円規模の減税を行うこととしたわけでございます。
#10
○石渡委員 減税先行分の六十三年度の財源及び六十四年度以降の減税財源についてどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#11
○葉梨国務大臣 個人住民税減税の減収分でございますが、利子割の創設によります増収分を充てることとしているわけでございますが、利子割の収入が平年度化するには数年かかります。その間は減収分が利子割の増収分を上回るわけでございます。この差額の財源といたしまして、最近の経済情勢にかんがみ、今後の税収の動向によっては自然増収を充てることも可能になるかとも考えられますが、いずれにいたしましても歳入歳出を通じて地方財政運営全体の中で対処すべきものと考えております。昭和六十三年度以降の地方財政対策を講ずるに際しましては、この点を十分念頭に置いて地方団体の財政運営に支障が生じないよう適切に対処していきたいと考えております。
#12
○石渡委員 税制改革の見直しに伴いまして、当初の地方税や地方譲与税等の地方財源が減収になる要因があるわけであります。地方団体の財政運営に支障が生じないように十分な補てん措置が講じられるべきであると考えるわけでありますが、いかがでございましょうか。
#13
○葉梨国務大臣 税制改革の見直しによります地方譲与税、地方交付税等の地方一般財源の減収につきましては、地方財政の運営に支障が生ずることのないよう補てんをすることとしております。
 具体的に申し上げますと、地方税及び地方譲与税で生ずる減収額三百九十三億円につきましては、当初の地方財政対策と同様に建設地方債の増発により補てんすることとしておるところでございます。また、地方交付税につきましては、当初予定しておりました額よりも減収になる要因が生じておりますけれども、六十一年度分の国税三税の自然増収によります地方交付税の精算増がありますうち二千二百六億円を充てることによりまして当初予定額を確保する措置を講ずることにいたしまして、それと同時に追加公共事業等の地方負担の財源につきましては、従来でございますと全額地方債で対応したわけでございますが、今回は一般財源としまして地方交付税総額を三千五百億円増額する措置を講じて対応したいと考えておるわけでございます。
#14
○石渡委員 補正予算による公共事業の追加に伴う地方負担に充てることとしている地方交付税の増額分について、その配分の基本的な考え方はどうでありましょうか。また、所得税減税等に対応して所得税等の歳入の予算補正措置がとられる場合においても、本年度の地方交付税の額を減らすようなことはないと思うわけでございますけれども、いかがでありましょうか。
#15
○矢野政府委員 お尋ねの第一点、すなわち補正予算による公共事業の追加に伴う地方負担に対する交付税の配分の基本的考え方でございますが、追加公共事業等の地方負担に対する交付税措置につきましては、義務教育施設費など事業費補正という方式によりまして算入するごく一部の経費を除きまして、大部分は道府県分、市町村分ともに「その他の土木費」、これは人口を測定単位といたしております、及び「その他の諸費」、これは人口を測定単位とするものと面積を測定単位とするものとございますが、そのうちの面積を測定単位とするもの、この二つの費目の投資的経費に係る単位費用の増額を図ることによりまして財源措置をすることといたしております。
 お尋ねの第二点でございます。すなわち、歳入の予算補正措置がとられた場合においてもこの地方交付税の額は確保すべきではないか、こういう点でございますが、地方団体におきましては既に当初示しております地方財政計画を参考にして本年度の財政運営を進めておるわけでございますし、また、補正予算による追加公共事業等の円滑な執行を図るためには、その地方負担の財源に充てるための三千五百億円の地方交付税の増額は必要不可欠であると考えております。したがいまして、今回の地方財政対策の見直しにより確保することといたしました総額十兆二千三百九十四億円の地方交付税については、今後御指摘のような所得税の歳入の予算補正措置がとられる場合におきましても、ぜひとも確保していくことが必要であると考えております。
 いずれにせよ、今後とも地方団体の健全な財政運営に支障が生じないよう適切に対処してまいる所存でございます。
#16
○石渡委員 地方交付税法改正法案のみが成立いたしましても、地方税法改正法案や所得税法等改正法案が成立しないと各地方団体への普通交付税額の決定ができないということでありますが、その理由をお尋ねいたします。
#17
○矢野政府委員 自治大臣が毎年度地方団体に交付すべき交付税の額を決定するに当たりましては、まず交付税の総観が確定しておるということ、それから基準財政需要額及び基準財政収入額の合理的な算定をなし得るということ、これが必要条件でございます。
 このうち、交付税総額の確定及び基準財政需要額の算定につきましては地方交付税法の成立によってできるわけでございますが、基準財政収入額の算定につきましては、これは地方税制でございますので、地方税法の改正が成立をしなければならぬわけでございます。
 今回、利子課税の創設あるいはたばこ消費税の改正などを御提案申し上げておるところでございますが、地方団体の基準財政収入額の合理的な算定を行いますためには、これらを内容といたします地方税法改正案等が決まっておるということが必要でございまして、それらがあわせて成立をしない場合には、普通交付税の算定ができない状況に置かれることになりますので、この点御理解を賜りたいと存じます。
#18
○石渡委員 次に、地価高騰問題についてお尋ねをいたします。
 東京を初めとする大都市の地価は、この一、二年異常な高騰を続けておるわけであります。六十二年四月一日の地価公示価格によりますと、東京都平均の対前年地価変動率は商業地で七四・九%、住宅地で五〇一五%という常識を超えた数値を示しておるわけであります。この傾向は全国の大都市へと波及しつつあるわけであります。この結果、庶民の住宅取得は極めて困難になりつつあり、公園や道路等の社会資本整備にも大きな制約となっており、国民生活にはかり知れない影響をもたらしておるわけであります。
 地価対策につきましては、地方自治体、特に東京都はでき得る限りの施策を講じ、その鎮静化に努力を払っております。例えば埋立地の開発による用地の供給や土地取引に当たっての価格指導、土地信託の採用等がその例であります。しかし、自治体としてとり得る施策にはおのずと限界があるわけであります。土地対策は国土利用計画を初めとして土地税制、金融規制、どれ一つとってもすぐれて国政レベルの問題であると言えるわけであります。その意味で、現在進められている臨時行政改革推進審議会での審議結果に期待をするとともに、土地問題に対する政府の抜本的な取り組みを強く要望いたすわけであります。
 そこで、とりあえず地方自治体にとって緊急な事項である次の三点について、自治大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
 第一は、固定資産税、都市計画税についてであります。
 地価の異常な高騰が固定資産税や都市計画税にそのまま反映されることになるならば、自己の住宅に住んでいるだけでそこから収益を期待できない人たちにとっては、その負担は著しく厳しいものになるわけであります。大都市の特殊事情を固定資産税等の評価に持ち込まないで済むような制度の確立が必要だとも考えます。なお、この点については同趣旨の要望が東京都や都議会から自治大臣あてに出されていると聞いておるわけでございますけれども、御所見をお伺いいたします。
#19
○津田政府委員 固定資産税の評価の問題でございます。御指摘は、特定の地域に相応するような評価というものを考えたらいかがか、このような御提案かと思います。
 固定資産税の評価につきましては、やはり固定資産税の全国的な税負担の公平という点から考えますと、評価というものは統一的にやらなければならない、こういう性格を持っておるわけでございまして、全国各市町村を通じて統一した評価方法によるべしということが、昭和三十六年固定資産評価制度調査会の答申を通じまして現在のような制度になっておるわけでございます。
 そういう意味で、特定の地域あるいは団体のみに適用する特別の評価制度を設けることは困難でございますが、実はこの評価基準には正常価格というもので評価しろということになっておるわけでございます。そして運用につきましても、一般に売買実例は買い急ぎによる割高の価格の売買があるので、この場合において、買い急ぎをしない場合において成立する売買価格によって評定すること、あるいは将来における期待価格が含まれている場合においてはこれを含めないで評定すること、こういう運用も実は行われておるわけでございまして、これは一般的には書いてございますが、今回の大都市を中心といたします異常な土地騰貴という場合には、御承知のとおりいわゆる買いかえ特例を利用して買い急ぎということで通常の値段以上に買うとか、あるいは容積率だとか建ぺい率が将来緩やかになるであろう、そういうものを見越して、将来におきます期待価格を含んだ売買実例があるかと思います。そのような場合におきましては、現在の評価基準におきましてもそういう実例は排除して、そういうものでない正常な状態で評価すべし、こういう扱いにされておるわけでございまして、現在各団体と私ども協議しておるわけでございますが、特に大都市におきまして固定資産の評価に当たる方々には、このような点を十分周知徹底させて調整を図っておるわけでございます。
 そして、最終的な固定資産税負担の問題につきましては、政府税調の答申にございますように、多くの納税者に対して毎年課税される、こういう固定資産税の性格というものを十分わきまえまして、負担の急増を緩和するための措置と配慮をしてまいりたい、このような方針で現在作業を進めておるような状況でございます。
#20
○石渡委員 固定資産税の評価がえについては、ひとつ慎重に対処を心からお願いをいたすわけであります。
 第二は、国有地や旧国鉄用地の処分についてであります。
 国有地等の処分は、周辺の地価形成や土地利用に大きな影響を及ぼします。そこで、その処分に当たっては基本的に地元地方公共団体の利用構想等と十分な調整が必要であり、また極力地域の実情に沿った利用が図られるべきであると考えるわけであります。特に、一般競争入札によって処分することは高値売却につながるおそれが多分にあり、周辺の地価にも悪影響を与えることになるわけであります。自治体からは、売却に当たっては一般競争入札によらない方法で処分してほしいという要望が出されておると聞いておるわけでありますが、御所見をお願いいたします。
#21
○葉梨国務大臣 今先生言われましたように、国有地とか旧国鉄用地につきましては、町づくりとかあるいは都市開発等に重要な位置を占めるものが多いわけでございます。国有地につきましては、公用、公共用優先の原則がございまして、関係地方公共団体への随意契約による優先譲渡がされることとなっております。また、旧国鉄用地につきましても、公共用あるいは公用等に供するための用地については地方公共団体への随意契約による譲渡が可能となっているわけでございます。民間に譲渡される場合につきましても、当該地区の土地利用計画等と十分に整合性を持って譲渡されるように期待をしているということでございます。
#22
○石渡委員 ただいま自治大臣からお答えをいただいたわけでありますが、地方公共団体から譲渡の希望があった場合に、たとえ明確な利用計画がなくてもその意向にこたえてほしいという強い要望があることをお伝えしておきたいと思います。
 第三は、市街化区域内農地の宅地並み課税についてであります。
 宅地の供給策の一つとして、市街化区域内にまだ相当残っている農地について宅地並み課税を強化し、農地を宅地に転用させるべきであるという考え方があります。また一方では、市街化区域内農地は都市に対する生鮮野菜の供給基地、緑やオープンスペース、防災空地としての役割等都市にとってなお貴重な存在である、極力保全すべきである、たとえ宅地化するとしても十分な基盤整備を行うことが先決であるという意見もあるわけでございまして、この複雑な問題について自治大臣はどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。
#23
○葉梨国務大臣 市街化区域内の農地の宅地並み課税につきまして、現行制度は昭和五十七年に土地税制全般にわたる見直しの中で新しく行われたものでございまして、土地の供給促進という課題と農業経営を継続したいという二つの課題の調整策としまして、長期安定的な税制改正の一環として創設されたわけでございます。
 現行制度、長期営農継続農地という制度でございますが、この適正な運用につきましては、従来から自治省としては地方団体を指導してまいりましたが、この長期営農継続農地に対しまして、農地課税を超える税額については徴収猶予の優遇措置がございます。この運用実績等につきまして最近調査結果がまとまりましたので、この調査結果をよく検討しまして、先般経済対策閣僚会議において決定された緊急経済対策の趣旨に沿って対処してまいりたいと考えております。
 なお、今後の市街化区域内農地に対する宅地並み課税のあり方につきましては、農業をまじめにやっている方に対する配慮を行うと同時に、宅地供給促進の要請がございます。また、土地利用のあり方とか都市における緑地等をどうやって確保するか、あるいは都市施設の整備等の状況との関連などいろいろな面から多角的に検討を進めまして、また各界の御意見も承りながら、あり方を検討していくべきであると考えておるところでございます。
#24
○石渡委員 次に、東京の地下鉄十二号線についてであります。
 本事業は、自治、大蔵、運輸の各省にかかわる事業であります。また、都庁舎移転という都政の命運をかけた都市大改造にもかかわり、一千二百万都民はもとより、首都圏住民生活に及ぼす影響も、交通、経済、消費等非常に大きな問題であり、より幅広い取り組みが必要と考えるものであります。
 運輸政策審議会は、一昨年の七月に、昭和七十五年を目標とした東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について答申しました。二十一世紀に向かって東京が名実ともに世界都市になっていくためには、公共交通網の整備は不可欠の課題であります。答申が取り上げた整備計画はいずれもその実現が望まれるところでありますが、中でも第二山手線と言われる東京十二号線の新設は、東京の都市構造を職と住の均衡がとれた多心型に再編していくものとして、その早期建設が強く期待されているものであります。
 十二号線は、東京都の試算によりますと、総額八千四百九十億円、環状部だけでも五千八百五十億円を要するビッグプロジェクトであります。我が国の現下の最重要政策課題とも言うべき内需拡大の面からも極めて効果の高い事業であり、この点からも早期着工が図られるべきものだと考えます。
 この路線の免許を持つ東京都においては、元運輸事務次官、現JR東日本社長の住田氏を会長とする調査会から、早期建設の必要と、それを実現していくための諸方策について提言を受け、その具体化に向け意欲的に取り組んでいるところであります。
 また、その中で、十二号線環状部については、早期に全線同時開業を図るため、第三セクターを設立して建設を行わせる検討を進めていると聞いておるわけでありますが、このことも政府が進めている民間活力の活用に合致するものだと考えるわけであります。
 以上のことから考えますと、十二号線については、これがビッグプロジェクトであるだけに、政府としても助成のあり方を初め検討を要する問題は多々あろうかと存ずるわけでありますが、これを推進する立場から、東京都を全面的にバックアップをしていくべきであると考えるわけでありますが、御答弁をお願いをいたします。
#25
○葉梨国務大臣 地下鉄東京十二号線につきましては、先生から今いろいろお話がございましたが、ただいまは放射部の一部につきまして東京都の直営事業として着工されていると聞いております。東京都におきましては、その積極的な推進を図るため、今先生がおっしゃいましたように、昨年の四月、東京都が調査会を設置して検討を行ってきたところでございます。
 この調査会からは、環状部の早期建設を図るという観点から、都が出資する第三セクターが建設した上で、都がその譲渡を受けて経営することなどを骨子とします調査結果が示されております。これに基づきまして、都においては第三セクターの設立など建設に向かっての準備が進められているところでございます。
 事業の推進に当たりましては、早期に全線同時開業を図るための体制とか建設資金の具体的な調達方法、あるいは国や都の助成措置のあり方、開発利益の吸収方法など、調整を要する問題点がまだ数多く残されているわけでございます。
 東京十二号線につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、首都機能の強化のため極めて重要なプロジェクトであると認識しておりまして、関係省庁とも十分協議しながら、事業が円滑に推進されるよう協力してまいりたいと考えております。
#26
○石渡委員 御答弁を賜ったわけでありますが、御承知のように、電車によります通勤地獄、あるいは高速道路等を中心にした道路交通の麻痺、このような問題が東京の抱える大きな問題であり、都市問題だけではなくて心理的な、あるいは精神的ないろいろな意味の文化というようなものが失われていくということを大変危惧するわけであります。
 いろいろこの解決策には、それぞれ努力を重ねておるところだというふうに思うわけでございますけれども、この十二号線の問題はその大きな解決の決め手になると私どもは信じておるわけでございまして、今後ともより一層の御協力、御尽力を賜りたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
#27
○石橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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