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1987/07/30 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 本会議 第8号
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1987/07/30 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 本会議 第8号

#1
第109回国会 本会議 第8号
昭和六十二年七月三十日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和六十二年七月三十日
    午後一時開議
 第一 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措
    置法の一部を改正する法律案(第百八回
    国会、福島譲二君外四名提出)
 第二 電気工事士法及び電気工事業の業務の適
    正化に関する法律の一部を改正する法律
    案(商工委員長提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 水俣病の認定業務の促進に関する臨
  時措置法の一部を改正する法律案(第百八回
  国会、福島譲二君外四名提出)
 日程第二 電気工事士法及び電気工事業の業務
  の適正化に関する法律の一部を改正する法律
  案(商工委員長提出)
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
  律案(第百八回国会、内閣提出)及び防衛庁
  職員給与法の一部を改正する法律案(第百八
  回国会、内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(原健三郎君) 御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員關谷勝利君は、去る六日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において昨二十九日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに内閣委員長の要職にあたられた關谷勝利君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#4
○議長(原健三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 石破茂君、木村義雄君及び北川正恭君から、八月四日から十二日まで九日間、山花貞夫君から、八月七日から十七日まで十一日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 水俣病の認定業務の促進に関する
  臨時措置法の一部を改正する法律案(第百
  八回国会、福島譲二君外四名提出)
#6
○議長(原健三郎君) 日程第一、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。環境委員長林大幹君。
    ―――――――――――――
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の
  一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔林大幹君登壇〕
#7
○林大幹君 ただいま議題となりました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、水俣病の認定業務の実施状況にかんがみ、旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法による申請者が環境庁長官に対して認定の申請をすることができる期限を、昭和六十五年九月三十日まで三年間延長するとともに、新たに公害健康被害補償法施行後五年以内の同法による申請者等を適用対象に加え、環境庁長官に対して、昭和六十五年九月三十日まで認定の申請をすることができることとしたものであります。
 本案は、第百八回国会において、五月二十日に本委員会に付託され、同月二十二日提出者福島譲二君から提案理由の説明を聴取し、今国会に継続されたものであります。
 今国会におきましては、七月二十八日に質疑を終了し、本案について内閣の意見を聴取しましたところ、稲村国務大臣より、異存はない旨の意見が述べられました。
 次いで、採決を行いましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#10
○議長(原健三郎君) 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第二 電気工事士法及び電気工事業の業
  務の適正化に関する法律の一部を改正する
  法律案(商工委員長提出)
#12
○議長(原健三郎君) 日程第二、電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。商工委員長佐藤信二君。
    ―――――――――――――
 電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に
  関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔佐藤信二君登壇〕
#13
○佐藤信二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、一般家庭等に設置される一般用電気工作物については、電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に関する法律によって、その保安の確保が図られております。しかしながら、これら両法律の規制対象となっていないビル、工場等に設置される自家用電気工作物の現状を見ますと、電気工事段階での作業不良に起因して、広範囲な停電を誘発する事故が多発いたしております。このような事態を放置することは、高度情報化社会を迎え、極めて高い質の電気供給を必要とする我が国経済社会にとって重大な問題であり、早急な対応が強く要請されているところであります。
 本案は、このような事態に対処し、自家用電気工作物の電気工事段階での保安を抜本的に強化する必要があることにかんがみ、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党の合意に基づき起草案を得、七月二十九日全会一致をもってこれを成案とし、商工委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
 まず、電気工事士法については、
 第一に、自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事する者を、第一種電気工事士その他の有資格者でなければならないものとすること、
 第二に、現行の電気工事士を一般用電気工作物に係る電気工事の作業のみに従事できる第二種電気工事士とし、新たに自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事できる第一種電気工事士の資格を設けること、
 次に、電気工事業の業務の適正化に関する法律については、
 第一に、自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営もうとする者に対して、事業開始の事前通知を義務づけること、
 第二に、電気工事業者に対し、自家用電気工作物に係る電気工事については、第一種電気工事士の使用を義務づけること、
 次に、法律の施行日及び経過措置については、
 第一に、法律の施行日を公布の日から一年後とするとともに、自家用電気工作物の工事に従事する者を第一種電気工事士等に限定すること等については、法施行日から二年間は適用しないこと、
 第二に、現在、電気工事士の資格を持っている者等について、一定の条件を満たした場合、第一種電気工事士の資格を取得することができるものとすること等であります。
 以上であります。
 何とぞ、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(第百八回国会、内閣提出)及び防衛
  庁職員給与法の一部を改正する法律案(第
  百八回国会、内閣提出)の趣旨説明
#16
○議長(原健三郎君) この際、第百八回国会、内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣栗原祐幸君。
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#17
○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊二百三十九人、航空自衛隊二百六十七人、統合幕僚会議四人、計五百十人増加するものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。また、統合幕僚会議については、日米防衛協力の推進等のためのものであります。
 次いで、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官千人、海上自衛隊の予備自衛官二百人、航空自衛隊の予備自衛官三百人、計千五百人を増員するものであります。
 次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、予備自衛官手当について、その月額を現行の三千円から四千円に改定するものであります。現行の月額は、昭和五十四年に定められたものでありますが、その後の経済情勢の変化等にかんがみ、これを改定することとしたものであります。
 以上が防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(第百八回国会、内閣提出)及び防衛
  庁職員給与法の一部を改正する法律案(第
  百八回国会、内閣提出)の趣旨説明に対す
  る質疑
#18
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。船田元君。
    〔船田元君登壇〕
#19
○船田元君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について断固として賛成する立場から、また、我が国の防衛、安全保障の基本にかかわる諸点について、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)
 我が国の独立を維持し、平和と安全を守ることが国家として最も重要な責務であることは申し上げるまでもありませんが、さらに、国際社会における西側陣営の一員としての我が国の地位が著しく高まった今日、世界的視野に立って国際社会の平和と安全の強化に貢献することが我が国に強く求められております。
 まず初めに、国際情勢に関して伺います。
 現下の国際情勢は、軍備管理・軍縮交渉への努力が続けられておりますが、ソ連の一貫した軍事力増強と、これを背景とした勢力拡張の動きや地域的紛争の継続により、依然として厳しいものがあると思われます。こうした中で、東西両陣営の間ではさまざまな核軍縮の提案が行われ、軍縮のための努力が続けられております。しかしながら、従来、東西間の核軍縮交渉では、ヨーロッパ地域での核兵器削減問題が大きな焦点となり、極東地域における核兵器削減の問題が取り上げられることは少なかったと思われます。しかし、先ごろレーガン大統領が主張していたINFの地球規模のダブル・ゼロオプションにソ連側が歩み寄る姿勢を見せたと言われております。我が国としてはこの問題は極めて重要であり、今後とも注目していかなければなりませんが、これら核軍縮交渉に対する総理の基本的認識を伺います。
 また、これに関連して、我が国周辺、極東における軍事情勢、特に極東ソ連軍の動向について、防衛庁長官の認識を伺います。
 また、核軍縮に関連して米国が推進している戦略防衛構想、いわゆるSDIは、それ自体非核の兵器であり、また究極的な核兵器の廃絶を目的とするものであって、西側陣営全体の安全保障にとっても極めて重要であります。このような意味から、先ごろ我が国と米国との間で、SDIへの我が国の研究参加に関する政府間取り決めが結ばれたことは、世界の核軍縮に対する我が国の貢献という点から画期的な意義を持つものと考えますが、この問題に対して総理及び防衛庁長官はどのように評価されておられるか、伺います。
 先般のいわゆるココム違反事件は、西側陣営の一員としての我が国の地位が著しく高まり、国際社会の平和と安全の強化に貢献することが我が国に強く求められている中での出来事であり、西側陣営全体の安全保障にとって極めて重大かつ深刻な打撃を与えた上に、何よりも我が国の西側陣営の一員としての信頼と威信とを傷つけることになり、まことに遺憾であります。
 そこで、まず、この問題に対する総理の基本的認識を伺います。
 また、今後このような事案が再発することは絶対に防止しなければならないと思いますが、今後再発を防止するためにいかなる措置をとるのか、伺います。
 さらに、この問題は、潜水艦探知能力との関係で我が国自身の防衛にとっても極めて重大な問題であると思われますが、このような点から、防衛庁長官に対し、この問題に対する基本的認識及び今後どのように対応されるかについて伺います。
 次に、防衛力整備の問題について伺います。
 政府は、本年一月、従来のいわゆる防衛関係費GNP一%に関する閣議決定を廃止し、新たに今後の防衛力整備に係る新たな指針についての閣議決定を行いましたが、これは今後の防衛力整備の指針としてまことに適切なものであり、評価すべきものであります。
 そこで、まず、この閣議決定を踏まえ、今後どのような基本的考えに基づき防衛力整備を進めるのか、防衛庁長官の基本的考え方を伺います。
 また、今後の防衛力整備に関連して、防衛庁長官は先ごろ「昭和六十三年度業務計画の作成に際して指針とすべき事項に関する長官指示」を出されましたが、その中で「護衛艦の対空ミサイル・システムの性能向上について検討の上、必要な措置を講ずる。」とされておりますが、検討の現状と今後の見通しについて伺います。
 さらに、「支援戦闘機(F−1)の後継機の整備について検討の上、必要な措置を講ずる。」とされております。このいわゆる次期支援戦闘機FSXの問題は、今や単なる機種選定の域を超え、日米間の大きな問題となりつつあるように思われますが、FSXの検討の現状と今後の見通しについて防衛庁長官に伺います。
 ところで、栗原長官は、御着任以来、防衛力の整備に当たっては正面と後方のバランスに特に留意されておられると承知しております。この考え方には私も賛意を表するものでありますが、後方のうちで隊員の処遇の現状について見ますと、隊舎、宿舎を初めまだまだ改善に努力すべき点が残されていると考えております。
 今回提案されている法律案においても、予備自衛官手当の単価の改定を内容の一つとしております。隊員の処遇改善の問題が一朝一夕に解決できるものでないことは私も理解はしております。良質隊員を確保し、精強な自衛隊を目指すためには、隊員に対する施策が部隊の隅々にまで行き届いていなければなりません。装備品がいかに進歩し、近代化しても、これを使用するのは自衛隊員であり、精強な自衛隊にとって人の要素は極めて重要であります。栗原長官がこれまで隊員の処遇改善について努力を重ねてこられたことは十分承知いたしておりますが、改めて本問題に対する栗原長官の御所見を承りたいと思います。
 我が国の平和と安全は、ひとり自衛隊のみで全うし得るものではなく、防衛問題に対する広範な国民の理解と支持に立脚すべきものであり、戦後四十余年を経過した今日、国民の大多数は我が国の防衛政策に対する理解と支持とを表明していると考えます。
 最後に、我が国の防衛政策に対し今後国民の一層の支持と理解を得るという防衛にとって最も基本的な問題についてどのように総理は考えておられるか、御見解を承りたいと考えます。
 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 船田議員にお答えをいたします。
 まず、米ソ軍縮交渉の基本的認識の問題でございますが、最近の情報によりますと、米ソ間で行われておる軍備管理交渉におきまして、米ソ間で初めて現存の核兵器を大幅に削減する結果をもたらす協定をつくろうとする動きが顕著に見えまして、特にINFの問題について明るさが出てきたことはまことに御同慶の至りでございます。我々は、合理的な基準のもとに早期にこれが妥結されることを強く希望しておるものでございます。
 特に我が国として重大関心を持った問題は、ソ連がINFの廃止問題についてアジアに百を残す、そういうような考え方が一部報道されましたが、それについては、相次ぐ国際会議あるいはサミットにおきまして、アジアの犠牲においてヨーロッパがゼロになるということは許されない、アジア、ヨーロッパは平等にゼロでなければならないという主張を強くいたしまして、それがようやく受け入れられる可能性が顕著に出てまいりまして、アジアもヨーロッパもゼロという形になりつつあることは、我々としてはこれに対して評価するものであり、このようなことについて懸命な努力をされた米国の粘り強い交渉努力について、我々は敬意を表するものでございます。
 しかし、このような結果が今や出つつあるという背景はどこにあるかということを考えてみますと、これは一日にして成ったものではございません。考えてみますと、ソ連はSS20を大量にソ連領域内等に展開をいたしました。それによって西欧の防衛が危機に瀕しまして、NATO諸国は一九七九年に、それに対抗するために、ソ連がもしSS20を撤去しなければ、一九八三年の十二月末までに西側諸国はパーシングU及び地上発射巡航ミサイルを展開するという共同決定を行ったのでございます。それに対して、ソ連は猛烈な平和攻勢をやりまして、それを展開させないためのあらゆる努力を払ったのは御存じのとおりであります。
 そして、一九八三年のアメリカにおけるウィリアムズバーグ・サミットにおきまして、十二月が迫ってまいりまして、このサミットが非常に重要な場になったわけでございます。このサミットにおきまして、我々西側諸国は結束いたしまして、ソ連側が撤去しない限りは予定どおり十二月にパーシングU及びクルージングミサイルを展開するという決定を確認したのであります。
 これが一つの分かれ目であったと思います。このような決然たる態度を持してそれを実行いたしました。その結果、性能のいいアメリカのパーシングUが展開されたという結果も受けまして、ソ連側は、いろいろその後考えまして、それでは両方やめてしまおう、そういう議が動いてきたのであります。そして、御存じのように、レイキャビクにおきまして、ICBMを五〇%減らす、あるいは長距離INF、つまり千キロから五千キロの距離にわたるINF、パーシングUとかあるいはSS20がそうですが、これもやめよう、しかし、そのときに、アジアに百残そうということが議論されたようでございます。それと同時に、五百キロから千キロにわたる短距離INFについてもやめようではないかという、いわゆる幻の合意なるものがレイキャビクで行われました。
 しかし、その後、非常に不安定な時期を経まして、ソ連側もいろいろ検討もしたのでございましょう、いずれにせよ、最近こういう結果が出てきましたことは、やはり我々がここで主張しましたように、軍備管理というものは同じカテゴリーのものでその交渉は行われているということ、それから、同じように見合ってレベルダウンをしていく、そういう形で交渉が進められていることは確認されたと思うのであります。
 しかし、このような結果が出てきたことは、ゴルバチョフ政権の出現によるソ連の諸般の改革政策、レーガン大統領の軍縮に関する熱意及び我々西側同盟の結束、そういうような結果がここに生まれたのでございまして、我々がたどってきた道は正しいということをここで確認するものなのであります。(拍手)
 今後は検証の問題が残っております。あるいは廃止するそのINFの換装の問題等が残っておりますが、これらについても我々は重大なる関心を持って見守ってまいります。
 SDIの問題につきましては、前から申し上げましたように、レーガン大統領は非核の高度の防御システムによって長距離弾道弾を無力化して、究極的には核兵器のない世界をつくろう、非核の防御兵器体系に転換しようという画期的な発想を持ったわけでございます。我々は、これは我が国の平和憲法に背馳するものではないので、これを支持してきたものでございます。そういう意味におきまして、今後ともこのSDIの問題につきましては深甚の注目を払いつつ、先般ここで申し上げましたように、日本の研究参加の問題についても、我々は慎重にこの問題に対処してまいりたい、そう考えておるわけでございます。
 次に、ココム違反事件に関する問題でございますが、今度の東芝事件はまことに遺憾な事件でございまして、このこと自体が我が国を含む自由主義世界全体の安全保障上の重大問題を惹起したというふうに考えておりますが、それ以上に我が国の安全保障自体に対する重大なる危害を与える可能性を持っておるのでありまして、そういう意味においては、我が国民に対する重大なる背信行為を行ったということを我々は考えなければならぬのであります。我々は、この問題につきましては、現在、政府、党を挙げまして対処する対策を講じておりまして、近く外為法の改正等一連の措置を御提案申し上げる次第でございます。
 なお、そのほかに、防衛庁を含む閣僚会議の設置あるいは各省の局長レベルの連絡会議等々、我々としても最善を尽くした措置をやりまして、違反のなきように今後とも重大監視を進めていくつもりでございます。
 次に、我が国の防衛政策と国民の御協力の問題でございますが、平和と安全を守り、かつ我々の独立を保障するというこの防衛の問題については、国民の御協力が不可欠でございます。日本の防衛は自衛隊のみによって行われるものではなくして、国民の御支持、それと同時に、外交政策等を含む広範な総合安全保障のもとにこれは完遂されなければならない、自衛隊はその一部である、そう考えまして、自衛隊の充実に努力してまいります。もとより、我々が憲法のもとに節度ある防衛力を築いていくということは申し上げているとおりでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#21
○国務大臣(栗原祐幸君) 船田さんにお答えをいたします。
 今、総理からお話がありましたとおり、INF等につきましては明るい兆しが出ておりますけれども、しかし、御指摘の我が国周辺あるいは極東ソ連軍、そういうものに対する認識というものはやはり厳しいものがあると思います。
 我が国周辺では、米ソ、中ソ、朝鮮半島における南北の対峙、そういう問題がございますし、極東ソ連軍について言うならば、杉並びに非核を含めまして、通常兵力まで含めまして、ソ連軍の四分の一から三分の一というものが増強され、かつ質のいいものができてきておる、こういう事態は御案内のとおりでございます。しかも、我が国の北方四島におきましても御案内のような状況でございまして、私どもはソ連のかかる行動に対しまして重大な関心を持っているところでございます。
 次に、SDIでございますが、これは総理大臣からお話のあったとおりでございまして、私はそれなりの評価をしておるわけでございます。
 次に、ココムの違反問題でございますが、これも総理からお話がありましたけれども、これは西側陣営の安全保障ということよりも、まず最初に日本自体がこれに対して重大な関心を持たなければならないと思います。そういう意味合いにおきまして、防衛庁等におきましても、対潜探知能力につきましては重大な関心を持って今いろいろと考えているところでございますが、先般ワインバーガー長官が参りまして、総理との間で、日米安保条約の枠の中でお互いに協力し合っていく、こういう合意ができました。その事務的なものとして、今ハワイの方へ海上自衛隊の方から代表者が行っておる、そういう状況でございます。
 それから、今後の防衛力整備の基本的な考え方ということでございますが、これは私が機会あるごとに申し上げておりますが、いわゆる「防衛計画の大綱」の水準を達成する、そのときに中期防というものをつくって、その中期防を計画的、継続的にやっていく、後方と正面とのバランスをとっていく、本当に充実した自衛隊というものをつくらなければならぬということでやっておりますことを御承知おきいただきたいと思います。
 次に、護衛艦の対空ミサイルシステムの性能向上でございますけれども、これは御案内のとおり、最近における航空機の性能向上や長射程のミサイルの出現等を考慮いたしまして、中期防において「護衛艦の対空ミサイル・システムの性能向上について検討の上、必要な措置を講ずる。」というようになっております。今検討の最中でございまして、この段階で結論を出すということはできないのでございまして、御了承いただきたいと思います。
 それからFSXでございますけれども、これも御指摘のとおり大変重大な問題でございます。防衛庁といたしましては、今まで申し上げたとおり、米国との共同開発を含む開発、現有機の転用及び外国機の導入、三つの選択肢でやっておりますが、これをやる場合には一つの原則がある。それはどういうことかというと、客観的に見て防衛的あるいは軍事的にすぐれたものでなければならない、それから、日米安保ということがありますから、少なくともアメリカの国防総省の理解を得られるものでなければならない、もう一つは日米の防衛産業の圧力には屈しない、そういう観点からやっておりますが、今検討中でございまして、いつ結論を出すというところまで行ってないことを御承知おきいただきたいと思います。
 最後に、隊員の処遇改善でございますが、まさに御指摘のとおり、装備だけでは意味をなさない。装備を使いこなせるのは人間であります。そういう意味合いでは、隊員の質を向上する、そのために隊員の生活環境その他を十分に考慮するということは当然のことでございまして、私は、今後も御支援をいただきまして懸命な努力を続けたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(原健三郎君) 上原康助君。
    〔上原康助君登壇〕
#23
○上原康助君 私は、ただいま趣旨説明がなされました防衛関係法案に対し、日本社会党・護憲共同を代表して、中曽根総理初め関係大臣に質問いたします。
 本論に入る前に、昨日のロッキード裁判控訴審判決について伺います。
 公務員の最高地位にある総理大臣の犯罪として、田中元首相に対し再び実刑判決が下されました。元首相の盟友として、中曽根総理はどのように受けとめておられるのか。抜本的な政治倫理確立のための措置とあわせて明確な答弁を求めます。
 初めに、私は、我が国防衛力整備の基本にかかわる「防衛計画の大綱」と中期防衛力整備計画の関係についてただしてみたいと存じます。
 総理、政府は、一九七六年十月に、ポスト四次防として基盤的防衛力構想という新しい考え方を取り入れた「防衛計画の大綱」を閣議決定いたしました。そして今日までこの大綱に基づいて防衛力の整備がなされてきましたが、大綱の基本ともいうべき基盤的防衛力構想は完全になし崩しにされてきたと言わざるを得ません。
 この構想の特徴は、脅威対応論の立場をはっきりと否定した防衛戦略であります。ところが、中曽根内閣は、一方で基盤的防衛力構想を堅持すると言いながら、実質的には米国の対ソ戦略を後押ししながら脅威対応論に立った防衛力の整備を進め、大綱にある正面装備の整備目標などいわゆるうまみのある部分だけを中心に、防衛力の増強を図ってきたことは紛れもない事実であります。
 本来、基盤的防衛力構想、「防衛計画の大綱」、防衛費の一%枠は三位一体の関係にあり、これらが防衛戦略、防衛政策、防衛コストを形成して、防衛力の肥大化を抑える歯どめの役割を果たすべきはずであったのであります。ところが、中曽根内閣は、軍備増強への足かせとなっていたこの三位一体の歯どめを取り払うためにあらゆる手段を駆使してきました。その結果が、一%を破棄したことであり、残りの基盤的防衛力構想や「防衛計画の大綱」をも公然と放棄することを画策したのであります。
 そこで、次の基本的な諸点をただしておきたい。
 その一は、我が国の防衛力整備の基本は何かということです。政府は現在でも基盤的防衛力構想を遵守しているのか。目標としている防衛力の整備は平和時の防衛力以上のものを目指しているのか。
 その二は、政府はこれまで、大綱水準の達成が目標で、別表を含む大綱の見直しは考えないとの見解を繰り返し強調してきましたが、一九八五年九月閣議決定された中期防衛力整備計画は、質、量、予算面とも明らかに大綱を上回っております。したがって、大綱は実質上改定されたものと見るのが妥当ではないのか。それを否定するならば、そもそも達成すべき大綱水準とはいかなるものなのか。さらに、政府は、中期防後も大綱は見直さないと確約できますか。
 その三は、中期防で防衛力整備のあり方を再び五年間の総額明示方式に切りかえた理由は何か。また、五年間の総額十八兆四千億円を確保するためには、防衛費の平均伸び率は七・九%と試算されている。目下の財政経済状況下で、引き続きこの防衛費の突出が可能か。総額の減額修正も考えておられるのか、それとも総額をさらに上回ると見ているのか。
 その四は、中期防以降、すなわち一九九一年からの防衛力整備のあり方をどうするのか。引き続き五年間の総額明示方式をとるのか、それとも単年度方式に戻すのか。
 その五は、軍事費の定量的歯どめの必要性を認め、再びGNP一%枠を尊重していくお考えがあるのか。当面、次年度の防衛予算をいかように考えておられるのか。大蔵省はいうところの六・七%要求を認めるおつもりなのか。
 以上の諸点について、明確かつ具体的な答弁を総理並びに関係大臣に求めます。(拍手)
 次に、中期防衛力整備計画と防衛改革委員会の研究についてお尋ねいたします。
 現在、防衛庁が防衛改革委員会のもとに設置している洋上防空体制研究会及び陸上防衛態勢研究会と中期防とはどのような関係にあるのか、またこの二つの研究会はどのような研究を行なっておるのか、明らかにしていただきたい。いうところの三自衛隊の基幹部隊の再編・統合等もやろうとしているのか。
 また、大綱には洋上防空という概念はなかった。これは中期防に初めて登場した概念であります。防衛庁は、この洋上防空確保のため、シーレーン防衛の一層の拡大、そのためのP3Cの百機体制、OTHレーダー、早期警戒機の導入、要撃機の追加、エイジス護衛艦など巨額を要する装備の調達を計画しております。これらの高価な攻撃的兵器を次々と装備しようとすることは、大綱水準を大きく逸脱しているばかりか、専守防衛の枠組みを踏み越え、憲法をも全く否定した集団的武力行使への道を開く際限なき軍拡路線にほかなりません。政府は、大綱と中期防のこれらの矛盾点をいかように説明しようとするのか、総理と防衛庁長官の御見解を求めるものであります。
 さて、中曽根内閣誕生後、五年近い今日までの政治の足跡は、文字どおり日米の軍事同盟を強化しつつ、東側陣営を敵対視し、日本の軍事強化に一段と磨きをかけようとするものでしかなかった。このことは、しばしば指摘されてきましたように、国民生活と密接にかかわりのある予算は軒並み大幅に削減しながら、軍事費だけは実に三六%も異常なほど突出させてきたことを見ても明らかであります。
 そして、中曽根内閣の致命的軍拡志向は、日本が軍事大国にならないあかしとして、三木内閣が一九七六年に決定し、自来十年にわたって堅持され国民的合意となっていた防衛費の対GNP一%枠をしゃにむに突破させたばかりか、宇宙への核軍拡をもたらす米国のSDI計画への参加、米国内へのINFの新たな配備提案、対米武器技術供与の緩和、軍事機密を盾にした国家秘密法の制定促進など、日本の目指すべき平和福祉国家にことごとく逆行して、日本の軍事大国化と対米追随の諸政策をとってきたではありませんか。
 また、今日見られる米国の膨大な財政・貿易赤字は、日米間の経済摩擦、貿易不均衡のみで生じたものではないのであります。これは積年の米国自体の内政、財政、外交面の諸政策の失政にも大きく影響していることは明らかであります。米国政府と議会は、円高・ドル安問題を初め、みずからのやるべきことを棚に上げて、目に余る日本たたきを反復していることを断じて黙視するわけにはまいりません。(拍手)
 日本国民は、米側の言い分に耳を傾ける見識と冷静さを持つべきだが、議事堂前に報道関係者を集めて、日本の電化製品をたたき壊す愚劣な行動を容認したり、内政干渉がましいことをされても、なお米側の言い分のみを受認するほど愚直であってはならない。
 安保体制やココム違反を質にした米国のこのような対日姿勢は、歴代自民党政府、とりわけ中曽根内閣の過分な対米約束と決して無関係とは言えないのであります。(拍手)次期FSX問題など、軍事、経済面で次から次と対日要求を強めている米側の圧力にどう対処していくのか、総理並びに外務大臣の決意のほどを伺うものであります。
 次に、予備自衛官の件についてお尋ねをいたします。
 予備自衛官を千五百人も増員しなければならない理由をもっと説明されたい。あわせて、陸上防衛態勢研究会で検討されている今後の予備自衛官制度の内容についても明らかにしていただきたい。自衛官未経験者を採用することによって予備自衛官の大幅増員をもくろんでいるようだが、その目的は何か。法的措置を含めて明確な答弁を求めます。
 次に、在沖米海兵隊のクラブ従業員の大量解雇問題について重ねてお尋ねいたします。
 既に明らかなように、今回の解雇通告は、すべての在日米軍日本人従業員の雇用の根幹を揺るがす重大問題であり、雇用主である政府の責任も極めて重いと言わなければなりません。しかも、去る一〇八国会で、最近の日米両国を取り巻く経済情勢の変化、すなわち円高・ドル安によって、在日米軍経費、なかんずく労務費が急激に逼迫している事態にかんがみ、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図るためとして特別協定が承認され、新たに百六十五億円余の日本側負担が追加されたやさきであります。したがって、今回の解雇通告は、特別協定の基本理念と政府間合意の信義をも踏みにじる暴挙だと断ぜざるを得ません。
 解雇通告は遺憾であるとか、ウェッブ海軍長官に再検討を求める程度で済ませる問題ではないのであります。なぜ白紙撤回を求めることができないのですか。解雇通告がなされてから既に一カ月にもなんなんとするが、政府はこの理不尽な不当解雇をどのように撤回させようとしているのか、これまでの経過と今後の見通しについて、総理並びに関係大臣の明確な答弁を求めます。
 加えて、政府に何度でも訴えたいことは、復帰して十五年たっても、狭い沖縄に日本全国の米軍専用基地の七五%が集中して存在し、核搭載機B52のたび重なる飛来、激しい爆音、米軍、自衛隊の演習による相次ぐ事件、事故等によって、沖縄県民は今なお軍事基地の重圧に痛めつけられております。
 総理、一体沖縄は国策によっていつまで重い犠牲を背負っていかねばならないのですか。沖縄が日米安保のくびきから解放されるときは来るのですか。せめて、危険きわまる軍事演習やB52の飛来をやめさせるとか、筋の通らない解雇を撤回させる程度のこともできないのですか。総理の誠意ある答弁を求めるものです。
 さて、一歩誤れば大惨事につながる米軍並びに自衛隊による事件、事故が青森県、沖縄県と相次いで起きております。特に沖縄本島周辺は、陸海空ともまさに戦場さながらの様相を呈しております。去る二十三日には、那覇の南東百三十キロの洋上で、マグロはえ縄漁船がミサイルのような爆発物の被害を受ける事件が起きました。自衛隊機と推定されるが、真相はいまだに解明されておりません。それだけでも県民に不安と恐怖を与えたのに、今度はまた、二十七日午後八時過ぎ、那覇の北西約百キロの海上で、マレーシア船籍の貨物船が、米海軍のFA18ホーネット戦闘爆撃機が発射したホーネット弾の被弾を受け、乗組員一人が重傷を負い、船は自力航行ができなくなる事件が起きております。
 総理、相次ぐこの二つの事件は何を物語っているとお考えですか。沖縄の空と海もまだ返還されていないのです。沖縄近海の上空には、沖縄本島を取り巻くように大小十五の米軍訓練空域が設定され、当然のことながら、その影響は海域にも及んでおります。この米軍が訓練をする空域で一部を航空自衛隊が共用している。したがって、自衛隊が加わった分、沖縄の空と海の危険性は復帰前よりも増しているのです。
 しかも、明らかに米軍か自衛隊による事件、事故であるにもかかわらず、因果関係を否定したり隠ぺいしようとする言動があることは、これまた絶対に許せるものではありません。また、自衛隊の事件、事故である場合、制服がびほう策を講じようとする態度は、シビコンの面からも極めて重大と言わねばなりません。危険きわまりない軍事演習の即時中止と真相の解明、沖縄周辺の訓練空域の解放を強く求めるとともに、両事件に対する総理並びに関係大臣の御見解を伺うものであります。
 最後に、総理は、去るベネチア・サミットでINFのアラスカへの新たな配備をレーガン大統領に提案し、そのタカ派ぶりを遺憾なく発揮してみせました。しかし、ゴルバチョフ・ソ連書記長の新提案によってその必要性はなくなりました。このことは、総理のパリティ論理がいかにひとりよがりのものであったかを証明しております。
 総理、今や反核・軍縮は天の声であり、世界人類の切実な要求となっております。被爆国日本の首相として、米国のみに肩入れすることなく、すべての核兵器をこの地球上から廃絶することこそ国際外交舞台でやるべきことではないでしょうか。(拍手)米ソの二大核超大国の果てしない核軍拡競争によって世界を核戦争の恐怖にさらし、自国の経済を破綻に導きつつあることを思うとき、軍備を抑制してきた日本の選択がいかに賢明であったかがわかるし、我が党が果たしてきた役割が大きかったことを物語っております。先行き不安があるとはいえ、今こそ日本はこの崇高な教訓を生かし、憲法の理念に基づいた戦後民主主義体制を持続していくべきであります。
 総理、お得意の日本の国際的役割分担も理解できないこともありませんが、西側、特に米国との軍事同盟による役割分担でなしに、ソ連、中国、朝鮮民主主義人民共和国など体制の異なる諸国とも共存共栄していく道こそ、国際国家日本としての役割でなければなりません。(拍手)米ソの核廃絶、軍縮への機運が高まりつつある今、米ソの包括的軍縮交渉を成功させ、米ソ首脳会談が早期に実現することによって新たな国際平和秩序を確立することこそ、緊急にやるべき重要外交課題だと考えますが、総理並びに外務大臣の御見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 上原議員にお答えをいたします。
 まず、ロッキード判決に関する感想でございますが、判決は厳粛に受けとめまして、政治倫理の向上に一層努力いたしたいと思う次第です。
 我が国防衛力整備の基本方針でございますが、前から申し上げておりますように、平和国家の理念に基づきまして、専守防衛、外国に脅威を与えるような攻撃的兵器を持たない、そして基盤的防衛力整備の方針を基本にして、「防衛計画の大綱」あるいは現在やっておる中期五カ年計画の実施に努力しておるというのが考え方でございます。
 この大綱と中期計画につきましては、前から申し上げておりますように、大綱の具体化が中期計画であり、中期計画をつくりましたのは、総額明示方式によって、これによる歯どめとして明示するという考えに立って行ったものでございます。
 次に、六十三年度の防衛予算の問題でございますが、政府は、本年一月、総合的な見地から十分慎重な審議をした上で、五十一年十一月のGNP一%の閣議決定にかわるものとして、今後の防衛力整備についての新たな閣議決定を行いました。六十三年度の予算編成は今後の検討に係る問題でございますが、今までのように、引き続き節度のある防衛力の整備に努めたいと考えております。
 洋上防空の問題については、大綱の基本的枠組みの中において認められておるところに基づき、中期防によって具体化されているその内容として今検討しておることであり、憲法及び専守防衛の基本方針にはたがわないものであります。
 我が国の外交の基本姿勢につきましては、もちろん平和憲法のもとに、他国に脅威を与えないような、そういう節度のある防衛力を基本にしつつ、我々は自由主義世界の一環として、この連帯のもとに世界の平和と福祉に貢献をする。と同時に、アジアの一国としての立場を忘れず、特に発展途上国の立場については十分留意して、これに対して協力するという構えで、総合的安全保障、総合的外交政策のもとにこれに臨みたいと考えております。
 アメリカとの関係におきましては、防衛、安全保障関係あるいは経済、文化協力関係において一般的に良好に推移していると考えております。経済摩擦のことによりまして時たまいろいろな摩擦現象は起きますが、両国の誠意と対話によりこれらは解決し得るものであると考えております。今後もそのように努力をいたします。
 米海兵隊クラブ人員整理問題につきましては、先般アメリカからワインバーガー長官や海軍長官が来たときに、我が国の外務大臣や防衛庁長官から重大な懸念を伝え、そして速やかにこれらの人員整理問題がよき結果の方向に改革されるよう強く要請したところなのでございます。
 次に、沖縄の立場でございますが、沖縄が基地をたくさん抱えておりまして日米安全保障条約上の重要な機能を果たしており、沖縄の皆様方に御苦労を願っておりますことについては深く感謝を表明しておるところでございます。我々としては、できるだけの努力を今後もいたしまして、沖縄の開発や民生の向上及び基地問題に対する被害を最小限に食いとめる、そういうことで努力してまいりたいと考えておる次第でございます。この点につきまして御理解をいただきたいと思うのでございます。
 次に、軍事演習の問題、訓練の問題でございますが、米軍及び自衛隊の訓練、演習は、我が国の平和と安全にとって極めて重要でありまして、地域の住民の皆さんの御要望を踏まえつつ、これらの方々に御迷惑をかけない方向で今後も努力してまいりたいと考えております。
 マレーシアの貨物船被弾事件につきましては、米海軍も船内に遺留された弾頭等が米海軍のものであることを確認して遺憾の意を表明した次第です。マグロ漁船の近くでの爆発事故についても、船内に落下した二つの金属破片を今検討している最中で、かかる事故については関係者が協力してその原因を早期に究明し、再発防止を図るべきものとして努力しておる次第です。
 東西関係に関する我が国の立場というものは、前から申し上げておりますように、我々はいわゆる全方位的等距離外交というものはとらない。我々は、自由主義陣営の一員として、その連帯のもとに世界の平和及び人類の福祉に貢献する、その中にあって東西の協調と緊張緩和に努力していく、そういう考えに立って一貫した外交方針を行っておるところでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣倉成正君登壇〕
#25
○国務大臣(倉成正君) 上原議員の御質問にお答えいたします。
 まず、日米関係の現状についてでございますが、日米関係は、近来、政治、経済、貿易等のあらゆる側面において一層緊密の度合いを深めております。そして、このような緊密な関係があるがゆえに、両国間に解決を要すべき問題が種々発生しておりますことは御指摘のとおりでございまして、事実でございます。
 政府としては、米国との関係は我が国外交の基軸であり、良好な日米関係を維持拡充し、世界的視野に立った協力関係を推進していくことは、世界の平和と繁栄にとり不可欠のものであるとの認識のもとに、日米関係の諸懸案については冷静に対処し、米国と協力しつつ、その解決に最大限の努力を継続してまいる所存でございます。
 次に、沖縄の基地の問題でございますが、総理からもお答えがありましたが、まず、沖縄の住民の方々に各般の御協力を得ておりますことにつきまして、率直な感謝の気持ちをあらわしたいと思います。
 基地従業員の大量解雇の問題については、先ほど総理からお答えがございましたけれども、政府としても、在日米軍従業員の生活の安定と雇用の安定維持に最大限の努力をいたしているところでございまして、このようなことはまことに残念なことでございまして、深刻に受けとめております。政府といたしましては、米国に対し、我が国としても特別協定の締結等の努力を行っており、米側においても従業員の安定雇用維持のためにさらに努力を行うように申し入れており、政府の本件についての重大な懸念を伝えるとともに、米側が本件についての立場を再検討し、本件人員整理の影響を最小限とするよう、また、再びこのような人員整理が行われることのないよう要請しているところでございます。政府といたしましては、今後とも引き続き従業員の生活の安定と雇用の安定維持のため、最大限の努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
 最後に、二十三日のマグロはえ縄漁船のミサイル爆発物事件等と沖縄周辺の訓練空域の解放の問題でございますが、マレーシア船籍の貨物船被弾事故につきましては総理からお答えしたとおりでございますが、このような事故はあってはならない事故であります。我々は本当に、そういう意味から米軍の調査促進方を申し入れているところでございますが、事実関係の確認を待って、厳正に対処してまいる所存でございます。
 他方、日米安保条約に基づく米軍の存在は、我が国の平和と安全、ひいては極東の平和と安全に寄与しておるわけであります。米軍の訓練、演習が円滑に行われることは、日米安保体制の効果的運用のために緊要なことであります。政府としては、沖縄の住民の方々の、また基地の住民の方々の御苦労を十分承知しておるわけでございますが、地域住民の要望と調和を図りつつ、安保条約の目的達成のための努力をしてまいりたい所存でございます。
 なお、マグロ漁船付近での爆発事故については、現在調査中と承知しておりますが、事件が発生した時刻には、米軍は付近では訓練を行っていないと伺っておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#26
○国務大臣(栗原祐幸君) お答えをいたします。
 防衛力整備の基本に関する考え方でございますが、これは総理大臣の答弁されたとおりであります。
 また、御指摘の昭和四十八年二月の「平和時の防衛力」については、その説明及び資料を撤回させていただいた経緯があることは既に御承知のとおりだと思います。いずれにせよ、総理も答弁されたとおり、大綱に定められた水準を一刻も早くやっていくということで、「防衛計画の大綱」に基づく中期防ができておるわけでございますし、また、別表に定める基幹部隊、主要装備等の規模を備えるものである、あるいは質的に諸外国の技術的水準の動向に対応し得るものである、そういうことを目途として整備を行っているわけでございます。したがって、御指摘のように「防衛計画の大綱」を離れてどんどん軍備が進んでいくんじゃないか、そういうような御懸念は全くないと考えております。
 なお、五カ年間の防衛力整備の内容と所要経費の限度につきましても、中期防において明示しているとおりでございます。
 次に、これも同じような問いだと思いますけれども、大綱の見直しでございますが、総理大臣が答弁したとおり、今大綱の見直しをするというような考え方はございません。
 それから、総額明示方式に変えた理由についてでございますが、これまた総理大臣から述べられたとおり、中期防以降の防衛力整備のあり方についても、政府としては適切な決定が行われておりますので、それに基づいて継続的、計画的に防衛力の整備をいたしていきたい、こう考えておるわけでございます。
 それから、防衛費の定量的歯とめど六十三年度予算についての質問でありますが、これまた総理から御答弁のあったとおりでございまして、我々としては、本年一月決まりました新たな防衛力整備の方針に伴いまして整々と節度ある防衛力の整備を行っていきたい、こう考えております。そういう意味合いで昭和六十三年度の予算編成もされるものと考えております。
 それから、防衛改革委員会のもとに設置された二つの研究会についてでございますが、中期防におきましては「防衛力の整備、運用の両面にわたる効率化、合理化の徹底を図る。」ことになっておりまして、それに伴いまして、統合運用の重要性を十分考慮しながら効率的な我が国の防衛態勢を全般的に検討していきたい。その中で、洋上防空体制研究会というものがございまして、これは経空脅威というものがどんどんどんどん変わってくる、そういうことから出てきたものでございます。また、陸上防衛態勢につきましても、我が国の地理的特性、将来の軍事科学技術、陸上兵器体系の趨勢、こういったものをもととして研究をするということでございます。
 それから、御質問がいろいろ重複されておりますので、大体そういうことだろうと思いますが、次に、予備自衛官の員数増についてお答えをいたします。
 予備自衛官は、防衛出動時において自衛隊の実力を急速かつ計画的に確保することを目的として逐年整備してまいっているところであります。今回の改正法案においては予備自衛官千五百人の員数増をお願いしておりますが、このうち、陸上自衛隊の千人は有事の後方警備要員、海上自衛隊の二百人は主に後方支援の要員、航空自衛隊の三百人は主に基地防空部隊の要員にそれぞれ充てているものでございます。
 次に、米海兵隊クラブの人員整理の問題についてお答えをいたします。
 これは、私は衆参の予算委員会でも申し上げておりますが、いわゆる俗に言う米駐留軍の労務費というものの増額が皆さん方の御協力によりまして実現できたその直後でございますから、正直言って、私もこれは大変遺憾なことと考えております。しかし、同時に、百六十五億積んだから、あとは我々に対して文句を言うな、そういう態度はとれないわけでございます。そういうことは大人げない。それよりも、こういうことのないようにしてもらわなければいけないということで、過般ウェッブ海軍長官が来ましたときに、率直に今言ったようなことを言ったのです。大変遺憾である、ひとつ考えてもらいたい。そのうち海軍長官から私に回答があるものと思います。
 同時に、防衛庁自体も、今までと違って、現実にどうなっておるか、防衛庁の責任において米海兵隊の海軍クラブの実態を調べる、こういうことをやっておりますので、その実態を調べた上でまたいろいろとお話をいたしたいと考えております。
 それから、陸上防衛態勢研究会における予備自衛官制度の検討についてでございますが、先ほど申し上げましたような我が国の地理的特性を踏まえまして、効率的な陸上防衛態勢のあり方を検討するということで昨年五月にできたのでございまして、同研究会においては予備自衛官制度についても検討の対象としておる。まだ検討中でございまして、その内容を公にすることができないわけでございます。
 最後に、沖縄近海あるいは沖縄におけるいろいろの事件、事故があるという問題につきましては、私も大変遺憾に存じておりますが、これは総理大臣並びに外務大臣からお答えをいたしましたので、私は省略をさせていただきます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和六十二年度の防衛関係費につきましては、中期防衛力整備計画を踏まえつつ、全体の規模の圧縮に極力努めたところでございましたが、名目GNP等々の動向もありまして、GNP比が一%を上回ったものでございます。ただ、伸び率といたしますと、六十二年度は、円高また油の価格が下がりましたこと等がございまして、対前年比伸び率は五・二%でございますが、これは昭和三十五年以来の低い伸びでございます。
 なお、この総額明示方式を昭和六十六年以降はどうするのかというお尋ねでございました。六十六年度以降の防衛関係費のあり方につきましては、この計画が終了するまでに改めて国際情勢、財政経済事情等を勘案して、平和国家としての我が国の基本方針のもとで決定を行うということにされておりまして、その時点までに慎重審議の上、適切な決定が行われるものと考えております。なお、昭和六十三年度の予算編成でございますが、ちょうどただいまから概算要求基準の設定に入るところでございまして、順次予算編成作業を進めてまいりますが、いずれにいたしましても、本年一月二十四日の閣議決定の精神を尊重いたしまして、節度ある防衛力の整備を行わなければなりません。ただいまそのような事情でございますので、具体的な数字を挙げまして御説明する段階でございませんので、御理解をお願いいたしたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(原健三郎君) 竹内勝彦君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔竹内勝彦君登壇〕
#29
○竹内勝彦君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明がございました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 防衛問題の質問に先立ちまして、昨日東京高裁で下されたロッキード裁判問題についてお伺いいたします。
 この問題は、時の最高権力者を頂点とした長期自民党政権下の政財官癒着の構造汚職であることは明らかであり、我が党もこうした金権腐敗構造を厳しく追及してきたところであります。総理は、今回の高裁の判断をどのように受けとめられておるのか。また、このような事件の再発を防止するために、直ちに政治倫理審査会において審査を行うべきであり、また、政治資金規正法の強化を進めるべきであると思いますが、総理の御見解を伺います。
 さて、中曽根総理、あなたは「戦後政治の総決算」と称し、総理の在任中、防衛関係費は実に三六%もアップし、社会保障関係費は一一・一%、文教及び科学振興費は何とマイナス〇・〇〇三%となっております。まさに防衛優先、生活、福祉後回しの政策を貫いてまいりました。多くの国民は我が国の軍事大国化への懸念を強めておりますが、総理は、中曽根政治の防衛政策全体をどのように総括されておられるのか、まず初めにお伺いしたいと思います。
 さきに成立した六十二年度一般会計補正予算のうち、防衛関係の修正減少額として四十一億四千二百万円が計上され、防衛費の対GNP比は一・〇〇三%になったと総理は過日答弁をされました。六十二年度防衛関係費がGNP一%枠を突破し、その突破分が百三十四億円であることは周知の事実でございますが、既に前通常国会で廃案となった売上税相当額百十六億円は間違いなく不用額であり、補正予算減少額四十一億円と合わせれば、実質の不用額は百五十七億円になることは自明の理であります。したがって、実質の防衛費は三兆五千十七億円となり、対GNP比一%以内におさめられることは明らかであります。
 しかし、政府は、一%になるならないは第二義的なことと答弁し、三木内閣の閣議決定は、そのときの精神は尊重すると言って、精神尊重をうたうことによって抑制的に防衛力整備をすることを国民に宣明したのだと強調されました。一月二十四日の閣議決定が国内外の非難をかわすための緩和措置、便法などでなく、三木内閣の閣議決定を真摯に尊重するのであるならば、政府は、我が党が主張するように、直ちに不用額を修正減額すべきであると思うが、総理の明確な御見解を承りたいと思います。(拍手)
 かつて第二次世界大戦で戦火をこうむった東南アジア諸国、そして中国も、こうした軍備増強を進める日本を注視していることは当然であります。外務省のASEAN五カ国対日世論調査にもその結果は出ており、フィリピンでは「日本が軍事大国になるだろう」と答えた人が前回に比べ二〇%近くもふえております。アジアの近隣諸国のこうした対日批判、警戒感に対し、総理はどのようにお考えになっているか、お伺いいたします。
 さらに、六十一年度「現代社会」の教科書検定において、「世界有数の防衛力をもつにいたっている。」とされた原稿本から「世界有数の防衛力」の部分が削除されてしまったといういきさつがあります。事実は事実として記載し、その判断は学習する者にゆだねるべきであると思います。教科書検定問題一つをとっても、かかる中曽根内閣の姿勢がアジア周辺諸国の対日不信、警戒感を招いていることを深く反省すべきだと思いますが、あわせて総理の御見解を承りたいと思います。
 中期防衛力整備計画は六十三年度で三年日を迎えるわけであります。この五カ年計画の大きな柱となっているのが洋上防空体制であります。しかしながら、この洋上防空体制とはどういうものなのか、必ずしも明確とは言いがたいのであります。その一方で、栗原防衛庁長官は、既に防衛庁の六十三年度業務計画の指針を出し、エイジス艦の予算化を含め、OTHレーダーの研究などを着々と推進しようとしているのであります。政府の進めようとしている洋上防空体制は極めて多くの疑問と危険性を持つものであり、特に防衛費の際限のない増大をもたらし、専守防衛という我が国の基本方針を変更するおそれのあるシステムであります。
 私は、洋上防空体制について、次の点について政府の見解を伺いたいのであります。
 第一に、洋上防空体制とは何から何を守ろうとするのか、その定義をどのようにしているのかということであります。
 第二に、このシステムはどのような兵器の組み合わせによるのか。エイジス艦、OTHレーダー、F15、空中給油機、E2C、さらにはAWACSの導入も考えているのかどうか。また、その量的見積もりを示していただきたい。
 第三に、政府の言う洋上防空体制は相当の金額を要することは明らかでありますが、その総費用はどれほどを見積もっているのかという点であります。
 第四に、洋上防空の地理的範囲をどのように設定しているかということであります。この範囲の特定なしに洋上防空を論ずることは、無制限な軍拡、自衛隊の行動範囲の拡大をもたらすことになることは必至であります。地理的範囲を明確にしていただきたい。
 第五に、総理は過日の本会議において、近年経空脅威が高まっていると述べたのでありますが、その具体的内容を説明していただきたいのであります。また、洋上防空と専守防衛との関係をどう考えているのかも明らかにしていただきたいのであります。
 政府が行おうとしているシーレーン防衛とその洋上防空は、従来の枠組みを超えて集団的自衛権の行使につながる危険性を持つものであります。特に、昨年の十二月に完成したシーレーン防衛に関する日米共同研究は、その内容が全く明らかにされておらないのでありますが、この研究は、我が国の今後の防衛力整備、防衛政策に大きな関係を持つものであることは明らかであります。この内容を説明していただきたいのでございます。また、国会に資料として提出すべきことを要求いたします。
 去る二十七日、沖縄本島近くの東シナ海を航行していたマレーシア船籍の貨物船が、米軍のものと見られる航空機からロケット弾のようなものを撃ち込まれ、乗組員の一人が右腕のひじから先を切断する重傷を負い、航行不能となりました。我が国の領海内での事故でございます。
 沖縄近海の上空には、沖縄本島を取り巻く大小十五の米軍訓練空域が設定されており、米軍が航空機からの攻撃訓練をする空域で一部を航空自衛隊が共用しております。このうち、使用時間が常時とされる空域では、訓練の都度、沖縄県には報告される必要がないとされ、空域下の水域の船舶の航行は制限がない状態であります。
 また、去る二十三日には、沖縄本島南方の訓練空域下の太平洋上で操業中の那覇市のマグロはえ縄漁船第一一徳丸の近くで、戦闘機らしいと見られる飛行機からの落下物で爆発する事故があったばかりでございます。
 このように続発する事故をどう掌握し、どのように対応しているのか、防衛庁長官の御答弁をお願いいたします。
 次に、東芝機械のココム規制違反事件を契機にして、米国の日本に対する防衛圧力が強まることが懸念されるところであります。今回の事件を契機として、日米制服による対ソ対潜探知能力の日米共同研究が決まったのでありますが、これはどのような枠組みで行われるのか。また、ココムの審査に防衛庁の係官が参画することも検討されているのでありますが、何か我が国がこうした措置を講ずるのがあたかも当然であるような雰囲気が生まれていることは危険であります。今回の事件を日本人の防衛意識の欠如に結びつけるような発想は厳に戒めるべきであります。政府は、このココム違反事件と防衛問題をどのように考えているのか、御説明いただきたいと思います。
 また、今回の事件を契機として、自民党内で国家秘密法の制定の動きが出ていることは極めて遺憾であります。国家秘密法の制定は行わないことを明らかにすべきであります。あわせて御答弁いただきたいと思います。
 さらに、この夏、総理並びに閣僚の靖国神社への公式参拝は行わないと決定いたしましたが、私は、今後も一切行わないことを明確にすべきだと思いますが、総理の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、米空母艦載機の夜間離着陸訓練飛行場建設問題についてお伺いします。
 三宅島に対して、防衛施設庁は気象観測用の鉄柱設置を強行いたしました。こうした強引なやり方は住民の反発を強めるだけであります。三宅島住民の八割を超える反対がある以上、夜間離着陸訓練飛行場建設計画は白紙に戻すべきであると思いますが、政府の見解を伺いたいのであります。
 さて、何点か防衛問題に関して重要な点をお伺いいたしましたが、中曽根総理、あなたは、五十七年に総理大臣就任以来四年八カ月が経過いたしました。今まさに中曽根内閣の命脈尽きなんとしているとき、中国のある言葉に「鳥のまさに死なんとする、その鳴くや恋し」とあります。国民の我が国の軍事大国化への不安に答えるために、率直な誠意ある答弁を期待し、私の質問を終えるものでございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 竹内議員にお答えをいたします。
 まず、ロッキード判決に関する御質問がございましたが、これを厳粛に受けとめまして、政治倫理の一層の向上に努力いたしたいと思います。審査会の問題につきましては、各党の話し合いを見守りたいと思っております。
 防衛政策の基本でございますが、専守防衛、それから基盤的防衛力整備の基本に立った大綱の推進、それが現実的具体化のための中期計画の実行、これが我々の考えでありまして、専守防衛あるいは非核三原則を堅持する、他国に脅威を与える軍事的大国にならない、一%の精神を尊重していく、こういう基本は不変であります。しかし、その基本理論としては、抑止と均衡の理論の上に立っておる。また、外交あるいはそのほかの国際世論等を重視した総合安全保障政策の一環として行うということが基本でございます。
 売上税の問題につきましては、今回、為替レートの推移を踏まえまして、防衛予算は四十一億円減額したところであり、結果、GNP比は一・〇〇三%となりました。売上税関連部分については、衆議院議長のあっせんに基づきまして、税制協議会において協議が続けられておるところから、防衛関係費においても他の経費と同様補正を行いませんでした。
 次に、軍事大国化へのアジアの警戒感でございますが、世論調査の結果はそう変化はないようです。念のために申し上げますと、インドネシアにおいては「軍事大国になるだろう」が二一%、「ならないだろう」が六八%、マレーシアにおいては三四%と四五%、それからシンガポールにおいても二九%と四六%、ただフィリピンにおきましては四七%と四六%、フィリピンが少しふえております。タイは五三%と三七%で、これは「なるだろう」というのがずっと多いのでございますが、最近の調査では、「なるだろう」が減って「ならないだろう」が二二%もふえておる。そういうことを見ますと、大体においては変わっていない、こう見ていいわけです。我々としては、今後とも日本の防衛政策の基本について理解を求めるように努力いたします。
 教科書検定につきましては、記述が客観的かつ公正で適切な教育的配慮が施されたものとなるように検定を行っており、御指摘の点については同様の観点からの検定を行ったものであります。
 靖国神社の公式参拝につきましては、先般来申し上げましたように、慎重に対処するという考え方でありまして、一昨年の内閣官房長官談話は現在も生きており、一昨年実施した方式による公式参拝は憲法に違反しないという政府見解には何ら変更はありません。各国務大臣の公式参拝については、各国務大臣の判断によるべきものであると考えます。
 洋上防空の問題については、最近の爆撃機の航続距離の長距離化あるいはミサイルの同じような長距離化等に基づきまして、護衛艦あるいは輸送船等の自己防衛の必要上からこれらの問題が検討されておるわけでございます。これはあくまで個別自衛権の範囲内において日本防衛を中心にして考えておるのでありまして、憲法及び専守防衛の方針には変わりはございません。
 次に、被弾事件でございますが、マレーシア船籍貨物船の被弾事故については、米海軍も、船内に遺留された弾頭等が米海軍のものであると確認し、遺憾の意を表明しております。マグロ漁船につきましては、二つの金属破片を鑑定中であります。かかる事故については、関係者が協力してその原因、真相を究明して、再発防止を図りたいと思います。
 ココム違反と防衛問題等につきましては、先般来申し上げましたように、この事案自体が、偽りの申告書をもって偽りの不正輸出をしたという点において悪質なものなのであり、それは自由世界の安全保障にかかわる問題であるのみならず、我が国自体の安全保障に対する重大なる危険性をもたらすものでありまして、我々は、背信行為である、こう言っておるわけであります。このような観点から、将来の再発防止のために今慎重な配慮をもって的確な対策を講じており、立法措置も国会にお願いいたしたいと考えておるところであります。
 国家秘密保護法の問題については、国民の基本的人権やいわゆる知る権利などにかかわる問題であり、慎重に検討さるべきものと考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#31
○国務大臣(栗原祐幸君) まず、洋上防空からお答えをいたします。
 洋上防空というのは何か、これは総理大臣が答弁されたとおりでございます。
 なお、洋上防空とは何を何から守るのか、こういうようなお話でございましたが、これは防護対象の観点からではなく、いわばその機能が発揮される場面に着目してとらえたのが洋上防空でございます。
 中期防に基づく洋上防空のあり方についての検討の対象となる装備とは、一般的に言ってOTHレーダー、要撃戦闘機、早期警戒機、艦艇の対空ミサイルシステムなどが考えられますが、この検討は具体的な装備の導入を前提としたものではありません。したがって、具体的にどの装備をどの程度導入するか、また、そのための経費がどの程度になるかについては検討を行っていないわけであります。
 なお、洋上防空の地理的範囲についてのお尋ねでございますが、これについては、従来の防衛力整備の目標を前提としていることは言うまでもないことであります。すなわち、海上交通の安全については、従来から、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域においてこれを確保することを目標に防衛力の整備を行ってきているところでありまして、海上交通の安全確保のための洋上防空についてもかかる考え方を前提にしているものでございます。
 次に、シーレーン防衛共同研究でございますが、これは御案内のとおり、日本に対する武力攻撃がなされた場合に、自衛隊及び米軍が日本防衛のために整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に共同して実施するために行ったものであります。その内容は、日米が共同して各種作戦を行い、その累積効果によって海上交通の安全を確保することとし、その場合の能力を検証したものであります。なお、研究結果の具体的内容については、事柄の性質上公表を差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、三宅島のNLP建設計画についてでありますが、空母艦載機の着陸訓練場確保の問題は、日米安全保障体制の効果的運用のために欠くことのできないものであり、日米間の最重要の懸案として解決に努力しているところであります。着陸訓練場の設置場所としては、三宅島は立地条件が極めてすぐれており、他にこれほどの適地はないと判断しておりますので、ぜひ三宅島にお願いいたしたいと考えております。その建設に当たりましては、関係地方公共団体及び関係住民の理解を求めるという考え方に変わりはございません。ただ、昭和六十二年度に予定しております気象調査等は、資料収集のため必要なものでございまして、建設そのものではございませんので、この点切に御理解を賜りたいと思います。
 なお、沖縄近海の船舶被災でございますが、二十三日の漁船の被災事件につきましては、当時の航空自衛隊の訓練状況に関し、事件との関係の有無について詳細に調査するとともに、海上保安庁と協力し、早期究明に努力しているところであります。また、二十七日のマレーシア貨物船に関する事件につきましては、事故原因が米海軍によるものと判明いたしましたので、防衛施設庁をして在日米軍司令部に対し遺憾の意を表明させるとともに、事故原因の究明と有効な事故防止対策を求めさせたところであります。
 二件の事件は、いずれも沖縄周辺の訓練区域等の近辺で発生したものであり、米軍と自衛隊との訓練、演習が我が国の平和と安全に極めて重要であることにかんがみ、安全対策に遺漏なきよう万全の対策を講じ、地域住民の方々の要望との調和を図りつつ、今後とも米軍及び自衛隊の訓練、演習の円滑な実施の確保に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○副議長(多賀谷真稔君) 伊藤英成君。
    〔伊藤英成君登壇〕
#33
○伊藤英成君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対し質問をいたすものであります。
 言うまでもなく、安全保障政策は国政の大本であり、国民生活の安定や福祉の向上も、国の安全が守られて初めて可能となるものであります。しかも、今日の国際情勢のもとでは、安全保障の確保にとって防衛力の整備は不可欠の要素と言わざるを得ません。
 我が党は、こうした観点に立って、憲法の平和主義を踏まえた自主的な防衛努力と、これを補完する日米安保体制を我が国防衛体制の基本として堅持していくよう主張しているところであります。しかし、同時に、今後とも非核武装を貫き、国民合意とシビリアンコントロールを強化して、軍事大国への道は明確に否定をしていく必要があります。我々はかかる方針を踏まえ、いわゆる防衛二法についても、それが必要な改正である場合には、国家と国民の利益を守るため、勇気を持って賛成をしてまいりました。
 私は、以上のような立場に立って、以下具体的な重要問題につき質問をいたすものであります。
 まず第一に、防衛大綱とその別表の見直し問題についてであります。
 現在の防衛大綱の基本思想は、特定の脅威に対応して防衛力整備を進めるのではなく、独立国として最低限必要な防衛力を過不足なくそろえるという、いわゆる基盤的防衛力構想に立つものであります。しかし、脅威に対応しない防衛計画というものがあるでしょうか。しかも、防衛大綱が制定されたのは昭和五十一年であり、大綱が前提とした我が国周辺の国際情勢は今や大きく変化しているのであります。したがって、我が党は、従来から防衛大綱の見直しの必要性を主張してまいりました。しかるに、政府は、防衛大綱とその別表とを切り離し、大綱はそのままでも別表だけの見直しは可能であるとしてきたのであります。余りにもこそくな態度と言わざるを得ません。
 言うまでもなく、別表は大綱を数量化したものであり、これを分離して見直すことができるとなれば、大綱はそのままにして防衛力の数量だけはいかようにも拡大できるということになるのであります。したがって、私は、現在の中期防が達成された後には、防衛大綱と別表を一体のものとして見直すとともに、これを踏まえて新たな中期防を策定し、その五年間の総額を明示し、防衛費の歯どめとすべきであると考えます。
 去る七月十五日に本院予算委員会で行われた我が党吉田議員の質問も、まさにかかる点からなされたものであります。総理は、これに対し、指摘された諸点を考慮の対象にして検討したらよいと答弁されるとともに、金額的歯どめというのも将来考慮する必要があるとされ、総額明示方式の見直しともとれるお答えをなさいました。そこで私は、現在の中期防が達成された後の防衛大綱とその別表の見直し問題、同じく総額明示方式のあり方などについて、改めて総理の御所見をお尋ねするものであります。
 第二は、同じく我が国防衛上の重要課題である有事法制の問題であります。
 昭和五十三年、いわゆる栗栖発言を契機として研究に着手された有事法制問題は、これまで二度にわたって中間報告がなされてまいりました。すなわち、第一回目は、五十六年四月に第一分類の法令として防衛庁所管の法令の欠陥是正について、また第二回目は、五十九年十月に第二分類の法令として他省庁所管の法令の欠陥是正について、それぞれ報告がなされたのであります。しかるに、これらの中間報告については今日に至るまで立法化に向けての具体的な作業は全くなされておらず、また、所管官庁が明確でないいわゆる第三分類の法令についての研究も全く着手されていないのが実情であります。
 言うまでもなく、自衛隊の運用に当たっての大原則はシビリアンコントロールであります。そして我が国が法治国家である以上、それは法律に基づいてなされなければなりません。その意味で、有事における法体系に欠陥があり、これを放置しておくということは、シビリアンコントロールを形骸化し、有事において自衛隊の超法規的行動を容認するということにほかなりません。かかる事態を防止するためにも、我が党は従来から有事法制の速やかな整備を主張してきたのであります。しかるに、総理は、言を左右にするのみで、ついに今日まで何らの措置も講じてこなかったのであります。
 総理、既に中間報告がなされた第一分類及び第二分類の法令の立法化といわゆる第三分類の法令の研究着手について、改めて責任ある御答弁を求めるものであります。
 第三は、有事における米軍の来援を円滑化する問題であります。
 我が国の防衛にとって、有事における米軍の来援と共同作戦は不可欠の要素であり、防衛政策の大前提であります。そのため、政府としても、日米防衛協力の指針に基づき、共同作戦計画やシーレーンの共同防衛研究を行うとともに、頻繁に日米共同演習を実施してこられました。しかし、これだけでは決して十分とは言えないのであります。
 有事において、米国の海空軍の来援を受けることは比較的容易でありましょう。しかし、陸軍の来援を受けることは決して容易ではなく、また、来援を受けることができるとしても、相当の期間を要することは確実であります。しかも、日本来援用と言われるハワイの第二十五師団やカリフォルニアの第七師団は、軽歩兵師団に改編され、戦車、装甲車、重大器などは装備していないのであります。これで有事に役立つでありましょうか。
 有事における米軍、特に米陸軍の来援を迅速化し、有事に役立つ体制をつくることは、日米安保を有効ならしめる基本ともいうべきものであります。そのためには、我が国においても、NATO諸国において実施されているように、来援予定の米軍部隊の重装備を事前に備蓄しておくなどの措置を講ずることが必要であると考えます。
 政府は、この問題について、これまでは、米国から要請がないのでできないとの答弁をされてきましたけれども、有事において来援を必要としているのは、米国ではなく日本であります。この点を踏まえ、我が国から米国に対して事前備蓄を要請していくつもりはないか、総理の明確な御答弁を求めるものであります。
 第四は、自衛隊の各種装備の耐用年数の見直しについてであります。
 我が党は、従来から、今日の厳しい財政事情のもとでは、防衛費も例外とすることなく、徹底した合理化、効率化を行うよう主張してまいりました。かかる観点から、自衛隊の戦車、艦艇、航空機などの主要装備を見ると、一部の艦艇などの耐用年数は、ほぼ同様の条件にある他の自由陣営諸国と比べ短過ぎるのが実態であります。また、老朽化した装備についても、第二線用の予備として保管することなく、そのほとんどを単なるスクラップとして廃棄しているのであります。
 防衛を全うするためには、最新鋭の装備が必要であることはもちろんでありますけれども、同時に、多少老朽化した装備であっても、有事の際の予備としてある程度の数量を保管しておくことも重要であります。よって、この際、自衛隊の主要装備について、他の自由陣営諸国の事例などを踏まえつつ、その耐久年数や用途廃止後の保管のあり方について抜本的な見直しを行う必要があると考えますが、防衛庁長官の御所見をお尋ねいたすものであります。
 以上の質問に対し、総理並びに防衛庁長官の誠意ある御答弁を改めてお願いをして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 伊藤議員にお答えをいたします。
 まず、大綱の見直し、別表の修正の問題でございますが、現在の防衛力整備計画は、大綱を達成する、そのために具体的に中期防衛力整備計画を実施する、そういう方向で進められておるわけでございます。中期防達成後の防衛力整備のあり方につきましては、その時点で政府として検討さるべきものであり、大綱水準の達成を図ることを目標とする中期防の着実な実施に努めている現在、大綱の見直しや別表の修正は考えてはおりません。
 次に、総額明示方式の問題でございますが、中期防終了後の昭和六十六年度以降の防衛関係経費のあり方については、同計画終了までに、改めて国際情勢、経済財政事情等を勘案して、平和国家としての我が国の基本方針のもとで、慎重審議の上、適切な決定が行われるものと考えます。
 なお、一般的に言って、いわゆる総額明示方式は、広く国際情勢、経済財政事情等を総合的に勘案して、五カ年間の防衛力整備の内容とこれに要する経費の限度額を明示し、防衛力整備実施の合理的指針となると考えております。御指摘の私の答弁はこのような認識を述べたものであり、これは民社党のお考えを多分に参考にさせていただいたものなのであります。
 次に、有事法制の取り扱いでございますが、第一分類及び第二分類の法制化の問題については、高度の政治判断にかかるものであり、国会における御審議、国民世論の動向等を踏まえて慎重に検討すべきものと思います。第三分類に属する事項は、政府全体として取り組むべき性格の問題でございまして、現在、諸般の準備をし、検討を加えておるところでございます。
 米軍の事前備蓄の問題でございますが、一般論として言えば、日米安保体制の抑止力の効果的維持の観点から、我が国に対する武力攻撃が発生した場合の対応につき、米軍の来援の問題を含めて研究、検討が行われることは極めて有意義であると考えております。事前集積につきましては、米国は現在、欧州において整備を実施中と承っておりますが、我が国について事前集積の計画を持っておるとは承知しておりません。かかる観点につき、我が国として具体的に検討しているというわけではありませんが、御指摘の点は、今後情勢に応じ検討課題とすべきものと考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#35
○国務大臣(栗原祐幸君) 今御質問いただきましたけれども、総理大臣がほとんど答えられました。私もこれに賛成でございます。
 私から特に申し上げたいのは、最後の装備品の耐用年数の見直しの問題でございますが、自衛隊の装備品につきましては、その特性に応じて、必要な性能の維持、長期間使用することの経済性、老朽化したものを使用することの安全性等を総合的に勘案いたしまして、適切な使用年限を決定しているところでございます。この際、限られた防衛費を有効に活用する見地から、極力装備品を長期的に維持し得るよう努力しており、この点は諸外国の例に比し特に相違があるとは考えておりません。
 また、老朽化した装備品を活用せよとの御意見は、傾聴に値するものと考えますが、現在、用途廃止した装備品についても、使用可能な部品は最大限に利用する等効率的な措置を講じておりますので、御了知を賜りたいと思います。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○副議長(多賀谷真稔君) 佐藤祐弘君。
    〔佐藤祐弘君登壇〕
#37
○佐藤祐弘君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、いわゆる防衛二法などの改正法案について、総理並びに関係大臣に質問します。
 不沈空母発言に始まる中曽根内閣五年間の政治は、まさにその具体化にありました。総理就任直後の訪米で、あなたが日米運命共同体路線をレーガン大統領に約束し、日本列島不沈空母化をうたったとき、多くの国民は旧海軍がよみがえったかのような発言に慄然としたのであります。そして五年、あなたが進めてきたのは、ほかでもなく、対米公約の具体化である一千海里シーレーン防衛と洋上防空であり、四海峡封鎖態勢の確立であり、日本列島をアメリカの対ソ戦略の最前線として武装する、すなわち日本列島不沈空母化の促進でありました。
 そのために、毎年の予算がずたずたにされました。福祉、教育、中小企業対策費などが大幅に削られ、国民犠牲の上に軍事費の異常突出が続けられたのであります。昨年からは総額十八兆四千億円の中期防衛力整備計画をスタートさせ、今年度はついに自民党内閣が国民に公約したGNP一%枠をも突破して、対米従属の軍拡路線をひた走っております。
 総理、あなたは、選挙などで平和と軍縮をしきりに強調しますが、実態は、軍縮は口先だけで、公約違反の軍拡に次ぐ軍拡であることを示しているではありませんか。総理の答弁を求めます。(拍手)
 今回の防衛二法改正案も、日米共同作戦体制のもとでの自衛隊増強を危険な方向へさらに一歩進めるものであります。
 第一に、対潜哨戒機P3C九機や要撃戦闘機F15を十二機、あるいは護衛巌、潜水艦、地対空誘導弾パトリオット一部の新たな配備等に伴う五百十名の自衛官増員を図るものであります。中曽根内閣のもとでの自衛官増員は三千九十四名にも上ります。他方、この五年間に一般の国家公務員は二万人も削減をされております。これは明らかに臨調行革路線が軍事、自衛隊を聖域にして進められてきたことを裏づけるものではありませんか。
 第二に、改正案の日米共同作戦研究のための統幕会議の増強は、来年度予算でOTHレーダーやエイジス艦の導入を図ろうとしていることとあわせ、アメリカ有事の際の自衛隊参戦態勢を一段と強化するものではありませんか。あわせて答弁を求めます。(拍手)
 中期防衛力整備計画のP3C百機体制も異常であります。
 P3C導入に関しては、昨日東京高裁で田中角榮元首相らに対する判決があったロッキード事件で、P3C五十機以上の確定注文を受けた場合、ロッキード社は児玉に二十五億円の報酬を支払うと明記したコンサルタント契約書が存在するなど、日米の軍産複合体の関与についての疑惑が早くから持たれてきていたものであります。しかも、アミテージ米国防次官補が、この機数はアメリカ第七艦隊に配備されているP3Cの三倍以上であると述べているように、第七艦隊でさえ二十七機しか持っていないP3Cを、なぜ日本が百機も持つ必要があるのか。ソ連の原潜をP3Cによって捕捉し撃破する対潜水艦作戦は、アメリカの海洋戦略の中心をなすものですが、一千海里シーレーン海域で日本がその役目を中心的に引き受ける軍事分担のための百機体制ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 さらに、この問題では、東芝ココム事件を契機に、中曽根・ワインバーガー合意に基づき、日米共同でのソ連原潜に対する探知能力強化の計画が進められようとしていることは重大であります。同計画は一般的な対潜探知能力強化ではなく、東芝機械の工作機械でソ連原潜のスクリュー音が低減化したとして、ソ連原潜を明確な対象として、アメリカの探知能力強化を自衛隊が参加して共同して進めようとするものであります。これは明らかにソ連を仮想敵国とするものであり、専守防衛に徹し、仮想敵国は持たないとしてきた従来の政府の立場を踏み破り、個別的自衛権の枠を超え、憲法の禁じる集団的自衛権の行使に踏み込むものではありませんか。総理の明快な答弁を求めます。(拍手)
 東芝ココム事件での政府の対応も、余りにも屈辱的なものと言わざるを得ません。ソ連原潜のスクリュー音低下と東芝機械の工作機械の因果関係が定かでないにもかかわらず、政府は嫌疑濃厚として、通産大臣を急派してまでアメリカに陳謝をしたのであります。しかし、嫌疑濃厚とは、因果関係がはっきり認められないということではありませんか。一九八二年のシベリア・パイプライン輸出で、レーガン政権の制裁を英、仏、西独が拒絶し、フランスは国家の独立及び契約尊重の原則について譲歩することはできないと言明したことはよく知られていますが、なぜその程度の毅然たる態度さえとれないのですか。
 そもそも、ココムは、アメリカの対ソ軍事優位を図るためNATO結成と同時に組織され、日本も安保条約締結の翌年に加盟した非公式の協議機関であります。政府自身、ココムの申し合わせは国際的に何ら法的拘束力を持たないと明言しているにもかかわらず、貿易の自由を大きく制限する外為法改正を準備していることは重大であります。
 既に一九六九年、東京地裁のいわゆるココム判決は、ココムによる輸出制限は、憲法の保障する基本的人権としての貿易の自由に反する、憲法違反だと断じているところであります。その上、外為法を改正して、アメリカの要求する規制強化のため、安全保障条項や外務省との法定協議を加えようとすることは明白な憲法違反ではありませんか。(拍手)我が国の経済主権を侵し、経済活動に重大な影響を及ぼすココムからの脱退を求めるものであります。
 さらに問われなければならないのは、米国防総省の要求に基づき防衛庁が検討中の自衛隊専門家の輸出審査業務への派遣、ココム本部事務局への派遣であります。これは我が国の貿易を日米軍事当局の統制下に置くものではありませんか。明確な答弁を求めます。
 SDI研究参加の日米政府間協定に調印したことも重大であります。SDIは核軍拡を宇宙にまで拡大し、対ソ核優位を確保することによって、アメリカの核先制攻撃戦略を保障しようというものであります。この危険な核軍拡計画への我が国の参加は、被爆国日本国民の核兵器全面禁止の強い願いに背くものであり、本院の三つの決議、すなわち、非核三原則の決議、武器輸出禁止決議、宇宙の平和利用に関する決議に真っ向から違反するものであります。
 総理、あなたは、アメリカの軍事技術、核攻撃能力の強化のためには、国民の願いに背き、国権の最高機関である国会の決議など踏みにじっても構わないというのですか。答弁を求めます。
 総理、ソ連に対しては外為法まで変えて禁輸を強化し、アメリカに対しては国会決議をも踏みにじって軍事技術提供を進め、核戦略に協力する、これではまさに、我が党の上田副委員長が参議院予算委員会で指摘したように、「総理の立場は、アメリカの軍事力はソ連より強くなれば強くなるほどいい、ソ連の原子力潜水艦は音がうるさければうるさいほどいい」ということになるではありませんか。あなたの口癖の均衡と抑止バランス論とも違って、対ソ軍事優位のアンバランスを求めるものではありませんか。総理のはっきりした答弁を求めます。(拍手)
 最後に、三宅島のNLP建設について質問いたします。
 私は、防衛庁があの気象観測柱建設の強行を図った去る十五日、三宅島に行っておりました。そして八五%以上の島民の怒りの叫びをこの肌で感じてまいりました。米軍基地建設をやめることこそ三宅島四千三百人島民の暮らしと命を守り、また野鳥の楽園、日本のガラパゴスと言われる三宅島の貴重な環境を守る唯一の道であります。
 ところが、栗原防衛庁長官は、先日の参議院予算委員会で、日米安保条約は国是であり、安保より生活の方が大切だというのはどうかしていると答弁しました。これは大問題であります。島の人たちは、国民の生活を守ることこそが政治の務めではないか、安保のために生活を犠牲にせよというのは戦前と同じ考え方だ、こう憤激をしております。三宅島島民の生活など安保の前にはどんなに犠牲にされても仕方がない、当然だというのですか。栗原長官、はっきりと答えてください。
 栗原長官の安保条約は国是などの答弁も重大であります。国是というのは、非核三原則のように国民と各党が一致して支持できる国の政治方針を指すものであります。中曽根首相も、非核三原則が国是であることは認めております。しかし、安保条約がいつから国是になったのですか。安保条約をめぐっては、あの国民的な大闘争があり、今も国論が二つに大きく分裂している問題であります。だからこそ、政府も与党自民党も、安保を国是とは言ってこなかったのではありませんか。安保を勝手に国是だと言って米軍基地建設を押しつけようとする栗原長官の態度は言語道断であります。安保は国是の発言の撤回を強く求めるものであります。(拍手)
 この点については、総理の見解も明らかにしていただきたい。
 なお、三宅島の米軍基地については、アメリカの国防総省が、単なる夜間離着陸訓練用基地としてだけでなく、硫黄島の基地強化とあわせて戦闘爆撃機や対潜哨戒機を常駐させ、シーレーンの制空権を確保する構想を持っていると伝えられております。日本政府としてはそういう構想を承知しているのかどうか、アメリカの構想に対してどういう態度で臨んでいるのか、明らかにしていただきたい。
 さきにソ連のゴルバチョフ書記長が、欧州だけでなくアジア部のSS20の撤去を表明、地球規模でINFを全廃するダブル・ゼロの方向を明らかにしました。これに対してアメリカもダブル・ゼロ受け入れの方針を明らかにし、事態は大きく展開しようとしております。ところが、中曽根総理が進めている路線は、まさにこうした平和、核軍縮への世界の大きな流れに逆行するものと言わなければなりません。(拍手)
 アラスカへのINF百発配備発言だけでなく、私が指摘した不沈空母発言以来の自衛隊の大増強と日米共同作戦体制の強化、SDI研究参加など、すべてが対ソ軍事優位を図るアメリカの核戦略に加担するものであり、平和軍縮、核兵器の廃絶を求める日本国民の願いに背くものであります。
 今こそ日米安保優先の政治ではなく、国民生活優先、核戦争阻止、核兵器廃絶の政治に転換すべきことを強く主張し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#38
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 佐藤議員にお答えをいたします。
 まず防衛力整備の問題でございますが、何回も申し上げておりますように、必要最小限の防衛力整備を行わんとするもので、これは軍縮と平和への努力と並行して行っておるものでありまして、矛盾しているものではありません。
 自衛官の増員の問題につきましては、既に予算化された艦艇、航空機の就役に伴う要員を確保せんとするものであり、中期計画達成のために必要不可欠の最小限のお願いをしているというわけなのであります。
 次に、OTHレーダーとか護衛艦の対空ミサイルシステムの性能向上は、あくまで日本防衛の観点から検討しておるものなのであります。米国に従属して行うというようなものでは全くございません。
 P3Cの問題でございますが、これも我が国防衛のため、周辺海域の監視哨戒あるいは海上護衛の目的で行ったものであります。
 次に、対潜能力向上の研究協力の問題でございますが、これは日米安保条約の枠内において、両国の対処能力を向上させるために情報交換、研究協力を行いたい、こういうことでありまして、安保条約遂行上当然のことをやっておるのであります。
 次に、外為法改正の問題でございますが、基本的枠組みのもとで行われておるものであり、憲法のもとで許容される範囲にとどめてあるものでありまして、これは問題となるものではございません。
 ココムヘの防衛庁の関与の問題は、専門的見地から助言するものであって、日本の安全保障上当然の官庁協力の行為である、こう考えております。
 SDIの問題について、国会決議違反ではないかという御質問でございますが、国会決議の有権的解釈はもとより国会で行うものでありますが、非核三原則や武器輸出、宇宙の開発利用等に関する国会決議に触れるものとは政府は毛頭考えておりません。
 東芝事件につきましては、最近ソ連の潜水艦の性能向上について非常に注目しているものであります。この工作機械が我が国法令に違反して不正にソ連に輸出されたことは、我が国を含む西側の安全保障に重大な問題であり、我が国自身の安全保障上からも問題である、そういう観点から適正な処置を行っておるものであり、しかも、国際の平和と安全が均衡に基づく抑止によって維持されているという、いわゆる均衡抑止論をとっておるのであります。米国における政策も同じでありまして、ソ連に対して軍事バランスの改善に努力している米国の努力の一環と考えて差し支えないと思うのであります。
 三宅島NLP建設の問題については、現地の皆様方の御理解を求めまして、これを実行して、推進してまいりたいと思うのであります。
 栗原長官の発言は、日米安保体制は我が国の防衛、安全保障上の基調をなす緊要なものであり、その堅持が我が国の存立にとって必要不可欠であるという揺るぎない基本政策の認識を述べたもので、私も同感でございます。
 共産党の今までのお考えを聞いていると、これこそまさに平和と安定に逆行して、日本国民の願望に反するものではないかと考えております。(拍手)
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣粟原祐幸君登壇〕
#39
○国務大臣(栗原祐幸君) 佐藤議員にお答えをいたしますけれども、あなたは、予備自衛官の増員につきまして、そういうことを認めることは日本を危険な方向に持っていくんだというような趣旨のお話をされましたが、それは、私どもの考えでいるところは全く逆でございますから、御認議を改めていただきたい。
 それから、三宅島艦載機着陸訓練場の建設に関連して、私が生活より安保と言ったことをばかに大きく取り上げましたが、私は遺憾千万であります。私は、三宅島のことにつきまして、国の安全を確保し続けていくことが国民の生活を守り、幸福を増進するために必須の条件である、こういう趣旨を述べたのです。しかも、私はつけ加えておるのです。三宅島の将来についても、私どもは皆様方のお役に立つようにいろいろ相談に乗りたい、こう言っているのですよ。三宅島の方々についても御相談に乗りたい、こう言っているのです。何か知らぬ、私が島民の生活を犠牲にしている、そういう発言については大変遺憾に存じます。(拍手)
 また、安保は国是という問題につきましては、今総理大臣からお話がございました。全く同感であります。基本的にあなた方と私どもは、根本のところで全く百八十度正反対である、こういうことであります。(拍手)
 それから最後に、三宅島はシーレーンの根拠地になって、制空権確保のために云々ということでございますけれども、これもあなた方の想像でそういうことを言ってもらっては困る。この飛行場の問題についてはそういうことは考えていない、このことを申し上げておきます。(拍手)
#40
○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#41
○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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