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1987/08/28 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 本会議 第14号
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1987/08/28 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 本会議 第14号

#1
第109回国会 本会議 第14号
昭和六十二年八月二十八日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  昭和六十二年八月二十八日
    午後一時開議
 第一 日本放送協会昭和五十九年度財産目録、
    貸借対照表及び損益計算書
 第二 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正
    する法律案(第百八回国会、内閣提出)
 第三 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律
    案(第百八回国会、内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 日本放送協会昭和五十九年度財産目
  録、貸借対照表及び損益計算書
 日程第二 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を
  改正する法律案(第百八回国会、内閣提出)
 日程第三 防衛庁職員給与法の一部を改正する
  法律案(第百八回国会、内閣提出)
 地方自治法の一部を改正する法律案(第百八回
  国会、内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 日本放送協会昭和五十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
#3
○議長(原健三郎君) 日程第一、日本放送協会昭和五十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長深谷隆司君。
    ―――――――――――――
 日本放送協会昭和五十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔深谷隆司君登壇〕
#4
○深谷隆司君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出された日本放送協会の昭和五十九年度の決算であります。
 まず、財産目録及び貸借対照表によりますと、昭和五十九年度末における資産総額は三千五十九億四千四百万円でありまして、前年度に比べ四百三億八千万円の増加となっております。これに対し、負債総額は一千四百一億八千五百万円で、前年度に比べ百四十七億八百万円の増加となっており、また、資本総額は一千六百五十七億五千九百万円でありますので、前年度に比べ二百五十六億七千二百万円の増加であります。
 次に、損益計算書によりますと、昭和五十九年度中の経常事業収入は三千三百六十一億一千四百万円、経常事業支出は三千百三十五億九千九百万円で、この結果、経常事業収支差金は二百二十五億一千五百万円となっております。これに経常事業外収支差金等を加えますと、当期事業収支差金は二百五十六億七千二百万円であります。
 本件には、「検査の結果記述すべき意見はない。」旨の会計検査院の検査結果が添付されております。
 本委員会におきましては、本件について、昨二十七日唐沢郵政大臣及び日本放送協会当局から説明を聴取し、質疑を行い、次いで採決の結果、本件は賛成多数をもって異議がないと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本件の委員長の報告は異議がないと決したものであります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第百八回国会、内閣提出)
 日程第三 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第百八回国会、内閣提出)
#7
○議長(原健三郎君) 日程第二、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、日程第三、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長石川要三君。
    ―――――――――――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び同報告書
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔石川要三君登壇〕
#8
○石川要三君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 まず、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案は、自衛官の定数を海上自衛官二百三十九人、航空自衛官二百六十七人、統合幕僚会議の自衛官四人、計五百十人増加するとともに、予備自衛官の員数を千五百人増加するものであります。
 次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、予備自衛官手当の月額を三千円から四千円に改定しようとするものであります。
 以上二法律案は、七月三十日本会議において趣旨説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日本委員会におきまして粟原防衛庁長官から提案理由の説明を聴取し、八月十八日から二法律案を一括して質疑に入り、中曽根内閣総理大臣の出席を求め質疑を行う等、慎重に審査を行いました。
 質疑は、SDI研究への参加問題、シーレーン防衛の問題と洋上防空構想の内容、FSX選定問題、防衛費対GNP比一%枠撤廃問題等、広範多岐にわたって行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、八月二十七日質疑を終了いたしましたところ、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党の戸塚進也君から施行期日に関する修正案が提出され、趣旨説明を聴取した後、二法律案及び修正案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党の谷津義男君から二法律案及び修正案に対し賛成、日本社会党・護憲共同の野坂浩賢君から二法律案及び修正案に対し反対、公明党・国民会議の井上和久君から防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し反対、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び修正案に対し賛成、民社党・民主連合の川端達夫君から二法律案及び修正案に対し賛成、日本共産党・革新共同の柴田睦夫君から二法律案及び修正案に対し反対の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決いたしましたところ、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(原健三郎君) 両案につき討論の通告があります。これを許します。野坂浩賢君。
    〔野坂浩賢君登壇〕
#10
○野坂浩賢君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、以下の諸点の理由から、防衛三法案に対し反対の意見を表明したいと思うのであります。
 第一に、今日の国際情勢の大局的動向は、一九八五年十一月のジュネーブ首脳会談以降、米ソ両超大国の核兵器削減交渉が進展し、既に米ソ首脳会談による中距離核戦力削減協定の政治日程が目前に浮上するなど、軍縮へと世界は大きく傾いているのであります。まさに、政府はあらゆる機会をとらえて、唯一の被爆体験国として非核三原則堅持の姿勢を明らかにしつつ、極東、北西太平洋戦域に展開する膨大な両超大国の核兵器の削減、廃絶を強く求め、核軍縮の歩みを促進するという重大な責務を負っているのであります。
 しかるに、トマホーク搭載艦船の寄港容認や米海洋戦略への加担、SDI研究参加など、非核三原則の空洞化と核安保体制の強化が懸念される中で、自衛隊の飛躍的な戦力増強の一環として打ち出されているこれらの法案は、この大局的流れに逆行する暴挙だと言わなければならぬのであります。(拍手)
 第二に、米国国防報告や国家安全保障戦略に明らかなように、この核廃絶か新たな軍拡かの岐路にあって、米国はソ連の長期的な戦略的方向を世界的覇権の確立とし、これに対するみずからの対ソ国家戦略を軍事的封じ込めと位置づけた上で、政治、軍事、経済、科学技術などのあらゆる対外政策の諸手段を駆使して、ソ連の持続的な弱点に対してアメリカの持続的な優位点を配列し、ソ連の弱点を利用しながらその軍事力を時間とともに弱体化させる競争戦略を、西側同盟国全体を律する対ソ戦略として全面的に押し出しているのであります。
 この競争戦略のもとに、西側優位にあるハイテク技術革新を組み込んだ対ソ軍事戦略が、今日、SDIや戦略核攻勢戦力近代化計画の推進、ハイテク兵器開発を織り込んだエアランドバトル戦略、攻勢的海軍作戦としての新海洋戦略などの危険な軍事戦略に結実し、レーガン政権によって強力に推進されているのであります。ここに、ソ連に対する軍事的打倒に突き進む米国の赤裸々な企図が露呈していると言わねばなりません。政府のSDI研究参加の協定調印や対米武器技術供与政策、ココム規制強化、日米共同作戦態勢の飛躍的強化とともに、今日の自衛隊の人的増強も、このアメリカの攻勢的な競争戦略のもとに推進されている対ソ防衛力増強政策の一環であると断定できるのであります。
 第三に、米国が近年急速に作戦遂行態勢の整備を推進している新海洋戦略は、競争戦略を海洋に応用して、空母戦闘群を擁する米海軍力の優位をチョークポイントに制約されたソ連海軍力の地政的弱点に指向する戦略にほかなりません。この海洋戦略は、北大西洋、バレンツ海とともに北西太平洋に適用され、海洋要塞化されたオホーツク海や日本海など極東ソ連本国水域にまで米海軍及び海上自衛隊の前方展開を図り、三海峡封鎖作戦を駆使しながら通常戦略レベルでソ連弾道ミサイル搭載原潜を一掃し、戦略核戦争遂行能力における米国の優位を確立し、さらにソ連水上艦隊の撃滅、極東航空戦力の一掃、海軍基地など支援兵たん基地の破壊、千島、サハリンへの逆上陸を企図する極めて危険な攻撃的戦略であると言わねばならぬのであります。東芝事件をてことしたソ連潜水艦探知能力の飛躍的強化のための日米共同研究体制の急速な整備は、新海洋戦略とそこに組み込まれた自衛隊の危険性の一端をかいま見せたものにほかならぬのであります。
 この攻撃的な新海洋戦略のもとの米海軍と共同連携するために、自衛隊は北方前方防衛戦略を強力に推進し、洋上防空体制研究会においてOTHレーダー、AWACS、空中空輸機、F15、エイジス艦を組み合わせた前方展開艦隊防空、三海峡封鎖作戦構想を練り上げており、陸上防衛態勢研究会においては、SSM1、FSX、多連装ロケット、AH1Sなどを駆使した洋上撃滅、水際打撃による三海峡地域防衛を遂行するための陸上自衛隊の再編、近代化構想を推し進めているのであります。本法案はこの危険な攻勢的戦略を遂行する要員の確保、継戦能力の増強策であり、我々はこれに断固反対をしなければならぬと思うのであります。
 最後に、政府は一方でこのような危険きわまりない対ソ軍事戦略の全貌を国民に対して覆い隠したまま、洋上防空体制研究会、陸上防衛態勢研究会の密室の中で作戦、編成、装備に関する攻撃的構想を着々と練り、防衛費対GNP比一%枠を取り払い、今また本法案による防衛力増強を図るとともに、他方ではこれを専守防衛の範囲内であるとの詭弁を弄して、国民を欺いておると言わなければならぬと思うのであります。虚構の国民的合意を強弁し、国民を対ソ戦略の最前線に引きずり込もうとしておると言われても仕方がないのであります。
 昨日の衆議院の内閣委員会におきまして、中曽根総理は質問に答えて、ペルシャ湾の機雷一掃の措置、あるいはまた外国における災害に自衛隊を派遣するという海外派兵への方向を明らかにしたのであります。我が党は断じてこれを許容することはできないのであります。
 我が党は、日本国民はもちろん、近隣諸国から軍事大国化への懸念表明というものを払拭して、真に我が国の平和、アジアの平和、世界の平和を守り、推進発展をさせるために、この軍拡への道である本法案には断固として反対することを表明して、討論を終わります。(拍手)
#11
○議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#12
○議長(原健三郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 地方自治法の一部を改正する法律案(第百八
  回国会、内閣提出)の趣旨説明
#15
○議長(原健三郎君) この際、第百八回国会、内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣葉梨信行君。
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
#16
○国務大臣(葉梨信行君) 地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 この法律案は、地方制度調査会の答申に基づき、機関委任事務制度について職務執行命令訴訟制度を見直すとともに、機関委任事務に係る議会及び監査委員の関与を拡充し、監査委員制度について監査委員の職務権限の拡大等その整備を図り、議会制度について議会運営委員会の設置等につき所要の措置を講ずる等により、地方公共団体の組織及び運営の合理化を図ろうとするものであります。
 以下、その概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、機関委任事務につきまして、議会の検閲・検査権及び監査請求権を認めるとともに、これを監査委員の監査の対象とすることとしております。
 また、職務執行命令訴訟制度の見直しにつきましては、知事の機関委任事務の処理につき法令等の違反あるいは怠慢があり、著しく公益を害することが明らかであるときは、主務大臣は勧告、命令、知事の不履行の事実を確認する内閣告示を経て代行することができることとし、知事は内閣総理大臣への不服の申し出を経て、主務大臣の命令の取り消しを求める訴えを起こすことができることとする等所要の改正を行うとともに、地方公共団体の長の罷免の制度を廃止することとしております。
 第二に、地方議会につきまして、参考人制度及び議会運営委員会制度を整備することとしております。
 第三に、監査委員の職務権限を拡大して、事務監査、公の施設の管理の受託者に対する監査ができるようにするとともに、地方公共団体の職員であった者を監査委員として選任することについて一定の制限を設ける等監査委員制度を整備することとしております。
 なお、これらの改正のほか、地方自治法の別表の規定を改正する等所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方自治法の一部を改正する法律案(第百八回国会、内閣提出)の趣旨説明に制する質疑
#17
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山下八洲夫君。
    〔山下八洲夫君登壇〕
#18
○山下八洲夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。
 総理、議題となっております地方自治法の改正案は、言うまでもなく地方自治の本旨にかかわる問題であり、全国三千三百自治体の機能を著しく制限する内容となっております。しかし、全国の自治体は、みずからを制約するこの法改正について直接何ら関与する権限がないことをまず強調いたしたいと思います。これが憲法第八章に保障されている地方自治の本旨なのかという基本的な疑問を感じます。国の都合の悪い地方制度調査会答申や都道府県議会あるいは市区町村議会の意見書が生かされたことがあるでしょうか。補助金や起債制限などで手足を縛り、制度的には機関委任事務を押しつけ、審議会等においては保守、自治省出身の首長を委員として、形だけ地方の意見を聞くポーズをとっているにすぎません。
 中曽根総理に伺いますが、あなたは地方の時代や地域の自立を強調してきましたが、補助金カットや地方行革の押しつけなど自治体泣かせ以外に、何か自治体に喜ばれることあるいは地方自治の発展につながることを実行されたでしょうか。この五年間をしっかりと思い起こし、お答えをいただきたいと思います。
 さて、何ゆえ国の代執行権強化が打ち出されたのか、どのような必要があるのかについて、政府は一切説明をしておりません。しかし、この改正案の策定経緯から見れば、川崎市における外国人の指紋押捺問題にかかわる事務の拒否に端を発していることは明らかであります。指紋押捺問題は重大な人権侵犯問題であり、住民の生活と権利に責任を持つ自治体がこれを拒否するのは当然であります。自治体の多くが売上税の予算計上を回避したのも、逗子市が米軍住宅の建設に反対したのも、また同様に賢明かつ適切な配慮であります。
 しかし、政府は、こうした自治体の自主的判断に脅威を抱き、本案を提出するに至っているのであります。現行の職務執行命令訴訟制度において国が代執行を行ったのは、わずか砂川の一例だけてあります。どのような事態を想定し、適用を考えているのか、明確かつ具体的にお示しをいただきたいと存じます。
 昨年の第百四国会における我が党の五十嵐議員の質問に対して、総理は、現実に制度として動いていない、公選された知事を内閣総理大臣が罷免するのはおかしいという批判に応じたものであり、特定、具体的な事件、事例を念頭に置いたものではない、このように答弁されています。では、なぜ、二年の任期中に一度も議題とならなかった職務執行命令訴訟制度の見直しが、小委員会の任期切れわずか十日前に突如として行革審答申に出てきたのですか。なぜ知事の罷免制廃止だけを出さなかったのですか。特定、具体的な事件、事例を念頭に置かないで、制度だけを見直す必要がどこにあるのでしょうか。総理並びに自治大臣、はっきりお答えをいただきたいと思います。(拍手)
 次に、そもそも職務執行命令訴訟制度は機関委任事務を前提にしておりますが、機関委任事務自体が自治体にとっては大きな迷惑であります。今日、都道府県の事務総量の八割、市町村の五割がこの機関委任事務と言われ、地方団体はその全面的廃止を要望し、大幅な削減合理化を求めていますが、何件廃止されたかといえば、わずか数十件にすぎません。地方自治法別表には五百八項目が掲げられているとされますが、毎国会、法律が通るたびに、機関委任事務や団体委任事務、さらには団体事務など、わけのわからないものが次々と生まれています。国は直接国でやれることだけを決め、自治体にゆだねなければならないことは、枠組みだけ自治体の意見をしっかりと踏まえて定め、財源保障し、あとは条例、要綱にゆだねればよいではありませんか。
 機関委任事務とは、その性格は何で、何を根拠にしているのかという質問についても、小沢前自治大臣は、法律または政令によって地方公共団体の執行機関に委任された国の事務であると、意味不明の答弁をされています。委任を受ける方の意見も聞かず、指図、介入はやりたいほうだいやるというこの制度は、戦前の地方制度の遺物であり、戦後憲法によって地方自治が規定されて以来は死滅させるべきものであるというのが正しい解釈であります。
 なぜ機関委任事務が必要であるのか、機関委任事務と団体委任事務、そして団体事務はそれぞれどこが違い、何件あるのか、また、都道府県、市町村の事務総量の各何割を占めているのか、葉梨自治大臣、具体的にお答えをいただきたいと存じます。
 さらにお尋ねをいたします。
 地方公共団体の長に対する国の指揮監督を役所内部の上意下達のごとく行うのは、地方自治体の本来の自主独立性を害するものであり、憲法で定めた地方自治の本旨にもとるおそれがある、一方において国の指揮監督の実効性を確保するという調和を図るために職務執行命令訴訟の制度を採用したものであるというのが、最高裁砂川判決における本制度の趣旨の解釈であります。この解釈に基づけば、現行制度における主務大臣からの職務執行命令訴訟の提起、その裁判を経た後の命令違反確認訴訟の提起、そしてその裁判確定後における主務大臣による代行というシステムは、知事の罷免は論外として、それなりに本制度の趣旨に沿ったものと言えます。
 ところが、今回の改正案は、勧告、命令、不服申し出、通告、告示、代行とされ、知事が通告に不服のときは知事の方から訴訟を提起し、勝訴したとき初めて処分の回復と原状回復措置がとられるとなっております。現行制度とは全く逆転しており、地方自治体の自主独立性を根底から否定し、憲法で定めた地方自治の本旨を踏みにじり、国の強権的支配権、国への服従のみを強調するものとなっているのであります。(拍手)
 国から訴訟を提起した例は、これまでに一件でした。では、制度が動かないという理由で改正されるこの新たな仕組みによって、自治体が訴訟をどんどん提起することを目的にするのでありましょうか。実際には、経済的にも政治的にも圧力を受けている自治体が訴訟を提起できる事例はほとんどなく、総理の答弁を拝借すれば、それこそ制度は動かないと言えるでありましょう。変わるのは、機関委任事務が廃止合理化の方向ではなく、拡大強化されるということ、そして国の強権発動に脅かされ、自治体に対する支配骨化が進むということであります。なぜ最高裁判決にある制度の趣旨をも根底からひっくり返すのでしょうか。総理並びに自治大臣の明快な回答を求めます。
 また、第百五十一条の二では、他の方法で是正を図ることが困難で、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかである場合に代執行するとされていますが、具体的にどのような場合かという質問に対して、小沢前自治大臣は、社会公共の利益に対する侵害の程度が非常に甚だしい場合に限定するとしています。政府は、都道府県が社会公共の利益に反する行為を行うことを前提に法律を定めるのか、または、中央政府と地方政府の関係において、国が社会公共の利益に反した場合、自治体はどのような対抗手段を保障されているのか、自治大臣の所見を伺いたいと思います。
 また、今回の改正案における代執行制度の趣旨と最高裁の砂川判決における制度の趣旨と異なるのか否か。都道府県が社会公共の利益に反する行為を行うことを前提に法律を定めることができるのか。さらに、公選知事が選挙民の意思と国の意思との選択を求められた場合、選挙民の意思を尊重すれば内閣総理大臣から罷免されるという現行制度は、憲法第九十三条違反であると考えられますが、いかが考えられるのか。この本会議における答弁は昭和四十五年以来とのことであるそうでございますが、内閣法制局長官の見解を求めます。
 次に、改正案においては、議会における機関委任事務の書類、計算書の検閲は政令で定めるものを除くとされ、監査請求の対象事務も政令で定めるものを除くとされ、しかも監査の実施方法も政令で定めることとされています。肝心なことは政令に委任し、国会審議の対象としないということは納得できません。たとえ政令が機関委任事務の数だけあろうと、その内容をすべて国会に提出することを要求いたします。これは各省にまたがりますので、ぜひ総理からお約束をいただきたいと存じます。
 最後に、こうした職務執行命令訴訟制度の改悪を初め、自治体と国民の管理支配を強めようとする法律改正が非常に目立ちます。一方においては、国家秘密法、拘禁四法案制定の動き、また他方においては、警察の不祥事件の発生や検察と警察の不透明な関係など、戦前の警察国家を思い起こすようなことが多々あります。さらに一方においては、昨夜のようなゲリラ事件や凶悪犯罪は未検挙という状態にあります。中曽根総理は、こうした制度と実態における警察国家化についてどのような感想をお持ちか。
 また、さきの第百四国会において公有地の信託部分を除いて審議未了、廃案となった地方自治法改正案を再提出することは、議会制民主主義を否定し、記念すべき地方自治法施行四十周年を総理みずからが逆なですることであります。この間の経緯を勘案すれば、国家秘密法、拘禁四法案を含めて断念すべきと考えますが、所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 山下議員にお答えをいたします。
 まず、地方自治発展のための政府の努力に関する部分でございますが、地方自治は民主政治の基盤であり、内政のかなめであるとかねてから確信し、そのように努力してきたところであります。この観点から、国の関与、必置規制、機関委任事務の整理合理化法の制定あるいは行政事務等によりまして中央地方を通ずる行政改革に努めると同時に、所要の地方財源の確保を図って地方自治の充実に努めてきたところであります。今後とも地方分権を一層推進するように努力してまいりたいと思っています。
 補助金の削減等は行政改革の一環として行われたことでありまして、地方と同じように国も財政は火の車の状態でございまして、地方に迷惑をかけないように、それでもいろいろ努力をしてきたところでございますが、今後とも地方と手を組みまして共存共栄の実を上げるように努力してまいりたいと思います。
 職務執行命令訴訟制度の問題でございますが、行革審におきましては、機関委任事務に関する制度の全般的な見直しの中で職務執行命令訴訟制度についても検討が行われ、慎重な審議の結果、答申が行われたものであります。特定、具体の事件や事例を念頭に置いたものではございません。
 今回の代行制度の改革は、昭和三十五年六月十七日の最高裁判決にも留意の上、改革を行おうとしたものでございます。
 この問題に関しましては、一方におきまして、知事に対する罷免権というものはやめた、そのかわり、一方におきましては、内閣の告示に基づきまして、一定の条件のもとに代行を行うようにしたけれども、訴訟制度という形によって、知事の立場をあくまで念頭に入れた措置をしておる。こういう形によりまして、現行法よりはさらに一歩前進した、地方を重んじたやり方で前進してきておる。知事の罷免権というものを廃止したという点だけでも、私は、これはかなり思い切った前進ではないか、そう思っておるわけでございます。
 機関委任事務についても、議会の検閲、検査及び監査委員の監査の対象とすることとしたのは、地域の実情を反映させつつ、事務の適正かつ効率的な執行を確保する必要があると考えたため行ったのであります。したがって、検閲、検査または監査の対象からの除外については、国の事務の適正な執行の確保の観点から必要最小限のものに限定することにいたしたものであります。
 政令につきましては、確定次第御報告することは当然のことであります。
 警察国家化の問題でございますが、警察制度は、民主的な制度のもとに今適正に運営されていると私は思います。警察の活動が不法不当にわたり、国民の信頼を損なうことがあってはならないことは当然のことであります。今後とも適法、妥当な方法によりまして、治安維持等に向け一層努力を傾けてまいりたいと思います。
 地方自治法改正案は、撤回する考えはございません。
 次に、国家秘密法の問題でございますが、いわゆるスパイ防止法案は、自民党において、この種の立法が必要であるとの立場からいろいろ検討を加えているところでありますが、やはり国民の基本的人権やいわゆる知る権利等々も考えまして、国民の十分な理解が得られるように努力しつつ、今慎重に検討しておるところであります。
 いわゆる拘禁四法案、刑事施設法案、同法施行法案、留置施設法案及び海上保安庁の留置施設に関する法律案は、いずれもそれぞれの施設の適正な管理運営を図り、収容される方々の人権を尊重しつつ、適切な処遇を行うことを目的とするものでありまして、御質問のような趣旨のものではないので、法案を撤回する考えはございません。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
#20
○国務大臣(葉梨信行君) 職務執行命令訴訟制度の改正理由でございますが、地方制度調査会といたしましても、機関委任事務の基本的なあり方を論議する中で、職務執行命令訴訟制度につきまして制度論として種々検討の上答申されたものであります。特定、具体の事態を想定しているものではございません。政府といたしましても、このような論議の結果を踏まえ、機関委任事務制度の改革の一環として改正法案を国会に提出し、御審議をお願いしている次第であります。
 機関委任事務と団体事務の違いはどうかという御質問でございますが、機関委任事務は、国の事務について、地域の実情に即した処理を必要とする等の事情により、その管理、執行を地方公共団体の機関にゆだねるものであります。これに対しまして団体委任事務は、法令の規定により地方公共団体に委任した事務でございます。団体事務とは、固有の事務と団体委任事務を含む概念であります。
 なお、地方自治法別表の団体事務及び機関委任事務の件数は、それぞれ二百七十八件、四百九十七件で、地方公共団体の事務のなお相当部分を占めているのが現状でございます。
 改正案と最高裁判決との関係でございますが、今回の代行制度の改革につきましては、御指摘の最高裁判所判決にも留意の上、地方公共団体の意見を十分尊重しつつ、慎重かつ適切に機能し得る制度として改革を行うこととしたところでございます。
 最後に、社会公共の利益と代行制度の関係でございますが、今回の代行制度の改革は、地方の側の意見にも十分配慮する制度として組み立てられているものでございます。すなわち、地方の側からは、内閣総理大臣に対する不服の申し出、命令の取り消し訴訟及び執行停止の申し立てを行うことができることとしているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔政府委員味村治君登壇〕
#21
○政府委員(味村治君) 私に対する御質問は三点であったかと存じます。
 その第一点は、今回の地方自治法の一部を改正する法律案のいわゆる事務代行制度の趣旨についてでございますが、この制度の趣旨は、地方公共団体の長の本来の地位の自主独立性の尊重と国の委任事務を処理する地位に対する国の指揮監督権の実効性の確保、その間の調和を図るものでございまして、この点におきましては、現行地方自治法のいわゆる職務執行命令訴訟制度の趣旨につきまして、御指摘の最高裁判所判決が述べているところと変わりがないものと考えております。
 御質問の第二点は、今回の改正法案の前提についてでございますが、いわゆる機関委任事務の執行等が法令等に違反し、それを放置すれば著しく公益を害する場合の生ずる可能性を全く否定することができない以上は、そのような場合に対処するための法律を定めることに特段の問題はないと考えております。
 御質問の最後の点は、地方公共団体の長の罷免についてでございますが、御指摘の現行制度は、現在の地方自治制度上、地方公共団体の長は、当該団体の長であると同時に、国の事務の適正な執行を行うべき国の機関としての地位をあわせ有するところから、地方公共団体の長本来の地位の自主独立性の尊重と国の委任事務の適正な執行の確保の要請、その両者の調和を図る観点に立ちまして、合理的な理由と慎重な手続によりましてその地位を喪失させることができるとするものでございまして、憲法第九十三条に違反するものではございません。
 以上でございます。(拍手)
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#22
○議長(原健三郎君) 小谷輝二君。
    〔小谷輝二君登壇〕
#23
○小谷輝二君 私は、公明党・国民会議を代表して、何点か質問をいたします。
 最初に、昨夜八時過ぎ、皇居に向けて迫撃砲が撃ち込まれるという事件が発生いたしました。この件についてお伺いをいたします。
 これは、天皇陛下の沖縄御訪問に反対する過激派集団の行動と言われておりますが、この事件の背景、真相等をどう把握しているのか。また、この種の事件はこれまで何回か発生をしておりますが、いまだ事件の解決には至っておりません。国民の安全、国際的見地からも重大な問題であると思っております。こうした事件に対する今後の対応について、総理並びに国家公安委員長に御答弁を願います。
 次に、ただいま趣旨説明のありました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 地方自治法は、言うまでもなく、日本国憲法とともに昭和二十二年五月三日に施行され、本年はちょうど四十周年の佳節を迎えるに至りました。我が国憲法は、平和、人権、民主の三原理を基本としております。また、憲法のもう一つの特色は、地方自治を規定していることであります。
 地方自治が発足して今日まで、我が国の社会経済情勢は、戦後の復興期、高度経済成長期、また安定成長期と、それぞれの段階を経てまいりました。この中にあって地方自治体は、国民生活の安定、産業基盤の強化、人口の移動に伴う地域社会の整備等を進めてまいりました。また、国に先駆けて福祉行政を推進してまいったのであります。いつの時代にあっても国民生活や経済発展の実質的推進を行ってきたのが地方自治体であったことは言うまでもありません。
 現在、内需拡大政策の遂行が求められ、経済や地域の活性化など、重要な役割を担っております。さらに、今後、高齢化、国際化、情報化時代を迎えるに当たって、その役割はますます重要になり、よりきめ細かな施策の推進が求められておりますが、地方自治体の主体的役割は、あくまでも住民の生命の安全、住民福祉の向上にあることは言うまでもありません。このような重要な役割を持つ地方自治体が遺憾なくその任務を果たすためには、まず地方自治体の力をより強固にすることでありますことは申し上げるまでもありません。
 しかしながら、今日の地方自治体の実態を見たとき、都道府県では事務の八割が、また市町村では五割が機関委任事務で占められているのであります。また、自治体の事務の大半が補助金行政によっていることなど、現行の国、地方間の行財政は、従来のまま画一的構造になっております。これまで地方制度調査会や臨調等から幾多の指摘がありましたが、基本的構造は何ら変わっておりません。地方自治体が住民本位の行政を実施し、豊かで活力ある地域社会をつくるためには、これまでの中央集権的な構造を思い切って転換することが最も重要であります。活力ある地域をつくるためには、今日の地方自治制度をどのように改革すべきなのか、総理の見解をお伺いしたいのであります。
 また、二十一世紀の国土づくりの指針として四全総が策定されましたが、現在はすべての権限や財源、また情報が東京に集中していることが問題であります。その弊害を解決し、均衡ある国土づくりを図っていくことが重要であります。しかし、四全総には権限や財源の地方移譲を進めるという視点が欠落しているのではないかと考えるものでありますが、この点についての見解もあわせてお伺いをいたします。
 さて、今回の法改正についてお伺いいたします。
 法律案では、機関委任事務に対して、議会が検査、検閲し、また監査委員が監査できるように改正しようとするものであります。今日の機関委任事務の大半が住民生活に密着しており、住民の代表である地方議会が関与できないこと自体、地方自治の原理から見ても不合理であり、その改正を強く要求してきたところであります。むしろ遅きに失したという感を受けるものであります。
 しかしながら、今回の改正案で最も重要な点は、職務執行命令訴訟制度の改正であります。いわゆる裁判抜き代執行を可能にしようとすることであります。これは地方自治制度の根幹にかかわる問題を含んでおり、極めて重大であります。
 すなわち、知事、市町村長は、地方自治体の固有事務を行うとともに、国の機関委任事務の執行も義務づけられております。このため、現行法では、知事等が住民の代表としての立場で公共性に反すると判断し機関委任事務の執行を行わなかったとき、主務大臣は第三者機関である裁判所に判断を求めることになっているのであります。これは憲法で保障された地方自治の自主性を尊重するものであり、過去においても、最高裁の判決でも地方自治体の自主独立性の尊重を明らかにしているのであります。
 ところが、今回の法改正案では、知事等が委任事務を執行しなかったとき、主務大臣は裁判抜きで代執行をすることができるというものであります。もし代執行に対して異議がある場合は知事等が裁判に訴えてもよいという、全くこれまでと逆の制度になっているのであります。これは機関委任事務の本質を無視し、地方を国の従属機関として扱うものであり、国の身勝手さをむき出しにした改悪であり、時代に逆行した中央集権的な姿勢をますます強めるものであります。なぜこのような地方自治制度の根幹を覆すことになる改正を行おうとするのか、明らかにしていただきたいのであります。この際、職務執行命令訴訟の改正は撤回すべきであると考えるものでありますが、見解をお伺いいたします。
 次に、機関委任事務の整理についてお伺いいたします。
 機関委任事務は、戦後の地方自治制度の改正の際、国の統一的事務の執行についてその実施を地方に委任する制度でありますが、近年、国の事務が時代の要請とともにふえてまいりました。その大半は機関委任事務によって行われておるわけであります。こうした実態に対して、行革審や地方制度調査会からその整理の必要性が強調されてきたのでありますが、これまでの改革を見ると、実質的な整理は行われておらず、既に役割を終えたもの、事実上効果がなくなったものなどについて法文上の整理をしたにすぎません。国、地方を通ずる行政改革といっても、しょせんはこの機関委任事務を整理するということに尽きると思うものであります。今後、機関委任事務の整理についてどのように推進するのか、見解をお伺いいたします。
 また、地方の活性化を果たすためには、現行の機関委任事務を地方の固有事務とすることや各種の国の必置規制、関与をいかに排除するかが地方行革の大きな課題であります。この点についてどのように改革するのか、あわせてお伺いをいたします。
 さて、今日の我が国の生活関連施設整備は著しく立ちおくれております。私どもは、これを整備充実し、生活大国を目指すべきであると主張してまいりました。この充実は、結果的には我が国経済が今求められている内需中心の経済への転換にも通じるものであり、今こそ生活関連施設を整備する絶好のチャンスであると考えるものであります。しかし、その主体的役割を担う自治体に対する国庫補助率は年々削減されて、国の負担も地方に転嫁されているのが実情であります。これで果たして十分な施設整備ができるかどうか憂慮するものであります。大蔵大臣も生活大国ということを政策の重点目標としておられるようでありますが、今後の生活関連施設整備を進めるためには、地方自治体に対する補助金の削減や負担転嫁を行うべきではないと考えるものであります。これらに対する御見解をお伺いいたします。
 最後に、中曽根総理は、今日まで五年有余にわたっての政権担当もあと残りわずかになりました。大変御苦労さまでありましたと申し上げます。総理は、政権担当に当たって、行政改革の断行を大きな目標に掲げてきたのでありますが、日本の内政の担い手である地方自治体の行政改革は、何ら見るべき成果は上がっておりません。今後地方行革をどのような方向に持っていくべきか、御見解をお伺いいたします。
 以上、地方自治の重要な問題に絞って質問をいたしましたが、総理並びに関係大臣の率直な御見解をお伺いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 小谷議員にお答えをいたします。
 まず、過激派の事件でございますが、今回の事件は、秋の沖縄国体への天皇陛下行幸に反対する極左暴力集団によるものと見られます。かかる暴挙は法秩序に対する挑戦であり、まことに遺憾であり、警察といたしましても徹底した捜査を遂げるとともに、今後国民の理解と協力のもとに警戒警備の万全を期する考え方でおります。
 地方自治制度の改革の問題ですが、地方自治は民主政治の基盤であり、内政のかなめであると心得ております。人口の高齢化、国際化、高度情報化等が進む中で、地域の特性や創意を尊重した地域づくりが重視されている折から、地方公共団体が果たすべき役割はますます重要であります。今後とも地方分権を一層推進するように努力してまいる所存でおります。
 四全総の問題でありますが、目標としている多極分散型国土の形成を図るためには、地域特性を生かした魅力ある地域づくりを進めることが重要であります。このような地域づくりを進める上で地方公共団体の役割が増大し、その行財政基盤の強化を図る必要があるとの考えのもとに、国と地方の役割分担については、国、地方を通ずる行財政の簡素合理化及び地方分権の推進の観点に立って引き続き見直しをいたしたところであります。また、多様な財政需要の増大に対応していく必要があり、地方財源の確保と安定のため、今後とも引き続き適切な措置を協議の上進めてまいるつもりでおります。
 次に、職務執行命令訴訟制度の問題でありますが、この制度については、現実に制度として動かないとか、公選された知事を内閣総理大臣が罷免するのはおかしいというような批判もあり、地方制度調査会としても、制度論として種々検討の上、見直しを提言してきたものであります。政府としても、答申に即した改正が必要と考え、機関委任事務制度の改革の一環として改正法案を提出したものであります。
 この機関委任事務等の改革の推進については、従来から御指摘の機関委任事務の整理合理化、必置規制の見直し等、諸般の改革に努めてまいりました。今後とも、国、地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重の観点から、住民に身近な事務は住民に身近な地方公共団体で処理できるよう、役割分担等幅広く検討してまいるつもりでおります。
 補助金削減等の問題につきましては、厳しい財政状況のもとで行財政改革を推進するためにも、臨調答申等を踏まえて補助金等の整理合理化を引き続き推進する必要があります。地方財政については、その都度円滑な運営に支障を生ずることのないように措置してまいりましたが、今後も適切な措置をいたします。
 地方行革の方向でございますが、その機能分担のあり方を見直し、改革を行ってまいりましたが、まだ道半ばであります。内政の担い手である地方公共団体がその役割を十分果たせるよう、国より地方への権限移譲等を引き続き推進するとともに、地方公共団体においても、引き続き自主的、総合的な行政改革を強力に推進するよう期待しておるところでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般的に申しまして、行財政改革の推進のために補助金等の整理合理化は引き続き推進していかなければならないと考えておりますが、地方財政につきましては、その円滑な運営に支障を生ずることのないように、今後とも、各年度の地方財政対策を通じまして、国としても適切に対処してまいらなければならないと思っております。また、先般御議決いただきました社会資本整備勘定、NTTの売却代金でございますが、それ等を活用いたしまして地方の活性化に資してまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
#26
○国務大臣(葉梨信行君) 国家公安委員会委員長として御答弁申し上げます。
 八月二十七日午後八時二十分ごろ、千代田区猿楽町の路上に駐車した偽造ナンバー使用の貨物自動車から爆発物五発が北の丸公園に向けて発射されるという事案が発生いたしました。爆発物は北の丸公園の路上等に落下しましたが、幸いにして人的被害はありませんでした。
 この事件は、沖縄国体への天皇陛下の行幸や新東京国際空港工事に反対し、ゲリラ行動に出ることを呼号している極左暴力集団によるものと見られ、警視庁では特別捜査本部を設置して鋭意捜査中であります。今後とも極左暴力集団によるテロ、ゲリラの発生が懸念されるところでございまして、警察といたしましては、警視庁を初めとして全国警察の総力を挙げてこの種事案の防止に万全を期することとしております。特に今回のようなゲリラ事案に対しましては、国民の皆様の御理解と御協力をいただいて、皇居、行幸先等の関係施設及びその周辺における検問、検索を実施するなどして、その封圧を図ってまいる所存でございます。
 次に、職務執行命令訴訟制度の改正の理由でございます。
 今回の制度の見直しに当たりましては、地方制度調査会におきまして議論に議論を重ね、地方公共団体の意見を十分尊重しつつ、慎重かつ適切に機能し得る制度として答申がなされたものでございます。今回の改正案では、同時に、地方公共団体の長の罷免の制度の廃止、機関委任事務に係る議会及び監査委員の権限の拡充が盛り込まれ、全体としましては国と地方の関係の改善に資する内容になっておりまして、地方自治の本旨にもとるものではないと考えているところでございます。(拍手)
#27
○議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#28
○議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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