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1987/09/03 第109回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第109回国会 本会議 第15号
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1987/09/03 第109回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第109回国会 本会議 第15号

#1
第109回国会 本会議 第15号
昭和六十二年九月三日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第九号
  昭和六十二年九月三日
    午後一時開議
 第一 労働基準法の一部を改正する法律案(第
    百八回国会、内閣提出)
 第二 所得税法等の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
 第三 地方税法の一部を改正する法律案(内閣
    提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 労働基準法の一部を改正する法律案
  (第百八回国会、内閣提出)
 日程第二 所得税法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第三 地方税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特
  別措置法案(第百七回国会、宮崎茂一君外五
  名提出)
    午後一時二分開議
#2
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 労働基準法の一部を改正する法律案(第百八回国会、内閣提出)
#3
○議長(原健三郎君) 日程第一、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長堀内光雄君。
    ―――――――――――――
 労働基準法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔堀内光雄君登壇〕
#4
○堀内光雄君 ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年の労働条件をめぐる社会経済情勢の著しい変化及び労働者の福祉の増進、長期的な雇用機会の確保等の必要性にかんがみ、労働時間の短縮等を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、法定労働時間は週四十時間とし、当分の間は、命令で定める時間とすること、
 第二に、労働時間の法的規制の弾力化を図るため、新たに、労使協定の締結等一定の要件のもとに、フレックスタイム制、三カ月単位の変形労働時間制等を設けること、
 第三に、労働者が事業場外で業務に従事する場合等における労働時間の算定について、合理的な算定方法を定めること、
 第四に、年次有給休暇の最低付与日数を六日から十日に引き上げるとともに、労使協定により、計画的付与ができること、また、パートタイム労働者等所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇については、通常の労働者の所定労働日数との比率に応じた年次有給休暇を付与すること等であります。
 本案は、第百八回国会から継続審査となり、去る八月二十一日の本会議において趣旨説明が行われ、同月二十五日の委員会において平井労働大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、同月三十一日参考人から意見を聴取し、九月一日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、自由民主党より、三カ月単位の変形労働時間の限度規制等について修正案が、また、日本共産党・革新共同より、変形労働時間導入条項の削除等について修正案がそれぞれ提出され、討論を行い、採決の結果、日本共産党・革新共同提出の修正案は否決され、本案は自由民主党提出の修正案のとおり多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 所得税法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#7
○議長(原健三郎君) 日程第二、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長池田行彦君。
    ―――――――――――――
 所得税法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔池田行彦君登壇〕
#8
○池田行彦君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえ、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるため、所得税法等の一部を改正しようとするものであり、以下、その大要を申し上げますと、
 第一に、中堅所得者層を中心に、所得税の負担の軽減及び合理化を行うため、税率構造について、最低税率の適用対象所得範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、配偶者特別控除の創設を行うこととしております。また、給与所得者の特定支出控除の特例を設けるほか、老年者控除を現行の二倍に引き上げるとともに、公的年金等控除の創設等を行うこととしております。
 第二に、利子課税等について、少額貯蓄非課税制度等を老人等に対する利子非課税制度に改組することとし、これら以外の利子所得に対しては源泉分離課税を行うこととする等の措置を講ずることとしております。
 第三に、超短期所有土地等の譲渡益を重課する特例及び長期譲渡所得、短期譲渡所得の区分の特例を時限的に設ける等の措置を講ずることとしております。また、有価証券譲渡益課税につきましては、先物取引による所得を課税対象に加えることとしております。
 第四に、その他内外経済情勢の変化等に即応して、たばこ消費税、取引所税、有価証券取引税、印紙税、登録免許税等及び各種加算税について所要の措置を講ずることとしております。
 なお、施行期日は、原則として昭和六十二年十月一日から施行することとしておりますが、給与所得者の特定支出の控除の特例の創設、公的年金等の課税に関する改正等については昭和六十三年一月一日から施行する寺としております。
 以上がこの法律案の概要であります。
 本案につきましては、去る八月二十一日宮澤大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、以来、参考人から意見を聴取する等慎重な審査を進めてまいりましたが、昨二日、中村正三郎君外四名から、自由民主党提案による修正案が提出されました。
 修正案の要旨は、所得税の税率構造について、最低税率一〇・五%の適用範囲を課税所得百二十万円以下から百五十万円以下の金額に拡大するとともに、一二%の税率の適用範囲を百二十万円を超え百六十万円以下の金額から百五十万円を超え二百万円以下の金額に引き上げること、勤労者財産形成住宅貯蓄契約及び同年金貯蓄契約に係る預貯金等の利子等については、三・七五%の税率による源泉分離課税の特例を改め、非課税とすること、利子課税等の改正について、その実施時期を昭和六十三年一月一日から同年四月一日に延期すること、また、利子所得に対する所得税の課税のあり方については、総合課税への移行問題を含め、必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うものとすること等に改めるものであります。
 次いで、原案及び修正案を一括して議題とし質疑を続け、同日質疑を終了し、原案及び修正案を一括して討論に付した後、採決いたしました結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(原健三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。上田卓三君。
    〔上田卓三君登壇〕
#10
○上田卓三君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案及び修正案について、反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 今日ほど、国民の間に税制に対する関心が高まっているときはありません。今や内需の拡大と円高不況の克服が日本経済の最大の課題であります。円高の被害を直接に受ける中小零細企業の経営不振が続き、勤労世帯の消費低迷が長引いております。他方では、金余り現象と言われ、膨大な資金が生産的な投資に向かわず、株や土地投機、財テクに流れ込むという異常な風潮が強まっております。今政府がなすべきは、税制、財政を駆使してこの経済のゆがみを是正し、内需拡大によって健全な経済活動を活性化させることであります。国会が行うべき税制改革の任務は重大であります。
 国民は、不公平税制の是正を強く求め、勤労者の所得減税を切実に願っているのであります。中小企業には徴税が強まる一方で、各種の租税特別措置によって、大企業の実際の税率は実に三〇%以下という過保護ぶりであります。勤労所得の減税が据え置かれ、まじめに働く者に最も税金が重くのしかかっている反面、資産運用による不労所得が非課税、低税率で保護されているのであります。総合課税の原則が事実上崩れ去っているのであります。このような税制の矛盾が金余り、財テクブームの温床になっております。国民の期待は、こうした不公平税制の是正と大幅な所得減税であり、断じてマル優廃止ではありません。
 しかるに、中曽根内閣は、国民世論が反対するマル優原則廃止と、国民世論が切望する所得税減税をセットにした増減税抱き合わせ法案を提出したのであります。そもそもマル優廃止法案は、さきの国会で国民の厳しい批判を浴びて廃案になり、五月十二日の与野党国対委員長会談でも、本臨時国会には提出しないと確認されているのであります。国民の声と議会の信義に反する暴挙であります。
 しかも、マル優を廃止しなくても、当面の減税財源は十分に確保できるのであります。NTT株売却益や六十一年度歳入剰余金があり、また今年度も数兆円の規模の歳入超過が見込まれる状況であります。減税の財源は、政府の決断次第で十分対応できることは明らかであります。政府は、まず、与野党合意のある所得税減税を先行実施し、その後に、広く国民の意見を聞き、あるべき税制改革の道を探るべきであります。
 さらに、今回提案されている所得税減税は国民の要求とは大きくかけ離れています。野党四党が一致して要求しているのは、最低二兆円以上の減税であります。一兆五千四百億円では、決定的に不十分であります。政府は、標準世帯ではマル優廃止の増税分と差し引きしても、トータルで減税になると宣伝しております。しかし、新たに設けられた専業主婦控除の対象外である共稼ぎ世帯や単身の労働者、さらに定年後六十五歳までの高齢者にとっては増税になるのであります。マル優廃止との抱き合わせでは、国民の半数が実質増税となり、消費の低下を招き、内需拡大にも逆効果となることは明らかであります。
 課税最低限度額も、専業主婦世帯を除けば据え置きであります。基礎控除、扶養家族控除は欧米諸国よりもはるかに低い水準であり、大幅な引き上げが必要であります。また、新たに設けられた給与所得者の特定支出控除は、実際には有名無実の制度であります。他方、既に百四十万人もの給与所得者が活用している医療費控除の足切り限度額が二倍の十万円に一挙に引き上げられることは、給与所得者の自主申告権を奪う許しがたい改悪であることも指摘をしておきます。(拍手)
 中曽根首相は、マル優は円高、貿易摩擦の原因であると答弁し、まるで、マル優さえなくせば、貯蓄が減り、消費が拡大し、貿易摩擦が解消するかのような発言であります。しかし、日本の貯蓄の実態は、そんなに余裕のある状況ではありません。日銀貯蓄増強中央委員会の調査によりますと、貯蓄の理由は、病気や事故への備え三二%、老後の不安が一六%、子供の教育費一四%、マイホームのための貯蓄一〇%であります。実に全体の七〇%以上が将来の不安に備えての貯蓄なのであります。
 このどれ一つとっても、中曽根首相、あなたが進めてきた社会保障の改悪や無策の結果ではないでしょうか。内需拡大のためには、マル優の廃止ではなく、けちけち財政を改めて、将来に不安のない豊かな社会保障の充実を図ることこそ特効薬ではないでしょうか。総理は、非課税貯蓄が我が国だけの制度であるかのように言っておりますが、アメリカはGNP当たり日本の二・四倍、フランスは貯蓄の約四六%が非課税扱いであります。
 次に、マル優の不正利用問題であります。現実には、マル優を限度額以上に利用している世帯は、全世帯の一〇・六%であります。不正利用者はこのうちのごく一部、多分数%にすぎず、国民の九〇%はマル優の限度額に達していないというのが現状であります。しかも、多くの場合、不正利用者には、金融機関が直接的、間接的に協力していることは明らかであります。大蔵省が金融機関を通じて調査と監督を徹底するだけでも不正は防げるはずであります。それをまじめに実行せずマル優を廃止するのは、全く本末転倒、職務怠慢と言うほかありません。(拍手)
 そればかりか、高額預金者のためには、一律分離課税が三五%から二〇%に引き下げられ、二重三重のお手盛りぶりであります。また、マル優限度管理のために、野党四党は一致してマル優カード制の導入を提案しております。こうした積極的な提案にも耳を傾けず、あくまで金融機関と一部資産家の利益を守ろうとするのでは、国民の税に対する信頼は根底から崩れることになります。
 中曽根首相、もうマル優を廃止する論拠も財政的理由も何もないではありませんか。預金金利は物価上昇率とほとんど同じであり、少額貯蓄の利子は目減り分を補っているだけであります。あなたは、それでもマル優を廃止し、血も涙もない弱い者いじめをするのですか。
 改めるべき税の不公平は野放しの状態であります。例えば、今国民の間で最も不公平感の強いキャピタルゲイン、有価証券売買収益になぜメスを入れないのでしょうか。昨年度の株式、公社債売買総額は四千二百十兆円であるのに、国税庁が徴収したキャピタルゲイン税額はたった五億円であります。利用者の圧倒的多数が庶民であるマル優廃止に手をつける前に、キャピタルゲイン課税に真剣に取り組むべきであります。土地譲渡所得税についても、実際には売買収益が巨額になればなるほど減税となり、宅地供給の促進や地価高騰の対策としては、余りにもお粗末と言わねばなりません。
 以上述べたとおり、本法案は、税制改革の理念すら持たず、マル優廃止だけが突出したものであります。売上税の教訓を学ばず、マル優廃止の後に再び大型間接税の影が見え隠れするのであります。日本社会党・護憲共同は、マル優廃止に反対し、二兆円以上の大幅所得税減税の先行実施と不公平税制の是正、総合課税の原則に立った税制改革に政府が直ちに取り組むことを要求して、本法案の反対討論を終わります。(拍手)
#11
○議長(原健三郎君) 鳩山由紀夫君。
    〔鳩山由紀夫君登壇〕
#12
○鳩山由紀夫君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意見を表明するものであります。(拍手)
 我が国の税制は、最近における産業、就業構造の変化、所得水準の上昇と均等化、消費の多様化、サービス化、人口構成の高齢化、経済取引の国際化等の社会経済情勢の著しい変化に対応できないために、所得税を初め、直接税、間接税の全般にわたりさまざまのひずみ、ゆがみが発生し、国民の税に対する不平、不満の声が高まっております。本法律案は、このような国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえ、早急に当面次のような改正を行おうとするものでありまして、私は、このような政府の努力を極めて高く評価するものであります。
 以下、具体的に申し上げますと、
 第一に、所得税の負担の大幅軽減を先行して行う見地から、その税率構造について、最低税率の適用範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、配偶者特別控除制度の創設等を行うこととしております。これらの諸措置により、特に働き盛りの中堅所得者層を中心に負担の軽減が図られるなど、所得税の負担軽減及び合理化の観点から、いずれも極めて適切な措置であると考えます。
 第二に、利子課税について、少額貯蓄非課税制度等を老人等に対する利子非課税制度に改組する等の見直しを図る措置を講ずることとしていることは、諸外国からの厳しい批判にもこたえ、同時に他の所得に対する所得税負担との均衡にも配意した実質的公平にかなった適切な措置であると考えます。
 第三に、超短期所有土地等の譲渡益を重課する特例及び長期譲渡所得、短期譲渡所得の区分の特例を時限的に設ける等の措置を講ずることとするほか、有価証券の先物取引による所得を課税対象としており、これらは現下の地価高騰下における土地税制のあり方及び有価証券譲渡益課税のあり方等から見て、まことに時宜にかなった適切な措置であると考えます。(拍手)
 第四に、たばこ消費税、取引所税、有価証券取引税、印紙税、登録免許税等について所要の措置を講ずることとしておりますが、これらはいずれも、内外経済情勢の変化への対応等の観点にかんがみ、当を得たものと考えます。
 第五に、大蔵委員会では、自由民主党提案に係る修正案が可決されましたが、これは、去る八月七日の与野党幹事長・書記長会談における我が党からの提案を踏まえ、大蔵委員会での審議をも勘案しつつ、昭和六十二年度における所得税の減税規模は、政府原案の一兆三千億円から一兆五千四百億円の大幅な所得税減税になるものであります。
 さらに、利子課税制度の改組について、勤労者財産形成住宅貯蓄及び同年金貯蓄の利子を非課税とする等の措置もとられています。これらの措置は、まことに時宜に適した極めて思い切った措置であると考えます。(拍手)
 最後に、厳しい財政事情を考慮するとき、今後残された直間比率の見直し等を含む税制改革にさらに真剣に取り組み、やがて高齢化社会を迎える二十一世紀に偉大なる遺産を残すための努力がさらに求められるところと考える次第であります。
 以上申し上げた理由により、本法律案に対し全面的に賛成の意見を表明し、討論を終わります。(拍手)
#13
○議長(原健三郎君) 森田景一君。
    〔森田景一君登壇〕
#14
○森田景一君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案並びに同修正案につきまして、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 本法案に反対する主な理由の第一は、本法案が国民の政治不信を大幅に増大させているからであります。
 すなわち、去る五月十二日の与野党国対委員長会談においては、売上税関連六法案は臨時国会に再提出しないことを合意し、さらに七月二日には、五月十二日の合意を尊重することを政府・自民党は重ねて約束いたしました。しかも、五月二十一日に行われた税制を協議するための税制協議機関に関する与野党合意では、税制改革協議会は各党の合意を目指す協議の場であることを確認しているのであります。しかるに、税制改革協議会の合意のないまま、政府・自民党がこの臨時国会に減税とマル優廃止をセットで提出してきたことは、公党間の合意を一方的に踏みにじるものであり、国民に公党間の合意とは一体何であったのかという重大な政治不信を招来させているからであります。
 反対理由の第二は、所得税減税の規模が小さく、国民の期待にこたえられないということであります。
 今回の所得税減税は、国際経済摩擦の解消と内需拡大を目指す緊急対策として進められてまいりました。我々は、所得税のひずみを解消するためにも六十二年度減税は二兆円規模が必要であるとし、財源についても、六十一年度決算剰余金やNTT株売却収入を充当すれば十分可能であることを指摘してきたところであります。しかも、六十三年度以降の財源についても、キャピタルゲイン課税や利子配当所得の総合課税化等十項目にわたる不公平税制の是正によって充当すべきであるとの提案も行ってまいりました。
 しかるに、政府・自民党は、こうした我々の積極的な提案には一切耳をかさず、わずか一兆三千億円の減税案しか提案しなかったのであります。その後、与野党書記長・幹事長会談が行われましたが、政府・自民党は、スズメの涙ほどでしかない二千四百億円を上乗せしただけで強引に押し切ろうとしているのでありまして、到底容認できるものではなく、国民の期待にこたえられるものでもありません。政府は、速やかに二兆円規模の減税を行うべきであります。
 反対の理由の第三は、マル優制度を原則廃止することは、多数の国民の意思を踏みにじることになるからであります。
 今回のマル優制度原則廃止は、今まで無税であった少額貯蓄者の預金利子から二〇%の税金を取り、今まで三五%であった高額預金者の分離課税を二〇%に引き下げる金持ち優遇制度であります。政府・自民党は、マル優廃止は減税の恒久財源と説明しながらも、数年後でなければその実効が上がらないことを承知の上で、減税とマル優廃止をセットで提案してきたのであります。しかも、施行期日は、当初案を修正して昭和六十三年四月一日施行としており、本年度は一切がかわりのない法案となっております。減税法案とマル優廃止法案は当然分離されるべきであるのに、政府・自民党は一括して提案の姿勢をかたくなに変えようとしません。
 我々は、利子課税の見直しは、まず非課税貯蓄の限度管理を徹底すべきであり、同時に資産課税の適正化等不公平税制を正すべきであると主張してまいりました。しかし、これにも政府・自民党は耳をかそうといたしません。高齢者等社会的弱者の方々には一部マル優制度を存続させるという方法で国民の非難をかわそうとしておりますが、これとても今までの政府のやり方から見れば安心できません。なぜならば、高齢人口の増加は必至の状況でありますから、老人保健法や健康保険法あるいは公害健康被害補償法等に見られる福祉切り捨てと同じく、いつ切り捨てられるかわかったものではありません。
 以上、主な反対理由を申し述べました。
 なお、修正案では、「利子所得に対する所得税の課税の在り方については、総合課税への移行問題を含め、必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うものとする。」ことが附則に明記されましたが、政府は、国民の声を謙虚に受けとめ、国民の信頼を得られる政治を実行すべきであることを強く主張して、反対討論を終わります。(拍手)
#15
○議長(原健三郎君) 和田一仁君。
    〔和田一仁君登壇〕
#16
○和田一仁君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となっております所得税法等の一部を改正する法律案及びその修正案に反対の討論を行うものであります。(拍手)
 反対する第一の理由は、本案には税制改革のビジョン並びに基本構想がなく、ただ小手先の改革に終わっているという点であります。
 税制の抜本改革を言うならば、その全体像、将来像を明らかにすべきではありませんか。国民の求める税制改革は、何よりも現行の不公平を是正することであります。この点を出発点といたしまして、経済社会構造の変化や国際化に即応した時代に適合する税制度を確立することが重要であります。
 しかるに、今回の改革は、余りにも拙速で未熟なものと断ぜざるを得ないのであります。所得税率は十二段階の改正になっておりますけれども、ライフサイクルの中で税負担の平準化をいかにするかの観点に基づくならば、この程度では甚だ不十分であります。将来的には、旧政府案で示された六段階程度への改革のビジョンを確立するのが筋であります。にもかかわらず、何らその手順を盛り込んでいないということは、極めてずさんであると言わなければならないのであります。
 また、法人税の改革が見送られたことも大きな問題であります。産業の空洞化が懸念されている今日の状況においては、法人税減税についても抜本的な対策を早急に講ずべきではありませんか。しかるに、本案では法人税改革の位置づけが欠落しており、全くお粗末なるものであると断ぜざるを得ません。
 反対する第二の理由は、減税の規模が小幅なものにとどまっている点であります。
 我が国経済は、勤労者の懸命の努力や血の出るような合理化によってようやく回復の兆しが見え始めております。しかしながら、円高不況の後遺症はまだ多くの産業に暗い影を残しております。また、我が国の貿易黒字は依然として巨額に達しており、世界じゅうでジャパン・パッシングのあらしが吹き荒れておるのであります。
 我が民社党は、内需拡大を推進するため、少なくとも二兆円規模の所得減税の先行を実施すべしと強く主張してまいりましたが、政府・自民党は、わずか一兆五千億程度の減税しかできない、二兆円などとんでもない、ないそでは振れないと我々の要求を退けたのであります。
 減税財源はあります。昭和六十一年度決算剰余金は、補正予算に回す分を差っ引いても約一兆三千五百億円あります。さらにNTT株売却益は、国債整理基金への繰り入れ予定額、補正予算に回す額の両方を除いても、およそ二兆五千億円あるのであります。これらを合計すれば、実に三兆八千五百億円の減税財源があるではありませんか。私は、政府・自民党のかたくなな態度は、国民の切なる願いを無視するものとしか見えないのであります。
 反対する第三の理由は、マル優制度廃止が強行される点であります。
 我々は、非課税貯蓄の限度額管理の強化をも含めて、不公平税制のトータルな論議を展開せよと提言してまいりました。しかるに、中曽根内閣は、マル優制度だけを突出させまして、安易な財源確保のためマル優廃止を強行しようといたしております。このようなやり方は断じて容認できるものではありません。私は、マル優制度は存続せよと強く主張するものであります。
 しかし、仮に修正の論議を行うというのであれば、マル優の対象年齢を六十五歳以上から六十歳以上に引き下げること、あるいは住民税非課税の低所得者にもマル優の恩典を残すこと、一般財形には一〇%の軽減税率を適用することなどが最低の修正でなければならないと考えております。しかるに、政府・自民党は、このような論議にさえ応じようとはせず、ひたすらマル優廃止を貫徹せんとするのであります。
 反対する第四の理由は、キャピタルゲイン課税がないがしろにされている点であります。
 勤労者が額に汗して稼いだ給料には極めて過酷な税が課せられておるのに、電話一本、ぬれ手にアワの株式売却益が原則非課税になっているのは、一体全体どういう考えからでしょうか。これはまさに不公平の最たるものであります。このまま放置しておくことは絶対に容認できないところであります。
 政府は、経済活力に支障を来すとか、検討してもむだであるとか強弁しておりますけれども、現に米国など先進諸国では、株式の売却益は原則課税となっているではありませんか。要するに、やる気がない、怠慢のそしりを免れないと思うのであります。
 反対する第五の理由は、総合課税の道が閉ざされておる点であります。
 昭和二十四年、カール・シャウプ博士らが現在の税制の道しるべをつくりました。そして我が国は、このときの勧告をもとといたしまして、包括的課税ベースに立った総合課税を理想として税体系を整備してきたのであります。その後、幾多の例外事項が設けられまして、総合課税は骨抜きにされてまいりましたが、総合課税の心臓部分という大事な部分は何とか維持されてきたのであります。しかるに、今回のマル優廃止による一律分離課税は、総合課税に背を向け、これを否定し、葬り去るものと言わなければなりません。断じて許されないものであります。
 我々は、カード制度導入などの具体案を示しつつ、マル優の限度額管理強化とともに総合課税の実現を強調してまいりましたが、政府・自民党は、これを非難し、あげくの果てに、我々民社党の主張するカード制は世の中を暗くするなど、反対のための情報を広げるという極めて卑劣な戦術をとったのであります。
 以上、私は反対理由を述べましたが、最後に、我々の主張する税制改革のビジョンを示しておきたいと思います。
 税制は全国民にかかわる最重要課題であり、二十一世紀を展望しつつ、十分時間をかけて論議すべき重大なテーマであります。従来のように、官僚や与党の部会だけで密室で論議するというようなこそくなやり方ではなくて、国民各層の参加と合意を得つつ進めるものでなくてはならないと考えるのであります。そして国民が切に求める不公平税制の是正を改革のスタートとすることであります。有価証券、土地、利子、法人税の租税特別措置などについて抜本的見直しを行い、他方では行政の効率化を進めることであります。
 以上を前期の改革とするならば、その後は、さらに税の公平を徹底的に追求すると同時に、高齢化、国際化社会が進行する二十一世紀のビジョンを確立して、行財政改革、福祉政策の拡充、生活先進国の達成など、他の課題と有機的なコンタクトを持たせながら、あるべき税体系の姿を時間をかけて形成していくことが、税制改革の本来の道筋であることを強調いたしておきます。
 以上申し上げまして、私の反対の討論を終わりといたします。(拍手)
#17
○議長(原健三郎君) 辻第一君。
    〔辻第一君登壇〕
#18
○辻第一君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案などに対し、反対の討論を行います。(拍手)
 この五年間の中曽根自民党政治は、「戦後政治の総決算」と称し、アメリカに追随し、歯どめのない大軍拡や大企業奉仕の民活路線のもとで、国民生活、福祉や医療、教育、中小企業や農業切り捨ての国民いじめ、弱い者いじめの政治であります。深刻な円高不況や産業空洞化により失業は戦後最高の状態を来すなど、国民の苦しみは耐えがたいものになっています。それに追い打ちをかけるように、大増税路線を推し進めているのであります。
 中曽根総理は、昨年の衆参同時選挙で、大型間接税の導入、マル優の廃止はいたしません、私の顔がうそをつく顔に見えますかなど、繰り返し国民に公約してきたにもかかわらず、さきの通常国会に売上税導入、マル優廃止の法案を提出してきました。この明白な公約違反に対し、国民の怒りが、反対の運動がまさに燎原の火のように燃え広がり、一斉地方選挙で国民がきっぱりとノーの審判を下し、増税法案が廃案になったのは本年五月のことであります。にもかかわらず、その直後に開かれた今国会に、本質的には何ら変わらず、公約に明白に違反するマル優廃止法案を再提出し、今これを押し通そうとしていることは、国民に対する公約や国民の審判よりも、レーガン政権との約束を優先させるもので、主権者国民に対する二重三重の挑戦であり、裏切りそのものであります。(拍手)
 また、中曽根総理と政府・自民党は、大軍拡、大企業減税、対米公約の三つの動機に基づく大増税路線を進め、直間比率の見直しと称して、大増税の本命である新しい大型間接税を導入するために、まず各個撃破でこのマル優廃止を押し通そうとしていることであります。新しい大型間接税導入という大増税の突破口を開くマル優廃止に断固として反対するものであります。
 次に、法案に基づき反対の理由を述べます。
 まず、マル優廃止と所得税、住民税減税との抱き合わせによって、圧倒的多数の国民にとっては、差し引き減税ではなく増税となることであります。
 すべての所得階層で差し引き減税になるという大蔵省の試算は、専業主婦控除が適用される世帯を対象としており、これに該当するのは勤労者の三七%、残りの六三%を占める共働き世帯や独身の勤労者では、そのほとんどが差し引き増税となるものであります。年収五百万円台の平均的な共働き世帯で二万数千円の増税となることは、試算をもとに質問した我が党議員に対し、大蔵省も認めたところであります。
 第二に、税制の基本である総合累進課税の原則と所得再配分機能を破壊し、金持ち優遇の不公平税制を一層拡大することであります。
 社会保障制度が不備な中で、庶民が老後や病気に備え、教育や住宅取得のために行っている預貯金に対しては、課税最低限以下の世帯も含めて、新たに二〇%もの課税を強いる一方、本来総合課税にすべき大金持ちの利子所得については、現行三五%分離課税から庶民の零細貯蓄と全く同列の二〇%と減税し、一億円の利子所得の場合、実に一千五百万円の大減税になるのであります。その上、所得税最高税率を現行七〇%から一気に六〇%へと大幅に引き下げる結果、高額所得者では一億円以上の減税になります。まさに二重の金持ち減税で、不公平を一層拡大することは明らかであります。
 さらに、総理は、一律二〇%課税と引きかえに、いろいろ調査するようなことはやめて、それはもう不正ではない、全部それをお認めしましょうと答弁し、偽名や架空名義、脱税資金や政治家の裏金、相続財産の隠匿などを容認することを宣言しました。これは、マル優不正利用を征伐するという表看板とは裏腹に、大金持ちの不正や脱税を野放しにして我が国を脱税天国にするものであり、我が党は強く反対するものであります。(拍手)
 第三に、委員会での我が党の質問等を通じて、政府がマル優廃止の根拠として掲げた議論が既にことごとく破綻していることであります。
 既に述べた全世帯差し引き減税論、不正利用征伐論はもちろん、マル優制度は貯蓄への補助金で外国に例がないとする議論も、アメリカに住宅利子所得控除制度や私的年金への優遇制度が存在し、その規模が対GNP比で我が国の二倍前後に上ること、また、フランスにもイギリスにも利子非課税制度が存在することを政府も認めざるを得なかったのであります。
 第四に、本法案が、庶民に対しては、そもそも平均貯蓄額が約七百万円、最頻値は約二百万円で、国民の大多数はマル優枠にすら遠く及ばない現状であるにもかかわらず、不正利用征伐を口実にマル優を廃止し、また、医療費控除の対象を五万円超から十万円超に引き上げるなど、情け容赦なく過酷な徴税を企てながら、最近の財テクブームを反映して一兆円の一万倍、一京円にも達しようとしている株や公社債取引については、キャピタルゲイン原則非課税の維持に加え、有価証券取引税の税率を大部分さらに引き下げようとするなど、大企業、大資産家の利益をさらに上積みしようとしているのを見過ごすことはできません。
 我が党は、軍事費の大幅削減と外国税額控除、キャピタルゲイン原則非課税など、大企業、大資産家への特権的減免税に抜本的なメスを入れ、増税なしの三兆円減税、課税最低限の四人世帯三百万円への引き上げを実現することを強く要求するものであります。
 次に、大蔵委員会で議決された本法案の修正について一言申し述べます。
 約二千四百億円の所得税減税上積みは、低所得層には薄く、マル優廃止による増税分を合わせれば、依然として圧倒的多数の共働き世帯、独身世帯では増税となるものであり、また、年金、住宅財形貯蓄利子非課税も、マル優貯蓄三百兆円のうちわずか一兆円にすぎず、税収減は十億円にとどまるもので、マル優廃止実施時期三カ月繰り延べとともに、政府原案の基本的性格をいささかも変えるものではなく、我が党は断固として反対するものであります。(拍手)
 また、我が党は、自社公民各党の私的な密室協議の場である税制改革協議会なるものを国会の正規の機関であるかのように見せかけて、密室協議での結論を押しつけることは、議会制民主主義を破壊するものとして厳しく糾弾してきました。わずか二千億の減税上積みと、その計数整理による四百億円の積み増し等と引きかえに、公約違反のマル優廃止が押し通されようとしている現在、改めて我が党のこの批判が正しかったことを強く指摘するものであります。
 最後に、公約違反、世論無視のマル優廃止に断固として反対し、新しい大型間接税導入を許さず、国民生活と議会制民主主義を守るために闘い抜く決意を表明し、反対の討論を終わります。(拍手)
#19
○議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#20
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#21
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第三 地方説法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#22
○議長(原健三郎君) 日程第三、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長石橋一弥君。
    ―――――――――――――
 地方税法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔石橋一弥君登壇〕
#23
○石橋一弥君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、本案の概要について申し上げます。
 第一に、個人の住民税につきましては、その負担の軽減合理化を図るため、税率構造の緩和、基礎控除額等の引き上げ、配偶者特別控除の創設、配偶者に係る白色申告者の事業専従者控除の控除限度額の引き上げ等を行うほか、超短期所有土地等の譲渡等に係る課税の特例を創設する等の措置を講ずることといたしております。これらの改正は、昭和六十三年度及び昭和六十四年度に実施することといたしております。
 また、住民税における利子課税制度の見直しを行い、道府県民税として利子割を創設することといたしております。
 第二に、事業税につきましては、住民税と同様に、配偶者に係る白色申告者の事業専従者控除の控除限度額を引き上げる等の措置を講ずることといたしております。
 第三に、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税並びに電気税につきましては、税率の特例措置の適用期限を延長することといたしております。
 第四に、納税環境の整備につきましては、地方税の確定金額等に係る端数計算の基準額について所要の引き上げを行うこととするほか、過少申告加算金等の加算金の割合を引き上げることといたしております。
 本案は、八月十八日当委員会に付託され、同日葉梨自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、慎重に審査を行いました。
 質疑におきましては、地方税制改正の基本的な考え方、地方税源充実のための国と地方の税源再配分の必要性、マル優制度の見直し、地方税負担の公平適正化による地方税源の充実、個人住民税減税の二段階実施の根拠等について広範な論議が行われ、二十五日質疑を終了いたしました。
 昨九月二日、自由民主党から本案に対して、勤労者財産形成住宅貯蓄及び勤労者財産形成年金貯蓄に係る利子等を非課税とすること、利子割課税の実施時期を昭和六十三年四月一日に改めること及び利子所得に対する地方税の課税のあり方については、総合課税への移行問題を含め、必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うものとすることを内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取しました。
 次いで、原案及び修正案について討論を行いましたところ、自由民主党から賛成、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同から反対の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、国と地方及び都道府県と市町村の税源再配分について検討すること等七項目にわたる附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○副議長(多賀谷真稔君) 討論の通告があります。順次これを許します。安田修三君。
    〔安田修三君登壇〕
#25
○安田修三君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 以下、その主要な反対理由を申し述べるものであります。
 第一に、今回の税制改革案は、売上税等関連六法案は臨時国会には再提出しないという五月十二日の国対委員長会談における確認、合意を破り、マル優廃止を含めて提案されているのであります。これは議会制民主主義と公党間の確認を踏みにじるものであります。また、衆議院議長あっせんによって設置された与野党税制改革協議会の議論の経過においても、今臨時国会に提出される税制改革法案については与野党一致が前提のはずであり、今回の法案提出については極めて遺憾であります。
 第二に、当初予算編成時において、自民党及び政府は、売上税創設、マル優廃止を既成事実化させるため、その自治体予算への計上を強要いたしました。しかし、六十二年度地方財政計画は、売上税・マル優廃止法案となったため、政府予算全体とともに根拠なき財政計画の状態が続き、計画自体が何ら意味のないものとなっているのであります。この地財計画及び自治体の財政運営に与えた混乱の責任は極めて重大であります。
 第三の反対理由は、売上税、マル優の影響額及び法人関係税の増税の見送りによる地方税収の落ち込みを地方固有財源で補てんするとされた点であります。すなわち、国の責任による地方の税収減を地方の固有財源である地方交付税で穴埋めをし、地方財政に責任と負担を転嫁いたしました。
 第四に、シャウプ以来の税制抜本改革とされながら、地方の意見が全く考慮されていないことであります。税制改革を行うのであるならば、国と地方の税源の再配分は当然検討されるべきであります。しかるに、みずからの税源である地方税改革について、地方団体は何らの発言も保証されなかったことは極めて遺憾であります。
 第五に、抜本改革といいながら、社会保険診療報酬課税の適正化、法人事業税の改善、非課税特別措置の廃止など、地方税改正の懸案事項は何ら手がつけられておりません。政府・与党は、マル優廃止は不公平税制是正の一環だと主張いたしましたが、従来からの懸案事項である不公平税制の是正については何ら顧みられなかったのであります。
 第六に、所得税の最低税率は一〇・五%に据え置かれておりますが、市町村民税の最低税率は二・五%から三%へと引き上げられ、税体系としては低所得者に対する増税となっています。また、所得税と住民税の課税最低限についても、いまだその格差は歴然としているのであります。
 第七に、与野党幹事長・書記長会談において、所得税の刻みをさらに動かすことによって二千四百億円の減税上積みが約束されましたが、住民税がそのままにされれば住民税負担の比重が上がり、納税者にとっては実感として住民税負担増となってまいります。我が党は、個人住民税減税も所得税と同様に上積みし、刻みのアンバランスを是正すべきだと主張いたしましたが、改善されなかったことは極めて遺憾であります。
 第八に、所得税減税、住民税減税の補てん財源としてマル優廃止が提起されておりますが、その税収については極めて不透明であり、地方財源不足発生のおそれがあるとともに、いつ利子課税の税率引き上げや大型間接税が再提起されるかわからない不安があります。また、恒常的な地方財政における財源不足が発生しているにもかかわらず、税制改革において国、地方は中立とされ、地方財源強化のための交付税制度の改善、拡充も見送られたことは極めて遺憾であります。
 最後に、修正案について一言申し述べるものであります。
 修正案は、政府原案を抜本的に修正する内容となっておりません。特に総合課税の問題につきましては、税制改革協議会において野党が一致して矛盾としてただした点であります。特に我が国の税制の基本的ゆがみは、所得税、法人税という基本税制において、公平の原則に応じた税の仕組みをつくらなかったことからきております。戦後の税制は、資本蓄積促進といった政策配慮が優先し、これが財界、利益団体の要求と結びついて、税体系を意図的に大きくゆがめてきたからであります。まずこれを改めずして何の税の論議がありましょうか。
 ここに日本社会党・護憲共同は、政府原案並びに修正案とも反対であることを表明し、反対討論を終わります。(拍手)
#26
○副議長(多賀谷真稔君) 渡海紀三朗君。
    〔渡海紀三朗君登壇〕
#27
○渡海紀三朗君 私は、自由民主党を代表いたしまして、地方税法の一部を改正する法律案につき、原案及び委員会の修正に賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 最近の社会経済情勢の変化等に即応した税制改革の一環として住民税の軽減を行うことは、急を要するまことに大事な課題であります。一方、活力ある地域社会を形成していく上で、地方公共団体の役割はますます重要なものとなってきており、このためには、多額の借入金残高を抱える地方財政の健全性を回復することも大切であります。このような事情にかんがみれば、住民負担の軽減とあわせて地方税源の充実を図ることが強く求められていると考えます。
 以上のような観点に立って政府提出の本法律案を見ますと、厳しい地方財政の状況下ではありますが、平年度六千六百億円に上る住民税の減税が行われることとなっております。また、その恒久財源として、懸案でありました利子課税制度の見直しを行い、住民税の利子割を創設することとしております。さらに、昭和六十一年度の地方財政対策の一環としてとられた道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の税率等の特例を延長する等の改正をすることとしております。
 これらの改正は、社会経済情勢、住民負担の状況、地方財政の現状等から見て、いずれも適切、妥当なものと考え、賛意を表する次第であります。(拍手)
 また、委員会修正について申し上げますと、勤労者の財産形成を一層促進するとともに、住民税の利子割課税を円滑に実施していく観点から、勤労者の財産形成住宅貯蓄及び財産形成年金貯蓄に係る利子等を非課税とするとともに、利子割課税の実施時期を昭和六十三年四月一日に延期することとするほか、課税の公平の確保等の見地から、利子所得に対する地方税の課税のあり方については、総合課税への移行問題も含め、必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うものとすることが必要であると考え、これまた賛意を表する次第であります。
 以上をもちまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#28
○副議長(多賀谷真稔君) 草野威君。
    〔草野威君登壇〕
#29
○草野威君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につき、原案及び委員会修正案に対して反対討論を行うものであります。(拍手)
 以下、主な反対理由を申し述べます。
 まず初めに、マル優制度廃止についてであります。
 さきの通常国会において、国民の強い反対により売上税はついに廃案となりました。その際、与野党国対委員長会談で、売上税関連法案は提出しないとの約束が交わされたにもかかわらず、政府は、公約に反して、マル優原則廃止と減税とを抱き合わせにした法案を提出してまいりました。
 税制改革は、今日最大の政治課題の一つであり、税制改革を行う場合、まず改革の全体像を明らかにした上で、具体的改革をどう進めるのかという手順を示すことが本来のあり方であります。しかし、今回の政府案は、税制改革の全体像を示すどころか、マル優廃止だけをしゃにむに強行しようとするものであり、こうしたやり方では、税制改革に対する国民の理解と賛同を得ることは困難であり、むしろ国民の反発を招きかねないことを憂慮するものであります。
 特にマル優について、私どもは、利子所得の正確な把握をすることが第一であり、そのため、グリーンカードを導入して限度管理の徹底を図り、不公正と言われている利子所得課税の適正化を図ることがまず肝要であるということを主張してきたのであります。しかし、政府は、利子所得の正確な把握の道を探るのではなく、いたずらにマル優廃止を強行させ、新たな不公平を生み出し、大衆増税につながるなど、まことに許しがたいのであります。今回のマル優廃止案は余りにも唐突であり、政府案は断じて撤回すべきであります。
 また、地方行政委員会において、与野党幹事長・書記長会談を受けて、利子課税の一律分離課税制度を五年後に見直すなどの修正が行われましたが、この委員会での見直しは一つの救いではあります。しかし、一律分離課税は、総合課税制度をとる我が国所得税の体系を大きく改悪するものであり、到底認めることはできません。この際、早急に本来の総合課税に戻すことを強く主張するものであります。
 第二に、住民税減税についてであります。
 今日、国民の重税感は、所得税もさることながら、むしろ住民税に集中しており、住民税減税に対する要求は非常に高まっております。しかるに、政府は、住民税が前年所得を課税標準にしていること、また本年度は既に住民税の課税事務が進行していることを理由に、当初案の本年度減税を来年度以降に見送ろうとしております。
 しかも、減税の規模は、本年の当初案で予定していた七千五百億円を下回り、税率の刻みを二カ年に分けて実施しようとしているため、六十四年度以降でも六千六百億円と大幅に圧縮した減税で終わろうとしているのであります。これでは、本年度から減税が行われることを期待していた国民を真っ向から裏切るとともに、住民税に対する重税感をぬぐい去ることはできません。
 二カ年にわたる減税の理由として財源難を挙げておりますが、六十四年度の減税の上積みの額はわずかであります。国民の期待に少しでもこたえるためには、六十四年度分を繰り上げて実施すべきでありますが、このような措置がとられていないことは極めて遺憾であります。
 第三に、土地税制についてであります。
 地価は大都市地域で高騰を続け、中でも都心商業地の高騰はすさまじく、実勢価格は公示価格の二倍から三倍になったところも見られ、この影響は周辺の住宅地域にも及んでおります。もはやサラリーマンは大都市の周辺で住宅を持つのはほとんど不可能になり、地価はまさに異常事態であります。しかし、こうした事態に対しても、今回の税制改正では十分な対応が見られないのであります。このような政府の無策に強い不満を表明するものであります。
 第四に、国、地方間の税源配分についてであります。
 今日の我が国経済の著しい進展、社会の変動に伴い、国民の価値観の多様化、住民の行政に対する要請は日増しに増大しております。その他、我が国の均衡ある国土の発展、地域経済、地域の活性化、高齢化、情報化など、これら地方自治体の果たすべき役割は、質量ともに飛躍的に増大しております。
 しかし、地方自治体の財源は、総量においても不足し、また内容的にも国に依存する財源比重が大きいのが実態であります。しかも、昭和五十年以降の地方財政は、国の財政と同じく深刻な危機が続き、その上、国の財政再建への協力を名目に、国庫補助金の削減など、国の財政負担を地方自治体に転嫁することが続いており、国、地方の財政構造の一体化と地方自治の後退が進行しているのであります。
 こうした実態を解消して、地方自治本来の役割を果たすためにも、国中心的な財政構造を大幅に転換して、地方の自主財源を強化することが最も重要であります。こうしたことを我々はこれまでも強く主張してきたのでありますが、今回の税制改正でも全く改善の動きが見えません。地方自治体が本来の力を発揮できるように、自主財源の充実強化を求めるものであります。
 最後に、租税特別措置及び地方税の非課税措置の整理合理化についてであります。
 国の経済政策のために、地方税で各種の非課税措置が広くとられております。これにより地方税は、税負担の不公平と税の減収を生じているとともに、地方自治体の課税自主権が制約されております。我々は、税制改革の基本は、まず、不公平税制を改革することであるとこれまでも主張してきたところであります。しかし、政府はこうした不公正税制の改革には手を触れようとしません。早急に税制度の不公正の是正を図るべきでありますが、今回の政府案にはこのような改革が見られないことは、まことに遺憾と言わざるを得ません。
 以上、本法案に対する主な反対の理由を申し述べ、討論といたします。(拍手)
#30
○副議長(多賀谷真稔君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#31
○副議長(多賀谷真稔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#32
○副議長(多賀谷真稔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#33
○谷垣禎一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 第百七回国会、宮崎茂一君外五名提出、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#34
○副議長(多賀谷真稔君) 谷垣禎一君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○副議長(多賀谷真稔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案(第百七回国会、宮崎茂一君外五名提出)
#36
○副議長(多賀谷真稔君) 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長玉沢徳一郎君。
    ―――――――――――――
 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔玉沢徳一郎君登壇〕
#37
○玉沢徳一郎君 ただいま議題となりました流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年における流通食品への毒物の混入等の事件の発生にかんがみ、国民の生命または身体に対する危害の発生を防止し、国民の生活の平穏と安定を守るため、これらの事態の発生を事前に防止するための措置等を定めるとともに、これらの行為に対する罰則を設けようとするものであります。
 本案は、第百七回国会において、宮崎茂一君外五名から提出され、本委員会に付託されたものであります。同国会においては、提出者から趣旨説明を聴取いたしましたが、質疑に入らず、今国会まで継続となっていたものであります。
 今国会におきましては、九月二日参考人から意見を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。
 次いで、本三日、本案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案に係る修正案が提出され、提出者から趣旨説明を聴取し、原案及び修正案について一括して討論を行った後、採決をいたしましたところ、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決されました。よって、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、修正案は、警察官等への届け出に関する規定について、届け出義務者の範囲を製造業者等に限定するとともに、これに伴い、罰則規定について、届け出義務違反に対する両罰規定を追加しようとするものであります。
 また、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○副議長(多賀谷真稔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#39
○副議長(多賀谷真稔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
#40
○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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