くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第108回国会 科学技術特別委員会 第2号
昭和六十二年五月十五日(金曜日)
   正午開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         伏見 康治君
    理 事
                岡部 三郎君
                出口 廣光君
                稲村 稔夫君
                塩出 啓典君
    委 員
                岡野  裕君
                木宮 和彦君
                後藤 正夫君
                成相 善十君
                長谷川 信君
                林  寛子君
                前島英三郎君
                松尾 官平君
                最上  進君
                久保田真苗君
                高杉 迪忠君
                松前 達郎君
                佐藤 昭夫君
                小西 博行君
   国務大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)      三ツ林弥太郎君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      矢橋 有彦君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   中村 守孝君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   藤咲 浩二君
       科学技術庁研究
       開発局長     長柄喜一郎君
       科学技術庁原子
       力局長      松井  隆君
       科学技術庁原子
       力安全局長    佐々木壽康君
   事務局側
       第三特別調査室
       庁        高橋 利彰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
 (昭和六十二年度科学技術庁関係予算に関する
 件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(伏見康治君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、三ツ林科学技術庁長官から、科学技術振興のための基本施策について、その所信を聴取いたします。三ツ林科学技術庁長官。
#3
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 第百八回国会に当たり、科学技術庁長官といたしまして、所信を申し述べさせていただきます。
 政府におきましては、昨年三月、当面の科学技術政策の基本を定めた科学技術政策大綱を閣議決定したところでありますが、今後は、その基本方針に沿って、我が国の科学技術の振興に積極的に努力してまいる所存であります。
 すなわち、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心とする創造性豊かな科学技術の推進を政策の基軸とし、国際社会の発展のために積極的な貢献を行っていくなど国際性を重視した展開にも配慮しつつ、科学技術振興のための諸施策を一層強力に推進してまいります。
 また、近年、人間及び社会と科学技術の関係がますます深まってきております。我々が安心して科学技術の成果を享受し、より豊かな未来を築いていけるよう安全性の確保に万全の配慮を払うなど、常に人間及び社会のための科学技術という原点に立って、科学技術の振興に努めてまいる所存であります。
 引き続き、昭和六十二年度における科学技術庁の主要な施策につき申し上げます。
 第一は、科学技術行政の総合的展開であります。
 このため、科学技術会議の方針に沿って運用される科学技術振興調整費の拡充を図ってまいります。特に、国際社会への貢献という観点をも踏まえたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに関する調査を進めるとともに、国際研究交流の促進、受託研究への弾力的対応等を図ってまいります。
 第二に、創造的・基礎的研究の充実強化とその国際的展開であります、
 まず、二十一世紀の技術革新を目指した先端的基礎研究を、国際的に開かれた体制のもとで長期的に行う国際フロンティア研究の充実を図ってまいります。
 また、創造科学技術推進制度につき、新たに三課題の研究に着手するなど、その拡充に努めてまいります。
 第三は、研究開発のための基盤の整備であります。
 まず、広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすことが期待される高性能の放射光施設の技術的諸問題等について調査研究を行います。
 また、研究交流促進法を円滑に運用し、産学官等の研究交流を一層促進してまいります。
 さらに、科学技術情報の効率的な流通を図るため、各種データベースの拡充、新オンライン提供システムの開発等を引き続き進めるとともに、国際科学技術情報ネットワークの構築、機械翻訳システムの整備等国際対応の強化を図ってまいります。
 また、研究開発の推進に不可欠な遺伝子資源の収集、保存、提供体制を強化するため、ジーンバンク事業等を推進してまいります。
 第四は、科学技術国際協力の推進であります。
 国際化の進展に伴い、国際交流の重要性が一段と高まりつつある情勢にあって、国際協力プロジェクトに積極的に参加していくとともに、米国、西ドイツ、フランス等との二国間の科学技術協力を初めとする幅広い分野における欧米先進国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力など、特に人材交流及び共同研究に重点を置いて国際協力の推進を図ってまいります。
 第五は、原子力研究開発利用及び安全対策の推進であります。
 原子力の研究開発利用につきましては、安全確保を大前提として、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 まず、原子力安全対策につきましては、昨年四月に発生したソ連チュルノブイル原子力発電所の事故をも踏まえ、原子力安全規制行政及び環境放射能調査体制の充実を図るとともに、安全研究等の推進を図り、安全確保に万全を期す方針であります。
 次に、原子力発電の円滑な推進を図るためには、自主的な核燃料サイクルの確立が不可欠であり、ウラン濃縮、使用済み燃料の再処理、放射性廃棄物の処理処分等について所要の技術開発等を強力に進めるとともに、民間における核燃料サイクル施設建設計画の推進に必要な措置を講じ、円滑な事業化を促進することといたしております。
 また、核燃料の有効利用を図るため、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉計画の推進等新型動力炉の開発を積極的に進めてまいります、
 人類の究極のエネルギー源と言われる核融合につきましては、昭和六十二年末の臨界プラズマ条件達成を目指して、臨界プラズマ試験装置JT60による実験を継続することとし、原子力船につきましても、引き続き研究開発を進めることといたしております。
 さらに、新たな技術革新を生み出し得る先端的・基盤的原子力研究の推進を図るため、高温工学試験研究炉の設計研究、放射線の高度利用研究などを進めてまいります。
 また、電源三法の活用による原子力施設立地地域住民の福祉の向上及び地域振興のための施策等を講ずるなどにより国民の理解と協力を得つつ、原子力の研究開発利用の推進を図ってまいります。
 第六は、宇宙開発の推進であります。
 宇宙開発につきましては、宇宙開発政策大網に示された方針に沿って、自主技術開発を基調としつつ、国際的活動との調和を図りながら積極的に推進していく所存であります。
 まず、日本、米国、欧州、カナダで共同して進めている宇宙ステーション計画に本格的に参加することとし、我が国の実験モジュールの開発に着手します。
 また、通信、放送、観測及び共通技術の各分野の人工衛星の開発等を引き続き行うほか、新たに技術試験衛星Y型の開発に着手するとともに、海洋観測衛星一号bの研究を行います。
 さらに、一九九〇年代における大型人工衛星の打ち上げ需要に対処するため、二トン級の静止衛星打ち上げ能力を有するHUロケットの開発を引き続き推進いたします。
 第七は、海洋開発の推進であります。
 海洋国家日本としては、海洋科学技術に関する研究開発を積極的に推進していく必要があります。
 このため、海底鉱物資源や地震予知の研究等に不可欠な六千メートル級潜水調査船の建造を引き続き進めるとともに、その支援母船の建造に着手いたします。また、海中作業実験船「かいよう」を用いた潜水作業技術の研究開発など、総合的な海洋科学技術プロジェクトを積極的に推進いたします。
 第八は、ライフサイエンスの振興であります。
 広範な分野において人類福祉に貢献するライフサイエンスの関連施策について、人間系科学技術を中心に、がん関連研究、老化研究などを強力に推進いたします。
 第九は、物質・材料系科学技術の研究開発の推進であります。
 さまざまな技術開発を進める上で基盤的な重要技術として期待されている物質・材料系科学技術について、超電導材料などの高性能機能材料の研究を初めとする先端的な研究開発を推進してまいります。
 第十は、地球科学技術の推進であります。
 地球観測技術の研究開発等を進めるとともに、さまざまな自然災害の防止、軽減を目的として、地震予知、震災対策、火山噴火予知、雪害対策等の研究を中心に、防災科学技術の推進を図ってまいります。
 最後は、各般の重要な総合研究等の推進であります。
 航空技術の研究開発につきましては、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」の飛行実験を引き続き進めるとともに、革新航空宇宙輸送要素技術の研究開発に着手いたします。
 さらに、レーザー科学技術研究等の基礎的研究の推進を図るほか、資源の総合的利用のための方策等を進めてまいります。
 以上、昭和六十二年度における科学技術庁の施策に関し、その概要を申し述べましたが、これらの諸施策を実施するために、昭和六十二年度予算といたしまして、一般会計三千三百三十七億円、産業投資特別会計四十三億円、電源開発促進対策特別会計九百四十六億円を計上いたしました。
 私は、二十一世紀に向かって平和で豊かな社会を築いていくためには、英知を結集して科学技術の振興を図っていくことが不可欠であると痛感しており、我が国の科学技術のより一層の発展のために、誠心誠意努力してまいる所存でありますので、委員各位の一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
#4
○委員長(伏見康治君) 次に、昭和六十二年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。矢橋官房長。
#5
○政府委員(矢橋有彦君) 昭和六十二年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。
 昭和六十二年度一般会計予算において、科学技術庁の歳出予算額三千三百三十六億七千四百万円を計上いたしており、これを前年度当初歳出予算額と比較いたしますと、三十一億九千二百万円、一%の増加となっております。また、電源開発促進対策特別会計において、科学技術庁分として、歳出予算額九百四十五億五千二百万円を計上するほか、産業投資特別会計から、日本科学技術情報センターに対し四十二億円の出資を予定いたしております。以上の各会計を合わせた科学技術庁の歳出予算は四千三百二十五億二千六百万円となり、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、四十七億七千二百万円、一・一%の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為限度額として、一般会計一千三百九十三億五千三百万円、電源開発促進対策特別会計八百二十億六千万円を計上いたしております。
 さらに、一般会計予算の予算総則において原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を二千八百二十八億円とするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額を二百八十億円とし、これに基づく借入金を使用済み燃料再処理施設の操業費等の一部に充てることといたしております。
 次に、予算額のうち主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます、
 第一に、科学技術行政の総合的展開を図るための経費として八十四億八千三百万円を計上いたしました。これにより、科学技術会議の方針に沿って科学技術振興に必要な重要研究業務を総合的に推進するための科学技術振興調整費について、創造的・基礎的研究の充実を中心として拡充するとともに、同会議の審議機能を充実することといたしております。
 なお、昭和六十二年度の科学技術振興調整費においては、国際社会への貢献という観点をも踏まえたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに関する調査を進めるとともに、国際研究交流の促進、受託研究への弾力的対応等を図ることといたしております。
 第二に、創造的・基礎的研究の充実強化とその国際的展開のため、四十六億九千三百万円を計上いたしました。
 (一) まず、技術革新の根幹となる新しい科学的知見を発掘するため、多分野にまたがる領域における先端的基礎研究を、流動的で国際的にも開かれた体制のもとに長期的に行う国際フロンティア研究を充実することとし、これに必要な経費として十五億三千五百万円を計上いたしました。
 (二) また、産学官のすぐれた研究者を弾力的に組織化して、次代の技術革新を担う創造性豊かな新技術を創出することを目的とした研究を推進する創造科学技術推進制度を拡充することとし、これに必要な経費として三十一億五千八百万円を計上いたしました。
 第三に、研究開発のための基盤の整備のため、九十四億三千百万円を計上いたしました。
 (一) まず、広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすことが期待される放射光施設について、技術的諸問題等の調査研究を行うために必要な経費として六千九百万円を計上いたしました。
 (二) 次に、民間等との共同研究の促進、研究公務員等の国内及び海外研修への派遣、ハイテクコンソーシアム制度による先端的研究成果の展開、新技術の企業化の促進等に必要な経費として二十四億九千九百万円を計上いたしました。
 (三) また、日本科学技術情報センターにおける科学技術に関する各種データベースの整備、情報提供機能の向上のための新オンライン提供システムの開発、国際科学技術情報ネットワークの構築等内外にわたる科学技術情報の流通を促進するために必要な経費として一般会計に二十億七千三百万円を計上するとともに、産業投資特別会計から同センターに対し四十三億円の出資を予定いたしております。
 (四) また、遺伝子資源の収集、保存、提供体制の強化等に必要な経費として四億九千万円を計上いたしました。
 第四に、科学技術国際協力を通じた国際社会への積極的貢献を図るため、日米協力を初めとする先進諸国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力、人材交流等の国際協力に必要な経費として二百九十七億一千九百万円を計上いたしました。
 第五に、原子力の研究開発利用及び安全対策の推進のため、二千七百三十三億六千三百万円を計上いたしました。このうち、一般会計予算において一千七百八十八億一千百万円を計上しておりますが、その大略を御説明申し上げます。
 (一) まず、原子力安全規制行政及び環境安全対策については、ソ連チュルノブイル原子力発電所の事故をも踏まえ、原子力利用における安全の確保に一層の万全を期するため、原子力安全委員会の運営、放射能測定調査研究などに必要な経費として十九億八千二百万円を計上いたしました。
 (二) 次に、日本原子力研究所においては、電子力施設等の安全性に関する試験研究、核融合の研究開発、高温工学試験研究炉の設計研究、放射線高度利用研究、原子力船に関する研究開発等を進めることとし、これらに必要な経費として九百九十四億六千二百万円を計上いたしました。
 (三) また、動力炉・核燃料開発事業団においては、高速増殖炉の実験炉の運転等新型動力炉の研究開発を進めるとともに、ウラン資源の海外調査深鉱、遠心分離法によるウラン濃縮パイロットプラントの運転等核燃料サイクル確立のための研究開発を進めることとし、これらに必要な経費として六百四十二億八千九百万円を計上いたしました。
 (四) また、放射線医学総合研究所における重粒子線の医学利用に関する研究及び放射線の内部被曝に関する研究並びに国立試験研究機関及び理化学研究所における原子力試験研究に必要な経費等として百三十億七千八百万円を計上いたしました。
 次に、電源開発促進対策特別会計歳出予算額のうち、科学技術庁分として九百四十五億五千二百万円を計上しておりますが、その大略を御説明申し上げます。
 (一) まず、電源立地勘定においては、原子力施設の立地を一層促進する見地から、原子力施設の周辺地域の住民等に対する給付金の交付及び周辺地域における雇用確保事業の推進に必要な経費として十三億六千四百万円を計上いたしました。また、地方公共団体の公共用施設の整備に必要な交付金に充当するため三十五億一千百万円を計上するほか、放射線監視対策、原子力防災対策などの原子力安全対策等に必要な経費として七十七億二千百万円を計上いたしました。
 (二) また、電源多様化勘定においては、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉に関する研究開発等新型動力炉の開発を進めるとともに、使用済み燃料再処理技術の開発及びウラン濃縮原型プラントの建設等ウラン濃縮技術の開発に必要な経費として動力炉・核燃料開発事業団に七百七十二億六千四百万円を計上するとともに、原子炉解体技術の開発、レーザー法ウラン濃縮技術の開発等を推進する経費として四十六億九千二百万円を計上いたしました。
 第六に、宇宙開発の推進のため、九百四十五億六千九百万円を計上いたしました。
 (一) まず、宇宙開発事業団において、技術試験衛星Y型の開発に着手するとともに技術試験衛星V型、通信衛星三号、静止気象衛星四号、放送衛星三号及び地球資源衛星一号の開発を進めるほか、海洋観測衛星一号bの研究等を行うこととしております。また、HIロケット及びHUロケットの開発を進めることとしております。さらに宇宙ステーション計画の開発段階に参加することとし、実験モジュールの開発等に着手するほか、第一次材料実験システムの開発を行うこととしております。これらに必要な経費として九百二十六億四千八百万円を計上いたしました。
 (二) また、航空手笛技術研究所におけるHUロケット用液酸・液水ロケットエンジン要素の研究等宇宙科学技術の基礎的・先行的研究を進めるための経費等として十九億二千百万円を計上いたしました。
 第七に、海洋開発の推進のため、七十七億二千七百万円を計上いたしました。
 (一) まず、海洋科学技術センターにおいて、六千メートル級潜水調査船の建造を進めるとともに、その支援母船の建造に着手するほか、潜水調査船「しんかい二〇〇〇」による深海調査技術の研究開発、海中作業実験船「かいよう」による水深三百メートルを目標とする潜水作業技術の実海域実験等を行うこととし、これらに必要な経費として七十五億一千六百万円を計上いたしました、
 (二) また、関係省庁の協力を得て、黒潮の開発利用調査研究、海洋遠隔探査技術の開発研究等を進めることとし、これらに必要な経費として二億一千百万円を計上いたしました。
 第八に、ライフサイエンスの振興のため、百十九億八百万円を計上いたしました。
 (一) まず、理化学研究所において、前述の国際フロンティア研究の一環として老化の仕組みの解明のための研究を推進するとともに、がん本態解明のための研究、脳・神経系及び免疫系科学技術の研究等を推進するほか細胞・遺伝子の保存・提供事業等を行うための経費として二十五億二千四百万円を計上いたしました。
 (二) 次に、がん研究を支える共通基盤技術等についての研究開発を積極的に進めるため、科学技術振興調整費及び新技術開発事業団の委託開発制度から三十七億八千九百万円の充当を見込んでおりますほか、創造科学技術推進制度において発生遺伝子に関する研究等を実施するための経費として十七億九千七百万円を計上いたしました。
 (三) さらに、放射線医学総合研究所において、前述の重粒子線の医学利用に関する研究のほか、放射線によるがん診断・治療のための研究を進めることとし、このための経費等として三十七億九千八百万円を計上いたしました。
 第九に、物質・材料系科学技術の研究開発の推進のため、金属材料技術研究所、無機材質研究所における各種試験研究を進めることとし、これに創造科学技術推進制度及び国際フロンティア研究における材料研究の経費を加え七十二億三千七百万円を計上いたしております。また、科学技術振興調整費から、二十一億円の充当を見込んでおります、
 第十に、地球科学技術の推進のため、百八十二億三千二百万円を計上いたしました。
 (一) まず、地球観測技術研究開発等の推進については、地球資源衛星一号及び静止気象衛星四号の開発、海洋観測衛星一号bの研究等を実施するため、百五十六億七千七百万円を計上いたしました。
 (二) また、防災科学技術の推進については、関東・東海地域における地震予知研究、地震発生機構に関する研究等の地震予知研究、震災対策研究、雪害対策研究等を実施するため、国立防災科学技術センターの予算を中心に二十五億五千五百万円を計上いたしました。
 最後に、その他の重要な総合研究等を推進するため、百八十九億八千八百万円を計上いたしております。
 (一) まず、航空宇宙技術研究所において、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」による飛行実験、革新航空宇宙輸送要素技術の研究開発等航空技術の研究開発を推進するための経費として八十八億八千万円を計上いたしております。
 (二) 次に、理化学研究所については、国際フロンティア研究及び原子力関係の経費のほかライフサイエンス研究、レーザー科学技術の研究等を推進するための経費として九十六億八百万円を計上いたしております。
 (三) また、地域エネルギー総合利用の実証調査及び資源調査所における各種調査等資源の総合的利用方策の推進のため必要な経費として三億六千二百万円を計上するほか科学技術の広報啓発活動の推進に必要な経費として一億三千八百万円を計上いたしております。
 以上簡単でございますが、昭和六十二年度科学技術庁関係予算につきましてその大略を御説明申し上げました。
#6
○委員長(伏見康治君) 以上で所信の表明及び予算の説明は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次に、先般本委員会が行いました委員派遣について、派遣委員の報告を聴取いたします。岡部三郎君。
#7
○岡部三郎君 委員派遣について、その概要を御報告申し上げます。
 派遣地は兵庫県、大阪府及び京都府でありまして、派遣期間は、一月十三日及び十四日の二日間であります。派遣委員は伏見委員長、出口理事、稲村理事、塩出理事、木宮委員、佐藤委員及び私の七名であります。また、派遣先は三菱電機株式会社伊丹LSI研究所、大阪大学細胞工学センター、大阪大学レーザー核融合研究センター、株式会社ミドリ十字中央研究所細胞工学センター、サントリー株式会社サントリー研究センター及び株式会社島津製作所であります。
 以下、調査の概要について申し上げます。
 三菱電機株式会社伊丹LSI研究所では会社の沿革及び概況説明の後、超LSI研究棟において、描画に必要な集束イオンビーム技術、結晶や不純物に対する高度な機器分析技術、サブミクロンの世界に必要なクリーンルーム技術等を視察いたしました。
 LSI研究所では、半導体全般を扱っておりますが、「機能の発現」というテーマのもとに特に超LSIや新機能デバイスなどの実際的な開発に力を入れています。ICからしSI及び超LSIへと発展してきた半導体素子は、コンピューターや通信機器等の一部品からコンピューターそのものといえる機能を持つまでになり、システムの小型化に寄与するとともに、来るべき情報化社会の基盤材料として、今後、ますます重要な役割を果たすものと考えられております。
 同研究所では、新技術開発事業団の「創造科学技術推進事業」の西澤完全結晶プロジェクトにより貴重な研究成果をおさめ、他方、五十六年から始まった通商産業省工業技術院の「次世代産業基盤技術開発制度」の国家プロジェクトに参画し、従来の平面的な構造を持つLSIにかわって立体的な集積構造を有するいわゆる三次元回路素子の開発を進めております。この三次元回路素子によって、高密度・高集積化、高速動作・多機能化が可能になり、例えば、一つのチップの中に画像情報の取り込み、データ処理、認識、記憶といった複数の機能を有するインテリジェント・イメージプロセッサなど有益なシステムが発展する可能性を含んでおります。
 次に、大阪大学では大学事務局にて大学の沿革及び概要について説明を聴取した後、細胞工学センター及びレーザー核融合研究センターにおいて概況説明を聴取し、それぞれの研究施設を視察いたしました。
 細胞工学センターは、新しい生命科学研究の急速な発展に対応するため、共通目的を持つ既存の研究グループを学部の枠を超えて再編しようとの先駆的な試みから五十七年に設立されたもので、細胞生物学、免疫学、遺伝学の三本柱を中心に研究活動を行っております。
 具体的には、ヒト体細胞遺伝生理学部門、遺伝子構造・機能調節部門、細胞工学技術開発部門、免疫細胞研究部門、遺伝子情報研究部門、遺伝子化学修飾部門、ヒト遺伝子解析部門及びヒト難病病態モデル系開発部門の八つの研究部門があり、約百三十名の研究スタッフがおります。ここでは、レーザーを用いて細胞を詳細に解析するセルソータ及び細胞内に人工合成した核酸・たんぱく等を顕微鏡下で微量注射するためのマイクロインジェクション装置を視察いたしました、
 一方、レーザー核融合研究センターは、昭和四十七年に工学部付置のレーザー工学研究施設として発足したもので、五十一年には大学付置のレーザー核融合研究センターとなっております。同研究センターでは、重水素と三重水素を二重のガラスの小球の中に封入したペレットに強力なレーザー光を照射し高温、高圧状態を起こし、いわゆる慣性閉じ込め方式により核融合反応を起こす研究を行っている施設であります。現在、レーザーの高性能化、燃料ペレットの改良、発生エネルギーの計測診断技術、コンピューターシミュレーション開発などに力を入れており、五十六年発足の金剛計画に従って、ガラスレーザー「激光Z号」を用いて臨界に近いプラズマを実現し、一九九〇年代に値百キロジュール級ドライバー「金剛」により、ブレークイーブン、すなわち入力エネルギーが核融合によって発生する出力エネルギーと等しくなるところまで達成するよう実験、研究を行っております。ここでは、ガラスレーザー「激光Z号」装置及び展示室を視察いたしました。
 次に、株式会社ミドリ十字では、中央研究所細胞工学センターにおいて概況説明を聴取した後、同センター内にて細胞培養装置、細胞融合装置等を視察いたしました。同社は、新技術開発事業団から新技術の「委託開発制度」に基づく委託を受け、ヒト白血球由来によるインターフェロン製剤の開発を行っております。
 同社は、未開発の分野への挑戦をモットーに、従来から血液製剤を中心に動物細胞の大量培養、遺伝子組みかえ、細胞融合などバイオテクノロジーを駆使する医薬品の研究開発を進めており、現在、これらについて約六十名が研究に従事しております。動物細胞の大量培養としては、ヒトリンパ芽球細胞、ヒト腎細胞、細胞融合によるハイブリドーマ、遺伝子組みかえを行った動物細胞などをその対象としております。
 また、昭和五十六年から、遺伝子組みかえの研究に着手し、抗ウイルス剤のアルファ、ベータ及びガンマ型インターフェロンやたんぱく栄養源の血清アルブミンなどを遺伝子組みかえ技術をもって生産することに成功しております。また、血友病治療薬の抗血友病因子及びB型肝炎ワクチンについても遺伝子組みかえ技術をもって生産する技術を開発中であります。
 次に、サントリー株式会社においてはサントリー研究センター及び同社山崎ディスティラリーにおいて概況説明を聴取した後、それぞれ研究施設等を視察しました。
 同社の研究センターには、酒類研究所、食品研究所、分析センター、生物医学研究所、応用微生物研究所及び財団法人サントリー生物有機科学研究所の各研究部門があり、酒類、食品、医薬分野を中心に、それらの新製品の開発、品質の追求、技術革新を目指して研究・開発活動を行っております。特に、生物医学研究所では、高齢化社会に向けての成人病医薬の製造に重点を置き、心臓循環器系薬、制がん剤、脳機能改善薬などの開発を行っており、また、応用微生物研究所では、有用微生物及びそれらの生産する有用物質の検索、並びに微生物の分類、保存、遺伝子組みかえ技術を利用した微生物の育種に関する研究を行っております。財団法人サントリー生物有機科学研究所は、企業の利益を社会に還元するとの経営理念に基づき、生物有機化学を中心とした学際領域から自由にテーマを選定し、国の内外からの客員研究員を含め常時三十名ほどのスタッフが研究活動を行っております。
 同社山崎ディスティラリーでは、ウイスキーの仕込みからポットスチルでの蒸留、専用のたるに詰めての貯蔵までの工程を視察いたしました、
 最後に株式会社島津製作所では、会社の概況説明を聴取した後、同社の分析センターにおいては電子線マイクロアナリシス、ガスクロマトグラフィー、自動前処理システム等を、研修センターにおいては自動生化学分析装置、DNA自動合成装置、細胞融合装置等を、及びMRセンターでは磁気共鳴イメージングシステム等を視察いたしました。
 同社では、現在、組みかえDNA技術、細胞融合、たんぱく工学など新バイオテクノロジーの研究に力を入れており、DNA自動合成装置、細胞融合装置、遺伝子導入装置、バイオ液体クロマトグラフなどバイオ研究をバックアップする開発支援機器を次々と出してまいりました。同社は、今後とも、新たなバイオ技術とともに従来から得意とする精密機器技術の振興に努め、バイオトロニクス分野の開拓に力を入れるとのことであります。
 以上、調査の概要を申し述べましたが、今回の調査に当たりまして御協力を賜りました関係諸機関及び関係者の方々に感謝の意を表しまして、報告を終わります。
#8
○委員長(伏見康治君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト