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#1
第108回国会 科学技術特別委員会 第3号
昭和六十二年五月二十五日(月曜日)
   午後一時三十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十五日
  委員江島淳君は逝去された。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         伏見 康治君
    理 事
                岡部 三郎君
                出口 廣光君
                稲村 稔夫君
                塩出 啓典君
    委 員
                木宮 和彦君
                後藤 正夫君
                長谷川 信君
                前島英三郎君
                松尾 官平君
                最上  進君
                久保田真苗君
                松前 達郎君
                佐藤 昭夫君
                小西 博行君
           発議者  塩出 啓典君
   国務大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)      三ツ林弥太郎君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        志村 哲良君
       科学技術庁長官
       官房長      矢橋 有彦君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   武田  昭君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   中村 守孝君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   藤咲 浩二君
       科学技術庁研究
       開発局長     長柄喜一郎君
       科学技術庁原子
       力局長      松井  隆君
       科学技術庁原子
       力安全局長    佐々木壽康君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        高橋 利彰君
   説明員
       外務省国際連合
       局原子力課長   中島  明君
       文部省学術国際
       局学術課長    長谷川善一君
       通商産業省機械
       情報産業局総務
       課長       牧野  力君
   参考人
       宇宙開発事業団
       理事長      大澤 弘之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
○宇宙開発基本法案(塩出啓典君外一名発議)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(伏見康治君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 議事に先立ち、一言申し上げます。
 本委員会委員江島淳君は、本日、腹腔内出血のため逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。
 ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。
 どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷。
   〔総員起立、黙祷〕
#3
○委員長(伏見康治君) 黙祷を終わります。御着席願います。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(伏見康治君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本調査のため、本日、宇宙開発事業団理事長大澤弘之君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(伏見康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(伏見康治君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○木宮和彦君 それでは、まず私から質問をさせていただきたいと思います。
 実は私、議員になりまして、特に科技特では初めての質問でございますし、私自身が科学技術につきましては大変素人でございまして、おまけに不勉強ときておりますので、質問そのものが大変幼稚であったり、とんちんかんであるかもしれませんけれども、ひとつその点御留意の上でお答えいただき、またなるべくわかりやすいように御説明いただけると大変幸いだと思います。
 最近、国民が科学技術につきましては大変興味を持ち、特にテレビ番組なども最近非常に多いと思います。これから日本にとって一番大事なのはやはり二十一世紀に向けての科学技術の研究だろうと私は思います。
 ところで、ただいまは三ツ林大臣が元長官のお葬式のために御欠席でございますが、そのかわりに志村政務次官がいらっしゃいますので、私は安心していろいろとお尋ねを申し上げたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。いずれまた、大臣も後の方で来られるようなことを聞いておりますので、大臣がお見えになりましたら繰り返してお伺いすることもあるかと思いますので、その点もお許しいただきたいと思います。
 まず第一に、日本の先端科学技術が、今までは世界に追いつけ追い越せというキャッチフレーズで無我夢中でやってきたと思いますが、気がついてみたらまさに世界の国の一番最先端に来ている、ある意味においては凌駕しているのじゃないか。これからは目標がなくなったわけでございます。そういう意味で、日本の科学技術のレベルを常に最高に維持していくためには今までと対応がうんと変わっていかにゃならぬだろう、自分ではそう思うのでございますけれども、何がこの科学技術、特に先端科学技術のレベルを維持していくためには必要であるか、まずそれを次官にお伺いしたいと思います。
#8
○政府委員(志村哲良君) 木宮委員の御質問にお答えを申し上げます。
 我が国の先端科学技術が世界の最高レベルを確保していくためには、今行政として何が必要であるかという御質問でございます。資源に元来乏しい我が国が豊かで安定した社会、経済を維持してまいりますためには、人間の知的創造力にその生存基盤を求めていくことが極めて肝要であると存じます。したがって、二十一世紀に向けての発展には諸外国以上に科学技術の振興に期待するところが大であり、これは我が国の重要な政策課題だと認識をいたしております。
 このような状況にかんがみまして、政府は、総合的な科学技術の展開を図りますために、基礎的研究の強化による創造性豊かな科学技術の振興、科学技術面での国際的な展開、科学技術と人間及び社会との調和を柱といたします科学技術政策大綱を昨年三月に閣議決定いたしたところであります。とりわけ、最近の科学技術の目まぐるしい進展の中にありまして、我が国の先端科学技術を世界のトップレベルで維持してまいりますためには、独創的な基礎的研究が極めて重要不可欠であると存じます。このためには、創造性にすぐれた人材の育成確保と、独創性を重視する土壌の醸成、研究環境の充実等、研究者が良好な環境のもとで研究活動が展開できるような条件の整備を図ることが重要であろうと存ずるものであります。このような観点に立ちまして、研究交流促進法の活用、科学技術振興調整費の充実、創造科学技術推進制度の充実等、政策の展開を図っているところであります。
 また、現下の国際情勢下では我が国の科学技術面での貢献が強く求められておりまして、我が国の研究開発を国際的に開かれた体制で進めていくことが重要であると存じます。このためには、理化学研究所の国際フロンティア研究システム制度の発足、国立試験研究機関への外国人研究者の参加、諸外国に対する科学技術情報の積極的な提供等の施策の展開も図ってきたところでございます。
 さらに、科学技術の成果が真に人間社会の福祉に活用されるように努めることも行政の大切な課題であると存じます。とりわけ、最近のバイオテクノロジーの進歩等による生命倫理等の問題につきましては、国民のコンセンサスを得ていくことが極めて重要であり、科学技術会議におきましても他分野の専門家にお集まりをいただき、御議論をいただくなど施策の展開を図っているところであります。
 いずれにいたしましても、科学技術政策大綱を遂行上の指針といたしまして、課せられた課題に対処してまいる所存でございます。
#9
○木宮和彦君 ただいまの答弁のとおりだと私も思いますが、中でも私は、現在、特に研究にとりまして、わかりやすく言いますとお金とそれから人間、研究者ですね。予算と研究者というものがやはり一番大事だと思うのです。
 お金の方は、国民のGNPから言いますと、大体今、日本のレベルは三%くらいのようでございます。諸外国を見ますとやはり同じくらいの水準で、アメリカも大体同程度、それから西ドイツあるいはフランスもGNPの二・五から三%ぐらい、各国の官と民間全部合わせまして大体そのくらい、金額にしますと大体十兆円くらいじゃないかと思うのです。そういう意味では既に日本は諸外国と肩を並べ、あるいはそれを多少でも凌駕している。国の予算も本年度は一般会計と特別会計合わせますと一兆六千億くらいです。科学技術庁の予算が約四千億くらいですか。それからその約倍ですが、文部省が大体八千億弱、七千六百億か七百億くらいだと思います。それからその半分が通産省で二千億程度だと思いますが、他の省は一千億以下ですから、これは微々たるものと言っちゃおかしいですが、この三つの省に比べれば大変少ないと思います。ですから、何といいましてもリーダーシップをとっていかなければならないのは科学技術庁と文部省と通産省だと思うのです。
 とりわけ、私最近いろんなところから研究者のお話を聞くんですが、一番困るのは、何といいましても公務員の場合には公務員試験を通らないと採用されないというようなこと、あるいはおやめになる方が少ないので年齢がだんだんだんだん高年齢化していってしまう。本来研究というのは、自然科学の場合でございますが、三十五歳くらいがピークでございまして、例外もあるでしょうけれども、やっぱり頭脳が明晰なのはその程度で、そこは相撲の力士や野球の選手と同じで、頭も体も大体三十五歳を過ぎるとだんだんだんだん衰えてきます。その意味で、これからの先端技術に若い人が研究員として参加できないことは大変ゆゆしき問題であると思います。
 今、定員を削減するという時代でございますのでふやすわけにもいきませんが、そうかといって平均年齢が、非常にたくさんとってしまっては困るんですが、科学技術庁の五つの研究所では大体平均年齢が私の想像では四十五歳くらいだと思うのですけれども、その辺の調査なり、あるいは将来にわたって研究者の年齢を下げていく手段といいますか、何かお考えがあるか、あるいはそんな必要ないわとおっしゃられるのか。その辺の御意見を承りたいと思いますが、よろしくどうぞお願いいたします。
#10
○政府委員(中村守孝君) 今、先生御指摘いただきましたように、現在、公務員の数につきましては、行政改革の推進という中で定員の増加というものが非常に制約された状況にあるわけでございます。そんな関係もございまして、確かに、国立の試験研究機関の年齢構成を見ますと、かなり今先生御指摘のような年齢層の方のところが平均になっておるわけでございますが、これは、一つには過去において採用された方のいわば高年齢のところに若干膨らみが出ておりまして、その関係で平均年齢が上がっているというようなことがございます。長い目で見ますとそこら辺は正常化される、正常化といいますか、だんだんになくなっていく問題でございます。いずれにいたしましても、独創的な研究というものにつきましては若いうちにいろいろな芽が出てくるということがよく言われておるわけでございます。年齢が非常にとられてもますます創造力豊かに活躍されておられる方ももちろんあるわけでございますので、一概に申すわけではございませんが、一般的にはそういう傾向もあるわけでございます。
 そういうことで、今後の国立試験研究機関の活性化を図る上でこの問題をどう解決していったらいいのかということにつきまして、現在私どもも検討中でございまして、科学技術会議の下部機構に国立試験研究機関の活性化の問題を今検討する委員会を設けまして、ここで検討を進めておるところでございます。
#11
○木宮和彦君 活性化のために今考慮中であるという御返答で、大変私も意を強くしておりますが、ぜひひとつ、年齢層によってそれぞれの役割が違っても私は別に差し支えないと思うので、研究員が将来はそのデータをもとにした調査をするなり、あるいはその他行政職になるなり、あるいは管理職になる、やはり人それぞれ一番大事なときに一番知恵を絞ってもらうということが将来の日本の先端技術に私は非常に欠くべからざることであろうというような気がしてならないわけでございます。
 そういう意味合いを込めてかどうか知りませんが、新しく研究推進のために新技術開発事業団、実はこれも伏見委員長の御発案だと思うのですが、私ども既に三回いろんな研究所やらあるいは現場なりを調査、視察をさせていただきまして、私も大変勉強になりました。論より証拠で、本を読んだり話を聞くよりも、現場を親しく見て、そしていろいろ教わるということが私どもにとって非常に勉強になりました。今後もひとつぜひこれを続けていただくように委員長にも御要望いたしますけれども、特に国立の研究所なども科技庁一つ残らず私ども一度見てみたいという気がいたしております。
 それはともかくといたしまして、今言った事業団、あるいは理化学研究所などにプロジェクトを委嘱して、そして一つの研究を五年間期限を切ってやられているように私聞いております。あるいはもう既に終わったプロジェクトもあると思いますが、これは成果が上がらなければ返さぬでもいい、もしうまくいけば無利子でもって投下したお金だけは返還するという決めになっているというように聞いておりますけれども、今までの成果、まだ時間がそんなたくさんかかっておりませんので、いろんなデータはないかもしれませんが、わかる範囲内で結構でございますから。それから、今後これについてどういう御見解をお持ちか。なお予算を膨らましてもっとたくさんこういうプロジェクトを拡大していく方向なのか、あるいはこの辺でいいというふうなお考えでいらっしゃるのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#12
○政府委員(藤咲浩二君) 新技術開発事業団及び理化学研究所の現状と今後の計画等についてのお尋ねでございますが、新技術開発事業団につきましては、先生御承知のとおり大きく分けて二つの仕事をしておりまして、一つは委託開発事業という事業でございまして、科学技術に関する国研等の試験研究の成果を事業団から民間企業に委託費を出して実用化を図るという事業でございますが、これは昭和三十六年に新技術開発事業団が設立されて以来の事業でございまして、これにつきましては既に相当の成果を上げております。
 例えばでございますが、世界最高の輝度を持つ発光ダイオードを企業化したとか、あるいはがんの加温治療器、がんは熱に弱いという特性を利用いたしまして、温度を与えることによってがんの治療を図るというような治療器の開発、あるいは非常に効率の高い光電池、太陽光電池を開発するというような成果を上げてきております。現在この委託開発の規模は、年間五十一億円という規模で実施しております。私どもとしては、これから基礎研究がますます重要だという中で、その基礎研究の成果を実用化するということも非常に重要だろうというふうに考えておりますので、この事業の着実な拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。
 事業団のもう一つの大きな事業は五十六年度から発足いたしました創造科学技術推進制度でございますが、これは発足後非常に間もないということではございますが、年々テーマ等も拡充してきておりまして、現在八つのテーマが進行しておるということでございます。
 これまでの成果でございますが、これは非常に基礎的な研究をやろうという制度でございますので、目に見える成果であらわすのはなかなか難しい面もございますけれども、一例で申しますと、特許出願件数で現在約三百八十件、それからその成果が学会等で発表された件数が八百五十件ということになっておりまして、新しい制度としては非常に活発に活動していると言えるのではないかというふうに思っております。
 この創造科学技術推進制度につきましても、本年度新規に三テーマ追加する予算となっておりますけれども、これにつきましても私ども有望な新規課題の発掘に努めまして、今後ますます拡充してまいりたいというふうに考えております。
 それから理化学研究所でございますが、理化学研究所は、御承知のように物理、工学、化学といった非常に広い範囲の研究分野を担当する我が国でこういった公的な研究機関としては唯一の総合研究所という特色を持っておりまして、この特色を生かしながらこれまで非常に基礎研究を充実してまいったということでございます。特にライフサイエンスの分野とか、あるいは重イオン加速器を使いました重イオン科学研究だとか、あるいはレーザーの研究、あるいは光合成の機構を解明するという太陽光エネルギー科学研究、こういった分野に最近は非常に重点を置いておるということでございます。
 それからさらに、六十一年度から、昨年の十月に発足したわけでございますが、創造科学技術推進制度に近い制度として流動研究員、世界じゅうから研究者に集まってもらって基礎研究を行うという国際フロンティア研究システムというのをスタートさせました。これによりましてさらに基礎研究の面で国際的に貢献してまいりたいということでございます。簡単ですが。
#13
○木宮和彦君 ただいまの丁寧な解説でよくわかりましたが、現在こういう新しい企画でもってプロジェクトをつくってやっていらっしゃると思いますが、直轄の研究所でやるのと並行して、こういう新しいプロジェクト、特に民間を活用したりあるいは立派なリーダーがいるということが私はやはりこれからの将来のために非常に大事なことだ、こう思うわけです。
 日本の科学技術行政については、最高決定機関というのは、科学技術会議という科技庁で持っておる会議がございます。これについてどういう構成で、またこれが過去においてどういうことを決定されて、それが実際実行にどのくらい移されているのか。
 今私が申し上げましたように、国家公務員は試験をやらなきゃ研究員になれぬとか、あるいは研究員の定年の問題であるとか、あるいは今も話がありましたが、西澤先生の行ったダイオードの問題。しかしこれらもなかなか実用化が難しいので、それにかわる人がだめになってしまうということで、せっかくいろいろないい理論なり構成ができてもなかなか実用化が難しいという問題もあろうし、もっと大事なことは、プロジェクトをだれが評価するのか、評価する人を育成しておくということが今の日本の科学行政にとっては一番大事なことではないか、私はそう思うわけです。
 そういうことを全部込めまして、科学技術会議というものが活発に、しかも的確に機能をしていただくということが私は大変今大事な業務ではないかと思うのですけれども、その辺、私も十分知りませんので教えていただきたい、こう思いますので、よろしくどうぞ。
#14
○政府委員(中村守孝君) お答え申し上げます。
 科学技術会議と申しますのは、総理大垣を議長といたしまして、大蔵大臣、文部大臣、経済企画庁長官、科学技術庁長官、それから日本学術会議の会長、さらには内閣総理大臣が国会の同意を得て任命いたします五名の学識経験者らから原則的に構成されるわけでございます。あと随時必要に応じて関係閣僚の御出席があるということでございます。いわば我が国の科学技術政策に関する最高審議機関とも言うべきものであるわけでございます。
 ただ、この科学技術会議は、その構成メンバー等からもおわかりのように個別的な案件をここで議論するということではございませんで、科学技術会議設置法にございますが、科学技術一般に関する基本的かつ総合的な政策の樹立、あるいは長期的かつ総合的な研究目標の設定、研究目標を達成するための必要な方策、それと日本学術会議への諮問、答申に関すること、こういったことにつきまして政府、内閣が必要と認めましたことについてこの会議に諮問し御答申をいただく、御答申いただいたものについて政府がそれを尊重して具体的な施策を進める、こういうことになっているわけでございます。
 これまでには、五十九年に十一号諮問ということで長期的な展望に立った科学技術政策の基本についての答申をいただきまして、それがベースになりまして昨年三月政府として閣議で科学技術政策大綱というものを決めたということでございます。そういった基本のほか、やや分野的に申しますれば、エネルギーに関する基本計画とかライフサイエンスに対する基本的な施策とか、こういったものを科学技術会議として従来も答申し、それに基づいて政府もそれを尊重して施策の具体化を図っておるところでございます。
 現在、科学技術会議で審議中のものといたしましては、先ほど申し上げました「国立試験研究機関の中長期的あり方について」、それから物質・材料系の科学技術、これがいわゆる今後の科学技術のベースになるものでございまして、政策大綱の中でも示されておるものでございますが、これの研究開発の基本計画について審議をいたしておりまして、ライフサイエンスにつきましては、脳・神経系の研究開発の進め方、それから免疫の研究開発、こういったものについての基本的な今後の進め方というようなものを現在検討を進めておるところでございます。
 先生御指摘ございました、研究者を大いに伸ばしていくという意味での研究評価の問題につきましては、これも重要な一つの問題としてとらえ、既にいわゆる各国立試験研究機関等で自主的に行われているような規模の研究につきましての研究評価につきましては研究評価に関する指針を昨年の九月に取りまとめておりまして、この指針を科学技術庁から各省に御伝達申し上げ、各省で評価の運用に当たっていろいろ使っていただいておるわけでございます。今後、大規模プロジェクトの評価についてさらに審議を進めるというようなことをいたしておるわけでございます。
#15
○木宮和彦君 科学技術会議が活発に日本の将来を決定づけるように、これからもぜひひとつお願いを申し上げたい、こう思います。
 それでは、前回の委員会で科学技術庁長官が所信をここで表明されました。この所信表明の中に項目がたくさんございます、約九つほど書いてございますが、それを時間がある限りですから途中で切り上げるかもしれませんが、逐条的にある程度なお具体的にお聞き申し上げますので、わかる範囲で結構ですからぜひひとつお話しいただきたい、かように思います。
 まず第一に、大臣も挙げておりますけれども、科学技術振興調整費というのがございます。これは恐らく、調査費でございますから余り具体的に決めないで割合自由に使える金と言うと語弊があるかもしれませんが、あてがい金といいますか、つかみ金といいますか、その時点において最も大事な研究にある程度振り分けることのフリーハンドが与えられているものと私は思うのですが、もし間違っていたらまたひとつ。
 なお、その中にヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムがございますけれども、具体的にわかりやすく言ってどういう一体プログラムをやるのか、その辺をひとつ教えていただきたい、こう思います。
#16
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 科学技術振興調整費に関する御質問かと思うわけでございますが、六十二年度予算にいたしまして八十四億円計上させていただいております。
 この科学技術振異調整費の運用につきましては、科学技術会議の下部機構に政策委員会というのをつくってございます。これは、科学技術会議は先ほど申し上げましたような非常に高度の会議でございますので日常の個別的な運営ができませんので、具体的に弾力的に対応していくという意味でできた機関でございまして、科学技術会議の構成メンバーである学識経験者の岡本先生を座長にする形で行われておるものでございますが、この政策委員会での御審議を経てその運用に当たっているというものでございまして、各省にまたがります試験研究を総合調整して必要ないわば各省の谷間に置かれているものとか、あるいは各省間で協力して進めるべき問題、そういうようなことが科学技術政策遂行の上で非常に重要な問題であるというものについて配分をしておる内容のものでございます。
 それには、二省庁以上の関係機関が共同して進めるべきプロジェクト、それから年度に入りまして緊急に研究の必要性が生じてきた、例えばエイズの問題が出てきて急に研究しなければいけないとか、あるいは火山爆発が起こってそのための研究をしなきゃいけない、そういうような緊急的な研究に対する配分も行っておるわけでございます。さらに、六十年度から国の国立試験研究機関におきます基礎研究を一層推進すべきであるということで重点基礎研究という一つの枠を設けまして、国立試験研究所の研究者の自主的発想による研究を推進するということのために六十二年度では十四億円ほどこれに配分するというようなことも考えておるわけでございます。
 先生御指摘のヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの問題は、この科学技術振興調整費の中でソフトウエアの調査の関係の経費として幾分かを割いておるわけでございますが、その一環として行っておるものでございまして、またこれは調査の段階で、具体的な研究には手をつけているわけではございません。
 それで、このヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムと申しますのは、先生御承知のように人間の脳というものは極めて複雑かつすぐれた情報機能を有しておるわけでございまして、現在のコンピューター技術ではとても実現し得ないいろんなものを秘めておる。さらには、人間の視覚にしろあるいは動物、特に犬の嗅覚だとか、そういったような生物の持つ複雑な知覚機能というのが非常に高度な機能を持っておるとか、あるいは生物の中ではいろいろな活動するに当たってのエネルギーの消費効率が非常にいいとか、いろんな現代の科学技術の水準ではなかなか達せられない高度かつ緻密な機能を生物がたくさん持っておるわけでございます。
 来世紀にいろいろな問題を抱えた人類の問題を解決していくためには、新しい科学技術をこうした生物の持つ神秘な機能の解明をもとにして切り開いていくということが必要なのではないだろうか。そういうことからいって、こうした生物の持つすぐれた諸機能を解明していくという基礎研究、これは当然のことながら基礎研究になるわけでございますが、これを大いに発展させていくべきではないか。これはもう既に各国でもそれぞれの範囲内で行ってはきておるわけでございますが、二十一世紀に向けて大きく開いていく分野でございますので、国際的な共同事業として若手の研究者の育成とかあるいは国際的な学者グループの研究を支援するとか、あるいは研究者の交流を拡大していくとか、そういったようなことを共同してやっていくことが大変世界的に意味があることではないか。
 これを日本としては各国の理解を求めて一緒にやっていくようなことになったらいいのではないかというような構想から検討を進めているものでございまして、六十一年度におきましては、どういう分野を重点的に進めるべきかというようなことについてのフィージビリティースタディーを行ったわけでございまして、六十二年度は、引き続き具体的にどういうスキームでこの問題に取り組んでいったらいいかということにつきまして国際的な協力を得ながら展開していきたい、そのための経費を科学技術振興調整費の方から支出しようということを考えておる次第でございます。
#17
○木宮和彦君 よくわかりましたが、今言った調整費ですね。これからは自然科学の研究も自然科学の分野だけではとどまらなくて人文科学、社会科学とごっちゃになる、そうしていかなきゃ一つの研究がまとまっていかないような事態が発生してくるだろうと思うのです。今、日本の研究費、先ほど申し上げました開発研究費の中で人文・社会の費用はせいぜい一割以下だと思うのですけれども、将来その調整費は人文・社会科学の分野の研究にまでその範囲を広げるということはあり得るんですか。
#18
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 科学技術と申しております範囲からは人文科学のみにかかるものは除かれております。もちろん自然科学とのかかわりにおける人文科学というものにつきましては検討してまいるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、今後のライフサイエンスを進めていくに当たっては、倫理の問題等がいろいろ重要な問題になってくるわけでございますので、そういう自然科学と人文科学とのかかわりとか、倫理とのかかわり、そういったものにつきましては振興調整費の中からも調査費とかそういうものを出しまして検討している、ソフトウエアの仕事としてそういうことも一部やっておるわけでございます。
#19
○木宮和彦君 よくわかりました。
 時間も大分経過いたしましたし、また大臣も御着席のようでございますので、少しはしょって質問を進めていきたいと思います。
 次に、創造科学技術推進制度というのがこの間の答申の中にもございますが、二十一世紀に向かってこれから日本がやっていかなければならない一番大事なことが、一番最初からもう何回も申し上げていますが、創造科学技術推進制度だと思うのです。国際フロンティアの研究と同時に具体的にどういう方策でおやりになるのですか、簡単で結構ですからどうぞお願いいたします。
#20
○政府委員(藤咲浩二君) いわゆる創造科学技術推進制度というよりは、あるいは創造的な科学技術の推進のための具体的施策というお尋ねかとも思いますけれども、そういった見地では、先ほど来御説明いたしておりますように、私ども理研でフロンティア研究というのをやっておりますし、それから新技術開発事業団で創造科学技術推進制度という制度を現在推進しております。
 国際フロンティアについては、発足後間もない制度でございますので、今後当分の間は研究者あるいは研究費の充実という形で内容を充実していきたい。研究分野としては、生物の恒常性維持機能を中心とした生体ホメオスタシスの研究、あるいは新しい機能を持った材料を開発するというフロンティア・マテリアルの分野、この二つの分野を中心に研究を続けていきたいというふうに考えております。
 それから、創造科学技術推進制度につきましては現在八テーマが進んでおりますが、本年度は新しくいわゆるテラヘルツという研究題目にしております。電磁波のうち、いわゆる電波の領域あるいは光の領域は現在通信等に活用されておるわけですが、その中間にある波長の領域というのが現在利用されておりません。こういったものを利用することを少し研究しようというテラヘルツの研究だとか、あるいは生物の発生過程を解明する発生遺伝子の研究、あるいは化学認識の研究、こういった新しいテーマを追加していくことにしておりますが、今後とも新しいテーマの発掘に努めてまいりたいと考えております。
 それからさらに、各種の基礎的研究に共通に使われる非常に重要な装置と私ども考えております放射光施設というのがございます。この大型の放射光施設の整備に関する調査を六十二年度からスタートすることにいたしましたが、これについてもぜひ実現に向けて推進してまいりたいというふうに考えております。
 その他、振興調整費を活用して基礎的な研究の拡充を図るというようなこともあわせて考えてまいりたいというふうに考えております。
#21
○木宮和彦君 それでは次に、大臣が所信の第三番目にうたわれておりますけれども、研究交流促進法ということ。これからの科学技術につきましては、ライフサイエンスやあるいは材料科学技術などいろんな分野がございまして、言ってみれば境界がなくなっちゃうといいますか、そういう研究開発が私は非常に多くなっていくと思います。そういう上で、それを踏まえてこれからは研究交流がますます盛んになってくると思います。特に共同研究あるいは産、官、学等の研究交流促進の方策を科学技術庁が音頭をとってやられていると思いますけれども、実績がございましたら、あるいは将来の方策がございましたらひとつお教えいただきたいと思います。
#22
○政府委員(藤咲浩二君) 基礎研究の推進のために産学官の既存組織の枠を超えた研究交流が重要だというのは御指摘のとおりで、そういう趣旨で昨年研究交流促進法を制定していただきまして、その後準備期間を経て昨年の十一月十一日にこの交流法が施行されたわけでございます。
 法律施行後間もないわけでございますが、これまでの実績ということになりますと、この研究交流促進法というのは、産学官の研究交流を促進する際に、既存の法制で隆路になる部分を特例法という形で隆路にならないように特例措置を決めたものでございますので、その特例措置が七事項ございます。
 このうちこれまでに実績があるのは二項目でございまして、具体的には、一つはこの交流促進法第四条の規定に基づくわけでございますが、職務専念義務を免除されて研究集会に出ることができるという規定がございます。この関係の適用を受けましたのが現在までに国の研究機関を全部合わせまして三百人強既にございます。それからもう一つ実例がございますのは第五条で、退職手当上の不利益をこうむることなく共同研究の相手方等の民間企業等に休職出向できるという特例の関係でございますが、この適用を受けたのは現在までに四人ございます。
 実績としては以上二項目でございますが、施行後間もないということもございますので、今後より活用されるように努めてまいりたいと考えております。
 なお、この法律以外の面でこの研究交流促進のために、例えば現行の制度の運用を改善するというような問題もございます。こういった点に関しましては、去る三月三十一日にその基本方針を閣議決定していただいたところでございます。
 それからさらに、この閣議決定に基づきまして関係省庁の局長クラスを構成員とします研究交流促進連絡協議会というのを設けることにいたしまして、ここで今後研究交流促進のために各省庁がどういう対策をとるべきか各省間でよく相談するということにしておりまして、こういった場を使いましてさらに一層研究交流を進めるように努力してまいりたいというふうに考えております。
#23
○木宮和彦君 ぜひひとつこれだけはやっていただきたいと思います。
 もう一つ伺いたいのですが、外国人の研究者の受け入れといいますか、資料ないかもしれませんが、大まかで結構です。現実にどの程度行われているのか。わかる程度で結構でございますから、ひとつお教えいただければありがたいのですが。
#24
○政府委員(藤咲浩二君) 研究交流促進法で特例措置を定めておりますのは、いわゆる研究公務員として正式の公務員として外国人を幹部の研究員についてまで採用できるという特例措置を定めたわけですが、そちらの方の実績は残念ながら今のところございません。ただ、実際に日本の公務員になるという形ではなくて、現実に向こうの身分のまま日本の研究所に来ている外国人は非常に多うございまして、必ずしも正確な調査かどうかわかりませんが、今手元にある数字で見ますと、私どもの国立の研究機関の関係では、ちょっといつ現在がわかりませんが、人数で二百二十三という数字を持っておりますので、この程度は実際に受け入れているということが言えるかと思います。これは国立の研究機関の関係でございます。
 なお、そのほか先ほどちょっと御説明しました創造科学技術推進制度、こちらでも外国人をかなり受け入れておりまして、これまで延べ二十六人ございます。現時点では十名弱だと思いますが、その程度おります。それから国際フロンティア研究システム、こういったものでも、例えば現在七つの研究チームがございますが、そのうち三つの研究チームのリーダーは外国人ということになっておりますし、それから若手の研究者も現在人集めの最中でございますけれども、既に何人か参加することになっている、そういう形での参加もございます。
#25
○木宮和彦君 しつこいようですが、その外人の中ではいわゆる先進国型の国と、後進国と言ったら怒られるかもしれませんが、発展途上国の国から来た――わかる程度で結構ですから、感じでも結構ですが、どちらが多くて、あるいはその研究態度といいますか、我々が受け入れるにはどっちに金を使えばいいかという、その辺もしおわかりでしたらひとつ。
#26
○政府委員(藤咲浩二君) 対等ないわゆる研究協力あるいは研究者の交流という形で来るのは、やはりどうしても科学技術のレベルの高い先進国中心になろうかと思います。今申し上げた数字も、特に創造科学技術推進制度で来ているとか、国際フロンティアの方では主として先進国から参っております。それから国研に来ている人たちも非常に多くは先進国だと思いますが、発展途上国からも例えばJICAの技術協力の予算を使って来ている方を国研が受け入れているというようなケースもございますので、相当数発展途上国からも受け入れているということだろうと思います。
#27
○木宮和彦君 それでは、文部省の方いらっしゃいますか。――ちょっとお伺いしますが、これは科学技術庁じゃなくて文部省所管の国立大学の研究所の概要ですね。それから、文部省には共同研究とかあるいは学内研究とか施設とか、いろいろ研究所に区別をしていらっしゃるようですが、それらは大まかに言ってどういうふうな区別なのか。
 それからなお、民間と大学の研究所との交流あるいは共同研究、これらがありや否や。もしあるとすれば、非常にメリットもあるでしょうが、逆に今度はデメリットもあろうかと思うので、その辺ひとつお伺いしたいと思います。
#28
○説明員(長谷川善一君) 文部省関係の研究所といいますと、所轄の研究所、それから国立大学に附置されております研究所、それから国立大学の共同利用機関という研究所、大体大きく分けましてこういうカテゴリーがございます。
 所轄の研究所と申しますのは、主として文部省の行政目的を達成するためにその基礎として必要な調査研究ないしは定常的に行うべき観測とか研究などを実施する研究所でございまして、おおむね他省庁の試験研究機関に当たっておりまして、国立教育研究所でございますとかあるいは緯度観測所など七つの機関を持っております。
 国立大学の附置研究所と国立大学の共同利用研究機関といいますのは、いずれも学術研究の推進を主たる目的とする研究機関でございまして、附置研究所といいますのは、特定の専門分野につきまして研究を行うために特に関連の深い大学に附置されているというものでございまして、この中には、その大学だけではなく、広く全国の国公私立大学の研究者が共同利用できるものもございます。附置研究所の数は現在六十八でございます。
 それから、国立大学の共同利用機関と申しますのは現在十一機関、研究所の数にしまして十三研究所がございますけれども、これは全国の大学の研究者が共同して当該分野の研究を推進する場といたしまして、あるいはまた特色のある施設設備とか資料の共同利用の場として、または国際的な共同研究のセンターとして設置されているものでございまして、研究者に対しましては所属の大学が国公私立のいずれであるかを問うことなく開放されておるという機関でございます。
 そのほか国立大学のみに関しますと、より小規模な研究センターとか、研究施設の数は現在約三百三十小規模なものがございます。
 それから、二つ目のお尋ねでございますけれども、大学が社会的な協力といいますか、産、官、学の協力でどういうようなことをやっておるかということでございますけれども、受託研究の拡充あるいは奨学金の受け入れの拡充、こういうようなことをやっております。
 受託研究といいますのは、国立の大学などにおきまして産業界あるいは地方公共団体、そういったところからの委託を受けて公務として研究を進めていこうというものでございます。近年特に地方公共団体からの委託がふえております。その受託研究に関連いたしまして研究員の受け入れもやっております。それから奨学寄附金と申しますのは、学術研究の奨励を目的とするもので、民間等の外部から寄附金を受け入れる制度でございます。
 それから、五十八年度から民間等との共同研究制度というのを新たに設けておりまして、これが近年かなりふえてまいっておりまして、六十一年度で二百七十二件の共同研究を材料開発あるいはバイオテクノロジーなどかなり広範囲な分野で実施しておるというのが現在の状況でございます。
#29
○木宮和彦君 ぜひひとつ大学も門戸を広げて、そして民間ともども仲よくやっていただきたいものだと思います。
 時間がもうあとわずかでございますので、最後に大臣にお伺いしたいと思うのですが、二十一世紀に向かって地球規模でいろいろな現象が今出ております。アフリカの砂漠化あるいはペルーの大洪水とか異常気象現象、いわゆるエルニーニョ、大変舌が回りません。緊急調査もやられたということを聞いておりますけれども、これの報告と、並びにこの地球科学技術の推進につきましての大臣の所信をぜひ承りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
#30
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 御質問の地球規模の諸現象の解明を目的とした地球科学技術の推進は、先生の言われるように極めて重要な事柄でございますが、エルニーニョ現象を初めとする諸現象を地球的規模で解明する地球科学技術の推進は、防災、環境問題への対応、地球の将来予測等に供するものと期待され、その成果は我々地球上に住む人類共通の財産になるとの観点から極めて重要と認識をいたしております。
 科学技術庁といたしましては、本分野の重要性にかんがみ、従来より海洋科学技術、リモートセンシング技術等個別的な研究分野において研究開発を推進してきたところでございますが、地球規模の諸現象への対応は、大気圏、海洋圏、地圏、生態圏等にわたる学際的取り組みを必要とするものでありまして、また、我が国の国際的立場を踏まえ、この分野において積極的な国際的協力を行うことが必要であります。このため、科学技術庁長官の諮問機関である航空・電子等技術審議会に本年三月地球科学技術部会が設置されまして、地球科学に関する総合的推進方策について審議が進められているところであります。今後、同審議会の審議結果等を踏まえて地球科学技術の総合的推進に努力してまいる所存でございます。
#31
○木宮和彦君 時間もだんだんなくなりましたので、最後にもう一つ大臣に伺いたいんですが、二十一世紀に向けましての我が国の科学技術行政ですね。先ほど私、大臣の来られる前に、研究に必要なのはお金と人材、研究者だということを申し上げたのですが、研究者が、最近特に国立研究所におきましてはだんだん研究員の年齢が高齢化してきて形骸化するのではないかという危惧を抱いているものでございます。そのほか、研究者が日本におきましてはややプロ意識がなくなって、どちらかというとサラリーマン化しているんじゃないかというような声もなきにしもあらずでございます。何とかひとつ、もう一回活性化するためにはどうしたらいいか、ぜひその辺取り組んでいただきたい。
 同時にまた、新しいプロジェクトとして新技術開発事業団などをなお一層活用していただいて、そして世界の最高レベルをぜひ将来とも維持して立派な業績を残していただくように実は私お願いをしたいのでございますが、大臣の所信といいますか、決意をお述べいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#32
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 御質問のように一生懸命努力してまいりたいと思っておりますが、二十一世紀に向けた科学技術の振興、とりわけ創造性豊かな研究開発の展開を図っていくためには、創造性豊かな研究者の育成、確保に力を入れる必要があると認識をいたしております。研究開発能力には個人差があるので、今お話しのようにサラリーマン化だとか高齢化、高年齢者の研究能力が低いとは言えないが、一般的には独創的な研究成果は若い研究者から生まれやすいとされるので、若手研究者の確保、活用が非常に重要な課題と考えております。このため特別研究員制度の充実、科学技術振興調整費の活用等を通じて若手研究者の能力が発揮されるよう施策の展開に努めてきているところであります。
 他方、我が国の社会が人生八十年時代を迎える中にあって、高年齢研究者についてはこれまでに培った豊富な知識、経験を有していることから、単に研究のみならず、研究管理、国際協力等の分野においてもその能力が十分発揮されるよう配慮する必要があります。したがって、我が国の円滑な研究活動の推進を図っていくためには、若手、中堅、高齢各層の研究者がそれぞれその能力を十分に発揮することが重要であります。このため研究者のライフステージに応じた活動ができるよう努めてまいる所存であります。このような観点から、現在科学技術会議に対する第十三号諮問「国立試験研究機関の中長期的あり方について」における検討の中でも若手研究者の確保、中高年齢研究者の活躍の場の確保等に十分配慮しつつ活性化を図ってまいりたいと思っております。
#33
○木宮和彦君 ありがとうございます。それでは私の質問を終わります。
#34
○稲村稔夫君 私は、最初に科学技術庁のことしの予算のそれぞれの費目の配分について伺いたいというふうに思います。その一々細かいことまで伺っている時間がございませんから、各費目の中で前年度対比が減っているものがありますけれども、なぜこれらの費目が減ることになったのか、その理由をお聞かせください。
#35
○政府委員(矢橋有彦君) まず科学技術庁の予算の分野別の大きなシェアでございますけれども、原子力関係が約六三%、それから宇宙関係が二二%、その他が一五%という大きな区分になっております。そのうち、項目によりましては六十一年度の予算に対しまして一部減額になっている部分もございます。例えば原研の臨界プラズマ試験装置、JT60と言っておるものでございますが、その建設の進展に伴う建設費の減額とか、あるいは宇宙開発事業団が先般打ち上げをいたしました海洋観測衛星一号「もも」の打ち上げ終了に伴いまして同衛星の開発費が減額をするというように、何と申しますか、研究開発を進めてまいります過程で、いわば段取り工事業の進捗に伴いまして部分的に減額になっているものもある程度ございます。
#36
○稲村稔夫君 まず第一は、これは私は毎年疑問に思いながら伺ってきているわけでありますけれども、科学技術庁の予算のうちの六三%が原子力関係であり、そして二二%が宇宙開発、言ってみれば科学技術庁予算のうちの約八五%が原子力あるいは宇宙開発ということになるわけです。現場を持っている、いろいろとあるということもこれはよくわかるわけでありますけれども、しかし、それにいたしましても全体の中で占める比重がこんなに大きく偏っているということ、これは私はやはり科学技術庁のあり方をある程度物語っている、性格的なものを物語っているようにも思うわけであります。そういう意味では、科学技術庁予算のあり方というものについて、今いろいろとある科学技術の振興のための調整官庁としての役割というものが十分に果たせるような予算配分のやり方というのが私はもっとあるのではないか、こんなふうに思うわけでありまして、この点はもう毎回同じことの繰り返しでありますけれども、やはり私は指摘をしておかなきゃならぬというふうに思っております。
 それにいたしましても、例えば今、木宮委員から指摘がありましたけれども、それに対して大臣が地球科学技術の推進は極めて重要だというふうに言われておった。これは私は予算を見る限りは極めて空虚に響くんですよ。と言いますのは、重要だと、こうおっしゃるけれども、実は費目で見ますと前年度よりも減額になっている、地球科学技術の推進という項目が減額になっている、こういうことなんでありますが、これは、重視しているのに減ったというのはどういうわけですか。
#37
○政府委員(矢橋有彦君) 確かにただいま先生御指摘のとおり、具体的に金額を申し上げますと、地球科学技術の推進につきましては、昭和六十二年度の予算では百八十二億三千二百万円でございまして、これは対前年度比六億八千二百万円ばかり減少しておることは事実でございます。
 ただ、その理由でございますけれども、冒頭申し上げましたと同じことの繰り返しになるかと存じますけれども、具体的に申し上げますと、一つは、海洋観測衛星一号a、「もも」一号と命名されたものでございますが、これが六十一年度まで建設費を計上してまいりましたところ、今年の二月に打ち上げを行いまして、したがいまして、それに伴う建設費の減額だけで五十二億というような減少ということになっておるわけでございます。もちろん反面、例えば地球資源衛星一号の開発が進展をいたしまして十七億円ばかり予算はふえておりますし、また、同じく地球科学に密接な関係がある六千メートル級の潜水調査船及び母船の建造進展という関係から十八億円余の金額がふえております。
 このように、一方においてプロジェクトの進展に伴いまして減少する分と、それから他方において新たに建設が始まる、あるいは建設費が増大をする分と、その両方の結果としてたまたまある年には減額をするということも間々あることでございまして、若干の変動はいたし方ないことかと思います。
 ただ、先ほど来先生御指摘のとおり、原子力、宇宙のウエートが高いということはもうそのとおりでございまして、私どもその点につきましては、いわゆるそういった大型プロジェクトと並びまして、ライフサイエンス、材料科学技術あるいは防災科学技術、さらには科学技術情報の提供、そういった広範な分野の施策についてもその拡充に努めているところでございまして、今後とも先ほど先生の御指摘の点も十分踏まえまして遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。
#38
○稲村稔夫君 ここで相当時間をとるわけにもいきませんけれども、ちょっと私の意見も交えてのことになりますが、いずれにいたしましても、「もも」が打ち上げが終わったからということはわかります。そのかわりにサクランボ上げるのか何上げるかわかりませんけれども、そこでもって多少差額が、後から上げるものの方が安い、もっと経費がかからないとか、そういうことはわかります。しかし、例えばさっき御指摘のあったエルニーニョ問題などというのは、もうそれこそ今地球規模で非常に重視をしなければならない問題としてそれぞれ国際的な研究観測協力体制等がつくられていっている中でしょう。そういうものに対してもっともっと積極的に対応していく。例えば、こちらの一定の、海洋観測衛星を上げた、これによっていろいろな新しい体制ができる、そしてその新しい体制にさらにもう一つこういうものを加えながらというそういう工夫はいろいろとできるわけなんでありまして、地球科学技術の推進ということが重要な課題であるとすれば、そういう点をもっともっと積極的に考えて展開をしていってしかるべきではないか、こういう私は意見を持っておりますので、その辺はぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
 そこで、時間配分の関係もありますから、この予算とのかかわりがありますので次に入らせていただきます。
 本国会での本院予算委員会におきまして大分エイズ対策というのが議論になりました。質疑が行われまして、総理も極めて重要な問題と受けとめておられるようでありまして、そういう意味の御答弁がされているわけであります。これに対しまして科学技術庁では、これにかかわる予算というのはどういうところにどれだけとっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#39
○政府委員(長柄喜一郎君) 科学技術庁におけるエイズ関係の予算でございますが、昭和六十年度には科学技術振興調整費から緊急研究ということでエイズの診断技術の開発に四千三百万円を支出しております。六十一年度にも同じく振興調整費から五千三百万円を支出しまして、エイズウイルスの定量方法の開発に予算を支出しているわけでございます。
 なお、本年六十二年度につきましても振興調整費の支出を検討しておりまして、去る五月二十一日に科学技術会議の政策委員会の方で「免疫の応答機構解明のための基盤技術の開発に関する研究」を六十二年度に取り上げるということになっております。この免疫の研究のうちの一部としてエイズウイルスに対する免疫機構についての研究をするということになっておりますが、金額は今後詰めるということでございます。
#40
○稲村稔夫君 金額はまだ決まってないということなんで何とも言えませんが、エイズ研究そのものについては、我が国は予算の措置等につきましても、例えばこの間自民党の調査団が行かれたあの報告等を見ましても、これ日本円に換算してのあれのようですが、アメリカの六百二十四億円とかフランスの五十四億円、西ドイツの十六億円というものに比べればかなり少ないということになると思います。
 しかし、我が国にとっては、これはエイズばかりではありませんで、T型細胞――何と言ったかな、白血病の一種で、ちょっと今名前をと忘れして恐縮でありますけれども、そういうやはり非常に関連が深いと思われる病気なども出てきているわけでありますから、そういう意味ではかなり積極的な対策、研究というのが必要だというふうに思うわけでありますけれども、これはライフサイエンスの分野では大体どんなふうに位置づけられていくことになりましょうか。
#41
○政府委員(長柄喜一郎君) ライフサイエンスの分野につきましては、ライフサイエンスの研究、政府は大変力を入れております。ただ、金額はまだ少のうございまして、各省庁全部合わせて約六百億円程度の研究費を支出しているところでございます。
 この中で、例えばがん研究それから長寿社会対策対応というようなことで老化の研究等にもかなり金を入れているわけでございますが、このエイズとか、委員が先ほどおっしゃいました成人不細胞白血病、いわゆるATLというふうな、こういう免疫に関するような研究というのは、その原因、予防法、診断、治療法、こういうことにまだまだ未解明の点が数多くございます。こういうことでございまして、我が国では大変、我が国といいますか、世界的にもそうでございますが、非常におくれている分野でございます。
 ただいま科学技術会議の方でもこの免疫に関する我が国の研究を今後どう推進するかということを検討されているわけでございますが、政府といたしましては、科学技術会議の意見、答申等に沿ってこのエイズの関係とかATLの研究、また免疫の研究、こういうものを促進していきたい、こう考えているところでございます、
#42
○稲村稔夫君 ちなみに、そうするとがん研究にはどのくらいの経費を出していますか。
#43
○政府委員(長柄喜一郎君) がん研究に関連いたします科学技術庁の予算でございますけれども、六十一年度が約四十億でございますが、六十二年度につきましては、実はこの調整費から出るものもございまして、まだ未確定な分野もございますが、この四十億よりはふえるものというふうに考えております、
#44
○稲村稔夫君 大臣、閣議でもエイズについては大分神経をとがらせて、特別対策の閣僚の組織化などもしているようでありますが、いろいろとおもしろい話なども伝わって、献杯はやめようとかなんとかというような話にまで発展をしたということが伝えられております。いずれにいたしましても、これは非常にわからない分野が多いだけに、基礎研究に力を入れていかなければならない。それにはやはり相当な投資を今後していかなければならない、そういう性格のものではないだろうか、こんなふうに思うのですよね。
 そこで、今後の方向として、こうしたまだまだ未知の分野の多いものに対して相当な予算を割いていくような努力を今後されるお気持ちがあるかどうか、特にエイズあるいは今の免疫問題とも絡まる難病対策ということでひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#45
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 今先生がお述べになりましたように、エイズについてはエイズ問題総合対策大綱というものに述べられておりますが、その発症から免疫機構の破壊に至る過程等未解明の部分や治療法、予防法等でその技術について未確立の部分が多く、基礎研究及び予防、検査、治療等に関する研究をより積極的に推進していく必要があります。
 科学技術庁といたしましては、これまで科学技術振興調整費を活用してエイズに関する研究開発の推進を図ってきたところでありますが、今後とも大綱に沿って厚生省、文部省等関係省庁と協力、調整を図りつつ、エイズに関連する基礎研究の総合的推進を図っていく所存であります。
#46
○稲村稔夫君 私は、文章をお読みをいただくよりも大臣の率直なお気持ちを今お伺いしたいと思って質問をしたわけでありますが、しかし予算を伴うものについてはなかなか明確なことは表明はされられないだろうと思います。
 しかし、こうした未解明の分野が多いという、しかもそれが非常に重要な問題であるということについては重点的に対応を考えていただく、こういうことをぜひお願いしたいというふうに思います。これも私の時間の関係の中ではこれ以上のことは申しませんが、ただ、ぜひ忘れないでおいていただきたいと思いますのは、私は今エイズ対策ということで取り上げましたけれども、これは何もエイズだけに限っておりませんで、特にそうした未解明の分野で重要な課題になるものについては重点的な対応策を講じていただきたい、そういう姿勢を示していただきたい、こういうことでお願いをしておりますので、もう一度、恐縮ですけれども大臣のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
#47
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) これはもうお話しのように未解明の部分の非常に多いものでございますが、基礎研究とかそういうのを重点的にやると同時に、厚生省、文部省等と一体になりましてその対策に努力いたしてまいりたいと思っております。
#48
○稲村稔夫君 次の問題に進みたいと思います。
 先ごろIAEAにおきまして、例のチェルノブイリ原発事故を一つの契機といたしましていろいろと検討をされ、そして国際的に二つの条約の批准を求めるという提起がされ、我が国もこの原子力の事故通報条約とそれから援助条約、二つのものに署名したわけでありますけれども、このことについて若干お伺いをしたいというふうに思います。
 まず最初に事故通報条約関係についてであります。
 外務省はお見えになっておりますか。――事故が発生した場合に影響を受けるおそれがある国ということになるわけでありますけれども、影響を受けるおそれのある国というのはどのような判断に基づいて決められるということになるのでありましょうか。その辺の判断のよりどころというのがおわかりになっていたらお教えください。
#49
○説明員(中島明君) 御質問の点でございますが、今の問題につきましては通報条約の第一条にこの条約の「適用範囲」という規定がございまして、その中において、条約の締約国が一定の「施設又は活動に関係する事故であって、放射性物質を放出しており又は放出するおそれがあり、かつ、他国に対し放射線安全に関する影響を及ぼし得るような国境を越える放出をもたらしており又はもたらすおそれがある事故」、こういった事故においてこの通報の問題が適用になる、そのように書いてございます。
 したがいまして、通報を行う場合にどのようなものを通報するかということでございますが、これは事故が起きたその事故の当事国、すなわち通報を行う国がみずからの判断で決めてそれで通報する、かような仕組みになっております。
#50
○稲村稔夫君 その事故の中には軍事施設を含みますか。
#51
○説明員(中島明君) 事故の対象といたしましては、第一条の第二項に対象となる施設または活動が列挙されております。これには、一例を申しますと、「すべての原子炉」というふうに書いてございますように、特に軍事用、非軍事用というような区別を設けておりません。したがいまして、御指摘にございました軍事施設というものに係る事故についても通報の対象から排除されておらない、そのように考えております。
#52
○稲村稔夫君 そういたしますと、例えば我が国に原子力潜水艦が寄港をしておる、そのときに事故が起こったということになったとき、今、日本に寄れる国といったら幾つもあるわけじゃありませんね、原子力潜水艦が。そうすると、そのとき我が国の負う義務というようなもの、あるいはその当事国の負う義務、我が国とその当事国との関係、これらのことはどういうふうに整理をして考えたらよろしいでしょうか。
#53
○説明員(中島明君) 我が国の領域及び領水内において原子力潜水艦が原子力の事故を起こした場合ということでございますが、これは御指摘にございましたように米国政府の所有する原子力潜水艦ということになろうかと思いますが、事故を起こした場合には、米国がこの条約の締約国であるのであれば、そのような事故は先ほど御説明いたしました第一条の締約国の「施設又は活動に関係する事故」というものに該当すると考えられますので、このような場合には米国に通報義務が発生する、そのように考えております。
#54
○稲村稔夫君 そうすると、港であるとか領海内というのは、今おっしゃったように例えばその施設を所有している国の義務、通報の義務は、ということになりますか。
 それから、そうすると、今度はじゃ公海上で例えば我が国に影響がある範囲のような場合というのは、これはどうなりますか。例えば黒潮に乗って放射能が流れてくる、運ばれてくる可能性があるとかなんとかということが考えられ得る場合は。
#55
○説明員(中島明君) 通報条約の第一条におきましては、通報を行う対象としての事故につきまして、放射性物質の国境を越える放出をもたらしている、そういう場合ということが書かれてございます。したがいまして、外国の艦船が我が国の領水内において原子力事故を起こした場合には、そこに直接には国境というものはないわけでございますが、すなわちもともと日本の領水内の、日本の管轄権の及ぶ領域内の事故でございますが、この条約の趣旨に照らして考えてみた場合に、これは、このような事故の影響を受ける他国に対してこういう早期の通報を行うことによって事故の影響を最小限のものにとどめる、それがこの条約の趣旨だと思いますので、この「国境を越える放出」ということを規定しているのは、原子力事故の最も典型的なケースを念頭に置きまして起草されていたからでございまして、既に日本の領水内に入っております艦船から影響が出たような場合には、当然のことながらこれは通報の対象となる、かように考えております。
 なお、公海上で原子力艦船が事故を起こして放射能が放出された場合に事故の対象になるかどうかという問題でございますが、この放出された放射能が他国の領域に影響を及ぼし得る、ないしはそのようなおそれがある場合、この場合には通報をするということだと考えておりまして、その場合の他国の領域という場合には領海の中にまで影響が及ぶないしはそのおそれがあるという場合には通報をする義務が生まれる、そのように考えております。
#56
○稲村稔夫君 その場合に私は一つ気になるんですけれども、今のおそれのある場合というものの判断というのは、これはなかなか面倒なんじゃないだろうかなという気もいたします。例えば、たまたまあれはどういうことだったのかというのは結局よくわからない、この条約が結ばれたり、チェルノブイルの前のことでありますから、どういうことなのかというのはわからないで済んでしまっているような格好ですけれども、ソ連原潜が事故を起こして、それが本当に放射能漏れにまでつながっていた事故なのかどうなのかというようなことがいろいろと心配をされたというような事件などもございました。
 今おっしゃったような「おそれがある」というその判断のところというのがどうも明確になってこないと、逆な言い方をすれば、おそれがないとして通報が怠られたというようなことが起きかねないような気もするんで、その辺の心配があるわけであります。これは条約の解釈上の問題だけで何かいろいろと解決できるものじゃないと思いますので、さらに今後いろいろな国際的なそういうことの関係の会議等がある中ではやはり明確にしていっていただかなければならない問題ではないだろうか、そう思うわけです。それが一つ。
 それからもう一点は、そうするとこの核兵器とか核実験についての通報というのはどういうふうになりますか。
#57
○説明員(中島明君) 核兵器及び核実験に係る事故の通報につきましては、通報条約の第三条において、この条約の締約国は、このような原子力に関する事故の場合にも通報をすることができる旨が規定されております。この第三条による通報はしたがいまして任意でございますが、昨年九月の国際原子力機関、IAEA特別総会におきましてこの条約が正式に採択された際、すべての核兵器国はこの第三条による通報を自発的に行う旨の意図表明を行っております。
#58
○稲村稔夫君 今伺いましたのも、一つには、軍事施設ということで例えば原子力潜水艦は事故があれば義務づけられるということになっても、それじゃ原子力潜水艦に積んでいる核兵器に何か、爆発なんか起こったらこれはそれこそ大変なことになるわけでありますけれども、何かの事故が起こった場合、これは義務から外されて、言ってみれば自主的な任意の義務ということになってくる。そうすると、その辺のところには懸念が残るわけですね。そうして、その事故というのをどういうふうに理解するかということにも懸念が残ります。
 例えば、例のあれは何号でしたか、アメリカの原子力潜水艦が沈没したことがございましたけれども、引き揚げて処理をしてもう完全に安全なように全体の処理を済ませましたということであれば、それはそれで一つの安心につながりますけれども、そのまま海底に眠らせておく以外にないというときにはやはり不測のことも起こり得る、こういうことにもなってまいりましょうし、そんなことをあれしていきますと、やはり何か事故ということについての判断もいろんなケースが考えられるだけに心配があります。これは今の国際情勢の中で外務当局も、任意ということでIAEAではそれぞれ報告を通報する、こういうふうに言われているからという、そこの辺のところをなかなか出ないのかもしれませんが、核兵器にいたしましてもやはり通報の義務というのをきちんとできるように今後我が国としては働きかけをしていかなければならないのではないだろうか、そんなふうに思うのですけれども、その辺どんなふうに御理解になっていますか。
#59
○説明員(中島明君) この条約起草をした際に最も大きな問題になった点の一つは、この条約に基づく通報の対象とすべき原子力事故とは何かということでございまして、非常に多くの国は、原子力事故の与える影響を考慮すれば車事用の原子力施設ないしは活動に係る事故も対象とすべきということを主張いたしました。それに対しまして一部の核兵器国はこれに反対したわけでございます。最終的には、ただいま御説明しましたように、軍事用の原子力施設に係る事故は通報の対象とするということに妥協が成立したわけでございますが、核兵器または核実験に係る事故については任意に通報するという制度を設けることになりまして、その結果としてその他の原子力事故に関する第三条というのができたという経緯がございます。
 それから、繰り返しになりますが、核兵器、核実験に係る事故につきましても、すべての核兵器保有国はこれを通報するということを国際原子力機関、IAEAの総会で宣言をしておりますので、現実問題として、かかる事故があった場合には通報は行われるものと私どもは考えております。
 いずれにいたしましても、今のような経緯を踏まえまして私どもとしてもこれからいろいろ努力してまいりたいと思っております。
#60
○稲村稔夫君 ぜひ精いっぱい努力をしていただきたいと思います。
 また、事故の情報というものについては、これはもう出し方はいろいろとあると思うのですけれども、この情報の出し方については何か一定の基準というのがあるんですか。
#61
○説明員(中島明君) 原子力事故が起きた場合に提供される情報につきましては、この通報条約第五条一というところに項目が列挙されております。この項目は昨年の七月から八月にかけてIAEAにおいて開催された条約の起草専門家会合において検討をされ、それに続く九月のIAEA総会で採択されたものでございます。したがいまして、これらの対象となる情報の項目、全部で八項目ございますが、これらをもって通報する情報の共通の基準であるというふうに認識しております。
#62
○稲村稔夫君 私は、それぞれの国によって何といいますか、チェックの仕方、それからデータのとり方等にもいろいろな違いがありましょうし、それから、例えば欲しい情報というものについても受け取り方の違いなどというものがいろいろとあると思います。あるいは提供できる情報というものについてやはりそれぞれの国によっての事情があると思うわけです。そのそれぞれのことでもう最大公約数というのをみんな突き合わせて、IAEA等でその辺のところを勘案して今の八項目というようなものが出てきたんだろうと思います。
 ただやはり引っかかりますのは、核兵器、核実験等の任意通報制については通報の内容がこれらのそれぞれ提供しなければならない基準に基づいてのデータという形でみんな出されてくるものなんだろうかどうなんだろうか、その辺のところも気になるところでありますが、この辺はどういうふうに理解をしたらよろしいですか。
#63
○説明員(中島明君) 核兵器、核実験に係る事故につきましては、今御指摘のとおり条約の第三条に基づきまして任意の通報を行うことになっておりますが、この通報そのものはこの条約に基づいて行われる通報でございますので、条約の定めた手続、ルールそれから基準、そういったものに従って通報が行われるというふうに考えるのが私は自然ではないかと思います。
 したがいまして、今御指摘の第五条にございます八つの提供情報の項目、これはございますが、これは第三条に言う任意通報の対象となる事故の場合にでもこのような八項目に関する情報の提供ということが期待されていると考えて差し支えないのではないかと思います。ただ、第五条の冒頭にも書いてございますが、ここで提供される情報というのは、それぞれの時点で通報を行う国が利用し得るものから成っているというふうに書いておりまして、その通報の対象として提供できるものがここに書いてございます八項目の基準に従って通報される、そのような形にもなっているわけでございます。
#64
○稲村稔夫君 すべて今外務省の御答弁は、善意に解釈してこういうふうになりますというようなことじゃないかと思うのですね。特に任意通報制というときは、任意ですから、出したくない情報はやっぱり出さないというようなこともあり得るわけです。義務になっているときはそれこそ条約違反で随分問題にすることができますけれども、任意というようになっている限り、これだけの情報しか出せませんよと言って、もう自分から出すと言って出したんだからというようなことになりかねないわけであります。そのことの方がむしろ心配なので、この辺はやはりきちんとさせなければならない問題ではないか、こんなふうに思いますので、今後そうした方向等を踏まえながら、また国際的にそういう心配が取り除かれるように御努力がいただけるかどうかということを外務省には今の事故通報条約では最後に伺っておきたいと思います。
#65
○説明員(中島明君) この通報条約の中には、情報を受け取った締約国が追加的な情報の提供を求める場合には、事故の当事国、すなわち情報を提供する締約国は条約の第六条という規定に従ってこのような情報提供の要請に対して速やかに応じるというようなことになっております。したがいまして、私どもといたしましては、事故当事国から提供された情報が不十分であるということを考えた場合には、今申し上げましたような条約の中の仕組みを使いまして追加的な情報の速やかな入手に努めたいと思っております。
#66
○稲村稔夫君 どうもこれ以上課長さんに言ったってしようがないんだと思いますが、やはり我が国の主体性の問題というのが問われてくる問題でもあろうと思いますので、私の希望として、言ってみれば自由裁量になるものというのができるだけ少ない方がよろしい。そういう方向でもってやはり頑張っていかなければ、それぞれの国の都合というのがあるんですから、都合に合わせられてしまうということにもなってまいります。やはりみずからも練らなきゃならない、そういう側面もあると思いますので、ぜひそうした観点に立って対応をお願いしたいというふうに思っております。
 そこで、これは科学技術庁の方になるんでしょうか、こうした通報条約を締結することによって国内的にはこれに対応するいろいろな法律的な手当てなどというものは必要になりませんか。
#67
○政府委員(佐々木壽康君) 私どもは、現時点におきまして国内的に法的な措置を必要とするというふうに考えておりません。したがいまして、今回批准案件についてお諮りいたしました際にも、国内的な法律の手当てを同時にするということの承認を求めていないわけでございます。
 具体的に先生がどういう点について御心配なさっているのか、私の方から申し上げますと、もし問題があるといたしますれば例えば、先生、援助条約の方も含めて……
#68
○稲村稔夫君 いや、通報条約。
#69
○政府委員(佐々木壽康君) 通報条約の方につきましては全く問題がないというふうに考えております。
#70
○稲村稔夫君 済みません、外務省の方にもう一つ、忘れておりまして申しわけありませんでした。
 未加盟の国、条約締約国になっていないところで原子力施設を持っている、あるいはそこにそういう原子力施設を特に隣接した地域でつくられるというような場合というのはどういうふうに理解をしたらいいんでしょうか。この条約に入っていなければ二国間でいろいろとやらなきゃならない、こういうことになるんでしょうか。
#71
○説明員(中島明君) 条約に加盟していない国の事故の通報はどうなるのか、そういう御質問だと思いますが、事故発生国が条約の未締約国であるというようは場合には、当然のことでございますが義務的な通報ということはその条約に基づいて行われないわけでございます。
 他方、原子力に係る事故というものは、放出された放射能の影響が他国に及ぶ、そのような国際的な影響を持つものでございますので、このような事故の発生国が、そういった影響を受ける国あるいは国際原子力機関、IAEAに対して通報することが期待されるというふうに考えます。
 現在、通報条約の締約国は十カ国になりますが、原子力活動を行っている国のほとんどが既にこの条約に署名しておりまして、所要の国内手続を下してこういった国が締約国になることが予想されております。
#72
○稲村稔夫君 そうすると、その場合、例えば韓国は条約締約国ですか。
#73
○説明員(中島明君) 韓国は条約にまだ入っておりません。条約の締約国ではございません。
#74
○稲村稔夫君 韓国が原子力開発をしていくという場合は、我が国には隣接国としてやはりいろいろと関心のあるところになるわけでありまして、条約締約国でないということは大変やっぱり心配があるところであります。
 そうすると、我が国で事故が起こった場合には、韓国に対しては情報を流す義務を負うんですか。
#75
○説明員(中島明君) 現在、日本及び韓国、いずれの国もこの条約の締約国にはなっておりませんが、将来両方の国がこの条約の締約国になった場合には、この通報条約の規定が定めるルールに従いまして一方の国において起きた原子力事故でこの条約に書かれております適用の対象となるものについては……
#76
○稲村稔夫君 将来はわかりますけれども、そうすると現在はどうなりますか。
#77
○説明員(中島明君) 現在はいずれの国もこの条約の締約国ではございませんので、この条約上の義務として通報を行うということはないと思います。
#78
○稲村稔夫君 そうすると、私はこうしたことは、IAEAがどういうあれを持ってどう拘束をしてそれに我が国がどういうふうに対応するかということも、これも非常に重要でありますけれども、同時に隣接国との関係というのも重大関心を持って、お互いに加害者であってはならないし被害者であってもならない、そういう立場での条約とか協定とかいうようなものを結ばなければならない時期が来ているんではないかと思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
#79
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 韓国は隣の国でございますし、また特に日本と一衣帯水の国でございます。
 韓団のIAEA二条約につきましての対応でございますけれども、そういうふうなチェルノブイルの事故に伴いまして私も韓国の状況を把握しようと思いまして四月の末に韓国に行ってまいりました。
 韓国の原子力発電は非常に進んでおりまして、発電量は原子力が四〇%でございまして、我が日本は二七%という数字で、施設も見てまいりました。それから、安全に関する意見交換等を行ったわけでございますが、その際に韓国側から、このIAEA二条約については近い将来に署名すべく準備を進めているという説明がございました。我が国といたしましても、IAEA二条約に基づいて、より円滑に両国間で情報交換等が行えるものと期待を実はいたしております。
 なお、現時点におきましては、韓国とは名指しはございませんけれども、万一そういう事故が発生した場合、外務省の方でお答え申し上げたとおりでございますけれども、これまでの協力関係に基づきまして情報収集に努めるとともに、国内の放射能調査体制を十分に活用し、放射能対策には万全を期しているところでございます。
#80
○稲村稔夫君 長官が韓国を訪問されたものですから、私も最後に聞こうと思っておりましたら先に御答弁をいただいてしまいました。
 ただ、私は韓国が将来このIAEAの両条約署名のあれを持っているということは大いに評価をしていきたいというふうに思いますが、同時に、先ほど申し上げましたように我が国も加害者になってはならないし、韓国がまたこちらに対する加害者になってもいけない、その辺はお互いさらにIAEAで規定をされている内容のものよりも、隣接国同士でありますからもう少しきめ細かないろいろ取り決めなどをすることが必要なのではないか、こんなふうにも私は考えておりましたので、そんなことも含めて長官からちょっと伺いたいと思っていたんであります。後の方ちょっと追加をした形になりますが。
#81
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 今の安全確保をめぐる国際協力の重要性につきましては、そのように私も重大というふうに認識を実はいたしておりまして、我が国は原子力発電所のすぐれた安全運転実績、また各種の安全研究の成果等、原子力安全分野において十分な実績を上げて国際的にも高い評価を受けているところでございます。これらの実績をもとに今後とも一層国際的な活動に積極的に参加し、世界の原子力安全確保に貢献するよう努めてまいる所存でございます。
#82
○稲村稔夫君 どうも私が本当に心配をしていて伺いたいと思う点についてなかなか私自身の胸にすとんと落ちるようなお答えがいただけないのはまことに残念であります、私の聞き方が悪いのかもしれませんが。
 要は、事故というものは起こってからでは遅いわけなんでありまして、起こらぬ前にいろいろな手だてを講じておかなければならない、そんなふうにも私は思うわけであります。それだけに特に隣接国同士というのは一番身近に影響を与え合うということになるわけでありますから、そういう意味ではそれこそIAEAにも増して、もう世界の範たるようなお互いの意思疎通と取り決めをやっていくくらいのことがあっていいんではないか、そういう積極的な姿勢を長官のもとで見せていただいてもいいのではないだろうか、こんなふうに考えて質問をしております。その点はいかがでしょうか。
#83
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 先生からお話しのように、国際的に積極的に努力をいたしまして、韓国とも日本とも安全対策には万全を期するように努力をしてまいりたいと思っております。
#84
○稲村稔夫君 次に、援助条約関係についてちょっと時間配分の関係がございまして、そちらの方は詳しく疑問点をお聞きできないことになりましたので、ごく一部だけ伺いたいというふうに思います。
 一つは、このIAEA等から援助の要請が我が国にもありました場合には、我が国の緊急援助体制というのはこれにどの程度こたえられるということになるのでありましょうか。その辺のところ、例えばソ連のチェルノブイルの事故の場合、もちろんソ連側からの要請があればということが常に言われていたわけでありますが、我が国の援助体制というのも国際的には非常に注目をされているところだと思うわけでありまして、その辺、概括的なことで結構でありますからお答えをいただきたいと思います。
#85
○政府委員(佐々木壽康君) 先生よく御案内のとおり、我が国におきましては国内の原子力発電所の事故に対応するということでいろいろ防災対策を講じているわけでございますが、その中に、こういう事故が起きた際に必要な資機材を整備するということで、これは各原子力発電所設置の県にそういう資機材が整備されております。また、国の関係の機関におきまして、当然、原子力研究所、動燃事業団、それから放医研、こういうところにこういった原子力発電所の事故を支援するということで資機材あるいは技術者、こういったものが直ちに援助活動ができるような態勢をとっております。こういったものは当然国内の体制でございますが、外国において事故が起き、援助の要請があった場合にこのシステムを利用いたしまして私どもは十分援助活動が行えるというふうに考えております。
#86
○稲村稔夫君 抽象的な言葉でお答えをいただくとそういうことになるんでしょうが、例えばということで、具体的にはどういうことができるというふうになるか、おわかりの範囲で少し教えていただきたい。
#87
○政府委員(佐々木壽康君) 具体的に、例えば専門家の派遣ということがございます。専門家の派遣につきましては、緊急時のモニタリングといったことに必要な専門家、あるいは医療活動でございますと、身体の除染であるとか放射線障害の診断であるとか治療といったものの専門家、それから放射線防護対策というのがございますが、例えば食物の摂取制限であるとか退避、避難の実施等にかかわる助言とかいったようなもの、それから施設といたしましては、原子炉関係の施設あるいは核燃料関係の施設につきまして、やはり事故の収束あるいは拡大防止といったようなものの措置に関する助言をできるような専門家といったようなものもございます。
 それから、機材という関係では放射線のいろんな測定器、これは空間の線量率をはかるとか空気中の放射能濃度をはかるとか、あるいは各個人の被曝線量をはかるといったようなもの、それに必要な機器でございますが、そういったもの、あるいは医療用の機材としまして身体除染に必要な機材とかいったもので、例えば除染用の薬品、それから除染用の洗剤といったようなもの、それから汚染の検査をする機器、これは衣服が汚れているかどうかといったようなものを測定するサーベイメーターでございますが、そういったもの、いろいろその他放射線防護用機材ということで、モニタリング従事者とか医療活動従事者の防護用機材、これは例えばマスクとか防護服とかいったようなものでございますが、そういったもの、その他沃素剤といったようなもの等が考えられます。
#88
○稲村稔夫君 時間がなくなりましたから、そこであと一点だけ今のことでお伺いしますが、人材的な援助というのがありますね、専門家の派遣とかいろいろと言われましたが。その場合に、その派遣をした人の安全対策といいますか、もし不幸にして事故に遭ったとかなんとかというようなことがあってはならないんですけれども、そういう補償体制というのですか、それはどういうふうになっていますか。
#89
○政府委員(佐々木壽康君) これは条約の方で、援助活動者に対しては援助活動者の生命あるいは財産に関する損失についてはこれを補償するというふうになっておりますので、その条項によって補償されるというふうに考えております。
#90
○稲村稔夫君 その辺のところは、なかなか面倒なところもまた具体的なことが起きてきたときはあるんではないかということも心配になります。いろいろ細かいことまで御検討をもういただいているのかもしれませんけれども、ぜひその辺は心配のないようにしていただきたいと思います。例えば国内の労災事故一つにいたしましても、労災事故として判定をするかどうかの問題すらいろいろと議論が出たりする部分があるわけであります。それだけに、せっかくの人材を派遣をするというときだけにいろいろと問題が起こらないように十分細かい検討もして対応を考えていただきたい、こんなふうに思います。もう触れている時間がなくなりましたから、条約関係については以上にさせていただきます。
 次に、低レベル放射性廃棄物の海洋投棄計画についてお伺いをしたいと思います。
 これは、かつて我が国でそういう計画を立てましたときに随分南太平洋諸国でも問題になりました。今凍結をされている、こういう形になっているわけでありますが、これに対しましては、例えば中曽根総理が八五年にパプアニューギニアを訪れました際にソマレ首相に約束をいたしました。国際関係の意向を無視してこのようなことを実施することはないということを初めといたしまして、中曽根総理は、それぞれこの太平洋諸国の人々に対しても独断的にやることはないということを表明してきておられますし、国内でもそのようにきちんと表明をされたというふうに思っております。また、百二国会におきまして外務委員会で当時の安倍外務大臣が、「これは、総理が何回も南太平洋諸国の首脳にもはっきり話しておりますが、このとおり、地域の懸念を無視して海洋処分を行う意図はないということを言っておるわけで、私も、その後こちらに帰りまして南太平洋の諸国の要人の方々にも会いましたけれども、こうした日本の意思を明確にお伝えしておるわけであります。」こう言われながら、さらに同じ委員会の中で、さらに重ねての質問に対して、これは日本政府の公式な考え方であります、こんなふうに答えておられるわけであります。
 海洋投棄といいますのは、こうした日本政府の公式見解というのは現在も変更はないんでございましょうね。
#91
○政府委員(佐々木壽康君) 今、先生が御引用になりました総理の発言、それから外務大臣の発言等の、関係の諸国の懸念を無視しては強行しないという点に関しましては、全く変わってございません。
#92
○稲村稔夫君 そこで長官、ちょっと私はわからないので長官のお考えを伺いたいんでありますが、昨年末ですか、「原爆の図」で御存じの丸木俊先生初め何人かの市民団体の皆さん方が長官にお会いをいたしました。お会いをいたしました際に長官は、この海洋投棄計画はやります、こういうふうに御答弁になったというふうに聞いておりますけれども、それは事実でございますか。――長官が答えたかどうか聞いているんです。
#93
○政府委員(佐々木壽康君) それは私どもは事実だと理解しております。失礼いたしました、ちょっと質問を取り違えまして。
 私どもは、低レベルの放射性廃棄物につきましては、あくまでも海洋投棄と、それから現在計画しております低レベルの埋設処分、この二本立てでいくということでございまして、海洋処分につきましては、その関係諸国の理解が得られるための努力は継続してまいりたいということでございますが、これを現在完全に放棄したということではございません。
#94
○稲村稔夫君 関係諸国の理解が得られるようにというふうに言われたけれども、関係諸国というのはどこを指しているんですか。
#95
○政府委員(佐々木壽康君) ちょっと今細かい国々を申し上げることはできませんが、南太平洋諸国といいますか、この私どもが試験的に投棄しようという計画を持っております海域に関連している海洋諸国といいますか、そういう範囲でございます。
#96
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 丸木画伯が私のところへ参りました際には、そういうふうなことは私は申し上げておらないことでございます。
#97
○稲村稔夫君 そうすると、長官は海洋投棄の計画を進めるということは一切言っておられない。念を押すようで大変恐縮でございますけれども、そういうことですか。
#98
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) そのとおりでございます。
#99
○稲村稔夫君 そこで、佐々木局長が関係諸国の理解を得るような努力をしていると言うけれども、その関係諸国というのがそれぞれどういう対応をしておられるかというのは御承知の上で言っておられるのでしょうね。
#100
○政府委員(佐々木壽康君) 以前にこれは関係諸国に五十五年以来何度も、約五回にわたりましていろいろ私ども説明団を派遣いたしております。そういった関係、その他いろんな国際会議での関係諸国の発言等から、私どもは各国がどういった今回の私どもの試験的な投棄に対して考え方をとっているかということは把握しております。
#101
○稲村稔夫君 把握をしておられるのだったら、これが実現ができるかできないかということは、その判断はついているんだと思いますけれども、あえて実現ができるという考え方で今おっしゃったような答弁をされたのですか。
#102
○政府委員(佐々木壽康君) 私どもは、こういった関係諸国の考え方が今直ちに変わるというふうな甘い期待を持っているわけではございませんが、関係諸国といいますか、この海洋投棄問題に関しまして国際会議がいろいろ開かれておりまして、その国際会議においていろんな面からこの海洋投棄といったものについて検討がなされております。
 例えば、ロンドン条約のもとにおいて専門家によります放射性廃棄物の投棄の安全性についての科学的な検討が一度行われておりまして、この件については既に科学的には安全だという結論が出ておりますし、これからさらに政治的あるいは社会的な検討を含む広範な調査研究を今後、多分ことしの後半からになるかと思いますが、開始するということになっておりますが、こういった場でこの海洋投棄といったものの安全性について、やはり日本として科学的な知見をベースに日本の考え方を述べて、少しでも関係諸国の理解を深めていくように努力したいというふうに考えております。
#103
○稲村稔夫君 私は、どこの国際会議でどういうふうにということもそれは一つの基準かなとも思いますけれども、主体的な判断をどうしているかということを今伺っているわけです。今のその関係各国というのは、それぞれが議会で決議をしておられる、そしてそこの元首あるいは知事、そういう立場の人たちがその議会の立場を踏まえて反対しておられる、こういう経過が今までもあるわけですね。それはあなた方が希望するようにそう簡単にわかりましたというようなことにはならないでしょう。いや、むしろ安全だという今のロンドン会議を引用されまして、ロンドン条約締約国の中の専門家パネルですかのことをちょっと触れられましたけれども、その専門家の皆さんかどういう判断をされているかということの問題、我々はもっと主体的に考えていかなければならない問題というのを持っているんじゃないでしょうか。
 これも百二国会の外務委員会で、当時科学技術庁の長官だった竹内長官がこんなふうにも答えている面がありますね。「ロンドン条約の締約国の間における安全の検討が九月には一応結論が出るかと予想しております。しかし、仮にそのロンドンの検討の結果が海洋投棄の安全について問題なしという回答であっても、そういう答えが出たからといって直ちに得たりや応とばかりに次のアクションをとることは、私は今のところ考えておりません。」こんなふうに答えている。これは主体的な判断の一つですね。会議の結論が出てもこういうあれですということです。
 そうすると、今あなたはロンドン会議の専門家会議のことを言われましたけれども、そこでもって結論が出ても、我が国としては主体的にはそれらの関係諸国の了解なしにこの計画を進めるということはしない、こういう意味合いにあなたの答弁を受け取ってもよろしいですか。
#104
○政府委員(佐々木壽康君) 先ほどやはり先生の方から同趣旨の御質問があったかと思いますが、現時点におきましては、中曽根総理が関係国の懸念を無視して強行しないという何といいますか考え方、これが私どもの考え方でございます。
#105
○稲村稔夫君 私はそれを一つじゃ確認をさせていただきましたが、関係諸国ということだけの問題ではなくて、我が国自身の問題としてもこのことは十分に問題がある課題だというふうに思っております。といいますのは、今ロンドン条約締約国の話をされましたけれども、例えばIAEAの方でいきますと、「直接的な探鉱や海産物の採取により、または間接的に人間にとって重要な海洋生物の産卵や成育の場として、開発されるかもしれない」、「かもしれない」ですよ、「潜在的な海底資源を持った領域は避けるべきである」というようなふうにも触れられているわけです。
 ちょっとあなたに伺いますけれども、ウナギはどこで産卵するか知っていますか。
#106
○政府委員(佐々木壽康君) ちょっと私は今、現時点で存じておりません。
#107
○稲村稔夫君 私もわからないんですよ。なぜかといったら、海洋に出てどこかの深海で産卵をしてシラスになって来るということはわかっています。そのシラスをとらえて養殖をしているわけです。そういたしますと、これはどこかわからぬのですよ。こういうところかもしれないのです。
 物事がはっきりとしてない部分もあります。あるいはごく深海には生物はいないと思われておりましたが、フランスの潜水艇を借りて調査をしてみたら相当な深海にも生物が生存をしている、こういうことも確認をされているわけです。ということになりますと、今あなたが、安全性は専門家の会議では確認をされております、こう言われたけれども、我が国の主体的な判断に立ってみても、その辺の安全ということについてはまだまだ解明をされていない、解明をしなければならない問題というのが残されているのではないかと思います。
 私は、基本的には海洋投棄というのは、陸上の場合随分議論になりましたが、陸上と同じように極めて重大な問題を含んでおりまして、そのことについての十分な解明がされない限り私は海洋投棄計画というものも当然一たんは撤回をすべきである、こんなふうに考えております。この点は考え方の違いだ、こうおっしゃるでしょうけれども、私はそういう観点から、科学技術庁なんですから科学的に十分に各方面からの安全性というのをぜひとも確認していただきたい。その確認ができるまでは軽々に計画を進めるべきではない、こう思うのですけれども、最後に、この点は大臣どういうふうに考えておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
#108
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 前の百二国会の竹内長官の答弁したとおりでございます。
#109
○塩出啓典君 それでは、きょうは宇宙開発の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、まず我が国の宇宙開発の基本的な方針は、いわゆる宇宙開発政策大綱、こういうものが基準になっておる、このように聞いておるわけですが、この宇宙開発政策大綱というものはだれがつくり、どういう位置づけであるのか。内容は余り時間がないから詳しく説明をしていただくことはいいと思うのですが、どういう位置づけにあるかということをお尋ねしたいと思います。
#110
○政府委員(長柄喜一郎君) 宇宙開発政策大綱は、これは一種の我が国における宇宙開発の長期指針でございますが、宇宙開発委員会が定めているものでございます。
#111
○塩出啓典君 これは閣議に報告をされておるようですが、これが我が国の宇宙開発政策の一つの憲法というか、オーソライズされておる、こう理解していいわけでしょうか。閣議決定はされているんでしょうか。
#112
○政府委員(長柄喜一郎君) 宇宙開発委員会は宇宙開発の重要事項について審議し内閣総理大臣に対して意見を申し出る、こういうふうな機能を持っておりまして、この大綱自身は閣議で決定されたようなものでございません。ただ、毎年度各省庁が宇宙開発について予算要求をするというような段階でこの大綱に基づいていろいろな調整が行われているという、このような機能を果たしているものでございます。
#113
○塩出啓典君 この大綱は閣議決定ではないんですか。
#114
○政府委員(長柄喜一郎君) 閣議決定ではございません。
#115
○塩出啓典君 それからもう一つ、一昨年の四月に宇宙開発委員会が「宇宙基地計画参加に関する基本構想」というのを発表されておりますが、これはどういう位置づけにあるのか。例えば、だれがこれを承認した計画になるんでしょうか。
#116
○政府委員(長柄喜一郎君) 昭和六十年四月に宇宙開発委員会のもとにございます宇宙基地計画特別部会におきまして、宇宙基地計画に関する基本構想というものをとりまとめております。この特別部会の報告に基づきまして、六十年度から宇宙ステーション計画の予備設計段階に着手するということにしたわけでございますが、この構想自身は特別部会の報告でございます。
#117
○塩出啓典君 そうしますと、我が国がアメリカのNASAを中心とする宇宙基地計画に参加をするという決定をしたのはどこが決定をしたんでしょうか。
#118
○政府委員(長柄喜一郎君) 宇宙開発委員会は、宇宙開発政策大綱に基づきまして毎年度でございますが、宇宙開発計画というものを見直しまして、これを毎年度ローリングでつくり直しているわけでございますが、宇宙ステージョンへの予備設計段階に参加するということをこの六十年度の宇宙開発計画において決定しております。したがって、参加決定は宇宙開発委員会が行ったものでございます。
#119
○塩出啓典君 宇宙開発委員会のメンバーは、どういう方がメンバーでございますか。
#120
○政府委員(長柄喜一郎君) 宇宙開発委員会のメンバーは、委員長は国務大臣科学技術庁長官が当たるということになっておりまして、そのほか国会の両院の承認を得て学識経験者の中から内閣総理大臣が委員を任命するということでございます。委員長外四名の委員で、合計五名で構成されております。
#121
○塩出啓典君 そうすると、NASAの宇宙基地計画に参加をするという決定は宇宙開発委員会が決定をした、また科学技術庁長官が委員長ですから、だから科学技術庁として決定をした、そう理解していいわけですね。
#122
○政府委員(長柄喜一郎君) 宇宙開発委員会は総理府に置かれている機関でございまして、科学技術庁がその事務局を務めているということでございまして、宇宙開発委員会の決定は科学技術庁の決定とはまた別のものでございます。
#123
○塩出啓典君 宇宙開発を進めるには非常にお金もかかるわけで、今我が国の宇宙開発予算がアメリカ等に比較して非常に少な過ぎるんではないか、こういう論議があるわけですね。いろいろ経団連あたりから、もっと三倍にふやせとか、そういうような意見も出ているようでありますが。
 例えば宇宙基地計画等に参加する場合、将来こういう参加に伴う財政負担がどうなっているのか、そのあたりの長期計画というのはあるんでしょうか。
#124
○政府委員(長柄喜一郎君) 宇宙ステーション計画へは我が国独自の取りつけ型の実験モジュールを我が国は製作し、それをもって参加するということにしておりまして、この取りつけ型モジュール、我々JEMと言っておりますが、これの製作費はおよそ三千億円というふうに見積もっております。これを今後八年間かけてこれからその基本設計、製作に入るという計画でございます。
#125
○塩出啓典君 私が心配するのは、科学技術庁が中心で進めてきた、例えば核融合の計画とか新型転換炉あるいは高速増殖炉あるいは「むつ」の問題にしても当初の計画がいつのまにか非常に膨大になっちゃって、そういうものが一つの既成事実化して、結局ほかのもっと必要なところが非常におろそかになる、そういう点を非常に心配しているわけです。この三千億ということが、宇宙基地計画に参加をするというときに将来の必要経費としてこれがもう決まったわけですけれども、その点については大蔵省とか、あるいは内閣としては閣議了解になっておるわけですか、それは。
#126
○政府委員(長柄喜一郎君) 我が国の予算制度は単年度予算主義をとっておりますので、内閣として、政府としてこの三千億円をコミットしているというわけではございませんが、我々は、この宇宙ステーション計画の予算の説明等の過程におきまして、財政当局には現時点における見積もりとしては約三千億円を必要とするということは十分説明してきたところでございます。
#127
○塩出啓典君 それから、きょうの朝日新聞に「宇宙基地への軍参加」、アメリカの軍が参加をする、アメリカはいわゆる国連の宇宙条約の範囲内で参加をする、そういうことを提案して、日本その他の国は反対をしておる、こういうような報道があるわけですが、そういう事実はあるのでしょうか。
#128
○政府委員(長柄喜一郎君) この宇宙ステーション計画につきましては、六十年度、六十一年度の二カ年にわたりまして日本、カナダ、アメリカ、ヨーロッパ諸国、こういうところでそれぞれ予備設計をやってきたわけでございますが、いよいよこの六十二年度から次の段階に進もうということになっております。そこで現在、このステーションの設計、開発それから運用、これの枠組みをどうするかというふうな交渉が関係国間でなされておるわけでございますが、この協力の枠組みについて今交渉中でございまして、けさの朝日新聞にいろいろ記事がございましたが、現在これ交渉中の案件でございますので、その交渉の具体的な内容についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
#129
○塩出啓典君 交渉の内容はともかくとしても、そういうようなお話があることは私も当然じゃないかと思うのですが、当初からやはり宇宙基地計画に我が国が参加をする、それで、あくまで平和利用ということに限って参加をしても、結局そのためにできた技術をそのある一定時期においてアメリカが勝手に軍事用に使うということになれば、これはなかなか平和利用に限るといっても我が国がとめ得る歯どめというのは非常に限られてくるんじゃないかと思うのです。この宇宙基地計画への参加においても当然その平和利用ということが、我が国の憲法の精神等からいっても、あるいは宇宙開発事業団法の中にも平和利用というのはあるわけで、そういう点からいっても当然私は問題になったんじゃないかと思うのですがね。そういう点のいきさつはどうであったのか。それと、じゃそういう点は心配ないからひとつこの計画に参加しようという最終的な判断はどういうところで判断をしたものなのか。これは何かはっきり文書になったものはあるんでしょうか。
#130
○政府委員(長柄喜一郎君) この計画に関しまして本年二月に参加国間で多国間の会合がワシントンで開かれたわけでございますが、この会合において、宇宙ステーションは民生用の平和利用を目的とするものであるということが関係国の政府の間で確認されております。なお、この際米国側より、具体的な米国防総省の利用計画があるわけではないというふうな説明も伺っております。
 なお、この宇宙ステーション計画への予備設計段階への参加ということは、先ほど申し上げましたように宇宙基地計画特別部会の報告を受けて宇宙開発委員会が六十年度の宇宙基地計画において決定したものでございますが、これは予算を伴うものでもございまして、この予算というのは財政当局ないし政府部内及び国会で承認されたもの、こういうふうに考えております。
#131
○塩出啓典君 だから宇宙開発委員会がつくった計画、結局それに基づいて予算が国会で承認をされる、そういうことを通して一つの政策が決定されていくようでありますが、日本のいわゆる政策決定のレベルが非常に低いんじゃないか。例えば宇宙基地に実験参加をする、この宇宙開発委員会は科学技術庁長官とそれから技術者、四人の専門家で一つの案をつくるわけですけれどもね。しかし、やはりこの一つの決定というものは当然予算も伴うし、単なる技術者だけの決定ではなしにもっと政治的な判断もこれはなされなければならない。そういう点から我が国における宇宙開発政策の決定機関のレベルが非常に低いんじゃないか。決して今の宇宙開発委員の皆さんがいけないというんじゃありません。それはそれなりのやはり権威者ですけれども、それはやはり専門家としての一つの権威であって、それを踏まえてさらにもう一つ大きな政治的な決定をすべきものが必要ではないか、こういう意見があるわけでありますが、この点については科学技術庁と宇宙開発事業団の理事長の御意見もちょっとお伺いしたいと思うんです。
 アメリカの場合はどうなっているのか。日本とは事情は違うと思うのですが、私がお聞きしているのでは、アメリカは宇宙政策評議会というのがあって、これはまさにNASAの長官とか国防総省の長官とか、議長は副大統領である。副大統領が議長であるこの宇宙政策評議会というものがこれはやはり宇宙開発政策を決定する。
 そういう点から見て、もうちょっと強力な政治的な判断もできるようなものをつくる必要はないのか、この点についての御意見をお伺いしたいと思います。
#132
○政府委員(長柄喜一郎君) 確かに、アメリカにおきましては、アポロ計画にしろ宇宙ステーション計画にしろ大統領がみずから年頭教書等において非常に政治的な決定をされる、政治的と申しますか、非常にハイレベルで突如提出されるというふうな意思決定の方法がとられているようでございます。
 なお、米国におきます宇宙の評議会というのは、詳しくはわかりませんが、宇宙開発にかかわる関係省庁の責任者の会合のようでございまして、一種の連絡調整機関のようでございます。
 我が国とアメリカとは政治的体制が異なりますので、一概にどちらがどうということは難しいかと思いますが、我が国におきましては、先ほどから申し上げておりますように宇宙開発に関する重要事項というものは宇宙開発委員会が審議し、決定し、内閣総理大臣に意見を述べる、これにつきまして内閣総理大臣はその意見を尊重しなければならない、こういうふうな意思決定の仕組みになっているわけでございます。もちろん、宇宙開発委員会の今の委員の先生方は大部分がバックグラウンドといたしましては専門家の方が多うございますが、いろいろ政策決定の段階で、専門委員とか参与というようなことで宇宙以外のいろんな専門家の方、学識経験者の方も交えていろいろ御議論をいただいて、そしてそういう過程を経て宇宙開発委員会での政策が決まっていく、こういうふうな意思決定のメカニズムになっております。
 このようなことで、我が国のこの宇宙開発の基本方針を定めるということは将来の我が国の方向を定めることにもなりますので、非常に重要なものと考えているわけでございますが、我々といたしましては、現在のこの体制で十分対応しているものというふうに考えているところでございます。
#133
○参考人(大澤弘之君) 宇宙事業団の大澤でございます。塩出先生の御下問がございましたので、お答えを申し上げます。
 当然のことでございますが、私、事業団を預かっておりますとき、宇宙事業団法の目的あるいは各条文に沿いまして事業団の運営をいたしておりますが、御承知のように事業団法の中には宇宙基本計画、これは政府から示されることになっておりますが、これに従いまして私ども事業の運営をいたしていくことになっております。
 ただいま局長の方から御説明がございましたように、宇宙開発委員会で科学技術庁長官を長にして定められました基本計画に従って私ども事業の運営を遂行いたしておるところでございまして、それに見合う予算、人員等それなりにいただいております。現在までのところ一応順調に推移しております。今後、今御下問がございました宇宙ステーション計画につきましても、そういう方向で処理できるものと思いながら今やっておるところでございます。
#134
○塩出啓典君 これは見解の相違というか、今の体制でいいのかどうか、そういう点はさらに検討を要する問題だと私は思っております。私たちは、宇宙開発会議、少なくとも原子力委員会とかあるいはさらにそれよりも強い、各関係省庁の大臣をもって総理大臣が議長になるようなそういう委員会を編成をして、そして技術者の意見は意見として、さらに平和利用、こういうような問題になってくると、かなり政治的な判断もいろいろまたあると思うのですね。こういうアメリカとの話では平和利用という約束でやったけれども、変な方向に打っちゃったのは日本が悪いんじゃない、アメリカが悪いんだ、こういうように後で言ってもこれはいけないと思いますし、そういう意味で現状では不十分である、こういう意見であるということを申し述べておきたいと思います。
 この点についてひとつ科学技術庁長官として御見解を……。さらに今後とも私としては検討していただきたい。これは非常にやはり大事な問題じゃないかと思うのです。
#135
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 大事な問題でございますが、現在のところ、先生の御意見は御意見として承っておきたいと存じます。
#136
○塩出啓典君 それから次に、宇宙開発はなぜ必要か、これはいろいろ議論があるわけですが、そういう点について政府としてはどう考えているか。これは時間がありませんから、私の言いたいことは、日本の宇宙開発計画というのは、当座の目標はあるけれども長期的な展望に立った哲学がない、そういうことが言われております。アメリカは先般、元のNASA長官であるペインという人が中心になってペインズ・レポートというのを、宇宙フロンティアの開発ということで次の五十年の一つの政策目標を打ち出しておるわけであります、去年の五月。そしてそれは太陽系は人類の住居になるとか、そういう非常に遠大な哲学を持って書かれておるように思うわけですが、日本の場合は当座の計画だけでやって、こういう宇宙開発を推進するには、宇宙開発の必要性というものを話をして国民の皆さんに理解を求める、そういう一つの哲学が必要ではないかと思うのですが、そういう点どのようにお考えでしょうか。
#137
○政府委員(長柄喜一郎君) 先ほど申し上げましたように、従来我が国の宇宙開発は、宇宙政策大綱にもございますように自主技術をつくり上げるということで進めてきたわけでございます。具体的にはHIロケットの開発であり、引き続き大型衛星を打ち上げるHUロケットの開発、さらに大型の実用衛星の開発、こういうことを進めてまいりまして、まだ米国、ヨーロッパ諸国には及びませんけれども、ある分野においてはかなりのレベルまで達して、今後五年くらいの間にかなりのところまでいくだろうという見通しを得てきたわけでございます。
 したがいまして、従来の我が国の宇宙開発のやり方は、とにかく宇宙先進諸国に何とか肩を並べるまではまいりませんが、ほぼそれに準ずるようなレベルまで持っていこうということで、外国からの技術を導入し、それを消化してさらに改良するというような方向でやってきたわけでございます。そのような自主技術をあるレベルのものを持ち得るという自信が出てまいりましたので、我々としても今後の宇宙開発、特に二〇〇〇年を目指した宇宙開発の基本構想いかにあるべきかというふうなことを検討する時期に来ている、こう考えているところでございます。一年半ほど前でございますけれども、宇宙開発委員会のもとに長期政策懇談会というものを設けまして、これは宇宙の専門家のみならず、いろんな産業界の方々、大学の方々、宇宙以外の専門家も含めて、二十一世紀を展望し、長期的観点に立った宇宙開発のあり方について鋭意検討を行っておるということでございます。
 昨年米国におきまして、いわゆるペインズ・レポートということで今後五十年間にわたる宇宙開発計画の壮大なる計画が出されております。また、ヨーロッパでも欧州宇宙機関において新しい長期計画が検討されておる、こういう段階でございまして、いずれも非常に意欲的な長期ビジョンが描かれておるようでございます。我が国もこのようなものをつくり上げ、それに哲学と申しますか、基本的な精神を入れ込んだものをまとめたい、こう考えておるところでございます。
#138
○塩出啓典君 特に宇宙という無重力なところでいろいろ材料をつくるという、これが非常に均質なる材質をつくるという意味で、いわゆる宇宙性能高品質材料、こういうものが今後急速に需要がふえるのではないか、特にそういうものがハイテク産業に使われるようになるのではないか。そうなってくると、日本が宇宙におけるこういう計画におくれをとってしまうと、今、日本はハイテクの分野においてもアメリカをしのぐ勢いで頑張ってきておるわけで、そういう意味でのおくれをとる心配があるのじゃないか、こういうような憂慮が言われておるわけでありますが、通産省としてこういう点についてはどのようにお考えか、そういう心配が本当にあるのかどうか、お尋ねをします。
#139
○説明員(牧野力君) 通産省でございます。
 今、先生が御指摘になりましたように、宇宙環境の無重力あるいは微小重力というものを利用いたしまして、エレクトロニクスでありますとか新素材、非常に新たな性能がここで発見をされる、あるいは性能ができる、こういうことで、これが今御指摘がございましたように今後の素材産業あるいはエレクトロニクス産業、ハイテク産業に大きな役割を、あるいは死命を制するということは御指摘のとおりであろうかと思います。そういうことで、私ども通産省といたしましても、この宇宙環境の産業利用を行いますために科学技術庁、文部省と協力いたしまして、六十七年にはこういった宇宙におきます実験、観測を行う衛星を打ち上げるということの今準備を進めているところでございます。
 そこで、今御指摘の点でございますが、確かにアメリカやヨーロッパ等におきましては、こういった宇宙環境の利用に着目をいたしまして既に初歩的な実験が行われているやに聞いております。現在の我が国のハイテク技術、いろいろ貿易摩擦等も起こしておりまして、一応相当進んでいるとは言われておりますが、ただ航空機でありますとか、あるいは非常に先端的なエレクトロニクスでありますとか、こういったところの基礎的な技術についてはいささかも我が方が進んでおるということではなくて、今後とも相当頑張ってキャッチアップしていきませんとおくれをとるというおそれが十分にあろうかと思います。
 そういう観点から、今申し上げましたように関係各省協力いたしまして、この宇宙環境利用の実験を進めていきたい、かように考えているところでございます。
#140
○塩出啓典君 そこで、宇宙開発というのは非常に大事な分野だと思いますが、予算の件でアメリカのNASAとの比較、あるいは人の問題、NASAは二万二千人おるようですが、我が国の政府の宇宙開発は二十人しかいない。宇宙開発事業団を入れても千人。原子力局が二百人。だから、宇宙開発に力を入れるには、これは全体の予算をふやすということも必要ですけれども、これはぜひ頑張っていただかなければいかぬと思うんです。とともに、現在の我が国の科学技術行政の中で果たして原子力と宇宙開発あるいは海洋開発との比率が現状でいいのかどうか。
 私は、むしろ原子力の平和利用なんというのは、もう今かなり電力業界等が中心になって、そういう方面はある程度民間にやらせてもいいんじゃないか。いつまでもそっちの方にばかり金を取られちゃって、宇宙開発あるいは海洋開発、そういう日本の将来に向かってもっと力を入れなければならない分野がおろそかになっている。それは全体をふやすならいいが、全体に限界があるとすれば、国の予算の中でウエートをいかに確保していくか、宇宙開発予算あるいは人員、そういう点でもっと抜本的に検討すべきじゃないか、こういう点はどうでしょうか。
#141
○政府委員(長柄喜一郎君) 塩出委員御指摘のとおり、我が国の宇宙開発予算というのは米国とかヨーロッパ諸国に比べて少のうございます。
 一例で申し上げますと、これは一九八五年度の予算でございますけれども、米国が、民生用でございますけれども、円に換算して約一兆七千億円、フランスが一千二百六十億円、西ドイツが六百六十七億円、欧州宇宙機関が千八百億円、これらに比べまして日本が千百二十五億円、約フランス並みというようなことでございまして、人口当たりにいたしますと、日本が一人当たり九百三十円、米国が七千七百円、フランスが二千二百九十円というふうなことでございまして、ほかの国に比べて少のうございます。
 我々は、今後宇宙ステーション計画を進めたり、さらにその関連のいろんな新しいプロジェクトを発足させようといたしますと、現在我が国の宇宙関係予算は各省庁合わせて千二百億円でございますけれども、これを格段に拡張しなきゃいかぬ、こう考えております。
 人材についても同様でございまして、宇宙関係の人材も大体米国の大まかに言って十分の一くらいというふうな状況でございまして、宇宙関係の専門家というのは主としてエレクトロニクス関係あるいは機械、航空機関係の専門家でございますが、こういう専門家の方が現在非常に逼迫しているというようなことで、これは文部省、大学にもお願いしまして、こういう宇宙関係の人材の供給確保については格段の努力をお願いしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#142
○塩出啓典君 もう余り時間がございませんので、二、三要望しておきます。
 特に、ニュー・オリエント・エクスプレス、東京−ニューヨーク間を二時間でやる、こういうような研究にもひとつ力を入れてもらいたい。既にレーガン大統領が発表する前に日本にもそういう計画があったようでありますが、こういう点はぜひ日本としては力を入れていただきたい、このことを要望しておきます。
 それから、長官に、今度の宇宙基地計画への参加にしてもやはり平和利用ということは私は非常に大事な問題だと思いますし、そういう点で慎重に決定を進めていただきたい。
 最後にもう一点は、原子力基本法のように宇宙開発の基本方針を決定する宇宙開発基本法をつくれ、これが私たちの提案であります。これは、御存じのように今から約二十年前に、宇宙開発委員会設置法ができたときの衆参両院の附帯決議に、宇宙開発の基本方針というものを平和利用あるいは民主的なあるいは公開の原則で、そういう方針を決めて、そしてまた、年に一回は国会にも宇宙開発の状況を報告する、現在原子力基本法等はそういう形になっているわけでありますが、そういう基本法をつくれということをこの当時の国会決議でも決められておるわけで、現在は基本法がなくして宇宙開発事業団法とかそういうもので進んでおるわけですが、もっと全体的な基本法を私はつくるべきではないか、このことを主張し、要望をいたします。
 時間もありませんが、長官としての簡単な御決意でもいいと思うのですけれども。
#143
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 宇宙開発の基本的な方針で平和利用ということでございますが、私も本年の一月に訪米の際にNASAのフレッチャー長官と会談をいたしまして、平和目的が我が国の基本的立場であるということを十分にお伝えしてまいっているところでございます。
#144
○塩出啓典君 基本法は。長官、基本法についてはどうなの、基本法については。
 それと、いまさっきの質問で、原子力との比重のかけ方というか、それについては答弁なかったんですけれどもね。
#145
○政府委員(長柄喜一郎君) 公明党から提出されております宇宙開発基本法の件でございますが、これは昭和四十年の附帯決議でこの基本法を検討すべしということがされたことは十分承知しておるわけでございますが、失礼しました、昭和四十三年の附帯決議でございますが、これは我が国の今後の宇宙開発の進むべき基本方向を定めるものとして非常に重大なことであるというふうに考えているわけでございますが、ただ、スペースシャトルとか宇宙ステーション計画、こういうものが実現しようとしている、それぞれ、先ほどございましたように、アメリカ及びヨーロッパにおいてもいろんな新しい構想の宇宙開発利用計画が出されているということで、宇宙開発をめぐる世界的な情勢がいろいろ流動的であるというのが一点。それからもう一つ、宇宙空間の定義につきまして、現在国連の宇宙空間平和利用委員会におきましていろいろ各国で検討がなされておるわけでございますが、これがまだ国際的にコンセンサスを得られるに至ってないというような問題がございますので、我々といたしましては、宇宙開発基本法の制定については慎重な検討が必要になるものというふうに考えております。
 今回公明党から提出されております宇宙開発基本法案の件でございますが、政府といたしましては、本法案の国会における審議を見守っていきたいというふうに考えているところでございます。
#146
○政府委員(松井隆君) 原子力の方の予算が科技庁の中で少し大き過ぎるんじゃないかという御指摘の件につきましてお答え申し上げますけれども、原子力につきましても、先生御案内のとおり日本の主軸のエネルギーとして研究開発を進めてきたわけでございます。それで、もちろん当然のことながら、民間の活力が増大するに応じまして、例えば軽水炉につきましてはなるべく民間に移す、あるいはウラン濃縮技術につきましても動燃が開発したものについてさらに民間に移す、さらにはレーザー濃縮のような新しいものについてもやはり民間がかなりの自前でやっていく、あるいは高速増殖炉につきましては原型炉に続いて実証炉は民間が主体でやる等々、非常に民間の方に仕事を移すというふうにしております。しかし同時に、やはり国として必要な研究、基礎的な研究等々はやはり国としてやらなくちゃいけないわけでございまして、そのような経費から構成されているわけでございます。
 以上でございます。
#147
○佐藤昭夫君 まずSDI問題でありますが、今日の局面で論ずべき問題は多々ありますが、本日は宇宙の平和利用原則に絞って質問をいたします。
 このSDIが米国が主体で行うもので、それに我が国が部分的、局部的に参加することは例の国会決議の対象外だという、こういう論法が政府見解の最近の最大の口実になっております。しかし、こんな論法がまかり通ると、原子力分野における平和利用の原則も重大な歪曲が生まれてくるんじゃないか。
 すなわち、外国が主体で行う原子力の軍事利用計画へ我が国が部分的、局部的に参加するということであれば原子力基本法にうたう平和利用の原則の対象外だという論法もまかり通りかねないからであります。こうして、外国が新たに研究開発を進める核兵器開発計画に受託研究などとの形で原研や動燃、あるいは我が国の民間の原子力産業界が参加することもオーケーだということになれば大変であります。
 この点を昨年十一月の衆議院の科学技術委員会で我が党の山原議員がただしましたところ、松井原子力局長は、「原子力基本法は法律でございまして、したがいまして、本件につきましては我が国法の及ぶ限りその基本法の精神が適用される」「他国の行う活動に関する関与であるか否かにかかわらず、原子力の研究、開発、利用は平和の目的で行うということでございます。」と答弁をしているんであります。
 そこで、聞きますが、いわばここで言われている法律なら適用され、国会決議なら適用外だというこの解釈、法律と国会決議の効力は同じじゃないというこの見解のそもそもの根拠は何ですか。
#148
○政府委員(長柄喜一郎君) 我が国がSDI研究計画に参加することにつきましては、これまでも国会で政府として累次答弁してきているとおりでございまして、国会決議については、その有権解釈はもとより国会においてなされるべきものであるが、政府としては、本件国会決議は我が国における宇宙の開発及び利用を対象としたものであって、他国の開発及び利用に対する我が国の関与は、我が国みずからが行う開発及び利用と同列に論ぜられるべきものではない、こう考えているということでございます。
 一方、原子力に関しましては、原子力基本法において、原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り行うこととしているものでございます。
#149
○佐藤昭夫君 あなたの今オウム返しのように繰り返したようなそういう解釈がそもそも出てくる根拠は何か、これを聞いているんですから、その答えがない上やないですか。この国会決議の有権解釈はもとより国会になされるべきものだというんですが、それならば、にもかかわらず政府としてそういう解釈を下したのは、国会としても最近そういう解釈が出始めているという理解ですか。
#150
○政府委員(長柄喜一郎君) この国会決議の有権解釈は、繰り返すようでございますが、あくまで国会においてなされるべきものであるというふうに政府は理解しているわけでございますが、この国会決議とSDIへの参加問題につきましては、昨年の臨時国会におきまして、官房長官、外務大臣が答弁したとおり、政府としては、SDIへの参加は本件国会決議に触れるものではない、こういうふうに理解しているものでございます。
#151
○佐藤昭夫君 余り国会を愚弄するような答弁はしてもらいたくないと思うのです。
 私ごとですけれども、先日父が亡くなりまして、長官にも弔電もいただきましたけれども、目下喪中でありまして、余り大きな声は出したくないと思っておるんですが、別に国会でそういう解釈が出始めているわけでもないのに、そしてその有権解釈は国会のなさることだということも言いつつ、しかし政府としてはこう言いますということで、いよいよ見切り発車でゴーサインを出してやっていくという、こういうことはいわば国会の意思よりも政府の考えを上に置くまことに勝手きわまる、信越きわまりないやり方じゃないかというふうに私思うのですが、長官、どうでしょうか。
#152
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 今まで国会で総理大臣を初めとして繰り返し御答弁申し上げたとおりでございますが、政府といたしましては、SDIの研究計画への参加は本件国会決議に触れるものでないと理解をしておりまして、私としてもそのように理解をしております。
#153
○佐藤昭夫君 同じことを二回言わせないでほしいと思うのですけれども、その根拠を聞いているんです。そういう外国のあれに部分参加をしていくこの活動については国会決議の対象外だという、なぜそうなのか、なぜ国会決議についてそういう解釈が出るのか、その理由を聞いている。
#154
○政府委員(長柄喜一郎君) SDI研究計画の場合は、これはあくまで米国が策定し推進している計画でありまして、我が国の参加の態様は、このような計画の個々の具体的プロジェクトの特定の局面への参加にとどまるものであり、本件決議がこのような参加までも対象としているとは考えないというのが政府の考え方でございます。
#155
○佐藤昭夫君 同僚委員の方もお聞きになっていて、答えになってないというふうに与党の方もお感じになるでしょう。(「解釈の違いだね」と呼ぶ者あり)解釈の違いじゃないです。具体的にこれこれの理由で外国が行うものに部分参加するそれについては国会決議は適用されないというそんなことを、政府の言い方としても最近言い出した言い方でしょう。国会決議をつくるときにそんなような議論が別にあったわけじゃない。その後国会でもそういう議論が始まっているわけじゃないという、もう本当に国会の意思よりも政府解釈を上に置くまことに不届きな私はやり方だと思うのです。
 もう多く言う必要ないと思いますけれども、宇宙の開発利用は平和目的に限るというこの原則は、四十四年の国会決議がそうですが、それだけじゃなくて、宇宙開発事業団法という法律にも明記している。また、宇宙開発についての最高方針を決める宇宙開発委員会の宇宙開発政策大綱、この中でもうたっているという、さまざまな形で担保をしている問題であるわけでありまして、もう疑問の余地のない問題だ。
 そして、この間の国会審議の経緯を逐一振り返るまでもなく、例えば昭和三十七年参議院の科技特で当時の三木国務大臣、これは原子力基本法第二条で定めているあの精神が宇宙開発方針にも適用されるんだというふうに言っていますし、昭和三十七年の衆議院の科技特、そこで当時の宇宙開発審議会の会長であった兼重さん、この方も質問に答えて、全く今の御意見に賛成だ、我が国における宇宙の研究開発は、これは平和目的に限るということをしっかりとうたっていきたいということを答えているわけで、それの結果、結実というような形で昭和三十七年の五月十一日、宇宙開発審議会の第一号答申というものが出た。この第一号答申での「宇宙開発の基本原則」、「わが国の宇宙開発は、平和の目的に限り、次の基本原則の下に行う」ということで、「自主性」「公開」「国際協力」、こういうふうにうたっている。
 だから、別にここで日本の国内活動だけに適用をするんですよというようなことなんかは、この間一つもそんな議論が出ているという経緯はないわけです。それを今の時期に勝手な解釈をやるというのは本当に不届きだ。そして、そういう平和利用原則をときどきの政府によって変わることのないように一層不動の方針とするために四十四年の衆議院そして参議院での事業団法の附帯決議と、こういう形での国会決議がやられてきているという経緯であるわけです。
 そこで、この国会決議と法律とを同列に論じられないという言い方で宇宙の軍事利用の道に参加することを合理化しようとする、こういう最近のこの政府の論法というものは、今幾つか申しましたが、当時の大臣が国会の場で言明をしてきたそういう言明にさえ反する不当なものだと言わざるを得ないわけでありまして、大臣どう思われますか。あなたは国会議員の一人でありますから、国会が行った国会決議について議員の一人としてみずからその重みを引き下げる、そんなようなことを積極的にやろうというようなお気持ちはないはずだと思うのですけれども、しかし事態はそういうことになってきているということについて、これは間違っているというふうに思われませんか。
#156
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) たびたび申し上げますけれども、また、当時から参入するために官房長官談話でも申し上げておりますように、国会決議の有権解釈はもとより国会において行われるべきものと考えておりまして、そういうふうな立場から、政府としてはSDI研究計画への参加は本件国会決議に触れるものではないと理解をしております。
#157
○佐藤昭夫君 お題目のようにそういうことを繰り返しても、もう何遍も言っていますように説明になってないですね。
 もう一つ、それなら角度を変えて聞きます。宇宙開発事業団、この事業団法にも宇宙開発事業は平和の目的に限るということを法律で明記をしている。あなた方の論法では法律の効力は国会決議よりも強い、外国での活動にまで適用されていく、こういうんですが、そうすると宇宙開発事業団はSDIへの参加ということは、これはもう議論の余地なくあり得ない、そういう考えですか。
#158
○政府委員(長柄喜一郎君) 宇宙開発事業団は御存じのとおり打ち上げロケット及び衛星の開発を行っているわけでございまして、宇宙開発事業団の現在の持っております技術、こういうものから見ましても、具体的に米側からSDI研究計画への参加要請があるものとは考えておりません、
#159
○佐藤昭夫君 そのことは、参加あり得ないということはしっかりと確認をしておきましょう。いずれにしても、大変な詭弁を弄して国会決議さえも踏みにじってSDIへの参加を強行しよう、こういう政府の態度を撤回するために、ぜひともひとつ国会決議の具体的執行の担当大臣として鋭意努力をしてもらいたいということを重ねて主張をしておきます。聞いても同じ答弁だと思うから……。
 それで、あと残っている時間、例の昨年十一月の当委員会でも取り上げました去年六月の動燃東海事業所での十二人にも及ぶプルトニウムの被曝事故問題、保安規定がどうなっているのか、その公表を強く要求してきました。その後何回か理事会でも御協議をいただいたわけでありますが、政府は依然として不公表の態度を固執しています。この間さらに昨年の十二月十三日に動燃事業団東海事業所の再処理工場において放射性物質を取り扱う際に使用するゴム手袋に小さな穴があいて作業員一人が被曝するという事故もまた起こっている。たび重なるこういう事態を二度と起こさないために、何よりも安全確保の問題がきちっと保安規定などに明記されているかどうか、それがきちっと保障されているかどうかということを国会としても大丈夫だと確かめられるようその内容を国会にも明らかにしてもらいたいと私は主張をしてきておるわけでありますけれども、再度この点について、なぜ公開できないのか、その理由を述べていただきたい。
#160
○政府委員(佐々木壽康君) 保安規定の公開に関しましては、前の委員会のときも申し上げましたが、これは事業者の内部規定でございまして科学技術庁が認可しているというものでございますが、元来、作成されましたときには公開を前提に事業者が作成をしていないということがございます。それから、その理由といたしまして、やはりさらに保安上機微な情報というものが含まれておりまして、あるいは企業秘密といいますか、企業のノーハウ的なものも入っているということでございまして、保安規定そのものを公開するというのはなかなか問題があろうかというふうに私どもは考えております。
 しかし、やはり安全問題につきましては、これは当然国民に明らかにいたしましてその理解を得る必要がございますので、そういう観点から今回もいろいろとどういう面で安全管理上問題があったかということを御説明し、また、そういう観点から保安規定の下のいろんなマニュアルに書いてございます点で不備な点を今回いろいろ改めましたわけでございまして、そういう観点からいろいろと国民に対して明らかにしていくということは今後ともやりたいというふうに考えております。
#161
○佐藤昭夫君 公開前提につくってきてないし、ずっと公開しない、そういう慣例になっている、それの理由として企業秘密やらいろいろ秘匿をしなくちゃならぬ問題があるということですけれども、私はすべてを、どうしてもこれは伏せなくちゃならぬというそこをすべてを見せよと言っているんじゃないんですけれども。見せてもいいところもあるだろう、それを公表して国民の信頼を全うすべきだ、隠す隠すという姿勢ではだめだ、ところがあなた方の方がすべて見せられません、ここが争点になっているんですよ。そういう態度では国民の信頼を得られないということを言っているわけです。旧来の陋習を改めよという言葉がありますけれども、今までがそうだったからどうだということじゃなくて、本当にこの段階で改めるべきは改めるということで、ひとつ大臣、あなたの大臣中の仕事としてそういう問題の公開問題について検討の俎上に上せるということで努力をしてもらいたいものだというふうに思うことが一つです。
 それからもう一つは、そもそもあの事故の発端になったのがプルトニウムを保管しておったビニールバッグ、これが亀裂が発生して腐食、腐食というか熱で穴があいてそこから漏れ出たのだというこれがそもそもの発端でありますけれども、従来危いなというときにはどういう基準でこれを交換しておったのか、いろいろいろいろ尋ねていきますと基準がないということなんです、従来は。今度やっと漠とした基準をつくった、こうなりますと、そういうずさんなやり方保の動燃側の責任は言うに及ばず、それを事実上容認してきた科学技術庁側の責任はどうなるのか、この点を明確にしてもらいたい、以上二つお尋ねをして終わります。
#162
○政府委員(佐々木壽康君) 私の方から後段の部分について答弁をさせていただきたいと思います。
 この保安規定につきましては、従来から御説明申し上げましたように、関連のことで規定しておりますことは、一つは所定の貯蔵方法により核燃料物質を貯蔵すること、こういう規定と、それから管理区域内の負圧を所定の区分に保持できるように吸排気設備を正常に管理すること、この二つの規定がございます。この規定の限りにおきましては特に問題があるというふうに私ども考えていないわけでございますが、細部の規定においていろいろと問題がといいますか、知見が足りないために不備、何といいますか今回の事故が起きたということでございます。
 しかし、動燃事業団自身は点検を年一回以上非常に頻度高く行っております。ただ、そのチェックの仕方において知見の不足から結果的には今回のような事故に至ってしまったということでございまして、その動機においてまじめにやっていたけれども結果的に知見が足りなかったということであったわけでございまして、その事情を考えますと、直ちにこれが保安規定に違反したというものとして取り扱わなければならない性格のものであるというふうには私どもは解釈していないわけでございます。
#163
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 御質問の保安規定の公開のことでございますが、もとより保安規定は十分に実施されなければならないことでございますが、保安規定そのものは公開しなくとも、その内容については十分に御説明し、国民に安全の点から信頼を保っていくように努めていく所存であります。
#164
○佐藤昭夫君 終わります、納得できませんけれども。
#165
○小西博行君 先日の予算委員会におきましても我が国の科学技術水準が果たしてどの程度にあるのかということをお伺いしたわけであります。ある意味ではやはり技術立国として大したものだという評価もされますし、また一方から見ますとまだまだだめだという大きく二面性があるというふうに私は考えているわけであります。例えば特許件数なんかを見てみますと、年間五十二万件数ということで世界の大体四四%ぐらい占めている。そういう意味では日本の技術というのはなかなか高いところにあるのではないか、このように判断もされますが、一方、例えばノーベル賞ということになりますと、これ世界の中では大変低い位置にある。特に先進技術立国の中では最低の部類ではないか。こういうような二面性があるように私は思うわけです。
 諸外国のいろんな技術を導入することに成功いたしまして、これがすばらしい品質管理によりまして量産体制を組んで諸外国に商品を売っていった、そのことは確かにある意味では一つの物の見方あるいは考え方だというふうに私は思うわけでありますが、どうも商品ということでいきますと貿易摩擦ということに当然なるわけでありますから、これからは何としても技術をやはり海外に出していかなきゃいけない。そういうようになりますとまさに科学技術庁の出番ではないかというふうに私は思うわけであります。
 そういう意味で、技術立国に持っていくために、従来の研究開発というのは各省庁でそれぞれやっておられますけれども、そのかなめはやはり私は科学技術庁にあるんではないか、従来とは少し違った面はこういう点があるんだ、そして将来を期すんだ、その点をぜひお伺いしたいと思います。
#166
○政府委員(中村守孝君) ただいま先生から御指摘ございましたように、我が国の科学技術はどちらかというといわゆる技術の分野でかなり世界的な水準に達したものが多いわけでございます。どちらかというと科学という面では立ちおくれが、先生御指摘のようにノーベル賞の受賞なんかの例もその一つかと思います。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 そのような意味で、昨年決定いたしました政府の科学技術政策大綱におきましても、創造的な基礎的研究への取り組みということを政府の重要な方針といたしておるわけでございまして、今後の政策といたしまして、この基礎研究を重視した形で進める、そういう意味では、科学技術庁が配分の任にございます科学技術振興調整費におきましても、各国立試験研究機関の研究費として重点基礎研究費というものを現在十四億円確保いたしまして、それで各省の研究者の自発的な研究の推進を図る。あるいはそのほか、科学技術振興調整費におきまして総合的や各省にまたがる総合研究を推進する等の施策を行っておりますし、基礎面におきまして、さらに新技術開発事業団における創造科学技術推進制度、これによって優秀なリーダーのもと、はせ参じた若手の研究者を中心に思い切った研究をさせる制度とか、あるいは理化学研究所におきます国際フロンティア研究システム、こういったもので海外の人も交えて基礎的な研究を推進する、こういうような形で進めておるところでございまして、今後とも基礎研究重視という形で政策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#167
○小西博行君 大臣、そういう意味で、私の感じなんですけれども、科学技術庁の皆さんは長官を中心に大変一生懸命やっておられると思うのですが、どうもそれが表へ意欲的な形ということでなかなか出ていないんではないかという感じがするわけです。中身を聞いてみますと、いろんな省庁に対しましてもそれぞれの分野でいろんな御指導もされ、そしてまたその推進に力をかしておられるという感じはいつもよくわかるんですけれども、
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
さっき申し上げましたように、技術立国という形でこれから伸びていかなきゃいけないということでありますから、その辺を特に大臣、イニシアチブをとっていただきまして、科学技術庁それは立派にやっている、そういう雰囲気をぜひともこれから先出していただきたいというように思うのですが、いかがでしょうか。
#168
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 先ほど局長の方からお答え申し上げたとおりでございますが、これは、お話しのように基礎研究を強化すべきであるということはもちろんでございます。私も着任以来この問題につきましても、もう日本としても科学立国の日本でありますし、将来も二十一世紀といっても技術の競争に実はなっておりまして、殊にアメリカもレーガン大統領が、どうもアメリカの国際競争力が衰えたからこれからは科学技術にひとつ力を入れて日本よりいい製品を安く出すんだというような話等も出ておりますので、そういうふうなことを踏まえて科学技術庁といたしましても基礎研究に全力投球してまいる、そういうふうな立場から、新素材の展覧会だとか超電導の問題だとか、私も出てまいりまして、よく科学技術庁そのものがあらゆるそういうふうな技術の研究の展開を図るように努めているところでございます。
#169
○小西博行君 それでは、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム、これが最近にわかに脚光を浴びつつあるわけでありますが、この内容についてまず簡単に御説明願いたいと思います。
#170
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムにつきましては、昨年来その取り組み方について検討をしてまいっておりまして、現在、科学技術庁、外務省、通産省、文部省等関係七省庁で連絡をとりながら検討を進めているものでございます。
 基本的には、先生御承知のように生体が持つ非常に高度かつ緻密な機能、頭脳にいたしましてもあるいは免疫機構にいたしましても、あるいは体内におけるエネルギー発生の機構、あるいは体内でのいろんな物質を創製していく機能、こういったものは現在の科学技術におきましてはなかなかにおいて実現できないものを非常にたくさん持っておりまして、将来の新しい科学技術のシーズとなるべきものをたくさん持っている、いわばシーズの宝庫だ、こういうぐあいに考えておりまして、二十一世紀の人類社会を展望した際にいろいろな問題に遭遇してまいるわけでございまして、そういう意味では、この生体の高度な機能を解明してそれを人類に役立てていくということが非常に世界的に重要なことではないか。従来とかく我が国が基礎研究に立ちおくれてきたということからも、この面において一生懸命国内的にも取り組み、かつ国際的にも協力を展開して世界にも貢献していくことが考えられるのではないかということで検討をしてまいったものでございまして、これは世界各国ともいわゆる生体の高次機能につきましての基礎研究というのはそれぞれ学者が進めておりますし、また政府も基礎研究に意を払ってきているところでございますが、これを国際的に一層の推進を図ろうというのがヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの趣旨でございます。
 そうは言っても非常に抽象的で具体性がないじゃないかということの御指摘があろうかと思いますが、何分にもこれは基礎研究でございますので、特定の例えばコンピューターを開発するとかそういったプロジェクトじゃございませんので、このプログラムの推進策につきましては、人材の育成とかあるいは国際的な研究チームを支援するとか、そういったいわば横断的な方策を国際共同で進めていったらどうだろうかなということを今検討しておるところでございまして、今後これは国際的に共同してやろうという話でございますので、日本だけで単独で方策を決めるということでなく、国際的な協力を得ながら具体的な方策を検討していこうということでございまして、六十二年度にこのプログラムを推進するための方策についてさらにフィージビリティースタディーを行おう、このように考えておる次第でございます。
#171
○小西博行君 これはいろいろ調べてみますと、世界の各国、特に先進諸国だと思いますが、そういう国々でもこれに関係ある研究課題を既に持っておりまして、相当内部的には研究は進んでいる。あるいは国内におきましてもそれぞれの研究機関でいろんな分野でやっている。このテーマそのものが人間とは何かという非常に広域にわたるような研究課題でありますから、それぞれの専門家をどううまく結集していくか、そしてどのテーマをどなたがやられるのか、あるいはどの国がやられるのか。そういうことで考えますと、五十六年にやりました流動研究員システムというのがございまして、リーダーによっては随分成果が上がるものだというふうに私は考えるわけです。
 その辺の諸外国の調整だとか国内の調整というのは、これからどういう形で進んでいくんでしょうか。
#172
○政府委員(中村守孝君) このプログラムを進めるに当たって重点的分野をどうしようかということにつきましては、六十一年度にこの方面の専門家の方々にお集まりいただきまして御審議をいただいて重点分野等の整理をしていただいたわけでございまして、今度六十二年度にはこれを具体的に進める手だてについて御相談を、当然のことながら専門家の方々にもお集まりいただきましていろいろとお知恵を拝借しようと思っているわけでございます。既に我が国でも例えば理研の国際フロンティア研究システム等で外国人の方も入れた研究チームを構成してやっておりますが、それぞれの国がそれぞれの国の意思によって研究はそれぞれやられております。
 ここで、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムとして私どもが考えておりますのは、それぞれの国の意思によってどういう研究をしようということではなくて、横断的に若手の研究者を、二十一世紀に向かって非常に広がっていく分野でございますから、世界的に若手の研究者を育て上げていくためそういったものに対する資金的援助を共同で考えていったらいいのではないか。あるいはこちらの方から、政府の方から頭ごなしに研究課題を与えて、こういう課題を研究者の方やってください、こういうことよりは、むしろ研究者のチームの方からこういうテーマをやりたいという形で出していただいてそれを支援する。その際に、当然それぞれの国はそれぞれの国でバックアップしているわけですから、むしろ国際的にやるのは国際的な研究チーム、そういったものに対して国際的に支援していくというのがいいじゃないか、そういうような形で進めてまいることを考えておりますので、具体的に、若干先ほど先生から御指摘がありました、研究テーマを与えて、どの国がどの研究を分担する、そういう形は必ずしも考えておらないわけでございます。
 ただ、研究者の手助けをする、例えば人間の遺伝子、これを解析するというのは非常に大変なマンパワーを要するものでございますから、これを自動的に読み取る機械を開発しようじゃないかという考え方もございます。こういう研究者をお助けしようとするような機械を開発する。これはプロジェクトとしてやれる性格のものじゃないかと思いますので、こういうものについては先生御指摘のような国際間での分担というものが十分考えられるんじゃないかと思います。こういった問題をどうしていくかにつきまして、六十二年度、これからフィージビリティースタディーと並行しまして各国とも御相談していきたい、かように考えておる次第でございます。
#173
○小西博行君 アジア諸国はこれに当然参加できるわけでしょうね。あるいは国際機関というようなものをちゃんとつくって、そしてそれをどなたかが管理していく、こういう体制づくりというのは私は非常に大切じゃないかと思っておるわけです。うっかりしますと、また日本がやっているぞというんで変な誤解を受けないようにぜひやってもらいたいと思うので、その辺はどうなんでしょうか。
#174
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 国際的な共同事業として推進するという意味からいたしますと、できればそういう国際的な機関があって、そこがすべてを取り計らうということにすると非常に単純であろうかと思うわけでございますが、ただ、今の国際的情勢を見ますと、各国とも新しい国際機関をつくるということについては、いわば日本の国内の行政改革と一緒でございますが、必ずしもそういうことには賛意が得られがたいような状況にもございますので、その組織をどういう形にしていくかということはこれから各国ともいろいろ御相談をしていかなきゃならない話でございますが、ただ、今先生御指摘のように、これが日本のプロジェクトというような形で、日本が何かまた日本で足りない基礎研究を補うために外国の力をかりるんだというような、そういう印象を与えないように極力そういう印象を与えないように努力してまいりたい、かように考えております。
#175
○小西博行君 時間がもう余りございませんけれども、最後にお願いしたいわけです。
 どうもいろいろお聞きしますと、今度の総理のベネチア・サミットのときに、これを大々的にひとつ皆さんに理解をいただくように向こうでやってみよう、そういうようなことも実は聞いているわけです。そのことは私は非常にいいことだと思うのですが、しかし、約束した以上はそれ相当のやっぱり応分の負担をしないと、またまた、日本はだめじゃないか、口ばかりではないかというようなことになりかねないことが非常に私心配なんです。それなら海外に大きな口で言わない方がかえっていいんじゃないか、そのように思いまして、これはひょっとしたらSDIと同じように大きな計画だというふうに言われてもおりますし、その点どうか十分検討されて、そして明らかにしてもらいたいなということを申し上げまして、大臣からも御所見ございましたらお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#176
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム、これは国際的に共同して今後の科学技術の発展に向け多くの可能性が期待できる生体の持つすぐれた機能の解明を中心とする基礎研究を推進しようとするものであります。このプログラムを推進することは、我が国の国際社会への貢献という点からも有意義であると考えており、国際的な理解を得つつ推進していくことが必要であります。
 サミットでの取り扱いにつきましては、先生の言われることも考慮し、十分検討して、関係方面と相談をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、私としては、今後のフィージビリティースタディーも踏まえつつ、本プログラムの推進に向けて努力をいたしまして、国際社会に貢献してまいるように努力する所存でございます。
#177
○小西博行君 終わります。
#178
○委員長(伏見康治君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#179
○委員長(伏見康治君) 次に、宇宙開発基本法案を議題とし、発議者塩出啓典君から趣旨説明を聴取いたします。塩出啓典君。
#180
○塩出啓典君 ただいま議題となりました公明党・国民会議提出の宇宙開発基本法案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。
 広大な宇宙は、その限りない空間の利用についても、またはかり知れない未知のエネルギーや資源等の存在についても予想されながらいまだ十分に開発されておらず、人類に残された無限の未開発の宝庫であるとともに、科学技術振興のかぎを握る技術革新、イノベーションの場ともとらえられています。
 宇宙空間は、無重力、超真空という特殊な環境であり、その利用によって、コンピューター、半導体等のエレクトロニクス分野や高付加価値の化学薬品等のバイオテクノロジー、各種先端産業の基盤をなす新素材等、多くの分野に画期的な技術の進歩が期待され、同時に、これらの分野における科学技術の発展は産業全般に対する波及効果も極めて大きいものが期待されるところであり、我が国としても自主技術による開発を進めることがいかに重要であるか論を待たないところであります。
 また、宇宙開発は地球上の資源、エネルギー、人口、食糧、環境等の諸問題の解決への方向と可能性を与えるのみならず、科学技術の進歩、産業の振興、国民生活の向上及び福祉に寄与すること大であり、その的確かつ強力な推進は一国の将来にとっても極めて重要な意味を持つものであります。
 したがって、我が国としては、宇宙に関する科学技術の研究開発を推進し、自主技術を蓄積するとともに、人類社会の豊かな生活と福祉の向上に多くの貢献をしていかなければならないと考えるものであります。
 世界の宇宙開発は、昭和三十二年、ソ連が人類初の人工衛星スプートニク一号を打ち上げ、本格的な幕あけとなり、以来、約四半世紀の間に目覚ましい発展を遂げ今日に至っております。米ソ両国を初めとする世界の主要国は、早くから宇宙開発の重要性に着目して開発体制を整備し、具体的な開発目標を定め、国家的な事業として国を挙げて開発に取り組んでいるのが現状であります。
 特に、米国における宇宙開発は、米国航空宇宙法に基づき発足した米国航空宇宙局、NASAが中心となり、月面着陸やスペースシャトルを初め宇宙基地など、活発な開発を展開しております。ヨーロッパ諸国においては、欧州宇宙機関、ESAの設置に関する条約に基づき、十二カ国が共同し二トン級のアリアンロケットや有人宇宙実験室、スペースラブ及び欧州独自で宇宙基地を建設する計画等、意欲的な宇宙開発を推進しつつあります。
 さらに、欧米の将来への動向は、基地建設に次いで月の再探査や火星への有人飛行、次世代スペースシャトル計画、さらには通信、放送、気象観測、天文等、多分野にわたる宇宙開発を展開しようとしている現状であります。
 我が国の宇宙開発は、米国のアポロ十一号が月面着陸に成功した昭和四十四年五月に宇宙開発事業団が設置されたことによりようやくその緒についたものであり、米ソ欧に比べてかなりおくれてスタートしたことからも、技術の水準や宇宙の有効利用ではそれら先進国との間に大きな格差があるのが実情であります。こうしたおくれを取り戻し、自主技術による開発を強力に推進し、さらに国産スペースシャトルの開発など、多様な宇宙活動に備え、また、宇宙基地の共同開発を進めるなど、国際協力にも力を注いでいくべきであります。
 昭和六十一年における米国の宇宙関係予算は一兆二千四百二十二億円、国防省関係は除く、に上り、ソ連は米国以上の規模であると言われており、両国は他の先進国に比して世界をリードしております。同年度の我が国の予算は一千百七十二億円と米国の約十分の一の予算規模であり、欧州宇宙機関一千八百九十六億円の約一・六分の一であります。また、過去の累計額では米国の約三十分の一と圧倒的な格差となっております。自主技術を確立し、国産化を推進するためには、現在の一千億円前後の年間予算では不十分であり、三千億円程度まで早急に、計画的に増額を図るべきであるというのが関係者の一致した意見であります。
 宇宙開発は、リスクが高く、多額の資金と多くの人材かつ長期にわたる研究が必要であり、国は、国力との調和を図りながらも、投入資金の差は技術格差につながるとの認識に立って宇宙開発関係予算を十分に確保すべきであります。
 現在、我が国は世界において全く軍事を志向しない宇宙開発に取り組んでいる唯一の国であり、SDI、戦略防衛構想を初め、敵国の衛星を破壊するASAT、衛星破壊兵器や、ICBM、大陸間弾道弾を迎撃するBMD、弾道ミサイル防衛システムなど、軍事利用が強力に進められようとしている今こそ、平和目的に限るとした宇宙開発の原点を厳格に守り、今後とも宇宙の平和利用分野において積極的な活動を果たし、世界に貢献すべきであります。
 近年、米国のスペースシャトルの暴発事故、デルタロケットの事故、欧州のアリアンロケットの事故等に見られるように、世界的に宇宙事故が続発し、そのため欧米の各種ロケットの信頼性が大きく揺らいできています。
 このような現状にかんがみ、我が国の宇宙開発を進めるに当たって安全性の確立は極めて重要であり、そのためにも、より一層宇宙開発体制の強化を図るべきであります。
 また、世界の各衛星通信事業会社は、シャトルなどにかわってアリアンロケットに相次いで打ち上げを委託し、我が国でも昨年五月にアリアン社・仏に衛星打ち上げを委託しております。双方の事故を機に、今後の我が国の宇宙開発計画にも大きな影響を与えることが考えられます。こうしたことからも、速やかに自主技術の開発を進める必要が痛感されます。
 公明党は、先ほど述べたように、我が国の宇宙開発を推進するため、宇宙関係予算の確保、自主技術水準の向上、安全性の確立、宇宙開発体制の強化等を主張してきました。こうした施策を国全体として効率的に実施するために宇宙開発基本法案を提出するものであります。この基本法は、宇宙の開発及び利用に関する目的、基本方針、国の責務等の基本的な事項を定め、国として整合性のある効率的な施策が推進できるものとします。
 基本法の制定については、昭和四十三年五月に公布された宇宙開発委員会設置法の両院の委員会における採決の際に「わが国における宇宙の開発及び利用に関する基本方針を明らかにするため、速やかに宇宙基本法につき検討を進め、その立法化を図る」等の附帯決議がつけられています。公明党の主張はまさにこれらの決議に添うものであり、約二十年にわたってこの決議を無視し、宇宙開発の進展をおくらせた政府の責任は問われなければならないものと考えるものであります。
 さらに、我が国では、現在、科学技術庁を初め文部、通産、郵政、運輸、建設、自治省など、八を数える多くの省庁が宇宙開発に取り組んではおりますが、縦割り行政のもとで所管業務をそれぞれ実施しているのが実情であります。宇宙開発の実を上げるためには、国全体としての総合的な計画のもとで、時代の進展におくれないよう適切な施策を実施することが必要であります。そのため、我が国の宇宙開発を推進する宇宙開発委員会を発展的に解消し、総理府に宇宙開発会議を置くものとします。会議は宇宙開発基本計画の作成及びその実施を推進することとします。
 宇宙開発委員会にかわって宇宙開発会議を設置する主な理由は、委員会が内閣総理大臣に対して意見を述べるにとどまるのに対し、開発会議は、関係大臣が加わっていることから、予算の調整機能と計画の実施を推進する機能を持つということであります。
 それでは、公明党の宇宙開発基本法案の主な内容を申し上げます。
 第一に、目的と基本方針としましては、宇宙開発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって国民経済と国民生活の向上に寄与することを目的とし、開発に際しては平和の目的に限り、民主的な運営のもとに国際協調を図りつつ、自主的に安全の確保に留意してこれを行うものとします。
 第二に、国の責務等につきましては、国は基本方針にのっとり宇宙開発のための政策全般にわたり必要な施策を講ずるとともに、財政上、金融上の措置を行うものとし、また政府は年次報告書を国会に提出するようにします。
 第三に、宇宙開発会議について申し上げます。
 まず、会議の事務の内容は、@宇宙開発基本計画の作成及びその実施の推進、A関係行政機関の宇宙開発に関する予算の事前調査を行うほか、B宇宙開発に関する総合的な施策で重要なものの企画に関して審議し、その施策の実施を推進することとします。
 次に、会議の構成につきましては、@会長及び委員をもって組織し、A会長は、内閣総理大臣を充て、B委員は関係国務大臣のうちから内閣総理大臣が任命する者及び宇宙開発に関しすぐれた識見を有する者のうちから両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する者六名をもって充てるものとします。
 第四に、国の具体的施策としては、国は宇宙開発会議の策定する宇宙開発基本計画にのっとり、@宇宙空間の利用、A人工衛星による資源、エネルギーの探査、B宇宙開発に伴う弊害の防止及び宇宙環境の保全、C基礎的調査研究の推進、D科学技術の研究の推進、E国際協力の推進、Fその他民間の事業活動の助成、研究環境の整備等の施策を推進することとします。
 以上が、宇宙開発基本法案の提案理由並びにその内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#181
○委員長(伏見康治君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#182
○委員長(伏見康治君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
 宇宙開発基本法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(伏見康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#184
○委員長(伏見康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#185
○委員長(伏見康治君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#186
○委員長(伏見康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#187
○委員長(伏見康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#188
○委員長(伏見康治君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(伏見康治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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