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1986/05/23 第108回国会 参議院 参議院会議録情報 第108回国会 環境特別委員会 第2号
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1986/05/23 第108回国会 参議院

参議院会議録情報 第108回国会 環境特別委員会 第2号

#1
第108回国会 環境特別委員会 第2号
昭和六十二年五月二十三日(土曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     高桑 栄松君     中野 鉄造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         曽根田郁夫君
    理 事
                山東 昭子君
                関口 恵造君
                丸谷 金保君
    委 員
                青木 幹雄君
                石井 道子君
                梶木 又三君
                原 文兵衛君
                宮崎 秀樹君
                田渕 勲二君
                渡辺 四郎君
                中野 鉄造君
                広中和歌子君
                沓脱タケ子君
                近藤 忠孝君
                山田  勇君
   国務大臣
       国務大臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       公害等調整委員
       会事務局長    隈   健君
       環境庁長官官房
       長        山内 豊徳君
       環境庁企画調整
       局長       加藤 陸美君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  目黒 克己君
       環境庁自然保護
       局長       古賀 章介君
       環境庁大気保全
       局長       長谷川慧重君
       環境庁水質保全
       局長       渡辺  武君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        菊池  守君
   説明員
       環境庁長官官房
       審議官      杉戸 大作君
       大蔵省主計局主
       計官       武藤 敏郎君
       厚生省生活衛生
       局乳肉衛生課長  難波  江君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課長    加藤 三郎君
       林野庁業務部経
       営企画課長    塚本 隆久君
       通商産業省基礎
       産業局化学製品
       課長       安部巳喜雄君
       通商産業省機械
       情報産業局電気
       機器課長     横江 信義君
       通商産業省生活
       産業局紙業印刷
       業課長      及川 耕造君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (公害対策及び環境保全の基本施策に関する件
 )
○公害防止事業団法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等
 に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(曽根田郁夫君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十二日、高桑栄松君が委員を辞任され、その補欠として中野鉄造君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(曽根田郁夫君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 公害対策及び環境保全の基本施策について、稲村環境庁長官から所信を聴取いたします。稲村環境庁長官。
#4
○国務大臣(稲村利幸君) 第百八回国会における参議院環境特別委員会の御審議に先立ち、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 環境行政は、国民の健康と生活を公害から守り、豊かな自然環境を保全するとともに、潤いと安らぎのある快適な環境の創造を目指す重要な使命を帯びた行政であります。私は、今日の経済社会の変化に対応して環境行政がその使命を全うできるよう、その責任者として全力を注ぎ込んでまいる所存であります。
 ことしで公害対策基本法が制定されてから二十年になります。この間、環境行政は、国会を初めとして地方公共団体、国民各位の御協力を得て着実に成果を上げてまいりました。しかし、なお今後とも総合的に取り組まなければならない各種の課題も多いのが現状であります。生活環境を守るというばかりでなく、身近な自然との触れ合い、質の高い快適な環境やゆとりを求める国民の要求も高まってきております。また、環境問題は、国際的な広がりを見せ、熱帯林の減少や砂漠化等地球的規模の取り組みが必要となっております。
 私は、このような状況を踏まえ、環境行政は二十一世紀を目指して長期的な見通しのもとに多角的に推進されねばならないと考え、昨年十二月に策定した環境保全長期構想において、環境政策の今後の方向の基本を示すものとして三つの観点を掲げました。一つは、環境への配慮の徹底ということであります。狭い国土の中で高密度の経済社会活動が営まれている我が国においては、公害等の未然防止や自然環境の適正な保全を初めとして環境への配慮を隅々にまで行き渡らせる必要があります。二つには、環境との触れ合いのための基盤整備ということであります。国民の求めにこたえ快適な生活空間や自然との触れ合いの場を積極的に確保、創出していくことがますます重要になると考えます。三つには、環境の恵みの保持増進ということであります。我が国の恵み豊かな環境を持続的に活用しつつ次世代に引き継いでいくため、その計画的な管理を図っていく必要があります。
 このような基本的な考え方に立ち、私は、次のような事項に重点を置いて環境行政の推進に最大限の努力を払ってまいる所存であります。
 第一に、予見的、総合的な観点から新たな環境保全施策を積極的に展開してまいります。
 特に、先端技術の進展に伴い新たな環境問題を発生させることのないよう早期に適切な対応を図ってまいります。また、環境影響評価の適切な実施を図るとともに、特に首都圏等の大都市圏については広域的な観点から環境の適切な管理を図る等地域の特性に応じた施策を進めてまいります。なお、近年の都市・生活型公害の進展等公害に係る行政の主要課題の移行に適切に対応するため、公害防止事業団の業務を見直し、新たな業務の展開を図ることとし、公害防止事業団法の一部を改正する法律案を国会に提出いたしたところであります。
 第二に、安全で良好な環境の確保であります。
 環境への影響が懸念されている有害化学物質については、汚染の未然防止に資する対策をさらに推進してまいります。また、大気保全につきましては、大都市を中心とした道路交通公害問題や窒素酸化物問題等緊要な課題に対し、発生源規制の一層の強化を図るとともに、低公害車の普及や人流、物流の効率化による交通量の抑制等の施策を関係省庁と連携を図りつつ総合的かつ計画的に推進してまいります。水質保全につきましては、湖沼、内湾等の閉鎖性水域の水質改善を図るため、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海における新たな総量規制を円滑に実施するとともに、湖沼水質保全特別措置法に基づき計画的かつ総合的な湖沼対策を推進します。また、生活雑排水対策等の推進に努めます。さらに、社会経済条件の変化に対応した実効ある公害防止計画の策定を進めてまいります。
 第三に、緑と潤いのある環境の積極的形成であります。
 質の高い環境への国民の要求の高まりにこたえて、地域の特性を生かした快適環境の創造や自然との触れ合いの増進のための各種施策の推進を図ります。特に、ナショナルトラスト活動を初めとする国民による環境保全のための自主的活動を一層促進いたします。また、静けさこそが人の心の緑であるとの観点に立って近隣騒音対策を積極的に進めねばなりません。
 第四に、野生生物の保護等自然環境の保全であります。
 野生生物保護の問題につきましては、いわゆるワシントン条約が絶滅のおそれのある野生動植物の輸出入を規制しておりますが、我が国ではその国内での取引が問題となる等内外からの指摘もあり、国際社会の一員として一日も早くこうした事態を是正する必要があると考えます。このため、絶滅のおそれのある野生動植物の国内取引の規制等を行うための法律案を取りまとめ、国会に提出いたしたところであります。野生生物保護増殖事業等の施策と相まって野生生物保護対策の一層の強化が図られることになります。また、自然に関する調査研究を進め、生態系保全の観点に立って体系的な自然環境の保全に努めるとともに、自然公園等の施設整備を推進することとしておりますが、特に、釧路湿原につきましては、その保護と適正利用を図るため、新たに国立公園に指定し、必要な体制を整備することとしております。
 第五に、公害による健康被害についての救済と総合的な環境保健施策の推進であります。
 公害健康被害補償制度につきましては、近年の大気汚染の態様の変化に対応して公正かつ合理的なものにしていかねばならないと考えます。このため、今般制度の見直しを行い、既に認定を受けている患者の救済に引き続き万全を期すとともに、今後は第一種地域の指定をすべて解除し、個人に対する補償から健康被害の未然防止に重点を置いた施策への転換を図るよう公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を国会に提出いたした次第であります。この法律改正により公害健康被害補償協会の業務に新たに健康被害の予防に関する事業を加えることとし、環境保健サーベイランスシステムの構築等とあわせて総合的な環境保健施策を推進するとともに、大都市地域における窒素酸化物等の大気汚染を改善するため効果的な対策の推進に真剣に取り組んでまいる所存であります。また、水俣病対策につきましては、認定業務の一層の促進等その推進に努めてまいります。
 第六に、地球的規模の環境保全と国際協力の推進であります。
 ことしは、我が国の提唱で設立された国連環境特別委員会の最終会合がこの二月に東京で開催されるなど地球的規模の環境問題への取り組みを進めていく上で重要な年であります。本会合を受け同委員会から提示された二十一世紀に向けた地球環境の長期的保全戦略を踏まえ、我が国としても総合的な環境協力指針を策定し、二国間、多国間の環境協力をさらに強化推進してまいる所存であります。
 以上、私の所信の一端を申し述べました。私は、環境行政の持つ重要な使命を深く認識し、健全で恵み豊かな環境を国民共有の財産として二十一世紀に引き継いでいけるよう全力を尽くす所存であります。
 本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の進展のため、何とぞ、今後とも御支援。御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
#5
○委員長(曽根田郁夫君) 以上で所信の聴取を終わります。
 それでは、公害対策及び環境保全の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○丸谷金保君 ただいま環境庁長官の各般にわたる極めて適切な所信表明の説明を受けまして、このとおりに何とかやっていっていただきたいものだという念を強くするものであります。特に、最後になっておりますけれども、地球的規模の環境問題、これらについては、環境問題の先進国、水俣病初めいろいろ出ておりまして、残念ながらそういう立場にある日本として強く今後も頑張っていただきたいと思う次第でございますが、それらについてはまたの機会に具体的に御質問申し上げたいと思います。
 ただ、長官、今ブラジルが非常に借金で困っております。そしてアマゾン流域の開発ということがスケジュールへ上がってきておりますが、学者の意見によりますと、アマゾン流域を開発してしまうとそれだけで地球の酸素の供給量が二〇%減る。そうすると、あそこを何とかそのまま残してもらうために、借金をみんなで、世界的な規模で酸素供給国として応援していく、こういうふうな新しい発想を持たないと世界的規模の環境保全というのはなかなかできない、こう思うのであります。そういう点をひとつ頑張っていただきたいと思います。
 それできょうは、ただいまありました所信の中のナショナルトラストと野生生物保護、こういうふうな問題を具体的な観点から御質問申し上げたいと思います。
 まず最初に長官にお礼を申し上げておきたいのですが、前回も申し上げましたけれども、知床の択伐について当初は私は、林野庁その他組合からも聞いておりまして、森林の活性化のためには老齢木を切っていくというふうなことも必要だと思っておりました。そういう点で当初反対をしなかったんです。しかし、長官が知床へ入って、道新にこの写真が出ましたね。この写真の後ろにある木を見て、こんな木を切られたらこれは大変だと、そのときこの写真で気がついて、それから調べまして反対することにしたんです。これはもう樹齢二百年ぐらいのドングリなんかもたくさん出るいい木なんです。こういうのを切っちゃったら活性化とは全く違うんで、林野庁の言っていることはちょっとおかしいじゃないか。そういう点で、私の目を開かせてくれた長官が現地まで入ったということについては、そういうふうにどんどん行っていただくということは大変ありがたいなというふうに思っておるんです。
 それで、その問題について一つ御質問申し上げたいのですが、最初に林政審の報告と知床の施業計画。去る六十一年の十一月に林政審は「林政の基本方向」を発表しました。それで、「特に近年、自然環境の保全・形成に対する要請が高まっていることから、学術上、文化上価値の高い自然の保全、種の保存などのために必要な森林の保護、従来以上に自然保護に配慮した森林施業の展開に努めるべきである。」というふうに報告書で書いてございます。これが六十一年の十一月ですから、林野庁が六十一年の三月に知床の施業計画、十カ年計画を立てておりますが、その後にこれが出ております。林野庁、この林政審の報告を受けて施業計画は見直したんですか。どうなんですか。
#7
○説明員(塚本隆久君) 知床国有林の施業計画につきましては、昨年三月に樹立されたものでありますが、これにつきましては、ただいまお話のございました林政審の基本方向の中間報告がその前の六十年八月に出されておりますので、その趣旨を踏まえまして、いろいろ御批判はあったわけでございますが、林業の立場からすれば自然環境の保全に留意した計画をつくった、このように考えております。その後、昨年十二月には国有林野事業の改善に関する林政審の答申が行われまして、この中でも自然保護に配慮した施業を推進することが指摘されておりますが、今回の知床の伐採に着手するに当たりましても、北見営林支局の管轄する国立公園内の知床国有林の九割以上を公益的機能の発揮を第一義とする保全林とするといったような方向を打ち出しまして対処したところでございます。
 こういうことで、昨年来の林政審議会の基本方向あるいは国有林の改善に関する答申の趣旨につきましては配慮してまいった、このように考えております。
#8
○丸谷金保君 ことしの四月の十三日、知床の施業計画についてという林野庁の方から出た書類によりますと、3で「A、B、Cブロック以外の国立公園内の国有林について」ということで、「公益的機能の発揮を第一義とする保全林として、それにふさわしい管理を行う」、こういうふうなことがございますが、ここに言う保全林というのはどういうものなんですか。
#9
○説明員(塚本隆久君) 保全林の内容につきましては、これから地域施業計画を樹立する中で具体的に決めてまいりたいと思いますが、少なくとも、経済的な行為で伐採をする森林という位置づけではなく、公益的な機能の発揮を第一義とする森林というふうに位置づけてまいりたいと思っております。具体的内容につきましては、例えば遺伝資源保存林でございますとかあるいは学術参考林でありますとか、場合によってはレクリエーション関係の森林、こういうことになろうかと思っております。
#10
○丸谷金保君 これを見ますと、A、B、Cブロック以外の国立公園の国有林については、今言ったようなことで検討するとなっておりますが、大体これ何ヘクタールくらいのことを考えておりますか。
#11
○説明員(塚本隆久君) 北見営林支局の管轄する知床国有林内の面積約二万五百ヘクタールでございますが、その九十数%が保存林になる、こういう予定でございます。
#12
○丸谷金保君 施業計画の区域内ではどれくらい考えておりますか。
#13
○説明員(塚本隆久君) 施業計画区域内と申しますと、現在施業計画区域というのはほぼ国立公園内と見て差し支えないと思っております。もう一度申し上げますが、全体として二万五百ヘクタール、そのうち保全林として約一万九千ヘクタール、九二%でございます。施業林といたしましては千五百九十ヘクタール程度を予定いたしております。
#14
○丸谷金保君 そうすると、計画の「A、B、Cブロック以外の国立公園内の国有林」とは、二種と三種の特別区域に指定されている一万三千ヘクタール、このことを言うんですね。
#15
○説明員(塚本隆久君) A、B、Cブロックはいずれも二種と三種の地域でございます。
#16
○丸谷金保君 ちょっと、もう一回言ってください。
#17
○説明員(塚本隆久君) 今回施業の対象地としておりますA地域、B地域、C地域はいずれも三種特別地域ないし二種特別地域でございます。
#18
○丸谷金保君 私の聞いているのはそうでなくて、ここで言う「A、B、Cブロック以外の国立公園内の国有林」とは、ここで言う施業計画以外のところというのは、どこを言っているんですかと聞いていもんです。
#19
○説明員(塚本隆久君) 第一種特別地域あるいは第二種特別地域、それから特別保護地区、そして第三種特別地域、いずれもございます。
#20
○丸谷金保君 このおたくの方から出ている図を見ますと、保全林の設定を検討する地域というのがこの北側にずっとありますわね。この保全林とは一体どういうことを言っているんですか。保全林という言葉がまあ新しい言葉のような気がするんですがね、これはどういう意味なんですか。保安林とどう違うんですか。
#21
○説明員(塚本隆久君) 保全林と申しますのは、先ほどお答え申し上げましたように経済的な行為を目的として林業活動を行う森林としてではなく、公益的機能の発揮を第一義として取り扱う森林ということでございます。具体的には遺伝資源保存林でございますとか学術参考林と、こういうことでございまして、いわゆる保安林、国土保全のための保安林とは若干趣旨を異にするものであると思っております。
#22
○丸谷金保君 それじゃ、あそこは全体で一万三千ヘクタール、そのうちから施業対象の千七百ヘクタールそれから遺伝資源保存林の千ヘクタールを除くと大体約一万ヘクタール、これは公益的機能発揮の保全林として択伐の対象にしないというふうに理解してよろしいですね。
#23
○説明員(塚本隆久君) 遺伝資源保存林の千ヘクタールにつきましては現在検討中でございまして、面積についてはふえる可能性もございますが、いずれにしても、遺伝資源保存林ないし、ただいま先生からお話のありました保全林につきましては択伐の対象としない、こういうことで理解していただいて結構だと思います。
#24
○丸谷金保君 それじゃ、現在持っている択伐計画をもう一度明らかにしてください。
#25
○説明員(塚本隆久君) ちょっと聞き取れませんでしたので、もう一度お願いいたします。
#26
○丸谷金保君 今の知床における択伐計画です。それを御報告ください。択伐計画、現在のですよ。
#27
○説明員(塚本隆久君) 現在は、したがいましてAブロックにつきましては既に伐採を終了いたしましたので、今後対象となりますのはBブロックとCブロックということになります。
#28
○丸谷金保君 それはわかっているんですがね。その具体的な計画があるでしょう、何年度どうやっていくという択伐の計画が。
#29
○説明員(塚本隆久君) 六十二年度の択伐計画は予定いたしておりません。Bブロックにつきまして六十二年度、六十四年度、六十五年度と三カ年でこの択伐を予定いたしております。
#30
○丸谷金保君 それじゃ、生物遺伝資源保存林についてお伺いしたいんですが、これは公園の北側に設置すると。どうして北側に設置することにしたんですか。
#31
○説明員(塚本隆久君) 先生のお話にございました生物遺伝資源保存林は、昨年、北見営林支局の方から一応候補地として申し上げた箇所をお話しになっていると思うのでありますが、現在、この生物遺伝資源保存林の設定につきまして、林野庁内に検討委員会を設けて全国的な規模でこれを設定すべく検討が行われております。したがいまして、知床における生物遺伝資源保存林をどのような形で設定するかということにつきましても、場所ないし面積につきまして改めて検討いたしてまいりたいと、このように考えております。
#32
○丸谷金保君 生物遺伝資源保存林の設定要領がございますわね。それによりますと、保存を図る生物遺伝資源保存林には第一種保存林と第二種保存林の二種類があると。知床国立公園内に設置されるのはそのうち一体どこなのか、これはまだはっきりしてないということですね、そうすると。そういうふうにとっていいですか。
#33
○説明員(塚本隆久君) 知床国有林に設定される保存林につきましては今のところ第二種の遺伝資源保存林を予定いたしておりまして、設定面積につきましては少なくとも千ヘクタール以上のものを予定いたしたいと思っております。
#34
○丸谷金保君 一種保存林については、原則として枯損木及び被害木の除去というもの以外は択伐は行わないとなっていますが、二種についてはそういうあれがないんですね。二種はそうすると択伐するということですか。
#35
○説明員(塚本隆久君) 遺伝資源保存林の維持のために必要な伐採、例えば病虫害に侵されたものの伐採等は行いますが、いわゆる経済的な目的としての伐採は行うつもりはございません。
#36
○丸谷金保君 環境庁にお伺いしますが、この資源保存林は自然公園法の第二種または第三種の特別地域内にあるわけですよ。このことについて林野庁と相談を行っておりますか。何か話がありますか。
#37
○政府委員(古賀章介君) お答えいたします。
 林野庁から、生物遺伝資源保存林の制度を設けましたことは承知をいたしておりますけれども、具体的な相談は受けておりません。
#38
○丸谷金保君 大臣、ここは国立公園の中なんですよね。それで、勝手に林野庁だけでぱかぱかとこれ発表しているんです。これにも出ていますしね。これでいいんですか、何も環境庁との相談なしに林野庁だけでやって。そうすると、こんなもの黙ってやっていくと、その千ヘクタールはちゃんと保存林として林野庁は確保していますよと、あとは択伐を行うことの口実なんじゃないですか。いかがですか。
#39
○政府委員(古賀章介君) 林野庁におかれましてはいろいろ御検討されておると思いますが、私どもの方にも、個々具体的なケースなどを通じまして、さらにはまたその前の段階におきましてお話があるかと思いますけれども、その際には十分御相談をいたしたいというふうに考えております。
#40
○丸谷金保君 知床の国有林の中の二種と三種の地域というのは、要するに択伐可能地域ですね、一万三千ヘクタールあるんです。それの千ヘクタールくらい、十三分の一ですよね、この程度を保存林にしたということであとの択伐に口実を与えるというふうなことになったら大変だと思うんです。こういうことを決めるときには、やっぱり環境庁としての意見が当然そこに入らなきゃおかしいと思うんですが、どうなんでしょうか。勝手に決めているんです、今。
#41
○政府委員(古賀章介君) 生物遺伝資源保存林と申しますのは、林野庁が国有林野事業の一環として進めておられるものでございますから国立公園制度とは異にするということでございます。しかしながら、両者の間には関連が出てまいりますので、これからもいろいろ御相談をするという機会はあろうかと思います。
#42
○丸谷金保君 大臣、きょうの所信で野生生物の保護、自然環境の保全ということを言ってますね。こういうことは林野庁の所管事項なんですか、それとも環境庁の所管事項なんですか。大臣は林野庁の所管事項に踏み込んで所信表明しているんですか。
#43
○国務大臣(稲村利幸君) これは当然環境庁としての事項だと、環境庁としては従でなく主である、こういう認識を持っております。
#44
○丸谷金保君 主であると大臣おっしゃるけれども、林野庁の方が勝手にやっているんですよ。その一万三千ヘクタールのうちで千ヘクタールだけはそうすると、ちょっとおかしいと思いませんか。
#45
○政府委員(古賀章介君) 林野庁は、今申し上げましたように国有林野事業としてのお立場からいろいろ検討をされておるわけでございますが、私どもは国立公園などの自然公園の制度というものを持っておるわけでございますから、それとの調整は必ず必要になるということでございます。そういう意味におきまして、調整の段階はもちろんでございますけれども、その前にいろいろお話し合いをする機会があることはあるというふうに考えております。
#46
○丸谷金保君 これはちょっとね、考えていると言っても、林野庁は長官名で、六十一年の十月二十日に「森林生態系に係る生物遺伝資源の保存について」という文書を出しているんですよ、環境庁が何にも相談を受けないで。これは大臣ちょっとおかしいじゃないですか。所管事項でしょう。所管事項を、ほかの省庁がこうやって堂々と主務官庁と何の相談もしないで勝手にやっているんです、これ。環境庁の方でもこういう書類は知っているんでしょう。
#47
○政府委員(古賀章介君) そういうことは承知をいたしております。先生、環境庁の自然公園行政に関する主体性というものがそれによって損なわれるのではないかというような御懸念かと思いますけれども、自然公園制度というのは厳然としてあるわけでございます。その法律に基づきましてあくまでも適正に執行をしてまいるということにはいささかも変わりはないということでございます。
#48
○丸谷金保君 その厳然としてある自然公園法からいうと、こういうことというのは環境庁の所管なんですよね、だから今大臣もそういう所信を表明されているんです。勝手に林野庁が、こういうふうにここは保護林だとかね。しかも、これは自然公園内でなきゃいいですよ、自然公園内で林野庁だけが勝手にこんなことをやるというのは、大臣これでいいと思いますか。私は問題だと思うんですよ。いかがです。自然公園内でなきゃいいんですよ。
#49
○政府委員(古賀章介君) 国有林野を所管する、それを管理運営するのは林野庁でございますから、そういう立場に立って自然保護という面を十分取り入れながらいろいろな検討をされ、それに基づいて構想を出されておるわけでございますから、それはそれとして林野庁の立場というものは理解できるわけでございます。しかしながら、自然公園制度というものとそれとの関係はどうかと、こういうことでございますけれども、繰り返すようになりますが、それは自然公園制度というものがあくまでも基本になると。国立公園、国定公園等の自然公園というものを管理いたしますのは、その法律の運用に当たりますのはあくまでも環境庁でございますから、そういう立場からいたしまして、その立場にはいささかも揺るぎはないということでございます。
#50
○丸谷金保君 大臣、こういうことになると、全国の国有林の中で、生態系に係る生物遺伝資源の保存は林野庁が勝手にどこでもできるということですよ、ここはこうする、ここはそうすると。そうでしょう、これやっているんだから。知床でできるということはほかでもできるということですよ、いいですか。それじゃ、きょうの大臣の所信のこれ林野庁に預けたらどうですか、環境庁知らないうちに林野庁が勝手にできるんならね。これは主務官庁でも何でもなくなっちゃう、環境庁は。聞いて知っていると、何の相談もないけれども書類は見ていると、これはおかしいというようなことは何にも環境庁は言ってないと。
 国立公園の中で、何ぼ所有は林野庁にあるとしても、何か決めるときには、例えば便所一つつくるんだって、地方自治体が申請しても何年もかかるくらい環境庁からオーケー出るのは難しいんです。それだけのあれを持っていながら、こういう設定については何にも知らないで、相談も受けないでそれでいいということになりますか。大臣何と思う。――いや、あなたの答弁じゃ何かうやむやで、いいようなことを言っているけれども、大臣、これ普通で考えてください、常識的に。こんなことがこれでいいとなったら全国全部やれるでしょう、林野庁とっととっとと。今のあなたの答弁でいくとそうなるんですよ、そうでしょう。大臣、どう思いますか。こんなことだから環境行政というのはやっぱり頼りがないということを言われるんですよ。環境庁、もう少しじつかりしてもらわなきゃならぬのでね、この件について長官のお考えをひとつ。今お聞きになっておわかりだと思うんです。
#51
○国務大臣(稲村利幸君) その前に一言局長に答えていただいて、私からも……。
#52
○政府委員(古賀章介君) それによって自然公園法並びに自然公園制度というものが揺るぐことはないということは重ねて申し上げるわけでございますが、例えば具体的に申しますと、自然公園法には、先生御承知のように特別保護地区それから一種から三種までの特別地域、普通地域というふうな地種区分があるわけでございますけれども、林野庁がいろいろな林野行政の立場から保存林等の構想をお立てになりましても、それによって地種区分というものは何ら変更を受けるものではないということでございます。
#53
○国務大臣(稲村利幸君) 丸谷委員の先ほど来の大変環境行政に対する情熱のこもった御意見を拝聴していろいろ教えられるところ多いわけでございますが、環境庁は、御案内のとおり林野庁から比べれば新しい役所で、企画、調整、最近受け身過ぎる、消極的過ぎるという批判等々、それを打ち消すべく一生懸命心がけているところですが、自然公園内の環境保全、これは林野庁がすべて壊しているという解釈は当たらない。ですから、よく環境庁と相談をこういう機会にしていただきたいなと、こういうことを思うと同時に、知床の例を見ても、今回、総理及び農林大臣と私と話し合いの結果、この原生林を守らねばならないという合意の上で予定をずっと縮小させて、先生の私に対するありがたいお言葉等あったわけでございますが、大変こういう言葉はどうかと思いますが、お役人、行政だけに任じていたらその縄張り縄張りでやられますので、そこを政治が関与して前向きに積極的に環境保全に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
#54
○丸谷金保君 林野庁にお伺いしますが、これは、長官から要領というような内部の営林局長あてに出したものだというふうに多分おっしゃりたいんだと思うんですが、しかしこういうものはやっぱり、ちゃんと文書として出ればこれは世の中に伝わるんですよ。これは国立公園の中ですから、設定する場合にはもう少し慎重に環境庁とも事前に十分な相談があってしかるべきだと思うんです。これは去年の十月の二十日です。今まで何にもない、一方的にやるということは非常に遺憾だと思うんですが、いかがですか。
#55
○説明員(塚本隆久君) 生物遺伝資源保存林の構想につきましては、現在私ども、林木育種事業の一環といたしまして生物遺伝資源の保存に努めておるという背景のもとで、これをさらに拡大してまいりたいということから設定をいたすということで計画したものでございます。ただいま先生のお話にございました知床の遺伝資源保存林につきましては、先ほど申し上げましたように、場所としてもまた面積としても決めておるわけではございません。また、これから全国的にいろいろ候補地を探して、学識経験者の意見等も聞いて決めていくわけでございますが、具体的な場所が決まった段階では、当然国立公園等に関係する箇所については環境庁の方に御相談をして決めていく、このように考えておる次第でございます。
#56
○丸谷金保君 十分その点は環境庁とよく相談しながらやっていただきたい。そうすれば、今度の場合でも知床であんなごたごたが起きるようなことにならなかったと思うんですがね。環境庁の方には、ただやっぱり森林活性化のためには、多少は択伐が必要なんだと言えば、これは専門家の言うことだからそれはそうだろうとなります。私たちでもそれはそうだろうと思ったんだ。しかし、現状に入ってみれば、要は収入を上げるために切りますというだけのことじゃないですか、今回の知床の伐採は。おたくの方からもらった資料によると、あそこで大体八百四十四本切ることになっていましたね。実際には五百三十本ですか、これは一体どういうわけで減らしたんですか。
#57
○説明員(塚本隆久君) このAブロックの施業につきましては、昨年来、シマフクロウとかクマゲラといった動物調査を実施をいたしまして、その結果に基づきまして面積を縮小するということで本数が減ってきたということでございます。
#58
○丸谷金保君 調査の結果減らしたと。要するに、この前調査団が入りましたね、その結果減らしたということですか。
#59
○説明員(塚本隆久君) 調査結果に基づいて面積を縮小したものでございます。
#60
○丸谷金保君 それでその調査なんですが、知床の鳥獣保護区に生息する鳥類だけでも二百二十七あるんですね。これは五十六年の調査です。このうち、今回の調査で生態系その他はどの程度調べたんですか。
#61
○説明員(塚本隆久君) この調査につきましては、もともとの始まりが、昨年秋に地元の斜里町長の方から、希少鳥類の調査を行った上で伐採についてその対応の仕方を考えてはいかがかという提言がなされて実行をいたしたものでございます。したがいまして、鳥類につきましてはシマフクロウ、オジロワシ、クマゲラ、この三種に重点を置いて調査をいたしておるわけでございます。
#62
○丸谷金保君 三月三十日に「知床国有林の動物調査等について」というのが林野庁から出ましたね。三地区についてやったと。しかし、例えばこれで見ると、私は、ミズナラは非常に貴重な木でこんなものは軽々しく切るべきでないというふうに思っているんですが、ミズナラの種子の生産量がこの調査で出てきております。これだけに絞ってお聞きしましょう。
 大体二百五十ヘクタールですか、調査の対象にしたのは。ここで大体七万粒から二十一万粒の種、いわゆるドングリですわね、がとれる。しかし、今回の択伐による減少分としては四千粒から一万一千粒くらいで、大体全体から見ると五%ぐらいだからこの程度では支障がないと。それで、調査したミズナラ、何か、きのう聞いてみますと毎本調査やってないんですね。毎本調査やらないでわかりますか。
#63
○説明員(塚本隆久君) この地区のミズナラにつきましては標準的なサンプリング調査を行っております。箇所といたしましては二カ所をとりまして、一カ所は十メーター掛ける百メーター、もう一カ所は二十メーター掛ける二十メーターというところのサンプリング調査を行いまして、それによって全体を推定いたしておるわけでございます。通常私どもが林業経営上この種の調査を行う場合には空中写真等を利用いたしましてその対象地域内の標準的な箇所を選定して、そこで一定区域について調査をして、その結果に基づいて全地域の状況を推定するというのが一般的でございまして、そういう方法によったということでございます。
#64
○丸谷金保君 二カ所ですね。ランダムでとったんだと思いますけれども、これはどれぐらいの面積を調査したんですか。
#65
○説明員(塚本隆久君) 先ほど申し上げましたように、十メーター掛ける百メーターについては〇・一ヘクタール、二十メーター掛ける二十メーターにつきましては〇・〇四ヘクタールということになっております。
#66
○丸谷金保君 そんな調査でここにこんな断定的な調査報告書を発表するというのはおかしくないかい、あなた。択伐するなり皆伐するときの毎本調査なんてそんなサンプリング調査しないですよ。それで並年作が七万粒ぐらいあるとか、これはどこから割り出したのか。そんなことから出てきますか。ミズナラならミズナラくらい毎本調査する気になったらできないことないでしょう、時間かければ。そうすれば正確な数字が出るけれども、今おっしゃった程度の調査で、そして五%程度だから影響ない、こんな調査で地元の人でもだれでも信用できますか。あなただって信用できないでしょう。どうです。
#67
○説明員(塚本隆久君) この調査は委託先の北海道森林技術センターが行ったものでありますが、私どもが聞いております範囲では先ほど申し上げたような調査でございまして、その区域から推定すれば一ヘクタール当たりミズナラが大体五十本から六十本生えておる。一方、伐採する方は一ヘクタール当たり二本程度を伐採するということでございまして、それから五%という数字が出てきたというふうに伺っております。
#68
○丸谷金保君 伺っておるじゃ困るんだよ、あなた。林野庁が出しているんだよ、これ。調査団が出したんじゃないんだよ。林野庁の公式な発表なんだよ。どこから伺っているの、あなた。林野庁がちゃんと報告書出している。それは人から伺った話じゃないでしょう。
#69
○説明員(塚本隆久君) 伺ったという言葉が悪かったかもわかりませんが、いずれにしても、調査の内容についてはそういう積算根拠であるというふうにみなされております。
#70
○丸谷金保君 それはあなたね、その調査団は林野庁がつくった調査団で、その報告に基づいて林野庁が出したら、伺ったということじゃないんです。あなたたちのものなんだよ、これは。時間をかければきっちりした数字が出るんです。クマがおっかないからといって秋には入らない。雪の降っている中で毎本調査をやる、それはなかなか難しい。
 これは今度、知床を絶対切らしちゃいけないといって頑張った午来さんが町長になりましたね。地元の意向もそれではっきりしたんですよ。絶対切らせないといって頑張った方が、ほとんどいろんな支持団体も何にもない中で現職の町長と戦って当選したんですよ。この町長が一昨日私のところへ来まして、とにかく、やっぱりもう少し長期間かけてじっくり調査してくれと言うんですよ、ゆっくり調査してくれと。あんな調査で納得せいと言ったって地域の者は納得できません。東京へ来ればこんなレポートでああそうかと言うかしらぬけれども、現場で調査を見ていた我々としては何がということになると。
 調査したからこれでいいんだなんということに絶対ならない、こんなことで。そうでしょう。ミズナラの種子がこれだけあって五%だなんてどこから出ますか。二百五十ヘクタール、正確にいうと二百四十何ヘクタールの中でわずか二カ所。いいですか、極端に言えば、たまたまそこにミズナラのいい木があって、それから類推すればすっと出るかもしらぬ、五%という数字も。一%という数字になるかもしらぬ。そうでないところでとったら五〇%なくなるということになるかもしらぬ。こんな調査でことしからの施業をやったらかないませんよ。もう少しちゃんとした調査をやる考えは林野庁ないですか。
#71
○説明員(塚本隆久君) B、Cブロックにつきましてはことしから調査を始めるわけでございますが、調査団の編成等につきましてもさらに充実をしてまいる、また、地元斜里町の町長の御意見も十分お聞きしてまいりたい、このように考えております。
#72
○丸谷金保君 まあ、課長さん詰めてみてもそういう点で明確な責任ある答弁もできないかと思いますけれども。
 大臣、こういう調査なんです。お聞きになってわかるでしょう。こんなものじゃね。林野庁は堂々と出しているけれども、こんなものを信用せいというのが無理なんです。こんな程度の調査なんですから実態とは全くかけ離れているかもしれないんです。大臣から農林大臣にやっぱりこの点は十分言ってくださいよ。地元の人たちに言わせれば林野庁のお抱え調査団だ、こう言っているんですよ。立派な方たちがあの調査には当たっています。当たっていますけれども、しかしそれは、あんなわずかな期間ちょこちょこっと調査してこんな結論を出して、支障がないというふうなことにならないんですよ。地元の今度の新しい町長も、とにかくきっちりと長期にわたって調査してくれと。
 今言ったように生態系などで三種類の動物の調査に絞ったというんでしょう。しかし、私が先ほど指摘したように二百数十種類の生物があそこにいるんです。この生物はそれぞれ一つの生態系の輪の中で相互に生きていますわね。そうすると、三種類の動物が生きていくためにはたくさんのまた動物がいるということも必要だということになるわけですよ。そして、なおかつそういうことからいいますと、こんな一回や二回や三回の、しかも短期間の調査で結論を林野庁が出して、こういう調査が出たからいいなんて環境庁思ってもらったら困るんですよ。この点ひとつ長官、いかがですか、こんなことじゃ困るということおわかりいただけましたか。
#73
○政府委員(古賀章介君) 今回の調査につきましては、林野庁が専門家に委託をされまして慎重に行われたものというふうに考えておるわけでございます。それなりの結果が得られたのではないかというふうに理解しておるわけでございますが、先生が御指摘になりますように不十分であるというような御批判、御意見があるわけでございます。そういう意味からいたしますと、やはり、今後林野庁におきまして慎重な調査が行われまして、知床の自然が一層大切にされるような計画が樹立されることを私どもは願っておるわけでございます。
#74
○丸谷金保君 これ慎重に調査したとあなた本当に思いますか、この程度の調査で。本当にあなたそう思っているの、今答弁したけれども。これが慎重な調査と言えるか。
#75
○政府委員(古賀章介君) そういう趣旨から林野庁の責任と御判断においておやりになったものというふうに考えるわけでございまして、今後慎重な調査が行われるということが期待されるということでございます。
#76
○丸谷金保君 今後慎重な調査はいいけれども、この調査が慎重だなんて答弁されたら黙っていられないんだよ。こんなもの、何も慎重じゃないんだから。今現に言ったように、二百五十ヘクタールの広大な土地の中で二カ所サンプリング調査して、全体掛けてね。これは当然毎本調査すべきですよ。少なくとも毎本調査をして、林野庁毎本調査なんか得意なんだから。手間暇かければできるんです。そうした上できちんと出してこなきゃ、こんなことは慎重な調査でも何でもない。大臣、知床行って帰ってきてから威勢のいいこと言い過ぎたんで、何か、周りの人たちから殿、お静かにということで大分歯どめかかったという話も聞いているんで、えらくきょうは局長さんにだけ答弁させていますけれども、大臣、これはやっぱり大臣が考えていただかなければいけないんですよ。いかがですかこれ、大臣、慎重な調査だと思いますか、こんな程度の調査で。
#77
○国務大臣(稲村利幸君) 古賀局長の答弁のとおり林野庁にも、かけがえのない原生林を守るために、生態系という非常に言葉に尽くせぬ大切なものを守るためにさらに重ねてこちらからも要望し、また、先生の御意見を体して環境庁としても頑張りたい、こういうふうに思います。
#78
○丸谷金保君 大臣の決意をお聞きしたので、ひとつ期待しておりますので……。頼るところは大臣だけなんです。地元もみんなそう言っているんですよ、よく来てくれたと言って。
 それで、結局、これは、森林活性化のための択伐でなくて、択伐の状況を見ると金になるような木ばかり切っているんです。ですから、これは財政的な問題があると。その点では私は林野庁に同情するんです。特別会計でできるだけ自賄いせいと言っていればやっぱり金になるところを切らざるを得ないんですよ。これは今の会計制度が悪いんです。
 今回の伐採計画で、択伐した五百三十本で大体幾らに売れましたか、高く売れたそうだけれども。
#79
○説明員(塚本隆久君) まだ全部販売をいたしておりませんが、約四割弱の材で二千三百万円の収入を得ております。
#80
○丸谷金保君 そうすると、全体で五千万くらいという見込みが立ちますか。この間、ちょっとみんなせり合っていい値がついたって聞いているけれども、大体どれくらい予定していますか。
#81
○説明員(塚本隆久君) 公入札の場合は予想できない値段がつく場合がございますので今の段階で幾らということを申し上げるわけにいきませんが、そのようなところではないのかなという感じはいたしております。
#82
○丸谷金保君 経費はどれだけかかりましたか。
#83
○説明員(塚本隆久君) すべての経費を含めまして約三千万円でございます。
#84
○丸谷金保君 大臣、お聞きになりましたか。いいですか、五千万の収益を上げるのに三千万の経費をかけているんですよ。
 大蔵省来ていますわね。一体こんなことをしてここの赤字解消に、今大体林野の債務は一兆五千億ですか、これに、これだけ大騒ぎをして知床の木を切って一体どれだけの財源になるんです。ところが、農水省に言わせれば、やっぱり独立会計やっていかなきゃいかぬということで大蔵省からぎりぎり締められるからやらざるを得ない、こう言うんです。それはもちろんそうですわね、大蔵省とすれば、もう少し収入上げて林野の会計独立てやるようにせいと、これは当然だと思いますが、しかし、国有林の中の自然保護とかいろんな問題のあるところで、こんなところで収入上げさせなきゃならぬくらい締めつけているんてすか、大蔵省は。
#85
○説明員(武藤敏郎君) 既に先生御承知のとおり、この国有林野事業というものは、企業的に運営されるということで特別会計というものが設置され運営されておるわけでございます。もちろん森林の持っております公益的機能というものがいろいろ今話題になっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、そのような森林の公益的機能もあわせまして全体として特別会計を設置して運営されているものというふうに考えておるわけでございます。
 現在、御指摘のように、事業の収益状況は材価の低迷等がありまして悪いと言わざるを得ない状況でございます。その改善計画につきましてはまたいろいろ御議論がありまして、私どもも経営の改善ということを強くお願いしておるわけでございます。ただ、その経営改善を行っていく段階におきましていろいろなやり方があろうかと思います。もちろん、収益を上げるということもありましょうし管理運営コストを節減していくという道もあると思われるわけでございますが、それをどのような形でやっていかれるのかという個々の具体的な問題になりますと、これは林野庁の当局においていろいろお考えになっていただくものと。特に、御指摘のようなどこをどういう形で伐採していくのかということにつきましては、これは林野庁の御判断においてやっていただくべきものというふうに考えておるわけでございます。
#86
○丸谷金保君 特別会計といえどもやっぱり大蔵で、ある程度収益の上がらない問題等については繰り出しもしていますわね。繰り出しもしていますから必ずしも収益だけの問題じゃないという点もあると思います。ですから、公益的な面もあるんですよね。例えば、林野にしては全く関係ないような木が一本も生えてないようなところも管理しているんです、林野は。治山治水とかいろんなこともやっているんです。
 ですから、そうしますと、これだけの大きな問題で、地域の住民も明らかに今度の選挙の結果ノーと出しているんですよ。この程度のところを十年かかって切ったって幾らにもならないですよ。何億かの程度ですよ。それまでのことをしてここの択伐をしていかなきゃならないかと。その程度のことは公益的な面でここはやめさせて、大蔵省がその分については林野の繰り出しをもうちょっとふやしてやると。二千万ふやせばことしこれだけの大騒動にならなかった。これくらいな考え方は大蔵省主計官としては持てませんか、どうですか。林野をいじめてもしようがないんです、林野だって苦しいんだから。あなたの方が温情を持ってくれなきゃ解決しないんです、林野だけけしからぬと言ってみても。今のような制度の中でそういうところに対して、収益の上がらない分はそれは公益的にやはりとっておけと、その収入は一般会計で繰り出してやろうと、国民全体の問題なんですから、林野だけがしようというものではないんですから。これはやっぱり国の全体的な考え方の中で処置していかなきゃならないとなれば、大蔵省、ちょっとやっぱりそこら辺、公共的な面もあるんだということで考えていただきたいと思うんですが、どうですか。
#87
○説明員(武藤敏郎君) 確かに、御指摘のとおり国有林野事業には公益性があるというふうに考えております。例えば治山というお話がございましたけれども、こういうものにつきましては一般会計資金が投入されておるわけであります、税金が投入されておるわけでございます。それから、いわゆる企業的な経営をやっていく上におきましてもどうしても一般会計で負担することが適切であると思われるような経費につきましては、これまでも逐次、毎年度の予算編成におきまして議論をした上で一般会計からの繰り入れを行っておるところであります。そういう意味で私どもといたしましては、国有林野事業の公益性については、大変厳しい財政事情でありますけれども、ぎりぎりの財政のやりくりの中で最大限の配慮をしておるというふうに考えておるわけでございます。
#88
○丸谷金保君 時間がありませんので、最後に大臣にお願いしておきたいんです。
 今のような状況なんですから、これは大臣からも、知床の木を切るのはやめれと、一年に二、三千万繰り出しをちょっとふやしてやればいいじゃないかと、こういうことで環境庁サイドからも頑張っていただきたいことをお願い申し上げて、終わります。
#89
○国務大臣(稲村利幸君) 丸谷委員の御意見に心から賛同を私もしておりますし、同感でございますので、頑張りたいと思います。
#90
○中野鉄造君 私は、大臣の所信の中で二、三お伺いをいたしますが、大臣の所信の「安全で良好な環境の確保」ということの中に「有害化学物質については、汚染の未然防止に資する対策をさらに推進してまいります。」、こういうように述べられておりますけれども、その内容を具体的に御説明いただきたいと思います。
#91
○説明員(杉戸大作君) お答え申し上げます。
 化学物質はその種類とか用途が非常に多いものでございます。そしてそれらの中には、製造とか流通とか使用、廃棄、そういうさまざまな過程の中で環境中に排出されまして、環境中に残留し環境汚染の原因となるものもございます。そういう有害化学物質によります環境汚染を将来にわたって未然に防止しまして、国民が安全で安心して生活できる環境を確保するために、有害化学物質対策につきましては環境行政の最重点課題の一つといたしまして積極的に取り組んでいくことといたしております。
 その具体的な取り組み内容につきましては、まず、各局がそれぞれ関係いたします調査研究を一層充実した内容で推進してまいりたいと、このように考えております。それから、中長期的な視点を踏まえました総合的な有害化学物質対策のあり方につきまして検討しておるところでございますが、そのための予算といたしましても総合化学物質対策検討費を計上をいたしております。また、昭和四十八年に制定されました化学物質の製造、輸入、使用について必要な規制を行うということを目的にいたしております化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、最近の問題に配慮して昨年五月に改正されたのでございますが、その内容としては、その制度を一層強化しまして、また、その規制の対象範囲も拡大をいたしておりまして、ことしの四月一日からこれは施行をいたしておりますが、環境庁といたしましても、その法律の適正な運用を図ってまいりたいと存じております。
 以上のように、環境庁としましてもこの有害化学物質対策に対しましては懸命に取り組んでおるところでございます。
#92
○中野鉄造君 昨年の十二月に環境庁が発表いたしました六十年度の化学物質環境調査の内容についてお尋ねしたいんですが、今も言われましたが、特に有機塩素化学物質でありますPCB、この汚染状況はどうなっていますか。
#93
○政府委員(目黒克己君) 昭和六十年度の生物のモニタリングの調査結果によりますと、全国の十六の地域のものについて調べましたところが、十八の生物のうち十の生物からPCBが検出されております。また、検出されました濃度レベルは〇・○三から二・一ppmとなっているのでございまして、特に問題となるほどではないというふうに考えているのでございます。
 また、PCBは化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づきまして所要の規制が実施されておりまして、環境汚染が進行するということはないというふうに考えておるのでございますが、今後とも、生物モニタリング等によりまして環境残留の推移を注意深く監視してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 概況は大体そんな状況でございます。
#94
○中野鉄造君 ちょっと話は違いますけれども、例えばダイオキシンについて見ますと、これは食品の汚染からくるダイオキシンの摂取量でございますが、日本の許容の目安が百ピコグラムです。欧米での許容量は一ないし十ピコグラム、こういうような相当な開きがあるわけですけれども、この辺のところについてどういうように考えておりますか。
#95
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点につきましては、私どもの方の関係する問題であるかどうか、やはり他の省庁の問題等ございますので……
#96
○中野鉄造君 考え方を聞いているんです。
#97
○政府委員(目黒克己君) 私どもの考え方といたしましては、この基準等については現在たしか、私記憶が定かでございませんが、はっきりしたものが決められてないようなように私はちょっと存じておるんでございますけれども、食品中とかあるいは水とか、そういうふうな直接人体に害を与えるような問題等々というようなことにつきましてはそれ相応の対応は必要ではなかろうかというふうには考えておるところでございます。いずれにいたしましてもこれはサイエンスの問題でございますので、それぞれの専門家等の御意見をまって進むべきものではなかろうかというふうに考えております。いずれにいたしましても、環境汚染というふうな立場から申しますと、有害なものであると仮にわかった場合には、できるだけ少ない方がいいというふうな考え方をいたしておるところでございます。
#98
○中野鉄造君 私が聞きたいのは、いわゆるそういう食品添加物、こういったようなものは、食品に直接いろいろな防腐剤だとか着色剤だとかいうものを添加して製造、販売しているわけですけれども、そうじゃなくて、今申し上げるような、例えば水質汚染だとか、そして畜産関係の生産品に対しても直接間接的にいろいろな問題が起こってくるんじゃないのか。私が今お聞きしたことは直接には厚生省あたりの所管になるかもしれませんけれども、環境庁としてはそういうような点をどのように考えているかということをお尋ねしたいんです。
#99
○政府委員(目黒克己君) 私どもといたしましては、現在、先ほど御説明を申し上げましたような生物モニタリング調査等の調査をいたしておるところでございます。したがいまして、これらの調査も十分私どもやりながらそれなりの物質についてそれぞれ注意深く監視していくこととしてまいりたいと、そのように考えておるのでございます。
#100
○中野鉄造君 そこで、特に有機塩素化合物でありますPCB、この汚染状況は今どうなっていますか。
#101
○政府委員(目黒克己君) 先ほどちょっと申し上げましたように、十六の地域で、魚類十二、貝類が四、鳥類が二という十八の生物、それから十の生物といたしましては魚類七、貝類二、鳥類一というものからPCBが検出をされているのでございます。また、検出された濃度も〇・〇三から二・一ppmということでございますが、これはいずれも食品中のPCBの暫定規制値は三ppmでございますが、これと比較いたしましても低いというふうな状況でございます。したがいまして、私どもの方といたしましては、この状況については特に問題となるほどのものではないというふうに考えているというのが現状でございます。
#102
○中野鉄造君 さて、少し具体的にお尋ねしますけれども、現在回収されたPCBが、御承知のように、鐘淵化学高砂工業所に五千五百トン、三菱モンサント化成に約一千トン、そしてノーカーボン紙として三千五百トンが保管されていると聞いておりますけれども、そのうちの鐘淵化学の五千五百トンがいよいよ陸上焼却処理するというようになっているようですけれども、その本焼却に至る方途、段取り、その点について、そしてまた安全性について具体的にお尋ねしたいと思います。
#103
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 先生のお尋ねは高砂工場におきますPCB処理がどういう形で進んできておるのかというお尋ねでございますが、御指摘の高砂にございます液状廃PCBにつきましては、環境庁が昭和六十年の十二月に焼却の試験を実施いたしまして、その最高の技術水準におきます処理の安全性を確認したところでございまして、現在その結果を踏まえまして鐘淵化学工場におきまして具体的な処理の準備が進められておるという状況にございます。
 さらに、この処理を実施するための施設計画や本処理中の監視計画につきましては、兵庫県におきまして液状廃PCB高温熱分解処理審査委員会というものを設置いたしまして、学識経験者等の御意見を聞きながら安全性の確認を行っておるところでございます。さらに、施設の竣工後の試運転によりましてさらにその安全性を点検した上で本処理を行うということを決めているところでございます。環境庁といたしましては、今後とも環境保全上万全を期するように指導してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
#104
○中野鉄造君 それを実施するに当たって市は県に対して十二項目ぐらいの条件をつけて要請をしているようですけれども、その結果どういうふうになっていますか。
#105
○政府委員(長谷川慧重君) 市の立場におきましていろんな御意見、住民の御意見を聞きながらいろんな御意見を県の方に提出いたしまして、県もそれを十分踏まえながら審査委員会でいろんな御議論をして、現在の科学技術の水準をもって行えば安全に処理できるということで県の方の審査委員会の結論が出ているわけでございます。それに基づきまして現在鐘淵化学工場の処理につきましての手続等が行われておりまして、それが承認されまして、現在鐘淵化学工場におきましてはそのための処理施設の建設に着手いたしておるところでございます。
#106
○中野鉄造君 地域住民の方々はその安全性について非常にやっぱり不安を持っていると思います。さきの試験焼却、これは三十六トンほどの試験焼却をやったと聞いておりますけれども、その結果、環境への影響は認められなかったということで本焼却に踏み切ろうとしていると思いますけれども、本焼却になれば、これは当然なことながら相当の量になるわけですから、住民の不安というものはそれだけ増大してくるわけです。その住民の不安を除くためにも、試験関係の資料を公開するとかあるいは関係者以外の客観的評価を受ける、そういったようなことが必要ではないのかなと思うわけですが、いかがですか。
#107
○政府委員(長谷川慧重君) 環境庁が一昨年の十二月に実験を行いましたときにおきましては、先生お話しございましたように、学識経験者から成ります環境庁の中の液状廃PCB高温熱分解試験検討会といいますものを設置いたしまして専門家の助言なり指導を仰ぎ、それに基づきまして試験実施をいたしまして、その検討会におきましてその試験の結果の評価をいただいた上で安全に焼却処理ができるという答えをいただいているわけでございます。
 兵庫県におきましても、同じように専門家によります委員会をつくりまして検討したというようなことにつきましては、その内容等につきましては、先生からお話しございましたように高砂市の方にも十分御連絡申し上げてございますし、市の中におきましても何回か住民に対する説明会等も開きまして、そういう面での科学的知識といいますか、現在の学問的評価というものにつきまして住民の方々に十分に御理解をいただいて、今後実際の焼却試験を行いますに当たりましても、そういう面でも、住民の方々がその結果の内容についていつでも聞けるように、あるいは焼却の過程についていつでも、見れると言ったら語弊あるのかもしれませんけれども、そういうことで、いわゆる公開主義に基づきましてこの焼却の作業が進められるというぐあいに理解いたしております。
#108
○中野鉄造君 そこで、本焼却の費用が果たしてどのくらいかかるのか、それは企業が負担するのか、また本焼却における環境庁のかかわりについてお話しいただきたいと思います。
#109
○政府委員(長谷川慧重君) 本焼却につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、鐘淵化学工業が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきます事業者処理責任の原則に基づきまして実施されるものでございまして、したがって、その費用はすべて事業者たる鐘淵化学工業が負担するものというぐあいに承知いたしております。大ざっぱにその概算的な費用は約三十億円と聞いております。
 それから、この焼却に対します環境庁としてのかかわり方でございますが、ただいま申し上げましたように、産業廃棄物の処理は、その原則といたしましては事業者たる鐘淵化学工業株式会社にあるというぐあいに理解いたしております。しかしながら、先生からお話しございましたように、処理に当たっての安全の確保に万全を期するという観点から兵庫県が慎重にその指導監督に努めておるというところでございますが、環境庁といたしましては、処理計画等を審査するための兵庫県に設置いたしました、先ほど申し上げました委員会に実際的に参画することによりまして環境汚染の未然防止の観点から必要な指導を行ってきたところでございまして、今後とも、県を通じまして随時報告を求めるなど監督に遺漏のないようにやってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
#110
○中野鉄造君 その法的手続の手順というのはもう順調に進んでいますか。
#111
○政府委員(長谷川慧重君) 事業主体でございます鐘淵化学工業におきましては、先生からお話しございましたようにいろんな各種法律がかかわっているわけでございますが、各種法律等に基づきます手続を終えまして現在施設の設置に着手いたしているところでございます。十一月末ごろには設置が完了するというぐあいに聞いておるところでございます。
#112
○中野鉄造君 この件については最終的にはやはり環境庁が県にいろいろ慎重に指導をして行うべきですけれども、我が国としては非常に大量な陸上焼却を行うわけでして、もしその結果がうまくいかなかった、問題が起こったというときにはどうしてもやはり国の責任になってくるわけですから、その辺に対する大臣の所信をお聞きしたいと思います。
#113
○国務大臣(稲村利幸君) 中野委員の大変専門的な御意見を拝聴しておりまして、環境庁としても、PCBの処理は、国民の理解を得つつ環境保全上適切な方法で進めていくことが極めて重大、大切であると考えており、今後とも、関係省庁と十分緊密な連絡をとって誤りのなきよう対処していかなければならないと思っております。
#114
○中野鉄造君 次に、四日市市の三菱モンサント化成に約九百七十トンが別に保管されていると聞いておりますけれども、この処理計画はどうなっていますか。
#115
○説明員(阿部巳喜雄君) 先生御指摘のとおり、三菱モンサント四日市工場において約一千トンのPCBが保管されてございますが、これにつきましては高温熱分解処理方式による処理を検討しているというふうに聞いております。
#116
○中野鉄造君 環境庁はどうですか、この問題については。
#117
○政府委員(長谷川慧重君) 液状廃PCBの処理につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、環境庁の試験におきましては、環境に被害を及ぼさないで完全に処理できるという技術が確立しておるという点では自信を持っているところでございます。そういう面で、ほかのところにおきましても、環境庁が実験いたしました手法を用いまして処理されれば環境に汚染を起こさないで処理できるものというぐあいに考えているところでございます。
 ただ、現在といたしましては、私どもは、この高砂におきます実際の焼却試験が本当に環境に汚染のないような形で行われるというぐあいに考えを持ってはございますけれども、やはり、その実際の処理に当たりましてはどういうことが起こるかわからないという点もあるわけでございますので、環境庁といたしましては、とにかく、この高砂におきます焼却作業が順調に、本当に科学的評価に基づいて安全であるということが実際の場において確認されるということを、まず先に仕事を進めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
#118
○中野鉄造君 そうすると、鐘淵化学の焼却とは別個に、先ほど通産省が言われた三菱モンサントの熱処理で焼却すると。これは別個のそういう施設をつくるわけですか、そういうふうになっているんですか。
#119
○説明員(阿部巳喜雄君) 別途のものをつくるか、あるいはほかのものが、高砂工場に今回新しく処理工場をつくるわけでございますのですが、そういうものが利用可能なのかということも含めて会社の方としては検討しているというふうに聞いております。
#120
○中野鉄造君 そうした現在保管されているものとは別に、現在私たちの周辺にはいろいろなPCBに関連するものが使われているわけですけれども、その中でも特にトランスの閉鎖系で用いられているPCB、これはもう現在も使用し続けられているわけですけれども、この量が二万九千トンに達しているというように聞いております。ところが、二万九千トンに及ぶこれらのトランスもそろそろ寿命が来つつある、今のうちにその処分方法を確立しておかなくちゃいけないのじゃないのかなと、こういう気がするわけです。トランスの火災が起これば大量なダイオキシンが発生する、そういう危険性はもう周知されているところです。海外での例を見ても、このPCB入りのトランスが燃えてそのビル全体が使用不能になった、こういう事例もあるようですが、消防庁はきょう来ておりませんけれども、消防庁あたりでは、どこにPCBが保管してあるか、また、PCB入りのトランスは今どの程度あるのか、どうなっているのか、そういうようなことをまだ把握していないと聞いておりますが、この点、通産省はどうですか。
#121
○説明員(横江信義君) PCBを使用したトランスのお話でございますが、PCBを使用したトランスにつきましては、これが使用済みとなった場合には、そのトランスを使用していた事業者が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき保管することとされております。したがって、トランスを保管しております各事業者が厳重に管理しているところでございまして、通産省としても、廃棄物処理を所管しております厚生省等と連携をとりつつその管理に万全を期すべくやっているところでございます。具体的には、各事業者に対しましてその保管状況を財団法人電気絶縁物処理協会に連絡すべく指導しているところでございまして、その数字は把握をしておるところでございます。
#122
○中野鉄造君 環境庁は把握してますか。
#123
○政府委員(渡辺武君) 各省からいろいろのお話は聞いておりますけれども、直接私たちの方で現状を把握しているということではございません。
#124
○中野鉄造君 やはりトランスの火災ということはよくあることですけれども、これがそういう万一火災になったときには大量のダイオキシンを発生するというような非常に物騒な代物なんです。ここいらのところは、やはり消防庁、通産省また環境庁、そういったようなところも一応把握しておくべきではないのかなと思うわけですが、いかがですか、環境庁。
#125
○政府委員(加藤陸美君) PCBの処理につきましては、先ほど来関係省庁を含めまして先生の御質問に御答弁申し上げておりますとおり、通産省、厚生省等それぞれの立場で推進されておるわけでございます。御指摘のとおり環境保全上重要な問題でございますので、この処理が円滑に推進されますように関係省庁と従来も推進会議等で十分連絡をとってまいりましたところでございますが、今後とも、御趣旨に沿って強力に推進できるよう努力してまいりたいと存じます。
#126
○中野鉄造君 今も申しましたように現在使用し続けているその量が何と二万九千トン、火災にならずともやはりこれは耐用年数というものが来るわけでして、いずれは遅かれ早かれその処理というものの時期も来るわけですから、そういうときのためにも、それぞれの企業に任せるのではなくて、環境庁としてもその対応というものについてやっぱり今から考えていくべき必要があるのではないのかなと、こういう気がいたします。どうか、そこの辺を通産省あるいは消防庁ともひとつ連携をとりながら考えていただきたいと思うんです。
 次に、PCB入りのノーカーボン紙については既に五十二年八月から五十四年七月までに約千八百トンが焼却処理されました。これはどこでどのような方法で処理されたんですか。
#127
○説明員(及川耕造君) 先生ただいま御指摘のとおり、昭和五十二年から五十四年にかけまして約千八百トンのPCB入りのノーカーボン紙というものを処理したわけでございますが、これはいずれも洋上、船で焼却をいたしたものでございます。その半数につきましては、洋上焼却処理船昭和丸によりまして東京湾におきまして、PCB入り旧ノーカーボン紙処理協会、現在は社団法人旧ノーカーボン紙協会というふうに変更しておりますけれども、そこの焼却試験として実施したわけでございます。焼却試験の場合は廃棄物の処理及び清掃に関する法律におきまして届け出の必要がなかったわけでございますが、別途横浜市等に対してお話しをし、それを踏まえまして残りの半数、約八百六十トンでございますけれども、同じく昭和丸によりまして東京湾において、これはメーカー四社の自己処理として焼却を行ったものでございます。
#128
○中野鉄造君 そうしますと、その焼却の結果の、大気、周辺土壌、海上ですから土壌ということありませんけれども、海水ですね、そういったようなものの分析はなされたのか、環境庁はどういうようにそれに関係をしたのか、またその分析結果の公表はされたのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
#129
○説明員(及川耕造君) 焼却の実施者でございます旧ノーカーボン紙協会から手続によりまして横浜市に対して調査結果を御報告申し上げております。私どもにつきましては非公式には聞いておりますけれども、結果そのものは問題がないというふうに承っております。ですから、結果につきましてはそういうことで公表いたしていないと承知いたしております。
#130
○中野鉄造君 環境庁。
#131
○政府委員(渡辺武君) 今通産省からお答えになりました焼却に関しましては、大分前の話でございますが、五十年八月、通産省に旧ノーカーボン紙処理対策委員会というのができていろいろ検討したわけでございますが、そのメンバーの一員として私たちの局の担当課長が入っておりまして、事前にいろいろそういう意味ではお話は承っておりました。また、事業を実施しました後の結果につきましても御報告はいただいております。そのようなかかわり合いでございました。
#132
○中野鉄造君 そのほか、現在中央官庁にはどのくらいノーカーボン紙が保管されていますか。
#133
○説明員(加藤三郎君) 厚生省は、都道府県それから政令市を通じまして、昨年の四月に、国それから地方公共団体さらに民間企業を対象にいたしまして今お尋ねのPCB入りノーカーボン紙の保管量調査を実施したわけでございます。全国の保管量は八百五十二トンということでございますが、今お尋ねの国での保管量は三百十二トンというふうになっております。
#134
○中野鉄造君 その処理方法は考えていますか。ずうっと保管し続けるんですか。
#135
○説明員(加藤三郎君) ノーカーボン紙の処理に当たりましては、通産省の所管団体でいろいろと検討されておるわけでございますが、私どもといたしましては、いずれにいたしましても保管に当たっては適正に保管する、つまり、流出したりそういったことがないように改めて自治体に対しまして通知を出しておるわけでございます。
#136
○中野鉄造君 処理する考えはないと。
#137
○説明員(加藤三郎君) このノーカーボンにつきましては、先ほども申し上げましたように、通産省の方に社団法人旧ノーカーボン紙協会がございましてここで処理の技術も検討をされておるわけでございます。そういった技術が確立するまでの間は、私どもとしては適正に、つまり、流失するようなことがないように、どこかになくなってしまうといったことのないように適切に保管しておくということが必要というふうに考えております。
#138
○中野鉄造君 もう時間がありませんから最後に、福島県の都路村でもこのPCB焼却場の建設計画が進められようとしておりまして、これをめぐっていろいろ問題もちらほら聞いておりますけれども、その経過と現在の状況をお聞きしたいと思います。
#139
○説明員(横江信義君) 福島県の都路村のPCBの焼却場の建設計画につきましてですが、私どもといたしましてはこれを新聞記事等によりまして承知はしておりますが、仮に、本計画が新聞等にあるようにPCBの処理を事業として行うということでございますと、これは、先ほど私が引用しました法律に基づきまして、事業を行おうとする者が都道府県知事に申請をして許可を得るという手続を経るべきものでございます。したがって、先ほど申しました廃棄物の処理及び清掃に関する法律を私どもが直接所管してございませんので、事実関係を詰めるという立場にはございません。
#140
○中野鉄造君 このことについては環境庁は聞いておりますね、この都路村の問題。
#141
○政府委員(渡辺武君) 環境庁としてはまだお話を聞いておりません。
#142
○中野鉄造君 全然知らないんですか。
#143
○政府委員(渡辺武君) 新聞等に記事が載ったということで、それを読みましたという程度でございまして……。
#144
○中野鉄造君 先ほどから同僚委員もいろいろ質問されておりましたけれども、私たち考えてみるときに、何か事が起こってから環境庁が動き出すと、こういうようなことではなしに、いかにそういう問題を未然に防止するかというのが最も大事じゃないかと、こう思うわけです。こういうことに通産省あたりではいろいろ関係をしているようですけれども、こういう焼却場建設がそういう地方で行われようとしている、それを新聞で知っているという程度でそれでいいんですかね。環境庁、いかがですか。
#145
○政府委員(加藤陸美君) お答え申し上げます。
 このPCBは一つの典型的な化学物質でございますので、これにつきましては政府部内、関係省庁といたしまして実は九省庁あるわけでございますが、しかし、それぞれ連絡を取り合うために推進会議というのを設けて進めてきております。役割分担ももちろん決めておりますが、それだけで十分かというお尋ねでございますけれども、私ども、もちろん常にそういう情報を把握しながらお互いの連携をとっていけるように努力しなければならぬと思っておりますので、今後ともその連携充実に努力してまいりたいと思っております。
#146
○中野鉄造君 もう時間がありませんからあまりくどくど申しませんけれども、要は縦割り行政の弊害とでも申しましょうか、この大臣所信の中に書いてあることは実に立派なことですけれども、一歩中を突っ込むと、そこに羊頭狗肉のような感を深くするわけです。今言ったような例でもそのとおりですね。大臣、最後に、ここら辺の反省というか、これからの決意を、所信を明らかにしていただきたい。
#147
○国務大臣(稲村利幸君) 中野委員の今の御指摘を十分踏まえ、環境庁は確かに調整、企画そういうことで受け身であってはならない、私も環境庁長官に就任して以来そういう強い意気込みを持って入ったわけでございますが、今の先生の御趣旨を体してさらに注意をして頑張りたい、こう思います。
#148
○中野鉄造君 終わります。
#149
○近藤忠孝君 最初に知床の問題について質問しますが、先ほど丸谷委員から詳しく議論がありましたので、簡単に申し上げます。
 林野庁がこの伐採に踏み切った理由が、一つは、動物調査で伐採にゴーサインが出た、あるいは地元斜里町の了解を取りつけたというような根拠だったわけであります。しかし、これも先ほど指摘のとおり現職町長が選挙に敗れまして、まさしく、最大の争点になった点で、これ以上の破壊ではなくて保全をせよという町民の審判だと思います。そこで林野庁、こういう厳しい審判が下されたことをどうとらえているか、まずお伺いいたします。
#150
○説明員(塚本隆久君) 選挙の結果につきましてはコメントを差し控えたいと思いますが、今後、知床国有林の切り出しにつきましては新しい町長さんと十分意思疎通を図る中で対応を決めてまいりたいと思っております。
#151
○近藤忠孝君 従来の調査についてもこれは先ほど指摘があったとおりであります。我が党も林野庁に、この調査に当たっては、その範囲、内容、方法、スタッフなどにおいて科学者、専門家、地元自治体それから自然保護団体などの意見を十分に聞くこと、それから調査結果の評価に当たってはこれらの人々を含む公正、民主的な委員会を設置して慎重に行うこと、この二点を申し入れしてまいったところであります。今後こういう体制で、先ほど新しい取り組みということを申したので、調査についてもこういう角度から調査を行うべきだと思うんですが、どうですか。
#152
○説明員(塚本隆久君) 調査につきましても、多くの専門家の意見を聞く中で充実した調査を行ってまいりたいと思っております。
#153
○近藤忠孝君 それから、前回のこの伐採に当たってはヘリコプターで空中からつり上げる、抜き切りというんですね、だから、周辺の樹木は傷めないし影響は少ないという説明だったわけであります。ところが、今回の伐採の現場の状況を見てみますと、この大木の周囲に生えている樹木をまず切り払って周りをきれいにした上で伐採ですね。しかも、その大木が倒れるときには近くに立っている木の枝がなで切りになって、まさしくもう見るも無残な損傷を与えている。そして一たん切り倒した後でヘリ集材している、こういう状況なんですね。結局これは森林に大きな損傷を与えたやり方でやっぱり問題だと思うんですが、こういう点についての再検討はどうでしょう。
#154
○説明員(塚本隆久君) 自然保護に留意をしてヘリコプター集材を行うということの一番大きな意味は、林道をつけずに木材を搬出するというところにあったわけでございます。今回はそういうことで伐採をいたしたわけでございますが、伐採に伴って生ずる、支障木と申しておりますが、こういうものができるだけ少なくなるように配慮したつもりでございますが、結果として今御指摘のありましたような形での支障木が出たことは事実でございます。林業として山を扱っていく場合には、支障木というものは当然ある程度出てくるということは当初から予想されていたわけでございまして、ここらを事前にお話しをしていなかったことにつきましては私どもとしても反省をいたしているわけでございますが、今後もし伐採を行うということになりましても、そうした支障木につきましては今まで以上に配慮を払って実施をしていく、このように考えておるところでございます。
#155
○近藤忠孝君 その伐採を行うべきじゃないと思うんです。ああいう状況はやはりほかの場合にも当てはまるわけですので、そういう意味ではこういう点の再検討は私必要だと思うわけであります。
 それから、これは環境庁に対する質問でありますが、シマフクロウ、オジロワシ、ヒグマなどの生息と繁殖を確保する上でえさとなるサケ、マスなどの魚の遡上を確保することがやっぱり大事だと思うんです。このためには、原生的な森林を保全するのと自然河川の状況をできるだけ守ることが大事だと思うんですね。しかし、砂防ダムそれからサケ・マスふ化場などの人工構造物などがあって上れなくなっている、こういう状況があります。自然の状況に戻っていくようなこういう点について建設省などと協議すべきではないか、それからサケ、マスを殺さないで上流に上れるように技術的な検討も含めて協議していくべきじゃないかと思いますが、どうですか。
#156
○政府委員(古賀章介君) シマフクロウにつきましては、環境庁は従来から鳥獣保護区の設定などを行いますとともに、給餌事業でありますとか巣箱かけなどを行いましてその保護に努めてきたところでございます。シマフクロウの保護を図ります上で特に重要なことは、今先生が御指摘になりましたように生息環境の保護とえさの確保であると考えております。今お述べになりましたようなサケなどの魚類が遡上できるような状況になることは望ましいものと考えておるわけでございまして、関係省庁ともよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。
#157
○近藤忠孝君 それから、先ほど話が出ましたB、Cブロックですが、私は、これも保全林として伐採せずに活用する道を検討すべきだと思います。その点についての環境庁の見解を伺いたい。
 環境庁は、国立公園の保護保全それから野生動植物の保護の見地から、現在特別地域の第二種、第三種に指定されている針葉樹や広葉樹の混合林地帯を特別保護地帯に格上げして保護の実効性が上がるようにすべきだと思います。ハイマツや高山植物の生えている高山帯だけではなくて原生的森林そのものを特別保護地域として保全する道を追求すべきだと思いますが、長官の決意をお聞きしたいと思うんです。
#158
○政府委員(古賀章介君) これも先生御案内のとおりでございますが、知床国立公園は昭和三十九年に指定されたわけでありますが、その後の社会情勢の変化を踏まえまして、自然の保護を基調といたしまして昭和五十九年に国立公園計画全般にわたりまして再検討を行ったところでございます。国立公園の公園計画につきましては再検討後おおむね五年ごとに見直しを行うこととしておりますので、今後の公園計画の見直しに際しましても国立公園の保護の立場で適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
 それでこの見直しの時期が、五十九年からおおむね五年間ということになりますと昭和六十四年になるわけでございますので、そういう時期も近づいてきておりますから、そのための準備を進めたいというふうに考えております。そういう公園計画の見直しの中で先生御指摘のような問題を解決できるものは解決してまいりたいということでございます。
#159
○国務大臣(稲村利幸君) 申し上げるまでもなく近藤先生御指摘のとおり、この知床は自然公園の中でもかけがえのない特に自然性の高い公園でございますので、この国民の自然を大切にしたいという気持ちの高まり、これはもう大切にして、今後とも頑張っていかなきゃならない、こう思います。
#160
○近藤忠孝君 次の問題に移ります。
 先ほど、所信表明で環境行政の重要性について発言がありました。私は、その重要性の意味だと思います。
   〔委員長退席、理事山東昭子君着席〕
 そこでまず、環境庁の基本的な責務としてはこういうことだと思うんです。一つは、自然保護の問題もありましたが、国民の面から見てみますと、生命、健康が企業の活動によって重大な危機にさらされることがあるときには、こういう危機の防止それから国民の生命、健康の安全確保の責務を負っているんだと私は思います。そして、行政庁特に環境庁は、個々の国民の生命、健康に重大な危害が切迫している場合には、積極的にその危害の発生を防止及び排除するのに役立つ各種法規の規制、権限を行使して強力な行政指導を行うなどできる限りの可能な手段を行使して危機の発生を防止、それから排除の措置をとるべき義務がある。私はこれが環境庁の基本的責務だと思いますが、いかがでしょうか。
#161
○政府委員(目黒克己君) 今御指摘の点につきましては、基本的な問題として、公害患者等にかかわります救済等につきましては救済すべきものは救済するといったような点、あるいは公害を未然に防止する等々といったような点については当然私どももそういうふうな考えに立っているところでございます。しかしながら、この種の問題につきましては他省庁、各省庁にわたるいろいろな問題がございますので、そういう面も含めまして、他省庁、各省庁ともどもそういう考え方の中で必要に応じて協議し、あるいは連携を持ちながら対応しているというのが現状でございます。
#162
○近藤忠孝君 私が先ほど読み上げたのは、これは憲法第十三条の国の責務をまさに敷衍したものだと思うんですが、こういう責務が国にあるという点はそのとおりでしょう。
#163
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点につきましては、国全体としてはそういうことに相なろうかと思っております。
#164
○近藤忠孝君 国全体というよりも、特にやっぱり環境行政、国民の生命、健康を守るという立場の環境庁に敷衍すればこういうことだと思うんです。
 それで、警戒してなかなか答えないんですが、これは要するに、この間三月の末にありました水俣病の第三次訴訟の判決の中に出ている国の責務、行政庁の責務というものなんですよ。お認めになるでしょう。
#165
○政府委員(目黒克己君) 裁判でそういう問題について触れておることについては承知いたしております。
#166
○近藤忠孝君 これはやっぱり司法も認める国の、特に環境行政の責務だと思うんです。
 先ほどの所信表明の中で「環境行政は二十一世紀を目指して長期的な見通しのもとに」と、これも私は結構だと思うんですが、問題は、足元を忘れていやしないかと。一つは、この間五月十一日の予算委員会で私が指摘した公健法の指定地域全面解除の問題、そしてもう一つは水俣の問題ですね。きょうは水俣病問題を主に指摘をしたいと思っております。
 今回の所信表明の中で「水俣病対策につきましては、認定業務の一層の促進等その推進に努めてまいります。」と。この「等」とは何を言っておるんですか。
#167
○政府委員(目黒克己君) これは、私どもの水俣病問題につきましては広範な問題がございまして、一つはヘドロの問題とか、あるいは救済の問題とか裁判の問題等々先生御承知のように広範な問題を含んでいるわけでございます。その中でそれぞれ関係各省庁と連携をとりながら、必要に応じあるいはその責務に応じて私ども対応をいたしているところでございまして、環境庁はということになりますれば、救済等を含めまして、県債の問題あるいはヘドロの問題等といったようなことが含まれているというふうに私ども理解をいたしているところでございます。
#168
○近藤忠孝君 三月三十日の水俣病第三次訴訟第一陣原告についての熊本地裁の判決で次のことが指摘されています。端的に次のような指摘があったかどうか確認いたします。
 一つは、現在の判断基準が厳し過ぎて慢性型、不全型の水俣病を把握し得ない。このため、認定審査会の資料も信憑性が乏しい。国と県が水俣病でないと棄却した者も水俣病と認定し、救済すべきだ。これが一つです。それからもう一つは、汚染の最盛期に国、県がチッソの工場排水を停止し、汚染魚介類の漁獲や販売、摂取の禁止などの適切な措置をとらなければ水俣病被害が次々と発生し拡大していくのをとめることができないという極めて切迫した破滅的な事態のもとで、これらの措置をとらないで被害をどんどん拡大させてしまった国、県の責任が具体的に明らかにされた。
 こういう指摘があることは間違いないでしょう。
   〔理事山東昭子君退席、委員長着席〕
#169
○政府委員(目黒克己君) 大筋そのようなことが含まれておるというふうに私どもは承知いたしております。
#170
○近藤忠孝君 実際は、国みずからの産業政策、経済政策ということで化学産業の発展を大いに促進したわけですが、そういう重要な一翼を構成するチッソの水俣工場が有機水銀を含む工場排水をたれ流して水俣病の発生が拡大する危険を迎えた際に、やっぱり国がこれを規制し、防ぐべきだったと。私は、判決の指摘はまさしくそのとおりだと思うんです。その責任がここで明らかにされた以上、控訴という態度ではなくて、むしろ、損害賠償に国自身が責任を持って当たると同時に、被害者に対して、こういう措置をとれなかったということに対してそういうしかるべき態度を示すべきだったのではないか、私はこう思うんですが、これは長官の答弁をいただきたい。
#171
○国務大臣(稲村利幸君) 判決において水俣病の発生拡大に関し国家賠償法に基づく国の責任が認められましたことは、私どもの主張が入れられず、残念であると考えております。この判決につきましては、関係省庁間協議の上福岡高等裁判所に控訴したところであり、同裁判所の判断を待っているところでございます。
#172
○近藤忠孝君 六十一年度版の公害白書の「水俣病」のところに「沿革」がありますね。そこに「三十四年十一月 食品衛生調査会、有機水銀説を厚生大臣に答申」ということが書いてあります。これはやっぱり水俣病の沿革の中で大変重要な時期だから指摘したんだろうと私は思うんですが、この時期は、水俣病の国の責任の面からいうとどういう時期であったわけでしょうか。――すぐお答えがないということは、余り自覚していないと。それじゃ、こちらから言っちゃいましょう。
 昭和三十二年九月ごろから遅くとも今指摘されている昭和三十四年十一月ごろには、水俣工場排水の排出停止及び汚染魚介類の云々と。要するに、そういう措置を講ずべき法的な義務すなわち規制権限等を行使すべき作為義務が発生しておったと言うんですね。いわば、国の責任を明確に裁判所が認めた中で極めて重大な時期であったと思いますが、そういう自覚はありますか。
#173
○政府委員(渡辺武君) 先生御指摘のように、昭和三十四年に食品衛生調査会という会合で、水俣病の原因がある種の有機水銀であるらしいということの結論を出されたということでありまして、全体の水俣病の経緯の中では一つの節目の時期であったんではないのかというように思います。しかし、原因物質がそのような物質であるんではないかということがある程度わかったということをもってして直ちに排水規制に係ります基準を設定できるかというと、実はそうではありませんで、有機水銀が原因であるらしいということはわかったわけでございますが、工場は有機水銀を排出はしておりませんでした。排出基準というのは工場からの排水を規制するわけでございますので、その工場の排水の中に有機水銀があるということがまたもう一つわからなければならなかったわけでございます。工場では無機水銀は使っておりますけれども、有機水銀を排出しておるということは当時はわからなかったわけでございまして、したがいまして一つの大きな節目の時期であったかと思いますけれども、なおかつそれがわかるまでは排水規制という具体的な措置はなかなかとり得なかったという時期でもあったわけでございます。
#174
○近藤忠孝君 そういう弁解は成り立たぬということは判決の中に詳しく書いてありますね。三十四年十一月というのは、もっと前に義務が発生しておったと見るべきだけれども、いわば最終の線だという指摘なんです。
 それで、ちょっと話変えますが、先ほど長官は、こういう厳しい判決が出て残念だと言うんですが、もう既にこれ提訴して七年、みんな高齢ですからあと七年も八年もやっておったらみんな死んじゃいますね。こんなひどい目に遭ってきた人に対してやはりまさしく本当の救済の手を差し伸べることが必要だと私は思うんですね。となりますと、私は、控訴をすることではなくて、むしろこれを受けとめ、積極的に対応すべきだと思うんです。
 そういう点で、むしろ国は、民間企業に対してはそんな控訴するなどか上告するなどか言っておるんです。この前にこれも私が取り上げましたけれども、例えば八五年の福岡高裁判決の際に、環境庁長官はチッソに対して上告しないようにと。その結果裁判が確定しておりますね。民間に対してこういう指導をしてきた者が、自分のことになるともうしゃにむに控訴しちゃう。むしろ、民間企業以上に国というのは、判決でも指摘されている基本的な責務があるわけですから、むしろ私は、積極的に出るべきだったんじゃないかと。
 現に、チッソの社長は被害者に今までなかなか会わなかった、逃げ回っておったんですが、今度はしっかり会いまして、四月十日ですが、水俣病によって皆様に大変御苦労をおかけしていることを心からおわびします、この問題を一刻も早く解決することは当社の希望でもあります、会社として真剣に皆さんの御要求について話し合いをし対処していく所存でありますと。一番もとの企業がこういう立場に、私は大変結構な立場だと思うんですが、こういう立場に立っているときに、逆に国が控訴し、争いを続け、むしろ問題の解決を引き延ばしているんじゃないかというこういう批判に対しては、大臣、どうお考えになりますか。
#175
○国務大臣(稲村利幸君) 水俣病の問題は大変複雑な、またいろんな経緯がある問題でございますので、患者の救済、ヘドロの処理、地域振興、裁判、そうした多くの問題を含んでおりますので、慎重にという気持ちで対処しているところでございます。しかし、患者の救済については環境庁としてはこれまで、公健法に基づき、医学を基礎として救済すべきは救済するとの観点からその推進に努めてきているところでございます。
#176
○近藤忠孝君 患者の救済と言いますが、現状は認定基準が極めて厳しい、しかもこれは厳しくされたためにもうほとんどが棄却されておるわけですね。しかし患者は、棄却されても棄却されても救済を求めることをやめるわけにいかない、実際やっぱり被害受けておりますから。だから、今のような棄却状況が続く限りでは問題は解決しないと思います。
 そこで問題は、その認定基準についても今回の判決は極めて明確にまた極めて厳しく、また、司法判断としてはもう二度三度と積み重ねた同じ立場からの判決がありますね。そこで、この点についてまず確認をいたしますが、判決では認定基準についてこう言っております。
 水俣病の判断には、現行の認定基準のような各種症候の組み合わせを必要とする見解は狭さに失し――要するに環境庁の立場は狭さに失し、現在の水俣病の認定制度は多数の不全型または慢性型の水俣病患者の救済の点では問題がある、ということですね。それから水俣病は、神経系障害だけではなく内臓などにも病変を起こす可能性も否定できず、症状も多様である。さらに、汚染された魚介類を多食したという疫学的条件があり、水俣病に見られた自覚症状等臨床症状があれば、明らかに他の疾患による場合を除き水俣病であると認めることができ、厳格な鑑別は必要ない。
 こういう判断が下されております。私はこれ二年前にも大分議論をしたんですが、あのときと同じ答弁じゃきょうは困るのですよ。行政に対して直接判断が下った今日、これをどう受けとめるか、答弁いただきたい。
#177
○政府委員(目黒克己君) 今の判決の点を踏まえましての認定基準といったようなものについてのお話でございますが、これはたびたび先生御指摘のとおり、この場におきましてもいろいろ御指摘をいただいたところでございますが、この司法判断といいましたような場合に、水俣病のとらえ方につきましては先生御承知のように、熊本の二次訴訟におきましては、水俣病は神経系疾患であって全身性疾患は仮説であるといたしまして、他方、抗告訴訟やあるいは熊本の今のお話のありました第三次訴訟におきましては、水俣病は全身性疾患であると、このように判決によってもいろいろ違いがあることは事実でございます。このように水俣病の基本的なとらえ方一つをとってみましても裁判によって異なるのでございます。
 それで。行政といたしましては、やはりこの医学的なものを基礎としたものとして救済すべきは救済するという観点から行わなければならないのでございますので、医学界のコンセンサスを得た現行の判断条件に基づきましたこの水俣病の判断、こういったものは判断条件に基づきましてやっていこうというふうに私ども考えているところでございます。
 またさらに、先生にこの前もお答え申し上げたとおりでございますけれども、特にこの二次訴訟の後には専門家の会議を開きまして、この判断基準について専門家の御意見を伺い、そして、この専門家の御意見に従いまして、判断基準を変える必要ないということでございますので、これが一昨年の十月でございますが、そういうことでございまして、私ども、現在の時点でもやはりこの判断基準につきましては変えるということは考えでおらないのでございます。
#178
○近藤忠孝君 個々の問題でいろんな見方いろんな見解の違いがあることはこれは当然ですよ。しかし、一致していることそしてまた一貫している司法の態度は、今の認定基準のような各種症候の組み合わせを必要とする見解は狭さに失すると、この点ではもう一貫しておるわけです。この点で私が昭和六十年の十一月二十日の当委員会で指摘したときのあなたの答弁は、これはチッソに対する判決であって国に対する直接判決でないから要するに拘束されないと、こういう態度ですね。そして専門家会議の検討はその検討なんですよ。今度は事情ががらっと変わりまして、あなた方被告なんだから、あなた方に対する命令、そしてあなた方がやってきたことは直接狭さに失するよと。まあ、医学論争を私ここでするつもりはありません。あなたはお医者だし私は弁護士だからそんなことやるつもりはないんだけれども。
 ただ問題は、一つの救済という行政措置ですね、医学論争に裁判所が入り込むのはどうかといういろんな意見ありますよ。しかし、少なくともこういう判決をするには、裁判所は相当医学を勉強し、そして原告、被告両団とも大変な議論をした上で出てくるんですから、それは水準は大変なものですよね。そういうことで出てきた上に、そして行政措置に対する司法の判断ですから、あなた方も行政官、行政の者ですね、となれば、それを今までのように直接自分に対する命令でない、判断でないなんということはもう言えなくなっている。控訴したことは別の次元だけれども、今度は少なくともあなた方に直接判断が来たんだから今までと同じことは言っておれないと思うんですよ。だから、前と同じ答弁では私は納得できぬということを前もって言っておいたんだけれども、前と同じ答弁ですが、直接行政に対してこういう判断が下ったという次元で答えていただきたい。専門家会議の検討云々はもう過去の例ですよ。三月三十日以降の事態でお答えいただきたいと思うんです。
#179
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点でございますけれども、やはりこの裁判の問題につきましては現在係争中ということで、先生御指摘のとおりでございます。また、前回一昨年十一月の私のお答え申し上げましたことにつきましても、これは既に先生御存じのように、やはり当時この二次訴訟を受けてやっていったわけでございますが、私どもはあくまでもこの判断基準を変えないと当時申し上げて、その後もお答え申し上げたのは、やはり専門家会議の結論に基づいてそういう判断をしたというふうにお答え申し上げているところでございます。
 また今回も、今度はまだ判決につきましては現在係争中という点もございますが、もちろん私ども、認定業務を促進するという立場から医学的に見て救済すべきは救済するということについては従来とも主張をいたしているところでございまして、この点につきましては、私どももこの医学に基づいて救済すべきは救済するという立場を依然としてとっているのでございます。
#180
○近藤忠孝君 救済すべきは救済すると言っているけれども、実際救済になっていないから続々と裁判が起きて、もう提訴者だけで千名でしょう。これはもっとふえると思います、数千名になると思いますね。要するに、行政が全然解決しないから、仕方ない、最後の手段として裁判所へ行っているんですね。しかも、裁判所の判断というのは行政的な措置に対する判断ではなくてもう民事責任の判断で、これは国としては最悪の恥ずかしい事態だと思いますわね。そういう態度、これは幾ら言ってもあなたは依然として同じことしか言わぬことはわかるからきょうは私はこの程度にしておきますけれども、大変遺憾なことであると思います。
 こういう事態に患者は業を煮やして、怒りを燃やして国連へ提訴をしました。この事態は御承知だと思いますね。国連事務総長とWHO世界保健機構理事長あてに提訴をしたわけです。本来国内で解決すべきことが国外に持ち出されたということについては長官感想なり見解があるかとは思いますが、これはやっぱり日本の環境庁としては大変恥ずかしいことだろうと思うし、ここで一転結論が出て、やっぱり日本の環境庁は間違っておったというようなことがもし出たら一体どうされるのか、これが一つ。
 それから、目黒部長の答弁の中で係争中と申しますけれども、じゃ、控訴審に何年かかるか、今までもう既に一審だけで七年かかっているんですから、そうすると、あと七年あるいは十年ずっと係争して解決しないと患者は全部死んでしまいますよ。それでもいいのか。あわせて長官にお答えいただきたいと思うんです。
#181
○政府委員(目黒克己君) 今のWHOの問題でございますが、このWHOに対して救済申し立てがなされたということについて私ども承知をいたしております。今後、関係省庁と必要に応じて協議をいたしまして対応をしてまいりたいと思っているのでございます。いずれにいたしましても、二番目のお答えにもかかわろうかと思いますが、私ども環境庁といたしましては、今後とも医学を基礎として救済すべきは救済するという観点から認定業務の促進等の水俣病対策の推進に引き続き努力をしてまいりたい、このように考えているのでございます。
 また、特に先生が御指摘になりました二番目のことにつきましても、今申し上げましたようにできるだけ早く判断をしながら認定業務を促進するということ、これを私ども大きな課題といたしまして努力をしてまいるところでございますし、また今までも努力をしてまいってきたつもりでおるわけでございます。
#182
○近藤忠孝君 別の問題に入りますが、大事なことは、現在の微量汚染でも長く大量に魚介類を摂取すると水俣病が発病するという、こういった報告が次から次にされている点であります。
 そこで、厚生省来てもらっていますから、この水銀の基準値、総水銀について〇・四ppm、メチル水銀について〇・三ppm、果たしてこれでいいのかという問題があるんですね。こういう基準が出てきた経過というのは、魚介類の水銀に関する専門家会議の言うように一日当たり摂取量〇・二五ミリグラムが最低発症量とすると、その十分の一に当たる一人一日〇・〇二五ミリグラムが無作用レベル、こう推定したようですね。この暫定規制値というのは、昭和四十六年度の国民栄養調査による日本人の魚介類の平均最大摂食量一日百八・九グラムとして、これから論理的に計算をすると〇・二三ppm、これを総水銀量として見直して〇・四ppm、それからメチル水銀については測定技術上の問題も考慮して〇・一二ppm、こういうことになったと思いますが、そのとおりかどうか。
 これは私は全国平均ならこれでいいと思うのです。問題は、水銀を含んだ魚を多食する水俣地域ではどうかといいますと、泊まり込み調査で、魚介類の平均摂取量は一日当たり二百から三百グラムですね。多いところでは一日当たり五百グラム、こういう実測値があるわけですね。これで換算しますと、二百グラムとして〇・一二五ppm、三百グラムとすると〇・〇八三ppm、五百グラムとすると〇・〇五ppm。これは武内教授が指摘していますが、水俣地域ではまず過去の濃厚汚染を受けている、それから、一日の平均摂取量が水俣漁民では二・三倍多いということを考慮するとメチル水銀で〇・一ppmぐらいまでではないか、〇・三は危ないんだと、こういう指摘もされていますが、あわせてお答えをいただきたいと思うんです。
#183
○説明員(難波江君) 魚介類に関する水銀の暫定的規制値を見直す考えはないかという御指摘だと思うわけでございますが、この暫定的規制値につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、当時の魚介類の水銀に関する専門家会議におきまして、まず魚介類の暫定的摂取限度を決めましょうということで、考え方といたしましては、微量のメチル水銀を長期間摂取し続けても一定限度以下であれば発症に達しないという考え方があったわけでございます。それをもとに、一週間のメチル水銀の摂取量として一人当たり〇・一七ミリグラムというような数字を決めたわけでございます。したがいまして、これを超えないような摂取態様であれば国民は将来ともメチル水銀による健康障害は生じないという考え方があったわけでございます。さらにそれを実効あらしめるために、先生御指摘のトータル水銀で〇・四、メチルで〇・三ppmというような基準を決めたわけでございます。したがいまして、現在これを超えるものについては各都道府県に指示して検査をし、市場から排除しておりますので、国民全般的に見ますと水俣病のような健康障害を起こすおそれはないという実態にあるわけでございます。
 ただ、先生御指摘の特定の地域の多食者の問題でございますが、これにつきましては、仮に、魚介類を摂取することによって、ただいま申し上げました一週間に暫定的摂取限度量の一人〇・一七ミリグラムを超えるようなおそれのある場合につきましては、それぞれ担当県につきまして、従来から食生活の適正な指導等によってこれを超えることのないようにということで指導してまいっているところでございます。したがいまして、今後も、先生御指摘のようなケースについては地域の問題として県に対する指導を強化してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#184
○近藤忠孝君 最後に、しかし〇・三というのは一つの基準だと、それを超えないようにというんじゃ今言ったようにやっぱり危ないわけですね。ですから、これは今後の検討課題として十分考えてほしいんですが、やっぱり地域に合わせて、例えば水俣地域、そのほかでも水銀で汚染されている地域については、これが基準ではない、むしろもっと低いところに基準を置かなきゃいかぬというような意味の検討、見直し、これがあってしかるべきだと思いますが、どうでしょうか。
#185
○説明員(難波江君) 厚生省の立場として地域的に魚介類の水銀の規制値を変えるということも非常に難しい作業でございます。先ほども申し上げましたように一週間の〇・一七ミリグラムという摂取限度を超えるかどうかということが問題になるわけでございまして、場合によっては、食べる量の問題あるいは含まれている魚の水銀濃度の問題、高いものだけ食べるかどうか、全体として一週間に〇・一七を超えるような実態があれば、従来ともやってきたわけでございますが、今後も適切な行政指導を県に対して指導してまいりたいというふうに考えておるところで。ございます。
#186
○山田勇君 最近の環境行政は、昭和五十年代初めのころの公害防止政策といったものからその内容には大きな変化が起きていると思うのであります。公害問題は環境問題の中の一つであり、これからは自然環境保全という大きな目標を据えて環境政策を進めていかなければならないと思います。
 大臣の所信表明の中にも「自然環境の保全」という言葉を使われておりますが、もう一度大臣からこの自然環境保全についての御決意をいただきたいと思います。
#187
○国務大臣(稲村利幸君) 山田委員御指摘のとおり、近年自然の保護や自然との触れ合いを求める国民のニーズが高まりつつあり、自然環境の保全を図ることはますます重要になってきております。かけがえのない自然を国民共有の財産として後世に伝えるため、今後とも自然環境の保全に積極的に取り組んでまいる決意でございます。
#188
○山田勇君 私が昭和四十三年、今から十九年前ですが参議院に初めて議席を与えていただいたころ、関西では尼崎の神崎川を初め至るところで河川の汚染、また瀬戸内の赤潮問題などまさに公害の花盛りといった感がありました。現地に参りまして住民の声を聞くなど、産業経済の発展とは裏腹に公害の発生は大変深刻な問題でありました。
 その後、公害防止政策の推進と産業界の省資源省エネルギーへの転換等により全般的には改善の傾向にあると思いますが、社会経済の発展によりふえ続ける自動車交通公害、窒素酸化物等による大気汚染及び公共用水域の水質の汚濁等については一層の改善努力が必要と思われますが、いかがでございましょうか。
#189
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 お尋ねの大気汚染の関係でございますが、大気汚染は、今先生のお話にもございましたけれども、全般的には改善の傾向にありますものの、大都市圏を中心にいたしましてなお一層の対策を講ずる必要があるわけでございます。このため、工場等からのばい煙につきましては排出基準によります規制を行っておりますほか、東京、大阪等の大都市地域におきましては総量規制を実施する等その対策の推進を図っておるところでございます。
 また、自動車排出ガスにつきましては、本年の一月に大型ディーゼル車につきましては窒素酸化物一五%の削減等を内容とする排出ガス規制の強化を行いますとともに、引き続き中央公害対策審議会におきまして窒素酸化物の一層の低減や、またディーゼル黒煙の低減あるいは走行モードの見直し等につきましての検討をお願いをいたしておるところでございます。
 こうした従来からの諸対策に加えまして、新たに交通量の抑制や交通流の分散・円滑化あるいは低公害車の普及等の総合的な交通公害対策を推進することといたしておりまして、現在関係省庁、自治体等一体となりまして京浜・阪神地域におきまして具体的な計画づくりを進めておるところでございます。
 ただいま申し上げましたようにいろいろ総合的な対策を現在も進めておるところでございますが、今後とも、強力に推進することによりまして大気汚染の改善に努めてまいる考えでございます。
#190
○政府委員(渡辺武君) 水質の汚濁の問題でございますが、先生御指摘のように、一時そうであったような危機的な状態は脱しまして、最近では大分改善をいたしてまいっておると考えております。しかしまだ、閉鎖性の水域、例えば湖とか内湾とかいったところにおきましてはなお問題が残っておりまして、私たち、水質のあるべき姿ということで環境基準というのをつくっておりますが、それの達成率で見ましても湖とか内湾等ではその達成率が低い状態であるわけでございまして、ここを中心に改善を図っていかなきゃならないというのが現状でございます。
 このため、まず湖沼につきましては、先生御承知のように、特に汚濁の著しい湖沼を対象にいたしまして湖沼水質保全特別措置法というのをつくりまして、それで指定をいたしまして計画的に水質浄化のためのいろいろな施設を設置していく、もう一つは、一般的により細かなといいますか、よりきめ細かな規制を実施していくということを内容にいたしました措置を順次実施していくことにいたしておりまして、先般も、三月でございますけれども、重要な湖五つにつきまして湖沼水質保全計画というのを策定したところでございます。
 また、海につきましては、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海を中心にいたしまして水質の総量規制という事業を実施してまいっております。五十四年から第一次をやりまして大分効果があったわけでございますが、なおやり残したところもございますので、さらに六十四年度を目標にした第二次の総量規制を実施することといたしております。これらによりまして、生活排水それから産業排水ともにあわせまして総合的に浄化に努めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
#191
○山田勇君 快適な環境の中で生活することはだれしも望むことでありますが、都市などの環境汚染は、産業公害と日常生活に起因する生活型公害が雑多に入りまじっております。これを解決するためには、汚染発生源対策や社会資本の整備の都市構造の改善など、ともに住民自身の環境に対する配慮が不可欠であります。大気をクリーンに保全するためには、日常生活の中でむだな電力などエネルギーを節約する、またマイカー利用も、電車、バスを使えば排ガスによる大気の汚染が減る、また河川や湖沼の汚れを防ぐのには、下水道の整備はもちろんですが、生活雑排水の処理などに各家庭が気を配るとか、騒音の問題、ごみ処理の問題など、一人一人が快適な環境をつくることに努力することが大変重要なことであると思います。行政面からもこういったPRに積極的に取り組むべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
#192
○政府委員(加藤陸美君) まことに先生のおっしゃるとおりのことでございます。私どもも全く同様な発想でございますが、特に都市・生活型公害など国民生活に起因した環境問題というものが新しい課題として起こっております。これに対応していくためには、国民一人一人が環境に配慮した生活行動を心がけていくことが大切で、そのためには、環境教育と申しますか、人間と環境とのかかわりについての深い理解、それからみずから環境保全活動へ積極的に参加するという参加の意識をはぐくむ、こういうような基盤を整備することが必要であると考えておりまして、環境庁におきましてもこれまで環境教育懇談会というような組織をつくりまして、これは東大の加藤一郎先生を座長といたしておりますが、地域社会における環境教育といいますか、こういう意識の高揚の一層の充実、推進を図るため検討を加えて努力しておるところでございます。
#193
○山田勇君 長官、今から原稿を離れて私の体験から、るる質疑といいましょうか、お話しをさしていただきたいと思うんです。
 私が議員になったときには環境庁はございませんでした。四十六年から環境庁ができました。そのときまでは災害対策で赤潮対策などを災害という見地から我々はよく現場へ行って調査をしたりいたしました。今赤潮対策はどの程度環境庁で把握されているか別としまして、例えばハマチを養殖をしておりますが、赤潮が寄ってきてもハマチを解放しません。これは、解放してしまいますといわゆる補償の対象にならないので最後までハマチを抱くんですね。赤潮が来ればハマチは全部枠の中で腹を見せて浮いているという状態。今はそういうことはないとは思いますが、我々がそのときに提言したのは、ハマチを放しなさいと。何匹、何百匹というのは把握して、各漁業組合から申告を受けて補償しましょうと、だから放しなさいということを提言した。今放していると思いますが、これ放しますとまた海へ戻ります。赤潮が来ると赤潮の方へ魚は行きませんから、瀬戸内海のハマチは全部瀬戸内海から太平洋へ戻るわけです。今度帰ってくるときには大きなブリになって帰ってきよるわけです、そのハマチが。だから、そういうふうに放し、それを後で漁業組合からその数によって補償していくというようなことを災害対策の特別委員会でやったことがあるんですね。だから、自然の脅威というものは自然発生的に起きてまいりますので、そういうふうに、一つ一つの行政も枠ではめてしまわないで、ケース・バイ・ケースで環境保全ということも考えていくということも必要ではないかと思います。
 私は、毎年カナダ政府とのジョイントの中で子供百人連れてカナダへ参ります。先ほどサケの問題も出ておりましたが、あの大きな母なる川、フレーザー川というのがバンクーバーに流れ注いでおります。これは上流へ行きますと、自然流木、雷によって倒された木、それから岩石、相当大きな岩石が川へ入ってまいります。そうなりますとサケが上ってこれないんですね、そういう弊害を受けて。そうしますと、カナダ政府の、これはブリティッシュ・コロンビア州の環境局が何をしたかといいますと、上ってくる川から横に水路をつくって全部サケを水路へ入れてやる。自然のように通路をつくって、サケが全部川の本流を上らないでこのわきの水路に入ってきてそこでふ化をする。それで、ふ化をする設備から全部これを見せて、そしてあのサケはまた母なる川へ戻ってくる、稚魚を全部放してやると。それを観光名物にしてあるんです。
 これは一度バンクーバーへ行かれたらぜひごらんいただきたいと思います。これが大きな観光資源になってしまっているんです。サケをそういうふうに保護する。そうしてその資金で今度川をきれいにする。流木を取り外したり、また石をのけたりする。だから、自然と人工というのをうまく使い分けて、ある時期が来たら自然にサケは上らして、後はまた遮断してその水路の方へ入れる。これ観光資源になってしまったものですから、そこで稚魚を養成してまた放流する。それはもう全部マークをつけているからまた母なる川へきちっとサケが戻ってくるというようなことをして、観光行政の中で今莫大な利益を得ているわけですね。だから、例えば北海道の旭川でもそういうことを環境庁がやっても別におかしくないですよ。銭もうけはやったらよろしいんです、予算ばかり当てにせぬで。環境行政の中ではそういうものをどんどん推し進めていって僕はいいと思います。
 それと、今一人一人へのPRが必要だと言ったのは、サケをカナダに釣りに行きますと、一日に四匹以上釣ったらいかぬのです。そうすると、我々日本人の感覚では、幾らでも釣れますからもう一匹ぐらいいいだろうと言うと、カナダの友達は必ず絶対だめだと、これはもう我々国民の最低限のモラルだと、四匹というように決められたら四匹でやめてくれというふうに、そのくらい徹底しているんです。その漁場漁場にちゃんと「あなたは神様を欺きませんか」というポスターが張ってあるんです。だから、そういうPRが必要ではないかと、押しつけ的なものではなく。「あなたは神様を欺きませんか」ということは、四匹釣ったらもうその日はそれでやめるという、そういうふうに非常に道徳的な配慮、自然を大切にする、その魚を保護するというようなことですね。
 それと、カルガモが池から今渡っております。あれなど環境庁は絶好のチャンスなんです。カモの標識つくったらよろしい、道路標識。これは警察庁の交通課と話してできるんです。それなどやると、これは環境庁というのはこういうことをやっているんだということで非常に国民にPRになるんです。あれ横断歩道を通るんですよ、あのカモが。カナダへ行きますとカモの標識がある。これはもう世界でただ一つのカモの標識です。あのシカの絵なんかかいて、シカが飛び出すというようなことをかいてありますがね。だから、カモの何かを池のそばにかいて、下に「環境庁」と入れて、カモが渡りますから御注意くださいなんていう標識を立てると、環境庁がいかにこういうふうに自然を大切にしているか、ただこの何匹かのカモを守るためにこの標識を立てているというようなことを大いにこういう一つの機会を得て環境庁としてPRをぜひ推し進めていっていただきたいと思います。
 特に稲村長官は、環境庁の名長官として初代大石さんに並ぶ長官として高く我々は評価しておりますし、国民もよく見ております。あの北海道の知床の問題でもすぐ行かれますしね。だから、そういう意味で非常に期待の多い長官です。
 最後に、私は、環境庁というのは各行政機関の調整機関であり一番大きな権限を持つ行政機関でなければだめだと思います。大変口幅ったい、げすな言葉を使いますが、外人部隊なんて言われている間はだめでですね。もう絶対に環境庁が大きな力を持ってやらないと僕は困ると思います。先ほど来同僚委員の質問の中でも、林野庁の問題にしろ何にしろ、言ったらなめているんですよ、環境庁をなめているんです。というのは、建設委員会でこの間御承知のとおりリゾート法を上げました。これは十万から十五万ヘクタール、四億五千万坪のこれからリゾート保養地開発をやろうとすれば、もうこれは国有林に全部がかるんですね。そんな場合でも、開発の許可というのはもう全部環境庁に伺いをたてて環境庁のオーケー出ないとこの開発はできぬというぐらい、大きな権限を持ってもらわないと自然破壊につながっていくと私は思うんです。やはり緑多きを残して近代都市へと脱皮する行政を行うために、ぜひ環境庁がこれから各行政に対して大きな権限を持つように心から私は要望しまして、私の質問を終わらしていただきます。
#194
○国務大臣(稲村利幸君) 山田先生の大変広範囲にわたる環境庁への激励また御忠告を外しまして、特に、私もカナダの森と湖を歩きましてなるほどなという感慨を新たにしましたが、御指摘のとおり頑張りたいと決意を改めていたしました。ありがとうございました。
#195
○委員長(曽根田郁夫君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。
    ―――――――――――――
#196
○委員長(曽根田郁夫君) 次に、公害防止事業団法の一部を改正する法律案並びに絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。稲村環境庁長官。
#197
○国務大臣(稲村利幸君) ただいま議題となりました公害防止事業団法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 公害防止事業団は、昭和四十年に発足して以来、産業集中地域における産業公害を防止するため、工場・事業場の共同利用建物等の建設譲渡業務、産業公害防止施設に対する融資業務等の事業を実施し、公害防止対策の推進に寄与してきたところであります。
 しかしながら、近年、これらの産業公害のほか、都市・生活型公害にも対応することが必要となっており、都市における大気汚染対策、湖沼等の周辺における生活排水対策等が喫緊の課題となっております。また、国立・国定公園において、利用者の過度の集中に伴う公害を防止することも重要な課題であります。
 この法律案は、こうした状況にかんがみ、昨年六月の臨時行政改革推進審議会の最終答申をも踏まえつつ、これら環境行政の主要課題に対応して公害防止事業団の業務等の見直しを行おうとするものであります。
 次に、法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、公害防止事業団の目的の改正であります。
 現行の法律では、公害防止事業団は産業集中地域における事業活動に伴う公害の防止を目的としておりますが、今回新たに産業公害以外の公害を防止するために必要な業務を行うこととしているため、目的の所要の改正を行うものであります。
 第二は、公害防止事業団の業務の改正であります。
 公害防止事業団の現行の業務を整理、合理化するとともに、新たに、都市における大気汚染による公害を防止するための緑地の整備、及び国立・国定公園の利用者の過度の集中による公害を防止するために行う公園利用のための複合施設等の整備を建設譲渡業務に加えることとしております。また、市街地土壌汚染防止等の事業及び合併浄化槽の設置に必要な資金の貸し付けを融資業務の対象に加えることとしております。
 以上のほか、新規業務の追加に伴い、その一部の業務について通商産業大臣及び建設大臣を主務大臣として追加する等の主務大臣の規定の整備その他所要の改正を行うこととしております。
 この法律案の施行期日は、昭和六十二年十月一日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、ただいま議題となりました絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 野生動植物は、国際的規模で商業取引の対象となっており、このような取引が過度にわたる場合には、生息環境の悪化と相まって、一部の野生動植物を絶滅のおそれにさらすこととなります。かかる事態に対処するため、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、いわゆるワシントン条約が締結され、野生動植物が自然環境のかけがえのない構成要素として現在及び将来の世代のために保護されるべきものであるとの認識に立ち、その国際取引の規制が実施されてきております。
 我が国も、昭和五十五年にこの条約に加入し、絶滅のおそれのある野生動植物の輸出入の規制を行ってまいりましたが、これらの動植物の国内での取引が問題となる事例も見られ、国際社会の一員として、こうした事態を是正することが今日強く求められているところであります。
 この法律案は、こうした状況にかんがみ、過度の国際取引による絶滅のおそれのある野生動植物の保護の徹底を図るため、国内における譲渡規制等を行うとともに、保護のために必要な措置を講じようとするものであります。
 次に、この法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、希少野生動植物の譲渡等の規制であります。
 本邦または本邦以外の地域において過度の国際取引による絶滅のおそれのある野生動植物を希少野生動植物として定め、これらの動植物は、環境庁長官が学術研究、繁殖等のため特に必要であり、かつ、適切であると認めて許可した場合及び環境庁長官の登録を受けた場合等を除き譲渡等をしてはならないことといたしております。また、希少野生動植物を販売目的で陳列することも原則として禁止することとしております。
 さらに、許可の条件に違反している者や違法に陳列をしている者に対し、必要な措置を講ずることを命ずることができることといたしております。
 第二は、希少野生動植物の登録であります。
 商業的目的で繁殖されたものであること等の要件に該当する希少野生動植物については、環境庁長官の登録を受けることができるものとし、登録を受けた希少野生動植物の譲渡等は登録票とともにしなければならないこととしております。また、その譲渡等を受けた者は環境庁長官に届け出なければならないものとし、適正な流通が図られるようにいたしております。
 第三は、希少野生動植物の保護等であります。
 希少野生動植物の保護を図るため、環境庁長官は、広報活動等を通じて国民の理解を深めるための措置を講じなければならないこととしております。あわせて、希少野生動植物を所持する者に対して適正な管理を求めるとともに、環境庁長官が必要があると認めるときは、必要な助言や適当な施設のあっせんができることといたしております。また、関係行政機関の長は、国庫に帰属した希少野生動植物について必要な措置を講じなければならないこととしております。
 この法律案の施行期日は、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内の政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#198
○委員長(曽根田郁夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は次回に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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