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#1
第108回国会 予算委員会 第8号
昭和六十二年五月九日(土曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月八日
    辞任         補欠選任
     上杉 光弘君     小野 清子君
     北  修二君     宮崎 秀樹君
     名尾 良孝君     沓掛 哲男君
     稲村 稔夫君     村沢  牧君
     鶴岡  洋君     太田 淳夫君
     佐藤 昭夫君     吉川 春子君
     内藤  功君     近藤 忠孝君
     野末 陳平君     秋山  肇君
     青木  茂君     平野  清君
 五月九日
    辞任         補欠選任
     林 健太郎君     永野 茂門君
     鳩山威一郎君     久世 公堯君
     宮崎 秀樹君     鈴木 貞敏君
     柳澤 錬造君     勝木 健司君
     山田  勇君     橋本孝一郎君
     秋山  肇君     野末 陳平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桧垣徳太郎君
    理 事
                佐藤栄佐久君
                原 文兵衛君
                降矢 敬義君
                村上 正邦君
                吉川 芳男君
                野田  哲君
                峯山 昭範君
                沓脱タケ子君
                橋本孝一郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                石本  茂君
                小野 清子君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                久世 公堯君
                沓掛 哲男君
                坂野 重信君
                坂元 親男君
                下稲葉耕吉君
                杉元 恒雄君
                鈴木 貞敏君
                関口 恵造君
                竹山  裕君
                永田 良雄君
                永野 茂門君
                野沢 太三君
                鳩山威一郎君
                林田悠紀夫君
                増岡 康治君
                宮崎 秀樹君
                吉村 眞事君
                粕谷 照美君
                福間 知之君
                村沢  牧君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                山口 哲夫君
                太田 淳夫君
                塩出 啓典君
                高桑 栄松君
                近藤 忠孝君
                吉川 春子君
                勝木 健司君
                秋山  肇君
                野末 陳平君
                喜屋武眞榮君
                平野  清君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       国 務 大 臣  金丸  信君
       法 務 大 臣  遠藤  要君
       外 務 大 臣  倉成  正君
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
       文 部 大 臣  塩川正十郎君
       厚 生 大 臣  斎藤 十朗君 
       農林水産大臣   加藤 六月君
       通商産業大臣   田村  元君
       運 輸 大 臣  橋本龍太郎君
       郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君
       労 働 大 臣  平井 卓志君
       建 設 大 臣  天野 光晴君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    葉梨 信行君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山下 徳夫君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)
       (国土庁長官)  綿貫 民輔君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  栗原 祐幸君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       近藤 鉄雄君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)      三ツ林弥太郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       内閣法制局長官  味村  治君
       内閣法制局第一
       部長       関   守君
       総務庁長官官房
       審議官      百崎  英君
       総務庁長官官房
       会計課長     塩路 耕次君
       総務庁人事局長  手塚 康夫君
       防衛庁参事官   古川 武温君
       防衛庁長官官房
       長        友藤 一隆君
       防衛庁人事局長  松本 宗和君
       防衛庁経理局長  池田 久克君
       防衛庁装備局長  鎌田 吉郎君
       防衛施設庁長官  宍倉 宗夫君
       防衛施設庁総務
       部長       平   晃君
       防衛施設庁施設
       部長       岩見 秀男君
       経済企画庁調整
       局審議官     田中  努君
       経済企画庁物価
       局長       海野 恒男君
       経済企画庁総合
       計画局長     及川 昭伍君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   藤咲 浩二君
       科学技術庁研究
       開発局長     長柄喜一郎君
       環境庁大気保全
       局長       長谷川慧重君
       国土庁長官官房
       長        清水 達雄君
       国土庁長官官房
       会計課長     佐々木 徹君
       国土庁計画・調
       整局長      星野 進保君
       国土庁地方振興
       局長       澤田 秀男君
       法務省入国管理
       局長       小林 俊二君
       外務大臣官房長  小和田 恒君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     足立 和基君
       大蔵省主計局長  西垣  昭君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君
       文部省高等教育
       局長       阿部 充夫君
       文部省学術国際
       局長       植木  浩君
       文部省体育局長  國分 正明君
       厚生大臣官房総
       務審議官     長尾 立子君
       厚生大臣官房審
       議官       川崎 幸雄君
       厚生大臣官房審
       議官       代田久米雄君
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       厚生省保険医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省生活衛生
       局長       北川 定謙君
       厚生省薬務局長  森  幸男君
       農林水産大臣官
       房長       甕   滋君
       農林水産大臣官
       房予算課長    上野 博史君
       農林水産省構造
       改善局長     鴻巣 健治君
       林野庁長官    田中 宏尚君
       水産庁長官    佐竹 五六君
       通商産業省産業
       政策局長     杉山  弘君
       通商産業省立地
       公害局長     加藤 昭六君
       工業技術院長   飯塚 幸三君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  岡松壯三郎君
       中小企業庁長官  岩崎 八男君
       運輸省海上技術
       安全局長     間野  忠君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  増田 信雄君
       運輸省港湾局長  藤野 愼吾君
       運輸省航空局長  山田 隆英君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       平賀 俊行君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設大臣官房総
       務審議官     渡辺  尚君
       建設大臣官房会
       計課長      市川 一朗君
       建設省建設経済
       局長       牧野  徹君
       建設省都市局長  北村廣太郎君
       建設省河川局長  陣内 孝雄君
       建設省住宅局長  片山 正夫君
       自治大臣官房審
       議官       湯浅 利夫君
       自治省財政局長  矢野浩一郎君
       自治省税務局長  津田  正君
       消防庁長官    関根 則之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○昭和六十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に橋本孝一郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、総括質疑を行います。増岡康治君。
#5
○増岡康治君 総理におかれましては、訪米の成果を三つにまとめてお話しになられました。一つは、年一回の定期会合をやるんだ、トップ同士がやると。今までの中で非常に大きな成果だと私は思っております。また二つ目には、開発途上国に、対して三百億ドル融資をしてやろう、こういう問題。これはもう既に勉強を始めておるということが新聞に出ておりました。三つ目には、五兆円を上回る内需拡大をやろうじゃないか。こういうような三つの問題を一つの大きな公約としながらも、びしびしと向こうに訴えた。ゆうべも私、総理のテレビの会談を聞きました。びしびしとやるという言葉が、向こうに対してもびしびしおれは言ったぞということと、また約束したことはびしびしやるということで、びしびしという言葉を随分お聞きして非常に心強く感じました一人でございます。
 この中で、一と二はこれは当然行われるでございましょうが、三つ目のいわゆる内需拡大に対しての問題というのは、総理もびしびしこれは実行、早くやらないととおっしゃいますが、一つには、これは地方公共団体が国と同じような一つのムードの中で、気持ちの中でやりませんと、地方もいろんな問題を抱えております。国以上に活性化を図ろう、内需を振興しようという地方公共団体、知事さん以下市町村長さん、いわゆる首長さんも考えておられます。議会筋も考えておる。ここらと手を組むことが本当の意味の内需拡大策の実のある実行ではなかろうか。こういう意味で、きょうは私は全体をめぐる問題のスタンスといたしましては、地方から見た内需拡大に対する問題点をこれから話して課題を一つずつお聞きを申し上げたいと思っております。
 まず最初に、総理は今回の訪米の公約を地方公共団体に対してどういう要請をなさっているか、どういうお気持ちで、これからもいろんな会議がございましょう、知事会その他、そのことについての言葉をいただきたい、そこから始めさせていただきます。お願いします。
#6
○国務大臣(中曽根康弘君) まず手続としまして、本予算が成立いたしましたら、自民党と内閣で一緒になりまして緊急経済対策を確定いたしまして、それを予算化する、そういう段取りがございます。
 その内容につきましては、先般要綱が成立しておりますので要綱に沿って行われるだろうと思いますが、おっしゃるように、何といってもこれが実行されるのは地方公共団体との協力においてのみ行われます。つまり、毛細管に血液が行かなければ体は丈夫になりません。そういう意味で、毛細管というのは府県であり市町村であります。中央の方は、大蔵省にしても建設省にしてもポンプで送る役目だろうと思うんです。そういう意味において、いかにして地方公共団体と中央政府が連携して有効な目的を上げるかということが大事です。
 実はきのうの閣議におきましても建設大臣あるいは自治大臣から、地方との連携それから地方に対する予算的配慮、そういうものも十分考えてほしい、さもないと地方もかなりお金もないし単独事業をやるといっても限度がある、そういう情勢であるから配慮してほしい、そういう要望が大蔵大臣にあった次第でございまして、これらについてはいずれ党におかれていろいろ案をおつくりになるときに御検討いただければ非常にありがたいし、内閣も協力してまいりたいと思う次第でございます。
#7
○増岡康治君 昨日、委員長からも御注意がございまして、いわゆる立法府の問題については余り行政府が立ち入らないようにということでございますので、私もなるべくそういう面で質問させていただくので非常に窮屈な質問になりますが、しかし、何といいましても内需拡大というのは非常に大きな公約で、一番やはり目玉商品だと私は思っております。
 それで、公共事業を、六十二年度の予算の成立を一日も早く期待しておるものでございますが、予算が成立いたしますと、天野建設大臣は再々にわたってこの席において、とにかくできるだけの前倒しをまずやるんだということは申しておられました。そのとおりだと私ども思っております。その後にいろんな緊急対策も出るのではなかろうかと思いますが、公共事業を執行する上でちまたでいろんな話があるんです。資材はどうなるのかなと、これはあるといえばある。しかし、どんどんどんどん使っていけるからいいなという話と、足らないものは何かあるのかなと、こういうような話が出てみたり、またいわゆる技能者だとか鉄筋工がどうだこうだと、あるいは作業員の方々、こういう者が一時的に窮屈なときがあったわけです。去年の十一月に補正予算を組まれたときに、東京あたりの建築工事が集中したりなんかして鉄筋工がどうのこうのとございましたですね。そういうようなことが非常に大きく宣伝される。しかし実態はどうなのか。全国的に見た場合に建設労務という問題に対して障害になるものがあるのかどうか、この点をひとつ天野建設大臣にお願いします。
#8
○国務大臣(天野光晴君) 去年の補正予算と災害とのダブった地域についてそのような話はありましたが、支障なく続けております。問題は契約期間の完全遂行でありますが、それにはいまだ心配の妻もありませんし、今までのように限られてマイナス、マイナスで来まして、六年前から比べれば現在やっぱり三五、六%ぐらい低いわけですから、予算の執行の金額については。そういう点でまだ大丈夫だと思うんです。ただ問題は、これからそのおくれを取り返すために、内需拡大という政策に便乗するわけじゃありませんが、これを完全にやるとすれば相当の量の仕事が出ると思います。それについてはこれから私たちの方でも十二分に考慮しまして、業界との連携も密にしまして仕事がおくれたりしないようにやるように努力したいと思っております。
#9
○増岡康治君 ただいま、建設大臣は大丈夫だ、少々のことは大丈夫だということでございます。
 政府委員で結構でございますから、こういうような動向の中において、どの程度の人たちが建設関係で働いておるのか、そういうような問題、あるいは資材に対して、特にこういう時期に、内需拡大のときにどういうメリットがどんどん出てくるかという補足説明をありましたらしてほしいと思います。
#10
○政府委員(牧野徹君) 建設工事に従事しております労働者の数は、年間の平均で申し上げますと五百三十万人程度。ただ、月によりまして非常に変動がございますから、二十万人程度減ったりふえたりということはございます。それから農業に従事されております方の、農閑期にまた出てまいられます方の数もございますが、総じて申し上げれば、建設工事に従事されておる労働者の数は五百三十万人ということでございます。
 それから資材面で申し上げますと、先ほど先生御指摘で、労務者の方は、大臣からも御答弁申し上げましたように、例えば秋で、東京でビル工事がラッシュになるというようなことになりますと、鉄筋工とか一部不足が見られるわけでございますが、資材面はそれと全く異なっておりまして、現在の資材の供給能力には相当程度の余力といいますかがございます。価格の推移を見ましても、ずっと横ばいないし下落の状況でございますから、資材面について申し上げますと、相当程度の事業の追加がございますと、むしろこれは今稼働がやや低目にいっているものが通常に戻って活気づくという状況になろうかと考えております。
#11
○増岡康治君 そういう次第で資材には相当余裕があると。労務関係におきましても、これは、平井労働大臣いらっしゃいますけれども、いわゆる予備軍というのが随分私はあると思っております。そういう方が今職業訓練を受けられておると思います。そういうことで、予備軍は十分あるなという感じで、これは工事執行上の妨げには一切ならないなという感じを今受けました。
 次に、この予算委員会にも出たんですけれども、いつも用地補償費というものの問題の扱い方、考え方がどうも私ども、東京が異常に土地が高騰したばかりに、すべてそれが全国的な公共事業のあり方に考えられるという問題があります。実際そうでないと思うんです。用地補償というのは、御承知かもしれませんが、いわゆる道路であっても川であっても公園であっても何でも、これは用地があってこそ、用地と工事というのは本当に両輪でございまして、同時に進むべき問題です。これは実に当たり前といえば当たり前なんですが、いろんな緊急対策その他が打たれる中においてオーソドックスにいわゆる公共事業、ただ、用地があるものはちょっと後回しにして早くすぐできるものからやろうよといってやってきますと、今までも補正予算をいろいろ組まれたので私はだんだん用地のストックがなくなってきはしないかという心配がちょっとありますし、また用地補償に対してそんな大きなウエートではないと、全体の公共事業をやる上に。先般も八割がどうのというこの席でありましたけれども、びっくりした一人でございますが、この用地補償に対してどの程度のウエートがかかっているのか。いわゆる本質論的なもの、用地補償というのは公共事業そのものだと私は思っておりますので、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
#12
○国務大臣(天野光晴君) とかく、公共事業の予算を効率的に使うために、土地代だと土地の所有者にだけ金がいってしまうから、土地に関係ないものを先にやれというしばしば問題がございました。七、八年前から緊縮財政をやるようになってから、特にこの声が強いのでありますが、今先生がおっしゃいましたように、用地を獲得しなくては公共事業は進みません。
 そこで一つの例を私の地元で申し上げますが、私のところに今三春ダムというダムがございます。これは小さなダムでありますが、恐らく来年度あたりから着工になるのでありますが、ダムの中に住んでいる者は全部移転するわけですから、用地を全部買ったわけでありますが、それが物すごい購買力につながっているという現実の問題でございます。いい悪いは別として、まるで、随分高い金を出しているんではないかと逆に批判されるぐらいの物すごい、三春御殿と今称しておりますが、その部落の者がほとんどそういう格好で近隣に移動してやっておりますから、使いようによっては、スムーズに公共事業を進める上においては土地を取得しなけりゃだめであります。特に道路は、土地が取得できて、完全にできたところで九〇%完成したと今言われておるわけでありますから、それは車の両輪と同じですから、両々相まって行うという格好にしなきゃいけないと思っております。
 これは、大蔵省主計局長そこにおりますが、大蔵省のお役人さんたちの意見がそれは非常に強いと私はいつも理解しているんですが、それは支障のないようにいたしますから、どうぞ御心配ないようにひとつお願いいたします。
#13
○増岡康治君 確かに、経済緊急対策をやる上には即効性があるという、これは私は一つも否定しておるものじゃございません。各省にも公共事業でないものですぐやれるものがいっぱい出ております。今回の緊急対策に入れてくれという各省からいろんな御要望がある。こういう問題は一つも否定いたしませんが、いわゆる公共事業というのは大体平均すれば二割ちょっとの用地費なんです。そういうもので、それが非常に過大評価されますと、現場の人たちも非常にこれは計画的な、どう言いますか、本当に計画性のある執行という面からくると狂い出すものですから、ちょっとこういう念のための御質問をしたわけでございます。
 だから、総合経済対策においても、今回どういう事態が起ころうとも、公共事業にあってはひとつ進捗率を高めるというものをまず最初に掲げた上で、その中において即効性のあるものをと、こういうような表現で実は自民党の経済対策要綱には書いてある。これは非常に正しい方向だと私は思っておりますので、今後とも、今大臣のおっしゃるような認識のもとにいろんな場合のこれからの対処をお願い申し上げたいと思っております。
 私もいろいろ調べさせてもらったんですけれども、私自身が申し上げますと、治水関係は大体二〇%切れる一八%ぐらいが用地費なんです。道路あたりで一般の道路が一六%程度のものでございまして、その他一番大きい、都市のど真ん中にあるいわゆる市街地関係あたりが大体平均すると三〇%ぐらいの用地費がかかるんです。またそれ以上のものもあるものはありますが、これは非常に特殊な例でございまして、全体をなべて公共事業を執行しようという場合にはそう大きなウエートではない。それより逆に、そのことによって各地方が着実に計画的に進むという効果の方が非常に多いという意味であえて申し上げた次第でございます。
 それから公共事業の六十二年度の執行をこれから予算が成立したらやるわけでございますが、おかげでこの五十日間の暫定予算の中に投資的経費が入ったということは、地方のサイドから見れば大変これはよくやったなと、こういう評価をいただいておることは確かでございます。これに追いかけて本予算が上がりますといよいよ実施に入ってくるわけでございますが、既に各地方公共団体等も、本予算が上がったら直ちにもう物は出すよということで、所長さんのロッカーの中へ設計書がいっぱい並んでいるという、非常に自治大臣の御指示がいいとみえまして、皆そういう段取りができているということで非常に私喜んでおるわけでございますが、その中で、地方公共団体の財政負担の問題についてここで申し上げておきたい問題がございます。
 これは既に何度がここで大議論になりました。昭和六十一年度の公共事業の補助率、負担率の引き下げが、問題は、三年間同じような比率でいきますよといって、今度六十二年度はまた再引き下げをしました。これには、いわゆる国の財政再建を助けよう、しかもなお事業費を伸ばそうという二つのぎりぎりの接点が図られて、大蔵財務当局、自治省当局、本当に並み並みならぬ努力によって、国も地方も五%ぐらいの事業費を、六十二年度の予算では姿としてはそうなっている。
 しかし、よく考えてみますと、やはり地方公共団体の負担というものが確実にふえておる。この三年間で三回下げてきた。もう御承知のように、直轄事業でも大体三分の二のものが今や十分の五・五まで下がっておりますね。四分の三の直轄事業の負担率のものが今や十分の六。こうなってきますと、また補助率は大体特別のものを除きまして、補助工事においてはいわゆる十分の五。二五という、ほとんど半々になってきた。このいわゆる補助率カットによって事業費を伸ばそうという選択はもう限界に来たなと。しかし、この問題は来年、六十三年もこれでやることになっておるので、あえてここで来年どうこうという問題は一つも私は言いませんが、その結果、どういうことが起こったかといいますと、昭和六十年度には投資経費だけで申しますと三千二百億、昭和六十一年度では五千六百億、昭和六十二年度は八千四百億の影響額が地方に移動したということでございます。
 そういうことで、これは大半は地方債の発行で賄われるのは当然のことでございますけれども、これは逆に地方財政から見たらやはり硬直化という現象になります。国よりはまだいいじゃないかとおっしゃるけれども、やはりだんだんと財政窮乏県もいろんな団体ができたりするのはこういうところからくるものでございますので、これからいろんな緊急対策を打たれる間に、ことしはことしで六十二年度はこのままでいく、地方はやると言っておりますが、さらにこれが上回って公共事業の増加ということになると、何か考えてあげないと、また地方単独の問題が出たりなんかしますとこの話がまた出てきはしまいかという一つの懸念を私は思っております。
 しかし、みんな協力するという建前の中において、国の場合は、NTT株をどうしようかとか日航株をどうしようか、いろんな新聞に今ごろは出ておりまして、国の方は年度途中でもいろんないいものがあるな、地方には年度当初から何にもないぞ、本当に今度公共事業で回すぐらいなら地方にもやはり少しぐらいおすそ分けいただけないものだろうかという非常に素朴な意見が地方団体の方から私の耳に入るわけです。これは非常に窮乏している一つの問題として、訴えの一つとしてでございましょうが、しかし、そういう声があることは確かでございますので、この面に対して自治大臣の御所見をひとつ伺いたいと思います。
#14
○国務大臣(葉梨信行君) 貴重な御意見をいただきましたが、公共事業の追加規模とかあるいは補正予算のあり方等につきましては、政府でまだ正式に決定をしておりませんので、今いずれとも御答弁申し上げることはできませんけれども、公共事業が追加されました場合には、必要な地方負担につきまして適切に財源措置を講じて、地方自治体の財政運営に支障が生ずることなくしかも事業が円滑に進むように努力をしていく所存でございます。
#15
○増岡康治君 自治大臣、そうだと思います。
 まだ仮定の問題でございますが、大蔵大臣、いろいろの地方財政の硬直化につきましても十分ひとつ国の方も御配慮いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本の考え方は冒頭に総理大臣がお述べになったとおりでございますが、補助率、負担率を切り下げました結果、地方の御協力及び御辛抱をお願いしていることは疑いのないところで、私どもよく存じております。殊にこれが公共事業あるいは単独事業の施行に当たりまして害になるようなことになりますと、せっかく内需振興というねらいそのものもまた損なわれることになります。その辺のことはよく考えまして、御協力をいただいておりますことを十分知っておりますので、そういう認識のもとに進めさしていただきたいと思います。
#17
○増岡康治君 これはまた次のことでございますけれども、自民党の総合経済対策にも強く言っていますように、既にこの場においても総理なり大蔵大臣が前向きの答弁をしていただいております来年度の概算要求基準の問題は、通常なれば大体七月の中旬ぐらい、こういうもので持ってこいよといって各省にお示しになる。もうすぐやってくるわけでございますが、この見直しという問題でございます。
 この問題について私どもが一番今考えておりますのは、やはり社会資本の充実というものがいかにストック面において大切なものであるか、これは言をまたないと思っております。今回発表されました新しい前川レポートについても、いわゆる構造調整の中においてのウエートが非常に高い。殊にここの数年間はこういうものが非常に重要な役割を果たし、不況地域だとか不況産業の地区もありますが、こういうものはもちろんでございますが、国全体のいわゆる新しい世の中を迎える一つの基盤的な仕事としての公共事業といいますか、社会資本の充実というものが非常に大切である。単なる緊急対策用にフロー面を見ただけでの公共事業、これは非常にありがたいことでもございますけれども、やはり本質論はいわゆる通常の公共事業の蓄積だと私は思っております。
 最近、簡単に申し上げますと、五カ年計画を皆閣議決定していただいております。閣議了解のものもございますけれども、最近終わりました計画は大体もう、一番生活関連と言われている下水道においてすら先般の第五次は七五%台で終わりました。あるいは、一番高い道路がことしで終わるんですね、第九次は。終わっても九五%の達成率。自己財源を持っておる道路事業すら五%余っているんですね。一兆九千億足らない、こういう問題を今含んでおります。河川あたりも大体八〇%を切る。
 こういうような問題がいろいろ、各省全部そうですけれども、いわゆる五カ年計画をつくりながら、閣議決定しながらいつも残していく、こういうこと。これはもちろん理由ははっきりしておるわけでございます。そういうことをしながらも毎年の事業費を伸ばされた努力というのは非常に高く評価をしておるわけでございますが、各様がようにこれからの、いわゆる二十一世紀に向かっての社会資本の充実というものは非常にこれは大切なものであり、いわゆる構造調整の柱になっていくということを考えます。
 そこで、建設省あたりでこれは長期計画として一応試算されて、よく新聞等で見ます。最近は経済企画庁の云々も見ますが、これから十五、六年というのは二十一世紀に向かってどういう長期計画を持ちながら大体仕事をおやりになっているのか、実施官庁としての建設大臣、おわかりになりましたらひとつお願いします。
#18
○国務大臣(天野光晴君) 増岡先生も御存じのように、五カ年計画がしり切れトンボになっていることは事実でありますが、今までの考え方からいきますと、〇%でいつでも実質的にはマイナスになるわけですから、五年前に立てた五カ年計画が五年間ゼロあるいはマイナスでくれば到達しないことは当然なんです。しかしそれであってはいけないんです。それは大体の方向づけとか見積もりという程度でやるわけじゃありませんから、これだけをやるという声明をして五カ年計画を立てるわけですから、そういうことがあってはいけないと、私はいつもそう思っております。
 ただ、問題は、財政再建計画の途上であるというので私たちもある程度我慢はしなきゃいけないなとは思っておるんですが、これからようやく、去年からでありますが、去年の補正は余り中身がありませんからとやかく言えませんですが、ことしからはきちっとした中身のある補正を組んでもらいます。これは一時的なといいましょうか、財政再建計画中ではあるが、予期せざる円高という問題と取り組んだ関係からこういう非常事態の結果生まれてきたと思うのであります。先ほどもちょっと申し上げましたように、ここ一両年はこれに便乗して、相当内容をよくして伸ばそう、今までの失地回復をやろうと思っております。その点、議会側からもひとつ御協力を願って、一挙両得ですから、内需拡大をすることは。いろんな意味で今重要な段階でありますから、内需拡大の最大の仕事はやっぱり公共事業ですから、そういう点で全力を尽くしてまいりたいと思っております。
#19
○増岡康治君 時間が少ないものですから私の方から申し上げますと、今現業官庁といいますと一番困っているのは、例えば下水道事業といったって、一番大切と言いながら実は特別な地方債でどんどん需要に応じてきたために義務的な経費がたまっておるわけですね。いわゆる利子がたまってくる。あるいはダムあたりでも、国債でどんどん先々へやるものですから借金ばかり。新しいものが着工できないとか、あるいは河川あたりでも災害の後始末の方へいって、新規のところへなかなか手が届かない、こういう問題が冬ものに非常に硬直化が実はあるわけです。
 だから、相当なものをやらないといわゆる地方が要求する新規のものになかなか手が出せない。それほど義務的経費というものが大きくかぶっておる。下水道あたりは三二%というのが義務的経費なんです。そういう問題があります。こういう程度の問題、ほかの方もそういうような程度で、二〇%、三〇%、皆大体義務的経費なんですね。もうその方へ先取りされて、新しいものに配られるわけがない。これは大蔵省の財政当局と同じような話になりますけれども、固定化してしまうということが、事業そのものの個別の問題でなくても非常に出ておるということを御承知いただきたいと思っておるわけです。
 今こういうことを申し上げるのも、いわゆる従来から七年間続きましたシーリングというものが、皆一生懸命財政当局はお考えだったんですけれども、結果的にはそういうところにしわ寄せがきた。こういう問題で、今回はこれに対していわゆる構造調整という一つの大きなしり押しもある。景気対策のしり押しがある。いわゆる社会資本の充実というものが、本当に前に持って総理がやろうとおっしゃるのですから、どうかこの辺に対しまして、これからのいわゆる社会資本の充実について総理の御意見を伺っておきたいと思うのであります。
#20
○国務大臣(中曽根康弘君) 増岡さんおっしゃいますように、今までよく我慢をしていただき、御苦労いただいたわけでございますから、随分地方財政におきましても、前から比べるとゆがみやひずみもできておるだろうと了解できます。今回は、党の大きな推進力によりまして、社会資本の充実、投資的経費の充実という面に前進いたしまして、そして内需の振興とあわせて国土の整備を着実に前進せしめたい、そういう考えによりまして実行してまいりたいと思う次第であります。
#21
○増岡康治君 これまた内需の関係で、住宅問題はもうずっとここで議論が出ましたので、簡単なことだけをひとつ聞きたいと思います。
 先般建設省の統計が出ました。六十一年度は百四十万戸を建てましたよという。最近では一番大きいと私は思っております。これをよく見ますと、やはり個別の小さいマンションがふえているような感じがするのですが、これについて、百四十万戸に対しての内容はどうか。この中にさらに、こういういい手を打ったからここまできたのだと、いいものがあればまたすぐ使ったらどうかという気持ちでお尋ねをしておりますが、百四十万戸達成についての所見と、これの中から、なるほどこれをやったからうまくいったかなというものがあればひとつお示し願いたいと思います。事務当局でも結構です。
#22
○政府委員(片山正夫君) まず、百四十万戸の内訳でありますけれども、二つに大別いたしまして持ち家系と借家系、持ち家系と借家それぞれが七十万戸であります。その内訳でありますけれども、持ち家系につきましては、いわゆる持ち家が四十八万戸、それから分譲住宅が二十二万戸、合わせて七十万戸。借家系につきましては、民間の共同借家でありますとか公団住宅、公営住宅等が六十七万九千戸、企業の給与住宅が二万一千戸、合わせて七十万戸であります。
 これが、五十五年に百二十一万戸に急減いたしまして以来、五十年代の後半は百十万戸時代と言われてまいりましたけれども、六十年度に回復し始めまして、六十一年度は百四十万戸になったわけですけれども、これの中身、どういうふうにしてこういうふうになったかということを推測いたしますと、持ち家につきましては、一つは公的資金並びに民間資金の金利が下がったということが一つ。それから、公庫融資がかなり伸びておりますけれども、公庫融資につきましては融資額をかなり拡充したということ、さらに、住宅税制につきまして六十一年度に取得促進税制を創設してかなり拡充いたしましたので、その効果があらわれたのではないかと考えております。
 それから近年大変好調の民間の借家系につきましては、少人数世帯、一人世帯とか二人世帯が大変急増しておりまして、特に大都市部において多いわけでありますけれども、そういう借家需要の増大を背景にいたしまして貸し家経営意欲が大変高まってきているということがあるのではないかと考えております。
#23
○増岡康治君 そういうようなことの趨勢の中で、ことしは百五十万戸やろうじゃないかということでございますし、さらに総理その他経企庁長官等も少し前向きにやろうというようなお話がいろいろございますが、いろいろなやり方がございましょう。どうかひとつ実施官庁とよく御相談なさってやってほしいと思います。
 私は、もう現在ある制度の中で、例えば金融公庫あたりの、それこそ土地を動かさないで建てかえだとか増築関係の問題について、融資額をもうちょっとふやせばこの際やっていけますよ。余り難しい問題を出すとまた来年まで待とうかというようなことになりますので、今ある制度、すぐ使えるものに焦点を合わすのがいいのじゃないか。私はこれは個人的な意見です。そういうリフォーム関係は、先般も議論が出ましたが、これはそのとおりだと私も思っておりますので、住宅も内需振興の柱でございますので、よろしく御検討願いたいと思っております。
 それから観点を変えまして、先般、またこれは閣議の方へ出されまして、公表されたんですが、国土庁から過疎白書というものが出ました。私、これ若干読ましていただきました。しかし、この過疎の中で二百ほど人口がふえているんですね。なぜふえたのか。この辺の、過疎白書の中心になるものについて、この点についての内容分析をひとつお願いしたいと思います。
#24
○政府委員(澤田秀男君) 昭和六十年の国勢調査によりますと、五十五年から六十年の五カ年間に人口増加団体は、今先生おっしゃったように全体の過疎市町村数の一七%に当たる二百団体ございます。人口増加の要因としてはいろいろありますが、最も大きな要因として私ども考えておりますのは、高速交通体系を中心として交通条件が改善されて、その結果、新たに企業が立地するとか既存の地域産業の活性化が図られるということによって地域の雇用機会が増大して、それが人口増加の原因になったというふうに考えております。
#25
○増岡康治君 ただいまのお話のように、やはり生活圏の距離が縮まるということがいかに大切であるか。いわゆる基幹高速交通網というものが、総理がおっしゃるようにこれが毛細管まで行きますと大変に有効なんです。それほどストック効果という問題、あるいは高速ネットワークというものが非常に大切だということが過疎の問題だけを見てもわかってくるわけでございます。そういう意味で、第四次全総の中でこの高速交通体系、こういうものに対してどういう位置づけをなさっているか。私はやはり定住と交流という一つの柱が中心であろうと思いますが、国土庁長官いかがでしょうか。
#26
○政府委員(星野進保君) 先般、国土審議会から第四次全国総合開発計画に関します調査審議経過報告というのをいただいておりまして、その中でも、先生御指摘のように、一番これからの時代で重要だろうと思いますのは、それぞれが自分の住みなれた地域を持っているわけでございますが、その住みなれた地域からある意味ではいつでもどこへでもすぐ行かれるというような形での高速交通体系と申しますか、そういうものが整備されているということを含めました定住と交流ということを強く主張されておるところでございまして、御指摘のとおりだというふうに考えております。
#27
○増岡康治君 そういうことであろうと思います。
 それで、地域振興の中心になる第四次全総の基本的な考え方、補足がありましたら長官お願いします。
#28
○国務大臣(綿貫民輔君) 国土の均衡ある発展を図ってまいるというのは国土政策の基本でございまして、特に今度の四全総におきましては多極分散型国土の形成、構築を目指してただいま策定中でございます。
 ただいま増岡先生御指摘のように、地方圏の特に活性化のためにはいろいろ特色ある地方をつくるということが基本でございますが、そのためにも地方のネットワークを十分これからつくっていかなければならないということで、高規格幹線自動車道を初め、目下建設省ともいろいろと打ち合わせをして、できるだけこれを充実させるように今努力をしておる、こういうことでございます。
#29
○増岡康治君 これからは要望になるんですけれども、今地方行政、地方財政で一番困っておりますのは、今の段階では困るということは言えないんですが、今税制改正の中ですべての地方の関係も一緒に入っておるわけです、御承知のとおりだと思います。一々言いません。売上譲与税もありますし、いろんな交付税がある。特にこの中で、交付税の決定というものが従来の九月にはもうやらないと各地方がいろんな県会その他で、市町村もそうですが、県会その他で皆これが決まらないとその年のものがすべて決まらないということで非常な異常事態になるのかな、どうなるんだ、どうなるんだという一つの大きな心配事があります。特に積雪寒冷の皆さん方あるいは不況地域の皆さん方、そういうようなところは特にこの問題、早く税制改正の方針をしっかりしていただいて迷わないようにしてほしいと、こういう切なる願いがあります。こういう交付税の決定時期の問題というのは非常に大切なことでございまして、国以上に心配事が多うございます。
 時間もございませんので一方的に私の方から申さしてもらいますが、そういう問題と、それからこれからの法律の中で地方民活の問題、リゾート法案だとかいろんな地方の都市の民活問題の法律だとか、あるいは農村の都市計画をやる、農水省と建設省が一緒にやった法律がございますが、そういうようないずれも地方の内需振興に役立つような法律がずらっと一連待っておりますので、どうかひとつ今国会、できたら今国会でこういうものが進めばいいがなと。
 もう実はそういう地方の立場から見れば非常にいいものを含んでおりますので、ことしは大切な国会であるという認識を持ちまして私は終わりますが、さらに地価抑制のためのいわゆる超短期重課制度だとか、いろんなものを皆含んでおりますので、どうかひとつこういう面につきましても格段の、総理先頭に御尽力いただきたい。我々立法府の方も一生懸命にひとつやって、税制改正の方も一生懸命やらにゃいけないなという決意をいたしまして、最後にひとつ税制改正等に対して、総理はもう立法府の仕事じゃないかとおっしゃいますけれども、そういう地方が非常に困っているということに対して総理の言葉をいただいて終わりたいと思います。
#30
○国務大臣(中曽根康弘君) おっしゃいますように、いろいろ地方との入り組んだ関係がございまして、いろいろ難しい問題がございますが、御趣旨を体しまして大いに努力いたしたいと思います。
#31
○増岡康治君 以上で終わります。
#32
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で増岡康治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、高桑栄松君の質疑を行います。高桑君。
#34
○高桑栄松君 まず最初に、これは質問ではございませんが、去る四月二十五日に、公明党参議院議員の服部信吾さんが大腸がんで亡くなられました。四十四歳の若さでございまして、本当に傷心のきわみでございます。衷心より哀悼の意を表したいと存じます。
 つきましては、実は一昨年の十二月に、私は勉強会で健康と長生きの秘訣という話をさしていただきました。その折に、皆さんは年に一度はドック診察を受けた方がいいというふうにお勧めをしたのでありますが、そのときにもし診察を受けておられたら、ああこんなことにはならなかったのではないかと、私は非常に残念に思っている次第でございます。この機会に、御社席の皆様方にも、自分だけは大丈夫だというふうにはお思いにならないで、ぜひとも健康診断をお受けになった方がいいのではないかと、私はそういうふうに思う次第でございます。
 ところで、総理大臣はがん撲滅十カ年計画を推進しておられまして、私は医学者としてこれは高く評価いたします。ところで、がんについては、健康診断の場合、自覚症状がない状態でもし発見されますと、かなり大きくても八〇%ぐらいは完全治癒なんですね。ですから皆さん、二泊三日ぐらいがいいと思うんですが、ぜひお勧めをいたします。
 それで、総理大臣にお伺いしたいんですが、大臣は、お手本ということもございますし、それから国民の負託にこたえるという意味でも私がお話ししたいのは、過去三年間毎年健康診断を受けないとこれは大臣資格から、これ一つ加えるなんというようなこと、総理大臣いかがでございましょうか。御感想で結構です。
#35
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、国民の皆様方にも健康診断を受けるように政府も勧奨しておりまして、今その積極政策を推進しておるところです、特に胃がん等の検査等はかなり進んできておるわけでありますから。いわんや国政の重任に任じておる者は健康を保持して立派な行政を行う責任があると思いまして、やっぱり自分のためじゃなくして、国政推進のためにもみずから健康診断を受けるということが大事ではないかと思っております。
#36
○高桑栄松君 それでは、エイズについて質問さしていただきますが、最初に、きのうの夕刊を見ますと、おとつい、米国の下院議員がエイズで亡くなった。米国に衝撃が走っているというふうに書いてございます。大変なことにだんだんなってきたんだなと思います。そこで、我が国でも今エイズ対策の法案が、大綱を私論ましていただきましたが、二、三疑問に思う点等々を挙げて質問をさしていただきたいと思います。
 まず、諸外国で立法の現状はどうなっているのか。特にキャリアの報告義務についてはどうなっているのか。厚生大臣、お願いいたします。
#37
○政府委員(仲村英一君) お答えいたします。
 エイズにつきましては、諸外国でも幾つかの国で立法措置を講じられておるようでございまして、オーストリア、フランス、アメリカ等十九カ国で、国の法律あるいは州の法律によりましてエイズ患者の報告制度を設けたりなどしておるようでございます。
 お尋ねのキャリアについてでございますが、フィンランド、シンガポール、スウェーデンの三カ国及びアメリカの四つの州等で患者以外のエイズ感染者を含めました報告制度を設けているというふうに承知しております。
#38
○高桑栄松君 エイズの予防の大前提に、私は本人に告知をするということがあると思っております。これについて厚生大臣はどのようにお考えでございましょうか。
#39
○政府委員(仲村英一君) エイズは御承知のように伝染病でございますので、他人にうつす危険があるわけでございますので、私どもといたしましては、感染をしておる方が十分自分の状態を御承知いただくために告知というのが前提というふうに考えておる次第でございます。
#40
○高桑栄松君 告知をいたしますともう非常にそれは心理的な動揺があるということは、私もそう思います。その場合に、告知を医師だけに任していいのか、それとも専門のコンサルタントのような人と一緒にやるという体制をつくった方がいいのか。これについて厚生大臣いかがでございましょうか。
#41
○政府委員(仲村英一君) 私ども、告知をする際にはやはり医者と患者の間の信頼関係というのが極めて重要だということで考えておりますので、お医者さんから御当人の方へ言っていただくということが原則だと考えております。ただし、実際の現場では、おっしゃいましたような患者さんの心理状態でございますとか、家族の状態とか、患者さんのいろいろの背景もございますので、そういう状況を総合判断して、しかるべきときにしかるべき方法で告知をしていただくということでお願いをしておるところでございます。
#42
○高桑栄松君 コンサルタントは考えておりますか。
#43
○政府委員(仲村英一君) その心理状態をできるだけ安静と申しますか安寧にするために、いろいろのことをパラメディカルの方たち、コメディカルの方たちがおやりいただくことは必要だと思いますが、基本的にはやはりお医者さんと患者さんとの信頼関係に基づくということで、私どもとしては、直ちにMSWから告知をするというふうなことを制度として考えるということは、今のとこる考えでおらない次第でございます。
#44
○高桑栄松君 私は積極的にコンサルタントの採用というのを考えた方がいいと思いますね。
 次に、感染源が把握されたときの次は二次感染の調査なんですが、これについてはどういう方法を考えておられるか伺いたいと思います。
#45
○政府委員(仲村英一君) 先ほども申し上げましたように、伝染病でございますので、その方から次の方へうつすということを防ぐのが非常に重要な予防対策の柱の一つになろうかと考えております。したがいまして、私どもといたしましてはいろいろの、先ほどのようなことで、あなたは感染をしているということを状況に応じてお医者さんからその方に告知をしていただくということで組み立てておりますが、その方たちがもしそれ以外の方たちと接触をしておるというふうな場合には、患者、感染者本人を通じるなりいたしまして、できるだけ接触者についての受診も勧奨してまいりたいというふうに考えております。
#46
○高桑栄松君 その接触調査、コンタクトトレーシングというのは、プライバシーに深くかかわってきますので、これは大変難しいことかなと思うんですが、特に私はやっぱり、意識的な感染行為を行った者に対してはどういう対策をとるのか。売春ということがターゲットになっているような文章に私は見たんですけれども、売春は売春禁止法というのがあるわけで、私はもう問題として残るのはフリーセックスではないかと思っておりますが、その辺をちょっと。
#47
○政府委員(仲村英一君) おっしゃいますように、この病気は性行為感染症でございますので、そういう意味での性行為をどのように伝染病予防対策上導いていくかというのは非常に難しい問題だと思います。いたずらに公権力が介入するというのもいかがなものかと思いますし、私どもといたしましては、患者さんのプライバシーも守りながら、伝染病予防対策上接触者につきまして受診を勧奨するという方向で努力をしてまいりたいと考えております。
#48
○高桑栄松君 高知の事件を思い起こしますと、結婚の場合とか産婦の血液検査については法的には強制力を持たせるんでしょうか、どうでしょうね。
#49
○政府委員(仲村英一君) 現在の国会にお願いしておりますエイズ予防法案におきましては、そのようなことは考えておらないところでございます。
#50
○高桑栄松君 高知の例を伺いますと、ドクターは、自分の力が及ばなかったのではないか、お産をさせてしまったということで大変ノイローゼ的になっているというふうに伺っているんですが、そうするとこういう場合にどういう処置をとるのか、伺いたいと思います。
#51
○政府委員(仲村英一君) 私どもといたしましても医師会等とも御相談をいたしまして診断の手引等でガイドラインをつくっておりますが、その中でも、感染をしておる方たちが妊娠をしないようにお医者さんに御指導いただくというふうなことで、そういうふうなことをガイドラインの中にもうたっておるところでございます。
 特定の例で申し上げますと、特定の方がそういう自覚のないまま妊娠をなさるというふうなことがあり得るわけでございますが、現在のところ的確な治療法もございませんので、できるだけそういう状態を招来しないように御指導いただくというふうに考えたいと考えております。
#52
○高桑栄松君 この法律について最も問題になるのがプライバシーのところなわけですが、守秘ということの手だてというか、保障というか、そういうことについてどんなふうにお考えになるのかをひとつ伺いたいと思います。
#53
○政府委員(仲村英一君) 諸外国におきましても同様のようでございますけれども、こういう患者さんのプライバシーというのは非常に重要だと私どもも考えておるわけでございます。いろいろな差別の問題もあるようでございます。幸いにして日本でまだ際立った事例はございませんけれども、私どもこのような観点からエイズの予防法案では、治療を行いましたお医者さんでございますとか、予防の事務に従事いたしました公務員その他関係者に守秘義務を課したいというふうに考えておりまして、これに違反した人たちには罰則を科するというふうなことも構成として考えております。
 それからお医者さんがエイズの感染者を診断した場合に、私どもとしては疫学的な情報を的確に把握したいということで御報告をいただくような仕組みを考えておりますが、その際にも個人を特定できるような情報はできるだけちょうだいしないということで考えておりまして、疫学的な情報だけをちょうだいするという仕組みに考えております。
 また、御承知だと思いますが、伝染病などの場合には市町村を経由いたしまして届け出をしていただくことになっておりますが、それも避けまして、私どもとしては直接都道府県知事に御報告をいただくというふうなことを考えておるわけでございます。同時に、患者さん等の人権の保護に行政としても十分注意をしていかなくちゃいけないと思いますけれども、広く国民の皆様方にもそのような観点で御理解をいただきたいというふうに仕組んでおるわけでございまして、できるだけそのような手だてを講じまして患者さん等のプライバシーを十分に守っていきたい、このように考えております。
#54
○高桑栄松君 予防法の方法論というのはもうわかり、わかりというか、一つの手だてがあるわけですが、この問題についてはやっぱりプライバシーの問題が深くかかわるということが法律が生きるか生きないかの境目だろう、こう思っておるわけです。その場合に、いずれにしてもプライバシーが侵されることを恐れて地下に潜るといろことをだれでも心配しているわけで、私も公衆衛生学的に考えても重要なことだと思っておりますが、地下に潜るということになりますと立法の趣旨に全く反してしまうし予防の原則からも外れてまいりますが、潜らないような対策というか、考えておられますか、どうでしょう。
#55
○国務大臣(斎藤十朗君) 先生今おっしゃられましたような、プライバシーの保護を十分にすることによってかえって地下へ潜って逆効果にならないような、そういうことを今回の予防法を考えるときにつきましても一番重点に我々考えたところでございまして、この予防対策を進めていきますには、やはり疫学的な情報を的確に把握をしそして二次感染防止を行っていく。同時にまた、その疑いなり危険性のある方については進んで自主的に検査を受けていただけるというようなことを進めていくことが非常に大事なことでございまして、そういうような観点に立って今回の法律も必要最小限のこととしての法律として出さしていただいておるところでございます。
 いろいろな御議論がございまして、もう少し厳しい何というか法律にすべきだという御意見も一方にございました。また、法律は必要ではないではないかという御意見もございました。そういうところをいろいろと研究、検討をいたしました結果、最低限この程度のものは必要ではないかというようなことで、当初考えておりました患者の感染行為等に関する処罰というようなことも削除いたして、必要最小限のものとして御提出をさしていただいております。
 この法律が成立をいたしました後におきましても、この運用について今先生がおっしゃられますようなプライバシーの保護ということを最も重点に置いて運用をいたしてまいりたい、まいらなければならないと、こう考えておるところでございます。
#56
○高桑栄松君 某病院から聞いたところによりますと、この立法のことが新聞に報じられた途端に、エイズ検査予約者がキャンセルが相次いで、ほぼ十分の一に減ってしまったと言っておりますので、これはやっぱり一つのリアクションとして我々は十分考える必要があるのではないかと、こういうふうに私は今思っております。
 そこで、プライバシーが侵されたときのことを考えると、社会的差別ということがあるわけですね。そうすると、一方では自暴自棄になって犯罪を犯すとかあるいは生きる希望を失うということで自殺をするとか、オランダでは四月の初めの新聞報道によりますと、十一人の患者がみずから積極的に安楽死を求めて、法では禁止していたのにもかかわらず医師はそれを行ったというのが出ております。大変痛ましい話でございますが、安楽死というのは我が国でもちろん認められておりませんが、そういうことを求められたときの対応というのはどうなりましょうかね、厚生大臣いかがでしょう。
#57
○政府委員(竹中浩治君) 末期のエイズ患者が大変な苦痛を持たれるということは十分考えられるわけでございます。しかし安楽死の問題、いわば積極的あるいは意図的に患者を死なせる行為ということでございますので、刑法上の嘱託殺人に当たるおそれがあるわけでございます。したがいまして法律的、社会的に大変難しい、行政庁あるいは厚生省が一義的に判断する事項ではないのではないかと考えておるわけでございます。
#58
○高桑栄松君 別なケースを今申し上げますと、社会的差別あるいは家庭的にも差別を受けることになるだろうし、自分もそう思う場合、孤立をしてくるわけでありますが、孤立ということは隔離ということとイコールであります。今度は積極的に隔離を希望した場合の収容施設はお考えでしょうか、厚生省いかがですか。
#59
○政府委員(仲村英一君) アメリカでエイズ患者さんたちがみずからホスピスのようなものをおつくりになったということは報道で私承知しておりますが、我が国の場合にそういう制度的なものと申しますか、そういう施設はまだございません。私どもとして積極的にそれをつくるかどうか、なお検討を要することと考えておりますが、患者さんが病院に入院された際も、前にも先生御指摘がございましたように、隔離の必要はないかというお尋ねがございましたが、伝染病的な意味の隔離ではなくて、ほかの患者さんとの関係で個室へ入れるとかいうことは実際問題としておやりになっていただいているようでございます。
#60
○高桑栄松君 国立病院の統廃合問題が出ておりますが、廃の方がかなりあるわけで、私は国立病院をこの際なくしてしまう、廃の方の部分ですが、なくしてしまわないで、これをそれに充てるという方法はないのかと思いますが、いかがですか。
#61
○政府委員(仲村英一君) 国立病院の統廃合につきましては私どもも積極的に進めてまいりたいと思いますが、その跡の施設をどう利用するかはその地域の医療事情と申しますか、ニーズに対応して考えていかなくちゃいけないと考えておりますので、そのまま医療機関として経営主体がかわって病院を続けていただかなくちゃいけないところもございますし、いろいろのケースが考えられるわけでございまして、一律にエイズのためにそのような施設というふうには現在のところは考えにくいのではないかと思います。
#62
○高桑栄松君 私が申し上げたのは、積極的な安楽死を求めるような状況下にある患者さんたちあるいは感染者がみずから隔離を希望したときに、その場所がなければ自殺しかないではないかということを申し上げているんです。そのために、やっぱり国立病院がもしあくなら、治療の方法がないんだから収容するだけ、だけというのはおかしいですけれども、医師の監視が要りますけれども、私は要ると思うんです。そのときに私は無菌室の話をしました。無菌室というのは日和見感染症の一部を防ぐことができると私は思うから言っているんです。治療がないんじゃありませんか。そういうことを積極的に考えるべきだと私は思う。厚生大臣いかがですか。
#63
○国務大臣(斎藤十朗君) 私は、エイズ患者の方がたとえみずから望まれて隔離を求められましても、そのための隔離の施設をつくるということについては、今いかがなものだろうかというふうに率直に申し上げさせていただかざるを得ないと思っております。しかし、医療とそういった生活管理というようなことを組み合わせた老人保健制度のときにも御議論をいただきましたいわゆる中間施設というようなものにおいて、今後そういうふうないろいろなバラエティーの中における中間施設というようなことは将来あり得るかと思うわけでございますが、現段階におきましては、何といいましても医療を十分に施せるような入院施設というものを整備し完備して、そしてそこで良好な医療を受けていただくということに重点を置いていくべきであるというふうに考えております。
#64
○高桑栄松君 私は、日本人のプライバシーに関する考え方というのは、欧米と生活様式、社会組織という構造が違うということもあると思うので、かなり違うと思うんですね。だから、プライバシーに関する考え方が違うからにはやっぱり差別に対する対応も違ってくるので、私は今申し上げたことは積極的にお考えいただきたい。間違いなく感染者はふえていきます。死亡者もふえていきますから、それに対してやっぱり積極的な対応というのは、新しい病院をつくるんじゃなくて、もしなくなる部分があるなら国立病院を残したらどうだ、一万人ぐらいはあるのではなかったですかな、私はそういうふうに思います。
 その次に入りますが、入国規制のことが出ておりましたが、これは法的にどれだけの効果を上げることができるんだろうか。これは法務省、法務大臣お願いいたします。
#65
○政府委員(小林俊二君) 提案申し上げております法案が可決、成立し、施行された場合に、入国審査の段階におきまして入国審査官が判断を要する点は二つございます。一つは、当該外国人がエイズの患者であるか否かという点であります。もう一点は、この患者が入国した場合に多数の者に病原体を感染させるおそれが大きいかどうかという点でございます。
 事前の調査あるいは情報といったような観点から特に問題になりますのは、第一点のエイズ患者であるか否かという判断の端緒をいかにして得るかという点であろうかと思います。現在のところ、当局といたしましては、入国する外国人一人一人から、事前にエイズ検査を受け陰性である旨の証明書を提示することを求めることは考えておりません。私どもが現在考えておりますのは、事前に入国管理当局が入手しております情報に依存することでございます。こういった情報といたしましては、例えば内外の新聞情報、これはかなりの有名人に限られると思いますけれども、そういった情報、あるいは在外公館等から得られればこれに基づく情報、さらに当局に対する個別の通信に基づく情報といったようなことでございます。さらにまた、以前に我が国に在留したことのある外国人につきまして、在留中にエイズ患者であるということが確認されております場合におきましては、そうした情報を入国管理当局が集中管理しておいて、そしてこれらの外国人が再度入国する場合の判断の端緒とするということも考えておる次第でございます。
#66
○高桑栄松君 患者と言われたのは、多分感染者ということと一緒だったと思うんです。感染者が問題なんですね、健康であるという意味でね。
 それで、エイズは顔を見たって感染しているかどうかわかるわけはないし、自主申告というのもナンセンスなわけで、私はやっぱり一つ考えられるのは、いんしん地域ですね、大流行地を指定して、そこからの入国者、帰国者についてはどういう方法がとれるのではないかと、こう思います。これは厚生省かな、どちらでしょうか、法務省ですか。
#67
○政府委員(小林俊二君) 今回の法案が成立した場合の最も重要なことは、将来の状況の発展に対して即応し得る法的な根拠を確保するということでございます。したがいまして、具体的な今後の対応策につきましては、状況の進展に応じて国際的な協議も経ながらその万全を期していくということになろうかと思います。そういう点の一環といたしまして、先生の御指摘もございましたように、国際的な協力のもとで情報の交換、整備を図るということも当然考えられていく必要があろうかと存じます。
#68
○高桑栄松君 法律の制定に至る経緯は私実は大分伺ったんですけれども、法律というものは幾ら善意に出発しても、できてしまうとひとり歩きするということがあろうかと思うんです。この場合はやっぱりプライバシーが深くかかわるということで、ひとり歩きしたときの心配があるんですね。ですから、エイズのウイルスはどんどんタイプが変わっていく、それに応じて情報も変わってくる、今御指摘のとおりであります。したがって、法律というものも一遍決めてしまうとなかなか変えられないので、趣旨は生かしながら、適用する部分をそれぞれ常に情報を見ながら変えていけるような、エイズのビールスのような変幻自在立法というようなことは考えられないんでしょうかね。厚生大臣、いかがですか。
#69
○国務大臣(斎藤十朗君) エイズ予防対策を進めていきますには、まず何といいましても第一には正しい知識の普及、また感染者の二次感染防止ということが一番大事である。そういう中で、必要最小限の法規制を行って、これが容易にしていけるようにいたしてまいりたいというふうに考えて法律を作成いたしたわけでありますが、今回の予防法につきましては、今先生がおっしゃられましたように、新しい疾病としてのエイズということを十分に念頭に置きまして、例えば研究開発の促進とかまたプライバシーの保護とか、またその中でもそういう感染者等に対して差別的な行為を行ってはならない旨の勧奨規定でございますが、そういう規定を置いたりとかというふうにして、相当何といいましょうか、新しいエイズに対応した新しい形式の法律になっておるということも御理解をいただけるのではないかというふうに思うわけでございます。
 そういう中で、今先生がおっしゃられますように、この法律ができたためにエイズの予防がかえってぐあいが悪くなるというようなことのないような運用に努めてまいる。そして、法律においても必要最小隈の問題について規制をいたしておるということにおいて御理解をいただきまして、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
#70
○高桑栄松君 法律問題はこのくらいにさせていただいて、次に教育、啓蒙、宣伝等にお話を移らせていただきます。
 最初に総理大臣に伺いたいんですが、この間エリザベス・テーラーと会見されたというホットニュースでございましたが、御感想を承りたいと思います。
#71
○国務大臣(中曽根康弘君) あの有名な方がエイズの予防のために基金を募集するその財団の会長になりまして、アメリカ国内はもとより世界じゅうにもそういう運動の手を差し伸べていることに非常に敬意を表した次第であります。
 日本にも協力を求められておりましたので、我我の方でもできるだけ民間の方々にもお願いをし、努力もいたしてみたいと思いますと、そう申し上げておきました。
#72
○高桑栄松君 予防は、今治療法、予防法がない段階ではどうしても自覚によるみずからの予防しかないということは世界周知でございますが、そのための教育、啓蒙、宣伝等々にどのように我が国は取り組んでいるか、あるいは取り組もうとしているか、そういったことについて。またさらに外国の事情もお話し願えれば幸いです。
#73
○政府委員(仲村英一君) まず最初に、外国の方の広報対策でございますけれども、一番患者数の多いアメリカでは、パンフレットの作成でございますとか、マスメディアを利用する、あるいは学校教育の活用等一般向けの知識の普及対策が中心のようでございます。イギリスでも、パンフレットを全世帯に配布するとか、テレビ、ラジオを通ずる民報を行っておるようでございます。フランスでも、リーフレット二千万枚を作成してキャンペーン等を行っておるというふうに承知しております。
 我が国におきましても、二月二十四日にエイズ対策閣僚会議で御決定いただきましたエイズ問題総合対策大綱の中で第一に位置づけておりますのはこの正しい知識の普及でございまして、私どもとしてもこの知識の普及をエイズ対策の最も重要な基本の柱と考えておるところでございまして、厚生省に限らず関係各省庁あるいは医療団体等関係団体の御協力を得ながら、官民一体となってキャンペーンを進めておるところでございます。
 例えば厚生省の場合でございますが、国民皆保険体制でありますので、保険者を通ずるということが非常に有効ではないかということで、各保険者を通じましてリーフレットを全世帯に配布するということも考えておりますし、例えば政府管掌の健康保険では加入一千六百万世帯にリーフレットを配布してございます。このほか啓発用のポスターを作成いたしましたり、政府広報によりますテレビ番組の放映でございますとか、テレビのスポットを実施するとか、あるいは、ごらんいただいたかもしれませんが、新聞にも広告を行っておるところでございます。あるいは海外渡航者、それから外国からお帰りになった方々に対する広報といたしましては、検疫所におきます、パンフレットをつくってそれを配布いたしましたり、国際観光振興会というふうなところを通じまして広報を行っておるところでございます。あるいは日本医師会におきましてもポスターをおつくりいただきまして、全会員にそれを配布いただくというふうなことを御協力いただいてやっていただいておるところでございます。
 引き続き、私どもといたしましても、正しい知識の普及ということに全力を挙げていろいろな広報活動を持続して実施していきたいと考えております。
#74
○高桑栄松君 今千六百万世帯と言われたと思ったんですが、三千八百万世帯あるわけで、半分ですね。それは全部に行かないんですか。
#75
○政府委員(仲村英一君) 千六百万世帯と申し上げましたのは政府管掌健康保険の全世帯という意味でございまして、それ以外の方々については、各組合健康保険でございますとか国民健康保険等を通じてお願いするという仕組みをとりたいと考えおります。
#76
○高桑栄松君 英国では、無知のためにエイズで死ぬなというキャッチフレーズがあるわけで、これはまさしく正しい知識の普及による自覚を持てということでございます。その意味で、最初にかなり不安状態があってパニック的反応を起こしても、それはいずれは免疫を産むんだから、気休め的な安心情報を流すものではないと私は思っているんです。そのことにつきまして、ちょっとこれレクチャーめいて恐縮ですが、疫学上の確率論と個人の感染というお話をちょっとさせていただきます。
 確率論というのは、例えば輸血の場合を例に挙げますと、血液にウイルスがある。それは一回接触、注射をすると間違いなくうつる。確率は一分の一であります。ところが、セックスではそう簡単にうつらないというんで、だからまあ行きずりのセックスの一回ぐらいは大丈夫だろうというのが新聞に出たんですね。それで、私は行きずりセックス論と申し上げているんですが、何回で一回かわかりませんが面倒ですから五回といたしましょう。五回に一回だと。五分の一。これ、確率論です。そうすると、皆さんは四回までは大丈夫じゃないかとちょっと思うんですね。しかし、その五回に一回というのは、最初でもぶつかれば一回なんです。三番目もそうなんです。四回目までは大丈夫で五回目ではないかというのはゴカイでございますから、これはだめなんですね。これが確率論と個人の感染の違いです。千回に一回であっても最初にぶつかるかもしらぬということを私は申し上げて、したがって危険であるかないかというのは確率ではないんですね。本人がその危険のウイルスに接触することがあるかないかということです。ですから、そこをちょっと閣僚の皆さんに知っていてもらいませんとうまくないんです。
 そこで、蚊によってうつるかというのがあっちこっちで質問がありまして、厚生省どうお考えですか。
#77
○政府委員(仲村英一君) 蚊からうつるとは私ども聞いておりません。
#78
○高桑栄松君 これは確率論の問題で言えるかもしれませんが、蚊というのは注射器を持っているわけですね。血を吸うんですから、間違いなく血管に入って血液に入ってきます。そして、私も知らなかったんですが、蚊というのははしご酒をするんだそうですね。だから、うつしていくわけだ。そうすると、消毒をしないでまた次へ入りますから、ウイルスがある限り間違いなく感染の確率があるわけです。ですから、これは「フューチャリスト」というアメリカの未来学雑誌、国会図書館にありまして私、見ました。三−四月号です。一九八九年十一月に「エイズ イズ ディスカバード ツー ビー スプレッド バイ モスキートーズ」と書いてあります。一九八九年十一月にエイズは蚊によって伝染されるということがディスカバー、発見されると。これはもう相当な人たちの確率論で言っているわけです。ですから、私はうつると思っています。ただ、キャリアが少ないときにははしご酒をしてもうつらぬかもしれないですね。しかし、接触感染調査はできないんだから、蚊は。カブンにして私もこれは知りません。しかし、うつるという確率は千分の一か万分の一があるんです。ですから、私は蚊に対してもやっぱり対策を考えられた方が安全である。私はもう注意をするにこしたことはないと思うんですね。
 後で申し上げようと思ったんですがついでですから申し上げますと、ウイルスが唾液にあるということです。それから、後で申し上げますが、肝炎のウイルスも唾液に入っています。肝炎のキャリアはアジア、アフリカでは六%ですよ。百人に六人。日本は二%です。キャリアは約三百万人ぐらいいます。B型肝炎ですね。ヨーロッパ、アメリガは一%以下です。なぜか。これは衛生的なレベルにパラレルですから、だから日本はその中間だということですね。
 私、一番悪いのは献杯だと思っています。唾液にあるんですから。ですから、千分の一か万分の一か知りませんけれどもこれはやっぱり――日本だけですね、献杯という非衛生的な習慣は。政治家諸公は特にこのチャンスが多いのではないか。アメリカの下院議員と日本とは違うわけですね。アメリカは献杯でなくてエイズで亡くなっている。輸血のようですね。我が国はどうなるか、興味津々というところでございます。献杯はこの際はっきりおやめになった方がいい、こういうふうに私は思います。
 それで、職場感染の予防についてお話しいたします。(「三々九度はどうなる」と呼ぶ者あり)三三九度はどうなりましょうかね。これは特定のパートナーということですから、総理大臣、これ大丈夫ですよ。特定のパートナー、それ以外と三々九度をしょっちゅうしちゃいけないということでございます。私の質問時間が減りますから急がせていただきます。
 医療従事者の問題ですが、職場感染は…(「講義をやれよ」と呼ぶ者あり)時間をいただけばやりますから。医療従事者職場感染の問題は、私、前に歯医者さんのことを申し上げました。ある県の歯医者さんから私に反論的な手紙をいただきましたけれども、間違いですね。アメリカでは、歯医者さんは全部もうゴム手袋をしているそうです。自分にうつるのと、ほかの患者へうつすのと二つあるんですから。もう直接ですからね、これは厚生大臣、確実にゴム手袋をすることを指示していただきたい。これはもう絶対ですね。
 それから救急隊員のことがやっぱり心配になっているんですね、皆さんが。それで、消防庁長官、これは救急隊については何か指示しておられますか。
#79
○政府委員(関根則之君) エイズ感染者に対します救急搬送ないしは救助業務の確保をいたします上で、感染防止対策をしっかりすることが非常に重要であるという認識を私どもは最初から持っておりまして、エイズ問題が発生をいたしました昨年の秋、十月に、当面の対策といたしまして、今お話のございましたディスポーザブルの手袋を使用すること等につきまして周知徹底を図りました。その後、さらに詳しい対策を確立する必要があると考えまして、専門家の先生等に入っていただきまして検討委員会を組織いたしまして、先日その結論を提出いただきましたので、四月三十日付で対策を各市町村の消防に連絡したところでございます。
 考え方といたしましては、エイズの感染防止を図る上で必要な資器材の整備でありますとか、あるいは医療機関等との連絡協調体制、そういった体制の整備、それから、まず教育が必要でございますので、エイズ感染防止等につきましての教育の充実という点につきまして徹底を図っているところでございます。
 具体的な内容といたしまして代表的なものを申し上げますと、活動の原則といたしましては、傷病者の血液等へは直接接触をしない、直接的な接触を避けるということを原則とするということでございます。また、実際の活動につきましては、手袋の着用でございますけれども、救急隊員が手や指に創傷がある場合等につきましては、必ずこれは手袋を使用するという原則にしております。
 また、作業の内容といたしまして、気道確保ておりますとか、あるいは酸素吸入、人工呼吸処置、止血、創傷の処置、その他数項目挙がっておりますけれども、こういった処置をいたしますときには必ずディスポーザブルの手袋を着用するようにということにいたしております。また人工呼吸につきましては、通常、原則といたしまして人工呼吸器というのが最近発達してございますので、これを使用するようにいたします。しかし、緊急の場合等で人工呼吸器がない場合がございますので、そういった場合にはマウス・ツー・マウスの人工呼吸をせざるを得ない場合もあると思いますが、そういう場合にはポケットマスク等をちゃんと使用をいたしまして、これも直接的な皮膚接触といいますか粘膜接触といいますか、そういったものの起こらないようにする、こういった具体的な内容を示しているところでございます。
 いずれにいたしましても、こういった感染防止対策を十分講ずることによりましてエイズの感染の危険性を回避することは十分可能であるという考え方に立ちまして、最初申し上げましたように、エイズ感染者を含む救急患者に対する救助活動に支障が生じないようにしてまいりたいと考えております。
#80
○高桑栄松君 ちょっと気がついたんで、またレクチャーめきますけれども、傷がついているところにウイルスがつきますと、瞬間的にもう間髪を入れずアルコールでふいてもだめだそうです。もうウイルスは入る。だから、うがいなんかをしても入っちまったらだめなんですから、それをちょっと念のために申し添えておきます。
 それで、変死者を扱う監察医なんですが、これは法医学の教授から聞かれているんですが、どんな指示をしておられますか。これは厚生省ですね。
#81
○政府委員(竹中浩治君) 監察医でございますが、伝染病、中毒等によって死亡した疑いのある死体あるいは変死体等につきまして行政解剖をするということでございますので、血液を介しまして伝染するエイズの予防対策は大変監察医の場合にも重要であろうかと思っておるわけでございます。
 厚生省としましては、ことしの二月に、各都道府県知事及び医師会あるいは病院団体等関係団体につきまして、このエイズの予防対策等々について通知をいたしております。こういうものをひとつ参考にしていただきまして、監察医の場合も万全を期していただきたいと思っておる次第でございます。
#82
○高桑栄松君 私はもう一つは、変死者のエイズ疫学というのが疫学的に非常に関心が高いところでございまして、我が国の中でエイズがどれくらい浸透していくかということをはかる方法というのは、なかなか血液検査ができない。まあ献血検査が一つありますが。そういう意味では、変死者のエイズ検査をしていくことは疫学的に重要なデータが得られると思います。いかがでしょうか。
#83
○政府委員(仲村英一君) 変死者の方々がどのようなエイズの感染状態がということを知ることは一般的なエイズの感染浸淫度をはかる上でも意味があることかもしれませんので、専門の先生方ともよく御相談をさせていただきたいと思います。警察庁のデータによりますと六万九千人ということでございますので、全数をやることが効率的なのかどうかも含めまして、御相談をさせていただけたらと思います。
#84
○高桑栄松君 昨年三月、私が献血血液全部を検査することをお願いしまして、その体制が整って私大変うれしいと思っています。しかし、あのときには申し上げなかったわけですけれども、感染をしてから抗体が陽性になるまでの期間が二週間から十二週間、長い場合には六カ月、もっとと言う人もおります。少なくとも六カ月間はひょっとすると陰性に出ていてウイルスがあると。しかし、この血液を輸血から除外できないわけです。これによる感染の確率がやっぱり若干あるんですね。
 どうするのかということでありますが、私は、アメリカの文献に載っておったので、これを御紹介して、そうしてもらいたいと思っていますが、これは例えば手術を予定している人、こういう人はもうちゃんと自分の血液を預血しておくと。それで自分のをまた戻してもらうんですから、これはもう文句はないわけであります。こういうことをやっぱり公的にやってもらいたいなと。私ならやりますね。もしするならもう頼みますね。そういうことで、最小限度自分の予定した手術に関してはこれで防ぐことができるということでございますので、これをやっぱり公的にやってもらえないかと思うんですが、いかがでしょう、厚生大臣。
#85
○政府委員(竹中浩治君) 今お話しの自己輸血でございます。自己輸血の場合、感染症とかあるいは血液型不適合の輸血に伴う合併症を予防し得るということで、その点では大変有効であろうと考えております。
 ただ、今まで我が国でも自己血液の特に冷凍保存等の研究が行われておりますが、これは主として例えばまれな血液型の方の場合に、事故に備えて自分の血液を冷凍保存しておくというようなことの面でいろいろ研究をされておるわけでございますが、この方法はまだなかなか日本では普及をしていない。もう十数年前から研究は続けられておりますが、実際上の普及はしていないというようなこともございますので、今後の評価を待ちまして対処することといたしたいと考えております。
#86
○高桑栄松君 輸血というのはエイズだけじゃなくて、肝炎もあるんですね。前の運輸事務次官をされた中村さんが一年ほど前でしょうか、輸血肝炎になっておられるんですね。今度亡くなられたわけですが。アメリカの下院議員のエイズも、これは輸血であるというふうに言っていますね。ですから、やっぱり輸血で避けるものは避けなきゃいけないと思います。
 それで、肝炎の予防についてお話を聞きたいんですが、青森県三沢市で四月十八日でしたか、事件が起きております。産婦に止血剤を注射して八人全員が肝炎にかかったということですが、このてんまつについての御説明をお願いします。
#87
○政府委員(森幸男君) 先生御指摘のように、青森県の三沢市の産婦人科病院でフィブリノーゲンを使った患者八名に肝炎が発生をしたという事実は私どもも報告を受けております。それで、現在、この事例を踏まえまして製造会社の方に指示をいたしまして、肝炎の発症と本剤との因果関係につきまして全国的な規模での調査を今行っているところでございます。調査結果がまとまりましたら可及的速やかにその評価を行い、原因の究明を行ってみたい、かように考えております。
 事件につきましてはそういうことでございますが、ただ、こういうようなことで国民の方々の御不安もあろうということで、メーカーの方でもこの製剤につきましては、四月二十日から、製造会社の自主的な措置といたしまして、この製品の回収ということを開始しているところでございます。
#88
○高桑栄松君 このフィブリノーゲンには一五ないし二〇%で発症する危険性があるという注意書きがあったそうでありますが、この場合には八名全員が発症したということが私やっぱり非常に関心のあるところですが、結果を待つことにいたしましょう。
 それで、肝炎が我が国でもキャリアが三百万人というんですが、そのうちのパーセントを僕は今ちょっと忘れましたが、かなりの確率で肝硬変になります。肝硬変の中から四割ぐらいだったかな、肝がんになるんですね。ですから、やっぱり肝炎にかかっちゃまずいんですよね。ですから、これはちょうどエイズが肝炎と同じ予防対策をすることになっていますから、肝炎についての予防対策はどうなっているのか。あわせて一本で僕はやってもらいたいと思うんですが、さらに強力にこの際やってもらいたいと思います。厚生大臣、いかがですか。
#89
○政府委員(仲村英一君) お尋ねの肝炎はB型肝炎のことだということでお答えさせていただきますけれども、厚生省は昭和三十八年から肝炎の研究を開始しておりまして、四十七年からは全献血血液につきましてHBs抗原でございますが抗原検査を実施しておるところでございます。それから免疫グロブリン製剤ワクチンが実用化されておりまして、これを用いました感染予防対策が実施可能となりましたことから、六十年度からB型肝炎の母予感染の防止対策が既に実施をされておるところでございます。これによりまして、キャリアの新しい発生というのは今後はB型に関しては絶滅されると思いますけれども、おっしゃいますように、既にかなりの数の感染者がおられますので、この方たちにつきましては予防法等いろいろ通知をお出しいたしまして、キャリアについての健康管理その他について引き続きいろいろ医療機関でもやっていただくようなことで、対策として実施しておるところでございます。
#90
○高桑栄松君 外務大臣に伺いたいと思いますが、アジア、アフリカ地区に肝炎のキャリアが六%と申し上げましたが、私が最近在外公館を訪れたときに、アジア地区でございますが、奥さんから言われたんですが、B型肝炎のワクチンを注射してもらおうと思ったらしてもらえなかったと。というのは、お金じゃなくて、なかったのかな。忘れましたが。これ、高いものですよね。それは私は家族を含めて、海外赴任されるのは公務でございますから、やっぱり外務省できっちり肝炎の予防注射をした方がいいと思いますが、いかがでしょうか。
#91
○国務大臣(倉成正君) ただいま在外公館の職員並びに家族の問題について御配慮いただいて、ありがとうございます。
 先生御専門と思いますので恐縮でございますが、B型肝炎のワクチンの抗体を得るには三回の接種ということになっておりまして、少なくとも七カ月を要するので、在外職員及びその家族に対しては本省に在勤する間に接種を受けるように指導いたしておる次第でございます。
 ワクチン接種の経費は国家公務員等の旅費に関する法律により旅行雑費から出せるようになっておるわけでございますが、職員及び家族が外国に赴任する七カ月前から接種を開始することが困難な場合がございます。その場合には、第一回目の接種とその次の一カ月後の接種、二回までは本省において行いまして、さらにその後六カ月後に行う第三回目の接種を外国で行うというような方法をとっておる次第でございますけれども、万全を期するために、ただいまお話しのように、アジア、アフリカ、中東等において、広く分布しているこういう地域におきましてそういうことのないように、今後該当者は漏れなく接種を受けるように、抗体を得られてから赴任できるように努力をいたしたいと思います。
#92
○高桑栄松君 やっぱり受けられなかった人の訴えでございましたから、私も医者なものですから心配になっていたんです。よろしくお願いします。
 それで、エイズ研究体制に移りたいと思いますが、我が国の研究費は余りにも少ないということでございまして、研究費の内訳について、厚生省、文部省、科学技術庁、エイズ研究そのものについての費用はどれくらいになっているのか、お伺いいたしたいと思います。
#93
○政府委員(仲村英一君) 厚生省関係のエイズの研究費でございますが、六十一年度には、科学技術庁から移しかえをいただきました科学技術振興調整費を含めまして九千二百万円でございました。また、六十二年度は一億四千八百万円を予定しておるところでございます。
#94
○政府委員(植木浩君) 文部省関係では科学研究費補助金が中心でございますが、六十一年度は旧千六百六十万円でございます。なお、六十二年度は八千百五十万円を予定いたしております。
#95
○政府委員(長柄喜一郎君) 科学技術庁におきますエイズの研究費でございますけれども、六十年度はエイズ抗体検査技術の開発に四千三百万円、六十一年度はエイズウイルスの定量方法の開発に五千三百万円を支出しております。なお、六十二年度でございますけれども、科学技術振興調整費を活用いたしまして、エイズに関連の基礎研究を掛違することにしておりますが、金額は現在詰めているところでございます。
#96
○高桑栄松君 総理大臣に伺いたいんですけれども、総理大臣がこの前秋の私の質問に、金は幾らでも出す、研究体制を整えればというお話でございました。サイエンスに非常に理解の深い総理大臣に改めて敬意を表します。
 それで、私が今言いたいのは、確かに我が国はエイズの研究者が少ないです。研究費が少ないんだから研究する人がいない。したがって研究者が少ない。これはもう当たり前のことでございます。ただ、周辺研究者がたくさんおりまして、もう私だけでも何人かピックアップすることができます。それで、私が言いたいのは、もう一挙に少なくとも百人の研究体制をつくりたい。我が国は、科研費を見ますと、一人の研究費というのは百万から数百万円なんですよ。ですから、一千万円で百人で十億でございます。一九八六年アメリカのNIHの研究費だけで四百八十億でございますから、十億というのはたった二%なんですね。それをこの際、何というのかな、もうつかみ金で出してもらいたいですね。そうすると、十億研究体制というのは百人研究体制であると。
 それから、これだけの金をアメリカは突っ込んでいってもなおかつ治療、予防に出口がないんですから、我が国がおくれて出発してもだめだと思います。だめだという言い方は悪いです、失礼しました、なかなか難しいと思います。ですから、これはもう今までの実績主義の科研費的な研究ではなくて、アイデア募集による一発勝負でやってみたいと私は思います。私に指揮をとらしてもらえるとちゃんとやれるんですがね。まあこれはあれでございますが。そこで私は、そういう意味で総理大臣、つかみ金でせめて二%、アメリカの、十億、どうですか。百人体制いかがでしょうか。
#97
○国務大臣(中曽根康弘君) 高桑議員にはエイズ問題について国会で最初に警鐘を乱打されて、自来いろいろ講義を受けておるわけで、きょうも非常にいい勉強をさしていただきました。確かに、我が国におけるエイズ研究はまだ緒についたばかりで、幼稚園の段階だろうと思うんです。そういう意味におきまして、問題はお金の問題だけじゃなくて、研究管理体制といいますか、そういう体系ができているかどうかという問題。体系と同時にお金というものがついていく、その辺私まだ不敏にしてよく調べておりません。しかし、お金をつけてあげなければ体系ができないことも事実であります。でありまするから、関係各省協力させまして、エイズの閣僚会議もできておりますから、御趣旨に沿えるように、できるだけ急速に物心ともに整備するように努力いたしたいと思っております。
#98
○高桑栄松君 財布のひもは大蔵大臣ということでございますが、ひもを緩めていただけるかどうか、お伺いいたします。
#99
○国務大臣(宮澤喜一君) それは基本的には総理大臣が言われますように大変大事な問題でありますし、そうむやみに大きな金ではないわけでございますから、要求省庁のお話はよく聞きまして、つかみ金というわけにはまいりませんけれども、よく要求を聞きまして御不自由のないようにいたします。
#100
○高桑栄松君 いやしかし、総理大臣と大蔵大臣には大変私にとっては温かい御返事でございまして、ありがとうございました。
 それで、またこれ総理にお話ししたいんですが、一九九一年までに世界の患者が百万、そして感染者が一億、ワクチンが開発されなければその一億はそっくり十年後の今世紀末には死ぬと、こういうWHOの予測があるわけです。しかも、ワクチンは今世紀中は難しいだろうという予測も出ております。これは一億というのは五十億の五十分の一なんですね。大変なことだと思います。ですから、人類の存亡をかけたエイズとの闘いは今時間との競争だと私は認識しているんです。そうしますと、総理、ベネチア・サミットで私はやっぱりこれはどうしても一つの国際協力体制でやっていただきたい。私の条件が一つあるんです。この際体制だとか言わないで、まず金。ですから、そのためには私は軍備拡張をゼロシーリングにしてもらいたいんですね。まずストップ。これは東欧も一緒です。ストップをして、その拡張を考えていた分は全額投入していく。これで時間との勝負をしないと負けるんじゃないか。米下院議員が亡くなったということは一つの大きな警鐘でございますよね。ですから、これについて私は総理にそうお願いしたいと思っております。いかがでしょうか。
#101
○国務大臣(中曽根康弘君) ベネチア・サミットにおきましてエイズ問題が出るだろうと予想して、今我々もその勉強をしておるところです。
 実は、きょう夕方イタリーのファンファーニ首相が参りまして、ベネチア・サミットの主宰者で、最初に日本へ来ていろいろ相談したいと。そういうわけで、夜相談をいたしますが、恐らくこの問題が出るだろうと思います。そういう意味で、きょう講義を受けたことは非常に有益でございまして、非常に拝聴したわけでございます。
 しかし、これについてはやはり全世界的な、人類的な課題になってきておるわけでございますから、国際協力の面においても日本として十分貢献できるようにいたしたいと考えております。
#102
○委員長(桧垣徳太郎君) 高桑君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
    ―――――――――――――
   午後一時一分開会
#103
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、高桑栄松君の質疑を行います。
 関連質疑を許します。峯山昭範君。
#104
○峯山昭範君 経企庁長官にお伺いいたします。
 先日、OECDの八七年の経済見通しについて、特に日本の成長率が二・二五%、〇・五%下方修正をいたしておりますが、政府の三・五%達成の見込み等について現在どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたい。
#105
○国務大臣(近藤鉄雄君) 来週パリにおきましてOECD閣僚理事会が予定されてございますが、その討議の資料としていろいろ事務局で検討しているわけでございますが、その数字の一部が新聞で発表されてございますけれども、それを見ますと、日本は二・二五%GNP成長をするということになっておるようでございますが、前回発表された数字が二・七五でございますから、〇・五%下方修正になっておるわけでございます。先生御指摘のとおり、我が方は三・五%を、これは暦年と年度の違いはございますが、見通しとして想定しているわけでございますが、GNPを構成する各要素で分析をして検討してみますと、率直に言って大きな違いは、日本の民間調査機関の見通しと政府見通しの違いも同じでございますが、設備投資でございますね、設備投資が相当違っておりまして、それを除きますとそんな大きな違いはないわけでございます、多少いろいろ各国違いますが。
 そこで、私たちが年初において見通しをつくったときは、円レートは百六十三円の前半を想定しながらいろいろな見通しを積み上げておったわけでございますので、私どもの予想以上の大幅な円高でございますし、そのことが民間企業心理にやはり相当消極的なインパクトを与えておりますから、こういう状況が続きますと、OECDの見通しにもございますけれども、当初政府の立てた見通しどおりに今年度のGNPが推移するかどうかについてはこれは相当慎重に見ていかねばならない、こういう考えでございます。
#106
○峯山昭範君 補正段階での修正の見通し等はどうですか。
#107
○国務大臣(近藤鉄雄君) 現在、自民党を中心といたしまして総合的、緊急的な景気対策を準備してございまして、今、総理の御指示もございまして、経済企画庁を中心にいろいろ作業を進めでございますが、こうした作業が今必要になっておりますのは、まさに当時私たちが考えたよりも諸般の状況、特に国際的な環境は厳しいという状況でございますので、そうした緊急対策を思い切り講ずることによって私どもとしてはできるだけ当初見通しの線に今年度経済見通しを近づけてまいりたい、こういう考えでございます。
#108
○峯山昭範君 これは大蔵省にお伺いします。
 やはり特に大きな問題は経常黒字の問題だと思います。特に、六十一年度の政府の実績見込み八百八十億ドルに対しまして九百三十八億ドルになっているわけでありますが、六十二年度は七百七十億ドルが見通しになっているわけでありますが、これはどこから見ても不可能じゃないかという気がするわけであります。これは非常に重要な問題でございますし、国際的な信用問題でもありますので、この点についてのお考えをお伺いしたい。
#109
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、六十二年度の経常収支の政府見通し七百七十億ドルが、六十一年度において八百八十億ドルを既にかなりオーバーしたについては、そのままこれを投影しますと七百七十億ドルが過小ではないか、こういうお尋ねでございます。
 ただいまのところは、毎月の輸出入は年が変わりましてから前年対比で少しプラスでございます、黒字が少しプラスでございますが、余り大きなプラスにまだなっておりません。私どもとしては、せんだって以来申し上げておりますように、アメリカの貿易赤字、それは対日が大きいわけでございますが、この改善というものが、やはりレートがこれだけ変わりますと動いてこないとおかしいと見ておりますので、したがいまして昨年の、六十一年度中のような傾向がそのまま今後投影されて続くとは考えておりませんで、政府見通しにおきましても、たしか貿易赤字は九百四十億ドルから八百十億ドル、百三十億ドルぐらい小さくなると見ておるわけでございまして、それはただいまのところ私は修正をしなくてもいいのではないか。何分にも年度が始まったばかりでございますので、峯山委員のお立場からも私の立場からも少し結論を出すのが早うございますけれども、やはり貿易黒字はこの程度には縮小すると考えてもいい理由があるように私はただいまのところは考えております。
#110
○峯山昭範君 総理は今回の訪米で特に内需拡大を公約、約束してきたわけでありますが、内需拡大のためには個人消費の喚起が第一であります。そのためには、総理も何回もおっしゃっておられますけれども、所得税の減税がこれはどうしても不可欠の条件になってくるわけであります。
 そういうような意味で、今与野党の間で税制改革に関する協議機関を設置するかどうか話し合っているわけでございますが、この問題の結論が出なかった場合、総理はどうお考えですか。
#111
○国務大臣(中曽根康弘君) 議長のあっせんで各党が国民の前で約束したもので、みんな一生懸命やる、そう書いてあるわけでありますから、そういうことはできるものと確信いたしております。
#112
○峯山昭範君 総理、総理の持論は、やはり所得税減税というのが一番先あったわけですね。それがあって、その後に売上税が出てきたわけでございまして、そういう点からいきますと、内需拡大のためにも、また総理の持論のためにも、所得税減税というのがどうしても必要ではないかと思いますが、どうですか。
#113
○国務大臣(中曽根康弘君) 所得税、法人税の減税は選挙でも公約したことでございまして、ぜひ実現したい。ただ、これを実現するについては、それに見合う財源が必要である。そういう意味においてレベニュー・ニュートラル、そういう考え方に立ってやりたいと選挙で申し上げてきたところです。私は、税全体としての体系というようなものが、全貌が出てはっきりしてくれば、それは所得税、法人税の減税が先行するということもあり得ると思います。
#114
○峯山昭範君 もう一点お伺いします。
 内需拡大のためには、もう一点としまして、特に円高差益の還元が非常に重要であります。これは通産大臣と経企庁長官にお伺いいたしますが、円高差益の還元の状況はどういうふうになっているのかという点が一点。
 それからもう一点は、電気、ガス料金の値下げ等について再引き下げをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#115
○国務大臣(近藤鉄雄君) 最初に、全般としての円高差益の還元状況について申し上げますと、六十年十月から六十二年の三月までの間に水際で発生いたしました円高差益は、累積をいたしますと十八兆千七百億円がございます。これがずうっと消費者物価、投資財の価格そして輸出財等々に影響を与えまして還元が進みまして、例えば消費財について申しますと、十八兆一千七百億円のうち五兆二千五百億円が消費財にたしか還元されておる等々でございまして、全体として十兆八千億、率で申しますと五九・四%になります。
 なお、この円高差益の還元率は毎月毎月率が高まっておりまして、例えば昨年におきましては四割から五割程度だったのが、ことしになりましてからは、昨年の第四・四半期とことしの第一・四半期は七九・〇%、七八・七%、八割近い円高の還元率で還元が進んでいると私も理解をしております。
#116
○国務大臣(田村元君) 御承知のように、電力、ガス、先般の還元のときの水準でございますが、為替レートが百五十九円、原油が十五ドル、LNGが十八ドルというようなことで思い切って還元をいたしたわけでございます。そこで、為替レートの方はおっしゃるような要素を十分持っておりますが、原油は逆に高くなっております。
 なお先行き不透明のところがございますので、今直ちに再還元というところまで踏み切ることができるかどうか、やはりこういうものはある時期の検討が必要ではなかろうかというふうに思います。
#117
○高桑栄松君 それでは、研究交流促進法に関連をして質問させていただきますが、まず最初に総理大臣に伺いたいと思いますが、我が国においては創造性とか学問に敬意を払うという思想に欠けているということを高木健太郎先生もつとに指摘しておられます。総理大臣はこれについていかがお考えでございましょうか。
#118
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近におきましては、しかし科学者やあるいは研究者に対する尊敬の念、社会的地位の向上というものは非常に著しいものがあると思います。それはやはり教育の普及ということが非常に進んでまいりました結果ではないかと思っております。ただ、我々といたしましては、そのような科学者、研究者の社会的身分あるいは給与、そういう面においてもっと考える必要があるし、先生おっしゃいました研究費の問題についても考える必要がある、そう思っております。
#119
○高桑栄松君 同じことについて、文部大臣にお考えを承りたいと思います。
#120
○国務大臣(塩川正十郎君) 学術研究は社会のあらゆる分野で発展の基礎をなしておりますし、また国際協力という点からいきましても、学術研究を通じて国際協力をするのが真に日本の発展としてふさわしいと私は思っております。そういう意味におきまして、今後学術の研究振興に一層努めていきたいと思っておりまして、今回臨教審の第三次答申におきましてもこのことを明確にうたっていただいておりますので、一層の努力を重ねていきます。
#121
○高桑栄松君 次に、それでは通産大臣にお伺いしたいと思います。
 産学協同ということが昔から言われておりますが、学をただで使うというような感がなきにしもあらずというふうに私は思えるのですが、そういう状況下ではやはり頭脳流出ということが起こるのは当たり前でございますが、産学協同が重要な折から、これに対して私はある意味での反省を求めたいと思いますが、通産大臣のお考えはいかがでございましょうか。
#122
○国務大臣(田村元君) 私は産学官というのはワンパックとは思っていないんです。学がまずあって、産がそれを吸収し、そうして官が集大成をしていく、あるいは監督をしていくということでありますから、何といっても近代産業の基本は学だろうと思うんです。でありますから、今、学を軽んじる感なきにしもあらずと。カンというのは感じの感か官庁の官かちょっと僕もわからなかったのですが、それはそれとしておっしゃるとおりでありまして、あらゆる面で学に対する表敬というものはもっとあっていいんではないか。表敬があればこそ学は弾みをつけるというふうに私は思っております。
#123
○高桑栄松君 これからお話ししますのは少し古い話で恐縮なんですけれども、今はもうだんだんそうではないんだなというふうに私も受けとめておりますが、私事で恐縮でございますが、お手元に「大気汚染の問題点」という小論文を差し上げてございますが、昭和三十九年に書いた論文でございます。中身はちょっとおもしろいかと思いますので、お暇な折に読んでいただければと思います。
 その中で、白黒論争というのに触れているんです。これは、昭和三十年代の大気汚染というのは、大気汚染の元凶は黒いすすだと言っておったのが主流だったんです。それを私は、目には見えないがガス、これが有害なんだということを主張しておりました。つまり白だと。それで黒か白かというので白黒論争と。一般の人は目を白黒して聞いておったようでございますが。
 そういうことでありましたが、ここで環境庁の長官にお願いをしたいんですが、大気汚染の、きれいな空気の環境基準がいつ閣議決定をされたか。それにSO2が登場してきた経緯などがございましたら少し御説明いただければ幸いです。
#124
○国務大臣(稲村利幸君) 硫黄酸化物の環境基準決定に至る経緯については、高桑先生の三十九年の論文を初め各方面の方々からの御指摘を踏まえて、昭和四十年に当時厚生省にあった公害審議会に対し環境基準の設定を含む環境施策全般に係る諮問が行われ、四十二年の基本答申、四十三年の環境基準に係る答申を経て、四十四年に定められました。その後、硫黄酸化物の健康影響に関する科学的知見の進捗に対し、中央公害対策審議会で御審議をいただき、昭和四十八年に現行のより厳しい環境基準に改められたところでございます。
#125
○高桑栄松君 ただいまのとおりなわけですが、実は新宿副都心の開発に当たりまして、東京都のというか、新宿の大気汚染対策は東京ガスが引き受けるということで、当時の社長は安西浩さんでございますけれども、それが新聞に出ておりましてね、天然ガスを導入するということが出ておりました。実は、天然ガスがクリーンエネルギーであることを安西さんにお話ししたのは私なんです。北海道ガス社長をしておられたころに私に白黒論争のことを聞かれたので、Sのない燃料を使えばSO2は出ない、CH4を使えばCO2とH2Oしか出ませんからと、これは明快におわかりになったわけで、それが出てきたので、それで現在の火力発電の主力が天然ガスでございますし、天然ガスの導入の主役を安西浩さんが演じられている。私は大変うれしいと思っていますし、私のアイデアがそのまま役に立って大変よかったと思っておりますが、まあ自分のことで恐縮なんですが、そのときに結局私には一言のごあいさつもなかった。これはやっぱり寂しい話だと思うんで、そういう意味で一言つけ加えさしていただいた次第でございます。
 そこで、第百四国会の積み残してございまして、これはここにおられます後藤田さん、それから前の江崎真澄さん、それから河野さん、引き継いでいただいたことでございますが、創造的研究を学会で発表しなければならない、これはもう当然の学者の義務でございますが、その旅費につきまして、文部省から科研費についてちょっと説明をしていただきたいと思います。
#126
○政府委員(植木浩君) 文部省関係では、学術振興の基幹的な経費として科学研究費補助金の制度がございます。この科学研究費補助金で採択をされました課題に直接関係あるような研究成果を学会で発表する場合には、これに対しまして旅費を支給いたしております。
#127
○高桑栄松君 国立試験研究機関の人たちの発表に当たってはそうはいってないんですね。それで私が申し上げて、前の国会で河野さんが、大蔵省もおられるし与党の幹部もおられるから相談をいたしますという大変前向きのお話がございました。私は、研究費の中から旅費に一部を流用して学会に出す、それは発表の責任があると同時に、学会を通じての頭脳刺激、研究交流、人物交流が重要であるという意味でございます。科学技術庁長官のお考えを承りたいと思います。
#128
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 研究費また旅費の問題につきましては、先生からいつも御鞭撻をいただいておるところでありますが、今お話しのように、前国会で河野前大臣からお話がありましたように、研究費から旅費の振りかえ、なかなか今財政上、現況は難しいような段階でございます。でありますから、私どもといたしましては、先生が言われますように、研究費また旅費の関係個々について増額に懸命に努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
#129
○高桑栄松君 あと時間もございませんので、次の問題へ急がしていただきますが、国際居住年でございますので、それにちなみまして、内需拡大の重点政策の一つが住宅建設であるということで建設大臣にお伺いしたいんです。
 住居の換気口というのは、トイレとか台所、どこについているか、ちょっと伺いたいと思います。
#130
○国務大臣(天野光晴君) 大変難しい御質問でございますが、私のうちでは、換気扇のついている場所は、まずトイレ、ふろ場、洗面所、お勝手、そして応接間でございます。ついている場所は高窓になっております。
#131
○高桑栄松君 大変常識的なというか、もう一〇〇%そうなっていると思うのですが、私は衛生学の教授をしておりまして、日常生活衛生の講義をして、もう二十数年間間違っていることを指摘してまいりました。
 例えば便所でございます。便所のにおいはなぜ上で引っ張るのか。においというものはアンモニア、NH3を除きまして全部空気より重いんです。黙っていれば下にあるものをわざわざ上へ引き上げている。それから変な話でございますが、くみ取り便所は、においの発生源がなくならない限り、引っ張っている間じゅうにおいが出るんです。それから、うっかりしますと落とした紙が上がってくるんじゃないかという心配もあるわけです。これは大きな間違いでございまして、便所は下の方から換気しなきゃ、引っ張らなきゃだめなんです、そうしたらにおいはぴたっととまりますから。
 それから台所は、プロパンガスというのは重いですよね。ですからあれが漏れますと下にあるわけで、それでうっかり火をつけると爆発をしているんです。ですからプロパンガス使用台所は下にも要るんです。一酸化炭素、燃焼ガスは上に出ますからこれは上に置くということでございまして、今後住宅建設が進む折から、便所の換気は下ということをぜひ指示していただきたい。
 これはもう快適な生活をする上で、これはにおいはどうして空気よりも軽いと皆さん思うんでしょうか、不思議だと思いますね。どうぞ大臣お願いいたします。
#132
○国務大臣(天野光晴君) 大変稀な御意見、事務当局にもそう指導するように命じておきます。
#133
○高桑栄松君 これで終わります。ありがとうございました。
#134
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で高桑栄松君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#135
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、安恒良一君の質疑を行います。安恒君。
#136
○安恒良一君 私は、まず最初に、中曽根内閣の経済政策の失敗問題についてお聞きをしたいと思います。
 総理が就任をされまして、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というのが総理の諮問に基づいて発表されました。問題は、我が国は今日非常に経済的に困難に直面していますが、総理が就任されて今日までの間にこの「展望と指針」が本当に実行されたのかどうか、実行したんだが諸般の情勢で日本経済が困難に陥っているのか、それとも実行が不十分だったのか、こういうものを検証する必要が私はあるだろうと思います。
 そこでまず第一に、「展望と指針」では、この間のGNPの実質、名目成長率をどういうふうに計上されていましたか。
#137
○国務大臣(近藤鉄雄君) 「展望と指針」では、五十七年から六十二年度の間の平均成長率を、名目では六%から七%、そして実質では四%から五%、こう想定しております。
#138
○安恒良一君 実績で見ますと、六十年度までは四%、六十年度以降はこの軌道を外れてほぼ目標の半分程度であるというふうに思いますが、この経過と結果について総理はどのように御判断されますか。
#139
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、世界的な景気の変動、特に一次産品、発展途上国の不振とかあるいは円ドル関係、特に最近におきまする円の急騰、そういう諸般の情勢が複合してまいりましてこういう結果になったのは残念であります。
#140
○安恒良一君 鈴木前内閣の時代に、経済成長率を三%で低い、これは日本の潜在成長力を十分発揮していないということで、一%程度引き上げられたと思います。ところが、今も言われましたように、五十八年から六十年度は四・三%、平均で。これは米国の異常なドル高円安という輸出依存に助けられた成長だったと思います。そして六十一年、六十二年は非常に低い。これはドル安円高の影響、こういうふうに言われていますが、どうも中曽根内閣はよくマスコミでグライダー内閣、こういうふうに言われておりますが、本当に経済の面においても潜在成長力を引き出すような施策が行われたのか。どうも欠けておりはしないか。どうもいわゆるグライダーのように追い風、向かい風、私はそういうものに任せ切りの経済運営であったのではないかと思いますが、総理どうでしょうか。
#141
○国務大臣(中曽根康弘君) 一面におきまして行政改革を実施し、あわせて財政改革も実施いたしまして、いわゆるゼロシーリングあるいはマイナスシーリングということによって日本の赤字を最大限減らす努力をしてまいりました。そういうかげんで多少緊縮ぎみなことが一般会計等においては行われた点もなきにしもあらずであります。そのかわり、金融方面ではかなり緩めまして、民間活力を引き出すとかあるいは財政投融資を活用するとか、そういうことによりまして補正予算を編成したり、できるだけ高目の経済成長に持っていくように、そういう面の努力もしたのでありますが、最近の模様は、先ほど申し上げましたような理由で思うようにいかなくなったということは残念であります。
#142
○安恒良一君 さっきから聞いていますと、総理いろいろ言い逃れの答弁をされていますが、政府というものは、財政金融政策を十分に使って適切な経済成長を達成する、また景気を調整する機能を持っているし、責任も負っていると思いますね。ところが現実にGNPの成長率は、さっき申し上げたような状況でありますから、どうもこの状況で、非常に国民は今日の経済状態では困っているわけですが、私は、こういうことを見ますと、無策で経済に弱い中曽根総理、こういう批判が当たるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
#143
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民の皆さんが一番願っていたのは物価の安定でありまして、いつでも世論調査の一番トップに出るのは物価の安定であります。そういう面におきましては、物価は超安定で、昭和三十二年以来卸売物価はマイナス、消費者物価も〇・何%という程度で、ほとんど横ばい。こういうように物価の超安定をずっと続けてきたという点は、国民、特にか弱い老人や皆さん方の御期待に一番こたえているのではないか。インフレぎみにしますというと、成長率は高目になりますけれども、実質生活は苦しくなる。かえって弱い老人や家庭の主婦を困らせるということになるのでありまして、そういう点では私は物価を安定さしてきたということは成功ではないかと思うのであります。
#144
○安恒良一君 今の答弁を聞くと、まさに経済に弱いと思いますね。私は、成長率をインフレにせいと言っているわけじゃなくて、あなたが、答申されたこのとおりに経済運営ができたかどうかということで、物価が安定したことについては私も同じ感じ。しかし、そのことを今聞いているわけじゃない。
 というのは、どうも皆さん方の御答弁を聞いていますと、円高がすべての原因だと、最近の低経済成長は。ところが、円高問題について政府が内需拡大、内需拡大と今になって大騒ぎしていますが、本当の意味の内需拡大について、四%の実現を公約しておったわけですから、これに対して渾身の努力を総理以下全関係閣僚が払われたのだろうかどうだろうか、その結果こうなったというなら私はやむを得ないと思いますが、そこはどうですか。
#145
○国務大臣(中曽根康弘君) 昨年の経済成長の結果をトレースしてみますと、内需では三・九%、約四%近くいっておった。ところが、外需の関係で、輸出の関係で落ちてきた。それで二・五%になった。内需の方は大体予定どおりいったんですが、外需の方はこういうふうに落ちてきた。そういう影響で、今我々が考えておることは、この外需の落ちたのを内需によってさらに補う、そういう方向に今是正しようとしておるところであります。
#146
○安恒良一君 それじゃ外需関係の国際収支問題、ちょっと見てみましょう。
 「展望と指針」発表以来の国際収支の黒字状況を説明してください。
#147
○国務大臣(近藤鉄雄君) 最初にちょっと訂正さしていただきますが、「展望と指針」、五十八年から六十五年の間の年平均、名目成長率が先ほど申し上げましたように六%程度から七%程度でございますが、実質では四%程度、こういうことでございます。
 御指摘のございました国際収支でございますが、五十七年の経常収支の黒字額は九十一億ドルでございます。六十一年度の経常収支は九百三十八億ドルでございますから、この間八百四十七億ドルの黒字額の増加、こういうことになります。
#148
○安恒良一君 各年度は。
#149
○政府委員(及川昭伍君) 「展望と指針」が発足したのは五十八年でございますが一五十八年度の経常収支の黒字は二百四十二億ドル、五十九年度は三百七十億ドル、六十年度は五百五十億ドル、六十一年度は速報値でありますが九百三十八億ドルとなっております。
#150
○安恒良一君 いわゆる国際収支の異常黒字について総理は、「展望と指針」でこれは是認されているというふうにお考えでしょうか。もしくは「展望と指針」の中の経済政策はこれを容認しているものでしょうか。その点どうでしょうか、総理。
#151
○政府委員(及川昭伍君) 「展望と指針」では、経済成長率等とともに国際収支については国際的に調和のとれた対外均衡の達成ということを目標といたしております。実質経済成長率は五十八年から六十年度まで平均四・三%ということで、おおむね計画どおりに進んでおりますけれども、国際収支につきましては非常に大幅な黒字がふえておるという状況でありまして、そのために、リボルビングにおきましては対外均衡の達成、同時に国内均衡の達成ということを最大の眼目とした政策が現在必要であるということを述べており、さらに経済構造調整のための施策を政府としては鋭意進めているところでございます。
#152
○安恒良一君 いわゆる「展望と指針」で中曽根内閣がされましたそのかがみに照らして、国際収支の黒字が異常と感じた時期はいつですか。また、書かれた内容より判断して、政府で許容される、もしくは適正な国際収支をどの程度と考えていますか。経企庁長官。
#153
○国務大臣(近藤鉄雄君) 実は、国際収支が異常と感じましたのは、五十七年度の経常収支が先ほど申しましたように九十一億ドルであったわけでございますが、これが翌五十八年には一挙に二百四十二億になりました。五十九年度が三百七十、以下六十年が五百五十、こう上がってきたわけでございますので、五十八年から大変大きな額になり始めた、こういうことでございますが、ちなみにこれは対米輸出の急増によるものでございまして、レーガン政権が発足しましたのが八一年、五十六年でございますから、初期のレーガン政権で相当成長政策をとってきて、それとドル高円安というものが絡みまして大幅な貿易収支の黒字、したがって経常収支の黒字を招来したものである、かように考えております。
#154
○安恒良一君 質問に答えていません。国際収支の黒字はどの程度と考え、正常な黒字はどの程度と考えるかということを聞いています。答えてください。
#155
○国務大臣(近藤鉄雄君) どの程度が黒字幅として正常かどうかということはいろんな議論があることでございますけれども、一つのめどとしてGNP対比で申しますと二%程度かなと、こういう感じで見ております。
#156
○安恒良一君 五十七年度に比べ、国際収支の黒字の倍率と増加額を年度ごとに答弁してください。
#157
○政府委員(及川昭伍君) 倍率は直ちに計算しなければならないわけでありますが、概略申し上げますと、五十七年度は黒字額が九十一億ドルでございました。それに対して五十八年度は二百四十二億ドルでありますから約百五十億ドル増加いたしております。二倍強であります。五十九年度は三百七十億ドルでございますから三百億ドル弱増加しておりまして、約四倍でございます。六十年度は五百五十億ドルでございますから五倍強であります。六十一年度は九百三十八億ドルでありますから約十倍程度になっております。
#158
○安恒良一君 正確に答えてください。きのう質問通告しておきましたよ。きのう質問通告をしておりますから、正確に金額と倍率を答えてください。約では困る。
#159
○政府委員(田中努君) 五十七年度を基準といたしまして五十八年度の倍率は二・七倍、五十九年度は…
#160
○安恒良一君 金額と倍率と両方質問通告してある。
#161
○政府委員(田中努君) 五十八年度の金額が百五十一億ドルの増加、倍率が二・七倍、五十九年度が二百七十九億ドルの増加、倍率が四・一倍、六十年度が四百五十九億ドルの増加、六・〇倍、六十一年度が八百四十七億ドルの増加で十・三倍、以上でございます。
#162
○安恒良一君 以上のとおりですが、そこで、この国際収支の黒字がこの「展望と指針」の予想軌道を外れたと政府が判断をして軌道修正に努力を始めた時期はいつですか。
#163
○政府委員(及川昭伍君) 経常収支の黒字は御存じのとおり国際的な相互関係で決まるものでありますから、我が国一国の努力だけでは是正することが非常に困難なものでありますが、黒字増加額の要因分析をいたしますと、ドル高による部分が約三割程度、アメリカの内需成長率が非常に強くて向こうの吸引力が強いというところが約三割程度、我が国の経済構造によるものが約三割程度と私どもは試算しているところであります。そういう意味で、米国とのいろいろなドル高是正の政策協調、我が国における内需拡大の施策等を六十年度、五十九年度を通じて行ってきているわけであります。
#164
○安恒良一君 総理、今のやりとりを聞いていただくとわかりますように、私は、円高や国際摩擦激化というものはやはり来るべくして来たんじゃないかというふうに今の経過をずっと見たら考えるわけです。
 そこで、いわゆる「展望と指針」の三十八ページにこれらの問題について長々と触れられています。私はこれを読む時間がありません。ですからどうも五十八年度から五年間、この「展望と指針」と実際の経済、これは乖離するばかりだったと、どうもそういう感じがしますが、政府側はどう考えますか。
#165
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほど総理からも御答弁があったわけでございますが、実質で平均四%程度の経済成長ということは、六十一年度までの、五十八年から六十一年度までの経済成長を平均していたしますと大体四%前後の達成をしたことに結果的になってございます。各年度年度で見てまいりますと、これは五十八年度におきましては三・七%の経済成長率でございますが、これに対して外需が一・五%寄与してございます。五十九年度が五・一%に対して外需が一・二%でありました。六十年度が四・三%に対して外需が〇・七。したがいまして、実は五十八、五十九、六十と外需が一%前後GNPを押し上げてまいったわけでございます。
 六十一年になりまして、実質的に申し上げますとむしろ内需が政府の施策によりまして一挙に四%近く伸びました。しかし、国際収支の調整過程で外需がマイナス一・四%で、差し引き六十一暦年が二・五%、こういうことになっておりますので、基本的には内需においては私ども所期の目的を、この厳しい円高のもとでございますが達成をしてまいったわけでございますが、それを上回って国際経済調整が進んだ結果が経済成長率の、GNP成長率の低下になってあらわれた、こういうことでございますので、その国際経済調整問題というのは相手のあることでございますから、必ずしも私どもの政策だけではすべて決せられないものがございますので、その点多少のそごがあったことはいたし方ないものである、かように考えております。
#166
○安恒良一君 言いわけだけしたってだめなんです。六十一年度はもうあなたたちは見込みが外れだというのは、去年の論争と現実であなたと私の間では私がはるかに正直。六十二年度も、今言ったらあなたは計画どおりと言うけれども、また私とあなたと論争したら来年は、あなた大臣やっているかどうか知らぬけれども、頭下げなければならぬことになるんだよ、六十一年、六十二年は。それを私はあえて六十二年を論争を吹っかけなかったのは、また見込みの問題であなたとやったってむだだからと思ってやらないだけだからね。
 そこで私は、やはりそういう内需とか外需とか分けるんじゃなくして、経済の成長率がどうなるかということがこの計画書に書いてあるんです。そしてそれをあなたたちは毎年リボルビングしているわけですから。それが今六十一年、六十二年大きく外れつつあるということについてはきちっと反省をしなければだめだよ。このことだけ言っておきます。
 そこで、次にお聞きしたいんですが、社会資本の整備についてですが、八十四ページ以降に書いてありますが、安全基盤、活力基盤、快適基盤に分けてありますが、この三つの基盤別に目標をどの程度達成されたか、社会資本の投資について説明してください。
#167
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のありました社会資本の整備でございますが、六十一年におきまして、下水道から都市公園から港湾、空港、海岸、交通、住宅等々の新たな五カ年計画を政府が策定をしてございますが、六十二年度予算までで進捗状況が例えば下水道が三七・四%、都市公園が三四・八%、住宅が三九・六%、多少ばらつきがございますが、五カ年計画の二年目ということで考えますと、大体その四割程度の予算措置を講じてございます。
 そういうことで、御指摘の安全、活力、快適と三つの柱で社会資本の整備をしようと「展望と指針」の中に書いてございますが、おおむねその線で進んでいるものと私どもは理解をしております。
#168
○安恒良一君 質問どおり答えていません。社会資本の整備をあなたたちは安全基盤、活力基盤、快適基盤に分けられています。そこで、その実行状況を安全基盤ではかくかく、活力基盤はかくかく、快適基盤はかくかくとこれに詳細に書いてあるんですから、それがどう進捗しているかと聞いたんです。そんなラフな答弁じゃだめ。
#169
○政府委員(及川昭伍君) 「展望と指針」で決定いたしております社会資本整備の指針、安全基盤、活力基盤、快適基盤、この三つの目標につきましては、公共投資の重点分野として「展望と指針」では定めているわけでございます。そして、この重点の指針に従いましてそれぞれの公共事業長期計画が個別に策定され、それぞれの基盤について着実かつ計画的に進められていると私どもは考えております。
#170
○安恒良一君 ですから、今ここに書かれてあるやつを三つに分けて、これはどの程度、この問題はここまでいきました、あそこまでいきましたということをちゃんと答弁してくださいと言っているんだよ。
#171
○政府委員(及川昭伍君) 「展望と指針」をお読みになっておわかりになりますように、八十四ページから九十三ページまで書いておりますが、それについては、整備の目標を数量的に、あるいは具体的に示しているのではなくて、社会資本整備のための重点ないし考え方を示しているわけであります。考え方を示しておるわけでありますから、その考え方に従って個別に各種長期計画が数量的に策定され、それが実行されておるということを御答弁申し上げているところであります。
#172
○安恒良一君 少なくともこれだけのことを書いた以上、それらの問題は数量的にわかるように説明してもらわにゃ困りますよ。
#173
○政府委員(及川昭伍君) 数量的に計画をいたしていないわけでありますから、数量的に達成割合を示すことはできませんですが、例えば各種長期事業計画の計画額に対して進捗金額なり進捗率がどうかということであれば、それぞれについてお答えをすることができるわけでございます。
#174
○安恒良一君 総理、ここも書くことだけは非常に立派なことが書いてあるんですよ。ところがこれ数量的にしないものですからああいうことになる。
 それじゃ、やむを得ませんから、政府がつくっている公共事業の長期計画の実績と進展状況を全部説明してみてください。
#175
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほどちょっと代表的にお話しをしたわけでございますが、下水道につきましては、五カ年計画のうち、この総投資規模九兆九千八百億円でございますが、そのうち六十二年度予算込みで三七・四%、都市公園につきましては二兆五千八百億でございますが、これが三四・八%、空港は一兆八千億でございますが、これに対して四〇・七%、住宅が三百三十万戸でございますが、百三十一万戸で三九・六%、治山が、これは六十六年まででございますが、一兆四千百億に対して一七・四%、治水が八兆円でございますが、これが一七・六%等々でございます。
#176
○安恒良一君 等々ではいけないんです。きのう各省に全部質問通告してありますよ。答弁は一人でもいいが、いわゆる公共事業の長期計画の実績と進展状況を報告しろと、各省に。私はきのう質問通告に一時間かかっているんですからね。一時間かかって親切丁寧にやっている。やってください。
#177
○国務大臣(天野光晴君) 安恒先生から通告されておる治水事業と海岸事業と道路、下水道等に関する計画の実施状態を申し上げます。
 道路は九五%いっています。治水、海岸、下水道は約八〇%でございます。
#178
○国務大臣(加藤六月君) 第三次土地改良長期計画は、五十八年から六十七年度までの十カ年計画になっておりますが、昭和六十一年度末における達成率、すなわち四年間を経て二二%であります。第七次漁港整備長期計画は、五十七年度から六十二年度までの六カ年計画になっておりますが、五年を終えた六十一年度末時点において六二%になっております。第六次治山事業五カ年計画は、五十七年から六十一年度末、すなわち六十一年度末終了時でありますが、七五%であります。
 全体的に見まして、その進捗はおくれぎみかあるいは低目の達成率になっております。しかし、これは考えてみますと、厳しい財政事情のもとで公共事業予算が抑制されたことによるものであると考えております。
#179
○国務大臣(橋本龍太郎君) 前五カ年計画の投資規模及び進捗率は、港湾につきましては総額四兆二千六百億円に対して進捗率は七四・九%。海岸につきましては九千三百億円の総額に対しまして進捗率は八二・二%であります。また、空港につきましては一兆七千百億円に対しまして進捗率は六五・八%でありました。六十一年から六十五年度の新五カ年計画の投資規模と進捗率につきましては、港湾が総額四兆四千億円、進捗率は三六・七%、海岸は総額一兆円、進捗率三七・二%、空港は総額一兆九千二百億円でありまして、進捗率は四〇・七%であります。
 ただいま農水大臣の御発言にもありましたような事情で目標を下回っております部分に加えまして、空港につきましては、特に関西新空港、羽田の東京国際空港の沖合展開、また成田の完全空港化への着工のおくれ等が推捗率の低下を来す原因となっております。
#180
○国務大臣(斎藤十朗君) 厚生省は廃棄物処理施設整備計画でございますが、昭和五十六年度から昭和六十年度までの第五次五カ年計画を行ってまいりましたが、投資規模が一兆六千七百億円に対しまして、実績が一兆三千四百二十六億円、達成率は八〇・四%となっております。
#181
○安恒良一君 ちょっと断っておきますけれども、私は、全大臣に一人一人答えてもらわなくてもいい、だれか代表でもいいというのは言っておきましたから、何もわざわざじゃなくていいんです。
 いずれも目標投資額を大きく下回っておりますね。そこで、一般会計の公共事業費予算、五十六年から五十八年、五十九年から六十二年、どうなっていますか。
#182
○政府委員(西垣昭君) 国費の予算額でございますが、五十八年度からでございますね。
#183
○安恒良一君 五十六から五十八年度、それから五十九年から六十二年度の額、伸び率。
#184
○政府委員(西垣昭君) 五十六年度の国費額六兆六千五百五十四億でございます。それから五十八年度が同じく六兆六千五百五十四億、伸び率ゼロでございます。
 それから五十八年度から六十二年度、六十二年度の国費額が六兆八百二十四億でございますので、六兆六千五百五十四億から約五千七百億の減額でございます。母数が六兆六千億でございますので、約八%ぐらいの減額がと思います。ただ、この間、事業費につきましてはいろいろと努力をいたしまして伸ばしております。
#185
○安恒良一君 総理、お聞きのとおりなんですね。これでは、本当に内需拡大の一つの大きな問題である社会資本のおくれをこれで取り戻せるとお思いになりますかどうか。というのは、お金をつけても今日土地問題があってなかなか公共事業というのは進まないんですね。ところがそのお金自体も、今言われたように伸び率がいわゆるゼロであるとかマイナス、これでは社会資本の投資は進まないと思いますが、この点について総理、どうお考えですか。
#186
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革を実施していくためにある程度の緊縮予算を組まざるを得なかったことは否定できません。しかし、それはそれなりにまた別に効果を上げている面があると思いますが、事業量は減らさないように、そういう意味で財投あるいはそのほかでいろいろ努力をして事業量は減らさないできたつもりでございます。
 最近におきましては、急激な円高等の現象によりまして成長率が鈍化しておりますが、今回新しい補正予算というものも党でお考えいただいて、これを思い切って実施して挽回しようと、そう思っておるところでございます。
#187
○安恒良一君 それから経企庁長官、リボルビングを言われましたが、どうもあなたたちが出したものをずっと見ましたけれども、全然定量的にリボルビングされていない。そこに大きな問題がありはしないか、こういうふうに思いますが、これはもう時間がありませんから、また改めて少し指摘をしたいと思います。その点どうですか、リボルビングのあり方について。
#188
○国務大臣(近藤鉄雄君) 経済の現実は国際的ないろんな要素が国内を含めて常に変動しておりますから、そういうことを踏まえまして、目標年次に対していわば計画をリボルビングしていく、こういうことがこのリボルビングということの概念であると思いますが、そういう意味から、この「展望と指針」の期間、対象期間を通じまして、世界経済、国内情勢の流動的な状況の中でこうした変化に適応しながら政策を実行してまいったつもりでございます。そういうことでございますので、意味は十分にあるものというふうに考えております。
#189
○安恒良一君 意味があるとかないとかじゃなくて、少し定量的にやらなければだめですよと、こういうことを言っただけですから。
 じゃ次の課題に入ります。
 今日、労働経済指標で見ると、雇用動向は非常に心配をされますが、まず政府に伺いますが、完全雇用という目標は今後とも経済運営のかじ取りに置いて行っていくべきだと思いますが、どうですか。
#190
○国務大臣(平井卓志君) 完全雇用そのものを、今御指摘ございましたけれども、これを政策目標としてやっておるかということでございますが、政府は従来より雇用対策基本計画、経済計画におきまして完全雇用を政策運営の基本的な目標としておるところでございます。また、毎年度の経済運営におきましても、雇用の安定を最重要課題の一つとして取り組んでおるところであります。
#191
○安恒良一君 完全雇用とはどのような意味で使っているのか、また失業率はどの程度に考えているのか、とどまっていると認識しているか。
#192
○国務大臣(平井卓志君) 大変難しい御質問でございまして、この完全雇用の状態につきましては、これを一義的に定義することは大変難しいと思うのでございますが、総量としての労働力の需給がバランスした状態における失業の水準ということを考えますると、これは各般の構造変化の進展等高まる可能性があるものと考えております。でございますから、このために、第五次雇用対策基本計画及び経済計画においては適切な経済運営と構造変化に対応した的確な雇用対策を進めて、昭和六十五年度の完全失業率の水準を約二%程度を目安としてできるだけ、もう少し高いかなという感触もいたしますが、二%程度を目安としてできるだけ低くするように努めたい、こう考えております。
#193
○安恒良一君 転職や地域間移動に伴う摩擦的失業を我が国の場合はどの程度の割合だと考えていますか。
#194
○国務大臣(平井卓志君) これもなかなか的確にお答えすることが難しいわけでございますが、いずれにしても、この産業構造の転換には必ず雇用調整といいますか、表現を変えれば一つの出血犠牲といいましょうか、伴うわけでございまして、やはり今後さらに雇用調整が進展する。それ以外に非常に大きな要素として、当委員会でたびたび御議論ございますような、非常に対策の難しい為替問題等々もそこに関連をしてまいりまして、そういう意味では、先日も申し上げましたが、余り高い水準で為替がこのまま推移いたしますと第二次の大きい雇用不安を起こす可能性もあるというふうに憂慮をいたしておるわけであります。
#195
○安恒良一君 私の質問に的確に答えられていませんが、やむを得ません。次へ行きましょう。
 本年度の経済見通しの作成の段階で失業率はどの程度に見込んでいますか。
#196
○国務大臣(平井卓志君) 政府の方針といたしましては、雇用対策のみならず総合的な対策をもって二・九%程度に何とか政策目標としておさめてまいりたい、かように考えております。
#197
○安恒良一君 それが今日では三%に近い失業率になっていますが、私はもうこれより以上失業率を高くしたら大変だと思いますが、今後の経済運営で、今言われた目標に大きく近づけるという努力、約束されますか。
#198
○国務大臣(平井卓志君) 大変重要な御指摘でございますが、労働省挙げて雇用対策に取り組んでおります中でやはり重要なことは、効果的な内需拡大を基本とした景気の浮揚、それによる雇用の増加、さらには、先ほども申し上げました、ある水準における為替の安定というものと雇用対策、すべての総合対策として効果的な対策になりませんとなかなか目標達成は難しいと考えておりますけれども、やはり雇用対策は政策課題の中心でございますので、全力を挙げて年間平均で二・九%程度にとどめたい、かように考えております。
#199
○安恒良一君 日本経済が輸出主導型から内需主導型に経済構造の転換をする過程で生ずる失業の圧力、今後どのように推移すると考えますか。
#200
○国務大臣(平井卓志君) 今後、産業構造の転換の過程におきましては、御案内のような鉄鋼、造船等の業種並びに、その関連地域、これを中心にやはり雇用調整が進んでいくであろうということを大変懸念いたしておるわけでございます。一方、御案内のように、サービス業等の内需関連、これらの産業においても、これはまだある程度雇用の拡大が期待できるわけでございまして、こうした中で労働力需給の円滑な結合、よく言われるミスマッチ等の解消も含めまして、これが図られませんとやはり失業の増加圧力は大変増すおそれがある。このために業種、地域の雇用情勢を労働省としてはでき得る限り迅速的確に把握して、内需の拡大等々、今申し上げましたような政策を持って、結論は総合的に全力を挙げて雇用の安定を図るということであります。
#201
○安恒良一君 構造調整と完全雇用という課題を同時に達成するためにはどの程度の経済成長率が必要と考えられますか。これは経企庁長官、労働大臣。
#202
○国務大臣(平井卓志君) やはり中長期的に、GNP全体の中程度と申しましょうか、経済成長が必要ではなかろうか。また同時に、きめ細かな対策を機動的に講じていかなければならぬ。ただ、経済成長率と失業率の関係でございますけれども、経済成長の影響が労働市場に及ぶまでに、これは御案内のようにある種の一定のタイムラグがございます。同時に、労働力需給の調整が労働時間、また賃金等を含めまして非常に多様な形で行われますので、一概に判断が難しいというふうに考えております。
#203
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働大臣からも答弁がございましたけれども、なかなか完全失業率と経済成長率の関係は一義的にならない面もございまして、例えば昭和五十五年、実質経済成長率が四・三%のときに二・〇の完全失業率だったわけでございますが、近年は、五十九年、五・一%実質経済成長率で、二・七の完全失業率。翌六十年が四・七の実質経済成長率で、二・六でございます。六十一年はぐっと下がって二・五の成長率で、失業率が二・八。こういうことでございますから、いろいろタイムラグもございますし、雇用の構造の問題もございます。ただ、現在のように激しい円高で厳しい構造調整が要求されるときは失業率が大きく出てくる、成長率よりも余計出てくる、こういうふうに理解をいたすものでございます。
#204
○安恒良一君 これも質問に、お答えになっていませんね。構造調整と完全雇用という課題を同時に達成するにはどの程度の経済成長が必要でしょうかと、こう聞いている。構造調整と完全雇用、それを答えてください。
#205
○国務大臣(近藤鉄雄君) これは、ですから今申しましたように、なかなか一義的な関係は難しいわけでございますが、基本的に言えますことは、構造調整をして、そして新たな雇用機会に労働者が転移する、移動させるためには、全体として少なくとも中程度の経済成長が達成されなければ実現は難しい、こういうことと理解をしております。
#206
○安恒良一君 中程度じゃわからない。例えばことしは四%ということですが、それをどの程度にすればいいのかと聞いているんです。
#207
○国務大臣(近藤鉄雄君) 中程度と私が申しておりますのは四%程度と、こういうことでございますので、この程度の経済成長は達成することが必要である、こういうことでございます。
#208
○安恒良一君 例えば本年度の経済見通しは四・六でしょう。ところが既に失業率は三でしょう。それでできるんですか、今言った二つのことを同時に。
#209
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今年度の経済成長は今年度は三・五でございます。ですから、完全失業率というか、二%程度の完全失業率であると、こういうふうな理解をいたしますと、四%程度のGNP成長率では完全雇用は達成することは困難である、こういうことでございます。
#210
○安恒良一君 輸出主導五%、それから内需主導五%に転換をしていかなきゃならぬというふうに私は思うんですが、そこで本年度以降の経済見通しを見直しする必要がありやしないか、内需主導にするために。そこはどうですか。
#211
○国務大臣(近藤鉄雄君) 御指摘のとおりでございまして、これまでは内需の成長率に対して外需成長がプラスしてまいる。すなわち、内需成長が三%から四%の幅に対して一%前後の外需成長がプラスして四%を超える経済成長を達成してきたわけでございますが、これから中程度、すなわち四%程度の経済成長率を達成しようとして、同時に対外収支の改善をする、すなわち輸出主導型から内需に切りかえていく、こういうことになりますと、その分で成長率については、外需はマイナスになってまいりますから、四%内需、実質四%プラス外需調整分を加えて、どの程度かは実際ありますけれども、少なくとも従来以上の内需を何らかの政策手段を講じてクリエートしていかなければならない、こういうことであると思います。
#212
○安恒良一君 口を開けば輸出主導型経済から内需主導型経済と、こう言われるんですが、どうも国民にはさっぱりイメージが浮かんでこないんです。ですから、その中身をちょっと説明してもらいたいことが一つであります。
 それから二つ目には、内需型投資先として今後十分潜在需要が見込まれる分野があると思いますが、そういう分野は何と何と何でしょうか。
#213
○国務大臣(近藤鉄雄君) まず、内需主導型で需要が見込まれる分野は何か、こういう御質問に対しましては、これは先生から先ほど来御指摘がございます社会公共資本につきましては、下水道であれ道路であれ、その他今後ますます整備をしなければならない分野が多くあるわけでございますし、また国民生活の観点で申し上げれば、これもいろんな点を申し上げておりますけれども、何といっても住宅がその第一である、かように考えておりますので、そうした社会基盤整備、そして個個の国民におきましては住宅の改善、充実に対して今後政策的な誘導をしていかなければならない、こういうことであると思います。
#214
○安恒良一君 これ経企庁長官だけではなかなかはっきりしないようですが、内需型投資先というものについて、今言われたことだけでしょうか。経企庁長官、通産大臣、関係大臣、少しちょっと考えてください。経企庁長官が一人で答えられると思ったら、よう答えられぬから。
#215
○国務大臣(田村元君) 完全雇用という定義というのは幾つかあって一概には言えませんが、私、突然の御指名なので十五年前の労働大臣時代の知識を求めながらお答えをいたしますと、成長率一%当たり引き上げるのに大体二十万人程度の雇用増ということになれば〇・三%の増と、そうしますと、二・五%とか二・八%という現在の、あるいは三%弱という失業率がどのようなとらまえられ方をするかということに問題があると思います。
 これは専門家にお聞きを願いとうございますが、これから内需拡大ということになれば、当然建設分野が興りましょうし、機械分野が興りましょう。同時に、将来のことを考えれば、例えば大分気の長い話ですけれども、西暦二〇〇〇年というものを見越しますと、例えばマイクロエレクトロニクスだけでも市場規模が約二百三十兆円ぐらいになりましょうし、バイオテクノロジーの雇用創出が百十七万人になるというふうに考えれば、まことに多岐多様、随分雇用創出の機会は内需拡大によって、そうして新しい技術の開拓によって創出し得るというふうに思います。
#216
○安恒良一君 ほかにありませんか、ほかの大臣。内需型の投資先としてこれから非常に有望なものは何かと聞いているんだ。
#217
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、私も先ほど大ざっぱに社会資本とそれから住宅を申し上げたんですが、通産大臣のお話もございました、無限にあると思うんですね、よく言われますようにソフト化だとかレジャー化だとか研究開発だとか。私は、内需型の国民生活の向上、充実を図るための投資先とかそういう新しい産業分野というのはまさに幾らでも無限にあるのであって、それはいろんな形で今後開拓するし、また自動的に発生してくる、かように考えておりますので、内需型経済運営については大変に楽観的で強気の見通しを持っております。
#218
○安恒良一君 私が聞きたかったのは、内需型投資先として有望なものは何があるかということで、まだお気づきになりませんから言いますが、例えば高齢化社会への対応というのも大きなあれがあるでしょう。教育問題あるでしょう、余暇問題あるでしょう。当然あなたはそういうことを全部答えられると思ってあなた一人指名したら、言わないから、ほかの大臣に全部言った。今度はほかの大臣もぽやっとして自分のところの分野を忘れて立とうとしないんだ。私は、やっぱりそういうことをやらないと内需の拡大にならないし、これからの有望な内需の投資先でしょう。通産大臣はいろいろ言われました、情報化とかいわゆる研究開発を言われました。
 ですから、そこで私は今度お聞きしたいんですが、これは十分な潜在需要が私は見込まれる分野だと思います。そこでこれに民間資本を振り向けるための具体的政策手段はどういうふうにされますか、こういう問題に。
#219
○政府委員(及川昭伍君) これから伸びる産業分野としては、物財生産部門よりは知識・サービス生産部門、住宅居住環境等々非常に新しい産業分野は大きく広がる分野があるかと思っております。これらの分野に民間活力を導入するためには、特に収益性確保の観点から、規制の緩和とかあるいは政策金融とか、事業者による開発利益の吸収とか、あるいはそのような先端分野に対する技術開発に対する支援措置とか、いろんな手段を必要に応じて組み合わせていくことが妥当なことだと思っております。
#220
○安恒良一君 中小企業が我が国の大半を占めていまして、今日まで雇用吸収面で大きな役割を果たしていることは政府の白書でもはっきりしていますが、私はどうも今後はこれが期待されないのではないかと思いますが、この点どうでしょうか。
 それから中小企業が新分野に進出をしていくための構造転換を円滑に実施をするための、支援のための中小企業政策の具体的政策について説明してください。
#221
○政府委員(岩崎八男君) 確かに非常に厳しい中にあります中小企業の転換、非常に困難な問題でございますが、私ども昨年、転換先六十事例ということでそういう成功事例を皆さんにPRし、今回の白書でも四十九の事例をそこに出しまして、全国の中小企業者の皆さんの御参考に供しております。また、そういうことを政策的に支援するために、昨年新転換法、それから昨年の末に新地域法をつくりまして、そこにおいて新たなる技術開発の支援、それから転換に対する低利融資、特別の保証、こういう支援策をとっているところでございます。
#222
○安恒良一君 これから国民生活のニーズは非常に多様になると思いますが、これの充足と技術革新、情報化、サービス化等の経済構造変化に対応した活力ある地域の形成のための、地域の有するポテンシャルを最大限に発揮した新たな地域振興圏政策についても、政府としては地域活性化のためにビジョンを示す必要があると思いますが、この点はどうでしょうか。自治大臣と関係大臣。
#223
○国務大臣(葉梨信行君) 先生おっしゃるように、地域経済の活性化のために自治省としましてもいろいろな施策を展開しております。昭和五十九年には地域活性化センターを設立いたしまして、特に地方自治体と相談をしながら、地域経済の振興あるいはいろいろなその他イベントをやるようにするとか、催し物をやるようにするとか地域交流を図るとか、いろいろな施策を講じておるところでございますが、まだそういう施策につきましては始めたばかりでございまして、これから具体的にさらにその施策の方向づけを深めていきたい、こう考えているところでございます。
#224
○安恒良一君 内需拡大の必要性は言うまでもないし、このことが国民生活の向上のために必要なんですが、単なるマクロ的な有効需要の拡大政策をとっただけでは、海外市場に大きく依存している我が国の製造業に十分な需要をつくり出すことは可能でないと思いますが、その点はどうですか。
#225
○国務大臣(近藤鉄雄君) 基本的に、先生やはり成長経済の雰囲気をつくることが大事だと思うんですね。そういう中で、個別の企業や企業者がどういった分野が今後マーケット拡大を期待できるかということは、これはもうむしろ政府のお役人や我々よりも実際の現場にいらっしゃる方々が一番おわかりでございますから、そういった方が自分たちの創意工夫でどんどん積極的な企業活動をしていただけるようなマクロの経済雰囲気をつくることが大事でございますが、ただ、従来もやっておりましたような特定の産業に対して特定の形の税制もしくは金融その他の助成の面でいろいろ配慮することも同時に大切であろうと考えております。
#226
○安恒良一君 最後に、我が国の最近の投資活動は経済の健全な拡大再生産の投資とは言えない。どうもマネーゲーム、財テクヘと進み、弊害を助長していると思いますが、この点についても政府は全く無策と言えるのではないか。なぜかというと、いわゆる投資というものは、財サービスの生産を行う産業部門の繁栄の上に投資というのは成り立っていくわけでありますから、そういう点から考えますと、どうも最近の投資活動のあり方ということについて、この点はどのようにお考えか。これは大蔵大臣になりますか、投資活動ですから。
#227
○国務大臣(宮澤喜一君) 非常に金利が下がっておりますし、金融が緩うございますので、おのおのの企業が自分の責任において利潤を求める、投資をするということ、そのこと自身私は排斥するものではございませんけれども、一国の経済が本当に成長して健全に、先ほどからお話しのような完全雇用に向かって進んでいくということになりますと、やはりそれは新しい技術の時代でもありますから、設備投資があり在庫投資があり、そうでありませんと次のラウンドの成長が期待できないということは、私は変わらない真理であると思います。
 したがいまして、今の風潮をただいちずに排斥する気持ちはございませんけれども、安恒委員の言われますような考え方、また一種の危惧を私自身も実は持っております。
#228
○安恒良一君 次は、俗に新前川レポート、経済審議会経済構造調整特別部会が四月二十二日に答申されました。このことについて聞きたいと思いますが、これを見ますと、一般論、メニューだけで具体性が非常に欠けていると思いますし、それから抽象論、どうも実行くのアクションプログラムがないというふうに私は基本的に思っています。
 そういうことを前提にしながら少しお聞きをしたいんですが、まず、労働時間の短縮についていろいろ指摘をされていますが、これはだれも異論がないと思います。中身を読み上げる時間はないと思いますが。そこで、具体的な実行計画、それの計画に基づいた実行がされなければ絵にかいたもちになると思います。
 そこで、総理、労働大臣、これから具体的にどのように実行していくのか、それからいつまでにこれを達成するつもりなのか、その方針を聞かしてください。
#229
○国務大臣(平井卓志君) 長らくの懸案でございます時短の問題については、もう委員御指摘のとおり、全く異論がないと私どももそのように考えております。
 実行計画の点でどうかということでございますけれども、労働省としましては、昭和六十五年度を目途とした行政運営の指針として、「労働時間短縮の展望と指針」、これを作成しておるところでございまして、また、完全週休二日と申しましょうか、週四十時間労働を目指す労働基準法の改正案、これを今、国会にお願いしておるところでございまして、いずれにしてもこの法案の早期成立を期待をいたしております。この改正を軸といたしまして、新たな視点から強力に監督指導をして徹底を期してまいりたい、かように考えております。
#230
○国務大臣(中曽根康弘君) 労働大臣が答弁したとおりでございますが、政府としては速やかな法案の成立を期しておりまして、それを足がかりにして前進していきたい。それから当面の問題としましては、やはり年次休暇の問題とか週休二日制の普及とか、そういう点で実質的に前進を遂げるように努力してまいりたいと思います。
#231
○安恒良一君 時短との関係で、ワークシェアリングについてもいろいろ指摘をされていますが、この点についても具体的な計画がなければ絵にかいたもちになると思いますが、ワークシェアリングについてどうされますか。
#232
○国務大臣(平井卓志君) 新前川レポートでは、長期的な観点から、労働時間短縮と世代間の、今御指摘になった雇用機会再配分と申しましょうか、こういった形、日本的なワークシェアリングを提言いたしておるわけでございまして、これを踏まえて労働時間の着実な短縮を図っていきたい。いずれにしても、これは委員も御案内のように、法律だけですべてを縛るというわけにまいりませんで、そういう中でやはり社会的、国民的なコンセンサスを図っていかなければならぬ。今御指摘の今後のワークシェアリングでございますが、やはり高齢者にウエートを置きまして、今後さらに検討をすべきまことに重要な課題であるというふうに考えております。
#233
○安恒良一君 通産省が、このワークシェアリング問題と時短ということで、最近経企庁が発表された文献がございますね。この考え方を少し、ちょっと聞かしてください。
#234
○政府委員(杉山弘君) ただいま先生から、通産省がワークシェアリングについて何か論文を発表したというようなお話でございますが、私どもの方ではそれは発表いたしておりません。
#235
○安恒良一君 経済企画庁です。
#236
○政府委員(及川昭伍君) ワークシェアリングと時短というもので論文は発表いたしておりませんが、恐らく労働時間を四分の一程度減らす、すなわち年間千八百時間ないし千六百時間にすると六十歳以上の雇用が何百万人がふえるという新聞報道を指しておられるのかと思いますが、それでよろしいでしょうか。
#237
○安恒良一君 何百万人ふえるとは何事だ、人の質問に。その中身を言ってくれと言ったんでしょう。何ですか、あなた。失礼じゃないですか。
#238
○政府委員(及川昭伍君) 御質問の趣旨が、論文を発表したというお話でございましたから、私どもは論文発表したものはございませんが、一応の試算をしたものはございます。
 我が国は、長期的に見て活力ある長寿社会を目指すことが必要であるわけでありまして、世界一の長寿社会になったわけでありますが、それに適切に対応するためには、世代間の従来の所得再配分の考え方から雇用再配分の考え方へ考え方を変えていく必要があるのではないかということで研究をいたしております。その試算によりますと、時短によるワークシェアリング効果の目安を得るために、現在の現役勤労世代の年間総労働時間、二千百時間くらいでありますが、これを二〇〇〇年で千八百時間あるいは千六百時間程度に短縮した場合に、減少した総労働時間の一割程度が仮に六十歳以上の高齢者の雇用に振り向けられるというように仮定して計算をいたしますと、千八百時間に短縮したケースでは高齢者雇用が百二十五万人程度ふえる、千六百時間に短縮したケースでは高齢者雇用が二百二十万人くらいふえる、そのような方向で活力ある長寿社会をつくっていくことが必要であるということで事務的に研究をいたしているところでございます。
#239
○安恒良一君 そこで、総理と労働大臣、経企庁長官に聞くんですが、今まで労働時間の短縮とそれからワークシェアリングというのは、日経連を中心とした財界は、労働コストの上昇を招くと根強い反対がある。また、労働省はワークシェアリングに、私どもが聞きますと、実施が時期尚早である、こういうことで消極的な姿勢を示してきたことは間違いないんですが、私は、今日の経済情勢の中で、内需拡大、そしていわゆる新前川レポート、前・前川レポート等々では、もう労働省自体がこんな姿勢ではいけないんではな。いだろうか、こう思いますが、これらの点について総理、労働大臣、経企庁長官の答弁を求めます。
#240
○国務大臣(平井卓志君) ただいま御指摘の点につきましては私もおおむね異論はございませんけれども、ただ、このワークシェアリングにつきましては、この労働時間短縮が即単純に雇用増等につながるとはなかなか断定いたしにくい面もございます。しかしながら、今後非常にこれ重要な問題でございますので、今後の高齢化を踏まえまして、先ほども一部申し上げましたように、長期的な視点から高齢者の雇用確保のために日本的なワークシュアリングを今後進めることは特に重要であると考えておりますので、日本の実情、実態に即して研究してまいりたいと考えております。
   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕
#241
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働大臣の話もございましたが、もう日本は労働時間を短縮して生活の余裕に経済力を与えるということと、長寿社会に備えてお年寄りの方のための雇用の機会を広げる、こういう二つのことを同時にしなきゃならない状況にございますので、そのためにいろいろな政策的な配慮をこれからも講じていくべきである、かように私ども考えております。
#242
○国務大臣(中曽根康弘君) 両大臣の答弁したとおりでございますが、高齢化社会ということを考えてみますと、いわゆる世代間のワークシェアリングというような問題をもう考えていかなければならない、そういう時代に入りつつあると思います。
#243
○安恒良一君 それぞれ大臣が少しニュアンスが違ったんですが、私は、労働大臣はもっと積極的にこの点をお取り組みを願っておきたいと思うんです。
 そこでまずお聞きしますが、我が国の年間実労働時間は今どうなっていますか。昭和六十年でも結構です。
#244
○国務大臣(平井卓志君) 昭和六十年の年間総実労働時間を二千時間と想定したわけでございますが、現実の労働時間は、所定外労働を全部入れまして昭和六十年二千百十時間と相なっております。
#245
○安恒良一君 目標を昭和六十年で二千時間にすると言っておきながら、私どもの方の計算では二千百六十八時間になっていますが、この目標が達成できなかった理由は何でしょうか。
#246
○国務大臣(平井卓志君) いろんな角度からの御議論があろうと思いますけれども、やはり全体としての経済成長、また企業の業績が余り芳しくなかった、そのような意味でこの十年間はやはり実態が余り進んでおらない。言い方をかえましたら、労働生産性向上の成果配分が大変厳しい状況にあった。とりわけ中小企業におきまして、週休二日制等の所定労働時間の短縮は実態としてなかなか進みにくい状況であった。いま一つは、大企業等につきましては雇用調整を所定外労働時間の増減により行う、こういう傾向が強いわけでございまして、所定外労働時間が長目となったこと等、ほかにもあろうかと思いますけれども、そういうふうなことではなかろうかと考えております。
#247
○安恒良一君 また、前川レポートは、もう二千時間だけでなくて将来千八百時間にしろ、それがためには完全週休二日制の実施と有給休暇二十日間の完全消化ということを大きくうたっているんですが、これらの現在の状況はどうなっていますか。いわゆる週休二日制の普及状況、それから消化状況。
#248
○政府委員(平賀俊行君) 完全週休二日制の普及状況、昭和六十年の状況で、規模三十人以上の企業全体を通じて、労働者数で完全週休二日制の適用を受けている労働者の割合は二七・一%でございます。それから年次休暇の付与状況といいますか、平均付与日数は全産業で一五。二%、平均取得日数は七・八日、したがって平均取得率は五二%という状況でございます。
#249
○安恒良一君 そこで、こんなに年次有給休暇が未消化になっている原因は何でしょうか。
#250
○政府委員(平賀俊行君) いろいろあると思いますが、第一には、やはり周囲への気兼ねといいますか、同僚労働者への気兼ねが一つ。それから病気等の有事に備える考え方があります。それから長期に連続休暇をとる習慣というのが諸外国に比べて非常に少ない、そういう慣行の違い。それからもう一つは、非常に仕事にやはり生きがいを持っているといいますか、会社に出勤することを第一に考えるという方々も多い。そんなところが原因であろうと思います。
#251
○安恒良一君 何か一つ忘れてやしませんかと言いたいんですがね。
 私は前の本委員会で、去年の予算委員会の中で、昭和三十年十一月三十日の通達、これは非常に年次有給休暇をとりにくくしているということを指摘して、林労働大臣は、先生指摘の趣旨を体して前向きに検討したいとここで言われたんですが、その後何もなっていませんが、どうなっておりますか。
#252
○国務大臣(平井卓志君) 今御指摘の通達は、昭和三十年十一月三十日付の通達であろうかと思いますが、総括的に申し上げて、賞与等の額の算定に際して年次有給休暇を取得した日を欠勤とする等の不利益取り扱いは労働基準法第三十九条の精神に反するものであるということがございまして、昭和五十三年六月二十三日付の通達に基づきましてその是正指導を行ったところでございますので、今先生御指摘の三十年の十一月通達というのは、実態を考えてみますると死文化いたしておる面もございますので、これは廃止いたしたい、かように考えております。
#253
○安恒良一君 去年指摘して去年やりたいと言って一年おくれたんですが、今度いつやるんですか。
#254
○国務大臣(平井卓志君) 速やかに廃止をいたしたいと考えておりますので、その時期等については私にお任せをいただきたいと考えております。
#255
○安恒良一君 お任せしますが、また一年先になって、またあんたやっていませんよということのないようにしてくださいね。
#256
○国務大臣(平井卓志君) 私がお約束を申し上げた以上、さようなことは絶対にございません。
#257
○安恒良一君 一つは、時短の問題では、やはり前川レポートでも、中小零細企業が非常におくれているということが言われているんですが、この中小零細企業の労働時間の短縮を労働省としては具体的にどのように進める考えですか。そして、これは労働省の指導だけでは私は指導に限界があると思いますよ。やはり通産省の協力も得なきゃならぬだろうと思いますが、ここはどうしますか。
#258
○政府委員(平賀俊行君) 確かに週休二日制の普及率などを中心に中小企業で労働時間の短縮がおくれているというのは事実でございます。全体の、三百万事業所がございますけれども、そのうち百五十万の事業所でいまだに四十八時間という状態にとどまっているということ、そういったくさんの事業所があるということで、その事業所に週休二月制の実施を推進するということは確かに難しい状況にございます。
 したがって、第一には、中小企業を地域または業種の集団といいますか、そういう集団的にとらえて指導をするということが必要であろうかと思っております。それから御指摘のように、労働省ばかりでなくて産業を所管する官庁あるいはその出先、あるいは地方公共団体、業種団体などとも十分連携をとって指導していきたいと考えております。
#259
○国務大臣(田村元君) まず、労働時間短縮というのは、何といっても景気をよくすることが先決でありましょうが、それはそれとして、何といっても官庁と銀行、金融機関が完全に模範を示すことが先決だと思います。例えて言いますならば、これは濃密な議論をするということであれば、お互いに質問通告をし、それに対し対応をし、そして議論をする、これは当然のことでありますが、前の晩に質問通告をされるとその担当者は徹夜をしなきゃならぬというようなこともあって、国会もまた考え直さなきゃならぬ点もあるんじゃなかろうかと思いますが、みんなで労働者をいたわってやるということが必要じゃありませんでしょうか。
#260
○安恒良一君 いや通産大臣、中小企業のことを聞いているのであって、我々国会議員は中小企業ですかね、これ。まあそれはあれしておきましょう。
 そこで、最後に私は総理、大蔵大臣、総務庁長官、労働大臣にどうしてもお聞きし、決意をはっきりしてもらいたいと思うのは、前川さんも言っておられるように、週休二日制をするためには公務員と金融機関が積極的にやることだと。ところが、現状はそうなっていませんね。そうすると、これだけ日本の長時間労働にいろんな問題があるときには、もうここまで来たら公務員と金融機関の完全週休二日制に私は踏み切るときに来ているんじゃないかと思います。ですから、この点については今申し上げた関係大臣、お考えを聞かしてください。
#261
○国務大臣(平井卓志君) やはり、効果あらしめるためには、ただいま御指摘の公務員、金融機関、さらに一歩踏み込めば商店街等々、これは非常に重要な点でございまして、二日制の推進については関係機関と十分な連携をとっておるわけでございまして、これはもう委員御案内のように、金融機関につきましては昨年八月以来従来の月一回から月二回土曜閉店を実施する運びとなっておりまして、また公務員につきましても、昨年の十一月以来、四週五休制ということからさらに四週六休制の試行に前進、さらにいま一つは、現業部門において閉庁方式等も今後具体的にどうかということでございまして、非常に重要な点でございますので、今後こうした努力を一層推進してまいりたい、かように考えております。
#262
○国務大臣(山下徳夫君) この週休二日制につきましては民間における進捗状況、これを踏まえながら人事院、関係機関ともよく諮って、なるだけ早く完全実現するように進めてまいりたいと思います。
#263
○国務大臣(宮澤喜一君) 金融機関のことでございますが、労働大臣が言われましたように、昨年の夏から第二土曜に加えて第三土曜を休みということになりまして、これから先でございますが、金融機関全体の足並みという問題と、あとは企業との関係、いわゆる個人の皆さん方のお客さん、利用者との関係といったようなものを金融機関の方でもいろいろ考えておるようでございます。
 大蔵省としてどう考えているかということでありますと、やはり大きな流れはそういうふうに向かっていくべきものだろうというふうに思っておりますけれども、しばらくの間、金融機関自身の判断をもう少し見ておりたいと思っております。
#264
○安恒良一君 そこで総理、最後の答弁を願う前に、前川リポートは総理がいろいろアメリカにも御説明されるし、これからやっぱりベネチア・サミットでもいろいろ論議があったときにこれを引用されると思います。そういう意味からいいますと、私はもうここまで来ますと、いろいろあっても金融機関の週休二日制、今、月に二回やっていますね、公務員も隔週。これは日本も踏み切るんだと、こういうことを総理が明確にされて諸外国にも臨まれる、またそういうふうに実行された方がいいんじゃないかと思いますが、総理、その点を含めて考えを聞かしてください。
#265
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり日本として歩むべき一つの歴史の方向を示していると思いますが、具体的な問題になりますといろいろ配慮すべきこともございまして、各省大臣がお答えしたとおりで進みたいと思います。
#266
○安恒良一君 まあ大臣が答えた後ですけれども、総理、やはりこういうときこそあなたの指導性というのが発揮されなきゃいけないと思うんですね、税金では非常に指導性を発揮されたようですけれども。ですから、そのことを一言だけ言っておきます。
 次に、自治医大問題についてお聞きをしたいのでありますが、いわゆる現在都道府県すべてに医大もしくは医学部がありまして、各都道府県は地域医療の理念に従って地元の医師は地元で養成する、こういうことが可能になっています。にもかかわらず、この自治医大、全都道府県に二ないし三名の定員を割り当てております。それで、六十一年度は八千六百三十万円の均一拠出が各県に求められていますが、地方公共団体が一私立大学にこのようなことを強制している姿は私は異常ではないかというふうに思いますが、この点自治大臣、文部大臣のお考えを聞かしてください。
#267
○国務大臣(葉梨信行君) 自治医科大学についての御質問でございますが、これは昭和四十七年に僻地医療の確保とその向上のために、僻地勤務医師を養成するために養成機関といたしまして全都道府県が共同して設立しました学校法人でございます。
   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
各都道府県は設立者といたしまして自治医科大学の運営に参画しておりまして、その運営費等につきましては、その設立の目的を実現するために均等に負担することを各都道府県みずから決定し拠出しているところでございます。そして、この負担金を含みます大学の事業計画及び予算につきましては、毎年度全国知事会の特別委員会及び知事等で構成します評議員会、理事会におきまして必要な審議、承認を得て決定をされている、こういうことでございます。
 そこで、先生がただいまおっしゃいましたような件につきましては、各都道府県、全都道府県で検討し対応したらいいことではないか、このように考えるわけでございます。
#268
○国務大臣(塩川正十郎君) 自治医科大学につきましては、先ほど自治大臣が答弁しておりましたように、その設立されました趣旨と目的はなお必要ではないかと思っております。
 なお、学校の形態等につきましては、まず学校自身がお決めになることが大事なことでございまして、それを受けて文部省としては検討すべき問題だと思っております。
#269
○安恒良一君 強制でないとかいうことでありますが、そうなれば、もう一県一医大・医学部ができていますから、例えば今後知事が、委託することはもう必要でない、こういうことを言ったときに政府は余計な口出しはしませんね。どうですか。
#270
○国務大臣(葉梨信行君) 設立者でございます都道府県知事がみずからお決めになることでございますので、干渉はいたしません。
#271
○安恒良一君 昨年の十一月二十七日に全国衛生部長会が自治医大に対し三項目の要望書を出しているようですが、その内容を報告してください。
#272
○政府委員(湯浅利夫君) 自治医大におきましては、全国衛生部長会から昨年の暮れに要望を受けまして、その代表者との間で既に話し合いが行われております。要望の内容は三点ございますが、それぞれ各都道府県の現実の問題等を種々議論して、そして自治医大の建学の精神を発展させるためにぜひ実現しなきゃいかぬというような趣旨から出た話のようでございまして、設立者でございます各都道府県の関係者と自治医大との間で率直に話し合いを重ねるということが必要であろうかと思います。それに向けて私どもも協力させていただきたいと思っております。
#273
○安恒良一君 質問に答えていません。三つの要望が出ているがその要望書の中身を報告してくださいと、こう言っているんです。
#274
○政府委員(湯浅利夫君) 要望の点は三つございまして、まず一つは、「最近の医師需給状況を考慮して、各都道府県の定員割当数を見直し、必要に応じ、自治医科大学における医師養成定数の削減を図ること。」、これが一つでございます。それから二番目は、「社会情勢の変化に伴い、へき地医療のほか、公衆衛生や社会福祉分野等の各都道府県が必要とする医師養成を行うこと。」、これが二番目でございます。それから三番目は、「養成費の一部負担の導入、義務年限、研修条件等について、へき地勤務医師確保の必要性を勘案の上、見直しを行うこと。」、以上でございます。
#275
○安恒良一君 大臣、以上のような要望が出ているわけですね。ですから、この一項目を見ますと、各県が自発的にお決めになっているというが、どうも自治医大に実際上定員を強要しているからこのような要望が出たのではないかと思います。これはやっぱり自治をゆがめるのですから、今後は強制割り当てということはやらないということはよろしゅうございますね、自治大臣。
#276
○国務大臣(葉梨信行君) おっしゃるとおりであろうと思います。
#277
○安恒良一君 自治医大の卒業生のうち契約どおり僻地医療に従事している者はどれだけでしょうか。
#278
○政府委員(湯浅利夫君) 昭和六十一年七月一日現在の自治医科大学の卒業生は九百六十九名でございますが、このうち医師の国家試験に合格した者は九百六十四名でございます。このうち医師法の規定に基づく臨床研修中の者、これは卒業後二年間でございますが、これが二百二十四人。それから、義務年限の間中に後期研修といたしまして各都道府県知事の指示する病院などにおいて医療に従事する者、これが百三十五人おります。これを除きますと六百五人いるわけでございますが、そのうち十四人は、奨学資金を返還したりあるいは死亡したりした方がおりまして、現在第一線に働いておられる方は五百九十一人でございます。このうち僻地等の病院・診療所等に勤務しております医師は四百六十三人、五百九十一人のうちの七八・三%に当たるわけでございます。
 なお、この僻地医療機関というのは、過疎地域対策緊急措置法、それから山村振興法、それから離島振興法、それから豪雪地帯対策特別措置法に指定されました地域にございます病院でございますとか診療所ですとか保健所等に勤務しておるわけでございます。
#279
○安恒良一君 私が次に質問することもついでに答えてくれましたから、そのことは省きましょう。
 そこで、いわゆる僻地病院・診療所に平均何年勤務しているんでしょうか。それから、医師法で努力義務となっています卒業後の臨床研修期間二年はいいとして、残りの契約期間七年はすべて僻地・地域医療に従事しているんでしょうか、どうでしょうか。
#280
○政府委員(湯浅利夫君) 自治医大の卒業生は、まだ大学が新しい関係がございまして、義務年限が九年間ということでございますが、義務年限を明けた医師がことし初めて出るわけでございます。そういうようなことで、毎年七月にこの実態を調査しておりますが、まだ義務年限が終わった者の調査ができていないわけでございます。そういうことで実績は把握いたしておりません。ことしの七月にはこういうものも調べたいということを大学当局も言っております。
#281
○安恒良一君 義務年限は九年、二年は研修ですから残り七年あるわけですね。ですから、私が聞いていることは、残りの七年というのを本当に全部がすべて僻地医療に従事しているんだろうかどうだろうか、その実態を報告してくださいと、こう言っているんです。
#282
○政府委員(湯浅利夫君) 卒業生は、卒業した最初の二年間は医師法に基づく研修をやるわけでございますが、それから七年間ずっと僻地の医療をやってまいりますと最近の医療の進歩になかなか追いつけないという問題がございまして、後期研修ということで残りの七年のうちの一年ないし二年、これは各都道府県知事がお決めになるわけでございますが、そういう研修を後期研修としてやるということにいたしているわけでございます。したがいまして、七年間全部を僻地で勤務するということはなかなか難しいのじゃないかという感じでございます。
#283
○安恒良一君 そうすると、実際は、法律によって七年の半分ということで四年間が義務づけられているんじゃないですか、そこはどうですか。
#284
○政府委員(湯浅利夫君) 修学資金を貸し付けるに当たりましては、九年間のうちの半分は少なくとも僻地に勤めるというふうに言われております。そうすると四・五年あるいは五年というのが一つの目安じゃないかと思います。
#285
○安恒良一君 そこで大臣、目安ですが、私は臨床研修とか、後から研修すること、そのことを否定するものじゃありません。しかし少なくともやはり残り七年間は全部僻地医療に当たるというふうにしなければおかしいんじゃないでしょうか。どうでしょうか。今のでいくと、極端に言うと四年でいいわけですよね。そこはどうですか。
#286
○国務大臣(葉梨信行君) 自治省は設立者じゃございませんから、こちらで強制するというわけにはまいりませんが、実はことしの二月に私は視察に行ってまいりまして、理事長を初め理事者の皆さん、それから学長や教授陣の方々とお話をしたり、実態を見てまいりました。学長さんのおっしゃいますことには、ほとんどの医師が引き続き僻地において診療に従事したいと、非常に使命感に燃えて仕事をしているということを聞きまして、大変心強く感じたところでございます。非常に教育効果が上がって立派な医師を養成している、こういうのが実態であろうと思うのでございます。
#287
○安恒良一君 何かえらいうまくいっているようですが、私も、「自治医大はどこへ行く」とか、この本を読みましたし、それが出たらすぐ反論的に「いま、へき地医療は」なんといって、今度は慌てて自治医大が出したのを見ますと、そうあなたがおっしゃっているような建学の精神に燃えてみんながみんなそんな僻地でやっているんじゃないんですよ。そこにやっぱり今日の問題がいろいろ――ですから都道府県からもいろんな要望書が出ているわけですからね。ただ行って見てきたらとってもよかったからということじゃなくて、自治大臣、もう少し勉強された方がいいと思いますよ。そして私は、七年間は十分やっぱり僻地で働いてもらう、こういうふうに御指導をされるべきだと思います。
 そこで、自治医大の経理状況はどうなっていますか、大臣、答えてください。
#288
○政府委員(湯浅利夫君) 自治医科大学の大学会計の六十年度の決算でございますが、歳入が七十二億六千万円、それから一般的な歳出が四十九億七千万円でございますが、そのほかに減価償却費の引当金が八億九千万円、それから修繕引当金に五億円、それから基本金の積立金七億五千万円を組み入れますので、残額一億五千万円が黒字となってこれが翌年度に繰り越されているという状況でございます。
#289
○安恒良一君 時間がないから大ざっぱに言われたと思いますが、資産運用収入が非常に多いんですが、これは何でこんなに資産運用収入が多いんですか。
#290
○政府委員(湯浅利夫君) ただいま申し上げました引当金関係で現在、六十一年三月末現在ですが、減価償却引当金が七十五億七千万円ございます。それから修繕引当金が四十億円、それから退職給与引当金が十五億六千万円、それから積立金が八十億二千万円ということで、これだけで二百十一億五千万円の引当金がございます。これの運用収入というものがほとんどでございます。
#291
○安恒良一君 これは栃木県が発行するべき地医療振興自治宝くじの交付金の相当部分がこちらに積み立てられて累積二百億に上っている、その運用収入が非常にあるんじゃないですか。その点はどうですか。
#292
○政府委員(湯浅利夫君) 自治振興宝くじの発行によります運用利益金は、今御指摘のとおり栃木県から交付されるわけですが、その分は施設の整備の資金ということで別途積み立てられております。これが約二百五十億ばかり、ちょっと私記憶ありませんが、そういう額がございます。
#293
○安恒良一君 仮に二百億積み立てられて、その運用収入、これはきょう時間がありませんから――これで株を買ったりいろんなことをやっているんですよ、これ、私は知っていますけれどもね。大学が株を買ったりいろんなことをすることがいいのかどうかと思いますけれども、やっていますから、このことだけは注意しておきます。
 そこで、どうも自治医大が統廃合予定の国立王子病院の買収に乗り出したとか、大宮市に第二附属病院を建設する予定であるというふうに私は聞いているんですが、その真偽のほどをお聞かせください。
#294
○政府委員(湯浅利夫君) 国立王子病院の買収の問題につきましては、大学当局は関知していないということを私どもに言っております。
 大宮市に第二病院を建設するということにつきましては、義務年限が九年間で、この義務年限の終了する医師が近い将来出てくるわけでございます。その方々の研修施設を兼ねたものとして第二病院の建設をしたいということで、大宮の地元の関係者との間でいろいろ折衝が行われまして、了解を得られまして、現在建設の準備を進めているところでございます。
#295
○安恒良一君 大臣に重ねて聞きますが、自治医大が大都市部に病院を持つ理由が私はわからない。そのことを聞かしてください。
#296
○政府委員(湯浅利夫君) 自治医大は、御案内のとおり、僻地の医師の養成をするということでございます。
 そういうことで、まず一つは、この大宮は現在の自治医科大学と非常に近所でございますので、有機的な連携が可能であるということがございます。それからまた、大宮市におきます医療の需給関係から見まして、第二病院が地域医療に貢献できると考えられるのじゃないかということ、それから三つ目には、今申しました医師の卒後研修のためにはできるだけ多くの疾患につきましてより豊富な症例を体験するという必要があるわけでございまして、そういう意味で大宮市が適当ではないかということで、大学当局がここに第二病院の建設を決めたというふうに聞いております。
#297
○安恒良一君 大臣答えてください、わかりません。
 なぜかというと、今、自治医大の二年間の卒後の臨床研修は、附属病院ではなくて各都道府県のいろんな病院でやっているんですよ。それから、もしも再研修が必要というなら、私は母校の附属病院でやればいいと思う。各県からそんな要望が出ているんですか、もしくは、卒業生一同から大宮に病院をつくってくれ、そこでおれたちは再研修を受けたい、そういう要望が出てきていますか。これは大臣答えてください。事務当局の答えではだめです、こういうことは。
#298
○国務大臣(葉梨信行君) 私が聞いておりますところでは、一つは本院で研修するのには十分でない、オーバーフローしてしまう、こういうことが一つあるようでございます。もう一つは、大宮に決めましたのは、大宮市の市当局から誘致のお話がございまして、両方の要望がマッチして、それでは大宮につくろうか、こういうことになったと聞いておるところでございます。
#299
○安恒良一君 なったと聞いておるじゃ困るんですよね。もしも宝くじの積立金がようけあって、運用収益があるものだから使い道に困っているというなら、自治医大直営の僻地中核病院もしくは僻地診療所をどんどんおつくりになったらどうですか、金が余ってしようがないというなら。それを何で大宮あたりに――それは地元の要望があったことは聞いていますが、それは建てればいいということじゃないじゃないですか。自治医大の建学の精神、それから自治医大が積み立てておる金の運用、そういう点をどうするんですか。どうも不明瞭でなりません、ここのところは。そういう答弁だけではわかりません。
#300
○政府委員(湯浅利夫君) 自治医大は、ただいまも申しましたとおり、医師の養成をするということが前提になっておりますので、できるだけ症例の多い地域で研修をするということがその後のお医者さんの医療活動に非常に役立つという観点から、大都市の大宮市に病院を建設することが提案されたということでございます。
#301
○安恒良一君 どうも、答弁も声が小さくて自信がなさそうですね。私がこう聞いておると、みんな閣僚でうんうんとうなずいているのがたくさんいるんですよ、これ、率直に言っておかしいじゃないかと。
 これは大臣、もう少しここのところは、私はこの点は保留をしておきます。もう時間がないですからこれであれしていてもしようがありませんから。
 私はどうも理解に苦しみます。運用資金でうんと金が余っていることを知っていますよ。それで株を買ったり投資信託したりいろんなことをしているんだから、大学は。そうして、金が余ったら――一私から言わせると、大学の附属病院もあるし、各都道府県にもいろいろ病院があって、そこで今まで研修を全部しているし、それから、もしも今度後期研修というなら大学の附属病院をさらに拡大すればいいことであって、新しく、いろいろごたごたしてまで――それは市から要望があったことも聞いています。しかし、私はこういうつくり方については大きな疑問点を持っているということを申し上げておきますから、ひとつここは保留しておきます。
 そこで私は、二十一世紀にかけての自治医大のあり方について、どうあったらいいんだろうか。どうも建学の精神から大分離れて中途半端な運営になっていると思います。そこで、これは文部大臣と厚生大臣とそれから自治大臣、二十一世紀に向けての自治医大はどうあるべきかということの考え方をひとつ言ってください。
#302
○国務大臣(葉梨信行君) 自治医大で養成します医師は僻地医療に従事する目的で養成されたわけでございますが、医師過剰時代と言われますが、都市と僻地との医師のバランスが依然としてアンバランスのままにございまして、僻地におきます医師への需要はなお大きいものがあるわけでございます。専ら僻地医療の診療を担う医師の養成と地域医療の向上を目的とします自治医科大学の役割、存在理由は引き続き大きなものがあろうと思うのでございます。
 将来の望ましい医療のあり方ということでございますが、医学、医療が高度化し専門化する中で、いかなる地域、いかなる僻地の住民でも適切な医療を受けられるようにすることが必要でございまして、地域ごとの、予防からリハビリテーションまでの一貫した、包括的な保健医療の展開が必要でございます。このためには総合区、すべてのことが診断がつくという総合医と、プライマリーケアを担当する医師の養成が不可欠であると考えるものでございます。自治医科大学は、僻地等の医療を担う医師を養成するという明確な使命を持つ大学として積極的な役割を今後とも果たして、一層地域の発展に寄与していくべきであろう、このように考えているところでございます。
#303
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は自治医科大学、こういう公共性の非常に高い医科大学におきましては、今やっぱり学校教育の中で公衆衛生の思想を専門的に教育していく人が非常に少ないのでございます。午前の高桑先生のお話の中にもございまして、教育委員会でエイズの教育をするといたしましてもそういう担当の人たちが少ない。そういうことを自治医科大学が将来においては一端を担っていただきたい、こう思っております。
 同時に私は、一般の予防医学でございますが、こういうものに対しましてもこれからの要請は非常に強いと思っておりますので、自治医科大学の将来に大きく期待しておるものでございます。
#304
○国務大臣(斎藤十朗君) 自治医科大学が創設されましてから年限がたつ中で、先生が先ほどから御指摘ありますように、その目的も変わりつつあると思います。しかしながら、なおまた僻地医療の医師を確保することについて各地方においてはかなりの期待を持っておる点も一つあると思います。
 また将来にわたっては、私どもといたしましては、そういった一層の僻地医療従事者の確保と、国際医療協力の分野で活躍していただけるような方々とか、また先ほどからお話もございましたが、家庭医機能を持った医師を養成いたしてまいりたいというふうに考えておりますので、そういう分野の医師養成というようなことについても御配慮をいただければ大変ありがたい、そういった点を私どもとしても関係の皆さんにお願いしつつ進めてまいりたいと考えております。
#305
○安恒良一君 私は、建学の精神に反しているとか中途半端な性格になったということは、これは一県一医大の実現という背景のもとではある程度やむを得ないものもあったと思います。
 そこで、各大臣に将来の抱負を聞いたんですが、この最後に私は具体的な提案をして、総理のお考えを聞きたいと思います。
 私はこの自治医大の今後のあり方は、七年間僻地医療、直営の僻地中核済院、僻地診療所で働くと同時に――総理が国際国家日本と言われているんです、そでで、ここを卒業した者に語学も十分やって海外の僻地医療に参加させる、こういうことをひとつお考えになったらどうか。この方法がある、いわゆる僻地に徹底してやる。それは国内だけじゃなくて、いわゆる経済未開発国なり医師の少ない国もあるわけですから、日本では医師定数を減らそうかという時期でありますから、これは思い切って国外の僻地についてもこれでカバーしていく、こういう方向に自治医大を変えていくという方向が一つあるだろう。
 二つ目は、もうこういうふうに各県一医大ができたら、中途半端な僻地にこだわることなく、今厚生大臣もちょっと言われましたが、高齢社会で必要不可欠なのは家庭医なんです、ホームドクターです。ところが、今の日本の医学教育というのはどうしてもやや専門医中心の教育になっていますから、私は家庭医、ホームドクターをここで中心的につくる、こういうモデル的な学校にしたらどうだろうか、こういう考えを持っておりますが、この点についてひとつ、所管大臣である自治大臣、そして最後に高い立場から総理のお考えを聞かせてください。
#306
○国務大臣(葉梨信行君) これからの時代を見通しますと、先ほどプライマリーケアというお話を申し上げましたが、また今先生が述べられましたような方向も確かに一つ考えなければいけない、このように思います。
 運営につきまして、あるいは将来の指針につきましては、十分に理事会等で討議をしてもらったらよかろうと思います。
 また、先ほど御指摘がございました資金運営の問題とかその他につきましては、全国知事会の担当部会あるいは大学の理事者にもよく伝えたいと考えているところでございます。
#307
○国務大臣(中曽根康弘君) 今の御提案の中で、海外の僻地云々という、これは非常に示唆に富む御提案であります。ただ、やっぱり学校の規則を改正しないといけないのではないかと思いますが、それらにつきましても理事者や関係都道府県の皆さんの御協議が必要なので、自治医大をつくるときの趣旨と大変これは違った、国際的なあるいは人道的な仕事になってくるものですから、その点はよく関係者の御意見を承らないといけないと思います。
 それからホームドクターのことは、これはちょっと別の話であって、自治医大が必ずしもやるべきものではない。むしろホームドクター養成は、厚生省あるいはその他が中心になっていろんな医学の体系の中で検討さるべきものではないか。
 それから今まで一連の御議論を拝聴いたしまして、非常によく中身を御勉強なすっているので私も敬意を表しますが、大宮につくる云々という問題について私は中身をよく知りませんが、私が感じているところでは、やはり医学は非常に今、日進月歩でございまして、使う道具から、あるいは研究の施設からあるいは薬から、あるいは診療の方法から、もう一年二年で随分違ってくるわけで、それで相当高度の講師がいないとそれはうまくいかぬと思うんです。ですから、大宮のようなところへつくるということは、医師を優秀な医師に再生させるという意味においては、東京の権威者に近いところという意味において、医師の技量を上げる、研修の質をよくするという意味においては私は必ずしも悪いことではないと、今御議論を拝聴しておって、医師の後期研修あるいは質の向上という面から見れば必ずしも否定すべきものではない、そういう感じがいたしました。
#308
○安恒良一君 総理、ホームドクターは何もここだけじゃないんですが、今の医学部をホームドクター養成にするためには、もうこれは大変な作業になるんですね。だから私は、ここをモデル的な養成校にして、そして医学部教育を変えていかないと、これは文部大臣に答えてもらうとわかりますが、今の医学部教育はどうしてもやや専門医を中心にする教育課程に全部なってしまっているわけですから、だから私はここをモデル的ないわゆる養成校にしたらどうか、こういうことを言っていますから、ひとつこれは文部大臣も含めて御研究をしていただきたいということを申し上げておきます。
 それからいま一つは、そういう立派な病院をつくるのはやっぱり都市に近い大宮がいいと言われますが、自治医大自体も附属病院を持っているんですね。それで、これは立派な医者をつくるためにあそこに立派な附属病院をつくったわけですから、何か地理的に大宮と自治医大の違いだけでは今の総理のお考えはちょっといただけませんので、これは考え方を申し上げておきます。
 次は最後の質問になりますが、血液製剤とエイズ関係の問題について聞きたいんですが、厚生省は今度医薬品副作用被害救済基金法の一部改正案を国会に出されていますが、この中身をちょっと説明してみてください。
#309
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回御提出いたしております医薬品副作用被害救済基金法の改正案は、活力ある長寿社会を実現していくために、近年目覚ましい進展を遂げておりますバイオテクノロジー等の先端技術を活用して、国民の保健医療上の重要課題であります例えばがんや老人性痴呆症等を克服できるような画期的な新薬や医療機器などにつながる基礎的な研究開発を振興いたそうというものでございまして、このため医薬品副作用被害救済基金を改組いたしまして、従来の救済業務に加えて民間の研究開発に対し、出資、融資の手法により公的資金を提供する業務を行おうとするものでございます。
#310
○安恒良一君 今聞いていますと、被害者の救済と企業の研究開発振興とは全然性格が違うんですよ。これが一つの法律になるはずがないと私は思います。
 それから第二に、企業の新薬研究開発は、元来企業競争において行われておりまして、国が特段これに援助する必要は私はないと思います。
 それから第三番目には、被害者救済という本来業務に私は改善されるべき問題点がたくさんあると思いますから、この法律はいずれ審議の場でやることにいたします。
 そこで、第三点に関して質問しますが、五十四年度法施行以来、救済を申請した者、そのうちまた認定された者、この累計を。それから認定に当たっての判定の基準、それをひとつ説明してください。
#311
○政府委員(森幸男君) お答え申し上げます。
 まず最初の、この基金が救済業務を開始いたしました五十五年五月一日から六十一年度末までに行われましたこの基金に対する申請件数、五百八十九件になってございます。そのうち支給の決定件数というのは三百七十九件になってございます。
 それから二つ目の御質問でございますが、この基金の救済業務につきまして、どういうような基準で処理をしておるのかということでございます。これは救済業務を行いますのは基金でございますが、この判定をいたしますのは厚生省の中央薬事審議会の専門家の御判断をいただいております。中央薬事審議会におきまして、その医薬品の使用目的が適正なものかどうか、あるいは使用が適正なものであったかどうか、あるいは被害と医薬品による発現というようなことの因果関係がどういうふうなことになっておるかというようなことを中心に判断が行われておるところでございます。個々の判定の事例というのは千差万別でございますので、一律の判定基準というのは設けてはございません。その専門家の合議によって処理をされているというのが実態でございます。
#312
○安恒良一君 処理日数。
#313
○政府委員(森幸男君) 失礼しました。
 この基金で処理をいたしました件数の全体の中で、大体六〇%程度が九カ月以内、それから大まかに申しまして八〇%ぐらいは一年以内に処理をしておる、大体そんなところでございます。
#314
○安恒良一君 厚生大臣ね、どうもやはりこの判定機能は不十分だと思いますね。処理日数、それから判定の基準はない、ケース・バイ・ケースでやっておると、こういうことなんですから。しかしこれはきょう議論することじゃありませんから、改めて別の機会にこのことはやることにいたしまして、この法律で、いわゆる血液製剤からエイズに感染した人、一説では五千人程度あるんじゃないかということになっておりますが、これが救済できないでしょうか、どうでしょうか。できないのはなぜでしょうか。
#315
○国務大臣(斎藤十朗君) 今のお話でございますが、血液凝固因子の投与によりましてエイズウイルスに感染をされた方々というのが大変多いわけでございます。今お話しの五千人程度といいますのは、そういった血友病患者の皆さんが大体五千人とつかんでおります。また、専門家の調査検討によりまして、実際に統計をとったわけではございませんけれども、疫学的な、専門的な観点から見ますると、約三分の一程度の方が感染をしているのではないかという結果が出ておるわけでございます。こういう方々に対してこの救済基金の制度を適用できないかというお話でございますが、この基金は医薬品というものが現在の科学水準では適正な使用によっても副作用が生ずるという可能性があるということに着目をして設けられたものでございますが、この血液凝固因子の投与によってエイズウイルスの感染を受けられた方につきましては、この製剤の病理的な作用の副次的作用としてこれが起こったというふうには認められませんので、副作用という範疇から除外をされておるものでございます。
 同時にもう一点は、重篤な病気等の治療のために副作用なりのことが予想されましてもこれを投与することが不可欠であり代替品がないというような薬、例えば制がん剤とか、また血液製剤というものがこの制度から除外をされておる点でございます。
 また第三点目には、この制度がそれが起こり得た後に、以前に遡及して適用するということが制度として仕組まれておらないという点等々がございまして、大変難しい状況になっております。
 専門的な点につきましてはなお事務当局から御説明をいたします。
#316
○安恒良一君 本法で定義されている医薬品の副作用とは何でしょうか。
#317
○政府委員(森幸男君) 基金法の中で、医薬品の副作用というものにつきまして法律上規定がございます。「医薬品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合においてもその医薬品により人に発現する有害な反応」というふうな定義がなされてございます。この定義の考え方でございますが、医薬品には先生御承知のように、有効な薬理作用とともに人体に有害な薬理作用というものも内在をしておる、そういう特性があるためにこの有害な薬理作用による被害に着目して救済を行おう、こういうことでございまして、ここで定義の中にございます「医薬品により人に発現する有害な反応」という言葉がございますが、医薬品の有する薬理作用によって引き起こされる人の身体の機能の変化などであって、人にとって望ましくない反応、若干ややこしい表現で恐縮でございますが、そういうふうに私ども考えております。
#318
○安恒良一君 難しい学術用語じゃなくて、私はわかりやすく国民が読みますと、薬を飲んでおかしくなった、だれのせいとも言えないケースがあり得る、その場合の被害者はだれにも弁償を求められないからこの基金で救ってあげようということであれをつくったと思うんですよ。ですから、アメリカから輸入した血液製剤で、しかもその当時だれもエイズウイルスの検出方法がわからなかった段階なんですよね。そして犠牲になったんですから、私は当然本法で救済されてしかるべきだと思いますが、その点はどうですか。
#319
○政府委員(森幸男君) この基金法につきましては、先ほども御説明申し上げましたけれども、医薬品の副作用によるその健康被害について責任の有無を問わずに迅速に救済をするというところにねらいがあるわけでございます。医薬品の副作用によります健康被害でございましても、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、制がん剤のようなものはこの制度の対象から除外されておりますし、またウイルスが混入した医薬品、そういうものが使用された結果生じた被害というようなものの場合も、これは副作用とは言えないというようなことでこの対象にならない仕組みとなっておるのでございます。
#320
○安恒良一君 今さっき大臣は、受忍の限度内とか、それから重症な患者は副作用を覚悟しているんだと、こう言われますけれども、少なくとも血液製剤のうち、アメリカからなり外国から輸入したものの一部だけにエイズウイルスが混入したんですね。ですから、これを使用しなくてもよかったんです。また、このエイズの恐ろしさ、これも午前中いろいろ皆さん勉強されたようでありますが、その受忍の限度内と、こういうことが言えるでしょうか。ですから私は、この法律をつくったときに血液製剤を対象から外した趣旨と今の状況は違っている、違った立場になっているじゃないか、だからこの際これを救済すべきだと思いますが、それはどうでしょうか。
 それと同時に、これはもう最後になりますから総理と大臣にお聞きしたいんですが、私たち政治家というものは、法律の解釈だけてはいけない、どうしても例えばこの法律で救えないとおっしゃるならば、おまえさんはくじ運が悪かったからあきらめろということじゃいかぬと思うんですね。他に救済方法を早急に見出すべきだと思いますが、この点、大臣と総理からお考えをお聞かせください。
#321
○国務大臣(斎藤十朗君) ただいま来御答弁を申し上げてまいりましたように、この副作用被害救済基金の適用のための法律論等いろいろ申し上げたところでございまして、大変難しい問題が多々あるわけでございます。
 しかしながら、先生も御指摘のように、この凝固因子を投与したことによって感染をされた方々につきましては大変お気の毒な気持ちを持つものでございまして、これが何とか救済をすることができないかという観点からもう一度ひとつよく研究をいたしてみたいと思いますし、またこれがどうしてもだめな場合であっても何らかの他の方法によって医療の方面において援助をするとか、いろいろな他の方法等も含めてひとつ勉強し、検討さしていただきたいと思います。
#322
○国務大臣(中曽根康弘君) 事案によりまして、場合によってはその法律で満たすことができないという場合には、行政措置で最大限のことをやるかあるいは新しい法律をつくって救済するか、ともかく事案によりまして政治としては考えなければならぬと、そういう問題であるかもしれないと思います。
#323
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で安恒良一君の質疑は終了いたしました。
 次回は明後十一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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