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#1
第108回国会 予算委員会 第13号
昭和六十二年五月十六日(土曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     坂野 重信君     寺内 弘子君
     中曽根弘文君     宮崎 秀樹君
     本村 和喜君     田辺 哲夫君
     青木 薪次君     粕谷 照美君
     穐山  篤君     糸久八重子君
     上田耕一郎君     内藤  功君
     橋本  敦君     近藤 忠孝君
     勝木 健司君     抜山 映子君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     及川 順郎君     馬場  富君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桧垣徳太郎君
    理 事
                佐藤栄佐久君
                原 文兵衛君
                降矢 敬義君
                村上 正邦君
                吉川 芳男君
                野田  哲君
                峯山 昭範君
                沓脱タケ子君
                橋本孝一郎君
    委 員
                石本  茂君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                坂元 親男君
                下稲葉耕吉君
                杉元 恒雄君
                関口 恵造君
                田辺 哲夫君
                竹山  裕君
                寺内 弘子君
                永田 良雄君
                林田悠紀夫君
                福田 幸弘君
                増岡 康治君
                宮崎 秀樹君
                森山 眞弓君
                吉村 真事君
                糸久八重子君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                福間 知之君
                安恒 良一君
                山口 哲夫君
                及川 順郎君
                高桑 栄松君
                中西 珠子君
                近藤 忠孝君
                内藤  功君
                抜山 映子君
                秋山  肇君
                下村  泰君
                木本平八郎君
   国務大臣
       法 務 大 臣  遠藤  要君
       外 務 大 臣  倉成  正君
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
       厚 生 大 臣  斎藤 十朗君
       農林水産大臣   加藤 六月君
       通商産業大臣   田村  元君
       運 輸 大 臣  橋本龍太郎君
       郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君
       労 働 大 臣  平井 卓志君
       建 設 大 臣  天野 光晴君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    葉梨 信行君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)
       (国土庁長官)  綿貫 民輔君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       近藤 鉄雄君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       警察庁長官官房
       長        新田  勇君
       警察庁警務局長  大堀太千男君
       警察庁刑事局長  仁平 圀雄君
       警察庁刑事局保
       安部長      漆間 英治君
       警察庁警備局長  三島健二郎君
       総務庁統計局長  三浦 由己君
       北海道開発庁総
       務監理官     中田 一男君
       北海道開発庁計
       画監理官     大串 国弘君
       北海道開発庁予
       算課長      寺本  泉君
       経済企画庁調整
       局審議官     田中  努君
       経済企画庁国民
       生活局長     横溝 雅夫君
       経済企画庁総合
       計画局長     及川 昭伍君
       経済企画庁調査
       局長       勝村 坦郎君
       環境庁企画調整
       局長       加藤 陸美君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  目黒 克己君
       環境庁大気保全
       局長       長谷川慧重君
       国土庁土地局長  田村 嘉朗君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省欧亜局長  長谷川和年君
       外務省経済局長  渡辺 幸治君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       大蔵大臣官房会
       計課長      増田 熙男君
       大蔵大臣官房審
       議官       石川 光和君
       大蔵大臣官房審
       議官       赤倉 啓之君
       兼内閣審議官
       大蔵省主計局長  西垣  昭君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省関税局長  大橋 宗夫君
       大蔵省理財局次
       長        入江 敏行君
       大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君
       大蔵省国際金融
       局長       内海  孚君
       大蔵省国際金融
       局次長      畠中 杉夫君
       国税庁直税部長  門田  實君
       文部省高等教育
       局私学部長    坂元 弘直君
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       厚生省保険局長  下村  健君
       農林水産大臣官
       房長       甕   滋君
       農林水産大臣官
       房総務審議官   吉國  隆君
       農林水産大臣官
       房予算課長    上野 博史君
       通商産業大臣官
       房審議官     山本 貞一君
       通商産業省通商
       政策局長     村岡 茂生君
       通商産業省貿易
       局長       畠山  襄君
       通商産業省産業
       政策局長     杉山  弘君
       通商産業省立地
       公害局長     加藤 昭六君
       通商産業省機械
       情報産業局次長  山本 雅司君
       資源エネルギー
       庁長官      野々内 隆君
       資源エネルギー
       庁石油部長    内藤 正久君
       中小企業庁長官  岩崎 八男君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    林  淳司君
       郵政大臣官房長  成川 富彦君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       平賀 俊行君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設大臣官房総
       務審議官     渡辺  尚君
       建設大臣官房会
       計課長      市川 一朗君
       建設省建設経済
       局長       牧野  徹君
       建設省都市局長  北村廣太郎君
       建設省河川局長  陣内 孝雄君
       自治大臣官房長  持永 堯民君
       自治大臣官房審
       議官       森  繁一君
       自治大臣官房審
       議官       湯浅 利夫君
       自治大臣官房審
       議官       渡辺  功君
       自治大臣官房会
       計課長      滝   実君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第五局長   三原 英孝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和六十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、一般質疑を行います。稲村稔夫君。
#3
○稲村稔夫君 私は、きょう最初に、OECD閣僚理事会、そしてまたあるいはIEA閣僚理事会、さらには各国の閣僚レベルの会談等精力的な対外活動をやってこられましたお三人の大臣にお伺いをしたいと存じます。
 それぞれいろいろと厳しい問題や重大な問題があったわけでありますが、大変御苦労さまでございました。
 そこで、早速それぞれのお立場で、今回の会議の最大の課題が何であったのか、それと、どう対応されたのか等を含めまして、ひとつ御報告をいただきたい、このように思うわけでございます。
#4
○国務大臣(倉成正君) お答えいたします。それでは私から包括的に一般的なお話を申し上げまして、それぞれの担当大臣からお話があろうかと思います。
 今次のOECDの閣僚理事会におきまして中心となりましたのは、マクロ経済と農業問題、この二つが焦点となった次第でございます。マクロ経済については、各国のマクロ政策上の協調の重要性が確認されたわけでございますが、特に日本に対する内需拡大策への強い期待が表明された次第でございます。また農業については、中長期的には、ウルグアイ・ラウンドを通じて保護の削減を図っていくこと、また、当面の対応として現状を悪化させる措置を差し控える等につき合意が得られた次第でございます。
 我が国といたしましても、OECDの閣僚理事会で確認された諸点、非常に長いコミュニケでございますけれども、これらの諸点をまた閣僚理事会、またワーキングランチ等でいろいろ関係閣僚の間で率直な意見の交換がございましたから、これらの問題を踏まえて積極的に対応していくことが国益にかなうものと確信を得た次第でございます。
 具体的には、当面、緊急経済対策、これは今国会本予算が終了後、緊急経済対策を早急に策定いたしまして、政府を挙げて内需拡大、輸入の拡大、国際的貢献等、諸施策実施に努めなければならないと認識いたしておる次第でございます。
#5
○国務大臣(田村元君) 十一日にIEA閣僚理事会、正確に言えば十日、十一日でありますけれども、実質的な会議は十一日。それから十二、十三とOECDがあったわけです。
 IEAの閣僚理事会といいますのは、石油価格が低下してから初めてエネルギー担当大臣が一堂に会したということで、大変有意義であったわけであります。
 議論されましたのは、備蓄、石油技術の開発、それから原子力発電というような、発電というか、原子力ということが中心になりました。
 それで、原子力につきましては、一部の国に異論はございましたけれども、それはチェルノブイリに隣接した国々といいますか、そこではありました。けれども、最終的にはこの原子力というものはエネルギー安全保障上重要なエネルギーであるという合意をしたわけです。意見の開陳としては異論もありましたけれども、最終的には満場一致でエネルギー安全保障上重要なエネルギー源であるということで合意をいたしました。
 石油備蓄につきましては、国家備蓄を増強すべしというアメリカの意見に対してさまざまな意見がありました。備蓄の重要性を一層認識し、加盟国が備蓄の積み増し、特に利用可能な備蓄、俗に言うアクセシブルストックというやつですが、これの増強を図る必要があることについて合意をいたしました。
 それから石油開発につきましては、九〇年代の需給逼迫の危険性が認識されたために、積極的に税制等によって支援を行うべきであるという合意に達したわけであります。
 私から特に提唱しましたのは、産消対話といいますか、産油国と消費国の間でやはり対話がなきゃだめじゃないか、この意見交換を通じて石油市場安定化に向けてお互いに努力すべきものではないのかという発言をいたしました。閣僚間で、IEA域外国との対話を継続するということの重要性について合意された、これがIEAであります。
 それから次いでOECDでありますけれども、OECDの閣僚理事会は、先ほど外務大臣がちょっと触れておりましたが、マクロ経済政策、農業調整問題それから貿易問題、特に貿易問題を含む構造調整という議題のもとで行われたわけです。議論の焦点は、国際貿易不均衡問題と農業問題の解決策をめぐって推移したわけであります。
 農業問題については、農林大臣から御答弁があると思いますから、私は触れないでおきたいと思います。
 その結果、貿易不均衡の是正を為替レート調整のみにより行おうとすることは不可能である、世界経済にとってまた危険であるという認識のもとに、幅広い政策協調の必要性ということで合意を見たわけであります。これは、ここに大蔵大臣がおられますが、パリ合意を延長したものという考え、考え方としてはそういうこと、これをより幅広く中身を深いものにしたということだろうと思います、参加国が多かっただけにです。
 それから特に日米独につきましては、それぞれの政策課題を特掲することになりました。それぞれ項目を一つずつ出して、その中に入れられたわけです。アメリカに対しては、財政赤字の削減ということを一生懸命にやりなさいというようなこと。そして、それに対してアメリカも非常に強い決意表明をしておりました。それから日本とドイツに対しては、内需の拡大等で、あるいは構造調整で大いに世界に貢献してもらいたい。つまり項目を一つずつ、アメリカはこうすべきである、日本はこうすべきである、ドイツはこうすべきである、そしてその他の黒字国、ジ・アザー・カントリーズ、その他の国々は黒字国はこういうふうにすべきであろうというように今度は特に掲げる、いわゆる特掲ということで三国を扱った。各国から、日米独の三大国がしっかりしてもらわねば困るということで、非常に強い期待とまた要請があったわけです。
 それで、特に私に対しては、内需拡大というものの時期、それから中身、それから一緒に行きました島村経済企画政務次官に対しては、今度の内需拡大が日本の経済、つまり日本の成長率に具体的に数字でどれだけ寄与するのか、何年間どういうふうに寄与していくのか、それを答えるというような非常に強い質問が集中いたしました。それで私は、先日自民党が取りまとめました総合経済対策要綱にある五兆円を上回る財政措置を伴う内需拡大策というものを説明したわけでございますが、なかなかその中身に対して信用してくれないので応答にちょっと困ったというところもございました。中には、昨年の三兆六千億の中身の分析まで話題が出てきたようなこともございました。
 それから我が国の市場の閉鎖性が取り上げられました。これは特にイギリスを初めECが非常に強く迫りました。これに対して私から、製品輸入が大幅に伸びておるじゃないか、それから制度上においては鉱工業製品については例えば平均関税率、日本は二・一%である、EC、アメリカともに四%台である、もう国際的に遜色はないと。それから輸入制限品目。輸入制限品目は日本は二十三品目あることは事実だけれども、しからばECあたりでもある国は残存輸入制限品目、それに対日特別措置、制限措置合わせて六十六品目も抱えておる国もあれば四十何品目という国もあるじゃないか、人のことばかり責めるものじゃないよということで、大分やり合ったわけであります。私から、他国にも輸入制限措置が残っておるんだから日本だけを責めることは困る、それぞれの国が市場開放努力を行うべきことの反論を行う一方で、私はこういうことを言ったんです。アメリカのヤイターも言ったが、これは我々全部、ここにそろっておる国々皆たたけばほこりが出るんだ、みんなが罪深き国々の集いであると、こう言って私は反論をしておきました。
 それからコミニュケでは、サービスを含む市場アクセスの改善の意思の再確認をすることといたしました。同時に、対日輸入制限等輸入制限措置を残す各国に対して、逆にそれぞれが市場の開放を行うものと信ずるということを強調しました。日本に開放しろと言うから、それ以上の国もあるだろうからそちらも開放しろ、お互いに罪深き国々と、こういう言い方をしたわけであります。
 それから構造調整政策について、マクロ経済政策との相互補完的役割が強調されたわけでございます。特に申し上げたいことは、OECDの事務局のリポートにおきまして日本の構造調整政策に高い評価が与えられました。これは大変乱はうれしいことでございました。特にアメリカ代表からも、日本の構造調整は進んできておる、実際に実績が出てきておる、また日本の輸入も数量ベースでもたとえどれだけでも伸びてきておるという評価が出てまいったりしまして、一応共同コミュニケは原案で、部分的な字句はとにかくとして、原案で採択合意をしたということでございます。いずれにしても非常に厳しい会合であったことは間違いございませんでした。
#6
○国務大臣(加藤六月君) OECD閣僚理事会に我が国の農林水産大臣としては初めて出席したということが一つの特徴ではないかと思います。それは、今回の閣僚理事会におきまして農業問題が主要議題の一つとして討議される、そして現実に討議されたということではないかと思います。
 まず第一は、昭和五十七年の閣僚理事会の決定に基づき進められてきました各国の農業政策と貿易の関係についてのスタディーの結果を取りまとめた総合報告書が提出されたことであります。これに加えまして、現在の世界的な農産物市場の悪化、混乱を背景にしまして、農業政策見直しの機運が国際的に大きな高まりを見せていること等による事情によるものでございます。今回の会合におきましては、今申し述べました総合報告書が承認されたほか、各国閣僚の意見陳述、討議が行われまして、コミュニケを採択して終了したわけでございます。
 今回採択されましたコミュニケの農業部門についての概要について申させていただきますと、第一は、長期的な各国の農業政策の方向づけについてであります。この点につきましては、各国が協調してできるだけ市場原則に沿った農業生産や農業助成の削減を目指して努力するべきこと等が指摘されております。
 第二番目は、ウルグアイ・ラウンドとの関連についてでございます。農業改革に必要な方策もその多くはウルグアイ・ラウンドで交渉されるとの認識のもとに、ウルグアイ・ラウンドの場においては他の交渉分野と並行して農産物交渉の円滑な推進が図られるべきことであるということが指摘されております。
 第三は、短期的な処置についてでございます。この点につきましては、過剰生産の防止、在庫処理の適正化、対立的で安定を損なう貿易慣行の自粛等が必要である、このようにうたっておるわけでございます。
 私は、今回の会議を通じまして、食糧自給率の低い農産物輸入国としての我が国の立場について各国の理解を得るように努力しました。そして、食糧の安定供給の確保等の経済性以外の側面についての配慮の必要を訴えますとともに、各国の立場に応じた均衡のとれた対応が必要であり・各国に政策選択の弾力性が認められるべきことであるといったようなことを主張しまして、今申し上げましたような農産物輸入国であるとか、自給率の低い国であるとか、あるいは経済性以外の面であるとか、あるいは政策の弾力性といったようなこれらの点が今回のコミュニケにも反映されるように努めたところでございます。そして、ある程度これらは反映されたと思います。
 これらの点を含めまして会議ではさまざまな意見の相違、対立がありましたが、今申し上げましたように、最終的には我が国の立場はコミュニケにも十分反映されたものと考えております。
 なお、今回の会議出席の機会に、リン米国農務長官、ギヨーム・フランス農業大臣、アンドリューセンEC副委員長、ペイユOECD事務総長及びダンケル・ガット事務局長とも対談しまして、今次理事会における我が国の立場につき理解を求める等、意見の交換を行ったところでございます。
#7
○稲村稔夫君 大変御苦労さまでございました。それぞれ御苦労をなさって、それなりにいろいろと成果を上げられたということはわかりましたが、そこで、あと通産大臣と農水大臣にそれぞれ幾つかの点についてお伺いしたいと思います。
 通産大臣には、IEAの閣僚理事会で、私ちょっと共同コミュニケ、新聞報道の範囲だけでありますから、十分でないものですからお聞かせいただきたいのでありますけれども、これはもう一字多いIAEAという国際機関がございまして、要するにチェルノブイリのあの事故によって、その反省に基づいていろいろと国際的な条約等の起案をして、それを各国が批准するようにということでここで決められておるわけでありますが、そのうちの事故の通報の条約であるとか援助の条約であるとかというのは我が国も署名をしているわけでありますけれども、何かこれとの整合性、こっちの方向と今のIEAの今度の方向というのがどこに整合性があるのだろうか、若干ちょっと不安になりました。ということは、エネルギーの重要性、原子力の重要性ということはありますけれども、しかし同時に、そういう大変厳しい原子力事故、安全性、そういう問題とのかかわりをどういうふうにとらえてこういうコミュニケになったのかというようなこと、ちょっと気になりますのでお伺いしたいと存じます。
#8
○国務大臣(田村元君) 実はIEAの共同コミュニケは、事務当局で、二十一カ国の事務方が集まりまして、事務局長を中心に随分時間をかけて激論をしながら練り上げた内容でございます。その作業に野々内エネルギー庁長官が加わっておりましたので野々内長官の方から御説明をさせますが、私ども閣僚理事会はこの事務局がつくりました原案を採択した、こういうわけでございます。
#9
○政府委員(野々内隆君) 原子力の安全問題につきましては大変関心があったわけでございまして、閣僚理事会そのものではもう原案に対する修正意見というものはございませんでしたが、いろんな意見が。さいました。結果的にはコミュニケの十六に大きく取り上げられておりまして、ちょっと読んでみますと、「発電に伴う安全性の問題は、特に原子力エネルギーにおいて、基本的重要性を有している。」ということになっておりまして、中を省略いたしますが、最後に、「特に国際原子力機関」、IAEAでございますが、「及びOECD原子力機関における取り決めに対し、全面的な政治的及び技術上の支持を与える。」ということで、IEAの閣僚理事会といたしましては、OECDのNEA及びIAEAの取り決めというものについて全面的支持を与えて、両方相携えて安全問題に取り組んでいこうという方向が出されたというふうに考えております。
#10
○稲村稔夫君 それでは、次に農水大臣に伺いたいと思います。
 食糧安保で随分奮闘され頑張られたということに敬意を表しますし、また、きのうは帰られてからすぐ衆議院の委員会にも呼び出されたそうでありまして、大変御苦労さまでございました。
 特に段階的に保護を削減していくということが打ち出されたということは、今後のサミットあるいはウルグアイ・ラウンド等に向けて我が国の立場がますます厳しくなるということを裏書きしていると受けとめなければならないのかなというふうに私受けたんですが、その辺どのように受けておられますでしょうか。
 さらにもう一点、農産物輸出先進国とそれから輸出途上国の問題、それは特に途上国とのかかわりというようなものがどのように討議をされたでありましょうか。
 この二点、お願いしたいと思います。
#11
○国務大臣(加藤六月君) 私もいろいろ考えたのでございますが、この宣言文の十九と二十、我々はパラ十九、パラ二十ということで議論したのでございますが、やはり今日の、先ほど申し上げましたが、世界農産物貿易の混乱と停滞あるいは過剰在庫、過剰生産ということを考えまして、そこら辺の原因はいろいろにあるわけでございますけれども、これは我が日本としても国際的に協調しながらやっていかないといけません。そういう中で二十の項目に、今後農業政策の一律的な削減ではなくして、「均衡のとれた方法で」ということを一つ入れたわけでございます。日本としてはこれを英語でバランスドマナーという方法を入れないといけないということで主張して、バランスドマナー、「均衡のとれた方法」ということで日本の主張は入れたわけでございますが、全体的流れとしては我が日本としてもこれに協調してやっていかなくてはなりませんと考えております。
 それから基調の最初の演説のときにも、開発途上国の問題についても日本、アメリカ、豪州等が触れました。私は、農産物の国際価格の低下は農産物輸出に外貨収入の相当部分を依存している開発途上国の経済にも少なからぬ影響を与えておるという立場で申し上げたわけでございますが、我々としましてはこういう問題を十分配慮してやっていかなくてはならぬと思います。したがいまして、コミュニケにおきましては、現下の農業問題に率先して取り組み農産物世界市場の回復を図ることが開発途上国の農産物貿易にも利益をもたらすという認識がうたわれておるところでございまして、片一方では開発途上国の農業問題あるいは貿易問題を考え、片一方では世界全体の流れとして我が国においても補助の削減ということにも配慮していかなくてはならない、こういうものがコミュニケ全体を通じてはっきりしておると思うわけでございます。
#12
○稲村稔夫君 特に私は、先進国の農産物輸出国の立場というのがいろいろと問題があるというふうに思うわけであります。今までもECで提起をされていろいろと議論をされていたというふうに伺っておりますけれども、例えばPSEなどという、言ってみれば国際的な比較をする係数などがいろいろと出されて検討されていたというふうに聞きますけれども、そうすると、途上国の問題というのがもし議論をされたとするならば、このCSEにもそうした要素を取り入れていろいろと修正がされるということにならなければならないはずだと私は思うんです。その辺のところは、今回の議論を詰めていく事務的レベルでの具体的な何か対応というのがあったのでございましょうか。
#13
○政府委員(吉國隆君) 今回の会合におきましては、PSEそのものの内容をめぐっての議論ということではございませんでした。御承知のように、農産物貿易スタディー、五年前から進められてまいってきておるわけでございますが、この過程でいろいろな論議がございまして、日本としては現在の方式には問題点、限界があるということを指摘し続けておりまして、またコミュニケの中で分析の手段についての改善ということが触れられているわけでございますので、またさらにこれをどういう角度で掘り下げていけるかということにつきまして、今後十分に我々も研究をし、また引き続くOECDの作業の中で主張を展開してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#14
○稲村稔夫君 加藤農林水産大臣の御奮闘のおかげでということになるのでありましょうか、しかし同時に、何かかなり重要な課題といいましょうか、根本的な課題というようなものがこれから先のサミット、ウルグアイ・ラウンドにずっと先送りをされていったというような感じも受けないわけじゃありませんが、その辺はどう受けとめておいでになりますか。
#15
○国務大臣(加藤六月君) ウルグアイ・ラウンドの成功とウルグアイ・ラウンドの一致は参加国全体の期待であり、ぜひウルグアイ・ラウンドを成功させなくてはならないということについては、参加各国一国として反対したり疑義を挟む者はございませんでした。そういう観点から見まして、私はウルグアイ・ラウンド、特にプンタ・デル・エステ宣言に従った一連の行動というのは、これはもう開発途上国も先進国も全部入っておるわけですが、共通した認識、土俵の中に入っておると思います。
 それから、これはベネチア・サミットの件について私がとやかく申し上げることは差し控えさせていただきますが、今回のOECDの経済閣僚理事会において私がいろいろ感じた感じを申し上げますと、農産物貿易に対する短期的措置、当面に大急ぎでやらなくてはならないという措置については、アメリカとECと相当意見の対立がありました。十二日の閣僚のワーキングランチのときにおいても、この短期的措置の問題で二、三時間を要したわけでありますが、まとまりませんでした。それから、十二日の閣僚ワーキングのランチタイムでは前半これにかかるということでございまして、世界農産物貿易の当面の問題は、アメリカ、ECの間における短期的措置の若干の食い違いはあると思いましたけれども、しかし、これもOECDで今回まとめたわけでありますから、一つの土俵は決まりましたから、ベネチア・サミットにおいてはこの土俵から外れる点はないのではないか。
 この短期的措置についてアメリカとECの問題がありましたのと、もう一つはデカップリング、生産刺激と農家所得の問題についてはカナダとECの意見の相違が相当あったと思います。ベネチア・サミット参加国といえばこういう国々が入るわけでございますが、これも同じように今回の宣言文の中で一応の土俵は決められてあると思います。
 以上、サミット並びにウルグアイ・ラウンドに対しての私の感じを申し上げたところでございます。
#16
○稲村稔夫君 最後に、農林水産大臣、こうした今回のOECDの閣僚理事会を受けて、今後の我が国農政にいろいろ重大な課題が投げかけられたという面があると、それが確認をされたという面があると思います。例えば今の段階的に農業保護政策を削減するというようなことですね。そうすると、その農業保護政策というのが一体どこの範囲までを農業保護政策と見ていくのかという問題などもこれから非常に難しい問題にかかってくると思います。例えば水田一つにいたしましても、農業という観点だけからの保護という観点ももちろんありましょうが、しかし同時に、国土の保全上の問題などということも含まれてくる。それらのことがいろいろ複合された要因というのがあるわけでありますから、そういう中で保護政策を段階的に縮小していくというその課題、どう我が国で対応しなければならないかという問題など、非常に難しい問題があると思います。それから農産物と畜産物の価格問題等についても、これもいろいろと難しい問題になるというふうに思うわけであります。
 これを受けて、国内に向けての農水大臣の今お討ちになっている、こういう方向を追求しなければならない、あるいはこういう課題があるのだなということが、今私の提起をいたしましたこと以外にございましたら、ひとつお教えいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど申し上げましたように、私は今回、OECD閣僚理事会の原案の原案の原案といいますか、ドラフトを読みまして、九点これは日本側の考え方と相反しておるなという点がありました。それらの点、ある面では外務省、通産省あるいは現地の大使館関係の皆さん方の御努力、御協力によりまして、全部を今回の宣言案の中に日本の考え方というものを盛り込むことができたと、こう思っておるわけでございますが、先生御指摘のような、これから日本のしからば農政、農業はどうやっていくんだと。
 これは、私の感じを率直に言えとおっしゃいますので申させていただきますと、我が国の農政の問題は外国から強制してはやらない、日本独自の問題として、日本自身の問題としてやっていかなくてはならない。そして、コミュニケの全文にいろいろ十九から二十五まで、二十一はa、b、c、d、e、fといろいろあるわけですが、その中に盛り込まなくてはならないとしてやった基本的考え方というのは、農政審の報告の中身と一致するものを盛り込まそうと、こうしたわけでございます。
 したがいまして、今後我が国の農政を展開していく場合には、農政審の報告というものを誠実に確実に実施していくべぎことである。それはいつも申し上げておりますように、生産性の向上は何としてもやっていかなくてはならない。その生産性の向上をやっていくいろいろな方法等については、国会の御意見等も十分承りながらやっていくわけでございますけれども、もう一つは内外価格差の縮小ということ、これはもう徹底的にやっていかないとある面では国際世論に対抗できないという、私はこの二点が今後我が国の農政を展開していく上において大切だなということをしみじみ感じたわけでございます。また、ここらの点を、生産性の向上ということと内外価格差の是正ということに、これはもう国民一致協力してやっていかないといけないという決意もかたくした次第でございます。
#18
○稲村稔夫君 それぞれ御報告いただきまして、今我が国の置かれているいろいろな重要な立場というのが今後の国内の政治の場でどういう形で今度展開されていくかということは国民の重大関心事であると思うわけであります。それぞれの所管委員会で今後またさらにいろいろと詰められることだと思います。きょうはとりあえずの御報告で、本当にありがとうございました。
 それで次に、質問通告をしておりましたものと順序を変えて恐縮でありますけれども、先日私が質問をいたしましたグアム島の知事の汚職事件について伺いたいというふうに思います。
 これは日本の企業が関与していたということが事実なわけでありますけれども、外務省、その後事実の掌握はどの程度進んだのでございましょうか。また、関係省庁とはどのような連絡をとられましたでしょうか。
#19
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。
 先日委員に御報告申し上げましたけれども、本件につきましては、アメリカの法廷におきまして四月三日に有罪の判決が出まして、現在控訴中でございますので、できますれば余り詳細についてこの場におきましてお述べするということはいかがかということで、詳細な御報告は差し控えさしていただいておるわけでございます。
 訴状とかあるいは判決文とか、すべての資料は入手しておりまして、累次、先日十一日の日にお答え申し上げましたように、現地の新聞の報道その他で情報は入ってきておりましたけれども、我々として、こういうことであったかという全貌はつかんでおるというふうに思います。関係の各省にもそれを配付しておりますけれども、それらをさらに精査の上、本件につきましてはあくまでアメリカの法律におきましてアメリガの法人が裁かれている、その係争中であるということでございますので、アメリカから司法共助あるいは捜査協力というようなことで要請もございませんので、その捜査というような面ではございませんけれども、一般の企業のビヘービアの一環として何ができるのかということを今後さらに検討してまいりたいというふうに考えております。
#20
○稲村稔夫君 私は、控訴中のものであるからというお話は、それはそれなりにわかりますが、しかし我が国の企業が具体的に関与していた。特に贈賄に使った金は我が国の企業が我が国から送金しているというような事実関係が明らかになってきておりますし、しかも、控訴しているのは知事でありますけれども、そのほかの関係者、この事件に関与した現地の人々は既にその判決に服しているというふうにも聞いているわけであります。それだけに、こうした不祥事件に我が国の企業が関与していたということ自身が非常に大きな問題になるのではないか、そんなふうに思うんですけれども、その辺は具体的にそれぞれの関係のところに御連絡をいただいて対策を協議しておられるんですか。
#21
○政府委員(藤井宏昭君) 御指摘のように、本件につきましては、訴状が十七ある中で日本関係が四つでございます。日本関係の問題は、日本の親会社から現地の合弁企業を通じましてと申しますか、現地の合弁企業がボダリオ前知事に六万ドルを払ったということでございます。
 これは、アプラ湾の土地の借用につきまして、特にその借用について便宜をしてもらうということの見返りとして六万ドルを払ったということでございまして、その現地の代表でございますチョン・ウォク・リー氏は既にいわゆるプリー・オブ・ギルティーということで有罪を認めまして、したがいまして上告しておりません。ただ、ボダリオ前知事は上告中でございます。
 そういう案件でございますけれども、これにつきまして、こういう訴状、判決文等につきまして関係各省に今配付いたしまして検討を開始したというところでございます。
#22
○稲村稔夫君 それじゃ大蔵省に伺いますが、今の外務省の御報告のように、訴状等公表されているもの、外務省が入手をしておられるものは関係の省庁にもう配られているようでありますから、そこで大蔵省に伺いたいのであります。
 この起訴状等の内容を見てまいりますと、日本の企業からこの六万ドルの金が支払われている、こちらから送金をされていると、こういう事実がはっきりと述べられていると思うわけです。ということになりますと、これは外為法違反とかかわりを持つのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#23
○政府委員(内海孚君) お答え申し上げます。
 ただいまお話の送金でございますが、これがどういう形で行われたかという点については私どもまだ事実を把握しておりません。
 仮定の問題として申し上げますと、本邦企業から海外企業に送金が行われた場合には、その原因となる取引の内容によって外為法の取り扱いが違うわけでございます。通常、企業間の送金というのは貸し付けとかあるいは増資とか設立とかいう場合が多いと思われますので、そのような場合ですと、一千万円を超える取引については届け出が必要ということになっております。
#24
○稲村稔夫君 一千万円を超える取引についてはということですが、六万ドル、これは訴状によれば、最初に送ったのは四万五千ドルということのようですが、そうすると当時の為替レートでいってもこれは一千万円を超えるということになりますね。
#25
○政府委員(内海孚君) ただいまお示しのような前提をとった場合にはそのようになると思います。
#26
○稲村稔夫君 お示しになったようなと言ったって、訴状の中にはっきりと最初に四万五千ドルが送られたということが明記をされている。訴状は渡されているはずなのでありますからね。そうすると、それを今私が聞いたのに、あなたそういうお答えでいいですか。私はまだこの先にいろいろと疑問があるんですけれども、それだったら先へ聞けないじゃないですか。今のお答えでいいんですか。
#27
○政府委員(内海孚君) 私がちょっと言葉が足りなかったわけですが、どういう形で送ったかということによるわけでございます。これは最初のお答えに申し上げたとおりでございまして、訴状を私も読んでおりますが、東京サイドあるいは日本サイドでどういう送り方をしているかということをつまびらかにしないということでございます。
#28
○稲村稔夫君 そうすると、外為法の適用のあれが違ってくるということなんでしょうか。例えば十六条ということでいくのか、あるいは二十何条だったか、要するに資本取引として見ていくのか、それとも支払いというふうに見ていくのか、こういう違いでということですか。
#29
○政府委員(内海孚君) 例えば貸し付けというような場合とか企業間の取引という場合にいろいろあると思いますが、先ほど申し上げましたように、貸し付けという場合あるいは増資の送金の場合あるいは設立の場合というふうに分かれるわけでございます。
#30
○稲村稔夫君 それはそういうことで伺っておくといたしましても、一千万以下であればということなんですが、押収をされたものの中で公表された、手に入っているものの中に、日本語で書かれたメモなどがいろいろとあって、その中に、日銀の窓口に問い合わせをして、一千万以下ならば何回に分けてもいいということを確認して四万ドルと五千ドルと分けて送っているという、そういうようなことが載っているわけでありますけれども、こういうことが許されるのでありましょうか。
#31
○政府委員(内海孚君) 私ども、その日本銀行との間のやりとりというのは、メモとしても入手しておりませんのでわかりませんけれども、委員御承知のように、例えば貸借の場合に例をとりますと、居住者が非居住者との間において行う一千万円に相当する額以下の金銭の貸借契約に基づく取引というのは届け出から免除されております。
#32
○稲村稔夫君 届け出から免除をされていますということを伺っているのではないんです。こう分けて免除をするという行為をやってもよろしいのかと、こう伺っています。
#33
○政府委員(内海孚君) 一つの取引が一千万円以下であれば、それは取引免除ということでございます。
#34
○稲村稔夫君 そういたしますと、このような事件が発覚をしても、こういうやり方をやっていたということだと外為法上はどうにもならない、こういうことですか。
#35
○政府委員(内海孚君) 私は先ほど取引と申し上げました。取引というのは、例えば貸し付けという一つの行為でございます。これを作為的に分けるということが外為法上適法がというと、これはやはり問題の存するところだと思います。
#36
○稲村稔夫君 それでは、司法の立場に立っては、こうした行為が行われたということに対してはどのようにお考えになりますか。
#37
○政府委員(岡村泰孝君) 具体的な事実関係を把握するに至っておりませんので、今の段階でどういうことになるかということを具体的に申し上げることはできないわけでございます。
#38
○稲村稔夫君 そうすると、具体的なことがというのは、大蔵省、外務省等で検討した結果問題があるということになったときには、これは犯罪になりますか。
#39
○政府委員(岡村泰孝君) 犯罪になって違反が成立するかどうかということは、やはり捜査をいたしました証拠関係に基づいての判断になるわけでございまして、今の段階では何とも申し上げかねるのでございます。
#40
○稲村稔夫君 時間もなくなってきましたから、私は、今のやりとりを聞いた上で、捜査のことも出てまいりましたから捜査をという観点から国家公安委員長にも伺っておきたいのでかりますが、それぞれの関係大臣、大蔵大臣それから通産大臣、外務大臣、そして司法の立場から法務大臣、これは私は極めて重大な問題だというふうに思うんですね。外国で有罪が決まった、一部起訴されているのがあるにしても、そしてその事実関係はもういろいろと手に入ってきていますと、それでいて我が国では今お聞きのように具体的な対応の方法がないというような、今の事務当局のあれを伺っているとそんな感じになるわけでありますけれども、これでいいのでありましょうか。これは何か対応策を考えなければならないのではないでしょうか、お聞かせいただきたいと思います、それぞれの大臣から。
#41
○国務大臣(葉梨信行君) 御指摘のような問題につきまして刑罰法令に触れる事実がございます場合には、警察といたしましては厳正に対処するものと思います。
#42
○国務大臣(倉成正君) ただいまお話がございまして、るる関係各省から答弁ございましたけれども、御案内のとおり、グアム島という外国で現地法人が犯した問題でございます。したがって、基本的には、これらの国でどう裁かれるかということでございますが、今先生からお話しのように、その問題に関して日本側の法令に触れる問題がいろいろ出てきた場合にどう裁くかという問題については、司法当局が判断すべき問題ではなかろうかと思います。
 しかし、いずれにいたしましても、在外公館としては、これらの進出企業、合弁事業等がいろいろトラブルを起こすということは好ましくないことでございますので、こういうことがないように最大の努力をいたしますとともに、不幸にしてそういう問題が起こった場合には早期解決、円満な解決を図っていく、そしてまた厳正な対応をしていく、そういうことを考えておる次第でございます。
#43
○国務大臣(遠藤要君) 検察当局は報道内容について承知をしておると思います。そのような点で事態の推移を見て適切な措置を講じるものと思います。
#44
○国務大臣(田村元君) 進出先の法令や商慣行にのっとって海外における事業活動をしておる企業が行動するのは、これは当然のことでございます。この海外進出企業の活動につきましては、OECDの多国籍企業の行動指針というのがございますが、それや、我が国経済七団体でつくっております海外投資行動指針というものもございますが、基本的にはこれらが自主的に遵守されるべきものと考えております。
 通産省としましては、検察あるいは警察という立場ではございませんから、そういうことは触れることは御遠慮申し上げますが、従来から民間経済団体に対しましてはこういう指針の遵守など、投資摩擦の回避方を要請してきております。海外直接投資が増大していることでもございますので、今後とも対応に万遺憾なきを期してまいりたいと思っております。
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど法務大臣がお答えになられましたことに尽きておると思います。
#46
○稲村稔夫君 それでは、海外への投資がどんどんと合ふえている現状のもとで、例えばアメリカでは日本企業のアンフェアな行為などが問題にされたり、不動産の問題がいろいろと起こってきたりというようなことがございますし、そういうようなことが特に日米摩擦などという中で浮上してきている、こういう時代でありますから、海外でのいろいろな問題が今後ふえてくるというふうに当然考えられるわけであります。そうしたときに、今の外為法なら外為法の問題一つにいたしましても、我が国の体制というのが必ずしもそういう全体の広がりに対応がうまくできていない、こういうこともあり得るのではないかというふうに思うわけでありまして、そういう意味では何かこうした時代的な背景をもとにして特段の配慮、対応を考えていただかなければ、企業の道義的責任に訴えるというだけではこれは防止することができないのではないかと思いますが、この点はどなたからお答えをいただいたらいいのかわかりませんが、お願いいたします。
#47
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの具体的な事件と全く切り離して申し上げます。
 私どもは外国為替管理というものはできるだけ自由にすべきものと考えまして長年そういう努力をしてまいりまして、ほとんど完全に自由になりましたが、そういう意味では為替管理をこういうことの、何と申しますか、そういう法益の保護のために使うということは私どもは考えておりません。
#48
○稲村稔夫君 私は、企業がそういう制度を悪用するという場合がこれからふえてくる一つの例として今出てきたんだと思うんです。そうすると、こういうことに対してやはりきちんとした対応をしておかなければ、私はこれからだんだん大変なことになるんじゃないかと思うんですよ。そういう意味で私は伺っているんです。どなたからお答えいただいても結構です。
#49
○国務大臣(宮澤喜一君) 企業の不正行為にはおのずからそれを罰すべきもろもろの法制がございますが、私は為替というものがそういうために使われる必要はない、為替はなるべく自由な方がいいというふうに考えております。
#50
○稲村稔夫君 もう時間がなくなってきましたので、私もちょっと困っているんです。
 というのは、要するに経済の範囲が非常に広くなってくる、いろいろな問題点が起こってくる。そうすると、今の法体制の中で例えば、外為法がいいとか悪いとかそう言っているのではないんです、それを悪用するというようなことがこれからふえてくる。そういうものにどういうふうに対応したらいいのか、こういうことを政府の中でも真剣に考えていただいて対応していく、そういうことが必要な時期に来ているのではないか、こう伺っているんですよ。その点はいかがですか。
#51
○国務大臣(倉成正君) ただいま大蔵大臣からお答えされたとおり、お金をどういう目的で送ったかとか、そういうことはなかなかチェックすることは難しいと思います。しかし、在外公館ではやはり進出企業がどういう状況にあるかというようなことを的確に把握して、土地摩擦の問題であるとか、あるいはいろいろな進出企業が多くなってきておりますから、その情報を的確につかんで、いやしくも相手国政府や企業の岡で問題が生ずることのないように指導しておる次第でございますが、さらに在外公館の経済担当の部門の強化をいたしましてそれらの情報を的確に把握して、かようなことを未然に、起こることのないように最善の努力をいたしたいと思いますし、もし仮にそういう問題が起こった場合には早期に円満な解決、また日本の法令に触れるようなことがあれば厳正な対応にすべきであると心得ておる次第でございます。
#52
○稲村稔夫君 具体的な企業を対象にしての議論というのはこうした場ではふさわしくない、こういうこともありますので、企業名というものを出していろいろあれすることは私も良識として考えます。しかし、問題として起こっていることは、これは外国で起こったものが、今のやりとりの中では必ずしも日本の法律の中で今のところ対応するというのがうまくいくかどうかがわからぬ、こういうようなニュアンスで受け取られるような御返答がはね返ってきていますから、そうすると、これだったら外国でもって何かやってそれがばれても日本の中にいさえすれば大丈夫だ、こういうことになってしまったのでは困ります。だからその辺のところを、外務省なら外務省がそういういろいろなことを海外でキャッチをします、それを国内法に照らしてきちんと対応できるというそういう体制が今本当にあるんでしょうか。そのことを大分気にしておりますということなんですから、その辺をお答えください。
#53
○国務大臣(倉成正君) 外国において現地法人が起こした事件というのはやはり外国の法律で裁かれるのが原則だと思うわけでございまして、これを日本の国内でチェックするということはこれはなかなか、委員御指摘でございますけれども難しいと思います。しかし、日本の法律を犯していろいろなことに、犯罪に関与するというようなことになればこれは当然日本の法律で処罰すべきものだと思いますけれども、グローバルに外国における企業の活動そのもの全体としてどういうことができるかということについては、今私としてはお答えするだけの知恵はございませんけれども、お話しになっている御趣旨というのはよくわかりますので、よく勉強さしていただきたいと思います。
#54
○稲村稔夫君 もうこれ以上やっていても、時間がなくなってまいりましたから、私は御要望を申し上げます。
 外務省中心でも結構でございます。要するに、海外での企業活動が活発になっていく中でいろいろと起こってくる不測の事態というものに日本国内でも機敏に対応ができるように、そういう体制をやはり政府の中でおつくりをいただけるようにいろいろと御検討をいただきたい。
 最後に、念押して恐縮でございますが、今回の場合どこかで国内法に触れるということが起こってくればそれは国内法でたちどころに対応する、こういうことで確認ができますね。そのことを一言お答えいただいて、私の質問を終わることにいたします。
 あとは、いろいろと経済企画庁長官にも伺いたかったのでありますが、時間がなくなってしまいましたので、申しわけありませんでした。
#55
○国務大臣(遠藤要君) 国内法に違反する場合には、当然先生のおっしゃるような処置を講じたいと思います。
#56
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で稲村稔夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
#57
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、高桑栄松君の質疑を行います。高桑君。
#58
○高桑栄松君 それでは最初に、OECD閣僚理事会のことについてお伺いいたします。
 私はこの道は専門でございませんので、といってノンプロというほどではありませんで、観覧席から見ている素人の素朴な疑問だと思って質問さしていただきたいと思います。
 まず、コミュニケを採択して閉幕したと書いてありますが、これは外務大臣、国際公約と受け取ってよろしいものなんでしょうか。
#59
○国務大臣(倉成正君) 共同コミュニケは先生お読みのとおり非常に膨大なものでございますけれども、長時間かけてこの共同コミュニケをつくり上げたわけでございまして、その一つ一つの字句についてもかなり議論を重ねたものでございます。したがいまして、OECD加盟国は二十四カ国ございますし、またその他の国際機関がオブザーバーとして出席をしているところもございます。こういう世界の主要先進国を中心とした会合におけるコミュニケが、政策意図を表明したものがこの共同コミュニケであると我々は思っておるわけでございますが、これは国際的に相当の重みのあるものである、我が国としてもその趣旨を最大限に尊重して政策の実施に当たる必要がある、さように心得ている次第でございます。
#60
○高桑栄松君 貿易の不均衡の是正ということで内需拡大を求められているということでございますが、貿易黒字というのは私たちが豊かであるというイメージ、これは国際的にもそういうイメージがあると思うんですが、エンゲル係数というのを思い出したんですけれども、日、米、ヨーロッパでエンゲル係数はどうなっているのか、経済企画庁にお伺いしたいと思います。
#61
○政府委員(横溝雅夫君) お答えいたします。
 昨年度の国民生活白書の中でエンゲル係数の国際比較の数字を示しております。日本はその後の新しい数字、一九八五年の数字でありますが、それ以外の国は国民生活白書の数字そのままでございますけれども、申し上げますと、日本は八五年が二二・六%であります。それからアメリカが一五・三%、西ドイツが二五・四%、フランスが二一・一%、イギリスが二〇・二%、そういうことでございまして、西ドイツは日本よりやや高こうございますが、ほかの諸国に比べて日本は高いということが言えようかと思います。
#62
○高桑栄松君 西ドイツと日本は今の貿易不均衡のターゲットで、両方ともエンゲル係数が高いというのは、ドイツもそうだったかなと思いますが、私たちが外国を歩いてみての実感でも私は決して日本は豊かだと思っていなかったんで、エンゲル係数を見た範囲でもこれはもう明らかに日本はやっぱり豊かではないと思うんです。そうすると、貿易黒字の黒というのはどこへ行っちゃたのか、経済企画庁長官、お教え願いたいと思う。
#63
○国務大臣(近藤鉄雄君) 貿易収支の黒字というのは輸出と輸入の差額でございますから、日本の年間の生産のうちその貿易黒字に相当するものが、単純に申しますと商品として海外へ流出をして、その見返りに日本人が金融資産を受けとっている、こういうことであると思います。
#64
○高桑栄松君 これは全く根拠がございませんが、街のいろんな人の話で私もそう思うものだから……。
 そうすると、企業に貿易黒字が金として残った、それが土地か何かに投資されるのでどんどん土地の値段が上がったというふうには考えられますか。
#65
○国務大臣(近藤鉄雄君) 貿易黒字として残っておりますのは対外金融債権でございますからそれが即日本の土地の騰貴には回っていないわけでございますが、その対外債権を今度は国内に持ってきまして、そしてそれをいろんな目的に投資することは十分行われていることであると思います。
#66
○高桑栄松君 私が疑問を持ったのも、当たらずといえども遠からずということかなと今思いました。
 ところで、内需拡大ということで相当規模の財政措置をということで五兆円ということが取りざたされております。
 経済企画庁長官に再びお伺いしたいんですが、これは事業規模で考えているのか予算規模で考えられているのかということでございます。
#67
○国務大臣(近藤鉄雄君) これは私がお答えするのが適当かどうか、大蔵大臣もいらっしゃいますので大蔵大臣にお答えをしていただいた方が妥当かもわかりませんが、総理が訪米されてお話をしてこられたのは、五兆円を超える財政措置、こういうことでございます、英語ではフィスカル・メジャー、こういうことでございますので、その中には中央政府が直接行う事業、そして地方政府が直接行う事業、そして国の機関が直接行う事業、これは当然フィスカル・メジャーズの中に入ると思いますし、問題は、減税は入るかどうか、こういうことであると思うわけでありますが、これもいわば減税、タックス・リダクションは一応言葉の上ではフィスカル・メジャーズの中に入る、かように解釈していいと思います。
#68
○高桑栄松君 大蔵大臣お願いいたします。
#69
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま経済企画庁長官の言われたようなことでよろしいんじゃないかと思います。
#70
○高桑栄松君 もう一度。減税問題の、閣僚の間でいろいろな表現が新聞に出ておりますので、私はとてもどっちがどっちだかわからないので、その辺を一つ含んでいるのかどうかお願いいたします。
#71
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、こういう事情があるからであろうと思います。
 政府としては税制改正について国会に抜本改正を御提案したわけでございましたけれども、衆議院におきまして議長のごあっせんがありまして、そういう問題はひとつ協議機関で協議をせよ、こういうことになりましたこと、御承知のとおりでございます。協議機関がまだ設置されておりませんが、やがて協議機関の御協議が始まるであろう。他方で六十二年度予算を成立さしていただきましたら、あと総合経済対策を私どもとしてはやりたい。その中での今のお尋ねでございますからそれは、まあ余り軽々しく申してはなりませんが、補正予算に関係をしていくことであろうと思われますが、その時期までに協議機関において今後の税制改正についての御結論が出るものであろうか出ないものであろうかという問題がございます。
 つまり、政府といたしましては、一応議長のごあっせんがありましたので、税制関係はそちらの御検討を私どもは待つという姿勢をとるのが当然ということになるわけでございますが、仮にその御検討が終わりませんうちにこういう減税を政府としては考えたいといったようなことでそういう時期の補正予算ということになりますと、それは協議機関に対してそういうことは議長のごあっせん上少なくとも非礼でございますし、恐らく適当なことでないであろうと考えておりまして、できるならば協議機関が速やかに御協議を願ってその辺のことの結論を出していただきますと政府もそれを踏まえていける、こういうことになるのでございますが、その辺のタイミングの見方が明白でないものでございますからいろいろな御見解が生まれているんだろうと思います。
#72
○高桑栄松君 通産大臣にお願いいたします。
 大臣がアメリカでベーカー財務長官との話し合いの中で、減税は五兆円の枠外だという向こうの主張があったというふうに書いてあったと思うんですが、その辺をちょっと明らかにしていただきたい。
#73
○国務大臣(田村元君) ベーカー財務長官と二人で会いましたのは、パリで会ったんです、OECDに二人が出ておりまして。そのときにベーカー氏からいろいろとお話もございました。向こうから要望、私からも要望する、いろんなことがございましたが、その中の一つに、今度の三百五十億ドルを上回る、つまり五兆円を上回る財政措置というのは、中央政府が追加的に支出する分であろうな、まさかその枠の中に減税を入れるというようなことはあるまいなという話があったんです。で、それは中曽根総理がレーガン大統領と会って話もしておられるだろうが、第一あなたは宮澤・ベーカー会談で随分何回も会っているじゃないかと。その内容がどういう内容か私はつまびらかにしないけれども、大変有能な、正直な日本の大蔵大臣だから、あなたとの話がうまくいっておるんじゃないのということで一応承ってきた、こういうことです。
#74
○高桑栄松君 もう一度通産大臣にお伺いいたします。
 ベーカーさんのお話は、こんがりとベーキングされたのか、がっちりと焼かれたのか、ひとつその辺の受けとめ方はいかがでしょう。
#75
○国務大臣(田村元君) レアかウエルダンかということですが、ちょっとそれがどちらが激しいという意味がわからないんですけれども、考えようによってはレアの方が激しいかもしれないし、考えようによってはウエルダンの方が激しいかもしれませんが、熱っぽく言ってきたからよく焦げだというような趣旨で物を申せば、極端なしんまで焦げておるぐらいのウェルダンでございました。
#76
○高桑栄松君 まあこの辺にさしていただきまして……。
 ところで内需拡大ですが、せっかくの大テーマでございますので、私はこの際地域格差の解消、不況対策ということに重点を置いて配分をしていただきたい、こう思っております。
 公共事業の大枠というのは建設と農水が一番大きいというふうに承っておりますので、この両大臣に、しからば五兆円ということであったらどういう事業を対象に浮かべておられるか、あるいはどれくらいの予算規模をお考えなのか、もし言えるようでしたらお願いしたいと思います。
#77
○国務大臣(天野光晴君) 五兆円公共事業の枠ができますと、大体建設省は七〇%近く消化するようになると思います。
#78
○国務大臣(加藤六月君) 私は、今後内需拡大策の目玉にひとつぜひ農林水産関係の公共事業を置きたいということを一生懸命主張し、頑張っておるところでございます。
 その理由は、用地費が小さく、生産誘発効果が大きいということ、それから全国的に実施され、そして中小企業への発注率が高いということ、それから事業費に占める労務費の割合が高く、雇用効果が大きい、それから落ち込みの著しい地方の経済の活性化、雇用の拡大に多大の効果を有しておる。そして、先ほど来申し上げております生産性の高い農業構造を確立する上からも、進捗率がおくれておるものの取り戻しを行いたいという立場で内需拡大策、補正予算対策に臨みたいと考えておるところでございます。
#79
○高桑栄松君 建設大臣ね、そんなに大きなお金がもし行くとしますと住宅建設が大きいわけで、この間お話しいたしましたトレイの換気口は下に、あれは私もう実験済みでございまして間違いございませんから、どうぞお忘れのないようにお願いいたします。
 そこで、経済冷え込みの最もボトムだと言われる北海道について、道開発庁長官はこの際どんなものを引っ張ってきたいと思っておられるか、ひとつお願いいたします。
#80
○国務大臣(綿貫民輔君) ただいま御審議をいただいております予算におきましても北海道のことにつきましては各省庁でもいろいろ御理解をいただきまして、北海道シェアということで、公共事業についても格段の傾斜配分をしていただいております。
 今後、補正予算という話も今出ておりますが、こういうとき、雇用の問題あるいは次の新しい産業育成の谷間にあるときには、公共事業によってある程度北海道を支えていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#81
○高桑栄松君 では次に、運輸大臣に御質問さしていただきますが、世紀の大事業、科学の金字塔と直言うべき青函トンネルが完成をした、これに新幹線を通すということは内需拡大であり、同時に経済の刺激になると思うんですが、ぜひひとつ通していただきたいというつもりで質問しております。いかがでございましょうか。
#82
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変微妙なものですから、資料どおり読み上げて答弁とさせていただきます。
 一、青函トンネルは、当面在来線として利用することとして六十二年度完成を目途に鋭意建設を進めており、完成後は在来線の運行を行うこととなる。
 二、一方、整備新幹線については、極めて強い要望があることは承知しているが、現下の財政事情等から見て慎重な取り扱いが求められている。
 三、このような状況下にあって、整備新幹線の取り扱いについては、六十年八月政府・与党間に設置された整備新幹線財源問題等検討委員会において、現在、財源問題等の着工の前提条件について検討を進めているところである。
 四、したがって、青函トンネルを在来線と共用する北海道新幹線の取り扱いについても、整備新幹線全体の取り扱いの検討の中で今後適切な結論が得られるよう努めてまいりたい。
 以上であります。
#83
○高桑栄松君 いやいや、大変英知にすぐれた橋本さんにしては――一言一句間違いなくかどうか私、見なかったからわかりませんが、多分間違いなくお読みになったんだろうと思うんですが、ぜひひとつ開発庁長官とも相談していただきたいと思いますね。
 では次に、市場開放問題ということでございますが、農業助成を漸進的に削減して市場原則を導入するというふうにコミュニケにありました。PSEとかCSE指数によることがアバウトで書いてあったんですが、このPSE等の指数で、日、米とECの数字的な比較をお願いしたいと思います。これは農水省でしょうか。
#84
○政府委員(吉國隆君) OECDが行ってまいりました農産物貿易スタディーの総合報告書がこのたび公表されたわけでございます。閣僚理事会で承認された上で公表されたわけでございます。
 そこに挙がっておる数字で申し上げますと、十四品目についてOECD傘下の主要国の数値を並べてございますが、十四品目の総体で申し上げますと、アメリカが一六・〇、ECが四二・八、日本が五九・四、こういった数字になっております。
#85
○高桑栄松君 米と牛肉についてちょっと教えてください。
#86
○政府委員(吉國隆君) 米につきましては、アメリカが五・四、ECが一三・六、それから日本が六八・八という数字でございます。
 牛肉、これは子牛肉も込みになった数値でございますが、アメリカが九・五、ECが五二・七、日本が五四・九という数字になっております。
#87
○高桑栄松君 これにオーストラリアがコメントしておったのが新聞に出ておりましたが、オーストラリアは、さらに米国よりも率が低いということで、すべての国が同一の責任を負うというのはおかしいではないかという批判があったと書いてあります。これについて農水大臣、どうお考えでしょう。
#88
○国務大臣(加藤六月君) 私は、二カ月ほど前にペイユ事務総長が日本に来られて私とお会いしたときにも、OECDにおいて行っておる作業、特に今先生御指摘のPSEの問題についての矛盾と撞着、間違っておるという点を相当指摘しておいたわけであります。その指摘の中身は相当詳しくあるし、さらに文書において、今回の閣僚理事会の前にもこれは間違っておるという中身を相当出しておきました。このPSEの数字を単純に国際比較に使うことは間違っておるということでございましたが、案の定、今おっしゃいましたように、オーストラリアあるいはカナダ等からこのPSEの問題を直ちに国際比較的にしようとする動きがありました。そこで私もこの問題は日本が主張する重点項目の一つにしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたコミュニケの中に、今後この数字を改善し改めていくということになったわけでございます。
 それにしても、いろいろな理由はあるわけでございますが、生産者の手取りの中に占める内外価格差その他の助成にかかる部分の比率を計測したものでございますが、この比率のウエートのとり方あるいは倍率を比較するということについては非常に中身が乏しいものであると考えておりますが、そうは言っても内外価格差という問題については、先ほど来申し上げておるように是正に努めなくてはならない。
 現実に申し上げますと例えば、私はOECDでも言ったのでありますが、米の価格差、消費者価格を場所でとって見ますと、ニューヨークと東京では二倍ないし三倍しかない。現実にいろいろの店で売っているのを比較した場合はそういうようになっておる。それから、やはりOECDで言ったのでありますが、家計消費支出に占めるエンゲル係数、最近はエンゲル係数というのは余り使われていないようでございますが、あの数字全体を見ますと、外食費というものが没になっておる。そうすると、その国における食生活の態様において、例えば家庭内で食べる比率と外食で食べる比率の問題等が加味されていない、こういった問題等があるわけでございます。
 したがって、私は、PSEの数字だけがひとり歩きしていってそれが日本を攻めてくる、攻めてくるというか、日本を非難することになるのを大変懸念いたしておるところでございます。
#89
○高桑栄松君 そこで、先ほど外務大臣から国際公約だというお話であったわけで、今後、これはインターナショナルにウエートを置いて対策を講じようとするのか、それともナショナルということにウエートがかかっていくのか、私なんかよくわからないので気にしているところですが、これはどんなふうにお考えですか。
#90
○国務大臣(加藤六月君) OECDの成り立ち並びに性格並びに今回のコミュニケということになると思いますが、私の感じは、先ほど外務大臣がお答えになりましたけれども、今回のコミュニケに盛られた内容は加盟国を拘束するものではなく、また達成できない場合に報復措置があるという性格のものではないと考えております。ただ、今後のウルグアイ・ラウンドの交渉における各国の主張や提案には影響してくると考えております。
#91
○高桑栄松君 私は報復措置のことを伺おうと思ったんですが、農水大臣はそちらはないということのようでした。
 それでは通産大臣にちょっとお伺いしたいんですが、内需拡大に関連しまして、アメリカは性急というか、ヨーロッパ、アメリカの考え方というのはやっぱりショートレンジですよね。成果というものが、例えば半年か一年か知りませんが、出なけりゃだめとこういうので報復措置が出てくるわけで、これは今後もやっぱり懸念される問題でしょうか。どうでしょう。
#92
○国務大臣(田村元君) 御承知のようにアメリカの議会で保護主義が非常に台頭して、そして御承知のような保護主義法案が上院、下院それぞれ通過してきておるというような状況でありまして、アメリカ政府は一貫して、議会で台頭しておる保護主義とは闘う、こう言っております。おりますけれども、しかしながら確かにアメリカには対日貿易赤字に対するいら立ちというのがあります。これはもう官民問わずございます。そういうことで基本的にはやはり日米間の貿易インバランスの是正ということ、この改善を図ることに我々が誠意を持って対応する、そうしてその実績を上げていくということが何よりも必要であろうかと思うのであります。
 釈迦に説法でございますが、問題はなぜ内需拡大ということをするのか。それは需要と供給のバランスが、供給に対して需要がついていけない。アメリカの場合は今度は逆に需要に対して供給がついていけない。そこで、日本は内需を拡大して供給に対応しましょう。アメリカは財政赤字の削減や競争力を強化してそうして供給力を強くしましょうということでございますから、そういう意味で向こうも非常にいら立ちを覚えて日本に内需拡大を迫っておるわけです。でございますから問題は誠意の問題でございますが、じゃしからば今御質問の報復措置が今後もあるか、それは私にはわかりません。ないことを祈りますが、しかし率直に言って、今後はないでしょうと断言することはできません。
#93
○高桑栄松君 農水大臣にもう一度お願いしますが、漸進的に農業助成を削減すると書いてあるわけで、これは期限がないということのようでありますが、一応のめどをどれくらいに置いて、しかも、助成をどの程度まで削減しようということになるのでしょうか。いかがでしょう。
#94
○国務大臣(加藤六月君) 先ほどお答え申し上げましたようなOECDの性格がありますが、これは農業改革の長期的な目標として達成していくべきものとされておるわけでございまして、期限その他はついておりません。ただ、私が先ほど申し上げましたように、ウルグアイ・ラウンドに対する、そうしてプンタ・デル・エステ宣言に対して、みんな大いにやっていこうという一つのそっちに向かっての大きな目標が示された、こういうことになると思います。
 そうしますと、プンタ・デル・エステの宣言その他を読みますと四年という一つの大きな時期的、時間的な問題があるわけでございます。そういう中で、先ほどもお答えしたわけでありますが、農業問題をファーストトラックにする、いわゆるウルグアイ・ラウンドより先に農業だけは何とかまとめたらどうだろうかという意見等もありましたが、それに対しては、それはいけないと、他の産業と同じように包括的に並行的にやっていこうということが、私も主張したんですが、今回のコミュニケになったわけでございますから、一つは長期目標であって期限は書いてない、一つはウルグアイ・ラウンドという開発途上国も含む多くの国が入っておる目標の中には一つの年次的なものはあると、このように解釈いたしております。
#95
○高桑栄松君 それでは次に、環境問題に移らしていただきますが、公害健康被害補償法の見直しということで、前の国会でも私質問をいたしましたが、この指定解除について地方自治体からの申し入れとか賛否がいろいろあったわけです。これのアンケート調査等を環境庁はお持ちだと思うんですが、その数字をちょっと知らしていただきたいと思います。
#96
○政府委員(目黒克己君) 指定地域の解除についての地方自治体の意見でございますけれども、これにつきましては、地方公共団体が各地域の実情を踏まえまして慎重に検討をいただいて、広範な意見が寄せられたところでございまして、その内容につきましては、窒素酸化物等の健康影響についての科学的解明が十分に行われていないこと等を理由といたしまして、慎重な対応を求めるものが多く見られたのでございます。
#97
○高桑栄松君 パーセントが知りたかったんですけれども、私は、実際の数だけではなくて、そこに住んでいる住民の数が被害者の数になるわけですから、その住民数による加重平均ということでの賛否のパーセントも知りたいと思いますが、いかがでしょうか。
#98
○政府委員(目黒克己君) 先ほどの申し上げましたことに加えまして、この意見を聴取いたしました趣旨は、単純な賛否をとって多数決的に物事を決するというものではございませんで、地方公共団体の意見を十分に検討いたしました上で制度運営の適正を期するというものと私ども理解しているのでございます。したがいまして、環境庁といたしましては、広範な内容を持っております各地方公共団体の意見を、その結論のみならず、その背景となりましたお考えや状況等も含めまして十分に検討いたしているところでございます。
#99
○高桑栄松君 それでは、東京都が入手したデータで賛否を分類しておりますので、御参考までに申し上げます。反対四一%、慎重四七%、賛成一二%であります。これを人口比で検討したのが私の部屋のデータでございます。この反対と賛成、賛成が六・二%になります、加重平均ですね。つまり反対が九三・八%ということでありまして、私はやっぱり民意というものを反映するとすれば、これは非常に大きな問題だろうと思うんです。内容の細かい分析は別としまして、この大きなパーセントの違いというものはそう簡単には崩れるものではないと思いますが、このことについて、私は民意を反映するのが政治だと思うものですから、環境庁長官、これに対するお考えを承りたいと思います。
#100
○国務大臣(稲村利幸君) 先生の御意見ももっともなところだとも思いますが、御案内のとおり中公審が三年余の御審議、先生のような権威者ばかりの御意見の集約で、この際公健法改正と断を下したわけでございますので、御理解がいただけたらと思います。
 ただ、大都市の地方公共団体からは、幹線道路沿道を中心としたNOxによる汚染がなお改善されていないと、こういう懸念もよく承知しております。また、こうした地方公共団体の懸念に対して、今後大気汚染防止対策を一層推進するほか、健康被害の予防に重点を置いた総合的な環境保健施策を積極的にやっていこう、こういうふうに十分それで対応していきたいと考えております。何分御理解をお願い申し上げます。
#101
○高桑栄松君 私は、去る第百七国会でこの地域指定解除をめぐっての私の考えを三つ述べでおきました。
 一つは、健康にかかわる問題は医学的な判断にゆだねなければならない。二番目は、疑わしきは救済するというのが公害予防の基本理念ではなかったか。三番目は、健康と疾病は連続的なものであって断層はないと。したがいまして、私は全面解除というものを一挙に行うのは断層ではないかという指摘をしたつもりであります。これに対して総理は、一番と三番は賛成であったと思います。二番は、にわかに賛成はできないが検討をするという御返事でした。
 環境庁長官のお考えはいかがでしょうか。
#102
○国務大臣(稲村利幸君) ついこの間、この席で先生の大変高適な御意見を拝聴して、総理も本当に敬服しながら御答弁をなすったとおりでございますが、改めて、第一は、健康に係る行政について、当然医学的判断を基礎として行われるべきだ。第二の疑わしきは救済という点については、公健法は民事責任を踏まえ原因者の負担において個別の補償を行うという制度でございますので、公正かつ合理的に救済すべきは救済と、こういう基本を旨としております。第三は、この間総理がお答えしたとおりだろうと思います。健康と疾病の連続性について、医学的に先生の御指摘のとおりでございますが、法制度としてはそこに線を引かねばならない、こういう大変、そういうところで今いろいろ考えをしているところでございます。
#103
○高桑栄松君 稲村長官のような頭のすぐれたお方ですから、よく内容を御承知の上で大変面倒な答弁をしてくださったんじゃないかと今思って伺いました。
 ところで、去る二月五日に東京高等裁判所でNO2の訴訟というのがあったそうでございまして、そのときにこの補償法の見直しの専門委員会の委員長を務めた鈴木武夫先生の言葉が載っておりますが、この中公審答申の中で、現状において大気汚染の人体影響の可能性は否定できないという表現があった。これはどういうことかということを鈴木先生は、人体に影響を及ぼしているととってもいいということを明言されております。これは患者発生を予測しているということと私は受け取っておりますが、これについて環境庁長官のコメントはいかがでしょうか。
#104
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点につきましては、これはこの答申の中の一つの要件について述べたものでございまして、地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなして補償をするというところの点について、これは合理性がある、ない、こういう御意見のところでございますが、この部分は、本来医学的には大気汚染以外の原因で発病する方も当然いらっしゃる。そういうぜんそくの病気につきましては、一定地域に居住しているとか、そういうふうな方々をすべて大気汚染によるものとこういうふうに制度的にみなして補償するというような公害健康被害補償制度の制度上のみなしのことについて御議論をいただいた、その点については先生方の、そういうことについては疑義がある、こういうふうなことを申し上げているわけでございまして、鈴木武夫先生は中公審等の委員でもございますし、中公審答申等に相反するような御意見を持っておられないというふうに私ども受けとめているわけでございます。
#105
○高桑栄松君 今言われた中で、かなり重要なポイントがございまして、補償給付を行うときの合理性に二つの条件があって、影響の程度が定量的であるか、もう一つは地域の患者すべてが大気汚染によるという合理性があるか。鈴木先生は、病気を知らない人がこれを書いたんだろう、これは事故以外あり得ないということを言っております。私もなるほどと思って鈴木先生のコメントを見ました。これにはどうお考えですか。
#106
○政府委員(加藤陸美君) お答え申し上げます。
 先生ただいま申されましたところ、いわゆる短くいたしますが、みなしという問題でございます。鈴木先生が医学的な立場から、証言の話でございますので余りこれ裁判所での証言のことを子細に申し上げるのはいかがかと思いますが、ポイントだけにとどめますけれども、そのみなしというのは医学的な判断では、医学常識ではそういうことはないんだという趣旨のことを言っておられるように承っておるわけでございます。つまりそのことは、私どもも教えられておるわけでございますが、医学的に言う場合には恐らく疑似何とかであるとか、専門家に申しわけございませんが、というような言い方はいたしますけれども、みなすという言葉は確かにお使いにならぬのだと思います。このみなしという言葉は実は法律制度上の表現でございます。例えば四日市公害の場合に、当初この制度をつくりますときにも、程度の違いはございましたが、一つのみなしというものが行われてこの法律制度が成り立っておるわけでございまして、一つの民事責任を踏まえた損害賠償制度的なものの場合には常に出てくる問題でございまして、そのみなしというのが法律論といいますか、の言葉であって、医学的に言うとすべてが、特に一般疾患であるぜんそくのような場合に、すべてが大気汚染によるものだとみなすなんというのは医学的には言えないことだという趣旨と理解いたしております。
#107
○高桑栄松君 ここは学会じゃございませんから、余りこういう論議をしているわけにいかないなと今思っているんですが、複合大気汚染のことについて、主たるこの汚染物質は何であるか、ちょっと、お伺いいたします。
#108
○政府委員(目黒克己君) 主として三つのものを専門委員会では報告をいただいております。いわゆるNO2と呼ばれます窒素酸化物、それから硫黄酸化物、それから浮遊粉じん、こういう三つのものでございます。
#109
○高桑栄松君 その中で亜硫酸ガスは環境基準をほとんどもうコンスタントに下回っておりますが、残った二つ、NO2と浮遊粒子ですね、これは複合大気汚染、特に都市型として重要であるという指摘があります。先ほど長官もおっしゃっておりましたが、局地汚染、つまり幹線道路沿線については特に対策が必要であるということであったということでありますが、これは今後の問題として指摘しておくことにいたします。
 私の今の環境庁長官に対する質問の結論を申し上げますと、医学的に見て、私は地域指定の全面解除というものは時期尚早ではないか。それから、病気と健康とは連続的なものでありますから断層はないので、オール・オア・ノンということはない、したがいましてこれは段階的な考慮が必要であるということを私は指摘して、この問題を終わります。
 ちょっと残していただいたのは、室内空気汚染ということで、これはアドリブ質問になりますから、ひとつレクチャーを含めて聞いていただきます。いろんな人からたばこの害ということを言われまして、私が専門的な立場だというので何か言えということでございましたので、幸い環境汚染に関係して、ちょっとレクチャー的になりますが聞いていただきます。
 室内空気の問題で、本人がのむものはこれは身に覚えがあるというやつでございますが、周りで申しますとパッシブスモーキング、これは身に覚えのないやつでございます。エイズほどではございませんが、身に覚えがない。たばこの害は御承知のようにラングキャンサー、肺がんですね。肺がんはノンスモーカーに比べて一日二十本以上のむ人は二ないし三倍の肺がん発生率であるということであります。しかし、全部ではない。先ほどの補償になるのに全部というわけにはいかないということであります。それから、肺がんはダイレクトのあれでありますが、気管支炎、それから心臓に影響がある。特に肺がんでいいますと、発がん物質はどういう状態で一番発生するかといいますと、完全燃焼すると炭酸ガスは水になるわけですから、これは植物ですから。ところが四百八十度ぐらいで焦げますと、一番ベンツピレンのような発がん物質があるんです。つまり、くわえたばこがよくないんです。あれ一番悪いのはくわえたばこです。完全燃焼しないでふかふかと、ちょこちょこ来るのは発がん物質が多いはずです。それからたばこをここへ置きますね、これもくわえたばこと同じで不完全燃焼部分がありますので発がん物質が多いということでありまして、多数集合している室内空気の場所ではパッシブスモーキングを考えてこれはやっぱりおやめになった方がいいんじゃないかというのが私の結論でありますが、専売局との関係がありますので大蔵大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わらせていただきます。
#110
○国務大臣(宮澤喜一君) 御高見を十分承りました。
#111
○高桑栄松君 終わります。
#112
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で高桑栄松君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#113
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 これより抜山映子君の質疑を行います。抜山君。
#114
○抜山映子君 今、日本国内におきまして最も国民が関心を持っておりますのは、雇用の安定の問題ではないかと思います。
 そこでまず労働省にお伺いいたしますが、最近の失業率の推移をお伺いしたいと思います。
#115
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 完全失業率の推移は昭和六十年二・六%、六十一年二・八%、六十二年三月には二・九%となっております。
#116
○抜山映子君 離職の理由別に数字がわかれば大変結構と思うんですが、そのあたりいかがでしょうか。
#117
○政府委員(白井晋太郎君) 離職の理由別はつまびらかにとっておりませんが、ほかの統計によりまして、雇用保険受給者の求職者としてあらわれる離職理由の中では、いわゆる事業主都合による解雇者が最近ふえておりまして、六十二年一月、対前年比三二・九%、二月には六・七%、三月には一九・一%増ということになっております。
#118
○抜山映子君 これからの見通しなんですけれども、今は失業者を社内に潜在的に抱えているという企業が大変に多うございますし、これから七月、八月期を迎えますと、ちょうど夏休みに入って帰休制度をとるのに都合がいい、こういうようなこともあって大量に失業率がアップするのではないかということが懸念されておりますが、このあたりの見通しをどのようにお考えでしょうか。
#119
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 最近の雇用情勢は円高等を背景といたしまして厳しい状況でございまして、先ほど数字で申し上げたとおりでございますが、今後とも不況業種やその関連地域での厳しい雇用情勢が続くというふうに考えられております。先生御指摘の問題等で、現在はいわゆる三十万人雇用開発プログラムによりまして、失業者として労働市場にあらわれない形で雇用対策を進めていくということで鋭意力を注いでいるところでございますが、先行き非常に厳しい情勢にはございますが、そういう施策を通じまして、いわゆる失業者としてあらわれる失業率については、何とか本年度見通しの二・九%の達成に努力してまいりたいというふうに考えております。
#120
○抜山映子君 特に東京では失業率というものは情報産業、サービス産業が多うございますから余り感じませんけれども、現場の工場の多い地方に参りますと、非常に失業の問題、深刻な問題があるわけでございます。特に製造業におきましては大変に失業率というものがふえておりまして、これは「労働経済の動き」という労働経済課、国際労働課でつくったものの資料によりますと、事業主都合解雇者が前年同月比で六・七%増と増加が続いている。産業別に見ると、製造業で二一・三%増と増加幅が非常に大きい、こういうような数字が出されております。しかも、最近の円高急騰でさらに失業者の増加のテンポが速まるのではないかということが言われておりますので、ただいまの見通しては少々甘過ぎるように思いますが、訂正なさるお気持ちはございませんか。
#121
○政府委員(白井晋太郎君) お答え申し上げます。
 今、先生おっしゃった数字は、先ほど私が申し上げました雇用保険事業統計に基づくものでございまして、二月には事業主解雇者が対前年比六・七%増ということになっておりますが、全体の求職者ではマイナス二・一%ということになっております。数字の面ではそういうことでございますが、確かに厳しい情勢にございますけれども、先ほども申し上げましたように、何とか失業の状態にならないようにして対応を進めてまいりたいということで、そういうふうに努力してまいりたいということでございますので、訂正する気はございません。
#122
○抜山映子君 ところで、その統計の数字なんでございますけれども、失業率の統計が果たして実態を示しているのであろうかということが多くの識者によって指摘されておるわけです。
 今私は、失業率の統計の基礎となったいわゆる調査用紙ですね、これを手元に持っておりますけれども、単答式の回答になっておるわけですね。普通はダブっているというような場合がよくあるんですけれども、単答式であるために実態をよく把握していない。例えば仕事を休んでいたというのは統計上就業者になっている。あるいは家事、通学ということで仕事を少しもしなかった人の中に入っておるわけですけれども、家事とか通学をしながら仕事も実はしたいと思っておるという人もおるわけなんです。このようなアンケートの単答式を変えることによって随分失業率がアップするのではないか、このように思いますんですが、それはどれくらいアップするということが想定されますか。
#123
○政府委員(三浦由己君) 完全失業者のデータは総務庁統計局が実施しております労働力調査から出るわけでございますが、この労働力調査での失業者のとり方はILOの基準に準拠したものでございます。それは、一週間という調査週間をとりまして、その間にどういう活動をしたかによって、就業者であるか休業者であるか失業者であるか、あるいは無業者であるかというのを分類しているわけでございます。
#124
○抜山映子君 それではお伺いしますけれども、あなた御自身の見解として、家事をしながら就職したいと思っている人は、これは失業者に含めないのが穏当かどうかということについてお伺いいたします。
#125
○政府委員(三浦由己君) ILOの基準それから日本で採用しております基準では、失業者というのは、調査週間中仕事がなくしかも仕事があれば仕事につくことができ、かつ仕事を探している、そういう者を失業者としてとるわけでございます。したがって、仕事をしたいという希望を持っていても、実際に積極的に仕事を探すという活動をしていない者はこれは失業者の範囲に入らないわけでございます。このことはILOの基準でもそういうふうになっておるわけでございます。
#126
○抜山映子君 では、その論議は一応おきまして、米国の定義を使って調整した場合においては、日本の失業率というのは大体どういう数字になるんでしょうか。
#127
○政府委員(三浦由己君) 実はアメリカにおきましても日本と同じように労働力調査で失業率を出しておりまして、日本とアメリカの失業率のとらえ方につきましては両国ともILOの基準に準拠しておりまして、先ほど申し上げましたように、調査週間中、仕事がなく、求職活動をしており、現に就業可能である者を失業者としているわけでございます。細かく見ますと、休職期間のとり方のほか、両国の雇用慣行の違いによりましてレイオフの扱いあるいは三十日以内の就業内定者の扱いに若干の違いがございますが、日本の失業率を米国の定義に調整して計算してみましてもこれは公表値とほとんど差は出てまいりません。
#128
○抜山映子君 ほとんど差は出てこないという形で数字を明確に申されませんでしたけれども、人によっては、アメリカ式を採用して計算すると失業率は一割強になるであろう。女子の失業率は一七%にも上ると、こういう試算をしていらっしゃる学者もおるわけです。私はその数字のことを今論議したいわけではございませんで、失業率というのがどんどん高くなってきておって、それに対処するのが政府として後手後手になっているのではないか。そういう意味で、対米比においてももうちょっと失業率が高い、それからもっと深刻に状況をとらえなければいけないのではないかという観点から申し上げたような次第でございます。
 ところで、この四月の一日から施行されるに至りました地域雇用開発等促進法の施行状況はいかが相なっておりましょうか、お伺いいたします。
#129
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 地域雇用開発等促進法は、この三月末に成立をさせていただきまして、四月一日から施行をされております。対策を必要とする地域としましては、雇用開発促進地域全国百十二地域、それから特定雇用開発促進地域四十三、公共職業安定所地域及び緊急雇用安定地域百三十一市町村を指定しております。それから、この法律に基づきまして労働大臣が策定いたします地域雇用開発指針を出しまして、関係都道府県におきましては現在雇用開発促進地域ごとに地域雇用開発計画の策定を推し進めているところでございます。また、この法律に基づきます地域雇用開発助成金制度等の実施につきましてはそれぞれ周知徹底を現在図っているところでございます。
#130
○抜山映子君 この中にございます地域雇用開発会議でございますけれども、市町村、労使、公共職業安定所で構成することになっておりますが、どのように機能し始めておりますでしょうか。
#131
○政府委員(白井晋太郎君) この法律の施行につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、そういうふうにして早急に施行ができるように今準備を進めておるところでございます。
 先生御指摘の地域雇用開発会議は、それぞれの雇用開発促進地域におきまして設置することとしておりまして、現在既に一部の地域においては第一回の会議を開催する等のことが行われておりますが、順次設置、開催されるものというふうに今促進を図っているところでございます。
#132
○抜山映子君 既に一部の地域というようなあいまいな答え方ではなくて、どれぐらいが動いておるかということをもう少しはっきりさせてください。
#133
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 現在までに会議を開いている地域につきましては、まだ数字の統計がとれておりませんので、ちょっと御報告できかねますが、五月いっぱいかかりまして、六月の初めには、各地域におきます計画、それから開発会議の状況、それからさらにその地域においての具体的な事業計画等を提出させることにいたしておりますので、その時期に全国の数字を把握することができるというふうに思っております。
#134
○抜山映子君 地域だけで雇用開発を考えておっても、地域によっては大変もう不況地域になっておるところがあるわけですから、もっと広域的に雇用開発しなくちゃいけないということはっとに指摘されておるところでございますけれども、ひとつ縦割り行政の枠を超えて中央段階に産業雇用開発機構というものをつくりまして、産業構造の変化などに伴う雇用対策を総合的に推進するための機関を設けるという必要があると存じますが、この点についてどのようにお考えか、お聞かせください。
#135
○国務大臣(平井卓志君) ただいま仰せになりました地域雇用開発会議、地域を主体にいたしておりますけれども、それに加えて中央の産業雇用開発機構のようなもの、これを設けられて縦割りの範囲を超えて広域的にやられたらどうか。これは民社党の提唱している産業雇用開発機構設立構想、私は詳細に存じてはおりませんが、中に盛り込まれておりますものは、やはり非常にもう見通しの悪い、厳しい雇用失業情勢に対処するための方策としてお考えになられて提案されたのであろうというふうに考えておりまして、敬意を表する次第でございます。
 ただ、労働省としましても、今言われたようなこの構想に示されました御趣旨の方向で、さきに、ただいま議題になっております、今国会で成立いたしました地域雇用開発等促進法の施行、さらには、もう御案内と思いますけれども、民間主導でございます財団法人産業雇用安定センターに対する運営等の大幅な援助などを通じまして、その方向で推進を図っておるところでございます。
 ただいま委員から、施行後どの程度の模様かということでございまして、局長からお答えいたしましたけれども、何分にも四月一日の施行ということでございまして、やはり全般的に六カ月なら六カ月単位の常用雇用の実績を見てからというかなりタイムラグもございますので、今後この施策の働きによってそれだけの効果は出てまいるものと、かように考えております。
#136
○抜山映子君 先般、労働大臣は、雇用対策法のもとの雇用対策法施行規則の第一条に基づいて業種指定をなさいました。労働省告示第四十六号ですが、これによって石炭産業と船舶製造・修理業はこの業種に指定されたわけですけれども、鉄鋼産業の方も今大変な不況に見舞われておりまして、これは私が入手しておる鉄鋼大手五社の人員削減計画でございますけれども、新日鉄では六万四千六百二十五人中人員削減計画は一万九千人、これを六十五年度までにやる、二九・四%、こういうような大幅な削減率を策定しております。全部を申し上げる時間がございませんので五社の計で申しますと、十七万五千六十一人のうち人員削減計画は四万四千三百人、二五・三%にも上っております。
 これらの実情を踏まえまして、早期に職業転換給付金の支給対象を鉄鋼にまで広げていただきたい、このように切望いたしますが、大臣どのようにお考えでしょうか。
#137
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 鉄鋼業のうち、高炉による製鉄業につきましては現在雇用調整助成金の対象にはなっておりますが、先生御指摘のように、特定不況業種にはまだ指定されておりません。労働省としましても、関係省庁や関係労使からの事情をお聞きしまして、現在鉄鋼業の状況を把握しながら、その指定について検討を進めているところでございます。
 それからなお、最後におっしゃいました職業転換給付金の問題につきましては、この支給業種の指定につきまして、特に国の明確な政策方針に基づいて過剰施設設備の買い上げ等を行うということの条件によりまして促進手当の支給をするということで業種指定をいたしてきているわけでございまして、石炭、造船、製造、合板の四業種について現在指定いたしておりますが、鉄鋼業全体につきましては、さらに検討を要するということで、現在指定していない状況でございます。
#138
○抜山映子君 ぜひひとつ積極的に前向きにお考えいただきたいと思います。
 と申しますのは、実際には失業率として出ていなくても、五十五歳早期退職勧告をやる。それから三十六歳から五十四歳までは勇退退職を勧めるというようなことが多くの会社で行われております。そのやり口は、労働部長に一回目呼ばれる。考えおくようにと言われて、そしてその次に一カ月ほどたってまた二回目呼ばれる。どうだ、考えたか、もう一回考えてみるように。数カ月たってまた呼ばれる。三回も呼ばれると、もうとてもじゃないけど針のむしろに座っているような感じで、勇退退職しなくちゃいけない。こういうようなことが現実の問題として起こっており、そしてまた、各企業とももっともっと軽量化しようということで、その動きが強まっておるわけでございます。こういう事情をひとつ十分に御理解いただきたいと思うのでございます。
 それから産業の空洞化が言われてもう久しゅうございますけれども、外国に海外直接投資するのは効率がいいということになれば、利益追求の会社でございますから、その動きを外為上とめるとかそういうようなことはなかなか難しいと存じますが、少なくとも労働者に全く協議なくいきなり行われるというようなことがあっては大変心理的に不安感も与えるし、さらに、その企業だけでなくて、その下請関連の経営にも大きな圧迫を加えるというような社会的な問題もあるわけでございます。
 したがいまして、企業が海外直接投資を行うような場合には、ひとつ政労使の三者の協議機関でも設けていただいて一応協議するというようなシステムをとっていただけないかと存じますが、いかがでございましょうか。
#139
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、空洞化に伴います雇用の空洞化の懸念があるところでございますが、これまでの企業の海外進出につきましては、直接雇用面に深刻な影響が生じたという事例は少なかったわけでございますけれども、最近の急速な円高等を背景といたしまして海外投資が活発化してきて雇用への影響が懸念されております。こうした海外投資の拡大が国内雇用に悪影響を与えることがないようにするためには、内需を中心としました経済成長を図っていくとともに、先ほどからいろいろ言われております雇用政策、産業政策が一体となって雇用機会の確保に努めなければならないのが基本だと思います。しかし、実際の今御指摘の投資に関しましては、それぞれ社会的にコンセンサスを得た形での対応が必要だというふうに考えております。
 労働省におきましては、現在この海外投資の雇用問題に及ぼす影響が重要であるというふうな認識のもとに、労使を初めとします各界の代表者から成る雇用問題政策会議におきましてヒアリング等を通じながら専門的な検討をいただいておるところでございまして、今後こうした検討を通じまして対応のあり方についてコンセンサスの形成を図ってまいりたいというように考えております。
#140
○抜山映子君 この一年の間、不況対策に関連して法案がこの国会あるいは前の国会で通っております。昭和六十一年の二月十五日に成立いたしました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、いわゆる新事業転換法及び特定地域中小企業対策臨時措置法、これが昭和六十一年十一月に通っております。新企業城下町法ですね。それからことしになって、六十二年三月二十七日に通りました産業構造転換円滑化臨時措置法、いわゆる円滑化法、これらの法律が今どのようにニーズを満たし、どのような効果を果たしているか、簡単で結構でございますので、ちょっと近況を御教示ください。
#141
○政府委員(岩崎八男君) 中小企業関係の二法についてまず私から御説明申し上げたいと思います。
 御指摘の昨年二月成立いたしましたいわゆる新転換法、これはその後百五十一業種を指定いたしております。そこで、これまでに認定いたしました企業数は二万四百七十九社、件といってもよろしゅうございましょうか。その認定企業に対して現在一つが特別の貸付制度を用意しておりますけれども、この貸し付けの規模としては五千五百億、昨年の秋の総合対策で追加いたしましたので五千五百億ですが、現在までに一万四千三十件、三千七百三十億が利用されております。それから信用保険の特例、これについては七千六百十七件が利用されております。
 それからもう一つの、昨年の秋に制定されましたいわゆる新地域法、これは四十三地域百七十五市町村の指定を昨年の十二月にいたしました。現在までにこれに基づく低利融資が千四百八件利用されております。これはまだ三カ月ですから、実は四月、五月の実績が出ますとこれが急速に伸びる見通してございます。それから信用保険の特例が千百九十七件利用されております。それからこの新地域法ではその地域の技術開発支援というものを重視しておりますけれども、これについても既に二十九地域からその地域の新しい方向を模索するための技術開発案件の申請がなされております。
#142
○政府委員(杉山弘君) お尋ねのございました三番目の産業構造転換円滑化臨時措置法の施行状況について御説明を申し上げます。
 四月一日から施行されております。御案内のように、この法律の中身につきましては、まず過剰設備を抱えている事業の事業縮小を円滑にし、その際、過剰雇用が出てまいりました場合にできるだけ企業内につなぎとめる。そのために、事業縮小を行います企業が新しい分野での事業をお始めになり、そこで過剰雇用を使いたいという場合に、金融税制上いろいろ御援助を申し上げるということが第一点でございますが、この関係では、先ほど来お話しのございました高炉による製鉄業ほか繊維関係、さらには非鉄金属鉱山及び非鉄金属製錬、こういった業種の設備を過剰設備として指定いたしております。ただ、設備を指定いたしますと、これに基づいて各企業が設備処理計画及び事業の新しい分野への進出計画等を作成して主務大臣の認定を受けるという手続がございます。まだ私どもの手元には具体的に計画認定申請はございませんが、内々承知しておりますところでは、繊維関係を中心といたしまして来月ぐらいにも認定申請の話が出てくるのではないか、こんな状況でございます。
 それからこの法律は、もう一点、企業城下町、輸出産地等、円高の影響等で疲弊状況にございます地域振興を図りますために、第三セクター等が振興事業を行います際に、産業基盤整備基金を通じて出資をする、その他開銀等の低利融資をするというような援助措置を用意いたしてございます。対象地域といたしましては、四十三地域百七十五市町村、これは先ほどの中小企業の対象地域と同じでございますが、既に指定をいたしております。ただ、地域振興事業につきましても、都道府県等地元を中心に今計画の練られている段階でございまして、まだ現在のところ出資の御希望を具体的には承知いたしておりませんが、制度の内容等についてのお問い合わせは相当寄せられている、こういうふうに承知をいたしております。
#143
○抜山映子君 法律が施行されて間もない面もございまして即断するのはどうかとも思いますけれども、今伺いました大体の数字、そのようなもの並びに私が各企業を回って伺った話では、不況に対して緊急ローンなんかを受ける面のニーズはもう非常に強いし、すぐできることであるけれども、産業構造の転換の方はある程度企業に力がないとできない。というのは、まずマーケットも調べなくちゃいけない、それから販売網もどうやって確立していいかわからない、従業員の訓練の問題もある、もろもろございまして、産業構造の転換というのは非常に難しい面があると聞いております。
 それから、ただいま円滑化法の中で第三セクターにというお話がございましたが、この第三セクターというのは地方自治体を主体として出資している会社というように大体理解されておるようですが、この地方自治体自体がいろいろそういう新しい事業をやるだけの能力がないという自治体が多いということが言われております。したがいまして、産業構造の転換に関しましては、もう各企業好きなようにおやりなさい、それについては多少税制上優遇しますよとか、ローンもしますよと言ってみてもなかなか進まないのが実態だそうでございます。したがいまして、国としてこの産業構造転換の中期展望を策定しなくちゃいけない。そのためには、産業構造転換の新産業分野開発審議会というものも、例えば産業界、労働界、地方自治体、学識経験者、労働省、ほかの関係行政機関も一緒にやっていかなければそう簡単には進まないのではないか、こういう感触を得ておりますが、産業構造の転換についてもっと国として大がかりに取り組むようなことはお考えいただけないでしょうか。
#144
○政府委員(杉山弘君) 産業構造転換問題については、もう少し具体的なビジョン、将来像というものを関係者集まって知恵を出すべきじゃないか、こういう御趣旨の御質問かと存じますが、この点につきましては、私ども既に二〇〇〇年段階の問題につきましては大筋の方向について産業構造審議会からの答申をいただいているわけでございますが、二〇〇〇年と申しますと余りにも先のことになりますので、二〇〇〇年に至ります途中段階での、今後六、七年後ぐらいを目指して具体的に主要業種についてどういう方向になっていくのか、また雇用を吸収するためにはどういう新しい分野が期待できるかといった問題につきましては、今省内におきまして学識経験者の御参加も得ながら勉強をいたしているところでございます。急がれますので、何とかできますれば大筋につきましては六月中にでもお示しできるようなものにしたいということで作業を急いでいるところでございます。
#145
○抜山映子君 大蔵省にお伺いしますが、財政運営の合理性から見た建設公債の発行限度をどのようにお考えでしょうか。
#146
○国務大臣(宮澤喜一君) それは大変大きなお尋ねでございまして、一概に申し上げることができませんが、一つは、建設国債といえどもやはり利払いは同じであるという問題がこの財政状態でございますからもちろんあるわけでございますが、しかし内外ともに内需の振興というのは急務でございますので、そこは緩急よろしきを得て、余りしゃくし定規には考えない方がいいと思っております。
#147
○抜山映子君 せっかく建設公債を出しても社会資本投資が有効適正に行われないと、極端な話、赤字国債と似たようなことになってしまうと思うんですが、ひとつこの投資価値の評価システムを確立することをお考えいただけないでしょうか。
#148
○国務大臣(宮澤喜一君) 効果ですか。
#149
○抜山映子君 ええ。社会資本投資が適正有効に行われるためにその投資価値を評価するということです。
#150
○国務大臣(宮澤喜一君) 実際はその点は、主として建設省、農水省もございますけれども、というところで五カ年計画などを持っておられまして、それを一つ一つやはり御吟味の上でやっていらっしゃると思います。
#151
○抜山映子君 それじゃ、せっかく大蔵大臣伺いましたので、土地転がしが大変行われておりますので、土地の超短期の譲渡所得に対しては重課税すべきと思いますが、いかがでしょうか。
#152
○国務大臣(宮澤喜一君) それはそう考えておりまして、今回御提案いたしました税法改正におきましてもそういうことを実はお願いをいたそうと考えております。
#153
○抜山映子君 ありがとうございました。
#154
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で抜山映子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#155
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、福間知之君の質疑を行います。福間君。
#156
○福間知之君 両大臣お疲れさま。まだ時差がとれてないと思いますが、御苦労さまです。だが、やはりお二人を中心に質問を進めなきゃなりません。
 まず、OECDの閣僚理事会の成果につきまして、外務大臣大変御努力をされましたが、どのようにお考えでしょうか。
#157
○国務大臣(倉成正君) OECDの閣僚理事会におきましては、現下の国際経済の問題で最も深刻な要素は主要国の対外収支の不均衡でございます。今次の閣僚理事会においては、日米独三カ国の不均衡是正についておのおのその国の責任、役割、対策をコミュニケの中に明記することとなった次第でございまして、我が国といたしましては、内需拡大、輸入アクセスの改善への強い期待の表明がございまして、またこれに関連して資金の還流についての我が国の立場を表明した次第でございますが、今後、このOECDの閣僚会議を通じて説明をしましたことを言葉より実行ということで着実に実行に移していくことが大切であると考えておる次第でございます。
#158
○福間知之君 経常収支の黒字は数量ベースでは改善していますけれども、ドルベースでは九百億ドルをも超えている、未曾有の数値になっているわけですけれども、風当たりがかなりきつかったんじゃないかなと、こういうふうに推察しますが、いかがでございましたか。
#159
○国務大臣(倉成正君) お話しのとおり、貿易収支ももちろんのこと、経常収支の黒字が九百億ドルを超えるということはまことに異常のことでございまして、この状況について一部の国から我が国に対する鋭い批判がされたことは事実でございます。私からは現在自由民主党で検討中の総合経済対策の概要等、我が国の真剣な努力につきまして説明をいたした次第でございまして、関係方面にある程度の理解を得たものと確信をする次第でございます。しかしながら、我が国に対する期待というものは非常に大きいということを肌でもって感じた次第でございます。
#160
○福間知之君 経常収支不均衡を改善することが現下の我が国における急務だということはもう言わずもがなでございますけれども、しかし一国のみで対応してもこれは解決に向かうわけではないのでありまして、そういう意味では、アメリカに対し、ドイツに対し、日本に対し、特掲されて確認が行われたことはしごく当然といえば当然ですけれども、その中で特に外務大臣も今のお話にありましたような総合経済対策というものを打ち出されたようですが、大臣として、国内に帰られ、これから政府としての政策づくりあるいは予算の裏づけ、補正を含めて考えなきゃならぬと思うんですけれども、どういう御決意でございますか。
#161
○国務大臣(倉成正君) この点につきましては、御一緒に参りました田村通産大臣とともにこの会議の空気を肌で感じてまいりました私といたしましては、内外に公約いたしております内需の拡大、これはもちろん本予算成立後の問題でございますけれども、この内需の拡大について真剣に取り組んでいく。そして経済成長の促進、対外不均衡の是正という観点から、また我が国の国民生活の水準の向上、社会資本の充実というような観点から現在検討されているところでございますけれども、この内需の拡大については相当思い切った内容のものとすることが必要であると考える次第でございまして、先ほど申しましたように、日本が従来とっておりましたもろもろの施策が必ずしも諸外国の期待するふうな内需拡大ではなかった。そういう意味から申しましても、今回とるべきものは中身のある内需拡大策が必要であると考える次第でございます。
 そして第二点は、やはり輸入の拡大が必要でございます。もちろん輸入はよい品物を安く入れるということになるわけでございますけれども、こういう大きな不均衡の状況の中で、やはり政府調達による外国製品、もちろん悪いものを入れるということではございませんが、十分競争力のあるものについては外国品についても公平なチャンスを与える、そしてできるだけこういう外国品の購入についても考えてみるということが大事じゃないかと思います。
 第三点といたしましては、国際社会への貢献の観点から、現在累積債務に悩み、また非常にNICSを除きますと経済停滞しておる諸国に対しまして支援、ODAについては我々今までもやっておりますけれども、さらに資金の還流ということを着実にやっていくことが必要であるということで、従来の施策に加えて二百億ドルのアンタイドの資金還流計画を説明いたした次第でございまして、これらのことをあわせましてなるべく速やかにこの施策の具体化ということが世界の我々に対する期待であろうかと思います。
#162
○福間知之君 これは外務大臣、外務省のみの問題ではもちろんないわけでして、通産大臣も含めてこの内需拡大問題は少しく後ほども触れたいと思うんですけれども、特に外務省、今大臣のお話しの裏づけといいますか、の一つとして、外務省内に対外問題のタスクフォースを設置して積極的に取り組もうと、こういうお考えのように漏れ承るわけでございますけれども、五兆円規模のいわば経済対策ということをめぐって今各種の報道でも非常に注目をしているわけです。
 田村大臣は、もともとこれは真水でなきゃいかぬよと、こういうお話もありますし、さりとて後藤田さんの言によれば減税もそれには含むんだと、金丸さんらは減税は別の方がいいんじゃないかとおっしゃったり、大蔵大臣は果たしていかがなのかは知りませんけれども、そういうふうに今非常にかしましくこの議論が上がってきているわけです。ここでそれ大臣どうかといってもすぐにはお答えができないと思うんです。しかし、一連の国際会議の経過、あるいはまた、日米首脳会談に端を発した今の課題というのは、内外的に非常に注目をされている重要な課題ですから、私は大臣の所見を、まさに外交というのは今経済抜きの外交はありませんから、大臣もそういう意味では大きな責任を背負って頑張ってこられているわけですが、率直な意見を両大臣にひとつお伺いしたいと思います。
#163
○国務大臣(倉成正君) 五兆円の中に理論的に申せば当然減税も入ると思います。
 ただ、御案内のとおり、本予算の税の問題が今一応十分な論議がされていない段階でございますから、本予算における減税とこれから行う減税というものがどういう関連を持つかという議長裁定の問題もございますから、理論的のみでここでお答えする、一般論としてお答えすればそういうことになろうかと思いますが、これからどういう組み合わせになっていくかということは政府部内で十分検討さるべきものだと心得ております。
#164
○国務大臣(田村元君) 従来でありますと、日本の、あるいは日本以外でもそうですが、当該国の経済政策はもちろん、内政に対して外国がとかく言うということは余り愉快な話ではなかったわけです。しかし、最近はこのような為替レートの激変動、これをどうするかということで、単に為替レートの調整のみではいかぬ、各国が、とりわけアメリカと日本とドイツ、世界の三大経済国が、我ら何をなすべきやということをお互いに出し合い、そしてお互いに誓い合い、政策協調をやろう、こういうことになっている。これの具体的な合意がパリ合意であろうかと思います。でありますから、今度のOECDの会議では、アメリカが財政赤字の削減、なさねばならぬこと、また日本がなさねばならぬこと、日本とドイツは内需拡大が中心でありますが、また西ドイツがなさねばならぬことというのが、各項目に特定の国が三カ国に関しては入ったわけです。そういうことで、他の国々からもこの三大経済国がよほどしっかりしてくれなきゃ困るという非常に強い要望がございました。
 そこで、我が国が果たす役割というのは、当然のこととして西ドイツとともに内需拡大策であります。それで率直に申し上げて、これは日本の国会でありますから、私は日本人として率直に申し上げますが、我が国の内需拡大策に対して、特に三百五十億ドル、五兆円以上というこの拡大策に対して世界各国は非常に大きな期待を持っております。と同時に、非常に厳しい疑惑の気持ちも持っております。
 でありますから、またパリの会談でもいろんな人に会いました。例えばベーカー財務長官なども非常に厳しく私に発言をしておりましたが、とにかく、我が国がもちろん他国の命令によってするわけではない。するわけではないが、国際社会の、しかも世界の三大経済国の一員としての大きな責任ということで国際的責任を果たしていく。しかも、日本の経済の健全さをこれから立て直し、また持続していくということであれば、当然この中身というものは非常に濃いものでなければならぬ。世界各国の発言は、具体的な言葉で表現すれば、中央政府の追加的支出ということでなければならぬというような発言、期待が非常に多うございました。
#165
○福間知之君 両大臣のお答えは共通をしているわけですけれども、特にそれだけ日本の経済対策あるいは五兆円水準の内需拡大策ということが国際会議でお二人の大臣の口からも話をしなきゃならないという、そういう今環境に日本はあるわけですから、事の重大さを私たち日本人はやはり認識をせざるを得ないわけで、かつてないことでございます。ましてや、西ドイツは同じ黒字国でも我が日本よりは風当たりはそんなに強くないわけですね、今のところ。日本と西ドイツの違いというのを議論している間がありませんけれども、大臣が行っておられるときにドイツ人が、大体問題は日本とアメリカだよ、西ドイツはやることをやっているんだよと、こんなことを報道で話しているのを見ました。
 したがって、これは大蔵大臣にもお聞きをいただきたいんですけれども、昨年の秋における三兆六千億円の、それでもかつてない大幅な補正予算が組まれたと言われておったんです。その場合に、公共事業の量というのは災害の復旧費を含めて一兆四千億円、真水で言えばこれは千百億円足らずしか国のお金は出ていない、いわゆる公共事業としては。災害復旧費として一兆円を超えているんですけれども。そういうことでありました。それでは真水じゃないわけなんで、今回の場合、規模は五兆円になってもまだ同じような轍を踏むのであれば海外からの批判も私は当然起こってくるだろうと思うのでございますけれども、いかがですか、大蔵大臣。先ほどの御質問でも建設国債どれくらい発行するんですかというようなお尋ねもありましたけれども、それはともかくとして、建設国債を一定数量発行しなきゃならぬということは明らかだと思いますし、NTTの株も売却してその一部を充てなきゃならぬだろうと予想しますし、かなり思い切って真水でこの予算を組んでいかなきゃならぬと思うんですけれども、そういう御決意はおありでございますか。
#166
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の補正予算のときに比べますと問題はもっともっといわば規模が大きくなっておりますので、そういう決心をしなければならないと思っております。
#167
○福間知之君 通産大臣あるいは外務大臣、ベーカー財務長官が、緊急経済対策は減税は別枠として公共事業はぜひとも実のあるものにしてほしい、こういう発言をしたと報じられていますけれども、お話し合いの中でいかがでございましたか。
#168
○国務大臣(田村元君) ベーカー財務長官とは別室で二人で随分長時間話し合いました。それで、なかなか専門家だけに、日本の経済対策、特に昨年のあの三兆六千億の中身も今度の総合経済対策要綱もよく知っていまして、私より詳しいんですよ。非常によく知っているんです。
 それで、彼が言いましたことは、今おっしゃったように、減税をおやりになるのはそれは結構なことだが、それは五兆円の外数であろうなと言うから、それは帰ってあなたの親友の宮澤大蔵大臣によく伝えておきますよ、あなたと宮澤大臣との間には深い親友のきずながきっと結ばれているだろうからと、こう言ったら、いや、おれはだれにでもこれは言うと、こう言っていました。
#169
○福間知之君 減税ひいては税制問題はここでやるいとまがありませんが、いずれにしろ六十二年度、六十三年度も前倒ししてでもやる必要があるんじゃないかという議論が与党の中でも出ているほどでございますし、今言う五兆円対策の中か外かということよりも、さらにその前の問題として減税問題が大事だ。今私たち野党も、年内減税のためにはもちろん財源を含めて考えなきゃなりませんから、どうすべきかと大いに勉強をしておりますし、税制協議会でも話をしなきゃならぬのですが、一つの考えでは、年内の戻し税減税というふうな考え方もちらほら出ていますけれども、それも含めてとにかく早期に内需拡大対策の一環として減税はやはりやらなきゃならぬと思うんですけれども、大臣の決意はいかがですか。
#170
○国務大臣(宮澤喜一君) 結局私どもとしては、一切が協議機関で御検討願うということになってしまうと思いますので、余り補正補正と申し上げることはせんだって以来の御注意もありまして慎まなきゃなりませんが、その二つのことのタイミングがちょっと合うかどうかということを非常に心配いたしておりますので、どうぞ協議機関におかれまして速やかにその辺の御検討を終えられることを念願いたしておるわけでございます。
#171
○福間知之君 内需拡大について、通産大臣、これは総合経済対策を打ち出す前に検討されたようなんですけれども、いわゆる内需依存の産業、企業に限定して一億円以上の規模で投資減税をやろうという構想があったやに報じられておりましたが、いかがかということですね。さらにまた、地域活性化のために内需拡大の即効薬として五%程度の補助を実施してはどうか。こういう二つの見解が議論されたようですけれども、いかがですか。
#172
○政府委員(杉山弘君) 通産省は、先ほど大臣申し上げましたように、内需鉱大対策につきましては一生懸命勉強をいたしておりますが、その過程におきまして、今二つ御指摘のありました点、省内では御指摘のような方向でいろいろ勉強はいたしております。例えば減税というようなお話が先ほど来出ておりますが、そういうことがもし可能ならば、その一環として、特に設備投資の中でも内需型の設備投資についてこれをふやしていく方向で何らか考えられないか、こういう問題意識を持ちまして検討いたしておることは事実でございます。
 それからまた、地域活性化のためには、現在ございます民活法によります助成措置を含めまして、何らか地域経済活性化のためにもう一段新しい助成というものが考えられないか、こういう問題意識も持ちまして勉強をいたしておるところでございますが、まだ具体的に成案を得ているというわけではございません。これから政府部内におきまして総合経済対策の議論をいたします。段階で、通産省といたしましては、具体的な案を財政当局等にお示しをいたしまして御相談をいたしていきたいと考えております。
#173
○福間知之君 ぜひひとつこれは政府部内での検討に期待をしたいんです。そのほかにいろんなアイデアが私はあろうと思いますけれども、この際は大いに知恵を出し合って、今までにやったことがないから、今までのパターンでは難しいからというようなことのないように、大いにひとつ議論をしていただくことが両大臣頑張ってこられたそれにもこたえる道じゃないかと思うんです。特に大蔵大臣にお願いをしたいと思うんです。
 ところで、私内需拡大を余りやっているわけにまいりませんけれども、要するに、こういう事態になって日本の国内のこういう問題が海外でも極めて注目をされ、ましてや期待され、強く要請されるとまでなっていることでございますから、これはやはり日本の国内の政策はそういう点で少し立ちおくれというかマンマンデー通ぎた。
 まず第一は、金余り現象というものに適切に政策対応ができないということは、自由主義といえどもやはりそれならば自由主義の欠陥だと、そういうふうに言って過言じゃないと私は思うんです。そういう虚像の経済は国民に必ずしも利益をもたらすものではない、こういうふうに私は申し上げざるを得ません。
 それからもう一つは、デレギュレーションということがよく総理以下言われるわけですけれども、これを国内における規制緩和というふうに考え直してみると、やはりやるべきことはたくさんありそうな気がするわけでありまして、いかに金をつけでもそれが上から下に円滑に流れない。ましてや海外から仕事に参入しようと思っても、そういう国内の規制が多ければこれは無理ですね、日本人でもあっぷあっぷ言っているんですから。したがって、国内におけるそういう規制というものを地方自治体を含めて考え直していくという視点がこの機会にやっぱり必要じゃないか、こういうふうな気がしております。
 これは具体的な議論をする間がありませんけれども、市町村で複合施設をつくる場合に、玄関と出入り口はそれぞれ別個につくらされるとか、あるいは図書室やトイレ、調理室、事務室などの共用は認められないとか、館長も別々でなきゃいかぬとか、こんなばかげたことがいまだに行われているようじゃ話にならないと指摘をされているわけでございます。要するに、全般としてのそういう過去のあり方の見直しをやっぱり私は強調をしておいて、みんなでこれは改革に手をつけなきゃならぬと思っている次第であります。
 次に、外務大臣、IEAについてお聞きしたいんですけれども、今回の閣僚理事会の意義は非常に大きいと思うんですけれども、どういうふうに評価をされておられるか。さらに、外務大臣は積極的な提言をされたと承知しておりますけれども、その内容はいかがなものでございますか。
#174
○国務大臣(倉成正君) 今次のIEAの閣僚理事会の意義は、御案内のとおり、一九八五年七月のIEA加盟国の閣僚が会合して以来、石油、ガス及び石炭の価格が大幅な下落があったわけでございまして、また市場も非常に不安定な状況にある。将来の状況が非常に予測困難な状況にある。したがって、ある意味においては、このエネルギー価格の下落というのは経済的な利益をもたらしたわけでございますけれども、一方、将来を考えてまいりますと、消費がむやみにそのためにふえたとか、あるいは長期的なエネルギーのための開発というのが非常に少なくなった、そういういろいろな諸問題を起こしておるわけでございますし、またチェルノブイリの原子力発電の問題もこれあり、これらの問題をどう考えるか、そういう問題意識があったわけでございます。
 したがって、IEA各国は、九〇年代に向けてエネルギーの利用の効率化、備蓄の強化、これは一九九〇年代になるとエネルギーは恐らく不足するであろう、需給が逼迫するであろう、そういう認識のもとで閣僚間の意見が一致してコミュニケがつくられたわけでございまして、こういう需給が緩和した時期こそ備蓄のことをしっかり考えたり、あるいは九〇年代のエネルギー政策をいかに考えるかということを真剣に討議すべきじゃないかということが合意を見たことは、非常に喜ばしいことと考えるわけでございます。
 そこで、今お話しの、私どもの方から提案いたしましたのは、やはりこういう需給が緩んでいるときは、域外国から見ますと、市場メカニズムでとにかく安いものであれば何でもいいというようなことを言うし、逼迫したときには対話をしようということでは困るということであるので、そういうことではなくして、こういう時期にこそやはり域外国との関係強化というのが大事である、対話をしておくことが必要ではないか。また、域外国の情報の収集、分析、また域外国との情報の交換、域外国の情報、技術の移転ということで、収集、ギャザリング、それから情報交換、エクスチェンジ、移転、トランスファー、GETという名前をつけたわけでございましたけれども、この点については関係の方面から評価を得たと思っておる次第でございます。
#175
○福間知之君 通産大臣はこの会議に出られたわけですね。大体今のお考えと同じでございますか。
#176
○国務大臣(田村元君) IEAの場合はむしろ私が中心のような形になったわけです、OECDの場合は外務大臣が総括ということで出たわけですが。それで、今外務大臣の申しましたように、今度のIEAは備蓄、開発、それから原子力というのが大きな問題になったわけですが、結局、結論から言えば、共同コミュニケは無修正で原案どおり通りました。ただ議論は相当ありました。スウェーデンとかギリシャとか、随分議論はありましたが、コミュニケ自体は合意したんです。
 そこで私どもから提案いたしましたのは、産消対話、今お話しのあった産消対話であります。その前に野々内エネ庁長官を私はサウジヘやったんです。それでサウジ経由でパリへ来るように、IEAの会議の前にまず立ち寄ってこいと、こう言ってサウジの石油大臣等と話し合いをさせた。この産消対話というのは今のようなときこそ要るんですよ。この前のように、オイルショックが起こったらヤマニ様でかしわ手を打って拝むなんというのじゃ問題にならない。これを強く私ども提案いたしまして、これはもうみんなから、さもありなんというようなことで、大変御賛同をいただきました。
#177
○福間知之君 両大臣、向こうでの御活躍はそれなりに感じ取っておるのですけれども、先ほど来のお話は、私は外務省から大臣の演説を見せてもらいましたけれども、まさに産消関係というものをにらんで非常にいい発言だったのじゃないかなと、こういうふうに思っております。ギャザリング、エクスチェンジ、トランスファー、まさにこのGETは我々として同感でございますし、特に資源のない、油のない日本でございますので、産油国とも、あるいはまたそうでない非産油国とも提携をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思いますので、問題は、具体的にこれから対海外政策とあわせて国内でも対応をしていかなきゃならぬ。
 特に、これは通産関係になるわけですけれども、野々内さんにちょっとお聞きしたいんです。私は多分に最近のアメリカの石油政策というものに疑問があるのですけれども、今日の石油危機というものの根源、根拠は一体どこにあると考えておられますか。
#178
○政府委員(野々内隆君) 今現在石油危機というものは存在をしないわけですが、今回も議論で、一九九〇年代に向けてのエネルギー政策という議論をいたしまして、一九九〇年代にはやはり石油需給が詰まってくる、それを念頭に置いたエネルギー政策を今こそ確立すべきであるというのが基本であったわけでございまして、最近アメリカの石油輸入がかなりふえているというような点、これは非常に問題があろうかと思っておりまして、田村大臣とヘリントン長官との間の個別会談でもこの点の指摘を田村大臣からしていただいておりまして、先方は、自分たちも実はこれは非常に問題だと思っているということで、レーガン大統領が新しいエネルギー政策というものを言い出しているのもそういう点にあるのだということを言っておりました。
#179
○福間知之君 アメリカの国内生産が一日八十万バレルも減っている、今六百万バレルぐらい輸入しているのがさらに一千万バレルぐらいになるのじゃないか、早々のうちにアメリカは、一九九〇年代史と言われていますけれども、代に入ってから石油の輸入依存度が五〇%を超えると、こういう見込みがあるやに聞くのですが、どうなっていますか。
#180
○政府委員(野々内隆君) 昨年一年間でアメリカの石油輸入が一日当たり百万バレル確かにふえておりまして、これは国内生産の減少が一日当たり三十万バレル、国内消費が四十五万バレルの増加、それから在庫積み増しが三十三万九千バレルの増加というようなことでございまして、国内生産の減少と消費の増、この二つが組み合わさって百万バレルの輸入増になったというふうに伝えられております。
 石油開発はかなりスローダウンいたしておりまして、特にメジャーあたりでは前年に比べて探鉱のための投資が半分になったというふうに言われておりますし、それから実際に掘っておりますリグの数も半分ぐらいになっているというふうに言われておりまして、大変アメリカ政府もこの問題は気にいたしております。特に、ストリッパーウエルズと言っております非常に小さい採算性の悪いところが閉鎖をいたしておりますが、これはバレル二十ドル以下ではもうとても再び活動はできないであろう、二十五ドルぐらいにならなければとても動き始めないだろうと言われております。したがいまして、現在のような低い価格が続きますと、確かにおっしゃいますように、将来アメリカの石油輸入依存度は五〇%に達するだろうということは可能性のあることであろうと思っております。
#181
○福間知之君 通産大臣、IEAで欧州側からの反発がかなりあったと聞きますけれども、いかがですか。
#182
○国務大臣(田村元君) 欧州側からの反発としては、ドイツを除く北欧あるいはギリシャ等から原子力についてのいろいろな話が出ました。それから備蓄に対しても出ましたが、これは議論としては相当強く言っておりましたけれども、最終的に共同コミュニケは無修正でございましたから、それほど激しいものとは私は受けとめなかったけれども、相当しゃべることはしゃべっておったようでございます。
#183
○福間知之君 アメリカは我が国と違って石油資源を存分に持っているわけでございまして、コスト的に今掘ることが困難だということでございますが、私考えてみると、例えば農業問題、米問題であれだけやかましく言っているアメリカが大変な補助を農業に出している。じゃ、ここで石油に対して出すことが世界のためになるんですよ。そうでなくたって財政赤字と貿易赤字で我々が指摘をしているわけですけれども、ほっといたらこれまた石油は新しいアメリカンプロブレムだと、こういうことになりかねない。世界じゅうからひんしゅくを買うと思うんです。
 そういう点で、資源のない私たちは、ひがみじゃありませんけれども、どうぞアメリカは持っている石油の備蓄だけに力を入れるのじゃなくて生産に力をかしてほしい。我々の手にはどうにもならないんです、石油がないんですから。そういう思いを私は最近しているわけであります。これは九〇年代大変だ、我が国はもう石油でつぶれるかもしれぬと、こういう危険すら感じるわけであります。
 半導体問題のその後の経過、いかがですか。
#184
○国務大臣(田村元君) 既に御承知のように、先般、あれは四極の直前でございましたが、東京で、通産省の中でヤイター代表と私とが二回にわたって会いました。二回目はヤイターの方から、もう役人を遠ざけて二人だけで話をしょうじゃないかという提案があって、それは結構だと。結局四月のデータを見て、それが大体五月の中ごろ過ぎになるだろうが、それを見て、それが説得力あるものならば早期にこの制限措置の解除をしようということで話をしたわけです。その前に、日米半導体協定に関して解釈の違いが両国にちょっとあるんですね。ですから、そういうことも含めて専門家同士で緊急会議の再開をやろうじゃないかと私が提案した。向こうは、データさえそろえばいいじゃないか、こういう話だったですが、そうはいかぬ、解釈の問題もある、いや解釈はおれの方の解釈が正しいと言うから、それは一方的なんで話し合おうじゃないかということで、機械情報産業局の山本次長を派遣いたしまして、帰ってきた。来週もう一回派遣をして、来週になりますか、再来週になるかもしれませんが、多分来週だと思いますが、派遣をして話し合わせる。
 今度OECDへ行きましたときにヤイター代表に会いまして、あのときの約束は間違っているんじゃないだろうなと言ったら、それはそれで小いんだということでありました。
 それからベーカー財務長官に私がアメリカで会ったときに、ちょっとこれは仄聞するところというので、私も余り自信がないけれども、ベーカーさんどうなんだい、何か四月分のデータだけじゃぐあいが悪い、何カ月かのデータを見なければぐあい悪い、こういうことをアメリカ政府が言っておるようだがそれは事実かね、こう聞いたら、いや、それは自分は知らない、四月分だけと承知しておる。実は自分はレーガン大統領の特別補佐官を四年もやっておって、レーガンがいかに中曽根を愛しておるかということを自分は熟知しておる。レーガンが中曽根に対してどういうことをしてやりたいと思っておるかそれも熟知しておる。それだけに何とかしてやりたいと思うが、いかんせん、おまえの国でもそうだろうが、おれの国も議会がなかなかうるさい。だから議会への手前もあるということもあって、四月のデータというのが立派なデータが出てくることを、つまりアメリカ政府のみならず議会をも説得できるというか、政府が議会を説得するに足る、そのような日本のデータ、四月のデータが出てくることを期待しておる、こういうことでございました。
#185
○福間知之君 事務方の方でわかっている今までの直近の双方のデータですね、どういうことになっていますか。
#186
○政府委員(山本雅司君) 日本側といたしましては二項目ございまして、日本市場へのアクセス問題と、それから第三国への輸出の問題でございますが、日本側といたしましては、既に四月のデータは収集が終わっておりまして、現在最終的な分析作業をしておる段階でございます。ただ、アメリカ側は実は資料の収集がややおくれておりまして、現在のところは三月末までのデータはほぼ手に入っているけれども、四月のデータは大至急、来週じゅうにでも手に入れるように最大限の努力をするというのがアメリカ側の状況でございます。
#187
○福間知之君 私も一部メーカーサイドにいろいろ話を聞いていますが、積極的に努力をして問題を拡大しないような態度をとっているようでございます。
 大臣、いつごろにこれは、部分解除はともかくとして、全面解除まで行くには時間がかかりますか。
#188
○国務大臣(田村元君) 実は私もそれを教えてほしいんですけれども、どういうデータが出てどういうふうにお互いが理解し合うかということなんですね。第三国へのダンピングの問題は、私はこれはデータをまだ見ておりませんけれども、私の感じでは非常に改善されていると思うんです。
 問題は、日本市場への参入の問題、つまりアクセスの問題だと思うんです。それがどういうデータになりますか。ですから、向こうのデータと突き合わせをして、説得力を持つものならばそれで相手が納得した時点でそっちは早くなるんじゃないか。そのかわり納得しなかったら、なかなかまたすったもんだになる可能性はありますけれども、その点で今度のデータに対しては非常に気を使っております。
#189
○福間知之君 日米間の貿易あつれきの象徴みたいなことで、大変あのとき驚きもしたし憤慨もしたわけです。しかし、こうなった以上は一日も早く全面解除に持ち込むことが必要だと思いますので、せっかく努力をお願いしたい。
 なお、ちょっと別ですけれども、前に私も取り上げましたが、通産省肝いりで去年の日米交渉の過程から生まれ出たところの半導体のいわゆる国際交流センター、今おっしゃった日本の市場アクセス改善のための相互の努力の場としてアメリカは一つも参加しなかった。最近テキサスインスツルメンツとLSIロジックが参加するやの話ですが、それでも少ないですね。通産省の側から、我々の側からいえばもっと参加してもらいたい。この動きについてどうなっていますか。
#190
○政府委員(山本雅司君) ただいま先生御指摘のように、この半導体国際交流センターにつきましては、日本の企業とそれからフランスの企業一社が参加して運営してきたわけでございます。ところが、ごく最近になりまして、一昨日でございましょうか、まさに今おっしゃいましたテキサスインスツルメンツとLSIロジックが参加をいたしました。したがいまして、現在のところアメリカ系企業は二社でございますが、私どもといたしましては、この機関がこれから地道な活動を進めていくことによりましてアメリカ企業も認識を新たにいたしまして、もっともっと参加をして、本当の意味の文字どおりの国際交流センターになることを期待しているわけでございます。
#191
○福間知之君 山本さん、大変先般からアメリカへ行かれたり努力されてこれも御苦労さんなことだと私は思っているんですよ。ぜひひとつこういう場で素直にというか、率直にアメリカが日本の市場に参入しやすいような知恵をどんどんひとつ教えてやってほしいんですね。これはもう政治問題になっていますけれども、根はやっぱり経済的な、あるいはすぐれて技術的な問題でございますので、日本はもともとアメリカから学んでそのノーハウを日本ナイスしてここまで来たんですから、これは悪びれないで、アメリカも日本の市場である程度売れるような商品を持ち込んで売ってもらわないとならぬわけですから、これは教えてやる必要があると思うんですね。まあ威張って言うわけじゃないけれども、ぜひこれをお願いしたいと思います。
 経企長官、きょうの新聞で、「進まない円高差益」という記事が載っていましたけれども、一昨年の十月のころから十八カ月間に十八兆二千億円の円高差益が出て、還元されたのは九兆四千億円だ、五一・六%しか還元されてない、こういう程度のものですか。
#192
○国務大臣(近藤鉄雄君) 当委員会でもお話をいたしましたが、最近までのデータを集めたのが十八兆で、ちょっと私もデータを持っておりませんが、十兆数千億円の還元をされた計算になっておりますので、七割ぐらいの円高差益の還元が進んだと私どもは計算をしている次第でございます。
#193
○福間知之君 電力、ガスなどは目立って還元された業種、これはもう御案内のとおり。この報道によると、還元されないまま企業などに蓄積されている差益は八兆八千億円、大量に蓄積している業種は、流通、外食、通信などを含むサービス、合計三兆四千億円、それから建設分野は一兆八千億円、食料品一兆三千億円、運輸一兆一千億円など。電力、ガスにも二千億円程度は残っているといいます。今申したようなことだそうですけれども、今後どうこれに適切に対処すべきだとお考えですか。
#194
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘がございましたが、円高差益の進んでいる分野は競争条件の進んでいる分野でございますが、政府が価格を決めているような農産物においては、牛肉や小麦粉やその他、農林省努力をして値下げをしておりますけれども、いろいろ農政上の配慮もありまして多少差益の還元がおくれている面がございます。
 最近、円高差益率は、ちょうど、私今資科を持たなくて恐縮でございますけれども、毎年毎年率としては進んでおりますので、円高差益がまだその会社の部内の利益として留保されておるものも漸次これから表に出て一般の消費者に還元される度合いが進むものである、かように考えております。
#195
○福間知之君 輸入の時点から還元までのタイムラグはこの報道でも四カ月ぐらいは見なきゃならぬと言っていますけれども、そうでしょう。ぜひひとつ、先ほど指摘したような業種、確かにこういう業種が国内的にも、もともといろいろ問題があるわけですから留意を願いまして、半分ぐらいの還元じゃたまらないですよ。みんな一生懸命汗水流して働いて、一部に利益が偏っている。これはやっぱり政府のある程度責任は私は重いと、こう見ますので、強力な行政指導をお願いしたいと思います。
#196
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほど数字を見ないで申し上げたんですが、この三月までで全体として十八兆一千七百億円の差益に対しまして、還元額の総額が十兆八千億円でございまして、還元率は五九・四%となっております。
#197
○福間知之君 幾ら、何。
#198
○国務大臣(近藤鉄雄君) 五九・四%でございます。
#199
○福間知之君 そんなになりますか。十八兆二千億足らずでそんなになりますか。
#200
○国務大臣(近藤鉄雄君) 十八兆のうち十兆です。それで五九・四になっておりますが、毎月毎月の還元率が例えば最近七八・七%、八割近い還元が進んでおりますので、漸次還元の度合いがさらに進むものである、かように考えておる次第でございます。
#201
○福間知之君 恐らく昨年以降、毎月あるいは四半期ごとに言えば還元率は高まっているんでしょう。それはぜひひとつ落ちないように監視をしてやっていただきたい、今でもまだ貿易黒字は続いているんですから。よろしくお願いしたいと思います。
 時間が来ました。最後に私、大蔵大臣にも大蔵省の行政指導をお聞きしたかったんですけれども、少し日米金利差の操作が、マネーサプライの関係なども出てきているようですから、ジレンマぎみの気配を感じているということですけれども、これは適切にひとつインフレを起こさないように、しかも日米金利差の効果を維持するようにお願いをしなきゃなりません。
 私はいろんなことを申し上げてきましたけれども、かねがね私も感じているんですけれども、要するに、こういう国際環境の中に立たされてしまった国の経済あるいは社会、これをつくづく考えてみますと、とにかくしゃにむに戦後働いてお互いがそれぞれの持ち分で努力をした結果、経済的には一定の成果を上げた。これは一口で言えると思うんです。生活水準もかなり改善された。いや、それどころか、もう外国からたたかれるほどよい品物をたくさんつくる能力を身につけた。おかげでお金もたまった。しかし、それは逆を言えば、裏から見ればまた、世界の国々から袋たたきに遭う、そういう孤児になりかけているわけでございまして、これを私は要するに、戦後四十年、技術的な経済計画というようなものはあったけれども……
#202
○委員長(桧垣徳太郎君) 福岡君、時間が来ました。
#203
○福間知之君 しかし、国民に依拠した経済の哲学というものが欠けておったんじゃないか、経済政策において、こういう指摘があるわけです。
 西ドイツでは、第二次世界大戦の直後から、社会的市場経済政策体系というようなものを持って有機的に生産と分配を結合してきたわけです。そして、市場経済システムを原則としながらも、住宅や土地政策、財産形成制度などでは公的な介入というものをかなり強めてきている。この点は日本が不介入を原則としてきたそれとはもう決定的に違うんですね。したがって、今日でも貿易インバランスはあるけれども、日本のように批判されない。水平分業というものがかなり行き渡る可能性がある社会経済構造になっているわけですね。そこを日本がひとつぜひこれから考えていただくように特にお願をして、時間を超過して恐縮ですけれども、終わりたいと思います。
#204
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で福間知之君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#205
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、内藤功君の質疑を行います。内藤君。
#206
○内藤功君 東京の土地の価格は非常な急騰でございます。政府の四全総、東京改造計画、国公有地の相次ぐ払い下げ、それから金融の土地投機に対する大変な額の融資というような諸原因があると思います。
 そこで、国土庁長官それから建設大臣、自治大臣、大蔵大臣、各大臣に対しまして、この東京都の地価高騰の原因をどう把握するか、それから今後の対策と見通しをどう考えていらっしゃるか、率直なところをお伺いしたいと思います。
#207
○国務大臣(綿貫民輔君) たびたびのお尋ねで、たびたびお答えをいたしておりますけれども、東京を中心にいたしまして土地の高騰が起こっておるわけでございますが、これは急激な国際化、情報化、ソフト化ということで東京に集中した機能が参りまして、それに対するビル需要等が高まり、需要と供給のアンバランスの上に急激な土地高騰が起こってきたと考えております。
   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕
 なおさらに、最近の金余り現象によって、これに便乗するような短期の譲渡利益を生む行為が加算されておるということでありまして、これの対策といたしましては、供給と規制という両面からこの高騰を抑える必要があるということで、供給面につきましては、関係省庁とも今鋭意努力をいたしておるところでございますし、また、今回国会に提出いたしております国土利用計画法あるいは土地税制の中におきましても、供給面を刺激する問題も入れてあるわけでございます。
 なお、規制の面につきましては、小規模の取引を規制するということで、先般、東京におきまして条例の改正をしていただきましたが、これが全般に行われるようにするために、今回、国土利用計画法の中に小規模取引を規制できるように監視区域を設けることができるような法律を提出してあるわけでございます。今回提出しております法律が通りますならば、あるいは税制が通りますならば、相当の効果があるというふうに考えておる次第であります。
#208
○国務大臣(天野光晴君) 国土庁長官と同じです。
#209
○国務大臣(葉梨信行君) 国土庁長官が申し上げましたことと同じであろうと思います。
#210
○国務大臣(宮澤喜一君) 国土庁長官の言われたとおりです。
#211
○内藤功君 建設大臣に伺いますが、あなたは三月二十六日の建設委員会で、国公有地の払い下げが地価高騰の原因であり、これを二、三年間抑える必要がある、こういうことを言っておられますね。この御見解は間違いないですか。
#212
○国務大臣(天野光晴君) 国公有地の売り方も相当影響しているんじゃないかと、今でもそう思っています。
#213
○内藤功君 今の点につきまして、運輸大臣、大蔵大臣はどういう御見解でございますか。
#214
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私たちは、東京における地価上昇の原因というものは、基本的には、非常に旺盛な事務所需要というもの、また投機的な土地取引そのもの、そしてその需要にもかかわらず新規の土地が提供されていないといったところにあるような感じを持っております。
#215
○国務大臣(宮澤喜一君) 転売等につきまして一定の制限を設けまして、そういうことの起こらないように努めております。
#216
○内藤功君 政府の中でばらばらであります。これでは強力な地価対策などできるわけがないと思いますね。
 元建設省の建築研究所の建設経済研究室長をやっていた早川和男教授は、岩波の著書の中で、先進諸国は都市住宅問題解決のために国公有地の確保に大変力を入れているということを指摘して、土地を市場原理に任せることが間違いだ、こういうふうに厳しく批判をしておるところであります。国公有地を利潤追求のための民間企業に投げ与えるということなどは絶対にやってはならぬことだと強調しております。
 国土庁に伺いますが、イギリス、フランス、西ドイツなど先進国で国公有地の保有についてどういうような対策をとっているか、お伺いしたいと思います。
#217
○政府委員(田村嘉朗君) 私どもが承知しております範囲で申し上げますと、まずフランスにおきましては、公的主体が広い範囲で積極的に都市整備事業を行うことを目的といたしまして、公的主体による土地取得権限が強化、拡張されてきております。例えば、長期整備区域、ZADと申しておりますが、とか、土地取引介入区域、ZIFと言っておりますが、等におきまして先買い権制度が制定されております。また、公的に取得された土地につきましては、一定の区域におきまして私人への所有権譲渡を禁止し、あるいは一時的な利用権を設定するなど、その保全を図る譲渡禁止区域制度、こういった制度も設けられているようでございます。
 次に、イギリスにおきましては、公的主体の土地取得は主として都市・農村計画法あるいは地方政府計画及び土地法等によりまして行われておりますけれども、一方におきまして、私的開発の促進のために、公的主体が取得した土地のうち未利用地の処分の促進を図る制度もあるようでございます。
 西ドイツにつきましては、一九七一年に都市建設促進法というのが制定されまして、市町村に対して先買い権、収用権のほかに土地取得権を付与いたしまして、特に再開発に関しまして活用する目的で、市町村が土地取引の私的契約に介入して強権的に適正価格で土地を取得できるような制度を設けておるというふうに承知しております。
#218
○内藤功君 そのほかにも、各国で非常なやはり国公有地の確保に対する政策をやっております。この早川さんの「”狂乱”地価への提言」の中には非常に詳しく、もっと詳しく載っていますよ。日本はこれに学ぶべきじゃないかと私は思うんですが、国土庁長官、大蔵大臣、いかがですか。
#219
○国務大臣(綿貫民輔君) 先般来この委員会でも官房長官からもいろいろの見解が述べられておりますが、日本の国におきましては、土地の財産権というものは憲法二十九条で認められておるわけでございます。なお、その中で、公共福祉の目的に資するときには法律でこれを定めることができることになっておるわけでございまして、できるだけ私権を重んじつつ公共の福祉を進めていくという方向で今までも努力しておるわけでございまして、今後もその方針で努力していかなければならないと考えております。
#220
○国務大臣(宮澤喜一君) 国土庁長官の言われましたとおりであります。
#221
○内藤功君 私は、やはり中曽根内閣の民間活力導入政策、特に国有地、国鉄用地の競争入札による民間への払い下げ、これがやはり驚くべき地価高騰を引き起こしている重要な原因だというふうに指摘せざるを得ないと思うんですね。ことしの一月二十三日の朝日の社説でしたが、これは、田中角榮内閣の列島改造政策と並んだ日本の都市政策史上残る悪政だと、こういう厳しい批判もしておるところであります。こういう民活導入政策のもとでどういう事態が起きているかということを幾つか取り上げたい。
 まず、港区海岸一丁目にある郵政省の所有土地一・六ヘクタール、これを某大手建設会社及び子会社に等価交換の形式で所有権を移している事実があるんですが、郵政省、この事実経過を明らかにしていただきたい。
#222
○政府委員(成川富彦君) ただいま先生からお話ございました、浜松町所在の郵政省用地を渡し財産、交換財源といたしまして、東京郵便集中馬、これは仮称でございますが、用地と茨木郵便局用地を交換取得しております。
 まず、東京郵便集中局(仮称)用地取得のための交換関係でございますが、交換財産といたしましては、受ける方が江東区新砂町の約八千平米の土地と、それから塩浜の約五千六百平米の土地を受けております。渡し財産といたしましては、先ほど申し上げました浜松町近くの郵政省用地……
#223
○内藤功君 八万平米じゃないか。
#224
○政府委員(成川富彦君) 失礼しました。約八万平米でございます。八万平米と五千六百平米でございます。それから渡す方といたしましては、一万二千平米、先ほどの浜松町近くの郵政省用地を渡しております。契約月日が六十年の九月三十日でございます。
 それから交換の理由でございますが、東京中央郵便局、東京圏の重要な郵便輸送の拠点局でございますけれども、四十年来から郵便物の増加に追いつけませんで、建物の狭隘化が進んできておりまして、このために一部機能の移管を必要とするような状況になっております。それから、鉄道郵便輸送から自動車郵便輸送へ五十九年の二月あたりから全面転換を行っておりまして、それに伴いまして自動車拠点局をつくらなければいかぬというような状態になりまして、そのために広い敷地を求めてきたところでございます。幸い、この条件に合致いたします立地条件、地形等にすぐれた本件土地を取得する必要がありましたために交換したものでございます。
 それから茨木郵便局の用地取得のための交換でございますが、交換財産といたしましては、受けた方は茨木の土地約七千平米、渡す方は先ほど申し上げました土地の二千平米でございます。六十一年の八月十二日に契約したわけでございますが、交換事由といたしましては、茨木郵便局が地域の発展が大変著しいために郵便物の増加が著しく局舎狭隘というような状況になっておりますために、その処理能力をふやすために新たな土地を設けたところでございます。
#225
○内藤功君 これは、汐留国鉄用地二十一ヘクタールとJR浜松町駅の中間にある、汐留開発のまさに中心の首根っこの土地です。大手の不動産会社が非常にこれを欲しがって動いた。それから、区の方は独自の開発計画を持っている。ところが、このことを全然知らされないでやっていた。手続も非常に複雑であります。地元自治体との大きな問題もあります。検査院はこの事実をどの程度まで調べていますか。
#226
○説明員(三原英孝君) お答えいたします。
 ただいまの郵政省の国有地の交換でございますが、六十年度に行われました約一万二千平米の交換につきましては昨年検査を終えておりまして、検査に当たりましては、その交換が法律に定めた要件に合致しているか、あるいは財産の評価、これは渡し財産、受け財産両方ございますが、その評価が適正であるか、こういったような見地から検査を実施いたしましたが、特に違法または不当と認めた事項はございませんでした。また、六十一年度に行われました二千平米の国有地の交換でございますが、これにつきましてはまだ検査を実施いたしておりません。これからいたすところでございます。
#227
○内藤功君 いずれにしても、検査院の徹底的な調査、検査を要求いたします。
 こういうことを規制する何らの法律制度、システムがないということが非常に問題であります。特に、地元の港区を中心といたしましてこの土地利用に非常な強い利害と関心を持つ自治体、関係各方面におきましては、このことをことしの三片になって報道で初めて知ったという人がほとんどであります。もし事前にそういうことがわかっておれば、自治体として、事前にこの利用について郵政省なりあるいは大手建設会社その他といろんな形での話し合いができたはずであるということで、強くこれについての遺憾の意向を示しているという状況でございます。
 かくも自由自在に今の時代に国公有地というものが交換の名前のもとに手放されてよろしいのかどうかという点を、私どもは十分に考えなくちゃいかぬと思うんです。郵政大臣、大蔵大臣、この点についてはいかがお考えですか。
#228
○国務大臣(唐沢俊二郎君) 本件につきましては確かに区と協議はいたしておりませんけれども、状況によりましては地方公共団体と意思疎通を図る等適切に対処する必要のある場合もあろうかと存じております。
#229
○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます。
#230
○内藤功君 重大な問題ですので、これは今後他の委員会でも究明をしたいと思います。
 次に、国鉄蒲田駅の貨物積みおろし跡地四千八百二十二平方メートルの払い下げ問題です。六十一年十二月六日の入札、これはだれが幾らで落札しましたか。
#231
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一に、蒲田駅構内貨物跡地四千八百二十二平米につきましての落札者は桃源社でありまして、売却価格は平米当たり一千三百六十二万円、総額約六百五十六億円でございます。そして、その周辺の公示価格と対比をいたしてみますと、売却時点は六十二年の三月六日でありますが、直近の六十二年一月一日現在の公示価格、周辺を見てみますと平米八百六十二万円から九百九十八万円でありまして、確かにその公示価格に対して一・五倍ぐらいの価格でありますが、お調べになればおわかりになりますように、JR東日本の蒲田駅に隣接したおおむね長方形の角地でありますし、前面道路が約六メートル、北側が駅前広場に接する等非常に条件のいい土地でありますだけに、私どもとしては実勢価格を反映したものであると思っております。
#232
○内藤功君 国鉄跡地で過去最高です、これは。公示地価の一・五倍。私の方の調査では三・四倍ですよ。入札に参加した大田区の七尾さんという助役は、全くクレージーな価格だと言っています。民間同士の取引なら当然国土利用計画法の規制下に置かれる案件であります。
 地価暴騰の大きな原因は、国内で余った資金が不動産業、地上げ屋に何の規制もなく投げ与えられているということだと私は思うんですよ。この今お話のあった、落札した桃源社の資本金、不動産売買実績、決算状況はどうですか。また、六十一年三月末日現在の借入金額は幾らでございましょうか。
#233
○政府委員(牧野徹君) 御指摘の業者は東京都知事の免許を受けた宅地建物取引業者でございますので、都に照会いたしました。
 まず、資本金は一千万円でございます。それから直前三年、五十八、五十九、六十年度の不動産の売買実績、これはございません。それから六十一年三月末現在の借入額は約三百三十一億円というふうになっております。
#234
○内藤功君 借入額三百三十一億、前年の二・二倍、前々年の四・六倍になっております。こういう会社、今あらわれたような数字の会社に何百億円もの融資が行われるというこの状態をなくさない限り、過剰な土地投資は私はなくならないと思います。大蔵省、これに対してはどういう対策をとっておられますか。
#235
○国務大臣(宮澤喜一君) これと言われましても、市場経済で借りる人がいて貸す人がいたわけでございましょうから、そのこと自身に別に対策というものはとる必要はありません。
#236
○内藤功君 そういう御答弁だから困るんです。大蔵省はこれについて金融の規制のために通達を出しておられるはずですが、この通達の趣旨とその経過を御説明いただきたい。
#237
○政府委員(平澤貞昭君) 今お話しの、特に具体的な問題に基づいて通達を発出したのではございませんが、先ほど来からの御議論にもございますように、都心の一部地域における地価上昇が波及しているというようなこと等もございまして、金融機関の融資に際しましてはその公共性を十分に自覚して融資を行うようにということで、銀行局長名の通達を昨年十二月に発出したということでございます。
#238
○内藤功君 この大蔵省の通達と同時に国土庁も出しているはずですが、その趣旨はどういう内容ですか。
#239
○政府委員(田村嘉朗君) この点につきまして私どもの方から、融資金融機関が投機的取引とか著しい高値の取引について自粛するように大蔵省の銀行局の方から指導していただきたいということを要請したわけでございます。
#240
○内藤功君 国土庁、大蔵省、どういうことを規制したんですか。その内容をちょっと言ってもらいたい。
#241
○政府委員(平澤貞昭君) 今国土庁の方からお話がございました御要請を受けまして、先ほど申し上げましたように銀行局長名で通達を出したわけでございますが、その中身を申し上げますと、考え方が前文に書いてございまして、その後に「記」という、その1を読んでみますと、「土地関連融資については、土地保有の目的その他に関し厳正な審査を行い、有効かつ適切な土地利用が図られないまま短期間に当該土地の転売を行う等の投機的な土地取引等に係る融資については、これを厳に慎むこと。」ということが一にございます。それから2は、各金融機関にそのような土地融資につきまして報告を出してもらいたいということが書いてございます。
#242
○内藤功君 もう一つ、著しく適正を欠く価格による取引、これも含まれていますね。
#243
○政府委員(平澤貞昭君) 今の通達の中には直接書いてございません。
#244
○内藤功君 これは三回出してある通達の中で、著しく適正を欠く価格による取引、それから今言われた投機取引、こういうものを厳に慎まなきゃならぬという通達が出ておるんです。私は、まさにこの桃源社による国鉄用地の払い下げ、これは著しく適正を欠く価格による取引に対する融資というものに該当すると思うんですが、いかがですか。
#245
○政府委員(平澤貞昭君) 具体的な問題ですので、今お話しの件が直接これに当たるかどうかという点は現段階では御答弁しかねます。
#246
○内藤功君 もうこれは文字の読み方で明らかだと思うんですね。これが当たるか当たらないかわからないというような通達は無力だということじゃないでしょうかね。私は、この通達を厳格に解するならば、もっとこの通達に基づく厳格なやはり規制が行われてしかるべきだということを申し上げておきたいと思うんです。
#247
○理事(原文兵衛君) 関連質疑を許します。近藤忠孝君。
#248
○近藤忠孝君 大蔵大臣、今の通達は六十年七月三十一日、それから六十一年四月十六日、六十一年十二月十九日と、極めて短期間の間に三回も相次いで出されております。やはりこういうことが繰り返し出されたということは、極めてこの問題が重大な問題であると同時に、この通達が徹底してないからじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
#249
○国務大臣(宮澤喜一君) 今御心配のようなことがありまして、銀行が、金融機関が貸し出しをすることによってその投機的な土地の売買をいわば助ける、あるいは助成、助長するようなことがあってはいけない、こういうことから、国土庁とも御相談しながらそういうことを金融機関に言っておるわけでございます。
#250
○近藤忠孝君 そこで、警察庁に質問します。
 本年四月三十日、西新宿のこれは超一等地約五千平方メーターの土地売買が国土利用計画法違反だとして、これは最上恒産及びその関連会社に対し強制捜査が行われましたが、その被疑事実の概要を報告していただきたいと思います。
#251
○政府委員(漆間英治君) お答え申し上げます。
 お尋ねの事案は東京都からの告発に基づきまして現在警視庁において国土利用計画法違反事件として捜査中でございますので、概略だけを申し上げますと、国土利用計画法上市街化区域内の土地を二千平米以上売買する際には事前に都知事への届け出を要するにもかかわらず、最上恒産株式会社が昭和五十八年七月ごろから新宿区西新宿六丁目の市街化区域内の土地を購入し、他へ転売した際に、この規定に違反して、所定の届け出をしなかったというものでございます。
#252
○近藤忠孝君 法務大臣、これは地上げ業者に対して初の強制捜査として注目を浴びております。法務省として、これに対する究明についての基本的姿勢について答弁されたいと思います。
#253
○国務大臣(遠藤要君) お尋ねの件に対しては、今警察が捜査のさなかでございます。検察庁の方に送付された場合には厳正な対応をしたいと、こう承知をいたしております。
#254
○近藤忠孝君 これは氷山の一角なんですね。同種の事例による被害がもう続出をしている。まさに社会問題になっておりますが、ある意味で一般論で結構です、そういうものに対してこれから厳正に徹底的に捜査するという態度をお持ちでしょうか。
#255
○国務大臣(遠藤要君) 常に法務行政は、よく新聞紙上にも出ているとおり、悪者は休ませない、こういうふうな思想でございますので、よろしく御理解願いたいと思います。
#256
○近藤忠孝君 新宿かいわいには悪者はうようよしておるので、ひとつ厳正にお願いしたいと思っております。
 警察庁は、この最上恒産の件については数百億の金が動いていると思うんですね、その資金関係について、またこれは暴力団とのかかわりがあるんじゃないかという指摘がされておりますが、その背後関係、どうでしょうか。
#257
○政府委員(仁平圀雄君) 最上恒産に対する事件につきましては、先ほど保安部長が申し上げましたように、ただいま捜査に着手した段階でございます。引き続き所要の捜査を行ってまいる方針でございます。
#258
○近藤忠孝君 その場合、資金関係、背後関係を徹底的に究明するというこういう姿勢はおありですか。
#259
○政府委員(仁平圀雄君) 当然のことながら、そういった面につきましても十分捜査を続ける方針でございます。
#260
○近藤忠孝君 次に建設省、この最上恒産というのは都知事認可の業者だと思うが、どうか。それから最上恒産の昭和六十年六月一日から一年間の利益額のうち、この西新宿の土地譲渡収益の額は幾らか、お答えいただきたいと思うんです。
#261
○政府委員(牧野徹君) 御指摘の業者はお話しのとおり東京都知事の免許を受けた宅地建物取引業者でございますが、この最上恒産株式会社の昭和六十一年五月決算における税引き前利益というのは約百八十五億円でございます。そのうち、新宿区西新宿六の六百九十九の一はか約五千平米の土地の譲渡利益金額は百八十七億円でございます。いずれも東京都に照会した返事でございます。
#262
○近藤忠孝君 全体が百八十五億で、西新宿だけで百八十七億、おかしいんじゃないか。――ああ、ほかは損したのか、ああそうか。
#263
○政府委員(牧野徹君) 要するにトータルでございます。
#264
○近藤忠孝君 わかりました。なるほど。要するに今期の利益のほとんどをこの問題で占めたということで、極めて重大であります。
 そこで大蔵省、最上恒産のメーンバンクである第一相互銀行に対して、銀行局は昨年九月に検査に入ったと聞いております。その際、先ほどの通達ですね、これに違反する事実があったのではないかと思うんですが、これに対しどのような措置をとったか、答弁されたい。
#265
○政府委員(平澤貞昭君) 今お話しのように、昨年この第一相互銀行に検査に入りましたが、今おっしゃっている会社との関係の融資の問題につきましては、個別金融機関の個別企業に対する融資に係る事柄でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
#266
○近藤忠孝君 こういう悪いやつにはもっとびしびしやったらいいんですが、またびしびし言ってほしいんですが、じゃ一般論でいいでしょう。一般論で、先ほど、被疑事実に該当するのは事実。しかも、極めて短期間に莫大な利益を上げた、こういう行為に対して、こういう企業に融資する、これはやっぱり先ほどの通達の趣旨に反するのじゃないかと思うんですが、一般論でいいですよ、お答えいただきたい。
#267
○政府委員(平澤貞昭君) 金融検査を行います際には、今もお話しのような一般論として申し上げれば、金融機関の融資について、金融機関の公共性にかんがみまして健全な融資態度で行っているかどうか、十分に審査してやっているかどうかというようなことを検査するわけでございます。したがって、いやしくも社会的な批判を受けることのないよう、検査官は機会あるごとに経営者に申し上げているということでございます。
#268
○近藤忠孝君 通達の趣旨に反するのじゃないか。
#269
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほども申し上げましたように、通達の文面を申し上げましたが、一般論として申し上げているわけでございまして、具体的にこれに今おっしゃっているような事案が当たるかどうかという点については、その一つ一つを検査の際に我々としては経営者に対して意見を申し上げるということでございます。
#270
○近藤忠孝君 要するに、犯罪的事実があったのは客観的事実ですから、言ったものとここはとらざるを得ない、そういうぐあいにお聞きして、私の関連質問を終わります。
#271
○内藤功君 非常に歯切れが悪いので、もう一つ最上恒産についてお伺いしたいんです。
 これは建設省になると思いますが、昭和六十一年五月末現在の短期借入残高を見ますと、金融機関としては第一相互銀行と三和信用金庫の両者が入っていると思うんです。この両者で幾らの借入残高ですか。
#272
○政府委員(牧野徹君) これも東京都に照会しましたところ、六十一年五月末現在の短期借入金額は百六十億円でございます。このうち第一相互銀行からの短期借入金額は約三十七億円、三和信用金庫からの同様のものは約二十三億円でございます。
#273
○内藤功君 この二つの金融機関だけなんですが、この二つの金融機関だけで短期借入の三七%を占めております。この面でも通達はしり抜けです。
 改めて言いますが、この通達は「著しく適正を欠く価格による土地取引」と「有効かつ適切な土地利用が図られないまま短期間に当該土地の転売を行う等の投機的な土地取引」、これについては厳に慎むべきであるとはっきりうたっているわけです。しかしこれが、一般論だとかなんとか言っておられますけれども、明確に違反しているということがなぜ言えないんですか。今私の言った点を含めて、再度銀行局の御答弁を願いたい。
#274
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほども御答弁申し上げましたように、該当部分をもう一度申し上げますと、「土地関連融資については、土地保有の目的その他に関し厳正な審査を行い、有効かつ適切な土地利用が図られないまま短期間に当該土地の転売を行う等の投機的な土地取引等に係る融資については、これを厳に慎むこと。」ということでございます。
#275
○内藤功君 同じような通達を三回も出しているんですよ。そして、効果が上がっていない、実効が上がっていないと思うんです。単なるこういう一般的な、厳に自粛を要請するという通達ではもう効果がないのか。効果がないのであればもっと強い措置をこの際講じなきゃならぬ。天野建設大臣も国公有地の問題、それに対する融資というものが問題だという点では私どもと共通の点を答えておられるわけですね。私は、これが大きなやっぱり社会的な常識になっていると思うんですよ。
 いかがですか、もっとこれは強い措置をとらなければ、この通達だけでは単に紙を出したというだけに終わっておるんじゃないですか。どういう考え方があるのかさらにお伺いしたい。
#276
○国務大臣(宮澤喜一君) 金融機関に対して投機を助長するような貸し出しは自粛をするようにと言っておるわけでございますから、それは当然やはり自粛をしてもらうということであって、そうでない場合のように、今のようなことがございますと、世の中の指弾を受けるということでございます。それ以上のことをやれと申しましても、それがやはり私は一つの限界であろうと思います。
#277
○内藤功君 そうすると、もう策がないんですか。この通達を出して、この通達に違反するかしないかも国会で答弁ができない。違反するかしないかが答弁できなければ、次の行動、アクションがとれませんね。ここのところはどうなんですか。これは大臣に直接お伺いしたい。こういうのはまさに通達違反ではないか。これは裁判所に判断を求めるわけにいかないんですから、あなたの御判断しかないんです。どうなんですか。
#278
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、なんでございましょうね、事柄が終局的にわかりまして、どうもこの通達に照らして適当でなかったということになりますれば、それは当該金融機関に対してそういう御注意をするということになるのだろうと思います。
#279
○内藤功君 押し問答になりますから、毅然たる態度を解釈でも行動、アクションでもとられることを私は特に強く要求しておきたいと思うんです。
 さて、この通達によりまして、第二項をお読みになりました、建設業者、不動産業者向け土地関連融資状況を半年ごとに報告させるとさっき言われました。報告の内容を明らかにしていただきたい。
#280
○政府委員(平澤貞昭君) 報告の内容につきましては、不動産業者及び建設業者に対する新規貸出実行額の総額を半年ごとに求めているということでございます。
 当該報告は六十一年度から徴しているわけでございまして、六十一年度上期の実績が出ております。
#281
○内藤功君 六十一年上期、恐らく四月から九月末までだと思いますが、その半年の件数、合計金額を明らかにしていただきたい。
#282
○政府委員(平澤貞昭君) 数字を申し上げますと、不動産業向けが合計で四兆二千五百二十五億円、それから建設業向けが五千百七十二億円、合わせまして四兆七千六百九十七億円というふうになっております。
   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
 件数は、今手元に数字がございませんので、調べましてまた答弁申し上げます。
#283
○内藤功君 届けてください。
 下期はどうなっておりますか。
#284
○政府委員(平澤貞昭君) 下期につきましては、三月末の数字を四月末までに出すようにしておりますので、現在財務局その他で集計中でございます。
#285
○内藤功君 私の理解するところ、この数字は恐らく初めてきょう質問で明らかにしていただいたと思うんです。総額が四兆七千億に上るということは非常にやっぱり重大な意味を持つと思います。
 それで私は、これだけではしかしまだ、せっかくの今の御報告、御答弁でありますけれども、融資を厳に慎まなければならないところの、自粛の対象であるところの投機的な土地取引、著しく適正を欠く価格による取引、この現況はまだ大枠の数字が今ここで初めて明らかになっただけであって、依然として我々国会に明らかでありません。手を打つにはやっぱり具体的な全容をもっと明らかにしなければならないと思うんですが、この点の御用意はありますか。
#286
○政府委員(平澤貞昭君) この数字は、先ほど申し上げましたように、金融機関の土地関連融資の額でございます。したがいまして、最近の地価の上昇等に伴いまして、金融機関へのいわゆる実需に基づく融資を求める金額もふえてきておりますので、そういうものを含んだ数字であるわけでございます。かつまた、先ほどもお話し申し上げましたように、各金融機関ごとの総額の金額を集計した数字でございます。
#287
○内藤功君 各金融機関に対して徴する報告内容を改善して、その結果を逐次国会に対して報告、公表していただくことを要求いたします。改善されない金融機関に対しては、個別にその企業名等を発表して社会的な批判の対象とするということも考慮していただくことを要求いたしますが、いかがでしょうか。
#288
○国務大臣(宮澤喜一君) 通達に反するようなことがございました場合には、当然その金融機関には御注意をいたします。
#289
○内藤功君 時間の関係で、今の点についてはぜひとも、社会的なやはり責任のある金融機関ですから、通達に従わないというようなものに対してはきっちりと発表するということをさらに要望して、次の質問に入りたいと思うんです。
 こういう地価高騰は特に東京都民を初めとする大都市住民を市の中心部から追い出す結果を果たしていると思うんです。昭和六十三年は固定資産税の評価がえの年でもあります。東京都の住民についての対策は、一体今までのようなやり方で漫然と固定資産の評価がえをしていいんでしょうか。東京都議会では各会派全会一致の決議も出ております。また評価額は六十三年度は凍結すべしという強い要求があります。もっともなことであります。この地価高騰が住民の上に押しかかってこないようにすべきだということであります。この点についての自治大臣の御見解を求めたいと思うんです。
#290
○国務大臣(葉梨信行君) 固定資産税につきましては、その固定資産につきまして三年ごとにその間の状況がどう変化したか、経済活動がどう伸びたかということによります資産価値の変動に着目いたしまして、それに対応しました評価の適正化、均衡化を図っていくことにしております。それが原則的な対応の仕方でございます。
 今先生言われましたように、最近の地価動向を見ますと大都市の一部商業地等を中心に地価の急騰が見られるわけでございますが、こういう地域につきましてその地域のみを評価額の見直しを行わないといたしますと、全国的に見まして今度は評価額の別の意味のアンバランスを生ずることとなるわけでございまして、それもまた適当ではないと考えております。昭和六十三年度の土地の評価がえに当たりましては、御指摘のような特異な地価の状況も十分配慮しながら課税団体と調整を図ってまいりたいと考えております。
 なお、固定資産税の負担と評価の問題につきましては、昨年十月の税制調査会の答申においてこう書かれております。「その評価に当たって引き続き均衡化、適正化に努め、中長期的に固定資産税の充実を図る方向を基本とすべきである。この場合、多くの納税者に対し毎年課税されるという固定資産税の性格を踏まえて、負担の急増を緩和するためなだらかな増加となるような配慮が必要である。」、こう書かれているわけでございまして、この趣旨を踏まえて対応していきたいと考えております。
#291
○内藤功君 大臣、お言葉ですが、都心部の住民の方の話をじかに聞きました私としては、そんななまぬるい状況じゃありません。過般私は千代田区、港区を中心に住民の方にじかにお話を聞いてきましたが、一カ月の収入分、大体これに相当するものが固定資産税で土地の場合がかってくる。ごく小さな十数坪の家の方ですよ。そこで商売して住んでいるという方ですね。固定資産税の負担、それから店を借りている人は家賃の増額、それから一番深刻なのは亡くなった後の、変な話ですが相続税、これが深刻な問題です。ですから今のお話のようなのは平時の話であって、今のはアンバランスなんていうことを言っているときじゃないんですね。アンバランスといえば、東京都心部が異常な値上がりなんですから。
 そこで私は、一定面積以下の本人と御家族の暮らしの根拠、本拠地、住居、それからそれと一体になっている店舗それから事業所、一体となっているものについての家屋、土地については、これは抜本的にやはり固定資産税というものを非課税にするという範囲を、小さな面積の場合には非課税にするということを真剣にやはり考える必要があるんじゃないかということを私は提言したいと思うんです。この点の御検討を願いたい。
#292
○政府委員(渡辺功君) 固定資産税は、資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在いたします受益関係に基づきまして、固定資産の所有者に対しましてその資産の価値に応じた負担をお願いする、こういう税金でございます。したがいまして、一定規模以下の住宅用地あるいは住宅についてのみ固定資産税を非課税とするということは適当でないというふうに考えております。
 しかしながら、お話の趣旨は、そういう住宅用地とかあるいは住宅についての問題意識というものについては、お話のありますところは現在でも考えているところでございまして、税負担の緩和を図ることという配慮のもとに一定の住宅用地につきましては課税標準額をその価格の二分の一の額とする、二百平米までは四分の一とする、あるいは住宅につきましても四十平方メートルから二百平方メートル以下の新築住宅につきまして、一定の税額を限度といたしましてその税額を一定期間二分の一とするというような特例をつくりまして対処をしているところでございます。
#293
○内藤功君 地方税法のその規定はもう十分承知であります。それではもう間に合わないからもう一歩進めた提言を私はしているのであります。
 そういうことを言うならば、いかがですか自治省、地方税法三百五十一条の固定資産税の免税点の引き上げ、やられていないじゃないですか。二十年近くやられていないでしょう。過般、東京都の当局が、私から言わせると極めて控え目な要求です、それを政府に対してやっておられるんですね。免税点、今は土地が十五万円、家屋が八万円です。この見直し自体もお考えないんですか。
#294
○政府委員(渡辺功君) お話のとおり土地、家屋につきまして十五万円、八万円という免税点を設けております。現在におきます市町村の財政状況ということが一つ、それから土地につきましては先ほど申し上げました小規模住宅用地とかあるいは一般住宅用地に対する課税標準の特例措置も講じているということ、あるいは家屋については評価がえの場合に在来分家屋評価額を原則として据え置いているというようなことも考えまして、これを引き上げることは適当でない、引き上げる考えはないということでございます。
#295
○内藤功君 これはもう大臣に政治判断を願うしかないですね、これじゃ。今の制度を説明する答えじゃないですか、これじゃ。そうじゃなくて、今この時期に抜本的に考えるという提案ですよ。特に固定資産税についての固定の観念にとらわれているんです。例えばイギリスではどうですか。地方税の中に固定資産税というものが含まれているそうですが、そこに居住する人の収入に対応していろんなランクをつけて金額が決まってくると私は勉強したことがあります。決して土地の価格、自分の働きに関係のない土地の価格の値上がりで税金が変わってくるんじゃない、その人の収入に応じて地方税も変わってくる。これはイギリスの制度ですよ。ですから、固定の考えでいるからだめなんですね。
 最後に私は、時間が来ましたのでもう一問お話ししたいと思うんですけれども、このままでは都内の一般住民は、税金と地代、家賃の値上げによって土地、建物を手放さざるを得ないというところに追い込まれる方が多くなります。国土庁長官の諮問機関の国土政策懇談会は、時価に比べて非常に安くなっている固定資産税や相続税の評価額を引き上げるなどによって、保有コストを引き上げるとか、土地低利用責任税を創設しろということを言っています。私をして言わせると暴言に近いと言わなきゃならぬと思うんです。私は、土地政策の基本は国公有地を確保して住宅、公園、緑を守るために使う、政府と自治体の最も大きな仕事だと思うんです。民間大企業への払い下げや民活導入政策を中止して、銀行の不動産投資は規制をして、地価高騰に歯どめをかけるべきだと思うのであります。
 最後に、この点についての国土庁長官の御所見を伺いたい。
#296
○国務大臣(綿貫民輔君) 国土政策懇談会は私の私的懇談会でございまして、これは別に結論を出すというあれではございませんで、自由な御発言をお願いした中の一つの御意見だと思っております。
 我が国は自由主義経済を基本としておりまして、先ほど申し上げましたように、個人の財産権というものも守りながら土地の高騰が抑えられるような施策を今鋭憲政府としても協議をして実施をしようとしておるところでございます。
#297
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で内藤功君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#298
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、山口哲夫君の質疑を行います。山口君。
#299
○山口哲夫君 私は、自治医科大学の問題について質問をいたします。
 まず第一に、自治医科大学卒業生の勤務状況について報告していただきたいと思います。
#300
○政府委員(湯浅利夫君) 六十一年七月現在で行った調査によりますと、自治医科大学の卒業生九百六十九人のうち医師の国家試験に合格した者が九百六十四人でございまして、このうち医師法の規定に基づきまして卒業後二年間の臨床研修中の者が二百二十四人。それから、後期研修として各都道府県知事の指示する病院などにおいて医療に従事する者が百三十五人。それから死亡したりあるいは修学資金の貸与金を返還した者が十四人おります。これらを除いた五百九十一人が、現在各都道府県知事の指示する第一線の医療機関におきまして医療に従事しているわけでございます。その勤務先別の内訳は、病院が四百五人、それから診療所が百五十二人、保健所などが三十四人ということになっております。
#301
○山口哲夫君 中核病院に勤務している者を外しまして、実際に僻地で診療に当たっている者は何人ですか。
#302
○政府委員(湯浅利夫君) いわゆる僻地等の病院、診療所に勤務する方々は、第一線の医療機関に勤務する先ほど申しました五百九十一人の七八・三%に当たります四百六十二名でございます。この勤務先の内訳は、診療所に百三十七人、それから僻地中核病院に八十七人、それから僻地中核病院以外の病院に二百二十人、それから保健所に十九人ということになっております。
 なお、この僻地という定義がいろいろございますけれども、自治医大におきましては、僻地というのは、過疎地域振興特別措置法、山村振興法、離島振興法、それから豪雪地帯対策特別措置法、この四つの法律によって指定された地域を一応僻地というふうに考えて整理をいたしております。
#303
○山口哲夫君 中核病院に勤務している人を除きまして、全くのいわゆる僻地に従事している医者は三百七十六人だと私どもは考えております。したがって、卒業生のわずか三九%しか実際には僻地の診療に当たっていない、これが実態だと思いますけれども、どうですか。
#304
○政府委員(湯浅利夫君) 私が申し上げました僻地等に勤務しているお医者さんが四百六十三人でございます。その中で、いわゆる僻地中核病院に勤務している方が八十七人おられるわけですが、この僻地中核病院というのは、これは都道府県知事が無医地区を対象として巡回診療などを継続的に実施できる病院という形で指定した病院でございまして、そういう意味で僻地の病院であるという点では他の病院と変わりないわけでございます。そういう意味で四百六十三人の方々が僻地等に勤務されているというふうに私どもは理解いたしております。
#305
○山口哲夫君 大変便宜的な数字なんですけれども、そういうことにならないと思うんですよ。本当に僻地でそこに張りついて診療しているのは卒業生のわずか三九%にすぎないというのが実態です。
 さてその次です。自治大臣にお伺いいたします。首都圏に二つ目の附属病院を建てなければならない理由について聞かしてください。
#306
○国務大臣(葉梨信行君) 自治医科大学が建設を進めております第二病院は、主として九年間の義務年限を終了しました自治医科大学卒業生に対しまして、最新の医療に基づいた再研修を行いより高度な能力を付与することにより再び僻地等の地域医療に貢献してもらうことを目的として計画されたものでございまして、同時に、病院が設置されている地域の医療需要にも積極的に対応しようとするものであると聞いております。
#307
○山口哲夫君 厚生大臣にお聞きしますけれども、この自治医科大学を卒業した者に対しまして、各県ではどんな臨床研修の場を用意しておりますでしょうか。
#308
○国務大臣(斎藤十朗君) 自治医大卒業の医師の皆さんに対しましては、卒後直後の二年の医師法に定められました研修につきましては、臨床研修指定病院及び大学の附属病院等が用意されておりまして、出身の都道府県のそういった病院において研修ができるようになっております。同時に、その二年を過ぎた三年以降の研修につきましては、主に僻地中核病院において研修ができるようになっております。
#309
○山口哲夫君 そういった病院につきましては、臨床例が少なくて研修に不向きだということはございませんですね。また、特に医師の免許取得後十年たった医師の再研修にもこれは不適当だというようなことはありませんですね。
#310
○国務大臣(斎藤十朗君) 僻地医療に携わっていただく医師の皆様方の研修をする僻地中核病院でございますので、僻地の医療について、もしくはまたそれにふさわしいプライマリーケアとか包括医療、そういった面での研修は十分できるというふうに心得ております。
 ただ、その僻地に勤務される医師の方におきましても、三年以降の研修につきましては、いろいろな、御本人の希望とかまた御本人の得意な分野、不得意な分野、また担当する地域における特別な疾病について特別に研修をしたいとか、またその地域を取り巻くいろいろな環境、そういったようなことにおいて、その他の部分についてのいろいろなバラエティーに富んだ研修というものも一方にあるのかなというふうには思っておりますが、基礎的にはこの僻地中核病院におきまして僻地医療に対する研修が十分できるものというふうに考えております。
#311
○山口哲夫君 自治大臣、我が党の安恒議員が質問したことに対して答えたのと私に対して答えたのと、ちょっと内容が違うんですね、二つ目の附属病院を建てる理由が。もう少し詳しく聞きたいんですけれども、大都市部につくらなきゃならない理由、なぜ必要なんですか。
#312
○国務大臣(葉梨信行君) 第二病院の設置の必要性につきましては、今ございます附属病院が学生の臨床教育を主たる目的として設置されておりまして、施設面に余裕がないということ、これが一つの理由でございますが、もう一つは、安恒先生にもお答え申し上げましたように、今の病院から比較的近い大宮市におきまして、市当局から、ぜひ進出し設置してほしいという御要請がありました。その二つの面から判断をいたしまして、大宮市に第二病院を設置しようということになったと聞いているわけでございます。
#313
○山口哲夫君 文部省にお聞きしますけれども、臨床経験が十年近くある医師だけを集めまして再研修させるような大学附属病院というのは、ほかにあるんでしょうか。
#314
○政府委員(坂元弘直君) 御質問の、臨床経験が十年前後ある医師だけを対象にして大学で研修するという、そういう病院はございません。
#315
○山口哲夫君 今の答えからもはっきりしているのですけれども、こういった、十年たった人たちをもう一回再教育するなんていうところは、まずないということだけははっきりしているわけですね。
 それで自治大臣の答えによりますと、今の病院では研修する余裕がないんだ、こう言っておりますし、また、できるだけ大都会の方が臨床例もあるからいいんだろう、そんなようなお考えのようですけれども、しかし今厚生大臣の答弁によりますと、中核病院でも十分研修はできるんだ、こう言っているわけですね。その点は認められますか。
#316
○政府委員(湯浅利夫君) 一般的な後期研修につきましては、ただいまのお話のとおり、各都道府県知事が指定するいろんな病院におきまして研修をするわけでございます。ただ、この自治医大の卒業生というのは、卒業二年後に臨床研修が終わりますと直ちに僻地に行って診療活動をするというような、他の医科大学の卒業生とは非常に違った形で医療の業務に携わらなきゃならない、しかもかなり長い期間僻地にいなければならない、一人で何でもやらなきゃいけないということで、日進月歩の医療技術についてかなりおくれをとるというような問題もございまして、九年間の義務年限を終了するころになりますと相当技術的に問題が出てくるんじゃないか。こういう専門家の人たちの御心配によりまして、義務年限が終わった段階でもう一度よく研修をしてもらいまして、そして再度僻地で医療活動ができるようなそういうお医者さんになってもらうようにここで研修をしてもうう、こういう趣旨で自治医大におきましては第二病院をつくることにしたわけでございます。
#317
○山口哲夫君 私の質問に対して答えないで、もっと先のことを答えているんですね。
 時間がないからやめますけれども、要するに厚生大臣がおっしゃったように、中核病院でもちゃんと卒業生の研修には大丈夫だということだけは私はこれははっきりしていると思うんです。
 それで先に移ります。
 まず入学定数ですけれども、各県大体二名というふうに聞いているんですけれども、中には必要としないという県もあるようです。しかし一方では、二名では足りないからもっと定数をふやしてくれ、こういうところもあるわけでして、そういう県の自主性をもう少し尊重したらいかがでしょうか。
#318
○国務大臣(葉梨信行君) 自治医大は、もう先生御承知と思いますけれども、僻地の医療確保とその向上を図るために僻地勤務医師の養成をしよう、こういう共通の目的のもとに全国の都道府県が均等の負担金を負担して経営に参画することも決定し、共同して設立した大学でございます。したがいまして、各県別の定数枠の弾力的な運用につきましては、設立者でございます全都道府県で検討し対処していくべきものであろう、都道府県の判断に任せるべきであろうと考えております。
 なお、先生先ほどおっしゃいましたように、昨年十一月に全国の各都道府県の衛生部長会から自治医科大学に要望書が提出され、定数枠の見直しが提言されておりますが、この点を踏まえまして自治医科大学と全国衛生部長会の代表との話し合いが既に始められておりまして、今後関係者の間で話し合いを重ねる中で適切な方向が見出されるのではないであろうか、このように考えております。
#319
○山口哲夫君 どうもおかしいんですね。この回答も安恒議員に対する回答と違うんですね。
 県の判断ということですね。これは都道府県全体の判断なんですか。それとも個々の県の自主性を尊重するという意味での判断ですか。
#320
○国務大臣(葉梨信行君) 個々の県の事情、自主性を尊重しながら新しい御判断が出てくるものと考えております。
#321
○山口哲夫君 ということは、二名では足りないから四名にしてくださいと言った場合には、それだけの欠員があれば四名にするということも考えられるというふうに解釈していいですね。
#322
○政府委員(湯浅利夫君) 自治医大の場合には、四十七都道府県が全く同額の負担金を出して、そしてこの自治医科大学を運営するという考え方が設立の当初に決まっているわけでございます。その根底は、それぞれの都道府県からほぼ同数の学生を収容して教育をするということが前提になりましてそういう制度になっているわけでございますから、この問題をいろいろと全都道府県の関係者の皆様方に御論議をいただいて、そしてこの弾力化というものが必要だという御判断であればそういうことになりますが、その場合にはやはりこの負担金の問題をどうするかというような問題も当然出てこようかと思いますし、この辺を関係者で今後十分詰めなければならない問題じゃないかと思います。
#323
○山口哲夫君 ぜひ各県の自主性を尊重するように御指導いただきたいと思います。
 次の問題に移ります。
 自治医大の第二附属病院の建設予定地は立地条件に問題がある、こういうふうに言われております。
 昭和三十三年の狩野川台風における荒川水系の被害、中でも芝川のはんらん状況を報告してください。
#324
○政府委員(陣内孝雄君) 昭和三十三年度におきましては、九月の狩野川台風に伴う降雨によりまして芝川が全面にわたりましてはんらんしております。このときの降雨は、埼玉県の浦和雨量観測所におきまして、九月二十五日の十八時から九月二十七日の二時までの間に総雨量三百六十七。七ミリに達しまして、これによって自治医科大学第二附属病院の建設予定地付近では約五十センチの浸水が起こっております。
 なお、芝川全体では、川口市、浦和市、大宮市、上尾市等において浸水面積約八千二百ヘクタール、浸水戸数約三万二千二百戸を数えました。
#325
○山口哲夫君 この大被害の反省に立ちまして、県ではいわゆる見沼田んぼの保全方針を決めたわけですけれども、そのいわゆる見沼三原則というのは何でしょうか。
#326
○政府委員(北村廣太郎君) 県の県政審議会というのがございまして、そこで定めました見沼田んぼの農地の転用方針でございます。
 内容につきましては、おおむね北半分は原則として緑地として維持し、南半分については適正な計画については開発を認める、しかし芝川改修計画に支障がある場合には転用は認めない、このような方針でございます。
#327
○山口哲夫君 この芝川の河川改良工事全体計画では、見沼田んぼの遊水機能に見合ったものを将来にわたって確保するために七つの遊水地建設が決められております。そのうち完成したのは一つだけ、残る六つはいつできるんですか。
#328
○政府委員(陣内孝雄君) 芝川におきましては治水対策として、ただいまおっしゃいましたような全体で七つの調節池、総調節容量約一千万トンを計画しております。昭和六十一年度末現在では第七調節池を概成し、引き続き第一調節池につきましては用地買収を四四%完了し、一部については掘削工事を実施しているところであります。
 今後も調節池の建設、それから河道の改修等、芝川の改修を促進してまいる所存でございます。
#329
○山口哲夫君 六つはいつできるんですかと聞いているんです。
#330
○政府委員(陣内孝雄君) 第一調節池について、ただいま申し上げましたように四四%の用地買収を終わっておりますが、今後引き続きその促進に鋭意努めてまいりたいと思っております。
#331
○山口哲夫君 いつごろですか。
#332
○政府委員(陣内孝雄君) これは財政事情等を勘案しながら、この事業の重要性も踏まえて鋭意促進してまいりたいと思います。
#333
○山口哲夫君 二年か三年ですか。
#334
○政府委員(陣内孝雄君) かなり時間がかかると思います。
#335
○山口哲夫君 ということは、かなり先の話だということです。はっきり答えてくださいよ。
 それで、残る六つの遊水地が完成するまでは見沼田んぼを埋め立てることは災害の面から適当ではない、こういうふうに思うんですけれども、建設省の立場で答えてください。
#336
○政府委員(陣内孝雄君) 芝川の治水計画といたしましては、河道の改修、遊水地及び排水機場等の設置、こういったものを行いまして、百年確率降雨に対応できるような治水計画を策定しております。この計画に基づきまして、先ほど申し上げましたような調整池を初め河道の改修、排水機場の設置等を行っております。
 見沼田んぼの持つ遊水機能につきましては、したがいましてなお確保しておく必要があろうと思うわけでございます。ただ、自治医大の建設につきましては、私ども判断する立場にはございませんけれども、治水上の観点に立って述べますと、所要の措置が講じられれば特に異を差し挟むものではございません。
#337
○山口哲夫君 所要の措置って何ですか。
#338
○政府委員(陣内孝雄君) 所要の措置と先ほど申し上げましたのは、建設に伴う洪水の流出量の増分とか、あるいは建設に伴う湛水量の減少分、こういったものの対応、それから湛水に対しまして支障のない構造とされるというようなことを意味しております。
#339
○山口哲夫君 要するに、残った六つの遊水地ができないうちはそういう堅固な建物を建てるんじゃ困るんだということでしょう。
#340
○政府委員(陣内孝雄君) 建物の構造につきましてはこれは私ども申し上げているわけではございませんで、その建物をつくるに伴って生ずる治水上の影響に対しまして適切な措置が講じられていればよろしいということを申し上げているわけでございます。
#341
○山口哲夫君 その六つの遊水地ができなくてもですか。
#342
○政府委員(陣内孝雄君) 治水上の措置が講じられておればそのようでございます。
#343
○山口哲夫君 そんなことはないでしょう。遊水地ができなくて治水上のあれというのはどういう意味ですか。
#344
○政府委員(陣内孝雄君) 建物をつくることに伴いまして影響が生じないような対応策が講じられておれば治水上支障がないという判断をいたしております。
#345
○山口哲夫君 それはおかしいですよ。六つの遊水地ができないうちはほかのものを建てちゃ困るんだというようなことになっているはずなんですよ。それを適当な答弁をやられたんじゃこれは困ります。私はこの問題は保留しておきます。
 次に、自治大臣にお聞きします。
 自治医大には、僻地医療振興宝くじの積立金が何と三百三億円もあるんですね、三百三億円。この国民の浄財をどのように使うべきなのか。私は、いま一度自治医大として建学の精神に戻って、今一番必要なものは何なのか考えてみる必要があるときでないかなと思いますけれども、その点どうでしょう。
#346
○政府委員(湯浅利夫君) 自治医大の関係で僻地医療振興事業の宝くじが発行されておりまして、この発行された宝くじの益金の交付累計額は御指摘のとおり三百三億円でございますが、既にいろいろな医療設備あるいは現在の大学の建物設備などの整備のために一部充てられましたので、現在積み立てられております積立金の残額は二百十五億円でございます。
 この二百十五億円につきましては、今後の自治医科大学の施設整備の、あるいは設備の整備計画に基づきましてこれを有効に活用するということで積み立てているわけでございます。
#347
○山口哲夫君 大臣。
#348
○国務大臣(葉梨信行君) ただいま事務当局から御答弁申し上げたとおりでございまして、積立金を大学の研修並びに病院の運営に有効に使うようにしていくよう指導したいと考えております。
#349
○山口哲夫君 とにかく金が余って困って、株まで買っているのが実態ですよ。ところが、北海道へ行ってごらんなさい。一人のお医者さんを探すのに、毎月二百万円を出さなければ来てくれないんですよ。そういう実態が多くの町村にあるんです。こういうような僻地における医療に悩んでいる自治体のことをあなたは御存じですか。視察したことがありますか。
#350
○国務大臣(葉梨信行君) 昨年北海道視察をいたしましたが、診療所へは参りませんでした。
#351
○山口哲夫君 北海道開発庁長官、どうでしょう。
#352
○国務大臣(綿貫民輔君) 最近、NHKの朝のテレビの「チョッちゃん」というので、北海道の開拓史の中でお医者さんの占めておる位置と申しましょうか、医療の大変に貴重なことをよく見させていただいております。
 今、北海道は十万人当たり百三十五人ということで、特に先生の釧路などは八十九・九人、大変に平均よりも少ないということでございまして、この医療の問題については、北海道も定住を目指す以上いろいろと今後知恵を絞っていかなければならないところではないかと考えております。
#353
○山口哲夫君 綿貫長官、大いに期待していますから、ひとつ頑張ってください。
 それで、現在、無医地区というのは一体どのぐらいあるんでしょうか。
#354
○政府委員(竹中浩治君) 無医地区の全国の数でございますが、千二百七十六地区でございます。
#355
○山口哲夫君 六百九十三の町村にそれだけのまだ医療の僻地があるんです。私は、やっぱりそういう医療体制というものを何としても解消するというのがこの宝くじの最大の目的だと思います。そんな三百億も金を余して投資するようなことが目的ではない。強く私は言っておきたいと思います。
 そこで私は、今自治医大として一番大事なことは、卒業生の一〇〇%が僻地の診療に当たることだ、そう思いますけれども、どうでしょうか。
#356
○政府委員(湯浅利夫君) 自治医科大学は僻地医療のために設立されたものでございますから、できるだけ一〇〇%お勤めになることが必要だと思いますが、僻地にいるためのいろいろな不利を克服するためにかなりの研修をするという必要もございますので、そういう研修を除いた部分につきましてはできるだけ僻地で勤務してもらうということが望ましいのではないかと思っております。
#357
○山口哲夫君 厚生大臣と自治大臣、両大臣にお尋ねしますけれども、無医地区になかなかお医者さんが集まらないという理由は一体何でしょうか。
#358
○国務大臣(斎藤十朗君) 無医地区におきまして医師の確保が大変難しいというのは、さまざまな原因があろうと思いまするけれども、例えば医師の、最近における医学、医術の進歩になかなか立ちおくれがちであるとか、また子弟の教育がままならないとか、そういったようなことが非常に大きな問題であろうというふうに理解をいたしております。
#359
○国務大臣(葉梨信行君) 厚生大臣が言われたこともありましょうし、いろいろな要因があろうと思います。それでこそ、それでこそと申しますか、そういう中、問題があるからこそ自治医大が全国の都道府県の意思によって設立されたわけでございます。
 先ほどの御質問に対しまして、私、実際に僻地の診療所に北海道で行かなかったということを申し上げましたが、実はことしの一月、自治医大を視察しましたときに、自治医大の卒業生が全国各地の僻地で働いている映画を見せてもらいました。北海道はもちろんでございますし、沖縄の離島その他、各山間僻地で若い先生方が一生懸命診療に当たっている、これが現実の姿でございます。
#360
○山口哲夫君 厚生大臣がおっしゃったほかに、私はもう二つあると思うんです。その一つは、九年間の勤務が終わった後一体勤務先ほどうなるのかというような問題。それからもう一つは、身分の問題に非常に不安を持っているわけであります。
 そこで、こういった問題を解決するためには何が必要かということでございまして、私は具体的に提案してみたいと思います。それは、自治医大が直属の僻地中核病院を僻地が近在する中小都市に建てること、それが一つ。それから、無医村地区に直属の診療所を建てることだと、こういうふうに思っております。そういうことを希望する町村はそれこそ抽せんにしてもどうにもならないくらいたくさん集まってくると思います。そういうことについてどう思いますか。
#361
○国務大臣(葉梨信行君) 自治医大設立の目的が僻地で働く医師の養成にあるわけでございますから、僻地における診療所あるいは中核病院は各地方自治体がそれぞれの責任において、その目的に応じて設立し運営すべきものであろうと考える次第でございます。
#362
○山口哲夫君 卒業して僻地に行くお医者さん方の不安を解消するためにも、私はくどくど言いませんけれども、今の二つの建設が僻地医療に一番役立つ、そういう観点から申し上げているわけでございまして、私は第二病院が決してだめだとは言っていないんです。建学の精神に立った場合に、そういう第二病院をつくる前にもっとやらなければならない急ぐことがあるでしょう、そういうことを申し上げているわけであります。どうかひとつ自治医大ともよく話し合ってみていただきたいと思いますし、特に厚生大臣は僻地医療に頭を悩ましているわけですから、ぜひひとつ自治大臣として、厚生大臣それから文部大臣、三者で協議をしてみたらいかがかと思いますけれども、いかがでしょう。
#363
○国務大臣(葉梨信行君) 僻地の医療というのも、地方自治体の医療の確保ということも、地方自治体出資者は大きな課題であろうと思います。それで私ども自治省といたしましても、各地方自治体の運営の過程でそのような課題をどうやって充実させていくかということには常に意を用いているところでございますが、本日先生からの御指摘もございましたので、関係各省とも協議をしてみたいと考えております。
#364
○山口哲夫君 三百億もお金が余っているわけですから、ぜひひとつ真剣に、この方針について、私の提案に対して具体的に御協議いただくことをお願いしておきたいと思います。必ずやってください。
#365
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。糸久八重子君。
#366
○糸久八重子君 僻地は今お話しのとおり医療機関が非常に少なくて、そして医療サービスが十分でない割に国保税が非常に高い状況があるわけでございます。昨年暮れに成立いたしました国保法の改正で滞納者に対する制裁措置が導入されまして、悪質滞納者ということで善良な低所得者の人権が脅かされている実態が先日当委員会でも取り上げられたわけでございますけれども、このことは法の審議の際にも危惧されたことでございます。
 そこでお伺いするわけですけれども、悪質滞納の認定基準として、年額保険料の二分の一に相当する額以上の滞納額がある場合を措置の対象の目安とするのが適当との運用通達が出されているわけですが、その理由と基準の根拠をお聞かせください。
#367
○政府委員(下村健君) 問題になりました通知では、相当程度の納付相談、指導を続けてもなお滞納状態が続いているような、また相当程度以上に滞納している者というふうなことを言っているわけでございます。二分の一というのは、具体的に私どもが頭に置いたのは、保険料というのは毎年毎年その方の所得の状態に応じまして賦課するわけでございますが、その年度において処理をしていきたい。しかも一方において、ただいま申しましたように相談、指導を相当程度やって実情を把握するということも言っているわけでございまして、そうすると大体半分程度、半年ぐらいたまってしまうと、そこら辺でいろいろな相談とか指導をやっていかないとなかなか処理はできない、こういうことになってまいりますので、二分の一程度という考えをとったわけでございます。
#368
○糸久八重子君 法の審議の際に、単に一回だけ滞納したということではなくて長期間の滞納の場合と政府は答弁していらっしゃいます。長期間というのが年額保険料の半分、つまり大体年四期の納期があるわけですけれども、その四期の二期分滞納したから悪質と判定することは無理があるのではないかと思うのですけれども、常識的に見て大臣いかがでしょうか、この辺のところは。
#369
○政府委員(下村健君) ただいま申しましたように、金額だけで悪質滞納と認定をしろというふうなことをこの通知では言っているわけではございませんで、金額的な面では半年分ぐらいの滞納ということが一つの目安、それと並行していろいろ納付相談でありますとか納付指導というふうなものを十分に行った上で、実情を把握した上でこの措置をとるように、決して機械的にやってはいけないというふうな趣旨を十分私どもとしては徹底しているつもりでございまして、金額だけでやるということではないわけでございます。
#370
○糸久八重子君 金額だけではないと言いますけれども、保険料の二分の一程度ということは結局金額に関係があるのではないかと思いますし、半年滞納したら悪質という判定になるのではないかと思いますけれども、国保税以外の他の市町村税目、つまり住民税とか固定資産税などとの整合性はどのように判断なさいますか。
#371
○政府委員(下村健君) これは、滞納処分については、幾ら以上ためたら滞納処分にしろということについては具体的な基準はないと思います。私どもの国保についても、滞納処分の規定も同様に並行して設けられているわけでございまして、これも趣旨からいえば、ためたものは滞納処分を行っても全部払っていただくという、法律字義どおりいけばそういうことではないかと思います。
 それで、ただし国保でこういう形をとりましたのは、いろいろ保険制度について各国の例などを見ますと、保険料を払わない場合には給付を停止する、一定の猶予期間等を設けて停止するというふうな立法を行っている国もございます。ただ、それでいきますと、先生御懸念のように、実は実際に病院で医療を受ける場合にいろいろなトラブルが起こるということもございますので、私どもとしては給付に一定の制約を加える、しかし被保険者の資格は残すという形で、医療を受ける場合の問題も生じないようにというふうな配慮をしてこういう制度をつくったということでございます。
 そこで、滞納処分とのバランスはどうかということでございますが、そういうことで、滞納処分だけでなかなか保険料をうまく払っていただくというのも難しいわけでございますので、両方の制度をあわせて運用して円滑な運営をやっていきたい、こういう趣旨でございます。
#372
○糸久八重子君 外国の例をお出しになるならば、外国の社会保障制度も十分検討なさって、日本の国もそのように倣っていただきたいと思うのです。
 保険証の返還を求める場合の手続が、相談だとか、相談に応じないとか、十分負担能力があるとか、誠意がないとか、財産の名義変更をしたとかというような、自治体窓口のフィーリングに頼る方法しかとられていないわけですけれども、こういう方法は好ましくないのではないでしょうか。もっと客観的な判断基準をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#373
○政府委員(下村健君) 実情を見てみますと、悪質滞納と言われている者の中にはいろんな事例もございまして、なかなか今の段階で一律の基準を設けるということは難しいのではないかと思っております。したがって、当面私どもとしては、ただいま申しましたような納付の指導でありますとか相談ということを十分徹底して、個別ケースに即してやっていきたい。ある程度この制度の運用につきまして経験を積み、ある程度の実例を重ねまして、こんなふうなものということをもう少し一律の基準が定められるようになればその面も検討してみたいと思いますが、現状では直ちにそういう形で基準をつくることはかえって難しいのではないか、実情で問題を起こしはしないかと、こんなふうに考えておるわけでございます。
#374
○糸久八重子君 国保法の七十七条に減免制度がうたわれているのですけれども、善良な被保険者に対して軽減はあっても免除なしの運用がされているというのが実態であります。本来的には住民税非課税世帯には免税というような改善も必要なのではないかと思うのですけれども、滞納整理という名の強制執行をしないように、当面は軽減とか免除の規定の整備とその実施に向けて国の行政指導が必要と思われますけれども、大臣の御答弁をお願いいたします。
#375
○国務大臣(斎藤十朗君) 国保税につきましては軽減とか減免という措置がございますが、所得の低い方々につきましては主に軽減措置というものをとり、また特別な事情、すなわち災害とか長期入院とか火災とか、そういうような際には減免措置が講ぜられる、こういうようなシステムになっておるわけでございますが、この低所得者に対する軽減措置につきましても、その軽減措置額というものを年々改善をいたしておるところでございます。何といいましても、これは国民皆保険であると同時に、所得の低い方も含めてみんなが助け合いという形の中で保険制度としてこれを運用していくというものでありまして、みんなが疾病にかかったときに備えて保険料を納めていくという精神というようなものから考えますると、そういうようなものを考えた上で、なおかつ所得の低い方については軽減措置をする。そしてその軽減措置も、実態に合わせて引き上げていくということがいいのではないかというふうに考えております。
#376
○糸久八重子君 ありがとうございました。厚生大臣、どうぞお引き取りください。
#377
○山口哲夫君 次に、警察官の人権問題について国家公安委員長にお尋ねいたします。
 最近、元警察官や地方の現職警察官による殺人だとか銀行強盗だとか、衝撃的な事件が非常に多く発生しておりますけれども、その原因をどういうふうにごらんになっていますか。
#378
○国務大臣(葉梨信行君) 最近、一部ではございますけれども警察官や元警察官による犯罪が何件か発生しておりまして、まことに残念なことであると思っております。これらの事案につきましては、個人的な事由によるものが多いわけでございますが、それぞれその背景や原因等を十分究明した上、関係都道府県警察を中心に必要な対策を講じているところでございまして、今後ともこういうような事案が起きないようにいろいろ努力をし、徹底するようにしていきたいと考えております。
#379
○山口哲夫君 事件の背景についても触れられておりましたけれども、私は警察官に職務に対する自信と誇りがあればそういう誘惑には勝てると思うんです。一部警察官は職務に対する自信と誇りを失っているのではないかと思われる節もあるんですけれども、どうお考えですか。
#380
○政府委員(大堀太千男君) ただいま国家公安委員長から御答弁申し上げましたとおり、近年警察官や元警察官による犯罪が何件か発生して、国民の警察に対する信頼を損なっておりますことはまことに残念でございます。
 今先生御指摘のように、仕事に対する誇り、信念、こういったものを持てば防げるのではないかと、私どももそのように考えておりまして、警察官の信条というものを五項目つくりまして、まず第一には仕事に対する誇りというものを持つということで、平生警察職員に対して教育をしておるところでございます。
#381
○山口哲夫君 国家公安委員長がおっしゃったように、そういった事件の背景ということが考えられると思うんです。そういう点からいきますと、私は、やっぱり警察の内部に問題がありはしないだろうか、そういうふうに思われます。第一線の警察官は身命を賭して働いているわけであります。ところがその反面、警察幹部による不正が警察の内部で平気で行われているということがよく言われております。そのために警察官としますと、任務を忠実に果たすことに何かばかばかしさを感じていら立ちがあるのでないだろうか、そんなふうに思われてならないんですけれども、どう思いますか。
#382
○政府委員(大堀太千男君) 警察官や元警察官によります不祥事が起きますと、全国の二十五万の警察職員はまじめに第一線において日夜厳しい勤務に従事しておるわけでありますが、それらの職員もまことに悔しい思いをするわけでございまして、決して先生おっしゃるような一部の幹部がどうこうという問題ではなかろうかと思っております。
#383
○山口哲夫君 警察の内部に不正事件はありませんか。
#384
○政府委員(大堀太千男君) 内部に不正という意味がはっきりいたしませんけれども、私どもはそのようなことはないというふうに信じております。
#385
○山口哲夫君 最近、元警察官の方々が随分内部告発をした本がたくさん出ております。
 時間がありませんからごく一、二だけ紹介してみたいと思いますけれども、これはごらんになったと思いますけれども、元警部喜多正次氏の書いた本であります。「警察の醜い断面」ということであります。一々中身を読んでいる時間がありませんので紹介いたしますと、いわゆる空出張を行って裏金をつくっているということが克明に書かれております。それから当直勤務者の水増しをいたしまして、そして裏金をつくっている。こんなことが書かれてあります。体験を通じて書いてありますけれども、もしこれが事実だとすればどんな罪になるんでしょうか。
#386
○政府委員(新田勇君) 会計経理の処理の問題だろうと思いますが、会計の経理は適切に行わねばならないという観点から自主的に内部監査を行っているところでございますし、最終的には会計検査院または都道府県の監査委員の厳正な検査あるいは監査ということを受けてきておるところでございます。これまでに違法あるいは不適切な処理であるという御指摘を受けたことがないので、適切に処理されているものと信じているところでございます。
#387
○山口哲夫君 どんな罪になるかと聞いているんですよ。
#388
○政府委員(新田勇君) 具体的な事案に即して判断いたすべきものと存じますので、具体的になってからお答えさせていただきたいと思います。
#389
○山口哲夫君 具体的に言っているじゃないですか。時間がもったいないからはっきり答えてくださいよ。
 空出張をさせて裏金をつくったり、当直員の水増しをして裏金をつくったということが事実だとすれば、どういう犯罪になるんですかと聞いているんです。
#390
○政府委員(新田勇君) 仮定の問題でございますのでなかなかお答えしにくいのでございますが、文書偽造のようなものが成り立つということがまず考えられるところでございます。
#391
○山口哲夫君 公文書偽造、横領でしょう。そういうことはないですか。
#392
○政府委員(新田勇君) 全くの仮定で議論を進めていった場合に、そういうことが成り立つこともあろうかと存じます。
#393
○山口哲夫君 警察内部にそういうことがあるかと聞いているんですよ。
#394
○政府委員(新田勇君) これまでございませんので、ちょっと考えにくいところでございます。
#395
○山口哲夫君 もう一冊あります。
 これはノンフィクション作家小林進雄さんが書いた本です。これは現職警察官とそれから元警察官に直接対談をいたしまして書いたもので、中には実名も出てまいります。それを読みますと、捜査協力者名を利用して裏金をつくっている、それから幹部にせんべつを贈るために企業回りをして裏金をつくっている、こういうことが克明に出ております。こういう事実はありますか。
#396
○政府委員(新田勇君) 全く把握いたしておりません。
#397
○山口哲夫君 ちょっと古いんですけれども、五十九年四月三日の中日新聞、岐阜県、「関署・疑惑の寄付五十万円 裏帳簿作って処理」、これはやっぱり同じように遊技場組合から五十万円を受け取って裏帳簿で処理していたんだ、こういうことが新聞報道されておりますけれども、こういうことがあったんですか。
#398
○政府委員(新田勇君) その具体的な事案につきましては、突然のお尋ねでございますのであったともなかったとも申し上げかねるわけでございますが、事件としてそういうものが報告されたことがこれまでにございませんので、なかったのかと確信いたしておるということです。
#399
○山口哲夫君 公的な新聞にまでちゃんと出ているのに、調べなかったんですか。
#400
○政府委員(新田勇君) 記憶にございません。
#401
○山口哲夫君 まことに私は不誠意だと思います。それだけは指摘しておきます。
 それじゃ次に、現職警察官からの内部の告発があります。これは社会党の発行している社会新報に投書されたものでありまして、兵庫県警東灘署の事件です。県警が手当をピンはねしている、超過勤務手当を一〇〇%払っていない、暴力団の特別警備手当が出ていない、こういうことが報道されておりますけれども、事実でしょうか。
#402
○政府委員(大堀太千男君) 兵庫県警におりました松本警察官のことではないかと思いますが、彼が指摘をしておるようなそのような事実はございません。
#403
○山口哲夫君 本人は警察署長、県警本部長に内容証明で手紙を出しているんですけれども、そういう内容について調べてみたことがありますか。
#404
○政府委員(大堀太千男君) それに関しましては承知をいたしております。調べてみました。
#405
○山口哲夫君 その結果どうでしたか。
#406
○政府委員(大堀太千男君) 彼が超過勤務手当を云々と言っておりますのは、昭和六十年の一月に、山口組の対立抗争事件が勃発をいたしまして、兵庫県警挙げて暴力団周辺の危害を防止するために警察官を動員いたしまして、いわゆる張りつけ警戒というものをいたしました。その際、彼の主張は、張りつけ警戒をやったけれども手当をくれなかった、あるいは超過勤務をしたけれどもくれなかったという中身であったかと思いますが、詳細調べましたところ、例えばこの種の手当――超過勤務手当、夜勤手当等を合計して申し上げますと、六十年の一月が四万八千円、細かい点は略しますが、二月が六万五千円、三月が八万円、そのほか夜間特殊業務あるいは銃砲等特別作業手当、いわゆる張付警戒手当と兵庫県警では言っておる手当も、今申し上げた金額以外に支給をされておるという実態でございます。
#407
○山口哲夫君 完全に支給されているかどうか、その事実関係は詳しく調べなければわかりませんけれども、こういうことだけは事実なようです。警察官の印鑑を全部会計係が集めて、そしてその人たちが適当に押すんだそうです。だから超過勤務命令を受けても本人は受命印を押したことがないんだと、そういう警察官が非常に多いんですね。そういうことは私はやっぱり許されていい問題ではない、そういうふうに思うんですけれども、今調査したということは、十一月二十五、六日にかけて警察庁から特別監査ということで入ったものですか。
#408
○政府委員(新田勇君) 警察庁から実地監査のために特別に人を派遣して調べたということではございませんで、調査をさせて報告をさせた結果、印鑑を一カ所に集めて保管して管理するというようなことはないという報告を受けておるところでございます。
#409
○山口哲夫君 昨年の十一月二十五、六日ごろ警察庁から特別監査に行くという、それじゃ計画は持ったこともありませんか。
#410
○政府委員(新田勇君) 私どもの記憶にございません。
#411
○山口哲夫君 私の調査では、この二十五、六日ごろ警察庁の方からチェックに入っているんですね。それで交番からその前に勤務表と外勤表を全部引き上げているんですね、署が。そして県警本部の方が署に来まして警官を集めて、何か聞かれたら手当は出している、暴力団の張りつけではなく刑事課の応援に行ったと答えなさいと。もし張りつけだということになると当然手当を出さなければならないでしょうね。だからそういうことを指示したというふうに把握しているんですけれども、そんなことはないですか。
#412
○政府委員(新田勇君) 全く把握いたしておりません。
#413
○山口哲夫君 もう一つ出しましょう。
 沖縄県警名護署波平巡査部長が旅費を全然支給してもらえなかった、そしてその金で裏金をつくっているということが沖縄の新聞に大々的に出ております。こういうことは事実あったんですか。
#414
○政府委員(新田勇君) その事案については報告を受けております。
 手当は実績に即して支給されているわけでございますが、沖縄県旅費条例第四十条というのがございまして、それに基づき、旅行者の実費負担を伴わないものについては支給しないということになっておりますものですから、そういう極めて近距離内の旅行でしかも実費を支払う必要がなかったというものについては支払っておらないということを把握いたしておるところでございます。
#415
○山口哲夫君 それなら本人にきちっとそういうことを言うべきなんです。何にも言わないで、本人が文句を言えばおまえは赤かなんということで片づけちまう、そういうところに問題があるんです。
 それで、国家公安委員長にお尋ねいたします。
 今内部告発の一部だけを私取り上げたんですけれども、まだたくさんあります。こういうような問題はたくさんの本にも出ていますし新聞にも出ておりますから御存じだと思うんです。こういう社会問題に対して、あなたはどういうような改善の対策を講じたんですか。
#416
○国務大臣(葉梨信行君) 警察官はその職務の性格から、常に厳格な規律を保持し事に臨んではみずからの危険をも顧みずその責務を果たすという厳しい勤務に従事している者でございます。それだけに、職場にありましては職員一人一人の意見が組織に生かされるように配慮しなければならない。また職員相互が気心を通じ合いまして、自由に話し合いができるような環境を醸成していく必要があろうと思います。そのために平素から、福利厚生の充実とか職員相談業務の推進等、職場環境を明るくするための努力をしているところでございます。
 先ほどから先生御指摘がございましたような点については、私は二十数万人の警察官並びに警察職員は、その職務を十分に自覚して、厳正な態度で毎日の勤務についていると確信をしているものでございます。一、二不心得な方がおられたりすることもありましょうが、それは内部監察を厳重に行いまして戒め合い、そのような者が出ないように努力をしていかなければならない、こう考えております。
#417
○山口哲夫君 こういうことはほとんどの県で行われているというのがどうも常識のようです。ですから、そういうことについて各県に対して、こういうことがあるのかないのか調べたことがありますか。
#418
○政府委員(新田勇君) 経理の適正というようなことにつきましては、常日ごろから厳しく指導をいたしておりまして、そのために内部監査を行うようにいたさせ、その終わった時点で報告を徴しているということで、常に内部をきちんとするように指導いたしているところでございます。
#419
○山口哲夫君 具体的にこういう問題が全国的にうわさされているから、こういうことについて、ないですかと。そういう調査をしたことがありますか。
#420
○政府委員(新田勇君) 一般的に調査をさせているわけでございますが、あるいはその際ケーススタディー的に、こういうことが報道されたこともあるから疑われてもいけないことであるというようなことでの注意的なことを言ったことがあるかもしれませんが、今記憶にございません。
#421
○山口哲夫君 国家公安委員長、こういう問題が出れば、あれは異常性格だとかあれは特殊だとか、そういうふうに片づけちゃうんですけれども、これは知らないのは幹部だけのようですよ。本当に現場ではこういうことはもう日常茶飯事に行われて常識になっているように、そこまで言われているんですよ。我々でさえそう聞くんですから。それだけ社会問題になっているなら、きちっと、こういうことが言われているんだからしっかりひとつこういう問題がないようにやれということが本部長会議でできないですか。
#422
○国務大臣(葉梨信行君) 先ほども申し上げましたように、内部監査につきましては厳正に行われていると私は確信しておりますが、先生の御質問も踏まえまして、改めて警察庁長官に申し渡したいと思います。
#423
○山口哲夫君 きちっと本部長会議でそのことを具体的にひとつ指示していただきたいと思います。
 次に、警察官の超過勤務手当というのは一体どのくらい払われているんですか。それから、参考までに自治省、大蔵省どうですか。
#424
○政府委員(大堀太千男君) 超過勤務手当につきましては、都道府県警察官に支給される場合とそれから国家公務員の場合とございますけれども、都道府県警察に勤務する警察官に対する超過勤務手当につきましては、昭和六十一年度は当初で約八百八十六億の超過勤務手当の計上でございます。これは警察官と一般職員にかかわるものとちょっと区分することが困難でございますので合わせた数字で申し上げておりますが、平均いたしますと、全警察職員一人当たり一月平均およそ三万円という額でございます。
#425
○政府委員(持永堯民君) 自治省におきます超勤の支給措置でございますが、六十一年度で申し上げますと、総額で約一億五千万円でございます。職員一人当たりで平均いたしますと、毎月二万九千円弱ということでございます。
#426
○政府委員(赤倉啓之君) お答え申し上げます。
 大蔵省の超過勤務手当の支給でございますけれども、六十一年度の大蔵省の一般会計ベースで申し上げますと、支給の総額は約二百五億円でございます。支給の対象者が約五万七千名、これを職員一人当たりにしてみますと約三十六万円ということになります。
#427
○山口哲夫君 私の聞き方が悪かったと思います。実際に超勤した人に対して実際に支払ったのはどのぐらいですかと聞いているんです。警察庁だけでいいですよ。
#428
○政府委員(大堀太千男君) なかなか実際に超過勤務をした時間と現実の手当の支給額との比率ということにつきましては全国的に調査をしたことがございませんのでわかりにくいわけでございますけれども、警察職務の特殊性から、超過勤務はこれだけだからもうこれで捜査はおしまいというわけにはまいらぬケースも現実にはあろうかと思います。一部、都市部の警察官の例で、ごく一部的ではございますけれどもかつて調べた一例では、約六〇%の支給実績であったかと思っております。
#429
○山口哲夫君 要するに実際やったものの五〇%か六〇%しか払われていないということですね。労働大臣、こういうことが民間で行われた場合に基準法からいって違反ですか。
#430
○国務大臣(平井卓志君) これはもう御指摘をまつまでもなく、時間外労働に対しましては割り増し賃金を支払うべきこと、これは明確に規定されておりまして、これに違反した場合には刑事罰を適用される、かようになっております。
#431
○山口哲夫君 超勤を払わなければ刑事罰まで受けるんですよ。
 大蔵大臣にお願いしますけれども、こんなことはもう常識外ですね。働いた者に超過勤務手当を払うというのはこれは法律的に当たり前なんですから、それは法律違反をやっているんですから、きちんと払ったらどうですか。どうです。
#432
○国務大臣(宮澤喜一君) 私がお断りしたわけじゃないのだと思うんですが。
#433
○山口哲夫君 大蔵省でもっと温かい心でそのくらいのことは予算をつけたらどうかと言っているんです。
#434
○国務大臣(宮澤喜一君) よく検討いたします。
#435
○山口哲夫君 自治大臣もどうですか、財政計画の中でもう少し配慮したらどうですか。
#436
○国務大臣(葉梨信行君) 御趣旨を体しましてよく検討させていただきます。
#437
○山口哲夫君 最後に、今ずっと申し上げてきましたけれども、要するにもっと私は警察の職場というのは明るくなきゃいけないと思うんです。自由に物が言えるような職場にするべきだと思います。アメリカなんかは、それこそ会議になると上下の差別なくどんどんずばずば物を言って、しかし一たん決まったら必ずそれに従うという慣例があるわけでしょう。日本でもやっぱりそういうことをやるべきだと思うんです。ちょっと上司に物を言うと、おまえは非かと、そういうふうにやって差別用語を使って、そんなことを言ったら飛ばすぞ、こういうことが平気で言われているんです。
 そこで私は、やっぱりそういう警察官が本当に心から国民の生命を守るために働けるように、この際団結権を認めるべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
#438
○国務大臣(葉梨信行君) 警察の責務は国の治安と国民の生命、身体、財産の安全を確保するという、公共的性格の極めて強いものでございます。そのため警察におきましては、特に組織の一体性と厳格な規律が強く要求されているところでございます。したがいまして、警察官に団結権を認めた場合には、職務の指揮命令系統に支障が生じるなど警察としての責務を十分に全うすることができなくなると考えられるところでございます。
#439
○委員長(桧垣徳太郎君) 山口君、時間が参りました。
#440
○山口哲夫君 労働大臣にもお聞きします。
 労働者全体の権利を守るという立場でどうお考えになっているか聞きたいと思うことと、参考までに申し上げておきますけれども、団結権が認められている諸国は、イギリス、西ドイツ、フランス、スウェーデン、オランダ、ルクセンブルク、アイルランド、アイスランド、フィンランド、デンマーク、ベルギー、オーストリア。軍隊に団結権が保障されているのもあります、イギリス、西ドイツ、スウェーデン。アメリカは大半の州で警察官に団結権が認められておりまして、団体交渉権も半分以上の州に認められている。スト権はハワイ州でも警察官に認められております。
 国際国家日本ということを中曽根総理は盛んに言っております。もっと労働問題について労働者の人権を守る、警察官や消防職員の人権を守るという立場で国際的に目を開いて、ILOの八十七号条約、きちっと私たちはそれを守って、この際警察官に団結権を与えることを強く要望して、終わります。どうですか、所見。
#441
○国務大臣(平井卓志君) ただいま御指摘の警察官に団結権を与えてはどうかということでございますが、御案内のようにILO第八十七号条約の第九条の第一項に、警察及び軍隊については結社の自由の対象から除外できることを規定いたしておりまして、これは先ほど自治大臣も御答弁になりましたように、軍隊及び警察の持つ公の秩序を維持する、この機能に着目したものであろうかと思っております。
 ただ、スウェーデン等も軍隊にまで与えておるという今の御指摘でございますが、我が国の場合、この趣旨を理解して警察職員等を団結権の対象から除外しておりまして、条約は条約として、この除外部分につきましてはそれぞれの国柄により国内法において規定をしておるわけでございまして、ただいまこれに団結権を付与するのは適当でない、かように考えております。
#442
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で山口哲夫君の質疑は終了いたしました。
 次回は明後十八日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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