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#1
第108回国会 運輸委員会 第1号
昭和六十二年三月二十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         中野  明君
    理 事         江島  淳君
    理 事         吉村 眞事君
    理 事         安恒 良一君
    理 事         矢原 秀男君
                伊江 朝雄君
                木村 睦男君
                倉田 寛之君
                坂元 親男君
                高平 公友君
                野沢 太三君
                真鍋 賢二君
                森田 重郎君
                山崎 竜男君
                吉川 芳男君
                青木 薪次君
                穐山  篤君
                田渕 勲二君
                小笠原貞子君
                田渕 哲也君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十九日
    辞任         補欠選任
     野沢 太三君     岡部 三郎君
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     岡部 三郎君     野沢 太三君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     田渕 勲二君     志苫  裕君
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     志苫  裕君     田渕 勲二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中野  明君
    理 事
                江島  淳君
                吉村 眞事君
                安恒 良一君
                矢原 秀男君
    委 員
                伊江 朝雄君
                木村 睦男君
                倉田 寛之君
                坂元 親男君
                高平 公友君
                野沢 太三君
                真鍋 賢二君
                森田 重郎君
                吉川 芳男君
                青木 薪次君
                穐山  篤君
                田渕 勲二君
                小笠原貞子君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  橋本龍太郎君
   政府委員
       大蔵省主計局次
       長        斎藤 次郎君
       運輸大臣官房長  服部 経治君
       運輸省国際運
       輸・観光局長   塩田 澄夫君
       運輸省海上技術
       安全局長     間野  忠君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  増田 信雄君
       運輸省港湾局長  藤野 愼吾君
       運輸省航空局長  山田 隆英君
       労働大臣官房審
       議官       佐藤 仁彦君
       自治大臣官房審
       議官       小林  実君
   説明員
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  廣見 和夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特定船舶製造業経営安定臨時措置法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○港湾法の一部を改正する等の法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中野明君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 まず、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、運輸事情等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(中野明君) 次に、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案及び港湾法の一部を改正する等の法律案の各案を一括して議題といたします。
 まず、各案について順次趣旨説明を聴取いたします。橋本運輸大臣。
#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案及び港湾法の一部を改正する等の法律案、以上三件の法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 初めに、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国外航海運は、世界的な船腹過剰による不況の長期化に加え、一昨年秋以降の大幅な円高の影響を受けてその経営が極めて悪化しており、この難局を克服すべく、海運企業においては、大幅な経営合理化等の自助努力を懸命に行っているところであります。
 一方、現行の外航船舶建造融資利子補給につきましては、昭和五十四年度から三カ年間に日本開発銀行及び一般金融機関の融資を受けて建造された船舶を対象として行われているものでありますが、国の厳しい財政事情により、五十七年度以降やむなく利子補給金の一部の支給を後年度に繰り延べる措置を講じてきており、今後もこうした事情を踏まえ所要の繰り延べ措置を講じていかざるを得ない状況であります。
 このような状況にかんがみ、利子補給金の支給繰り延べ措置により生ずる海運企業の負担の軽減を図るため、利子補給金相当額の建造融資利子の支払いを日本開発銀行が猶予できる制度を設けることがこの法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、政府と日本開発銀行との利子補給契約による六十二年度以降の融資残高に係る利子補給金についての支給繰り延べ措置に対応し、日本開発銀行は、利子補給対象の海運企業に対し、六十二年度以降生ずる建造融資利子のうち利子補給金相当額の支払いを、所定の条件により猶予できることとしております。
 第二に、政府は、日本開発銀行に対し、猶予対象利子額に相当する額の交付金を、猶予対象利子が生じた年度から起算して三年度を経過した年度以降五年度の各年度において五分の一ずつ交付するとともに、猶予期間中毎年度猶予対象利子の残高に所定の利率を乗じて計算した額の交付金を交付するものとしております。
 第三に、各年度において猶予対象利子額の五分の一に相当する額の交付金の交付があったときは、繰り延べられた利子補給金の支給があったものとみなし、当該年度において海運企業が日本開発銀行に支払うべき猶予対象利子額について、その支払いを要しないこととしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 次に、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案につきまして御説明申し上げます。
 我が国造船業は、世界の造船業において重要な地位を占め、長年にわたり日本経済及び世界経済の発展に貢献してまいりました。しかしながら、二度にわたる石油危機等経済的事情の変化による世界的な新造船需要の減退、最近における円高等により、その経営環境は急速に厳しさを増しております。特に外航船舶の建造を主体とする総トン数五千トン以上の船舶の建造設備を有する特定船舶製造業はその影響を強く受けており、このような事態を放置すれば、地域における雇用及び経済活動にも深刻な影響を与えるおそれがあります。
 このような状況において、特定船舶製造業における経営の安定を図っていくためには、国民経済の国際経済環境との調和のある健全な発展にも配慮しつつ、計画的な設備の処理及び事業提携を中心とした諸対策を推進することが緊急の課題となっております。しかしながら、長期にわたる造船不況による企業体力の低下等により、特定船舶製造事業者の自主的な努力のみをもってしてはこれらの対策の円滑な実施が困難な実情にあります。
 このような特定船舶製造業の実情にかんがみ、特定船舶製造業における経営の安定に関する基本指針を定め、特定船舶製造事業者が行う設備の処理、事業提携等の努力を喚起しつつ、設備の処理の際に必要となる資金の債務保証等所要の措置を講ずることとし、この法律案を提案するものであります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、特定船舶製造業における経営の安定を図るため、運輸大臣が、計画的な設備の処理、事業提携等に関する基本指針を策定することとするとともに、特定船舶製造事業者は、基本指針に従って設備の処理、事業提携等の経営の安定のために必要な措置を実施するよう努めなければならないことといたしております。
 第二に、特定船舶製造事業者は、基本指針に定めるところに従って経営の安定のための措置に関する計画を作成し、運輸大臣の認定を受けることができることといたしております。
 第三に、運輸大臣の認定を受けた実施計画に係る設備の処理等を行う事業者に対し、設備の処理に伴う欠損金の繰り越し期間の延長等の課税の特例措置を講ずるとともに、必要な資金の借り入れに対する特定船舶製造業安定事業協会による債務の保証等の支援措置を講ずることといたしております。
 第四に、特定船舶製造業安定事業協会が基本指針に定めるところに従って設備等の買収を行うことを定めております。
 第五に、雇用の安定に関する事項等について定めております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 最後に、港湾法の一部を改正する等の法律案につきまして御説明申し上げます。
 港湾及び空港は、産業活動、国民生活等の基盤となる重要な社会資本であり、国際化、情報化が一層進展し、国民の価値観もますます多様化、高度化していく中で、その計画的な整備を推進していくことが我が国経済社会の健全な発展にとって必要不可欠であります。
 一方、我が国財政を取り巻く環境は一段と厳しさを増しておりますが、この法律案は、このような財政状況を踏まえつつ事業費の確保を図るため、港湾及び空港の整備についての国の補助金等に関する臨時特例の措置を講じ、五カ年計画に基づく港湾及び空港の円滑な整備を推進していくこととするものであります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、港湾法、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律、特定港湾施設整備特別措置法及び空港整備法に規定する国の負担または補助の割合を昭和六十二年度及び昭和六十三年度において臨時に引き下げる等の特例措置を定めることとするものであります。
 なお、この措置の対象となる地方公共団体に対しましては、その事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずるものとしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 これら三件の法律案につきまして、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(中野明君) 以上で各条の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○青木薪次君 港湾法等の一部を改正する法律案と内需の拡大といいますか、その方面から申し上げてまいりたいと思うんでありますが、この法案のねらいというもの、いわゆる目的というか、そういうものについてひとつ説明をしていただきたいと思います。
#8
○政府委員(藤野愼吾君) ただいまも運輸大臣が提案理由の説明で申し上げたところでございますが、港湾なり空港なりというものが私たち産業活動やら国民生活の基盤として非常に重要な意味合いを持つ社会資本だという認識を持っておりますが、したがいまして、それらはやはり今後とも引き続き計画的に整備をしていかなきゃいかぬ、かように考えております。
 ところが、既に御案内のように、国の財政事情というのは依然として厳しい状況が続いており、そして公共事業関係予算、国費を用意することがなかなか難しいという状況ではありますが、今申しましたような趣旨からいって、社会資本の整備に対する要請というものは非常に強いものがあり、また特に地方公共団体等におかれては、その事業量の確保、拡大についても非常に積極的な意見が見られます。さらに加えまして、またこれ御案内のような昨今の急激な円高の進行に対処するという観点もこれあり、いわゆる日本経済の構造的な転換というふうなことも当面の重要な課題として認識もされておりまして、内需の拡大という形でそれにこたえようという意味から公共事業の拡大ということが重要視されておるという昨今かという認識を持っております。そういったふうな観点から、事業費を確保していくということと、そして今申し上げましたようなことで、港湾、空港の社会資本整備を進めていくといったふうな視点から、このたび引き続き暫定的に補助率などの切り下げをしようとしているものでございます。
#9
○青木薪次君 従来補助金の一括法で行われてきたのが、今回この法案を含めて四つの法案に分割して提案するということになったわけであります。従来、公共事業に関する補助金等の臨時的な引き下げは、六十年度、六十一年度から六十三年度と補助金一括法案で措置されてきたのでありますが、今回はどのようないきさつでこの法案を含めて四つの法案として国会へ提出してきたのか、聞きたいと思うんであります。昨年の一括法の附帯決議なんか見てまいりますると、これが最後だということを言ったんでありますけれども、その点いかがですか。
#10
○政府委員(藤野愼吾君) このたび補助率の切り下げを考えなきゃならぬということで御議論をお願いすることになったのはそういった意味では三回目ということに相なるわけでございます。過去来におきましてはいろいろこの補助金のあり方についての広範囲な御議論もございまして、そういった政策全体のバランスといいますか、広範囲な視点から御議論があり、そしてそういう観点から法律制度の改正をお願いをするということになりましたので、一括法として過去二度にわたっての法案の提出を申し上げ、そして御審議をいただいたというふうに私たち理解をいたしております。でありますが、このたびはそれほど広範囲なことということを見通しておりませんで、先ほども若干触れましたように、自来、そういった方針を進めてまいりましたところではありまするが、国の財政事情、依然として厳しいものがあるといったふうなこと、そして、当面対応しなきゃならない経済情勢への対応といったようなことから、このたびは公共事業にまつわる補助率についてのみの見直しをしようといったふうなことと相なりましたので、それぞれ関係省庁単位で御審議をお願いするということにしたものでございます。
 特にこれまでの議論では、この補助率カットの暫定的措置は六十一年度から三年間ということにしてあったわけでございますが、先ほど申し上げましたような情勢に対応するために、このたびそういった観点からの補助率切り下げを再度お願いをするということに相なったものでございます。
#11
○青木薪次君 この法案の内容は、補助率の引き下げとなっていることは今の答弁で明らかでありますが、この法案は事業費の拡大、それから国費の縮小、こういう立場が二つとも生かされるというような形に実はなっているというように理解いたしているわけであります。
 航空局長にお伺いしたいと思うんでありますが、空港整備事業については着陸料などほぼ実際自主財源で賄われているんでありまして、補助率等のカット分は事業費の拡大に使われるんだとこんなふうに解釈していいんですか。
#12
○政府委員(山田隆英君) 空港整備事業に関しましては、空港整備特別会計ということで、今、先生おっしゃいましたように、空港使用料でありますとかあるいは土地の賃借料でありますとか、そういう自主財源を持っておりまして、それに一般会計からの受け入れ、あるいは地方公共団体からの負担金収入等も含めまして運用をしておるわけでございます。このたびの補助率の引き下げ措置によりまして事業費を拡大したわけでございますけれども、これらは一般空港の整備事業費の拡大に充てたということでございます。
#13
○青木薪次君 今回、例えば十分の六であったものが十分の五になる。そういうことになりますと、十分の一はどこへ行くのかということになると、それらの関係等については、いわゆる空港関係の場合においては、今申し上げたように着陸科などの自主財源がある。そうすると、これは国費の縮小ということだけを目的としているんじゃないのかというようなことも考えられるわけであります。例えば、空港関係は、補助率カットで浮いた資金が三大プロジェクトと言われる羽田空港の沖合展開とかあるいはまた成田空港の二期工事とか、そういったようなものがすべて事業費確保に向けられる、こんなぐあいに考えていいんですか。
#14
○政府委員(山田隆英君) 今回の補助率を引き下げまして、地方からの負担がそれだけふえるわけでございますけれども、一般の空港整備事業費に関しましては国費を変えないで、要するに地方からの負担のふえた分だけを一般空港の整備事業費に上乗せをしたということでございます。今、先生がおっしゃいましたいわゆる三大プロジェクト、関西空港の整備でありますとか成田の整備でありますとか、あるいは羽田の沖合展開の整備事業費、来年度の予算ではかなりふえております。ただ、これらの三大プロジェクトの事業費がふえましたのは、大きな要因といたしましては、今回予定しております日航の完全民営化に伴いまして、日航の政府保有株の売却を予定しております。その売却収入の一部を活用いたしまして、関西空港会社の出資に充てるということを六十二年度の予算案で予定しておりまして、その結果としていわゆる三大プロジェクトの事業費がかなりふえているということでございます。
#15
○青木薪次君 大体概要はわかりましたけれども、空港のように自主財源によるところは、補助率等のカットが事業費の拡大に直接結びつくんでありますけれども、それでは一般会計の繰り入れに主に頼っている港湾整備事業の場合はどうだろうか。事業費の伸びはわずか〇・六%ですね。この点、いかがですか。
#16
○政府委員(藤野愼吾君) このたびの補助率の引き下げによって国費を一定として試算をいたしますと、港湾関係全国で五十七億程度の事業費の拡大になっておるということでございまして、全体に対するシェアは一・何%余と、こういうオーダーでございます。
#17
○青木薪次君 先ほどの空港関係とは違って港湾整備事業の場合は一般会計からの繰り入れが主なので、補助率等のカットで国費が縮小されていきまして、事業費の伸びは今の私の質問のとおりわずかなものになってしまっているわけであります。すなわち、この二つの異なった効果をこの法案は目的としておりまして、国民から見て非常にわかりにくいというように考えます。大臣、こうした違いをひとつ説明をしてもらいたいと思うんであります。
#18
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今港湾局長の申しました答弁を多少補足をさせていただきながらお答えを申し上げたいと思いますが、この補助率引き下げに伴います六十二年度の事業費の拡大額は確かに五十七億円でございます。しかし、この補助牽引き下げ措置に加えまして財政投融資の活用あるいは民間活力の活用といった事業全体を合わせてまいりまして、港湾関係事業費としては六十一年度に比べまして約八百七十億円大体ふえておりまして、これは伸びとしては大体一一・四%ぐらいに当たるということでありまして、これは局長の答弁を私が補足するのもちょっとおかしいんですけれども、ちょっと私から補足をさせていただきたいと思います。
 先ほどから御論議がありますように、確かに六十二年度の予算編成に当たりまして、円高が急速に進展をしている、経済環境が非常に激変をしております中で財政事情は依然として厳しい。財政再建路線を堅持しながら内需の拡大を図るためにはどうするか、その中において公共事業費の拡大及び民間活力の活用を推進する、この両方を満足させなければならないという中におきまして、確かに委員が御指摘のように、民活事業を促進するためにも関連公共事業というものを拡大しなければなりません。そうした中から今回の引き下げ措置というものを公共事業に採用をいたしましたけれども、これらの公共事業に対しましては当然地方負担が生ずるわけでありますが、この円滑な実施を図るために地方負担の増加についても十分な財政措置を講ずるということをあわせ行うことによりまして内需拡大の効果を十分に上げ得るものと私どもは判断をした次第であります。
#19
○青木薪次君 一昨年の百三国会においていわゆる行革法と言われた八省二十六法律の改正の際に、私どもは分割してやりなさいということを主張したんです。ところが政府はこれを拒否したんですね。今回分割して提出したねらいというものは、これは野党側の主張を聞いたなんということよりも売上税の問題があるから競合を避けた、こういうことは野党の我々の見解が一致している。これは決して思い過ごしてはないわけであります。このように政府の都合で、あるときは統合して出して、あるときには今回のように分割して提案をするということでありますが、大蔵省の見解を聞きたいと思います。
#20
○政府委員(斎藤次郎君) 今回の補助率の引き下げ措置というのは、六十年度、六十一年度の、先生御質問のありました補助金の整理合理化のように補助金全体にわたって総合的な見直しを行うという性格のものではございませんで、専ら事業費確保のために公共事業の補助率についてのみ手直しを講ずるということでございまして、全体を一括化するようなものではないということから各省ごとに法案を作成することにしたものでございまして、売上税のことを考えてしたということは全くございません。
#21
○青木薪次君 地方負担の増加に対する地方財政措置はどうなりますか。
#22
○政府委員(小林実君) 今回の国庫補助負担率の引き下げによりまして、地方財政で影響を受ける額は通して千八百億でございます。
 この内訳は、補助金のカットによります影響額が千二百億、それを財源にいたしまして事業を拡大いたしておりますので、それに伴ってふえてまいります地方負担が六百億でございます。合計いたしまして千八百億でございます。これに対しましては、当面は地方債で全額対応をする、こういうことでございますが、後年度の元利償還につきましては、カット見合いの千二百億につきましては元利償還の一〇〇%を交付税の基準財政需要額の中に算入をすることにいたしております。それから、拡大に伴いましてふえました地方負担につきましては、六百億につきましてはその元利償還の八〇%相当額を基準財政需要額に算入することにいたしております。
 この措置によりまして、個々の団体におきまして事業を執行するに際しましては支障が生じないというふうに考えておるところでございます。
 なお、カット見合いの千二百億につきましては、将来その九〇%、従来ですと五〇%でございましたが、財政措置を改善いたしまして、九〇%につきましては国の方から、一般会計から交付税特別会計の方へ後年度繰り入れる、こういう約束になっておるわけでございます。
#23
○青木薪次君 それでは具体的に法案の内容について伺いたいと思うんでありますが、まず、港湾関係の補助率等をどこまで引き下げるのか説明をしてもらいたいと思います。
#24
○政府委員(藤野愼吾君) 御案内のように、法律によりまして港湾関係整備事業にまつわる補助ないしは国庫負担率は、それぞれ港の港格、そして施設別に定められておるわけでございますが、それらを総合的にといいますか、基本的に申し上げてみますと、まず、このたび改正をお願いしておりますいわゆる港湾法の中では、まず現在改正後の――これまで二度にわたる改正をしておりますが、をベースにいたしまして、直轄事業についてはおよそ一〇%、それから補助事業につきましてはおよそ五%という切り下げを予定をいたしております。
 なお、その他建設委員会の方で審議をお願いしておりますが、北海道、離島とかその他の地域におきましては、今申し上げました切り下げ率が若干緩和されて、約二分の一に緩和されておるということではございますが、そのような切り下げ率をベースに今回の法律改正をお願いをしておるということでございます。
#25
○青木薪次君 今の答弁は法定上の補助率だと思うんですね。しからば、今回の改正で実行上の補助率が適用されているものはどの程度のものかという点について質問をいたしたいと思います。
#26
○政府委員(藤野愼吾君) 実行上とおっしゃった意味は、法律のほかに政令によってこの補助率等が決められておるものがございますので、先ほど法律改正の内容について申し上げましたけれども、それは政令に依存されておるものにつきましては、同趣旨で、同じ考え方で政令の改正を改めて別途することを予定をいたしておるところでございます。
 なお、このたびの法律改正によりまして補助率改正の対象になります港の数はおよそ全国の三〇%ぐるいというふうに見ております。
#27
○青木薪次君 港湾局長、僕の質問したいのは、例えば、港湾に対する国庫補助率等の引き下げというものが水域施設の直轄、あるいはまた外郭施設の補助、係留施設、臨港交通施設というようなぐあいに、それぞれ根拠法律が違うわけですよね。そこで例えば、通常は十分の十が昭和六十年度に十分の九になる。それから六十一年度はそのまま横並びで十分の九であった。六十二年、六十三年で十分の八までということになる。十分の十までとか十分の八までとかいうこの「まで」がくせ者でありまして、その中でこの十分の十が「まで」という言葉の中で実際は十分の七・五しか補助してないというようなことで、今回の場合に十分の八ということになった場合には、実際には実行の補助率はどうなるのかということを聞いているんです。
#28
○政府委員(藤野愼吾君) 失礼いたしました。確かに法律で何分の何ぼまでと、こういうふうに定めてありまして、そしてそれが実行上若干下がっておるという実例、実態がございますが、例えば例として申し上げますが、水域施設を直轄事業で整備をいたします場合に、従前は例えば十分の七・五までということでございましたもの――まことに失礼いたしました。十分の十までというふうに定めてありました場合に、対象施設によりましてそれが十分の六で運用されておったり十分の七・五で運用されておったりというものがあるわけであります。さて、このたび法律を改正いたしまして十分の八までということに改めた場合におきましては、それがまた対象施設によりますが、十分の六とか十分の五とかいうふうな運用をしてまいりたい、かように考えております。その他、施設によりまして若干の運用数字が違ったものがございますが、代表的に御説明さしていただければ以上のようなことでございます。
#29
○青木薪次君 六十二年、六十三年の措置で十分の八という場合には、私の調べた資料によりますと、十分の六とか十分の五・二五とか十分の五とかというところへ急にダウンしてしまうわけですよね。そういう点は、やはりこれはことしの場合には、先ほども大蔵省と自治省にも言ったように、元利を国で面倒見よう、臨時特例債で面倒見ようということだろうと思うのでありますが、これがやっぱりずっと続いていく可能性があることを心配しているんです。法定補助率の限度より低い実行税率が適用されている地域は内地の特定重要港湾ですね。一方、北海道、離島などはどうなっているか聞きたいんでありますが、金額では補助率等のカット分は幾らになるのか、この点もあわせてお聞きいたしたいと思います。
#30
○政府委員(藤野愼吾君) 今回、補助率の切り下げによりまして先ほど事業費では五十七億の拡大に寄与するというふうに申し上げましたが、国費の切り下げで申し上げますとそれは全国で約四十五億になります。
 地域別に申し上げてみますと、内地では約三億、北海道では二十九億、そして離島で五億、それから奄美はわずかでございます。沖縄で六億、そういったふうなオーダーでございます。こうなりますのは、先ほど来冒頭にまとめて申し上げました、およそ既存の補助率の直轄については一〇%、補助については五%切り下げるというふうに申し上げましたが、もともと北海道の地域は補助率が若干高く運用されてまいっておりますので、同じ率で切り下げましても額が大きいというふうなことからこういう状態に相なっておるわけでございます。
 それからいま一つ御質問にございました北海道等におきましては、補助率は何とかまでという決め方でございませんできっちり幾らと定めてございまするので、そういった運用上の補助率はございません。
#31
○青木薪次君 ところで、G5や米国との約束から内需拡大に政策が向いてきたんでありますが、この面で圧倒的に港湾整備事業量が多く内需拡大に寄与するというように考えておりまして、内地で昨年度に比べまして七・七億円の事業量増加ということになっておりますが、これが〇・二%。内需拡大の効果が余りにも少ないんじゃないかというように考えているんでありますがいかがですか。今申し上げましたのは、公共事業関係費が二・三%減、事業費ベースで五・二%増、こんなぐあいに考えているわけでありますが、この点はいかがですか。
#32
○政府委員(藤野愼吾君) 今お尋ねの件は、確かにいわゆる公共事業費の対前年度伸び率というのはたしか五%オーダーというふうに私も理解はいたしておりますが、港湾関係の国費につきましてはむしろマイナス二%ちょっと切れますがオーダーの減ということになっておりまして、そしてこのたびの補助率の改正なり、そしてその他極力民活プロジェクトの導入なりというふうなことを通じて港湾関係事業の拡大を図りたいというふうに考え、そして今当面考えております規模が先ほど大臣が申し上げました約九百、八百七十億オーダーの事業量の増大を企図しておるということでございます。
#33
○青木薪次君 国の財政難をカバーするために、内需拡大のためにはその内需振興について民活でいこう、これが政府の内需拡大の方式なんでありますが、運輸大臣、運輸省は民活事業にいろいろ首を突っ込んでいますね。これは一体何と何かお伺いをいたしたいと思います。
#34
○国務大臣(橋本龍太郎君) 代表的なものを申し上げますならば、関西空港株式会社等は典型例であろうと存じます。
#35
○青木薪次君 私の聞きたいのは、例えば建設省とか国土庁とか通産省とか連携いたしまして、そして民間都市開発機構とか民間リゾートとかテレポートとか、今新聞紙上を大いににぎわしているわけですね。これが、運輸省が他省庁と一緒に、ひとつ港湾関係等を主として事業のいわゆる相乗りと言った方がいいのか、そういったような方向で大型のプロジェクトを考えているのか、その点を聞きたいと思うんです。
#36
○政府委員(藤野愼吾君) たまたま先生法律の名称も詳しくおっしゃっていただきましたが、昨年の段階で、いわゆる民活法という法律を御審議いただき御決定をいただきました。本年は、ただいま国会の御審議を別途お願いをしておるわけでありますが、その民活法の一部改正、そしてまた民間の都市開発の推進機構に関すること、それからいわゆるリゾート法といったふうな形で関係各省庁と共同で民活プロジェクトを推進していこうという基本的な考え方に立っております。
 で、私たちがそういったことを推進しようとしております基本的な考え方は、既に御案内かと存じますが、私たちの港湾に対するいろんな要請が多様化しておる。単に物流の機能、産業の機能の高度化を図るというだけではなくて、国際的な交流機能でありますとか、業務の機能を強化するとか、また海洋性レクリエーションのための機能、ないしは市民の交流の場としての意味合いなどなどあると思っておりまして、それらのための施設整備を推進していくために、従前ならばあるいは公共事業というものでやってきたというところはあると思いますし、また公共事業の持つ意味合いというのは非常に大であるとは思いますが、あわせて、これらを民間の活力を活用するという形で推進をしていきたいというふうに思っておりまして、それが具体的にあらわれてきた仕組みなり場なりなどが、先ほど来申し上げております幾つかの法律という形で関係の各省庁と共同をして進めていこうとしておるものでございます。
#37
○青木薪次君 港湾における民活事業を推進するために、今回また、今の説明にもありましたけれども、民活法を改正いたしましてテレポート等を新たにつけ加えておりますね。これは、その制度面を整えようとしているんでありまするけれども、それでは、その制度に乗ってどれくらいのプロジェクトが実施され得るのか、そのプロジェクトで公の資金が呼び水となって、そしてどれくらいの民間資金が投入されることになるのか、その点を簡単に説明してください。
#38
○政府委員(藤野愼吾君) 昨年お決めいただきました民活法は特定の施設が列挙してございまして、そのものについて税なり財政なりの支援措置をするという仕組みででき上がっております。その後いろいろ議論をしてまいりました結果、従前のものに含まれておりませんでしたテレポートというようなものも今回新たにその対象にしていただこうという意図のもとに、このたびテレポートを挿入するための法律改正をお願いをしておるというわけでございます。
 さて、これらの具体的な事業計画につきましては、なお詰めが残っておりますので、定量的に投資規模を今ちょっと申し上げにくい状態にございますが、当面、東京、横浜そして大阪で具体的な準備が進みつつございます。
 なお、聞くところによりますと、名古屋とか仙台などでもそういったことに関する研究が進んでおるというふうに聞いておりまして、私たち先ほど申し上げました今後の港湾のあり方、港湾の空間の利用の仕方の一つの新しいタイプだというふうに考えておりまして、私たちの港湾の方でその担当をさせていただこうと考えておるものでございます。
#39
○青木薪次君 今も具体的に東京、大阪、横浜等の説明があったわけでありますが、例えば東京テレポート構想については、先ごろ東京都の検討委員会から最終報告が出されまして、六十二年度早々にも第三セクターを設置するという考えを聞いているのでありますが、具体的にこの民間のインテリジェントビルが建ち始めるのはいつごろなのか、投資額一兆八千九百億円で経済波及効果が四兆二千七百億円と伝えられているのでありますが、投資効果が内需拡大としてあらわれてくるのはいつごろになるのかということについて、例えば東京でも、今言われましたように広く埋立地に企業がずっと立ち並ぶ、その中央部にパラボラアンテナをつけで、そしてデータを海外から持ってきてそれを与えるといったような構想なんですね。この点について内需拡大の効果はずっと先へいっちゃうんじゃないかというようなことが非常に心配されるわけですが、その点どう考えていますか。
#40
○政府委員(藤野愼吾君) 今、先生お話がございましたような形で、東京十三号地でそういったテレポート構想というものの研究が進んでおりますが、確かに私たち、今、先生お話ありましたようなこととしては理解はいたしておりますが、都なりまた私たちを含めていわゆる正式のものとして確定するところまで本日の段階で至っておりませんので、それにつきましては、いましばらく時間的な猶予をいただきたいと思いますことと、それから、確かに私たちもそういったプロジェクトができるだけ早く動き出し、そして新しい港湾として活躍してくれることを期待もしておりますし、それから今また先生お話のありましたようないわゆる内需の拡大にできるだけ早くから寄与してくれることも期待はしておるわけでありますが、本日それについてきっちり具体的な御説明をさせていただく資料等も持ち合わせておりませんので、また改めての機会にさせていただきたいと存じます。恐縮でございます。
#41
○青木薪次君 港湾及び空港は、大臣のさっきの説明のように、産業活動、国民生活等の基盤となる重要な社会資本です。全くそのとおりです。国際化、情報化が一層進展し、国民の価値観もますます多様化、高度化していく中で、その計画的な整備を推進していくことが我が国経済社会の健全な発展にとって必要不可欠であります。この大前提で私は質問をしているわけでありますが、それでは横浜港のMM21、大阪南港のテレポート構想等の場合は、これはやはり今の東京の場合と同じようにまだはっきりしていないんですか。いつ実施されるのか説明してもらいたいと思います。
#42
○政府委員(藤野愼吾君) いわゆるMM21と称せられておりまする横浜港の一番奥まった地域の再開発事業は既に相当に進んでおりまして、例えばその一環として旧日本丸が既にドックに配置されておりまして、新しい臨海公園を形成をしておるというようなことがありますが、この次に具体的なプロジェクトとして動き出すであろうと思われますものは国際会議場であろうかと思っておりまして、その具体的なあり方についての研究のためのいろんな準備会といいますか、調査委員会で詰めが行われております。たしか近いうちにそれを設立するための会議なども開かれるのではないかというふうに承っております。
 今お話しのテレポートにつきましては、横浜ではまだ研究の段階でございまするので、今ここで申し上げられるような状況には相なっておりません。いずれにいたしましても、埋め立て、用地の造成というところからまず始まっておりまするので、そういった形で現地の方はもう相当に態様が変化いたしておるわけでございます。
 大阪につきましては、南港で用地は既にあるわけでありまするが、テレポートについてのいろんな準備、研究が進んでおるというところまでは本席で申し上げさしていただけまするが、ちょっとそれ以上の詳しい情報を持ち合わせておりませんので、この程度の説明にさしていただきたいと存じます。
#43
○青木薪次君 横浜でも、今申し上げましたように、みなとみらい21といいますか、こういった大々的な資料も出しまして、海沿いに横浜の町と未来が広がるということで物すごい宣伝をし、相当バラ色の夢を描いているわけでありますが、私がいろいろ考えておりまして、東京と大阪、これがいわゆる二大プロジェクトであり、地方の場合には比較的忘れられがちであるという点もやはり指摘せざるを得ないと思います。
 例えば、私のところの清水港の人工島計画というやつは、この前も質問したわけでありますけれども、海を埋め立てて二百四十ヘクタールの土地をつくる、新しい島をつくる計画等も今進められているわけでありますが、この点はどうなんですか。
#44
○政府委員(藤野愼吾君) 特に民活事業の場合に、その企業の採算というふうなことからどうしても都市といいますか、大都市といいますか、需要を追っかける方向になりがちだというところがあって、私たちとしては総合的に見て日本の国土の均衡ある発展を確保するためにいろんな配慮を全国的にしていかなきゃいかぬ、そのために公共事業というものの果たす役割が非常に大きいというふうに思っております。
 そういった視点から、ただいま先生は清水港の沖合人工島計画についてのお尋ねでございますが、既に御案内、御承知いただいておりますように五十八年から私たちこの人工島という問題についての研究を進めておりますが、それらのケーススタディーをもとにいたしまして、特に清水の場合は地元静岡県やら清水市やら、また関係の経済界の方々、非常に御熱心でございまして、私たちと一緒にこのケーススタディーを今やっておるというところでございます。
 お話がありましたように、規模で二百四十ヘクタールといった面積のものを構想しておりますが、コンテナターミナルとかマリーナでありますとか、また海洋開発やら水産に関する研究施設とかその他国際交流施設といったようなものをここに立地させることがいいのではないか、また非常に有力な構想ではないかというふうに思っております。
 ただ、技術的にいろいろ検討しなければならぬ課題、命題も残っておりますことやら、また必要な事業の方式というものをどういうふうに考えるかというふうなこともございます。資金そのものの調達もございます。というふうなことで、先ほど民活の議論を申し上げましたけれども、これまたやはり民間の資金なり活力なりに依存する分野が非常に大きいんじゃないかというふうにも思っておりまして、そういったことをも含めて、今申し上げましたような関係の方々を中心として鋭意研究、検討をしておる状況にございまして、今後とも前向きの検討を進めていきたい、かように考えております。
#45
○青木薪次君 大規模開発といいますか、どうしても資金投資が大都市に集中しやすくなる、これはやっぱり需要の点が主である、こういうような説明もありましたんでありますが、例えば、今、藤野局長が説明されましたこの人工島計画というものは、清水市から山梨県甲府を通って長野県佐久を通って新潟県の上越市に通ずる高速道路計画がことしの夏に計画決定をされるわけであります。私もその推進者の一人なんでありますが、そうなりますと日本海と太平洋が同じく産業の交流が非常に激しくなる、このことを地元でも非常に期待いたしているわけてありますが、そういった事情の中でこういうものが行われていくというように解釈をいたしているわけであります。
 東京の先ほどの計画については、将来的にはテレポート構想等が現実化されると思うんでありますが、内需拡大が大都市だけに集中されないように、四全総のときにも地方から厳しい意見が実は出たわけであります。国土の均衡ある発展を考えると問題である。それ以外の地域でも確実に民間資金投入の呼び水となるような民活プロジェクトが必要なはずである。昨年の民活法で港湾業務用ビル等を民活で行う制度がつくられているんでありますが、例えば清水だけでなくて名古屋も手を挙げたとか、あるいはまた北海道がどう、東北がどうというようなことも聞いているわけでありますが、将来計画として私の言った意見についてどういうようにお考えになるかお伺いいたしたいと思います。
#46
○政府委員(藤野愼吾君) 私が余り大ぶろしきを広げてここで御説明さしていただくのもいかがかとは思いますが、私自身の気持ちといたしましては、やはり狭い日本の国土をできるだけ広く活用していくということが一番重要なのではないかというふうに思っておりまして、そういったことを推進をしていくためには、ただいま先生のお話にもございましたような広域的に展開される交通基盤施設など、そういった代表的な社会資本の整備を進め、そしてそういったこととの関連において各種の民間開発プロジェクトを推進をしていくということ、そういったことを積極的に進めていくということが必要なのではないかというふうに考えておるところでございます。そういった気持ちで今後とも私たち自分の仕事、行政を進めていきたい、かように考えております。
#47
○青木薪次君 港湾局の出した民間都市開発の推進に関する特別措置法案についてということで、目的から事業の概要から制度の概要、資金計画等に至るまでいろいろ載っているわけでありますが、この点について、今申し上げましたように今度は民間都市開発の推進に関する特別措置法を制定して、主として地方の港湾を対象とする民活事業を推進するために基盤整備が行われるような制度をつくりたいということだと思うんです。その制度を生かして確実にそれがインセンチブとなって民間投資が行えるような具体的な計画というものが今あるのかどうなのか、手を挙げているといったような程度のものではなくて、計画が煮詰まっているものがあるのかどうかお伺いいたしたいと思います。
#48
○政府委員(藤野愼吾君) 今後別途御審議をいただくことでお願いをしております特別措置法では、まさに先生お話しのように、地方におきまする港湾なり都市なりの再開発が多分中心になると思いますが、そういった関連の事業を推進をしていくための仕組み、機構として新たに設けようとしているものでございます。今その手を挙げている程度のものは別としてというふうなお話ではございましたが、私たち幾つかのそういった手を挙げている程度のものから、さらにはまた単なる構想程度のものからそしてまた実務的に相談を進めているものからいろんな精粗はございます。例えば釧路だとか新潟、直町津だとかないしは横浜あたりもその一つと言っていいかもしれないとは思いますが、そういったふうなものが目の前のものとして一番至近の距離にあるプロジェクトではないかというふうに考えております。しかし、それらにしましてもなお詰めを要するところは正直言って残っておるということは事実でございます。
#49
○青木薪次君 今、藤野局長が説明された清水港の沖合人工島計画なんというものは手を挙げている程度じゃないんです。県や市が産業界と一緒になってそれこそ精力的に運動を起こしている、こういうものでありますのでそういったようなものについて、総合的に基盤整備は低利だというけれども、金の点が主ですから、有償資金なんですね。第三セクターでやるといってもそれによって民間投資が行われなければ資金は回収できないということになるわけですね。売れ残っている臨海工業地区の土地と同じように地方自治体の財政負担となって残るだけだということを心配するんです。ですからそのようなことについてどんなふうにお考えになっていますか。
#50
○政府委員(藤野愼吾君) まさにお話しのように、基盤整備を行いましても周辺の民間設備投資に代表されるような経済活動があわせて起こってまいりませんと、そこに地方公共団体ないしは既投資に見合う、何といいますか負債が残るだけと、こういうことに相なるわけでございまして、そのためにもやはり事前の十分な詰め、検討が特に必要だというふうに思っておりまして、私たちがこの人工島の研究といいますか調査をいろいろと全国的にモデルケースを持ってやっておりますがそこらあたりにおきましても一つの、一つといいますか場合によりましては一番重要な研究テーマであるわけでございます。今後ともそういったところにひとつ重要な焦点を当てた研究をしていかなきゃならぬと思っております。
#51
○青木薪次君 中曽根内閣は、財政の均衡と、少ない公的資金で民間投資にインセンティブを与えるような効果的投資で内需拡大をねらう、まさに二兎を追っているんですね。そのかなめとなるのが民活だと思うんでありますが、今まで説明を聞いていると現下の内需拡大には到底間に合いそうもない。もっとも売上税でそれどころの騒ぎじゃないということも言えると思うんでありますが、地方の計画では将来資金が回収できるかどうか怪しいものばかりだということを私はやはり考えざるを得ないというように考えますが、財政の均衡と内需拡大の同時達成は無理だと思うんでありますが大臣いかがですか。
#52
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は内閣の一員として、青木先生の御質問に大変答えにくい立場であります。それを達成すべく努力をいたしている最中であります。
#53
○青木薪次君 私は、橋本運輸大臣は有力閣僚の一人でありますから聞いたんでありますが、うまく逃げられてしまったんでありますが、政府は少ない公的資金で有償資金増大による事業量確保を図っているんだと思うんでありますが、事業推進のためにはむしろ無償資金比率を上げることが必要だというように思うんであります。このためにこの法案が指摘している補助負担率を下げるというのではなくて、むしろ上げていかなきゃならぬというように考えるんでありますが、構造不況地域や、北海道や九州のように雇用問題を抱える大臣としてこれを主張することが橋本運輸大臣の責務ではないかと思うんでありますが、この点いかがですか。
#54
○国務大臣(橋本龍太郎君) むしろ私どもは、今回の法律案の作成、いやそれ以前の予算編成の段階から厳しい財政事情の中でいかにして事業量を確保するかという点を中心に論議を重ねてまいりました。地方自治体の御意見もその中には十分伺ってまいりました。そしてまさに今雇用率の極めて厳しい情勢にあります特定不況業種を多く抱えている地帯、北海道あるいは九州等々を含めました地域におきましては、事業量の拡大を求める声が極めて強く出されておったということを記憶をいたしております。その事業量を確保すべく財政事情を勘案しながら今回の措置を講じたわけでありまして、そうした視点からおとらえをいただければ大変幸いであります。
#55
○青木薪次君 今回の法案では、直轄事業に対して一〇%、補助事業については五%の補助率引き下げの方針でありますが、この方針は運輸省で決めたものではなくて大蔵省の指導がまずあって、公共事業とすべて横並びの措置をとったのではないのかというように考えます。そうだとすれば、別々の法案を提出してもそれぞれの引き下げ率の考え方は同一のもので、それを指導した大蔵大臣の本当は出席がなければならないと思うんでありますが、私はこの点については各省の説明だけでは相当無理な審議が行われていると言わざるを得ない点があるわけであります。しかしながら、港湾法の一部を改正する等の法律案の関係については、大変時代に私は逆行しているということをあえて指摘せざるを得ないわけでありまして、その点はむしろ事業量の拡大という点を重視したんだ、節約してそれを事業量の拡大に処するんだというような考え方も実はあるわけでありますけれども、今後において、やはり港湾や航空等の関係については相当重要な役割というものを担っていくことになるわけでありますから、一層この点については今回限りの措置として、将来にわたることのないように、今十分監視しながらこの点についてはひとつ将来とも追及をしていかざるを得ないということを申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。
#56
○安恒良一君 私は、私の持ち時間の中で、まず最初に特定船舶製造業経営安定臨時措置法案についてお伺いをしたいと思います。
 この法律で造船の不況対策としてやろうとしていることは、法律の中身はもうわかっておりますから繰り返して言っていただく必要はないのですが、この法律のほかにいわゆる造船不況対策として何をやろうとされているのか、まずそれを答えていただきたい。
#57
○政府委員(間野忠君) この法律以外でということでございますと、やはり長い間続けてまいりました過剰船腹解消のための解撤、これに補助金を交付してやってきておりますが、これは過剰船腹の解消だけではなくて造船所の工事量の不足を補うためにもかなり有効であると考えます。
 それから、我々自身の仕事ではございませんけれども、新たな需要をつくる必要があると考えます。そのために代替期の来ました官公庁船はこの際代替していただくとか、あるいは造船所が得意とする分野であるところの大型鋼構造物につきまして新たな需要を促進する。そういった需要を喚起するようなことをやっていかなければならないと考えております。
#58
○安恒良一君 不況カルテルの申請については、どう考えられていますか。
#59
○政府委員(間野忠君) これから海運造船合理化審議会の答申に基づきまして基本的な不況対策を進める上で、我々は過剰設備を廃棄することが必要であると考えておりますが、この過剰設備の廃棄につきましてもいろいろ難しい問題がございます。例えば来年度需要量が能力の半分しかないから半分廃棄しろといってもこれは非常に困難な面が出てまいりますので、我々としては二割程度の設備廃棄を考えておるわけでございますが、そういたしますと例えば来年とか再来年、近い将来におきましてはかなり大きな需給ギャップというのが出てまいります。それを補いますためには、やはり二割の過剰設備の廃棄よりもさらに低い水準での操業調整といったようなものが必要であろうと思います。それを実施するためには、やはり不況カルテルを結成するのも一つの方法であろうと考えております。
#60
○安恒良一君 ちょっとお願いしておきたいんですが、私風邪を引いていますので声が少し聞き苦しいと思います。それから、向こうのしゃべることも耳ががんがんいってまして聞こえにくいんです。大きな声でお願いします。
 それでは、不況カルテルの申請についても考えておるということでしたが、それはそれといたしまして、造船業界の救済のシナリオというのは海造審の答申、六十一年六月二十五日に基づいたものと思います。そこで、その基本となります我が国の新造船の建造の推移、それから今後の見通しについて述べてください。細かい数字、例えば今私たちは調査室からこういう資料をいただいていますから、この資料にあるならこの資料にあるということを言っていただいて、時間を節約しながらやりたいと思う。資料があれば出してもらいたい。
#61
○政府委員(間野忠君) ただいま先生のおっしゃいました新造船の建造実績と見通しにつきましては、ただいま先生がお示しになりました資料の三十一ページから三十二ページに書いてございます。この資料は海運造船合理化審議会が昨年答申の際に答申書の基礎となるものとして作成したものでございまして、昭和六十年までが実績でございます。それで、六十一年以降予測したものでございますが、このグラフから明らかでございますように、六十三年ごろがボトムとなりまして、我が国造船業の建造量は標準貨物船に換算いたしまして年間三百十万トン程度まで落ち込み、その後徐々に回復いたしますが、昭和七十年ごろ、一九九五年ごろにおきましても、標準貨物船に換算して五百二十万トン程度の工事量までしか回復しないということでございます。
#62
○安恒良一君 数字はわかりました。資料も私もらっていますが、そこでこういう見通しを立てられました積算の基礎を説明してください。
#63
○政府委員(間野忠君) 六十一年以降の予測の手法でございますけれども、これは石油、鉄鉱石、石炭、こういいました主要貨物別に海上荷動き量を予測いたします。この数字から将来ある時点において必要となるいわゆる必要船腹量を求めます。別途現有船腹量、これと比較いたしまして、またその将来の時点までに解撤される船腹量、これを計算いたしまして、これらから新造船の需要量を求めるという手法で算定されたものでございます。
#64
○安恒良一君 物資別それから船の種類別ごとに需要を推計したと、こういうことだと思いますが、これ資料にありませんから、これは後で結構ですから、今言った積算の基礎ですね、資料をいただきたいと思います。
 次に行きますが、日本の造船業界の今日の苦況の要因と見られているものには、一つは為替レートの問題があると思います。いま一つは韓国の建造量の増加というものがあると思います。こういう点を今後どのように見ておられるのか考え方を説明してください。
#65
○政府委員(間野忠君) 確かに今回の造船不況の原因をいろいろ考えてみますと、やはり過剰船腹の存在というのが基本的な要因かと思います。
 ただ、現在の不況をさらに厳しくしておるものは、ただいまおっしゃいましたように、為替レートの急速な変動と、それから韓国がこれまた急速に競争力をつけてきたということであろうと思います。
 為替の動向につきましては、非常に難しい面がございますが、ただいつまでもウォンもドルと同じような動きをするんではなくて、ウォンがむしろ評価されるんではなかろうかというような見方をする人も大勢いらっしゃいます。
 また、韓国の競争力につきましても、現在は過渡的に韓国の競争力がコスト競争力という意味では若干上回っておるかと思われますけれども、長期的には資材の調達でありますとか、そういったことが国際価格で行われるようになりますと、韓国と日本との競争力の差は縮まってまいりますし、今後我が国造船業の生産性をさらに高めるという努力をいたしますれば、長期的には韓国と十分対抗してやっていけるんではなかろうかというふうに考えております。
#66
○安恒良一君 どうもはっきりしませんけれども、そういうことにしましょう。
 日本の造船業の危機、産業としての造船業があるいは成り立つかどうかという私は瀬戸際だというふうに今思っております。そういう中で今回設備の二割削減、それからグループ化、合理化、こういうことによって将来の日本の造船を成り立っていくようにしようと、こういうふうにまれていますが、今あなたの説明を聞きますと、以上のようなことで日本の造船業の将来を明るくとらえていいのでしょうか、どうでしょうか。そこのところを説明してください。
#67
○政府委員(間野忠君) まず、造船不況の基本的な要因であります船腹過剰を解消をしますためには、やはり解撤を促進することと、それから供給力を削減することがどうしても必要であろうと思います。そのために我々は少なくとも二割程度の設備処理を早急に実施すべきであると考えております。この設備処理、それから先生先ほど御指摘のありました不況カルテル、こういったものがうまくいきますれば、現在非常に低迷しております新造船のマーケットも改善されるんではないかという気がいたします。
 それからもう一つは、国際競争力の問題でございます。確かに厳しい円高のもとで現在競争力が弱まっておるということが言えるかと思いますが、先ほども申しましたように、大体船価の六五%を占めます資材の調達コストが国際的なものにいずれは調整されると思いますし、船価の二五%を占める人件費につきましても、今後生産性を高めていけば十分韓国とも対抗できる。そういった意味で決して悲観的なものではないと考えております。
#68
○安恒良一君 僕はやっぱり韓国との関係をもう少し突き詰めて議論しておかなきゃいけないと思うんですがね。
 今あなたがおっしゃったような主として設備の二割削減とグループ化、合理化等によって現在四ないし五〇%を占めてます造船業、世界のシェアの中で占めてますが、本当にそのことが維持できるんだろうか。特に円とウォン、ウォンとドルとのリンク、それから韓国のやはり今後の建造量の増加、こういうものを私はやはりシビアに見る必要があるのではないかと。
 そこでひとつ、G5以降ドルとそれからウォンとそれから円の関係、いわゆるドル相場の変化率、G5以降どうなっていますか。
#69
○政府委員(間野忠君) 正確な数字は記憶いたしておりませんが、一昨年十月のG5以降、当時一ドル二百四十円ぐらいであったレートが現在は百五十円程度になっておりますし、韓国の場合はそれ以後非常にドルと密接にリンクしておりまして、その後数%以内、二、三%ドルに対して高くなったという程度であると理解しております。
#70
○安恒良一君 G5以降日本の円の変化率は、大体八六年三月で二六%、四月で二九・七%、五月で二八%ですね。一方ウォンの方は、同じ三月で〇・八%、その次が一・四%、〇・三%ですね。ですから、ドルと円の関係、今度はドルとウォンの関係、こんなに大きな差があるわけですね。
 そして、きのう現在で一ドルは何百ウォンでしょう。それから円はどうでしょう。どうなっていますか、二十四日の相場で。
#71
○政府委員(間野忠君) 昨日の円は百四十九円何がしで相場を閉じたと伺っておりますが、ウォンについては承知いたしておりません。
#72
○安恒良一君 じゃ私の方で言いますと、きのうの日経で換算してみましたら、一ドルが九百ウォンですね。それから、一ドルが最終的に百五十円。そうすると、九百ウォンと百五十円ですから六倍です。私は、やっぱりこういうことをきちっと正確に科学的にお互いがとらえておかぬといかぬと思う。
 そこで、私が非常に心配しているのは、この法案のベースとなっています新造船の建造の見通しが韓国や為替レートの動向により大きく今後崩れる、再び同じような対策を迫られることになりやしないかということを、私はそこのところを実は心配しているのです。ですから、いま一つの造船業界を見ますと、配当を行っているのは三菱だけですね。そして、各社はこの造船業とともに陸上部門にも力を入れておりますが、今日は必ずしも業績はよいと考えられません。ですから、まかり間違って例えば仮にあなたが言うように造船が立ち直っても、陸上部門等の悪化が足を引っ張るというおそれがないと昼言えないのです。私はなかなか造船も今言った関係で無理だと思うのです。
 ですから、以上のような面で、ドック単位の設備廃棄やグループ化がうまく立っていくというめどが立っているのかどうか。ですから、具体的に政府の基本的な方針、実施のめど、こういうことについて明らかにしていただきたいと思います。
#73
○政府委員(間野忠君) 我々の基本的な考え方といたしましては、先ほども申しましたように、やはり現在不況の主たる原因と見られます過剰船腹を解消しますためには供給力をどうしても絞らざるを得ない。そのためには五割近いシェアを持っております我が国がまず最初にやらなければならないというふうに考えております。
 それから、主として韓国を初めとする第三造船諸国に対する競争力の問題でありますけれども、これは、今先生がおっしゃいましたように、目下非常に大きなコスト差があるということは事実であろうと思います。ただ、韓国もかなり海外、特に日本から調達しておる部分が多うございますから、これにつきましてはいずれ時間がたてば韓国側での値上がり要因になると思いますし、我が方は現在国際的に見てかなり割高なものを買っておるという事態でありますが、これも為替レートが急激に変動したための過渡的な現象であって、いずれはこれも国際的な相場に落ちつくというふうに考えますと、あとは生産性向上のための努力がどれだけ実を結ぶかということでありまして、そのためには集約化によりまして間接費とか管理費を削減し、また近代的な設備の導入によりまして生産性を高めるといった努力をやれば必ず韓国とも対抗していけるものになるというふうに考えております。
#74
○安恒良一君 私は為替レートの問題をそう単純に考えてはいけないと思うんですね。というのは、今私が言ったような開きがあるし、それからG5以降の変化率についても非常に韓国の場合はずっと横並びで安定をしておるわけですね。そのほかに韓国は開発の戦略としては輸出指向政策をとっていますね。特に八〇年以降バスケット・ペッグ制に移行してから内外のインフレの格差に対し非常に伸縮的な為替レート政策をとることにより常に為替レートというものを現実的な水準に調整をしています。そして輸出競争力の妨げにならないというような大胆な政策をとっているわけですね、これは。そういうものと競争していくんですから、簡単に、あなたはもうあとは企業の中における生産性の向上だけだというふうに、大臣、こういうことを見ていいんでしょうか。もう少し私は韓国との関係なんかは、経済的な政策についても、韓国は具体的な輸出を伸ばすためにどういう政策をとっているのかと。それから為替レートの操作にしても、日本の場合には百五十円で内需拡大、拡大と口頭で言うだけですから、具体的にないものですから、百五十円を一時切るという状態まで来ていますね。ところが韓国は韓国なりに今言ったようにそういう政策を大胆にとって為替レートの安定を図ってそれで競争してくるわけですから、そこのところを間野局長は一時的な現象だとえらい楽観をされていますが、本当にそれでいいでしょうか。
#75
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今安恒委員の御指摘になりました問題点は極めて今後を考える場合に大切なポイントだという理解をいたしております。そしてここ数年私は実は韓国の造船所を見ておりませんが、昭和五十年代の半ばに参りまして韓国の現代造船、現実に見てまいりました。そしてその当時の日本の造船所と比較してみましてさまざまな感想を持ちました。そしてその中で今依然として残っております最大の韓国と我が国の造船業の格差と言えるものは、一つは我が国の労働条件、雇用条件と、韓国の労働条件、雇用条件の差異、そこから出てまいります人件費の占める比率、これは我々はいかんともしがたい差異だと考えております。そしてこの造船業における日本の人件費水準を、あるいは労働水準を下げるというようなことを考えられるものではありません。そうなれば、それは造船の中における技術革新等で対応していかなければならない部分でありますし、まさにそうした分野についての努力は払われ続けておると思います。
 また造船の技術力、技術力というものについては依然として我が国のリードが続いておるということも韓国の関係者自体が認めておりまして、非価格競争力としては依然として我が国は非常に優位のものを持っておるわけであります。そうなりますと、問題はまさに先ほど御指摘になりました為替レートの問題にかかってくるわけでありますし、また、製造コストの約六五%というものが資材費で占められるということでありますから、まさにこの点で現在我々は極めて厳しい競争を強いられております。
 しかし、先ほど局長も答弁をいたしておりましたが、ここで一つ造船の関係で考えなければならないのは、まさにその円高差益の還元というものは造船のコストにどうはね返ってくるのか、また、現在調達を国内で行っておりますものを海外に切りかえました場合に、これは他の問題を惹起する問題ではありますけれども、調達の国際化等による努力というものがまさに国際価格への調整という道を歩ませるとした場合に、この辺の影響はどう出るか、こうした問題点もあろうかと思います。そうなりますと、私は長い目で見て、間野局長が答弁をいたしました方向が間違っておるとは考えておりません。
 ただ、そこに行き着くためには非常な努力を必要とする。そしてまさに人件費等についてのこれは韓国の労働政策と我が国の雇用情勢との差異があるわけでありますから、設備の近代化あるいは技術革新等による生産性の向上でこの格差をどこまで埋めることができるかという問題はございますけれども、非価格競争力を優位に保ちながらその調達の国際化等による努力というものでこの時期を築き上げていかなければならない、そんなふうに理解をいたしております。
#76
○安恒良一君 この問題だけで時間をとるわけにいきませんから、私はやはり今申し上げた為替レートの問題ということは、これは造船だけじゃなくて日本の今日の重大な問題ですから、運輸大臣もやはり十分に円の安定ということについては考えておっていただかないと、一説によるととても今の百五十円を維持できないだろうという説もあるんですからね。今でも大変な円、ドル、ウォンの関係になっているわけですから、私はその点で注意を喚起したいという意味でこの問題を取り上げたわけです。
 そこで、この設備の二割削減とグループ化の具体的な政府の青写真はどうなっていますか。例えば、廃業する会社名、グループ化の具体的例はこういうふうに進んでいる、そういうものがあったら示してみてください。
#77
○政府委員(間野忠君) グループ化の具体的な例はまだ出ておりません。現在のところ、既存のグループなり既存の企業の中でいかにして二割の設備処理を行うかということを検討しておる段階でございまして、どういうグループとどういうグループ、あるいはどういう企業とどういう企業が今後集約化していくというような例はまだ明らかになっておりません。
#78
○安恒良一君 今年度内ということですから、恐らくそんな答えが返ってくるだろうと思いましたけれども、現実ではどんどん水面下で進んでいますね。この前も大臣のところに具体問題を言ったんですが、まあこれはこの程度にしておきましょう、公の席上で言えと言ってもなかなか言えないでしょうから。
 そこで、私はどうも戦後の日本の状況を見ておりますと、新造船の建造ブームとそれからこのボトムですね、これを繰り返してきているんですよね。だから、私は今まで論争したような観点から申しまして、もう一度こういうような対策が必要になってくる時期があるのではないかという実は心配をするんです。これは私の心配です。そこで、そうなるないためにはどういう需要をつくり出すのか、このことが非常に重要だと思いますが、その需要をつくり出すことについて大臣の具体策がありましたら聞かしてください。
#79
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは委員におしかりを受けるかもしれませんが、言葉で申しますと大変ありきたりの言葉になってしまうと思うんです。引き続き船舶解撤を促進する、あるいは官公庁船の代替建造の促進をする、あるいは経済協力による船舶建造の推進を行う、大型鋼構造物の建造を促進する、言葉で申しますとそういう言葉になってしまうでしょう。ですから、今先ほど局長の答弁をいたしておりましたのを補足する意味で、現実に進んでおります幾つかの例を例示として申し上げたいと思っております。
 今私ども、例えばメキシコの石油公社の内航石油タンカー十二隻の経済協力というものに対し一生懸命の努力をいたしている最中であります。これは、多少の技術移転を一方では行いながら、日本がこれを受けられれば非常に望ましい。国際商戦でありますから相当厳しい競争になっておりますけれども、これが一つの私どもの今取り組みの対象であります。
 また一方、今長崎県が提起をしておられます、また運輸省としても非常に関心を持っております一つのプロジェクトとして、長崎の港を使いました浮体ビル、こうした構想が現実のものとして提起をされ、昭和六十五年に長崎市が博覧会を行われる、その時点までにその浮体ビルの建造を完了し使用を開始したいという意気込みで持ち込んでこられ、我々も非常に積極的にこれには乗りたい、協力をしたいという考え方を持っておりますが、こうしたプロジェクトを随時今発掘しつつあるわけでありまして、船以外にもこうした分野について我々は新たな道を探し出すべきではなかろうか、そのように考えております。
#80
○安恒良一君 大臣が初めにずらずらと言われたことはそのとおりですが、ただ問題は、そのずらずらと読み上げられた前段のとこみの需要創出に対する具体的な担保がないわけですね。言葉で言うと大臣がおっしゃったようなことで、船舶解撤の促進、経済協力による船舶建造の推進、官公庁船の代替建造の促進、造船技術応用事業の推進等々になるということで、具体事例は大臣が後で二つ挙げられましたが、私はやっぱり需要創出のための具体的な積極的な努力、担保というものがなければ、せっかくこういう法律をやっても絵にかいたもちになりはしないか、こういうふうに思いますから、この点についてはやはり需要創出のための具体的な積極的な日本政府としての努力、強く私はこの点を指摘しておきたいと思います。
 次に、業界自体としてもいろんな努力をしなきゃならぬということで、業界新聞を読んでみますと、九〇年代に向けて造船企業が生き残りをかけた戦略の展開をいろいろ業界は業界としてしているように思います。その中で、一つの方向としてコンピューター化それから自動化の推進で人を大幅に削減する、こういうことを実は挙げている。しかし私は、このコンピューター化、自動化促進というのは、実行できるのはこれは大手造船企業だけだと思うんです、行える可能性があるのは。ところが、中小はこれでは取り残されてしまうんではないだろうか。
 そこで大臣、造船業が生き残った場合の企業現場の姿をどういうふうにあなたは所見としてお持ちになっているんだろうか。例えば、人的な省力化で現在の造船事業者、従業員約十万と言われていますが、どのくらいに減っているというふうにお考えになりますか。それから、中小企業は廃業するほか方法がないという方向でいかれようとしているんでしょうかどうでしょうか。そこらのことについてお答えをしていただきたいと思います。
#81
○政府委員(間野忠君) 非常に先を見通すことは難しいわけでございますけれども、これだけ厳しい事情でありますので、大手なら大手だけが生き残れるとか、規模が小さいからといってそこがなくなっていくというようなことはなくて、それぞれ特性を生かした多様な形での産業として残っていくと思います。
 そういう意味で、先生が最初に御指摘のありました計算機あるいはロボット、これの活用は進むと思います。ただ、やはり加工組み立て産業でありますから無人化されたようなものというのは非常に無理であろうと思います。したがいまして、徐々に計算機の積極的な利用でありますとか近代的な機械の利用ということはあると思いますけれども、決して今の造船業と全くかけ離れた実験室のようなものができるとは考えておりません。
#82
○安恒良一君 これも、今言ったところをもう少し議論したいんですが、時間が全体的にありませんから、また後でやるといたします。
 そこで、設備廃棄それからグループ化等で一番影響を受けるのはそこで働いている労働者です。そして私はその雇用を一番心配するわけですが、本法案の第十四条以下に事業主、国、地方自治体の努力をうたっていますね。しかし、努力をうたっているだけであって、具体的な雇用救済に対しては何ら規定がないんです、この法律案を見ましてもありません。
 そこで、運輸大臣、民間の研究機関では、造船七社で現在一万六千四百人ぐらいの余剰労働者が出る、こういうふうに試算をしていますが、このような措置によりどのぐらいの余剰労働者が発生するというふうに思っているのですか、運輸省としてはどういう考え――これは民間の研究機関の、造船七社では現在一万六千四百人ぐらい余るだろう、こういう試算が出ているんですが、監督官庁である運輸省としてはどのようにお考えになっていますか。
#83
○政府委員(間野忠君) 今度この法案の対象にいたしたいと考えておりますのは五千総トン以上の船を建造する四十四社でございますが、この四十四社の船舶部門の人間が昨年三月で七万七千人おりました。それが各社スリム化していく、昨年の三月以降減量していくということで、来年の三月には四万九千人体制にしたいということを申しておりまして、差し引き二万八千人程度の減量が行われるわけでありますが、これが直ちに離職者になるわけではございませんで、それぞれの企業におきまして他部門への配置転換でありますとか、関連会社への出向でありますとか、あるいは職業転換をして新しい会社へ派遣する、そういったようなこと、それに自然減等もございますので、いわゆる離職者がどれだけ出るかは必ずしもまだ明白にはなっていません。
#84
○安恒良一君 やはりここが一番大切なところで、私も離職者がたくさん出ることを期待して聞いているわけじゃないんですね。離職者が出ないようにしなきゃならぬのですが、しかし、見方はシビアに見ておかなければいけませんから聞いているんです。あなたは、今のところ明らかでない、各会社内の努力とかいろんなことを言われていますが、私は、こういう点についてもう少しやはり監督的な立場にある官庁として十分にそこをシビアに見るところは見て、そしてあれをしていかなければいけないのじゃないかというふうに思います。
 そこで、今言われましたところの設備の削減等々、また大手を中心にするグループ化、それからその場合にドック単位での設備削減、こういうような状況に今なっておるわけですが、そういうことを考えてまいりますと、中小造船の廃業が大変当面大きな問題になりはしないかということを私は心配しているのです。そうなってはいけないと思うのでありますが、心配をしています。
 そこで、特定地域で一つの造船業がなくなると一時的に大量の失業が発生するわけです。こういう場合にどういう対策をお持ちになっているのか。いわゆる特定の地域において一時的に大量の失業者が出るという場面が残念ながら、そうあってはいけないと思いますが、考えられるわけですね。そういうときには大臣、どういう対策をおとりになるんですか。
#85
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもはそういう事態を最大限避けるべく全力を尽くしますけれども、委員が御指摘になりましたようなケースが全くあり得ないと申し上げるだけの自信を今日持つ状況にはありません。そうなりました場合には、これは運輸省だけの力で到底及ぶものではありませんで、現在、労働省にも協力を求め、既に発生しつつある離職者対策をも講じなければならない状態にあるわけであります。こうした協力を政府部内においても図っていかなければならぬと考えます。
 ただ、むしろ私どもとしては、こうした事態に結びついていくことよりは、このグループとして設備を処理していく過程において大量の離職者の発生につながらないように、例えばグループの中で、撤退する企業については、業種転換等につきましてのグループ企業の協力でありますとか、こうした手法を最大限使ってまいりたいということを今考えております。
#86
○安恒良一君 そこで、その点はさらに後から少し議論していこうと思いますが、本法の十四条に失業の発生に対する事業主の責任ということがうたってございますが、事業主は一体何をするんでしょうか、また、事業主に何をせいという期待をお持ちになっているんですか。それを聞かせてください。
#87
○政府委員(間野忠君) この十四条の趣旨でございますけれども、設備の処理等によりまして労働力の余剰が発生する場合には、雇用調整助成金制度の活用などによりまして教育訓練でありますとか、一時休業を実施するとか、あるいは配置転換、関連企業への出向、あるいは事業転換そのもの等によりまして失業を極力回避するよう努力すべきことであると理解しております。
#88
○安恒良一君 そういうようなことで一挙に大量の離職者が吸収できるというめどがありますか、そういうことの場合、それでその大量の離職者を吸収できると、職業訓練をやったり、いろんなことをやったり、社内における配置転換等をやってそういうことが吸収できると。どうも私は今言ったぐらいのことでは実効性が非常に疑わしくで心配をしておる、そううまくいくのかなと非常に私は心配をするんですが、その点はどうでしょうか。
#89
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは安恒委員が、その当時にさかのぼればお礼を申し上げなければいけないのですけれども、ちょうど私ども各党が相寄って、政府が立法の意思のなかった当時に特定不況業種離職者臨時措置法をつくりましたときを思い起こしていただきたいと思うのであります。その当時まで、こうした立法の中で労働組合、あるいは労働組合がない場合はその雇用されている労働者の過半数を代表する者と協議して対策を立てるといったような考え方はございませんでした。たしか五十二年から三年にかけてだったと思いますが、超党派で議員立法をいたしたことを思い起こしております。そして、それ以来、経営者の恣意的な対応というものが許されなくなっておる。これは私は両院が政府に対して誇り得る一つの例を開いたものと考えておりますが、この考え方を今回の法律で十四条の最初に盛り込んでおりますので、そうした事態に対応するためには、まずやはり労使一体となってその状況を切り抜ける方策をお互いに考えていただく、それに対して我々も手助けをするという考え方をとってきておるわけでありまして、私どもは委員が御指摘のような事態にならないために全力を尽くすということを今申し上げたいと思います。
#90
○安恒良一君 大臣、そうなりますと、この十四条の「雇用の安定等」の第一項、第二項、第三項における「必要な措置を講ずるよう努めなければならない」、こうなっていますが、これは必要な措置を講じなければならないと、こう改めなければ今大臣のおっしゃった趣旨を生かすことにならないんじゃないでしょうか。これ「努めなければならない」じゃなくて、必要な措置を講じなければならない、こういうふうにきちっと経営者等の責任をいわゆる明確にする、これは何もこの条項は経営者だけではありませんね。事業主、国、都道府県の責務をこの条項はいろいろ書いてあるわけですが、その場合に、少なくとも講じなければならないと、こういうふうに明確にした方がいいと思いますが、その点どうですか。
#91
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は決して委員に反論をするつもりはありませんが、あの当時約二カ月ぐらいを、これを講ずるものとするか、努めるものとするかで論議をいたした、また同じ論議を今度は政府側でしなければならぬというのも、これ非常に因果な話だと思うんです。
 ただ、その当時にもいろいろ論議がございましたけれども、こうした規定、やはり努力規定の方がふさわしいのではないかということが、たしか私はあの議員立法いたしますとき、最終的な超党派の合意であったと記憶をしておりますということで答弁にかえさせていただきたいと思います。
#92
○安恒良一君 まあこれも、これより以上大臣とやりとりする時間がありませんがね。あの当時よりも今は深刻なんですよね。非常に深刻なんです。例えば失業率が約三%にもなる、失業者が二百万人発生をするという状況ですね。そして私は予算委員会でもやりとりしましたが、失業というのは社会悪なんです。社会悪の根源になります。これ、失業者がふえると治安そのものも危なくなるわけです、率直なところ。日本が今非常に治安がいいというのは、今日まで諸外国に比べて非常に完全失業者が少なかったというところに一つの原因が私はあると思う。しかし、三%、二百万と、こういう時代にこれはつくる法律ですから、ですから、あのときはあのときだと思いますね。あのときは与野党で最終的にそこで妥協した。その後日本の情勢が非常に変わっているというときに、いわゆるこの「努めなければならない」という表現でいいのかどうか。やはり講じなければならないというぐらいきちっとしておかないと、私はますます失業者がふえていくだろうと。これはまあ今は造船だけやってますが、鉄鋼の場合でも、後から論議していきますけどね、大変に失業者がふえるわけですね。そこで中曽根さんを本部長とする雇用対策本部もできたわけです。これは去年の十一月の予算委員会で私は総理にお勧めしましたところ、それを取り入れられて、各省を網羅した雇用対策本部も発足しているわけですから。ですから、そういうことを感じますと、どうもここのところは私は、事業主、国、都道府県の責務というところを明確にしておいた方がいいんじゃないかな、こんな感じを強く持つということを申し上げておきたいと思います。
 まあこれは、これより以上論争しても、また今の繰り返し答弁を聞いても時間がもったいないですから、しかし世の中は変わってますよと、変わったときには変わったアイデアで施政者というものはお考えくださいということだけは申し上げておきたいと思います。
 そこで、いよいよこの受け皿の話になるんですが、政府は一方では三十万人の雇用開発プログラムを今回打ち出されました。これによりますと、新たな雇用開発は十一万五千人ですね、三十万人の中で。ところが、鉄鋼だけで四万、造船で二万、国鉄で六万など、だんだん離職者が逐次今発生をしてきています。ですから私は、十一万五千人という、余りにも規模が小さ過ぎるんじゃないだろうか。ですから、この不況産業を多く大臣はお抱えになっているんですから、今回のこの措置で運輸大臣として雇用の受け皿は万全であるというふうにお考えになっているのかどうか。あなたの所管の中における、後から議論をしますが、いわゆる船があるわけですね、船員の問題が出てくる。今、造船を論議しています。ですから、あなたは不況産業をかなり抱えている大臣ですから、今政府が打ち出しておりますところの三十万人の雇用開発プログラム、その中を詳細に私が検討いたしますと、雇用の開発は十一万五千人にしか実はこれはすぎないわけであります。ですから、それであなたとしては受け皿は万全だというふうにお考えでしょうかどうですか、大臣のお考えを聞かしてください。
#93
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はとにかくできるだけ早くこの三十万人雇用開発プログラムが実行に移されることを本当に期待しております。
#94
○安恒良一君 いや、期待しているんじゃなくて、こういうふうにたくさんのいわゆる失業者が出てきますよと。で、政府が今用意されているのは三十万人と言っておられますが、その中身は、三十万人の中身は雇用開発は十一万五千人なんです。それがために労働省にも来てもらっているわけですがね。そういう状況で、本当にこれで万全だというふうにお考えになっているのかどうか。もうこれで万全と言うんなら、それより以上質疑する必要ないけれども、私はこれだけでは全部吸収できないと思いますから、あなたも自分の所管の中でたくさんの不況産業をお抱えになっていますから、運輸大臣としてはとにかく早く成立することだけというふうに望まれる、これは御希望ですが、私の聞いていることは、万全ですかどうですかと聞いているんですよ。
#95
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現時点において対応できる、実現可能性のあるものとしては最善のものが労働省によって用意されたと考えております。
#96
○安恒良一君 例えば特定不況地域で、造船業が廃業になる地域におきましては、私は失業と雇用のミスマッチは避けられないんじゃないかと思うんですね。例えば労働力の調査を見ましても、製造業の労働者の雇用は減少しています。そして、第三次産業にそれを吸収するといっても吸収し切れない。そこで完全失業率が今日高まっているわけです。こういう状況の中で、私はより思い切った雇用政策を運輸大臣としては少なくとも労働大臣に強く求めるという考えがあってしかるべきではないんだろうかと思って今のことを聞いたわけです。
 それはなぜかというと、この造船の場合にしろ、後から議論します海員の場合にでも、結局政策不況の要素がかなりあるわけです。海運造船の労働者の雇用問題については、後から中身を海運の場合には議論しますが、政策不況と、政策の貧困さ、政策の誤り、やり方、そういうものが不況をもたらしている原因があるわけであります。そうしますと、少なくとも運輸大臣としましては、いま少しそういう――何もあなたが失敗したと言っているわけじゃないですよ。歴代のいわゆる運輸行政の中における造船業の指導のあり方、海運のあり方、そういうものの中に今日の雇用不安を生み出している、それから政府全体の責任としてのいわゆる為替レートの問題等々いろいろ考えますと、労使だけではどうにもならぬ、いわば国の政策的な問題が非常に私は今日の雇用不安に陥れている一つの大きな原因だと思いますから、その意味からいいますと、私は、大臣としては強く求められる考えが必要だと思いますと同時に、労働省に以上の点について、私と大臣のやりとりその他聞いておられて、労働省自身として、この三十万人の雇用開発プログラムで本当に、特定の不況地域において、造船業のように廃業ができる、そして、失業と雇用のミスマッチが起こるということは、残念ながら、そういう事態は避けたいと思いますが、一部やむを得ないところが出てくるかもわからないこの現状の中において。この三十万人雇用開発プログラムだけで本当に雇用というものが安定していくというふうに考えられているのかどうか。これは労働省からも、運輸大臣の御答弁の後に、考えを聞かしてください。
#97
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、造船海運のみならず、我が国の雇用、失業情勢が極めて厳しいという事態は私自身も認識をしておるつもりであります。そして、その中におきまして、私は、現段階、本当に可及的速やかにこの三十万人雇用開発プログラムというものが実行されることによって、とにかく当面、少なくとも造船あるいは海運、私どもの守備範囲の中におきます雇用情勢というものを少しでも改善をさせていただきたい。本当に一日も早くという気持ちを持っておるということでありまして、理想を言えば、これは本当に百万人、二百万人雇用創出がすぐにできるものであるならば、私は、労働省の諸君もそういう対応をしてくれると思うんですけれども、現実の失業率三%という状況の中において、実現可能性のあるものとしてこのプログラムに極めて大きな期待をかけておるという心境であります。
#98
○政府委員(佐藤仁彦君) 三十万人雇用開発プログラムの趣旨につきましては、運輸大臣からお答えいただきましたとおりでございます。
 私どもとしては、これを一日も早く実施に移し、かつ完全に実施していくことが肝要だと考えております。ただ、為替問題その他雇用を取り巻く状況が非常に激しく動こうとしております。そういう観点から、雇用情勢につきましては的確に把握し、機敏に対応していくことが肝要であると考えております。
#99
○委員長(中野明君) 午前の審議はこの程度にとどめまして、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
#100
○委員長(中野明君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、各案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#101
○安恒良一君 休憩前に私は十四条の雇用安定について大臣との間にいろんなやりとりをしたんですが、くどいようですが、私がここで強調したいのは、造船企業が企業の城下町を形成をしているわけです。それで設備が一部残ればいいんですが、場合によると全体が廃業という場合も起こり得るわけですね。そうしますと、そこの地域経済はもうこれは崩壊をしてしまうわけです。というのは、ほかに大した産業がないというところがたくさんあるわけですから。そうしますと、廃業した場合には、これに代替をする関連事業がその場で興らなければなりませんし、興ることが望ましいことは言うまでもないと思います。
 そこで、地域雇用開発もこれを意図しているというふうに私は思うんですが、本法の十四条の、雇用に対する企業の責任を強化して事業転換を義務づけるとか、新規事業の開発を担保させるとか、そういうものがないと、結局労働者は首切りをされ、そして地域経済は生き残れない、これが現実になるんじゃないか、こういうことを私は心配をするから、これを義務規定として、廃業する場合には、廃業は認めるかわり、そのかわり新しい事業転換や新規の事業をやれ、こういうことをやらないと、運輸大臣はこういうものは努力目標で努力させるとおっしゃいますが、私は、現実は残念ながら、今日の日本の経済全体を考えると、地域経済自体が崩壊をしてしまうんじゃないかということを実は本当に心から心配をしているんです。でありますから、このことを、これもまた答弁を聞きましても、それは恐らく努力目標で努力させるということになると思いますから、この点を申し上げておきたいと思います。もしもこれが条文修正で義務づけなんかできないというならば、ぜひそういう強力な指導をしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#102
○政府委員(間野忠君) できるだけ努力いたしまして、そういう事態が起こらないように努力するわけでございますけれども、先生がおっしゃいましたように雇用の問題は非常に重要でございますので、できるだけの努力をしてまいりたいと考えております。
#103
○安恒良一君 大臣に聞いているんだ、大臣に。局長はすぐかわるからだめだ。
#104
○国務大臣(橋本龍太郎君) 局長よりも大臣の方がさっさとかわるのがこのごろでございますけれども、これは本当に全力を挙げて努力をしなければなりません。首になりましても後任者にもそのとおり伝えます。
#105
○安恒良一君 そこで、これもちょっと大臣にお聞きしたいんですが、内需振興ということが非常に今問題になっています。きょう午前中の青木委員とのやりとりの中で、公共事業費、一般会計では前年に比べてマイナス二・三%ですね。それを一般、公共それから財投、地方の努力含めて五・二%になっていますが、本当にこの数字で内需が大きく拡大をするのでしょうか。私は、現状では大変無理があるというふうに思いますが、大臣どうですか、この点は。
#106
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは現在、政府の立場として、国会に本年度予算案について御審議をお願いいたしておる最中であります。私どもとすれば、まず本年度予算案のできるだけ早い可決成立をお願い申し上げ、その予算を駆使して最善を尽くし、足らざるところをその後において補うということが基本の考え方であろうと思います。
 ただ現実問題として、既に総理初め、この予算の成立後における内需の新たな拡大策というものを考え始め、また、そうした作業を示唆しておられるような状況がございますので、その辺でお察しをいただきたいと思います。
#107
○安恒良一君 私は予算委員でもありますから、いずれ本予算のところで関係大臣との岡にこのことをまた論争をしたいと思いますから、これぐらいにとどめておきます。
 そこで、全体のことを言えないなら、運輸省が関係している民活三法がありますね。民間都市開発、民間リゾート、民間能力の活用、こういうことをいろいろ民活三法と運輸省として言っていますが、これらの具体策は何でしょうか。それからどの程度の効果がこれで出てくるのでしょうか。具体策と効果について、民活三法がいわゆる内需拡大に及ぼす影響ですね、そういうもの等についても定量的を含めてちょっと答えてください。
#108
○政府委員(藤野愼吾君) 午前中、青木先生の御議論の中でもちょっとお受けしたところでございますが、お話のように昨年、民活法の制定をお願いし、それから今国会では今おっしゃった民活三法の新たな制定ないしは追加、改正をお願いしようとしておるところでございます。
 御案内のように、この民活三法の基本的な仕組みは、公共事業とそれから民間事業とがいい提携をとりながらプロジェクトを進める。そして、その民間プロジェクトが極力円滑に進むように、税の軽減措置なり、それから財投の援助措置なりというものを使って進めようというものでございます。港湾では、港湾に対する新たな要請にこたえるという観点から、業務用ビルだとかあるいはまたレクリエーションだとか、また国際交流のための施設だとか、またけさほども触れましたテレポートといったふうなものを担当の業務内容としようといたしております。
 このプロジェクトの規模でありますが、なお新しい法律ができ、今後新たなプロジェクトファインディングをやっていくという余地が十分にありますので相当に変化するものではないかと思いますが、当面この五カ年間ぐらいでは一千億ぐらいのものかなというふうに見込んでおります。なお、ことし一年間ぐらいでいきますと、大体目の前百億ないし百二十億ぐらいのものになるかなと、かような見通しを立てておるところでございます。
 るる先ほど来御議論がありますように、雇用効果その他との絡みにおいて定量的に議論することがなかなか難しい問題ではありますが、そういった規模の拡大を含めての効果を発揮するよう、新たなプロジェクトファインディングと同時に、これらの事業の推進に努力をしていきたい、かように考えております。
#109
○安恒良一君 五年間で一千億程度ということで、今年はせいぜい百億か百二十億程度だろうということ、これもだろうであって、まだまだ計画が具体化されていませんね。かなり抽象的ですね。項目を挙げろと言えばすぐ挙げられますが、年次別にどういうふうにやっていくかということは全然まだないわけですね、率直に言って。午前中の青木さんのやりとりを聞きましても、私がお聞きしましてもそうだと思う。ですから、私は民活ということは決して否定をしませんが、民活だけで糊塗してはいけないと思うんです。やはりこういう時代には、官庁が主導権を握って不況地域の救済対策を根本的に考えるということが必要だ。そういうためのプロジェクトが必要だと思う。
 一つの例を挙げますとね、大臣、今造船業があるたくさんの地域の地形を見ますと、かなり港湾が入り組んでいるような地形が多いんですね。そうしますと、そういうところでは、地域交通のことを考えますと、橋やそれからトンネル等を積極的につくる、それから人工地盤をつくる等々、今造船業の持っている技術を生かすためのプロジェクトをつくり出そうと思えばつくり出せるし、またそういうことをすることが国民のためにもこれはなるわけですね。ですから私は、そういうようなところを、大臣みずからも、民活と同時に積極的に今の造船の技術を生かしたそういうプロジェクトを運輸省みずからが提起をしてつくり出すと。それで関係省と話し合いをして、どんどんそういう工事に入っていくということがいわゆる造船の技術を生かすことにもなるし、またそこの地域労働者の雇用も生かすことになると思いますが、どうですか。この点については午前中も青木さんからも言われましたように、今の閣僚の中では大物中の大物ですから、少し前向きにそういう積極的な提起はございませんか。
#110
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうど委員御承知の長島への架橋のようなものが、これはまさに造船重機の能力を使わせていただいたプロジェクトの一つであります。こうしたものについては、これからも努力を払いたいと思います。
#111
○安恒良一君 どうぞ大臣以下運輸省の関係局で、運輸省も政策官庁になった省ですから、私は積極的にその需要を創設する、こういう観点から民活についても取り組んでもらいたいということを申し上げておきます。
 そこで、いろいろ申し上げましたが、これは衆議院でも議論になったわけでありますが、第三条で、運輸大臣が基本方針を策定する際に、政令で定める審議会の意見を聞くということになっていますね。私は、これでは不十分だと思いまして、やはり事前に関係自治体それから商工会議所などの関係団体の意見を広く聞くべきではないだろうか。私たちもこの前大臣のところに要請に行ったときに申し上げましたように、富山なら富山に行ったときには、そこの地元の商工会議所であるとか県、市等々の意見を十分聞いてまいりました。そのことは非常に私はいいことだと、そういうふうに思いますが、この点はどうなんでしょうか。
 それから、その次は第五条の実施計画の策定に当たりまして、第二項に、事業者の実施計画の記載事項で最も重要な失業予防等の雇用安定に資する措置、こういうものがどうも欠落をしているんじゃないでしょうか。この明記とともに、この実施計画に関する当該労働組合との協定及び関係自治団体の意見書、こういうものをやはり実施計画の認定に当たっては十分見た上でやるということが私は必要ではないだろうかと思いますが、以上の二つの点についてお考えを聞かせてください。
#112
○政府委員(間野忠君) 基本指針の策定に当たりましては、海運造船合理化審議会に恐らくなると思うんですが、政令で定める審議会の意見を聞くということで、この審議会に組合初めいろいろな方が参加しておられるわけで、広く意見を承ることになると思います。
 御指摘の関係自治体でございますけれども、従来から造船関係の都道府県連絡会議でございますとか市町村連絡会議というものがございまして、そこを通じていろいろ御意見も承っておりますので、我々は今後もこういう場を通じまして御意見を承ってまいりたいというふうに考えております。
 また、実施計画につきまして、失業の予防というようなことに触れていないということでございますが、これは実施計画が出てまいりましたときに基本指針に照らしてその考え方にのっとっておるかどうかということを運輸大臣が調べるわけでございますけれども、基本指針の策定に当たりましてこういったことを加味してやるように法律でもなっておりますので、当然のことながら実施計画を認定する際にも、失業の予防でありますとか、雇用の安定に対して十分配慮されたものになっておるだろうということは担保されておるというふうに考えております。
 また、その企業が実施計画をつくります際には、当然組合の意見を聞くということになっておりますし、関係都道府県につきましては別途運輸大臣に意見を申し述べることができるというふうな規定がございますので、こういった方々の意見を聞くことができるというふうに考えております。
#113
○安恒良一君 私が言っている趣旨についてはわかったと思います。なかなかこれ簡単に――条文修正ということになるとまたこれ与野党で大変な議論になりますから、私はやっぱり具体的運営の中で今言ったようなことは極めて必要なことだと思いますから、そのことを重ねて申し上げます。
 そこで今度は質問ですが、同じく第五条の三項で、運輸大臣が実施計画を認定する基準として「関連事業者の利益を不当に害する」もの、「従業員の地位を不当に害するもの」と、こういうふうに抽象的に書いてありますね、これ。だからこの中身ですが、私は中身は例えば雇用の削減とか労働条件の引き下げとか、それから事業の縮小、閉鎖等、こういうようなものがここにそういう表現でされているのかなと、こういうふうに思いますが、これ極めて抽象的なものですから、その中身についてどういうことを考えられてこういう表現にされたのか。「従業員の地位を不当に害するもの」とか「関連事業者の利益を不当に害する」ものと、こういう表現にこれがなっていますから、私は今言ったようなことではないだろうかと思うんですが、その点はどうですか。
#114
○政府委員(間野忠君) 関連事業者に対して全く影響が及ばないような形での事業の縮小あるいは設備の処理ということは非常に難しいと存じます。そういったことで、ある程度の影響が及ぶことは避けられないわけでありますが、それが過度なことにならないように注意して実施計画を策定し、我々も認定する際にはそういった点を考えなければならないということでございまして、従業員に対する配慮も全く同様の趣旨であると考えます。
#115
○安恒良一君 いや、僕が聞いているのは、こういう表現をされているが、今その表現をここで変えると言っているわけじゃなくて、その具体的な中身は例えば雇用の削減問題であるとか労働条件の引き下げの問題であるとか事業の縮小、閉鎖等々、そういうようなことをこれは指して、そして表現としては「関連事業者の利益を不当に害する」もの、「従業員の地位を不当に害するもの」と、こういう表現にして、しかし実施計画を認定するときに、やはり大臣は今私が申し上げたようなことを十分お考えになっておやりになるんだろうと思って中身はどうですかと、こう聞いている。私は、大臣は恐らくそういうことを十分お考えになっておやりになるのが当たり前だと思うんだが、その点はどうですかと聞いているんです。どうですか大臣。
#116
○国務大臣(橋本龍太郎君) そのとおりです。
#117
○安恒良一君 そのとおりですね。それでは特定船舶の方はこれで終わりまして次に参ります。
 次は、外航船の問題についてお聞きをしたいのであります。
 これも時間が限定をされておりますから、昨日衆議院でこの法案の審議のときに同僚議員がいろんなことを聞いております。例えば外航海運の危機の原因であるとか、円高の及ぼす影響、さらに今後の見通し、それから今日までの政府の施策並びに政府のこれに対する責任等々について同僚議員が詳しく聞いておりますので、私も実はそういう問題もお聞きをしたいと思っておりましたが、これはきのうのきょうでダブりますから、それらは一切きのうのやりとりにゆだねることにいたしまして、具体的な中身について少しお聞きをしたいと思います。
 そこで、まず一つの問題といたしまして仕組み船の問題について少しお聞きをしたいんでありますが、日本が受益船主で、そして便宜籍を他国に置いている、これを私たちは仕組み船と呼んでいるんですが、これは何隻ぐらいあるんでしょうか、まずそれを聞かしてください。
#118
○政府委員(塩田澄夫君) お答えを申し上げます。
 仕組み船につきましては、その実質的な船主を判定することが非常に難しいという問題がございまして、大変残念なことでございますが、その船腹量を私どもは正確には把握をしておりません。ただ運輸省で仕組み船の関係の調査をときどきしておりますが、昨年、六十一年の年央現在の大手六社の仕組み船につきまして、大手六社から調べましたところによりますと百七隻、三百十一万総トンという報告を受けております。
#119
○安恒良一君 調査が難しいと言われますけれども、臨時船舶建造調整法の第二条によりまして二千五百総トン数以上の船舶を建造する場合は、造船業者は着工前に運輸大臣の許可を要することにこの法律はなっておりますね。その観点から私はある程度わかるんじゃないかと思うんですが、今あなたがおっしゃったような数字じゃないんじゃないだろうか。私はこれは組合の調査で聞いたんですが、約千五百隻ある、こういうふうに言っているんですが、あなたの言われた数字と――あなたは去年のだけ言われたと思いますけれども、ちょっとかけ離れていますが、仕組み船というものが日本にどのくらいあるのか、何隻であるのかというものをもう少し明確に答えてくれませんか。でないとちょっと話がかみ合いませんね、これは。
#120
○政府委員(塩田澄夫君) 仕組み船につきましては先ほど先生が定義なさいました仕組み船、正確に申しますと、仕組み船というのは便宜置籍船と同じではございませんで、便宜置籍船の一部でございます。それで、仕組み船というのは日本の船会社が外国にペーパーカンパニーをつくって、それでもう一度そのペーパーカンパニーから日本の造船所に発注をして、でき上がった船は外国に籍は置きますが、日本の船会社が実質的に使うというものを仕組み船と申します。
 このほかに便宜置籍船という船は、これは日本に限りませんけれども、日本その他の主として先進国の船会社が便宜籍を自国に置きませんで、外国に置籍をして実質的に使う船、もう少し範囲が広いんでございますが、先生の御質問は仕組み船ということでございましたので、私どもが責任を持ってお答えできる範囲は大手の六社がやっております仕組み船はどうかということで先ほどお答えいたしましたように百七隻、三百十一万総トンと、これはそのときどきで当然数字は変わりますが昨年の年央でそういう数字は正確な数字として申し上げられるということでございます。
 あと、千五百隻と今御指摘がございましたが、このような数字につきましては私どもはいろいろな数字からある程度の推察をするということは不可能ではございませんけれども、このような公の場で私どもが運輸省の資料として申し上げられる数字は残念ながら手元にないわけでございます。
#121
○安恒良一君 それじゃこの点はぜひ調査をしてもらいたいと思うのです。調査を要求しておきます。私はこれから論争に入っていきますが、これは今回だけで終わる問題じゃありませんから、私はぜひこういう船がどれだけあるのかということは調査をしてもらいたい。なぜかというと、私はこのやり方いかんによると日本の商船隊自体が壊滅をするんじゃないかという心配をするものですから、日本は御承知のように貿易立国、四万を海に囲まれていますから日本の商船隊の確立というのは国のセキュリティーの観点から考えても私は重要だと思うのですね。これは前にも三塚さんとの間にやりとりをしたこともありますし、それはそのとおりだと。日本の安全ということから考えても日本の商船隊というものはどうしても確立する必要があるということは前大臣とも乱やりとりをしたことを覚えていますから、ですからその意味から言ってこのような仕組み船、それからいわゆるあなたが仕組み船を二つに厳格にお分けになりましたが、私はそのいわゆる日本が受益をする船主であってそして便宜籍を置いている船、そういう意味で仕組み船というふうにこれを一つにして言ったわけですが、ぜひ調査をしてもらいたいということを申し上げておきます。
 そこで今度は少しその中身について聞きますが、日本の船舶で日本人の専属雇用の場合の船員のコストはどのくらいになっているでしょうか。それから受け皿機構で乗船する場合の船員の費用のコストはどのくらいになっていますか。それから仕組み船に配乗して乗っています外国人の船費コストはどのくらいになっていますか。これお答えください。
#122
○政府委員(増田信雄君) お答え申し上げます。
 各国の労働の雇用の形態あるいは労働の賃金体系あるいは社会保障のあり方というものが違っておりますので、外国とストレートに単純に船員費を比較するということは非常に難しい点がございます。しかしあえて一定の前提条件をつけまして計算をいたしてみますと、大体二十二名から二十四名ぐらいの船員が乗っております一般の貨物ということで計算をいたしてみますと船主が支払う船員費、つまり受け取りじゃございませんで船主が支払う船員費という見方をいたしまして常用の雇用形態の場合、日本人船員の場合は約一隻一年間で三億円弱でございます。今おっしゃいましたいわゆる受け皿機構、これは期間雇用が原則になるかと思います。期間雇用で計算いたしますと一億円強でございます。それから外国の仕組み船といいましょうか、便宜置籍船といいましょうか、それに開発途上国の方々がお乗りになっていると、フル配乗でお乗りになっているという前提で計算いたしますとおおよそ五千万ということでございます。
#123
○安恒良一君 大臣、ここのところよく今聞いておいていただきたいのですが、私の方でも定員二十名の場合には大体日本の船で日本人の船員を専属で年間通して乗せている場合は約三億円強ぐらいである。それから受け皿機構のいわゆる季節的にやりますと一億二千万から三千万程度ではないか。ですから余り数字食い違っていません。それから仕組み船に外国の人を乗せるという場合もコストがかなりダンピングが著しいものですから大体年間これは五、六千万円で上がる、こういうことですね。そこでこの問題はこれから議論をしていきますが、仕組み船にも日本の船員を乗せるということが今日の船員の雇用問題では重要な問題になっているわけですから、そうすると問題は仕組み船確保の方法としてはこのコストをどういうふうに埋めるかということが私は大問題になると思うんです。
 ですからこれは寄り寄りこれからそのコストの埋め方について私は私なりの意見を言いながらお聞きをしたいと思っていますが、まず仕組み船の現状についての認識は、船の数だけはまだわからぬとおっしゃいますからこれは調査してもらいたい。しかし、仕組み船におけるコスト問題ではそんなにあなたたちと私たちとの間に食い違いがないということがこれで明らかになったと思います。
 そこで次のこと、余剰船員問題について議論を進めていきたいと思いますが、日本の商船隊の規模と余剰問題ですね。日本の商船隊の規模、日本船と外国用船の比率はどういうふうになっておりますか。
#124
○政府委員(塩田澄夫君) 先ほど六十一年の年央の調査で仕組み船の数を申し上げましたけれども、同じときの調査で日本商船隊の全体の隻数が二千二百四十九隻、総トン数で約五千五百万トンでございます。これに対しまして日本船が九百五十七隻、総トン数で三千万トン強でございます。
#125
○安恒良一君 ちょっと私の聞き方が正確でなかったものですからこういうお答えになったと思いますが、五十六年の日本商船隊と外国商船隊の比率、その水準が一番新しい最近の例えば六十年中央でもいいですが、六十年でもいいですがその内容、船籍比率はどういうふうになっていますか。
#126
○政府委員(塩田澄夫君) 五十六年から日本商船隊におきます日本船の比率を総トン数で申し上げますと、五十六年が五六%、五十七年が五六%、五十八年が六〇%、五十九年が五八%、六十年が五四%になっております。六十一年央が五六%になっております。一%未満は四捨五入をいたしました。
#127
○安恒良一君 資料がちょっと食い違っているのかしれませんが、私の方で隻数では日本の船が大体五十六年と五十九年比べると約四九から四二に減っている。それから重量トン数では五五から五三%に大体落ちているんじゃないかと、こういうふうに思っています。だけれどもこれは私は組合の方から資料をいただいたのを中心にこれは申し上げていますからそんなに余り食い違いはないだろうと思うんですが、私の言っているのはこれはあれでしょうか、五十六年が日本船は千百七十二隻、そして六十年が千二十八隻、外国用船が千二百三十二隻が千四百七隻にこうなっているんですが大体そんなものですか、これ。
#128
○政府委員(塩田澄夫君) 先生のおっしゃっている数字は正しいと思いますが、先ほど私申し上げましたのはトン数の方を申し上げました。トン数と隻数は若干食い違いがございますのは、全体として日本船で建造します船舶は大型の船が多い。それから、小さな船は相対的に人件費のウエートが大きいものですから、日本船として持ち切れなくなって外国船になるということでございますので、当然外国船の方が、便宜置籍船の方が相対的に隻数が多くなるわけでございます。
 そこで、先ほど先生がおっしゃいました、隻数としては五十六年と比較して四九%から四二%日本船が減ったというのはそういう意味でございまして、他方日本船の総トン数としましては、これはふえたり減ったりしておりまして、そのときのいろいろな状況を反映いたしまして、例えば利子補給を五十四年から三年間続けた後の日本船の建造量は当然ふえております。そういうふうに、そのときどきの状況を反映いたしましてふえたり減ったりしております。
#129
○安恒良一君 日本船だけ見ますと、重量トン数で五五から五三に落ちていますね、総重量トン数で見ますと。これ私資料がそんなに食い違いはないと思うからね、ですからいいですわ。
 そういう状況だということをまずお互いに認識をし合って、そこで今度は、陸上産業における余剰問題と船員の場合の余剰問題の相違点はどこにあるというふうにお考えでしょうか。同じ余剰という言葉を使う場合は、陸上産業における人員の余剰の場合と、いわゆる船員における余剰問題の相違、例えば鉄鋼とか造船等々、陸上の諸産業の余剰問題、それといわゆる一定の商船隊の中における余剰問題というのはどこに違いがあるというふうに大臣お考えになりますか。
#130
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはいろいろな言い方はあるかと思いますが、私なりに考えてみますと、一番大きな違いというものは船員の方々の持っておられるそれぞれの職分における資格というものが陸上において必ずしもそのままに通用しない。これは陸上の雇用問題と大きく食い違うポイントの一つである、そのように思います。
#131
○安恒良一君 いやいや大臣、そうじゃないんですよ。大臣はそういう御答弁ですが、結局私がお聞きしたかったのは、鉄鋼、造船等陸上の諸産業の余剰というのは、今日現在においては設備の削減ですね、それから事業規模の縮小、その結果から出てきているのが多いんですよね、圧倒的に。全部それとは言いませんが、今申し上げたように、設備の削減、例えば造船台なら台をつぶすとか、八基働いておった溶鉱炉を二基休ませるとか、そのかわり事業規模も、日本の年間一億二千万トンぐらいつくっていた粗鋼が八千とか九千になるわけですね。ところが船の場合は、世界的に見まして、そんなに日本なら日本の場合で船の数が減っているわけじゃないんですよ。船の数が余り減っていないんです。いわゆる余剰問題は船員の乗りかえ問題ですね。日本の船員の余剰はどういうことかというと、今私が前段に議論したように、安い外国の労働者を雇うという場合があるでしょう。ですから、私は陸上産業における余剰と海上における商船隊の中における余剰というのは根本的に違うんじゃないかと思う。単純にどちらも余っているということだけは余剰という言葉になりますが、本質がかなり違うんじゃないかと思いまして、そのことをお聞きしたいものですから大臣にお聞きしたんですが、難しいということなら局長どうですか、この問題。
#132
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かにちょっと素人の私には難しい質問ですが、私はむしろ余剰という点から他産業への転換という視点で問題をとらえましたので、資格の問題を一番の差異としてお答えを申し上げました。
 ただ、今、先ほどからの御論議の中で、最初に委員が提起をされましたように、船員費の比較で非常に大きな格差のあるという実態の中で、確かに外国人船員の雇用、また仕組み船、便宜置籍船というものの存在というもの、他産業との比較において違うという認識は持っております。
#133
○政府委員(塩田澄夫君) ただいま安恒委員から御指摘がございました点について私どもの見方を申し上げますと、まず世界全体で、日本だけではなくて今世界全体の傾向を申し上げますと、先ほど先生がお使いになりました造船の法律の資料の三十九ページをごらんいただきますと、「世界の海上荷動き量の推移」というのがございます。これで石油類五十四年、これが一応ピークに近いとお考えいただいていいですが、これを一〇〇にいたしますと六十年が五二%。これは六十一年度さらに減っておりますが、五十四年で比較しますと五二%に対しまして――三十九ページでございます。特定船舶製造業経営安定臨時措置法の参考資科……。それで石油類、これが非常に世界の海運不況の原因でございますけれども、五十四年に比べますと五二%になってしまっているわけです。それからドライカーゴ、乾貨物の方は、これは石炭が石油のかわりにふえております関係で一〇〇が一一〇というふうにふえておりますが、ふえているのは石炭関係だけで、ほかは横ばいないし減っております。
 そこで、これを反映いたしまして、世界の船腹量でございますが、石油につきましては、ここに数字が出ておりませんが、この五二%に対して、同じ年を、五十四年を一〇〇にしますと世界の船腹量は七七%になります。それから、同じように乾貨物の方は一一〇に対しまして一一八ということでございますが、石油の関係はそういうふうに船の量もかなり減っております。合計いたしますと、貨物が七五%に対して船としては横ばいでございます。
 そこで、その次に問題でございますのは、日本船として現在維持できも船というのは、先ほど先生が船の数字をお示しになりましたように、日本船の数は減っておりますが、日本船のトン数はそれほど減っておりませんで、したがいまして全体の船の中の日本船のウエートはトン数で見ますと大体何とか維持をしていると。これは一隻ごとが大きくなっているということでございます。
 他方、船にはいろんなタイプがございまして、例えば大型のタンカーが総トンで十万トン以上に対しまして、近海を航行します船舶は総トン数で三千トンとか四千トンでございますが、そういう船はこれは日本人を乗せて航行することは非常に難しくなっておりますので、こういう船には外国人を乗せるという傾向が出てくるわけでございます。
 そこで、船の労働市場が陸上と比べてどうかという先ほどの御質問に対しましては、私どもの見ておりますところでは、船の市場というのはそういう意味で船員の労働の移動の可能性が大きいということは申し上げられると思うんでございますが、そこに大型船については日本人の船員が働きやすい場があるかと思いますけれども、中小型の船舶に日本人を乗せるということが非常に難しいという状況がございます。それで、相対的に船の数が多いのはそういう中小型の船なものですから、そういう船に果たして日本人の船員がこれから配乗できるかどうかということは、そういう小さな中小型の船の運航によってどの程度の運賃が取れるかということに帰着するというふうに考えるわけでございます。
#134
○安恒良一君 いや、いろいろ言われていますが、またこれで世界の荷動きがどうだ、船がどうだと議論しておったら非常に長くなるけれども、あなたも言われたように、石油類は減っているけれども、片一方ほかの方がふえている、こういうような状況で見ると、それは若干の船の減ったというのもあると思いますが、私はやっぱり海上の余剰人員というのは一定の商船隊の中で乗組員の乗りかえが起こっているんじゃないかと思うんですね。それがやっぱり一番ですね。ところが、陸上の余剰というのは設備自体がなくなっちゃうんだから。溶鉱炉を八基あったやつを六基なら六基にしちゃうんですよ。造船だったら造船の総トン数を二〇%もう初めからやめちゃうんだから、それで余剰が出てくるわけで、それとはやっぱり、船乗りの今の余剰というのが、若干の船の減りもあるけれども、そう今言ったようにばさっと設備やめたからこれだけ余るというものと違うでしょうと。例えば今あなたがおっしゃったように、日本の船員よりも安い外国の人を使うという、これは船員同士の乗りかえなんだよね。そこが陸上の余剰と違うところでしょうということを聞いたわけですから、それはそのとおりだということじゃないですか。
#135
○政府委員(塩田澄夫君) 全体としては安恒委員がおっしゃるとおりでございます。
#136
○安恒良一君 それじゃそこは片づきました。
 そこで問題は、今言ったような状況の中で、仕組み船にやはり日本の船乗りが乗り組めるというようにしないとなかなか今日の問題は解決できないと思う。というのは、これは後から議論しますが、俗に言うおかに上がったかっぱという言葉がありますね、こんなこといいことか悪いことかわかりませんが、大臣もちょっと言われましたように、非常に船員さんをすぐ陸上に転換するといってもいろんな技術形態からいってなかなか難しいものがある。そういう場合に、今船員の過剰という問題の一つの大きい要素は、やはりこの仕組み船がどんどんふえる、そしてその仕組み船に対する乗組員が、いわゆる経済低開発国といいますか、未開発国の低賃金、低労働条件の人を乗せるというところに問題があるわけですから、これを私は何とかしない限りはなかなかいわゆる船員の皆さん方の雇用問題というのは解決ができないだろうと思うのです。
 そこで、少し議論を進めていきたいのですが、仕組み船にいわゆる乗り組めるようにするためには、まず一定率の日本人船員の配乗を前提としたそういう船の税制上の優遇措置はとれないものかどうかと。それから今度は、船舶等への課税を基金とした雇用安定のための雇用促進基金的な施策はとれないものかどうかと。この点について局長どうお考えになりますか。
#137
○政府委員(塩田澄夫君) 便宜置籍船、仕組み船を通じまして、これらの外国船にどのような船員を配乗させるかという問題につきましては、基本的には外国の法律が適用になる建前でございます。したがいまして、これを日本の制度として、仕組み船に日本人を乗り組ませるということを制度としてこれを推進していくということは非常に困難を伴うものと考えられます。具体的に今御指摘になりました税制上の優遇措置あるいは船舶自体に対する課税について、日本人がそれに乗船しているからという理由でこれを優遇するということにつきましては、諸外国との関係でいろいろ問題を起こすというふうに考えられます。
#138
○安恒良一君 それならあなたたちは、こういう傾向がどんどんふえてくると、日本の船主がお金を出して船をつくって、それを外国に登録をする、そしてその船には外国の人を乗せる、コスト上安いから乗せる等々でどんどんいって日本の商船隊の確保というのはできるというふうにお考えですか。それともそれでいいというお考えでしょうか。そうでなければ、今言ったような傾向にどのようにして歯どめをおかけになるつもりですか。その考え方をお聞きしたい。
 私は、まず、前大臣とも議論し合ったように、日本は貿易立国である、四万全部海に取り囲まれている、だから日本の商船隊、日本人の船員が乗った商船隊というのはきちっとして、国に必要なものはきちっと持っておかなきゃいかぬ、これが国の安全保障の一つの大きな基本方針だろうと思うんです。その意味からいってあなたたちはこの仕組み船をどういうふうに将来されようとするんですか。現在の政策、もしくは中期的な課題等々について、仕組み船の規制についてどういうふうにすればいいとお考えですか。
#139
○政府委員(塩田澄夫君) 仕組み船の規制自体につきましては、ただいま申し上げましたように国際的な問題、外国法の適用の問題、その他いろいろ問題がございまして非常に困難な問題でございますが、日本の海運企業は、海運企業としまして日本人船員を維持することは非常に重要なことであるという認識をしておりましてこれまでできる限り日本人船員を配乗させるように努力をしてまいってきたと思います。
 これからのことでございますが、日本人船員につきましては、これは船を利用する荷主からも安全性、確実性、信頼性、運航技術の優秀性、その他の面で高く評価されているわけでございまして、このような評価をしていただける限りにおいて日本人船員の職場は確保されるわけでございます。したがいまして、これからはこれらのすぐれた点をできるだけ生かしながら労使が協力をして、他方、国のサイドとしましても船員制度の近代化を一層推進するとか、その他運航コストの低減にあらゆる努力を行うことによって日本人が配乗される日本船を維持していく必要があると考えております。国の政策といたしましては、前向きの施策としましては競争力のある近代化船の整備が促進されるように、長期低利の財政資金の確保と、日本船の建造についてだけ認められる税制上の措置等によってこのような努力が実を結ぶように環境整備に努めているわけでございます。
#140
○安恒良一君 あなたが言われた、やや抽象的なことで、日本の船員が優秀だから日本の船員がどんどん乗れるじゃないかということだけで仕組み船問題は解決できないんじゃないでしょうか。私が前段においていわゆる仕組み船に日本船員が乗った場合、受け皿の場合、それから外国の人を乗せた場合のコストの点を申し上げましたね。あれだけコストが違うんですからね。それを承知の上であなたはそういうことを白々しく言っているんですか。やっぱり資本主義社会ですから、コストが余り違うと、そこのところを埋めないまま優秀だ、勤勉だ、だから心配ないよと、こんな子供だましのことを言っていてはだめだと思うんですよ、子供だましのことを言っては。それがために私は前段にまずコストをずっと聞いてきたわけですから。だからそんな優秀だ、勤勉だという――これは非常にいいことですよ、日本人は優秀であるし勤勉。しかし、それだけでは片づかぬのじゃないですか。だからそうなれば外国の船主も全部日本の人を乗せてくれるかといったらそれは必ずしも乗せてくれないですよね、そうでしょう。それで日本人の船主が日本人を当然乗せるだろうと、あなたの論理で言ったら乗せるだろうと思うのが乗せないんですから、あなたは大きいこまいでえり分けていましたけれども。それが今日の海運の船員の失業に大きくつながっているというのは現実の姿じゃないですか。それと同時に非常に今海運市況が低迷していますね。それのやっぱり根本的な原因はどこにあるかというと、いわゆる仕組み船というものが無秩序、無規則に建造され、運搬されている。ここに一つは海運のやっぱり混乱が今日あるというふうに私は思うんです。ですから、こういうものに対する規制導入ということを考えなきゃいけない。それをあなたは、もう簡単にそれは規制はできないんだということだけで、本当に日本の商船隊を守り通せるんだろうか、優秀な日本人が乗った船、それの商船隊ということで守り通せるんだろうかということを考えますと、やはりまず仕組み船の実態を調査する、私は調査してもらいたいということ。そしてこれを公表する、難しいでしょうが、調査して公表する。そして規制について何か明確な基準を設けるということで前向きに検討するところに来ているんじゃないでしょうか。今あなたのように、日本人は優秀だから大丈夫だ大丈夫だ、規制はなかなか国際的な関係があるからできませんできませんということで言っておったら、大臣、私はこれ大変なことになると思いますね。だから、今すぐこういうことをする、ああいうことをするというのは、国際的なこともあるでしょうからなかなか言いにくいかもわかりませんが、少なくとも今の無秩序、無規則のこの状態についてメスを入れるためには、規制について明確なやっぱり基準を持つ、そういうことについて運輸省は積極的に前向きに検討開始をしなきゃならぬところにもう来ていると思うんですが、その点どうですか。
#141
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今局長と委員のやりとりを聞きながら、気持ちとすると私も同じような感じが安恒さんとするな。しかし、現実に各国との交渉、殊に、この経済問題を踏まえての交渉の過程において、言うべくして報復措置を招く危険性の極めて大きい措置だなという感じを強く持っております。と同時に、もう一つは、仮に割高の船になりました場合に、荷主がその船を選んでくれるかという問題がどうしてもやはり脳裏を去りません。
 そして、そういう中で本当に私どもはこれは地道な努力を一つずつ積み重ねる以外にないわけですが、昨日も申し上げましたのは、少なくとも他国に負けない優秀な船をそろえること。同時に、その非価格競争力を十分に持つ日本人船員の優秀性の発揮し得る船を与えること。同時に、大変地味な話ですけれども、部員の職員化等を地道に続けること。こういった努力を一つずつ積み重ねていく以外に、この場ではっと言えるような対応策というものはなかなかないんじゃないだろうか。そういう実感を深くしております。
#142
○安恒良一君 いま少しこれちょっと議論を深めなきゃならぬと思うんですが、まず、局長もあなたも言われました、この近代化船の建造というのも私は重要な課題だと、そのことは私は意見としてある。しかし、その場合でも、この五十九年の海造審の答申の中で、近代化船三百五十隻をこれは六十五年を目標にする、こういうことが言われておるんですが、具体的なその手段、達成は本当に可能なのか。それはなぜかというと、昨年の八月、船主協会は円高による競争力の低下を理由に三百五十隻達成は困難だと、こういうことを言っていますね。ですから、一つの方策としては能率のいい近代化船をつくることによってということを局長も答えられているし、大臣も言われたんですが、私はそのことを否定するものではありませんが、今日の円高によるこの競争力低下を理由に船主自体がそれはとても不可能だと、こんなことを言っているんですが、ここのところはどうされるつもりですか。
#143
○政府委員(塩田澄夫君) 海運造船合理化審議会の中間答申で、昭和六十五年度を目標にしまして三百五十隻程度の近代化船をつくることを目標にしたことは確かにございます。ただ、このときも三百五十隻、トン数で近代化船の建造量千五百万トン程度だと思いますが、一年に割りますと約二百五十万トンでございました。最近の船舶の建造量を見ますと大体その程度の船舶はできているわけでございまして、この中で半分程度は計画造船でできているという状況がございます。したがいまして、海造審で見通していたような形で船はある程度はできております。他方、世界の荷動きは、先ほども申しましたようにタンカーを中心にどんどん減っているという傾向もございますので、この点についてはさらに私どもも再検討が必要だと考えますけれども、やはり大型船で近代化船であればまだ船はできるというふうに考えております。
#144
○安恒良一君 大型タンカーの場合、日本の近代化船と外国船の対比では、十年間の要改修額はどの程度差があると思われますか。
#145
○政府委員(増田信雄君) いろいろな条件の設定がございますが、大体近代化船が在来のものよりも設備投資が二億ぐらい高いという前提で考えますと、おおよそれ%から一〇%ぐらい割高なコストになると計算いたしております。
#146
○安恒良一君 外国船の方が要改修額は低いんじゃないですか。その点はどうですか。
#147
○政府委員(増田信雄君) おっしゃるとおりでございます。
#148
○安恒良一君 そうしますと、そういう状況の中で今言われたように三百五十隻、総トン数でも大型化で進んでいるというが、一方、船主の諸君は去年の八月では円高による競争力の低下を理由にこれは難しい、こう言っている。あなたは単年度とらえて去年からことし見ると大体六十五年はいきそうだと、こう言っている。しかし、今言ったように、大型タンカ−の近代化船の場合でも外国の船との間に要改修額に格差がある。こういう現実の中では、私はやはり何としても必要なことは、例えば開発銀行の融資の比率、これをやっぱりある程度下げなけりゃなかなか太刀打ちが、競争ができないんじゃないか。ですから、例えば金利を二%程度引き下げると外国船と日本の大型近代化船がほぼ同じような競争力が確保できるというふうに専門家の分野では言われているんですが、そういうことについてはどう考えられますか。
#149
○政府委員(塩田澄夫君) 日本開発銀行の計画造船融資の利子は、現在、資金運用部資金を原資にしておりますけれども、ほとんどそこにマージンはございませんので、これ以下に金利を下げる場合にはこれは国の一般会計から補てんをしなければならないというふうに考えます。現在の財政事情におきましては、私どもとしては非常に難しい課題ではないかと考えております。
#150
○安恒良一君 いやいや、難しいとか難しくないじゃなくて、少なくともやはり今申し上げたように金利をある程度、二%ぐらい下げないと外国船と日本船が同じような競争力を持つことにならないんじゃないでしょうかということです。それならそれが一致して、今度は今すぐ下げられるか下げられぬかということについては、あなたは難しいとか難しくないという御意見あると思いますけれども、これは近代化船の建造促進ということについてはお互いが意見が一致した、さてそれをつくるに当たっていわゆる金利差の問題等いろいろ、それから外国船との問題等の関係から考えますと、私は同じような同一競争力を持たせるようにしないとなかなか近代化船をどんどんつくるということにもならぬと思うから、その意味からいうと、少なくとも今さっき私が申し上げましたように要改修額の差、これを埋めるためには、一つはやっぱり金利を下げるということですね。それから一つは定員を減らすという場合もありますよ。定員を減らすことも金利の差を減らすこともありますが、しかし私は、少なくとも今の開銀の融資比率を、例えば二%下げたという仮定で計算してみますと、同じような競争力を持つことになるんですよ。
 ですから、そういうことについてどうかということを考えているのであって、そのことはそうだ、しかしながら今の我が国の金融政策でということになればまたそちらに論争していったらいいんですが、あなたはとにかく難しいという話だけ先にするわけですからね。難しいという話じゃなく、今ここではどうしたら日本の商船隊を近代化できるかという議論をお互いがしておるんですからね。難しいと大蔵大臣のようなことを言ったらいかぬわね、運輸省の局長でしょう、あなたは。どうしたら日本の商船隊を維持できるのか、近代化できるのかと。あなたや海造審が言っているように、いわゆる昭和六十五年までに近代化船を三百五十隻ぐらい持つことが必要だということは意見が一致しているんだから、それを達成する方法であって、そして難しいという話は大蔵省が言えばいいんです、あなたが言うことはないんです。そこはどうですか。
#151
○政府委員(塩田澄夫君) 御指摘のように、大型船につきましては、設備投資が非常に大きいわけですかう、その金利が非常に重要な要素であることはおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、日本のタンカーが、日本人船員を乗せる日本船でタンカーが今現在できております。これはなぜできるかといえば、多分その建造費は高いであろうと思いますけれども、やはり日本人が乗ったタンカーのサービスがいいということで、日本あるいは世界の荷主がこの日本船を使ってくれるということでございますので、やはり日本人船員が乗る日本船というものは今後とも、そのコストとともにそのサービスがいいという面がなければやっていけないのであろうと思います。そのコストの関係で、確かに利子が下がればその分だけ楽になるということは御指摘のとおりだと思います。
#152
○安恒良一君 大臣、本人は大臣でもないのに何か大臣みたいなことでいろんなことを言っていますけれども、私は、この近代化船の建造促進のために、やはり今の金利体系の中で大蔵省あたりからいろいろ――それはそれ以上下げると政府支出が要るからどうだというのはこれは大蔵の弁であって、私は、運輸省としては、少なくとも近代化船を三百五十隻ぐらい、六十五年までに非常に能率のいい船をつくる、そのことが日本の商船隊を確保する道であるということになれば、その方向に向けて努力をされてしかるべきじゃないか。努力をしたけれども、ことしは難しかったからまた来年やろうとか、いろいろこれはあると思いますよ。これはあると思いますけれども、何か知らぬけれども、運輸省自体が大蔵省と同じような考え方を持っておったらたまったものじゃないですね。近代化船の問題は絵にかいたもちにしかならぬのじゃないですか。だから、少し運輸省は運輸省らしいいろんな努力を同じ政府の中においてもされてしかるべきだと思うんですが、そこらはどうなんですか。
#153
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、それは金利が安ければ安いほど競争力が強くなるということは私も否定をするものではありません。
 ただ、現実に、現在の融資条件のもとで建造をされ、現に運航している船、たまたま委員と局長の間ではタンカーを例示で挙げられましたけれども、LNG船あるいはコンテナ船等完全に国際競争力を現在の円高の波の中においても有しております。
 そうすると私は、この条件が、もっと軽減できればそれにこしたことはないという気持ちはございますけれども、政府全体の中で考えてまいりまして、そう船主の方々に無理な条件を押しつけているものだ、そして建造に対する意欲を喪失させるものだとは考えておりません。むしろ、その意味におきましては、現実の世界的な荷動きの減少の中でどうやって日本船のシェアを高めていくかということになりますと、まさに現時点においても十分な競争力を有しているいわば付加価値の高い船においての競争を考えていく時代ではなかろうか、そのような感じ方をいたしております。
#154
○安恒良一君 これもいろいろ議論したあれですけれども、何も私がこう言っているわけじゃないんですよ。
 この海造審の答申の中に、「我が国商船隊の意義等」というところを読みますと、「国としても、近代化船を中心とした船舶建造についての長期低利資金の確保、企業基盤の確立と船舶建造の促進を図るための税制上の措置等により、このような努力が実を結ぶような環境整備に努める」べきであるとここにも書いてあるんですからね。
 ですから、私はそんなことを含めてさらに完全に相手側との競争力を持つためにも、今の金利体系、いろいろあるだろうが、そういう方向の努力もしてもらいたいと思うからこれは聞いているだけの話です。ですから、そこのところは何も私が特別の新たなことを言っているわけでも何でもないんですよ。私は、ここに海造審小委員会の答申の文書を持ってきて、それを見ながら、それにも書いてあるから二%ぐらい下げると、計算してみると本当に競争力を保てると思うから、そういう努力をしてもらいたいなと思って言っているわけですから、前向きに努力するなら努力するぐらい言ってもいいことだと思いますよ、それは。そして、一生懸命やってもらわなきゃ――やっぱりこれはだれかこういうのを、野党が言わないとなかなかやりにくいでしょう、皆さんも。我々が言うと、後は、努力しますと答えたら、今度は運輸省と大蔵省の話し合いのときにやりやすいわけですからね。だから、私はあなたたちの立場を考えながら、この答申にもそういうことを書いてあるから、その方向に努力はできないんですかと言うのに、何か知らぬけれども大蔵省の前に立ちはだかってこっちの方に向いてきたらいかぬと思うのですが、どうですか。
#155
○国務大臣(橋本龍太郎君) 御支援は心から感謝をいたします。
 そしてむしろ、そういう海造審の答申等々を受けて今最優遇金利を受けておるわけでありますし、また、融資比率にしましても超省力化船につきまして六〇%という融資比率を確保してきたということでもあります。融資期間が三年据え置きの込みで十三年という条件にしましても、我々としては最善を尽くしてきたつもりでありますが、金利水準が変わればもっと私どもの努力をする余地も出るでありましょう。
#156
○安恒良一君 ひとつそういうしとを私は強く要望しておきますから、そういうことの議論を踏まえて今後も御努力を願いたいということにこの問題はしておきます。
 それからその次の問題はナショナルミニマムの設定という問題なんですが、これも「今後における我が国商船隊の構成、規模等については、ナショナル・ミニマムの設定の問題をも含め、我が国経済社会が現在急速な構造文化の過程にあることから、」云々ということで、このナショナルミニマムの設定問題についても引き続いて検討しろというふうに私はこの文章から読み取れるわけです。
 ですから、この点については衆議院のやりとりの中ではなかなかここがはっきりしなかったらしいんですが、私はやっぱりこの文章のとおりに素直に読んで、「今後における我が国商船隊の」云々等、ナショナルミニマムの設定問題も含め引き続いてやはり検討をする必要があると思いますが、その点どうですか。
#157
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、ナショナルミニマムの設定というその目標そのものについて異論を申し上げるつもりはございません。ただ、昨日の衆議院における御論議は、現時点においてナショナルミニマムの設定を求められましたものですから、こういう条件の悪いときにその条件の悪い状況を踏まえたナショナルミニマムの設定というものは国益に反する、また同時に、こういう状況の中におきましても相当量の荷さばきを確保しておる部分についてそれが逆に抑えられる結果を場合によっては生じかねない。もう少し状況がよくなってからナショナルミニマムの設定というものは考えた方が有利だと、そういう視点から昨日私は否定的な御答弁を申し上げました。
 今委員の御指摘のように、中長期的な目標としてこうしたものを考えていくということは、私は必要なことの一つであろうと思います。
#158
○安恒良一君 わかりました。
 それじゃ、やっぱり中長期的課題として引き続いて検討をしてもらいたいと思います。
 そこで、最後に一つ確認をしておきたいんですが、いろいろやりとりしましたが、日本の国民経済の安定上、日本船と日本人の船員の重要性はあなたたちは否定しなかったと、肯定されたと思われますが、どうでしょうか。そして、それが今後日本の政府の施策のスタンスと理解をしていいと思いますが、どうでしょうか。この点について明確な御答弁をください。
#159
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは四万を海に囲まれている国として、自国の商船隊を持ち続けなければならない。また、その商船隊を支えるだけの造船の能力を確保しなければならないと考えております。その点において委員の御指摘に異論はありません。
#160
○安恒良一君 それでは次、保利子補給の法案の中身についてちょっと一、二点お聞きをしておきたいことがありますが、まあこれは五十七年度以来船主負担を繰り延べをしてきていると、そしてそれがまあ二百二十八億を、開銀より利子補給対象額を支払うという制度を設けるということになっていますが、これは本来国が支払う約束をほごにして、海運業者という民間の私企業に負担を任せてきたそのツケがここへ回ってきているという、これを処理しなきゃならぬということだと思います。
 そこで、どうも私はわからないんですが、まあ国家の財政が大変厳しいということは言われていましたが、五十七年度の繰り延べ額はわずかに三十四億ですね。五十八年度は五十二億の繰り延べです。なぜこのわずかな金額を繰り延べせざるを得なかったのか。運輸省のシーリングの枠でこの部面が突出した原因は何か説明してください。これだけのわずかな金をどうして繰り延べを運輸省全体としてしなきゃならなかったのか、そのことについて説明してください。
#161
○政府委員(塩田澄夫君) 御承知のように、利子補給金につきましては利子補給契約があったわけでございまして、その点で先生が御指摘のような金額を繰り延べてきたわけでございます。これは五十七年度以降の国の厳しい財政事情の中で私どもはやむなくその一部の資金について後年度に繰り延べざるを得なかったわけでございますが、そのベースにありましたそのときの利子補給金の予算がおおむね七十億円弱でございました。この七十億円弱に対しまして三十四億あるいは五十八億という額は、これは比率でいきますと大変大きい数字でございます。で、運輸省全体の予算の中でこの利子補給金につきましては、国と金融機関の間の契約があったという特殊性から、非常にこれでも優遇をされてきているわけでございますけれども、この三十四億、五十八億を払うことはどうしてもできなかったということでございます。
#162
○安恒良一君 何かえらい優遇したようなことを言われますが、当時の運輸省の予算を見ますと、国鉄助成費が七千億の大台で推進していましたね。それから整備新幹線の建設調査費もありましたね。ですから、こういう経費の確保は優先をしたと。その結果、シーリングの枠からはみ出る経費としてこういう利子補給金を繰り延べをせざるを得なかったというのは、どうも私は予算全体のバランスを見ても、あなたは何かえらい優遇したようなことを言われていますが、おかしくてしようがないんですが、そこはどうですか。片っ方においては数千億のやっぱりあれはあるんですからね、これ。当時の予算書を見てごらんなさい。
#163
○政府委員(塩田澄夫君) 確かに安恒委員の御指摘のとおり、事実はそのとおりかと思いますけれども、やはり予算は一つ一つの項目について、対前年がどうなるかという見方もございます。したがいまして、この三十四億あるいは五十八億という予算を、運輸省全体の枠は一つの方針のもとに決められているわけでございますから、これだけの額を残念ながら確保することはできなかったということでございますが、そのことはほかが優遇されていたということでございません。この利子補給につきましては、あくまでも国と金融機関の間の約束があったという点が十二分に配慮をされて今まで予算措置はしてきたわけでございますが、それにもかかわらず二百二十八億円の繰り越しができてしまったということでございます。
#164
○安恒良一君 私はどうもやっぱりそこはわかりませんが、これはまあ平行線になりますから……。
 そこで、そういう繰り延べをした結果、もうこれより以上は繰り延べができないということで今回の措置になったわけですね。ですから、簡単に今回の措置について説明してみてください。簡単にて結構です、法案自体見ていますから。
#165
○政府委員(塩田澄夫君) 今回の措置は、今後支払いを要する利子補給金約四百数十億のうちの百七十七億円が、開発銀行に対してこれから払うべき利子補給金の額でございます。この百七十七億円につきまして、日本開発銀行に利子の猶予をしていただくことにいたしました。これから開発銀行に発生します利子補給金は、海運会社に対しましては、開発銀行の利子猶予によりまして、利子補給金を支払ったと同じ効果をまずもたらすわけでございます。したがいまして、これからの問題はほとんどなくなるということでございます。
 そこで、過去に繰り延べました二百二十八億円と今後市中の銀行に支払う予定の利子補給金、これを合わせたものにつきましては、今後毎年おおむね七十億円程度の予算を確保いたしまして、これを支払っていくということでございます。
 なお開発銀行に対しましては、利子を猶予していただいた後、三年据え置きで、五年で均等にその棚上げをした金額を国が開発銀行に交付金として交付をするということにいたしまして、その開発銀行に利子の猶予をしてもらっている期間につきましては、開発銀行に一定の金利を支払うということにいたしております。
#166
○安恒良一君 いろいろ、簡単にといってもなかなか説明は複雑ですが、要は、契約年度以降十一年の法定支給期限が守られなければならない。もうこれより以上不振にあえぐ船主負担に押しつけられない。一般会計の負担も一気に高められないから、これを平準化してといって、開発銀行との間にこうした措置がとられたと、こういうことですね、簡単に言うと。それでいいですか。
#167
○政府委員(塩田澄夫君) おっしゃるとおりでございます。
#168
○安恒良一君 そこで私は、そういう、私から言わせるとやや政府の身勝手なやり方だと思いますが、これは三つの犠牲を国民に押しつけることになりはしないかと思うわけです。その第一は、国民大衆に対する負担増のツケです。第二は船主に対する負担。第三は船員労働者への負担の押しつけです。
 そこでまず、なぜそういうことを言うかというと、このうちの第一の点について言いますと、国がこういうことに、私が言ったように、当時の予算規模の中から見ると、何であんなものを繰り延べしたか私にはわからないんですが、本来の契約どおりに支払っておったならば、今回の措置で必要となる一般会計からの開銀融資に伴う金利相当交付金五十七億は必要な経費ではなかったはずですね、そのまま払っておけば、こういう金額。その点どうですか。
#169
○政府委員(塩田澄夫君) 御指摘のとおりでございます。
#170
○安恒良一君 そうしますと、つまりこれは国がその当時けちったために生じた新しい国民の負担になるんですね。やはりこういう点は国民にはっきりさしておかにゃいかぬと思います。
 そこで、行財政改革を進める中の一つ一つの事例を見ていくと、これは私はどうもむだ遣いの一つじゃないかと。それはなぜかというと、運輸大臣は自民党の行財政調査会の会長さんでしたが、今言ったやりとりを聞かれて、どういうふうにお思いになりますか。
#171
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは私の先任の仕事でありますので大変申しにくいんですけれども、私は、そのときの予算編成時においてどういう状況が運輸省にあったかをつまびらかにいたしませんが、それだけの必要性に迫られての措置だとは思います。ただ、私、就任をいたしまして直後に、船主の方々からこの問題を訴えられ、次年度予算編成時には何らかの解決をしてほしいということを言われて初めて問題の所在を知ったようなことでありますが、その中におきまして、局長以下が苦労しながら対応を考えた中身がこれでありますので、どうぞ御了解をいただきたいと思います。
#172
○安恒良一君 やむを得なかったとはおっしゃらないけれども、うまい表現で逃げられたんですが、私は、やっぱり初めに経費を浮かそうと、何とか浮かそうと。そして、財政の余裕が生じたら返済しようと。こういうことが逆に裏目に出たと思うんです。結局は何のことない、結論的に言うと国民から考えると負担増になってしまった。当時払っておけば何でもなかったことですから。何千億という金でもなかったわけですから。ですから、しかし、シーリングの中で、運輸省全体として経費を浮かさなきゃいかぬということでこんなところにぱっとしわ寄せが行っちゃった。ところが、そのツケが国民の負担増になってきたということになると、私はそういう処理の仕方ということは財政改革の失敗だというふうに思うんです。これは何も運輸省だけを責めるわけじゃありませんが、各省がこういうことをやるわけですよね。シーリングでマイナス何%というと、もうやむを得ぬ、背に腹はかえられぬもんですからね、繰り延べ繰り延べで来よるわけです。そして、返す返すと言うけれども、全く返す目当てはないんですよこれ、返す目当ではね。ここで橋本運輸大臣に財政再建の失敗を認めると言ってもなかなかそれはお認めになりませんが、既に百五十三兆円の赤字公債を抱えることに来年の年末はなるわけですから、六十五年度赤字公債発行ゼロにするなどということは全然できないんですよ。できないけれども、ここで聞くと、いやいや努力しますとお答えになるんですが、もう現実にだれが考えたってできない。それなのに、単年度の収支のつじつま合わせのために繰り延べ繰り延べで、こう来る。そして、財政が好転したら返しますと。そんなことよりも思い切った積極財政に転じるべきときに来ているんじゃないでしょうか。そこのところはどうですか。
#173
○国務大臣(橋本龍太郎君) 当年度予算が成立をした後に改めてお答えをさせていただきたいと思います。
#174
○安恒良一君 それでは、その点は、これも当年度予算が成立したらということですから、早速当年度予算が成立したところでまた聞きますから、そのときになったらもう少し待ってくれなんて言わぬようにしておいてくださいよ。それだけは言っておきます。
 それから私は、第二の被害は、やっぱり船主業者の負担増になったんじゃないかと思いますが、毎年の利子補給で来るべき必要な金額のうち、この計算で言いますと三割から四割ぐらい資金が入ってこないということになっていましたね。そこで、船主、海運業者はこの負担増を強いられたと思うんですが、海運業者の中で、利子補給金対象会社の決算状況を、六十一年九月期で結構ですからちょっと説明してみてください。
#175
○政府委員(塩田澄夫君) お答えを申し上げます。
 六十一年の九月期現在で海運会社の決算状況は、国の助成を受けている四十社、これで大部分をカバーいたしますけれども、この四十社で収入が前年同期に比べまして約二八%、正確には二八・四%減りまして九千四百億円の収益、それから、営業費用が二五%の減の九千六百億、差し引き営業損益で二百七億の赤字でございまして、税引き後の当期損益としましては二百八十億の赤字でございます。これを前年同期に比べますと、営業損益で差し引き約五百値の差がございます。それから、税引き後の当期損益では三百十億円強の赤字がふえております。
#176
○委員長(中野明君) ちょっと速記とめてください。
   〔速記中止〕
#177
○委員長(中野明君) 速記を起こしてください。
#178
○安恒良一君 今決算状況を言っていただきましたが、やはり定期大手の六社、それから運航主力の十七社、貸船主力の十七社、計四十社、六十一年の九月決算はいずれも赤字なんですよね、今おっしゃったとおり。
 それで、赤字の原因は何だろうかというと、これももう時間がありませんし、余りお互い論争もないところだと思いますが、一つは輸送需要の減少だろう、それから円高等々、こういうものが赤字決算の出た一つの大きな原因になっているということは事案です。私は例えばその中の一つに、利子補給の繰り延べ負担がなければ、ある程度は経営の改善ができた面がありはしないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#179
○政府委員(塩田澄夫君) 利子補給の繰り延べ措置が海運会社にある程度の経費の負担をさせていることは事実でございます。
#180
○安恒良一君 利子補給の繰り延べの影響が経営上の一つの負担になったことはやっぱり事実だと思います。
 そこで、今回の対象になっています三十五から三十七次の船舶建造時点、五十四年から五十六年度の造船量の推移を見守りますと、五十四年度を底に回復の基調に乗った時期だったのです。ところが、その時期に、国の繰り延べによりその負担を海運業者が負うことになった、そういう問題があったというふうに私は思うんです。それは、国の財政事情を押し立てて繰り延べを強力にやった背景があったというふうに考えるんです。そこで、その後今度は海運不況、そして解撤の実施を見ると、どうもやはり国の財政上の身勝手な繰り延べというものが私は海運会社の経営に影響がなかったとは言えなかったと思います。
 ですから、こういうこの一連の状況の流れを見ますと、私はその当時の国の判断というものが少しやはりミスを犯したんじゃないか、こういうふうに思いますが、その点どうなんでしょうか。
#181
○政府委員(塩田澄夫君) 政府としまして、この利子補給金の支払いにつきましては全力を尽くしたつもりでございますが、結果として海運会社に負担をさせたことは事実でございます。
#182
○安恒良一君 私は、国の判断の誤りは誤りとしてお互いが認め合うものは認め合って、今後再びそういうことを繰り返さないことが必要だと思いますから、あえて国の判断に誤りがあったということを指摘しておきます。
 それと同時に第三の問題は、船員労働者の合理化を促進させる一つの原因になったんではないだろうかと思うんです。
 というのは、これももう時間がありませんが、私の手元に昭和五十年から六十年までの海運業船員の増加状況がずっとあるわけです、これは資料でいただいていますから。それを見ますと、利子補給の繰り延べを行い始めた五十七年度以降急激に船員数の減少の基調に行っています。ですから、こういう時期に利子補給の繰り延べを機械的に行って海運会社の負担を重くする国のやり方は正しかったかどうかということになるんです。このために解雇された労働者がいたとすれば、やっぱりこれは大変私は重要なことだと思います。だから、私から言わせると、こういう政策の失敗というものがこの合理化の一つの引き金になったんではないか、こういうふうに思うのですが、利子補給の繰り延べと、今言った年次別に見た船員数の減少の状況、こういう関連についてはどうお考えでありますか。
#183
○政府委員(塩田澄夫君) その点につきましては、利子補給の繰り延べの影響がゼロであるということは私は申し上げませんけれども、主たる原因は海運市況にあったと思います。この点につきましては、先生のお手元の参考資料の最後のページ、ここに運賃市況の動向の表がございますのでごらんをいただきたいと思いますけれども、これで明らかなように、昭和五十六年まではこの運賃の指数の線がある程度上に出ておりますけれども、五十六年の暮れぐらいから五十七年以降はずっとこの運賃が低い線に張りついております。これは、先ほど来御説明申し上げておりますように、海運の船腹の需給が著しく過剰になって、そのために世界の運賃市況がこのように低位に安定してしまったということでございまして、特にこの毎日毎日の海運市況によって商売をしておりました海運会社がこれによって非常に大きな影響を受けまして、一部の会社は倒産し、その影響で船員の離職者数がふえたというふうに私どもは承知をしております。
#184
○安恒良一君 お役人というのは、自分のやった失敗は失敗としてなかなか認めないものですから私はやむを得ないと思いますが、今回のその措置というのは、三つの角度から国民には負担増を押しつけたし、海運会社にはやはり経営赤字の一因をなしたし、それから、私も何もそれだけで合理化が進んだと言っているわけじゃないんですが、人員削減の要因の一つになったということは私は事実だと思います。ですから、このことを今さらここであなたとやり合う気はありません。ありませんが、私たちは客観的に見るとそういうふうにこれは見れるんだと。
 そこで最後に、大臣にこの法案を通過させるに当たってお約束していただきたいんですが、今度この法律をつくって、またこんなような繰り延べとか何だかんだ、まさかこんなやり方はいろいろやらないでしょうねと。もう今回国が約束したことは必ず守る、例えば民間私企業に対してきちんと払うものは払う、再びこういうようなことをしないということだけはひとつ大臣お約束をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#185
○国務大臣(橋本龍太郎君) 運輸省として、今後新たな繰り延べ負担を海運企業に生ずるようなことはないものと確信しておりますし、またそういう考え方のもとにこの法律案を実施してまいるつもりであります。
#186
○安恒良一君 次は、計画造船についで一つちょっとお聞きしておきたいことがあるんであります。
 もう時間がなくなりましたから、まず簡単に、その計画造船の意義を説明してみてください。
#187
○政府委員(塩田澄夫君) 計画造船は、日本経済に必要な日本船の整備を図るための財政資金の確保でございます。
#188
○安恒良一君 おたくの資料で見ますと、日本の造船量の推進を四十年度以降について見たグラフがありますが、これによりますと、計画造船による建造は、その造船量が少なく底を打つで回復に向かったときに大きなてこの役割を果たしているというふうに見ることができますが、そのように見ていいでしょうか。この見方です。
#189
○政府委員(塩田澄夫君) この利子補給の対象になっております昭和五十四年度から五十六年度までの間の計画造船融資は、造船需要を大きくもたらし、かつ日本海運を再建した効果があったと思います。
#190
○安恒良一君 ところが一面では、計画造船が船舶過剰をつくる素地をつくっている面もありはしませんか。
 大臣が言われましたように、我が国は海運の充実のための計画造船というのは、あなたも言われましたように、船舶が不足していた時代のものであって、もう今日のような現状の中では少し計画造船ということについても見直すべき時期に来ているんではないかなと、こんなことを思うんでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
#191
○政府委員(塩田澄夫君) ただいま安恒委員から計画造船が船腹過剰の原因になっているのではないかという御指摘がありをしたけれども、私どもは計画造船は長期に必要な船舶を中心に整備をしておりますので、そのようなことはなかったというふうに考えております。
 現在の計画造船が見直されるべきかどうかということにつきましては、現在まで私どもはそれなりの機能をしてきたというふうに考えておりまして、現在、今直ちにこれを見直す必要があるとは考えておりません。
#192
○安恒良一君 運輸技術審議会船舶部会が五十七年の八月に「最近における産業構造の変化、要素技術の進展等に対応して今後推進すべき造船技術開発について」の答申を行っていますが、その内容と今日までの実施の成果を一遍ちょっとそこで説明してみてください。
#193
○政府委員(間野忠君) 運輸技術審議会の答申は、前回の不況を経験しました造船業が、今後技術開発を進めていく上でいかなる船をいかにしてつくるべきかというようなテーマを追求いたしましたもので、高信頼度のエンジン、知能化された船、それからその工作方法にかなり近代的な設備、例えばロボット等を導入するというような目的で開始いたしまして、現在のところそろそろ高信頼度エンジンについて一気筒の試作エンジンを試運転するという段階まで参っております。
#194
○安恒良一君 そこで、私はこの二つの法案の結論的なことを少し申し上げてみたいと思いますが、日本の海運それから造船業界、もういずれもが世界のトップリーダーとして生き残って生きていくためには、新技術の開発や省力化の船など、そういうものに前向きの財政の支援に計画造船のあり方自体を変えるべきではないだろうか。やはりそういうことを含めた新しい制度、これは海運と造船というのはこれは一体なんですから、まあそれは運輸省ではそれぞれ局は分かれていますけれども、分かれていますが、海運と造船というのはこれ一体なんです。しかも、いずれもが最近までは世界のトップリーダーとしておったわけですね。それが最近、非常に長い時間をかけて論争をしたようないろんな問題が起きて、今日大変な両方とも苦況に立っているわけですから。そういう中においてもなお日本は四方を海に取り囲まれ、貿易立国として必要だということ、これはもうだれしもお互いに考える。
 そういうことになりますと、今申し上げましたようなことをこの際前向きに新制度をつくることについて考えるべきだと思いますが、これは大臣の御答弁をお願いをしたい、御検討をお願いしたい。大臣、ひとつお考えを、これは政策的なことでありますから。
#195
○国務大臣(橋本龍太郎君) 毎年度策定をしております計画造船建造要領というもので見直しをしているわけでありますから、その中において今委員の御指摘になったような考え方を十分参考にさせていただくということにしたいと思います。
#196
○安恒良一君 じゃ大臣、どうしてもこれは大臣がリーダーシップをとってもらわないと、やっぱり縦割り行政、それからお役人の方々の現状維持主義とは言いませんけれども、大胆な発想の転換というのがなかなか難しいんですよ。そこで運輸省は、いわゆる局を全部つくりかえたのはつくりかえたんですね、名前だけは変わったわけですから。しかし私たちも日本の海運や造船が世界のトップリーダーとして生き残っていかなきゃならぬということについてはお互いに共通の認識ですから。そうすると、私は旧来のいいところはいいところで残せばいいわけですから、全部変えろと言っているわけじゃない。しかし、やはりそういうところを一遍我々の提言なんかもお聞きくださって、真撃に検討してみられることが必要ではないか。でないと、今までの延長でいきますと、私が言ったように、こういうことを繰り返していくわけですね。造船についてももうこれで二回目の大合理化ですから。
 それから商船隊の建造も戦後ずっと、かなり国としては手厚い保護をしながらやってきたけれども、やはりこうなっていくわけですよね。そうすると、それらを含めてもう中曽根総理は二十一世紀に向けてたくましい福祉国家、文化国家と、こう言われるんですから、もう二十一世紀目の前に来ているんですから、それらを含めて運輸省全体として今言ったような海運のあり方、造船のあり方ということを前向きに検討されることを強く要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
#197
○吉村眞事君 私は、まず外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案につきまして二、三の御質問を申し上げたいと思うんです。
 大変今までの質問が当を得た質問が多かったものですから、もう疑問の点がかなりの部分が解消をしたような感じもいたしますけれども、確認というような意味も含めて最初にお伺いいたしたいことは、今まで利子補給を延ばしてこられた。今回、もうこれじゃとてもだめだと、もうこれ以上は延ばせないということで今度の措置をされたわけですが、今まではやれたが今回からはもうだめだという、このだめだという点を少し具体的、客観的に御説明をいただきたいと思います。
#198
○政府委員(塩田澄夫君) 先ほど来、利子補給金の繰り延べをするに至った経緯につきましては御説明をしたところでございますが、この利子補給金は契約に基づいて支払っておりますために、今までは契約違反にならないように契約を毎年毎年予算に合わせて改めてきたわけでございます。この利子補給金は、国から契約に基づきまして日本開発銀行及び市中の銀行に支払うことになっております。そういたしますと、日本開発銀行及び市中の金融機関が、海運会社にその国から利子補給金を受け取った部分だけまた利子を下げる、こういうことをしてきたわけでございます。
 そこで、この利子補給金の繰り延べにつきましては、実質的に受益をいたします海運会社の了解をとって毎年毎年利子補給契約の更改をしてきたわけでございますが、昨今の海運会社の経営状況の悪化にかんがみまして、ことしもしこの法案を通していただきませんと、そのような了解がとれないということになるのではないかということを私どもは非常に危倶をしておりまして、おかげさまでこの法案を通していただきますと、そのような事態が生じないわけでございます。
#199
○吉村眞事君 ただいまの御説明は、要するに当事者同士で今まで相談をして納得ずくでやっておったが、ことしからはもうその納得が得られないだろうと、こういう御趣旨の説明であったかと思いますが、その納得が得られないような事態が突然起こってきたのは何かそれのまた原因になる点があるんじゃないんでしょうか。
#200
○政府委員(塩田澄夫君) 昨年からことしにかけて、新しい事態と申しますのは、御承知のとおり、一昨年秋からの円高でございます。その上に、円高の前に海運会社は、先ほど御説明いたしましたように、世界の海運市況が昭和五十七年ごろから長期に低迷をいたしておりますので、海運会社の経営の基盤というものは非常に弱くなっております。そこで、このような負担をするカがだんだんなくなっているところへ円高の影響を受けたという意味で、今海運会社は非常に経営的に基盤が弱くなっているわけでございまして、このようなときに開発銀行の利子優遇措置が導入されます意義は非常に大きいというふうに考えております。
#201
○吉村眞事君 そういたしますと、今回のこの法案を通して利子補給金を処理をするということで、一息つくというとおかしいですけれども、この問題については一たん問題がほぼ解決をするということになるんだろうと思うんですけれども、今伺いましたように、またよって来る原因は海運の全体の不況の現状にある、そしてまた外航海運の企業の経営の悪化の問題がその下にあるということになりますと、この問題だけ解決しても将来どうなるんだと、先ほどお話がありましたような円高の問題が将来早急に解決するような見通しがあるわけでもありませんし、また需給関係が非常に急速に回復するようなめどが立っているわけでもないと思いますが、そういうことを踏まえまして、海運企業経営あるいは海運全体の不況の問題、これの見通し、あるいは将来に対するどういう対策といいますか、お考え方をしておられるか、その辺をちょっと御説明いただけませんか。
#202
○政府委員(塩田澄夫君) 今後の外航海運政策の基本線はどのようなものであるかという吉村委員の御質問だと思いますが、私どもは、我が国外航海運は、国の経済と国民生活にとって生命線とも言うべき役割を果たしている、非常に重要な役割を認識をしておりまして、ただこの日本の外航海運が今置かれております環境というものは、国際競争の激化、世界的な船腹過剰に起因する不況の長期化、それに加えて大幅な円高の影響を受けているというふうに認識しておりまして、問題点といたしましては、日本船の競争力が低下をして海運企業の経営の悪化がもたらされている、こういうふうに考えております。
 このような海運を取り巻く現状のもとにおきまして、今後とも海上輸送力の確保と海運業の健全な発展を図りますために、昨年の十二月に海運造船合理化審議会の海運対策部会小委員会の中間報告をいただいておりまして、この御指摘によりますと、今後進めるべき外航海運政策といたしまして、国際競争力のある近代化船を整備するということ、それから老朽・不経済船の解撤を促進しながら、日本の海運企業経営全般にわたる減量化、合理化を推進することが必要だ、この二つをすることによりまして、一つは国際競争力のある近代化船の整備、それからもう一つは老朽・不経済船の解撤の促進、それを中心とする個々の海運会社の減量化、合理化の促進、この二つを実施することによりまして日本の海運会社の経営基盤を確立をしていく必要があるというふうに考えております。
 このような考え方のもとに、船員の雇用問題がまたこれに関連してまいりますが、今後とも外航海運対策を推進してまいりたいと考えております。
#203
○吉村眞事君 今船員の雇用問題も関係があるというお話がございました。ちょっとそれじゃ、外航船員の雇用の現況と、今後の対策とを御説明いただきたいと思います。
#204
○政府委員(増田信雄君) 六十年度末におきます日本の外航船員は約三万人でございます。ちなみに十年前の五十年度末で約五万五千人おりましたので、この十年間で大げさに言いますなら、約半減をしたという状況になっております。
 先生御質問の外航船員だけの雇用状況という統計をとっておりませんので、船員全般の雇用状況を御報告申し上げますが、六十一年の十月の状況で申し上げますなら、求職者が約九千名に対しまして求人が千三百名強でございます。いわゆる有効求人倍率は〇・一四、この場合、陸の求人倍率が〇・六一くらいだと承知しておりますので、陸と比べますと就職のチャンスが四分の一以下しかないという状況になっております。求人の方は外航の方が極度に悪うございまして、外航からの求人はほとんどないというような状況になっております。
 なお、六十二年度の商船大学あるいは商船高専の新卒者も外航にはなかなか採用してもらえないというような状況でございます。
 なお、これらに対しましてどういうふうな対策をとってきたかということでございますが、従来は海から海への労働力の移動ということを主として念頭に置きながら対策をとってまいっております。
 例えば日本人の船員の優秀さが買われまして、外国の船に日本人の船員が乗っておるケースがございます。このケースは大体において職員が主になっております。そこに私ども着目をいたしまして、日本船員福利雇用促進センターというところを通じまして、部員の職員化のための訓練あるいは英語の訓練というものを行いまして、これに補助金をつけてまいっております。
 なお、日本人の船員が外国の船に乗るようなケースにおきましては、私どもは奨励金を支払っております。
 さらに、船員全体としましては、船員の職業安定所を通じまして広域の職業紹介というものを進めてまいっておるところでございます。
 しかしながら、海での労働人口の吸収というのにはおのずから限度がございます。特に、現在世界的に見ましても、台湾、韓国、フィリピン、バングラデシュ、インドネシアというところが船員の供給国として今力を入れております。特にまた、東欧の国からも船員の供給が行われるような状況になっております。こういうことを考えますと、やはり海で吸収できない船員は陸の方に転換を図っていかざるを得ないというふうに思っておるわけでございます。
 そこで、これは運輸省だけでできる問題ではございませんので、昨年以来、労働省、厚生省あるいは地方公共団体の方々と協力しながら、一つには船員職業安定所と公共職業安定所の連絡を密にする対策をとっております。相互に情報を交換しながら陸上に転換しやすいような措置を考えている次第でございます。
 また第二番目には、船員が持っているいろいろな資格がございます。これが陸上で通用できるように相互の資格の間で、例えば試験を免除してもらうとか、受験資格を緩和してもらうとか、そういう措置を実施に移しております。さらに、私どもは陸上の訓練校に船員も入れてもらうということで基本的にお願いをいたしまして御了承を得ております。
 こういうような措置を今後強化をしながら、陸上に船員が移っていく場合に支障のないように努めてまいりたいと考えております。
#205
○吉村眞事君 先ほど来、安恒委員からの御質問にも出ておりましたけれども、海運企業が成り立っていくためにいろんなことを考えなきゃいけない。そのことは、一方で船員雇用という面からは逆のインパクトを与える場合があるという、その点を大分御議論があったように思いますけれども、確かにそういう面もあろうかと思うわけであります。
 先ほどの御説明では、将来の海運企業の見通しといいますか対策という点については、結局近代化船をふやしていくことと、老朽船の解撤によって全体の質を高めていって競争力をつけていくんだと、そしてまたそれによって起こってくる雇用問題についてはいろんな方法で解決していくんだと、こういうことだろうと思うんですが、それでさっき安恒委員からも御質問の中にありましたけれども、従来の施策の延長線上で、そういう大きな基本的な方針はそれぐらいしかないと思いますけれども、それを実施していくためのいろんな政策手段が、やはり今までの運輸省のお持ちになっている政策手段では若干不足ではないかという気がいたします。恐らく安恒委員がさっき利子の問題に言及されておりましたけれども、そういう意味も含めてのお話だったと思うわけでありまして、それに対して大臣からは前向きの御答弁があったわけでありますが、今後日本海運の問題、これは非常に重要な問題でありますし、なかなか一筋縄で解決ができる問題ではないように思いますので、先ほど来伺いました基本方針を、政策の基本を実現されるための具体的な政策手段を今後ともいろんな面から掘り起こしていただいて、日本海運が今後日本の経済の中核として生き残っていけるように御努力をいただきたいことを今ここで申し上げておきたいと存じます。
 それからもう一つ、今までの問題とはちょっと違うんですけれども、日本の海運は非常に海運自由の原則という観点からは優等生であると思います。その原則を踏み外すまいということを非常に神経質なまでに一生懸命やっておられるように思うわけであります。ところが、国際的に見て世界の海運が全部そういう優等生なのかということを見ておりますと、必ずしも優等生ばかりではない、余り優等でないような国も、先進国あるいは開発途上国含めて必ずしも皆無でないように思うわけであります。そういう国際海運社会の中で非常に優等生であることはもちろん大変大切なことでありますが、そのために日本の海運が不公正な結果に陥るといいますか、不公正競争を強いられて不利な立場に立つというようなことがないのかどうか、もしあるとすればそういうことになってはならないと思いますが、その点についてのお考えをちょっと伺いたいと思います。
#206
○政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。
 ただいま吉村委員が御指摘になりました問題は、先ほど来御説明しておりますように、世界の海上荷動きが、特に石油に関しては非常に減っている、あるいはその他の貨物についても石炭などの例外を除きまして横ばいである、あるいは減っているということを申し上げてきたわけでございますが、その一定量の世界の海上荷動き量、この中で日本の海運会社がどのように集荷活動ができるかという問題でございます。
 そこで、先ほど来御指摘がございましたように、日本の海運政策は大部分の先進国がとっておりますと同様に海運の自由の原則を忠実に維持をしております。この海運の自由の原則と申しますのは、海運会社が自国の港はもちろん外国の港に自由に出入りをして、その両方のサイドで営業活動が自由にできるということを意味しております。
 ところが、最近、世界のいろいろな国がこの海運自由の原則を必ずしも信奉いたしませんで、それぞれの国の独自の海運政策をとっている場合が多いわけでございます。
 その具体的な例を幾つか申し上げますと、開発途上国の中の一部は、自分の国に関係する貨物は自分の国の海運会社に運ばせるというような措置をとっている国がかなりございます。
 それから二番目に、貿易を国が管理をしている国営貿易国がございますが、この国営貿易国の場合には、通常の商業的な意味のコストがないと言われておりまして、そういう国の海運と競争する場合には、普通の意味の商業的な競争ではないという問題と、そういう国の貨物は大体その自国の国営海運が運ぶということになっておりまして、なかなか日本の海運が参加できないという問題がございます。
 それから、先進国の中にも自国の一定の貨物は自国の船に運ばせるという政策をとっている国もあります。
 このような政策によりまして日本の海運業界はかなりの影響を受けていることは、今吉村委員が御指摘になったとおりでございます。
 これに対しまして私どもが。従来とってまいりました対策を申し上げますと、まず第一に、日本はOECD、経済協力開発機構に参加しておりますので、このOECDの一つの重要な機能として海運自由の原則を遵守をするという活動をしておりまして、この活動に参加しながらOECDの加盟国ができるだけ海運の自由の原則を維持していくという政策を遂行しております。
 それから二番目に、特に定期船の分野におきましては、国連の開催をした会議が採択をいたしました定期船同盟の行動規範に関する条約というものが成立しておりますので、世界の大部分の国がこれを支持するのであれば我が国もこれを支持をしていくという立場をとっております。
 それから三番目に、開発途上国の先ほど来申し上げております貨物留保政策に対しましては、我が国におきましても国旗差別対抗立法がございますけれども、これを背景にいたしまして粘り強く海運の協議を二国間で続けていきたいと考えております。
 それから最後に、国家貿易国との間におきましては、これは通常の意味の海運自由の原則に基づく競争が通用いたしませんので、やはり国がある程度の関与をいたしまして海運協議を官民の両方のレベルで開催をして先方の海運政策とのすり合わせを図っていくということを考えております。
 残念ながら、今までの私どもの努力につきましては、先方との合意がいつも成立するということではございません。ただ、日本の海運にとりましては、海運の自由の原則というのは今現在非常に貴重な原理原則でございますので、この原則を基本に維持しながら何とかこれと異なる政策をとる国々との間におきまして政策のすり合わせをしていきたいと考えております。
#207
○吉村眞事君 それでは、続きまして港湾法の一部を改正する等の法律案について若干お尋ねしたいと思います。
 今回の港湾法等の改正は、補助率の引き下げがその目的であると思いますが、公共事業の補助率というものが無原則に決まっているものではないと思うんですね。補助率を決めるに当たっては、国と地方との役割分担とか、あるいはその事業の国の経済あるいは社会に対する影響の度合いとか、そういうものを秤量した上で補助率というものは決められているものだと思いますが、いかがでしょうか。
#208
○政府委員(藤野愼吾君) 吉村委員の御見解のとおりであると私たち思っております。
 そういった意味で、ちょっと余談かもしれませんが、過去において我々と直接かかわり合いのあることで申し上げまするならば、公共事業関係の補助率の改定が過去において二度行われておりますが、それら等の場におきましては、全体的なその他のいろんな補助制度、国庫負担制度とのバランス関係の中において総合的な御議論があって、二度にわたっての変更、修正があったというのはその一つのあらわれであろうかと思っております。
#209
○吉村眞事君 そういたしますと、今回の補助率の改定といいますか引き下げ、これは暫定ということになっておりますが、前回補助率の改定を、引き下げを行いましたときにも国会でもいろいろ論議がありましたし、またいろいろ学識経験者の御意見等の中にも、国と地方との役割分担を根本的に検討をし、そしてその補助率のあり方というのはその結果で検討すべきものであるというような御意見が非常に強く出ておると思います。
 今回の補助率改定というのは暫定的に二カ年間に限っての話でありますが、そういう国と地方との役割分担等を根本的に検討された結果なされたものであるのか、それとも緊急避難的にそういうことは一応置いておいておやりになったものであるのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
#210
○政府委員(藤野愼吾君) そういった意味では、今緊急避難的というお言葉がございましたが、まさにそれに近いんじゃないかと思っております。ただいまも申し上げましたように、二度にわたって補助率の改定、引き下げをやってきたわけでありますが、そうして施策を遂行はしてまいりましたが、引き続き国の財政事情が非常に厳しいということがあり、そしてまたそういう条件下であるとはいえ、社会資本の整備を進めなきゃならぬという要請、そして加えて昨今の日本の経済の構造の変革という議論の中にもありますいわゆる内需の拡大といったようなことにもこたえていかなきゃならぬといったふうな課題に対応するために、暫定的にこのたびの法律改正を通じてでの公共事業の補助率の改正をお願いをしたと、こういうことでございます。
#211
○吉村眞事君 そうしますと、今回の改定というのは事業費を確保するというような要請もあるので暫定的にやった、こういうお話のようでありますが、そうしますと、今後時期が来れば国と地方の役割分担というようなことを十分に考えて適切な補助率というものを検討される予定だと理解してよろしいですか。
#212
○政府委員(藤野愼吾君) 当面、今委員お話しのように、六十二年、六十二年の事業の実施について二カ年間の暫定的な措置として行おうといたしております。六十四年度以降のこの問題については、そのときの財政事情なり、経済の情勢なりを踏まえて適切な措置を行うことになるというふうに考えております。
#213
○吉村眞事君 補助率引き下げにより事業量がある程度これで確保されるということでありますけれども、現在我が国が置かれております現況というのは、あらゆる方法を講じて内需を拡大していかなきゃならぬということが、国際的な視点からも、国内問題としてでも一番必要な施策であろうと思います。
 先ほど来、午前中の議論にもありましたが、補助率の引き下げによる事業量の確保というのは非常に小さいと、その他民活事業の拡大等によって事業量をふやしていかなきゃいかぬと思うので、それは大いにやっておると、こういうふうなお答えが同僚議員の質問にございました。
 私は、その民活のうちで、余暇ニーズに対応したいわゆるレクリエーションの関連、レジャーの関連、リゾート法というようなものもございますが、そういったものについて基本的なお考え方を伺っておきたいんですけれども、日本の産業構造を変えていかなきゃいかぬということが言われております。産業構造を変えることによって国際摩擦に対応する内需依存型の構造をつくらなきゃいかぬというふうに言われておりますが、私は、そういう産業構造の問題と同時に、国民の消費構造といいますか、そういうものが大きく関連をするんじゃないかというふうに思うものでございます。
 従来、日本の考え方としては、働くことが善であって、遊ぶことは余りいいことではないという考え方が非常に強かったように思いますが、そういう考え方あるいはそれを反映した消費の構造では、なかなか国際社会における日本に対する非難を乗り切っていくのは難しいように思うわけであります。
 私は昔、非常に感じたことがありますけれども、米軍が日本に進駐をしてきて、そして各地にゴルフ場をつくって、それでゴルフをやっていると。国民のみんなから非常にひんしゅくを買ったことが多かったと思うんですね。我々の大事な土地を取り上げでゴルフをやって遊んでいる、何事だと、こういう感じの受け取り方を日本国民は大抵みんな持ったように思います。しかし、今私が思いますと、アメリカ人の考え方は、決して遊びだからそれは必要ないのを日本人の土地を取り上げてやっているということじゃなくて、そういうレクリエーション、レジャーというものが人間の生活には不可欠だという観点からああいうことになっておったんだろうと、今にして思えばそういう気がいたします。我々もやはり今後の生活の考え方というものを、そういう考え方にある程度切りかえていって、消費の構造の中に大きくそういういわば遊びに対する消費といいますか、そういうところにいわゆる貯蓄超過分を振り向けていくような構造ができてこないと、なかなか問題の解決にならないような面があるように思うわけでございます。
 そういうことで、運輸省は観光問題も所管をしておられるし、あるいはリゾート法等の面でも所管をしておられますので、大臣からその辺についてひとつ一言御感想を伺えましたら大変幸せであります。
#214
○国務大臣(橋本龍太郎君) 直接のお答えになるかどうかわかりませんけれども、たまたま本年の一月に日本・オーストラリアの定期閣僚会議がありましてオーストラリアに参りました。そうじて私自身ちょっとびっくりしまして、写真を撮って帰ってきて港湾局長にお見せをしたんですが、海岸線を利用し、河口を利用して、一定の地域内の相当数の住宅、それが実は道路でなくて全部水路で結ばれている。それぞれの家にモーターボートなりあるいはヨットなりを置いて、車を使わないかわりに船でその町の中を移動する、そういう全くちょっと私どもの想像からすると考えられない町がつくられておりました。聞いてみますと、まさにリゾート、それを海に求めた、住宅開発からしてそういう発想が入っている。我々の思考とは全く異質のものがあるなということと同時に、港湾局が今例えば東京湾あるいはその他の地域において港湾の再開発等々を考えていく場合に、まさにそうした視点を取り入れて、余暇利用というものを頭に置いた町づくり、また港づくり、お互いの生活のパターンを変えていく、そうした発想がとれないものかなとそのときしみじみ感じました。
 占領軍のゴルフ場のころには私は小学生でありましたので、今委員がお感じになりましたのと同様の感想をそのオーストラリアの町づくりで眺めだということを御報告をいたします。
#215
○吉村眞事君 大臣も大体私と同じような感じ方をしていただいておるようでございますので、そこで港湾局長に伺いたいんですが、今回の補助率の引き下げで、直接の資金手当てというのはやってあるというふうに理解しておりますけれども、やはり地方に対してはある種の影響を与える措置であろうと思います。したがいまして、その見返りと言ってはいけませんけれども、地方にはいろいろと配慮をしなきゃいけないと思うんですが、今の余暇の問題、あるいは港湾局の直接所管ではマリーナの問題、あるいはその他の民活事業等で、地方に対してどういう配慮を今後なさっていかれるおつもりか、その辺をちょっと伺わせていただきたいと思います。
#216
○政府委員(藤野愼吾君) 民活によります事業の推進ということは、やはり民間資金が動くわけでありますから、どうしてもそろばん勘定というものが先立ってくる。そうしますと、そろばん勘定の立ちやすいところというのはどちらかと言えば人口集中した地域になりがちだというふうに思っておるわけであります。しかしながら、いろんなプロジェクトをできる限り全国的に展開をし、推進をしていくことを通じて地域の振興を図り、そしてまた国土の有効利用を進めていくためにそういった努力をしていかなきゃいかぬというふうに思っておるわけであります。
 さて、そのために私たち、このたび民間の土地開発整備機構というふうなものに関する新しい法律の制定も別途お願いもしておりまするし、それからまた地方公共団体の皆さん方といろんな知恵を出し合いながら新しいプロジェクトの発掘に努めていきたいというふうに思っています。
 その場合に、先ほど吉村委員もおっしゃり、また大臣も申し上げましたレクリエーションというものが、産業として見た場合にも非常に成長的だと思いますし、消費という視点から考えたときも非常に成長的であるというふうに思っておりまして、各地方、地域にはそれぞれ地域の特徴ある自然条件というふうなものがあるわけでありますので、そういったものを生かした形でのレクリエーションを中核としたプロジェクトが一つ、先ほどの地域開発における新しい中核となることとなるのではないかというふうな考え方を持っておりまして、そういう方向へ向かって今後私たちの港湾の仕事も努力をしていきたいというふうに考えております。
#217
○吉村眞事君 それではちょっと具体的に、今のマリーナの問題につきまして、将来どういうふうな需要といいますか、日本の動向がどうなるかということをお考えなのか、そしてまたそれに対する対応策、どういうふうに整備をしていくかというようなお考え、また、現在審議中の来年度予算ではどんなことを考えておられるか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#218
○政府委員(藤野愼吾君) レクリエーションの中で、マリーナの整備という形で私たち港湾の分野のものが仕事をさせていただいておるわけでございますが、ちょっと調べてみますと、我が国のプレジャーボートの普及率、普及隻数というのは二十四万隻ぐらいでございます。人口千人当たり二隻というようなことでありますが、これはヨーロッパなどの諸国と比べますと非常に少ないわけであります。フランスなどはその五倍ぐらいの普及があるようでありますが、我々も、ある一定の条件で推計をしてみますと、こういったコッティングなりボーティングなりの大衆化が進むことによって、十年ぐらい先には少なくともフランスぐらい、つまり現在の五倍ぐらいの水準にまで広がるのではないかというふうに考えておるわけであります。
 一方、それらを受け入れますところのマリーナというのは、全国で今三百七十港ぐらいでありますが、純粋のと申しますか、公共的にやっておりますものはその一割ぐらい、三十三港でございまして、収容能力もわずか五万隻、こういうふうなことであります。収容能力不足というふうなことがあり、そしてそれも原因の一つとなって、あっちこっち、ボートの放置といいますか、に関する社会的な問題も起こっておるというようなことがあります。
 先ほど来申し上げますような今後の増大の趨勢を見た場合に、やはりそういった放置にまつわる諸問題へも対応するというふうなこと、それからまた、レクリエーションにまつわる安全問題というようなことに対してもどう対応をするかという命題も残っております。そういったことを考えながらマリーナの整備に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
 現在、港湾の五カ年計画を進めさせていただいておりますが、その中でも三十港ばかりを計画の中に取り入れ、そして、五百億ぐらいの投資になるんじゃないかというふうに推定をいたしております。
 なお一つ、ひとえにマリーナの量的拡大を図るということだけではなくて、例えば大衆的利用といいますか、にこたえるために、係留施設などについては国の補助金を出すというようなことも新たに今年度からスタートさせることにいたしておりますが、民間の力をも利用するというふうな視点から、先ほど来話題になっておりますいわゆるリゾート法的なものも関係省庁と一緒に進めていきたい、こんな考え方で現在努力をいたしておるところでございます。
#219
○吉村眞事君 それではひとつ、空港の問題をちょっと伺いたいと思います。
 現在、四全総が策定の作業中で、その途中の段階でのいろんな情報が我々のところへも入ってまいりますが、その中で、いわゆる高速交通網の空白地帯を解消する必要があるという議論がかなり真剣に行われておるように思います。現在我が国には相当の地域が、高速交通の終点からその地域まで相当の時間がかからないと行けない、したがって高速交通網の恩恵からは外れておるということになっておるようで、その地点が日本全体では百もあるとか、あるいはもっとあるとか、あるいはもうそれほどはないというような意見もいろいろあるようでありますが、そういうものを解消するための方策として、いわゆるその地域航空問題、小型の航空機あるいはヘリコプターを使った地域航空でもって高速交通の補完をして、全国が平等に高速交通網の恩恵を受けられるようにしたらどうか、こういう考え方が盛り込まれてくるように伺っておるわけであります。
 これはまだ最終的な案が決まっているわけじゃありませんが、そういう情報を踏まえて御質問をいたしますが、航空局ではこういうことに対してどういうふうにお考えか。そしてまた、そういう地域航空についてはやはり空港の問題が不可欠になってくると思いますが、それに対してはどんな対応を五カ年計画でお考えになっているのか。その辺をひとつお聞かせください。
#220
○政府委員(山田隆英君) ただいま御質問のございました、小型航空機を活用した地域航空輸送、いわゆるコミューター航空についての考え方でございますけれども、ただいま先生がおっしゃいました高速交通網の空白地帯を埋めるという意味と、それから、コミューター輸送といたしましては、既存の空港間を結ぶ、今まで大型機ではなかなか需要がそれほどなかったようなところを、小型機で結ぶことによってそれなりの輸送需要を開発するというようなことが考えられるのではなかろうかと思います。最近このようなコミューター航空についての関心あるいは期待というものが非常に各地で高まってきておるのは事実でございます。例えば瀬戸内海の周辺では、今広島と松山、それから大分、こういった地区を小型機で結ぼうというような計画ができております。近々のうちには実現されるのではなかろうかと思います。
 また、コミューター用の空港といたしましては、これも各地方公共団体等が非常に関心を持っておりまして、現在例えば兵庫県の但馬であるとかあるいは高知県の中村、九州の天草、こういった先ほどのお話があったいわば高速交通網の空白地帯に小型航空機用の空港をつくろうという構想があることは承知しておるところでございます。
 一方、現在小型航空機による旅客輸送がどんなものがあるかというふうに見てまいりますと、現在のところでは離島路線に実例があるというようなことでございまして、全国で五社十七路線のこういうコミューターの運航が行われておりますけれども、採算性に非常に問題があるということでございまして、関係の自治体等がその経営を支援している状況にございます。
 そこで、コミューター航空というのは本来地域の輸送でございますので、それにつきましては、それぞれの地域がそれぞれの特性に応じた航空輸送についてみずから工夫し検討していくことが不可欠であるというふうに考えておるわけでございまして、運輸省といたしましては、これに対しまして航空の新たな可能性を開くものということで、これまでもこのコミューター航空の運用の基準について見直しを行いましてコミューター航空をやりやすくするような環境づくりというものはしてきたわけでございますが、今後とも小型航空機による地域航空輸送のあり方及びこれに伴います空港整備のあり方につきまして十分に調査検討いたしまして、その調査検討の結果を踏まえまして今後のコミューター航空輸送のあり方についての方策を取りまとめたい、かように考えます。
#221
○吉村眞事君 コミューターが日本の現状としてはまだ揺籃期までも行かないような状況であって、いろいろと方策を決めるのにも手探りの状態であるということだろうと思うんですね。しかし、先ほど冒頭申し上げたように、四全総でもこの問題についてはかなり真剣に取り組んでおられるようですし、地域の要望といいますか、かなり強い要望があることもこれまた事実であります。
 国が、国土が均衡ある発展を遂げて、各地域がそれぞれの格差をなくして生活を営めるというためのかなり大きな戦略に――戦術かもしれませんね、になり得る一つの分野だろうと思うものですから、もちろん地域の自主的な努力、あるいは民間の創意工夫等が必要なことは当然であろうと思いますが、やはりこういうものも一番の揺籃期には国もある程度の支援をしていく、そして育てていくということが私は必要じゃないかと思うわけであります。
 今御答弁のあったように、コミューターに対する規制の緩和等の施策を実施しておられることもよく承知しておりますけれども、今後とも地域住民の非常に切実な要望もあることを踏まえていただいて、ひとつ前向きに対処されることをぜひお願いをしたいのであります。
 それからまた、このコミューター問題の一つの側面として、先ほど高速交通の空白地点を埋める以外の機能を指摘をされておりましたが、そういうことを考えていく場合に、いわゆる首都圏とか近畿圏の、端的に言いますと、大阪とか東京を相手方にするようないわゆる地域航空のニーズというのがかなりあると思うんですね。これを考えた場合には、それぞれの地域の問題のほかに、東京、大阪をどうするかという問題が非常に大きな決め手になり得るというか、なってくると思います。そういう意味合いでこの問題は非常に難しい問題だとは思うんですけれども、これについてもひとつ航空局で前向きに対応していただけるようにお願いをしたいと思います。これはこうするという具体的な御答弁でなくてもいいですけれども、ひとつその辺についてお考えを伺いたいと思います。
#222
○政府委員(山田隆英君) 初めに、コミューター航空の一般的な取り扱いですけれども、これにつきましては私どももまず地域が考えていただきたいということなんですけれども、国としてもそれなりのサポートは考えていきたいというふうに思っております。今後、地方公共団体と十分御相談をしながらこれの育成方策を考えたい、かように考えております。
 それから次の、東京、大阪周辺のコミューターの問題でございますが、おっしゃるとおりこれにつきましては需要はかなりあるんではなかろうかと思いますが、一番の問題は、やはり東京と大阪におきます乗り入れ空港の問題でございます。
 御承知のように、大阪にしろ東京にしろ、現在非常に空港の制約がございまして、航空局といたしましてはやはり大量の輸送のための定期便といったようなものを優先的に扱わざるを得ない。小型航空機の輸送というものは、どうしてももう少し余裕ができませんと、なかなか東京なり大阪に乗り入れさせるということは難しいんではないかと思いますけれども、今後これらにつきましてもその可能性、実現性というものを検討していきたいと。
 一つ今、私どもがある程度具体的に考えております問題といたしましては、小型航空機の範疇に入るかどうかわかりませんけれども、ヘリコプターによる輸送がございます。昨年、筑波万博のときに、羽田と成田から筑波博の会場までヘリコプターによる輸送というものを認めた経緯がございますが、こういうものを今後さしあたりは大都市周辺における小型機による輸送ということで考えられないかということで、現在検討中でございます。
#223
○吉村眞事君 個別の問題はその程度にいたしますけれども、今回補助率の改定をされて、それのために起こってくる地方財政問題については、それなりの対策が講ぜられておるということを承知しておりますけれども、この問題についではそのほかいろんな影響があると思います。そういうことを踏まえて、今回のこの法律、港湾法が改正されることに伴って五カ年計画、これは港湾、空港ともでありますが、五カ年計画の進捗とかあるいは港湾、空港整備に支障が起こることがないように格段の御配慮をいただきますようにお願いを申し上げまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
#224
○倉田寛之君 私は、特定船舶製造業の経営安定臨時措置法案に関連をいたしまして、数点についてお伺いをいたしたいというように思うわけであります。
 大分前になりますけれども、NHKが円高下の不況、雇用不安と題して特集を組んだ番組がございました。その当時は何の気なしに見ておったのでありますけれども、幸いビデオがあったようでありますので、この質問をするに当たってもう一度復習のつもりでさらっと映像を拝見いたしました。鉄鋼、造船を初め、日本の戦後を支えてきたさまざまな産業界が不況に瀕して、それは時代の趨勢がな、と同時に世界的な社会の構造の変化がな、その中にあって特段造船業界というのは極めて深刻な状況にあることも承知をいたしておりますが、いかんせん私は造船業界のことについては素人でありまするので、一般的な立場で関連法案に対して以下数点をお尋ねいたしたいというふうに思うわけであります。
 そこで、復習のつもりで、まず第二に、今後の我が国の造船業の需要の見通し、また本法に基づいて講じられる対策の基本的な考えやいかん、これについてお伺いをさしていただきたいと思います。
#225
○政府委員(間野忠君) 我が国造船業が現在非常に困難な状況に置かれておりますことはただいま御指摘のとおりでありまして、今後の見通しにつきましては昨年の海運造船合理化審議会が答申いたしておりますけれども、それによりますと、我が国造船業の外航船建造量は、標準貨物船に換算いたしまして昭和六十年の五百四十万トンから六十三年には三百十万トン程度、これはもう能力のほぼ半分程度のものでございますが、その辺まで減少し、その後回復に向かうわけでありますが、七十年におきましても五百二十万トン程度にとどまるのではないかと見込まれております。当分の間、こういった厳しい状況が続くものと考えられます。
 そこで、今回の造船対策の基本でございますが、大幅な過剰設備の解消と過度の競争型産業体制の改善ということでありまして、造船業を今後安定させるためには、長期的に過剰となります設備の二割程度は廃棄するということとあわせて、事業提携とか集約化によりまして企業グループを強化するということが必要かと考えております。
#226
○倉田寛之君 基本的な考え方につきましてはただいまの御答弁で理解をするところでありますけれども、確かに六十年には五百四十万トン、六十三年三百十万トン、七十年に五百二十万トン。ところが、グラフにあらわしますと新造船の代替時期にはトン数がふえるけれども、代替時期がまためぐってくるまでには下降カーブを描かなきゃならないという実は宿命的な構造があるわけであります。しかも、大手は七社、中小入れまして四十四社がすべて対象だと聞いておりますが、この二〇%処理をするということになりますと、おおむね水面下ではいろいろと御協議をされているやに伺ってはおりまするけれども、六十二年度中に三十程度までに処理が現在自信を持ってなせるのか、この点について関連してお伺いをいたしておきたいというふうに思います。
#227
○政府委員(間野忠君) グループ化につきましては非常に難しい面がございます。と申しますのは、各企業それぞれ経営実態も苦しくなっておりますし、それがお互いの相手を見つけてグループ化していくわけでありますので、おっしゃいましたようにまだ水面下でやられておる状態だと思います。
 ただ、設備能力を二割削減するということにつきましては、何とかこれはやれるという自信を業界も持っておるように考えております。
#228
○倉田寛之君 私は、今回御提案になっておりますこの法案が、造船業界をパーフェクト救えるという実は状況にないのではないか。いわゆる次善の策としてまずはこれだけはやらなきゃいかぬのではないか、こういう実は感じすら肌で感じている一人であります。どうぞ自信を持って行政指導をされて、これが法案の運用が効果あらしめられることをまず望んでおきたいというふうに思うわけであります。
 次に、造船の不況という問題は、単に我が国だけではありません。世界的なやはり不況というとらえ方で物を見なければならないというふうに思うわけでありますが、造船業をめぐる国際情勢、と同時に、我が国だけが二〇%の設備処理をするといいましても他国との関連があります。先ほど来も為替レートの問題で質疑がなされておりましたけれども、労賃一つとってみても韓国と日本は四対一である。素材の鉄鋼を見てもトン当たり八対三という違いがあるというふうに実は聞いておるわけであります。
 そういった意味から、造船業をめぐる国際情勢並びにこの世界的な不況という問題を、どういう場でどうとらえてどう国際的に政策協調をされていくお考えなのか。聞くところによれば、OECDの中にワーキングパーティー6という実は話し合いをする場があるそうでありますけれども、この場は本当に機能してそういった役割を果たすことができるのかどうか、その辺のところをこの際お伺いをいたしておきたいというふうに思います。
#229
○政府委員(間野忠君) 最初の国際情勢でございますが、かつては日本と西欧諸国が非常に強力な造船グループであったわけでございますが、最近西欧諸国のウエートは大変落ちてまいりまして、現在では世界に占めるその割合は一六%程度まで落ちてきております。ただ、我が国は依然として五〇%程度のシェアを持っておるわけでありますが、この西欧諸国にかわっていわゆる第三造船諸国、特に韓国が台頭してきておりまして、先生御指摘のOECDの造船部会、WP6と申しますのは、かつて日本と西欧諸国が非常に強力であったころに両者の協議を、あるいは調整をする場として設けられたものでありますものですから、現在のように韓国が非常に力をつけてきたときに適当な場であるかどうかということが問題になっておったわけでありますが、OECDと韓国、あるいは日本と韓国との間でいろいろ協議が重ねられました結果、WP6と韓国との連絡会議というような場が設けられまして、少なくとも年に一回程度は韓国も実質的にOECDのWP6に参加するような形をとっておりますので、今後は韓国、西欧諸国、日本と、ほぼ世界の主要な造船業界を代表する国が意見を交換したり情報を交換したりする場が設けられておると考えております。
 それで、またもう一点御指摘の非常に国際的な分野において、日本だけがそういう設備を廃棄するようなことをしても全体に対して効果があるのかという御質問でございますが、我が国としましては、先ほども申しましたように、新造船市場で五割程度のシェアを保持しておるわけでありますから、やはり我が国が率先して設備の削減と申しますか、供給力の抑制というようなことをいたしますことは、世界の海運造船に好影響を与えるんではないかと考えております。
 ただ、ほかの国が全く違った政策をとるということでは確かに効果が薄れることは御指摘のとおりでありますので、先ほどから申しておりますOECDの部会でありますとか、日韓の会議を通じまして各国に対しましても造船能力を拡張するようなことはしないとか、あるいは現在とっておる補助制度はやめるとか、そういったことを要請していきたいと考えております。
#230
○倉田寛之君 確かにリーディングカントリーとしての責任を果たすという意味では理解はできるわけでありますけれども、やはり造船不況が世界の不況の中にあるということの中で、やはり国際会議が最も政策的な問題を討議し、それによって協調できるような努力というのはさらに続けていかれることが我が国の造船業界の今後の見通しを立てる上でも重要である、こう実は指摘をしておきたいというふうに思うわけであります。
 次に、内容的な問題につきまして、特定船舶製造業安定事業協会に設備の買収のほかに新たに債務保証を行わせることに今回なっています。債務保証と設備の買収はどのように具体的に運用されていくのか。例えば買収ということは非常に緊急性が高いという実はとらえ方をすれば、債務保証というのはその他の場合どういうようにあわせて運用されていくのか、その点についてお尋ねをしたいと存じます。
政府委員(間野忠君) 廃棄されます設備の買収にいたしましても、債務保証にいたしましても、この計画的な設備処理の資金的な面での援助であると、そういう意味では共通のものであると考えております。
 ただ、買収の場合には、単に二本ある船台を一本つぶすというようなことではなくて、造船所ごとに新造船部門から撤退するといいますか、その事業所からも造船部門がなくなるというようなかなり厳しい削減をしますところに対しまして買収という制度を適用していきたい。したがって、資金的にも非常に困っておられるところを対象にするということになると思います。それ以外のまだ余力のありますところに対しましては、設備処理に伴いまして必要となる担保解除資金でありますとか、あるいは退職金の資金の調達、こういったことに対しては債務保証でやっていけるんではなかろうかというふうに考えておりまして、いずれにしても、御指摘のありましたように、必要性、緊急性を十分配慮しながら運用してまいりたいというふうに考えております。
#231
○○倉田寛之君 そこで、昨年海造審で二〇%程度の設備を処理するという方針が打ち出されてかような方向になったと思うんでありますが、今お話を伺ったこの二つを合わせて冒頭指摘をいたしましたけれども、果たして六十二年度中にそういう作業ができるのかどうかな、現実的にはいささかそういう疑問さえ持つのですけれども、この点をもう一度お伺いをしておきたいというふうに思います。
#232
○政府委員(間野忠君) 造船の不況の度合いと、それからもう一つ円高の進行が非常に速かったということもあるかと思いますが、各企業ごとにかなり早くから減量の必要性は認識されておったといいますか、され始めだというのが今回の不況の特徴であるかと思います。
 そこで、先ほども申しましたように、グループ化、集約化ということになると、まだいろいろ難しい面がございますが、それぞれの企業あるいはグループで減量して専門化するということについてはかなり検討が進んでおりまして、我々の考えておりますこういった支援措置が実現できれば、比較的スムーズに設備の廃棄は進むのではないかというふうに考えております。
#233
○倉田寛之君 それでは次に移りまして、本法が施行されますと、雇用や関連中小企業に与える影響というものは非常に大きくなるであろうという感じがするわけであります。例えば、現在十万九千人程度の造船業界にお働きの皆さんおられるようでありますが、業界全体で二万人を超える余剰人員が発生をするということであります。既に石川島播磨であるとか住友重機であるとか、さらには一月に事実上倒産をした田中産業グループ関連であるとか、そういう離職者を合わせると、二万という数字ではなくて、もはやもう三万人という数字になるのではないか、こういう実は感じをいたしているわけであります。そこで、この法律が施行されまして、果たして雇用の問題に関連してどういうような対策をお考えになっているのか、労働省。
#234
○説明員(廣見和夫君) 造船業におきましては、大変厳しい情勢の中、今先生のお話にございましたように、多くの離職者の方が発生しておられます。
 私どもの方では、公共職業安定所の方に出られる離職者の方々に求職手帳を発給いたしまして、いろいろ援助の措置を講じております。一月だけを見ましても、この造船から出てこられました離職者の方は七千三百人という多きに上っております。私どもはこういう状況に対しまして、この方々の雇用の安定を図るためにいわゆる三十万人雇用開発プログラムというものを中心にいたしまして、全力を挙げて雇用の安定を図っていく必要があるだろうと、このように思っております。
 具体的には、まずできれば雇用の維持を図っていただいた方が一番よろしいわけでございますので、企業の方に対しまして雇用調整の努力に対しいろいろ援助を差し上げるということで、雇用調整助成金というのがございます。この助成金の助成率等の引き上げを図る、あるいはまた事前に職業訓練をするということによって、転職をせざるを得ない方につきましてはできるだけ転職をスムーズにするということで、この訓練等につきましても大幅に委託訓練等を活用してできるように予算措置で計上いたしております。
 それからまた、出向というものももう少し活用する必要があるだろうということで、最近財団法人として産業雇用安定センターというものが設立され、今出向についての情報を集め、それを提供し御活用していただき、できるだけ出向という形で雇用の安定が図られるようにやっていただこうということもございます。こういう安定センターに対しては補助金を支給していくというような新しい措置も盛り込んでおります。こういったようなことを盛り込んだ三十万人雇用開発プログラムに基づきまして、職業安定行政としては、申し上げましたように、全力を尽くして一日も早い再就職あるいは雇用の安定に努めてまいりたいと、このように思っておるところでございます。
#235
○倉田寛之君 確かに、特定不況業種として再就職の援助計画等々、事業主に対するもの、離職者に対するもの、このメニューを用意してあるんですが、私は素人ですから素人っぽい発想になりますけれども、二〇%ダウンさせると、そうすると人はイコール二〇%離職するんではなくて、それ以上の人が離職するであろうと。そうすると、十万九千人の造船業界にお働きの皆さん方の少なくても八万人は工員の方であろうと。都市部においてはそういう方々が再就職をすることはかなり可能性があっても、特定不況地域内、いわゆる今までは造船産業によって地域の経済活力を保ってきたところにおいては、就職への道というのは極めて困難な状況にあるだろう。確かに今御説明のあったさまざまなメニューというのは、当は得ているけれども、現実の問題として、離職される人たちがより新しい職場で夢を持って次の生活設計を求め得る可能性、こういう点については自信はありますか。
#236
○説明員(廣見和夫君) 確かに、今先生のお話のございましたようないわゆる企業城下町と呼ばれておりますような地域、こういったようなところは大変厳しい状況になっております。私どもといたしましては、できるだけそういったような地域でも雇用機会の増大が得られるような施策も進めなければならない、このように思っておりまして、今国会に提出いたしております地域雇用開発等促進法、これに基づきましてもそういう地方の雇用機会の増大が図られるための援助ということで、新しい賃金助成等を内容といたしました地域雇用開発助成金を設けることといたしております。
 できるだけそういうことで、その地域の雇用の場ということの増大にも資することも必要だと思いますし、また、それはそれで十分でなければ、やむを得ず他の地域に就職する、こういうこともできるだけ図っていかなければならないだろう。そういう意味で、広域職業紹介というものもできるだけ頑張らなければならないというふうに思っております。
 そういう意味で、情報の収集ということも大切だと思いますし、広域にわたって移転就職された場合の住宅の問題あるいはいろいろの教育等にまつわる不安等について相談してさしあげるというような体制づくり、こういうものも今、予算の中に入れております。そういうきめ細かな対策を積み上げましてできるだけ努力してまいりたい、そういうことで一生懸命私どもとしては頑張ってまいりたい、このように思っておるところでございます。
#237
○倉田寛之君 関連の質問を数点いたしましたけれども、ひとつ精いっぱいしっかりと取り組んでいただきたい、こういうようにお願いを申し上げます。
 最後に、運輸大臣のこの法案の施行に伴いまする決意といいますか、所信についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
#238
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど、御質問に対して局長は、これでできる、可能であるという言い方をいたしました。私はそれを、これをやらなければならないんだと言いかえさせていただきたいと思います。
 我々として、日本の造船業というものを今後とも維持し続けようとすれば、この時期に大変つらくてもこれをやり上げなければなりません。全力を挙げて努力をいたしますので、委員の御協力をもぜひ賜りますようにお願いを申し上げます。
#239
○委員長(中野明君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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