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#1
第108回国会 運輸委員会 第2号
昭和六十二年三月二十七日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中野  明君
    理 事
                江島  淳君
                吉村 真事君
                安恒 良一君
                矢原 秀男君
    委 員
                伊江 朝雄君
                木村 睦男君
                倉田 寛之君
                坂元 親男君
                高平 公友君
                野沢 太三君
                真鍋 賢二君
                森田 重郎君
                山崎 竜男君
                吉川 芳男君
                青木 薪次君
                穐山  篤君
                田渕 勲二君
                小笠原貞子君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  橋本龍太郎君
   政府委員
       運輸大臣官房長  服部 経治君
       運輸省国際運
       輸・観光局長   塩田 澄夫君
       運輸省海上技術
       安全局長     間野  忠君
       運輸省海上技術
       安全局長船員部長 増田 信雄君
       運輸省港湾局長  藤野 愼吾君
       運輸省航空局長  山田 隆英君
       労働大臣官房審
       議官       佐藤 仁彦君
       自治大臣官房審
       議官       小林  実君
   説明員
       社会保険庁医療
       保険部船員保険
       課長       中西 明典君
       労働省労働基準
       局安全衛生部計
       画課長      安藤  茂君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特定船舶製造業経営安定臨時措置法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○港湾法の一部を改正する等の法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中野明君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案及び港湾法の一部を改正する等の法律案の各案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○矢原秀男君 まず最初に、法案の審議の前に一点だけお伺いをしたいと思います。
 全国、造船の町と言われる城下町が造船不況のために非常に大きな影響を受けております。そういうわけで、石川島播磨、兵庫県の相生市にあるわけでございますが、先般視察に参りまして、企業の方も大変でございますけれども、その影響を受ける城下町が非常に大きく混乱、心配を重ねている、こういう問題点を如実に、現場に参りまして私もいろいろと相談に乗ったわけでございますけれども、兵庫県の相生市ではIHIの合理化に伴い事業所職員の五一・四%に当たる二千六百四十八人が結局退職をし、八十年来の造船の歴史を持つ相生市も現在深刻な雇用問題を抱えて、その活性化についてどうしたらいいのかというふうな対策を迫られているのが現実でございます。そういう中で、脱造船城下町を掲げてポスト造船産業への模索も始めております。これは既に当局では御承知のとおりでございますけれども、ここにも相生市活性化マスタープラン検討委員会、こういう委員会をつくって産業おこしの企画を重ねております。現在大きな柱となっておりますのが、きのうもそういう城下町の質疑が交わされておりましたけれども、この相生も、風光明媚な入り組んでいる相生の湾内を中心とした海洋リゾート基地構想、こういうことも現地でも計画をされ、そうして県や国、そうしてまた運輸省等々についても順次御協力をお願いしたい、こういうふうなことでいろいろ検討をしている状況でございます。観光政策を所管する新しい運輸省のすばらしい計画等々も今出ているわけでございますが、この造船不況によって深刻な打撃を受けた、今私申し上げておりますのは、これは全国あるわけでございますが、特に相生市のこの造船不況によって深刻な打撃を受けた、こういう地域に対して運輸省としてどの程度積極的に対応、支援ができるのか、こういう点をまず伺ってみたいと思います。
#4
○政府委員(間野忠君) 昨日もいろいろ不況地域における需要の創出とかそういった点御議論があったわけでありますが、例えば長崎市におきまして、長崎県を中心にする海上ビルの構想などが出てまいりますれば私どももできるだけの協力を申し上げたいと考えております。先生今海洋リゾート構想を中心とする活性化プランなるものの御披震があったわけでありますけれども、我々といたしましても関係部局あるいは関係省庁等へもいろいろ働きかけまして、できるだけのことをいたしたいと考えております。
#5
○矢原秀男君 今、運輸大臣お聞きのように、造船城下町と言われるそういうところが雇用問題、不況打開について、非常に運輸省の新しい将来構想というものが夢や希望ということにもなっているわけでございますが、運輸大臣としては、特にこの相生関係につきましてはぜひ御協力もお願いをしたいわけでございますが、今後の課題として運輸大臣から一言お話を承りたいと思います。
#6
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員、相生のお話を例示に挙げられました。衆議院の審議の際に、例えば因島の例等も提起をされております。私自身自分の郷里に玉野を抱えて造船城下町の実態は十分に承知をしているつもりであります。これは基本的にはやはり私は雇用、また地域への影響等をいかに減殺するか、緩和するかということを考えなければならぬと思いますし、ですから今お話しのありました相生にいたしましても、特定地域中小企業対策臨時措置法の指定を、またあるいは特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法、それぞれの地域の対象地域として指定をいたしておりますし、事業転換、企業誘致等のための助成措置が受けられるような準備もしているわけであります。そうした中におきまして、私はそれぞれの地域の立地条件等を勘案され、それぞれの地域が私は将来に向けての活性化対策というものを打ち出しておられるであろうと思います。その中には、まさに運輸省の所管の中で対応のできるようなそうした青写真
を描いてこられるところもあるでありましょう。また、運輸省の所管とは全く異なった分野で新たな発展をお考えになる地域もあろうかと思います。それぞれの地域の描かれる青写真というものを私どもも御相談を受けながら適切に対処をしてまいりたい、そのように考えております。
#7
○矢原秀男君 本当に市町村初め市の職員も、市民の皆さんも、そうして相生造船に関係をしておりました関連業者も、そしてまた企業も本当に英知を絞って努力をされているところでございます。今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に移ります。
 特定船舶製造業経営安定臨時措置法案についてでございますけれども、まず一つは、造船不況と本法律案に関してでございますが、この点については五点だけ簡単に伺いたいと思います。
 その一つは造船不況の現況について、二番目には今後の造船需給の見通し、三番目には運輸大臣の定める基本指針の内容について、四番目は本法律案の事業提携の内容について、またそこまで踏み込んだ理由について伺いたいと思います。最後の五点目につきましては、今回の設備処理等による離職労働者はどの程度と見通しをされているのか。造船不況と本法律案に関して五項目について質問いたしたわけでございますが、簡単に伺いたいと思います。
#8
○政府委員(間野忠君) まず最初におっしゃいました現状でございますが、既に御承知のような大量の過剰船腹の存在と、円高の影響によりまして、受注量そのものも減りましたし、また船価も非常に低い水準にありまして、例えば受注量で申しますと、昭和六十一年度の受注量は、六十年度よりさらに三〇%程度減りまして、四百五十万トン程度になるのではないかという気がいたします。そういった事情を反映して経営も非常に悪化しておりまして、既に一部の企業につきましては、ただいま先生が相生の例を出されたわけでありますが、事業所の閉鎖、雇用調整などの合理化対策が既に実施されておる現状であります。今後の設備削減とか事業提携に対してはまだ具体的な段階にまで至っておらず、それぞれの企業が模索しておる段階であると理解しております。
 それから、今後の需要見通してございますが、昨年六月、海運造船合理化審議会が答申を出しましたが、そのベースとなった需要見通しによりますと、我が国の造船業の建造能力は標準貨物船に換算いたしまして約六百万トンあるわけでございますが、ここ二、三年の間は三百万トン程度の低い水準で推移し、その後若干回復するとしても、昭和七十年度におきましてもせいぜい五百二十万トン程度ではなかろうかというような見通してございます。
 それから、基本指針の具体的な内容でございますが、これにつきましては、ただいま申し上げましたように、長期的に見ましても過剰となる設備、現有設備の約二割でございますが、これは廃棄すべきであるということ、現在の厳しい事情に照らしましてその処理の期間は一年程度、六十二年度中にやるべきこと、それから、事業提携の内容といたしましては、過当競争を排除し競争力を強化するという観点からの営業でありますとか設計その他生産段階における事業提携の具体的な基準、あるいは買収の規模、債務保証の規模、そういったものを基本指針の中に明示することになると存じます。
 それから、事業提携を推進する理由でございますが、まず設備処理に際しましても、既に造船業の場合、前回の過剰設備の廃棄を通じまして一社一船台のものが多くなっております。そういったものの設備処理を容易にするためにも、事業提携あるいはグループ化ということが必要でございますし、最近のように韓国が非常に力をつけてまいりまして、これに円高が加わっておるわけでありますから、我が国造船業の競争力を回復するためにも、ある程度の仕事量を一つの事業所に集中しまして、そしてそれの間接費負担等を軽減していくというような意味から、合併、集約化あるいは事業提携ということが必要であると考えます。
 ただ、その進捗の度合いにつきましては、先ほども申しましたように、現在のところ具体的な相手を探すというようなことから検討の段階にまだとどまっておるというのが実情でございます。
 それから最後に、今回の設備処理等による離職者の発生のぐあいでございますが、昨年三月、今回の不況対策の対象となります四十四社に働く者が約七万七千人おったわけでありますが、来年の三月にはこれが四万九千人程度に減少するのではないかと見込まれております。我々といたしましては、こういった減量の対象となる方々ができるだけ他部門への配置転換であるとか新会社への出向でありますとか、そういったことで吸収されることが望ましいと考えております。
#9
○矢原秀男君 運輸大臣、私、昨年九月ですけれども、フィンランドへ参りましたときに、日本で造船不況なんだけれどもフィンランドはどうなのかと、こういうふうに関係の役人の方に伺いましたところが、いや我が国は造船不況というのはございませんと。で、いろいろ聞いていると、砕氷船についてはあの近隣国は全部フィンランドに、フィンランドの砕氷船の技術が非常に優秀である、他国でいろんな資金的に建造的にどんなことを持ちかけても、砕氷船についてはフィンランドでつくらなければだめなんだと、こういうふうによその国から言って、我が国の造船技術は砕氷船については世界で一番ですと、そういうふうに、過大なところもあるんだろうと思いますけれども、私たちに胸を張って答えておりました。
 私も、我が国の造船技術というものが、やはりお互いにすばらしい企業努力の中で世界で一番ではないかなと、日本の造船界を自負し、評価しておりますけれども、そういう世界の技術に対しても、日本の造船技術についてはこうなんだというものがやはり数点、胸を張って言えるような技術があるんではないか、そういうふうなことをフィンランドから帰り常々考えておったわけでございますが、そういうすぐれた面があると思うんですけれども、そういう点は運輸省としてはどの程度に評価されていらっしゃるのか。また、造船不況の打開策について、私、フィンランドの例を申し上げましたけれども、世界に対してそういうPRというのか実績というのか、そういうことがございましたら、二、三伺っておきたいと思います。
#10
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、本質的に、今日におきましても日本の造船の持つ能力というものは、世界的に見てはるかに優位なものを保ち続けていると考えております。そして、今日の状況におきましても、例えばLNG船でありますとかコンテナ船でありますとかいった分野、いわば付加価値の高い船、付加価値の高い船においては、私は日本の造船界というものは、なお非価格競争力において世界に冠たるものを持ち続けておると考えております。
 そして、事実、この急激な円高の影響を受けて今非常に苦況に立っておるわけでありますが、第一次、第二次のオイルショックを経過しまして、世界的な荷動きの減少、それに伴う船腹の過剰状態の中での日本の造船というものはなお四〇%、五〇%のシェアを持っておりました。今、委員、フィンランドの例を挙げられましたが、確かにそれぞれの国はすぐれた部分をお持ちでありましょうけれども、西欧諸国の造船に占めるウエートというものが年々低下をし、逆にいわば第三国、殊に韓国を中心とした第三国とのシェアが逆転をしております状況も、委員が御承知のとおりでございます。
 その韓国等と日本を対比しました場合に、私はどうしても日本が不利になる部分は、基本的にはまさに人件費の問題であろうと思います。また、人件費を含めた労働条件、雇用条件の問題であろうと思います。ここしばらく私見ておりませんが、数年前に韓国の現代造船所を私も見てまいりました。ちょうど前回の調整の前後であります。そして、そのとき私は痛感をいたしましたことは、こういう雇用条件、労働条件、我が国の水準をここまで落とすわけにはいかない。そうすれば
その差というものを結局技術革新で埋めていく以外にない、そうした感じを持ちました。
 最近になりまして韓国の関係者とお目にかかりましても、なお付加価値の高い船について韓国の造船界に限界があることを、そして非価格競争力分野において日本になお優位があることを彼らも認めております。それだけに、私は日本が現在依然として世界の造船の中枢の国の一つとして、世界的な荷動きの量が不足し船腹が過剰な状態になる中で、その過剰な船腹をある程度整理し、造船設備を集約化し、設備を縮小することによって実態の荷動きの量に合った造船、海運というものに姿勢を転換していく、いわばその役割を今日我々は果たさなければならなくなっているという感じがいたします。
 しかし、そういう視点とは別に国内の問題として考えます場合には、この造船不況という現実の問題、そしてまさに委員が指摘されましたような各地における、造船城下町における雇用問題、地域の経済問題というものを我々は何としても解決をしなければならない場面に追い込まれていることも事実であります。
 これはただ一運輸省だけでこれらの対応が完全にできるものではございません。労働省にもまたその他関係各省庁にも協力を得ながらこの時期を全力を挙げて乗り切ってまいりたい。そして、乗り切って将来に対して我が国の造船能力を保持することが、その技術的優位性を持つ日本の造船界が将来ともに国際社会においてその役割を果たす大きなポイントであろう。そのためにも今回この法律をできるだけ早く通過成立をさせていただき、御協力を得ながらこの状況を乗り切ってまいりたい、そのように考えております。
#11
○矢原秀男君 次に、特定船舶製造業安定事業協会に関してでございますけれども、これに関しましては五点伺ってみたいと思います。
 一つは、同協会の現在に至る事業、機構の概要でございます。二点目は、特定船舶解撤制度においては産業基盤信用基金により債務保証がなされると伺っておりますけれども、本法案では特定船舶製造業安定事業協会が行うことになった理由と経過について。三点目は、本法案により同協会が増資されるが、出資者、出資額負担割合の内容について、また開銀出資の経緯についても伺いたいと思います。四点目は、同協会の行う債務保証規模と買い上げ規模の算定根拠、また規模を超える希望への対応策について伺います。最後の五点目は、同協会への納付金額並びに政府の利子補給金の決定方法について、また納付金額の推移についてあわせて伺いたいと思います。
#12
○政府委員(間野忠君) 最初に、特定船舶製造業安定事業協会の概要でございますが、この協会は、前回不況の際、特察船舶製造業における計画的な設備の処理を促進するために、特定船舶製造業の用に供します設備及び土地の買収を行う機関として、法律に基づきまして、五十三年十二月、資本金二十億円で設立されました認可法人でございます。
 この協会は、五十四年度前回不況の際に、三五%の設備処理を実施したわけでありますが、このときにもつの造船所を三百六十八億円で買収しております。それ以後は買収した設備、土地の管理あるいは譲渡業務を行って今日に至っております。
 次に、特定船舶製造業安定事業協会で債務保証を行う理由でございますが、債務保証は造船企業の企業体力あるいは信用力、こういったものが非常に低下しているという実情にかんがみまして、設備処理に伴います担保解除資金であるとかあるいは退職金のための資金の調達を援助するために保証を行おうとするものでありますが、特定船舶製造業安定事業協会では、ただいま申しましたように、前回不況以来撤退いたします造船所の設備、土地の買い上げ、買収を行ってきたわけでありますが、これがまた一番手厚い支援措置であるわけでありますけれども、この買収に要した資金は残存事業者の納付金によって返済することになっております。
 そういったことでありますので、残存事業者の負担をこの際できるだけ軽くするという意味では債務保証を広く活用いたしまして、この協会が従来やっておりました買収業務と一体的運用を図るということが極めて重要であろうと考えまして、前回不況の際とは違って今回はこの特定船舶製造業安定事業協会で債務保証もあわせて行うというふうに措置したわけでございます。
 それから次に、今回追加出資の概要と開銀出資の経緯でございますが、先ほど申しましたように、既にこの協会は二十億円の資本金を持っております。今後、債務保証の規模として五百億円程度のことを考えておりますので、そのためには五十億円程度の基金を造成する必要があると考えまして、従来の二十億円に加えまして、開銀から十億円、民間から二十億円の出資をしようというものでございます。開発銀行から十億円の出資をすることになりました経緯は、増資に必要な資金の調達をできるだけ円滑に進めたいというようなことから開発銀行に十億円お願いしておるということでございます。
 それから買収の規模、債務保証の規模、その算定根拠ということでございますが、債務保証の規模は五百億円程度、それから買収の規模は三百億円程度を考えております。その算定根拠でありますが、今回、この法律の対象となります四十四社のうち大手七社とそれ以外の会社に分けまして、大手七社の場合にはかなり独力で設備処理ができるであろう。恐らく三分の一程度が債務保証を希望してくるんではなかろうかということで、大手が設備処理するのに必要な担保解除資金、退職金の調達、そういった総額の三分の一程度、これが債務保証に回ってくるだろうということと、それから中小手の場合、大手を除く会社の場合には、設備処理の約半分が買い上げに回ってきて、半分が債務保証で処理できるであろう、こういったことを根拠にいたしまして積算したわけでございます。
 それから次に、特定船舶製造業安定事業協会に対します残存事業者の納付金、それから政府の補給金の算定方法でございますが、納付金につきましては、契約船価に運輸大臣が海運造船合理化審議会の意見を聞いて定める納付金率を乗じて算定することとしております。
 その納付金率でございますが、協会の元利償還計画、土地、設備等の譲渡の見込み、こういったことをベースといたしまして、協会の長期収支の見通しをはじきまして、これに基づいて毎年納付金率を決定しております。
 それから次に、国かもの補給金でございますが、これは協会が市中銀行あるいは開発銀行から資金を調達いたしまして買収を実施しました後、協会の実質的な負担金利が三%になるまで国からの利子補給をいただくというようなことで算定しております。六十二年度に関しましては六億三千九百万円が予算案に計上されております。
 最後に、残存事業者の納付金はどの程度になっておるかというお尋ねでございますが、五十三年度から六十年度までの実績でございますが、百五十四億五千四百万円を納付金として納めていただいております。今後六十一年度が十五億四千万円、六十二年度には十三億円程度の納付金を納めていただくことになろうかと思います。
#13
○矢原秀男君 今後の造船需要の具体論についてでございますけれども、年金客船の建造見通し、それから海洋構造物に対する運輸省の研究状況について、そうして最後の一点は、きのうもお話等が質疑で出ておりましたが、長崎港の海上都市ビル建設構想、技術的なそういう安全度も含めてその概要について伺いたいと思います。
#14
○政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。
 海洋国家であります我が国が外航客船を建造すべきであるという声が各方面から出ておりますことは十分承知をしております。
 豪華客船の建造の可能性につきましては、関係識者の方々に御検討いただいておりますが、その御検討の結果によりますと、客船建造の資本費を軽減できるような資金調達方法を検討する必要が
あるという御意見、それから他方、客船プロジェクトの実現のためには、その需要確保のため、客船についての世論の喚起、客船推進母体の形成等が当面の課題であるという御指摘をいただいております。
 これと並行いたしまして、最近民間の大手海運会社が相次いで外航客船の建造計画を発表しておりますところでございますので、運輸省といたしましては、このように民間が主体になって客船の建造を推進していくことが望ましいと考えております。
#15
○政府委員(間野忠君) お尋ねの長崎港の海上都市ビル建設構想でございますが、このプロジェクトは、長崎県等が参加する第三セクターがホテルとかインテリジェントオフィスとか、あるいはレストラン、そういったものを有する本格的な海上浮体ビルディングをつくろうというものでございまして、長崎港内の非常に陸地に近いところに置くことになっております。したがいまして、安全上ほとんど問題はないとは思いますけれども、まさに船と陸との接点でもございますので、あるいは場合によっては例えば建設省等の基準も適用になるというようなことがあるかと思いますが、そういった点につきましては私どもでできるだけ協力してまいりたいというふうに考えております。
#16
○矢原秀男君 最後の諸外国造船業との関係については、韓国造船業の推移と現状を伺いたいと思っておりましたが、きのう、先ほども運輸大臣からるる話を伺いましたので、大体了解をいたしました。
 では次に、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。
 まず、五点について伺いたいと思いますが、まず一点は、昭和五十四年の法改正による利子補給制度の復活に関してでございますが、これには三点伺いたいと思います。
 一つは、利子補給制度を復活させる背景となった当時の海運不況の状況と利子補給復活の理由について、二番目には、利子補給対象船の建造実績について伺いたいと思います。三点目には、利子補給対象船の我が国商船隊に占める役割ということについてでございます。
 まず、これを伺いたいと思います。
#17
○政府委員(塩田澄夫君) お答えを申し上げます。
 まず、第一点の利子補給制度を復活させました背景、五十四年前後の海運不況の状況でございますが、昭和五十年代の初期におきましては海運市況が不況でございまして、また海運市況が不況でありますとともに、日本船の国際競争力が低下をいたしまして、日本の海運企業が日本船を建造する意欲が非常に乏しくなっておりました。運航コストの低廉な外国用船に依存する度合いを年々高めつつありましたので、そのままでいきますと我が国外航海運がその中核としてまいりました日本船の維持確保が困難となり、我が国の貿易物資の安定輸送を確保するために憂慮すべき事態に至るのではないかということが予想されたわけでございます。
 このような事態を回避するために昭和五十四年度がち五十六年度の予算におきまして利子補給制度を復活をいたしまして、国際競争力のある日本船の建造体制への改善強化を図ることとしたわけでございます。なお、五十四年度から五十六年度の予算におきまして利子補給制度が復活されるに当たりましては、その対象を高度合理化船と液化天然ガス運搬船、いわゆるLNG船でございますが、それに限っておりまして、利子補給を通じましてコスト面でも国際競争力を有する船舶の建造を促進することによりまして、我が国海運の体質改善を図ろうとするものでありました。
 二番目に、それではその利子補給の対象となった船の建造実績はどうかという御質問に対しましては、まず五十四年度におきましては大型のコンテナ船五隻、不定期船九隻。この不定期船は、当時の石炭輸送の需要などを反映いたしました石炭の専用船などが中心でございます。それから、タンカー十七隻。このタンカーはそれまでの大型に対しまして中型のタンカーでございます。合計三十一隻でございまして、利子補給の契約額は合計二百二十八億円でございます。
 それから五十五年度に至りますと、やはり大型コンテナ船七隻、不定期船十三隻、油送船、同じように中型タンカー六隻、LNG船三隻、合計二十九隻でございまして、利子補給契約観は三百三十五億円でございます。
 五十六年度は不定期船十九隻、油送船二隻、LNG船三隻、合計二十四隻でございまして、利子補給契約額は三百三十四億円でございます。これによりまして、五十四年度から五十六年度までの三年間に利子補給契約が締結された船舶の合計は定期船十二隻、これは全部大型コンテナ船でございます。不定期船四十一隻、油送船二十五隻、LNG船六隻の合計八十四隻でございまして、利子補給契約の額は八百九十七億円に達しております。
 三番目の御質問でございますが、この利子補給が行われました対象船舶の我が国商船隊に占める役割とその現在におけるウエートでございますが、ただいま御説明しました合計八十四隻、四百九十七万総トンとなっておりまして、これはこの期間におきます日本船建造量八百六十五万総トンの過半数を占めまして、また建造船舶はすべて近代化船となっておりまして、現在我が国における近代化船の約四五%を占めるなど現在の我が国商船隊の中核となっている日本船でございます。
 以上でございます。
#18
○矢原秀男君 二点目は今日の海運不況と政府の海運政策についてでございますけれども、二点これでは伺いたいと思いますが、今回の不況に際して利子補給が復活をしなかった理由、簡単に伺ってみたいと思います。それからまた我が国の外航海運において日本籍船の果たす役割は変化しているのかどうか、この二点伺いたいと思います。
#19
○政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。
 御説明の便宜で二番目の御質問からお答えをしたいと思いますが、今の我が国の外航海運におきまして日本籍船の果たす役割はどうかという二番目の御質問に対しまして、我が国にとりまして海上輸送の確保は不可欠なことは言うまでもないことでございまして、そういう意味で我が国の外航海運は国の国民経済と国民生活にとって生命線とも言うべき役割を果たしております。我が国商船隊の中核としての日本籍船の果たす役割の重要性につきましては、昨日運輸大臣からも御答弁がありましたように、私どもは非常に重要な役割があると考えておりまして、その当時と今日で変わっているとは考えておりません。
 しかしながら、近年におきます国際競争の激化、世界的な船腹過剰に起因する不況の長期化に加えまして、六十年秋からの急激かつ大幅な円高の進行の影響によりまして日本籍船の競争力の一層の低下の問題、それから海運企業経営の悪化の問題が新たに出てきております。
 国といたしましてもこれに対してまずなすべきことは船腹過剰の解消のためのスクラップの促進、それから日本籍船舶の競争力の回復のための近代化の促進ということに重点を置いて考えていくことは再々ここで申し上げました。
 このために国として現在行っておりますことは、競争力のある近代化された日本船の整備が促進されるようにするという観点から、長期低利資金の確保、いわゆる計画造船の財政資金でございますが、その確保と税制上の特別償却等の措置によりまして、近代化された日本船の整備ができるような措置をとっているわけでございます。
 それで前の御質問に返りまして、今回の不況に際して利子補給が復活しない理由は何かということでございます。この点につきましては、ただいま申し上げましたように五十四年の状況と今回を比較をいたしますと、五十四年の時点におきましては、まだ第一次石油危機が起こりました昭和四十八年から四十九年にかけての第一次石油危機から余り時間がたっておりませんでした関係で、世界の荷動き量の減少の傾向が、傾向は見られまし
たものの、余り具体的にその数字が出ておりませんでした。それに対しまして、今回は昨日も御説明いたしましたように、数年前と比べますと、石油の荷動きに至っては半減をしているというような状況でございまして、このような状況におきまして船舶の建造の促進という面を余り強く出すという問題もございます。私どもとしましては、現在の状況におきましては、船腹過剰の解消という点あるいは海運企業経営をこの輸送需要に合わせたものにしていくという点に重点を置いて考えているわけでございます。
#20
○矢原秀男君 次に、この本法律案に関してでございますけれども、この中で三点伺ってみたいと思います。
 その一つは、本法律案によって改めて繰り延べを法定化する理由についてですね。二番目は、日本開発銀行に対して猶予対象利子の残高に所定の利率を乗じて計算した額の交付金を交付するとしておりますけれども、この算出方法、交付額及び本法案条項として含まれた理由について。最後の三点目は、本法律案によれば、海運企業の開銀に対する利子債務は猶予されることとなります。免除とせずに猶予とした理由についてですね、簡単で結構でございますけれども伺いたい。
#21
○政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。
 昭和五十四年から五十六年の三カ年にかけまして国が金融機関と契約をいたしました利子補給金の支給につきましては、その支給年限が利子補給契約締結年度以降十一年度と法定をされておりまして、六十四年から六十六年度までにその支給年限が到来することになります。国の厳しい財政事情を見ますと、その際は支給延長措置等の対応に迫られることの可能性が高いというふうに考えられます。
 他方、海運業界の現状は、先ほど来申し上げておりますように五十七年ごろからの不況が長期化をいたしました上に六十年秋以来の円高の影響で経営悪化に拍車をかけておりまして、非常に深刻な状況となっております。利子補給法の目的の一つであります海運業の健全な振興にもとるというようなことも予想されるところで、政府といたしまして対応措置を早急に確立する必要があると考えておりまして、このために今年度に、六十二年度予算におきまして、利子補給金の期限内の支給と同等の効果を生じせしめることができるような措置、具体的に申しますと、日本開発銀行による六十二年度以降分の利子補給金相当額の利子支払い猶予制度を設けることにしたわけでございまして、これを実施するためにこの法律を制定する必要があるわけでございます。以上が法定をする必要がある理由でございます。
 二番目に、日本開発銀行に対しまして交付金を交付する、その交付金の交付の算定基礎でございますが、二つございまして、一つは開発銀行が猶予しました金額につきまして三年据え置き、その後五年で均等に猶予した金額に対応した金額を国から開発銀行に交付をするというのが一つございます。もう一つ、この交付金は日本開発銀行が猶予措置を講ずるに当たりまして運用金利収入の減少を来すことを回避するために交付されるものでございまして、その際の減収相当額について、各期間の期首の猶予残高に所定の運用利率相当の率を乗じて計算することとしたものでございます。運用金利相当額の六十二年度から七十三年度までの所要額は、金利を六・四%と仮定をいたしますと五十七億円となる見通してございます。なお、六十二年度予算におきましては一億一千九百万円を計上いたしております。
 それから三番目に、この法律案の開発銀行の措置、すなわち開発銀行の利子猶予措置は利子の免除でなくてなぜ猶予であるかという御質問でございますが、今回の措置はあくまでも海運会社が金融機関に利子を払うということを前提に、政府がその一部を利子補給をするという現行制度の基本を維持しながら利子補給金の支給の態様を変えるというものでありますので、利払いの免除でなくて猶予としたものでございます。
#22
○矢原秀男君 ここで運輸大臣に伺いたいんですが、きのうの質疑と重複すると思うんですけれども、非常に重要でございますので改めて伺いたいんでございますが、それは海運の不況と我が国の船員政策に関してでございます。
 一つは、外航船員二万人のうち一万人が過剰と新聞報道をされている点とか、外航船員の雇用問題が非常に深刻化しておることは事実でございます。こういう雇用情勢と、政府の対応であるとか、また二番目には、外航海運労使間で緊急雇用対策の合意がなされたとかいう報道も聞いているわけでございますが、そういう概要と政府の対応であるとか、三番目には労働省との間で進められている資格互換性の進捗状況はどうかなと。こういう今申し上げた三点、いろいろと私なりに心配をしているわけでございますが、まとめてで結構でございますので、これらの海運不況と我が国の船員政策について、大臣としてのあらあらのお話で結構でございますが、伺ってみたいと思います。
#23
○国務大臣(橋本龍太郎君) 細部にわたりましては政府委員からそれぞれ補足をしてもらいたいと考えますけれども、基本的に私どもが一番今頭を痛めておりますのは、二回のオイルショックを経過してなお世界経済の停滞が続いているその中において、海運による荷動き自体が非常に世界的に減ってしまった、そのための船腹過剰という、これは日本だけの問題ではなく海運諸国いずれにも係る問題であります。そうした中で、その船腹過剰というものがひいては新造船の建設の延引を招き、停滞を招き、我が国の造船業に極めて大きな影響を与えている、これはもう委員先ほどから御承知のとおりであります。そうした中で私どもは、いわば周囲を海に囲まれている国として、まず第一に自国の商船隊を持たずに済むものかどうか、当然これは持たなければなりません。となれば、その商船隊を維持するための造船業というものをなくしていいのか、これもなくすわけにはいかない。その中で、先般来御審議をいただいておりますような法律案を御提案を申し上げ、御審議をお願いをしてまいりました。
 そしてその中で、もう一つ出てまいります問題は、先ほどから御指摘を受けておりましたいわば造船城下町の問題等々と同時に、その船員雇用の問題であります。昨日、政府委員からも御答弁を申し上げたわけでありますが、一定の船を想定をし、船主がそれに支払ういわば人件費、その人件費というものが常雇いの船であるならば三億円かかる。その期間を限った雇用であっても一億円かかる。国名を挙げることが適切かどうかわかりませんけれども、フィリピンあるいは韓国等の船員を勤務をさせればそれが五千万円で済むといった非常に大きな人件費の差異がある。これは荷主とすれば、不況の中でありますからできるだけ安い船を選びたい。船主もそれに押されてどうしても日本人船員の雇用が減ってくる。悪循環であります。
 ただ、同時に、日本人船員の持つ高い技術あるいはモラル等に対する信頼性という、いわば非価格競争力に類する部分においては日本の船員は非常に高い評価を得ている。そうなれば、少しでもそうした高い評価を得ている日本人船員を乗せていくための手法として、地道な方法でありますが部員の職員化といったものを積み重ねていくという着実な努力が一方では欠くことができません。
 しかし同時に、船腹自体が減少してきているところへもってきて、いわば付加価値の高い船になればなるほど少ない人員でこれが運航可能になるという、ここにも船員の雇用の場を狭める一つの原因がございます。
 そうした中で、先般労使間においてある種の合意が成立をしたということを私どもとしては大変高く評価をいたしたいと思いますし、その労使間合意というものを実現させるための政府としての努力も、もちろん我々は十分に果たしていかなければなりません。たまたま昨日、安恒委員の陸上の雇用と海上の雇用とその違いはという御質問で、私は実は船員の持つ海上資格の陸上への転換の問題をお答えをしてしまったのも、そうした中で残念ながらどうしても陸上に職を求めていただ
かなければならない船員の方々にその機会を得やすくするとすれば、船員として持たれているその技能というものを陸上の技能として認定をしていただく、あるいは手続を緩和して受けとめていただくといったことを地道な努力として我々は積み重ねていく必要があると考えております。
 大変粗い御答弁になりましたが、基本的にはそのような考え方でおるということであります。
#24
○政府委員(増田信雄君) まず御質問の第一点、雇用の現状でございますが、六十一年の十月現在で見まして、求職者が約九千人でございます。それに対しまして求人が千三百人強、有効求人倍率というのが〇・一四になっております。この場合の陸上での有効倍率が〇・六一と聞いておりますので、平均してみますと陸上の四分の一以下の就職のチャンスしかない。これは私どもの船員公共職業安定所において取り扱っている事例でございます。こういう状況というのは、当分の間まだ続くと考えざるを得ません。そこで、私どもは、当然のことでございますが、海運企業あるいは企業のグループの中でできるだけその船員を吸収してほしい、またやむを得ず退職する場合にも事前に教育訓練をしてほしいということを願っております。
 運輸省といたしましては、従前から海上から海上へ移るということを念頭に置きながら、外国船に乗る場合に備えまして部員の職員化あるいは英語の教育というものを助成をしてまいっております。なお、日本船員福利雇用促進センターを通じまして、外国船等に乗る場合には助成の意味を込めましてお金を支給しております。さらに、今後の状況にかんがみまして、海から陸へ移っていく方々のための支援というのを強化しなければいけないというふうに考えております。このことは運輸省だけではできることではございませんので、労働省初め関係の省庁あるいは地方公共団体とただいま緊密な連絡をとりつつ政策を進めておるところでございます。その一環としまして、お尋ねの海上の海事資格者が陸上に移る場合に何らかの資格の互換性というものを認めてはどうかということで、五十九年の六月以来運輸省から労働省の方に御要請を申し上げて、これは非常に技術的な問題もございますので慎重に検討を続けてまいりました結果、十一の職種につきまして受験資格の緩和あるいは一部の試験免除という措置がとられることになりました。今後も必要に応じて調整を図ってまいりたいと思っております。
 それから、緊急雇用対策でございますけれども、日本海運のさらなる発展を期すためには雇用調整が避けて通れないという共通の認識のもとに、昨年来労使間におきまして緊急の雇用対策が打ち合わせをされてまいっております。先般、特別退職手当をつくるということとあわせまして、雇用開発促進機構というものをつくるということで合意が成り立っております。ただいま四月一日の発足に向けて労使間で鋭意詰めておるところでございます。この機構は、御案内と思いますが、船員の場合は陸上の社会を離れまして長い期間海上にいるものでございますので、ある日突然雇用調整と言われてもなかなかなじめない部分がございます。そこで、当分の間の措置としまして、この機構を通じまして、船員の教育訓練とあわせまして海陸にわたる職場の確保をしていこう、いわゆる軟着陸を図ろうというものでございます。
 私どもは、労使間の緊密な連絡のもとに、この機構が円滑に運用されることを大いに期待をしておりますし、また運輸省といたしまして適宜適切な支援をいたしてまいりたいと考えております。
#25
○矢原秀男君 次に、港湾法の一部を改正する等の法律案について二点にわたって質問をしたいと思います。
 そのうちの一点は、本法律案が提出された経緯についてでございますが、このことについては、まず一つは、過去二カ年補助金法案は一括提案されたにもかかわらず今回は分割提案となった理由と経緯、二番目には、昭和六十年の補助金等特例法に定める期間中にもかかわらず法案が提出された理由、まずこれについて伺いたいと思います。
#26
○政府委員(藤野愼吾君) ただいまお話にございましたように、過去二度にわたって補助金の改定に関する法律の御審議は一括して御審議をいただいてまいりました。それは、これまでの場合は、まあ補助金整理合理化と一言で申し上げてよろしゅうございましょうか、補助金のあり方について総合的に全体を見直す、こういうことでやってまいりました。ところが、このたびは専ら公共事業の事業費を確保しよう、こういう視点についてのみ検討を加えることとしてまいりましたので、全体を一括してするというふうなことでもないのではないかということから、各省ごとに法案をつくるということとしたものでございます。
 それからもう一点の御質問の、六十一年度に改正をしたこの補助金等の特例法の動いている期間内であるにもかかわらず、こういうことでございます。確かにその期間内であったわけでございますが、既に御案内のように国の財政事情は厳しい状態が依然として続いておる。そしてまた、公共事業の国費が抑制されざるを得ないという条件の中でも社会資本の整備に対する要請は非常に強い、地方公共団体からもそういった要望が非常に強い、こういう状況がありますことと、それから、既に御案内のように、急激な円高に代表されまする経済状況の変化に対して、我が国の経済の構造をも外需依存型から内需主導型に転換をしていかなければならぬというふうなことになっておるわけでありますが、その場合に、公共事業という内需を主導していく分野の事業のボリュームを拡大をしていく必要があるのではないか。このような昨今の事情というものを考えまして、先生御指摘のように、さきの法律で定められた期間内ではございましたけれども、さらに補助率の変更を公共事業についてのみお願いをするということにしたものでございます。
#27
○矢原秀男君 二点目でございますが、本法律案と第七次港湾整備五カ年計画の関係について伺いたいと思います。
 三点伺いますが、まず一つは、昭和六十二年度予算も含めて第七次港湾整備五カ年計画の進捗状況についてでございます。二点目は、第六次計画において港湾機能施設整備事業の達成率が低いものになっている事情について伺いたいと思います。三点目は、本法案が第七次港湾整備五カ年計画に与える影響。この三点について伺いたいと思います。
#28
○政府委員(藤野愼吾君) まず、第七次五カ年計画の進捗率でございます。昭和六十一年度を初年度とするいわゆる第七次港湾整備五カ年計画は港湾整備事業で二兆五千五百億円ということとして決めていただいておりますが、昨年といいますか今年度と申しますか、六十一年度事業では四千七百億余の事業を行い、それから六十二年度では、今予算の審議をお願いしておるわけでありますが、四千六百億余を予定をいたしておりまして、両年合算をいたしますと計画の進捗率は約三七%になる、こういう見込みでございます。なお、この公共事業のほか、いわゆる民間資金の積極的な活用、導入というふうなことについても可能な限りの工夫を凝らして、そしてこれらの計画の達成、事業の拡大に今後とも努力をしていきたい、かように考えます。
 それから、第六次港湾整備五カ年計画において港湾機能施設整備事業の達成率が低いということでございます。御案内のとおりに、港湾機能施設整備事業と申しておりますものは、いわゆる公共事業で行っております航路・泊地の整備、防波堤の整備、また岸壁の整備といったふうなものに対応する形で、港湾管理者が上屋とか荷役機械とか貯木場とか、そういったふうなものを整備をする事業のことを言っておりまして、これは起債によって賄われております。
 さて、先生御指摘のように、六次の五カ年計画におきましては、この起債事業が全体計画は四千六百億に対しまして達成率が五三%。実は公共事業の方が七五%、これも決していいとは申せませんが、それに比べでもかなり低い達成率に相なっております。
 まあ、ひとえに財政事情からきておるというふうに申し上げてよろしいわけでありますが、この事業は公共事業によります港湾の基本施設の整備と連動する形で動いておりまする関係上、基本施設の整備が国の財政事情から若干おくれてまいりますれば、それにどうしても引っ張られるというふうなことがあったり、また地方公共団体の側から見まするならば、起債に依存しておるということがありまするために、当初償還をしていくというふうなことを考えますと、なかなか難しい情勢もあったりというふうなことが、この達成率が結果として余り芳しくないという状況になっておろうかと見ておるところでございます。
 それから、三点目の御質問の、今回の法律改正に伴っての補助率改定カットが七次の五カ年計画の遂行に対して与える影響いかん、こういうお尋ねでございます。既に御案内のように、社会資本の整備を積極的に進めろ、こういう強い要請の中で、もともと事業費を確保していこう、こういうことから補助率の改定切り下げをお願いをしたものでございまして、苦しい財政事情の中でこの計画を達成をしていくための一つの方途であるというふうに考えまするし、それからそれに伴って結果的には地方公共団体に負担が若干回るということがありますが、それにつきましては地方財政への影響ができるだけ少ないように、支障のないようにということで別途自治省等での財政援助手当てもしていただけるということでありまするので、五カ年計画達成のための特段大きな支障になるということはないというふうに考えておるところでございます。
#29
○小笠原貞子君 まず最初に、造船問題からお伺いしていきたいと思います。
 造船不況、これは非常に深刻な問題なんでございますけれども、これは単に造船部門だけの不況ではなくて、そもそもからいえば政府の経済政策の失敗の深刻な反映と見るべきだと考えるわけです。その意味では、政府の経済政策が今この問題から通しても真剣な反省が求められるべきだということを最初に申し上げます。
 ところで、建造の見通しというのが六十八年以降五百十万トンないし五百二十万トン、こういうふうに資料ではなっておりますけれども、その見通しの根拠についてお答えをいただきたい。
#30
○政府委員(間野忠君) 海運造船合理化審議会で行われました事業見通しの積算方法でございますが、これは石油、鉄鉱石、石炭、こういった主要貨物別の海上荷動き量というものをまず予測いたしまして、その海上荷動きを輸送するために必要な船腹量というものを計算いたしまして、これと現在存在いたします船腹量の差、そういったものを求めます。それと別途今後スクラップされる船腹量というものを計算いたしまして、これを差額に加えたものが新造船需要量になるという手法で計算しております。
#31
○小笠原貞子君 今回の設備買い上げ法案の前に出されておりました五十三年時、このときの買い上げ法と八年後同じ対策を再びとるという見通しの甘さ、これも一つの大きな問題、経済政策の失敗であるというふうに私は言わなければならないと思うんです。
 五十三年のとき、運輸省は六十年にハイレベルで六百四十万トン、ローレベルでは三百四十七万トンの建造見通しというものをお立てになりました。このとき現有能力は九百八十万トンお持ちだったわけです。今回もこの傾向とかなり似ているというふうに私は見ました。また六百四十万ないし三百四十七万トン、ハイとローと、この目標と今回のものはほとんど変わらないというふうに見られる。それなのに、なぜ大幅な削減が必要なのかということですね、問題は。それはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#32
○政府委員(間野忠君) たしか五十二年度の設備処理の際に、やはり海運造船合理化審議会が予測いたしまして、その際には五十三年当時予測いたしますと、昭和六十年度ぐらいには六百四十万トン程度には回復するであろうという見通しであったと思います。残念ながら、その後第二次の石油ショック等が起こりまして、さらに省エネルギーが進んだというようなことから今回見直してみますと、とても六百四十万トンというような需要は今後見込めない、恐らく今後、経済の発展があったとしても、昭和七十年度で五百二十万トン程度ではないかということで、さらに二割の設備削減を要するということになったものと理解しております。
#33
○小笠原貞子君 確かに五百十万トンないし五百二十万トンというふうに見通していらっしゃる。五十三年のときにお出しになった分では、ハイが六百四十万とそれからローが三百四十七万ですね。この幅で言えば、今の見通しというものと、この幅があるんだから大して変わりはないというふうに、この幅の中に入るわけだから、だから大して変わりはないということを申し上げたわけなんですね。この幅があって、見通しはちゃんと入るんだから大して変わりがないのに、今度は非常に大幅な削減になったということを一つの問題として私は質問したわけなんです。
 さて、そこでこの買い上げ法によって中手造船が淘汰されるということは言えると思うんですね。五十三年度の買い上げ法によりまして六十一社中十社が買い上げ対象になりました。そのすべてが中手以下でございました。そのほかに七社が五千トンを割るというふうな形をとっているわけです。つまり、造船不況の名によって、結果から見て具体的に示されているのは、中小造船の切り捨てであったということが事実として言えると思うんです。
 今度の場合にも事業所単位から一基単位で処理するということになりましたね。四十四社のうち大手を除く、あと一基のところは何社ありますか。
#34
○政府委員(間野忠君) 一社一船台の企業は三十一社ございます。
#35
○小笠原貞子君 大手を除く中手以下の三十七社、この三十七社中、今おっしゃったように三十一社が一基船台、ドックということになるわけでございますね。仮に買い上げが前回並みの十社というふうになりますと、二十七社になってしまう。そのほかの処理の仕方で中手以下がほとんどどんどんスクラップされていくことになると言わざるを得ないんです。
 しかも、その一方で大手を中心とした集約化、独占化を強引に進めようという傾向ははっきりしていると思います。
 運輸省が委託されました造船業長期ビジョン調査研究報告書というのがございますね。これは六十年三月に出されております。これを見ますと書いてあることは、「市場集中度の目標としては、製造業平均程度をめざすべきである」と、こう書かれているわけです。「また、上位企業の集中度においても製造業平均を目標に高めていくことが必要である。」、こういうふうに書かれております。結局、製造業平均上位三社というものをこの資料から見ますと、上位三社の集中度は五〇・七%になっております、八二年度で。こういうふうに造船でも集中していくべきである、こういうふうに言われているわけですね。
 それでは造船は今どうだというふうにこの資料で見ますと、造船の上位三社の集中度は三一・九%、こうなっているわけです。すなわちここで言っていることは、中以下の造船を淘汰して大手独占ないしは系列化に推し進めようとすることははっきり書かれているんだから、上位三社のシェアを半分以上にしなさいということになると思うんです。いかがでございますか。
#36
○政府委員(間野忠君) まず集中度の問題でございますが、ただいま引用されました長期ビジョン報告書と申しますのは日本造船振興財団の方で作成いたしました資料でございますが、その中で今おっしゃった集中度の問題でございますが、造船業も前回設備処理をするまではかなり産業平均に近いような集中度であったわけでございます。それを若干下回っておりましたですが。それが前回設備処理をやりますときに、大手には処理率を非常に高く課した。中小には処理率を低くした。例
えば大手七社につきましては四〇%程度の設備処理を課し、それから一番小さいところには一五%程度であったかと思いますが、そういうふうに処理率を軽減いたしましたために相対的に大手のシェアが減りまして中小手が伸びる。その結果、全体の企業数が減っておるにもかかわらず、上位三社の集中度もあるいはHI指数と申しますか集中度を示す指数も非常に低下いたしまして、産業平均を大きく下回る、その結果が現在の過当競争にあらわれておるんではないかというのがこのビジョンの判断でございまして、そういった見地からむしろ今後は集約、集中度を高めていくべきではないか、せめて製造業平均へ近づけるべきではないかという御意見であると理解しております。
#37
○小笠原貞子君 これは運輸省が委託されて研究されましたということですね。これは勝手にやったんだよというものではないでしょう。おたくが委託して研究というものが報告書として出てきているわけですよね。その報告書、だから勝手にやったんじゃない。この報告書の中ではっきり言われていることは、今私が申し上げましたように、集中度を高めるということによって、今まで競争型の業界体制であったのを集中度を高めることが必要なんだ、こういうふうに指摘されていますよね。そうすると、上位三社で半分以上のシェアにしようということになると、結果的には中小というものがやっぱりそこでつぶれていかなきゃならないということになっていくという、これが報告の中身なんでしょうね。そうすると、これでいいのかどうかということがこの報告書の一つの問題ですね。その辺のところ、大臣お聞きになっていてどうですか。もう競争型でやるよりも大きい三社で集中型にやれというふうな、おたくで依頼されたこの報告というのが出ている。そうすると、結局はっきりと集中して中小をつぶせという結果になるのではないかと言いたいところなんですね。
#38
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今双方のやりとりを聞きながら感じておりましたことですが、同じものを考えるにしてもいろいろな見方があるものだなという感じを率直に受けました。
 先日来この御審議に当たりまして私どもが申し上げでおりますことは、日本の海運業、造船業というものをこの世界的な経済の停滞の中で我々は生き残らせなければならない。その生き残らせていき、国際競争力を持っていく手法として今そうしたリポート等をも参考にしながら対策を進めておるわけでありますが、その中に確かに過当競争による全体の低下、経済的な地盤の低下というものがあることは事実でありますけれども、委員からお読みになると、今お述べになったような読み方になるのかなという感じを持ちました。
#39
○小笠原貞子君 大変心細いし、間違った感じをお受けになっていらっしゃるわけですね。
 一つは、私初めに言いましたように、これは造船部門だけの問題ではない、経済政策の失敗の深刻な反映として造船部門にあらわれているということを申し上げたんです。だから、その辺のところの反省というものを前段できちっとやっていただかないと、つまり事件が起こった、こういう事象になった、大変だ、大変だと。じゃ、そういうこと自体に何が原因で進めてきたかという問題をみんな抜いていらっしゃる。これでは幾らやります、やりますと、一生懸命やりますとおっしゃる気持ちや努力は買うけれども、原因をきちっと押さえてなかったら、モグラたたきという遊びありますね、こっちたたいたらこっちが出てくるんですよ。たたいてもたたいてもだめだ。問題は何がおるかということ、ここのところを初めにだから私は言ったということが一つです。
 それから、今大臣の答弁で、不況の中で生き残らせるということ、これは確かに大事なことなんだけれども、私が言っているのは、生き残るのは大手だけであって、中小はどんどん切り捨てられて犠牲になっていくのではないかという立場なんですね。こういう立場を私はやっぱり、今どっちの立場に立つか、大手を救って、切ってもいい、労働者は犠牲になってもいいという立場には私としては立てないからこの問題を提起をしたということを、問題点としてこの二つを指摘しておきたいと思います。
 そこで、具体的に伺いたいと思います。
 石川島播磨重工の横浜ドック、愛知ドック、相生ドック、異ドックの船台、ドック設備の許可年月と、各おのおのの建造能力はどれくらいになっておりますでしょうか。四十年代どうなっていますでしょうか。お願いします。
#40
○政府委員(間野忠君) 石川島播磨重工の現在の設備能力を申し上げますと、東京第一工場に一万五千トンの建造船台が一つございます。それから、相生工場に第一号建造ドックとして九万五千トンの能力のものがございます。それから、第三号建造船台というものが九万一千トンでございまして、相生にはこの二本がございます。それから、呉には建造ドックとして十八万トンの能力のものと二十五万一千トンのものとこの二つがございます。したがいまして、石川島播磨重工といたしましては大小五本の船台及びドックを持っておるということであります。
 それから、昭和四十年代に新たに許可したものでございますが、愛知工場というのを昭和四十八年六月に許可しております。これは新しく設けられた工場でありまして、二十二万五千トンの船が建造できる能力のものでございましたが、前回設備処理の際に廃棄いたしました。それから、相生第一工場のドック九万五千トンの能力のもの、これは現在もございますが、これが四十七年の二月に許可されております。それから呉工場の二十二万五千トンのドック、これが四十五年の六月に許可されております。
#41
○小笠原貞子君 横浜。
#42
○政府委員(間野忠君) 横浜工場は恐らく昭和三十年代に許可されたと思いますが、これも前回不況の際に廃棄されました。
#43
○小笠原貞子君 横浜ドックは十二万トン、許可年月日は四十五年四月、これが五十三年の廃棄です。それから愛知、おっしゃいましたように二十五万トンなのが四十八年六月許可されてこれが廃止でございます。それから相生ドックのナンバー一、それから三番船台というのですね、これも今回廃止の予定になっていると。呉ドック、呉ドックもナンバー二が五十年に許可になって、第三の方が四十五年六月と、こういうふうに調べたところでは出ているわけです。
 もともと構造的造船不況は、何度も言うけれども、自民党政府の超高度成長政策の大失敗に原因があると言わなければならない。石播のように大型設備が、今出しましたように四十五年から四十七年にかけてどんどん大型が許可されている。ところが、オイルショックになって急速な勢いで設備過剰となったんです。大型設備建造、これをいわば政府と業界が一体になって進めたということにならざるを得ない。
 そこでお伺いしたいんですけれども、四十五年三月の海造審答申は十万総トン設備についてどのように述べているでしょうか。
#44
○政府委員(間野忠君) 昭和四十五年の三月に海運造船合理化審議会から「今後の造船施設の整備のありかたについて」という答申をいただいております。
 その中で、いわば総論の部分で「わが国造船業は、今後、とくに次の諸点について努力すべきである。」と書いてございまして、その第一に、「超大型船の著しい需要の増加への対応である。世界の油送船の建造需要の大半は、二十万重量トン以上の船型となっている。また、石油中継基地の構想は世界的にかなり多く、将来、五十万重量トン以上の船舶が就航することも予想される。さらに、撤積貨物船の分野においても、船型の大型化が著しく進展しており、鉄鋼原料輸送を目的とした十五万重量トン以上の船舶の発注が増加する傾向にある。このように、今後超大型船の建造需要が世界の建造需要の中心となることにかんがみ、この超大型船建造施設の整備を重点的に行なう必要がある。」と言っておりまして、「施設の整備の基本方針」のところで具体的に、「十万総トン以上
の超大型船建造施設については、建造需要が著しく増大することが見込まれるので、施設の整備を早期かつ積極的に行なう必要がある。」というふうに述べております。
#45
○小笠原貞子君 そういうふうに需要が多くなると、だから整備を、早急に十万トン以上の超大型造船の需要に見合うように設備をやれと、こういうふうに言っているんですね。これが私は大きな問題だなと今になってつくづく考えさせられているんですけれども、こういう答申に基づいて大手造船、石播など超大型ドックをつくった、その結果千九百万相当の建造能力を持ったんです。まさに無謀な設備拡張と言わざるを得ないんです。つまり、これを許した運輸省の責任ということですね。つまるところすべて今言われたような答申の中から出てきて、そしてこれと一緒になって超大型をどんどんつくれと。そして、造船の総トンを千九百万総トンというふうにまで伸ばしちゃった。こういうことを考えると、今になってこれはもう仕方がないんだと、だからこういうふうにしましょうという後始末ではなくて、こういうことの責任は一体どうなんだということを私は問いたいんですけれども、いかがでしょうか。
#46
○政府委員(間野忠君) 現在の過剰設備が生じましたのは、やはり第一次、第二次の石油危機が大きく影響したと思います。冒頭申し上げましたように、船舶の建造需要を予測いたします場合には、まず海上荷動き量というものを予測するわけでありますが、その際に、やはり原油あるいは石炭、鉄鉱石、そういったものにつきまして過去の経済成長率、そういったものを参考にしながら伸びを予測して計算してまいったわけであります。
 そういったことで、確かに第一次、第二次の石油ショック以降省エネルギーがこれだけ進む、また物資の軽量小型化というものがこのように進展する、それから例えば同じ石油でありましても、原油の輸送量よりは現地で精製して製品を運ぶというようないろいろな構造的な変化が起こってきておるわけであります。そういった構造的な変化を的確に予測しなかったと、今から振り返ってみればまさしくそうであったと思います。
#47
○小笠原貞子君 まさしく石油ショックというものもあったし、これは後で具体的に言えるけれども、そのときはそこまでは考えなかったというふうにおっしゃるだろうし、日本だけじゃないんだと、世界全体がこういう見通しの誤りをやったんですとおっしゃるだろうと思うの。それはそうなんだけれども、私はここで言いたいのは、そういう見通しが間違っていましたと、誤りましたということで、これで世界的にもそうだったんだということでは、もう政治の責任を持つものとしては非常に甘いと思うのね。やっぱり日本の政府はきちっとした見通しというものを持っていたと結果的に言えるように私はなってもらいたいと。だからみんな仕方がないんですよということを言われては困るということと、そしてそういう結果一体どこがしわ寄せを受けるのか、だれの責任か、これでどんどん首切られていく労働者や中小の業者にはこれについての責任はないのではないかと結論は言いたいところなんです。見通しを誤ったということで済まされない、現実に中小の業界だとか労働者、これは本当に深刻なんだという立場で物を考えていただきたいと申し上げます。
 その次の問題として伺いたいんですけれども、六十二年中に二〇%の設備処理とおっしゃっていますね。といいながら、この石播は六〇%の大削減をやっているんですね。四十四社で二〇%、そうすると八十六万トンの処理になるわけですけれども、これに対して石播一社だけで約三十八万トン、五割に近い処理というふうになる、これはまた異常だと思うんですよね。全体では二〇%ですけれども、石播では五割からの処理、三十八万トンを処理するという。この石播ベースで行くならば、六十八年以降は五百十万ないし五百二十万トンなんというものではないと思うんです。この詞子でどんどん、二〇%なんといっても、六〇%など勝手にどんどん進めていったら、これは実際には五百十万、二十万ではない、二百五十六万トンくらいになってしまうと言わざるを得ないんですね、こういうペースでやられたら。その辺どういうふうに考えられますか。
#48
○政府委員(間野忠君) まず石川島播磨重工の場合、新聞紙上六割削減とかいろいろ言われておりますけれども、実際に設備を六割廃棄するのかどうか、まだよくわからない点がございます。実際には二割程度廃棄して、二割か三割か知りませんが、その程度を廃棄して、あとは休止するというようなことも新聞で報道されております。
 それから現実に二割の設備処理によって実際にはどうなるかということでございますけれども、本質的には六百万トンの能力に対して三百万トンぐらいの需要しかないということでございますから、需給をバランスさせるためには三百万トンの設備を廃棄する方法もございます。ただ、設備を廃棄するといろいろ難しい面もございますし、他への影響も大きいので、設備を廃棄するという非常に厳しい措置は二割程度でおけばいいんではなかろうかと。いずれは、まあ外れるかもしれませんけれども、予測としては将来はその程度まで需要は回復する見込みはある、そういうものは残してもいいんではないかと。したがって、完全に廃棄するのは二割として、残りの部分については例えば不況カルテルでさうに低い水準を設定してそこまで操業するというやり方もいいんではなかろうかということでそういう方法をとったということでありまして、現在の需要見通し等からいけば、例えば平均で五割設備を廃棄してしまえといえばそれも一つの方法かと思います。
#49
○小笠原貞子君 実際、二〇%の削減目標以上にどんどん減らさなきゃならないんだということで具体的に減らされているのは労働者ですよね。人員削減というのはもうできるわけですからね。それをどんどんやっている。非常に厳しい。厳しいというよりもちょっとびっくりするくらいの締めつけのもとで労働者をどんどん減らしているということですね。それはおわかりにならないという発言――わかっていらっしゃると思うんですけれどもね。だから私がここで言いたいのは、結局は政府の方針を超えて削減するという方針でもって、具体的には首切り、人減らし、人件費が問題だといろいろ言われているけれども、この際人を思い切り減らしてしまおうという、そこにねらいがあると言わざるを得ないわけですよね。だから、これがこの石播だけではございません、企業としての社会責任を一体どう考えているんだというふうに言っているわけですよ、私の言いたいのは。
 それから、政府は五百二十万トンくらいというふうな見通し、さっき数字で挙げられていましたけれども、それじゃ業界はどれくらいを実際見ているんだろうかということを調べてみたいわけなんですよね。で、これは五百万トンと言っているが、業界は七百万トンくらいの需要というものがあるよというふうに見ているわけです。
 これは「COMPASS」といって出されているんですけれども、去年の三月号のそこで池田陽夫さん、三菱重工船舶海洋業務部次長という人が、三人で懇談している中でこう言っているんですね。「短期的には」造船業界は「大変です。」と。
 しかし船が世の中から消えてしまうことはない。今世界に約四億トンの船があるわけで、これが二十年サイクルで代替されるとしても、年間二千万トンの需要が出てくる。仮に荷動きが落ち込むとしても、千五百万トン程度は見込んでいい。日本はそのうち六割も七割もやろうとは考えていない。五割あるいは四割でもいいと思う。そうすれば七百万トンぐらいは日本に落ちるわけです。イス取り競争のイスは極端に少ないというわけでもない。と。これ業界の、さっき言った三菱造船の方が見通していらっしゃるわけですね。
 つまり、政府見通し五百十ないし二十万と言うけれども、具体的に業界の人の目から見ればそんなものじゃないよ、七百万トンくらいはとれるんだよということ。そうしたら減らさなきゃいいじゃないかと私は言いたいんだけれども、そうじゃ
なくて企業としては大変だよ後はということで、どんどんここのところを一つのチャンスとして人員整理をしようということのねらいというのを、私はここに隠されている問題として指摘しなければならないと思うんだけれども、こういう見方についていかがですか。
#50
○政府委員(間野忠君) ひとつ我々の説明の仕方も非常に悪かったかと思いますけれども、鉛そのものの大きさをはかりますのに総トン数という尺度を持っておりまして、受注量でありますとか工事量でありますとか、そういった統計につきましてはすべて総トン数で出しております。で、今おっしゃいました世界の船腹量が約四億総トンであるとか、これが二十年間であれば二千万総トンであるとかというのは、すべて船舶の大きさをあらわします総トンではかった数字でございまして、将来の需要七百万総トンと言われるのもこの総トン数であらわしたものでございます。ただ、我々が造船能力を計算したり仕事量をはじく場合には標準貨物船換算トン、CGTというのを使っておりまして、この場合には船の大きさ、種類ごとに一定の係数をつくりまして、これを総トン数に掛けて標準貨物船換算トンを出すということにいたしております。
 それで、例えば昭和七十年ごろというのはかなり大型のタンカーの代替需要などが見込める時期でありますから、大型タンカーなどはこの係数が非常に低くなっております。で、全体を平均して、そのときにはあるいは〇・六ぐらいの数字になるかと思いますが、平均で〇・六ぐらいになるとしますと、〇・六であれば七百万に〇・六を掛けた四百二十万CGT、標準貨物船換算トンということになりますし、もしその七百万総トンと我々が言っております標準貨物船換算トンで五百二十万というのが匹敵するといたしますと、平均的なCGTの係数が〇・七と〇・八の間に来ておるというようなことかと思います。
#51
○小笠原貞子君 標準貨物船のCGTの問題と総トン数というのどの差の考え方というのは私の方もわかったんだけれども、ここで言いたいことは、もう需要が減るんだよということで二〇%以上、三倍くらいの六〇%ということを大宣伝のもとで、そしてそれをチャンスとしてどんどん人員削減をやっているということだけはきちっと考えておいていただきたいと思うんです。
 それで、さっき矢原先生の方からおっしゃったけれども、相生市、ここは石川島播磨重工の全く企業城下町、御存じのとおり。この相生市で六十一年十一月十日朝、会社は造船部門はもちろん全労働者に、自己都合での退職の場合と今退職した場合の退職金明細を会社側のお願いという資料、お願いとあわせて資料として出してきたわけです。これで、五十五歳以上勇退制度と、それから三十五歳から五十四歳転職援助制度というようなことを言って、そして今やめた方が得ですよというようなそういう資料を出したわけです。そして、第一回目には趣旨説明をやった。二回目は退職強要、はっきりね。その退職強要も二回、三回しゃない、聞いてみたら七回呼ばれたと言うのね。残りたいんだったらイランに行ってもらうと脅迫めいた言葉をかけられた。課長の前にいすに座らせられ、二十ページ以上の英文をきょうじゅうに翻訳しろと言われた。一日二ページがやっとということになると、おまえには能力がないと自尊心を傷つけられるなどして全員に退職強要され、五千百四十八人いた労働者のうち半数の二千五百人が退職に追い込まれたというんですね。これはひどいじゃないかと私が言いたいだけじゃなくて、余りの強引さに訴えがあったと思うんですよ。兵庫県の労働部長が会社に二回にわたって、やり過ぎではないかというふうに指導に入ったという状態もありました。これは大変なことですね、こういうやり方されたら。
 さて、そこでまたもう一つ問題は、退職させられた労働者は仕事につくことは御存じのようになかなか困難でございます。兵庫県の有効求人倍率、去年十二月〇・四九、一月〇・三九へ減です。相生市、一月の倍率、昨年から〇・四減で〇・一七になった。そして、相生市の職安管内の就職状況を見たら、昨年の希望者千七百七十名に対し、一月現在百六十人のみが就職した。九%の就職率、こういうことですよね。
 それからまた、今度呉、私もこの間広島に二度ばかり行ってきたんですけれども、兵事業所では自殺者を出している。希望退職の四十八歳、再就職先面接前日自殺したと。
 このような状況に対して、本法案では「雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう」、きのうも問題になりました、努めるものとする。「運輸大臣及び労働大臣は、」「相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならない。」と書いてあります。しかし、そのとおりなんだけれども、それじゃ具体的な対策はどうなっているんだ。そして、本当に退職させられた者が今言ったような状況、相生だけではありません、全国的な不況の中で、本当に労働省の三十万人雇用開発が発動になったとしても、一体これでこの人たちが本当に救われるんだろうか、どういう見通しを持っていらっしゃるんだろうかということを聞きたいわけなんですね。
 また続けて、時間がないから言いますと、石播の下請関連企業と労働者、これもまた深刻なんです。依存度が一〇〇ないし六〇%のほとんどが下請。六十二社、二千人と言われている。満足な退職金もなく次々に首を切られ、六十二年一月三十一日現在、石播関連中小企業の離職者は二十七社、百七十四人に及んでいる。このような下請の状況についても石播は黙って口をつぐんだまま。
 地域経済、これまた深刻ですね。相生市との関係で言えば、もう相生市といえば城下町。水道、道路、石播のためにつくられたようなものだ。その相生市の占める工場出荷額、五十九年で八四・八%、市税でも個人、法人、市民税、固定資産税のうち六十年で二〇・五%を占め、相生市は石播のまさに城下町。十二月議会で片山相生市長は、石播の法人、市民税は昭和六十年の二億一千万円から六十一年は六千万円に激減、来年度はゼロの予測も、相生市の工場出荷額も半減するおそれがある、深刻な憂慮を表明してます。だから、大手が生き残っても中小がつぶされる、下請はつぶされる。労働者ほこの際というので人員整理やられて町にほうり出される。ほうり出された労働者は就職はない、地域経済も大変だと、こういうことですよね。もう重々おわかりになっていらっしゃるこの問題、この問題について先ほど申し上げたけれども、いろいろ努力していただくということは伺うんだけれども、努力していただいて、具体的にどれくらいの見通し、失業している、就職する者たちにとってどれくらいの見通しということを、救うことができると考えていらっしゃるか。大臣、ここら辺で一言。
#52
○政府委員(間野忠君) 再就職のためにできるだけの努力をするべきでありまして、それは石川島播磨といいますか、事業者側も関係の者がすべて努力すべきだと思いますが、それでどれだけ再就職にいけるかどうか、非常に推定することは難しいと思います。
#53
○小笠原貞子君 今相生を言ったんですけれども、今度は広島の日立造船因島、これは三〇%の設備処理、四千三百人の人員整理。ところが、希望退職というのは名ばかりで、悪らつなやり方とあえて言わざるを得ない退職強要が行われています。
 これはこの日立造船の資料なんですけれども、ここで、希望退職に応じられないという人に対しても去年の十二月末で退職させる。対象者に全員予告する。そして、全員予告手当を支給する。「十二月三十一日までに、本人の銀行口座に退職金と合算して、振込む。」ということですよね。こういうのが資料を見ると具体的に出ているわけなんですよね。
 例えば「退職措置対象者のうち、本人が予告手当を受領せず、六十二年一月末退職を希望した場合どうする」んだというこの質問、回答というのが会社として出ているんですね。「退職日の変更は認めない。対象者は全員予告手当を支給し、六
十一年十二月末付で退職させる。」そして、予告手当の支払い方法は、さっき言ったように、本人の銀行口座に退職金と合算して振り込むんだと。だから、希望退職などという言葉が美しく飾られているけれども、実際やられているのは嫌ですというような人についても退職の対象ということになれば、有無を言わせず、退職予告手当、退職金合わせて本人の銀行口座に入れちまおう、こういうことですね。これもやっぱりあこぎなやり方ではないかということの一つの例として私は申し上げたわけなんです。
 さて、そうやって大変だ大変だと言っているこの大企業の会社、この大企業の会社は一体どういうのか、社会的責任を追及したいという立場で考えていただきたいんだけれども、造船大企業の場合はこれまで既に利益を上げているんです。相当な利益を上げております。総合機械、航空、宇宙産業として展開してきているんだと。だから、韓国やシンガポールの追い上げを口実に採算の悪化した部門を強引に切り捨てるこのようなやり方は社会的責任を放棄した不当きわまりないと言わざるを得ないというのが私の考え方です。
 そしてまた、石播の場合、呉事業所で昨年末千三百二十三人もの大量人減らしをした。そして、さっき言いました自殺者まで出しました。ところが、「海外生産高十七位(八四年)、海外投融資残高四十五位を記録しております。主な進出先はブラジル、シンガポール、アメリカ、韓国」。そして、「リオデジャネイロに設立した造船所は約四千五百人が働く南半球で最大の造船所」だと。ここには呉、相生から大量の技術者を派遣していたということは事実なんですね。それは結構だということも言えるかもしれません。
 日立造船所はどうなのか。「日立造船は昨年末、七十五年の歴史を持つ因島工場の造船の火を消しました。」そして、「シンガポールに従業員約千人の船舶新造・修繕工場をもっています。そしていまも因島から多くの技術者を派遣しており、今後ますます強化する方針です。」と。「日立造船は昨年十一月、因島工場で、」今申し上げました「「希望退職」とは名ばかりの強制首切りを進める一方、アメリカ第三位の自動車用プレス機械メーカークリスヤング社(本社・シカゴ)、これを買収しました。これは日本の自動車メーカーのアメリカ進出に対応したもので、新社名を「日立造船クリスヤング社」としました。」と。
 こういうふうに一つずつ例を挙げていけば切りがないんですけれども、そこで大臣の御答弁をいただきたいんだけれども、大変だ大変だと言いながら、大企業の方は日本でも生き残るし、それ以上にといって海外に進出していっているんです。これが今問題になっている日本経済、産業の空洞化、この問題は言葉として空洞化と出ているけれども、これ今のところ本気になって考えなかったら日本の経済は大変なことになる。利潤追求のためには国籍なんか関係ない。どんどん出ていって空洞化になったそのときに対処するのでは遅いということですよね。こういう問題などをお考えになりまして、大臣として今の造船不況を乗り切るということのために反省点も含めてどういうふうなお考えがおありになるか、見通しをお持ちになるのかをお答えいただきたいと思います。
#54
○国務大臣(橋本龍太郎君) いろいろなお話をたくさん伺いましたけれども、現実問題として特定の地域を挙げられましたが、それ以外にも多数のいわゆる造船城下町と言われるものが非常に苦境に立っておる状況であります。私にとってはとにかくこの法律を一日も早く成立をさせていただき、それぞれの地域における地域対策として関係各省庁の協力も得ながら、また雇用対策について労働省初め関係各省の協力を得ながら、この状況を乗り切りたいと考えております。
#55
○小笠原貞子君 乗り切りたいという御努力の御決意のほどは承りましたけれども、私が言いましたのは単にここでひとつ演説するというつもりじゃないんですよ。本当に今きちっとした、日本の産業構造空洞化を控えて、大手は残っても中小企業労働者はこういう状態に置かれているということがこのまま続いたらこれは大変なことになるし、そういうことを基本的な問題としてとらえながら、具体的な問題としてはいろいろ御努力をいただくということはお願いしたいと思います。そういう立場で考えていただきたいということでございます。
 それで、その後ちょっと港湾法の問題を伺いたいんですけれども、今回の法案、六十年補助金カット一括法案を審議した際、政府はこの措置は一年限りと、こういうふうに答弁されておりました。そして六十一年度、次の年にはその約束は完全にほごにされた。補助金をさらにカットし、期間は三年間延長と。当時の竹下大蔵大臣、古屋自治大臣との間の覚書では、「この措置は、今後三年間の暫定措置とする。」、「暫定措置の期間内においては、国・地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じないものとする。」と言っている。本法案はこの覚書をもほごにしてさらに補助金をカットするものだと。地方交付税と地方債でその穴埋めをするとおっしゃるけれども、これは自治体への借金であり、交付税の先食いにしかすぎない。この補助金カットは今でさえ苦しい地方財政を一層圧迫するもの、国が行うべき財政措置を地方自治体と住民に転嫁するものだと。これについても国の責任をどう考えておられるのかということですよね。異常な状態に経済界がなったからしようがない。これもけしからぬけれども、やりませんと約束したのに、約束も財政が厳しいから。こんなことやられるんだったら、約束したって何にも意味ないですよ。いつでも国の財政が大変です、異常な事態でございます、好きなことをやれるじゃないか。その点で私はもっと権威ある、信頼――少なくともうそは言わないという国の政治であってほしいと思います。
 それで、国の補助金の総額、補助金がカットされても、事業拡大、きのうおっしゃってましたね、事業拡大に回すと言われる。事業拡大に回すと言われたけれども、補助率を引き下げることがまず第一に問題。事業費がふえた、それはありがたいけれども、自治体の支出がふえる。二重に自治体、住民に犠牲を強いることになるのではないかということ。やりませんと言っていたものをやって、そして補助金を年々カットして、そして事業拡大と言うけれども、二重に自治体の支出に重くのしかかるという問題についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか、お答えください。
#56
○政府委員(藤野愼吾君) るる御意見を承ったところではありますが、先ほども矢原先生にも御理解を賜るよう御説明申し上げましたように、国の財政事情、依然として厳しい状態にあるというふうなこと。そしてそれらの条件下でやはり社会資本の整備も進めていかなきゃならぬ。また一方、元ほど来造船不況のいろんな御議論がございましたけれども、こういった国内的な需要の拡大にも努めていかなきゃならぬ。そういったことから、当面、国の負担率、補助率は若干切り下げる。それで、その分だけは地方公共団体の負担がふえる形になるわけではありまするが、それにつきましては一定の財政支援、援助措置を行うという形でこれらの事業を進めてまいりたい。かように考えましたためにこのたびの法律の改正をお願いをしておる、こういうことでございます。周辺の状況なり趣旨なりを十分に御理解賜りますふうお願い申し上げます。
#57
○小笠原貞子君 なかなかその御理解賜るような問題になってないから私が強く言っているわけ。
 最後に資料要求をお願いしたいんですが、一つは、中核六社の外航船舶建造融資利子補給金支給の実績、四十九年以降。いいですか。資料としてお願いします。それから二番目には、同じ中核六社の外航船舶建造融資利子補給金国庫納付実績ですね。利子補給金の国庫納付実績、これ四十四年以降。済みませんがお願いします。よろしゅうございますか。
#58
○政府委員(塩田澄夫君) 提出さしていただきます。
#59
○小笠原貞子君 それじゃ、これで終わります。
#60
○田渕哲也君 まず、外航船舶建造融資利子補給
臨時措置法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 まず、今回の法改正に伴って利子補給の対象会社にとっては五十七年度以降六十六年度まで連続十年間利子補給金の支給が繰り延べられるという結果になるわけです。五十七年度以降六十六年度までの、六十二年三月以前対象融資残高に係る利子補給金の繰り延べ措置に伴う海運会社の損害額というのは幾らぐらいかわかりますか。
#61
○政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。
 昭和五十七年度以降、国が金融機関に対して繰り延べた利子補給金の総額は二百二十八億円でございます。これがその額だけ海運会社に影響を及ぼしたということでございます。
#62
○田渕哲也君 これは本来この利子補給に基づいて契約されておるものでありますが、その後の国の財政事情によるこういう変更によってそういう損害を与えておるわけでありますが、この損害額は何らかの形で補てんすべきではないかと思いますが、いかがですか。
#63
○政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。
 昭和五十年度以降の利子補給金の支給の繰り延べにつきましては、毎年その実質的な影響を受けます海運会社の了解をとりながら利子補給契約の相手方であります日本開発銀行及び市中金融機関と特約を締結しておりますので、本件に関してはその損害のてん補をすることは必要がないものと考えております。
#64
○田渕哲也君 今回のこの開銀猶予措置について、利子補給制度を保証していくということはいいとしても、なぜこういう面倒な措置をするかということですね。この利子補給の繰り延べにしても、結局これは孫利子まで最終的には国がいずれ面倒見るわけですね。ということは、国債を発行して当初の計画どおり利子補給をやるのと何ら変わらない、結果的に、実質的においては。それであるのになぜこんな面倒なことをわざわざやるのか、お伺いをしたいと思います。
#65
○政府委員(塩田澄夫君) 今回の日本開発銀行の利子猶予制度は、それまで現在の利子補給金の外航船舶建造融資利子補給制度の基本を維持をしながら、利子補給金の期限内支給が難しい現況におきまして利子補給金の期限内支給と同等の効果を生じせしめることができるような措置を講じたわけでございまして、そういう観点から今回御提案を申し上げているような制度を提案を申し上げるわけでございます。
#66
○田渕哲也君 結局、利子補給は一般会計によって行うべきである。ところが、一時的に一般会計の歳出がふえるからそれをならして将来へ繰り延べるためにこういう措置をとっているわけですね。そのかわりにそれによってそれの孫利子まで負担する、つまり国債発行をして、借金をして一般会計から出すのと何ら実質的には変わらないわけですよ。ただマイナスシーリングとかなんとかいうことでつじつまを合わせる、あるいは六十五年度赤字国債ゼロとかなんとかいう目標に向けてつじつま合わせをするためにこういう措置をとっているにすぎないのであって、この点はどうなんですか。
#67
○政府委員(塩田澄夫君) 今回の措置はあくまでも現行の利子補給制度を基本といたしまして、その制度は基本そのまま維持をいたしまして、利子補給金の支給の一つの態様をこのように修正をして、国の一般会計の毎年度の歳出の規模を余り大きくしないで、実質的な利益を受けます海運会社に対しては利子補給金をおおむね約束どおり支給をするという内容を有しているわけでありまして、これを全く新しい制度によって利子補給制度を代替せしめようとするものではないわけでございます。
#68
○田渕哲也君 この利子補給制度を実質的に維持していくためにやっておるというのはよくわかるわけです。なぜそういうことが必要になっておるかというと、一般会計歳出を抑えるために本来支出すべきもの、きちんとそういう契約になっておるものを繰り延べるからこういう措置をとらざるを得ないのであって、言うならばつじつま合わせの小手先の措置にすぎないと思うのでありますが、大臣はどう考えられますか。
#69
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私が前任者から引き継ぎました運輸省の課題として就任直後に関係者からこのお話を伺ったとき、とにかくどういう形でもいいから解決をしてほしいという大変強い御要望であったことを今委員の御質問を伺いながら思い起こしております。厳しい財政事情の中で予算編成に臨んで私どもとしては現下最善の手法を採用し得たと思っておりますし、関係者も大変喜んでいただいております。
#70
○田渕哲也君 これは運輸大臣のみの責任ではないと思います。国の全般的な財政方針に関することでありますからこれぐらいでとどめておきますけれども……。
 現在、我が国の海運界というのは極めて厳しい状況にあって、そして、いわゆる大量の離職船員が発生しつつあります。
 外航労使は去る三月五日に雇用開発促進機構の設置、さらに特別退職制度の創設を内容とする合意に達したと聞いております。この中に言う船員雇用調整を行うためのいわゆる雇用開発促進機構、こういうものの概要あるいは機能、またこれに対して政府がどの程度支援措置をとるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#71
○政府委員(増田信雄君) お答え申し上げます。
 昨年来、外航の二船主団体と全日本海員組合の間で緊急の雇用対策措置をどうするかというディスカッションが続けられてまいっております。先般、当分の間の措置といたしまして特別退職制度をつくる、これとあわせまして今御指摘の雇用開発促進機構を設けるという合意が成り立ちまして、四月一日の発足に向けて鋭意準備を進めておられるところでございます。
 この雇用開発促進機構でございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、船員というのは陸上の社会から離れたところで長い期間生活をしているわけでございますので、にわかに雇用調整と言われてもなかなかなじみがたい問題があるわけでございます。そこで、この雇用開発促進機構というものを労使双方で設けまして、そこで例えば登録をするとか、例えば職業紹介をしあっせんをするとか、例えば適応のための教育訓練をするとか、そういうことをやりながら海陸にわたる職域の開拓とあわせて船員が軟着陸といいましょうか、円滑に転換していけるような措置を講じていこう、こういう発想でございます。したがいまして、私どもといたしましては、労使がこういう場を通じまして緊密な協力をとりまして転換が円滑に行われるということを大いに期待いたしておりますと同時に、政府といたしましてもこの開発機構の動きを見ながら適時適切な支援をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#72
○田渕哲也君 これはよほど政府の強力な支援がないとなかなか軟着陸機構としても機能しないんじゃないかという気がするんです。これは後ほどまた関連して触れたいと思いますが……。
 現在船主側は二万三千人の外航船員のうち一万人の余剰があるということを言っておりますけれども、運輸省としてはこれについてどう考えられておりますか。
#73
○政府委員(増田信雄君) 余剰船員一万人というのがひとり歩きをいたしておりますが、この数字は御指摘のとおり日本船主協会が傘下の五十二社、その当時はその五十二社の雇用船員が二万三千人ぐらいでございますが、その五十二社に対しまして大体どの程度の余剰船員があるかということをアンケートで求めたものでございます。その結論が約一万人ということでございまして、運輸省としてこれが正しいとか正しくないとか言う立場にございません。ただいま海員組合側と船主側が系列ごとに協議を持って雇用調整の話を進めております。その結果あるいはその話し合いの状況を見ながら、果たしてどの程度の退職者が出てくるかということを判断してまいりたいと考えております。
#74
○田渕哲也君 一万人というのはその当否はともかくとして、やはりかなりの余剰船員が出ること
は間違いがないと思うんです。この雇用対策というものについて政府はどう考えておられますか。
#75
○政府委員(増田信雄君) 雇用の問題は当然のことながら労使の問題であるというのが大前提であろうと思っております。したがいまして、海運企業がみずから、あるいは企業のグループの中でできるだけ多くの船員を吸収してもらいたい。また退職せざるを得ないようなケースにおきましては、できるだけ雇用期間中に退職後の転職がスムーズにいくように教育訓練に最大の努力を払っていただきたいと考えている次第でございます。
 運輸省といたしましては、当然のことでございますが、従来は海から海に労働力を移動させるということを念頭において種々の政策を実施してまいっております。
 例えば外国の船に日本人が乗り込むという事態を考えまして、部員を職員化するとか、あるいは英語の研修をするとか、あるいはそういう方々が日本船員福利雇用促進センターを通じまして外国船等に乗り組む場合には奨励金的なものを助成するとか、そういう措置、またあわせまして船員の職業紹介所を通じまして広域的な職業紹介、あっせんをするとか、そういう努力をしてまいっております。
 しかし、海での職域というのにはどうしても限度がございますし、陸の方に移りたいという方のために、今後は運輸省だけではなく関係の省庁と協力をしながらスムーズに陸転ができるような措置を講じてまいりたいと思っております。
 そのために例えば現在私どもがいたしておりますのは、海の職安と陸の職安の連携強化を緊密にやっていくという措置、あるいは陸の職業訓練校についても船員を受け入れていただく、あるいは拡充していただくということ、さらに先ほど御答弁申し上げましたが、海陸資格の互換性というものを高めていく、そういう措置をとってできるだけスムーズな転換が行われるように努力をしてまいりたいと考えております。
#76
○田渕哲也君 まずやっぱり一番いいのは海から海へ、こういう形で職業が保障されるというのが望ましいと思うんです。そして、どうしてもやむを得ない場合には陸転を促進する。そして海から海へという点を考えますと、やはり便宜置籍船、現在日本船主が支配しておると言われる便宜置籍船が千五百五十隻あると言われております。もし仮にこれに一隻五名の日本船員を雇ってもらえると、七千五百名の雇用ができる。もし二十人とすれば三万人の雇用ができるわけであります。もっともこれは人件費その他の差によって行われておるわけでありますけれども、しかし私は何らかの改善の方法があると思うんですよ。
 具体的な例を挙げますと、裸用船料に現在二〇%の源泉徴収税がかかっておりますけれども、これを免除することによって一つの障害を低くすることができる。これは四十年から課税されておりまして、もう既に過去においても四十六年から四十九年までは免除、五十年から五十二年までは一〇%に軽減された例がありますから、この際この免除をぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#77
○政府委員(塩田澄夫君) ただいま御指摘がございましたように、裸用船の源泉徴収税の減免は確かに過去に行われたことはございます。ただ、過去にこの措置がとられましたときは、昭和四十六年ごろは輸送需要が非常に大きいために船腹を確保する必要があったという背景があったわけでございますが、いずれにせよこのような前例がございますので、せっかくの御提言でもございますので、そのような措置が可能かどうか勉強させていただきたいと思っております。
#78
○田渕哲也君 それからもう一つは、法的にはなかなか難しいと思うんですが、何らかの行政指導のようなことができないかどうか。日本人の船員、役付船員五名以上を配乗しますと船にかかる保険料が大幅に軽減される。こういう点から考えると、船主側にとっても全然メリットがないわけではない。何らかのこういう点についての行政指導が行われないものかどうかお伺いをしたいと思います。
#79
○政府委員(塩田澄夫君) ただいまの御提言は、日本人船員を便宜置籍船に配乗させるように行政指導ができないかという御提言でございますが、便宜置籍船が、船員費のコストの低い開発途上国の船員を配乗できるという経済性の要因から海運界で古くから利用されていることは先生御高承のとおりでございます。このような便宜置籍船への日本人船員の配乗を、法規制あるいは行政指導により実施できないかということでございますが、便宜置籍船が外国の法制下にあります関係で、これに日本人船員の配乗を義務づける、あるいは行政指導をするということは法制的にも困難であるというふうに考えます。
 また、便宜置籍船がコスト競争力があるという経流的な要因に基づくという観点からは、日本人船員の職域の確保という観点で規制をすることはこれは経済的にも困難があると思います。ただ、多くの便宜置籍船には日本人船員の優秀性の観点から一定数の日本人船員がただいま田渕委員から御指摘がございましたように配乗をされているという実態もございます。政府としましても、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、部員の職員化を推進する等によりましてこれら便宜置籍船への日本人船員の配乗ができるだけ確保されるように地道な努力を続けてまいりたいと考えております。
#80
○田渕哲也君 雇用開発促進機構との関連で、これが船員の雇用の軟着陸を目指すということであるならば、ここにプールされておる登録された船員に対して乗船の機会というものが果たしてできるかどうか、それをできやすいようにするために雇用開発助成金のようなものを支給するようなことを考えるべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。
#81
○政府委員(増田信雄君) 御指摘の助成金というものは、安定的な雇用を確保するために支出されるものであると理解いたしております。
 御案内のように、ただいまの海上の企業というのは全面的に不況でございます。で、不況の業種から他の不況の業種に労働力を移動させるということに対するインセンチブを与えるのが果たしていい政策であるかどうかということに私どもは問題点を感じておるわけでございます。
 特に御指摘の雇用開発促進機構でございますが、これは当分の間の措置であり、雇用の形態も期間雇用が原則になるというふうに伺っております。したがいまして、そうなりますと、これが安定的な雇用の機会になるかどうかということについても別の角度の問題があろうかと思います。それよりも、むしろ雇用開発機構そのものの運用につきまして、労使とよく相談をしながら適時適切な手を打ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 なお、船の提供ができるだろうかという御質問がございました。これにつきましては、私どもは系列ごとというか、グループごとの会社、退職者に見合った船を提供するという方向で話し合いが進んでいると承知いたしております。
#82
○田渕哲也君 例えば日本の船会社が便宜置籍船を用船をして、それに雇用開発促進機構にプールされておる船員を雇うと。それを可能にするためには、なかなかそのままでは難しいと思うんです。だから、一定期間については雇用開発助成金的なものを支給するということにするとそういうインセンチブとして機能するのではないかと思うんです。したがって、この雇用開発促進機構の一つの支援方法としてそういう方法を考えた方がいいのではないかと思いますが、いかがですか。
#83
○政府委員(増田信雄君) 便宜置籍船の話が入ってまいりますと、これは外国の法域下にある船でございます。外国の会社に対します助成金を支給するということで、またもう一つ別の問題が生ずるのではないかということを心配いたしております。
#84
○田渕哲也君 ただ、日本の船員の雇用がどんどん奪われておるというのは、円高の影響等もあって、鉛そのものが減っておるわけじゃなくて、外
国の船員にどんどん奪われておるわけです。それを恒久的に外国の船員と日本の船員の人件費の格差を政府で保障しろというのは無理としても、一時的に軟着陸をするための期間、そういうようなものを考えるというのはこれは必要じゃないかと思うんですが、いかがですか。
#85
○政府委員(増田信雄君) 御指摘の点につきましては、私どもも心情としては十分理解できるところがあるわけでございます。
 御案内のように、総合保険としての船員保険は労使双方からの拠出金を主として運用されております。また、労使の代表もそれぞれ委員会に参加して運用についての御議論をしておられるところでございます。そういう議論あるいはそういう制度のもとでのことでございますので、私どもとしましてもこれからいろいろな検討を重ねながら、この雇用開発促進機構がうまく動くような手段について関係の向きと相談をしてまいりたいと思っております。
#86
○田渕哲也君 それから、陸転の場合の問題として、海陸資格の互換性の問題について、運輸省、労働省間で協議されたと聞いておりますけれども、実質的には余り、何も実効を伴っていないと聞いておりますが、いかがですか。
#87
○政府委員(増田信雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、十一の資格につきまして、あるものについては受験資格の緩和、あるものについては筆記試験の一部免除という措置をつい最近とっていただいたばかりでございます。本当に実効が上がってくるのはこれからのことだと考えております。なお十一の資格につきまして、延べでございますが、船員の方でいいますと約二十五万人ぐらいが対象になってまいります。
#88
○田渕哲也君 十一の資格について検討されたというけれども、その結果何にも試験の免除とかそういうことについて認められないというのが大部分ですね。ほんの一部について受験資格が与えられるとか、ごく一部について試験科目が少し免除される、大部分については全く認められないというのが大半じゃないですか。
#89
○説明員(安藤茂君) 先生お話しのとおり、それからただいま運輸省の方から御答弁がありましたけれども、十一の問題点について労働省と運輸省で協議をしてきたわけでございます。その趣旨は先ほど来いろいろお話出ておりますけれども、海で働く人と陸で働く人の仕事の中身でありますとか、それから職場の環境が違うということはありますけれども、お互いに共通する部分については何といいますか、相互乗り入れといいますか、そういう部分を認め合って海から陸に転職する人たちの再就職ができるだけ円滑にできるようにという趣旨でいろいろ協議をしてまいったわけでございます。
 ただ、ボイラーでありますとかクレーンでありますとか、問題が働く労働者の安全の問題でありますとか健康の問題にかかわる問題であるという認識も片一方でありまして、どこまでその共通部分を認めるのが適当であるかということについて検討を行ったわけでございます。実は両制度に基づく資格を取るための試験で、お互いにどういう試験が行われているか、試験科目としてどういうものが出されているのか、あるいは過去の試験問題の内容がどういうものであるのか、あるいは出題の傾向がどういうものであるのかということを個別に、それぞれ比較対照しながらかなり詳細に検討したつもりでございます。その結果が先ほど先生御指摘ありましたように少ないということでございますが、十一のうち五項目について一定の範囲での緩和措置を講じたところでございます。
 以上のようなことでございます。
#90
○田渕哲也君 五項目について一定の範囲の緩和措置があるけれども、その一定の範囲というのがごく限定された範囲にすぎない、これでは余り実効はないと思うんですね。だからなぜできないのか、これは時間がありませんから詳細はお聞きしませんけれども、もう少し弾力的に考えられないものか。できないものならば海陸資格の互換問題についてやってますなんということは言わない方がいいと思うんですね。いかにも何かやっているように聞こえるけれども、実際調べてみたらほとんど効果がないようなことばかりである。もう少しこれ弾力的に扱ってもらえないかと思います。
 それからもう一つは、雇用対策の助成に対して船員の場合と陸の不況業種の場合とでは非常に大きな格差がある。これは何とかならないかと思うんですが、いかがですか。
#91
○政府委員(増田信雄君) 雇用対策助成につきましては、そのほとんどが雇用保険から支出されているというふうに理解いたしております。船員保険の場合もやはり同様に労使双方の拠出金を主体として運用されておるわけでございます。そこで、従来からいろいろないきさつもございますし、また制度間の相違というものがございますので、多少の相違があるというのは私どもとしてはやむを得ないことと思っております。
 しかし、陸と完全に一致しておりませんけれども、船員保険の方から雇用対策として種々の支出もいただいておりますし、海の労働の特性に応じまして有効な雇用対策ができますように、運輸省としましても今後厚生省に要請をし、協議をしてまいりたいと考えております。
#92
○田渕哲也君 全く一致していないわけではないということですが、非常に大きな格差があるんですね。例えば教育研修についても、陸の場合は賃金の二分の一、海の場合は三分の一、そのほか非常に大きな差があります。そしてその原因がいわゆる雇用保険と船員保険というふうな別建てになっておるからだと言われるわけですけれども、それならばこれは別建てにせずに一元化したらどうかと思うんです。船員だけ別にしておくと、海運そのものが不況業種になると自分のところで皆負担せぬといかぬ。もうこれは保険の用をなさないわけですね。そういう意味で、もし同じようなことができないというならばそれを考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#93
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは事務方として答えにくい部分もあろうかと思いますので、私からお答えをしたいと思います。
 実は、私はもともと社会労働委員会の方が長かった人間でありますから、船員保険の運営というものについて見直さなければいけない時期が来ているのではないかという気持ちは従前から持っておりました。そして運輸大臣に就任をいたしましてから労使双方に対して、船員保険という仕組みに固執することが果たしてこれから先いいかどうかを本当に考えてもらいたいということをむしろ私の方から折に触れて申し上げてきたところであります。しかし、今双方から船員保険を例えば離れて雇用保険に移るといったようなお考えは示されておりません。また船員保険そのものが我が省の所管に属しないものである。委員御承知のとおりでありまして、ですから船員保険制度を今後とも存続することがいいか悪いかというところまで戻って御論議をいただくといたしますと、運輸省だけで答弁をし切れない部分があることも御理解をいただきたい。むしろその問題は、実は運輸大臣という立場ではなく、衆議院の社会労働委員会所属の委員の当時から私は労使双方に折りに触れて申し上げてきたテーマである。しかし、運輸大臣として改めて申し上げたときにもお答えはいただけないというか、いただかないままに今日まで来ているという事実を御報告をいたします。
#94
○田渕哲也君 大臣が前々からそういうことを検討をされておったということをお伺いしたわけですが、現在のこの船員の雇用問題が非常に深刻な状態になっておるときだけに、何か抜本的な措置を考えるか、抜本的に考えるのに暇がかかるならば、その間何か緊急の臨時的な措置でも考えないとどうしようもないという気がするんです。
 今回、三十万人雇用開発プログラムができまして、これはまだこの不況業種あるいは特定不況地域については非常に内容が改善されるということになっておるわけですけれども、この三十万人雇用開発プログラムの恩恵を船員が受ける部分がありますか。
#95
○政府委員(佐藤仁彦君) 船員の方々の雇用問題
につきましては、多くの方が再度海で働きたいという御希望を持っておられると思いますが、船員の離職者の中には陸転されたいという方がおられると思います。そういう方々につきましては、三十万人雇用開発プログラムの中の例えば特定求職者雇用開発助成金などほとんどのものが船員からの陸転希望者に対しても適用されるということになっております。
#96
○田渕哲也君 つまりそのプログラムの中の一つの項目は適用される。ところが他のところについてはますます海陸の格差が開くわけですね。この給付の内容その他にしても格差がますますこれ開くということになっていきます。もしこれは一つのものでできないならば、私はやっぱり船員独自の、海独自のこれに類する雇用開発プログラムのようなものをつくるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#97
○政府委員(増田信雄君) 三十万人の雇用開発プログラムのうちで、海に関するものは運輸省も共同提案者となっているものがございます。
 なお、離職船員に対する支援措置につきましては、各種の法律が既に整備されておりますので、その法律を活用しながら遺憾のないようにしてまいりたいと思っております。
 さらに船員保険からのいろいろな助成対策につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、今後実態に合わせながら厚生省の方と協議をしてまいりたいと思っております。
#98
○田渕哲也君 今の制度でできるだけやると言われますけれども、例えば不況業種の在職者に対する訓練中の賃金保障でも、今回は四分の三になるわけですね。中小企業は五分の四になる。ところが船員の場合は三分の一でしょう。今度改善されて三分の一になるわけです。それから出向の場合だって、三十万人雇用開発プログラムでは二分の一の賃金保障、中小企業は三分の二の賃金保障、これがさらに三分の二、四分の三というふうに改善されるわけですね。じゃあ海の方はどうかというと、従来の二万円が三万円に上がるだけにすぎない。この格差というのはますます広がっておるわけですね。だからこれは従来の制度を使ってどうこうするということではもう間に合わないのではないかという気がするわけですね。何かそういう新たな船員の場合も制度というものを考えてもらわないといけないと思いますが、いかがですか。
#99
○説明員(中西明典君) 雇用対策の問題でございますが、陸上労働者につきましては、御承知のとおり雇用保険法に基づきまして、総報酬の三パー・ミルの保険料で雇用四事業が実施されておるところであります。他方、海上労働者、船員につきましては、標準報酬の千分の七という保険料で、これは雇用対策事業だけではございませんで、保健福祉対策あるいは労働安全衛生対策、各種の事業をまとめまして、福祉施設事業の一環として雇用対策事業を実施しておるところでございます。
 この事業の実施につきましては、労使から成る福祉施設問題懇談会を設けまして、その運営につきましてこれまで議論していただき、またその意見にのっとって事業を実施してきておるところでございまして、六十二年度も先生おっしゃったような改善をいたしたところでございますが、雇用安定機構の創設等に伴いまして、さらにどういった雇用対策事業を展開することが適当であるかということにつきましては、その懇談会を通じまして労使の御意見を承り、さらに私どもとしては雇用対策を拡充してまいりたい、かように考えております。
#100
○田渕哲也君 時間がなくなりましたので、最後に造船の方の雇用の問題について質問をしたいと思います。
 前回の設備処理をした場合には、法案が成立あるいは諸準備完了のある程度整ったところで設備処理と同時に雇用調整が行われました。ところが、今回は法案が審議される前にもう造船各社は設備二〇%処理を前提に雇用を二〇ないし三〇%程度、それも一年前からこれはもう既に実施しておるわけであります。この一年間に造船重機労働組合の組合員ベースで二万四千人も解雇されております。また、特に今回の離職者は五十歳代に集中しておりまして、再就職も極めて困難で、もう既に失業保険も切れる者も出ておるというような不安な状態であります。
 したがって、お願いしたいことは、この法案が成立すると同時に、次の点を早急に手を打っていただきたい。
 一つは、就職促進手当支給対象業種指定手続をできるだけ早く実施を実現していただきたいということであります。
 それからもう一つは、もう既に会社を離職しておる人、こういう人についてもこういうものの適用される対象としていただきたい。つまりもう既に会社をやめて、特定不況業種離職者の手帳を保持しておる人、こういう人も対象になるように配慮していただきたいと思いますが、いかがですか。
#101
○政府委員(佐藤仁彦君) ただいまの御指摘のとおり、造船から多数の離職者が既に出ているということに着目されまして、いろいろな御提案をいただいたわけでございます。
 一つは、就職促進手当というものは特定不況業種のうち、特に労働大臣が定める業種につきましてその離職者について一年間の手当を支給するという制度でございます。この手当の支給対象となる業種の指定につきましては、当該業種の事業規模の縮小について事業所管官庁により現有施設、設備の一定割合以上の買い上げ等の直接的な財政措置がとられたものについて指定するという基準を持っておりまして、したがいまして今回御審議いただいております法案が成立いたしましたならば、早急にその指定の手続を準備を進めれば指定し得るものであると思っておりまして、この点につきましては運輸省と密接に連携をとりながら、一日も早い指定を行いたいというふうに考えております。
 また、多数の離職者が出ておりますから、私ども一人でも多くの方が一日でも早く再就職できるように最大限の努力をいたしておりますが、そういう中でもなかなか就職が進まないという実態もございますが、この制度は業種を指定し、さらに指定期間を定めることになっておりまして、その指定期間内に離職した求職手帳所持者に対して支給するということになっておりますから、制度上、指定期間以前に離職された方にはその適用がなされない、そういう制度上の問題があることは田渕委員も十分御承知いただいているところだと思います。一日も早く業種指定をすることが肝要でもありますし、また再就職の促進に全力を上げていく必要もあると思っておりますが、それらの点につきまして、さらに運輸省と十分協議しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
#102
○委員長(中野明君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(中野明君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより各案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#104
○委員長(中野明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 田渕哲也君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田渕君。
#105
○田渕哲也君 私は、ただいま可決されました外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合
の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
一 円高・長期不況に伴う厳しい船員雇用情勢に対処するため、新たな職域の確保など積極的な施策を講ずること。
二 今後における我が国商船隊の構成・規模等については、海運造船合理化審議会の中間報告を踏まえて、日本船及び日本人船員の位置付けについて一層明らかにするよう努めること。
三 我が国海運企業等の関係者においては、世界的な船腹過剰を克服するため、積極的に船舶解撤を促進するとともに、船腹過剰を助長することがないよう努めること。
四 イラン・イラク紛争に伴う国際海運の安全が脅かされている現状にかんがみ、引き続き必要な安全確保の努力を行うこと。
 右決議する。
#106
○委員長(中野明君) ただいま田渕哲也君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(中野明君) 多数と認めます。よって、田渕哲也君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(中野明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 安恒君から発言を求められておりますので、乙の際、これを許します。安恒君。
#109
○安恒良一君 私は、ただいま可決されました特定船舶製造業経営安定臨時措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    特定船舶製造業経営安定臨時措置法案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
一 当面の新造船需要の著しい減少にかんがみ、官公庁船の代替建造の促進、経済協力の推進による船舶の建造促進、船舶解撤の促進等による需要創出対策を強力に推進すること。
二 特定船舶製造事業者が実施計画を作成するに際しては、事業者の自主的な努力と判断を前提として弾力性をもって対処するとともに、申請に際しては、当該事業者において関係労働組合の意見を十分聴取し、その意見書を添付するよう指導すること。
三 特定船舶製造業の経営安定の推進及び基本指針の策定に当たっては、失業の予防等雇用の安定及び離職者対策に万全を期するとともに、関係地方公共団体と緊密な連携を図りつつ、地域経済の振興及び雇用の創出に努めること。
四 基本指針の策定に際しては、政令で定める審議会において関係労働組合の意見を聴くよ
 うに努めること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#110
○委員長(中野明君) ただいま安恒君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#111
○委員長(中野明君) 多数と認めます。よって、安恒君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、港湾法の一部を改正する等の法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#112
○委員長(中野明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 矢原君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。矢原君。
#113
○矢原秀男君 私は、ただいま可決されました港湾法の一部を改正する等の法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    港湾法の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
一 今後予想される社会経済情勢の変化に的確に対応するため、港湾及び空港整備事業に係る長期計画の着実な進捗に必要な予算の確保を図ること等により、社会資本の整備・充実に努め、国土の均衡ある発展の一層の促進を図ること。
二 現下の緊急課題である円高不況・雇用不安の打開のため、公共事業費の確保を図ること等により、内需拡大、地域経済の振興と住民福祉向上に特段の措置を講ずること。
三 国庫補助負担率の削減は、再三の確認にもかかわらず毎年度拡大されており、政府に対する地方の不信を醸成するおそれがあることにかんがみ、国庫負担金及び補助金については、国・地方公共団体の行政責任を明確にし、一般財源化する場合は、適切にして十分な財源の措置を講ずること。
四 国庫補助負担率削減による地方公共団体の財政支出増については、地方財政の現状を勘案じ、臨時財政特例債、調整債の元利償還について国の責任において措置すること。
五 今回の本法案の審議・取扱いについては暫定予算執行のための特別の措置であることにかんがみ、暫定予算執行に当たっては地方公共団体の予算執行と財政運営に支障を与えることのないよう、特段の配慮を払うこと。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#114
○委員長(中野明君) ただいま矢原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#115
○委員長(中野明君) 賛成多数と認めます。よって、矢原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの三案に対する決議に対し、橋本運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。橋本運輸大臣。
#116
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま三法案につきまして慎重御審議の結果、御可決をいただき本当にありがとうございました。
 また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府として十分の努力をしてまいる所存であります。ありがとうございました。
#117
○委員長(中野明君) なお、各法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#118
○委員長(中野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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