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#1
第108回国会 社会労働委員会 第6号
昭和六十二年五月二十六日(火曜日)
   午前十時三十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     関口 恵造君     添田増太郎君
     宮崎 秀樹君     熊谷太三郎君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     熊谷太三郎君     宮崎 秀樹君
     添田増太郎君     関口 恵造君
     穐山  篤君     対馬 孝且君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐々木 満君
    理 事
                岩崎 純三君
                田代由紀男君
                糸久八重子君
                中西 珠子君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                遠藤 政夫君
                関口 恵造君
                曽根田郁夫君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                宮崎 秀樹君
                千葉 景子君
                対馬 孝且君
                浜本 万三君
                中鉄 鉄造君
                沓脱タケ子君
                内藤  功君
                藤井 恒男君
       発  議  者  浜本 万三君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤 十朗君
   政府委員
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       厚生省年金局長  水田  努君
       厚生省援護局長  木戸  脩君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   岸本 正裕君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       文部省教育助成
       局海外子女教育
       室長       中西 釦治君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       職業対策課長   藤永 正雄君
       会計検査院事務
       総局第四局厚生
       検査課長     山田 昭郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○戦時災害援護法案(浜本万三君外三名発議)
○児童扶養手当法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○臨床工学技士法案(内閣提出、衆議院送付)
○義肢装具士法案(内閣提出、衆議院送付)
○子ども・青少年及び非喫煙者の健康をたばこの
 害から守るための対策に関する請願(第三号外
 四件)
○保育所制度の充実に関する請願(第四号外二六
 件)
○雇用対策に関する請願(第一二号)
○国民健康保険制度に対する都道府県負担の導入
 反対に関する請願(第一六号)
○暮らしと福祉の国庫負担金削減反対に関する請
 願(第一五一号外四二件)
○保育制度の維持、充実に関する請願(第一五三
 号外一件)
○腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(第二
 二五号外三一件)
○難病患者などの医療と生活の保障に関する請願
 (第五三一号外三六件)
○予防接種健康被害者及び遺族援護法制定に関す
 る請願(第一四二三号外五件)
○国立腎センター設立に関する請願(第一四九四
 号外一〇件)
○難病患者などの医療・生活の保障に関する請願
 (第一五三二号外二件)
○暮らしと雇用、労働条件の改善に関する請願(
 第一七七九号外一三件)
○カイロプラクティック等非合法医業類似行為取
 締り強化に関する請願(第一七八七号外三件)
○労働基準法(労働時間法制)の改正に関する請
 願(第二四〇五号外三二件)
○労基法改正に関する請願(第二五〇二号外一三
 件)
○雇用確保に関する請願(第三一二五号外二件)
○母子保健法改正に関する請願(第三一二六号外
 二件)
○国民健康保険制度に対する都道府県の負担の導
 入反対に関する請願(第三一二七号外二件)
○雇用の確保に関する請願(第三二四一号)
○重度身体障害者の脊髄神経治療技術研究に関す
 る請願(第三三六二号外三五件)
○車いす重度身体障害者の雇用に関する請願(第
 三三六四号外三六件)
○生協活動規制のための生協法改正反対等に関す
 る請願(第三五一五号)
○国立鳴子病院の経営移譲反対等に関する請願
 (第四七四一号)
○雇用確保対策の強化に関する請願(第四九五五
 号)
○療術の制度化促進に関する請願(第五〇五五号
 外二七件)
○重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(第五八
 一五号外一一件)
○重度身体障害者の無年金者救済に関する請願
 (第六三五三号外三一件)
○重度身体障害者に対する福祉行政に関する請願
 (第六三五四号外三一件)
○重度身体障害者の労働者災害補償保険法改善に
 関する請願(第六三五五号外三一件)
○労災脊髄損傷者と遺族の年金に関する請願(第
 六三五六号外三一件)
○労災重度被災者の終身保養所設置に関する請願
 (第六三五七号外三一件)
○労災年金と他の年金との完全併給に関する請願
 (第六三五八号外三一件)
○国立明石病院と国立神戸病院の統合計画をや
 め、充実・強化に関する請願(第六五七三号外
 二件)
○労働基準法改悪反対等に関する請願(第六八九
 〇外一五件)
○障害者の生活と働く権利の保障に関する請願
 (第七〇六九号)
○医療と福祉の充実に関する請願(第七一〇二号
 外一五件)
○看護専門学校寮における電気製品の使用規制と
 消灯規制の緩和に関する請願(第七四〇五号)
○小規模障害者作業所等の助成に関する請願(第
 七四九六号外一五件)
○労働基準法の一部を改正する法律案反対に関す
 る請願(第七五一三号)
○消費生活協同組合法の改悪反対に関する請願
 (第七五一四号)
○労働基準法の改悪反対、労働時間の短縮に関す
 る請願(第七五八七号外一件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐々木満君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、穐山篤君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐々木満君) 戦時災害援護法案を議題といたします。
 発議者浜本万三君から趣旨説明を聴取いたします。浜本万三君。
#4
○浜本万三君 私は、ただいま議題となりました戦時災害援護法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合を代表いたしまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 既に戦後四十一年を経て、あの忌まわしい戦争への記憶が一段と風化し、新しい戦争への危険さえもささやかれる中で、なお戦争の傷跡が生活を圧迫し、生命と健康を失った多くの一般戦災者が、国から何らの援護を受けることなく、戦争犠牲者として、傷病苦と生活苦にあえぎながら、余命をつないでいる現実を放置することはできません。
 私は、これら戦災者の心情と、報われることなく高齢化し、亡くなられる方々の続出する日々に思いをいたすとき、援護の手が一刻も早く差し伸べられる必要を痛感せざるを得ないのであります。
 振り返ってみますと、さきの大戦では、原爆投下を含め、米軍の無差別爆撃によって銃後と思われていた非戦闘員とその住居までも一瞬にして戦場に変わり、我が国全土にわたる諸都市が焼き払われました。
 昭和二十年四月十三日の状況窮迫せる場合に応ずる国民戦闘組織に関する閣議決定は、「新たなる兵役義務により、真として動員し、統帥権下に服役せしめ得る必要な法的措置を講ずること」を決め、昭和二十年六月二十二日に即時公布された義勇兵役法では、「国民義勇隊に参加せしむべきものは、老幼者、病弱者、妊産婦等を除くの外は、可及的広範に包含せしむるものを徴兵する」とし、いわゆる国民皆兵体制をつくり上げたことによっても、当時、既に平和な銃後は存在せず、戦場そのものとなっていたことは明白であります。
 これによる一般市民の死傷被害は、沖縄を除いても優に八十万人を超え、罹災人口は実に一千万人を超すと言われています。
 中でも昭和二十年三月十日の東京大空襲は、わずか二時間余の爆撃によって全部の四割が一瞬にして灰じんと化し、炎の中で約十万の都民の生命を奪いました。その惨状は、イギリスの一物理学者をして、原子爆弾攻撃による荒廃化を除けば、今までになされた空襲のうち最も惨害をほしいままにした空襲であると指摘させるほどでありました。
 昭和十七年二月二十四日に公布された戦時災害保護法では、昭和二十一年に廃止されるまでの間に、十二万七千人の民間戦災者、傷害者、同遺族に対し、救済、補償もなされました。
 戦後、政府は今日まで、戦争犠牲者対策を軍人軍属及びその遺家族など、昭和六十一年末現在約九万二千人に限定してきているのであります。
 その後、準軍属と言われる人々など、わずかな範囲の拡大はあったものの、銃後の犠牲者に対する援護の手は、基本的に皆無に等しいまま今日に至っているのであります。
 一方、今次大戦の同じ敗戦国である西ドイツでは、既に昭和二十五年に戦争犠牲者の援護に関する法律を制定し、公務傷病と同視すべき傷害の範囲を極めて広範に規定したため、援護の手はあまねく一般市民にまで及び、その対象は、昭和六十年一月においても百六十六万人にも上っております。
 我が国の戦争犠牲者対策は、原爆被爆者に対する特別措置は別として、あくまでも軍人軍属等に限定しようとするものであり、こうした政府の態度は、大戦の過ちを衷心から悔い改めようとする姿勢に欠けるばかりか、軍事優先の思想が根底にあるのではないか、との疑念さえもうかがわせるのであります。
 戦後四十一年を経て、いまだに放置されたままの一般戦災者に対し、国の援護措置を望む国民の声は、戦災地域にとどまらず、それ以外の自治体からも決議、意見書が多く寄せられており、一夜にして十万人近い人々の命を奪われた東京では、犠牲者を悼み、反戦平和を願う大集会が催され、その都度一般戦災者に対する援護が強く求められているところであります。本案は、このような国民の声を背景に、本案成立の日まではいまだ戦後終わらずとの確信を持って作成し、再び提案するものであります。
 次に、本案の要旨について、簡略に申し述べます。
 さきの大戦で空襲その他の戦時災害によって身体に被害を受けた者及び死亡した者の遺族に対し、戦傷病者特別援護法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法に規定する軍人軍属等に対する援護と同様、国家補償の精神に基づく援護を行おうとするものであります。
 ただし、遺族に対する援護については、遺族年金にかえて、一時金たる遺族給付金百二十万円を支給することとしております。
 援護の種類別に申し上げますと、第一は、療養の給付、療養手当二万三千四百円の支給及び葬祭費十一万九千円の支給であります。
 第二は、更生医療の給付、補装具の支給及び修理、国立保養所への収容並びにJR各旅客会社への無償乗車等の取り扱いであります。
 第三は、障害年金または障害一時金を支給することであります。
 以上、支給要件、給付内容はすべて軍人軍属等におけると同様であります。
 第四は、遺族給付金、五年償還の記各国債として百二十万円の支給であります。
 遺族の範囲は、死亡した者の配偶者、父母、子、孫及び祖父母で、死亡した者の死亡の当時、日本国籍を有し、かつその者によって生計を維持し、またはその者と生計をともにしていた者といたしております。
 第五は、弔慰金五万円の支給であります。遺族の範囲はおおむね軍人軍属等におけると同じであります。
 最後に、施行期日は、公布の日から一年以内で政令で定める日としております。
 何とぞ、御審議の上、速やかに本案の成立を期せられんことをお願いいたしまして、提案理由の御説明を終わります。ありがとうございました。
#5
○委員長(佐々木満君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(佐々木満君) 児童扶養手当法等の一部を改正する法律案、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○浜本万三君 私は、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案並びに戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に関係する問題につきまして御質問をさしていただきます。
 まず最初に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の問題についてお尋ねをいたします。
 被爆後四十年余を経過いたしまして、被爆者の皆さんは、病苦、貧困、孤独、その上高齢化が進み、被爆者を取り巻くその環境は一段と厳しさを増しております。したがって、直ちに国家補償による被爆者援護法を制定するよう多くの皆さんから要求をされておるところでございます。
   〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕
私は、政府が一刻も早くそれらの要求を受け入れられまして、国家補償による被爆者援護法の制定に向けて努力をしていただきますように心から希望するものでございます。
 ただ、本日は時間もございませんので、このような基本問題についての質疑や論戦は次回に譲りまして、来年度の予算要求に絡む若干の問題について質問をさしていただきたいと存じます。
 まず第一は、被爆後四十年を経過いたしました一昨昭和六十年に行われました被爆者実態調査は、もう既に集計も終わりまして、現在解析作業を進めていると思うわけでございますが、その進捗状態はどのようになっておるでしょうか、その内容を明らかにしていただきたいと存じます。
#8
○政府委員(仲村英一君) 被爆者実態調査でございますが、御承知のように四十年、五十年と十年置きにやってまいりまして、六十年度におきましては第三回目を実施したわけでございます。
   〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕
 被爆者実態調査のうち生存者調査につきましては、昭和六十年十月三日を調査日といたしまして調査を実施いたしました。回答数が三十一万三千四百九十九人、回答率八六・七%という非常に高い回収率でございました。御指摘のように、現在実態調査委員会というものを設けまして、集計結果についてお諮りをして報告書の取りまとめを鋭意進めておる段階でございまして、来月のできるだけ早い機会に公表できるようにしたいというふうに考えておるところでございます。
 この六十年の生存者調査とあわせまして、調査票によります死没者調査というものも実施をいたしたわけでございますが、この死没者調査につきましては回答数が二十八万六千八十七人、回答率七九・一%ということでございますが、これにつきましては現在広島市、長崎市におきます既存の資料と照合する作業等いろいろ整理を鋭意進めているところでございまして、これの取りまとめまでにはまだなお日時を要するということでございまして、六十二年度じゅうにということで考えておるところでございます。
 以上、実態調査の進捗状況についてお答えいたしました。
#9
○浜本万三君 ただいま実態調査につきましてのそれぞれの作業状況が説明されました。生存者の実態調査は六月の早い機会、それから死没者の場合には六十二年の後半というふうに今承ったわけでございますが、昨年私は、これをできれば中間報告でもしていただきまして最も早い機会の予算に生かしていただくようにお願いをしたところでございますが、なぜこんなに時間がかかるのか、その理由についてお尋ねをいたしたいと思います。
#10
○政府委員(仲村英一君) 生存者調査でございますが、御指摘のように十月に実施いたしましたのでかなりの日月を経ておるということになろうかと思いますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、全国から約三十万に及びます調査票を回収あるいは整理をするということでございまして、これが六十一年三月まで時間がかかったということでございます。
 国会の方の御指摘もございまして、せっかく調査票を送ってくるんだから締め切りをできるだけ延ばしたらどうかという御意見もございまして、有効回答数ができるだけ多いようにということの事務的な配慮もいたしました結果もあるわけでございますが、そうやって集めました調査結果をもちろんコンピューターに入力をしてあるわけでございますが、その大体の数字が打ち出されてまいりましたのが六十一年九月ごろだったと思いますけれども、その内容を実態調査委員会というものを設けまして、専門家あるいは各方面の学識経験者から構成いたします委員会にお諮りいたしまして、ここで集計方法等についての方向をお決めいただいたわけでございます。
 現在これに従って集計打ち出しを行っておるわけでございますが、さらに委員からの御要望の結果表等も打ち出しをしたりしておりますので、そのようなことで若干時間がかかったということになろうかと思います。
 それから死没者調査でございますけれども、先ほどもお答えいたしましたけれども、現在広島市、長崎市におきます原簿と申しますか、入力されておるものとの照合という作業があるわけでございますが、これはやはり二十八万六千人という数字があるわけでございまして、この入力にかなりの作業量がかかっておるということでございますので、先ほど申し上げたような取りまとめの日程というふうに私ども考えておるところでございます。
#11
○浜本万三君 ちょっと議論を進めまして、お尋ねするんですが、こういう調査を政府が行われる場合には何かやはり考え方があってのことだと思います。したがってお尋ねするわけなんですが、今回の調査は生存者、死没者調査、それぞれ行政といたしましてどのようなことを頭に描きながら調査を行われたのでしょうか、それらの点についてお尋ねいたします。
#12
○政府委員(仲村英一君) 実態調査のうちの生存者調査に関しましてお答えいたしますと、被爆者の生活、健康等の実態を総合的に把握することが必要ではないか、その把握して得ました結果を今後の被爆者対策の基礎資料として活用するようにということで、この実態調査の企画につきましても委員会を設けて各専門家の御意見をお聞きしたりしたわけでございます。
 特に委員からの御指摘もございましたけれども、被爆者が高齢化しておるという事実が考えられるわけでございますので、そういう方たちがどのような生活状態になっておるか。つまり、子供さんたちと同居をされておるか、あるいは独居されておるかというふうなことの別でございますとか、寝たきりの状態になっておられる方がどれだけおられるか、あるいはそういう方たちの介護がどのような形でなされているか等、高齢化の生活実態に関する質問を多く設けたというところが特徴だというふうに言えるかと思うわけでございます。
 死没者調査でございますけれども、死没者調査につきましては、原爆により死没された方々の数でございますとか、亡くなられた場所等を把握いたしまして原爆被害の実相を明らかにするということを目的として私ども調査を進めてきているところでございます。
#13
○浜本万三君 特に死没者調査について伺うんですが、現在広島市と長崎市で解析作業を行っておるということが先ほどの御答弁で明らかになりました。その場合、政府としてはいかなる政策的イメージを描きながら作業をなさったのでしょうか。特に死没者調査についてのイメージの内容を伺いたいと思います。
#14
○政府委員(仲村英一君) 死没者調査につきましては、先ほどからお答え申し上げておりますように、現在解析作業を進めているところでございますけれども、私どもといたしましては、この調査を通じて原爆による被害の実態がどうであったかということを明らかにし、正確に後世に伝えるということを目的として死没者調査を実施したというふうに考えておるところでございます。
#15
○浜本万三君 結局、調査の結果によって戦争の悲惨さ恐ろしさというものを数字の上で再現をいたしまして世界の恒久平和を願う、こういうあかしにしたいという御答弁のように思います。私は、そういう御答弁では、この調査に対する精神からいうと何か欠落しておる点があるのではないかと思うわけでございます。
 もちろん、二度とあのような戦争の惨禍をもたらしてはならない、核廃絶の国民の願いを改めて国民の共通認識にしたいということについては、いささかも私はこういう考え方に反対するものではありません。当然賛成するものでありますが、同時に、この調査を行うに当たっては被爆によって亡くなられた皆さんに対して具体的に何らかの弔意をあらわす必要があるのではないか、そういう気持ちもあわせてあったのではないかというふうに思うんです。だからこそお話があったような大変な時間と人手を割いて調査を行われたものだと思うんですが、そういう弔意の気持ちの問題については何か政策的に具体化していこうというお考え方はなかったんでしょうか。
#16
○政府委員(仲村英一君) 原爆の被爆の実態を正しく伝えるということが被爆者に対する弔意をあらわす上で非常に大切なことだということで私ども考えておるわけでございますので、現在解析中の死没者調査は中心のテータでございますけれども、そのほかに国内に埋没しております被災資料についても、その収集に努めてまいりたいと考えておるところでございます。また、アメリカにございます関係資料についても現在入手努力を続けているところでございまして、今後これらの資料を広島、長崎両市とも御相談しながら整理して、原爆被爆の実態を明らかにするとともに、それを後世に伝えるということとしたわけでございます。
 弔意を具体的にあらわすというお尋ねでございましたけれども、被爆者の遺族に弔慰金を支給することを意味しているということでありますれば、私ども従前からお答えしておりますが、被爆者対策が放射能による健康障害という特別の犠牲に対して実施されているものでございますので、遺族ということだけでこの特別の犠牲を受けたというふうにはみなされにくいということでございまして、一般戦災者との均衡もございますので、おっしゃるような意味の、例えば遺族に弔慰金をお出しするというふうなことを実施することは困難ではないかと考えておるところでございます。
#17
○浜本万三君 均衡という面からいいますと、本法が制定されまして以降の人は遺族に対して弔意が金銭的な形で表現をされておるわけでございます。今度の調査でそれ以前の死没者が判明した場合にはそれらの遺族の方々に対しまして弔意を表するということは決して均衡を失することではない、かように思いますが、いかがでしょうか。
#18
○政府委員(仲村英一君) 先ほどお答えいたしましたのは、被爆者の遺族に弔慰金を支給するということであれば、そういう意味での均衡の問題があるということでお答えしたわけでござ八ますが、私どもも、被爆の実態を明らかにしてこういう悲惨なことが再び起こらないようにということで、その実態を正しく後世に伝えるということで、やはり国としての弔意をあらわすということの広い意味でそれをとらえることができるのではないかということで、死没者調査も実施をさせていただいたというふうに考えておる次第でございます。
#19
○浜本万三君 とにかく、本法が制定されて以降の人は遺族に対して具体的な弔意の形が出た。今度の調査でそれ以前の人が判明したわけでありますから、それに対する、遺族の方々に対しまして、本法制定以降の遺族の方と同じような取り扱いをしてもらいたい、これは決して均衡を失するものでないということを私は主張いたしまして、御検討を今後いただきたいと思います。
 それから次の質問なんですが、先ほどの御答弁で、生存者の実態調査をいたしまして、将来の政策的イメージといたしましては、高齢者の皆さんに対する積極的な政策を行いたいんだ、こういう御意思があるように見受けました。
 そこでお尋ねするんですが、被爆後四十年を経過いたしまして生存者は確かに高齢者が非常にたくさんふえております。また疾病の状態も非常に重くなっておる者も年々ふえておるわけでございます。そこで、お話のような実態調査が明らかになれば、この様子はより切実なものとして全体像が恐らく浮かび上がってくるのではないか、かように思うわけでございます。したがいまして、今後これらの方々に対しましてどのような対策を進められるのか、特に高齢者対策に絞ってお答えをいただきたいと思います。
#20
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、私ども被爆者実態調査で被爆者の現在の、生存者調査についてでございますが、被爆者の現在の生活でございますとか健康の実態が総合的に把握し得ました際には、当然のことながら今後の被爆者対策の基礎資料としてそのデータを活用してまいりたいと考えておるわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、あるいは実態調査の委員会の先生方の御意見にもございますように、高齢化ということで、日本全体が高齢化はしておりますが、特に被爆者の方々にはそういう特別な問題もあろうかということで、いろいろ着目をして調査項目を入れてあるわけでございますので、その結果が出ました際にはいろいろの分析をした上で適切な対処をするように努力を続けてまいりたいと考えております。
#21
○浜本万三君 この被爆者高齢対策については特に配慮をしたいというお気持ちが答弁の中ではっきりいたしておりまするので、これ以上はさらに質問をする必要はないかと思うんでございますが、念のために二、三の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 例えば被爆者の方々の御要望の一つに、がん検診を精密検査項目に追加してもらいたい、こういう希望があるわけです。理由といたしましては、最近の死亡例を見ますとがんで亡くなった方が全体の五〇%以上であったという日赤等の発表もございますので恐らくそういう御希望が出ておるのではないかと思いますが、そういう点いかがでございましょうか。
#22
○政府委員(仲村英一君) がんの検診を原爆被爆者の健康診断の中に入れたらどうかということのお尋ねだと思います。
 御承知のように、老人保健法で四十歳以上の、主として四十歳以上の方々にいわゆるヘルス事業といたしまして健康診査を実施しておるわけでございまして、その中に胃がん、子宮がんについての検診項目が加えられておりますし、六十二年度から、この前の老人保健法の改正のときにもいろいろ御審議をいただいたわけでございますけれども、肺がんでございますとか乳がんにつきましても実施できるようなことで改正をいたしておりますので、現在私どもといたしましてはそちらの老人の健康診査の方でお受けいただくようにということでお勧めをしておるところでございますが、がんの検診について原爆被爆者のために独自で行うことが必要かどうかを含めましてさらに検討を進めてまいりたいと思います。
 被爆者の方たちのがんにはスクリーニングのしにくいものもあるように私ども聞いておりますので、そういう技術的な面も含めて検討してまいりたいと思います。
#23
○浜本万三君 精密検査の中でがん検診の項目を入れてください、こう言えば老人保健法の方でやってくださいというような答弁は多少親切に欠ける点があるんじゃないかと思うんですよ。ですから、今までのことは今までといたしまして、今回せっかく生存者の実態調査もやられまして、高齢化した中での疾病の因果関係についても相当わかってくると思うんでございまするし、またがんで死亡する例も非常に多くなっておるということなどを考えますと、やはり御検討はぜひ早急にやっていただくように希望をしておきたいと思います。
 それからさらに高齢者対策の一つについて伺うんでございますが、被爆者の皆さんの御希望といたしましては、健康管理手当の申請というのを毎年行っておるわけなんでございますが、どうも煩瑣で仕方がない、こういう御希望がございます。したがって極端に言えば、自動更新制に切りかえてもらいたいという希望があるわけでございます。自動更新制が直ちにできないとすれば何らか中間的な措置がとられないだろうか、そういう点ひとつ誠意のある御答弁をいただきたいと思います。
#24
○政府委員(仲村英一君) 健康管理手当の支給手続の点についてのお尋ねでございますが、この健康管理手当は申すまでもないと思いますけれども、被爆者の方々が一定の疾病にかかっているということに着目をいたしまして支給されるものでございますので、病気にかかっておるかどうかを定期的に確認することはやはり手当の趣旨からして当然必要ではないかと考えておるわけでございますので、単に高齢であるということだけの理由で支給手続を自動更新制といいますかにするということは適当ではないと考えております。
 しかし、現在ほとんどの疾患が三年ごとでございますけれども、御指摘のように手続上にいろいろ煩瑣であるとか負担があるというふうなことでの御要望も私ども直接被爆者の方々からもお聞きしておるわけでございますので、対象疾病でございますとか診断書の様式等について研究をお願いしておるところでございますが、その研究結果を待ちまして対処するように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#25
○浜本万三君 それはどういうことなんでしょうか。もう一遍はっきり聞きますと、例えば申請手続を簡素にするというのはわかりました。今の毎年というのを例えば三年ごとにするのか五年ごとにするのか、そういう期間的な問題については考えはないんですか。
#26
○政府委員(仲村英一君) 現在対象となる障害の範囲、主な対象疫病というのが大きく分けまして十一グループ、グループと申しますか十一ぐらいございますが、そのほとんどが実は三年置きになっております。その中で例えば非常に慢性で固定的なものについては三年ごとの更新でなくてもいいではないかという御意見があるということで先ほど申し上げたわけでございまして、中身が医学的と申しますかそういう臨床的な問題も含みます関係で、大学の先生、総括研究者として東大の吉沢教授でございますが、にお願いをいたしまして、原爆障害症に関する調査研究というのを現在実施していただいております。
 その結果を待ちまして、例えばその三年をもう少し延ばすとかいうふうな結論が出るかどうかを含めまして、その研究結果によって私ども研究を進めたいというふうにお答えしたわけでございます。
#27
○浜本万三君 この問題の最後として大臣に伺うんですが、国会が終了いたしますと直ちに政府の方では六十三年度の概算要求に取りかかられる、こう思うんですが、ところで六十二年度の原爆対策の内容を見ますとこれまでの延長線上であった、それは結局実態調査を行った上でその結果を見て実情に即したような政策をおとりにをろうというお考えが多分にあったんじゃないか、かように私は思います。したがいまして、実態調査も生存者の場合には六月に終わるということでございますので、実態調査の最終報告を生かすような概算要求をしていただきたい、かように思いますが、大臣の決意のほどを承りたいと思います、
#28
○国務大臣(斎藤十朗君) 生存者調査につきましては、被爆者の方々の生活実態やまた健康の状態など非常に今回は特にきめ細かく調査項目を設定いたしまして調査をいたしておるものでございます。もう近々にその全貌を公表させていただくというところまで来ておるわけでございますが、この調査につきましては、先ほどからお話がございますように、その回収率も八六%を上回るというような、非常に被爆者の方々自体もこれに重きを置き、これに期待をかけていただいておるということを痛感いたしております。
 この実態調査を踏まえて、被爆者の方々が高齢になっておる現状、できるだけ速やかに必要な措置を講じていかなければならない現状でありますので、これらの調査を十分踏まえて来年度の概算要求に盛り込ませていただき、そして高齢化する被爆者の方々の何といいましょうか援助を十分していけるように努めてまいりたいと考えております。
#29
○浜本万三君 ひとつ調査の結果によりまして積極的な援護対策を実施していただきますように重ねて希望を申し上げたいと思います。
 それから、次は広島県の大久野島の毒ガス製造工場に勤務した障害者の救済対策について二、三お尋ねをさしていただきたいと思います。
 この件につきましては、昨年私が質問をいたしました際に、保健医療局長さんだったと思いますが、正規の身分関係にあった者と身分関係のなかった動員学徒との間には毒ガス製造工程へのタッチの仕方が相違していたと言っておられるわけでございます。それは現在の障害者を診察して医学的に解明されておることかどうかということを質問したいわけです。
 なぜこういう質問をするかといいますと、当時の旧令共済の組合員の皆さんとそれから学徒動員の皆さんに対しましては身分上の差異があるために救済の事情がちょっと違っておりますので、昨年そういうことを私が質問したわけなんですが、それをさらに進めまして、医学的な解明がなされておるのかどうなのかということをお尋ねしたいと思います。
#30
○政府委員(仲村英一君) お尋ねの点でございますけれども、旧令共済組合員に対する救済策と勤労学徒等の非組合員とでは救済の内容が違うではないかということのお尋ねを含めてだと思いますけれども、私どもが承知しておる範囲では、動員されました学徒等の非組合員というのは毒ガス製造中止後大久野島に入り、携わった作業も風船爆弾の袋張りなど危険の比較的少ない作業だったというふうに聞いておるわけでございますし、比較的長期にわたり直接毒ガス製造に従事した旧令共済組合員と作業の従事内容に差があるというふうなこともございまして、旧令共済組合員の一般障害者に対する措置に準じた救済措置を講じておるというのが実態でございます。
 現在のところ、専門家の間でお聞きいたしますと、旧令共済組合員の認定患者程度ほど重篤な症状が認められていないという見解もございますので、動員学徒等については旧令共済組合員と一部異なる点があってもやむを得ないのではないかというふうに考えておるところでございます。
#31
○浜本万三君 私がそれらの方々に伺いました話では、確かに製造工程にタッチする仕方については若干の相違はあったかもわからないが、動員されてこの仕事に協力しておる間の姿を見ると、あるいは連絡に行きましたりなどいたしまして、全然その内容が違うということはございません、毒ガスを製造しておる箇所に足を踏み入れるという場合もあったんですということを聞いておるわけでございます。
 そこで、その問題を明らかにするために質問いたすんですが、学徒動員等は当時何名ぐらいおられまして、今日医療給付の対象となっておる人は何名ほどになっておるでしょうか。
#32
○政府委員(仲村英一君) 動員学徒等の全体の数字は、当時のことでもございまして実は把握されておらないわけでございます。動員学徒等の中にも女子挺身隊員でございますとか、勤労奉仕隊員でございますとか、幾つかのグループがあるようでございます。総数はわからないわけでございますけれども、現在この旧陸軍造兵廠忠海里造所等におきまして、毒ガス製造等に従事した者のうちで旧陸軍の共済組合員以外の動員学徒等として私どもが現在確認しております数、これはつまり健康管理手帳を交付しておる者の数でございますけれども、現在二千二百四十六人ということでございます。そのうちで毒ガスに起因する疾病による医療給付の対象となっておる方々は、つまり医療手帳を交付されている方々でございますが、約半分の千二百四十七人という数字を把握しておるわけでございます。
#33
○浜本万三君 今局長御答弁いただきましたように、いわゆるガス疾病と認定されておるものが全体の半分いるということがはっきりしておるわけなんであります。したがいまして、非組合員も、つまり動員学徒等も相応の毒ガスの影響を受けておるということはこれはもうはっきりいたしておるわけであります。私はそう思うんでありますが、重ねてお尋ねしますが、どうでしょうか。
#34
○政府委員(仲村英一君) 同じような作業をする可能性があったということで、私どもの方のこの救済措置と申しますか、について組合員とは違った形ではあるけれども何らかの措置をとるということでの仕組みでやっておるわけでございます。
 その中で、先ほど申し上げましたように、二千二百四十六人のうち医療手帳を交付されておる方、つまり毒ガスに起因する疾病を有する方は千二百四十七人ということで把握しておりますので、そういう疾病を有するということを個別に診断した結果、二千二百四十六人のうち千二百四十七人はこのような、約半数でございますけれども、毒ガスに起因する疾病を有する者と認め、医療の給付でございますとか、手当の支給等を行うということで実際の措置が行われているわけでございます。
#35
○浜本万三君 ですから、救済の対象になっていないというのは、局長の今の答弁を伺いましても、まず一つは毒ガスとの因果関係の有無、身分関係の有無との間に連動関係があるかどうかということもやっぱり重要な判断のポイントになってくるのではないかと思うわけです。そういう点について学問上解明ができておるんでしょうか。これから解明されるんでしょうか。
#36
○政府委員(仲村英一君) その連動という意味がどちら向きかによるわけでございますけれども、この非組合員の障害者の対策につきましては、健康管理手帳を交付するというのが第一段階であるわけでございますが、その結果健康診断をいたしまして、何らかの先ほど申し上げたようなことがあれば医療手帳を交付するということで、そこで個々にやっぱり診断行為が行われているというふうに私ども理解しております。
 勤労動員学徒であったから直ちにすべてがこの毒ガス障害者の対策に全部乗るという仕組みはとっておらないというのが先ほどから申し上げている実態でございまして、個別にその方たちの健康状態に着目してこのような数字が出てきておるというふうに御理解いただければと思うわけでございます。
#37
○浜本万三君 今の御答弁ではまだしっくりとしないんですが、時間の関係がございますので、最後に大臣に見解をお尋ねいたしまして、時間が参りましたんで質問を終わりたいというふうに思います。
 毒ガスと疾病との因果関係でございますが、これまでは呼吸器とそれから消化器疾患について認められておったと思うんでありますが、毒ガス障害というものはこの範囲に限らないのではないかという広島大学の西本教授の研究報告もあるようでございます。したがいまして、政府とされましても、疾病との因果関係についてもう少し詳細に解明をしていただく必要ができたのではないか、かように思うわけでございます。そして、疾病の範囲をもう一度点検する。できれば拡大、改善をしていただくように要望をさしてもらいたいと思います。
 そのためには政府の方でも広島大学の西本先生にもうすべて頼り切っておるように思いますので、できれば西本先生にこの上とも詳細な研究を急いでいただきますようにぜひひとつ頼んでもらいたい。そして、もう少しはっきりした形の救済対策を講じていただくように希望をいたしたいと思います。
 大臣の御見解並びに御決意を承りまして質問を終わりたいと思います。
#38
○国務大臣(斎藤十朗君) 毒ガス等の製造等に携わられた動員学生等の対策につきましては、これまでの医学的な研究の成果を踏まえつつその対象の疾病を決め、そして対策を講じてまいったところでございますが、毒ガスと因果関係にあるその疾病の範囲等につきまして、今後ともその調査研究、また専門家の御意見、今先生の御指摘がございました西本教授が御専門のようでございますし、西本教授を中心にいたしまして、そういった専門家の方々に一層その研究の成果をお伺いし、そしてその疾病の対象等について今後とも万全を期してまいりたいというふうに思っております。
#39
○中野鉄造君 私は初めにこの児童扶養手当法等の一部を改正する法律案に関連してお尋ねをいたします。
 この法案が六十年八月に一部改正されまして今日に至っておりますが、改正案のときに前の夫の年収所得によって手当を出すとか出さないとかということがいろいろ論議をされました。そうした経緯があったわけですが、現在のところは「政令で定める」ということでスタートしたわけでございますけれども、これがいまだ明確になっておりませんし、今後の対応についてまずお尋ねいたします。
#40
○政府委員(坂本龍彦君) 昭和六十年の児童扶養手当制度改正におきまして、別れた父親の所得が一定額以上あるときには児童扶養手当を支給しないという改正条項が政府原案に盛り込まれておったわけでございます。この条項は国会での御審議の後、「政令で定める日から施行する」とされ、また「政令を定めるに当たっては、婚姻を解消した父の児童に対する扶養義務の履行の状況、当該父の所得の把握方法の状況等を勘案しなければならない」、こういう形で御修正がございまして、この問題についてはこういった父の扶養義務の履行状況あるいはその父の所得の把握方法の状況、こういったものを十分に考えた上で決めるべきである、こういう御決定がなされたわけでございます。
 私どもといたしましても、したがってこの条項は現在施行されておらないわけでございまして、この条文に規定されました問題点を十分に配慮して今後慎重に検討していく必要がある問題であるというように認識をしている次第でございます。
#41
○中野鉄造君 慎重に検討はいいことですけれども、大体いつごろになりそうですか。
#42
○政府委員(坂本龍彦君) この父親の「扶養義務の履行の状況」あるいは「所得の把握方法の状況」というものにつきましては、児童扶養手当制度のみならず、例えば民法上の問題も含まれておりますし、いろいろ関連する問題も多いわけでございます。したがってこの問題についての研究、検討というものは、いろいろな面から実施しなければならないわけでございまして、現時点において私どもとしてはいつどのような形で実施するかということについてのまだ具体的な考え方を持つには至っておりません。
#43
○中野鉄造君 少し観点を変えてお尋ねいたしますが、会計検査院から児童扶養手当支給に対する件につきまして若干の不当支払いが出ているという報告がなされておりますけれども、その状況についてお知らせをいただきたい。
#44
○説明員(山田昭郎君) 御説明いたします。
 この児童扶養手当は御案内のとおり、父と生計を同じくしていない児童が育成される、例えば母子家庭等の生活の安定などを図るために、その児童を監護する母等に対して支給するものでございます。したがいまして、その受給資格の要件あるいは支給の制限といったものが当然ございまして、例えばその母が婚姻をしている、あるいは公的年金の支給対象となっているといったような場合には支給されないということになっております。
 今回私どもが指摘しましたのは、そういう受給者百五十四人分、三千六百二十四万四千余円でございますが、これを簡単に主な態様別に申し上げますと、児童の母が婚姻をしていて、その児童が母の配偶者に養育されていたもの百三十三人分、二千九百万余円。それから、児童の母等が今申し上げました公的年金の支給対象となっていたもの、これは三人分、金額で二百十一万余円。それから、児童が父と生計を同じくしていたもの、これが八人分、金額で二百三万余円。その他いろいろな態様を合わせまして、十人分、二百四十三万八千余円、以上のような状況となっております。
#45
○中野鉄造君 こうした会計検査院の報告に対して厚生省はどのようにお考えか、その御所見を述べていただきたい。
#46
○政府委員(坂本龍彦君) 児童扶養手当は法律をもって支給要件が決められておる制度でございますし、また、その財源は国民の租税を財源としておる制度でございます。したがって、この支給要件に該当する人には当然これは支給すべきでありますが、該当しない人に支給するというようなことは厳に慎まなければならないわけでございます。
 私どもとしては制度の適正な運営を実施するという意味におきまして、ただいまお話のありました会計検査院からの指摘を含めまして、都道府県に対して適正な実施を行うように指導を行ったわけでございます。昨年の十二月に各都道府県に通知をいたしまして、返納金歳計に係る事務について適正に実施するとともに、受給資格の認定、現況届の審査等につきましても十分その詳細な内容を把握して実施の適正な運営を図るよう、今後とも都道府県を指導してまいりたいと思っております。また、私どもが現実に各都道府県に対して指導監査も実施しておりますので、その際にも十分その内容等についても監査の対象といましまして、適正な実施が図られるように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#47
○中野鉄造君 社会環境の変化に基づいて離婚という状況が年々増加の傾向にありまして、昭和五十九年度十七万八千件、六十年度十六万六千件、六十一年度も大体ほぼ同数と、こういうように十年前の五十年は十一万であったのがかなり高いところで安定しているというような状況にあるわけですけれども、先ほど会計検査院の検査によって生じたその不当支払いのこと、あるいは先ほど冒頭申し上げました、政令で定めるべきことがいまだ実施されていない、こういったようなこと等ございますので、この児童扶養手当法の第一条の目的に十分意が沿うようひとつ実施されるように強く要望しておきたいと思います。
 次に、ちょっとこれは問題が変わりますが、ことし三月に社会保険庁のコンピューターから年金受給者の個人データが盗み出されて厚生年金がだまし取られるという事件が報道されました。調べてみると、これが元職員のデータ盗用、詐欺であったということですけれども、この事件のてんまつ、原因、そして今後の対応策、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
#48
○政府委員(岸本正裕君) 御指摘の事件は、社会保険事務所の職員がオンラインシステムを利用いたしまして年金受給者の氏名、生年月日、年金証書の記号、番号を検索いたしまして、それをもとにいたしまして虚偽の支払い機関変更届を提出したわけでございます。それによりまして年金をそこに振り込ませ詐取したものでございます。
 今回の事件につきましては、社会保険行政に対する国民の信頼を損ねたものでございまして、このようなことは断じて再発させてはならないというふうに私ども肝に銘じておるところでございます。そのためには、職員の綱紀の粛正とモラルの向上が極めて重要なことでございまして、この点につきましては文書によりまして、あるいは全国会議その他の場におきまして趣旨の徹底を図ったところでございます。
 さらにオンラインによる入出力の状況を記録した磁気テープ、いわゆるオンラインジャーナルでございますが、これの保存期間の大幅延長とか、支払い機関の変更届けのチェックの強化を図ったところでございまして、また今後端末機の適正な運用や資料の適正管理に留意いたしまして、このような事件の再発防止に万全の努力を払っていく所存でございます。
#49
○中野鉄造君 次に、新しい年金制度が昨年の四月からスタートしたわけですけれども、この法案改正時から私は現実に起こり得る問題点を想定していたわけですけれども、その実態についてお尋ねしたいわけですが、例えば専業主婦の場合、昨年三月までは任意加入であったわけですけれども、昨年の四月から全員強制加入、こういうふうになったわけですね。それで、保険料は夫が加入している厚生、共済年金制度の方でまとめて保険料を負担することになっております。
 そのためには加入手続をしなければならないわけですけれども、社会保険庁の方では現在まだ手続をしていない人がどの程度いるのか、把握されておるのか。やはり全員強制加入というからには、当然のこととして周知徹底せしむる義務もこれはあるんじゃないかと思いますけれども、現在どのように周知徹底を図っておられるのか、そして今言ったような、それに漏れている人たちがどのくらいいらっしゃるのか。
#50
○政府委員(岸本正裕君) 先生から今御説明いただきましたように、サラリーマンの専業主婦につきましては、夫の保険料の中に保険料が含まれるということで、御自身では保険料を払う必要がない、こういう制度改正が六十一年の四月からスタートしたわけでございますが、私どもといたしましては、それに先立ちまして、昭和六十年の秋に国民年金の任意加入の被保険者約六百八十万人に対しまして、第三号被保険者に該当する場合には速やかに届け出を行っていただくよう届け出用紙を送付いたしまして、御指摘のようなケースが発生しないように努めたところでございます。
 届け出のおくれた方につきましては、昭和六十一年四月以降分の保険料が誤って納められたというようなケースがあったこともお話しのとおりでございますけれども、現在そのような誤って納められた保険料につきましては還付する手続をとったところでございます。現在では、従来の国民年金の任意加入の被保険者につきましては、第三号被保険者の届け出が完了したものというふうに考えておりまして、今後御指摘のような払う必要がないのに払うというようなケースが生ずることはないというふうに考えているわけでございます。
 そのほかに、従来任意加入しておりませんで、新たに三号被保険者になられるサラリーマンの奥さんという方々につきましても、あわせて新制度の趣旨、内容につきましては、いろいろな媒体を通じましてPRに努めているわけでございまして、非常にこれは順調に推移をしてきておるわけでございます。もう九十数%、一〇〇%に近いのではないかというように感じているわけでございますけれども、なお漏れがないとは言えませんので、今後ともこの趣旨が十分に国民の間に理解されるように、広報に力を入れていきたいというふうに考えております。
#51
○中野鉄造君 今度は、その一方で自営業者が加入する国民年金の掛金、これがことしの四月からまた三百円上がって、七千四百円になりました。夫婦で一万四千円、大変なこれは負担になるわけですけれども、その保険料免除者の動向についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、前年度に比して申請免除の数は、免除者の人数として約五十万人程度、率にして二・五ポイント程度減っておりますけれども、それはどういう理由によるものなんでしょうか。
#52
○政府委員(岸本正裕君) 今お話ございましたように、昭和六十年度の保険料の免除者数は五十九年度に比べまして相当数減少しているわけでございますが、これは一つには被保険者に対しまして、免除の取り扱いを受けるということは、将来の御自分の年金額の算定につきまして必ずしも有利な取り扱いにならない、有利な取り扱いを受けたことにはならないということを周知徹底し、きめ細かな納付相談を通じましてできるだけその保険料を納付するように働きかけるということをいたしたわけでございます。
 それとあわせまして第二点目には、毎月納付でございますとか口座振替等の制度を推進することによりまして、保険料を納めやすい環境の整備に努めてきたわけでございまして、そういう結果このようなことになっているのではないかというふうに考えているわけでございます。
#53
○中野鉄造君 そればかりとは思えないような気がするんですがね。
 例えば例を沖縄県にとってみますと、沖縄県を例にとるということは、御承知のように一番所得指数が低いということもありますけれども、沖縄県を例にとれば、前年度四二・四%から一六・一%まで減少している。つまり二六・三%も下がっている。免除基準の改定が六十一年の六月からでありますから、それ以前になぜこのように免除率が下がったのか。沖縄県民の収入実態が極端に好転したからそうなったんだとは思えないんですけれども、この辺はどのようにお考えですか。
#54
○政府委員(岸本正裕君) 先生お話しのように沖縄県は非常に免除率の高い県であるわけでございますけれども、今のお話でございますが、沖縄県の免除率は昭和五十九年には四二・四%でございますけれども、これが六十年には二六・三%まで下がったということでございまして、二六・三ポイント下がったというのではございませんので、そこは御説明させていただきたいと思います。
 そして沖縄県等その免除者数がかなり減少しているわけでございますけれども、先ほど御説明を申し上げましたように、被保険者の方々にできるだけ将来有利な年金額が得られるようにという配慮で私どもいろいろと御説明をし、納付意欲についての督励をする、こういうことを進めまして、またそれとあわせて制度上の毎月納付とか口座振替、納付組織の育成というようなことで納めやすい環境をつくってきた、こういうことがあるわけでございますが、そのほかに保険料の納付というものが、真に経済的に困難な者を対象にするといういわば免除制度の本旨に沿った運用、こういうことを行った結果であろうというふうに考えております。
#55
○中野鉄造君 無理をしてこうした行政を進めるというと行政の統一性、安定性を欠くということにもなるし、むしろ弊害が別な面で生じてくるんじゃないかということを非常に憂慮するわけですが、例えば免除決定を厳しく行おうとすればするほど払いたくても払えないような、勢い保険料滞納者という数がふえてくるんじゃないかと思うわけです。ちなみに沖縄県の滞納者数はどのようになっているか。免除率が対前年度に比較して移動の少ない都道府県に比べて滞納率が高くなっているんじゃないか、こう思うんですけれども、いかがでしょう。
#56
○政府委員(岸本正裕君) 沖縄県につきましては、これは六十年度末の数字でございますけれども、滞納率、これは保険料を納めるべき月数に対する納められた月数ということで、そういう月数の対比の率、これを検認率と私ども呼んでおりますけれども、検認率では六七・四%という数字でございまして、非常に低い、全国で一番低い数字を示しているということでございます。
#57
○中野鉄造君 ということは、つまりこれは厳正に行えば行うほど、そういう滞納者が多くなるということと比例していることではありませんか。
#58
○政府委員(岸本正裕君) 年金制度というものはみんなで老後を支え合うという精神で初めて組み立てられるものでございまして、保険料を納める能力がある者につきましてはこれはきちんと納めてもらう。当然でございますけれども、納める能力がその時点でない方々につきましては免除をする、こういう仕組みで維持をされているわけでございます。
 私どもといたしましては、保険料を納める能力があると思われる方につきまして、これは私どもがいろいろと周知徹底、この年金制度の理解を深めまして、きちんと納めていただくように最大限の努力を払っているわけでございます。
 そういう努力を払いましてもなかなかすっすっとうまく納めていただくというふうにはなりがたいのも現実でございまして、全体として国民年金の場合は国民を対象にいたしますので、中には無業の人もある、失業中の人もある、低所得の方々もいらっしゃる、そういうこと、それから何といいましても年金につきましては遠い老後の問題という意識が強くありまして、特に若い人などは差し迫った問題というふうにはなかなか考えていただけない面があるわけでございますが、そういう面につきましても、私ども正しく年金制度を十分理解していただいて、その上で保険料を納められる人にはきちんと納めていただくような努力を最大限していかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
 いろいろと機会をとらえまして、PRの媒体を通じて、また場合によりましては職権適用というようなこともやりまして適用の拡大をし、そして今申し上げましたようにできるだけ多くの人がより有利な年金を受けられるように行政努力として勧誘に努めているところでございます。
#59
○中野鉄造君 先ほども申しましたように、昨年六月九日付ですか、免除基準の改定を行って、そしてそれによって同時に保険料負担能力調査を行って、それをもとに免除基準を改定したということであれば、今回の基準改定によってさらに免除者の数は減る、そして先ほども申しましたように一方では滞納者がふえてくる。これは沖縄県に限らず、最近のいろいろな景気の状況から見、あるいは失業者の増加と相まってこういう事態がますます多くなってくるんじゃないかということは当然想定されるわけです。
 私は、現在免除されている者が年金加入期間のある一時期免除の適用を受けて、そして将来には保険料納入可能となった時点で追加していくといった本来の免除制度のあり方になっているのではなくて、免除者がもう長期にわたって固定しているのではないか、固定していくのではないか、こういうことを憂慮するわけですけれども、そういうことでは、先ほどもあなたがおっしゃったように、いざ老後年金受給時期になって、制度というものはあるけれども、年金額はもう本当に少額であって余り役には立たない、真の意味の制度適用を受け得ない国民が多数生じてくるんじゃないかということを心配するわけです。そこら辺の今後の見通し、それが第一点。
 そして、もう時間がありませんから最後に大臣にお尋ねいたしますけれども、そうした長期的展望に立ったとき、当面一部でも年金財政に特定財源を導入して保険料負担の増加を抑えるべきである、こういうように思うんですけれども、最後に大臣の御所見、そして初めの第一点について、あわせてお尋ねいたします。
#60
○政府委員(岸本正裕君) 先生御指摘のとおりに、最近の検認率の推移を見ますと低下してきておりまして、それに比例してといいますか逆比例して保険料を納めていない者の数というのは全体として減少していないわけでございます。この原因といたしましては、一般的には近年の経済事情が影響しているものというように思われますけれども、免除から非免除に移行した者とか、それから適用拡大の努力をいたしておりますけれども、そのことによりまして新たに適用された者の中には、どうしてもすぐには保険料の納付に結びつきにくい人たちが多いということも事実でございます。
 私どもといたしましては、将来できるだけ有利な年金ができるだけ多くの人が受けられるように、この納付の督励についていろいろと工夫を凝らして努力を続けてきているわけでございますし、将来も続けたいと思っているわけでございますが、この免除の基準につきましても六十一年度から新たな基準ができまして、これは被保険者の生活実態に合わせた修正をしているわけでございますけれども、保険料を納めないということが、本人の将来の年金権の確保という観点から、また公的年金制度全体の費用負担の公平という観点からも問題でございますので、まあ繰り返しになりますけれども、保険料を納めやすい環境の整備を図ってきているわけでございます。
 それでいろいろと細かく戸別訪問いたしますとか電話による催告をいたしますとか、そういう努力をし、一方でその適用の拡大等も図ってまいりました結果、まだ数字としてお示しできるような段階になっていないのは残念でございますけれども、検認実施月数といいますか、実際に納められた保険料の額というものがだんだんと増加してくるという傾向が最近見られるようでございます。私ども、努力が少しずつ実ってきているのではないかというふうに考えて、意を強くしているところでございます。
#61
○国務大臣(斎藤十朗君) 年金制度につきましては、現在のような国庫負担を伴いながら、全体として社会保険方式をとってまいるということが、これまでの日本の年金制度の経緯、また国民の中に定着をした考え方等を考えますと、今後とも基本的にはこのような方式をとってまいるのが一番いいのではないかというふうに私は思っております。そういう中で、できるだけ将来にわたって無年金者や低年金者を少なくしていくという努力を最大限払ってまいるという必要があろうと思います。
 ただいま御議論を聞かせていただいておりまして、免除の基準等につきましても被保険者の生活の実態をつぶさに検討し、妥当な線を求めていくということが大事であり、また未納者が少しでも出ないようにできるだけの相談、指導を充実させてまいるとか、また支払いが容易にできるような諸条件を整えてまいるということをもって努力いたしてまいりたいと思います。
 またその中には、その基本として、言えばこれからいよいよ長寿社会になり、みんなが年金者になるわけでございますので、それぞれみんながそういった自覚というか、みずからのこととしての自覚というものを持っていただいて、そしてみずからの問題として保険料を支払っていただくという、コンセンサスとでもいいましょうか、社会的認識とでもいいましょうか、こういうものをつくり上げていくことも基本的に非常に大事なことであるというふうに考えておりまして、そのようないろんな角度から努力をいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#62
○中野鉄造君 終わります。
#63
○千葉景子君 私は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、中国残留日本人孤児問題につきまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 昭和五十六年六月から六年にわたりまして中国残留日本人孤児の来日調査、今春の第十五次調査で一応予定しておりました孤児の肉親捜しが一区切りとなったところでございます。そして、先日大臣も中国政府に感謝の意を表明するということで中国の方に赴いていらしたところでございます。
 まず、この一区切りとなったところで、これまでの調査を振り返っての大臣としての御所見、そしてまた今後さまざまな課題がまだ山積みになっているかと思いますけれども、これらの課題への取り組みの基本的な姿勢と申しましょうか、その辺について大臣の御答弁をお願いいたします。
#64
○国務大臣(斎藤十朗君) 御指摘のように、昭和五十六年から六年間にわたりまして残留孤児の訪日肉親調査を進めてまいりまして、本年の三月をもちまして一回りの調査を終え、一応概了をいたしたところでございます。
 これまでを振り返ってみますると、もう四十年という月日がたっておるということが大変いろんな問題に大きな影を投げかけてまいったということを率直に感じざるを得ないわけでございます。しかし、そういう中ではございましたけれども、地方公共団体、また国民の皆様方、マスコミの皆様方を初めとして本当に国民の多くの方々の御理解を得てここまで調査を進めさせていただくことができ、また、その陰には中国政府の人道主義に基づく御配慮、また日中友好という観点からの御配慮、こういうものが非常に大きかった。そして、これまで育てていただいた養父母の方々の御理解を初めとして、中国国民全体の御理解というものがここまで肉親捜しを進めてくることができたというふうに感じさせていただいております。
 しかしながら、なおまた肉親が判明していない方々もかなり多いわけでありまするし、そういう方々の肉親捜しにつきましてはなお引き続き、言うならば最後の一人が判明するまで努力を続けてまいらなければならないと考えておりますし、また、新たに孤児と判明をされた方々についてもその調査を行ってまいる覚悟でございます。
 そういった肉親捜しの一応の概了を受けまして、これからはどちらかといえば帰国を希望する孤児の早期受け入れ、そして、定着促進ということに重点を置いた施策を充実いたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#65
○千葉景子君 今大臣からも御答弁がありましたように、これまでの問題につきましては中国側の大変大きな理解、そして援助、こういうものに負うところが大きかったと思われます。
 今後厚生省として、今回お話し合いがなされてきたかどうかわかりませんけれども、中国に対してもお礼の意味も含めて、医療問題の分野などでさまざま協力できる分野もあるかと思いますけれども、このような中国側に対する協力の問題、援助の問題などはどうお考えでしょうか。
#66
○国務大臣(斎藤十朗君) お礼のために訪中をいたしました際には、中国の四人の閣僚の方々とお会いをいたしました。呉学謙外交部長、王芳公安部長には主にこの訪日肉親捜しのお礼を申し述べたところでございますが、同時に、崔民政部長、陳衛生部長とも会談をいたしまして、日中間の医療、福祉の分野における協力について話し合ったところでございます。
 具体的な問題といたしましては、これまでこの日中友好のシンボルと言われております中日友好病院についての引き続きの協力、また、現在中国で建設中でございます、これは日本が協力をして建設をいたしておるわけでございますが、中国のリハビリテーションの研究センターについての協力等について話し合うと同時に、結核対策等につきまして中国の専門家の方を二十名ほど本年度じゅうに日本へ招待をいたしまして、結核対策等についての技術協力を行わしていただくということを決めたわけでございます。
 また、上海におきます第二医学院にICU装置を医療協力の中の一環として来年度無償供与するという方向について話し合いをさせていただいた。
 主な点はそういった点でございまして、これまでも日中の医療や福祉の面について協力を進めてまいりましたが、今後ともいろんな面で進めていくために非常に有効な話し合いをさせていただくことができたというふうに考えております。
#67
○千葉景子君 そういう観点でも日中の友好関係を深める努力をぜひしていただきたいと思います。
 ところで、この訪日調査が一区切りをいたしまして、大量帰国時代をこれから迎えるというところでございますけれども、今後の帰国者の人数、あるいはどの期間でどのくらいの人数の帰国を予定していらっしゃるか、そしてそれに対する受け入れ態勢といいますか、その点についてお伺いしたいと思います。
#68
○政府委員(木戸脩君) 今後帰国を希望される孤児あるいは家族の方々がどのぐらいおられるかということでございます。私ども、従来の傾向等を見まして、大体いわゆる孤児の方々の六割から六割五分ぐらいが帰国をされるだろうということで、そういう想定をいたしまして当面帰国を希望される方は大体千人ぐらいである、こういうふうに推定をいたしているわけでございます。
 私どもといたしましては、この人たちを向こう三年間で受け入れていくということで、重点的に受け入れ態勢をその期間は充実をしていく、こういうふうに考えているわけでございまして、実は今所沢に定着促進センターというのがございます。これを昨年の十二月に受け入れ能力を年間九十世帯から百八十世帯に倍増いたしたわけでございます。それから、六十二年度の予算におきまして、実は所沢のセンターと機能は同じでございますが、やや小型のいわゆるサブセンターというのを札幌から福岡まで全国五カ所設けてございまして、ここの受け入れ能力が百五十世帯ということで、年間三百二十世帯の受け入れは可能である、こういうふうに考えておりまして、この三年間で三百二十世帯程度受け入れていけば当面帰国を希望される方は皆、判明、未判明を問わず受け入れをしていけるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#69
○千葉景子君 今ちょっとお話を伺ったのですが、帰国者は千名というあれでしょうか、これは一年間にという趣旨でざいましょうか。ちょっと確認をしたいんですが。
#70
○政府委員(木戸脩君) 補足をいたします。
 私申し上げましたのは、三年間で千世帯でございます。恐らく家族が四人なり五人おられますから、家族を含めれば四千人なり五千人、こういうことでございます。それから、受け入れ能力の方は世帯単位別に言って年間三百三十世帯、こういうことでございますから、千世帯だから大体三年間で受け入れられる、こういうことでございます。
#71
○千葉景子君 そのサブセンターでございますけれども、今北海道から福岡までということでございますが、あとはどこに設置をされる予定でございますか。
#72
○政府委員(木戸脩君) 五カ所申し上げます。一つが札幌市の北海道の定着促進センターでございます、それから、福島県の郡山市にも定着促進センターを設けることを考えております。それから、愛知県の西春日井郡の新川町というところに愛知県の定着促進センターを、それから大阪市に大阪府の定着促進センターを、そして福岡県の粕屋郡の宇美町という、これは博多より少し郊外でございますが、ここに福岡県の定着促進センターをつくるということで、このいわゆるサブセンターの年間受け入れ能力が百五十世帯と、こういうことでございます。
#73
○千葉景子君 このような定着促進センター、受け入れの施設、機能というものは大分充実をしてくるように思われますけれども、それプラス今後やはり定着対策の基本的な総合的な確立というものが必要ではないだろうかというふうに思います。例えば、今後カリキュラムをどう組むか、あるいはどのような教育をするか、教材をどうするか、研修期間をどうするかというような問題がございますけれども、とりわけ今私が気にかかるところは定着促進センターの研修期間というものが四カ月ということになっているようでございますが、これはいかにも短い。インドシナ難民につきましても、定着促進センター六カ月、さらに延長も可能であるというような取り扱いをされているようでございます。
 いろいろな調査資料を見ましても、買い物や交通機関の利用とか、郵便局、銀行等のいわゆる日常生活、日常会話が自分一人で何とかできるというようになるにはセンター修了直後だとわずか二・一%ぐらいである、六カ月ぐらいになりますとようやく二五%くらいになるというような調査も出ているようでございます。こういうのを見ても、少なくとも六カ月程度の研修期間といいますか、ものが必要ではないだろうかというふうに思われるんですが、そのあたりはいかがでしょうか。
#74
○政府委員(木戸脩君) 御指摘でございます私どもの定着促進センター、それからいわゆるベトナムの難民の方々のための難民のセンターでございますが、これは性格が若干異なるわけでございまして、定着促進センターは、帰国をしていわゆる落ちつき先へ行くまでの中間の着陸地点ということで設けているわけでございまして、したがってセンターでは簡単で初歩的な日本語と基本的な生活習慣を習得していただいて、後はいわゆる落ちつき先へ行って日本の社会の人々と交わりながら生きた日本語を覚えていただく、あるいは就職等を考えていただくと、こういうことでございます。
 私ども、四カ月が絶対というふうには考えておりませんが、やはり孤児で大変年とった方で読み書きも不自由な方という方を例にとりますと四カ月では不十分でございますので、そういう方々はやはり定着促進センターを卒業いたしましてから、それからいわゆる落ちつき先へ行ってからの日本語の習得あるいは生活習慣の習得というものが大切でございまして、そのためのアフターケアというのがむしろ重要であるということで、私どもといたしましては自立指導員の派遣回数を六十一年度からふやしてございますし、また、自立指導員の派遣期間を一年から二年に延長するというようなことも考えているわけでございます。
 私どもといたしましては定着促進センターだけで定着自立ができるというふうには考えておりませんで、やはり後のアフターケアも含めて総合的に考えていくということでございまして、当面は私ども四カ月ということで運営をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#75
○千葉景子君 そのアフターケアはぜひ十分に過ぎるくらいに行っていただきたいと思いますけれども、まだまだそのアフターケアの不十分なところもあって、定着促進センターを出てからもさまざまな問題が引き起こされているという実情もあるようでございますので、中継地点とは言いましてもやっぱり日常の基本的な生活が安心してできるところまで、個々の特徴、個々人差もあるようですから、そういうところを踏まえて弾力的に運用ができるようなこともぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 そして、こういう問題を総合的にやはり考える、総合的にまず土台をつくるという意味ではいろいろな移民問題、あるいは精神医学、カウンセリング、あるいはボランティア、あるいは職場の関係者、そういう皆さんを含めた専門委員会のようなものを設ける必要もあるのではないかというふうに思われますけれども、この辺は何か検討されているようなことがございますでしょうか。
#76
○政府委員(木戸脩君) 中国残留孤児問題というのは、先生がおっしゃるように総合的な対策でございます。住宅、就職、進学その他総合的な対策でございます。それから、帰国してこられる孤児あるいは家族の方々、さまざまな希望、さまざまなニーズを持っておられて、百人孤児世帯があれば百のケースがあるというような実態でございますので、私どもといたしましてはやはりきめ細かな対策というものが重要だろうと思っております。
 実は、五十七年の三月に中国残留日本人孤児問題懇談会という懇談会を開催いたしまして、今まで基本的な提言を五十七年の八月と六十一年の七月の二回にわたりいただいているわけでございます。しかしながら、いわば対策が調査から受け入れへと重点が移ってまいるに従いまして、やはりよりきめ細かな定着自立促進対策がどうしても重要だというふうに考えられるわけでございます。
 そこで、私どもといたしましてはいわばこの懇談会のワーキンググループという位置づけで、日ごろから孤児に毎日接して身元引受人として、あるいは日本語学校の教員として、あるいは生活相談室の相談員として定着自立を援助しているボランティアの方々、当面十一名の方々にお集まりいただきまして実務家会合というのを四月二十三日第一回を持ちまして、また明二十七日には二回目を持つということに考えております、こういったような専門家の御意見を聞きながら具体的な問題について、あるいは今後の中、長期的な問題について御意見を踏まえて今後の政策にできるだけ反映をしてまいりたいというふうに考えております。
 また、御指摘の精神保健問題につきましては、これはやはり医療問題ということでこの実務家会合とは別に、都立松沢病院の移民の精神医学の非常に専門家でおられるお医者さんとか、あるいは私どもの精神保健センターの国府台の社会適応の専門家だとか、そういういわば医師グループの専門家にも集まってもらいまして、当面どうしたらいいか、それから今後増加することが予定されます全国的な不適応対策にどうしたらいいかということについて、いわば専門家としてのマニュアルとかコードをつくってもらうというようなための専門家グループの会合も持っていただいているわけでございます。
#77
○千葉景子君 ぜひそのあたりも総合的な横の連携がとれるような施策をとっていただきたいと思います。
 時間がありませんのであと一点お聞きしておきたいと思いますが、この中国残留孤児問題といいますのは関係する省庁、厚生省ばかりではなくて、労働省あるいは文部省、自治省等非常に多岐にわたるかと思います。また市町村にまで広がる問題でございます。そういう意味では各省をつなぐ常設の連絡会議のようなもの、こういうもので縦割り行政をぜひ打破していただきたいと思うわけでございます。
 とりわけ先ほど申しましたインドシナ難民につきましても、このような常設の連絡会議等ができているようでございます。ボランティアの方なども日本の責任でこういう問題が起こっていることについては、せめてインドシナ難民並みにはしてほしいという意見も多いようでございますので、この辺の連絡会議の設置等について最後に御意見をお伺いして終わりにしたいと思います。
#78
○国務大臣(斎藤十朗君) 御指摘のように、孤児問題は各省庁にまたがる問題であり、これをまた総合的に連携をとって推進していかなければならない問題でございます。これまでにも八つの省庁が関係をするわけでございますが、この八つの省庁で随時関係各省連絡会議を開催いたしております。例えば本年は一月の二十六日、昨年は三月、九月、一昨年は四月、六月、七月、十一月というふうに随時連絡会議をもって連携をとり調整を図っておるところでございます。
 なおまた、私からも事あるごとに閣議等におきましてこの孤児問題についての問題を報告し、また各閣僚の御協力を要請いたしておるところでございます。常にそういうような気持ちでこれから対処してまいりたいと考えております。
#79
○糸久八重子君 続けて中国残留孤児問題について質問をさせていただくわけですが、定着促進センターでは日本語の習得と日本の風俗、習慣の学習を主とされているようでございますけれども、日本語習得につきましてはただいま同僚委員から四カ月の促進センターでは短いではないかという意見がありましたが、これにつきましては私も同感でございます。
 制度、風俗、習慣でも日本と中国の相違点をしっかりと教え込む必要があろうと思いますけれども、どういう方法でどんな研修が行われているのかお伺いしたいのですが、最近風俗、習慣の違いからトラブルが生じているケースというのを聞いておるわけでございますけれども、その辺のことにつきまして簡単にお願いいたします。
#80
○政府委員(木戸脩君) 所沢の定着促進センターにおきましては、年齢や学歴に応じましたクラスを編成しておりまして、日本の制度、風俗、習慣などにつきましては、トータルが五百二十八時間の教育研修時間になっておりますが、そのうちの八時間を日本の制度、風俗、習慣などについての授業に充てております。
 それからその中身でございますが、実生活に即したものであった方がいいということで実地の買い物、それから交通機関を利用するなどの実習を取り入れたきめ細かな指導等も行っているわけでございます。
 それから文化ギャップの問題につきましては、帰ってくる孤児あるいは家族の方々よりも、むしろ受け入れ側にこの文化ギャップについての正しい認識がやはり必要だということで、私どもこの三月に帰国者とその家族のための生活指導の手引というものをつくりまして、向こうの中国で四十年間生活した孤児あるいは家族の方々にやはり文化ギャップを前提としたきめ細かな対応というものが必要だと思いまして、その点についてはむしろ受け入れ側にもきちっとしてもらうという体制をとっておるところでございます。
#81
○糸久八重子君 言葉や社会制度、習慣の壁の前で心の病に悩まされているケースが大変目立っている、これにつきましては先ほどの答弁の中で医師グループによる研究会も厚生省はつくっていらっしゃるということでございますけれども、これから大量帰国時代を迎えてこの問題は本当に大事な問題であろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、生活保護の問題についてなんですが、帰国当時はほとんどの世帯が生活保護を受けているということですけれども、調査によりますと帰国後三年で半数の世帯がこれから脱却をしている、しかし五年以上の長期受給者も一割ぐらいいるというようなことも調査の結果で拝見しております。
 生活保護手当というのは他に収入があればその分はカットされる。これは当然のことなんですけれども、カットされるならばばかばかしいから働かない、収入がないように見せるためにこそこそと働いている。ちょっと勤めても仕事がつらいとか、賃金が安いなどでもってやめてしまうケースが多くあると聞いておりますけれども、こういうことで結局怠惰な人間をつくってしまうのではないかと大変憂慮するわけでございます。
 中国では働かざる者食うべからずの原則がありますのに、働かないで何とか食べていきたいという人間家族ができてしまって本当に大変だと思います。生活保護は更生自立の自立までの間のつなぎ資金であって、孤児の方たちが中国に取り残されたことの補償や慰労する生涯与えられる年金ではないということをしっかりと教え込む必要があると思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。
#82
○政府委員(木戸脩君) 私ども現在、調査から受け入れへということで重点が移ってまいっておりまして、専ら中国とは最近受け入れ対策について向こうに御協力を願うということにしておりますが、日中両国政府の受け入れの基本的な方針といたしましてはいわば中国から日本へ帰る、帰らないはこれはあくまで孤児の方の自由ということでございまして、帰る以上はやはり日本で日本の風習に従って一日も早く定着自立をして地域社会に溶け込んで日中両国のかけ橋になってもらいたいと、こういうふうにいわば送り出すときに中国政府側は指導をしていただいているわけでございます。定着促進センターでも生活指導の一環として生活保護と就職という項目に続きまして五時間の授業を行っているわけでございます。
 先生御指摘のような、生活保護にややもすれば寄りかかりになるというのをどういうふうにこれを克服して、やはり日本においては早く自立をして働けばそれだけ生活が豊かになるという日本の習慣になれ親しんでいただくか、これはやはりそういうふうに自覚をしていただくよりは仕方がないわけでございまして、これからあらゆる機会をとらえまして一生懸命努力してまいりたいと考えております。
#83
○糸久八重子君 生活保護が支給されている間に何とかして自立できるよう面倒を見るという姿勢だけではなくて、帰国者自身の自立の努力も必要ではないかと思います。
 これは昨年の審議の際にも申し上げたのですけれども、千葉県では養父母に感謝する実行委員会というのがございます。これは県も自治体も一員として参加をしておりまして、もう既にここの実行委員会ではハルビンに老人保健奉仕センターの建設だとか養父母の招待だとか、それからマイクロ検診卓の贈呈などを行ってまいりましたけれども、一応運動は一段落いたしまして、今後は帰国者の自立支援に重点を移すことを考えまして現在千葉県中国帰国者自立互助会の設立を準備中でございます。国もこの帰国者自身の自立に向けて努力をする、このことのために指導をしていただきたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#84
○政府委員(木戸脩君) 今先生御指摘になりましたように、最近は中国帰国者みずからがその自立促進を目的としてボランティアの応援も得て日本語教室をつくったり生活相談をしたり、あるいはいろいろ親睦会を開催したりあるいは体験の発表会等を行っている例というのは非常に多いわけでございます。私どもといたしましてはやはり帰国者みずからがそういう自立についてお互いに励まし合って自覚をしていただくというのが非常に重要なことだというふうに考えるわけでございます。今後ともこういうような自立を促進する団体につきましてはできる限りの応援をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#85
○糸久八重子君 次に、子弟の進学問題についてなんですけれども、高校の入試等につきましては日本語の話学力の不足から質問の内容がわからないで同じ学力でもそのハンディで不合格となる場合が大変多いと聞いておりますが、今年度の入試で東京や神奈川や長野、福岡で特別措置を講じたと伺っておるわけですけれども、どういうことをされたのか、文部省の方おいでになっていらっしゃいますか。
#86
○説明員(中西釦治君) 中国から帰られた方の高校入試の問題でございますけれども、現在特別な配慮をしている地方自治体といたしましては東京都、福岡県、神奈川県、長野県があるということは先生御指摘のとおりでございます。
 その特別な配慮の中身の問題でございますが、東京、福岡等の四県においては例えば入試の問題の漢字のすべてに振り仮名をつけるとか、あるいは学力試験の時間を延長するとか、それから問題の一部を入れかえる、つまり国語等については作文をもってかえるとかあるいは面接をもってかえるとか、そういうような特別の措置を行っております。なおそのほかに東京都におきましては特別の受け入れ枠を設けまして、六十二年度につきましては四つの高校でそれぞれ一学級十五人の特別受け入れ枠を設けそれに対して受験者が五十一名、合格者が五十一名という形で措置がとられております。
#87
○糸久八重子君 東京で行われておりますこの特別枠設置なのですが、これは東京という特別なところだけではなくて、やはり帰国者が全国的に散らばっているわけですけれども、希望があったらぜひそういうような措置を各県でできないものだろうか、その辺はいかがでしょうか。
#88
○説明員(中西釦治君) 中国から帰られた子女だけではなくて、一般的に海外から帰ってきたいわゆる帰国子女と言われている人たちにつきましては、既に臨時教育審議会の第二次答申、去年四月に出ましたけれども、その中で海外における経験を日本で生かせるような教育をぜひとるべきである。その中でも特に高等学校の選抜等においては特別な配慮をするべきであるという御提言をいただいております。
 これを受けまして、文部省の方におきましては六十一年の六月でございますけれども各都道府県の教育委員会に通知を出しまして、帰国子女等については高校入試において特別な配慮をとるように、その中身としては特別枠の設定であるとかあるいはその試験方法等についての特別措置であるとか、そういう配慮をするようにという通知を行っておりまして、そういう方向で各都道府県が御努力いただいているというふうに理解しております。
#89
○糸久八重子君 次に、養父母への問題につきましてお伺いをいたしますけれども、日本に帰国した孤児の養父母については帰国孤児一人につき約六十万円の扶養金が解決をしたということは本当に結構なことだと思います。この扶養金の性格なんですけれども、親にかわって日本の子供を育ててくれたその感謝の気持ちと、それから養父母の老後の生活保障のためとこの二つがあると私は解釈をいたします。そういう意味から考えますと、帰国をした孤児の養父母だけではなくて帰国しない孤児の養父母についても、それからまた日本に連れて帰った養父母にもこの扶養金というのは出すべきではないかと思うわけですね。日本の国として、育ててくれた感謝の気持ちをどこに養父母がいらしてもこの扶養費というのは出すべきではないのかと思います。特に中国では戦争賠償を放棄したということもありますから、そういうこともお考えになってはいかがなものでございましょうか、この点はどうでしょう。
#90
○政府委員(木戸脩君) まず養父母の扶養費を支払うに至りました経緯でございますが、実は五十六年に訪日調査が始まりましたときに問題になりましたのは、身元がわかると日本へ養父母を置いて帰ってしまう。そのために向こうで養父母が生活に困るというような深刻な事態が中国側で起きまして、これは何とかしなければいけないということで日本側に提案があったわけでございます。
 したがいまして、実は五十八年から事務レベルでいろいろ協議をいたしまして、今の養父母の支払いの方法とか支払いの額、考え方が決まったわけでございますが、最初から本来子供としての孤児が養父母に対して負っている親に対する扶養義務というのを、孤児の人は帰ってきてしまう、そのために、しかも日本に帰ってすぐ生活が豊かになるということは考えられませんので、いわば中国に残る養父母等に対して負っている法的な扶養義務を日本政府と日本国民が肩がわってするという性格を前提にいたしましてこの制度をつくったわけでございますので、日本に孤児と一緒に来られた養父母の方という方々に対する扶養費ということではないわけでございます。
 しかしながら、やはり孤児を養育した養父母の恩というのは金銭ではかり知れないほど大きいものでございますし、また中国の人民も孤児は日中友好のかけ橋になっているというふうに認識を持っておられますので、やはり今援護基金あるいは船舶振興会などが中心になって養父母の招待事業というのを実は民間事業として行っておりますし、こういうものを初め、各種の交流、協力を通じまして日中両国間の友好関係を深めていくというのが一番いいんではないかというふうに考えているわけでございます。
#91
○糸久八重子君 日本に永住したい気持ちがあっても、老いた養父母のことを思うと帰国できないという方たちも大変多いわけですが、これは育ててくれた恩を思うからでありましょう。そういう意味から、帰国できない孤児たちを日本に招くというような制度もできないのか、そういう意味も絡めて、非常にこれから問題が多々あろうかと思いますけれども、まとめて厚生大臣の御所見を伺わせてください。
#92
○国務大臣(斎藤十朗君) 扶養費の問題等につきましては、ただいま援護局長から答弁を申し上げたところでございます。
 また、帰国されない孤児の方々についてもどのようにか考えたらどうかというお話でございますが、今援護局長からちょっと申し上げましたように、養父母の方々を、援護基金だとかまた民間団体が主体となって日本へ招いていただくというようなことを今始めておるわけでございますけれども、帰国できない孤児の方々についても、そういうような方法も今後あり得るのかなというふうに思わせていただいておりまして、そういった点についてもう少し帰国と帰国をしない方々の孤児のこの何といいましょうか、意思が明確になってまいりますのを見届けながら、そういったことにも検討をいたしてまいりたいと思っております。
#93
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
#94
○委員長(佐々木満君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#95
○委員長(佐々木満君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、児童扶養手当法等の一部を改正する法律案、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#96
○沓脱タケ子君 それでは限られた時間でございますので、まず最初に原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案からお伺いをしたいと思います。
 最初に、地球上といいますか人類史上初めての被爆国日本でございまして、被爆の実相の全容をつかむというのはなかなか困難だと思うのでございます。人体影響はもちろんのこと、被爆がどのように我が国に影響を具体的に自然界にも及ぼしているか、これはたゆみなく検討を続けなければならないと思うわけでございます。
 時間の都合がありますから端的にお伺いをしていきたいと思いますが、実はあの一九四五年八月六日に広島に投下された原爆で巨大な積乱雲が生じまして、各地に多量の死の灰を含んだ黒い雨を降らしたということは周知のことでございます。
 ところで、この黒い雨の降雨地域は、従来厚生省が根拠にしているデータよりもずっと広範囲に及んでいるということが問題になりまして、実は本日二十六日ですが、きょうから開かれます気象学会で発表される予定が出ております。これは気象学者の増田善信さんとおっしゃる元気象研究所室長さんが原爆投下直後に実施された調査の原資料を発掘をして再調査をしたところ、新たな降雨地域が判明をしたというものであります。もしこれが事実であるとするならば、これは被爆者に対するもろもろの諸対策を行う必要があるということになりますので、この点について御意見を伺いたいと思うのです。
 これは増田先生の発表された、発掘された内容によりますとこういうことになるんですね。一図表を示す)今厚生省が認定をしている黒い雨の地域というのは卵形になっている。増田先生のきょう発表される状況によりますと、うんと広くなって複雑な形を示しているということでございます。
   〔委員長退席、理事田代由紀男君着席〕
こういうことになってまいりますと、これは発表予定の内容をごく簡単に申し上げておきますが、今まで厚生省が根拠にしておられたこの卵形の地域よりもずっと広くて、四十キロメートル以遠にまで及んでいる、従来小雨が降った地域と言われていたところが大雨の地域に含まれることになっています。その雨域の形も従来の単純な卵形でなくて、大変変わった形でございまして、広島と島根県境にまで複雑に広がっているというのがきょうの発表の内容でございます。
 もう一つは、従来雨が降らなかったとされております爆心地の南東部の仁保とか海田地域にも爆弾炸裂直後に、わずかですが降雨があったということ、これが明らかになっておるわけでございます。そこで、ひとつ厚生省、大臣、こういうことが学会で発表されるということになりますと大変な問題だと思いますので、資料をお取り寄せになって関係の専門家等にもよく御相談をいただいて、そして資料の調査分析をやられて対応をしなければならないのではないかと思いますが、御見解をまず伺っておきたいと思います。
#97
○政府委員(仲村英一君) 本日開催される気象学会で、今お話しのございましたような報告がなされるということを一部の新聞で拝見して初めてわかったわけでございますので、どの程度の学術的な意味づけがあるか、客観性があるかということをさらにいろいろ検討してみる必要があるのではないかと考えております。
 黒い雨の降雨地域というのは、この先生の御発表ですとより広いということのようでございますが、強い雨の降った地域でございますとかいろいろのことがあるようですが、当然私どもといたしましては、このような健康診断の特例地域につきましても、やはり調査結果など十分な科学的な根拠に基づいて行われるべきものだと考えておりますので、いろいろ情報を集めてみたいと考えております。
#98
○沓脱タケ子君 私は、冒頭にも申し上げたように初めての体験でございますから、これは未解明のところというのはいっぱいあると思うんですね。特にこの調査というのは被爆直後の大変な時期の調査ですから、その当時の御調査というのは大変な御苦労をされていると思いますけれども、必ずしもそれが絶対ではなかろうと思いますから、学会での発表の資料を十分御調査、検討されて、そのことの疑いが非常に事実が判明をしてくれば、これは被爆対策としてその地域におられた住民の方、あるいは現在引き続きお住まいの方々に被爆者の対策を広げていく必要があるのではないかと思いますが、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
#99
○政府委員(仲村英一君) そのような情報を私どもつかんだわけでございますので、いろいろの内容について検討させていただきたいというふうに考えておりますが、すぐ地域の拡大ということをここでお答えするわけにはまいらないかと思います。
#100
○沓脱タケ子君 いや、すぐに拡大してくれと言っているんじゃないんです、検討の対象に考えてほしいということでございます。
 時間が限られておりますので、いつまでもやっているわけにはいかないんですが、同僚委員からもいろいろ午前中に御質疑がありました。私は、一昨年被爆四十周年で、このときこそ被爆者援護法をつくってほしいということで被爆者の方々が大変な馬力を出して政府に要請をしてまいられたことは御承知のとおりでございます。ところが、援護法を政府はおつくりになろうとしないわけですね。国会では社会労働委員会でも決議を行っておりますし、被爆者救援の充実を国会の意思としても表明をされたわけでございます。この決議のときに当時の増岡厚生大臣が「政府といたしましてもその御趣旨を十分理解し、原爆被爆者対策の充実に取り組んでまいる所存でございます」というふうにお述べになっておられるんですね。
 その後どのように充実したかということになってくるわけですが、これは余り大きく見るべきものがあるように思わないんですが、そうですね、余り変わってませんね、局長。
#101
○政府委員(仲村英一君) この法律の改正でお願いしておりますように、各種手当についてはその引き上げを図りたいと考えているところでございます。
#102
○沓脱タケ子君 それで、あのとき被曝四十年を期してということで、本当に命がけで意を決して要求をしておられたんですが、その当時の要求の基本は援護法の制定でございましたが、同時に具体要求も出しておられますね。これは御存じですか。
#103
○政府委員(仲村英一君) 昭和六十年の六月四日の本委員会のことについてのお尋ねだと思いますが、「恒久平和への決意及び被爆者対策充実に関する決議」という中で、「二度とあのような惨禍に見舞われることのないよう改めて恒久平和への決意を表明するとともに、政府は、死没者を含めた実態調査を行い、更に被爆者の被害の実態に即応した対策の充実に努めるべきである」ということで、決議をいただいておることをお指しのことだと思います。
#104
○沓脱タケ子君 これは、国会の決議もそうですし、被爆者からの基本要求ということで御提出をしておると思いますが、そのことを今やりとりしていても、そんなのすぱっと言ってもらわぬとあかんのですよ。しかし、それはもう繰り返しませんが、そのうちの二、三の点について具体的にお伺いをしたいと思います。
 一つは、同僚委員からもお話がありましたが、健康管理手当の問題です。これは、被爆者要求の中の一つの具体要求です。被爆者が健康管理手当を認められたけれども、今原則として三年ごとの更新になっているんです。せめて、七十歳以上になったらそんな繰り返して期間制限みたいなことをやらずに、安心して老後が送れるようにしてほしいというのが願いなわけで、これはぜひ実現をしてもらいたいと思いますが、どうですか。朝の御答弁も伺っておりますが、その上で重ねてお伺いします。
#105
○政府委員(仲村英一君) 午前中にもお答え申し上げたわけでございますけれども、この健康管理手当につきましてはその被爆者の方々が一定の疾病にかかっているということに着目いたしまして支給されるものですので、その方がその病気におかかりになっているということを定期的に確認するということは手当の趣旨から当然必要だというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、したがいまして、ただ単に高齢であるからという理由で更新しないとすることは適当でないと考えております。
 しかし、いろいろの御要望があることも私ども承知しておりますので、研究班を組織いたしまして、この対象となります疾病の国際分類による傷病名に整理するとか、診断書の様式の改定案を検討するとか、更新期間も検討を加えるということでの研究をお願いしておるわけでございまして、その研究の結果を待って私どもとしてもいろいろ検討を進めたいと考えておるところでございます。
#106
○沓脱タケ子君 それで、今一年更新というのは二疾病ですね。潰瘍性の消化器疾患と、それから造血機能の障害で鉄欠乏性貧血ですか、潰瘍による消化器疾患ということで、一年更新というのはわからないわけではありません。しかし、その他は三年更新になっておるんですけれども、例えば七十歳以上になって、ここにありますような疾病、指定疾病というのですかね、例えば変形性関節症とか変形性脊椎症とか、肺気腫とか老人性白内障とか腎炎、ネフローゼ、高血圧症、慢性の虚血性の心疾患、脳出血、糖尿病などなどあるわけですが、これ治りますか。そう考えたら、私は七十歳以上の人たちの言い分というのは無理がないなと思うんです。治ると思いますか、これ。
#107
○政府委員(仲村英一君) 今お尋ねのございましたような変形性のものでございますとか肺気腫とかいうのは、恐らく非可逆性でございますので、全治することは難しいというふうに私の常識では考えておりますが、それをどういう手続を、例えば簡素化するとか診断書の様式をどのようにするかというふうなことについて、専門家の御意見を伺った上で何らかの対処ができればということでいろいろ検討をお願いしておるというのが現状でございます。
#108
○沓脱タケ子君 私なんかみたいな、私も医者の端くれだけれども、これは七十歳以上になって認定をされて、治るかと言われたら治ると言えない。治る可能性があるというのだったら、大体何年かかったら可能性が出るかというふうなことになってくるんですよ。だから私は、そういう点では、勝手にできないから専門家の御意見を伺っているとおっしゃっておりますが、しかし、専門家の御意見を伺って客観性をきちんと立てるということは大事ですけれども、実際上は被爆者のその実態の中で御要望されている姿というものを、やはり行政としては把握して対応していただくということが極めて大事なので、検討の結果をできるだけ早く出してもらって実現をさせていただきたい。これは大臣、その辺大事なところだと思いますので一言だけ。
#109
○国務大臣(斎藤十朗君) 先ほども御答弁申し上げておりますように、この健康管理手当という制度そのものからすれば、その対象疾患がどのようになったかということを定期的に検査をし、そして、そこでまた認定をするということが制度としては正しいあり方であるというふうに思いますけれども、今先生がおっしゃられますように、被爆者の皆様方の実態、また御希望、そういうものを踏まえて何らか軽減できるような方向はないかということで、専門家の方々に研究会を持って今検討していただいておるわけでございます。
 その研究の報告がそう遅くない時期に報告されることと思いますので、これに従ってできるだけ皆さんの御要望に沿えるように取り組んでまいりたいと思います。
#110
○沓脱タケ子君 前向きにひとつお願いします。
 次は、これも午前中にお話が出ましたが、被爆者のがんに対する不安。これは広島の原爆病院で亡くなられた方の五七%ががんの死亡者ですね。ですから、そういう不安というのは被爆者は死ぬまで背負っておるというのが現実なんですね。私どもの友人たちにも何人か被爆者の方がおります。開業したりして生活に不安がなくて、そして家族にも恵まれて、比較的ゆったりと生活をしている人たちでも、会うたんびに何が不安かというと、自分は被爆者だからいつがんが発生してくるかわからない、いつ出てくるかいつ出てくるかという不安は一日も離れないということを率直に述べておりますよね。
 そういう点では私は被爆者の共通的な不安だと思いますので、毎度毎度言っておられる、老人保健法の老人健診でと簡単におっしゃるけれども、そんな形式的なことをおっしゃるのではなくて、被爆者に対するがん検診というのをこれはきちんと確立をするというようなことは当たり前のことではないかと思うんですよね。老人保健法でも四十歳以上は検査をやるのだから、その中へ巻き込んでというふうな話だけれども、そんな一般化するべき内容のものではなかろうと思うんですね。亡くなった方の五七%、原爆病院ではありますけれども、五七%ががんで死亡している実態というのは一般化しちゃならぬということを示していると思うんです。
 それで、がん検診をやるということになればそれなりの費用が要りますよね。そういった経費も予算化して、これは当然死ぬまでその不安を背負っている人たちに、がん検診について、今度は大丈夫だったと思って生活のできるようにせめてやるべきではないかと思いますが、どうですか。
#111
○政府委員(仲村英一君) おっしゃいますように、原爆病院のデータによりますと悪性新生物でお亡くなりになる方が非常に多いということは事実でございますし、部位別には胃がんが最も多いようでございます。被爆者の方々で、今おっしゃいますように、確かにがんに対する、かかりやすいということでの不安、心配というのは私ども理解できるわけでございますが、例えば、白血病でございますとか甲状腺のがん、乳がん、肺がん、胃がん等の増加が指摘されておるわけでございます。
 従前からのお答えで申せば、老人保健法の体系でぜひ四十歳以上の方々はお受けいただきたいということで御返事をしておるわけでございます。例えば、この白血病でございますれば集団検診というよりは、むしろ今やっております原爆被爆者の健康診断の精密検査の中の骨髄の機能でございますとかそういうところでの対応も可能なわけでございますけれども、標的臓器によりましていろいろスクリーニングの方法も考えなくちゃいけない部分もあろうかと思いますが、老人保健法だけでということでない、原爆被爆者のために独自でそのようなことを行う必要性を含めて、なお検討をさせていただきたいと考えております。
#112
○沓脱タケ子君 局長は幸いお医者さんだからそんなのはすぐおわかりだし、繰り返しませんが、ぜひそれは対応を急いでいただきたいと思うんです。だって、被爆者の健診で白血病などの検査はしている、片や老人健診の精密検査で胃がんと子宮がんと何かと検査を受けに行かんならぬなんて、それは事実生活をしている実態からいってなかなかそんな、あっちで一つ、こっちで一つというわけにいかぬです。その辺をやっぱり実態をとらえてお考えをいただきたいということを重ねて申し上げておきます。
 この問題の最後に、被爆者実態調査の問題も既にお話がありましたから詳しく聞こうとは思いません。しかし、被爆者実態調査が、生存者調査が間もなく発表をされる、死没者調査というのが来年ごろにはということでございますね。被爆者の調査、とりわけ死没者の調査が被爆四十年を過ぎて四十二年になんなんとする中でいまだにできていないというようなことは私はやっぱり恥ずかしいと思うんですよね、困難があるということはよくわかりますけれども。そういう点で鋭意御努力をいただいて、両方とも発表される段階、つかめる段階というところへ来ているようでございますから、そのて原爆被害白書みたいなものを、きちんと実相をまとめていただきたいと思うんですね。
 つまり、亡くなった方には死にざまがどういう死にざまであったのか、生き残った被爆者の人たちはどういう生きざまをしてきたのかということ、そういうことが克明にやはりわかるような内容というのは非常に大事です。そのことは、二度と繰り返してはならないということの教訓にするためにもそういったものの大切さというのがあると思うんですよね。その辺をぜひ御理解いただきまして、本当に再び被爆者をつくらないというそのための礎になるような白書にぜひしていただきたいと思います。
 そのことをお願い申し上げますが、いかがでしょうか。それだけを聞いてこの問題は終わりたいと思います。
#113
○国務大臣(斎藤十朗君) 被爆者の実態調査は、午前中にも御答弁申し上げてまいりましたように、生存者調査につきましては近々にその結果が出るわけでございます。また、死没者の調査につきましてはもう少し時間がかかるわけでございますが、これらの調査の取りまとめを急ぎ、また、その他のこれまでにいろいろなところにあります調査資料等を集め、また、できればアメリカ等にあります資料なども集めまして、これを集大成いたし、被爆の実態を明らかに、そして正しく後世に伝えていくようなそういうものをつくってまいりたい。
 そのためにどのような仕組みでどんなふうにまとめていくかということについても検討をして、いいものをつくって、そして今後の平和への誓いとしていけるようなものにいたしたい、このように考えております。
#114
○沓脱タケ子君 そういうものをつくっていただいて、ぜひ被爆者の悲願である援護法をつくるためにも御尽力を賜りたいという希望を申し上げておきます。
 時間の都合がありますから、次に児童扶養手当法等の一部を改正する法律案についてお聞かせをいただきたいと思います。
 これは時間がありませんので、随分たくさんの法律が入っておりますからあれもこれもというわけにいきませんが、この一括されている法律案の改正内容を見てちょっと驚いたのですが、児童扶養手当額も特別児童扶養手当額も児童一人につきそれぞれの手当が老齢福祉年金も含めて一カ月二百円のアップなんですね。それで、国民年金、厚生年金の年金額の物価上昇率は〇・六%を基準にと、こうなっているんですね。ずっと一覧してちょっと不思議に思いましたのは、二百円というのはいかにも低いなという感は深いですよ。同時に、その中で障害児福祉手当額とそれから特別障害者手当額というのは月額百円なんですね。ほかのは全部二百円だけれども、この二つが百円というのは何か理由がありますか。
#115
○政府委員(坂本龍彦君) この手当につきましては実は社会局の所管でございますが、便宜上私からお答えさせていただきます。
 このたびの各種の手当の金額改定につきましては、現在の厳しい財政事情の中にありましてもその実質的価値を維持するという建前で、昭和六十年の物価の変動等を考慮いたしまして改定の金額を決めております。したがいまして、先ほどお述べになりましたように、児童扶養手当あるいは老齢福祉年金、さらに他の年金、こういったものにつきましては同じような考えで処理をいたしておるわけでございますけれども、現実の手当額が制度の違いによって少しずつ差がございます。その場合に実際に引き上げになる額につきましても若干の相違が出てくるということでございまして、端的に申しますと一応百円単位という整理をしているというようなことも関係いたしまして多少金額的には差が出ておる、こういうことでございます。
#116
○沓脱タケ子君 百円でも二百円でも上げないよりはいいですよ。
   〔理事田代由紀男君退席、委員長着席〕
けれども、わずか月額二百円上げるんだから皆そろって二百円にせめてすればいいのに、何でこの二つの手当だけ百円かなと思ったんですが、理由がよくわからない。余計説明をされると余計わからない。端的に言ってくれぬとね。
#117
○政府委員(坂本龍彦君) 先ほども申しましたように、実質的な価値を維持するという意味で六十年の物価上昇を勘案いたしまして引き上げ額を決めております。その率はほぼ同じような考えで処理しておりますが、現在の支給額に差がございますので、実際の引き上げ額としては金額に差が出てくると、こういうことでございます。
#118
○沓脱タケ子君 それで、年金についてちょっとお聞きをしたいんです。
 六十一年三月の新規裁定された厚生年金の老齢年金月額の分布状況を拝見いたしました。それによりますと、月額十八万円以上が三四%、十八万円以下が六六%ですね。平均年金額は十五万六千円。これでは老後の生活というのは厳しいですよね。これいろいろ聞きたいと思いますが、時間がもうないんで端的に聞きたいと思います。
 そこで大臣、この厳しい年金額という状況の中で一つ大きい問題は、年金課税の強化が取りざたをされるということが極めて重要なんですね。そこで、年金課税の強化は今後やらせないかどうか。――やらせないでしょうね。そのことをちょっと聞いておきたいと思うんです。
 昨年の政府税調では、年金課税の強化というのが論議をされておりますね。しかし一方、厚生省では年金税制に関する研究会がいろいろと御提言になっておりますけれども、こういう現行のような年金制度の立て方からすれば、標準的な年金額の給付に課税が及ぶことはもともと想定されていないと考えるべきであるというふうなことも言われておりますし、これは現行の年金水準はぎりぎりの水準だと思いますので、老後の生活の安定のためにも新たな年金課税の強化は許してはならないと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
#119
○国務大臣(斎藤十朗君) 昨年の八月、政府税調が税制の改革に取り組んでいろいろ御議論をいただきました。その中で専門小委員会におきまして、年金課税の強化を行うのではないか、そういうふうに読み取れる提言がございました。私どもも大変心配をいたし、また国会におきましても御心配をいただいたところでございます。厚生省といたしましては、さきの年金改革の効果が減殺されないような、年金の実質的価値の維持が最低限できるようなことでなければならないということで、その後最大限の努力を払ってまいったところでございます。
 その結果、今国会に提出をいたしました税制改正案の中にも私どものそういった主張が貫かれまして、年金にかかわる課税最低限度額は、現行の二百二十九万六千円から二百五十四万六千円に引き上げられておりまして、この結果、非課税対象者が現行の二百四十七万人から二百六十九万人に二十二万人増加することとなったわけであります。また、年金にかかわる課税最低限を上回る年金受給者につきましても、全員税の負担が軽減をされること、こういうことになっておるわけであります。
 しかしながら、残念なことで、この所得税法の改正は廃案になる見込みのようでございますので、まことに残念に思っておる次第でございます。先ほど申し上げましたように、年金の実質的価値が下がらないように今後とも最善の努力をいたしてまいる覚悟でございます。
#120
○沓脱タケ子君 それで、年金課税のことを申し上げますのは、年金水準の問題がやはり大問題なんですね。御承知のように経済企画庁の委託をした福祉政策研究会が、「高齢者の実態と二十一世紀福祉社会の展望」という中間報告をお出しになりましたが、これによりますと、要するに年金だけでは絶対に生計費は貯えない、何しろ一カ月二十五万円というんですからね。六十歳から六十四歳までは十一万円、働いて収入を確保しなきゃならない。六十五歳以上でも四万円程度は稼がなければ生計が維持で名ないという試算をしておりますね。それから先日、労働省も計数的にはほとんど同じような数値をお出しになっておりますが、これどう思いますか。
#121
○政府委員(水田努君) 最近、各省とも自分の施策のセールスポイントをPRなさるのが大変お上手でございまして、いずれも私的懇談会という形をとっておりまして、労働省の場合は財形貯蓄でありますとか中退金、これが必要であるということで、老後の年金額、生活費がかなりかさ上げをしてあって、私どもの公的年金の水準の非常に低いところで比較をして、その必要性というのが、やや私どもの目から見ますとかさ上げしてPRしておられるような気がいたすわけでございます。
 経企庁につきましても同じく、ゆとりある老後生活ということで二十五万という水準が設定されて、これも企業年金を普及させる必要があるというセールスポイントのもとで水準が設定されておりまして、この場合も私どもの給付水準が大体男子の平均労働者の七割ぐらいを水準にしているんですが、七割は維持できないだろうからということで、六割にカットしていただいておりまして、それと比較して十万足りないと、こういうことでございますけれども、いずれも私的懇談会で、それぞれの役所が言われたという形にはなっておりませんで、まあ私ども、そういう企業年金の普及なりあるいは老後における貯蓄の必要性と、いずれもあろうかと思いますが、やや御発表の仕方がジャーナリスティックに過ぎるんではないかというのが率直な感想でございます。
#122
○沓脱タケ子君 まあ、私的懇談会だからといって、それぞれの省庁が自分のところのセールスポイントを売り歩いておるのやといって、そない言って済むんやったらよろしいで。そんなあんた、逆に言うたら閣内不一致やということにもなるんですよ。
 それで労働省に至ったら、六十五歳で千五百万円現金を確保することが必要やと言うんです。退職金でそんな金額はなかなかもらえないから、働いている間に貯金せいと言っているんですね。それで、これをやったらおもしろいんだけれども、もうそれ以上言いません。
 そこで、そういう話が出てくるということになると、やはり昭和七十年度の年金制度の一元化の中で、厚生年金の支給開始年齢を六十五歳に引き上げることを考慮しておられるんですね、検討されているんですね。このことが問題になってくるんですが、いかがですか。
#123
○政府委員(水田努君) 今後の高齢化社会の進展と年金制度の成熟化に伴いまして、急速に年金の給付費というのは将来に向かって膨れ上がってまいるわけでございますが、これに加えて最近非常に寿命が延びまして年金の受給期間もさらに伸長されるということがございまして、さきの年金改革で後代の負担にたえ得るような給付水準の適正化ということも行ったわけでございますが、さきの改正をもっても将来の年金財政というのは必ずしも楽観を許さないという状況にあるのではないか、このように考えておるわけでございます。
 御指摘の、六十五歳の開始年齢の引き上げ問題につきましては、将来における財政の見通しそれから今後における将来の高齢者の雇用の動向等を見きわめながら、総合的に今後慎重に検討してまいらなきゃならね課題ではないか、このように考えておる次第でございます。
#124
○沓脱タケ子君 もう時間ですので、労働省せっかく来ていただいているので、ちょっと聞いておきますが、六十歳定年法までつくって六十歳定年制の一般化がかなり普及してきていると思うんですが、最近は円高不況等の理由で、六十歳定年制が逆に引き下げられてきている。例えば五十七歳とか五十八歳に引き下げられてきておりますが、そういう企業がどれくらいあるか捕捉しておられますか。
#125
○説明員(藤永正雄君) 定年年齢の引き下げの件についてお尋ねでございますが、私どもが県から報告を受けておる限りでは最近四件でございますけれども、定年年齢を引き下げた事例がございます。具体的には、六十歳定年でありますものが五十八あるいは五十七ということで引き下げられております。
 なお、全体といたしましては、私どもとしては、定年年齢は傾向的には引き上げられつつあると思っております、事業主も大変努力をしておりますが、しかしながら、片一方ではこういった経済環境が大変厳しいということでもございますので、全体的な状況を正確に把握する必要がございます。そういう意味で、この六月一日を期しまして、全国一斉にこの定年年齢あるいは高年齢労働者の雇用状況等について調査を実施するということにしております。
#126
○沓脱タケ子君 それじゃ大臣、お聞きのとおりで、最後にお聞きをしたいんですが、今四カ所と言われて、大企業な九ですね、定年年齢の引き下げをやっているのは。これは新聞報道でありますが、新日鉄とか川崎製鉄、神戸製鋼、日本鋼管、住友金属などという大企業にそういう傾向が出てきているという点に非常に不安があるわけなんで、私はこれを何でお聞きをしたかといいますと、こういうふうに六十歳定年制が引き下げられてきているという状況の中で、雇用と年金の間に断絶があってはならぬと思うんですね。定年年齢とそれから年金支給開始年齢の間に乖離があってはならぬと思うんです。
 そういう点で、これは六十五歳に将来引き上げるかもわからぬ、よく周囲の状況を勘案してとおっしゃっているけれども、そういう状況を見て支給開始年齢の引き上げをしてはならないんではないかというふうに思いますが、その点で、大臣の御見解をお伺いして、終わりたいと思います。
#127
○国務大臣(斎藤十朗君) 定年年齢が全体として引き下げられているとは私は感じておらないのでございまして、今御指摘のようなところにつきましては、特定な不況業種とか、いろいろな特定な事情があったのではないかというふうに思います。そういった点につきましては、その特定な事情に対して、雇用対策が万全を期されるべきであるというふうに考えるわけであります。
 また、定年と年金支給開始年齢が必ずしもリンクしなければいけないのかどうかということについてもいろいろ御議論のあるところではないかというふうに思うわけであります。といいますのは、これからの長寿社会におきましては、定年を過ぎてからの緩かやな勤労というようなことも、そういう雇用創出の道を開いていくということも非常に大事なことでありますので、そういった点もいろいろ組み合わせ、加味して支給開始年齢というふうなものを考えて、検討の一つの材料にしていくという必要があろうと思っております。
 支給開始年齢の六十五歳への検討等につきましては、先ほど年金局長が模範的な答弁をいたしましたので、そのとおりでございます。
#128
○委員長(佐々木満君) 以上をもって三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認めます。
 三案のうち、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の修正について、内藤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。内藤君。
#130
○内藤功君 私は、ただいま議題となっております三案のうち、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、日本共産党を代表して修正の動議を提出いたします。
 その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これよりその趣旨について御説明申し上げます。
 本法による障害年金、遺族年金額の改定は昭和五十一年以来公務員の給与の引き上げの率と同率で毎年実施されてきました。
 ところが、本年、政府提案の年金額の改定は昨年度の公務員給与の平均改善率二・三一%を下回る二・〇%となっているのであります。
 本法は、戦争犠牲者に対する国家補償の精神に基づいた年金給付であり、当然、前年の国家公務員の給与の引き上げ率を基礎に給付改善を行うべきであります。なお、従来、恩給法改定の際の回帰分析により本法が基準とする兵の数値は、公務員行政職Tの最高数値であり、昨年の引き上げ率は二・四%となっております。
 次に、修正案の概要を御説明申し上げます。
 その内容は、障害年金、障害一時金及び遺族年金・給与金の額を、昨年の公務員の給与の改善率に準じて二・四%引き上げることとしております。
 以上が本修正案を提出する理由と内容であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をいただくようお願いいたします。
#131
○委員長(佐々木満君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 ただいまの内藤君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#132
○国務大臣(斎藤十朗君) ただいまの修正案については、政府としては反対でございます。
#133
○委員長(佐々木満君) これより三案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のおる方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論はないものと認めます。
 それでは、これより順次三案の採決に入ります。
 まず、児童扶養手当法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#134
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#135
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 糸久君から発言を求められておりますので、これを許します。糸久君。
#136
○糸久八重子君 私は、ただいま可決されました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いまします。
    原子爆弾被爆者に対する特別措置に関す
    る法律の一部を改正する法律案に対する
    附帯決議一案一
  政府は、広い意味における国家補償の見地に
 立つでその対策が講じられるべきであるとの原
 爆被爆者対策基本問題懇談会の意見等にかんが
 み、被害の実態に即応した援護対策を一層拡充
 するよう努めるとともに、次の事項についてそ
 の実現に努めるできである。
 一、死没者を含む実態調査の速やかな解析、そ
  の集大成を図ること。また、生存者調査の結
  果を踏まえて、被爆者対策の充実を図ること。
 二、被爆者の障害の実態に即して所得制限を撤
  廃するとともに、医療特別手当等については、
  他制度との関連も考慮し、生活保護の収入認
  定から外すことについて検討すること。
 三、原爆症の認定については、被爆者の実情に
  即応するよう、制度と運営の改善を行うとと
  もに、健康管理手当の認定についても、原爆
  被爆者が高齢化していることを踏まえ、その
  あり方について検討すること。
 四、原爆病院の整備改善を行い、病院財政の助
  成に十分配慮するとともに、その運営に当
  たっては被爆者が必要とする医療を十分受け
  られるよう万全の措置を講ずるとともに、被
  爆者に対する家庭奉仕員制度の充実及び相談
  業務の強化を図ること。
 五、被爆者とその子及び孫に対する放射能の影
  響についての調査、研究及びその対策につい
  て十分配慮するとともに、原爆医療調査機関
  の一元一体化について検討し、その促進を図
  ること。
 六、放射線影響研究所の研究成果を、被爆者の
  健康管理と治療に、より役立てるため、運営
  の一層の改善、同研究所の移転、原爆病院と
  の連携強化等につき検討すること。
  右決議する。
 以上であります。
#137
○委員長(佐々木満君) ただいま糸久君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#138
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、糸久君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#139
○委員長(佐々木満君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#140
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 田代君から発言を求められておりますので、これを許します。田代君。
#141
○田代由紀男君 私は、ただいま可決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
    改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、速やかに格段の
 努力を払うべきである。
 一、戦没者遺族等の老齢化の現状及び生活の実
  態にかんがみ、国民の生活水準の向上等に見
  合って、今後とも援護の水準を引き上げ、公
  平な援護措置が行われるよう努めること。
 二、戦没者遺族等の高齢化にかんがみ、海外旧
  戦域における遺骨収集、慰霊巡拝等について、
  さらに積極的に推進すること。
 三、生存未帰還者の調査については、引き続き
  関係方面との連携を密にし、調査及び帰還の
  促進に万全を期すること。
 四、訪日調査により肉親が判明しなかった中国
  残留日本人孤児について、引き続き肉親調査
  に最大限の努力をするとともに、今後とも、
  日本人であることが判明した中国残留孤児に
  ついては、すべて訪日調査の対象とすること。
   また、帰国を希望する日本人孤児が一日も
  早く日本に帰国でさるよう、受入体制の整備
  を図るとともに、関係省庁及び地方自治体が
  一体となつて、広く国民の協力を得ながら、
  日本語教育、就職対策、住宅対策等の諸施策
  の総合的実施に遺憾なきを期すること。
 五、かつて日本国籍を有していた旧軍人軍属等
  に係る戦後処理のなお未解決な諸問題につい
  ては、人道的な見地に立ち、早急に関係省庁
  が一体となつて必要な措置を講ずるよう検討
  すること。
 六、ガス障害者に対する救済措置は、公平に行
  うとともにその改善に努めること。
 七、法律の内容について必要な広報等に努める
  等さらにその周知徹底を図るとともに、相談
  体制の強化、裁定等の事務の迅速化にさらに
  努めること。
  右決議する。
 以上であります。
#142
○委員長(佐々木満君) ただいま田代君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#143
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、田代君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの両決議に対し、斎藤厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。斎藤厚生大臣。
#144
○国務大臣(斎藤十朗君) ただいま御決議になりました両法案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#145
○委員長(佐々木満君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#147
○委員長(佐々木満君) 次に、臨床工学技士法案並びに義肢装具士法案の両案を便宜一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#148
○糸久八重子君 前国会で問題にいたしました透析技師によります無資格の診療補助で裁判に付されている事件ですが、六月に判決がなされるようでございます。資格が制度化されないために事件となったことは大変残念なことでありますけれども、そういう意味からいいまして、新しく導入されます医療関係職種に対する資格制度の創設は、関係者も長く要望されていたことでありまして、また最近の医学、医術の発展に対応してその専門化が進み、一方チームとしてのコワーカーの役割が強まっておりますので、そういう実態に対応して時宜にかなったものと思うわけでございます。
 重要なポイントだけお聞きをしておきたいと思いますが、現在従事しております者につきましては、二つの資格制度とも経過措置を設けて、実務経験五年を有する者についてはさらに厚生大臣の指定した講習会の課程を修了すれば受験資格を与えることとしております。これは実情に即した結構な措置と思いますけれども、その講習会の課程とはどのような内容、そしてどのようなボリュームを考えていらっしゃるのでしょうか。また、どのような場所で行うお考えなのでしょうか、お伺いいたします。
#149
○政府委員(竹中浩治君) 講習会の課程の内容につきましては、臨床工学技士、義肢装具士、それぞれの養成カリキュラムの内容を考慮いたしますとともに、現に業務に従事している者に過大な負担とならないよう関係者の御意見を聞いて定めてまいる所存でございます。
 また、場所と申しますか、実施主体と申しますか、これにつきましては、指定講習会を適正に実施し、かつ受講する者の便宜にも沿うとの見地から、適当な団体、また適当な場所において実施するつもりでございます。
#150
○糸久八重子君 大変要を得ない御答弁なのですが、私がお聞きしたのは、具体的にどのくらいのボリュームを考えていらっしゃるのか、そして具体的にどういった場所で行うのかということをお伺いしたのですが、お答えをお願いできますか。
#151
○政府委員(竹中浩治君) 先ほどお答え申し上げましたように、実はその養成カリキュラムの内容はこれから最終的な詰めをいたすわけでございまして、それとの関係で講習会の中身なり期間を定めたいということでございまして、現在のところ、まだその期間、内容については決めておりません。これから詰めてまいりたいと思っております。
 場所につきましても、これは全国的に特例受験資格の対象者がおられるわけでございますので、できるだけ全国それぞれの方が受けやすいような相当数の箇所で実施したいということを考えておりまして、まだどこで、いつやるかということにつきましてはこれから検討を進めてまいるつもりでございます。
#152
○糸久八重子君 御答弁の中に多大の負担にならないようというお言葉がございましたけれども、具体的に言って、例えば一月ほど職場をあけることのないような、そういう講習会を考えていただきたいことを要望しておくわけでございます。そして、その講習会の実施につきましても、十分きめ細かい対応をしていただきたいということを要望させていただきます。
 それから、この臨床工学技士でございますけれども、五つの生命維持管理装置の補助をするということなんですが、例えば透析技師に例をとりますと、これから必要となる人員が大体一万名、そして年間の必要養成者が六百名というようなことが出ているわけですけれども、専門の養成施設の現況と将来的な措置につきまして御説明くださ
#153
○政府委員(竹中浩治君) まず臨床工学技士の業務に相当する業務を行っておられる方全体の数でございますが、重複も含めまして六千四百人程度と私ども考えております。それに対しまして将来臨床工学技士全体としてどれぐらいの必要数があるかということでございますが、私ども一万五千人から二万人の間ぐらいになるんじゃないかと考えております。
 そういった数字を基礎にいたしまして、臨床工学技士の養成施設、現在法律でお願いしておりますような高卒三年という形の養成施設は臨床工学技士については現在ございません、ないということでございまして、今後指定養成所あるいは大学においてそういうコースをぜひつくっていただくということで養成体制の整備を図ってまいるわけでございますが、当面毎年四、五百人程度の養成が必要ではなかろうかと思っております。
#154
○糸久八重子君 現在、日本工学院専門学校の医用電子工学科で臨床工学技士を養成している、そして国立リハビリテーションセンターで義肢装具士の養成をしている、大変養成機関の数も少なくてしかも人数も少ないんですね。その辺の対応はいかがですか。
#155
○政府委員(竹中浩治君) 今お話しのように、現在ございますのは臨床工学技士が日本工学院専門学校というところで、これは実は修学年限が二年でございますので、今法律が予定しております課程には直接すぐには該当しないわけでございます。義肢装具士養成施設はお話しのとおり、国立リハビリテーションセンターで修学年限三年の者が既に養成をしておるということでございます。
 今後この法律が成立いたしますと、既に私ども幾つかの大学等で臨床工学技士の養成をしたいという御希望があるようにも伺っておりますし、関係のこういった専修学校その他の学校法人で大変関心をいただいておりますので、私ども今申し上げましたような養成数を何とか満たすように努力をしてまいりたいと思っております。
#156
○糸久八重子君 臨床工学技士は人の命と直結をするというそういう大事な仕事をするわけですから、より高度な知識と技能を必要とするわけです。幾つかの受験資格が現在示されておるわけですけれども、将来的にもこれで行おうとしているのか、それともこれは経過措置であって、将来は大卒を最低資格とするのか、その辺はどうお考えですか。
#157
○政府委員(竹中浩治君) 臨床工学技士の養成施設でございますが、私どもといたしましては、原則は高校卒業後、厚生大臣の指定養成所等において三年以上必要な知識及び技能を修得する養成施設、高卒三年でございますが、これを原則として将来とも考えております。
 そのほかに、割合関係の深い職種から来られる、その臨床工学技士になりたいという方々のために、例えば一年または二年の養成校を用意するとか、それから、大学において一定の科目を履修した者について受験資格を与えるなど、別の道も考えておりますが、原則としては高卒三年の養成施設ということでございます。
#158
○糸久八重子君 「新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会中間報告」というのがことしの三月二十日に出たわけですけれども、これによりますと、今回制度化されますクリニカルエンジニアと義肢装具士、それ以外に医療福祉士、それから補聴器士、言語聴覚療法士の三職種も検討されたようでございますけれども、その検討の結果と制度化の見通し、また、何が隆路となっているのか、成案を得る時期とか見通しにつきまして伺わせてください。
#159
○政府委員(竹中浩治君) お話がございましたように、今回の検討会におきまして五つの職種につきまして検討をお願いしたわけでございます。そのうち二職種につきまして今法律をお願いしているわけでございますが、残る医療福祉士と申しますかMSW、それから言語聴覚療法士、それから補聴器士、この三つがあるわけでございます。
 検討会の中間報告におきまして、医療福祉士及び言語聴覚療法士につきましては早急に制度化をする必要がある。あるけれども、その業務範囲あるいは養成課程等のあり方についてさらに検討調整を進める必要があるという中間報告でございます。したがいまして、私どもこの二職種につきましては関係団体との意見調整をさらに鋭意進めまして、その調整が終わった段階でできるだけ早く制度化に取り組んでいきたいというふうに考えております。
 それからもう一つの補聴器士でございますが、これは今その関係団体の方で考えられておる内容といたしましては、医療機関の外で診療の補助行為をするというふうな話もございますので、こういう点についてはなかなか法制上の問題がある、こういうことが検討会の中間報告で指摘をされておるわけでございます。この補聴器士につきましては、中間報告の御指摘を踏まえまして、当面自主的な認定制度を導入するというようなことで資質の確保に努めてまいりたいと考えております。
#160
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
#161
○中野鉄造君 同僚委員の質問と重複を避けまして、私は時間の都合もありますので、二問だけ今後懸念される問題点をお尋ねいたします。
 医療の現場でこの資格取得者とそうでない人との間に妙な摩擦が起こってくるのじゃないかという懸念をするわけですが、これが第一点。それと医療の高度化に伴って、今日の医療現場での一部ではいろいろな職種の人が従事するということになりまして、いわゆるチーム医療といった状況を呈しているわけですけれども、そういった場面では当然のことながら医師のリーダーシップが発揮されないとスムーズに業務が運営されないと思います。その際にコメディカルワーカーに種々の資格制度ができて業務範囲を確立することが果たして円滑にチーム医療が進められることになるのかどうか。新しいその医療技術の出現といったときに、硬直した業務分担は望ましいチーム医療を阻害するようなことになるのではないかという懸念があるわけですけれども、この二点をお尋ねいたします。
#162
○政府委員(竹中浩治君) まず、摩擦を生ずるのではないかという御質問でございます。
 私ども、臨床工学技士、それから義肢装具士につきましても、両方とも専門技術が必要であり、また、診療の補助に当たる業務が含まれるということでございますので、これらの業務に従事する方の大部分は資格を取得していただかなきゃならぬし、実際上資格を取得した方が従事をされるということになるのではなかろうか。したがいまして、医療現場において有資格者と無資格者との間の摩擦というような問題は生じないのではないかというふうに考えております。
 それから、多くの医療関係の職種の資格をつくるということで、チーム医療を阻害することにはならないかということの御質問でございますが、医療の質を高めていくというような観点に立ちまして、医療の進歩に対応してある程度の専門職種の今後も制度化を図っていかなければならないということはやむを得ないものではなかろうかと考えておりますが、私どもはその際でも必要最小限のものに限って制度化を図っていくという考え方で対処いたしたいと考えおります。チーム医療の阻害の問題でございますが、そういうことも配慮をいたしまして今回の資格制度の制度化に当たりましては、チーム医療が適切に行われますよう、「医師その他の医療関係者との緊密な連携」に努めるべき旨の規定、これは法案の三十九条でございますが、そういう規定を設けさせていただいておるわけでございます。
 今後とも、そういった趣旨の周知徹底を図ることによりまして、チーム医療が円滑に行われるよう指導をいたしてまいりたいと考えております。
#163
○中野鉄造君 終わります。
#164
○沓脱タケ子君 残り時間が大変短うございますので、ごく簡単にお伺いをいたします。
 臨床工学技士というのは、生命維持装置を扱う高度な技術者であり、また義肢装具士ということで言われている方々は、大変急速な進歩発展をしてまいっております整形外科の分野で義肢装具が実際には人間の機能回復のために大変重要な任務を持つ技術者の方々でありますから、この資格制度をつくるということについては極めて大事だというふうに思っています。とりわけ、私は重要な任務であるだけに医師を初め関係者の十分な合意というものが非常に大事だと思いますが、この法案を提出するに当たってそういった点の十分な合意が得られているかどうかという点が一点。
 それからもう一つは、私ちょっと不思議に思っておりますのは、先日は社会福祉士ですか、それから介護福祉士などという資格制度が上程をされてまいりました。医療福祉の分野で、今後どのようにこういった資格制度を広げて位置づけていくのかという点が、一定の目標というんですか、一定のパノラマがなければ、国会でも見てたらぽかぽか資格法が出てくるというふうなことになると大変ぐあいが悪いと思いますので、厚生省としてはどういうふうにお考えになっているのか。今、資格御要請の方々が三十種以上あるというふうにも伺っておりますから、そういった点も含めて、どういうふうな対応をなさろうとするお見通しなのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#165
○政府委員(竹中浩治君) 今回お願いを申し上げております二つの職種でございますが、身分法の制定の場合に一番問題になるのが、今、第一点としてお話のございました関係者ないしは関係団体の十分な合意が得られるかどうかということが一つの大きなポイント、課題になるわけでございます。
 私どももそういう点を十分考えまして、医師会でございますとか看護協会でございますとか、もちろん直接これらの業務に従事しておられる方々の団体もございます。そういった団体と十分打ち合わせもいたしましたし、それからまた、検討会にも委員に入っていただくなりあるいは御意見を開陳していただく場をつくるなりいたしまして、この二職種につきましては関係者、関係団体の十分な合意のもとに法案を出させていただいておるつもりでございます。
 それから、今後の医療関係の職種についてどう考えていくのかというお尋ねでございます。お話ございましたように、私どものところに要望書のような形で出ております職種が三十職種ぐらいございます。私ども今後とも医療の高度化、専門化に対応いたしまして、ある程度の専門職種を制度化していくことはやむを得ないと申しますか、必要であろうと考えておりますが、その際も必要最小限度のものに限るということで、いたずらに細分化すべきではないというふうに思っております。
 また、先ほど申し上げました新職種についての検討会でも、例えば今後どういう職種を制度化していくかを考えていくための、何といいますか、原則といいますか、条件と申しますか、そういうものについても今鋭意検討をしていただいておりまして、そういう原則ないしは条件というものをある程度私どもの内部で持ちまして、それに合致するものについて検討を進めていくというようなことでまいりたいと考えております。
#166
○委員長(佐々木満君) 以上をもって両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#167
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論はないものと認めます。
 それでは、これより順次両案の採決に入ります。
 まず、臨床工学技士法案の採沢を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#168
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 糸久君から発言を求められておりますので、これを許します。糸久君。
#169
○糸久八重子君 私は、ただいま可決されました臨床工学技士法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    臨床工学技士法案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講すべきである。
 一、現に病院又は診療所において、医師の指示のもとに、生命維持管理装置の操作及び保守点検に従事している者が円滑に受験資格を取得できるよう、講習会の実施等について十分配慮すること。
 二、医療現場においてチーム医療が適正に行われるよう、臨床工学技士その他の医療関係者の十分な連携の確保につき、関係者に対しその周知徹底を図ること。
 三、臨床工学技士の将来需給予測を踏まえ、早期に、必要なマンパワーの養成体制の整備を図ること。
  右決議する、
 以上でございます。
#170
○委員長(佐々木満君) ただいま糸久君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#171
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、糸久君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、義肢装具士法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#172
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 田代君から発言を求められておりますので、これを許します。田代君。
#173
○田代由紀男君 私は、ただいま可決されました義肢装具士法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    義肢装具士法案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講すべきである。
 一、現に病院等において、医師の指示のもと
  に、義肢装具を製作し、身体に適合させる等
  の業務に従事している者が円滑に受験資格を
  取得できるよう、講習会の実施等について十
  分配慮すること。
 二、医療現場においてチーム医療が適正に行
  われるよう、義肢装具士その他の医療関係者
  の十分な連携の確保につき、関係者に対しそ
  の周知徹底を図ること。
 三、義肢装具士の将来需給予測を踏まえ、早期
  に、必要なマンパワーの養成体制の整備を図
  ること。
  右決議する。
 以上でございます。
#174
○委員長(佐々木満君) ただいま田代君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#175
○委員長(佐々木満君) 全会一致と認めます。よって、田代君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの両決議に対し、斎藤厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。斎藤厚生大臣。
#176
○国務大臣(斎藤十朗君) ただいま御決議になりました両法案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#177
○委員長(佐々木満君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#179
○委員長(佐々木満君) 次に、請願の審査を行います。
 第三号子ども・青少年及び非喫煙者の健康をたばこの害から守るための対策に関する請願外六百七件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第四号保育所制度の充実に関する請願外百二十六件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第三号子ども・青少年及び非喫煙者の健康をたばこの害から守るための対策に関する請願外四百八十件は保留とすることに意見が一致保いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#182
○委員長(佐々木満君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、これら二件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#184
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#185
○委員長(佐々木満君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#186
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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