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#1
第108回国会 文教委員会 第3号
昭和六十二年五月二十一日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     吉川 春子君     近藤 忠孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         仲川 幸男君
    理 事
                田沢 智治君
                林  寛子君
                粕谷 照美君
    委 員
                小野 清子君
                木宮 和彦君
                山東 昭子君
                杉山 令肇君
                世耕 政隆君
                谷川 寛三君
                寺内 弘子君
                星  長治君
                柳川 覺治君
                久保  亘君
                山本 正和君
                高木健太郎君
                高桑 栄松君
                近藤 忠孝君
                吉川 春子君
                勝木 健司君
                下村  泰君
   国務大臣
       文 部 大 臣  塩川正十郎君
   政府委員
       文部大臣官房長  古村 澄一君
       文部大臣官房総
       務審議官     川村 恒明君
       文部大臣官房会
       計課長      野崎  弘君
       文部省初等中等
       教育課長     西崎 清久君
       文部省教育助成
       局長       加戸 守行君
       文部省高等教育
       局長       阿部 充夫君
       文部省高等教育
       局私学部長    坂元 弘直君
       文部省学術国際
       局長       植木  浩君
       文部省社会教育
       局長       澤田 道也君
       文部省体育局長  國分 正明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐々木定典君
   説明員
       防衛庁長官官房
       広報課長     鈴木 正孝君
       外務大臣官房領
       事移住部領事第
       一課長      伊集院明夫君
       厚生省健康政策
       局総務課長    吉田  勇君
       自治省財政局地
       方債課長     遠藤 安彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
○昭和六十二年度における私立学校教職員共済組
 合法の年金の額の改定の特例に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(仲川幸男君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○粕谷照美君 私は文部大臣に予算委員会で随分質問をいたしましたので、きょうは簡単にしたいというふうに思っております。
 報道によりますと、五月の十九日、政府は緊急経済対策の概要を固めたということであります。所得減税を含む五兆円以上の内需拡大で、公共事業については上期八〇%以上の繰り上げ発注、学校改築など用地費の少ない事業及び不況地域に重点配分をするということであります。文部大臣はこの点に関連してどのような構想をお持ちか、伺いたいと考えております。
 臨教審の答申は、国民経済全体の中でいろいろ云々して、諸投資の重点を、教育、研究、文化、スポーツの振興に置くと、こう提言をしておりますし、また教育予算を見ますと、臨調行革路線のもとで一貫して文教予算が切り捨てられております。特に公立学校施設整備費、学校給食施設設備費、社会教育施設、社会体育施設、文化予算、この投資部門が大幅に削減されておりますので、特に御見解をお伺いしたいと思っております。
#4
○国務大臣(塩川正十郎君) 十九日に話がありましたのは、総合経済対策を決定しようということと、その骨格の一つに補正予算を組み入れるということでございました。でございますから、補正予算を組むということを決定したわけではございません。その後、いつになりますか、近いうちに補正予算の骨格と申しましょうか、基本的考え方が明らかにされてくると思っております。
 これは御承知のように、ほぼ推測されますように、公共事業を中心として行うということになっております。これはやはり財源との問題が絡んでおるからであろうと思うのでございますが、しかし私たちといたしましては、この際に公共事業だけではなくして公共的事業も公共事業と見なしてその対象の中に入れてくれということを強く要求しております。これがほぼ政府内におきましては、現在の段階では、一応理解したという程度にまで認識を高めてきてくれておると思うのでございます。したがいまして、今回、近く行われます補正予算の中には、公共的事業の一環として、教育、義務教育施設の改善並びに国立学校及び附属機関の改修等、積極的にこれに取り組んでいきたいと思っております。
 それと同時に、輸入拡大という考え方がこの予算の中に示されてくると思うのでございますが、その場合には、直接輸入に非常に効果の大きいものといたしまして、研究用図書等の購入を要求いたすつもりであります。
#5
○粕谷照美君 その詳細については、山本委員の方から後ほど質問があろうかというふうに思います。
 あわせまして、土地信託についての大臣のお考えをお伺いすると同時に、昨年、藤尾文部大臣が誕生されたときに、中曽根総理とお会いしまして国立大学の国庫依存体質からの脱却について話し合いをされた。その内容は、立ちおくれている国立大学の研究施設の整備に不要不急の国立大学財産の売却による財源を充てることを検討してほしいと指示をされたというような記事が載っているわけでありますけれども、国立大学に不要不急の財産などというものがあるのかどうかということと、あわせまして、そういうものを売却するということについての大臣の御見解、いかがでございますか。
#6
○政府委員(古村澄一君) 従来から、国立大学の財源確保という観点から、国立大学において現に教育研究の用に使用されていない、そして将来も利用計画がないといった土地につきましてはこれを売却をしてきているのが現状でございます。したがいまして、今後とも大学に利用計画等の意向も十分聞きながら、将来にわたります教育研究に支障がないということも十分考慮して、処分可能なものにつきましては、土地信託という方法も含めて財源の確保を図るという方向で進めてまいりたいというふうに考えております。
#7
○粕谷照美君 その処分に当たりまして、いろいろと民活導入などということが叫ばれておりますけれども、地方公共団体から随分要請なども強いだろうというふうに思っております。いろいろと運動していらっしゃる方々が私どもの周りにも来るわけであります。処分といいますかそういう整理をする条件の第一は、どういうふうなことを条件に考えていらっしゃいますか。
#8
○政府委員(古村澄一君) 例えば、大学が移転をした跡地をどうするかということが、大きな単位としてはそういうことが具体的に検討素材になるわけですが、その跡地は、大体もう大学としては用がないというのが通常でございます。したがって、その用地を地方公共団体との間においての調整を考えながら、そしてなおかつ、それはまた財源を確保するということも必要でございますからそれを処分するということで、ケース・バイ・ケースでやり方をやっていくというのが原則でございます。
#9
○粕谷照美君 しかし原則で言えば、金が第一というよりは、公共的な必要性といいますか、価値の高いもの、そういうものに意義があるのではないかと思いますけれども、いかがですか。
#10
○国務大臣(塩川正十郎君) これはやはり時代が変わりまして、都内にあった大学が、都内だけで維持、収容できないということがありまして郊外へ行ったりいたします。あるいは適当な実験場を求めたりいたします。そうした場合に、それに附属してそういう研究施設もついていくということになる。そうすると、都内にある一定の区間が、要するに使っていても、いわばぜいたくな使い方と言ったらなんですが、従来から使っておったことよりももっと緩やかな使い方になっておるところ、そういうものを活用して、新しく建てたところの研究施設とか何か、その方に費用を回したらいいではないかと、こういう発想なんであります。
 ですから、決してその学校にとってむだであるからこれを処分してしまおうというんじゃなくて、要するに国民経済的立場に立って考えた場合に、もっと活用する方がよりベターであるという、そういう財産をとらえてこれを適当に活用しようという考えでございまして、決して学校の財産を切り売りしてしまってそれで赤字対策だ何だ、埋めると、そんな性質のものじゃないということでひとつ理解をしてほしいと思います。
#11
○粕谷照美君 次に、大学入試の問題に入ります。
 複数受験の問題が大きくなりましてから、大臣は京都と大阪で関係者を集めていろいろと率直なお話し合いをされたということが報道をされているわけであります。非常に政治家としてはタイムリーな行動だというふうに思っているわけですけれども、具体的に、そういう中でどのようなことをおつかみになられましたでしょうか。
#12
○国務大臣(塩川正十郎君) 御承知のように、大学の入学試験というのは、いわば大学が持っております自治権の一つの形態になっております。そういうふうに見られております。したがって、大学の責任において行っておるものでございまして、文部省としては、これに指導勧告するということはあり得ても、本来的には大学が行うものでございます。
 ところが、いろいろと世間でうわさが出てまいりますというか非難されてまいりますのは、大学と同時に文部省に対してもいろんな意見を寄せられます。そういう意見が、要するに専門家の意見が多いのでございまして、あるいはマスコミの意見が多い。ところが、実際にこれに関係しておられる方々の意見というものは余り役所にも入ってきませんので、そういう、自分が受験生であった人、あるいはこれから受験生になろうという人、あるいは高校で進学指導しておる先生、あるいは校長、大学の入試の担当者という人の意見を聞いたのであります。それを概略して私たちは意見をまとめまして、国大協等に対して、こんな意見がありますよ、だから入試の改善についてただ単に皆さん方が国大協の机の上でだけいろいろ議論されるのではなくて、こういう生の声を聞いてひとつ改革に積極的に取り組んでほしい、こういう要求をしようと思いまして意見を聞いておるというところでございます。
 その意見の集約をいたしますと、複数化はやはり受験生の側にいたしますと賛成であります。しかし日程が非常に忙しいという議論もございました。
 それから足切りにつきましては、案外厳しかった、足切りをもう少し緩和してくれと。しかし、足切りそのものをしてはいかぬという議論はなかったと思います。これはやむを得ない。やむを得ないけれども、やはり我々も大学を希望して受験の申し込みをしたんだから、だからできるだけ緩和して、今度文部省が非常に各大学に働きかけて六倍ぐらいまで二次試験で採用しろということを言いましたけれども、そのことはよく知っておりました。学生もよく知っておりまして、これをもう少し拡大してくれぬか。こういう意見等が実は強かったということでございます。
 それともう一つは、去年とことしと、何かA、Bグループのグループ分けを変えていくというのが、余りにも恣意的に走らぬようにしてほしい。学生は昨年の例を一つの基準にして勉強を進め努力しておるんだから、そのようにしてほしいということがございました。
 それからもう一つは、学生の方からでございますが、例えば東京周辺、関東では何かAグループですか、法文科系がもう二回戦ができないようになってしまっておるというような、そういうような細かいことをよく知っておりました。学生は非常によく知っております。こういうようなものは少し改善してほしいというような実際的な意見が非常に多かったこと、私はこれは収穫があったと思っております。
#13
○粕谷照美君 このA、Bグループ分けがいまだにはっきりしないで関係者が非常にいら立ちを感じているというふうに思うわけでありますけれども、国大協がアンケートをとった。二十七日の日にそれを何か出すということでありますが、文部省、この辺のところは少しつかんでおりますでしょうか。
#14
○政府委員(阿部充夫君) 国大協の中に入試改善特別委員会というのがございますが、そこで昭和六十二年度の入試に係る受験機会の複数化等新しいことを行ったことについて、各大学がどういうふうに考え、どういうふうに評価をしているかというような諸点につきまして、これをアンケート調査を行って最近その結果をおおむねまとめたというふうに聞いておるわけでございます。
 具体的な中身としましては、今年度行いました国立大学の入試について各大学においてどんな問題があったか、具体的に問題点とか、あるいは効果をどう考えているか、あるいは全体として概括的網羅的にどういうふうに考えているかというような諸点にわたっているものでございまして、大変複雑多岐にわたっております。
 いずれにいたしましても、国立大学協会としては、この内容を今後の入試改善の議論の種として、これを踏まえながら議論を重ねていきたい、こういう資料としてとったものである、こう聞いておるところでございます。
#15
○粕谷照美君 そうすると、まだまとまったものが報告をされたということではない、文部省はまだつかんでいるということではないのですか。
#16
○政府委員(阿部充夫君) アンケート調査の結果を特別委員会としてまとめたというものはございます。これは私どももちょうだいをいたしております。こういうアンケートを踏まえてこれからど
うするかという議論はこれからのことだ、こういうことでございます。
#17
○粕谷照美君 そのまとめたものを御報告いただけますか。
#18
○政府委員(阿部充夫君) 大変多岐にわたっておりますので、主要な部分だけと言っては恐縮でございますが、ある部分だけ御報告をさしていただきたいと思います。
 共通一次関係で教科科目の弾力化をいたしたわけでございますけれども、これにつきましてはおおむね所期の効果が上がったという意見が多数であったけれども、これ以上自由化するといろいろ問題が出てくるのではないかというような意見もあったというまとめになっております。
 それから、自己採点制の廃止ということを行っておるわけでございますが、これにつきましては、実施のねらいとしてはもちろん理念的には評価をするけれども、自己採点制を廃止したことによって実態としては十分な所期の目的の達成はできていないのではないかというような批判が出ております。
 それから、ただいまの自己採点制と関連いたしまして、第二次試験の出願期日につきまして、今回は共通一次実施前に出願をさしたわけでございますけれども、この点につきましては、共通一次の実施後に各大学への出願を行わせた方がよいとするものが多数意見であったということが報告されておりますが、なおほかの意見もあるようでございます。
 それから、試験の期日につきましては、土曜、日曜、祝日等をぜひ使いたいというような希望が多かったと言われております。
 それから、A、B日程の間隔の問題につきましては、さらにこの間隔を広げた方がいいというような意見が多数であったと言われております。
 それから、グループ分けについてはいろいろな議論があるようでございまして、直ちに大幅な変更はすべきでなく最小限度の変更で実施すべきだという意見と、グループ分けについては再考すべきだという意見、あるいは一定期間内に各大学が自由にやれるようにしろという意見であるとか、いろんな意見がまざっておるようでございます。
 それから、二段階選抜の問題につきましては、丁寧な二次試験を行うため等のことから二段階選抜もやむを得ないけれども、これは行わない方がいいんだという意見が大半であったということでございます。
 それから、その他いろいろございますけれども、総体として得点の高い者が入学をした傾向があるとか、あるいは合格者の出身地の分布が全国に広がってこれはよかったというような意見であるとか、あるいは大学の序列化、格差が顕在化したのではないかというような意見であるとか、あるいは入りたい大学で学ぶことへの道が開けたという意見とか、積極的にこの方法、複数化そのものについては評価をする意見が多かったというようなことがあるわけでございます。なお、評価はするけれども実施上一層検討すべきであるというように、単に評価をするだけではなくてやはり問題もある、改善もすべきであるという意見も相当あった。
 その他、細かい点いろいろございますけれども、概略主な点ということで御報告をさしていただきました。
#19
○粕谷照美君 文部省は、高等学校の方のアンケート調査、御存じでございますか。
#20
○政府委員(阿部充夫君) 高等学校関係からは、この四月に高枝長協会ということで要望書が国立大学協会に出されておって、いろいろな点の要望が述べられておることは承知しておりますが、アンケート調査を行ったのかどうかということは把握をいたしておりません。
#21
○粕谷照美君 私は教育新聞でそのアンケート調査の結果を知ったわけでありますけれども、受験機会の複数化が進学指導に及ぼした影響は非常に大きかったというパーセンテージが高いわけですね。ほとんど影響はなかったというのは三・一%、全く影響がなかったというのはゼロだったというんですから、この改革は大変大きな影響があったというふうに考えているようです。そして、進学指導に混乱を来したというものが六割前後を占めたというんですから、やっぱり制度を変えるということは慎重に、そして本当に情報をよく受験生やその関係者に伝えるということが大事なんではないだろうか。国大協がうまくいったなんて言っているけれども、受ける方はこういうことを言っているわけですね。
 しかし、直ちにやめた方がいい、受験機会の複数化に対してそう答えている人は少なく、むしろ改善して積極的に推進をしなさい、今後しばらく続けた方がいいという、こういう答えが合わせて六七・八%あるわけで、このところが受験生、関係者にとっては一番大事なことではないだろうかというふうに思っているわけであります。
 このことをめぐりまして最近のニュースでは、自民党さんがプロジェクトチームをつくっていろいろな意見を考えているというようなこともありますし、私ども社会党も、こういうふうにしたらいいだろうというような意見もちゃんと出しているわけでありまして、いろいろ意見があちらこちらから出てくることは結構でありますけれども、文部大臣にお伺いしますけれども、この入試の問題については、大学側がこれを決めるというのが原則ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#22
○国務大臣(塩川正十郎君) おっしゃるとおり、これは大学側が決めるべきでございます。そのためには私はやっぱり大学がもっと努力してもらわにゃいかぬ。今のように、大学が自分の立場を中心にして、例えば採点する能力ですね、これをどう高めたらいいかということ等も余り研究もしてくれていないように思うんです。そういう状態でこの入学試験を実施するということは、やはり私たちは学生の立場に立って物を考えなきゃなりませんし、その意味においては学生にかわって大学側にいろいろとサゼスチョンをしなきゃいかぬと思うんです。でございますから、今の段階は、大学がもっと苦しみ、もっと勉強し努力してほしいということを言っておるのでございまして、決して、大学の入学試験をやるそのこと自体に対して不当にああしろこうしろということは今の段階では言っておりません。
 しかし、これが改善をされることなく、悪い方へ悪い方へといった場合に、これはゆゆしい社会問題になってまいりますし、また、文部省としてもそういう事態をほっておくわけにはいきません。ましてや、将来有為な青年をどうして学問、技術それから文化、こういう面に活躍させていくかという将来性を見た場合に、これはやっぱり大学のあり方に対してもっと今より以上に積極的に勧告もし、監督もする必要があるだろうと思いますけれども、今の段階では、やっぱり大学がみずから苦しんで改善の方法を考えてほしい、こういうことを私たちは強く要望しておるところです。
#23
○粕谷照美君 そうしますと、一部報道に流れました、第三者機関をつくってそのA、Bグループ分けを考えたらどうかなどということは、これは杞憂に等しいというふうに思ってよろしゅうございますか。
#24
○国務大臣(塩川正十郎君) これはある会場で、高校の先生で、名前を申し上げるのは差し控えますが、いろいろと長年にわたって入学試験の指導をしてこられた先生の体験でございます。その体験で言うならば、A、Bの振り分けというのは、どうしたってやっぱり大学は大学の立場というものを考えるだろう。もしそういうことで今後何回か進んでいきまして、入学試験は毎年やるんですから、毎年やっていって、その結果として受験生に複数制の機会を与えようというこういう趣旨、さらには受験生がもっとおおらかに受験勉強のできるようなことを――このシステムを考えたものに反していくようなことになった場合には、もしそういう事態になった場合にはもう第三者機関を設けて、大学も入れて第三者機関のようなものをつくってA、Bの振り分けを大学側に示すということなんかいかがですかと、こういうぐあいに提案
があって、私は結構ですねと。しかし今はその段階じゃございませんし、今はやっぱり大学で考えてもらわにゃいかぬが、もし大学で判断がつかない、それでごちゃごちゃになってしまう、だんごになってしまって収拾がつかぬ、これじゃ複数制の意味がないというようなことになった場合に私はそれをやりましょう、こういうふうなことを言った、それが曲がって報道されておる、こういうことなんですね。
#25
○粕谷照美君 前段があったということで了解をいたしますけれども、大学側もそんなに人様に決めていただくような条件であっては何のための大学の先生だかわけがわからないわけでありますから、本当にしっかりと頑張ってもらいたい、そしていい制度をつくってもらいたい、こういうことを私も希望しておきます。
 最後に、予算について一言申し上げておきますが、臨教審も、今の文部省予算は国の一般会計予算全体の八・五%、近年低下をしている、そして構造の特色は義務教育関連費を中心に人件費のウエートが年々高まってきて硬直的な性格を持っている、こういうことを言っているわけであります。私どももまさにそのとおりだと、だからこそ、教育の荒廃を嘆いて何とか教育改革をしなければならないと願う人たちにとっては、そのための教育予算というものは特別に見てほしいと願っているのだと思います。
 この第三次臨教審答申を受けまして文部大臣のお話がありました。文部大臣の談話は、私は本当にそれで結構だというふうに思っているわけでありますけれども、これもまた難しいですね。そして、臨教審そのものは「国家財政全般との関連において、適切な財政措置を講じていく必要がある」などと教育予算については提言をしているわけでありますけれども、私はこの文章を読みますと、「国家財政全般との関連において、」教育改革必要だけれどもお金を削ってよろしいというのか、だからこそお金をつけなければなりませんというのか、よく判断ができないような答申になっているわけでありまして、非常に残念だというふうに考えております。
 そして今回の予算を見ますと、厳しいシーリングの中で、文部省に言わせれば、政府に言わせれば、これは重点的な配分である、こうおっしゃるだろうと思います。しかし、私たちから言いますと、臨教審答申の中の都合のよい部分をつまみ食いをしたという形になっていて、とても納得できるものではありません。そしてまた、横並びになっているわけですが、人勧の実施についての予算も全然入ってないということで、まことに不満だということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#26
○山本正和君 今、粕谷委員の方から最後に、特に文部行政が負わなきゃいけない財政問題等についての基本的なことを指摘してもらったわけでありますが、私は、今教育の問題いろいろ議論しておりますけれども、すべての日本の大人が思い出すのはやっぱり自分の子供のとき、自分の卒業した小学校のあのたたずまいなんかが目に浮かぶだろうと思うのであります。要するに、教育の問題を論議するときに、やれ教員の質、やれ親の問題、社会的環境、いろいろ議論が出てまいります。しかし、恐らくすべての大人にとっては、自分が学んだ学校、学舎、これは恐らくその一生について回るんだろうというふうなことを思います。
 実は、その学校とは何か、また、学校というものを建てる場合にどうしたらいいのかということについて、私もいろいろ疑問があったものですから、現場の教員や、あるいはかつての校長、もう八十歳ぐらいの人たちともいろいろ議論をしたのでありますけれども、学校というものを建ててきた日本の国の歴史が、これは明治以来大変貧しい国の財政状況の中でやってきた。とにかく必死になって、学校をつくらにゃいかぬということでばたばたやってきた。また、第二次世界大戦で日本が本当に何百万という死者を出して、敗戦という憂き目に遭って、国土は荒廃してもう何もないというところでまた学校をつくっていった。ですから、学校というものがつくられてきたその歴史的経過を考えると、まさに我が国的特徴があろうかと思うわけであります。
 したがって、そういう意味からいったら、文部省としてもこの問題、随分学校建設ということについての、戦後四十年間、また明治以来の歴史の中でいろんな経過がおありになりまして、さまざまな指導等がなされております。このことを私も調べてみようと思ってちょっと当たりましたら、文部省は大変すばらしい提案等もされておられます。きょう御出席の柳川先生からも、本当に私も拝見してうれしかったんですけれども、「子供たちを育てる学校施設」、これは管理局長当時の柳川先生の監修された出版物でありますけれども、こういうものを見ると、子供たちばかりでなしに親も教師も、本当にこうやって何とか学校をよくしなきゃいけないということをみんなで一生懸命考えていることがわかるわけであります。
 ところが、現実に各市町村や都道府県で学校をつくるときにはどういう形でやられるかといいますと、これは文部大臣がかつて大阪で副知事さんをおやりになった当時にも御経験があろうかと思うのでありますけれども、まず金が先であります。まず金が決まっていって、その中でどうやって市町村に配分するか。市町村はまた自分たちの市町村財政の中で、ことしの学校建築をどの程度にするかというような形でくる。ですから学校を建てるといいましても、学校現場の者が、たとえ乏しい予算であっても子供のためという観点から建築について注文をつけようとしてもなかなか注文がつけにくい、こういうふうな問題がありまして、これについてもいろんな意見の中で文部省としてもおまとめになっておられるものがございます。そして、学校というものを建てる場合には本来どうしたらいいかということについてもかなり文部省内でも議論がされているように聞いておりますので、まず、市町村の段階まで含めて、一体、学校を建てる場合にはどういう形でもってみんなと相談をして、そしてどういう要請のもとに学校を建てるべきかというようなことについての文部省内の論議、あるいはそのおまとめになったものがあればまずお聞かせをいただきたい、こう思います。
#27
○政府委員(加戸守行君) ただいま先生おっしゃいましたように、従来の学校建築、ともすれば児童生徒数の増加あるいは学級編制基準の改善によりましてそういった学校数の増の必要が出てまいります。そういった中で、地方財政の状況もございまして、今までは建てることに追われてきたという事態もあったのではないかと考えております。
 御承知のように、昭和五十七年をピークといたしまして小中学校の児童生徒数が減少を続けてまいっておるわけでございますので、これからは、量的な拡充、追いつきという状況から、質的な内容改善に向かうべき時代に来ていると思うわけでございます。学校建築につきましては、当然学校の教育方針とかあるいは管理運営の方針を踏まえまして、児童生徒数の動向、あるいは地域の実情、あるいは敷地の状況等を把握いたしまして、将来を見通した、現時点ではなくて将来何十年も耐え得るような学校施設ということを考えていく必要があるわけでございます。そのために教育委員会に対しましては、文部省としましても、例えば学校の教職員であるとかPTA、学校関係者の意見も踏まえまして、合理的で計画的な施設計画が立案できるような指導はいたしておるわけでございます。
 こういった観点におきまして、いわゆる学校をどんな形で建てていくのかということを考える基本的な視点が必要でございます。その意味で基本設計というものが重要視されるわけでございますので、特に学校施設全体を整備する事業、例えば新設校や全面改築の場合に当たりましては六十一年度から工事費の一%を限度といたしまして、基本設計費を補助対象として基本設計の充実に努めているということでございます。
 それから、こういった学校の建築あるいは改築等に当たりましては、それぞれ文部省の方におき
ましても、学校が今の時代の進展に適合した内容、あるいは豊かな実りのあるものとするように各方面に各種の指導を行い、あるいは課長会議で、あるいは担当者会議等でも十分な指導をしながら、地域住民のニーズにこたえ、将来十分効率的に活用できる学校施設づくりに向かっての各般の指導を行っているという現状でございます。
#28
○山本正和君 今のお話のような形で結構なんでありますけれども、もう少し具体的に、文部省としての一つのモデルケース等も出して御指導をいただかなければ、正直言いまして、市町村段階におきますと、これは何だかんだ理屈を言ってもだめなんだ、とにかく予算がこれだけしかないんだ、安く大きなものをつくらなきゃいけないというところに視点が行って、校長を含めて、校長すら学校建築についてなかなか意見が言いにくい、こういう状況にあることは、これは全国的な状況でございます。
 例えば、国が補助する学校の建築でありますから、少なくとも建築に当たってはかくかくしかじかの形で議論をして、そして、その後にもっと成熟した形での学校建築案というものをつくれと、学校建築委員会というのはおかしいですけれども、そこには校長も、あるいは教員がいろいろ子供と泥まみれになってやる、そういう実感を含めた現場の人たちの代表も入れて、あるいはお母さん方、PTAの人も含めて、さらには地域の住民にも関連があるわけですから、場合によっては町の文化センター的な役割もあるわけですから、住民代表も入れて、学校を新しく建てる場合にはそういうそれぞれの皆さんの意見を聞きながら、またそれに対して各地教委あるいは県教委等も含めて、外国の例や、日本の国内でも、あるいは各県の中でも進んでいる学校がたくさんあるわけですから、そういうものも提示して、みんなで学校を、自分たちの町の学校をつくるんだという気持ちをまず持たせよう、そういう形で学校建築については御指導をいただくということをぜひお願いしておきたいと私は思うんです。
 ですから、教育の荒廃とかなんとかということの前に、学校に対する関心、それは建物を建てるときの関心があって初めて子供の生きているにおいがするわけでありますから、そういう形での文部省での議論、また、各県教育委員会との意見交換等もひとつこの際ぜひ要望をしておきたい、こう思いますので、よろしくお願いしておきますが、この点、いかがでございますか。
#29
○政府委員(加戸守行君) 確かに、学校関係者あるいは地域住民のニーズにこたえ、そういった意見をくみ上げるということが当然必要でございますし、それぞれの手段、方法等ございましょうけれども、先生おっしゃいましたように、最近、各地におきまして、すばらしい、学校施設としてモデルとなるような建築が多々進められているわけでございまして、そういった具体的事例は十分文部省も把握しているわけでございますし、そういった資料の提供あるいは指導等を行いまして、先生の御質問の趣旨を反映できるような方向で努力をさせていただきたいと思っております。
#30
○山本正和君 それでは次に、当面しておりまして各市町村のどの首長さんも皆大変苦労されておるようでありますけれども、まだなおかつ今日我が国で老朽危険校舎、これがかなり残っております。文部省としてもさまざまな施策を講じておられるようでございますけれども、まず、その老朽危険校舎の現状につきましてお知らせいただきたいと思います。
#31
○政府委員(加戸守行君) 小中学校の危険校舎の面積でございますが、昨年の五月一日現在の調査によりますと、小学枝が二百三十二万八千平方メートル、中学校が百四万平方メートルといった危険校舎の面積でございまして、合計いたしますと、義務教育小中学校で三百二十六万八千平米が危険校舎の面積であると承知いたしております。
#32
○山本正和君 老朽危険校舎として、これを耐力度点数でもって指定をされるということになっておるようでございますが、この耐力度点数というものを決めていくその基準ですね。特に私気になりますのは、耐力度の問題について文部大臣が大蔵大臣と相談をしなきゃいけないと、こういうふうな内容があるようでございますが、なぜ大蔵大臣と相談しなきゃいけないのか。学校の建物がいいのか悪いのか、ちゃんともつかもたぬかで何で大蔵大臣と相談しなきゃいけないのか。その辺のことをちょっとひとつ御説明をいただきたいと思うんですが。
#33
○政府委員(加戸守行君) もちろん、学校が構造上いわゆる学校教育にたえるかどうかという視点は重要でございますけれども、そのうち危険度の度合い、緊急度に応じまして補助対象とするわけでございますので、当然ながら国庫財政支出を伴うわけでございます。そういう意味におきまして、どの程度の段階から年度的に補助の対象にしていくのかということは、財政的見地からも大蔵大臣と協議する必要があろうかと考えているわけでございます。
#34
○山本正和君 どうもそこが私は、恐らく国民の皆さんも聞いてわかるかしらんと思うんですね。要するに文部省というのは、日本じゅうの子供のこれから大人になっていく過程についての全生涯の大切な部分を預かる親元である。だから、希望を出すのは文部省がきちっと考えて、少なくとも子供が学校で学ぶのに、これはもう最低限これくらいの建物でなきゃ困りますよと文部省が決めるのが当たり前だ。決めたけれども国全体では、例えば各大臣全部の折衝の中で予算が決まるわけですから、これぐらいになりますよというならわかるんですけれども、学校の老朽度を決めるのに何で大蔵大臣と相談しなきゃいけないのか。財政の関係があります――これはどう考えても国民がわからぬと思うんですけれども、これは一体いつごろから決まっていたのでございますか、大蔵大臣と相談するのは。
#35
○政府委員(加戸守行君) この小中学校の危険校舎改築につきましての補助制度ができました当初から、このような制度が取り入れられております。
#36
○山本正和君 この大蔵大臣の問題につきましては、これはひとつ文部大臣、ぜひ閣議等で議論をしていただきたいと思います。結局国の段階でこうなっているものですから、都道府県、市町村といわずすべてのそういう自治体で、学校建築ということについていわゆる総務部が、総務部というか財政担当部局ですね、これがもう何もかも握って支配してしまうものですから、まず教育ありきでなしにまず財政ありきなんですね。これはやっぱりまず教育ありきという立場で、要求するものは要求しておいて、基準を決めておいて、そして。金がないという話ならわかるんです。その辺は、これはもう現実に今こういうふうになっていますからここで議論しても仕方ないかもしれませんけれども、今後御留意をいただきまして、ひとつ大臣在任中に何とか宿題を後輩の大臣にお残しいただくようなお覚悟はございませんか。いかがでございますか。
#37
○国務大臣(塩川正十郎君) 私もそう首は長くないものですから、努力はいたしますが……。
 しかし山本さんの質問を聞いていまして、これは物の見方、裏から見ているか表から見ているかで、ひょうたんの大きい方を下から見るか、頭の小さい方を頭から見るかの違いでして、私はそんなに大きく議論は違っていないと思うんですよ。といいますのは、文部省の方としても、金が取れなかった場合に言いわけに、大蔵省がつけませんのでと、これ言うのは当たり前なんです。それをやっぱり地方の方も同じように、府県の、市町村の教育委員会が、いや、もう国の金がつかぬものだからと、こう言っておるんです。そうすると大蔵だということになってしまうんですよ。
 そうじゃないと思うんです。例えば大規模校の解消の要綱なんていうのもやっぱり文部省が中心になって決めておるんです。決して大蔵が決めてきているんじゃないんです。このアイデアは文部省なんです。いろいろの教育制度の改革についてもあるいは施設の整備についても文部省の役人が皆知恵を絞っておるんです。そういう知恵を絞って、それをどれだけの金がかかるかということで
大蔵省と相談しているわけなんです。だから、この金でこれだけしろと大蔵からアイデアが出てきたんでも何でもないんです。文部省がやっているんです。
 ただしかし、国の予算だって限りがありますから、これだけの予算にしてくれぬかということになる。この予算で決めようとするならば、それじゃ老朽化の点数を何点ぐらいにしなければ、全国で毎年整備していくのに、どのくらいのペースで改築していくとするならば、それじゃ点数をこのぐらいに取って基準にしよう、これはもうやっぱり文部省主導で決めているんです。ですから、これは金との関係ですから、だからといって大蔵から押しつけられて文部省が決めている、そんな不見識なことをやっていないんです。やっぱり文部省がきちっと決めておるんです。今の財政再建のとき、金の順序があるから、三年でやるやつを五年にしなきゃならぬ、だからこうなってくるのでありまして、決して私は、これは何も文部省が非力だから金がつかぬのだと、そんな意味でもないし、また、国が捨て鉢で、教育にはもうこれだけだと、こうやっているわけではないと思うんです。
 しかし、先生のおっしゃっているようなことをやろうとしたならば、これは教育の独立の税源を求めるか――アメリカなんかやっていますよね、地方で税金取っていますわね。だから教育委員会というのがある。だからそんな制度を考えなければ、日本はやっぱり懐へ入ってくるのは、大蔵省という会計係がおるんですから、やっぱりこの会計係のところへ金を相談しなきゃならぬという制度ですから、これはお互いのものだろうと思うんです。
 しかし、くどいようでございますけれども、こういう学校の制度、設備の整備、これは文部省がきちっと決めて、それで要求を出して、金面に合わせて文部省が年次を決め、あるいは基準を決めていっておるんだと、こういうぐあいにひとつ物を見ていただきたいと、こう思いますので、その点ひとつよろしく御理解いただきたい。
#38
○山本正和君 いや、一般的なことなら私はそれで別に、今の行政の状況からいって大臣の言われるとおりだと思うんですけれども、いわゆる老朽危険校舎というものを決めるということなんですから、これは文部省で決めたものがお金がないから例えば年次計画でこうしますというならわかるんですね。老朽度を決めるのに、その老朽の点数を決めるのに文部大臣と大蔵大臣が協議しなきゃいけないと、これがおかしいということを私は言っているんです。要するにこれはもつかもたぬかという話なんですね。子供が一生懸命、活発に走り回る、それを点数を決めるのにこうなっているというふうに聞こえておるものだから、それでおかしいじゃないかという話です。それ、いかがですか。
#39
○政府委員(加戸守行君) 今の老朽度の問題につきましては、昭和二十年代末に文部省が日本建築学会に研究委託を行いまして、いろいろな計算法をもちまして、一万点が満点の施設である、つまりパーフェクトな施設であるということを前提といたしまして、四千五百点以下を改築対象とするという考え方で参ったわけでございますが、五十二年度以来の考え方といたしまして、これを五千五百点以下のものに対象として補助をするという方針で今日まで参っているわけでございます。
 それで、今の場合、四千五百点とかあるいは五千五百点、あるいは六千点とか七千点とか、いろんな計算の方法はあるわけでございますけれども、どの程度でということは、そのことで使用にたえないということじゃなくて、もちろん学校は新しい方がよろしいわけでございますから、短い期間で建てかえるということはそれはより望ましいことではございますけれども、やはり国民の税金によって建てられるものであるから、効率的には使用してもらいたい。しかし、それは教育上の見地からどうかというバランスの問題があるわけでございまして、いずれが正しいかということは断定いたしかねますけれども、およそのこんなところかなという目安で点数を切っているというのが実情であろうかと思います。
 先生がおっしゃいますように、大蔵大臣との協議はございますけれども、文部省側のこういう形で補助改築を行いたいという考え方は、協議の結果おおむね取り入れられておるわけでございまして、そのことの制度によって点数が低く抑えられているというようには理解していないわけでございます。
 さらに、市町村側の希望といたしましても、五千五百点じゃなくて六千点にしてくれ、あるいは六千五百点にしてくれというような声はまだ出ていないわけでございまして、そういった点では現状が必ずしも適切ではないというぐあいには理解していないわけでございます。
#40
○山本正和君 まあ文部省でこれなら大丈夫というぎりぎりが五千五百点だと。それでおおむねいっているから、別に大蔵から文句を言われる筋合いじゃないということで、きちんとやっています、こういうことなら私はわかるんですよ。ところが、お金が先にあるものだから、老朽危険に至るまで大蔵省と相談せないかぬというのは建前としてはおかしい、こう思いますから、ひとつその辺についてはさらに御検討をいただきたいと思います。
 ただ、ここで私ちょっと聞きますと、大規模改修事業に対する補助助成というものが今どんどん希望がふえてきている。毎年次ふえてまいりまして、市町村からの改修希望数が大変な数に上ってきているというふうに聞くわけです。ところが、希望しても、先ほどのお話じゃないんですけれども、お金がない。地方自治体に金がない。金がなかったらどうするんだ。これは起債をせざるを得ない。起債するとなったら今度は自治省の方からストップがかかる。ところが、地方自治体が学校等のこういうものをやっていく場合の起債は、これもすべて何か法律で難しいのがあるようでありますけれども、学校が、学校を改修するとか学校を建てるとかいう場合の起債については別途の発想というのは持てるのか持てないのか。そういうことについては文部省としてはどうお考えなのか。また、きょうは自治省からも来てもらっていますから、一体その辺については自治省としてはどういう見解をお持ちなのか。結局、希望は殺到しているわけですよね。地方自治体で起債する以上は返す見込みなしに起債の申し入れするんじゃないんですけれども、これは全部アウトになっている。その辺のことは一体どういうふうになっているのか。大分お答えにくいかもしれませんけれども、お知りの範囲内で結構ですから……。
#41
○政府委員(加戸守行君) 大規模改修につきましては、その必要性を認めまして昭和五十八年度から制度をスタートさせまして、五十八年度十一億円の予算が六十一年度は百五十二億円に達しておりますし、また、昨日成立いたしました六十二年度予算におきましても二百四十一億円という、対前年比五九%増の市町村の要望にこたえた国庫補助の予算措置を確保したわけでございます。
 ただ、先生おっしゃいますように、じゃ起債の裏打ちということでございますが、本来的には学校の建築、増改築と違いまして、改修の場合には、一般の交付税上の積算が毎年行われておるわけでございますので、法律論的に申し上げれば、起債ではなくて各一般財源で措置をされているという論理もあるわけでございますが、現在、だんだん規模も大きくなってまいりまして、一億円を限度とした大規模改修になってまいりますけれども、小さい市町村にとってみますれば、それを一般財源で見るというのはかなりつらい状況もあろうかと思います。その面につきましては、現在個別的に自治省の方で起債の許可をいただいているという形でございまして、何とか現行の制度の中でも運用はされている状況でございますが、なお私どもの希望から申し上げますれば、大規模改修ということになってまいりますと、一種の増改築に準ずるような制度としての取り扱いができないものかなという気持ちはあるわけでございまして、今後とも関係当局にはお願い申し上げてまいりたいと思っておるわけでございます。
#42
○説明員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。
 義務教育施設の整備事業について、財源措置をどうするかという基本的な問題があるわけでありますが、私どもとしましては、最初の建築時非常に巨額な投資が必要であるということから、大体四分の三程度は地方債で賄って、残りの四分の一は、専門的な用語ですが、交付税の事業費補正ということで、地方団体が小中学校を建設するにつきましては支障なからしめるという考え方をとっております。
 あとは維持修繕、それから改築の問題、改修の問題になるわけでございますけれども、私どもとしましては、一たん巨額な投資をして建てた建築物につきまして、後年度においては逐次必要な都度これを改築あるいは修繕していく、そして建物を長く保たせるという必要があるということは認識いたしておりまして、そのための財源としましては、交付税で一学級当たり毎年このくらいの改修費なり維持保修費なりが必要ではないかという積算をして、できるだけこういうものは借金に頼らないで説あるいは交付税で直せるように財源措置をいたしております。
 そういう考え方でおりますので、先ほど文部省の方からお答えがありましたように、改修事業につきましても、それの裏の財源につきましては交付税で財源措置をしているという仕組みになっております。したがって、一般的に地方債を充てるという仕組みにはならないわけであります。
 ただ、個別の団体によりましては、例えば交付税の財源措置を超えて非常に大きな事業費になるとか、あるいは事業が特定の年度に集中してしまうというような場合も考えられますので、そういった場合には、当該団体の必要性それから要望等もよく聞いた上で、必要に応じて地方債による、これは資金手当てになるわけでありますが、資金措置をしていこうというように考えておりますので、御了承賜りたいと思います。
#43
○山本正和君 今の一番後段の、手当てについては今後十分考えていこうと、こういうふうに受けとめてよろしいんですね、そこのところは。
 それじゃ、続いて申し上げたいんですけれども、愛知県の知多半島に、オープニングスクールで、実は学校の先生にとっては大変な仕事なんですけれども、朝から晩まできりきり舞いして頑張っている学校もあります。いわゆる自然に触れ合う、あるいは仲間と集い合う、そういう格好での子供の環境が、学校がいわゆる教えるという手段としての学校から、子供が生きていく、成長していく場としての学校というふうに変わっていく、そういうものがどんどんどんどん今進んでまいっております。
 また、今自治省からもお話があったんですけれども、どうしても財政当局、お金の方から見ますと、今ある建物をなるべくしっかり上手に使ってくれたらいいじゃないか、こういう発想になるんですけれども、教育費はそうじゃない。二十一世紀を控えて、今人間が精神的にも物質的にももう大変大きく変わる中で、子供をどういうふうに育てていくかという重要な問題なんですから、そういう意味で言いますと、これ、いろんな要素が教育投資にかけられているだろう。これは冗談で聞いた話ですけれども、大学を除いて、今の公立学校をちょっとこうきちっとしたものにするだけで、ひょっとしたら三十兆円ぐらい金が要るんじゃないかというふうな――冗談話ですけれども、話があります。しかし、これ冗談じゃなしに、私の出身の三重県でちょっと当たってみても、大変莫大な金が要るわけですね。
 ところが、国家財政が厳しい厳しい、緊縮だというんで、お金がないと言っているんですけれども、これはもう予算委員会で議論されたことだと思いますけれども、何百兆というお金が、個人といわず法人といわずお金が余って、しかもそれが投機に使われている。さらには、場合によってはアングラマネーになってしまっている。なぜかといったら、税金を取られたらかなわぬ。自分の財産を子供に渡すときに、税金をごっそり取られたらかなわぬというような気持ちもないではない。それはいいことじゃありませんけれども。ですから、これは外国の例でありますけれども、学校起債ですね。学校に対して、子供たちの将来に対してお金を出す者については、例えば相続税を減免するとか、あるいは個人の資産の中でそれはもう特別扱いして、これは公共のためにお金を出しているんだからということで保護するとかなんとかすれば、私は、個人で相当お金を持っている人が、そうか、ではおれの町の学校に一千万出そうかというような人がおらぬでもないと思うんです。実は私の友人で現におるんですが、ところが税金がかかるんで困ると、こういう話がある。
 ですから、本来からいいますと、金がない金がないと言うけれども、実は日本の国は今大変な金があると言われている。国家には金がないかもしれない。けれども国民や企業は大変な金を持っている、こう言うんですね。まあそれは国民も一部ですよ、余計持っている人は。その一部の持っている人はお金を使ってもいいわけですよね。そういうことを文部省が一遍提案をして、何とかしていただけないか。また、あわせて、こういう税の減免を、文部債と言ったらしかられますけれども、文部省債と言ったらまたこれもっとぐあい悪いんですが、何かしらないけれども、そういう格好で内需振興を、全国の学校を見直して子供の環境整備のためにほうり込んだらいい。別に土地は新しく買わぬでもいいんですからね。買っても、安い土地しか買わぬでいいわけですよね。本当にもう何十兆という内需の喚起ができると思うんですよね。なぜ文部省はそういうことをやかましくやらぬのか。
 もう予算は決まりましたから、きのう通過しましたから本予算については言いませんけれども、補正予算と来年度予算ぐらいのときにでも、文部省でひとつそういうことについて大きな声を出して頑張っていただけないか。何言っているんだ、国家百年の大計とよく議論するけれども、日本の国の教育をなぜこんなにしているんだ。私は調べてみたんですけれども、ヨーロッパの学校は、今みたいに初めからいいんじゃないんですよね、ドイツでも。みんな、国がどんどん商売、交易をして、お金がたまってきたときに、そのお金を全部社会資本、特に学校にほうり込んでいるんです。あるいは公園にほうり込んでいる。お金をもうけた人たちには、そこから税金を取るんじゃなしに、それを公共のために投資するなら保護しますよとやっているんですよね。
 ところが我が国はそれを政府がやらないものだから――まあ文部省を余り責めても仕方がないかもしれませんけれども、やらないからそのお金で、何でアメリカのレーガンさんのためにそのお金で国債を買わなきゃいかぬのか。日本の国の国債をもっと買えばいいと私は思うんですけれども、できない。これは文部省として、本当に百年の計を考え、内需振興も含めて国民の要望にこたえるためにも、財政については今後、来年あるいは本年度の補正予算の段階では相当強い決意でお考えいただけないか。コンピューターをちょっと見てみましても、導入の率が大変小さいんですね。
 そんなことも含めまして、きょうはもう時間がありませんから、もっとあるんですが要望にとどめますが、最後に大臣、頑張るぞというふうなひとつ元気のいい御発言をいただけませんか。
#44
○国務大臣(塩川正十郎君) 私も非常にそれに近い考え方を持っておるんですが、しかしこれは、国公立学校ではそれはちょっと私はぐあいが悪いと思うんです。私立学校は、そういうようなものはもうどんどん準用されたらどうだろうという気持ちを持っております。ただ学債が相続税逃れのための措置になるとかいうような、これは私は多少不公平があるように思いますけれども、しかしおっしゃっている趣旨は、そういう親が子供に勉強させたいというような意欲のある人にはそういう方法は、これは道を開いてやってもいいだろうと思うんです。
 これは私も持論として持っておるんですが、なかなか教育というものは、公平、平等、普遍的でしかも教育的なものでなきゃならぬというこの建前
論がからっとはめられておりますので、現実問題としてはそういう問題の処理は難しいんですけれどもね。一時そういうことを学校でやったことがありましたが、これまたいろいろな非難を受けてその学校はやめてしまったこともございました。こういうことを繰り返しながら、私はやっぱり世の中もいい知恵をたんたんと植えつけていくんだろうと思っております。
 せっかくの御提案でございますから、私たちもその提案の趣旨は了解いたしまして、機会あれば検討もいたしてみたいと思います。
#45
○山本正和君 ありがとうございました。
#46
○田沢智治君 私は、エイズ教育、その後、時間が許すならば大学入試の問題につきまして若干の質問をさせていただきたいと思っております。
 文部省は、本年二月にエイズの予防に関する知識の普及について、各都道府県教育委員会等に通知を出したと聞きますが、その内容についてお伺いを申し上げたいと存じます。
#47
○政府委員(國分正明君) ただいま御指摘のとおり、本年の二月に、各都道府県教育委員会教育長等あてに体育局長名で、「エイズの予防に関する知識の普及について」という通知を出しました。
 この内容でございますが、この前にエイズ対策関係閣僚会議におきましてエイズ問題総合対策大綱というのが決定されました。これの中で、「現段階におけるエイズ対策の基本は、国民がエイズに関する正しい知識を持ち、感染の危険を回避することである。このため、エイズの予防のための正しい知識の普及を図る。」ということが決められておるわけでございます。これを受けまして、学校におきましても、教職員がエイズに関する正しい知識を持つように指導する、また、学校教育におきまして、児童生徒の発達段階に応じてエイズの予防について適切な教育が行われる、これが通知の趣旨でございます。
#48
○田沢智治君 私は、厚生省の監修のパンフレットを今見ているんですが、「エイズ患者は、一九八一年に米国で初めて発見されて以来、世界中でどんどん増え続けています。今世紀末までに、ほぼ一億人がエイズで死ぬ可能性がある」と、こう言っております。そして、アメリカでは一九九一年までに五百万人、国民四十人に一人がウイルスに感染すると言われ、アフリカでは既に数十万人の犠牲者が出ておる、こういうように予測をもしておるわけでございます。
 日本はどうなのか、こう思いまして高桑委員にちょっとお聞き申し上げましたところ、日本は患者は三十八名、死亡しているのが二十五名。六六%が既に亡くなっておられる。これ、三年たつと一〇〇%近く患者さんは亡くなるんだというような難しい情勢になっておる。こう、私は私なりに情報を集めました結果、大変深刻な事態であるということを認識したのでございます。
 そこで、エイズは握手をしただけでもうつるとか、食器類や食べ物、飲み物を介してうつるとか、プールに入ったりふろに入ったりすると感染するなど、大変誤解が多く伝えられておる。特に夏場においては、学校教育の中ではプールを使ったりします。児童生徒がいたずらな不安を持たないように、きちんとした教育をすべきであると私は思っておるんですが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#49
○政府委員(國分正明君) 御指摘のとおりでございまして、先般の通知におきましても特に触れている点でございますが、エイズは、感染し発病しますと致命率は大変高いわけでございますが、逆に、各自が適切な注意を払うことにより、感染から身を守ることが容易な病気という点もあるわけでございます。したがいまして、児童生徒等がエイズに関していたずらな不安を持たないように指導することが学校における指導の基本であろうというふうに考えております。
 学校におきましては、教科の保健という科目がございます。あるいは学級指導、まあ特別活動でございますが、これにおける保健指導というのもございますので、この中で性教育あるいは伝染病の予防に関します指導の一環として、エイズというのはどういうものであるか、あるいはどういう感染経路をたどるものであるか、あるいはまたそれを予防するためにはどうしたらいいんだというようなことが児童生徒の発達段階に応じて行われるものというふうに考えておるわけでございます。
#50
○田沢智治君 そこで、エイズ教育を本腰を入れて考えているという御発言でございますので、何年度より、どの学年から、どのような手順で、何を教材にして、だれが教育するのか、ひとつお伺いしたいと思います。
#51
○政府委員(國分正明君) エイズに関します教育指導というのは、今始まったばかりと申しますか、これから始めようという段階でございまして、これについての学校現場での指導、あるいは教育指導の経験という積み重ねがあるわけではございません。あるいはまた、それらに関する研究の集積というものもあるわけではございません。そういう意味で、これからどうやっていくかというのは大変難しいわけでございますし、また、事柄が事柄でございますので、教え方ということについても相当工夫を要するであろうというふうに考えるわけでございます。
 こういう観点から、小中高等学校それぞれの児童生徒の発達段階に応じまして、先ほども申し上げましたように、エイズというのがどういうものであるか、あるいはどういう形で感染するのか、あるいはまた、その予防としてはどういうものかということについての知恵を絞っていかなければならないだろうというふうに考えております。
 文部省といたしましても、現在文部省主催の各種の保健指導に関します研修会あるいは講習会等もございますので、専門家の先生に来ていただいてそこで講義をしていただくという計画、現に実施しているものもございますし計画中のものもございます。あるいはまた、各都道府県におきましても、既存の研修会、講習会を活用したり、あるいはわざわざこのための講習会を実施するという計画もあるようでございます。あるいはまた、指導資料につきましても、教師用の指導資料あるいは映像、ビデオでありますとかフィルムでありますとか、そういった映像の教材といったようなものを作製いたしたい。できるだけ早く、できれば本年中にも作製して関係方面に配付できるようなことを考えたいというふうに考えているところでございます。
#52
○田沢智治君 日本経済新聞三月十一日の記事によれば、「文部省はおっとり」しているという見出しですね。学校保健課では、手引書をつくるとすれば、六十三年度の概算要求で盛り込み、完成は早くても二年後になると言っている、こういうふうに書いてあるんですが、間違いなく六十三年度概算要求に盛り込んで、二年後に手引書もきちっとなさるということなんですか。
#53
○政府委員(國分正明君) もちろん、今後エイズに関します状況がどういうふうになっていくかによりまして六十三年度以降の概算要求あるいは対応ということもあろうかと思いますが、先ほども申し上げましたように、現在文部省では教師用の指導資料というのを学校保健会というところに委託しておりまして、この夏ごろには一つの中間の研究まとめができるという状況でございますので、遅くとも本年中には各学校等に手渡せるようにいたしたい。あるいはまた、先ほど申し上げました映像教材というものにつきましても、既に民間の教材会社に委託し、それを買い上げて各関係機関に配付するという手だてを講じておるところでございます。
#54
○田沢智治君 ちまたにエイズ恐怖感が広がっている現在、やっぱり小中高等学校においてもエイズに関する正しい知識を普及させるため、教師用の指導資料や教材映画などを作製して指導教員を養成するというお話ですが、大変結構だと思うんです。ですけれども、これ、なかなか難しいといえば難しいけれども、やはり即効性を持った対応の仕方というものが求められているので、補正予算もこれからやるというんだから、補正予算あるいは遅くても六十三年の概算要求に、我々も動きま
すから、文部省としてやるんだというやはり姿勢を明確にしてもらいたい。これはひとつ大臣から決意をお願いしたいと思います。
#55
○国務大臣(塩川正十郎君) この病気は非常に恐ろしい病気であるということ、そして非常に隠微で、しかも非常に伝播力が強いということ等も私たち承知しておりますので、先ほど体育局長が申しましたスケジュールは、これは文部省としてまあ一番最大限のアローアンスをとったスケジュールだろうと思いますが、できるだけこれは努めて、早期にそういうことが徹底する措置をとっていくようにいたします。
#56
○田沢智治君 ぜひそういう決意のもとに行動を起こしていただきたい。
 ところで、エイズ教育を効果あらしめるためには、どうしても学校での性教育が重要であると私は聞いておるんですが、この関係をどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います、
#57
○政府委員(國分正明君) 確かに、エイズに関する正しい教育と申しましても、事柄が事柄でございますので、これを単独に取り上げて学校で教えるというのは大変難しい、工夫の要るところだろうと思うわけでございまして、そのためにもやはり性教育の中に位置づけて、性教育の一環として教えていくという方法が一番効果的なやり方ではないだろうかというふうに考えております。
 性教育自体もなかなか難しい問題があるわけでございますけれども、私どもも、現場のお知恵もかりながら、児童生徒に十分理解できるような性教育のあり方というものを研究してまいりたいというふうに考えております。
#58
○田沢智治君 昭和六十二年二月十八日までにWHO等から得られた資料を見ますと、諸外国におけるエイズ患者の発生数は三万八千九百八十五人となっている、こう報告をされております。特にその主力は、申すまでもなくアメリカが三万人以上、世界全体の患者発生数の実態を見ますと、合計百二十五カ国、三万八千九百八十五名だと、こう報告されております。アフリカ州三十四カ国、アメリカ州四十四カ国、アジア州十八カ国、ヨーロッパ二十七カ国、オセアニア州二カ国ということで、百二十五カ国というようになっております。その中には先進諸国も多いです。アメリカ、カナダ、フランス、西ドイツ、イギリス、日本というような実態があるわけでございます。やはりこの問題は、人類の平和と繁栄、福祉のためには克服しなければならない重要な課題であろうと私は思っておるのでございます。
 そこで、この問題についてはいろいろな学者がいろいろな意見を言っておるのでございますが、まず、エイズの予防や治療法等、基礎研究について文部省としてこれまでの取り組み、これからどのように取り組んでいくかお聞かせいただきたいと、こう思うんです。
#59
○政府委員(植木浩君) 文部省におきましては、このエイズの問題が発生いたしまして、いち早く昭和五十八年度に山村雄二剤大阪大学学長を代表者といたします調査団を米国に派遣をいたしまして、エイズの発生とその病因に関する研究の現状調査を行ったわけでございます。以来、科学研究費、補助金等によりまして、何分にも研究者の数は少ないわけでございますが、エイズ研究を進めてきておるわけでございます。
 大学等でいろいろな研究所にエイズの研究を志す方々がふえてきておりますので、昭和六十二年度からこれらの研究者を総合的に結集をいたしまして、研究プロジェクトを組織化するということをスタートしたばかりでございます、東京大学医科学研究所の小高健教授を代表といたしまして数十人の国公私立大学の研究者によりますエイズの総合的基礎研究のプロジェクトを発足をさせ、これに対して科学研究費補助金を支出するという予定になっております。これらを含めますと、昭和六十二年度には合計八プロジェクト、約八千万の科学研究費を交付をいたしまして、総合的な推進を図るということにいたしております。
#60
○田沢智治君 大変いいことを聞かせていただきました。
 エイズ患者の致命率は、診断後三年で一〇〇%に近いと先ほど申したのでございますが、治療法がまだ未確立であり、対症療法で行っていると聞いております。このときこそ、日本は経済大国、あるいは貿易黒字を抱えて自分のことっきり考えないんだと世界から多く批判をされておる現状を見たときに、やはり人類救済のために、エイズに関して文部省もプロジェクトチームをつくって研究者は一生懸命やっているんだという計画を明示し、既に着手しているということを聞かされておるのでございますが、来年あたり、今から準備して研究者サミットなど提唱して、日本は物ばかりつくって、物ばかり売って、金ばかり持って世界に何もしないんだというような今の日本に対する世界の批判から、難病奇病にも日本は進んで世界のためにやるんだというように、やはり必要な措置を講ずる、必要な財源を投入してまじめに世界人類のために取り組むんだという姿勢を内外に明示するということも、これからの日本が国際社会の中の日本としてとらなければならない主体的行動であろうと私は確信するんですが、文部大臣いかがですか。
#61
○国務大臣(塩川正十郎君) これはいい提案をいただきまして、私たちも、これは政府としての問題になると思いまして、私の方から内閣に対しまして相談を持ちかけるようにいたします。ちょうど中曽根総理が対がん十カ年総合戦略ということで世界にアピールされまして、これがためにがん研究に関します国際交流というものが非常に活発になってまいりました。現在日本では、エイズに関します問題について、この研究について、まず国内態勢をとろうということに今重点を置いてやっておりますが、同時にこれはもう国際問題の中で、あるいは国際関係の中でも解決しなきゃならぬ問題でございますので、時期を見まして私は総理なり官房長官と、これは外務省も厚生省も、それから科学技術庁もいろんな役所が関係してまいりますので、一文部省だけで、よろしゅうございます、サミットを呼びかけましょうというわけにいかない。そういう性格のものじゃなくて、政府としてこれに対応することが必要だと思います。きょう提案ございましたこと、私はわきまえまして、一回内閣の中で相談してみます。
#62
○田沢智治君 今、文部大臣が、エイズサミット等を提言してみたいという御決意のようでございますので、ぜひそういうことをきちっとやれば、私はやはり日本というものに対する見方、考え方がかなり変わってくるんじゃないだろうか、こう思いますので、ぜひともそれを強力に推進していただきたいと思っております。
 エイズの問題はこれで終わります。
 次に、大学入試等に関する質問をさせていただきたいと存じます。
 大学入試の沿革を見てみますと、戦後間もなく実施された進学適性検査、能研テスト、共通一次試験等を経て今日に至っているのでございますが、いず札も満足した成果が得られず批判されている現状を文部省はどう受けとめて、何が原因でいろいろな施策をやったけれどもうまくいかなかったのかと御認識されておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
#63
○政府委員(阿部充夫君) ただいま御指摘にございましたように、今までいろいろな意味での共通試験、共通テスト的なものを何回か重ねてきたわけでございます。進学適性検査は昭和二十二年度から実施いたしまして相当の期間これは行ったわけでございますが、一つには、その適性検査というものに対する信頼度というような点でいろいろ議論もあり、各大学が具体にこれを利用するというところまでなかなかいかなかったということでこれが中止になっておりますし、また、昭和三十八年度から能研テストというのを行いました。この能研テストは、実施までの準備期間も短く、そしてまた大学側を中心に計画されたという形でなかったというような点等がいろいろございまして、そういう意味で、その利用が非常に少数の大学であったというようなことで、これも数年で残
念ながら廃止ということになったわけでございます。
 現在実施しております共通一次試験は、昭和五十四年度から実施したものでございますけれども、その前相当期間の時間をかけまして、国立大学関係者が寄り集まって相当の期間練り上げながら持ってきたというような性格のものでございまして、具体の成果といたしましては、高等学校教育に沿った適切な出題がなされるようになったとか、あるいは二次試験で大分多様化がある程度進んできたというような積極的な評価がございまして、そういう意味で今日まで続いてきておるわけでございますが、反面これによって、各大学の二次試験の改善はある程度進んでいるけれどもまだまだ十分でないというようなことから、共通一次と二重負担になるのではないかとか、あるいは大学の序列化あるいは偏差値輪切りというような現象がなおかなりあるではないかというような問題点等の御指摘もあるわけでございまして、そういったようなことを踏まえながら、私どもとしてはよりよい入試に向けて、国立大学協会ともどもさらに改善のための検討を今やっているというような状況でございます。
#64
○田沢智治君 適性検査の場合は、適性検査に対する信頼性が得られず実用とならなかったという欠点。能研テストの場合も、準備期間が短かったため少数大学の利用にとどまっちゃったということ。共通一次についてはさまざま批判があります。私は、六十二年度の共通一次試験につきましてはいい面もあったと思います。難問奇問がなくなった。受験生の過重負担を軽減するために一律五教科七科目を五科目に軽減した。受験機会を複数化するという意味では大変いろいろな意味での改善が見られたのではないだろうか。
 しかし、今批判されておりますように、実施後の問題点として、十万人近い受験生が二次試験で門前払いになる。俗に言う足切りの対象になった。大学の序列化が激化する一方、欠員補充の二次募集や繰り上げ補欠合格をさせなければならなかったというような問題が出てきております。私はやはり補欠とか繰り上げ入学よりも、自分はこの大学に行きたいのだといって青春をかけて一生懸命やった者は、繰り上げあるいは補欠合格をさせるとすれば堂々と正規で合格させてあげて、やはりチャレンジ精神を永遠に一生涯持ち続けていかせるというのが教育的配慮じゃないかなと、こう思うんですが、来年もそんなようなことを繰り返さないようにするために、文部省どうお考えですか。
#65
○政府委員(阿部充夫君) 今回の入試の改革、特に複数化に変わりましていろいろな問題が出てきて、御批判を仰いでいることはそのとおりであると思っております。これの理由といたしましてはいろいろあろうかと思いますけれども、特に初めてのケースであったというようなことから、受験生の例あるいは大学の側ともに不安があったり、戸惑いがあったり、あるいはどうも先行き見込みが十分読み切れない点があったりするといったような問題があったためにたくさんの足切りが出るとか、いろんな問題が出てきたというふうに思っておるわけでございます。
 私どもといたしましては、一つには、二年目以降になればある程度の経験も積んでくるということもございますが、そればかりではなくて、やっぱり今回の経験の中からいろいろな改善すべき点ということが現在議論されておりますので、そういった点について種々の改善を図っていく。例えば共通一次の後になってから各大学への出願をすべきだというような御提言等も出ておりますし、そういったぐいのこともございますし、また、受験生あるいは大学側ともどもいろんな面での情報が不足であったというようなことについても、何らかの形でその情報がつかめるようなたぐいのもの、情報資料を持って対応できるようにしていくというようなこともいろいろ考えていかなければならないと思っておりまして、国立大学協会で現在検討いたしておりますけれども、私どもも各方面の御意見、あるいは大臣を先頭に今各地で懇談会等を行っておりますが、そこで出された御意見等を逐次国大協等にも実情を伝えながら協力をしていただき、検討していただくという方向で現在進めているところでございます。
#66
○田沢智治君 父兄や高校教師から、二次試験の検定料を一万一千円払い込んでいる、足切りによって目的枝を受験できなかった、返還しろというような声を聞いているというのですが、文部省聞いておりますか。
#67
○政府委員(阿部充夫君) 国立大学の受験料につきましては、これは各大学で試験の仕方は大変まちまちでございまして、実技試験をやるところとかあるいはこれはやらないところとか、二次試験の科目が一科目のところとか四科目、五科目やるところとか、いろいろございます。そういったたぐいのものでございますので、これをそれぞれの態様に合わせて別々にその受験料を決めるというのは、大変技術的その他の面で困難な面があるというようなことから、現在のところはすべて一律に、同一の単価で受験料を決めてそれを受け取るということにいたしておるわけでございまして、そういう意味でこれまでも、いわゆる二段階選抜、足切りをやるかどうかということにかかわらず、一定の額を受け取るということにしたわけでございまして、これは省令で決めまして各大学の募集要項で定める、そういうことで受験者に周知徹底をした上で、その手続に従って徴収をしたというものでございますので、そういう意味から、これについてお返しをするということはあり得ないことだと思っておるわけでございます。
 ただ、従来と違ってきた点は、今回かなり多数の方が出てまいりまして、これ、影響が大きくなってきているというような実態もございます。こういった実態を踏まえまして、今後、六十三年度入試以降についてどうするかということにつきましては十分検討いたしたいと、かように考えておるところでございます。
#68
○田沢智治君 これ、ざっと計算すると十一億。それにやはり受験生は旅費とか食費とか宿泊費等を入れると一人十万近く使っているんじゃないかなという意見もあるわけでございます。もし十万使っているというと百億前後になるという、これまた大変な経費負担というものを父兄にかけることになると思うんです。
 文部大臣も過日、受験生代表、高枝生代表、父兄代表と御懇談していろいろな意見をお聞きになられたということは私は高く評価します。今後、やはり第一次試験実施前に各大学への出願というものは、一体自分がどれだけ取れるのかなという不安を持ちながら受験生は受験をするというような、それで足切りされちゃったということになると、来年もしこのようなことを続けるとすれば、私は大きな問題が残ると思うんです。先ほど局長が言われたように、共通一次試験後云々するというような改善案、これも一つの方法だろうと思うんですね。ですから、余り過去のものを引きずって歩かぬで、きちっと受験生の立場に立ってどうしたらいいだろうかというようなことを考えていくことが大切じゃないだろうか。
 ある受験生が私のところへ来てこう言っていました。自分はマークシート試験は苦手だけれども、小論文とかあるいは面接等で、第二次試験で頑張って合格したいんだ、足切りという制度を廃止してもらいたいという訴えがあるわけですね。例えばA君は、第一次試験の点数で十点足りなかった、しかし二次試験で平均点よりも二十点多く取れば合格できる、面接等で頑張りなさいと教育指導をするのが――個性と能力を伸ばす教育をやりたいと大臣は所信の中でこう申されておるんだから、やはりそういう工夫をする。君は第一次試験では少し足らなかったよ、しかし第二次試験で平均よりも頑張れば入れるよ、だから頑張りなさいと言うことが若者を育てる教育の場にとって大事なことじゃないだろうか。君は一点足らぬからだめだよというような教育姿勢から、君はここを頑張れば何とかなるぞと、こういう教育姿勢というもの、こういうような物の考え方に立った教育全般の教師の姿勢というものが、やはりこれからの大学入試というものにはそういう温かい思いやり
の心があっていいんじゃないだろうかと、こう思うんです。
 もし足切り制が廃止できないとするならば、足切り線上にいる受験生に何らかの救済措置を講ずるという努力をすることについて、文部大臣、いかがでございますか。
#69
○国務大臣(塩川正十郎君) それはちょうど裏表の議論で、まさに矛盾するような意見が先生の方からも父兄からも、そして第一受験生がそれを言っておりました。
 まず第一の問題として、共通一次試験が済んだ後で二次校の試験の出願をさせてほしいと、こういう意見が出ましたら、違う高校生は、いやそうじゃない、我々はやっぱり、今度大学が行きたい学校を選べと、こういう趣旨でやってくれたんだから、行きたい学校というのに僕は目をつぶって願書を出したんだ。だから、一次試験の結果はいかであれ、私は一応それで行きたい学校に出したんだ。共通一次の後で二次の希望を出せということになればその決心が鈍ってしまう。やっぱり行かれる学校しか選ばなくなってしまう。だからこれを置いておいてほしいと、こういう意見があった。そうしたら片っ方の学生は、いやそれはやっぱり一次の前に二次を決めるということは酷だという意見もございました。これは私は、まさにそこが世の中のおもしろいところでございまして、これがやっぱり私は大学がまさにどこに重点を置くか。二次に置くか一次に置くかという大学の問題とも関係してくると、私はそう思っておるんです。これは大学がやっぱり判断すべき重要な要件だろうと思っております。
 それからもう一つ、面接とか作文とか、個性を尊重してくれという話があったんです。これは随分と多くの意見が出ました。しかし一方から言いまして、学生はこう言うんです。それは困るんだと。なぜかというと、私はある程度までいったけれども、結局おまえの人柄が悪いからと、作文も悪いし、面接になればどうもおまえの人相が悪いから落とされたと言われたらあきらめがつかぬ。やっぱりおれが実力で書いたやつ、それで判断してほしい、こう言う学生もおりました。一方では、いや、せっかく勉強をしてきたんだから、私らも好きなところを選んでいるんだから、行きたい学校を選んでいるんだから、だから私らの気持ちも聞いてほしい、そうあってしかるべきだという意見もございました。結局のところ、総括いたしますと、要するに、共通一次を受けておれば、足切りをしないで一応二次はテストしてくれぬか、こういうのがやっぱり学生の一番切なる願いだった。
 そういたしますと、これから大事なのは、それぞれの学校が二次試験をする、その能力をどうして高めるか。足切りをせぬで希望する者は全部試験受けさせてやろう、これをどういうぐあいにするか。これに対して大学側は、そんなことをするのだったら一次試験の意味がないじゃないか。我々が公平に厳格に採点するのには、おのずから受験生の数に対する能力があると、こう大学側は主張しておりまして、そこらがこれから大学とやはり文部省なんかが、一応どうして採点の能力を高めるかということが今後大きい課題として一緒に研究しなけりゃならぬだろう。私は大学が、そのために例えば予算的な措置が必要であるとかおっしゃるならば言っていただきたい。そうすることが学生に少しでも受験の機会を広めてやることになるんだから、そのことについて大学の意見もないということになれば私は残念だと、そういうことを今私は大学に申し上げようと思っておるんです。要するに受験生は、足切りをしないでもう一回やらしてほしい、二次試験やらしてほしいと、こういう希望が非常に強い。
 それからもう一つ、先ほどおっしゃっておりました二次試験の受けられない足切りの者十万人。これは十万人じゃないんです。これは何といいましょうか、報道がセンセーショナルに出されたんですね。本当なんです、これは。延べでいったらそうなりましたけれども、実人員でいきましたら三万一千人なんです。そうなんです。そこはやっぱり学生も知っていますし、また自分が足切りをされて、それがために受験料を半分返せと、この意見も不思議になかったんです。親は、金がかかるから返せるものなら返してもらいたい。しかしそんなことよりも、子供が三つ学校を受けられるんですから、その受けられる機会を少し間隔を置いてやってほしい。まあ家にも帰ってこぬ。Aを受けた、今度はBだと走り回っておる。むしろ健康を気にするから、そこらの間をちょっと置いてやるとか、何か考えてくれぬか、こういう意見がありました。しかし報道の方では何かそれがわあっとえらい要求のように出ておりました。私が聞きました意見の中では、そういうことではなくして、もっと受験は金をかけてもいいけれども、そのかわりに受けられるようにしてやってほしい、こういう親の意見の方が強かったということであります。
#70
○田沢智治君 内容はよく理解することができます。
 そこで私は、やはり多様化時代ですから多様な考えがあっていいと思うんですね。ですから、足切り制度やめるならやめちゃう。受ける者はみんな受けろというような一貫した物の考え方で文部省が指導するならば私は結構だと思うんですよ。そのかわり、今言うように、その後もう一遍受験機会のチャンスを与えましょうと、結果が出た後。ですから、やはり自分は足切りは嫌だからと合格する大学を受験したいというのは、そういうのも生かしたらいいじゃないですか。そうじゃなくて、私は足切りがあったって結構ですよ、たとえ不合格を覚悟してもというような受験生ならば、それも生かしてあげるというのが個性化の時代じゃないんですか。画一化していくという考えになると点数至上主義になっちゃって、これは採点するのは楽ですわね、点数見てやっちゃうんだから。しかし、教育というのはそういうものじゃないわけですよ。やはり、すべての子供にそれなりの個性と能力、足りないものを付与していくというのが、私は人間の教育の原点だと思うんです。
 ですから、やはりそういうような意見を率直に受けとめて、足切りは嫌だよという人にはそのような生かし方をし、足切り結構だよという人にはそのような生き方をさせていく制度の運用を一生懸命考えていくということがこれからの入試制度の改革をする大きな課題だろうと、こう思うんですが、いかがでございますか。
#71
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、足切りはやっぱり必要だと思いますよ。それはやっぱり受験といったって競争なんですから、受験した者は全部二次試験やると、それはなかなか難しいと思います、だけど、自分で個性があるという者は、そういう学校は私立大学にでもいろいろあるのでございますから、そういう道を選んで、自分で自分の個性を伸ばしたらいいとそう思うので、国公立の大学というのはやっぱり公平を期すということになってまいりますと、あながち全部の者を救済するというわけにはいかない。やっぱりそこでは競争を実施して、競争に勝ってきた者がその学校に入る、これはやむを得ないことだと思う。けれども、その競争をいかに緩和してやるかということ、ここがまた一番難しいところだと思います。
#72
○田沢智治君 最後に、今文部大臣がちょっと言われたのは、それじゃもう点数至上主義で国立大学はやるぞと、個性豊かな者を育てたければ私学に行けというのならば、それで払いいと思うんですよ。そういう方針をぴしゃっと出すならば。しかし、それはちょっと冷たいんじゃないかなと、こう思うんですが、そういう意味で言われたんじゃないと私は理解いたします。
 時間が来ましたので、やはりこの問題については今後いろいろ党の中でも、我々もプロジェクトチームに入っていますから、いろいろな意見を申し上げたいと思いますが、若者がより勇気と希望を持って未来に羽ばたいていけるような活力のある制度を改革しながら生かしていただきたいということを御要望申し上げまして質問を終わりたいと思います。
#73
○吉川春子君 学校開放についてお伺いいたします。
 臨教審の第三次答申で、学校開放を積極的に進めると、また情報化、国際化の要請にこたえてインテリジェントスクールなどに発展させていく開かれた学校構想を示しています。さらに、「概要(その四)」では、既存の学校用地を利用してインテリジェントスクールをつくり、テナントも入れて二十四時間利用のできる施設にするとか、土地信託や民間との共同開発などの提言も行っています。深夜など、学習、教育に使わない時間帯には、ビジネスの用途にも供するようにするなどと述べています。これらの臨教審の考え方は、学校開放の概念からは大きく離れ、現行の法制のもとでは行い得ないものと思いますが、いかがでしょうか。
#74
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘のございました点、主としてこのたびの臨教審の第三次答申におきますインテリジェント化という構想に関連することかと存じます。
 ただいま御指摘がございましたように、このたびの答申で、まあこれは学校だけに限りません、教育、研究、文化、スポーツ、そういったたぐいの施設につきましては、これはやはりこれからの生涯学習の時代ということを考えると、それぞれその地域における、あるいは社会共通の学習基盤として、やはりこれをできるだけ有効、積極的に使うべきではないかという、そういう考え方の御提言であろうかというふうに思っております。
 これからの生涯学習への対応の問題でございますとか情報化への対応の問題でございますとか、ただいま申し上げました施設の有効利用ということは、やはり私どもとして考えていかなければならない課題であって、これを具体的にどういう形で進めるかということにつきましてはこれから随分と検討しなければならない。我々も内部でそういう検討を始めておりますけれども、こういう考え方のもとに、つまり、これらの施設を社会共通の学習基盤として有機的に活用するという考え方は大変に示唆に富んだ考え方ではないかというふうに受けとめておるわけでございます。
#75
○吉川春子君 学校施設の目的外使用、あるいは学校開放というのは、やっぱり学校の教育に支障のない限り、そして学校教育を進めるという範囲で行われるべきと思いますので、臨教審の学校への民活導入とか土地まで教育以外のものに提供していくようなことは、私はこれは学校教育本来の姿としてはやっぱりあるべき姿ではないと思いますが、この辺はいかがですか。
#76
○政府委員(川村恒明君) 学校につきましてこれをどう考えるか。もちろん学校というのは、ただいま先生お話しがございましたように、これは学校教育のために本来存在をするということでございます、ただ、やっぱり臨教審でも指摘されておりますように、それはそういうことだけれども、やっぱり基本的には学校というのはそれぞれの地域社会の共同の財産ではないかという考え方、これはまた大切な考え方だという感じがいたすわけでございまして、本来の学校設置の目的でありますところの学校教育に支障があるというようなことがあってはもちろんこれは問題外でございます。それは問題外だけれども、より幅広い目でこれを地域の財産として活用していく、生涯学習の社会の中で活用するということも大切な視点ではなかろうかというふうに思っております。
#77
○吉川春子君 現在、小中学校の学校施設の開放がどの程度行われているのか、実態を御報告ください。簡単で結構です。
#78
○政府委員(加戸守行君) 学校施設につきましては、特に体育施設の開放が四十一年から進められておりまして、現在、例えば屋外運動場、グランドでございますが、その学校開放状況は小中高平均いたしまして七八・五%、それから屋内運動場、いわゆる体育館でございますが、その開放率が公立小中高の平均七八・七%、それから水泳プールにつきましては、同じく小中高の平均で三四・九%という開放率でございます。
#79
○吉川春子君 働く婦人が今二千二百六十三万人と言われて、全労働者の四割に達し、また、婦人労働者の七割が既婚婦人であると言われていますが、働く母親がふえてまいりまして、児童の放課後の生活をどうするかというのが大変大きな社会問題となってきているわけです。この子供たちの放課後については、文部省としてはどの程度実態をつかんでおられるんでしょうか。
#80
○政府委員(澤田道也君) 放課後学校から帰って、家に、親御さんが働いていていないという方につきましては、これまでの経緯の中で、民生、児童福祉の立場から取り組むべきものということになっておりまして、そういう意味で具体的な数字はつかんでおりません。
#81
○吉川春子君 子供たちの放課後の実態について、やはり文部省としてもきちんとつかんで適切な対応をしていく必要があろうかと思いますが、その点について文部省のきちっとした対応を求めたいと思います。
 実は塩川文部大臣が、これは十六日の教育改革推進懇談会の席上で、義務教育の子供を持つ母親は家庭にいた方がいいと、このように発言されたというふうに報じられております。この真意はどういうことなんでしょうか。
#82
○国務大臣(塩川正十郎君) これは子供に聞いたら一番よくわかると思うんですが、子供はやっぱりお母さんは家におってほしい、その気持ちを子供は皆持っておる。私はそのことを子供にかわって率直に申し上げたわけです。
#83
○吉川春子君 私はちょっとびっくりしました。政府の調査でも、共働きと非行との関係は認められないという結果が出ておりますし、むしろ自立が早いということも一般的に言われております。何よりも女性の社会進出を積極的に進めるためのさまざまな施策が政府の手によって現在計画され、行われているわけですけれども、この大臣の発言は、そういう意味では女は家庭に帰れという発言でありまして、大変遺憾であると思います。
 文部省は、こういう方針で女子教育をやろうとしているんですか。
#84
○政府委員(澤田道也君) 権利の問題として、女子の男子との関係のいろいろなことについて施策を充実していくことは、我々も総理府と一体となってやっておりますが、権利の行使とは別に、家庭において子供さんが学校に行っている段階でどのように共働きをするか。また、自分らの経済状況の中でどういう判断を各家庭でやっていくかということについては、大臣のお考えはほかの場面でもよく私どもも聞くところであるし、それなりに理解できるところであると事務当局は考えております。
#85
○吉川春子君 大臣に伺いますけれども、これが文部省の方針なんですか。
#86
○国務大臣(塩川正十郎君) 文部省の方針は、先ほど澤田社会教育局長が言っておりますように、男女の機会均等、これは法律も通っておりますし、世界の条約にも入っておりますから当然でございますから、それはもうそれで私は当然のことだと思っております。
 しかし、一方から見まして、子供はやっぱり母親が家におってほしい。男女平等だから、それじゃおやじがおったらいいじゃないか、家に帰ってお父ちゃんただいまというわけにちょっとこれはいかない、やっぱりお母ちゃんただいまと言うだろうと思うんです。私は、子供の気持ちを率直に言っておるだけでございまして、そのことを、これを男女平等の原則に反するとかなんとかいう議論は私はこれはおかしい。私自身が何でそう言われるのかなと思って、不思議でございます。
#87
○吉川春子君 文部省は、やはり働く母親が大変ふえていて、その中で子供たちの放課後の問題などについても心を砕かなきゃならないし、政府も、女性が社会進出をしているその条件整備を行う、そういう責任があるわけなんです。女は家庭に帰れという発言は、そういう条件整備を政府はやらないという責任逃れの発言にもとられるわけでして、その辺が大変大きな問題であるというふうに思うわけなんです。
 では大臣、伺いますけれども、一斉に働く母親が社会から後退して家庭に入ったら、日本の経済はどうなりますか。社会だって支えていけないじゃありませんか。その点についてはどうですか。
#88
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、そういう難しいことはわかりませんが、しかし、子育てを終わって、まだ女の方は皆元気ですから、四十、五十は。そういう方々もこれからどんどんと社会にあるいは職場に進出してもらってもいいんじゃないかと私は思っております。だけれども、やっぱり子供が成長期にある間、そのときはやっぱり子供は母親を求めておりますよと、この気持ちを酌んで、自分の家庭を考えていただきたいという、私は率直な人間としての心情から言ったのでございまして、権利の義務のというそんな観念から言ったものではございません。
#89
○吉川春子君 女性が早く家庭に帰れるような通勤時間の問題とか時間短縮の問題ですとか、いろいろやるべきことはあるんで、そういう条件整備をするべきで、家庭にいて子供に接したいと一番思っているのは母親自身ですからね。そういうことをおっしゃる前に、やはり女性が安心して働ける条件整備を政府の力でやるという立場に立っていない、やっぱり思いやりを欠く発言であったと私は思います。
 その働く母親がふえている中で、学童保育所の問題が大変切実な要求として出てきているわけですけれども、一千万人でしょうか、小学生の二、三割がかぎっ子であると言われています。学童保育の制度化を求める請願が国会に出されて、過去二回、衆参両院で全会一致で採択されておりまして、そういう点でも文部省としても責任ある対応が求められていると思うんです。全国の学童保育所が現在小学校の数の六分の一程度の数であり、少なくとも各小学校に一カ所必要という現状から見れば、ほど遠い数であります。学童保育所の運営の中では、指導員の確保、待遇などさまざまな困難がありますけれども、その中で特に施設の確保は困難を極めているわけなんです。例えば空き教室あるいはさまざまな学校の施設を開放してほしいという強い要望が関係者の中にあるわけですけれども、この点について、学校開放との関係で、文部省はいかがお考えですか。
#90
○政府委員(澤田道也君) 臨教審の答申にもございますように、学校施設が家庭、学校、地域の連携の中で、地域の子育てに対してより一般的により活用されなければいけない。社会教育、家庭教育関係者、ボランティアも含めて、そういう意味では学校開放を進めるものと思っておりますが、特別に、先ほど申し上げました親が働いておるいわゆるかぎっ子のために、文部省として、学校施設の活用を特に働きかけるということは考えておりません。あくまで一般的な子育てのための学校施設の活用をまず第一義として考えてまいりたいと思っております。
#91
○吉川春子君 だから、例えば教育上支障がないとか空き教室の活用などについて、それを文部省としてもちゅうちょする必要もないわけですね、そうすると。
#92
○政府委員(澤田道也君) 地方公共団体として、教育委員会と民生とのいろいろな関係で、共同事業があるとか応用動作は全く否定するわけではございません。しかし、文部省として、学校施設をいわゆるかぎっ子、いわゆる学童保育にぜひ使ってくださいということを申し上げるべき筋合いのものではないというふうに、そのように御理解を、近ごろいろいろなお話し合いのときには申し上げているわけでございます。
#93
○吉川春子君 大臣、現実の問題として働く母親がたくさんいて、かぎっ子もいて、どんなに家庭にいたいと思ってもいられないという状況もあります。そういう中で、やはり子供たちの放課後の生活も含めて、やはり児童生徒の教育というものを考えていかなければならない文部省としては、ぜひこの学童保育所の問題にも理解を示していただいて、そしてできるだけそういうお母さんが安心して働けるような条件、学童保育所がその一つですけれども、そういうもののためにもぜひ心を砕いていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがですか。
#94
○国務大臣(塩川正十郎君) それは当然、できればそれはもう推進すべきだと思っております。しかしですよ、今、一番末っ子が六歳から十五歳までの母親の有職率を見ましたら五一、二%あるんですね。こんなに多くなりまして、それを、今まさに質問の中でもおっしゃっているようにほど遠いことで、なかなか一遍にそんなものを、何といいましょうか、学童保育所というものをつくれったって、これはなかなか急にできるものじゃない。それよりもむしろボランティア活動をどううまく組み合わせていくかということだと思いまして、そういう点についても研究をするようにいたしましょう。
#95
○吉川春子君 半ばボランティアのような形で学童保育が進められている地域もありますが、本当に文部省としてもぜひお考えいただきたい。大臣はお考えくださるものと私期待しております。
 ちょっと時間が残り少なくなりましたけれども、防衛庁お見えでしょうか。――三重県の久居市で、四月二十九日に久居駐屯地の開設三十五周年記念行事で、小学生に小銃を試射させた、このことについてちょっと御報告いただきたいと思います。
#96
○説明員(鈴木正孝君) お答えいたします。
 ただいまの三重県の久居市でございますが、久居にございます私どもの陸上自衛隊のところで記念行事がございまして、その件でございますので御説明いたします。
 私ども、一般的にいいますと、我が国の防衛を国民的基盤に立脚したものとするために、自衛隊の現況とかいろんな諸施策につきまして、広く国民の方々にいろいろな形で広報活動をやっておるわけでございます。その中で、駐屯地の記念日行事等におきまして、いろいろと直接自衛隊というものを見ていただく、あるいは肌で触れていただくというふうなことでいろいろなことをやっておるわけでございますが、先般、四月二十九日でございますが、三重県の久居の駐屯地の開設三十五周年の記念の行事が行われまして、その際に、お尋ねのことでございますけれども、六四式という小銃がございますが、そこに、ヒットインジケーターという赤外線の装置でございますが、これをつけまして、いわば光線銃のような形のものでございますが、そういうものを使って一部広報したという事実はございます。ただ、その際に、標的を人の形にしたような、そういうような事実はございません。そういうことでございます。
#97
○吉川春子君 実際に自衛隊が実戦に使っている小銃をちょっと光線銃に直して使わせだということですが、文部省、現地の教育委員会はこの点についてどういうふうにコメントを発表していますか。
#98
○政府委員(澤田道也君) 特にコメントは発表したとは聞いておりません。本日お尋ねがあるということで三重県教育委員会を通じて聞きましたところ、新聞に……
#99
○吉川春子君 市の教育委員会。
#100
○政府委員(澤田道也君) 三重県教育委員会を通じて聞きましたところ、久居市の教育委員長が、新聞に出たその日の午後、現地の駐屯地の広報班長さんのところへ行って、実際はどうか、小学校の生徒に触れさせるのはいかがかなというような会話をした。そういう申し入れというか、そういう感想を言ってきたということは事実でございますが、特に公式なコメントをしたというふうには聞いておりません。
 また、私どもとして、特にそういう、先ほど防衛庁が申し上げましたように、自衛隊が、地域のために国民の認識、理解を深めるための広報活動は重要であると考えられておやりになることについては当然なことだと思いますし、一般地域住民が自由参加でそういうところへ参加をして実地に青少年を含めていろいろなことを勉強すること、そのことは基本的にいいことだと考えております。
#101
○吉川春子君 あなたはどこの役人なんですか。文部省でしょう。防衛庁じゃないでしょう。文部省の立場で、子供の教育の立場で考えていただかなきゃならないことなんです。
 各紙に報道されましたけれども、実際に自衛隊が使っている小銃を光線銃に直したとはいえ、人
形もあり、ヘルメットもあり、そういうものに命中させるようなことを自衛隊がやったんですね。広報活動の一環とはいえ余りにも教育的な配慮がなさ過ぎるというふうに思うわけです。これは各紙で報道されましたし、一様にみんな批判的な談話も発表しているわけで、現地の市教委などがはっきりと批判のコメントを発表しておりますし、私は、我が党の県会議員を通じて県の教育長のコメントも実はいただいておりますけれども、今の問題などがある中でいかがなものかというようなことも伝えられております。
 私は、今後の問題として大臣に要望したいと思いますけれども、事は小学生、中学生に関する問題ですので、教育的な配慮を欠くようなことは絶対にやらないように、そういう立場で文部省も対処していただきたいと思います。
#102
○国務大臣(塩川正十郎君) 私はその事件を本当は知りませんので、よく聞きまして、おっしゃるようなことが教育的配慮に欠けておるということでございましたら、それは十分に注意いたすようにいたします。
#103
○吉川春子君 終わります。
#104
○委員長(仲川幸男君) 午前の質疑はこの程度にして、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#105
○委員長(仲川幸男君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 先ほど、吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。
    ―――――――――――――
#106
○委員長(仲川幸男君) これより、休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います回
#107
○高木健太郎君 本日は、時間も余りございませんので、学費特に授業料の件と生命倫理の件、そして外国人留学生の受け入れのことについて、それからもし時間がありましたらスポーツ障害のことについてお尋ねしたいと思います。
 学費の件でございますが、御承知のことと存じますけれども、公立学校と私立学校の間には非常に大きな格差がございまして、幼稚園から高等学校卒業までの十四年間を見てみますと、公立学校では百五十九万円、私立学校では七百六十二万九千円と、約五倍の差がございます。その上に、ほとんどもうすべての小学生、中学生は塾に通っておりますし、生活費もかなり高騰をしておるということで、非常に父兄にとっては大きな負担になっている。非常に教育熱心な日本人でございますので、それに耐えてやっているというふうに考えてもよいと思います。
 特に私は大学のことについてお聞きしたいと思うんですけれども、私立大学と国立大学の比較を見てみますと、授業料でございますけれども、大体私立大学が六十万ぐらい、これは施設費等も入れておりますけれども。それで国立大学の方はそれの一・六分の一。私立大学の方が約一・六倍高い。これは文科系でございますが、理科系におきましては、私立大学は大体八十万、国立大学の約二・三倍ということになっております。そのほか医科歯科系におきましては、私立大学でございますと全体で約四百万近くということでございまして、国立大学の約八・七倍、八倍ぐらいでございます。こういうように、非常に大きく学費というものが違っているわけでございます。
 そこで、きょうお尋ねしたいのは、時間もございませんからひとつ簡単にお聞き申し上げますけれども、この授業料というのは大体隔年、二年ごとぐらいに上がっている。それからまた、その間を縫って御存じのように入学科、検定料が上がっているということでございますが、この授業料というものは大体どのように決められているのか。どういう基準でこれが決められているのかということなんです。私、公立大学の学長をしておりましたときに、必ずこれは学生との間の討論の場に上るわけでございまして、公立大学の場合は国立大学に倣って上げる。それで一年おくれで上げていくというので、そう大きな問題はございませんでしたけれども、国立大学の学長は大変これで困っておられるのではないか。質問をされても、授業料が何によって決められているかということがよく説明ができない。説明ができないと学生から突っ込まれるということになりますが、文部省としては、授業料というものの基準は何によって決められているかということをお聞きしたい。
 それから次に、大蔵省の方では、六十二年度から授業料を上げるんじゃないかというお話がございまして、特に人文系と理科系との間に差をつけようと、こういう話がございまして、文部省側としては、人文と理科系とを同一にするという姿勢を貫かれて、六十三年度は見合わせる。それで六十四年度か五年度あたりからこれを何とか考えるということで、大蔵省は今これを検討している最中であると、こういうふうに聞きました。
 この以上の点、授業料はどういう基準でやっておられるか。人文系と理科系との間に差を設けないという、文部省はそういう態度でおられるということですが、それはどういう考えに基づいてやっておられるか。その点をまずお聞きしたいと思います。
#108
○政府委員(阿部充夫君) 授業料でございますけれども、これは学生がそれぞれの大学へ入って教育を受ける対価の一部であるということでございますが、具体にどういうふうにこれを定めていくかということになりますと、受益者負担の原則という考え方をとれば、必要な経費は全額負担をするということになるわけでございますけれども、特に国立大学あるいは公立大学というようなものを考えました場合には、必ずしもそういった受益者負担だけでははかり切れない、高等教育に一私学まで含めてでございますけれども、社会的な効用というようなものもある。その他諸般の状況を考えますと、にわかにこういう基準でこれだけの額にした方が適当であるということを判定するのがなかなか難しいわけでございます。
 そういったような観点から、従来から国立大学の授業料等の学生納付金につきましては、基本的にはできるだけ、要するに各所得階層から進学ができるようにというようなことを基本に考えながら、さらにまた一つには私学へ進む者と国立へ進む者のバランスもある程度は考えなければならない、それから社会経済の諸情勢も考えなければならない、そういったようなことを総合的に判断をしながら毎年度の授業料を決めてきているというのが実態でございまして、これについてどういう基準でということは、かねてからいろいろ議論がございましたけれども、明確な一つの基準として物を考えるというよりも、国立大学あるいは高等教育全体を取り巻く諸般の情勢を総合的に判断をしながら適切と思われる額にしていこうという以外に、現在のところ、具体な基準をつくることは大変難しいというのが私どもの考え方であり、そういう方向でこれまで対処をしてきたわけでございます。
 それからもう一点、文科系と理科系の問題についての御指摘をいただいたわけでございますけれども、文科系と理科系によってと申しますか、そういう学部学科の性格によって金額を分けるべきではないかという議論は従来から一方にあることはもう確かでございまして、私学の場合にはそのような措置が現実に我が国ではとられておるわけでございます。ただ、国立大学あるいは公立大学というものの社会的な使命というようなことを考えますと、やはり国、社会を担う基礎的な学問分野の教育とか、あるいは専門分野の人材の養成ということについて、公平にこれが存在しているということが必要だという面もございますので、これを学部によって金額を分けるとなりますと、当然のこととして理科系の学部あるいは医学部等の授業料は相当多額なものを要求せざるを得なくなるわけでございますが、そうなりますと、専門分
野ごとに、経済的な理由によってどの分野を選ぶかということが制約をされてくるというあたりのことはやはり問題があるのではないか。教育の機会均等という面から問題があるのではないかというのが私どもの基本的な考え方でございまして、そういう意味で、これまでこういう論争等もございましたけれども、私どもとしては、この問題については慎重に対処をする必要があるということで、現在までこういうことは行われておらないわけでございます。
 今後、授業料そのもの、あるいは文科、理科の別というような問題について再度議論等が起こってくるということは考え得るわけでございますけれども、関係者の方々と相談をしながら、ただいま申し上げましたような趣旨を踏まえて適切に対処をするように努力したい、かように考えております。
#109
○高木健太郎君 おっしゃられましたように、大学教育もいわゆる教育の機会均等ということがある、そしてそれは国家の人材をそこで養成するという社会的な要請がある、こういうことは私おっしゃるとおりだと思います。
 それで、もし社会的使命ということであるならば、極端に言えばそれは設置者負担である、全額設置者負担でなきゃならぬと、こう思いますが、それはだめ。どうしてだめかということですね。
 それから、文、理が一緒であるということは、これは確かにいわゆる社会的使命とかそういうことから考えて、大学の使命から考えて、文部省がおっしゃるように文、理は同一であるという線が私正しいと思います。それから一方では、これを大蔵省あたりが押してくるという理由は、やはりどこかに受益者負担という考え方が潜んでいると、こう思うんです。また、文部省として、諸般の事情を考慮してという、そういう非常に言葉はいい言葉なんですけれども、しかも適切にと、こう言われると私何も言うことはないわけなんですが、私が考えているのは、これはもう少し適切な基準をつくることをお考えいただかなきゃいかぬのじゃないか。
 私、ちょっと数え上げますと、私立大学と国立大学は同じでなきゃならぬ、大体同じ仕事をしているんだから同じでなきゃならぬ。だから、私立大学の補助ということがあるわけですけれども、その助成というものをもっと上げていくということは私この際必要じゃないか。そして、考えの一部には、今局長言われましたように私立大学と国立大学のバランスの問題があって、国立大学をそう安くしておくこともできぬし無償にしておくこともできぬ。これが一つの条件だと思うんですね。
 それからもう一つは、やはりそうは言っても、これは義務教育じゃないんだから、そしてある程度就職のライセンスをもらっているようなものですから、本人も得しているんじゃないか。それから、もう高等学校でやめて働いている人もあるじゃないか。そういう人から比べれば、大学へ行っているというのは本当にそれは恵まれているんだ、家庭的にも恵まれているから行けるんだという意味では、少し出したらどうだというので受益者負担ということが出ているんじゃないかと思うんですね。その受益者負担を入れれば文、理の方にうまく合わないということですね。
 それから財政の再建ということがありまして、今財政危機である。現在政府は財政危機の状態にある。それで、その財政再建の意味からは、大蔵省としては、これは減速経済の現在の状況ではどうしても少し上げてもらわなければ国庫負担がしょい切れないというようなこともあるだろう。
 それからまたもう一方では、大学というものは、これは民主的文化国家の形成にあずかる非常に重要な人材を養うところである。これは文部大臣もおっしゃったとおりでございまして、非常に長期的な、国家百年の計であると、こういうことがいつも書いてあるわけです。これは長期的継続的な事業でなくてはならぬと。となりますと、現在財政危機であるからそれに見合って授業料を上げる、こういうことをやっているということとは合わないのではないか。また、そういう意味で、無償にしてしまう、大学を無償にするということは、そうすると文部省あるいは官庁の統制が強くなる、あるいは思想、信条への干渉が起こり得る可能性があるのではないかと、こういう要素がありまして、私もそれは諸般の事情を考慮しますとなかなか難しいと思いますが、もしそれならば私は提言をいたしたいわけですけれども、授業料に関してもう少し真剣に諸般の事情を考慮すると、その諸般をたくさん挙げられまして、どこにどういうウエートをかければ本当の意味の教育ができるか、また社会的な要請にも合うかというようなことを審議するような機関を文部省内にでもあるいはグループ研究なりでおつくりになる、あるいは、大蔵省と絶えずそういうことをよく議論をし合う、こういうふうな機関をおつくりになったらどうかなというふうに思うわけでございますが、文部大臣、何かそういうことにつきましてお考えがございましたらお聞きしたいと思います。
#110
○政府委員(阿部充夫君) いろいろ有益なお話を伺わせていただいておりまして、大変参考になると思って伺っておるわけでございます。
 御質問にございました、全額設置者負担にしたらどうかというお話が量初の方にございました。先生御承知だと思いますが、日本の国情の場合には――世界の諸国では、国立て非常にわずかの大学を持っているという国の場合に無償というところはあるわけでございますけれども、ただ日本の国情から申しますと、実質的に八割ぐらいの学生が私学に行っているという状況で、こういった中で無償という措置を講ずるというのは制度的に非常に難しいというようなこともございまして、かなり前でございますけれども、国際人権規約に関係の規定等がありました場合にも、日本としてはこの仕組みには、私学をたくさん抱えている以上乗りにくいというような対応をした経緯もあるわけでございます。そういったようなことを踏まえまして、現実に私学が多数あってそこに八割の若者が進学しているということを考えますと、やはり授業料の金額を決めます場合にも、国公立大学について私学とのバランスをある程度考えながらやっていくということは、国民、納税者に対する公平的な負担というような点からも、ある程度これは考慮に入れなければならないことであろうと思うわけでございます。
 そのほかに、先ほど来申し上げました幾つかの受益者負担の考え方、あるいはそれ以外にも、国家社会にこの果実が貢献されているというようなこと等を総合的に判断しなければならないわけでございまして、この問題については実はいろいろと今までも議論がございまして、中教審でもかつて議論がございましたし先般の臨教審でも議論がなされておるわけでございますが、ただ、いかんせん非常に難しい問題でもございまして、にわかに結論を得るのは難しいというようなことでございまして、私どもとしては、先ほど来申し上げましたような方針を踏まえながら常時、これは特に国立大学協会等に第六常置委員会というようなこういう問題を検討する機関がございまして、先般も一緒の会合で、ぜひ第六常置の方でももう少し理論的な検討もしてみてくれというようなお願い等もしておきましたが、そういったようなことを踏まえて、関係者の衆知を集めながらこの問題には対応していくということで、もう少し検討の時間をいただきながら進みたいと、こう思うわけでございます。
#111
○高木健太郎君 バランスというお話がございましたけれども、等しくすると一番バランスがとれるわけなんですけれども、そのバランスというのを一遍よくお考えいただきたい。どこまで上げていっていいかということですね。やはり言葉というのは聞いていると非常にぐあいがいいんですけれども、実際やってみると何もできないということがありますから、それも決めていただきたい。
 それから、バランスをとろうと思えば、私学の方を何とかいろんな方法で安くしていく。例えば文部省からの助成金をふやしていく。そうするとそれでバランスが少しとれるということもありますし、国立大学の方を上げるというやり方もある
わけですが、私は、国立大学を上げるよりも、大学教育が非常に国家にとってあるいは将来の日本の発展にとって大事だというならば、やはりできるだけ私学の助成をふやしていく。ことしはかえって減ったんですね。だから、少し上げるような努力をしていただきたい。そうして、私学にはなかなか入れない、国立には入れなかったという人のためには、前々から話が出ております、例えば個人助成である育英会とかその他の助成金でそれを補っていく。全体として教育の機会均等を受けて、それで落ちこぼれのないような、いい人を落とさないような、そういう教育の制度をひとつつくっていただきたい、そういうふうに思います。
 現在の大学は、幸いなことに日本は非常に恵まれた状態にございますので、大学生でアルバイトをしていない子供はほとんどいない。大学生あるいは大学院の生徒が家庭教師になって小学校や中学校の子供を教えている。それが一つの収入になっている。それだけ家計としては助かっている。それがあるわけですけれども、それは本来の姿ではないわけなんですね。だから、本来の姿に戻すためにどうしたらよいか。この授業料というのは、アルバイトというのは余りしないでも済むように、学業に専念できるようにというような形にするのが、授業料としては非常に重要なファクターになっていると思いますので、ぜひひとつ国立大学協会の第六常置委員会なんかとお考えいただきましてある線をひとつ出していただきたい、あるいは計算をするファクターをひとつきちっと出していただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。
 次は、生命倫理のことでございますが、御存じのように、現在科学が進歩いたしまして、特に医学の進歩が著しいものがございまして、そのためにいろいろの倫理問題が医学の分野で起こっております。昔の家庭には全然なかったような、学ぶことができなかったこと、特別にそれを勉強しなければわからないというような問題がたくさん出てきました。体外受精もそうです。借り腹の問題もございます。あるいは遺伝子の組みかえというようなことも起こってまいると思いますし、また、現在問題になっております脳死とか臓器移植というような問題もございます。あるいはまた、昨年でしたか、研究所あるいは大学におきまして動物実験の動物の取り扱いについて世界の方から、フランスその他からいろいろクレームがついてまいりまして、実験動物の取り扱いにつきまして文部省もいろいろ御苦労をされたということを私は聞いております。
 そういう意味では各大学に医学教育の倫理委員会、医学倫理委員会というようなものができまして、それぞれ倫理委員会で、いろいろの論文を提出する際あるいは実験をする際、そういう場合に倫理委員会の意見を聞いて、そしてこの実験は進めるべきかどうか、あるいはどういう注意が必要かということを倫理委員会で判断をして指導をしているということは御存じのとおりでございます。この間の京都大学の解剖学の教授の調査によりますというと、現在、生命倫理の教育を導入している学校が七割ある。また、講座に取り入れているところが三割ある。これは私非常にいいことだと思います。
 文部省としては、こういう生命倫理の教育につきまして、何か指導なりあるいはそれとの相談なり、そういうシステムをお持ちかどうか。あるいは文部省としてはどうやろうと思っておられるか。特に医科歯科系の大学ですね。そういうものに対して、何か連絡会なりあるいは指導なり、そういうことをしておられるのかどうか。あるいは今後どういうふうな指導をしていこうとお考えになるのか。その点をちょっとお聞きしておきたいと思います。
#112
○政府委員(阿部充夫君) 最近、医学、医療は大変高度化をしてまいりまして、御指摘にもございましたように、脳死の問題であるとか臓器移植だとか、いろいろ人間の生命、死という問題についての大変ぎりぎり詰めた議論なり研究なりということが必要になってきているということは御指摘のとおりであろうと思っております。
 現在各大学で、これは昭和五十九年に、「医の倫理に関する教育の実施状況」ということで文部省が調査をしたところによりますと、医学概論という形でその中で対応しているというのが七一%であるとか、あるいはその他の講義の中で配慮をしているのが八二%、実習面の際にそれに配慮をしているというのが八五%、課外活動でそういう指導をしているというのが六五%というように、各大学やり方はいろいろございますけれども、この問題にほとんどの大学が取り組んで指導をしているというような状況にあると思っております。
 さらに、この問題につきましては、昨年の七月に、文部省の中に医学教育の改善に関する調査研究協力者会議というのを、これはもっと前につくったものでございますけれども、そこでいろいろ御議論をいただきまして、特に当面する医学教育の問題についての御議論をいただいたわけでございますけれども、その中間まとめが昨年の七月に出ておりますが、その中間まとめの中でも、死に臨む患者にいかに接するかということを学ぶということでのターミナルケア、未期医療というような問題についてもその体験が大事だというような指摘等も行っておるわけでございまして、こういった医学教育の改善に関する調査研究協力者会議、いずれ最終報告をまとめていただく予定になっておりますけれども、こういうものを通じて、各大学にお配りをし、各大学での取り組みをお願いをしたいと、こう思っているわけでございます。
 なお、御指摘にございました倫理委員会のようなものもほとんどの大学にできてくるというような状況にございますが、こういった大学にできてきた倫理委員会が、それぞれの大学の中で適切な役割を果たしていただく。同時に、やはり学会等の場でもって相互の連絡をとりながら議論を重ね、適切な医療あるいは医学の研究が行われていくようにというような機運が一層高まってくるということを期待もいたし、また、必要な機会に文部省としても指導等もしていきたい、こう思っている次第でございます。
#113
○高木健太郎君 非常に結構なことだと思いますから、もしまとまったらぜひ私も見せていただきたいと思いますし、今度の医学会総会でもこれは取り上げられた問題でございますので、特に医師に対する国民の信頼は非常に薄くなっている。そういうことはこれは非常に大きな日本にとってはマイナスなわけなんです。そういう意味では、学生のときからそういうことをよく十分教えていくというようにひとつ取り計らっていただきたいと思います。
 もう一つ、厚生省の方来ておられますでしょうか。――一つお尋ねしますけれども、私、五十八年の一月それから六十一年の一月に、本会議におきまして、それぞれ林及び今井両大臣に脳死及び臓器移植のことをお聞きしました。その場合に両大臣からお答えがございまして、これは国民の生命、生死に関する問題で非常に重要であるので、国民のコンセンサスを得たい、得るように努力したいという御答弁がございました。確かに脳死状態なんというのは、科学技術、医学の進歩に伴って起こりました一種の異常な状態の一つでございまして、これまで我々が経験しなかったいわゆる死の概念というものがここには入ってこざるを得なくなりました。諸外国におきましてはこれを個体死とみなしまして、臓器移植にこれを用いておりまして、アメリカあるいはヨーロッパにおきましても非常に多くの人が臓器移植によって救われているわけでございますが、日本におきましては、文化、宗教、慣習が違いまして、なかなかそういうことができない状態でございます。また、実際脳死というものをお医者さんの中でも個体死と認める人と認めない人がございます。国民の中でもよくわからない人もございますし、また、それを否認する人、あるいは是認する人もあるというわけでございます。しかし、もうあれから二、三年、数年が過ぎておりまして、かなりいろんなところでこれが問題になっておりますので、厚生省としては、これをコンセンサスを得る必要があるとただ突っ
放さないで、どのような方向がでこの脳死、臓器移植をどうするか、国民にひとつ問いかけるというようなことは必要じゃないかと思いますが、厚生省はどのようにお考えでございますか。
#114
○説明員(吉田勇君) 脳死と臓器移植の問題につきましては、ただいま日本医師会の生命倫理懇談会とか日本学術会議の医療技術と人間の生命特別委員会、それからまた、いろんな各学会等で論議をされております。いろんな意見があるようでございまして、そういうふうな意見が活発に出されまして論議が深まっていくことによって社会的合意が形成されるものと考えております。
 また、私どもといたしましても、現在考えておりますのは、総理府で世論調査というのをやっておりまして、その中で脳死と臓器移植の問題について取り上げてもらいたいと思っておりまして、これは今現在私どもで、本当の国民の考え方というものを把握できるようにするためいろいろ検討中でございます。
#115
○高木健太郎君 大変結構なことだと思います。ぜひ進めていただきたいと思いますが、その際に、このアンケートというものは非常に間違った方向へ行くことがあるわけです。それは問い方によるんですね。だから、そういうことも十分考慮されるだろうと思いますけれども、いろんな方々の御意見を聞いて、どのような質問項目を出したらよいかということもぜひその前に討論をしてお出しいただきたいと思います。私、期待をして待っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 時間もありませんから、生命倫理の方はこれで終わりたいと思いますが、ちょっと一つだけ。
 アメリカでは、昨年一年間に、腎臓が七千六百九十五例、肝臓が六百二例、心臓と肺が一緒のやつが三十例、心臓の移植というのは七百十九例ございまして、それだけやっている。ヨーロッパもみんなやっているんです。しかも国際的にやっているわけですね。だから、もうそういうふうに進んでいるということは十分頭に置いておかれた方がいいんじゃないか。頭に置いていただきたいと思います。
 以上で、どうも厚生省の方ありがとうございました。
 次に、外国人留学生のことについてお聞きをいたします。
 外国人留学生の受け入れ態勢につきましては、いわゆる国際化が叫ばれる今日、大変文部省も骨を折っておられるわけで、日本語の教育あるいは国内における宿舎の増築、そういうこともやっておられるようですね。これまた非常に御苦労であると思いますし、大学当局、学校当局もこれに対しては非常に努力をしております。また学術振興会、あるいは国際交流基金、こういうものもお手伝いをしていただいているわけでございます。あるいは留学生後援会とか経済同友会とか、そういう民間の関係の方、あるいは個人の民間の方、そういう方々が、ぜひ海外の留学生の方に快く日本で勉強し、日本を理解していただきたいというので努力をしていただいているわけでございまして、これは一日もゆるがせにすることはできない、今最も大事なときであろうと思うわけでございます。
 ところで、ここでちょっと特に申し上げたいのは、アジアの人たちですね。アジアの人たちは非常に貧窮でございまして、そう言っては失礼ですけれども、貧窮である。特に日本は現在円高でございまして、せっかく向こうから国費の留学生としておいでになった方も、とてもそんなお金では足りぬ。中国の方は、多分国費留学生としてこちらにおいでになるときに十万ちょっとじゃないかと思うわけですね。そうすると、もう食費だけでもちょっと危ない。もちろん下宿が非常に高くなっておりまして、家賃が非常に高い。そういうことで、これを何とかしてやらなきゃいかぬというので、普通は同じ教室の方なり同僚が、みんなお金を出して、道具を買ってやったりお金を足してやったりしているわけです。これは、特に中国は日本にとっては私は大事な国だと思いますので、東京、特に東京の住まいについて何かお考えであるか。
 それから、国立大学というものに対して、アジアの人たちを受け入れる枠が小さいんじゃないかなと思いますが、その点はどうか。
 もう一つは、いろいろ学位を取ったりあるいは学士を取ったりという、大学院の方が多いわけですけれども、そういう枠を、資格の取得が非常に困難である。特に日本語で試験されると、これはどこの国の方もそうですが、大変困難である。こういうことについて、文部省としてはどのような施策を講じておられるか、お聞きしておきたいと思います。
#116
○政府委員(植木浩君) まず、円高による影響でございますが、確かに私費留学生の方々は、円高によりまして経済的な影響を受けておるというふうに私どもも考えております。
 文部省といたしましては、従来から私費留学生に対しましても国費留学生と同じように、病気になったときが一番お困りでございますので、医療費の八割補助というものを私費留学生についても従来から実施をいたしております。また、近年は、私費留学生に対しまして、成績が優秀で、かつ生活上そういった点で若干経費が不足しておるという方々に対しまして、学習奨励費というものを、これは月額学部で四万円、大学院で六万円でございますが、支給をしております。また、優秀な私費留学生は国費留学生へ切りかえるというような措置もいたしております。
 なお、先ほど先生もお話しございましたように、最近は民間の団体でも留学生問題に非常に関心をお持ちいただきまして、民間の奨学団体というものが年々二つないし三つずつふえておりまして、現在、民間奨学団体、留学生に対する奨学金団体が三十三団体、千三百人ということで、これも年々ふえておりますし、私どももいろいろ民間の方々にそういった援助事業の充実をお願いしているところでございます。
 それから宿舎の問題でございますが、確かに留学生を日本に受け入れた場合に、学校におきます教育と並んで宿舎の問題が一番切実な問題でございます。国立大学におきましても、留学生の宿舎を年々数カ所ずつ建設をいたしておりますし、特に昭和六十二年度につきましては、日本国際教育協会の新留学生会館、これは大体三百五十人ぐらい収容できる予定でございますが、これの建設にいよいよ着工するという新しい事業もスタートをすることになっておりまして、これもやはり国だけでなく、先ほど先生御指摘のように、一部の経済団体等で社員寮を開放しようとか、あるいは公営の宿舎も留学生にも開放しようというような動きが地方公共団体等にも広がってきておりまして、そういった点で、国のみならず官民挙げて留学生の宿舎対策に今取り組みつつあるところでございます。
 それから、アジアの留学生の枠でございますが、これは私どもといたしまして、国費留学生につきましてはやはりそれぞれの国との外交関係とか文化関係いろいろございますので、外務省とも相談いたしまして、それぞれの国から年々受け入れます国費留学生の数を、学識経験者の御意見を十分いただきながら決めておるわけでございまして、アジアに最重点を置いているわけでございますが、今後とも、日本とアジアとの関係という点から、やはり国費留学生を受け入れるに当たってはアジアに最重点を置きながらこれを進めていかなければいけないと考えております。
 最後に、学位の問題でございますが、学位の問題は、必ずしも日本語だけでということではなく、私どもも大学の方に、例えばできるだけ外国語でも論文が出せるようにとか、いろいろ工夫改善をお願いいたしておりまして、かなりの大学がそういう弾力的な措置をとりつつあるというふうに承知をいたしております。問題は、修士課程の学位は外国人留学生の学位の取得率も日本の方とほとんど変わりないということで、これは文科、理科ともそう大きな問題はないと思っております。博士課程のうち自然科学もほとんど今と同じような
ことで問題ないのではないかと思っておりますが、人文社会系の学位の取得率が非常に低いわけでございます。これは留学生だけではなくて、日本の大学の学位に対する考え方――文部省といたしましては、学位というものは研究者としてスタートできるというところで学位をひとつ与えてほしいということを繰り返し大学に指導してきておるわけでございますが、やはりまだ人文社会系の一部の部分につきまして、従来の考え方ということで、もっと高いレベルで学位を出すというような状況がございまして、これは日本の学生、留学生を問わず、博士課程の人文社会系はかなり学位取得率が低いわけでございます。したがいまして、その点は私どもとしてもさらに各大学等にお願いをいたしまして、特に留学生も日本の学位を目指して留学をしてくるわけでございますので、重ねてそういった点、さらに努力をしてまいりたいと思います。
#117
○高木健太郎君 時間がなくなりましたので、スポーツ障害の方はやめますが、私が申し上げたいのは、今おっしゃいましたように、アジアの人たちは日本で勉強して帰って、そして日本のことを紹介し、あるいはその国の指導者になる人が多いわけでございまして、そういう意味では非常に私これは大事な仕事であると思います。それを日本人並みに非常に学位の枠を厳しくしちゃってなかなか取れないというようなこと、あるいはまた、生活が非常に苦しくて何かアルバイトもやらなきゃならぬというような非常に苦しい立場に置かれているということを十分承知して、民間と力を合わせて、特にアジアの人、また、中国の人たちのために便宜を図るべきじゃないか、これが日本の非常に大きな務めの一つであると、私こう思いますので、切に文部大臣にもお願いを申し上げまして、日中友好というようなことが前から言われておりますけれども、中国の人に会いますと非常に熱心に、しかも頭もよく勉強しているわけです。したいと思うけれどももうできないというような人に私たびたび会いますので、そういう意味では、特にこのアジアの人たちに目をかけて、その人たちの勉学に便宜を与えていただきたいと、そういうふうに考えております。もし文部大臣からお言葉がありましたらいただきたいと思います。
 一応これで私の質問は終わります。
#118
○国務大臣(塩川正十郎君) 留学生は、御承知のように、政府で昨年から発表いたしましたことによって二十一世紀に十万人の留学生を受け入れるということをいたしておりますが、ただ、これが受け入れるというだけではなくして、やはり日本で留学した価値を出してもらわなければなりません。そこで、その環境整備として住宅の整備、これは我々もやかましく言っておるところでございまして、国がやっておりますODA予算の一部をこちらへ割いてもらってでもこれを進めていきたいという、そういう気持ちでおります。
 それから、博士論文の話でございますが、学位がなかなか取れないということ、私もそういうことを外へ出ますとよく聞きますので、これはどういう方法がいいか、我々もさらに一層の努力をして各大学と連絡を密にやっていきたい、そういうふうに効果あらしめるように努力してまいります。
#119
○勝木健司君 まず、臨教審の第三次答申を受けた政府の対応策についてお伺いしたいと思います。
 去る四月一日、臨教審から「教育改革に関する第三次答申」が提出されましたけれども、この答申を受けて、政府、文部省は具体的にどのような施策をとられるつもりなのか。法改正も含めた今後の改革プログラムを提示していただきたいというふうに思います。
#120
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘がございましたように、本年の四月一日に臨教審の第三次答申が提出せられたわけでございます。この答申に対する対応でございますけれども、御案内のとおり、この四月の七日に、この答申につきまして、これを最大限に尊重しながら教育改革を効果的に進めていくんだという趣旨の閣議決定を政府として行った、この閣議決定に基づきましてこれから具体の施策を展開していく、こういうことでございます。
 ただ、御案内のとおりに、臨教審の答申は、このたびの三次答申は、二次答申と三次答申一つセットになったようなものでございまして、しかもその内容が非常に広範多岐と申しましょうか、直前の具体の問題から二十一世紀のずっと向こうを見通したようなものまで非常に幅の広い答申になっております。でございますので、私どもとしては、このたびのいただきました答申につきましても、その内容につきまして、例えば今先生御指摘のようなこれは法律改正をしなきゃいかぬといったぐいのものもございますし、いやこれは主として予算での対応が必要であろうとか、あるいはこれはそれぞれの行政運営上の改善工夫というところでやっていかなきゃいかぬというようなものもありましょう。いろんなその態様につきまして対応の仕方があろうかと思っております。現在、その辺のところを内容を精査をしながらそれぞれの対応について検討しているわけでございまして、例えば、これはぜひ予算的な措置が必要ということに相なるならば六十三年度の概算要求ということにもなっていこうかということでございまして、そのような全体につきましての整合性のある対応を図ってまいりたいというように考えているところでございます。
#121
○勝木健司君 臨教審は、八月に最終答申を提出し、解散する予定となっております。臨教審解散後も教育改革というものは重要なこれからの政治課題となるというふうに思われますけれども、今後の教育改革を推進するために、ポスト臨教審のような機関というものを設置する考えというものはおありかどうか、文部大臣にお聞かせいただきたいというふうに思います。
#122
○政府委員(川村恒明君) ただいまお話がございましたように、臨教審は、ことしの八月の二十日でその期限は満了するわけでございます。でございますので、そこで臨教審自体は終わるわけでございますけれども、先ほど先生御指摘がございました、これまでの答申をどういうふうに実施をしていくかというようなこともございます。基本的に教育改革というものは非常に息の長い二十一世紀にわたる仕事でございますから、今後の、八月の期限が来た後につきましてもどういう対応が要るのか、これはひとつ検討しなければならぬ課題であろうというふうに思っております。
 ただ、この問題につきましては、現在臨教審が、その八月の任期切れにかけて最終答申と申しますか、最終まとめと申しますか、そういうものの御議論を今進めておられる、その御議論の中で、臨教審自体でもその取り組みについてどうしたらいいかというふうな御審議が進められているように私どもも伺っておりますので、当面、そういう臨教審での御審議というものを見守っていく必要があるのではないかというふうに思っておるところでございます。
#123
○勝木健司君 教育改革というものを推進するためには、生涯教育の観点からも、文部省のみならず、例えば職業教育、職業資格等については労働省、また国際交流については外務省、児童保育等々については厚生省等、各省庁の枠を越えた取り組みということがこれから必要になってくると思います。教育改革を総合的また一体的に進める教育改革推進機構なるものを設置する考えはありませんか。これも文部大臣にお伺いしたいというふうに思います。
#124
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘がございましたように、大変に幅の広い、しかも息の長い仕事でございます。この教育改革につきましては、このたびの臨時教育審議会が総理大臣の諮問機関として設置せられたということにも明らかになっておりますように、これは政府を挙げて取り組んでまいりたいと、こういうことになってございます。
 そこで、この臨教審がスタートしましたその次の年でございますけれども、昭和六十年の七月に、政府として内閣に教育改革推進閣僚会議という組
織を設置しております。これは六十年の七月でございます。それ以来、この閣僚会議、あるいは必要に応じましてその下部組織として幹事会等もつくっておりますけれども、そういうところでこの答申の具体化について各省庁間の連携も図り、また、具体の施策の展開を相談していこうということになっております。この仕掛けは六十年の設置以来ずっと続いておりまして、ちょっと今回数を持ってきておりませんが、もう既に何度も会議をしたりなんかしておりまして、今後ともこの閣僚会議を中心にそういう関係の施策の総合的な推進ということに努めてまいりたいということでございます。
#125
○勝木健司君 次に、答申の中身についてお伺いしたいと思います。
 臨教審の第三次答申に向けての最大の調整課題の一つは、教科書の検定の改革であったとされております。文部省として、今後の検定に当たっての基本方針、三段階審査の一本化、あるいは教科書研究センター、いろんなことが打ち出されておりますので、これを受けての基本方針というものをお示しいただきたいと思います。
#126
○政府委員(西崎清久君) 先生御指摘のように、このたびの答申におきまして教科書制度の改革に関しての重点的な答申が示されておるわけでございますが、その内容につきましては、大きく申し上げますと、検定の問題、それから著作・編集の問題、それから採択・供給、それから無償というふうな内容に分かれるわけでございます。いずれも今後私どもが検討いたしまして適切な改善を図ってまいるべき重要な課題でございますので、それぞれの項目につきまして、例えば検定基準の改定等につきましては教科書の検定審議会の審議事項になっておりますので、早速この点につきましては近い機会にいろいろお諮りをしながら進めてまいらねばなりませんし、著作・編集の問題につきましては教科書発行会社との協力ということも必要でございますので、この点につきましては既に発行者側との相談に入っておるわけでございます。
 そういう個々の項目につきまして今後適切に対応し、改善の実を上げてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
#127
○勝木健司君 高等学校用教科書につきましては、義務教育用教科書とは異なった検定があってもよいのじゃないかというふうに思われますけれども、臨教審で論議されました認定制への移行というものを検討するつもりはないかどうかお聞かせいただきたいと思います。
#128
○政府委員(西崎清久君) 高等学校の教科書につきましても、先生御案内のとおり、小中学校と同様に学校教育の主たる教材として重要な役割を担っております。この点につきまして臨教審の答申におきましては、いろいろな御議論があったようでございますが、今後の問題として、「検定の対象としないことについてもい教科指導の在り方、教科書の水準の維持、大学入試との関連、教科書をめぐる環境条件の成熟状況を勘案しながら、検討していく必要がある。」というふうな、若干中長期的な課題として御指摘のあるところでございまして、私どもといたしましては、目下高等学校が九四%の段階で大変多くの高校生が在籍しておるわけでございまして、その主たる教材としての教科書の重要性にかんがみまして、当面検定制度は適用すべきものと考えておりますが、やはり臨教審答申の御指摘のような中長期的な課題として、今後の問題点検討はいずれかの時期に、必要な場合、検討に入ってまいる必要があろうかというふうに考えております。
#129
○勝木健司君 時間の関係で次に進ませていただきます。
 九月入学制についてお尋ねをしたいと思います。
 同じく、教科書と並んで最大の調整課題の一つがいわゆる秋季入学の問題であったと伝えられております。文部省として、九月入学を実施する上での問題点ほどこにあると考えておられるのか。また、将来導入する考えはあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 あわせて、初等中等教育についてはいろいろと困難もあろうかと思われます。大学の国際化が強く求められている中で、留学生なり、あるいは帰国子女の受け入れ等の観点から、大学につきましては先行的に九月入学を導入することができないものか。また、入学試験を春の気候のよい時期に行い、夏の長い夏休みには将来についてじっくり考える時間を与えるということも若者の心身の健康のためにもよいのではないかと思われますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#130
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘の九月入学の件につきましては、臨教審でもまだ審議中、御案内のとおりに三次答申で一応の経過報告的なものがございましたが、なお審議を継続するということでございます。そういう審議中の問題でございますから、具体的などうするこうするということはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、九月入学につきましてはいろんな考え方がございます。いわゆるメリットと言われている側面もありますし、同時にデメリット、これが裏表の関係になっているわけでございますね。例えば九月入学のメリットとして、もっと子供たちを家庭や社会に返そう、夏休みを伸び伸びとさせて、その間子供たちは学校から完全に解放して家庭や社会へ返すことがこれからの生涯学習のあり方ではないかというふうなメリットが指摘をされる。それにつきましては、しかし現実問題として、それで大丈夫なんだろうか。今子供たちを夏休みに全く解放してしまった場合に、子供たちを受け入れるだけの、受け取れるだけの地域なり家庭の教育力というものが十分備わっているのだろうかというふうな問題ということもございます。あるいは、九月に入学をするということになると、学校運営上でもいろんなメリットがあるんじゃないかというふうな御指摘もありますが、同時に、それにつきましては、現在例えば教員の採用試験というのは御案内のとおり夏休みにじっくり時間をかけてやっているわけですね。だから、そういうものが今後うまくいくのであろうかとか、あるいは、大変大切なことでございますけれども、教員の現職研修、結局現職研修がやれるのはやっぱり夏休みのまとまったときだ。そういうものが九月入学へ移行することによってうまく確保されるのであろうかというふうな問題点があるわけでございます。臨教審もそういうことで今いろいろ御論議をいただいておる。私どもとしては、臨教審の御判断、御審議というものを見守っているわけでございますけれども、例えば現実に国民の世論はどうかということになりますと、この点についての世論調査は幾つかございますが、現時点で国民の非常に多くの方はやっぱり四月入学ということはいいんじゃないかということで、非常に現在のこの四月入学制度というのは国民の感情に深く定着をしている問題でございます。
 それから仮に、移行する、九月に変わるとすれば、どうしても移行措置をとらなければならない。この移行措置はやり方もまたいろいろありますけれども、どうしてもそこは無理が生ずるので、それが例えば予算的に、財政的に非常に大きな財政負担を生ずるというようなやり方も、やり方によってはお金がかかりますし、もし仮にお金をかけないとしても、既にそういうことをやった外国の例を見ると、逆に子供たちあるいは学校の先生に対しても物すごい負担を、しわ寄せをする、教育の中身を一部カットするというふうな手荒いやり方ぐらいしか考えられない。そういうふうな移行に伴うさまざまな問題もございます。でございますから、この問題につきましては、よほどそういう問題について慎重な検討が必要ではなかろうか。今は臨教審でそういうふうな議論をしておられるということ自体が一つの問題提起であろう。こういう問題提起を受けて、これから社会の中でもいろんな議論もあろうと思いますので、そういう点について十分な見きわめをしながら対処していく必要があるのではなかろうかというふうに思っているところでございます。
#131
○勝木健司君 時間も来ましたので最後の質問に
なりますが、雇用問題また子弟の教育問題についてお尋ねをしたいと思います。
 現在、雇用問題が深刻化いたしております。労働力の地域間移動の必要性というものが生じており、労働者というものが他の地域に移る場合に最大の悩みの種というものは住宅問題と子女の教育問題であるというふうに言われております。さきの国鉄の民営・分割に当たりましては、文部省初中局長名で転入学について特段の配慮をするよう通知が出されております。ある意味では政府の失政の結果生じた円高不況に苦しむ民間労働者に対しまして、しかるべく措置があって当然だと考えますが、特に公立高等学校への転入学について、何らかの指導というものを地方教育委員会に対して行うつもりはないのかどうか、お聞かせをいただきたいというふうに思います、
#132
○政府委員(西崎清久君) 御指摘の点につきましては、都道府県間にわたる高校生の転学の問題として、一つの社会問題としてかねてから指摘されておるところでございまして、私どもの指導といたしましては、昭和五十九年から指導を重ねておるわけでございます。昭和五十九年には学校教育法の施行規則を改正いたしまして、定員の欠員がない場合でも転学を受け入れるような法令上の仕組みを整えまして、その上で転学についてはできるだけ各都道府県で便宜を図るようにというふうな措置をとったところでございます。その後、御指摘のような国鉄の民営化に伴う広域移動あるいは炭鉱の閉山に伴う広域移動、それぞれ個別の問題が大きく生じておりましたので、六十一年の七月でございますが、局長名でさらに配慮を求める通知をいたしました。それから、ことしになりまして、五月の八日付でございますが、やはり都道府県の教育長さん方に対して、この高校生の転学の問題も含めまして十分入試についての工夫とともに転学についての配慮を求める通達を出しておるわけでございまして、教育長協議会においても私から特にこの点に触れて、各都道府県における配慮を促したところでございます。かなり綿密な指導をしておる次第でございます。
#133
○勝木健司君 最後に、文部大臣に、予算委員会等々でも学校週休二日制、学校五日制の問題について前向きな発言をされております。それについて見解をお伺いをして、質問を終わりたいというふうに思います。
#134
○国務大臣(塩川正十郎君) 週休五日制――そんなに休んでしもうたら働く日がなくなってしまいますが、週休二日制は私はもう時の流れでもあり、また今後の日本の経済構造を変える意味からいたしましても必要であろうと思っております。
 私は、何遍も申しておりますのは、要するに土曜日が休みのわけでございますが、このときに子供をどうするかということ、こういう子供の受け入れを並行して考えてほしい。そうでないと、文部省としては即それに踏み切っていくわけにいかないということでございます。受け入れにはいろんな方法があろう。これはまた私たちで研究をしておるところでございまして、そこらは十分にすり合わせをいたしまして実現を図っていきたいと思っております。
#135
○勝木健司君 終わります。
#136
○下村泰君 私は海外における子女教育の問題について質問させていただきたいんですけれども、外務省の方、来ていらっしゃいますか。――外務省の方に伺いますけれども、日本人学校を海外に設立する場合に、どういうことが基本理念になっているんですか。
#137
○説明員(伊集院明夫君) 海外の日本人社会にとりまして、子女の教育というのは、医療、安全と並んで非常に大きな課題でございまして、私どもとしましては、日本人会の御努力を得つつ、現地の日本人社会の御協力を得つつ、海外における特にその子女に教育の機会をなるべく多く与えもということを基本政策にしておりまして、財政の許す範囲内で、文部省とも協議しつつ、できる限り海外子女教育を充実していくというのが基本の考えでございます。
#138
○下村泰君 その場合にあれですか、外務省の方にいわゆる優先権というのはおかしいな、決定権があって、文部省は、そういうものができた場合に教員その他を派遣するというような段階で、外務省の方に決定権があるわけですか。
#139
○説明員(伊集院明夫君) これは外務省にあるというわけではございませんで、外務省と文部省が協議して決めるということでやっております。
#140
○下村泰君 文部大臣の今度のお言葉の中にも、「海外勤務者の子女に対する教育」について「整備・充実を図る」というお言葉がございます。それから一月の二十六日でございましたが、外務大臣の外交演説の中にも同じようなお言葉が出ておりました。私、聞きましたところが、日本人学校というのは、どちらかといえば後進国あるいは発展途上国ですか、そういう国に行っている、海外へ勤務する者の子女のために重点的にやっているというふうに承ったんですけれども、それはそのとおりなんですね。
#141
○説明員(伊集院明夫君) これは、あくまでも海外にある学校の設立というのは、現地の日本人社会の強い要望で、まず設立しようという意思がある、それに対して政府が可能な範囲内で支援するということでございまして、実際の問題として、どちらかというと開発途上国におられる方々の方が学校をつくりたいという要望が非常に強くて、結果的にそちらの方が多くなっているということでございます。
#142
○下村泰君 その気持ちはわかります。確かに海外の方で働いていらっしゃる方々にとっては、自分のお子さん方の教育が、余り失礼なことを言っちゃ申しわけないんですけれども、その国の国内の事情によっては非常に劣るところもありましょうし、そういうところに働いていらっしゃる方々には非常にあせりがあるというのは、これは私も心情的によくわかります。
 それで、実ば昨年スイスのチューリヒへ参りましたところが、吉田特命全権大使の仲介によりまして、チューリヒの現地にいらっしゃる方々、殊に日本人学校を設立しようと望んでいらっしゃる方々にお会いしまして、いろいろとお話を伺ってきたんです。私は本当は障害者の方が専門でございますので、こういう余り難しいことは得意じゃございません、むしろ私の方が教育されなきゃならないところがたくさんあるわけでね。それで、その方々にいろいろ伺いました。もう外務省の方でもそのチューリヒにおける事情はおつかみのことと思いますけれども、何でこのチューリヒの日本人学校設立がおくれているのか、その辺ちょっと聞かせてください。
#143
○説明員(伊集院明夫君) 先生御指摘のとおり、チューリヒの日本人学校をつくろうという現地の日本人社会に強い要望があるということは私どもも十分に承知しているわけでございますが、今年度につきましては、文部省といろいろ協議の上、中国の上海、それからパキスタンのイスラマバード、こちらの方を優先すべきであろうということで、こちらの方を優先したということでございます。
 それで、このチューリヒの学校の問題については、我々も強い要望があることも承知しておりますし、文部省とも協議しつつ、来年度以降の問題として真剣に検討していきたいと考えております。
#144
○下村泰君 大体外務省がそういう意向ならば、なおこちらの方としてはお話をしやすいのですが、実は現地の方にいろいろお話を伺ったんですけれども、これはひとつ文部大臣も聞いていただきたいんですが、チューリヒでは国際学校及び現地校において、日本人子弟受け入れに関して非常に問題が生じている。最近転任してきた者の子弟の中に就学を拒否されるといった深刻な事態が生じておる。国際学校における問題点は、日本人が総生徒数の四分の一を超える状態にある。日本人の子供さんの方が多くなってきているんですね。本来英語教育を前提とする場で、英語を母国語とする子弟のための学校なんだそうです。ですから、英語を理解できない子弟が増加しているために、全体の教育レベルが低下していると、こういうふ
うに言われている。それから、特に生徒数が増加している一、二年生。低学年。新規入学希望者は、一たんウエーティングリストに入れられて空席を待つのだそうです。しかもその際、英語を母国語とする生徒の入学が優先される。したがいまして日本語はだめですわな。それで三カ月も四カ月も、甚だしいときはもう半年以上おくれると、こういう状態が生まれているそうです。
 もう一つ、チューリヒの現地の皆さんの困っていることは、スイス・ドイツ語というのがあるんですね。スイス・ドイツ語というのはドイツの方もわからぬそうですな、これ。聞くところによりますると、チューリヒに湖があって、その東と西じゃ全然違うそうです。その方たちがいろいろ説明してくれました。ところがこっちはドイツ語わからない、ヒトラーくらいしかわかりませんから、何を言われたのかさっぱりわかりませんでしたけれども。ですから、ここではスイス・ドイツ語を学んで、その上に今度は書き方を、書き方言葉としてのドイツ語を修得して初めて授業が理解できると、こういう状態だそうです。そうしますと、極端な例を言うと、日本の国内で君もしこれは差し支えがあるといけませんけれども、津軽とかあるいは鹿児島、津軽井とか鹿児島の言葉ですわな。あるいは沖縄の方言とか、こういうのをごちゃまぜにしたような感じでしょう。しかも日本の場合には、そういう言葉で話をしても、それを言葉にすれば直せますけれども、あっちでは通じないのだそうですよ。ドイツ人が来てスイス・ドイツ語のスイスの方と話をしたらわからないというのだから、こんなややこしい言葉もないと思うんですがね。こういったような状態ですから、余計日本人の子弟が困っている。
 そのほかに、外務省の方。ここに補習学校がありますわね。その補習をするために、週三回各二時間、いろいろな言葉の勉強をします。そして算数であるとか国語であるとか。そのために子供たちの負担が非常に多くなるわけですね。これはもう外務省の方がよく御存じだろうと思います。私、ちょっと伺ってきたんですけれども、このスイスというところは、どちらかというと、大学への進学率は非常に少ない。むしろ小学校の五年、六年の間から職業別の学校を選ぶとか、こういったような、何か国全体の教育方針がそういうシステムなんだそうで、とてもじゃないけれども日本人の子弟ではこういうところは合いませんわね。中には、こういったことでのハンディがありますから、お父さん、お母さんによっては、こういうところにはとても置かれない、したがいましてロンドンであるとかあるいはアルザス、これはフランスの方ですね、そういうところの全員寮に入るようなところで勉強させる。日本へ子供さんを残してお父さんが単身赴任するんじゃなくて、御家族が全部ヨーロッパへ行って、今度ここでばらばらになるわけですね。こういったような生活を強いられている、こういうことなんです。
 それで、こちらの方からあちらの方へいろいろと要請をしますと、スイスの方々の方から返ってくる言葉というのが、なぜ日本ほどの経済大国が英語民族のための学校に頼ったり、あるいは当初からだれしもが無理と判断される現地校に頼ろうとするのか。あるいは、なぜ英米仏あるいはイタリー等のごとく自前の学校をつくろうとしないのか。こういうことを言われるそうです。そのたびに説明した日本人の方が返答に困るというような場面がしばしばあるそうです。
 このチューリヒの市の当局では、開設の暫定許可を出してくれたわけですね。ですから、いつでも開設をしようと思えば学校の設立ができる、こういう状態なんです。
 それはもう切々と訴えていました。自民党の田代先生と御一緒にお話を承ってきましたけれども、何としてでも、少しでも早く日本人学校を設立してあげませんと、どんどんふえているんですね、ここは。
 私は、ここでも見ましたが、この補習の教室ですね、国際学校校舎から六室、チューリヒ市立校校舎から三室、日本語学校事務室から一室、計十室を借用している。なお事務局は民間アパートの一部を借りてこれに充てている。借料は邦貨に換算して年間三百三十万円。この補習塾の財政規模は昭和六十年度で二千七百二十六万円。支出の内訳その他がございます。収入の内訳が、父兄の負担分が一千四百七万円で五一・六%、次いで企業負担分が二四・九%、国庫負担が一二・一%、こうなっているわけですね。国が一番軽いわけです。まあ国の軽いのを云々するわけじゃありませんが。企業負担というところがあるんですね。これは、会社を見るとすごい会社なんですよ。進出企業が、三洋、野村証券、ソニー、日本航空、大和銀行、三菱、三井両信託、それにニコン、このほか五十社。こういう会社から分担金を余計ふんだくってみたらいかがでしょうね。中曽根総理はよく民間活力というような言葉を使いますけれども、こういうのは、それこそ税金の方から控除してやる。から出せやと言ったら、これは喜んで出すと思うんですがね。そういうふうにして、民間にもっとどんどん責任を持たせてみたらどうなんでしょうか。その連中が進出して、そこで働いている人の子供たちがそういう目に遭っているんですからね。どちらかというとこれは企業の責任かもわかりません、そのバックをしている日本の国の政府も責任がないとは言い切れませんけれども。こういうふうに考えていきますと、外に行って何か日本の経済大国の恥の上塗りをしているような感じになるんですよね。
 しかも、スイスというのは外務省から見たら先進国とみなされるんでしょうけれども、ここにいる人たちはスイスこそ開発途上国並みだと言っているんですよ、教育に関しては。それだけに何とかしていただきたいというのが本日の私のお願いなんですが、まず外務省からお答えをいただいて、文部大臣からお答えをいただきましたら終わりにします。
#145
○説明員(伊集院明夫君) チューリヒの学校の事情は、まさに先生が今御説明になられたようなことでございます。
 私どもとしましては、文部省とも協議の上、明年度以降の問題として、真剣に検討していきたいというふうに考えております。
#146
○下村泰君 答えとして、来年は入りますか。
#147
○説明員(伊集院明夫君) それはちょっと検討していきたいと思います。
#148
○下村泰君 では文部大臣ですね、それは。
#149
○国務大臣(塩川正十郎君) 外務省の課長が言っているんだから、間違いはないと思いますよ。課長だから余りはっきり言えないんだと思います。
 事情は私もちょっと聞きまして、もう具体的なところまで相当来ておるようですし、六十三年度予算で予算の肉づけをするということが問題になるんだろうと、こう思います。とにかく一生懸命やって、御期待に沿うように努力をいたします。
#150
○下村泰君 お願いします。
 終わります。
#151
○委員長(仲川幸男君) 所信に対する質疑はこの程度にいたします。
#152
○委員長(仲川幸男君) 次に、昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。塩川文部大臣。
#153
○国務大臣(塩川正十郎君) このたび政府から提出いたしました昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 私立学校教職員共済組合の給付については、共済組合設立以来、国公立学校の教職員に対する給付の水準と均衡を保つことを本旨とし、逐次改善が進められ、現在に至っております。
 この法律案は、私立学校教職員共済組合法に基づく退職共済年金等につきまして、別途本国会において御審議をお願いしております厚生年金及び国民年金の改定措置に倣い、昭和六十二年度における国公立学校の教職員の年金の額の改定措置に
準じて、年金の額の改定の措置を講じようとするものであります、
 その内容といたしましては、私立学校教職員共済組合法に基づく退職共済年金等につきまして、昭和六十年の消費者物価指数に対する昭和六十一年の消費者物価指数の比率を基準として、昭和六十二年四月分以後の年金の額を改定することとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
 なお、衆議院において施行期日に関する附則の規定が修正されましたので、念のため申し添えます。
#154
○委員長(仲川幸男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#155
○粕谷照美君 ただいま文部大臣が御提案なされましたように、この法律は、母法であります厚生年金、そして国民年金、国家公務員の共済年金などと横並びの法律であります。私どもはこの法律には賛成をいたしますが、二、三気になることもありますので、お伺いをいたします。
 最初に、六十年の年金制度の大改正がありました。そのときに私学共済組合から、六十五歳以上の在職者に厚生年金が支給されているのと同じように、在職する者にやはり共済年金を支給してほしい、こういう要望が出されたわけであります。同じ学校の中で、六十五歳以上になって、一人の方は厚生年金をもらう、一人の方は共済年金はもらえない、給料だけだ、こういう点から考えますと、こういう要望が出るのはわかるわけでありますけれども、それではそういう措置を実現した場合には、私学共済年金財政への影響というものはないのかどうなのか。制度が違うわけですから、それはその制度に従ってもらうということの方が筋だというふうに思いますけれども、しかし、片方は年金をもらい、片方が年金をもらえないというのもこれまたおかしなことでありますので、その分析はどういうことになっておりますでしょうか。
#156
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘がございました件は、まさに私学共済組合に特有の問題でございます。
 厚生年金と私学共済の比較ということになるわけでございますけれども、厚生年金というのは、御案内のとおりに老齢ということを基準にして、一定の年齢に達した者に対して年金を支給をする。一方、私学共済を含みます共済制度というのは、これは退職ということを基準にして年金を支給をするという基本的な性格の違いがあるわけでございます。そこへもってきて、私学共済につきましては沿革がございまして、本来、すべての私学は私学共済に加入をするというはずでございますけれども、これまでの過去の経緯がございまして、全国の私学のうち三十数校の私学が私学共済組合に入らないで厚生年金あるいは健康保険の方に入っている、こういう違いがある。そこで、同じ私学でも、厚生年金の方に入っている者は、六十五歳になれば六十五歳という老齢のゆえをもって在職中でも年金が得られるのに対して、私学共済の方は在職中ならばだめではないか、こういうことであろうかと思います。
 御指摘のように、それはいろいろそういう制度の沿革もありますし、検討すべき問題も多いわけでございますけれども、ただいま御指摘がございましたように、では仮に、私学共済につきましても六十五歳に達すれば年金を支給するということにしてはどうかということでございます。その点について若干の検討を私どももいたしておるわけでございますけれども、これが年金財政にどのように影響をするかということにつきましては、年金の受給者は毎年毎年これから発生してくるわけでございますから、正確にこれをつかむことは困難でございます。ただ、現時点で言えば、六十五歳以上の組合員がどのくらいいるかというと、約一万五千人ほどの者がございます。全部の組合員が約三十五万人でございますから、全体で言えば四・四%ぐらい、人数としてはそれほど多くないわけでございます。しかし、全体で四・四%の組合員の扱いでございますけれども、これが現在は掛金を払っておって年金は受給していない、お金を払っているという状態の者が、おっしゃるように六十五歳から支給ということになれば、逆に掛金は払わなくなって年金を受給をするということになりますから、全体の人数は四%ちょっとでございますけれども、年金財政に対しては非常に大きな影響をもたらすということでございます。
 そこで、仮にこの一万五千人ほどの者がすべて、今までのお金を払う立場からもらう立場へ変わったらどうなるかということで、大変に粗い試算でございますけれども、計算をしてみますと、掛金率で言えば千分の八ぐらいは引き上げということになろうかということになります。現在の長期の掛金率が千分の百四・五、都道府県の補助を除いてでございますけれども、千分の百ちょっとでございますから、そこで千分の八程度の引き上げになってくるであろう、こういうことでございまして、一〇%近いアップになる、こういうことでございます。でございますから、年金財政には非常に大きな影響があるということが一点ございます。
 ただ、この問題は、年金財政に影響があるということだけではなくて、そのほかに、例えば現在のこの私学共済の組合員の中を見ると、そういうふうな六十五歳になって在職をしておって年金給付を受けるという可能性のある者というのはそんなに多くはない。そういうことがあるとすれば特に大学関係の方であろうと思いますが、この私学共済というのは大学の人ばかりではございませんで、例えば幼稚園、小学校、中学校というところに働いておられる教職員も組合員になっておるわけでございます。また、こういうところでは多くの女子の教員が、特に幼稚園なんか多いわけでございます。現在私学共済の組合員三十五万人ほどと申しましたが、その中で女子が十七万四千人ほどおりますけれども、この十七万四千人を年齢別に見ると、大体二十歳から二十九歳までという人が全体の五三%、九万二千人ほどおられる。この方々は大体幼稚園で勤務しておられて、一定期間たてば結婚その他で退職していかれる、こうなるわけでございますから、こういう方は六十五歳になったら年金を上げるよというその恩典は全く受けられないわけでございます。でございますから、そういう方にとっては、しかし掛金だけはちゃんと上がってくるという仕組みになるようなこともございますし、さらに言えば、共済制度というのは厚生年金と違って、いわゆる長期と短期、医療費と年金がセットになった制度でございます。ですから、年金が欲しいということで組合員資格をやめれば医療費の方も、いわゆる短期給付の方も、これもだめになってしまうというようなこともございまして、六十五歳になって短期給付の方が組合員資格がなくなるということになりますと、それは健康保険の方になるんだろうと思いますけれども、それは共済と比べれば給付内容も悪いし掛金率も高いというふうなこともございまして、これはなかなか、前回の制度改正の際にいろいろ御論議をいただいて、こうへうただいま申し上げました点もいろいろ御論議をいただいたところでございます。
 そんなことがいろいろありまして、ちょっとこの問題につきましては慎重な対応が必要であろうというふうに思っているところでございます。
#157
○粕谷照美君 了解をいたしました。特に全組合員のうちの半数を超えるのが女性であって、そして幼稚園に勤務している人たちが多い、この人たちは掛け捨てになる。しかも、今度もしそういうことになれば一〇%程度掛金を上げなければならないということになるとすれば、これまた逆の意味で不公平が出てくるわけであります。この点については了解をいたしました。
 それでは次に、昭和五十七年度から六十年度までのこの四年間、行革関連特例法によりまして、
私学共済組合の長期給付費用に対する国庫補助金が四分の一減額をされました。この減額分は利子を含めて大体幾らぐらいになりますか。そしてこの減額分については返還措置はどのようになっておりますでしょうか。
#158
○政府委員(川村恒明君) 行革の特例法適用期間、つまり昭和五十七年から六十年度まで、私学共済に対する補助金の四分の一がカットされたわけでございますけれども、その全体の額でございますが、この四年間を通じまして削減額は予算ベースで七十六億円でございます。
   〔委員長退席、理事林寛子君着席〕
これに運用の利子を五・五%という共済の予定運用利回りで計算をいたしますと、これが十三億円でございますので、合計いたしますと八十九億円ということに削減額はなるわけでございます。これだけの額が削減をされたわけでございますけれども、これにつきましては、今後国の財政状況を勘案しながら、年金財政の安定が損なわれることがないように、できるだけ速やかに返還をする。ただいまの利子分も含めて返還をするというふうなことになっているわけでございます。
 私どもとしては、その特例期間が終わりました六十一年度以降、財政当局とも寄り寄りこの問題につきまして御相談をしているわけでございますけれども、現段階ではこれは実現は見ていない。今後とも引き続き十分相談をして、できる限り早期に返済していただくようにしたいというふうに思っているところでございます。
#159
○粕谷照美君 都道府県の財政状況も国以上に厳しいところもあるというふうに思います。この私学共済組合に対する都道府県補助は、近年どのようになっておりますでしょうか。また、この補助の充実については、どういう対処をしておられますでしょうか。
#160
○政府委員(川村恒明君) 私学共済組合に対する都道府県補助につきましては、この制度ができた昭和二十九年以来、私学振興という観点から行われております。具体的には、長期給付の掛金の千分の八相当額を補助するということになっておりまして、それぞれの地方公共団体において補助がなされておる。この結果、学校法人及び組合員ともその分だけ掛金率が引き下げになるということで行われているわけでございます。
 この補助額でございますけれども、昭和六十年度は約五十七億五千九百万円ということになっておりまして、この都道府県補助額自体は、近年、ごく少しずつでございますけれども、若干の微増ということで推移をしている状況でございます。
#161
○粕谷照美君 ただいま質問いたしました件につきましては、後ほど私の方から附帯決議で御提案をしたいというふうに思っております。
 法律そのものに関する質問はこれで終わりますけれども、私立学校の問題について若干お伺いをいたします。
 この五月十一日ですね、昭和大学で五十二年の春に歯学部を創設したときに、入学生約百二十人から当初それぞれ千五百万円ずつ集めた学校債券、総額十八億円をそのまま寄附に切りかえるように依頼をする文書が父母あてに出されたという事件が起こっておりました。ちょうどこの学校ができた時代に、当文教委員会におきましてもまた予算委員会におきましても、この私学の法外な学債あるいは入学と引きかえの高価な納付金、一千万、二千万、三千万を上回るというこの納付金のことが問題になって、取り上げられていたわけでありますが、そのときに、この学校債が、学校債というんだけれども実質寄附にさせられてしまうのではないかという心配をして質問をしている事実が議事録に残っているわけであります。この辺のところはお調べになったでしょうか。
#162
○政府委員(坂元弘直君) 私どもが学校法人側から聞いております説明によりますと、先生御指摘のように、この件は、昭和五十二年度に昭和大学の歯学部に入学いたしました入学者を対象としまして、昭和大学が施設整備を充実するということのために償還期限を十年として学校債を募集したものでございます。応募者数はこの段階で百二十九人で、十九億円余というふうに報告を受けております。
 寄附の依頼の件でございますが、本年度ちょうど十年たちまして、償還期限が到達いたすわけであります。したがって昭和大学の方は、償還に必要な経費は、一応寄附が一切ないという前提で当初予算に計上してございます。ただ、最近の医療施設の変化と申しますか、医療の高度化ということで、歯科病院を今後整備充実したいという計画を持っておるようですし、それから歯学部の講義室、実習室をさらに整備したいというようなこと、それから大学病院、これはこの大学は医学部も持っておりますが、医学部の大学病院の中央病棟に歯科外来を設置したいというような計画がございまして、歯学部を充実していく上になお資金需要が今後考えられるというようなこともございまして、一応応募は任意であるけれども、学校債に応募してくれた人に、償還時期に当たってできることならば寄附をしていただけないかというお願いをしたんだというふうに聞いているところであります。
 ただ、十年たちまして、ほとんどの者が医師の、歯科医の国家試験が通って開業しており、あるいは勤務医として勤務しておるわけですけれども、留年している者が若干おるそうでございます。それから、この大学の歯科病院の医局にいる者も若干いる。留年している者が二名で医局にいる者が二十何名おる。こういうふうな者に対する寄附の申し入れというのは、形の上では任意であっても、結果としては、特に留年しているような者については強要的なものにならざるを得ないというようなことも配慮いたしまして、仮に留年している者及び医局に勤務している者から寄附の申し入れがあってもこれは受領しないという配慮はこの大学でしているようでございます。
   〔理事林寛子君退席、委員長着席〕
五月二十日現在、これは十年でございますので、入学した五十二年の四月以降に学校債の寄附の応諾の申し入れを受けてきたわけで、償還期限がまだ全部が来ていないわけでございますが、五月二十日現在までで償還期限が来ている三十一名について見ますと、一応四億六千万円余りを償還して、うち二十七人から五千万円余、寄附金を一部いただいておるという状況のようでございます。
 私どもの基本的な考え方は、学校債は借金である、したがって償還することが原則であるということであります。ただ、学校側として、既に学校の支配下から出たと申しますか、完全に同窓生になっておるわけです。私ども私学に、例えば民間から寄附を仰いだらどうかというようなことを言っておるわけですが、現実にはなかなか民間から寄附が何げない。そうなりますと、最も私学が寄附を仰ぎやすいのは卒業生からでございます。既に開業医であり、それから、勤務医で学校から独立している歯科医、しかも同窓生の歯科医に強要にわたらない範囲で寄附をお願いするということも、これまたやむを得ない問題かなという感じがいたしているわけでございますが、いずれにしても強制にわたるような寄附を取ってはならないということが原則でありますので、その点には十分注意するようにということは私ども指導いたしておりますし、今後もその点については十分注目して、必要があればまた指導をしたいというふうに考えています。
#163
○粕谷照美君 指導はそれでよろしいというふうに思います、学校を出ている人には。しかしやっぱり、内勤している人、留年って、十年たってもまだ留年しているというのは大変なことでありますけれども、そういう方には、受け取らないなんて言わないで、依頼を出さなきゃよろしいわけですから、出すということは無形の圧力ですから、その辺のところはきちんと指導をしていただきたいと思います。
 また、これ、どうして連続してこんなに次々と新聞に出てくるのかと思うんですけれども、何ですか、昨年、日本獣医畜産大学で点数をごまかして入学を許可したという、こういう事件があったということが報道されておりますけれども、驚く
べきことなんですが、一体そんな事実があったんでしょうか。
#164
○政府委員(坂元弘直君) 昨年の九月の上旬に、今先生が御指摘されたようなことが新聞報道されまして、私ども早速、翌日に文部省に理事長を呼びまして事情を聴取いたしました。その結果、その段階では、細かい点は別としまして、点数が改ざんされた、あるいは学内で一応公表された手続を踏まないで選抜が行われたということが判明いたしまして、そのこと自体が先生が御指摘のように極めて不適切な入試管理であり、不公正な選抜であるということで、私ども、早急により正確な調査をしていただきたい。それから、その調査結果を待って責任者の責任の所在を明確にしてもらいたい。それからさらに、入学者選抜体制を検討して、公正なものに改めてもらいたいという三点の指導をしたわけでございます。
 その後、同大学から私どもに、翌月の報告で正確な報告がなされたわけですが、それによりますと、五十九年度入学者においては合格者四百五名中二十五人、六十年度入試においては三百八十三名中三十一人、六十一年度入試では三百四十四名中二十二名に点数が改ざんされて合格しておった事実がわかったという報告がございました。主としてこれらの者なんですが、点数がよくても寄附をしている者もおりましたし、それから寄附がなくとも点数が改ざんされておったという者もおるんですが、いずれにしましても、これらの者等を中心といたしまして寄附金が、五十九年度は一億二千三百万、六十年度が一億五千万余、六十一年度が一億円余、三年間で総計三億七千七百五十万円の寄附を受けておるという事実が判明したわけでございます。そういう事実を受けまして大学の方は、入学者選抜体制を抜本的に改正するということでかなり細かく改正の報告が私どもに提出されまして、その改正の方向に沿って六十二年度の入試は実施されておるというふうに報告を受けております。
 それから、私どもとしましては、管理体制が非常に不適切であるということで、五十九年度、六十年度の経常費補助金を二分の一返還させるという措置をとりまして五億一千万円返還させております。さらに、六十一年度の入試も当然不公正な入試をやっておるということで、二分の一のカットをいたしまして、五〇%しか補助金は交付しないという措置を講じたところでございます。さらに大学側は、最終的に一月の末に至りまして学長を、入試委員長として中心的に成績原簿の改ざんに関与したとして当時の学長でありました者を諭旨退職させました。それから入試副委員長は停職処分、それからその他の入試委員と事務長には譴責処分をいたしました。さらに常務担当理事と、それからこの大学は日本医科大学と獣医大学と二つの大学を持った学校法人でございますが、日本獣医畜産大学担当理事の二人の責任を感じた辞職の申し出についてはこれを承認するという措置をとったということでございます。
 私ども、こういうような一連の措置を通じて、二度とこういうことを起こさないようにということでこの大学に強く指導したところでございます。今後とも十分こういう管理運営が不適切に行われないように、私立大学、学校法人に対して厳しく指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#165
○粕谷照美君 この大学が大変財政難だということではないわけですね。経営は順調だったわけですか。
#166
○政府委員(坂元弘直君) 学校法人日本医科大学なんですが、学校法人日本医科大学自身、全体の財政状況は必ずしも経営状況が悪いということではございません。
#167
○粕谷照美君 それでは、獣医畜産大学はどうなんですか。
#168
○政府委員(坂元弘直君) 学校法人全体で私どもの方に消費収支その他貸借対照表やなんかの経理関係書類が上がってまいりますので、獣医畜産大学部分だけについて細かい数字は今手元には持っておりませんけれども、私の承知している範囲内では、必ずしも獣医畜産大学も経営が非常に難しい、財政状況が悪いというふうなことではなかったと思います。
#169
○粕谷照美君 昭和六十年度の私立大学経常費補助金の交付状況が文部省から発表されておりますけれども、それを見ますと、実質補助の割合は十年前の水準を下回っているわけですね。そういう意味で、大変私学助成というものが足りないのではないか、こういうことを大勢の人たちが感じているわけであります。しかし、金が足りないのではないかということは、今御報告いただきましたように必ずしもそうではないということがはっきりしたわけでありまして、このようなことが行われるような体質をこの学校は持っていたのではないか。それは今度はなくなるというように理解をしてよろしゅうございますか。
#170
○政府委員(坂元弘直君) そういうような体質を持っておったということよりも、今御説明申し上げましたとおりにこの大学が、日本医科大学と日本獣医畜産大学と二つの大学を学校法人日本医科大学が設置しておるわけでございます。どうしても経営の主体というものは医科大学の方に、理事者側の経営の主体が偏ってしまう。それで獣医畜産大学の方から予算要求を理事者にした場合に、理事者側の代表者というのがほとんど日本医科大学出身者であったということがございまして、恐らく獣医畜産大学側としては我々も一生懸命やっているんだからもっと予算をつけてくれてもいいじゃないかという、そういうあれもあったんじゃないかという感じはいたします。その点は私どもも常務理事、それから獣医畜産大学担当理事の辞任を認めたことを契機に、学校法人全体が一体となって日本医科大学、それから日本獣医畜産大学を同じような形で学校経営の中で発展させるという方向で今後学校経営をやっていただきたいということを強く申し入れておきましたので、そういうことは避けられるんじゃないかというふうに期待しているところでございます。
#171
○粕谷照美君 入試委員会にもかけないで独断で入学をさせるなどというようなことは、もう絶対に起こらないような厳しい指導というものを私はやっていただきたいと思いますし、今挙げました二つの学校だけではなしに、政治家に裏口から金が渡されたなどというようなことが堂々と新聞記事に載っている。しかも定員なんかの数倍になるような入学を許可している、こういうこともこれあり、本当に私学の自浄体制というものをきちんとしていただきまして、私たちが、七五%の私学を信用してもっと金をたくさん出しなさいと、こういうことを言えるような条件をつくっていただきますように要望いたしまして質問を終わります。
#172
○委員長(仲川幸男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#173
○委員長(仲川幸男君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。
 昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#174
○委員長(仲川幸男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたします。
 粕谷君から発言を求められておりますので、これを許します。粕谷君。
#175
○粕谷照美君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   昭和六十二年度における私立学校教職員共
   済組合法の年金の額の改定の特例に関する
   法律案に対する附帯決議一案)
 政府は、次の事項について検討し、速やかにその実現を図るべきである。
 一、行革関連特例法に基づく国庫補助金の縮減
  額については、適正な利子を付してその補て
  んを行うこと。
 二、日本私学振興財団及び都道府県からの助成
  については、私学振興の見地から、その財源
  措置の充実に努めること。右決議する。
 以上でございます。
#176
○委員長(仲川幸男君) ただいま粕谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#177
○委員長(仲川幸男君) 全会一致と認めます。よって、粕谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、塩川文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩川文部大臣。
#178
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま御決議いただきました事項については、御趣旨に沿って十分検討いたしたいと存じます。
#179
○委員長(仲川幸男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(仲川幸男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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