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1947/10/06 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 決算・労働連合委員会 第6号
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1947/10/06 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 決算・労働連合委員会 第6号

#1
第001回国会 決算・労働連合委員会 第6号
  付託事件
○國家公務員法案(内閣送付)
○國家公務員法の規定が適用せられる
 までの官吏の任免等に関する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月六日(月曜日)
   午後一時四十一分開会
――――――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法案
――――――――――――――――
#2
○委員長(下條康麿君) それではこれより決算労働連合委員会を開会いたします。最初に前囘決算委員会で決議しまして、衆議院と合同審査会を開きましたのでございます。その際十名の証人の出頭を求めまして、いろいろ説明を聽きました。その経過概略を専門委員から御報告を申上げて見たいと思います。
#3
○専門調査員(森莊三郎君) 合同審査会の第二回は十月の一日に開かれまして、十人の証人が御出席になりました。おのおの賛成反対の意見をお述になりました。賛成の意見をお述になつた方が村上恭一さん、それから早稻田大学の教授吉村正さん。帝國大学の教授杉村章三郎さん、それから明治大学の教授弓家七郎さん、この四人の方でありました。そうして反対の意見をお述になりました方が、全國官公廳職員組合協議会の佐藤安政さん。それから全國逓信從業員労働組合の土橋一吉さん。それから國鉄労働組合の執行委員長加藤閲男さん。それから日本教職員組合の委員長荒木正三郎さん。この四人の方が反対の御意見でありました。そうして公法研究会に属する鵜飼信成さん、山之内一郎さん、このお二人の方が可なり多くの点について嚴しい批評を加えながら賛成の御意見でありました。それだけのことを御報告申上げます。尚この十人のお話の後で、只今御出席の吉川さんから何か参考材料があれば提供をして貰いたいというお話かございました。今申上げました中で公法研究会の鵜飼さん及び山之内さんなどの御意見が帝大新聞に掲げられてあるそうでありますから、これをこちらへ相当部数廻して貰いたいということを請求いたしましたところが、もう実物が殆どなくて送るわけに行かないということでありましたので、ただ二部だけ手に入りまして、一部は衆議院の方へ、一部はこちらの決算委員会の吉川さんのお手許に届けてございます。どうぞ御都合で御覽下さるよう、甚だ簡單ではありますがそれだけ御報告申上げます。
#4
○委員長(下條康麿君) 齋藤國務大臣が三時までこの席においでになるということでございます。同大臣に対して御質問がありましたら、この際お願いしたいと思います。
#5
○吉川末次郎君 今、この間の準公聽会について御報告がありましたが、尚公聽会の証人に召喚せられた方々の人選はどういう手続でなさつたのでありますか。ちよつと御報告が願いたいと思います。
#6
○委員長(下條康麿君) お答え申上げます。実はこれは衆議院の方と参議院の方と、半数ずつ人選しようじやないかというお話でありましたが、急なことで私の方では二、三交渉しましたけれども、結果におきまして帝大の杉村教授だけはこちらで人選したのです。その他は全部衆議院で人選されたのでございます。そうしてそれは衆議院の事務局なり、決算委員会の方へお申込があつた人と、それから事務局や法制局あたりといろいろ打合わされた結果人選ができたように聞いております。
#7
○吉川末次郎君 お尋ね申しましたのは、あの公聽会はあくまでも國会の公聽会でありますから、その人選等は國会の委員会が主になつて人選せられなければならん。然るに主として行政調査部の役人の方が、人選されたものであるというような噂を聞いたのでありますから、お尋ね申上げたのであります。もう一度それにつきまして、はつきり了解できますように、一つお願いいたします。
#8
○委員長(下條康麿君) 最初公聽会にしようという案もあつたのですが、相当時間がかかりますので、証人の出頭ということでやりました。從つてお話のように人選が或いは十分でなかつたということもあるかも知れませんが、併し大体この証人喚問につきましての話を、司令部の関係の方と御相談した時も、できるだけ各方面の人を選ぶように、そうして大体賛否を同数くらいにして貰いたいというお話がありまして、そういう積りで選んであつたのですけれども、併し中にははつきりしないところもあつたようですが、結論として先ず大体同数くらい賛否の論が、儀せられたのではないかというふうに考えております。今お話のような一部の官僚が、こういう選択を何か特殊な考でしたというようなことは私共聞いておりません。
#9
○吉川末次郎君 然らば委員長の御答弁の通りに了承いたして置きますが、尚この議案の審議を進めて行きます上におきまして、先般の準公聽会におきまして、証人の諸君がいろいろ云われたところは、この主要なことの大部分につきましては、本委員会におきましても問題にせられたことでありましたが我々の参考になつたことが多くあつたと思うのであります。荷その節証人の諸君も云われたことであり、又本委員会の委員諸君も、その点以前より御同感のことであつたと思いますが、この日本の官吏制度の或意味においての革命的な変革を齎す重要なる法律案の審議が、極めて短時日間に行わなければならないように押付けられておる。殊にその後になつて多少変えられてその審議期間が本月十五日まで延長せられたのでありますが、それがなければ先月中にこれは審議を完了しなければならないようになつておつたわけなのであります。このような重要な法律案の審議がまだ日本國民全体の輿論の一つの問題になつておらん、非常に未成熟であり、國民の輿論的の立場からは非常に未成熟のままにこういう重要な法案の審議が進捗いたしておる。その例といたしましては、例えば先般のあの証人の喚問の準公聽会におきまして、東京の大学の教授であるところの杉村章三郎君が、この法案については十分まだ眼を通していないというような証言をいたしておりましたが、若しこの法案の研究をば院外において先ず第一に取り上げなければならない人といたしますならば、官立大学の行政法の教授であるというように私は聞いておるのであります。日本の大学のことについてはよく知りませんが、私の傳聞しておるところでは杉村君は東京大学の行政法の担任教授というように聞いておるのでありますが、その地位からいたしますならば、誰よりも彼よりも最も熱心に主力を盡して研究しなければならないところの立場にある杉村章三郎君にして然りといたしますならば、他の諸君が、或いは他の國民全般がこの重要なる法案に対して持つておりますところの関心の程度というものは、あの杉村教授の言よりいたしましても、大体に察知することができるだろうと思うのであります。事実あの証人の多くの人が言いましたような、今申しまするこの審議の過程において甚だ未成熟である。そうして今國会においては、かかる重要なるところの法案の審議は、その審議の未成熟であるが故に、でき得る限り國会はこれを握り潰して貰いたい。そうして次の國会において改めてこれを審議して欲しいというところの希望は、私は誠に尤もなる意見であると考えるのであります。全くその点につきましては私は同感であります。然るに拘わらずこの重要なるところの法律案をば本月の十五日までに我々は審議を完了しなければならんということの理由につきまして、一つ我々が十分に納得することができる理由を、ここに御披瀝が願いたいと思うのであります。若しこの会合を何とか違つた形の非公開の会合にする必要がありますならば、委員長においてそのようにお取計らいが願いたいと思うのでありますが、それに対して我々の満足することができまするような事情のお話を、この際お伺いいたしたいと思うのであります。
#10
○國務大臣(齋藤隆夫君) この法案が國会に提出せらるるまでの大体の経路につきましては、これまで一應お話があつたと心得ております。無論できることならば早く法案を作りまして、國民全般の批判を受くるということは、これはもうどんな立法においても望ましいことでございますけれども、それにはおのおの見方がございまして、政府が出しまするところの法案を悉く國民の前に晒して、そうして國民に十分な期間と言うたところで、これは見る人によつてどれだけの期間がかかるかということは問題になりますので、これは見る人によつて限りがないと存ずるのであります。ひとりこの法案ばかりではございません。その外政府が出しまするところの重要なる民法でも、或いは刑法の改正案でも、その外政府の政策といたしまするところの他の法案、例えば政治上の問題になつておりまするところの石炭の國家管理にしても、法律の内容はそう久しき以前から國民の前に晒しておるものではないのであります。のみならずこの税法の改正の如き國民に利害の最も痛切でありまするところの税法の改正というものは、そうこれまで國民の前に法案の内容が長く晒されておるところの例はないように思います。この法案も早く國民の前に出せばそれに越したことはございませんけれども、たとえ國民の前に出しましたところで、これは研究をすれば限りがないのでございまして、すべての大学、すべての学者方面において研究を続けるということになりますれば、何日かかつてもそれは制限がないのでございまするからして、これにはおのおの程度があると思います。殊に國会においてこれを審議せられるのでありまして、國会はいわゆる國民の代表者でありまするからして、國民の各層を代表しておるところの國会議員の方々が國会において相当の時をば持つて御審議をせられることについてそう私は短かい期間ではないと思つております。これは皆見る人によつて違うのでありまして、長いという者のもあれば、これでよろしいという見方もありましようが、まあ私らの見るところによりますと、國会においてその道の権威者が皆集まつておられますからして、その方々が國民を代表して、そうして御審議に当つて下さいまするならば、これくらいな期間でできんことはないと、こう私共も考えております。先達つての公聽会におきましても一旦これを撤回して改めて出せというような議論もございましたけれども、私共の立場といたしますれば、何としてもこの國会においてこの法律を一つ成立させて頂きたいという考からして御無理であるかも知れませんが、十分お骨折りと御審議を願いたい。こう考えております。
#11
○小野哲君 私はこの決算労働連合委員会の第一回の際にも遲れまして出ましたために、政府からの提案の理由の説明も十分伺つておりませんし、又その間、どういうふうな質疑が行なわれたかということを詳しく承知いたしておりませんので、或いは重複するようなことをお尋ねするかとも存じまするが、お許しを願いたいと思うのであります。
 この國家公務員法案を概観いたしまするというと、いわゆる現在官吏に対して國家が取扱つておりまする思想と申しますか、考え方とそれから今回の國家公務員法案が対象といたしておりまするいわゆる國家公務員に対する國家の取扱い方というものとの間におきまして、何かそこに十分にはつきりとした政府の御見解を伺つて置かなければならない点があるのではないかと、かように思うのでございます。すでに労働組合法によりまして官吏も亦労働組合の結成をいたしておりまするし、或いは團体協約等に基きまして、勤労條件の確立等につきましてもすでに実行されておる問題でございます。又更に経営協議会等の機構も整備されておるのでありますが、一面この國家公務員法案自体を見ますると、官吏の身分或いは地位に関しましては、例えば任用の問題と言い、或いは分限、懲戒、保障又は服務、恩給というふうに國家公務員のみに特別な措置が講ぜられておるというふうなものもあるのでございます。言い換えれば、一体國家公務員法案は官公吏の現状を是認する。言い換えれば官吏も亦一般労働組合法にいわゆる労働者であるという立場でこれを扱う。こういう思想をこの國家公務員法案においても十分に採り入れるという前挺の下に立案されておるかどうか。從いましてこの國家公務員法案によりまして、國家公務員というものの身分が新たに設定されるという考え方で行くのか、現場の儘を是認しつつ國家公務員に対して必要な限度において、先程例として申上げましたような事項について、これを法案の中に採り入れているのか。この辺の根本的な考え方につきまして御説明を伺つて置きますことが、この法律案を審議する上について必要ではないか。誠にうといようなことを伺うのでありますが、もう一度元に戻つて、政府がこの法律案をお作りになる、立案をされましたその背景となつておる思想はどこにあるか。根本の理念はどこに置かれたかということをお示し願いたいと思います。
#12
○國務大臣(齋藤隆夫君) 國家公務員法案提出の理由は、私から一應この会の初めに御説明した通りであります。その外労働組合でありますとか、いわゆる官公職員組合というのがありまして、そういうものと公務員法との関係はどうなるかというような御尋ねではないかと思いまするが、御承知の通りに、官公職員組合は、やはり一つの労働組合の一種でありまして、労働組合というものは一体どういうような性質のものであるかということは、労働組合法の第二條に書いてありまする通りに、「労働組合とは労働者が主体と爲りて自主的に労働條件の維持改善其の他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として」、これが即ち労働組合の旨でありまして、労働組合は如何に発展いたしましたところが、この本來の範囲を逸脱することはできないと思つております。労働組合法には労働組合法の趣旨目的がありまするし、この公務員法案には、公務員法案の趣旨目的がありまするので、この二つの法律は両々相並んで運営されて行くのでありまして、この間において何等の連鎖はないと私は考えております。いろいろ労働協約というようなお話でありましたが、労働協約もこの公務員法を運用する上におきまして労働協約を締結することができる場合においてはしてもよろしいのでありますが、いわゆる官吏の任免権をもつております者が、それはそのときの事柄と場合に應じてできるのでありまして、二つの法律の間におきましては何等の連鎖はありません。両方共別々の效力を生ずるのであります。こういう考を持つております。
#13
○小野哲君 実は私が伺つたのは、労働組合法と本法との関係という意味ではなくて、政府がこの國家公務員法案を立案されました根本の考え方が、國家公務員法が國家公務員を労働者としてお取扱いになつておるのか、國民全体の奉仕者であるというふうな考え方から、この國家公務員法によつて特別に身分関係を設定するというふうにお考になつておられるのか、その点を伺いたい。こういうわけなんであります。
#14
○國務大臣(齋藤隆夫君) よく分りました。公務員の憲法上における地位はどうかと申しまするというと、御承知の通りでありまして、これまでの公務員は、即ち官吏とは天皇の官吏となつておりましたが、新憲法によりまして公務員は國民全般の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない、という意味はどういうことであるかと申しますというと、つまり読んで字の如くでありまして、別に深い説明も要りませんが、結局は、官吏は官吏の一つの身分がございまして、ややもすれば官吏は國民の公僕であるとか、國民の使用人であるとかいうような話をよく聞きまするが、これは國家の使用人であり、國家の奉仕者であるとは考えますが、國民の使用人ではないと私は思つております。官吏は國民を支配する……國権を背景として國民を支配する。國民に命令するところの権力を持つておる。國民の命令によつて、動くところのものであるとは私は思いません。これは官吏に対する観念が違つておると思います。官吏は官吏として憲法上國法上の一つの地位を持つておりまして、労働者でもなければ何でもありません。官吏は官吏としての特別の地位を持つておるというだけよりか外に官吏の身分を説明するところの言葉はないと、こう私は思つております。
#15
○小野哲君 甚だしつこいようでありますが、その点についてもう少し伺いたいと思いますのは、只今大臣は特別の身分を持つておる。労働者でもなければというような御説明があつたのでありますが、然るに先般の衆参両院の合同審査会におきまして、何が故に労働組合の諸君がこの國家公務員法案に対して非常な関心を持つておるということを示しておるか。又学者諸君もこの点についていろいろの意見を述べておる。從いましてこの國家公務員法案というものは、労働者でないというその点から特に審議いたさなければならんということになりますというと、若し現在官吏が労働組合法その他の労働関係法令によりまして認められておりまする諸種の條件は若し官吏に対しても、或いは國家公務員に対してもこれ等の諸條件を認めるということに相成りますれば、この國家公務員法案の内容だけだと私は不十分だと思わざるを得ないのでございます。從つて大臣が御指摘になりましたように、官吏は飽くまで、言い換えれば今後國家公務員という名前で扱われるのでありますが国家公務員というものは特殊な身分と地位とを持つている。又これを認めておるのだということになりますというと、先程御指摘になりました労働組合法とも別に関係はございませんで、つまり官公廳その他の官吏諸君が、この國家公務員法案についていろいろと意見が出ておるというところは、官吏も亦勤労者である。勤労者のカテゴリーの中の一人としてこれを扱つて貰わなければならない。こういうふうな根本的な考え方から、いろいろの意見が出ておるのではないか。どうも只今の御答弁では、何かその間にはつきりとしたものが感じられない。このような感じもございます。從いましてこの法律案を一つのはつきりとした思想で一貫したものとした纏め上げて行くというためには、只今大臣が言われましたような不分明な状態において見るということは適切ではないので、やはり特別な身分、若しくは地位を持つておる者か國家の公務員であるといたしますならば、そういうふうな思想の下に、この國家公務員法案を十分に檢討いたさなければなりませんし、又やはり勤労者の中に包含されてあるものとするならば、これ亦左樣な考え方で以て、この法律案を見て行かなければならないのではないか。そういう意味におきまして、根本の理念はどうなのかということを伺つておるような次第でございます。
#16
○國務大臣(齋藤隆夫君) 官公吏もやはり労働者の範囲に入るのであります。それが本になつて労働組合法ができております。労働組合法に関する限りは、やはりその官公職員もその関係においてやはり労働者であるのであります。労働者でありまするからして、労働法の適用を受けるのでありまして併しそればかりが官吏の身分ではなくて、官吏はやはり官吏として、國権を代表して、國民に向つて命令するという、この点が普通の一般の勤労者とは性質が違うということを私が申したのでありまして、私の言葉がどういう工合になつておるか知りませんけれども官吏は官吏の特別の身分があるというのはそこなんであります。官吏は勤労者ではない。こういう積りではない。そこは一つ誤解のないように願います。
#17
○小野哲君 只今の大臣の御説明によりまして、結局國家公務員、言い換えれば、現在の官吏も亦勤労者であるという前提の下に、この法律案が考えられておる。ただ特殊な事項については國家公務員法の中にそれぞれ規定されておる。かように了解して差支えないのでありますね。
#18
○山下義信君 大臣に二、三の点を伺いたいと思います。この公務員法案によりまして、職階制の全面的な改正が行われるということに相成りまするので、從つて職階制の全面的な新たなる組織ができるということは、言い換えまするというと、現在の行政組織が全面的に職階制を基礎とする建直しが行われるということに相成るのでございますが、それなくしては言うまでもなくこの公務員法案の実現はあり得ないわけであります。從いましてこの公務員法案が実施せられるまでの間の経過的ないろいろなものが、附則において示されておるのでありますが、それらの公務員法案が実施せられますまでの準備と、行政組織が、全面的に職階制に基きまする大改革が行われまする並行した進み方、その実現をして参りまする段階の行き方というものは、どういうふうなお見透しでお進みになるのでございましようか。承りたいと思うのでございます。且又この法案全般を通じまして、著しく目につきますることは、人事院規則によりまして、総てこの内容が定められて参りまするのでございまして、その人事院規則の今後盛られて行きまする内容というものが或程度まで分つておりませんというとこの法案の審議が実際においてできないのではないかと考えられます。その人事院規則の内容というものが、どの程度まで御準備ができておりましようか。本委員会の審議中にその全貌が大体お示しが願えますかどうかという点を伺いたいと思います。
 次はこの公務員法案の私共重点に考えておりますることは、試驗制度の点であります。これが從來の狹き高文登用のあの資格制度でなくして、一般國民に開放せられたる、如何なる人でも誰力がありさえすれば、國家公務員に就職の出來得る、いわゆる門戸開放、機会均等の試驗制度が行われていき、且又就職中の職員も常にその能力がテストせられ、そうして公平なる人事が行われていく、情実人事が打破されて行くということは、この試驗制度にあるのでござりまするから、これが実に公務員法案の骨子を成すものであると考えております。これがいわゆる合理的に、やはり科学的に行われることになるのでございまして、從いまして、この試驗に関しまする事務というものは、実に廣範な、非常に重大なものになると考えます。從いまして試驗に関しまするいわゆる部局というものが、單に人事院内の一部局の程度でよろしいものか、相当これは規模の大きなる考試委員と言いますか、試驗委員と言いますか、そういつたような、相当大きなる機関でなければ完璧が期せられないのではないかということを思いまするので、相当大きなる部局を以て、この運用の完全を期せられまするお考があるかないかという点を伺いたいと思います。
 第三はこの法案の中に人事官に関しましても、又職員の分限その他に関しましても、通じて私共が看取し得られますのは、総て政克に関係いたしますることを甚だしく忌避してありまする傾向でございます。併し人事官につきましては任用の以前一年間政克の役員であつた者はこれを選任しない。或いは職員におきましても、政党その他の團体に関係いたしますることを避けておりまする條項、その他がございまする。これはいわゆる民主政治の今日におきまして、職員と雖も、且又政治に関與いたしまするは当然の私は権利ではないかと思う。政党のために職務を穢すということは、言うまでもなくこれは避けなければなりませんが、職員自体が政党運動に関係いたしまするということは、立憲國治下の國民の一人といたしまして、当然なことではないかと考えます。人事官を任命いたしますに当つて、一年前に政党の役員であつたというようなことを以て避けまする理由は毫末もない。而もその人事官は非常に立派なる人物を第五條におきまして要求いたしております。政党の幹部である、役員であるというが如きは、これから実に立派なる人達がその地位にあるべきでありまして、そういう人を避けるということは、即ち政党を何か蛇蝎の如くに見るという古い思想が残存しておるというふうに感ぜられます。政党の弊害を公務員の上に及ぼすということを避けることが、却て角を矯めんとして牛を殺すというが如きに感ぜられる点がござりまするので、これらに関しまして、どういうわけで政党をさようにお嫌いなさつた趣旨の下に、そういう條項が差挾まれてありますのか、大臣の御意見を承りたいと存じます。
 最後に第四点といたしまして、一般職と特別職の関係でございます。一般職というは、即ち廣く公平なる採用制度によりまして、如何なる者でもその任に就き得る制度である。然るに特別職というは特別の選考人事をやろう。こういうのであります。然ればこの公務員法案というものは、人事を公平にし、機会を均等ならしめるための公務員法案でございまするから、特別詮議の人事というが如きは、これは極力狹い範囲でなくては、立法の趣旨と矛盾をする。たとえその特別職というものの必要な理由がなんでありましようとも、或いは特別のエキスパートが必要である。或いはその地位に浮動性があるとか、いろいろな理由がありまして特別の職なるが故にということの理由があるといたしましても、原則といたしましては特別職という如きは、眞に止むを得ざる職務、特別の選考にあらざればその職員を得がたき場合に限るといつたように極限せらるべきが本來の原則ではないかということを思うのでございます。その点につきまして御所見が承りたいと存じます。
#19
○政府委員(佐藤達夫君) 後ほど大臣からも御説明があると存じますが、一應私からお答をさせて頂きたいと存じます。
 第一点の、現在からずつと國家公務員法施行後に掛けての、いろいろな官吏制度の面においての実際の動きがどういうふうになつておるかという趣旨のお言葉でございました。第一に申上げたいのは、この國家公務員法の実体の規定が実施されますのは、來年の七月一日となつております。今日から來年の七月一日までの間の措置はどうかという問題が第一の問題であろうと思います。これは同時に御審議を煩わしております法案との関係にもなるのでございますが、その期間は一應現在の官吏制度を先ず基本的にはこれを取敢えず存続して置きたいと考えております。但し現在の制度には改善すべき点も若干ございます。從いましてそういう点につきましては、新しい國家公務員法案の趣旨に少しでも近付けることの努力はいたして参りたいという趣旨で考えておりまするが、大体の骨組は現在の官吏制度を経過的に一應そのまま使うという考でおるわけであります。そこで來年の七月一日以後になりますと、いわゆる理想を申しますれば先程御指摘の職階制度の如きも全面的に即時に実施するのがこれが理想でございますけれども、御承知のように職階制度というものは、非常に精密な作業を要する事柄でございまして、一網打盡に全般の官職について職階制度を打立てることは、これは困難であります。從いまして重点主義と申しますか可能な範囲においてできるところからこれを作り上げて行つて、そうして漸次全官職にこれを及ぼしたいという積りでございますから、七月一日以降は早速可能なところから手を着けまして必要な部分について次々と職階制度を打立てて行く。そうしてこの職階制度ができ上りました部面につきましてはこの法律案によりまする給與なり、或いは採用試驗というような制度を逐次実施して行こうというような心構えでおるわけでございます。
 それから第二のお言葉にございました人事院規則の内容として、一体、大体の考はできているのではないかというような御趣旨のお尋ねでございましたが、これは人事院規則の内容にもいろいろな物によりまするが、只今の段階において我々が考えておりますのは、ここに別々に出ております人事院規則とか、ここに言う人事院規則の中にはどういう事柄を盛り込むのかという趣旨におきましての大体の見当はついております。併しながらこれは具体的にその人事院規則はどういう條文の形で現われて出るかというようなところまではまだ研究中でありまして、のみならず物によりましては人事院によつて優秀なる專門家が研究して、始めて内容を決めて貰つて行くような事柄もありますので、只今ここで全面的に申上げるような段階には立至つておりません。併しながら先に述べましたように大体この候文の人事院規則はどういう事柄を盛り込む積りかということなら一應のことは申上げ得ると思います。
 それから第三と申しますか、試驗制度についてお言葉がございました。試驗制度はこの法案の根幹を成すものと思うと。誠にその通りであります。そこでこの試驗の機構ということも、これは非常にその試驗機関の任務というものは極めて重要な性格のものであるわけであります。從いましてその機構を如何にすべきかどいうことは、十分愼重にこれを考えなければならんことと思いますが、ただその機構の大きさの問題を申しますというと、先程も触れましたように逐次職階制度ができてから試驗制度もできて行くということになりますから、最初の段階におきましては、恐らくこの試驗機関というものは、人数の面から申しましても、そう大きなものにならないのじやないかというような予想を持つております。併しながら将來はこれは漸次相当大きなところまで行くのじやないかという予想はいたしますが、取敢えず只今のところでは、優秀なる職員はむしろこの企画と申しますか、試驗をどうするかというような方面に主力を注ぐべき段階であります。試驗の実施の方面においては、そう大きなところまで行けないのじやないかというような予想を持つております。
 それから政治関與の問題は、これは齋藤國務大臣からお答え願つた方が適切かも存じませんが、一應我々の考えておりますのは、公務員は眞にその仕事に從事しなければならん。政治運動にその精力を使われるというようなことをまあ恐れるという面と、それから公務員としては、すべての國民に対する関係において、誠実なる責任者でなければならんというような関係から、いろいろ色眼鏡で見られるということのないようにというような点なども、その一つの趣旨になつておるわけでございます。
 それから最後に一般職と特別職との関係であります。先程のお言葉にもありましたように、折角この公務員法というものを一つの理想の下に作り上げます以上は、成るべく多くの官職を適用の主体にしたいという勿論心組で立案いたしておるのであります。併しすでに御説明申上げたかと存じまするが今回法案の第二條に挙げておりますようなものは、少くともその仕事の特殊性からしてここに特別取扱をせざるを得んという趣旨でかようにいたしておるのであります。必要の最小限度という積りでおるわけであります。極めて不十分でございますが、一通りお答え申上げた次第でございます。
#20
○國務大臣(齋藤隆夫君) 公務員と政党との関係につきまして、私見を述べて見たいと思いますが、御承知の通りに新憲法ができまして、日本もこれからは最も完全なる議院内閣制を行わねばならんことになつております。又議院内閣制が民主政治を行われまするところの要諦であると思つております。この見地に基きまして、公務員法も制定しておるのでございますが、すでに議院内閣制、政党内閣制をば実行するということになりますというと、どうしても政務官というものと事務官というものの区別は設けねばならんことになります。又いずれの國におきましても事務官は政党員でいけないのみならず、政党に加入してはいけないというようなことは、世界共通の原則になつておるようであります。イギリスにおきましては御承知の通り、政務官と事務官の区別がありまして、事務官は一生懸命に事務に鞅掌する、内閣が如何に送りましたところが、事務官の地位には影響を及ぼさない。又アメリカのごときは、これは最もひどいのでありまして、あらゆる官吏は議員にはなれない。三権分立が徹底的に強行せられておりまして、ここにおいて官吏というものは、直接にも間接にも政治界には身を投じてはいかんし、又政治には干渉してはいかんということになつておりますので、どうも議院内閣制をやります以上は、自然にこういうふうな結果が現れて來ますのみならず、どうも別に政党が惡いとか政治家が惡いとかいうのではありませんけれども、官吏が政党に身を投じたり、そうして政党の役員等をやつておりますと、何としても公平なるところの官吏としての職務を遂行することができないということは、これはもう自然の傾向であると思います。例えば今社会党の内閣ができておる。これに自由党に籍をおいておるところの官吏がおりましたならば、どういうようなことになりまするか、どうも自由党と社会党とは今は左右に分れておりまするので、自由党に籍をおいておりまするところの事務官が、社会党の内閣の事務官として公平な官吏の職務を全うすることができるかということは、理屈においてはできんということもありませんが、事実においてはむずかしいと思います。故にどこまでも官吏は官吏として、あらゆる政党政派を超越して事務官の本分を果すということが、行政を遂行する上において最も便利であると思うのであります。殊に人事官の如きも、これは丁度会計檢査院のように、あらゆる方面から獨立して、そうして最も公平なる立場に立つてこの人事行政をば行なつて行かなければならない。その人が政党と深い関係を持つているということになりますと、自然どうも公平にその職務を行うことができないようになりまするがらして、裁判官ではございませんが、会計檢査院に近いくらいの独立の地位を與えて、いずれの政党にも、いずれの社会にも遠慮せずして、独立独行に極めて公正な見地に立つてこの職務をば遂行さしたいという考からして、こういう規定が設けられたのでございまするので、決して政党員を排斥するというような意味ではなくして、別の意味からしてこの規定が作られたのであります。さように一つ御承知を願いたいと思います。
#21
○山下義信君 事務と政務とは区別があるのでございますから、事務專任の職員が政党に関係いたしておりましても、ちつとも差支ないという論も立ち得ると思いますが、これらは又他日の機会にお尋ねするということにいたしまして、只今法制局長官のお答え下さつた試驗に関しまする事項の御答弁の中、当分まだ全面的に職階制が実施せられるまではさ程用事がないような御答弁でございましたが、私共は新たに職員を採用する試驗ということも非常に重大でありまするが、現在の二百幾十万の官吏を新職階制のできましたそのおのおののの職階に属する能力、それが果して適所、適材に配置し得られるかどうかということの試驗、これをいつやるか、即ち全面的な職階制の施行せられるまでに、現在のこの驚べき多数の官吏のテストをやらなくちやならん。ただそれを新らしく採用する者のみに科学的に、合理的に試驗をいたして、現在の官吏はそのままずるずるといわゆる甦るという制度と置き換えるというようなことになりましたのでは折角の公務員法案も、折角の能率主義の職階制も、私は全然從労に帰すると思うのであります。そこで僅か明年の七月までの間に諸般の準備をします中の最大の準備は、現在の官吏の、私は新らしく職階制につくまでに、それぞれ公務員法案に盛られた網の如き調査が行われて行かなくちやならんと思いまするので、それはいわゆる試驗制度の先ず手初めにやることでありまするので、相当これは大掛りな準備、いろいろな仕事があるだろう。こう思いましてお尋ねいたしたのでございますが、現在の多数の官吏、これの職階制に適應するための御準備をどうなさるか。こういう質問をいたしたのであります。御答弁を煩したいと存じます。
#22
○政府委員(佐藤達夫君) 先程のお答は、実はこの試驗の実施ということを私は頭に置いておつたものでありますから、例えば試驗をやるということを一つの組織の内容として考えてここでお答をいたしました結果、少しくお尋の趣旨と食い違つておつたように考えます。その試驗の制度、職階制度を立てて、その職階制度の立案と並行してこの職階には如何なる資格、如何なる試驗制度を採るべきかという調査研究は、これは勿論非常な重点をなすべきことであり、そのためには相当の優秀なる適材をそこに据えて、立派な制度ができ上るように努めなければならんことは当然でございます。そういうことになりますと、この案で申しますとすでにその準備作業は、今囘の臨時人事委員会と申しますか、それを先ず拵えて緒口をつけて調査に取り掛かる。そういたしまして本格的の人事院にこれを引継ぐという段取りになるわけであります。ただ差当つてこの発足いたします臨時人事委員会というものの陣容はどうかというお尋になりますと、実はこれは人数の方から申しますと、予算等の関係も非常に窮屈になつておりますので、我々が理想として考えておるような人数は到底これをこの組織の中に採り入れることは困難でありますが、できるだけ立派な優秀な有能な方々に、ここの職員になつて頂きまして、その立案調査そのものが十分できるようにという心構えでおる次第でございます。
#23
○栗山良夫君 先程吉川委員の御質問即ち本法案が國民の檢討の過程におきまして、まだ未成熟である。こういうことが指摘せられておるのでありますが、これについて齋藤國務大臣は、それは際限の問題であつて、國民の代表である國会にこの程度の時間を仮すならば、十分審議し得るものである。こういうことを仰しやつたのであります。ところが過日の十人の証人の人々の中で、半数以上の人々が不賛成を申述べたのでありますが、わけても全官の労働組合の人々、國鉄、全逓、教員並びにその他の全官の代表の人々が、挙つて反対の意見を表明したのであります。このことは、日本の全官吏が反対の意思を表明しておると私は認めるのであります。ところで今度の法案が封建的な官吏制度の抜本的な刷新を図り、そういたしまして天皇の官吏から國民の官吏へ完全に切り替えをなし得るところの実質的な内容を持つておりますならば、恐らく全官公労働組合の方々も反対する理由はないと私は思うのでありますが、そこに数々の指摘された内容を見ますると、私共も同感を禁じ得ない点があるのであります。過日の証人の中で、私が特に頭に残つておりまする問題は、全逓の委員長である土橋一吉君が申し述べられました中において、本法案が成立の過程に非常に不明朗である。こういうことを指摘したのでありますが、このことは恐らく二月の政府と全官公の労働組合とのあの爭議の過程におきまして、一つの協定書が作られたことは、國民が齊しく知つておるところであります。そうしてこの協定書の中に、このような問題が取扱われるときは、政府と全官の労働組合とは協議をするというようなことが、恐らくあつたと私は思うのであります。若しこの約束が完全に履行されておりますならば、今日のような全官吏が反対を表明するというようなこともなかろうと思うのであります。若しこれが事実といたしまして、そうしてこの協定事項に対しての違反であると土橋君は言つておられましたが、これが事実であるといたしますならば政府の不誠意ということが國民の前に露呈されることになるのであります。これは前内閣のことでありますけれども、当然現内閣も協定事項である以上は、これを引継いで完全に履行しなければならない私は責任を持つておると思うのであります。如何に立派な法案を作りまして、いわゆる政府が考えておられる立派な法案を作られまして官吏制度の刷新を図ろうと意図いたしましても、これを適用されますところの日本の全官吏諸君が反対するというような雰囲氣の下において成立いたしました法案は、魂を入れないところの法案でありまして、結局、意図とするところの、國民の公僕としての官吏として、立派な運用が私はできないのではないかと非常に心配をいたす者であります。事柄はスタートが大事でございまして、この現在の全官労の諸君が最も不満を表明しておりますこの法案成立の過程における不明朗化という問題について、政府は國民の前に誠意を持つて全官吏が納得すると共に、國民全部が納得し得るような、明かな態度をおとりにならなければいけないのではないかと思うのであります。この点につきまして國務大臣の明快なる御答弁をお願いしたいと思うのであります。
#24
○國務大臣(齋藤隆夫君) この公務員法は前内閣のときには問題になつておらんのであります。これは現内閣になりましてから始めてできた法案でございまするからして、前内閣のときにおいて公務員法の起草について官公職員組合に相談するとか、或いは何とかというような話が出るわけはないと思います。それは別といたしまして、この公務員法ということが新聞を通じて世上に発表せられました当時でありますか、官公職員組合の代表者の方が私に面会を求めて來られまして、何か職員組合の方で委員会か何かを設けて、この法案について一つ諮問してくれというような意味がありましたからして私はそのときにはきつぱりとお断りをいたしたのであります。お断りをする趣旨はいろいろありますが、最前申しましたように、職員組合は一種の労働組合でありまして、労働組合がどういうことをするものであるかということは、労働組合法の第二條に、私が先程読みました通りに規定してあります。主として労働條件及び経済上の関係について、労働組合は法規に規定してあるところの権能を持つておりますが、労働組合がいちいち政府の行政組織に干渉するというようなことがありましたならば、これはもう際限がないのでありまして、それがためにあなた方が選ばれたところの國会があるのじやないか、國会が全國民を代表すると同時に、あなた方を代表して、この法案について徹底的な審議をせられるのでありまするからして、あなた方に何かその法案について意見があるならば、あなた方が選出せられたところの國会に向つて言われるのが当り前じやないか。こういう趣旨を以て私は應接したことを今でも記憶しておりますが、そういうような経緯からしてこれは來たものではないかと思います。尤もこの公務員法につきましては、官公職員組合の方々は、直接の利害はありましよう。併しながら法案について利害関係のあるものは悉く議会に提出する以前において諮問するなり、協議をしなければならないということにいたしましたならば、それはとてもやり切れたものじやありません。殊に税法のごときは國民に最も利害関係があるのでございます。けれども、税法改正で國民から租税をとるというこの法案のために國民に直接に相談をするということになりますると、代議制度の趣旨は全く沒却されてしまうのでありますからしてそれがために國民が選んだ國会があつて、國会が國家の立法の最高機関として忌憚なき意見を國会において述べられることによつて、諸般の政策が決まるのでありますからして、この法案について特に公務員、官公職員組合の方方に相談をしないからといつて、それによつて官公職員組合は、この法案には絶対反対するというような結論まで出て來るわけはないと思います。そこの経緯じやないかとも思つております。國会におきまして、官公職員組合の方々の御意見もよくお酌み取りになると思いますから、國会の審議は極めて公平なるものである。こう私は前提しておりますからして、そんな考を持つておりますから、どうもこの間の公務員公聽会におきましても、組合側の方々は、皆反対という意思を表明されておりますけれども、その論拠につきましても、どうも私は徹底しないところがあると思います。こういう工合に見ております。
#25
○栗山良夫君 只今の國務大臣のお話の根抵を流れておりますものは、現在の労働組合は、経済問題の運動に終始すれば、それで十分であるというような御見解のようでありますが、この点は現在の日本の労働組合が持つておりますところの考と柳か遅うのじやないかと思うのであります。このことは中労委の会長代理である末弘博士の書かれました組合法の解説の中にもはつきりいたしておるのでありまして、経済的な問題の改善に盡すと申しますがそれかと言つて政治的な問題を全然取り上げてはいけないというのでなくして、これも当然取り上げて差支ないということを書かれております。現在の日本の労働者は、少くともそういうような氣持で労働組合運動をやつておるのであります。又民間の各企業團体においても、又官廳の職員組合、労働組合においても同じでありますが、それぞれ経営協議会を持ちまして、相当廣汎な事業運営の事項について、経営者側、或いは官吏の上級者の責任ある方々と協議を進めて、仕事の円滑なる運営に努力いたしておるのであります。そうして時たまこの國家公務員法案の中にも、経営的な経営協議会の中でなされるような、いわゆる労働條件の改善その他業務の円滑なる運営のためにするところの、日常的な協議事項のようなものが多分に含まれておるのであります。從いまして、全官労の労働組合の諸君は、恐らくそういうような観点から起つて自らの主張を強く続けておることと思うのであります。問題はそういうことでございますが、併しこの本案を適用いたしました場合に、直接利害関係を持つものは、今大臣の言われた通り、全官労の職員の官吏の万々であります。この官吏の方々が、今國務大臣が言われたようなお説を十分に納得いたしまして、そうしてその認識の下に、この法案が実施されるならば、初めて表裏一体となつて、國政の運用に完全を期し得ることができると思うのでありますが、ただ労働組合側の方では、この法案は不満足であるとの意思を表明し、政府の方では労働組合が、そういうような不満を表明することは怪しからん。これで以て十分に官吏としての道を盡すべきである。こういう工合にそれぞれが自分の方の主張をただ述べているだけでは、決して渾然一体となつての官吏道の推進は私はできないと思うのであります。從いまして今後全官労の職員労働組合と政府との見解の相違の点を如何にして調整し、そうして円満に了解をつけられるような措置をどういう工合にしてお講じになるか。これは現実の問題、現実にそういう空氣が起きているのでありますから、これをどうして打開されるか。その点についてお答え願いたいと思うのであります。
#26
○國務大臣(齋藤隆夫君) 労働組合が政治のことについては絶対にくちばしを出してはかん。そういう考は私は持つておりません。無論経済上の関係と、政治上の関係とは全く別のものとは思いませんから、政治のことについてくちばしを出されるのもいいし、或いは只今問題になつておりまするところの公務員法案についても、労働組合の意見のあるところは、御遠慮なくお示しを願いたいと思います。併し私が申しましたことは、労働組合、即ち官公職員組合にこの法案を諮問しなかつた理由は、こういう工合であつたということを述べたに過ぎないのでありまして、全面的に反対せられるということが、私共はよく了解できないのでありますが、この公務員法というものが必要であるということは、官公職員組合の入と雖も認めておられると思います。この内容につきまして、何か氣に食わんところがあるならば、やはり組合側が國会議員を通して、國会において然るべく修正をされるというのが、これが立憲的でもあるし、又民主的であると考えているのでありますから、その途をとつて頂きたいと思います。ただそれを、いきなりこの法案そのものについて反対であるということになりますというと、その反対の理由を、私は見出すことに苦しんでおるということを述べたに過ぎないのであります。
#27
○栗山良夫君 ちよつと執拗のようでありまするが、もう一点だけお伺いしたいのであります。今、官吏と政府との問題ではあるけれども、併し國民の代表である國会ですべてを決すればいい。こういうようなお話がございましたが、これは民間企業におけるところの問題と、ちよつと趣を異にいたしまして、政府と官吏というものは、これは一つの、民間でいえば民間の経営者と労働組合というような立場で、昔の古い言葉で申しまするならば、主從の関係にある問題なのであります。從つて勿論國会で法案は成立決定するのでございますけれども、問題をもう少し和やかにそうして施行後の円滑なる運用を期するためには、そういういわゆる規則上の成立の過程だけを踏まないで、実際に政府と、政府の下にあるところの官吏との間の話合というものはもう少し内々的に、親密に進められて行くべきではなかろうか。こういうことを私は質問申上げたのでありまして今齋藤國務大臣のお話の中では、一般の問題と同じようにすべて國会でやる。それで十分であるというようなお話でありましたが、これでは恐らく全官公の労働組合の人々も、意に満たないところが多くはないかと私は惧れる者であります。
#28
○國務大臣(齋藤隆夫君) ちよつと加えておきますが、この公務員法案は主として行政調査部において立案したものでございますが、行政調査部を設けて行政機構を改革するというこの目的を以て出発するに当りまして、各方面の人々の意見を聽くということは極めて大切であるという考えからいたしまして、やはり労働関係の方からしてはどうしても智慧を借りなければならないというところからして、顧問会を設けまして、顧問の中に労働問題について極めて重要な立場におられますところの今の衆議院議長の松岡君をお願いしておつたのであります。これが労働者側を代表して行政機構の改革、延いては公務員法制定ということについて御意見を聽くことになつているのでありまして、これで一應労働者側の御意見を聽くことになつているのであります。ところが松岡君は御承知の如く議員になりまして、議会において議会の決議によつてこういう方面の委員になれんということで、外の方が松岡君に代つて出たのであります。或程度においては労働者側の意見も聽いているのでありますけれども、その以上の多数の官公職員組合の方々の御意見を聽くということは、これはいつかも申しましたが、実は時間もありませんので又場合によつては聽いて法案を作ることもありますし、又聽かずして法案を作ることもありますので、必ずしも聽かんいうことでありませんけれどもこの法案はしばしば申しましたように時の関係等によりまして、十分に御意見を聽く時間もないのみならず、初めからして御意見を聽いておつては、たかなか案ができませんからして、政府において單独で拵えまして、この以上は國会の御審議を持つということになつているのでありますからして、誤解のないように附加えておきます。
#29
○太田敏兄君 私は官吏の恩給制につきまして、一言お尋ねしたいと思うのでありますが、今日の制度では数多くの勤労者の中で、ひとり官吏のみが退職後におきまして、國家の恩給によつてその生活が或程度保障されているということでありますが、他の民間の勤労者は、そういうような特殊な恩典と申しますか、老後における生活の保障を國家から何ら得ていないのであります。勿論官吏は國民全体の奉仕者であるといつたような表現がこの頃用ひられておりますけれども、併し他面、例えぼ労働者農民の如きにいたしましても、やはりそれぞれの立場におきまして、我々の生活に奉仕してくれているのであります。でありますから、これら一般の勤労大衆を、官吏と特に区別せねばならんという理由がどこにあるかということをお聽かせ願いたいと思うのであります。私は外國における恩給制度がどうなつているかというふうなことを詳しく知りませんが我が國におきまする明治以後の恩給制度は一種の封建思想に端を発しますところの、いわゆる官僚独善的の一つの特権的な制度でないかと思うのであります。先程小野委員と齋藤國務大臣の質疑應答の中でも、官吏はやはり勤労者である。労働者であるということでありましたが、さようでありますると、寧ろ私はこの際一般勤労者をも含めた年金制度又社会保險の如き制度を確立いたしまして、そうして官吏も、又民間の勤労者も同樣に退職後における或いは老後における生活を保障するというようなことにすべきではないかと思うのであります。これにつきまして政府の御所見を伺いたいと思うのであります。齋藤國務大臣からお願いいたします。
#30
○國務大臣(齋藤隆夫君) 恩給のことは、これまでもなにか御質問が出まして、政府委員の方からもお答になつておると思いますが、いずれこれが行われまするならば、この中の或條文にもそれが現れておると思いますが、恩給制度もすつかり根本的に改正をしなくてはならんと思つております。さように御承知を願いたいと思います。
#31
○帆足計君 ちよつと國務大臣にお尋ねしたいのですが、日本の官僚機構はヨーロツパの行政機構と違いまして、旧來の大権的な半封建的な議会制度の下における專制支配の支柱であつたということは、歴史学者の大体一致した意見であると存じます。從いまして政体が変革ざれまして、財閥、既成政党その他各方面におきまして、すつかり態樣が変りました今日、官僚機構に対しましては、私は本來ならばこれは一應解体して、又は極度に簡素化して、チープ・ガバーメントの原則を先ず採用すべく、これが歴史の規準であると存じます。併しながら我が國の現状では一面経済統制、戰後の経済統制、その他の各般の仕事が山積しておりまして逆に他面から行政機構並びに官吏の数は尨大なものとなり、その権能は極めて大きなものになつておるという矛盾があるわけであります。この矛盾の中に立ちまして、私共が新憲法の趣旨を尊重し、それに即應する明るいそうして國民の公僕としての明朗性を持つた官廳機構並びに官吏制度を確立するということは、極めて困難な仕事であると存じます。現在日本の專制支配の支柱であつた内務省の解体も決まりました。併し更にその後の機構がどうなるか。又司法省の民主化等の問題もどうなるか。我々まだ一向はつきりした見透しを存じておりません今日、この公務員法という重要な法案を審議し、決定しまするためには、余程愼重な考慮が拂われねばならん。從いまして私は最勢の吉川委員のいろいろの御注意に賛成でありまして、この法案の檢討は日本の民主革命の成否を決定する問題の一つであると考えておる次第であります。こういう前提の下で、二つばかりお尋ねしたいのでございますが、一つは、官吏の罷免に対しまする権利は、國民の讓るべからざる権利として憲法に保障されておりまするが、これをどういうふうな形にお現しになりまするか。これにつきましての大臣のお考えもう一つは現在進駐軍の支配下に、権力機構は進駐軍の方で持たれておりまするけれども、将來のことを考慮いたしますると、恐らく警察の権力を強化することになろうと思います。ところが御承知のように、我が國の警察は、一面におきましては國民の治安を維持するために、非常に犠牲的に、廉潔に働いてくれてもおりまするけれども、他面におきましては、反動政治の最も強暴なる支柱でございます。そうして旧來の警察官その他の人達の教養も低く、その思想は極めて暗愚でありまして、これを啓蒙するという仕事は容易なことではございません。このような封建的な機構が過去のままずるずるべつたりに温存され、その権力か憂に強化されるとしましたならば、将來の日本の前途というものは、非常に一抹の暗いものがあるということは、あらゆる論者の一致した意見であると私は見ております。從いましてこの権力を持つた機構に対しまする公務員制度につきましては、新しい憲法にふさわしい何らかの考慮を今から準備されません限り、私は日本が再び警察官僚國家に轉落するなきを保障し得ないということを危惧する者でございます。この二点につきまして、特に第二の点につきましては、今後の問題かも存じませんけれども、大臣のお考のことでもございますれば、一つお聽かせ願いたいと思います。
#32
○國務大臣(齋藤隆夫君) 日本は戰爭に敗けまして、國情が急に一変いたしまして、新憲法も制定せられまして、新憲法の效力及び精神によりますると官吏の地位もすつかり変つて参りましたことは御承知の通りであります。即ちこれまで天皇の官吏であつたのが、これが天皇の官吏でなくして、人民の國民の官吏ということに変化いたしましたからして、これに伴うて官吏制度も根本的に改革をしなくちやならんという趣旨から、この國家公務員法というものが生まれたわけなのでありまして、公務員法もその線に沿うて、諸般の制度を設けたものであるというふうに考えております。憲法第十五條によりますと、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、國民固有の権利である。」即ち國民は公務員を選定することも、罷免することも國民の権利であるということが現われておりますからして、この言葉をただ文字通り解釈して、あらゆる官吏について、あらゆる官吏を選挙するのは、國民が直接選挙しなければならんとか、或いは官吏を罷免するのも、国民が直接に罷免する等の用意がなければならんというような御議論も現われるかも知れませんが、これはこの憲法ができて以來、いろいろ憲法学者もこの法文を解釈しておりますが、必ずしもいちいち大小を問わず、あらゆる官吏を国民の直接選挙によつて決めねばならんという趣旨ではないのであります。つまり今の政府が國会によつて総理大臣が選ばれてそれが政府を拵えた。その政府の大元が國民の意思によるのでありまして、この國民から選ばれた政府は官吏の任命権を握ると、それから或種類の公務員は、地方自治体とか、その他大分相当な範囲における公務員の選定及び罷免は、國民が直接にやることもございますけれども、多数の公務員は、國民に基礎を置きますところの政府が國民に代つてこれを選定し、及び罷免するのでありますからして、この方法は憲法第十五條の趣旨に決して背反しないのみならず、憲法のこの趣旨は、この方法によつて十分実現するものであると考えております。
 警察制度のことは大問題でありまして、お説の通り、どうも日本は軍隊はなくなつてしまいますし、これからの日本の治安は警察力だけで維持することになりますが、どうしたらこの警察の目的を達することができるか。これは或方面の意見もありますし、今の政府におきまして、警察制度の改正は、これは余程具体化しておりまして、あまり遠くない時期におきまして発表することができると思います。今しきりに案を練つております。大体と申しますと、國家警察と自治警察と、この二本建てにならねばならんように思いますが、自治警察は自治警察だけ、國家警察なら國家警察だけでよろしいではないかという議論もありますが、どうもどつちにも偏することはできなくして、さりとていい方法もありませんからして、大体において折衷説が現われて來るであろうと思います。これはどういうような形になつて現われて來ますか。たびたび申しましたように、あまり遠くない内に発表できることと思いまして、今しきりにその案を練つております。これまでの警察のように警察といえば、人権を蹂躙する所であつたというような感じは、國民から拂拭いたしまして、警察の機能を十分に発展せしめるがために、最善の警察制度を設けたいというように、今非常に骨を折つてやつておりますから、それだけのことはお含みを願います。
#33
○帆足計君 只今の官吏の罷免の問題につきましては、私直接選定をせねばならんとは勿論存じません。併しこの政府が監督なさると申しましたけれども、結局政府のその委員会の構成にあろうと存じます。從つてこの問題につきましては、更に他日具体的な問題になりました時に、又お尋ね申します。
 第二の、警察司法制度の民主化につきましては、私の観察しております限り特に警察司法制度における民主的啓蒙運動が非常に不十分でございます。私は日本の警察司法制度は、余程の決心を以てこの啓蒙並に再教育いたさなければならん場所であると存じております。これにつきましての努力が不十分であると我々存じておりまするが、参考のため私の氣持だけを申上げました。
#34
○委員長(下條康麿君) ちよつとこの際御祖談申上げますが、労働委員会の方で全官労の代表の方から、いろいろお話を伺うことになつておりますそうであります。それで幸い決算労働委員会が開かれておりますから、この席でその方のお話を聽いたらどうかと思いますが、如何でありますか。
   〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(下條康麿君) それでは正式に証人ということでなく、懇談会の席上でありますから、極く略式に話を聽くことにいたします。お話を願う方は全國官廳職員労働組合協議会常任委員佐藤眞君であります。速記は中止いたします。
   午後三時十三分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時三十二分速記開始
#36
○委員長(下條康麿君) 速記を始めて……それでは明後日引続いてこの委員会を開会いたします。今日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
 出席者は左の通り。
  決算委員
   委員長     下條 康麿君
   理事
           太田 敏兄君
           西山 龜七君
           山下 義信君
   委員
           吉川末次郎君
           深川タマヱ君
           小野  哲君
           駒井 藤平君
           鈴木 憲一君
           伊達源一郎君
           帆足  計君
           山崎  恒君
           千田  正君
  労働委員
   委員長     原  虎一君
   理事
           堀  末治君
           栗山 良夫君
   委員
           千葉  信君
           木下 盛雄君
           平岡 市三君
           植竹 春彦君
           紅露 みつ君
           奥 むめお君
           竹下 豐次君
           姫井 伊介君
           中野 重治君
  専門調査員    森 莊三郎君
  國務大臣
   國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
  政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局次長   井手 成三君
   総理廳事務官
   (行政調査部総
   務部長)    前田 克己君
   総理廳事務官
   (行政調査部公
   務員部長)   淺井  清君
ソース: 国立国会図書館
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