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#1
第108回国会 外務委員会 第1号
昭和六十二年三月二十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         宮澤  弘君
    理 事         最上  進君
    理 事         森山 眞弓君
    理 事         松前 達郎君
    理 事         小西 博行君
                大鷹 淑子君
                後藤 正夫君
                嶋崎  均君
                鳩山威一郎君
                林 健太郎君
                林田悠紀夫君
                原 文兵衛君
                藤井 孝男君
                三池  信君
                中村  哲君
                矢田部 理君
                黒柳  明君
                広中和歌子君
                立木  洋君
                田  英夫君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     大鷹 淑子君     永野 茂門君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     三池  信君     石井 道子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮澤  弘君
    理 事
                最上  進君
                森山 眞弓君
                松前 達郎君
                小西 博行君
    委 員
                石井 道子君
                後藤 正夫君
                嶋崎  均君
                永野 茂門君
                鳩山威一郎君
                林 健太郎君
                林田悠紀夫君
                原 文兵衛君
                藤井 孝男君
                中村  哲君
                矢田部 理君
                黒柳  明君
                広中和歌子君
                立木  洋君
                田  英夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  倉成  正君
   政府委員
       外務大臣官房長  小和田 恒君
       外務大臣官房領
       事移住部長    妹尾 正毅君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省欧亜局長  長谷川和年君
       外務省経済局長  渡辺 幸治君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       外務省国際連合
       局長       中平  立君
       外務省情報調査
       局長       新井 弘一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小杉 照夫君
   説明員
       環境庁大気保全
       局企画課長    奥村 明雄君
       文部省教育助成
       局海外子女教育
       室長       中西 釦治君
       通商産業省基礎
       産業局化学製品
       課長       阿部巳喜雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮澤弘君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、大鷹淑子君が委員を辞任され、その補欠として永野茂門君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(宮澤弘君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても国際情勢等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(宮澤弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(宮澤弘君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉成外務大臣。
#6
○国務大臣(倉成正君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 この法律案におきましては、まず、今般実施した生計費調査の結果等に基づいて、五十八年度に設定された在勤基本手当の基準額を改正することとしております。
 次に、右生計費調査の際、家族同伴者と独身者のそれぞれの生計費を調査し、右生計費から算定した在外給与を比較したところ、家族同伴者の在外給与は独身者の在外給与の一・二倍となっていることが明らかになったので、この法律案におきまして、配偶者手当の支給額を現行の在勤基本手当の四割から同二割に変更することとしております。なお、右変更は、生計費調査から算定された家族同伴者の在外給与総額を変更せずにその構成割合のみを変更するものであるので、本改正によって家族同伴者の生活を圧迫することはありません。
 最後に、子女教育手当の加算に関する一部改正であります。在外職員の在勤地によっては、子女を就学させることのできる適当な教育施設がない地がありますが、かかる場合、在外職員はやむを得ず子女を在勤地及び本邦以外の地、すなわち第三国等で就学させざるを得ないことがあります。これら子女は親元を離れて就学することになるため施設の備わった一般に経費の高い学校に就学することとなり、これが在外職員にとって大きな経済的負担となっています。よって、これを救済するため、子女教育手当の定額の一万八千円に加えて、加算限度額の上限である三万六千円まで支給
し得るように制度を改正するものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#7
○委員長(宮澤弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○松前達郎君 まず最初に、この在外公館法でありますけれども、今提案理由の説明をしていただいたわけですが、その中で、特に在外公館勤務者の子女の教育問題、これについてお伺いをいたしたいと思うわけです。
 今の御説明によりますと、子女の教育のために施設の整った経費の高い学校に就学という御説明もあったわけでありますが、これは、現在では国外に教育機関を設置しているのはほとんど私学ですね、国はそれはできないわけでありますから。そういう面では仕方がない、経費が高いということになろうと思いますが、これに対して教育手当というもので援助をしていこう、こういう趣旨だと私思います。
 全般的に言いまして、こういった子女教育の問題について、特に外務省として問題を抱えられていると思いますが、その点ございましたらひとつ御説明をいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(倉成正君) ただいま松前委員からお話がございましたように、在外に勤務する方々は、外務省の職員のみならず在留邦人全体というような問題に大変深い関心があるわけでございまして、いろいろの悩みを持っておるわけでございます。
 これらの方々は、小学校や中学校の場合とそれからさらに高等学校、大学という場合があろうかと思うわけでございますが、少なくとも小中学校におきましては先ほど御説明申し上げましたとおりでございますけれども、高等学校あるいは大学等につきましては、何としても帰国後の教育というのが非常に最大の関心であろうかと思います。そういう場合には、海外へ参りますと、在留邦人が非常に多いところでは塾が出ているようなところもございますし、いろいろな意味で、帰ってからの教育ということに関心を持っておられるわけでございます。しかしながら、残念ながら、そういう帰国子女の教育、帰国子女の受け入れ態勢が残念ながら非常に不十分でございますので、この点については、私も文部大臣と十分御相談をいたしまして、これは官公立を含めまして、ぜひ海外子女の方々が帰られたときに十分受け入れができるような態勢ができるように努力をしたいと思っております。この点が一つの問題ではないかと思っております。
 それからまた、親元を離れておりますと、寄宿舎とかそういう施設のあるところはよろしゅうございますけれども、単独で下宿をするというようなことになりますと、女性の場合いろいろな問題があろうかと思います。
 いろいろそういう全体の問題を含めまして、それらの問題に在外の方々が悩んでおられるという感じがいたす次第でございます。
#10
○松前達郎君 確かにおっしゃるとおりだと思うんですが、例えばホノルルあたりでも、聞いてみますと、全日制の学校ないんですね。ジュッセルドルフあたりにはちゃんとした教育機関があるわけですけれども、土曜日の補習教育だけである。そんなような状況ですから、この問題もやはり今後の、これは外務省職員の子女というのに限らず、今後の問題としてやはり十分配慮をされなきゃならない問題じゃないかと思うんです。これは教育関係も含みますので文教あたりでまたいろいろと議論さしていただければと思っておりますが、教育問題非常に、特に義務教育ですね、文部省に言わせると、国外に出た人は義務教育の対象にならないということでありますから、どこかほうり出されたような格好になってしまうわけなんで、この点を今後とも問題点として考えていくべきだと思います。
 それからもう一つは、今回の在外公館法の改正といいますか、この中身で、単身赴任の場合ですね。単身といっても、独身者の場合も単身なんですから、これは当然単身と取り扱うわけでしょうが、どうも単身赴任を奨励しているんじゃないかというような結果になるという、そういう意見もあるようでありますけれども、一番得するのはどういう状態なのかといういろいろな議論もあるかもしれませんが、そういう今申し上げたような単身赴任奨励になってしまう可能性もあるからという懸念を一般的に持たれているようですけれども、この点はどうでしょうか。
#11
○政府委員(小和田恒君) 松前委員御指摘のような問題点というのは、私どももこの制度を改正するに当たりまして十分慎重に検討いたしました。実態を十分調査した上で、かつ関係者の意見なども十分聴取いたしまして現在の制度に踏み切ったわけでございますが、その結論について申し上げると、大体次のようなことが申し上げられるかと思います。
 従来確かに同伴する配偶者について四割、つまり一対〇・四という割合でしたものを、今度は一対〇・二という割合に比率を変更するわけでございますけれども、従来単身で赴任している人の実態というものを調べてみますと、家族の健康の問題があって行けない、そのために配偶者が残らなければならないという場合、それから治安状況が非常に悪いために家族同伴で行くのはどうしてもぐあいが悪いというような場合、それから三番目に、先ほど来議論になっております教育問題がございまして、どうしても子供を連れていくわけにはいかないので配偶者が残るというような、万やむを得ざる状況で残っているというのが大部分である、ほとんどそういうケースであるということが申せると思います。
 外交の性格上、在外公館におきましては、配偶者ともどもに一緒に外交活動に協力をするということが必要でございますので、私ども原則としてそういうことが重要であると考えて同伴赴任ということを慫慂しておりますけれども、今申し上げたような万やむを得ざる状況で残らざるを得ないというのが現状であるということでございますので、この制度を変えることによってそういう面でのマイナスというものは出てこないであろうというふうに考えております。
#12
○松前達郎君 余り差が出てしまうのもまた新たな問題を出しますので、その点今御説明いただきましたので十分納得できたわけであります。
 次に、在外公館法と関係が直接ないかもしれませんが、最近の国際情勢の中でとりわけソ連の動きというものが非常に注目をされているわけですね。ゴルバチョフ書記長が開放政策、中国もそうかもしれませんが、ソ連としても開放的な政策をとる、情報の公開とかいろんなことを言っているわけですね。
 そういった新しい政策展開が行われようとしているその内容について、アメリカ側はこれを宣伝というふうに受け取っているわけですね、単なる宣伝であると。ところが、どうも実情を見てみますと、ソ連自身が経済的に非常に問題を抱えていますから、国内の問題も含めてこういう政策展開を新たな面でしていかないとならない。これもわからないわけではないわけなんです。とりわけ最近は、きのうの新聞にも出ていたわけですが、アメリカの国防総省の「ソ連の軍事力」というのが発表されたわけですね。その中身は、まだ全部は読んでいませんが、ソ連が着実に軍事力を極東において、あるいは全体的に核戦力を増加させつつある、こういうふうなことが書いてあるわけなんです。評論として、書記長ゴルバチョフの対外戦略が、言葉遣いは変えているけれども、ねらいは実は西側の分断工作であると、こういうふうに決めつけているような文章が中にあると思うんです。
 我が国の場合、西側の分断といえば、西側にとって団結を何とか保っていくということから考えると確かに分断というふうにとれる場合もあるかもしれませんけれども、今、半導体の摩擦ですと
か、アメリカ議会の中でもいろんな問題が提起をされてきつつある。貿易摩擦の問題が非常にクローズアップされているわけですね。また同時に、最近ではアメリカの大学がやたらに日本に分校をつくりたがる。ところが、分校というのは日本の教育システムの中では認知をされない、いわゆる専修学校的なものとしか認知をされない。そこでまた恐らく今後教育摩擦というようなものも出てくるんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけですが、日米間でもこういったたくさんの問題を今抱えているわけです。
 こういったような中で、やはり我々としては米ソ両方の宣伝というものに乗せられないで、日本独自の考えのもとに今後の外交を進めていかなければならないと思うんです。西側の分断といえば、貿易摩擦でいろんな法案をアメリカ議会がつくることもあるいは分断に通じるかもしれません。とりわけ我が国の指導者、これは全部とは言いませんが、一部の政治家の皆さんの中には、余りにも国際戦略ということをお考えにならないで、こういった宣伝を逆に鬼の首をとったように利用される方も非常に多いわけなんで、しかし外務省はそういうことはないと思いますけれども、冷静にこういうものは受けとめて判断をしていかなきゃならない、こう思うんです。
 例えば、その新聞に出ていましたけれども、択捉のソ連空軍基地なんという写真が出ていました。これも、ちょっと見ると新しくこういうものをつくって大増強しているように見えるんですが、実はこれは単冠湾の横のかつて日本軍がつくった飛行場なんです。ですから新しくできたわけじゃない。戦争中からこれは軍用飛行場としてあったわけなんです。ですから何も珍しいことないんで、それを珍しいように取り扱うということがまた宣伝に乗せられるということにもなろうと思うんです。
 こういう面をひとつ十分考えていかないと、やはり何のための日本の防衛なのかということの疑問が非常に大きくなってきてしまうわけでありますから、その点国防総省の発表があったものですから申し上げているわけなんですけれども、今後の外務省の外交姿勢といいますか、とりわけ今申し上げたような国際背景があるわけで、防衛も含めてどういう方針で進んでいかれようとしているのか。また同時に、今のような宣伝があちこちからありますから、それにうっかり乗ってしまう、そしてその結果として、防衛の問題でも、一%の枠が崩れてしまったように、また歯どめがかからないでどんどん進んでしまう可能性もあるものですから、そういった面も含めてお考えをお聞かせをいただければと思います。
#13
○国務大臣(倉成正君) ただいまソ連の極東での軍事力の増強の問題、あるいはソ連の内政の問題、またこれと関連して日本の外交政策いかんというお話でございますけれども、ただいまお話のありました米国国防省の発表の八七年版の「ソ連の軍事力」は、例年どおりソ連の軍事力の実態について記述していることは御承知のとおりでございまして、極東におけるソ連の軍事力については、ソ連全体の四分の一から三分の一に相当する兵力が配備されておりまして、右が質量両面にわたって引き続き強化されている旨が記述されております。これは我が国の基本的な認識と一致しておる次第でございます。
 一方、先ほどお話がございましたが、ゴルバチョフ書記長が現在、政治、経済、社会、文化各部門で、いわゆるペレストロイカ、立て直し路線を進めているということも事実でございまして、しかし、これがどのような方向に進んでいくかということについては一々コメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、グラスノスチ、透明性というような形で、サハロフ氏を初め政治犯の釈放が行われているということはそれなりに評価いたしておる次第でございます。ただ、ソ連の場合は、御承知のとおり社会主義体制の枠内で現在いろいろな改革を行われているということでございますので、これからも注意深くその方向を見守ってまいりたいと思っております。
 なお、日本の立場でございますけれども、日本は御案内のように自由経済体制をとっておりますし、また民主主義の国家でございます。したがって、自由経済体制、民主主義という共通の価値観を有する西側の一員であるということは紛れもない事実でございまして、そういう意味で西側の一員としての行動をやっていくということは大切なことではないかと思っておる次第でございまして、いたずらにただ対立をするとかいうことでなくて、それなりにそれぞれの立場の国がそれぞれの路線を歩んでおるということについては、それなりの評価をしてまいっておる次第でございます。
#14
○松前達郎君 やはり独立国ですから当然それなりの独自の考えで進めていくということが一番基本姿勢であろうと思います。ゴルバチョフの訪日問題も控えていますし、あるいは五月になりますとウラジオストクで日本の見本市がありますね。これも昨年から計画されていて予定どおり開催される。こういうことですから、この辺も余り宣伝とかそういうものの背景で考えるのじゃなくて、日本独自の考え方でこれを進めるんだという態度でいっていただければ非常にいいんじゃないかと思うのですね。
 見本市の話をしたわけですが、実はココムの問題も、私自身経験したんですが、実はコンピューターを、コンピューターといっても大型じゃなくて非常に小型のコンピューターですが、これを中国のある大学に寄贈しようと思ったら、これはココムだと言うんですね。中国の大学に行ってみたら、それどころじゃない、IBMのでっかいコンピューターがたくさん入っているんですね。これはアメリカ製なんです。ですから、これもやはりただ言われたからそのとおりやっているんだというんじゃなくて、これほっておきますと恐らく合弁にしろ何にしろヨーロッパ側の方が先に手をつけてしまうんじゃないか。気がついたら日本だけそれに参加してなかったというようなことになる可能性もありますね。
 ですから、こういった面も含めてやはり独自の判断というものをある程度できるような強力なひとつ外交を展開していただければと。ココムは、直接それを認知するかしないか、輸出が適当かどうかを決めるのは通産省でしょうけれども、しかし基本としては外交の問題にかかわる問題なので、その点を最後に要望いたしたいと思います。この点いかがでしょうか。
#15
○国務大臣(倉成正君) ココムの問題につきましては、今先生のお話しのとおり、最終的には通産省その他で判断することでございますけれども、それなりにココムで協定を結びましてそういう取り決めをしているわけでございますから、それは日本としても守っていかなければならないと思うわけでございますけれども、ただいまお話しのように、どこまでが限界点であるか。今コンピューターのお話がございましたけれども、その部品がどうであるとか、あるいはいろいろな、一般的に見てそれは大したことでないというのが非常に重要な部分を占めるとか、そういう判断はなかなか非常に難しいところではないかと思います。したがって、それらの問題については我々もしっかり勉強さしていただきたいと思っておる次第でございます。
#16
○中村哲君 ここに提出されました法律の改正についてですが、今松前さんが質問された中には、在外企業の関係の人たちの子女の教育の問題を含めて言っておられましたけれども、それは今日大きな問題ですが、直接にこの法案の問題とは言えないと思うものですから、私はここに出されている問題に限定してお聞きして、あともし時間があれば文部省関係の方にも今のことをお聞きしたいとは思うんです。
   〔委員長退席、理事最上進君着席〕
 この法案によりますと、これは外交官として海外におられる職員の子弟について規定していることだと理解しておりますが、それは問題ありませんですね、その点は。
#17
○政府委員(小和田恒君) 今委員が御指摘になり
ましたように、これは外務省の在外勤務をいたします外務公務員についての法律でございまして、そういう者だけを対象にしております。
#18
○中村哲君 そうしますと、この二枚目の真ん中よりちょっと前ぐらいのところに、在外職員の在勤地によって教育を子女にさせるに適当な教育施設がない地があると。それから続いて、在勤地と本邦以外の地、こうある中の本邦以外というのは日本以外という意味ですか。
#19
○政府委員(小和田恒君) そのとおりでございます。
#20
○中村哲君 この適当な教育施設がない場合というのがどういう判断をされているのかと思いますが、ここにたまたま六十二年三月の百八回国会の同種類の案文があります。その中で、例えばこれは三のところなんですが、在勤地がユーゴスラビアであってというふうにユーゴスラビアのことが例となっていて、そして英国の高校に就学する場合、こうなっております。ユーゴという国は複合民族であって幾つかの国が集まったような民族構成になっておりますから、全体が少数民族の用語とも言えるんで、英語だとかフランス語のように世界全体に通用しているという言葉じゃないから、そういうところの場合は、ユーゴで子女を教育させるということは、日本のように英語を中心としている教育系統の国では確かに適当じゃないということはあると思うんですが、この場合、ここの例では英国の高校に、つまりユーゴに在勤していて英国の高校に就学するという、このくらい離れたところであってもやはり考慮しようというそういうお考えですか。
#21
○政府委員(小和田恒君) 先ほどもちょっと松前委員の御質問に対して大臣から御説明いたしましたが、通常子女の教育ということを考える場合に四つぐらいの選択があるんだと思います。第一は、現地に日本人学校がございまして、その日本人学校に入れることができる場合。第二番目は、現地に公立の学校なり私立の学校がございまして、そこで教育を受けさせることが一般的、常識的に親の立場から考えて妥当であると考えられる場合でございます。第三番目は、そのいずれもがなくて、したがって第三国に送ってそこの学校に入れるというケース。第四番目は、そのいずれも選択ができないというようなケースにおいて日本に帰して日本で教育を受けさせるということでございます。
 現地で公立校がある場合、まあ公立校は基本的にはどこでもあるわけでございますけれども、今中村委員が御指摘になりましたような、非常に特殊な言葉であって、親の立場から、あるいは社会常識からいってそこで教育することは適当ではないという場合に第三国に送ることを認めているわけでございますけれども、この法律でごらんのとおりに、そういう場合の手当というものは、子女教育手当として一般に与えられる定額としての一万八千円に加えまして、加算額として三万六千円までの上限を認めるということでございます。その範囲内におきまして妥当な第三国に送ることができる。したがって、国としてはその三万六千円までの範囲内においていわば補助をする、上限の加算をするということになるわけでございます。
#22
○中村哲君 ユーゴの場合は、北部のオーストリアに近い方が割合に教育機関が発達しているように思いますし、あれは大戦のときに占領下であったということからドイツ語とか意外にフランス語で学ぶようなことに便宜があるように見えるし、それから大学自身が、社会主義国という一面はあるけれども、非常に西欧的な教育が徹底していますね。こういうところの場合、大学の次元になれば、かなりユーゴの特殊事情というよりは西欧一般の大学等の例に考えてもいいんじゃないかと思う。
 それから例えばポルトガルのようなところですね。ポルトガルのようなところですと、イギリスとの交通機関が非常に近い。だけれども、ポルトガル語というものを子供に勉強させたんじゃ日本の言うような教育にならない。こういうところはやっぱり適当な教育施設がないというふうに判断されるんですか。つまり英国に行くなら自然なんですか。
#23
○政府委員(小和田恒君) まず第一番目に、年少子女に適当な学校教育を受けさせることができない勤務地であるかどうかという認定の問題がございます。第二番目に、それでは第三国としてどこに送るのかという問題。その二つの御質問があったかと思いますが、第一の年少子女に適当な学校教育を受けさせるような勤務地であるかどうかということにつきましては、この法律で外務大臣がそういう認定を行うということになっております。したがって、親が勝手に決めて、この土地で教育を受けさせるのは適当ではないというふうに決めることができるわけではございません。
 他方、どこに送るかという第三国の認定につきましては、これは親がその子女の特性を考えまして、どこに送ることが適当であろうかということを考えて送ることができるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、国として行ういわば補助的な支給というものは上限として加算額三万六千円ということに決められておりますので、その範囲内でロンドンに送ることもございましょうし、あるいは適当だと考えてウィーンに送るということがあっても一向差し支えはないわけだと思います。
 他方、これは誤解があるといけませんのでちょっと念のために申し上げますが、この法律の対象になっております支給というのはあくまでも年少子女でございまして、したがって十八歳までの子女だけを対象にしております。
#24
○中村哲君 今おっしゃるように、義務教育の子女であればあるほど、例えばフランスの場合には郊外の学校にというとやっぱり寄宿舎に入れるとか、それから親元を離れると費用がかかるとか、こういうことも外務大臣の判断か何かで処理できるんですか。
#25
○政府委員(小和田恒君) 実はその点が今度の改正の一つの主要点でございまして、従来から第三国に送ることはできることになっていたわけでございますけれども、そのときにかかる教育の費用というものは、例えばロンドンの例で申しますと、ロンドンに住んでいる例えば大使館員が学校に送るときにかかる費用が必要な費用である、こういう認定がなされていたわけでございます。ところが、ロンドンに住んでいる大使館員がロンドンの学校に子供を送る場合と、モスクワに住んでいる両親がロンドンに子供を送らざるを得ないという場合ではかかる必要費用が違ってくるわけでございます。そういうとるには、その必要費用というものは、モスクワ、つまり第三国に送る人の費用というものが標準的にどういうものであるかということの認定を外務大臣が行い得ることによってこの三万六千円の上限までの金の支出を可能にするというのがこの法律の改正の趣旨でございます。
#26
○中村哲君 戦前は学会なんかでもフランス語が主でしたし、外交官もフランス語が中心でしたけれども、戦後はもう英語で済むようになりましたからね。また逆に、英語を勉強させないとこれは国内でもいろいろ不便があるし、国際的にも進出できない。だから、英語国とそうじゃないところ、それを区別するのも変ですけれども、実際父兄はやっぱり英語の勉強をと、こういうことになるでしょうね。これについてはお答え要りません。
 戦前とのことを比較しますと自分が年齢になったことを意味するだけかもしれませんけれども、戦前の参議院のこの建物、これは貴族院の建物でありまして、当時私は自分の専門のこともあり、割合身近なもので、これ出ているものを見ましたものですから、割合に貴族院のことは知っているんですが、当時は外交官がかなり貴族院議員に出ていたんですね。それから枢密顧問官にも出ておりました。ところが、戦後は大使国が非常に拡大されて外交官の数も多くなったということもあるんですけれども、そういう外交官の国際知識とか外交官にある良識とか知性とか、こういうものが国会に反映しているのかどうかという感じが戦前
と比べると私はするんです。
 それで、例えば貴族院ですと、我々のような学問の関係ですと、学士院会員の部長は四人官選議員でした。したがって学者の代表がきちんと出ておりましたし、一体に戦前と今日の参議院、上院の場合、かなりいろんな機能の違いがある。これはまあ今の時代を反映していることだと思います。
 しかし、今言いかけましたように、戦前というのは外交官の社会的な役割というか非常に高いものでありまして、例えば陸奥宗光は伯爵ですし、林友幸も伯爵ですし、割合に爵位をもらうようなことさえ自然になっていたような、だから貴族院の普通の議員というよりは、爵位を持っている中からも互選されておりましたから、実際にはかなり外交官というものの国際知識等が国会に私は反映していたように思うんです。ところが、その点が、そういう我々の父だとかそういう上の者の時代じゃなくてまさに我々の時代になりますと、戦争中の松岡外交で英米派の外交官が全部首になったり、
   〔理事最上進君退席、委員長着席〕
それから今度は白鳥さんなんかの枢軸外交になったときに、若い元気な連中がこれに参加したり推進したりしたものだから、その人たちが戦後パージにならざるを得なかった。
 こういうのを戦前、戦後に見ておりますものですから、外交官の何というか命運のようなものが戦前とは非常に違ってきている。その上、未開発国等が大使を送ってくればこちらも大使で派遣するとかいって、もう大使の数は多いんだけれども、働きがいのあるところというのがそれほど多いのかどうか。いろんな問題がある。
 その上、一方的に言うことになりますけれども、戦前は飛行機がなかったですから、在外公館の役割が情報を伝達する主要なルートでありましたけれども、戦後は新聞社とかマスコミの発達で機能が多少変わってきている。こういう新時代に外交官の役割はどういうふうにすべきかということを、外務大臣、多少はお考えですか。急にそういうことを私言っても、質問の範囲にないことを申しますけれども。
#27
○国務大臣(倉成正君) 先生の大変深い御経験に基づいての御質問でございますけれども、やはり外交官としては透徹した歴史観あるいは哲学、そういうものを持って外交には当たるべきではないかと思いますし、また、特に最近世界が大変通信手段その他によりまして狭くなってきている。もうとにかくかつては非常に長くかかった情報が直ちに我々の手元に入ってくる。レーガン大統領が演説する、あるいはゴルバチョフ書記長が演説するということがその日のうちに私どもの目の前に入ってくる、そういう状況の中でございますから、やはりそういう非常に狭くなった地球の中で、全体の中でどう我々がこれから行動していくかということをやはり注意深く見ていくことが必要ではないかと思うわけでございまして、外交官というのが単に技術的なそのとき限りの交渉というよりも、もう少し広い視野で、地球全体、人類全体、そういうものを踏まえながら考えていかなきゃならないというふうに考えております。
#28
○中村哲君 私は長年文教関係におりまして、文部省の審議会の幾つかにも関係しておりましたものですから、当時外交官だった人なんかがもっと大学の国際関係の教授に就任できるようにしたらどうか。ところが文部省の従来の基準は、論文が幾つないといけないとか、教職が何年かなきゃならないと。それで、外交官もそうですし、裁判官の場合、高裁の裁判長ですね、民事訴訟とか刑事訴訟なんか本当の専門なんだけれども、その人が大学へ呼ばれると、講師ならいいけれども、アルバイト、つまり論文がないと。こういうふうなことについてもう少し総合的に、臨教審なんかの問題でもあるんでしょうけれども、やっぱり考えていかないといけないように思います。
 こういうことを言っていると切りがありませんですが、このごろ在外の公館に各省から派遣されておりますね。何かちょうど国内の内閣でも編成できるぐらい、防衛庁からも警察関係からも、各省から行っておりますね。ああいう人たちは、ここで言う、何というか外交官という範囲に入るんでしょうね。
#29
○政府委員(小和田恒君) お答えを申し上げると、入るということでございます。つまり、大使館に派遣されますときには外務公務員として任命をされまして、外務大臣の指揮下に入ることになります。
#30
○中村哲君 それで、その各省から派遣されている人たちを含めてかなりの総合行政がやられるようなスタッフなんですね。そういうことを現地で打ち合わせたりすることは大いにやっておられるんですか。
#31
○政府委員(小和田恒君) まず実態から申し上げますと、アタッシェ、いわゆるアタッシェと呼んでおりますが、各省庁から出向して外務公務員として在外公館に勤務する人の数は、六十一年末で三百九十二名、在外職員全体二千三百三十五名の一七%弱に当たる数でございます。これだけの数の方々が各省から出向していっておられるわけで、それぞれの専門知識を生かして大使館としての全体の機能を強化するという意味で非常に役に立っていただいているわけです。
 そこで問題は、大使館としては一体として日本政府を代表して、その国において日本政府を代表する立場から交渉に当たり、情報収集に当たるわけでございますから、これが一体的に機能しなければならないわけで、具体的に申しますと、大使の指揮下にありまして、情報収集、交渉はすべて大使の指揮のもとで行われる。それから連絡その他の問題も全部大使館から外務省を経由して日本政府に対して正式に行われる、こういう形で一体性を確保することによって全体としての総合力を発揮するということを目指してやっているわけでございます。
#32
○中村哲君 建前としてはそうでしょうけれども、今日ほど各省から、三年ぐらいの任期で派遣されておりまして、そしてそれぞれが各省とのルートを持っている場合、よほど何というか総合行政を現地で打ち合わせをするとか何か努力がされないと、何だか各省の利益代表が入っているような感じを受けますが、これは印象披露ですからお答えはなくて結構です。
 私の質問の時間が大体終わりかけているんですけれども、小さなことですが、大使館には美術品が、油絵等が並んでいるんですね、日本画とか。例えば代表的なパリの大使館、それじゃ日本を代表するようなものをそこに置いてあるかというと、まあなかなかそれは難しいでしょうけれども、そういうことがどうなっているかとかね。それから、大使が任期が来て帰ってしまうものだから、ああいうところにある油絵をかけかえるとか、その他何か工夫をもっとしたらいいと思うんですが、こういうことは外務省の管轄に入っているんだから、外務省でひとつまとめて掌握していて、その上で各国にある時期が来ると回せばいいと思うんですよ。ところが、非常に名作で有名な絵でも、電話をかけるところに小さいものだから置いてあったりね。これはみんながみんな美術関係に詳しい外交官じゃないからでしょうけれども、あそこは国際的な顔ですからね。
 在外公館のああいう美術品、それから例えば書なんかでも、下手な書は困りますけれども、そういうものなんかはああいうところにかけられると日本を知らない人に非常にいいんですね。そこらのところを何かちょっと外務省次元でコントロールされたらどうですか。
#33
○政府委員(小和田恒君) 中村委員御指摘になりましたように、在外公館、特に大使館などはその国において日本をいろいろな意味で代表している場所でございますので、そこに日本を代表するような一流の芸術家の絵であるとか書であるとかというような芸術品が陳列されているということは非常に重要なことだというふうに外務省考えております。したがいまして、できるだけそういうものを入手をいたしまして、在外公館でそういうものを掲げることができるようにということをやっ
ておりますが、何分予算の範囲内で処理をするものでございますから、十分にそういうことが行われているかということになりますと、まだまだこれから努力しなければならない面があることは事実だと思います。ただ、かなり最近はいろいろな一流の現代画家の絵なども買い入れまして、在外公館にそういうものを送るということは今力を入れてやっておりますし、これも置きっ放しということだけではなくて、いろいろある一定の期間を置いてこれを回すというようなことも考えたいというふうに考えております。
 国によりましては、その国の国有の絵画等を在外公館に貸し出してそういうものを陳列させているというような国もございます。そういうことができれば一番いいわけでございましょうけれども、日本の場合はそういう制度になっておりませんので、外務省で買い入れて、買い入れたものを陳列するということで処理しているわけでございます。
#34
○中村哲君 切りがありませんからこれで終わります。
    ―――――――――――――
#35
○委員長(宮澤弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、三池信君が委員を辞任され、その補欠として石井道子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#36
○広中和歌子君 最初に、ただいま提示されております法律の一部改正について御質問させていただきます。
 在外公務員の数は、六十一年十一月現在二千百三十九名と伺っております。このうち既婚者は千九百四十一名、うち家族同伴者千七百七名、単身赴任者二百三十四名、またそれ以外に独身者百九十八名、こういうふうになっております。要するに、家族同伴者と単身また独身者の割合は四対一になっておりますのですけれども、ただいま小和田官房長が御指摘になりましたように、海外における外交官の活動の中で夫婦での活動が非常に大切であるというふうな御指摘があったわけです。そして、単身赴任をいたします場合の理由としても三つほど指摘されたわけでございますけれども、この単身赴任者が今後ふえる可能性についてどのような見解をお持ちでいらっしゃるか。と申しますのは、まあこれは日本だけの状況じゃなくて世界的な状況でございますけれども、女性の就労者が非常にふえているという事実、それから、これもまたすばらしいことだと私は思っているんでございますけれども、女性の外交官もふえているという中で、結婚していても単身赴任をしなければならない人の数が、先ほどお挙げになりました三つの理由以外にもふえるんではなかろうかと思われますけれども、御見解を伺いたい。
#37
○政府委員(小和田恒君) まず実態についてでございますけれども、広中委員が御指摘になりました数字はそのとおりでございますけれども、実は単身赴任という中には、もともと独身で単身赴任をする人と、それから家族がいるんだけれどもやむを得ない事情で単身赴任をするケースとございます。後者が私どもとして一番対策をいろいろ考えなければならないいわゆる単身赴任者になるわけでございますが、それは比率で申しますと一四・四%になっております。
 そこで、先ほど申し上げた三つの理由以外に、女子の職場進出ということがふえてくるにしたがってそういう問題がさらにまた別な面からふえてくるのではないかという御指摘は、それはそのとおりであると思います。私が先ほど申し上げましたのは、現状における主要な理由としては先ほど申し上げたような三つのことがあろうかということを申し上げたわけでございますけれども、結婚された後も独自の職業をお持ちになる婦人というものの数はこれからどんどんふえるわけでございましょうし、在外勤務という非常に特殊な職業であるということを考えますと、そういう問題というのはこれから真剣に取り組まなければならない問題であろうという認識は持っております。
#38
○広中和歌子君 採用の際に、多分独身のときに採用なさるんだろうと思いますけれども、妻帯者の場合には妻の職業などについては配慮なさっているのでございましょうか。
#39
○政府委員(小和田恒君) 採用の場合には御指摘のように大体独身で採用するわけでございますから、それは考慮する対象がないわけでございます。それから結婚をした状態で試験を受けて採用されるというケースも全くないわけではございませんけれども、そのときに配偶者の職業ということは考慮の対象には入っておりません。
#40
○広中和歌子君 次の質問に移らせていただきます。
 我が日本の大使館の館員数というのは、各国が東京に置いている大使館の館員数に比べて大幅に下回っているということが指摘されておりますけれども、外交官は人数でないとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり仕事量にも限界があるというような気がいたします。人の人のなさる仕事量ですけれども。それから業務に関しましても、戦後から最近に至りましても非常にふえているということを承っているわけでございますけれども、そうした中で、今までそしてこれからもどのような対応をしていらっしゃるのか。予算の点でも非常に低いような気がいたしますのですけれども。
#41
○政府委員(小和田恒君) 広中委員の御指摘は全くそのとおりでございまして、外務省としては、外交体制を強化することが、外交が国の安全と福祉の対外的な関係における基本的な問題であるというふうに認識をいたしますので、その外交強化という見地からいろいろなことをやらなければなりませんけれども、その中でやはり現実に一番重要なことというのは定員、予算の強化ということであるというふうに考えて、従来から努力をしてきているわけでございます。
 今御指摘がありました国の予算に占める外交予算がほかの国に比べて低いのではないかという点は、若干の数字を挙げて申しますと、六十一年の予算で申しますと、日本については国家予算に占める外交予算のパーセンテージが〇・七八%でございます。インドネシアが〇・八四%、韓国が〇・九八%。先進国で申しますとアメリカがO・八四、フランスが一・五六、ドイツが三。五七%ということで、いずれも日本をかなり上回っているというのが実態でございます。
 定員の方について申しますと、従来からお答えしていることでございますけれども、日本が三千九百六十八名の定員に対して、英仏がほとんど約二倍、八千人程度、それから米国がその二倍、つまり日本の約四倍の約一万六千人ということで、数の上でも非常にまだまだ努力をしなければならないというのが実態であるというふうに思います。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように、いろいろ外務省として機能強化のために努力をしておりますけれども、その基盤としてやはり定員、予算の問題というのが非常に重要であるというふうに考えております。
#42
○広中和歌子君 本法案の一部改正というのは海外勤務の外交官についてのものでございますけれども、それは海外勤務の際、在外公務員が本俸のほかに在勤基本手当とか住居手当などを支給されるのは、外交官としての体面を維持しつつ外交活動を遂行するために必要である、そういうようなことは十分承知しているわけでございますけれども、さて、帰国になった後も外務省の役人でいらっしゃるわけで、その場合やはり本省での役人としての任務以外にも海外で培われた人間関係、それはずっと続いていくべきですし、続かせていただきたいというのは国民の要望ではないかと思います。
 その際に、さまざまな出費がある中でどのような何といいますか補償がなされているのか。その点について、私は海外については大変に満足すべき状況ではなかろうかと、差し出がましいようですけれども判断いたしますけれども、何か国内と国外との勤務における待遇の差というものが非常に目立つような気がいたしますのですけれども、
その点について。
#43
○政府委員(小和田恒君) 原則論として申しますと、国外の場合と国内の場合とで区別をする理由はないわけでございますけれども、実際問題として、国内の場合にはいろいろな制約がございますので、そのために海外におけるような十分な外交活動というものが必ずしもできていないというようなことはあろうかと思います。
 一番典型的な例は住宅環境でございますけれども、他方、費用という面だけについて申しますと、国内におきましても、外務省職員が公務上外交活動の一環として外国人を接遇するという上で必要がある場合には、一定の手続を経まして官費による支弁ということが認められているわけでございます。ただ、外務省という役所の枠内においてやらなければならないことでございますので、それに伴っていろいろな予算上、制度上その他の制約が出てきておるということは事実でございますけれども、なるべく、おっしゃるように国内におきましても外交活動というものは非常に重要でございますので、そういうことが公務上必要であるという場合には認めるようにという方針で臨んでおります。
#44
○広中和歌子君 その場合、例えば家庭にお招きするといった場合、それは外国では当然やっていらしたことだろうと思いますけれども、それに関するリーインバースメントというのはあるのでございますか。
#45
○政府委員(小和田恒君) 非常に具体的な御質問で、私が十分実態を把握しているかどうか自信はございませんが、原則的には、そういう場合にも、今申し上げましたような公務上外交活動の一環として外国人を接遇するという基準に当てはまる場合にはそういうことは可能な制度にはなっております。実際にそういうケースは極めて少ないのではないかというふうに考えておりますが、それは、一つは先ほど申し上げましたやはり日本における住宅環境というものがなかなかそういうことを許さないということ、それから日本の社会慣習の問題として一般的に家庭で外国人を遇するよりも外のレストラン等でお客様を遇することが多いので、そういう形での接遇というものが必然的に多くなっているというような事実上の問題というようなことがいろいろあるかと思います。
#46
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
 次に、環境問題についてお伺いさせていただきたいんですけれども、この二月二十七日に東京で行われました国連環境特別委員会で、環境と開発の調和を目指す東京宣言を発表、そして閉会いたしたわけでございますけれども、この宣言によりますと、地球環境を保全しながら将来にわたって世界人類の共有財産である地球を守ろうとする姿勢が強く見られるわけでございます。ここで討議された問題として、現在地球上では、森林を荒廃させる酸性雨、それからフロンガスによるオゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、核を含む有害物質など、国境を越えた環境の汚染、破壊が進んでいるということでございます。このような状況から地球を守るために各国がそれぞれの立場で取り組まなければならないという点が注目されているわけですが、きょうはその中で特にフロンガスについて政府の対応をお伺いしたいと思っております。
 御承知のとおり、フロンガスにはフロン11、フロン12、フロン113それからフロン22の四種類があり、特にフロン11それから12がオゾン層破壊の原因になっているのではないかというふうに指摘され、国際的に大きな話題になっているわけでございます。そこで、フロンガスがオゾン層を破壊すると言われているという指摘につきましてどういう見解を持っていられるのか、通産省、環境庁そして外務省の方々にそれぞれの御見解を伺わせていただきたいと思います。
#47
○説明員(阿部巳喜雄君) 先生御指摘のように、フロンガスの問題につきましては世界的に非常に関心を持たれているわけでございますが、フロン11、フロン12という化学物質は一般的には非常に安定な化学物質でございますので、これが大気中に放出されますと成層圏に達するであろうということは科学者の認めるところでございます。
 また、成層圏中でフロン11、12というものが分解されますと、実験段階での知見等に基づいて推定いたしますと、これがオゾン層を破壊するという可能性もあるということは多くの科学者の認めるところであります。しかし、実際の環境中への放出量と実際のオゾン層の減少量というものの定量的関係等につきましては不明確な部分がなお残されているというふうに考えておりまして、そういうこともございますので、私どもとしましては本問題について地球的規模の環境問題として科学的解明を進める必要があるというふうに認識しております。
#48
○説明員(奥村明雄君) フロンガスの影響の問題については、ただいま通産省の方から御答弁がありましたとおりでございますが、環境庁といたしましても、この問題について環境庁に設けられました地球的規模の環境問題に関する懇談会で取り上げるなど、かねてより重大な関心を持って対処しているところでございます。しかしながら、オゾン層の科学的知見につきましては、将来予測の問題など不確実な面が残されており、まだ未解明な部分もあるわけでございます。環境庁といたしましては、本年の二月から成層圏オゾン層の観測や成層圏の反応化学などの専門家の方々で構成されました成層圏オゾン層保護に関する検討会を設置いたしまして、現在、現状の科学的な知見につきまして整理をしていただき、評価をしていただいているところでございます。
#49
○政府委員(中平立君) ただいま通産省及び環境庁からお話し申し上げましたように、フロンガスの大気中への放出が続けられますとオゾン層の破壊というようなことにつながるのではないか、こういう問題意識が世界的に持たれておりまして、その観点からオゾン層保護条約というものが作成されたわけでありますが、その作成に当たりましてその会議に日本といたしましても積極的に参加いたしまして、現在御存じのようにその議定書というものを作成しているわけでございますが、それにつきましても日本政府としては積極的に参加をしておる、そういう状況でございます。
#50
○広中和歌子君 ただいま、因果関係についてですけれども、不確実な要素もあるし、それから未確定だ、検討中であるといった御意見が多かったと思いますけれども、実際に来る三月三十一日ですか日米専門家会議が開催される。そのときに当然この会議ではフロンガスとオゾン層の破壊の因果関係について議論が交わされると聞いているわけでございますけれども、現在問題になっているフロン11、12についての使用規制、それがかなり具体的な形で提案されてくるのではなかろうか。どのような対策を立ててこの会議に環境庁それから外務省、通産省は臨まれるのか、その対応を聞かせていただきたいと思います。
#51
○説明員(奥村明雄君) 先生御指摘の三月三十一日から開かれます会合は、日本及びアメリカの本問題に関する専門家の意見交換というふうに承知しているわけでございますが、この会合におきまして、それぞれの国の専門家の方々が十分意見交換をされまして、問題の解明が前進をするということを期待しておるところでございます。環境庁といたしましては、この専門家の会合における成果等も踏まえまして、これからの対応策を引き続き検討し対処してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#52
○説明員(阿部巳喜雄君) ただいま環境庁の方から説明がありましたように、三十一日から行われますオゾン層問題に関する日米専門家会議は、フロンガスとオゾン層破壊との関係を科学的、技術的に、技術分野に関する意見交換を主たる目的とするものでございます。
 当省といたしましても、両国専門家が率直な意見の交換を行い、本件について理解を深め合うことは非常に有意義なものと考えております。今後の政策立案あるいはその政策の遂行において今回の会議の成果を活用できるというふうに期待をしておりまして、私どもとしましてもこれに積極的
に参加していきたいというふうに考えております。
#53
○政府委員(中平立君) 先生御指摘のように、本件会合といいますのは、日米の科学者による会合でございまして、この科学者による意見交換を通じまして、そのオゾン層に関する認識が一層深まって、これの対応策がより進展するということを期待しているわけでございまして、外務省は科学者がおりませんので直接参加するということではございませんが、オブザーバーとして勉強させていただきたい、こう思っておるわけでございます。
#54
○広中和歌子君 一九八五年三月に、オゾン層保護のための国際協力の基本的枠組みを定める条約が採択されたわけです。
 これで外務省の方に伺いたいんですけれども、オゾン層保護条約とは具体的にどういう内容を持っているのか。そして現在、八五年の三月二十二日に作成されたのに未発効となっているようでございますけれども、この条約の締結国というのはどのくらいあるのかということ。そして日本はそれに参加する用意があるのかどうか。この前私がアメリカに参りましたとき、リー・トーマス環境庁長官にもお目にかからせていただいたわけですけれども、そのことで日本側の協力をというようなことを要請していらっしゃったわけでございますけれども、どのように受けとめていらっしゃるんでしょうか。
#55
○政府委員(中平立君) 御指摘のように、オゾン層保護条約というものは一九八五年三月に採択されたわけでございます。この条約というものは、フロンガスの大気中への放出が続けられますと、地球を取り巻くオゾン層の破壊につながって地球環境が著しく変化するのではないか、したがって人類の健康にも悪影響を及ぼすのではないか、こういうような科学者の指摘がございまして、そういう指摘を踏まえまして、UNEP、国連環境計画がずっと検討してきたものでございます。
 このオゾン層保護のための国際協力枠組みを決めたものでございますが、現在のところ、締約国数は八カ国でございます。八カ国の中で、ソ連それから白ロシア、ウクライナ、この三つが入っておりますので、それを含めまして、そういうソ連を三つとカウントして八カ国ということでございます。署名いたしておりますのは、昨年の十二月現在でございますが二十七カ国でございます。二十七カ国プラスヨーロッパ共同体、いわゆるECでございますね、ヨーロッパ共同体が署名しておるというふうに承知しております。現在我が国はまだ締約国になっておりません。なっておりませんが、これは、その条約というものは採択されたわけでございますが、先生御存じのように、オゾン層保護のための具体的な規制対象物質及び規制方法につきまして規定しております議定書というものが現在関係各国によって検討されておるわけでございまして、この議定書が作成された段階で条約と議定書とあわせまして検討してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#56
○広中和歌子君 その辺に関しましては、まだ現在の段階では結論が出ていないということでございますか。
#57
○政府委員(中平立君) 議定書につきましては、まだ各国の意見が最終的に収れんされておりませんので作成されておりません。
#58
○広中和歌子君 日本は工業先進国であり、そういう点でリーダーシップというのは非常に期待されているわけなのでございますけれども、特に最近の貿易摩擦、けさもニュースを聞いておりましたんですけれども、下院の歳入委員会で包括的貿易法案が可決されたというようなことも聞くわけでございます。そういう中で日本が地球を守るための何かリーダーシップを発揮するということは期待されていることでもあるし、非常にいい効果があるのではなかろうかと思うのでございますけれども、そういう中で外務大臣の御見解を伺わせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
#59
○国務大臣(倉成正君) ただいまの広中委員からお話しのとおり、国連環境計画、UNEPが設けられまして、そして国連環境会議の十周年を記念いたしまして、我が国の原環境庁長官が提唱いたしまして、ノルウェーのブルントラント女史、今度首相になって先般おいでになりましたけれども、あるいは我が国から大来外相が委員になりまして、そして例の東京宣言が発表になったというような経過がございます。また、一昨日も熱帯木材に関する会議が横浜でございまして、私も間を利用して開会式だけ行ってまいりました。
 そういうことで、お話しのような地球、人類、その環境を守るための国際協力が必要でございますし、一九七二年のストックホルム宣言以来の一連のこれらの行動に関しましては、日本としては積極的にこれからも努力をしていきたいと思っておる次第でございます。
#60
○広中和歌子君 最後にちょっと。
 因果関係がはっきり証明されてから手を打つというふうにしておりますと、何か後手後手に回るような気がするわけでございます。フロンガスが産業界にとって非常に重要な品であり、しかも代替物質が今のところ発見されていないという現状の中で、特に通産省のお立場といたしましては、各企業の突き上げみたいなものもあるんではなかろうかと思うのでございますけれども、これまでの通商政策を含めまして今後どのような対応をしていらっしゃるのか、我々としては非常に、何というんでしょうか、興味を持って見守っていきたいところなんでございますけれども、ちょっと御見解を……。
#61
○説明員(阿部巳喜雄君) フロン11、12というのは、御承知のように冷房用の冷媒として広く使われておりますし、またいろいろな産業の副資材という形でも広く使われている製品でございます。こういうものが規制をされますとやはり産業の発展という観点から非常に大きな影響を受けるわけでございます。そういうマイナス面とそれから地球環境を守るという両方を両立させないといかぬわけでございますが、そのためにはやはり代替物の開発等を積極的に進めていくという必要もあるわけでございます。
 私どもといたしましては、その代替物の開発のスケジュールをできるだけ早目にするとかというふうなことで産業界を指導していきつつ、できるだけ国際的に関心の持たれているこの問題に対処していきたいというふうに考えております。
#62
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
#63
○立木洋君 これまでもこの委員会におきまして、海外子女教育の問題や帰国子女教育の問題、何回か話し合われてきたと思うんです。これまでの経過を見てみまして、全然改善がなされていないというようなことではもちろんありませんけれども、見てみますと、やはり現在民間も含めて海外赴任者が五十万にも上っておる。今後、内容の是非の問題は別としても、数年の間に百万を超えるだろうというふうにも言われているんですね。それで、改善はされてきたもののやはり海外で子女が教育を受けるという義務学齢子女の数というのが大体三万九千ですか、これは幼稚園だとか高等学校の適齢者は入れていませんけれども、実際に日本人の全日制で通っているのが一万六千ぐらい、あとはその他ということになっていますね。
 臨教審の答申なんかで見てみますと、海外子女教育については可能な限り現地でのみ得られる経験を積むようにというふうな指摘もあるようなんですが、これはどういうふうにするかという問題も、ただ単に海外での教育をどうするかということだけでなくて、この方々が今度帰国した場合日本の教育体制の中で教育を受けなければならない。御承知のような試験地獄だとかいろいろな状況がありますし、また学期末等に、適切な時期に必ずしも親御さんが帰ってこられるとは限らない。いろいろな問題があるわけですね。これはやっぱり全体的に、義務教育という範囲だけにかからないで幼稚園から高等学校まで含めた全体の子女教育、海外での子女教育がどうあるべきなのか、また帰国してからどうあるべきかということ
もあわせた検討の体制というのは非常に必要だと思うんです。
 きょうは時間がありませんので、そういう問題について今後やはり外務省、文部省、関係省庁で総合的な体制をよく検討していただきたい。改めてそれらの問題についてはお伺いすることにしたいと思いますが、文部省と大臣の御見解をまずそのことで伺っておきたいと思います。
#64
○国務大臣(倉成正君) ただいま立木委員の御指摘の問題は、私どもも全く同じ認識を持っております。また、私も海外に参りました際には必ずと言っていいくらい子女教育の学校を視察したり実情を見たりいたしております。また、先ほどもお話し申しましたように、日本人が非常に多いところでは、名前は申しませんけれども、塾等が随分出ておるというふうな状況を考えますと、やはり在留邦人、外交官を含めまして、子女の教育の問題というものが一番大きな関心事の一つだと思います。したがって、これはやはり日本の教育制度との整合性と申しますか、帰ってまいりましてからいずれにしましても相当なハンディがあるわけでございますから、それをしゃくし定規に、国内で育った人と同じような条件でということになるとなかなか難しいと思います。
 したがって、この問題については文部省との関連がございますから、私からはこれ以上のことは申し上げられませんけれども、文部大臣とじっくり話し合ってこういう問題について真剣に取り組みたいと思っておる次第でございます。
#65
○説明員(中西釦治君) ただいま先生御指摘のとおり、海外における子女教育の問題と申しますのは、国内における受け入れ態勢の問題あるいは日本の教育のあり方全体の問題と深くかかわっている問題というふうに認識しております。したがいまして、それらの問題も含めまして、外務省とも相談しながら総合的にこの問題の解決に向かって努力してまいりたいというふうに考えております。
#66
○立木洋君 この問題はきょうはお願いだけにとどめておいてまた別の機会にいろいろ詳しくお尋ねすることにしたいと思います。
 話は違いますけれども、今週に入りまして為替レートが一ドル百四十八円台という極めて高騰した事態になったけれども、一昨年来この問題というのは非常に深刻な問題として日本の経済では見逃すことのできない状態がずっと続いてきたわけです。先般宮澤・ベーカー会談が行われ、さらにはG5、G7等々で円相場がこれで安定するだろうというふうなことが言われていたわけですが、しかし実際には今日こうした高騰が出てきているという状態について、大臣はどのように現在の円高の状態をお考えになっておられるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
#67
○国務大臣(倉成正君) きょうの東京市場の寄りつきは百四十九円四十三銭でございます。したがって、百四十九円前後をめぐって今もみ合いをしているという状況でございますけれども、G5、すなわち六十年の九月二十日と比較いたしますと、当時が、九月二十日が二百四十二円でございますから、六二・四%円高になっている、六割以上円高になっているということでございます。
 私はこの問題は二つの面で考える必要があると思います。一つは、急激な円高ということがやはり経済に大きな混乱の要因を与えると思っております。それからまた、円高そのものが徐々に来ておりますとそれぞれの対応力はかなりあると思いますけれども、こういう短い間に六割も上がるということになりますと、日本の産業、鉄鋼、造船あるいは石炭、また特にそれらと関連する下請企業等については相当深刻な影響が出てきておるということは、私どももそういう関係の地域にもありますので身をもって体験しておる次第でございます。
 したがって、先般G7、イタリアが参加しませんでしたけれども、G7におきまして先進各国の蔵相・中央銀行総裁が一応の合意をいたしまして声明をいたしたということは意義深いものだと思うわけでございますが、基本的にはやはり、日米間の問題を考えてまいりますと膨大な貿易の黒字が日本に存在する、また経常収支においても存在するということになってくると、どうしてもそういうファンダメンタルの面において円高傾向を避けることはできないという感じがいたします。したがって、これらに対しましては、マクロの対策と同時にミクロの個々の品目についてもやはりどういう対応があるかということを今鏡意検討して、こういう急激な円高というものは避けるような安定した形のものになるように努力したいと考えておる次第でございます。
#68
○立木洋君 アメリカ側の協調介入ということも若干言われておりますけれども、しかし、状況を見てみますと、やはりどうしても日本の膨大な黒字、あるいは内需拡大がどうも十分にいってないということに対する不満というのは非常に根強い状態があるように見受けられるんですね。こうした状態というのが背景にある状況では、もっと根本的に対策を考えないとならない。いろいろG5、G7等々でそういう安定がつくられるということが話し合いの結果として出たとしても、なかなかそれだけではいかないんではないかというふうなことも新聞等で報道されているんですね。だからこういう背景などの問題をもう少し突っ込んで検討される必要があるんじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#69
○国務大臣(倉成正君) 私も全く立木委員と同じ意見でございます。したがいまして、日本政府がこの先進主要蔵相・中央銀行総裁会議後とりましたのは、公定歩合の引き下げの施策をとりました。金融政策をとりました。しかしいずれにしましても、今残念ながら予算がまだ国会を、提案しておりますけれども通過しないで暫定予算を組む状況にあるということは大変残念なことでございますので、一日も早く六十二年度予算を通過させていただきまして、なおその後においていろいろな対策について我々知恵を絞ってまいりたいと思っておる次第でございます。
#70
○立木洋君 日本側の対策としてはいろいろ検討の方法があるだろうと思いますし、後藤田長官が言われたこともテレビで聞きましたけれども、前回も中曽根総理が予算委員会で述べられているアメリカ側の要因ですね、やはり前回もG5、7等で問題にされております赤字の克服をどう具体的に進めるか。どうしても軍備の拡張というのが相当影響していますし、多国籍企業による海外進出の状態が依然として存続しているもとでは、どうも日本だけがそれをおっかぶってしまうというような状況では極めて一方的であって、そういうことをもっと主張されても結局はどうもこちら側が全部負担しなければならないような形になるのでは、やはり根本的な解決にはならないだろう。この点の主張ということがやっぱり極めて重要ではないかと思うんですが、その点はどのようにお考えになりますか。
#71
○国務大臣(倉成正君) ただいまの点も私、立木委員と全く同意見でございます。双方で努力しなきゃなりません。したがって、アメリカ側も二千億ドルに及ぶ財政赤字、なお競争力、アメリカ産業の競争力についてもっと努力をしていただきたい、この点については私も先方の責任者と会うごとに申し上げておるところでございます。
#72
○立木洋君 きょうは時間がありませんから基本的な点だけしかお尋ねできませんけれども、この問題というのはやはり日本の経済にとっても非常に重要な問題ですから、自主的な見地でこの問題が解決できるように今後とも努力をしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。
 また、話は変わりますけれども、南北の朝鮮の間の動きでいろいろ新しい動きが出ているという報道が最近ずっと続いているわけですが、南北の対話の問題ですね。また、シュルツ長官のアジアの訪問でも外務大臣との話し合いをなされたということもありますし、南北の対話の動向についてどういうふうに今外務省では判断されているのか、御見解を聞かしていただきたいと思います。
#73
○国務大臣(倉成正君) 南北の問題は、南北双方
が、当事者同士がやはり話し合いを進めていく環境づくりをしていくということが一番大切なことであろうかと思います。アメリカが今回とりました措置というのは、非公式な会合等でいろいろな接触については差し支えないということでございますが、日本が従来とっております北朝鮮に対する対策、対応というものとそう変わったものではございません。したがって、我々もこれからやはりそういう雰囲気づくりをできるだけやっていって、南北双方がお互いに対話を進めて、そして朝鮮半島の平和と安定が図られることが望ましいと考えておる次第でございます。
#74
○立木洋君 その雰囲気づくりなんですが、シュルツ長官が三月の六日でしたかに大臣とお話しになったときに、南北の対話が進むように積極的に日本側も協力すべきではないか、してほしいというふうなお話があったというふうに新聞では見たんですが、そういうふうな内容等について何らかの御検討をなさっているのかどうなのか。もしよろしかったらお答えいただきたいと思います。
#75
○国務大臣(倉成正君) シュルツさんといろいろなお話をいたしましたけれども、会談の内容の一々について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、アメリカ側が従来よりも若干柔軟な対応をしてきておるということは私は評価していいのではないかと思います。
#76
○田英夫君 きょう議題になっております法律案につきましては、私も適切な時期に対応されたと思いますので、この問題には触れずに、若干二、三の点についてお尋ねを促しておきたいと思います。
 一つは、エチオピアの駐日大使、アベベ駐日大使が亡命を希望しているという報道がありましたけれども、外務省はこれをどういうふうに把握しておられるのか、そして政府としてどう対応されているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
#77
○国務大臣(倉成正君) ただいま田委員がお述べになりました事実は承知をいたしておりますが、現段階においてこれ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
#78
○田英夫君 外務省としては、この報道された事実については把握しておられるというふうに受け取っていいわけですね。
#79
○国務大臣(倉成正君) さようでございます。
#80
○田英夫君 それでは別の問題ですけれども、今もお話がありました日米間の経済摩擦の問題、私も実は二月末にワシントンに短時間ですがおりましたので、その印象を交えて若干お尋ねをしたいと思うんです。
 何回かここ数年の間に参りましたこの経済摩擦が激化してからの印象に比べますと、今回アメリカの上下両院の主として外交委員ですけれども、歳入委員も含めて議員にお会いをして、結論を言えば、非常にアメリカ側の議会の皆さんが対日貿易問題についての問題点を勉強されたという印象を持っています。例えば二年前に比べますと、二年前はかなり感情的という感じがいたしまして、アメリカ側の問題点は棚上げして日本側の問題点を、しかも非常に抽象的に指摘をするという印象が強かったんですけれども、今回は非常に具体的に日本の問題点について指摘をされる。同時に、アメリカ側の企業のあり方を含めて反省点を言われる方がほとんどでありまして、そういう意味では非常にいい傾向だと思うと同時に、逆にアメリカ側からの日本に対する指摘、批判というものはある意味では極めて厳しくなってくる。
 この二年間の間に、さっき円高の問題についてマクロとミクロというお言葉がありましたけれども、そういう意味では非常にミクロにわたってきているんじゃないだろうかという感じがあったわけですね。例えば下院の歳入委員ですが、コイン議員、この人はピッツバーグの出身で、製鉄ですから、この一月に日本に参りまして神戸製鋼を見たということで、これは自分たちの反省点を述べたわけですけれども、神戸製鋼の場合は、人員整理が迫られてきた中で、それに対してやめた後の職業の選択、そのための技術研修というような対応を神戸製鋼、企業側がきちんとやってそして人員整理をやっているという実態に接して、実はコイン議員は、自分はもう愕然とした、ピッツバーグの製鉄所は、切るとなったら十何%一挙に首切ってしまうというやり方がアメリカの経済の今までの常識であった、こういう点で日本に学ばなければならないというような意味のことを言っておりました。
 逆に、日本の障壁という状態になっているものは、特に下院議員の場合は、自分の選挙区の企業といいますか生産物といいますか、カリフォルニアなんかになると農産物も出てきますから、そういうものについて一つ一つ具体的に日本の問題点をこの数年間に学んだといいますか、相当突っ込んでそれぞれの問題点について今は知っている状態になっているという印象を受けたわけです。
 これはちょっと前の話で、ここでもお話ししたかもしれませんが、ほとんどその問題点というのは、各省庁の許認可をめぐる基準とかそういうものが災いになっている、障壁になっているという例で、郵政省が電話機の音質について基準を設けている。これは確認しましたら事実でありますが、アメリカ側の常識からすれば、音質が若干悪くても、例えばそれが安いものであれば倉庫に置く電話などにはそれでいいではないか。つまり音の質などというものは使用者、消費者が選択をすればいいものを、日本の役所はこれについて一つの基準を設けて、それ以上でなければ売ってはならない、つまりアメリカからも日本に対して輸出することができない。この例は、私が耳にしたのは実は一年半ぐらい前だったんですが、今回もなおワシントンでは生きている例として語られていました。
 こういうことはもちろん各省庁にわたって存在をするわけでありまして、外務省としては、この辺がひとつ政府部内の問題点として大変ある意味では困難な立場におられるのかもしれませんが、そういう印象を受けてきたのであります。既にもう外務省としては十二分にそういうことは把握しておられるとは思いますが、大臣のお考えを印象を含めてお答えいただきたいと思います。
#81
○国務大臣(倉成正君) ただいま田委員から大変具体的なお話ございまして、電話機の雑音が若干入る、少し精度のいいものをということで、アメリカと日本との考え方は違う、そういうことで私もプレストウィッツさんやその他先方の専門家といろいろお話ししたことがございます。したがってよくその事情を承知しておりますが、これは多少文化あるいは習慣、そういうものの相違がありましょうから一概にアメリカ側の主張をそのままうのみにする必要はないと思いますけれども、しかし、少なくとも国際的に見てリーズナブルというか常識として通ること、そういう基準でやはり我々は行動していかなければ国際国家日本としては通っていかないと思います。
 したがって、いろいろな点について相互の理解不足もございますけれども、しかし、少なくとも国際社会でこうであると言って通る理屈、そういう基準でこれから対応していくべきであろうと思います。したがって、いろいろ日本側において不十分な点があればやはり勇気を持って改めていくということであろうかと思います。
#82
○田英夫君 この問題は、実は最終的には政府の中で、総理大臣をもちろん中心にしてよほどの決意を持っておやりいただかないと、まあここにおられないから言うわけではありませんが、許認可官庁と言われるようなところの関係者の皆さんにすれば、みずからの存立の問題に触れてくるようなこともあると思うんですね。そういう許認可ということによって成り立っていると言っていい、これはまあ言い過ぎかもしれませんが、そういう印象さえ持たざるを得ないお役所もあるわけでありまして、これは勇断を持ってやりませんと、今の大臣のお答えのようなトーンですと、ますますアメリカ側だけではなくてヨーロッパを含めて外国のいら立ちを増すばかりじゃないか。
 二年前にいわゆるMOSS協議で四つの問題について話し合いが始まった。今はもうそれは通り
越しまして、四つどころじゃない、もっともっと数は無限に大きくなっておりますし、そして問題点はちっとも解決されていないという印象をアメリカ側は持っているということだと思います。もちろん、今度行きまして、ワシントンの駐米大使館の中に議会担当の参事官が置かれるようになったということを知りましたが、遅きに失したと言えばそれまでですけれども、しかしこれは非常に結構なことでありますし、事実、その参事官が各議員と随分深く話し合いを進めておられるということも今度の訪米の中でわかりましたんですが、もっと人数をふやしてもいいんじゃないかという気さえします。
 時間がありませんから、もう一つお願いをしておきたいと思いますが、今そういう状況を見ますと、倉成外務大臣が訪米されようという計画を何回かされて、国会の関係などでなかなかそれが実らないという御心境は十分私も理解できるんですが、私は野党ですけれども、この時期やはり何とかして、短い時間でも、御苦労ですがアメリカの関係者と話し合われる必要があるんじゃないだろうか。今ちょうど貿易法案が上下両院それから政府から出てきているという状況の中で審議が始まってきている。そして、アメリカの各議員は先ほどから申し上げたような状況で、相当突っ込んで知っている。知っているからよくなるかと思いましたら、そういう比較的日本に対する理解のある方も、もうここまで来たら仕方がないという言葉が何人かの方から出てくるわけです。
 ですから、シュルツ国務長官とはもちろん、財務長官やヤイター通商代表というような方々と話し合われる必要が極めて緊急に迫っているんじゃないか。時期などを私が申し上げる立場にはありませんけれども、国会の審議を見ましても、野党の私の立場からいっても、実は割合近いところに空間があるんじゃないかなと思えるんですね。したがって、もちろん向こうの御都合もあることですから、いきなり飛んで行けばいいということではないでしょうけれども、経済に強い外務大臣ですから、ごく近い将来に総理も行かれる計画はあるようですけれども、これはおのずから性格が違うと思いますし、この機会にそういうことを計画されるお気持ちはないかどうか、最後に伺っておきたいと思います。
#83
○国務大臣(倉成正君) 大変温かいお言葉をちょうだいしてありがとうございます。
 今、田委員お話しのように、十七日からの下院の歳入委員会の包括貿易法案の修正案で採決の状況を聞いてみますと、三十四対二ということでございます。反対の二人は、クレーンさんとドープさんお二人だということでございまして、アメリカの空気が非常に厳しいという状況、私どもひしひしと感じております。
 ただ、一つ私どもこの際あれしたいと思っておりますのは、非常にアメリカ側の要求も各議員さん方から個々にいろんな問題がそれぞれ出てまいりますので、やはり我々としては、USTR、商務省、また農産物については農務省、もちろんUSTRが一応の全体の窓口でございますが、そういうところで集約された問題を相手にしましてこれらに対応を十分していきたい。そしてまた、私国内におりますけれども、国内でもできることがいろいろございます。したがって、国内でできる最大のことを私の時間の許す限り合いたしておるわけでございまして、在日の商工会議所の関係の方々と、あるいは日本におられますアメリカの方々、ヨーロッパの方々、そういう方々と懇談をするとかいろいろな外国のプレスとお話をするとか、そういうことでできるだけのことをしておりますけれども、ただいま田委員からお話しいただきましたことについては大変ありがたく拝聴いたした次第でございます。
#84
○委員長(宮澤弘君) 他に御発言もないようですから、本案に関する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#85
○委員長(宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○委員長(宮澤弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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