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1986/05/21 第108回国会 参議院 参議院会議録情報 第108回国会 外務委員会 第3号
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1986/05/21 第108回国会 参議院

参議院会議録情報 第108回国会 外務委員会 第3号

#1
第108回国会 外務委員会 第3号
昭和六十二年五月二十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮澤  弘君
    理 事
                最上  進君
                森山 眞弓君
                松前 達郎君
                小西 博行君
    委 員
                後藤 正夫君
                嶋崎  均君
                鳩山威一郎君
                林 健太郎君
                林田悠紀夫君
                原 文兵衛君
                藤井 孝男君
                中村  哲君
                矢田部 理君
                広中和歌子君
                立木  洋君
                田  英夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  倉成  正君
   政府委員
       外務大臣官房長  小和田 恒君
       外務大臣官房外
       務報道官     松田 慶文君
       外務大臣官房審
       議官       渡辺  允君
       外務大臣官房審
       議官       柳井 俊二君
       外務大臣官房審
       議官       遠藤 哲也君
       外務大臣官房領
       事移住部長    妹尾 正毅君
       外務省アジア局
       長        藤田 公郎君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    恩田  宗君
       外務省経済局次
       長        池田 廸彦君
       外務省経済協力
       局長       英  正道君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       外務省情報調査
       局長       新井 弘一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小杉 照夫君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房審議官     榊   誠君
       環境庁自然保護
       局野生生物課長  佐野  弘君
       外務省国際連合
       局審議官     林  貞行君
       農林水産省食品
       流通局食品油脂
       課長       増田 正尚君
       通商産業省貿易
       局輸出課長    村田 成二君
       通商産業省機械
       情報産業局電子
       機器課長     本田 幸雄君
       運輸省国際運
       輸・観光局外航
       課長       野崎 敦夫君
       郵政省郵務局国
       際業務課長    楠田 修司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承
 認を求めるの件(内閣提出)
○アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=
 太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出)
○南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八
 条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正
 並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条
 約第十三条1の改正の受諾について承認を求め
 るの件(内閣提出)
○千九百八十六年の国際ココア協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出)
○特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に
 関する条約を改正する議定書の締結について承
 認を求めるの件(内閣提出)
○世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の
 改正の受諾について承認を求めるの件(内閣提
 出)
○文化交流に関する日本国政府とソヴィエト社会
 主義共和国連邦政府との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○商品の名称及び分類についての統一システムに
 関する国際条約及び商品の名称及び分類につい
 ての統一システムに関する国際条約の改正に関
 する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブ
 ラッセルで作成)の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○原子力事故の早期通報に関する条約の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付
 )
○原子力事故又は放射線緊急事態の場合における
 援助に関する条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○多数国間投資保証機関を設立する条約の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
○関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議
 定書(千九百八十七年)の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○民間航空機貿易に関する協定附属書を改正する
 議定書(千九百八十六年)の締結について承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨
 時措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び
 安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び
 に日本国における合衆国軍隊の地位に関する協
 定第二十四条についての特別の措置に関する日
 本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付
 )
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮澤弘君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承認を求めるの件、アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件、南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第十三条1の改正の受諾について承認を求めるの件、千九百八十六年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件、以上六件を便宜一括して議題といたします。
 六件につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○松前達郎君 ただいまの六件について幾つかの点について質問させていただきたいわけですが、その前に、外務大臣、大変に厳しい外交日程であちこち飛び回られて非常に大変だったと思いますけれども、まず最初に御努力に対して私どもからも敬意を表させていただきたい、こう思います。その中にサミットへ向けての問題等も含まれているわけですから、またこれについては後ほど御意見なり何なりお伺いをいたしたいと思っております。
 そこで最初に、ただいまの六件につきましての質問でありますが、まず第一に、南東大西洋の生物資源の保存に関する条約につきまして二、三お伺いをいたしたいと思うんです。
 第八条に、委員会が定める関係締結国に対する総漁獲量の配分に関する取り決めの作成、勧告、こういったような条項があるわけでありますが、これについては具体的にはどういうことを指しているのか、お知らせいただきたいと思うんです。
#4
○政府委員(池田廸彦君) お答え申し上げます。
 総漁獲量の決定自体は、この条約と申しますか、南東大西洋漁業国際委員会の仕事でございます。しかしながら、御案内のように、数種の魚種が含まれておりまして、総漁獲量を決めた中で、それを地域的に、また魚種別にどういうふうに配分するかという問題になりますと、それぞれの利害関係国、関心国というのはおのずから異なってまいるわけでございます。そこでこういう二本立ての規定にいたしまして、一応総枠は委員会で決めるけれども、あとそれをどのように配分するか、これは関係国の間で話し合って決めるように、こういう趣旨でございます。
#5
○松前達郎君 そうしますと、いろいろな魚種に分かれてそれぞれの国の間の交渉となれば、いわゆる漁業交渉というのがありますね。例えば日ソ間もありますし、アメリカと日本との間もありましょうし、こういうものとの関連というのはこことは全然関係ないということですか。
#6
○政府委員(池田廸彦君) これはまず地域的に限定されております。アフリカの西海岸及び西南海岸というところでございますし、それから魚種も、そう回遊性の強いものではございませんで、アジとかサバとかメルルーサとか、そういうものでございます。したがいまして、それぞれの関心はございますけれども、二国間の漁業交渉におけるような非常に先鋭な対立というものはございません。
#7
○松前達郎君 これは南東大西洋ですから、太平洋とは違って我が国が関係する問題というのは少ないかもしれないんですが、具体的に日本として何らかの関係が出てくるのかどうか、その点ありましたらお願いします。
#8
○政府委員(池田廸彦君) 我が国もかなりの関心を持っております。主な我が国の関心の魚といたしましては、今申し上げましたようなヘイクでございますとかアジとかサバでございます。しかし全体としてのシェアは高いものではございません。主な大宗を占めております国といたしましては、例えばスペインでございますとかポルトガルでございますとか、それからソ連の漁獲もかなりの水準に達しております。関心はございますが、各国との間で非常に先鋭な対立を招くほどのものではないということでございます。
#9
○松前達郎君 それでは次に、アジア=太平洋郵便連合憲章ですが、この中に、アジア=太平洋郵便研修センターというのを設置する、こういったようなことが出てくるわけなんですが、これについて具体的にはどこに設置するのか。ちょっと私の見たところ指定されていなかったように見るんですが、この辺どうでしょうか。
#10
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。
 アジア=太平洋郵便研修センターは、この地域におきます郵便の分野での、特に業務の改善を図るという目的でこの域内の郵便職員の訓練を行うために設置されたものでございまして、もともと国連のいわゆるUNDPが昭和四十五年にタイのバンコクに設立したものでございます。その後UNDPの援助の縮小がございまして、昭和五十年のメルボルン大会議、これは郵便関係の大会議でございますが、このときの条約改正によりましてこの連合の機関になったわけでございます。したがいまして、センターの設置場所はその後もバンコクでございます。
#11
○松前達郎君 次は国際ココア協定なんですが、我が国のココアの消費を見てみますと、そう大きな消費ではない。表をいただいていますが、その中でも輸入国としては余り上の方に入っていないですね。全然名前も出てこないところもあるわけです。我が国の食品経済といいますか、これにこのココアが及ぼす影響ですね。恐らくココア協定というのはココアの価格の安定とかそういうものをねらっているんだと思いますけれども、この価格安定の重要性についてこれは我が国との関連というのは非常に多いのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
#12
○政府委員(池田廸彦君) お答え申し上げます。
 御指摘のように、ココア、まあ結局チョコレートになりますかあるいはココアで飲むかでございますけれども、いずれかといえば嗜好食品でございまして、本質的な食品でないことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、これを生産サイドで見ますと、ココアの生産国と申しますのは、当然のことでございますがすべて途上国でございます。中には例えばアイボリーコーストでございますとかその他の国のように、非常にココアの輸出に依存をしている依存度の高い国がございます。それからもう一つココアの特色といたしまして、なかなか生産調整ができにくいという特性、それからどうしても価格の乱高下が避けがたいという宿命を持った商品でございます。
 この要素をすべて重ね合わせますと、やはり対途上国配慮という点から何らかの価格安定のメカニズム、これが要請される。したがいまして、七〇年代から伝統的にココア協定というものをつくってまいったわけでございます。この要請は依然として変わりませんし、また消費国の方といたしましても、主要な食品ではないにしましてもやはり価格安定ということはそれなりに望ましいものがある、こういうことで産消双方の利害が一致いたしまして協定をつくろうということになったようでございます。
#13
○松前達郎君 今おっしゃったように、主要食糧じゃないんですね。主食でも何でもない、嗜好品である。しかもこの嗜好品というのは余り体にもよくないんじゃないかと思うんですが、この辺も考えますと、価格安定というのは今の産出国等の状況、経済状況を考えますと確かに安定さしてあげたいという気はするわけなんですが、日本にとってみると輸入としてもそんな大きな分野を占めているわけじゃないんです。
 こういったような問題について日本が加盟していくということが、これは世界的な視野から見れば今おっしゃったような必要性はあるかもしれませんが、私としては余り積極的に加盟する必要もないんじゃないかと前から思っていたんです。しかし、今の説明のとおりに途上国が関与していることであるし、途上国の経済にとってはある意味では重要な分野を占めているでしょうから、日本としてもこれに加盟しながらお手伝いをするというんですかね、そういうふうな意向だというふうに伺ったんですけれども、そういうふうに解釈していいですね。
#14
○政府委員(池田廸彦君) まことに御指摘のとおりでございます。確かにココアは大部分が嗜好食品でございますけれども、現在需要が下がっておりますのは、ココアが体によくないということではございませんで、むしろその糖分の問題でございます。ですから、何と申しますか、甘味離れと申しますのは別にチョコレートに限らない、一般に起こっている現象だというのが一つございます。
 それから二番目に、そんなに主な用途ではございませんが、ココアバター、ココア油というものは、先生御案内のように薬品用にも非常に重要な原材料でございます。そういうことで先進国側としても利害がある。
 それから、先ほどの繰り返しになりますが、カカオ豆の輸出依存度を見ますと、例えばガーナは輸出の五二%でございます。それからグレナダは三二%、象牙海岸は二五%、こういう状況でございまして、やはりこれらの国の事情を考えますと、価格安定のために日本として協力してあげるということは大切なのではないかと思っております。
#15
○松前達郎君 わかりました。ココアそのものは体にいいか悪いか知りませんが、大体あれは砂糖と一緒に甘味をつけて食べるのが多いんですね、食べたり飲んだり。ですからそういう意味では余りよくないんじゃないか。これは私個人の考え方で、いい悪いは皆さんが判断すればいいと思いますが。
 それでは次に、OECD関係についてですが、外務大臣、OECDの閣僚理事会に御出席になったわけでありますが、そのOECD理事会が終わった後のコミュニケを拝見いたしたわけなんです。このコミュニケの内容等について、また、これは我が国としてもこれだけのコミュニケの中でいろんな約束といいますか、取り決め等が行われておりますから、これに対する対応もしなければいけない。いろいろ重要な意味を持っていると思うんですね。そういう意味を含めて質問させていただきたいんです。
 まず第一番目には、このコミュニケについて見ますと、最初に大きなテーマとして、為替相場の安定のための必要な措置を講じるというふうなことが書かれておるわけなんですが、この必要な措置というのは、これは各国それぞれ措置が違うと思いますけれども、概略的に言いまして一体どういうふうに具体的な措置としてあらわれてくるのか、これをまず大臣にお伺いしたいと思います。
#16
○国務大臣(倉成正君) まず、松前先生の御質問にお答えする前に、本委員会のお許しを得まして、米国それから韓国、IEA,OECDの閣僚理事会に行ってまいりましたが、大変皆様の御理解を得まして留守にいたしましたことをおわび申し上げますとともに、皆様の御理解と御支持を感謝申し上げる次第でございます。
 今OECDの閣僚理事会のお話でございますけれども、これは御案内のとおり、全部一連、コミュニケだけでもパラグラフ三十八に上るものでございまして、その中で今為替の面、すなわちマクロ政策のうちの一部として、まあ今回のOECDの閣僚理事会の大きな課題は、マクロの経済政策の協調と農業政策、この二点が一番大きな問題であったと思います。そのほかにもいろいろな項目がございますけれども、焦点はそこに当てられたと思うわけでございます。
 その中で日本にとって為替相場の安定ということが非常に重要であるということも我々としては主張もし、またジム・ベーカーさんとも会談をいたしたわけでございますけれども、先ほどお話しのように、このコミュニケの中にはルーブル合意の、特に各国が共同していろいろな施策を行うべきであるという各国の協調支援、特にルーブル合意の種々のコメントと最近のG7コミュニケにあるコメントの効果的実施は早急に達成されるものとするということで、まあいわば一国だけで為替相場の安定はできないので、その政策協調をやっていくことが必要であるという意味のことがこのコミュニケの中に書かれておると理解しておるわけでございます。
 それじゃ具体的にどこまでのどういう政策協調をし、どういう形で中央銀行等が介入するかというような問題等につきましては、事柄が事柄でございますので触れられてないわけでございまして、この点はひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。少なくともこれらのマクロ政策で為替相場の安定のためにはやはりこのルーブル合意、その後のG7のコミュニケというのはちゃんと守られるべきであるという、そういうことをこの中で明らかにしたというところに意義があると思いますし、私自身としましてもジム・ベーカーさんとお会いしまして、これらのことについて御懇談を申し上げた次第でございます。
#17
○松前達郎君 そうしますと、必要な措置をとるというふうなことは恐らく合意されているんじゃないかと思うんですね。必要な措置というのはそれぞれの国によって措置のとり方が違うかもしれないけれども、前向きにそれに取り組んでいこうというふうな意味での合意というんで、具体的にこういう措置、こういう措置、あなたの国はこれをしなさい、これをしなさいというのは、まだそこまでは会議の中では詰められていない、こういうふうに解釈してよろしいんですか。
#18
○国務大臣(倉成正君) 少なくともマクロ政策の全体の問題としては各国の措置がかなり具体的に書かれておるわけでございまして、これはもう先生コミュニケごらんになった上での御質問でございますから、重複を避けますが、パラグラフ七、第七項目におきまして、米国におきましては連邦政府の財政赤字は一九八六年のGNP比五・二%から八七年には四%以下に減りつつあるが、この赤字削減のプロセスは今後数年は継続しなきゃならないし、また継続するであろう、赤字削減がアメリカの政府としては必要であるということ。そのほかいろいろ競争力の強化等の問題について、アメリカがやはり赤字削減と輸出競争力の必要ということを第七項目に述べているわけでございます。
 また、日本にとっては、相当程度の交易条件の改善に合致する迅速な輸入増加を伴いながら、内需の拡大が大事である。そのためには相当規模の財政上その他の措置を講ずるであろう。しかし、これは中期の財政目標を損なわないであろうということで、かなり配慮した形の書き方でございますけれども、日本の内需拡大という問題について触れられておるわけでございまして、これが第八項目です。
 第九項目では、西独における内需の増加、特に民間投資の増加は潜在的な生産増加を相当程度超えなけりゃならない。また同時に、この中で減税が特に重視されている。西ドイツにおきましては減税という点が一つのポイント。そのほかいろいろございますが、ちょっと要約して申しておりますので、正確に申し上げますと非常に長くなりますが、私の感じとしてはそういう感じを受けたわけでございます。
 そのほか、それぞれの国がそれぞれの責任を分担して、ひとつこの世界経済の順調な発展、いわば経済成長をこれまで達してきて、戦後、過去一世紀で最低のインフレ、物価の安定という状況を続けていこう、こういう意味のコミュニケが、全体の二十四カ国、またオブザーバーとして出られた方々の意見を加えて出されたという次第でございます。したがいまして、結果的にはかなりまとまりのいいものになったわけでございます。
 また、この中には農業の問題も書いてあるわけでございますが、しかしその過程におきましてはやはりジャパン、日本という問題が非常にあらゆる総会におきましても、ワーキングランチ等におきましてもいろいろ出てきたということでございまして、日本に対する期待、また言葉を変えると風当たりがかなり強いものである。これは申すまでもなく、経常収支の大幅な黒字、また貿易収支の黒字という問題は、やはり世界経済全体のバランスにとって好ましいものではない、こういう背景があろうかと思うわけでございます。
 以上です。
#19
○松前達郎君 貿易収支の黒字の問題、これはまた後で触れてみたいと思ったんですが、貿易収支が黒字だから日本はお金持ちだと、簡単な言葉で言いますと。ですから金持ちは金持ちなりのことをやりなさいと。いろんな注文を諸外国がつけてきているんだと思うんですが、さてやろうとしてもこれは政府が金を持ってなきゃできないわけですね。政府の財政が余裕があって、そのお金でもってやろうと思えばある程度のことはできるだろうけれども、予算もない、何もない、そういうところで何をしていいのかという問題があるんで、そういうふうに考えていきますと、黒字国であるにかかわらずそのお金が一体どこにあるのかという問題が一つ大きな問題になってくるんですね。
 最近は金余りというような言葉も使われているんですが、じゃ、それを一体外国に還元していくその手だてとしては、やはり国内的に言えば税制の問題というのが非常に重要になってくるんじゃないか。内需拡大の努力、これも必要かもしれませんが、それと同時に、恐らくこのコミュニケの中には財政措置をとるというようなことも含まれていると思うんで、そういったような税制問題も今後恐らく検討されていくと思いますが、重要な国内問題だけではなくて、国際的にも関連のある問題になってきたというふうに解釈するべきだと私は思っておるんですが、いかがでしょうか。
#20
○国務大臣(倉成正君) まさに先生のおっしゃるとおりでございます。これはISバランス、いわば貯蓄に対して投資が非常に少ない、したがって余剰部分が経常収支の黒字となってあらわれてきておるわけでございますから、したがってこの点を改正していかなきゃいけないという意味で内需の拡大ということが言われているわけでございます。その一環として財政措置ということでございますけれども、御案内のとおり、税制というのもやはり内需の拡大の一翼を担うと思うわけでございます。
 ただ、ここで非常に難しい問題は、税制改正というのが一年限りのものであるならば、これはいろいろな手だてができるかもしれませんけれども、やはりこれを恒久的なものにしていくということになれば、所得税の減税にいたしましてもあるいは法人税の減税にしてもいたすということになりますと、やはりそれなりに将来の展望を持たなきゃいけないというところに今財政当局がいろいろ苦心をしておるところではないかと思うわけでございます。この点につきましては、御案内のとおり、衆議院議長預かりで税制をどうこれから取り計らっていくかという問題との絡みもあろうかと思うわけでございます。しかし、御案内のとおり、緊急にやはり何らかの対策をしていかなきゃならないということでございますから、これからそれらの問題をひとつしっかり詰めていくということになろうかと思うわけでございます。
#21
○松前達郎君 その辺いろいろ基本的な考え方もありますから、いろいろの議論が行われると思うんですね。立場によってはいろいろと税制に関しても考え方が違ってくる場合もある。今の貿易による黒字の利益というものは一体どこに蓄積されてしまっているのかという問題、それをある程度吐き出させないと還元できていかない、外国にまた戻していけない、あるいはその他の施策に使えないという問題がありますから、売上税なんというのは、みみっちいというか、大型なんですが、そういうことじゃなしに、もうちょっと抜本的な税制を考えていく必要があるんじゃないかと私は思っておるわけなんです。
 さっきちょっとおっしゃいましたけれども、貯蓄が日本多いわけですね。貯蓄が多いというのを、それが投資に回らないといっても、国民が貯蓄をなぜやるのかという基本的な問題があって、例えば福祉政策が十分行き届いた国であれば貯蓄する必要ありませんから、それをレジャーに使うとかいうことで内需拡大に通じていくんでしょうけれども、どうも日本の場合は自分を自分で守らなきゃいけないというシステムにまだまだなっているようです。例えばこれから老齢化社会その他が出てくるわけですね。そういったときの老後の問題を考えるとやはりためておかなきゃいかぬと、こういうことになってくるんで、その辺ともまた関連してくる。非常に大きな輪の中で考えていかないとならないんじゃないか、こういうふうな気もするんです。ちょっと議論が横にそれてきましたけれども。
 そこで、もう一つの問題として市場開放の問題がたしかあったと思うんですが、これについて一層努力をすると、そういったような問題。それからあと財政措置の分野で言いますと、五兆円規模の緊急経済対策をやろうというふうに政府はお考えである。これも恐らく基本的解決策にはならないとしても一つの方法かもしれませんが、そういったような問題が今出ているわけですね。
 ところが、五兆円規模の緊急経済政策の内容に関して、最近アメリカのベーカー財務長官がまた茶々を入れてきている。例えば税制改革の減税分の追加をしてほしいんだ、減税分を含まないで五兆円だとか、いろんなことを言っているようであります。しかし、緊急にやらなきゃならないことは、まあこれ急いでやると今おっしゃいましたけれども、確かに必要でしょう。それと同時に、基本的な問題として、今後の将来展望の中でひとつこういうものを解決できるような方策を立てていただきたい、かようにも思うわけであります。
 マーケットを開いていくというのは、これは後でまたちょっと私の意見も含めて申し上げたいんですが、輸入をふやすということを盛んに特にアメリカあたりが言ってまいりますし、イギリスはどういうわけかウイスキーばかり言っていますが、こういったような、輸入をふやせ、そのためにはマーケットをあけろと。あけろというのは、いろんな障壁があるからという意味も含めてですね。そんなようなことを盛んに要求してくる。しかし、どうも考えてみますと買うものないんですね。アメリカがいろんなものを売ろうとしてもなかなか我々買うものがない。買うものがないというのはアメリカの品質が悪いからです。
 そういったような面から考えると、どうも輸入増というのはそう期待できないんじゃないか。しからば内需拡大、こういうことになってくるんですが、これにしてもなかなかそう簡単にはいかない。これらの点ですべて解決をしようとする、そういうことであるとすればどうも八万ふさがりのような感じがするんですけれども、その辺いかがでしょうか。
#22
○国務大臣(倉成正君) この点は、松前先生御承知のとおり、今世界経済全体が大きな構造変化の過程にあると思うわけです。
 日本が基礎研究の部分は私は必ずしも進んでいるとは思いません。しかし、応用の面で、エレクトロニクスその他の部分でかなり適応力があって競争力が非常についてきている。具体的に申しますと、電気製品あるいは自動車というような部分でかなりの競争力を世界的に持ってきておる。これに比しましてアメリカは非常に膨大な資源と基礎的な研究、潜在的な可能性はあるけれども、少なくとも現在のところそういう意味での競争力が今衰えてきているという点があろうかと思うわけでございます。
 したがって、そういう意味で、日本は今先生おっしゃるように買うものないじゃないかと言われると、日本は何でも自分でつくろうとすればできるような状況になっているわけですけれども、しかし一方、日本が一割国家としてこれだけ成長してきたのは、やはり自由貿易体制という、資源がない、これだけ資源がないけれども、自由に各国から資源を入れて、そして安い資源を我々が手に入れて、しかも自由に外国に輸出をすることができるという、まあいわばガットの体制の中で最大の恩恵を受けてきたのが日本である。しかも大幅の貿易黒字、もう八百六十億ドルから一千億ドルに及ぶという貿易黒字があるということになると、やはりこれは国際社会の一員としてある程度考えなければいけないんじゃないか。いいものを安く売るのに何で悪いかという理論ではなかなか通らない。
 したがって、ある程度のものはやはり水平分業という形で、何というか、外国のものもひとつ同じ程度のものであればチャンスをちゃんと与えて入れてやあということが大事じゃないかと思うわけでございます。しかし、悪いものの高いものを入れるというわけにいかないけれども、日本の関税その他はそれほどのものではございませんが、かなり低い水準まで工業製品は行っておりますけれども、やはり言葉の問題であるとか商慣習の問題であるとか流通組織であるとか、そういう意味でなかなか日本の市場には参入しにくいという問題があるかと思います。いろいろなことで文句を言いたいけれども、文句を言うとまた仕返しを受けるというような、そういうものも率直に向こうからの声として聞こえてくるわけです。したがって、そういう面は我々はもう少し国際社会の一員として大人のマナーを学ばなければいけないと私は思っております。
 それから、やはりアメリカその他の国から農産物について特に言ってくるわけです。この点については、御案内のとおり、日本の食料品は外国に比べて随分高いじゃないかということ、こんな高い農産物を食べてどうして日本人は生活しているのかというようなことを言うわけですね。これはある面では私は当たっている点もあると思いますね。フレッシュオレンジジュースあるいはビフテキ等、一流のレストランで食べますと目の玉が飛び出るように高いわけですから、こういう点は私はやっぱり当たっていると思うわけであります。
 しかし、さればといって、日本の農業を本当に裸にしてしまったらこの日本の農業というのは壊滅してしまうわけでございますから、この点については、一緒に参りました加藤農水大臣も随分頑張りまして、パラグラフ二十一項目のところに、「農業改革の長期的目標を追求するにあたり、食糧の安定供給の確保、環境保全あるいは雇用全般等の納経済的でない、社会的及びその他の要請に配慮することができる。」という一項目を入れたわけでございます。この点は、農業は単に効率性だけで追求すべきではないという点はこのコミュニケの中に入っているわけでございますけれども、しかし同時に、やはり日本の農業も思い切った改革をやって、そして生産性を上げていくという努力を一面にしていかなけりゃならぬのじゃなかろうかと思うわけでございます。
#23
○松前達郎君 農業のお話が出ましたので、農業についてお尋ねをしたいんですが、このコミュニケの中には、「助成の漸進的」、助成というのは政府からの助成ですね、これの漸進的削減を通じて、市場原則が生産の方向づけに影響を与えるようにするというようなことがたしかあるんじゃないかと思うんです。
 これは我が国の農業政策と非常に関連が今度深くなってくる問題なのでお尋ねするんですが、これは本当は外務大臣の所管ではないかもしれませんが、例えば食管制度の見直しなんというのが今言われておりますね、こういったような問題。それから食糧輸入の問題ですね。とりわけ食糧輸入でも、最近はどうも恐らく米の問題が出てくるんじゃないかと思ったら、案の定米の問題まで出てくる。
 外国に行きますと、実は米を外国で購入して食べますと、これはカリフォルニア米だと思うんですけれど、おいしいんですよね。すしも握れますし、昔言われたような品質とは違う比較的レベルの高い米がもう販売をされている。しかも売っている金額が非常に安い。そういうことだけ見ますと、確かに日本の米が高過ぎて、何でわざわざこんな高いものを国民は食べているのかというふうな疑問を外国の人は持つのは当然なんですね。ですから、そういった面の調整といいますか、そういった面での考え方が外国にあるし、日本は日本としての立場の問題がある。その辺の調整というのは非常に難しくなってくるような気もしてならないわけです。
 それから今最後におっしゃいました食糧の安定確保。食糧というのは基本的な、国にとって一番重要な課題であります、食糧生産は、自給問題も含めてですね。これは当然な話でありまして、経済外的な、経済的ではない面での側面を持っている。だからこれは当然配慮しなきゃいけない。これを最後に加えられたとおっしゃったですね。これは非常によかったと思うんです。しかしいずれにしても、こういった一言で言えば圧力というのは恐らく今後もさらに強くなってくるだろうと思うんです。あるいはサミットの場でもこういったような問題が出てくるだろうと思うんで、この辺の対応の仕方というものについては十分準備をしたり、あるいは国内的な面の合意も取りつけていかないとややこしいことになっていくんじゃないかと思うので、この辺はひとつ十分検討していただきたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
 それから税制改革、さっき出たわけですが、これに対してはOECDのメンバーがどう考えているか。これは推察でありますけれども、税制というのは大体簡素で公平で勤労、貯蓄、投資意欲を損なわないような内容にすべきである、これも恐らくコミュニケの中に入っていたんじゃないかと思うんですが、こういった趣旨のことですね。日本の場合それがどうも行われていない面もあるんじゃないかと思うんで、これらについても今後の課題としてやはり政策の中で推進をしなきゃならない分野だ、こういうふうにも思うんですが、この農業、税制について、食管制度、これは非常に重要な問題なんで、大臣のお考えをもしございましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
#24
○国務大臣(倉成正君) 農水大臣がおられませんので、私、政府の統一見解として申し上げるにはちょっとお許しいただきたいと思いますが、多少私の所見を申し上げたいと思います。
 ウルグアイ・ラウンドでまず農業補助金の問題が大きな問題になったわけでございます。そのときの農業の補助金の問題は輸出補助金の問題が中心でございました。御案内のとおり、アメリカにいたしましてもECにいたしましても大変な輸出補助金を出しておるわけでございますね。そうすると、やはり農業国、豪州あるいはその他の国、またカナダ、いろいろそういう国々にとってみると、輸出補助金によって自分たちの農業が脅かされる。アメリカは御案内のとおり補助金のついた小麦をかなりソビエトにも売っている。そういう若干矛盾した面もあるわけでございまして、そういういろいろな問題があるので、輸出補助金というのに実は焦点が当てられたわけでございます。
 しかし、輸出補助金が今議論になっているけれども、裏を返すと、農業の国内補助金というのも逆の貿易障害という意味で、輸出補助金が議論になるんなら国内の補助金についても当然議論になる可能性があるということ言っておったわけでございますが、ウルグアイ・ラウンドでは、輸出補助金の問題の争いが激しいものですから、もう国内補助金の問題についてはちょっと陰に隠れてしまったわけでございますけれども、やはりOECDの場ということになりますと、まさに市場開放というような点から考えてまいりまして、日本の国内の補助金等についても議題になってくるということになっておるわけでございます。
 したがって、この点については私は、ウルグアイ・ラウンドの際には、米について議論が、三〇一条でアメリカの精米業者が動きましてUSTRに提訴するというようなことがございまして、そこでこの点については私は、農水省の眞木経済局長を帯同しましてリン農務長官に日本の農業のお話をしまして、米については、これは非常に日本の基幹作物であるので、三〇一条で取り上げるというのは適当でないと思うと言ったと同時に、ヤイター通商代表が権限を持っておりますから、ヤイターさんに会いまして、これはもうポリティカルにノーと、難しいという話をしましたら、ヤイターさんは自分でこれを決めますという話でした。なお、念のためというので、ニューヨークでシュルツ国務長官に会ったときに、この点はヤイターさんの所管であるけれども、私はこれは政治的に非常に難しい問題であると言ったら、シュルツ長官は、センシティブな問題ということは自分は理解しているということでございました。
 結局、私が言ったからというわけじゃないでしょうが、三〇一条の問題はこれで却下された次第でございます。そのときは私もヤイターさんやシュルツさんには言わなかったんですけれども、リンさんに会ったときには大豆のエンバーゴーの問題を持ち出しました。
 したがって、そういう経過があるわけでございますけれども、いずれにしましても、ウルグアイ・ラウンドで全体としていろんな問題を取り上げる際にはやはり米の問題もその中に入れて議論するということになろうかと思うわけでございますが、その機会に、これは農林水産大臣とも十分御提携して、やはり今の日本の国民の農民が不安を持たないように持っていかなきゃいけない、しかし同時に改革もしなきゃならないという両面をあわせてやっていかなきゃならないと思っておるわけでございます。
 それからもう一つ、時間をとって恐縮でございますが、やはり私は農業については一つの哲学、フィロソフィーが要ると思うんです。具体的に申しますと、小さな島であるとかアフリカの一部であるとか、そういうところにおいてはできれば自給すべきではないかと私自身は思っております。
 具体的に申しますと、フィジーに参りましたときに、フィジーでは米をつくっておりまして、半分しかできない。私は実は県の農林部長の経験というのを若いときに、二十代にいたしたことがあるものですから、いや、やればここではできますよと私は思いますということで、農水省にお願いして、土壌の専門家が行っておりましたけれども、全体としてわかる人がいないということで、チームをつくって、農水省から選んでいただいて四名のチームをフィジーに派遣をいたしてその問題を今検討さしておるところでございます。
 したがって、やはりその地域地域において具体的に議論していくべきではないかというのが私の考え方で、必ずしもこれが政府の統一見解ではございませんけれども、そういうことをもっともっと具体的にきめ細かく農業政策というのは考えていくべきではないかというふうに思っておる次第でございます。
#25
○松前達郎君 今いろいろとお話を伺ったんですが、ちょっとフィジーの話が出ましたですね。農業に対する問題、これは確かに人間が生存するための基本的な問題ですから、それぞれの国の中でできるだけメーンの生産物については自給するのが望ましい、これはもう当然な話だと思うんです。そのためにはやはり、今おっしゃったような農業生産に関する技術指導といいますか、そういうものを含めた指導体制というものがあって、それがその国に援助をしていくということ、これも重要な問題だ、農業の生産性向上という問題を含めてですね。日本の場合こういった問題については割と経験があるんじゃないかと私は思うんです。特に米などはそのうちに入るんだと思うんです。そうしますと、やはりこういった技術的な面も含めた援助、ノーハウの提供も含め、そういったような援助というものが恐らく今後日本のやるべき仕事としては重要な分野に入ってくるんだろう。これはODAと直接関係あるかどうか知りませんが、こういった面の指導、これもやはり外務省の方も少し考えておいていただいた方がいいんじゃないか。
 例えば、私自身もアジア農業シンポジウムというのをやっておりますけれども、これは農業計画と農業の生産性向上の問題、土地が全然ないというなら話は別ですけれども、土地があって昔なりのやり方でずっとやってきて、収量が少ないとかいろんな問題があるんですね。そういった問題をどうやって改善していくかという技術的な問題も含めた討議をしているわけなんですが、こういった面も今後援助していく、あらゆる面で。そういった面でひとつ御努力いただければ非常にありがたいんじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。
 日本の場合、国土が狭いとよく言われます。農業用地というのはもう一六%を割っているんじゃないかと思うんですが、しかし、それなりにやはり国の気候条件その他考えていきますとそんなに不適当な土地ではないんですね。非常に農業生産に向いたすぐれた土地というのがあるわけです。これらについても、日本の国内ももちろんそうなんですが、しかし、我々祖先からみんな努力して農業生産を一生懸命やってきているわけなんで、そういった技術をひとつ提供しながら、それぞれの国が農業生産を上げられるような指導というのをひとつお願いできればと。前に委員会で、海外に対する援助というとお金だけ上げてそれで終わりなんだというふうな解釈じゃだめだということを申し上げたこともあるんですけれども、今後はそういった問題も含めておやりになった方がいいんじゃないか、こういうふうに思っております。
 それからコミュニケの中に、これは私の方の資料が不十分なものですからちょっとわからない面があるので教えていただきたいんですが、技術変化に関する問題、これもコミュニケの中に上がっていると思うんですが、これは内容的にはどういうことが議論され、コミュニケに取り上げられたのか。その辺ひとつ教えていただけませんでしょうか。
#26
○国務大臣(倉成正君) これは、技術の変化というものが社会、雇用、生活、そういうものにどう影響していくかという非常に基本的な問題を含んでいると思うのでございます。
 これは御案内のとおり、技術は確かにいろいろな意味において必要であり、また人類を貧困から救う大きな要素であるわけでございますけれども、しかし同時に、この技術の開発と普及というのをどういうふうに取り扱っていくかということになると、これは経済の発展の段階に応じてまた社会との関係をどう扱っていくかという問題、非常に基本的な問題を含んでいると思うわけでございます。しかし、これはコミュニケの二十八のパラグラフに書いてございますけれども、そう深い討論をここではいたさなかったわけでございます。しかし、OECDでは御承知のとおりこれらの問題についてはかなり、情報社会との、あるいは技術変化との問題についてはかなり深い研究がされておるわけでございますし、私もその技術変化の問題についての話をスピーチの中で一部分触れたというような次第でございます。
#27
○松前達郎君 まあ技術変化というふうにちょっと私の資料には書いてあったものですからお伺いしたんですが、技術というものが特に資源のない国にとっては非常に重要な経済を支える役割をしているというのは、これはもう御承知のとおりなんですね。特に工業に関して技術がその基本になっているということから考えますと、先進国をずっと見渡すとほとんどが工業が中心になっておるんですね。ですから、やはりそういった面も案外重要なことじゃないかと思っておるんです。そういうことを考えておりますのでお伺いをいたしたわけなんです。
 それともう一つは、環境の問題それからエネルギーの問題、こういったものもコミュニケに入っているんじゃないかと思うんですが、私の資料の中にはその内容がなかったものですから、もしございましたら教えていただきたいと思います。
#28
○国務大臣(倉成正君) 技術についてちょっと申し落としましたけれども、OECDの技術の、二十八の項では若干楽観的な面というか、「技術の開発と普及は、生産力、雇用、及び生活水準向上の鍵である。」と、いわば技術を移転してそしていろいろな利用すべき種々の機会を提供する、こういうトーンが一応載せられておるわけでございます。同時に、これの背景には、やはり技術の問題についてもっと掘り下げなきゃならない問題があるというのが、私どもがいつもOECDと接触しているときにはいろいろ出てきている問題なものですから、私はその方を少し強調し過ぎた向きがございますけれども、OECDのコミュニケとしては今申し上げました点がポイントのようでございます。
 それから環境問題については、これも実はIEAの方で、チェルノブイリの事故以来非常に各国それぞれの立場でいろいろな議論がされたわけでございますが、OECDでもかなり事務方で、分科会で分かれて、環境問題もかなり掘り下げて準備会をしたり分科会をしたりいたしておりますけれども、閣僚理事会の中では、三十パラグラフ、三十項のところで、「持続的な経済発展のために必要な資源基盤を維持するだけでなく、生活の質を守り改善するために、環境問題は政府の政策の中で高い優先順位を与えられなければならないとの一般的合意がある。OECD加盟国は、環境的配慮を政策決定過程のなかにより体系的かつ効果的に組み入れるためのアプローチと方法をOECD内で発展させよう。大事故に起因するものも含め、環境に有害な物質の放出をより効果的に防止するために必要とされる政策について作業が強化されることとなろう。」と。
 これは、いわば例の原子力の通報とかあるいは相互援助のことが一つの背景にチェルノブイリの事故が一つの背景にあるんじゃないかと思うわけでございまして、このための国際協力が必要であるということでございまして、「最近提出された国連・環境開発世界委員会の「我々が共有する将来」と題するレポートが加盟国政府とOECDにおいて詳細に検討されるであろう。」ということで、ノルウェーの首相が先般参りまして東京宣言等の問題について議論されたことがやはりこの背景にあるわけでございます。
#29
○松前達郎君 エネルギーはそうしますと今のと関連しますですか。環境問題、例えばチェルノブイリの問題等に関連して考えますと、これは原子力事故の早期通報条約というのがいずれまたこの委員会に入ってくると思うんですね、これとの関連もあると思います。エネルギーについては、IEAの閣僚理事会の合意に留意するという、そういうことだったと思うんですが、その内容は今おっしゃった内容でしょうか。
#30
○国務大臣(倉成正君) エネルギーについては、「昨年は、石油、ガス、及び石炭の価格が大幅に下落した。低エネルギー価格は幅広い経済的利益をもたらす一方、エネルギー消費を増加させ、」これは率直に申しますとアメリカのことを指すと思います。アメリカだけではございませんけれども、価格低下のためにエネルギーの消費が増加する。「エネルギーの域内生産を減少させる傾向がある。」いわばエネルギー価格が余り下がりますとやはりコストに合わないのはどんどんつぶれていくわけでございますね。
 そういうことで、そういう基本的な傾向について一つの客観的な事実を述べて、「チェルノブイリの原子炉事故は、原子力の安全性の側面を強調した。これらの出来事は、一九九〇年代に予想されるエネルギー市場の逼迫の度を強める可能性がある。」結局、現在は緩んでいるけれども、これは一九九〇年代には恐らくエネルギー市場はもっと逼迫するであろうと。「国際エネルギー機関理事会は、一九八七年五月十一日閣僚レベル会合を開催し、エネルギー及び石油の低価格によりもたらされる全般的な利益を引き続き確保しつつエネルギー政策の目標を推進するために、多くの分野における現在の諸政策を強化することを合意した。」ということで、いわば減退のトーンを述べながら、エネルギーの供給の多角化というような問題についても若干触れておるわけでございます。
 何分この下のパラグラフ全部読むとちょっと長くなりますから読みませんけれども、石油供給途絶への対応策とか、環境問題に対する認識であるとか、エネルギーの効率的な使用であるとか、いろいろなそういう問題がここに挙げられたわけでございます。これはやはりIEAの方がこのエネルギーの問題が中心でございましたので、OECDの閣僚理事会としての中での掘り下げというのはそれほど、各事務方の方の委員会ではかなり議論がされたと思いますが、閣僚理事会の課題としてはそれほど深い掘り下げというのはされなかったというのが事実でございます。
#31
○松前達郎君 OECDの閣僚理事会についての質問はそのぐらいにしまして、次はココム違反の問題なんですが、きょうは通産省からもお見えになっておられますので、ココム違反についてお伺いをいたしたいと思うんです。
 最近の報道で、東芝機械がノルウェー国営企業のコングスベルグ社と組みまして、ココム規制対象となっているNC加工機、これを四台ソ連に輸出したということが問題となっている。ココムの問題については前にも委員会では申し上げたこともあると思うんですが、内容等について見ますと、相当レベルの高い機械をソ連に輸出した。しかもその加工機というのが、船舶推進用のプロペラ、これの表面加工用であるから、これによって精密加工ができるようになって、例えばソ連の潜水艦の雑音が減ったとかそういったような問題が盛んに言われているわけなんですが、この機械を輸出した時期というのはいつごろなんでしょうか、東芝機械が輸出したのは。
#32
○説明員(村田成二君) 契約自体は五十六年の四月に締結されておりまして、機械本体、これは四台御指摘のようにございますが、輸出時期は五十七年の十二月から五十八年の六月にかけてでございます。
#33
○松前達郎君 それで、さっきちょっと申し上げたように、ソ連原潜のスクリュー音が二分の一に減少した。これは具体的に私自身確めたわけじゃないからわかりませんけれども、一九八七年版のアメリカの「ソ連の軍事力」というパンフレットがあるんですが、それに記載されている、こう思うんですね。ということは、五十六年四月に契約で、五十八年六月までに輸出をされている。それが実際に動き出したのがいつかわかりませんけれども、これと「ソ連の軍事力」に記載されている、スクリュー音が二分の一に減少するというような問題ですね、これとのリンクというのは確実にあるわけですね。
#34
○説明員(村田成二君) 少なくとも私どもが国内的に把握できる事実、あるいは私ども行いました調査からは、そこの因果関係については明確な確証は私ども抱いておりません。
#35
○松前達郎君 このNC加工機というのは、本来ココムの規制に該当するものなんですか。
#36
○説明員(村田成二君) 少なくとも一定レベル以上のものにつきましては、ココムでの合意を踏まえまして、私どもの輸出貿易管理令別表という項目に個々の物資が具体的に規定されておりますが、その中に含まれております。
#37
○松前達郎君 ココムに抵触させたのがどうのという問題を言っているんじゃなくて、貿易そのもの、日本は貿易で生きている国だということでありますから、当然国外に日本の製品を出していく、これはもう当然なことなんですね。ただし、その出す相手が対共産圏貿易になるとこのココムというものがそこに存在して、ある一定以上の技術レベルを持ったものは輸出できない、これはやむを得ないと思うんですね。
 そういうふうなことと、例えばコンピューターの場合ですね。一般的なパーソナルコンピューターなどは、これは実は前に通産省に問い合わせしたところが、一般的なコンピューター、いわゆるパーソナルコンピューターのたぐいでもビット数からいって、例えば十六ビットのものだとココムに抵触するんだとか、八ビットのものだったら抵触しないんだとか、そういうふうなことを伺ったことがあると思うんですが、事実はそういうことで規制をされているんでしょうか。
#38
○説明員(村田成二君) 技術的な項目については私それほど詳しいわけてはございませんが、ただ、一定の性能以上のものにつきましてやはり輸出承認の対象になっておりまして、その中でも、承認を容易におろせるものと、あるいは非常に高度な技術である、あるいはその技術を附帯した物資であるということで輸出がなかなか共産圏向けには難しいものと、幾つか運用上区分けしております。
#39
○松前達郎君 どうしてこういうことを申し上げるかといいますと、例えば中国に我々が家庭で使っているようなパーソナルコンピューターを寄贈しようと考えたことがあるんですよ。そうしたら、ある会社の製品なんですが、十六ビットなんですね。大きさは大して大きなものじゃないです、子供でも使っているやつですから。これはココムに抵触するんだということをおっしゃったわけなんですね。輸出をしようといったって、一台寄贈するというだけの問題なんですけれども。ところが、今度中国へ行ってみまして研究室とかいろいろなところを見てみますと、何と大型のIBMのコンピューターがずらっと並んでいるんですね。IBMのコンピューターが八ビットということじゃないと私は思うんですが、相当高度の計算ができるコンピューターが並んでいる。よくよく聞いてみると、IBMは向こうにブランチまで持って盛んに輸出攻勢をやっているということなんですね。これはIBMだからココムに触れないということはないんだと思うんですね。これはアメリカの方で判断することだと思うんですが。
 そういうこともあったものですから、ココムという問題は、高度なものはこれは確かに共産圏貿易としては抵触をするわけなんですけれども、ある一定のレベル以上とおっしゃるんですが、その辺のレベルというものについて、相当汎用化したものについてはこれは外していかないとまずいんじゃないか。恐らくまた頭越しにアメリカの方がどんどん出しちゃって、気がついてみたら日本だけが出せなくなったなんということになるんじゃないか。これは往々にしてあることなんで、その辺ひとつ注意深く観察をしておいていただきたい、こういうふうに思うんです。
 大阪の東明商事という商事会社が北朝鮮にココム規制品を輸出した件、これは内容的に言えばICとか、あるいはオシロスコープ、計測器ですね、こういうものを輸出した。これが不正輸出であるというふうなことが報道されていたんですけれども、こういう事実ございますか。
#40
○説明員(村田成二君) 本件につきましては一部新聞等に報道されておるのは事実でございますが、目下警察当局におきまして捜査中と承っておりますので、私の方から詳細をお話し申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#41
○松前達郎君 ICは触れるんでしょうか。それは御存じないですか。
#42
○説明員(村田成二君) 一定のものは輸出貿易管理令の対象になります。
#43
○松前達郎君 一定のものというのはどういうものですか。
#44
○説明員(村田成二君) 非常に技術的に難しゅうございますものですから……。
#45
○松前達郎君 電子機器課長さんだったら専門だからおわかりになるんじゃないですか、その程度のことなら。もしかわからなきゃ私から教えてあげてもいいんですが。
#46
○説明員(本田幸雄君) 技術的なその境目といいますのは公表していないものですから、この場でお答えできないわけでございますが。
#47
○松前達郎君 ICの中でもメモリーの部分、これが例えばビット数で一メガとか二五六とかいろいろありますね。例えば一メガというのはできたばっかりですからまだ新しいものですけれども、そういったようなメガビットでもって数字的に制限しちゃうのか、あるいは機械全体として組み合わさったものとして規制対象を判断されるのか、その辺の問題はどうなんでしょうか。
#48
○説明員(本田幸雄君) それは両方ございまして、具体的にはちょっとここでは差し控えさしていただきたいと思いますが。
#49
○松前達郎君 そうすると、例えば私がどっかへ行ったときお土産に持っていくコンピューター、これも触れるとか触れないとかわからぬわけですね。
#50
○説明員(本田幸雄君) 一定のレベル以下のものであればよろしいわけなんですけれども。
#51
○松前達郎君 その一定レベルというのがわからないんですよ、私には。一定レベルというのは、いずれまた詳しくお伺いすると思うんですが、その辺なんですね、問題は。
 要するにココム規制というのは、日本として、例えばアメリカに出すときにはココム関係ないですからね、何でも出せる。共産圏貿易に対しては確かにそれは規制がある、これはやむを得ない。ところがその内容がわからない。そしてしかも、技術立国をしながら貿易で生きていこうという国がそのぐらいのことをちゃんとやっておかないと困るんじゃないかと私思ったものですからちょっとお伺いしたわけなんですが、最近はその傾向が今度ココムの規制に関する対象品目をふやそうじゃないかというふうないろんな動きがあるというふうに聞いているんです。これについては恐らくヨーロッパ、EC諸国を含めた国々は余り賛成していないんじゃないかと思うんですが、その辺の動きはいかがでしょうか。
#52
○説明員(村田成二君) まず、ちょっと先ほど先生から御指摘いただきました点を含めてお答えさせていただきたいんですが、まず、ココム加盟国、参加国の間では一応統一的な基準を持ちまして、どういう品目を承認対象にするか許可対象にするかという一定の基準のもとに実際の各国の管理を行っているわけでございます。したがいまして、例えばアメリカが緩くあるいは日本はきつく、日本が出せないものはアメリカが輸出するという事態は原則的に生じていないと考えております。
 それから全体的なココム規制の方向でございますけれども、やはり技術進歩あるいはいろいろな産業の発展というものに即応しまして当然のことながらココムの内容というのは随時見直しが行われているわけでございます。もちろん我が国としましては、先生おっしゃいますように貿易で食べていかなければいけない国でございますから、必要以上に規制が強まったりあるいは不必要な規制が行われたりということはもとより望むところではございませんし、適当ではないと判断しておりまして、そういった点につきましては各国と協調して規制の合理化あるいは規制内容の見直しという点に我が国も積極的に参加してきているところでございます。
#53
○松前達郎君 要望なんですが、そういったことを頭に置いていただいて、範囲を拡大するとかいろんな意見が出てくると思うんですね、各国、特にアメリカからではないかと思うんです。そういうものについてはかの国々とひとつ打ち合わせをしながらこの辺は大いに抵抗をしていただきたい、こう思うんですけれども、これは要望ですからお答え要りません。ココムの問題はまたいずれチャンスを見てしたいと思います。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
 そこで、もうちょっと時間がございますが、半導体摩擦ですね、これも通産と関係があるかもしれませんが、半導体摩擦、貿易摩擦、これは日米間の問題としては非常に大きな問題になってきつつあるんです。政府の立場としてどうかもうちょっと自信を持って、きのうの青島発言じゃありませんけれども、余りもみ手して頭下げていく必要ないと思うんですね。やはり言うべきことは堂々とおっしゃって、これは抵抗するという意味じゃなくて、向こうに理解を求める、アメリカ側に理解を求められた方がいいんじゃないか、こういうふうに思っておるんですが、もう十分それはやっておられると思います。先ほどもOECDの中でのお話も伺いましたし、いろいろ伺ってきたわけですが。
 さっき出ましたアメリカのUSTRのヤイターというリプリゼンターがおられますが、これがNHKに出まして、テレビだと思いますが、半導体問題に触れたことがあるんですね。キャスターがいろいろな質問をして、そのときにヤイターさんどういうふうに答えたかというと、半導体に関する関税、これは一〇〇%かけようということなんでしょうが、ところがなぜ半導体にかけないで電動工具なんかにかけるんだという質問があったんですね。そのときの答えが、半導体というのはアメリカの産業に余りにも深く組み込まれてしまっているし、日本の半導体そのものの品質がいいということは決して言わなかったんですけれども、組み込まれているということをおっしゃっているんですね。それに税金をかけますとアメリカの産業が困っちゃうんだと、だからほかのもので行うんだというのでやり玉に上がったのが電動工具であると、こういうことになるわけですね。
 こういうことをおっしゃっているんですが、これはどういうふうに考えますか。これは感想で結構ですけれども。
#54
○国務大臣(倉成正君) 今のお話は、まさに江戸のかたきを長崎で討つという、私の郷里が長崎だから申すんじゃございませんが、そういう感じでございますね。
 今問題になっているのは二五六ダイナミックRAMでございまして、今先生お話しのように、一メガのやつが出てくる、あるいは六十四メガというような問題もいろいろ今検討されつつあるような状況ですから、これは私も、総理が来られる前にシュルツ長官と会いまして、ぜひ半導体の問題は早く解決をしてほしいと。日本の市場における問題もさることながら、第三国市場における価格の問題というのがいろいろ出ておるわけですけれども、御案内のとおり、二五六ダイナミックRAMにしましても一メガでもほとんど変わりません、大きさは。ですから、ボストンバッグに入れて持っていって売ればそれはもうどうしようもないわけです。そういうことを考えますと、私は、何というか、早くこれは解決してほしい。総理もかなりきつく、これはレーガン大統領初め各閣僚の皆さんの席で、これをひとつ解除の時期を明示してほしいというところまで強く申しました。私ももちろんこういうことをいたしました。
 ただ、御案内のとおり、一応通産省との間でいろいろなデータをそろえるということでこの問題は措置がされているわけですから、やはりそれなりのデータというものを改善、あるいはデータの整理というのが、どういう中身のものか私も詳細は承知しませんが、必要じゃないかと思いますので、そういうものが整えば私は早期に解除されるものと思っております。ただ、それがいつであるかということは、これは私どものデータと、それを判断する方々のお立場があろうかと思いますので、ここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、早期に解決されるものと確信いたします。
#55
○松前達郎君 今の江戸のかたきを長崎で討つとおっしゃったけれども、まさにそのとおりなんで、これは平和の論理じゃないんですね。戦争の論理だし、悪い言葉を使えばやくざの論理ですね。アメリカの方もそういうことで日本いびりというか、そういうものがどうも裏にあるような気がしてならないんですから、こういうところはひとつしっかりと反論しておかなきゃいけない、こう思うんですね。
 とりわけ半導体はアメリカの兵器にほとんど使われています。特にセンサーなんかに非常に多いんですが、これは日本製でなきゃだめなんですね。アメリカの製品は信頼度がなくて使えない。これは安いからじゃないんです、性能がいいから買うんですね。だから貿易摩擦何だかんだ言っても、半導体そのものが必要だから、これには制裁をしないというんですから、何だかおかしな論理がまかり通っているような感じがしてしようがないんです。ヤイターさんはそういうことは絶対に言わないですけれどもね。
 それからさらに、貿易摩擦で、日本からアメリカに対する輸出が多過ぎてアメリカの経済に非常に大きなインパクトを与えているような発言もあるんですけれども、実際にはアメリカのGNPの一・一%なんですね。ですから、例えばアメリカの石油生産というのはGNPの六・四%ぐらいですから、そのアメリカの石油の値段が半分になる方がずっと大きいんであって、日本からの一・一%がどれだけ影響するかといったら、そんなに影響しないんですね。そういったような問題、これも数字で比較してみるとはっきりしてくるんで、その辺も頭に入れておいて対応していかなきゃいかぬと、こう思うんですね。そういうところを考えますと、貿易摩擦というのは実はもう感情論だというふうにとらざるを得ないような感じを私持っておるわけなんです。
 しかも、日本のメーカーが今アメリカで製品をつくっていますね。これができた製品をアメリカが輸出しているわけです。この金額というのは一体どのくらいか調べてみると、これは二百六十億ドルですね。貿易収支が今さっきおっしゃったように一千億ドルという数字も出てきていますね、インバランスの問題。その中の二百六十億ドルと対比してみますと、一体これはどういう意味を持つのか。こういうことをアメリカの人は考えていないんでしょうかね。その辺が私はどうも合点がいかない面があると思うんです。
 例えば農務長官が日本にやってきて、アメリカの牛肉をもっと買え買えと言うんだけれども、これはもうこの前も反論されておったようですが、アメリカの牛肉の総輸出量の実際には何%を日本が買っているか、七四%買っているんですね。しかも市場開放しろと言われて開放したとすると、アメリカのテキサスの牛肉と豪州の牛肉と比べるとアメリカの方が一・五倍高いですから、開放すれば一つも入ってこないのはわかっているんですね。アメリカも恐らく知っていると思う。それを知りながらもなぜこういうことを言うのか、ここは非常に大きな問題だと思うんですが、ゼスチャーだととればそれっきりなんですけれども。
 こういったような問題をずっと考えてみますと、問題はアメリカの国内にも多分にあるんだということですね。航空機産業がアメリカは非常にレベルが高い、こういうことを言いますが、これが大体六兆円産業ですね。六兆円産業が一体日本で何に相当するかというと、これはオーディオとビデオ産業を合わせると六兆円ですね。しかもオーディオ、ビデオというのはいわゆる民生品なんです。宇宙開発もアメリカは一生懸命やっていますが、これもたかだか二兆円産業なんですね。こんなようなことをずっと数字で見てみますと、どうやらアメリカの民生品といいますかね、そういった産業の技術、このおくれが、結局日本の方が技術的レベルが高くて、品質がいいものができるものですから、その差がどうも出できているんだと。
 そう考えますと、さらに深く考えていけば、恐らくその結果として出てくるのはアメリカの民生品の技術というのが非常におくれているということ。特殊な分野は非常に高いけれども、それは非常にマーケットが狭い。日本はそういう面で言うと広いマーケットを牛耳ったことになるんで、これは私は大いに結構なことだと思うんですね。やはりそれで食っていくのが日本。こういうことをやはり考えて、日本はけしからぬ、けしからぬとよく言われるけれども、日本が何も悪いことをしたんじゃなくて、アメリカの方がサボった。もっと悪い言葉で言うと、アメリカが勝手に沈下したんだから日本も一緒に沈下してくれということですね。そんなようなことにつき合っていられないんですね、今。これはアメリカと日本の問題だけじゃないですから、世界の中の日本としての今後の課題でしょうから、そういった面も十分我々踏まえながらやはり今後アメリカとの折衝に対応していくべきだと思うんですね。
 例えばGMの会長なんというのは、京都で記者会見をやって、日本の市場が閉鎖的だなんて言っているんですが、大臣、GMのPRのテレビの広告を見たことありますか。それもしないでおいて、大体閉鎖的だとは何事だと、全くこれは言いがかりにすぎない。日本に車を売る気ないんです、もともとアメリカは。日本の車が円高で値上げするとアメリカの車も値上げするんです。本当はそのままで売るべきなんです、アメリカは。その辺がやはりありますから、裏にそういう問題が、何があるかということ、これはもう十分おわかりになっておられるんですけれども、その辺を我々としては強調していかなきゃいけないんじゃないか。
 たくさんの例があります。一々ここで時間的にありませんので申し上げませんけれども、基本的には、よくアメリカでは労働組合がよくないから、要するに従業員の質が悪いから生産性が上がらないんだ、こんなことを言うけれども、例えばアメリカのUAWの労働者、首になった者を採用して日本の会社でやってみたら、同じ施設で同じ人間を使って同じものをつくって、品質は日本と同じものができた。何が悪いかというと経営者が悪いんですね。そういったことは棚に置いておいて、何でも日本日本と。最近ちょっと頭にきているものですから申し上げたんですけれども、そういうことをひとつ我々としてはそろそろ反撃しなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思ったものですから今幾つかの事例を挙げて申し上げたんです。
 大臣の立場でそういうことをアメリカへ行っておっしゃるわけにいかないかもしれませんから、これはもし言うんだったら民間の方でじゃんじゃん言わせますので、その点ひとつ、後ろの方で応援しますから、できたら時々強いこともおっしゃっていただきたい、自信を持って。そうしませんときのうの発言みたいなことが出てきてしまうわけですね。相当しっかりしていただきたいという
ことを最後に要望いたしまして質問を終わりたいんですが、何かその点御感想がございましたらひとつ。
#56
○国務大臣(倉成正君) 大変御激励いただいてありがとうございます。
 ただ、私は一つだけ、NICSと日本との関係。私も最近韓国へ参りまして、韓国の自動車工場あるいはその他の産業をごく駆け足でございますが見せていただきまして、やはり日本とアメリカどのような関係が将来起こる可能性はあると思います。そのとき日本の国民がどういう反応をするだろうかということを考えますと、やはり確かにアメリカの財政赤字、それからアメリカの競争力の低下、これが相当大きなインバランスの理由にはなっておりますけれども、しかし、アメリカの経常収支の大幅な赤字の三分の一と言っていたのが、もうそれよりもはるかに超えるような部分を日本がずっと継続的にやっておるということになると、やはり何か向こうも言いたくなるだろう。それじゃ農産物を、アメリカのは入らないかもしれないけれども、とにかくフリーにしてくれというようなことになってくるわけですから、こちらもそれなりに向こうから言われないだけの体制を考えておく必要があるんじゃないか。金融の問題についても、メリル・リンチが日本の東証の市場に入るためにはかなりの問題がありました。
 ですから、いろいろ感情的な面もあると思いますけれども、日本としてもやっぱりやるべきことはきちっとやらなきゃいけないというふうに思っております。
#57
○中村哲君 今回ここに出されました法案は、社会党としましては特に異論があるわけでなくて、細かな点に対するこちらの所見あるいは議論というものがある程度であります。
 それで、私はこの中で自分も関心がある水鳥の条約のことに絞って申しますが、その前に、倉成外相が出ておられるので、私は予算委員会等には出ませんものですから一言申したいのは、先ほどの日本の農業のこと、米、それから山林の問題というのは、これは島国の日本にとっては非常にやっぱり大きな問題であり、それからまた歴史的に日本文化という場合にはほとんどこれと結びついている。これは私が言うことをただお聞きになっていただいていいわけで、質問するほどのことじゃないんですけれども。
 けさも、日本文化の研究所、かねてから言われていたものが実現するようでありますけれども、あれを京都につくられます場合に、京都の雰囲気、学問の雰囲気、文化的な雰囲気の中でつくられていく傾向がある。
 ところが、今日、ヨーロッパその他のジャパノロジーとかジャパノロジーと言っているものは、イギリスなんかの場合は、例えばサセックス大学におられたドーアさんの研究というものは、教育の問題についての著書がありますし、殊に日本の産業の研究なんです。イギリスというのは非常に早くから日本の産業の分析をやった。日本の研究をやっているイギリスの大学といいますと、シェフィールド大学、それからロンドン大学、一種の国立てすですから、アメリカのように分散していないで重点的にやっている。それで今日の英国の日本研究というのは、まさに日本との貿易関係、経済関係があるので経済体制の分析をやっております。これが日本学の現状あるいは最先端だと思うんです。
 私はたまたま昨年、日本の各政党の話をするようにということで、社会党からエセックス大学で行われた日本政治のシンポジウムに参加して、帰りがけパリに寄ったら、ちょうどヨーロッパの日本学研究の大会をやっておりました。一々出るわけにいきませんですけれども、それは文学のことから産業のことから政治のことから、あらゆることなんです。何か日本で日本文化というと、京都の辺にあるあの雰囲気の中でつくられるようなものを言うけれども、あれだけでは十分じゃないんですね。
 それで、アメリカの日本研究家とかあるいは日本学を講義しているという人は二世、三世になっている。それから朝鮮の人はかなりおる。ところがこういう人は日本の文化、歴史を余り知らないんですね。ですから、今日、日本が対外的に日本文化の研究をやるんだという場合には、何かジャーナリズムとつながるような日本文化の研究じゃなくて、もっと歴史に貢献するような研究をされるといいと思う。
 たまたまさっき農村とか農業のことが出ましたけれども、柳田さんの民俗学というものがありますね。これはよく普通広い意味ではミンゾク学関係と言っているときに、柳田さんのミンゾクは風俗の俗で、それからエスノロジーの翻訳は、あれは民族という、ネーションとかピープルのことでと、こう言われますけれども、問題は、そうじゃなくて、柳田さんの民俗学というものは日本の研究をされているわけですが、本来は英国のフォークロアの勉強をされて、それから刺激を受けておられる。それからドイツなんかでも、グリムの研究、あれはむしろフォルクスグンデと言っているものですね。そういうものから、つまり普通アメリカが――アメリカとは何も限りませんけれども、エスノロジーという場合は、欧米の生活様式じゃない、何か異質のもの、つまりアンデベロップドピープルの社会のところを分析するのがエスノロジーになる。大体そういう傾向があるんですね。殊にウィーンにある民族学研究所のシュミット教授などそういう性質のエスノロジーなのです。欧米の生活様式じゃないもの、どちらかといえば後進的なというようなところの分析なんですね。
 それを柳田さんは、そうじゃなくて、自分たちの民族がどうやって生活してきたかという、それが柳田さんの民俗学でただ言葉の問題ではないんですね。そのことから日本文化の研究所なんかがつくられて、ああいうもので済むわけがないとだけちょっとお聞きになっていただきたい、こう思うだけなんです。
 さて、水鳥の条約ですが、これは改正手続が従来十分でなかったから改正手続をつくるんだということのようですが、そういうふうに理解してよろしいんですか。
#58
○説明員(林貞行君) ただいま先生御指摘のとおりでございます。
#59
○中村哲君 それでこの機会に、本来の原文そのもの、もとになっている条約、これについて多少お聞きしたいんですが、これは水鳥を保護しようとしたんですか、あるいは水鳥が来るような湿地の環境の保護なんですか。
#60
○説明員(林貞行君) 私の理解しておりますところは、この条約はもともと水鳥の保護ということでございますが、そのためには水鳥が生息する湿地の保護が必要であるということでございまして、両者は密接な関係があるものと理解しております。
#61
○中村哲君 ところが日本の場合、お聞きしてみると、東北の伊豆沼ですか、それから釧路のツルのいるところ、ああいうところが指定されていて、どうしてそこを指定したのか。特にそこだけでなくて水鳥の来るところというのはあると思うんですね、水鳥そのものを保護するならば。何か水鳥をという、日本の場合はそういう条約に入るなら一応そういう形をとっておこうというような印象しか受けないんですけれども、本気になって水鳥の保護をやっているとも思えないんですが、どうですか。
#62
○説明員(佐野弘君) 今御指摘のとおり、我が国では釧路湿原と伊豆沼、内沼をラムサール条約に登録していまして決めているわけでございますが、一応条約上どういう湿地を登録するかという一つの目安みたいなものがございまして、余り小規模なものを国際的に登録することにはなっていないんです。例えばガン、カモ類ですと通常一万羽以上その地域に生息するという一つの目安がございまして、今御指摘のように、我が国には小さな湿地はたくさんあるわけでございますけれども、国際的に重要だという意味合いで、ある程度上位のものを登録する、そういうシステムになっているわけでございます。
#63
○中村哲君 この条約はイランのラムサールで会合があって、こうなっているんですが、どうしてラムサールというところが選ばれたんですか。
#64
○説明員(林貞行君) ラムサール条約と申していますのは、今先生御指摘のとおり、イランのラムサールでこの条約交渉が行われ、条約が採択されたからでございますが、ラムサール条約というのは通称でございまして、正式の名称は、現在お諮りしているように、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約というものでございます。
#65
○中村哲君 それだけれども、ラムサールでやったというのはやっぱり意味があるんだろうと私は思うんですね。イランというのは古代ペルシャ帝国のあったところで、ギリシャとかその他の文明よりも前から古代ペルシャのあったところですからね。だから、例えばインドの宗教なんかでもペルシャの影響が強いんだと言われているし、いろんな意味でペルシャというのは古代国家の本来の中心で、そのことがイランとイラクが張り合う理由ですけれども、ペルシャというのは、あの辺の中近東の中では高い山があって、湿地があってと、そういう地域なんですね。それから、あれはアフガニスタンやなんかの横で、ソビエトと地域的なつながりがあるところでしょう。それがやっぱり世界的な規模でこういうところを保護するのが適当だということがあるんじゃないかと思うんですね。
 だからラムサールというのは、地図で見ると地図にはほとんど、まあ英語で言った場合何て書くのかということもあるんでしょうけれども、類似のような地名はあるけれども何だかよくわからない。そんなところへ行ってみんなで集まってやったというのは、やっぱりイランでやったということに意味があって、あのイランの湿地帯の保護ということがあってと私は思うんですけれどもね、水鳥だけじゃなくて。
#66
○説明員(林貞行君) なぜイランでやったかということにつきましては、先生御指摘のような面もあるかと思いますが、直接的には、イラン政府がこの条約交渉を主催したいということで欧州、中東、それから西アジアの一部の国、二十三カ国を招請したことによりイランのラムサールで行われたわけですが、その背景といたしましては、当時のイランの環境大臣がこの問題に非常に関心が強くて、自分がイニシアチブをとったということのようでございます。
#67
○中村哲君 そうでしょうね。何か事務局としてはパリにというのは、パリでユネスコなんかのがある、ああいうところに寄託されているんだと思うんですけれども、国際条約として、ラムサールでというところに私はやっぱり意味があって、今おっしゃるような、あちらの大臣が非常にこのことに重点を置いたんだと思うんですね。
 湿地帯の保護、これは中近東というのは湿地帯というものを保護しませんと、極端に言うと砂漠になってしまうんですね。私の知っている限りでも、アラビアのあの砂漠というのはもとは森林があったんですね。それをみんな伐採するんで砂漠化してしまって、そうして残ったのが、何というか、シルクロードを通る商人を襲撃して、それで略奪をしたりなんかして砂漠の中で生活する、こういうので、もとはやっぱり緑の地域だったんですね。それが今や全体にアフリカ自身も緑の地域はなくなろうとしている。そのことを非常に痛感しているのがまさにイランだと思うんですね。そこに意味があると思うんです。そういう意味では、水鳥というけれども、湿地の保護で水鳥が生活できるような、日本だとか英国だったら湿地が非常にあるわけですけれども、ちょっとそれと違う。世界的に言うと、イランのような砂漠化しがちなああいうところを保護しようという、その要素が水鳥の問題と同時にあるんじゃないかと私は思う、私の感じですよ。それお答え願わなくてもいいけれども。
 だから、今度は水鳥だけの保護ということになりますと、例えば我々が目に触れるのでも、ツルが北方に帰りますし、ガンもそうだし、カモもそうだ。最近は不忍池なんかカモが非常に多くすむようになりましたですね。それから南方には、沖縄を通ってフィリピンなんかに行くサシバというタカの小さいのがいますね。あれがもう土佐なんかに行きますと海を流れるように移動していくんですね。このことが、日本人が南方に何かもとの国があるんじゃないかと考えるような、ああいう思想とつながっておりましてね。だから、柳田さんが「海上の道」といって、南方から日本人はこう上がってきた、そういう発想と同時に、日本人のもとは南方じゃないか、それとつながっている。それは渡り鳥が物すごく海を渡りますからね。そういうものを本当に保護するというのには日本としてはもっと何かすることがあるようにも思う。
 例えばサシバなんかについても、サシバのことがテレビなんかに出ているけれども、あれはフィリピンに途中でおりるんですね。私は沖縄・北方問題の委員に属しているんだが、沖縄に行ってみますと、沖縄では保護するよりも多少そうでないようなことがありがちなんじゃないかと思うんですね。それは保護はしているんだと思う。それが殊に南方に行きますと、アジアの地域ではあれみんな食料にしちゃうんです、水鳥を。そういう問題がアジアの地域にはあるものだから、イランのような中近東の場合には保護しているけれども、アジアの諸国は余りこれ入っていないんじゃないですか。その問題が私はあると思う。だから日本がやっぱりもっと大きくこの水鳥の保護について発言した方がいいんじゃないかと思いますが、これは私の意見ですけれども、何かそんなことについて……。
#68
○説明員(林貞行君) 先生御指摘のとおりに、ラムサール条約のアジアの加盟国は我が国のほかはインドとパキスタンのみでございまして、非常に参加国が少ないというのはそのとおりでございます。それは、もともとラムサール条約と申しますのが、先ほど申し上げましたように、イランの提唱で開かれたものでございますが、もともと欧州と北アフリカ地域の湿地と水鳥の保護のために作成された経緯がございましてこういうことになっておるわけでございます。
 他方、近年、韓国、中国それからASEAN諸国等でも水鳥及びその生息地の保全のための国際条約に参加する機運が高まっておりまして、私どもとしてもかかる動きが一層促進されるよう、そうしてこういう国が条約に入ってくるよう期待しておる次第でございます。
#69
○中村哲君 これは恐らく、テレビでアジアの気象全体を映し出すように、水鳥の移動なんかについてもだんだんみんな関心を持つと思いますけれども、この条約の改正によって期間を延ばすんですか。改正条項として、改正の規定が本文の中にないから改正を附則か何かでつけるとか、そういうことなんですね。
#70
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。
 この議定書によりまして、もともとの条約には、先ほどちょっとお触れになりましたように、改正手続というものは一切ございませんでしたので、そこで今回その手続を整備する、改正のための会議の招集手続でございますとか、あるいはその会議で提案された改正の採択手続を今度整備するということでございます。
#71
○委員長(宮澤弘君) 中村君、時間が参りましたのでおまとめを願います。
#72
○中村哲君 この次に何かカナダでやるということですが。
#73
○政府委員(柳井俊二君) 御指摘のとおりでございまして、近く、極めて近くでございます、五月二十八日からと承知しておりますが、カナダ中部のレジャイナという場所で、この新しい改正手続によりまして改正のための会議を開催するということでございます。
#74
○中村哲君 もう一つだけ。つまりこれが環境の保全なのか、さっきから言った生物の保護かというと、動物なんかの愛護というのは総理府ですか、それで環境庁というのは土地のこと、何かそこいらのところをうまく総合的に、これはこうなると倉成外相がまとめるのかわからないけれども、そこらはどうか。何か分かれていて、環境のためにやっているのか動物愛護的にやっているのか、省も担当が違うように聞いているんですが。
#75
○国務大臣(倉成正君) これはちょっと外務省が全部というわけにはまいらないで、内閣全体の問題だと思いますが、連絡を密にするようによくお伝えいたしたいと思います。
#76
○委員長(宮澤弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#77
○委員長(宮澤弘君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#78
○広中和歌子君 最初に、アジア=太平洋郵便連合憲章に関しまして質問をさせていただきます。
 郵政省にお願いいたします。郵便料金の中で、航空便とそれから船便があるわけでございますけれども、航空便はいつごろできましたのでございましょうか。
#79
○説明員(楠田修司君) ちょっと正確な日時については早速調べますが、戦後であろうかと存じます。
#80
○広中和歌子君 戦後でございますね。そのときの航空運賃の一般的な値段なんでございますけれども、私が何となく覚えておりますのは、昭和三十二、三年ごろ、例えば日本からアメリカまでの往復運賃が千ドルだったと思うのでございます。現在その料金は二千ドル近くで、倍にしか上がっていないわけでございます。当時、昭和三十二年ぐらいでございましたらば、私どもが大学を出まして初任給というのは一万二千円の時代でございますから、航空運賃というのは非常に割高であった。つまり月給の二十倍ぐらいかかったのではなかろうかと思うわけでございます。
 次にお伺いしたいのは、万国郵便協定に決められております最小の単位でございますね、書状の重さの単位、それはどのくらいでございますか。
#81
○説明員(楠田修司君) 船便の書状につきましては、万国郵便連合では二十グラムというふうになっておりますが、航空便の書状につきましては、その国の事情によりまして、その国で五グラムなり十グラムに定めることができるというふうな特例をすることができることとなっております。
#82
○広中和歌子君 日本の場合はその最低グラム数を十グラムとお定めになったということでございますか。
#83
○説明員(楠田修司君) 日本の場合、航空の書状の最低は十グラムでございます。
#84
○広中和歌子君 それから日本国内における書状の最低グラム数はお幾らでございましょうか。
#85
○説明員(楠田修司君) 日本の国内におきましては、最低は二十五グラムでございます。
#86
○広中和歌子君 二十五グラムでございますか。私、航空便は非常に高価なものでという意識がございまして、かつてでございますけれども、オニオンスキンの非常に航空使用の薄い便せんを使って、そしてまた航空使用の薄手の封筒を使って、そしてようやく十グラム。それも一枚か二枚ぐらいしか使えないというようなことを記憶しているのでございますけれども、いまだにその十グラムという単位というのは、航空運賃が非常に安くなった現状においても意味をなすものなのでございましょうか。
#87
○説明員(楠田修司君) 若干御説明させていただきますと、外国の郵便料金は、郵便物の取扱経費とそれから運送費用というものから成っているわけでございまして、この運送の費用につきましては、条約の規定に基づきまして郵便物の重量とその距離に比例して増加するようになっているわけでございます。したがいまして、重量の重いものは、あるいは距離の遠いものはそれに比例して大体値段が高くなっているというふうになっております。
 我が国の航空書状の利用状況を見ますと、約五〇%の方が十グラム以下でございます。十グラムから二十グラムまでが約二五%利用されておるわけでございます。したがいまして、できるだけ安い、低い料金で利用していただくようにということで十グラムということに定めているわけでございます。
 ちなみに、少し外国の状況を調べてみましたところ、西ドイツ、フランス、ベルギー、イタリア、タイなど十カ国が五グラムを採用しております。そして我が国と英国、オランダ、中国、韓国、スペインなど十六カ国が十グラムを使っております。二十グラムとしている国はカナダ、ノルウェー、デンマークなど八カ国ということで、アメリカは例外的にポンド制を採用しておりますので、これが半オンス、約十四グラムでございまして、結果として十グラムが一番多いというふうに承知しておりまして、十グラムと二十グラムを併合しますと、どうしても合わせた料金ということで少し高くなるので、我々としては十グラムを採用したということでございます。
#88
○広中和歌子君 私どもは、航空便で外国に手紙を出すということが最近では余り特別なことでなく、いわゆる手元にある普通の便せんで手紙を書いて、そして普通の封筒、日本国内で使っているのと同じようなそういうものを使って、そのまま、いわゆるミニマムと言うんでしょうか、の料金切手を張れれば非常に便利である、そんなふうに実際の日々の体験からしみじみ思うわけでございます。つまり、十グラムという単位でございましたら、果たして私の手紙、封筒が十グラムすれすれのボーダーラインにあったりして、そして確かに安全にという意味ではその二倍の料金切手を張らなきゃならないというようなことで、消費者の立場からいって、この十グラム単位というのはそろそろ考え直していただいてもいいんじゃないか。
 それで、先ほど申しましたように、書状を海外に送る場合の航空運賃の部分というのが恐らく、これは想像でございますけれども、非常に減ってきていて、コストのほとんどは人件費であろう、そのように想像するわけでございます。そういう中にありまして、船便とそれから航空便の単位の目方を変えなければならない理由というのが余りわからないのでございますけれども、御配慮いただけるかどうかということをお伺いいたします。
#89
○説明員(楠田修司君) 先生のおっしゃるような御意見もあまたあるわけでございますが、十グラムと二十グラムを今一緒にしますと、今の十グラムにしておる料金をそのまま二十グラムまでというわけにいきませんで、やはり二十グラムと合わせた料金が少し高くなります。二十グラムの方は少し安くなりますが、やはり五〇%の方がまだ十グラム以下であるということを考えますと、我々としては現在の体系でいいのではないかというふうに考えておるところでございますが、今後とも、時代は変わりますので、研究はしてまいりたいというふうに存じております。
#90
○広中和歌子君 時代が変わって、例えばロングディスタンス、電話一つにいたしましても、いわゆる市内とそれから長距離との値段の差というものが非常に大きかったり、そういうようなことについては不満を持っている人があるんじゃないかと思いますけれども、書状の場合も、かつて航空運賃が非常に高価であった時代、そういった時代から別な時代に来ている。もっと好きなだけ、二、三枚書いて、そして決められた規定の航空切手ですか、それを張って出せるような方法にぜひ変えていただきたいとお願いして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
 続いてココア協定のことについてお伺いいたしますけれども、この協定の目的は、価格の安定により生産者を保護することと理解してよろしゅうございますか。
#91
○政府委員(池田廸彦君) そのとおりでございます。
#92
○広中和歌子君 と同時に、消費者にも安定した価格でそういう商品を供給する、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#93
○政府委員(池田廸彦君) 委員御指摘のとおりでございます。
#94
○広中和歌子君 このような国際協定を行っている品目にどのようなものがございますか。
#95
○政府委員(池田廸彦君) 現在商品協定として存在しておりますのは九つの品目がございますけれども、このココアのように、いわゆる経済条項を持っておりますのは、コーヒー、すず、天然ゴム、それにココアを加えまして四件でございます。
#96
○広中和歌子君 すずとゴムに関しましては加工度が非常に強いものですから、私は一消費者としてどの程度原料に上乗せされた値段でもって我々の手元に入るかということがわかりにくいんです。例をコーヒーみたいなものにとりますと、こうした価格調整というんですか、国際レベルの価格調整が我々が飲むコーヒーに適正に反映されているのかどうか、その点についてお伺いいたします。
#97
○政府委員(池田廸彦君) 商品の専門家ではございませんので一般論でお許し願いたいのでございますが、ココア、コーヒーのたぐい、この商品協定が対象にいたしますのは当然のことでございますが、豆でございまして、本当の原材料でございます。伝え聞くところによりますと、コーヒー、院内では幾らか存じませんけれども、喫茶店で例えば一杯二百円といたしましても、その中の豆の価格の占める割合は多くて二割、場合によっては一割程度だというふうに聞いております。したがいまして、ココア、コーヒーの価格安定を協定の形で保つにいたしましても、決して消費者の方に余分の御負担をお願いするということにはならないと思います。
#98
○広中和歌子君 私は、喫茶店でのコーヒーはいろいろな付加価値というものがありまして、それは消費者に選択の余地があることでございますからよろしいのでございますけれども、コーヒーというと、私どもコーヒー豆を買ったり、せいぜい加工としてもひいたものを買う、そういったものでございますので、比較的現地の値段でございますね。それが消費者に反映されていいんじゃないか。特に円高差益であるとかそういうものは反映されてもいいんじゃないかと思うのでございますけれども、いただいた資料によりますと、港に入ったコーヒーが五倍ぐらいになって消費者の手元に届く、こういうのは適正価格とお考えなのでございましょうか。
#99
○説明員(増田正尚君) どのくらいの価格が適正かどうかというのはなかなか難しい問題でございます。御指摘のように、レギュラーコーヒーの場合には、輸入業者が輸入いたしまして、それを卸屋を経由して焙せん業者が焙せんをして、卸を通じて小売に出すという形態でございまして、日本の場合焙せん業者が大変小規模だというようなこともございますし、人件費等もございますので、どの程度が適正かどうかというのはなかなか難しいわけでございますが、私どもといたしましては、原料価格の動向が製品価格の動きに反映されるような形で業界等に対応いたしております。
#100
○広中和歌子君 私は小さなことを、例えば一つコーヒーならコーヒーを取り上げてどうこうと申し上げたくはないのでございますけれども、今、海外からの市場開放ということが言われる中で、せっかくの円高メリットを消費者が享受していないという声が非常に多く聞かれるものでございますから、このように国際間でもって価格調整をしつつ生産者及び消費者を守っているという商品に関しましては特に御配慮を願いたい、そういうふうにお願いする次第でございます。
#101
○説明員(増田正尚君) 最近のコーヒーの価格動向につきまして御説明いたしたいと思います。
 コーヒーの価格につきましては、昨年、主な生産国でございましたブラジルが干ばつで大不作になったということで、一昨年の十一月から昨年の初めにかけまして二倍以上の高騰を見たということがございます。したがいまして、円高にもかかわらず輸入通関価格も大分上昇いたしました。しかし、昨年の六月ごろから国際相場もようやく落ちつきを見せ始めまして、輸入通関価格で見ますと、円高の効果もございまして、昨年の九月ごろにようやく円高前の水準に戻ったというような状況でございます。その間若干製品価格も上昇いたしましたけれども、豆の価格がそういう動向になったということで、昨年の九月に特にレギュラーコーヒーの価格については値下げをいたしました。その後の国際相場も低迷を続けております。輸入通関価格も値下げをしているということで、ことしの三月になりましてレギュラーコーヒーそれからインスタントコーヒーとも値下げを行いました。だんだん下がってきておりますし、末端の方にその値下げの効果というものがこれからだんだん浸透していくというふうに考えております。
#102
○広中和歌子君 くどいようでございますけれども、例えばアメリカで一ポンド缶を買いましたときの値段は二ドルから三ドル、品質によるとおっしゃればそれまででございますけれども、昨日私が買いましたコーヒー一缶が千三百円でございまして、約十ドルに近いということでございます。同じコーヒー豆を輸入している国でこれだけ違うということは、やはりこれが一つのシンボルとしてとらえられてもいいんじゃないかと思うわけでございますけれども、今後の御努力、またその他の分野におきまして、他の農産物を含めまして御努力をお願いする次第でございます。
 話題を変えさせていただきます。三月二十六日、この委員会で私はフロンガスについて御質問させていただいたわけでございますけれども、その後の結果についてお伺いいたします。
 電子部品の洗浄剤やヘアスプレーなどに使用されておりますフロンガス、それが成層圏のオゾン層を破壊したり異常気象をもたらすと懸念されている問題です。この五月十八日、環境庁の成層圏オゾン層保護に関する検討会が中間報告という形で出されたわけでございますが、外務省はその報告書のことをどのように評価され、どのように対応していかれるおつもりか、お伺いさせていただきます。
#103
○説明員(林貞行君) 先生がただいま御指摘になりました報告書は、環境庁の大気保全局長が諮問された成層圏オゾン層保護に関する検討会の中間報告、これは五月十八日付でございますが、この中間報告のことを指しておられるんだと思います。私どもも環境庁からこの中間報告のコピーをいただいておりまして、現在検討しております。
 内容について私ども余り専門的なことを申し上げる立場にはございませんが、前回の委員会の場で先生の御質問に応じて私どもの方からお答えを申し上げたジュネーブにおける起草委員会というか、検討会があったわけでございますが、今回の中間報告も、このジュネーブでの合意といいますか、一つの合意と非常に類似したものである、こういうふうに受け取っております。
#104
○広中和歌子君 つまり、生産量の現状の凍結と、それからフロンガスが大気中に放出しないような回収技術、代替品の開発など、そういうことに重点を置かれているということでございますか。
#105
○説明員(林貞行君) そのとおりでございまして、例えばこの中間報告は、「将来の環境悪化に対する予防的措置として、諸外国と協力しつつ、」「放出量の抑制を図るため、生産量の凍結、削減を行う必要がある。」ということを言っておりまして、例えば二年間で一九八六年レベルまで下げて凍結することが望ましい、さらに次の二年間でその量を二〇%減らすべきだと、こういう勧告を適用しておりまして、これはまさにジュネーブで行われました会議で大体コンセンサスが合ったところでございます。私どもも、この報告を踏まえまして今後の対処方針等を考えていきたいと思っております。
#106
○広中和歌子君 このフロンガスが非常に工業製品のさまざまな分野で使われておりますところから、企業からの反発なんかもあると思うのでございますけれども、そういうものを押して、今度環境計画の議定書ができますときに賛成なさるおつもりなのでございましょうか。
#107
○説明員(林貞行君) この議定書の今後の作業日程といたしましては、先ほど申し上げましたジュネーブにおける作業部分を踏まえまして、六月の二十九日、三十日にブラッセルでさらに関係国の公式協議がございます。その後の日程といたしましては、七月に議定書作成のための専門家会議が開かれまして、さらに、作業部会を踏まえて九月の十四日から十六日にモントリオールにおきまして議定書採択の外交会議が開催される予定になっております。
 今先生御質問の、その採択された場合にどうするのかということでございますが、私どもとしましては、外交会議までの各種の会合の結果を踏まえまして、各国の動向等も見ながら我が国の対応ぶりを考えていきたいと思います。当然のことながら、オゾン層保護の問題については我が国も重大な関心を持っておるわけでございまして、地球的規模の環境問題に積極的に取り組むという姿勢からこの問題を考えていきたいと思っております。
#108
○広中和歌子君 続けてお伺いいたします。
 ODA関係でお伺いいたします。
 倉成外務大臣、四月の下田会議で、私、演説を伺ったわけでございますけれども、大変格調の高い演説でございまして、改めてまた原稿を読ませていただいたわけですけれども、世界の中における日本としてとるべき姿勢とか政策について述べられ、大変に感銘を受けたわけでございます。また、OECDにおきましても、ただいま松前委員の御質問に対していろいろお答えをいただいたわけでございますけれども、その三つの柱というのは何といっても市場開放と、それから経済財政政策による内需拡大、そして海外開発援助、この三つが柱になっていると理解いたします。
 その中で私はきょうは特に海外援助に焦点を絞ってお伺いさせていただきますが、中曽根総理も五月一日のワシントンのナショナルプレスクラブにおきまして、政府の開発援助を拡大し、第三次七カ年倍増計画を二年早める、そのような発言をなさっているわけでございます。ODAの予算につきまして、今後の見通しをまずお伺いいたします。
#109
○政府委員(英正道君) 委員御案内のように、第三次の中期目標のもとで計画的なODAの質、量ともに増強を図っているわけでございますが、昨日成立させていただきました予算では五・八%の伸びを達成しているわけでございます。
 今後の問題につきましては、まだ先の話でございますので、今この場でこういうふうに伸ばすというふうにはいきませんけれども、第三次中期目標の基本目標を達成するべく、特に今回、その中で最終年度の九二年に七十六億ドルの援助量に到達するという目標を二年繰り上げて九〇年に到達するということにいたしましたので、そういう目標を実現するべく必要な資金の確保を今後の予算においては行っていかなければいけないというふうに考えております。
#110
○広中和歌子君 日本の援助予算でございますけれども、世界各国、特に先進諸国の中においてはどのような位置を占めるのでございましょうか。
#111
○政府委員(英正道君) 予算の中に占めるODAの比率についての数字をちょっと手元に持ち合わせておりませんので、GNPに対する比率ということでお答えさしていただきたいのでございますけれども、DACの加盟国の平均は〇・三五%、御案内のように、国際的には〇・七%というのが一つの目標というふうになっているわけでございますが、DAC平均で〇・三五%。一%を超えておりますのは、これは八五年の数字でございますが、ノルウェーで一・〇三%、あと主要国でいきますと、フランスは海外県の扱いというものがありますけれども、それを含めた場合には〇・七八%、西ドイツが〇・四七%、英国が〇・三四%、日本が〇・二九%と、このようになっております。
#112
○広中和歌子君 アメリカはいかがでございましょうか。
#113
○政府委員(英正道君) アメリカは〇・二四%でございます。
#114
○広中和歌子君 そういたしますと、日本のGNPが非常に伸びている中で今〇・二九%。そして今後倍増計画が本当に確実に実施されますとかなりの量の援助がなされるということでございますか。
#115
○政府委員(英正道君) 量的にはかなりの量に達するというふうに思っております。ただ、国際的な一つの指標としては、GNPに対する比率というので今数字を申し上げたわけでございますが、日本のGNPもまた大きくなっていくわけでございますから、大きなGNPの国が、しかも今後若干成長率が高くなるような場合には、それに見合ってさらに援助量が比率的にふえるというのは相当の努力ということになりますので、これは二つの数字の対比でございますので、今のところ確としたことは申し上げられませんけれども、先ほど申し上げました第三次中期目標においては、この七年の間に対GNP比率の改善も漸次図っていくということが書かれております。
#116
○広中和歌子君 援助対象国でございますけれども、額からいいまして、または比率からいいまして一番重点的なところはどちらなのでございましょうか。
#117
○政府委員(英正道君) 八五年のこれはネットの支出ベースの数字でございますが、最も二国間のODAを多量に受けている国は中国でございまして、三億九千万ドル弱、全体の二十六億ドルの一五・二%でございます。その後タイ、フィリピン、インドネシア、ビルマ、マレーシア、バングラデシュ等々ということになっております。
#118
○広中和歌子君 ということは、援助が非常にアジアが中心であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#119
○政府委員(英正道君) やはりアジアに位置しているということでございまして、日本のODAの約七割はアジア向けということになっております。
#120
○広中和歌子君 今ちょっと資料がなくなっちゃったんですが、新聞でけさがた読んだのでございますけれども、アメリカのワシントンで開かれました援助に関する国際会議におきまして、アメリカ側から、日本の援助をアジア中心でなく、もうちょっと戦略的な意味で世界に広げてほしい、つまり中南米など経済的に非常に困っている地域をそのまま放置すれば共産化のおそれがあるといったような意味も含めてのことかと思いますけれども、そのようなことに関してどのような御意見でございますか。
#121
○政府委員(英正道君) 委員から御指摘のございました会議につきましては、これはマンスフィールド財団主催の民間の会議だというふうに了解しておりますが、外務省から小林大使が出席しております。
 いろいろな議論が出たようでございますが、報告には接しておりませんので、今の委員からの御質問のアジア以外の国にどういうふうな考えで望むんだという御質問に対するお答えということでさしていただきたいと思います。国際的に、例えば主要な援助国をもって、ほとんどの援助国をもって構成しておるOECDのDACにおきましては、援助は最も貧しい国に向けるべきである、そういう意味では、サハラ以南のアフリカの国、それから南アジアの最貧国、LLDCに向けるべきであるという指摘がしばしばなされておりまして、日本についても、アジアに少し偏っているではないかという意見が、日本に対する年次審査、ことしの一月に行われましたけれども、各国からそういう意見が出されるということはございます。
#122
○広中和歌子君 海外援助全体でございますけれども、どこにどれだけというのはどういう形でだれが決めるのでございますか。
#123
○政府委員(英正道君) 日本の経済協力の援助の一つの大きな特徴というのは、やはり途上国の社会経済開発努力を、こういう自助努力を側面から支援するという基本的な立場でございます。そういたしますと、やはり途上国がどういうような部門に優先順位を置いて社会経済開発を行っているかということがまずございまして、途上国の方から、そういう自国の優先順位を踏まえ、かつ日本から援助をしてもらうのが効率的である、途上国も経済効率を考えておりますから、日本が援助能力が技術的にもある分野に援助が割合来るわけでございますけれども、そういう要請というものを踏まえて行っておるわけで、日本の側からこういう分野に何%の援助を向けようというような対応ではないというのが現状でございます。
 ただ、経験則から、例えばベーシック・ヒューマン・ニーズという、医療分野であるとか農業分野でございますとか、そういう最も生活に直接関係のある部門に援助はふやしていくべきであるという国際的な流れがございますので、そういう部門の比率を漸次ふやすというような配慮はございますけれども、まず援助の予算が決まって、それをこういう分野、こういう国に配分するというやり方はとっておらないわけでございます。しかし、その中でも、大体要請というものは、ある年に一〇〇の援助が翌年五〇〇になるということはないわけでございますし、案件も継続をするというようなこともございますし、そう大きく変動はしていないということで、経験則的にある比率で配分されているということは言えるという面がございます。
#124
○広中和歌子君 つまり現地サイドがお決めになるということでございますけれども、それは相手国、つまりそれぞれの政府を通じて要請があるということでございますか。
#125
○政府委員(英正道君) そのとおりでございます。
#126
○広中和歌子君 それから自助努力ということでございますけれども、例えばマッチングファンド的なことをやっているのでございますか。
#127
○政府委員(英正道君) 相手の国が幾ら出した場合に日本がその何%を出すというような形のマッチング方式はとっておりません。
#128
○広中和歌子君 それにいたしましても、日本がどのような形で海外援助を行っていくかということでの総合的な審議会みたいなものはあるのでございますか、しかも継続的な、それについてお伺いします。
#129
○政府委員(英正道君) 内閣総理大臣の諮問機関として対外経済協力審議会というものがございます。
#130
○広中和歌子君 各省庁に所属した審議会というのはあるのでございますか。幾つかの省庁がこの援助を行っているわけでございますね。
#131
○政府委員(英正道君) 現在、援助を実施いたします場合に、資金協力、それには有償資金協力、それから無償資金協力、贈与でございます、それから技術協力等があるわけですが、有償資金協力、円借款の実施に当たっては、いわゆる四省庁、外務、大蔵、通産、経済企画庁という省庁が、相手国からの要請等を踏まえてそれぞれの立場からの分析を総合して対応するという形になっております。
 それから技術協力の場合には、外務省にODA予算の大部分のものがついていますが、それを実施機関である国際協力事業団で実施をするわけでございますが、国際協力事業団自体に技術協力を実施する要員が全部所属しているわけではございませんので、また援助の要請分野というのは非常に多岐にわたっておりますことから、関係省庁の御協力を得て実施していく。それから関係省庁、政府機関のみならず民間の機関、地方公共団体等を含めて広くその要員を確保するように努めながらやっております。その場合には十四、五の官庁が対象となっております。
#132
○広中和歌子君 非常に流動的な感じがいたしまして、ある意味ではすばらしいことなんだろうと思いますけれども、総括的にどういうふうにお金が使われているかというのを見る人はだれなのでございましょうか。
#133
○政府委員(英正道君) ちょっと御質問の意味が必ずしも正確に理解しておるかわかりませんが、全体の姿を見るということは、それぞれの援助形態によって違うわけですけれども、無償資金協力と技術協力については外務省がかなり全体を実施しているという立場から目を配っているつもりでございます。それから円借款の場合には、四省庁がそれぞれ目を配っているというふうに考えるのが適当であろうかと思います。
#134
○広中和歌子君 非常に分権的であるというふうに理解してよろしいわけですか。
#135
○政府委員(英正道君) いろいろな見方があるとは思いますけれども、私は、日本の場合には一元的でない、多元的でまた分権的であるという見方は実態からいってもそういうことであろうかと思います。問題は、最も効果的に必要なところに援助が行われるように、日本の風土において行われるようにするということを考えますと、そういう体制でかなりうまくやっているんじゃないか、それが私は日本型の援助だというふうにとっておるんですけれども。
#136
○広中和歌子君 特に、こうあればもっと効果的にといったようなことが現体制でございますか。
#137
○政府委員(英正道君) いろんな見方ができると思いますけれども、私は、最近の日本の国内の援助についての物の考え方の発展と申しますか、そういうものの中に、全体としてやはり一兆円を超える規模に、これは二国間及び多数国機関に対するものも含めてございますけれども、一兆円を超える事業規模になった援助の資金が果たして適正に必要なところに行っているのかということがかなり問題意識として強く出てきているというふうに感じております。私ども政府においてもやはりそういうものにこたえるような形で援助が行われるようにいろいろな面で改善をしなければいけないんではないか。
 その中で、例えば要請主義というものはだめなんだ、要請主義というのは、結局、相手の政府に要請する能力がないのが要請してくるのは、だれかが知恵をつけて要請させているんだからおかしいじゃないかという御意見も他方であります。それからまた逆に、そういうことを言っても、要請を受けて判断することでもちゃんといくという考え方もあると思いますけれども、私どもは、要請主義の前の段階、つまり要請が来る前に相手の国とよく話をして、いわゆる政府対話でございますが、どういう分野を優先的に扱っているかとか、そういう過去の援助の評価というようなものをよく行うことによって、一番適当な分野に援助要請が来るような形でいろいろな仕組みを改善していくべきであろうということで、最近いろんな形で努力が行われております。二国間で政策対話を行っている国は非常に多うございますし、さらには開発計画全体について相手国と相当高いレベルの大規模な政府ミッション、総合ミッションを送って意見交換をする、近くフィリピンにもそういうものを出すことを検討しておりますけれども、そういう形で行われる。
 それからさらに、そのためには、日本の側で相手の国のどこに必要が存在するのかということをもう少し主体的に判断する、いわゆる国別の分析というものを強化していかなきゃいけない、そういうことが援助が必要な分野に行われるようなことを確保する上で有効なのではないか。これはいろいろな意見があると思いますけれども、私はそういう点に関心を持って実施に努めているところでございます。
#138
○広中和歌子君 非常に大切なのはそういう援助に携わる人材であろうと思うのでございますけれども、今の段階で、そういう専門家、さまざまなレベルの専門家があると思いますけれども、現在専門家として活躍していただける方、それから今後養成しなきゃならない方、いろいろあると思うのでございますけれども、それについてお伺いいたします。
#139
○政府委員(英正道君) まさに御指摘のように、経済技術協力を効果的、効率的に推進するというためには優秀な専門家がもう不可欠でございます。この専門家に人材を得るということが基本的に重要であるという認識がございます。そのために、例えば国際協力事業団では、日本におられる専門家がそのまま外国に行って直ちに仕事ができるわけではございません。現地の事情であるとか技術移転に伴うノーハウといいますか、そういう過去の経験に照らすそういう必要な心の用意等を含む研修、そういうものを昭和五十八年度から強化するということで、専門技術、それからそういう話学も含めたいろんな研修を行うための総合研修所というものを設けて、そういう研修を実施して専門家の能力の向上ということに鋭意努力しているところでございます。
 それから、先ほど申し上げましたように、専門家を派遣する場合には国内の関係省庁の御協力を得て優秀な人材をお願いするわけですが、国際協力事業団自体に、こういう経済協力に対する技術協力を行う、それを一生の仕事とする、私どもライフワーク専門家と呼んでおりますが、そういう制度を設けまして優秀な人材の確保に努めております。ここにいらっしゃる方はそうたくさんの数はございませんけれども、PHDを持っている方が相当部分を占めているということで、漸次拡充をしておるということでございます。
#140
○広中和歌子君 そういう専門家ですか、何人ぐらいいらっしゃいますか。
#141
○政府委員(英正道君) 二十五、六人というふうに記憶しております。――二十九人でございます。
#142
○広中和歌子君 こんなことを言っては大変失礼でございますけど、外務省の手が届かないような地域というのがございますよね、公館を置いていらっしゃらないようなところ。そういうようなときに、よく商社とか現地に派遣されている企業などが情報を提供するというようなこともあると思うのでございますが、そういう民間の御活用もなさっていらっしゃいますか。
#143
○政府委員(英正道君) 技術協力のことを今申し上げていたんで……
#144
○広中和歌子君 情報のことです。
#145
○政府委員(英正道君) そういう援助に必要な情報の入手という点については、御指摘のような、民間の方で政府に知見がないところでよく御存じの方があれば私どもお話を伺うということは心がけております。
#146
○広中和歌子君 それではちょっとNGOのことを伺わせていただきますけれども、NGOに割いていらっしゃる予算は幾らぐらいなんでございましょうか。パーセンテージで伺いますと。
#147
○政府委員(英正道君) 申しわけありませんが、ちょっと今手元に資料がないので、すぐ調べてお答えいたします。
#148
○広中和歌子君 これは想像でございますけれども、ハードウェアを伴ったような、つまり橋をかけたり建物を建てたりといった援助に比べまして、非常に額としては少ないのではないかといった印象を持つのでございます。
 ぜひこれ提案させていただきたいのは、こういうボランティアグループの活用というものを、今後の二十一世紀に向けて高齢化社会、そして非常に雇用が流動化するという社会におきまして、いわゆる海外青年協力隊だけではなく、リタイア、引退なさった人とか、それから子育てを終わった主婦であるとか、さまざまな形でこれからのNGOができるのではないか、半分ボランティアで半分有償であるといったようなことも可能ではなかろうかと思いますけれども、御意見を伺わせていただきます。
#149
○政府委員(英正道君) 先ほどちょっと触れました対外経済協力審議会、総理への答申がこの十五日に行われているわけでございますが、「我が国経済協力の推進について」という答申の中でまさにそういう点が指摘されております。「経済協力をより国民レベルのものに広げていくことが肝要であり、現地でのボランティア活動を含め、協力への参画を活発化させることが望まれ、かかる人材の育成・活用等を積極的に進めることも必要であろう。」ボランティア、NGOにつきましては、現地のNGOに対する援助と日本のNGOの活動に対する支援と二つの側面があるわけでございます。
 先ほどの質問に半分お答えすることになると思いますが、現地のNGOに対する政府のODAの支援というのはまだ行われておりません。これはなかなか実は難しい問題がございまして、ちょっと我が国の場合にはほかの国よりも立ちおくれているという面がございます。日本のNGOにいろいろな形で支援をするということは行われておりますが、金額的には少のうございまして、アフリカにおけるボランティア活動でございますとか、高齢者の活用、いわゆるシルバーボランティアというようなものに対する支援、しかし金額的には非常にわずかで、恐らく日本の援助の全体の中での比率は一%にも達していないんじゃないかと思います。
 それで、こういうボランティア活動、NGOの活用ということは、国際的にも政府のODAというものがなかなか草の根まで届かないという反省から、最近各国でもかなり重視するということを行っている国がございます。国によって相当重視している国もございます。ただ、私どもも基本的には重視することに賛成で、日本のボランティア諸団体とよく連絡をとりながら、できる限り支援を具体的に何件かについて行っておりますけれども、一つ問題点は、やはりNGOの特色というのは、現地の草の根にまで届く援助を担うことができるというところが最大の特色でございまして、そうなりますと、現地にそういう草の根レベルのネットワークを持っているかというのが実は一つの大きな決め手になるわけでございます。もし、そういうネットワークを持っておって、しかもしっかりした方が運営していらっしゃるというようなNGOについては積極的な支援をしていきたいという基本的な考え方で臨んでおります。
#150
○広中和歌子君 そのお考えは大変に御立派だと思いますのですけれども、日本のボランティア活動を全体的に見ましても、どちらかというとこれから育てなければならないといったような状況にもある。既にすばらしい御活躍をしておられるグループはいろいろあると思いますけれども、そういう中にありましてぜひ何か積極的なイニシアチブを発揮していただけるんでしょうかということでございます。それからまた、民間にそのような働きかけを直接行う、またはそういったような機関をつくる、そういうようなことはお考えでございましょうか。
#151
○政府委員(英正道君) NGOは、基本的にはそれぞれが一つの目的なり哲学を持っていらっしゃるわけですから、そういうものを尊重しなければいけないというのが基本的な立場であろうかと思います。ただ、日本のNGOの資金的基盤等はまだ不十分な面がございますので、そういう点についてはバックアップできるところはバックアップしたい。
 例えば現実にやっていることを二、三申し上げますと、NGOが現地にボランティアを出されると、先ほど専門家のところで申し上げましたけれども、やはり現地の経験のない方が急にいらっしゃって不測の事態が起こっては困りますので、国際協力事業団において、そういうNGOの方が海外に出られる場合のやはり訓練といいますか、そういうセミナーのようなものを催すというようなことをまずやっております。
 それからNGOのリストですね、ダイレクトリーでつくる、それで在外の大使館にもそういうものを配布して、NGO活動に対して間違いないようにするというようなことをやっております。
 それからNGO自身が相互の連絡体制を強化するということで、外務省の経済協力局の中にNGOのもちろん担当の者がおります。それでNGO同士でそういう相互の連絡をとるということを、これは側面からできる限り支援をするということをやっております。
 あとは、具体的に個別のNGO団体に対する支援ということになりますが、先ほどの質問にお答えいたしますと、そのための予算でございますけれども、六十一年度においては、今のようなことをすべて含めまして四億五千百万円というものが計上されております。
#152
○広中和歌子君 ついでに海外青年協力隊のことでお伺いいたしますけれども、倉成大臣は第百八国会の外交演説の中でアフリカとの関係について所信を述べられましたが、ちょっと引用させていただきますと、
  アフリカにおいては、依然、構造的食糧不足や、累積債務を初めとする深刻な経済困難が続いております。我が国としても、アフリカ諸国の自助努力を支援する一方、これら諸国の食糧・農業問題の解決のため、我が国が提唱している「アフリカ緑の革命」構想の実現に努めていく考えであります。とお述べになったわけです。この構想、二年前から具体的に進められていると聞いているわけでございますけれども、どのような進捗状況でございましょうか。
#153
○国務大臣(倉成正君) ちょっとそのお話の前に、NGOで一番積極的なのは、カナダがODAの七%を占めているということでございますから、資料を後でまたお届けさしていただきたいと思います。
 今お話しの緑の革命の構想のフォローアップの問題でございますけれども、御案内のとおり、最近開発途上国の経済開発に伴って環境保全の問題が非常に重要性というのが深まりつつございます。
 特に、国際的に、アフリカにおける緑の喪失ということで、砂漠化しているということが飢餓の原因になるということでこの対策が求められているわけでございまして、八五年のボン・サミットでフォローアップとして緑の革命の構想を取りまとめるなど、国際的にも対応してきたわけでございますが、いわゆる緑の回復、わかりやすく言えば植林運動の展開がアフリカにおける不可欠の要素である。しかし、これも地元の住民と密接に協力していかなきゃいけないということで、緑の平和部隊というのを提唱して、その植林のプロジェクト、青年協力隊をタンザニアに六十一年の十二月に、それからセネガルには六十二年の二月に実施をいたしております。
 それからこのほか二国間の協力としては、六十二年度にケニア、林業の育苗の訓練プロジェクト、これは無償資金でございますが、技術協力でございます。それからタンザニア、キリマンジャロ林業開発計画、これは開発調査でございます。六十一年度にはナイジェリアの半乾燥地域森林資源保全・開発現地実情調査を開始しておりますし、それから日本だけじゃなくて多国間で協力する問題がございますので、FAOのアフリカ植林砂漠化防止とも呼んでおりますが、プロジェクトに対して四十万ドルの拠出を行うなど、近年アフリカの森林保全に対しては特に力を入れて取り組んでいるところでございます。しかし、まだこれでも、地域は非常に広いところでございますから、決して十分であるとは思っておりません。
#154
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。大変夢のあるプロジェクトでございますし、また必要なことでございますので、ぜひ多くのお金と、そして人力というんですか、ノーハウを投入していただきたいと思うわけでございます。
 次に、日本の海外広報活動についてお伺いいたします。
 先ほど、ODAというのは、各省庁に分かれお互いに連絡をとりながらやっていらっしゃるということを伺って、それはそれでよろしいわけでございますけれども、日本が正しく海外に理解されていないんではないかというような御意見も先ほどの松前委員の質問にもございました。そういう中におきまして、日本がODA、これは十分かと見るかどうかは別といたしまして、かなりの援助も行っておりますし、日本の立場もよく理解してほしいというのは私どもの本当に気持ちなのでございますけれども、それが十分に機能しているのかどうかということでお伺いさしていただきます。
 まず、広報活動のための予算というものは別にあるのでございましょうか。そしてその項目、そして海外との比較、そういうものについてお伺いいたします。
#155
○政府委員(松田慶文君) 我が国の海外広報活動あるいは文化活動は、外務省が原則として総括的な立場にございます。したがいまして、外務省予算の中の海外広報活動費、文化活動費を合計いたしますと、とりあえずの姿が出るわけでございます。これが六十一年度の場合で七十億六千二百万円、本年度、六十二年度の場合で七十六億三千五百万円でございまして、外務省予算の中で占める比率は、昨年の場合で一・六八%、本年度の場合で一・八〇%というぐあいに、決して多い量ではございません。
 海外との比較というお尋ねでございまして、これは実はどういうふうに海外広報を行うかは国さまざまの姿が違いますので、率直に申し上げて若干乱暴な比較しかできません。私どもの考えますのに、外務省のほかに国際交流基金がございまして、やはり国際文化事業をやっております。さらにNHKに国際放送という活動がございます。おおむねこの三つ、つまり外務省本来のものと一政府関係機関であるこの種の基金のようなものと、国際放送等、便宜上三つ足しまして各国との比較をいたしてみますと、米国が約二千億円で我が国の十二倍でございます。英国が一千億ちょっと超えておりまして約六倍でございます。フランスは九百九十億円、約一千億で、これまた日本の六倍の広報文化経費を使っております。
#156
○広中和歌子君 やっぱり少ないとお思いになりませんか。
#157
○政府委員(松田慶文君) 非常に思います。
#158
○広中和歌子君 それで、どのような項目でその少ないお金をマネジしていらっしゃるのでございましょうか。
#159
○政府委員(松田慶文君) 項目というお尋ねでございますが、海外広報を若干ブレークダウンして事業名で申し上げますと、資料広報費、つまり出版という手段を通しての広報、それから視聴覚という媒体を通しての広報、それから文化広報分野における外国の方々を日本に招待する招待事業、さらには在外公館における日常の文化広報活動経費、それから我が国が現在二十七の文化広報センターを在外に持っております。その運用費、それから各種団体に対する補助活動費、これが広報経費の内容でございます。また文化関係といたしましては、先ほど言及いたしました国際交流基金の補助事業というのが三十億、四十億と毎年支出してございまして、大きな部分を占めております。そのほか海外の青年の招聘事業、または日本語関係の話学指導経費等々も文化事業費に入る次第でございます。
 先ほど私二十七と申し上げた海外の文化広報センターの数は、その後一つふえておりまして二十八と訂正させてい。ただきたく存じます。
#160
○広中和歌子君 変な質問でございますけれども、いわゆるロビー活動なんというものはその中に入っているのでございましょうか。これはアメリカに対してでございます。
#161
○政府委員(松田慶文君) ロビー活動という、ロビーイングという言葉はアメリカの政治活動の一形式として存在するわけでございますが、一般にロビーイングと俗称される中にも実は幾つかの種別がございます。そのうちの一つはPRコンサルタントという事業でございまして、これは通常の政府、民間を通しての広報活動の正常なパターンの一つでございまして、私ども出先機関もいろいろな形でPRコンサルタントは活用してございます。もとより広報文化事業の本体は私どもが企画し実行するのでありますけれども、それぞれの国の事情を踏まえた各地ごとのPRコンサルタントの助言は不可欠でございます。
 その分野のほかに、いわゆる例えば議会工作をするような意味でのロビーイングあるいはロビイストということもございますけれども、私どもの海外広報の分野ではそういったものはございませんで、広くロビイストと言われている中のPRコンサルタント事業のみを広報の一環として実施しております。
#162
○広中和歌子君 この前、二月でございましたか、アメリカに参りましたときに、日本の評判というのは地域ごとに違いますし、またどのような職業であるか、例えば政治家のレベルとそれから一般のレベルとも違いますし、そういう点で非常に複雑なものだということは理解したわけでございますけれども、一般的な意味で日本はアンフェアであるというような考え方が、これは世論調査などでも約七割ぐらいの方がそういうふうに思っているということなのでございます。
 そのアンフェアな中に、具体的な理由というのを挙げられる人は少ないわけですけれども、何となく思い込んでいるのは、日本が例えば非常に関税が高いとかというようなことまで含めましていろいろ入っているわけで、そういった種類のことをもっと宣伝するための例えば新聞広告であるとか、それは非常に直接的なやり方で、決してコンサルタントがアドバイスするような形じゃないかもしれませんけれども、何かそのようなことでやっていらっしゃるのか、ぜひお伺いしたいと思います。
#163
○政府委員(松田慶文君) アメリカを例にしてのお尋ねでございましたが、確かに現在の対外関係の中で、米欧との経済摩擦というものが非常に大きな課題、命題でありまして、その分野で我が国の姿を正しく理解してもらう、あるいは我々の主張を十分に認識してもらうという意味での海外広報活動の重要性はいやが上にも増している次第でございまして、その命題から申しますと、外務省が現在やっております海外広報活動が十分であるとは思っておりません。まだまだ不十分で充足させる余地が多々あると反省しつつ日夜精進している次第でございますが、アメリカの場合もその広報のパターンは実は千差万別と申しましょうか、いろいろな方式を必要といたします。
 特に最近のテレビメディアの異常な発達のもとにあるアメリカにとっては、視聴覚を通しての直接的訴えというのが極めて重要でございます。と同時に印刷物、新聞、雑誌、御指摘のような形でのゆっくり読んでもらう広報も当然必要でございます。また、そういう間接的な手法ではなくて、いういろなセミナーを開く、あるいは大学に行ってシンポジウムに参加させてもらう、あるいは講演会を開くという、対話形式による広報も草の根の御理解のためにはとても必要でございまして、例えば昨年一年で全米で九百六十五回のその種の対話を試みた次第でございますが、御指摘の新聞等の活用も含め、あるいは民間のアドバイザー、コンサルタントの助言も含め、ますます広報を名実ともに充実していきたいと考えております。
#164
○広中和歌子君 私、誤解しておりまして、日本の国内における広報というのは総理府が担当していらっしゃるものですから、海外の方も担当していらっしゃるのかなと思ったんですが、それで総理府の方どなたかおいでいただいてるんでしょうか。もしそうだったらと思ってお伺いいたします。
#165
○説明員(榊誠君) お答えいたします。
 先生ただいま御指摘のございましたように、国内広報につきましては、共通媒体を利用いたしまして広報するということが非常に効果的なものですから、総理府の方が一元的に所管しておるわけでございますが、海外広報につきましてはそれぞれの所管の省庁において必要に応じて広報しておるというふうでございまして、総理府の中でも、例えば「パシフィック・フレンド」という東南アジア向けの雑誌につきましては総理府の方の広報をさしていただいているという分担になってございます。
#166
○広中和歌子君 ということは、もうほとんどは外務省が一元的になさっている。一元的というと失礼でございますけれども。
#167
○政府委員(松田慶文君) 外国への広報分野では、官が、すなわち政府が直接やらせていただいている分野のほかに、公益性のある各種の団体、あるいは企業そのものも、企業の広告のほかにやはり日本というものを理解していただくためのPR活動が結果として日本全体の広報の一環をなしている要素もございます。したがいまして、官民あわせての活動というふうに御理解いただきたいのですが、そのうちの官の部分ではほとんどの分野を外務省が担任している次第でございます。
#168
○広中和歌子君 一つ提案なんでございますけれども、日本のODA、今の段階で先ほどの御説明によりますと〇・二九%、GNPの〇・二九%ですからそれほど誇るべき額ではないというふうな御指摘もございましたけれども、倍増計画などを見ますと、これからますます日本の海外における貢献というものは実質的に増してくるのではないかと思うわけでございます。しかしながら、日本が知られていない。例えば援助にいたしましても、何か顔がないのではないか。
 そういう意味で、これは私が言い出したことではなく、多くの人も既におっしゃっていることと思いますけれども、戦後アメリカでつくられましたマーシャル・プランのような、マーシャルというのは個人の名前でございます。ですから、そのような日本の援助全体に一つのアイデンティティーを与えるようなそういうものを、ネーミングですよね、それをなさっていただいたらどうか。海外で非常に名を知られた方であったら中曽根首相でも結構でございますし、外務大臣でも結構でございます。または文化人であればどなたでも結構なんですけれども、海外におきましてはむしろ個人の名前の方が、日本版ODAといったような、何というのですか、省略されたような、ABCで決まってしまうようなそういうようなのでなくて、むしろ具体的なイメージをかき立てるようなそういったものも実体とともに必要なんではなかろうかと思いますけれども、外務大臣、いかがでございましょうか。
#169
○国務大臣(倉成正君) ただいま大変示唆に富むお話ございましたけれども、マーシャル・ブランは、御承知のとおり、一九四七年の六月、アメリカの国務長官のマーシャルの名をとって、アメリカに世界じゅうの富が集まったときに、欧州の復興のために当時の金で百三十一億ドル、一九五二年六月までの間の四年計画で百三十一億ドルという、今の物価に直すともう本当に大変なお金だと思います。日本に対しましては、私の記憶ではガリオア、エロアというような形でやりましたものです。ちょっとこのマーシャル・プランに比較するというような壮大な計画を立てるということになれば、これはもうこのためにひとつよほどのコンセンサスと国民の意識の革命をやるというくらいの、GNPの何%をもう義務づけて海外援助に使うとかというようなことにならないと、とてもそういかないと思います。
 しかし、小規模ながら、何かそういう名前をつけて少しアイデンティティーを出していくという御意見は大変貴重な御意見でございますから、何か誇大広告にならない形でひとつ実質的によくわかりやすくPRできるようなことにいたしたいと思います。
#170
○広中和歌子君 金額にいたしますと、確かに当時のマーシャル・プランはアメリカのあの当時のGNPの二%と伺っておりまして、大変な額だろうと思いますけれども、同時に、例えばフルブライト・プランなんというのは百万ドルぐらいで始まったことでございまして、額ではなくて、将来に対する展望と、そして我々の持つ海外に協力したいといったような理念ではなかろうかと思いますので、そういう点でも何かそうしたことで御努力いただければありがたいと思うんですが。
#171
○国務大臣(倉成正君) ただいまの御趣旨でございますればもうまことに結構でございますので、非常に何かいい知恵を絞りましてそういうことを考えさしていただきたいと思います。
#172
○広中和歌子君 それから、もう時間がなくなりましたので急いで言わせていただきますけれども、各国にございますいわゆる文化センターでございますか、広報センターといったようなものでございますけれども、例えばフランスなんかの、日本にございます日仏会館ですか、ああいうようなところで言葉を教えているんですね。今、日本で日本語を学びたいという需要が非常に海外にふえているというふうに伺うわけですけれども、文化戦略といったような大げさな意味ではなくて、やはりそういうところに集まる人たちが、日本のいわゆる伝統芸術であるとか、それから非常に学究的な意味でお集まりになる方が非常に今までは多かったんではないか。それをもうちょっと下のレベルに広げるという意味では、下ということは語弊があるかもしれませんけれども、そういう意味では言葉の媒体として各現地の人に働きかけるというのは非常に意味があると思いますので、ぜひそういうようなところで、小クラスでもよろしいので語学を始めていただきたいということ。
 それから各地域にあります、日本人の子弟のための日本語学校がございますね。あれなんかも現地人に開放してもいいのではないか。例えばこちらにありますフランス人やアメリカ人の学校ございますけれども、日本人に開放しております。そういうようなことについても御意見をお伺いしたいのでございますけれども。
#173
○政府委員(松田慶文君) 御提起になられました問題の前半の日本語普及活動についてまずお答えを申し上げます。
 御指摘のとおり、日本語の学習をしていただく形で日本に親近感を持っていただく、あるいは日本を理解していただくという活動は対外文化広報活動の重要な一環でございまして、私どもも従来から小規模ながら実施しております。現在、在外公館の文化広報センターとそれから国際交流基金の海外事務所のうち合計二十七カ所で日本語講座を設けておりまして、御希望の向きに、毎日、多くの場合夕方でございますけれども、専任の講師を抱えて日本語教育をやっております。土地によっては非常に御要望がございまして、長いウエーティングリストのあるようなところもございます。
 ちょっと古い統計で恐縮でございますが、五十九年度に調査いたしました時点では四千七百人の方が全世界で受講しておられました。この四千七百人とは、我々の予算でやっております日本語講座の受講生でございます。この経費は実は主として国際交流基金の活動費になるのでございますが、年間に十六億程度の金を使っておりまして、これは基金の活動費の二〇%を超しております。したがいまして、総額は少のうございますけれども、ウエートの置き方としては二〇%を超える努力を年々している次第でございます。
#174
○広中和歌子君 もう一つ……。
#175
○政府委員(松田慶文君) 恐れ入りますが、後半の日本人学校につきましては、別途……。
#176
○政府委員(妹尾正毅君) 外国人に日本人学校を開放するという問題につきまして御説明申し上げます。
 日本人学校に現地の人が入るということにつきまして私どもが反対しているということは全然ございません。むしろ今の仕組みですと、これは学校の運営委員会というのが各学校にございまして、そこでそういう問題は決めることになるわけでございますが、政府としては、いろいろ助言を求められたり指導する機会がございますので、そういうときにはむしろ積極的にそういうことをするように今指導をしているわけでございます。
 ただ、実際の数を見ますと、現在、日本人学校に海外全部を通じて外国人は百四十六人しか入っておりませんで、しかもその過半数が日系人とか二重国籍の人でございます。残りが六十七名おりまして。さらにこれをよく見ますと、そのうちの五十名はシドニーにある日本人学校の国際学級に通っておりまして、それ以外の者は十名ばかり、十四人ということで非常に数が少ないわけでございます。
 これはいろいろ理由があると思いますが、一つは、こういう日本人学校の過半数は現地で学校としてのステータスを持っていないわけでございます。そういうところには来る人は非常に少ない。それからステータスを持っている学校でありましても、日本人の学生と一緒に勉強するということになりますと、語学の問題がございます。そういうところでうまくやろうということになりますと、外国人のためには往々にして別のクラスをつくらないといけない。そういうことになりますと、結局、現地の日本側とそれからその現地政府の両方が相当無理をしてそういう仕組みをつくっていくということにしないとできないわけでございます。
 そういうことで、現状では非常に少ないということでございまして、方向としては私どもはできるだけそういう方向が望ましいというふうに考えております。
#177
○広中和歌子君 済みません。先ほど申しました海外協力隊のボランティアなんでございますけれども、その中には必ずしも発展途上国に行くんではなくて、先進国であっても、特に語学なんかのボランティア、日本語教師としてのボランティアなんかも大変にすばらしい分野ではなかろうかと思います。例えばそういう日本人学校を夜に校舎を使うとか、そのような形で、生徒さんじゃなくても一般市民にそうした形の建物の有効利用というんですか、それからまた先生にもそういう御協力を願ったり、それからボランティアの参加も歓迎するというような形で弾力的にそしてクリエーティブにこういう海外活動、文化活動をしていっていただければと希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#178
○立木洋君 条約の質疑に先立ちまして、SDIの問題について大臣にお尋ねしたいと思います。
 もう大臣御承知のように、昨年アメリカで選挙がありましたですね。ことしの一月になって、レーガン米大統領あるいはアメリカの国防総省等々を中心にしてSDIの動きというのが開発の方向に急激に動き出してきている。
 これ一々挙げたら切りがありませんけれども、例えば今月の五月の状態だけを見ましても、ワインバーガー国防長官がSDIに関する四種類の実験を提起しているということもなされています。内容を見てみますと、どうもこれまでのアメリカが行っていたABM制限条約の解釈の枠をやはり出ている内容になっているんじゃないかというふうにも見れる部分がありますし、またSDIの予算が下院で否決されて削減されましたね。これに対しては拒否権を発動するなどの動き等も見られるということで相当強い動きをレーガン大統領は示している。
 また、最近出されましたABM制限条約の解釈に関しての調査報告が議会に提出されましたが、それを見ましても、アメリカはこの条約の狭義の解釈に縛られることはないという趣旨の結論を出しております。また、十九日にはワインバーガーは、今月中にSDIの宇宙実験計画、これはもうまさにABMの制限条約に関する内容から見れば問題点になるわけですが、今月中にその計画も作成すると、こういう動きがあるんですが、こういう動き全体について日本の政府として、外務大臣としてどのように御認識になっておられるのか、まずその点からお伺いしたいと思います。
#179
○国務大臣(倉成正君) 立木先生御承知のとおり、ABM条約について申しますと、これはいわゆる軍備管理・軍縮交渉と並行して米ソ間でつくられたSALTIのときだったと思いますが、それから始まったものでございます。したがって、このABM条約をどう解釈するかというのは米ソ間の問題でございまして、当事者でない日本がこの解釈を云々する立場にないということをまず申し上げておきたいと思います。
 そこで、アメリカがこのABM条約をどう、広い解釈にするのか狭い解釈にするのかという問題は、アメリカがこのABM条約を国会で認めたときに、どういう経過でどういうことになっておったかということがいろいろ議論されていると思うわけでございまして、アメリカ政府のとっている立場を今議会の方でいろいろ検討委員会でやっているという状況だと私は理解いたしておるわけでございます。したがって、SDI計画につきましても、そのABMの条約に関する関係におきましては、アメリカの政府がどういう解釈をとるか、そしてそれに対してアメリカの議会がどういう反応を示すかということは、我々がコメントすべき立場じゃないと思うのでございます。
#180
○立木洋君 解釈の問題については後で議論があるとしましても、全体のこういう動きを肯定的に見ておられるのか。つまり、日本としては、研究の問題で今交渉が行われている最中ですよね、こういう動きを肯定的に見ておられるのか、いろいろとやっぱり問題点が生じてきているという判断をなされているのか、そのあたりの判断をお聞きしたいんですが。
#181
○政府委員(藤井宏昭君) この動きということをただいま大臣が御説明なさったとおりでございまして、ABM条約の解釈については、議会に五月十三日でございますけれども報告書が出されたわけでございます。それは、ABM条約の批准に関する記録、それからさらに交渉記録に関する検討結果、これは昨年出ているものでございますが、それの改訂版、この二つが五月十三日に議会に出されまして、六月にはさらにその後の米ソの同条約の運用状況についての報告が出てくる、こういうことでございます。
 いずれにしましても、米国政府の態度、これは御存じのとおり、広い解釈と狭い解釈があり得るけれども、米国政府としては、広い解釈が妥当であるけれども、狭い解釈をとっていくんだと、政策的に、そういう態度をとってきております。が、いずれにしましても、広い態度をとるということを決めたわけではなくて、議会に今二つの報告書が出て、もう一つが出てくるという状況でございますが、それを議会とも協議して、さらに同盟国とも話し合いを進めていくということでございまして、アメリカ政府がどういう態度をとるのかということはまだ決まったわけではございません。
 それから、先ほど実験云々の話がございましたけれども、こちらの方は、四月二十一日にアメリカの国防総省のSDI局が年次報告を議会に提出しておりますけれども、その報告の中におきまして、今アメリカが考えております実験はすべてABM条約の狭義の解釈の範囲内であるということを強調しているわけでございます。
 したがいまして、このような動きという御指摘でございますけれども、いずれも基本的に従来のラインということから大きく――大きくと申しますか、それが変更がなされているということではないというふうに考える次第でございます。
#182
○立木洋君 大臣あれは六十一年の九月でしたかね、政府が官房長官の談話を発表されて、SDIに対する日本政府の態度を発表しましたが、その見解は今変化があるんでしょうか、日本の政府の態度として。その対応には全く変化がないのか。何か多少の変化がこの交渉の過程に生じてきているのかどうか。あの六十一年九月に発表された官房長官の談話後の傾向です。
#183
○国務大臣(倉成正君) ただいまのお尋ねは、六十一年九月九日のSDI研究計画に関する内閣官房長官の談話を指しておられると思うわけでございますが、この基本的な立場には変化はございません。
#184
○立木洋君 二月でしたか、アメリカの大統領軍縮顧問が来られて、大臣お会いになりましたね。あのときに大臣が述べられている内容を見てみますと、今述べられたと同じように、SDIとABM制限条約について、第一義的にはこれは条約当事国の問題だ、米ソの軍備管理・軍縮交渉に影響のないように配慮すべきだと、こういうふうに述べられていますが、この影響のないように配慮すべきだということはどういう意味なんでしょうか。拡大解釈をすべきではないというふうな意味なんでしょうか。
#185
○国務大臣(倉成正君) 御案内のとおり、ABM条約の締結そのものが米ソの軍備管理交渉あるいは軍縮交渉と並行してつくられた条約であることはもう立木委員御承知のとおりでございまして、そしてアメリカの場合には、ABM条約はあるけれども配備を一応中止しているという状況でございますから、したがって、このABM条約の解釈というものもやはり軍備管理交渉、軍縮交渉と並行して当然行われるものだというふうに思っております。
#186
○立木洋君 それはそうなんですけれども、影響ないように配慮すべきであるというふうに大臣がロウニー顧問に述べたという、この影響のないように配慮するということは、つまりABMの拡大解釈にならないようにしなさいという意味で大臣が述べたお言葉ですかという質問なんです。
#187
○国務大臣(倉成正君) ABM条約の解釈問題については、我が国はその条約の当事者ではなく、条約の有権的解釈を行い得る立場にはないけれども、今後米政府内の検討に当たっては、解釈問題の米ソ関係、なかんずく米ソ軍備管理交渉に与える影響についても十分配慮してほしいと、そういう意味のことを申し上げたことは事実でございます。
#188
○立木洋君 そうすると、拡大解釈があり得ても日本政府としてはそれを容認するということもあり得るわけですか。アメリカが拡大解釈をなした場合、もちろん今これは議会では決まっていませんけれども、今回の報告で出されて、まだ今後ですが決まるのは。それが拡大解釈が決まった場合でも日本政府としてはそれを容認するという立場もとることがあり得るという意味ですか。
#189
○国務大臣(倉成正君) これはもう最初から申し上げておりますように、条約の当事者でない日本が両国のABMの解釈について有権的な解釈を行い得るはずがございません。したがって、どういう解釈をするかということは当事者間でお決めいただくことではないかと思うわけです。
#190
○立木洋君 九月の九日に出した官房長官の談話ですね、この四項目目に、「ABM条約に違反しない」と明確に書いてあるわけですよね。解釈云々の問題ではないんですよ。だから、若干態度が変わってきているというふうに見ていいんですか。
#191
○国務大臣(倉成正君) ABM条約に違反しないということでございますから、ABM条約の解釈まで踏み込んでここで我々は申していないわけでございますから、どの点を御指摘になったのか……。
#192
○立木洋君 だけれども、解釈がどうなるかということによっては、違反するのか違反しないのかというのが問題になるわけでしょう。アメリカが拡大解釈してもそれでABMに違反しないというふうにとる立場もあり得ると日本政府が言うならば、それは日本政府としての整合性はあり得るかもしれませんよ、我々は反対だけれども。しかしここでは、ABM条約の解釈にかかわりなく、「ABM条約に違反しない」ということを明確にされたんだから、そうすると、ABMの解釈をめぐってどういう立場をとるかということは明確じゃないでしょうか、第一義的には云々ということではなくて。そうすると、若干あいまいにされてきた変化があり得るというふうにみなされても仕方がないんじゃないでしょうか。
#193
○国務大臣(倉成正君) 立木委員の御質問の御趣旨が私によく理解ができないわけでございますけれども、日本政府が一貫してとってきた立場は、一昨年五月ポンにおける日米首脳会談におきましても中曽根総理がこの問題に関して、まず第一には、ソ連に対する米国の一方的優位を追求するものではない。第二に、西側全体の抑止力の一部として維持強化に資する。三番目に、攻撃核兵器の大幅削減を目指す。四番目に、ABM条約に違反しない、及び開発・配備については同盟国との協議、ソ連との交渉が先行すべきであるとの諸点を確認したということでございます。
#194
○立木洋君 これは大臣先刻御承知だと思いますけれども、七二年に、当時締約したレアード長官が国会に出しましたよね、アメリカの国会に、つまりこの五条の一項についての答弁の内容を。この答弁の内容を見ましても、最初に出されているのは、地上固定式、ABM以外のABMシステムは開発も実験もできないんだということをはっきりさせているわけですね。そしてその後、カーター政権のときに一九八一年に出された軍備管理の解釈についても同様のものとして一貫しているわけでしょう。
 拡大解釈されるかどうかというのは、つまり宇宙で、つまり地上固定式ではなくてそれ以外でやられる宇宙での実験ということでのそれが可能だ、配備も開発も実験も可能だという方向に今持っていこうとしているんですよ。だから、狭義の解釈に縛られないという報告を出して、まだ決まってはいませんけれども。そうなってきますとこれはアメリカがどういう解釈をするかということにすべて依存する。アメリカがAという態度をとるならば日本もそれに賛成する、Bという態度をとるならばそれも日本は賛成すると言われるのか、それともアメリカがAという態度をとったら絶対に反対だ、それは違反だと言うのか、そこはどちらなんですかということを聞いているんです。
#195
○政府委員(藤井宏昭君) 一つ事実関係を申し述べたいと思いますけれども、ただいま御指摘になりました官房長官談話は昨年の九月九日でございますけれども、八五年の段階で既に、先ほど触れましたように、アメリカ政府は、ABM条約の解釈といたしまして広い解釈と狭い解釈があり得る、広い解釈も正当なる解釈ではあるけれどもアメリカ政府の政策として狭い解釈のもとでSDIの研究計画を推進していく、こういう態度を明確にしておるわけでございまして、昨年の段階ではアメリカ政府の解釈はそういうことでございます。
 ただ、それに今問題は、その基本的な態度は変わらずに、アメリカ政府として政策的にどのような解釈、どちらの解釈で進めていくかということを議会、アメリカ政府としてまず態度を決める、まだ決めておらないわけでございますけれども、態度を決める過程で議会それから同盟国ともいろいろ話をしていこう、こういうことでございます。
#196
○立木洋君 それは八五年に大統領が出した解釈の声明についてはそういうふうになっていますよ。だけれども、その場合に、そういうことを踏まえてもなおかつABMに違反しないということをここで明確にされたいわけでしょう、何の限定もつけないで。それで、一義的にはアメリカの解釈に従うということになった場合に、アメリカが政策的にしろ何にしろ、政策的にそういう態度をとったら、違反するけれども、そういう政策をとるということにはならないで、拡大解釈してそういう政策をとるということに私はなるだろうと思うんです。
 そういう危険性が進んでいるわけですから、そうすると、これで違反しないということを明言している日本政府の態度としては、そういう場合、それには賛成できないと言って我々は研究から手を引くという態度にならざるを得ないんじゃないかというのが正論ではないかと思うんですが、大臣いかがですか。
#197
○政府委員(斉藤邦彦君) 基本的には先ほど大臣が申し上げたことと同じことになるわけでございますが、我が国はABM条約の当事国でございませんので、何が違反であるかとか何が違反でないかという判定はできないわけでございます。アメリカ政府といたしましては、一九八五年にボン・サミットのときの日米首脳会談において、SDIというものはABM条約に違反しない形でこれを進めるということを我が国政府、中曽根総理に対して確言しているわけでございます。我が国はそれを前提としてSDIに対する我が国政府の態度というものを考えているという次第でございます。
#198
○立木洋君 もうお二人の話はよくわかっているんですよ、何を言われ、何をされているか。これは政治的な判断に係る問題ですから私は大臣にお聞きしたかったんです。じゃちょっと話を進めますよ、もう私時間がなくなってくるとあれなんで。
 今政府間での交渉向こうどの交渉をやっていますが、交換公文を取り決める段階にまで来ているのかどうなのか。大体そういう見通しですね。いわゆる文章的な詰めに入っているのかどうなのか。そういう状況は今どういう状況になってきているんでしょうか。
#199
○政府委員(藤井宏昭君) 昨年九月九日の官房長官談話に従いまして、以降三回の日米間の協議を重ねたわけでございます。昨年十月、十二月、本年一月ということでございます。民間企業等の参加の枠組みをずっと話し合ってまいりまして、かなり両者の間の理解は深まっているということでございますが、交渉事でございますので、今後どのような日程と申しますか、というような時期に、どのようなふうに物事が進むかということは、現段階では何とも申せないわけでございますが、いずれにしましても、その交渉の結果は何らかの文書によりましてその合意を確認していくということになると思います。
#200
○立木洋君 サミット以前に交換されるという可能性は。
#201
○政府委員(藤井宏昭君) 特定の時期、サミットというのは特定の時期でございますが、その前か後かという御質問につきましては、先ほど申し上げましたように、どういうふうになるのかということについて、現段階では何とも申し上げられないというのが正直なところでございます。
#202
○立木洋君 じゃ、何らかの取り決めが行われるという場合に、今までの問題についてはこれは公開するということに日本側としては主張したという話になっているわけですが、この参加の取り決めに関しては、日米間の取り決めは、参加の原則に関する交換公文とその細目についての了解、覚書の二本立てにして、前者は公開するが後者は機密にするということも報道されていますが、この点はいかがですか。二本立ての交換公文になるのかどうなのか。
#203
○政府委員(藤井宏昭君) SDIの取り決めは今まで四つございます。アメリカと英国、西独、イタリア及びイスラエルの四カ国でございますけれども、いずれも一切公表されておりません。そういうことでございまして、日本政府としてはしかしながら公表できるものはできるだけ公表したいということで交渉に臨んでいるわけでございます。
#204
○立木洋君 ちょっと今のところを正確に。公表できるものは公表したい、ですね。
#205
○政府委員(藤井宏昭君) 公表できるものは公表したいという態度で交渉に臨んでおります。
#206
○立木洋君 公表できるものは公表したい、公表できないものは公表しないということもあり得ると、後の言葉はそういうふうに理解していいですか、あなたが言わなかったことは。
#207
○政府委員(藤井宏昭君) 公表できるものは公表したいということでございます。
#208
○立木洋君 大臣、最後にこの問題についてぜひとも、今度はお二人ちょっと黙っておいていただいて、大臣にぜひともお答えいただきたいんです。
 我々はこのSDI参加という問題は非常に危険だということで当初から反対してきました。これはやっぱり宇宙に対する核軍拡を広めることになりますし、ましてや、私たちの国の憲法の立場から見てもそういう状態になるということは我々賛成できない。現在の状態を見てみますと、レーガン政権が御承知のような時期までしかありませんから、これを何とかしてレールを敷いていきたいということで強行に進める。これまでの西ドイツその他の内容を見ましても、秘密取り決めでしょう。これは今我々も問題にしている国家機密法とのかかわり等を見ても、新たなこういう機密内容をつくり上げて、そして国民に対する正当な情報を知る権利、これさえがやっぱり束縛されていくということを強めていく状況にもなりかねない。これは非常に危険なことだ。
 そういう意味で私は、先ほど来何回も申し上げたように、九月九日の状態が多少なりとも変化をした。あのときには第一義的にはアメリカ云々ということはなかったんですから、これがすべてアメリカの解釈に従うということになりますと、多少なりとも変化をしたということにとらざるを得なくなる。だから、今後の経過の中で、いわゆる今言われたような表現がまさになかったわけですから、そういう意味では、アメリカがとられる今後のABMの解釈、政策の内容にすべて賛成すると言われるのか、反対することもあると言われるのか。このABMの解釈の問題だけでいいです。そのことだけひとつお答えいただきたい。賛成することもあり得るのか、すべて賛成するのか、反対することもあるのか。
#209
○国務大臣(倉成正君) 今、ABMの解釈をどうとるかということについて、日本が賛成であるとか反対であるとかという立場にはございません。これはもう最初から申し上げているとおりでございます。
 また、SDI構想そのものについて、立木委員とは残念ながら意見を異にするわけでございます。本来が非核の防御システムで、弾道ミサイルを無力化するという、そして究極的には核兵器の廃絶を目指すものであるというレーガン構想の説明を受けて、この計画に対する理解を表明し、そしてまたさらに、日本の企業等がこれに参加することは妨げないように、またその場合には、個々の計画について部分的な研究に参加するということについてできるだけ円滑にいくようにしようというので日米間の取り決めをしておるわけでございますから、別に問題はないのではないかと思っております。
#210
○立木洋君 私は予算委員会の席で、ポール・ニッツの問題、三段階の説も引いて、アメリカ自身ができるかどうかわからないということさえ言っているこういう計画、しかも莫大な金を出して宇宙にまで軍備を拡大する、こんなようなやり方はやっぱりやめるべきだということを私は予算委員会の席上で総理大臣にもあなたにも強く要請したわけです。
 しかし、今日の事態を見てみますと、日本政府がアメリカ側との間で話をして、当初官房長官が談話として出した内容すら、よりアメリカ側に接近していく方向に動きつつある、私はそう見ざるを得ないと思うのです。これは新しい解釈をやはり大臣自身がお加えになっている、私はそういうふうに、これは何ぼ言っても水かけ論になるでしょうけれども、今後その点は厳しく見きわめていくように今後ともまた委員会で重ねて議論させていただく時間を私はとりたいというふうに思います。きょうは時間がありませんので、そのお答えは結構です。また同じお答えになりますから。
 ココア協定の問題についてですが、時間が大分なくなりましたので。一九七二年に第一次ココア協定が締結され、第二次に受け継がれたわけですが、それらの機能の状態を見てみますと、やはり市場価格が常時価格帯を上回っているというふうな状況でしたし、第三次協定の場合も、価格が協定上の価格帯の下限に割り込んで、実際には価格は再び価格帯の中に戻すことができない、資金の枯渇もあってですね。そういう実際上は機能が十分に果たされない状態があった。
 こういう状況を見てみますと、今回いろいろと手直しがされて、任意に介入する価格が求められるだとか、それから若干価格帯を引き下げるだとか、いろいろな手を打っているわけですね。また自動的に変動する、内容等も。だから、第三次協定までに見られたような状態ではなく、今までとは違って機能する方向によりやっぱり近づいたというか、だから今後の展望としては、一定程度機能し得る可能性が強まってきたというふうに判断することでいいのかどうなのか、その辺はいかがでしょうか。
#211
○政府委員(池田廸彦君) 結論といたしましては、先生御指摘のような認識に立っております。
 協定のメカニズムに入ります前に、八〇年代に入りましてからの需給動向をちょっと見てみますと、八一年から八六年の間に生産は確かに一一%上昇しておりますが、他方消費は一五%上昇しております。それから在庫を見ますと、やはり八一年から八六年の間に一九%減ってきております。このトレンドがそのまま続くかどうかそれはわかりません。けさほども申し上げましたが、いわゆる甘味離れの、甘さ離れの影響を受けまして、基本的には消費はむしろ低迷する方向に向かうと思います。それにしましても、八〇年代前半の勢いはエンカレッジング、勇気づけるものがあると見ていいと思います。その背景のもとに今度の協定が行われるわけでございます。
 今御指摘をいただきましたように、長期的な需給動向に対応するように価格帯が常に下方修正する自動メカニズムが設けられておりますとか、それから特に緩衝在庫が限界に達しましたときに、補足措置と言っておりますが、凍結するという措置を設けております。したがいまして、割に今度のは機能するのではないかと楽観的な見通しに立っております。
#212
○立木洋君 前回の場合も、結局価格を再び価格帯の中に戻すことができなかったという問題では、買い上げ資金が枯渇してしまったというふうな状態もあったわけですね。だけれども、今の状態を見てみますと、世界の最大の輸入国であるアメリカ、これは二二・五%輸入しているわけですね。これは入っていないんですね。いわゆる課徴金というのを出さないわけでしょう。そうすると問題は、実際に価格を安定させるために必要なお金の枠というのはやっぱり狭まっている。もちろん新しく入ってくる国々もありましたから、それについてプールされるということもあるかもしれないけれども、しかし最大の輸入国であるアメリカなどがこれに入らないというふうなことについては、やはり私は積極的にそういう態度をとらないように日本政府としては働きかけていく必要がある。
 これはもう時間がないから、私特に強調しておきたいのは、確かに今日米経済摩擦だとか、あるいはヨーロッパが最近では、日本はアメリカの方ばかり向き過ぎるだとかという批判がいろいろ出てきていますね。だから、先進国の間での経済問題というのはいろいろ議論される、それに対しては日本政府の動きも極めて敏感だということはあり得るわけですよ。しかし、現在国際的に言えば一兆ドルにも上る大変な累積債務が存在しておりますし、貧富の差というのは拡大していますしね。そしてあれほどの飢餓や貧困の状態というものが国際的にも存在する。これはだれがどうしてそうなったかという責任論のことを私は言うつもりはもちろんありませんけれども、それはそれとして別として、しかしこういう問題にこそ今世界的に取り組んで解決しなければならない重大な問題だ。
 これは交易条件の悪い低開発国では、農産物である一次産品に頼らざるを得ないという国々が非常に多い。これはココアの場合もそうですよ。いろいろなそういう場合がそうで、今一次産品の共通基金としては十八品目提出されている。これすべてがうまくいくかどうかという問題はありますけれども、しかし、交易条件の悪い低開発国に対して、いわゆる本当に新しい経済的な状態ですね、秩序をつくり上げながら、そういう今は存在している国際的な重大な問題を解決していくという見地が私は必要だろう。
 そのときに、あなたが午前中に松前委員に言われて、援助するというふうな考えでのおつき合いみたいなものですという発言をされたのは、ちょっと外務省の方の御発言としてはいかがなものだろうかという私は認識を受けました。だから、これはココアということ自体にとっては、それはココアの消費がチョコレートですから、それはそういうことがあってもいいと私は思うんです。しかし、商品協定全体に対する日本政府のあり方、考え方というのは、もっと毅然としたやっぱり態度がなければならないということを私は特に要望しておきたいんですよ。
 そういう点で国際的な今の経済の問題、グローバルな経済の問題を見る場合に、先進国間における経済摩擦の問題だけではなくして、こういう南北問題における一次産品の問題等についても積極的に日本政府としては対応しながら、アメリカとしてはそういう商品協定を結ぶということに対しては否定的な態度をとっているわけですから、そういうことについても、日本が友好国であるならば、アメリカの態度に対しても積極的に意見も述べ、そういう問題を解決していくように努力していただきたいということを大臣にお尋ねしたいんですが、いかがでしょうか。
#213
○国務大臣(倉成正君) ヨーロッパの場合には御承知のとおりローマ協定その他、今の委員のお話のように非常に積極的でございますね。アジアの場合にはすずの協定があったと思います。したがいまして、一次産品の問題については、やはり途上国が非常に価格が下落して大変な苦労をしているという問題についての問題意識は十分私ども持っております。ただ、これをどういう形でサポートしていくかという問題については、日本だけでできることではございませんから、やはりよく関係国との協調を考えながら十分これは配慮していかなきゃいけないと思っております。
#214
○立木洋君 そのことを特に強く要望しておきたいと思うんです。
 最後に、一言だけですが、湿地指定の条約です。
 この国際的重要な湿地に関する条約の改正の問題ですが、これはちょうど計算してみますと、あれは昭和五十四年二月に、あのときは私もこの委員会でこの問題を審議いたしました。もちろんこれは重要なことは、湿地を指定するということによって、その湿地の保全を通じていわゆる動植物の保護を図るというのが目的としてなされているということは明らかなわけです。当時の状況の中で私は非常にあれしたのは、重要なこういう水鳥なんかの生息していく、これは湿地だけではなくて、いわゆる干潟だとかあるいは湖沼だとかそういういろいろな湿地帯がありますよね。こういうものの環境の保全ということもあわせて重要だというふうなことが強調されて、そのことを特に環境庁の当時は野辺さんに私は申し上げたわけです。そのときの御答弁では、そういう重要ないわゆる湿地だけではなく、干潟、湖沼等々見ていけば、もちろん釧路それから伊豆沼だとかそれから風蓮湖だとか挙げられましたけれども、あるいは小湊それから東京湾の谷津、それから名古屋の汐川などが挙げられたんですよね。
 ところが、もうこの八年間の間に大変な変わりようですよ、東京湾なんかの状態を見ましてもね。私は、もちろん自然保護という見地で、この問題は湿地の指定ということに限られた条約ではありますけれども、今後開発の問題でだんだん自然が破壊されていく、そういう点については我々は十分な検討が必要であるということは、去年の十一月二十八日、環境庁がいわゆる条約事務局に提出した報告書の中でも書かれている内容です。
 ですから、この点については、外務省がこの条約については湿地の指定だけに関するということで条約がそれで終わったということにならないで、そういう今後の保全の問題等についても、環境庁が提出している去年の十一月二十八日の報告なども参照していただいて、もう時間がないから内容は申し上げることはできませんが、そういう環境が破壊されていく状態についてもやっぱり厳しい目を光らせながら努力をしていっていただきたいということを、このことについては要望しておきたいと思います。よろしいでしょうか。
#215
○国務大臣(倉成正君) 大変貴重な御意見でございますし、ラムサール条約への登録についての努力をいたしたいと思います。
#216
○小西博行君 私は、本日提案されておりますこの六つの条約につきましてはよく勉強さじていただきまして、ここでわざわざ質問するという必要もないということで、きょうは特に、ペルシャ湾のいろんな事件が発生しておりますので、その問題についてお尋ねをしたいというふうに考えております。
 まず第一点は、先日ペルシャ湾で米艦スタークがイラクの戦闘機の爆撃を受けて大勢の乗組員が死亡したということが新聞報道されております。アメリカの方でもこの問題を大きくとらえて、そうして調査を厳重にするという旨のことが新聞に報道されておりますが、外務省はそれらの実態についてどの程度御理解願っているのか、調査しているのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#217
○政府委員(恩田宗君) 先般の米国フリゲート艦スタークの被弾事件につきましては、米国側から公に発表したものがございます。これは十八日午後国防省において事件の概要が公表されました。それは新聞等でも報道されているとおりでございます。また、レーガン大統領の声明、それからこれに関するイラクのフセイン大統領からの書簡の内容も報道されているとおりでございます。その他、私どもは現地における米国外交及び軍当局の責任者の話等々で情報収集してございますが、基本は大体新聞に発表されているとおりでございまして、それから先のことはこれから調査したいということで、米国当局がせっかく調査を開始しているところだと思います。
 私どもとしては、これ以上のちょっとコメントはできない状況でございます。
#218
○小西博行君 私はなぜこういう問題をお聞きしたいかといいますと、日本の船が、特にタンカーが相当ペルシャ湾の方に入っておりますので、いよいよアメリカまでやられたかと。しかも、聞きますと、イラクの戦闘機に、誤爆だというふうに言っているわけですが、やられたということでありますから、これは大変危険な状態にこれから先なるんではないかと、そういうような心配があるわけです。そういう意味でまずお伺いしたわけであります。
 それから、今、日本へ来ておられますイランの外務次官、この方と村田審議官がいろいろ日本の船舶の安全航行について協議をしたというようなことが載っております。その新聞では、いや秀邦丸をやったのは我々ではないというような言い方をされておるわけですが、この辺の実態についていかがでしょうか。
#219
○国務大臣(倉成正君) 私もイランの外務次官とお目にかかりまして、秀邦丸の問題を強く取り上げました。
 ペルシャ湾から約六割の原油が日本に入っておりますから、ホルムズ海峡を通らなければいけない。私もカフジを中心としてペルシャ湾のことは比較的よく承知しておりますので、とにかく秀邦丸の被弾というのは、先般一月のコスモジュピターに続いてペルシャ湾内における本邦の籍船、すなわち日本の船、実際は他の国の国籍を持って日本の船員が乗っている船ございますけれども、日本の日の丸を掲げた船としてはことしで二度目の被弾であるのは極めて遺憾である。幸い今回の秀邦丸の際は犠牲者は出なかったけれども、我々非常にこの問題について憂慮をしている。したがって、この被弾、こういう攻撃、ロケット砲、機関銃における攻撃が仮に貴国のものであるとすれば、これは断定するというのがなかなか難しいわけでございますね。そこで、これはもうゆゆしいことであるからぜひひとつ実態を調べてそして御報告をいただきたいということを私から申しました。
 これについては、最初は多少いろいろお話ししておられましたけれども、二回にわたりまして、いずれにしても、ひとつよく調べて経過を外交ルートを通じて御報告いただきたいということを申し上げました。
 それからさらにもう一つは、やはり問題は、イラン・イラク戦争というのが続く限りにおいて、私どももうあらゆる機会に外交ルートを通じて、先方からもイラクの外務次官が来るとか大使を呼ぶとかいろんな形でやっておりますけれども、決め手がなかなかないわけでございますね、いや、自分の方はやってないとかいろいろのことがございまして。しかしそれにしても、日本の船会社また乗組員の方々というのは大変な生命の危険を感じて日本の生命線とも言うべき油を運んでおられるわけですから、この問題については重大な関心を持っておる。したがって、まずイラン・イラク戦争をやめるという方向においてひとつこれからも我々も、国連の現在の提唱についてどういうお考えがあるかとかいうようなこと等々、この問題についての我が方の関心事を強く申し述べた次第でございます。
 なお、このことに関連いたしまして、ちょうどその前日国連のデクエヤル事務総長が参っておられましたので、これも委員会のお許しを得まして私も二時間ほど御懇談いたしました。これはもちろんペルシャ湾の問題だけではございませんけれども、イラン、イラクの問題、あわせて秀邦丸の問題がちょうどあったわけでございますから、この問題についての善処方をお願いしたら、デクエヤル総長、それじゃイランの次官が見えているということなら自分が会っても結構ですということで、日本がごあっせんした形で事務総長とイランの外務次官と会ってこの問題もお話しいただいたというようなことでございます。
 しかし、詳細なやりとりについてはなかなか、これは外交上のことでございますから省略させていただきましたけれども、イラン側は、我が国の船が被弾したことは非常に遺憾であるけれども、自分の国の船が、イランが攻撃したということは認めていないわけでございます。その辺のところが大変残念なことでございまして、なかなか日本として決め手がないというのが率直なところ実情でございます。
#220
○小西博行君 そこが非常に政治的に難しい面ではないかと思うんですね。イランの中にもいろんな組織がございまして、大変複雑になっているということを聞いているわけでして、間違いなくイランの何々だということが明確に何かこう出せる方法はないものか。
 実際に船員に聞いてみますと、あのペルシャ湾に入っていきますと、入る場合は、右側から撃たれる可能性があるというので皆さん左側に位置する。そこまで考えながら実際には入っている。今大臣がおっしゃいましたように白昼の事件ですね。しかも五、六十メーターの距離からロケット砲を撃つわけですから。
 それからもう一つは、ちゃんと日の丸のマークを船体いっぱいに掲げておる。だから明らかに日本の船だというのがわかっているわけですね。それに攻撃をしてきた。しかも、聞きますと戦闘区域外である。ですから、何も関係ないそういう船をいきなりねらってくるというような状況です。それが間違ってやったということならまだ許す方法もあると思うんですけれども、何回にもわたって攻撃を仕掛けてきたということです。その面が実は、これから先もしこういうようなことがありましたら、もう日本の船員はなかなか向こうへは行かないんじゃないか。船主も大きなお金をかけてこの仕事をやってはいるわけなんですけれども、大変じゃないかなと、そういうふうに私は思いますので、この安全という問題について、さっきちょっと申し上げましたように、どこの国のどういう団体がやっているかという何か確認の方法というのはございませんでしょうか。
#221
○政府委員(恩田宗君) ペルシャ湾において紛争が始まりました直後、期間は昭和五十九年から六十二年でございますが、攻撃を受けた船舶の数は二百四十二隻でございますが、そのうちイランの攻撃と思われるものというものが八十五隻ございます。この八十五隻すべてについて、これはすべて推定でございますが、イランは公式に自国の艦船があるいは自国の軍隊が攻撃したということを認めたことはございません。それで、攻撃の場所であるとか攻撃の手段であるとか、それから発表の有無、イラクの場合は発表いたしますから、等々で推定でやっているわけでございまして、今回の事件、日中のことでございますので極めて衝撃的な事件でございますけれども、イラン側の取り扱いのケースとしては変わっていない、こういうことでございます。
#222
○小西博行君 大臣、これ今後も相当ふえるのではないかと思うんですね。どうも攻撃するモーターボートらしきものも随分数がふえているというふうに聞いているんですね。そのメーカーも大体何かわかっているようですね、どこの国のやつを買っているみたいな。そういうことで、これから先はふえるというふうにやっぱり判断されますか。
#223
○国務大臣(倉成正君) これはまあ何とも私が推測するのはできませんけれども、こういうことはあり得るという感じはいたしますので、いずれにしてもその根源を絶つというか、イラン・イラク戦争が続く限りにおいてはやはりどうしてもそういうことをやりがちである、もうかなり血が頭に上ってやり合っているわけでございますから。
 ペルシャ湾の状況はもう小西先生よく御承知のとおりでございますが、線を引いているといっても、どの辺が線だといっても、御案内のとおり、白昼ですから今後の場合はもうまさにあれですけれども、夜間航行等の場合であればなかなか水かけになる点もあるものですから。何とかしてイラン・イラク戦争が早く終結するということに最大の努力をしたいということで、この点についてはデクエヤル総長にも強く国連の行動というものを要請いたしたわけでございます。
#224
○小西博行君 今大臣がおっしゃるとおり、このイ・イ戦争が早く終わってもらえばこういう問題はもうすべて解決するというふうに私も思います。しかし、なかなかこれはそう簡単に解決という方向にいかないんではないかという感じがいたしますし、そうは言っても毎日日本の船団が出ておるわけですから、何とかして、イラン、イラクに対して特使を出すとか、そういうものが具体的にできないものなんでしょうか。
#225
○国務大臣(倉成正君) 特使を仮に出してもこれは同じことだと思います。それは先方に会って話しても、先方に日本の大使もおることでございますし、いろいろな手段であらゆる機会をとらえてもうやっておるわけです、真剣にやっておるわけです。しかし、特使を出したからといって解決する問題ではない。ですから、基本的には戦争の終結。
 しかし、その前として、やはりこの両国に武器を売らないという問題が必要ですけれども、御案内のとおり、石油の増産をしているということは、やっぱりどこからか武器を買うというような問題があって、地対空のミサイル、今度の場合は海に対するミサイルですが、どこのかよくわかりませんけれども、いろいろなうわさが飛んでいるということでございますから、その辺のところが非常に私どもとして残念に思っているわけでございます。やはり武器を両国が持たないようになってくればそれはいいんですけれども、両国に武器が売られる限りにおいては、やっぱり戦争を続ける限りにおいてそういうことが起こり得るということでありますから、その点は日本は手はきれいなわけでございます。
#226
○小西博行君 先ほどちょっと触れましたように、ある国におきましては、特別にそういう危険地帯を運航してくれる、そういうものに途中で乗りかえて対策をとっているというように聞いておるんですが、そういう情報はお聞きでしょうか。
#227
○政府委員(恩田宗君) 私どもの方にはそういう情報はまだございません。
#228
○小西博行君 現実にあるそうです。それがいいか悪いか、日本でそういうものをやるかやらぬかというのは別問題ですけれども、大変危険だからそのような対策で現実にやっているというところがあるそうであります。
 日本も実は考えてみますともう大変なことだと思うんですね。ですから、現在船団それぞれ出ておりますけれども、全部毎日、特に海員組合あたりが中心になりまして、家族の方にも現在位置だとかそして現在の情勢というものをお知らせをする、そういうようなことまで現実にやっているわけですね。ところがこういう事件が起きますと、それでも行きなさいなんというようなことがなかなか言いにくくなるということでして、これは船主の方からも何か具体的にそういうお話がございますか。
#229
○国務大臣(倉成正君) もう大分前になりますが、船主協会長、日本郵船の社長が私のところにお見えになりまして、ペルシャ湾の安全航行についてのお話がございました。私は、外務大臣就任前から、まだこのイラン・イラク戦争の初期の段階において、あの川の段階で、まだこんな激化する前の段階からこの問題には関心を持っておりまして、あらゆる機会に最善の努力を我々のできる範囲ではしておるわけでございますけれども、仰せこういう、何というか、もう本当に米ソの力をもってしてもなかなか抑えることができないような状況の中で、日本が抗議をしたからといってなかなか我々の言うことを聞いてくれないというところに非常に難しい問題があるわけでございます。
 しかし、いずれにしましても、日本の国民の生命、財産を守るというのが我々の任務でございますから、最善を尽くして、できる限りのことをいたしたいと思う次第でございます。
#230
○小西博行君 何か質問する方も具体的な対策というのがはっきりしないだけに大変やるせないような感じがするわけです。これは何とかほかの手段で対抗措置というのはないんでしょうか。いろんな手段が考えられると思うんですけれども、外務省の方で、こういうものをやればもう少し静かにしてくれるんじゃないかというようなものはございませんか。
#231
○政府委員(恩田宗君) 対抗処置という御質問でございますが、先ほど大臣の方からお答えいたしましたように、攻撃国が特定できていないという基本的な問題がございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、今般イランから次官がおいでになった場合も、大臣から非常に強く私どもの関心とそれから先方に対する自制というのは申し入れておりまして、今回の事件についてもまだ日本の働きかけの過程にある、こうお考えいただいていいんじゃないかと思うんです。
 過去の実績を見まして、先ほど申し上げましたように、全体として二百四十二隻、イランと思われるもの八十五隻でございますが、日本の国籍の船が攻撃を受けたのは二隻でございます、実績として。これはどういうことを意味するか。日本の船の運航の非常に細心な注意とか、いろいろな原因があると思いますが、私どもは、紛争当事国に対して自制を働きかける、あらゆる機会をとらえて働きかけるという外交努力、それから国連その他各国と協力しての紛争解決の方法、それから万一不幸にして事件が起きた場合は、御存じのとおり、在外公館における迅速な支援、そのために私どもは在外公館に常時日本の船舶の位置等に関する定期的な情報を送っております。また国内においては、運輸省等関係省庁といろいろ御連絡しながら、私どもの持っておる情報を業界にも差し上げ、また、業界の方からの御意見あるいは御相談も承るという形で、総合的にとにかく努力するということをやっております。私ども、今回の事件、不幸にして白昼起こるということでございましたので、衝撃的ではございましたけれども、被害が今後とも拡大しないようにできるだけ努力したいと考えております。
#232
○小西博行君 ちょっと不勉強だから教えていただきたいんですが、今、日本の船は二隻と、襲われたのはですね。主な国の名前をちょっと件数等教えていただけませんか。ありますか、データ。
#233
○説明員(野崎敦夫君) お答えいたします。
 二百四十二隻のうちでございますが、多いのはリベリア籍四十五隻でございます。イラン三十九隻、キプロス、パナマが二十八隻ずつ、ギリシャが二十隻、クウェート、マルタ十隻、トルコ、韓国それぞれ七隻、サウジアラビア六隻、ノルウェー五隻、あとフランス四、西ドイツ四、インド四、こういう国になっております。
#234
○小西博行君 ソビエトもやられた経験はないんですが。
#235
○説明員(野崎敦夫君) この二百四十二隻の中にはソ連船が一隻カウントしてございます。
#236
○小西博行君 運輸省、ぜひお聞きしたいんですが、こういう安全航行という面で何か具体的な対策を持っておりますか。
#237
○説明員(野崎敦夫君) 先ほど来外務省の方からもお答えいただきましたように、なかなか決め手のない問題でございますので、私ども最終的には外交努力にお願いするしかないわけでございますけれども、海運関係担当官庁といたしまして、業界団体あるいは労働団体ともども連絡会を毎月一回程度恒常的に持っております。また業界団体自身も、ペルシャ湾に配船しております、四十二社余りございますけれども、それらの実務クラスでミーティングを適宜持って情報交換をやってございます。こういったルーチンといいますか、実務者クラスの正確な情報あるいは体験に基づいた現実的な、何といい良すか、生きた情報の交換を通して、極力被害に遭わないように、また遭ってもそれを最小限にとどめるような方法がないものかということでやっておるわけでございます。
 そういった日常の努力が、私どものできる現時点での精いっぱいのところではないかとも思っておるわけでございます。
#238
○小西博行君 六十年二月にアルマナク号の事件というのが発生しておりますね。そのときに我が党の、これは衆議院でございますが、岡田議員の方から総理に対して質問しているわけです。総理の方は、とにかく事故防止のためにあらゆる対策を講じてやりたい、このようにはっきり明言をしているわけなんですね。
 ですから、そういういろいろな形での連絡会議を設けられていると思うんですが、そういうものが現在のレベルで十分なのかどうなのか、十分機能しているのかどうか、そういう面について意見がありましたら教えていただきたいと思うんです。
#239
○国務大臣(倉成正君) 今お話しのように、担当官レベルの会合はもう二十回も幾らも開いておりますけれども、しかし、今お話しのように、政策決定のために必要があればハイレベルの出席者の会合を開催もいたしておるわけでございます。しかし、最近の情勢にもかんがみまして、ハイレベル会合の開催を検討さしてみたいと思います。
#240
○小西博行君 最後に運輸省にお聞きしたいんですが、海員組合なんかがある比較的大きな会社の場合はお互いに連絡は十分とって安全対策についての協議を十分できているわけですが、組合のない企業というのもたくさんあるのではないか。そういうものに対してはどのような指導をされているのか、これを聞きたいと思います。
#241
○説明員(野崎敦夫君) 御承知のとおり、日本の船が外国に行く場合は基本的に私どもにその情報が定常的には入らないシステムになっております。たまたまペルシャ湾ということでもございまして、従来の航行方法にかえまして、船主協会で情報を取りまとめてもらっておるわけでございますが、当然その中には、日本籍の船がまず基本になりますし、外国籍の船でも、日本人が船員として乗り組んでおります船につきましても極力連絡をとり合ってやっておることは先生御指摘のとおりでございます。それで、日本籍船は日本人でございますから大体わかるといたしまして、外国籍船に日本人が乗っておる船で、かつ海員組合非加盟などとなりますと、ちょっと私どもではすべてフォローしておると言い切れるところではないのが実情でございます。
#242
○小西博行君 以上で質問を終わりますけれども、大臣、そういう事情ですから、大臣の方からも随分いろいろやっていただいているということに対しても皆さん感謝しておるわけですが、何さま相手国がこういう国なものですから、しかも戦闘中ということでいろいろなハプニングがあろうかと思いますが、何としても私は、安全に石油を買ってこれるような、それを守ってあげる、これが我々の大きな責任ではないか。そのことが日本のためにもなるわけでありますから、そういう意味で今後ともよろしくお願い申し上げたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。
#243
○田英夫君 私も、きょう審議中の六条約案件につきましては、同僚委員からも既に御質問がありましたし、私自身からも特に問題はないと思いますので、委員長のお許しをいただきまして、朝鮮半島の状況について政府の御判断を伺ってみたいと思います。
 ちょうどきょう、北朝鮮の金日成主席が中国を訪問したという報道があります。もう言うまでもなく、朝鮮半島は南北に分断をし、しかも厳しい対立が続いているわけでありまして、政府も同じお考えと思いますけれども、我々にとって一番身近な朝鮮半島が平和であるように、緊張が緩和するようにということを願っているという立場から、この金日成主席の訪中ということも一つ注目すべき動きではないかと思うわけです。
 特に近年北朝鮮がややソ連寄りであると言われてきましたし、事実、ソ連からの軍事援助ということを増加さしているということも言われているわけであります。そんな中で五年ぶりに中国を公式訪問するということでありますから、そんな意味からも、これは未承認国でありますし、政府からいえば直接の関係はないというお立場はよくわかりますけれども、そうした今の朝鮮半島全体の動きを、大変漠然とした質問ですけれども、政府としてどういうふうにお考えになっているか、基本的なお考えを聞かしていただきたいと思います。
#244
○国務大臣(倉成正君) 朝鮮半島の情勢については、ただいま田先生お話しのように、南北が厳しい対立をしておるわけでございまして、基本的には非常に相互の不信感があるし、先般は金日成の死亡説が流れたりしまして、まだ依然としてその真相は明らかでないというような状況でございまして、我々にとっても非常にわからないことがたくさんあるわけでございます。
 しかしいずれにしましても、南北朝鮮がこのような対立関係あるいは不信関係を続けていくということはアジアの安定にとっても好ましいことではないというわけでございますから、最近、御案内のとおり、アメリカも北朝鮮との接触を非公式な形においてとり始めるというような行動を起こしておるようでございます。また今回、今先生のお話のように、北の方が中国と、これはソ連との関係があって中国との関係なかなか難しい関係にあったと思いますが、接触をするということでございますから、双方とも非常に流動的な要素を含んでおりますけれども、一日も早く南北の信頼関係が確立いたしまして、そしてできれば韓半島の安定ということができるように心から願っておる次第でございます。
#245
○田英夫君 御専門のアジア局長もおられるわけですが、今、北朝鮮の動きということの中でひとつ中ソとの関係というのは非常に常に注目をしなければならないと思うんです。大分前になりますけれども、私も北朝鮮を訪問したときに感じたことですが、公式にはもうどんな場合でも中ソ等距離ということを繰り返して言われるわけですね。にもかかわらず、ある時期中国寄りになっていて、ある時期ソ連寄りになっているということは、これは事実客観的にはあると思います。
 私は、過去の経過からすると、北朝鮮が非同盟諸国会議に参加をして、しかも非常に積極的に非同盟諸国会議の中で活動していると思いますね。そういうことと関連をして見ますと、非同盟諸国会議の中にはソ連寄りの国ももちろんある、キューバなどはその典型でしょうし、また中国寄りの国もあるということの中で、とにかく原則等距離ということを守り抜くことが以前よりも必要になったんじゃないか。非同盟諸国会議に入る前はその点は比較的中国寄りということを表に出していたように私は思うんですけれども、そんなことを感じているということをこの機会に申し上げておきたいわけです。
 お尋ねしたいのは、アメリカが、大臣おっしゃったとおり最近北に対する態度を若干変えつつある。シュルツ国務長官が三月に中国を訪問し、同時に韓国も訪問いたしました。北に対する姿勢もその前後から変わってきていると同時に、韓国に対する姿勢も私は最近変わってきているように思うわけなんです。そこでずばりお聞きしたいのは、アメリカはいろいろな考えがある中で、南北に対して、つまり朝鮮半島に対しての姿勢を変えつつあるんじゃないかと思うんです。そこで日本は、アメリカよりもより近い国として北に対する姿勢というものをお変えになるつもりはないのかということです。
 これは若干私の願望も込めて申し上げるならば、現在、御承知のとおり、日本の漁船員が抑留をされているという問題があります。例のズ・ダン号事件でかなり北側が硬化しているということも事実だと思います。同時に、私も日朝議連の副会長をさしていただいておりますが、日朝議連が仲立ちをして進めてまいりました北朝鮮との漁業についての話し合いといいますか、あれは協定と言われておりますが、実際は協定を結んでいるわけではありませんで、北側の好意という形で実際に操業ができるということで行われていたものがこれが中断されている。こういう状況を考えたときに、むしろグローバルな外交、政治的な判断ということも含めて北に対する政治的な姿勢を変化させるということは決してマイナスばかりではないと思うんですけれども、この辺について大臣のお考えを聞かしていただきたいと思うんです。
#246
○国務大臣(倉成正君) 先生のお話をお伺いいたしましたが、我が国としては、基本的には、南北の対話の促進、そして朝鮮半島の緊張緩和及び同半島の平和と安定にとり、南北の対話の促進が緊張緩和に必要だということを考えておりますし、アメリカが部分的であるにしましても今回とっておる態度、南北対話の促進の環境づくりをしているということは評価しているわけでございます。
 我が国の北朝鮮との接触については、ちょっと事柄の性格上詳細について明らかにすることは差し控えたいと思いますけれども、アメリカがとっている程度のことは既に従来から許可をいたしているわけでございまして、外交関係のない北朝鮮との間で経済、文化等の分野における民間レベルの交流を積み重ねるという従来の方針を変更する考えはないわけでございます。
 ただ、私、率直に申しまして、今ちょうど第十八富士山丸の二人の、船長と機関長のお話が出ましたけれども、三年有余に及ぶ抑留、どういう理由があるか、またその国のそれぞれの立場があろうかと思いますけれども、これはズ・ダン号の前からのことでございますし、家族の方とお会いしましても、こちらから手紙を出しても返事が一切来ない。どういう状況かということはわからないということは、私どもどうしても民主主義の国家としてはちょっと考えられないことでございますので、そういう点については、北朝鮮を訪れる方にはぜひひとつ、せめて家族が出した手紙の返事なりといただくことはできないものかということをしていますけれども、それができない状況にあるということは非常に残念に思っている次第でございます。
#247
○田英夫君 第一八富士山丸のお話が出ましたけれども、これは公式にこういう場でお述べになることはできないと思いますので、質問は差し控えますけれども、北側と日本が接触し得る場所というのは世界じゅうに幾つかあるわけでありまして、北朝鮮と最も近い場所にもあるわけですから、そういうところで何とか一日も早く二人の人が帰れるようにという御努力をひとつお願いしておきたいと思います。
 アメリカが南北についての姿勢を変えてきたという、南の方つまり韓国の方ですけれども、シュルツ国務長官の三月の訪韓以後、明らかに従来のアメリカ政府の一貫した韓国政府との極めて密接な関係というものに若干変化が出てきているんじゃないかと思いますが、これはアジア局長の専門のお立場から、私のそういう意見にはどういう御意見をお持ちですか。
#248
○政府委員(藤田公郎君) 最近の韓国の政情につきまして、特に四月十三日の大統領の声明によりまして、改憲、憲法改正問題が来年二月の大統領の交代及びオリンピックの後に延びたということと、それをめぐりましての韓国国内の政治面での動きに対しましていろいろの発言が米国でなされているのはただいま委員が御指摘のとおりでございます。
 アメリカの言っております韓国の内政についての意見の基本は、第一に、平和的な政権の移行という今まで韓国においてなかった実験をこれから試みようとしている韓国に対して声援を送ると申しますか、これが民主化の非常に大きな第一歩なんだということで、全大統領の決定を評価しかつそれに声援を送るという基本。それから、全体として見ますとシグール次官補が演説をしましたラインに尽きますけれども、アメリカとしては、具体的な行動、これはもちろん韓国の人たちがみずから決定するところであるけれども、できるだけ幅広い民主的な過程というものを望むということで、従来からそれほど基本においては変わったところはないんじゃないかと思います。
#249
○田英夫君 私は若干意見が違うのでありまして、大臣おっしゃったとおり、アメリカは基本的に南北緊張緩和、そして対話を進める。対話が進みかけては途絶しているという状況を、何とかオリンピックを控えて対話の方向へ進めたいということで、それから、お答えいただこうと思ったんですが、私の方から申し上げてしまいますと、アメリカの議会の中で民主党が上下両院ともに多数になったということの影響もあると思うんですけれども、そういう中で、韓国に対して従来政権を支持してきたということと、民主主義を進めてほしいということ、これは実は韓国の実情からすると矛盾する。このところのウエートの置き方が常にアメリカの中でも揺れ動いてきたと思います。
 カーター政権のときはその民主主義の方を重視した。どちらかといえば共和党政権の場合は西側の一員ということを政治的、軍事的に重視してきたという中で変化が起きてきてんじゃないかというのが基本的に私の頭の中にあるわけです。
 そういう中で、来年の大統領選挙を控えて、平和的に移行するということと同時に、それがもっと幅の広い、今局長おっしゃったとおり、幅の広い形で平和的に新しい政権ができてほしいと願っているんじゃないか。だから、李敏雨、現在も新韓民主党総裁ですが、あの人の妥協案あたりを一番望んでいたんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。局長とうぞ。
#250
○政府委員(藤田公郎君) アメリカの対韓政策及び韓国の国内情勢なものですから、余りこのような場でいろいろ申し上げるのはいかがかと思いますけれども、事実関係ということで申し上げれば、確かにただいま田委員がおっしゃいましたように、シュルツ長官が訪韓されました三月の初めの直前にクラークという東アジア担当の次官補代理が訪韓をしまして、李敏雨総裁の昨年末の提案を応援する。実はそのころはもう李敏雨総裁自身は撤回しておられたものですから、案としては若干もうなくなっていたような案だったんじゃないかと思いますけれども、李敏雨現総裁が昨年末に言われた案が、新民党とそれから民正党との妥協点を探る非常に建設的な試みだということで、かなりアメリカとしてはあれに期待をかけていたのではないかということを私どもも想像いたしてはおりました。
#251
○田英夫君 確かに政府としてはおっしゃりにくい点でしょうけれども、にもかかわらず、アメリカの願望は逆効果であって、李敏雨総裁の案を支持したということが表に出てきた中で、逆に新民党が分裂してしまって統一民主党がつくられるという結果になったと思うんですね。
 実はきのうソウルへ電話して金泳三氏と若干話をしてみたんです、今の状況を彼らの立場からどう見ているんだろうかと。この機会に御紹介しますと、大変自信を持っているということで、まあ自信を持ってなければあんなことはできないでしょうけれども、一つは、憲法改正問題について言えば、四月十三日の全斗煥大統領の改憲中止ということで、現在の憲法のままの大統領選挙ということになるだろうけれども、それには自分たちは大統領候補を立てないから、そうなればこれは事実上できないというふうに言うわけですね。できるかできないかというのはこれはわかりませんけれども、彼らの立場からできないというふうに言っています。
 それから、今政権側から金泳三氏自身が召喚されるのではないかというような報道もありますけれども、これもできない。ただ、党員、事務局員というようなところが召喚をされるだろうということですね。
 そして、最近の韓国の中の全斗煥政権が揺らいでいるということの一つのあらわれということで、おとといですね、ソウル新聞というのは政府の新聞ですね、政府系の新聞といいますか、そのソウル新聞の編集局の記者七十人が声明を発表して、社長の退陣を要求した。その社長というのは元大臣ですが、現在までは記事とか写真をつくり上げて変えてしまう、政権にとって都合のいいように変えてしまうという実態を暴露して、こんなことでは困る、自分たちがやめるんじゃなくて社長やめなさい、こういう声明を発表したということを紹介しておりました。この辺は日本で想像する以上に実は大変なことでありまして、この記者の七十人という人たちは大変勇気があると言わざるを得ないし、今の韓国の実情からすればかなり身の危険もあるんだろうと思いますけれども、そういうことがあったという事実を紹介しております。
 したがって、私の判断は、かなり一般的に言われているよりも全斗煥政権の立場は苦しい状態にあるんじゃないかということを感じます。もちろん現地の大使館からいろいろ報告が入っていると思いますからその状況をつかんでおられると思いますけれども、今のような話ということで、アジア局長どうですか、どういう印象を持たれますか。
#252
○政府委員(藤田公郎君) まず最初に、四月十三日に大統領が声明されました現行憲法下での選挙、これがどうなるかというのが第一の御指摘の点かと思います。
 これは、与党自体この候補者の決定というのを恐らく六月ぐらい、報道によりますと予定をされていると思いますし、現在の法律によりますと、十一月二十五日以降四十日ぐらいでございましたか、その間に選挙が行われるわけですが、その十一月二十五日の前二十日間の間に選挙人を選びます選挙というのが行われます。したがいまして、まだ数カ月、かなりの期間ございますし、その間、先生のおっしゃいました方々、新しくできました党、それから新民党、それから従来の第二野党でございました国民党でございますね、韓国の政界内でもいろんな恐らくは動きが出てくるんだろうと思いますし、それ以上私どもとしてとやかく申し上げる立場にはございませんけれども、まさにこの点は、アメリカが言っておられるように、韓国として最初の試みたる平和的な政権の交代というものができるだけ平穏裏に行われるということを期待しているということかと思います。
 第二の、金泳三統一民主党総裁の召喚の問題というのは、これは五月の十五日に許国土統一院長官が声明を出しまして、御承知の新しい金泳三総裁の党の綱領が三つの点で問題がある、特に国家安全法等の関連で問題があるという声明が出まして、詳細御説明する必要ないと思いますけれども、統一をすべでよりも上に置くということでいろいろな動きがあるように承知しております。ただ、私どもの承知しているところでは、この綱領自体は金泳三総裁御自身が直接掲げられたということよりも、若干そうでない、事務局の方が云々ということで、そういうような方向で今何か進んでいるというふうに承知はいたしております。
 ソウル新聞の編集局の方々の声明というのはちょっと私不勉強で承知いたしておりませんでした。
#253
○田英夫君 私が申し上げたいのは、もう大臣がおっしゃったことと全く同じことになるんですけれども、何とかアメリカも南北の緊張緩和、対話の促進ということのために努力をし始めているといいましょうか、従来の態度を変えつつあるのではないかと私は思っているわけですが、そういう中で、ぜひひとつ日本政府も、最も近い隣人として、過去の歴史からも考えてもっと積極的に役割を果たしていただけないものかということを申し上げたいわけです。これは韓国政府との従来からのかかわりとか日韓条約とかいろいろのことがあることも十分承知をしておりますけれども、そういう中で、アメリカさえもと言っては悪いですけれども、日本こそ、過去のこともあり、隣人として大きな役割をもっと積極的に果たす姿勢があっていいのではないかということを申し上げたかったわけであります。
 最後に大臣から一言そういう意味の御感想を聞かしていただきたいと思います。
#254
○国務大臣(倉成正君) 今のアメリカの政策、またアメリカの韓国の内政に関するいろいろな関心等お聞かせいただきましたけれども、御案内のとおり、韓国の国内問題については、やはり原則としてアメリカも、韓国民自身が決定すべきものであるということの前提に立って、友好国として深い関心を示しておるということではないかと思うわけでございます。
 私どもも、ひとつ何とか南北の信頼醸成措置ができないものかということで、先般も、日米とは韓国は国交はございますけれども、中ソとはない、また逆に北鮮の方は日米とはないということでございますから、まあ双方が承認ができるような、バランスをとりながら接近ができないものかということを御提案申し上げたわけでございまして、純粋に私ども、何というか、北と南とがうまく融和できないだろうか、その一つのチャンスはオリンピックじゃないかと思いますので、このオリンピックを一つの契機としてこういうことができれば一番ベターではないかと考えておる次第でございます。
#255
○田英夫君 もう一言ちょっと伺いたいんですが、今オリンピックのことを大臣から言われましたけれども、もう来年の夏過ぎに迫ってきたわけでありまして、そういう中でソウル・オリンピックが本当に平和裏に、しかも円滑に開かれるかどうかというのは、アジアのためにも大問題、世界のためにも大問題、同時にオリンピックそのものにとっても大変なことだと思うんですね。
 ソ連のIOCの委員に会って率直な意見を聞いたことがありますけれども、ソ連にとっては、ロサンゼルスに参加できなかった、そしてソウルにも参加しないということになると八年間のブランクができる。ということは、続けると、その先参加できたとしても十二年間選手はオリンピックに参加できないということになると、これはスポーツ界としては大変な損害になるということを言っておりました。これはもうソ連だけのことではありませんで、参加できないということが起きますと、東西いずれの側にとっても損害、そういう意味でオリンピック自体にとっても大変なことだと思うんですね。
 そこで、これもまた政府自体の問題ではないかもしれませんけれども、七月十四、十五にローザンヌでIOCを交えて南北スポーツ会談があるということを聞いておりますけれども、日本の役割というのがオリンピックということを挟んであるんじゃないだろうか。猪谷千春さんが幸いにしてIOC理事になられたということも含めて、本当にオリンピックを契機に何とか南北の融和ができないものか、こういうふうに思うわけです。これはもちろん政府が公式におやりになることではありませんけれども、何らかの影響を行使してそういう方向をとれないものだろうか、こういう気がしてなりませんが、これについても一言御感想を聞かしていただきたいと思います。
#256
○国務大臣(倉成正君) 一九八八年のソウル・オリンピックにつきましては、私も施設を見てまいりまして、かなり立派に今できつつある、ほとんど完成したところも大分ございますので、これはもうぜひ成功させたいなと思っておるわけでございます。
 これは、御承知のとおり、三回にわたって南北のスポーツ会談が行われているけれども、開催種目をめぐってとか、いろいろ共催の問題であるとかということでなかなか最終合意がいかない。しかし、先生おっしゃるように、七月十四、十五日に第四回のスポーツ会談が予定されておりますし、現在もIOCの努力ということもございますので、我々も、どの範囲のことができるか別といたしまして、最大の努力をしてこれがうまくいくように力を尽くしたいと存ずるわけでございます。
#257
○田英夫君 ありがとうございました。
#258
○委員長(宮澤弘君) 他に御発言もないようですから、六件に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより六件を一括して討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承認を求める件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#259
○委員長(宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#260
○委員長(宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第十三条1の改正の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#261
○委員長(宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百八十六年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#262
○委員長(宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#263
○委員長(宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#264
○委員長(宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、六件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#265
○委員長(宮澤弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#266
○委員長(宮澤弘君) 次に、文化交流に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセルで作成)の締結について承認を求めるの件、原子力事故の早期通報に関する条約の締結について承認を求めるの件、原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約の締結について承認を求めるの件、多数国間投資保証機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定附属書を改正する議定書(千九百八十六年)の締結について承認を求めるの件、国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上九案件を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。倉成外務大臣。
#267
○国務大臣(倉成正君) ただいま議題となりました文化交流に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 我が国とソビエト社会主義共和国連邦との間では、昭和四十七年及び昭和四十八年に署名された交換公文に基づき、学者及び研究者の交換、政府広報資料の配布等の文化交流が行われてきております。両国政府は、このような文化交流をさらに拡大するための両国政府間で包括的な内容を持つ文化交流に関する協定を締結することとし、交渉を行いました結果、昭和六十一年五月三十一日にモスクワにおいて、両国政府の代表者の間でこの協定の署名を行った次第であります。
 この協定は、相互主義に基づき、文化、教育及び学術の各分野における両国間の交流を奨励し、促進することについて規定し、このような交流の実施を確保するため、展示会の実施、学者等の交換、政府広報資料の配布、文化交流委員会の設置等の規定を含んだものであります。
 この協定の締結により、従来から種々の形で行われてきた両国間の文化交流が相互主義の原則に基づき拡大均衡の方向でさらに促進されることが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセルで作成)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約及び改正議定書は、それぞれ、昭和五十八年六月及び昭和六十一年六月にブラッセルで開催された関税協力理事会総会において採択されたものであります。
 この条約は、統一された品目表を定めるとともに、各国の関税率表及び統計表をこの品目表に適合させることについて規定しており、また、改正議定書は、この条約の発効要件について規定しております。
 我が国がこの条約及び改正議定書を締結することは、国際的に統一された品目表を確立する努力に寄与し、世界貿易の発展に貢献するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約及び改正議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、原子力事故の早期通報に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、昭和六十一年四月のチェルノブイリ原子力発電所の事故を契機に、東京サミットでの提唱を受けて国際原子力機関の場において作成作業が進められ、昭和六十一年九月二十六日にウィーンで開催された同機関の総会の特別会期において採択されたものであります。我が国は、本年三月六日にこの条約に署名いたしました。
 この条約は、国境を越える影響を伴う原子力事故が発生した場合にその影響を受けまたは受けるおそれのある国が事故に関する情報を早期に入手できる制度を設けるものであり、条約の対象となる事故の範囲、通報義務、提供される情報の範囲等について規定しております。
 我が国がこの条約を締結することは、原子力の開発及び利用における安全のための国際協力の強化に積極的に貢献するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、原子力事故または放射線緊急事態の場合における援助に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、昭和六十一年四月のチェルノブイリ原子力発電所の事故を契機に、東京サミットでの提唱を受けて国際原子力機関の場において作成作業が進められ、昭和六十一年九月二十六日にウィーンで開催された同機関の総会の特別会期において採択されたものであります。我が国は、本年三月六日にこの条約に署名いたしました。
 この条約は、原子力事故または放射線緊急事態の場合において援助の提供を容易にするための国際的な枠組みを定めるものであり、援助の提供、経費の償還、特権及び免除等ついて規定しております。
 我が国がこの条約を締結することは、原子力の開発及び利用における安全のための国際協力の強化に積極的に貢献するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、多数国間投資保証機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、国際復興開発銀行における検討の結果、昭和六十年十月十一日にソウルで作成されたものであり、我が国は、昨年九月十二日にこの条約に署名しております。
 この条約は、開発途上国への生産的目的のための投資の流れを促進するため、非商業的危険を扱う既存の投資保証制度を補完する機関として多数国間投資保証機関を設立することを目的としており、同機関の設立、その目的、資本、業務、組織及び運営等について規定しております。
 我が国がこの条約を締結することにより同機関に加盟することは、開発途上国における経済開発のための国際協力を積極的に推進しようとする我が国の外交政策に合致するものであり、また、我が国と開発途上国との友好関係を増進する見地からも重要な意義を有するものであります。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、昭和六十二年二月にジュネーブで作成されたものであります。
 この議定書は、関税及び貿易に関する一般協定のもとで合意された我が国の関税率の表を商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約に定められた品目表に沿って整理し直したものにかえることについて規定しております。
 我が国がこの議定書を締結することは、貿易実務の迅速化及び関税交渉の効率化に資するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、民間航空機貿易に関する協定附属書を改正する議定書(千九百八十六年)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、民間航空機貿易に関する協定附属書に掲げられている三種類の対象産品の表を、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約に定められた品目表に基づく表にかえることについて規定しております。
 我が国がこの議定書を締結することは、民間航空機貿易の発展に寄与するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について御説明いたします。
 昭和六十五年に大阪市で開催される予定の国際花と緑の博覧会につきましては、国際博覧会に関する条約第十二条の規定により、開催国は、政府を代表する国際博覧会政府代表を任命することになっておりますので、日本万国博覧会、沖縄海洋博覧会及び国際科学技術博覧会の際における先例に徴し国際花と緑の博覧会政府代表を臨時措置法により設置し、その任務、給与等について所要の事項を定める必要があります。したがいまして、今回提案の法律案のごとく、外務省に、特別職の国家公務員たる国際花と緑の博覧会政府代表一人を置き、条約及び条約第二十七条の規定に基づき制定された国際花と緑の博覧会一般規則の定めるところにより、国際花と緑の博覧会に関するすべての事項について日本政府を代表することを任務とする政府代表の職を設けることとした次第であります。また、この政府代表がその任務を円滑に遂行することができるよう、それぞれの関係各省庁の長が、必要な国内的措置をとることが適当でありますので、法案中にその旨を規定することとしました。
 さらに、本法案においては、政府代表の俸給月額、代表の任免手続等について定めているほか、本法律案中には附則として博覧会が終了した後、一年の期間を経過しますと失効する旨の規定を設けております。
 以上が、この法案の提案理由及びその概要であります。
 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、日米両国を取り巻く最近の経済情勢の変化により、在日米軍経費、なかんずく労務費が急激に逼迫してきている事態にかんがみ、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果的な活動を確保するため日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を締結することにつき、昭和六十一年十二月以来米国政府と交渉を行った結果、昭和六十二年一月三十日に東京において、我が方本大臣と先方マンスフィールド駐日大使との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定の主な内容としまして、まず、我が国は、この協定が効力を有する期間、在日米軍従業員に支給される調整手当等に要する経費の一部を、当該経費の二分の一を限度として負担することとしております。我が国が負担する経費の具体的金額は、我が国の会計年度ごとに、我が国がこれを決定し、右決定を米国に対し速やかに通報することとなっております。また、この協定は、一九九二年三月三十一日まで効力を有することとされております。
 なお、右を踏まえ、政府は、六十二年度政府予算案において、所要経費として百六十五億四百万円を計上しているところであります。
 この協定の締結は、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持及び在日米軍の効果的な活動の確保に資するものであると考えております。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上、法律案一件、条約八件につき、何とぞ慎重に審議の上、速やかに賛同、御承認あらんことをお願いいたします。
#268
○委員長(宮澤弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 九案件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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