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#1
第108回国会 本会議 第5号
昭和六十二年二月四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  昭和六十二年二月四日
   午前十時開議
 第一国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、宣仁親王殿下薨去につき弔意を表する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 宣仁親王殿下には、昨三日薨去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、院議をもって同殿下に対し弔詞を奉呈することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 同殿下に対する弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 大勲位宣仁親王殿下にはにわかに
 薨去あらせられました まことに
  哀悼に堪えません
   参議院はここに恭しく
  弔意を表し奉ります
     ―――――・―――――
#5
○議長(藤田正明君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。黒柳明君。
   〔黒柳明君登壇、拍手〕
#6
○黒柳明君 皆さん、おはようございます。
 公明党・国民会議を代表しまして、総理、関係閣僚に質問いたします。
 質問に先立ちまして、高松宮宣仁殿下の御逝去に対し心から哀悼の意を表します。
 質問に入ります。
 総理、あなたは、御自身でお買い物をするというふうなことはないと思いますが、デパートの屋上から大きな垂れ幕が出ております。車の中からあるいはごらんになったことがあるかと思いますが、「大型間接税(新税)に反対しよう」。これはただ単に百貨店協会の売上税に対する反対の声だけではありません。国民の大多数の声を反映しているものだと思います。
 ちなみに、私は、全国の有権者二千名の方に売上税導入の賛否についてアンケート調査してみました。「反対」が千六百三十四名、「賛成」がわずか七十六名、「内容が解らないので何とも答えられない」が百八十六名。八一%の方が売上税に反対であります。賛成はわずか三・八%。
 総理、御多忙ですからしようがないと思いますが、総理は国民の皆さん方にこの売上税についてしかに賛否の声を聞いたことがあるでしょうか。また、総理、政治家としまして、町内会とか商店会あるいは業界の新年会の宴会に今までも御出席になったことがあるかと思いますけれども、本年の新年会の様子はどうだったか御存じでしょうか。各業界がこぞって売上税に反対する中で、自民党の議員さんが御出席なされて、苦心をしながらあいさつしている姿を私は幾多見聞きしております。中には、もうことしから自民党は呼ばないと――これは私が言うんじゃないんです。業界の方がおっしゃるんです。済みません。こういう業界も出ております。
 ちなみに、私は二百十六業界につきまして売上税の導入の賛否をアンケート調査いたしました。「反対」が百二十五業界、内容がわからないから「検討中」が八十八業界、「賛成」は、総理、わずかの三業界ですよ。しかも、これも導入後経過を見るという条件つきの賛成です。
 総理、こういう実態を御存じですか。まず、こういう事態というものをどう認識されているか、私は総理にお尋ねしたい。
 十九日、自民党の全国幹事長会議が行われた。そこで各地方の幹事長さんから売上税に対しての反対の声が続出して、このままでは統一地方選が戦えませんよ、こういう声が多かった、こう私は承知しております。きょうここにお集まりの自民党、与党の議員さん百四十三名、欠席が十名ぐらいいらっしゃいますか、約百三十名の方、皆さん方が選挙区に行きまして、選挙民また国民の皆さん方に、売上税は皆さん方のためになりますよと胸を張って堂々と言える方は何名いらっしゃいますか。これは心臓の強い方がいっぱいいらっしゃいますので、次期総理候補だと思います。
 総理大臣は、国民の皆さんが反対するものはやらない、自民党の反対するものはやらない、こうおっしゃいました。国民の皆さんは売上税に大反対です。現に自民党の中でだって反対が渦巻いているじゃないですか。その中において、売上税を導入しよう、こういうわけであります。再三、総理大臣は、売上税導入は撤回しない、こうおっしゃっておりますが、万が一、この売上税を導入した後、野党が追及しているような事態が起こったとき、総理はその責任をどうとりますか。議員の職を辞しても私はこの売上税導入に自信がある、こういう自信を持っているのか、責任を持っていらっしゃるのか、その点を私はお伺いしたい。
 総理は、多段階、包括的、網羅的、投網をかけるような方法はやらない、こうおっしゃっておりますが、この売上税こそ、どんな富裕階層にも、あるいはどんな課税最低限所得階層にも、消費に応じひとしく課税されるという、まさに張りめぐらされた投網をかけられるような大衆課税そのものです。これでどうして公約違反ではないと言い切れるのかどうか。私は非常に疑問です。総理の明確な答弁をお伺いしたい。
 昨年七月の同時選挙のとき、国民の皆さん方はこのような税制改悪が行われるという前提で三百四の自民党の議員さんをつくったわけではありません。また、GNP一%を突破する、こういう前提で選挙に臨んだわけではありません。
 総理大臣、今ここで防衛費、そして税制に対して重大な政策の変更をしたわけであります。であるからには、この可否について国民の皆さん方に信を問うべきではないかと私は思うんですが、総理の御意見をお聞かせいただきたい。
 私は、最近の総理大臣の政治行動を見ていますと、あのテレビ映画の「水戸黄門」に出てくる悪徳代官とオーバーラップしてしようがないんです。弱い農民や町民をいじめにいじめて、それでもなおかつ高い年貢、税金を取り立てる。中曽根さんとよく似ていませんか。マル優廃止、老人保健法改悪、公共料金の相次ぐ値上げ、それでも懲りずに売上税の無理押し。これでは国民もたまったものじゃありません。
 しかし、「水戸黄門」の結末はどうなるか、御存じですか。最後は三つ葉葵の印籠が登場するんです。中曽根総理、頭が高い、控えろ、こうなるんです。それでは、現在この印籠を持ってあらわれる人はだれですか。国民の皆さん方です。
 私は、この場をかり、テレビを通じて国民の皆さん方にお訴えしたい。日本国憲法が保障する平和と基本的人権を守るため、今、中曽根内閣が強行しようとしている売上税導入、GNP一%突破、これを阻止するために、民主主義の原点であります主権在民のこの力を行使して中曽根内閣と闘おうではないでしょうか。ぜひ国民の皆さん方の御理解、御支援をちょうだいすることを心からお願いする次第でございます。
 次に、なぜ売上税がだめなのか、十項目に分けてその欠点を指摘したいと思います。売上税十大罪状について明らかにしたい。売上税の内容を検討すればするほど、これがいかに悪法であるか明確になってくるのでありますが、私は、総理が改革のスローガンとして掲げた公平、公正、活力、簡素化、選択等の各項目を売上税に当てはめ、以下、売上税の十の罪状を明らかにしたいと思います。
 まず第一は、公平についてであります。
 クロヨン問題を放置して、利子課税で金持ち減税を行う一方、売上税によって新たな不公平を拡大しようとしております。総理並びに大蔵大臣は、税制面からの所得再配分の機能を売上税の導入をもって放棄しようとしているのかどうかをまずお伺いしたい。
 第二は、公正の問題であります。
 複雑きわまる売上税導入に当たって、政府は六百人の国税職員を増員することとしておりますが、課税物品が限定されている物品税についても、現在六%の実調率であることから、当然、直接税担当の職員を売上税の方へ充当せざるを得ないと思われます。現在、法人税で一〇%、所得税で四%という実調率しか確保できず、申告漏れや所得隠しが横行しております。私は、徴税職員をやみくもにふやして徴税国家のそしりを受けることは許されるべきではないと思いますが、現状で売上税を導入して課税の公平さを保てるとはどうしても思えません。総理の納得のいく答弁を求めます。
 第三は、簡素化についてであります。
 大型間接税を日本的付加価値税、そして売上税と名称を変えただけでは、その複雑さにおいては類を見ない税であることに変わりはありません。公約違反の追及を免れるために、非課税取引や売上高一億円以下の非課税企業を設けようとしておりますが、そのために複雑さはさらに倍加し、企業は税理士や公認会計士の手を経ずして、みずからの企業の納付すべき税額さえ把握できず、今まさに混乱状態に陥っているではありませんか。円高不況のもとでコストの縮減が至上命令とされているときに、売上税納税のために新たに人を雇わなければならないという実態を総理はどのように認識されているか、お伺いしたい。
 第四は、選択についてであります。
 総理が参考にされたという米国の税制改革では、当初導入を予定していた付加価値税が、国民の世論によって法案作成段階以前に撤回されました。まさに民主主義的手法による選択が行われたのであります。ところが、我が国での売上税の導入は一党独裁的手段によるもので、国民の選択の余地は初めから否定されております。さらに、従来の個別消費税のもとでは、課税物品は購入しないという選択が可能でありましたが、売上税は、非課税物品といえども、その前段階でかけられた税額を消費者は負担しなければならず、全く選択の余地のない性格のものであります。消費しなければ課税されないというのは詭弁であると言わざるを得ません。改めて売上税導入と選択との関係について総理の見解を求めたい。
 第五は、活力についてであります。
 長期化する円高不況に対処するための財政面からの出動が思うに任せぬとき、民間活力を活用することには全く異論はありません。ところが、売上税の税額部分が物品に上乗せされ、さらに便乗値上げが生じることも否定できません。当然のこととして、消費者の買い控え、企業の活動意欲の減退が予測されるのであります。内需拡大が今こそ必要なとき、あえて日本経済の活力を大きくそぐようなことになると思いますが、いかがでしょうか。
 第六は、中立性についてであります。
 政府・自民党は、非課税企業が存在することにより一物二価は生じないと説明しております。しかし、それは特定の取引の例にすぎず、ほとんどの場合は明らかに一物二価が生ずるのは理屈の上からも当然であります。税は経済に対して中立性を保持すべきことは古くからの課税原則とされており、EC諸国に倣って非課税企業にゼロ税率を設ければこれを貫けるにもかかわらず、あえてそうしなかったのは税収減につながるからにほかなりません。各取引段階の納税者である企業に無用の混乱を与え、売上税の負担者である消費者が多大な迷惑をこうむることとなる現象は断固として排除すべきでありますが、納得のいく答弁を求めます。
 第七は国際性についてであります。
 対外摩擦解消の一環として製品輸入の増加に努めるべきとき、製品値上げにより輸入減となることは火を見るよりも明らかでございます。また、輸出品には売上税がかけられず、輸出先での課税いかんによるわけでありますが、EC諸国は別として、対米輸出の場合、米国では大型間接税を採用していないことから新たな火種となることも明らかであります。この事態にどう対処されようとしているのか、総理大臣の明確な答弁を願います。
 第八は、物価への影響についてであります。
 我が国の経済運営において多少なりとも胸を張れるのは、今では物価だけではないでしょうか。しかし、金余り現象はここ当分続き、何かのきっかけによりインフレが触発される危険は常に内在していると言わなければなりません。昨今、都心部の土地の狂乱的な急騰はその予知的現象と言うべきであります。売上税の税額部分の価格の上昇に加え、便乗値上げも否定できないとあれば、これをきっかけにインフレが生じるおそれは大と見なければなりません。売上税導入によってもインフレは生じないという自信を持っておられるのかどうか、総理に確認しておきたい。
 第九に、税率のエスカレート化についてであります。
 一たん導入されれば、次々に税率を引き上げ、国民の負担は際限もなく拡大されるおそれがあります。EC諸国においても、ほとんどすべての国において導入された後、次々に税率が引き上げられ、二けた台となっているのが実情であります。自民党税調においても、山中会長は二段ロケット論を展開し、財政収支を均衡させるための増税が近い将来あり得ることを明らかにしております。このことは、これまでの増税なき財政再建の行革路線から大きく踏み出し、増税による財政再建への道を突き進むことを示したことになると思いますが、総理、いかがでしょうか。
 最後、第十に不明確性についてであります。
 つまり、売上税自体の具体的な詰めがないままに売上税が法案化されようとしていることであります。百六十万有余の法人、四百五十万の個人企業は、仮に来年一月から売上税が導入されるというつもりで、今からその対応を図るべく各般の準備をしようにも、具体的な内容が不明なんですから、売上税の全容をつかめず、個々の取引への対応はなし得べくもありません。私は、仮に百歩譲って売上税を実施するとしても、今まで挙げてきた数々の問題を解決した上で、根本的な練り直しをし、そして明確な売上税の全体像を明らかにし、その後少なくとも一年間の準備期間を設けるべきであると主張しますが、総理、いかがでしょうか。
 以上、売上税の十の罪状を列挙しましたが、おのおのについて明確な答弁をお願いいたします。
 売上税について質問を続けます。
 一、年収四百五十万円層のサラリーマンの負担を大蔵省は三万八千円とはじいておりますが、民間研究所の試算では、教育費、食料費などで二万二千円、教養娯楽費など加えると六万三千円になると言っております。また、消団連試算では、世帯主年齢四十四歳、四人家族で年収五百二十万円、この家族で月平均支出三十六万三千円、売上税の負担増は月額一万四千円、年額十六万八千円と試算しております。大蔵省の試算は、売上税見積もり分が少なく、物価上昇を低く見ているのではないでしょうか。
 二、教育費は、幼稚園から各種学校までの授業料などは非課税だが、今や当たり前となっている塾通いなどの補習教育や教材費、輸入図書等は課税対象となり、値上げは必至で、さらに家計簿を圧迫する要因になるのではないでしょうか。
 三、建築工事については、売上税が適用されることにより、都市再開発などに対する意欲が損なわれることが懸念されます。立ちおくれの著しい住宅、社会資本等の整備を促進し、内需の拡大に資するため、その推進に大きな役割を担っている建築、土木工事の請負等についても大きく負担がかかってくることになると思うが、どうでしょうか。
 四、マンションの場合、既に買ったものでも管理費や修繕積立金には売上税がかかってまいります。私の調査では、両方合わせて、一カ月、現在、一万六千円ですが、それが一万六千七百七十四円になるとそろばんをはじいております。また、賃貸料は非課税ですが、仲介の不動産業者が年間一億円以上の売り上げがあれば、その業者への礼金に売上税がかかってまいります。そのことにより管理費等の値上げは必至と思うが、いかがでしょうか。
 五、NTTへの売上税適用は一年間猶予されましたが、六十一年度のNTTの売り上げは五兆一千億円、その五%の二千五百億を売上税で持っていかれると経常利益の七割が消えることになり、その結果、市内、近郊電話料金がやがて値上げということになりませんでしょうか。
 六、売上税は相当の限定性を持っていると言いますが、相当な限定性の一つである非課税業者について、他面、それが取引上不利であれば課税業者の道を選択できると強調しています。しかし、自動車業界などは、下請に対し、非課税業者と取引しないよう指導し始めていると、こう承っておりますが、これはまさに相当の限定性の形骸化につながるものでないでしょうか。
 七、自動販売機で百円で売っている缶ジュース類は、缶だけ課税され、中身は非課税。たかだか一円か二円の課税額ですが、コイン一枚で買える便利さが受けているのに、百一円とか百二円とかの半端な値段で売れるわけがありません。この分はどこに負担がいくんでしょうか。
 八、売上税は物だけではありません、サービスにもかけられます。銀行の取り扱う各種手数料、また銀行、信託会社が発行しているカード発行手数料にも一斉に売上税を課することになるということは、見事な投網のかけ方であり、まさに一網打尽と言う以外にありません。この面でも明らかに総理が言う投網論と一致すると思いますが、いかがでしょうか。
 九、売上税の導入は、免税点を撤廃し、低料金でも根っこから課税することになります。すなわち、入場料は、本来、入場税そのものを撤廃すべきであるのに、料金の高低にかかわらず売上税を課税すると、昭和六十年度三十三億一千万余の入場税が、何と五倍近い百五十億円にもはね上がり、観客の負担増につながり、文化国家として文化の振興を阻害する悪税ともなるが、見解を伺いたい。
 十、食料品は非課税だが、缶、瓶、容器、包装紙等は課税され、またメーカー段階でも、資材、消耗品、電力、機械設備などには前段階の売上税が含まれると、仕入れ税額分のコスト化が累積する結果、末端小売価格はアップされ、食料品は非課税だから値段は上がらないと、こう単純に言い切れるものではありません。この矛盾をどう説明されますか。
 十一、業者間の各取引段階では税額票によって税額が明示されることになっています。しかし、最終的に消費者の手に渡るときは、税額が幾らであるとの表示がなされないことになっているようであります。しかし、実際に売上税を負担するのは消費者なのであります。その消費者が、幾らの税を負担したかがわからないような仕組みをとるというのは、まさに財政民主主義に反する税制だと言わなければなりません。総理並びに大蔵大臣の明確なる答弁を伺いたい。
 我が党は、既に不公平の是正を優先する納税者の立場に立った税制改革を行うべきことを表明いたしました。これによって、増減税の規模は、所得税と住民税の減税二兆三千億円、法人税減税一兆二千億円、合計して三兆五千億円で、その財源は、所得減税についてはグリーンカード復活による利子配当所得の総合課税化やキャピタルゲイン課税の強化、医師優遇税制の適正化等、また法人税減税の財源は、貸倒引当金や退職給与引当金の見直し等、現行の法人課税の不合理や不公平を是正することにより、これに充てるに十分なのであります。マル優を廃止し、売上税を導入しなければ、所得税や住民税の減税ができないというのは、国民を欺く暴言と言わざるを得ません。増税による軍国化への道を進まないため、私はここに売上税導入の撤回を重ねて強く要望します。総理、大蔵大臣の所信を求めます。
 次に、防衛問題について伺います。
 防衛費の総額明示方式は、歯どめどころか、今後の防衛費の増強を可能にする前提づくりと見ざるを得ません。五十一年度の閣議決定以来守られてきた一%枠は、専守防衛、非核三原則とともに、我が国が軍事大国にならないという重要なあかしでした。そのGNP一%を国民に何の説明もないままに撤廃したことは、まさに中曽根政治のおごりであり、暴挙です。
 中曽根総理、あなたはGNP一%枠は守りたいと言い続けてきたではありませんか。この撤廃は、売上税の導入と同じく、公約違反であることは明らかであります。十年以上にわたって遵守され、国民の間に定着しているGNP一%は、我が国の諸外国に対する一種の国際公約の役割を果たしてまいりました。しかもGNP一%は、平和憲法に立脚した平和国家の理念を明快に映し出しており、それを安易に破ることは、平和国家の精神にもとると言わざるを得ませんが、この点、総理はどう考えているか伺いたい。
 さらに、日本国憲法の前文は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあります。すなわち、安全保障を武力によらぬ相互信頼に託す、積極的な国際友好を志向しているのであります。この憲法を遵守するという最高義務の上に立っても、GNP一%枠の撤廃は思いとどまるべきではないでしょうか。
 また、第一に、中期防衛力整備計画期間中の防衛費総額は十八兆四千億円と言われているが、これはあくまでも六十年度価格という限定つきです。しかし、その額をもとにして試算しても、毎年五・四%もの防衛費の伸びが必要となっております。これに「展望と指針」で予想されている物価上昇率二、三%を含ませると、六十一年度から五年間の防衛費総額は十九兆八千億円余にもなります。しかも、防衛庁は、これ以外にも自衛官等のベースアップ分や売上税などは考慮されていない旨を公言しております。総額明示方式と言いながら、十八兆四千億が一体どのくらいの額になるか明確にできないで、何で防衛費に対する歯どめになると言えるのですか。今ここで上限となる総額を明確にすべきです。そうでなければ、総額明示方式とは、防衛費の歯どめの額というより、五年間にわたり防衛費の実質的伸び率五・四%を保証したものにすぎないと言わざるを得ないのですが、どうでしょうか。
 第二に、防衛費の肥大化の要因として後年度負担額の増大があります。六十二年度政府予算案では、後年度負担額が二兆六千億円余となり、防衛費の七四%に達する額となっております。この額は、五十八年度防衛費を超している額です。後年度負担は、次年度以降の防衛費を肥大化させるとともに、防衛費を削減させにくくするなど防衛に対する予算的なコントロールをきかなくさせるものであります。各年度の防衛費をGNP一%以内にするという歯どめを取り去った今、後年度負担にいかなる歯どめをかけられるのか、明確なるお答えをお聞かせいただきたい。
 第三に、閣議決定の第三項はどう理解したらいいんでしょうか。国際情勢、経済財政事情を勘案し、さらなる防衛費の増加もあるというのでしょうか。
 第四に、一次防以後、どんどん防衛費がふえてきました。その年次防方式に戻るということは今後の防衛費が青天井化すると見ざるを得ないと思いますが、どうですか。
 第五に、これまでのGNP一%遵守の姿勢が、自衛隊に対する国民の支持率が八〇%までに高まった理由の一つと見るが、総理の認識はどうですか。
 第六に、GNP一%突破について近隣アジア諸国は深い危惧の念を抱いているが、政府は、このような予算がアジア諸国との友好関係に役立つと思うかどうか。
 第七に、先日、アメリカの上院の公聴会においてシュルツ国務長官は、GNP一%問題につき、日本やアジアには日本が再び軍事大国になることへの大きな懸念があると強調し、むしろ海外経済協力を増強することを希望しているが、これについて総理はどう受けとめておりますか。
 最後に、防衛費はGNP一%枠を守るべきであり、本予算を修正すべきであると主張しますが、総理の明確なる答弁を伺いたい。
 次に、在日米軍駐留経費の増額、いわゆる思いやり予算について伺いたい。
 一、思いやり予算は、大平内閣より毎年エスカレートされて総額九百四十億円になりました。この予算の支出の根拠は何か、明確にしていただきたい。
 二、この思いやり予算は、支出の根拠も不明確のまま増額することは、今後、防衛費同様、青天井になるおそれがあります。この予算も歯どめが必要ではないのでしょうか、どうでしょうか。
 三、今回、日米間で取り決められた在日米軍労務費百六十五億円は、本来、地位協定を変更すべき性格のものであります。なぜ地位協定を変更せず、特別協定で支出しなければならなかったのか伺いたい。
 四、特別協定は五年間の時限協定とするとされているようですが、一たびこのような特別措置がなされれば、もとに戻すことはできないのではないかと危惧します。五年間とした理由、及びこの五年間で、今回、特別措置をとらなければならなかった事情が解決するとの見通しがあってのことか、少なくとも特別協定は再延長しないと断言できるか伺いたい。
 次に、ハワイで行われました日米事務レベル協議において、戦術、情報、後方支援など両国のインターオペラビリティーを強化するために、日米の共同研究をさらに本格化することで合意されております。しかし、世界的規模で作戦を展開している米国と作戦構想の面までも相互運用性を図ることになれば、平和憲法のもとで専守防衛に徹する我が国の防衛政策の自主性が損なわれるおそれはないでしょうか。
 また、インターオペラビリティーと日米共同訓練とは車の両輪であるとの指摘がなされておりますが、その共同訓練は、昨年初めて統合実動演習が行われるなど新しい展開を見せている中で、今回の強化によって一段と共同訓練がエスカレートし、集団的自衛権の行使を前提とする訓練まで行われるおそれはないでしょうか。我が国と外国との共同訓練には、おのずから質的、量的な限界を持つべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、エイズについてお伺いします。
 エイズは、今や二次感染を起こしかねない深刻な事態を迎えており、緊急かつ重大な問題であります。
 我が国は輸入血液の約九〇%を米国より購入しているが、この血液提供者の中には多くのエイズウイルス保有者がいたと思われます。その証拠に、この輸入血液製剤を使用した血友病患者の中から十四人のエイズ患者が見つかり、既に十一人の方がお亡くなりになっております。政府は、患者全体のエイズウイルス保有者の数を把握しているのかどうか。
 また、国内においても、六十一年度日赤の献血二百五十万検体の中から十一件のエイズウイルスが発見されております。検査体制が確立される以前、すなわち昭和五十六年から六十年まで約七百七十万リットルの血液が採取され、輸血に使用されているんですが、これについても追跡調査をすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 総理、あなたは昨年十一月の参議院予算委員会において、エイズ対策にはお金は幾らでも出しますと発言しております。昭和六十二年度予算のエイズ対策費は、わずか九億五千五百万円しかついておりません。しかも、一番大事な調査研究費はわずかの一億五千万余です。これで十分な対策と言えますでしょうか。至急、本予算を修正し、万全な対策をとるべきであると思うが、いかがでしょうか。
 六十二年度の総務庁のテレビ、ラジオを通じての広報予算は、四十億円使っております。エイズに関する予算はゼロです。担当者は頭を痛めているんです、事務当局は。この扱いは全くおかしいんじゃないでしょうか。これでは、総理がエイズに対する積極姿勢を見せても、まさに口先だけの詭弁と言わざるを得ません。その意味からも、速やかに本予算を修正して増額すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、一昨日、厚生省感染症対策室が監修で、「エイズってなあに?」、こういうパンフレットを、厚生大臣、出しました。このパンフレットをあけます。すぐ目につくのは、「とても心配なら相談や検査は簡単にうけられます。」
 総理、今、エイズの血液検査が簡単に受けられると思いますでしょうか。厚生大臣は実情を御存じでしょう。簡単に受けられません。地方自治体の保健所、そして公立病院が採血する、そして検査する体制に全くなっておりません。その中で東京都だけは、これはしっかりしています、我が党も東京都の与党の一部を担っておりますから。五つの都立病院では採血を実施しております。そして多摩方面の保健所でも実施しております。ただ、残念ながら、その先行している東京都でも、都立病院に行きますと、採血は一カ月から二カ月予約を待たなければなりません。殺到しているんです、検査の人が。そういう状況でこのパンフレットが国民の皆さん方、関心のある皆さん方に出回っております。そして、簡単に受けられる、そんなことないじゃないかと、こうなると、なお混乱を招くんですが、ひとつ過ちは早く改めていただきたい。特に厚生大臣にお願いする次第であります。
 最後に、エイズに関する正しい知識の普及、予防、衛生教育の強力な推進、検査体制の充実強化、と同時に、届け出伝染病またはそれに準ずる取り扱いをするような立法措置を速やかにとるべきであると思いますが、総理の見解を伺いたい。
 次に、外交問題についてお伺いします。
 初めに、世界の平和と安定にとり米ソ関係世基本的な要素と言えます。昨年十月のレイキャビク米ソ首脳会談では、軍備管理、軍縮を初めとする諸問題に進展の兆しが見られたが、結局、具体的合意を得られませんでした。軍備管理、軍縮問題を中心とする米ソ関係の今後の見通し、また、我が国としては何をなすべきか、外務大臣、お伺いいたします。
 二、一月初め、外務大臣の大洋州訪問は、オーストラリア、ニュージーランドばかりでなく、フィジー、パプアニューギニアといった太平洋の小さな島嶼国家を訪問し、またフィジーにおいて、我が国の太平洋島嶼国に対する包括的政策につき表明したという点で画期的なものでありました。かかる新しい政策は、まことに時宜にかなったものと思います。私は褒めるべきことはきちっと褒めます。今後さらにこれを外務省としてはどう進めていくのか、教えていただきたい。
 三、今日、我が国の膨大な貿易黒字は、諸外国との関係において深刻な摩擦を引き起こしております。また、我が国は経済大国になったが、国際社会への貢献が十分であるとは言えません。かかる状況にかんがみ、我が国は今後一層国際社会との調和に努め、また世界に貢献すべきと考えますが、外務大臣の所見を求めたい。
 四、我が国のSDI研究参加について、米国との話し合いはどうなっているんでしょうか。また、ワインバーガー国防長官は、開発と第一段階の配備について決定する日が近いと言っていますが、それに対する我が国政府の姿勢はどうなのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、雇用対策、円高不況についてお伺いします。
 まず第一に、今後の雇用・失業情勢の見通し、特に失業率はどのくらいに抑えるつもりなのか、お伺いしたい。
 第二に、緊急雇用対策の目玉とされる三十万人雇用開発プログラムの実施といっても、純然たる雇用開発は十一万五千人にしかすぎません。これで「雇用冬の時代」に万全と言えるかどうか、明確な答弁を伺いたい。
 第三に、円高不況のもと、中小企業の倒産は昨年だけでも六百二十三件に上っております。しかし、来年度予算での中小企業対策費を見ると、一般会計と産投会計を合わせて辛うじて、昭和五十七年度以来の、前年度比増がわずか〇・一%ということですが、我が国中小企業の窮状を考えると、余りにも実体のない対策費ではないでしょうか。これで十分であると考えますか。また、今後の中小企業、円高不況対策の政府の方針を伺いたい。
 第四は、企業の海外進出による産業空洞化問題です。某銀行の海外直接投資のアンケート調査によると、四割近い企業が海外進出を考えているという結果が出ています。政府はこの結果をどう受けとめているか、また、今後の対応もあわせて伺いたい。
 第五に、さらに、今まで国際化という言葉には縁のなかった下請中小企業は、円高の影響による取引先の親企業の海外進出に伴い、国際化への決断を迫られるという新たな局面に対応せざるを得ない状況にもあると言えます。親企業に追随できなければ受注量は減少し、その経営維持さえ難しくなります。経営が圧迫されれば当然人員削減の問題が生じ、下請中小企業の従業員の雇用不安といった事態も生じてくることになるが、政府は中小企業の国際化という現象をどうとらえているか、また、国際化に伴う下請企業の影響と対応策をどう考えているか、お伺いしたい。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 最近の農業をめぐる諸情勢は八万ふさがりの状態になっております。すなわち、対外的にはこれまで聖域視されてきた米にまでアメリカ等から市場開放の強い要求が出てきております。総務庁は、農協は営農指導を怠っているとし、農業協同組合の業務全般に及ぶ異例の行政監察を行うことを発表しました。しかし、総務庁には民間法人である農協を直接監督する権限がないんです。農協のどの部分を行政監察しようというのか、この際、明らかにしていただきたい。
 次に、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」と題する農政審議会の報告書は、理念的には農政の向かうべき方向を定めているものの、具体策となるといま一つ不透明であります。総理は、何をどう大幅改革していくのか、具体的に明らかにしていただきたい。また、最近問題となっている米等の内外価格差や米管理のあり方をどのように改めようとしているのかもあわせてお伺いしたい。
 また、政府は、今国会に食管法改正案を提出し、麦の算定の見直しを図る考えでいるようでありますが、問題の米について触れないのかどうか、今後の対応を含めて御所見をお伺いいたします。
 次に、婦人問題について質問いたします。
 まず、総理は昨年、天の三分の二は女性が支えていると女性を高く評価しておりますが、婦人問題企画推進本部長として、国連婦人の十年以降、この差別解消にどう取り組まれるのかお伺いしたい。
 第二に、雇用機会均等法が昨年の四月に施行されました。ところが、リクルートの調査によると、六十二年三月、大学、短大卒業者の採用計画では、上場企業の六割に当たる六百九十社の大企業が、女子採用予定数が何とゼロというひどい状況にあります。さらに、一向に改善されないのが男女賃金格差です。昭和五十年は六一・四%であり、十年後の六十年は五九・六%と、全く改善されておりません。このような女子差別の実態をどう考えるか。
 第三に、雇用不安が真っ先に及ぶのがパートで働く婦人労働者であり、内職で生活を守る婦人の方々です。先般、交通遺児育英会が実施した遺児家庭の生活と教育調査によると、今回の不況の影響が自分の仕事に及んだとする母親が六割に上っております。しかも、これらの母子家庭の平均月収は、平均給与の四六・一%にしかすぎません。厳しい生活を強いられている方々であります。これらの交通遺児家庭を含む母子家庭の収入を確保する雇用対策こそ温かい政治的配慮が必要と思いますが、どうでしょうか。
 次に、指紋押捺問題です。
 このたびの外国人登録法改正案は一歩前進と評価しますが、この際、せめて永住権を持つか、日本で生まれ一定の居住歴を持つ定住外国人については、国籍を問わず指紋押捺制度を廃止するとともに、外国人登録証明書常時携帯義務についても、一時的在留居住者の旅券所持義務と別個に取り扱い、大幅に緩和すべきではないかと考えますが、どうですか。
 次に、急騰する土地問題について伺います。
 大都市を中心とする土地が常識外の急騰を続けておりますが、その原因は、東京など大都市の国際化、情報化に対応した急激なビル需要と金余り現象が投機をあおったことにあると思います。また、土地を手放した人の七割が、常識外の地価暴騰で相続税課税最低限度額をオーバーし、土地を持ち切れないという実態であります。
 相続税対策について長年にわたり政府税調で論議されてきましたが、今回の六十二年度税制改正にも、解決策は何ら盛り込まれていない結果であります。政府が土地政策に真剣に取り組まなかったところにも直接の責任があると思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、大島の三原山噴火について。
 大島の町民の皆さんは、島再建に向かってスタートしましたが、大島町の再建のため、総理に意見書が既に提出されております。一、活動火山の対策特別措置に基づく各種事業を全額国庫負担で早期実施。二、各種貸付金は、長期かつ無利子で据置期間の長い制度の設置。以上の要望を早期に実現すべきであると思います。総理のまだ答えが返ってきてないと、こういうことでありますが、ひとつ早急に総理のお考えを出すよう要望するわけであります。
 以上、総理並びに各大臣の明確な答弁を望んで、私の質問を終わります。
 終わるに当たりまして、ちょっと私汗っかきなもので、皆さん方お聞き苦しい、お見苦しいことがあったことをおわびいたします。どうもありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(中曽根康弘君) 黒柳議員にお答え申し上げます。
 まず、高松宮宣仁親王殿下の御薨去に対しまして謹んで哀悼の意を表します。
 また、売上税等の問題につきましていろいろ御心配をいただきまして、痛み入る次第でございます。心から御礼を申し上げる次第でございます。
 国民の声を聞いているかという御質問でございますが、私も新聞、テレビ等を通じまして、よく各界各層の声を聞くように努力をいたしております。また、党におきましても、税制調査会を通じまして議員の皆さんの御意見もよく承っておるところでございます。政府の税制調査会におきましても、私が諮問を申し上げましたのが六十年の九月でございまして、それ以来慎重審議を重ね、また地方公聴会等も開催して、いろいろ御議論を承ってきたところでございます。今後もよく皆様方の声に耳を傾けまして、そして不備を補い、よりよきものにこれを推進してまいりたいと考えておるところでございます。
 売上税につきましては、まだ周知徹底が不十分でございまして、かなり誤解もあるのではないかと思います。例えば自分の商品の値段全体に五%はかかるのではないかと思われる方が多いようでございますが、それは自分の段階における例えば労務費であるとか、そのほかの新しくつけ加えられたものに対してそれはかかる、前の段階の税金は全部控除される、そういうような点に関する啓蒙が足りないし、我々の努力不足が多々あると思っております。それらにつきましては、いよいよ税法も国会に御提出申し上げますので、さらにこれらの周知徹底について努力をし、また、国民の皆様方の御協力を得るように懸命の努力をいたしたいと思っておるところでございます。
 それから、公約違反ではないかという御質問、しばしばここで承っているわけでございますけれども、前から申し上げますように、非常に大きな制限を課したものでございまして、公約違反とは考えておりません。
 さらに、この問題について、税制、防衛費の問題については解散をしたらどうかという御質問でございますが、選挙のときにおきまして、所得税その他の大減税及び税制の改革というものは、選挙でも我々としては訴えておるわけでございます。防衛費につきましても、日本の防衛政策等について我々は選挙でも訴えておるわけでございまして、いずれも解散をする必要はない、このように考えておるわけであります。
 さらに、クロヨンと所得再分配の関係でございますけれども、今回の税制改革におきましては、思い切った個人所得税及び法人税の減税を行いまして、我が国における所得格差の縮小、それから社会保障制度の充実等の状況に即応して、社会共通の費用はできるだけ特定の分野に偏ることなく、薄く、広く、公平に分かち合うべきであるという観点から、利子課税の見直し、売上税の創設等を含む間接税制度の改革を行おうとしておるものでございます。
 この改革に当たりましては、国民生活に密接なものはこれを除外する、あるいは社会の弱い方々というものもこれを除外するというような配慮もいたしまして、これらの考え方によりまして、所得再分配機能を放棄しようとしておるということは考えてはおらないのであります。
 公平の点はどうかというところでございますけれども、公平と簡素化の問題でございます。
 既存の個別消費税の廃止等による要員の活用、あるいは事務の合理化、省力化等を図ることによりまして、可能な限り簡素かつ効率的な執行体制で臨むようにしております。国税庁の増員は六百名でございますが、これは全部国鉄の職員の皆様方を採用する、そういう考えで臨んでおります。今後とも適正簡素な執行に心がけてまいりたいと思っております。
 さらに、複雑さを指摘なさいましたけれども、これにつきましても、いろいろ苦労いたしまして、免税点を一億円とすることによって全事業者の約九割を納税義務者から除外する、あるいは税率を五%の単一税率とする。もっとも、普通乗用車及び小型普通乗用車は昭和六十五年十二月までは一一%という過渡的措置を行っております。
 また、税額票につきましても、最長三カ月のまとめ発行を認める、請求書や納品書を活用することができるので新たな書類はつくる必要はない、また税務署に提出する必要もない。課税期間三カ月及び申告納付期間二カ月、これらは諸外国の例に比べましてかなり長期にしております。これらはいずれも納税者の便宜を図って考えておるところでございまして、外国から比べると日本としてはかなり考えた税制にしておるわけなのでございます。
 選択性の問題につきましては、国民生活に密接に関連しておる分野については非常に幅広く非課税措置としておりますので、課税財貨等について購入の選択の余地は少なくないと考えておるのであります。
 内需拡大との関係でございますが、今回は、一面におきまして、所得税、法人税の相当思い切った減税を先行させております。そういうような面から可処分所得はふえてくる、特に中堅サラリーマン等についてこれを配慮しておるわけでございます。そういうようなことは経済を活性化する力を持っておりまして、売上税によるマイナス点というものもこれを相殺する力を持っておると思っております。
 次に、一物二価という問題あるいはゼロ税率の問題でございます。
 一物二価については、財貨・サービスの価格の決定は、これは各事業者ごとに当該財貨。サービスの需給関係等さまざまの要因を総合的に勘案して行われる。言いかえれば、各営業者の営業政策によってこれらは決まるものであろう、そう考えております。
 ゼロ税率については、そもそも非課税取引というものは、売り上げが非課税となり、制度の枠外に置かれるというものでございますから、仕入れに含まれる税額を控除できないということは、これは当然のルールであります。特に飲食料品等については幅広く非課税としている我が国においては、還付の大量発生につながる対応は困難なのであります。EC第六次指令におきましても、いわゆるゼロ税率というものは否定する考えをとっていると聞いているところなのでございます。
 それから、対外摩擦の火種ではないかというところでございますが、これは輸入品に対しても国内品と同じような負担を求めておるのでありまして、言いかえれば、負担の公平という点でもございます。ヨーロッパの各国においても付加価値税を採用している国も多く、またアメリカの州においてもこれを採用している州もありまして、これらは同じ条件になるわけでございますから、新たな火種になることはないと思います。
 また、物価上昇や便乗値上げの問題につきましては、これを実施しますときには確かに物価は上がるだろうと思います。政府としても一・六%程度を見越しておるわけでございますが、これは一回限りのものでありまして、通常の物価上昇とは違うものであり、かつまた、公取その他におきまして便乗値上げについては厳重にこれを監視するように政府各機関を督励して行いたいと思っておるところでございます。
 ただ、この値上げの際に各業者間におきまして一斉に上げるというわけでありますが、これが公取が過剰な介入をしますというと、今のような税額をこれに付加するということが阻害される危険性もあります。したがいまして、業者間の協議とか、あるいは一斉に税額を上げるという問題については、特別の措置でございますから、公取の方におきましても、十分その特殊性を配慮されるように我々は考えておるところでございます。
 さらに、税率の引き上げの問題でございますが、税率はもう五%と法定することとしておりまして、これは国会で厳然としてお決めいただくわけでございます。したがって、将来の問題についてはこれは国会において御審議願うということでありまして、我々といたしましても、この税率はできるだけ維持すべきものであると、そう考えておるわけでございます。
 それから、自然増収が生じた場合のことを考えてみまして、昨日も御答弁申し上げましたが、外国におきましては、税率の引き上げとか自然増の場合には、所得税の減税あるいはそのほかの減税に充てているようでございます。私は、自然増収というような場合には、これはいわゆる目的税的な硬直性を持ったものではなく、運用上において、これは減税とか、あるいは高齢化時代を迎えまして、社会福祉、そちらの方に充当するのが適当であると私は考えております。
 それから、売上税の具体的内容の問題につきましては、昨年暮れの税制改正大綱や、本年一月の税制改正要綱で明らかにし、かつまた国会に提出いたします売上税法案において御審議願いたいと思いますが、政府としては、さらに国民の皆様方に対してこの法案の内容等をもちまして具体的に御説明申し上げたいと思っておるところでございます。
 NTTへの適用の問題は、これは売上税が課税されますが、しかし、電話サービスについては昭和六十四年一月一日以降の取引からこれを適用するといたしております。いわゆる電気通信制度改革の実施から日も浅く、かつ売上税の適用による料金水準への影響を緩和するために、電話サービスへの適用時期を一年間延期する措置をとることとしたわけでございます。
 その場合においては、事業者間の有効かつ公正な競争を通じ、高度情報社会にふさわしい電気通信事業の効率化、活性化を図り、料金の低廉化が図られるようにすることは電気通信制度改革の主要な目的の一つであります。
 料金は、この制度改革の精神に立って、売上税負担分も含むコストの変化、収入の動向など、収支全体の将来を見通して決められるべきものであると思います。売上税課税がすなわち電話料金の値上げに直結するということを必ずしも意味するものではないと思います。
 売上税額の明示の問題でございますが、売上税制度におきましては、販売価格を表示する際、売上税額を別掲するかどうかは事業者の選択に任せておるわけでございます。
 これを法律的に義務づけるということは、我が国の商慣習上なじまないものであると考えております。
 次に、売上税は撤回したらどうかという御質問でございますが、撤回する考えはございません。また、公明党の御提言につきましては、よくこれを検討してみたいと考えております。
 防衛費の問題でございますが、この一%問題につきましては、大綱水準を早期達成するということを前から申し上げてきたところでございますが、一面においては、また、五十一年十一月の三木内閣の閣議決定を守りたいと、こういうことも申し上げてきたところでございます。
 六十二年度予算においては、片方では円高、油の価格の低下、こういうものがあって、いい条件があります。しかし、片方では中期防の着実な実施を行い、このおくれを回復する、そういう問題もございます。それで、両方のぎりぎりの決着の線といたしまして、やむを得ずGNP一%をやや上回る額になった次第なのでございます。
 しかし、今まで政府がとってきました防衛の諸原則、すなわち憲法を守り、専守防衛に徹し、非核三原則を守り、文民統制を行い、そして他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、こういう原則は厳然として守ってまいりますし、また、中期防における六十年度価格の十八兆四千億という総額は、これは固定して守る。そういう意味において、この見直しを含むリボルビングはこれをやらないということも決めたわけで、このように金額的に固定したということは非常に大きな歯どめではないかと考えておるところです。
 その後はどうかということでございますが、これも従来の線を堅持して、かつまた三木内閣の閣議決定の精神を尊重して節度のある防衛力を心がけると、こういうことでその延長線上にあるとお考えいただきたいと思うのでございます。平和国家としての我々の考え方については変わりはございません。
 次に、先ほどの御質問の中で、防衛に関する問題で我々とちょっと考えが違うなと思いましたのは、憲法の前文をお取り上げになりましたけれども、我々は、憲法でも国家の自衛権は認められておる、そして自衛を全うするに必要最小限の防衛力は認められておると、そういう意味において我々は安保条約を持ち、あるいは自衛隊を今持っておるわけでございます。そういう意味の日本本土を守る、日本を防衛するという意味の防衛の権利というものが厳然と国家にあり、それを保障するに必要な最小限の措置は国務として私たちはやらなければならない、このように考えておるところであります。
 次に、自衛隊に対する国民の支持と一%の問題でございますが、私は、自衛隊に対する国民の支持は非常に強く、根強く不動のものがあると考えております。しかし、それを永続的に続けていくためには、防衛力が節度を持つことがやはり必要であると、そう考えております。その意味においては黒柳さんと考えが同じでございます。ただ、その程度の問題でありますけれども、我々は先ほど申し上げました理由によりまして、節度のある我々の考え方に基づく防衛力の整備が正しいと、そのように考えておるところでございます。
 アジア諸国の反応等でございますが、中国のスポークスマンの声明がございましたが、これは中国としては関心を持っておるということであって、過去の戦争の教訓に学ぶということを期待しておられるわけであります。もとより我々は、そのような教訓に学ぶ考えを持っておるわけでございます。また、そのほかの国からは公式の発言はございません。しかし、いずれにせよ、日本の過去の経験にかんがみまして、日本の防衛力の節度ある整備、今後の方針等をよく説明申し上げまして誤解を生まないように努力してまいりたいと思っております。
 シュルツ国務長官の発言があったことは承知しておりますが、まだ議事録が参っておらないので、正確な詳細なことはわかりませんが、私が知っている範囲内においては、日本は軍事大国化を避けるという、それを考えているということは間違いないと思います。これは我々も同じことでございます。また、一面において貿易黒字が相当累積しているわけでありますから、日本のそれらの余力というものは対外経済協力に使ってほしいという期待の表明もあったと思います。
 しかし、我が国の自衛隊及び日米安全保障条約に基づく防衛のやり方自体については、疑問を持っておるとは私は思っておりません。
 最近にも、一月二十九日にシュルツ長官がインタビューで答えておりますが、我が国の防衛努力を評価しつつ、軍国主義的日本の再来を恐れる必要はない、日本自身がそのようなことは心から反対であると思うと、こういうふうに表明しておるのであります。
 防衛費の修正については考えておりません。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、思いやり予算の問題でございますが、米軍駐留経費の問題については、我が国独自の判断に立って決めたところでございます。
 昭和五十三年度からの福利費等労務費負担は、地位協定第二十四条第一項の解釈上可能であり、基地従業員対策として実施してまいりました。
 提供施設の整備は、地位協定第二十四条第二項に基づき実施しておるものでありますが、いずれにせよ、毎年度、予算として国会で審議、御承認を得た上で実行しておるものでありまして、無制限に行われておるものではありません。
 今般署名した在日米軍労務費特別協定の趣旨は、最近の経済情勢の変化にかんがみ、在日米軍経費が急激に圧迫されている事態にかんがみまして、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果的な活動を確保するために、地位協定二十四条についての特別の措置として、我が国が、在日米軍従業員に支給される手当に要する経費の一部を新たに負担しようとするものであります。
 これは、対象、期間も限定された暫定的かつ特例的措置でありますので、地位協定自体の改正によるというやり方でなく、特別協定によって処理したものであります。
 もちろん、本協定については、国会の承認を求めるべく近く提出いたします。
 この有効期限については、一年とか二年とかという短期的なものではなく、ある程度の期間にわたって安定的に行う必要がある、そういう考えに立ちまして、一九九二年三月末日までというふうに暫定期間を決めたわけであります。その後のことについては、現時点で予断することは難しいと思います。
 インターオペラビリティーの問題でございますが、我が国有事の際に、日米安全保障条約に基づき、我が国防衛のため共同対処行動をとることはインターオペラビリティーの内容にもなるわけでありまして、この研究は、日米防衛協力のための指針に基づき、我が国防衛の観点より進められたものであり、本研究により、専守防衛に徹する我が国防衛政策の自主性が損なわれるものではございません。
 エイズ対策につきましては、昭和六十二年度の予算におきましては、昨年より約五億円余計に計上したつもりでおります。公明党からエイズ対策を随分指摘されておりますので、私もこれにつきましては特別の関心を持ちまして、予算編成の過程でよく事情も聞いてきたわけであります。
 御指摘の私の発言は、昨年十一月の本院予算委員会において、エイズの研究に関してお金は幾らでも出すが、問題は研究者の提携、研究協力であると答弁を申し上げたことであります。エイズの予防や治療法に関する研究については、六十二年度の研究費の増額を図っているほか、昨年十二月、厚生省にAIDS対策専門家会議を設けました。そして、その指導、助言を受けておるところでございます。
 なお、エイズに対する国民への衛生教育の重要性にかんがみまして、いろいろパンフレットを作成したり、都道府県とも協力して研修を行う等もやっております。
 ジャーナリズムにも非常に御協力していただきまして、政府広報を含めまして今後とも努力してまいりたいと思っております。
 この立法の問題につきましては、法改正を含めて新たな対策の強化についても検討を加えてまいりたいと思っております。
 米ソ関係の問題でございますが、レイキャビク以後米ソ関係が停滞しておりますが、これを前進させることが世界に明るさをもたらす大事な政策であると思いまして、私もその環境醸成のために大いに努力しておるところであり、先般東欧諸国等を回りました際も、ベオグラード大学の演説等を通じまして関係各国等にも呼びかけた次第なのであり、今後も努力してまいりたいと思っております。
 SDIの研究参加につきましては、昨年九月の官房長官談話に基づきまして、我が国企業が参加を希望する場合に、それを円滑にするための具体的措置について米国政府と協議中でありますが、具体的内容については目下協議中であるので差し控えたいと思います。いずれにせよ、日米両国が満足のいくようなものでなければいけないと思っております。
 米国は、将来の米国大統領及び議会が戦略防衛システムの開発、配備の可否を決定するに当たって必要な技術的知識を提供するための研究である、こう言っておるわけであります。ワインバーガー国防長官が、大統領の構想を実現する全体的なシステムの不可欠の部分を、できるだけ早く配備できればよいとの趣旨の発言をやったことは新聞で承知しております。しかし、長官自体が認めておるとおり、配備につき具体的に何らの決定を行ったという問題ではございません。
 いずれにせよ、SDIは目下研究の段階にありまして、我が国のSDI研究参加については従来の方針により対処してまいります。
 雇用情勢等については、非常に厳しい情勢が予想されますので、政府・与党一体になりまして推進本部を設置し、諸般の対策を講じてまいるつもりであり、昭和六十二年度の完全失業率は二・九%程度で推移するであろうと予測しております。
 雇用の確保につきましては、地域別、業種別、時期別にその戦略体制を当方としても考えまして、それと同時に、地方公共団体とも連絡をとりまして、前に申し上げましたように、八ブロックの地域協議会をつくりまして、中央、地方一体になった努力を今行いつつあるところでございます。
 中小企業対策につきましては、円高等の変化によります中小企業の苦難を救うために、一昨年十二月以来、個々の中小企業者の事業転換の円滑化、産地等特定地域の中小企業者の新たな活路の開拓等に関してそれぞれ所要の立法措置を図りました。また、資金面、指導面、人材養成面においても対策を講じております。
 これからも、親企業の生産縮小等に伴って対応を迫られている下請中小企業の構造調整を支援するため、昭和六十二年度において、新分野進出等に関する低利融資を導入する等、きめ細かい対策を推進してまいります。
 我が国企業の海外進出と空洞化の問題でございますが、海外直接投資を通じて産業の国際的展開が進むことは、国際的に調和のとれた経済構造の実現、世界経済の活性化と拡大均衡に貢献するものと考えております。
 現在、円高に伴い、製品輸入の増加、輸出の停滞が生ずるとともに、海外生産の動きも活発化しておりますが、これによってある程度産業構造の転換が加速されつつあります。
 しかし、大事なことは、日本の雇用の確保という問題が浮上してきつつあることであります。これらにつきましては、内需主導型の経済成長を図る、為替の長期的安定を図る、さらに雇用問題に対して積極的に対処していく、こういう考えに立ちまして努力してまいりたいと思います。
 これらの場合に、下請企業につきましては、下請企業にとっては、親企業に追随して海外進出が要請される機会が高まる可能性もあります。また、国内にとどまる下請中小企業にとって受注量の減少等も心配しなければならぬと思います。
 このような状況の中で、下請中小企業としては、その技術力、経営基盤等の強化、取引先親企業の多角化、新分野開拓などに努めるとともに、その必要に応じ海外進出を行っていくこともまた考慮すべきものであります。
 このため、政府としては、下請取引あっせん体制を充実させるとともに、新分野進出等のための技術開発補助事業及び低利融資制度を創設するなど強力な支援措置を講ずるほか、海外進出を行おうとする下請企業に対しても指導体制を強化してまいります。
 今後とも親企業の海外進出に伴う下請中小企業への影響等の実態把握と、これに対する対策に万全を期してまいります。
 農協の問題ですが、農協に対する監察は農協法の目的である「農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上」という観点から、農林水産省の農協等に対する指導監督行政を監察するという趣旨であります。
 このため、農林水産省の指導監督の対象である農協等についても、その協力を得つつ、業務の実態について監察上必要な資料等の提出を求めるものであります。
 次に、農政審の報告の具体化と食管制度の問題でありますが、前から申し上げますように、農は国のもとであり、今後農業を産業として自立させていく、しかも若い人たちに明るい希望を持たせるということは大きな政策であると思います。
 先般の農政審議会の報告を尊重いたしまして、農業者及び農業団体と一体になりまして生産性の向上を図る、構造政策を進める、合理的な価格形成を目指す、逐次政策を進めてまいりたいと思います。
 国民の主食である米、我が国農業の基幹作物である米につきましては、国内産で自給するとともに、農業者、農業団体と相協力しつつ、稲作の生産性の向上と構造改善を図る所存であり、食管制度については、制度の基本は今後とも堅持しつつ、運営面での適切な改善を図ってまいりたいと思っております。
 次に、先般の農政審報告を尊重して、生産性向上の成果を的確に反映する等の観点から、麦価算定方式見直しのための食管法改正を農林水産省において検討中であると考えます。
 米については、農政審報告を尊重して制度運営の改善を早急に図る、また、米管理のあり方については中長期的に検討を深めることとして、米関係での食管法改正法案を今国会に提出する考えはございません。
 男女差別の問題でございますが、婦人問題は極めて重要な課題であり、私は婦人問題企画推進本部長として、政府内の緊密な連絡を図りながら総合的な施策の成果を上げようと考えております。
 昨年三月の有識者会議におきまして、「長期的展望に立った婦人関係施策の推進」について意見の提出を依頼して、現在、鋭意検討をいただいておるところであります。
 配偶者特別控除は、給与所得者と事業所得者の間の税負担の不均衡感に対応する見地から、主として給与所得者の世帯としての税負担の調整を図る趣旨から考えたものであります。
 これは、事業所得者においては配偶者に対する青色事業専従者給与の支払いによる所得分与が行われております。これを通じて負担の緩和を図りつつあるのに対して、給与所得者にはそのような道がないことを勘案したものであります。
 さらに、女子の採用の問題でございますが、募集の問題あるいは賃金の問題等につきましても、男女雇用機会均等法の精神に基づきまして、これを善処してまいりたいと思うのでございます。
 この法の周知の徹底を図ると同時に、企業者に対しまして、このような法の精神に沿ったいろいろな措置を私たちとしては強く要請してまいりたいと思います。
 それから、パートと母子家庭の問題でございますが、パート労働者の雇用に関しては、パートタイム労働対策要綱に基づきまして、労働条件の改善、雇用の安定に向けて施策を実施しております。パートタイム労働者の増加が見込まれることに対処して、その職業紹介や雇用管理に関する相談の充実に努力してまいりたいと思います。
 母子家庭の母については、これまでも職業資格の取得に対する援助等、雇用のための環境条件の整備に努めてきたところであります。今後とも、職業相談、職業訓練の充実、事業主に対する雇い入れ助成制度の活用等によりまして雇用の促進に努めてまいります。
 経口避妊薬であるビルにつきましては、ホルモン含量を極力制限した低用量ビルが普及しております。
 政府としては、今後、今研究班が組織されておりますが、この結論を尊重して慎重に対処していきたいと思っております。
 外国人登録法改正問題でございますが、指紋押捺制度を存置するも、特に必要ある場合を除いて重ねて押捺は求めないというふうに改革した次第です。
 携帯の便に資するために、登録証明書をカード型とする等、そういう法改正を今検討しておるところであります。
 指紋押捺、登録証明書の携帯は、いずれも人物の同一性確認のために必要なものでありまして、定住外国人につき特別の取り扱いは困難であります。
 地価の騰貴につきましては、これは東京等におきまして著しく上昇が認められました。これは旺盛な事務所需要等、投機的な取引がこれに拍車をかけていると思っております。
 これらの対策につきましては、国土利用計画法の的確な運用や東京都条例による小規模な土地取引の届け出制創設等に努めてきたところであります。
 また、昨年十二月、官房長官を中心に、関係行政機関相互の連絡等のために関係閣僚会議を設置いたしました。この会議を機動的に運営して、強力な地価対策を行います。
 相続税につきましては、昭和五十年以来負担水準が据え置かれておりますから、所要の見直しが望ましいことは承知しております。
 しかし、政府税制調査会の六十二年度税制改正に関する答申において、今後引き続き検討することとされたことを踏まえ、財政事情等にかんがみて今回は見送りました。
 伊豆大島における噴火対策でございますが、避難施設の整備については、活動火山対策特別措置法の規定に基づき、東京都大島町を避難施設緊急整備地域に指定し、去る一月三十日には避難施設緊急整備計画を承認するなど、早期実施に努めておるところであります。
 各種整備事業は、それぞれ関係法令の定めるところに従い行われることになりますが、国においても、昭和六十二年度から実施される事業については、予算の成立をまって所要の助成を行う考えであります。
 なお、被害を受けた方々に対しては、既に既往貸付金の返済猶予、資金の貸し付け等被災者の実情に応じた適切な対応について関係機関を指導督励しているところでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 売上税につきまして幾つかお尋ねがございまして、総理大臣がお答えになりませんでした部分についてお答えを申し上げますが、その前にいわゆる利子課税、売上税の導入に関して税の所得再配分機能について大蔵大臣としての考えを述べよということでございました。
 一般に租税がどの程度の所得再配分機能を持つべきかということは、その国、そのときの状況によって同一ではないであろうと考えます。私ども今我が国の現状について考えますと、我が国では非常に所得格差が小さくなっている。世界で一番所得格差の小さい国でございまして、それがいわば中流意識ということになっておるかと思いますが、所得を五つの階層に分けまして、一番下の第一分位と第五分位とを比較いたしました場合の格差は大体三対一でございます。この点は、アメリカの九対一に比べますと、確かにかなり格差としては小さくなっておる、そういう社会であると考えております。
 また、そういう中である程度の社会保障制度も進んでまいりましたので、ここへまいりますと、社会共通の費用はできるだけ広く、薄く国民が一様に負担をするということができるし、またそれが望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 そうではありますけれども、このたびの税制改正に当たりまして、例えば売上税におきまして、食糧あるいは医療、保険、住宅等につきまして非課税とした、あるいは利子課税につきまして、老人、母子家庭、身体障害者等について非課税措置を講じた等のように、手を差し伸べなければならない部分につきましては、これを怠ってはならないというふうに考えております。
 そのようにいたしましてもなお、改正後の我が国の所得税の体系は、国際的に見ますと、どちらかというと、下の方に軽く、上の方に重いという傾向がまだ残っておるのではないかというふうに見ております。
 それからもう一つ、格差の問題、不公正の問題としてクロヨンとサラリーマンの給与所得との関連について御指摘がありました。
 確かにそういうことが広く言われております。制度といたしまして、このたびは配偶者特別控除を設けますことと、それから、みなし法人課税におきまして事業主報酬を青天井では困る、制限を設けることにいたしましたのも、そのような批判にこたえたつもりでございます。
 それから次に、具体的な問題につきまして、大蔵省が試算いたしました年収四百五十万円のところの売上税の負担が過小であるという御指摘がございまして調べてみたわけでございますが、家計調査年報に従いまして計算しておる由でございます。ただ、御承知のように、一定の仮定のもとに算出をいたしておりますので、あるいはそのような御指摘があったかと思いますが、計算としては最善の計算方法をとったというふうに報告を受けております。
 次に、教育関係の売上税について塾通い、教材費等についての課税でございますが、学校教育法第一条の学校あるいは専修学校等の授業料、入学金、小中高校の教科書の費用等は非課税になっておりますわけですが、御指摘のように、補習教育費や教材費等は課税対象でございます。この点は御理解を願いたいところでございます。それだけ負担がふえるだろうと言われますと、軽微ではありますが、負担がふえることになります。
 ただ、この点は、所得税におきまして、このたびいわゆる中堅サラリーマンの税軽減に重きを置きましたのは、この層の人々が一番教育的な負担が大きい、教育費の負担が大きい、あるいは住宅ローンの返済が重いといったようなそういう層でございますので、そういうことを考えながら所得税の方で配慮をいたしたつもりでございます。売上税そのものは課税になるということは御指摘のとおりでございます。
 それから、建設工事に関する売上税でございますが、このたびは住宅の譲渡、それから新築、増築の請負工事、これらがすべて非課税になっておりまして、これは我が国のこのたびの売上税の一つの大きな特色でございます。我が国の住宅事情等々を考えましてさようにいたしたものでございまして、住宅関連は、したがいまして非課税でございますし、マンションの賃貸料も非課税でございます。
 ただ、そのマンションにつきまして、管理修繕費等々あるいは不動産業者の仲介手数料は課税になるではないかと言われますことは、そのとおりでございます。
 それから、NTTにつきまして、一年後に課税になるということで、それは追加負担にならないかということでございますが、理論的にはそのようになりますと追加負担になると思われます。
 ただ、NTTにおきまして、長距離、中距離の電話料金についての総合的な考え方、あるいはどういう収益状況であるか等々、恐らく関係方面において今いろいろ検討をなさっておられると思うのでございますが、その結果がどういうことになりますか、私からただいま明確に申し上げることができません。
 それから、非課税業者、例の売上高一億円以下の者は免税になるという点に関してでございます。取引の関係でそれは非常に不利になるということについてのお尋ねでございますが、考えてみますと、地域にありまして、例えば商店街のお店のような場合に、その周辺のお客様、最終消費者を主として顧客としているような場合、あるいはそのような小売店サービスをやっておられる人々等は明らかに非課税を選んだ方が得でございますし、またそれだけの利点がございます。それから、工賃などが主とした付加価値である場合の中間業者についても、控除という問題が少のうございますので恐らく非課税の方が得であろう。そういう場合には課税を選択するということはむしろ不利でございますから、この制度はかなり利用されるものと考えております。
 それから、食品は、ジュースは非課税であるが缶は課税であろうと言われますことは、もうそのとおりでございます。
 それから、食料品の容器でございますが、食料品の生産あるいは販売業者が生産、販売に要する設備、容器等は、これは課税物品でございますから、そういうものを買いましたときは、その仕入れにかかります税額控除は食料品が非課税でございますから認められない。したがって、それはコストとして価格の中に入るであろうと言われますことは、コストとして価格の中に入るはずでございます。その限りにおきまして、大きな額ではありませんが、この食料品はその限りでは上がるだろうと言われますれば、それはさようでございます。
 しかし、そういうことをいろいろ考えましても、このすべての売上税全部そういう場合を考えましても、最大限の場合、平年度で消費者物価に一・六程度の影響だと、こういうふうに申し上げておるわけでして、それも昨今のように消費者物価が落ちついておりますと、本当にこの一・六そのものが上積みになるかどうか、輸入価格の低下でございますとか、生鮮食料品が落ちついているとか、いろいろございますから、それだけ必ず上がるかどうかということはまた別の問題でございますが、それらを全部合わせましても一・六だと、こういうふうに申し上げることができます。
 それから、入場料に売上税がかかるかということにつきましては、演劇等の入場料金についても、他の消費と同じように売上税をちょうだいいたしたいと思っておるわけですが、ただ、アマチュアスポーツでありますとか、伝統芸能等の入場料につきましては、非課税といたしておるわけでございます。
 それから、売上税の導入は撤回する意思がないかということでございましたが、このたびの御提案は、結局、所得税、法人税等、これらが余り高いということは勤労意欲、事業意欲をそぐ、いかにも国際的にも高いということから、その財源を確保したいということが基本の動機であったわけでございますが、同時に現在の間接税制度が非常にひずみを持っておって、殊にサービスについての課税がないという問題もございます。それから所得、消費、資産の間でバランスのある税体系を築きたい、こう考えて御審議をお願いいたしておりますわけで、どうぞよろしく御賛同のほどをお願いいたしたいと思うわけでございます。
 最後に、売上税の問題と別に、防衛費の決定に際しましての経緯を説明せいということでございました。
 いわゆる事務折衝が済みまして、大臣折衝、政治折衝に入りまして後に積み上がりました金額はおよそ三百七十億でございますが、これは主として自衛隊員の隊舎あるいは宿舎等々いわゆる後方と言われる部分、従来非常におくれておりました部分、それから住宅の防音等の基地対策、車両等の更新、あるいはもう少し訓練を強化したい、そのために燃料がたくさん要るといったような、そういう種類の要求でございまして、無理のないことでありますし、財政的にも耐えられないことではないと考えましたが、ただ分母の関係もございまして、そういたしますと、GNP一%を超えるというふうに考えられましたので、安全保障会議と閣議を求めましてその点の決定をしてもらったわけでございます。
 それに従いまして、およそ三百七十億円を追加いたしましたが、それにいたしましても、このたびの防衛費の伸びは五・二%でございまして、これは最近においては最も低い伸び率でございます。たしか二十数年間で一番低かったのではないかと思っておりますが、そういう経緯でございました。(拍手)
   〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛費に関する基本的なお答えは総理大臣からされましたので、私から特につけ加えることはございません。
 私に対する御質問は、インターオペラビリティーに関連いたしまして、日米の共同訓練のあり方がこれでよいか、そういうように承知をいたします。
 私は、インターオペラビリティーという問題は、専守防衛の質を高める、これに役立つならば結構なことだと、こういうふうに基本的に考えております。したがって、日米共同訓練は、戦術技量の向上を図り、また有事における日米共同対処行動を円滑に行うために不可欠であり、かつ日米安全保障体制の信頼性及び抑止効果の維持向上に資するものでありますので、今後とも積極的に実施してまいる所存であります。日米共同訓練は、我が国の個別的自衛権の範囲内で実施するものでありまして、もとより集団的自衛権の行使を前提とした訓練を実施する考えはありません。
 また、共同訓練の限界につきましては、自衛隊は憲法及び自衛隊法に従いまして我が国を防衛することを任務としておりますので、共同訓練につきましても、当然その任務の遂行に必要な範囲内で行うものであることは、かねてより申し上げておるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(斎藤十朗君) エイズに対しての御質問でございますが、総理からお答えをいただきました部分を除きまして私からお答えを申し上げたいと思います。
 まず、血友病患者の方々におけるエイズウイルスの抗体陽性の状況等につきましては、これまでも調査研究が行われておりまして、その結果、全体として、その状況は厚生省として把握いたしておるところでございます。いずれにいたしましても、これらの方々には血友病の医療を通じて主治医による適切な医学的管理が行われているところでございます。
 次に、輸血を受けた患者の追跡調査についてのお尋ねでございますが、御承知のように、エイズウイルスは、昭和五十八年にフランスのパスツール研究所において初めて発見されましたが、我が国におきましても、昭和五十八年度に研究班を組織し、献血血液の安全性の確保に努めてきたところでございます。
 御指摘の昭和六十年以前の献血血液につきましても、この研究班におきまして昭和五十九年度及び六十年度の両年度にわたり、抽出によるエイズ抗体検査を実施したところでありますが、その段階では抗体陽性者は確認されておりません。
 なお、厚生省といたしましては、エイズの発生状況を把握するため、従来から、全国の主要な医療機関の協力を得てサーベーランスを実施しているところでありますが、今月からは患者以外の抗体陽性者も調査対象に加える等の拡充を図ったところでございます。この中で感染経路につきましても調査を行うことといたしております。
 また、検査体制の問題につきましては、エイズに関する住民の不安に的確にこたえるため、厚生省といたしましては、昭和六十年度から、保健所等に相談窓口を設置するよう都道府県に指導するとともに、国立予防衛生研究所の技術指導により、地方衛生研究所における抗体検査体制の整備を順次進めてまいっているところであります。
 しかしながら、現状においては、採血からスクリーニング検査、そして確認検査に至るまでの一連の検査体制を整備中の地方公共団体もまだ多く、また、最近のエイズ問題をめぐる情勢から多数の検査希望者が殺到しているため、必ずしも円滑に処理することができないケースもあると承知いたしております。
 御指摘のパンフレットにあります「検査は簡単です。」という点につきましては、少量の血液を採血するなどによって簡単に検査が行うことができますという点にウエートがあるものでございまして、どこでも簡単に検査ができるという点ではこれを充足することも重要でありまして、地方公共団体の協力を得ながら、なお一層の充実強化のため最善の努力を払ってまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣倉成正君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(倉成正君) 黒柳議員から私に対する御質疑は三点でございます。
 一つは、軍備管理、軍縮を中心とする米ソ関係の今後の見通し、また、我が国の役割についてでございますが、次回の米ソ首脳会談については、目下のところ米ソ間に確たる動きは見られません。したがいまして、現時点で米ソ関係の今後の見通しをすることは難しいと思います。しかし、レイキャビクにおける米ソ首脳会合は、結局は合意には至りませんでしたが、新たな合意の潜在的可能性が生まれたことは評価できると私は考えております。両国首脳とも、さらに合意達成に向けての努力を継続する旨表明していることは御承知のとおりでございます。特に本年の年頭のメッセージにおいて、レーガン大統領は交渉発展に向けての強い決意を表明しております。我が国としては、ソ連が同様の姿勢をもって交渉に臨むことを期待しておる次第でございます。
 我が国は、世界の平和と安全という極めて重要な意味を持つ米ソ関係の進展を強く期待し、軍備管理を初めとする分野において側面から応分の努力を行う所存であります。昨年の秋、ニューヨークでシェワルナゼ外相と私と会談した際も、私から軍備管理交渉の進展に向けての努力を強く訴え、また、先ほど総理からお話しのとおり、ベオグラードの演説においても、交渉の進展が急務であることを強調されたところでございます。
 第二の問題は、我が国の太平洋島嶼国に対する政策でありまして、お褒めにあずかりましてありがとうございました。
 太平洋島嶼国は、御承知のとおり、広大な地域に多数の島々が点在しております。と同時に、豊かな未来の可能性を有しておると私は確信をいたしております。しかしながら、各島嶼において、それぞれの自然条件、歴史、文化等は異なるも、現在、それぞれ多くの経済的困難等を抱えておることは御承知のとおりでございます。その意味におきまして、我が国は、アジア・太平洋地域の一員として、南太平洋フォーラム諸国の対話強化の呼びかけにこたえ、太平洋島嶼国及び同地域の安定と発展に貢献したいと考えております。現在、関係強化の方策について検討中でございます。
 私は、この訪問の際に、フィジーのスバにおきまして、我が国の基本姿勢を、一月十四日演説いたしましたけれども、その要点を申し上げますと、第一に、太平洋島嶼国の独立性と自主性を尊重するということであります。第二、地域協力への側面的な支援。第三、この地域の平和と安定の維持。第四、これらの地域は大変経済的な困難に直面しておりますから、これらの経済的な困難に支援を与えようということでございます。第五は、人物交流の促進の問題でございます。
 これらの政策の具体化につきましては、太平洋島嶼国の独自性を十分考慮しつつ、域内の諸国、関係諸国、国際機関とも協議の上、進めてまいりたいと思いますし、皆様方の貴重な御意見も参考にさせていただきたいと存じておる次第でございます。
 第三は、我が国が経済大国になった場合に、国際社会にいかなる貢献をすべきかという問題でございます。
 この点につきましては、資源小国の日本としては、戦後の世界の自由貿易体制の利益を最も享受した国であると私は考えております。その意味におきまして、国際社会の相互依存度が深まる中で、自由世界第二の経済力を持ち、多額の貿易黒字を計上している日本が、単に経済協力のみならず、科学技術、文化交流、青少年の交流等を大幅に拡大して、世界の国々と仲よくしていくことが大切であると思いますし、また、世界の国々が我が国の役割について深い関心を持っておることも事実でございます。我が国は、一層国際社会との調和のため努め、世界の繁栄のために積極的に貢献していくべきという御指摘には全く同感でございまして、これから我々もこの方向に向かって進んでいきたいと思います。
 その際、特に重要なことは、我が国としては、自国の短期的な利益のみを追求するのではなく、各国と互いに痛みを分かち合い、ともに長期的な繁栄を確保していくとの大所高所の観点に立ち、世界に開かれ、世界に貢献する日本を目指すことが大切であると考えておる次第でございます。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
#12
○副議長(瀬谷英行君) これにて休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開議
#13
○議長(藤田正明君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。内藤功君。
   〔内藤功君登壇、拍手〕
#14
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、中曽根内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し質問を行うものであります。
 第一に、多くの国民が公約違反、国民欺瞞だと厳しく批判している売上税についてであります。
 藤尾前政調会長の大型間接税導入発言を否定するために、昨年の選挙では、総理は、大型間接税、マル優廃止は絶対にやらないと国民に繰り返し公約してみせました。東京、大阪、名古屋、神戸、札幌など少なくとも二十一カ所、全国各地で明言しております。「総理・総裁として、また私の性格からして、一度やらないと言ったものはやらない」、「答申が出た場合は反対する、採用いたしません」とまで念を入れております。さらには、金丸副総理、当時の幹事長も、「総理があそこまで言う以上そのとおりだ、もし総理が大型間接税をやるようなことがあれば私は刺し違えてでもそれを阻止する」と保証してみせました。売上税は大型間接税にあらずということは一言も申しません。国民の多くはこれを公約と信じたからこそ自民党に投票し、三百議席を与えたのであります。
 あなたは施政方針演説で、「政治倫理の向上につきましては、国民からいやしくも疑念を持たれることのないよう、」といみじくも申されました。それではお聞きします。国政選挙での総理自身の、直接、主権者国民に対する明確にしてたび重なる公約を真っ向から裏切ることは、意識的な国民への欺瞞であり、議会制民主主義を根底から破壊するものであり、あなたの言う政治倫理に反する行為でありませんか。はっきりとお答えいただきたい。
 中曽根総理は、売上税が大型間接税ではなく公約違反でないと強弁していますが、昨日、衆議院で我が党の不破委員長が明らかにした三点について、明確に反論できなかったのであります。
 いかに総理が詭弁を弄しようとも、山中自民党税調会長自身が紛れもない公約違反だと証言しております。また、選挙民の厳しい批判を受けた自民党議員も、「阻止しようとしたが大勢に押し切られた」とか、「心からおわび申し上げます」などと弁解これ努めております。昨年の国政選挙で総理や自民党が、藤尾前政調会長のように正直に、大型間接税、マル優廃止をやると演説していたならば、間違いなく大きく議席を減らしていたことでありましょう。したがって、選挙結果を誇り、議席におごることなどは、到底許されないものであります。現に今日の世論調査で、内閣支持は急落しております。選挙をやり直せという国民の声は当然であります。この国民の声にどうこたえられますか。
 いま一つの税に関する公約違反は、大幅減税という点であります。
 総理は、年収三百万、四百万円から八百万円の間のサラリーマンの減税を繰り返し公約しました。しかし、今度の税制改革案によりますと、売上税、マル優廃止を加算して逆に増税であります。学者グループ「政策構想フォーラム」の試算によりますと、年収六百万円以下の方が増税であります。我が党同僚議員の試算によれば、年収九百万円以下の方が増税であります。大蔵省は、法人税減税が回り回って家計にプラスになると言うのでありますが、そのようなことは、企業社会の原理原則からいえばあり得ないことではありませんか。現に経団連首脳が、関係者の勇断を高く評価するとほくそ笑んでいること一つとってみても、そのことは明白であります。それでも家計にプラスになると言い張るのならば、宮澤大蔵大臣、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
 結局、一握りの大企業と大金持ちのための減税にすぎず、国民の九五%を超える勤労者、中小業者、国民大衆が負担するという大増税であります。さらに、マル優制度の廃止は、自民党政治の冷酷さを雄弁に物語るものであります。つめに火をともすようにして蓄える少額の貯蓄の利子に課税するとは何事ですか。
 総理、あなたがあえて廃止に踏み切ったのは、昨年、非課税貯蓄制度の廃止を含む前川レポートの実行をレーガン大統領に公約したからではありませんか。明確に答えていただきたい。
 総理は、率直に公約違反を認め、売上税、マル優廃止など税制改革案の提出を断念すべきであります。これが議会制民主主義、憲政の常道であります。明確に答弁を願いたい。
 第二に、多くの国民が危険を感じ、強く批判している軍事費のGNP一%枠撤廃問題であります。
 一%枠は、本来、自民党政府が大軍拡を進めながら、軍事大国ではないと言い抜けるためにみずから設けた免罪符でありました。それが今や足かせとなり、ついにその枠さえも取り払うに至ったのであります。十八兆四千億円という中期防衛力整備計画の総額それ自体が、既にGNP一%を超えた軍備拡大計画そのものでありまして、これが何らの歯どめにならないものであります。我々が軍事費増大に強く反対し、一兆六千億円以上の削減を主張する根本理由は、何よりもこの軍拡の内容自体が、我が国の平和と安全を守るためではなく、アメリカの世界戦略の一翼を担って、アメリカが戦争に突入したときにそれに参加する準備以外の何物でもないからであります。
 中曽根内閣は、日本の独立と自由を守るために日本としてできるだけのことをしなければならないと言います。我が党は、独立国であれば、一般的に最小限の自衛措置は認められるという国際的にも通用する立場と政策をかねてより明らかにしております。しかし、日本の自衛隊とその軍事力はそうではありません。日本に今なお首都東京を含め百余りの米軍基地が置かれ、五万人近い米軍が駐留し、膨大な米軍への思いやり予算が計上されていることから見ても、このことは明らかであります。
 また、一連の軍備拡大が、戦争、武力の行使を放棄する、戦力を保持しないという日本国憲法の精神に根本的に反するものであることも明白であります。
 中曽根内閣は、日本がアメリカの核の傘のもとに置かれていることを容認し、一国だけでは国は守れないと日米軍事同盟を正当化しています。しかし、日米軍事同盟は、反共軍事同盟という本質の点では、戦前の日独伊軍事同盟と同じように国土を戦禍に巻き込む危険の非常に大きなものであります。
 政府は、また、日本全土がアメリカの核戦争遂行の場となり、自衛隊がこれに協力することを当然だとしています。しかし、それは日本の安全のためではなく、米ソ戦争が世界のどこかで始まる場合を想定していることは明らかで、例えば、在日米軍のギン元司令官は米国議会で、「日本だけが攻撃され、単独で対応しなくてはならないような事態はあり得ない、日本へのソ連の限定攻撃は、米ソの世界的対決の中でだけあり得る」と証言しているとおりであります。
 しかも、今、ソ連は核兵器の先制攻撃をやらないと言っている一方で、アメリカは核の先制攻撃を放棄していません。核実験を継続しています。したがって、日本の運命は、アメリカの攻撃的な無謀な核戦争戦略の運命共同体とされているのであります。したがって、中曽根内閣の推し進める日米軍事同盟やそれに基づく軍備拡大は、国を守るという名目で実は日本国民の平和と安全を危うくする以外の何物でもありません。今こそ軍備を削減し、軍事同盟から離脱し、中立、非同盟の道を歩むべきであります。
 そこで、総理に質問します。私は、総理が昨年十二月、防衛庁より報告を受け、了承を与え、日米間で調印されたシーレーン共同防衛研究の内容を国会と国民に明らかにすることを要求するものであります。多くの報道によれば、この研究は、中東またはヨーロッパで米ソ衝突が起き、それが極東、太平洋に波及したというシナリオを設定しているとのことであります。しかし、国民に対して一切明らかにされておりません。事は我が国の平和と国民自身の生命にかかわる問題であります。国会と国民の前に明らかにするのは、政府が国民に対して負っている厳粛な義務であります。いかがですか。
 次に、三宅島の米空母艦載機離発着訓練場設置問題についてであります。
 住民の圧倒的多数の反対の意思は、たび重なる選挙、リコール投票の結果から明確不動であります。ところが、政府は、六十二年度予算に調査費を計上するなど、執拗に建設の強行をねらっております。これはアメリカの言いなりとなり、住民の意思を無視するものであります。総理は、三宅島の米軍機訓練場設置は断念することを米国政府に通告すべきであり、明確な答弁を求めるものであります。
 第三に、核兵器廃絶についてであります。
 私は、毎年八月、東京都原爆被爆者共同慰霊祭に参列し、被爆の体験をお聞きし、核兵器廃絶が緊急課題であることを痛感しております。そして、今なお国家補償による被爆者援護法の制定がなされないことに強い憤りを覚えます。この制定こそ唯一被爆国の政府として緊急になすべき責務ではありませんか。答弁を求めます。
 今、我が国では、非核平和都市宣言をした地方自治体は千百を超え、そこに住む住民は六千六百四十万人、全国の人口の半数を超える五五%に達しました。ところが、中曽根総理が総裁を務める自民党の大会が先日決めた活動方針の中では、非核都市宣言の排撃をうたっておるのであります。唯一被爆国の総理として、核兵器廃絶を緊急最大の課題として取り組むべき責務があるにかかわらず、非核都市宣言の排撃とは全く矛盾逆行することではありませんか。総理の見解を求めるものであります。
 第四に、異常円高、産業構造調整による我が国産業の空洞化から国民の暮らしを守る問題であります。
 一月十九日、ついに一ドル百四十九円台へと史上最高の円高が記録されました。我が国の経済、とりわけ中小企業や国民生活に大きな困難をもたらした政府の責任はまことに重大であります。中曽根内閣が進めてきた政策は、一昨年九月、五カ国蔵相会議で円高への誘導を約束して、かつてない円高不況を引き起こしたことであります。次いで昨年十月、宮澤・ベーカー会談では、一ドル百五十円−百六十円の異常円高を長期に継続することを合意したばかりか、税体系変更、マル優制度の廃止などを約束するなど、アメリカ追随の姿勢をとっているのであります。そして、今、中曽根内閣は、その対米公約を実行するために、国民への公約は踏みにじり、軍備拡大、増税の予算案を提出しようとしております。
 これら中曽根内閣の一連の政策は、国民の暮らしと営業、我が国の産業に壊滅的打撃を与えるもので、田中内閣の日本列島改造計画、福田内閣の赤字国債大増発に匹敵する大失政であります。これを放置するなら、我が国の行く手には、アメリカと同様、経済構造の恐るべきひずみと、大企業栄えて民滅ぶという産業の空洞化が待ち構えていると言わなければなりません。
 そこで質問します。
 まず、異常円高を是正することは今日の急務です。政府自身が現在の一ドル百五十円レートが異常であることを認め、異常円高是正の決意を国内外に宣言し、関係諸国への申し入れや大規模な投機の規制を行うなど、必要なあらゆる措置をとるべきだと思いますが、いかがですか。
 二点目に、石炭、造船、鉄鋼、自動車、電機などの大企業におきまして、人減らし合理化、部品の海外発注、生産拠点の海外移転、これが続出しております。国や自治体から大きな補助を得ている大企業が利益さえ上がれば、勤労者や国民にどんな苦しみを与えても顧みないという大企業の社会的責任を放棄するやり方は、断じて許せません。
 政府は、労働者、住民の生活と営業、地域経済に大きな影響を及ぼす海外直接投資、それに伴う下請の整理、解雇、工場閉鎖、事業の縮小については、知事に調査、勧告権を与え、労働組合、地域住民、関係自治体などとの協議を義務づけることが必要と考えますが、見解を求めます。
 造船、鉄鋼などの大企業の人減らしは目に余るものがあります。例えば、石川島播磨では、従業員の約三〇%に当たる七千人削減の合理化が、激しい退職強要を伴って強引に実施され、退職に応じなかった一部の人たちから仕事を取り上げ、雑用作業をさせるなどの事態が起きました。労働者からの訴えで、東京地裁や東京弁護士会人権擁護委員会で現在、審理調査中でありますが、政府の責任でこの実態を調査、指導し、やめさせるべきであります。答弁を求めます。
 三点目に、経済不均衡の根源にメスを入れる問題であります。
 対外不均衡を生み出した重要な要因は、レーガン政権の大軍拡政策による財政赤字と、多国籍企業の活動と経済空洞化による貿易赤字という、双子の赤字であると指摘されております。政府は、アメリカ側にこの事実を正確に率直に指摘し、是正を要求すべきであります。
 日本側の要因としましては、総輸出額の五〇%、二十兆円を超える上位三十社を初めとする大企業の異常な輸出競争力であります。それは低い賃金、年間二千時間を超える長時間の過密労働、下請の低い単価で支えられております。政府は、その是正のため、賃金の引き上げと労働時間の短縮、下請の保護に積極的な措置をとるべきであります。このことが真の内需拡大にもつながると思いますが、総理並びに労働大臣のお考えを伺います。
 しかるに、政府は、労働基準法改悪案を提出しようとしております。三カ月平均で週四十時間ならば、一日八時間にとらわれず、十時間でも十一時間でも残業手当なしで働かせてもよいなどという労働時間の弾力化の導入は、労働者の健康を害し、人間らしく生きる権利を侵すものであります。また家事、育児の負担を背負う婦人労働者にとって特に過酷なものであります。
 総理、この時代逆行、八時間労働制を崩す改悪案の提出をやめるべきであります。
 ここで、国民生活にかかわる幾つかの重要問題について質問します。
 総理は、高齢化社会への対応のために、「世界の模範となる質の高い長寿社会の実現」を期すと演説されました。お年寄りには、今すぐ現実の対策が必要なんであります。
 老人性痴呆症の夫を抱え、長年の看病疲れで奥さんも心臓疾患と腰痛、二人とも入院したいという方がおります。しかし、二人の年金は合計月五万五千円です。リース代、クリーニング代、おむつ代など入院した場合の保険外費用だけで、二人で少なくとも月十六万八千五百円。手元にある預金は三百万円ぐらい。これも二年余りで底をついてしまう計算。その後は何の保障もないと不安におののいているのであります。全国で五十七万人を超えると言われる痴呆性のお年寄り、五十四万人を超える寝たきりのお年寄りを抱える家庭の困難の緩和のために、どんな対策が講じられているのですか。「世界の模範となる質の高い長寿社会」とはよく言えたものであります。今直ちに軍事費を削ってでも、老人福祉の全面的充実のために尽くす意欲は総理にないのですか。
 次に、国鉄問題です。
 昨年十二月の山陰線全部鉄橋の車両転落事故は、民営化に狂奔する営業収益最優先の政策の破綻が象徴的にあらわれた事件であります。風速二十五メートルをはるかに超える強風のもとで、運行停止措置がとられず事故に至った背景は、鉄橋を挟む駅が無人化され、または運転主任が廃止されるなど安全無視の人減らしにあると思いますが、その原因と背景について答弁を求めます。
 この事故の教訓に立って、安全第一の業務運営、要員計画見直し、必要にして十分な安全要員の配置を速やかに実行する考えはないのですか。
 現在、国鉄職員の人事振り分け作業が進められていますが、国鉄労働者の振り分け、新会社へのいわゆる新規採用に際し、思想、信条、所属組合のいかんによる差別、選別は、憲法及び労働法規から絶対に認められません。そのような差別、選別をしないことを確約できますか。運輸、労働両相の答弁を求めます。
 さて、総理は施政方針演説で、教育改革の成果なるものを披瀝しました。ところが、中曽根内閣になってから教育予算は削られる一方で、この五年間で軍事費が三六%の異常突出にもかかわらず、教育予算の伸びは何とマイナス〇・二四%であります。毎年、私学助成の大幅増額をという請願署名は一千万をはるかに超え、昨年は一千八百五十万にも上りました。世界にまれに見る高い学費の負担、国民の声にこたえ、私学助成についての国の補助を「できるだけ速やかに二分の一とする」こと、この国会決議を遵守する気持ちを総理は持っておりますか。いつ達成するのでありますか、明確にお答え願いたい。
 次に、第四次全国総合開発計画及び東京問題についてであります。
 昨年十二月、国土審議会計画部会の発表した四全総の中間報告は、東京への都市機能や人口の一層の集中を容認する東京重視を打ち出しました。現在、東京では、民間活力型都市開発が引き起こした都心、千代田、中央、新宿、港などの商業地の異常な地価高騰は、周辺住宅地にまで波及し、暴力団まで介在した土地投機、底地買いによって、住民の追い出しが進行しております。
 総理は、多極分散型の国土建設を目指すと述べましたが、もしそれが本当ならば、総理の指示と財界の意向に追随した四全総の策定を見直すとともに、大企業の東京集中を抑制し、土地投機に対する金融の規制、土地投機における容積率の緩和、国公有地の無秩序な払い下げの規制などの具体策をとるべきであります。答弁を求めます。
 総理は、伊豆大島島民の幸せのため全力を尽くすと演説しました。歴史上かつてない一万人の全島民避難による約三十七億円の被害に対し、かつての有珠山噴火時の対策並みに激甚災に準ずる特別の救済措置をとるべきではありませんか。また、昨年十二月、噴火予知監視の機械が設置されましたが、これを取り扱う専門家の配置が不十分なため、とても二十四時間監視体制などとは言えない状態と聞きます。専門家の増員についての政府の対策を伺いたのであります。
 第五に、国民の自由と民主主義にかかわる問題であります。
 まず、国家機密法案です。この法案は、国民の知る権利、言論の自由を侵す人権抑圧法であります。広範な国民の世論と運動で廃案となっております。それなのに、あえて再提出を策するのは、日米共同作戦体制のもと、軍備拡大を際限なく進める上で、その実態をこれ以上国民に知らせないようにするためであります。総理は、戦争の最大の抑止力は国の内外における自由な情報交流だと演説しましたが、それならば当然、国家機密法再提出はあきらめるべきはずですが、いかがですか。
 いま一つの重要課題は、我が党緒方国際部長宅の電話盗聴事件であります。この盗聴が行われたというマンションの貸借人の父親は警備公安の現職警官です。保証人も元警備係の警官です。保証人の住民票をとったのも現職の警官であります。権力機関による犯行である疑いは極めて濃厚です。同時に、あのアメリカのウォーターゲート事件、ニクソンが辞任せざるを得なかったあの事件を思い起こすような、反対党に対する政治犯罪である疑いが濃厚であります。このようなことが野放しになるならば、表現の自由、思想の自由、通信の秘密が侵され、議会制民主主義の根幹が踏みにじられることになるでありましょう。
 政府及び警察庁側から検察側に、お手やわらかにと要請しているという情報がありますが、事実とすれば言語道断であります。絶対に許されません。たとえそれがいかなる者による犯行であろうとも、本件の全容を徹底的に明らかにし、法律に照らし厳正に処罰し、責任追及を行うことは当然で、いささかのちゅうちょもあってはならないと思いますが、いかがでありますか。
 総理は、施政方針演説で民主主義を強調しましたが、事は民主主義に対する総理の基本姿勢を問われる問題であります。
 総理は、施政方針演説で、「憲法施行四十年の記念すべき年に当たり、戦後民主政治全般について検討」することを要請されました。私は、昨年一月総理が、三権見直しを口にし、一度見直してみようということだと述べたことを思い起こします。また、大統領的首相という総理年来の主張を思い起こします。そうして総理は、四年前の八三年一月、アメリカで改憲の時間表を自分は持っていると言いましたが、総理の今回の演説が現行憲法の平和的、民主的条項の改悪の意図を示したものと重大な疑惑を禁じ得ません。
 以上、私は、大増税、大軍拡、円高不況と産業空洞化、雇用不安の増大、福祉と教育の切り捨て等々、国政の全般について触れました。これらすべてが、日米軍事同盟を軸とした我が国の従属構造がいかにゆがみや被害を国民経済と国民の暮らしにもたらしているかを明らかにしていると思うのであります。これらはすべて日米軍事同盟にその根源があります。我が国は今こそ、日米軍事同盟をやめ、非核、非同盟、中立の政策に切りかえ、新しい国の進路のもとで国民本位の自主的経済政策を進めるべきであります。
 我が党は、この国の現状について憂いをともにするすべての人々と力を合わせて、そのために全力で奮闘することを表明し、私の質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(中曽根康弘君) 内藤議員にお答えをいたします。
 まず、選挙の公約でございますが、いわゆる大型間接税と申しましたのは、ここでしばしば御説明申し上げましたように、矢野書記長、大内書記長に本国会におきまして説明申し上げました定義でございまして、いわゆる大型間接税と称するものと、そう私は考えておったわけでございます。その意味におきましては、公約は遵守されておるのであります。
 自民党の山中税調会長も、この公約を守るように最大限努力しよう、そうしてこの遵守はできたと、そういうふうに総務会及び税調の最後の総会でも言っておるのでありまして、公約を裏切ったということはないと思っております。
 防衛政策につきましても、これはやむを得ず一%をちょっとオーバーしたということでありまして、防衛に関する基本政策、あるいは三木内閣の一%を守るという精神は、依然として堅持されておるのであります。そのような尊重するという精神、これはあくまで今後も守ってまいりたいと思っております。
 次に、今回はサラリーマンにも増税ではないかという御質問でございますが、しかし、所得税あるいは法人税あるいは住民税の大きな減税を片っ方で行い、片っ方ではこれに見合う額として売上税及び利子所得というものに課税するということをやりまして、その中におきましても、中堅サラリーマンに対しましては減税を非常に心がけて実行したのでございます。
 例えば、年収三百万の給与所得者、夫婦子供二人の場合におきましては、所得税と住民税を合わせた負担額は三六・三%も軽減されますし、年収八百万の場合も一九・六%軽減されまして、おおむね二けた台の大幅な負担減になるわけでございます。
 法人税についていろいろ御議論がございましたが、法人税が引き下げられれば、これが職員の給与にはね返るとか、ボーナスに影響するとか、株主配当に回るとか、あるいは製品の価格の引き下げになるとか、結局は個人に帰着すると、これは学者も認めておるところなのでございます。
 次に、マル優の問題でございますが、この問題も、いわゆる不公平税制の一環という面もぜひお考え願いたいと思うのでございます。割合に所得の多い人はたくさんの口数を持っていて免税の恩典にあずかっている、そういうことが言われておりますし、国税庁の調査においても、しばしばそれが露呈されてきておるわけであります。
 そういう面からいたしまして、本当に社会の弱い方々であられる老人とか母子家庭とか、あるいは寡婦であるとか身体障害者であるとか、そういう方に対しては今までどおり行うけれども、一般的には二〇%の源泉課税を認めていただいて、そして普遍的に、皆さん一緒に負担するものは負担していただくと、そういうような方法に改めたのでありまして、金持ちが一番これは困るのではないかと我々は考えております。
 したがって、むしろ不公平税制を直しているというふうに考えておるのであります。売上税やマル優廃止については撤回する考えはございません。
 シーレーン防衛の研究の問題でございますが、私たちは、共産党の方々と違って、自由社会の一員として、我々の自由、民主主義を守ろうという考え及び太平洋を隔てたアメリカとの友好協力関係が日本の繁栄の基礎である、そういう考えから、安保条約を堅持し、自由主義社会を守り、そして自衛隊方式で日本の防衛を全うしたいと、そう考えておるのでありまして、中立非同盟という政策はとらないのであります。
 このシーレーン防衛共同研究に対しましては、日本に対する武力攻撃がなされた場合に、自衛隊及び米軍が日本防衛のための整合性のとれた作戦を円滑かつ効果的に共同して実施するための研究でございます。
 これらは、事柄の性質上、公表は差し控えたいと考えて、前から申し上げているとおりでございます。
 三宅島のNLPの問題については、艦載機の着陸訓練は、米軍パイロットの技量を落とさないということが安保条約を有効にする上にも大事な状態であります。
 三宅島は適地と判断いたしまして、今後とも地元の御理解、御協力をいただくために全力を傾倒する考えであります。
 被爆者援護法の問題につきましては、原爆被爆者に対する対策といたしましては、広島、長崎における災難というものは他の戦争犠牲者に見られない特別の犠牲であるということにも着目して、広い意味における国家補償の見地に立って、被害の実態に即した措置を講じてきているわけです。
 被爆者援護法の制定は、一般戦災者との均衡上問題があると考えておりまして、今後とも現行の原爆二法により対処してまいりたいと思っております。
 非核都市宣言の問題でございますが、地方自治体がいろいろお考えをお述べになるということはもちろん自由でございますが、中央政府といたしましては、非核三原則を堅持してやっておるのでございまして、中央をぜひ信頼していただきたいと考えておる次第でございます。
 為替レートの問題につきましては、現在の経済政策上重大な問題は、内需の振興と為替レートの適正な長期的安定と雇用対策である、そう考えておりまして、為替レートの長期的安定については、宮澤大蔵大臣も二回にわたって訪米し、また関係各国との協調約話し合いも進めつつありまして、今後とも努力してまいるつもりでおります。
 海外投資と雇用・下請問題でございますが、我が国の高い経済力の蓄積を背景に、海外投資等を通じて産業の国際的展開が進むことは、一面においては、国際的に調和のとれた経済構造の実現、世界経済の活性化、拡大均衡に貢献するものと認識しております。しかし、問題は、それがために空洞化が起こるとか、あるいは雇用問題が国内で起こるという点もまた考慮しなければならないところでございます。我々は、国際経済関係との調和を一面において考えながらも、しかし、国内経済の安定性というものも考えまして、雇用あるいはこれらの下請関係の取り扱いについては十分注意をしていく考え方でおります。
 次に、企業の合理化の問題でございますが、法定労働条件の遵守のもとに、具体的事情に応じて労使当事者の話し合いによって企業合理化の問題は進められるべきものであります。
 大量解雇などの雇用調整の問題は、労使間で十分話し合いを尽くして納得のいく解決を期待して、政府は介入すべき問題ではないと考えておるのであります。
 いわゆるアメリカの双子の赤字という問題につきましては、従来から我々は財政赤字の削減、輸出拡大努力をアメリカに強く要請してきたところでございます。
 最近の大統領教書によりますと、アメリカも昨年度よりさらに真剣に取り組む体制になりつつあることは歓迎すべきことであります。
 今後ともこれらの問題は、アメリカの努力、あるいは我が方における市場開放やアクセスの問題等、協力して解決していきたいと考えるところでございます。
 時短の問題でございますが、経済発展の成果を賃金と労働時間短縮に適切に配分することは、勤労者福祉、生活の向上のみならず、内需拡大の面からも望ましいことと考えております。
 具体的配分については、それぞれ労使間で自主的に話し合って決められることであると思いますが、政府としては、適度な経済成長、週休二日制の促進等環境の整備に努めてまいります。
 また、下請企業に対して円高の影響が不当に転嫁されることがないよう、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用に努めると同時に、下請企業の新分野進出等構造調整を円滑に進められるよう、新たに技術開発補助あるいは五%の低利融資制度などの支援措置を講ずる所存でおります。
 老人福祉の充実につきましては、長寿社会対策大綱に沿って着実に前進さしてまいりたいと思っております。
 さらに、私学助成の問題でございますが、我が国の学校教育において私学が果たしている役割は、極めて重要な役割を果たしていると評価いたし、私学助成の充実にも努めてきたところであります。
 昭和六十二年度においても、厳しい財政事情の中で最大限の努力をした所存でございます。
 今後とも私学の役割の重要性及び厳しい財政事情の中におきましても、適切に努力してまいりたいと思っております。
 四全総につきましては、いわゆる多極分散型国土の形成を目指しまして現在策定中でございます。
 私が東京プロブレム、大阪プロブレムと申しましたのは、地価対策が欠落しているのではないか、そういう指摘をして申したのでありまして、東京、大阪ばかりに重点を置けという意味ではございません。
 伊豆大島の噴火に対する問題でございますが、被害を受けた方々に対しては、既に既往貸付金の返済猶予等について、関係機関を指導してきているところであります。現在、被害状況及び資金需要について調査中でありまして、その結果に応じて適切に対処してまいる所存であります。
 なお、火山監視の重要性にかんがみ、体制の充実に努めてまいる所存でございます。
 いわゆる国家機密法の問題につきましては、基本的には必要であると考え、現在、自民党において慎重に検討しておりますが、この種の立法については、基本的人権やいわゆる知る権利などにかかわる問題もあり、十分な理解が得られるように慎重に検討を続けております。
 日本共産党幹部の電話盗聴事件については、現在捜査当局において捜査中と承知しております。この種の違法行為に対しては、厳正な態度で臨む考え方でおります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) 年収三百万円から八百万円の間の給与所得者については増税になるのではないかということを御指摘になっておられるわけでございますが、私どもの計算ではそうなっておりません。夫婦子供二人の世帯を考えるわけでございますが、まず所得税及び住民税でございますが、これは内藤議員と私どもの考え方の間に差はないはずでありまして、三百万円の場合には、三六・三%の軽減でございますから二万八千円、それから八百万円の場合は、一九・六%の軽減で二十三万六千円の減税でございます。
 そこで、私どもがしましたことは、そういう勤労者のいわば仮定を設ける必要がありますので、モデル的な家庭状況をつくりまして、そして家計調査を使いましてどのぐらいの支出がその家庭に行われるか、その支出に係る売上税がつまり増税分になるわけでございますから、そういう計算をいたします。それに加えまして、利子課税分が今度はいわば増税になりますので、それを加える。減税分とそれとの対比。それに先ほど総理大臣が言われました法人減税分を加えるというところでございます。
 先ほど総理大臣が言われましたように、法人税が減税になりましたときに、いっときは法人に滞留するということがあるかもしれませんけれども、競争社会でございますから、結局それは配当になるか、賃金上昇になるか、あるいは製品価格の引き下げになるか、いずれにしても個人に分解され還元されるということは、これはもう多少の時間を置けば明らかなことであって、これを全く無視するということでは私は計算はできないだろうというふうに考えています。そこのところがお考えと私どもの違うところではないだろうか。
 なお、今度の減税では、御承知のように、いわゆる中堅サラリーマンというところが教育費とか住宅ローンの返済とかいうところで苦しゅうございますので、ちょうど三百万から八百万ぐらいのところの減税に重点を置いておるわけでございます。
 それから、為替相場につきましては、この一月の中旬に起こりましたようなことは外国の、ヨーロッパの事情等の影響もあり、アメリカの国際収支の発表の関係もあったと思いますけれども、あれは一種の投機による市場の攪乱要因であったと考えましたので、ベーカー長官と協議をいたしまして、有効な対策をお互いに考えるということにいたしたわけでございますが、今後ともこのような協調関係は、サミットで述べられましたように、主要先進国の間でやってまいることが望ましいことであると思います。あのような投機による市場攪乱は許すことができないと考えます。
 それと、いわゆる資本取引の規制とは全く別のことでございまして、資本取引の自由化は我が国が国際的に約束をいたしておることでございますから、これを規制するようなことは全く考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(平井卓志君) 私に対するお尋ねは三点ございまして、順次お答えをいたします。
 経済審議会の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」見直し報告や経済構造調整特別部会中間報告で指摘されておりますとおり、経済発展の成果を賃金と労働時間短縮へ適切に配分することは望ましいことと考えております。具体的な賃金等への配分につきましては、それぞれの労使が自主的な話し合いを通じて適切に解決を図るべきものと考えております。
 労働時間の短縮につきましては、最重点施策の一つとして、週休二日制の普及定着を基本とし、年次有給休暇の消化促進及び連続休暇の定着、所定外労働時間の短縮等に努めておるところであります。
 労働基準法の改正に関しましては、昨年十二月に中央労働基準審議会から建議をいただいたところでございまして、この建議は、労働基準法の改正に当たっては、中長期的な展望に立って我が国の労働時間法制のあるべき姿を見通したものとするとともに、第三次産業の拡大等の社会経済情勢の変化に即応したものとする必要があるとの見地に立って行われたものであります。労働省としましては、この建議に沿い、労働基準法の改正法案を今国会に提出する所存であります。
 最後に、国鉄問題でございますが、もう議員も御案内のように、国鉄の新会社の職員の採用は、日本国有鉄道改革法の規定にのっとり、設立委員の定めた採用基準に基づいて適正に行われることとされております。したがって、職員の採用に当たり、思想、信条、所属組合のいかんによる差別、選別が行われることはないものと理解いたしております。また、そのような差別、選別があってはならないものと考えております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年十二月二十八日、山陰線全部鉄橋におきまして発生いたしました列車の脱線転覆事故に際しまして、まず死亡されました六名の方々に対し衷心から哀悼の意を表すると同時に、負傷されました方々にお見舞いを申し上げたいと思います。また、この事故発生を苦にして自殺された二人の国鉄職員にも心から哀悼の意を表します。
 この事故の原因につきましては、直接的には強風によるものと考えられておりますが、詳しくは現在調査中であります。同橋梁の安全確保につきましては、必要な保安装置を整備し、所要の安全対策を講じてきたところでありますが、このような事故が発生したことはまことに遺憾であります。この事故の原因及び対策につきましては、現在ハード面及びソフト面の双方から調査検討させているところでありまして、再びこのような事故を起こすことのないよう指導してまいりたいと思います。
 なお、現在進めております業務運営の効率化、要員配置の見直しに当たりましては、安全に十分配慮しているところであります。
 次に、国鉄が新たな経営形態に移行いたします過程における職員の採用基準についてでありますが、ただいま労働大臣からも御答弁のありましたとおり、その承継法人への職員の採用は、設立委員等によって示された基準に基づいて適正に行われることになるものと考えておりまして、その際、職員の思想、信条、所属組合のいかんを理由として差別が行われることはないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(藤田正明君) 井上計君。
   〔井上計君登壇、拍手〕
#20
○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表して、総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。
 具体的な質問に入る前に、まず中曽根総理の政治信条についてお伺いをいたしたいと思います。
 総理は、就任されたときから国会における所信表明演説で、「民主主義において政治は国民のもの、主権者たる国民の政治への不断の関心と活発な働きかけが基本である。代議制度は、国民の負託に誠実にこたえ、その意思をすくい上げる有効な回路として機能する。それを支えるものは、国民の政治に対する信頼である。政治に携わる者が、その使命を深く自覚し、常に国民の模範となる行動を心がけるべきである。私は、各党、各会派そして議員各位の御協力のもと、清潔な政治を目指し、政治の倫理の確立に努めるとともに、国民の不信を招くことのないよう行政の適正な運営に努力する」と、力強くその決意を述べてこられました。
 そうして、その後の国会においても、毎回、民主主義の重要性を述べ、民主政治を遂行するため、与野党間の話し合いを大切にし、国民の声に耳を傾けることを約束されております。
 ところが、昨年の衆議院の解散の際の政治手法は、民主政治の根幹を無視し、さらに、同日選勝利のために、なりふり構わぬ総理の言動は驚くべき強引さであったと言われております。
 強引と詭弁と謀略によって大勝した後の総理の言動は、口では、「この国民の御審判を天意と心得、あくまで謙虚に、誠意を尽くして、着実に公約を実現し、国民の御期待におこたえしなければならないと決心しております。また、国民の政治運営に対する変わらない信頼を確立するため、私は、今後とも清潔な政治と規律ある行政の確立に努力いたします」と、一応は過去と同じような政治信条を述べておられます。
 しかし、昨年の十月以降の総理の言動は、以上の信条とは全く異なることが歴然としております。しからば、なぜ総理の政治信条に変化が生じたのか、それともまた、それは安定政権をつくるための策略的な便法であったのか、今、多くの国民はこの総理の政治信条の変化をはかりかねているのであります。総理、お願いであります。この際、総理の真実の信条をテレビ、ラジオを通じて国民に対しわかりやすく、かつ誠意を持って御説明をお願いしたいのであります。
 さて、質問の重点は、売上税の導入についてであります。
 先般、政府が決定した売上税なるものは、その内容を詳細に検討すればするほど、中曽根総理が国民に対し導入しないとかたく公約された大型間接税そのものであることは、全く議論の余地はありません。日本型付加価値税、そして売上税と名称を変え、言い逃れのために当初の七項目から四十三、さらに五十一と非課税項目をふやし、年売り上げ一億円という大幅な非課税ラインを設けてみても、大はNTTから小は零細企業に至るまで、すべての企業が実質的な納税義務を負い、その上、コストの上昇、売り上げの減少等々、売上税とのかかわりを免れることはできません。また、すべての消費者が売上税の負担を多く強いられることになるのであります。したがって、これを大型間接税と違うと言われる総理の弁解は、残念ながら、まことに詭弁であります。すなわち、白い馬は馬ではないと言うに等しいのであります。
 総理、これほどまでに明確な言行不一致の例は、戦後政治史上全く類例を見ません。国民の政治に対する信頼を著しく傷つけたことを、私は政治家の一人としてまことに残念でなりません。
 このように、売上税導入は紛れもなく公約違反でありますが、さらに、このほかにも売上税法案を断じて容認することができない数々の理由を挙げ、質疑を行います。
 まず、売上税導入を含めた税制改革案決定のあり方についてであります。
 我が国の税制改革の機運を高め、そうして引き金となった米国の税制改革は、その改革案を財務省案として国民の前に明示し、最終的に上下両院の一本化された改革案ができるまで、実に一年九カ月の期間を置き、この間、国民の間で論議に論議を重ね、大統領案、上院案、下院案を経てようやく一本化されたという、まさに財政民主主義に則した改革案決定のあり方であります。特に、その過程の中で、当初導入の予定であった付加価値税は、国民の選択によって撤回されているのであります。もって範とすべきであります。
 それに引きかえて、今回の我が国の改革案は、昨年十月に政府税調の新型間接税導入案が出されてからわずか二カ月、国民が一切関与することのできない自民党税調の密室審議により売上税導入が決定され、法制化されようとしております。これは戦費調達というにしきの御旗を掲げた、勅令による戦時立法以来の暴挙と言わざるを得ません。なぜこのように密室の拙速審議を行ったのか、総理の明快な答弁を求めるものであります。
 次に、売上税の導入は、国民経済を混乱に陥れ、国民生活を窮乏に導くなど、総理が掲げた税制改革の理念にまさに逆行するものであります。
 総理は、衆参両院の代表質問に対する答弁で、判を押したように、売上高一億円以下を非課税企業とすれば、企業数では八七%を占めているから網羅的ではないと言っておられますが、これら一億円以下の企業の売上高は、全体のわずかに八。七%にしかすぎないのであります。加えて、非課税企業は前段階からの仕入れ税額を控除できず、これを価格に上乗せして販売するということは事実上不可能であります。しかもその上、次の取引段階の企業からは、税額票を発行できないことを理由に取引を拒絶される事態は容易に予測できるのであります。しかも、中間に非課税業者が入った場合は、この前段階で徴収した税は実質的に二重取りになるということを予想しているのでありますか、お伺いをいたしたいと思います。
 大蔵省は、その立案当初から、当然このような問題が発生することを予期して、非課税企業が不利になる場合は、みずからの選択によって課税企業となれるとしており、また、最近、さらにこの点に批判が集中すると、慌てて簡易課税制を加えるとのことでありますが、納税を免除された企業が進んで、事実は泣き泣きであります、納税企業になるという税制が果たして過去にあったのかどうか。あれば、ぜひ大蔵大臣に教えていただきたいと思います。この点は、公約違反の追及を逃れるために、明らかに言いわけのため設けた案でありますが、このことは、国の基本政策である、弱者切り捨て、中小企業切り捨ては絶対やらないという政策に相反することを考慮したのでありますか、お伺いをいたします。
 さらにまた、その上に、五十一項目という多くの非課税品目を設けたことにより、この税を一層複雑、難解にし、新しい不公平を生み出し、国民生活を混乱に陥れることになります。それは、食料品は非課税とはいえ、例えば缶ジュースは非課税部分はわずかに二七%程度であります。大部分の七三%は全部課税対象であります。食料品、飲料品の全部が値上がりすることは、したがって当然であります。また、食料品は生活必需品であるから全部非課税としております。したがって、高級な菓子、何千円とする菓子、あるいは何千円とする高級果物もすべて非課税であります。それに対して、文字どおり生活必需品である歯磨き、石けん等は、百円のものでも化粧品であるという理由で課税されるのであります。さらに、雑誌、書籍あるいは化粧品等の再販物が一物二価になることは避けられないわけであります。これら矛盾や不公平がいっぱい生じてくるのであります。
 大蔵省は、このような事態が当然発生することを事前に予期したのでありましょう。したがって、この追及をかわすために特例を次々とつくっております。さらにまた、批判が起きると、売上額の一%を課税する簡易課税制を発表する。さらに、付加価値額の少ない卸業者からの批判が起きると、慌てて〇・五%の課税制度を追加するという、文字どおりその場しのぎ、行き当たりばったりのやり方は、真に国家の繁栄と国民の生活を守るという税制確立の信念はなく、何が何でも売上税を創設するという独善性と、反対を和らげるために各個撃破をするという、まことに陰険こそくな手段と言わざるを得ません。このような矛盾だらけの制度が、低所得層の優遇であり中小企業育成に役立つ最善の方法と考えておられるのかどうか、総理、大蔵大臣のお答えをいただきたいと思います。
 今や私たちの周辺には、売上税についての問い合わせと絶対反対の声が殺到しております。その人々のすべてが総理並びに自民党に対し強い怒りをたたきつけ、政治への不安を投げかけているのであります。総理、あなたはこのような現実を御存じでありましょうか。知っておられるとすれば、それではなぜこの法案の提出を強行しようとされるのか、その理由は何であるのか、ぜひお尋ねをしたいのであります。
 さらにまた、売上税案は公平、公正という税の基本理念に反しております。現状でさえ、税務職員の不足による税務調査の不備が原因で不公平、不公正が横行しております。行政改革に逆行してまで膨大な職員を増員し、売上税を導入すれば公正が保たれると考えておられるのかどうか。売上税が導入されれば、むしろ逆の状態、すなわち、不公正がさらに広がり、徴税職員と納税者との間に大きな溝が生じることになります。このことは、大蔵省も当然予期しておられるのでありましょう。したがって、最後に発表した案では、課税企業に番号制を設け、この番号を受けることを義務づけるとしたではありませんか。この制度を設ける真意、また、この制度案を自民党税制調査会の審議にかけたのかどうか、総理並びに大蔵大臣にお伺いをいたします。
 また、政府税調が特に配慮したとされる国際性にも、売上税は真っ向から逆行する税であります。すなわち、付加価値税を導入していない国、特にアメリカとの貿易について見たとき、輸出品非課税、輸入品課税という性格を持つ売上税導入は、新たな対外摩擦を必ず引き起こすことになります。アメリカから見れば、日本からの輸入品には課税されていないのに、日本へ輸出した商品には課税されるということであります。
 このことは、我が国経済が抱えている最重要な課題である国際性、そして行き過ぎた円高を切り抜けるための内需拡大策に官民挙げて最大の努力を払わなければいけないとき、新たな対外摩擦を引き起こし、経済取引を混乱に陥れて物価を上昇させ、さらに経済を萎縮させる。その結果どのような難問題が発生するのか。先日も発表になりましたが、六十一年の対米黒字が前年と比べて約百億ドル増加し、アメリカにおいては一層激しい対日批判が起きております。このため、政府は、対策として輸入拡大、輸出抑制策の指導を行うことを決定していますが、この政策と売上税制とは全く相反するではありませんか。総理、大蔵大臣は深くお考えになっているのかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
 一昨年九月、G5の合意から急激な円高に持ってきたのは、政府の方針であったことは明らかであります。そのために円高デフレが進行し、輸出関連中小企業の倒産は相次ぎ、ついに我が国の産業経済を支えてきた鉄鋼、造船、石炭、繊維、非鉄金属等々の基幹産業まで不況のどん底に追い込み、さらに円高に強いと言われていた自動車、電機産業さえも、円高への対応から海外生産、海外進出もやむなしとし、急増しております。我が国の全産業に赤信号がともっているではありませんか。そのために失業者は急増、さらに多くの勤労者が雇用不安におびえ、不安な生活を送っていることを十分に御存じのはずであります。
 このような状況をもたらしたのは明らかに政治の責任であります。それにもかかわらず、その責任を痛感し、反省することもせず、さらに一層の円高を招くような売上税を導入しようとする政治感覚は異常としか言いようがありません。
 このようなことは、本年に入ってからの一層の円高原因がこの売上税導入にあることは明らかであります。それは、去る一月十九日、日本政府が売上税を導入することは内需を一層萎縮させる、貿易不均衡を是正する約束を守ろうとしないというアメリカ財務省の高官の発言で、直ちに百四十円台に突入したではありませんか。さらに、先日、二十八日、アメリカ上院の通貨問題の第一任者であるブラッドレー議員が、日本の内需拡大策は極めて不十分、売上税導入は内需拡大に逆行する、所得税を下げても売上税を導入すれば逆の結果を生む危険があると非難していることからでも、最近の円高の理由が立証されております。もしこれ以上に円高が進行すれば、我が国の産業界は壊滅です。総理が幾ら三十万人の雇用対策を掲げ、民活による内需拡大を叫ばれても、机上の空論に終わってしまいます。
 総理は、常に我が国の外交方針は日米関係を基軸にして、西側自由主義陣営の重要な役割を果たすと言っておられますが、しからば、なぜ日米関係を悪化させることになる危険を冒してまでこの売上税の導入を強行しようとされるのか、その真意がわかりません。全くもって不可解であります。総理並びに大蔵大臣の明確な御答弁をお願いするものであります。
 さて、以上諸点のほかにも、この売上税は絶対導入すべきでないという理由が多々あります。したがって、これ以上論ずる必要はないほどの悪税であります。かつまた、国民の大多数が売上税導入に反対し、粉砕を叫んでいることからしても、これを撤回されることが総理として最も賢明な方策であり、同時に、総理の政治信条の変わっていないことを国民に証明されることになると思うのでありますが、いかがでありますか。
 また、総理はしばしば、しからば対案を示せとくよ言われます。それは、我が党を初め、社会党、公明党それぞれが国民の合意の得られるような代案を既に発表しております。したがって我々は、政府・自民党案を含めて、国民の前で同じ土俵で論議するため、党首の公開討論を要求したにもかかわらず、自民党はこれを拒否されました。なぜでありますか。今こそ国民に重大な影響のある課題については、一国の最高責任者が対案を示せと言うからには、まず法案を撤回して、各党対等の立場で論議を尽くすべきであろうと考えます。いかがでありましょう。
 古来、洋の東西を問わず、革命や一揆の根因は、そのほとんどが租税、すなわち、年貢や地代、人頭税などによる時の支配者の苛斂誅求に対する民衆の不満と反発でありました。アメリカの独立革命しかり、あるいはフランス革命にしてしかり。我が国においても、室町時代の土一揆、頻発した江戸時代の百姓一揆、そして幕末、明治初年の農民運動、すべてしかりであります。
 封建時代ならいざ知らず、売上税が提案されている現代の我が国は、民主主義を謳歌しており、さらに一応の経済的繁栄を実現しているのであります。このような経済社会のもとで、これを破壊するような売上税は絶対に実施されることのないよう全力を注ぐことが、私たち政治家の使命であると確信をいたしております。
 さて、民主主義の我が国において、悪政に対してこれを阻止する運動を展開するのは、憲法に保障された国民の当然の権利であります。ところが、去る二十七日に開かれた自民党の役員会では、流通業界が、我が党を初め社会、公明、社民連の四野党と売上税粉砕の共闘を組んだことについて、国民の権利を否定し、特定の経済団体を恫喝するがごとき発言が行われていることが新聞に報ぜられております。私はこれを見逃すことができないのであります。
 すなわち、宇野幹事長代理が、我が党がバックアップしてきた業界が資本主義、自由主義をつぶそうという勢力と野合するとは遺憾だと暴言し、また、ニューリーダーとされる安倍総務会長までが、自民党というトラの尾を踏むと大変なことになると、経済四団体首脳に揺さぶりをかけたと伝えられております。そして、業界に対し、自民党をなめるんではないとの暴言を吐いている自民党議員がいると言われております。また、既に反対を叫ぶ各種団体に対し、それぞれのルートから強い圧力がかけられております。
 私は、これが我が国の政治を担当する与党の最高幹部の発言だと思うと、背筋に寒さの走るのを覚えます。まさに、かつての言論弾圧とファッショ時代に立ち戻ったかの錯覚さえ感じます。これでは政治不信はますます高まります。これまで国民が営々として築き上げてきた経済社会の行く末はどうなるのか、憂慮せざるを得ないのであります。これでは、総理の言われる栄光ある日本の将来の展望は望めません。自民党の総裁としての御所見いかがでありますか、お伺いをいたします。
 また、先日、共同通信社が行った自民党衆参両院議員に対するアンケート調査では、有効回答百七十六人、そのうち、総理の公約は違反にならないと答えたのは四五%強、公約違反である、どちらとも言えないとを合わせると五四・六%と発表されております。このように少ない回答者の中でも、半分以上が公約違反及び違反らしいとしておるという現実について、中曽根総理は自由民主党の総裁としての責任をどうお感じになっておられるのか、ぜひこれもお答えを願いたいのであります。
 以上、述べた点でもおわかりのように、この売上税と称する新税案は、百害あって一利なしの悪税であります。さらにまた、民主政治の根幹を崩し、国民の政治不信が最高に高まり、ゆゆしき重大事が起きることが憂慮されるものであります。絶対に売上税は導入してはなりません。私は、国民の名において、繰り返しこの撤回を強く求めるものであります。
 次に、国民的な要望となっている所得税減税について提言し、質問を行います。
 六十二年度において、国、地方を通じて一兆七千億円、六十三年度には二兆八千億円の減税財源が必要であります。これに充てるのには、常に主張しているように、不公平税制の是正や歳出面の見直しを行うことで可能性は十分であります。しかし、この方法だけでは六十二年度からの実施は困難でありましょう。だから、売上税導入という方法以外に財源がないと言われますが、増税なくしてもその方法はあるではありませんか。それは緊急避難の措置でありますが、ここ両三年の間、国債の償還財源に充てることになっているNTTの株式の売却収入を臨時に充当することであります。NTT株の売却収入を国債償還に充てることとしたゆえんは、前身の電電公社の資産が国民共有の財産であるという国会での合意に基づくものでありました。
 今、税制改革を実行するに当たり、その財源として国民共有の財産であるNTT株の売却収入を充てることは、内需拡大の緊急性からしても、さらに、国民は弾力的かつ機動的な政治を切望しておりますから、十分理解、納得してもらえるものと考えます。これにより、売上税導入を撤回し、また、国民に定着したマル優制度を廃止するという血も涙もないような非情な方法をとらなくても、当面の減税は十分可能であります。いかがでありますか、大蔵大臣のお答えをお願いをいたします。
 私は、以上のほか、円高に苦しむ中小企業者への対策、特に昨年の臨時国会で制定された特定地域中小企業対策臨時措置法を初め、特定地域に対し一層の強化策を要求し、かつ、政府系金融機関の基準金利を初め各種中小企業金利を速やかに引き下げること、さらにまた、超低金利時代に適応する財投金利の引き下げ等について要望を行い、質問するつもりでおりました。また、行財政改革の強力な推進、雇用確保対策、緊急を要する農業政策の転換、食管法の見直し等につきましても質問し、具体的な提言を行う予定でありましたが、売上税の問題に絞って質問を行いましたのは、この売上税導入のいかんによっては、総理が述べられた施政方針演説のすべてが御破算となるおそれがあるからであります。
 どうか総理、現在、各地に燎原の火のごとく燃え上がっている売上税反対、企業をつぶすな、国民生活を圧迫するな等々の、全国民と言っていいほどの多くの声に真剣に、謙虚に耳を傾けていただきたい。公約をぜひとも実行していただきたい。最後に、いま一度強くこのことを要望して私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(中曽根康弘君) 井上議員にお答えをいたします。
 この間の選挙のあれでございますが、我々自由民主党は、税制あるいは大減税、それから国鉄の大改革あるいは教育の改革、こういうことを主張いたしまして、国民の御支持をいただいて、そうして一つ一つ今実行している、こういう過程にあると思うのでございます。
 この税制の大改革にいたしましても、大きな減税を約束いたしまして、これを実行するための財源の調整という面で苦慮いたしまして、そしていろいろ政府の税調にも諮問し、あるいは党の税調でもいろいろ御苦労願いましてこのような結論になったということをぜひ御理解いただきたいと思いますし、私が本国会におきまして大内書記長にお約束いたしましたいわゆる大型間接税という定義にはこの内容は当たっていないのであります。そのことも累次ここで申し上げたとおりでございます。
 それから、拙速の税制改革ではないかという御質問でございますが、この税制改革につきましては、六十年の三月に自民党に村山調査会というのができまして、自民党内部の勉強が始まりました。また、六十年の九月には私から政府税調に正式に諮問いたしまして、こういう方向で研究してくださいとお願いをしたわけで、自来ずっとこの税制改革の問題は論ぜられ、また、国民の目にもジャーナリズムを通して映ってきておるわけでございます。そして最終的に、昨年の十月及び十二月に至りまして、政府税調及び党税調におきまして詰めの審議を行いまして、非常に熱心な審議が行われまして、その要綱が届けられ、それに従いまして政府としては作成した、こういういきさつでございまして、時間的にはかなりのものがかかっております。しかし、その内容につきまして細かいところまで国民の皆様にお見せする余裕がございませんでした。これは甚だ遺憾でございます。しかし、これからいろいろ内容につきまして国会を通じて御説明申し上げたい、そういうことで待機しておる状況でございますので、ぜひとも委員会等を通じましてつまびらかな審議をお願いいたしたいと思っておる次第なのでございます。
 さらに、国民の皆さんの反対の声でございますが、私のところにもいろいろな声が届いておりますけれども、割合に賛成している人は黙っている人が多いわけです。また、反対する方は声が大きくなる。これは世の中当然のことでございます。しかし、この新しい新税というものにつきましては、内容がわからないものですから、やはり税というものに対する国民の恐怖感がございます。そういう意味において新税は悪税である、こう言われておりますが、よっぽど注意して国民の皆さんに懇切丁寧に御説明申し上げなければならないと思っております。そういう意味において、政府はまだ不十分であったと思います。これから誠心誠意努力いたしまして、内容等についても御説明申し上げ、また、国民の皆さんの声もお聞きいたしまして、そして実施上直すべき点があれば、これも十分耳を傾けてやりたいと考えておるところでございます。
 次に、税額票の番号等については大蔵大臣から御答弁があると思いますが、これは税執行上の整理番号という意味である、そう思っております。別にいわゆる背番号というような性格のものではないと思うのでございます。
 対外摩擦の問題につきましては、売上税は輸入品に対しても課税されるという点においては内外無差別であります。この種の税金は、大体四十四カ国と言われていますが、各国が行っており、我々の近隣においても、台湾、韓国が既に行っております。アメリカにおいては州においてこれが実施されております。そういう意味においては、大体同じ喫水線の上を走ろうとしておるという状況なのでございます。したがいまして、これが対外摩擦の原因になるとは考えておりません。
 今回、物品税を廃止いたしまして、そして今まである間接税の内部のいろいろな不合理を是正しようという点は、むしろ貿易摩擦解消に役立つのではないかと思う次第でございます。
 さらに、いわゆる優遇税制、利子優遇税制の是正を行っている。ということは、外国からこれは貯蓄優遇である、そういうような目で見られておりまして、これが一部修正されるということは外国も歓迎するのではないかと考えております。
 内需拡大の問題につきましては、今回の税制については、所得税、法人税、住民税の減税が先行いたします。法律を通していただけば、四月一日からまず源泉課税そのほかサラリーマンの減税等も実施する予定でございまして、売上税を実施するのは来年の一月ということであります。また、利子課税についても十月からであります。その間において先にサラリーマンの減税は進行するわけでございますから、そういう意味においてはこれは景気刺激の大きな力を持ってあろう。いわゆる売上税が一月以降実施されましても、むしろそれを上回る活力を経済に与えるのではないかと我々は考えておる次第でございます。
 不況産業との関係でございますけれども、前から内需振興、為替の長期的安定、それから雇用対策、これがことしの大きな仕事であると申し上げておりまして、この点については今後とも懸命に努力してまいりたいと思っております。
 また、産業構造転換の円滑化、地域経済の活性化等を図るために産業基盤整備基金等を設置するとともに、他分野への転換に必要な生産設備に対する特別償却制度等、税制上の支援策を講ずべく今国会に新たな提案を行おうといたしております。さらにまた、三十万人雇用開発プログラムを実施する。これに一千億円の予算を用意いたしております。そのほか、地域の雇用対策として、今国会に地域雇用開発等促進法を提出することにいたしております。
 個別的企業については、鉄鋼、石炭あるいは非鉄金属そのほかいろいろ問題がございますが、造船もございます。一つ一つについて、これは関係官庁及びその地域の公共団体あるいは企業と連絡をいたしまして、円滑にこの問題が処理されるように今後とも努力してまいるつもりであります。きめの細かい配慮をしていくつもりでございます。
 政府は、選挙の公約を実行し、特に減税を実行しようという熱意に燃えておりますので、政府案を撤回する考えはございません。
 流通業界その他においていろいろの声があることは承知しておりますが、自民党におきましては、政府と協力して、この税の趣旨や仕組みを各界各層によく説明をし、誤解があればこれを解く努力を一生懸命やらなきゃならぬ。そういう趣旨の会合での発言があったと聞いておりまして、決して恫喝するとかなんとかという思い上がった考えはございません。
 なお、国民の皆さんの御理解と協力を得るということは、今後とも精力的に実行いたしたいと思いますが、国会の委員会等を通じまして、具体的な問題についていろいろ御質問をしていただくことが国民の疑問を解消するのに非常に役立つのではないかと思うのです。井上さんのようなエキスパートから質問していただくということが一番有意義であると、私はそのように考えておる次第でございます。
 残余の答弁は大蔵大臣等からいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、納税を免除されるはずの企業があえて納税者になるという選択をするということについてのお尋ねであったわけでございますが、これは付加価値税をとっております諸外国におきましても、結局、我が国と同じような選択を納税者に与えるという、そういう制度を認めておるわけでございます。恐らく、例えば商店街のようにその地域のお客様、最終消費者が多いわけでございましょうが、に物をあるいはサービスを提供している方々は、これはもう非課税業者の方が有利でございますし、それから中間に入られましても、工賃がほとんどの付加価値であるというような方々は仕入れの控除ということが少のうございますから、この場合も非課税でおられる方が有利だと思います。
 井上議員が言われましたような、中間段階で取引の有利な点をむしろ取引から排除されないために納税者になりたいという場合には、これは結局そういう選択をお与えすることは御本人の利益になることで、特段の損失になりませんから、選ばれる場合には、私はそういう選択を差し上げてもいいし、またその場合に、仕入れの推定であるとか、あるいは期間の特例であるとかいうものは簡素な形でして差し上げた方がそのためになるであろうと、こういうふうに考えて選択制を設けたわけでございます。
 それから、その次にお尋ねの中で、いわゆる非課税項目について何か政治的ないろいろ配慮があって、当初七つであったのが五十一になったと言われますのは、実はそうではございませんで、この税を最初に検討しました段階で諸外国の例などを見ておりますと、例えば食糧であるとか、保険医療であるとか、教育であるとか、そういうかなりの分野にわたって非課税になっているものがある。そのような分野を例示して七つほど挙げたわけでございます。我が国の場合も参考になるということで例示して挙げたわけでございますが、それから議論が深まってまいりまして、立法に至ります段階で、ただ教育というようなことを書くわけにまいりませんので、それを項目にしてまいりますと五十一になったというようなことでございまして、その間、いろいろな業界からの圧力があった、あるいは政治的云々ということはなかったというふうに考えております。
 それから、その場合にいわゆる簡易課税をなぜ考えたかということは、先ほども申しましたが、仕入れ額を売り上げの仮に八割と推定する、あるいは卸売であれば九割と推定するというようなことをいたしますれば、計算が簡易でございますし、もとより、そんなにマージンがないと言われる方は、御自分で計算されることがよろしいのでありますが、そういう推定をするということは簡易でございますし、また納付期限も三カ月を六カ月にこの場合いたしますと、少なくとも金利などの面ではかなり楽になるのではないかと思いまして、そういう簡易な制度を設けたわけでございます。
 それから、課税、非課税のバランスでございますが、これはできるだけ国民生活に関連する分野が多いのを非課税としようとしたわけでございますけれども、おっしゃいますように、食料品なんかの中に食料品の販売あるいは製造の過程の中で、いろいろ用いられる容器であるとか設備であるとかいうものが、これが課税の対象でございますから、その限りでは、それは食料品そのものが非課税であるために価格の中にコストとして入り込む、その範囲で食料品の価格が非課税であっても上がる、わずかな部分と思いますが、それはどうも避けられないことであると思います。
 なお、書籍のことについて、再販価格を維持しなきゃならないことの関連がどうなるかというお尋ねは、私どもも今、どういうふうに扱うのが一番よろしいかということで、関係省庁と相談をいたしております。
 それから、企業番号制度でございますが、これは税額票との実は関連でございますが、御案内のように、税額票というのは、いわば悪用しますと非常に不正が起こりやすい性格を持っておりますから、これが間違いなく運用される必要がございまして、そのために、この売上税の納税義務者となる事業者について、整理の意味で番号をつけたいと考えておりまして、これはいわゆる納税者番号というものとは異なっております。例えば、今やっておりますことですと、金融機関、銀行の支店等々に利子課税を適正にしますために番号をつけておりますけれども、そのようなものとして考えておるわけでございます。
 なお、これについて、こういう制度を設けるについて自民党の内部で了承しておるかというお尋ねがございましたが、これは閣議決定に先立ちまして党の機関の了承を得ました上でいたしております。
 それから、売上税と輸出輸入の関係は総理からお答えがございましたが、一般的に今度やりますことは、ECでやっておりますことと同じことでございまして、ECの付加価値税と同じことでございまして、特段の摩擦を生ずることはないというふうに考えております。
 それから最後に、このたびの所得、法人税減税等々の財源としてNTTの株式の売り上げ代金を財源として使ったらいいではないかと。今おっしゃいましたことは、ここ両三年、国債をいわば全額借りかえをするならば、予算繰り入れというものは入り用がなくなるのであるから、全額借りかえをすることによって浮きましたNTTの株式売却代金を減税財源にしたらいいではないか、こう言われたわけでございます。これは私は一つの御見識だというふうに実は思いますが、国債の全額借りかえということをここで始めるということは、いわば今後の減債制度をどうするかという少し大きな問題とかかわっておりまして、それについての全般的な検討を必要とするのではないかというのが一点。
 もう一点は、NTTの株式の売上代金は一年だけではございません。確かに両三年あるわけでございますけれども、それはいっときの歳入であることには間違いない。減税はもう永久のものでございますので、その財源としてはできれば恒久的なものを考えておくのが本来ではないかと、私どもはそう考えたわけでございます。
 おっしゃいましたことは一つの御見識であるということは私も思いますけれども、私どもとしては、ただいま考えましたようなことでこういうふうにさせていただいたわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(藤田正明君) 村沢牧君。
   〔村沢牧君登壇、拍手〕
#24
○村沢牧君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、さきに行われました中曽根総理の施政方針に対する質問をいたします。
 戦後政治の総決算を金看板に掲げた中曽根内閣の誕生から四年四カ月、この間、中曽根総理は威勢よく改革と銘打った花火を打ち上げ、あたかもあすの日本が見違えるようによくなるような夢を振りまいてまいりました。しかし、今日、中曽根政治の軌跡を冷静に振り返ってみますると、国民生活にとっては改革と言うにはほど遠い幻想であったにすぎません。弱者切り捨ての福祉削減、平和憲法無視の軍備拡張、そして公約無視の大型間接税の導入など、戦後政治の総決算の実体が国民の目にもはっきりわかってまいりました。
 中曽根総理は、このような政治姿勢を謙虚に反省することもなく、さきの所信表明では、今度は、戦後民主政治の見直しなどと言って、民主政治と平和憲法に挑戦するがごとき態度は、国会と国民を愚弄するも甚だしく、断じて容認することはできません。今、総決算をしなければならないのは、戦後、国民が築いてきた民主主義に弓を引こうとする中曽根政治そのものであります。総理の本心を伺いたいのであります。
 以下、私は、財政問題を中心に中曽根政治を具体的に総決算し、政策の転換を求めます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 その第一は、国民生活を犠牲にして防衛費を突出させてきたことであります。
 昭和四十八年、政府は福祉元年を宣言し、その後の厳しい財政の中でも、その実現に向けて一定の努力を重ねてきましたが、中曽根内閣となった五十八年度以降は、社会保障費は圧縮に圧縮を重ねてわずか一一%、年平均二%程度の伸びに抑え込んできているほか、中小企業関係予算に至っては二一%のマイナス、農林予算は一八・二%、うち食糧管理費は四二・四%も削減しているのであります。これはほんの一例でありますが、国民生活に関する予算は軒並み圧縮されているのであります。
 この間、増税なき財政再建をスローガンに掲げながら、実質増税額は一兆二千百八十億円にも達し、加えて、国民負担は、税金を初め年金、医療費、地方負担など増加の一途をたどってきたのであります。その一方で、防衛費だけは聖域にして、この間、実に三六%も異常に膨張させ、その帰結としてついにGNP比一%枠を意図的に突破させ、しかも、実質的な歯どめを外してしまうという暴挙を犯そうとしているのではありませんか。
 総理は、中曽根内閣の予算編成は自民党とも相談し、国民の要望等も酌み取って調和のあるように配慮してきたと言っていますが、このような予算を何が国民の要望を酌み取ったものと言えますか、調和のとれた予算と言えますか。総理の見解を伺いたいのであります。
 GNP一%枠堅持は防衛費の唯一具体的な歯どめであり、平和国家のあかしであります。それを中曽根総理、あなたが首相就任以来の執念と対米関係優先の考え方によってほごにしてしまうということは、憲政史上かつてない悪政であると断ぜざるを得ません。みずから軍拡に手を染めながら世界に軍縮を呼びかける資格は、総理、あなたにはないと考えますが、どうですか。軍縮の認識について伺います。
 アメリカの国防報告には、「日本の防衛費増強は中曽根内閣によって公式に引き受けられた義務である」という一文が載っていますが、これが意味するところは一体何ですか。アメリカとの間に約束があったとするならば、その内容を国会と国民の前につまびらかにすることを求めます。そして、我が党は、このような軍事費増強予算とその政策の撤回を強く要求するものであります。
 第二は、中曽根内閣最大の政治課題である、六十五年度赤字国債依存体質脱却という公約が到底実現できないことは、総理、あなた自身が一番よく御存じではありませんか。宮澤大蔵大臣、このことができると言うならば、具体的な方針を示してください。
 今日に至るもその旗をおろさないのは、六十五年度赤字国債脱却を内閣の責任において実現すると胸を張ってきた中曽根総理、あなたが責任をとって即刻退陣しなければならなくなるからではありませんか。鈴木内閣のときと比べてどのように考えますか。
 顧みるに、中曽根内閣は、五年連続一般歳出を前年度以下に抑えてきましたが、一歩踏み込んでその中身を見ると、その実態は驚くばかりの後送り、他の会計へのツケ回し、地方への負担転嫁等々のオンパレードであります。後年度に繰り延べられた債務は隠れたもう一つの赤字国債であり、国民の税金で処理しなければならない将来の財政負担であります。この際、六十二年度末の長期債務の総額と国民一人当たりの負担額についてお答えを願いたいと思います。同時に、六十五年度赤字国債脱却が不可能になった中で、後年度に繰り延べられた債務をどのように処理するのか、具体的な計画を示していただきたいのであります。
 このような公約無視、国民生活圧迫、防衛費増強、そして莫大な負債をつくり、その償還には孫の代までかかるような事態を招いたことについて、国民に対して申しわけないとは思いませんか。総理はどのような方針で財政再建を図ろうとするのですか。今後、歯どめのない防衛費の増大、それに加えて財政再建の財源捻出には売上税の導入しかない、この魂胆がありありとうかがえるのであります。売上税は将来とも減税財源に充てると言い切れますか、総理の明快な答弁を求めます。
 次に、税制改革についてであります。
 政府の税制改革案が公約違反であるのみならず、財政民主主義に背を向けた一党独裁的な暴挙であることは、今まで我が党代表によって厳しく追及したところでありますが、政府の答弁は不誠意きわまるものであり、詭弁であって、到底我々の納得できるものではありません。総理が公約を破って売上税と称する大型間接税を導入したことに対し、また、税制改革の内容が国民の期待を裏切ったものであることについて、全野党、勤労国民はもとより、多くの地方議会、自民党の地方組織、従来は自民党を支持していた企業、団体まで反対ののろしを上げているではありませんか。
 自民党政調会長は、各省官房長に対し売上税に反対する業界を抑えるように指示したというのです。また、大蔵省は法案提出前に売上税に関するパンフレットを配っているというのです。とんでもないことです。
 また、マスコミの調査によれば、自民党の国会議員にも反対者が多くいる。足元から反対、不満が出ているのであります。総理は、この現実をどういうふうに感じていますか。賛成の人は黙っているなどということでは済まされる問題ではないのです。国民や自民党が反対するような大型間接税は導入しないと言ったことを忘れてしまったのですか。御答弁ください。
 以下、私は、政府の答弁が詭弁であることを明らかにするために、若干の質問をしたいというふうに思います。
 まず、金持ち優遇の税制ではないという政府の答弁は明らかに誤りであります。
 マル優制度が廃止されることによって、これまで九百万円まで無税であった庶民は、この改悪によって約九万円の税金が取られることになります。反面、利子課税の税率を今まで三五%から二〇%に引き下げることによって、例えば、一億円の預貯金を持っている高額所得者は百七十五万円程度の税金が百万円程度に、つまり七十五万円も大幅に軽減されることになるのです。さらに、所得税の最高税率を七〇%から五〇%に引き下げること、総合課税を放棄して、加えてキャピタルゲイン課税が不徹底で逃げ道が多く、かつ株式の取引税を引き下げることなどなどの改正案は、高額所得者になればなるほど恩恵を受けるものであって、売上税の導入等とも相まって、年収八百万以下の世帯はすべて実質増税になることが避けられません。
 しかも、大蔵省は、法人税減税は個人に還元されるという架空の理論をもって減税額を大きく見せかけ、国民を欺こうとしていることは許せません。私は、ほんの一例を申し上げたにすぎませんが、これでも金持ち優遇の税制ではないと言うのですか。
 次に、売上税についてであります。
 政府は大型間接税ではないと言っていますが、これまた誤りであります。免税点一億円といっても、売上額でいえば、日本の総売上額一千百十五兆円のうち一千十六兆円、すなわち九一・三%が課税対象になり、幾ら五十一項目の非課税品目を設けたといっても、製造過程で使った設備等の中間投資には売上税がかかっていますので、実質的にはほとんどの品物に売上税がかかることになります。また、八七%の事業者が免税業者になるといっても、免税業者は税額控除票を発行しないために課税業者との取引を疎外されたり、仕入れ価格の引き下げを迫られるために、結局はほとんどの業者が課税業者にならざるを得ないのではありませんか。
 そして、売上税は、一たん導入すれば、後はとどめなき税率引き上げによる増税の道をたどるであろうことは他国の例を見ても明らかであります。売上税の税率は国会で決めるといっても、多数を背景にして公約を無視するようなこの中曽根内閣のやり方を見て、国民は安心できますか。このように最終的には赤ん坊から墓場までかけられるようになる売上税を、大型間接税と言わず何と言うのですか。大型間接税の定義をいろいろこね回してみても、名称を変えてみても、国民から見れば、またその実体から見ても、大型間接税であることに変わりはないではありませんか。
 次に、総理は、税制改革の基本理念として、公平、公正、簡素、選択、活力などを掲げましたが、政府の改革案はこれに逆行するものであります。
 国民の要求する抜本的な税制の見直しは、現行税制のゆがみ、ひずみを是正して各種の不公平な優遇措置を改めることでありましたが、こうしたことにはほとんど手をつけておらず、逆に売上税は、例えば非課税業者と課税業者の扱う品物について一物二価が生ずるとともに、消費者は売上税がかかっている品物とかかっていない品物の区別がつかないというように、不公平、不公正を拡大するものであります。
 また、業者の仕分けや利益計算が極めて複雑かつ膨大になり、課税、納付の事務手続が一段と煩雑になって到底簡素などと言えるものではありません。
 また、選択といっても、サラリーマンの実額控除方式の導入は、実際に活用できる人はほとんどおらず、売上税について非課税業者と課税業者の選択は、現実には課税業者へのくらがえを余儀なくされるのでありまして、まさに権謀術策と言わざるを得ません。
 私は、ほんの一例を挙げたにすぎませんが、こうした売上税を導入することによって物価上昇を招くことは否定できないし、付加価値税を導入してないアメリカとの関係では新たな貿易摩擦の火種になりかねません。このような税は活力ところか、内需拡大、景気回復に逆行するものと断ぜざるを得ないのであります。
 以上の諸点について、総理、大蔵、通産大臣の見解を求めます。
 日本社会党は、このような改革に反対して、税の不公平を徹底的に是正し、減税を行うための具体的な改革内容とその財源を政府にも提示し、国民にも明らかにしているところであります。政府は売上税を撤回し、我が党の改革案にも謙虚に耳を傾け、国民の意見も率直に聞いて、真に国民の要求にこたえる税制改革をじっくり考えるべきであります。総理の真摯な答弁を求めます。
 次に、内需拡大対策についてであります。
 政府は、内需拡大を口にはしますが、今まで進めてきた目先だけの対応、民間活力に依存するという消極的な経済対策では絵にかいたもちにしかすぎません。今こそ、内需拡大を柱にした経済政策への転換が緊急の課題であります。経済財政政策の転換と内需拡大対策について総理の所信を伺います。
 内需を拡大するには、社会資本整備を目的とする公共事業を持続的に拡大することが重要でありますが、我が国の社会資本整備は大変に立ちおくれており、とても世界第二位の経済大国などと言えるような現状ではありません。総理、建設大臣の認識と対応について伺いたいのであります。
 社会資本整備のための施策はいろいろありますが、私は当面、次の三点について提案し、政府の積極的な対応を求めます。
 一つは住宅対策であります。
 住宅の建設は、内需拡大の主柱であるにもかかわらず、最大のネックは土地の高騰であり、土地政策の無策にあります。すなわち、一部悪徳業者の不当な地上げ、土地転がし等が行われているにもかかわらず、政府は何らの対策も立てないまま手をこまねいているだけではありませんか。地価抑制の抜本策を講ずるとともに、資金、税制なども含めて積極的な対策を講ずべきでありますが、国際居住年にちなんで思い切ったことをやる意思があるのかどうか、お伺いします。
 第二は、災害防止対策の推進であります。
 我が国では、地すべり、急傾斜地の崩壊あるいは土石流などの自然災害が毎年のように発生しており、国民のとうとい人命と多くの財産が失われ、二十六名の死者を出した長野市地附山地すべりによる被害も記憶に新しいところであります。
 自然災害の危険箇所の実情は、政府の資料によりますと、建設省所管の処すべり危険箇所は一万三百カ所もあり、急傾斜地崩壊危険箇所は七万二千カ所もあって、約百十万戸の家屋が危険にさらされ、さらに土石流危険渓流は七万四百カ所もあるのであります。また、農林水産省所管の山林耕地の危険箇所は合計十七万九千カ所もありますが、こうした危険箇所に対して、その整備状況は建設省で平均一六%、農林水産省で平均三一%という状態であります。全く背筋の寒くなるような気がするのは私だけではないと思います。
 政府は、なぜこうしたところへ手を入れないのですか。こうした公共事業は用地費も余りかからず、民生安定はもとより、内需拡大や雇用確保にも大きく役立つではありませんか。
 第三は、下水道の整備であります。
 欧米先進諸国では、下水道の普及率は七割以上が整備されておるのに対しまして、我が国では平均でようやく三六%、人口十万人以下の市町村では一〇%にも満たない状況であります。にもかかわらず、六十二年度予算案は、六十一年度に比較して国費ベースで約百十七億円減額されており、これでは下水道整備の円滑な進捗は望めないではありませんか。
 以上、内需拡大対策について具体的に提案しましたが、申し上げましたように、政府の対応は極めてなまぬるいものがあります。こんなことで内需拡大ができますか。経済成長率が目標どおり達成できますか。生活環境整備を促進して災害を防止し、国民の生命、財産を守るためには、一機百億円もする戦闘機や四百億円もする潜水艦を買うよりも、このような公共事業に資金を投入することが大事ではありませんか。総理。建設大臣の所信を伺うとともに、前向きな対応を要求いたします。
 次に、農業、林業対策について伺います。
 総理は、施政方針演説で、「二十一世紀に向けた農政の基本方向」に関する農政審議会の報告を尊重して今後の農政の改革を推進すると述べていますが、今回の答申は、前回の「八〇年代の農政の基本方向」と比べて大きな違いがあります。それは、今回の答申においては、八〇年代農政の基調としていた食糧の安全保障といった視点がなくなったことであり、食糧の自給力という言葉が全く姿を消してしまったことであります。穀物自給率が先進諸国最低の三〇%しかない我が国が、自給力向上を国の基本として農政の改革をすべきことは三歳の童子でもわかるはずであります。食糧安保について総理の明快な答弁を求めます。
 また、我が国は、世界最大の農産物輸入国でありますが、国民の基幹食糧である米までアメリカから自由化を迫られています。私は、米の輸入などは絶対に認めてはならないというふうに思いますが、我が国は米の自由化はしないという中曽根内閣の一致した決意を内外に明らかにしてください。
 農産物の生産には、天候を初めその国の立地条件や面積等によって生産者価格も異なりますので、単に内外の価格差のみをとらえて、安ければいいという考え方によって外国農産物の輸入を増加させることは誤りであります。もちろん、農業者が生産性の向上とコスト低減に努めなければならないことは当然でありますが、食糧の供給、国土保全、雇用などの農業の果たしている役割を重視して、農業に対する国政の位置づけを明確にし、名実ともに再建策を講ずることを強く要求いたします。
 政府も、食管制度の基本は守ると言っていますが、その基本とは何ですか。私は、食管制度の根幹は、国境調整措置も含めて、米の全量を政府が責任を持って管理し、生産者には再生産が確保されるよう生産費と所得を補償する価格、そして消費者には、家計を圧迫しない価格で安定的に供給することだと思いますが、総理の考え方を尋ねます。また、その基本を守るためにどのように対応いたしますか。
 減反政策についてでありますが、政府が我が国の水田面積の三〇%にも相当する七十七万ヘクタールもの大面積に米づくりをやめさせようとすることは、全くの無策と言わざるを得ません。これだけの減反を押しつけられて、農民が生きていくためには何をつくったらいいのかというのが農業者の率直な訴えてあります。我が国の食糧自給率と農業の将来展望に立って、政府は米にかわる転作作物を農民に示す責任があります。そして、それを誘導するための土地改良、価格、流通制度の充実など、思い切った対応をとるべきだと思いますが、農林水産大臣の見解を求めます。
 次に、森林、林業についてであります。
 我が国の森林、林業が大変厳しい状態に置かれていることは申すまでもありませんが、この活性化対策を示してください。また、国土の二割、森林面積の三割を占める国有林の経営も大変に厳しいわけでございますけれども、政府が計画しているような単なる人減らしだけでは国有林の抜本的な対策はできません。国有林をどうするのか、総理の所信を伺います。
 中小企業対策についてであります。
 御承知のように、円高不況によって中小企業を取り巻く環境は大変に厳しいものがあります。政府は、これまで円高対策として特定地域中小企業対策法の制定等幾つかの対策を講じてまいりましたが、これらの措置はいわば対症療法的なもので、抜本的な不況対策としては甚だ不十分なものであると言わざるを得ません。また、輸出依存型から内需関連への事業転換を進めると政府は言っていましても、内需が昨今のように低迷を続けていては、新事業分野への進出の支援策も功も奏していません。
 したがって、中小企業の活性化のためには、経営安定対策を柱に仕事量の確保と雇用の安定を図ることが、中小企業不況対策の基本でなければならないというふうに思いますが、政府はそのためにどのような取り組みをされますか。
 我が党は、中小企業の育成保護について従来から強く政府に要求してまいりましたが、今日の緊急事態のもとでは、親企業の圧迫の排除、中小企業向け官公需の早期発注と拡大、福祉型公共投資による地域経済の底上げ、雇用情勢が悪化している地域への公共事業の重点的傾斜配分等、政府が直ちに行える施策を積極的に講ずるべきでありますが、その対応について伺います。
 しかし、何といっても、中小企業の深刻な現状に追い打ちをかけるのが未曾有の悪税、売上税であります。この期に及んで売上税をかけるということは、まさに中小企業者に政府がダブルパンチを見舞うに等しく、絶対に許せませんし、これでは今までの中小企業対策や中小企業者の自助努力が帳消しになり、一層苦境に追いやることになるのであります。通産大臣、売上税は限定制を設けてあるので中小企業者には迷惑はかけません、御心配はないと言い切れますか、お答えください。
 次に、第四次全国総合開発計画についてであります。
 今、国土庁が進めている四全総の中間報告を見ると、東京を国土全体の共通基盤として位置づけて、東京中心の考え方が打ち出されています。これは中曽根総理の指示によるものだと言われていますが、国民生活に大きくかかわる国土づくりの基本方針が、時の首相の単なる恣意的なひとりよがりの発想によってこれまでの方針を転換させるということは、到底容認できません。総理も東京中心だけではないと言っておりますけれども、それならば、地方を重視していくためには、公共投資を地方にできるだけ手厚く配分し、また、地方の安住圏を整備することが不可欠であります。総理は本当に地方を重視する考えになっているのか、真にそうだとするならば、今後どのように対応されるか伺います。
 地域別整備の基本方向についても、都市部重点であります。例えば、中部地方の場合、名古屋圏に重点が置かれ、長野県のような内陸地域の整備については、中間報告では抽象的に述べているにすぎません。国土の均衡ある発展と全国一日交通圏を構築しようとするならば、こうした地域の重要課題である例えば高速自動車道路とか、高規格幹線道路とか、新幹線とか空港、これらについても位置づけを明確にすべきだというふうに思いますが、地方の開発についてどう考えますか。
 最後に、部落解放問題について伺います。
 部落差別等人権問題について、一昨日、我が党を代表して土井委員長が総理の考えをただしたところでありますが、総理の答弁は、みずからの人権意識の低さを露呈しています。同対審答申に基づいて同和対策特別措置法が制定されてから十八年、この間、政府も一定の政策を講じてきましたが、総務庁の調査でも明らかなように、失業率や不安定雇用の実態、生活保護率の高さ、また教育水準の問題、相次ぐ悪質な差別事件など、まだまだ多くの課題が残されているのであります。総理は、この部落差別の実態をどのように受けとめておられるのか。今政府が考えているような地対法後の新規時限立法で差別を完全になくすることができるでしょうか。
 我が党は、地方自治体、関係団体が強く要請している部落解放基本法の制定について、総理が人権問題を真剣に考える意思があるとするならば、前向きに検討すべきことを要請いたしまして、以上、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 村沢議員にお答えをいたします。
 まず、民主政治の見直しの問題でございますが、私は、戦後日本の歩みを非常に高く評価しているということは、申し上げたとおりでございます。しかし、日本は限りなき前進をしなければならぬのでありまして、自分の四十年の政治経験にかんがみまして、我々の責任として、次の時代を開くために、さらに民主政治の実を上げよう、そういう意味で申し上げたのでございます。民主政治、議会政治の消長は国の命運に関する重大な課題でいつもあると考えておりまして、政治家としての関心の表明を行ったという次第でございます。
 福祉の問題と防衛費の問題につきましては、前からお答えいたしましたように、防衛費は、ほかの経費との調和を図りながら必要最小限ぎりぎりのところでとどめるように今までも努力してきておるわけでございます。
 本年におきましても同じでございまして、一面において、円高あるいは石油価格の下落という余裕も出てきております。また、一面におきましては、中期計画を達成するというそれにも考慮しなければなりません。その上に、特におくれていると思われる隊員の待遇以下四つの項目がございました。それらの問題をいろいろ勘案いたしまして、やむを得ず一%を少し上回る、そういうことになったのでありまして、従来やってまいりました三木内閣の決定の精神は今後もずっと尊重していく、従来の延長線上においてその精神を尊重していくというふうに御理解願いたいと思うのであります。
 それから、軍縮の問題でございますが、私は、今のように、日本の防衛を考えるという形と軍縮という問題とは両立すると、そう考えております。国によっていろいろな行き方を持っております。非同盟中立もございますし、あるいは集団保障の中に入る国もありますし、日本のような安保条約、自衛隊方式という道を選ぶ道もありますが、私は、日本のこの道は日本にとって最善の道である、そのように確信しておる次第なのでございます。それがやはり軍事大国にならない一つの重要なかぎでもあると、そのように考えておる次第であります。
 また、アメリカの国防報告についての御言明がありましたが、あそこの部分は、正確に読んでみますというと、日本に防衛費を増強するという義務があるという、そういう表現ではなくして、正確には、日本も民主主義社会の一員としての責任を果たしてきた、そういう意味において、民主主義社会の一員としての義務を果たすと、そういう意味になっておるのでございます。日本の防衛費増額の義務というふうに解釈したのは不正確であります。
 六十五年度特例公債依存体質脱却という問題は、厳しい状況であります。しかし、政府の肥大化を防いで、子孫に負担を残さないようにするために、歯を食いしばって最大限努力していきたいと考えております。
 さらに、財政赤字の問題でございますが、我が国の財政は、利払い費が歳出予算の二割を占めるなど厳しい状況になってきておる。この現実に着目いたしまして、今後とも公債残高の累増をできるだけ防ぐ、それが今日の我々の子孫に対する責任ではないかと考えております。
 さらに、今回の税制改革は、社会経済情勢の変化に即応して、税制全般についていわゆる税制中立性の原則のもとに抜本的な改革を行ったものでございます。
 次に、公約の問題でございますが、先般来申し上げておりますように、国会で私がお約束しましたのは、特に矢野書記長、大内書記長に対する公式答弁で申し上げたとおりなのでございまして、いわゆる普遍的な、縦横十文字に投網で全部ひっくるめてしまうというようなものを大型間接税と称したのでありまして、今回はこれだけ大きな制限がかかっておりまして、大型間接税とは私は言えないと、そう確信しておる次第でございます。
 金持ち優遇ではないかという御質問でございますが、例えば年収三百万の給与所得者につきましては、前から申し上げますように、夫婦子供二人の場合においては、所得税と住民税を合わせた負担額は三六・三%軽減されますし、年収九百万の場合は二一・四%軽減されます。
 しかし、一方において、キャピタルゲイン課税あるいは土地取引に係る課税の見直し、高額所得者の保有する株式や土地に対する課税を強化しておるのでございます。その意味において金持ち優遇ということではないのでございます。
 さらに、売上税は不公平、不公正の導入ではないか、そういう御質問でございましたが、公平、公正ということを頭に置いて、薄く広くという考えに立脚した税制なのでございます。その上に、例外やらあるいは除外例を相当設けておりまして、そして、いわゆる売上税につきましては一億円以下はしないとか、あるいは源泉課税、利子の課税につきましては、弱い方々はこれを除外するとか、そういう配慮を行っておるということは申し上げたとおりでございます。
 売上税の事務負担の問題は、これはよく注意しなければいかぬと思います。基本的には、課税期間中の売り上げにかかる税額から、仕入れに際して購入価格に含めて支払った売上税を控除するという簡単な税制に日本の場合はしておるわけであります。
 しかも、税率を単一とする、税額票のまとめ発行を認める、課税を選択した小規模事業者については納期限の延長や税額計算の簡便化を認める、このような事務負担の軽減についても特別に配慮しておるところでございます。
 さらに、特定支出控除の問題でございますが、給与所得者の特定支出控除制度は、通勤費、単身赴任者の往復旅費、研修費などの特定支出を余儀なくされるサラリーマンの負担をしんしゃくするものでありまして、申告納税の道を開くという趣旨から、特定支出の額が給与所得控除額を超える場合には、その超える部分を確定申告により控除することを認めたものでございます。
 次に、売上税が活力を阻害しはしないかという点でございますが、今回の導入に際しまして、まず所得税、法人税、住民税の減税を先行させておりまして、これらが相当な刺激になって、そして景気を、内需を振興する方向に作用すると思います。売上税は来年の一月一日から実施でございますから、この力を我々は培養いたしまして、売上税によるマイナスをこれで消す、そういう効果があるものと考えておるのであります。
 以上のような考えをもちまして、税制改革案を撤回する考えはございません。
 さらに、積極的な経済運営の問題でございますが、前から申し上げますように、内需と為替の長期的安定と雇用対策が非常に重要であると申し上げているとおりであります。
 政府は、昨年来、昨年四月あるいは九月にわたりまして総合経済対策を行い、また、六十二年度予算におきましても、公共事業費は五・二%とこれを確保いたしました。さらに、地方財政との協力、あるいは住宅金融公庫の融資拡充、あるいは雇用対策の充実、あるいは公定歩合の引き下げ、あるいは中小企業に対する特別の転換対策その他の政策をもちまして、内需を振興するという方向に大いに成果を上げるように努力してまいりたいと思っております。
 住宅や社会資本の整備の問題については、建設大臣から御答弁があると思いますが、六十二年度予算におきましては、国民の強いニーズにこたえるために、住宅、社会資本の整備を推進することとして、一般公共事業の事業費は前年度を上回る五・二%にもしたということを御了承願いたいと思います。
 地価の高騰対策につきましては、東京において著しくこれが認められてまいりましたので、今これに対する対策を打っておるところでございます。
 業務機能の適正な配置、分散、あるいは事務所用地の供給策、あるいは投機的な土地取引を抑制するための国土利用計画法の的確な運用、あるいは東京都条例の制定、こういうように中央、地方あわせて今懸命の努力をしておるところであります。
 食糧安保につきましては、食糧は国民生活にとっての基礎的な物資であって、その供給の確保は政治の原点でもあります。
 このため、農政審議会の報告を尊重して、農業者、農業団体と一体になって食糧供給力を確保するとともに、備蓄の確保にも努めてまいる考えでおります。
 米の自由化の要請の問題については、先般の農政審議会の報告を尊重して、生産性の向上と構造改善を図りつつ、国会における米需給安定に関する決議等の趣旨を体して、国内産で自給する方針を維持していきたいと考えております。
 農業の位置づけでございますが、最近の情勢の変化等に応じて、農業も合理化され近代化されていかなければならぬと思います。農業の果たしている国政上、社会上の役割というものは、我々も十分これを認めなければなりません。
 しかし、一面においては、国民のニーズに合う農業の方向に、つまり生産性の向上、国際価格への接近、そういうような面につきましても努力しなければなりませんし、特に農産物価格については、国民が納得するような価格にできるだけ近づけるような努力を我々はしていかなければならない。
 食管制度の改革につきましては、この基本は維持いたしますが、運用については、これらの目的に沿うように努力していく必要があると考えておるのであります。
 次に、国有林野事業でございますが、昨年十二月の林政審議会答申を踏まえまして、業務運営の一層の改善合理化、要員規模の適正化等、最大限の自主的改善努力を尽くすとともに、所要の財政措置を講ずることにより、経営の健全化に努力してまいります。
 中小企業対策につきましては、通産大臣から御答弁があると思いますが、ともかく内需の振興、あるいは現在のこのような円高に対する緊急対策等々も含めまして、中小企業の前途に希望があるような政策を推進してまいるつもりでございます。
 四全総の問題につきましては、東京、大阪について私が言明いたしましたのは、この前の中間報告において、東京や大阪における地価対策が極めておろそかである、それを指摘したのでございます。四全総におきましては、いわゆる多極分散型の国土形成を目指して、これを実施するという方向で今策定が進められつつあるのであります。
 高速交通体系の整備につきましても、四全総においては各種高速交通機関の特性を踏まえて、総合的な観点から今いろいろ策定しているところであります。
 部落差別の問題については、昨年十二月の地域改善対策協議会の意見具申の内容、すなわち同和地区の実態は、地域改善対策事業の実施により相当改善が進んでおる、差別意識の解消については、内外における人権意識の高まり、各種の啓発施策等の実施によりその解消が進んできているが、なお不十分な状況である等、政府としては今後とも啓発活動を積極的に推進いたします。
 なお、この意見具申では、現行地域改善対策特別措置法失効後の措置については、新規の限時法を制定する必要がある旨の御指摘をいただいており、政府としては、この意見具申を踏まえ、今国会に最終の特別法として新規限時法を提出すべく鋭意検討中でございます。地対法失効後の措置として、恒久法である部落解放基本法を制定する考えはございません。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(宮澤喜一君) 村沢議員にお答え申し上げます前に、お許しをいただきまして、先ほど井上議員からお尋ねのありました点、一、二補足をさせていただきます。
 先ほど井上議員から高級の菓子あるいは高級レストラン等の料理は非課税であるのに、石けんや化粧品などが課税になるのはどうもおかしいではないかというお尋ねでありました。
 この点は、いわゆる食料品は非課税にするということを決めてまいりまして、食料品というものをさらに細かく定義して分けられるかどうかという問題に結局なってしまいまして、それはやることが仮にできても、行政上は非常に難しい問題を起こすということになりまして、割り切ったわけでございます。医薬品は非課税であるが化粧品となるといわばその辺の度合いが多少違うだろうというようなことからこのようなことが起こります。それは起こりますので、ひとつ実際上の行政等々の面も考えまして御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 なお、いわゆる高級料理ということになりますと、これは料理飲食税、地方税でございますが……(「高級クラブ」)と呼ぶ者あり)クラブとなりますと、また話は違うかもしれません。料理の中でもいわゆる高級料理店のものは料飲税がかかるということは申し上げることができると思います。
 もう一つの御指摘は、非課税業者が取引の中間に入った場合に二重課税が起こるかということでございます。
 これは二重課税と申しますよりは、取引の中間に非課税業者が入りました場合には税額票が出せないということから、次の段階の事業者は、売上税を払います。その税の対象に前の未消化の税の部分が入る、つまり税の上に税がかかる、タックス・オン・タックスということになると、そういう意味でまさにそういう問題がございます。これは、しかし、何%の何%という非常に小さい部分になるわけでございますけれども、そういうことは従価税の場合に、現行でもそういうことが実はないわけではございませんで、例えば今料飲税のことをひょっと申し上げましたが、料理飲食税の課税対象の中に酒の消費がございますと、その酒の酒税というものは実は除かれていないといったような、ちょっとそういう問題は現行でもないわけではない。おっしゃいますような問題が存在することはあるであろうと思われます。技術的に非常に処理が難しい問題ではないかと思います。
 それから村沢議員のお尋ねでございましたが、赤字国債脱却のスケジュールについては、今、総理大臣が答弁をされたとおりでございますけれども、一体どうするのかということについては、やはり債務の累増をできるだけ防いでいくということが第一であろうと思います。六十二年度初めて国債依存率が二〇%をちょっとでございますが割りました。まだまだ、しかし、新規発行をいたしておりますので増大はしてまいりますけれども、そういう形の努力が第一であろうと思います。
 それから第二には、私は、今の日本の経済成長率というのはもう少し潜在力があるというふうに考えておりまして、したがいまして、いろいろな条件が安定してまいりますと、多少経済成長率が上がることによって自然増収というものが期待できる、そういう形で国の経済力を高めることによって債務の増大を防ぐとともに既存債務の償還をしていく、経済運営の方法にも大いにかかっていることではないかというふうに考えているわけでございます。
 あと幾つかの問題は総理がお答えになりましたが、次に売上税の課税対象というのは、なるほど免税のところもあるけれども、いろんな製造過程、流通過程ではたくさんの設備等中間投資が使われているわけであるから、その対象というのは大きいのではないかというお話がございまして、それはそのとおりでございます。恐らく国民総生産の三分の一ぐらいが売上税の課税の対象になる、こういうことでございますから、相当対象は大きいということはそのとおりでございます。
 それから次に、免税業者は、結局は課税業者にならざるを得ないだろうということにつきましては、これは先ほども申し上げたところでございますけれども、いわゆる商店街で最終消費者を対象にしているような小売あるいはサービス業等々は、これは明らかに免税業者の方が有利でございますし、中間段階でも、工賃を主としているものは、これは免税業者で残った方が有利であろうと思いますので、課税業者を選択する人も、それは取引の関係でおると思いますけれども、この制度を設けました意味は十分にあるであろうと思っております。
 それから次に、一物二価ということについてお話がございました。
 私はこういうふうに思うのでございますが、つまり、市場経済におきまして需要と供給が自由に出会います結果、一つのいわば標準価格のようなものが生まれる、それが一物一価ということだと思いますけれども、現実の競争経済におきましては、我々が体験しておりますように、あそこの物は安いとか、あそこの物はうまいとか、あそこのライスカレーとかいうようなことがやっぱりございまして、現実には一物一価ということが競争経済で必ず行われているというわけではないということではなかろうか。
 したがいまして、そういう意味で今度の場合、非課税業者と課税業者とがございますと、恐らくは非課税業者が、主として零細な業者でございますけれども、有利な立場にある程度立つ。それを非課税業者が自分のマージンを大きくすることによって利益とするか、あるいはマージンは今のままにしておいて安い値段で消費者に供給するか、こういうことになろうかと思いますが、いずれにしても、この場合には、非課税業者がどちらかというと零細な業者でございますので、もしそういう利点が生ずるとすれば零細な側に生ずるということになるのではないかと思います。現実の経済界において、競争の結果、ある程度の一物二価ということは生まれておりまして、そのことはそう弊害のあることではないのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(田村元君) まず、売上税の御質問に対してお答えをいたします。
 売上税の導入だけについて見れば、税の価格への転嫁を通じた物価上昇の要因となり、また、デフレ効果が生じるものと考えられます。
 しかし、所得税、法人税の減税等の措置を考慮に入れれば、今回の税制改革全体としては、増減税ほほ同額とすることとされております。景気に対する影響はおおむね中立的と考えられるわけであります。また、所得税・法人税減税は、勤労意欲や事業意欲の向上を通じ、経済の活力を高めることと考えられます。
 なお、売上税は、国内産品、それから輸入産品に対し同じ負担を求めるものであって、輸入の障害となる性質のものではなく、貿易摩擦の原因となるとは考えておりません。
 次に、中小企業の不況対策についての御質問であります。
 円高等によりまして、厳しい経済環境下にある中小企業の構造転換等の円滑化を図るために、従来より事業転換助成等中小企業者の自助努力を支援する対策を講じてきたところでございます。これらに加え、中小企業者の経営環境を整備するため、御指摘のとおり、中小企業者の事業量や雇用機会の確保を図るためのもろもろの対策を講じているところでございます。
 具体的には、中小企業者の事業量、雇用機会を確保するため、公共事業の拡大、官公需の中小企業者への優先発注の確保に最大限努力しているところであります。さらに、特に円高の影響の著しい産地など特定地域の中小企業に対しては、特定地域中小企業対策臨時措置法に基づく企業誘致の促進、公共事業の重点配分に努めるとともに、厳しい経営環境下にある下請中小企業に対しては、取引のあっせんを強化する等きめ細やかな施策を講じているところでございます。今後とも、中小企業をめぐる経済動向を注視しつつ、適宜適切な対策を講じてまいる所存であります。
 次に、中小企業への受注の拡大問題についてお答えをいたします。
 下請中小企業に関しましては、従来から親企業の下請中小企業に対する円高の影響の不当な転嫁を防止するため、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用を図るとともに、親企業に対する指導の強化を図っているところであります。今後とも、同法の厳正な運用に努めてまいる所存であります。これは厳しくやるつもりでございます。
 また、中小企業向けの官公需の確保につきましては、政府は、六十一年七月、中小企業者に関する国等の契約の方針を策定し、中小企業者向け官公需契約目標を過去最高の三九・八%としたところでありまして、各省庁等においてその実現に鋭意努力がなされているところであります。今後とも、中小企業者の受注機会の増大にでき得る限り努力する所存でございます。
 さらに、公共事業の重点配分等につきましては、さきの臨時国会において成立した特定地域中小企業対策臨時措置法においても、公共事業の実施に関し、特定地域へ配慮する旨の規定を設けるとともに、六十一年度補正予算に関しこのような不況地域に対する重点配分に努めたところであります。私自身、建設大臣初め公共事業担当大臣に対し、不況の地区名、地域名を提出いたしまして、傾斜配分の善処方をお願いし、相当の御配慮を賜ったことを感謝しておるところであります。
 六十二年度におきましても、これらの対策を引き続き強力に推進していく所存であります。
 次に、売上税の中小企業への影響であります。
 売上税導入に伴い、中小企業者に過大な納税事務負担が生ずるのではないか、あるいは税額の転嫁が十分できないのではないかとの議論がございます。
 売上税導入に伴い、新たに税額票の保存、整理及び発行、申告納税の事務などが必要となりましょうが、免税点が課税売上高一億円に設定されることから、大蔵省の推計では、約八七%の事業者が課税対象から除外されるというように、中小零細企業に対して必要な配慮がなされていると理解しております。
 売上税につきましては、その消費税としての性格から、転嫁を通じて最終消費者が負担すべきものであることを踏まえ、売上税の税額がきちんと転嫁され、中小零細事業者の負担となることのないよう環境整備を行っていく必要があると考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣天野光晴君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(天野光晴君) 村沢議員の御質問にお答え申し上げます。
 住宅政策は、第一に住宅建設促進のための融資・税制対策であります。
 住宅建設の促進は、国民の居住水準の向上につながるだけでなく、景気への波及効果が高いことから、内需拡大の柱の一つとなり得るものと考えております。このため、住宅建設促進のための種々の施策を講じてきたところであります。昭和六十二年度においては、住宅金融公庫の貸付限度額の引き上げ、住宅取得促進税制の拡充などの融資・税制制度の改善等の措置を講ずることとしており、これらの施策の推進により、今後とも住宅建設の促進に努めてまいる所存であります。
 第二に、国際居住年を迎え、政府として実施すべき住宅対策であります。
 我が国においても、世界各国において住居や居住環境の改善を進めることを目的とする本年の国際居住年に積極的に取り組んでいるところであり、国際協力を進めるとともに、我が国の居住問題の改善を進めるよう施策の推進を図ってまいる所存であります。なお、特に我が国の住宅対策について申し上げれば、第五期住宅建設五カ年計画に基づき、公共賃貸住宅の的確な供給、融資・税制等の措置等により、すべての国民が安定したゆとりある住生活を営むことができるような良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成を図るべく、一層の施策の充実を図ってまいる所存であります。
 第三に、災害防止事業の充実対策であります。
 災害防止対策については、昭和六十二年度を初年度とする第七次治水事業五カ年計画を策定し、治水事業の計画的かつ強力な推進を図ることとしております。御指摘の土砂災害について見れば、現在、建設省で把握しておる土砂災害危険箇所は、土石流危険渓流七万四百三十四渓流、地すべり危険箇所一万二百八十八カ所、急傾斜地崩壊危険箇所七万二千二百五十八カ所であります。このため、建設省といたしましては、土石流対策、地すべり対策、急傾斜地崩壊対策を重点的に実施してきたところであり、今後とも積極的にその整備の推進を図ってまいる所存であります。
 第四に、下水道整備の充実対策であります。
 我が国における下水道整備は著しく立ちおくれているところであり、政府としては、昭和六十一年度を初年度とする第六次下水道整備五カ年計画を策定し、積極的に下水道整備を推進することとしておるところであります。昭和六十二年度政府予算案においては、事業費拡大のため種々の方策を講ずることにより、下水道事業費は五・五%増を確保することとしております。今後とも、第六次下水道整備五カ年計画の達成に向けて一層の努力を重ねてまいる所存であります。
 第五に、現在のような政策スタンス、予算措置によって、目標とする社会資本整備、経済成長の実現が可能かどうかであります。
 我が国の住宅・社会資本の整備は、欧米先進諸国の整備水準や我が国の私的生活水準の充実ぶりに比べて立ちおくれております。このため、建設省としては、国民の強い要望にこたえ、鋭意住宅・社会資本の整備を推進してきているところであり、昭和六十二年度予算においても、財政投融資資金の積極的活用、補助率の暫定的引き下げ等を図ることにより、一般公共事業の事業費で十五兆一千三百三十七億円、対前年度比一〇・一%の伸びを確保したところであります。さらに、民間活力を活用した事業の一層の推進を図ることなどにより、住宅・社会資本の整備を進めるとともに、内需の拡大、経済成長の実現を図ってまいる所存であります。
 第六に、高速自動車国道、高規格道路の整備方針であります。
 国土の均衡ある発展と活力ある経済社会の確立を図る上で、高速道路網の整備は極めて重要であると認識しております。高速自動車国道の整備については、二十一世紀初頭までに法定予定路線の七千六百キロメートルを完成させることを目途に計画的に建設を推進しているところであります。さらに、二十一世紀に向けて、高速交通サービスの全国的な普及を図るための高規格幹線道路網計画を早急に策定し、その整備推進に取り組んでまいる所存であります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣加藤六月君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(加藤六月君) 村沢議員にお答えいたします。
 まず、食糧管理制度についてでございますが、食管制度は、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによりまして、生産者に対してはその再生産を確保し、また、消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすという重要な役割を果たしております。
 このような制度の基本は維持しつつ、広く国民各界各層の理解と協力が得られるよう、先般の農政審報告の方向に沿いまして適切な運用改善を図り、食管制度についてより一層国民の理解を求めていきたいと考えております。
 次に、転作についてでございますが、昭和六十二年度から実施いたします水田農業確立対策は、これまでの米の生産調整の経験を踏まえ、二十一世紀の我が国農業を展望した新しい発想のもとに、第一に水田で生産される作物の生産性の向上、第二に地域輪作農法の確立、第三に米の計画生産を一体的に推進するものであります。この対策を着実に推進することによりまして、米を初め国民が必要とする飼料作物、麦、大豆等の農産物を安定的に供給する体制を確立してまいることといたしております。
 この場合、新たに導入する作物につきましては、地域の農業者、農業関係者がその英知を結集し、広く内外から情報を吸収して、それぞれの地域に最も適した作物を選定していくことが重要であると考えております。
 また、本対策を着実に推進するため、土地基盤、流通加工体制の整備、試験研究の推進、技術の普及、価格の安定等あらゆる関連施策をこの点に集中して総合的に展開していくこととしております。
 終わりに、森林、林業、林産業の活性化方策についてでございますが、我が国森林、林業、木材産業の現状は、木材需要の停滞とこれに伴う価格の低迷、人件費等の経営コストの増加等による収益性の悪化など、極めて厳しい状況にあります。
 農林水産省といたしましては、このような状況に対処するため、昨年十一月いただきました今後の林政の進むべき方向に関する林政審議会の報告を踏まえまして、モデル木造施設の建設等木材需要の拡大、造林、林道等林業生産基盤の整備、木材産業の体質強化と木材流通の改善等々、各般の施策を強力に推進してまいる所存であります。(拍手)
#30
○副議長(瀬谷英行君) 答弁の補足がございます。中曽根内閣総理大臣。
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(中曽根康弘君) 答弁漏れがありまして恐縮いたしました。
 将来とも売上税につきましては減税財源に充てると言い切れるかと、そういう御質問でございます。
 私は、もし景気の変動等によりましてこの売上税について自然増収というものがかなり出る、そういうような場合には、これはいわゆる目的税的な性格のものとはせずに、運用上のやり方として減税とかあるいは社会福祉に充てるのが適当であると、そういうふうに申し上げております。
 税率を変えるという問題は、これは国会の仕事でございまして、それはどういうふうに使うか、税率をどうするかというような問題は国会の仕事であり、国会でお決めになることである、そのように考えております。(拍手)
#32
○副議長(瀬谷英行君) 宮澤大蔵大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十二年度末の長期政府債務残高がどのくらいの見込みであるかとお尋ねの答弁を漏らしまして申しわけございませんでした。
 まず、普通国債は、よく言われますように百五十二兆四千五百億円でございます。それに交付国債と出資国債等がございまして、これが二兆二千九百億円、そのほかに借入金が二十六兆円ございます。これは大きなものは国鉄から一般会計に引き継ぎましたものが五兆円余り、あるいは交付税特別会計から一般会計へ振りかえられたものが五兆円余り等々でございますが、以上合わせまして百八十兆七千四百億円でございます。これを一人当たりにいたしますと、普通国債だけでございましたら百二十五万円、全部の長期政府債務残高で申しますと百四十八万円でございます。(拍手)
#34
○副議長(瀬谷英行君) 質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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