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#1
第108回国会 本会議 第11号
昭和六十二年五月二十日(水曜日)
   午後四時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十二号
  昭和六十二年五月二十日
   午後四時開議
 第一 通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法
  律案(内閣提出)
 第二 総合保養地域整備法案(内閣提出)
 第三 刑事確定訴訟記録法案(内閣提出)
 第四 外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修
  練に係る医師法第十七条及び歯科医師法第十
  七条の特例等に関する法律案(内閣提出)
 第五 社会福祉士及び介護福祉士法案(内閣提
  出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、国土審議会委員の選挙
 一、昭和六十二年度一般会計予算
 一、昭和六十二年度特別会計予算
 一、昭和六十二年度政府関係機関予算
 一、日程第一より第五まで
 一、憲政功労年金法の一部を改正する法律案
  (衆議院提出)
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 黒柳明君から海外旅行のため八日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(藤田正明君) この際、欠員中の国土審議会委員一名の選挙を行います。
#6
○中野鉄造君 国土審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#7
○倉田寛之君 私は、ただいまの中野君の動議に賛成いたします。
#8
○議長(藤田正明君) 中野君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、国土審議会委員に原田立君を指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#10
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
 昭和六十二年度一般会計予算
 昭和六十二年度特別会計予算
 昭和六十二年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長桧垣徳太郎君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔桧垣徳太郎君登壇、拍手〕
#12
○桧垣徳太郎君 ただいま議題となりました昭和六十二年度予算三案の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和六十二年度予算は、現下の経済情勢にかんがみ、内需主導型経済成長への転換と景気の着実な拡大に資するとともに、他方、我が国財政の大幅な不均衡の改善を図るため、歳出の徹底した節減合理化を行う方針に従って編成されておりますが、その内容は既に宮澤大蔵大臣より財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきたいと思います。
 昭和六十二年度予算三案は、一月二十六日国会に提出され、二月十九日宮澤大蔵大臣より趣旨説明を聴取いたしました。衆議院での予算審議が売上税導入問題に関連して難航し、最終的には売上税関連法案の衆議院議長あっせんで決着して、予算案は四月二十三日、本院に送付されてまいりました。本院ではまず、四月二十七、二十八日の両日、国際経済及び通貨問題等各般の問題について総括方式により集中的に審議を行い、その後、中曽根内閣総理大臣の訪米帰国を待って、五月六日総括質疑を開始し、本日まで審査を行ってまいりましたが、その間、五月十四日公聴会を開くなど、終始慎重かつ熱心に審査を進めてまいりました。
 以下、質疑の主なもの若干につきその要旨を御報告申し上げます。
 まず、過日行われました中曽根内閣総理大臣の訪米に関しまして、「日米首脳会談のねらいは何か。日米共同発表によれば、日本側の具体的政策約束に対して、アメリカ側は抽象的な言質にとどまっており、懸案の日米経済摩擦解消にどのような進展があったのか。特に、半導体関連製品に対する報復関税の撤廃や円高・ドル安防止についてのアメリカの対応を聞きたい。さらに、中曽根総理がレーガン大統領に公約した内需拡大策を今後どのように実施していくつもりか」との質疑がありました。
 これに対して、中曽根内閣総理大臣より、「今回、レーガン大統領の公式招待もあり、かつ日本を念頭に置いた米国議会の保護貿易法案の動き等、経済摩擦激化の厳しい状況に対し、日米双方の理解を深めて強固な協力関係を打ち立てるため訪米した。十月の皇太子殿下の御訪米の合意、大統領と内閣総理大臣の定期協議開催の決定、国際情勢の検討のほか、経済摩擦問題を中心に二国間関係について隔意なき討議を行い、米国は財政赤字の削減や競争力の強化、日本は内需拡大と発展途上国への資金還流等、日米双方が実施すべき点を確認し合ったことが成果である。日米経済摩擦について、米国側は千四百億ドルの貿易赤字の三分の一が日本の出超であり、その改善の実行を求めており、日本としては貿易黒字の削減に努めること、関西空港、第二KDD、次期支援戦闘機等個別問題についても誠意を尽くしていくことを説明し理解を求めた。半導体及び円高・ドル安防止の問題は、訪米の目的の一つであり、最大限の交渉を重ねた結果、半導体関連製品に対する報復関税については、事態が改善されれば、ベネチア・サミットを念頭に置いて早期に撤回したいとのレーガン大統領の希望の表明があり、また、為替の安定については、これ以上のドルの下落は経済成長及び貿易不均衡の是正に悪影響を及ぼすので、為替レートの安定のために日米両国が努力し合うことを確認すると具体的に共同発表で述べており、一応の成果を上げたと思う。訪米で約束した内需拡大については、最近の国内状況から、日本みずからのため急ぐ必要があると認識している。本予算の成立後、緊急経済対策を決定しその予算化を図る。自民党の総合経済対策要綱によれば、五兆円を上回る財政出動とされており、中央政府、政府関係機関、地方政府の事業のほか、税制改革の一環として、与野党の話し合いによっては減税の実施も考えられる」旨の答弁がありました。
 経済問題につきまして、「プラザ合意以来の円高が続く中で景気は低迷しているが、昭和六十二年度政府経済見通しの実質経済成長率三・五%の達成は可能か。政府経済計画の「展望と指針」に比較し経済成長率が下方に乖離する一方、巨額の経常黒字を累積したのは緊縮型経済政策の結果ではないか。国際収支のアンバランスを是正するため適正な経常黒字の目標を掲げ、場合によっては輸出規制も考える必要はないか。円高を乗り切るため中小企業に過酷なコストダウンが押しつけられないように対策を講ずるとともに、特定業界の円高差益を広く国民に還元すべきではないか」などの質疑がありました。
 これに対し、中曽根内閣総理大臣及び関係各大臣等より、「年初来の個人消費及び住宅投資は堅調であり、景気が累積的に悪化する状態ではないが、現在、為替レートが政府の経済見通し策定時より二十円以上も円高になり、輸出関連企業に弱気の影響を与えているので、民間設備投資が減少し、政府見通しの実質経済成長率三・五%を達成できないおそれがある。したがって、今後、相当規模の内需拡大策に取り組む必要がある。近年の日本経済の成長率の鈍化は、世界的な経済変動、一次産品価格の低下、円の急騰等複合した要因によるものである。そうした中で、物価が極めて安定し国民生活の向上に寄与したと思う。現在、金融を緩め、財政の活用により高目の経済成長を実現するよう努力している。我が国の適正な経常黒字はおおよそGNP対比二%程度と思われるが、現在の経常収支の黒字は、輸入する石油が安くなったほか、従来アメリカが採用したドル高と成長政策により日本企業の対米輸出依存体質が加速されたことが原因である。その是正の方策は、輸出を人為的に抑えるのではなく、社会資本への投資等内需をつくり出して経済体質を正常に戻していくことが基本と考えている。円高による損失を補うため、下請企業に対する過度なコストダウン要求等の問題については、年間で親企業約二万件、下請業者は約五万件の調査をしているが、最近、買いただき、受領拒否、返品等の下請中小企業振興法違反の事例も見られるので、従前にも増して調査に力を入れ、下請業者に円高のしわ寄せが集中しないように法律の厳正な運用に努めていくつもりである。一昨年の十月以来本年三月までの円高差益は十八兆千七百億円に達し、還元額は約六割に及んでいる。さらに還元を進めるため、並行輸入の促進、消費者への情報提供等のほか、牛肉等政府が関与する物資についても、内部で常時連絡し合って円高差益を末端まで還元していくよう努める」旨の答弁がありました。
 財政問題につきまして、「実現不可能な昭和六十五年度赤字国債脱却の目標を繰り延べ、新財政再建方針をつくるべきである。内需拡大のため積極財政に転換し、近年の予算編成方式であるマイナスシーリングを見直して社会資本の整備に努めてはどうか。昨年度の大蔵、自治両大臣の合意にかかわらず、六十二年度予算で地方自治体向けの補助率を引き下げ、二千百七十億円を地方に転嫁したのは約束違反ではないか。大量の国債を抱えて我が国財政は利払い負担が重く、低利借りかえ、繰り上げ償還等、新視点に立った国債管理政策を推進するとともに、二つの国債(国際)比とも絡んでシンジケート団のあり方を再検討すべきではないか」との質疑がありました。
 これに対して、中曽根内閣総理大臣及び宮澤大蔵大臣等より、「一般会計の二割が国債の利払いに使われ財政本来の機能を失っている。速やかに特例国債を脱却して財政の弾力性を回復する必要がある。六十五年度財政再建の達成は大変厳しいが、いまだ時間があり、今後、内需拡大策で経済成長を高めて財政収入の増加を図る政策努力を続けたい。仮に新しい再建目標を決めるにしても、今後の経済展望等が明確でなければ困難であり、なお検討が必要である。六十二年度予算は増税なき財政再建の延長線上で編成されており、予算審議中に財政政策の転換は言えない。現在、内需拡大が必要で、新行革審から臨時緊急措置として公共事業の追加が認められたので、五兆円を上回る財政措置を講じて社会資本の充実を図ることとしている。昨年の補正予算を上回る建設国債の増発が予想されるが、金利負担を考え、できれば国債減額後のNTT株の売却益も充当したい。マイナスシーリングは、制度改革等に成果を上げており、デメリットが生じた投資分野については大蔵事務当局で工夫、検討しているところである。これまで進めてきた行革の理念は堅持しつつ、今後は内需拡大との二刀流で財政運営を行っていくつもりである。補助率の削減は、経済が激変し国の財政事情が好転しない中で公共事業を確保するため、前年の経緯はあるものの、投資的経費に限定して行った。地方自治体の負担を補てんするなど昨年度以上に国の財政措置を講じ、国と地方の財政関係を基本的に変更しないとの趣旨に反しないよう努力した。今後、大蔵、自治両大臣の申し合せを守るようにしたい。財政法が国債発行を臨時、異例のものとしており、また、年度独立の原則の関係もあって、国債管理の弾力的運用について制約がある。しかし、大量国債発行時代がなおしばらく続くであろうことと、国債費負担の軽減、さらに海外からの要請等を考え合わせ、これまでの国債管理政策を見直すべき時期と心得ており、検討することにいたしたい」旨の答弁がありました。
 税制改革問題につきましては、「売上税導入などによる税制改革をめぐって混乱を招いた責任をどのように反省をしているか。今後、衆議院の与野党協議にゆだねられるが、政府は税制改革にどう対応していくか。直間比率の是正の前に、基本税制である所得税、法人税の不公平を見直し、受取配当益金不算入の廃止や有価証券譲渡益の課税を進めるべきであり、また、農家に対する相続税及び固定資産税の軽減を改め、大都市の宅地供給に資する必要がある。法人税の基本税率が既に一部引き下げられており、国民の負担を軽減し、内需拡大に資する点から、速やかに大幅減税を先行させるべきではないか。税制改革に当たって、福祉目的税の導入について聞きたい」との質疑がありました。
 これに対して、中曽根内閣総理大臣及び宮澤大蔵大臣等より、「衆議院で予算が通過した際、内閣総理大臣談話を発表し、今回の税制改革、売上税問題等について、政府の努力不足もあって御迷惑をおかけしたことをおわびした。税制改革は、勤労者や企業の意欲をそぐことなく、将来に向かっての高齢化社会に大きな困難なく移行するためにはぜひやり遂げなければならない課題である。今後、議長あっせんに基づき衆議院に協議機関を設け、直間比率の見直し等を含む税制改革について速やかに全力を尽くすことが各党間で合意されている。協議機関を早期に成立させ実りのある協議を推進していただきたい。政府はその結果を見守っていくが、政府が提出した改革案よりさらによきものが出てくるならば幸いである。現行直接税に欠点もあり、改めるべきことに異議はない。しかし、所得が平準化し、消費水準も高い我が国において当面、直接税が七割を切る形の直間比率への移行は好ましいし、高齢化社会での若い人の所得税の過重負担を避けるためにも、間接税の比重を高めることは必要である。企業の配当益金や有価証券譲渡益に対する課税は、今回の税制改革においても実情を踏まえて所要の改善措置を提案しているところである。農家に対する相続税の軽減は、農地の細分化の回避と、土地所有と経営の一体化の農業政策上の観点から実施されており、農家にとって必要である。宅地並み課税は当面、営農の取り扱い認定等を厳格に運用することによって、長期的には、税制調査会、前川レポートでも言及しており、検討すべき課題になると考えている。所得税、法人税の減税は選挙公約であり、ぜひ実現したい。減税は恒久措置なので、臨時の財源や赤字国債の増発で対応することは適当でなくしかるべき財源が確保されなければ無責任に陥る。したがって、税全体の体系が明白になれば、税制改革の一環として減税の先行もあり得ると思う。福祉目的税について、税制調査会では、支出が特定されるため財政運営にゆがみを生じる場合もあると指摘しているところであり、現在、政府は採用を考えていない」旨の答弁がありました。
 最後に、防衛問題につきましては、主として防衛費の対GNP比一%枠の突破問題について論議が集中いたしました。
 「国民世論の反対にかかわらず、六十二年度防衛予算はGNPの一%枠を上回ったが、予算編成の過程を見ると、初めに突破ありきではなかったか。一%枠突破の理由を聞きたい。経済の円高基調や売上税の実質的廃案を考えれば、防衛予算を圧縮してGNP一%枠を守ることは可能なはずである。新歯どめとされる十八兆四千億円の中期防衛力整備計画は、単年度の歯どめとならないばかりか、物価上昇等の理由で予算がふえるため、計画期間を通じる歯どめにもならない。NATO方式で計算すれば防衛費はGNPの一・五%にも達し、日本は既に米ソに次ぐ世界第三位グループの軍事大国になっているのではないか」等の質疑がありました。
 これに対し、中曽根内閣総理大臣及び栗原防衛庁長官等より、「防衛計画の大綱水準を達成するため、中期防衛力整備計画に基づき計画的に整備を進めていくこととしているが、六十二年度予算編成では、名目成長率が鈍化し、一%枠内の防衛費がこれまでの対前年度比七ないし八%の伸びから四・八%に落ち込み、余裕がなくなる一方、中期防衛力整備計画の第二年度として、指揮通信機能の充実、練度の向上、隊舎の整備等おくれている後方部門を充実し、正面装備とのバランスをとったことにより防衛費がGNPの一%を超えざるを得なかったというのが実態である。防衛予算の中に売上税分九十三億円、ドル建て経費二千九十六億円が計上されているが、ドル建てについては支出官レートで編成しており、為替相場は一年間を通じて変動するもので、当面の円高状況だけで差益計算するのは適切ではない。いずれにしても、売上税や円高による余剰は予算の執行上生ずるもので、不用及び差益が出れば、法令の手続に従いその時点で処置すればよく、そのことと予算編成の時点の基準である防衛費のGNP一%枠を見直したこととは直接関係するものではないと考えている。GNP一%にかわる新たな歯どめとしては、三木内閣の節度ある防衛力を整備するとの精神を尊重しつつ、昭和六十年度価格十八兆四千億円の総額明示方式により中期防衛力整備計画を決定しており、金額面からの明確な歯どめとなっている。名目価格は経済の変動により左右されるので、歯どめとしては実質価格が妥当と考えており、御理解を願いたい。NATOは国防費の内訳を秘密にしているため、日本の防衛費をNATO基準で計算することは困難であるが、一応の試算ではGNPの一・二%程度と推定される。我が国は平和憲法のもとで、他国に脅威を与えず、非核三原則を守って、シビリアンコントロールのもと防衛計画の大綱に沿って整備を図り、直接侵略には最小限自分の力で対応しつつ、基本的な国の独立と安全は日米安保条約によって保障する考えに変更はない」旨の答弁がありました。
 質疑は、その他国政全般にわたり、広範多岐に行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、本日をもって質疑を終局した後、日本社会党・護憲共同及び公明党・国民会議の共同提案に係る修正案を議題とし、趣旨説明を聴取いたしました。
 修正の要旨は、防衛費の対GNP比一%枠を維持するため、防衛関係費より所要の減額を行うものであります。
 その内容は、まず、予算編成最終段階で防衛費に追加された金額相当分三百七十億円の減額を行い、第二に、防衛費の削減に見合う特例国債の減額及び利払いを調整し、特例国債三百七十五億円の発行減額を行うことにしております。この結果、六十二年度一般会計予算の歳入歳出総額は五十四兆六百三十五億円となります。なお、一般会計予算の修正に伴い、国債整理基金特別会計が減額修正となっております。
 次いで、原案と修正案をあわせて討論を行いましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して野田委員が修正案に賛成、原案に反対、自由民主党を代表して佐藤委員が修正案に反対、原案に賛成、公明党・国民会議を代表して峯山委員が修正案に賛成、原案に反対、日本共産党を代表して沓脱委員が修正案及び原案に反対、民社党・国民連合を代表して橋本委員が修正案及び原案に反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、まず、修正案は賛成少数をもって否決、政府原案につきましては賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(藤田正明君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。安恒良一君。
   〔安恒良一君登壇、拍手〕
#14
○安恒良一君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
 戦後政治の総決算、臨調・行革路線を掲げて中曽根政権が発足して以来、五たびの予算編成が行われましたが、私は、中曽根内閣が一段と危険な軍備拡大への道を突き進んでいると断ぜざるを得ないのであります。
 この間、福祉・教育予算が大幅に削減され、勤労者国民の犠牲のもとに防衛費の聖域化が続けられてきたことは、今さら申すまでもありません。六十二年度予算においては、防衛費の対GNP一%枠が突破されるという一大暴挙が断行されるに至ったのであります。防衛費の対GNP比一%の枠を厳守するという基本政策は、三木内閣以来、我が国が軍事大国にならないあかしとして内外に宣言されたものであり、この歯どめを撤廃することは、平和憲法の理念を大きく逸脱するものと言わねばなりません。政府が平和を願う国民世論と軍縮を求める国際世論に背を向け、米国の世界軍事戦略に加担してまでGNP一%の枠突破を強行することは断じて許せないものであります。
 我が党は、防衛費については計画的削減を提唱しております。そして、その政策手法としては、防衛予算の前年度並み凍結を毎年度提案してまいりました。そうした我が党の政策理念にのっとり、予算委員会の場において防衛費の政治加算分三百七十億円を減額する修正案を公明党・国民会議と共同で提案しましたが、政府・自民党がこれを受け入れなかったことはまことに遺憾であり、納得のできないことであります。
 また、中曽根内閣の政治課題とされた行政改革については、福祉・教育予算の大幅な削減を行う口実として利用するなど、そのつまみ食い的処理で事足れりとしている姿勢も容認することはできません。
 肝心な地方への権限委譲は遅々として進まず、汚職の温床となりやすい高級官僚の天下りも後を絶たず、特殊法人、休眠法人の整理には一向にメスを入れようとしておりません。
 さらに、国有財産の切り売りで財界を潤す一方、地価の異常高騰を招くなどして、その負担を国民大衆や地方へ転嫁させるやり方は許されないのであります。
 中曽根内閣が金看板として掲げてきた増税なき財政再建、六十五年度特例公債脱却の二大公約も完全に破綻しております。しかるに、中曽根内閣が言葉巧みに逃げ回り、その政治責任を何らとろうとしていない点は言語道断であります。口先だけのその場しのぎで反省のかけらもない、これが一国の総理のとるべき態度なのでありましょうか。
 売上税問題でも同様なことを指摘せざるを得ません。国民、自民党員が反対する大型間接税は導入しないとの選挙公約を無視したことが、どれほど国民の政治に対する信頼を失わせる結果となったのか、その政治責任は極めて重いものと言わざるを得ません。中曽根内閣支持率の急低下、また、先般の地方統一選挙における自民党の敗北という事実を厳粛に受けとめ、中曽根内閣がその政治責任を明らかにするように要求するものであります。
 六十二年度予算は、その本質において、中曽根総理の戦後政治の総決算路線の危険性を集中的に表現したものであり、到底容認することができないことを申し上げ、以下、順次反対の理由を申し述べます。
 反対する理由の第一は、冒頭でも指摘したとおり、政府予算案が防衛費の対GNP比一%枠突破を企図した軍拡予算となっていることであります。
 今回の一%枠突破は、政府が弁明するような、必要経費を積み上げして結果的にやむなく突破したものでは断じてありません。初めに突破ありきだったと言わざるを得ないのであります。総額十八兆四千億の中期防衛力整備計画の完全達成がなし崩し的に行われ、歯とめなき大軍拡への道を突き進む中曽根内閣の危険な体質は、この際強く糾弾されなければなりません。一%枠を超えた金額は百三十四億円であり、円高差益分の削減や不明朗な政治加算分の減額によって一%枠を厳守することは十分可能なのであります。にもかかわらず、一%枠突破があたかも既得権かのように、言を左右にして我々の主張に耳をかそうとしない政府の態度は断じて許されないのであります。
 反対理由の第二は、六十二年度予算編成に際して、我が国戦後政治史に大きな汚点を残す税制大改悪を強要しようとしたことであります。
 シャウプ税制以来のゆがみ、ひずみを是正すると称して行われた今回の税制改革は、我が党が指摘したごとく、究極の大増税なのであり、売上税を初めマル優廃止、最高税率の引き下げを行う等、金持ち優遇税制以外の何物でもありません。
 また、中曽根内閣は、税制改革の目標として公平、公正、簡素、選択、活力の五つを掲げましたが、国会に提出された税制改革法案はそのすべてに相反するものなのであります。なお、今後の税制改革に当たっては、不公平税制の是正にまず手をつけ、それを財源とした大幅な所得税減税の先行実施がどうしても必要であることを、そしてそれがまた、国民の大多数の要望であることを申し添えます。
 反対する理由の第三は、中曽根内閣の金看板である昭和六十五年度特例公債脱却の財政再建公約が完全に破綻したにもかかわらず、中曽根内閣が一向にその政治責任をとっていないことであります。
 六十二年度予算における特例公債減額幅は、六十一年度、財政の中期展望で示された一兆三千百億に遠く及ばぬ二千六百五十億にとどまっており、公約達成のためには六十三年度以降、毎年度一兆六千六百億ずつの特例国債減額を行わなければならないのであります。このことは、過去の実績に照らして完全に不可能であることは火を見るよりも明らかであります。しかも、臨調・行革路線に基づく五年間連続の超緊縮政策にもかかわらず、毎年の国債発行額は十兆円を超え、六十二年度末の国債残高は百五十三兆円という巨額に達しようとしております。
 このような財政再建の公約の破綻と失敗の原因は、中曽根内閣が財政再建の手法を取り違えたことにあり、経済局面の認識のずれと対応のおくれから、結果として、「角を矯めて牛を殺す」の過ちを繰り返してきたことにあると言わざるを得ません。
 中曽根内閣が六十五年度特例公債脱却の旗をおろさないというのであれば、政府には特例公債脱却に至る具体的手順と方策を国民の前に明らかにする義務があります。それをしようとせず、有名無実化した公約に縛られ、片や内需拡大の要請から八万ふさがりに陥っているのが我が国財政の実情なのではないでしょうか。今、政府に求められていることは、財政の積極的出動による新たな内需主導型の経済成長を軌道に乗せることであり、それを前提として長期の実効性ある新たな財政再建計画を構築していくことにあることを指摘しておきたいのであります。
 反対の理由の第四は、政府が財政再建のあかしとしている一般歳出伸び率ゼロが相も変わらず見せかけの圧縮になっていることであります。
 六十二年度予算においても、一般歳出圧縮のために政府がこれまで常套手段としてきた厚生年金国庫負担や住宅金融公庫利子補給金などの先送りが繰り返されております。また、地方との公約、覚書を再度無視し、国庫補助負担金をカットするに際しては、やみ国債の発行と非難されるような手法さえ駆使するに至っているのであります。
 このような負担の先送り措置は、何ら財政再建に寄与するものではなく、将来に先送りした分だけ利子を伴ってはね返ることとなり、隠された財政赤字とも言うべきものであります。私は、再三にわたる我々の忠告に耳を傾けようとせず、このような場当たり的財政糊塗策に終始している政府の姿勢に強い憤りを禁じ得ません。
 反対理由の第五は、政府予算案が日米貿易戦争と呼ばれるほどに緊迫化した貿易摩擦問題や、行革、円高デフレ問題を初めとする内外の経済情勢に全く対応していない欠陥予算となっているということであります。
 我が国の貿易収支の黒字幅は、六十一年度に一千億ドルを突破し、日米を中心とする経済摩擦問題は長期化の様相を見せております。しかし、米国の双子の赤字解消、我が国の内需拡大という根本的な問題を放置したまま、為替レートの操作という小手先の手段でこの問題に対応した政府の責任は極めて重大であります。政府自身も予想だにもしなかった百三十円台突入という異常な円高によって、我が国の輸出産地、中小企業は壊滅的な打撃を受けており、鉄鋼、造船などの業種では大幅な人員削減が行われ、戦後最悪の雇用情勢となっております。一段の円高の進行から産業の空洞化も懸念され、一層の雇用不安が高じているのであります。
 しかるに、政府の予算案は相変わらず緊縮財政をとり続け、公共事業費が四年連続で、また中小企業対策費が削減されるなど、円高不況・失業傍観予算となっていることは断じて納得できません。政府は、本予算成立後、五兆円を上回る景気対策を考えているとしておりますが、なぜ当初予算に組み込まなかったのでしょうか。その対応の遅さにはあきれ果てて物も言えません。経済の見通しの誤りを認めようともせず、政府みずから欠陥予算としている本予算案は、到底容認ができないものであります。
 以上、本予算案に対する反対の理由を述べました。政府がこれまでの姿勢を謙虚に反省し、国民の生活の立場に立ち、大幅減税の先行実施と積極財政への転換、そして防衛費の一%枠内への抑制を今後実施することを強く求め、私の反対討論を終わりたいと思います。(拍手)
#15
○議長(藤田正明君) 村上正邦君。
   〔村上正邦君登壇、拍手〕
#16
○村上正邦君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度予算三案に対して賛成討論を行います。
 本論に入る前に一言申し述べます。
 私は、今国会での衆議院における予算審議ほど異常な経過に包まれたことはかつてなかったと思います。申すまでもなく、国会は国権の最高機関であって国の唯一の立法機関であります。国会の生命は、法律案件や国の進路にかかわる諸問題について徹底して審議することにあります。審議こそが国民の負託にこたえる道ではありませんか。しかし、今国会では、衆議院予算委員会における審議は、実質審議は公聴会を除きわずか四日間、時間にして十三時間余りでありました。他院のことについてとやかく言及しないしきたりは私もよく承知しております。とはいえ、予算についてそもそもの先議権を持つ衆議院での審議がかくも短い時間であったということは、縦から見ても横から見ても、やはり不正常であったとしか言いようがありません。
 かつて昭和三十五年の安保国会では、政府・自民党と野党との間に立場の違いがあったとはいえ、予算委員会に加え、安保特別委員会で実に三十七日間、延べ百三十七時間もの審議がなされたことを思い起こすのであります。
 内外に多くの困難な課題を抱えている今日、国会は一日の空白や緩みも許されません。今回の長い審議拒否あるいは審議空白に対し、国民各層からは、一体国会議員の持つ時計と我々一般市民の持つ時計とでは種類が違うのではないかとの声を聞きました。私は、この批判に謙虚に耳を傾けねばならないと思います。国会ルールを無視し、国会の権威を失墜させ、あまつさえ国民生活に迷惑をかけることは二度と繰り返してはなりません。今国会のことを教訓として、新たな国会の運営のために改革と前進を続けていかねばならぬと信ずるものであります。
 幸いに、参議院においては、四月二十三日に予算の送付を受けて以後、予算委員会の場で各党委員による熱心な審議が続けられてまいりました。その間、中曽根総理のワシントン訪問による日米首脳会談や関係閣僚のOECD閣僚理事会出席などがありました。しかし、その間にあっても、本院の与野党委員は、我が国が置かれた今日の国際的立場に深い洞察力を示し、真摯かつ活発、そして濃密な論議を続けてまいりました。このことは国会議員の責務として当然のこととはいえ、党派を超えて参議院の機能をよく果たし、良識の府、参議院のあり方を示したものとして喜びにたえません。特に、大所高所に立って見識ある運営に御協力いただきました各党理事に深く敬意を表するものであります。
 国民各位が既に御承知のように、税制改革をめぐるこれからの方向づけは、去る四月二十三日夜の原衆議院議長の裁定によって示されました。税制改革問題は、現在における最重要課題の一つであり、直間比率の見直し等、今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力を払うことになったのであります。この議長裁定に対して、野党各党からは、歴史的勝利だ、勝った、勝ったなどとの声が聞かれたが、税制改革と国会審議のあるべき姿は、勝った、負けたのスポーツの世界とはおのずから違うのであります。
 思えば、昭和二十三年五月の第二回国会において――よく聞いてください、社会党の諸君。今回、事態収拾を図った原議長は、当時民主自由党代議士として、芦田内閣にあって日本社会党の加藤勘十国務大臣に、衆議院予算委員会の場で、取引高税導入をめぐる政府の態度を追及しております。このとき加藤勘十国務大臣は、政府の財政運営のために間接税である取引高税導入が避けられない旨をるる述べ、これが速記録に残されております。立場変われば大変わるといえばそれまででありますが、やはり政治の責任ある立場に立つ限り、時に国民に対してはつらいこともお願いせねばならぬのではないでしょうか。あれから四十年、改めて今昔の感ひとしおのものがあります。
 さて、我が国経済の緊急課題は、内需を拡大して経済の持続的成長を確保するとともに、対外不均衡の是正を図ることであります。御案内のように、最近米国では、包括貿易法案や半導体問題などに見られるように保護主義が著しく高まっておりますほか、欧州においても高い失業率を背景にダンピング規制強化の動きがあり、これまで世界経済の発展を支えてきた自由貿易体制の枠組みを揺るがす状況が見られ、国際経済への調和が強く要請されております。
 一方、我が国経済は、一昨年秋のG5以来、円レートの急騰により生産活動が停滞する中で、特に製造業を初め中小企業は大きな影響を受けておりますほか、雇用情勢は極めて厳しい事態となっております。六十二年度予算は、かかる経済情勢の変化に弾力的に対処するとともに、限られた財源を国民生活の安定向上を図る見地から重点的、効率的に編成しております。
 以下、賛成の主な理由と国政の重要問題について所見を述べたいと存じます。
 第一は、当面の緊急課題である内需の拡大に思い切った配慮をしていることであります。
 一段と厳しい財政事情にありましても、一般公共事業の事業費については、財政投融資の活用、民間活力の活用、補助・負担率の引き下げ等の工夫を行いまして、前年度に比べて五・二%増額いたしておりますことは評価できるものであります。
 第二は、引き続き財政改革を強力に推進するため歳出の徹底した節減合理化が行われていることであります。
 六十二年度予算は、五十八年度以降五年連続一般歳出を前年度以下に圧縮し財政改革を行っております。公債発行額を四千四百五十億円減額した結果、公債依存度は特例公債を発行して以来初めて二〇%を割っております。
 その他、本年度予算は、当面急を要する雇用対策の拡充や産業構造調整の円滑化対策が講じられているほか、高齢化社会への対応や恵まれない方々に対する福祉施策など社会保障の充実に努めております。また、文教、科学技術、農業、中小企業などの各分野についても引き続き制度、施策の充実に努めており、評価いたすものであります。
 次は、世界経済の一割国家として世界の平和と繁栄に寄与するとともに、西側の一員として防衛責任を果たしていることであります。
 我が国は、平和国家として、世界経済の発展に貢献するための経済協力を国際的責務と考え、これまでその拡充に努めてきましたが、本年度についても第三次中期目標に沿って政府開発援助を増額して、黒字国家としての責任を全うしていることは評価できるのであります。
 六十二年度の防衛費は、中期防衛力計画の第二年度目として、立ちおくれの目立つ練度の向上や隊員施設等の後方部門の回復を図るなど必要最小限度の経費を計上した結果、防衛費がGNP比一・〇〇四%になりましたが、これはまさしく所要経費の積み上げによる当然のものであります。
 御案内のように、現実、世界の平和と安定は米ソの力の均衡によりこれが保たれており、両国の核軍縮交渉の行方に期待いたしまするが、今後の推移は楽観できるものではないと思います。ソ連は、この十数年来、アジア・太平洋方面において大がかりな軍備増強政策をとっており、これに対処してアメリカを初めとする西側陣営はあらゆる防衛努力を行っております。
 しかるところ我が国は、五十一年に防衛計画の大綱を決定してから十年以上を経過してもいまだその水準に達しないということは、国際的に果たしてこれでよいのか批判の存するところであると存じます。私は、一昨年九月決定を見た中期防衛力整備計画の着実な実施は、我が国の重大な責務であると考えています。
 このような背景のもとで、今回一%枠を超えたのでありまするが、これに対し、一部に一%の歯どめ突破は軍拡路線を歩むものとの批判がありますが、これは全くの的外れであると思います。
 政府は新しい歯どめとして、平和憲法のもと、専守防衛に徹し軍事大国とならないという我が国防衛の基本方針の堅持、中期防衛力整備計画による総額明示方式の採用、三年後の見直しの廃止、三木内閣決定の精神尊重を決め、これらの新しい歯どめは節度ある防衛力の整備の見地から極めて有効適切であると思います。私は、むしろこれらの措置とあわせて、国権の最高機関としての国会における充実した審議こそ一番重い歯どめになると思います。良識、理性の府である我が参議院が健全である限り心配御無用と断言するものでありますが、いかがでしょうか。
 最後は、税制改革であります。
 さきにも述べましたが、税制改革の問題は、原議長の裁定により協議機関による審議にまつこととなりましたが、どうか精力的な審議で問題点を整理し合意が図られることを望むものであります。したがって、今後の税制改革の方向はこの結果待ちとなりますので、ここでは私が受けとめている税制の緊急課題について触れたいと存じます。
 御承知のように、現行税制は産業構造の変化、人口の高齢化、国際化の進展など我が国経済社会の著しい変化に十分に対応できておりません。課税最低限は世界で最も高いにかかわらず、サラリーマンの重税感、不公平感は強く、さまざまの面でゆがみ、ひずみを抱えて国民の税に対する不満は高まっております。この際、税制全般にわたる根本的な見直しを図る必要があります。
 そこで、まず行うべきは、働き盛りのサラリーマンに対する所得税の減税であります。この年代はまさしく我が国を支える担い手でありながら、住宅ローンの返済や教育費に追われ、税率の累進構造で税負担の重荷にあえいでおります。また、法人についてもしかりであります。経済の国際化に対応して、我が国企業活動の活性化を推進するための税率の引き下げが必要であります。さらには、今後二十一世紀に迫りくる超高齢化社会に対応していくためには、現在のように直接税中心の、特に中堅以上のサラリーマンに偏った所得税をそのまま維持していくことがいいのか、極めて疑問であります。やがてはその重い国民負担で先進国病になりかねません。私は、将来における活力ある日本型福祉国家を建設するには、すそ野の広い負担感の少ない課税主体の間接税に移行して、安定した財源を確保すべきだと考えます。
 今国会における税制改革反対の動きを見ますと、殊さら売上税にのみ焦点を当てた作戦を展開されたようでありますが、どうか反対される諸君にあっては、相手への攻撃も結構ですが、みずからはいかなる考えを持っているか、中長期的展望に立った明確な提言を示してもらいたい。たびたびの四党書記長会談ではいろいろ話し合いがあったようですが、それが新聞発表として国民の前に明らかにならなかったことは残念至極、遺憾千万であります。
 最後に、政府に要望いたします。
 最近における内需拡大の強い要請に対処して、政府は本予算成立後速やかに我が党が提示した総合経済対策要綱に基づき、公共事業の前倒し、大型補正予算の編成など積極的な財政措置を含む緊急対策を講ぜられ、もって対外不均衡の是正と内需主導型経済構造への転換が図られることを期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#17
○議長(藤田正明君) 及川順郎君。
   〔及川順郎君登壇、拍手〕
#18
○及川順郎君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十二年度政府予算三案に対し、一括して反対の討論を行うものであります。
 まず初めに、私は、今回の予算審議が異例ずくめの結果に至った責任の所在を改めてここに確認させていただきます。
 申すまでもなく、その原因は、中曽根内閣が国民世論を無視し、公約を破ってまで売上税導入を図り、マル優廃止を強引に押し通そうとしたところにあったことは明白であります。衆議院での強行採決、五十日に及ぶ暫定予算など、これらはひとえに中曽根内閣の強権的かつ国会軽視の政治姿勢にあったと言って決して遺言ではありません。売上税並びに関係法案の廃案は、まさしく数を頼んでの横暴な政治運営を許さないという国民世論の勝利であり、議会制民主政治の良識であったと深く確信するものであります。
 以下、私は、予算案に反対する主な理由を具体的に申し述べます。
 その第一の理由は、今日最も重要な政策課題となっている内需拡大策や雇用、円高不況対策に対し、何一つ有効な手段を持ち合わせていない予算であるということであります。
 昨年、我が国の実質経済成長率はわずか二・五%にとどまり、第一次石油ショック時以来十二年ぶりの低成長を記録いたしました。また、六十二年度の実質経済成長率も、このままでは政府経済見通し三・五%の達成は到底不可能な状態であります。さらに、完全失業率は戦後最悪の三%台に突入し、円高による企業倒産件数は一千件に迫ろうとする勢いであります。
 しかも、こうした厳しい状況をもたらしている急激な円高は、政府が日米会談やG7等で為替安定を繰り返すごとに、むしろ加速度を増し、今や一ドル百四十円を突破して百三十円台に突入している現状であります。巨額の貿易黒字と円高不況にあえぐ苦しみの中で、一刻も早く実効性のある内需拡大策や雇用、円高不況対策を実施すべきときであります。
 また、予算案の景気対策を見ても、内需拡大の柱となる一般会計、公共事業関係費を前年度に比べて、二・三%減と四年連続で大幅に削減している状態であります。具体的内容を分析しても、景気への波及効果は全くと言っていいほど期待できません。既に、政府が掲げた六十五年度赤字国債脱却目標も事実上不可能ではありませんか。六十二年度予算においてこそ、これまでの縮小均衡型の財政運営を積極型の財政運営に転換すべきときであったのであります。
 反対の第二の理由は、本予算案に、不公平税制を是正し、これを財源とすれば実施が可能である大型減税案が盛り込まれていないことであります。
 国民が今本当に求めているものは、大型間接税などの導入ではありません。また、今回政府が試みた売上税の導入やマル優制度の廃止ではないのであります。シャウプ勧告の精神がゆがめられ、余りにも拡大した不公平な税制を改めることにあるのであります。国民の大部分は、そうした取り組みを切に望んでいるのではないでしょうか。
 また、我が党が試算したように、グリーンカード復活による利子配当所得に対する総合課税強化や、キャピタルゲイン課税の強化など税負担の適正化、合理化により二兆三千億円の財源見通しができるのであります。さらに、貸倒引当金や退職給与引当金、各種準備金の見直しなど、課税ペースの拡大等により一兆二千億円、合計で三兆五千億円の増収を見込めるのであります。これを財源に、二兆三千億円規模の所得税、住民税の減税や一兆二千億円の法人税減税が実現可能なのであります。
 政府が売上税創設の理由のために設けた増減税同額の減税論拠は、既に崩壊しているのであります。まして、売上税法案が事実上廃案になった現状において、これらの成立を前提に歳入を見込んでいる本予算案は、まさしく歳入欠陥の予算なのであります。断じて容認することはできません。
 第三の反対理由は、医療、福祉、文教など国民生活関係予算が極めて不十分なことであります。
 老齢福祉年金は月額でわずか二百円の引き上げにしかすぎません。また、文教予算では、国立大学授業料や入学金、受験料が引き上げられている一方で、私学助成金は昨年度と同水準に抑えられている状況であります。これらは、円高不況の中で窮地に立たされている国民生活の現状に対応する予算内容としては極めて不十分であると言わざるを得ないのであります。私は、国民生活を守るために、社会保障の充実や社会資本整備等を柱とした政府の積極的な取り組みを強く要求するものであります。
 反対する第四の理由は、地方自治体への負担転嫁を一層強化し、地方財政を一段と圧迫していることであります。
 昭和六十年度以降、国は、財政難を理由としていや応なしに地方自治体への補助率引き下げを強行してまいりました。六十二年度においては直轄事業について一〇%、補助事業については五%、それぞれ投資的経費において補助率が引き下げられ、その地方財政に与える影響は二千百七十億円にも達しております。このような措置は、昭和六十一年度予算編成に際して、今後三年間、国と地方財政の基本的関係を変更しないと約束した政府覚書に反するものであります。地方自治体の厳しい財政事情にかんがみ、断じて容認するわけにはまいりません。
 第五の反対理由は、この十カ年間、歴代内閣が守り続けてきた防衛費GNP一%基準を破棄したことであります。
 新たに決定した総額明示方式は、防衛費の歯どめとはなりません。しかも、本予算案の総額三兆五千百七十四億円は、当初、大蔵原案ではGNP一%枠内にあったのであります。それを政治加算して、一%枠突破を図り、歯どめなき防衛力増強の政策路線をより鮮明にしたのであります。これはまことに危険な方向であります。いわゆるこの一%基準は、防衛力増強政策の歯どめであり、国民が自衛隊を支持する前提でありました。国際社会が懸命に軍縮デタントに努力しているときに、なぜ日本がこのような路線を選択しなければならないのでしょうか。
 平和への民意を尊重する立場から、我が公明党が日本社会党と共同で行いました防衛予算の修正についても、これを受け入れる姿勢を持たない政府の対応は極めて遺憾であり、その意味からも本予算案を認めることはできません。私は、ここに繰り返し、防衛予算については一%基準を今までどおり厳守するよう強く求めるものであります。
 最後に、中曽根内閣がその失政を率直に認め、責任を明らかにするよう強く要望して、六十二年度予算案に対する反対討論を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#19
○議長(藤田正明君) 沓脱タケ子君。
   〔沓脱タケ子君登壇、拍手〕
#20
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、昭和六十二年度予算三案に反対の討論を行います。
 今、村上議員が衆議院審議の異常さにつきまして一方的にお述べになりました。しかし、その責任は、例えば施政方針演説で公約違反の売上税のウの字も言わなかった問題が示すように、基本的には中曽根自民党内閣にあったことは極めて明らかではありませんか。また、我が党の金子書記局長の予算委員会での総括質問が、何と四月十四日まで引き延ばされたのは、各党の議調わずなどとして予算委員会を開会しなかった自民党の予算委員長にもあったことは明白な事実でございます。私は、今国会の審議の不正常さについて、政府・自民党などの責任をまず厳しく問うものであります。
 本予算案は、円高不況のもとで国民生活の防衛と真の内需拡大が切実に求められ、また、核兵器の廃絶と軍縮の声が全世界で高まっているときに、これに全く反する大増税、財界、大企業への大幅減税と大軍拡で国民の暮らしと民主主義、平和を踏みにじる最悪の予算案であります。私は、このような重大な反国民的内容を持つ予算案が、衆議院は言うに及ばず、本院におきましても不十分な審議のままで採決に付されることに強く遺憾の意を表明するものでございます。
 売上税法案は、国民の強い反対の声と運動で廃案されることになりました。本予算案は、この売上税、マル優廃止が盛り込まれている欠陥予算であり、政府の手によって再編成、再提出されるべきであります。そうされない以上、本院において否決されるのが当然の理であります。
 ところが、政府が、衆議院議長あっせんにうたわれた直間比率の見直しを足場にして、売上税の名を変えた新たな大型間接税の導入を図ろうとしていることは、総理や大蔵大臣の答弁にも明確にうかがえるところであり、私は、このような国民を欺瞞する大型間接税導入の新たな策略を厳しく糾弾するものであります。
 また、我が党幹部への電話盗聴事件が警察の計画的、組織的犯罪であるという事実が次々判明しており、さらに、本院議員である我が党の上田副委員長の自宅にも盗聴器が仕掛けられた事実が発覚しております。これは基本的人権の侵害は言うに及ばず、議会制民主主義を踏みにじる重大な政治的犯罪であります。厳正な捜査により一刻も早い全容の解明と犯人逮捕を求めるとともに、本院みずからが調査、究明に当たることを強く求めるものであります。
 以下、本予算案の反対理由を申し上げます。
 その第一は、政府みずからが決めた軍事費のGNP一%枠さえ取り払った大軍拡予算であるということです。
 政府は、五年間に十八兆四千億円をつぎ込む中期防衛力整備計画を新たな歯どめにするとしていますが、これでは歯どめどころか際限のない軍拡につながることは明白であります。我が国の軍事費は、NATO基準で比べますと、一昨年の水準でも既に米ソに次いで世界第三位にまで来ているのであります。
 今考えなければならないのは、軍拡ではなく軍縮の道であります。我が国では、GNP一%枠突破に反対する国民の声は三分の二を超えるところまで来ています。アメリカ国内でも、軍事費削減、さらにNATO軍十万人削減などの動きも出ておるのでございます。しかも、ソ連は、ゴルバチョフ書記長のもとで、期限を切っての核廃絶、核兵器の大幅削減を提唱しているときなのであります。したがって、中曽根内閣が軍備拡大のにしきの御旗にしてまいりましたソ連脅威論は、今やその口実にもできないところまで来ているのであります。
 憲法施行四十年、いかなる戦力も保持しないことが明文化された憲法第九条を踏みにじり、アメリカの核戦略を補完し、国土を核戦争の危険にさらす大軍拡の道は、まさに日本と世界の世論に逆行するものであります。
 今、日本が世界に呼びかけるべきは、軍拡と核戦争の道ではなく、軍縮と軍事費削減、核兵器廃絶の道ではないでしょうか。私は、今こそ軍事費を削って、国民の暮らし、福祉、教育に回すことを強く要求するものであります。
 ところで、日本への核持ち込みに関する日米政府間の秘密協定が我が党調査団によって明らかにされました。このことは、長期にわたって非核三原則を空洞化し、国民を欺瞞してきた歴代政府の責任の重大さを示すものであります。しかも、本院での審議を通じて、この日米秘密協定否定のため、日米合作でもみ消しを図っている事実が明らかになったことは、逆にその存在を確信させるものであります。我が党は、日米核密約の存在と核持ち込みの疑惑を徹底解明するため、調査特別委員会の設置などあらゆる措置を講じるよう求めるものであります。
 反対の第二の理由は、異常円高を追認し、産業構造調整の名のもとにアメリカと我が国大企業の要求に沿った諸政策を強行することにあります。
 百四十円前後という異常円高のもとで、輸出関連を初めとする中小企業は先の見えない塗炭の苦しみに突き落とされています。政府の中小企業対策費は五年間で二一%も削られ、一般会計に占める割合はわずかに〇・三六%、中小企業基本法を制定して以来最低の水準になっています。一方、鉄鋼、造船などの大企業には産業基盤整備基金などさまざまな優遇措置を創設し、大規模な事業の縮小や新分野進出、大量の人減らしに対しても手助けまでしているのです。
 異常円高の加速は、大企業の労働者や下請いじめを放置して、アメリカ側の身勝手な要求を唯々諾々として受け入れてきた政府の失政によってもたらされたことは明らかであります。さきの日米首脳会談でも、円高・ドル安の最大の根源であるアメリカの財政赤字削減については、軍事費削減など具体的措置については何ら触れませんでした。そして、我が国だけが一方的に金利の引き下げ、農産物市場の開放、大型補正予算、構造調整への努力などの新たな負担を強いられた極めて屈辱的なものであります。こういうことは、我が国経済と国民生活の将来にはかり知れない困難をもたらすものであり、中曽根内閣の最大の失政の一つであることを厳しく指摘しなければなりません。
 反対理由の第三は、国民生活と地方財政の破壊を進める予算案であることです。
 臨調行革を進めてきた中曽根内閣の四年半は国民生活に大きな圧迫を与えております。中曽根内閣のもとで編成された五回の予算を見ますと、軍事費だけが五年間に三六%も伸びているのに、中小企業対策費はマイナス二一%、文教費はマイナス〇・五%、食管費がマイナス四五・四%、社会保障費は、経費の当然増まで削り込み、わずか一一・一%に抑えられているのです。そのために六十二年度は、年金の引き上げがわずか〇・六%、老齢福祉年金は月額わずか二百円です。それらのしわ寄せで、お年寄りや障害者、病人など弱い立場の人たちの生活不安は深刻になっているのであります。
 また、ことしは国際居往年ですが、大都市周辺の異常な地価高騰は、国民のささやかなマイホームの夢さえも高ねの花にしてしまっています。この異常な地価高騰は、国公有地の無謀な払い下げと大企業の金余りを背景とした無秩序な投機などによって引き起こされた、まさに中曽根政治の失政の一つであります。
 地方財政については、二度三度、新たな補助金カットはしないと約束しながら、六十二年度も自治体への高率補助金の大幅カットは一兆五千億円にも達するのであります。その結果、各自治体では、住民サービス切り捨ての地方行革の押しつけと相まって、保育料や国保料の引き上げ、使用料、手数料の引き上げなど住民負担は一層重くなっているのであります。
 以上、本予算案は、大軍拡と大企業優遇の一方で、国民生活と福祉、教育を切り捨て、地方財政を破壊に導くものであり、断じて容認できないものであります。
 我が党は、引き続き、非核平和、軍縮に力を尽くし、円高不況の克服、新たな大型間接税導入策謀粉砕のために、そして国民本位の財政確立のために、全力を挙げて奮闘する決意を表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)
#21
○議長(藤田正明君) 勝木健司君。
   〔勝木健司君登壇、拍手〕
#22
○勝木健司君 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております昭和六十二年度予算三案に対し、一括して反対の討論を行うものであります。
 反対する第一の理由は、内需主導による積極予算を編成せよとの我が党の再三再四にわたる要求にもかかわらず、これを無視し、五年連続のマイナスシーリングにより、依然として無責任な縮小均衡型予算にとどまっている点であります。
 構造不況に加え、円高不況のダブルパンチによってもたらされました我が国経済の失速、雇用危機という深刻な非常事態を無視したものであり、政府の無策を如実に示したものと厳しく批判せざるを得ないのであります。また、このことは現実の経済の実情に即した政策のビジョンを欠いたいわば欠陥予算であり、国民生活を圧迫し、企業の活力を損ね、日本経済の一層の悪化を招くことは必至であります。
 そしてまた、昭和六十五年度赤字国債脱却の目標も完全に破綻しており、政府の財政再建がいかに名目だけのものであったがが明らかになるのであります。歳出の最大のものは国債費であり、実に十一兆三千三百三十五億円にも達しております。これに比べて、社会保障費は十兆八百九十六億円、公共事業費は六兆八百二十四億円、文教科学振興費は四兆八千四百九十七億円でありまして、いかに国債費が巨額に上っているかが理解できるのであります。
 また、歳入面におきましても、国債発行額は十兆五千十億円であり、六十二年度末の国債残高は約百五十二兆円にも達するのであります。国債の発行の減額は、目標の一兆三千億円を大幅に下回る四千四百五十億円にとどまっております。
 次に、反対する第二の理由は、予算案に国民大衆増税たる売上税の導入、マル優制度廃止が盛り込まれている点であります。
 売上税等の大衆増税をもくろんだ政府の税制改革案は事実上廃案となりましたが、公約を破り、なし崩し的に悪税を導入しようとした強硬なやり方に対し、不満を表明しないわけにはまいりません。
 総理は、中堅所得者層に厚い減税を断行すると公約されましたが、減税どころか、逆に増税となる案を打ち出したことは、およそ公平な税制改革とはかけ離れていると評価せざるを得ません。我が党の試算によりますと、政府・自民党の改革案が実現された場合、夫婦子供二人の標準世帯について、年収七百万円以下なら増税になるとの結論が出ております。しかるに政府当局は、法人税で全額個人に還元するというおよそあり得ない条件を定めて、全世帯が減税になるという宣伝を行ったのであります。
 また、本当に中堅所得者に厚い減税を実施するのなら、住宅、教育などの政策減税の拡充が必至と考えるのでありますが、政府・自民党が進めようとする税制改革では政策減税は全くなおざりにされておりました。
 いずれにいたしましても、政府・自民党が行おうとした税制改革は、国民が期待している不公平税制の是正にはほとんど手をつけないまま、財政当局が企図する財源確保のみを念頭にしていた点では、シャウプ勧告以来の抜本改革に値するものとは到底言いがたいものとなっております。
 反対する第三の理由は、行政改革に対します真剣な姿勢が見られないことであります。
 行革はいまだ道半ばであり、これからがまさに本番であるにもかかわらず、国鉄等の改革を除いては満足すべきものが実行されているとはお世辞にも言えない状況であります。
 補助金の統廃合、公務員定数削減による総人件費の抑制、地方出先機関の整理など極めて不十分にしか実施されておりません。大槻新行革審が設けられている以上、政府は本格的な行政改革を断行するよう強く求めるものであります。
 反対する第四の理由は、教育、福祉に対する切り捨てが盛り込まれている点であります。
 政府管掌健康保険事業にかかわる一般会計からの厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れ特例は、安易な財源確保措置であり、断固反対するものであります。政管健保の財政決算が黒字に転じたことで、本来ならば積立金として被保険者に還元すべきものを、国家財政の単なる数字合わせのために一般会計からの繰入額を一千三百五十億円減額することは、福祉を重視する我が党にとりまして到底認められるものではありません。
 また、昭和六十年度から昭和六十二年度の三年間で総額二兆六千九百億円の地方債へのツケ回しが行われることは、余りにもずさんな財政のつじつま合わせと批判されて当然であると考えます。さらに、国公立大学学費の値上げ等、教育に対する負担増につながる措置が盛り込まれていることも問題であります。
 反対の第五の理由は、円高不況、雇用不安に対する政策が小手先だけのものであり、実効のある内容とはなっていない点であります。
 政府の無為無策な為替外交の失敗によってもたらされた一ドル百四十円前後という余りにも急激な円高でありますが、このことが我が国経済の危機を一層深刻なものにしたことは極めて明白な事実であります。このような事態を招いた政府の責任は極めて重大であります。にもかかわらず、円高及び雇用危機に対して十分な措置が講じられていないことに、私は極めて遺憾の意を表明するものであります。円高不況によって職を追われた中高年齢者、これらの人々はかつて我が国の高度経済成長の主役となり、今日の日本の繁栄の礎を築いた人たちでありますが、今は塗炭の苦しみにあえぎ、その日一日の生活さえ見通しがつかない惨状に追い込まれております。このような人たちに報いることこそが今一番政治に求められることではありませんか。しかし、政府は傍観者としての立場を取り続けるばかりで、何ら有効な対策を実施しようとはしないのであります。
 反対の最後の理由は、貿易摩擦解消に対し何ら実効的な措置が講じられていない点であります。
 貿易摩擦も激化の一途をたどり、先日の日米首脳会談、OECD閣僚理事会の結果を見ましても、我が国は世界各国から内需拡大を強く迫られ、その早期実施が求められております。内需拡大に加えて、産業構造の転換も国際公約としての急務となっているのであります。この予算案では公約達成に十分とは到底言いかねるものであると考えます。
 以上、昭和六十二年度予算三案に反対する主な理由を申し上げましたが、一口で言えば、六十二年度予算案は、この非常事態に対処しようとする哲学というものを欠いた欠陥予算と断ぜざるを得ません。このような欠陥予算は、多くの国民の期待を裏切り、内外ともに満足すべき評価を得られるものではあり得ません。無責任とも言うべき緊縮予算では、政府公約の実質三・五%の達成は全く不可能であり、二%台はおろか、最悪の場合は一%台の成長に陥る危険性があることを強調いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#23
○議長(藤田正明君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#24
○議長(藤田正明君) これより三案を一括して採決いたします。
 表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#25
○議長(藤田正明君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#26
○議長(藤田正明君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#27
○議長(藤田正明君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百四十二票
  白色票          百三十九票
  青色票            百三票
 よって、三案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百三十九名
      青木 幹雄君    井上 吉夫君
      井上  孝君    井上  裕君
      伊江 朝雄君    石井 一二君
      石井 道子君    石本  茂君
      板垣  正君    岩上 二郎君
      岩崎 純三君    岩本 政光君
      上杉 光弘君    植木 光教君
      浦田  勝君    遠藤  要君
      遠藤 政夫君    小野 清子君
      大河原太一郎君    大木  浩君
      大島 友治君    大城 眞順君
      大塚清次郎君    大浜 方栄君
      岡田  広君    岡野  裕君
      岡部 三郎君    長田 裕二君
      加藤 武徳君    海江田鶴造君
      梶木 又三君    梶原  清君
      金丸 三郎君    川原新次郎君
      河本嘉久蔵君    木宮 和彦君
      木村 睦男君    北  修二君
      久世 公堯君    工藤万砂美君
      沓掛 哲男君    熊谷太三郎君
      倉田 寛之君    小島 静馬君
      古賀雷四郎君    後藤 正夫君
      佐々木 満君    佐藤栄佐久君
      斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君
      斎藤 文夫君    坂野 重信君
      坂元 親男君    沢田 一精君
      山東 昭子君    志村 愛子君
      志村 哲良君    嶋崎  均君
      下稲葉耕吉君    下条進一郎君
      杉元 恒雄君    杉山 令肇君
      鈴木 省吾君    鈴木 貞敏君
      世耕 政隆君    関口 恵造君
      曽根田郁夫君    添田増太郎君
      田沢 智治君    田代由紀男君
      田中 正巳君    田辺 哲夫君
      高木 正明君    高橋 清孝君
      高平 公友君    竹山  裕君
      谷川 寛三君    土屋 義彦君
      出口 廣光君    寺内 弘子君
      徳永 正利君    名尾 良孝君
      中曽根弘文君    中西 一郎君
      中村 太郎君    仲川 幸男君
      永田 良雄君    永野 茂門君
      成相 善十君    西村 尚治君
      野沢 太三君    長谷 川信君
      服部 安司君    初村滝一郎君
      鳩山威一郎君    林 健太郎君
      林  寛子君    林  ゆう君
      林田悠紀夫君    原 文兵衛君
      桧垣徳太郎君    平井 卓志君
      福田 宏一君    福田 幸弘君
      藤井 孝男君    藤野 賢二君
      降矢 敬義君    星  長治君
      堀内 俊夫君    堀江 正夫君
      真鍋 賢二君    前島英三郎君
      前田 勲男君    増岡 康治君
      松浦  功君    松浦 孝治君
      松尾 官平君    松岡滿壽男君
      三池  信君    水谷  力君
      宮崎 秀樹君    宮澤  弘君
      宮島  滉君    宮田  輝君
      向山 一人君    村上 正邦君
      最上  進君    本村 和喜君
      守住 有信君    森下  泰君
      森田 重郎君    森山 眞弓君
      矢野俊比古君    柳川 覺治君
      山崎 竜男君    山内 一郎君
      吉川  博君    吉川 芳男君
      吉村 眞事君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百三名
      青木 薪次君    赤桐  操君
      秋山 長造君    穐山  篤君
      一井 淳治君    糸久八重子君
      稲村 稔夫君    上野 雄文君
      小川 仁一君    小野  明君
      及川 一夫君    大木 正吾君
      大森  昭君    梶原 敬義君
      粕谷 照美君    久保  亘君
      久保田真苗君    小山 一平君
      佐藤 三吾君    志苫  裕君
      菅野 久光君    鈴木 和美君
      田渕 勲二君    高杉 廸忠君
      千葉 景子君    対馬 孝且君
      中村  哲君    野田  哲君
      浜本 万三君    福間 知之君
      松前 達郎君    松本 英一君
      丸谷 金保君    村沢  牧君
      本岡 昭次君    矢田部 理君
      安恒 良一君    安永 英雄君
      山口 哲夫君    山本 正和君
      渡辺 四郎君    飯田 忠雄君
      猪熊 重二君    及川 順郎君
      太田 淳夫君    片上 公人君
      刈田 貞子君    塩出 啓典君
      田代富士男君    多田 省吾君
      高木健太郎君    高桑 栄松君
      鶴岡  洋君    中西 珠子君
      中野  明君    中野 鉄造君
      馬場  富君    原田  立君
      広中和歌子君    伏見 康治君
      三木 忠雄君    峯山 昭範君
      矢原 秀男君    和田 教美君
      諫山  博君    市川 正一君
      上田耕一郎君    小笠原貞子君
      神谷信之助君    沓脱タケ子君
      近藤 忠孝君    下田 京子君
      立木  洋君    内藤  功君
      橋本  敦君    宮本 顕治君
      山中 郁子君    吉岡 吉典君
      吉川 春子君    井上  計君
      勝木 健司君    栗林 卓司君
      小西 博行君    三治 重信君
      関  嘉彦君    田渕 哲也君
      抜山 映子君    橋本孝一郎君
      藤井 恒男君    柳澤 錬造君
      山田  勇君    秋山  肇君
      田  英夫君    野末 陳平君
      青島 幸男君    喜屋武眞榮君
      下村  泰君    青木  茂君
      木本平八郎君    平野  清君
      瀬谷 英行君    西川  潔君
      山田耕三郎君
     ―――――・―――――
#28
○議長(藤田正明君) 日程第一 通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長井上裕君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔井上裕君登壇、拍手〕
#29
○井上裕君 ただいま議題となりました通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、金本位制度を前提とする貨幣法をもとに構成されている現行通貨法体系が、管理通貨制度に移行している我が国の通貨制度の現状に即応しない面があること等にかんがみ、貨幣法等を廃止し、通貨の単位、貨幣の製造、発行等に関し必要な事項を定める等、所要の措置を講じようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#30
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
    ―――――――――――――
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#32
○議長(藤田正明君) 日程第二 総合保養地域整備法案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長鈴木和美君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔鈴木和美君登壇、拍手〕
#33
○鈴木和美君 ただいま議題となりました総合保養地域整備法案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、近年の余暇活動に対する国民の需要の増大と多様化に対応して、すぐれた自然条件の中で滞在しつつ、スポーツ、教養文化活動、休養等の多様な活動を行うことができる地域の整備を、民間事業者の能力の活用に重点を置きつつ促進し、ゆとりある国民生活の実現と地域の振興を図ろうとするものであり、整備の対象となる地域の要件、基本方針及び基本構想の作成、税制、財政、金融上の助成措置、公共施設の整備、農地法等による処分、国有林野の活用、港湾の水域利用等に対する配慮等について規定しています。
 委員会におきましては、熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して上田委員より反対の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、大森理事より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会の各派共同提案に係る六項目から成る附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#35
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#36
○議長(藤田正明君) 日程第三 刑事確定訴訟記録法案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長太田淳夫君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔太田淳夫君登壇、拍手〕
#37
○太田淳夫君 ただいま議題となりました刑事確定訴訟記録法案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、刑事被告事件が終結した後における訴訟の記録の適正な管理を図るため、その保管、閲覧等に関し必要な事項を定めようとするものであって、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、刑事被告事件に係る訴訟の記録は、訴訟終結後は、当該被告事件について第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が保管するものとすること。
 第二に、検察官は、再審の手続のため保存の必要があると認める保管記録については、その保管期間の満了後も、これを再審保存記録として保存するものとすること。
 第三に、法務大臣は、刑事法制等に関する調査研究の重要な参考資料であると思料する保管記録または再審保存記録については、その保管期間または保存期間の満了後も、これを刑事参考記録として保存するものとすること。
 第四に、閲覧に関する手続及び閲覧等に関する処分に対する不服申し立ての手続について所要の規定を設けるものとすること等でございます。
 委員会におきましては、本法律案提出の経緯と目的、閲覧行為の範囲、謄写の可否、刑事参考記録の選別等につきまして熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#39
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#40
○議長(藤田正明君) 日程第四 外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る医師法第十七条及び歯科医師法第十七条の特例等に関する法律案
 日程第五 社会福祉士及び介護福祉士法案
             (いずれも内閣提出)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長佐々木満君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔佐々木満君登壇、拍手〕
#41
○佐々木満君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る医師法第十七条及び歯科医師法第十七条の特例等に関する法律案は、医療に関する知識及び技能の修得を目的として我が国に入国した外国医師または外国歯科医師が、医師または歯科医師による実地の指導監督のもとに医業または歯科医業を行うことができるよう医師法及び歯科医師法の特例等を設けようとするものであります。
 次に、社会福祉士及び介護福祉士法案は、専門的知識、技術を持って寝たきり老人等の福祉に関する相談援助を行うことを業とする社会福祉士、また介護等を行うことを業とする介護福祉士の資格制度を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、両案を一括議題として審議を進め、福祉サービスにおける公的責任、介護と看護との関係、社会福祉士といわゆる医療福祉士の業務分野の問題、社会福祉事業法の抜本的見直し、精神衛生鑑定医と外国人医師等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論はなく、両案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、社会福祉士及び介護福祉士法案に対し、附帯決議が全会一致をもって付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○議長(藤田正明君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#43
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#44
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
 憲政功労年金法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長嶋崎均君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔嶋崎均君登壇、拍手〕
#46
○島崎均君 ただいま議題となりました憲政功労年金法の一部を改正する法律案につきまして御報告申し上げます。
 本法律案は、国会議員として五十年以上在職し、憲政上特に功績顕著なものとして、衆議院または参議院において表彰の議決があった者に対して終身支給する功労年金の年額を、法律制定当初の百万円からこの際五百万円に改めようとするものであります。
 委員会におきましては、審査の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#47
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#48
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時五十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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