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#1
第108回国会 決算委員会 第1号
本国会召集日(昭和六十一年十二月二十九日)(
月曜日)(午前零時現在一における本委員は、次
のとおりである。
  委員長 堀之内久男君
   理事 糸山英太郎君 理事 上草 義輝君
   理事 熊谷  弘君 理事 古賀  誠君
   理事 近藤 元次君 理事 新村 勝雄君
   理事 草川 昭三君 理事 小沢 貞孝君
      岡島 正之君    高橋 一郎君
      古屋  亨君    穂積 良行君
      松野 頼三君    森下 元晴君
      谷津 義男君    渡部 恒三君
      渡辺美智雄君    小川 国彦君
      渋沢 利久君    渡部 行雄君
      小川新一郎君    古川 雅司君
      大矢 卓史君    野間 友一君
―――――――――――――――――――――
昭和六十二年四月二日(木曜日)
    午前十時四分開議
出席委員
  委員長 堀之内久男君
   理事 糸山英太郎君 理事 古賀  誠君
   理事 近藤 元次君 理事 新村 勝雄君
   理事 草川 昭三君
      岡島 正之君    高橋 一郎君
      中島  衛君    古屋  亨君
      穂積 良行君    前田 武志君
      松野 頼三君    森下 元晴君
      谷津 義男君    与謝野 馨君
      小川 国彦君    渋沢 利久君
      渡部 行雄君    小川新一郎君
      大矢 卓史君    矢島 恒夫君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
        通商産業大臣  田村  元君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      近藤 鉄雄君
 出席政府委員
        経済企画庁長官
        官房会計課長  村田 憲寿君
        経済企画庁調整
        局審議官    田中  努君
        経済企画庁国民
        生活局長    横溝 雅夫君
        経済企画庁物価
        局長      海野 恒男君
        経済企画庁総合
        計画局審議官  冨金原俊二君
        外務大臣官房会
        計課長     須藤 隆也君
        大蔵大臣官房会
        計課長     増田 煕男君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    足立 和基君
        大蔵大臣官房審
        議官      大山 綱明君
        大蔵大臣官房審
        議官      尾崎  護君
        大蔵省主計局次
        長       斎藤 次郎君
        大蔵省理財局次
        長       安原  正君
        大蔵省証券局長 北村 恭二君
        大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君
        大蔵省国際金融
        局長      内海  孚君
        大蔵省国際金融
        局次長     畠中 杉夫君
        国税庁次長   冨尾 一郎君
        国税庁直税部長 門田  實君
        国税庁調査査察
        部長      日向  隆君
        通商産業大臣官
        房長      棚橋 祐治君
        通商産業大臣官
        房審議官    末木凰太郎君
        通商産業大臣官
        房会計課長   田辺 俊彦君
        通商産業省貿易
        局長      畠山  襄君
        通商産業省産業
        政策局長    杉山  弘君
        通商産業省機械
        情報産業局長  児玉 幸治君
        中小企業庁長官 岩崎 八男君
        中小企業庁計画
        部長      小林  惇君
        運輸大垣官房会
        計課長     井上徹太郎君
        労働大臣官房会
        計課長     伊藤 欣士君
 委員外の出席者
        人事院事務総局
        管理局会計課長 森   猛君
        公正取引委員会
        事務局取引部下
        請課長     鈴木  満君
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   古川 定昭君
        宮内庁長官官房
        主計課長    山本 孝之君
        大蔵省主計局司
        計課長     兵藤 廣治君
        大蔵省銀行局保
        険部長     関   要君
        農林水産大臣官
        房審議官    川合 淳二君
        郵政省簡易保険
        局資金運用課長 内海 善雄君
        郵政省電気通信
        局電波部監視監
        理課長     園城 博康君
        会計検査院事務
        総局第一局長  疋田 周朗君
        会計検査院事務
        総局第五局長  三原 英孝君
        国民金融公庫総
        裁       吉本  宏君
        中小企業金融公
        庫総裁     渡辺 喜一君
        中小企業信用保
        険公庫総裁   谷敷  寛君
        日本開発銀行総
        裁       吉瀬 維哉君
        日本輸出入銀行
        総裁      田中  敬君
        参  考  人
        (日本たばこ産
        業株式会社社長)長岡  實君
        決算委員会調査
        室長      大谷  強君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十八日
 辞任         補欠選任
  渡部 恒三君     竹下  登君
三月四日
 辞任         補欠選任
  岡島 正之君     小川  元君
  野間 友一君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  小川  元君     岡島 正之君
  矢島 恒夫君     野間 友一君
同月九日
 辞任         補欠選任
  岡島 正之君     村田敬次郎君
  高橋 一郎君     武藤 嘉文君
  古屋  亨君     志賀  節君
  穂積 良行君     越智 通雄君
  谷津 義男君     奥野 誠亮君
同日
 辞任         補欠選任
  越智 通雄君     穂積 良行君
  奥野 誠亮君     谷津 義男君
  志賀  節君     古屋  亨君
  武藤 嘉文君     高橋 一郎君
  村田敬次郎君     岡島 正之君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  野間 友一君     金子 満広君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 満広君     野間 友一君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  岡島 正之君     小川  元君
  穂積 良行君     山崎  拓君
  谷津 義男君     麻生 太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  麻生 太郎君     谷津 義男君
  小川  元君     岡島 正之君
  山崎  拓君     穂積 良行君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  野間 友一君     辻  第一君
同日
 辞任         補欠選任
  辻 第一君      野間 友一君
四月二日
 辞任         補欠選任
  高橋 一郎君     前田 武志君
  竹下  登君     中島  衛君
  渡辺美智雄君     与謝野 馨君
  野間 友一君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  中島  衛君     竹下  登君
  前田 武志君     高橋 一郎君
  与謝野 馨君     渡辺美智雄君
  矢島 恒夫君     野間 友一君
    ―――――――――――――
昭和六十一年十二月二十九日
 昭和五十九年度一般会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書
 昭和五十九年度特別会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書
 昭和五十九年度特別会計予算総則
 第十一条に基づく経費増額総調書 (承諾を求
 及び各省各庁所管経費増額調書  めるの件)
 昭和六十年度一般会計予備費使用 (策百七回
 総調書及び各省各庁所管使用調書 国会、内閣
 (その1)           提出)
 昭和六十年度特別会計予備費使用
 総調書及び各省各庁所管使用調書
 (その1)
 昭和六十年度特別会計予算総則第
 十二条に基づく経費増額総調書及
 び各省各庁所管経費増額調書(そ
 の1)
 昭和六十年度一般会計予備費使用
 総調書及び各省各庁所管使用調書
 (その2)
 昭和六十年度特別会計予備費使用
 総調書及び各省各庁所管使用調書 (承諾を求
 (その2)           めるの件)
 昭和六十年度特別会計予算総則第
 十二条に基づく経費増額総調書及
 び各省各庁所管経費増額調書(そ
 の2)
 昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十八年度政府関係機関決算書
 昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十八年度国有財産無償貸付状況総計算書
 昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十九年度政府関係機関決算書
 昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
昭和六十二年一月三十日
 昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書
 昭和六十年度国有財産無償貸付状況総計算書
二月二十七日
 昭和六十一年度一般会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その1)
 昭和六十一年度特別会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調 (承諾を求
 春(その1)          めるの件)
 昭和六十一年度特別会計予算総則
 第十三条に基づく経費増額総調書
 及び各省各庁所管経費増額調書
 (その1)
 昭和六十一年度一般会計国庫債務負担行為総調
 書(その1)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 昭和五十九年度一般会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書
 昭和五十九年度特別会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書
 昭和五十九年度特別会計予算総則
 第十一条に基づく経費増額総調書 (承諾を求
 及び各省各庁所管経費増額調書  めるの件)
 昭和六十年度一般会計予備費使用 く第百七回
 総調書及び各省各庁所管使用調書 国会、内閣
 (その1)           提出)
 昭和六十年度特別会計予備費使用
 総調書及び各省各庁所管使用調書
 (その1)
 昭和六十年度特別会計予算総則第
 十二条に基づく経費増額総調書及
 び各省各庁所管経費増額調書(そ
 の1)
 昭和六十年度一般会計予備費使用
 総調書及び各省各庁所管使用調書
 (その2)
 昭和六十年度特別会計予備費使用
 総調書及び各省各庁所管使用調書 (承諾を求
 (その2)           めるの件)
 昭和六十年度特別会計予算総則第
 十二条に基づく経費増額総調書及
 び各省各庁所管経費増額調書(そ
 の2)
 昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十八年度政府関係機関決算書
 昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十八年度国有財産無償貸付状況総計算書
 昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十九年度政府関係機関決算書
 昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔総理府所管(経済企画庁)、通商産業省所管
 、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公庫〕
 昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十九年度政府関係機関決算書
 昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (大蔵省所管、日本専売公社、国民金融公庫、
 日本開発銀行、日本輸出入銀行)
     ――――◇―――――
#2
○堀之内委員長 これより会議を開きます。
 まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、決算の適正を期するため
 一、歳入歳出の実況に関する事項
 二、国有財産の増減及び現況に関する事項
 三、政府関係機関の経理に関する事項
 四、国が資本金を出資している法人の会計に関する事項
 五、国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する事項
以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○堀之内委員長 次に、昭和五十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、昭和五十九年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、昭和五十九年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書、以上三件の承諾を求めるの件、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調査(その1)、昭和六十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和六十年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上三件の承諾を求めるの件、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和六十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和六十年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上三件の承諾を求めるの件、右各件を一括して議題といたします。
 この際、大蔵大臣から各件について趣旨の説明を求めます。宮澤大蔵大臣、
#5
○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件並びに昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和五十九年度一般会計予備費予算額一千七百億円のうち、昭和五十九年四月二十七日から昭和六十年三月二十九日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千二百八十七億二千四百九十九万円余であります。
 その内訳は、災害対策費として、緊急治山事業に必要な経費等の六件、その他の経費として、国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費等の四十件であります。
 次に、昭和五十九年度各特別会計予備費予算総額三兆六千八百七億八千四百六十万円余のうち、昭和五十九年八月十五日から昭和六十年三月二十九日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千五十一億五千八百六十六万円余であります。
 その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定へ繰り入れに必要な経費等四特別会計の六件であります。
 次に、昭和五十九年度特別会計予算総則第十一条の規定により、昭和五十九年九月十四日から昭和六十年三月二十九日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、二百二十五億五千四百八十万円余であります。
 その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における返還金等の他勘定へ繰り入れに必要な経費の増額等八特別会計の九件であります、
 次に、昭和六十年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、昭和六十年四月二十六日から同年十二月二十日までの間において使用を決定いたしました金額は、四百十九億九千三百十二万円であります。
 その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業に必要な経費等の九件、その他の経費として、主要国首脳会議の開催準備に必要な経費等の十七件であります。
 次に、昭和六十年度各特別会計予備費予算総額三兆七千九百五億四千九百五十九万円余のうち、昭和六十年八月二十七日から同年十月四日までの間において使用を決定いたしました金額は、二百九十七億二千八百七十五万円余であります。
 その内訳は、食糧管理特別会計国内麦管理勘定における国内麦の買い入れに必要な経費が二件であります。
 次に、昭和六十年度特別会計予算総則第十二条の規定により、昭和六十年九月十日から同年十一月二十九日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、百十八億六千三百二万円余であります。
 その内訳は、食糧管理特別会計国内麦管理勘定における国内麦の買い入れ増加に伴い必要な経費の増額等五特別会計の七件であります。
 次に、昭和六十年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、昭和六十一年一月十日から同年三月二十八日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千六億五千八百七十八万円余であります、
 その内訳は、災害対策費として、農林水産業共同利用施設災害復旧に必要な経費及び災害による廃棄物処理事業に必要な経費の二件、その他の経費として、国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費等の二十三件であります。
 次に、昭和六十年度各特別会計予備費予算総額三兆七千九百五億四千九百五十九万円余のうち、昭和六十一年三月十四日から同年三月二十八日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千六百五十三億五千二百七十一万円余であります。
 その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定へ繰り入れに必要な経費等五特別会計の七件であります。
 次に、昭和六十年度特別会計予算総則第十二条の規定により、昭和六十一年三月十四日から同年三月十八日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、二百六十億七千八百六十万円余であります。
 その内訳は、郵政事業特別会計における収入印紙収入繰り入れ及び買い戻し金等に必要な経費の増額及び道路整備特別会計における豪雪に伴う道路事業に必要な経費の増額の二件であります。
 以上が、昭和五十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件並びに昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件の事後承諾を求める件の概要でございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願いを申し上げます。
#6
○堀之内委員長 これにて説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○堀之内委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
#8
○渡部(行)委員 まず最初に、予備費に関してお伺いいたします、
 その第一は、予備費について憲法第八十七条及び財政法第二十四条で特別に規定されているわけでございますが、こういう憲法事項にまでしておるその精神あるいはこの取り扱いの重要性についてはどのようにお考えになっておられるか、御説明願いたいと思います。
#9
○宮澤国務大臣 憲法の精神に従いまして年度が始まるに先立って歳入歳出を見積もるのでございますけれども、予算を実際に実行するに当たって予見しがたい事情により過不足を生ずることは免れませんので、あらかじめ国会の御議決を得ました金額の範囲内で内閣の責任において支出をさせていただくという制度と承知しております。
 御指摘のように、憲法第八十七条並びに財政法第二十四条におきましての規定に従いまして慎重に、お許しをいただいた範囲での支出をさせていただいております。
#10
○渡部(行)委員 大臣、私はなぜそれを憲法事項にまでしておるのかというその精神について聞いておるわけで、その手続について聞いているわけではないのです。ですから、結局、歳入歳出の帳じりが合わないことが間々あるのは普通でございまして、それに対する取り扱いとしてなぜ憲法事項にまでしておるのか、ここをひとつ教えていただきたい。
#11
○宮澤国務大臣 この点は、行政府が歳出歳入、殊に歳出でございますが、をいたしますときに、予算という形で国権の最高機関である国会の御承認を受けていたすべきことは当然のことでございます。しかし、最善を尽くしましても予見しがたい事情というものはこれはあり得る、また現実にございますので、その範囲におきまして予備費という形で国会のお許しを得てこれを使用させていただく。もちろん、この支出については事後に国会の御承諾を得なければならない、こういう精神のものとして考えております。
#12
○渡部(行)委員 私は、憲法事項にされたということは、いわゆる財政の民主化、そしてまた予算執行の厳正さ、こういうものを要求しておるから憲法事項にまでされているのではないか、そうでないと、ほかの予算だと一応予算の議決がされても項目によっては流用したりいろいろするわけでございますから、そういうものについては規則でやっておるようでございますけれども、これを、わざわざ予備費を憲法事項にしたというのは、つまり予備費をうんととって勝手に使えない、そういういいかげんなとり方はさせないというところにこの精神があると思うのですよ。したがって、政府は、この予備費を使うときには相当厳粛な態度で厳密にこれを考えながら使っていかないと憲法の精神に合わなくなってしまうのではないか、私はこういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#13
○宮澤国務大臣 政府もただいま御指摘のとおりに考えております。
#14
○渡部(行)委員 そこで、予備費を計上される場合に一体どういうことを予見してその額の決定をなされるのか、それには一定の原則的なものがあるのかどうか、この辺についてお伺いいたします。
#15
○斎藤(次)政府委員 予備費の金額は、歳出予算に計上しまして、その枠につきましては国会の議決、承認を経て定めることとされておるわけであります。したがいまして、その金額の限度につきましては国会の議決によって相当と認められるということが要件になっているということでございまして、そのほかに実は特別の法律上の制約はないわけでございます。しかし、予備費制度は予算の事前議決の原則の例外として認められた制度でございますので、その使用は予見しがたい予算の不足に充てる場合に限られているということでございますので、その計上額についてはおのずと限界があると私どもも考えております。
 戦後の例を見ますと、多くは予算規模の一、二%程度という計上額になっておるわけでございます。六十一年度予算における予備費の計上額は三千五百億円ということで、予算規模の〇・六五%となっております、従来の予備費計上率と比較しますと少しずつ抑制的なものとなっているわけでございます。その点御理解をいただきたいと思います。
#16
○渡部(行)委員 それから、予備費と補正予算との関係についてお伺いいたしますが、つまり、予備費支出で処理すべきかそれとも補正予算で処理すべきか、こういう場合に予備費と補正予算との境界線というか限界と申しますか、これは補正、これは予備費というふうにして予備費から執行するという場合の一つの判断基準というものはどういうふうに置かれておるのか、その辺をお伺いいたします。
#17
○斎藤(次)政府委員 まず法律上の考え方から申し上げますと、財政法上予備費については「予見し難い予算の不足に充てるため、」というぐあいに規定されております、それから補正予算につきましては「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」というぐあいに規定されておりまして、今先生が御指摘のように両者の法律上の要件にはそうさしたる差異がないということで、いわばどちらを選択するかは財政法上政府の判断にゆだねられているという解釈が通説になっておりますけれども、私どもといたしましては、予算作成後に生じた追加財政需要につきまして予備費支出によるべきか補正予算に計上すべきかというのは、その時期がいつになるのか、あるいは国会が開会されていて補正予算の御審議をお願いするチャンスがあるのかとか、あるいは追加の金額の重要性あるいは金額の額とか、そういうものを勘案いたしまして、補正の審議をお願いできる状況にあり補正予算を編成いだすことができる場合には、できるだけ補正予算に種々の要因を盛り込んで事前に国会の御審議をいただいて承認をいただくのが筋ということで、そういう方針で従来から対処しているわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
#18
○渡部(行)委員 その辺の判断といいますかやり方について、過去にも国会開会中に予備費の取り崩しをした事例が何回かあるわけでございますが、結局、何といいますか、軽微な場合は予備費で補って、大きい場合は補正予算でやっていく、こういう一つの考え方というのはあるわけですか。
#19
○斎藤(次)政府委員 先生御指摘のように、国会が開会中であれば補正予算を編成して事前に国会の御審議をいただくという機会があるわけでございます。したがいまして、国会開会中の予備費の使用につきましては閣議決定でその予備費の使用について制限を設けておりまして、事業量の増加等に伴う経常の経費とか、法令または国庫債務負担行為により支出義務が、いわば義務的な経費ということで支出義務が発生した経費とか、あるいは災害その他どうしても緊急に支出しなければならぬ経費とか、その他非常に軽微な経費というようなことで、特に補正予算で事前の御審議をお願いしなくても使用が認められるのではないかという経費に限って予備費を使用するということで、いわば内閣でその使用については制限を設けて、その使用について慎重を期しているということでございます。
#20
○渡部(行)委員 そこで私は、政府に憲法規定の重要性というものについて考え方が最近若干薄れてきているのではないだろうか、こんなふうに思われるわけであります。なぜならば、例えば昭和五十九年度一般会計予備費の中から昭和五十九年十一月二十七日閣議決定によって電波監視施設の緊急整備に必要な経費として八千五百四十三万二千円支出されている問題についてでありますが、これは当初、昭和五十九年度一般会計予算で関東地区に電波監視施設を設置することになっていたものを、例のグリコ事件で警察の無線が妨害、乱された、そういうことで急速、一般会計予算から近畿地区にこの施設が新設された。ところが、その後自民党本部放火事件が発生したわけであります。その後というのは、この閣議決定後ではなくて昭和五十九年九月十九日ですね、この放火事件が発生した、そこで、これはやはり関東地区にも新設しなければならない、こういうことで今度は関東地区に予備費から取り崩してこの施設が設置された、こういう問題があるわけでございますが、郵政省、これについては間違いないでしょうか。
#21
○園城説明員 お答えいたします。
 先生御質問のとおり、昭和五十九年度一般会計におきまして超短波遠隔方位測定施設、固定センサスと申しておりますが、それに予算がついておりますが、グリコ事件のために急遽これを大阪に設置するということにいたしました。その後自民党本部放火事件が発生いたしまして、予備費をいただいたという経緯でございます。
#22
○渡部(行)委員 そこで、この施設の機能と申しますか、これは大体性能としては二十キロメートルから三十キロメートルくらいに及ぶと言われておりますが、成田空港はこの施設から五十キロも離れておるとなると、せっかく関東地区につくられたこの監視施設も成田問題については余り役に立たない、こういうふうに思われます。
 こういう問題は何も大阪と東京だけにある問題でなくて、日本全国どこかにいつ発生するかわからない問題だろうと私は思います。そうだとすれば、これは当然全国をどういう計画によってネットワーク化していくか、こういう一つの計画的、政策的な考え方がここに出てこなければならないと思うのです。ところが、その後全然この監視施設については予算化されていない。こういうふうになると、予備費と正式の一般会計予算の振りかえもこんな簡単にやられるとすれば、先ほど大臣が言われたような厳正さというものは薄れておるのじゃないか、失われておるのじゃないか、こういうふうに思いますが、その点についてひとつ御説明願いたいと思います。
#23
○園城説明員 郵政省といたしましては、この固定センサスにつきまして五十九年度から順次、関東、近畿の次は名古屋、九州、北海道というふうに設置する予定でございましたが、昨今の予算事情によりましてなかなか思うようにいかなかったということでございますが、監視の予算が全くつかなかったということではございませんで、監視用大型車両等の予算はいただいております。郵政省としましては、この固定センサスを今後とも設置していきたいというふうに考えております。
#24
○渡部(行)委員 大臣、あなたはさっき予備費の使い方の厳正さについてお答えしたわけですが、ところが、こういう一般会計予算ではっきりと関東地区に設置するということを決めておいて、それがグリコ事件ができてからさあそれはそっちに回せ、そして東京でまた自民党の放火事件ができて今度は予備費から、こういう安易な使い方というのはいいでしょうか。――いや、これは大臣に聞いているのだから、大臣が答えなくてはだめだよ。
#25
○宮澤国務大臣 私の受けております説明は、文字どおり予見しがたい事情があったわけでございますが、しかもそれが緊急性を要する、こういう判断をいたしましたので、この点は憲法、財政法の精神にたがうことはないというふうに説明を受けております。
#26
○渡部(行)委員 説明を受けておりますということではどうしようもないんで、今の話の中で一体こういう予備費の使い方というのは果たしていいのか。それなら計画的にこの予算化を考え、そして政策として将来どういうふうにしていくということを当然郵政省は出すべきじゃないかと思うのですよ。それは何々で自動車を買ったとかなんとかと言っても、そんなものじゃないと思うのです。その点はどうですか。
#27
○園城説明員 六十三年度予算でそういうものを出す案が出ております。
#28
○渡部(行)委員 いや、計画としてどうなんだと聞いているんだよ。
#29
○園城説明員 計画といたしましては、郵政省の計画はございまして、やる予定でございます。しかし、予算事情もございますので、これは郵政省の一存では決められない問題ですが、我々としては極力今後この固定センサスを主要な都市に設置したいと考えております。
#30
○渡部(行)委員 それから今度は各特別会計について見てみますと、ほとんど歳入歳出が同額になっているものが多数見受けられるわけでございます。つまり、これを言いかえると、歳入と歳出の差額を予備費予算に計上したと見られるわけでございますが、一体こういう計上の仕方というのは望ましいことでしょうか。しかも、五十八年度から六十年度までの使用状況を見ますと、使用決定したものは極めて少ない、こういうことで一体いいのかどうか。会計検査院はこういうやり方についてどういう見解を持っておられるか示していただきたいと思います。
#31
○疋田会計検査院説明員 お答えいたします。
 私ども会計検査院では、予備費に基づく支出につきましては、通常の予算と同様その支出が予算の目的に合致し適正に行われているか、こういうような観点から検査しているところでございますが、これとあわせまして、予備費につきましてはあくまでも予見しがたい事態が生じたために予算の不足した場合に限って支出することができるというのが憲法の趣旨でございますので、この点につきましても念頭に置きながら予備費使用状況について検査しているところでございます。
#32
○渡部(行)委員 私の聞いていることがわからないのでしょうか。どうも答弁がすれ違っているようにしか思えないですよ。私は、こういう特別会計を見ましても歳入歳出がぴったりと合っているのが非常に多い、その際の予備費というのは歳入歳出の差額をそのまま予備費というふうに予算計上したのではないか、いわゆる予見しがたい問題として初めから予備費計上がされているのではなくて、そういう便宜主義でやられているのではないかということを言っているんで、それに対する会計検査院としての基本的な考え方を聞いたわけです。
#33
○疋田会計検査院説明員 お答えいたします。
 先ほど先生御指摘の点につきましては、私どもも今後鋭意検討してまいりたいと考えております。
#34
○渡部(行)委員 十分検討してください。これ以上聞いてもいい答えは出そうにありませんから。
 そこで、財政法第二十四条では「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」こういうふうに規定されておりますが、この「相当と認める金額」というのは一体何を、どういうことを言っているのか、この内容の御説明をお願いしたいと思います。
 また、先ほど指摘しましたように、単なる歳入歳出の差額をもってこれを予備費にしておるというようなこと、そういう差額という問題も予備費の範疇に入れていいのかどうか、その辺をひとつお答え願いたいと思います。
#35
○斎藤(次)政府委員 一般会計の予備費の計上の基準については、先ほど御説明いたしました。先生の御指摘は、特別会計の予備費の計上の問題について相当と認める額ということの解釈の問題であろうかと思います。
 私どもといたしましても、単に特別会計の歳入歳出差額を予備費として計上するという考え方をとっているわけではないわけでございます。特別会計というのは実は種々のものがございます。特定の歳入をもって特定の歳出に充てる、一般会計の一般の歳入歳出と区分して経理するということでございまして、その事業の弾力的な運用を行うために設けられるということでございます。したがいまして、過去の使用の有無にかかわらず相当額の予備費を計上する必要があるというぐあいには考えておるわけでございます。例えば保険会計のように、不測の保険事故に対処するためには相当額の予備費を計上しなければならぬ。それから外為会計のように、国際収支の状況、国庫の状況等により不測の事態による歳出追加に対処するために相当額の予備費を計上しなければいかぬというようなものもあろうかと思います。そのほか、特別会計は自己固有の歳入をもって歳出に充てるのが原則となっておって、その歳入を他へ使うことができないというような事情があるわけでございます。
 ただ、私どもも、今先生が御指摘になったような歳入歳出差額を単純に予備費に計上するということについての御批判もありましたので、六十二年度予算編成におきましては特別会計の予備費を総ざらいいたしまして、例えば森林保険とか登記特別会計等の予備費の計上額をもう一度洗い直して、実際の額としては大幅に軽減をいたしまして、その結果歳入歳出が不突合になる、いわば歳入超過の予算を編成するというような見直しを行いまして、予備費について必要な額を我々が不測の事態に備えるための予算の不足として相当と認める額と認められるものに改めるよう努力をいたしたわけでございます。その点御理解をいただきたいと思います。
#36
○渡部(行)委員 予備費についての質問はこの程度で終わりまして、あと大蔵大臣に、この七日から十日までの予定で訪米するということを聞いておりますが、大蔵大臣はこの七日から十日の間にどういう行事が組まれているのか、その内容と、そしてそこでどういう議題が問題にされるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#37
○宮澤国務大臣 お許しをいただきましてワシントンに参りたいと思っておりますが、これはIMFのいわゆる暫定委員会が行われることに伴いまして、十カ国の会議それから七カ国の会議、それとの関連で少数国による非公式会合等々が予定されております。
 で、この少数国によります会合では、先般七カ国によってパリで二月の二十二日に為替の安定につきまして声明を出したわけでございますが、その後のこの状況についてのレビューと申しますか点検をする、及び、必要があれば今後にわたりましての我々の将来に向かっての決心を再確認をするということにこれはなりますか、会議の発展、展開いかんでございますが、そういう問題、並びに東京サミットにおきまして、各国の経済状況についてお互いに声明に基づいて、監視という言葉はどうもいかにも強い言葉でございますけれども、経済状況をお互いにいわば点検をし合うといったようなサーベイランスと言われている問題につきまして、ベネチア・サミットに対してその問題を今後どうするかという報告をいたさなければなりませんので、それにつきましての協議をいたすということもございます。それから十カ国会議、暫定委員会等々におきましては世界経済状況のいわば検討、ただいま申し上げましたサーベイランスの問題、それから開発途上国問題等々を議論する予定でございます。
#38
○渡部(行)委員 これは当然に、今急速な円高が進んでもう百四十五円前後になってきておる、こういう問題について、このG5と申しますか五カ国による一つの協定、約束事、そういうものについては触れられるのかどうか、また最近の急速な円高というものは何に原因しているのか、その点をお伺いいたします。
#39
○宮澤国務大臣 この一両日相場がやや安定を取り戻してまいりました。あるいはこれはたまたま我が国が年度末にかかりましたことに関しまして、機関投資家あるいはその他の事業、企業におきまして年度末との関連でいろいろな売り買いをしたということに一つ関係があったのではないかということを想像させるものがございますが、同時に、基本的にはパリでお互いに政策協調の合意をいたしておりますが、その実態につきまして、市場が必ずしも合意がそのとおりに進展していない。我が国の場合で申しますと、六十二年度予算が成立をしていない、大変にふだんよりもおくれておって暫定予算を余儀なくされておるというような状況もあるいはそうであるかもしれませんし、また米国における財政赤字、貿易赤字の縮小が依然として十分でないといったような、そういう政策協調の努力が必ずしも十分に実現をしていないということについての一種の疑いと申しますか、そういったようなこともあるいは市場に多少反映をしたかもしれないと思っております、
#40
○渡部(行)委員 私はこの円高というものは貿易摩擦と無関係ではないと思います。しかも、貿易摩擦については日米経済戦争という表現まで使われている今日でございまして、この問題についても、アメリカの製品が悪いから、アメリカの努力が足りないからということで貿易摩擦についての言い分を言っておる評論家や政治家がおりますが、果たしてそうだろうか、私はその点非常に疑問なんです。なぜならば、問題は、貿易摩擦のよって起こった原因がどういう理論的な根拠によってなのかということではなくて、現実にある日本の黒字をどうするのか、ここが一番大事な観点であると思います。つまり、貿易摩擦が問題になってからここ数年、日本の貿易黒字はどんどんと上がっているだけでございます。少しも下がっていない。今度は一千億ドルを超えるのじゃないかとさえ言われておるくらいでございますから、アメリカが業を煮やして頭にくるのも当たり前でございます。この黒字をどうして減らしていくかという具体策、現実にそれに答える答えを出さなければこの問題は解決しないのじゃないか。
 そこで、今の円高の問題を考えてみましても、輸出量が減っても円高になって結局黒字がふえる、こういう一つの関連現象もあるわけです。しかし、一方国内にきた場合に、この円高現象が国内に作用しているだろうか。円高になるということは日本の円の価値が上がることであって、円の価値が上がるということは、例えば一万円の札は前よりもずっと価値が上がってきておる、したがって国内においても今まで十買えたものが今度は十四買えるようになる、十五買えるようになる、こういう現象としてはね返ってこなければ円高は一体だれのためになっているのか、そしてどんな政府の受けとめ方がなされているのか、私は非常に疑問です。だから、その辺、円高が国内に作用し、国内経済を潤していくようにならなければ内需拡大といったってむだじゃないですか。しかも、こういう場合には円高でどんどん輸入した方がいい、その方が日本は得をするという環境の中では、日本は決して豊富な資源国じゃないですよ、資源のない国なんです、そういう場合には希少金属とかいろいろな戦略物資をどんどん輸入する、あるいは社会資本をどんどん入れる、そして日本の一般国民が大理石のうちも建てられるくらいに図っていく。しかし、今の日本のシステムではそれはできないのです。なぜかというと、円高の利益というものもあるいは貿易の黒字というものも政府自身が持っているのじゃない、大資本家の財産になっているわけです。人の利益に対して文句をつけられないところに問題がある。そういう点での政府の介入の仕方を今後どういうふうに考えていったらいいのか、その点についての大臣の御見解をお願いしたいと思います。
#41
○宮澤国務大臣 我が国の貿易黒字は、昭和五十五年度におきまして六十七億ドルでございますが、それが昭和六十年度には一挙に六百十億ドルになっております。ここのところに今回の問題の発端があったと思われます。これは、非常に長い間ドルが高かった、円が相対的に極端に安かったということから、我が国の企業の輸出依存体制が従来より余計に深まったということを意味しておると思われます。したがいまして、この問題を是正するために、いわゆるプラザ合意がございましてドルを下げてまいったわけでございますが、その結果が、今御指摘がありましたようなJカープのこともありまして、残念ながらアメリカの貿易赤字の縮小に今日まで目立った貢献をしていない。一年半を経てなお結果があらわれないということはまことに意外なことでございますけれども、現実にはそうでございます、
 そのような日米間の大きな貿易赤字、黒字が現在の貿易摩擦の背景になっておるだろうとおっしゃいますことは、私はまさしくそうであると思います。これがございませんでしたら、いわばこんなにいろいろあれこれ言われる理由もない、問題になるほどのことはないという感じを私も強く持っておりますから、それが背景になっていると言われますことは、私もそのとおりであると思います。ですから、答えはおのずから、そのような意味でプラザ合意以来のドルの引き下げというものがアメリカの努力によって貿易赤字の縮小につながってこなければならないということと、この五十五年から六十年までの間に一段と進みました我が国の経済構造の極端な依存体質をもう少し正常化する、そういう二つの努力がなされなければならないと思います。
 それに加えまして、御指摘の問題が円高のメリットの還元ということでございます。この点は、一番端的にメリットとしてあらわれておりますのは、卸売物価が一〇%以上下落をしている。まことにこれは異常なことでございますし、短期の経営としてはプラスに働くばかりとは申せませんけれども、おっしゃいますように、原材料を輸入しております我が国としてはこれは何といっても大きなプラスである、結果として消費者物価もほぼゼロまたはややマイナスということも広い意味での円高のメリットであるということを申し上げて間違いがないと私は思います。
 それから大企業というお話もございましたけれども、例えば電力におきますごとくあるいはガスにおきますごとく、公益事業につきましては政府の規制ができますので、料金の引き下げになりましたことは御承知のとおりでございますし、その他のものにつきましても、いわゆる競争輸入等々がございますところはかなり値段が下がっておる。押しなべて申しますと、政府の施策も大事でございますが、一つ一つのものにくちばしを入れるよりは、競争体質が十分に働いておりますところは円高のメリットの還元が早い。それは業者が好むと好まざるとにかかわらず、現実に仕入れ価格が下がるわけでございますから、だれかがやれば必ず追随せざるを得ないというようなことになっておりまして、やはり競争体質を強めていくことが大事なことではないかと思います。
 その反面で申しますと、別の政策的な考慮からそういう自由競争が行われていない、それはそれなりに理由のあることでございましょうが、農産物等々についてはある程度の保護政策を国がとっております。その結果としてこういう面には円高のメリットが比較的あらわれにくい。西ドイツなどと比べますとその点はかなり顕著になっておることでございます。これはしかし、もしそういう保護に政策的な意味があるといたしますと、それはやむを得ない結果だ、こういうふうに申すべきかと存じますが、現象としてはそうなっております。
#42
○渡部(行)委員 もう少し私の言っていることについてはぐらかさない答弁をお願いしたいと思うのです。というのは、この円高ということ自体、それは卸売物価にはある程度反映しておるかもしれませんが、小売物価にはそれほど響いていないのは御承知のとおりですよ。それはもう国民みんなが知っておる。アフリカで肉を買った値段と日本の肉を買った値段ではまるきり違う。あるいは革製品でもそうです。そんなに日本のものは安くなっていない。ですから、国際通貨の変動がそのまま日本経済の中に入ってきても関連して影響を持たないというところに大きな問題があるのじゃないか。今は変動相場制ですから、固定相場ならこんな問題は出ないでしょうけれども。もう一つは、この変動相場制を逆に投機家やあるいは国策として利用されておる面もあるのではないか、こんなふうに考えられるわけです。そういうものに対して政府は野放しであると言っても過言ではないと私は思う。それは規制できないように今の社会システムがなっておるからそういうことに相なっておると思いますが、そういう点でひとつ、これから円高対策、それから貿易摩擦をどう解消するか、具体的に答えをお願いしたい。
 今アメリカではこの貿易摩擦に対する報復措置が講じられようとしておりますが、こういう問題については一体今後どう対処していくのか、これから大垣が訪米されるに当たってこの問題についてはどういう一つの方針を持って臨まれるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
#43
○宮澤国務大臣 ただいま二種類の輸入物資についてお話がございまして、先ほど実はそのことを私はお答えを申し上げたつもりでおります。つまり、政策的な意図があって国内の生産を保護するというようなことが行われておる場合には、円高のメリットが十分に還元されていないということがございます。それはしかし、政策的な理由であればそれなりにそういうこととして考えなければならないというふうに申し上げたわけでございます。
 それで、訪米についてお話がありましたが、私どもとしてはやはり、パリ合意というものは初めて変動相場制のもとで先進各国が共同の認識と共同の行動を約束した決定でございますので、何とかしてこれを守り、これを強化いたしてまいりたいと思っております。
 当面の貿易摩擦、半導体等につきましてお尋ねがございまして、私は私なりの意見を持っておりますけれども、所管大臣でございませんので、もし政府委員がおりましたらお答えを申し上げます。
#44
○渡部(行)委員 大臣、あなたはホスト中曽根ということでニューリーダーの一人に数えられておりますが、今中曽根総理はちょうど沈みがかった中曽根丸なんですよ。この沈みがかった船にしがみついていたらあなたも一緒に沈んでしまいますから、この辺が一つのポイントですよ。やはり自分の所信というものを明確にして、国民にこの際はっきりさせる。中曽根内閣の政策がこれほど落ち込んできて国民から見放されようとしておるときに、あなたが新しい政策で抵抗してみなさいよ。沈もうとすれば浮き上がる抵抗がなければ次の日本丸のかじをとることはできません。そういう点で大臣の決意をひとつお願いしたいと思います。
#45
○宮澤国務大臣 先ほど、こういう状況になって日本のとるべき政策として何をなすべきかということについて社会資本の充実というようなことを御指摘になりまして、私はまさにそうであると従来から思っております。つまり、先ほど昭和五十五年から六十年までの間のことを申し上げましたが、この間に極端に輸出依存体質が強化されておるということは、それだけ国内に向けられるべき資源と資金とが外国へ行ってしまったということでございますので、やはりこれは国内に向けなければいけない。国内にする仕事がないというのであればやむを得ませんけれども、社会資本等々充実すべきものは実に幾らでもあるわけで、また国民もそれを望まれ、外国からも正直のところそれを催促されているわけでございますから、残るところはそういったようなものをどのようにして充実していくか。それは申し上げるまでもなく、今日の財政の問題との兼ね合いになるわけでありまして、そういうところの新しい工夫が要るというふうに考えておるわけでございます。
#46
○渡部(行)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
 どうもありがとうございました。
#47
○堀之内委員長 草川昭三君。
#48
○草川委員 公明党・国民会議の草川であります。
 まず第一に、予備費の国会議決主義というのでしょうか、この原則にかんがみて基本的な問題をお伺いいたします。
 先ほども御質問がありましたように、予備費は、憲法第八十七条あるいは財政法上の基本的な考えに基づいて、全く予見しがたい災害経費等に限る、こういうのは答弁にもあったわけでありますけれども、昭和五十四年以来の予備費の計上数字を見ておりますと大体三千五百億ということになっております。ところが、補正予算になりますとこの三千五百億の約半分近くが減額をされているわけであります。でございますから、補正後に予見しがたい事態が発生をしたとするならば一体どういうような処置をするのか。いわゆる予備費のまた予備費というのをどこかでつくらなければいかぬことになるわけでありますけれども、その場合どうなるのか、大変初歩的な意見でありますが、お伺いをしたいと思います。
#49
○斎藤(次)政府委員 予備費はここのところ三千五百億円当初に計上しておりますのは、草川先生御指摘のとおりでございます。また、補正予算編成時に予備費を減額いたしまして、それを補正予算のいわば歳出の財源としているということも確かでございます。
 ただ最近、補正予算の編成が年度の中途を過ぎてやや遅い段階で編成されることが第一、それから私どもといたしましては、補正予算の編成により事前に国会の審議、議決を受けるチャンスがあるという場合には、その時点での今後予想される追加財政需要というものをすべて洗い出して御審議をお願いするという建前にいたしておりますものですから、その結果生じる予算の不足、補正予算編成後に生じるいわば予見しがたい予算の不足につきましては、その時点でリザーブしてある予備費で十分に対処し得るというぐあいに考えているわけでございます。事実そのように予備費は今までのところ少なくとも補正予算編成以後の予見しがたい予算の不足に対処し得ているというのが実情でございます。その点御理解をいただきたいと思います。
#50
○草川委員 今の答弁のとおりだと思いますけれども、いわゆる予備費の計上三千五百億というものが安易過ぎるのではないか、もう少し計上の仕方なりあるいは支出についても考えることが必要ではないかということを言いたかったわけであります、
 そこで二番目に、五十九年の予備費を見てまいりますと、繭糸価格の変更に伴う蚕糸業緊急対策経費というのが計上をされております。四十八億六千五百万ですか、出ておりますけれども、これは内容は一体何か、主計局にお伺いしたい思います。
#51
○斎藤(次)政府委員 お答えいたします。
 実は五十九年十一月に生糸価格の期中改定というのをやりました。これは生糸価格が需給の不均衡を背景に非常に低迷をしておったのが五十九年八月以降に非常に急落をした、しかも現物より先物の価格が二千五百円も安いという極端な逆ざやになったために生糸の流通が著しく停滞するという事態が発生したわけでございます。このような状況を打開しまして生糸流通の円滑化と需給の均衡回復を図るということを目指しまして、非常に異例のことであったわけでございますけれども、五十九年十一月に行政価格の期中改定というのを実施しまして、基準の糸価を一万四千円から一万二千円ということで一四・三%の引き下げを行わせていただいたわけでございます。そういうことで、行政価格の期中改定を行った事情というのは、実は五十九年度の当初予算編成段階では全く予期されなかったものでございます。また、養蚕農家とか製糸業の経営に急激な影響を及ぼすというぐあいに考えもれたわけでございます。
 こうした事情のもとで行政価格の期中改定といういわば異例のことを円滑に進めるためには、養蚕農家等の経営に対する激変を緩和するということが不可欠ではないかというぐあいに考えられたわけでございます。それで、そのために蚕糸業緊急対策を講ずることとしまして、先ほど御指摘のとおり、五十九年度一般会計予備費から約四十九億円を使用することとしたわけでございます。その具体的中身でございますけれども、五十九年産の繭のうち繭取引の清算が完了していなかった価格引き下げの影響を受けると見られる繭につきまして繭価の一部を補てんするという措置を講じて、これが一番大きな金額でございますが、その他養蚕経営の転換とか製糸業の安定のための資金融資を行ったわけですが、そのため、それに伴う利子補給等の措置を講ずることとしたわけでございます。
 今申し上げましたように、この十一月の予備費使用は、いわば行政価格の期中改定を円滑に進める上で不可欠の措置を講ずるためのものであったということで、必要な措置であったというぐあいに私どもは考えておるわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
#52
○草川委員 今、予期しがたい事態にこの問題が当たるかどうかということを議論をしたいわけであります。
 実は私は蚕糸の輸入一元化政策、それからまた蚕糸価格安定制度の問題について、今まで政府に対して質問主意書を六回連続して昨年来から出しておりますが、極めて答弁はすれ違いでありまして不満であります。でございますから、これはまた次の決算委員会なりしかるべき委員会等で機会があれば問題点を取り上げていかなければいけないと思っておりますが、非常に根が深い問題でありますし、これは大蔵大臣もよく聞いておっていただきたいことでございますが、先ほども円高・ドル安の問題等アメリカ側のいら立ちというものも話題になっておるわけであります。アメリカでもヨーロッパにしてみても、この農作物価格安定制度というものは非常にわかりやすい議論なんですね。これは米であり小麦であり砂糖であり、この生糸であり、しかもこの生糸問題等については諸外国、例えば中国でもあるいはまた韓国でもあるいは台湾でも、日本の政府に対する非常に強い不満もあるわけであります。また、これは大変恐縮でございますが、与党の中でもこの蚕糸問題については大きな意見対立があるわけでありまして、例えば昭和五十一年三月十六日に自由民主党の農林部会長と商工部会長との間で繭糸価格安定法の一部を改正する法律案の党議決定についての了解事項というようなことがございまして、三年ぐらいをめどに制度を改善したいということが昭和五十一年の三月十六日付の覚書にもあるわけです。随分与党の中でも議論があるわけですから、今の局長の答弁のようにさまざまな背景があるから期中改定をした、これはいいんですよ。改定したから繭価調整特別交付金で四十二億八千万あるいは養蚕経営転換等の特別事業として、これは利子補給だと思いますが三億六千万、製糸業の経営安定特別事業にも二億一千六百万、こういうものが出ておるわけでありますが、これは予期しがたい事項じゃないと思うのですね。あらかじめもうわかっておる。ただ、それをいろいろな意味での政治的な背景があるからずるずると延ばして、やむを得ずこの期中改定ということになったのではないか。
 だとするならば、そんなことはわかっておるわけですから、こういう緊急対策費というのは一般会計で当然のことながら手当てをすべきものであって、予備費を使う――しかもこの繭価調整特別交付金等については、これは我々一般消費者の立場からいうと非常に手厚い保護過ぎるのではないかという問題もございます。あるいは経営転換等特別事業というのは、一般会計で当然のことながらこのようなものを計上すべき問題ではないか。まして製糸業の経営安定特別事業も、高い物を買って逆ざやになるとしてももっと別の方法で一般会計で対応すべきではないか、こう思うわけであります。その点について答弁をお願いしたいと思います。
#53
○宮澤国務大臣 五十九年の中途で生糸価格の急落がございまして、しかも先物の方がなお安いというような異常なことになりましたから、そこで期中改定ということが行われたというふうに聞いております。したがって、この点は当初予算を編成いたしましたときに予測し得なかった事情であるというふうに私ども思っておりますし、その点はそのように御理解をお願いいたしたいと存じます。
 なお、この問題につきましては、おっしゃいますように私ども与党の中にも対立した議論がございまして、正直のところ、行政はその中にありまして両方を少しずつ手当てをするような形をやってきておるわけでございまして、大変に私どもも悩んでおる問題でございますが、五十九年の事情はそういうことであったと承知しております。
#54
○草川委員 今率直な大臣からの御答弁もあったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この蚕糸行政というのは抜本的な見直しが迫られていることは事実だと思うのです。
 そこで、この制度の問題点について若干時間の許す限り質問したいと思いますが、蚕糖事業団の生糸の総在庫というのはことしの二月末には十五万五千七十三俵というように我々は把握をいたしております。これは昨年の十一月をボトムにいたしますと一万二千七百余儀もふえているわけであります。こういうことは事実なのかどうか、これは農林省にお伺いしたいと思います。
#55
○川合説明員 事業団の在庫状況でございますが、六十二年三月末現在で十五万三千俵ということでございます。
#56
○草川委員 十一月に比べればふえておるということを聞きたいわけです。どうですか。
#57
○川合説明員 そのとおりでございます。
#58
○草川委員 いずれにいたしましても非常にふえておりますが、その金額について一番新しい数字を出していただきたいと思うのですけれども、長期保管生糸のために長期借入金が約二千億に近いと聞いておりますが、その点は幾らか、あるいは繰り越しの欠損金額は幾らになっておるのか、現在の時点での数字を示していただきたいと思います。
#59
○川合説明員 三月末で長期借入金は二千百五十億でございます。それから欠損金は約四百億、詳細はちょっと調査いたします。
#60
○草川委員 いずれにいたしましても五百億近い欠損金になっておるわけですから、先ほど来からも答弁がございますように、非常に重要な問題になっております。
 そこで、ことしもいろいろな背景これあり、国際的な価格に対しまして大変乖離をした買い入れ価格になっておりますから、農水省はついせんだってこれを改定いたしました。今回の改定の場合にはどのような助成を行われるのか。例えば、私どもが聞いておるところでは、前回と同じような緊急対策事業あるいはまた融資事業あるいは生産モデル整備事業あるいは需要増進の特別事業、こういうようなもので約十億五千二百万円の助成策を考えられておられるようであります。ところが今回の助成策は、従来のような対策ではなくて、いわゆる予備費の使用ではなくて事業団の蚕糸業振興資金から行うというようなことを言っておみえになるようでございますが、どうして今回はこういうふうに変わってきたのか、その背景を、これは農水省ではなくて大蔵省からお伺いしたい、こう思います。
#61
○斎藤(次)政府委員 そういうことで、今度は一般会計の措置ではなくてそういうことをやったわけでございます。
 それでは、十一月にはなぜ一般会計の措置を必要としたか、今回はなぜ蚕糸事業団でやったかということでございますが、蚕糸砂糖類価格安定事業団の振興資金の助成ということでございますけれども、五十九年十一月段階では、蚕糸業振興資金の残額が非常に僅少であって実は助成に必要な経費を支出することが不可能であったということで、一般会計からその必要な経費を交付したということでございます。今回の場合には、幸いその対策に見合う資金が事業団にありましたものですから、これをまず使っていただくのが筋ではないかということで、農林省と協議をしてそういうことにいたしたわけでございます。
#62
○草川委員 それは私は非常に重要な答弁だと思うのです。では、今後もし事業団の経営内容にそういう対応をする資金がなければ、期中改定があった場合のことを仮定しての議論になりますけれども、また一般会計あるいは予備費、もとへ戻るのですか。そういうようなのが財政当局の見解でございますか。
#63
○斎藤(次)政府委員 私どもとしては、蚕糸業が非常に合理化が進みまして、いわば今の価格支持政策を含めて合理化が進むことを心からこいねがっておるわけでございまして、今回の対策も、五十九年の当時とは違いまして、例えばハイブリッドシルクとか今後の新しい需要を開拓するための前向きの助成ということで、いろいろな助成措置を農水省と協議して講じたわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、今後蚕糸業の合理化が一段と進んでこのたぐいの助成措置が必要とならない事態が来ることを、そのための施策を強力に推進していただきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
#64
○草川委員 その議論はまた別の機会で今後やるということにいたしまして、例えば事業団の資金手当てという話が今出たわけでございますが、事業団のこれからの内容になってまいりますけれども、事業団は実はこの資金は農林中金から借りているわけですね。きょうは、農林中金からどういう条件で貸しているのかあるいは担保というものは本当にあるのかないのかということをお伺いしたかったわけでございますが、その機会がございませんので、農水省にこれはお伺いをいたします。
 二千億を超す借入金ということには通常の場合は当然担保が必要だと思うのですが、この場合は担保がありませんね。これは事業団そのものというものの信用、そして十五万俵を超えるというものが一つの担保ということで融資をしておると思うのですが、その評価というのはどんどん下がっていくわけですね。これは日を追って下がっていくことになると思うのです。仮に現在の十五万俵の在庫生糸を一回で例えば売却したと仮定しますよ、そんなことはあり得ませんからゼロといたしましても、今の基準価格から考えてみると、二千億の物件ではございますけれども、単純な掛け算をいたしますと、約九百億を少し超える程度の金額にしかなりませんね。二千億の半分にも満たないということになるわけであります。でございますから、貸す側の中金側としてみると、在庫評価というものが半減するにもかかわらず、今後農林中金はいろいろと事業団の方からの買い入れ資金の要請があり、これからもふえていくと思うのでございますが、続けて今のような状況のままずるずると融資をふやしていくことになるのかならないのか、あるいは融資を続けるとするならばもっと担保力というものをふやす必要が出てくるのではないか。それは行政という意味で担保力を補完をするという行政ができるのかどうか。私は逆だと思うのですね。今の大蔵省の答弁、大変不十分ではございますけれども、明らかに大蔵省は従来と違う方式をとっておるわけですから、その点は農林水産省としては、融資態度、融資条件あるいは今後の展望、どのようにお考えになられるのかお伺いしたいと思います。
#65
○川合説明員 先ほどお話がございましたが、私ども三月に価格の改定をいたしたわけでございます。御承知のように安定基準価格を一万二千円から九千八百円ということにいたしました。今回の行政価格の改定に当たりましては、蚕糸業振興審議会の答申もございます。繭糸価格安定制度を堅持いたしましてその安定的な運営を図るということで、事業団がその機能を円滑に発揮できますようにその売買業務について運営上の配慮を加えるということにいたしております。特に買い入れ業務につきましては、各製糸会社に個別に配分された限度の範囲内において自社の糸を個別に持ち込む、事業団の買い入れの発動につきましては、一定期間の生糸価格の動向あるいは生糸生産量の見込み、取引量の動向などを総合的に勘案いたしまして、その期間における安定基準価格が維持されているか否かということを総合的に判断するというような方式で臨みたいという方針を立てております。
 今お話しの融資につきましては、御指摘がございましたように無担保ということで実施しておりますが、私どもといたしましては、六十年の法律改正に基づきまして一部一般会計から損失補てんの交付金をいただくということになっておりますが、それと同時に、今後事業団の運営を円滑に行う、機能の発揮を円滑に行うことによりまして対処するという方針で臨んでいきたいと思っております。
#66
○草川委員 余り私の質問に対して明快な答弁になっておりませんが、実は事業団の抱える在庫生糸というのは大変長期間の在庫にもなっておるわけであります。それでカビ糸が発生をしておるわけです。カビが生えれば当然品質が低下をするわけでありますから、売り渡し価格が下がっていくわけであります。だから欠損金がふえるということにもなっていくわけであります。しかも、中国あるいは韓国、こういうところからはかっての一万二千円に対比をしますと三千円から四千円で日本に買ってほしいという要望もこれあり、我々が着用いたしておりますところのネクタイ等の生地については、ヨーロッパの方へ行き、そしてフランスのリヨンあるいはまたイタリアから日本に製品輸入をされてくるわけであります。その生地はキロ当たり一万二千円、今度の期中改定があった値段よりもさらに安い値段に比較をされる、こういうことでありますから、いわゆる絹を織る絹業界、川下産業というのは大変不況に陥っていることはもう皆さん方御存じのとおりであります。だから実はもっと大幅な値下げを果たしていただきたい。そして、お蚕さんの農家に対する助成についてはもっと別な手厚いことを考えたらいいじゃないか。今のような輸入一元化政策なり蚕糸行政というのは、中途半端なところにお金が行って、肝心の生産者には手厚い保護が行っていないじゃないか。だからそれを分けて考えないと、蚕糸行政というのはいたずらに日本の国民の血税を垂れ流すだけになるのではないか、こういう問題になるわけであります。
 カビ糸の発生あるいはそのカビ糸の売却に当たっても事業団は特定の七業者だけに売却をする。これは一般競争入札じゃないわけですよね。指名で随意契約をする。その随意契約がばれますと全国の業者の方々が、どうして特定の業者にだけそういう糸を安く売るのかということから今度は百数十社が押しかけてくる。やむを得ず百数十社に今度は抽せんで価格を上乗せをして転売をするというようなことがやられているわけですよ。ここらあたりについては、会計検査院も二度にわたって蚕糖事業団の運営については特記事項として発表している。あるいはかっては臨調も、いいかげんにしなさいよという、国際価格に見合うようなことを早く措置をしなさいよという発言があるわけであります。農水省はそういうことを受けて五十九年の期中改定もやった、こう言っておりますけれども、臨調はそういう次元ではないと思うのですね、もっと根本的な改定を早くしてもらいたいということを言っておると思うのでございますが、その国際情勢に背を向けるこのようなことについて私は非常に不満であります。その点についてはどのように考えられますか。
#67
○川合説明員 農産物の価格につきましては、生産者側、それから消費者あるいは需要者側から申しまして、安定的に価格が維持されるということが必要であると考えております。したがいまして、かなりの農産物につきまして価格安定制度がとられているわけでございますが、価格安定制度はその農産物の特性あるいは生産条件あるいは流通条件、そして消費条件というようなものを勘案して、それぞれそれに適した制度になっているわけでございます。
 この繭糸価格安定制度につきましては、今御指摘もございましたように、近年におきます国際情勢あるいは絹需要の大幅な減退というようなものもございまして、私ども、先ほど御指摘もありました臨調答申等も踏まえまして、六十年に法律改正を行ったところでございます。この法律改正に当たりましては、私どもといたしまして五十八年、五十九年の両年度にわたりまして、繭糸価格安定制度に関する研究会というものを開き、その検討を重ねております。その検討会の結論といたしましては、厳しい蚕糸情勢の中で、繭糸価格安定制度を廃止して海外の産品と裸の競争にさらすということは我が国の蚕糸業の壊滅をもたらすことが明らかである、それから激しい価格変動が生ずるということは生糸の商品としての特性あるいは蚕糸業の零細さから見て、流通、消費の面から見ても悪影響を及ぼすというようなこと、それから価格安定制度を廃止いたしまして、例えば一定の保証価格と販売価格の差額などを生産者に不足払いするというような交付金制度などをとるということは、この制度自体も莫大な財政負担を毎年度必要とするというようなことで適当でないということから、この生糸の買い入れ売り渡し方式による価格安定制度を継続する、その際、需給実勢を考慮した価格設定を行うということを結論としていただき、これを踏まえて昨年の法律改正に至ったものでございます。
 今御指摘もございましたが、蚕糸関係、養蚕農家は特に農山村に位置しておりまして、他の作物がなかなか栽培あるいは生産しにくいというような立地条件にあり、昨今かなり地域特化も進んでおりますけれども、そういう地域は今申しましたように兼業機会も十分でない、土地条件も恵まれていないというようなところでございまして、単に農業ということではなく、地域対策としても重要な位置づけを持っている産業でございます。こうした産業でございますので、当然のことながら昨今の情勢を踏まえまして、養蚕業自体の生産性の向上あるいは低コスト化ということを進め、足腰の強い養蚕業というものをつくっていかなければいけないということではございますが、価格安定制度としては現在の制度を円滑に実施していくということではないかというふうに考えております。
#68
○草川委員 私は、今答弁がありましたように、本当に零細なお蚕さんを守るということは非常に大切だと思っておるから、そういうところへ重点的な措置をしろと言っておるのです。いいですか、
 ところがもう一つ問題は、実はこの生糸の市場あるいは前橋、豊橋の乾繭市場という先物取引市場がありまして、ここでこの制度を利用して大変な仕手戦が行われていることは御存じのとおりであります。これはまた今後非常に重要な問題になってくると思うのです。この仕手戦に実はこの繭糸価格安定制度というのが利用されているわけでありまして、例えば生糸の取引所の最終日の納会の日には一日だけ基準価格の一万二千円につり上げている価格操作が実は農林行政によって行われているわけであります。こういう実勢価格より非常に遊離をした政策がついに破綻を来しておるところであるわけであります。
 今回のこの三月の改定も、本当に市場の自由にしておくとするならば、例えば昨年の九月に今回のような改定をしておるとするならば、国が得をする金額、むだな出費というのは百七十七億にもなるわけでありますから、私は、事態は相当急がなければいかぬと思うのですね。だから私は、こういうような制度というものもいつまでも続けるべきではないし、早急にこれはもう抜本的な見直しの時期が来ておるのではないか、先ほどの法律改正等のような手ぬるいことではだめだ、こう思うわけであります。
 そこで、私は最後にもう一度大蔵大臣にお伺いしたいのは、これで大蔵大臣も蔵相会議に出席をされます。我が国のために円高というのを必死になって防がなければいかぬと思いますけれども、それは先ほども申し上げましたいわゆる農産物価格制度、象徴的ないろいろなもの、売った以上は買わなければいかぬわけですね。しかも買うというのは、わかりやすい物を買わなければいかぬわけであります。となりますと、さまざまな制約がありますけれども、それを乗り切らない限りは私は国際的な真の協調というのはあり得ないという意見なんです。下手をすると、それによって、この価格政策によって日本の国が崩壊をするような危機すらあるわけであります。二百四十円台のものが百四十円台になった、百四十数円になったということは大変なことであり、新日鉄が高炉を五つとめたというのは、産業構造が音を立てて変わりつつあるということを実感しなければいかぬと私は思うのです。そういう実感というもの、痛みというものを平等に分ける立場からこそ真の国際協調があると思うのです。こういう意見に対して、大蔵大臣はどう考えられるのか、あるいは農産物価格制度は国際的に今度いろいろな議論になると思うのでございますが、大蔵大臣としてはどのようなことを海外に向けても申されるのか、そういう決意をお伺いをしてこの質問を終わりたい、こう思います。
#69
○宮澤国務大臣 ただいまの御指摘は、先ほどから御議論のありました円高のメリット還元という問題とも消費者、ユーザーの立場からすれば関連をいたしておりまして、我が国が長いこと一定の政策目的を持ってやってまいりましたことが、こういう経済状況になりますとそのとおり、そのままでは通りがたい、恐らく我が国の遠い将来のためにもならないということは幾多あろうと存じます。そういう点はそういう状況にかんがみて考え直さなければならない点が幾多あるのではないかと、お話を伺いながら考えております。
#70
○草川委員 以上で終わります。
#71
○堀之内委員長 大矢卓史君。
#72
○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。
 まず、予備費の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 予備費の中で、内閣所管の中で総理大臣が外遊される費用というのが入っておるわけであります。これは非常に儀礼的な御葬儀に参列されるとかそういう費用は別といたしまして、総理大臣が国際的に活躍をされ、特に国際的問題の多い中で年々非常な活躍をしていただかなければならぬということは御承知のとおりでありますが、これら総理大臣が外遊をされる費用がすべて予備費で賄われるのだということについては私も非常に疑問に感じるわけでございますけれども、その点いかがでございましょうか。
#73
○斎藤(次)政府委員 この議論は従来から当決算委員会でもしばしば議論いただいている問題でございます。私どもも種々検討しているわけでございますけれども、基本的に、内閣総理大臣の外国訪問というのは国際情勢等諸般の情勢を勘案して決定されるものでありまして、予算編成の時点であらかじめどの国にどのくらいの期間行かれるかということがなかなかわからないという意味で、どの程度の経費を必要とするかというのがなかなか予見することが困難でございます。したがいまして、私どもといたしましては、外国訪問が実施される場合には、その訪問国、時期、期間等の具体的な計画が決定された後に、その時点で所要額について明確な積算をして予備費の使用をするというのが予算の性格上最も適切ではないかというぐあいに考えているわけでございます。この点御理解をいただきたいと考えております。
#74
○大矢委員 そういたしますと、各省の大臣が出かけられる費用というのはどういうふうになっていますか。
#75
○斎藤(次)政府委員 各省は各省の予算でそれぞれいろいろな一定額の経費を支弁しているということでございます。
#76
○大矢委員 各省の大臣のところではそういう予算の執行ができて、一国の総理大臣が、これはもう各国の首脳会議等に出られる、また活躍していただかなければならぬ場が多くあると思いますけれども、それらについて予備費でないといけないということはいかがでございますか。
#77
○斎藤(次)政府委員 実は各省のいわば外国旅費というか外国出張の経費につきましては、大臣を含めまして年何回かの国際会議とかそういうことで、あらかじめ予見がし得るということで一定の前提を置きまして積算をいたしまして、いわばその範囲内の執行ということで対処していただいているわけでございます。ただ、内閣総理大臣は一国の総理であり、またそれに行かれるについては、いろいろな予見しがたい所要の経費が要るということで、これについではなかなか事前に予算の積算が立てにくいという事情があるものでございますから、内閣総理大臣の外国訪問につきましては予備費で対処するというのが最も適当ではないかというぐあいに考えているわけでございます。
#78
○大矢委員 これは意見の相違かもわかりませんけれども、私は、そういうことでなくして、内閣総理大臣も年々各国の首脳会議等出席をされることが決まっておることも多うございますから、それらについても今後、これから大いに国際社会へ出られる予算としては、総理大臣がいつでも羽ばたけるような形で予算編成がなさるべきだと思いますので、この点はまだまだ意見が食い違っておりますけれども、これぐらいにさしていただきたいと思います。
 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、私どもとは意見が違いながら、売上税の問題で大変御苦労願っておられると思いますが、俗に言われておりますように、国民なり自民党員の反対をする売上税についてはやらないのだということも再三言われておるようでございますけれども、この売上税が国民の間に非常に関心が持たれるようになりましてからの選挙、これは岩手県の参議院選挙にいたしましても、大蔵大臣の宮澤さんの直系とも言われるその選挙区で大敗を喫した。引き続いて三月二十九日の墨田区の区長選挙で、これまた売上税についての国民の意思がノーであるという答えが出たわけであります。これについて、これら国民が今売上税に対して関心をどのように持ち、判断を下したと思っていらっしゃるか、お答えを願いたいと思います。
#79
○宮澤国務大臣 国民の多くの方が売上税について理解を十分にしておられない、したがって、不安を持っておられるということは、ただいま御指摘のような例でもわかることでございますが、これは、私どもといたしましては、いずれにしても新しい税でございますので、来年の最初から施行するということにいたしまして、その間に十分広報、説明等の機会をつくってやっていきたい、こういう計画でスタートいたしました。国会におきましても当然これにつきましていろいろ御議論があり、これが国民にこの税の本質を周知する一番いい方法である、またしかるべき適当な本来の場であるというふうに考えてまいっております。国会におきましていろいろな事情から十分な御議論がいまだないということでございますが、そういう場を通じまして国民がこの税を知っていただく、理解を深めていただくことを期待をいたしております。
 同時にまた、政府が提案をしておりますのは、売上税一つこれだけを御提案をしておるのではございませんので、御承知のように直接税関係の減税というものと一体として売上税を御提案しているわけでございますので、国民各位にはその全体を一体として御評価をいただきたい。それは新税、増税の部分だけを抜き取りましたら、そのこと自身に賛成だ、それだけで賛成だと言ってくださることはなかなかそれは難しいことかもしれませんけれども、片方で所得税、住民税、法人税等々の大きな減税がある、それを一体として国民がそれならばやむを得ないとお考えいただけるのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
#80
○大矢委員 まだまだ私どもでわからない点が多過ぎるのでありますが、私自身がずっとこの問題を勉強させていただいた中で大変わかりにくい点は、売上税のよしあしは別といたしまして、すべて五%がかかっていくんだ――予算委員会でもお聞きをいたしておりますと、大臣は、最終的に五%を消費者が負担をすれば業者にこれはかからないんだということを盛んに説明をしていらっしゃいます。そういうことになるかならないかは別にいたしまして、すべて課税業者の場合にいろいろな段階、これは御説明いただく場合に非常に簡素にいたしておりますので若干のまずさはあるかもわかりませんけれども、生産部門から小売まで参ります例えば繊維業者といたしますと、まず生地メーカーが四千円でこれを売却いたしますときには二百円がそこに上乗せをされる、そしてそれが縫製メーカーに参りまして九千円、そしてここが四百五十円の負担をして、二百円を引きますから二百五十円の負担、それから問屋さんへ参りまして一万円で五百円といたしますと、これまた従来のものを引きますと五十円の負担であり、最終小売店に参りますと、一万二千円で売りますと五%の六百円で、小売店が百円を負担をして計六百円だということであります。これはこれなりに、大蔵大臣が説明をされますように、順調に参りますと六百円を消費者が負担をすればいいんだということであります。これのよしあしは別といたしまして、免税業者が第三番目の問屋に入ったといたします、これは仮定の話でございますから若干矛盾があるかもわかりませんけれども。そうなりますと、生地メーカーの四千円のところで二百円を納めます、九千円の縫製メーカーで四百五十円を納めます、そうなりますと、この問屋が免税問屋であった場合には納めませんからゼロということであります。最終の一万二千円の小売店で六百円を納めるわけであります。この途中の免税問屋が入りますことによって、四百五十円と六百円、合計で千五十円、中間に免税業者が入りました場合には、片一方では六百円であり、片一方では税金を納める総額が千五十円になる、こういう計算でよろしゅうございますか。
#81
○尾崎政府委員 すべての取引が課税業者によって行われます場合と、ただいまの御質問でございますと、問屋さんが非課税業者であったというようなケースでございますが、その場合に、御質問にございますような一種の課税の累積が生ずることは確かでございます。すべてが課税業者ということではなくて、売り上げ一億円以下の業者につきまして免税にするという制度を設けておりますので、そういう結果が出てくることも考えられるわけでございます。
 ただし、よく御承知のこととは存じますが、そういうことがもしも取引に影響を持つという場合には課税選択の道が開かれているわけでありまして、ただいまの先生の挙げられました例でございますと、問屋さんが課税選択をなさいますと、そこですべて税の累積が排除されまして、もとの先生の例ですと、総体として六百円の税の負担で済むことになるわけでございます。
#82
○大矢委員 そういうことも存じた上での質問でございますけれども、せっかくの免税業者でございますので、そういう手続をしないでやるとなると、結果的には、片一方では六百円であり、片一方では千五十円の税金がかかることになるというお答えでございます。
 大臣、こういう形で、五%だと言われながら片
 一方ではそれ以上の、二重課税と申しますか、そういうものがかかってくるということについて、どのようにお考えでございますか。
#83
○宮澤国務大臣 今審議官から御説明をいたしましたように、その納入をします業者の方にとりましては課税業者になる道が開かれておる、その場合の納税についてはできるだけ簡素にするということも御一緒に御提案をしておるわけでございますので、その人に対しての不便はないと思うのでございますが、税としていかにもちょっと、課税の累積があるということは実を言われるとおりでございます。どうもそれを防ぐ方法がいわばない。免税ということを全部やめてしまうということは、最終消費者を主として相手にされる小売等々サービス業の方にはこれは免税の方がお互いに有利に決まっておりますから、この制度はやめるわけにはまいらない。とすれば、今のような場合に選択の道を残しておいて、商売上有利な方をとっていただくということが、どうもそれ以外の選択の方法がない。いわばこれはこの税が持っております一つの特色と申すのでございましょうか、一遍非課税業者が入りますと、それはあたかも消費者が入ったような形になりまして、次の段階から新しく取引が起こる、一遍こういうチェーンがそこで切れるというふうに御理解をお願いいたしたいと思います。おっしゃいますようなことは事実ございます。ございますが、どうもしかし、これを避ける方法がないということかと思います。
#84
○大矢委員 免税業者が課税業者に変わる方法があることも存じております。それに、おっしゃられるように不利になることだからやるのだという、これ自身も問題になっておりますけれども、それとは別に、今お答え願いましたように、二重課税になることはやむを得ないのだということをお聞きいたしました。これにつきましての議論は、時間がございませんので、引き続いてまたこの質問を留保させていただいて、ここで一応私の質問を終わらせていただきます。
#85
○堀之内委員長 矢島恒夫君。
#86
○矢島委員 まず最初に、異常円高の問題で大臣にお聞きしたいのです。
 先ほども質問がありまして、答弁の中で、相場が今安定しているようだけれどもというお話ですが、昨日百四十七円と、ここで安定してもらっては本当に困るわけなんですが、パリ合意が実際に効果をあらわしていないといいますか、歯どめがかかっていない、こんなふうに思います。政府もいろいろと対応に苦慮しているようですけれども、国民の間からも非常に、特に零細企業の方々からいろいろな苦情や怒りにも等しい声が寄せられているわけです。
 私、昨日、地元は埼玉でございますけれども、本田技研の、自動車メーカーですが、その下請業者の方と会ったのですが、こんなめちゃくちゃな円高では息の根がとまっちゃうと。この業者の方に聞きますと、一昨年の秋に単価が五%切り下げられた。昨年の春にはまた五%単価が切り下げられてしまった。さらに、仕事量がどんどん減ってきまして、ことしの一月が仕事量は一番少なかったけれども、従来の普通の状況の三〇%しか仕事がなかった。一人アルバイトの方にやめてもらって、そして御夫婦と従業員三人で死に物狂いでやっているのですが、自分の給料は一銭も出ない、こういうようなことが訴えられたわけなんです。
 こういう下請中小業者の場合、幾ら経営努力を続けても、今日のような円高の状況の中ではもうその限界を超えているという声がたくさん出ているわけです。そういうもとで、財政問題の政府の重要閣僚としての大蔵大臣にお聞きしたいのですが、こういう下請業者の経営、生活、こういうものをこの円高の中で守っていくにはどうしたらいいか、ひとつ教えていただきたいと思うのです。よろしくお願いします。
#87
○宮澤国務大臣 もし先ほど安定という言葉を用いましたら、それは私の本意ではございませんで、両日ちょっと落ちつきしているということを申し上げたかったのであります。
 いずれにしても、これは我が国の企業、殊に中小企業には非常に厳しい水準でございまして、殊にこれが非常に急激であったということがまた対応をしにくくしておるわけでございますから、いわゆる中小企業の、殊に円高不況で直接影響を受けました地域あるいは業種を選びまして、中小企業に対しては融資あるいは業種転換等々いろいろな政府の対策も備えでございます。が、何よりもしかし、だれでもこれだけ急に大幅な円高がございましたらこれは困るのが当たり前でございますので、やはりそれをなるべく緩和していくという努力が必要でございます。これが、先般来先進国が集まりまして努力をしている意味でございますが、またこういうことになってまいりまして大変に心配をいたしております。この努力をさらに強化してまいりたいと思います。
#88
○矢島委員 もう少し具体的な対応策を教えていただければと思ったのですけれども、事業転換の促進だとか融資だとかお話がありましたが、特に事業転換という問題は中小業者の皆さん方にとっては簡単にいかないのですね。これは竹下幹事長が大蔵大臣時代に、事業転換ということはなかなかうまくいかない、大蔵大臣の私に歌手になれと言うようなものだというお話がありましたけれども、まさに非常に簡単な転換というのが非常に難しいという状況の中で、私は第一に、アメリカ側の赤字を生み出した要因を正確にアメリカに指摘して、その是正を申し入れるべきだと思うのです。
 同時に、大幅な黒字をつくり出している日本側の要因というのを取り除く必要があるのじゃないか。例えば、その取り除き方として、労働時間の短縮だとかあるいは労働条件の根本的な改善、大幅の賃上げ、あるいは大企業の異常な輸出競争にメスを入れる。同時にまた、大企業の下請けいじめ、こういうものを是正していく。特に、円高をあおる大企業の投機活動というものを規制するというようなことが必要だと思うのですね。特に、今大臣もおっしゃられましたけれども、融資の問題などがありますが、そういう緊急対策ということでは、中小企業対策費の大幅な増額の問題やあるいは官公需の中小企業への発注を拡大することとか、先ほどの緊急融資などもひとつ金利を三%以下へ引き下げるとか、こういう特別対策が必要だと思うのですけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。
#89
○宮澤国務大臣 先ほど本田技研の関連とおっしゃいましたか、中小企業が非常に困っているというお話がありまして、大幅な賃上げではそういう企業はつぶれてしまいますので、急なことをおっしゃったのではないと思いますけれども、やはり長い目で見ましたら、先ほどもお答えを申し上げましたのですが、我が国の経済が昭和五十五年以降過度に輸出依存体質になっておった、これは極端な円安が一つの原因であったと思いますが、それをやはり直していくということ、これは時間のかかることでございますけれども、経済構造の変化といいますか調整といいますか、確かに転換などということは、一生やってきた仕事をかえろということでございますので軽々に申していいことではないし、いわんや軽々しくやれると思っておりませんが、日本経済全体としては、やはりもう少し、殊に社会資本も不足でございますから、そういう方向に変わっていくということは必要なことだと思います。
#90
○矢島委員 訪米されるようですので、大臣、ひとつこの円高を何とか是正するために頑張ってきていただきたい。
 時間の関係もありますので、売上税についてお伺いしたいと思います。
 当初、売上税の問題では、いわゆる庫出税、製造業者売上税というものが強くて、その方向で話が進んでいたようですが、メーカー中心の経団連などのいろいろな圧力と申しますか要求がありまして、現在政府が提案されているような状況になったわけですけれども、特に自動車の問題でちょっとお聞きしたいのです。売上税の導入によって物品税は廃止されるわけです。今まで普通乗用車が二三%ですか、それから小型の場合には一八・五%課税されていたわけですが、これが、三年間という限度がありますが二%の課税になっていく、売上税ということになっていく。そうしますと、自動車メーカーは間接税について考えますと相当の軽減であると思うわけなんですが、自動車メーカー全体でこの売上税の導入によってそれぞれ税額が引き下げられる部分、それから今まで課税されなかった分が五%売上税がかかってくるのもありますが、軽減額はどれくらいになるか、ちょっと教えていただきたいのです。
#91
○尾崎政府委員 売上税は事業者が行います課税資産の譲渡等に課されるものでございますけれども、自動車メーカーは自動車の販売のほかにいろいろな物品の販売でございますとかサービスの提供でございますとか行っておりまして、自動車メーカーが納付する売上税というのを算出することは難しいわけでございます。
#92
○矢島委員 確かに自動車メーカーはいろいろなことをやっておりますけれども、いずれにしても、税収がどれくらいになるかとか、売上税の導入によってこれだけの税収を見込んでおるということはもう大蔵大臣が何回となく言われた。そうすると、自動車メーカーは、個々のメーカーでどれだけ減税になるのかというとなかなかこれは簡単ではないかもしれませんけれども、自動車メーカー全体でこれくらいのいわゆる差し引き減税になっていくというようなことは、出したこともなければこれから出すおつもりもないのでしょうか。
#93
○尾崎政府委員 売上税の税収の見積もりを行いますときに、業種別に積み上げをするという方法をとっておりませんので、税収の見積もりはできておりますが、御質問のような業種別にはちょっとわかりかねます。
#94
○矢島委員 ぜひひとつ御研究いただければと思いまして、研究の成果が上がりましたら資料などいただければと思います。
 ところで、湖東税理士が計算した、まあ試算なんですが、これはもういろいろな仮定を置かなければなりませんので、それぞれの仮定によってはいろいろな数値の違いが出てくると思いますが、一つの例ですけれども、トヨタ自動車についてこんな試算をしているわけなんですね。国内販売のうち八〇%を一応乗用車と考え、二〇%がバスとかトラックだ、こういう仮定を置いているわけですが、売上額が変わらないと仮定して、六十年七月から六十一年六月までの一年間の決算、これを標準にして計算してみたわけなんです。現在納めている年間物品税が三千九十七億円、これが一一%と五%の売上税になることによって八百四十二億円になる。だから差し引き二千二百五十五億円いわゆる間接税が軽減されるという試算を出しているわけなんですわ。これが三年を経過いたしますと、売上税が一時的に三年間一一%であったものが五%に今度はさらに引き下げられるわけですから、自動車メーカーにとりましては大変な恩恵になってくるのじゃないか。
 そうしますと、自動車メーカーはこの売上税が導入されることによって普通自動車とかあるいは小型自動車については蔵出し価格が相当引き下げられると思うのですけれども、そういうふうに考えてよろしいでしょうか。
#95
○尾崎政府委員 物品税は蔵出しの段階でかけられるものでございますけれども、御承知のようにそれが価格に転嫁されておりまして、税の負担は消費者が負っているものでございます。したがいまして、おっしゃいますように物品税が売上税にかわることによりまして税負担の軽減がございますが、それは価格の引き下げという形で消費者に及んでくるものでありまして、企業課税、直接税ではございませんから、自動車メーカーの税負担の軽減という意味ではないと考えます。
#96
○矢島委員 私の質問はそうじゃないのです。税金がそういうふうになりますから、だから消費者が車を買うとき安くなるんじゃないか、こういう質問なんです。おわかりでしょう。
#97
○尾崎政府委員 自動車に対する間接税は引き下げの方向に向かいますから、消費者が買います車の価格は下がることになろうと考えられます。
#98
○矢島委員 それで、これも実際に試算してあるかどうかお伺いしたいのですが、標準的な車でどれぐらい消費者が買うときに安くなるでしょうか。
#99
○尾崎政府委員 小型普通乗用自動車を例にとりますと、百五十万円ぐらいの価格のもので三万円程度の税負担の減少が見込まれるとされます。
#100
○矢島委員 計算上はそういうような形で小型の場合に三万円ぐらい、ほかの普通乗用車でも一定の減税によっての価格の引き下げというのが行われるべきなんですが、実際にそうならなかった場合、実際には安くなったのですから安く売るべきなのに安く売らなかったという事態が起きたときには、何か対策をお考えでしょうか。
#101
○尾崎政府委員 税負担の軽減は当然価格に反映されるものというように考えております。
#102
○矢島委員 では、そうならないということは想定してないのですか、
#103
○尾崎政府委員 当然価格を引き下げていただけるものと存じております。
#104
○矢島委員 価格の引き下げの問題では私たち大変疑問があるわけなんです。と言いますのは、新聞などでも報道されておりましたけれども、いわゆる売上税導入ということになると普通乗用車や小型車が一つには安く買えるというので、ユーザーはそれまで少し買い控えておこうという事態が起こるのではないか。そうすると、メーカーといたしましては前年度の売り上げが減るわけですから、ひとつ何か付加価値をつけることを考えて、例えば車幅の問題だとかあるいはデザインの問題だとか部品の問題だとか、いろいろと工夫をして、もちろん物価が上がってコスト高になったという理由もつけるかもしれませんけれども、利益を何とか積み増したいということを考えるのではないか。それから第二点として、トラックやバスの方が、今度売上税がかかってまいりますから、売上税の導入後は落ち込むことも考えられる。ですから、簡単に価格を今おっしゃった計算のように小型で三万円ばっと下げるかどうか。また、物品税の廃止と売上税の導入によりまして、これも新聞などの報道によりますと、高級車の販売に力を入れていくのではないか、こういうことが言われておるようです。
 どうもいろいろな条件を考えますと、おっしゃられるように簡単に引き下げられないで、メーカーはこの機会をとらえて相当もうけを手に入れるのではないか、こう思うのですが、この点を私は指摘して、あと時間が本当になくなりましたので、輸出取引についてちょっと一言だけお聞きしたいのです。
 輸出取引によりますと、原材料からメーカー、そして卸、輸出企業、取引の間にずっと課税して、最終的に輸出企業がその税額の還付を受ける、こういう仕組みになっておるわけです。いわゆる前段階における税額が還付されていくわけです。この仕組みというのは、日本の輸出の構造を考えますと、どうも輸出メーカーにとって有利になっていくのではないかと思うのですが、それはどうでしょうか。
#105
○尾崎政府委員 お話しのとおり、輸出の場合にはそれまでの段階にかかっております税額を全部外すということになるわけでございますけれども、売上税は消費税でございますので、我が国の物入りを外国の消費者に御負担をお願いするというわけにはいかないわけでございます。そこで、輸出の場合には水際で消費税を全部落として輸出をするということにいたしておりまして、これは国際的なルールでございますから、現在の物品税なども水際で外しまして輸出をしておるわけでございまして、今度の売上税によって輸出業者に特別に有利になるというようなことではございません。
#106
○矢島委員 時間の関係でちょっと中途半端になるのですが、最後に一つだけ。
 つまり私が言いたいのは、今まででも中小企業は単価を切り下げられたりいろいろと親企業の条件が厳しいわけです。そういう中で売上税が導入されることによって、売上税も含めて今までの単価で納入するようにというような事態が起きたときに、結局下請が身銭を切って納税する形になるわけですけれども、還元される輸出取引のための税金というのが親会社に戻っていって、輸出業者はその分まで含めて還元されるという事態が起こることを非常に懸念するわけなんです。そういうことは考えたことはございませんでしょうか。
#107
○尾崎政府委員 ただいまのお話は、一般的に税の転嫁が確実に行われるかどうかということなのではないかと存じますが、税の転嫁がきちっと行われておりますと、それまでのメーカー以下の各段階における利益への食い込みということがないわけでございます。それが最終的に輸出業者のところで税が還付になりまして、完全に税が落ちるということになるわけでございますが、途中でその転嫁を認めないという事態が起きてくるということがあった場合に、それを御心配しての御質問であろうかと思いますけれども、もしそれが極めて優越的な地位を利用してそのようなことが行われるということになりますと、これは公正取引の面で問題が出てくるというように公正取引委員会でもお考えになっておられるということを承っております。
#108
○矢島委員 時間が来ましたので、終わります。
#109
○堀之内委員長 これにて各件の質疑は終了いたしました。
#110
○堀之内委員長 昭和五十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件の承諾を求めるの件、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書一その一一外二件の承諾を求めるの件及び昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件の承諾を求めるの件について、一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。古賀誠君。
#111
○古賀(誠)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件並びに昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外五件の承諾を求めるの件について、承諾を与えることに賛成の意思を表明するものであります。
 申すまでもなく、予備費は、憲法で規定されているように、予見しがたい予算の不足に充てるために、内閣の責任において支出するものであります。しかし、重要な支出の増額などの場合においては、国会に補正予算を提出して、その審議を受けることは当然のことであります。
 まず、昭和五十九年度の予備費等について見ると、一般会計予備費の使用総額は千二百八十七億二千四百九十九万円余であります。また、特別会計予備費の使用総額は食糧管理特別会計外三特別会計の合計で千五十一億五千八百六十六万円余であります。また、特別会計予算総則第十一条の規定に基づく経費増額の総額は二百二十五億五千四百八十万円余であります。
 次に、昭和六十年度の予備費等について見ると、一般会計予備費でありますが、(その1)の使用総額は四百十九億九千三百十二万円余、(その2)の使用総額は千六億五千八百七十八万円余であります。また、特別会計予備費でありますが、(その1)の使用総額は食糧管理特別会計の二百九十七億二千八百七十五万円余、(その2)の使用総額は食糧管理特別会計外四特別会計の合計で千六百五十三億五千二百七十一万円余であります。また、特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額でありますが、(その1)の総額は百十八億六千三百二万円余、(その2)の総額は二百六十億七千八百六十万円余であります。
 これらの予備費等は、災害復旧事業、国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補うためなどに支出されたもので、予見しがたい予算の不足に充てるために支出されたものであります。
 今後においても、予備費の支出に際しては、憲法及び財政法の規定に基づき、厳正に行うべきであります。
 以上をもちまして、私の賛成討論といたします。
#112
○堀之内委員長 新村勝雄君。
#113
○新村委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、(その2)外四件について、不承諾の意を表明いたします。
 予備費のうち、参議院議員の補欠選挙や災害対策等やむを得ない経費もありますが、予見し得るもの、当初予算に計上可能と考えられるものが多く見られ、国会の審議権を損なうおそれがあることは遺憾であります。
 その主なるものは、警察通信機器等の緊急整備、老人医療給付費、国民健康保険事業に対する国庫負担、食糧管理会計、主要国首脳会議開催に要する費用等であり、これらの費用は当初予算に計上すべきものであります。
 予備費の計上は憲法八十七条に基づいて予見しがたい予算の不足に充てるために設けるものでありますが、その趣旨に合わない支出が少なからず見られるのであります。この点については、毎年度同様の指摘がなされているにもかかわらず、いまだ十分の改善が見られていません。
 予算の執行については、財政法、予算総則等において、移しかえ、移用、流用等が認められ、弾力的運用についての配慮がなされています。さらに補正予算の機会も与えられていますので、予備費の使用は、以上いずれの方法によっても解決し得をい場合に限るよう厳しく制限せられるべきであります。
 また、予備費の承諾に関する国会審議に際しては、十分な内容の説明と必要資料の提供を保証するよう政府に要請して、反対討論を終わります。
#114
○堀之内委員長 草川昭三君。
#115
○草川委員 公明党・国民会議の草川であります。
 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました予備賢使用総調書及び各省各庁所管使用調書等の承諾を求めるの件について、不承諾の意思を表明するものであります。
 我が党は、これまで予備費使用について、財政の国会議決主義の原則にかんがみ、予備費使用の基本的かつ重大な諸問題を指摘してまいりました。また、予備費は憲法第八十七条に基づき、全く予見しがたい災害経費等に限るべきであります。
 以下、予備費の設定に関し基本的な問題点を指摘しておきます。
 その一つは、予備費が本来の目的から大きく離れてきているのではないかということであります。予備費予算額は、昭和五十四年度以来三千五百億円となっております。しかし、毎年、予備費予算の半分近くが補正予算で減額されており、予備費がその財源として、あたかも当初より見込まれているかのような各年度の傾向であります。もし補正後に予見しがたい予算不足が多額に生じた場合にどう対応するのか、政府の基本的な考え方を改めるべきであると思います、
 また、蚕糸業緊急対策に対し予備費支出がされておりますが、我が党が再三指摘しているように、蚕糸砂糖類価格安定事業団の過剰在庫の解消と繭糸価格安定制度の抜本的見直しに努めることが急務であります。
 さらに、スモン訴訟の和解の履行に必要な経費についても、既に四百四十三億円もの支出がなされており、恒常的な性格を帯びるこれらの費用は、当初予算に計上すべきであると考えます。今後、薬害が起こらない行政が必要であることは言うまでもありせん。
 このような点を含め、今後、予備費の計上については慎重な対応を求め、ここに不承諾の意を表明し、討論といたします。
#116
○堀之内委員長 大矢卓史君。
#117
○大矢委員 私は、民社党・民主連合を代表し、ただいま議題となりました昭和五十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、(その2)外四件の承諾を求めるの件について賛成の討論を行います。
 昭和五十九年度一般会計予備費の主なものにつきましては、国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費、スモン訴訟における和解の履行に必要な経費、退職手当の不足を補う経費などは、やむを得ないものであるとともに使用目的を逸脱してないものと考えます。
 また、五十九年度の特別会計も、日雇健康勘定の老人保健拠出金の不足を補うために必要な経費であり、道路整備の豪雪に伴う道路事業に必要な経費などにつきましても当然の経費と考えます。
 昭和六十年度一般会計及び特別会計予備費の使用状況全般については、主要国首脳会議の開催準備に必要な経費であり、群馬県山中における航空機墜落事故や河川等災害復旧事業などに必要な経費であると考えます。したがって、それらを承諾いたします。
 しかしながら、本予備費のうち総理の外国訪問にかかる費用等については、国際協調の重要性からかんがみ、予算で事前に措置すべきものとの要望を付一言しておきます。
 最後に、国費が正しく有効に活用されるよう一層の配慮を希望し、賛成討論を終わります。
#118
○堀之内委員長 矢島恒夫君。
#119
○矢島委員 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、ただいま議題となりました予備費等承諾案件のうち、昭和五十九年度一般会計予備費使用調書、同特別会計予備費使用調書、同特別会計経費増額調書の三件、昭和六十年度一般会計予備費使用調書(その1)及び(その2)、同特別会計経費増額調書(その1)の三件について不承諾の意を表明したいと思います。
 これらの予備費使用の主なものは、退職手当、スモン等賠償金、災害経費、社会保障関係費、選挙経費などであり、その使用目的、予備費使用の理由はおおむね妥当なものであり、承諾できるものが多数あります。
 しかしながら、本予備費等のうちには、我が党が認めるごとのできないものが含まれています。例えば、総理の一連の外国訪問、主要国首脳会議への出席であります。六十年一月の訪米で、総理はレーガン政権の戦略防衛構想への理解を示し、これに積極的に協力する態度を表明したのであります。また、西側の結束の名のもとに西側軍事同盟強化を図る主要国首脳会議の席上でも、世界唯一の被爆国の首相でありながら、総理は、核兵器廃絶を主張せず核軍拡路線に固執する態度をとり続けています。このような内容を含む予備費支出は断じて認められないのであります。
 昭和五十九年度特別会計予備費、同特別会計経費増額、昭和六十年度特別会計経費増額(その1)のうち、国土総合開発事業調整費は、実際に使われている事業の中には地域住民に役立つものが少なくありませんが、他方、大企業本位の大型プロジェクト推進のためのものも含まれており、また、目未定で当初予算に計上し年度途中に配分するやり方は、国会の予算審議権を狭める不当なものであります。
 以上のような不生な予備費の使用を含むこれらの調書を承諾することに我が党は反対であります。
 昭和六十年度特別会計予備費使用調書(その1)外二件については、国内麦買い入れ費等の義務経費であり、使用目的、予備費使用等の理由に特に問題がないと認められるので承諾いたします。
 以上で討論を終わります。
#120
○堀之内委員長 これにて討論は終局いたしました。
#121
○堀之内委員長 これより採決に入ります。
 まず、昭和五十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、昭和五十九年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、昭和五十九年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)及び昭和六十年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上五件について採決いたします。
 五件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#122
○堀之内委員長 起立多数。よって、五件は承諾を与えるべきものと決しました。
 次に、昭和六十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)について採決いたします、
 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#123
○堀之内委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決しました。
 次に、昭和六十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)について採決いたします。
 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#124
○堀之内委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決しました。
 次に、昭和六十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和六十年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上両件について採決いたします。
 両件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#125
○堀之内委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決しました。
 なお、ただいま議決いたしました各件についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#126
○堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#127
○堀之内委員長 次に、昭和五十八年度決算外二件及び昭和五十九年度決算外二件を一括して議題といたします。
 昭和五十八年度決算外二件は、総理府所管中経済企画庁一通商産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について、昭和五十九年度決算外二件は、総理府所管中経済企画庁、大蔵省所管、日本専売公社、国民金融公庫、日本開発銀行、日本輸出入銀行、通商産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、参考人として日本たばこ産業株式会社社長長岡實君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#129
○堀之内委員長 次に、経済企画庁長官、大蔵大臣及び通商産業大臣の概要説明、会計検査院の検査概要説明、日本専売公社、国民金融公庫、日本財発銀行、日本輸出入銀行、中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫各当局の資金計画、事業計画につい保ての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
   昭和五十八年度経済企画庁歳出決算説明
 昭和五十八年度における経済企画庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和五十八年度の当初歳出予算額は、百十五億三十二百九十三万円余でありましたが、予算補正修正減少額一億六千九百三十六万円余、予算補正修正増加額三千九十七万円余、予算移替減少額十五億二千七百九十八万円余、予算移替増加額二百五十九万円余、流用等減少額二億五千四百四十五万円余を増減いたしますと、昭和五十八年度歳出予算現額は、九十六億一千五百六十九万円余となります。
 これに対しまして、支出済歳出額は、八十七億六千七百四十三万円余であり、歳出予算現額との差額八億四千八百二十六万円余は、不用となった額であります。
 つぎに、支出済歳出額のおもな内訳は、経済企画庁七十五億四千三十六万円、国民生活安定対策等経済政策推進費五億四千六十六万円余、経済研究所六億八千三百九十一万円余等であります。
 また、不用額のおもなものは、国民生活安定対策等経済政策推進費でありますが、これは、総合的な物価対策を要することが少なかったこと等によるものであります。
 以上、昭和五十八年度経済企画庁の歳出決算の概要を御説明いたしました。
 何とぞよろしく、御審議のほどお願いいたします。
    …………………………………
   昭和五十八年度決算経済企画庁についての検査の概要に関する主管局長の説明
               会計検査院
 昭和五十八年度経済企画庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
    …………………………………
   昭和五十九年度経済企画庁歳出決算説明
 昭和五十九年度における経済企画庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和五十九年度の当初歳出予算額は、三百十九億八千七百六十六万円余でありましたが、予算補正修正減少額一億六千百七十九万円余、予算移替減少額十三億百十二万円余、予算移替増加額六百五十九万円余、流用等減少額三千五百一万円余を増減いたしますと、昭和五十九年度歳出予算現額は、三百四億九千六百三十三万円となります。
 これに対しまして、支出済歳出額は、二百九十六億五千二百十四万円余であり、歳出予算現額との差額八億四千四百十八万円余は、不用となった額であります。
 つぎに、支出済歳出額のおもな内訳は、経済企画庁七十五億二千十二万円余、海外経済協力基金交付金二百九億八百五十二万円余、国民生活安定対策等経済政策推進費五億二千八百七十四万円余、経済研究所六億八千八百二十七万円余等であります。
 また、不用額のおもなものは、国民生活安定対策等経済政策推進費でありますが、これは、総合的な物価対策を要することが少なかったこと等によるものであります。
 以上、昭和五十九年度経済企画庁の歳出決算の概要を御説明いたしました。
 何とぞよろしく、御審議のほどお願いいたします。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算経済企画庁についての
   検査の概要に関する主管局長の説明
               会計検査院
 昭和五十九年度経済企画庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
    …………………………………
   昭和五十九年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書に関する説明
 昭和五十九年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入決算につきまして申し上げます。
 昭和五十九年度の収納済歳入額は五十兆四千六百六十七億四千二百二十六万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと六千五百八十四億七百三万円余の増加となっております。
 以下、歳入決算のうち、主な事項につきましてその概要を申し上げます。
 第一に、租税及印紙収入でありますが、その決算額は三十二兆八千十六億四千八百七十七万円余で、これを予算額と比較いたしますと九百五十六億四千八百七十七万円余の増加となっております。これは、所得税等において課税額の伸びが見込みを上回ったこと等によるものであります。
 第二に、公債金でありますが、その決算額は十二兆七千八百十三億千九百九十二万円余で、これを予算額と比較いたしますと八百三十六億八千七万円余の減少となっております。これは、歳出の不用が見込まれたこと等により、公債の発行額を予定より減額したことによるものであります。
 以上のほか、専売納付金一兆百八十億百六十三万円余、官業益金及官業収入八十三億五千八百八十七万円余、政府資産整理収入八百九十三億六百万円余、雑収入一兆七千五百五億九百五十七万円余、前年度剰余金受入一兆百七十五億九千七百四十七万円余となっております。
 次に、一般会計歳出決算につきまして申し上げます。
 昭和五十九年度の歳出予算現額は十兆千八百七十一億九千五十六万円余でありまして、支出済歳出額は十兆九百九十四億四百七十三万円余、翌年度繰越額は三百三十七億七千五百九十五万円余でありまして、差引き、不用額は五百四十億九百八十六万円余となっております。
 以下、歳出決算のうち、主な事項につきましてその概要を申し上げます。
 第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため九兆二千三百二十七億三千四百五十二万円を支出いたしましたが、これは、一般会計の負担に属する国債の償還及び利子等の支払並びにこれらの事務取扱費の財源に充てるためのものであります。
 第二に、政府出資につきましては二千百十億円を支出いたしましたが、これは、海外経済協力基金等への出資であります。
 第三に、経済協力費につきましては五百七十四億四千二百五十五万円余を支出いたしましたが、これは、開発途上国等に対する食糧増産等援助等のためのものであります。
 この支出のほか、食糧増産等援助費につきましては、相手国の国内事情等のため三百二十八億六千八百二十万円余が翌年度へ繰越しとなっております。
 以上申し述べました経費のほか、科学的財務管理調査費、国家公務員等共済組合連合会等助成費、国庫受入預託金利子、公務員宿舎施設費、アジア開発銀行出資、国際復興開発銀行出資、国民金融公庫補給金、特定国有財産整備費、特定国有財産整備諸費及び国民生活安定対策等経済政策推進費として七百二十億三百五万円余並びに一般行政を処理するための経費として五千二百六十二億二千四百六十一万円余を支出いたしました。
 なお、以上の支出のほか、公務員宿舎施設費につきましては九億七百七十四万円余が翌年度へ繰越しとなっております。
 次に、各特別会計歳入歳出決算につきましてその概要を申し上げます。
 まず、造幣局特別会計におきまして、収納済歳入額は百七十八億三千三万円余、支出済歳出額は百七十八億千七百二十五万円余でありまして、損益計算上の利益は二千三十三万円余であります。
 この会計の主な事業である補助貨幣の製造につきましては、十九億九千万枚、額面金額にして千九百二十六億五千万円を製造し、その全額を発行いたしました。
 次に、印刷局特別会計におきまして、収納済歳入額は七百六十二億八千六百二十八万円余、支出済歳出額は六百七十六億四千八百三十万円余でありまして、損益計算上の利益は百四億二百九十一万円余であります。
 この会計の主な事業である日本銀行券の製造につきましては、三十三億三千万枚、額面金額にして十五兆七千百億円を製造し、その全量を日本銀行に引き渡しました。
 以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計の歳入歳出の決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。
 最後に、各政府関係機関決算書につきましてその概要を申し上げます。
 まず、国民金融公庫におきまして、収入済額は三千九百三十億七千五百二十二万円余、支出済額は三千八百二十一億三百七十九万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。
 この公庫の貸付けにつきましては、八十九万件余、金額にして二兆七千百九十四億五千百五十七万円余を貸し付けました。
 このほか、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。
 以上が昭和五十九年度における大蔵省関係の決算の概要であります。これらの詳細につきましては、さきに提出しております昭和五十九年度歳入決算明細書及び各省各庁歳出決算報告書等によって御了承願いたいと存じます。
 なお、会計検査院の検査の結果、不当事項として税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、誠に遺憾に堪えないところであります。これらにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務の合理化と改善に努めたいと存じます。
 何とぞよろしく御審議の種お願い申しあげます。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算大蔵省について
   の検査の概要に関する主管局長の説明
                会計検査院
 昭和五十九年度大蔵省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項六件であります。
 検査報告番号一号は、租税の徴収に当たり徴収額に過不足があったものであります。
 これらの徴収過不足の事態は、課税資料の収集、活用が的確でなかったため収入金等を把握していなかったり、法令適用の検討が十分でなかったため税額計算等を誤っていたり、申告内容の調査が十分でなかったため経費等の額を誤って所得を計算していたり、納税者が申告書等において所得金額、税額計算等を誤っているのにそのままこれを見過ごしていたりなどして徴収額に過不足を生じていたものであります。
 また、検査報告番号二号から六号までの五件は、資金運用部資金の貸付額が過大になっているものであります。
 これらは、貸付先の県町村等において貸付対象事業を借入関係書類に記載した額よりも低額で実施していたり、実施していない事業の事業費を貸付対象事業費に含めていたり、貸付対象事業の財源として受け入れた寄附金を貸付対象事業費の財源に算入していなかったりしていたものであります。
 以上、簡単でございますが、概要の説明を終わります。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算日本専売公社について
   の検査の概要に関する主管局長の説明
               会計検査院
 昭和五十九年度日本専売公社の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算国民金融公庫について
   の検査の概要に関する主管局長の説明
               会計検査院
 昭和五十九年度国民金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算日本開発銀行について
   の検査の概要に関する主管局長の説明
               会計検査院
 昭和五十九年度日本開発銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算日本輸出入銀行につい
   ての検査の概要に関する主管局長の説明
               会計検査院
 昭和五十九年度日本輸出入銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
   昭和五十九年度日本専売公社の決算および
   業務の概要
 昭和五十九年度の日本専売公社の決算および業務の概要を御説明申し上げます。
 まず、収入支出決算について申し上げますと、収入済額は二兆八千七百八十一億八千六百五十万円余、支出済額は二兆八千二百五十四億三千五百三十九万円余でありまして、差引き収入超過は五百二十七億五千百十一万円余となりました。
 これを損益計算面から申し上げますと、総収益は二兆八千八百五十八億四千六百八十二万円余、総損失は二兆八千三百六十三億五千百九十四万円余、差引き純利益は四百九十四億九千四百八十七万円余となっております。
 つぎに、たばこ事業および塩事業について、それぞれの概要を区分して、御説明申し上げます。
 まず、たばこ事業でございますが、昭和五十九年度の製造たばこ販売数量は三千百四十三億本余でありまして、これは予定に比べ三十六億本余の減少、また、前年度に対しては十億本余の増加となっております。
 たばこ販売面におきましては、キャビン85マイルド、キャスター等の販売促進活動を積極的に進めてまいりました結果、前年度に対し数量で〇・三パーセント、売上高で二・〇パーセントの増加となりました、
 また、たばこ製造面におきましては、たばこ工場の製造設備の改善と作業の効率化によって生産性の向上を図り、あわせて供給の円滑化に努めてまいりました。
 以上の結果、損益計算におきましては、総売上高は二兆七千七百六十七億八千四百七十七万円余、売上原価は七千百三十六億九千七百五十四万円余、差引き売上総利益は二兆六百三十億八千七百二十二万円余となり、これから販売費及び一般管理費一千九百十五億八千百二十五万円余、専売納付金九千八百八十億百六十三万円余、たばこ消費税八千四百二十億七千八十万円余を控除し、さらに営業外損益十七億八千五百十四万円余を加えた純利益は四百三十二億一千八百六十六万円余となりました。
 これは予定に比べ六十三億四千六百七十一万円余の増加、また、前年度に対しては四百三十九億八千六百六十四万円余の減少となっております。
 なお、専売納付金は予定に比べ二十四億六千七百六十五万円余の増加、また、前年度に対しては百八十六億二千六百九十万円余の減少となっております。
 つぎに、塩事業について申し上げますと、昭和五十九年度の塩販売数量は一般用塩で百四十三万トン余、ソーダ用塩で六百十九万トン余、合計七百六十二万トン余でありまして、これは予定に比べ八十二万トン余の減少、また、前年度に対しては二十七万トン余の増加となっております。
 以上の結果、損益計算におきましては、総売上高は九百三十九億一千七百九十二万円余、売上原価は七百三億四千六百四十七万円余、差引き売上総利益は二百三十五億七千百四十四万円余となり、これから販売費及び一般管理費百七十三億八千五百十二万円余を控除し、さらに営業外損益八千九百八十九万円余を加えた純利益は六十二億七千六百二十万円余となりました、
 これは予定に比べ二十七億九千七百九十九万円余、また、前年度に対しては三億五千四百九十六万円余、それぞれ増加となっております、
 塩事業の純利益が前年度に対し増加いたしましたのは、収納価格を引下げたこと等によるものであります。
 最後に、昭和五十九年度決算検査報告におきまして、会計検査院より不当事項として指摘をうけたものはございませんでしたが、今後とも効率的な事業の運営をはかって参りたいと存じます。
 なお、日本専売公社は日本たばこ産業株式会社法附則第十二条第一項の規定により昭和六十年四月一日に解散し、その一切の権利及び義務は、日本たばこ産業株式会社が承継いたしました、
 以上簡単でございますが、昭和五十九年度の決算および業務の概要について御説明申し上げました。
 なにとぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
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   昭和五十九年度業務概況
              国民金融公庫
 国民金融公庫の昭和五十九年度の業務の概況についてご説明申し上げます。
 昭和五十九年度のわが国経済は、輸出の増加や民間設備投資の回復を背景として、着実に拡大を続けました。しかし、個人消費支出が伸び悩み、民間住宅投資も低調に推移したため、国内需要、とくに個人消費支出に依存する割合の大きい中小企業の景況は、大企業に比べて緩やかな回復にとどまり、中小企業の経営環境は依然として厳しい状況にありました。
 このような状況におかれた中小企業者に対して、当公庫は、貸付限度の引き上げ、貸付利率の引き下げ等により、中小企業金融の円滑化のために積極的に対処するとともに、吹田支店を新設しまして中小企業者のためにいっそうの便宜を図ってまいりました。
 昭和五十九年度の貸付につきましては、計画二兆九千百十億円に対しまして、二兆七千百九十四億五千百五十七万円余の実行をいたしました。
 貸付種類別に貸付の実績を申し上げますと、普通貸付は、六十一万六千件余二兆五千五百二十一億六百九十三万円余、恩給担保貸付は、二十万三千件余一千三百三十三億七千三百十三万円余、記各国債担保貸付は、一千件余九億七千三百十万円余、進学資金貸付は、七万件余三百十七億二千七百十一万円余となりました、
 なお、普通貸付の貸付実績のなかには、生鮮食料品等小売業近代化資金貸付、流通近代化資金貸付等の特別貸付が、一万件余四百十一億七千百九十一万円余、小企業等経営改善資金貸付が、十六万件余三千六百八十三億五千五百七十四万円含まれております。
 一方、五十九年度において貸付金の回収が、二兆五千八百四十三億六千五百十八万円余、滞貨償却が、二十六億九千八百十三万円余ありましたので、五十九年度末現在の総貸付残高は、二百五十九万七千件余四兆九千六十九億四千六百六十四万円余となり、前年度末残高に比べますと、一千三百二十三億八千八百二十六万円余、二・八パーセントの増加となりました、
 貸付金の延滞状況につきましては、五十九年度末において延滞後六カ月以上経過したものが、一千六百二十二億七千百六十一万円余でありまして、総貸付金残高に対する割合は、三・三パーセントとなっております。
 昭和五十九年度の貸付に要した資金は、二兆七千百八十九億五千三百五万円余でありまして、その原資は、資金運用部からの借入金一兆六千六十億円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金一千四百二十億円、一般会計からの借入金百五十三億円のほか、貸付回収金等九千五百五十六億五千三百五万円余をもってこれに充てました。
 受託業務につきましては、環境衛生金融公庫からの受託貸付は、五十九年度における貸付の実績が、六万三千件余一千四百九十九億八千五百四十六万円余、回収額が、一千九百八億五千五百七十五万円余となり、五十九年度末貸付残高は、四十万七千件余五千九百三十七億二十六万円余となっております。また、労働福祉事業団からの受託貸付の五十九年度における貸付の実績は、百四十九件二億三百五万円となっております。
 最後に、五十九年度の収入支出決算及び損益の計算について申し上げます、
 まず、収入支出決算について申し上げますと、収入済額は、三千九百三十億七千五百二十二万円余、支出済額は、三千八百二十一億三百七十九万円余となりました。
 次に、損益の計算について申し上げますと、貸付金利息等の総益金は、四千五百十一億二千八十七万円余、借入金利息、事務費、滞貨償却引当金繰入等の総損金は、四千五百十一億二千八十七万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。
 以上をもちまして、昭和五十九年度の業務概況のご説明を終らせていただきます。
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   日本開発銀行昭和五十九年度の業務概要
 昭和五十九年度における日本開発銀行の業務の概要についてご説明申しあげます。
 一、先ず、五十九年度の資金運用計画は、当初計画として一兆一千五百二十四億円を予定しておりましたが、前年度からの繰越分百億円を加えた一兆一千六百二十四億円の貸付計画となりました。
 これに対し、五十九年度中の運用額は、貸付実行額が一兆一千六百二十四億二千七百万円となっております。
 これの項目別内訳は、資源エネルギー五千二百八十九億二千五百万円、技術振興一千五百六十億四千万円、海運七百五十九億二千三百万円、都市開発一千三百七十四億二千七百万円、地方開発一千十億七千五百万円、国民生活改善一千百九十九億三千五百万円、その他四百三十一億二百万円であります。
 以上の五十九年度の運用額の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金八千百八十億円と貸付回収金等三千四百四十四億二千七百万円をもってこれに充てました。
 二、次に五十九年度の貸付運用の特色を申しあげますと、
 (1)資源エネルギーについては、原子力発電推進のための融資、水力発電・液化ガス発電等電源多様化をはかるための融資、石油産業集約化、石油及びLPG備蓄タンクに対する融資、都市ガスの高圧、高カロリー化設備に対する融資、石油代替エネルギーの利用の促進のための融資の他、資源エネルギーの有効利用と産業の省資源・省エネルギー等を促進するための融資を引き続き打つたこと
 (2)技術振興については、わが国自主技術の開発促進及び技術水準の向上ならびに経済社会の情報化の健全な発展をはかるため、産業技術振興融資、情報化促進融資等を積極的に打つたこと
 (3)海運については、貿易物資の安定的輸送確保の観点から計画造船による外航船舶の建造に対し引き続き融資を打つたこと
 (4)都市開発については、都市交通の整備改善、市街地の開発整備及び流通機構の近代化に寄与する事業等に対し引き続き融資を打つたこと
 (5)地方開発については、九州、四国、中国、北陸の四地方の開発のため引き続き融資を行うとともに、地方都市圏の機能整備、地方適地産業の育成、工業の適正配置の促進について特に留意したこと
 (6)国民生活改善については、公害防止の推進のための融資、医薬品等の安全性試験施設、ビル防災等の安全対策設備に対する融資及び食品供給体制の近代化のための融資を引き続き打つたこと
 (7)その他については、新たに「輸入体制整備・対日投資促進」及び「重度障害者雇用促進」融資を行うとともに、引き続き「構造改善」、「工場分散」、「海洋開発」及び「福祉関連機器振興」等の融資を打つたことなどがあげられます。
 三、次に五十九年度における既往貸付の回収は、七千二百六十三億六千四百八十五万円余となっております。
 この他、五十九年度は、貸付金の債権償却三千九百六十四万円余を打っております。
 この結果、五十九年度末における貸付残高は、七兆三千七百二十六億二千八百九十二万円余となりました。
 貸付金の延滞状況につきましては、五十九年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は二百七十七億五千百二十五万円余で、前年度末に比して五十三億八百六万円余の減少となっております。貸付残高に対する割合は、〇・四パーセントとなっております。
 四、また、五十九年度において、外貨債務の保証を行いました額は、航空に対する二百六億三千九十四万円余であり、年度末保証残高は一千七百六十六億三千九百二十一万円余となっております。
 五、最後に、五十九年度決算の概要について説明いたしますと、五百九十二億三千五十三万円余の純利益を計上し、このうち三百六十八億六千三百十四万円余を法定準備金として積立て、残額二百二十三億六千七百三十九万円余を国庫へ納付いたしました。
 以上一五十九年度における日本開発銀行の業の内容につきましてご説明申しあげた次第でございます。
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   日本輸出入銀行の昭和五十九年度業務概況
  一、昭和五十九年度における日本輸出入銀行の業務状況につき概要をご説明申し上げます。
 まず、昭和五十九年度は年度当初の事業計画において一兆三千四百十億円の貸付を予定いたしました。
 これに対し昭和五十九年度の貸付額の実績は八千八十七億四千二十万円余で、年度当初の事業計画における貸付予定額を四十パーセント程下回りました。
 なお、この昭和五十九年度の貸付額を昭和五十八年度の貸付額一兆八百九十三億八千六百三十九万円余に比較いたしますと二十六パーセント程度の減少となっております、は
 以下、昭和五十九年度の貸付額の内訳につきまして、金融種類別に前年度との比較において申し述べます。
 まず、輸出資金の貸付は、四千百三十億九千五百七十万円で、昭和五十八年度の五千百十一億四千二百六十万円に対し、九百八十億四千六百九十万円の減少となりました。これは、債務累積問題の影響等相手国側の事情によるプロジェクトの見直し等により、プラントの輸出に対する貸付が低調に推移したことによるものであります。
 次に、輸入に必要な資金の貸付は、三百八十八億七千五百三十三万円余で、昭和五十八年度の六百十四億六千五十四万円余に対し、二百二十五億八千五百二十万円余の減少となりました。
 また、海外投資資金の貸付は、千八百四十二億七千七百四十九万円余となり、昭和五十八年度の二千五百七十九億九千二十九万円余に対し、七百三十七億千二百八十万円の減少となりました。
 このように、輸入に必要な資金及び海外投資資金の貸付が減少したのは、資源需要の低迷により資源開発案件の貸付が低調に推移したこと等によるものであります。
 このほか、外国政府等に対する直接借款に係る貸付は、千七百二十四億九千百六十七万円余で、昭和五十八年度の二千五百八十七億九千二百九十六万円余に対し、八百六十三億百二十八万円余の減少となりました。これは、債務累積問題の影響等現地側の事情によるプロジェクトの見直し等によるものであります。
 以上の結果、昭和五十九年度末の貸付残高は、六兆三百五十三億三千八百四万円余となっております。
 なお、この貸付残高のうち、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、七十四億千百七万円余となっております。
 昭和五十九年度の貸付資金の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金五千四百五十億円のほか、自己資金等二千六百三十七億四千二十万円余をもってこれにあてました。
 以上申し述べました業務の運営により昭和五十九年度の一般勘定の損益計算上における利益は、五千四百十二億四千七百四万円余、これに対し損失は、四千九百三十九億九千二十万円余となりました。
 この結果、昭和五十九年度の一般勘定利益金は四百七十二億五千六百八十四万円余となりました。
 一般勘定利益金は、法令の定めるところに従いうち三百億九千百六十八万円余を法定準備金として積立て、残額百七十一億六千五百十五万円余を国庫に納付いたしました。
 なお、既往のインドネシア債務救済措置の実施に関する業務につきましては、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律により一般の業務と区分して特別の勘定を設けて経理することといたしておりますが、昭和五十九年度の特別勘定の損益計算上、四億二千八百三十七万円余の利益金を生じ、法令の定めるところに従い、これを全額同勘定の積立金として積立てました。
 二、以上、昭和五十九年度における日本輸出入銀行の業務の概況につき、ご説明申し上げました。
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   通商産業省所管昭和五十八年度歳入歳出決算概要説明
 昭和五十八年度通商産業省所管の歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入歳出決算につきまして、御説明いたします。
 通商産業省主管の歳入につきましては、歳入予算額は九十一億三千九百五十五万円余であります。
 これに対しまして、収納済歳入額は二百十九億九千六百二十五万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと百二十八億五千六百七十万円余の増加となっております。
 これは、アルコール専売事業特別会計から一般会計への納付金が予定より多かったこと等の理由によるものであります。
 次に、通商産業省所管の歳出につきましては、当初予算額は八千二百三億六千六百二万円余でありますが、既定予算の不用等による予算補正修正減少額四百三十五億九千四百五十一万円余、水資源開発公団の建設する水資源開発施設のうち、工業用水道事業の負担に係る部分に関する事業費の一部を補助するために必要な経費等について、総理府所管から移し替えを受けた額百二億三千七百七十二万円余、文部省所管から移し替えを受けた額五十五万円余、計百二億三千八百二十八万円余、前年度からの繰越額八十三億七千二百六十九万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は七千九百五十三億八千二百四十九万円余となっております。
 これに対しまして、支出済歳出額は七千七百二億八千二百三十四万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は二百五十一億十五万円余となっております。
 この差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は、財政法第十四条の三第一項の規定により明許繰越を行ったもの八十二億七千四百二十四万円余、財政法第四十二条但し書の規定により事故繰越を行ったもの二十五億七千百六十八万円余、計百八億四千五百九十二万円余でありまして、不用となりました額は百四十二億五千四百二十二万円余となっております。
 五十八年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 第一に、エネルギー対策費であります。五十八年度の予算現額は三千九百六十六億二千二百十七万円余でありまして、その支出済歳出額は三千八百九十五億二千八百三十二万円余であります。その主なものにつきまして御説明いたします。
 まず、石油税財源石油及び石油代替エネルギー対策費であります。
 この経費は、エネルギー対策の緊要性にかんがみ、石油の安定供給確保の観点から、石油資源の開発及び石油備蓄増強等の事業並びに石油代替エネルギーの開発及び利用を促進するための施策の財源に充てるため、一般会計から石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計石油及び石油代替エネルギー勘定へ繰り入れるためのものでありまして、三千八百十億円を支出いたしました。
 次に、新エネルギー技術研究開発費であります。この経費は、エネルギーの長期安定的供給に資するため、太陽エネルギー、地熱エネルギー等の新エネルギーの利用技術を開発するためのものでありまして、五十億九百四十万円余を支出いたしました。
 次に、省エネルギー技術研究開発費であります。この経費は、エネルギーの効率的な利用と未利用エネルギーの有効利用を図るため、省エネルギー技術の研究開発を推進するためのものでありまして、高効率ガスタービン等の大型省エネルギー技術、民間の技術等を開発するためのものでありまして、二十三億四百五十八万円余を支出いたしました。
 第二に、中小企業対策費であります。五十八年度の予算現額は一千七百二十八億六百四十七万円余でありまして、その支出済歳出額は一千六百七十億六千九十七万円余であります。その主なものにつきまして御説明いたします。
 まず、中小企業事業団運営費であります。この経費は、中小企業構造の高度化を促進するために必要な指導一資金の貸付け及び共済等の事業を行うための出資金及び補助金でありまして、七百五十一億八千七十一万円余を支出いたしました。その貸付事業の実績は、一般高度化事業資金三百五十一件、特定高度化事業資金百九十六件、繊維工業構造改善事業資金七十件等であります。
 次に、小規模事業対策費であります。その支出済額は三百四十六億四子八百九十七万円余でありまして、この経費により商工会、商工会議所等が小規模事業者に対して、六百八万件余の経営指導、相談を行いました。
 次に、小企業等経営改善資金融資制度であります。この経費は、小企業者等に対する経営指導を金融面から補完し、実効性を確保するため、商工会、商工会議所及び都道府県商工会連合会の長の推薦に基づき、国民金融公庫が、無担保、無保証人、低利による融資を行うためのものでありまして、貸付金と促して、百四十七億円を支出いたしました。
 なお、同公庫が行った融資実績は十八万件余、四千百四十一億円余に達しております。
 次に、中小企業近代化促進費であります。その支出済額は六十七億四千五百八十二万円余でありまして、設備近代化補助金十二億六千百二十四万円余、中小企業機械類貸与補助金二十億一千三十五万円余等を支出いたしました。
 次に、中小企業指導事業費であります。その支出済額は七十一億五千五百八十三万円余でありまして、診断指導、技術指導及び研究促進等の事業の一層の強化を図っております。
 このほか、組織化対策費三十六億五千八百十八万円余、信用保証協会基金補助金二十億円、商工組合中央金庫出資金百億円、中小企業金融公庫補給金七十九億三千四百六十五万円余等を支出いたしました。
 第三に、科学技術振興費であります。五十八年度の予算現額は六百三十六億五千九百五十五万円余でありまして、その支出済歳出額は六百三十四億六千八百九十万円余であります。その主なものにつきまして御説明いたします。
 まず、大型工業技術研究開発費であります。この経費は、将来の技術開発の核心となり、技術的波及効果の大きい大規模な国産技術につきまして、産・学・官が一体となった研究開発体制のもとで、その開発を行うためのものでありまして、五十八年度においては前年度に引き続き「超高性能レーザー応用複合生産システム」等七テーマの研究開発を推進しまして、百四億五千三百三十万円余を支出いたしました。
 次に、電子計算機産業振興対策費であります。この経費は、我が国電子計算機産業の技術力の向上並びに振興を図るため、次世代電子計算機の基本ソフトウエア及び新周辺端末装置の技術開発を行うとともに、新しい理論・技術に基づいた第五世代コンピュータの研究開発を行うものでありまして、五十四億二千百八十六万円余を支出いたしました。
 次に、次世代産業基盤技術研究開発費であります。この経費は、我が国が今後、技術立国を実現していくため、基礎的段階の産業技術の研究開発、とりわけ、九十年代に発展が期待される次世代産業の確立に必要不可欠な基盤技術の中から、新材料、バイオテクノロジー及び新機能素子の三分野十二テーマについて、産・学・官の協力の下に、研究開発を推進するためのものでありまして、五十六億七千十万円余を支出いたしました。
 次に、重要技術研究開発費補助金であります。この経費は、我が国産業構造の知識集約化の基盤となるべき重要技術、環境保全・安全対策技術、基礎素材産業を抜本的に活性化させるための技術等に関し、民間企業の行う研究開発プロジェクトを支援するためのものでありまして、二十億一千百七十七万円余を支出いたしました。
 このほか、通商産業省の試験研究機関の特別研究費二十六億四千百三万円余、公害防止等試験研究費十六億四千三百五十七万円余、試験研究設備及び施設の整備費十二億九千五百八十五万円余等を支出いたしました。
 第四に、公共事業費であります。五十八年度の予算現額は二百十九億八千九百十一万円余でありまして、その支出済歳出額は百九十九億三千九百六十万円余であります。
 その主なものは、工業用水道事業費補助金であります。その支出済額は百九十七億七千九百二十四万円余でありまして、この経費により、地方公共団体において継続事業六十五箇所、新規事業一箇所の工事を、水資源開発公団において継続事業九箇所の工事を実施いたしました。
 第五に、経済協力費であります。五十八年度の予算現額は百四十八億二千六百二十二万円余でありまして、その支出済歳出額は百三十八億五千二百十万円余であります。その主なものにつきまして御説明いたします。
 まず、海外経済協力費補助金であります。この経費は、発展途上国に対する経済協力を推進するため、経済協力関係団体が行う海外技術者受入等研修事業等に対する補助金でありまして、四十六億六千八百五十七万円余を支出いたしました。
 次に、海外開発計画調査委託費であります。この経費は、発展途上国における鉱工業、資源等の分野における開発計画を策定するための調査等を技術協力関係団体に委託して行うためのものでありまして、五十五億七千八百四十三万円余を支出いたしました。
 次に、翌年度へ繰り越しました経費のうち主なものを御説明いたします。
 第一に、工業用水道事業費十九億九千二百七十二万円余でありまして、工業用水道事業費補助金につきまして、補償交渉が難航したこと等により、年度内に支出を完了することができなかったため、経費を翌年度に繰り越したものであります。
 第二に、民間航空機用ジェットエンジン開発費五十四億七千五百十三万円余でありまして、民間航空機用ジェットエンジン開発費補助金につきまして、五か国の共同開発事業契約の発効が遅れたことに伴い開発計画を変更したこと等により、年度内に支出を完了することができなかったため、経費を翌年度に繰り越したものであります。
 次に、不用額を生じました経費のうち主なものを御説明いたします。
 中小企業対策費五十二億八百三十三万円余でありまして、商工会議所等における経営指導員研修生等の設置月数が予定を下回ったこと等のため、小規模事業指導費補助金を要することが少なかったこと等に。より不用となったものであります。
 以上をもちまして、通商産業省所管の一般会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。
 次に、通商産業省所管の各特別会計の昭和五十八年度の決算について御説明いたします。
 第一に、電源開発促進対策特別会計であります。まず、電源立地勘定であります。収納済歳入額は九百二十六億三千九百三十万円余、支出済歳出額は五百八十八億九千七百三十一万円余であります。収納済歳入額と支出済歳出額との差額は三百三十七億四千百九十八万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は二百五十四億五千三百八十七万円余、剰余金は八十二億八千八百十一万円余となっております。
 五十八年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 電源立地対策費でありますが、この経費は、電源立地地域における公共用施設の整備、電源立地促進のための特別対策事業、電源立地地域における安全対策等の推進等に必要な事業費に充てるため、地方公共団体等に対して交付するためのものでありまして、五百八十五億七千二百七十七万円余を支出いたしました。
 次に、電源多様化勘定であります。収納済歳入額は一千六百六十六億六千五百七万円余、支出済歳出額は一千九十三億四千九百七十七万円余であります。収納済歳入額と支出済歳出額との差額は五百七十三億一千五百三十万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は四百二億八千五百二十一万円余、剰余金は百七十億三千九万円余となっております。
 五十八年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 電源多様化対策費でありますが、この経費は、水力・地熱資源の開発、石炭火か発電所の公害防止技術の実証、太陽光発電などの新エネルギー技術開発、原子力発電推進のための技術開発等の施策を行うためのものでありまして、一千九十三億一千二百二十九万円余を支出いたしました。
 第二に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計であります。まず、石炭勘定であります。収納済歳入額は一千五百四十四億八千五百四十二万円余、支出済歳出額は一千二百六十五億四千百八十三万円余であります。収納済歳入額と支出済歳出額との差額は二百七十九億四千三百五十八万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は百六億二千四百四十一万円余、剰余金は百七十三億一千九百十七万円余となっております。
 五十八年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 まず、石炭鉱業合理化安定対策費であります。この経費は、新エネルギー総合開発機構が行う炭鉱の整備事業に対する補助及び同機構が行う近代化資金の貸付けのための補給並びに石炭鉱業の生産体制の改善、経理の改善、保安の確保、石炭需要の確保等の施策を実施するためのものでありまして、三百九十八億一千三百六十六万円余を支出いたしました。
 次に、鉱害対策費であります。この経費は、石炭鉱害事業団に対する鉱害復旧事業資金の補助及び同事業団が行う鉱害賠償資金等の貸付けのための出資等を行うためのものでありまして、五百八十一億九千三百八十三万円余を支出いたしました。
 次に、産炭地域振興対策費であります。この経費は、産炭地域において鉱工業等の振興に必要な業務を行う地域振興整備公団に対する出資、石炭鉱業の終閉山により財政状況が悪化している産炭地域市町村に対する交付金の交付及び産炭地域小水系用水の開発事業等の施策を行うためのものでありまして、八十二億六千五百三十七万円余を支出いたしました。
 次に、石油及び石油代替エネルギー勘定であります。収納済歳入額は四千四百三十四億七千五百八十三万円余、支出済歳出額は三千七百三十二億九千八百五十一万円余であります。収納済歳入額と支出済歳出額との差額は七百一億七千七百三十二万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は六百十三億二千二十八万円余、剰余金は八十八億五千七百三万円余となっております。
 五十八年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 まず、石油安定供給対策費であります。この経費は、石油公団が行う石油及び可燃性天然ガスの探鉱等に対する投融資及び公団備蓄事業等に充てるための同公団への出資、同公団に対する交付金の交付、石油備蓄の増強等の施策を行うためのものでありまして、三千百五十六億百二十一万円余を支出いたしました。
 次に、石油生産流適合理化対策費であります。この経費は、石油の流適合理化及び生産技術の研究開発等を図るための石油備蓄技術調査、石油製品需給適正化調査及び重質油対策の研究開発等の施策を行うためのものでありまして、百二十八億七千三百八十一万円を支出いたしました。
 次に、石油代替エネルギー対策費であります。この経費は、新エネルギー総合開発機構が行う海外炭探鉱に対する融資等に充てるための同機構への出資、日本開発銀行の行う石油代替エネルギー利用促進融資の原資の一部に充てるための同銀行に対する貸付金、ソーラーシステム普及促進、石炭液化ガス化等の石油代替エネルギー技術開発等の施策を行うためのものでありまして、四百四十二億九千七百三十二万円余を支出いたしました。
 第三に、アルコール専売事業特別会計であります。収納済歳入額は四百一億二千五百十二万円余、支出済歳出額は二百六十九億一千二百七十二万円余であります。
 この会計の損益計算上の利益は百二十六億二千九百四十八万円余でありまして、期末資産の減少相当額八億九千三百九十九万円余がありましたので、合計百三十五億二千三百四十八万円余を一般会計に納付いたしました。
 第四に、輸出保険特別会計であります。収納済歳入額は一千九百七十三億八千六百四十二万円余、支出済歳出額は八百二十七億四千七百八十九万円余であります。
 五十八年度における保険引受件数は六十三万三千件余、その保険金額は十一兆一千六億円余でありまして、前年度に対し二兆二千四百六十億円余の減少となっております。
 第五に、機械類信用保険特別会計であります。収納済歳入額は百二十二億四千三百三万円余、支出済歳出額は三十四億一千七十二万円余であります。
 五十八年度における保険引受件数は十六万七千三百七十三件、保険金額は五千四百四十一億一千万円余であります。
 以上をもちまして、通商産業省所管の特別会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。
 最後に、五十八年度通商産業省所管の決算につきまして、会計検査院から不当事項として十二件の指摘を受けたものがありますことは、誠に遺憾に存じております。
 これらの指摘を受けた事項につきましては、直ちに指摘金額の全額を返還させ、その是正の措置を講じたところであります。
 今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導、監督を行い、かかる事態の絶滅に努力いたす所存でございます。
 以上をもちまして、昭和五十八年度における通商産業省所管の一般会計及び特別会計の決算に関する御説明を終わります。
 何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
    …………………………………
   昭和五十八年度決算通商産業省についての
   検査の概要に関する主管局長の説明
                会計検査院
 昭和五十八年度通商産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十二件であります。
 これらは、中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるものであります。
 この資金貸付事業は、都道府県が国から交付された中小企業設備近代化補助金等を財源として中小企業者に設備の近代化に必要な資金を長期間無利子で貸し付けるものであります。
 五十九年次の検査におきまして、その貸付けの適否について調査しましたところ、貸付対象設備を貸付対象事業費より低額で設置している企業者に対して、貸付対象事業費どおり設置したとして貸し付けていたものが八件、貸付対象にならない中古品を設置するなどしている企業者に対して、貸付条件どおり設置したとして貸し付けていたものが三件、また、既に金融機関(沖縄振興開発金融公庫)から資金を借り入れている企業者に対して重複して本資金を貸し付けていたものが一件ありました。
 これらはいずれも本資金の貸付けとして、適切を失いており、ひいては補助の目的に沿わない結果になっていると認められたものであります。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
    …………………………………
   昭和五十八年度決算中小企業金融公庫につ
   いての検査の概要に関する主管局長の説明
                会計検査院
 昭和五十八年度中小企業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
    …………………………………
   昭和五十八年度決算中小企業信用保険公庫
   についての検査の概要に関する主管局長の
   説明
               会計検査院
 昭和五十八年度中小企業信用保険公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
   昭和五十八年度の業務の概況について
            中小企業金融公庫
 昭和五十八年度における中小企業金融公庫の業務について御説明申し上げます。
 一、当公庫の昭和五十八年度貸付計画は、二兆千七百七十一億円と定められました。
 これに外し、中小企業者に対しては、一兆八千二百八十六億四百六十五万円余の貸付を行ったほか、設備貸与機関に対しては、百八十三億千百二万円余、また、中小企業投資育成株式会社に対しては、六億円の貸付を行い、総額では、一兆八千四百七十五億千五百六十八万円余の貸付実績となりました。
 中小企業者に対する貸付契約額のうち、設備資金は三十五・一パーセントに相当する六千三百九十一億二千三百八十二万円余、運転資金は六十四・九パーセントに相当する一兆千八百三十五億二千三百八十六万円余となっており、また、直接貸付は五十六・七パーセントに相当する一兆三百二十七億三千四百万円(二万五千八百六十六件)、代理貸付は四十三・三パーセントに相当する七千八百九十九億千三百六十九万円一五万八百三十一件となっております。
 年度末総貸付残高は、五兆二千四百二十億六千二百二万円余でありまして、前年度末に比較して、八十九億六千五百八十六万円余、〇・二パーセントの増加となっております。
 貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十八年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は、七百十五億四千六百八十五万円余でありまして、このうち一年以上のものは、六百三十四億七千二百三十六万円余、総貸付残高の一・二パーセントとなっております。
 二、昭和五十八年度の融資に当たりましては、経済のソフト化・サービス化、技術革新、情報化の進展など変化の激しい経営環境の中におかれている中小企業者に対し、その事業基盤の強化に資する資金について積極的に対処してまいりました、山特に、電子・機械工業高度化促進貸付制度、事業転換貸付制度、産地振興貸付制度等の拡充を図るなど中小企業者の環境変化に適応するための資金についてきめ細かい配慮を払ってまいりました。
 また、中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業に必要な資金、流通機構の近代化、合理化のために必要な資金及び産業公害の防止、産業安全の確保等のために必要な資金についても配慮してまいりました。
 なお、昭和五十八年度におきましては、中小企業者の一層の利便に資するため、大森出張所を支店に昇格させました。
 三、次に、当公庫の昭和五十八年度の収入、支出の決算及び損益計算について申し上げます。
 収入、支出の決算について申し上げますと、貸付金利息等収入済額は、四千二百六十一億千三十二万円余、支払利息等支出済額は、四千百三十五億千四百七十三万円余となりました。
 損益計算について申し上げますと、貸付金利息収入等の総益金は、五千二十九億五千八百三十九万円余、借入金利息、事務費、業務委託費等の総損金は、五千二十九億五千八百三十九万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。
 以上をもちまして、昭和五十八年度における中小企業金融公庫の業務の概況について、御説明を終わります。
                   以上
    …………………………………
   昭和五十八年度の業務概況について
           中小企業信用保険公庫
 中小企業信用保険公庫の昭和五十八年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。
 昭和五十八年度におきましては、国の一般会計から保険事業の円滑な運営を図るための原資として、保険準備基金三百四十五億円、信用保証協会の保証活動の円滑化を図るための原資として融資基金二百十億円、合計五百五十五億円の出資が行われました。
 まず、保険事業についてみますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で九十八万四千件余、金額で五兆三千四十八億二千八十万円余になっており、これを前年度に比較いたしますと、金額で一パーセントの増加になっております。
 この結果、昭和五十八年度末の保険引受残高は、件数で二百七万六千件余、金額で十一兆一千五百五十七億一千五百三十六万円余となっております。
 なお、保険金の支払いは一千四百十九億一千二百九十七万円余になりまして、これを前年度に比較いたしますと、〇・四パーセントの増加になっております。
 一方、信用保証協会に対する融資事業につきましては、昭和五十八年度に国の一般会計から新たに出資されました二百十億円及び既往の貸付にかかる回収金等一千九百九十二億四千五百万円、合計二千二百二億四千五百万円をもちまして、二千五十六億四千四百万円の貸付を行いました。
 この結果、昭和五十八年度末における貸付残高は二千八百八十八億九千九百万円になっております。
 次に、収入支出及び損益の概況について申し上げます。
 まず、収入、支出について申し上げますと、収入済額は一千二百三億四百九十万円余、支出済額は一千四百四十九億九千四百九十六万円余でありまして、差し引き二百四十六億九千五万円余の支出超過になっております。
 損益計算につきましては、さらに支払備金等の整備を行いました結果、総利益は一千四百四億五千四百六十万円余、総損失は一千六百八十五億二千九百八十九万円余となり、差し引き二百八十億七千五百二十八万円余の損失金を生じました。
 この損失金は、中小企業信用保険公庫法及び同法施行令の規定に基づき、保険準備基金を減額して整理いたしております。以上、簡単でございますが、昭和五十八年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げた次第でございます。
    …………………………………
   通商産業省所管昭和五十九年度歳入歳出決
   算概要説明
 昭和五十九年度通商産業省所管の歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入歳出決算につきまして、御説明いたします。
 通商産業省主管の歳入につきましては、当初予算額は八十九億七千七百四万円でありますが、予算補正追加額二十九億三千四百二十五万円余の増加がありましたので、歳入予算額は百十九億一千百二十九万円余となっております。
 これに対しまして、収納済歳入額は百六十億九千三百三十四万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと四十一億八千二百四万円余の増加となっております。
 これは、アルコール専売事業特別会計から一般会計への納付金が予定より多かったこと等の理由によるものであります。
 次に、通商産業省所管の歳出につきましては、当初予算額は八千十五億二百六十一万円余でありますが、石油公団出資の追加に必要な財源に充てるための石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計石油及び石油代替エネルギー勘定への繰入れの増額に必要な経費等として予算補正追加額百二億八百四万円余、既定予算の節約等による予算補正修正減少額六十一億六百四十八万円余、水資源開発公団の建設する水資源開発施設のうち、工業用水道事業の負担に係る部分に関する事業費の一部を補助するために必要な経費等について、総理府所管から移し替えを受けた額百億二千百四十八万円余、前年度からの繰越額百八億四千五百九十二万円余、予備費使用額十億円の増減がありましたので、歳出予算現額は八千二百七十四億七千百五十八万円余となっております。
 これに対しまして、支出済歳出額は八千百四億六千七百九万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は百七十億四百四十九万円余となっております。
 この差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は、財政法第十四条の三第一項の規定により明許繰越を行ったもの四十七億六千二百二十六万円余、財政法第四十二条但し書の規定により事故繰越を行ったもの二十七億八千七百十二万円余、計七十五億四千九百三十九万円余でありまして、不用となりました額は九十四億五千五百十万円余となっております。
 五十九年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 第一に、エネルギー対策費であります。五十九年度の歳出予算現額は四千五百五十八億五千三百三十五万円余でありまして、その支出済歳出額は四千五百十七億九千七百二十四万円余であります。その主なものにつきまして御説明いたします。
 まず、石油税財源石油及び石油代替エネルギー対策費であります。
 この経費は、エネルギー対策の緊要性にかんがみ、石油の安定供給確保の観点から、石油資源の開発及び石油備蓄増強等の事業並びに石油代替エネルギーの開発及び利用を促進するための施策の財源に充てるため、一般会計から石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計石油及び石油代替エネルギー勘定へ繰り入れるためのものでありまして、四千四百五十七億円を支出いたしました。
 次に、新エネルギー技術研究開発費であります。この経費は、エネルギーの長期安定的供給に資するため、太陽エネルギー、地熱エネルギー等の新エネルギーの利用技術を開発するためのものでありまして、三十五億一千三百六十八万円余を支出いたしました。
 次に、省エネルギー技術研究開発費であります。この経費は、エネルギーの効率的な利用と未利用エネルギーの有効利用を図るため、省エネルギー技術の研究開発を推進するためのものでありまして、高効率ガスタービン等の大型省エネルギー技術、民間の技術等を開発するためのものでありまして、十四億五千五百八十万円余を支出いたしました。
 第二に、中小企業対策費であります。五十九年度の歳出予算現額は一千六百三十億四千六百五十八万円余でありまして、その支出済歳出額は一千五百八十三億七千九百六十一万円余であります。その主なものにつきまして御説明いたします。
 まず、中小企業事業団運営費であります。この経費は、中小企業構造の高度化を促進するために必要な指導、資金の貸付け及び共済等の事業を行うための出資金及び補助金でありまして、五百九十五億六百六万円余を支出いたしました。
 なお、同事業団が行った貸付事業の実績は、一般高度化事業資金三百七十一件、特定高度化事業資金百六十三件、繊維工業構造改善事業資金二十六件等であります。
 次に、小規模事業対策費であります。その支出済額は三百六十一億七千八百十二万円余でありまして、この経費により商工会、商工会議所等が小規模事業者に対して、五百九十九万件余の経営指導、相談を行いました。
 次に、小企業等経営改善資金融資制度であります。この経費は、小企業者等に対する経営指導を金融面から補完し、実効性を確保するため、商工会、商工会議所及び都道府県商工会連合会の長の推薦に基づき、国民金融公庫が、無担保、無保証人、低利による融資を行うためのものでありまして、貸付金として百五十三億円を支出いたしました。
 なお、同公庫が行った融資実績は十六万件余、三千六百八十三億円余に達しております。
 次に、中小企業近代化促進費であります。その支出済額は七十六億三千八百九十九万円余でありまして、設備近代化補助金十三億九百五十二万円余、中小企業機械類貸与補助金十八億二千八百二万円等を支出いたしました。
 次に、中小企業指導事業費であります。その支出済額は八十八億四千六百三十七万円余でありまして、診断指導、技術指導及び研究促進等の事業の一層の強化を図っております。
 このほか、組織化対策費三十七億六千六百九十一万円余、信用保証協会基金補助金三十億円、商工組合中央金庫出資金百億円、中小企業金融公庫補給金九十五億二千八百万円等を支出いたしました。
 第三に、科学技術振興費であります。五十九年度の歳出予算現額は六百十六億二千八百七十五万円余でありまして、その支出済歳出額は六百十五億五千二百二十六万円余であります。その主なものにつきまして御説明いたします。
 まず、大型工業技術研究開発費であります。この経費は、将来の技術開発の核心となり、技術的波及効果の大きい大規模な産業技術につきまして、産・学・官が一体となった研究開発体制のもとで、その開発を行うためのものでありまして、五十九年度においては前年度に引き続き「超高性能レーザー応用複合生産システム」等八テーマの研究開発を推進しまして、八十七億六千七百七十六万円余を支出いたしました。
 次に、電子計算機産業振興対策費であります。この経費は、我が国電子計算機産業の技術力の向上並びに振興を図るため、新しい理論・技術に基づいた第五世代コンピュータの研究開発を行うものでありまして、五十億九千六百六十七万円余を支出いたしました。
 次に、次世代産業基盤技術研究開発費であります。この経費は、我が国が今後、技術立国を実現していくため、基礎的段階の産業技術の研究開発、とりわけ、九十年代に発展が期待される次世代産業の確立に必要不可欠な基盤技術の中から、新材料、バイオテクノロジー及び新機能素子の三分野十二テーマについて、産・学・官の協力の下に、研究開発を推進するためのものでありまして、五十七億五千三百五十八万円余を支出いたしました。
 次に、重要技術研究開発費補助金であります。この経費は、我が国産業構造の知識集約化の基盤となるべき重要技術、環境保全・安全対策技術、基礎素材産業を抜本的に活性化させるための技術等に関し、民間企業の行う研究開発プロジェクトを支援するためのものでありまして、十八億八千三百九十二万円余を支出いたしました。
 このほか、通商産業省の試験研究機関の特別研究費二十四億八千八百九十七万円余、公害防止等試験研究費十五億三千六百八十八万円余、試験研究設備及び施設の整備費十一億七千三百四十九万円余等を支出いたしました。
 第四に、公共事業費であります。五十九年度の歳出予算現額は百八十九億五百一万円余でありまして、その支出済歳出額は百八十億六千三百七万円余であります。
 その主なものは、工業用水道事業費補助であります。その支出済額は百七十九億三百十五万円余でありまして、この経費により、地方公共団体において継続事業六十二箇所、新規事業二箇所の工事を、水資源開発公団において継続事業九箇所の工事を実施いたしました。
 第五に、経済協力費であります。五十九年度の歳出予算現額は百五十九億九千八百四十九万円余でありまして、その支出済歳出額は百五十三億三千百二十四万円余であります。その主なものにつきまして御説明いたします。
 まず、海外経済協力費補助金であります。この経費は、発展途上国に対する経済協力を推進するため、経済協力関係団体が行う海外技術者受入等研修事業等に対する補助金でありまして、四十九億九千七百三十五万円余を支出いたしました。
 次に、海外開発計画調査委託費であります。この経費は、発展途上国における鉱工業、資源等の分野における開発計画を策定するための調査等を技術協力関係団体に委託して行うためのものでありまして、六十四億七百二十九万円余を支出いたしました。
 次に、翌年度へ繰り越しました経費のうち主なものは、民間航空機用ジェットエンジン開発費四十三億一千九百二十九万円余でありまして、民間航空機用ジェットエンジン開発費補助金につきまして、機体メーカーの突然のエンジン搭載方式の変更に対応するため、開発計画を変更したことにより、年度内に支出を完了することができなかったため、経費を翌年度に繰り越したものであります。
 次に、不用額を生じました経費のうち主なものは、中小企業対策費四十三億九千九百三十四万円余でありまして、商工会議所等における経営指導員研修生等の設置月数が予定を下回ったこと等のため、小規模事業指導費補助金を要することが少なかったこと等により不用となったものであります。
 以上をもちまして、通商産業省所管の一般会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。
 次に、通商産業省所管の各特別会計の昭和五十九年度の決算につきまして御説明いたします。
 第一に、電源開発促進対策特別会計であります。まず、電源立地勘定であります。収納済歳入額は一千百六十四億八千二百六万円余、支出済歳出額は五百九十三億五千六百万円余であります。収納済歳入額と支出済歳出額との差額は五百七十一億二千六百六万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は三百三十二億八千三百四十八万円、剰余金は二百三十八億四千二百五十八万円余となっております。
 五十九年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 電源立地対策費でありますが、この経費は、電源立地地域における公共用施設の整備、電源立地促進のための特別対策事業、電源立地地域における安全対策等の推進等に必要な事業費に充てるため、地方公共団体等に対して交付するためのものでありまして、五百九十億二千三十二万円余を支出いたしました。
 次に、電源多様化勘定であります。収納済歳入額は二千三十四億四千三百三十九万円余、支出済歳出額は一千三百六十五億四千六十三万円余であります。収納済歳入額と支出済歳出額との差額は六百六十九億二百七十五万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は三百四十九億五千三百四十一万円余、剰余金は三百十九億四千九百三十三万円余となっております。
 五十九年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 電源多様化対策費でありますが、この経費は、水力・地熱資源の開発、石炭火力発電所の公害防止技術の実証、太陽光発電などの新エネルギー技術開発、原子力発電推進のための技術開発等の施策を行うためのものでありまして、一千三百六十二億一千九十七万円余を支出いたしました。
 第二に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計であります。まず、石炭勘定であります。収納済歳入額は一千四百九十九億九千百三十三万円余、支出済歳出額は一千百七十億三千九百十四万円余であります。収納済歳入額と支出済歳出額との差額は三百二十九億五千二百十九万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は百四十九億五千八百五十六万円余、剰余金は百七十九億九千三百六十二万円余となっております。
 五十九年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 まず、石炭鉱業合理化安定対策費であります。この経費は、新エネルギー総合開発機構が行う炭鉱の整備事業に対する補助及び同機構が行う近代化資金の貸付けのための補給並びに石炭鉱業の生産体制の改善、経理の改善、保安の確保、石炭需要の確保等の施策を実施するためのものでありまして、三百七十五億二百四十万円余を支出いたしました。
 次に、鉱害対策費であります。この経費は、石炭鉱害事業団に対する鉱害復旧事業資金の補助及び同事業団が行う鉱害賠償資金等の貸付けのための出資等を行うためのものでありまして、五百十一億八千二百十万円余を支出いたしました。
 次に、産炭地域振興対策費であります。この経費は、産炭地域において鉱工業等の振興に必要な業務を行う地域振興整備公団に対する出資、石炭鉱業の終閉山により財政状況が悪化している産炭地域市町村に対する交付金の交付及び産炭地域小水系用水の開発事業等の施策を行うためのものでありまして、七十九億四千百三十二万円余を支出いたしました。
 次に、石油及び石油代替エネルギー勘定であります。収納済歳入額は五千二百四十七億一千九百八十万円余、支出済歳出額は三千八百五十億二百六十九万円余であります。収納済歳入額と支出済歳出額との差額は一千三百九十七億一千七百十一万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は一千二百三十六億七千百八十一万円余、剰余金は百六十億四千五百二十九万円余となっております。
 五十九年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。
 まず、石油安定供給対策費であります。この経費は、石油公団が行う石油及び可燃性天然ガスの探鉱等に対する投融資及び公団備蓄事業等に充てるための同公団への出資、同公団に対する交付金の交付、石油備蓄の増強等の施策を行うためのものでありまして、三千百九十五億三千六百七十三万円余を支出いたしました。
 次に、石油生産流適合理化対策費であります。この経費は、石油の流適合理化及び生産技術の研究開発等を図るための石油備蓄技術調査、石油製品需給適正化調査及び重質油対策の研究開発等の施策を行うためのものでありまして、百四十七億二千五百九十五万円余を支出いたしました。
 次に、石油代替エネルギー対策費であります。この経費は、新エネルギー総合開発機構が行う海外炭探鉱に対する融資等に充てるための同機構への出資、日本開発銀行の行う石油代替エネルギー利用促進融資の原資の一部に充てるための同銀行に対する貸付金、ソーラーシステム普及促進、石炭液化ガス化等の石油代替エネルギー技術開発等の施策を行うためのものでありまして、五百一億七千八十万円余を支出いたしました。
 第三に、アルコール専売事業特別会計であります。収納済歳入額は三百九十一億一千七百五十一万円余、支出済歳出額は二百六十九億一千七百六十三万円余であります。
 この会計の損益計算上の利益は百二十億七千四百五十九万円余でありまして、期末資産の増加相当額二億九千九百二十四万円余を控除した残額百十七億七千五百三十四万円余を一般会計に納付いたしました。
 第四に、輸出保険特別会計であります。収納済歳入額は一千八百四十九億六千二百十二万円余、支出済歳出額は一千四百六十七億一千四百九十五万円余であります。
 五十九年度における保険引受件数は六十三万三千件余、その保険金額は十兆三千五百十八億円余でありまして、前年度に対し七千四百八十七億円余の減少となっております。
 第五に、機械類信用保険特別会計であります。収納済歳入額は百九億一千六百六十一万円余、支出済歳出額は十七億一千九百八十四万円余であります。
 五十九年度における保険引受件数は十一万二千八百十七件、保険金額は三千百十四億八百万円余であります。
 なお、この特別会計は、昭和五十九年十月一日に廃止され、その際この会計に属しておりました権利及び義務は、同日付けで中小企業信用保険公庫に承継されております。
 第六に、特許特別会計であります。収納済歳入額は三百三十三億三千七百三十四万円余、支出済歳出額は百九十八億三千百九十四万円余でありまして、差引き百三十五億五百三十九万円余は剰余金となっております。
 以上をもちまして、昭和五十九年度における通商産業省所管の一般会計及び特別会計の決算に関する御説明を終わります。
 最後に、昭和五十九年度通商産業省所管の決算につきまして、会計検査院から不当事項として十五件の指摘を受けたものがありますことは、誠に遺憾に存じております。
 これらの指摘された事項につきましては、直ちに指摘金額の全額を返還させる等、その是正の措置を講じたところであります。
 今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導、監督を行う所存でございます。
 何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算通商産業省についての
   検査の概要に関する主管局長の説明
                会計検査院
 昭和五十九年度通商産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項十五件であります。
 これらは、中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるものであります。
 この資金貸付事業は、都道府県が国から交付された中小企業設備近代化補助金等を財源として中小企業者に設備の近代化に必要な資金を長期間無利子で貸し付けるものであります。
 六十年次の検査におきまして、その貸付けの適否について調査しましたところ、貸付対象設備を貸付けの対象となった事業費より低額で設置しているのに貸付対象事業費どおりの価格で設置したとして貸し付けていたものが六件、既往年度に設置したものに貸し付けていたものが三件、設備設置代金のうち貸付金相当額を、条件に違反して貸付年度中に支払っていなかったものが三件、貸付対象設備を半年もたたないうちに売却しており貸付目的が不達成となっていたものが一件、本資金を受ける以前に別途に中小企業金融公庫から借り入れており、貸付けの要がないのに貸し付けていたものが一件、貸付対象設備を本資金の貸付前に売却しており、その後も設置しておらず、貸付けの要がないのに貸し付けていたものが一件ありました。
 これらはいずれも本資金の貸付けとして、適切を欠いており、ひいては補助の目的に沿わない結果になっていると認められたものであります。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算中小企業金融公庫につ
   いての検査の概要に関する主管局長の説明
               会計検査院
 昭和五十九年度中小企業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
    …………………………………
   昭和五十九年度決算中小企業信用保険公庫
   についての検査の概要に関する主管局長の
   説明
               会計検査院
 昭和五十九年度中小企業信用保険公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
    …………………………………
   昭和五十九年度の業務の概況について
            中小企業金融公庫
 昭和五十九年度におけも中小企業金融公庫の業務について御説明申し上げます。
 一、当公庫の昭和五十九年度貸付計画は、二兆二千四百二十一億円と定められました。
 これに対し、中小企業者に対しては、一兆八千八百九十四億三千百四十六万円の貸付を行ったほか、設備貸与機関に対しては百九十三億三千九十九万円余、また、中小企業投資育成株式会社に対しては、二十一億円の貸付を行い、総額では一兆九千百八億六千二百四十五万円余の貸付実績となりました。
 中小企業者に対する貸付契約額のうち、設備資金は三十六・二パーセントに相当する七千五十八億八千五百十二万円余、運転資金は六十三・八パーセントに相当する一兆二千四百二十七億四千二百八十九万円余となっており、また、直接貸付は六十三パーセントに相当する一兆二千二百六十九億八千六百二十万円(二万九千百九十八件)、代理貸付は三十七パーセントに相当する七千二百十六億四千百八十二万円(四万三千五百四十二件)となっております。
 なお、昭和五十九年度末における総貸付残高は、五兆二千五十三億九千七百二十八万円余となっております。
 貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十九年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は、八百二十四億四千二百四十六万円余でありまして、このうち一年以上のものは、七百二十三億二千九百十一万円余、総貸付残高の一・四パーセントとなっております。
 二、昭和五十九年度の融資に当たりましては、需要の多様化・高度化、技術革新、情報化の進展といった変化の激しい経営環境の中におかれている中小企業者に対し、その事業基盤の強化に資する資金について積極的に対処してまいりました。特に、先端技術産業に関連する中小企業の育成、技術力の向上を図るための貸付制度及び中小企業の情報化を促進するための貸付制度を新設したほか、事業転換貸付制度、産地・特定地域振興貸付制度等の拡充を図るなど中小企業者の環境変化に適応するための資金についてもきめ細かい配慮を払ってまいりました。
 また、中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業に必要な資金、流通機構の近代化、合理化のために必要な資金及び産業公害の防止、産業安全の確保等のために必要な資金についても配慮してまいりました。
 なお、昭和五十九年度におきましては、中小企業者の一層の利便に資するため、東京都立川市に立川出張所を新設いたしました。
 三、次に、当公庫の昭和五十九年度の収入、支出の決算及び損益計算について申し上げます。
 収入、支出の決算について申し上げますと、貸付金利息等収入済額は、四千百九十一億二千八百八十九万円余、支払利息等支出済額は、四千百四十三億四千六百八十三万円となりました。
 損益計算について申し上げますと、貸付金利息収入等の総益金は、五千五十七億五千四百五万円余、借入金利息、事務費、業務委託費等の総損金は、五千五十七億五千四百五万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。
 以上をもちまして、昭和五十九年度における中小企業金融公庫の業務の概況について、御説明を終わります。
                   以上
    …………………………………
   昭和五十九年度の業務概況について
           中小企業信用保険公庫
 中小企業信用保険公庫の昭和五十九年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。
 昭和五十九年度におきましては、国の一般会計から中小企業信用保険事業の円滑な運営を図るための原資として、中小企業信用保険準備基金三百三十億円、信用保証協会の保証活動の円滑化を図るための原資として融資基金百八十億円、合計五百十億円の出資が行われました。
 また、従来、通商産業省の特別会計で運営されてきた機械類信用保険の業務を十月一日から引き継ぐこととなり、これに伴い、機械類信用保険特別会計から機械類信用保険運営基金八億二千百三十万円余を承継いたしました。
 まず、中小企業信用保険事業についてみますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で九十七万七千件余、金額で五兆五千八百四十五億一千百二十七万円余になっており、これを前年度に比較いたしますと、金額で五パーセントの増加になっております。
 この結果、昭和五十九年度末の保険引受残高は、件数で二百七万八千件余、金額で十一兆五千五百九十一億九千四百三十六万円余となっております。
 なお、中小企業信用保険保険金の支払いは一千四百三十八億四千五百六十一万円余になりまして、これを前年度に比較いたしますと、一パーセントの増加になっております。
 信用保証協会に対する融資事業につきましては、昭和五十九年度に国の一般会計から新たに出資されました百八十億円及び既往の貸付にかかる回収金等二千八十五億円、合計二千二百六十五億円をもちまして、二千八十九億九千九百万円の貸付を行いました。
 この結果、昭和五十九年度末における貸付残高は三千三十九億九千九百万円になっております。
 機械類信用保険事業につきましては、公庫が機械類のリース業者等との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で十一万九千件余、金額で六千七百五十億一千百十四万円余となっております。
 この結果、昭和五十九年度末の保険引受残高は、件数で六十二万三千件余、金額で四兆九百九十二億九百三万円余となっております。
 なお、機械類信用保険保険金の支払いは十六億一千百二十万円余となっております。
 次に、収入支出及び損益の概況について申し上げます。
 まず、収入、支出について申し上げますと、収入済額は一千二百七十七億八百四十二万円余、支出済額は一千四百八十八億八千五百九十万円余でありまして、差し引き二百十一億七千七百四十八万円余の支出超過になっております。
 損益計算につきましては、さらに支払備金等の整理を行いました結果、総利益は一千六百二十一億三百二十三万円余、総損失は一千八百四十四億三千十四万円余となり、差し引き二百二十三億二千六百九十万円余の損失金を生じましたが、これは中小企業信用保険・融資事業に係る損失金二百十四億六千四百三十三万円余、機械類信用保険特別勘定の損失金八億六千二百五十七万円余によるものであります。
 このうち、中小企業信用保険・融資事業にかかる損失金は、中小企業信用保険公庫法及び同法施行令の規定に基づき、中小企業信用保険準備基金を減額して整理いたしました。また、機械類信用保険特別勘定の損失金は、機械類信用保険法の規定に基づき、損失の繰越しとして整理いたしております。
 以上、簡単でございますが、昭和五十九年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げた次第でございます。
    ―――――――――――――
#131
○堀之内委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
#132
○小川(国)委員 五十八、五十九年度歳入歳出決算に関する質問でございますので大蔵大臣の出席を必要とするところでありますが、大臣は昼食ということでございまして、私も昼食はまだでございますが、大蔵大臣はこの後も続くようでございますから、先に通産大臣や経済企画庁長官に質問させていただきながら、大蔵大臣がお見えになりました時点で大蔵大臣所管のことについての質疑を続けさせていただきたいというふうに思います。
 最初に、五十八、五十九年度の歳入歳出決算を見ますと、いずれも例年度大変な赤字国債の発行の中で、財政的には非常に厳しい状況の中で今日に至っている、そういうことが現在大きな政治問題あるいは社会経済上の問題あるいはまた文化、教育政策上の問題にもなっております。いろいろな多方面に問題を投げかけている売上税の実施の問題、この問題がこの五十八、五十九年度の歳入歳出決算とまさに不可分のものであう、そういう決算の上から一つ売上税という考え方が政府の中に出てきたのだというふうに私どもは理解をしているわけでございます。そういう面からこの売上税の中心的な問題については大蔵大臣に伺いたいと思うわけであります。
 まず、私ども売上税を実施しようとする政府で言えば大蔵省、逆にその影響をさまざまな形で受ける流通業界、中小企業、そうしたところを見ますと、売上税の問題では業界の生死をかけた非常に重大な問題だということをいずれの業界も非常に真剣にとらえているわけであります。私もこの問題が起こりましてから町の洋服屋さん、あるいは呉服屋さん、クリーニング屋さん、印刷屋さん、靴屋さんあるいは百貨店、チェーンストア、農業団体、漁業団体の方々、あらゆる業界の方に会ってみたわけでありますが、特に日本の流通産業といいますか中小企業といいますか、これはもう非常に今生産過剰の中で過当競争になって、薄利多売で経常利益がぎりぎりという状況の中で経営が行われている。もっとひどい運送業界、トラック業界の方々に会いましたら、もうこの業界は経常利益どころか社会保険とか労災保険の公的費用も払えない、そういう状況の企業も続出しておりまして、そういうところに五%の売上税を課していくことがどんなに過酷なものかということを私ども今身をもってそういう人たちの声を肌で感じているわけであります。
 そういう面で、通産大臣は特に流通業界を指導する立場にあって、そういう方々が一番――百貨店協会にしてもチェーンストア協会にしても中小企業の商店街の連合会にしても、卸売、小売、そういうところが挙げて反対をしている。これはまさに通産省所管の通産大臣のおひざ元の業界が全部反対していると言っても過言ではないというふうに思うのですね。そういう立場で、これは通産大臣の立場で、売上税が実施された場合、こういう業界の死活問題にどういうふうに対処できるのか、今こういう方々が抱えている問題をどういうふうに把握していられるか、まずその点を通産大臣に伺いたい。
#133
○田村国務大臣 おっしゃるとおり、いろいろと業界の方で悩み多い声が満ちておるということは承知をいたしております。特に流通業界におきましては売上税について、これが需要の減退につながるのではないか、あるいは価格転嫁が困難なんじゃないか、あるいは納税コストが大きいんじゃないかというような意見があるということはよく承知をいたしております。
 私ども通産省という役所は、売上税という新税を推進する立場というより、むしろ産業界という存在を考えでどのように売上税に対応していくかというのが通産省の性格でございますから、その意味では売上税の細部の仕組みの決定あるいは運用等に当たりましても、流通業界の実態などを踏まえたものとなるように関係省庁と十分に相談していきたいと思っております。いずれにいたしましても、思い切った内需の拡大あるいは売上税の円滑あるいは適正な価格の転嫁のための環境整備という面でもいろいろときめ細かい配慮をしていかなければならないというふうに考えております。
#134
○小川(国)委員 例えば百貨店などの場合のこの納税コストが大体どのぐらいになるか、この試算はなすっていらっしゃいますか。
#135
○末木政府委員 百貨店の納税コストにつきましては、これはいろいろな前提を置いて考えなければなりませんけれども、百貨店協会がいろいろな想定のもとに試算をいたしましたのを私ども聞いておりますが、初年度、初年度と申しますのは、例えばコンピュータープログラムの変更とか、機器、ハードの入れかえとかございますので多くなるわけですが、初年度に総売上高の〇・四五%程度、それから平年度で〇・一三%程度という試算をなさったのを聞いております。
#136
○小川(国)委員 チェーンストア協会などについてはいかがでございますか。
#137
○末木政府委員 チェーンストア協会では同種の作業を協会としては行っておりませんが、百貨店と似たところもあり、違うところもございます。ですけれども、私の考えるところでは、百貨店に比べますと取り扱う品目の数が少ないという意味ではコストが安くなる要因がございますけれども、一方、チェーンオペレーションで店の数が非常に多いという事務量の多さ、それから販売が小口で多数という面もありますから、両方打ち消し合ってプラス、マイナスあるかと思いますけれども、いずれにしても百貨店とそうべらぼうに違うということではないのではないかと思っております。
#138
○小川(国)委員 百貨店の納税コストで年商一千億円モデルで二億二千八百万円、年商五百億円で九千八百万円、年商三百億円モデルで六千万円、年商百億円モデルで二千万円、こういうような納税コストがかかるという数字が出されておりますが、これは妥当なものというふうにお考えになっておりますか。
#139
○末木政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども、どういう前提を置いてどういう計算をしたかという、これは相当膨大な計算でございますので、その全部について、共同作業をやったわけではございませんし、それから一々の数字をチェックしているわけではございません、結論を伺ったわけでございますから、これが正しいとか正しくないとかというのを今のところ申し上げることはできないわけでございます。しかし、百貨店協会さんは非常に歴史のある団体でございますし、そういったところが一生懸命計算をされたのでしょうから、それなりの根拠があるものなのではなかろうかと思っております。
#140
○小川(国)委員 このほかに主な納税コストの内訳としまして、コンピュータープログラムの開発費とか販売時点の情報管理端末の増加、それから各種伝票の改定、増量。特に百貨店、チェーンストアの場合などは、今まで一枚の伝票で売り上げが済んだものが全部で八枚の伝票が要るようになる。一億円以上の課税業者であるか一億円未満の非課税業者であるか、あるいは課税品目であるか非課税品目であるか、だから仕入れに四つの伝票、それから販売にまた同じような四種類の伝票と八枚の伝票を要するようになる。こういう膨大な事務量の増加、それから今申し上げたコンピュータープログラムの開発なりPOS端末の増加なり伝票処理、こういうもので初年度は納税額の八〇%ぐらいの納税コストがかかってくる、こういうことを言われているわけですね。それから同時に、コンピューターのソフトの開発は来年の一月なんて言われても、大手の一千億単位の百貨店では最低一年以上の準備期間を要するのでとてもこれに間に合わないということも言われておりますが、そういう実態については通産省として、大臣あるいは所管の方で把握されておりますか。
#141
○末木政府委員 先生御指摘のとおり、これに対処するための作業としてコンピューターのプログラムを変えなければならないとかあるいは伝票の設計を変えなければならないとか、そういったことを踏まえて先ほどのような計算をされたと聞いております。大ざっぱな内訳もそのときに伺っております。ただし、伝票が一体何枚になるのかというような具体的な細目につきましては、これはまだこの税全体の細かい実務的な細目が決まったわけではございませんので、例えば税の数値を書き込むにしても非常に大きな欄を設けなければならないのかとか、既存の欄を活用できるのかとか、そういった点によってもかなり違ってくるのではないかと思います。したがって、私どもあくまで今の段階でわかる範囲で想定をした数字を伺っている、そういう形の把握でございます。
#142
○小川(国)委員 大蔵省はこうした点について把握はされておりますか。
#143
○尾崎政府委員 業界で発表されている資料などを拝見しております。
#144
○小川(国)委員 さらに、百貨店とかチェーンストアとか大手のほかに、全国には個人営業を含めて約六百十三万社の事業者がある。そうしますと、そのうちで一億円以上が約七十九万社、仮にこの中の五〇%の四十万社、いわゆる一億円以上の事業体を八十万社と押さえてその二分の一の事業者が新規に人を雇わなければならない。今のことですから一人大体年間五百万ぐらいの経費がかかる。ざっとこれだけで二兆円の納税コストがかかってくる、こういうことになりますし、私ども都内の下町の合羽橋から横山町からあるいは神田から、いろいろな卸、小売の洋服屋さん、呉服屋さん、さっき申し上げた靴屋さんからげた屋さんからいろいろなところを回ってみましたが、今はどういうところへ行っても、じじばばショップとかパパママショップといいまして、夫婦二人か年寄り夫婦二人でやっている中小企業が非常に多いわけです。一億円以上になってもせいぜい二人か三人しか従業員が使えない。そこで、一億円以上であるがゆえに課税業者になり、今申し上げたように八十万社、そのうちの半分が一人の人を雇ったとしてももう五百万という負担がかかる。これは耐え切れないことだ。今全国の商店街が売上税絶対反対という旗印を掲げて政府に厳しく撤回を迫っているのはそういう実情があるからだと思うのですが、通産大臣として、こういう中小企業者の立場に立って、売上税の影響がどういうような深刻なものになるかという実態の把握はどういうふうになすっておりますか。
#145
○末木政府委員 百貨店以外のところについてのお話でございますけれども、どのくらい人手を必要とするかということにつきましては、小売といいましてもいろいろな業種、業態と私ども言っておりますけれども、態様に差がございます。また、経理のやり方についてもいろいろな差がございます。早い話が、コンピューターを使っているところと使っていないところ、コンピューターも一人で使うところと共同して使うところ、それから、小さいところでございますと余り機械化も進んでおりません、手でやるようなところ、お客さんの数の多い少ないもあります、例えば伝票の書き方にしても、お客さんのおいでになる頻度が高くなければその合間に手で書いて済ませられるわけですし、いろいろな態様があると思いますので、どのくらいの人が新規に必要になるかということはまだ今の時点では申し上げることは難しいかと思います。
#146
○小川(国)委員 大蔵省の方では、こうした中小企業に与える影響についてのシミュレーションを何かお持ちでございますか。
    〔委員長退席、古賀(誠)委員長代理着席〕
#147
○尾崎政府委員 ただいまの御質問の、どれだけ人手をふやすかというようなことについての、そういう意味でのシミュレーションはございません。
#148
○小川(国)委員 もう一つ、売上税の実施によって、全国の中小商店がこれに対する担税能力をほとんど持たない。それから印刷業界とかトラック業界とかクリーニング業界とか、経営悪化の業界が非常に多いわけですね、そういうところの経常利益の状況などを把握して、どれだけの企業がこれに耐え得るかというシミュレーションはなさいましたか。
#149
○尾崎政府委員 そのようなシミュレーションはいたしておりません。
#150
○小川(国)委員 少なくも税金を課そうという国の立場においては、それを受ける国民の側にどれだけの苦痛が加わるのか、日本のあらゆる業界にどれだけの負担をかけるのか、日本の企業の現状はそれに耐え得る状況にあるのかどうか、大蔵省は専門の方々がそろっているのですから、日本の各企業の経営分析、大企業から中小企業の業種ごとの業界がどういう実態にあるか、これは私はきちっと各業種ごとの実態を把握される必要があると思うのです。私も社会党の税制の事務局長として二十二業種の団体の人たちに本当に一人一人会ってきました、いろいろな団体の人にも個人経営者にも。いずれの業界も、日本の各業界の大変な過当競争、生存競争の厳しい中でどうにもやりようがないという現実で、数字的には申し上げませんけれども、とても耐えられないという状況を言っております。こういう点については、大蔵省はそこまでのシミュレーションをお考えになっていただく必要があるのではないか、これはひとつ要求として提言として申し上げておきたいと思います。
 次に、宮澤大蔵大臣がお帰りになりましたので、自民党の税制大綱が決まっていく中で、六十一年十二月二十四日に各紙が一斉に報道したものを見ると、非課税品目が四十三項目だったわけです。ところが、十二月末の自民党が発表した税制改正大綱の最終版を見ますと、これが四十四品目にふえているわけですね。この一品目がふえた理由はどういうことでございましたでしょうか。
#151
○尾崎政府委員 四十三が四十四にふえたという御質問でございますが、自民党の方の整理が、私ども伺っております限りでは、四十三品目の整理をいたしましたときに漁船について見落としがございまして、それを一項目後から追加したというように承っております。
#152
○小川(国)委員 私ども大変不思議なことに思っているわけなんですね。十二月二十四日に四十三項目ということで自民党が発表された。これは自民党員でもある大蔵大臣も御存じだろうと思うのですが、たしか十二月二十八日に、今度出された自民党の「Q&A」では四十四品目にふえているわけです。それでその漁船というのが一つふえているわけなんですね。これは大蔵省の方としても、自民党の立場じゃなくて大蔵省の立場でもこの漁船の見落としがあってこれを加えられた、こういうことでございますか。
#153
○宮澤国務大臣 当時のことを思い出しました。御承知のように、自民党が連日連夜大変詰めて作業をいたしまして、そして年末になるものでございますから、おまけに日も迫ってくるということで、これは整理をするにも大変な作業でございましたが、最後のときに漁船というものをみんな集まって討議をしてこれは非課税にすべきだということになっておりまして、それを私どもの役所の者もそのときにおりまして現認をしておるわけなんでございますが、どういうわけか党の方の書類を最後に整理をしますときにそれを落とした、これは全く事務的なミスで落としたそうでございます。それを気がつきましたので後で拾った。私どもの役所の方はその場に関係者がおりましたものですから、これはもともと非課税にすべきものということで当初から了解をしておった、そういう事情がたしかございました。
#154
○小川(国)委員 そうすると、これは自民党の方が四十三から四十四にした。その漁船の見落としがあったので、その年末の四日後に加えた、これは大蔵省も承認した、承知している、こういうことですね。
#155
○宮澤国務大臣 そう申しますよりは、最初どういうものを非課税にすべきかというのは、いわば七つの領域といいますか種類といいますか、ジャンルでございましょう、そういうところから出発いたしまして、それは食糧とか教育とか医療とか、あるいは資本取引とか保険、金融とか、それ自身では業種の名前になり得ない大きないわば大分類のようなところから出発いたしたわけです。それを具体的に現実の事業にしていくとどういうものになるかという作業をその暮れの十何日かの間に自民党の税制調査会がずっといたしまして、大蔵省の者も当然そこにおりまして意見を申したり意見を聞かれたりという作業をずっといたしました。その作業の段階で起こったことでございます。
#156
○小川(国)委員 私は簡潔に答弁を求めているのです。だから、自民党が決定されたことは大蔵省もその段階でお認めになった、こういうことですね。
#157
○宮澤国務大臣 事柄がそういうふうに起こっておりますから簡潔に申し上げられないので、そういう長い時間をかけました経緯の中で自民党の税制調査会の作業に大蔵省も一緒に参画をいたしておりまして、同時決定をいたしたわけでございます。
#158
○小川(国)委員 そうすると、この四十三から四十四に決めたのは自民党と大蔵省と同時決定だ。私どもはその四日間でなぜこの一品目がふえたのか非常に不思議な感じがするわけです。七品目が四十三になり、それから四十四になり、五十一になる、このふえていく過程にいろいろな疑義が持たれているわけです。
 この中で、自民党の「業種別Q&A」の五十九を見ますと、「漁船は、飲食料品たる水産物の重要な生産手段であり、農業における農地と同様に位置づけられるなどの理由によります。」とあるが、漁船法の第二条第一項第一号にある「もっぱら漁業に従事する船舶」が生産手段であるという理由で非課税になった、こういうことなんですね。
 ところが、その漁船法の第二条第一項というのには第二号からさらに第四号までの漁船があるのですが、なぜこれが非課税にならなかったのかということなんです。漁船法の中では、漁船というのは第一号、第二号、第三号、第四号と四号あるのですよ。その中の一号だけが非課税になって、二号、三号、四号は課税になっている、こういうふうに承っているのですが、そのとおりでございますか。
#159
○尾崎政府委員 そのとおりでございます。漁船法の二条の第一号にございます「もっぱら漁業に従事する船舶」を非課税の対象といたしております。
#160
○小川(国)委員 これは、全国の漁業に従事している人から見るとまことに納得のいかない決定なんですね。今お話しのように、自民党さんがミスで見落としたという中で慌てて拾ったから、四号まで拾うべきものを一号しか拾わなかったんじゃないかと思うのです。
 全国の漁協で大衆魚と言われる魚はイワシとかサバとかサンマとか、そういうもので、まあこれはそこにおいでになる大臣方もみんなイワシ、サバ、サンマは御愛好なすっていると思うのですが、そのうちのイワシやサバを漁獲するのはまき網漁業ということになっているのです。そのまき網漁業をします場合には、網船という漁労船があり、そしてそのすぐそばに運搬船がおって、網船で漁獲したイワシ、サバ等を水揚げして市場まで運搬する漁船、これは通常漁労船に二隻附属している。さらに魚群探索船というのがありまして、これは最新の機器類を装備しておって、この機器類を駆使して魚の群れを発見する、そういう魚群の発見に活躍する魚群探索船、そのほか作業船。こういうような網船と運搬船と魚群探索船と作業船というものが数隻をもって一船団を形成してイワシとかサバを漁獲する。そのどの漁船が欠けてもまき網漁業は成り立たないというのですね。
 そのような中にあって、第一号は漁労船だけなんですね、漁労船のみを非課税扱いとして他の船を課税扱いとするのは不合理じゃないか、こういうことなんですが、この点はどういうふうに説明なさるのでございますか。
#161
○尾崎政府委員 売上税は広く薄く原則としてあらゆる取引を対象とするという税でございますので、非課税はできるだけ限定的に考えていくということにいたしております。したがいまして、漁船につきましても、一番基本的なものであります「もっぱら漁業に従事する船舶」のみにつきまして非課税といたしまして、ただいまいろいろお話がございましたみずから漁労活動を行わないで漁獲物等を運搬する船舶でありますとか、あるいは漁業に関する試験、調査、指導、練習または漁業の取り締まりなどを目的とする船舶、そういうようなものも漁船法の中に入っているわけでございますけれども、その種のものは全部外しまして、一番基本的なものだけを対象といたした次第でございます。
#162
○小川(国)委員 これは非常におかしいんですね。魚群探索船がいなかったら、今漁労船だけが行ったって魚の居どころがわからないのですよ、大臣。主として漁業に従事する漁労船が幾ら行ったって、太平洋をうろうろしているだけですよ。魚群探索船が先に行ってこの辺に魚がいるという海中を探索をして、ここに魚がいますよといって初めて漁労船が行って魚がとれるのですよ。それから、魚をとったら今度は運搬船がそのわきにいてそれを積んで運んでくる。これはほかの目的に一切使わないのですよ。一つの船団になっているわけですね。その中の漁労船だけが対象になって、ほかの探索船も運搬船も作業船も全部対象外というのはおかしいんじゃないですか。しかも、漁船法では第二条「定義」の範囲で、漁船とは、この一号、二号、三号、四号、今私が申し上げた船全部を漁船というというふうになっているのですよ、漁船法の定義は。大蔵省が勝手に売上税で漁船法の定義を変えてしまったんですよ、漁船とは一号の漁労船だけだと。これは全国のサバやイワシをとっている漁民からは納得できないんですよ。みんな同じ漁船なんだ、名前が違うだけなんだ、その中の漁労船だけが非課税であとは課税だ、これはおかしいんじゃないですか、大臣。ミスで落としたものを拾い上げたと言うけれども、一つしか拾い上げなかった。これはどういうふうになさるおつもりですか。
#163
○宮澤国務大臣 これはやはり非課税の品目をなるべくそれでも制限しようとしておりますから、どこかで因果関係、関連を切らなければならないということがございますので、それでそういう処理をいたしたということと思います、
#164
○小川(国)委員 国のやることには、幾ら自民党さんと大蔵省が年末慌ただしい中にやったといっても、四日前に決めた四十三項目をひっくり返してもう一項目乗っけるわけでしょう、乗っけるからには大臣もおいでになったでしょう、自民党の偉い幹部の方もいらっしゃったでしょう。そういう中で入れるのに、この漁船法で定義しているその四項目の中の一項目しか入れないというのはおかしいわけじゃないですか。この売上税法全部通して見てみたんですよ。通して見てみますと、みんなその定義に基づいてそれを対象とするというふうに大体なっているんです。漁船法で言えば漁船という定義を漁船法で決めているその定義のものを対象にしている。これだけが定義に決めている四号の中の一号しか対象にしない。これは非常にまずいんじゃないですか、こういうのは。
#165
○尾崎政府委員 自民党における議論の内容なども受けまして、各省庁間でもまた同時に議論を進めたわけでございますけれども、この漁船につきましては一番基本的な部分に限って非課税としようということで、したがいまして売上税法の上では「漁船法第二条第一項の漁船のうち同項第一号に規定する船舶の譲渡及び建造に係る請負」ということで非課税の範囲を定めているわけでございます。漁船の定義を変えたということではございませんで、そのうちの一部だけを非課税の対象にしたということでございます。
#166
○小川(国)委員 これはどうにも納得できないんですよね。さっき申し上げたようにワンセットになっているんですよ。ワンセットになっているならワンセットのもの、四つ一組で一つなんですよ。一つだけやったのでは機能を果たさないんですね。四つがセットになって一カ統一船団をつくって初めてその機能を果たす。全部同格なんですよ。ナンバーだけは一、二、三、四となっているけれども、全部私は同格だと思うのです。それを一つだけやるというのは、これは基本というなら全部基幹船ですよ。漁群探索船がなかったら魚は探せないんですから。おかしいじゃないですか。漁労船だけうろうろしてたってしようがないんですよ。漁労船を基幹船と言わないんじゃないですかし
 もう一つちょっと聞きますけれども、野菜や肉を運ぶ冷凍車、保冷車、これは非課税で、トラック輸送は課税になるんですね。そうすると、船の場合は、冷凍船とか保冷船があったらこれは非課税になるんですか。
#167
○尾崎政府委員 ただ運ぶだけの船は課税でございます。漁船はほとんどの場合は自分で運んでおりますので、一般の漁船の非課税の範囲内で同時にまた運送も行われている例が一番多いのではないかというように存じます。
#168
○小川(国)委員 そうすると、この保冷船とか冷凍船というのは考えてないのですか。
#169
○尾崎政府委員 漁労いたしませんで、魚をとらないで、ただ運搬するだけの船は課税でございます、
#170
○小川(国)委員 そうすると、逆を返せば、保冷船、冷凍船は非課税になる。
#171
○尾崎政府委員 保冷船、冷凍船と先生がおっしゃいます。その船がただ運送だけを目的とするものでございましたら、これは課税になるわけでございます。
#172
○小川(国)委員 そうすると、肉や野菜の冷凍車、保冷車は非課税でございますね、それと矛盾しませんですか。最初に言っているように、農産物と同じように水産物も国民の重要な生活の資源なんだ、だからそれを取り扱うものは非課税にするとこの漁船の項で言っているんですよ。その考え方があればこそ肉や野菜を運ぶ保冷車、冷凍車というのは非課税になったのだ。ところが、船の場合にはそこのところがはっきりしないのですね。ただ運ぶだけはだめだ。肉と野菜の保冷車だって冷凍車だって、やはりただ運ぶだけですよ。
#173
○尾崎政府委員 いわゆる漁船のうち最も基本的な漁労をいたします船についてだけ非課税にいたしたわけでございます。保冷車の場合には陸上の運送でございまして、漁をいたしまして港に着きまして、陸上を運送いたしましてそれが消費者のもとに届けられますときに保冷車を利用いたしますと、その保冷車については当然非課税になるわけでございます。
#174
○小川(国)委員 そうすると、陸を運ぶときは非課税で、海を運ぶときは課税になってしまうのですか。
#175
○尾崎政府委員 陸上輸送の場合には、保冷施設を備えておりますいわゆる保冷車につきましては非課税でございますが、漁船の場合には魚をとった船がそのまま港まで運んでくるというのが通例であろうと思われます。したがいまして、その一番基本的なところだけを非課税としたということでございます。
#176
○小川(国)委員 海の上を運ぶも陸の上を運ぶも同じなんですがね。魚をとった船が海の地点から港まで運んでくるのも輸送だし、そこから消費者のところへ持っていくのも輸送だし、そこのところの扱いは一致しなければならぬのじゃないか、大臣、私はこういうふうに思うのですよ。それが常識だ。
 それからまたもう一つ。今度、イワシなどの場合には値段の非常に安いものですから、もう大半がトラック輸送なんですね。保冷車、冷凍車じゃなくてトラック輸送なんです。ところが、こういう安い大衆魚のトラック輸送には今度は五%課税されるわけでございます。ですから、生鮮食料品は非課税、魚は非課税と言っても、高級魚のように冷凍車で運ばれる、保冷車で運ばれれば非課税、大衆魚の安い魚がトラックで運ばれると、これはトラックだから課税になってしまうんですよ。こういう矛盾はどういうふうにお考えになりますか。それから今の、海を運ぶときは課税で陸を運ぶ方は非課税になってしまう。非常に矛盾しているじゃないですか。
#177
○尾崎政府委員 ちょっと私のお答えにも混乱があったかと思いますけれども、漁船の場合には漁船それ自体を建造する、そのことにつきまして非課税であるというお話でございますし、保冷車の場合にはその保冷車を買うということではなくて、保冷車の運賃について非課税にしているということでございます。ちょっとそこは違うのではないかというように存じます。
 それから、同じ魚でありながら、保冷車で運ぶものとそうじゃない場合となぜ差がつくのかということでありますけれども、保冷車による貨物輸送につきましては、飲食料品の中でも国民生活上量も重要度の高い生鮮食料品の相当部分の輸送を担っているということが一つございます。それから保冷車の場合、割り増し運賃が適用されることによりまして最終的に消費者が負担する輸送コストが高くなるということがございます。そこで逆進性の緩和を図る必要性が高いということがございます。それから構造上はかの車両と明確に区分することが可能でありまして、徴税技術上の混乱も生じないというようなことがございます。そこで保冷車を対象といたしまして非課税にしたということでございます。
#178
○小川(国)委員 大臣、こういうものはECの場合もそうですが、特例を設け始めると混乱が果てしなく出るわけですよ。大平内閣のときに七項目だったものが四十三になり、四十四になり、五十一になり、そういうことの中でもう果てしなく混乱はこれからどんどん起こっていくと私は思いますよ、今のような混乱は。ここで聞いたって釈然としないのですから。
 それから、もう一遍原点に戻って伺いますと、これは今審議官がお答えになったように、みずから漁労活動を行う船舶についてその譲渡及び建造に係る請負は非課税ですということなんですね。だから、これでいきますと漁労船の譲渡と建造だけが非課税なんですね。そのほかが課税なんです。これを漁民の方から見ると、何ともおかしい、一体だれのためにこの一項目を入れたのかと、いろいろなことが言われているわけですよ。造船業界から頼まれたんじゃないか、あるいは自民党の有力な議員が強引にねじ込んだために、こういう法的な体系を乱すような、売上税法案の中で漁船法の定義をひっくり返すようなことをやっているわけです。二つの法律をにらみ合わせてみると筋が通らないのですよ。こういうようないわゆる非課税品目の決め方があっていいのかどうか、五十一項目の中のたとえ一項目、私が調べただけでこういう問題が出てくる。これから五十一項目の課税、非課税の問題を洗っていったら、こういう問題はどんどん続出すると私は思うのですが、大臣、この点についてはいかがですか。今の私のこう言っている点は矛盾しているというふうにお思いになりませんか。
#179
○宮澤国務大臣 まず、この非課税品目を決めるについて何か不明朗なことがあったということはございませんので、その点は明瞭に申し上げておかなければなりません。
 そこで、非課税品目というのを置かなかったらどうなるかということになりますと、これはもう食べる物からお医者さんの医療から薬からといったようなことになってまいりますと、これはなかなかやはり世の中で受け入れていただけないのではないか、やはりある程度、最低のものは非課税にするということはこの税を国民に受け入れていただく上で私は必要であったのではないかというふうにいまだに思っております。
 そういたしますと、やはりどこかでその連続を切らなければならないということになります。先ほどおっしゃったようなのもあるいはその一つの例かもしれませんし、ジュースは非課税である、しかし入れ物は課税だ、ジュースというのは入れ物なしに存在することはないだろうというようなことでも、それも言われればそうでございますけれども、やはりそれはどこかで切ってまいりませんと、これはまた無限に広がっていくということがございますから、そういうことである程度、あるところでその問題を区切っていくということはどうも事実問題としてやらざるを得ないということであると思います。
#180
○小川(国)委員 私は大臣、これをもっとあけすけに言えば、造船業界不況だから、漁船の建造業者から自民党の有力者に要求があって、そして漁船の建造や譲渡もひとつ非課税にしてくれないか、だけれでも大蔵省としては、そんなに非課税品目をふやしては困る、だから漁船法の定義している四号の中で、じゃ一つだけ拾って面倒を見ようや、こういうふうにやったのがこの非課税品目の決め方じゃないか。四つも種類のある漁船の中から漁労船だけを拾って、四つそろわなければ漁業はできない、どれもこれも重要でどれが欠けてもだめだというのに、その一つだけ拾い上げて、これだけ非課税というのは、これは漁民も国民も納得しないと思うのですよ。だからそういうふうに見ていくと、この五十一品目というのはかなり政治力でねじ曲げられた五十一品目になっているのじゃないか。全国の漁民が見ておかしいですよ。同じサバやイワシをとるのに必要な四種類の船があるのに、漁労船だけは非課税でこっちは課税になってくるというのは、これは漁民としてはどうもおかしい。これは大臣、やはり責任持ってこの問題の改善に取り組んでもらいたいと思いますが、いかがですか。
#181
○宮澤国務大臣 決定の経緯につきまして不明朗なことがあったというふうには思いません。
#182
○小川(国)委員 内容については妥当だというふうにお考えになっているのですか、どうなんですか。
#183
○宮澤国務大臣 それは先ほども申しましたとおり、やはりどこかで連続を切っていかなければならないという事情は御理解をいただきたいと思います。
#184
○小川(国)委員 その切っていく切り方かやはり国民に公平だな、公正だなと納得されなければいけないと思うのですよ。漁船法の定義をひっくり返してまでそういうような売上税の非課税業種を決めたら、国民に納得されないのですよ。そういうことだから、やはり国民の、この非課税業種というのは政治力でねじ曲げられて決められたものがかなり入っているという疑惑があるからこそ、大変な負担の上にこういう不公正があってはなお許せないという気持ちがある、こういうことをやはり大蔵省も政府も私は厳重に反省してもらいたいと思うのですね。
 じゃ次に、徴税コストと税務職員の問題についてお伺いしたいと思うのですが、昭和四十年には五万一千百五十一人で、昭和六十一年は五万二千九百十六人の税務署員でございますが、今回の売上税導入に伴って昭和六十二年度の予算で六百三十人、内売上税関係が六百人というふうに税務署員を増員しているわけでありますが、今後の執行体制を考えまして、四カ年計画とか五カ年計画で最終的にこの徴税処理のための税務職員は何名になる、こういう見通しはいかがになっておりますか。
    〔古賀(誠)委員長代理退席、糸山委員長代理着席〕
#185
○冨尾政府委員 お答えをいたします。
 売上税の導入に伴う執行体制につきましては、私どもとしては、これに伴いまして廃止される物品税などの既存の個別消費税の廃止に伴います要員を振り向ける、転用するということに加えまして、事務をできるだけ合理化する、効率化するほか、電子計算機を事務処理に導入いたしまして、これによって積極的に効率的な執行体制をつくるということで、できる限り簡素な体制で臨むことにしております。
 ただいま御指摘のとおり、今年度、六十二年度につきましては六百人の増員をお願いしておりますが、これはこのような簡素な効率的な体制をつくるということで、私どもとして最小限の人員でお願いしたいということでお認めいただいたところでございます。
#186
○小川(国)委員 今後の見通しについての計画はどうなっておりますか。
#187
○冨尾政府委員 現在のところ、定員の問題につきましては私どもとして、これから合理化をしてできるだけ効率的な執行体制をつくり事務を進めていくということで、今後とも状況に応じてお願いをしていかなければいかぬと思っておりますが、御承知のとおり定員の査定は単年度でいただいておりますので、現在のところ、先の見通しにつきまして申し上げるような明確な数字はございません。
#188
○小川(国)委員 大平内閣の一般消費税のときには何名ぐらい必要という試算をなすっていらっしゃいましたか。
#189
○冨尾政府委員 その際には公表した数字として、何人新しく一般消費税に伴いまして増員が必要だという数字は公表されておりませんというふうに承知しております。
#190
○小川(国)委員 大平内閣で国税庁が出した数字というふうに承ったのですが、八千人という数字が出ておりますが、これは公表、非公表問わず、国税庁なり大蔵省としてはお考えになった数字ではなかったんですか。
#191
○冨尾政府委員 ただいま議員が御指摘の数字につきましては、私どもとしては心当たりがございませんし、またそのような数字を公表したこともございません。
#192
○小川(国)委員 公表、未公表を問わず、国税庁なり大蔵省としてこの八千人という試算をしてみた、そういう経過はなかったですか。そういうことは一切なかったんですか。
#193
○冨尾政府委員 そのはうなことは私ども承知いたしておりません。
#194
○小川(国)委員 売上税を実施するに当たって各国の税務署員がどのくらい増員になったか、そういうことについては御研究なさいましたでしょうか。アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、そうした主要な国々で売上税実施後にどのくらいの税務署員がふえたかということ、あるいはまたどのぐらいふえるであろうという数字を出されていると思いますが、そういう御研究をなすった数字はどういうふうになっておりますか。
#195
○冨尾政府委員 お答えをいたします。
 各国の制度につきましては、日本の売上税と納税者の数でありますとか申告の仕方、その他免税点の問題、非課税品目の範囲その他によりまして相当仕組みが違ってまいりますので、一概に比較することは困難かと思います。各国の数字につきまして制度創設する際に幾らかということは必ずしもはっきりいたしておりませんが、現在、例えばイギリスでは付加価値税の関係で一万二千人とか、フランスでは一万三千人というような数字があると承知しておりますけれども、これは制度が違いますし納税者の数も違いますので、その辺は一概に比較できない数字かと思います。
#196
○小川(国)委員 アメリカではどういうような試算をなすっていらっしゃいますか。
#197
○尾崎政府委員 財務省が付加価値税の導入について研究をしたペーパーがございまして、その場合に、付加価値税ないし現在州で行われております小売売上税、そのような税制を連邦が導入した場合には約二万人の増員が必要であるというようにそのペーパーには出ていたと記憶いたしております。なおその場合に、私の記憶が正しければ、前提としております納税義務者の数は二千万人ということであったと存じます。
#198
○小川(国)委員 それだけの、イギリスで一万二千、フランスで一万三千、アメリカで二万、そういうそれぞれの推計の数字なり現実の数字なりを把握して、それと対比して日本はそういうふうにはならないということなんでございます。そうすると、ではどの程度を想定しているのかということでございますが、四カ年計画なら四カ年計画で最終的な数字はどのくらいの人員がなければこの売上税を完璧に遂行していくことは行政上できない、その数字はどの辺に押さえていらっしゃいますか。
#199
○冨尾政府委員 先ほど申し上げた説明の補足になるかと思いますが、現在私どもとしては間税関係の職員を全国で四千四百人ほど定員として認めていただいております。これが従来物品税、酒税その他の担当に当たったわけでございますが、売上税の導入に伴いましてこの大部分の職員を新しく売上税の担当に転換をする、つまり転用をするということになろうかと思いますし、さらに本年そういう形で増員を認めていただいておりますので、これらを最大限に活用するとともに、各事務系統間の応援その他を十分に活用することによりまして、また電算機の導入等当初から計画をさせていただくということによりまして、私どもとしてはできる限り簡素な執行体制とともに、売上税につきましては当初両三年間は指導、相談、広報を中心にした執行体制で臨むということにしておりますので、これらによりまして、私どもとしては、納税者にこの制度を十分御理解をしていただいて制度を定着し執行させていただきたいという計画で今動いているところでございます。
#200
○小川(国)委員 今、物品税担当者と酒税担当者をこちらに回すということでございますが、その人数はそれぞれ何名でございますか。
#201
○冨尾政府委員 先ほど間税職員四千四百人と申し上げましたが、そのうちの半分以上が物品税の担当というふうに理解をしていただいて結構だと思います。
 定員につきましては、間税の場合には必ずしも事務系統ごとに物品税に幾ら、酒税に幾らということではなく、現場の実態は、間税事務一般ということでそれらの定員をいただき、それらをうまく使って仕事をさせていただいているという実態だというふうに御理解賜りたいと思います。
#202
○小川(国)委員 そうすると、間税の四千四百人の中から物品税、酒税を含めて担当者二千四百人、それと増員の六百人、当面はこの三千人でまずお始めになる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#203
○冨尾政府委員 私どもとして基本的には今先生のおっしゃったような方向で検討を進めているというふうに御理解賜ってよろしいかと思います。
#204
○小川(国)委員 そうすると、出発時点は三千人ということになりますが、この三千人で――例えば政府の出されている数値によって売上税の申告書数を計算すると、年商一億超の納税業者が七十九万いる、この人たちが年四回で約三百二十万の書類を出す。年商一億以下の免税業者で課税を選択する人が三十万から政府答弁だと五十万。五十万掛ける年二回とすると約百万。そうすると、約四百万通の申告書を三千人で処理することになると、一人で年間に約千三百通処理するということになりますが、これは可能なことなんでございますか。
#205
○冨尾政府委員 今先生がおっしゃったような申告件数につきましては延べでそういうふうな件数になろうかと思いますが、現在の所得税、法人税、物品税、その他もろもろの従来の税金の関係での申告書の数、それに対応する職員の数その他から勘案をいたしまして、私どもが先ほどから申し上げているような間税職員の転用、新規の増員というようなことで十分に対応していけるというふうに私ども考えております。
#206
○小川(国)委員 三千人で、そうすると、大体一人当たりの担当が業者数にすると年間三百から四百ぐらいになるのですが、一人の税務署員で約三百から四百の業者、月当たりにすると三十件ぐらいになるのですが、こんなにたくさんの件数をさばけるのでございますか。
#207
○冨尾政府委員 お答えいたします。
 私どもとしては、先生の御指摘の数字を必ずしもカバーするということでありませんけれども、申告書が出てまいりましても、それを処理する、いわば検算をし税金を納めていただいたかどうかチェックをするというそういう意味のルーチンの仕事のほかに、いわば指導とか調査という形で納税者の事務所に参りましていろいろ調べさせていただく、こういうこともあろうかと思いますが、それらをひっくるめて従来の所得税、法人税の調査に比べますとそれほど大きな件数ではないというふうな理解を私どもとしてはしておりますし、また、それは十分に対応できる体制に私どもとしてはしていただいているというふうに理解しております。
#208
○小川(国)委員 またうそをつかれては困るのですが、そうすると、大蔵省は三千人の体制で今後のこの売上税問題の処理ができる、こういうふうに言い切ってよろしいのでございますか。少なくともアメリカでも、諸外国では四カ年計画で税務署員がどういうふうにふえていくかというのをきちんと数字を出して国民に示しているのですよ。アメリカでも二億の国民で付加価値税を導入したら二万人の税務署員が必要になる、だからやめたというのがやはり一つの大きな根拠になっているわけでしょう。一億人の日本の国民でやはり一万人ぐらい必要だというのが常識の判断なんですよ。ですから、大平内閣のときの数字を皆さんこれは公式のものではないと言うけれども、八千人という数字はその当時出されているのです。これはやはり一億の国民の中からの業者数を出していけばまあ妥当な数字だというふうに思うのですよ。二億のアメリカで二万、一億の日本で八千、それを皆さんは三千でやり切ると言い切れますか。四カ年たっても三千人でやり切れる、五年たっても十年たっても三千人でやり切れる、こういうふうに言い切れますか。言い切れるなら三千人でいいですよ。だけれども、やはりこれだけのことを実施するならばどれだけ公的人員が必要になるのか、こういうことをはっきり国民に示さなければいけないと思うのですよ。アメリカの場合は、四カ年でどれだけの税務署員が必要になる、みんなきちっと年次計画でこれだけの税務署員が必要になるというのを国民に示しているのですよ。大蔵省の答弁は今まで何遍聞いている中でもそこのところをぼやかしている。こういうことで国民の信は得られないですよ。行政改革の中で、一体どれだけの税務署員が必要になるのか、売上税の税収とにらんでどれだけの税務署員で済むのか、そこのところの対比をはっきり国民に示して、だからこれだけの税収を上げられるのだということでないと、何だ売上税を実施して税収を上げてきたけれどもこんなに税務署員がふえてとんとんじゃないか、こういうことになったらいかぬじゃないか、こういう国民の懸念があるのですよ。だから税務署員は年次計画で最終何人になるのかということをきちっと示すべきじゃないですか。大臣、いかがですか。大臣はその辺の見通しをしっかり持っていらっしゃると思うのですが、いかがでございますか。
#209
○冨尾政府委員 御参考までに申告所得税の例を一つ申し上げさせていただきます。
 申告所得税の場合には納税者の数が約六百万人でございます。そのほかに還付申告等がございますので、それから税額はないのですが申告書を出していただくという要件もございますので、現在は約千六百万の申告書が年間税務署に提出されております。それに対しまして所得税の担当職員は約一万人でございます。そういう形で私どもとしては申告書をいただき、それから実調割合といいますか、その中で事業を営んでいる方という形で毎年お仕事を、商売をしておられる方ということに対します実調率としては大体四%程度調査をさしていただいております。その中で現在の申告納税制度が定着をしているというふうに私ども理解をさせていただいておりますので、そのような数字を一つ御参考いただきましても、売上税につきまして三千人という数字は、先生はおっしゃいますが私どもまだはっきりそこまでの数字はございませんが、大きな枠として、先ほどから申し上げておりますような形の中で私どもとしては現在の増員をお認めいただいた上で十分執行、対応できる状態であるというふうに申し上げさせていただきたいと思っております。
#210
○小川(国)委員 私、大臣もこういう点についてやはり明確な見通しを持っていないといけないと思うのですよ、国民に信頼される政治というものをつくっていく上では。私ども諸外国の例から推算していくと、どう考えても今大蔵省がおっしゃっているような数字ではとても対応できないのではないかというふうに思っておりますし、それから六百人の増員でとどまるというふうには考えられないのですよ。宮澤さんもこれから大蔵大臣から総理大臣になるかもしれないのですが、そのときに、六百人でいいというふうに今言い切れますか。二千四百人の物品税関係にプラス六百人を乗せたぐらいの数字でやり切れると言い切れますか。そのときになって増員計画を出してくるのではなくて、やはり当初からあるものは出す、そしてこういう計画でいきたいということを私はやはり示すべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
#211
○宮澤国務大臣 これから始めることでございますから、きちっと六百人、きちっと三千人ということを申し上げているようではないようでございますけれども、まずまずそれと大差ないところで、欲を言えば切りがございませんが、やらしていただくつもりだ、こういうふうに専門家が申し上げておるのでございます。
#212
○小川(国)委員 宮澤総理になって話が食い違わないようにぜひひとつその辺はしっかりこれからまた詰めていただきたい、こういうふうに思います。
 それから、時間がありませんが、物価への反映の問題ですが、経済企画庁の数字あるいはまた大蔵省の出している数字では、消費者物価の上昇率は一・六%、こういうことになっておりますが、この積算の根拠はどういうことになっておるのでございましょうか。この中に民間コストの納税コストは考慮に入っているのかどうか。五%の売上税実施によるところの物価の増だけで、納税コストの方も相当な金額がかかると言われておりますが、それはこの物価上昇率の計算に入っておりますか。一・六%という数字は余りにも低過ぎる。一・九という試算も出ておるし、四%という数字も出ておりますがね。その点で一・六%の中には民間の納税コストは入っているのかどうか。一・六%の積算の根拠はどうなっているのか。
#213
○海野政府委員 技術的な問題でございますので、私の方からお答え申し上げます。
 この売上税の物価への影響につきまして、ある人は転嫁がとてもできないというふうにおっしゃる方もいらっしゃいますれば、便乗値上げをして五%ではとてもとどまらないのではないかというふうな御意見を言っておられる人もございますが、私どもとしてはあくまでも法律で決められておりますものが最終段階までそのままストレートにいくということを前提にして計算をいたしまして、それは用具といいますか方式といたしましては産業連関表というものを使いまして、これは百六十四部門になります産業連関表を使いまして、課税品目それから非課税品目であっても課税コストが、つまりよく言われますように缶詰の中身は非課税であっても缶はかかるというような場合でございますけれども、こういったものもすべて含めまして詳しい計算をいたしております。ただし、納税コストにつきましては、そのときどきの情勢あるいは業種によって非常に複雑であるということがございますので、私どもの計算の中にはその部分は入っておりません。
 ただし、ちなみに申し上げますと、この一・六%というのは非常に低いとおっしゃいますけれども、私どもの最近の調査では、数十に及びます専門の研究機関あるいは銀行等の調査部などがやっておりますいろいろな六十二年度に関する見通しの中でどの程度売上税を計算しておるかというのを見てみますと、ある研究機関、例えば日本リサーチといったようなところでは一・〇にしかならないと言っておりますし、それからあるところでは一・九、これは具体的な名前を申し上げますと失礼かと思いますけれども、東海銀行などは一・九%というふうになっております。それから最近発表されました日本経済研究センター、見通しの関係では最も権威のある研究機関の一つかと思いますけれども、これが偶然にも私どもと全く同じ一・六%というふうに売上税の影響を試算しております。したがいまして、私どものものが不当に低いというふうには考えておりません。
#214
○小川(国)委員 もう時間がありませんのであれですが、流通業界の計算では約六兆円ぐらい納税コストがかかるというふうに見ておりますし、政府ではこの納税コストはどういうふうに見ておられるか。この納税コストがあるがゆえに諸外国では売上税実施後の物価がぐっと上がっているわけです。その実施後及び実施前の半年前あるいは一年前からもう上がり始めてきている。そういう影響があるのですが、皆さんのものは納税コストを計算に入れてないということは適正な物価上昇率ではないのではないか、五%の売上税だけのそのもので出された一・六ではこれは適正ではないのではないかというふうに考えますが、大臣の方ではこの一・六%については、こういう納税コストというものを加えないで一・六%というものを出しておられるのですか、いかがですか。
#215
○近藤国務大臣 ただいま物価局長から説明いたしましたように、一・六%という数字は産業連関表を使いまして個別に計算した数字の積み上げでございますが、納税コストは計算に入ってないわけでございます。私どもは納税コストについては生産や流通の各過程の合理化の中でしかるべく吸収されて物価の方には反映しないのではないかというふうにも思案いたしますが、実際どうなるかについては必ずしも明確な予想を持っていない、こういうことでございます。
    〔糸山委員長代理退席、委員長着席〕
#216
○小川(国)委員 この点については、私ども一・六%は余りに低過ぎるし、その根拠についてできれば資料で提出していただいて――委員長、交代したところでちょっと恐縮ですが、一・六%の積算の根拠、物価上昇率はどういうふうにして一・六%という計算を出されたか、その積み重ねの数字の表を御提出いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#217
○近藤国務大臣 これは各産業、各会社ごとでいろいろ対応の仕方が違うと思いますので、なかなか一概にきちっとした数字ができるかどうかはわかりませんが、先生の御指示もございますので、ひとつ検討させていただきたいと思います。
#218
○小川(国)委員 終わります。
#219
○堀之内委員長 草川昭三君。
#220
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。
 私は、一昨年から物価問題特別委員会、あるいはまた昨年はたしか予算委員会でも申し上げたわけでございますが、国民生活なかんずく高齢化社会でお年寄りに大変被害を与えました豊田商事事件というのが社会にも大変大きな影響力を与えたわけでございます。その件に関して国税当局の御見解、あるいはまた経済企画庁長官お見えになりますが、国民生活を守る立場からその後の推移についての御意見、あるいはまた豊田商事絡みで三十数億と言われる金額が先物取引市場に今なお流れ込んでいるというような問題があるわけでありまして、先物市場の将来の育成、発展のためにもぜひ通産省の御見解を賜っておさたいという意味で、一番最初にこの件について取り上げていきたいと思っております。
 そこで、警察庁の方にお伺いをいたしますが、いわゆる豊田商法について詐欺罪が適用となりまして、大阪府警と大阪地検が捜査中とのことでありますが、その概要について簡単にお答え願いたい、こう思います。
#221
○古川説明員 お答えいたします。
 大阪府警におきましては大阪地検と協力の上で、全国各地を舞台にしました、純金地金売買を仮装し、老人や主婦等多数の被害者から現金を騙取した豊田商事幹部らによる組織的詐欺事件につきまして、三月二十一日事件検挙に着手し、同社取締役社長ら幹部五人を詐欺罪で逮捕するとともに、同日、銀河計画代表取締役社長を同罪で指名手配し、現在捜査中でございます。
#222
○草川委員 今の答弁にありましたように、詐欺罪で聴取をされておるわけでありますが一私どもの主張は、とにかく厳正に対処していただきたいと同時に、今なお管財人の方々が大変苦労をして旧豊田問題の資金が流れている問題の回収に努力をしておみえになるわけでありまして、それを一日も早く被害者の方々に返したい、こういう立場から、今から申し上げる問題をよく聞いていただいて、どのように対処するかお答え願いたいと思うわけであります。
 私は、六十年の九月十日の物価問題特別委員会で提議をしたこともあるわけでございますが、この豊田商事グループが、水野健という方の経営をする水野興業株式会社の関連をするたくさんのゴルフ場があるわけでございますが、岡山県英田郡作東町の湯ノ郷カントリー、静岡県駿東郡小山町の東名小山カントリー、千葉県香取郡多古町にあります千葉成田コース、それからハワイ・オアフ島にありますところのハワイオロマナカントリーというところを百八十三億円で買収をする、こういう契約を水野興業と豊田商事とが結んだわけであります。二十六億円の契約金をこの豊田商事グループが水野興業に支払ったという事実があります。しかし、この永野社長が六月に刺殺をされたことから、豊田商事グループが倒産をするということを見込んで水野興業はこの契約を解除させまして、中途解約で違約金としてこの金を没収をする、こういう特約条項を盾に豊田商事側の返還請求権を放棄させる、こういう経過があるわけであります。たまたまこの指示というんですか、いろいろ教えたというんですか、相談を受けた弁護士が詐欺破産容疑で調査をされているというように聞いておりますが、問題は、被害者救済のためにも、かかる公序良俗に反するような行為によるところの契約金があるとするならば、それは例えば豊田商事側が返還請求権を放棄したといっても、被害者に返すべきではないだろうかということでございます。
 そういう問題について、警察庁なり国税当局にも今から意見を聞きたいわけでございますが、その前に、たまたま私の手元に、いわゆる豊田商事グループであるところの銀河計画の一員であります日本高原開発という会社が振り出しをいたしましたところの、先ほど申し上げました豊田商事のゴルフ場部門である豊田ゴルフクラブからこの水野興業などに支払われたというところの小切手などの有価証券の一覧表を私は今ここに持っておるわけであります。これを見ますと、一番から全部で六十六番までの番号が振ってありまして、一つ例を挙げますと、六十年三月五日振り出しました一億の小切手、記号番号AG二二七五五五、これは豊田ゴルフクラブから先ほど申し上げました水野健さんのところへ行き、そしてまたこれが松本祐商事というところへ流れているという具体的な有価証券の一覧というものがありますし、ナンバー二十六では五月十日、一億の金額で記号番号AG二二七六〇七、豊田ゴルフクラブから鹿島商事、これは豊田関連の会社ですが、そして今の水野興業の方へ流れて、そしてこれが千葉ゴルフの方へ行くという流れがあります。また、豊田商事の永野社長が殺害されたのが六月十八日でございますが、その前の六月十日、ナンバー三十九では二億円の小切手、記号番号AG二三五〇二五、これが豊田ゴルフクラブから水野健、松商株式会社、松本祐商事というふうに流れていく資料がございます、
 そこで、約二十三億円と言われる金額でございますけれども、我々の調査したところによりますと、水野興業から金融業の松本祐商事に六億、同じような業態のレインボーに二億円、同じような今川というところに五億円、そして水野氏のところに十億円、計二十二億円行っておるわけであります。ところが、先ほど触れましたように、豊田商事グループから水野興業に流れた金額が二十六億円ということになっておるわけでありますから、その差の三億円というのがいまだ解明できないわけであります。この三億円が、推定ではございますけれども、先ほど申し上げましたように中途解約で違約金としてこの金を没収するというような特約条項を盾に返還請求権を放棄させた相談をした弁護士のところにもしこの金が入っているとするならば、当然のことながらこの三億円は管財人に返還すべきものではないだろうかと私ども今思っておるところであります。
 そこで、今のようなことも含めましてどのような捜査になるのか、警察庁に御答弁を願いたいと思うわけでございます。詐欺罪として捜査する過程でこの点を解明すべきではないか、こう思うのでございますが、どうでしょう。
#223
○古川説明員 大阪府警におきまして、先ほど申しましたように現在幹部五名を逮捕して事件の全容を解明中でございますが、今後本捜査の過程で刑事責任を問うべき事実または人物を把握できました場合、同府警におきまして厳正に対処してまいるものと考えております、
#224
○草川委員 ぜひその厳正な対処をお願いしたいわけであります。
 そこで、国税庁にお伺いをいたしますが、先ほど指摘をいたしました水野興業はこの豊田商事とのゴルフ場の売買契約に関して解約というのですか、違約金として二十六億を没収している。二十三億と二十六億との差があるのでございますけれども、そういうことがあるようであります。これを水野興業は収益に計上しているのかどうか。また、この二十六億円の中から三億円が顧問弁護士等に渡っていると推定をしておるわけでございますが、その弁護士の課税は適正に行われているのかどうか、お伺いしたいと思います。
#225
○門田政府委員 先生御指摘の中で個別にわたる事柄が幾つかあるわけでございますが、これにつきましてはお答えを差し控えなければならないという点は御理解いただきたいと思います、
 一般論として申し上げますと、お話しのように不動産等の売買契約に関しまして手付金を収受しまして、契約解除に伴いこれを違約金として没収したというような場合には、その違約金は当然収益に計上し、課税の対象とすべきものであると考えます。
 なお、国税当局としましては、この国会で論議された事柄あるいは新聞、雑誌等で報道された事柄を含めまして広く資料、情報の収集に努めまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行う等いたしまして課税の適正化に努めてまいりたい、かように思っております。
#226
○草川委員 これも、課税の公平という意味からもぜひ厳正な処分をお願いしたい、こう思います。
 そこで、通産省にお伺いし、その次に経済企画庁長官にお伺いをいたしますが、今触れましたように、この豊田商事絡みというのは先物取引市場にかなりの金額が流れ、仕手戦に流用されている可能性があるわけであります。これは私どもも質問主意書で、農水省あるいは通産省にも関連いたしますが、その玉を扱った各取引員に対して厳正な処分を要求してきたところであります。商品取引市場というのにそういう非常にダーティーな暗い面が残るということは、先物取引の国際化ということから考えますと非常にまずい点があると思うのであります。そこで、商品先物市場の拡大のためには、市場秩序の維持のための市場管理を適正に行っていくことが重要であると考えます。こういうような観点から、通産省は今後どのような指導監督を行うのか。特に国際的な非常に大きな展望のある時期でございますし、また今申し上げましたような仕手の排除ということについては断固たる措置が必要だと思いますから、ぜひ具体的な問題提起を行っていただきたい、こう思います。
#227
○末木政府委員 経済の国際化に伴いまして、商品取引所の機能の一層の拡大が期待されている面はおっしゃるとおりでございます。そのためには市場秩序の維持、これは先生のおっしゃるとおり最重要の課題だと私どもも思います。したがいまして、商品取引所に対しましては、相場の乱高下に対して、例えば臨時の増し証拠金の徴収をするようにするとか値幅の制限を強化する、こういった乱高下防止措置をとりまして市場管理の徹底を行いますとともに、取引所の商品取引員に対する監査の充実強化等、これらについて従来から強力に関係者を指導してきているところでございます。今後とも、商品先物市場の健全な発展のためにこのような方向を強化してまいりたいと思っております。
#228
○草川委員 経済企画庁長官、国民生活を守るために、最近の一連の商事関係の詐欺事件等、我々が長い間指摘してきたことにもっと早く対応されていたら高齢者に対する被害ももっと少なくて済んだのではないかと思うのでございますが、長官、どのような御見解でございますか。
#229
○近藤国務大臣 最近、消費生活が非常に高度化といいますか多様化してまいりまして、消費の内容も単に商品だけじゃなしに金銭また不動産等、そうしたものが消費の対象といいますか、消費者も関心をお持ちになっておられる度合いが強くなっておりますので、そうした消費の多様化に即応いたしまして、消費者が不当な損害をかけられることのないように私ども注意をして、また関係各省の方々と御相談しているわけでございます。今、豊田商事のお話も出ましたけれども、消費者の方々でこうした取引はちょっと心配だなということがございましたら、各都道府県に消費者センターがございますのでそちらの方に御照会いただくなり、消費者一一〇番ということで電話でもお答えできる形になっておりますので、ちょっと心配な向きは御相談していただいて、私どもとしては、できるだけ正しい情報を事前に提供するという形で消費者がそうした災害に陥ることのないようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#230
○草川委員 本件はこれで終わりまして、続いて第二番目に、日米半導体紛争に絡んでお伺いしたいと思うのでございます。
 先週末のアメリカ政府の対日報復決定あるいはまたここ最近の円レートの急騰対策が先ほども話題になり、政府の方も対米関係修復のために安倍総務会長が訪米される、こういう状況でございます。議会の関係がどういうことになるかわかりませんが、本来ならば通産大臣もいち早く駆けつけていただいてやられるのではないか、こう思っておったのでございますが、その決意のほど、御希望のほどは後ほどお伺いをします。
 その前に、ちょっと事務的なことでございますが、対日報復対象候補品目の一覧、十四ございますけれども、その中で小型マイクロモーター、これは対象品目に入っているのかいないのか、これをお伺いしたいのです。多分入っておるのではないかと思いますが、もし入っておるとすれば、これは非常に大きな影響力を与えるやに聞いております。
 それはどういうことかといいますと、一つは、ただ単に輸出する、これが一〇〇%かかるから大変だということ以外に、せっかくの機会に日本の企業がアメリカで現地生産する、こういうことがあるわけです。ところが、例えば自動車でもワイパーにはそれなりの小型のマイクロモーターが入っている。あるいは、タイプライター一つとっても三カ所から四カ所入っている。我が国のお得意とするいろいろな情報機器等についても大量の小型マイクロモーターが入っているわけですが、このシェアは大体世界の九〇%は日本が持っておると私どもは聞いております。こういうように、アメリカ側にもかえって迷惑をかける、あるいは日本が向こうへ行って仕事をして雇用をふやせばいいじゃないかということが根底から崩れるようなことにもなるわけでありますし、さまざまな影響力が大きいわけでございます。また、これは小型マイクロモーターだけではなくて、このような例は枚挙にいとまがない、ほかにもあると思うのです。こういう事情を一体どのようにお考えになっておられるのか、現状についてお伺いしたい、こう思います。
#231
○児玉(幸)政府委員 まず、小型のモーターが今回アメリカが発表いたしました対日制裁の対象候補品目に入っているかという点につきましては、アメリカが言っております制裁対象候補品目は、米国の関税表の万けたの分類で全部で十四品目ございますけれども、その中に御指摘の小型モーターで四十分の一馬力以下というものが含まれております。
 こういった小型モーターがどういうところに使われているかということでございますけれども、ただいま先生の方からもいろいろ御紹介がございましたように、大変幅広く使われているものでございます。自動車の電装関係あるいは民生用の電子機器、さらには事務機械、フロッピーディスクドライブ等といった情報機器等、さまざまな機器の重要な部品になっているわけでございますので、ただいまの時点ではこれは制裁候補品目でございますけれども、仮に制裁措置が実施されることになりましたら、これらを使用しております関連企業には確かに大きな影響が出てくるわけでございます。とりわけ、日本から現地に出ております企業もこういったものをたくさん使っておりますが、アメリカの企業自体も日本からこういうものを輸入いたしまして自分の製品に組み込んで使っているわけでございます。そういった意味で、いろいろ影響が出てくる可能性があるわけでございます。
 アメリカ側が言っております手続によりますと、発表されましたこの制裁候補品目につきましては、とりあえず四月十三日に公聴会を行いまして、そこで関連の産業から、これらの品目を制裁の対象にした場合に一体いかなる不都合があるかということについていろいろ意見を聞くことになっているというふうに承知いたしておりまして、恐らくいろいろな意見がその場で出てくるのではないかと思っております。
#232
○草川委員 この対日報復問題等については、アメリカ側には一方的ともとれる解釈がありますし、私どもも、香港だとかシンガポールだとかの現地のバイヤーに物を売る、在庫減らしのためには思い切った価格で売る、領収証、いわゆる送り状というのですか、あて先は悪いけれどもアメリカ本社にお願いをしたいと言ってそのアメリカ本社あての領収証を書くことによって、ダンピングだと言ってアメリカ本土で問題になる、こういう例は枚挙にいとまがないというようないろいろな担当者の方々の苦情も十分承知をしております、だから、アメリカ側にもこの解釈について少し問題があるということは堂々とぜひ御発言されることが必要でありますし、また議会側の感情的な反発ということも我々は十分考えて、その背景というものを冷静に分析することが必要だ、私はこう思うわけであります。わかりやすく言うならば、売る以上は買うということが大変必要ではないか。こういう象徴的な問題について、私はきょうの午前中に農作物の貿易の分野の問題について大蔵大臣の御答弁を得ておるわけでございます。
 通産大臣にお伺いしたいのでございますけれども、いわゆる市場開放あるいは農作物の貿易の分野について、こういうものを含めながら通産行政も対処をしませんと、通産なら通産の範囲内でいかに市場開放問題だとかいろいろなことを申し上げても、かえって反発を招くだけではないか、こんな考え方を持っておるわけでございますが、ぜひ通産大臣の御見解を賜りたい、このように思うわけでございます。
#233
○田村国務大臣 今、二十二品目のうち、石炭を除いて農産物でございます。これは農林水産省の所管でございますが、我々としては、もちろん申すまでもなく市場開放ということは貿易担当省として当然願望するところでございます。昨年十一月の農政審議会の答申を踏まえて、農林水産省も市場価格の決定その他いろいろな面で適切な対応をされると思いますが、農林水産省の問題と言ってしまえばそれまででございますけれども、先般も加藤農林大臣といろいろ話し合ったわけでございますが、今後とも連絡を緊密にしながら、貿易担当省としての意見を述べていきたいと思っております。
#234
○草川委員 大臣は、そういう御答弁でございますが、アメリカへ行かれて、やはり議会側なりあるいは政府要人等について、通産行政の立場から積極的に誤解を解くとかあるいは意見交流をされるというお考えは持っておみえになりますか、
#235
○田村国務大臣 実は、行きたいのです。行きたいのですが、国会がこういう状態で、まあ予算委員会の総括がまだ残っておる状態なものですから、なかなか行くことがはばかられるところがございます。幸い私は、ヤイターとかボルドリッジとかスマート、スミス等向こうに知り合いも多いものですから、ぜひ訪米して話し合いたい。
 率直に言いまして、日米貿易摩擦はすべて日本が悪いというような印象を持っておる人が多いわけですが、私は、それは日本も改めなければならぬ点も多々あると思います。あると思いますけれども、アメリカもまた、誤解に基づく一方的な措置、あるいは、いやしくも世界一の経済大国たるアメリカが日本に対して非常に僭越といいますか激越な態度で臨む。結局底流に誤解がある、あるいは経済、産業構造あるいはまたマーケティング等の違いがある、日本の市場に参入する感覚の違いがある。いろいろな面がおりますからじっくり話し合いたいと思っておりますが、でき得ればどうかひとつ国会の方で私の訪米をお認めを願いたいところでございますけれども、まあ今そういうことでなかなか行く機会がございませんので、とりあえず今夜村岡通政局長と山本機械情報産業局次長を派遣いたしまして、そして緊急協議を提案いたしましたから、向こうで段取りをさせて黒田審議官をバイスミニスタークラスの協議として出したいと思っております。
#236
○草川委員 先ほどの農政審議会の答申も「農業の生産性向上と合理的な農産物価格の形成を目指して」というサブタイトルがついておるわけでありますから、ぜひその趣旨でこういう提案等の具体的な展開ということを申し上げながら向こう側の誤解というのを緩和をさせていくことが必要だ、こう思っております。
 三番目の問題で、海外における日本企業の税制の問題、いわゆるタックスヘーブン等における税務調査の対応についてお伺いをしたいと思います。
 それで、まずその前に大蔵省の銀行局にお伺いをしたいわけでございますが、ブラジルの利払い停止など発展途上国の借金不払いの危機というのが表面化をし、非常に大きな話題になっておるわけでありますし、そういう中で、都市銀行二十八行が発展途上国向けの貸付金を共同で回収する新会社を設立をする。この内容は、利子の支払いなどが焦げついているおそれのある途上国の貸し付けを新会社に移す、いわゆる借金取り立て会社ともいうべき会社をつくろう、こう言っておるわけでございますが、貸し付けた銀行は身軽になって経営の健全化を図るというねらいだという、こういうことでございます。この新会社は、ここからが問題なんでございますが、法人税などの節税対策からタックスヘーブン、税制上の恩典が手厚い税金逃避地であるところの中米のケイマン島に設立をされるのではないかと言われておりますが、そのような事実あるいはまた銀行局の見解をお伺いしたい、こう思います。
    〔委員長退席、古賀(誠)委員長代理着席〕
#237
○平澤政府委員 直接この問題は国金局の問題でございますが、銀行にも絡みますので私の方もこれについては聞いておるところでございます。今、委員がお話しなさっているような方向でやっているというふうに我々は聞いております。
#238
○草川委員 そういう答弁でございますから、多分債権回収に対して新会社ができる方向になると思うのですね。ところが一方、国税の方はタックスヘーブン等に対する税務調査の対応を非常に厳しくするのではないかと言われておるのですが、税務調査の対応について国税の御見解を問いたい、こう思います。
#239
○日向政府委員 タックスヘーブン国に所在する本邦法人の小会社について申し上げますと、その国における課税が軽いことや比較的遠隔地の外国に所在すること等のため、有効な課税資料の収集が十分にできないという事情もございまして、その小会社との取引を利用して脱税する傾向があることは否定できません。
 そこで、私どもといたしましてはこれに対処するため、毎年の調査においてタックスヘーブン所在の子会社との取引の実態解明に調査の重点を置いておりまして、具体的には親会社である本邦法人を通じての徹底調査を初め、利用し得るあらゆる情報を活用して充実した調査に努力しているところであります。さらに、必要な場合には調査官の海外派遣や外国税務当局との同時調査の有効な実施ということを通じまして、この面におきます調査の充実を図ってまいりたい、かように考えております、
#240
○草川委員 今また非常に国際的な連携を強くするということでございますし、日向調査査察部長でございますか、ことしの三月に訪米をされましてメスを入れていきたい、特に日米が年内に同時調査をしたいというようなことを言っておみえになります。若干同じ次元で物を言うのは問題があるかもわかりませんが、片や途上国融資の問題からタックスヘーブンということをうたいながら中南米で債権回収へという方向、それとまた次元が違うかもわかりませんが、明らかに不正行為ということを目的にする海外逃避、この問題を国税は徹底的に追及しよう、こういう非常に厳しい態度ですね。
 これは大蔵大臣にお伺いをしたいと思うのですが、ごく素朴な意味で言うならば、この話は我々国民としては非常におもしろい話ですね。これはどちらがどうなるのでしょうかね。おもしろいと言うと極めて不謹慎かもわかりませんけれども、深刻な話ですね、片や銀行の立場から。しかし、そういうことがもし一般的な問題として見過ごされるとするならば、我も我もということになるのではないだろうか。この点について、大蔵大臣としてはどのような御見解を持たれますか、
#241
○宮澤国務大臣 実は私も詳しく存じておらないのでございますけれども、この話の主たる部分は、あるいは草川委員も御承知でいらっしゃるかと思いますが、結局ファイナンスファクタリングというのでございますか、その部分をよそへ出しまして、つまり国内に持っておりますと無税償却でもできればよろしいわけでございますけれども、それには税法のいろいろ厳しい制約もございます。それでございますから、そういうものをファクタリング会社に移そう、こういう発想と思うのでございます。そのところが大事なのであって、したがって、そのファクタリング会社がこれをある意味で回収できることになりますれば、それはまた自分の方へ戻ってくる、そういう仕組みそのものが一つの工夫なのじゃないかと思って、私はよくは存じませんが見ておりますのですが、その最後のケイマン島の部分というのをちょっと私は十分存じませんで、よく聞いてみます。
#242
○草川委員 これは私どもここで詰めるという話ではなくて、本当に素朴な立場から国際金融の難しさということを見詰めていかなければいけないと思うわけであります。
 それで、今からもまたこれは申し上げますけれども、実は日本の余裕資金というのが海外に流れていることは、これは周知の事実でございますね。せっかく海外に投資をしたものが今目減りをしている。これはユダヤの商法ではないかなんていう本が今大変人気を呼んで、全国的に書店に並んでいるわけです。これはまあ大変人種的な問題で刺激的な言葉でございますから、軽々しく私はその言葉に同調はいたしませんけれども、日本というのは少しおかし過ぎるんじゃないか。せっかく海外投資をしても、ばば抜きのばばを引く可能性があるのではないかという意見というのは国民の間に極めて多いわけであります。それらの資金というのは、後ほど郵政省の方からも聞きますが、簡保資金は今カナダの方に大分逃げておるようでございますし、あるいは発展途上国で一番債権をかぶっておるのは日本だということになる。アメリカに投資をする金額が将来どうなるのかという問題も、これは約三十兆円でございますからあるわけでありますから、そういう議論も含めて考えでいきませんと、ブラジルを初めとする発展途上国の債権処理、簡単に税を軽減するということだけでこれを埋めていくという発想は、国民としては承知しがたいものがあると私は思うのです。これは、間違った形でいくとするならば、こういう場面はいい、こちらは悪いという線引きができるかどうかですね。私は今、非常に重要なことになってくるという考えがしてなりません。いま一度大蔵大臣に、次の質問をした後で結構でございますから、この国際金融の問題についてお伺いをしたいと思います。
 そこで、保険局ですか、生命保険のことについてちょっとお伺いをいたしますが、今資本流出入の動向で一番たくさん海外投資をしておるのは生命保険ではないかと思っておりますが、どのような動向になっているのか。私ども、全体では、資本流出の動向を国際収支の統計ベースで見てまいりますと、債券についての海外投資は約二千百六十六億ドルに累積でなっている。六十年度の場合でも六百九十三億ドルでございますか、その後六十一年、六十二年の一月、二月、こういう段階を見てまいりますと、今申し上げたように月に九十五億ドル、一月の場合でも百六億ドル、こういうように出ておるようでございますが、資本流出入の動向をどのように把握をしておみえになるか、その中で特に日本の生命保険等が買うところの向こうの債券の金額はどの程度になっておるのか、お伺いしたいと思います。          一
#243
○関説明員 六十一年十二月末で生命保険会社の総資産が約六十二兆になっております。その六十二兆のうち外国証券に投資をされているものが約七兆三千億、一一%弱、こういう状況になっております。
#244
○草川委員 ついでながら、簡保の年金の運用について外債投資がどの程度になっているのか、あるいはその外債の投資先がどのように分散をされているのか、お答え願いたいと思います。
#245
○内海説明員 六十一年十二月末現在で簡保の外国債運用残高は一兆四千六百五十億円になっております。そのうち円貨建て外国債が三千三百五十億、それから外貨建て外国債が一兆一千三百億という数字になっております。
 それから国別でございますが、米国、カナダ、スウェーデン、オーストラリア、イギリス、デンマークその他の国々に投資しておりますが、通貨別で申しますとカナダ・ドル、米ドル、英ポンド、ECU、豪ドルということになっております。ちなみに簡保の総資産は約三十二兆円ありますけれども、その五%ぐらいが外債投資というふうになっております、
#246
○草川委員 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、細かい数字は別といたしまして、海外投資の目減りというようなものをどのように把握をしたらいいのか。例えば、我々の方からこれ以上の目減りは困るからといって手控えれば、向こうの方は金利が高くなる、そのことのはね返りによってまた国際的は金融秩序が乱れるという、なかなかお互いに相関関係があって簡単な結論は出ぬと思うのでございますけれども、このまま日本の持つところの余剰資金というものが安易な形で向こうに流れるということはいかがなものかという感じも率直にいたします。また、そういう状態をおもしろおかしく、先ほどのユダヤ商法の本が爆発的に売れておるというような形で国際金融というものを見ていいのかどうか、必ずしも正鵠を得ていない面もありますし、誤解を招くおそれもあると思うので、そのような問題点についての見解をあわせてお伺いをしたい、こう思います、
#247
○宮澤国務大臣 今、機関投資家、特に生保の資産運用についてのお尋ねが直前にございましたものですから、それと余り関連づけた意味で私お答えしますとよろしくないと思いますので、一般論を申し上げるということでお聞き取りをいただきたいと思います、
 いわゆる生保等の機関投資家が海外有価証券を取得するということは、これは一定の制約の中でもちろん認めておるところでございます。それはまだある意味では、仮に万一日本に大きな地震でもございますといったようなときに、生保会社としては海外に危険を分散しておくという意味合いもなきにはあらずと思いますし、自由化の時代でございますから、それは決してとめるべきことではないということを基本的には思っておるわけでございます。
 その場合に、先ほどからおっしゃっていらっしゃいますように、為替差損が生ずるということが問題でございまして、またこれだけ円高が急速に進行いたしますと、為替差損が現実に生じているであろうと思われます。ただ、恐らく投資家としてはそのことはある程度はいわば覚悟の上で、証券価格の値上がりが見込まれる、あるいは金利差があるということで、両方を相殺した計算はやっておるでございましょう。そういう意味では、投資の態度として危ないとか不健全であるとかいうことではなかろうと思うのであります。為替差益、差損といったようなものが、私もそのユダヤの本はちょっとのぞきましたので、幾らかおっしゃっておることはわかっておるつもりですが、まあまあそういうことではなかろうというふうに思っております。
 それから、それと関連づけながらおっしゃいました問題がいわゆる累積債務国に対する銀行の融資の残高の問題でございます。なるほどこれも関連づけて考えるべき問題だなというふうに、今お尋ねを伺いながら傾聴したわけですが、この場合には、いわば累積債務国問題というのは我が国を初めとする先進工業国が共通に解決しなければならない問題である。このよって来るところはいろいろございましょうけれども、現実の問題としては協調して解決しなければならない問題になってまいっておりますから、それを助ける意味である程度金融機関がその一部について税法上の無税償却を希望する、あるいは一部についてそれを認めるということは、これはいわば問題の世界的な意味から見て一概に断るわけにもいくまい。ただ、我が国の場合には、先ほどファクタリング会社のお尋ねがございましたように、かなりそれは厳しくいたしております。かなり厳しくいたしておりますものですから、そのファクタリング会社にそれを渡そうかというような動きになっているぐらいでございますので、その点決して甘くはいたしておらないつもりでございます。
#248
○草川委員 時間が来ましたので終わりますが、質問通告が大分まだほかにございますが、時間がございませんので次の機会に譲りたいと思います。
#249
○古賀(誠)委員長代理 小川新一郎君。
#250
○小川(新)委員 私は、いろいろな経済問題や円高の問題、多少重複するところがございますが、極めて簡潔に御質問いたしますので御答弁をお願いしたいと思います、
 まず、大蔵大臣、通産大臣、経済企画庁長官の御三方に、最近の日米経済問題、貿易摩擦、これらの見方についてなんですが、もはや経済問題とか貿易摩擦などという言葉で表現されるのでなくて、日米経済戦争とか貿易戦争とか、まことに不穏当な言葉がちまたにはんらんしてまいりました。そして、これはもう貿易問題としてとらえるのでなく、政治問題として政府首脳及び中曽根内閣が対処しなければ、日本とアメリカとのいろいろな誤解の問題やらお互いの言い分が一方的になったのでは大変なことになるという危機感を持つ一人であります。
 ちょうど思い起こせば、四十数年前の太平洋戦争の原因を引き合いに出すことはまことに不穏当でありますが、当時、日本を取り巻くABCD経済封鎖ライン、特にアメリカの対日石油、くず鉄輸出問題、こういった問題が、大陸に進出しようとする日本、東南アジアに進出しようとする政策がお互いに相入れず、誤解され、または侵略等々いろいろな問題を絡めた中で戦争に発展した。現在はそのような状態ではないのでございますが、この判断のポイントを誤れば、ますます両国間の摩擦、あつれきというものは深まるのではないか、こう危惧している中で、経済問題ととらえるよりも政治問題としてとらえていかなければならないのではないかという高度な判断を今必要としているのではないかと思う一人でございますので、まずお三方の御意見をお尋ねいたします。
#251
○宮澤国務大臣 最近の事態を戦争だと言うようなことはアメリカ側から聞こえてきたように思いますが、そういうことは厳に慎むべきことであると思います。さようなことを申しても何の役にも立たないことであります、ただしかし、我々にとって事態がまことに深刻であることは変わりがございません。通産大臣初め日本の経済界の皆さんが大変に心配をし対応していらっしゃっても、なおなかなか対応し切れないほどの大事な難しい問題であることはおっしゃるとおりだと思います。
 ただ私は、この背景というのは、やはり日米間の貿易の収支のアンバランスが非常に大きい、これさえなければ、今度のようなことでもあんなに問題にならないのではないだろうかという感じがいたしておりまして、そういう意味では、貿易のアンバランスを何とかして小さくしていく。それはアメリカ側にも努力を求めるべきでありますけれども、日本側におきましても、財政をも含めましていろいろな方法で内需の拡大をしていきまして、昭和五十五年以来急にふえました我が国の貿易黒字、また過度に輸出に依存しておる体制を正常化しなければならないのではないかと思っております。
#252
○田村国務大臣 大体今大蔵大臣が答弁したことで尽きると思いますけれども、私ども実際に窓口となってアメリカ側と交渉いたしております立場から申せば、やはり今大蔵大臣が申しましたように、大きな貿易インバランスというものが一番問題になっていら立ちがある。そこへもってきて、アメリカ自身の財政赤字それから空洞化等々、アメリカが御承知のように世界一のお金持ち国から債務国に転落をしたわけでありまして、そういうことに対するいら立ちというものが大きいと思います。
 先般、大蔵大臣が参加いたしましたG5、G7等で合意を得ました件は、為替レートに対する協調介入ということはもちろんでございますけれども、政策的に協調するということを合意してきました。日本は西ドイツとともに、内需の拡大というものを中心に努力をしなければなりません。同時にまた、アメリカは財政赤字の是正、そして昔のように経済に強いアメリカに体質改善をするということでございましょう。
 そこで、先ほどのお話でございますが、経済ということをとらまえても、とにかく政治というものじゃないのかというお話でございました。私はまさにそうだと思うのです。今こういうもろもろの経済問題を一つ一つ片づけていくために、例えば内需の拡大の問題にしても、今政治的な大決断を示すときではなかろうか。その意味では大きな政治問題だ。同時にまた、アメリカに対してもそれを強く望む次第でございます。先ほど申し上げたように、貿易摩擦というと日本だけが悪いようによく言われるのでありますけれども、私は必ずしもそうではないと思うのです。日本も改めなければならぬ点があるし、努力しなければならぬ点もありますけれども、アメリカもいささか感情的になり過ぎて保護主義へ走っておることはまことに遺憾であり、これは改めていただきたいと思っております。
#253
○近藤国務大臣 もう両大臣のお話に尽きるわけでございますが、何といっても、最近の円高にかかわらず日米貿易収支のアンバランスの改善がなされない、こういうことでございますが、これに対して、短期的な我が国の内需拡大、アメリカにおける財政赤字の減少に加えて、より長期的な展望を持った両国における経済構造の調整政策の実行がなければならないと思うわけでございます。
 我が方もそういう意味で、経済審議会の中に経済構造調整特別部会を昨年九月に設置いたしまして、将来の我が国の経済構造のあり方について今最終的な答申をまとめていただく段階にございますが、そうした経済構造政策の実行を、我が国のみでなしにアメリカにおいてもお願いいたしたい。そして、両国の関係者が、そうした経済構造調整は時間がかかるんだということについて十分な理解を持って、お互いに冷静に対処することが何といっても大事ではないか、かように考える次第でございます。
#254
○小川(新)委員 お聞きしておりますと全くそのとおりでございますが、なかなか人間対人間、国と国との慣行やまたは宗教、哲学、そういったものに違いがある。そういうように一筋縄でいかないところに、政治問題が介入するわけでございます。特に宮澤大臣は、四月八日にまた御苦労をおかけするわけでございます。
 そこで大臣、金利の引き下げ、公定歩合を昨年以来五回にもわたって下げている。預貯金生活者のおじいちゃん、おばあちゃんは今非難ごうごう、大変なかわいそうな状態になっている。これも国策であり、国の政治の立場の中での御協力ということで我々も説得しておりますけれども、果たしてこれが本当の効果が出ているのかどうか、こういう問題も一つ出てきているわけでございます。これらの金利引き下げの効果、特に円相場の安定と景気拡大に与える影響というものを一体政府はどのように見ているかということがまず一つでございます。
 二点目は、日銀総裁が二月二十日、五回目の公定歩合引き下げ決定後の記者会見で、景気や為替に対して金融政策はもう限界に近づいているんだと、これが限界とは言っていないが、近づいているという表現をなされている。円相場が再び急騰している現在、政府は一層の金利引き下げを考えているのかどうか、限界に近づいているこの問題をどのようにとらえているかということが第二点でございます。
 そこで、いろいろと理由がございますでしょうが、機関投資家の外債投資差損防止のためのドル売りもまたこれを加速させているという批判がございます。これは三十日に中曽根内閣首脳の方のお話が新聞に載っておりますが、生保とか損保とかがヘッジ、要するに差損回避のためにドルを売って、そして自分たちの損害、投資をしていらっしゃる大衆または生保や損保に御加入なさっている方々の財産保護のために当然必要なんだというような行為。資本主義社会の中で、自由主義経済の中ではこれは当然考えられてしかるべきでございますが、そのことが円高・ドル安に拍車をかけ、捕らえてみれば我が子なりというような表現の中で、まず首脳の方々、皆様方はどのようにこの問題を今後やっていかれるのか。金余り現象と言われている日本の経済の中で、こういった問題を力で抑えることはできないでしょう。では一体どのような政治的な手段、手法を用いて、こういった我が国の加速をする要因になるものを取り除く努力というもの、これも一つの政治問題として、アメリカやその他の国々を説得する一つの材料になるというように私は思います。
 今、三点にわたって並べ立てましたので、どうぞよろしくお願いします。
#255
○宮澤国務大臣 公定歩合が何度か引き下げられてまいりましたが、やはりこれはその都度為替安定に役割を果たしてきたというふうに私は評価をいたしております。
 次に、これからどうするかというお尋ねでございましたけれども、これは公定歩合の問題でございますから日銀総裁にお任せしていいことだと私は常に考えております。二月の末に日銀総裁が発言をされましたことも承知をいたしておりますが、これは総裁の判断にお任せしてよろしいことだと思います。
 第三の問題は、これは一般論としてお答えするしか方法がございません。具体的なことを知ってもおりませんし、また具体的な発言ということになりますと問題があろうかと思います。一般論といたしまして、機関投資家が外債、外国証券に投資することはもとより一定の範囲内で認められておりますし、たんたん自由化になってまいった時代でございますし、そもそも市場経済というのはそういうことでございますので、正常な取引である限り別段これといって申すことはない。もちろん、一般論といたしまして、それが投機にわたるというようなことになりますと、殊に機関投資家の場合には社会的な責任も重うございますからそれは問題でございましょうけれども、そうでありませんければ特に申し上げることはないということかと思います。
#256
○小川(新)委員 そこで、今私がちょっと不可解に思うことは、これだけの日米経済問題、また政治問題化しつつある問題の解決のために、例えば公定歩合の引き下げ等の問題が日銀総裁の御意見一つだけで一体決まるのかどうか。おれはそういうことは知らないよ、澄田君、あなたが考えたことに大蔵大臣も中曽根内閣もついていくよ、こういうふうに今私は聞こえちゃったのですが、これはちょっと無責任とまではいかないにしても、大蔵大臣のお答えとしてはいかがなものかという気も私はいたします。だからといって、やはりそれぞれのエリアがあるから、そこから先に介入することが私どものような者にはわかりませんが、少なくとも日本を代表なさってこれから世界の、アメリカの方々と一騎打ちをなさろうとする宮澤先生のお言葉にしてはいささか納得いかないのです。これが第一点。
 それから、今の機関投資家、生保とか損保、銀行、証券、こういった問題も、それは確かに自由主義経済社会の中において政治が圧力を加えることは大問題になりますが、経済閣僚会議ではございませんが首脳会議の新聞記事、ああいうことが事実出たのですか。田村先生を私は尊敬しておりますが、宮澤先生の御発言に対して御意見が全く同じようなことが新聞に報道されております。また、それに対して生保や損保の方々は、我々はそんなことはしていないんだ、逆に円高を防ぐ立場に立って、ドルを売るようなことはしていない、買い支えの方に協力しているんだというような意味の記事もきょう載っております。こういうことについて、一体我々はどっちを信頼していいのか。
 だからこそ、政治問題化しているこの問題についてはきょうこうして御三方がおいでのところで、ただ単なる一人一人の責任ではなく、与野党挙げてこの日本経済の大きな危機に至った問題の解決のために、公明党とか何党とかと言わず、政治家のいかんを問わず協力すべきことは協力しなければならぬでしょうし、また御進言して実行していただかなければならぬことはあえて言わざるを得ない、これはもう日本人また日本の政治家として当然のことだと思うのです。どうかそういう点に立っての大蔵大臣の御見識、また御決意、これはもう私どもは本当に期待しております。まして四月八日には、また大蔵大臣の一世一代の大舞台が待っている。今こういった国会の状態の中で、売上税の問題等々いろいろな問題で我々も苦慮しております。でありますから、もう少し親身なお答えをお願いしたいと思います。
    〔古賀(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
#257
○宮澤国務大臣 公定歩合のことについてでございますけれども、もとより大蔵大臣と中央銀行総裁でございますから、ふだんよく緊密にいろいろなことを連絡いたしております。私は、公定歩合のことは何も聞いておりません、知っておりませんと申し上げておるのではございません。お互いによく連絡はいたしておりますが、こういうことは公に発言する際には一元化をしておきませんとよろしくございませんので、そこで日銀総裁の御所管であるというふうに常に申し上げておるわけでございます。
 それから為替のことでございますけれども、先般、政府・与党の昼食会で、これはいわば非公式の雑談でございますが、いろいろな雑談がございました。結局、このときにみんなで話し合いましたことは、それは市場経済ではある、しかし通貨ということになると、同じ投資あるいは投機でございましょうか、その対象としても大豆とか生糸などとはおのずから違いますので、影響するところが非常に大きいのでございますから、そういう意味ではやはり通貨というものについての投機は遺憾だ、こういう話をいろいろいたしたことは事実でございます。
#258
○小川(新)委員 日銀総裁は金融筋、特に銀行とか信用金庫、信用組合等、こういった金融筋の株の投機的な行為についても警告を発しておりますね、これも行き過ぎてはならぬと。ということは、今や総力を挙げてこの経済問題を解決しなければならぬ我が国の、この重大なピンチを切り抜けるための施策の一つとして受けとめなければならぬということには変わりございませんか。
#259
○宮澤国務大臣 ちょっとお尋ねの最後のところの意味がはっきりいたしませんでしたけれども、やはり力を合わせて難しいところは切り抜けていかなければならないということだと思います。
#260
○小川(新)委員 今例を挙げたのは、自己の利益のためにいたずらにそういった株の投機をして、そのことがいろいろな面に反動を起こしているということについての例を挙げたのでございます。私の質問が至らなかった点についておわびしますが、問題は、そういったことを日銀の総裁とか大蔵大臣とか、関係なさっていらっしゃる首脳陣があらゆる角度から、一つずつこれだこれだという決め手はないでしょうけれども、総合的に今のような結果が出ておりますから、その問題についてのお尋ねをしたわけでございます。
#261
○宮澤国務大臣 株式につきましては、御案内のようにときどき金利を上げましたり、証拠金を高くしましたり、掛け目を変えたりいろいろいたします。理事長が警告をされることもあります。その趣旨とされるところは概して、いわば玄人でない、素人の善良な投資家が思わぬ損をされるようなそういう市場の運営はいけないぞ、こういうのが主たる警告と申しますか、措置の基本的な考え方だと思っております。
#262
○小川(新)委員 ひとつそういう面でも大蔵大臣から、何事においても過ぎたるは及ばざるがごとしということで、それが大きな問題を提起するときにはそれなりの決断と指導ということを心からお願いする次第でございます。
 そこで、米国の対日半導体報復問題についてお尋ねしますが、我が国の対米貿易の大幅不均衡の是正、貿易摩擦の解消の一環として、アメリカ側の要求に応じて日米の半導体協定を結ばざるを得なかった経緯は、一面では理解できます。しかし、本質的に自由であるべき産業、貿易の分野に政府の責任で対処し得ない重要な事柄が存在することは当然であり、本来アメリカと日本の政府の責任が負えない分野について、米国に屈して日米半導体協定を結んだことが、その責務を我が国が果たしていないとするアメリカ側の報復を招いた根源ではないかと私は思います。
 特に、協定の内容のうち、米国向け半導体の価格等を監視し、問題があれば適切な措置を講ずるとしている箇所と、日本が第三国へ向けて輸出する半導体の価格等を監視し、問題があれば適切な措置を講ずるとしている箇所は、生産、販売の価格決定が企業の最も本質的な事項であり、これを国が干渉することにまず無理があるのではないかと思うのでございます。これらの点について、どうお考えになっているかということをまずお尋ねいたします。
#263
○田村国務大臣 日米半導体協定は、日米両国を初めとする世界の半導体産業が共存共栄を図る観点から、日本のマーケットにおける外国系の半導体の購入方法、購入拡大、それからダンピング輸出防止、こういうもののために締結したものでございます。この協定は、日米両国政府及び関係企業の努力を通じて、日米両国のみならず世界の半導体産業の持続的かつ健全な発展に資するものでございまして、半導体産業が今後のハイテク産業発展の基盤をなす重要産業であることにかんがみましても意義深いものがあると思っております。
 この半導体協定を結びましたのは、もちろん結ぶよりは結ばぬにこしたことはないのでしょうけれども、日米双方の業界、向こうから言えば日本ということになるんでしょうが、秩序ある貿易と
 いうことが保たれればいいのでありますけれども、ややともすれば誤解を招くようなことがあったりあるいは行き過ぎることがあり得るものですから、日米半導体協定ということでその秩序をはっきりさせよう、こういうことでございますから、その点ではその意義はやはり十分あったというふうに私は思っております。
#264
○小川(新)委員 大臣、一体日本はアメリカから半導体をどれぐらい買えば満足するのですか、向こうは。それが一つ。
 その次に、アメリカ国内に売られているアメリカ製の半導体が協定価格以下に出回っているということが指摘されております。それから日本も、日本でつくった日本の半導体が国内で売られている場合、生産が過剰になり、技術が進み、価格が下がる。それを、ある商人が安いものを買いあさって第三国の商社とかそういうところへ売る、第三国の人たちがそれをまとめてアメリカの経済市場に流す、早く言えばバッタ買い、バッタ売りのような、言葉は悪いですが、そういうようなものはどこで監視し、どのように日米半導体協定に抵触するのかしないのかという問題が出てくる。
 要するに、シェアの問題、流通の問題というものは必ずしも一本調子じゃないわけですね。お互いに生きるために、生き残るためにあらゆる手段を講じ研究をし、その販売経路というものは複雑多岐にわたってくる。しかも法すれすれに来るかもしらぬ。しかし、それが二国間の協定違反というような外交問題にまで発展し、その陰に円高・ドル安問題、またはいろいろな面にしわ寄せが来て、しかもアメリカ議会は日本に対して不誠実をなじり、お互いの誠実さの問題にまでひびが入るようなことがそういった問題から出てきたのでは大変なことになります。
 大臣、一つの例を、今私が申し上げたような問題すら解決できないことは多々この協定の中に含まれている、その辺いかがでしょうか。
#265
○児玉(幸)政府委員 昨年の九月二日に日米の半導体協定が締結されたわけでございます。
 協定の骨組みにつきましては、一つは、日本の市場に対する外国系の半導体の購入の拡大の問題、もう一つは、日本の対外的な輸出に際しましてダンピングを行わないようにということでございます。
 先ほど何か、例えば日本の国内への購入の拡大について、具体的な数量の約束でもあるのかというお尋ねがあったわけでございますが、協定におきましては、これは当然のことでございますけれども、政府が自分で半導体を買うわけではないわけでございまして、あくまで民間のビジネスの中で輸入が進んでいくわけでございます。ただ、日米あるいは世界の半導体の拡大発展ということで考えますと、双方向へ拡大的に交流が拡大するのが望ましいわけでございますので、日本の半導体のユーザーに対しましても外国系の半導体の購入の拡大を勧奨する、英語ではエンカレッジというふうに申しておりますけれども、そのエンカレッジをするというのが協定上の私どもの義務になっているわけでございます。したがいまして、九月に協定を締結いたしまして以来、いろいろな機会に日本のユーザーの方々に対してはこの協定の意義を説き、購入の拡大につきましていろいろな勧奨を申し上げておりますし、ごく最近では三月の二十日にも半導体の大手のユーザーの社長さん方に対しまして、大臣からも購入の拡大について特別の要請をした次第でございます。こういうのが私どもの義務でございます。
 それから、ダンピングの問題でございます。一つは、対米市場へのダンピングの問題でございますが、この点につきましてはアメリカ側は一切文句を言っておりません。運用は非常にうまくいっているというふうに申しておりまして、アメリカの方でいろいろ文句を言っておりますのは、第三国へのダンピング輸出という問題でございます。これにつきましては、私どもは第三国向けの半導体の輸出につきまして、適当な場合に輸出価格及びそのコストについて監視をするという義務を負っております。通常は三カ月ごとに報告をとりまして、それによりまして輸出の動向を見るわけでございますけれども、協定発足当初特に慎重を期するということから、輸出貿易管理令に基づきまして、輸出承認制度によりまして具体的に輸出の流れを見ているわけでございます。
 こういうことで、私ども波打ち際から外に出ます半導体の価格につきましては慎重にチェックをいたしているわけでございますが、昨今言われておりますようないろいろな取引というのは、例えば香港なら香港という場合にも、香港の国内における取引価格の問題が対象になっているわけでご弍」いまして、これは私ども日本の主権の及ぶ範囲を超えておりますし、もちろん私どもが協定上負っている義務の範囲でもないわけでございます。ただ、協定ができましたときに、恐らくアメリカ側でこの協定の意義につきまして相当大きな評価をして、大変な効果があるのではないかという期待感が膨らんでいたということがあるいはあるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、私どもはその協定の内容に従いまして誠実にこれを実行いたしているところでございます。
#266
○小川(新)委員 田村先生、この問題は通産大臣の責任の中にあると思うのですが、今いろいろお話を聞いていて私わかったようなわからぬような感じなんですが、要するに第三国との問題が今度の沖電気の問題、日立の問題、出ているのですね。まあおとり売買だとか販売だとかいろんな表現されて、その買った人もいなければお金がどうなったか、私克明に聞いて、今ここに資料はあるのですが、時間がないから言いませんけれども、実に不可解、不愉快、何だかわけのわからない取引が行われて、これが一つの導火線になった。本当に人間の誤解、お互い同士のかみ合わない、ボタンのかけ違いというものはささいなことから始まっているわけですね。でありますから、こういう協定については本当に、今の主要メーカー及びその関係メーカーがあらゆることを熟知しているのかというと、聞いてみると大筋はわかっていても細かいことについてよくわかっていないみたいですね。そういうところにいろいろな問題が出てくるし、またアメリカ側の言っていることも日本側の言わんとすることもなかなかかみ合わないところも出てくるんじゃないかという気もします、
 そこで、こういう問題についての見直し、撤回、そして大臣みずから何らかのアメリカに行っての説得または交渉、こういうことをお考えになっていますか。
#267
○田村国務大臣 確かにおっしゃるとおり、ボタンのかけ違いといいますか誤解というものが相当ありますし、特に感情に走ってしまっておる。沖電気の問題がおとりだと言われておりますけれども、まあそれはおとりをかけた方が悪いのか、あるいはおとりにかかった方が悪いのかということもありましょうけれども、それにしても黒田審議官が非公式の飯食いの場で言いもしないことを、向こうの閣僚会議の日に合わせて朝刊で、ワシントン・ポストともあろう世界の一流紙がいいかげんな記事をしかも大々的に出してみたり、率直に言って私は不愉快千万だ。だから私も記者会見でも、相手が居直るならこっちも居直る場合は居直るよ、こう言って、率直に言って半導体協定、場合によったら一部または全部の破棄だってあり得るよ、こう言って、強く頑張っておるところでございます。
 ただ問題は、ダンピングというものの定義というのはなかなか難しい問題で、今小川委員のおっしゃったような場合もあり得るわけですが、第三国経由のダンピングはいかぬということに少なくともなっておる以上は、やはりダンピングはいかぬ。ところが政府がこれを、日本政府を幾らアメリカ政府が責めてみても、第三国へ日本の担当官が行って調査できませんよ、そんなことは。それは、向こうの第三国の主権侵害も大変なことになる。ただ問題は、売り買いの場合は、日本の半導体の中である種のものはアメリカの立場におけるシェアが八割近いものがあるんですね。ところがアメリカは日本に、せめて五年間で二〇%を超えるくらいのところまでは買ってくれないかと言っているんです。だから、その意味では日本も努力しなけりゃならぬこともありましょう。ただ、日米の直接の半導体の貿易に関しましては、日本の売り込みについては何ら問題は起こっていない。
 それで、行けたら行きたいんです。ただ、今月四極貿易大臣会議がありますから、当然ヤイターも来ます、でありますから、バイの会談もしたいと思いますし、いろいろと話し合いたいと思っております、いい機会だと思っておりますし、それでらちが明かなければ、場合によったら行かなければならぬかなというふうにも考えております。
#268
○小川(新)委員 いや本当に、聞いてみますと日本の企業が円高問題で非常に悩んでいるときですから、一概に責めるというよりも、聞くも涙、語るも涙ですね。しかも、沖電気の製品は協定された以前につくったもの、そういう在庫品がおとり売買のようなものにひっかかって一ドル八十幾らで売ったとか売らないとか、これが今大きく取り上げられているし、日立の問題では全く誤解に関するようなことを言われている。黒山審議官の例を今先生お引きになったとおり、私たちは日本人ですから日本の利益のために世界の利益をどうしてもいいなんてそんなばかなことを言っているのではございませんし、アメリカの利益も考えてあげなければいかぬ。お互い相互的立場に立っての大きな意味において話をする場でございますから、感情的になるなんてことはありませんが、全くアメリカがこの先端技術の分野で日本におくれをとっていることは事実。なぜおくれたかということは問いませんけれども、この辺のところも御反省をいただきながら、二〇%お買い上げしてくださいというならあらゆる努力で買い上げなきゃならぬでしょうけれども、こういう問題だって買う必要がなくなったときには買えないじゃないですか、こっちが進んじゃった場合。価格の点においても技術の面においても競争時代ですから、これをあえて協定等によって手かせ足かせ、民間の自由主義経済の中で権力が介入すること自体私には納得できないのですが、その辺のことを今ここでがあがあ言うと、日米開戦前夜のような雰囲気になってしまったのではこれはまずいので、この辺のところは大臣のおおらかな大きなお気持ちでのお互いの話し合いの中で誤解を解いていただきたい、こういうことを要請しているわけでございます。
 そこで、売上税の問題についてはもう方々で議論しておりますから私が何も言うことはないのですけれども、例えばくみ取り、衛生、環境だとか、それからメンテナンス、当然地方公共団体がごみの収集とかそういったくみ取りの問題だとか、地方公共団体がやるべき筋の仕事を民間に委託をしている職種がございますが、この職種に対してなぜ売上税をかけるのか私はちょっと理解できないのですが、この辺大蔵大臣、御答弁いただけますか。
#269
○尾崎政府委員 ごみそれからし尿処理につきましては地方公共団体が行う事業となっている例が多いのでありますが、ただいま御指摘のように、地方公共団体が民間の事業者に委託をしているという例があるわけでございます。地方公共団体がみずからそのような事業を行っております場合には、これは一般行政の一環として行われるものでございますので非課税ということになっているのでございますが、民間の事業者が地方公共団体から委託を受けてごみ、し尿処理サービスを行うという場合には、その委託料につきまして、原則として消費一般を対象に課税するという売上税の性格にかんがみまして、これを課税対象にするということにしているわけでございます。しかしながら、委託事業でございますので民間事業者に支払いを行いますのは地方公共団体になるわけでございますけれども、地方公共団体が物品、サービスを購入する場合には、やはり購入者の立場に立ちまして税の負担を負うことになりますので、その分地方公共団体が税の負担を負うような、そのような委託料が決められることになろうかと存ずる次第でございます。
#270
○小川(新)委員 一般廃棄物の処理とか、今おっしゃられた地方公共団体、自治体がやるべき仕事が民間にどんどんなって、今や一〇〇のうち八九%も民間になってきた。同じものを扱うのに、片っ方では税金がかかり、片っ方では税金がかからない。
 ここに私が持ってきました「一般廃棄物は非課税に!」というチラシがございます。これはここで言うのもちょっとなんなんですが、「大・小便をすると売上税がかかります。」「食物は非課税 ゴミは課税! 赤ちゃんも老人も ウンコは課税!タクシーは非課税! 毎日使う便所は課税! 埼玉県清掃連合会」こういうチラシがある。この人たちが今頭にきているのは、公共の仕事に対して、我々の必要品の一番大事な問題が、なぜタクシーは非課税であって毎日使う便所には課税されるのか、しかも公共団体やお役所がやることにはかからないのに民間にかかるんだ。私どもの党はこの売上税に対しては絶対反対なんですが、百歩譲って、これに課税するとかしないとかの判断の基準についても非常に理解に苦しむところでございますので、最後にこの御答弁をお伺いして私の質問を終わらせていただきます。
#271
○尾崎政府委員 地方公共団体の事業を民間の業者に委託しているケースでございまして、確かにその委託料について課税になるわけではございますけれども、課税分は地方公共団体の負担になるという結果になろうかと存ずる次第でございます。地方公共団体がみずからそのような事業をいたしましたときに課税となりませんのは、これは一般行政の問題として行いますため、主体が地方公共団体であるということで非課税になっているわけでございます。
#272
○小川(新)委員 これで終わらしていただきますが、非常に不明快な御答弁で、この続きは後でまたやらさしていただきます。
 ありがとうございました。
#273
○堀之内委員長 大矢卓史君。
#274
○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。大分質問時間もずれ込んでおりまして、はしょって御質問いたしたいと思いますので、明快な御答弁をお願いいたしたいと思います。
 まず、郷里の大先輩の田村通産大臣に敬意を表しながら御質問申し上げたいと思います。
 中小企業問題を中心にお尋ねをいたしたいのでございますけれども、その前に、三月三十一日に財界、経団連会長の斎藤さん、この方を中心にされまして輸出の問題についていろいろと懇談をされて、これからは輸出の自粛を行っていくべきである、そして課徴金制度を新設をしてその原資を内需の拡大に充てるべきだという御発言があったようでございますけれども、これについての大臣の御見解を承りたいと思います、
#275
○田村国務大臣 御承知のように、我が国の代表的な企業が技術革新などによりまして輸出競争力を維持、強化して自由貿易体制のもとで輸出を拡大させてきたことは、その関連中小企業に至るまで大変な活力を得たわけで、我が国の経済繁栄もそれが一つの大きな大黒柱であったということが言えると思います。要するに、現在も節度ある輸出の確保という考え方から、一部品目につきまして確かに必要最小限の範囲で輸出の自粛を行ってきておることは事実でございます。
 ただ、問題は、貿易黒字幅の縮減のために輸出規制策を講じる、これは斎藤さんの御持論でございますが、これを講じるということは、自動車あるいは家電製品等ほとんどの品目で円の手取りが減少しておりますし、輸出数量も減少しております。こういう現状から見て、関連の中小企業分野も含めましてさらに我が国経済に深刻な打撃、つまりこの円高のときに追い打ちをかけるということになりますから、日本の経済は大混乱に陥ることになると懸念されます。また、アメリカの政府も、レーガン政権は自由貿易主義でありまして保護貿易を排しておりますから、我が国が輸出抑制を行うことを決して評価しないだろうと思います。この自由貿易体制を守りまして拡大均衡を目指してきた我が国の基本的立場に反するわけでございますから、輸出規制というのは適切な措置とは私どもは思っておりません。
 問題は、高目の経済成長を図って国内景気を浮揚する、そして拡大均衡を図るようにしていくことを基本として今後思い切った政治的決断をしていかなければならぬ、そういう時期を迎えたのではないだろうか。答弁が長くなってもどうかと思いますからこの程度で終わりますけれども、実際、今いろいろと毎日毎日額を寄せ合っては研究し、苦労し、悩んでおるというような昨今でございます。
#276
○大矢委員 拡大均衡を図っていくことは非常に結構なことだと思いますけれども、しからば具体的にどのような輸入品目がふえていくのか。現状を見ておりますと一向に黒字が減らない。その中で、言葉の上では確かに拡大均衡を図っていくことは非常に望ましいのでございますけれども、その点輸入について何かそういう話し合いの中で、どうすれば拡大均衡の中の輸入が今よりずっとふえていくんだということを、大臣としての御見解を承りたいと思います。
#277
○田村国務大臣 率直に言いまして、協調介入だけで為替レートを決めつけることは無理でございましょう、有力な一つの手段ではあるけれども決め手になるわけではないでしょう。先般、宮澤大蔵大臣が臨まれたG6というのですか、正確にはG7という名称でございましょうが、そこで先ほど申し上げましたように協調介入と、それから先進工業国といいますか、この参加した国々が、我ら何をなすべきやということを話し合って、そして日本や西ドイツは内需の拡大、またアメリカは財政赤字の削減それから体質の改善ということを、お互いに誓い合ったというわけでございます。
 でございますから、内需の拡大ということで日本の体質を外需中心から内需へ移行させていく経済、またそれによって国内における購買力を強め、また輸入力も強めるというふうにして、外国との協調ということでいわゆる協調型の経済構造の調整というような問題、そういういろいろな問題を並べて進めていくことによってこの危機を回避しなければいけないだろう。とにもかくにも、円高というものをどのようにおさめるかということがまず先決だと私は思うのです。でございますから、この円高のときに、さらでだに苦しいときに輸出規制をすることによって、大企業はまだ力がありましょうけれども、その関連下請の中小企業が大変なことになるというような、パニック状態になるかもしれないような不況要因はできるだけ避けていかなければならぬのじゃないかと思っておる次第でございます。
#278
○大矢委員 今の状態でこの急激な円高がもとに戻るというようなことがあるのでしょうか。大蔵大臣、いかがですか。
#279
○宮澤国務大臣 それは相場のことでございますので申し上げるべきことでないと思いますが、もともとプラザ合意で期持されたことは、これだけドルが下がっていけばやがてアメリカの貿易収支が改善する、それを目的にしてみんなが努力をし、我々も苦労しておることでございますから、そうなりますと、いわゆる経済の基礎的条件はアメリカ経済にとってよくなるはずである、そういうことはまた円とドルとの関連にそういう影響を及ぼす、こういうことは考えても、そもそもそういうためにプラザ合意をしたのではないかという思いが私はいたすわけでございます。
#280
○大矢委員 そういうことだとおっしゃいますけれども、現実に円は上がる一方であります。そういう中で、やはり通産大臣もおっしゃっていますように、内需の拡大によって、拡大均衡とまではいきませんけれども、せめて輸入をふやして輸出に追いつくなり、輸出を抑制しながらバランスをとっていくことが必要だと思います。
 内需の拡大が叫ばれておりますときに売上税の問題が出てきたわけですが、このことについて経企庁長官、売上税が内需の拡大に好影響を及ぼすのかどうか、まずお伺いいたしたい。
#281
○近藤国務大臣 売上税の導入によりまして日本経済がどういうような発展の経路をたどるかということにつきまして、実は当庁の計画局で中期経済計画を立てるときに使っております中期多部門モデルを使って計算をいたしますと、四年の期間にわたって平均で申しますとGNPに対して毎年〇・一%ずつ押し上げる要因がある、こういうことが計量経済学的な分析によって結果として計算をされております。
#282
○大矢委員 経企庁長官は、売上税が導入されることによって景気がよくなるという判断でございますか。
#283
○近藤国務大臣 売上税は物価を押し上げる効果がございますので、それなりに実質所得は減少になります。ですから、そのことだけを考えますと消費に対しては抑制的な効果があるわけでございますが、今回の税制改正はそれと同時に所得税そして法人税の減税措置も含むパッケージでございますから、所得税の減税が消費を促進し、そして法人税の減税が企業投資を促進していきます。こうしたプラスの効果を考えますと、特に今回の税制改正におきましては法人税、所得税の減税がさかのぼって四月から実行になる、売上税は来年一月からでございますから、同じ増減税ゼロと申しましても減税効果が先行いたします、そうしたことを総合的に考えますと、税制改正全体としての効果を計量いたしますと少なくともマイナスにはならない、ささやかでございますがプラスの効果を持つ、かように判断をしております。
#284
○大矢委員 これは意見の分かれるところでございますのでやむを得ませんけれども、それでは経企庁長官に引き続いてお尋ねをいたしたいと思います。
 今度の税制の改革は、一つの大きな言われ方は直間比率の見直しということがあると思います。それにつきまして、六十年二月十四日の衆議院予算委員会で当時の金子経企庁長官が直間比率に触れていらっしゃいますけれども、将来いろいろな経済見通しを立てる中で大きな税制の改革、直間比率はどういう姿がいいのか、お尋ねいたしたいと思います。
#285
○近藤国務大臣 日本だけに限りませんが、世界の先進工業国においていろいろ所得税、法人税について特別の個別的な優遇措置を講じてまいった結果、そのことが経済全体としての活性化をそぐような影響を与えている。企業においても、積極的な企業の経営合理化の観点から投資するよりも、むしろいかにして節税が可能かという観点から投資をする傾向がある。こうしたことで、できるだけ直接税――所得税、法人税は簡素合理化をする。しかし、その分の減税をどこで見るか、こういうことでございますので、そのためには課税ベースの広い税制を導入しなければならぬであろう。こういう観点に立ってまいりますと、やはり所得税、法人税中心の直接税から、いわば間接税、課税ベースの広い間接税に移行するというのが世界的な税制改革の流れである、かように考えておる次第であります。
#286
○大矢委員 そういう御説明でございますので、理想的な直間比率はどのようなことでございますかということをお聞きいたしております。
#287
○近藤国務大臣 これはそれぞれの国の事情によって異なりますし、現段階でどの率が正しい直間比率がということについてはなかなか一概に言い得ないものがあるとは思いますけれども、少なくとも現状の日本における直間比率は直接税に偏り過ぎておる、これを是正すべきだ、かように考えておる次第であります。
#288
○大矢委員 是正すべきであるということで今度の大改造が行われたわけであります。今の五%というこの税制の中での試算は出ると思いますけれども、将来直間比率を見直すということで大きなこういう税制の改革が行われるわけでありますから、非常に見識に富んでいらっしゃる経企庁長官、金子前経済企画庁長官もその当時はっきりと意見を述べていらっしゃるわけでございますから、ただ単に直間比率を変えたらいいんだということだけでなく、今後の経済見通し等中長期のいろいろなものをお立てになるあなたとしては、やはり一つの見識を持っていらっしゃって当然だと思います。直間比率どうあるべきだということを、この際はっきりとお願いをいたしたいと思います。
#289
○近藤国務大臣 先ほど来申しておりますように、現在の日本の税制は直接税に偏っておりますからこれを正すべきでございますが、最終的にどの率が一番理想的かということにつきましては、財政需要との関係もございますし、また直接税においてさらにどの程度の減税を進めるかということもございますので、先ほども御答弁申し上げましたけれども、どの率が理想的であるということはどうも一概に言い得ないのではないか、かように考えております。
#290
○大矢委員 しからば、この五%を導入いたしますとどういう直間比率になりますか。
#291
○大山政府委員 売上税が導入されました初年度の六十二年度の直間の姿でございますが、国会に御提出しております資料でございますけれども、現在の直間比率が直接税七二・九対間接税二七・一でございます。これが六十二年度予算におきましては七〇・四対二九・六程度になろうかと存じます。なお、これは初年度の姿でございますが、平年度化をいたしました場合にどのような姿になるかということでございますが、全体の平年度の姿が増減税四兆五千億それぞれということでございますが、その中の国と地方の配分がございます。そういったことを大ざっぱに計算の要素として入れますと、大体二対一ぐらい、直接税二に対して間接税一というくらいの割合になろうかと推計をいたしております。
#292
○大矢委員 平年度で二対一だということでございますけれども、そういうことが理想的だとお考えですか、長官。
#293
○近藤国務大臣 大体二対一の比率、フランスやイギリス、ドイツを見ますと、そのあたりから六対四あたりでございますので、そうした水準が現在国際的に見られる一つの水準ではないか、かように考えております。
#294
○大矢委員 日本では二対一、そしてフランスでは六対四だ。その六対四が理想的だとお考えですか。
#295
○近藤国務大臣 先生、理想的な数字、水準とおっしゃいましたが、これはなかなかいろいろな配慮がございますので、再三申し上げておりますように、どの水準が理想的かということは、そのときどきの経済情勢やいろいろな財政的な考慮から決められるべきものであって、今の段階でなかなか一概に申し上げにくいのじゃないかと思うわけでございます。
#296
○大矢委員 財政的な事情で決まってくるということでありますと、今の平年度で二対一というこの直間比率が変わっていくということでございますか。
#297
○近藤国務大臣 これは、例えば財政の合理化が進んで財政的な需要がそんなに伸びないということであれば、その間接税に対する比重、ウエートがそんなに重くならないかもしれませんし、片っ方で、社会保障だとかそうした新たな財政需要が将来予想されるということになりますと、それをどっちの形で、直接税で見るのか間接税で見るのか、こういうような議論をしなければなりません。したがって、そういう観点から、この財政需要との絡みでどれくらいの直間比率が理想的な水準であるかということについては一概に決しかねる、こういうことではないかと思います。
#298
○大矢委員 今回の税制改革というのは戦後の一大改革だと言われておる。そして、それが直間比率の見直しから始まったと言われておる。そして、将来に向けて、老齢化社会に向けて大変な負担増になってくるから、この際にこういう税制を導入したい。公約違反、いろいろな問題がございますけれども、それとは別に、こういうことをしたいということで今御提案になっておられるわけであります。でございますから、今言われましたようにいろいろな要素があって、今のように財政がもっと切り詰まっていって需要が少ないのではないかというような、そういうのは今度の大改革に対する政府の説明とは全く裏腹なものがあると思うのです。財政が将来非常に大きな需要になってくるので、この際直間比率の見直しをしたいということがこの売上税の導入の一つの大きな柱である。
 そういう中で、理想的なものは別としても、私がお聞きしたいのは、このような平年度の二対一という姿が非常に望ましいんだ、このままずっとこういう五%の形でやっていくことが望ましいんだということになるのか。それとも、出発点はこうではあるけれども、将来老齢化社会に向けての非常な財政需要の増大から、やはり直間比率はもう少し変えていかなければならぬのではないかというような、これは国民にもっと親切に説明をしていただいて、そして国民はそれに対する自分たちの意思表示をしていくという大事なときであると思う。それをまた、前提を全然崩して、そういう仮定の問題だから、今はこれだ、しかし将来はどれがいいかわからないということは、私は非常に不親切だと思う。またそれは、言われておりますようにうそにつながることだ。やはりこういうことに踏ん切った限りは、将来こういうふうになっていきますよということを示しながら、こういうことになってもこういう税制改革は必要なんだということなら、必要だということで国民にお訴えになることが国民に対しての非常に親切なやり方だと私は思う。もう一度お伺いします。
#299
○近藤国務大臣 財政需要が将来減少するということは、率直に言いまして仮定の議論と申し上げたわけでございまして、傾向としては、先生も御指摘ございましたように、日本は高齢化社会に進んでまいりますので、そうした社会保障的な負担をどういう形で見るかということになってまいりますと、このためにも間接税を導入することによった課税ベースの広い税体系をおつくりしておる、こういうことだと思うわけであります。
 ただ、その基本的な考え方といたしましては、税制というものはいろいろな税体系がございますので、特定の税に余り多くの負担を与えない。所得税、法人税、間接税その他いろいろな各税がございますから、そうした各税でそれぞれの役割を担って、全体として国家に必要な税収を確保することがどうもこれからの正しいありようではないか、かように考えておりますので、そういう観点からまいりますと、直接税、間接税はこの割合が理想的、正しいということは、再三申しておりますけれども、ここでは一概に決めかねるのではな
 いか、こういうことでございます。
#300
○大矢委員 大蔵大臣、今の経企庁長官のお考えはお考えとして、今度のこの売上税の導入ということにつきましては、私が申しておりますように直間比率の見直しということが大きな柱になっておると思う。先ほど言われましたように、大体平年度で二対一になるのではないかということでございますけれども、これが理想的な形であるということでお考えでございますか。
#301
○宮澤国務大臣 とにかく七二と二八なんというのはいけないものでございますから、これはいかにも変えなければいかぬということなんでございますね。
 ところで、どういう直間比率が理想的なのかということは、専門家に聞きましても私になかなか答えてくれない。それは答えられないということの意味は、恐らくそういう歳入が歳出にどのように使われていくかということにまず関係するだろうと思います。社会保障なり所得再配分機能をどれだけ歳出面が持っているかということがあろうと思います。つまり経済の諸元を考えていけばいいわけでございますから、財政はそうである、設備投資が非常に意欲の強い社会であるかそうでない社会であるか、消費についての意欲が高いか少ないか、国民所得全体が相当高い水準の社会であるか低い水準の社会であるか、比較的格差が少ないか大きいか等々、そういうことが全部関係してくるわけでございますから、一概に直間比率はどういうことが一番理想的だということは言えないんだというふうに私は聞かされております。それはまた、恐らくそうであろうと思います。
 が、少なくとも申せることは、今の我が国にとりまして、これだけ所得水準が高くて、格差が少なくて、しかも所得税も法人税もいかにも重い、それからやがて老齢化社会を迎える等々のことを考えますと、七二対二八とかそれではいかにもいかぬな、直さなければいけないなということはわかっておると思うのです。
#302
○大矢委員 現状ではいけない。しからば、二対一ならいいのですか。
#303
○宮澤国務大臣 仮に六六対三四とかいうことになれば、今よりはよろしいのだと思いますが、それが理想であるかということになりますと、先ほど申し上げましたようないろいろな理由から、一概にはなかなか言えないということかと思います。
#304
○大矢委員 一概には言えないですけれども、大蔵大臣としてはどうお考えでございますか。
#305
○宮澤国務大臣 今よりはいいということと思います。
#306
○大矢委員 そういうことになりますと、やはりこれは将来に向けても長期の見通し等非常に難しいと思います。ただ単に、今これだけの減税をするからこれだけふやすんだ、後の経済効果も見通しも全然なしに、ただ単にその場限りのことで帳じりを合わせたらいいんだというようなことに受け取れるわけであります。
 この点はまた後ほどの機会に譲るといたしまして、通産大臣にお尋ねをいたしますけれども、三月三十日に公取の委員会並びに中小企業庁は下請代金支払遅延等防止法の運用基準というものを新しく定めたということでございます。御承知のように、これができましてからもう三十年たつわけでありますけれども、なかなかこの立法の趣旨が生かされておらないのではないか。
 私も下請の協同組合の理事長を長い間やってまいりましたけれども、親会社と下請会社というのは対等ではないわけであります。その取引を継続するかどうか、継続をしないときには腹をくくってすべての問題で自分たちの言い分を言えますけれども、言えない非常に弱い立場であります。そしてまた、支払いの手形につきましても、あたかも百二十日が当たり前のように書いてございますけれども、百二十日の手形を割り引きますのにこれは可能な期間だということのようでございますけれども、納品をいたしましてから六十日、そして百二十日、百八十日といいますと半年であります。このような、製品ができてから納めて六十日、百二十日、半年後に初めて現金化される。そして、この対象からいきますと一億円以上ということ、また下請が一億円以下という定義でございますけれども、この定義そのものにも私は非常に問題があると思います。
 それらを含めて、今後弱い立場にございます下請企業をどのようにして守っていただけるのか、大臣の方から御所見を承りたいと思います。
#307
○岩崎政府委員 下請企業、特に現在のような厳しい経済状況の中では、それの親企業からする不当な圧迫、これを最大限防ぐようにということで、私どももこの一年半特にその面は強く意識して、この下請代金支払遅延等防止法の運用の強化に公正取引委員会と一緒に努めてきたところでございます。
 去年の四月、七月に、円高の状況の中で特別の調査あるいは立入検査もいたしましたし、それから今、半年に約一万八千企業の親企業の書面調査、したがって年間では三万六千ぐらいの企業の書面調査をいたしまして、その書面調査の中で違反の疑いがあるものについては一々立入検査をして、違反が確定したものについては原状回復をさせているところでございます。
 今御指摘の三月末の通達といいますか運用基準の改正、これは何がそういう違反であるか、これはなかなか個別の取引の中では判断が難しゅうございます。そこで、特に受領拒否、購入強制あるいは不当値引き、こういうことについて、具体的にこういうこと以外は違反ですよという事例の確定を細かくして今回発表したということでございまして、具体的に親企業、下請企業が取引をいたします際のより明確な判断基準を提示した、こういうことでございます。
 それから、下請代金法では割引困難な手形を出してはならないということになっておりますが、その割引困難な手形というものの一つの指導基準として、繊維においては九十日、その他においては百二十日以上の長期手形は出してはならないという指導をしておるところでございまして、この面もそういう調査、検査の一つの基準として厳正に運用に努めているところでございます。
#308
○大矢委員 手形の件につきましても私は問題があると思います。しかし、今は時間がございませんので、その他中小企業の金融等、大企業に比べて非常な不利な扱いを受けておるということはもう御承知のとおりであります。
 この際、最後に田村通産大臣に、通産行政の中で中小企業を守っていく立場の大臣として、中小企業に対しまして今後温かい行政をやっていただくことを望みまして、質問を終わらせていただきます。
#309
○堀之内委員長 新村勝雄君。
#310
○新村委員 大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、会計検査院の重要性については論をまたないところであります。この会計検査院の権限、機能の強化という問題について、これは既に十年越しの問題になっていると思いますけれども、ロッキード事件の反省あるいはその後の行革、財政再建にも関係ありますけれども、会計検査院の権限を強化して、資金の効率的な運用、さらに財政再建と財政の強化に資するという意味で、会計検査院法の改正が論議をされたわけであります。これは、もうしばらく前からの論議の継続になっておりますけれども、この問題については歴代総理も、福田総理以来積極的に前向きの姿勢を示されたのでありますけれども、その後政府・自民党におかれてこの問題について一時ほどの熱意をお持ちでない。いつの間にかその論議が、立ち消えではありませんけれども、そういう傾向なしとしないのでありますが、大臣はこの会計検査院法の改正について現在どういう御見解をお持ちであるのかを伺いたいと思うのです。今申し上げたように、財政再建の観点からしましても、効率的な資金の運用という点からいたしましても、それからまた政治の浄化あるいは綱紀の粛正という点からしても、これはいずれの点からしても必要な措置ではないかと思いますけれども、その御見解を伺いたいと思います。
#311
○宮澤国務大臣 私の記憶が多少不正確なところがあるかもしれませんが、たしかこのことは会計検査院が、例えば政府関係機関、輸銀でありますとか等々から融資を受けた融資先に向かって会計検査院の検査が法律上及ぶことにすべきであるということをめぐってのお話であったと思います。それで、それについてはいろいろ議論がございまして、大企業でございますとそういうことも少ないかもしれませんけれども、小さな企業であったり農業関係であったりいたしますれば、会計検査院の人がそこへ検査に来るというようなことは、普通の人はなれない話でございますので、そういうことまであるとどうもお金を借りるのもちゅうちょされるなというようなことになって、かえって政府関係金融機関の目的を達しないことになるという反論が片方でありました。しかしながら、会計検査院の言われることも御無理のないことであるから、それでありましたら、肩越し検査と言ったと思いますが、そういう形において事実上検査がおできになるようなことにしたらどうかといったことで内閣官房長官のところへ何度もお話がいきまして、私最近のことを実は存じませんのですけれども、結局そういう形で事実上会計検査院としてもその目的をお達しになるような便宜の方法で解決ができないか、そういうところまで存じております。ごくごく最近のことをはっきり存じておりません。
#312
○新村委員 この問題については、今大臣おっしゃったような経過があります。そしてまた、会計検査院の方からは正式に政府に対してその趣旨を申し入れというか意見具申したという経過がありまして、この問題については決して消滅したということではないと思うのですね。肩越し検査というような形で今やっておりますけれども、基本的にはこの問題は一つの課題として残っていると考えておりますが、いかがでしょう。
#313
○斎藤(次)政府委員 ただいまの問題につきましては大臣がおおむねお答えになったとおりでございますけれども、昭和六十年二月十三日に内閣官房副長官から「会計検査院の肩越し検査に対する協力について」という通知をいただきまして、私どもといたしましても、政府関係機関の会計検査院によるいわゆる肩越し検査については一層協力を行うよう政府関係金融機関を指導しているところでございます。従来、政府関係金融機関については肩越し検査というのは実施されていなかったわけでございますが、現在はこれが行われておりまして、そういう意味で政府関係金融機関と検査院との協力が一層進展したというぐあいに私どもとしては認識しておるわけでございます。
 国会におきましても、会計検査院は融資機関の協力を得て支障なく肩越し検査を相当多量に行ってそれなりの実効を上げているという趣旨の答弁をなさっているところでございますので、この点御理解をいただきたいと考えておるわけでございます。
#314
○新村委員 そうしますと、肩越し検査という形で今やっておりますけれども、本来ならば法改正をして法に基づいてやるべきことであるが、現状ではそれが困難な事情もあるので肩越し検査という形で便宜的にやっているということでありますから、その部面での必要性については理解をされているわけですね。ですから、それはいつの日かそういう便宜的な肩越し検査ということではなくて、正式な法に基づく機能にすべきだという問題は残ると思いますね。そういうふうに理解してよろしいですか。
#315
○宮澤国務大臣 問題としては随分前からございまして、そのような会計検査院法の改正を会計検査院としては希望をしておられる。しかしながら、閣議といたしましてそのような改正法を閣議決定をして国会にお願いをするというような決定に至りませんで、その間の調整を官房長官、官房副長官が長くやっておられまして、事実問題としては肩越し検査というような便宜の方法は進行し、また実施に移されておるようでありますけれども、会計検査院そのものはそれで満足をされておるわけではないということのようでございますので、問題としては残っておるとおっしゃればそうも言えることだろうと思います。
    〔委員長退席、糸山委員長代理着席〕
#316
○新村委員 わかりました。それでは次の問題に移ります。
 円高の問題あるいはドル安の問題でありますが、実はこういう談話があるのです。それは、西ドイツの前首相のシュミットさんが昨年の末に日本へ参りまして、そのときの談話の中で「米国は今世紀末に約一兆ドルの対外債務をかかえることになるだろう。だが、同じように対外債務をかかえている途上国より気楽な立場にある。基軸通貨国だから外貨をかせいで返済に充てる必要はないからだ。紙幣を増刷して利払いに充てるインフレ政策に進むだろう。」と言って、その次に「日本が将来の価値に不安のあるような米国の国債をいつまでも買っているのは問題だ。」こういうことを言っておるわけであります。その前段の問題として、米国は今世紀末に一兆ドルの対外債務を抱えるだろう、したがってドルの崩落は避けがたい、しかし基軸通貨国だからインフレ政策をとって当分の間しのいでいくだろう、そういうことになった場合には日本のようなアメリカに多額の投資あるいはファイナンスをしている国は大変な損になるだろうという意味であると思いますけれども、この談話について大臣はどうお考えですか。
#317
○宮澤国務大臣 シュミットさんと私は比較的懇意なものでございますので、そういう議論を何度もいたしまして、まさにその前段は彼のいわば誇張のない見方でございます。一兆ドルになりますか八千億ドルになりますかそれはわかりませんし、いずれにしても今のこの傾向が続けばという前提であるわけでございますが、そうなりましても米国としてはその支払いは自国通貨をもってするわけでございますから、その他の国のように外貨を取得して支払うという問題はない、したがってアメリカとしては比較的安易にそういう状態になりやすいということをシュミット氏は言うわけでございます。
 ただ、その後彼が言おうとしておりますことは、そういうこともおる、それで日本のようにドルを一生懸命ためる、それもある程度までは必要だろうが、これだけ社会資本が不足をしている国でどうしてそういう方に資源や金を向けるのか、もっと国内で有益なことをすべきではないかというのが彼の日本に対するいわばアドバイスであるわけでございます。その結論も私はまさにそうだと思うわけでございますけれども、ドルの将来が仮にそうであるとして、それならばマルクなり円なりがかわりに基軸通貨になるという用意があるかと言えばそうではないわけでございますから、ドルが基軸通貨には恐らく違いない、そうとすればその基軸通貨国に対して基軸通貨国としての自制を望むということにならざるを得ないのではないかと思います。
#318
○新村委員 日本の国益からしてもドルの減価は望むべきではないと思いますし、世界経済の点からいってもドルの価格の維持は必要だと思います。しかし、日本の今までのこれに対する対応は、残念ながらドルの減価を助けるような方向に来ているのではないかと思います。それからまた、そのことが日本の自分の首を絞める結果になるわけなのですけれども、そういった点について、アメリカとの関係あるいはドルに対する日本のファイナンスの関係を一朝一夕に一挙に変えるわけにはいかぬと思いますが、その辺の点については一定の限界なり節度なり必要ではないかと思いますけれども、大臣はいかがでしょう。
#319
○宮澤国務大臣 それが、言ってみますと、先進国がお互いに相談しておりますように、各国としての政策協調をしていく必要がある。アメリカが貿易赤字を減らし、財政赤字を減らしますればドルの信認は高まるはずでありますし、また我が国、西ドイツが内需を振興するということはアメリカの需要の不足を補うことになるわけでございますから、我々が相談していることもそういうことであります。また、そういう方向でやっていかなければならないと思うのですが、基軸通貨でありますドルに対して、円なりマルクなりがその肩の荷を幾らかかわりにしょっていこうという積極的な態度に出るかどうかということになりますと、今日のところそれは必ずしも積極的な意図と言えるほどのものでもございませんので、やはりドルそのものの安定をお互いに実現しなければならないということになっていく、そういう政策協調が必要だということになっていくのだと思います。
#320
○新村委員 変動相場制のもとにおける通貨調整あるいはドルの価値の維持、そういった点については非常に難しい問題があると思いますし、そのために先般のG5等も行われたと思いますけれども、この内容を見ましても具体的な決め手はもちろんない。介入とか、あるいは各国の、特に日本あるいは西ドイツの成長を図るとかアメリカの赤字を減らすというようなことで、変動相場制のもとにおける通貨調整をする決め手はないので、難しいと思いますけれども、何か通貨安定の構想なり、日本が指導的な立場に立ってその構想をすべきだというようなお考えはございませんか。
#321
○宮澤国務大臣 変動相場制になりましてからかなりの時間がたつわけでございますが、どうも基本的にこれにかわる、まあ例えば固定相場制といったようなものが簡単に実現し得みとも思えないまま推移をしてまいりました、
 それで、先般のパリ合意というものが、変動相場制ではあるにしても、その不安定性を各国の協力によって最小限にしよう、市場攪乱の行為に対して共同して変動相場制を守ろうといったような、最初の具体的な合意であり試みであったと思うのであります。二月の末のパリにおける合意はそういうことであったと思いますから、願わくはこれが先々そのような仕組みとして有効に機能をしていってほしい。そういたしますと、変動相場制といえどもかなり安定をしたものになってうまく機能するのではないか。最初の試みを先々月にお互いにしたところでございますので、この仕組みは何とか大事にしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#322
○新村委員 一口に言って、今日本は世界のGNPからすれば一二%ぐらいいきますか、そしてますますそれが強くなっていくわけでありますが、こういう状況の中で、十九世紀はポンドの時代、二十世紀はパックス・アメリカーナの時代、二十一世紀はパックス・ジャポニカの時代だと言う人がありますけれども、近い将来、いわゆるパックス・ジャポニカが実現するという見通しがございますか。
#323
○宮澤国務大臣 それは大変難しい問題で、私に十分お答えができませんけれども、今の趨勢で申しますと、やはりドルが基軸通貨として機能をいたし、その負担を一部ずつ円とかマルクとかいうものが事実問題として担っていく、そういう体制に進んでいくのではないだろうか。マルクと申しますよりは、あるいはヨーロッパの通貨同盟と申し上げた方がいいのかもしれませんけれども、それと円とが分担していくということになるのではないか。これは、私にもよくわからないままに自分の想像を申し上げるわけでございます。
#324
○新村委員 エコノミストの論評によりますと、一つの可能性としては、アメリカが再び活力を回復をするという一つのケース、もう一つは、なかなかアメリカの活力は回復しないけれども、いろいろな協定をしたりその場しのぎの対症療法でしばらくはいくだろうというケースと、日独が自覚をしてというか、日独が米国との国際的な任務を分担をしていくというケース、それから米国が幾つかの国と地域的な貿易協定を結んで、これは一種の保護主義みたいなものだと思いますけれども、そういう形でいくという四つのケースが考えられるというようなことを言っておりますけれども、大臣はどのケースが一番可能性があるとお考えですか。
#325
○宮澤国務大臣 この第四の、一種の地域主義みたいになりますことは、世界経済が順調に発展していきます上ではどうもよくないというふうに思いますので、第三のケースが、我が国にとりましても世界全体にとっても一番いいのではないか。私は、アメリカの経済というのは潜在的にはやはり非常に強い経済であると考えておりますので、したがってドルがやはり基軸通貨であり、我が国とヨーロッパ、殊にマルクが任務を一部分担をしていくというような形、それは今言われましたところですと第三のケースになるわけでございますが、そういうことではなかろうかと思うのでございます。
#326
○新村委員 そこで、大臣が二月にG7ですかG6ですか、そこに参加をされているいろ討議をされたと思いますけれども、その声明の中に、日本の役割がかなり重く評価をされているというか期待をされているわけでありますが、その中で「大幅かつ持続不可能な貿易不均衡の縮小が優先順位の高い課題であること言われておりますけれども、これは日本の国際社会に対する一つの任務分担というか責任であるというふうに各国は見ていると思うのです。そういった点について、これからどういう具体的な施策を展開されていかれるのであるか。
 それから、今の四項のほかに七項にも「黒字国はこれは日本のことを言っておるわけでしょうが、「物価の安定を維持しつつ、内需を拡大し、対外黒字を縮小するための政策をとることを約した。」というのですね。だから、大臣は約束をされたわけでしょうけれども、この約束は単なる紙の上の約束では済まないと思うのですね。これは、実際にこれから日本が、大きく言えば国連をかけてもこの約束を守っていかなければ、やはり世界に対する信義の問題からしても、それから日本がこれから世界の中で生きていく上においても、これは絶対必要なことだと思うのですけれども、それについての御決意といいますか、基本的な政策、お心構えですね、これを伺いたいと思います。
#327
○宮澤国務大臣 その点は新村委員の言われますとおり、まさしく我が国も世界のGNPの一割以上ということになりまして、大きな責任をしょっておりますし、本当に非常に大きな貿易黒字を毎年累積しておるということでは、もう世界で一番注目を浴びざるを得ない、いろいろな当面の事態に対処する一番大きな責任を持たざるを得ない国になりましたのはもう事実でございますので、ここに書いておりますようなことは、これはもう現実に具体的にやってまいりませんと我が国としての責めは果たせない、またそれを怠りますと、逆に円高というような我が国自身が非常に困るような状況にさらになっていきかねないということでございます。
 ただ、二月の時点におきまして私が非常に難儀をいたしましたのは、予算を国会で御審議中でございますので、その予算が成立した後のことをあれこれ申しますことは国会に対して非礼なことであるということがございまして、このように「予算成立後準備される」云々ということになっておるわけでございます。例年でございますと予算がもう既に成立をいたしておる時期でございますので、この二月の声明にありますような具体的な処置がもう今ごろはとられておらなければならない、普通でございますとそういう時期であったのでございますが、今日なおそういう状況になっておりません。実はまた今月、数日後にこういう会議をいたさなければなりませんので、その点大変に私としても実は苦慮をしておるようなことが実際でございます。
#328
○新村委員 大臣の苦衷はわかるのですが、このときも「各国は以下の事項に合意した。」となっていまして、その中の「日本国政府は、内需の拡大を図り、」云々とありますが、その中に、「今国会に提出した税制全般にわたる抜本的見直しは、」云々とありますね。それから「一九八七年度予算の速やかな実施」というようなことがありますけれども、これは内政問題ですよね。内政問題をここに出すことが果たして適当であるのかどうか。
 それからまた、予算にしても税制にしても、これは国会を通らなければ実現しないわけでありますから、そういう点で、税制の問題を国際会議あるいは国際の約束の中にお出しになることについてはちょっと適当でないのではないかというような感じもするわけでありますけれども、どうでしょうか。それからまた、まだ国会を通っていない予算について国際の合意の中へお出しになるということについては若干の疑問があるわけでありますが、その点が一つですね。
#329
○宮澤国務大臣 この点は内政問題という角度でなく、おのおのの国がどのような財政経済政策をとるかということについて述べ合い、これを確認するということでございまして、現に米国は、大きな税制改正について昨年私との共同声明で約束いたしましたし、ドイツは、ただいまお読みになりましたこの声明の中で「個人及び法人の税負担を軽減する政策を遂行する。」と述べておりまして、いわば歳出による内需振興策と税制による消費振興というのは各国がみんな手法としては相似たようなことをやるわけでございまして、おのおのそういう国の政策意図を表明しておるわけでございます。それは干渉を受けるということではありませんで、おのおのが協力の方途として自分の政策についての意図表明をしておる、こういうことでございます。
 この中に、「今国会に提出した税制」云々あるいは「予算の速やかな実施を確保するため、その成立に全力を傾注する。」といったことは、とりもなおさず両方のものが国会で御審議中でありますので、その事実を飛び越えて税制改正をやりますとか予算を執行しますとかいうことを言うことができない、できませんことがこのように表現されておるわけでございます。
#330
○新村委員 それで、この声明が出されたのは二月二十二日ですが、最後に「大臣及び総裁は、為替レートを当面の水準の周辺に安定させる」とありますけれども、このときの為替相場は百五十五、六円だと思いますね、ですから周辺というのは、仮に百五十五円だとすれば、常識的には上限との辺までを意味するのですか。
#331
○宮澤国務大臣 この点はこの会議の参会者の間でいろいろ議論をいたしましたが、結局その周辺というような言葉をこれ以上詳しく定義しない方がかえって市場の安定に、つまり定義をいたしますと投機筋からそれを逆にねらわれるというようなこともありますので、正確にはっきりさせないことの方がむしろいいのではないかということでこういう表現になっておるわけでございます。そういうものとして御理解をお願いいたしたい。したがって、表現そのものは多少まさにあいまいと申しますか、周辺というようなきちんとポイントを定めないような表現になっておりますのは、そのような実は意図に基づくものでございます。
#332
○新村委員 それで、そのときからしますと周辺を超えているわけですね、現在は既に。百五十五円であったとすれば、その周辺ということになれば常識的には百五十円を超えれば周辺を超えたということになるでしょう。そして現在百四十六、七円ですから、周辺を超えているわけです。
 大臣は先ほど、現在の値段がそこに固定したわけではないとおっしゃっていたわけですが、そうしますと現在の状況では、このときの声明によって各国は協調介入なりして、日本は一生懸命やっていると思いますけれども、その維持に努力をすべきだと思うのですけれども、その協調が必ずしもうまくいっているのかどうか、機能しているのかどうかという点は我々疑問なわけですが、大臣はどうお考えですか。
#333
○宮澤国務大臣 三月の二十四日ごろから起こりました事態は、今まさに言われましたようにここに書いてあることに該当する事態であるという共通の認識がございまして、したがいまして各国おのおの自分の責任において、しかも相当大きな額の介入をいたして今日に及んでおるわけでございます。
 その介入が一〇〇%水準をもとに戻すというところに至っておりませんのは事実でございますけれども、しかしこの介入がありまして、殊にこの一両日それがあらわれておりますが、一つの落ちつきが生まれておる。この介入がございませんと、こういうことすらも難しかったのではないかということから考えますと、この合意はそれなりの役割を果たしておると思うわけでございます。
#334
○新村委員 介入については、その規模とか方法、規模についてはもちろんおっしゃることはできないと思いますけれども、これは各国ともに相当の努力はされておるわけですか。
 それから、いわゆる委託介入ということも聞いておりますが、その額あるいは量についてはおっしゃれないと思いますけれども、委託介入ということではなくて、このときの合意は、各国の責任において各国において介入する、こういう意味だと思うのですけれども、この中には委託介入という形も含むのかどうか。
#335
○宮澤国務大臣 具体的に今回の場合について申しますと、我が国に次いで大きな介入をいたしましたのはアメリカでございますが、これは専らアメリカ自身の勘定と責任においてでございます。我が国の委託によるものではございません。もとより、この合意そのものは委託ということを排除するものじゃございませんが、今回はほとんどの国が自己の責任、自己のアカウントにおいてやっておることでございます。
#336
○新村委員 そうしますと、今度の一連の介入については委託介入はないということですか。
#337
○宮澤国務大臣 アメリカとの関係は一切ございません。まずほとんどないと申し上げてよろしいかと思います、
#338
○新村委員 次に、しからばどういうふうにして内需の拡大をするかということですけれども、最近大臣の御発言として財政政策を転換をして積極財政に転ずるというようなことを言われたというふうに報道されておりますけれども、それは事実であるのか。それから、事実であればその骨組み、構想の概略だけでもひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#339
○宮澤国務大臣 実は、そのところが非常に申し上げにくいのでございまして、例えば昨年の例を申し上げますならば、予算が成立いたしました後、公共事業の前倒しがあり、しかもそれを補正予算で大きく積み増しましてといったような経緯があったわけでございますけれども、今年は予算自身が衆議院の予算委員会においてまだ御審議がほんの少ししか進んでいないという状況でございますから、その予算の成立後のことを私どもがあからさまに申すことはできないということは、御承知のとおりのことでございます。したがいまして、対内的にも、対外的にも、これから日本はどうするのかというときに、どうも半ば不明瞭なことを言わなければならないようなことになっております。これは、民主主義というのはこういうことは時としてございますからやむを得ないとは申しますものの、殊に対外的には、この点が非常に、いわば我が国を見る目の不安な一つの理由になっておると思うのでございます、為替市場なんかから申しますと。
 ですが、そういう当面の問題を離れまして、私が先ほどから申し上げておりますように、我が国にとって何としても内需の拡大、社会資本の充実ということが、よそからも言われますが、我々から見ても大事なことであり、またそれ以外に大きな貿易黒字を小さくする方法はないと考えられますから、そのためには民間の経済活動を活発にしていただかなければなりませんしいたしますが、やはり財政再建の途次ではございますけれども、そういう前提のもとに財政も精いっぱいのことをしなければ内外の要請にこたえられないというふうに私は考えておりまして、昨年の暮れに六十二年度の予算編成をいたしました後、六十三年度の財政の運営についてはひとつ新しい観点から検討をしてもらいたいということを事務当局に申してございまして、そういう心組みでやっていきたいと思っております。
#340
○新村委員 国会審議を飛び越えるということではなくて、今世界も日本を注目しておりますし、国民も円高の中で大変苦しんでおるし、今後の財政政策については、まず何よりも国民が注目をして、あるいは期待をしておるわけですね。ですから、予算の成立もさることながら、それをも含めた財政政策について、今後の構想を大臣がお示しになるということは何ら差し支えないし、また、それをやらなければ国民は不安だと思うのです。ですから、そういう点で、積極財政に転ずるのか転じないのか、その辺のスタンスをおっしゃっていただけますか。
#341
○宮澤国務大臣 それは、そう仰せられましても、今六十二年度予算案をなお御審議願っておみところでございますので、これだけ日が過ぎてまいりますと、それならこの予算そのものをどうしてもっと改めないのかといったようなお尋ねが、これあり得ることでございます。ですから、私どもはまずこの予算をやらしていただいてというふうに手順を考えるわけでございますけれども、何ともそれはやはり予算を成立さしていただきませんと、次の手順というものを公に申し上げることができない、これはおわかりをいただけることだと思います。
#342
○新村委員 それでは、別の御質問ですけれども、日本における市場経済というか一般経済といいますか、市場経済と財政との大変な乖離がありますね。財政は大変な赤字、それから市場経済は、一時よりは、高度成長期よりは低成長になったんでしょうけれども、多額の黒字をため込んでいるわけでありますから、これは大変な、世界一の金持ちであるわけであります。政府は百六十兆以上の借金を背負って、大変な苦しい状況にある。こういう乖離という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、二つの世界の大変調和しない形があるわけですけれども、これはどういうところに原因があるんですか。
#343
○宮澤国務大臣 それは、我が国の場合、これは私がそれがいいと申し上げておるわけではないのでございますけれども、外から見ますれば、やはりこれだけ民間に力があって、しかし政府の財政はこういう状況である、それならば政府は――これは私の説ではございませんが、もう少し民間から税金をもらえるのではないか、あるいは民間からもっと借り入れることができるのではないか、これは国債ということになろうかと思うのでございますけれども、そういうことを外の人は間々申します。しかし、両方ともなかなかいろいろな事情で可能ではないし、また必ずしも好ましいこととも申せないということではないかと私は思います。
#344
○新村委員 民間資金なり海外に流出をしている膨大な国民の富を内需拡大に導入するには、どうしたらいいのでしょうか。
#345
○宮澤国務大臣 それは、これも現実の政策とちょっと離れて、一般論として申し上げさしていただきますが、内外の金利差を何かの形で埋めることができますれば、それは可能になるはずでございます。今は縮まりましたけれども、それでも二ポイントとか三ポイントぐらい差がございますし、かってはもっと大きな差があったわけでございますから、それらの海外に出ております資金を我が国の内需に使おうとすれば、その間の利子というものを何かの形で補給をいたしますなら、その資金は我が国で仕事をしてくれるはずだと思います。また、多少の程度には財政が利子補給をいたしまして、そういう民間の資金を有効に使わせてもらっているというところがございますけれども、いかにも全部やりますとその差も大きゅうございますし、したがって財政資金も大きいという問題がございます。しかし、内需や民活の中にはやはり民間の資金の活用ということも当然あるはずでありまして、それは何らかの形での財政による差額の補てんと申しますか、それは一番手っ取り早いのは利子補給でございますけれども、しかし場合によっては利付債券を出したなんというようなケースもございまして、何かそういう形で財政なり税制なりがその間を埋めていくということがうまくできますと、そういう資金を内需に導入することができるのではないか、これは一般論として申し上げるわけでございます。
#346
○新村委員 金利差といいましても、日本の金利は日本で自由に調整できるでしょうが、アメリカの金利はアメリカさんが決めるわけでしょうし、アメリカの経済事情によって金利が決まってくるということでしょう。それから、アメリカの財政赤字が大きくなれば金利も上がるということもあるでしょうししますから、間接的にはそれは貿易赤字を減らす。これは日本だけではできませんけれども、あるいは財政赤字を減らすことについては日本は全く別の世界ですからできませんけれども、そうではなくて、日本の政策展開によって外国の資金を呼び寄せることができないものかどうか。その一つは民活でしょうけれども、あるいはまた規制緩和でしょうけれども、それのみにとどまらずそのほかにも政策的に誘導する方法があると思いますが、何かいい方法はないのでしょうか。
#347
○宮澤国務大臣 先ほど利付債券と申し上げましたのは間違いで、割引債と申し上げようとしましたので、委員長、速記をどうぞお直しおきお願いいたします。
 例えば東京湾のプロジェクトのときに割引債券を出した、あるいは今年度にお願いしております予算の中にも利子補給をいたそうとしている部分があるのでございますけれども、それによりまして、アメリカの高い利子を求めて出ていきました資金が国内で同じ程度の利子がございますれば国内にいてもよろしいわけでございますから、殊に為替リスクがないだけいいといえばいいわけでございますから、やはりそういう形で民間の金を使わせてもらうというのが手っ取り早い有効な方法ではないかと私は思っています。
#348
○新村委員 大臣は、今の状況のもとでは新しい政策を言うわけにはいかぬというふうに言われましたけれども、この際、内需の拡大を財政的に図っていくということが一つ、あるいは民活、その内容としては規制緩和等があるでしょうけれども、この二つの面でやる以外にはないと思います。ただ、日本の財政は必ずしも楽ではありませんし、既に百五十二兆円の国債があるわけであります。これは財政論的に見て、現在のGNPが三百五十兆円ぐらいだと思いますが、そして将来低成長ではあっても順調に成長するとした場合にどのくらいまで国債残高を許容することができるのか、国債残高の許容限度としては二百兆円であるのか三百兆円であるのか、どの辺ですか。
#349
○宮澤国務大臣 その点は、実は我が国の経済の成長力に大変にかかってくることではないかと思っております。これから順調な成長力が期待できるということでございますと、GNPとの対比はそんなに神経質にならなくてもいいと私は思っておりますが、このように低い成長でございますと財政の税収の伸びが非常に悪うございますので、したがって一般会計に占める国債費の割合、利払いでございますけれども、これがどうしても二割というところをなかなか下がっていかない。税収が順調でございましたらそのことを余り心配しないで済みますけれども、今の状態でございますと、そういう状態でございますから財政がまことに弾力性を欠くということで、そのことの方を私としては現実にはやはり心配をいたしますし、また、実際二割もとられていますから財政が十分に動けない。したがいまして、そういう意味からももう少し高い経済成長、そうして税収も自然増収が大きくなるというような経済運営を必要とするというふうに考えております。
#350
○新村委員 そこで、内需の拡大ですけれども、内需の拡大というのは国民の側に需要がなければ拡大はできないですよね。今までの経過を見ますと、高度成長時代には日本の経済構造も変わったと同時に、一人一人の国民の生活様式も変わったと思います。そのために、高度成長に伴う新しい内需というものがあったと思うのです。例えば、人口が東京に集中すればあるいは大都会に集中すれば必然的に住宅需要はあるし、新しいうちができればそれに伴う需要もあるというふうな、こういう生活様式の変化あるいは社会構造の変化による追加需要というものがあったと思うのですけれども、高度成長が終わって以来、新しいそういうまとまった追加需要というものが日本の社会には余りないというように思うのです。ですからこの際、新しい内需の拡大をする場合には新しい何らかの拡大要因をつくっていかなければいけないのじゃないでしょうか、
 そういう意味で、社会資本の充実を大々的に図っていくとかあるいはまた住宅建設を積極的に思い切った施策をとるとか、そういうことがなければ内需の拡大といっても、今のままでは仮に大幅な減税をして、売上税はストップして減税先行をやってみても、その減税の金が貯蓄に回ってしまうというおそれもないわけではないですね。ですから、何か国民生活の内容というか国民生活の形を変えるような新しい内需を喚起していかなければいけないと思うのですけれども、この点ではどうでしょうか、そういう何らかの構想がおありですか。
#351
○宮澤国務大臣 それは一番いい例は、例えば下水道の普及率がわずか三三%であるといったようなこと、これは先進国としてはまことに恥ずかしいことで、しかも多くの国民が、この点はひとつ整備をしょうではないかと言えば共感をしてくれるはずのことでございます。都市再開発にいたしましても、その他いわゆる社会資本にはそういうものがたくさんございます。その中で、一部は受益者負担であるいは民間の力をおかりしてやっていけるものがあるだろうと思いますが、しかし多くの部分はやはり財政が主導しなければいけないということではないかと思いますので、話はやはりそこに戻ってまいります。
 もう一つの内需という意味での国民の消費でございますが、それは三C的な消費というのは確かにかなり充足されたのかもしれません。しかし、また新しい型の消費というのはいろいろにあるようでございますから、それも決して捨てたものではない。やはり両方からやっていくのだと思いますが、我が国の場合は特に社会資本の充実ということが大事ではないか。また、現にこれは需要がないのではありませんで、まことにニーズは非常にあるわけでございますから、殊にそうではないかと思います。
#352
○新村委員 財政の出動による内需の拡大は非常に重要でありますけれども、そのほかに規制緩和によるものあるいは民活によるものが必要だと思います。例えば住宅にしても、土地が高いためにうちが建たないということがあると思うのですが、そういう点で、安価な住宅用地を提供すれば、民間の住宅需要が急激にふえるということもあると思います。そういう点での、例えばいろいろ弊害が今までも言われておりますけれども、線引きの問題がありますね。あの線引きを一挙に廃止すれば、もちろんそれには対策が必要ですけれども、安価な宅地の供給が一挙に増大するわけですよ。我々の周辺にも、調整区域だから残念ながらうちが建たない、駅に割に近いんだというところがたくさんある。これは一つの方法ですけれども、そういったことによって内需の拡大を図るということができるわけでありますが、この隠そういう面での思い切った規制緩和ということは考えられませんか。
#353
○宮澤国務大臣 かなりの問題が土地と関連をしておることは事実でございますし、ただいまの新村委員のように、人口密集地で地方行政を御自分でなさったお方から今のようなお話を伺いますと、まことに私はそうであろうと実は思いますが、たまたまこの問題は私の所管でございませんので、個人としては大変に共感をしながらお伺いをいたしました。
#354
○新村委員 それと関連をして、先ほども議論がありました半導体の問題があるわけでありますが、通産大臣は、この問題についてどういうふうにお考えですか。
#355
○田村国務大臣 御承知のように半導体問題、問題は三つあるわけでございます。その一つは日米、日本から直にアメリカへ売る、これは何も問題ないんです。実にうまくいっているのです。問題は第三国経由のダンピング、それから、日本の市場はアメリカの半導体の受け入れが少な過ぎる、そういうことで米側が非常に硬化しておるということでございます。
 けれども、率直に言いまして、日本政府としては打つべき手はすべて打ち尽くしたのであります。例えば、第三国といいましても、私どもが韓国や台湾や香港へ乗り込んでそして向こうで調査をする、それは相手国の主権を侵害するものであって、そう簡単にできることじゃないです。しかも、そういう国々は日本の迂回輸出について大なり小なりメリットを受けておることもまた事実なんです。でございますから、相手国の主権の問題がありますから、これは企業の倫理の問題として、もちろん政府は厳しい忠告はしていかなきゃなりませんけれども、倫理の問題として取り上げなきゃならぬ。
 それから、確かに日本に対してアメリカの半導体が少のうございます。アメリカは、具体的に向こうが言ったわけではありませんけれども、五年間でシェアをせめて二〇%台には乗っけてほしいなということを言っております。日本は、日本製の半導体は種類によってアメリカで八〇%からになっておる。アメリカの半導体を駆逐しておるような勢いでございます。それに対するいら立ちというものがあると思いますが、しかしこれは一概に言えないことは、日本の企業の営業努力とアメリカの企業の営業努力、それから日本の企業のアメリカのマーケットへの参入の問題、あるいはアメリカの日本のマーケットへの参入の問題と、そういうことで非常な違いがあるわけですね。制度的にも違いがある、感覚的にも違いがあるということもございます。
 私ども日本国政府、つまり通産省としてはもうあらゆる措置はし尽くしたわけで、日本国政府をアメリカから責められてみましても、統制経済じゃありますまいし、極端なこともできません。ただし、話し合いは必要でございますから、今夜村岡通政局長と山本機械情報産業局次長をアメリカへ派遣いたしまして、とりあえず準備をいたす。御承知と思いますが、月曜日に日本政府はアメリカに対して緊急協議を申し入れまして、その下打ち合わせに行って、そして黒田審議官がハイレベルの緊急協議に臨む。本来ならば私が行かなければならぬのかもしれませんが、国会がこういうことでございますから黒田審議官をやるということでございます。
 日本の企業に対する政府のいろいろな指導、また企業の努力というものがもう日を追って効果をあらわしてくるものと思います。きょうのある新聞を読んでも、非常に効果があらわれてきておるということが書いてございましたが、いずれにいたしましても懸命の努力を払っていきたいと思っております。
#356
○新村委員 時間がもう来ましたので一言だけ申し上げますけれども、要するにアメリカの言うことは、半導体の協定違反であるとかあるいはダンピングということではないのですね。実際に彼らの言わんとするところは、八百億ドルの黒字を減らせということですよ。だから、八百億ドルの黒字を減らさなければ、これは安倍さんが行こうが総理が行こうが解決しないんですよ。ですから、宮澤さんが向こうへいらっしゃって、来年は百億ドル減らします、毎年百億ドルずつ必ず減らしますよと約束すれば、それで一切済んでしまうのですね。そういう問題じゃないでしょうか、アメリカが言わんとするのは。そうは言えないから、ダンピングだとか協定違反だとか表面は言っているのですけれども、内心はそうですよ。内心は八百億ドルを減らせということですよ。
 しかも、八百億ドルを減らさないで、いろいろな理屈を言いながら現状じんせん日を過ごすことによって、日本は広大なアメリカ市場を全部失わなければならない羽目になるかもしれないのですわ。そういう事態だと思うのですね。今の日本の経済繁栄は、これは言葉がいいか悪いかわかりませんけれども、アメリカの広大な市場に思うように商品を売りまくった結果、この繁栄を得たという一面があるのですね。ところが、その市場を今失うか失わないで済むかという関頭に立っているわけでしょう。だからそこのところを、この八百億ドルを毎年百億ドル必ず減らします、実際に来年百億ドル減れば、日米関係というのはたちまちよくなってしまうのじゃないでしょうか。そこのところの決断ができるかどうか。
 それで、これは時間がありませんけれども、稲山さんがこういうことを言っておられるのですわ。大臣はさっきそんなことはできませんと言いましたけれども、仮に五、六年前に自動車の輸出を百二十万台に抑えることができれば、日米関係はこんな悪くならなくて済んだだろうというふうに稲山さんが言っておられるわけですよ、財界の巨頭が。やはりそこらの認識が足らないのじゃないかと思うのですけれども、宮澤大臣、一言だけ御返事をいただきたいと思います。
#357
○宮澤国務大臣 確かに、殊に日米間では大きな貿易黒字があるという、長年続いていて、しかも毎年減っていかないということがいらいらの根本であるということは、これは間違いのないところだと思いますが、ただ、日本の品物は申し上げるまでもなく嫌がるものを売っておるのではございませんで、大変歓迎されて売れておるものでございますから、したがって、これを勝手に百億ドル減らすというような約束をいたすわけにまいらないということではないのだろうか。これは、むしろ通産大臣の方の御所管でございます。
#358
○新村委員 終わります。
#359
○糸山委員長代理 矢島恒夫君。
#360
○矢島委員 最初に経企庁長官にお伺いしたいのですが、全国の中小企業団体でつくっております大型間接税反対中小企業連絡会、この会が昨年の同時選挙のときに実施しましたアンケート調査の結果を二月二十日に発表しているわけです。その中で、導入反対だと回答された自民党の国会議員のうち当選した百八名の名前が載っているわけなのですが、この中に経企庁長官の名前もあるわけなのです。そのアンケートの中で、大型間接税というものは、まず第一に個人消費の後退をさせる、景気低迷を招くものだというのがあります。二つ目に、内需拡大に逆行するものだということ、三つ目に、過当競争下の中小企業に対して多大の影響を与えるものだ、そういうようなのがあるのですけれども、現在売上税が提案されている中で、この三つの点について経企庁長官の御所見を承りたい。
#361
○近藤国務大臣 先生御指摘の選挙の前の回答でございますが、これは率直に申しまして、私ども選挙の前にいろいろな団体からいろいろなアンケートが参りまして、非常に忙しいものですから大体そういうのは人に任せておりまして、必ずしも私自身目を通さなかったので、そういったことがあったかもしれませんが、ただ、あえて申しますと、現在売上税を政府が提案しているわけでございますけれども、これは総理の御答弁にもしばしばございますように大型間接税ではない、これが私ども政府の考え方でございますので、その点をひとつ御理解いただきたいと思います。
 なお、今三点御指摘ございましたけれども、これが景気にマイナスの効果を与えるかどうか。こういうことであれば、それは確かに間接税はその分だけ物価を上げますから、それが実質消費の減になり、そういうマイナスの効果がございますが、しかし今回の税制改正は所得税そして法人税の減税とパッケージで、しかも所得税、法人税減税が先行する形で行われますので、この点につきましてはむしろ景気を刺激するものというふうに私ども考えている次第でございます。
#362
○矢島委員 経企庁長官に引き続いて質問いたしますが、先月の三十日ですけれども、あなたの所属していらっしゃる派閥で売上税法案の取り扱いについて凍結して内容を再検討すべきだ、こういう認識で一致した、こういうふうに報道されているのですが、経企庁長官、この点について、やはりこの認識の一致という点では同じでしょうか。
#363
○近藤国務大臣 三十日のいわゆる派閥の総会は、そのときは政府・与党首脳会議がございまして、私どもの派閥から閣僚になっております山下総務庁長官と私は政府首脳会議に出ておりましたので、出席をしなかったわけでございます。ですから、私どもその凍結という決定を、そういう話があったのがどういう状況でなされたのか、実は出席をしておりませんでしたので存じ上げませんが、私の意見を申し述べさせていただければ、現在税制改正の帰趨がはっきりしないことが景気に対してむしろマイナスの効果を持っている、早く税制改正を御審議いただいて、そして法案の成立を見て早々に所得税、法人税の減税をこの四月から実行していただくことが景気に対してプラスの効果を持つ、かように考えている次第であります。
    〔糸山委員長代理退席、委員長着席〕
#364
○矢島委員 どうも大型間接税でないということやあるいはただいまの長官の答弁、納得いたしませんが、時間の関係で次の質問に移らせていただきます。
 住宅の問題、今までずっと景気をよくしていく問題、内需拡大の問題、再三にわたってお話が出ているわけですけれども、大蔵省にちょっとお伺いしたいのです。
 住宅建築につきましては、資材とか運送費とかあるいは住宅設備関連の什器とかそのほか課税されるわけですが、一戸建て住宅にしろマンションにしろ、コストアップというのは免れないと思うのですけれども、この売上税導入に伴ってどの程度コストアップするか、教えていただきたいと思います。
#365
○尾崎政府委員 御指摘のとおり、住宅の譲渡は非課税なのでありますが資材等が課税されますので、その分住宅についてコストの上昇があろうというように考えられます。ただ、価格上昇の程度は個々の住宅の原価構成によりまして大分変わってまいりますので、ちょっと一概に申し上げることが難しいのでございますけれども、全部が課税業者によって販売されるものと考えまして、仮に資材部分が六割といたしますと三%、五割といたしますと二・五%、四割とすると二%というような価格の上昇があろうかと存じます。
#366
○矢島委員 六割といたしますと三%前後のアップになるわけですけれども、昨日国土庁の公示地価を見ますと、全国平均でも土地が値上がりしているという状況、とりわけ東京などは七六・八%だ、歯どめなき暴騰なんというふうに報じられておりましたけれども、住宅の建築に当たって三%前後のコストアップあるいは地価問題、こういうもので国民の持ち家の夢ははるかに遠のいていったという状況にあるかと思うのですが、そういう点からいたしますとまさにこの内需拡大に逆行するものと思うのですけれども、この点について経企庁長官いかがでしょうか。
#367
○近藤国務大臣 先生御指摘のとおり、都心部においては地価の高騰著しゅうございますけれども、実は地方に参りますと、私の選挙区山形でございますが、むしろ山形は地価が下がっているわけでございますし、こうした住宅建設も特定の都市に集中するから土地が上がり資材が上がる、こういうことでございますので、もっと幅広い住宅建設が進められれば、私はまさに住宅建設こそ内需拡大の大きな柱になるものである、かように確信をしております。
#368
○矢島委員 先日、私も山形へ行きました。私は埼玉なので、大変この東京の影響が強くて地価も上がっていくわけなんですけれども、地価の問題はともかくとして、売上税によるところのコストアップ、これがこの住宅建設というものに対しても国民は大変建築しにくくなる、いわゆる内需拡大との関係では逆行するのじゃないかと思うのですが、そちらの方はどうでしょうか。
#369
○近藤国務大臣 私が聞いておりますのは、来年の一月から売上税が課せられて住宅資材がその分だけ高くなりそうなので、むしろその前に住宅建設をしておこうじゃないか、こういう需要が結構あるのではないか、そういう話を実は聞いております。
#370
○矢島委員 長期的な見方をすれば、今すぐには建てるかもしれない、駈け込みの建築があるかもしれないけれども、長官として将来をずっと考えてみれば、どんどん冷え込んでいったら困るのじゃないかと思うのですが、その点ちょっと意見を申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 大企業の下請いじめの是正の問題なんですが、中小企業庁や公取の問題になるかと思います。午前中、私は大蔵大臣に、大変な下請いじめの現状というのを埼玉にあります下請の例を挙げながらお伺いしたのですけれども、下請代金支払遅延等防止法、これの運用状況についてちょっとお聞きしたいのですが、昭和五十年度それから五十九年度と六十年度、この三つの年度で違反の疑いのある事業所の数あるいは措置をした件数、いわゆる違反件数、こういうものがわかりましたらちょっとお聞かせいただきたいのです。
#371
○岩崎政府委員 御指摘の昭和五十年度調査では、違反の疑いのある事業所は約四千二百、五十九年度では約八千二百、六十年度では約七千七百ということになっております。それから、それに立入検査等しました結果、改善等の措置を講じた件数は、昭和五十年度で約千二百、五十九年度で約二千九百、六十年度で約三千三百事業所でございます。
#372
○矢島委員 公取の方もひとつお願いします。
#373
○鈴木説明員 お答えを申し上げます。
 五十年度では被疑事件数は千五十七件、五十九年度で千四百八十二件、六十年度で三千三十九件。それから措置件数は、五十年度で六百九十二件、五十九年度で千二百二十四件、六十年度で二千二百四十二件になっております。
#374
○矢島委員 今お聞きいたしますと、大変増加している。ちょっと計算してみますと、両方合計した数になりますけれども、五十年度から六十年度にかけましては約二倍になっているのじゃないかと思うのです、いわゆる調査件数ですけれども。それから、違反件数の方を見ましても三倍近く増大している。こういう状況の中で、ちょっと公取資料を見ますと、違反の内容という点では、長期手形の交付が最も多くなっているし、支払い遅延がそれに続いているように思います。さらに、下請代金の減額というのが前年度に比べますと四・〇%近くふえていると思います。買いたたきが二件から二十九件というふうに、これまた急増している、これらの調査結果というのは書面調査を中心にしたものですから、大企業による下請いじめということになりますと、私の周辺におきましてもほとんどすべての下請企業がいろいろな形で大企業からの締めつけを食っているという状況があるわけです。臨時の立入検査とかあるいは違反を繰り返す悪質企業の企業名を公表するというようなことで、下請いじめをなくすための対策を抜本的に強めるべきではないかと思うのですが、中小企業庁及び公取のそれぞれの御意見あるいは決意をお伺いしたいと思うのです。
#375
○岩崎政府委員 確かに、こういう厳しい事情でございますので、この下請代金支払遅延等防止法の規定に違反する、そういうケースが多くなる傾向があると思いますが、ただ、五十年と最近との間には実は一つの質的な差がございます。たしか五十七、八年ごろから、これの調査体制を抜本的に強化いたしまして悉皆調査をするようになりました。親事業者については、公正取引委員会と私どもで分担いたしましてすべての親事業者の調査をするようになった、そういうことで調査対象が抜本的に拡大されたという面もあろうかと思っております。
 いずれにしましても、私どもとしましては、特にこの円高の状況の中でそういう不当な圧迫が下請中小企業にかからぬようにということで、昨年来種々の体制強化をやってきておりますし、また、全国に配置しておりますこの担当者の数も、こういう苦しい中でございますけれども、漸次増加をさせてきているという状況にございます。
#376
○鈴木説明員 ただいま中小企業庁からお話がございましたように、公正取引委員会でも、五十九年度からは下請事業者に対する調査を大幅に拡充いたしまして、四年間に二十万社すべてを調査をする、そういうふうに体制を強化しました。その結果事件数がふえておる、そういう傾向もあると思います。もちろん、最近の厳しい情勢でございますので、我々としましては、今年度におきましても昨年度以上に調査を拡充いたしまして、問題の起こった場合の措置を十分とりたいと考えております。
 ただ、この下請法というのは、違反が起こってからそれを是正するということはもちろん必要でありますが、違反を起こさないための未然防止対策というのも非常に重要であると考えております。したがいまして、公正取引委員会といたしましては、この四月一日から、中小企業庁と協力して新しい下請法の四条一項の運用基準をつくりまして、これを事業者団体を中心に周知徹底を図って、下請取引のルールを十分認識していただいて問題を起こさないようにしていただく、これが肝要かと考えておりますし、また、日本電子機械工業会とかあるいは日本自動車工業会にマニュアルをつくっていただいておりまして、こういう事業者団体を通じて未然防止対策も今後拡充をしていきたいと考えております。
#377
○矢島委員 ぜひその周知徹底という点ではお願いしたいわけです。
 いろいろと下請取引適正化月間などを設けて取り組んでいらっしゃるということはよくわかるのですが、こうした取り組みにもかかわらずこの下請法の違反件数がどんどんふえているという現状、とりわけ今の答弁を本当に実効あらしめるかどうかという点は、大企業のいろいろな横暴から下請中小企業を守るという通産省あるいは公取の毅然たる姿勢、それからこれを保証する体制というものだと思うのです。
 先ほど来、体制強化のお話も出ました。あれはたしか」九七八年の二月の衆議院の予算委員会だと思いましたが、我が党の不破委員長が、検査官体制というものは極めて貧弱なものだ、大幅に拡充するように求める質問をしたわけです。その後も、我が党は繰り返しこの体制の強化の問題等も言っておるわけですが、確かにお話しのように一定の体制強化、拡充、こういうものがされておるようですけれども、まだまだ、今の違反件数の状況から見ますと、これで十分だというような状況ではないと思うのです。
 こういう現状の中で、この下請法の厳正な運用、それから同時に体制の大幅な拡充、こういう点での通産大臣の御意見、御決意をひとつお伺いしたいのです。
#378
○田村国務大臣 おっしゃる御趣旨は当然のことでありまして、公正取引委員会と協力して厳正に対応したいと思っております。
#379
○矢島委員 大臣、体制強化の面ではいかがでしょうか。今何か見通しなり心づもりがございますでしょうか。
#380
○岩崎政府委員 順次強化しておりまして、現在、私どもの検査職員は百名になります。うち三十四名が立入検査官として全国で活動しております。六十二年度においてもさらに二名増員する予定にしております。
#381
○矢島委員 ぜひそういう方向で厳格にやっていただきたいと思います。
 次に、別の質問に入るわけですが、実は売上税の転嫁の問題は、転嫁できるかどうか、中小企業が大変弱い立場にある中で身銭を切るような事態が起こらないようにということで、午前中も私、この質問をしたわけなんです。現状では、中小企業に対する価格を引き下げたりコスト引き下げあるいはまた手形の長いものを出してくるとか、大変な締めつけがあるわけなんですが、そういうことで、売上税を導入するということはいわゆる非課税中小下請企業というものを親企業が排除して相手にしなくなるのではないかということが言われておるのです。通産大臣にお聞きしたいのですが、そういうことはあってはならないので、この点を非常に心配しておるのですが、どんな対策でこれを考えていらっしゃるか、その点をひとつお伺いしたい。
#382
○岩崎政府委員 税制改革の中で売上税に絞って中小企業との関係を言いますと、やはり転嫁の問題と事務負担、コストの問題だと思っております。
 事務負担の問題は、売上高一億以下が免税になったことによりまして、例えば従業員四人以下の製造業、小売業、こういう中小企業者は売上税の日々の事務から解放される、そういう意味においてこれは非常に大きな効果がある、大きな配慮である、そのように考えております。一億以下の売り上げの小売業の経理の体制を見ますと、そのうち七一%は実は経営者かその家族が経理をしておりまして、そういうところに売上税の日々の事務処理、納税コストというものを課さないでいいようになる、これが一億以下の免除の中小企業側からする大きな効果ではないか、そのように私どもは受け取っております。
 世上よく、事業者間の取引というような形で取引に入っております中小企業者が排除されるのではないかという懸念が、そういう一億以下の配慮の結果として派生的に出てまいりました。これについては、今回の売上税では選択制、しかももとのそういう納税負担の軽減ということをできるだけ阻害せずに選択制をとるという意味において、端的に言って売り上げの一%、卸売については〇・五%の簡便法がとられている、このように理解しております。したがって、納税負担、納税事務コストという面での配慮は十分なされておるというふうに考えておりますし、実態的に申しましても、そういう選択の余地がある。それから、選択といいましても、私どもの工業実態基本調査によりますと、例えば製造業の下請関係にありますものの約四分の三は原材料の無償支給という形態になり、したがって委託加工の契約形態でありますので、そういう意味で、直ちにそういった排除問題が起こるかどうか、あるいは一%の課税業者負担を選択する必要があるかどうか、そこについては私ども相当楽観して考えでいいのではないか、このように考えております。
 それにもかかわらず、個々のケースでいろいろ排除の問題等が起こりますことについては、私どもとしてはできるだけそういうケース、ケースに従って最大限の指導を実施段階で行っていかなければいけない。特に、独禁法に言います優越的地位の乱用というようなことの防止という面では、最大限の配慮を払っていくべきであるというふうに考えております。
#383
○矢島委員 なかなかそううまくいかない部分があるということがいろいろな調査の中で出てきているわけです。
 一つには、一億円以下は非課税業者になれるというわけですけれども、先日トヨタ自動車が系列会社に課税業者になれ、後で取り消したようでございますけれども、そういう話がございました。また同時に、旭化成の会長で日本繊維産業連盟会長の宮崎さんなどは、私も旭化成系の会社に課税業者になりなさいと言っているとはっきり言っていらっしゃいます。そういう点からいきますと、やはり課税業者を選択せざるを得なくなる。そうしますと、先ほどコストの問題が出ましたが、納税協力コストというものが増大してくるということは仕方がないことで、実際に出てくることなんですね。ですから、それだけ中小業者の利益が減るということになります。山
 また、いわゆる簡易税額票というので簡便法があるという話なんですけれども、そこでちょっと大蔵省にお聞きしたいのです。簡便法を用いた場合、納付税額の計算だけが簡素化するにすぎないのではないか。簡便法を用いても、いわゆる記帳義務とか税額票の保存義務、こういうのは一般の課税事業者と全く同じだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#384
○尾崎政府委員 課税売り上げ一億円以下の事業者が課税選択をいたしました場合に、税額の計算につきまして簡便法がとられるわけでございます。簡単に言って一%と思っておりますが、仕組みといたしましては、売り上げの五%が税金である、税率五%というところは変わっていないわけでございます。ただ、仕入れ控除というのを行います。仕入れ控除は、通常の場合には税額票を用いて税額票に記載されております税額のトータルを引くというようなやり方をするのでございますが、その税額票を集めるというようなことについて、やはり手間暇が大変であろうと考えました。そこで、売り上げの八〇%が仕入れである、税額票がなくても、売り上げさえ決まればその八割が仕入れであろうというふうにみなしているわけであります。卸売業者の場合には利益率が低いものでございますから、そこを九割が仕入れであろうというふうにみなしております。小売業者の場合は八割が仕入れでございますから、八割の五%が仕入れにかかっている税、つまり売り上げの四%に当たる分が仕入れにかかっている税だということで、そこで売り上げの五%から四%分を引きまして、残りの一%を納税していただけばいい。卸売業者の場合にはそれが〇・五%になりますが、そういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、記帳の場合には、これは特に売り上げ等につきましては、必ずしも売上税だけではなくて法人税、所得税との関係でもそれはやはり記帳をしていただかなくてはいけないわけでございますけれども、税額票の保存義務になりますと、仕入れにつきましては今のようなやり方で簡便法を用いてやることができますが、ただ、そういう結果として、今度は自分が自分の売り上げについて税額票を出すことができることになります。そのために、自分が出しました税額票の控えにつきましては、やはり保存をしておかなくてはいけないということになるわけでございます。
 それが計算の簡便法でございますが、もう一つ、御承知のとおり納付につきまして、三カ月ごとに計算をいたしますが、二回分をまとめて納付していいという考え方、納付についての簡便なやり方もあわせて考えられているわけでございます。
#385
○矢島委員 売上税導入というのが中小零細企業にとりまして大変なものだということは、これだけの大とな全国的な反対の声の中で、私たちもまことに重大な問題だと思っているのです。
 この売上税は、ほかの間接税と同じように実際に税を負担するのは消費者ですから、いわゆる預かり金という性格になってくると思うのですね。ですから、脱税すればこれは大変なことですし、滞納すれば不当にどこかへ流用したのじゃないかとか、今大蔵省は当面この罰則について厳しくしないような発言も出ておりますけれども、いずれにいたしましても間接国税ですから、厳しくせざるを得ないと思うのですね。結局この売上税導入というのは、これに対応できない中小企業あるいは流通業界の小規模事業者の淘汰というのが一層進んでいくのではないか、こういう点が非常に懸念されるわけです。淘汰されてしまえばこれはまさに生活破壊、生死にかかわる問題だということになるわけです。
 時間が参りましたので、最後に通産大臣にお伺いいたします。この売上税というのは、下請いじめ法あるいは中小企業淘汰促進法と言えるようなものじゃないかと私は思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
#386
○田村国務大臣 これはもう考え方が違いますから何とも申し上げようがありませんが、私どもは、先ほど来中小企業庁長官がお答えいたしましたような、また大蔵省から御説明がありましたような仕組みになっておりますから、転嫁が確実に行われていけば、しかも所得税、法人税の減税というものと組み合わせますと、必ずしもおっしゃるようなことではないというふうに思います。
#387
○矢島委員 私は最後に、この公約違反であり、一部の大メーカーあるいは大企業、こういうものの利益を守っていく、中小企業にとっては大変な売上税法、ぜひこれを撤回されるように要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
#388
○堀之内委員長 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、来る六日月曜日、参考人として青森県副知事山内善郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#389
○堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、来る四月六日月曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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