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#1
第108回国会 運輸委員会 第1号
本国会召集日(昭和六十一年十二月二十九日)(
月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
  委員長 鹿野 道彦君
   理事 小里 貞利君 理事 亀井 静香君
   理事 久間 章生君 理事 関谷 勝嗣君
   理事 津島 雄二君 理事 吉原 米治君
   理事 西中  清君 理事 河村  勝君
      小渡 三郎君    亀井 善之君
      北川 正恭君    田中 直紀君
      二階 俊博君    平林 鴻三君
      増岡 博之君    箕輪  登君
      山下 徳夫君    山村新治郎君
      若林 正俊君    渡部 恒三君
      小林 恒人君    清水  勇君
      新盛 辰雄君    戸田 菊雄君
      浅井 美幸君    石田幸四郎君
      中村 正雄君    中島 武敏君
      村上  弘君
―――――――――――――――――――――
昭和六十二年三月二十五日(水曜日)
    午前九時四十分開議
出席委員
  委員長 鹿野 道彦君
   理事 小里 貞利君 理事 亀井 静香君
   理事 久間 章生君 理事 関谷 勝嗣君
   理事 津島 雄二君 理事 西中  清君
   理事 河村  勝君
      石渡 照久君    小渡 三郎君
      亀井 善之君    北川 正恭君
      北村 直人君    鴻池 祥肇君
      斉藤斗志二君    田中 直紀君
      二階 俊博君    平林 鴻三君
      山村新治郎君    若林 正俊君
      渡部 恒三君    小林 恒人君
      新盛 辰雄君    関山 信之君
      戸田 菊雄君    浅井 美幸君
      遠藤 和良君    中村 正雄君
      中島 武敏君    村上  弘君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 橋本龍太郎君
 出席政府委員
        大蔵省主計局次
        長       角谷 正彦君
        運輸大臣官房長 服部 経治君
        運輸省国際運輸
        観光局長    塩田 澄夫君
        運輸省海上技術
        安全局長    間野  忠君
        運輸省海上技術
        安全局船員部長 増田 信雄君
        運輸省港湾局長 藤野 愼吾君
        運輸省航空局長 山田 隆英君
        自治大臣官房審
        議官      小林  実君
 委員外の出席者
        国土庁地方振興
        局離島振興課長 河出 英治君
        国土庁防災局震
        災対策部長   荒井  治君
        外務大臣官房審
        議官      久米 邦貞君
        通商産業省産業
        政策局産業資金
        課長      藤原武平太君
        労働省労働基準
        局安全衛生部計
        画課長     安藤  茂君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 廣見 和夫君
        労働省職業安定
        局高齢者対策部
        企画課長    木村富美雄君
        労働省職業能力
        開発局能力開発
        課企画室長   松崎  朗君
        運輸委員会調査
        室長      荒尾  正君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十六日
 辞任         補欠選任
  山下 徳夫君     臼井日出男君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     鴻池 祥肇君
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  鴻池 祥肇君     石渡 照久君
  増岡 博之君     斉藤斗志二君
  箕輪  登君     北村 直人君
  清水  勇君     関山 信之君
  石田幸四郎君     遠藤 和良君
同日
 辞任         補欠選任
  石渡 照久君     鴻池 祥肇君
  北村 直人君     箕輪  登君
  斉藤斗志二君     増岡 博之君
  関山 信之君     清水  勇君
  遠藤 和良君     石田幸四郎君
    ―――――――――――――
二月六日
 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出第一〇号)
同月二十日
 港湾法の一部を改正する等の法律案(内閣提出
 第二二号)
三月九日
 特定船舶製造業経営安定臨時措置法案(内閣提
 出第五三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月十一日
 公共輸送機関の維持改善対策に関する陳情書
 (東京都千代田区丸の内三の五の一東京都議会
 内若松貞一外九名)(第四四号)
 国鉄瀬戸線の早期開業に関する陳情書(名古屋
 市中区三の丸三の一の二愛知県議会内松井治
 之)(第四五号)
 造船海運業などの構造不況対策に関する陳情書
 外二件(長崎県西彼杵部長与町嬉里郷六三六長
 与町議会内脇川重隆外二名)(第四六号)
 関西国際空港建設に関する陳情書(大阪府泉南
 市樽井七三〇泉南市議会内小井安男)(第四七
 号)
 航空運賃格差の是正に関する陳情書(札幌市中
 央区北二条西六丁目北海道議会内吉田政一)(
 第四八号)
 気象業務の整備・拡充に関する陳情書(鹿児島
 市山下町一一の一鹿児島市議会内川路益巳)(
 第四九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出第一〇号)
 港湾法の一部を改正する等の法律案(内閣提出
 第二二号)
 特定船舶製造業経営安定臨時措置法案(内閣提
 出第五三号)
     ――――◇―――――
#2
○鹿野委員長 これより会議を開きます。
 この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため
 陸運に関する事項
 海運に関する事項
 航空に関する事項
 日本国有鉄道の経営に関する事項
 港湾に関する事項
 海上保安に関する事項
 観光に関する事項
 気象に関する事項
について、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○鹿野委員長 次に、内閣提出、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する等の法律案及び特定船舶製造業経営安定臨時措置法案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。橋本運輸大臣。
    ―――――――――――――
 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を
  改正する法律案
 港湾法の一部を改正する等の法律案
 特定船舶製造業経営安定臨時措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#5
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する等の法律案及び特定船舶製造業経営安定臨時措置法案、以上三件の法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 初めに、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国外航海運は、世界的な船腹過剰による不況の長期化に加え、一昨年秋以降の大幅な円高の影響を受けて、その経営が極めて悪化しており、この難局を克服すべく、海運企業においては、大幅な経営合理化等の自助努力を懸命に行っているところであります、
 一方、現行の外航船舶建造融資利子補給につきましては、昭和五十四年度から三カ年間に日本開発銀行及び一般金融機関の融資を受けて建造された船舶を対象として行われているものでありますが、国の厳しい財政事情により、五十七年度以降やむなく利子補給金の一部の支給を後年度に繰り延べる措置を講じてきており、今後もこうした事情を踏まえ所要の繰り延べ措置を講じていかざるを得ない状況であります。
 このような状況にかんがみ、利子補給金の支給繰り延べ措置により生ずる海運企業の負担の軽減を図るため、利子補給金相当額の建造融資利子の支払いを日本開発銀行が猶予できる制度を設けることがこの法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、政府と日本開発銀行との利子補給契約による昭和六十二年度以降の融資残高に係る利子補給金についての支給繰り延べ措置に対応し、日本開発銀行は、利子補給対象の海運企業に対し、六十二年度以降生ずる建造融資利子のうち利子補給金相当額の支払いを、所定の条件により、猶予できることとしております。
 第二に、政府は、日本開発銀行に対し、猶予対象利子額に相当する額の交付金を、猶予対象利子が生じた年度から起算して三年度を経過した年度以降五年度の各年度において五分の一ずつ交付するとともに、猶予期間中毎年度猶予対象利子の残高に所定の利率を乗じて計算した額の交付金を交付するものとしております。
 第三に、各年度において猶予対象利子額の五分の一に相当する額の交付金の交付があったときは、繰り延べられた利子補給金の支給があったものとみなし、当該年度において海運企業が日本開発銀行に支払うべき猶予対象利子額について、その支払いを要しないこととしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 次に、港湾法の一部を改正する等の法律案につきまして御説明申し上げます。
 港湾及び空港は、産業活動、国民生活等の基盤となる重要な社会資本であり、国際化、情報化が一層進展し、国民の価値観もますます多様化、高度化していく中で、その計画的な整備を推進していくことが我が国経済社会の健全な発展にとって必要不可欠であります。
 一方、我が国財政を取り巻く環境は一段と厳しさを増しておりますが、この法律案は、このような財政状況を踏まえつつ、事業費の確保を図るため、港湾及び空港の整備についての国の補助金等に関する臨時特例の措置を講じ、五カ年計画に基づく港湾及び空港の円滑な整備を推進していくこととするものであります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、港湾法、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律、特定港湾施設整備特別措置法及び空港整備法に規定する国の負担または補助の割合を昭和六十二年度及び昭和六十三年度において臨時に引き下げる等の特例措置を定めることとするものであります。
 なお、この措置の対象となる地方公共団体に対しましては、その事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずるものとしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 最後に、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案につきまして御説明申し上げます。
 我が国造船業は、世界の造船業において重要な地位を占め、長年にわたり日本経済及び世界経済の発展に貢献してまいりました。しかしながら、二度にわたる石油危機等経済的事情の変化による世界的な新造船需要の減退、最近における円高等により、その経営環境は急速に厳しさを増しております。特に外航船舶の建造を主体とする総トン数五千トン以上の船舶の建造設備を有する特定船舶製造業はその影響を強く受けており、このような事態を放置すれば、地域における雇用及び経済活動にも深刻な影響を与えるおそれがあります。
 このような状況において、特定船舶製造業における経営の安定を図っていくためには、国民経済の国際経済環境との調和のある健全な発展にも配慮しつつ、計画的な設備の処理及び事業提携を中心とした諸対策を推進することが緊急の課題となっております。しかしながら、長期にわたる造船不況による企業体力の低下等により、特定船舶製造事業者の自主的な努力のみをもってしてはこれらの対策の円滑な実施が困難な実情にあります。
 このような特定船舶製造業の実情にかんがみ、特定船舶製造業における経営の安定に関する基本指針を定め、特定船舶製造事業者が行う設備の処理、事業提携等の努力を喚起しつつ、設備の処理の際に必要となる資金の債務保証等所要の措置を講ずることとし、この法律案を提案するものであります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、特定船舶製造業における経営の安定を図るため、運輸大臣が、計画的な設備の処理、事業提携等に関する基本指針を策定することとするとともに、特定船舶製造事業者は、基本指針に従って設備の処理、事業提携等の経営の安定のために必要な措置を実施するよう努めなければならないことといたしております。
 第二に、特定船舶製造事業者は、基本指針に定めるところに従って経営の安定のための措置に関する計画を作成し、運輸大臣の認定を受けることができることといたしております。
 第三に、運輸大臣の認定を受けた実施計画に係る設備の処理等を行う事業者に対し、設備の処理に伴う欠損金の繰り越し期間の延長等の課税の特例措置を講ずるとともに、必要な資金の借り入れに対する特定船舶製造業安定事業協会による債務の保証等の支援措置を講ずることといたしております。
 第四に、特定船舶製造業安定事業協会が基本指針に定めるところに従って設備等の買収を行うことを定めております。
 第五に、雇用の安定に関する事項等について定めております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 これら三件の法律案につきまして、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#6
○鹿野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○鹿野委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。
#8
○新盛委員 ただいま提案されました関係法案に関して、関連をして海運危機の現実的な状況にかんがみまして、以下質問をしたいと思うのです。
 まず冒頭に、ただいま提案のございました利子補給法案改正の問題は、日切れ法案ということと、現下の危機的な状況を踏まえて暫定予算絡みということで多少は理解できるのですけれども、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案はどういうことで日切れ法案になったのか。これは準備等の関係でいろいろございましょうけれども、この扱い方は将来のことにもかかわりますので、同法案は「公布の日から」というふうに施行期日がなっておるのでありますが、この関連についてまずお答えをいただきたいと思うのです。
#9
○橋本国務大臣 お答えを申し上げます。
 まず利子補給法の方でありますけれども、これは先生御承知のように、昭和五十四年度から三年間国が締結した利子補給契約に基づいて利子補給金の支給が行われたわけでありますが、これが昭和五十七年度以降の国の財政事情により繰り延べられておりまして、その総額が二百二十八億円に達しておるという状況であります。これは現実に海運企業にとりましては大変大きな負担になっております。
 そこで、今回、これら海運企業の負担をこれ以上増大せしめないためにも、昭和六十二年四月一日以降の開発銀行の利子補給金相当額について利子猶予という考え方をとったわけでありますが、これが仮に四月一日までに成立をいたしませんと、その利子猶予をすることができなくなりますので、中小の企業を含めた海運企業に四月一日以降はさらに利子猶予すべき金額の負担をさせるという状況が生まれるわけでありまして、これは何とか期間内に成立をということでお願い申し上げました。ただ、これは委員御指摘のとおり日切れ法案としてお認めいただけるものであろうと思います。
 特定船舶製造業経営安定臨時措置法について私どもがお願い申し上げました理由は、まず第一に、我が国の造船業の実態というものが現実に極めて困難な状況に置かれており、既に一部企業におきましては事業場の閉鎖とか雇用調整等の合理化対策が実行を余儀なくされているということ、それを受けて造船業が立地しております地域が既に雇用及び地域経済に極めて深刻な影響を受けつつあるという情勢がございます。
 そして、これは運輸省だけで対応のできる問題でないことは委員御指摘のとおりでありますが、たまたま今国会で、政府といたしまして他の省庁から地域雇用開発等促進法などの提案をいたしておりまして、これと符節を合わせて対策を講じさせていただきたい。そのためには、「公布の日から」という法律案ではありますけれども、やはり年度内に成立をさせていただき、四月一日からこれが施行されるように院としてのお計らいをお願い申し上げたい。
 そうしたことからお願い申し上げた次第でありまして、一方は実態を踏まえ、また他の関連法の期限等も参酌しつつ日切れ法案としての取り扱いを院にお願い申し上げた次第であります。
#10
○新盛委員 これから利子補給改正の問題で少し突っ込んでみたいと思うのです。
 昨年の三月五日、当運輸委員会で我が党の横山利秋委員が利子補給関係に関する質問をしておられます。その議論のいきさつはやめます。なぜ繰り延べ、繰り延べという形をとらざるを得ないのか。確かに現下の緊縮予算あるいは財政的な困難さがある意味ではあるということでございますが、この中で、六十二年度編成で、これまでのいわゆる繰り延べということについて厳しく指摘をしたことについて、本来の正常な姿に努力をしていかなければいけないんだ、これは当時の三塚運輸大臣がお約束をしておられます。
 それが今回もまた繰り延べの措置という形で出ているわけでありますが、「最終年度には満額利子補給を約束どおりやるというふうに理解してよろしいか。」という横山委員の質問に対して、「法律上六十六年度までに完済するということにいたしております」、これは当時の仲田観光局長の答弁であります。それを受けてさらにあいまいであるとして追及されておりますのは、「オーソドックスに六十六年までに利子補給はこの契約どおり完全に実行するというふうにひとつあなたの断言がもらいたいこれに対して三塚国務大臣の方からは、「御指摘のとおり、しかとやります。」という御回答があります。
 このことを確認して横山委員は、「私は速記録に特筆大書させておきたい。」こういうふうにまで言明をして、「大言壮語じゃない、当たり前のことを言ったということを全国的に知らせますから、よろしくお願いしたい」ということで結んでいるのです。
 この法案で再度、確かに状況はわからないわけじゃございませんが、これから船舶建造融資を行い、あるいは利子猶予が行われ、それに対して国が面倒を見るということについて、基本的な考えとしてこれから先一体どう処理をされるのか、それをお聞かせいただきたいと思うのです。
#11
○塩田政府委員 お答え申し上げます。
 昨年三月五日の横山先生の御提言は、利子補給法で決められ、政府が支払いを約束しているにもかかわらず、国の財政事情により繰り延べられている利子補給金について、法律で定める最終年度までに約束どおり支給すべきであるということでございました。今回御審議をお願いしております本法案は、国の厳しい財政事情を勘案しつつ、国が約束をした利子補給金の支払いにつきまして実質的に法定期限内に支給をするものと同等の効果を生じさせようとするものでございまして、まさに横山先生の御提言を実施する内容になっております。
 ただいま新盛先生御指摘の、これからどういう方針で海運政策を進めていくかという御質問でございますが、私どもは、過去の利子補給金の繰り延べの問題を解消することが最初にまず我々が取り組むべきことだと考えまして、このような法案を御提案するに至ったものでございます。
#12
○新盛委員 五十七年度以降六十一年度までの繰り延べ総額は二百二十八億、約二百二十億というふうに言われているわけですが、その処理について今回の利子補給臨時措置法の一部改正ということになるわけであります。今回は据え置き三年、五年の補給金ということになっているわけですけれども、横並びで、七十億前後の並びでずっときて、最終段階で、昭和七十三年で完結をするということになるわけですが、このプランで本当に到達をするのか。もう既に環境はどんどん変わってくる。海運の船舶建造の問題は、後で申し上げますけれども、いろいろと変化が生じてくると思うのです。
 そういう中で、利子補給をせっかく決めて、それが完全に実行されないで、その都度、これは業界の方からも指摘があると思いますけれども、繰り延べ、繰り延べの形をとるというのはよくないことじゃないか、この始末を何としても明確にしなければいけないのじゃないかという強い要望があるわけです。それは緊急かつ必要なことですから、さっき大臣がおっしゃいましたように四月一日から、これは前半期分、本当は十月一日以降にかると思うのですけれども、利子補給のそういう計算上の問題は別にしまして、本当に完全にこれが消化できるのかどうか。これらについては、ただ法律を改正してこういうふうになるんだということだけでは、現実が伴わなければ昨年の三月に指摘されたようなことの結果に終わりはしないか。それを憂慮するからこれから先の問題についてぜひ明確なお答えをいただきたいと思うのです。
#13
○塩田政府委員 ただいまの御指摘につきましては、まず六十二年度以降に発生をいたします開発銀行の利子補給金相当分、これにつきましては、開発銀行の利子猶予措置によりまして、海運会社にとりましては利子補給金の支給を受けたと全く同じ効果が期待できるわけでございますので、この部分につきましては問題が解決をすると思います。したがいまして、今まで繰り延べになっております二百二十八億円、これにこれから発生をいたします市中銀行に関する利子補給分を加えました額をこれから毎年度の歳出予算で処理をしていくということになります。今まで、困難な財政事情にもかかわらず、おおむね七十億円程度の予算を確保してまいりました。このように毎年七十億程度の予算を確保することができれば、約束の六十六年度までに利子補給金の完全支給ができる、かように考えております。
#14
○新盛委員 完全に消化できるということなのですが、これは、当初の発足のときがいわゆる三部門に当たる八十四隻、四百九十七万総トン。それに対する利子補給金の総額として、日本開発銀行が七百四十五億、一般金融機関が百五十二億一計八百九十七億。そのことに対する三年の利子補給の契約を結んでそれぞれの補給金があって、既に四百四十八億円の支給がなされているのですね。そして残り約二百三十億が繰り延べになる。こういうことで、それをこれから先整理をするためにこの法案が出ているわけですが、同じことを繰り返すことになりはしないか。
 七十億前後のこれからの支給額ということになるのですが、それこそ財政的な問題でありますから、一挙に、早急にこれらの増額をさせるとか、そういうことはできないものか。これはもう期間が非常に延びてしまえば効果が半減するんじゃないか、そういう意見もあるわけですから、今後の問題としてどういうふうにお考えになっているか、もう一回聞かしてください。
#15
○塩田政府委員 六十二年度予算について申し上げますと、過去の繰り延べた利子補給金の支払いのほかに開発銀行の利子の猶予を合計いたしますと、従来の約七十億円のおおむね倍増した額を実質的には海運会社に支給することになります。したがいまして、そういう意味で、六十二年度の予算案におきます措置は、私どもとしてはかなりの効果があるというふうに考えております。このように、来年度につきましても、おおむね七十億円程度の利子補給金に加えまして開発銀行の利子猶予分がその上にまた乗るということでございますので、そういう意味でかなりの前進があったというふうに考えております。
#16
○新盛委員 船協月報の一月号に載っているのですけれども、これは座談会の中で出されている記事で、最後に「海運界としては、政府に対し、繰り延べ分を含め、利子補給金が期限内に完全に支給されるよう措置をお願いしたい。もし今度期限内に支給されなかったら、船会社はみんなもうサインしないと思いますよ。われわれとしてはそうしたくないんですが、」実態からいえば完全に実施してほしいと、強い要望を出しておられるのです。これはもう御存じのとおりだと思います。こういうこともございますので、これからの補給金の繰り延べについては、完全消化が図り得るように最善の努力をお願いしたいと思います。
 次に、これに関連をいたしまして、海運の現況すなわち深刻な不況、そして円高、これによって、昨年の六月二十五日に海造審の答申がなされております。また、昨年の暮れには海運関係の海造審の答申が出されているわけであります。造船の状況についてももう既に非常に深刻なことが言われているわけですけれども、提案されております特定船舶製造業経営安定臨時措置法案の内容から見ましても、これらの対策はこれから円滑に実施をしていかなければならない。それは造船業の経営安定がこれから可能だという方針を含めての提案であるわけですが、今非常に深刻な状況であります造船業の現況及び今後の見通しを政府はどういうふうに考えておられるのか、また、これまでもいろいろと論議をされてはおると思いますが、その内容をひとつ明確にしていただきたい。
 それから、昭和五十二年の造船不況と今回の造船不況、これはオイルショックの諸状況がまた変化してきたのです。五十三年のときと今日の造船不況の状況の変化あるいは内容、それはおのずから違ってくると思いますが、我が国の造船業の国際化の進展状況とあわせまして、方針ですから、ぜひひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#17
○間野政府委員 最初に、造船業の現状と今後の見通してございますが、現状につきましては、既に御承知のように、石油危機以降海上荷動き量が低迷しておりますことを受けまして船価も非常に下がっておる、それから新造船の発注量が減っておるというようなことがございまして、造船業は経営的にも非常に困難な状態にあるわけでございまして、現在お願いしております法案が対象にいたします特定船舶製造業、四十四社あると思いますが、これのことし三月期の決算は大抵の会社が経常利益で赤字に転ずるというような事態になっております。
 それで、今後の需要見通しなんですけれども、昨年六月に海運造船合理化審議会が答申しておりますように、この特定船舶製造業四十四社で能力は六百万トンほどございまして、六十年には五百四十万トンほどの工事量があったわけでございますが、今後数年間は三百万トン程度の非常に低い水準で推移するのではなかろうかという予測が出されております。その後大型タンカーの代替需要等が出て若干回復するものの、昭和七十年ぐらいの時期におきましても標準貨物船に換算いたしましてせいぜい五百二十万トン程度の需要しか見込めないのではなかろうかというふうに予測されております。
 前回、五十三年、五十四年のころと今回との情勢の変化でございますけれども、前回の場合には、まず造船業そのものが比較的まだ体力を持っておりまして、現在のように一社一船台が多数を占めておる状況ではありませんでしたので、各社ごとに設備処理をするというようなことも可能でございました。また、韓国を初めとする第三造船諸国も現在ほどには強い競争力を持っておりませんで、その造船市場におけるシェアも低いものがございましたが、現在はかなりの力をつけてきておるということでございます。さらに為替相場でございますが、前回も瞬間的にかなり円高が進行した時期がございました。しかし、比較的短期間で終わったわけでございますが、今回はかなり長期間にわたって円高が定着するのではないかと見込まれているようなことがございまして、前回に比べましてもさらに厳しい状態に置かれておるわけでございます。
 それで、まず我々といたしましては、現在存在します過剰設備、約二割程度と思われますが、これを廃棄して供給能力を抑制するということと、それから、前回と違いまして今回は個々に設備処理をすることができませんので、できるだけグループ化等によりまして設備処理をやりますとともに国際競争力を強めていきたいというふうに考えております。
#18
○新盛委員 内容については後ほど関山委員の方から具体的な問題提起をいたしますので、私の方からは、昨年十二月十六日、海運造船合理化審議会、いわゆる海造審の答申がなされておるわけでありますが、その内容を含め、大変な経営危機に陥っております海運のこれからの諸問題について、特に外航海運について質問をしたいと思います。
 それで、今日の危機を招いた要因、これは一体どういうことに原因があるのか。政府の基本的な姿勢、これからの外航海運をどう見ていくかということについて昨年来議論がされております。第一は、日本商船隊の国際競争力を確保するのだ。第二は、海運企業の活性化、これは行政的な諸規制の緩和を図ることだ。第三に、厳しい海運不況に対処するために船舶の解撤促進、昨年関係の法律もできたわけでありますが、こういうことだとか、あるいは国際的な過剰船腹による市況低迷、そういうようなことも理由として挙げられるのだろうと思います。特に昨今の円高、こうした相乗効果をも含めて、もうおっしゃる意味はわかっておりますから、ただ基本的な問題について、海運業を一体どういうふうにこれから進めていかなければならないのか。この不況の克服、現実に企業は倒産をする、あるいは要員は余剰化されていく、失業は増大をしている、こういう状況ですから、この危機を招いた基本的な要因、そういう中において一体これからどうするのかということについて、政府の明確なお答えをいただきたい。
#19
○塩田政府委員 まず外航海運の経営危機の原因でございますが、その原因の一つは、二度にわたります石油危機の影響によりましてタンカーの輸送需要が非常に減ったということがございます。第二番目に、タンカー部門だけではなくて、ばら積み貨物船の関係も、船腹量が増加したのに対してそれほど輸送需要はふえないということで、この二つの分野におきます船腹過剰が原因で海運市況が非常に長期に低迷をいたしております。また、定期船分野におきましても船腹過剰がございますとともに、日本とアメリカの間の北米航路におきましては、米国の競争政策を反映いたします米国の海運法の影響もございまして、世界の海運企業の間で激しい競争が行われておりまして、この関係で運賃の水準が非常に下がってしまっているということで、ここも大変な不況でございます。
 このようなタンカーの分野、バルクキャリアの分野、それから定期船の分野、この海運のすべての分野で不況が長い間続いておりまして、そのために海運会社の経営体力、企業体力が非常に弱っておりますところに、六十年来の急激かつ大幅な円高によりましてさらに経営状況が悪くなっているという状況でございます。今後の予想といたしましては、円レートの低下が余り期待できない状況でございますので、また運賃市況の低迷がすぐ解消するとも思えませんので、この深刻な状況はしばらく続くものと考えております。
 この状況に対しまして私どもが考えております対策は、先ほど新盛先生から御指摘がございましたように、昨年スクラップの促進のための法制を整備していただきまして、これに基づきまして老朽・不経済船のスクラップを促進することによって世界の船腹需給を少しでも改善して運賃市況の改善を図るということ、それから、日本の海運の国際競争力の強化のためには近代化船の建造をする必要がございます。このために、近代化船の建造のための計画造船の財政融資、それから税制の面で近代化船の建造が図れるような措置を講じております。このような近代化船の建造を通じまして、日本海運の国際競争力の強化を図っていく必要があると思います。
#20
○新盛委員 結論からいうと、我が国の経済はこれまで重厚長大化していた、それがこれから先の貿易構造の大きな変化によって軽薄短小の方向に向いているんだ、そういう中でどういうふうにするかというこれから先のことについて、円高の問題を例にとっていえば、六十年度決算のベースで円の対ドルレート、これは一円上がるごとに約九億円の差損が出る、こういう現状なんですが、今年度の決算でどの程度の円高差損が出るのか、具体的にいきましょう、それはどういうふうにお調べになっておるんですか。
#21
○塩田政府委員 円高の影響でございますが、六十一年度におきまして円の対ドル相場が平均百六十円と仮定いたしました場合、海運会社の中で国が助成を行っております企業は四十社ございますが、その四十社について試算をいたしますと、約八百億円程度の営業上の差損が発生するというふうに推計されます。
#22
○新盛委員 六十一年予想レートの百七十円で計算をしたときが五百三十億の差損ですね。今回百六十円で約八百億の差損が出るとおっしゃっていますが、今のような百五十円前後、これで定着するかどうか。G5もありますからどうなるかわかりませんが、これから先は楽観できませんよ。結局、こうして差損がどんどん出てくる現実、これが経営を相当圧迫することは間違いないわけです。
 こうしたことで、昨年来海運業の中では倒産や経営危機の報道が相続いておりましたが、いわゆる船員の失業率というのは皆さんの方ではどういうふうに見ているんですか。巷説、三部門を含め、これは外航の方だけですけれども、各社いろいろと積算が違うので、仕組み船だとか便宜置籍船だとか、そういうようなものがあって実態がつかめないという話があります。一万人ぐらいだろうという話は聞くんですが、この失業率というのは皆さんの方ではどういうふうにつかんでおられるんですか。
#23
○塩田政府委員 六十年以来、海運会社の中で経営に困難を来した企業がふえてまいりました。まず六十年に三光汽船グループ、六十一年に中村汽船が会社更生法の適用申請をいたしました。このような企業が増加しております。
 最近の倒産状況は、不況の長期化によりまして主力銀行、親会社等の支援が限界に達して倒産に至るものが多いわけでございます。また、その負債額が大型化する一方で、事業の存続を図る更生型の再建ではなくて、事業の清算をしてしまうというものが多くなっていることが特徴でございます。また、倒産に至らないでも金融機関の支援を要請する企業も数多く見られておりまして、今後もこのような事態に陥る企業の増加が懸念をされるところでございます。
 この一年間におきまして大規模な合理化等を実施した外航海運企業は十社を超えておりまして、これらを全部合計いたしますと、離職船員の数はおおむね三千名に達しているという報告を受けております。
#24
○新盛委員 その数字は少し誤りじゃないですか。少なくともこれから雇用問題を含めて議論をしていかなければならないのですが、会社更生法とかいろいろ企業の中ではありました。しかし、実態的に各商社あるいは船主の方でつかんでいるものがあるのに、ここで総括をされる運輸省でそういうのがつかめないはずはないのですが、もっと多いのじゃないですか。どうなんです。
#25
○増田(信)政府委員 お答え申し上げます。
 まず全般的な船員の雇用情勢でございますけれども、現在船員は約二十万でございます。十年間でおおよそ三〇%弱の船員が減っております。中でも外航は、多少オーバーに言いますと半減いたしております。
 雇用の情勢でございますが、長引く海運不況と先ほども先生のおっしゃっています円高の不況、これに加えまして日ソ、日米の漁業交渉に伴う離職船員というのがございます。その結果、六十一年十月の現状で申し上げますならば、求人が約千三百人強でございます。それに対しまして求職者が九千人弱ということでございます。いわゆる有効求人倍率では〇・一四。したがいまして、陸上の場合は同時期が〇・六一だと承知しておりますので、陸上に比べて極めて厳しい状況にあるということでございます。
 失業率という計算、中でも外航だけという計算はいたしておりませんので、確実に何%ということは申し上げられないわけでございますが、先ほど先生御指摘の外航海運の場合一日本船主協会が協会傘下の五十二社、雇用船員の数約二万三千でございますが、そこの五十二社に対するアンケートで、どれほどの潜在的な余剰人員があるかということを求めております。その結果、全体の四〇%強、一万人弱が潜在的な余剰人員だというふうなことになっております。この数につきましては、ただいま全日本海員組合と船主のそれぞれの系列ごとの間で雇用調整の協議会が持たれておりますので、その結果を見ませんとはっきりした数字は申し上げられません。
 なお、先ほど国観局長が申し上げましたのは、実際、この一年間で離職ないしは組合との話し合いがついて計画に盛り込まれている数字でございます。
#26
○新盛委員 これは海運の労使で、雇用の問題については雇用安定機構あるいは受け皿機構を含めて論議されて、もう既に三月上旬に結論が出ている問題もあります。それをどういうふうに政策的に政府がやっていくかということにかかっているわけです。そのことはまたいずれ議論をしなければなりませんが、ここで日本商船隊の船舶に乗り込む日本人船員、外国人船員の比率、これは一体どういうふうに把握をしておられますか。
 六十一年度の海運白書によりますと、日本商船隊は総計で二千四百三十五隻、このうち日本船は千二十八隻、外国用船は千四百七隻、そしてこのうち四百隻は、日本国籍でありながら外国の法人に貸し出しているいわゆる便宜置籍船、FOC船ですが、これらの安い労働力でコストを下げようという動きがあるわけです。これは、これから雇用の安定化を図っていくために日本の船員を優先的に乗つけなければならないということもあるわけですが、今、日本人船員、外国人船員の比率の中では、全体で約七万人の船員が乗り組んでいると推定されるのですけれども、運輸省の方ではこの辺の状況についてどういうふうに把握をしておられますか。
#27
○塩田政府委員 ただいま先生が御指摘になりました便宜置籍船やマルシップの現状がどうなっているかということでございますが、便宜置籍船につきましては、その実質的な船主を判定することが非常に難しゅうございまして、そのために船腹量の正確な把握がなかなか難しいわけでございます。
 昨年の年央で大手の六社の調査によりますと、大手六社で仕組み船は百七隻、三百十一万総トン、チャーターバック船が二十七万総トンという報告を受けております。また、マルシップにつきましては、これも同じように正確には把握しておりませんが、日本船で外国企業に長期の裸用船で貸し出されている隻数は、昨年の年央で二百七十三隻、約三百万トン弱でございます。
#28
○新盛委員 今、マルシップだとかFOC船だとか、もう既にこの部分だけから見ましても新たな空洞化、いわゆる産業空洞化が最近言われておりますが、もう先行して船の方がそういう人的な要員を含めて外へ外へ向かっているということについては、やはり政府にも責任があるのじゃないかと思うのです。そういう面では今後の問題として対処しなければなりません。
 それと関連をしまして、世界の船腹量の中を見ますと、タンカーでは七千五百万重量トン、約二九%、バルクキャリア、いわゆるばら積み貨物船ですが、これで四千四百万重量トン、約二〇%過剰なんですね。こうした状況で当分過剰船腹が解消されるという見込みはない。為替レートの状況を見ましても、これが二百円台に回復する見込みもないわけであります。こういう状況が続きますと、当然まだまだ企業倒産あるいは大量の失業者が出てくるということになるのでありますけれども、こうした船腹調整については政府はどういうふうな見通しを持っておられるのか。この点については、いろいろ書かれている内容あるいは白書等に見られることでは、どうも我々がこれならやっていけるというふうにならないわけです。船腹調整を含めまして、一体どういう見通しを考えておられるのか、お聞かせをいただきたい。
#29
○塩田政府委員 船腹調整の具体策といたしまして、現在のところ、海運企業は船腹過剰に対処する措置といたしまして、船のスピードを落とす減速航法、それから、船を満船にいたしませんで、パートカーゴと申しまして一部満船にしないで運航する、もっと徹底したのは船を係船するというような対策を講じてきているわけでございます。
 ただ、私どもはこのような調整策は不十分だと考えておりまして、その観点から老朽・不経済船の解撤を促進する必要があると考えているわけでございます。私どもは、この老朽・不経済船の解撤が最も有効な対策であるというふうに考えております。このために、既に昭和五十三年より造船事業者に対するスクラップ促進の助成金制度を設けまして、また、昨年スクラップ促進法の制定によりまして、産業基盤信用基金からスクラップ促進のための債務保証を受けることができるような制度を設けまして、日本の海運企業に対する日本船の解撤促進策を積極的に講じているところでございます。
 なお、日本だけでこのような措置をとるだけでは不十分でございますので、日本の政府がとりましたこのような政策につきましては、OECDその他の場でこれを紹介いたしますとともに、民間の協議会でございます国際海運産業協議会、その他民間団体におきましても日本の企業の代表から日本の政策について説明をし、世界各国の協調を求めているところでございます。
    〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
#30
○新盛委員 もう海運の労使は、それこそ積極的な自助努力を行っていると私は思っているのですよ。そのスリム化の面も含めましてもはや限界ではないか。しかし、それでもなおかつどうしても当面の深刻な危機を脱却できない。このまま放置できないわけですね。これはかかって政府の責任じゃないか。
 大臣、この船腹過剰の面も、スリム化していく面もあるいは労使における受け皿機構をつくって処理をする面も、すべて大変な努力、血のにじむような努力をしておられますね。しかし、それに政府の方で一体どういう政策的な措置をするのかという面では、これまで非常にとられただろうとは思いますけれども、どうも我々が希望を燃やし得るようなことになっていないものだから、ぜひともお聞かせいただきたいと思います。
#31
○橋本国務大臣 確かに、今御指摘のような御批判を受ける面がないとは私も申しません。
 ただ、造船・海運を通じて私どもが考えなければならないことは、我々の日本という周囲を海に囲まれた国として、自国の商船隊を持たないで一体生きていけるのか、また、その自国の商船隊を維持するために造船業というものを持たなくて生きていけるのかということであります。これは生きてい。けるものではありません。そうすれば、我々はどんなことがあっても力を合わせて我が国の商船隊を守らなければなりませんし、その商船隊を維持し得る造船業というものも存続させなければならないのであります。
 お互いに力を合わせながら今までいろいろな努力を積み重ねて、しかし、世界的な荷動きの少なさ、世界的な船腹過剰、さらに円高の影響等ももちろんありますし、韓国を初めとした第三国の追い上げによる不況というようなものもありましょうけれども、さまざまな条件の中で現在悪戦苦闘をしているということは事実であります。そして、企業が労使力を合わせて全力を尽くしておられることも存じております。政府自身もまた今まで、先ほどから出ております解撤の促進といったようなことも、あるいは近代化を促進するための財政投融資、税制の措置、中小海運対策というようなものに対しても手を加えてまいりました。その上に今回、遅きに失したというおしかりはありますけれども、利子猶予制度の創設を図るといったような施策の充実を打ち出し、一層の努力を図ろうとしているわけでありまして、お互いに本当に力を合わせていかなければならないものだと認識をいたしております。
#32
○新盛委員 前の第百四回国会で、これは当時の運輸大臣の三塚さんもあるいは総理大臣もそうですが、日本人船員による日本商船隊の編成というのが海運政策の中心だ、今大臣もおっしゃったように、今日の日本の商船隊を守り維持していくんだ、そのことについては政府の方針は変わっていないわけですが、日本の年間の海上貿易量は輸出入合わせて約六億七千万トン、相当な内容でございます。それを外国用船だとか外国船員に依存している体質ですね、そしてまた、外国船の増大あるいは混乗船によってほとんどもう空洞化したのではないか。この貿易の中にも見られるわけですね。
 そういう面では、仕組み船だとか便宜置籍船だとか、こうした問題についても臨時船舶建造調整法等の趣旨を踏まえてぜひとも解決をしていかなければならない問題だと思うのですよ。雇用の問題でいえば、優秀な日本人船員を積極的に乗せていく政策。コストが安くなるから、船会社の方では混乗船だとかあるいは仕組み船だとか、そういうものにかえるわけですから、それにどういう手だてをしてやるか、これが政策なんですね。
 政府がそうしたことについて一定の方針を持つなら局面の打開はできるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
#33
○塩田政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、我が国商船隊、特にその中核となるべき日本人船員の乗り組む日本船につきましては、安全性、確実性、信頼性、運航・荷役技術の優秀性等の面で関係の方面から高く評価されていることは事実でございます。これらのすぐれた点を生かしつつ、現在行われておりますように労使が協力して船員制度の近代化の一層の促進を図り、運航コストの低減化に努め、日本船及び日本商船隊の競争力を確保していくことが必要であるというふうに私どもは考えております。
 私どもとしましても、先ほど大臣から御答弁しましたように、競争力がある近代化船の整備が促進されるよう計画造船のための資金の確保、税制の措置等を講じておりまして、このような措置をできるだけ日本の海運企業に活用してもらうことを強く希望しているところでございます。
#34
○新盛委員 これからの日本船と日本人船員のナショナルミニマムについても将来の問題として早急に結論を出さなければならないのですが、今局長の方からお答えいただいたのですが、どうもお答えが確信を持った言い方じゃないものですから、大臣が言うように少し歯切れよくやってくださいよ、
 ここで労働省に三十万人雇用開発プログラムの計画を聞いておきたいのですが、外航船の雇用対策でやらなければならないことはどういうことを考えておられるのか。また、中小船社に対しては銀行が資金融資をしなくなるというか、それは倒産するというようなところへ貸す銀行はないでしょうから、そうした面で中小船社に対しても緊急低利融資をすべきだ、これは政府の方ですがね。特定地域中小企業対策臨時措置法というのがありまして、特別の融資あるいは今回低利によって救済しようという動きもあります。特にこの外航船員の雇用対策について、労働省としてはどういうように対処されているか。
 時間がございませんからつけ加えて申しますが、雇用安定機構を今緊急課題として海運労使で詰めてこられました。この自助努力をさらに高めていくためには政府が効果的な政策を打ち出して措置していく、こういうのが望ましいわけでありますから、こうしたことについてもお答えをいただきたいと思うのであります。
#35
○廣見説明員 お答え申し上げます。
 労働省の方といたしましては、全般的に、現在のところ三十万人雇用開発プログラムというものを立てまして、これを予算化し、これを柱に最近の厳しい雇用・失業情勢に対処しよう、このように考えております。
 この三十万人雇用開発プログラムでございますが、雇用の開発を中心といたしまして、また企業の方で精いっぱい失業の予防あるいは雇用の維持に努力していただく、そのために雇用調整助成金等で援助を申し上げておるわけでございますが、この助成率を大幅に引き上げていくというようなこと等を内容にしておるわけでございます。
 ところで、今先生お尋ねの海運関係でございますが、確かに海運業もかなり厳しい状況に立たされておるということで、労働省の方といたしましても外航海運あるいは内航海運等を特定不況業種に指定いたしまして、ここから出てこられる離職者の方で陸上の方の職業にかわることを御希望なされる方、こういう方を中心にいろいろと対策を進めておるところでございます。したがいまして、今後もこういった海運業の方から陸上への転職を希望なさる方、こういう方に対しまして、この三十万人雇用開発プログラムを中心といたしまして精いっぱい努力してまいりたい、このように思っております。
 ただ、現在のところ、転職という形で船員の方から陸上にかわる方は数としては割合少ないわけでございますが、今後の一つの方策といたしまして、出向のようなものをもっと活用していく必要があるのではないかということで、これは造船業界が中心となって動いていたわけでございますが、出向に関する情報の収集と提供をもっと組織的にやれないかということで、これを行う団体を新しく設立したところでございます。財団法人としまして産業雇用安定センターという名称で設立いたしました。こういったようなところでも出向についてできるだけ情報を集め、それを活用することによって雇用の安定を図っていこうということでございますので、海運業等につきましても同じようにこういったものの活用もまた期待されるところではないかというふうに考えているところでございます。
#36
○新盛委員 最後に、大臣にぜひお願いをしておきますが、こうした非常に不況の中における海運業の活性化を図るためには、最近、造船の方で言えば豪華客船あるいは年金客船などという話題も出ておりますね、こうした建造によって造船業界に活を入れるとか、あるいは海運の面では、日本船社が支配するFOC、マルシップ、約千五百隻くらいあるのだそうですが、これらの船舶に日本船員の職域を開拓するように強力な行政措置を期待しているわけです。こうした問題を含めて、これからの近海、内航、旅客、各海運の対策についても質問したかったのですが、これは後に譲るといたしまして、長期不況、円高、こうした中において、これからみんな海運業界が希望を持てるように、運輸大臣の格段の御努力をいただきたいと思いますが、一言御回答いただいて終わりたいと存じます。
#37
○橋本国務大臣 私は、造船の主管の立場から申しますならば、日本船でなくてもどこの船でもいい、一隻でも注文をとってきたい、これはもう切実にそう思います。と同時に、日本の海運ということから考えてまいりますならば、自国船による商船隊の維持、そしてより高い国際競争力の付与できるもの、そういうものを求めることは当然であります。
 確かに、今御指摘がありましたように、努力を続けながらも、世界的な経済情勢の中でこの手法一つですべてに答えを出し得るといったようなものがありません。ただ、先ほどから出ております空洞化といった御批判にこたえるためにも、日本人船員の優秀性というものから、部員の職員化といったような地道な問題を一つずつ取り上げることによって誠実な努力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
#38
○新盛委員 終わります。
#39
○小里委員長代理 次は、関山信之君に発言を許可いたします。関山君。
#40
○関山委員 新盛議員からいろいろお尋ねがあって、やりとりの中にもございましたが、もう一つはっきりしない部分なども含めて質問を同じテーマで少し続けさせていただきたいと思うのです。
 最初に、今回の利子補給ですけれども、七九年から八一年の利子補給が再開をされているわけですね。これは当時どのような意味を持ったのかということを一つは伺いたいし、また、計画造船、これは随分と、戦後から長い長い歴史を持っているのですが、それなりにその時代その時代で果たすべき役割が変わってきているという部分もあるのですね、そこで、計画造船の今日的な意義は一体どういうものであるのか。
 実はお伺いしている意味は、いみじくも今大臣が量後の部分でおっしゃっていられるのですけれども、私もこの委員会で終始言っているように、造船政策と海運政策の整合性というものは、政策手法としては非常に難しいといいましょうか、非常にきちっとした判断を持ってそれなりに機能していきませんと、本来日本商船隊の強化という基本的な任務を持った計画造船あるいは利子補給といったような制度が有効に機能しないまま、私どもに言わせれば投機的な造船が先行して世界的な船腹過剰を生む。世界的な船腹過剰についても、これはもう既に議論済みなんですけれども、見解が分かれるかもしれませんが、最近の韓国のウエートの上昇を別にすれば、今まで日本の造船業界は世界の半分の船をつくってきているのですから、これは日本が国際的な船腹過剰について責任なしとはしない、そういう立場での御議論を申し上げてきたところでありまして、改めてこの当時の利子補給は一体どういう意味を持っていたのか、端的に言えば造船対策だったのか海運対策だったのか、そして今日、計画造船はどういう意義を持っているのか、お尋ねをしておきたいと思います。
    〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
#41
○橋本国務大臣 これは私が申し上げるのが適切かどうかわかりませんけれども、私なりにちょっと考えることを申し上げてみたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、日本という四面を海に囲まれた国、そして原材料に乏しく、貿易によって生きていかなければならない国、その宿命の中には貿易物資の安定輸送というものが必ず必要であります。その貿易物資の輸出入に多くを依存している我が国として、海運というものの大切さは申し上げるまでもありません。こうした使命にこたえるべく、我が国の外航海運企業というものは外航船舶の整備に努力をしてこられたと私は考えております。そして、その船舶の供給に造船業というものもまた符節を合わせて進展してきたでありましょう。
 ところが、昭和五十年代の初期における不況に加えて、日本船の国際競争力の低下に伴って、海運企業が日本船を建造する意欲が乏しくなり、運航コストの低廉な外国船に依存する度合いを年々強め始めた時期から、今委員の御指摘になる海運政策と造船政策の乖離という問題が生じてきたのではなかろうかと思います。あるいは逆にドッキングをしたと申し上げてもよいかもしれません。
 そして、その状態を放置した場合に、我が国の外航海運というものはますますその中核としてきた日本船の維持を外国船に移しかえていく、それは貿易物資の安定輸送というものを確保する上で決して望ましい姿ではないということから、五十四年度から五十六年度における利子補給制度が復活され、拡充を図られ、国際競争力のある日本船の建造体制の改善強化というものが図られたと私は考えておりまして、これは海運政策と同時に造船政策というものもいわば車の両輪で動いてきたものだと考えております。
 殊にその五十四年度から五十六年度予算において利子補給制度が復活された時点におきましては、かつてとは異なりまして、その対象が高度合理化船また液化天然ガス運搬船というものに限っておりまして、利子補給を通じてコスト面においても国際競争力を有する船舶の建造を促進しようというものでありました。これは、造船の政策でもありましょうが、我が国の海運の体質改善を図ろうとしたものであることも間違いがありません。
 そして今日、依然として非常に厳しい経済情勢の中で、さらに委員御承知のような円高の状況といった強烈な波も当たっている中におきまして、しかも我々はやはり日本の商船隊というものを維持しなければならないとすれば、その維持されるべき商船隊の能力はより高度な、より近代化された、他国の商船隊に対して対抗力を持つものでなければなりませんし、それはより高度な造船によって生み出されるものでなければなりません。いわば極めて強度な競争力を有する近代化船の整備を促進するということは海運政策の上でも必要なことでありますし、同時に計画造船制度がこの限りにおいて果たす役割というものは一層大きなものになっていく。まさに計画造船というものは今後の我が国の海運を支える柱としての重要性を増してきているものだ、私はそう考えております。
#42
○関山委員 大変的確な御判断といいましょうか、状況についての御認識があるので安心をいたしておるわけです。確かに、一九七九年から八一年というのは、一方では海運の近代化を図りながら、一方ではちょうど裏腹で、三光汽船なんかに代表されるハンディバルカーを中心にした船腹過剰をつくり出した時期でもあるものですから、造船業というものは絶えず二つの側面を持ちながら動いていくものであるということを御理解いただいておるようでございますので、どうぞひとつこの時期、誤りのない政策選択をしていっていただきたいと存じます。
 日本人船員の乗り組む日本船を我が国商船隊の中核として位置づけていくんだという基本的な御姿勢については先ほど御答弁がございましたので、この上は念を押しませんが、そういうお立場で物を判断していらっしゃるということを確認させていただきたいと存じます、
 ところで、今回の利子補給も海造審の中間報告の中で出てきている一連の問題処理の一つなんでしょうけれども、今回の中間報告は、申し上げるまでもなく雇用問題ですね。海運業そのものの企業の存廃はもちろん重要な課題ではございますけれども、専ら雇用の問題に中心がある。それだけだとは言っていませんよ。いろいろあるのですが、やはり私どもはそうとらえるべきだと思っております。先ほど来の政策支援についての御議論も、どうも答弁がちぐはぐといいましょうか、先ほどの塩田さんの御答弁では、雇用の問題というよりは企業の側面からの政策支援というふうな御答弁なんですが、どうなんでしょうか、その中間報告の大きなテーマであるという意味では雇用問題にポイントがあるんじゃないか、これが一つです。
 それから、今次報告におけるいわば労使合意ですね。「このような雇用調整を行うことは止むを得ないものであると考えられる。」という中間報告の文句に至るまでの労使の合意には容易ならざる決断があったと思うのです。とりわけ労働者側にとっては大変厳しい判断を迫られたものだろうと思うのですけれども、そういう側面に沿って、この中間報告にも述べられております、この項の後段の政策支援というものについて今どういうことが考えられているのですか。
#43
○増田(信)政府委員 お答え申し上げます。
 海造審の答申の一つのポイントは雇用問題であるという御指摘は、私どももそのように受けとめております。運輸省といたしましては、従来から海上職域の開拓あるいは企業内の他の部門に彩られる方のための援助というものはいたしております。例えば船員職業安定所を通じます広域紹介、職業のあっせんあるいは部員の方を職員にするための教育訓練、そういうことをいたしておりますが、海上の職域で吸収できない方あるいはみずから陸上の職域に移ることを希望される方のために、今回新たに私どもとしては陸上職域に適合するような教育訓練を考えて、予算もお願いをしておるところでございます。
 なお、陸上職域に転換していくためには、当然運輸省だけではできない問題でございますので、労働省、厚生省あるいは地方公共団体の協力を得ながら、陸上の訓練施設へ船員を入れていただけるような措置あるいは陸上と海上の資格の互換性、認定の問題を取り上げてただいま協議をいたしております。
 なお、船員の職業安定所と公共職業安定所の間の情報連絡を密にするような措置もただいまとっておるところでございます。
 先ほど御指摘がございました労使の間で四月一日から発足を目指しております雇用開発促進機構につきましても、ただいままで労使からいろいろな事情を聞いております。同機構の発足を待ちまして適時適切な支援措置を検討してまいりたいと思っておるところでございます。
#44
○関山委員 その適時適切について、これからちょっとお考えをただしていきたいと思うのです。
 余剰船員の現況について先ほどお答えがあったのですが、船員の数というのは減ってきているし、自社船の隻数も減ってきているという数字は確かなんですね。これは増田さん、陸上の場合と海上の場合の違いというのは、陸上の場合は、造船なんかはっきりしているわけですけれども、二〇%職場がなくなってしまうということなんですね。海上の場合は職場はあるんです。職場はあるんだけれども、日本人がそこから追い出されるというパターンなんですね。ですから、改めてそんなことを言うこともないのでしょうけれども、日本商船隊の数はこれから減っていく可能性もあるかもしれません。さっきのお話じゃありませんが、隻数、トン数とも減っていない。しかし、この中で日本船の隻数は減っていっている。言うなれば外国人船員が余計になっているということなんだと思うのですけれども、その辺についての御認識はいかがでございましょうか。
#45
○増田(信)政府委員 いわゆる便宜置籍船の問題かと思いますが、便宜置籍船は、御案内のとおり、登録税等の安さあるいは船員費用の安さを求めまして自国以外の国に船を移すという現象でございます。外航海運につきましては国際的に確立している慣行と言わざるを得ないと思っております、
 それで、外国の船に日本人の船員の職場を求めるということにつきましては、外国の法域下にある船でございますので、直接介入が非常に難しいという事由がございます。なおかつ、経済的なメリットを求めて行っている行為でございますので、行政的に直接介入もなかなか難しい面があるのは御理解いただけると思います。
 私どもといたしましては、そうは言いながら、現実に外国船に日本人の船員の優秀さが買われまして、基幹要員として職員を中心にして乗り組んでおります。いわゆる混乗の形式でございます。そこで、日本人の船員が外国の船によりよい職場を獲得できるように、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、部員を職員化するための措置、例えばことしの四月から海技大学校の教育課程を変えまして、従来は一年間かかっておりましたのを六カ月で養成するという措置をとるようにいたしておりますし、なお日本船員福利雇用促進センターを通じまして、外国船に乗る場合に奨励的な支度金を交付するという措置をとっておるわけでございます。
 また、混乗に備えまして英語の教育、あるいは危険船に乗る場合が日本人の職員にとっては一番有利な職場でございますので、危険品の取り扱いの教育というものをやっております。このような地道な措置を今後とも継続してまいりたいと考えておるところでございます。
#46
○関山委員 いろいろとそういう手だてが少しずつ進められていることについても否定はしないのですが、この時期に雇用安定機構のようなものを設けてなお雇用調整に入らざるを得ないという状況は、私は大変な事態だというふうに思います。したがって、いわば緊急避難的な対策なども当然とられなければならないというふうに考えるわけでありますけれども、何といっても仕組み船ですね。便宜置籍船と言ってもいいのでしょうし、いろいろな言い方がありますが、総じて日本が支配する用船に対する海上職域の確保というものは、今までもSECOJでやっていらっしゃいますけれども、ここにやはり抜本的な対策が講じられなければならないんじゃないか。また、そういう余地があるのかないのかということもここで明らかにしていかなければならないんじゃないか、こう思うのです。
 そこで、これについては先ほどちょっと御説明があったのですが、もう一つはっきりしませんので繰り返し数字をお聞かせいただきたいのですけれども、私は昨年の百四国会のときに、便宜置籍船の問題というのは、どういうふうに処理をするにしても、その実態をきちっと把握してくださいというふうに三塚さんに申し上げました。三塚さんは、少々時間がかかるかもしれぬけれどもやりますと言ってきたわけですが、それはどういう形でまとめられたのか、先ほどの数字はそういうものとどういうかかわりのある数字なのか、ちょっとお聞かせをいただきたいし、数字の中身ももう一遍詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
 数字の中身を詳しくお聞かせいただきたいというのは、先ほど申し上げたいわゆるFOCと呼ばれるものの総体の数がどのくらいになるのか、ちょっとわからぬものですから、この数はどのくらいなのか。同時に、これに対する配乗船員の日本船員と外国船員の割合についてはどのような調査がなされておるのか。この二つについてお伺いしたい。
#47
○塩田政府委員 便宜置籍船につきましては、先生の御指摘もございますように、私どももその把握に極力努めているところでございますが、その実質的な船主を判定することがなかなか困難であります上に、現在外国の海運会社から報告を徴収することになっておりません関係で、その船腹量を正確に把握することは非常に困難でございます。
 そこで、先生の御質問にお答えするに際しましては、正確を期しますため、大手の六社からの報告によりますと、仕組み船は百七隻、三百十一万総トン。この数字は大手六社からの報告でございますので、私どもはこの数字を先生に御報告を申し上げるところでございます。
#48
○関山委員 配乗船員の関係はどうですか。
#49
○増田(信)政府委員 配乗船員の数を正確に把握することが難しいのは、ただいまの局長の答弁と同じでございます。私どもがヒアリングの結果承知しておりますのは、約二千名前後という数でございます。
#50
○関山委員 これはだめなんだな。きちっと調べるだけのことはしてほしいと思うのです。今のお答えは昨年の春のお答えと一つも変わってないのですね。その後そういう調査はおやりになっていないのじゃないですか。
 私のところには、具体的に、全日本海員組合の調査によるFOC船の船員の雇用状況というものについての数字がございます。これによれば、今や日本受益船の数は千五百隻という数字が出ています。この千五百隻のうち日本人の船員の配乗船は二百四十五隻でありまして、日本人だけの船もほんのわずかありますけれども、それ以外の混乗を含めて全体の約六・七%の二千二百名。これは千五百隻を一隻当たり平均二十二名という計算で計算をしておるわけですけれども、全体三万三千名のうち二千二百名。このうち韓国人の船員配乗数が六百九十隻の一万四千百名、四二・七%、その他の外国人が一万六千七百名、五〇・六%、こういう一定の調査の結果が出ています。私はこの調査はそれなりの権威を持つものだと思います。
 御議論がありますように、確かに、最後の最後まで詰め切れるかということになりますと、その数が不確かな部分はあるでしょう。しかし、この程度のものは皆さんが数字をお持ちになっていないはずはないんだな。だって、これは臨時船舶建造調整法にのっとって船をつくるとき、どういう資本でどういう国へと、みんなわかっているのですから。明らかにできないというだけなんですか、それとも本当に調査ができていないということなんでしょうか。
 それと、今の数字についてどうお考えになりますか。
#51
○塩田政府委員 非常に非公式な調査として把握しております数字はあることはございますが、このような公式な場で運輸省が責任を持って申し上げる数字を残念ながら手元に持ってないわけでございます。
 それから、先ほど先生が御指摘になりました数字は、私どもも一定の仮定を置けばこのような数字が出てくるかなというふうに考えます。
#52
○関山委員 ここでは大臣に改めてお願いをしておきますが、前国会でも申し上げたような経過でお願いをしているのですね。それは完全なものを出せというのは、多少の無理がつきまとうのは私も承知なんですけれども、しかし、一定の公式的なこの実態把握についてはやはりお持ちになることが必要じゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#53
○橋本国務大臣 先ほど局長が答弁を申し上げましたような問題点があることを御理解いただきました上で、努力をいたします。
#54
○関山委員 そこで、従来この問題をめぐって、日本人の船員費が高い、だからしようがないんだということが先に来るのですが、現実に確かにそういう格差が開いていることは事実なんですが、これはどうでしょうか。一応通告をしておいたんですけれども、船員費は、一隻当たり大体二十人平均として、年間どの程度の費用の差があるのか、専属雇用の場合、期間雇用の場合、外人の場合、外人の場合でもいろいろあると思いますが、ちょっとお願いを申し上げておきましたので、数字をお示しいただけるとありがたいのです。
#55
○増田(信)政府委員 船員の船費の問題でございますけれども、各国によりまして雇用形態、雇用条件、賃金あるいは社会保障を入れる入れないということがございまして、単純な比較はなかなかできないものでございます。しかし、あえて一定の前提条件を立てまして、船主が支払う一般当たりの船費、それを大体二十二人から二十四人ぐらいということで仮定の計算をいたしますと、常雇いの場合、日本の船でございますと年間約三億弱でございます。期間雇用になりますと一億強、それに対しまして韓国船員フル配乗の場合でございますと五千万程度というふうに承知いたしております。
#56
○関山委員 結構です。大体その辺の数字は、最後の外人の場合が少し低いかなという感じですが、まあ大体そんなものだと思いますね。
 そこで問題は、このコスト差が埋められるのか埋められないのか。今申し上げましたように、日本支配船のいわゆる便宜置籍船には約三万名の外国の人たちが乗っているわけですね。職場という意味ではあるわけですよ、これは外国の人のかわりに日本人を乗せればいいわけですから。今一万名の雇用余剰と言われているわけですね。現実に一万人すぐ余っているという状態かどうか、これはちょっと問題だと思いますし、そんなことをそのまま、ああ、そうですかというわけにもいかないでしょうが、仮に半分こっちへ動いたって、雇用の問題としては、この緊急事態の中で言えば随分楽になるのじゃないか。しかし、問題はお金だ、こういうことになるわけですね。
 今のお話でも、今雇用安定機構の中では、わかった、期間雇用まで下がりましょう、こう言っているわけですね、SECOJでもやっているわけですから。少なくともその辺のところについてはもう少し具体的な政策支援が立てられないのか。例えば、今彼に期間雇用にすれば専属の場合の半分以下に落ちるわけですね。機械的な計算をしても、ここで一隻当たり年間約五千万の補助があればこの問題についての穴埋めができる。これを仮に五千人とすれば百二十五億という数字ですね。百二十五億という数字が多いか少ないかという議論はありますよ。ありますが、いずれにしてもそう手の届かないことではない。緊急避難的な、しかもこの中間報告で言う軟着陸、ソフトランディンクさせる雇用の対応としては十分検討に値するのではないか。
 橋本運輸大臣の顔を見ていると、私の責任で一人も首は切らせないと言ったあの答弁が思い出されるのですが、これは何もそっちの方だけじゃないので、あらゆる部分でやはりできるだけの努力を傾注していただかなければならぬということになるわけでございまして、その辺はいかがでございますか。今すぐ、わかりました、引き受けましたという答えもないでしょうけれども、こういうところまで踏み込んで御検討いただくのがまさにこの緊急事態における中間報告に沿った政策支援というものじゃないかな、こう思うのです。
#57
○橋本国務大臣 一般当たり五千万の差だと言われますが、五千万ということは、先ほどの答弁からいえばちょうど倍ということでもあります。この数字の重みは、私はやはり相当なものだなという感じは確かにいたします。
 ただ、先ほど来の答弁の中でも事務方の諸君が言っておりますように、日本人の船員の乗り組んでおります日本船というものが、安全性、確実性あるいは信頼性、運航・荷役等技術の優秀性といったいわゆる金額に換算できない部分での評価を非常に高く受けておることは事実であるわけでありますから、そうすれば、こうした点を生かした競争力をどうすれば持てるかということに問題はかかってくるのだろうと思います。そうなりますと、船員制度の近代化でありますとか、あるいは運航コストの低減化でありますとか、こうした分野における一層の努力というものを前提としながら、国としても逆に、競争力のある近代化船の整備が促進させられるような長期低利の資金の確保とか、あるいは税制上の優遇措置といったものを駆使することによって、こうした努力が実るような環境を整備するということに対応は尽きるかと私は考えております。
#58
○関山委員 私も中長期的には大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。しかし、ここへきて一万人、こう言われておりますほどの余剰人員が町にほうり出される。しかも、これは陸転と言っておりますけれども、陸転も大変難しいわけですね。今大臣はたまたま外国人の船員費とお比べになるから倍だ、こうなるのですね。それは外国人が低過ぎるのですよ。そこの議論はいたしません。そこの議論はいたしませんが、フィリピンや韓国の賃金が妥当だなんということを言ったら、これは国際的に問題にもなりかねない部分もあるわけですね。だからそこはいいのです。
 ただ、少なくとも三億だったものが一億に下がるということは三分の一に下がるわけですね。しかも、日本人の船員がある時期の雇用確保のためにそういうものを利用する余地はこれからつくっていかなければならぬ。海域の職域確保というのはそういうことだと思うものですから、そういう点についてはきちっと、これは残された政策支援の政府の責任だというふうにもお考えをいただいて受けとめておいていただかなければいかぬな、こう思ってお尋ねをいたしておるわけです。
 また、今申し上げたようなことについても、例えばこれはどうでしょうか。裸用船の所得税というのがあるのだそうで、私も専門家じゃありませんから詳しいことはわかりませんけれども、裸用船には二〇%の源泉所得税がかかっているのですね。これは過去においては一〇%に減免をしたという経緯もあったり、あるいはそういうものが全然かかっていなかった時代もあるのですね。そういうことの検討はいかがですか。あるいは特別とん税というものがあるわけです。具体的にそれだけに限って言っているわけじゃありませんけれども、港湾の関係などでも考えておりますような一定の支配仕組み船などに対する賦課を課して、基金を設けて、今申し上げた五千万の差を埋める財源だって考えられてしかるべきことじゃないか。
 あれこれ考えて、こういう対応があってもいいんじゃないかな、こう思うのですが、今の二つのことに関連をしながらいかがでしょうか。いずれにいたしましても海上職域の確保というものについての政府としての責任をこの際明らかにしておいていただけるとありがたいわけです。
#59
○塩田政府委員 ただいまの関山先生の御指摘にお答えを申し上げます。
 まず、先ほど来のお話を伺っておりますと、日本人船員を中核とする日本船の維持が大事だという御指摘がございました。これを実際に維持していくのは日本の企業でございます。日本の海運企業が現在、長く続きました海運不況及び円高によって大きな影響を受けているということは先ほど御説明をしたとおりでございます。したがいまして、日本の海運企業に余り大きな負担をする力がないという問題が一つございます。
 他方、先ほど来御指摘のあります外国人船員との関係で日本人船員の給与の問題が出てまいりますが、これにつきましては、外国人船員を排除するということは簡単にはできませんので、それとの比較においてやはり日本人船員を使うことによってそれだけの意義のあるサービスができなければならないということでございます、
 したがいまして、先ほど来先生が御指摘になっております便宜置籍船について果たして日本人が配乗できるかどうかという問題については、日本人が配乗された便宜地籍船がそれなりのサービスができるか、そのコストがどの程度になるかという問題と非常に大きな関連が出てくるわけでございます。ただ、先生の御指摘がございました、今それでもコストが下がるんだから何とか職域の開拓をすべきではないかという点につきましては、私どももできるだけのことはしなければならないとは考えておりますが、現在労使間においてこの問題を非常に真剣に取り上げて検討をしておりますので、その結果を待ちたいと考えておるところでございます。
 それから、雇用対策のためにこれから新しい政策をいろいろ打ち出すべきではないかという観点からの二つの御質問についてお答えを申し上げます。
 裸用船の源泉課税の減免の問題でございますが、外国法人等から裸用船をした場合に、所得税法によりまして用船料の支払いに当たって二〇%の源泉徴収義務が課されることになっております。御指摘の源泉課税の減免の御提案は、船員雇用対策のために裸用船を行う場合にはこれを減免せよという御提言であろうと思います。この源泉徴収につきましては、昭和四十六年度から五十一年度までの措置として、当時の船腹需要の増大に対処するために用船活動を円滑に行うため減免措置がとられたことがあるということは承知をいたしております。今の事態で、せっかくの御提言でもございますので、私どももこの問題についてそのような措置がとれるかどうか、急いで勉強してみたいと考えております。
 それから、雇用対策の財源のために、例えばとん税等を財源として利用できないかという御提言でございますが、この点につきましては、私ども正直に申し上げましてなかなか難しい問題があるのではないかと思っております。むしろ運輸省といたしましては、一般会計、普通の予算あるいは船員保険特別会計といった今まであります枠組みの中で、今までとられております諸対策を中心にその充実を図っていくということが現実的だと考えますので、そのような方向で検討さしていただきたいと思っております。
#60
○関山委員 先ほど来船員費の問題の穴埋めについて御議論申し上げておりますけれども、陸上労働者と海上労働者は法律の体系が違うものですから扱いが別なんですが、例えば船員派遣助成金と陸上における雇用調整給付金の数字を比べてみても、海上の場合は月二万か三万というところ。これは現状額が二万ですね。今度は三万。陸上の場合は今回また改められて、日七千三百三十円を限度とする。これは月約二十二万ですよ。
 そうしますと、橋本さん、さっきの五千万の数字も、一人当たりにすれば約二十万なんですね。まともに払ったって、陸上の今とられておる雇用調整給付金よりも少ないですね、少なくて済むんですね。それでいいかどうかは別として、その数字だけ比べてみても。こういう数字を見ても、私はこの際ひとつ前へ出ていただいてという気がするのですが、いかがお考えですか。
#61
○橋本国務大臣 船員保険という特殊な総合保険体系の中におけるそれぞれの給付と他保険制度を比べる場合には、いろいろな問題点があることは私は承知をいたしております。ただ、先ほどの五千万円の話に戻りますと、仮に、委員が御指摘のような形で政府がその人件費の差額を埋めるような措置をとりました場合には、これは国際的な問題を生ずることだけは間違いありません。現在の経済摩擦の厳しい中において日本政府が特定分野に対してのてこ入れをしたということで、非常に大きな摩擦を生むであろうことだけは間違いがない。私自身が、日韓の定期閣僚会議等々で論議をしてみましてもそう感じておりますし、そういう状況の中でやはりこれは無理だ、むしろ視点を変えた対応をしなければならない、そういう感じで受けとめております。
#62
○関山委員 財源問題は別な機会にまたあれだと思いますが、いずれにせよそれは、陸上の方だって別に一般会計で見ている部分でもあるわけですね。ですから、これは海だけ別扱いにしてもという観点がもしあるとすれば、最後におっしゃったそういう国際的な問題等があるのかもしれませんけれども、しかし、先ほど来申し上げておりますように、三万三千人のうち半分取りかえてしまえとか全部追い出してしまえと言っているんじゃないんです。私は繰り返し申し上げますけれども、この緊急避難的な事態、問題解決を迫られている事態の中においては、これはやはりお考えをいただかなければならないことじゃないか、こう申し上げているわけですから、どうぞひとつそのように受けとめて、この一連の議論についてはぜひ前向きにお取り組みをいただきたいと思いますが、重ねてひとつ大臣よろしくお願いいたします。断られてしまうとこれは困っちゃう。
#63
○橋本国務大臣 ですから、私は先ほど人件費部分についての話は国際的な問題があるということを申し上げたわけでありまして、むしろ雇用保険に関連した海陸格差という視点から今の御指摘をとらえてみるならば、偶発的事故という言葉を使うことが許されるかどうかわかりませんけれども、偶発的事故として発生する失業等に対応するために労使が保険料を支払って保険制度をつくっている中での運用問題として、私は制度が異なる以上やむを得ない部分があることはお認めいただけると思うのであります。ただ、例えば船員保険におきましても、福祉施設事業の一環として、日本船員福利雇用促進センターに対して職業訓練費、技能訓練派遣助成金あるいは船員派遣助成金の補助を行うなど、雇用保険で実施をしております事業に相当する措置を講じている部分もあるわけでありまして、それぞれの制度の仕組みと今私は申し上げざるを得ない部分がございます。
 ただ、先ほど委員から裸用船に対する税制上の新しいテーマを御指摘いただいたようなこともございます、そしてまた、これに対しては局長が至急勉強をしてみたいという答弁を申し上げましたが、私もそのとおりに思います。例えばとん税等を特定財源化するということについては、私どもは確かに現実に非常に困難な問題もあろうと思いますので、これは一般会計の中において、また船員保険特別会計の中において、その枠組みの中で最大限の努力をしたいという事務方の答弁を確認させていただきます。
#64
○関山委員 ちょっとすれ違いのまま終わるのかもしれませんが、保険の中で処理をするというのはそれなりにまた別の観点の議論もありましょうし、限界もありましょうし、きょうはそこには触れない。
 ただ、北転船の場合のように、これは一般会計から全部持ってきて面倒を見ているわけですからね。あるいは陸上の方の雇用問題も、もはや保険の範囲を出て国が始末をしよう、こう言っているわけですから、そういうことを考えれば、海だけ別よというのはないんじゃないかということで御理解をいただきたいと思います。これは、そのままもうそこでだめ、こう言われてしまいますとね。そうではないんですね。
#65
○橋本国務大臣 私は一般会計のことも申しております。
#66
○関山委員 わかりました。それはいろいろと今後の対応に求めることにしたいと思います。
 そこで、せっかく労働省からおいでいただいているのですが、海陸の格差について労働省サイドからどうですか、これはどんなふうにお感じになりますか。
 それから陸転について、先ほど御答弁がありましたからもうくどくは申し上げませんが、いずれにせよ三十万人雇用創出という部分に含めてきちっとやってくれるんだということだけ御確認いただければ結構なんですが、もう一遍お答えいただきたい。
#67
○廣見説明員 三十万人雇用開発プログラムにつきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、船員の方から陸上職域の方に転換を御希望なさる方につきましては、運輸省等とも十分に連絡をとってそれをしっかり受けとめ、このプログラムの中等におきまして全力を尽くして雇用の安定に努めてまいりたい、このように思っております。
#68
○関山委員 それから、船員の教育訓練の拡充強化については再三御発言があって、部員の職員化ということにかなり重点を置いておられるわけですね。これは両方の側面があるのですけれども、いずれにしろ、やるという以上相当に枠組みも大きく、しかも長期的な計画でやっていただかないとだめなんじゃないか。現状はそれほどの数じゃないでしょう。全部入れたって二、三百人くらいのものじゃないですか。
#69
○増田(信)政府委員 従前は海から海に行くことを予測いたしまして、そのための対応の訓練教育をやってまいったわけでございます。今後海から陸に行く方のための訓練教育の枠あるいはカリキュラムを充実強化させていくということを念頭に置いております。
 数につきましては、必要があるならそれに対応して拡充していくということで考えておりまして、現状におきましては、私どもが枠組みを用意いたしましてもそれに見合うような訓練生の確保ができないという状況でございます。したがいまして、先ほどの労使間の協議を待ちまして、どの程度の人数に対して訓練教育をすればいいかというめどをつけてまいりたいと思っております。
#70
○関山委員 わかりました。それは労使間の交渉の部分もあるでしょうから、少なくとも部員から職員へという大方針があって、そこの御発言などがございましたので、これはきちっと受け皿をつくっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、仕組み船の問題の議論はきょうはおきます。おきますが、先日新聞にちょっと出ておりましたが、韓国造船向けに商社がOECDの制約を超えた低い条件で融資をしていもという問題について、運輸省がこれをチェックして調査するというような報道記事がございました。これの実態、今後の対応についてこの際伺っておきたいと思います。
#71
○間野政府委員 船舶の延べ払い輸出につきましてはOECDの取り決めがございまして、輸出信用条件は、例えば頭金でしたら二割以上、信用期間は八・五年以内、金利は八%以上、こういった条件でなければ出してはいけないというものでございまして、我が国も参加しておるわけでございますが、最近日本の商社がこの条件よりも非常にいい条件で、韓国に船を発注する船主に対して融資を行っているという情報がございましたので、今回、業界等を通じて商社金融の実態を調査しておるところでございます。
 現在までのところわかっておりますことは、我が国商社の韓国発注船主に対する融資の方法といたしましては、商社が船主に直接融資する方法もあれば、商社の海外子会社がその船を持って、船主に対しては買い取りオプションつきでこの船を裸用船に出すというような方法をとっておりましたり、いろいろ複雑な方法もあるようでございまして、まだ全貌をつかむには至っておりません。ただ、昨年韓国発注船主に対して我が国商社が融資いたしました実績は、少なくとも二十件前後はあったのではないかと思われます。
 今後さらに詳しく調査いたしまして、必要があれば何らかの措置をとりたいと考えております。
#72
○関山委員 必要があれば何らかの措置というのは、そもそもがこういう船腹過剰という客観情勢もこれあり、あるいはOECDのさまざまな取り決めあり、こういう中で、好ましくないという立場で実態が明らかになればそれなりの対応をとる、こういうふうに承っておいてよろしゅうございますね。
#73
○間野政府委員 極めて有効な措置がとれるかどうか若干疑問なしとしないわけでありますが、できるだけ先生のおっしゃったような趣旨の効果的な措置をとりたいと考えております。
#74
○関山委員 船の問題の最後に、ペルシャ湾の海域の安全確保の問題について伺っておきたいと思うのです。
 イラン・イラク紛争以来もう既にかなりの年月がたって、その間幾多の問題を起こしておるわけでございますし、日本の商船隊あるいは国際的な全体の被害が既に百八十件に上るというような状況にあるわけですが、この一月七日には親和海運所属のコスモジュピターという船がペルシャ湾内で艦艇からの攻撃を受けたという事件がございました。これは、日本国旗を掲げる日本船への直接攻撃という点では初めてのケースということでありまして、原因究明その他について、外務省、運輸省それぞれに対して当該の組合から申し入れがあるわけですけれども、その後の経過はどうなっておりますか。きょうは外務省から久米さんにお見えいただいておりますので、お聞かせをいただきたい。
#75
○久米説明員 一月六日に日本船籍の原油タンカー、コスモジュピター号がペルシャ湾におきまして攻撃を受けた点につきましては委員御指摘のとおりでございまして、これは日本船籍の船が被弾をしたという初めてのケースでございます。こういうことから、我が国といたしましてもこの事件の発生について非常に重大な関心を持っておりまして、これを極めて遺憾と考えておる次第でございます。
 外務省といたしましては、事件発生後直ちにイラン、イラクそれぞれの政府に対しまして、現地の大使館を通じまして関連情報の提供を申し入れるとともに、湾内の航行安全に対する我が国の強い関心を改めて伝えまして、かかる安全航行確保のための両国政府の配慮を強く求めた次第でございます。同様の申し入れを、現地で行いますと同時に本省におきましても、中近東アフリカ局長から在京のイラン、イラクそれぞれの大使に対して行っております。
 また、これはアブダビの沖合いで起こったわけでございますけれども、事件後、当該船舶はアラブ首長国連邦のフジャイラ港に仮停泊しておりまして、この時点で我が方の在アラブ首長国連邦大使館の館員を二名現地に派遣いたしまして、現地関係当局との間にも調整を図りつつ、支援措置及び調査をいたしました。
 御質問のありましたその後の経過でございますけれども、我が方の調査方の要請に対しまして、イラン、イラク双方からまだ最終的な調査結果の回答は受けておりません。ただ、イラン、イラク双方とも、これまでのところ、我が方の関心の表明につきましては、湾内の安全航行確保について強い関心を有している、このために今後も努力をしていくということは申しておりますけれども、自国がこの攻撃を行ったという点については認めるに至っておりません。
#76
○関山委員 この被弾した船の状況から、どちらの国がやったということについて、あなたのところで、どちらと言える言えないの問題は難しい問題ではありましょうけれども、そういうことについての的確な分析や調査をおやりになっているんですか、おやりになった上で交渉していらっしゃるのですか。
#77
○久米説明員 状況から判断してどちらがやった可能性が強いということをこの場で申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、種々の状況についての調査は事件後直ちにやっておりますし、現在もなお調査中でございます。
#78
○関山委員 シーキラーというミサイルだというお話がありますけれども、そうだというふうに断定できる材料はあるのですか、ないのですか。
#79
○塩田政府委員 運輸省が得ております情報では、そのようなことを断定できる情報は持っておりません。
#80
○関山委員 私はこの問題をこれ以上今ここで詰めようとは思わないのですけれども、最近、民活だの自助努力だのが言葉としてはやっている。しかし、こういうことになってまで自助努力や民活でやれるわけがないのだが、外務省どうなんですか。あなたのところの責任で原因もはっきりさせてもらえるんですか。旗を掲げているんですよ。どこが責任を持って明らかにされて今後の対応をなさるんでしょうか。
#81
○久米説明員 原因の追求につきましては、今申し上げたとおりまだ調査中でございます。他方、イラン、イラク双方に対しましては、今回の機会にとどまらず、従来よりペルシャ湾の安全航行につきまして我が方の重大な関心を機会あるごとにあらゆるレベルで、あらゆる機会をとらえて申し入れております。また、OECDの同様の関心を持つ諸国等とも共同歩調でのデマルシュ等も行って、双方に対する強力な働きかけは従来とも行っておりますし、今後ともこういう働きかけを続けていく所存でございます。
#82
○関山委員 これは運輸大臣にお願いしておきますが、どうぞひとつ外務大臣と御協議をいただきたい。これが決め手だというようなものは外国相手のことですからなかなかないにしても、この問題への対処の姿勢あるいは対処のルールといいましょうか、今までのあれを見ていますと専ら自助努力なんですな。民活でやってくれという話になりかねないような状況が続いているものですから、この際改めて外務大臣と御協議いただけませんか。
#83
○橋本国務大臣 責任を持って外務大臣と交渉いたします。
#84
○関山委員 ありがとうございました。
 それでは、造船の関係について若干お伺いをしてまいりたいと思います。
 五十三年の海造審答申に引き続いて、ここでもまた造船の分野で二〇%削減というものを打ち出したわけですが、既に倒産会社や会社更生法適用会社も数多くて、関係の労働者はもとより、関係の地域も造船不況に対する対応はまことに深刻きわまりない事態なわけでございまして、さりとてこの状況を乗り越えていくためには、まさに設備の削減を含めた対処もこれまた必要な側面を持つのでしょう。しかし、経営安定臨時措置法と、銘打っておりますように、何としてもこれを通じて造船業が再建をされるということになってもらわなければ困るんですけれども、関係の労働者や地域にとっては、一体、設備削減がどのような手段でどのように行われていくのかということについて大変不安が強いわけでございます。
 最初に、全体二〇%という数字は、答申では基数ということになっていますので、四十四社七十三基ということになれば、この七十三基の二〇%、基数で言えば十四、五という数字で押さえておけばよろしいんでしょうかね。
#85
○間野政府委員 今回の不況対策といいますか設備処理その他のやり方も、前回の手法に準じてやっていきたいと考えております。
 そこで、造船能力の問題なんですが、これは標準貨物船に換算したトン数を船台の物理的な大きさからはじくことで算定いたしまして、先ほど申し上げましたような標準貨物船に換算して年間六百万トンの能力があるというふうに計算をしているわけであります。その根っこには先生がおっしゃいました七十三基の船台あるいはドック、この寸法があるわけでありますが、いろいろなサイズのものがございますので、必ずしも七十三基の二割ということにはなりません。年間能力が六百万トンの二割でありますから、百二十万トンになるような組み合わせの船台をつぶしていく、廃棄していくということになると思いますので、必ずしも基数には比例しないかと思います。
#86
○関山委員 答申の中では基数というのが出ていたものですから。そうすると、そういうことではないということですね。
 それから、基本的な設備廃棄の考え方について、それぞれの関係者からは、ともかく一社一船台のところは、これによってつぶされてしまったのではもう何もなくなってしまうということで、これは処理の対象から外してほしい、あるいはそれぞれ個別の条件を持っておるわけでありますので、事業所の実情を十分に勘案しながら事業転換の可能なところから対象にすべきじゃないかというようなことを主張してきたところでありまして、まさに悲痛な叫びが今日まで皆さんのところにも上がってきているわけです。いずれにしても画一的な手法はとらないということをまず約束してほしいというのが関係者の願いなんですが、この辺はいかがでございましょうか。
#87
○間野政府委員 ただいまおっしゃいましたように、確かに前回と違いまして一社一船台のところが多くて、それを基数単位で処理していくわけですから非常に難しいわけであります。それで、今回我々がグループ化あるいは集約化を通じて設備処理をやっていくと申しておりますのも、このような一社一船台のところが多いということを考えた上のことでございまして、決して各社一律ではなくて、何社かが集まってグループを組んで、そして二割程度の設備を処理すればいいということでありまして、決して各社別に画一的にということではないと考えております。
#88
○関山委員 そうですね。画一的にはやれないという実態もあるわけでしょうけれども、申し上げたような個別の状況については十分御勘案をいただきながら方針をお持ちいただきたいと思うのです。
 ところで、今お話がありました事業提携、グループ化というのは一体どんな方法を考えていらっしゃるのか。イメージといいましょうか、具体的に、船台の数も限られておるわけでありますし、一定の指針をお持ちになって対処していかざるを得ないのだろうと思っているのですが、どういうものを考えていらっしゃるのか。
 集約化されていく中で中小の事業所が船台を譲渡する。譲渡ということの意味は、二〇%削減の中に譲渡されるものは当然入っていくことになるわけですね。その辺のところをちょっと確かめたいわけですが、まず一つ、そういう場合に譲渡は廃棄の二〇%の中に含まれるのか。この法律の上からいくと、譲渡は廃棄されるものという条項がくっついているようですけれども。同時に、そうなった場合に、集約化の中で船台を取られるだけでそれで終わりというんじゃ、取られっ放しの方の地域はまた困ることになるわけです。そういうケースについては当然事業転換についてのきちっとした方針をお持ちいただかなければならぬと思うのですけれども、この辺はどういうふうに考えていらっしゃるのか、
#89
○間野政府委員 法律で譲渡が廃棄に入るというのは、廃棄を前提とした譲渡に限るということでございますので、現実的にはなかなかそういうことはないかと思います。要するに廃棄されるものは廃棄されるものということになるかと思います。
 それで、集約化、グループ化の方法でございますけれども、まず一つには、現在の過当競争体制を排除したいということでございますから、例えば受注の共同化ということがあるかと思います。
 それから、国際競争が非常に厳しくなってきておりますので、しかも需要量全体は少なくなっておるという中で競争力を強化していくためには、やはり直接工事量に比較して間接部門を合理化していかなければならぬのではなかろうか。例えば設計の共同化、生産の共同化あるいは若干規模の利益を追求いたしまして資材の購入、調達の共同化、こういったことも入ってくるかと思います。
 もちろん本来の集約化といいますか、合併でありますとか営業権の譲渡でありますとか、そういうことは当然入ってくるわけでありますが、単にそういったことだけに限らずに、ただいま申しました受注の共同化とか生産の共同化とか、そういったことも集約化ということで定義づけて運用してまいりたいというふうに考えております。
 それから、例えば完全に撤退するようなところがまさに船台を取られっ放しということではひどいのではないかとおっしゃるわけですが、確かに単独で事業転換をするというのも非常に難しいかと思います。しかし、グループ化をして核となる企業が事業転換についてもある程度仕事を配分するとかそういうことをやりますれば、新造船部門かも完全に撤退する企業もかなり円滑に事業転換ができるのではなかろうか、そういう意味でも集約化の効果があるのではなかろうかというふうに考えております。
#90
○関山委員 今共同受注、資材の共同購入といったようなお話もございましたが、いずれにしても大手中心に残して、中手はもう――というのは、計画造船はそうなのですね。結果的に言えば、中小オーナーは妙な形になって切り捨てられてしまっているという見本が現実に一つあるものですから、そうなったのじゃ困る。とりわけ造船業というのは船の場合と多少、と言うと船の方に怒られるかもしれませんけれども、これはやはり中は中なりに、小は小なりに地域経済と結びついているものですから、その辺は大手、中手の区別なく、全体として効率的、合理的な考え方でいくのだというふうに理解をしておいてよろしゅうございますか。
#91
○間野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
#92
○関山委員 それから、休止は二〇%の中に入るのでしょうか、入らないのでしょうか。前回同様の扱いということですか。
#93
○間野政府委員 前回、設備処理そのものは特定不況産業安定臨時措置法というような各業界横並びのものができまして、そこで廃止、休止という区別をしてやりましたものですから、造船の方も形式的には休止というものをとったわけでありますが、実質的には、その定義でいけば休止に当たると思います。それを今回の場合は廃止ということで定義づけておりまして、今回は廃止ということなのですが、物理的に破壊することまでは要求しない廃止というものを考えております。
#94
○関山委員 それから、会社更生法適用が何社があるのですが、これの設備はどうなりますか。
#95
○間野政府委員 更生法の適用を受けましても、それによって現に何年間か造船の事業を継続してきたというものを前回対象にした例がございます。ですから、今回も別に更生法の適用会社であるとかないとかいうことではなくて、現実に造船の仕事をやっておったというところは対象にしたいと思いますし、もうほとんどやっていないというようなところは対象から外れるかと思います。
#96
○関山委員 わかりました。
 それから、今申し上げたようなことを前提にして、法律的に言えばこれが具体的にどう担保されるかというあたりが心配なのでありますが、時間もなくなりましたのでまとめてお伺いいたします。
 一つは基本指針ですね。これは海造審でということになるのでしょうか。そして、従来のメンバーに変更はないのかどうか。それから、労働者の意見ということになりますと、海造審には労働者の代表も入っております。ただ、正式の委員、専門委員という区分けはございますが、それなりに反映のチャンスはあるのですね。関係自治体の意向はなかなか反映しにくいのですけれども、問題が問題でありますだけに、地方自治体の意見も聴取できるような方策をぜひ講じていただきたいなというのが一つであります。
 まとめてお伺いして恐縮ですが、落ちがあれば後で重ねて伺いますけれども、もう一つは実施計画の関係です。第五条三項の三号、四号、「関連事業者の利益を不当に害するおそれがあるものでないこと。」「当該特定船舶製造事業者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。」という書き方になっておりまして、この辺のところの言葉の意味をお伺いしたいのと、この実施計画の認定の段階では、少なくとも設備の処理という段階になった場合には、当該の労働組合や自治体の同意を文書でくっつけさせるということぐらいは政省令の段階でもきちっと御配慮いただけないものか。せっかく法文の中でそのことを書いているものですから、実施計画のところときちっとリンクさせてほしいということがあるのですが、今の二つの問題についていかがでしょうか。
#97
○間野政府委員 ただいまおっしゃいましたように、労働組合等の意見は十分伺って進めていきたいと思いますし、また、自治体等につきましても、既に造船関係都道府県連絡協議会でありますとか市町村連絡協議会とかいうものがございまして、我々もその場に参加していろいろ御意見を承っておりますので、今後もこういった場を活用して御意見を承りながら進めていきたいと考えております。
 それから、実施計画の際に労働組合あるいは自治体の御意見ということでございますが、前回の際にも運用上の問題として、例えば設備を買い上げるようなときには労働組合の同意書といいますかそういうものを添付させた例がございます。そういった前例も参考にいたしながらやっていきたいと思いますが、ただ、都道府県の場合は、法文で別に実施計画に絡んで運輸大臣に対して意見を申し述べることができることになっておりますので、それで十分意見を反映できるのではないかと考えております。
#98
○関山委員 どうぞひとつ地域の問題も含めて、せっかくそこまでおやりになっているのですから、後々問題が残らないように、実施計画の際にもそれなりの自治体の意見の反映ができるようにお図りいただきたい。
 あと、五千トン未満の業者の関係あるいは舶用工業の関係など、これは御要望だけ申し上げておきます。
 いずれにいたしましても、これはこの法律のらち外になるわけですけれども、通産サイドで事業転換法その他いろいろな施策があります。実は中小企業というのも、これまた一億円とか従業員が五百人未満とかありまして、ちょうど端境期じゃないけれども、その瀬戸際にいる人たちが外れるというケースが間々あるものですから、これは大臣の方から通産大臣の方にきちっとお申し入れをいただいて善処をお願いしたい、これが一つ。
 それから、需要創出についてですけれども、これは経営安定法というわけですから、新しい需要創出についてぜひお考えいただかなければならぬが、今の段階でどのようなことをお考えになっているのか。
 それから、計画造船に触れてもう少し議論をしたかったのですが、これも先ほど申し上げましたように中小オーナーへの発注がウエートとして非常に低いわけですね。こういったものも、せっかくですから海運サイドからももう少しそれなりの指導があっていいのじゃないかと思います。専ら中核六社並びに系列、専属のところへ偏っていて、中小オーナーの分が非常に低いという計画造船の実態もこの際お含みおきの上、これからの需要創出について御配慮をいただきたい。
 最後に、公共事業等のその地域への傾斜配分という問題につきましても、そのことは通産サイドでも十分配慮してということになっておりますけれども、特にこの点についてはひとつ大臣の方からお口添えをいただいておかなければならぬことじゃないか、こう思っております。
 以上まとめて御答弁をいただいて、私の持ち時間が少々小林先生の方へ踏み込んでおりますので、終わらせていただきたいと思います。
#99
○橋本国務大臣 御指摘をいただきました各点、通産省と協議をいたすことはできるだけ早くいたしたいと思います。
 また、需要創出についてどんな努力をしているのだと言われる点、今まで言われてまいりましたような官公庁船の代替建造の促進とか大型鋼構造物の建造の促進とか、いろいろな問題が今進捗しつつあります。例えば経済協力船の中でメキシコに対しての内航海運タンカー十二隻の建造の計画とか、幾つかのものが進捗しつつありまして、こうしたものに対しても全力を尽くしたいと考えております。御支援のほどもよろしくお願いいたします。
#100
○関山委員 ありがとうございました。
#101
○鹿野委員長 小林君。
#102
○小林委員 私の方からは港湾法の一部改正等の法律案に限定をして若干の御質問を申し上げておきたいと思います。
 港湾問題に限らず、運輸行政の中では交通、産業、住民生活等の諸活動を支える重要な基盤だ、これは常にお題目になっているわけで、事実そのとおりなのでありますから、非常に重要視をしながら、一つ一つの公共的な投資あるいは公共設備の取り扱い方、こういったものについては慎重を期していくことが極めて重要かと思います。極めて目まぐるしく、またも一部改正、またも一部改正、こういった状況なのですから、質問する側としてもいささかおさらいをしなければいかぬ、こんな状況です。
 特に今回の制度改正は、昭和六十一年度改正による暫定期間中にさらに補助率の引き下げを行おうとするものでありまして、今までの経緯を振り返ってみますと、昭和六十年度の一律十分の一引き下げ措置、当年度限りの暫定措置であり、政府部内において検討を進め、一年以内に結論を得ることとされておったわけです。そのために政府においては、昭和六十年五月二十七日に補助金問題関係閣僚会議を開いて、昭和六十一年度以降の補助率のあり方を検討するために有識者による補助金問題検討会を設置し、政府はその検討会の報告を最大限尊重して、六十一年度以降六十三年度までの補助率の引き下げ等を行うこととし、昨年の第百四国会で可決をされ、今日に至っているわけであります。
 その際に、昭和六十年十二月二十一日、大蔵大臣と自治大臣との間で、一つは「この措置は今後三年間の暫定措置とする。」二つ目に「この暫定措置の期間内においては、国・地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じないものとする。」との合意があり、一方、衆議院大蔵委員会では、六十一年度以降三年間においては「国・地方間の財政関係を基本的に変更するような補助率の引下げは行わないこと。」等の附帯決議が全会一致をもって付された経緯があるわけであります。それにもかかわらず、今回さらに引き下げの措置をなぜ講じなければならないのか、そういう観点から幾つかの質問をしておかなくてはいけないだろう、こんな前提で御質問を申し上げたいと思います。
 まず第一に、補助率等の引き下げについて、六十年度及び六十一年度においては多数の法律を一本の法律案で改正しようとしたものであります。この点については、昨年の第百四国会の大蔵委員会等における審議の際に、質疑者から一括法案として提出すべきではないとの指摘が現実にあったわけです。しかし、政府の側は、最近における財政事情あるいは今日までの臨調答申等の趣旨を踏まえて行われる財政措置であるという前提があり、二つ目には、国の補助金、負担金等について行われる措置であるということ、そして三つ目に、財政資金の効率的使用を図るために行われる措置であり、財政収支の改善に資するものであるという意味で共通の性格を持ち、その趣旨、目的が一つであり、一体をなしているなどといったことから一本の法案として提案をしたという答弁でありました。
 今回は、各委員会で審議をする、それも、この法律案にも示されていますように港湾等となっておりますが、港湾と空港とを一本にして提起されているわけですけれども、これは、今までの経緯を踏まえてみますと、一体なぜこういう取り扱いをされたのか、まず第一に御見解を明らかにしていただきたいと思います。
#103
○藤野政府委員 過去二度にわたっての補助率カットに関する議論ないしは政府の中における検討の経過をも含めて、今小林先生から御議論がございましたが、今回の補助率の引き下げ措置といいますものは、ただいま先生のお話にもございましたような、六十年度、六十一年度において行われたような補助金全体を見直し総合的な議論をしてきたのに対しまして、このたびは専ら事業費を確保して、公共事業の円滑な遂行を図ろうという観点から補助率等についての見直しをしようといたしておりますので、全体を一括化するようなものではないという観点から、それぞれの法律を担当いたします省ごとに法案を作成して、このたびのような御議論、御審議をお願いすることにしたということでございます。
#104
○小林委員 議論はありますけれども、去年どことしの取り扱い方の違いというのが単純にそういう言い方だとすれば、以降はこういう方法をとられますか。
    〔委員長退席、亀井(静)委員長代理着席〕
#105
○藤野政府委員 このたびの考え方のようなそういう状態のもとで御議論を願う場合には、このたびのような方法をとることになるのではないかと思っております。
#106
○小林委員 禅問答みたいな感じがしますね。こういう方法をとるときはこういう方法をとるが、事情によってはという……。やはり国の公共事業というものは一貫性を持って推し進めていくことが大切ではないかという気がします。そういう意味では一貫性を持ってほしい、こういう気持ちなんです。
 そこで、今回の法案は、運輸省の所管する港湾と空港の六十二年度、六十二年度に行う公共工事に対する国の補助率をさらに引き下げるというものでありますけれども、その目的を明確にしていただきたいと思います。
#107
○藤野政府委員 運輸大臣からこの法案の提案理由についてけさほど御説明を申し上げたところでございますが、その中でも申し上げておりましたように、また先ほど先生の御議論の中にもございましたが、私たちの担当いたしております港湾や空港といいますものは産業活動、国民生活等の基盤となる重要な社会資本であるというふうに思っておりまして、今後とも計画的に、かつ積極的に整備をしていかなければならぬというふうに考えております。
 ただ、既に御案内のように、昨今国の財政事情は非常に厳しいものがございます。依然としてその状況が続いておるということがございますために、公共事業にかかわります国の予算、国費はどうしても抑制されがちになるというふうな条件の中で、地方公共団体からも社会資本整備に関する要請が強く、かつまたその具体的な方法として事業量の拡大も図ってもらいたいということが一つございます。それからいま一つ、昨今の経済情勢がいわゆる外需依存から内需主導型へ転換をしていなかければならぬという当面の課題もしょっておるというふうなことがございまして、そのためにも公共事業の量的拡大ないしは積極的な推進が必要だというふうに考えております。
 我々といたしましては、自分たちの担当いたします港湾なり空港なりの整備をそういった課題にこたえる形で推進をしていくために、今回の補助率の引き下げ、そして事業量の確保、拡大ということを考えていきたいとしているものでございます。
#108
○小林委員 全く矛盾を感じさせない、非常に前向きなだけの御答弁に聞こえるわけです。
 昨年の補助金特例法において、今後三年間補助率の引き下げは行わないことにしたわけですね。なぜ今回引き下げを行うのだろうか。それから一方で、今の答弁とも関連をするのだけれども、今回の特例措置の適用期間を六十二年度、六十二年度としたのは一体何なのか。六十四年度以降についてはどのような対応をするのか。五カ年計画というようなものがあって、今日までずっと積み上げをされてきているわけですね。その間における考え方の変更といいますか、ある意味での方針転換と言わざるを得ないのだけれども、方針というよりは内容転換といいますか中身が正確にわからないのですよ。ここら辺について見解を示してほしいと思います。
#109
○藤野政府委員 先生おっしゃいましたように、これまでの段階で今後三年間は補助率等の引き下げは行わないというふうにされておったところではございますが、先ほどもちょっと触れましたように国の財政事情は依然として厳しい状態が続いておるということ、そういう中で、内需の拡大という観点も含めて社会資本の整備を積極的にやっていかなければならぬということにこたえていくために今回の措置をとろうといたしておりますので、そのあたりの事情を御理解賜りたい、かように考えます。
 さて、六十二年度、六十三年度ということで、今回暫定的な措置として法律の改正をお願いしておるわけでございますが、これにつきましては従前から、特に昨年の場合には六十一年度から六十三年度までの三カ年ということでされておったわけでございます。今回の引き下げ措置に関連いたしましては、補助金整理合理化のための措置のうち公共事業のみについてさらに引き下げをしようといたしておりますが、他の非公共事業関係の補助金などに対する適用期間とのバランスなども考えて、当面六十二年度、六十三年度という二カ年間の暫定措置としようとしているものでございます。
 さらに、六十四年度以降はどうかということでございますが、それにつきましては、その時点におきましてまた財政事情等をも踏まえながら適切な対応をしていかなければならぬと考えております。
#110
○小林委員 言っていることはそのとおりだろうと思うのです。そういう説明についてはわかるのです。五カ年計画を組み立てて計画的に国として必要な公共事業を起こしていくわけですね。そういう段階で、補助率がどう変更するかわからない、そのときになったらまた考えるというやり方だけで計画を組むわけじゃないでしょう。六十四年度以降どうするのかということは、そのときになったら考えるとおっしゃるが、それは考えればいいことだろうけれども、この五カ年計画との関連ではどうされるのですか。
#111
○藤野政府委員 昨年秋に政府として港湾なり空港なりの整備の五カ年計画の閣議決定をし、それぞれの総投資規模を確定し、そして目の前の六十二年度は第二年度として事業を推進しようといたしておるところでございます。
 さて、そういった計画を推進するについても、財政事情が非常に厳しい中で計画的に事業を推進していくために一定の財源を確保しなければならぬということがあり、またさらに、内需の拡大という観点を含めて事業規模を拡大していかなければならぬということを考えたときに、今回のような補助率の引き下げを通じて、そしてそれに対する別途の財政措置をとることによって、全体としての公共投資の五カ年計画を当初の計画どおり推進していくという考えに立っているものでございます。
#112
○小林委員 今回の措置そのものについては、現下の厳しい財政状況を踏まえつつ、事業量の確保を図り、五カ年計画に基づいて港湾と空港の整備の推進を図るために行うものだ、こういうことは明らかにされているわけですね。具体的に今回の補助率等の引き下げ措置によってどの程度事業量が増加することになるのか、逆にこの点について御質問申し上げておきたいと思います。
#113
○藤野政府委員 このたび港湾関係の補助率の改定に関する三つの法律の御審議をお願いしておるわけでありますが、それに関係して申し上げますと、六十二年度における事業費の増加額は約四十二億になる見込みでございます。なお、このほか、離島や奄美、沖縄にかかわります事業につきましての補助率の引き下げも別途御議論いただいておりますが、それにかかわります事業費の増加額は約十六億でございまして、合わせますと港湾全体で五十七億という規模になる見込みでございます。
#114
○山田(隆)政府委員 空港の整備の関係についてお答えいたしますが、今回の補助率等の引き下げ措置に伴いまして、昭和六十二年度におきます空港の事業費の拡大額は、内地、北海道あるいはその他の地域をすべてひっくるめまして約二十八億円の見込みでございます。
#115
○小林委員 自治省に伺いますが、今回の措置による補助率引き下げの対象となる地方公共団体は財政支出が増加することになるわけです。これら負担増となる地方公共団体に対して財政金融上の措置を講ずることとされておりますけれども、具体的にどのような措置を講ずるつもりなのか、お示しをいただきたいと思います。
#116
○小林(実)政府委員 今回の補助率の引き下げによりまして、地方団体の方では財政上影響を受けるわけでございます。ただいま運輸省の方からお話がございましたが、そのほかの法律で他の委員会でもお願いしておりまして、全部ひっくるめてお話をいたしますと、投資的経費の関係では、今回の措置によりまして受ける影響は千八百億でございます。
 その内訳は、補助率のカットに伴いまして交付金の減額がなされるわけでございます。それが千二百億でございまして、それを財源といたしまして事業量を確保するということで地方負担がまたふえてまいります。そのふえてまいります地方負担の額が六百億でございます。合わせまして千八百億でございます。
 これに対する財政措置でございますけれども、六十二年度におきましては、当面これは全額起債によって対応する、こういう考え方でございます。このうちカット分についての千二百億につきましては、六十二年度以降元利償還を要するわけでございますが、その千二百億に関する部分につきましては、全額交付税の基準財政需要額の中に算入してまいるという考え方でおります。それから、事業拡大に伴いましてふえました地方負担の六百億に関しましては、将来、これも六十三年度以降出てまいります元利償還の八〇%を基準財政需要額の中に算入するという措置をとってまいりたいと考えております。
#117
○小林委員 そこで、港湾関係についてお伺いをしておきたいのですが、昨年の十一月二十八日に閣議決定をされた第七次の港湾整備五カ年計画の内容はどのようなものになっているのか。これが一つです。また、昨年の港湾整備緊急措置法の審議に際して説明のあった主要施設の内容と相違点があるのかどうなのか。その点についてお伺いします。
#118
○藤野政府委員 まず、昨年緊急措置法の御審議をいただきます際にいろいろ申し上げておりました私たちの港湾整備に対する考え方と、昨秋閣議決定を見た第七次港湾整備五カ年計画の考え方との間には基本的な相違はございません。全く同じと申し上げてよろしいかと思います。
 さて、閣議決定を得ました内容の概要でありますが、まず計画期間は昭和六十一年度から六十五年度までの五カ年間、総投資額は四兆四千億、その中で港湾整備事業は二兆五千五百億、その他災害関連事業、港湾機能施設整備事業等、そして調整費七千九百億というものを含んだものでございます。
 主要な施策といたしましては、物流の高度化対策、海上輸送の安全性の確保、エネルギーなど資源の安定的供給、地域の産業振興の基盤整備、豊かな生活空間の形成、空間利用の高度化、港湾整備にまつわる技術力の整備といったふうなことを柱として考えておるところでございます。
#119
○小林委員 今回の措置は、五カ年計画に基づいて港湾整備の一層の推進を図るために行うということですけれども、この措置に伴う事業費の増を加えて、六十二年度までの五カ年計画の進捗率はどの程度になっていましょうか。
#120
○藤野政府委員 ただいま申し上げました五カ年計画の計画投資額、特に公共事業の総投資額を二兆五千五百億円といたしておりますが、それに対しまして六十一年度の港湾の整備事業費は四千七百億円余でございます。それから六十二年度は、これからいろいろ御審議いただくわけでございますが、約四千六百億円余を予定したいと思っております。それを合わせますと進捗率は約三七%となる見込みでございます。
#121
○小林委員 計画の円滑な執行のためには、今後もさらに補助率の引き下げを行って事業量を獲得していくしか方法がないということになっていくのではないだろうか、こういう感じがするのでありますけれども、いかがですか。
#122
○藤野政府委員 私たち、いろいろ御議論をいただき、御決定をいただいた五カ年計画は当初の計画どおり遂行をしていきたい、またいかなければならぬと思っております。当然のことながら、その計画期間内にいろいろと情勢の変化ないしは新しい要請が発生することもあり得るわけでありますが、それらにつきましても調整項目などを活用することを通じて計画を遂行していきたいというふうに思っております。つきましては、こういった国の財政事情が厳しい折ではありますが、いろいろな知恵を出し、そして必要な資金といいますか財源を確保していくという努力をやっていくことが特に重要であるというふうに思っておりまして、このたびの補助率の切り下げもその一環として考えようといたしておりますので、そのようなところの御理解を賜りたいと存じます。
#123
○小林委員 五カ年計画の中での実施目標の一つに「豊かな生活空間の形成をめざした港湾の整備」というのがあるわけですが、どのような考え方のもとに、また具体的にはどういう施設整備を行おうと考えているのか、この点についてお伺いします。
#124
○藤野政府委員 「豊かな生活空間の形成」ということを今後の港湾整備の中における重要な柱の一つとして位置づけておりますが、既に御案内のように、国民の価値観ないしはニーズが非常に多様化したり、また高質化してくるという中で、私たち、港湾を核とした魅力的な地域社会の形成に努めていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 具体的な内容を二、三例示的に申し上げますならば、例えば海洋性レクリエーション需要の増大に対応いたしますためのマリーナの整備でありますとか、あるいは海洋環境ないしは快適な港湾といったものの形成を図りますための緑地だとか、さらに都市活動に伴ってどうしても発生してまいります廃棄物の受け入れを適切に行う処分場の確保でありますとか、特に地方、辺地などにおきましては交通といいますか足の条件がなかなか大変なわけでありますから、日常生活の足の確保、また生活物資の安定的供給といったふうな観点からなど、以上申し上げましたようなことを内容とする港湾の整備を今後具体的に進めてまいる、また現在も進行させておるということでございます。
#125
○小林委員 空間利用の高度化、それから民間活力を活用しつつ港湾の利用の高度化を促進する、いわゆる港湾の再開発を進めるというぐあいに受けとめているのでありますけれども、昨年のいわゆる民活法を初めとして、六十二年度においても新しい制度が創設されることとされておりますが、これら民活事業は港湾の整備とどのようなかかわり合いを持つのか、また五カ年間でどの程度の規模を想定しているのか、この点についてはいかがですか。
#126
○藤野政府委員 昨年、新しい民活法を制定していただきました。今後、こういった民活という仕組みが日本の国内におきます地域整備、なかんずく社会資本の整備の中で非常に重要な、そして新たな役割を果たしてくることになるというふうに思っておるわけであります。
 具体的に、港湾地帯におきましては、港湾の生々発展の経過の中で、例えば戦後でも既に四十年の歴史の経過がございますし、また古い港は百年の歴史を経過しておるというふうなことを考えた場合に、いろいろと今日的な社会の情勢にこたえていくために積極的な再開発の事業を進めていかなければならぬというふうに考えております。そして、その再開発によって新たにできる空間の利用は、例えば国際会議場にいたしましても、見本市会場にいたしましても、その他業務用ビルにいたしましても、そういったふうな形で今日的な要請にこたえ得る港湾の空間利用の高度化に資するものとして事業を進めていきたいというふうに考えております。
 さて、五カ年計画の中等におきましては、先ほど御説明の中でちょっと触れましたが、四兆四千億という五カ年計画の中で、港湾整備事業約二兆五千五百億円、港湾機能施設整備事業五千八百億円などを予定いたしておりますが、当面、これら民活事業につきましては、港湾機能施設整備事業五千八百億円という大枠の中で事業を進めていくことを考えております。今後新しいプロジェクトの発掘やら推進を通じていろいろと変化もあり得るのではないかというふうに思ってはおりますが、現時点で民活事業は約一千億オーダーのものを今度の五カ年計画の中で想定をしておるとこみでございます。
#127
○小林委員 今もちょっと触れられておりますけれども、昨年の港湾整備緊急措置法の際に示された五カ年計画の投資の規模と十一月二十八日の閣議決定での投資の規模と相違があるのかどうなのか、また、その中での調整費七千九百億円は、これからの計画の中でどこに重点を置いてやろうとしているのか、この点はいかがですか。
#128
○藤野政府委員 まず投資の規模につきましては、昨年春の緊急措置法の御審議をいただきました折と閣議決定をいただきました所との間には変更はございません。
 それから、調整費七千九百億をどういうふうに使うのかということでございますが、基本的には、今後の経済社会情勢の変化なり財政事情なり、そしてまた五カ年計画事業の進捗状況なりというものを総合的に勘案しながら弾力的に進めることとしており、さらにこのたびの五カ年計画の閣議決定に際しましては、三年後に計画の見直しをしようという弾力条項もつけていただいておりますので、今後関係の各省庁とも相談をしながら執行を図っていきたいというふうに考えております。
 ただ、どこに重点を置くかということに関連いたしましては、先ほど来六、七本の港湾整備の柱立ての御説明を申し上げたところでありますが、やはりそれらをも頭に浮かべながら、緊急性の高い施策に重点を置いてやっていくことになるであろうというふうに考えておるところでございます。
#129
○小林委員 空港関係も同じような取り扱いで今日まで推移をしてきているのですが、第五次の空港整備五カ年計画そのものは一体どういった内容を持っていたのか。最近の空港整備事業を取り巻く環境も変化をしつつありますけれども、今後、国と地方公共団体の負担問題、また港格のあり方などについての見直しを行う用意があるのかどうなのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
#130
○山田(隆)政府委員 まず第五次空港整備五カ年計画の内容でございますけれども、計画目標といたしましては昭和六十一年度から昭和六十五年度までの五カ年間でございまして、投資の規模といたしましては、調整費一千二百億円を含めまして総額が一兆九千二百億円ということでございます。それから、事業別の実施の目標といたしましては、本計画におきます最重点課題といたしましては、新東京国際空港、成田空港でございますが、この概成を図りまして、東京国際空港、羽田空港の沖合展開につきまして一部の供用を図りますとともに、関西国際空港の整備の推進を図ることといたしております。
 また、国内航空輸送需要の増大に対処するためには、一般空港につきまして引き続き滑走路の延長とか新設などの所要の整備を進めますとともに、空港周辺における環境の保全及び航空交通の安全の確保を図りますために、空港周辺環境対策事業の推進と航空保安施設の整備を図ることとしております。
 これらの実施の目標に対応いたします事業量といたしましては、空港の整備八千億円、関西国際空港の整備にかかわる民間出資関連事業の推進六千五百億円、空港周辺環境対策事業の推進千七百億円、航空保安施設の整備千八百億円を予定しておるわけでございます。
 それから、今後の国と地方公共団体の負担の問題あるいは港格のあり方について見直しを行う用意があるかという点でございますけれども、現在、御承知のように、空港整備法におきまして、各空港の性格等に応じまして、一種、二種、三種という空港の区分けをしているところでございまして、それぞれ国と地方公共団体の費用の負担割合を決めております。
 このような中で、最近では、今先生もおっしゃいましたように、地方空港の整備を取り巻く環境も変化しておりますし、各空港というのが地域の航空輸送需要に対応し、また地域開発の拠点となるものとして重視される傾向も強まってきております。同時に、二種と三種との機能面における差異というものも将来必ずしも明確でなくなる。そういう場合も生ずることが予想されるわけでございます。
 そこで、国と地方公共団体の基本的な費用負担のあり方あるいは港格のあり方といったようなものにつきましては、長期的にはこれは検討課題となるのではなかろうかというふうに考えておりますが、現在の五カ年計画におきましては、当面引き続き現行の港格区分によって空港整備を進めていきたい、かように考えております。
#131
○小林委員 ついでにもう一つお伺いをしておきたいのですが、いわゆるコミューター空港の整備について、運輸省は今後どのように対応していくつもりなのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
#132
○山田(隆)政府委員 小型航空機を活用いたしました地域航空輸送、これをいわゆるコミューター航空といっておるわけでございますが、このコミューター航空につきましては、最近各地で期待感が高まってきておるわけでございます。
 ただ、現在のこのようなコミューター航空というのは、離島路線に実例がありますけれども、まだ現実にはそれほど実施されておらないわけでございます。特にコミューター航空につきましては、問題は採算をとるのがなかなか難しいということでございます。このコミューター航空につきまして、今後の実現のためには、地方公共団体等がその経営を支援していく必要があるのではないか。現在の離島航路のコミューター輸送の場合も同じような形態をとっておるわけでございますが、そのような地方の支援体制が必要になってくるのではなかろうかと思います。
 運輸省といたしましては、地域航空輸送の性格からいいまして、まずそれぞれの地域が、それぞれの特性に応じた航空輸送についてみずから工夫し、検討していくことが不可欠ではないかと考えております。運輸省といたしましても、航空の新たな可能性を開くものとして、今後ともこのようなコミューター航空のあり方とそれに伴います空港整備のあり方については十分調査検討いたしまして、今後の方策を取りまとめていきたい、かように考えております。
#133
○小林委員 最後になりますが、「豊かな生活空間の形成」という表題で、二十一世紀に向かっての港づくりといったものが策定をされてきているわけです。私が生活しております小樽でも小樽港があるわけで、御案内のとおり先ごろ小樽運河の第一期工事が完成をいたしました。港のイメージそのものが大幅に変わってきているわけであります口今後とも小樽港を市民生活と密接なつながりを持つ、いわば生活と一体感のある港にしていくことが肝要ではなかろうかと考えている次第ですけれども、このような観点から、さきに御説明のありました新しい五カ年計画の中での小樽港についての考え方について、どういう観点に立った整備を進めていこうとしているのか、それらをお伺いして質問を終わりたいと思います。
#134
○藤野政府委員 小樽の港は日本での代表的な古い港であるわけでございますが、日本海側の国際貿易港であると同時に、道央地域の物流の拠点という大切な役割を歴史的に持ってきたと思っております。また、いわゆる商港、港湾都市とでも申しましょうか、小樽の地域社会としての重要な基盤をなしているものだと考えております。
 さて、今後小樽港の整備をどういうふうに考えるかということでありますが、まず、ただいま申し上げましたような事情がございますので、かなり老朽化してまいっております港湾の諸施設の再開発を通じて港湾機能の充実強化を図ったり、今先生のお話にもございましたような市民と水とのつながりを強化する、俗に私たち親水機能というふうに申しておりますが、そういったことも考えていかなければならぬ。また、環境の改善を図るという観点から、緑地を整備したり海洋性レクリエーションのための施設も整備したいと思っております。当然のことながら、流通港湾としての機能も発揮できるように背後の都市との連携を強化する陸上交通網の整備もやっていこう、かように考えております。
 具体的には、第一埠頭地区の再開発とか、若竹地区にマリーナを整備するとか、臨港道路の整備をするといったようなことが今度の五カ年計画における小樽港整備の主要な事業であると思っております。いずれにいたしましても、地域社会、市民、そして経済界に親しまれる小樽の港づくりに努めていきたい、かように考えておるところでございます。
#135
○小林委員 終わります。
#136
○亀井(静)委員長代理 小林恒人君の質疑を終わります。
 続いて遠藤和良君の質疑に入ります。遠藤和良君。
#137
○遠藤(和)委員 私は、港湾法の一部を改正する等の法律案に限りまして質問をいたします。
 午前中の橋本運輸大臣の提案理由の説明によりますと、国の財政が今大変厳しい、その中で港湾、空港の整備を図っていくためには、補助金をカットして、その公事業量を拡大して、補助金をカットした分の肩がわりは地方にしていただく、そして地方への肩がわりもいずれ面倒を見るということで、いわゆる五カ年計画の円滑な整備を進捗していくというふうなものであったと理解するわけでございます。そういう理解に基づいて何点か質問させていただきたいと思います。
 過去二回にわたりまして補助率等の引き下げのために国会に提出された法案は、いわゆる一括法の形をとっておりました。多数の法律案を一本の法律で改正しようというものであったわけであります。今回は建設、農林、運輸に全く同趣旨の目的による法案がありますが、今回に限ってはそれぞれ各委員会で分離して質疑するということになったわけでございます。
    〔亀井(静)委員長代理退席、津島委員長代理着席〕
前二回は、直接国民にかかわる法案も数多くありましたし、それぞれの法律の成立過程が違うものですから、別々の委員会で質疑をするべきであるというふうに主張してきたわけでございますが、今回は、公共事業という意味では全部ひっくくれるわけでございます。したがって、今回はむしろ一括して質疑をするべきではなかったか、このように思うわけでございます。
 なぜなら、公共事業でくくって、全体として補助金がどれほど削減されます、地方負担は全体として幾らふえます、あるいは削減された国費を活用することによって全体として公共事業がこれだけふえます、こういったものをまず明確にした上で各法案を個々に論ずるという手法が大変いいのではないかなと考えるわけです。こういった観点から、今回むしろ一括質疑をやるべきものを別々にやるということに対して、その理由をどのようにおつけになっているのかをお聞きしたいと思います。
#138
○橋本国務大臣 過去二回行われました補助率の見直しの措置と申しますものは、一つは補助金のあり方について総合的な見地から見直すという視点がございました。ですから、必ずしも引き下げのものばかりではなく、整理統合の結果、部分的には引き上げられたものもあったと記憶をいたしております。これはまさに補助金というものについてそのあり方を総合的に見直すという視点から、私どもは一括法として御審議を願ったと記憶をいたしております。
 今回の措置は、なるほど委員が御指摘になりましたような視点も成り立つことを私は否定はいたしません。ただ、極めて厳しい財政事情のもとにおきまして、公共事業の事業量というものを確保するために一定の基準により見直しを行うという手法をとったものであります。そして、それぞれの本数が少ない。公共事業に限定されている。しかもそれぞれの公共事業がそれぞれの五カ年計画に裏打ちされる。例えば港湾は港湾の五カ年計画の中において、空港は空港の整備五カ年計画の中において、その計画年次も必ずしも一定しておらないそれぞれの計画の中において補助率の改定を行うものでありましたから、むしろ個別の法律として御提案を申し上げ、個別の五カ年計画と対比しながら御論議をいただく方が実態に合うと私どもとしては判断したということであります。
 委員の御指摘のような視点も、私は決して否定をいたすものではありません。
#139
○遠藤(和)委員 運輸大臣は、運輸省の主務大臣でございますけれども、国務大臣ですから国政全般にわたっても御承知かと思いますが、特に今回の補助金削減法によりまして建設、農林あるいは運輸全体で一体幾らほど補助金が削減され、それに伴って公共事業がどの程度増加するのか、この辺はどのように承知しておられますか。
 また、私がいただいた資料によりますと、運輸省関係で、まず港湾整備事業では、国費の削減額が内地、北海道その他の地域を全部合わせて四十四億六千六百万円、事業量の拡大額が五十七億三千六百万円、それから空港整備事業については、国費の削減額が二十億五千万円、事業量の拡大額が二十八億一千万円、このように承知しておるわけでございますが、この数字に誤りはないでしょうか。
#140
○藤野政府委員 このたびの補助率等引き下げ措置に伴いまして、公共事業全体では、国費の削減額は一千三百八十八億、事業費の拡大額は二千二百二十五億というふうに聞いております。
 それから当港湾につきましては、先生のお話にございました国費削減額四十五億、事業費拡大額五十七億という数字は、私たちもそのように把握をいたしております。
#141
○山田(隆)政府委員 空港整備事業に関しましては、先生のおっしゃるとおり、国費削減額は二十億五千万円、事業費拡大額は二十八億一千万円でございます。
#142
○遠藤(和)委員 運輸大臣、先ほどの趣旨説明でございますけれども、六十年度、六十一年度の過去二回の改正の経緯の中では、いずれも国の財政が危機的な状態であるということと、いわゆる臨調答申等を重視いたしまして、行財政改革に基づくという文言があったわけでございます。ところが、今回の提案理由の説明の中には行財政改革という文字は一つもないわけでございまして、むしろ事業量の確保というものを強調していらっしゃると理解します。
 そこで、行財政改革というのはもう棚上げしてしまったのかどうか、あるいは内需拡大ということで事業量の拡大にむしろ重点があるんだ、こういうことなのでしょうか。この際、政府の姿勢を明確にすべきだと考えるわけでございます。
#143
○橋本国務大臣 これは明確にさせていただけてかえって幸せでありますが、私は行財政改革という視点は国民の中に既に定着したと信じております。そうした視点がこの背景にあることは当然であります。その上に今回の特殊事情としてということで御説明を申し上げておるわけでありまして、臨時行政調査会以来の政府の姿勢は変化いたしておりません。
#144
○遠藤(和)委員 既に明確になったから一々文言を入れなくても十分に国民のコンセンサスを得ている、こういう理解でよろしいですか。
#145
○橋本国務大臣 私は国民の大方の御理解もいただいておると考えておりますが、少なくとも政府の姿勢としては御理解をいただいたと信じております。
#146
○遠藤(和)委員 さて、今回の措置によりまして補助金が削減され、あるいは事業量の拡大が行われるわけでございますが、地方公共団体は大変大きな負担を負わされるわけでございます。この地方公共団体の資金措置というのはどのようにするのか、あるいは地方の新たな負担増というのは幾らほどあるのか、またその利子負担についてはどのように考えておるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
#147
○小林(実)政府委員 今回の引き下げによります全体の話でございますので、私の方から答弁をさせていただきます、
 六十二年度の補助・負担率引き下げによる影響額は、投資的経費では千八百億でございます。これにつきましては、六十二年度対策としては全額建設地方債で対応する、こういうふうに考えております。
 千八百億の内訳を申し上げますと、補助・負担率のカットによる国費減額相当額がございまして、それが千二百億でございます。これに対しましては、私ども臨時財政特例債というふうに申し上げておりますが、これで対応いたしまして、この将来の元利償還については一〇〇%交付税の基準財政需要額の中に算入することにいたしております。それから、事業拡大に伴いまして地方負担がふえるわけでございます。その額が六百億でございます。これに対しましては、調整債というふうに申し上げておりますが、この地方債で対応いたします。この元利償還については将来交付税で八〇%基準財政需要額に算入する、こういうことにいたしております、したがいまして、個々の地方団体におきましては公共事業の執行ないしは財政運営に支障が生じないというふうに考えておるところでございます。
 それから、国と地方の財政の関係からさらに申し上げますと、カット分に見合う千二百億の元利償還につきましては、将来その九〇%に相当する分については交付税の法定の総額にプラスいたしまして、国の一般会計から交付税特別会計の方に後年度負担をしていただく、繰り入れをしていただく、こういうことになっておるわけでございます。
 以上でございます。
#148
○遠藤(和)委員 自治省に重ねてお伺いしたいわけでございます。自治省は、こうした補助率カットに伴う地方負担を毎年、いわゆる今回限りでございますというので大蔵大臣とお約束をしているのですが、その約束をほごにされまして、今回を含めて三回のまされ続けているわけですね。中でも今回は一段と切り込まれておりまして、例えば港湾で申し上げますと、特定重要港湾における水域施設等に係る工事でいきますと、補助事業については、五十九年度は十分の十、六十一年度から六十三年度は十分の八ということであったのですが、今回の改正においては六十二年度、六十三年度は十分の七・五。それから直轄事業については、五十九年度は十分の十でございましたが、六十一年度から六十三年度は十分の九というお約束のものが、この改正によって六十二年度、六十三年度は十分の八、こういうふうになるわけでございまして、だんだんと切り込まれているわけでございます。
 そこで、地方自治を守るという立場が自治省の基本ではないかと私は思うわけでございます。しかし、国の――これは大蔵省のお考えだと思いますが、こういうふうな一方的な補助金削減が続いておる。こういうものからいって、自治省としては全くふがいない、こういう思いが国民の側からはするわけでございますけれども、このような措置に対して、自治省はどういうふうな御感想をお持ちなのか。
#149
○小林(実)政府委員 国庫補助・負担金の整理合理化につきましては、行革の時代、財政再建の時代でございまして、それを進めるべきであるという御見解の方が多いわけでございます。その中にありまして、我々の立場としましては、事務事業そのものをやめるという形で国庫補助・負担金そのものをやめてしまう、仕事もやめてしまうというのが最もいいというふうに考えておるわけでございますが、そのほかの方式といたしましては、地方の事務事業として同化定着しているものにつきましては、むしろ補助金をやめていただいて地方の一般財源にしていただくのがいいのではないかというようなことも申し上げております。また、零細補助金につきましても整理合理化すべきものはしてよろしいのじゃないか。それらにつきまして努力が重ねられてきておるわけでございます。
 補助率カットの問題でございますが、六十年に一年度ありまして、その際に両方の覚書というのがございまして、一年間検討いたしまして、六十一年の際には事務事業の見直し等も行い、また補助率のカットにつきましては三年の暫定措置とした、こういうことでございます。
 そこでまた今回の引き下げという問題が出てきたわけですが、この背景には、御承知のように急激な円高の進行によりまして経済情勢が激変いたしまして、公共投資の拡大による内需の振興を図ることが重大な政策課題となったということが一つございます。一方、国の財政再建路線というものは引き続き堅持しなければいけない、特に一般歳出の総額を前年度同額以下に抑制する必要があるという政府全体としての事情があったわけでございます。このような中で、財投あるいは民間活力の活用等によりましていろいろの工夫を凝らした上で、さらに緊急避難的に補助・負担率の引き下げによりまして事業量の拡大を図るということになったわけでございまして、我々といたしましてはやむを得ないというふうに判断をいたしておるわけでございます、
 こういう決断をいたすに至るまでにはいろいろ経緯がございました。自治省といたしましても、覚書がございますし、国会の審議もございまして、苦しい選択ではございましたけれども、今回の引き下げはほぼ公共事業に限って行うことにしたということ、それから、補助率の引き下げによる分につきまして、交付税措置につきまして、従来は国が交付税総額にプラスするものがカット見合いの起債の元利償還の五〇%でございましたが、九〇%を繰り入れるというようなことになりました。このように地方財政にとりましては実質的な負担増がほとんど生じないという手厚い措置になりましたので、そういうことで御理解をいただきたい、我々もやむを得ないと判断した、こういうことでございます。
#150
○遠藤(和)委員 補助金全般につきまして、例えば補助金の整理統合であるとかメニュー化であるとか、そういう方向はむしろ望ましいことであって、それを削減と言っているわけではないのですね。それよりむしろ、今まで国費一〇〇%でやってきたこういう重要港湾の整備等を、補助金の削減をして地方にやれ、こうなっておるわけですから、その辺の問題について自治省はもう少ししっかりした態度をとるべきではないか、こういうことを私は申し上げたわけでございます。
 大蔵省にお伺いしたいわけでございますが、今自治省は、今回の措置はいわゆる臨時特例の措置あるいは緊急避難というふうに受けとめているわけでございますけれども、六十四年度以降これはさらに継続されるのか、あるいはまさに緊急避難であって、それ以後は従前に復帰する、こういうお考えであるのか、その辺の考え方を開陳していただきたいと思います。
#151
○角谷政府委員 六十四年以降の補助金、負担金の負担率の取り扱いの問題でございますけれども、この問題につきましては、これまでのいろいろな経緯あるいは措置の性格等も踏まえまして、今後の諸情勢の推移、国と地方の財政事情あるいはその役割分担のあり方等を勘案しながら、その時点におきまして関係省庁とも十分御相談の上で、予算編成過程におきましてその取り扱いを適切に決めてまいりたいというふうに考えております。
#152
○遠藤(和)委員 大蔵省に注文をしておきたいのですけれども、今回のような事業量拡大に伴う財政措置としては、いわゆる地方債の発行に頼るのではなくて建設国債でやったらどうか。本来国で負担すべきものを地方に肩がわりをさせまして、新規の国債を発行しないという形だけを取り繕おうとしたこそくなやり方のように見えるわけでございますけれども、その辺は大蔵省はどういうお考えですか。
#153
○角谷政府委員 今回の補助率の引き下げは、先ほど運輸大臣からもお話し申し上げましたし、提案理由説明でも御説明申し上げましたように、非常に厳しい財政事情の中で国費は抑制しながらも、最近の経済情勢にかんがみまして所要の事業費をできるだけふやしたいというふうな観点から行ったものでございます。
 特に最近の財政事情を見ますと、昨年の補正におきましては円高等によりまして税収が一兆一千億円を上回る減収になるという中で、やはり六十二年度予算編成におきましては極力公債の発行額を抑制したい、こういったことも必要だったわけでございますし、その中で経済情勢を踏まえながら、公共事業等につきましては、財投の活用とか民間活力の活用とあわせまして事業費の拡大を図っていく、こういう要請があったわけでございます。
 ただいま委員から、公共事業の拡大は建設公債でやればいいじゃないかというお話がございましたけれども、こういった財政事情の中で建設公債を増発するといったことにはおのずから限度がございますし、また、建設公債といいましてもやはり元利払いの負担が将来にわたって伴うといったことでは特例債とは全く差がないということから、その増発は厳に慎重でなければならないといったふうなことで、今回の措置をとらしていただいたわけでございます、
 なお、先ほど自治省からお話し申し上げましたように、これに伴う地方財源の問題につきましては十分な措置をとったつもりでございます。
#154
○遠藤(和)委員 国の方は国債を発行しなくていいわけでございますが、地方は地方債を発行するわけです。地方債の発行に伴う元利償還については国が面倒を見るということでございますから、お金は出方が違うだけで、何か国の予算の中には出てこないかもしれませんけれども、これは同じことじゃないか、こういうふうに理解をするわけでございます。
 ただいまお話のありました地方の元利償還費につきまして、例えば将来当該地方公共団体が交付金の不交付団体になった場合、その措置は継続するのですか、あるいは継続しないのですか、それを明確にしてもらいたいと思います。
    〔津島委員長代理退席、関谷委員長代理者席〕
#155
○小林(実)政府委員 国庫補助・負担率の引き下げによる影響額につきましては、経常経費もあるわけでございますが、六十二年度の場合で申し上げますと、経常経費の場合は基準財政需要額を増額する、それから建設地方債の増発分の場合はその元利償還費を基準財政需要額に算入する、こういう措置を講ずるわけでございます。これは現在の交付団体、不交付団体を問わず行うわけでございまして、これによりまして各地方団体には財政措置を講ずることとなるわけでございますが、不交付団体というのは、基準財政需要額を増額算入いたしましてもなお基準財政収入額の方が上回る団体でございまして、そのような団体に対しましては普通交付税は交付されない、こういうことになるわけでございます、
 今、不交付になった場合どうかということでございましたが、不交付団体が交付団体になることもあるわけですね、元利償還を基準財政需要額に算入いたしますので、ですから、将来ともそういう措置を講じてなお不交付団体になるという場合には、基準財政需要額の算入増加額を上回って余りある税収がある、基準財政収入額があるという団体でございますので、また、こういう団体は、東京都等でございますけれども、標準的な財政運営に必要な財源は十分確保されておることでございますから、やむを得ないものというふうに考えておる次第でございます、
 私どもの財政措置といたしましては、先ほど申し上げましたようなことで、建設地方債の増発によりまして対応した分につきましては、一〇〇%とか八〇%というものは基準財政需要額の中に算入していく、これは続けていくわけでございます。
#156
○遠藤(和)委員 運輸大臣にお伺いしたいのですが、今回のような補助率カットに伴う措置がいわゆる空港整備五カ年計画とか港湾整備五カ年計画の進捗に支障を来さない、あるいは今後も大変厳しい財政状況が続くと思われるわけでございますけれども、この五カ年計画の進捗がおくれない、こういうふうな見通しは十分にお持ちでございましょうか。
#157
○橋本国務大臣 今、財政当局また地方財政当局それぞれの立場から御答弁がありましたが、今回の措置というものは、我が国の財政を取り巻く環境が一段と厳しくなった中で社会資本の整備に対する強い国民的な要望というものを考えたときに、公共事業の円滑な実施、事業量の確保、拡大という視点からとられた措置として、五カ年計画のそれぞれに盛り込まれた事業の推進に十分に役立つもの、資するものと私は受けとめております。むしろこれによって進捗が確保されたと申し上げても過言ではないと私は思っております。
 また、先ほどから委員が大変心配の面を述べられました今回の引き下げ措置による地方財政への影響というものにつきましては、地方財政の運用に支障が生じないような十分な対応がされていることでもありまして、これが五カ年計画の推進に支障を来すことにはならぬと私は考えております。
#158
○遠藤(和)委員 藤野港湾局長は以前徳島県にいらっしゃいましたので十分御承知と思いますけれども、徳島県の小松島港沖洲地区に流通港湾を建設する事業がございます。これは昭和四十七年五月に港湾計画が決定をいたしまして以来、実に十四年ぶりに昨年十一月起工式が行われたものでございます。今のところは、昭和六十七年にほぼ完成させまして関西新空港とリンクした生鮮食料品の基地にしたいなど、県民の希望は大きいものがあるわけでございます。そして昭和七十一年度には完工したいというような計画を持っているわけでございますが、今回の法律改正によりましてこの完成時期がおくれるような心配はまずない、このように理解してよろしいでしょうか。
#159
○藤野政府委員 私も小松島港の計画には若干かかわり合いを持ったこともあり、先生のお話にもございましたように、長年地元との調整問題に悩んだ期間がございましたけれども、おかげさまで本格的な事業が開始されることになったことを私も大変喜んでおる一人でございます。
 さて、御案内のように、大阪湾、紀伊水道と俗に称しております広域経済圏の中におきましての機能の分担を小松島港がしようということがこの計画の基本理念であったし、またそれを流通拠点港湾というふうに称しておりますが、当面の計画として昭和六十七年という目の前の沖洲地区につきましての第一期工事は予定どおり完成させたいということで、今鋭意取り組んでおるところでございます。
 なお、先生に御心配をいただいておりますが、今回の法律改正に伴います補助率切り下げには小松島港は該当いたしておりませんので、それとの直接の絡みはないわけではございますが、引き続き我々としても努力を傾注してまいりたいと思っております。
#160
○遠藤(和)委員 小松島は四国の東門と昔から言われまして、東の玄関口でございまして、県民の期待は大変大きいものがございます。できれば最後に大臣にもう一言加えていただければまことに幸いでございます。
#161
○橋本国務大臣 ただいまエールの交換がありましたことをしかと記憶いたします。
#162
○遠藤(和)委員 終わります。
#163
○関谷委員長代理 西中清君。
#164
○西中委員 初めに、提案されております法案とは直接関係はございませんけれども、大臣に一、二点お伺いをいたしておきたいと思います。
 それは日本航空の伊藤会長の問題でありますけれども、去る三月十四日、運輸大臣に辞意を表明し、大臣もこれを了承されたということでございますが、今回の辞意表明は、ことしの夏に予想される日本航空の完全民営化を目前にいたしておりますものだけにかなり重いものであるというふうに認識をいたしておるわけでございまして、大臣としてこれをどう受けとめていただいておるのか、どうお考えであるのか、その点を伺っておきたいと思うのでございます。
 巷間、日航の首脳の対立や伊藤氏の労務政策、こういったものについて問題があるように伝えられてはおるわけですが、今後、後任人事等についてもどういうお考えで臨まれるのか、あわせて伺っておきたいと思います。
#165
○橋本国務大臣 正式には、三月十日に閣議で日航の民営化に関する法律案を決定いたしたことに対しお礼の電話をいただきました際、伊藤会長から今期限りで会長を辞任したいというお申し出がございました。そのときは電話でありましたので慰留をいたしまして、翌々日、十二日の夕刻からお目にかかり、何とかそういう状態にならないようにというお願いをいたしましたが、大変辞意をかたくお持ちでありましたので、やむを得ないことと判断をし、外に対する公表はいろいろな影響もあることでお控えを願い、発表のタイミング等をお任せいただいておりましたところ、一部の報道機関に実態とは違う報道がなされましたことから、急速伊藤会長と御相談をし、辞意の表明がありましたことを私から公表し、会長からも記者会見においてその意向を発表されました。
 ただ、その時点におきまして、三月三十一日をもって会長の座を引きたいという伊藤会長のお気持ちに対して、私はなお、何とか六月の定時株主総会までお残りをいただきたいというお願いを申し上げておりましたが、大変辞意がかたく、受理をせざるを得ないかという思いを持ちながら臨時役員会の結論を見守っているという状況であります。今まさに、御承知のとおりと申しますより御指摘のとおり、民営化に向けて一層の経営努力をしていただかなければならない日本航空に大変大きな影響を与える問題でありますだけに、私自身もこの状況に苦慮いたしております。
 私は、伊藤会長が就任されまして以来、一昨年の事故発生後の日本航空の経営改善というものに精力的に取り組んでこられたその態度、また安全対策の充実、労使関係の改善等に努力をされ、復配体制へのめどをつけられるといった完全民営化に向けてのレール引きをされたその役割を高く評価したいと考えております。それだけに、残りました社長以下の経営陣が全力を挙げて今後の完全民営化へ向けての努力を続けてくれることを私は心から願い、またそうあることを信じております。
 会長の後任についてというお話でありますが、少なくとも三月三十一日までは伊藤さん御自身も残っていただいておるわけでありまして、御本人のおられる間にこれを云々することは、私はお許しをいただきたいと思います。いずれにしても、将来そうした人選を必要とする時期になりましたならば、それにふさわしい方をお願いしなければならないと考えております。
    〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
#166
○西中委員 微妙なときでございますから、私もそれ以上はお伺いをいたしませんけれども、このような事態にならないように、ひとつ今回もまた鋭意努力をいただきたい。
 もう一つ、日本航空は六十五年までの中期計画を運輸省に提出されたと思うのですけれども、これについてもさまざまな批判があるわけでございますが、この計画については運輸省としては再検討するように求められるお考えかどうか、伺っておきたいと思います。
#167
○橋本国務大臣 中期計画は、日本航空自身が完全民営化に対応した企業運営の目標を定めたというものでありまして、増収と経費節減に努めて安定的な配当を継続し得る企業基盤の確立を目指しているという点については評価し得るものだと思います。
 ただ、これが世間でさまざまな御批判を呼んだその原因というものを考えてみますと、まさに目標を掲げたものでありまして、その達成についての具体的な今後の経営施策といったものについて触れておられない点が、私はさまざまな御論議を呼んだ点であろうと思います。ですから、私はこの計画そのものを目標としてとらえておりますので、この計画自体をどうこうと言うつもりはございません。むしろ安全運航というものを確保しながら全社が一丸となって具体的な経営をしていかれる中で、それぞれの改善施策というものを具体的に示していってもらえばそれでよい、そういう性格のものではなかろうかと思っております。
#168
○西中委員 国民の関心も非常に深い問題でございますし、これはまた後日いろいろと質疑の機会もあると思いますので、きょうはこれにて終わっておきたいと思います。
 それでは、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部改正案についてお伺いをいたしておきたいと思います。
 我が国の外航海運は、世界的な船舶の過剰、さらには大幅な円高や産業構造の変化などによりまして極めて深刻な不況下にございます。六十二年三月期は戦後最悪の赤字決算、このような状況と伝えられております。これに対して運輸省は、外航海運の経営の現状、そして今後の見通しについてどういうように把握をされておるのか、伺っておきたいと思います。
#169
○塩田政府委員 お答えを申し上げます。
 現在の外航海運企業の経営状況は、定期船、不定期船及び油送船の三部門につきまして不況が長期化をしておりまして、その上に六十年の秋以降の急激かつ大幅な円高の進行がございまして、またそれに加えて、定期航路の中で一番重要な北米航路の運賃が非常に下がっているというような状況が重なりまして極めて深刻な様相を呈しております。中でも円高の影響をフルに受けました六十一年九月期の中間決算を見ますと、大手六社におきましても前年同期に比べまして収入が約三割減るという状況でございまして、このため経常損益では、約百三十億円の黒字であった前年同期に比べまして、約百五十億円の赤字となる、差し引き三百億円弱の経営内容の悪化になっております。
 今後の見通しといたしましては、円レートの低下はなかなか予想しがたい状況にございますし、全般的に船腹過剰のために運賃市況の低迷も続くと予想されますので、これからも外航海運の経営状況は非常に厳しい状態が続くというふうに見ております。
#170
○西中委員 今御報告のあった部分で三百億円の経営悪化というお話ですが、これの主たる原因は円高ということでございますか。いかがでしょうか。
#171
○塩田政府委員 円高の影響もございますけれども、その前提にまた船腹過剰がある、その両方の相乗効果だと思います。
#172
○西中委員 円高による影響はどの程度か、何か数字はございますか。
#173
○塩田政府委員 円高の影響は、五十九年を基準にいたしまして比較をいたす場合に、一円円高になりますごとに、助成の対象となっております海運会社四十社全体で約十一億円程度の円高による赤字が出るということでございます。
#174
○西中委員 今回対象となっております外航船舶の利子補給は、国がかつて支払いを約束したにもかかわらず、国の財政難や五十五年ないし五十六年当時の海運各社の好決算を背景に支給額の一部を後年度に繰り延べてきたということであります。したがって、この措置は、五十八年からの海運不況対策としてはむしろ遅過ぎたのではないかというような気がするわけでございます。これは国の当然の義務としてやっておかなければならなかった問題でございますけれども、なぜ今回のような法改正を早く行わなかったのか、その辺の理由を伺っておきたいと思います。
#175
○塩田政府委員 先生御指摘のとおり、国の財政事情によりまして、昭和五十七年度以降国が約束いたしました利子補給金の支給を繰り延べておりました。ただ、その当時としましても、政府としてこの利子補給金を当初の契約どおり支給するため全力を尽くしたわけでございますが、当時の困難な財政事情のためにやむを得ない措置でございました。しかしながら、最近の外航海運不況の深化と急激な円高の影響を受けている海運企業の現状を見ますと、これはもう放置しておけないということで、これ以上海運会社の負担が増大しないように今回の措置を講ずることにしたわけでございます。
#176
○西中委員 若干遅いんじゃないか、そういう思いばぬぐえませんが、それはともかくとして、現実の不況の原因はさまざまあると思います、主に世界的な荷動きの低迷、船腹過剰、日本海運の国際競争力の低下、こういったものが挙げられると思いますけれども、これは極めて構造的ではないかと思います。したがって、今回の利子補給や船舶解撤だけで乗り切れるかどうかということが憂慮されるわけでございます、その点、運輸省としてどういうふうにお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
#177
○塩田政府委員 先ほど来橋本大臣から御答弁を申し上げているところでございますが、もう一度繰り返させていただきますと、海運不況対策の本筋といたしましては、問題が船腹過剰と円高等にあるわけでございますから、まず船腹過剰を何とか解消しなければならないということが一番のポイントでございます。そのためには、老朽・不経済船の解撤を促進することがまず一番の正攻法であると思います。これは日本だけでやることでなしに、諸外国にも呼びかけて実施していく努力をしているところでございます。
 第二番目に、先生も御指摘のように日本船の競争力の低下という問題がございます。この問題は、先ほど来御審議をいただいておりますように、日本の船員のコストが国際競争力上問題になるわけでございます。この点につきましても、近代化船の建造を通じまして日本船の国際競争力の強化を図っていくということを考えておりまして、このために計画造船の財政資金を用意し、かつ税制上の配慮をしているところでございます。
 今回の利子の猶予措置は、先生御指摘のとおり、昔国が約束いたしましたことをおおむねその約束に準じた形で実施するという内容でございまして、現在不況にあえぎ、円高の影響を受けている海運会社の負担をこれ以上増大させないという意味があるわけでございます。私どもは、これらの措置を総合することによりまして、日本海運に何とかこの不況から立ち直ってもらいたいと考えているところでございます。
#178
○西中委員 念のために確認しておきたいと思いますけれども、今後、新規契約に対する利子補給を行うこともあるのかどうか、今どういうお考えであるのか、伺っておきたいと思います。
#179
○塩田政府委員 ただいまの先生の御質問にお答えいたします前に、今回開発銀行の利子猶予の対象になっておりますのは、昭和五十四年度から五十六年度までの三年間に建造されました船舶についての利子補給の問題でございます。五十七年度以降建造されました船舶について利子補給をするというようなことはしておりません。
 また、これから利子補給をするかどうかということでございますけれども、現在のところ、私どもはそのような考えを持っておりません、
#180
○西中委員 次に、運輸省は、五十九年八月の海造審の答申において、六十五年の船腹需要を二千九百万総トンと見通しておられたようですが、その後の円高等の経済情勢の変化によって需要は大きく減少しているのではないかと思います。現在の日本船の外航船舶需要量は一体どの程度になっておるのか、また今後、例えば十年間の各年度の需要量の推移をどう予測しておられるか、試算があれば伺っておきたいと思います。
#181
○塩田政府委員 現在、今後の十年間についての見通しを持っているのかという御質問でございますが、私どもは、現在のところそのような見通しを持っておりません、
 それで、先ほど御指摘がございましたが、昭和五十九年八月に海運造船合理化審議会が中間答申を出しまして、その中で当時、昭和六十五年時点の日本船の船腹量として二千九百万総トンという数字を推定したことがございます。ただ、この当時の海運造船合理化審議会の所要船腹量はあくまでも当時の実績を前提にした目標値でございまして、そのときどきの日本船の国際競争力があって、これを日本を含め世界の荷主に使ってもらえという前提での数字でございます。
 その後の外航海運をめぐる環境を見ますと、荷動きがますます低迷している、それから急激な円高が発生しまして、日本船の国際競争力が一層低下しているという客観情勢の変化もございます。したがいまして、私どもは、このような我が国をめぐる国際経済環境が大きく変わっていることを踏まえながら、将来の所要船腹量についてはまだ作業をしてみたいと考えております。
#182
○西中委員 今後の予測というのは、さまざまな要因が関与してまいりますから非常に難しいということは十分理解ができます。しかし、見通しのないままに海運政策を推し進めるということもまた問題であることは事実だと思うのです。したがいまして、政府としては、やはりそれなりの裏づけを持ちながらも見通しを立てていくという努力が必要ではなかろうかと思いますので、その点ひとつ十分留意していただきたいと思います。
 次に、昨年日本船主協会が加盟五十二社に対して行ったアンケート調査によりますと、外航船員二万三千人のうち一万人が余剰との結果が出ておるわけですが、この数字について運輸省はどういう見解をお持ちか、伺っておきたいと思います。
#183
○増田(信)政府委員 先生御指摘のとおり、昨年、日本船主協会が傘下五十二社、雇用人員二万三千人でございますが、それに対しまして潜在的な余剰人員がどのくらいかというアンケートをいたしました結果が約一万人という数字でございます。これにつきましては、ただいま全日本海運組合と船社の系列ごとの協議会が催されておりますが、その状況を見ませんと、実際にどの程度の余剰人員が出るかということについての確信が持てる状態ではございません。
#184
○西中委員 状況がどうなるのか、今確信が持てないということでございますけれども、仮に一万人の余剰が出たというような状況にあるとするならば、そのときの日本海運の姿は一体どういうことになっておるのか、お考えがあればちょっと伺っておきたいと思うのです。
#185
○塩田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、世界の海上荷動き量というものが石油を中心に非常に激減をしております。これを数年前と比較いたしますと、石油の輸送需要というのは半減をしておるということでございます。また、鉄鋼生産関係の荷動きというのは非常に多いわけでございますが、これも御案内のような鉄鋼生産の状況でございますと、これから横ばいないし減るということになると思います。
 世界の荷動き量の大きな部分は、石油と鉄鋼関係の荷動きが中心でございます。これは何も日本だけの状況ではございませんで、世界的に見て海上荷動き量が大きく減っているということでございますから、世界の海運企業はやはりその船腹を縮小していかなければならないというところに来ていると思います。他方、船舶の規模は、御承知のようにだんだん大きくなってきております。また、船舶一隻ごとの定員というものも、世界的に見てどんどん減っていくという傾向にございます。このように、全体の荷動き量が減り、船舶の数が減り、一つ一つの船舶に乗り組む船員の定員が減るということでございますから、船員の職場が狭くなっていくということは、何も日本に限らず世界全般についてあるわけでございます。
 そこで、私どもが目標にしておりますのは、今の海運企業は、何も日本に限らず、まずその需要に合わせて企業の規模を小さくして、それに見合う船員を確保していくということが必要であろうと思います。その観点で、できるだけ日本船員の職場を確保していくためには近代化船の整備が必要であるというふうに私どもは考えておりまして一定量的に申し上げることはできませんけれども、定性的にはこの方向で海運政策を進めていきたいと考えております。
#186
○西中委員 いずれにしても海運の合理化というものはどんどん進んでいくと思うのですが、結局、そこで大きな問題は船員の雇用問題だと思います。これに対して政府はどういうように対応しようとしておるのか、また、船員の雇用対策として陸転障壁の緩和、こういうことも極めて重要な問題だと思いますが、この点もどういうような取り組みをしておるのか、あわせて伺っておきたいと思います。
#187
○増田(信)政府委員 従来、運輸省といたしましては海から海への労働力の転移を目的にいたしまして種々の政策を実施してまいっております。しかし、海で吸収できる船員の労働力というのは限度がございます。また、本人が陸上に職を求めたいという方もいらっしゃると思いますので、今後は、今までの施策につけ加えまして、船員が陸に職を求めるために助けになるような支援を考えてまいりたいと思っております。もちろん、これは運輸省だけでできることではございませんので、昨年の夏以来中央では労働省との打ち合わせを始めておりますし、また、労働省、厚生省、地方公共団体の担当者にもお集まり願いまして、陸上への転移がスムーズにいくように調整を始めております。
 具体的に私どもがやってまいりたいと思っておりますことは三つございます、
 一つは、陸上に上がっていく場合に海の資格が有効に働くような措置をとっていただくということでございます、これにつきましては、十一の業種を選びまして労働省との調整を終わっております。受験資格ないしはオーバーラップする分の試験の免除という措置をとっていただいております。今後も、必要に応じまして各省庁とそういう陸転のための障壁になるものを取り外すような努力をしてまいりたいと思っております。
 第二番目は、船員職業安定所と陸の公共職業安定所の連絡を密にするという方向でございます。これにつきましては、昨年から近畿、新潟、関東、この三地区をモデル地区に指定いたしまして、それぞれがどういう協力関係をするかという実験に入っております。この結果を見ながら、さらに情報の交換等業務の連携を密にしてまいりたいと思っております、
 第三は、陸の教育訓練施設を船員についても使わせていただくということでございます。これにつきましても関係者の大変好意あるお取り計らいでございまして、原則的には使えるような状態になっております。
 今後は、具体的にどの地域でどの程度の船員が陸に上がるか、あるいはどういう資格を目指すかということを踏まえながら、陸の訓練施設を通じた就職活動というものをやってまいりたいと思っております。
 なお、このほかに、私どもの日本船員福利雇用促進センターを通じまして、海から陸へ上がる人たちのための訓練を六十二年度から予定をいたしております。
#188
○西中委員 今も御努力をいただいておるようでありますけれども、さらに転職がスムーズにいくように、大臣、これは政府全体として取り組みを強化していただきたいと思うのです。
 最後に、海運不況への対策としてさまざまなことを試みておるわけでありますけれども、もう少し幅広く対策を検討していかなければならないのじゃないか、私はそう思っておるのです。
 これは一つの例として申し上げるわけでありますけれども、例えば海運会社の経営の上からいけば、とん税、特別とん税、それから入港料、先ほども同僚議員から御提案がありましたが、これを一定期間減免措置を講ずるというような思い切った対策などはどうなのかな、こういうように私は考えておるわけです。そういう点で、大臣、お考えがあれば伺っておきたいと思います。
#189
○橋本国務大臣 先ほども一部お話の出ましたものに関連をいたしますけれども、海運企業におけるコスト削減というものにつきましては、やはり基本的にはそれぞれの企業の努力によるということは当然のことであろうと思います。
 我が国のどん説あるいは特別とん税につきましては、これは日本船、外国船を問わず外国貿易船に課せられているものでありますし、これまでも長期間据え置かれているということを考えてみますと、その引き下げというのは、私は実態上なかなか困難なものではないかという感じがいたします。また、入港料につきましても、港湾利用に対する料金という観点から考えてみますと、不況だから減免するという理屈はなかなか立ちにくい。ただ、海運関係税制というものを見直すという観点からすれば、私は、外航海運企業の負担をも考慮しつつ適切な対応というものを当然考えなければならないと思います。
 また、それ以外に、雇用対策その他を含め、一運輸省の問題としてとらえずに、政府全体として対応を考えるという御指摘につきましては、私どももそのとおりに考えておりまして、今後ともに労働省その他とも十分協議をしながら対応してまいりたいと考えております。
#190
○西中委員 世界の趨勢なり税制上の整合性からいってさまざまな問題があると私も思うのです。しかし、世界の海運界をリードする日本としてこれぐらいの措置をとってもそう非難を受けないのじゃないかなと思っておりますので、御検討いただきたいと思います。
 次は、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案について伺っておきたいと思います。
 急激な円高を背景にいたしまして、これまで我が国をリードしてまいりました重厚産業というものが軒並み深刻な不況下にございますが、二十一世紀に向けて日本の産業構造も大転換を迫られているという状況だと思います。中でも造船業は関連下請企業が多い、いわば非常に幅の広い、すそ野の広い産業でございまして、不況の影響というものは地域経済に極めて深刻な影響を与えておるわけでございます。こういう極めて大事な産業であり、同時にまた転換を迫られている産業、こういうものを監督しております運輸省として、これからの日本の造船業のあるべき姿を一体どう描いておられるのか。
 特に国際化ということがやかましく言われておりますから、こういうような厳しい状況に追い込まれますと、具体的に言うと、日本の場合は造船業も空洞化していくのではないか、あるいは撤退までも考えていかなければならないのではないかとか、いろいろ迷いなり将来に対する不透明なものがいっぱいあるわけですから、この点について運輸省としてはどういう絵をかいていこうとされておるのか、伺っておきたいと思います。
#191
○間野政府委員 将来におきましても造船業は市場原理のもとで生きていかなければならぬと思います。それで、新造船の需要というのは非常に変動の激しいものでございますので、将来の造船業としてはこの需要の変動に柔軟に対応できる適応力を持っていなければならぬと思います。それから、労働集約産業であると言われておりますけれども、適正な労働条件を提供しながら、かつ高い国際競争力を維持できる高度の生産性を有する産業でなければならぬと思っております。また、産業の創造性と発展性を支える技術開発力、これを持たなければならぬと思います。こういった三つの力を兼ね備えた産業、これが造船業のあるべき姿だと思うのであります。
 現在は世界的な新造船需要の低迷と円相場の急激な上昇で極めて厳しい状態にあることは御指摘のとおりでありますけれども、現在考えております設備処理と事業提携の促進等によりまして需給関係を改善し、また産業体制を整備いたしまして、かつ技術力の強化、生産性の改善ということに努めてまいりますれば、必ず、先ほど申しましたようなあるべき姿と申しますか、立派な造船業に再生していくことが可能であると考えております。
#192
○西中委員 なかなか難しい問題で、これ以上言ってもしょうがないと思いますけれども、どうかその辺のところをよく掘り下げていろいろ検討していただきたい、こういう思いでございます。
 そこで、この法案は、昨年六月の海造審の答申に基づいて、船台の削減、業務提携を柱として造船業界の集約化を促進しようと考えておられるものだと思います。具体的に、現在六百万総トンであります特定船舶製造設備を二〇%削減しようということであると思いますけれども、この二〇%というのはどういう考え方が基本になっているのか、伺っておきたいと思います。
#193
○間野政府委員 昨年、海運造船合理化審議会の答申のもとになりました需要見通しによりますと、今後需要は非常に激減するわけでありますが、いずれはVLCCの代替需要等によりまして昭和七十年ころにはかなり需要が回復する、その際には特定船舶製造業の建造量は標準貨物船に換算いたしまして四百八十万トン程度は見込めるだろうということでございまして、中長期的に見ましても、現有の六百万トンの能力から比べますと、二〇%は確実に過剰である。中長期的に見ても過剰である現有能力の二割については、この際廃棄するのが適当であるということで二〇%を設備処理することにしたわけでございます。
#194
○西中委員 そのときの予測は、一昨年秋のことだと思いますけれども、一ドル二百二十円で予測を立てておられると思うのですね。その点は間違いございませんか。
#195
○間野政府委員 海運造船合理化審議会のこの件に関します審議は、一昨年の秋ごろから始まりまして昨年の三月ごろかなりまとまってまいりました。その間の平均は、若干の差異はあるかと思いますが、一ドル二百円とか二百二十円で推移しておったと存じます。
#196
○西中委員 海造審答申の前提となった外航船舶の需給見通しは、六十年の五百四十万トンから六十三年には三百十万トン、そういうふうに激減をする、その後大型タンカーの代替需要の増加により回復し、七十年には、僕は五百二十万トンじゃないかと思うのですが、今四百八十万トンというようなお話でございますが、こういう前提があったと思うのです。現在、一ドル百四十八円から九円というような状況でございまして、恐らくこの円高傾向はかなり続くのではないかというのが一般的に共通した見方になっておるわけですね。ですから、百八十円なり二百円なり二百二十円になってくれれば少しはほっとするところも多いと思うのですけれども、少なくとも今のところは、数年といいますか、そう円安は期待できない、これは常識的ではないかと思うのです。
 例えば昭和六十一年度は五百四十万トンと見ておったけれども、実際は三百七十ないし八十万トン程度になるのではないかと言われております。こういうことでまいりますと、見通しては六十三年を一番底に見ておるわけですが、五百二十万トンまで回復するのかどうかということはどうも疑わしい、せいぜい四百万トンぐらいまでいけばいいのじゃないかというような感じがいたすわけであります。一ドル二百二十円か二百円かとおっしゃいましたけれども、そういう見通しに立っておるこの計画、これではやはり見込みと大分違ったものになってしまうのではないかと思うのです。したがって、政府としてはこの需給見通しの大幅な見直しをやられる必要があるのではないかというふうに思いますが、その点いかがですか、
#197
○間野政府委員 確かに、御指摘のとおり非常に急速な円高でございますので、我が国の造船業の競争力は今のところ非常に低下しておるというのが実情でございます。
 ただ、造船のコストを見てみますと、製造コストの六五%は大体資材費でございます。これにつきましては、現在のところ確かに内外の価格差が出ておりますけれども、いずれは円高差益の還元でありますとか調達の国際化というようなことによって国際価格へ調整される、日本でも韓国でも同じ値段で物が買えるという時代に必ずなると思います。コストの二五%程度を占める人件費、これが問題であるわけですけれども、事業提携によって生産の効率を上げるとか、あるいは設備の近代化による生産性の向上といったことで、これもまたかなり圧縮できると考えます。
 最後に、技術的な力につきましては依然としてまだ我が国が世界をリードしている地位にあると思いますので、我が国の新造船についてはかなりの非価格競争力があると思います。
 こういったことに加えまして、今後さらに努力を傾けますれば、国際競争力を十分維持するあるいは回復することが可能であると考えます。
 そういったことでありますので、短期的、特にこれから一年、二年の間は確かに競争力において問題がありますので、需要が見通しを若干下回るということもあるかと思いますけれども、中長期的には、しかるべく努力さえすればこの見通しを変えるほどの必要はないと考えております、
#198
○西中委員 頑張るのも結構ですけれども、これは、先ほども御説明があって、大変厳しい状況にあって、しかも円高というのは造船不況については相当大きなインパクトになっておるわけですから、生易しい努力で、また技術革新で簡単にこれくらいの目標は維持できますよなんというのはちょっといただけないですね。数字合わせをするわけではないのですから。
 私の言いたいのは、五百二十万トンという設定をした、二〇%の削減をすればいいんだというようなことでいいのかどうかということをもう一度しっかり詰めていただきたい。答申の段階と今の状態とは円高という点では大変な差がある、三〇%、四〇%の差がある。そういう中で耐え切れるものなら何もこれだけ大きく造船業界は問題にならないのですから、もう一度この点をよく詰めていただいて、果たしてこの二〇%でいいのかどうか、再度確認する意味においても、これからの政策展開の上でもしっかりと詰めていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
#199
○間野政府委員 確かに、最初に申し上げましたように、二割というのは中長期的に見ても過剰な設備でありますから、近いところで考えますと、それは二割ではある意味では不十分だと言えばまさにそのとおりであります。ただ、設備を廃棄するということは、これまた別の痛手でございますので、できることならば少ない方がいいことも確かでございまして、二割の、長期的にも要らないものはこの際廃棄する、それで不足の分については、例えば不況カルテルをさらに低い水準で結ぶとか新規の需要創出を考えるとか、そういったことで何とかつじつまを合わせて生き延びていかなければならないという現状であるかと思います。
#200
○西中委員 カルテルその他の手段もあるわけですけれども、今申し上げた点については十分注意していただかないと、政策の一貫性がなくなるわけですから、受ける方にすれば二〇%、これでいけるんじゃないかと思っているのに、最終的にこれでも無理なんだということではますます意欲がそがれてくる、こういう状況になるわけですから、十分御検討いただきたいと思います。
 次に、二〇%カットを行うに当たりまして、安定事業協会の買収規模が三百億円ということですが、何トンぐらいの処理ということになるのでしょうか。
#201
○間野政府委員 一応、三百億円の積算をいたします場合の仮定でございますけれども、大手を除きました中手の特定船舶製造事業者、これの約半数、処理すべき量の半数を買い上げで賄うとした場合幾らになるかということではじいたものでございまして、中手の建造能力が二百六十万トンでございますので、この二割が五十二万トンになりますが、その半分程度が協会の買い上げに依存して設備処理をするのではなかろうか、こういう積算をしております。そういう意味で二十六万トン程度ということでございます。
#202
○西中委員 協会の買い上げ以外は業界のグループ化によりまして基数単位の二〇%削減を行うということであろうと思いますが、業者にはそれぞれの思惑もあり、簡単にグループ内の調整ができるのかどうか、見通しを伺っておきたいと思います。
#203
○間野政府委員 それぞれいろいろ会社の事情もございまして、確かに非常に難しい問題でございますけれども、昨今の厳しい情勢のもとで造船各社ともグループ化の必要性については十分理解しておりまして、実施に向かって鋭意準備を進めているところでございます。
#204
○西中委員 それから、安定事業協会の業務をいろいろ拝見させていただいたわけでありますが、一つの例として、よくわからないのですけれども、佐野安船渠、ここのところは五十五年三月十一日に土地を三万九千四十三平米、これを二十三億六千五百万円で買い上げをいたしておると思うのです。ところが、売り渡しをしているところを見ますと、その一部でありますけれども、一万五千三百八十七平米、これを佐野安に再び十六億三千百万円で売り渡しておるのですね。最初買い上げて、同じところへまた売り渡すというような形になっておるのです。
 それから、五十五年三月十一日に売却が済んでから一カ月後の五十五年四月二十五日に、今度は十億円の担保解除資金として債務保証をやっておる。先に売ってしまってから後で債務保証をするというようなおもしろい形になっているのですね。それなりの理由があるんだろうと思いますけれども、これもれっきとした政府の法律によって決められた事業としてあるわけですから、この辺のところは一体どうなっておるのかな、僕はわからないのでお聞きしておきたいと思うのです。
#205
○間野政府委員 御指摘の佐野安ドックと申しますのは、その当時、大阪と岡山に工場を持っておりまして、岡山の方が、岡山と申しますか水島と申しますか、新鋭工場でありますので、そちらを残して大阪の旧工場を処理し、その一部、修繕設備は残しまして新造部分を特定船舶製造業安定事業協会の方へ売却したわけであります。その後、佐野安ドックの方ではこの跡地を陸上の鉄構工場に模様がえして新たに陸上部門へ進出したいということで、協会がこの敷地の払い下げの公募をいたしました際に佐野安ドックも応募してまいったわけです。
 私どもといたしましては、これを再び新造船部門に使われると困るわけですけれども、そうでないものであれば一向差し支えないということで競争入札に付したところ、佐野安ドックが落札した。そういうことで、恐らく当初のもくろみでは、大阪工場では修繕だけをやるつもりで売却したものが、やはり陸上部門も少し強化したいということで、自分の残っておる修繕工場に隣接する土地を再度買い求めたというのが経緯であろうと思います。
#206
○西中委員 通産省、これの債務保証、これは担保解除資金のために、もう既にない土地の保証をされておるということに形の上ではなっているのですが、この辺はどういうように解釈したらいいのでしょうか。
#207
○藤原説明員 お答えをいたします。
 確かに、船台等の買い上げの時期と特定不況産業信用基金が担保解除資金について債務保証をするその契約締結期との間に一カ月半ずれがございます。それは事実でございます。これは安定協会が買い上げを行った後に民間銀行が債務保証の申請をしたことによるものでございまして、この間、民間金融機関が無担保で融資をしている形になっておりますが、これは民間金融機関の独自の判断に基づいて行ったものというふうに考えております。
#208
○西中委員 きょうは短時間で、この問題についてこれ以上お聞きすることはできませんが、何となく釈然としないものが残るのですね、今の御説明だけでは。後日、また改めてお聞きをいたしたいと思っております。
 次に、五十四年度三五%の設備処理を行い、その後、数社の要望で設備の拡張を認めたケースがあるようでございます。今回二〇%の設備処理を行うわけでありますが、設備処理した後での拡張、新増設等についてはどのように対処をされていくのか、今までの状況とこれからの運用の方針、造船法の運用の方針、これについて伺っておきたいと思います。
#209
○間野政府委員 昭和五十四年度に当時の能力の約三五%の設備処理を実施した後におきましても、造船設備についてはその新設と拡張を抑制する政策をとってまいりました。
 そこで、御指摘の点かと思いますが、一部設備の拡張を認めた場合がございますが、それもスクラップ・アンド・ビルドによりまして全体の能力を増大させないということを原則として運用してまいりました。ただ、一件だけ非常に特殊な事情がございまして、地域経済あるいは雇用に重大な影響を与えるということで例外的に拡張を認めた例がございます。
 今後、再度設備処理をいたしまして後の設備政策でございますけれども、昨年六月にいただきました海運造船合理化審議会の答申におきましても、できるだけ企業活動の自由度を高め、合理的な生産体制の整備を促進する見地から、運用を見直す必要性を指摘されております。したがいまして、全体の建造能力を増大させない範囲でできるだけ弾力的な運用をしてまいりたいと考えております。
#210
○西中委員 微調整的な拡張を認めた例としては、一件ではなくて四件ということになるのではないかと思うのです。函館ドックの場合はかなりな規模になっておると思うのですね。それはよろしいでしょう。
 今の問題に関してもう一言つけ加えておきますと、それぞれ二〇%の削減ということでございますし、しかも中にはグループという枠内で削減するということも行われるわけですから、公平という点では、新しい拡張とか増設等については運用上まずきちっとした方針を決めておかれるのが公平だろう、こう思っております。
 それから、こういう造船業界の集約化の中で、共同受注会社というものが一つの構想としてあったようですが、これはどういうふうになっておるのか。何か見通しが立ってきておるのか、それとも難しい問題だということになっておるのか、その辺いかがでしょうか。
#211
○間野政府委員 幾つかそういう件も検討されておると思いますが、まだ具体化はされておりません。
#212
○西中委員 最後に、造船不況対策としては新たな需要創出というものがやはり一番重要である、こういうふうに私たちも考えておりますし、海造審の答申にもそう書かれておるわけでありますが、運輸省としての取り組みはどうなっておるのか。そういった需要創出の観点から、我が党は洋上学校構想を発表して学校船の建造を提案しておるのでありますが、その点についても御意見があったら伺っておきたいと思います。
#213
○間野政府委員 当面、造船事業者の仕事量が非常に減りますので、私どもといたしましても、何か新たに工事量を創出してこれを補わなければならないということで、船舶の解撤を引き続き継続してまいりたいと考えております。また、経済協力による船舶の建造、官公庁船の代替建造、大型鋼構造物の建造の促進、こういったことをいろいろ考えていきたいと考えております。
 御指摘の洋上学校構想でございますけれども、建造資金の調達とかだれが経営の主体になるか、あるいは採算性の問題などがあるかと思いますし、また、学校でございますから文部省を初めとする関係方面との意見調整を図る必要があると考えております。ただ、この構想が実現いたしますれば、造船業の仕事量の確保と船員の職場の開拓に非常に役に立つものであると考えております。
#214
○西中委員 質疑を終わりますけれども、提案されております三案は、現在の日本の経済事情というものを背景としてそれなりに重要な法案であろうかと思います。したがいまして、今の問題にしても、雇用であるとか地域経済の問題であるとか、まだまださまざまな問題があるわけでありますけれども、時間も参りました。国会がこういうように通常ならざる事態でまいりました関係上、緊急の対応でこの法案審議を短時間でやっておるわけでありますが、こういう不本意な形で審議したとはいえ、やはり運輸省としてはこの法案の実施に当たっては全力をもって当たっていただかなければならぬ部分も多いと思いますので、御努力を要請いたしまして終わりといたします。
#215
○鹿野委員長 河村勝君。
#216
○河村委員 午前中の質疑の中で関山議員の方から、海運と造船の両方とも運輸省で所管をしていながらその政策が整合性を欠いているという指摘がありましたが、私も全く同感でありまして、かねてからその点を指摘しております。
 今、円高と世界的な船腹過剰で、かつてないくらいの深刻な事態になっているわけであります。これから国がとる政策が今後に与える影響というのは非常に大きいわけであります。先ほど運輸大臣は、今後は近代化船の計画造船を中心に海運も造船も両立していくような方向を選ぶという答弁をされました。それだけで済むとは思いませんけれども、方向としては正しいと思います。しかし、こういう事態になったのは何もここ一、二年のことではなくて、五十二、三年ごろからずっと流れてきた事態である。そういう事態の中で、どう考えても運輸省の中で海運と造船とが本当に整合性を保った政策をつくっているとは思われない経過が幾つかあるので、そういうものに対する反省がないと、これから先もあらしの中でちょっと小春日和があるとまたちぐはぐなことをやって、それで事態を紛糾させるおそれが多分にあると思うのです。だから、それをちょっと指摘しておきます。
 船腹過剰を解消するために五十三年から四百万トンの解撤を始めましたね。同時に、これは五十二年か五十二年かどちらでしたか、三五%の造船の設備廃棄を始めた。ところが、五十四、五年になると、俗にミニブームなどといって、一時五百万トン以下に落ちておった造船量が急に九百万トン前後まで上がってきた。そして五十七、八年に至っては、例の三光汽船の絡みでありますけれども百二十五隻の三光汽船のいわゆるハンディバルカーをつくる。ミニブームの場合には小型タンカーですね。そうすることによって海運の方は、三光汽船を初め倒産が続出するという事態を招いている。造船の方も、一時的に減らした職員をまたふやして、それで合理化を中断して体質改善をおくらしているのですね。だから、また雇用摩擦を、一回済んだものをもう一遍重ねてやるというようなことをやっておる。臨時船舶建造調整法というのがありながら、そうした海運全体の趨勢をにらんでの行政というものは全く行われてない、一体なぜこんなことをやったのか、それに対して今どう考えているのか。それをもとにしないと、これから大臣が近代化船の計画造船を中心にやるなんと言っても、いつどうなるかわからぬという非常な不安がある、一体運輸省としてはどう考えておるのか伺いたい。
#217
○塩田政府委員 ただいま河村先生から海運・造船政策で過去にさかのぼっていろいろと御指摘かつ御批判をいただきました、
 前回、五十二、四年ごろに海運・造船対策を一度やったことがあるわけでございまして、今回お願いしております利子補給法はその関連でもあるわけでございます。
 ただいま河村先生から、海運も一度ミニブームがあったとか、造船の方も設備、能力を拡充したという御指摘がございましたけれども、昭和五十三、四年ごろから現在までに何が特徴的であるかということを申しますと、海運の分野におきましては世界全体の輸送需要が非常に大きく減ったということでございます。
 そこで、問題点としましては、世界全体として海運輸送需要が大きく減ったのに対しまして、それに見合った形で船が減ってない。確かに、御指摘のように新船の大きな建造があったこともございますが、全体として見ますと、新しい建造も含めまして船の供給量が多過ぎるということが問題でございます。したがいまして、私どもは、現在の段階で何をなすべきかということにつきましては、まず船舶のスクラップの促進ということが最も重要であるというふうに考えております。他方、日本船の国際競争力というものが今問題になっているわけでございますから、これからつくる船舶の定員とかその性能とかいうものを改善することによりまして、これからつくる日本船の国際競争力をふやしていくことが前向きの政策であるというふうに考えている次第でございます。
#218
○河村委員 それは全く返事になってないのです。これからやることはそういうことでしょう。過剰な船腹を減らしつつある際に、ちょっと何か状況がよさそうだというと突如として多くの船をつくらして、一方で解撤をして減らしながら片方でふやす。なぜそういうことをやったのかということを聞かなければ、今後の対策に信用ができるものですか。それはどうなんですか。
#219
○塩田政府委員 ただいまの河村先生の御指摘に対してできるだけお答えを申し上げたいと思います。
 まず、先ほど、ちょっと五十四年前後に中型タンカーのミニブームがあった、こういう御指摘がございました。これにつきましては、確かに利子補給を復活いたしまして建造した船の中の相当数はタンカーでございました。このタンカーはどういうものであったかといいますと、ペルシャ湾から日本へ輸送する石油の量がペルシャ湾以外の、東南アジアとかその他の国にシフトするということを海運企業は予見をいたしまして、大型タンカーから中型タンカーに切りかえようとして中型タンカーの建造をしたわけでございます。このタンカーは、当時数年間は確かに需要があったわけでございますから、当時これらの船の建造はそれなりに十分意味があったということでございます。
 その後、ハンディバルカーその他の大量建造があったことは事実でございますが、それは、そのときに、その企業が将来を見越して輸送需要があると判断して建造したというふうに私どもも判断をしたわけでございます。
 他方、現在におきまして数年前と比べますと老朽・不経済船の量が非常にふえております。例えばタンカーをとりまして、十年以上の船齢のタンカーの量を現在と数年前と比較をいたしますと、その比率が非常にふえております。このことは、比較的古い不経済船が余計に残っているということでございますので、こういう船が素直にスクラップになっていくということであれば世界の船腹過剰の現状はもう少しよかったのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
#220
○河村委員 だから、これまた説明にならないので、そのときには、企業がそういう需要が今後ふえるだろうと思って、つくりたいと言ったからつくらせた。ところが、構造的な船腹過剰あるいは不況が続いている際なんだから、臨時船舶建造調整法というものがあるならば、個々のあるいは企業集団の意向ではなくて、役所としてどういう見通しを持ってそれに対処するかというのが建造調整の趣旨でしょう。だから、結局、調整とはいっているけれども、発注者の言いなりになっておるというだけのことだ、そういうことじゃないのですか。
#221
○間野政府委員 確かに、おっしゃいますように結果的に船腹過剰を助長したようなことにはなったかと思います。ただ、当時、臨時船舶建造調整法によります建造許可の資料等を探して検討してみますと、当時はそれなりに、第二次石油ショックといいますか、イラン革命の結果、石油から石炭へのかなりの代替が起こるであろうというようなこととか、バルクキャリアの当時の船齢構成を見てみますとかなりの老朽船が含まれておるとか、そういったことから私どもとしては私どもなりに、決して投機的なものではない、恐らくこういった需要のシフトが起こるであろうと判断して許可しておったわけでありますけれども、結果的にはやや甘かったと申しますか、船腹過剰を解消するに至らなかったということはおっしゃるとおりでございます。
#222
○河村委員 結果的にはと言うけれども、結果がだめならだめなんですよ、行政が正しいか正しくなかったかという判断は結果によってされるのであって、これは予見すべからざる大変動が起これば話は別です。だけれども、通常の与えられた条件の中では、結果の悪いものはだめなんです。
 幾ら言っても、悪うございましたと頭を下げないでしょうからこの辺にしますが、運輸大臣、そういう経過があります。今までは造船は造船、海運は海運、整合性よりもむしろけんかしながらやっていたというような傾向があったのではないかと思うくらいです。ですから、今後その点で整合性を欠かないような役所の仕事の進め方、これもぜひやってほしい。その辺の意見を聞かしてください。
#223
○橋本国務大臣 先輩たちの見通しの甘さをおわびすればよろしいのであれば、改めておわびいたします。
#224
○河村委員 ところで、大臣の言われる、近代化船の計画造船を中心にやっていきます、これは結構であります。六十二年度予算を見ますと、近代化船の建造の予算は前年度が九百億、六十二年度が七百億ですね。二百億減ってしまっているのです。これはどういうわけでしょうか。
#225
○塩田政府委員 船舶建造需要の実態に合わせているわけでございまして、過去数年間、計画造船の毎年の予算の枠は使い残しております。
#226
○河村委員 そうすると、昨年度は九百億円を計上して、実績は幾らなんですか。
#227
○塩田政府委員 昭和六十一年度の計画造船の予算、財政資金の予算でございますが、九百億円に対しまして、これを消化いたしましたのは五百七十六億円でございます。
#228
○河村委員 近代化をしなければならぬという考えは、役所ばかりでなくて海運会社も同じだと思うのですが、要はコストにかかわる融資条件、これがもっとよければつくるということなんじゃないですか。これは金利が六・〇五、特利五%という開銀の利子が書いてあります。この間、公定歩合の引き下げに伴って例の資金運用部の利子が法定化から外れたので当然変わってきているはずだと思いますが、これはどういうふうになっていますか。
#229
○塩田政府委員 計画造船の金利は、従来は六・〇五%でございまして、これは資金運用部の資金が原資になっております関係で最も優遇された金利でございました。最近資金運用部法が改正されましてこの下限がとれまして、現在では従来の六・〇五%が五・二%になっております。
#230
○河村委員 そうすると、現在特利は幾らになっているのですか。
#231
○塩田政府委員 現在、海運の利子は特利の最も優遇されたものでございまして、五・二でございます。これ以下の開発銀行の利子はございません。特利の一番優遇されたものでございます。
#232
○河村委員 今までは一般の金利が六・〇五で、特利が五でしょう。一%以上低いわけだからね。ですから、一般の利率が五・二になれば、一%ぐらい下げた四・二ぐらいの利率にするということは、役所同士の交渉で可能ではないのですか。
#233
○塩田政府委員 今御指摘の一般金利というのはプライムレートのことかと思いますが、従来プライムレートが六・四に対して六・〇五%。今度はプライムレートが五・五に対して五・二%でございまして、現在の開発銀行融資はこれ以下にならないものというふうに私どもは了解しております。
#234
○河村委員 そういうはずはないのですよ。開銀の融資比率は、船によって違うから総合して何%になるかはちょっと計算できませんけれども、運輸大臣、計画造船を中心にして進めるのは大変結構だと思います。しかし、せっかく予算をつくってもそれが消化できないというのは、今の船会社の体質からいって、もうちょっと金利が低ければいいがなというのが恐らく実際の姿だと思うのですよ。その点、大臣もうちょっと考えられませんか。
#235
○橋本国務大臣 今、例えばLNG船、コンテナ船あるいは超省力化船に対する融資比率は六〇%でありまして、開銀の融資項目の中でも最も高い融資比率になっております。また、今、最優遇金利五・二%適用ということは局長から答弁申し上げたとおりでありまして、私はこれをなおかつ下げるということは非常に困難なことだと思います。
#236
○河村委員 大変困難なことはわかります。ですけれども、これから後で申し上げるようないろいろな合理化を進めていく上で、片一方で近代化船をつくるということが進んでいかないと全体の合理化はうまくいかないということにも相なるので、ぜひ努力をしてほしいと思います。
 最近、外航船員の緊急雇用対策ということで、海の労使で今後の雇用調整について合意がされております。大変な決意で行われたものだと思います。
 そこで、まず伺いたいのは、先ほどから一万人の潜在余剰人員があるという答弁がありましたね。この十年の間で外航船員が五万人であったものが二万五千、さっき聞いたところでは二万三千という話でしたね。その中で一万人余剰人員ということになりますと、これは四〇%を超えます。海員労使の合意は数字には触れておりませんが、一般的に何となく、一万人余るからそれを減らして、それで体制を立て直したい、そういうコンセンサスのようなものがあるようですね。そうであれば、運輸省自身が一万人余剰人員だと言うからには、もしこれを一万人減らして一万三千人の体制になれば、今度こそ日本の商船隊で残りの一万三千人を全部乗せて、そこで新しい体制がつくれる、そういう見通しを持っておられるのかどうか、それを伺いたい。
#237
○塩田政府委員 先生から今御指摘がございました一万人の船員が余っているというこの見解は、日本船主協会の見解でございます。私どもは、企業が抱えている船員はどの程度の規模であることが適正かというのは企業が判断することだと考えておりますので、基本的に現在の段階で一万三千人がいいかどうかというような判断はしておりません。
#238
○河村委員 さっきあんなことを言わなかったな。運輸省の見解のごとく堂々と、余剰人員一万人だと言っておったけれども、やはり逃げ場をつくっておかなければいけませんか。
#239
○増田(信)政府委員 数字について申し上げます、
 外航船員については、十年前約五万五千人の外航船員が約三万人に減っております。この中で外航船主五十二社に所属する船員が二万三千人、これにつきまして日本船主協会としてアンケートをいたしました結果、約一万人が潜在的余剰人員だと言われておるわけです。この人数そのものについては、運輸省としては何もコメントいたしておりません。先ほどお答え申し上げましたように、系列ごとの雇用対策協議会が開かれておりますので、その結果を見ませんとどの程度余剰人員が出るかというのは確定できない、こういうことでございます。
#240
○河村委員 それはいいでしょう。しかし、仮定の問題として、一万三千人ないし一万五千人がこれからずっと恒久的にあるものと仮定して、それで私のさっきの質問、外国用船を含まないで、近代化船を中心にして、今後日本人の乗る新しい商船隊をつくることができるのかどうか、それについて自信がありますか。
#241
○塩田政府委員 この点につきましては、先ほど来御説明をいたしておりますように、荷動きが減っているという問題と、日本船の国際競争力がだんだん低下しているという問題がございますので、この問題を克服できるかどうかにかかっていると思います。
#242
○河村委員 今つくっている近代化船、超合理化船、これならば国際競争力があると考えてよろしいんでしょう。
#243
○塩田政府委員 その点につきましては船の種類によりまして違ってくると思います。例えば非常に高度な技術を持っておりますLNG船というものがございますが、これにつきましては多分まだ国際競争力は問題がないんだと思います。それから大型のタンカーにつきましても、現在でも計画造船あるいはその他の形で日本船の建造がなされております。他方、相対的に小さい船はほとんど日本船の建造は難しくなっております。
 このように船の種類によりまして、付加価値が多い船とか非常に高い船とか、相対的に人件費のウエートが低い船とか、そういうような船はまだ国際競争力があって、今後建造が可能だということでございますが、相対的に人件費のウエートが高い船は国際競争力がますますなくなっていきますために、これから日本船として建造することはなかなか難しいと考えます。
#244
○河村委員 今度の労使間の合意で新しく雇用安定機構がつくられて、外航二船主団体のつくる新しい会社で船を動かして、そこで離職船員を吸収するという案になっております。ここにどれだけ船を確保できるかというのは、このプランが成功するかしないかのかぎになると思うのですが、一体これについて運輸省としては全然関与してないのですか。
#245
○増田(信)政府委員 雇用開発促進機構につきましては、労使双方で話し合いを進めております。設立することにつきましては基本的な合意が成り立っておりまして、四月一日を目指して現在詰めに入っているところでございます。私どもは労使双方から事情をお聞きしておりますが、直接に関与はいたしておりません。
#246
○河村委員 先ほどもこの問題で議論が出ておりましたが、会社が採算上やりやすいような条件をつくることがやはり望ましいわけですね。そこで、離職した船員がこのグループの設置する会社に入る場合、雇用保険関係の手当は何になるんですか。例の船時法に基づく職業転換給付金が会社に支給されるということになるのですか。
#247
○増田(信)政府委員 職業転換等給付金は離職していることが前提でございますので、ここのいわゆる受け皿機構の事業会社に雇用された場合にはその給付はございません。
#248
○河村委員 しかし、海から海への転換のために例の船時法はできたわけですね、それで、離職した者を受け入れる事業主に対して転換給付金が払われるわけでしょう。だったら、この場合はやはり新しい会社に移っていくんだから、職業転換給付金を払うことはできないのですか。
#249
○増田(信)政府委員 先生御指摘の問題は多分雇用調整助成金、新しく船員を雇い入れる事業者に対して支払われるものだと了解いたします。
 御案内のとおり海運業は全面的に不況でございます。雇用調整助成金の趣旨は、不況の産業から好況の産業に労働力を移動させていくためのインセンティブを与えもということでございますので、そういう意味で不況産業から不況産業へ移動させるという問題については難しいと考えております。
 なお、いわゆる受け皿機構、これは暫定的、当分の間の措置であるということと、雇用の形態が期間雇用だというふうに聞いております。そうなりますと、安定的な雇用機会を創出するという雇用調整助成金の趣旨からいってまた別の問題があろうかと思います。
#250
○河村委員 陸の場合は大変はっきりするのですが、海の場合には、不況業種ではあるけれども、現実には船の数が減っているわけではなくて、さっきも話が出たように、商船隊の中で外国用船がふえて固有の船が減るということでありますから、結局便宜置籍船にどれだけ日本人船員が乗れるかという問題と似たようなことになるのですね。
 こういうものを成功させるためには、陸の場合とは事情が違うけれども、実際、不況によって離職をして、それをどこかの事業で、救済すると言ったら言葉が悪いかもしれませんが、新しく吸収するということができるならば、雇用調整としての趣旨には変わりはないのですから、何かそこのところは打開できないのだろうかということです。期間雇用だからだめだと言われればそれまでの話だけれども、もしそれがいけないというんなら、恒久的ならそれはできるのか、それの法律関係はどうなっているんですか。
#251
○増田(信)政府委員 私どもといたしましては、従前から、外国籍の船に乗船する場合等、六カ月以上乗船する方には奨励的な意味で十二万円をお払いいたしております。また、雇用船員が出向の形でいたします場合にはこれまで月二万円でございましたが、来年度から三万円を要求しているというふうに承っております、そういう意味で、船員個人個人に対する奨励的な制度あるいは技能訓練についての助成はいたしておりますし、またこれからも強化してまいるつもりでございます。
#252
○河村委員 そうすると、いかなる場合でも受け入れ事業主に対する給付というのは、船員保険に関する限りはないということですか。それから陸上に転換する場合でもそうですか。
#253
○増田(信)政府委員 陸上に転換する場合には、一定の条件のもとでございますが、新しい事業主に対して雇用調整助成金が支払われるケースがございます。海から海につきましては、先ほど申しましたようにそういう制度がないということと、現状では余り妥当な政策じゃないと考えております。
#254
○河村委員 陸に転換する場合、一定の条件があればというのはどういうことですか。
#255
○増田(信)政府委員 海上において不況業種に指定されているもの、そこからの離職者が陸上の、例えば地域雇用開発計画でございますか、そういうものによって指定されたところに就職していく、そういうケースでございます。
#256
○河村委員 そうすると、海運は不況業種に指定されているわけだ。そこで離職した者が、地域を抜きにして一般的によその事業主のところに就職しても、事業主に対する給付金はないのですか。
#257
○増田(信)政府委員 例えが悪いかもしれませんが、炭鉱離職者が造船に勤めた場合に、造船に給付金が支払われるかということをお考えいただければ御理解いただけると思います。
#258
○河村委員 どうも海と陸と根拠法規が違うもので、こんがらかって私にもわからなくなってしまうのですが、総体的に言って、陸の法規を適用した方が海で独立しているよりも得なように思うけれども、そうではないのですか。
#259
○増田(信)政府委員 船員が陸上に転換していく場合、陸の法規が原則的には適用になる、また、海から海に行く場合には、それぞれの事情に応じて私どもは最大の努力をいたしております。
 保険の問題、これは船員保険の問題でございますので、制度をどうつくっていくかというのは、労使双方でいろいろ御議論を願わなければいけない問題だと思っております。
#260
○河村委員 事務的にはそういうことかもしれないけれども、せっかく新しい受け皿をつくって、そこで期間雇用であっても働いてもらおうとしている場合でしょう。だったら、本人に対する給付はもちろんだけれども、事業主に対する給付もあれば、それだけ余計船が確保できるわけですからね。少なくとも船会社は出しやすい。そういう条件になるならやるべきじゃないですか。
 運輸大臣、細かな雇用関係のものはおわかりにくいかもしれないけれども、物の考え方をちょっと転換すれば、やっても少しもおかしくない。いずれにしても、離職者対策であることには変わりないのですから、何か考えてもらえませんか。
#261
○橋本国務大臣 私は、河村委員がおっしゃる気持ちが全くわからないわけではございません。むしろ船員保険というものが、こういう海運状況の中で将来ともに総合保険として運営されていくことがいいかどうかということまでさかのぼっての御論議でありましたら、私もそれなりに論議したいことがございます。ただ、労使双方によって出資されておりますこの保険の中におきまして、今の御意見は少々御無理ではないかと思います。
#262
○河村委員 多少無理でも趣旨が正しければ、少しこういう時期にはやる方がいいのだろうと思うので、私はぜひ考えてほしいと思うのです。
 それから、さっき、地域雇用開発等促進法の適用が可能になる場合のことを船員部長が言ったようですけれども、あれはどうなるのですか、船員の場合には事業場は動いているわけですから、特定不況地域にあるわけじゃない。ただ、実際問題として、長崎県の口之津とか加津佐、鹿児島県の指宿、石川県の能登半島のように、千人以上の船員の離職者が固まっている場所が現にあります。こういうのは特定不況業種に指定し、かつ今審議中の地域雇用開発等促進法の適用によって何か離職者対策の手厚いものを受けさせる方法はないのですか。これは労働省に聞いた方がいいのかな。
#263
○廣見説明員 現在、地域雇用開発等促進法案が国会で御審議されておりますが、これによりまして地域指定を行い、それを行ったところにいろいろな雇用対策を手厚く講じていく、雇用開発を中心に対策を進めていく、こういうことになっているわけでございますが、今先生のお尋ねの件につきましては、業種対策と地域対策をどう考えるかという問題がございます。
 私どももいろいろと議論したところでございますが、特定不況業種を指定し、その業種からの離職者あるいはその業種の事業主に対して雇用の安定に努めていただくよういろいろ助成していくという形が一つございます。もう一つ、特定不況地域というのがございますが、この考え方は、業種だけではとらえ切れない問題が地域にはあるだろう。と申しますのは、ある地域に、例えば造船が一番典型でございますが、造船業がある。造船業が不況で雇用調整を進めてまいりますと、それが周りの関連する事業所に影響を与えてくる。そのうち地域全体の雇用状況が悪くなる。したがって、造船業に属していないような事業主に対しても影響が出てくるため、地域ごとに対応していこう、こういう考え方になっておるわけでございます。
 ところが、船の場合は、ある地域に仮に海運業が集積しており、それがその地域の他の事業所、他の企業等に影響を与えていき、海運業が特定不況業種に指定されていても対応できないような問題が発生するかどうか、こういう基本的な問題があるわけでございます。仮にそういったような状況があれば、それは条件を満たすものとしてその地域を指定し、一般的に手厚い対策を講じていくことが必要だろうと思いますし、また、それはそれなりに可能な考え方だと思いますが、現実問題としてそういう形になってくるのかどうか、ここは実態との関係になるのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
 したがって、通常の場合は、そういったような形で海運業がその地域全体に影響を与える、そういうところは少ないのではないかなという感じがいたしますのが一点と、もう一つは、業種対策として、業種的にとらえておけば、その海運業なり造船業に属する労働者に対する手厚い対策、あるいはまたその海運業、造船業等に対しての対策というものは講じられるわけでございますので、それはそういう考え方でも対応できるのではないかなというのが私どもの現実を見た場合の考え方でございます。
#264
○河村委員 そういうことかもしれませんけれども、実際問題として、今までお聞きのように、海運というのは特殊事情がありまして、実際、陸転といってもなかなか行くところがなくて非常に困っている。同時に、地域指定というのは事実上不可能だけれども、実際そこに人が固まっているのだから、地域で指定しないとなかなか救済の道がないという事情があるわけですね。だから、これは今すぐ返事ができなくてもいいから、海運の特殊事情を考えて、地域指定について、これは運輸省と相談ということになるのでしょうが、一遍相談してもらえませんか。
#265
○廣見説明員 地域雇用開発等促進法に基づきます地域指定につきましては政令で定めるということになっておりますので、関係各省とも十分協議をした上指定してまいりたいというふうに存じております。
#266
○河村委員 同じく陸転の場合で、さっき、十幾つかの技能資格というのですか、クレーン技士とかボイラー技士とか、ああいうたぐいで海で事実上能力を持っている者は受験を省略するとか、あるいは一部省略するとかなんとかいうことについて相談されているという話を聞きましたが、これはかなりの程度できるはずだと思うのですけれども、どうなんですか。
#267
○安藤説明員 先生お話しの船員の方々が船舶職員法に基づいて取得をした資格、いわゆる海技資格者ということですが、こうした方々の資格を労働安全衛生法に基づく資格と同じような扱いにできないかという問題につきましては、かねて労働省と運輸省で協議を進めてまいったところでございます。片一方では、できるだけそういう範囲を広げることによって少しでも船員の方々の再就職が促進されるという一面と、もう一つは、問題がやはり安全と健康という問題にかかわるということで、非常に詳細に検討してきたわけでございます。その検討に基づきまして、今年一月、一定の範囲で受験資格の緩和でありますとか、試験科目の一部免除ということを講ずることにしたわけでございます。
 もう少し細かく申し上げますと、ボイラー技士、ボイラーの整備士あるいは衛生管理者の免許、こういう免許の取得についての受験資格を緩和する、あるいは衛生管理者免許でありますとか、第一種酸欠危険作業主任者技能講習というようなものについての試験科目の一部免除ということを実施したわけでございます。
#268
○河村委員 時間がなくなりましたから造船のことをちょっと聞きますが、その前に、大臣、さっき関山さんから話が出た裸用船料に対する所得税の減免、これはさっきの受け皿機構の船を出しやすくする、新しい職場をつくりやすくする一つの有力な材料になると思うのです。さっきあなたは、これは検討するとおっしゃったので、今それ以外にお答えのしようがないでしょうから、それで結構ですが、昭和四十六年から五十一年までやった例があるので、初めての話じゃありませんから、これは一遍考えてください。お願いします。
 造船の方で、今度の造船の設備削減のやり方ですね。この前、五十三年のときには三五%削減でありますが、大手が四〇%、中手が三〇%、小さいところは二〇%というような比率で削減をやりましたね。今度は二〇%削減は一律にやるわけですか。
#269
○間野政府委員 今回は一律にやることにいたしております。
#270
○河村委員 そうすると、小さいところ、船台を一つしか持っていないところは、ごく単純化して言えば五つの企業が集まって一つの船台をつぶすというやり方になる、こう考えてよろしいですか。
#271
○間野政府委員 非常に小さいところが同じ大きさのものを持っておれば、そういうことになると思います。
#272
○河村委員 そういうことになると思うでなくて、それ以外に、船台を基数単位でつぶしておるわけでしょう、そうすれば、いや応なしにそういうことになりますね。だから、計画全体としてそういうことになる。それによってグループ化あるいは集約化というのはおのずから進んでくる、こう考えていいのかな。
#273
○間野政府委員 おっしゃるようなケースもあると思います。ただ、同じような規模の小さいところが五つ集まるということは現実にはなかなかないかと思いまして、むしろ大きいところと小さいところというのも出てくるかと思います。
#274
○河村委員 グループ化、集約化というのは今度の一つの旗印になっておるようですが、前回、五十三年のときの設備削減は、率としては完全にできたようでありますけれども、その後の状態を見ますと、どうも競争力強化あるいは体質の強化というものに余りつながっていないような気がいたします。その後の受注船価の推移を見ておりますと、一時的に五十六年ごろ高くなった時期はあるけれども、だんだん落ち込んで、結局採算割れになっているような数字に見受けられますが、その点は一体どうなんですか。
#275
○間野政府委員 御指摘の船価につきましては、結局は過剰船腹が原因となって海運市況が低迷して運賃が十分にもらえない。したがって、船主も船の値段が安くなければ発注しないということで船価がどんどん下がっておるというのが現状であろうと思います。
#276
○河村委員 今度こそ本当に、単なる設備削減に終わらせずに、国際競争に耐え得るようなものをつくっていかなければならぬと思うのです。そうであれば、集約化についても相当程度、運輸省が行政指導によってそういう目的にかなうような姿をつくっていくつもりでやらなければいかぬだろうと思うのですが、いかがですか。
#277
○間野政府委員 非常に厳しい状態でありまして、また各企業それぞれ事情も異なっておりますので、それぞれの企業が自主的に判断した上で競争力の強化に役立つ、プラスになるという形の集約を追求していかなければならないと思います。そういった意味でやはり企業が自主的に判断すべきことであろうと考えております。
#278
○河村委員 今一番の悩みの種は韓国との問題だと思いますが、先ほど非常に楽観的な説明がありました。そううまくいくかどうか疑問でもありますが、一番問題なのは、一体どのくらい韓国の造船業の規模が大きくなり得るのか。規模が一定規模でとどまっているならば、その分だけは取られてもあとは大丈夫だということになるわけなんだけれども、一体韓国の今後の造船能力がどういうふうに伸びていくか、その見込みはどう考えておるのですか。
#279
○間野政府委員 韓国とは政府間でも、また民間の業界レベルでも定期的に接触しておりますが、韓国政府も、また韓国業界も一当面これ以上能力を拡大する気はないというふうに申しております。
#280
○河村委員 これ以上ふやすつもりはないと申しておりますと言うから信用するということですか。何か客観的にこれ以上伸ばす力はない、日本の援助がなければできないとか、あるいは立地的にどうだとかなんとか、そういう根拠があってそう言うのですか。
#281
○橋本国務大臣 根拠があってと言われますと、他国の中に入って調査をいたすわけにもまいりませんけれども、昨年の暮れの日韓の定期閣僚会議の際にも、韓国側のカウンターパートと私の間では、この点についての議論は相当激しいものになりました。ただ、現実問題として、韓国の海運業、造船業も競争を続けるために相当厳しい情勢になっておるようです。また、むしろぎりぎり議論をしてまいりますと、日本の労働法規と韓国の労働法規、日本の造船の職員の方々の勤務体制と韓国の労務者の勤務体制まで競争条件として考えなければならないとすれば、我々は相当深刻なものを考えなければなりません。しかし、そうしたものを踏まえながら、現実に北米航路の問題等々海運につきましても問題点を挙げ、議論をし、今局長がお答えを申しましたような感触を私どもも持っておるということであります。
#282
○河村委員 そういうことであるならば、なおさ係ら日本の造船業が、集約化、グループ化という言葉を使っておりますけれども、この際単なる設備削減ではなくて、体質強化をして、過当競争でお互いに足を引っ張ることのないようなシステムをつくるということにぜひ努力をしてほしい、そう思います。
 時間がなくなりましたから、最後に需要の拡大のことをちょっとお尋ねします。
 今、官公庁船の受注をふやすとかなんとかという以外に何か有力なものがありますか。例えば関西空港の第二期工事を浮体構造物でやるとか、三宅島の飛行場を浮体構造物でやるとかね。これは冗談じゃなくて、あれは航空母艦の代用でしょう。だから、早い話が、浮きドックを浮かべて三浦半島あたりにつないでおいて、それを引き船で引っ張って、その上に乗降させればそれで間に合うのです。私は航空母艦に乗っていたことがあるのだから一番間違いないのだけれども、少し揺れていた方が訓練にはなるわけだから、引っ張って歩けば公害は全くない。だから、まじめに考えるべきあれだと思いますけれども、何かそういうことを積極的に考えたらどうかと思いますが、いかがです。
#283
○橋本国務大臣 三宅島の代用の航空母艦までは考えておりませんでしたが、例えば現在長崎県において浮体ビルの建設問題が現実の問題としてテーマに上っておりますとか、メキシコにおきまして内航の石油タンカーにつきまして十二隻の引き合いの問題があるとか、官公需船のみではなくさまざまな努力をいたしている最中でございます。
#284
○河村委員 最後に、これは言っておかないといけないので言いますが、例の年金客船ですね。最近、商船三井、郵船などで独自の豪華客船建設の、まだビジョン程度ですがブランができつつあるようですね。ああいうものの条件づくりをぜひひとつやってほしいと思いますが、いかがですか。
#285
○橋本国務大臣 年金客船と限定をされますと大変しんどい話になりますが、豪華客船の建造について、今さまざまな方々にその建造の可能性を探っていただいておるということは私どもも承知いたしておりますし、こうしたものを現実のタイムテーブルにのせることができれば大変幸せなことだと考えております。
#286
○河村委員 終わります。
#287
○鹿野委員長 中島武敏君。
#288
○中島(武)委員 私は、質問に入る前に、議題となっている三法律案を日切れ法案並みに扱うことについて意見を表明しておきたいと思います。
 暫定予算編成とその執行の上でこの三法律案が必要というのが政府・自民党の理由のようでありますけれども、暫定予算は補助率の引き下げ、税制改革等を前提とせず、現行法で予算編成して、生活密着型公共投資をふやすべきであるというのが我が党の立場であります。この点から三法案を日切れ法案扱いすることには反対であるということを最初に申し上げて、質問を行いたいと思います。
 私は、初めに港湾法の一部を改正する等の法律案についてお尋ねいたします。
 国土庁にお尋ねいたしますが、伊豆大島の三原山噴火はこのまま鎮静すると見ておられますか。
#289
○荒井説明員 お答えいたします。
 今月の三月十九日に行われました気象庁の火山噴火予知連の統一見解によりますと、現時点では新たな噴火が差し迫っていることを明瞭に示すデータは得られてないが、今後も噴火が起こる可能性は高いと考えられる、厳重な注意が必要であると言っております。
#290
○中島(武)委員 しかし、これは鎮静したというふうには見てないのですね。
#291
○荒井説明員 とは言っていないわけでございます。
#292
○中島(武)委員 重ねて国土庁に聞きますけれども、伊豆大島は活火山法の適用によって避難施設緊急整備地域としての指定を受けて避難施設緊急整備計画を立案し、その実行に取りかかろうとしているわけであります。この中には元町港、岡田港、波浮港の整備も含まれております。この港湾整備も港湾法の一部改正、伊豆大島の場合には離島振興法の一部改正によって補助金の削減対象になるんだと思うのですけれども、どうですか。
#293
○河出説明員 御承知のとおりに、伊豆大島におきます避難施設緊急整備計画につきましても、道路及び港湾整備につきましては離島振興法に基づきます離島振興事業として実施することとなるわけでございます。したがいまして、離島振興法の事業であります以上、今回の補助率の引き下げ対象となっているわけでございます。
#294
○中島(武)委員 運輸省にお尋ねします。
 今度補助金の削減が行われるわけですけれども、ただし災害に密接に関連する事業は据え置く、そういう考え方に立って港湾法二条九項に言うところの避難港については補助率の削減をしないというふうになっていると思うのですけれども、どうですか。
#295
○藤野政府委員 港湾法の改正の中では避難港は補助率削減の対象から除外いたしております。その考え方についてちょっと補足させていただきたいと思います。
 今お話しの、大島からの避難云々という言葉が出ます場合も避難であります。また私が今申し上げました港湾法の改正によって補助率の削減を行う対象から除外をした避難港も同じ避難ではありますが、実は港湾法で考えております避難港は、その地域の沖合いを航行いたしております諸船舶が、例えば台風その他気象異常のときに緊急に避難をするということで、言ってみれば非常に広域的な国の政策意図をもって整備をされておる避難港であるという観点から今回の補助率削減の対象から外しておるという意味でございまして、大島の通常言います避難の基地港というものと性格的に違うところを御理解を賜っておきたいと存じます。
#296
○中島(武)委員 私は別に伊豆大島の避難港の話を申し上げたのではないのですけれども、そちらが何か推測をしておっしゃっていただいておるわけですね。
 伊豆大島の場合には、さっき申しました元町、岡田、波浮港、特に波浮港は島民の避難のための港湾として整備をされるわけであります。本当に歴史上かつてなかった大島全島避難というような事態が昨年起こりまして、大島島民は大変な苦痛をなめたわけであります。あのときに、南から避難をせよというようなことも一時言われて波浮港に殺到した、ところが、皆さんよく御存じと思うのですけれども、波浮港は水深が非常に浅いのです。百トンクラスの船しか入れない。大型船は沖合いに停泊をしている。それではしけで大型船に人間を運ぶ。ところが、波が荒くて大型船に乗り移ることが困難だ。非常に待たされた人は、はしけの中で四時間も待ったという人たちがいるわけなんです。そういう経験から、これはもっと大きな船がちゃんと接岸することができるようにしなければならないというので、今度の港湾整備がやられることになったというのが経過でございます。
 私は、この港湾法によって、小型船が暴風雨などのときに避難をする避難港が補助金の削減対象から外されるというのは当然だと思うのです。小型船も大事であります。しかし、もっと大事なのは人間の命だと私は思う。先ほど国土庁の方にお尋ねいたしましたけれども、あのような噴火が起き、あるいはもっとひどい噴火が起きて、また全島避難ということになると――私は別に断定するわけじゃないのですけれども、鎮静したわけじゃないのです。さっきも話がありましたけれども、鎮静したわけじゃない。そういう事態がまた再び来ないという保証もないわけであります。だからこそ、今度これを緊急に整備しなければならないということになったわけでありまして、私は、小型船舶の避難ももちろん非常に大事なことであるけれども、同時に、やはり人間の避難という問題はそれにも増して非常に重要なものであると考えるわけであります。そういう点では、これを補助金の削減対象から外すべきじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、この辺は大臣の見解を聞きたいと思います。
#297
○橋本国務大臣 法律的には、今港湾局長が御答弁を申し上げたその中身が限界の答弁だろうと私は思います。
 ただ、局長が申し上げなかった部分を私から補足させていただきますと、離島については地域特例を講じているわけでありますから、補助率の引き下げ幅そのものも緩和をいたしております。なるほど、三原山の噴火という一つの自然現象をとらえて御議論になるお気持ちはわかりますが、実は私どもは、三原山という一つの噴火によってクローズアップされた大島だけではなくて、離島の港湾について同じような配慮を加えるべきだと考え、補助率の引き下げを緩和したという状況もあることを御理解いただきたいと思います。
#298
○中島(武)委員 しかし、それは離島振興法によって補助率の削減が緩和されているという大臣の答弁なのでありまして、削減の対象になっていることには何ら変わりはないわけです。この辺は運輸大臣あたりがきちっと決断をして、これはやはり今回の補助率の削減対象からは除くべきである、こういうふうにやるべきだと私は思う。これをきちっと言えるのは運輸大臣しかいないのですから。言っている気持ちはわかると思うので、もう一回答弁してください。
#299
○橋本国務大臣 それを断言できるのは、実は私ではありませんで、国土庁長官であります。
#300
○中島(武)委員 それはわかっている、わかっているけれども、本委員会で質問しているから私は聞いているのでありまして、大変残念に思う次第であります。
 実は、きょう私は、持ち時間が非常に短いのと、また討論を許されないということで、大変不当なことだと思うのですけれども、言うことがありますので、この問題についての、またこの法案についての我が党の態度をひとつここで述べておきたいと思うのです。
 本法案は、中曽根臨調行革路線による軍拡予算の突出、一方で国の補助金をカットし、自治体と国民に犠牲を強いるものでありまして、今残念ながら答弁のありました伊豆大島の避難港の場合も、その一つの大きな典型だというふうに私は考えるわけであります。補助金のカットは、六十年に一年限りの措置としておりましたけれども、六十一年に三年延長、今回の改悪と、二重、三重にも不当であると言わなければなりません。
 補助金カット分は、地方交付税、地方債の増発で対処するとしておりますけれども、自治体の借金であり、交付税の先食いであります、不交付団体には直接負担となり、地方財政を一層圧迫するものであります。大企業本位の内需拡大遂行のために国が行う財政措置を地方自治体、住民に転嫁するものと言わなければなりませんので、我が党は反対であります。
 次に、私は、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部改正について伺いたいと思います。
 昨年十二月に海造審海運対策部会小委員会で出されました中間報告、この中間報告によりますと、「利子補給金繰延べ問題への対応等」という項がありまして、この中で「我が国外航海運は」「経営合理化や大幅な雇用調整等生き残りをかけた懸命な自助努力を行っている。」こういうふうに言いまして、「経営合理化や雇用調整等のために要する資金が多額にのぼること等にかんがみ、海運企業の負担を軽減する見地から、早急に適切な措置を講じていくことが強く望まれる。」こういうふうに述べております。この見地から今回の改正がやられたんだと思いますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
#301
○塩田政府委員 お答えを申し上げます。
 現在の外航船舶建造融資利子補給につきましては、昭和五十四年度から三年間に日本開発銀行及び一般金融機関の融資を受けて建造された船舶を対象にして行われているものでございますが、国の厳しい財政事情によって五十七年度以降やむなく利子補給金の一部の支給を後年度に繰り延べる措置を講じてきておりまして、今後もこうした状況を踏まえて所要の繰り延べ措置を講じていかざるを得ない状況になりました。このような状況にかんがみまして、利子補給金の支給繰り延べ措置を講ずることによってこれ以上海運企業の負担を増大させることがないよう、このような開発銀行の利子補給措置を導入したものでございます。
#302
○中島(武)委員 今の答弁を聞いておっても、海造審が中間報告で述べていることを別に否定している答弁じゃないのですね。非常に残念に思うのです。実際の中身からいいますと経営合理化と雇用調整ですね。やはり首切りを促進するための措置であるというふうに言わざるを得ないのは、私は大変残念なことだと思うのです。私は、我が国外航海運をどうするかという根本問題、こういう問題がまず明らかにされなければならないんじゃないかというふうに思っております。
 これは昨年の通常国会で中曽根総理と三塚前運輸大臣が述べている見解なんですけれども、三塚前運輸大臣は「経済安全保障という観点からいいましても、」「やはり優秀な日本人船員による日本商船隊の編成というのが本来海運政策、我が国の基本政策の中心であろう、こんなふうに考えており、その方向に着実に進みますように一歩一歩積み上げてまいりたいと考えております。」という答弁をされ、中曽根総理自身も「そうあることが望ましくかつ国家として正常的なあり方である、そう思う次第です。」というふうに答えているのです。
 それで、先ほども運輸大臣の方からの見解もあったやに思うのですけれども、私は、現実に進められている方向というのは、日本人船員による日本商船隊の編成、こういう方向だとは思えない、むしろ反対方向じゃないかというふうに思うのです。といいますのは、世界的な船腹過剰、それから大幅円高によって我が国商船隊、特に日本船の国際競争力の低下が著しいということで減量合理化、中身は減船その他を進めているわけであります。ですから、中間報告では、この結果発生する船員失業対策としての船員雇用対策、つまり海上職域を確保しつつ、あわせて陸転に必要なもろもろの準備をさせる、いわゆる軟着陸でありますけれども、こういうことがやられようとしているわけです。
 私は、この方向は、率直に言って、今述べた日本人船員による日本商船隊の編成という方向に着実に一歩一歩積み上げていく方向というふうには思えないわけであります。この点についての見解を聞きたいと思います。
    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
#303
○塩田政府委員 日本人船員による日本商船隊の維持、この目的を達成するためには、日本商船隊は日本の海運企業によって維持されているわけでございますから、日本の海運企業を何とか維持していかなければならないということでございます。
 先ほど来御説明を申し上げておりますように、日本の海運企業は、現在の世界的な船腹過剰、それから日本船の国際競争力が円高によって低下しているという二つの大きな問題を抱えておりますので、この問題に対処せざるを得ないわけでございます、この世界的な船腹過剰の克服、日本船の国際競争力の回復、これができますれば日本人船員による日本商船隊の維持ということは可能になるというふうに考えております。そこで、今の二つの目的のためにも、現在海運労使間で検討されております雇用調整の問題というのは非常に重要な意義があることでございます。
#304
○中島(武)委員 私は、時間がないのは本当に大変残念でならないのですけれども、そういう制約のもとですから端的に言いますが、今の円高問題に対しては、政府は全力を挙げて必要なところまで戻すということをやらなければだめだと思うのですよ。そんなことはやらないで、幾ら円高になったってそれを野放しにしておくというようなことをやっているんじゃだめだと思う。これはやはり端的に、必要なところまで戻すということが必要なんじゃないか。
 それから、便宜置籍船に投機的な大量建造を許してきたというような問題、この問題についてもメスを入れなければなりません。
 それから、私は、船主に対する規制というのをやらなければうそだと思うのです。安ければそれで結構だということで、日本の海運会社は必要だけれども、日本の船と船員は要らない、こういうようなことが野放しになっているのでは日本の海運は勃興しないと思うのですね。そういうことを、政府は方向をきちんとさせるべきじゃないか。
 それからもう一つ言いますと、やはりナショナルミニマムをきちんと直ちに明らかにする、そして展望を示すということが必要なんじゃないかと思うのですね。そういうことはまず直ちにやらなければならないことなのであって、そのことを抜きにしてあれこれの策を弄するというだけでは問題の根本的な解決にもなりませんし、方向も示されないということになるんじゃないか。
    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
#305
○塩田政府委員 便宜置籍船の乱造が行われたかどうかということにつきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、その当時の判断としましては、海運需要があるという見通しのもとに建造したということでございます。
 それから、船主に対して規制をすべきではないかという御指摘でございますけれども、現在はできるだけ企業に自主的な選択をさせるという基本的な政策をとっておりますので、これをただ規制をすればいいということではないと思いますし、海運業は御承知のように世界的に自由に取引をするということになっておりますので、幾ら海運側を規制いたしましても、荷主がその船を使ってくれなければどうしようもないという面もございます。
 最後のナショナルミニマムの点につきましては、これは経済安全保障という観点からの議論は以前からございますけれども、この問題につきましても、現在のように日本の経済自体が非常に変動している段階でこれをどのように取り上げていくかということは非常に難しい問題でございます。
#306
○中島(武)委員 橋本大臣にナショナルミニマムの問題について伺いたいと思っておるのですが、今のままいきましたら、本当に外国用船は増大してくるし、日本船は減少していってしまう。それから日本人の船員は首切りをされる、そして外国の船員に頼るという傾向に歯どめがかからないと思うのですね。そういうことにきちっと歯どめをかけ、そしてナショナルミニマムはこうなんだというふうに言って、直ちにこれをやることが私は必要だと思う。ナショナルミニマムの問題について、私は直ちに設けるべきじゃないかと思うのですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
#307
○橋本国務大臣 現在のような非常に変動の激しい中で、私は今直ちにナショナルミニマムを作成することがベストだとは思いません。少しでもこの状況を改善する努力をすることの方が先だと思います。
#308
○中島(武)委員 これはもう本当にこの法案についての見解を述べて、私は質問を終わらなければならないのですが、今回の改正案というのは、やはり世界的な過剰船腹と大幅な円高による海運不況対策として自民党政府が国会に提出してきているわけなんですけれども、海運不況の主な原因がどこにあるかといえば、大手海運会社等の便宜置籍船の投機的な大量建造と、建造許可権限を持つ自民党政府の政策当局によって世界的な船腹過剰がつくり出されたことは言うまでもない、また、これに大幅な円高が追い打ちをかけたからであります。こういう責任をあいまいにした海運不況対策では、事はうまく進まないと思うのですね。
 また、今回の改正案による海運会社の負担軽減策というのは、海運不況対策の名のもとで、船員の首切り合理化のためのものだと言わなければなりません。さっき、私この問題については言いました。やはり今回の改正案では、計画造船の多くを利用している日本郵船、大阪商船三井船舶、川崎汽船等の大手海運会社と、その支配下にある会社の経営負担を軽減するというものになっていると思うのですね。そういう点からいって、私どもはこれについて反対であります。
 共産党の持ち時間の中で村上弘議員に少しでも多くやってもらいたいと思いますので、私の質問はここで終わります。
#309
○鹿野委員長 村上君。
#310
○村上(弘)委員 私は、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案について質問をいたします。
 この法案は、経営安定の名において造船不況を最大限に利用しながら、いわゆる過剰設備の廃棄を進め、造船労働者の大量解雇と中小造船の切り捨てを行い、造船大手を中心に造船業界の再編成を推進しようとするものであります。このような重大な問題をはらんでいるこの法案を日切れ法案扱いにして極めて短時間で、しかも討論抜きで審議、決定しようとしていることは絶対許されないことであります。
 言うまでもなく、日本の造船業界は、一九五四年、昭和二十九年の造船疑獄にも象徴されますように政治との関係が特別に深い業界であります。開銀融資や利子補給、造船を初めとする各種の法令による強力な保護政策がとられ、造船労働者の徹底的な低賃金や長時間労働と、略奪的ともいうべき安値受注競争などとも相まって、造船大手の系列支配を確立してきたのであります、また、こういう構造のもとで好況時も不況時も造船大手は、労働者、中小造船、関連企業や地域経済を犠牲にして、いわば肥え太ってきたのであります。
 この法案は、今日のいわゆる造船不況をてこにしてこのような路線をさらに極端なまでに進めようとするものであります。既に造船大手の横暴さは、大手企業の社会的責任を全く顧みない、例えば日立因島の例に見られますように重大な社会的問題となっているのであります。我が党は、このような事態を一層悪化させる法案に反対するものであり、政府並びに造船大手の社会的責任を問う立場から、幾つかの点に絞って質問をしたいと思います。
 まず第一に重大なことは、この法案よりも造船大手の大合理化という事実の方がどんどん先行していることであります。
 昨年六月に出されました海造審答申で、三菱重工、石播重工、日立造船など、大手造船業者が次々と人員削減計画、設備削減計画を発表しております。本年三月までに、大手、中手四十四社の労働者七万七千人のうち、約三九%、二万八千人の首切り、人減らし、設備削減計画を打ち出しております。石播重工は、造船設備二〇%削減の答申を大きく上回る六〇%設備削減、七千人の要員削減を打ち出し、いわば不法、不当な退職強要さえどんどん進めております。
 経済企画庁の地域経済レポートによりますと、現在我が国には総トン数五千トン以上の建造設備を有する造船所が全国で五十六カ所存在しますが、この半数以上は瀬戸内海にあるわけです。特に因島では大手造船所の合理化計画により雇用面で深刻な影響が生じている、このように述べております。
 そこで、大臣にお聞きしたいわけでありますが、既に法案ができる以前からこのように事態はどんどん進行しておることは御承知であろうと思いますが、その実態について調査をしておられるかどうか。経企庁のレポートでは厳しい現状であることを指摘しておりますが、同じような認識だと考えてよいかどうか、お聞きしたいと思います。
#311
○間野政府委員 今回の法案でお願いしております特定船舶製造業の船舶部門の従業員数は、先ほどおっしゃいましたように昨年の三月、七万七千人おりましたけれども、来年の三月までには二万九千人程度の削減が計画されておると聞いております。
#312
○村上(弘)委員 具体的な問題でお聞きしたいわけですが、因島の実態は御承知だろうと思いますが、人口三万八千人の約八割が日立造船と何らかの関係がある、そういう島です。これは私の郷里でもあるのですが、この広島県因島市では昨年九月の末で三千三百人いた因島工場の労働者が現在わずかに二百人に減り、町には失業者があふれ、不景気でまさに地域経済が沈没寸前の状況であります。この二月末現在で三千人余の求職者に対して求人は百二十六人、有効求人倍率〇・〇四という全国で最悪の状況が続いているわけであります。しかも、去年の三月末までの退職者七百三十九人の八六%が四十五歳以上であります。仕事にありついても臨時の運転手、雑役、土木作業などで給料は十万円台という状況であります。したがって、因島における雇用の確保、仕事の保障は緊急課題であります。このような事態をもたらした日立造船因島工場の社会的責任は極めて重大であると言わなくてはならないと思います。
 そこで、造船業界が経営の安定対策すなわち設備廃棄や人員の削減を進めるに当たって、失業の予防だとか雇用の安定だとか地域経済に対する要求などを考慮した対策を重視して、大企業としての社会的責任を果たすこと、これは極めて重要であり、これを対策の根底に据えるべきであると私は思いますが、大臣はどう考えられますか、これは大臣、答えてください。
#313
○間野政府委員 雇用対策は非常に重要な課題でありまして、このため運輸省といたしましても、特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法に基づきましていろいろな制度がございますが、これの活用でありますとか特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法によります業種転換の促進、こういったことによりまして雇用の安定に努めているところでございます。今後ともこのような努力を継続していきたいと存じております。
 また、雇用の産業間移動を円滑化するために、最近産業雇用安定センターが設立されましたし、今国会には地域における雇用開発を促進するための地域雇用開発等促進法というのも上程されております。これらの諸制度を活用して一層雇用の安定を図ってまいりたいというふうに考えております。
#314
○村上(弘)委員 それは政府が幾つかのそういう特別の措置に関する法律を出しておるわけでありますが、私が今聞いておるのは、大企業には大企業としての社会的責任があるのじゃないか。だから、造船の経営安定ということを考える場合には、そういう雇用の問題あるいは地域経済に対する問題、そういうことに対する企業としての特別の対策が要るのではないか。大企業には大企業としての社会的責任があるのではないか、これは当然だと思いますが、この点についての大臣のお考えをお聞きしておきたいわけです。
#315
○間野政府委員 先ほど来、大手企業がその造船部門におけるシェアを非常に伸ばしてきたという御指摘でありますけれども、現実には、先ほど河村先生からも御指摘がありましたように、五十三年の設備処理の際に大企業ほど処理率を大きくするような措置をとりましたために、造船業における集中度というのは著しく低下しておりまして、産業平均を非常に下回るようなことになっております。そういうこともございまして、今回の設備処理におきましてはもはやそういった差別をするほどの力も大手にはないということで、今回は海運造船合理化審議会からも二〇%の設備処理を一律にやるようにという答申をいただいて、そのようにチェックしておるところであります。必ずしも大手企業であるからといってそれほどの余裕はないと考えております。
#316
○村上(弘)委員 大臣、これは基本的なことですから、大企業の経営安定のことを考える、これはこれとして一つのことだと思うのです。それを進めるに当たっては設備の廃棄だとか大量解雇だとかいうことを伴うわけで、そのことに関連しての大企業としての社会的責任も伴うのであるから、そういうことをこの法案をつくるに当たってあるいは具体化するに当たって根本的に踏まえておくべきではないのか、こういうことを聞いておるわけですから、大臣の所見をお聞きしたいと思います。
#317
○橋本国務大臣 所見と言われますので、所見を率直に申し上げますと、先ほどから、どうも私どもの考えでまいりました方向と論議がかみ合っておらないという印象を持っております。
#318
○村上(弘)委員 そこにこの法案の性格があるのだなということを逆にこれは立証する答弁じゃないかと思いますが、さらに具体的にお聞きしていきたいと思います。
 日立造船の撤退によって因島に起こっておる事態というものは決して生易しいものではありません。例えば、主人が日立の下請で働いていて失業した、奥さんも失業した、島ごとそういう状況です。高校を卒業してよそで働いていた娘さんも職を失った、そして雇用保険が切れたら大変なことになる、こういうことで深刻な悩みを因島の井上真道という共産党の市会議員のところへ訴えてきておるという話があります。小学校の遠足も中止になる。高校の進学を取りやめる者も出ています。一千八百万円の家を九百万円で売りに出したが、買い手がつかない。まさに八万ふさがりの状況であります。造船離職者雇用保険が切れる者は、尾道の職安因島出張所によると、この三月に三百九十六名出ます。したがって、これからはいよいよ死者も出るのではないだろうかということが言われるような状況になっておるわけです。
 そこで、因島の日立造船の場合には、設備廃棄ではなくて、表向きは休業中ということになっております。したがって、この法案で言う安定対策の基本指針の作成あるいは実施計画の具体化、例えば雇用や失業の予防対策だとか、こういうものは法的には義務づけられないということになるのではないかと思うわけですが、これはどうですか。
#319
○間野政府委員 この法律が成立いたしましてから安定基本指針を定めるということになりますので、当然のことながら、因島であれどこであれ、今まだ設備処理の計画を立てるには至ってないわけでありまして、この法律が成立して安定基本指針が定められた後に、各事業者においてどの設備を廃棄するかというような実施計画をつくって運輸大臣の認定を求めてくるという手続になるかと思います。
#320
○村上(弘)委員 この法律が施行されても、休業という場合、つまり設備の廃棄でない場合には対象業者にならないのではないですか。
#321
○間野政府委員 事業所という場合には、必ずしも廃棄されることもなくそのまま残る事業所もあると思います。ただ、一つの企業で考えた場合あるいは一つのグループで考えた場合、必ずどこかで設備処理が行われるわけでありまして、その場合には五千総トン以上の船舶の建造施設を有する造船事業者はすべてこの法律の対象になるということでございます。
#322
○村上(弘)委員 そこはどうも明確でないような気がいたします。日立因島の場合は、ドックは廃止するのではなくていわば休業状態に置いておるということですから、そうなると、この法律ができても適用対象にならないということではないかと思いますが、違いますか、
#323
○間野政府委員 因島工場を閉鎖するか、あるいは因島工場の船台を廃棄するか、例えば舞鶴工場の船台を廃棄するか、あるいは有明工場を廃棄するか、それは日立造船が今後決めるべきことであると思います。したがって、因島工場が休業状態でその設備は廃棄しないということがあっても、例えば舞鶴であるとか有明といった工場の船台もしくはドックを処理して二割の設備処理を達成するということになろうかと思いますので、日立造船としては当然安定基本指針に従って実施計画を作成することになると思います。
#324
○村上(弘)委員 因島のドックが休業状態になったために約二千人の労働者が解雇され、そこで島が沈没するという状態が生まれておるのに、舞鶴が対象になるということにはならぬと思うのですね。ですから、どうもお答えが不明確な気がします。しかし、いずれにせよ今の事態では事態がどんどん先行していっておる。それで、こういう法律が成立をしたとしても、実際には対策を立てることも義務づけられないことになる可能性さえあるのではないかと思うわけです。
 もう一つ、この機会にお聞きしておきたいわけですが、この法案では地方自治体や地域経済との関連について一応出てきてはおりますけれども、それの実際の効果はどうなのかという問題です。
 中国新聞が去年の十二月二十八日の社説「造船不況にみる地域と企業」ということの中で、第一に「雇用対策には全力をあげてほしい。」第二に「地域社会の中での企業の責任の問題だ。」こういうことを言って、日立因島が因島市から撤退すると、昭和六十年の市の税収二十五億円の二割、約五億円が入らなくなるということを指摘しています。
 また、私の資料では、因島は本土から瀬戸内海をくぐって水道を引いておる。これの利用者は主に日立造船であったわけですが、この水道代が、昭和五十八年度は約二億円の収入でありましたが、昭和六十一年度では半減して約一億円、こういう状態です。それから、地域経済への問題を見ますと、市全体の工場出荷額千百九十一億円中造船関連が一千八十八億円です。エコノミストに出ていますが、九一・四%を造船関連の出荷額で占めておるわけです。
 こういうわけでありますから、中国新聞の社説も、「ただ自らの生き残り≠ニいう理由だけで、事後策の相談もなく、一方的に撤退を決める場合、残される問題はあまりにも大きい。」企業は低利資金などの優遇措置を最大限に利用するとしても、「地域社会での責任も忘れないよう望む。」というふうに書いています。
 大臣は、この企業の社会的責任の問題について、どうもすれ違っておるという答弁でありますが、この法案は、経営安定対策についての基本指針の中にすら地域経済対策の問題を位置づけておりません。これでは、今の因島の状態を全国的にも拡大再生産していくことになるのではないかと思いますが、どうですか。
#325
○橋本国務大臣 因島に限定してのお尋ねと理解してお答えいたしますと、確かに造船によって成り立っておった因島市であります。ですから、特定地域中小企業対策臨時措置法及び特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の対象地域として指定をいたし、企業誘致等のための助成が受けられるような対応も一方でいたしております。
#326
○村上(弘)委員 この法案では事業転換だとかいうようなことも対策の中に提起しておりますけれども、時間がないので状況だけ言っておきます。
 日立因島の場合も、新会社をたくさんつくりますということを宣伝しておりました。しかし、例えば日進広島工業株式会社の場合、去年四月現在で十八人をことし四月には百人にするんだ、こう言っておりましたが、二月一日現在で二十八人です。日本建材株式会社の場合、四名を三十名にするというのがいまだに四名。ニチゾウ建工株式会社の場合は、三十一人を百四十名にするんだと言っておりましたが、現在五十六名。この三企業を見た場合でも、二百七十人の目標が現在八十八名ということで、結局三分の一以下なんですね。ですから、この法案で言う企業の廃棄施設の買い上げとかその債務保証などについては具体的な裏づけがあるけれども、雇用問題に関しては極めて抽象的であるし、実際の裏づけがない。
 今、大臣は特定企業あるいは特定不況地域に対する臨時措置法や特別措置法の適用のことも言われました。この問題については、本当にのどから手が出るような思いで島の人たちは思っておるわけでありますから、最後に次の三点について具体的に考え方を示していただきたいと思います。
 一つは、職業訓練校の期間延長の問題です。これは労働省の方にもお聞きしたいのですが、三十万人雇用開発プログラムで職業訓練のメニューや期間が延長できるようになっておるというふうに聞いておりますけれども、因島の場合、この期間の延長を考慮すべきではないか。
 第二点は、自動車の運転免許の民間委託訓練制度が、六十二年度は因島地域では実施されないのではないかという不安を持っており、それが広がっておるわけですが、こういう時期ですから当然継続し、実施すべきではないかという点。
 第三は、特定地域の開発就労事業、よく開就とか言われる事業ですが、広島県はこれについて県として要望していないというふうに聞いているのです。しかし、こういう地域の厳しい情勢に見合う形で緊急に地域指定すべきであると思うし、そういう点について政府としても特別の指導を行うべきではないかということです。
#327
○松崎説明員 第一点と第二点について御説明申し上げます。
 第一点目の訓練期間の延長の件でございますが、職業訓練は、求職者が早期に再就職できるように就職に直結する知識、技能を身につけていただくことを目的にして実施いたしております。公共職業訓練施設の中で行います能力再開発訓練につきましては、六カ月なり一年、要するに中身によりましてそういう期間でやっております。委託訓練につきましては、例えば大型自動車の運転科でいいますと免許を取得するために二カ月、また家屋営繕につきましては大体三カ月といったように、免許職種については二カ月で免許が取れるということでその成果は上がっており、現在の期間というのはこれで適切であろうと考えております。
 第二点目の自動車運転訓練でございますけれども、因島におきましては、六十一年度から緊急能力開発対策といたしまして、公共訓練施設の中で行うものに加えまして、先生御指摘の自動車運転訓練、クレーンの運転とか家屋営繕といったものにつきまして、委託訓練という格好で専修学校へお願いしたり民間企業へお願いしたりということでやっております、六十一年度で大体百二十名の規模で行っております。六十二年度につきましては、三十万人雇用開発プログラムの一環として従来の緊急対策を拡大実施するということでございまして、因島につきましても、もちろん公共訓練施設の中で行いますもののほかに、今申し上げました自動車運転訓練、調理、コンピューター、オフィスオートメーション、そういったものにつきまして四百三十名程度の規模で委託訓練を実施していこうということにしております。
#328
○木村説明員 第三点目の特定地域開発就労事業の関係での地域指定をというお話でございますが、雇用対策として国や地方公共団体が失業者を直接吸収するという形での事業を実施することにつきましては、私どものこれまでの経験から、どうしても事業が非効率になる、また失業者が滞留するとか事業が永続化するといったような種々の問題が出てまいりました。結果として、民間企業に雇用されるまでの間の暫定的な就労の場を提供するという本来の目的から非常に逸脱したものになってきているという点がございます。こういった点から、こういった制度に関する学識経験者による研究会の報告においても、国等が直接失業者を吸収する形での事業方式は今後の雇用対策としてはとるべきではない、むしろ民間企業への再就職を促進するという観点から、地域対策も含めた再就職対策を講すべきであるというような御意見をいただいております。私どもとしてはそういった提言も踏まえまして、先ほど来お話にございましたような不況業種・地域法による対策、さらには今国会で御審議をいただいております地域雇用開発等促進法が成立をいたしました場合には、その法律に基づいた地域の雇用機会の創出、開発に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#329
○村上(弘)委員 これで終わりますが、大臣に対する希望として、この法律の関連からも一遍因島を視察してみられたらどうだろうか、ぜひそのことを要望しておきたいと思います。
#330
○鹿野委員長 これにて各案に対する質疑は終了いたしました。
#331
○鹿野委員長 これより討論に入るのでありますが、理事会の協議により行わないことになりましたので、さよう御了承願い、直ちに採決に入ります。
 まず、内閣提出、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#332
○鹿野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#333
○鹿野委員長 この際、本案に対し、関谷勝嗣君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。戸田菊雄君。
#334
○戸田委員 ただいま議題となりました外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付いたしましたので、朗読を省略いたします。
 本附帯決議は、本日の法案審査の過程におきまして委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、本案の実施に当たり、政府において特に留意すべきところを明らかにし、我が国外航海運業の経営の安定に資そうとするものであります。
 以上をもって本動議の趣旨の説明を終わります。
    ―――――――――――――
   外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
 一 円高・長期不況に伴う厳しい船員雇用情勢に対処するため、新たな職域の確保に努めるなど積極的な施策を講ずること。
 二 今後における我が国商船隊の構成・規模等の検討に当たっては、日本船及び日本人船員の役割について一層明らかにするよう努めること。
 三 世界的な船腹過剰を克服するため、我が国海運企業等の関係者においても、積極的に解撤を促進するとともに、船腹過剰を助長することがないよう努めること。
 四 イラン・イラク紛争に伴う国際海運の安全が脅かされている現状にかんがみ、引き続き必要な安全確保の努力を行うこと。
    ―――――――――――――
#335
○鹿野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 関谷勝嗣君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#336
○鹿野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
#337
○鹿野委員長 次に、内閣提出、港湾法の一部を改正する等の法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#338
○鹿野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#339
○鹿野委員長 この際、本案に対し、関谷勝嗣君外二名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同及び公明党・国民会議三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。関谷勝嗣君。
#340
○関谷委員 ただいま議題となりました港湾法の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同及び公明党・国民会議を代表いたしまして、御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付いたしましたので、朗読を省略いたします。
 本附帯決議は、本日の法案審査の過程におきまして委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、本案の実施に当たり、政府において特に留意すべきところを明らかにし、その運用に遺憾なきを期そうとするものであります。
 以上をもって本動議の趣旨の説明を終わります。
    ―――――――――――――
   港湾法の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
 一 今後予想される社会経済情勢の変化に的確に対応するため、社会資本の整備・充実が重要な課題となっていることにかんがみ、港湾及び空港整備事業に係る長期計画の着実な進捗に必要な予算の確保に特段の努力を傾注するなど、国土の均衡ある発展の一層の促進を図るとともに、地域格差の是正に努めること。
 二 現下の緊急課題である円高不況・雇用不安の打開のため、公共事業費の確保を図るなどにより、内需拡大、地域経済の振興と住民福祉向上に特段の措置を講ずること。
 三 国庫補助負担率の削減は、再三の確認にもかかわらず毎年度拡大されており、政府に対する地方の不信を醸成するおそれがあることにかんがみ、国庫負担金及び補助金については、国・地方公共団体の行政責任を明確にし、一般財源化する場合は、適切にして十分な財源の措置を講ずること。
 四 国庫補助負担率削減に対する地方公共団体の財政支出増については、地方財政の現状を勘案し、臨時財政特例債、調整債の元利償還について国の責任において措置すること。
  この場合において、六十年度、六十一年度における確認を勘案し、六十二年度影響額について地方交付税への特例加算等で適切に措置するよう努めること。
 五 今回の本法案の審議・取扱いについては、暫定予算執行のための特別の措置であることにかんがみ、暫定予算執行に当たっては地方公共団体の予算執行と財政運営に支障を与えることのないよう、特段の配慮を払うこと。
    ―――――――――――――
#341
○鹿野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 関谷勝嗣君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#342
○鹿野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
#343
○鹿野委員長 次に、内閣提出、特定船舶製造業経営安定臨時措置法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#344
○鹿野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#345
○鹿野委員長 この際、本案に対し、関谷勝嗣君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。西中清君。
#346
○西中委員 ただいま議題となりました特定船舶製造業経営安定臨時措置法案に対する附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付いたしましたので、朗読を省略いたします。
 本附帯決議は、本日の法案審査の過程におきまして委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、本案の実施に当たり、政府において特に留意すべきところを明らかにし、本案の円滑な実施に遺憾なきを期そうとするものであります。
 以上をもって本動議の趣旨の説明を終わります。
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   特定船舶製造業経営安定臨時措置法案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
 一 当面の新造船需要の著しい減少にかんがみ、官公庁船の代替建造の促進、経済協力の推進による船舶の建造促進、船舶解撤の促進等による需要創出対策を強力に推進すること。
 二 特定船舶製造事業者が実施計画を作成するに際しては、弾力性をもって事業者の自主的な努力と判断を前提として対処すること。
 三 基本指針の策定及び特定船舶製造業の経営安定の推進に当たっては、失業の予防等雇用の安定及び離職者対策に万全を期するとともに、関係地方自治体と緊密な連携を図りつつ、地域経済の振興及び雇用の創出に努めること。
 四 基本指針の策定に際しては、政令で定める審議会において関係労働組合の意見を聴くように努めること。
 五 実施計画の申請に際しては、当該事業者において関係労働組合の意見を十分聴取し、その意 見書を添付するよう指導すること。
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#347
○鹿野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 関谷勝嗣君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#348
○鹿野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣。
#349
○橋本国務大臣 ただいま三法案につきまして慎重御審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。
 また、それぞれの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府として十分の努力をしてまいる所存であります。ありがとうございました。
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#350
○鹿野委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#351
○鹿野委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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#352
○鹿野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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