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#1
第108回国会 農林水産委員会 第3号
昭和六十二年五月十五日(金曜日)
    午前九時四十五分開議
出席委員
  委員長 玉沢徳一郎君
   理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君
   理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
   理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君
   理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君
      阿部 文男君    上草 義輝君
      大石 千八君    大原 一三君
      太田 誠一君    木村 守男君
      菊池福治郎君    小坂善太郎君
      佐藤  隆君    田邊 国男君
      谷垣 禎一君    野呂田芳成君
      長谷川 峻君    森下 元晴君
      保岡 興治君    柳沢 伯夫君
      山崎平八郎君    五十嵐広三君
      井上  泉君    田中 恒利君
      竹内  猛君    辻  一彦君
      前島 秀行君    三野 優美君
      武田 一夫君    玉城 栄一君
      吉浦 忠治君    木下敬之助君
      寺前  巖君    藤田 スミ君
 出席国務大臣
        農林水産大臣臨
        時代理     塩川正十郎君
        農林水産大臣  加藤 六月君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       衛藤征士郎君
        農林水産大臣官
        房長      甕   滋君
        農林水産大臣官
        房総務審議官  吉國  隆君
        農林水産大臣官
        房審議官    青木 敏也君
        農林水産省経済
        局長      眞木 秀郎君
        農林水産省構造
        改善局長    鴻巣 健治君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    浜口 義曠君
        農林水産省畜産
        局長      京谷 昭夫君
        農林水産省食品
        流通局長    谷野  陽君
        農林水産技術会
        議事務局長   畑中 孝晴君
        食糧庁長官   後藤 康夫君
        林野庁長官   田中 宏尚君
        林野庁次長   松田  堯君
        水産庁長官   佐竹 五六君
        建設大臣官房会
        計課長     市川 一朗君
 委員外の出席者
        環境庁自然保護
        局保護管理課長 島田 直幸君
        大蔵省主計局主
        計官      武藤 敏郎君
        厚生省年金局年
        金課長     谷口 正作君
        建設省河川局河
        川計画課長   角田 直行君
        農林水産委員会
        調査室長    羽多  實君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十五日
 辞任         補欠選任
  石橋 大吉君     三野 優美君
  田中 恒利君     井上  泉君
  佐々木良作君     木下敬之助君
同日
 辞任         補欠選任
  井上  泉君     田中 恒利君
  三野 優美君     石橋 大吉君
  木下敬之助君     佐々木良作君
    ―――――――――――――
三月三十日
 集落地域整備法案(内閣提出第八九号)
五月十五日
 森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇〇号)
三月二十七日
 米の輸入反対等に関する請願(寺前巖君紹介)(第一三四八号)
四月三日
 森林資源の充実、地域林業振興に関する請願(角屋堅次郎君紹介)(第一五四二号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第一五四三号)
 同(渋沢利久君紹介)(第一五四四号)
同月十五日
 森林資源の充実、地域林業振興に関する請願
 (小林恒人君紹介)(第一五五五号)
 同(小林恒人君紹介)(第一六一四号)
 同(中村正男君紹介)(第一六三〇号)
 同(水田稔君紹介)(第一六三一号)
 同(安井吉典君紹介)(第一六三二号)
 同(小林恒人君紹介)(第一六八九号)
 同(田中恒利君紹介)(第一六九〇号)
 同(小林恒人君紹介)(第一七二一号)
 農業再建等に関する請願(宮地正介君紹介)(第一六一三号)
 国民食料の確保及び農業政策の確立に関する請願(赤城宗徳君紹介)(第一六六六号)
 米の輸入反対等に関する請願(神田厚君紹介)(第一六八五号)
 同(串原義直君紹介)(第一六八六号)
 同(田中恒利君紹介)(第一六八七号)
 同(前島秀行君紹介)(第一六八八号)
 同(寺前巖君紹介)(第一七二〇号)
同月十六日
 土地改良事業における農家負担軽減等に関する請願(寺前巖君紹介)(第一七八四号)
 農産物の市場開放反対等に関する請願(寺前巖君紹介)(第一七八五号)
 米の輸入反対等に関する請願(辻一彦君紹介)(第一七八六号)
 同外二件(寺前巖君紹介)(第一七八七号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一七八八号)
 同(石橋大吉君紹介)(第一九五四号)
 農業の再建等に関する請願(小沢貞孝君紹介)(第一八一一号)
 同(串原義直君紹介)(第一八一二号)
 同(清水勇君紹介)(第一八一三号)
 同(中村茂君紹介)(第一八一四号)
同月二十日
 食糧管理制度の維持、農業の再建に関する請願(佐藤徳雄君紹介)(第二一二五号)
 米の輸入反対等に関する請願(竹内猛君紹介)
 (第二一煮六号)
同日二十四日
 農家負債対策の確立に関する請願(児玉健次君紹介)(第二二六三号)
同月二十七日
 農産物の市場開放反対、食管制度の堅持等に関する請願(寺前巖君紹介)(第二三二二号)
 農産物の輸入自由化反対等に関する請願外一件(寺前巖君紹介)(第二三二三号)
 米の輸入反対等に関する請願(寺前巖君紹介)
 (第二三二四号)
 農産物の市場開放反対等に関する請願(寺前巖君紹介)(第二三二五号)
五月六日
 農業の再建等に関する請願(井出正一君紹介)(第二五九八号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二五九九号)
 同(中島衛君紹介)(第二六〇〇号)
 同(宮下創平君紹介)(第二六〇一号)
 同(若林正俊君紹介)(第二六〇二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
四月三十日
 最高裁判所裁判事務処理規則第十四条後段による上告人平口孝志被上告人平口茂間の共有物分割寺請求事件についての判決正本
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案(内閣提出第七五号)
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)
 森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇〇号)
 農林漁業信用基金法案(内閣提出第一八号)
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基本施策)
     ――――◇―――――
#2
○玉沢委員長 これより会議を開きます。
 この際、御報告申し上げます。
 去る四月二十三日、最高裁判所から国会に、上告人平口孝志、被上告人平口茂間の共有物分割等請求事件についての判決正本が衆議院議長に送付され、去る四月三十日、議長より当委員会にその写しが参考送付されましたので、御報告いたしておきます。
     ――――◇―――――
#3
○玉沢委員長 内閣提出、昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案を議題とし、審査に入ります。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。塩川農林水産大臣臨時代理。
 昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#4
○塩川国務大臣 昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農林漁業団体職員共済組合制度は、公的年金制度の一つとして、農業協同組合等の農林漁業団体の役職員を対象に年金の給付事業を行うものであり、もって、これら団体の事業の円滑な運営に資するとともに、農林水産行政の推進上重要な役割を果たしているところであります。
 従来から、農林漁業団体職員共済組合法の年金の額につきましては、その実質的価値を維持するため、社会的経済的語情勢の変動に対応して、必要に応じ、適宜、改定措置を講じてまいりました。
 この法律案は、昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額について、厚生年金、国民年金、国家公務員等共済その他の公的年金制度における措置に準じ、昭和六十一年の消費者物価上昇率を基準として引き上げを行おうとするものであり、これに必要な所要の規定を設けております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#5
○玉沢委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#6
○玉沢委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前島秀行君。
#7
○前島委員 六十年度に大幅な年金改定がされ、その際、制度としての議論はそれなりにされておりますし、それに基づく本年度の改定でありますので、六十年度に決定された制度そのものについての議論はきょうは特別にせずに、その運営に際しての基本的な考え方あるいは農林省としての認識の問題、それから七十年一元化という今後の課題、その辺のところを中心にしてお伺いをしたいと思っています。
 それで、まず第一は、今年度の年金の額の改定の問題でありますけれども、いわゆる六十年の改定で、物価が五%前後上昇した場合は政令で自動的に年金額の改定は行う、こういう方針で来ているわけであります。今回は特別な措置という形の中で年金額の改定をしよう、こういうことでありますけれども、今回の改定の基本的な考え方、何に基づいているのか、何を根拠にしているのか。そして、〇・六というのがどういう意味を持っているのかについて最初にお伺いをしておきたい、こういうふうに思います。
#8
○眞木政府委員 お答え申し上げます。
 農林年金の年金の額につきましては、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため速やかに改定の措置を講ずるというのが基本でございまして、この著しい諸事情の変動の基準といたしまして、消費者物価指数が五%を超えて変動した場合には、法律改正を行うことなく政令で、その当該変動率を基準といたしまして自動的に改定ができるということになっておるわけでございます。ただ、その物価変動率が五%以内の場合の年金の額の改定につきましては、その都度ごとの物価、賃金等、社会的、経済的諸要素を総合的に判断して措置をするということにいたしております。
 昭和六十二年度におきますこの年金額の改定につきましては、最近の社会経済情勢、六十一年の消費者物価上昇率が〇・六%であったこと、また国家公務員の給与引き上げの率が二・三%であったこと等を総合的に判断いたしまして、他の公的年金と同様に年金額の目減りを防ぐために、特例的に〇・六%の増額改定の措置を講じたいということで御提案を申し上げているわけでございます。
#9
○前島委員 そうすると、今回〇・六という改定の数字、法律に基づく五%前後の物価上昇の変動がないにもかかわらず〇・六の年金改定をしたというのは、文字どおり物価の変動それだけだというふうに認識をしてよろしゅうございますか。
#10
○眞木政府委員 基本的にそのような考え方で今回提案をいたしているわけでございます。
#11
○前島委員 いわゆる六十年の改定のときに、年金額の支給の計算の方法が従来から変わってきた。いわゆる厚生年金の計算方法で、通年という形でもって標準給与を出すようになってきたわけでありますね。そうすると、これからの年金を考えたときに、その年金額の計算において標準給与という存在が大きなウエートを占めてくるわけであります。そうすると、今回の〇・六の年金の改定と今後の年金額の上昇、計算の方法等を考えると、この標準給与をどう位置づけていくのか、どう見直していくのか、それをどう評価していくかというのが今後の年金額、特に受給者にとっては関心のあることでありますので、この標準給与の改定、見直しというのは今後どんな基準で、また具体的にはいつ行うのか、その辺のところについての見解を賜っておきたいと思います。
#12
○眞木政府委員 さきの制度改正におきまして、年金額の計算の基礎となります平均標準給与の算定方法を変更いたしたわけでございます。従前の退職時前の一年間、三年間、五年間あるいはまた全期間の平均標準給与のうちいずれか高い平均標準給与をとるという方式から、全期間平均標準給与ということに改めたわけでございますけれども、これは現役組合員の給与水準との均衡、また給付と負担との均衡といったものを考慮したわけでございます。
 この組合員であったその全期間の平均で標準給与を算定いたします場合に、過去の標準給与というものが、その後の社会経済情勢の変動によりまして減価をしていくということがございます。そういう点を考慮いたしまして、その調整を図りますために、過去の標準給与の額を現役組合員の給与水準を勘案して引き上げることにいたしておるわけでございます。この標準給与の再評価といいますか、年金の財政再計算を行う際に、年金者の給与水準と現役組合員の給与水準との均衡を配慮して見直しを行うこととしたいと考えております。他の制度との関連で、少なくとも五年ごとにこういうことをやっていこうというのが考え方でございます。
#13
○前島委員 財政を再検討する際に五年置きにやるということですから、標準給与は一応評価見直しは五年後にやるという見解だというふうに承りますと、今回の〇・六というものとの兼ね合いの問題が当然出てくるわけであります。もし五%の変動までいかなかった場合に、例えば五%にいくまでの間に二%、二%、一、一、こういくとか、二%、一、一、一、こういうふうにいって五%の差が出た。この法律でいくと、五%の差が出たときに初めて政令で自動的に額も変えますよ、再評価もしますよという理屈になると思うのですね、今までの答弁を伺っていますと、同時に法律の建前からくると。
 そうすると、受給者の側からすると、五%になって初めて見直しをしてもらうということになってくると、土台が、評価が変わっていないということになってくると、五%までの間に二年、三年、五年というものがかかった場合に、その影響、年金額の計算に出てくる数字との関係を見ると、五年単位にやるよりか毎年やった方がいいという理屈になりますね、年金額の計算を出す過程において、額が最終的に出てくる過程の中において。そうすると、五%になるまでに五年間かかった、そして見直しをしたということ、そういう方法をとるよりか、五%にならなくても、〇・六の今年度のようにすぐ改定をするということを片方でやってきますと、年金受給者にしては非常に具体的に、毎年毎年あるなしは別としても、年金額が上がっていくということになるわけですね。
 そこで、この評価の見直しを五年でしかやらないのかということと、それからもしそれを今の建前なりあるいは見解を伺ってきますと、標準給与そのものの見直しは財政との兼ね合いがあるから五年単位にするということになってくると、今度は物価がその間、五年間に五%ということにもしなるとすれば、相当の影響を年金受給者というものは受けるわけです。そうすると、今度は逆に改定額のパーセントの方は、ことしやったように五%にならなくても、〇・六でも毎年やる必要が生じてくるのではないか、そのことの方が受給者側から見れば非常にありがたいではないか、こういう形になってくると私は思うのです。そういう意味で再評価は、五年単位というのは動かすのか動かさないのか。それとの兼ね合いで、ことし五%の差は出なかったけれども、わずか〇・六という数字の中で年金改定をやった、今回の〇・六の年金改定の根拠は物価の変動がすべてだ、こういう見解からすると、その再評価の時期の問題と年金額を変えていくというものとの関係で毎年やる。再評価は五年単位でしかやらないというならば、せめて年金額の改定というのは五%にいかなくても、今年度のように〇・六であっても毎年やるということにならないと、受給する側から見れば物価の変動を受ける、こういうふうになると私は思うのですが、その辺の再評価の見直しの関係と物価変動が五%にいかなかった場合との関係について、改めて見解を承りたいと思っています。
#14
○眞木政府委員 財政再計算をして給与といったものをベースにしての改定を行うということをいまさっきお答え申し上げたわけでございますけれども、少なくとも五年以内ということでございますので、次回は六十四年度になろうかと思います。その時点におきます職員の給与をベースにいたしまして標準給与が見直されるということでございますので、それまでの一般の給与の上昇率といったものが新しい改定される標準給与に見込まれるということでございまして、その間は年々の物価の変動をどう織り込んでいくかということで前回の制度改正が行われたわけでございます。そこで五%ということが、他の制度等との兼ね合いのもとに農林年金についても導入されたわけでございます。
 五%に満たない場合につきましては、これも先ほどお答え申し上げましたように、前年からの社会的、経済的諸要素を総合的に勘案して、また他の制度年金の措置をも十分考慮の上行うということで、この点については適切に対処してまいりたいと考えております。
#15
○前島委員 先ほど〇・六の根拠、五%になっていないけれども、〇・六だった今年改定したということは、いろいろ他の云々とありますけれども、最大の要因は物価上昇というものが基礎だよ、こういうふうになっているわけですね。それで評価の見直しを五年以内――五年以内ということでよろしいんですね、五年ということですか、五年以内ですか。
#16
○眞木政府委員 少なくとも五年以内というふうに理解しております。
#17
○前島委員 五年以内に一応再評価を見直す。そうするとその間に、ことし〇・六でもやったわけですから、将来あるいは二%、三%ということになりますと、五年以内というんですから五年ということも入っているわけですからね。そうすると、相当の物価変動が五年の間にあった、五%あったというときに、五年待ってやるよりか、二%の物価変動が出たときに、すぐ再評価はやらないにしても、必ず五%までいかなくても年金は上げるということでないと、今年〇・六でさえ年金額を改定したんですから、評価は五年単位以内だということになれば、いい悪いは別問題として、見解に基づくあれをすると五年以内だということになれば、その基礎は五年間ほうっておくわけですから、物価が上がれば、たとえ物価が五%上がらなくても毎年年金額の改定はやらなければ、ことし〇・六でやったにもかかわらずという理屈になってくると私は思うのですね。
 そういう意味で、今年の〇・六の額がいい悪いは別問題です、横並びとの関係という形で恐らく言うでしょうから、物価の関係と言うでしょうから。そうすると、これからは見直しが五年以内。以内ということは五年間だということになってくると、それは五年間見直さないということになれば、ことし〇・六の物価でさえも年金改定をしたんだから、この年金改定は今後毎年やる、そうしないと、ことしのわずか〇・六のときの改定の根拠の物価の変動ということからくればおかしくなる。そうすると、今後この年金改定というのは毎年やる、こういうふうに理解をしてもよろしゅうございますか。
#18
○眞木政府委員 制度の問題といたしまして、前回この改定をいたしました際に、五年ごとに見直すという方式と、それから物価の場合、五%を超えた場合は自動的改定措置ということで、五%に満たない場合につきましては、いろいろな状況を総合的に勘案して、それからまた他の公的年金の措置と並びと申しますか、そういうものの状況も考慮してやるということでございますので、そこは我々としては、そういう状況を見ながらやはり適切に対処するということで考えていきたいと考えております。
#19
○前島委員 制度ということになると五%にならなければやらないわけですが、今回〇・六でさえやったわけですから、私は今回の〇・六の改定をやったということについて、今後制度が前に出てくることはおかしいと思うのです。そうすると、今度の〇・六の実績が、先ほど承ったように物価の変動ということが大きな要因である、他の横並びのものについてはこれはにらむ方ですからね、最大の要因は物価変動だということになって〇・六でことしやった。年金額の大きな計算の基礎、ウエートを占める標準給与は五年以内だという建前云々になってくると、私は、ことしの実績から見ても年金額改定は毎年やる、またやらざるを得ない、片方がそうであるならば、こういうふうに映ると思うのです。そういう面で、今回の額の〇・六という数字はともかくとして、五年間の五%という額に達しなくても年金改定をやったということは大きな実績として今後残るだろうと私は思うし、受給者の側から見るならば、今後の年金の方向として、自分たちが受ける認識として、毎年少なくとも〇・六以上上がったならば年金額は上がるな、こういうふうに理解をするだろうと私は思うし、また、毎年年金は上げるべきであるし、上げることの方がまた年金の過去の歴史的な経過から見ても必要ではないか、そういうふうに思います。答弁は毎年やりますということは言わぬでしょうから、これ以上時間がありませんから言いませんけれども、制度を超えて〇・六でことしやった実績は今後の運営の中で大きな意味を持つだろう、そのことだけの認識といいましょうか理解というものだけはぜひ我々もしなくちゃいかぬし、農林省の方もすべきだろう、こういうふうに思いますので、その点だけ一応認識の問題として、今後の運営の大きな実績になる、こういう意味でひとつ認識を統一しておきたい、こういうふうに思います。
 次は、農林年金の現状について、とりわけ財政状況、それから財政状況の中で収入の問題、資金源の問題、仕組み、それがどんなウエートを占めているのか、それから組織状況、それから資金、財政状況との関係の中で国庫補助がどんなふうな状況なのかを中心に、簡潔に現在の農林年金の現状について御説明をお願いしたいと思います。
#20
○眞木政府委員 農林年金の財政の現状ということでございますけれども、六十一年度の制度改正を念頭に置きまして、昭和五十九年度末を基準として財政再計算を行ったところ、平準保険料率が千分の二百五十三ということになりました。しかし、その再計算をする前の掛金率が千分の百九ということでございましたので、これを一挙に千分の二百五十三にまで引き上げるということは、過去の組合員との均衡を失するというような問題があることから、現在千分の百三十四ということで適用しているわけでございます。
 これに基づきまして昭和六十一年度の収入支出の予算につきまして見ますと、収入総額が三千二億円ということで、この中には掛金収入、運用収入、国庫補助金、基礎年金交付金等が含まれております。これに対しまして、支出の総額が二千百五十五億円でございまして、これは年金等の給付金とか基礎年金への拠出金、それから事務管理費等が含まれておるわけでございます。
 財政の状況について申し上げますと以上のようなことでございますが、現在、いわゆる成熟率というものについて見ますと、昭和六十年度末で一八・八%、組合員五・三人について年金を受け取る人が一人という割合になっております。組合員の数がおおむね横ばいで推移しておるということでございますので、今後組合員数の増加を期待することが難しいという反面、受給者については平均余命が伸長してくるということでございますので、七十五年ぐらいを見ますと成熟率が二九%程度、組合員三・五人について年金受給者一人というような状況が見込まれておるわけでございます。
#21
○前島委員 その現状を今御説明いただいたわけですが、認識という面で改めてちょっと私なりに整理をさせていただきますと、組合員数、これは今も説明がありましたように頭打ち状況だ、五十八年を境にして頭打ちだ、また今後の諸般の状況を踏まえると、私は組合員数は余り伸びない、こういうふうに認識をするということが一つです。同時に農林年金を構成する諸団体の実態、とりわけ規模という面をそれなりに見てみますと、これはほかの共済年金を見ても非常に小規模だ、そういうふうに思わざるを得ない。そういう状況の中で、先ほど説明のありました成熟度、現時点では五・三人に一人ということだけれども、組合員はもう既に五十八年度から頭打ちだ、そして規模そのものも小規模なものを中心とした団体だ。そうすると、予測になりますけれども、当然成熟度はこれから高くなっていくということが予測できる、現状の認識としてはそういう統一が私はできると思うのですね。そういう中で、財政状況の収入との関係から見ると、掛金収入を既に給付支出が上回っている、掛金の方が少ない、掛金だけで給付支出を賄い切れていない、こういうふうに私は理解をするわけであります。特に、五十九年度の掛金収入と給付支出を見ると給付支出の方が既に上回っている、こういう統計もあるわけであります。そうすると、先ほど言いましたように、成熟度は今後を予測した場合は現時点よりか高くなる、農林年金の財政というものを見たときに厳しくなるよ、こういうふうに認識をすることが正しいのか、また農林省自身もそういう認識を持っているかどうかについて見解を承りたいと思います。
#22
○眞木政府委員 ただいま五十九年度の掛金収入と年金の給付金、収入よりも支出が上回っているというお話がございましたけれども、私先ほど申し上げました六十一年度の予算ベースで見ますと、掛金収入の方がやはり給付金の方を若干上回っておるということがございます。しかしながら、委員御指摘のとおり、今後全体の組合員、規模、大きいのもありますけれども小さなものが多いという中で、全体として組合員の今後の増加を見込むことはなかなか難しいということ、それから先ほどお答え申し上げましたように、平均余命といったものが伸びてくるというような状況を考えますと、将来の見通しといたしますと大変厳しいものがあると考えております。現状のまま推移いたしますと、積立金というものをだんだん取り崩していってそれがなくなってくるというような状況も将来は考えられるわけでございまして、そういう意味から、今後年金財政の長期的な健全性を確保するために、あるいはまた受け取る方と掛金を払う方の世代間の公平ということも考えながら計画的に今後の運営を進めていく必要があろうか、このように認識をしております。
#23
○前島委員 私は、今の答弁のようにそこまで一挙に飛ばないんでして、その過程にやるべきことがあるんではないか。一つは成熟度との兼ね合いの中で、当然農林省の指導という面で、定年制との兼ね合いの問題だとか、雇用の問題だとかあるいはそれぞれ諸団体の経営の指導、農林省としての側面からの指導という問題があると思うのです。それ以外に私は、組織と規模、それから掛金との関係を見ると、成熟度は当然高くなるのです。そこだけを考えると、危険性といいましょうか将来の見通しは必ずしも明るくないよ、こういうふうになると思うけれども、現在の農林年金収入のそれ以外のウエートというのは、国庫補助との問題が一つあるでしょう、それから例の振興会からの助成金の問題、それと資金運用収入という項目が掛金以外につけ加わるわけですね。掛金だけ、それと組織、規模云々を見ると厳しいけれども、それ以外に国庫補助という項目もあるし、振興会の助成金という項目もあるし、資金運用という問題もあるわけです。ここがこれからどう変わっていくのか。またどう位置づけていくのかということで、掛金だけではない面をつけ加えますと、財政の今後の見通しという面が出てくると私は思うのですね。
 これは制度だから、もうこういう仕組みになっちゃったんだから基礎年金の方しかないんだ、あるいは一人頭幾らだからといって、もう新しい六十年度改正で決まってどうしようもないんだよというふうに言われると思うけれども、それ以外にまず第一に、国庫補助という形の中で農林省として取り組むべきあるいは要求すべき基本的な構えというものが出てくるのではないだろうか。そういう面で今後の農林年金の財政、農林年金の今後の見通しを考えたときに、まず第一に国庫補助というものをどう位置づけていくのか、また、これからの運営を考えたときに、この国庫補助について農林省はどう大蔵省なりに要求していくのか、その基本的な考え方をまず聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
#24
○眞木政府委員 国庫補助の問題につきましては、六十一年度の制度改正によりまして、ほかの制度と同様といいますか並びで、基礎年金への拠出金の三分の一補助に切りかわったわけでございます。こういう制度、この補助方式を基礎にして今後この年金制度の健全なあるいは安全な運営を確保していくというのが基本的考え方でございまして、この部分を今後どう変えていくかということにつきましては、まだこの制度改正が行われて間もないところでございますので、まずこういうものをベースにして、今後その健全な運営ということについて意を尽くすというところが現在の考え方でございます。
#25
○前島委員 その国庫補助、制度が変わったから比較しようがないと言われるとそれまでのものかもしれませんけれども、少なくともこの一連の、三十四年に農林年金が発足をした、厚生年金から独立をした、その間三度、四度の改正をして、その間国庫補助というものはずっとふえてきている。そのことの根拠というのは、やはりこの農林年金の持っておる歴史的な使命、位置づけということで皆さんの、諸先輩の御努力で今日の農林年金というものが出てきていると私は思うのです。それが六十年度の改正で、言葉は悪いけれども、みそもくそも一緒だということをしていいのか。あるいは現実に六十二年度予算案の国庫補助の項を見ると、制度が変わりましたから率でどうのこうの言えないとしても、額ががたんと落ちていることだけは間違いないと思うのですね。農林年金に対する国庫補助の額が落ちているということだけは間違いない。また現に六十年度の制度改正というのは政府の側、大蔵省は財政事情ということが大きなウエートでありますから、どんな理屈をつけようが、どんな説明をしようが、国庫補助が落ちているということだけは認識として間違いないと私は思うのです。そういう意味で、この年金の財政状況、年金の今後を考えたときに、国庫補助をふやしていく、そのことによって年金の安定を図っていくということが、過去の年金の歴史的な経過、諸先輩の御努力、そしてその経過におけるこの制度の歴史的な任務から見て、当然農林省としてとるべき基本的な態度だと私は思います。その辺のところの基本的な認識をぜひお聞きをしたいと思っています。
 というのは、何か最近の農林省というのは、みずからの土展というものをみずから狭めていくような姿勢が感じられてなりません、その他の諸政策の中でも。そういう意味で、この年金というのは、今後の日本の農業を考えたときに、この年金に加入しておる組合員の位置づけあるいは歴史的な経過から見て積極的に努力すべき課題ではないか。こういう意味で、この国庫補助について今後ぜひふやす努力をすべきであるし、またしてもらいたい。そういう面で政務次官、どうですか、基本的な今後の姿勢として国庫補助に対しての御見解を承っておきたい、こういうふうに思います。
#26
○衛藤政府委員 この年金が我が国の農林業の振興に多大な貢献をしてきたことは御案内のとおりでありますが、そういう意味からいたしましても、年金につきまして収入また支出、アンバランスを生じておる現状から見まして、他の年金制度等々と比較をしながら、国庫補助のルールがあるわけでありますから、当然農林水産省といたしましてもこの年金に対する国庫補助につきましてはルールにのっとりまして最大限の努力をする、そのことが年金の充実はもちろん、我が国の農林水産業の振興に著しい貢献をする、そういう認識に立っておりますから当然努力をしてまいる、そのように考えておる次第であります。
#27
○前島委員 ルールにのっとるんじゃなくて、そのルールを変えたり、なおかつそのルールを超える努力をしてもらわないと、この制度の仕組みとの関係の中でふえないと思いますので、私はルールにのっとりというのが何か非常に不満でありますけれども、この国庫補助のウエートというのは結果的に大きいわけですから、ひとつその国庫補助の増額についてぜひ今後とも御努力を願っておきたい、その要望をしておきたいと思います。
 それから二番目に、今後の財政を考えたときに議論になるし、また過去にも大きな意味を持ってきたものとして振興会の助成金の問題があると思うのです。何か一部に聞くと、あるいはこれが変更されるのではないかというような懸念もちまたに聞くわけでありますけれども、年金収入におけるこの助成金というのはそれなりの寄与をしてきたし、それなりの位置づけもあったと思うのです。そういう面で、この助成金に対する認識の問題、そして農林省として今後この問題についてどう取り組んでいくのか、その姿勢、見解を承っておきたいと思います。
#28
○眞木政府委員 この相互扶助事業と呼ばれております助成金でございますが、これは御案内のとおり全国農協中央会が行います農協の役職員に対する教育、講習等を内容とする相互扶助事業に対し国が助成を行っておるわけでございます。こういう助成を契機といたしまして農林漁業団体から資金の拠出が行われて、これを全国農林漁業団体振興会を通じて農林年金に対し援助措置を行うという仕組みになっております。
 六十二年度のこの事業に対します国庫補助金は六億一千万円でございます。これによりまして、今申し上げました振興会の方から農林年金に対しまして資金援助額が二十七億八千万円というふうになります。これを掛金率に換算をいたしますと千分の二に相当するわけで、その分この財政に寄与しておると考えております。この事業につきましては、今後とも一層の充実を図るという観点から、我々としてもその必要額の確保に努めてまいりたい、このように考えております。
#29
○前島委員 ぜひこの制度の確保のために御努力をお願いしたいと思います。
 三番目として、例の行革関連特例法との関連での四分の一カットの問題であります。五十七年度から六十年度まで、一応六十年度は終わっていますが、現在の累計がどうなっているのか、そして、この返済の時期あるいは利子等の関係についてまず基本的に見解を承りたいと思います。
#30
○眞木政府委員 御指摘の国庫補助金が行革関連特例法によりまして四分の一カットされたわけでございます。五十七年度から六十年度までの措置として、給付費の補助の四分の一が縮減をされたということになっております。この縮減額は、元本で二百二十一億円でございます。利息につきましては、仮にこれを五・五%で計算をした場合には三十七億円、合計額が二百五十八億円になります。また、七%の利率で計算をいたしますと四十八億円の利子相当額になりますので、元利合計が二百六十九億円ということになります。
 この縮減額の支払いにつきましては、農林年金の財政の安定が損なわれることのないように、特例適用期間経過後におきまして国の財政状況を勘案しながら適切な措置を講ずるということになっております。具体的な返還の時期や方法につきましては、政府といたしまして目下財政再建中ということではございますけれども、年金財政にとりましては、この国庫補助というのは大変大事な位置づけであるということも十分認識しております。我々といたしましては、この縮減されました元利相当分につきましてはできるだけ早く補てんがなされるように財政当局と折衝をしてまいりたい、このように考えております。
#31
○前島委員 こういう時期でありますので、財政当局から云々できませんから農林省がかわって答弁するということになってしまうと思うのですけれども、私は農林省としてのこの問題に対する基本的な構えを聞きたいわけなんですよ。大蔵省とか何か、政府の別の財政のことを心配するような立場に立った姿勢を感ずるわけです。二百二十一億ですか、五・五のあれを入れたとしても二百五十八億累計でたまっておる。六十年度の年金額、掛金をはじくときに、この四分の一カットの縮減額が返還されるという前提で今後の農林年金の見通しを立てられ、そしてそこから年金、掛金の計算が始まっているというふうに私は承っています。
 そうすると、先ほど言いましたように、掛金を中心としたものを見ると、もう当然見通しは暗い、楽じゃないよということは認める。国庫補助の問題についても努力をするというけれども、今度の財政状況から見るとそんなに期待できないということも私は理解せざるを得ない。そして助成金は確保するという基本的な姿勢でありますから、これは確保できる。そうすると、先ほどの状況から見て、この返済というものを具体的にいつ、どういう方法でさせるのか。しかもこれが延び延びになっているということは、掛金の計算、六十年のときにそれは返ってくるという前提で組まれているとすると、農林省の側から、あるいは農林年金の財政の安定ということを考えたときにそんな姿勢でいいだろうかということを感ずるわけです。
 それと同時に、その利子の計算の問題として、農林年金財政の資金源の大きなウエートの一つとして資金運用という問題がありますね。最近の資金運用の実態を見ると、利回りは七%を超えているわけですね。これは間違いない。そうすると五・五だなどということはあり得ないし、もし五・五だというならば農林年金について大きな損失をこうむっていると私は言わざるを得ない。しかもそれが掛金の基礎になっている。永久にまだ見通しが立たないということになると、言葉は悪いかもわからぬけれども、詐欺にかかっているようなものだと私は思うのです。これは農林省としてこの年金の重要性から見て、私は基本的にもっと強い姿勢で臨むべきだろうし、また臨んでもらわなければますますこれからの年金の見通しは暗い、こういうふうに見ざるを得ないと思うのです。
 そういう意味で、時間もありませんからこれ以上言いませんけれども、大蔵省にかわるような答弁だとか、そっちばかりにらんでその気になる、そういう姿勢ではなくして、やはり今後の農林年金の実態予測から見て強い態度でこの返済について臨んでほしいし、具体的な時期、利子の計算については、資金運用から見れば五・五などということは絶対あり得ないわけですから、農林年金の資金運用の利回り実績というものを中心にして要求すべきことをひとつ要望しておきたいと思います。
 それで、あとは一元化の問題ですが、ちょっと時間がありませんので、また予測するあれはそんなに簡単でないと思いますけれども、七十年一元化の問題について、現時点で厚生省の方でどういう認識、考え方を持っているか、簡単で結構ですので御説明をお願いしたいと思います。
#32
○谷口説明員 お答え申し上げます。
 年金の一元化についてのお尋ねでございますが、先生御案内のように公的年金制度、先ほど来の御議論にありますように大変厳しい状況にあるわけでございますが、それを長期的に安定させ、制度間で公平な仕組みにするということで、かねてから政府の方でも公的年金全体の一元化を進めていくという方針を立てているわけでございます。さきの年金改革によりまして基礎年金を導入して、基礎年金部分に関しては、給付の面でも負担の面でも公平な仕組みを導入したわけでございまして、これからは被用者年金、サラリーマンの年金、私どもが担当しております厚生年金、そして各共済組合についていろいろな面で、給付面あるいは負担面で制度間の調整を進めまして七十年を目途に一元化を完了させる、こういうことで、五十九年の二月の閣議決定で方針が定まっておるわけでございます。
 そして今、その被用者年金各制度を取り巻く状況を考えますと、先ほど来御議論がありますように非常に厳しい環境にあるわけでございまして、そういった環境を踏まえまして各制度とも、私どもが担当しております厚生年金も、それから農林共済を含みます各共済組合、いずれも長期的に制度が安定して、そしてできるだけ公平な仕組みにするということでいろいろな面で調整を進めるということで、政府部内の関係者、私どももその一人でございますけれども、よく検討を進め、そして七十年に向かいましてよくよく制度間の調整について詰めていかなければならぬ、こういう段階にあると認識をいたしております。
#33
○前島委員 時間がありませんからあれですけれども、厚生省の方に向かっては、六十年度の改正のいい悪いはここで議論するつもりはないし、いいのですが、七十年を目途にして一元化するという方針が片方であることは事実ですね、閣議決定されているわけですから。これのもたらす影響ということを私は非常に問題にしたいと思っているわけです。具体的にないのです。ただ七十年一元化を目途という閣議決定だけしかない。そうすると、この組合員、年金受給者にしてみれば、一体どうなるのだろうかという不安がある、あるいはそれぞれ構成する諸団体にとっても、一体どうなるのだろうかという不安しか残っていないわけですね。しかも、残念な例ですけれども、国鉄年金の実態を見たりそれに対する対応などを見てくると、一体どうなるりだろうか、おれたちが努力しても今後一体どうなるかわからぬということに対する不安ということだけが残っていると私は思うのですね。そういう意味で、ぜひ具体的に時期を明記するなりスケジュールを明記する、中身を明記する中で議論をしていくということをしませんと、中身がいい悪いを言っているわけじゃないのですよ、ただ七十年一元化ということだけを出しておいて、どうなるかわからぬという状況になってくると、現在努力をしているそれぞれの団体あるいは受給者側から見れば不安だけが残る。結果的には、私は農林年金の関係者がそういうことをとるとは思いませんけれども、適当にやっておけというふうな事態になりかねないと思うわけです。そういう面で、宙づりにしていくと悪い影響だけが残るというのが実態でありますから、その辺のスケジュール、中身をそれなりに議論を進めておかないといけないと思いますので、現時点ではこれ以上のことはできないと思いますけれども、そのことは要望をしておきたいと思います。
 そういう面で農林省の方として、時間がありませんのであれですけれども、この七十年一元化の問題について基本的にどう考えているのか、簡単で結構ですけれども、政務次官、ひとつお聞かせ願いたいと思っております。
#34
○衛藤政府委員 お答え申し上げます。
 御案内のとおり農林年金制度は、農林水産行政の推進上重要な役割を担っている農林水産業団体の役職員に、市町村の職員等に劣らぬ資質のすぐれた人材を確保することとともに、その福祉の向上に資するという役割を担っておりまして、今日までその政策目的に沿ってその特色を発揮してきた、このように考えておる次第であります。また、現在農業を取り巻く厳しい情勢のもとで、水田農業確立対策への農業団体の取り組みが期待されるなど、その果たす役割の重要性が増してきておりまして、これら団体の役職員に対し、退職後の生活基盤の確立を図る農林年金制度の果たす役割というのはさらに重要になってきている、このように理解しております。このため、将来における公的年金一元化について農林年金制度をどのように位置づけ、対応していくか非常に重要な問題である、このように考えておりまして、組合員及び事業主の意向はもちろん、関係者の御意見も十分伺いつつ、農林年金制度設立の経緯等を十分踏まえまして、今後の農林年金制度の健全な発展が図られるよう対処してまいりたい、このように考えておる次第であります。
#35
○前島委員 今の政務次官の御答弁を聞きますと、具体的には七十年一元化に向かって議論が出てくるだろうけれども、農林省としては、この農林年金の過去の歴史的な経過、位置づけ、そしてまたこの年金制度が日本の農業の発展に果たしてきた役割を考えると、存続させるんだという認識を確認し統一をしてよろしゅうございますか。その点だけ最後に承って私は質問を終わりたいと思います。明確ないい御答弁をぜひお願いをしておきたい、こういうふうに思います。
#36
○衛藤政府委員 前島先生御指摘のとおりでありますが、七十年一元化に向けての大きな目標がここにあるわけでありまして、一元化に向けてのあらゆる努力をする中でこの農林年金制度の位置づけをしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
#37
○前島委員 以上で終わります。
#38
○玉沢委員長 吉浦忠治君。
#39
○吉浦委員 昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案についてお尋ねをいたします。
 まず第一に、農林年金は昭和三十四年に厚生年金から分離、独立したものであります。その設立の経緯というのは、農林漁業団体の農政推進に果たす役割の重要性から見まして、これらの団体を育成し、また同時に、そこに優秀な人材を確保し定着させることをねらったいわゆる政策年金の位置づけを持たせようとしたものというふうに承知しているわけであります。他の被用者年金と異なりましてこうした使命を持つ農林年金でありますが、最近における農林漁業をめぐる諸情勢は極めて厳しいものがあるわけであります。そして農林漁業団体の経営も決して十分ではないわけであります。そこで働く方々も低い賃金を余儀なくされているわけでありまして、年金制度の充実こそが大きな支えである、こう思うわけであります。こうした観点から見てまいりますと、農林年金は今後ともますます発展充実させる必要があるというふうに考えるわけでありますが、私のこういう考え方に対して、きょうは次官がお見えでございますけれども、どういう見解をお持ちなのか、まずこの点を伺っておきたいと思います。
#40
○衛藤政府委員 吉浦先生御案内のとおり、本年金は昭和三十四年に厚生年金から分離、発足したものでございます。本農林年金制度が、農林漁業あるいは農林水産業の発展に寄与したことは多大なものがある、このように考えておる次第でございまして、私どもとしましては、農林漁業者の地位向上という政策的にも重要な役割を担っております本年金制度の充実発展のためにあらゆる努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
 御案内のとおり、農林漁業をめぐる情勢が一段と厳しさを増してきている中で、逆にその振興を図るためには農林漁業団体の果たす役割が大きくなってきている、このように考えているわけでありまして、今後とも農林年金制度の設立の趣旨にのっとりまして、農林年金の制度の維持発展を図っていくことがむしろ農林水産行政推進の上には不可欠である、こういう理由からして本制度の充実発展に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第であります。
#41
○吉浦委員 農林年金の構成を見てまいりますと、六十一年三月三十一日現在で一万二千七百七十五団体、四十八万八千百二十七組合員が加入していることになっているわけであります。農協は五千五百四十四団体で四十万八千七百二十九組合員となっておるわけでありますが、加入者では実に八〇%を占めております。農林年金の今後の動向は農協の役職員の消長によると言えるわけであります。農協が中核となっているわけでありますが、昨今一部の農協に対して、本来の営農指導という面がおろそかになっているという批判もございます。また、金融機関になり切っている等の批判がなされているわけであります。私もそうした嫌いはないとは言えないと思うわけでありますけれども、農林年金の中核であるところの農協に対してこういうふうないろいろな批判がなされていることは無視できないことでありますが、政府はこういう農協に対しての批判についではどういうお考えをお持ちなのかお答えをいただきたい。
#42
○衛藤政府委員 御案内のとおり昨年の秋、農政審議会から二十一世紀へ向けての答申をちょうだいしているわけでございますが、私どもとしましては、ただいま吉浦先生御指摘のようなことをも考慮して、この答申に沿った形で二十一世紀の農政のあり得べき中での農協のあり方、位置づけということにつきまして積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#43
○吉浦委員 一昨年も私この改正のときに伺った点でありますけれども、これから高齢化社会を迎えて、国民の年金制度への関心は一層高まっている現状にあるわけであります。一昨年の改正のときも、七十年をめどとする公的年金制度の一元化の中での一プロセスと申しますか、過程ということで位置づけられていると考えている、こういう答弁を得ているわけであります。ここへ来て現場では、一体どのような一元化をなさるのか、先ほども質問がございましたが、その方途もあるいは方向も示されていなくて、将来どのようになるのだろうかと非常に不安を持っているわけであります。農林年金が厚生年金から分離、独立して政策年金として誕生したことはさきに述べましたが、片方では一元化、また片方では農林年金の充実を図っていくことになるのでありますけれども、しょせん農林年金制度の存在意義がなし崩しにだんだんと減殺されていくのではないかという危惧がないわけではないわけであります。これについてはどういうふうなお考えをお持ちなのか、お答えをいただきたい。
#44
○眞木政府委員 昭和五十九年から六十一年にかけまして、いわゆる基礎年金の導入を中心とした制度改革が行われまして、一応給付面の一元化は図られたと理解しておるところでございますが、今後負担面におきます制度間調整、あるいは給付面におきます細部の調整を行っていくということになろうと考えております。これらの措置につきましては、本年度以降いろいろな条件を整えながら調整の具体的内容、方法等が検討されることになると考えております。
 公的年金制度全体の一元化と申しましても、各年金制度はそのままに存続させまして、給付と負担の両面において整合性を図り一元化をするというやり方から、各年金制度を統合し、給付と負担とを一元化するという方法まで幅広い解釈があるわけでありまして、今後さらに検討を深めて、国民、関係者の理解が得られるような方向に進めていかなければならないと考えておるわけでございます。
 この場合におきまして、農林水産省といたしましても、公的年金制度全体の一元化という問題の中で農林年金制度をどのように位置づけて対応していくか、非常に重要な問題であると受けとめております。組合員の方々や事業主の方々の意向はもちろんでございますが、広く学識経験者、関係者等の意見も伺いながら、設立の経緯等も踏まえて、健全な発展を図っていくということを念頭に置きながら誤りのないように対処してまいりたい、このように考えております。
#45
○吉浦委員 農林年金の給付事業の財源は、掛金、国庫補助、全国農林漁業団体振興会からの助成金及び積立金の運用収入で賄われているわけでありますが、一昨年の改正時におきまして農林年金財政の健全化が強く求められたわけであります。そのためにこの附帯決議にも一項目置かれまして、「今後とも必要な補助額を確保し、行革関連特例法に基づく国庫補助の縮減額については、適正な利子を付して速やかに返還するよう努めること。」という決議がなされたわけであります。国庫補助の縮減額は、通算二百二十一億円となっているわけであります。六十年度の農林年金の給付金の総額が千四百六十四億七百万円、こういうふうになっていることから比較してみますと、その金額は農林年金財政の圧迫要因となっていることは明らかでありまして、政府は速やかに適正な運用利息を付して返還すべきであるというふうに私は思うわけであります。また、将来の財政の見通しをどう持っておられるのか、こういう点も含めて御見解を伺いたいと思います。
#46
○眞木政府委員 いわゆる行革関係特例法に基づきます補助金の縮減は、元本で二百二十一億円でございまして、利息で申しますと、五・五%で計算した場合が三十七億円、七%で計算した場合が四十八億円ということになるわけでございます。
 この支払いにつきましては、農林年金の財政の安定が損なわれないように、特例適用期間経過後において国の財政状況か勘案しつつ適切な措置を講ずるということになっております。具体的な返還の時期及び方法につきましては、政府として目下財政再建中であるということがございますけれども、農林年金財政にとって非常に不可欠な位置づけにあるこの国庫補助というものの重要性にかんがみまして、この縮減された元利相当分につきまして、我々といたしましても早急に補てんがなされるよう財政当局と折衝してまいりたい、このように考えております。
#47
○吉浦委員 高齢化社会の進行に伴いまして、農林年金の退職年金の新規発生者も着実に伸びておるわけであります。最近ではコンスタントに七、八千人出ているわけであります。それを支える分母である組合員は、昭和五十五年で四十八万一千人、六十年で四十八万八千人、最高時でも四十九万人、これで頭打ちになるのではないかというふうに心配をいたしておるわけでありますが、分子ばかりが急増して、反面分母は微増というふうな状況、これは決して年金財政の健全化という面からは好ましいことではないわけであります。附帯決議においても「一定期間を超えて雇用される臨時職員の組合加入を一層促進するよう指導すること。」という一項目が置かれているのはそのためであると思うわけでありますが、政府は農協等で働いております臨時職員の実態をどのように把握されておられるのか。
 また、制度が改正されまして、月単位でカウントできる他の年金と通算されるようになったわけでありますから、この点も積極的に推進を図っていくべきではないかというふうに考えますけれども、どういうふうにお考えなのか。
#48
○眞木政府委員 農林漁業団体に臨時に働かれる方で給与を受けていらっしゃる方、二カ月以内の期間を定めて使用されるという方を除きまして、一部の者を除きまして農林年金の組合員ということになっております。従来から、こういう臨時職員のうち農林年金の組合員資格を有する者につきましては、早急に組合加入の手続を行うよう団体の担当職員の研修、広報活動等を通じまして指導をいたしまして、その加入促進に努めておるところでございます。
 この関連で、さきの六十年改正におきまして、組合員期間の計算方法が、組合員期間を一年以上有していないと年金額の計算の基礎とされていなかったものが、一年未満でございましても他の年金と通算して二十五年以上ということになりますと年金の基礎とするということに改正をされましたので、六十一年度におきましてはこれらの臨時職員の加入が増加をしておるということが見られております。農林水産省といたしましても、農林漁業団体に対しまして、今後とも加入の促進のため一層の指導に努めてまいりたいと考えております。
#49
○吉浦委員 最後にお尋ねをいたしますが、この制度の趣旨から申しますと、物価が五%アップした場合に政令による改定が行われるのが大方針というふうになるわけでありますけれども、今回は〇・六%アップで改正する、こういうふうにした理由は何であるのか。今回の恩給年金の増額が、給与スライド制をとっていることからして、今年度は二%アップの改定が行われることになっているわけでありますけれども、この改定率が異なるのはなぜなのか。
 さらに、物価が安定している今日では、来年度以降も余り多くの上昇率は期待できないのではないかというふうに思うわけでありますから、次年度以降も五%以下でも改定なさるのかどうか、政府の方針をまず伺っておきたいと思います。
#50
○眞木政府委員 この農林年金の年金額につきましては、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため速やかに改定の措置を講ずるということでございまして、この著しい諸事情の変動の基準といたしまして、消費者物価指数が五%を超えて変動した場合には、法律によることなく、政令でこの変動率を基準として自動的に改定ができるということになっているわけでございます。この五%ということでございますが、これは従来厚生年金制度においてとられていたものを、先般の制度改正におきまして、各共済年金制度共通の措置として農林年金においても取り入れたものでございます。
 五%以内の場合でございますが、これにつきましてはその都度ごとの物価、賃金等社会的、経済的諸要素を総合的に判断して措置するということになっておりまして、今回は昨年度の物価上昇率〇・六%、給与改定率等の事情を勘案してこの〇・六%ということで行ったわけでございます。
 恩給の場合は、恩給が国家補償的性格を持つというようなことから取り扱いがまた異なっておりますので、この場合そこに違いが出てきておるものと考えております。
#51
○吉浦委員 終わります。
#52
○玉沢委員長 神田厚君。
#53
○神田委員 農林年金関係につきまして御質問を申します。
 まず最初に、農林年金は、昭和三十四年に農林漁業団体の有能な人材の確保、そのための退職後の保障制度の確立を志向して、ひいては農林漁業の振興を図るため厚生年金から独立をして現在に至ったものでありますが、まず最初に、農林年金制度の果たしてきた役割及びその存在意義はどのようなものとお考えでありますか。
#54
○衛藤政府委員 神田先生にお答えいたします。
 農林年金制度は、農林水産行政の推進上重要な役割を担ってきたことは御案内のとおりでありまして、農林漁業団体の役職員に市町村の職員に劣らぬような資質のすぐれた人材を確保するとともに、その福祉の向上に資するという役割を担ってまいったわけでありまして、この点からいたしましても農林水産業の振興に大きく貢献してきた、このように理解をしておるわけであります。近年、農林水産業を取り巻く厳しい情勢を反映しまして、農林漁業団体の職員はほぼ横ばいで推移しておりまして、農林年金の将来の財政状況というのは極めて厳しい、このように考えておる次第でございます。
 今後農林年金制度の円滑な運営を考えるに当たっても、まずその基本となる農林漁業の着実な振興が必要でありまして、農林水産省といたしましては農政審議会の報告を踏まえ、各般の施策を積極的に展開していく中でこの農林年金制度の充実に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#55
○神田委員 農家人口は昭和三十五年に約三千四百万人、それが昭和六十一年では約二千万人、また林家数は、昭和三十五年に約二百七十万戸ありましたものが昭和五十五年約二百五十万戸、漁業就業者数は、昭和四十八年に約五十一万人だったものが昭和六十年に約四十三万人、これらのことからわかりますように、農林漁業すべての分野でおおむね凋落もしくは縮小傾向にあるわけであります。したがって、今後農林漁業団体職員数の増加は見込みがたい状況にあるわけでありまして、また、農林漁業の適正な振興なくして農林年金制度の円滑な運営や長期的な安定は図られがたいのではないか、このように考えております。
 ただいま御答弁をいただきましたが、そのような意味におきまして、この農林漁業全体の振興に対しまして政府にとりましてさらに強力な施策を要求をしたいと思いますが、いかがでありますか。
#56
○衛藤政府委員 御案内のとおり、昨秋二十一世紀に向けての農政のあり方というのを農政審の方からちょうだいしておりますが、神田先生ただいま御指摘のとおりでありまして、この農政審の答申に沿いまして、農林水産省といたしましては農林水産業振興のためにあらゆる努力をしなければならない、またその取り組みをする必要がある、また私どもとしましてはあらゆる努力を惜しまない、このように考えておる次第でございます。
#57
○神田委員 次に、農林年金財政の現状と見通しについてでありますが、昭和六十年十二月三日の佐藤国務大臣の答弁によれば、昭和八十五年には成熟率は三七・五%となる、このようにありますが、成熟率の現状と将来をどういうふうに見ておりますか、お伺いしたいのであります。
#58
○眞木政府委員 お答え申し上げます。
 御案内のとおり我が国全体の人口構造、平均余命年数が延びております。高齢化が進展いたしまして、その結果公的年金制度を支える現役勤労世代と申しますか、それに対しましての年金を受け取る老齢世代の割合が増大するということで、農林年金制度においてもそれは例外ではないわけでございます。
 現在の農林年金制度におきますいわゆる成熟率について申し上げますと、六十年度末で一八・八%、組合員五・三人に年金受給者一人の割合になっております。農林年金の組合員数、ただいま委員御指摘のとおり、今後とも厳しい情勢の中で増加を期待するということは困難であろうと考えております。それに対しまして、今申し上げました余命年数の伸長ということがございまして、農林年金の組合員数を今後横ばいで推移すると一応見込みまして計算をいたしますと、昭和七十五年度には成熟率が二九%程度、組合員三・五人に年金受給者一人ということでございます。また、昭和八十五年度まで見通しますと、成熟率が三八%程度になるものと見込んでおります。
#59
○神田委員 非常に厳しい見通しでありまして、これは後でまた年金統合の問題がありますので御質問申し上げますが、その前に積立金の問題でございます。
 農林水産省の試算によりますれば、昭和六十五年において総収入三千六百六十四億円、総支出が三千七十八億円、積立金が一兆四千七百四十五億円、こういうふうにありますが、現在の掛金率をもって移行した場合に積立金はいつまで存続する、このように考えられておりますか。
#60
○眞木政府委員 現在の掛金率千分の百三十四ということを据え置きまして将来の年金財政を推計いたしますと、昭和七十二年度におきまして収入総額を支出総額が上回るということになります。以後積立金、これが六十一年度の年度末で一兆二千億円あるわけでございますが、これを取り崩していきますと、昭和八十二年度におきまして積立金がゼロになるということが見通されます。
#61
○神田委員 そういう中で、政府の中では年金統合の問題が出ておりますが、昭和七十年をめどにいたしまして公的年金制度全体の一元化、これを完了させる、こういうふうにされておりますが、これらの具体的なスケジュール及び現在どういう方向でこれが検討され、論議をされているのか、その際農林年金というものは、そういう公的年金制度全体の一元化の中でどういうふうな形でその一元化に移行していくのか、その辺のところの考え方をお知らせいただきたい。
#62
○眞木政府委員 五十九年から六十一年にかけまして基礎年金を導入するということを中心とした制度改革を行いまして、一応給付面での一元化は図られたものと考えております。今後負担面におきます制度間調整と、給付面におきます細部の調整を図っていくことになっております。これらの措置につきましては、本年度以降いろいろな条件を整えながら調整の具体的内容、方法等が検討されることになると考えております。
 この公的年金制度全体の一元化につきましては、各年金制度を存続させて、その中で給付と負担の両面において整合性を図りながら一元化するという方法から、年金制度そのものを統合してしまうというやり方まで幅広い解釈があるわけでございまして、今後さらに検討されて、国民なり関係者の理解が得られる方向に進むものと考えております。この場合におきまして農林水産省といたしましては、全体の一元化の中で農林年金制度をどのように位置づけ対応していくか非常に重要な問題であると受けとめておりまして、事業主及び組合員の意向はもちろんでありますけれども、関係学識経験者等の御意見を伺いながら、制度設立の経緯等も踏まえまして今後の制度の健全な発展が図られるよう誤りなきを期して対処してまいりたい、このように考えております。
#63
○神田委員 年金受給者にとりましてもまた関係者にとりましても、農林年金がなくなってしまうのじゃないかということで非常に心配をしている向きもあります。これらのことにつきましてただいま御答弁をいただきましたが、慎重に各関係者の意見を十二分に聞きましてとり行っていただきたいということを要望しておきたいと思っております。
 さらに、先ほど御質問がありましたが、農林年金に対する国庫補助が行革関連特例法によりまして四分の一カットされた問題がございました。これの返済時期がどうなるのか、また利息がどうなるのか、先ほどの答弁ではこれから早急に交渉するということでありますが、今まで交渉といいますか、そういうことについて話し合いがなされた経緯があるのかどうか、そのことも含めまして御質問申し上げます。
#64
○眞木政府委員 この問題につきましては、我々といたしまして、この国庫補助は農林年金財政にとって不可欠な位置づけにあるということにかんがみまして、縮減された元利相当分につきまして早急に補てんされるよう財政当局と折衝するというのが方針でございます。このような中で、我々としては財政当局に対しまして強くこの点を働きかけておるところでございます。今後ともこの点は強力に推進して、また折衝を続けてまいりたい、このように考えております。
#65
○神田委員 最後に、年金額の算定の基礎となる標準給与の見直し、これは今後いつどのように予定をしておりますか。
#66
○眞木政府委員 先般の制度改正におきまして平均標準給与の算定方法が改められまして、全期間平均標準給与方式というふうに改められたわけでございます。これは現役組合員の給与水準との均衡、または給付と負担との均衡を考慮したものでございます。この場合、この標準給与を算定する場合に、過去の標準給与はその後の社会経済変動によりまして減価しているということを考慮いたしまして、その調整を図るために、過去の標準給与の額を現役組合員の給与水準を勘案して引き上げるということにいたしておりまして、少なくとも五年内に財政再計算を行いまして、年金者の給与水準と現役組合員との給与水準の均衡を配慮して見直しを行うということにいたしている次第でございます。
#67
○神田委員 終わります。
#68
○玉沢委員長 藤田スミ君。
#69
○藤田委員 六十年の年金制度の改悪によって、農林年金の支給年齢は現在が五十九歳、七十年から六十歳になるわけでありますが、他方、高齢者雇用安定法で六十歳定年制が義務づけられているわけです。ところが農漁協あるいは森林組合、土地改良組合などの六十歳定年制の実施率は他事業と比べて非常におくれております。全中の調査では六十年八月で六十歳以上が四八・九%ですが、全産業の合計を見ますと五六・六%で、明らかにおくれているわけであります。五十七歳にもなっていないところも全体の三〇%にも上っているわけでありますが、農水省として本格的に農漁協などの定年延長の取り組みをどのように進めていこうとお考えなのか、もう一度明らかにしていただきたいと思います。
#70
○眞木政府委員 農林漁業団体職員の平均定年年齢は、全中の調査によりますと、六十年八月で五十八・三歳ということになっておりまして、これは五十七年八月の調査時の五十七・七歳から漸次延長されてきていると考えております。我が国社会全体の高齢化への移行、それから農林年金支給開始年齢の違いに対処するという観点から、農林水産省といたしましても、農林漁業団体に対しまして、その職員の定年年齢の延長につきまして従来から通達を発する等の方法により指導を行ってきているところでございます。
 一方で農林年金の支給開始年齢につきましては、先般の制度改正におきまして、昭和七十五年に六十歳としている経過措置を短縮いたしまして、昭和七十年に六十歳になるように改正をしたところでございますけれども、その経過措置は六十一年七月から五十七歳、昭和六十四年七月から五十八歳というように経過的に措置を設けておるところでございます。六十一年七月から五十七歳ということでございますので、先ほどの五十七・七歳かう延長されて五十八・三歳にきておるというところで対応はまずできておるのではないか、数字の上でございますけれども、考えております。この定年年齢の延長につきましては、労働省とも連絡をとり合いながら今後とも指導を適切に行ってまいりたい、このように考えております。
#71
○藤田委員 農協で働く労働者にとりましては、政府の農業政策による影響というのは避けて通ることができないわけであります。単位農協の経営が困難になれば、六十歳定年制もまさに絵にかいたもちになりかねないわけであります。
 そこできょうは、農協で働く労働者にとって大問題になっております農協労働者の全員解雇をしようとしている鹿児島市農協の経営困難、合併問題についてお伺いしていきたいと思います。
 この鹿児島市農協の経営困難については、金融が急激に拡大し、乱脈経営に走って、五十二年には、不起訴になりましたけれども、背任、農協法違反などで逮捕されまして、その後もなお居座り続けた白坂前専務によります農協の私物化、乱脈融資によるものであります。それを許してきた県並びに県農協中央会の責任、農水省の責任は非常に大きいと私は考えております。経営悪化が表面化したところから、六十年に、県や県中央会からも鹿児島市農協に役員が派遣されましたけれども、三百億から三百五十億という不良債権の十分な確定もできず、六十一年度は三十二億円の赤字を出しているわけであります。一体この二年間に何をしてきたのかという声が上がってくるのは当然であります。
 農協法第九十四条四項では、行政庁は鹿児島市農協のような「組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付」、「組合員の貯金又は定期積金の受入」を行っている農協の「業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として検査をしなければならない。」としているわけであります。にもかかわらず、今回の事態に至るまで適切な手を打ってこなかった農水省並びに県の責任は非常に重大だと考えますが、農水省はいかがお考えでしょうか。
#72
○青木政府委員 鹿児島市農協問題につきまして、局内で実質的に私が対応してまいりましたので、私から御答弁さしていただきたいと思います。
 先生御案内のように農協法上、都道府県の区域内の農協につきましては、原則としてその監督、検査権限等は都道府県にゆだねられているところでございます。そういう意味におきまして鹿児島市農協につきましては、農協法上、まず第一次的に知事の権限に基づきまして適正な検査、指導監督が行われるべきもの、こういうふうに考えております。私ども、もちろん農協問題についての指導につきまして、国の立場におきましても県を通じその適正を期するべきものでございますので、今回の事態につきましてはまことに遺憾な事態であったというふうに基本的に考えておるところでございます。
#73
○藤田委員 農水省にお伺いしますが、農協合併というのは融資も資産も引き継ぐが、職員、人も引き継ぐというのが当然のことじゃないでしょうか。農協法の六十八条でも、合併して設立した組合は、消滅した組合の権利義務を承継うることになっているわけなんです。この承継が包括的承継であることは通説であります。だから、組合と権利義務関係を結んでいる労働者が全員承継されることは当然のことであるわけなんです。ところが、今回の鹿児島市農協と田上農協の合併は、優良資産は引き継ぐけれども職員の方は全員引き継がない、一度全員解雇をして、現在三百六十人の職員のうちの百六十人程度しか採用しないというふうになっているわけでありますが、こんなむちゃくちゃな合併はないわけなんです。農水省の進めようとしている農協合併は一体こういうものなんでしょうか。農協法六十八条の関係も含めて明確にお答えをいただきたいわけです。
#74
○青木政府委員 先生御指摘のように、一般に合併によります権利義務につきましては包括承継というふうに法的に言えるわけでございます。しかし、ここで言います権利義務というのは財産的な、あるいは法律上の地位等の権利義務の移転でございまして、合併契約におきまして解散する組合等が、合併に先立って従業員に退職をしていただくというようなことは現実に会社のベースでもございますし、農協の場合におきましても法的には可能である、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。もちろん、合併に際しましての解散する鹿児島市農協の職員の扱いにつきましては、基本的に合併当事者であります農協同士の話し合いの問題でございます。また鹿児島市農協内におきます労使間の話し合いが基本でございまして、そういうことをベースにいたしまして、合併に際して一定の職員の退職が事実上行われるということは法的には可能である、私どもこういうふうに考えます。
#75
○藤田委員 私は、そんなことはとんでもないことだというふうに思うわけなんです。一般的な合併においてはそういう解雇というようなことはないんだ、今回は何か特別だ、したがって解散をする組合がこういう形をとることについては法的に反していないというようなことを言われましたけれども、それは本当にとんでもないですよ。今回の合併は、市農協の経営陣の不正乱脈の事実と責任を棚上げにして、そして中央会や行政の責任もあいまいにしたままの合併なんです。だから、農水省御自身も遺憾を表明されたわけなんですね。それが職員に犠牲を押しつける形で解決をしていくというのはまさに本末転倒でして、しかもこんなことが許されたら農協経営の不健全化を一層助長する形になる。こういうことをきっちりしない限り、まさにこういうふうな不正乱脈な経営を一層助長してしまうという点からも、私はこういう解決の仕方は非常に問題があるというふうに考えます。
 それだけではないわけです。合併経営の計画では、市農協は合併と同時に出資総額の三分の二を減資することになっているわけなんですが、出資総額は十億八千百万円ですから七億二千万円が減資されるわけです。この中には全く議決権のない一万五千人もの准組合員の出資金も含まれているわけなんです。今はただでさえ国民は生活が厳しい状態にあるわけでしょう。ところが、出資限度額六百万円を出している人はそのうちの四百万円までが消えてしまうというようなことになるわけですから、私は、こんなことでは本当に豊田商事も顔負けの悪徳商法になってしまうと言われても仕方のないことだというふうに思うわけです。だから、こういうむちゃくちゃな合併計画を一度白紙に戻させて、関係者が十分納得のできる再建案を民主的に討議するべきだというふうに考えます。その点で農水省の御意見をもう一度お聞かせください。
#76
○青木政府委員 農協の合併につきましては農協法上行政庁の認可を必要とすることになっておりますが、先ほど申し上げましたように、鹿児島市農協につきましては行政庁の指導監督の立場は知事が当たることになっておりまして、今回の合併につきましても知事の判断におきまして対応されるもの、こういうふうに考えております。
 先ほども申し上げましたが、合併に際しての職員の扱いの問題は、やはり基本的に合併当事者である農協相互間の自主的な判断、特に今回は、鹿児島市農協のこれから非常な厳しい条件の中での再建計画を合併を通じて進めようというシリアスな問題でございます。そういう中で合併後の組合の事業に見合った適正な職員の配置というようなことを真剣に考えた場合に、その職員の規模をどうしなければならないか、そういうことから一部の職員についての退職問題もやむなしという判断が恐らく合併農協当事者間で話し合われているのだろうと思います。
 ただいま先生の御指摘の減資の問題、これにつきましても、まさに背景はそういう中で行われようとしているわけでありまして、これも改めて申し上げるまでもなく、農協法上は特別議決ということで、農協の総会におきます組合員の意思決定に基づいてそういう減資が選択されるわけでございます。そういう組織の自主的な判断に先んじて行政庁がその当不当を云々するのはいかがか、こういうふうに考えるわけであります。
#77
○藤田委員 知事の判断だとか農協相互間の問題だとかというような御答弁は、この鹿児島市農協というのは、御承知のように全国八位と言われるような非常に大きな農協であったわけですから、農水省がそういう態度で非常に傍観者的なことをおっしゃるのは、そのこと自身がこういうふうな問題を助長させるもとになってくると言わざるを得ません。いわば臭い物にふたをするというような態度に終始しているというふうに言いかえてもいいと思うのです。今回の不良債権の実態についてさえ全く明確にされていないわけでしょう。一部には政治家に対する政治献金もあるというようなうわさもありますけれども、そういうものを明確にしないまま市農協を消滅させてしまって、そしてその犠牲を労働者や出資者にしわ寄せさせるというようなことは本当に許せないことだというふうに思うのです。
 したがって、今回の合併には農水省自身もことしの二月から一緒に検討されているわけですから、農水省として大いにこうした面について基本に立ち返った立場、意思というものを持ってやられないと、農水省も一体になって臭い物にふたをした合併劇に加わっているというふうに言われても仕方がありませんよ。再度農水省のこの問題に対する厳しい姿勢、そういうものを明らかにしておいていただきたいと思います。
#78
○青木政府委員 先ほど幾つかの側面につきまして御答弁申し上げましたが、例えば先ほどの合併に際しての職員の扱い、この辺の問題も、違法性、合法性の問題の次元になれば、先ほどお答え申し上げたようなことだろうということを申し上げているわけでありますが、今回の鹿児島市農協の再建の一つの手法として、合併という手法を通じて再建を図ろう、これはやはり農協系統組織全体の信用保持の上から極めて重要なことでございますし、もちろん一次的に行政サイドの対応は知事でございますけれども、私ども国の立場において、現実に今度の鹿児島市農協の再建のあり方について私ども自身も真剣に考えて、関係団体、知事の皆さん方の御意見等も承りながら適切な指導にこれまでも心がけてまいっているわけでございます。
 先生御心配の農協の職員の問題等につきましても、これは基本的には当事者間の選択、判断の問題でありますが、先生の御心配されているような側面につきましても、より適正な方向があれば、そういうことにつきましては私ども国の立場において、いろいろ全体の鹿児島市農協の再建の路線に沿って指導の適正を期していきたい、こういうように考えているわけでございます。
#79
○藤田委員 時間が参りましたので、これで終わります。
#80
○玉沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#81
○玉沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案及び本日付託になりました内閣提出、森林法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査に入ります。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。塩川農林水産大臣臨時代理。
    ―――――――――――――
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する
  法律案
 森林法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#82
○塩川国務大臣 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 国有林野事業は、昭和二十二年に特別会計のもとで運営することとなって以来、それぞれの時代における社会的経済的要請にこたえて、その課せられた使命を果たしてまいりました。このような中で、国有林野事業の経営構造が悪化傾向をたどるに至ったため、昭和五十三年度には国有林野事業改善特別措置法が制定され、また、その後の情勢変化に対応して昭和五十九年度には同法の一部が改正されたところであり、現在、同法に基づき、昭和七十二年度までに経営の健全性を確立するという目標のもとに、改善計画に即して、その改善を進めてきているところであります。
 しかしながら、国有林野事業の現状を見ますと、諸経費の節減等によりその改善について一定の成果を挙げてきてはいるものの、最近における急激な円高等の影響もあり木材価格が引き続き下落・低迷していること、人工林の約九割が成育途上であり資源的な制約のもとにあること、借入金の利子及び償還金が増大しつつあること、当面要員調整の過程にあること等により、国有林野事業の財務をめぐる事情は一層厳しいものとなっております。
 このような情勢に対処するため、林政審議会の答申等を踏まえ検討を行った結果、自主的努力を基本として国有林野事業の改善の一層の推進を図ることが必要であると判断されるに至り、その改善措置の一環として、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、国有林野の保全に要する経費の一部について。一般会計から国有林野事業特別会計に所要の繰り入れを行うことができることとしております。
 第二に、借入金の償還金の財源に充てるため、借入金をすることができるようにするとともに、その利子の財源に充てるため、一般会計から国有林野事業特別会計に所要の繰り入れを行うことができることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 次に、森林法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 森林法第百八十六条の規定は、共有林について、その経営の安定を図るため、持ち分価額が二分の一以下の共有者からの分割請求を禁止しているものであります。
 しかしながら、本年四月二十二日、私人間の訴訟に関連し、最高裁判所は、森林が共有であることと森林の共同経営とは直接関連するものではなく、共有林の共有者間の権利義務についての規制と森林経営の安定という立法目的との間に合理的関連性があるとはいえないこと等を理由とし、この規定が財産権の内容を公共の福祉に適合するように法律で定める旨をうたった憲法第二十九条第二項に違反し無効であると判示したところであります。
 このように最高裁判所において違憲無効の判決が行われた以上、違憲状態を早急に是正する必要がありますので、森林法第百八十六条の規定を削除することとし、この法律案を提出した次第であります。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますよう、お願い申し上げます。
 以上であります。
#83
○玉沢委員長 次に、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案について補足説明を聴取いたします。田中林野庁長官。
#84
○田中(宏尚)政府委員 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一に、政府は、昭和六十八年度までとされている改善期間において、国有林野のうち、保安林等の公益的機能が高い森林における松くい虫の駆除その他の森林保全に要する経費で改善計画の円滑な実施に必要なものとして政令で定めるものの一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、一般会計から国有林野事業特別会計の国有林野事業勘定に繰り入れることができることとしております。
 第二に、国有林野事業勘定におきましては、改善期間において、国有林野事業の収支の改善に努めても、なお借入金の償還金の財源に不足を生ずると認められるときは、その財源に充てるため、借入金をすることができることとしております。
 第三に、この借入金につきましては、その利子の財源に充てるため、改善期間において、予算の定めるところにより、一般会計から国有林野事業勘定に繰入金をすることができることとしております。
 なお、このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上をもちまして、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#85
○玉沢委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#86
○玉沢委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。
#87
○串原委員 今日、緑や森林に対する国民的な関心が非常に高くなってまいりまして、山や森林が果たす国土保全などの公益的機能の維持、あるいはそれを守るための国民的要請がかつてないほどに強くなっておるわけでございますが、さらにこのところ地球的な規模で緑の危機が叫ばれている状態でもございますし、改めまして資源と環境問題が二十一世紀への最大の課題となっていることは御承知のとおりでございます。
 実は私は、かつてこの委員会でも国際的な援助の立場で触れたことがございますが、一年余前にアフリカを訪れる機会がありまして、トーゴ、エチオピア等々の国を訪れて、緑の大切さを改めてアフリカで教えられたのでございます。とりわけエチオピアの首都アジスアベバから北方およそ百八十キロの地点にあるメケレに伺いまして、飢餓に苦しむ多くの皆さんと話をしたり現場を見てまいったのでございますが、プロペラ飛行機で百八十キロ飛びます間、眼下にはほとんど緑がない、木がない。したがいまして、川という川に水がない、全部の川に一滴も水がない。驚くと同時に、私は、アフリカにおきまして緑の大切さ、水の重要性、それにかかわる環境問題をもっともっと考えなきゃならぬということを改めて教えられて帰ってきたところでございます。
 こういう地球的規模で緑を考えなきゃならぬと言われております状態の中で、国内の森林資源の維持培養を図りまして、環境維持と森林、林業、木材産業の活性化を図ることが緊急の政治課題と考えるわけでありますけれども、政府といたしましてこのような事態にどう対応する考えでありますか、まずその見解をお伺いしたいのでございます。
#88
○衛藤政府委員 串原先生にお答えを申し上げます。
 ただいま先生からエチオピアを訪れたその際の所感としまして、緑の資源を守らなければならない、そういう観点から御質問をいただきました。
 御案内のとおり我が国の森林は、木材生産の場としてばかりでなく国土の保全、水資源の涵養、保健休養の場の提供、自然環境の保全、形成等の面で重要な役割を果たしております。このような森林の有する多面的な機能を高度に発揮するためには、活力ある健全な森林資源を維持造成することが肝要でありまして、こうした観点から、森林の計画制度、また保安林制度等の適切な運用を通じて森林資源の維持培養に努めてまいったところであります。しかしながら、近年森林の有する諸機能に対する国民の要請はますます高まる一方、林業をめぐる厳しい情勢のもとで林業生産活動が停滞し、公益的機能の発揮にも支障が生ずることが懸念されておるところでございます。
 このような情勢を踏まえまして、昨年十一月十七日に取りまとめられました林政審議会の報告において、今後の森林整備については人工林の適正な整備に加えまして、第一点としまして、複層林の造成、天然林施業の展開及び広葉樹林の積極的な造成をしたい、第二点として、自然保護をより重視した森林施業の推進を図りたい、第三点として、森林の総合的利用の観点からの林地の立地条件に応じた多様な森林の整備を推進したい、第四点として、木材供給力を平準化するための伐採年齢の多様化、長期化等の方向を踏まえながら森林資源の維持増進に今後とも努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#89
○串原委員 真剣に取り組んでいきたい、山を大切にし、緑を重要視していく政治をより強固にしていきたいというお答えではございまするけれども、実は私どもそういう期待を持ちながらも、現実は今の山はどこの山も荒れておりまして、林業経営というのはまさに危機に瀕しているという状態であります。したがいまして、国有林野事業のみが経営不振に落ち込んでいるということではないのでございます。我が国の森林、林業、林産業全体が経営悪化を続け、林業生産活動が停滞しているのでありまして、一般林政の充実強化なくしては国有林経営の健全化は不可能であります。申すまでもないことでございます。政府は、この実態を見て、経営悪化の要因をどういうふうにとらえていらっしゃるのか、お示しを願います。
#90
○田中(宏尚)政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたように、国有林野の問題は単に国有林だけの問題じゃございませんで、日本林業経営全体の問題に深くかかわり合っている点が多かろうと思っております。
 それで、日本国全体の林業経営という点から申しますと、最近の木造住宅建設の伸び悩み等木材需要の停滞という中で、いろいろと外材等の問題もございますけれども、とにかく価格が傾向的に低迷してきているという問題と、それから造林等いろいろな人件費の面で非常に高くなってきておりまして、林業諸経費が増高してきている、こういうようなことが相重なりまして収益性が悪化してきているというふうに見ております。その中で、特に、こういう一般的な状況に比べまして、国有林の場合には、一つには資源上の制約から、現時点では残念ながら伐採量が減少してきている、それから賃金の上昇なり、あるいはここのところの要員調整ということにも絡みまして退職者がふえているということで、人件費関係の圧迫というものがかなりあること。それから、今まで借りてまいりました借入金の償還金なりあるいは利子、こういうものが相当多額に上っております。こういうものが相重なりまして財務状況の悪化をもたらしているというふうに見ておるところでございます。
#91
○串原委員 伺いますけれども、山、緑を守っていくということ、これを考える場合には、長い長い年月、長期的な視野に立って考えなければならぬ、これは議論の余地のないところでございます。特に、八十年、人によりますと百年ぐらいの長期計画で考えなければだめなんだ、山は守れない、こういうふうに言われておりますけれども、政府は、山を大事にしていこう、守ろうという施策を樹立いたします場合におよそどのくらいの年限、長期的視野に立って物を考えていくのですか。
#92
○田中(宏尚)政府委員 ただいまお話がありましたように、非常に長いタームで考えなければならない経営でございますし、政策目標といたしましても物によりまして、例えば資源長期計画等につきましては二十一世紀を見通すというようなことでかなり長期になっておりますし、それから当面の国有林問題については七十二年を一つの目標年次にするとか、いろいろそれぞれの政策志向の視点によりまして計画年次は違っておりますけれども、少なくとも国民から負託されております貴重な財産でございます森林、しかも、これからますます都市化の傾向が全体として強くなった中で緑を守っていく必要がございますので、短期的な問題はもちろんでございますけれども、先々のことを十分頭に置きながらいろいろな施策の展開に意を用いてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#93
○串原委員 したがって、山を考えます場合に、十年や二十年程度の損得、収益だけで物を判断すべきではない、私はこの立場に立って、以下また伺ってまいります。
 そこで、一九七一年三月二十五日衆議院の農林水産委員会におきまして、立派な内容を持つ林業振興に関する決議が行われております。これは承知しておりますね。
#94
○田中(宏尚)政府委員 十分承知しております。
#95
○串原委員 時間がかかりますから、この内容を詳しく触れることはやめることにいたしますが、手元にあるこの決議を読んでみますと、内容はまことにすばらしいことを決議している。一九七一年ですから昭和四十六年ですね、十五年ほど前、まさに今日的なことを指摘をしているわけですよ。大事な山が危機に陥るよということを予見して重要なことを決議している。例えば、造林の拡大と造林内容の充実を図れ、あるいは国が行う民有林野の分収造林等に関する制度的な措置を検討してその実現に努めろ、あるいは公共性の強い林道等については国の補助を高いものにしなければだめだよ、あるいは政府の責任において外材輸入の適正な調整機能を発揮するように努めなければいけませんよ、また、日本林業の担い手である林業労働者が山に定着できるような諸政策に真剣に取り組め、あるいは最後に、いろいろな諸施策を実現するために一般会計から国有林野事業特別会計への繰り入れ等、必要な財政金融措置を積極的に講じなければだめだよ、こう書いているじゃありませんか。決議されているのであります。十五年前に決議をされた先輩各位の努力にも敬意を表しますけれども、特に今日の山が大変な事態になることを想像しながら決議されているわけですね。
 しかし、率直に私は質問をいたしますけれども、十五年前こんな立派な決議を先輩がしてくれているのに、見るところどうも政府は忠実にこの決議に沿って汗を流してきたとは言いがたい。いろいろな政策、施策を講じてきたとは言いがたい。諸対策、施策を講じ得なかったということは何かネックはあったのですか、怠慢だったのですか。
#96
○田中(宏尚)政府委員 昭和四十六年三月二十五日の農水委の決議に従いまして、我々もその後政策努力というものは積み重ねてきているわけでございまして、例えばあの中で提示されておりました分収造林等に関する制度の工夫でございますとかいろいろな投資でございますとか、あるいは一般会計からの繰り入れ等につきましてもその後徐々に拡大はしてきているわけでございます。しかし、残念ながら四十六年以降オイルショック等を契機といたしまして国内の木材需要、その根幹をなします住宅建設戸数が大幅に低下するとかいうことに関連いたしまして材価が低迷してきたというような客観的、外在的ないろいろな要因の悪化ということもございまして、我々の努力が十分に効果をあらわさなくて現在のような苦しい事態に再び追いやられているという点につきまして、我々といたしましても非常に胸を痛めておるわけでございますけれども、十五年前にされたああいう決議というものもございますので、微力ではございましたけれども、従来もいろいろな施策は積み上げてきたつもりでございます。
#97
○串原委員 ただいまの答弁、私は不満ですね。弁解にしか聞こえない。オイルショックがあってどうも金が足りなくなりましたというような話、どうも輸入が多くなって価格が下がりましたという話、いろいろありましたが、その要因をなおかつ乗り越えてあの決議に沿った努力をいたしませんと山は守っていけない、こう思うのであります。十分にあの決議に沿って努力してきたという足跡が見えない。努力して汗を流したという実績は見られない。まことに遺憾でございますが、より一層、今度の法案提出もございますから、みんなで力を合わせて頑張っていかなければならぬ、改めて決意をしていくべきだと思っているわけでございます。したがいまして、あの決議をより前進させていきますために、以下さらに質問を続けてまいりますが、そこで国有林野事業の使命について伺いたいのでございます。
 現在の改善計画におきまして、国有林野事業には国土保全等の公益的機能の発揮、それから木材の安定的な供給あるいは農山村地域振興、大きく言ってこの三つの使命を持っているわけでございますし、その改善計画にも掲げられているのでございますが、この使命につきましては林業基本法等でもきちっと明記されていない嫌いがある。しかも改善特借法そのものでも明らかになっているとは言いがたいと私は思っているのであります。したがって、これらの三大使命に加えまして、今日特に要請の高まっておりますところの教育、文化機能の高度発揮ともいうべき使命を加えましてこれらを法定化し、国有林の経営目的をきちっと明確化すべきではないかと考えるのでありますけれども、見解を承りたいのであります。
#98
○衛藤政府委員 お答えを申し上げます。
 国有林野事業の使命については、御案内のとおり林業基本法の趣旨を受けて国有林野経営規程において規定を見ておるところでありますが、従来より国民経済及び国民生活の上で重要なこれらの使命を十分に果たしてきたのではないかな、このように考えておるところでございまして、串原委員の御指摘の、いわゆる新しい機能についての使命の法定化を追加するということについてはいかがなものであるかと考えておるところであります。
 また、森林の持つ教育、文化的機能については、国有林野事業の使命の一つであります公益的機能の発揮にかかわる領域の中に含まれているのではないか、このように認識をしております。
 このような認識に立ちまして、今御指摘をいただきましたことにつきましても十分考慮しながら国民的な要請にこたえてその機能の積極的な充実に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#99
○串原委員 私が申し上げました教育、文化機能の発揮、このことは公益的機能の発揮という中に含まれるのではないかという意味の答弁が今ございましたが、そうであるとするならば、より強化し補強する意味で、教育、文化機能の高度発揮ということを公益的機能の発揮の中に含めながらも、やはり国有林野の使命の中に新しく加えていくという姿勢をとるべきではないのか、こう考えます。いかがですか。
#100
○田中(宏尚)政府委員 考え方なりスタンスとしては先生と全く我々同じでございますけれども、先生御承知のとおり、現在の林業基本法におきましても、例えば国土の保全、その他公益的機能ということで、国土の保全という公益的機能の中で一番大きな機能というものを例示しまして、あとを公益的機能ということでくくっているわけでございます。したがいまして、先ほど来御議論のございます教育、文化的機能、これももちろん重要な公益的機能の一翼でございますので従来からこの中に含んでおりますし、それからここのところのいろんな世の中の移り変わりからいいまして、ますますその機能の重視ということが必要になってきておりますので、実行面なり対策面、政策面におきましては従来以上に十分力を加えて進めたいとは思っておりますけれども、法律上はただいま言いましたことで、へ理屈になりますけれども、公益的機能ということで十分入っているというふうに我々としては認識しているところでございます。
#101
○串原委員 しかし、含まれているということと法律の中に文言がきちっと明記されていくということは、実は非常に大きな意味があるわけです。これは御理解を願えると思っています。含まれているということと、教育、文化機能という文言が法律化されることは同じではない、大変な差がある、こう思うのであります。今御答弁のような姿勢でありますならば、もっと積極的にこの問題に取り組む準備をなさったらいかがですか。含まれているということではなくて、教育、文化機能というものは、年とともに必要度がより高まってくるだろうと私は思う。そこに、ある意味では公益的機能の重さというものが加わってくる。そういう意味で法律の中に文言が入るか入らないかということは、二十年、三十年後になってくると必ず大きな違いが出てくる、こう私は確信するわけでおります。その意味でもう一度御答弁ください。
#102
○田中(宏尚)政府委員 現在の公益的機能と称される中にも、例示してございます国土の保全というもののほかに、例えば保健休養でございますとか、いろいろ国民のニーズの高い機能というものを総括して公益的機能としてやっているわけでございます。したがいまして、そのときどきの時代の要請というものをビビッドに我々としても受けとめまして、ここのところは特に教育、文化的機能の要請が高まってきておりますので、政策面におきましては、できるだけそういう方向を志向した態度というものを十分とってまいりたいと思っております。
#103
○串原委員 ここのところでやりとりをしていて時間をとってもどうかと思いますから、それだけ積極的な姿勢をお持ちならば、私の申し上げた趣旨を踏まえてより検討をしてもらうことを要請をして、次に移ることにいたします。
 政府は、一九八四年の特措法改正に当たりまして、改善期間の延長と職員退職手当の財政措置によりまして国有林野事業の財政再建が可能だとして、一定の前提条件に立ったものではありますが、昭和七十二年度までの財政の長期見通しを示しました。それがわずか三年でまた破綻をしたということになりまして、再度特借法の改正が提案されているわけですね。そんなに長い期間でないのにまた見通しが狂うことになったその要因は何か、お答えください。
#104
○田中(宏尚)政府委員 三年前にいろいろな苦労の積み重ねで経営改善計画を改訂、強化したわけでございますけれども、三年というある意味では短い期間でまた改訂に至ったわけでございますが、その経緯といたしましては、先ほども申したことでございますが、一つは、何といいましても木材価格が現行改善計画策定以降も引き続き下落しておりまして、特に一昨年以来の急激な円高、しかも円高が定着してきているということの影響というものもぬぐい去れない大きなものになっているわけでございます。
 それからさらに、ただいまございました教育、文化機能でございますとかあるいは保健休養機能、そういういろいろな多面的な要請というものが森林経営につきまして世の中から出てまいりまして、そういうものとも裏腹となりまして森林整備方針というものを転換せざるを得ない事態となってまいりまして、そういうことの帰結といたしまして、伐採予定量というものも当初の計画より残念ながらある程度減少せざるを得なかったという事情もあるわけでございます。
 そのほかに長期借入金の償還金なり利子の負担なり、あるいはこの三年間いろいろな方々の努力も得ながら要員調整に取り組んできたわけでございますけれども、要員調整期間中には退職金の負担でございますとかそういうものもございますし、まだその要員調整過程にある、改善途中にあるという状況もございまして、三年前につくりました現行経営改善計画というものを、現時点でもう一度根っこから見直してみなければ将来の国有林というものを十分に守り切れないという判断に立ち至った次第でございます。
#105
○串原委員 今回で経営改善の見直しは三度になるわけですが、このことは、国有林野事業の赤字は我が国の林業の構造的要因によるものである、この構造的問題の打開がなければ再建は不可能であるということを今日までの経過、歴史が具体的に教えておると思うのです。つまり、外部要因、構造的要因である一般林政等の充実強化について早急に具体化しなければだめだと思うのでありますけれども、さらにこのことについて、内部要因だけでどうにもならないものである、構造的要因を解決しなければだめなんだということを踏まえて、その立場に立って、その解決のためにどう取り組もうとするのか、お答えを願います。
#106
○田中(宏尚)政府委員 国有林野事業の健全な発展を図りますためには、自主的努力をあくまでも基本としながら所要の財政措置を講ずるということで何とか経営改善を進めていきたいと考えておるわけでございますけれども、しかし、先生からもただいま御意見がございましたように、我が国国有林のこういう諸問題は、単に国有林の問題じゃなくて、我が国林業なり森林を取り巻きます構造的な問題に密接にかかわり合っておる点も多いわけでございます。そういう観点から言いますと、国有林野事業の経営改善努力とあわせて、何といいましても一般林業施策の充実強化ということが不可欠でございますので、そういう点につきましても全力を傾注してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#107
○串原委員 私は、今日では内部だけではもうどうにもならない、むしろ内部よりも構造的要因によって山の経営、国有林の経営が苦しくなっておるということを、きちっと内外に理解してもらえるように政府は説明をするときにはする、話をするときにはする、こういうことでやっていかなければどうにもならないと考えておるわけであります。これからも自助努力を主体にして経営改善をやっていくということではもう不可能だということは明白なんですから、構造的な要因を取り除く、解決するために積極的な施策を講ずるということでなければ国有林の経営改善はできない、このことをこの際明確にお答えいただく中でこれからの取り組みに汗を流してもらいたいと思うのであります。いかがでしょう。
#108
○田中(宏尚)政府委員 今回の特措法の改正提案自体が、自助努力だけでは当面円滑にいかないということの国民に対する問いかけでございますし、先ほど来申し上げておりますように、構造的な問題が根っこにあることも我々重々承知の上でございますので、各種の予算、施策というものもそういう方向で充実し、国民にもいろいろな形で緑なり森林を守るということに参加していただきながら、何とか林業全体を立ち直らしてまいりたいと考えているわけでございます。
#109
○串原委員 林野庁が林政審に提出した資料と言われるのでありますけれども、それを見ますと、自己収入の主たるものが林野、土地売り払い、分収育林事業及び民間資金導入であり、改善期間の最終年度である昭和六十八年度と収支均衡年度の昭和七十二年度を見ますと、六十八年度の自己収入に占める割合は三六%、それから七十二年度には実にそれが五七%という数字が出ているわけであります。特に問題なことは、林野、土地の売り払いによる財政収入、財政運営であるところであります。
 国有林野等は、昭和三十年代当初からの高度経済成長期における過密過疎、都市開発、農林構造改善事業等によりまして、用地の分散、小団地化、不要な土地を処分するというようなことも確かに進行してきたことは事実でありましょう。しかし、一方では公園緑地化、公共施設等の土地需要、保健休養、レジャー等への多様な国民的要請が高まっておりまして、このことは二十一世紀に向けて、需要あるいは要請がより一層高まってくるでございましょう。したがって、我が党はそうした国民の要請にこたえていくべきだ、こう考えておりますが、しかしその場合であっても、国有林野は国民共通の財産でありまして、森林資源の基盤でありますから、民間企業と同じようにちょっと赤字になったから山を売る、財産を売る、そしてそれを穴埋めにする、こういう発想はまことによろしくない、将来のためにまことに遺憾至極なことである。そうではなくて、先ほど申し上げましたように構造的要因があるわけでありますから、これこそ一般会計からの繰り入れによって収支を考えていくべきではないのか、こう思うのでございます。いかがですか。
#110
○田中(宏尚)政府委員 林地なり土地の売り払いによる収入増ということをもちろん相当額見込んでいるわけでございますけれども、これもただいま先生から御指摘ありましたように、土地の切り売りによって単に収益を上げるというスタンスで取り組むわけではございませんで、特に林地につきましては公用、公共用を初めといたしまして、地域振興なり地域の社会福祉というものの増進につながるものにつきまして限定して処分し、しかも国有林野事業との調整というものを十分踏まえながら対処してまいりたいと思っているわけでございます。
 しかし、先ほど来申しておりますように、ここのところの材価の低迷なり伐採量の制限という全体の苦しい中でいろいろな自助努力もやっていくわけでございますが、そういう自助努力の一環として、国有林野に所属しております林地、土地全体の利用状況なり賦存状況というものもこの際きちんと見直しまして、その中で不要不急なもの、それから公用、公共用に提供しても国有林野事業とそごを来さないようなものにつきましては、こういう時期でございますから、現金化するというようなことも経営改善の一つの大きな柱として考えているわけでございます。
 そういう中で、そういうこそくな手段をとらないで一般会計からどうかという御指摘でございますけれども、我々といたしましては国全体の三割を持っているいわばビッゲストな地主でございまして、この山林所有者がみずからの経営努力、みずからの木材収入で林業経営、国の場合には国有林経営でございますけれども、これを何とか経済的にも成り立たせることが一つの使命でございますし、それがあって初めて国全体の林業経営も成り立つあかしにもなってくるわけでございますので、一般会計に安易に依存することなく、何とか自主的な努力をぎりぎり積み重ねてまいりたいと思っているわけでございます。
 しかし、もちろんそれだけではなかなか経営改善ができませんので、ただいま御審議いただいておりますように、現実的な方途として一般会計からの繰り入れの新しい道でございますとか財投資金の活用という財政措置を、こういう苦しい財政状況ではございますけれども、大方の御理解を得まして積極的に講じているところでございます。
#111
○串原委員 私の手元にある資料によりますと、昭和六十八年度の借り入れを除いた自己収入の予定が三千四百四十億円、このうち林産物収入が千九百二十億円、あとは林野、土地の売り払い、分収育林等民間資金等々含めて三六%がその部分である。七十二年度、自己収入五千三百億円を予定している。驚きますことに、五千三百億円の五七%が林野、土地売り払い、分収育林等の民間資金を含めた、自分の山から産出する林産物ではないお金であります。私は、こんなことになったら大変だと思っておりますし、こんなことは具体的に実施させてはいけないと思うのであります。そんなことを今から想定して国有林経営をやるのですか。
#112
○田中(宏尚)政府委員 ただいまの数字は、恐らく林政審議会でいろいろな議論の過程で、単純に現状を前提にして試算したらどうなるかとか、いろいろな数字の一環としてお出ししたものだろうと思いますので、具体的数字についてはコメントを差し控えますけれども、大方の方向といたしまして、林産物収入に加えて林地なり土地の収入のウエートがかなり高いという傾向的な形としては御指摘のとおりでございます。しかし、国有林野経営といいます際に、通常の林産活動に加えまして七百万ヘクタールを超える貴重な土地という財産も保有しているわけでございますので、こういうものの活用も我々国有林経営の一環であるということでございまして、別に赤字対策オンリーから土地の処分なり貸し付け、利活用というものを図っているわけでございませんで、そういう土地と森林と一体としての林業経営としてどうやって健全な体質に持っていくかということで、いろいろな収支なり見方ということを試算したところでございます。
#113
○串原委員 そうしますと、林政審等々で具体的な協議をする場合に、こういう方法もあります、こういうふうにすればこうなりますと何通りかの長期収支の見通し、つまり試みの計算を出した、私の申し上げた資料はその中の一つだ、こういうことなんですか。
#114
○田中(宏尚)政府委員 先ほど先生がお話しになりました数字と私の手元のものと引き合わせてみますと、林政審の国有林部会でいろいろ出しましたものと同一でございますので、恐らくその一つの事例の数字かと思っております。
#115
○串原委員 なるほど、それならばある程度私は理解できます。それはこういうふうにやればこうなります、こういう場合にはこうなりますという話であるならば理解できるし、そういう点で検討する際の材料にいたしましたということならばわかりますが、それならば改めて私はこの際長官に伺っておくのでありますけれども、今年度、六十二年度は、例えば林野、土地売り払いを挙げますと六百十五億円、これを予定しておる。ところが、私が先ほど指摘をしましたように、七十二年度になると千九百億円、確かに数字は間違いないと思うのですけれども、私の手元にあります資料によりますと、林野と土地の売り払いが千九百億になる。これはどうもいいことではないと思いましたから私はあえて質問したのでありますが、検討材料にした一つでございますと言うのであるならば、長期収支の概算見通しはあのときの材料でした、こういうふうにはいたしません、しないつもりであります、こういうことなんですね。
#116
○田中(宏尚)政府委員 六十八年なり七十二年なりの収支見込みをどう立てるかということは、実は技術的にもあるいは考え方の上でも、さらには政策的な点でもいろいろと難しい問題があるわけでございます。
 それで、何といいましても最大の前提になります財貨の動きというものが七十二年までにどういうふうに年々変動していくかということは、こういう急激にいろいろなことが変わってまいる事態でございますので、そういう中で明確な将来の収支、したがってその中で土地をどれだけ売って、どれだけそれで自己収入を得るかというような厳密な意味での収支計算というものは、複合的といいますかいろんな因子の上に立って試算はもちろんしておりますけれども、確定的なものとしてこれということには、現時点では余りに変動要素が多いので公表できるようなものとはなっていないわけでございます。
 ただ、ただいま先生から御指摘ありました土地関係の収入の将来見込みにつきましては、そういう数字について林政審議会国有林野部会に一度提出して御議論願ったことは確かでございますけれども、これにつきましてもその時点でいろいろな御議論があり、それと同時にそういうものの実行可能性についても、これから本法律が成立いたしますれば経営改善計画全体の改訂、強化という実務的な作業にも入りますので、そういう段階でさらに詰めていくというような性格のものでございますので、あの数字につきまして現時点で私の方から過多である、過少であるということを論評することはかえって議論が混乱するのかと思いまして、差し控えさせていただきたいと思います。
#117
○串原委員 わからないこともありませんからこれ以上具体的な数字を追及いたしませんが、しかし、今申し上げましたように、今年度は林野、土地売り払いが六百十五億円、自己収入の二〇%程度である、それが七十二年度になったら半分以上になるんですという土地売り払い、財産処分の姿勢は賛成できない。どんなことがあっても今年度寸らいしかパーセントをふやして植いけないと私は思う。財産を売るなんという話はそんなに簡単に考えてはいけない。先ほど申し上げましたように、これから教育、文化的な立場からますます山が大事にされる時代になってくる、そういうことを考えるとますますそういうふうに思う。もっともっと大きな立場、高い立場に立って財政運営を考えなければならぬ時代に来ているのだから、きちっと農林省も腹を据えて取り組んでもらわなければ困る。簡単に財産を売ればいい、山を売ればいい、それではいけない、こう思うのでございます。
 そこで、確認をさせていただきますけれども、七十二年までに土地の売り払い、林野、山の売り払いはどのくらいな面積を考えているのか、あるいは資産処分を考えているのか、計画があったらお示しください。
#118
○田中(宏尚)政府委員 林地なり土地の収入につきましては、今御指摘ありましたようにいろんな試算をしておりまして、相当量見込む。特に日本のこういう狭隘な土地で、人口増という問題もありますし、それからいろいろとこれから保健休養あるいは教育、文化と国民の多様なニーズが出てまいりますので、林地に対する林業経営以外の需要というものが相当強くなってくることは明らかかと思っております。しかし、これを各年度どれだけ具体的に売っていって、七十二年度までの集積として七百万ヘクタールになるかというような積算につきましては、先ほど来申し上げておりますように、収入自体がいろいろ変動的でございます。したがいまして、それに対応いたしましてどれだけ林地なり土地というものを売っていって収支相償うかというようなことも変動的でございますので、現段階で公式的なものとして何ヘクタールを七十二年度までに予定しているということは残念ながら申し上げられる段階にないわけでございますけれども、ただ少なくてもいろんな森林に対する国民のニーズというものがふえてまいりますので、林地に対します要望をいうものが強くなりまして、売り払い面積というものもある程度ふえてくるということだけは確実に見通せるんじゃないかという感じがいたしているわけでございます。
#119
○串原委員 公共的な立場、教育、文化という立場から、時には財産処分しなければならないことがあるだろう。けれども、私の申し上げおりますことは、経営の立場から、金が足らなくなったから財産処分をする、この姿勢だけはやめなければいけません、こういうことを強調しているのであります。そのとおりです、そういうふうにいたしますというふうにお答えできませんか。
#120
○田中(宏尚)政府委員 経営体でございますので、経営的立場も念頭に置きながら、第一義的には林地なり土地の公共性、公益性という点で処分なり貸し付けというものは考えてまいりたいと思っております。
#121
○串原委員 今若干の質疑をいたしましたように、大変に山の経営は厳しい、国有林の経営事業も大変に内容は厳しい、こういうふうに理解できるわけでございますけれども、時間が参りましたから端的な聞き方をいたしますが、木材販売政策を見直すべきではないか、こう思うのであります。時間がありますれば、ここに若干の資料がありまして、立木の販売の数字、製品の販売の数字等々も年度別にありますからこの数字に基づいて伺おうと思いましたが、それは省略をさせていただきまして、この数字を見ますと、一般競争契約、それから随意契約、この数字がここにありまするけれども、この数字で見ます限り、一般競争契約の場合の方が非常に高く売れている、随意契約の場合は値段が安い、率直に申し上げますと。若干の経緯があるでしょう、歴史もあるでしょう。けれども、国有林経営の健全化、例えば申し上げてまいりましたような経営改善を含めますと、この立木の販売にしても製品の販売にいたしましても、販売のあり方をこの際変えなければならぬときに来ているのではないか、こう考えるわけであります。これはいかがですか。
#122
○田中(宏尚)政府委員 国有林の経営改善に当たりまして、立木の販売方式、これを見直すということは肝要かと思っております。
 ただいまお話ありました一般競争入札と随契との関係でございますけれども、一般的に申し上げまして一般競争契約は、御承知のとおり競争心理というものが微妙に影響してまいりますので、例えば需要が旺盛なとき、こういうときには値が非常に開くわけでございます。そういう不安定さがありますと同時に、逆に不況時になりますと不落率が非常に高まるということで、ここのところの国有林の不落率というものも残念ながら一般競争契約の面ではかなり高まってきているわけでございます。一方、木材市場が買い手市場、これは現在の状況がそうでございますけれども、こういう中になりますと、安定的な販路の確保でございますとかあるいは地場の国産材市場の育成という点から見ますと、むしろ随意契約によって安定的な販売関係を継続していくことが長期的な点で見て有利販売につながるという観点もございますので、物の性格なりあるいはそのときの需給事情ということからいって、どちらがいいとはなかなか一概に言いがたいわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも何とか有利に安定的に国有林材を販売していくことが緊要でございますので、木材の需給動向なりあるいは地域の林産業の動向というものを十分見きわめながら、効率的な販売に従来以上に意を用いてまいりたいと思っております。
#123
○串原委員 国有林の経営が大変であるということであれこれと知恵と力を出さなければなりませんけれども、今まで質疑を若干してまいりましたように、国有林野は国民共有の財産でありますから、その基盤整備、公益的機能維持のためのお金というものは、本来社会資本をつくるんだという立場に立って、必要なお金はできる限り一般会計で負担する、こういうことをこの際きちっとしなければいかぬ。私は、今度の法改正の中でも若干の配慮はされているけれどもまことに少ない、配慮が足らないと思っておる者の一人であります。現時点での一般会計繰り入れの総額は百二十億円くらいでしょう。この程度では本当の公益的事業であると政治が配慮しているとは言いがたい。民有林の場合は、保安林以外の造林におきましても補助融資の制度があります。あるいは利子補給もあります。それは結構なことであります。けれども、国有林事業にはほとんど配慮されていないということが実は今まで間違っていたということに気がつかなきゃならぬ。保安林、治山、林道、保健休養あるいは育種等の費用はもちろん、あるいは造林、林道災害復旧等についても、今まで議論してきた立場に立ちながら、この際思い切って一般会計で負担をする。つまり国民みんなが負担をしていこう、水を確保するためにもそれはやむを得ない負担であるという立場から一般会計による経営改善、このことをより考えていくべき大事な時期に来ているのじゃないかと思う。私は、改めて伺う次第でございます。
#124
○田中(宏尚)政府委員 こういう財政上厳しい御時世ではございますけれども、先生御承知のとおり、従来からのいろいろな積み重ねで一般会計の繰り入れの道を開いてきたわけでございます。従来から事業施設資金でございますとか退職手当、こういうものにつきましては財投からの借り入れ、あるいは保安林内の造林なり基幹林道については一般会計からの繰り入れ、それからさらには退職手当についての借り入れに対する利子補給というものをやってきておりますし、それから治山事業につきましては、特に公共的な性格にかんがみて全額一般会計の国費をもって国有林野内の治山事業も行うという仕組みを確立しているわけでございます。しかし、これだけではなかなか経営改善の実が上がらないということで、今回の特措法の改正によりまして三点ほど国の財政の道を広げたわけでございまして、こういう厳しい中でせっかく広げられました道を十二分に活用いたしまして、何とか国有林野の経営改善に邁進したいと考えておるわけでございます。
#125
○串原委員 今回の特措法の方向は、私はそれなりに評価はいたしますけれども、強く申し上げておりますことは、この程度では本当の公共事業である山を守る、国有林を守ることにならないじゃないか、こういうことを言っているのであります。
 ちょっと具体的に伺いますけれども、財投からも金を借りていますね。けれども民有林の融資年限と随分違う。国有林の場合と違うでしょう。利子も違う。質問の時間がなくなりましたからちょっとはしょって質問いたしますが、民有林に貸し付ける場合の利子は三・五ぐらいじゃないですか。国有林は六・八%、七%ぐらいじゃないですか。これは山の管理ですから、民有林に対する貸付利子が低いこと結構、長期間であることも大変結構だけれども、それと街並びになぜ国有林をできないのか。やらなければ無理じゃないですかね。そうでないから経営が大変苦しくなるわけですよ。膨大な借入金に対する利子だけだって大変なお金になる。簡単なことじゃありませんか、本当に山を大事にするという視点に立つならば。これは改正できませんか。
#126
○田中(宏尚)政府委員 民有林に関するいろいろな金利制度と国有林の財投との比較でございますけれども、これはいろいろな見方があろうかと思いますが、他の財投との均衡、それに比べまして国有林は、先ほど来申し上げておりますように我が国の三割の森林を持っている大規模森林経営者であるという性格もあるわけでございます。それから、金利水準なり助成の厚さを判断する際にも、例えば金融で申し上げますと、民有林金融の場合には、貸付金の限度額も所要事業費の八割とか九割というふうに限定されておりますけれども、国有林の場合には全額借入対象になっているとか、あるいは貸付対象の事業費も、民有林の場合ですと制度金融では工事費なり一部の雑費に限られておりますけれども、当方の場合には定員内職員の給与まで含めまして全経費が貸付対象になっている。そういうことを総体として考えますれば、民有林と遜色ない財投措置が行われているわけでございます。
 それから、今回の法律改正によりまして、償還金の借りかえ、そして借りかえに対する利子補給は、そういってはあれでございますけれども、実質償還期間の大幅延長と実質金利の引き下げということをこういう借りかえ、借りかえに対する利子補給ということで実現できたと考えておるわけでございます。
#127
○串原委員 実はあと数点伺いたいと思っておりましたが、時間が参りましたので最後に次官に伺うことにいたします。
 内需拡大ということが今叫ばれている。総理大臣以下閣僚が各国へ参りましてそれぞれ約束をしてきた。五兆円以上、大変大きな補正予算を組みましょう、内需拡大を図ります、こういう約束をしてきた。これは具体的になってきた際にまた質疑をいたしますけれども、それと関連して、本当の意味の内需拡大は何か。これは議論のあるところですけれども、山を守る事業にこそ内需拡大のために思い切った投資をこの際すべきである。ちょっと言い方がいいか悪いかわからぬけれども、山を守るためには絶好のチャンスだと私は思うのですよ。腹を据えなければいかぬと思っている。遠慮することない。内需拡大政策に向けて農林省はこの際こういうことをやりたいと思っていますというお考えがあったら教えてください。
#128
○衛藤政府委員 まさしく御指摘のとおりでありまして、山を守ることが内需拡大の近道である、まさにそのとおりであると思います。また、これから高齢化社会を迎えるに当たりまして、いわゆる高齢化社会がソフトランディングをする地域はどこか、それは山村であり農村であり漁村である。とりわけ私はそういう意味で山の役割というのは大きい、このように考えております。また、内外ともに内需拡大を迫られている今日、まさに絶好のチャンスでありますから、農林水産箱といたしましても山を守る、緑の資源を守る、そこにしっかりと地歩を築くためにあらゆる努力をしてまいりたい、このように考えておるところであります。
#129
○串原委員 終わります。
#130
○玉沢委員長 竹内猛君。
#131
○竹内(猛)委員 ただいまの串原委員に引き続いて御質問を申し上げますが、なるべくダブらないように避けていきますから、ひとつしっかりした答えをしていただきたいと思うのです。
 国有林並びに森林の重要な任務についてはもう既に話がありましたが、教育的、文化的なそういう役割をしているということをあちこちで言っているにもかかわらず、それが基本的な文章の中に入ってこない、入れてはいけないということはないと思うのですね。なぜそこを拒否するか、おかしいじゃないないですか。
 例えば林政審の六十一年十一月十七日の報告、ここにも文化的、教育的云々なんというようなことを二十三ページに書いてありますね。それをこの際これから大いにやっていこうというのにそれを拒否する、まずいということは、一体どこかに邪魔するのがいるのかいないのか、まずそのことから聞きたいのです。
#132
○田中(宏尚)政府委員 別段何も邪魔する点もございませんし、我々といたしましては教育的、文化的機能というものを最近の世の中の流れに応じまして積極的に取り入れていっておりますし、ただいま御指摘ありましたように、林政審におきましても高らかにうたっているわけでございます。しかし、法律上の文言というごく役人的な話で恐縮でございますけれども、法律上は公益的機能ということで、いろいろな多様な公益的機能を包括して書いておるわけでございます。林政審の中にもございますように、公益的機能の中には教育的、文化的機能のほかに保健休養でございますとかあるいは自然観察でございますとか、いろいろそういう多面にわたる機能があるわけでございまして、そういう重要な機能を一々例示しなくても、大きく公益的機能であることには間違いがございませんし、それに最大の重点というものを置いて進めるべき性格でございますので、法律上書く必要までは必ずしもないのじゃないかということで先ほど来お答えしているところでございます。
#133
○竹内(猛)委員 時間がないからそういうような余裕がないということになれば、いずれまた山を議論するときには、邪魔にならないものだったらはっきり書いて、そして文化的、教育的、そういう機能を果たすためには予算も必要であろうし、そういう施設のためにいろいろなことも必要であるから、それは邪魔にならないものなら大いにつくったらいいですよ。軍事基地をつくれというなら問題があるかもしれないが、レクリエーションのいい場所をつくれ、山村を開発して住みよい地域をつくっていくということに対して何も別にはばかることはないじゃないか、これは要請をしておきます。
 それからもう一つ、今串原委員から言ったように、今日の日本の農山村が置かれている状況というものは、農業もそうですけれども、去年の段階から見ると違ってきたと思うのです。OECDに加藤大臣が行ってきょう帰ってこられるし、中曽根総理はこの間アメリカに行っていろいろな約束をしてこられた。その中に内需拡大ということと、農業問題に関していろいろな意見が国際的に出ている。これに対して内需拡大は五兆円以上の補正をやる、こういう約束をしてきた。そして日本は約束はするけれどもやらないじゃないか、実行をしろ、こういうふうに言われている。そうなると、一番社会施設がおくれているのは一つは農山村地帯だろうと思うのです。都会で住宅をつくるために土地の価格の問題や何かに対して努力をすることも結構です。やらなければいけないが、同時に同じように農山村に目を注いでいく。
 それからもう一つは、四全総が東京を中心に一極中心の方針を出したけれども、これに対して猛烈な反対があって、やはり多極化にしていこう、僻地の方にも手を伸べよう、こういうことでこの点についても一つの方向が示されるだろうと思うのですが、いずれにしてもそのようなことを前にして、そして先ほどの話のように、山林が受け持つ役割は木材の生産もあるし、水や緑を守るということもあるし、国土を保全する、あるいはレクリエーションなり文化施設、鳥類を保護していくというようなこともあるわけであって、そういう役割が明確になっていると思うのです。
 そういう中で、私はこの際前段でまず内需拡大の問題に関連をして、去年の八月の台風十号というのは、私の茨城県に関する限り、小貝川等々のはんらんは三十年来のはんらんであったと言われている。そして大変洪水が出まして七百億以上の被害が出た。それに関連をして、建設省の皆さんの努力があって二百二十億以上の河川工事をやりました。ところが、今度はその洪水の出た場所がことしは四十年来の干ばつになっております。五月の十三日までに約五千ヘクタールの水田に田植えができなかった。きのうささやかな雨が降って幾らか川の水がふえたけれども、それぐらいでは到底満足ができない状態でございます。
 こういう状態の中で、朝日新聞の十三日の論説の中にもあるように、ダムの建設ということは非常に大事なことである。茨城県の方にはダムが余りありません。幸いに霞ケ浦用水の中で一つ大きなダムが真壁町にできますけれども、これは今工事中であります。もう少しダムをつくっていくというような工事がやはり内需の拡大と関連をして大事だと思うのです。そういう点で、現在の渇水に関連をして、建設省として河川の改修等もやられておるが、その努力は今どのような形になっているのか、ちょっとお答えをいただきたいと思うのです。
#134
○角田説明員 御説明いたします。
 現在までに茨城県内では直轄のダムはできておりませんが、補助関係のダムが四ダム完成しておりまして、また実施中の事業といたしましては直轄の公団事業が二つと補助事業が四つございます。さらに水資源開発公団で霞ケ浦の用水事業をやったりしておるわけでございます。水資源の開発といたしましては霞ケ浦と那珂川とを結ぶ導水路事業もさらにやっておりまして、これらによって相当な開発が見込めるわけでありますが、なお時間を要しておるという状況でございます。現在まで実施中のダムあるいは霞ケ浦開発については今後とも積極的に推進いたしますとともに、茨城県内の治水、利水対策のための新たなダム建設につきまして検討を鋭意進めてまいりたいと思っております。
#135
○竹内(猛)委員 もう一つ建設省にお尋ねをするわけですが、去年の洪水のときの工事は原形復旧を中心としていた。原形復旧であるならば、またあの程度の水が出ると同じような被害が起こる。もちろん傷が入ったところやいろいろなところに対しては手入れをしたけれども、私も現地を何カ所か見てまいりましたが、やはり同じような方向で改良の復旧はされておらなかった。これは原形復旧でなければならないという法律があるのですか。
#136
○角田説明員 御説明いたします。
 災害復旧事業は原則は原形復旧という法律になってございますが、被害が激しくて再度災害の発生のおそれがあるあるいはそれを防ぐためにということで、原形復旧のみでは不適当な場合には改良復旧事業を行うことにいたしておりまして、さらにそのうち規模の大きなものにつきましては災害関連事業とか災害復旧助成事業という制度がありまして、それによりまして改良復旧を実施しているところであります。今後ともそれらによりまして再度災害の起きない対応をしてまいりたいというふうに思っております。
#137
○竹内(猛)委員 小貝川という川は、これはもう暴れん坊の川として有名な川ですね。ああいう川についてはもう一遍川をよく点検して、何回も何回も金をかけないで済むように、一回やったら永久にこの川は大丈夫だ、こういうような復旧をしてほしいということをここでお願いを申し上げておきたいと思うのです、今日まで相当な努力をされておりますが。
 そこでダムの問題なんですけれども、ダムをつくるということは、そこに水を蓄えることであり、緑をつくることであり、しかもそれによってその関係の農家が安心をするということでもあり、観光にも非常に使えるという意味で、いろいろな意味でダムというのは人間の生活にとって大事なものであるわけです。最近の状況を見ると、道路ができてそれを舗装して、降った雨が土にしみ込まずに流れてしまうという形で、非常に思わざる被害というものが出ているのは、ある面においては舗装という一つの、道路をよくするという面もあるが同時にまた被害も伴うし、土地の保水力がなくなるということもあるだろう、こういう点でダムに対する期待は大きいわけでありますから、ダムに対しては非常に努力をしてほしいということを、これは建設省だけではなしに農水省の方にもぜひ考えてほしいと思うのですね。
 そこで、内需の問題に関連をして、先ほども話がありましたけれども、この内需の中で何としても農山村に対して、観光事業、レクリエーションあるいは緑の空間を利用するというような話でややこしいことを言っておるのですが、もう少しわかりやすくひとつそれを説明してもらって、頭のいい人、哲学者だけがわかるような言葉じゃぐあいが悪いから、一般の庶民が飛びつくような、何か国鉄もE電というようないろいろ難しいことを言っておりますけれども、とにかくこれはというようなことで、山を愛する者に悪い者は余りいないので、そういう人間が集まれるようなそういったことをするためにダムも必要だろうし、道路の開発というのは必要だと思うのですね。道路というのは建設省、それから農水省一緒になってそういうものをつくっていく必要があるので、この辺についてもひとつ努力をしてほしい。
 それから、林政審が去年決めて答申したことがあって、ことしは林政審の枠の中で話をしてもどうも縮こまってしまうわけで、やはり林政審を乗り越えたような思い切ったことを提案していかなければ、中曽根さんは総理大臣はもう間もなくやめると思うけれども、その後の大臣だって困るじゃないですか。約束したことをどうするんだと言ったときに、日本の国内においてこういうことをやるんだというスケジュールが出てこないじゃないですか。そういう意味において政務次官、もう大臣になったつもりでひとつしっかりした答えをしてもらいたい。
#138
○衛藤政府委員 先ほどもお答えを申し上げましだが、あと十三年たちますと二十一世紀を迎えますし、また、言うまでもなくだんだんと高齢化社会が到来をしてくる。この高齢化社会の受け皿にはどこがなるんだということでありますが、それは委員御指摘のとおり農村、山村、漁村である、そういう意味からいたしまして四全総に若干の批判が出てきたのではないか、私はこのように考えておるところでございます。しかし、御案内のとおり政府におきましては財政再建の途中でもある、また地方財政も極めて厳しい。そういう中で、いわゆる美しい絵をかいたけれども画餅に終わったということにならないようにしろ、こういうような御指摘でありますが、まさに私はそのとおりだ、このように思うわけであります。
 御案内のとおり構造改善事業で、例えばダムをつくる等におきましても、財源対策債があったときには何とか地元の負担もできましたけれども、これから新しいダムをつくるにおきましても、地元負担金等々、構造改善の地元負担分でありますが、大変大きな負担になっておりますし、また既に償還の時期にかかってきて、その償還も思うに任せないというところが全国がなりあるのじゃないか、こういうことも心配されるところであります。
 そこで、いろいろと絵はかきます。林野庁の言うヒューマン・グリーン・プランとかあるいはリゾート法案とかこれから出てまいるわけでありますが、ヒューマン・グリーン・プランにしろリゾート法案にしろすばらしい計画であります。しかし、この計画を実行する財源をしっかりと裏打ちをしなければいけない、こういうことだと思います。そこで、財政の積極的な政策転換あるいは財政の出動、こういうことがただいま言われておるときではありますが、折しも外圧といいますか内需振興が強く求められている今日におきまして、極めて厳しい財政事情の中ではあるが、あるいは五兆円の補正とかそういう話も出ておりますが、できる限り山村あるいは農村、漁村、そういうところに重点的に予算が傾斜配分されるように、しかもなおかつ地元の県あるいは市町村の負担が重荷にならないような措置を考えて、委員の御指摘の農村、山村、漁村の町づくり、村づくりを進めていくべきだ、このように考えている次第であります。
    〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
#139
○竹内(猛)委員 そのいい答弁を今度は裏打ちしなければいけない。
 そこで、きのうの本会議でも中曽根総理からも話があったように、「増税なき財政再建」ということで行革を進めてきたけれども、現在百五十二兆の借金があって、その金利だけでも二〇%だ。これでは一生懸命行政改革、行政改革と言ってのろしばかりを上げても六十五年にはどうにもならないじゃないか、そういう状態で売上税なんていう国民から批判されるようなとんでもないものを出してきて大揺れに揺れている。そういうような状態じゃなくて、本当に国民のすべてが参加をして、喜んで税金も納めよう、健康にもなろう、国力も充実させようということになるためには、今政務次官が言ったような方向はいいことだと思うのですね。そういうようなことをこれからしっかり裏づけてもらいたいということを私は要望したい。きょうは別に内需拡大で議論したわけじゃないからこれ以上そのことは言いませんし、建設省の皆さんにもいろいろ要請したが、これもひとつよろしくお願いしたいと思う。
 環境庁においでをいただいたわけですけれども、けさテレビを見ていると知床の問題が大分詳しく放映をされまして、この時間に知床の問題に触れるとかえって私の質問が誤解を与えるとまずいから、知床については私たちは現地を調査して、そして現地と十分に懇談をし、それから林野庁の関係者並びに環境庁とこの問題については、つまり林業経営というものと自然保護というものとの調和をどうされるのかということについては、そのことだけで時間をかけて質疑をしたいと思いますから、きょうは恐縮ですけれども、これで建設省と環境庁にはお別れをしたいと思います。わざわざありがとうございました。
 さて、今度は本論ですけれども、五十九年に再建をやろうということで努力されて、もう六十二年ですね。そしてやがて六十八年ということを目標にして出発をするわけですが、好転しない根本的な原因というのは一体何なのですか。つまり林野庁だけの努力では、自分の力だけでは経営がうまくいかないということじゃないのですか、それはどうですか。
#140
○田中(宏尚)政府委員 一般的には林業そのもののいろいろな苦しさというものが我が国有林経営にも色濃く反映していることは当然でありますけれども、特に国有林野事業につきましての最近の財政の悪化というものにつきましては、これは一般論とも共通する話ですが、一つには木材の需給構造というものが大きく変化いたしまして、価格が低迷してきているということ。
 それから第二点目としましては、我が国有林の場合には人工林の約九割がいまだ保育、間伐を必要といたします三十五年生以下であるということがございまして、こういう資源的な制約のもとで伐採量にも限界があるという点が二つ目かと思います。
 それからもう一つといたしましては、造林でございますとか林道でございますとか、こういう投資的借り入れというものを過去大量にしてきまて、将来の国有林野の健全な発展に心がけてきたわけでございますけれども、そういう長期借入金に係ります償還金が大きくなってまいりましたし、借り入れに伴う利子というものも経営を圧迫しているわけでございます。
 それから、第四点といたしましては、ここのところいろいろな努力を積み重ねまして、事業運営の能率化でございますとかあるいは組織、要員規模の面ではそれなりの合理化の努力を行ってきたわけでございますけれども、残念ながら改善途上にあるということで、現時点では諸経費というものが事業規模に比べますとまだ大きいというような問題もございまして、そういう一般的な林業にかかわる問題と国有林野に特に顕著に見られる問題、こういうものが相乗いたしまして、せっかく五十九年に国会でも真剣な御議論をいただきまして経営改善計画を現行のようなものに改訂、強化したわけでございますけれども、現時点のような決算状況、苦しみに陥っているわけでございます。
#141
○竹内(猛)委員 今度の法案についても去年の四野党の書記長、それから自民党の幹事長会談の中でいろいろ申し合わせをしている。これがその中の一項目です。「森林、林業の健全な育成と国有林野事業の経営改善方策については、財源措置を含め昭和六十一年中に結論を得るよう最善をつくす。」こういうようなことの中から生まれたものだと理解をしておるのです。ところが今のまま進めていって、六十八年という形をとっているが、では六十八年でうまくいくのか、あるいは七十二年までの間に本当に今長官が説明したような方法、苦しみながら、もだえながら明るくなっていくのかどうなのか、この辺についての見通しとかいうようなものについては恐らく計算をしたものがあるだろう。木の成長率、それから職員の数、海外との関係、円ドルの関係もあるでしょう。それから国内の需給関係、借入金の償還、いろいろなことを含めてそういうことが恐らくあるはずなのですね。これはどうなっているか。こういうものの資料は出せないものですか。
#142
○田中(宏尚)政府委員 ただいま先生からもお話がありましたように、価格の動向なり労務の状況、あるいは海外との関係あるいは借金の返しぐあいというようなことで、ざっと列挙いたしましてもそういういろいろな事由というものが収支に絡んでくるわけでございます。それで、どの点をどういう水準でピンどめして最終的な収支をはじいていくかということは技術的にも非常に難しゅうございますし、それから見方によりますと、一義的なものをここで決めることはかえっていろいろな努力なり、将来への政策努力へのマイナスにもなるということがございまして、現時点では、最終的にこれ一つというような形で収支改善の将来の姿というものをデッサンしたものは残念ながら持ち合わせていないわけでございます。したがいまして、現時点でただいま先生から御要望ありましたような収支の見通しというものをお出しして議論いただくという状況にないことをひとつ御理解をいただきたいと思います。
#143
○竹内(猛)委員 人間を減らしたり営林署を少し抑えたりするような見通しはあるけれども、再建の見通しかないというのは心細いじゃないですか。幸いにそこに内需優先ということがある。先ほど衛藤政務次官からもお話があったように、ダムの建設や林道の開発、いろいろな形の国民が喜ぶような道路を開発していく、そして国有林のみならず、公有林にしても民有林の一部が入っても構わないから、そういうものをもっと活用していくというようなことを考えるとするならば、五兆円ないし五兆円以上という内需優先のこの金を、林業やいわゆる農山村に回していくという努力を声を大にして主張すべきじゃないですか。自助努力はしなければならないが、やはり大きな血液を入れて、そして緑やいい空気や立派な山をつくっていく、こういうようなことはどうですか。政務次官の方のこれからのお考えですね、どうですか。
#144
○衛藤政府委員 いわゆる雇用の創出あるいは経済の波及効果、こういうものからしますと、農村、山村、漁村の公共事業というものは最もメリットがある、このように考えているわけでごさいまして、都会のいわゆる用地代に消えていく公共事業とは際立って違うものがある、このように思っておるわけでございます。五兆円の補正云々というような話も出てきておる折でもありますが、本年度の補正あるいは昭和六十三年度の本予算、そういうことに対しましても、私どもとしましてはきめの細かい積み上げをすることによって、農村、山村、漁村の公共事業費の獲得、そして公共事業の実行、蓄積、それによる農林水産行政の推進、こういうことに努めてまいりたいと思います。とりわけ補正というようなこともあるわけでありますから、できる限り農林水産省といたしましてその補正に向けて、予算獲得に向けてあらゆる努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
#145
○竹内(猛)委員 政務次官、これはぜひ努力をしてもらいたい。我々もこれは一緒になって応援をしなければならないと思うのですね。
 それで、自助努力というのはやはりやらなくちゃならないけれども、自助努力ばかりじゃなしに、こういう機会に立派な山をつくり、そして山に道をつくり、そこに国民が非常に望んでいるいろいろな施設をつくっていくわけですから、そのためには土地を売ることを余り優先的に考えてもらいたくない。土地は国が持っていて、その利用、貸したり何かする。つまり成長した木の利益よりも土地を活用した利益の方が多ければ、そういうような山の使い方をすべきじゃないですか。みんな知恵があるんだから、最近のいい技術を使って。そして、場合によったら山をパブリックのゴルフ場にしたっていいじゃないですか、健康のためにいいですよ。社会党の土井委員長だってゴルフ場を大いに、まあ勧めてはいないがパチンコぐらいまでやっているのだから、ゴルフもこのごろは庶民のやることだ、そのくらいいかなければ社会党だって政権とれないのだ、実際は。そういうようなことまで考えて、山をやたら売っ払ってだんだん減らしていくようなことはやめた方がいいですよ。その点はどうです。
#146
○衛藤政府委員 先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、ヒューマン・グリーン・プラン、御承知のとおりだと思いますが、今竹内委員の御指摘のとおりでありまして、国有林をいわゆるリースするというようなことを基本にする中での諸事業、例えばパブリックコース、ゴルフを取り入れてみようとか、森林空間を活用するわけですから、いろいろの事業を考えておるところであります。また、御案内のリゾート法案につきましても、同じような一つの哲学にのっとりまして森林の総合的な、立体的な、トータル的な活用を考えていこう、そしてその基本としてリースということを考えておるわけでございます。
 なお、パブリックのゴルフ場をつくれというような話がございますが、まさにそのような御意見があることもよく知っておりますし、また社会党の土井委員長はゴルフ場の入場税をただにしろというような、それほど積極的に取り組んでいるというお話も聞いております。とりわけヒューマン・グリーン・プランの中にはそういうことが十分に盛り込まれているということをお答えしたいと思うのであります。
#147
○竹内(猛)委員 この林野庁の会計を見ると四七%も借金をしている。その金利、これはおかしいじゃないですか、五・二%も金利を払う。民間は三・五だ。同じ山の金利が何でそんなに違うのかね。こういうようなところだって努力しなかったらおかしいじゃないですか。
#148
○田中(宏尚)政府委員 ただいま御指摘ありましたように、林野庁の財投資金の場合には五・二%という金利水準になっておるわけでございますが、これはいわゆる預託金利と同一水準に設定されておりまして、他の金融機関とのバランスということからいいまして、財投運用上これがぎりぎりの金利というふうに当方は理解しているわけでございます。
 ただ、民間と比較いたします際に、国有林というものが全体の三〇%を所有している大規模な林業経営をやっている大森林経営者ということが一つと、それから民間で資金を借ります際には貸付率というものがございまして、所要資金の八割とか九割しか融資を受けられない、それから貸付対象につきましても非常に限定的でございますけれども、国有林の場合には必要な資金の全額を財投で所要の手当てをしていただいていますし、それから貸付対象事業費にいたしましても、定員内の職員の給料でございますとか、一般の森林所有者の場合には制度金融として借りられないような事業種目、こういうものもすべて財投の貸付対象になっているわけでございます。したがいまして、そういうものを全体プールして計算してみますと決して民間に劣っておる貸付水準じゃございませんで、民間というものを十分横ににらみながら設定されておる金利水準というふうに我々は理解しております。それから、ただいま御審議いただいておる法律が通りますればその償還金を借りかえる、そしてその借りかえたものには利子補給してもらうという道が開けるわけでございますけれども、償還金の借りかえということは、これはまさしく貸付期間の大幅延長ということでございますし、そしてこれに対する金利の助成ということは実質金利を引き下げるということに相なりますので、この法律に期待しているところ大なるものがあるわけでございます。
#149
○竹内(猛)委員 水田や畑が作物をつくって人間の生命の再生産をするための安全保障であるとするならば、山林は空気を浄化し、水をつくり、緑をつくり、そして国土の保全をする、国土の安全を守るための大事なものなんです。計算によると、全国農業会議なんかも計算をしているけれども、それは三十六兆と言っている。ある計算によると、七一年ころのものを基礎にして計算していくと二十九兆何千億、そういう計算も出る。これについては無償で提供しているんでしょう。農産物の六十年度の総生産額というものは十三兆と言われていますね。米が三兆六千億、畜産物で二兆何ぼですか、それから野菜、果樹と蔬菜というように大体四つくらいのもので十三兆と言われている。それよりも二倍以上のものをつくり出している。もちろん計算の基礎にいろいろなことがあるかもしれない。あるかもしれないが、それを考えると林野というものは、山林というものは人間が生きていく上においてはなくてはならないものであるだけに、そういう重要なものであるから、だから財政的にも考えてそれを崩さないように、縮小しないように、やはり緑を拡大していく、あるいはダムをつくっていく、道路をつくっていくというようなことを進んでやるべきだ、それが内需拡大に通ずる大きな道だということを何遍繰り返してもいいと僕は思うのですね。この点はどうですか、そういうふうに思いませんか。
#150
○田中(宏尚)政府委員 森林なり林野というものが、先生ただいま御指摘のとおり空気なり小なり国民にとってかけがえのないものを供給しておる源泉でございまして、そういう公共性があればこそ今までいろいろな施策体系というものもそれに応じて積み重ねられてきているわけでございます。そういう前提で、例えば従来からも保安林内の造林でございますとかあるいは基幹林道、こういうものにつきましての事業施設費、こういうものにつきましては一般会計から所要の繰り入れを行っておりますし、それから特に公共性の高い治山事業につきましては、今年度で申し上げましても二百四十億に上る全額一般会計、国費というもので行ってきておるわけでございます。
 しかし、これだけでもいろいろと森林の経営につきましては問題がある、あるいは治山、治水、こういう面でいろいろな問題が指摘されておりますので、従来の施策を何とか伸ばし、それからさらには多くの国民の方々にも山の重要性、緑の必要性というものを御理解いただきまして、国民参加の形での財源といいますか所要経費の調達というようなことについても過去からいろいろな検討をしてきているわけでございます。現時点におきましても、従来の検討経過なりいろいろな動きの経過も念頭に置きまして、新しい国民参加の方策についても前向きに検討を進めているところでございます。
#151
○竹内(猛)委員 次に、林業の施業についてちょっと注文をしておきたいのです。
 木を切った後に天然に木が生えていくという天然林の問題、それから人工造林の問題、この二つの形があると思うのですね。天然林の場合にはほかしてあるし、人工造林の場合には手抜きをするということが世間で言われている。これはやはり調査をして、両方ともしっかり木が育つようにやるべきだと思うのです。人間がだんだん足りなくなって、自然林はそのままになっている、ほっとけば伸びるだろう、人工林の方は手を抜くというようなことは施業上非常にまずい。手抜きをすることはよくない。
#152
○田中(宏尚)政府委員 人工林でありましょうが天然林でありましょうが手抜きをすることはよくないという点は全く我々としてもそうでございまして、天然林についても、その立地条件によって天然の更新力を活用し得るという森林の特質を踏まえまして、気象条件なり株分状況というものを見て、天然林施業が技術的合理性からいって適当であるという場合につきまして推進していくという立場をとっているわけでございます。それから、天然林施業というものも全く天然に任せるということばかりではございませんで、必要な植え込みあるいは稚幼樹の刈り出してございますとか、人工補正作業というものをきめ細やかに行うために必要な路網の整備とかということもいたしまして、あくまでも確実、適切な更新なり保育に努めまして、森林管理に十分を期してまいりたいと思っております。
#153
○竹内(猛)委員 五十九年度につくられた改善計画の中には、林政審の答申の中にも盛り込まれておりますけれども、事業の推進形態については請負化を促進するということが言われている。それから業務について、直用事業についてはそれにふさわしい業務に特化をしていくというようなことも言われている。この二つについて、特に請負の実態を見ると今全国にどれくらいありますか、千三百六十九ぐらいの請負の事業所があるけれども、これを見ると、四十人以下の事業所が七六%、そしてその中で年齢から言うと、四十歳から四十九歳まで、五十から五十九、六十歳以上、こうすると八六%が四十歳以上の労働力である。それから、雇用保険が四六%ぐらいしかあれしてない。それから健康保険も一六%、厚生年金が九%、退職金制度が五二%しかない。さらに賃金に至っては、国有林が一万三千七百六十四円というような状態のときに九千七百二十九円ということです。何日間働くかということについても、働く日数というものは通年の場合が二九・七%であって、その他は通年でないものが多いわけですから、それを考えると三八%くらいが六カ月、それから四から六カ月というのもある。これはやはりぐあいが悪いのじゃないですか。人間を大事にするという憲法の思想からいってもそれはよろしくない。どうですか。
#154
○田中(宏尚)政府委員 請負につきましてはいろいろと議論のあるところでございますけれども、経営改善を推進していくという観点から、要員の調整なりあるいは組織機構の簡素合理化を推進していく必要があるわけでございます。これを実現していくために密接に関係があります事業実行形態というものにつきましては、業務運営の抜本的な改善を図るという観点から、現在できるだけ民間の事業体というものを整備して請負化を推進してまいりたいと思っているわけでございます。
 それで、この請負事業体につきましては、ただいま先生からもお話がありましたように、全国で千三百有余の事業体が現存しておるわけでございますけれども、これもここのところ請負事業体の登録制度ということで事業体そのものの資格なりを厳格にしてきておりますし、それから何といいましても計画的に請負事業者に発注していくということで請負事業体の経営基盤を強化していく、そういうことを通じて請負経営体の責任施行体制が確立されていくことをこいねがっているわけでございますし、そういうこととあわせて、ただいまいろいろと御指摘ございました労務改善についても強く指導の強化を図っているところでございます。
 それに、特に経営体といたしまして、最近のいろいろな情勢からいいまして単独の仕事だけではなかなか経営上難しいという請負事業体もございますので、できるだけ素材生産と造林とを組み合わせる、あるいは間伐でございますとか特用林産物というものにも手を出していくということで、事業体の経営の多角化というものを積極的に推奨するなり配慮していくことを通じて請負事業体自体の整備も進んできておりますので、こういう方向をさらに今後強めまして、請負事業体の基盤ができるだけ整備され、そこで働いていらっしゃる方々が安心して林業労働に従事できる体制を築き、そういうことを前提として当方の事業も請負にお願いしていくという全体の体制を何とか組み立ててまいりたいと考えているわけでございます。
#155
○竹内(猛)委員 次に、国有林にある樹木は三十五年ぐらいの木が多くて、それ以上の木が少ない。そういうようなものは切ってしまった。だから合成長の盛りで金がかかるという形になっている。これと比べては悪いけれども、働いている人たちは逆に四十五歳以上の人が何と五五%、こうなっている。若い人が少ない。山には若い木が生えているけれども、職場には若い木が少なくて年寄りが多いという形になっている。これは将来どういうことになるのですか。
#156
○田中(宏尚)政府委員 民有林、国有林含めまして従事者の高齢化が非常に問題になっていることは御指摘のとおりでございます。将来の方向といたしましては、何といいましても林業活動自体を合理化していく必要がございまして、そのためには路網の整備とか林業機械を従来以上にいいものを開発し普及をしていく、仕事が軽くて効率的な林業活動ができる体制を林道網なり機械、そういう両面からやってまいりますことと、それからできるだけ作業の共同化といいますか、ああいう山林で、しかも長期間に回転していく特殊な経営形態でございますので、森林組合等の主導的な役割というものにも期待いたしまして、作業班の編成でございますとか公益的な活用というものを通じまして、何とか林業労働力対策の安定、充実を図ってまいりたいと思っております。
#157
○竹内(猛)委員 私は、やはり山をよくするには立派な労働力が必要だと思う。これは農業でも一緒ですね。老齢者ばかりが農村にいて、若い者が外に出ていってしまうのでは農村に魅力がない。同じように、山にも若い労働力が喜んでそこで仕事ができるようなことが必要だし、それからその職場が活性化するということがぜひ必要だと思うのですね。
 そういうときに、これもまた臨調か何かのあれによって組織の簡素化をしろというわけで、従来から営林局を統合しろだの営林署を統合しろだの言ってきた。十四の営林局の中で今度は十営林署を統合しろなどというようなことがしばしば言われているけれども、これは一体どうするのですか。
#158
○田中(宏尚)政府委員 営林署の統廃合につきましては、昨年の十二月三十日の閣議決定によりまして、ただいま御指摘ありましたように、昭和六十二年度に十カ所の統合をするという全体計画は策定しているわけでございますけれども、六十二年度にどこでいつ選定を決定するかということについては現時点ではまだ決めておりません。従来の営林署の統廃合の経緯等も十分勘案いたしまして、これから慎重に検討してまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、統廃合を行いましても、森林の適正な管理運営というものが十分確保されまして、地元へのサービスが低下することのないよう十分意を用い、それぞれの地域の実情に合わせてこれから研究させていただきたい段階でございます。
#159
○竹内(猛)委員 営林署というものは古来から、今でいえば過疎地帯の山の多いところにあったものであり、その中心地には役場があり、郵便局があり、それから警察、学校、農協があり、営林署があった。ところが、学校へ行って話をするのもどうもおもしろくない。警察へ行っても何か話ができない。役場へ行ったってお茶も飲めない。そうすると地域の人は、営林署は自分たちの集まる懇談の場所であり、憩いの場と考えているくらい親しみやすいのですよ。そういうものを一つ一つ取ってしまったら、もう山村の活性化なんということは言うべくしてできないことだ。
 だから、これはひとつ政務次官の方にも答えてもらいたいのだが、今の内需拡大というようなことからいえば、優先ということからいえば、山村地帯をどう振興するか。四全総の一極集中に批判が出た。それじゃ今度は多極でやろうということになれば、どうしても山村地帯を活性化する以外にない。そうなると、せっかくそういうものができているところを壊すのじゃなくて、そこをどうしたら拡大をして活性化できるかというような方向を考えなければいけないのじゃないか。幸いに小さな森林組合を合併していく、そして三法人を、基金を一緒にしてまた出発しようということで、このせっぱ詰まったときに我々も一生懸命努力をして法案を仕上げようというわけだから、それらを考えてそっちの方もひとつちゃんとしてもらわないとね。閣議の決定といったって、では一体六十五年に「増税なき財政再建」をやられるか。その閣議の決定を守らないで、こればかりやられたっておかしいじゃないか。国民はそんなもの承知しないですよ。
#160
○田中(宏尚)政府委員 営林署が地域の親しみの場として活用されているという御指摘、非常にうれしい話でございますけれども、その反面、営林署も国有林経営という経営の最前線でございます。こういう全体の経営の中でございますので、何といいましても合理化なりスリム化ということが避けて通れない道と思っております。しかし、その実行の仕方につきましては、先ほど申し上げましたように従来の経緯なりあるいは山村の活性化とのつながり、それから地元への貢献の度合い、あるいは機能のあり方ということを総合的に勘案いたしまして、できるだけ地元経済なり社会に混乱を起こさない形で円滑に取り進めたいと考えている次第でございます。
#161
○竹内(猛)委員 だんだん時間がなくなったから要請もしたりして質問していきますが、先ほど串原委員も言ったように、木を切って売る場合に随意契約じゃなしに競争入札でやる。随意契約なんということは余りよろしくないんじゃないか。これは注意をしておきたい。
 それから土地の問題についても、確かに国土の二割、山林の三割を持っている国有林でありますから相当土地はあるけれども、それを売るということじゃなしに、それは国民の共有財産なんだからしっかり抱えながら多角的な活用をしていくということで、先ほど空間とか何とか利用、ヒューマン・グリーン・プラン、えらい難しい哲学的なことはだめだから、これはもう少しわかりやすいことでひとつやってもらいたいですね。
#162
○田中(宏尚)政府委員 ヒューマン・グリーン・プランにつきましては、先ほどそういうお言葉があったわけでございますけれども、これは正式な名前は私も実は余り記憶できないぐらい長い名前でございまして、森林空間総合何とか活用事業ということでございますが、これでは先生御指摘のように国民に親しみがないということで、横文字であるということが若干問題かもわかりませんが、ヒューマン・グリーン・プランということで、我々にいたしますと今様の命名をしたというふうに感じているわけでございます。何とかこのヒューマン・グリーン・プランで、限られた国土について国民のいろいろな要望がここのところ出てまいっておりますので、地域との調整なり林業経営との調整はもちろん必要でございますけれども、せっかく国土の二割、森林の三割を持っている国有林でございますので、国民の多様なニーズにできるだけ円滑にこたえるように、役人らしからぬ運営をできるだけしてまいりたいと思っております。
#163
○竹内(猛)委員 これは僕がどこかから聞いた話で、もしそれが危惧であればいいのですけれども、六十八年から七十二年ころまでに三十万ヘクタールくらいの国有林を売るということが既にうわさに出ていも。これはもし本当だったら大変なことですね。さっきから言うように国有林は国民の共有の財産なんだから、余り売らないでそれを活用する、そしてそこに雇用の場をつくっていく。定年でやめる人も多分いるでしょう。それは定年になればだれだって、どんな偉い人だってやめなければならない。そういう人たちでもその技術と経験と能力を生かしてそこでやれる、指導する。こういうようなことで、土地を売ってしまうなんということはよろしくない、賃貸料でやる。こういう計画をひとつ立ててもらいたい。これはぜひそういうふうにしてもらいたいのです。若い人も年寄りも一緒になって、地域の人たちと溶け合ってその地域を活性化することが、山を愛し国を愛する道なんだ。何とかというでかい財閥が入ってきて景気のいいことを言ったってだめですよ。財閥なんて人情がない、心が通じないですよ。心を通ずるようなことにしなければ山を愛することにならない。その点はどうです、政務次官。これはしっかりやってもらいたいな。
#164
○衛藤政府委員 竹内先生のおっしゃる方向に進んでまいりたい、このように考えております。
#165
○竹内(猛)委員 もう時間が来たからこれで私は終わるわけですが、こういう異常な国会でありまして、もう少し環境上の問題も自然保護の問題も含めて、国有林が持っている、あるいは森林が持っている公共的な機能あるいは自然的な条件、こういうものについて、国民が鳥、けものあるいは風景、そういうものを非常に愛している。日本の山河というのはどこから見ても立派だ、いい、こういうふうに言われているのです。ところが木を切って丸坊主になって、行ってみたらペンペン草が生えているようなことでは非常に困るわけだ。山を愛し国を愛する人に悪い人はいないですよ。だからそういうものを涵養するためには、やはり金と人と、それを運営する機構が常に活性化をしなければならない。そのために財政的にも、独立会計ですから確かに困難でしょう、困難でしょうが、やはりそれに対してもいろいろな努力をしているわけですから、ひとつしっかりやってもらいたいと思うのです。
 最後に衛藤政務次官から、大臣になったつもりで、ひとつ山を愛する心、決意をお聞きして終わりたいと思いますが、どうですか。
#166
○衛藤政府委員 私も竹内委員と全く同じ考え方をしておりまして、山は土の原点であるし、水の原点であるし、また空気の原点である、そのような考え方に立っております。土づくりは出づくりから始まるし、本づくりも出づくりから始まるし、また我々人間の心もそのルーツは山から出ておる、そういう認識に立っておる次第でありますから、ただいま御示唆をいただきました竹内先生のその哲学を踏まえて積極的な取り組みをしてまいりたい、このように思います。
#167
○竹内(猛)委員 終わります。
#168
○保利委員長代理 五十嵐広三君。
#169
○五十嵐委員 先に知床の問題をお伺いしたいと思います。
 自然保護団体の大変強い反対という中で、いろいろな経過があったわけですが、四月十四日知床国立公園内の国有林の択伐作業が強行された。これはどうもあの混乱の状況の報道を見ながら大変残念だなという気持ちでありました。余りきょうはそのことの内容といいますか、問題になっている調査の方法だとか内容だとかいろいろなことがあるけれども、それは今触れることは避けて、改めてまた機会を見てお伺いしたいというふうに思うのですが、しかしたまたま、これが強行されてその直後の地元斜里町長選挙があって、その択伐強行の大きな反響の中で新町長が生まれた。これはまさに知床を切るな、知床を守れという自然保護派の代表格であった午来さんが斜里町長に当選をなさった、これは本人も含めてだれしも入ると余り思わぬかったという状況の中で、当選してから慌てて目玉を入れるだるまを買ってきたという報道もあったわけです。それほど劇的な当選の状況であったと思うのですね。何といったって町長というのは町民の意思を代表する者でありまして、しかも、ああいうまさに伐採強行の直後にそういうドラマチックな一幕があったということからいって、長い経過の中で今日に至っている林野庁としてはどういうようにお受けとめになっておられるか。
#170
○田中(宏尚)政府委員 知床問題につきましては、長い経緯が先生御承知のとおりございまして、我々といたしましても、知床のあの自然を守るということの必要性につきましては十分認識しながら、一方で林業という産業としての、しかも地場産業としての問題というはざまの中で、いろいろな調査なり地元との説得工作等を積み重ねまして行ったつもりでございますけれども、最終的に完全な地元の了解とまではいかない形でマスコミ等をにぎわしたことにつきましては、非常に残念に思っておるわけでございます。
 それから、町長選の結果につきましては、公務員として論評を差し控えさせていただきますけれども、劇的にせよああいう結果になりましたことにつきましては、我々といたしましても非常に感慨深いものがあるわけでございまして、今後の施業につきましては、既に六十二年度の施業予定について調査にも着手しておりますし、従来の経緯なりそれから地元、地場産業としての林業関係者、それからあの山を択伐することが林業技術的に申し上げますとむしろ山自体の活性化にもつながるというような問題もございますので、着手しております調査結果というものも十分しんしゃくしながら今後の扱いについては対応してまいりたいと思っております。
#171
○五十嵐委員 林業経営というものは地域に融和し、密着しながら地域のためにも振興されていかなければだめなことだということはるる先ほど来話があったところであります。私、お伺いしているのでは、現地の営林支局は、これまで択伐について現地町長の同意を一つの条件としてきているというふうに伺っているのでありますが、今のお答えを聞きますと、従前の路線をここでちょっと足をとめて慎重にというような気配の余り感じられない答弁のような感じがするのだが、私の聞き取りの間違いかもしれないが、そういう現地での今までの経過があるとすれば、その辺はどうお考えですか。
#172
○田中(宏尚)政府委員 国有林の経営も現地があっての経営でございまして、現地と密接な連携なり御理解の上で今まで施業してきたつもりでございます。それから、今回の斜里の択伐にいたしましても、前体制ではございますけれども、町長を初め町議会の方々とのいろいろな話し合いの積み上げの結果も一つあったわけでございますが、ああいう形で新しい体制になりまして、新町長からもいろいろな御要望が現地では来ているやに聞いております。それで、我々といたしましても、やはり国有林経営を行ってまいります際に地元の協力、理解というものが不可欠でございますので、これから現地の方々といろいろな話し合いというものは当然積み上げていく必要があろうかと思っております。
#173
○五十嵐委員 六十一年度の林業白書に初めて自然保護というのが登場してきたわけですね。その中で「林業と自然保護は互いに調和し両立し得るものである」、こういう表現があって、それについて続いて、国民の理解を得ていくことが重要、こういうぐあいに締めくくっているわけなんですね。この部分に関しては私は全くそうだなと思うのです。ただ、残念ながら非常な不信感が今までの経過の中で、お互いにと言うとしかられるかもしれないがある。特に自然保護団体側からの林野行政に対する不信感というものは相当なものがあることは御承知のとおりだと思うのです。しかし一方、この知床にしてみても、あの団体の運動が執拗に今日まで続けられなかったらどうだったかなというぐあいに思いますと、やはり我々もそれはそれなりに評価をすべきものだというふうにも思うわけであります。本来自然保護運動というのは国有林の敵だというのはやはりおかしいのであって、本来お互いが味方で、そして緑を守り育てていかなければいかぬというふうに思うわけであって、硬直した態度でこれに臨んでいくということではなくて、ぜひひとつ胸襟を開いて新町長とも話し合って、殊に、私もよくわからないが、経過からいうと現地町長の同意が一つの条件だというような経過等のあり方から見て、それが不可欠だなというふうに思いますし、ぜひこの際慎重な対応が必要でないかと思うのですが、いかがでしょう。
#174
○田中(宏尚)政府委員 ただいま先生から林業白書の御紹介がございましたとおり、我々といたしましても林業と自然の両立、調和ということがあり得るし、それによってその両輪が成り立っていくということを初めて林業白書でも具体的に指摘させていただいたわけでございます。
 振り返ってみますと、我々といたしまして、林業と自然が対立するものじゃなくて調和するものであるということ、あるいは自然というものが人間の適正な管理行為なり手入れ、こういうことによってよりよき状態で保護されるということ、それから山林というものが、山村という生活環境の劣っている地域で営々として働いてくれている人たちの常日ごろの血と汗で守られているということ、そういうことにつきまして一般国民に対する御理解を得るためのPRなり説得ということが、日ごろの活動として若干おくれていたんじゃないかという反省を合してきているわけでございます。
 いずれにいたしましても、ああいうところで象徴的な問題がいろいろ起きてきておりますので、先ほどもお話ししましたように、国有林につきまして、その地元の理解というものが何といいましても不可欠でございますので、何とかお互い胸襟を開いて話し合いを積み重ねてまいりたいと思っておりますが、ただ、自然保護団体の中にも非常に短絡的な見方といいますか、そういうものが一部見受けられますので、そういう方々に対しましては、我々も理のあるところを根強くお話ししながら御理解を得られますよう努力は積み重ねてまいりたいと思っております。
#175
○五十嵐委員 ぜひひとつ、今のお話のように地元と胸襟を開いて町長などとお話を進めてもらいたい。そして、理解の得られない中で再び強行し、一層混乱に輪をかけるようなことがあってはならないと思うので、これについては慎重に対応してほしい、こういうぐあいに思いますが、いかがですか。
#176
○田中(宏尚)政府委員 先生のお言葉を返すようでございますけれども、強行ということでございますが、我々としてはいろいろな長い間の議論の積み重ねなり、あるいは先ほどお話ししましたように、前町長なりあるいは町議会の方々との話し合いの積み重ねの上で、一〇〇%の御理解とまではいかなかったのは残念でございますけれども、大方の御納得、御理解は得られたという前提で、しかも精緻な調査というものも十二月から三月にかけて行いまして、それに加えまするに知床全体の将来の図といいますか、あそこの横断歩道の奥の方の相当部分につきましては、今後遺伝資源保存林等として守るというような方針も打ち立てまして、将来守るべきところと現時点である程度の択伐、これはよく言います話でございますけれども、後楽園の広さで四、五本択伐することが、むしろ山の活性化にもつながるというようなことで我々として踏み切ったつもりではございます。ただ、現実問題として、あれだけの議論、御批判がありましたことも我々として厳粛に受けとめる必要がございますので、先ほどお答えしましたように、従来以上に地元との説得工作なり地元との話し合いというものを十分やってまいりたいと思っておりま。
#177
○五十嵐委員 どうも気持ちはわかるような気がするんだけれども、今の表現ではどうなんでしょうね。この議事録をお読みになってみんなどういうぐあいに感ずるかと思いますね。つまり、こういう大事な節目のようなものが今一つ来ている。むしろそういうものをいい意味でとらえて、そして再三長官もお話しになっておるように、気持ちを開いて話し合ってみる。話し合ったって結論はいずれにしたって変わらないんだ、我が方は長い間こういうぐあいにしてこうこうなんだからというようなことを話しながら新町長と話したって、これまたちょっとどうかと思うのですね。そうじゃなくて、それは役所は役所としての考えや経過というものがあることはよくわかっているわけでありますが、しかし地元の同意というものが一つの条件だ、これを大事にしていくんだということであれば、やはりそういうお気持ちで率直にひとつ話し合って、新しい方途を互いに開いていくという態度が僕は大事ではないかと思うのですね。今お話しの中のおしまいのところはそんな感じには聞こえるのだけれども、前段がかなり長かったものだから、ちょっと私の受け取り違いかもしれないが、どうも恐縮だけれどももう一遍ちょっと……。
#178
○田中(宏尚)政府委員 では、最後の部分だけ答えさせていただきます。
 地元と今後十分話し合ってまいりたいと思っております。
#179
○五十嵐委員 ぜひひとつ慎重に対応してほしい、こういうぐあいに思います。
 さて、今回の国有林野事業改善特別措置法の一部改正案について、私も今年初めて農水委員会に入れさせていただきましたものでありますから全くの素人でよくわからないわけでございますが、しかし改めていろいろ資料などをこの機会に見させていただきました。質問というよりはぜひお教えをいただきたいという気持ちでありますが、最近数年における国有林野事業特別会計の財務状況につきましても拝見をいたしました。発生収支の歳入の構成比を見てみましても、六十一年で自己収入が五六、それから一般会計からの繰り入れが二、長期借入金が四二。六十二年で見ますと、自己収入が五一、一般会計からの繰り入れが二、長期借入金が四七%というそれぞれ構成比になっている。こういうことでありますから、当然歳出における償還金や利子のウエートは極めて高い、あるいは債務残高も膨大な金額に今上ってきている。これは国鉄の財務状況と構造的にはよく似ているな、非常に心配だな、素人なりにそう悪うわけてあります。
 先ほど来も論議がありましたように、さまざまな公益的機能を持っているわけでありますから、そういうことに対するもっと国の積極的な財政責任というものが明確になっていくべきものでないだろうか。長期借入金が四七%もある、債務残高が六十二年見込みで一兆七千億ほどにもなるということは、どう考えたって極めて異常な財務内容であるというように新入りの私は改めて感じたわけなんであります。恐らく毎年多くの先輩からそうい5点については議論が続いているだろうと思うのでありますが、国有林七百六十万ヘクタールの六四%、公益的機能発揮のための森林、内容的には保安林が五一%、共用林が一三%ということのようでありますが、わずか二%足らずの一般会計からの助成しかない、林産物売り払い収入のみでこれをほとんど賄っていく、これはどう考えたって適正な会計のあり方でないのではないかという感じが強いのであります。それは独立採算と言ったって、材価を一方的に決定するなんということになるのではないわけですからね。しかも、昨今の輸入材の状況等から材価は下落の一方、あるいは需要も非常に低下している、さらにはまた、高度経済成長期にどんどん増伐したために資源の大幅な減少、こういう構造的に極めて厳しい状況の中で、しかも本質的に、長い森林経営の会計制度として今のような特別会計のあり方というのはどうも納得がいかぬというふうに実は強く思うのであります。
 私は、諸外国における国有林の会計方式というものを余り知らないのでありますが、それでもきのうですか、ちょっとどうなんだろうなといって聞きましたら、メモをいただきました。しかし、そのメモの説明を聞く暇もなくて今に至っておるものですから、こんな機会にまた長官からでも教えていただければありがたいと思うのです。西ドイツは州の一般会計、アメリカは連邦の一般会計、カナダは州の一般会計、こういうような内容もあります。あるいはフランスのように公社による独立採算制、スウェーデンの特別会計、ニュージーランドの公社による独立採算制、いただきましたのはこの六つの会計方式だけなものですから、これだけではちょっとわかりませんし、あるいは特別会計であっても、一体一般会計からどのぐらい繰り入れられているのかということもお伺いしなければわからないわけであります。
 前段私が申し上げたような、一体これでいいんだろうかなという状況の中で、ぜひ諸外国の状況もお伺いしながら、我々はこれから未来の日本列島の国土というものをしっかり守り残して、また育てていかなければいけないわけでありますから、この機会にそれらについて少しお教えをいただきたいと思うのです。
#180
○田中(宏尚)政府委員 我が国の国有林経営が特別会計で行われているということにつきましてのいろいろ在外形的にあらわれておる問題につきましては、ただいまも先生から御指摘があったわけでございますけれども、我々といたしましては、国有林の所有しております森林面積というものが全森林面積の三割にも及ぶということで、ある意味では最も大きな山林経営所有者でございまして、これだけの大規模な経営をしている以上は、経営の大きなことによるスゲ−ルメリットというものもある意味では当然あるわけでございますし、一方では先生からも御指摘ありましたよう県いろいろな公的な制約をこうむっている山、保安林でございますとかそういう形で通常の施業のできない山というものも、全国の三割を抱えているだけに多いわけでございます。そういう大規模メリットが本来実現すべきであるという面と、それから公的制限を受けている山が多いという二つの相矛盾した形で大きな経営を行っているわけでございます。しかし、あくまでもザ・ビッゲストな山林経営者といたしましては、通常の経済活動として売りました林産物の収入、こういうもので相償うことが基本的な原則だろうとは思っておりますし、そういう建前で特別会計、独立採算というものを今まで厳守してきているわけでございます。
 しかし、その中でもいろいろな世の中の移り変わりなり経営の中身の変遷というものがございましたので、過去長い間のいろいろな議論の積み重ねで、徐々に一般会計からの繰り入れでございますとかあるいは財投資金の借り入れ、総体いたしますと財政措置というものもそれなりに講じてきているわけでございます。特に公共性の高い治山事業につきましては、全額国費で持つというようなことも行っておりますし、それから今回の法律改正で、保安林等の保全管理に要する経費についても一般会計から面倒を見るという道を、こういう財政事情の厳しい中ではございますけれども穴をあけられたわけでございます。今後そういう財政措置を仰げば仰ぐほど自主的な努力の積み重ねも一方で必要になってまいりますので、この法律が通りますれば、それに基づきまして新しく経営改善計画というものを改訂、強化して、何とかでき得る限りの自主努力をぎりぎりの線まで追求してまいりたいと考えておるわけでございます。
 そういう方向につきましては、昨年の十二月に林政審議会からもおおむねそういう方向についての御意見をちょうだいしたわけでございますけれども、そこの場でも、特別会計方式について諸外国の例等を参考にいたしましていろいろな議論が実はあったわけでございます。外国のあの事例につきましては、ただいま先生からも御紹介ありましたように、六通りほど我々といたしましては外国の事例ということで調査、収集しているわけでございますけれども、外国の仕組みを考えます際に、いろいろと前提となります社会条件なり経済情勢、あるいはさらに財政の仕組み島外が非常に違っておりますので、単にどこの国が独立採算だからどうである、あるいは一般会計だからどうであるというふうに日本の土俵の上で即刻同じ例として検討できないことは残念でありますけれども、外国におきましてもいろいろなそれぞれの悩みは抱えながら、一般会計の場合でありましても経済的な合理性はできるだけ追求しながら、公共的、公益的な部分には何がしかの税金で面倒を見ていくというようなことをしているわけでございます。それから国によりましては、そういうための特別の税制も設けて、いわば目的税的な形で税収を上げましてやっている国もございますので、単純にどこが特別会計、一般会計ということの国の多さ、少なさだけで日本の制度がいい悪いということも議論できませんし、それから一般的な情勢をもう少し詰めてみませんとわかりませんので、我々といたしましてはさらに諸外国の実例、制度というものについての研さんに努めたいと思っているわけでございます。
#181
○五十嵐委員 諸外国の状況をおたくの方で詳細に調べてないわけはないと思うのです。そんな資料がないなんて言ったら、本当に何をやっているんだということにそれこそなるわけで、そんなことはないと思いますね。今お話しのような基礎的な諸条件が違うということもわかるし、したがってこの場合はどうだとかということを、いろいろと我々も克明に御説明いただかなくては誤解する部分もあるだろうなと思います。ぜひ少し詳細な在資料をいただきたいと思うのですが、これはよろしゅうございますか。
#182
○田中(宏尚)政府委員 先生のところにお持ちいたしまして、十分説明さしていただきたいと思います。
#183
○五十嵐委員 それにしてもさっき国鉄の話を申し上げたけれども、僕はもちろん自主努力を惜しめなんということを言っているのではなくて、それはもうみずから汚しながら自己努力を一生懸命してもらうことは当然のことだろうと思いますね。しかし一方では、何ぼ自己努力をしたって、客観的に見て、こういう素材の中で仕事をしていくということになれば限界があるだろうなということもわかるわけです。したがって、そうすれば、本当に山を守って育てていくのにはどうしたらいいかということについての極めて意欲的な取り組みが欲しいなというふうに実は思うわけなんですね。
 今年、一定の評価すべき前進があったと思うわけですが、例えば今年の新しい改正によって新規に幾ら一般会計からの繰り入れがふえることになりますか。
#184
○田中(宏尚)政府委員 新しい退職手当について財投の貸付対象を拡大しまして、それに利子補給をします分と、それから保安林等の保全管理に要します経費について一般会計から繰り入れるというこの二つを足しまして、約六億でございます。
#185
○五十嵐委員 それは歳入総額の何%くらいになりますか。
#186
○田中(宏尚)政府委員 昭和六十二年度の予算見込みで申し上げますと、歳入が一般会計からの繰り入れ、自己収入、長期借り入れ全部含めまして五千六百九十九億でございます。このうち六億でございますから、その〇・一%程度だと思います。
#187
○五十嵐委員 まあその程度のものなわけですね。本当に情けないと思うのです。少しまともに議論して、本当にどうするかということを今考えていかなければ将来大変だと僕は思うのですね。
 我が党の政策としてこの間も申し入れたわけでありますが、保安林などの経営管理、それから治山事業、住民及び国民の生活道路である幹線林道の新設、維持修繕、林木育種事業、国民の保健休養など、計量可能な公益的機能発揮のための費用について一般会計から国有林野事業特別会計にぜひ繰り入れる。本当から言うと、公益勘定の創設をしていくべきものではないかということなども私どもの党では主張をしているわけであります。ぜひこういうことについても、それはだめなんだということだけでなくて、どう一体大蔵省等に、あるいは全国民に説得力を持って理解させながら長期の林業振興の財政的基盤をつくっていくかということについて御検討いただきたい、こういうふうに実は思う次第であります。
 続いて一つお伺いしたいのは、さっきいろいろ先輩からお話が出ていたのでありますが、例の五兆円以上の内需振興にかかわることなんであります。政府がまさに内外にわたってこれを公約しているということの中で、大幅な公共投資追加補正という段階に入ってくるわけでありますが、昨年の与野党合意あるいは国会決議等もあり、現在活性化の五カ年計画があるわけだけれども、その種のものの見直しがいいのか、あるいは新たな特別計画がいいのか、できればこの際五兆円の波にしっかり乗って、この仕事こそ最も適当なんだという胸を張った意欲的な取り組みをぜひひとつしてほしいと私は思うのです。具体的にはさっき竹内委員からもいろいろお話があったようであります。
 この間も我々議論して、今の活性化計画の一つの柱でもあるわけでありますが、思い切って例えば間伐の事業を進めてみてはどうか。お聞きしますと、人工林のほぼ半分の四百万ヘクタールが間伐する時期に来ている。中でも民有林では、百九十万へクタールができるだけ早く今間伐しなければ山がだめになっていくというようなお話も伺うのでありますが、これなんかは雇用につながる面が非常に大きいわけで、この前も計算を教えていただいたのでありますが、一ヘクタール二十人として一年に千二百六十万人という雇用、これは山林実施計画の上での計算でありますが、そういう数字なんかが出ておりました。こういうようなことも大胆な計画に置き直してみる、あるいは自然保護には十分注意しながらも林道の造成に努めるというような事柄に、この機会にこそこれはマル持事案だ、言ってみれば特別事業だというような格好で、本気になって少し取り組んでみてほしいと思うのですよ。さっき次官からもお話がありましたけれども、ここは本当に意欲的な返事が欲しいなと思うのですが、いかがですか。
#188
○衛藤政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、五兆円の内需拡大のこの絶好のチャンスに、この波に乗って森林、林業整備を早急に進めるようにという御意見でありますが、まさしく御指摘のとおりでありまして、とりわけ五十嵐先生御指摘の間伐のことについての取り組みにつきましては、さらに積極的に進めてまいりたい、このように考えております。国有林、民有林ともにそうでありますが、この間伐の作業が雇用をつくり出すわけでもございますし、また自然保護等の立場にも立って林道の開設をさらに進める、そのことによりまして山林の価値を高める、また林業生産基盤の整備充実の道を開く、このような御指摘でありますが、そのような取り組みをしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 とりわけ森林、林業、木材産業の活性化の回復のための五カ年計画をやっております。この五カ年計画は計画どおり進捗しているわけでありますが、この五カ年計画はもちろんそれ以上の回復、活性化に努めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 またこの際、国産材の主産地の形成と担い手の育成ということが極めて大切なことでございまして、環境基盤整備とあわせまして生産基盤の整備、そういうことにつきましてもこの五兆円の内需拡大の補正ということに絡めまして対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#189
○五十嵐委員 今次官お触れになられましたけれども、担い手の問題ですが、まさにそのとおりで、今のような状況では林業労働者の前途は一体どうなるのかという感じがするのです。十五、六万人くらいですか、お聞きすると一年大体一万くらいずつ減っているという話ですね。年間で二百万円くらいの収入の人が一般的なようだし、しかも労働災害、振動病を初めとして非常に深刻な問題もたくさんあるという状況の中では、やはり山を離れていくのですよ。しかも一方で、十年ないし十五年くらいになってくると、今度は国産材時代に入ってくるということさえも言われているわけでありますから、そうなってくるとその担い手は一体どうなるのかなという感じが非常にするわけで、今のような政策で一体いいのかということについては率直にひとつ疑問を出しておきたいし、ぜひ積極的なお取り組みを、今次官のお話のとおりお考えをいただきたいと思う次第であります。
 次に水産庁に伺います。
 ここ数年、北海道の周辺やあるいは西日本水域における韓国船の非常に乱暴な操業行為というものは目に余るものがある、このように思うわけであります。まさに資源保護なんというのはちっとも考慮にない根こそぎ乱獲により、せっかく育て上げた日本周辺の沿岸の漁場の荒廃、漁具の被害、操業妨害、こういうトラブルが激増しているようでありますし、さらに領海侵犯、それから日本国内の操業規制をまるっきり無視しているようなケースが相次いでいるわけであります。違反韓国漁船の検挙件数を聞きますと、これも相当な件数に上っているようでありますが、これらを含めてそういう無謀な操業のあり方についてどんなような把握をしておられるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
#190
○佐竹政府委員 特にここ五、六年、韓国の漁業が非常に発展してまいりました。日本周辺水域における韓国漁船の操業が著しく増大しているわけでございます。御指摘のように北海道を初めとして最近では山陰、九州、さらに三陸沖から道東にかけて、およそ日本の周辺水域すべてにおいて韓国漁船の操業が見られる、かようなことになっているわけでございます。
 これに対して現在の日韓間の漁業関係については、西の海域における日韓漁業協定、それから北海道沖、済州島沖における両国漁船の自主調整、こういう枠組みがあるわけでございますけれども、もはやこのような枠組みでは対応できないというような認識に立ちまして、現在日韓漁業協定締結以来二十年を経過しているわけでございますので、現状に即して新しい漁業秩序を確立する必要があるという観点から韓国に対して強く申し入れをしている、かような現況にあるわけでございます。
#191
○五十嵐委員 日本の漁船も二百海里以降締め出されて、本当に血と涙のような苦労を続けている。ところが、自分たちの海は、特に韓国船には二百海里は適用されていない、国内の規制も無視されている、これはたまったものじゃないですよ。大変な強い不満や抗議が相次ぐのは当然の話です。水産庁もこの問題解決のためには先般来鋭意御苦労いただいているようでありますし、おとといまでですか、三日間ほど東京における日韓漁業交渉も実務者段階で行われていたようでありますが、報ぜられるところによると不調であったようであります。しかもその内容は、我々が聞いてどういうつもりなんだろうなと思われる韓国側の意見のように私には思われるので、これらの経過等についてこの機会に率直に御報告をいただいて、一体どうするのか、本当に腹のあるところをひとつ聞かせてください。
#192
○佐竹政府委員 先ほどお答えしましたような観点から韓国と交渉を続けているわけでございまして、経過を若干御説明いたしますと、昨年十月末で北海道沖、済州島沖の自主調整の期限が切れたわけでございます。したがって一つの節目でございましたので、それを機会に全面的に日韓の漁業秩序を新しく確立することを主張してきたわけでございますが、これについては韓国側は応ずるところとならず、しかしながら話し合いを続ける必要性については韓国側も認めておりますので、協議継続ということにしたわけでございます。
 一方、協議継続いたしますと、その傍らでトラブルが起きることも忍びないということで、とりあえず一年間現在の漁業自主規制を延長するということで、実は昨年十月以降一回昨年末にやっておりますが、今年になってから二回目の交渉を五月十一日から五月十三日まで東京で韓国側と行ったわけでございます。
 韓国側と日本側では基本的に主張が食い違っておりまして、私どもはこの際全面的な新しい漁業秩序の確立が必要であるということを主張しておりますのに対して、韓国側は問題のある海域について、北海道あるいは済州島で行われたような自主規制措置を講ずることでいいのではないか、枠組みを見直すということにはいろいろ問題が多いというのが立場でございます。私どもとしては、枠組みの改定の必要性はなお強く主張しておりますが、いわば入り口での議論が空回りいたしますので、我々の基本的立場は留保したまま、それでは一体韓国側は何を考えているのか、問題海域ごとに自主規制すればいいというならどういう自主規制措置を考えているのか、ひとつ提案をしてもらいたいということを強く求めたわけでございます。
 今回はその提案がなされたわけでございまして、その提案の具体的内容につきましては、交渉過程のことでございますので詳細申し上げるわけにはまいらないわけでございまして、その点ひとつ御理解いただきたいと思いますが、日本周辺における韓国漁船の操業条件について一定の規制をするという提案があったわけでございます。従来全く野放しになっていたものについて、新しく自主的な操業規制をするという提案があったわけでございます。反面、韓国周辺における日本漁船の操業条件につきましても、従来全く自由に行われてきた、あるいは日韓漁業協定の枠の中で自由に行われてきた操業について同じような自主規制をしてほしいという提案があったわけでございます。
 これに対して私どもといたしましては、韓国側に対し、まず韓国側の提案の内容に、日本側が強く主張していた取り締まり権の強化の問題について何ら考慮が払われていない点が大変遺憾である、それから日本側がかねてから日本側における韓国漁船の操業について秩序化を求めていたのは、いわば日本の国内規制並みの操業をしてほしいということを言ってきたわけであって、それに対して韓国側が一定の回答をしたからということの見返りとして、韓国周辺水域で操業している日本漁船の操業について自主規制措置を求めるのはちょっと筋違いではないか、こういうことを主張したわけでございます。
 それに続いて今度は日本側から、それでは日本側が枠組みの見直し、新しい漁業秩序の確立とは一体何を考えているかということを具体的な案として示したわけでございます。
    〔保利委員長代理退席、委員長着席〕この内容につきましては、まず韓国船の操業が日本近海全般に及んでいるという実態に即した新しい操業条件の設定、それから、それをある期間ごとに見直す、そういう制度の仕組みをきちっとつくるということが一つ。それから、沿岸国の取り締まり権を強化する。現在日韓両国間では旗国主義、それぞれの旗国が取り締まりをするという建前でございますが、これではどうもお互いに約束したことが的確に守られないではないか、そういう意味で取り締まり権を強化するという提案を案として示したわけでございます。
 これについて韓国側は、協定の見直し、特に取り締まり権の強化につきましては韓国内の政治情勢、つまり日本が取り締まり権を強く持つということについて、韓国側では非常に国内で政治問題になるということと、それから協定成立時の経緯、と申しますのは、現在の旗国主義は二十年前、日本側が非常に強く主張して旗国主義をとったという経過がある、これは事実のようでございますが、そういう問題があるので直ちに応ずるわけにはいかない、こういうことでございました。
 それで、次の御質問でございます今後どうしていくのか、こういう点でございますが、率直に申し上げまして日韓のアプローチは全く違うわけでございます。しかしながら私どもは、韓国側もまたこの問題はもう放置できないという認識は持っているであろうということを今回韓国側の提案を通じて認識したわけでございます。私どもが一番恐れておりますのは、いわば韓国側にとっては現状が一番都合がいい、そうすると交渉に時間をかければかけるだけ韓国側は有利である、そういう引き延ばしを図るのではないか、そういうことを恐れたわけでございますけれども、その点のおそれは一応払拭したわけでございまして、この問題を放置できないという認識は日韓で一致しているわけでございます。ここを手がかりに何とか事態の打開を図りたいと思うわけでございます。
 そこで、具体的にどういう方法でこれを進めていくかということでございますけれども、私どもとしては、日韓間でどのような漁業秩序の枠組みを採用するとしても、お互いに排除し合うということはできないであろう、ある程度の入漁は相互に認めなければ、日韓の一衣帯水、特に西の海域においては海域の特性、共通の資源を使っているという特性から見て、ある程度の入域は認めざるを得ないだろうというふうに考えているわけでございまして、そうしますと今回の韓国側の提案、具体的な自主規制の提案というものは、その相互入漁について検討する際の一つのたたき台にはなるのではないか。したがいまして、私どもとしては、今後十月末にまた期限が来るわけでございますけれども、そういう時間的な制約もございますので、日本の枠組み見直しという基本的立場は留保して、この実体的な相互の入漁関係について韓国側の提案を土台にして進めていきたい、かように考えているわけでございます。この際に、既に現在安定的に韓国二百海里内で操業している我が国の漁業もあるわけでございますので、これに一定の影響が出ることはしようがないにしても、大混乱を与えることはしてはいけないだろう。それからまた、当然のことでございますけれども、やはり北海道それから西日本海域における日本の沿岸漁民に納得していただける内容のものでなければいけないだろう。要は日韓全体としてバランスのとれた内容のものにすることを旨といたしまして詰めていく考えでございます。
 それからまた、取り締まり権の強化の問題でございますけれども、これにつきましては韓国内の国民感情とかあるいは協定成立の経緯という問題はあるにしても、現在日本海域で操業しております韓国船の相当部分は船名を隠ぺいしております。船名を隠ぺいしておりますと今のシステムは動きません。お互いに違反船を見つけたらその船名を確認して、それを本国に通報してそれぞれの旗国が処置するということでございますから、このシステムが動かないわけでございますので、これは私どもは条理だろうというふうに考えております。船名隠ぺいがされているという事実があれば今のシステムが動かないのは韓国側も認めざるを得ないのではないかと思いますので、そのような点を手がかりにして、大変難しい問題ではございますが、何とか事態の打開を図りたい、かように考えている次第でございます。
#193
○五十嵐委員 既に時間を経過したようでありますから、御要望だけ申し上げておきたいと思います。
 非常に困難な交渉であることはよくわかるわけでありますが、もうそれぞれ我が国の漁民も堪忍袋がパンクするという状況になってきている。来週ですか、北海道からもたくさん上京して強く抗議の要請をする、こういうようなことも言っておりますし、ぽつぽついろいろな集会等でお話を聞くと、もうこうなったらトラブルも辞さぬ、むしろそういうことを起こすことが解決につながるのだというふうな話もかなり出てきているのはお聞きになっていると思うのです。不測の事態も予期されないことではございませんし、ぜひ積極的に取り組んでもらいたい。お話によれば韓国側も、もうそろそろ早期に解決をしなければいかぬという気持ちにはややなっているような感じでありますから、一年延期をして改めて十月の期限が来るわけですが、それまでには恐らく解決はするのであろうというふうに今承りましたけれども、ぜひ我が国の国益の上にしっかり立って、漁民の暮らしをよく守りながら、困難ではあるがこれが解決に鋭意努力していただきたい、こういうぐあいに思います。
 どうもありがとうございました。
#194
○玉沢委員長 武田一夫君。
#195
○武田委員 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、この中身につきまして数点お尋ねをいたします。
 山の仕事は非常に気苦労が多い根気の要る仕事で、大変御苦労をなさっているわけであります。不思議なもので、根気が要るなんというのは木に関係ある字であるということで、もともと山の仕事というのは、そういう大変な苦労が要る気の長い粘り強い仕事なのかなというような気がするのでありますが、それにしても昨今の山を取り巻く環境は非常に問題がたくさんあり過ぎる。そういう意味で、林野庁を中心とした関係の皆さん方の御苦労や御心痛は大変なものであって、その中で一生懸命頑張っていることに私は敬意を表しながら、しかしなおかついろいろな問題があり過ぎる。それをひとつこの機会に本腰を入れて取り組んで、今後の日本の山というもの、緑というものをしっかと守りながら進んでいってほしい、こういうふうに思うわけであります。
 山、森林につきましては、国土保全とかあるいは保健休養とかあるいは大気の浄化、水資源の確保とか緑の確保とか維持とか、大変多くの公益的な機能を持っているということでございまして、その機能というものが、その維持増進について、世界的にも日本におきましても国民的な要請が年年非常に高まっているということでありまして、そういう意味から国土面積の二割ですか、森林面積の約三割を占め、我が国森林、林業における指導的役割を担うべき国有林野事業には、これまでにない重大な責任と使命があるということを私は感ずるわけでございます。
 そこでまず最初に、大臣おいででございませんので次官にお尋ねをいたしますが、今後の国有林野事業の使命とあるべき姿、特に進むべき方向というものをどういうふうにお考えであるか、その点をまず簡潔に御答弁をいただいて、それからまたその問題についていろいろと御質問したい、こう思いますので、次官からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#196
○衛藤政府委員 お答えを申し上げます。
 御案内のとおり国有林野事業は、それぞれの時代の社会的、経済的要請にこたえて種々の役割を果たしてまいりましたが、森林、林業に対する国民的要請の高まりにかんがみまして、今後とも林産物の計画的また持続的な供給を推進してまいりたい、また国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全形成、保健休養の場の提供等の森林の有するいわゆる公益的機能の発揮を高めてまいりたい、また、国有林野の活用等を通じた農山村地域振興の推進を図ってまいりたい、こういうことが国有林野事業の使命である、このように考えておるわけであります。
 また、この使命を達成していくためには、基本的には国有林野事業の健全な経営を通じていかなければならない、そのため、現行の改善計画の改訂あるいは現行改善計画の強化によりまして自主的な改善努力をなすとともに、収支均衡の達成等経営の健全性を確立して、最も簡素、そして最も合理化された組織、要員のもとで能率的な事業運営を図ってまいらなければならない、このように考えておる次第でございます。
#197
○武田委員 次官が今話されたことは、これまでも何回か改正あるいはまた充実の中で努力をしてきたものではないかと思うわけであります。何か今までの中で、特にそれ以上に効果的な経営の健全化、そして緑の保全等々国家的財産をさらにしかと守っていく、その中で経営の合理化等々を通して、現在ある多額の赤字が解消できる決め手みたいなものが果たして考えられるのか。
 いうところの一番の問題は、これまで五十三年あるいは五十九年、また今回というような措置をして、それでなおかつなかなか、構造的な要因もあるわけでありますが、赤字の解消が一向に成らない、いつになったらしかとした経営の健全化ができるのかというのが一番の核心ではないかと思うのでありますが、その点につきましては次官はどうお考えなのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
#198
○田中(宏尚)政府委員 経営の改善につきましては、いろいろな計算なり手だてというものを講じているわけでございますけれども、当面の目標といたしましては、六十八年までに基礎的な諸条件を整備いたしまして、七十二年度に収支均衡を図ってまいりたいという目標を立てておるわけでございます。しかし、この七十二年度の収支均衡達成ということがもちろん容易な目標ではないということは十分承知しておりますけれども、何とか自主努力と適正な財政措置、こういうものをかみ合わせまして、七十二年の収支均衡に向かって全力を挙げて進んでまいりたいと思っております。
#199
○武田委員 そういう努力目標を掲げておるわけでして、これから十年間というのはそういう意味では非常に大変な努力をしなくてはいけない。人員の合理化とか、営林署あるいは営林局とかの中の組織の改革とか、自己収入をさらに拡大しようとかいろいろなことがあるのですが、林政審では森林資源基本計画、それから木材需給の長期見通しの早期改定も指摘しているところです。国有林野事業としてこうした問題についてどういうふうな対応を具体的にしていくのかということをしかと明示しておかぬと、諸条件の整備とか、あるいはそれによって収支の均衡を七十二年までといっても、これは十把一からげというわけではない。山というのは山っ気があるとか一山河文ということがありまして、どうもいつもどんぶり勘定みたいな感じがするわけでありますが、どんなに山があっても一本一本の木が見えるような財政再建、対応というのが必要ではないか、こういうことを思うときに、長官が今言ったいろいろな条件整備というものの中で、特にこれから力を入れていくことによってそうした収支均衡へのめどがつけられるのじゃないか、そういう一つの方向として具体的に何をお考えになっておるか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
#200
○田中(宏尚)政府委員 収支改善は、これをやればすべてのけりがつくという決定的な決め手というものはなかなかございませんで、いろいろな努力を積み重ねて初めてトータルとして改善していくということに残念ながら事柄の性格上ならざるを得ないと思っております。
 そこで、その一つ二つを申し述べますと、一つは、何といいましても自主的努力というのが基本になりますので、この点では一つには支出をどうやってスリム化していくか、もう一つには収入をどうやってふやしていくか、その結果として収支の改善というものが生まれてくるわけでございます。支出の面につきましては、いろいろな問題を抱えながらも、要員調整について労働組合等の御理解も得ながら何とかスムーズに所期の目的を達していって、組織、要員規模をできるだけ簡素合理化した姿の中で合理的な経営をやってまいりたい。それから収入面の話では、販売方法について、従来以上に企業的センスというものに立ちまして、公正にしてかつ有利な販売を心がけてまいりたいと思っておりますし、七百万ヘクタールを超える林地が経営の中にございますので、森林の経営と同時に、そういう林地そのものの活用というものも収入面では一つのてこになろうかと思っております。それに加えて、今回も法律でお願いしておりますような、こういう財政状況の中ではございますけれども、しかるべき財政的な手だてもしていただきまして、これらがトータルとして六十八年なり七十二年という我々の目標年次に向けて花咲くことを期待し、我々としても血の出るような努力を積み重ねてまいりたいと考えておるわけでございます。
#201
○武田委員 国有林の赤字の原因はいろいろあるわけです。その中で、ある学識者は、国有林経営といっても全体が均等の経営をやっておるわけではない、いろいろな格差がある、各地の国有林経営のあり方はそれぞれ当該地域の林材業のあり方が強く影響しておる、これは私も非常にわかるのです。そういう意味で、日本の林材業、林産業というものの大半は、それはいろいろと改善されたりしておるわけですが、残念ながらまだ非常に粗雑、未熟な低開発の状況にあるのじゃないか、国有林の多くが低開発地域に所在しておるということがあるのじゃないか、こうした状況の中で、国有林の経営というのは、本来林野庁あるいは営林署と局が、そういう地域にもっともっとイニシアチブをとるような立場であってほしいのだけれども、かえってそういう地域の体質の中に取り込まれて、思うように自分たちの力が発揮されてない。願わくば国の立場の職員の方々やそういう機関が、地域のそうした未熟なまたは非常におくれているようなところをアドバイスしながら、指導しながら高めていく、そういうようなやり方をしていかなければならないのではないか。何か粗雑で未熟な地域に対してのイニシアチブの発揮ができていないというところに一つ赤字の原因があるんじゃなかろうか。
 そういう意味で、現在の国有林というのは、全国民に開かれたというよりは、むしろ未熟な地域林業に取り込まれた分国国林の感さえある、こういう主張をしながら、こういう構造的な体質から脱皮しなければ赤字というものはどんどんふえていくのではないか、これが赤字の一つの大きな原因だと指摘する学者がいるわけでありますが、この御意見、私はあちこちずっと歩いてみますと何かわかるような気がするのでありますが、長官はこの御意見についてどういうお考えを持っているか、ひとつ聞かしてもらいたいと思う。
#202
○田中(宏尚)政府委員 国有林は全体で七百六十万ヘクタールからございますけれども、トータルとして見ると、国有林という一括した枠の中でございますが、先生からもただいまお話がありましたように、それぞれをとってみますと、まさしくそれぞれの地域に密着した、ある意味では地場産業の最たるものというふうに我々も認識しておりまして、地域産業とともどもに今までも歩いてきたわけでございます。七百六十万ヘクタールの国有林の賦存状況を見ましても、全国いろいろなところにいろいろな濃淡の差を持ちながら分布している、そういうところで一律的な経営指針なり経営方針ということではなかなか十分な管理運営ができないことは御指摘のとおりでございまして、地域によりましては軒下国有林というような、国有林が非常に濃密で、国有林の動きがその地域の経済活動そのものを規制するというようなところもございますし、それから西の方などでは国有林そのものは非常に少のうございまして、民有林とともどもに歩くなり、レクリエーシヨン機能でございますとか教育文化機能、そういう通常の林産活動、林業活動とは違う局面で国有林に対する期待というものも多い地域があるわけでございます。
 我々といたしましても、経営を合理化いたします際に、それぞれの区域に応じた施業方針なり経営のあり方、さらには人員の配置ということをきめ細やかに考えてまいりませんと、全国画一的な運営方針では、経営としてもあるいは国土を守るという点から申しましてもなかなか十分ではございませんので、そういう地域的な視点というものは従来からも徐々には取り入れてきておりますけれども、今後ますます必要になってこようかと思っております。いろいろな長期見通し等もナショナルベースで決められますけれども、それぞれ県段階でもいろいろな計画がございますし、うち自体の毎年の事業計画等も営林局ごとに、それなりに、ということでいろいろな形でブレークダウンされておりますので、そういう局面できめ細やかな指導なり立案というものに従来以上に意を用いてまいりたいと思っております。
#203
○武田委員 次に、今回の法改正によって財政的な手当てをしていただけるということで関係者は非常に喜んでいるわけですが、先ほど話したようにこれから十年間、さらにまた成木となって切り出されるのに十五年か二十年ある。その間関係者はそれなりに一層の苦労と努力と辛抱をしながらいろいろな対応をしていかなくてはいけない。利子補給二分の一ということは確かにありがたいのだけれども、この十年間くらいはそういう大変な苦境の中であるだけに、全額補給できるだけの財政措置もあってしかるべきではなかったか。
 山が厳しくなる。そうすると働く方々の周辺もいろいろと苦労がある。その苦労が一つ一ついい方向に向いてくれるならいいけれども、努力しても結果的にはいい方向に向いてこなかったということになれば、働く方々の士気にも大変影響してくるということになるので、その期間の集中的な対応で改善するのがいいのではないかという要望があるわけで、私もそういうことは必要ではないかと思う。先ほどどなたかが、一つの仕事についても山村地域の振興についての予算の傾斜配分等というような話がありましたが、こういうことは十分な配慮の上で取り組まなくてはいけないのではないか。ちびちび出し惜しみをするような形というわけではないのだけれども、集中的にやった方が効果が上がると思うときに、半分に切ってみたり四分の一ぐらいというような形でやることによる効果の結末は見え見えではないか。十年が二年、三年の間にまた法改正でどうするのかなとと言われぬようにすべきではないか、こういうことなんですが、この点をどういうふうに考えて、今後どういうふうに対応するかということを御答弁いただきたいと思います。
#204
○田中(宏尚)政府委員 財投資金の問題につきましては、本来の原則論といたしましては、森林経営を行う者が自分の資金で造林とか林道新設とかをすべきことが原則でございますけれども、そういうことを言っていましてはなかなか現在の苦しい状況を乗り切れないということで、ある意味では恩恵的に財投資金の借り入れという道が過去の先輩諸公の御努力によって開けたわけでございます。その後さらに状況が悪化してこういう状況に立ち至りましたので、今度はさらに返せない部分の借りかえを認めてもらう。通常の企業ですと、返せない場合には借りかえというような措置はなかなか金融機関の承諾が難しいわけでございますけれども、幸いにいたしまして国有林の公共性なり公益性というものに財政当局の理解を得まして借りかえが認められたわけでございます。
 それに加えまして、特にこういう厳しいときであるから一点集中、むしろ助成を手厚くしてもらいたいということで、利子補給の二分の一を年末の予算折衝、それから先般の衆議院通過の予算でお認めをいただいたわけでございます。こういう借りかえについての利子補給というものは、そう言っては何でございますが、極めて異例な措置でございますし、これが仮に全額利子補給ということになりますと、我々決してそういう態度には出ないつもりではございますけれども、場合によっては仕事を手抜きして償還不能がたくさん出ても、借りかえて全部利子補給がもらえるということになりますと、何となしにみずからの精勤努力にもブレーキがかかりかねないというような経営上の問題もございますので、こういう財政状況の中で思い切って借りかえ、利子補給というものを認めていただいた際に、二分の一が経営上も適正であろうと判断いたしまして今回の法律改正をお願いしている次第でございます。
#205
○武田委員 けなげな気持ちはわかりますけれども、結局自助努力に負うところがある。これはやらなくてはいけない当然の責任です。だけれども、それをやっても経営の健全化の回復には限界があってどうしようもなくなる、そのとき頼るのは国のお金である、こうなるわけであります。どこから出てくるかと言えば国民の税金でございますから、そういう税金をしっかり使っていただいてもきちっと効果が出てくるという取り組みが必要である。そのために国民は、特に山の存在の重要なこと、緑の重要なことを非常に認識してきておる。一たん山が荒廃すれば災害によって大変な惨事になる。また、山が人間の生活にどれほどすばらしい環境と生活条件を与えるか等々、いろいろと効用等を水につけ空気につけ知ってきておるわけです。
 それだけに、大事な山に対しては我々も協力しようという動きは最近は非常に出てきておるのではないか。こう思うときに、国としても全体観に立った上で、そうした山が大変窮地にあるというところを国家的な観点から対応するということになれば、先ほどの、金が二分の一が全額になると、どうも一生懸命やろうという心に緩みが出てくるなんていうことにはならぬと私は思う。もし出てくるとすれば長官の心の緩みか上の方じゃないだろうか。下の方々に話を聞いてみますと、この間も現場の方に聞いたら、今仕事に携わっている職員の方々は、まず山が好きだ。この山を一生懸命守ろうという気概が非常に強い。この仕事に生きがいを感じておるという方が非常に多い。そういう方々の士気がさらに高まるような対応が今度の法改正の中に欲しい。
 こういう意味で、こうした財政的な措置をしていただいたということは、国も我々のことを非常に考えて、苦労を知ってこういうことをしていただいたのはわかるけれども、しかしながらまだ中途半端だ。中途半端というのは欲求不満が出てくるのですよ。やるときは思い切ってやらぬといかぬ。十年間という一つの期間があるだけに、そのところできちっとした収支の見通しでもって、言われるところの経営の健全化というものの答えをここで出さぬと、働いている人だけでなく、周辺にいる国民がまた何を言うか心配でございます。そういう意味で、本格的にこうした対応をするときに、現行制度のもとで経営の再建、健全化を図るための決め手となるくさびを一本打ってほしいという願いを込めて御意見をお聞きしたわけでございますので、これは御答弁はちょうだいしませんが、そういうことをひとつ心の中に入れて林野行政の対応をしてほしいな、こういうふうにお願いします。
 それで、先ほど出るものを減らす、それから収入を上げる、木を売ったり林産物の収入とか山を活用するとかいろいろと収入の道を考えているわけでありますが、どうですか、そういうことを一生懸命やるようになってから収入がいろいろな面で上がってきておりますか。また、各地で効果ある対応ができておりますか、その状況をちょっと御説明していただけますか。
#206
○田中(宏尚)政府委員 国有林野におきましては、幸いにして立木だけじゃなくて例えば土石類でございますとか山菜、キノコ等々、国民が必要としている多様な資源を持っておるわけでございます。こういう資源を最近、国有林経営の状況等も関係いたしまして、それぞれの局署で徹底的に見直しを行ってくれておりまして、職員の創意工夫というものも生かしまして、一署一品運動という形で、例えば職員が製作したいろいろな木工品というようなものの販売にも取り組んでおりまして、実は私の長官室にも、そういう各署で工夫されました一署一品の成果品というものも若干展示させていただいているわけでございます。それで、この運動をしてみまして、それぞれの職員の方々がいろいろと知恵を出され、これがある意味では末端の営林署自体の活性化につながっているという思わぬ効果が一つございます。
 それから、現実の収入面という点ではまだ端緒についたばかりでございますので、直近年度で、山菜でございますとか木工品でございますとか、こういうもので十億円程度の収入でございましたけれども、特に都市住民の方々に非常に喜ばれるような産物なり加工品というものを提供しておりまして、そういう意味では、営林署に対する都市住民の方々の親しみなり接近感というものも醸成されてきておりますので、そういうトータルの効果に着目いたしまして、これから全庁挙げましてこういう新しい取り組みにも真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
#207
○武田委員 自己収入の拡大ということは、私は木を売るということと同時に重要な課題だと思います。そこで、いろいろとその種類はあるわけでありますが、この間もちょっと聞いたヒューマン・グリーン・プラン等々なんかを見ておりますと、これからあれをやろうということなんですが、いずれにしても地域とのつながりを非常に重要視しなくてはいけないし、大体第三セクターなんかを考えているということでありますが、山村地域というのは、いずれにしても過疎と若者の流出の激しいところであるということで、今後そういう面の対応は重要になってくる、これは私は理解できます。
 ただ問題なのは、国有林野事業の中で、林野庁の職員の皆さん方が今までのような姿勢でなくて、みずから一つの製品販売、ルート開拓、情報収集、そういうものも含めて最先頭で最前線に行って頑張らなければいけない。これはやっているところもあるようでありますけれども、まだまだ不十分ではないか。こういうことを思うときに、一つの企業として取り組むぐらいの決意と努力と研究というものが相当要求されてくるのではないか。ですから、そういう意味では、各営林局や営林署にいる方々だけでなく、長官を中心とした頂点にいる皆さん方も一緒になって、やはり我々も一緒に協力しながらやらなくてはいけない、こういうふうに思っているわけであります。経済と公益というのは複合しておりますから、そういう意味で地域経済の活性化にもなる。山が活性化、そして林野庁さんが活性化してくれば、その周辺の町村、山村の活性化というのが出てくるのではなかろうか、私はこういうふうに思います。
 ですから、これからお願いしたいことは、そういう意味で職員の皆さん方が一生懸命努力する過程の中で、その努力目標をそういう方向にも持っていかなくてはいけないのではないか、こう思います。例えば木の価値の開発という問題があります。例えば同じ木を五百円でぶん投げのように売っている。ところが、これは研究開発等によって十倍にも十五倍にもなるようなケースがある。こういうものが果たしてほかにないものかどうか。そういう木の価値の開発の取り組みが重要な課題ではないか。五寸にすれば価値があるのを、地元の現場の方の考えで四寸五分にしたために価値が半減するとかというようなことも指摘されているわけであります。それから市場の広域調査も各町村との連携のもとにしなければならないのではないか。それから具体的な需要の開拓、先進地業者等の引き込みの問題、それから販売価格の問題、これは先ほど言ったことと関係ありますが、適正な、しかも高く売れる一高く売ってもいいものを安く売っているケースがあるそうであります。これは指摘されているところでございますが、そういうものがあるとすれば点検をしながら値段を上げて対応するとか、それから生産販売のノーハウの地元への普及というようないろいろな問題がございます。
 こういうことに林野庁の職員の皆さん方が実践的教育というものも兼ねて先頭切って対応する、それが民有林等々に携わっている、あるいはそれを支えている地域の皆さん方に大きな啓蒙といいますか力を与えることにもなるのじゃないか、こういうことを私は考えるわけであります。そういう点の取り組みによって、立ち木を販売すると同時に多くの収入を取り入れて、それが経営の健全化に大きく役立つという対応をなさってはいかがなものかと思いますが、ひとつ御見解を聞かしていただきたいと思います。
#208
○田中(宏尚)政府委員 先生の御指摘の点、全くそのとおりでございまして、今まで林野庁がこれだけの体制でこれだけの仕事をしながら、行政という一定の枠の中で、そういうビビッドな商活動ということにどうしても抜けていた点があるわけでございます。しかも、ここのところこれだけ経済の動きが激しくなってき、消費者の需要なり動きというものが多様化、スピード化してまいっておりますので、それについていくぺく我々自身の頭の中の切りかえあるいは研修、新しいノーハウの蓄積というものにここのところ日々追われているわけでございますが、特にヒューマン・グリーン・プランの推進とか、あるいはここのところ幸いにしてふえてきております住宅の新規着工に対してできるだけ木を使ってもらうとか、こういう大きな仕事になってまいりますと、役所側の知識だけではなくて、民活というか民間で長い間蓄積してきたノーハウというものも十分活用しなければならない局面も出てきております。したがって、官民一体となりまして木材の需要開発を初め新しい素材の開発、販売方法の改善、それからヒューマン・グリーン・プランにつきましてはいろいろな適地の選定なりレイアウトの設定、こういうことにつきましては従来以上に我々も研究し、民間の方々とも相提携しながら、十分な効果が出るように何とかいろいろな知恵を出してまいりたいと考えております。
#209
○武田委員 林産物というのは生活の全分野をカバーしている。勉強すると、生活の中に占めている部分というのは相当いっぱいある。一つの木が机になる、あるいは皮が敷物とか飾りつけになる、あるいはまたその実が薬用に使われるとか、研究開発することによって相当貴重な財産を山は持っているということでございますから、そういうことを林野庁も専門的に勉強していると思うのですが、ひとつ十分に対応してもらえれば今後それが大きな活力になってくるのではないかと私は思います。
 そこで次に質問したいのは、農業も漁業も林業も皆同じですが、後継者の問題がやはり一つの大きな今後の課題ではないか。大体、今山を持っていてその山を息子に譲ろうとしても、そんなの要らないと言って受け取らない息子がいるという話も聞く。また、山仕事などはしないで外へ出ていこうという若者が多いということでございまして、私はやはり後継者の問題で一番深刻に悩むのは山ではないかなというような気がしてなりません。
 そういう意味で、林野庁として職員を採用する中で、定員削減、経営の合理化で若い方々の採用がなかなか厳しいようでありますが、山の仕事というのは採用をもう少しふやして、若い者をふやしながら技術の問題とか、山に対するいろいろな知識を肌で感じさせなくてはいけないものが非常に多いのじゃないかということを考えると、余り間隔をあけた職員層というのは好ましくないのじゃないか、優秀な若い後継者づくりの対応を検討しなければいけないのじゃないかな、私はこう思うのです。こういう厳しい中で、若い新規卒業の職員の採用等について今後どういうふうに考えていくつもりなのか。そういう方々が一生懸命山についての知識とか技術とかを身につけて、できればその力で今度は地域の若者に指導する、頼りがいのある営林署の職員の皆さんだと言えるようなこれからのあり方というのが必要でないのか、あの職員の方に聞けばいろいろなことが全部わかるというくらいまで訓練された若い方々の存在が必要でないか、私はこう思うのですが、そういう点も含めて御見解を聞かしていただきたい、こう思います。
#210
○田中(宏尚)政府委員 国有林野事業全体の経営改善を推進していく上では、要員の適正化ということがどうしても重要な課題になっているわけでございまして、そういう要員規模の適正化を図りますためには、新規採用について厳に抑制するということで、基本的には定員内職員についてはこれまで以上に抑制、それから定員外職員については当分の間原則として停止するというきつい形をとっているわけでございます。
 ただいま先生から御指摘がありましたような新規採用、特に若い方々が将来の山を守っていくという点については我々としても非常に悩みがあるわけでございますけれども、ここ数年間は百八十八人ほど新規採用ということでやってまいりましたし、それから六十二年には百二十人という形で、定員内職員の新規採用については、こういう厳しい中ではございますけれども、将来を考えて採用していくという基本的立場は貫いております。
 それから、せっかく国有林野に来ていただいた若い方々が、地域でのリーダーとして地域社会なり地域産業の発展に尽くすということが国有林に課せられた使命の一つでもございますので、せっかく来ていただいた方々の研修につきましては、一般の行政機関に比べると非常に手厚い研修体系というのも我々なりに組みまして、過疎化が進展していく山の将来の守り人として十分であるべく育ててまいりたいと考えているわけでございます。
#211
○武田委員 今後方向としては、民間に仕事をお願いする分野も出てくるのではないか、こういうふうに思います。そういうことになったとしても、安心してそういう方々を指導あるいはまたアドバイスできる力のある職員の育成が重要な問題となってくるのじゃないかと私は思いますので、十分な対応をして、そういう点をけちるようなことのない御配慮が必要でないか。事業は人なりですから、何をするにしても人がしっかりしておらぬと、思想的にも技術的にもしっかりしておらぬと、大変な仕事であるだけに腹の据わったしっかりした人間がその場にいなければならないわけでありますから、そういう意味でいい人間を、しかもできるなら、例えば農林高校とかありますが、そういう専門的なところを出たような方々の招聘というか採用が一つの課題ではないか、こういうふうに思うわけであります。そういう点の御配慮もひとつしていただきたい、こういうふうに思います。
 それから、さっきちょっと聞こうと思ったのですが、結局今の日本の国は非常に外材がたくさん入ってきておりますね。外材も入ってこなければ今の需要供給のバランスがとれないというのですが、国産材が外材と競争力がどうなんだ云々ということを言われるときに考えなければならない点が、値段の安さ以外にあると私は思うのですね。聞いてみると品質が統一してある、大量取引ができるというのが外材にある。日本ではそれはちょっと無理だ。品質の均等化といいますか、そういうものが国産材の場合は不可能である。大量の取引をするときはどうしてもやはり均質なものを買う。それから商習慣ですかね、電話一本できちっと対応できるという簡便な、手軽にできるというようなことも値段の安さ以外にあるのではないかというふうに現場の人は言っているわけでありますが、そういうようなことの対応ですね。これは地域のそういう業界さん等もあるのでありますが、体質をお互いに改善するように持っていかなければいけないと思うのですが、そういう点の要するに対応というのはどうなんですか、今林野庁としてもやっているわけでございますか。
#212
○田中(宏尚)政府委員 ただいま御指摘ありましたように、外材との競争関係で、やはりロットがまとまらない、あるいは取引が安定、迅速という点において欠ける、いろいろな問題があるわけでございます。国産材の場合には、こういう日本の国土的な制約あるいは樹齢の制限ということからいって、そういう点もある程度やむを得ない点はあるわけでございますけれども、どうも率直に申し上げまして木材の流通、加工段階というものは古い姿から脱し切れていないという点が一部見受けられるわけでございます。そういうことがございましては、せっかく将来国産材が育ちまして新国産材時代が来るといいましても、加工、流通の場面でネックになるということでは取り返しのつかないことになりますので、現時点からそういう国産材の流通、加工体制というものを何とか整備したいということで、昨年も関係者の方に集まっていただきまして、そういう流通、加工についての将来方向を画するビジョンを策定していただきました。
 それからいろいろ予算面でも、例えば流域単位で川上から川下まで一体としての国産材の主産地を形成するような事業でございますとか、あるいは品質面におきましても六十二年度から新しい取り組みを行っております。今品質面で一番問題になっております乾燥の不徹底というようなことは、これは国産材だけじゃなくて外材についてももちろんあるわけでございますが、せっかく国民が木を使いたい、木を使おうということで使ってくれても、未乾燥のために後でクレームがつくというようなことでは、せっかく盛り上がってきた需要拡大のムードにも水を差すというようなことで、非常に地道ではございますけれども、そういう努力をいろいろ積み上げまして、流通段階でも何とか外材と競争できるような太くて短くてスムーズな流通経路システムというものを構築すべく、林野庁としても最善の努力をいたしてまいりたいと思っております。
#213
○武田委員 その点、やはり体質改善はしなければならぬ。地方の慣習とか風習にとらわれて、結局マイナスの価値を生んでいるところも結構あるというのをやはり改善していかなければいけないということで、その点は丁寧な粘り強い指導というものが必要だろう、こういうふうに思いますので、ひとつその点も頑張ってほしいな、こういうふうに思います。
 最後に、時間が来ましたので一つだけ聞いておきたいのですが、緑の羽根の募金やっていますね。赤い羽根と比べると、本当は緑の方がもっと活発にやって、その結果――皆さんやっていますが、見ていると余りやっていませんな。あればここで千円ぐらいでも入れてやるくらいの、そういう積極的な取り組みが必要ではないかと私は思う。これは、街頭で一般のお母さん方や子供さん方が一生懸命やっていますね。そのお金は緑化事業に使われるのですが、今こういうときですから、そういうものに期待するところも多いのじゃないか、林野庁の心の底はわからぬけれども、私は正直そうではないかと思う。だから一人が千円くらいぽんと入れていただけば、一千万人の千円だったらこのくらいだな、そうすると、それは利子分の七割くらい払えるだけの金になるのじゃないかというような、これは単純な計算でもおるのですが、要するにそういう大変な状況をもっともっと理解させる上において、林野庁の皆さん方も大変でしょうが、緑の羽根のときは一般の人に任せないで、一緒にその場所、場所にいて、パンフレットやらいろいろなものを通しながら募金の一員となって、そして山の理解をいただける、それを通して大変なんだな、我々もそれでいろいろとお世話になっている。いろいろ調べてみますと、レクリエーションの森などというのは大変な利用ですね。自然休養林にしても風景林にしても、自然観察教育林というのですか、野外スポーツ林とかいろいろありますね。ここの活用というのは、見たら何か一人が一回ずつ入っているくらいの人数あるんですね。一億国民がダブっているわけですから、それは一人一回必ず行っているわけじゃないけれども、いろいろなところでその恩恵というか、目に見えない、本人は感じないけれども恩恵を受けているわけですから、そういうけなげなる一生懸命やっている姿勢、これは仕事の場を離れてもそういうことでも頑張っているということになれば募金ももっと上がるのではないかな。それだけでなく、それを通して御協力をしたいなという心情的な、そういう国民的な山を守る動きというのが大きくなっていくのじゃないかなという気がしてならない。
 だから、提案でありますが、今後は農林大臣も政務次官も我々もそのときにはひとつ時間をつくって、一日くらいは林野庁の皆さんと立ってやるくらいの国民的な運動としての取り組みをしなくてはいかぬ。赤い羽根から比べるとこの募金は非常に寂しいということであります。これは一つの提案でありますが、その中で山というものの重要性を、大変なことをさらに理解していただく国民運動、だから一週間とか続けた方がいいのではないか。二日か三日間で終わるとかいうことでなくしたらどうかな。この間も「森林の市」「ふれあいの郷」でしたか、代々木でやるあれなんかも、土、日たった二日しかやらぬですね。そんなことではいかぬと私は言ったのです。二日というと、行きたくても行けない人がたくさんいるわけです。行った人は一様に、すばらしい、山に対する見直し、木に対する見直し、考えが違った。だけれども、一カ月と言わぬけれども、せめて一週間くらいの長期にわたってそういうものの催しなどもする。そういう中で山と緑というものの重要さ、その効用のPRもやるというその取り組みにもっと、今はPRの時代でこれは重要でございますし、そこに林野庁の皆さん方が汗を流して頑張っている。さすれば、お金を税金としてとられて、それが山に多少余計行っても我々としては何の文句も言えませんよ、どうぞお使いくださいよと言って、大蔵省なんかに働きかけもしやすくなるのじゃなかろうかなということを思うわけでございまして、次官、そういう考えの、そしてそういう行動を、国民運動というものを今後一層盛り立てていくという意味でお考えになってはいかがでしょうか。最後に質問申し上げまして、終わらせていただきます。
#214
○田中(宏尚)政府委員 次官が御答弁なさる前にちょっと事務的にあれしますが、緑の羽根につきましては、ただいま御指摘ありましたようにPRも必ずしも十分でございませんで、昭和二十五年からやっているにもかかわらず、最近時点で、年額で八億円程度しか集まっていないわけでございます。これは仕組みにつきましても、従来は各都道府県に任せきりであったというような問題もございまして、今年度から少しその辺の仕組み自体も見直していこうということで、運動を初めますに当たりましても、与野党でつくっていらっしゃいます林活議連、あそこの場でも緑の羽根を売らせていただきまして何がしかの収入を得させていただいたわけでございます。
 私もこうやってつけて歩いているわけでございますけれども、きのうもあるところへ行きましたら、それ何という質問を受けましてがっくりしたわけでございまして、これからはそれ何とか言われないように、緑の羽根が国民全体に普及するように、ただいま先生からいろいろ具体的方法についても御示唆ございましたので努力してまいりたいと思っております。
#215
○衛藤政府委員 武田先生から極めて示唆に富んだアドバイスをちょうだいしまして、本当にありがたく思っておるところでございます。私どもとしましても、さらにこの緑の羽根のキャンペーンを進めてまいりたい、このように考えております。衆参七百六十余名の国会議員がおりますから、衆参の政務次官が手分けをいたしまして全国会議員のお部屋をまず回らせていただきたい、このように考えておりますし、また、NHKを初め各民放等のいわゆるニュースキャスター等もぜひ胸にはこの緑の羽根をつけていただくとか、あらゆるそういう手だてを考えてみたい、このように考えております。積極的に取り組みますので、さらなる御指導をお願いします。
#216
○武田委員 以上、時間が五分ばかりありますが終わらせていただきますが、林活議連もその中核になって頑張るにやぶさかでないわけでありまして、次官もその中心的な立場にあるわけでありますから、一緒になって、山を守ることは国を守るのだ、ということは一億の人間を守るのだという思想の徹底した浸透、これはやはり我々の責任でもある、林野庁だけに任せておくわけにもいかぬ。ただ、林野庁もそういう意味で多少の努力、十年間というのは特に大変なときで、互いに泥まみれになって闘って頑張って、そしてこうした財政的な配慮に対する報いというか恩返しというとおかしいのでありますが、そういうものに対する感謝のあらわれが答えとして出てきて、間違いなく七十二年のときにはきちっとした収支の均衡がとれるという方向への明るい見通しを持っていけるようにしてほしい。これがやはり林野業務に携わる職員の皆さん方の大いなる励みにもなるのではないかということを私は思いまして、最後にひとつ一層の御検討を期待して、早目でありますが、終わらせていただきます。
 大変ありがとうございました。
#217
○玉沢委員長 玉城栄一君。
#218
○玉城委員 ただいま我が党の武田委員の方から緑の羽根の問題を提起されまして私もはっとしたわけですが、政務次官も長官もさすがにつけていらっしゃる。さすが林野庁の方々は皆さんおつけになっていて私感心しているわけでありますが、武田委員今おっしゃいましたとおり、緑の羽根の問題についても国民的にはまだ浸透していない。さっき長官もいみじくもおっしゃいましたとおりそれ何というようなことで、やはりこれは一つの問題提起だと思うわけであります。こういう林野庁の国有林野事業の問題についても、今国民にとって、莫大な赤字を抱えていってこれはどういうことになっていっているのかというのが最大の関心になっているわけであります。
 そこで、先ほどから私もいろいろな先生方の御質疑を伺っておりまして、六十一年累積赤字一兆五千億ですか。さらに六十二年は一兆七千億。大体いつごろからそういう赤字になったのかということをさっき資料をいただきまして見ました。これは長官、大変御面倒かもしれませんけれども、今の国有林野特別会計の財務の状況というのは非常に大事な問題でありますから、これは五十三年あたりからですか、五十一年からの資料もありますけれども、五十三年から六十一年にわたる借入額、借入残高、五十三年は幾ら幾らというのをちょっと正式におっしゃっておいていただいた方がよろしいと思いますので、お願いします。
#219
○田中(宏尚)政府委員 ただいま御提示がありました年次別でございますが、当初の五十三年度におきましては長期借入金が九百九十七億円でございます。それまでに若干借り入れもございましたので、その時点での債務残高が二千二百二十七億円になっております。全部お読みしますとあれでございますので、五年刻みということで一応その次の五十八年で見てみますと、長期借入金が単年度で二千七十億円、それから債務残高が九千五百九億円となっております。それから直近時点の六十一年度、これはまだ決算が出ておりませんのでごく大ざっぱな見込み数字で恐縮でございますけれども、長期借入金が二千三百七十億円、それからその結果の債務残高が一兆五千百四十億円、こういうふうに相なっております。
#220
○玉城委員 それで、私なりに毎年の借入金並びに累積債務のアップ率を先ほどちょっと計算してみたのです。そうしますと、六十八年収支均衡あるいは七十二年を目標にしているとどんなに長官が御説明されようと、この数字のアップ率で計算していきますと、これは当たるか当たらぬかは別です、五十三年からずっとアップ率を六十八年まで掛けていきますと、これは単純計算ですよ、しかし方向性としては私は今のままだったらこう行くと思うのですが、六十一年の累積赤字一兆五千百四十億が六十八年には二兆六千億ぐらいになります。先ほどからるる御質疑の再建の問題につきましても、数字的な計算はできない、しかしやらなければならぬ、こういうことで、数字を出せばこれはまさに暗たんたる状況になるのではないか。今回の法律改正につきましても、この改正によって多少はよくなっていくのでしょうけれども、この借金というものが解消できるかできないかという皆さん方の御回答は、納得のいく御回答は全然得られないわけです。ですから、これは極めて基本的な問題でありますので、この累積債務はこんなに毎年毎年アップしていくし、それから借入金も毎年額がふえていっている、そういうことからして本当に再建ができるのかできないのか、その辺をもう一回ちょっと御説明いただきたいのです。
#221
○田中(宏尚)政府委員 ただいま申し上げました債務残高、六十一年度決算で一兆五千百四十億という点は、これはあくまでも借金の残高でございまして、これが即損益という点ではないことをひとつ御理解いただきたいと思います。しかも、これは長期借り入れということで二十五年償還で、その貸付対象も、一部退職手当等で借りているのがございますけれども、大部分は林道でございますとか造林でございますとか、将来の財産につながる投資的経費という点でございますので、借入金残高が多いからそれがイコールいわゆる赤字であるというふうには必ずしも認識できないという点はひとつ御理解いただきたいと思います。
 しかし、そういう前提をとりましても、現時点でも累積債務という点で数千億に達しておりますので、これを六十八年にいろいろな基礎条件を整備する、あるいは七十二年に収支均衡を実現するということが容易ならざる事態であるということは我々としても十分承知しているわけでございます。しかし、その中でもいろいろな支出の削減方策、定員調整でございますとかあるいは組織の簡素化あるいは事務の合理化、こういうぎりぎりの血の出るような努力に加えまして、あと販売戦略の高度化、効率化ということ、それに加えて林地なりそれから森林というもので地域振興に寄与するもの、あるいは不要不急でたまたま保有しているようなもの、こういうものを総洗いいたしましていろいろな自己収入の確保に努める。こういうことの結果といたしまして、苦しゅうはございますけれども、何とか七十二年において収支均衡を実現したいということで前進いたしたいというふうに考えているわけでございます。
#222
○玉城委員 いや、長官はそういうふうに累積債務が上がっていくのは大したことないかのごとくおっしゃっておられますが、それが大きな問題になっているから国会でもいろいろな決議もされ、法律の改正もされてきているわけでしょう、そういう問題を何とか解消しようということで。いろいろな外的な原因によってこういうふうな状況になったというお話はたくさんありましたけれども、これは本当であれば、民間の企業であれば極めて常識的に役員の方々の当然責任問題ですよ。ですから、林野庁という組織が長い間やってこられた、これは一時は黒字があった、いろいろな時代の変化、そういうことによって赤字がどんどん累積してきた。それはいろいろな外的要因あるいは原因というものはありますよ。ところが、それを執行していらっしゃる皆さんのいわゆる責任と申しますか、民間でいえば役員といいますか幹部の方々、そういう基本的なところの姿勢という問題がきちっとしてないと――私、本当に真剣であることも努力されていることもよく存じていますよ。例えば、さっき緑の羽根の問題がありましたけれども、やはり農水委員会で今こういう大事な、赤字を抱えたこの問題を審議しようというときですから、林野庁の皆さん方がこれが緑の羽根ですというふうに我々議員に配るとか、そういうことを通して認識を深めさせるという努力がまた大事じゃないか、私自身の反省も含めてそう思うのです。ですから、やはりそれを運営している執行部の皆さん方の責任というものは、立法側としてはこういう極めて厳しい経営状況というものを見てこれは看過することができないし、当然これは国民に大きな迷惑をかけていることは事実であるわけですから、そういうことを私はちょっと申し上げて苦言を呈しておきたい。
 それで、きょうは大蔵省いらっしゃっていると思うのですが、現在の国有林野事業の特別会計の財務の実態について大蔵省はどういう認識を持っていらっしゃるのか、お伺いします。
#223
○武藤説明員 私どもといたしましては、国有林野事業は御承知のとおり企業特会で運営されておるわけでございますので、本来、公益的機能全般を含めまして、独立採算原則に基づいて企業的に運営されるべきものであると基本的に考えているわけであります。ただ、御指摘のような大変厳しい財務状況にありまして、今後のことを考えますと、やはりその改善のためにいろいろな努力をしていかなければいけないと基本的に考えております。その際、一般会計からいろいろな援助をすべきではないかというようなお話があることも重々承知しておりまして、今までもいろいろな措置を講じてきたわけでございます。現下の厳しい状況ではありますけれども、国有林野事業の重要性にかんがみまして、できる限りいろいろな措置を講じているというふうに考えておるところでございます。
#224
○玉城委員 ですから大蔵省とされても、今もちょっとお話がありましたとおり、森林、いわゆる国有林の持つ公益的機能については一では、これはちょっと確認しておきたいのですが、森林の持つ公益的機能についてはどのように理解していらっしゃいますか。
#225
○武藤説明員 国有林野事業が公益的機能を持っておる、森林が公益的機能を持っておるというお話につきましては我々も十分認識しておるところでございます。
#226
○玉城委員 ですから、国土の保全とか水資源の涵養の問題とか自然環境の保全形成、保健休養の場の提供等いろいろな重要な公益的機能というものを森林は持つ。これは当然採算ベースに合わないわけですわね。ですから、これは国民の非常に大事な資源といいますか環境といいますか、当然国が責任を持たなければならぬ重要な部門ですから、これをあくまでも独立してそこだけで収支帳じりを合わしてやりなさいといったら、これはとてもじゃないですけれどもできないということは当然だと思うのですね。そういう立場からいいましても、これは国民に対する一つの責任の問題として、これからもやはり国有林の事業については一般会計での負担の拡大ということは当然考えてしかるべきだ、私はこのように極めて率直に思うのですが、いかがでしょうか。
#227
○武藤説明員 大蔵省といたしましても、国有林野事業の厳しい財務状況にかんがみまして、あるいは森林の機能というものを考えまして、御承知のとおり五十三年度から一般会計の繰り入れを始めまして、また六十二年度におきましては非常に新たな措置を講じておるわけでございます。御承知の借りかえとこれに係る利子補給制度の創設や、退職手当借り入れ制度の拡充等々を行っておるわけでございます。こういうことで、厳しい財政事情のもとではありますけれども、国有林野事業の推進あるいは経営改善の円滑なる実施というために必要な措置を講じているというふうに考えております。
#228
○玉城委員 先ほど我が党の武田委員の御指摘もあったわけでありますが、今回の大蔵省の利子補給の二分の一ですね。こういう厳しい状況ですから、二分の一とは言わずにやはり一〇〇%利子補給をすべきではないか。そのとき大蔵省いらっしゃいませんでしたので、御見解を承っておきたいと思います。
#229
○武藤説明員 先ほども申し上げましたとおり、国有林野事業が、本来は公益的機能も含めまして独立採算原則に基づいて企業的に運営されるというのがまず基本的な考え方であろうと思っておるわけでございます。ただ、そういう中でぎりぎりの一般会計の繰り入れをどういうふうに行っていくかということでございますので、現在、六十二年度においてこの新たな措置を講じたということは、私どもといたしましては思い切った措置であるというふうに考えておりまして、非常に厳しい財政状況の中でのぎりぎりの措置というふうに考えておるわけでございます。
#230
○玉城委員 ですから、そういうふうなおっしゃることとやっていらっしゃることがどうもね。さらにまた林野庁は厳しく合理化もしなくてはならぬということで、これは、例えば国鉄のように分割・民営してサービス向上すれば成り立つというものじゃないわけです。ですから、それだけの公益的機能を持ち、それを発揮させていくためにはみんなの負担で当然やっていかなくてはならないし、これはまた先ほど武田委員が御指摘のように、緑の羽根とかいう問題もどんどん啓蒙しなければならないと同時に、やはり一般国民の負担という問題は、今二分の一がぎりぎりなんてそんなことをおっしゃらずに一般会計でも十分手当てしていく、それをまた期待するというのが林野庁の考えですから、ぜひそういう方向でひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それで、林野庁の森林資源の造成についての基本方針というのは、木材の生産というところにポイントを置くのか、それとも環境というところにポイントを置くのか、その辺はどういう考え方でしょうか。
#231
○田中(宏尚)政府委員 森林は、本来的に木材生産という経済的な機能だけじゃなくて、国土の保全なり水資源の涵養あるいは環境、自然の保護というような公共性、公益性の機能というものをあわせ持っておるわけでございまして、どちらを優先するということじゃなくて、両方が両輪としてスムーズに回転していくということが我々としてのねらいでございます。
#232
○玉城委員 大蔵省の方は結構です。
 長官、御存じだと思いますが、我が党ではシャパン・グリーン会議というのを設立して、昭和六十年以来、今日の国民的課題となっている緑の問題を大きく取り上げて全国的に活動を展開しておるわけでありますが、中でも国有林の森林管理の姿勢について問題とすべき点が多く、九州からずっと東北、今度また沖縄の方もジャパン・グリーン会議が国有林の現地視察を行いますが、そういうものを含めて、昨年来、多くの国民の注目を集めておる知床国有林の伐採問題については、昨年十一月の我が党調査団の現地調査を踏まえ、林野庁、環境庁に対し本件の慎重な対処方を申し入れていたところであります。しかしながら、先月、極めて短兵急な中に伐採が実行されたことで、多くの国民に林野庁への不信の念を募らせたことは疑う余地がありません。このような中で知床国有林の取り扱いを今後どのように考えているのか。これが一点です。
 もう一点関連しまして、今後、この知床問題に類するトラブルが全国的に出てくるのではないかと心配いたします。つまり、今回の知床問題は、法律的には何ら問題のない手続を経て作成された計画であり、一方的に林野庁の対応姿勢のみを問題にするのは事の本質を見失うおそれがあるとは思いますが、世の中が大きく変化し、森林の存在やこれの利用に対する価値観が揺れ動く中で、行政は何をターゲットに運営されるべきかという大変に難しい問題を今回の森林伐採は提起していると考えております。特に、国民共有の財産である国有林の森林資源は、属地的に何のために利用するのかということを国民的合意の中で整理し、そして利用されることが必要な時代に至ったのではないかと考えますが、この点もあわせて林野庁のお考えをお伺いしたいと思います。
#233
○田中(宏尚)政府委員 まず知床の今後の扱いでございますけれども、知床は先般、横断道路のこちら側を若干伐採させていただいたわけでございます。これからの扱いにつきましては、もう既に六十二年度伐採予定地につきまして動物調査というものに入っておりますが、こういう調査の結果も踏まえてこれから検討したいと思っておりますけれども、基本的には、北見営林支局で管轄しております知床の国立公園内の国有林のうち、九割以上に上ります大面積について人手を加えずに自然のままで残すということで対処するつもりでおります。そういう大枠の中で、自然環境の保全等に十分な配慮を加えながら最小限の人手を加えて、健全でしかも活力ある森林が維持造成されるというところにつきましては、今年度着手しております調査結果を見まして、地元とも十分相談いたしまして適切に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから全体論でございますけれども、先ほども申し述べましたように、林業経営と自然保護というものは本来調和が図られるべきでございますし、図るべき性格でございます。林業経営というものは自然の中の一つの営みとして行われていることでございますので、この林業経営が自然を破壊するというそしりを受けるようなことがございましては、我々といたしましても非常に問題があるわけでございます。残念なことに局地的にいろいろな動きがございますけれども、そういう点につきましてはこちら側の考え方なりも十分関係者、地元の方々にもお話しし、それから先様のお話というものも十分伺いながら両方が調和がとれる形で国土を守り、地元の産業活動も発展するという両面に十分意を用いながらこれからも対応してまいりたいというふうに考えております。
#234
○玉城委員 さっきもちょっと申し上げましたとおり、長官、我が党のジャパン・グリーン会議が来月の上旬、沖縄の国有林について、北部の方にありますが、ここは伐採の問題とか天然記念物とか米軍基地とかありましていろいろ問題になっている地域でありますから、ひとつ林野庁の方も御協力いただいてしっかり調査をさせていただきたいと思います。
 それで、きょうは実は五月の十五日で、長官も御存じのとおり沖縄県が本土復帰したのが昭和四十七年五月十五日ですから、本土復帰してちょうど満十五年になるわけですね。林野行政の責任者というお立場からぜひ御感想を伺いたいのは、今さら私が申し上げるまでもなく、第二次大戦の末期に沖縄で我が国唯一の地上戦が展開されまして、一木一草焦土と化せん、そういう表現がありますけれども、島が変形するんじゃないかと言われるくらい砲弾がぶち込まれて、緑というものがもう全くなくなった。戦後、米軍の巨大な基地が居座って、現在もあるわけですが、本土復帰して十五年、森林行政についても本当に未成熟といいますか、これからという段階なんですね。御存じのとおり沖縄、南西諸島というのは我が国唯一の亜熱帯地域ですから、亜熱帯林業というものはいろいろな意味でこれから大事な問題点があると思うのですが、林野庁の長官とされてひとつ御感想と御認識あるいはお考えがあればお伺いしたいと思います。
#235
○田中(宏尚)政府委員 ちょうどきょうが沖縄復帰十五周年でございますけれども、実は十五年前のちょうどきょう、農林水産省の中の砂糖類課長として復帰の日に沖縄にお邪魔していたわけでございます。そのときの感想といたしまして、サトウキビ畑は戦後のいろいろな努力で大体復元いたしましたけれども、森林につきましては、十五年前にはまだ非常に放置されていた状態でございました。それから十二年たちまして三年ほど前に沖縄にお邪魔したわけでございますけれども、本島北部でございますとかあるいは西表、ああいう地帯は日本本土と違いまして、ただいまもお話がありましたように亜熱帯地域ということで、植物自体の再生力なり活力というものはそれなりにあるわけでございますけれども、全体としては残念ながらまだかなり未整備な状態にあるという感慨を三年前に抱いた次第でございます。
 最近、いろいろと北部の問題等を中心にいたしまして沖縄の林業の状況を聞かされているわけでございますけれども、ああいう気象条件のところでございますし、それから日本としては唯一の亜熱帯地帯ということで、事、林業だけではなくて、遺伝資源の問題でございますとかいろいろ多岐にわたる問題の上でも重要な役割がございますので、県ともども、これから沖縄の林業につきまして我々としても取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#236
○玉城委員 ぜひひとつよろしくお願いしたいのですが、その前に、沖縄県における国有林の実態をちょっと概略御説明いただきたいのです。
#237
○田中(宏尚)政府委員 沖縄県の森林面積は、御承知のとおり全体で十万八千ヘクタールございますけれども、所有形態別に見ますと国有林が三万三千ヘクタールで、約三分の一が国有林という形に相なっております。それで森林の内容を見てみますと、亜熱帯林特有のイタジイに代表されます天然林が九割を占めているということで、本土との林相の相違というものがはっきりしているわけでございます。こういうことで天然林比率が非常に高いわけでございますが、その蓄積は、先ほどもお話ありましたように戦災によりましてあれだけ焼失したということもございましたし、それから、戦後に一時期過伐というような問題も地域によりましてはございました。それからさらに土壌条件の制約というようなことからいいまして、全国に比べまして必ずしも有利な状況にはなく、苦しい状況にあることは我々といたしましても十分認識しているわけでございます。
#238
○玉城委員 復帰十五年ということでいい機会ですから、ぜひ長官の御感想をお伺いしておきたいのは、沖縄本島の北部の方なんですが、金武町というところで米軍が定期的に実弾演習をやるわけですね。山に向かって砲弾を撃ち込むわけです。その周辺は撃ち込まれるために土砂の流出だとか、水源涵養林に弾が飛び込んでいって山火事を起こすとか、そういういろいろなトラブルが常時起こるわけですね。我々も何回も注意しているわけです。長官もごらんになっておれば御存じだと思うのですが、そこの山は緑なんというものはなくてもう丸はげになっていますね。そういう基地という問題とこの緑という問題はいろいろ難しいテーマだと思うのですが、ごらんになっておらなければああいうことを想像されまして、林野庁の責任者とされまして何か痛みみたいなものはお感じになりませんか、どうなんでしょうか。
#239
○田中(宏尚)政府委員 沖縄の基地に派生する問題はいろいろあろうかと思いますけれども、我々林野担当者といたしましては、どういう。所有形態、どういう利用形態にあるにいたしましても、緑が豊かに保存され、国土の維持培養に十分に機能するということをこいねがっておるわけでございます。
#240
○玉城委員 そういうお気持ちも当然だと思うのですが、幾ら演習とはいえやはり緑を大事にする。だから私たちも、緑に向かって実弾を撃ち込むような演習は絶対してくれるなということは常に言ってはいるわけですけれども、ぜひ長官の方からも機会があればそういうことはおっしゃっていただきたい、このように思います。
 それともう一つ、ぜひこの機会にお伺いしておきたいのですが、長官もよく御存じのとおり、明治四十二年の勅令で、八十年間の契約で当時沖縄県が国から無償で国有林を借りている。明治四十二年から八十年ですからちょうど再来年の五月になるのでしょうか。再来年のことですからもうそろそろなんですが、当時の背景と申しますか経過と申しますか、そういうことと、これは無償貸し付けということになっていまして、なぜ無償貸し付けになったのか、その辺をちょっと林野庁の方から御説明いただきたいのであります。
#241
○田中(宏尚)政府委員 沖縄に全く特例的に存在しております勅令貸付国有林でございますけれども、沖縄県の基本財産の造成と、それから沖縄県林業の模範とするという二つの目的をもちまして、明治四十二年に勅令に基づきまして契約がされ、沖縄県に無償貸し付けされたわけでございます。その後、沖縄県が十五年前に本土に復帰いたしました際にも、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律な力関係いたしますいろいろな法律、法令に基づきまして、契約期限がただいまお話ありましたように昭和六十四年五月までということで、従来の同一の条件ということで無償で貸し付けられているわけでございます。
 この山の無償貸し付けに当たりましてはいろいろな経緯が当時あったわけでございますけれども、現在資料として残っている点を若干御披露申し上げますと、この勅令貸付国有林は、もともとは藩制時代にはそま山と呼ばれたようでございまして、藩有林で地元住民が造林義務を負って、一方でその産物の採取を許されていたということで、地域住民の活用というものが大幅に認められていたようでございます。その後、このそま山が明治十二年の廃藩置県によりまして沖縄県の管理となりましたけれども、三十二年に沖縄県土地整理法というものが公布されまして、日本国全体が大体そういう方向にあったわけでございますけれども、こういう地元の山に供されていた色彩が強い土地ではございましたけれども、国有林に編入された。さらに明治四十二年に、そういう経緯もあり、それから先ほど申し上げましたような二つの目的、県の基本財産を造成するということと林業の模範林とするということで、当時の勅令三十二号をもちまして沖縄県に無償貸し付けされたということが歴史と経緯に相なっているわけでございます。
#242
○玉城委員 今のような例は本土にもあるのかどうか、いかがでしょうか。
#243
○田中(宏尚)政府委員 本土にはございません。
#244
○玉城委員 いわゆる勅令によって県なり市町村なりに貸し付けたという例はないという意味ですか。それとも無償ではないという意味ですか、有償ならあるという意味ですか、どちらなんですか
#245
○田中(宏尚)政府委員 一部の地域で御料林が無償で御下賜になったのはございますけれども、こういう形で無償で貸与という形はございません。
#246
○玉城委員 ですから、無償で貸し付けるという契約になったというのは、当時いろいろないきさつがあってそうなったように聞いておるわけです。林野庁の方にこの件について沖縄県の方から、先ほどちょっと長官おっしゃいましたけれども、陳情を何回も繰り返してきたという話があるのですが、それはどういう陳情の内容になっているのかお伺いいたします。
#247
○田中(宏尚)政府委員 先ほど申し上げましたように、六十四年五月で貸付期間が終了するということで、終了後の取り扱いにつきましていろいろ現地から要望があるということは承知しているわけでございます。その要望の中身といたしましては、沖縄県に贈与をするとか、あるいは原額で売り払ってくれとかというような内容で地元の意向がいろいろな形で伝えられたことは承知しております。
#248
○玉城委員 いずれにしても、これは当時の国と沖縄県との契約で、その契約の期限が再来年六十四年の五月に来るわけです。沖縄県側としては無償譲渡してもらいたいという要望があるやに私も聞いているわけですが、そういうものを含めてどうするかということは林野庁としてももうそろそろ考えなくてはいけない時期に来ていると思うのです。長官、いかがでしょうか。
#249
○田中(宏尚)政府委員 先ほど申しておりますいろいろ歴史的な経緯はあるわけでございますけれども、少なくとも国有財産という管理の立場から申し上げますと、現在貸し付けしてある国有財産を無償で譲渡するということは国有財産の管理上適切ではないのじゃないかと考えております。しかし、いろいろな経緯なり歴史というものがございますので、それにかわるべく地元と話のつく方途があるかどうか、そういうことにつきましてはこれからの問題でございますけれども、検討を深めてまいりたいと思っております。
#250
○玉城委員 当時、無償でそういう契約がされたというところに何かいろいろな背景があるような感じもするわけです。また、この八十年間、沖縄県が管理運営してきたわけですが、その間相当な投資もされたと思うのです。その辺のいろいろな計算の問題もあるでしょうし、今後そういうことを詰めて、林野庁とされても沖縄県側とできるだけ現地の要望を酌み取った形での問題の処理を要望しておきたいと思います、これは今どうのこうのとここで結論の出る問題じゃありませんので。
 もうちょっと時間がありますので、これは長官でなくてもよろしいですが、沖縄は御存じのとおり台風がよく来るところです。干ばつもときどき来ます。そういう意味で、海岸線の防災林の造成だとか水源涵養等の保安林の整備、こういうものはきちっと計画的にやっていただきたい、こう思うわけであります。それと、さっきもちょっとおっしゃっておられました亜熱帯地域の特性を生かした林業の育成であるとか、これらについては具体的にどういうふうにされるのか。また、そういう亜熱帯地域の特性を生かした特用林産物の生産振興についてはどういうお考えを持っていらっしゃるのか。それから、これから高齢化の時代で、余暇の活用、国民の健康の問題、御存じのとおり沖縄県というのは非常に長寿県ですから、冬場あたりお年寄りの方々が沖縄で過ごすということも、これから二十一世紀に向けてそれが世界的に問われている時代になってきていますから、大いに亜熱帯林業を育成していただいて保健休養林の整備というものもぜひやっていただきたいわけであります。それから、亜熱帯地域の林業技術の体系化あるいは利用開発推進のための試験研究体制ということも考えていただきたい。こういうことも含めて、いかがでしょうか。
#251
○田中(宏尚)政府委員 まず、沖縄県においての保安林等の整備でございますけれども、ただいまもお話ありましたようにああいう台風の常襲地帯でございますので、保安林の整備を進めるということで、現在、森林面積全体の約一四%に当たります一万五千ヘクタールが保安林として指定されておるわけでございます。保安林の整備につきましては、いろいろな計画に従いまして行ってきているわけでございますけれども、五十九年度を始期といたします十カ年計画の第四期の保安林整備計画で、これは水源涵養保安林を主体としてでございますけれども、これから約八千ヘクタールほどの指定を行うといってとにしているわけでございます。特に暴風保安林につきましては、住民の方々のいろいろな知恵で、例えば久米島の防風林でございますと年先人がきちんと残してくれているところもございますので、ああいうものにつきましては、地域の生活なりあるいは農業の安定という観点からいいましても何とか守ってまいりたいと考えておるわけでございます。
 それから、沖縄全体の森林資源の整備につきましては、造林等林業生産基盤の整備とあわせまして、森林の持っております公益的機能の発揮ということにももちろん十分配慮は加えますけれども、亜熱帯の自然条件を生かしましたいろいろな知恵のある森林の整備というものを進めていく必要があろうかと思っておりますし、先ほどの水源涵養保安林につきましても、台風が多い割に毎年渇水を繰り返しているという地域の状況がございますので、そういう点も十分意は用いてまいりたいと思っております。
 それから、沖縄の保健休養林の整備についてでございますけれども、最近、全国的にも保健休養という面での森林に対するニーズが非常に高まってまいりましたし、特に沖縄の場合にはああいう亜熱帯ということで、若者を中心にいたしまして、緑と水ということで沖縄に対する渡航もふえてきているわけでございます。そういう中で、当方といたしましても森林の保健休養的利用を促進するということから、西表の国有林につきましては先生も御承知と思いますけれども、自然休養林という形で既に指定いたしまして、地元の方なり外からいらっしゃる方々の利便に供しているわけでございますけれども、今後ともこういう地域の特性を生かしながら、保健休養的利用というものにつきましても適切を期してまいりたいと思っております。
 最後に、試験研究の系統でございますけれども、試験研究につきましては、国の林業試験場、これは本場だけではなくて九州試験場もございますし、それから沖縄県の林業試験場、琉球大学というようなところでそれぞれいろいろと相協議しながら、あの地域に適した育林技術でございますとか、あるいは特用林産物それから県産材の有効利用というようなことにつきましてかねてから試験研究をやってきているわけでございますけれども、国といたしましても、特に沖縄県の試験場に対しまして、森林、林業の振興上、特に重要な試験研究につきましては助成するなり、あるいは委託試験というものをお願いしておりますし、さらに沖縄県の林業試験場についての施設整備、こういうものにつきましても農林水産省として助成を行っている次第でございまして、こういうこと全体を通じまして、亜熱帯地域の林業の発展というものに今後とも意を用いてまいりたいと思っております。
#252
○玉城委員 以上で私は質問を終わりますが、国民の多様なニーズにこたえるためにこれから国有林の問題というのはそれだけに大変なときで、御苦労もしていらっしゃると思うわけでありますが、どうか前向きに活用するものはどんどん活用していただいてぜひ国民のニーズにおこたえをいただきたい、そのことを要望して、質問を終わります。
#253
○玉沢委員長 神田厚君。
#254
○神田委員 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げますが、その前に、過日、栃木県の栗山村川俣に起きました林野火災につきまして、その火災の概況及び今後の復旧計画等々につきましてお尋ねをしたいと思うのでございます。
#255
○田中(宏尚)政府委員 ことしの五月十日に国有林野内に発生いたしました、ただいま御指摘がありました栗山村の火災事故の被害状況でございますけれども、主に十一年生から十八年生ぐらいのカラマツの人工林が焼失したわけでございます。焼失面積が全体で約百二十ヘクタール、それから被害総額は、現時点で概算でございますけれども二億二千万ということが見込まれております。
 今回、焼損いたしました国有林の取り扱いにつきましては、もちろん速やかに林地の回復に努めたいと考えているわけでございますけれども、具体的にどういう事業をどういう金目でやるかということにつきましては、鎮火後まだ日も浅うございますので、現在、現地の調査中でございまして、この調査結果を踏まえまして、地元とも協議しながらできるだけ早急に十分な手当てをいたしたいと思っております。
#256
○神田委員 幸い関係機関の大変な御努力で被害が最小限に食いとめられたということでございますが、大事な緑資源でもありますので、今後その復旧対策につきましては、十二分に手厚い手当てをお願いいたしたいと御要望を申し上げておきたいと思います。
 次に、法案につきまして御質問申し上げますが、まず、我が国の森林、林業、木材産業問題、これらの環境問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。
 我が国の森林、林業、木材産業は、木材需要の停滞とこれに伴う価格の低迷、人件費等の経営コストの増加によりまして収益性が悪化するなど、極めて厳しい状況に陥っているわけであります。加えて、最近の急激な円高の進行等に対応しまして、一層の体質の強化、活性化が求められております。森林、林業は国民生活の向上に寄与するとともに、治山治水や保健休養等均衡のとれた国土の発展に寄与しており、立派な森林、林業を次の世代に引き継ぐことは我々の責務であると考えております。
 そこで、二十一世紀に到来が予定されている本格的な国産材時代に向けて森林、林業、木材産業をどのように活性化させるのか、政府の見解をただしたいと思います。
#257
○衛藤政府委員 神田先生の御指摘をいただきましたように、我が国の林業、木材産業をめぐる情勢は極めて厳しいものがあるわけでありますが、こうした厳しい環境の中にある木材産業の振興のために、また林業振興のために、農林水産省としましては、第一に木材需要の拡大を図りたい、また造林、林道等生産基盤の整備をやりたい、また国産材主産地の形成と担い手の育成の確保に努めたい、さらには木材産業の体質強化と木材流通の改善に努めたい、そして山村振興と森林の総合的利用の促進等の各般の施策を推進するとともに、目下、森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画を実施しているところであります。今後とも金融面、税制面を含めた総合的な林業振興施策を推進してまいりたい、かように考えております。
#258
○神田委員 次に、近年、森林、緑資源が世界的に急速に減少しつつありまして、この状態が続くならば、将来において地球的規模で環境への悪影響が憂慮される状況になっております。一方、緑の維持、水資源の確保、大気の浄化、保健休養、国土保全など森林の有する公益的機能の維持増進に対する国民の要請は急速に高まっております。こういう状況の変化のもとで、国有林野は七百六十五万ヘクタールありまして、国土面積の約二割、森林面積の約三割を占め、我が国森林、林業における主導的役割を担っており、今まで以上に重要性を増しているところでありますが、政府はこれからの国有林野事業の使命及びあるべき姿をどのように考えているのか、その見解をお尋ねしたいのであります。
#259
○衛藤政府委員 国有林野事業の使命、またそのあるべき姿についてでございますが、御案内のとおり国有林野事業は、その時代、時代の社会経済的要請にこたえて種々の役割を果たしてきたところであります。森林、林業に対する国民的要請の高まりにかんがみまして、今後とも林産物の計画的、持続的な供給、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全形成、保健休養の場の提供等の森林の有するいわゆる公益的機能の発揮、さらには国有林野の活用等を通じた農山村地域振興への寄与、こういった使命感を持ちまして、私どもとしましては国有林野事業のあるべき姿を位置づけ、そして国有林野事業の振興に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
 また、こうした使命は、基本的には国有林野事業の健全な経営を通じて十分に果たされるべきものでありまして、そのためには、現行の改善計画の改訂、強化によりまして自主的な改善努力をしなければならない。また収支均衡の達成等経営の健全性を確立しまして、いわゆる簡素にして合理化された組織、要員のもとで効率的な事業運営を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#260
○神田委員 ただいま御答弁もありましたが、国有林野事業は、林産物の計画的、持続的供給、国土の保全、水資源の涵養などの公益的機能の発揮、農山村地域振興への寄与など重要な使命を果たしておりまして、今後ともこれらの使命を十分に果たしていく必要があると思います。しかしながら、国有林野事業は、数次にわたる改善努力にもかかわらず、現在、累積欠損金約七千億円、累積債務も一兆五千億円を超えるなどその財務状況は極めて厳しく、このままの状況が続くならば、国有林野事業に課せられました使命を適切に果たしていくことが困難になることも懸念をされる状況であります。こういう状況にありまして、先ほど答弁がありましたように一日も早く経営の健全性を確立することを願うものでありますが、国有林野事業の財務状況が五十九年の法改正以来さらに悪化した理由をお聞かせ願いたいと思うのであります。
#261
○田中(宏尚)政府委員 五十九年の法改正以来いろいろな自主的な改善努力を行ってまいりまして、それなりの一定の効果も上がったわけでございますけれども、残念ながら、その後引き続く木材需給構造の変化によりまして材価が非常に低迷していること、それに加えまして、現在、国有林の人工林の約九割が保育、間伐を必要とします三十五年生以下であるということで伐採量にもおのずと限界がありますこと、さらに造林でございますとか林道でございますとか、こういうもののために、御指摘がありましたように長期借入金を大量にしてきたわけでございますけれども、その利子なり償還金に要します経費が増大しておりますこと、それから債務につけ加えまして、事業運営の効率化でございますとか要員規模の調整ということもやってきておるわけでございますけれども、なお改善途中にございまして、現時点では諸経費というものが必ずしも事業規模にマッチしていないというようなことがございまして、こういう四つほどの事由を主な事由といたしまして、残念ながら財務状況が五十九年の法改正以降さらに悪化しているという現況にあるわけでございます。
#262
○神田委員 ただいま答弁がありましたいろいろな理由があるわけでありますが、さらにこの原因を正確にたどっていきますればいろいろな問題が内在しているというふうに考えるところであります。そういうことも含めまして、以下財務の改善問題についてお尋ねを申し上げます。
 今回の法改正は昨年十二月の林政審議会の答申等を踏まえましてなされたものでありますが、これに基づいて現行改善計画を改訂、強化し、一層の自主的改善努力を行い、所要の財政措置を講じて七十二年度収支均衡の達成に努力をされる、こういうことだろうと思うわけであります。しかしながら、五十九年以降も木材価格が依然として低迷している中では、今後、収入の大宗を占める木材販売収入は多くを期待することができない状況であろうかと考えられます。加えて伐採量そのものも、ただいま御答弁がありましたように減らしていかざるを得ないような状況があるというふうに聞いておりまして、収入事情は今までにないほどに厳しい見通しになるのではないかと考えております。このような中で果たして七十二年度収支均衡目標の達成が可能なのかどうか、どんな方法で達成する考えであるかについてお伺いいたしたいのであります。
#263
○田中(宏尚)政府委員 ただいま御指摘ありましたような諸事情からいたしますと、昭和七十二年度に収支均衡を達成することは容易な目標ではないということは我々としても認識しているところでございます。しかし、何とかこの七十二年度収支均衡達成を実現したいということで、さきに出していただきました林政審議会の報告を踏まえまして、現行改善計画を改訂、強化することといたしておるわけでございますけれども、一つには業務運営の一層の改善合理化を図る、二つには要員規模を適正化する、それから三つ目には、林産物収入だけじゃなくて、森林、土地というものも含めまして総体としての自己財源の確保に最大限の努力を払うというような形での自主的努力に加えまして、所要の財政措置ということを今回の法律におきましても三点ほどお願いしておるわけでございます。五十三年以来継続しておりますいろいろな財政措置に加えまして、今回の法改正による財政措置が実りまして、七十二年度までに何とか収支均衡が図られるのじゃないかと思っておりますし、図られるべく最善の努力を傾注してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#264
○神田委員 そこで、ただいま答弁がありました財政措置の問題であります。国有林野事業の改善を図るために、業務運営の改善あるいは自己収入の確保など、みずからの努力を重ねることが大変必要であることは言を待たないわけでありますが、現在の国有林野事業の収支の悪化が日本林業全体を覆う構造的不振を主たる要因とするとするならば、国有林野事業が果たしている公益的機能などの重要な使命を考えまして、一般会計資金の導入など財政上の措置を積極的に講ずることもやむを得ない、また不可欠の問題だというふうに考えております。この財政措置につきましては、国会の場におきましても昨年三月の与野党合意や同五月の本会議決議におきまして取り上げられ、十二月には自民党竹下幹事長から、その充実につきまして最善を尽くす旨の回答がなされたところであります。我が党といたしましても、従来どおりの内容では不十分でありますから一般会計負担の拡大を図るべきであるというふうに考えておりますが、政府は与野党合意等を踏まえて今回どのような拡充を図られたのか、具体的にお聞かせを願いたいと思うのであります。
#265
○田中(宏尚)政府委員 去年の三月四日に与野党合意がございまして、そして去年の十二月二十六日に竹下幹事長から野党に対しまして、森林の保全管理に必要な経費の一般会計からの繰り入れの制度化を図る、それから償還金の借りかえと利子補給を行うための制度化を図るという二大項目を中心といたしまして、全部で五項目の改善策につきまして回答があったわけでございます。それで我々といたしましては、こういう与野党の協議あるいは自民党からの回答という経緯を踏まえまして、六十二年度予算案の編成なり今回の法律改正をお願いしたわけでございますけれども、この五項目の中に具体的に書いてございました保安林等の保全管理に必要な経費なり借りかえの実施あるいはその利子補給ということはこの回答どおりに実行いたしましたし、それから、回答では必ずしも明示されておりませんでしたけれども、こういう具体的な方策のほかに、さらに国有林の改善のために方策があれば検討するようにということもございましたので、その一環として、退職手当に係る借入対象を拡大するという道を開きまして今回の法律改正でおこたえし、今後の国有林経営の安全を期することになったという次第でございます。
#266
○神田委員 国会決議あるいは国対委員長会談でのそのような異例な申し合わせというものは非常に重みのある、意味のあるものであるわけであります。したがって、そういうものを一つの契機として、なお当局におきましてもさらに努力を重ねていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 そこで、利子補給その他いろいろな経営環境の問題がございますので、その辺につきまして質問を続けます。
 厳しい経営環境のもとではありましても、造林、林業に対する投資活動を積極的に行うため、これら事業施設費につきまして借入金をしているところでありますが、民有林の融資などと比べましてその条件が非常に厳しくなっております。また、その利子償還金が国有林野事業の財務を圧迫するというふうな状況にも至っております。そこで、政府といたしましては、かねてから私どもが主張しておりましたように、事業施設費に対する長期借入金の借入条件の緩和、一般会計からの利子の補給措置を講ずる考えはないかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
    〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
#267
○田中(宏尚)政府委員 国有林が借入しております長期借入金に関する財投金利を引き下げるということにつきましては、去年の暮れの竹下幹事長回答でも出されていたわけでございますけれども、それに従いまして一般の預託金利というものが幸いにして引き下げられましたので、現在、預託金利と同一水準の五・二%ということになっておるわけでございます。こういう財投の借入金利につきましては、今お話ししましたように預託金利とリンクしてセットされているということでございますので、国有林野事業についてのみ金利を引き下げるということは、いろいろな政府関係機関の政策金融等とのバランスから考えまして極めて困難と考えておりますし、それから施設資金についての償還期間につきましても、もう既に二十五年という長期のものに実はあるわけでございます。こういう中でも、国有林経営が非常に苦しいという実態を踏まえまして、今回の改正案によりまして、その償還金で返せなくなるものについての借りかえ、それからそれに対する利子補給というものが財政当局から認められたわけでございますけれども、こういう償還金の借りかえとそれに対する利子補給ということは、実質的には償還期間の延長と貸付金利の引き下げという両様の効果を発揮するものでございますので、この法律が通過いたしますれば、この法律によって認められます手段を使いまして、できるだけ国有林の安定に今後とも寄与してまいりたいというふうに考えております。
#268
○神田委員 以上、財政措置という観点から質問を申し上げましたが、国有林野事業の収支悪化は結局は日本林業の構造的不振ということであるわけであります。ですから、国有林野事業自体の経営改善は当然でありますけれども、日本林業の活性化に対する抜本的な政策転換が必要だというふうに考えますが、この点につきましてはどのような考え方をお持ちでありますか。
#269
○田中(宏尚)政府委員 全くただいま御指摘のとおりでございまして、国有林野の財政問題というものは単に国有林の問題ではなくて、日本林業全体の動きの中で象徴的にあらわれているというふうに我々も認識しております。したがいまして、国有林野を再建するためにも一般林業が活性化し、発展していくということが不可欠でございまして、従来から一般林政の強化というものに取り組んでおるわけでございます。例えば、林業の振興のためには何といいましても木材需要の拡大ということが大前提となりますのでいろいろな方策を講じておりますし、それから造林、林道等の生産基盤の整備でございますとか、あるいは主産地の形成と担い手の育成、さらに林業の立地条件から申しまして山村振興なり、それから最近の国民の森林に対するいろいろなニーズの多様化というものを受けまして森林の総合的利用の促進等、こういうことを通じて林業なり農山村が全体として明るさなり発展というものの兆しが出てまいりませんと国有林野事業も抜本的にはよくなりませんので、今後ともこういう政策課題を中心にいたしまして、金融、税制というものも含めまして、総合的な林業振興施策を強力に推進してまいりたいと思っております。
#270
○神田委員 それでは次に、法案に関連しましてお伺いを申し上げます。
 国有林野事業は、公益的機能の発揮、つまり水資源の涵養、国土保全、保健休養といった機能を高度に発揮させるという重要な使命を担っているわけであります。国有林野事業の厳しい財務状況のもとで、ややもすれば収入を上げることに目を奪われて公益的機能を損なうような事態を招来することが懸念をされているところでもあります。このため、今回、新たに森林保全に要する経費に対して一般会計から繰り入れが行われることとなったものと考えておりますが、その内容を見ますと、保安林における松くい虫被害対策などほんの一部の経費として六億円弱の繰入額にとどまっております。既に述べましたように、またいろいろ御答弁がありましたように、森林保全に係る一般会計繰り入れの趣旨を踏まえますれば、もう少し多額の繰り入れを行うべきではなかったか、行うべきであるというふうに考えますが、その点、どのようにお考えでありますか。
#271
○田中(宏尚)政府委員 我々といたしましては、国有林野事業は企業会計で独立採算のもとに運用されておるわけでございますので、本来は森林保全に要する経費につきましても、林産物収入という自己収入で賄うことが基本であるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、最近の財務状況なり森林、林業を取り巻く諸情勢から申し上げまして、国有林野事業の経営改善を図り、しかも公益的機能も十分守っていくという点では一般会計に依存することも必要でございまして、その際には民有林に対する助成措置というものも勘案しながら、特例的な措置として保安林とその公益的機能の高い森林についての、ただいま御指摘ありました松くい虫等に係る経費というものを今年度から一般会計で面倒を見るという仕組みをとり得たわけでございます。これにつきましての評価はいろいろあろうかと思いますけれども、現在の民有林に対する助成措置の内容なり、それから現在の財政状況というものを総合的に勘案して考えますと、今回の措置は現時点でとり得た最善の措置ではなかったかというふうに認識しておるわけでございます。
#272
○神田委員 その点につきましては長官と私ども考え方が少し違うのでありますが、次に移っていきます。
 次に、森林施業につきましての基本的な内容についてお伺いをいたします。
 これまでの経営改善は、ややもすると要員規模の縮小、組織の簡素化という経営の縮減にだけ目を奪われがちでありました。そのことによりまして森林が国民の期待するような緑豊かな姿になるのかということを考えますと、なかなか疑問があるわけであります。例えば、赤字経営を切り抜けるために伐採すべきでないところに無理に手をつけているという国民の批判を浴びたりしている現状を考えますと、私どもはこのような国民の誤解といいますか、あるいは林野庁自体のPR不足といいますか、あるいは場合によりましては本当にそういうことで無理な伐採をしているのかというふうなことも考えますと、いろいろと問題の多いところであります。多くの国民は、今や国有林を国民共有の財産として、緑資源のストック機能を強く求めている時代にあることを認識をする必要があると考えています。このような観点から、官民合わせた総合的な林業政策を拡充する中で、国有林の森林資源整備の方向を大きく転換をしていかねばならない、大きく転換をしていく必要があると考えますが、この点につきまして政府の考え方をお伺いしたいと思います。
#273
○田中(宏尚)政府委員 我々国有林に携わっている者といたしましては、緑豊かな健全な森林というものを次代に引き継いていくことが最大の責務と思っておる次第でございます。ここのところのいろいろな動き、特に国民の要望が緑なり自然というものにかなり傾斜してきているということもございますし、木材の需給関係というようなものもございまして、先般、林政審議会からも森林整備方針の転換につきまして、先生から今おおよそ御指摘のございましたような方向での指摘があったわけでございます。
 当方といたしましては、そういう林政審の提言を十分踏まえまして、国有林野事業におきましても、従来かなり広い範囲で行ってまいりました拡大造林予定地というものを見直しまして、天然林施業を推進するとか、あるいは自然公園等の公益的機能が高度に発揮されることが期待されている森林につきましては、単純な単層林ではなくて複層林ということで豊かな山をつくっていくとか、あるいは材質の改善なり産地銘柄の確立ということをねらいといたしましても、伐期を従来からさらに延長するということで長伐期施業というようなことも取り入れまして、森林整備方針を従来以上に将来に向けてその転換を図っていく。こういう中で木材生産機能の十分な発揮と、それから森林の有します環境保全でございますとか文化、教育的な面の両面が総合的に機能するために、森林施業をやっていくという姿勢をきちんと持ちながら適切な森林施業を行ってまいりたいと思っておる次第でございます。
#274
○神田委員 今後の国有林管理は、森林を単なる木材生産の場としてではなくて、森林の有する環境保全あるいは文化的な面をより重視しながら進めていくという認識をただいまお示しいただきましたが、極めて重要なことだと考えております。このような考え方で森林を取り扱っていく限り、国有林の再建に向けた努力に対して国民の支持が大きく得られるものと確信をいたしておりますが、このような観点から申し上げますと、森林を取り扱う場合、将来の収穫量の見通しなどが大きく変わってくる可能性もあると考えられます。したがって、この点、どういう見通しを立てているのか、またそのような収穫量の見通しの中で、それでは一体財政再建は本当に可能なものになるのかどうか、非常に難しい問題であると思っておりますが、その点につきましてどういうようにお考えになりますか。
#275
○田中(宏尚)政府委員 ただいまお話がありましたように、これからの林業政策といたしましては、単に木を切って売るだけじゃなくて多面的な機能にもこたえていくということでございまして、今回予定しております経営改善計画の改訂におきましても、その期間内におきます年平均の伐採量につきまして、現在の計画では千二百八十万立米というものを予定しているわけでございますけれども、これを千六十万立米ということで、従来の計画に比べますと二百二十万立米ほど減らすことで対処することとしているわけでございます。こういうことで、伐採量が減ってまいりますと収入が減るということで、経営改善にとりましては即物的にはマイナス要素に当たるわけでございますけれども、こういう苦しさがある中でございますので、こういうことも前提といたしまして、要員調整でございますとか事務の合理化でございますとか、あるいは販売方法の改善でございますとか、さらには林地、土地の売り払い等自己収入の確保ということを総合的に講じまして、新しい国民の要請に従う、林業施業でも十分に太刀打ちのできる国有林野の経営基盤というものを何とか構築したいと思っているわけでございます。
#276
○神田委員 大変難しい問題で、必ずしも今長官が御答弁になったような形でうまく財政再建ができるかどうかというのは疑問であると私は思っておりますが、なおそれらに向けまして最大の努力をお願いいたしたい、このように考えております。
 次に、要員の問題につきまして御質問を申し上げます。
 国有林野事業の要員につきましては、現行の改善計画では六十三年度末までに約四万大規模とする、このように目標を置いおります。これまでの要員管理によりましてほぼ目標どおりの縮減が達成されていると聞いております。しかし、昨年の林政審答申では今後もさらに要員の縮減を図っていくとのことでありますが、その要員の縮減に見合う業務運営の簡素化、効率化などの合理化が実現できるのかどうかが非常に大事な問題であります。そうでなければ、国有林野事業に課せられました重要な使命を十分に果たしていくことができないであろうし、職員の労働強化や労働条件の改悪といった事態が生じることになると思うからであります。要員をさらに縮減しても国有林野事業に課せられた使命の達成や労働条件の維持向上が可能かどうか、まずその見解をお伺いいたしたいと思います。
#277
○田中(宏尚)政府委員 国有林野会計の健全化のためには、どうしても要員規模の調整、適正化ということは避けて通れない道でございます。将来の要員規模につきましては、仕事のやり方といたしまして請負化を一層促進する、あるいは直用事業というものをごく限られた分野に特化していく、さらには事務の簡素化でございますとか合理化についていろいろと知恵を出すということで、その事業量の減少に見合った規模で要員規模を策定してまいりたいと考えているわけでございます。こういうことで、将来見込まれるであろう業務量に見合った人員構成ということを考えておりますので、国有林野を国民共有の財産といたしまして適正に管理運営していくという基本的命題から申しますと、十分に機能を発揮できるのではないかというふうに考えているわけでございます。
 それから、業務運営の徹底した簡素合理化を着実に実施することによりまして業務量の縮減を行いますので、職員の労働強化あるいは労働条件の低下を来さないよう十分の配慮というものは並行してやっていきたいと思っておる次第でございます。
#278
○神田委員 林政客答申では、要員の縮減を図っていくため、省庁間の配置転換、定年前の退職、広域にわたる営林局、支局及び営林署間の配置転換を積極的に推進すべきである、このように指摘しておりますが、政府としては今後どのように具体化し、推進していくのか、具体的な考え方についてお伺いしたいと思います。
 さらに、要員調整方策の実施に当たりましては職員に雇用不安を与えないよう配慮することが必要であると思いますが、この点についても考え方をお伺いしたいと思います。
#279
○田中(宏尚)政府委員 適正な要員規模実現のための具体的手段といたしましてはいろいろあるわけでございますが、ただいま先生からもお話がございましたように、省庁間の配置転換、受け皿づくりによります定年前の退職の促進、職員配置の地域間の調整を図るための広域配転、こういうものをこれから積極的に推進いたしまして所期の数字に達したいと思っておるわけでございます。このためには、いろいろな具体的手段、方法をこれから検討しなければならない点が実はあるわけでございまして、制度面を含めまして必要ないろいろな措置を先例等も参考にしながら今後検討し、詰めてまいりたいと思っております。基本的には、全体の絵といたしましては、新規採用につきましては定員内職員については厳に抑制する、定員外職員については原則として停止するということを基本といたしまして、そういうことに到達できる道筋としてどういう具体策があるかということを鋭意検討してまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、こういう要員調整を進めるに当たっていたずらに不安が職場に起きるというようなことがございましては経営改善のためにもむしろマイナスでございますので、そういう不安が職場に走るようなことが決してないよう慎重に、十分に対処してまいりたいと考えております。
#280
○神田委員 この配置転換の問題は、今民間企業では単身赴任など社会問題が起きておりますが、必ずしもそういう状況が望ましいことではないにしろ、国家公務員の配置転換が極めて少ない数で推移しておる。これは前に私も内閣委員会その他で問題提起をしたことがあるのでありますが、生首を切らないという基本的な考え方を堅持していく上では、どうしてもこの配置転換などの問題を少し進めていかなければならない。このことは各省庁共通の問題でありますけれども、私は、もう少し政府全体がそのような方向でこれから先前向きに検討していってもらいたいということを強く要望し、この林政審議会の答申については、林野庁はその期待にこたえるように努力をいただきたいということを要望しておきたいと思っております。
 それでは次に、経営改善の問題につきまして積極的に取り組んでいる職員と余り協力的でない職員がいるというようなことも聞いておりますが、経営改善の問題につきましては積極的に取り組むように、全職員が足並みをそろえてこの大変な時期に経営改善努力を果たすべきだというふうに考えております。したがって、それらについてはその信賞必罰をきちんと評価をし、処遇をする必要もまたあるかと思っておりますが、これらのことが職務意欲の向上等につながりまして、ひいては経営改善の推進に資するものと思うわけでありますので、この点につきましても政府の方の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#281
○田中(宏尚)政府委員 こういう苦しいときほど職員の一人一人が国有林野の使命について十分認識していただき、明るい職場で仕事をやるということが肝要でございますので、何とか職員のそれぞれの方々に共通の認識を持っていただき、意欲を持って職務に当たっていただきたいと思って、いろいろな接触なり職場環境づくりというものに我々幹部といたしましても努力しているわけでございます。そのため、各層の管理者がまずは率先垂範して強力なリーダーシップを発揮していただきまして、職員の意識の向上なり意欲のある職場環境づくりというものに心がけているわけでございますが、人事面等におきましても、適材適所を旨としていろいろなその人たちの動き等を公平かつ適切に見まして、きちんとした人事管理に努めてまいりたいと思っております。それから、職務の内容とやり方にも十分配慮して大事なり給与体系というものもできているわけでございますので、そういうことに配慮しながら職場規律の維持というものにつきましては、特にこういう難しい時期でございますので、従来にも増して一層厳正を期することによりまして職場全体の職務意欲の向上に努めてまいりたいと思っております。
#282
○神田委員 次に、組織機構の問題について御質問申し上げます。
 組織機構につきましては、林政審答申を受けでどのように簡素化を図っていくのか、基本的な考え方についてお伺いをしたいわけであります。営林署問題につきましては、これまで五十三年度に九カ所、五十六年度に七カ所、六十年度に九カ所の統廃合が実施されておりますが、統廃合によりまして、それまで国有林野事業が果たしてきた公益的機能や現地におけるサービスについて低下を来したようなことが実際問題としてないのかどうか、さらに、六十二年度は十カ所の統廃合を実施するということを計画しておりますが、同時にこのような懸念がないのかどうか、お伺いをしたいのであります。
#283
○田中(宏尚)政府委員 営林署等につきましては、今後におきましても、要員規模の縮減でございますとか今後の業務運営の簡素化、合理化の進展状況に応じましてなお一層統廃合を徹底していく必要があるわけでございまして、ただいまもお話がありましたように、今年度において十営林署の統廃合というものを予定しておるわけでございます。
 それから、これまでの営林署の統廃合の実施に当たりましては、現実的には営林事務所を初めといたしまして、業務の実態に応じた適切な代替組織というものを必要に応じてそれぞれ設置する等によりまして、国有林野事業の機能が低下するとかあるいは地元との関係が希薄になる、さらにはサービスが低下するというようなことがないように、それぞれ具体的事例に即して適切に対応してきたつもりでございますけれども、今年度予定しております十営林署の統廃合に当たりましても、こういう従来積み重ねてきた努力というものに十分配慮しながら、円滑に進むようにやってまいりたいと思っております。
#284
○神田委員 今年度実施をする計画と言われている営林署の統廃合につきましては、我々としましてはまだ態度をはっきりとさせておりません。問題は、基本的には先ほど指摘をしましたような懸念がありますので、私どもとしましては慎重に取り扱っていきたい、このように考えていることを申し述べておきます。
 ところで、国有林野事業の今後の業務運営につきまして、立木販売方式を指向するとともに請負化を促進しまして、直用事業については真にそれにふさわしい業務に特化していくことを検討しているというふうに聞いておりますが、以下、次の点についてお伺いを申し上げます。
 まず、立木販売への指向の問題でありますが、地元の中小企業はこれまで、木材産業の不振の中で国有林からの素材の供給によって何とか経営を維持してきた、こういう者が非常に多いわけであります。そのような中で、一般に素材販売に比較して一件当たりの販売材積が大口であり、買い受け人も相当の資金力を必要とする立木販売を指向することについて、地元企業の振興を図るという観点から本当に大丈夫なのだろうか、そういう声も多くあります。その点の御見解をお伺いしたいと思います。
#285
○田中(宏尚)政府委員 国有林におきます立木販売につきましては、昭和六十年で実態を見てみますと、一般競争入札におきます一件当たりの平均材積が約一千立米ということになっております。したがいまして、この一千立米という程度の数量は経営規模の大きい特定の者でなければ購入できないというような大口のものではございませんし、それから現実にもこの買い受け人のほとんどの者がそれぞれの地域の製材林業、素材生産業者等のいわゆる中小企業者ということが実態でございますので、立木販売方式へ指向するからといって大企業に偏るというようなことはないものと我我は認識している次第でございます。
#286
○神田委員 これも現実に経営をしている中小企業の人たちにとりましては非常に不安でもありますし、またどういう方法かで話し合いをして円満にやっていかなければならない問題ではないか、かなり工夫の要る問題だと考えております。その点も十二分に御検討いただきたい、このように思っております。
 次に、請負化の促進でございますが、今、我が国の林業労働力は農山村の過疎の中で減少傾向にある、さらに高齢化が進行しているという深刻な状況にあります。その中で、国有林野事業に係る請負事業体等についてもいまだ十分に整備をされていないというのが現状であります。また近年、国有林野事業の事業量も減少傾向にある、こういう実態もあるわけであります。したがって、請負化を促進するためには、まずもって請負事業体等の育成強化を図っていくことが何よりも肝要だと考えておりますが、それにつきましてどのような措置を講じていくのか、その見解をお伺いしたいと思うのであります。松くい虫の防除対策などにつきましても、なかなかチームが編成できないということで、せっかく予算をもらっておきながら十二分な活動ができない、予算を使い残しているというような状況がたくさんございました。そういうことから見ると、この請負化の促進というのが果たして計画どおりにできるのかどうか非常に問題が多いと思うのでありますが、その点についてお伺いいたしたいと思います。
#287
○田中(宏尚)政府委員 国有林野事業にかかわります請負事業体は、六十年四月現在での調査によりますと総体で千三百六十六事業体というものがあるわけでございまして、これらの請負事業体は、昭和五十四年から逐次法人化なり素材生産と造林との兼業化というものを図りまして整理されてきているわけでございます。しかし、残念ながら、その事業体によりましては経営基盤が依然として脆弱であるというものも見られますので、民有林、国有林を通じまして、地域林業全体の担い手としてふさわしい経営事業体になっていただくことが肝要かと思っております。このために、一般林政施策で経営基盤というものを整備することが、何といいましても長期的な対策あるいは経営の安定を図るための対策として不可欠でございますけれども、特に国有林野事業の面から申しますと、地域の実情に即しました請負事業を計画的に発注するということで、一つは事業量を計画的に確保してやるということで経営の安定強化対策なりあるいは責任体制を確立していただくというようなことのほかに、ただいまも松くいの話を御例示でございましたけれども、間伐であるとかあるいは特用林産物の生産資材の販売というような山村で必要となりますいろいろな事業、こういうものへの多角化への取り組みというものもあっせんしたり指導したりいたしまして、何とか請負事業体の経営基盤の強化というものについてこれからも一層推進してまいりたいと思っておる次第でございます。
    〔保利委員長代理退席、委員長着席〕
#288
○神田委員 次に、国有林材の販売についてであります。
 近年、我が国林業、木材産業をめぐる状況は、先ほどから御指摘申し上げておりますように、円高進行などによりまして国産材と外材との競合関係が一層厳しくなってきており、深刻な影響が出ている地域も少なくない実態であります。言うまでもなく、国有林所在地域の林業、木材産業は国有林に依存する度合いが大きいのでありますが、国有林に課せられました使命の大きな柱である地域振興への寄与という観点から、今後とも国有林として相応の配慮はしていかなければならない、このように考えております。国有林野事業が置かれている現状の厳しい状況の中で経営の健全性を回復し、その果たすべき使命を達成していくために、林野庁は、林政審議会の答申を踏まえて各般にわたる改善策を展開していくものと考えますが、こうした中で、国有林材の販売に当たりまして地域林業、木材産業の振興をどのように考えているのか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#289
○田中(宏尚)政府委員 国有林野事業は、そもそもその所在しております農山村地域の林業なり木材産業というものと密接なかかわり合いがございまして、当該地域の発展が国有林野の円滑な運営の上にも極めて重要なことは当然でございます。こういう基本的立場に立ちまして、地元製材工場へ原木を安定的に供給する、あるいは国産材市場の活性化に役立つために民間流通機構というものを積極的に活用していく、それからそれぞれの地域での産地銘柄というものを適切に形成していく、さらにシイタケでございますとかナメコといった特用林産物でございますとかあるいは伝統工芸品、こういうものの生産に必要な原木の供給ということに積極的に取り組みまして、地域林業、木材産業の振興に従来からも努めてきたつもりでございますけれども、これからますます地域と国有林野とのつながりも強くなってまいりますので、従来にも増してそういう線を強めてまいりたいと考えております。
#290
○神田委員 分収育林等に関連した質問をちょっといたしたいと思います。
 国有林野事業におきましては、単に木材の安定供給のみならず、水資源の涵養、国土保全、保健休養というように、たびたび申しておりますが、公益的な機能が非常に大事であります。このような公益的機能の発揮にかかわる問題につきましては一般会計からの繰り入れだけではやはり十分でない、一般会計からの繰り入れが不十分な状況の中では受益者負担の積極的な導入というものも同時に考えていかなければならない、このように思うところでありますが、この観点から、さきの国有林野法の改正により導入されました分収育林制度は、民間活力の導入という点からもまことに時宜を得たものと考えております。さきの国有林野法改正の審議の際、電力会社等を対象に限定公募を促進すべきではないかという私の質問に対しまして、そのような方向で検討するという政府答弁がありましたが、このことについては現在どのようになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。また今後、限定公募につきましては、分収育林事業の推進の中でどのように位置づけをしていくのか、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#291
○田中(宏尚)政府委員 国有林の分収育林事業は、ただいまお話がありましたように、一般公募方式につきましては昭和五十九年から、それから限定公募につきましては昭和六十年から始まったわけでございますけれども、これらの事業は、国有林野所在地域の振興なり水資源の涵養なり、森林の持っております公益機能について維持増進を図るなり、さらには緑化思想の普及ということを主たる目的として、先生御指摘ありました限定公募ということが行われているわけでございます。
 限定公募につきましては、現在のところ大口といたしましては、森林の公益的機能発揮に特にかかわりの深い電気事業者が大口のかかわり合いを持ってきているわけでございますけれども、現在の実績を見てみますと、昭和六十一年度で約九十件程度が限定公募という形で応募されているわけでございます。この事業は単に金を集めるというだけではなくて、森林の持っておりますいろいろな機能を国民に理解していただくという効果もございまして、そういう森林に関する普及啓蒙の一環として進めているわけでございますけれども、こういう大口の電気事業者等の協力というものもこの事業を推進するに当たっての一つの非常に効率的な方法でもございますので、先様の御理解、御協力を得ながら、こういう方向もぜひ推進してまいりたいと考えております。
#292
○神田委員 次に、分収育林事業における一般公募についてお尋ねを申し上げます。
 申すまでもなく、分収育林事業における一般公募は、広く国民参加によりまして国有林野の整備を推進するためのものであるわけでありますが、契約期間が二十年以上にわたり、将来の木材価格の見通しをつけにくいことからも、資産運用に関しまして相当関心が高い我が国の国民にとりましては魅力ある商品とは言えないものになっております。確かに国有林におきます分収育林事業は、資産形成とかいった経済的観点を含めまして、広く国民参加による国民共通の森林の整備という公益的観点からとらえるべきでありましょうが、夢とロマンを買うということだけでは分収育林事業の参加者にはおのずと限界があると言わざるを得ません。したがって、分収育林制度については、限定公募を含めましてもっと幅広く国民全体の参加を促すような方策、例えば緑の基金を創設するなどの方策を講ずるべきであると考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
#293
○田中(宏尚)政府委員 分収育林につきましては、ただいま御指摘がありましたように、現在のところ夢とロマンという点がある程度前面に出ておりまして、経済的な採算ということではほかの金融債等に比べまして魅力が乏しいというようなこともございまして、ここのところ応募率が残念ながら若干低下するという状況にあるわけでございます。これにつきましては、そういう基本的な問題ももちろんございますけれども、それ以上にどうも我々役人側のPRなり宣伝が下手という点も一つ大きな議論になっているわけでございます。テレビ等のマスメディアを積極的に利用するなり、特に緑に対して渇望しております都市住民、こういう方々が本事業の対象でございますので、そういう都市住民に分収育林制度の実情なりあり方、あるいは夢というものをどうやって宣伝するかということで、その宣伝方式につきましてもここのところいろいろな知恵を出してきているわけでございます。例えば、今年度からもブライダル産業との提携でございますとか、あるいはデパートとの提携でございますとか、そういう売り出しなりPRの場というものを少し拡充いたしました。それから契約者に対しますアフターケアというものも、これは息の長い関係をつくる仕事でございますので、そういうアフターケアの強化ということで、森林レクリエーションに関するいろいろな情報でございますとか、あるいは国有林が行っております。そういう仕事に関するサービスなり利用料の優遇措置というようなものも積極的に取り入れているわけでございます。
 こういういろいろなアイデアなり知恵というものを我々なりにこれからいろいろ工夫いたしましてこの事業を伸ばしてまいりたいと思っておりますけれども、こういう分収育林とは別にといいますか、並行いたしまして、さらに国民参加による森づくりあるいは山守りということも必要になってきておりますので、緑の羽根運動を少し拡充強化するというようなことにつきましても現在検討を深めております。近々、従来型の緑の羽根から少し拡充強化した形での運動というものを新しく起こそうかと思っている段階でございます。
#294
○神田委員 今答弁がございましたが、例えば結婚記念に、カップルが幾ばくかの分収育林を買う、そういうことになりますればいろいろな意味でこの制度が定着をする、また広く国民の緑に対する理解を大きく前進させるということもあるかと思います。そういう意味でさらに一層の御努力をお願いいたしたい、このように考えております。
 次に、ヒューマン・グリーン・プランについてちょっとお尋ねをいたします。
 国有林野につきましては、木材の安定供給はもとより、水資源の涵養、災害防止等の国土の保全、これらの公益的機能を果たしてきておるわけであります。また、貴重な自然環境の保全という点からも極めて重要な使命を果たしており、それらの機能の拡充を求める国民的な要請が高まってきております。それらの要請をもとといたしまして国有林野事業として公益的機能を一層拡充すると同時に、保健休養等の機能の利用に対しまして利用者の適正な負担をお願いする中で国有林野事業の拡充を図ることは、結果として収支の改善にもつながると思うわけでありますが、今回、政府におきましては、近年の国民的要請に積極的にこたえて、森林レクリエーション事業の新たな展開としてヒューマン・グリーン・プランを積極的に推進することとしておりますが、どのように進めていくのか、その考えをお示しいただきたいと思います。
#295
○田中(宏尚)政府委員 従来からも国有林野におきましては、例えばレクリェーションの森でございますとか、こういうものを指定いたしまして、森林浴とか小中学生の自然観察等々広範な国民の参加というものをしてきているわけでございますけれども、特にここのところ急速に森林に対するいろいろな国民の方々の要請というものが広まってまいりましたので、国有林野の中で特に自然景観がすぐれた地域でございますとか、あるいは野外スポーツに適した森林空間、さらには国有林野の中には温泉資源というものもございますので、こういうものを国民に積極的に提供していく、その際には民間のノーハウ、いわゆる民間活力というものも活用しながらやっていきたいと思っておるわけでございます。具体的には野外レクリエーションの場でございますとか、自然との触れ合いの場あるいは青少年の教育の場、さらには保養のための施設というようなものをつくりまして、こういう施設であるとか場所を拠点として都市と農村の交流が起こってくれれば幸いであるということで、ヒューマン・グリーン・ブランというものをこれから積極的に推進するという方向を打ち出しておるわけでございます。
 具体的にどういう地域についてこういう総合的なブランを立て、推進していくかということは、その一帯の森林地域帯を選定いたしまして、その中で民間の活力、民間の事業体の方々にもいろいろ知恵を出していただいて、スポーツ施設でございますとか教育文化施設あるいは保健休養施設あるいは宿泊施設、こういうものを幅広くそれぞれの地域の特色を生かした総合的なレイアウト、整備というものをしていただくことにしているわけでございます。こういう事業の実施に当たりましては、特に地元の雇用機会の拡大、それから地場産業といいますか地場産品といいますか、地元のそういうものを振興していくことを通じまして農山村地帯の振興を図りたいということで、単に施設をつくるということだけじゃなくて、その施設を核として地域全体が活性化していくことをこいねがいまして、立派なレイアウト、プランをこれからつくってまいりたいと思っている次第でございます。
#296
○神田委員 ハードな面とソフトな面に分ければソフトな面でありますが、これからの日本の林業を推進していく中で全体にソフト面というものを非常に重要視をしていかなければならないのではないか、こういうふうに思っております。そういうことで、それらについても積極的に御推進をいただきたい、このように考えております。
 最後に、経営は人なりと言われておりますように、経営改善を進めるには職員の職務意欲の高揚と労使の協調が何よりも重要だ、このように考えております。政府及び林野庁の所信をお伺いし、そして最後に、この厳しい環境の中で日本の林業を守って林政を推進するための御決意を政務次官、副大臣にお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#297
○衛藤政府委員 ただいま御質疑をいただきましたように、この国有林野事業は大変厳しい環境に置かれておりますし、また、こういうときにこそ労使一体となりましてこの厳しい難局を切り開いていく努力をしなければならない、そういう基本的なスタンスに立ちまして農林水産省としての取り組みをしてまいりたい、このように考えております。よろしくお願いいたしたいと思います。
#298
○神田委員 終わります。
#299
○玉沢委員長 寺前巖君。
#300
○寺前委員 一時間弱の質問時間でございますので、ひとつ御協力をよろしくお願いいたします。
 まず、違憲判決が出て、それに基づくところの森林法の一部改正について聞きたいと思います。
 五十三年の一審及び五十九年の二審の判決では、森林法第百八十六条の規定について、森林経営の零細化防止という国家の政策的視点から共有森林の分割を禁止したもので、公益規定であるとして合憲となっています。今回の最高裁の判決においても、細分化を防止し、森林経営の安定化を図るという立法目的については公共福祉に合致すると認めている。しかし、法百八十六条の立法目的達成のための手段として、持ち分の二分の一以下の共有者に分割請求権を否定しているのは合理性及び必要性に欠けるとして違憲だ、こういうふうに判決は出しています。
 そこでちょっとお聞きしたいのですが、森林経営の零細化を防止するという政策的歯どめがなくなるということが百八十六条を削除することによって起こってくるのじゃないだろうか。これに対して今後どのような対処を考えておられるのですか、お聞きしたいと思います。
#301
○田中(宏尚)政府委員 今回、最高裁で違憲判決を申し渡されたわけでございますけれども、ただいま御指摘ありました森林経営の細分化につきましては、我々といたしましては、できるだけ森林経営というものは大規模で効率的に行われることがベターであるという基本的立場にもちろん立っているわけでございます。しかし、その経営と所有というものは必ずしも一致しておりませんで、所有が分割しておりましても、いろいろな知恵の出し方によりましては経営が一体化できるという事例も各地であるわけでございます。今回、国会にも森林組合法の改正という形で、森林組合がいろいろな方々から施業委託というものを集中いたしまして共同部に経営をやって山をつくり、山を守っていくという法律制度というものも後ろ盾として準備しているわけでございますけれども、そういう制度面なりあるいは金融面なりのいろいろな施策を通じまして、経営の零細化防止ということにつきましては従来以上に意を用いてまいりたいと思っております。しかし、今回の判決によりましても、共有林が全森林の中で六十万ヘクタール程度でございますし、それから、従来の実態が必ずしも十分に把握できておりませんけれども、あの規定によって細分化が防止されたという事例もそれほど聞いておりませんので、あの規定がなくなった後における経営なり所有の零細化ということについてはそれほど心配する必要はないのじゃないかというふうに我々としては認識しているわけでございます。
#302
○寺前委員 今回のこの訴訟の事件も静岡県ですね。ですから、都市周辺のいわゆるムラの山というところですね。従来ムラの山を出ていかれるときには大抵放棄していってくれとかいう形で、ムラ全体が責任を持って山を守るための対策を自主的にやられておったのです。ところが、今回の判決が出て所有の権利を行使するということが、都市周辺になってくると余計そういう問題が、権利としてわしの分があるんだということがこれから出てくると思うのです。今まで判決がなかったからそういう問題は余り見られなかったかもしれないけれども、こういう判決が出てくると新しい問題としてそういう危惧を感ずるわけです。ですから私は、これから起こるであろうと想像される問題であるから、全体の面積の中で占めている部分が小さいからというだけでは対処の仕方としては不十分だと思うのです。だから、これからの問題として考えておかなければならない。
 そこで、関係者にいろいろ聞いてみたら、民法の二百五十六条ですか、五年間という契約で抑えることができる、こういうものも考えられる。継続してやっていけるんだ。しかし山の問題というのは、五年の契約を繰り返すといっても長期に山を守っていかなければならないという問題ですから、民法上のこれだけでは、権利があると行使をし始めたらそうはいかぬだろう、これにだけ頼るということにもならぬな。
 それから、ムラの山についてわしの分をそれじゃ金で解決してくれという問題も出てくるだろうと思うのです。その場合に、ムラの山の所有者の間で、このごろの間伐材が金にもならない時期だし、木が金になるとは簡単に言えない時期なので、そこで借金をしてでも金を渡してやらぬことにはムラの山が崩れてしまうのではないか、不安定になってくるのじゃないか、金を貸してもらうという問題においては何らかの対処はされないものだろうか、こういう問題が出てきます。
 それからゴルフ場とか、都市近郊になってきますと今まで想像しなかった要求が国有林に向かっていろいろ出てくる。開発が出てくる。開発の事態を見ていると、森林法の第十条の二ですか、地域森林計画という形で規制を加えるというやり方があるのですね。しかし、実態がどういうふうになっているかと見ていると、大体そういう規制がかかっているのは民有林だ、こういう共有林などにはほとんどかかってない。そうすると、開発という新しい問題がこういう分野に出てくるのじゃないだろうか。
 私はそういうふうに考えてみると、この問題は、単に削除ということだけなので対応しなくても大したことないというふうには見られないと思うのですが、もう少し突っ込んでの検討はおやりになっていないのか、やっていないとするならば直ちにやっていただきたいということを聞きたいと思うのですが、どういうものでしょうか。
#303
○田中(宏尚)政府委員 ただいま先生から御指摘ありました村落が共同して使っている森林でございますけれども、これにつきましては、それぞれの実態によりましていろいろな形があろうかと思います。いわゆる入会権に基づきまして利用形態が行われているものもございますし、それから入会権にまで高まった形でなくて、実態上共用的な利用が行われているものもあろうかと思っております。入会権に基づいて行われているものにつきましては、今回の法律問題は通常の共有関係についての法律問題でございまして、いわゆる総有という形で権利関係が位置づけられております入り会いにつきましては、今回の法律関係の影響は全くないわけでございます。
 一方、入会権に基づかないで村落居住者の共有に属しつつも実態上共同部に今まで活用されてきたというものにつきましては、先生からも今御心配がございましたように、百八十六条の削除によりまして、それぞれの所有者から分割の請求が出る可能性は否定できないと思いますし、その限りでは、この規定の削除によりまして不安定な関係が場合によっては極地的にあるいは出るという可能性を否定するものではもちろんございません。しかし、こういう入会権に基づかないで共有といいますか、実態上共用的な利用がされている土地というものは非常に人的な結合が強い形で行われているのが通常でございまして、この規定がなくなったからといって直ちに分割請求ということに一気に走っていくケースが多発するのかどうかということは、これは全く新しい事態でございますから、どう見通すかということで有権的なことは何とも言えませんけれども、我々の感じといたしましては、そう多くはないのじゃないかと考えているわけでございます。
 しかし、仮にそういう事態が起きまして零細化していくというようなことがございますと林業経営上もマイナスの面がございますので、ただいまも先生からございましたが、あるいは運用によりましては問題があるかもしれませんけれども、民法による共有分割禁止の特約契約という点もございますし、場合によってはそういうものの設定について指導するなり、あるいは市町村なり森林組合による共同施業なり合理的な経営というものについて指導を強化してまいりまして、できるだけこの規定が悪影響の方向へ働くことのないように最善の努力をしてまいりたいと思っております。
#304
○寺前委員 新しい事態の話ですから、全体の中に占める位置は小さいといっても、十分に研究をして対応していただくように改めて要望して、この話は終わりたいと思います。
 次に、国有林野事業改善の特別措置法改正案についてお聞きをしたいと思います。
 この国有林野の経営改善に関する特別措置法というのが五十三年に既に出されているわけですね。その内容は、七十二年には収支均衡を達成するんだ、そのために六十二年までの十年間を経営改善期間として位置づけて、わずかばかりの一般会計からの繰り入れと借入金の拡大を行うというやり方をやってきたものです。しかし、それでは経営改善が達成できないとして昭和五十九年にもう一回改正をやっているわけです。改善期間を六十八年まで延長して、退職手当の借り入れとその利子分の一般会計繰り入れの実施というものです。ところが、先ほどからも話が出ていますが、やってからまだ三年間です。経営改善どころか経営は悪化するばかりで、このままでは破産の宣告をしなければならない。こういう実態の中でまた新しく改正法が出てきた、こういう経過をたどっていると思う。
 そこで、それでは今度のやり方でもって経営改善が果たしてできるのかどうか、これがきょうの審議の一番の中心点であろうと思うのです。六十二年度の予算を見ると、歳入五千六百九十九億円のうち借入金が二千五百五十億円で、四五%も歳入の中に占めている。歳出の方を見ると、五千六百九十九億円のうち借入金の元本償還、利子の支払いで千八百四十八億冊、実に歳出の三二・四%が借金の返済である。法改正の初年度でこんなことになっているわけでしょう。せっかく法改正までしても、これでは国有林野経営のサラ金財政というのは少しも変わっていないじゃないか、借金依存体質の予算になっている。予算でそうなっているということはこの法律自身がそういうことになるんじゃないか。今回の改正で、一般会計の繰り入れでふえるのが借りかえの利子補給三千八百万円、保安林の保全管理五億九千八百万円、合わせて六億三千六百万円です。一方、借りかえのための借入金の拡大分が百億円です。この点でも借入金依存型の財政改善の措置になっているではないか。退職手当の利子補給の拡大分を加えても、一般会計の繰り入れ総額は六十一年で百十億円、それが六十二年で百十九億円とわずか九億円。借入金の方は二千三百七十億円が二千五百五十億円になって、百八十億円もふえている。わずかな利子補給でもってまた借金がふえていく。五十三年の同法以来、経営改善のための財政措置をやってきたわけだけれども、結局何の財政の措置にもならなかったというこの借金依存型の体質というのは、基本的には今度の法案によってもこの性格は変わらない。こうなってくると、この法律が値打ちのあるものだというふうには評価できないではないだろうか、私はそういうふうに感ぜざるを得ないわけです。
 一般会計受け入れの中で、借金返済のための借りかえの利子補給については将来的に拡大されていく、それだけ借金返済がどんどんふえていく。しかしふえるといっても、借りかえ対象額全額を借り入れて利子補給を受けたとしても、利率は現在五・二%、その二分の一の補給しかやらないのですから、本当にわずかしか金を入れないことになってくるわけでしょう。六十八年の最終時点での借金は、大蔵省の資料を読んでみると六十一億円だけその助成をしてくれる、利子補給の分を入れてくれる。わずかのこんな金を一般会計からもらえるというだけで借金がどんどんふえていくというやり方は、これは抜本的に考え直さなければいかぬのじゃないだろうか。
 今度の特徴点から言うならば、金を借りるという問題よりも、むしろ労働者の首切りに上って財政を何とかしようという姿が出ているだけじゃないんだろうか。特別措置法がスタートした五十三年時点の林野庁で働いている人の数を見ると六万五千人ですよ。それが現在四万六千人でしょう。一万九千入減、実に三割の減です。これをさらに二万大規模にする、こういう背景が裏にあってこの金を借りるというのですから、私は、結局今度の財政再建の道というのは労働者の犠牲によってやるということ以外にない。しかも、それによって果たしてやれるのだろうか。
 私は、一体これから先どれだけの借金に減っていくのだろうか、ぜひお答えをいただきたいと思うのですが、現在の六十二年度末の累積債務がざっと一兆七千億と言われているのでしょう。五十三年度スタート時点が二千二百二十七億円だったのですから、随分膨れ上がって七・六倍にもなってしまったものです。この改善期間が終了する六十八年度には一体どれだけの借入金になるのか。物すごい労働者の犠牲を強いて、果たしてこれで改善がされるのだろうか。六十八年度末の借入金の残高は一体何ぼになるのか、明らかにしてほしいと思うのです。
#305
○田中(宏尚)政府委員 国有林野事業におきましては、国有林野事業が組織なり要員規模それから事業内容、こういう面で現在改善途中にあることに加えまして、伐採量につきましてもいろいろな制約的な条件のもとに置かれているということで、先生ただいま御指摘ありましたように、近年、借入金というものがかなり増加しているわけでございます。これからの経営改善の進捗状況がどういうスピードで、どういうあらわれ方でいくかということ、あるいは森林資源の整備の見通しということにもよりますけれども、残念ながら、当分の間はその借入金というものにある程度依存して経営をやっていかざるを得ないものと思っております。
 借入金は御承知のとおり、その大宗をなしますのは森林投資という面でございますから、こういうものをどれだけ行っていくかという問題があります一方、将来の支払い利子でございますとかあるいは償還金、こういうものがどうなり、どの程度返還可能あるいは支払い可能になるかというような問題も絡んでまいりますので、どれだけその年にこういう長期投資というものを借り入れるかということにつきましては、その年その年の情勢というものを十分勘案いたしながら、毎年度国有林野会計の予算を編成する、そういう過程の中でセットしていく仕組みになっていることは先生御承知のとおりでございます。したがいまして、今後六十八年なり七十二年なりに借入金というものが結果として、トータルとしていかほどの額になるかということにつきましては、毎年度の借入金がそういういろいろな要素によって決まってまいりますために確定できる段階ではございませんので、現時点で将来の、例えば六十八年の借入金残高が幾らになるということを見通すことは残念ながら困難な状況にある点を御理解いただきたいと思います。
#306
○寺前委員 造林をやって金になる時期というのはわずかなものだし、間伐は現在は金にならないし、それから外材によって支配されてきているのだから、そういうことをいろいろ総合的に考えてみると、林産物収入でもって財政を確立していこうというようなことは、独立採算制だなんていってそこに依拠しようとしてもそうはいかないということは現実の歴史的な事実がそれを示していると思うのですよ。そして、今日一兆七千億円からの借金の残高ができてしまっている。
 さてここで、かつて六万からあった労働者を二万の体制にしたからといって、労働者の賃金分は減らしてしまった、これは大きな財政上の援助だ、労働者は泣くけれども我慢してくれといって我慢させられたけれども、借金は一兆七千億より減って健全なる出づくりの方向に行くのだろうか、だれだって思うのですが、行かないですよ。借金返しが毎年、今のままでいったらどういうことになっていきますか。償還金は二百億、三百億ずつずっとふえていくのですよ。だから労働者を首切ったからといって、今の材価の低迷している事態を計算したら、借金の残高が一兆七千億より減るということにはならぬでしょう。そうすると、残っているのは財産を切り売りすることしかない。山を切り売りしてどうするのですか。それは今、東京都のあの中で売ったなんという話もあるけれども、あれは金になりましたなんて自慢にも何にもならない。そうすると結局一兆七千億円で済まぬで、大蔵省がどこかが出しておった試算をこの前ちょっと見せてもらったけれども、二兆円とか二兆五千億とかいう数字になって残高がふえていく。何億というようなわずかな利子補給でもって借りかえをして、何ぼ金借りてきましたとまた新しい借金をつくってふえる一方の姿をやっていくという再建案なんというのは基本的に考え直さなかったらいけません。
 私は、一番中心問題は、きょう賛成するのか反対するのかの基本問題はここにかかっていると思うのです。労働者を犠牲にしてそんなことをしたらいけません。それは単なる労働者の首切り、仕事を与えないという問題で済まないのですよ。山の守り手がなくなるという問題にも発展する問題ですから、これは基本的に考え直さなければいかぬと私は思うのです。少なくとも現在までの借金について棚上げをするoそして保安林とかあるいは地域の村の役に立つような林地、いわゆる一種とか三種などにおけるところの林道とか造林については国で面倒を見ますという財政のやり方をして、基本的に国土を保全する、みんなの水をちゃんと確保する、そういう大事な仕事に農林省は向かっていくのだ、政府は向かっていくのだ。昔から言いますよ、治山治水は政治の大もとだと。そういう姿勢に立ち返らなかったらこの問題の基本的解決にはならないと思うのですが、次官、いかがですか。
#307
○衛藤政府委員 きょう、終日議論をいただきましたように、最近における木材価格の動向、また債務残高の増大等の事情を考慮しますと、議員御指摘のように、昭和七十二年度収支バランスをとるということは極めて困難なことである、このように認識をしておる次第であります。このために、昨秋、林政審議会の答申をちょうだいいたしましたが、この林政審議会の答申を踏まえまして現行の改善計画を改訂し、また強化して、業務運営の一層の改善合理化、要員規模の適正化、自己財源の確保に努めまして、最大限の自主的改善努力を尽くし、また、所要の財源措置を講ずること等によりまして七十二年度に収支均衡を達成したい、このように考えておる次第でございます。
#308
○寺前委員 そんな答弁、私がわざわざ声を大にして説明までしているのに全然わかっておらぬ。これは勉強会に私を講師に呼んでもらわないといかぬと思う。本当に基本的に勉強し直してほしいということを要望して、次に行きます。
 借金依存という点では、国有林野以上に深刻なのが府県なんです。府県は造林公社でやっています。国有林等と違って、天然林等を伐採してその収入を得るということが府県の場合にはできないのですよ。補助金と借入金で造林を行って、償還については間伐収入を当てにしてやり始めたのだけれども、その間伐が金にならないという事態になっているからこれは深刻なんです。六十年度末で、公庫資金だけの残高が二千四百二十六億円に達しています。償還について府県が繰り入れ等の措置をとっていますけれども、府県財政も逼迫しておって、このままでは造林事業が続けられない事態になりかねないということが言われているのです。今後新たに造林資金を借りる場合は償還は十年間延長するなどということを心配していますと恐らく言われるだろうけれども、それはこれからの話であって、今まで借金した分についてどうするかという問題はこのことでは解決しないのです。
 全国林業公社協議会が五十八年十月に実施した調査によると、五十七年度までに借り入れた借入金の今後の償還額ですが、六十年度八十八億、七十年度百二億、八十年度百五十六億、将来年々拡大していっておるわけです。これを府県や市中銀行等の借り入れで対応しようとする場合、その金利負担は大変なことになる。私のところの京都の造林公社に聞いてみましたら、長期借入金は六十一年度末で五十二億三千九百万円、農林公庫資金以外は農林中央金庫の一般資金から借り入れており、しかも、公庫との金利差については府から利子補給をするという形で補助を受けている。それが六十年度は五千七百万円、七十一年度は七千万円に及んできているわけです。問題なのは、公庫資金は事業費のみが対象になるので利子や償還金は対象にならないのだ。ですから、償還金がふえるに従って府からの補助金がふえていくということになってきて大変なんだ。国有林は借りかえ措置ができるようにされているけれども、公社についてはそれがされていない。だから、この問題について対応策を組んでくれないだろうかという要望を受けたのですけれども、いかがですか。
#309
○田中(宏尚)政府委員 公社営の造林は確かに民有林全体の中で相当な地位を占めておりまして、それから貸付残というものも、ただいま御指摘ありましたように二千億を超えるというような実態にあるわけでございます。従来、公社は、事業資金を造林補助金のほかに借金というものに頼ってきたわけでございますけれども、残念ながら現在のところまだ大部分の木が若齢林であるということで、償還等について問題が出てきている公社も御指摘のとおり若干あるわけでございます。こういうことに備えまして、答弁の方を若干先取りされてしまいましたけれども、昭和六十二年度からは、公社の分収育林につきましても造林補助体系上、優遇措置を講ずるとか、あるいは公庫資金の面でも償還条件の改善を将来に向かって行うとかいうような健全経営に育成するための策というものをいろいろやっているわけでございますけれども、それにしてもいろいろと組織上の問題なりというものもございますので、もう少しいろいろな手だてはないかということで、関係の重立った公社の幹部も入っていただきまして、林野庁の中でこの問題についての将来のあり方についての検討にせっかく着手したところでございます。
#310
○寺前委員 それでは、この問題について、本当に府県の人々の意見をよく酌み上げて改善策に取り組んでいただきたいと思います。
 その次に、先ほども四万六千人体制が二万人になるという問題を私は説明をいたしましたけれども、この前、去年の暮れでしたか、岐阜県の中津川の営林署に行ってきたのです。その営林署の場合に、素材生産班の平均年齢が四十三・四歳、造林班は五十三・四歳でした。一方、地元の請負事業体はどうかといったら、上矢作町の森林組合の素材生産班は平均年齢が五十二・九歳で、営林署よりも年齢が高い。地元にある民間の富士林業というところ、ここは造林班ですが、平均年齢は五十五歳。えらい高いなと言っておったのですけれども、よく聞いてみると、三十三歳の社長の息子さんがおるので五十五歳で、その人を抜いたならば平均年齢は六十二・八歳になるんだ。こういうふうに後継者難というのが非常に大き世問題になっておる。営林署があって、そして若い人が辛うじて村の中におるという姿を呈しておるということが行ってみてよくわかりました。ですから、民間の方が国有林よりも高齢化しているというのが中津川の実態で、後継者確保という問題は全国的に山の問題としては重要な位置にあるんだ。今度、四万六千人を二万人体制に入っていくために、国有林の新規採用をストップするというやり方をしていったならば山の労働力の確保というのは一体どうなるのだろうか、これはゆゆしき問題だというふうに私は感ずるのですけれども、この問題についてどういうお考えか、お聞きをしたいと思うのです。
#311
○田中(宏尚)政府委員 国有林、民有林を通じまして林業労働者が高齢化し、後継者難に陥っている地域が相当出てきておりますことは、我々といたしましても十分認識しているところでございます。後継者を確保し、林業労働者に活力を与えるためにも、何といいましても林業そのものが活性化していくということが不可欠でございますので、一般林政の推進を通じまして林業が少しでもビビッドに動いていくということに力を尽くしているわけでございますが、そのほかに、林業後継者対策といたしましても、特に民間の場合には、今御指摘ありましたいろいろな地元の請負をやっている会社でございますとか林業会社の高齢化ということがございますけれども、こういう請負事業体につきましては、五十四年以来、登録制度というようなものをしきまして経営基盤の強化に努める一方、国の仕事を継続的に発注するとか、あるいは素材生産と造林とを組み合わせて多角化していただいて経営基盤を強化して、若い方に来ていただけるような職場の経営状況なり経営環境をつくっていくというようなことに努力しているわけでございますし、今後ともそういう方向での努力を積み重ねてまいりたいと思っております。
 国有林につきましては、こういう国有林の経営状況でございますので、要員の調整というものは避けて通れない道でございまして、新規採用につきましては厳に抑制するということで進んでいるわけでございます。定員内職員につきましては、将来の国有林野経営の連続性、持続性ということも考慮いたしまして、前年まで百八十八人でございましたけれども、今年度で百二十人という新規採用をいたしまして、この人力に十二分な研修、教育というものを積み重ねまして、将来の国有林を担う方々に育っていただきたいというふうに思っているわけでございます。
#312
○寺前委員 さっきも中津川の例で言いましたけれども、辛うじて国有林でまだ年齢の低い層の山で働く人がおる。だから、それがなくなったら山で働く人たちの労働条件の水準が、国有林という形で保たれておったものがもっと悪い条件になるのだから、ますますもって山で働く人がなくなっていくのだ、私はここを見ていなければあかぬと思う。単に財政上の問題だけで見ておったら、山の守り手がなくなるという重大な問題を内容として含んでおるから、これはえらいことになるな。私はそういう点でも、今度提案されている法律というのは極めて無責任な国土対策になるなということを感ずるものなんです。
 私は、この間、藤田スミさんと一緒に奈良の営林署に行ってきましたので、この際に、国有林に関する二、三の点を時間の許せる限りちょっと聞いておきたいと思うのです。
 奈良の営林署へ行ってまず感じた問題は、奈良の中でも一番いいメーンストリートのところに営林署があるのです。営林署というのだから材木でできた、並びの建物のスタイルに合うようなところかいなと思って行ったのですが、実は鉄筋コンクリートの味気のない三階建ての建物でした。そして、まず署長室へ入ってみると非常に明るいところですね。東の方の窓、南の方の窓、ずっと一連の窓ですから本当に明るい。しかし、ちょうどこの間うちから暑くなってきたんだ。そこで私はたまらぬとすぐ上着を脱いでしまった。今でさえも上着を脱がなんだら温室に入っているようなものだ。電気の節約で冷房をしていませんのかなと聞いてみたら、そんな装置ありませんと言う。国の出先あるいは県の出先でこういう冷房のないところはないんじゃなかろうかという話で、私は、こんなところで扇風機をつけておったら扇風機の電気代の方が商うつくのと違うやろうかと思うたくらいです。これでは能率の悪いこともおびただしいだろう。それで署長さんは、この間来たところやから私もよう知りませんのや、まだ暑いときを経験していませんのやと言う。それであなたこの夏どないします、いや、これは暑そうですわと署長さんも言っておられる。歴代いろいろな人がそこで署長さんをおやりになったんだろうし、局の偉い方もそれは知っておられることなんだろう。こういうのは今の時代に、建物は近代的な建物にしているんだから中身もそれにふさわしいものにしなかったらあかぬのと違うか、私はまず率直に問題を提起して、即刻改善をしてほしいと思いますが、いかがなものですか。
#313
○田中(宏尚)政府委員 まさしく我が国有林の苦しさの象徴がそこに出ているかと思いますけれども、国有林野事業に属しますいろいろな施設についての冷暖房施設、特に冷房施設につきましては、実は建設省で冷房施設整備事業実施基準というものができておりまして、これを参考として、酷暑地域で冷房期間が特に長期を要するとかけあるいは降灰でございますとか騒音、悪臭等、こういうことで緊要度の高いところから、予算事情に限りがございますので、逐次整備をしてきているわけでございます。したがいまして、職場環境が整うということはこういう厳しいときこそ必要でもございますので、その全体の計画の中でできるだけやってまいりたいと思っておりまして、奈良の営林署につきましても、こういう全体の中の緊要度が高いかどうかというような判断も含めまして、今後検討させていただきたいと思っております。
#314
○寺前委員 横でもえらい怒っているので後からよく聞いておいていただきたいと思いますけれども、あれは一番騒音の激しいところですね。奈良でも京都でも盆地だから、盆地の暑さというのはまた特別な厚さがありますね。これは冷房の部屋におって暑いところから順番なんと言っているような性格とは違う、即刻検討してほしいと私は思います。
 ついでに、早速署長さん以下関係者に御案内いただきまして、高取山というところへ行ってきました。そこは五十七年の八月に集中豪雨で山地崩壊をしているのです。ここに私、写真なんかももらってきておりますけれども、もう五年になるのに復旧されていない。しかも、この山のすぐ下に有名な明日香村があるのだ。明日香村は特別な立法をしてまで守っているのですけれども、これは災害に遭うたときのところから若干の手を加えただけであって、放置に近いような姿になっている。周辺に何ぼ立派な特別立法をつくったって大もとをちゃんとしておかなかったらあかんという性格から見ても、私は、こんなやり方でどうなっているんだろうか、だから奥地へ行ったらもっとひどいことになるのと違うだろうかということを感じました。また、昨年の三月、雪害がありました。その雪害に対して奈良県では特別な措置がやられて、吉野の大台ケ原のあちらの方から来た議員さんが、その節にはお世話になりましてというあいさつがあった。ところが、お世話になりましてというあいさつがされているのに、国有林のここへ入ってみたらそのときの雪害のまま放置されている、雪害木がそのままになっている。こんなことの対応策もできぬのだろうか。財政の破綻というのか、あり方の問題というのか、私は、本当に国有林がこんなことで果たして責任を持っていくやり方になるんだろうか。これは財政的にも、独立採算制などと言ってこの中に全部ほうり込んでやっているだけではやっていけない問題を含んでいるんじゃないだろうか。そういうことを長官、お感じになりませんか。この問題についていかがでしょう。
#315
○田中(宏尚)政府委員 奈良営林署管内の高取山の国有林につきましては、御指摘ありましたように昭和五十七年に台風十号で荒廃いたしまして、その後いろいろな経緯がございまして復旧事業を行ってきているわけでございます。特にこの国有林につきましては、従来から民有林治山事業との連携というものを図りながら、公共施設等に密接な関係を有するもの、あるいはその流域全体上重要なもの、こういうものにつきましてまずは計画的な整備を図るということで、昭和五十七年度以降につきまして、六十二年度の予定も含めまして現段階で約一億円の災害復旧事業というものが行われたし、あるいは行われることになっているわけでございます。この進度についての評価はいろいろあろうかと思いますけれども、こういう状況の中ではございますけれども、国有林の国土保全等に果たします重要な役割というものも我々といたしましては十分肝に銘じまして、その災害復旧の緊急性につきましても十分頭の中にあるわけでございまして、今後なお一層事業の計画的、効率的な運営に努めてまいりたいと思っております。
 それから、同じく御質問のございました豪雪による折損木被害につきましても、沢筋を中心にいたしまして相当の折損木、倒木が出たというのが事実でございますけれども、六十一年度におきましては被害の多かった分収造林地域を中心といたしまして、通常の間伐とともに雪害木の間伐処理というものを実行いたしまして、二次災害の発生の防止に努めているところでございます。今後とも被害状況を十分適切に分析しながら、必要な箇所につきまして被害木の処理なりを含みます間伐等を円滑に実施いたしまして、災害の防となり林分の健全化というものに努めてまいりたいと思っております。
#316
○寺前委員 本当に山のあり方の問題、国有林の使命というような問題について、もう少し我々自身がもっと考えなければいかぬなということをつくづく思いました。国家的財政もそこへもっと集中的にほうり込んでいくということを自民党の先生方、ぜひよくお考えをいただきたい。政権政党としてあなたたち、いつもおっしゃるのだから、本当にこういう法律で借金をつくらしていくようなやり方をしておったらあかんと思うのですな。
 それでは最後に、先日私、地元事務所に帰っておりましたら小学生から電話が入りまして、岩田山自然遊園地の猿を助けてくださいという電話なんです。この岩田山というのは京都の名勝嵐山の横にあるところの出なんです。猿を助けてくださいというのは私は余り聞いたことがない。何とか猿をとってくれというのはよく来るのだ。それを助けてくれと子供が言ってくるのですから、これは一体どういう話なんだろうかと現地にも行ってみました。
 そうしたら、この岩田山というところに四十五年にわたって観光目的で猿のえづけが行われておる。その猿がイノシシの足わなにひっかかっておるわけだ。これが今までに五匹そういう姿が出た。そういう足を引きずっている猿を見て、子供が何とまあかわいそうに、こういう気になるのですね。私、逆に、猿がこんなにまで子供から言われたというのには本当にびっくりしたのです。それで、何でそういうことになるのですかと聞いてみたら、遊園地を禁猟区にしてわなをかけられないようにしてほしい、そこにわなをかけないようにしたらああいうことにならないんだということを言うのです。そうしたら猿が繁殖したら困るのと違うかと言うから、それはそれで指導する、両面をきちんとやってほしいのだ。
 そこで、京都府が去年の十一月に区域の見直しを行う際に、遊園地も含めた京都市有地約三十ヘクタールを保護区に指定すべく関係者の意見を聞いたところが、保護区にすれば繁殖し過ぎて国有林の植栽の被害が大きくなると営林署の方がちょっとクレームをつけたので遠慮しましたのや、こういう話です。私は、それは繁殖をして困る面とそれから禁猟区にして保護する面とはやはり統一的に物を見なければいかぬじゃないか、両面として考えていく必要があるというふうに思うのですが、この問題についてどういうふうに対処されるのか、お聞きをしたいと思うのです。
#317
○田中(宏尚)政府委員 嵐山国有林周辺の民有林につきましての鳥獣保護区域の指定につきまして、京都営林署が反対していて指定できなかったというような御指摘がございましたので、当方におきまして早速地元に照会をしてみたわけでございますけれども、京都営林署からの返事ですとそのような返答なり返事をした事実はございませんで、それで、当該地域の指定はむしろ国有林野事業の実行上も好ましくて、特に問題はないという見解でございます。したがいまして、民有林の鳥獣保護区のことでございますので、京都府と環境庁で相談し、その結果、指定について検討していただきますれば、我々国有林を預かる者といたしましても幸甚かと思います。
#318
○寺前委員 それでは十分統一的に、被害を近所に与えないという一定の限界を超える繁殖に対する規制も同時に指導してもらわないかぬし、十分そこは上手に御指導いただきますように。
 それで、えさをちょっと出して、そして国有林をつぶしていくようなやり方はやめてもらいたい。本当にちょっとした一般財源からの補助金でもって山はつぶされていくんだ、国有林のあり方が変わっていくんだ、これは大変な問題だ。我々は猿みたいに扱われているのと違うかいなと本当に気になる、このやり方については。そういう意味で、この国有林のあり方問題については、今度の法律については賛成しかねますということを最後に申し上げて、質問を終わります。
#319
○玉沢委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
     ――――◇―――――
#320
○玉沢委員長 この際、先刻質疑を終局いたしております内閣提出、昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案について議事を進めます。
 この際、本案に対し、保利耕輔君から修正案が提出されております。
 修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。保利耕輔君。
    ―――――――――――――
 昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#321
○保利委員 私は、自由民主党を代表して、昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
 修正案はお手元に配付いたしましたとおりでございますので、その案文の朗読は省略をいたしまして、以下、修正の趣旨を申し上げます。
 修正事項は、原案において「昭和六十二年四月一日」と定められております施行期日が既に経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#322
○玉沢委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#323
○玉沢委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、保利耕輔君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#324
○玉沢委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#325
○玉沢委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
     ――――◇―――――
#326
○玉沢委員長 次に、内閣提出、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 この際、本案に対し、串原義直君及び藤田スミ君から、それぞれ修正案が提出されております。
 両修正案について、提出者から順次趣旨の説明を求めます。串原義直君。
    ―――――――――――――
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#327
○串原委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本社会党・護憲共同提案の国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明いたします。
 御承知のとおり、緑資源・森林資源は、今地球的規模で枯渇し、人類の生存が危惧され、資源と環境問題は、二十一世紀に向けて最大の課題になっています。言うまでもなく、森林資源は、国土の保全、水資源の涵養、大気の浄化、自然及び生活環境の保全、教育及び文化への寄与、木材の生産など、多面的な機能を有しており、国民生活にとりまして不可欠の資源であります。
 しかしながら、我が国の森林・林業は、高度成長期を通じた過伐・乱伐による資源の減少と荒廃、長期にわたる構造的要因に伴う林業・林産業経営の不振によって危機的な状況を深めています。特に、我が国最大の林野を所有し、かつ、林業事業体である国有林野事業も例外ではなく、このまま森林の荒廃と経営悪化を続けるならば、国民共有の資産を消滅させ、その使命と役割を果たし得ない状況が危惧されるのであります。
 しかるに、本委員会に提案されました政府の国有林野事業改善特別措置法の一部改正案は、林政審答申を受けて、基本的条件の整備期間の昭和六十八年度を変更せず、長期借入金の借りかえ措置とその利子補給及び森林保全管理費の一般会計からの繰り入れのみの改正案であり、国有林野事業の外部的、構造的な要因に基づく経営悪化に対する抜本的な解決策ではないのであります。
 私は、こうした欠点のある政府案を抜本的に修正し、国有林野事業の四大使命を総合的に発揮させるため、財政の健全化が図られるよう提起するものであります。
 以下、修正案の要旨を御説明いたします。
 まず第一に、本法の趣旨に、国土の保全、水資源の涵養、良好な自然環境の保全、教育及び文化への寄与など公益的機能の維持増進、林産物の計画的、持続的な供給、農山村地域の振興への寄与等国有林野の四大使命を明らかにしたことであります。
 第二に、改善計画の期間を昭和六十八年から昭和七十二年までとし、改善計画で定めるものについては、第二項第二号を「国有林野の森林資源の整備に関する事項」とし、第六号として「国有林野事業の改善に必要な資金の確保に関する事項」を加え、なお国有林野事業の使命が総合的に発揮できるよう充実したのであります。
 第三に、一般会計から特別会計への繰り入れとして、まず、森林保全管理事業、森林レクリエーション事業、林木育種事業、保安林に係る造林事業などの経費は当然経費として繰り入れるものとし、このほかの造林、林道の開設、改良、災害復旧事業経費についても予算の定めるところにより繰り入れ、財政的措置を明らかにしたのであります。
 第四に、資金の貸し付けにつきましては、資金事情の許す限り特別の配慮をするものとし、借入金の利子、償還期間及び措置期間等について、資源の育成途上にあるところから緩和措置をとり、一般会計から予算の定めるところにより繰り入れることにしたのであります。
 本修正の結果、平年度約千六百四十九億円が必要と見込まれるのであります。
 以上が修正案の要旨であります。何とぞ速やかに御決定くださるようお願い申し上げます。
#328
○玉沢委員長 藤田スミ君。
    ―――――――――――――
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#329
○藤田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、国有林野事業改善特別措置法改正案に対する修正案の提案理由を説明いたします。
 案文はお手元に配付してございますので、朗読は省略させていただきます。
 まず、修正案の基本的考え方を説明いたします。
 今日、国有林野は、国土や自然環境の保全など、国民の重要な生活環境基盤である出づくりを初め、木材資源の安定的供給、農山村地域の振興、さらには民間林業経営活性化への貢献など、公共性の発揮が極めて重要となっています。
 しかし、現状は、財政破綻からこのままでは借金返済に追われて、国民のための出づくりが一層放棄されかねません。政府の経営改善は、国有林野の大合理化と借入金依存による当面の破綻を取り繕おうとするものであり、財政再建どころか経営の破局につながりかねません。
 我が党修正案は、政府案を根本的に改め、国有林野の公共性を具体的に保障するためのものであります。
 その概要は、第一に、国有林野の持つ公共的使命を明記することであります。
 第二は、収支均衡を図ることを目的とした現行改善計画の規定を改め、保安林等の整備の目標などを定め、公共的使命を果たすための計画とするものです。この計画は五年ごとに立て、また決める場合、国会の承認を要するものとしています。
 第三は、国有林野特別会計に公共勘定を創設し、保安林等公共性の高地域の出づくりに必要な資金は一般会計から繰り入れることとしています。
 第四は、長期資金の債務については棚上げして別途処理し、必要な財源は一般会計等から繰り入れることとしています。
 以上が修正案の概要でございます。
 委員各位の御賛同をお願いをいたしまして、提案理由の説明を終わります。(拍手)
#330
○玉沢委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。
 この際、両修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べいただきたいと存じます。加藤農林水産大臣。
#331
○加藤国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。
    ―――――――――――――
#332
○玉沢委員長 これより内閣提出、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
#333
○辻(一)委員 ただいま議題になりました国有林野事業改善特別措置法の一部改正案につきまして、私は、日本社会党・護憲共同を代表して、政府提出の改正案に反対し、日本社会党・護憲共同の修正案に賛成の立場から意見を申し述べたいと思います。
 国土面積の約七割を占め、木材生産を初め国土保全、水、緑、きれいな空気の供給基地である森林は、農山村の過疎化の進行や林業労働力の減少、木材価格の下落低迷と林業経営費の増高等による林業生産活動の停滞のもとで森林の荒廃が進みつつあり、一昨年秋以降の円高の進行によって、我が国林業は産業として存立し得るかどうかの瀬戸際に立たされていると言っても過言ではありません。
 一方、国民共有の財産である国有林も、林業全体の構造的要因に加え、戦後復興から高度経済成長期にかけての資源無視の増乱伐によって資源は減少し、伐採量が半減するなど、昭和五十年以降財政事情が悪化し、借入金による運営を余儀なくされ、昭和六十年度債務残高は一兆三千三百五十億円に達するに至っております。
 こうした日本林業の危機打開、とりわけ環境保全機能、木材の安定的供給、山村地域振興、教育、文化の場の提供など、社会資本としての性格を強く持っている国有林野事業の再建は一刻も揺るがせにできません。
 しかるに、本委員会に提案された政府の国有林野事業改善特別措置法の一部改正案は、新たな政策展開なしに保安林の保全管理のための一部を一般会計から繰り入れることと、借入金返済のための借りかえ措置と一部の利子補給に限定したものであります。確かに現行法より一歩前進したものと評価するものでありますが、借入金の累積は避けられず、森林資源の造成に支障を来すことは明白であり、抜本的再建策とはほど遠いものと言わざるを得ません。
 今、国有林野事業の再建、充実のために緊急に必要なことは、都市への人口集中、深刻な産業公害による生活環境悪化の中で豊かな緑を求め、自然との調和を求める国民の要求にこたえた国有林野事業の使命、役割が総合的に発揮できるような出づくりと、健全な経営体制を確立することであります。
 日本社会党・護憲共同の修正案は、使命、役割の見直し、改善期間の延長、そして育成段階にある国有林に対し公益的費用の一般会計からの繰り入れを行い、借入金の償還期間の延長、利子補給など民有林並みの措置をとろうとするものであり、これ以外に真の国有林野事業の再建はあり得ないと思います。
 私は、今こそ国有林野事業の再建とその使命達成のために、昨年五月十五日の本会議決議の意を体し、日本社会党・護憲共同の提案しております修正案の実現を図るべきことを主張し、各位の御賛同をお願いし、討論を終わります。
#334
○玉沢委員長 寺前巖君。
#335
○寺前委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、政府提出の国有林野事業改善特別措置法改正案に反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、今回の改正案が国有林の荒廃につながる大合理化を前提としたものであるということです。
 今回の法改正は、昨年十二月の林政審議会の答申や、さらに十二月三十日閣議決定された行革大綱に基づくものです。その行革大綱には、要員規模を改善期間内に現行の四万六千人を半分以下の二万人にするという国有林野労働者の大幅削減を打ち出しており、到底容認できません。
 第二の理由は、本案による改善措置は、経営の改善どころか、一層の悪化につながりかねないということであります。
 本案による一般会計から林野特会への繰り入れはわずか六億円余であり、一方、借り入れは、借金返済のために借金を充てるという道を開き新たに百億円借り入れるという、まさにサラ金財政に一層拍車をかけるものとなっています。こうした借金依存の財政措置を続けることは、既に一兆七千億円にも達する累積債務をさらに増大させ、国有林野財政の破綻につながるものであります。
 今日の国有林経営危機を招いた根本原因である独立採算制の押しつけを改め、国有林野の持つ国民の山としての公共的使命を果たすために、思い切った一般会計からの繰り入れの拡充が不可欠であります。
 以上が政府案に反対する理由であります。
 なお、社会党提案の修正案についてですが、累積債務の取り扱い等、若干の点で我が党提案の修正案と違いますが、国有林野の持つ公益的機能をより一層発揮させる立場から一般会計からの繰り入れを拡大しようとするものであり、賛成するものであります。
 以上で、政府提出の法案に対する反対討論を終わります。
#336
○玉沢委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#337
○玉沢委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案並びにこれに対する串原義直君提出の修正案及び藤田スミ君提出の修正案について採決いたします。
 まず、藤田スミ君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#338
○玉沢委員長 起立少数。よって、藤田スミ君提出の修正案は否決されました。
 次に、串原義直君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#339
○玉沢委員長 起立少数。よって、串原義直君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#340
○玉沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#341
○玉沢委員長 この際、本案に対し、月原茂皓君外四名から、自由民主党、月本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。竹内猛君。
#342
○竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合、日本共産党・革新共同を代表して、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は本法の施行に当たり、我が国の森林・林業の重要性とその中核的役割を担っている国有林野事業の推進に当たっては、長期的・総合的な展望に立って、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
     記
 一 森林資源は国民の生活向上及び国民経済の発展にとって極めて重要な役割を果たしており、国有林野事業の使命である林産物の計画的な供給、国土の保全、水資源の涵養、良好な自然環境の保全等森林の有する多面的機能を総合的に発揮させるため、森林の整備拡充に必要な措置を積極的に講ずること。
 また、国有林野事業の公益性にかんがみ、一般会計からの繰り入れ等財政上の援助措置を積極的に講ずるように努めること。
 二 新たな改善計画の策定及びその実施に当たっては、国有林野事業が直面している構造的要因を認識し、国民各層の意見を徴し、円滑に推進するよう努めること。
 三 森林施業の実施に当たっては、国有林野の森林資源を維持培養するとともに、森林の有する多面的機能の高度発揮、木材需要の多様化等に対処するため、人工林の適正な整備、複層林の造成、天然林施業等を着実に実施し、森林の総合的利用に対応できる多様な森林の配備に努めること。
 四 国有林野事業の収益性を確保するため、木材需要の開発推進、生産技術の開発等によるコストの低減、的確な市況或いは市場の調査に努めるとともに需要動向に応じた産地銘柄の形成等販売戦略の展開に努めること。
 五 森林・林業の活性化を図るため、木材需要の拡大、国産材の振興を通して国産材の自給率及び利活用の向上等に配慮するとともに、木材関連産業の積極的な振興を図り、外材との競争力を高めるよう施策の充実に努めること。
 また、世界的な森林資源の減少傾向にかんがみ、輸出国の資源の続培養に必要な国際協力を一層推進すること。
 六 国有林野のもつ森林空間を、保健休養、地域振興の観点から積極的に利用し、民間活力を活用した事業の展開を図るとともに、国有林野の貸し付け、売り払いを行うに当たっては、緑の保全に十分配慮し、国有林野事業の管理運営との適切な調整を図るものとすること。
 七 林業事業体に対しては、雇用の明確化、労働条件の改善及び国有林内での安全対策について積極的な指導・監督を行い、優秀な労働力の確保に努めること。
 八 山村地域の森林資源を有効に活用し、林業生産活動の活発化、就労機会・所得の増大及び生活環境基盤の整備などについて市町村等を主体とし、地域の実態に即した山村地域林業の振興に努めること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
#343
○玉沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 月原茂皓君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#344
○玉沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤農林水産大臣。
#345
○加藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
     ――――◇―――――
#346
○玉沢委員長 次に、内閣提出、森林法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、森林法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#347
○玉沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#348
○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#349
○玉沢委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、加藤農林水産大臣から農林水産業の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。加藤農林水産大臣。
#350
○加藤国務大臣 農林水産委員会におきまして、私の所信の一端を申し上げます。
 現下の我が国農林水産業を取り巻く内外の諸情勢について見ますと、我が国の社会経済が広範かつ多様な変化を遂げてきている中で行財政改革の推進が求められるとともに、国際収支面での経常収支不均衡を契機として国際協調型経済構造への変革が要請されてきております。
 こうした中で、我が国農林水産業は、経営規模拡大の停滞、生産性向上の立ちおくれ、農産物需給の不均衡などの諸問題に直面し、また、内外価格差の是正、農業保護のあり方等につき、内外から強い関心が寄せられております。
 申すまでもなく、我が国農林水産業は、国民のニーズに即した食料の安定供給、活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全とその調和ある活用など我が国経済社会の発展や国民生活の安定のため、重要な役割を果たしております。
 今後の農林水産行政を推進するに当たっては、このような農林水産業の持つ基本的かつ多面的な役割を踏まえつつ、国際化、高齢化、大都市の過密と一部農山漁村における過疎化の進行、技術の高度化等今後の社会経済情勢の変化に的確に対応していく必要があります。
 とりわけ、昨年十一月には農政審議会から「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」が報告され、国内の供給力の確保を図りつつ、国民の納得し得る価格での食料の安定供給に努めることを基本として、与えられた国土条件等の制約の下で最大限の生産性向上を図る必要があり、これに焦点を合わせて諸施策を運営すべきである旨の提言が行われたところであります。本年は、報告の指し示す方向に向かって現実の歩みが始まる重要な幕あけの年であり、国民のニーズの変化等新しい時代の流れを積極的に酌み取りつつ、各方面の声にも十分耳を傾けながら、国民の合意形成の上に立って各般にわたる施策を推進してまいりたいと考えております。
 以下、昭和六十二年度における主要な農林水産施策について申し上げます。
 まず農業の振興についてであります。
 第一は、水田農業を初めとする土地利用型農業の体質強化の推進であります。
 水田は我が国農業生産力の基幹であり、我が国農業の長期的な発展の基盤を確立するためには、生産性の高い水田農業を確立することが極めて重要であります。
 このため、稲作・転作を通ずる生産性の向上、地域輪作農法の確立といった水田農業の体質強化や需要の動向に応じた米の計画生産を図ることを主旨とする水田農業確立対策を生産者、生産者団体の主体的責任を持った取り組みを基礎に、生産者団体と行政とが一体となって、着実に推進してまいります。
 あわせて、食糧管理制度については、国民生活の安定を図る上での重要性を認識し、制度の基本は今後とも維持しつつ、各面にわたり事情の変化に即応して必要な運営改善を着実に重ね、国民の理解が得られるよう努めてまいります。
 さらに、農業生産基盤の整備を第三次土地改良長期計画に即して着実に実施してまいります。また、農地の利用権の集積や作業受委託を促進することにより、中核農家や生産組織の経営規模や作業規模の拡大を地域の実情に即して進めるほか、新規就農者を含め、次代の農業を担う技術・経営能力にすぐれた意欲的な農業者の育成確保にも努めてまいります。
 第二は、需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開であります。
 需要の動向に適切に対応しつつ、産業として自立し得る農業の確立に資するため、水田農業確立対策の推進とも呼応した合理的な土地利用方式を実現するとともに、水稲、麦、大豆、特産農作物等の生産性の高い主産地を育成することを目指して総合的な農業生産対策を推進してまいります。また、肉用牛生産の低コスト化と肉用牛資源の拡大の重要性にかんがみ、肉用牛対策に重点を置いて畜産総合対策の充実を図ってまいります。
 第三に、バイオテクノロジー等先端技術の開発・普及とニューメディアを活用した情報システムの整備であります。
 今後、農業、食品産業等の生産性の飛躍的向上、新しい食品素材の開発、農山漁村の活性化等を図る上で、これらの先端的技術は極めて重要な役割を果たしていくことが期待されております。
 このため、産・学・官の連携強化により総合的にバイオテクノロジー等の先端技術の開発を図ることとし、二十一世紀を見通したハイテク育種や民間活力を生かした先端技術の研究開発を推進してまいります。また、あわせて、技術開発の成果の早急な現場への普及等を図るため、所要の措置を講じてまいります。
 このほか、農山漁村地域における情報システム化構想を推進するとともに、各分野におけるソフトウエア開発等情報システム化の促進、農業に係る情報の的確かつ効果的な提供等を実施してまいります。
 第四は活力あるむらづくりであります。
 農山漁村社会の高齢化、混住化等の問題に対処しつつ、経済社会の変化にも即応して農林漁業に携わる人々が意欲と生きがいを持てる新しい地域社会を目指し、農林漁業の振興とあわせた農村集落の整備、地場産業の育成、都市と農山漁村の交流の促進、リゾート地域の整備等により、活力あるむらづくりを進めてまいります。
 第五は、健康的で豊かな食生活の保障と農産物の価格の安定であります。
 健康的で豊かな食生活の保障という観点から日本型食生活の定着促進を図ること等を基本として、各種の食生活、消費者対策を充実するとともに、農産物の消費拡大に努めてまいります。
 また、価格政策の運用においても、構造政策を助長し、農業の生産性向上の促進に資するとともに、対象とする農産物の需給均衡の確保に資するといった観点も踏まえ、国民の理解と納得が得られるよう適正な運用を期してまいります。
 さらに、国民に対する安定的な食料の供給を図る上で重要な役割を果たしている食品産業につきましても、中長期的展望に立って、その体質と経営基盤の強化を総合的に推進してまいります。
 以上、申し上げました各般の施策のほか、各種制度資金について、その内容の充実整備を図るほか、農業災害補償制度の円滑な運営を図ってまいります。
 また、開発途上地域の農林水産業生産力の向上等を通じ、これら諸国の経済社会の発展に寄与するため、国際協力に努めてまいります。
 林業につきましては、林業生産活動の活性化を図りつつ、国民の多様な要請に対応できる森林の整備を進めていくことが大きな課題となっております。しかしながら、ここ数年にわたる木材価格の動向や林業経営費の増加傾向等が影響して林業生産活動が停滞し、森林管理意欲が低下する等の状況が見られるに至っております。
 このため、森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画に基づく木材需要拡大対策などの緊急対策を初め、林業生産基盤の整備、林業構造の改善等の各般にわたる対策を講じてまいります。
 また、森林資源基本計画及び木材需給の長期見通しを改定するほか、昭和六十二年度を初年度とする第七次治山事業五箇年計画の策定、森林組合の経営基盤の強化等を行うための制度改正に取り組んでまいります。
 このほか、経営改善を行うことが緊要の課題となっております国有林野事業につきましては、林政審議会の答申に即して、経営改善計画を改訂・強化し、難局打開のため全力を傾注してまいります。
 水産業につきましては、国民の必要とする動物性たんぱく質の約半分を供給し、健康的で豊かな日本型食生活の一翼を担う重要な産業でありますが、二百海里体制の本格的定着、水産物需要の伸び悩み等厳しい環境のもとで新しい時代に即応した水産業を確立することが急務となっております。
 このため、漁港等漁業生産基盤の整備を計画的に進めるとともに、つくり育てる漁業の推進、先進的技術の開発等我が国周辺水域の漁業振興に努めてまいります。
 また、厳しい状況にある漁業経営の安定・合理化を図るため、減船等漁業生産構造の再編整備、低コスト化の推進等経営対策の充実強化を図ってまいります。
 さらに、消費者ニーズを十分に踏まえつつ、水産物の消費、価格、流通・加工対策を推進してまいります。
 このほか、遠洋漁業等の新たな展開に資するため、新資源、新漁場の開発を推進するとともに、粘り強い漁業交渉の展開、海外漁業協力の推進等により海外漁場の確保を図ってまいります。
 以上のような農林水産施策を推進するため、厳しい財政事情のもとではありますが、各種施策について優先順位の選択を行いつつ、我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていけるよう、必要な予算の確保を図ったところであります。
 また、施策の展開に伴い必要となる法制の整備につきましては、今後とも、当委員会の場におきまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
 なお、農林水産物貿易をめぐる問題につきましては、需給動向等を踏まえ我が国農林水産業の健全な発展との調和を図ることを基本に、ガットにおける新しい農産物貿易ルールづくりとの関連を十分考慮しつつ、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
 以上、所信の一端を申し上げましたが、国民各界各層の深い関心の中で、国民の合意形成の上に立って我が国農林水産業の未来を切り開いて行くため、今後とも全力を傾注してまいりたいと考えております。
 委員各位におかれましては、農林水産行政推進のため、一層の御支援、御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
 次に、OECD閣僚理事会出席に対する報告をさせていただきます。
 私は、去る十二日及び十三日の二日間パリで開催されたOECD閣僚理事会に我が国の農林水産大臣としては初めて出席し、本日、先ほど帰国いたしました。
 今回の閣僚理事会におきましては、農業問題が主要議題の一つとして討議されましたが、これは、昭和五十七年の閣僚理事会の決定に基づき進められてきました各国の農業政策と貿易の関係についてのスタディーの結果を取りまとめた総合報告書が提出されたことに加えまして、現在の世界的な農産物市場の悪化、混乱を背景に、農業政策の見直しの気運が国際的に大きな高まりを見せていること等の事情によるものであります。
 今次会合におきましては、さきに申し述べました総合報告書が承認されたほか、各国閣僚の意見陳述、討議が行われ、コミュニケを採択して終了いたしました。
 今回採択されましたコミュニケの農業部分についての概要は、次のとおりであります。
 第一は、長期的な各国の農業政策の方向づけについてであります。この点については、各国が協調してできるだけ市場原則に沿った農業生産や農業助成の削減を目指して努力すべきこと等が指摘されております。
 第二は、ウルグアイ・ラウンドとの関連についてであります。
 農業改革に必要な方策もその多くはウルグアイ・ラウンドで交渉されるとの認識のもとに、ウルグアイ・ラウンドの場においては他の交渉分野と並行して農産物交渉の円滑な推進が図られるべきことが指摘されております。
 第三は、短期的措置についてであります。この点については、過剰生産の防止、在庫処理の適正化、対立的で安定を損なう貿易慣行の自粛等が必要であるとしております。
 私は、今回の会議を通じまして、食料自給率の低い農産物輸入国としての我が国の立場について各国の理解を得るように努力し、食料の安定供給の確保等の経済性以外の側面についての配慮の必要性を訴えるとともに、各国の立場に応じて均衡のとれた対応が必要であり、各国に政策選択の弾力性が認められるべきこと等を主張し、これらの点がコミュニケにも反映されるよう努めたところであります。
 これらの点を含め、会議ではさまざまな意見の相違、対立がありましたが、最終的には我が国の立場はコミュニケにも十分反映されたものと考えております。
 なお、今回のOECD閣僚理事会出席の機会に、リン米国農務長官、ギョーム・フランス農業大臣、アンドリーゼンEC副委員長、ペイユOECD事務総長及びダンケル・ガット事務局長と会談し、今次理事会における我が国の立場につき理解を求める等意見の交換を行いました。
 以上、御報告を申し上げる次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
#351
○玉沢委員長 内閣提出、農林漁業信用基金法案を議題とし、審査に入ります。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。加藤農林水産大臣。
    ―――――――――――――
 農林漁業信用基金法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#352
○加藤国務大臣 農林漁業信用基金法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農業近代化資金、漁業近代化資金その他農林漁業経営等に必要な資金につきましては、その融通が円滑に行われるよう、農業信用保険協会、林業信用基金及び中央漁業信用基金が、それぞれ、農林漁業者の信用力を補完するための債務保証及び債務保証についての保険等の事業を行ってきたところであります。しかしながら、これら三法人は、対象分野は異なるものの、いずれも、農林漁業経営等に必要な資金の円滑な融通を図るという共通の目的を有していることから、行政改革の一環として特殊法人等の整理合理化を推進するため、昭和五十八年三月の臨時行政調査会の答申におきまして、その統合を図る旨の指摘が行われたところであります。
 政府といたしましては、この答申を受け、これら三法人の組織の基盤、出資の形態を踏まえ、統合に向けての条件整備を進めてきたところでありますが、このたび三法人の業務を統合して農林漁業信用基金を設立することとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農林漁業信用基金は、農林漁業経営等に必要な資金につき債務保証及び債務保証についての保険等の事業を行うことにより、これら資金の融通を円滑にし、もって農林漁業の健全な発展に資することを目的としております。また、あわせて漁業共済団体が行う共済金等の支払いに必要な資金の貸し付け等の業務を行うことを目的としております。
 第二に、農林漁業信用基金は、民間の発意によって設立される認可法人といたしますとともに、その役員、財務会計等法人の管理運営につきまして所要の規定を設けることとしております。
 第三に、現行の三法人からの権利義務の承継手続等につきまして、所要の規定を設けることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようよろしくお願い申し上げます。
#353
○玉沢委員長 次に、補足説明を聴取いたします。眞木経済局長。
#354
○眞木政府委員 農林漁業信用基金法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては既に提案理由におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一に、農林漁業信用基金が行う業務の内容は、現在の三法人が行っている業務と同様、農業及び漁業につきましては、農業信用基金協会、漁業信用基金協会が行う農業近代化資金、漁業近代化資金等に係る債務の保証等についての保険及びこれらの保証に必要な資金の融通を行うとともに、林業につきましては、林業者等の融資機関からの林業経営の改善に必要な資金の借り入れに係る債務の保証を行うこととしております。
 このほか、農林漁業信用基金は、漁業災害補償法に基づき、漁業共済団体が行う共済金等の支払いに必要な資金の貸し付け等の業務を行うとともに、林業等振興資金融通暫定措置法に基づき、国産材産業振興資金に関する都道府県への貸し付けの業務を行うこととしております。
 第二に、農林漁業信用基金の資本金につきましては、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する金額の合計額とし、農林漁業信用基金は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けてその資本金を増加することができることとしております。
 第三に、農林漁業信用基金の役員につきましては、理事長一人、副理事長二人、理事六人以内及び監事一人並びに非常勤の理事十五人以内及び監事三人以内を置くこととしております。なお、役員数につきましては、行政改革の趣旨に沿って統合前より縮減しております。
 第四に、農林漁業信用基金の業務の適正な運営を期するため、現行の三法人に置かれていた総会または評議員会にかえて、政府以外の出資者及び農林漁業信用基金の業務に関し学識経験を有する者五十人以内で構成する運営審議会を置くこととしております。
 第五に、農林漁業信用基金の財務及び会計につきましては、農業、林業及び漁業の各業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理することとしております。
 第六に、農林漁業信用基金が設立されることに伴い、林業信用基金は解散するものとし、その一切の権利義務は農林漁業信用基金が承継することとするとともに、民間の発意で設立された農業信用保険協会及び中央漁業信用基金は、総会で議決しまたは評議員会の意見を聞いた上で、農林漁業信用基金に対し、その一切の権利義務を承継すべき旨を申し出て解散することができることとしております。
 また、これらの措置を講ずることに伴う経過措置を定めるとともに、林業信用基金法を廃止するほか、農業信用保証保険法、中小漁業融資保証法等につきまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#355
○玉沢委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十八日月曜日午前十時五十分理事会、午前十一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時五十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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