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#1
第108回国会 農林水産委員会 第4号
昭和六十二年五月十八日(月曜日)
    午前十一時四分開議
出席委員
  委員長 玉沢徳一郎君
   理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君
   理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
   理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君
   理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君
      粟屋 敏信君    大石 千八君
      大坪健一郎君    大原 一三君
      木村 守男君    菊池福治郎君
      小坂善太郎君    佐藤  隆君
      白川 勝彦君    田邊 國男君
      谷垣 禎一君    中尾 栄一君
      長谷川 峻君    森下 元晴君
      保岡 興治君    柳沢 伯夫君
      山崎平八郎君    田中 恒利君
      竹内  猛君    辻  一彦君
      野坂 浩賢君    前島 秀行君
      松前  仰君    藤原 房雄君
      吉浦 忠治君    寺前  巖君
      藤田 スミ君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  加藤 六月君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      甕   滋君
        農林水産大臣官
        房審議官    青木 敏也君
        農林水産省経済
        局長      眞木 秀郎君
        農林水産省構造
        改善局長    鴻巣 健治君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    浜口 義曠君
        農林水産省農蚕
        園芸局次長   管原 敏夫君
        農林水産省畜産
        局長      京谷 昭夫君
        食糧庁長官   後藤 康夫君
        林野庁長官   田中 宏尚君
        水産庁長官   佐竹 五六君
 委員外の出席者
        経済企画庁総合
        計画局計画官  金子 孝文君
        外務大臣官房外
        務参事官    渋谷 治彦君
        大蔵省主税局調
        査課長     杉崎 重光君
        大蔵省主税局税
        制第二課長   薄井 信明君
        厚生省生活衛生
        局食品保健課長 大澤  進君
        農林水産省経済
        局国際部長   塩飽 二郎君
        農林水産省経済
        局統計情報部長 松山 光治君
        農林水産委員会
        調査室長    羽多  實君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十八日
 辞任         補欠選任
  阿部 文男君     大坪健一郎君
  太田 誠一君     白川 勝彦君
  野呂田芳成君     粟屋 敏信君
  五十嵐広三君     野坂 浩賢君
  石橋 大吉君     松前  仰君
同日
 辞任         補欠選任
  粟屋 敏信君     野呂田芳成君
  大坪健一郎君     阿部 文男君
  白川 勝彦君     太田 誠一君
  野坂 浩賢君     五十嵐広三君
  松前  仰君     石橋 大吉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 農林漁業信用基金法案(内閣提出第一八号)
 集落地域整備法案(内閣提出第八九号)
     ――――◇―――――
#2
○玉沢委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農林漁業信用基金法案を議題とし、審査を進めます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村守男君。
#3
○木村(守)委員 この際、農林大臣ほか関係局長、審議官等に御質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず第一に、先般の大臣の所信表明、そして帰国報告等についてお尋ねをいたします。
 今、我が国農業を取り巻く内外の諸情勢は大変に厳しいものがございます。特に、主食の需給バランスが崩れた結果、我が国は農業政策で水田の減反政策を農家に御協力を求め、それを強いているわけであります。そしてまた国際的には、日米を軸としながらも、貿易摩擦というかつて経験したことのない厳しい環境に追い込まれていることも事実であります。さきの日米首脳会談で農業問題がその焦点となったことは御承知のとおりでありまして、それを受けたようにして農業をめぐる国際会議が次々と開催されて、去る五月十二日から十四日の間パリで行われたOECD閣僚理事会においても、農業問題が主要課題であったと承っております。さらにこの先、六月のサミットにおいても、国際貿易摩擦の現況を考える場合、恐らく農業問題は避けて通れない問題と深刻に受けとめているわけであります。
 そこで、農林大臣におかれては既にOECDで、我が国農業の現状を踏まえながら適切なる堂々とした見解を述べてこられたようでありますが、例えば、今日本の自給率の点で申し上げてみても、農産物総合食糧自給率は七〇%、大臣が会議の席で示された数字であるカロリー計算で受けても五三%、食用穀物が六九%、えさの穀物をプラスした場合三二%程度であります。これは、現実の問題として一番の食糧輸入国であるということであります。そういう中にあってなおこのように外圧的に農業に対してアメリカを初めとして日本にいろいろな注文をされてきていることは、本当に厳しいと受けとめざるを得ないわけであります。まさに農業のことは、大臣もおっしゃっているように、他の産業と違いまして土地や天候に左右される、あるいは環境保全とか国土保全とかそういう面さえもあるわけでありまして、経済性だけの問題でもない。そして反面、国際貿易摩擦の主たる要因の一つには輸出補助金という問題がある。そういうことをお互いに関係国が解決し、あるいは自粛することなく我が国のみに求めてきているという姿勢は許されないと思うわけであります。そういう立場に立ってお尋ねするわけでありますが、既に帰朝報告でも御説明がありましたけれども、この際、重ねて農林大臣の今後の我が国農政に関する所信を承りたいと思います。
#4
○加藤国務大臣 木村先生の御質問、大変重要な問題であり、また、答弁時間を相当長くいただかないと誤解を招くのではないかと思いますが、簡単にまとめる意味でお答えいたしたいと思います。
 まず、我々が一番考えなくてはならないのは、昨年十一月の農政審議会の報告でございます。これはある面では、我が国の経済構造調整を行っていく場合の政府と党でまとめましたいろいろな審議会等の中身があったわけでございますが、農政審議会が、その政府と党の間で決めた経済構造調整の第一弾として報告があったということを冒頭申し上げておかなくてはならぬと思います。
 その報告は、農業の持つ食糧の安定供給等の基本的かつ多面的な役割を踏まえつつ、今後の経済社会の変化に対応した農政のとるべき方向を示したものであります。そしてその副題に、「農業の生産性向上と合理的な農産物価格の形成を目指して」ということがついておるわけでございまして、国内の食糧供給力の確保を図りながら、国民の納得し得る価格での食糧の安定供給に努めることを基本としております。そして、日本の与えられた国土条件等の制約のもとで最大限の生産性向上を図る必要があり、これに焦点を合わせた諸施策を運営すべきであるという趣旨の提言が行われておるところでございます。
 したがいまして、農水省といたしましては、この報告を踏まえまして、六十二年度から新たに構造改革をより重視した水田農業確立対策を実施する。そして、麦の政府売り渡し価格、繭糸価格、指定食肉、加工原料乳等の価格の引き下げ等の措置を既に講じておるほか良好な営農条件と居住環境の確保を図るための集落地域整備法案、麦の生産者価格算定方式や大豆、菜種の交付金制度の改善を図るための法律案等を今国会に提出しまして、御審議をお願いすることとしておるところでございます。また、農政審に二つの小委員会を設けまして、価格、流通対策、構造、農政問題について、さらに具体化のための検討を行っていただいているところでございます。今後とも、この報告を踏まえて具体的な施策の展開に全力を傾注しまして、農業を担い手が明るい希望を持って取り組める産業として育成してまいりたいと考えております。
 次に、報告もいたしましたが、今次OECD閣僚理事会においては、木村先生おっしゃいましたように、私としましては、食糧自給率が低い大輸入国としての我が国の立場から、まず第一は、食糧の安定供給の確保等の経済性以外の側面についても今後配慮が必要である、それから二番目は、各国の立場に応じて均衡のとれた対応が必要である、三番目は、こういう農業政策を展開していく上において各国に政策選択の弾力性が認められるべきであるということを主張しまして、これらの主張が今回のコミュニケにも反映されたものと考えております。
 しかし、一番のポイントは、農業政策の長期目標としまして、各国が協調しつつ、できるだけ市場原則に沿った農業生産や農業助成の削減を目指して努力していく必要があるという線が全体のコミュニケの中の取りまとめとしてあるわけでございます。ある面でいいますと日本の主張ということと、それから全体的に見た場合に、市場原則に沿った農業生産や農業助成の削減を目指していくという二つの面があるわけでございます。これら二つの面は、さきに申し上げました農政審の報告とある面では軌を一にしていくと思いますので、私は、こういう国内における農業改革というものは外国から言われてやるべきものでなしに、国民的合意、国民が英知を結集してやっていく、そして念頭には国際協力と国際協調ということを置きながらやっていくことがこれからの我が国の農政において重要であると考える次第でございます。
#5
○木村(守)委員 ただいまの大臣の御説明で、基本的な加藤農林大臣としての農政に取り組む姿勢は十分承知したわけでありますが、重ねてお願いを申し上げながら、その点をもう一度お尋ねしたい。
 ただいまもお話のありましたとおり、国民が納得する、国民の合意、そうして食糧に携わる生産農家が安定供給できるような安定生産のための構造改善政策と安定価格を、時既に農政審の方向が示されてきているわけでありますが、その中で具体的にこれからまたスケジュール的にあるということでありますから、それと国際的なそういう外圧に対応する、もろもろの国際会議に対応する農林大臣としての認識は承知したし、また今、時を同じくしてそういう時期にぶつかっている、こういうことでございます。よくわかるわけでありますから、この際、この農畜産物のいわゆる輸入自由化ということが本当に深刻でありまして、大臣がおっしゃるとおり国民的合意、生産農家の安定、こういうことを踏まえた場合に、農産物の自由化に対しては厳しく立ち向かうという決意のほどをもう一度伺いたい。
#6
○加藤国務大臣 私は、OECDでも申し上げたわけでありますけれども、我が国だけが農産物の非自由化をしておるのではない、諸外国それぞれ農業については特殊な事情を持っておるので、ある国は十七、八品目非自由化品目がある、またある国は六十品目以上のものがある、こういったことを申し上げたり、それからまた我が国は世界最大の農産物の純輸入国である、百八十億ドルあるんだ、そして我が国は世界の農産物貿易の維持発展に大きく貢献してきておるんだということを強く主張したわけであります。
 しかし、本来は、先ほども申し上げましたように、世界の農産物貿易の停滞、混乱、競争の激化あるいは在庫の増大といったようなものは、輸出国の責任ではありますけれども、輸入国である日本にもそれは責任がないとは言わない、何分の責任はある。したがいまして、今、農産物の自由化あるいは輸入拡大あるいは市場アクセスの要望が大変たくさん我が日本にも押し寄せてきておりますけれども、いつも申し上げておりますように、それぞれの農産物の日本国内における状況あるいはそれらを生産しておる地域の特性、活性化あるいは農業所得の確保、こういった面に非常に重要な面があるというわけでございまして、そこら辺を厳密に調査した上、それぞれ対応していかなくてはならぬ。一方的に外国から言われるんだから何する、かにするというのじゃなしに、ある面ではそういうものの中でも自主的に我々が、これはもう少し拡大してもいい、これはもう少しアクセスの改善をしてもいいというものがあるいはあるかもわからない。そういうものについては、やはり今の膨大な貿易黒字を抱えておる我が日本の立場としては、自主的に考えていかざるを得ないものがあるいは出てくるかもわからない、しかし主張すべきものは敢然として主張していかなくてはならない、こういう気持ちでございます。
#7
○木村(守)委員 次に、さきに提出されておる農林漁業信用基金法についてお尋ねをいたします。
 今回出されている法律案は、御承知のとおり三法人の統合のみを行う内容となっておるようでありますが、その改正を行うに当たって、補助から融資へという流れが出てきておるわけであります。その辺の制度、運営についての基本的な考えを率直に、簡単で結構ですから御説明願いたい。
#8
○加藤国務大臣 今回の三法人の統合は、信用補完という業務の共通性に着目しまして、五十八年三月になされた臨調答申の指摘を踏まえ、措置されるものでございます。この統合に当たりましては、これによって三法人の業務内容の後退があってはならないという強い意向が関係団体から示されております。このため、三法人の現在の業務内容をそのまま承継することを基本としまして、いわば現実的路線として三法人の統合のみを行うこととしたものでございます。今後、金融の果たす役割の増大に対応し、本制度の役割もますます大きなものとなってくるものと考えております。したがいまして、今後とも県レベルの協会、中央段階の農林漁業信用基金のそれぞれについて財務基盤の充実確保に努めるなど、本制度の適正円滑な運営を図ってまいる所存でございます。
#9
○木村(守)委員 次に、せっかくの機会ですから委員長のお許しをいただきまして、郷里の青森県を中心とする、さきの凍霜害によるリンゴを主体とした農産物被害が大きいものですから伺いたいと思います。
 これを大臣に見てもらいたいと思います。――私は昨年も郷里におりました。ちょうど可憐なかわいいリンゴの花が今咲いているわけでありますが、いつもであるとこれが秋には赤い実となるわけで、津軽の人々にとっては本当にロマンを感じさせる花なんです。そのリンゴを中心とする凍霜害被害について、大臣初め審議官などにお尋ねをいたします。さきの衆議院災害対策特別委員会で既に御質問させていただきまして答弁もいただいておりますので、簡単に申し上げて答弁をお願いしたいわけであります。
 災害の常でありまして、残念なことですが、最初の調査資料よりは被害面積、被害額がどうしても上ってきております。一週間ぐらい前ですと四十六億四、五千万の総被害額でございましたけれども、青森県がまとめたけさ現在の被害総額は五十六億五千万ぐらいに上っている、こういうことであります。そして農林省が一つの根拠の数字としてよく使われるのによると、リンゴの場合ですと、減収被害として、けさ現在で四十三億と県当局から報告を受けております。この際、当然天災融資法発動を強く求めたいわけであります。ただ気象条件が、私なりには資料も受け、説明を受けておりますが、当時の気象状況の他府県の場合との連動性というものをいろいろ今分析を急いでもらっていますので、きょう、この場での結論は出ないとは承知をいたします。しかしながら、そういう方向での取り組みをお願いしておきたい。
 また具体的には、現実問題として農家はそうでなくても負債農家が多うございまして、個人差はあるにしても、せっかく制度の道を開いてもらっても限度いっぱい借りてしまっている農家も一部にはある。あるいは限度いっぱいでなくても、相当負債農家があることは事実であります。願わくば、自創資金の枠の拡大あるいは条件緩和という方向を強力にひとつ農林省は前向きに検討していただきたい。その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
#10
○青木政府委員 青森県の基幹作物でございますリンゴについての凍霜害の問題でございます、私ども現在、県からの報告によりまして、先ほど先生からもお話がありましたように、リンゴ関係について四十三億程度、その他野菜等がございまして、全体で四十六億程度の被害額が生じていると承っております。先生のお話ですとさらに被害がふえているということでございますが、これらの事態につきましての天災融資法の発動の問題でございます。
 これは先生御案内のとおり、天災融資法につきましては、まず被害が著しく大きい、その国民経済に及ぼす影響が大であるということで、災害の都度、天災融資法を発動すべき災害指定を政令で行うわけでございます。発動に当たりましては、ただいま触れましたような災害の規模とかそういうものを総合的に勘案するわけですが、さらに最終的には個別農家の具体的な資金需要につながる問題でございますので、個別農家の被害の深さ、この問題がもう一つ天災融資法の発動の際に考慮すべき重要な要素なわけでございます。いずれにいたしましても、これは先生の方がお詳しいわけですが、リンゴは今月の十日ごろ満開期だったと思いますが、月末二十五日過ぎごろにいわゆる幼果が結実するわけでございます。今回の花、つぼみの凍霜害の影響がどういうことになるかは、具体的にその実とまりを見ないと最終的にわからないわけでございまして、その辺の段階を踏まえつつ、私ども被害額の的確な把握に努め、先生の言われました天災融資法の発動の可否等についても検討していきたい、こう思っておるわけでございます。
 あわせて、自作農維持資金の問題がございました。率直に言いまして、私ども、自作農維持資金の積極的活用を県の方にも検討を指導しているわけであります。さきの金利の引き下げによりまして、現在、自作農維持資金の災害資金は四・四五という非常に低利かつ資金の長さも長いものでございます。ただ、自作農維持資金につきましては、先生触れられましたように、個別農家で限度額いっぱいという農家も絶無ではないと思います。そういう点がございますけれども、県単の天災融資関連の条例資金もございますし、また御指摘のございました自作農維持資金等につきまして、自作農維持資金に限定をするわけではございませんが、既存の借り入れにつきまして、災害の際には農家の実情に応じまして償還条件の緩和――これはいろいろな態様がございます。償還期限の延長だとか、あるいは中間据え置き期間の設定あるいは利息の延納だとかいろいろバラエティーがございます。こういうもので弾力的に対応するように融資機関を指導してまいっておりますので、今回の災害につきましても、この償還条件の緩和措置等につきましては要望に応じまして積極的に私ども指導してまいりたい、こう存じておりますので、よろしくお願い申し上げます。
#11
○木村(守)委員 大臣、今青木審議官から詳細、しかも前向きの自主的な資金手当て等についての誠意ある御答弁をいただきました。さきの災害特別委員会でも承知しておりました。大臣のお留守中でございましたけれども、局長を初め審議官、そして板野課長などは直ちに現地に急行されまして現場も見てもらったということで、農林省の対応には心から感謝申し上げています。今のお話のとおりでございます。
 ただ、大臣既に御承知のとおり、本県のリンゴ被害は全リンゴ農家の面積からいくと二〇%以上になっている。あるいは前後して他の県の場合でも、岩手、秋田、山形、福島あるいは関東、近畿の一部をひっくるめると既に百二十五億円ぐらいの被害額に上っているということでございますから、それを踏まえて大臣としては、今のような個々のことがありますし、あるいは共済の掛金が一部改正されて六十年に開始されてからまだなじまないためか、現実に加入率が被害地では二・六%、全体ではまだ一一%ちょっとということ等々がありますので、大臣の農産物被害に対する対応のお考えをお願いします。
#12
○加藤国務大臣 先ほど事務当局から答弁いたさせましたところでございますが、私も現在ある制度、金融を含むあらゆる制度でございますが、こういうものを十分勉強し、そして被害の実情等を十分見きわめた上で適切に処置してまいりたいと考えております。
#13
○木村(守)委員 時間がありませんから、はしょってもう一点だけ伺います。
 私はいつも盛岡経由で行き来していますので、委員長のところを通らずしては郷里に帰れないわけであります。しかも津軽、南部藩という歴史的な御縁もありまして、そうでなくても玉沢委員長には最初から御指導いただいていますから大変な親しみを抱いているわけであります。そういうことで岩手は好きなんですけれども、岩手富士もあるし津軽富士もあるしということで、富士仲間でもありますので好きなんですけれども、昨年ごろから果汁用の冷凍リンゴが輸入されてきている。これが本県リンゴ産業に大変な衝撃を与えております。
 そこで、担当の農林省に伺いたいわけですが、植物防疫法で、輸入されるときに検疫上問題がないかどうかということでチェックしてくれているようで、今のところ特別な問題点が発生したとは聞いておりませんが、初めてのケースでもあるし、極めてこれは重大に私どもは受けとめております。現在千七百トンぐらい入っているということで、このままでいくとだんだんエスカレートしていく傾向にあります。こういうことでもありますし、輸入は自由化されているのだからしようがないと言えばそれまでですが、いろいろな病害虫が入ってこられたのでは、火傷病にしてもコドリンガのこともありますし、この辺についてその後どう対応されているのか。地元選出国会議員団一丸となってもう既に農林当局には申し入れをいたしております。その後の対応策を御説明願いたい。
#14
○浜口政府委員 冷凍リンゴの輸入検査につきましては、まず、リンゴの果汁の中に食入しております先生今お話しのコドリンガが完全に死滅している、低温で凍結されたものであるかどうか、あるいは当該果実の凍結状態が金づちで粉砕できる程度の状態にあるかを十分チェックするとともに、寄生の疑いのある果実については解凍、切開の上、コドリンガの存在の有無の確認を行っているところでございます。さらに、現地でいろいろ御不満があり、先生御提起のような容器につきましても、以前に使用されたことのない新しいものであるかどうかについても検査を行っておりまして、コドリンガによる汚染のないことを確認しているところでございます。これらのコドリンガを対象とした検査に加えまして火傷病による汚染のチェックもしておりまして、現在精密検査を行っているところでございます。以上の結果によりまして、これまで輸入された冷凍リンゴにつきましては、コドリンガ、火傷病とも発見されておりません。今後引き続き、輸入の検査につきましてはこのような措置により万全を期するつもりでございます。
 さらに先生お話しのように、御提起になられました後、私どもといたしましては米国に対しまして、輸出時の検査に万全を期するように米国の植物検疫当局に特に要請を行ったところでございまして、これに基づきまして米国植物検疫当局においても、冷凍リンゴがコドリンガあるいは火傷病に汚染される可能性を排除するための輸出検査に万全を期することとしていると聞いております。
#15
○木村(守)委員 ただいまのお話ですと、既に検疫の強化に努めているということであり、そしてアメリカの出してくる側にこの機会に既に申し入れをしている、こういうことでありますから歩といたします。どうぞこれからも引き続いて監視といいますか、検疫の強化を緩めないでいただきたい。さらに願わくば、長期的な展望に立って考えてみるといろいろな問題がこれからなしとしない。輸入がだんだんふえてくることもあるだろうし、いろいろなことがありますから、できることであれば規制の措置ということも研究課題として取り組むようお願いしておきます。
 以上であります。ありがとうございました。
#16
○玉沢委員長 田中恒利君。
#17
○田中(恒)委員 大臣、OECDの閣僚理事会、とりあえず大変御苦労さまでございました。
 出発前、それから会議が始まるころの国内の報道は、農業の問題、特に日本の保護農政について袋たたきに遭うのじゃないかという趣旨の報道が大変されておったわけでありますが、最終的に発表されましたコミュニケを実はまだよく見ておりませんけれども、斜め読みした範囲では、我が国の従来の主張も相当取り入れられているのではないか、私はこう思っております。改めてこのコミュニケを中心に、閣僚理事会で農業問題が国際的というか世界的な視点で取り上げられたわけでありますが、それらの全体を流れる状況、大臣の御印象を最初にお伺いをしておきたいと思うわけであります。
#18
○加藤国務大臣 今回のOECDのコミュニケは相当膨大なものがあるわけでございますが、項目で申し上げますと十九から二十五までが農業問題でございます。いろいろあるわけでございますが、十九の冒頭で、主要農産物の市場における深刻な不均衡があるということ、あるいは農民に対する市場のシグナルの適切な伝達を妨げてきた政策、ある面でいいますと市場原理あるいは消費者の動向ということ等もあると思いますが、そういう問題があるので有効需要を大幅に上回って供給をやっておられる、そういうことをすると政府予算あるいは消費者あるいは経済全体にとってもマイナスであるということ、あるいは国際貿易の根源である比較優位の原則に今申し上げましたようなことが逆行しておる、また多くの開発途上国の状況を著しく害しておる、こういう問題が全体にありまして、それをどう長期的に解決していくかという一つの問題が前提にあったわけでございます。そういう中で、先ほどもお答えいたしましたが、我が国は世界最大の農産物の輸入国であり、世界の農産物貿易に貢献しておる国であるという立場もあるわけでございますけれども、それら全体を含んで、いかなる国も何らかの責任を有しておる、そして農業政策についての協調的改革は均衡のとれた方法でやるべきであること等が実は十九、二十でうたわれております。
 二十一からその改革の原則をa、b、c、d、e、f、gとうたっておるわけでございますが、その中で、「農業助成の漸進的かつ協調的な削減及び他のあらゆる適切な手段を通じ」というところでは、この漸進的かつ協調的という問題等について、二十一のaの関係では私は相当日本の主張を入れようとしましたし、またbの「農業改革の長期的目標を追求するにあたりこというところにおきまして、「食糧の安定供給の確保、環境保全あるいは雇用全般等の納経済的でない、社会的及びその他の要請に配慮すること」という問題等を相当強く主張いたしました、
 また二十二に、実は農業だけを急いでウルグアイ・ラウンドで――ウルグアイ・ラウンドは、決定的な重要性を有する。」ということで、ウルグアイ・ラウンドの必要性と実現には全加盟国が期待しておりました。そういう中で「多国間及び多品目ベースでの農業の助成及び保護の漸進的削減」という問題があるわけでございますが、この関係で、農業分野だけが突出しないように、他の分野と同様に包括的にやっていくという問題を主張いたしました。
 それからまた、農産物輸出国の開発途上国に対する配慮も知らなくてはならぬという問題、あるいは二十五の御存じのPSE、CSEの問題についてはかねがね主張しておったところでございますが、最新のものとし、またさらに改善していかなくてはならない、こういった面を主張しました。大体日本の考え方が取り入れられたのではないかと考えております。どうも長くなって申しわけありません。
#19
○田中(恒)委員 いずれまた細かく私も勉強させてもらいたいと思います。
 先ほど、与党の先生の御質問で三つのことを指摘されました。今もその内容が出ておったわけです。したがって、日本の農業の保護か保護でないかという議論は別にいたしまして、現状を国際的な協調体制の中で整理していくとすれば、順番からいけばまず、従来から大臣も言われておりましたし、この委員会でもいつも問題になっておりました食糧の安全保障というか我が国の場合は自給を高める、この基本線に沿って長期的に日本の農業政策を打ち立てていくというのが一番。二番目は、先ほど御指摘になったように、そうは言いながら国際情勢は御承知のような状況になっておるわけでありますが、各国が均衡的にやっていくという問題、三番は政策選択は弾力的に各国が主体的にやっていくということでしょうが、この二番目と三番目、各国それぞれが均衡的に同じようにやっていくということとそれぞれの国が選択をしていくということの矛盾は出てきませんでしょうか。そういう心配を一つちょっと感じました。
 それから、時間がありませんから、このOECDの閣僚理事会のまとめというものと、近く持たれます先進国首脳会議、サミットでも農業問題がやはり一番大きな課題のようでありますが、これとの関係は、この考え方に基づいて実質的にサミットの首脳会談が進められる、多少いろいろ意見はあるでしょうが、方向はこういう形でまとめられていくだろう、こういうふうに理解をしてよろしいのか、この二つについてお尋ねをしておきます。
#20
○加藤国務大臣 私も、最終的にまとまった段階において、今後日本国内で議論が起こるのは、このOECD、サミットの問題では二つではないだろうか。一つは、各国が協調しつつできるだけ市場原則に沿った農業生産や農業助成の削減を目指すということで、日本は同様にやるんだということ、片一方では、先ほど申し上げました安定供給の確保であるとか均衡のとれた方法であるとか、各国政策選択の弾力性が認められるべきである。こちらで日本の主張は通ったんだから農業改革、生産性向上、内外価格差は余りやらなくてもいいんじゃないかということと、協調してやっていくんだからどんどん削減しなくちゃならぬのではないか、二つの問題が今後日本国内で議論されるのではないかな、こういう感じを持ちました。いみじくも先生は今その点についてお触れになったわけでございますが、これはある面でいいますと中長期目標を示したものであります。あるいはまた今後農業改革に当たっていくための原則をうたったものでございまして、私は、今回のこれが両面あることは否定いたしません。
 それからベネチア・サミットに対しましては、今回のOECD閣僚理事会で一つの土俵の枠はこれで決めたと思っておりますから、これから外へ勇み足か何か知りませんが余り外れるようなことはないのではないだろうか。そういう中でベネチア・サミットでは、今回のコミュニケの中の二十三番目の短期的措置という問題がございますが、これにつきましてはアメリカとECが大変な意見調整を必要としまして、十二、十三日に閣僚のワーキングランチというのが二、三時間ずつ行われたのですが、ほとんどこの二十三項にあります短期的措置についての議論でございました。そこで、ベネチア・サミットではあるいはこの問題がさらに蒸し返されるかなということと、もう一つは、カナダとECが対立しましたデカップリングの問題が二十四だったかにありましたが、これらの問題がベネチア・サミットでは議論になるのではないだろうか。あるいは風向きが変わって、日本にも市場アクセスの改善等の要求はなされてくるのではないだろうか。いろいろなとりようはありますが、ベネチア・サミットについておおよその土俵は決めることができた。
 それから、先ほど木村先生にもお答え申し上げましたが、ウルグアイ・ラウンドに向かっての必要性と大切だということは各国がもう一〇〇%意見が一致しております。
#21
○田中(恒)委員 いずれにせよ、短期、中長期を通してOECDの方向というものを十分参酌はしなければいけないでしょうが、基本的には、日本の政治、農政は日本の国で決めていく、これが根本であるわけでありまして、どうも最近、アメリカなどの主張にいろいろな面で引っ張られ過ぎて、国内でも少しひど過ぎるんじゃないかという国民世論も私は形成されておると思います。農業というものが保護農政というキャッチフレーズでぐいぐい押してくるという傾向が強いと思っておるわけでありますから、もちろんこういう国際的ないろいろな御相談のまとめといったようなものは十分に頭の中に入れながら、やはりこの基本の線はきちんと持っていただいて、これまで大臣がしばしば御見解を示されております農業の持つ社会国家的な意味、特に我が国の今日の農業生産の現状、自給の問題、こういうものを軸にして農政の執行に当たっていただきたいと思います。
 そこで、この短期の問題についてはなかなかここでは明確に出てないようですが、ベネチア・サミットで出るかもしれない、しかしベネチア・サミットの大まかな枠組もこういう中で話し合われるのだろうという大臣の御見解です。この短期の問題で、例えば当面ガットにおける十二品目のパネル交渉、さらにこれと並行しての日米間の両国間交渉、そして米問題は依然としてアメリカが二国間の話し合いを求めてきておるわけでありますし、さらにオレンジ、牛肉の話し合いというものは、どうも自由化の原則がはっきりしなければ話し合う必要はないんじゃないかという意見もあちらの方からちらほら聞こえてくるという状況になっておるわけであります。これら既定の路線に従って本年から来年の春までに方向づけをしなければいけない当面の日米を中心といたしました農産物の対外交渉に対する日本政府の姿勢、態度というものは、これまで示されたものと基本的には変わらない、こういうことで理解をしてよろしゅうございますか。
#22
○加藤国務大臣 先ほどちょっとお答えしました中で、二十四項目と言ったのは二十一のeでありましたから、これは訂正しておきます。
 それから、基本的な日米農産物貿易に対する我が国の姿勢は、今までと何ら変わるものはありません。念のために申し上げておきますと、ガット十二品目、牛肉、かんきつなどの自由化問題につきましては、これまでも申し上げているような考え方に基づき対処する考えであります。すなわち、十二品目問題につきましては、ガットのパネルの場での審査におきまして、できるだけ現実的かつ公平な解決策が導かれるよう努めてまいる所存であります。あわせまして、二国間協議による現実的な解決についても努力してまいりたいと考えております。牛肉、かんきつにつきましては、一九八七年度、本年度の都合のよい時期に関係国と協議する予定になっております。今後とも、牛肉、かんきつをめぐる我が国農業の実情等につきまして相手国に十分説明し、その理解を求めていく考えであります。
#23
○田中(恒)委員 重ねて二つの点について改めて確認をさせていただきたいと思いますが、一つは、米の輸入は従来方針どおりやらない、こういうことをここで大臣の方からおっしゃられるかどうか。
 それから、これは心配事でありますが、私どもも米の問題がこれほど急激にやってくるとは考えていなかったわけであります。順序としては十二品目、牛肉、オレンジ、そして米の心配が強かったが、一挙に今米に迫ってきております。本丸を落とせ、こういうあちらの方のいろいろな状況分析などもしておるわけですが、日本の国内では米は何といったって主食であるし、これだけ大幅な大減反をやっておるさなかであるから、これはやはり守らざるを得ないだろう。しかし、この強いアメリカ側の主張の中で、そのあおりが十二品目やオレンジや牛肉の問題と結びつくのではないかという不安が関係地帯や関係者の間に非常に高まっておることは事実であります。私はそういうことはあり得ないと思っておるし、大臣もそういうお考えであろうと思いますが、その点について重ねて大臣の御所見を承っておきたいと思います。
#24
○加藤国務大臣 米の問題につきましては、これまた今までお答えしておったとおりでございます。先般、OECDに出席した際のリン・アメリカ農務長官との会談のときにも、私は、米は除く、エクセプト・ライスということをはっきり言っておきました。したがって、理事会の会議の席ではアメリカは触れませんでしたが、ただ、カナダ、イギリス、フランス等が日本の農産物保護貿易の象徴として、またいかに補助水準が高いかといったことで米の問題に触れておりました。これに対しては、私は、再度弁明というか反撃といいますかをいたしておいたわけでございます。もう改めて申し上げるまでもなく、米は日本国民の主食であり、我が国産業の基幹をなすものである、また水田稲作は国土や自然環境の保全上不可欠の役割を果たしているのみならず、我が国の伝統的文化の形成とも深く結びついていることなど、極めて重要な作物であり、このような米の重要性にかんがみ、昨年十一月の農政審報告を尊重し、生産性の向上を図りつつ、今後とも、国会における米需給安定に関する決議等の趣旨を体し、国内産で自給する方針を堅持していく考えであります。なお、OECDの会議の席では、これ以上に、三割の厳しい減反を我が日本はやっておるのであるといったようなこと等もつけ加えて説明しておきました。
#25
○眞木政府委員 米の問題が、十二品目あるいは牛肉、かんきつ問題の交渉なり協議を進めていく中で、昨年来非常に強い形で出てきておるということは御指摘のとおりかと思います。米の問題は我が国にとって非常にセンシティブな問題であるということを向こう側も十分知っておるということを踏まえて、これをどのように全体の解決の中で使ってこようとするかは向こう側にもいろいろ考えはあろうかと思っております。しかし、我々といたしましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、米の問題があるからといって、例えば十二品目あるいは牛肉、かんきっといったものを絡めて考えるというようなことはせずに、あくまでこれはこれ、それはそれできちっと話し合いをして解決の道を探ってまいりたい、このように考えております。
#26
○田中(恒)委員 そこで、OECDのまとめの大要をお聞かせいただいた中でいま一つの重要な問題は、日本に対して、異常な貿易の黒字というものを背景にして内需拡大が国際的に強く求められておる。これは中曽根総理がアメリカへ行かれてアメリカでも約束をせられて、この夏には臨時国会を開いて、五兆円を上回る規模の補正予算の問題も政府の中で取りざたされておるという状況であります。確かに内需拡大の問題は、日本の経済政策の最も新しいというよりもいつも言っておったことですけれども、本格的にいや応なしに取り組まなければいけない問題になっておる。そこで、農村地帯というのは地域的に見れば最も活性化を求めておる地域である、ともかく公共事業などの傾斜配分もそういう意味でやっておるし、この間の国土庁の四全総ですか何か東京中心でおかしいということで、むしろ過疎地域とかそういうところに目を向けなければいけないという方向の変更もあったやにお聞きいたしますけれども、そういう状況であればあるだけに、農林水産省としては、内需拡大に対応する農業、林業、漁業政策というものにこの機会に本格的に取り組むべき段階にあると私は思います。
 特に、雇用問題が非常に深刻である。現に日本の失業率は三%台に突入するというような状況になってきた。私どもの地域も、この間造船で二、三百人全部失業いたしました。この二、三百人の諸君がどういう動きをしておるかというと、大体七割から八割は皆農村へ帰って、家の中でごろごろというわけじゃありませんけれども、就農しなければいけないという状況になっている。この傾向は、統計調査事務所の最近の農業就業人口の動向を見ても出ておると思うのです。例えば、六十歳以上の層が非常に多かったのが今五十歳以上の層がふえてきている、それからパートが切られて、農村からパートヘ行っておった婦人が農家へ帰って農業をやり出したということで、婦人の農業就業もふえておるというふうに聞いておるわけでありますが、この傾向はいよいよ深刻化していくと思うのです、
 そういう視点に立つと、山の法案をこの国会でたくさん出されているわけでありますが、山村などは人がいないという状況になっておるわけであります。改めてこの地域の労働力をどういうふうに確保していくかといったような視点で考える必要がある。それは、基盤整備とか林道をつくったり農道をつくったり港湾整備をやったり、こういう既定の公共事業路線に基づく内需拡大策というものも一つの方法でしょう。しかし私はそれだけで済まぬと思うのです。ある面では円高不況を地域的には一番厳しく受けておる地方として、特に雇用条件というのは、いろいろ言ったって都会が調子がいいときは農村から労働力が大移動したということも事実でありますし、今度悪くなればまたこっちへ戻ってくるという傾向が強いわけでありますから、そういう視点において内閣の意思を統一すべきであるし、農林水産省として、極めて示唆に富んだそういう意味の新しい内需拡大政策を考える必要があると思っております。例えば当面の五兆円の補正予算をめぐって、農林水産省ではどのようなその種の具体的な施策をお考えになっておるのか、この点について、この際、政策提言も兼ねて御質問しておきたいと思うのです。
#27
○甕政府委員 ただいまお話ございましたように、内需拡大の問題につきましては、OECDのコミュニケにも触れられておりますけれども、我が国内の問題におきましても、最近の円高の進行等によりまして、地方の経済あるいは雇用情勢が一段と厳しくなっておるように認識をしております。こうした中で、地方の主要な産業であります農林水産業が地方の活性化あるいは景気浮揚に大きな効果を持つことは当然でございまして、私どもも、地方を中心とした内需拡大を図っていく観点からも、農林水産業の関連施策の強化が必要であると考えております。また、先般、経済審議会の建議におきましても、農村地域の活性化の必要性、それからそれとの関連で農林水産業関連施策の果たす役割も相当期待されておるところとなっておるわけでございます。
 そこで、内需拡大のための対策をこれからどうするか、政府全体といたしまして緊急経済対策を近々取りまとめることになっておりますけれども、農林水産省といたしましても、この対策の中で、地方における公共投資の充実等を中心に地域の活性化あるいは内需拡大が図られるようにもろもろの施策を現在検討しておるところでございまして、関係方面とも今後十分析衝してまいりたいと考えております。
#28
○田中(恒)委員 私は、この問題は事務当局だけのいろいろな新しいアイデアや何かでできるものでもないように思います。相当大きなうねりを起こさせなければいけない、これは与党の皆さんも十分考えてもらわなければいけませんが、私どもも、地域的にこれだけ不況になって、しかも、例えばことしは米価も下がるだろうなんということが一般的に言われ始めて、自由化の問題は、いろいろ言っておるけれどもだんだん外国の物が入ってくる、減るというよりもふえるというふうに考えざるを得ない、これで一体日本の農村でどうして内需拡大ができるのだ、こういう矛盾にぶつかっておるわけでありますから、これをはね返していくだけの新しい手法をつくり出していかなければいけない。これは内閣としてそれらについての認識の統一が相当必要だと思いますので、この点についての大臣の御決意も最後にお聞きいたしたいと思います。
 それから一つのあれですが、コストを下げる、特に、米価でコストを下げなきゃいけないという問題は当然でしょう。農業団体なども二〇%程度は努力をすればやれる、こう言っておるわけですね。コストを下げる道は、今までの一般的なあれでは構造改善でというのだが、構造改善でそんなに一遍にこの二、三年にコストが下がるような簡単なものじゃありませんね、そうすると、例えば米の生産費を細かく見てみれば、一番大きな上昇と圧力を示しておるのは農機具の支出、これは日本の農耕が零細だから、今の中型、小型の耕運機にしても完全に消化しないという実態もあるでしょう。あるいは肥料、農薬といったような生産資材ですね、こういうものの国際化が今改めて課題になって問われておる。こういう生産コストをどういうふうに引き下げていくかというようなことについて、これは日本の場合は農民と協同組合との関係が非常に多いわけでありますけれども、私は、行政機関としても改めてこれらについての適切な行政指導を行うべきだと思います、あるいは日本の産業全体の関連を見てみると、農家の手取りは毎年減ってきておる、食糧の付加価値というものは流通なり加工なりあるいは一般的なサービスに吸収されておる、かつて二七、八%、一時は三〇%台あったものがだんだん減ってきておる。こういうふうに、食糧生産を原点として消費者のところまで届く間で、経費なりいろいろなシステムが今できておるわけでありますが、これらについても思い切ってメスを入れていくという状況をお考えになる必要があるのではないかこんなことを日ごろ考えておりますから、問題点として御提示を申し上げまして、大臣の御所見をお聞きをしておきたいと思います。
#29
○加藤国務大臣 私は、閣議並びに閣僚懇談会等においていろいろ発言いたしておりますが、一つは農村における雇用問題、この問題については政府全体としても、また労働省としても新しく考えてほしいということを要請しております。それから、内需拡大の新しい方向としては農林水産事業を注目し、ここに一つの重点を置かなくてはならないといった点も主張いたしております。そして、まだ参議院において本予算を御審議いただいている段階でございますから、補正の中身についてとかく申し上げることは遠慮さしていただきますけれども、そういう中にありましても、今回の補正の新しい目玉は、先ほど申し上げましたように農林水産業にウエートを置かなければならぬ。その理由としては、用地代に消えないか、あるいは公共事業全体で見た場合に中小企業への発注率が高いこと、あるいは全国均てん、三千三百市町村があります中の二千数百市町村において農林省は今日いろいろな事業を行っておる、こういう観点、また、当委員会においてこれから御審議いただきます集落整備法並びに先般審議して可決していただきました国有林野事業法等の中においても、新しい活力を農村、山村地域にもたらすような工夫と努力がされておるわけでございまして、こういう点等も内需拡大あるいは国際協調の新しい目玉になっていくべきであるという主張をしておるところでございます。
#30
○田中(恒)委員 生産資材の問題について
#31
○浜口政府委員 資材の関連につきまして先生御提起なさったわけでございますが、米の生産費に占める農機具あるいは肥料等の生産資材、これを計算いたしましても約六割強となっております、米の生産性向上が喫緊の課題となっております段階におきまして、構造政策の推進に加えましてこれら生産資材の低減が重要な課題であるというふうに私どもも考えておるところでございます、
 個別に御提起なさいましたけれども、農業機械でございますが、これは現実には全農と個別メーカーによります交渉によりまして取り決められるということでございまして、この全農仕入れの価格が目安となって、商系を含めました小売価格が形成されているところでございます。全農の仕入れ価格につきましては、五十九年以来、機械につきまして据え置かれておりますが、輸入の機械につきましては、円高の進行に伴いまして、本年一月から外国産トラクターにつきまして平均五%の引き下げが行われております。
 一方、肥料でございます。肥料につきましても、肥料価格安定臨時措置法に基づきまして、販売業者の代表であります全農と肥料の生産者の代表との間で特定の肥料につきましての価格の取り決めが行われておりまして、この価格が目安となって価格が形成されておるわけであります。六十一年度の肥料年度につきまして見ますと、円高及び原油価格の低落等を反映いたしまして、主要十品目につきまして平均的に一〇・三%の大幅な値下げが行われております。その後の円高基調を背景といたしまして、六十二年、本年の一月以降さらに二・二%の引き下げが行われまして、平均的に申しますと、六十年肥料年度価格に比べまして一・四%の値下げというようなことでございます。
 以上のような状況でございますが、特に農機具等の低減に当たりましては、その適正な導入とか効率的な肥料の利用の推進ということがどうしても必要だと考えております、農林水産省といたしましても、高能率の機械導入方針に基づきまして、適正な農業機械の導入であるとか生産組織の育成というふうなこともやっておりますし、さらに、部品の供給体制あるいは肥料整備の体制の充実も図っていかなければならないと考えておるところでございます、先生御指摘のとおり、農機具、肥料等は農業生産にとって不可欠の資材と考えておりますので、農業の生産性向上を図るためには、これらが適切な価格で安定的にかつ円滑に供給されることが肝要だと考えます。今後とも、関係省庁とも連携をとりながら、関係業界の団体の指導に努めてまいる所存でございます。
#32
○田中(恒)委員 コストをどう下げていくか、生産性をどう高めていくかということについて一つ、二つ申し上げましたが、役所の方ではいろいろ担当課があって、こういうことをやっておるということはある程度承知をしておるわけであります。しかし、いずれにせよ、全体としてそういう部面が少なくなっていればいいですが、だんだんふえてきていることは事実なのでありますから、どこに問題があるのかということなどを中心にしながら、しからばどういうことを考えるべきなのかといったようなものをもっと大胆に、積極的に出していただきたい。このことを特に意見として申し上げ、個々の具体的な問題については、たくさんありますから別途にさしていただきたいと思います。
 大体今、一般的な大臣の所信に関しまして御質問さしていただきましたので、農林漁業信用基金法案につきまして、残された時間、御質問いたします。
 三つの法人を一つの農林漁業信用基金に統合をしていくということでありますが、その目的、ねらいは一体何なのかこれをまず明らかにしていただきたいと思います、
#33
○加藤国務大臣 農業信用保険協会、林業信用基金及び中央漁業信用基金は、対象分野は異なるものの、いずれも農林漁業経営等に必要な資金の円滑な融通を図るという共通の目的を有しています。このため、五十八年三月の臨調答申において、行政改革の一環として特殊法人等の整理合理化を推進する観点から、その統合を図る旨の指摘が行われたところであります。我が省としましては、この答申を受け、三法人の組織の基盤、出資の形態を踏まえつつ、統合に向けての条件整備を進めてまいったところでございますが、このたび、統合についての基本的な考え方がまとまりましたので、三法人の業務を統合し、農林漁業信用基金を設立することとしたものでございます。
#34
○田中(恒)委員 臨調答申のにしきの御旗で指摘をされて、三つの信用補完業務であるということで内部討議の中で出されたということでありますが、本来であれば、組織の仕組みがどうなっていくのか、そして事業、機能がどういうふうになっていくのか、あるいは全体の経営というか基金のやりくりの内容はどうなっていくのか、こういうものがあるはずであります。いろいろ長い歴史があり経過があり、しかも農、林、漁とそれぞれ一口に言いますが、実態に相当な差がある関係で、とりあえず組織統合というところに必要最小限の焦点を置いて法改正がなされておるように思いますが、それでもこの統合、合併によって一体どういうメリットが出てくるのか具体的にひとつお示しをいただきたいと思うのです。
#35
○眞木政府委員 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、今回は、それぞれの経緯を踏まえましてそのまま三つの法人を一つにするということでございますが、この統合をすることによりまして、まずは、直接的には役員あるいは総務部門間の人員等の削減によりまして組織の簡素化が図られるということが一つあろうかと存じます。また、あわせまして、資本の増加等によりまして対外的な信用力が増すということ、あるいはまた、余裕金の運用につきましてもその効率化が図られるのではないかと期待をしておるところでございます。さらに長期的に見ますれば、各部門間の人事交流等による活性化等を通じまして業務運営の効率化を図ることが可能になろう、このように考えているところでございます。
#36
○田中(恒)委員 今出されたような問題が統合のメリットとしてこれから具体的に示されてくるように、十分配慮をして進めてもらいたいと思います。
 次に、この制度を利用するというか、関係しておる関係者や団体にとりましては、国の政策が全体の流れとしては補助的な内春から融資に切りかえられて既に久しいわけでありますし、最近の動向は、御承知のように負債問題というのが大変やかましく言われるような状況にありますだけに、信用補完業務としてのこの種の基金制度については十分な強化が期待されるわけでありますが、今この三つの法人の財務の状況は一体どういう傾向、どういう特徴になっておるのか。細々説明していただけばたくさんあるわけでありますが、要点を絞ってで結構でございますので、財務概要についてこの際ひとつお示しいただきたいと思うのです。
#37
○眞木政府委員 簡潔にということでございますので、保険金の支払い、引き受け等の基本指標みたいなものによりまして御説明申し上げたいと思います。
 まず、農業信用保険協会でございますけれども、最近の農業経営を取り巻く厳しい状況を反映いたしまして保険金の支払いが増加しておりまして、六十年度には三十六億円に達しております。これに対し、保険引き受けが伸び悩んでおりますため、保険料収入が十四億円程度で推移をしておるわけでございます。また、回収金の伸びにつきましても、保険金の支払いに及びませんため、全体といたしまして五十六年度以降赤字基調になっております。
 林業信用基金につきましては、最近の林業、木材産業の生産活動の停滞に伴いまして保証引き受けは減少傾向を示しておりまして、六十年度の保証引受額は六百六十九億円、保証料収入は四億円となっております。一方、代位弁済額は十五億円前後で推移をしております。また、山林を主体とする担保物件の処分によります求償権の回収は伸び悩みという状況でございまして、全体として五十五年度以降は損失金を生ずるようになっております。
 次に、中央漁業信用基金についてでございますが、これは緊急融資資金を中心といたしまして多額の保険金の支払いが続いておりまして、六十年度は八十六億円となっておる一方で、漁船建造等の設備投資意欲が減退をしてきたということのために保険引き受けも減少傾向にございます。六十年度の保険料収入が十五億円でございます。また、回収金額は六十年度で十六億円でございまして、保険金支払いの増加と相まって増加傾向にはございますが、回収率の方は年々低下傾向を示しております。五十六年度以降大幅な赤字ということでございまして、特に緊急融資資金に係る支払い超過がその大宗を占めておるというのが現状でございます。
#38
○田中(恒)委員 今お話をお聞きいたしたわけでありますが、比較的堅実というか、しっかりとした保証並びに保険機能を示してきたと思われる農業関係の信用保険協会も、既に昭和五十二年度から責任準備金の積み立てを取り崩さなければいけないということで、赤字にはなってないようですが、実際問題としては単年度収支はずっと赤字が続いてきておる。いつかはもう準備金がなくなってしまうということになる。これは特に畜産関係を中心とした農家負債の激増というものが背景にあるようでありますし、林業は既に意欲を失ってずっと損失が計上されて、山経営そのものを放棄といえばひどいかもしれませんが、そういう状態になっておるからこれがそのままストレートに数字の上でも出てきておるし、漁業は御承知のような二百海里問題で漁獲の決定的な縮小の中で、廃船に伴う保証といったような形でもうどうにもならぬということになって、正直言って信用補完業務をめぐる状況は今日厳しいし、これからの見通しもなかなか大変なわけであります。しかし、やはりこういうものがないと安心してお金を償ったり貸したりすることができないということも事実でありますから、何としても、三法人の統合といった形を契機にして、特に新しい法人の財政基盤を強化していくということがいや応なしに求められてくると思うのです。その中心は何といってもやはり国のこれに対する方針、新法人に対する農林水産省の財政基盤強化についての考え方というものが軸になることは言うまでもないわけでありますので、この際、国は新しい法人に対してどのような財政強化を進めていくというお考えを持っていらっしゃるか具体的な内容もあればあわせて考え方をお示しいただきたいと思うわけであります。
#39
○眞木政府委員 委員御指摘のように、最近の農林漁業を取り巻きます厳しい経営環境等を反映して、先ほど御説明申し上げましたように三法人の保証保険収支が赤字を続けておるという状況のもとで、農林水産省といたしましても、これまで三法人の資金造成に必要な予算措置を講ずるとともに、審査の厳正化なり求償権回収の促進等を指導してまいりまして、財務基盤強化の問題について注意を払ってきたところでございます。今後、金融の果たす役割が増大していくということに対応いたしまして、新しい形態になりますいろいろな信用補完制度の役割もますます重大になってくると考えております。今後とも新法人の財務基盤の充実確保に努めまして、本制度が適正円滑な運営を図られるように努力してまいりたいと考えております。六十二年度におきましても必要な予算措置を講じたところでありますが、来年度以降についても今まで申し上げましたような考え方に従いまして措置をしてまいりたい、このように考えております。
#40
○田中(恒)委員 予算の中では確かにことしいろいろな面で、交付金というか、財務基盤確立の内容の資金がふえておることは私も認めます。それは法律をこういう形で出して新しいものをつくるんだからということでしょうが、しかし、ことしだけでこれを終わってしまうわけにはいかぬ。来年、再来年と、いずれにせよまだ当分はいろいろな意味で深刻な問題が次から次と出てくると思いますので、この点については十分に力を入れていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 それから、新しい法人は三法人のこれまでの業務がそのまま持ち込まれ、これを農業、林業、漁業の三つの部門ごとに責任を持って、部門別の経営というか経理区分などを行って進めていくということのようでありますので、ともかく三つ寄せて今までやってきた内容をそのままやらせていくということのようでありますが、これはお聞きをすると、農業にしても林業にしても、一般の利用者の出資もあるし、民間の団体も出資をしておる。こういう皆さんからすれば、我々が農業で出したお金が林業に行ったり漁業に行ったりされたらたまったものじゃない、こういうお気持ちもあって、合併についてのいろいろな御要望の中にそういう御意見がたくさん出たということもお聞きをしております。またそれもそうでなければいけないのかな、こういうように思います。しかし、一つになったということは、一つになったなりの力を発揮する体制をつくっていかなければいけないという面もまた一面あるわけでありますので、今後この運営について、統合をしたという前提に立って進められていくのか、今のように組織だけ集めて今のままでやっていけばいいんだということでこれからも進められていくのか、この点はどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか、ちょっとお伺いをしておきます。
#41
○眞木政府委員 統合されました新しい法人が行うこととなります農、林、水の保険業務あるいは保証業務につきましては、先般、委員御指摘のように、仕組みが同一でなくて農、林、水の金融政策とそれぞれ密接な関係があるということと、これまでの制度の沿革ということを反映して、まずは組織を一つにすることに決定したわけでございます。いずれにいたしましても、今後とも農林漁業金融を取り巻く諸情勢に対応しつつ、新しい法人の各業務につきましては必要な見直しは行っていかなければならないと考えておるわけでございますけれども、この場合におきましても、画一的に統一をするというようなことではなくて、やはりそれぞれの業務にかかわる農業、林業あるいは水産業それぞれの実情等を踏まえた形で検討を進めていく、そういう姿勢が重要であると考えております。
#42
○田中(恒)委員 ちょっとお聞きしておきますが、林業についてはいわゆる融資資金の保証に限って、保険がない。いろいろな事情もあるようでありますが、全国一本の信用基金ということになっておる。農業と漁業の方は各県ごとに信用基金協会というものがあって、全国の保険協会、信用基金との間のつながりを持ってきておる。二段階と一段階ということになっております。この状況はこのまま続くようでありますが、その理由は一体何か、ここでお示しをいただきたいと思うのです。
 それから、これまでも県の信用基金協会と例えば農業の場合の国の保険協会との間で、保険の対象となるものを県の方はもっとふやしてほしいという声もあって、生活関連のいろいろな資金などについても少しずつふやしてきております。あるいは限度をふやしてくれとか保証率の問題とか、いろいろ個別の問題についてそれぞれの部門の中で持っておる問題の議論がなされておるし、その方向は一遍にはいっておりませんが、できることは徐々になされておる。これは全体の財政の問題との絡みがあるわけでありましょうが、その辺のこれまで懸案として残されてきておる幾つかの問題については引き継いで新しい農業の部門の中で議論をされることになると思います。それらを十分に配慮しながら新しい法人が業務の運営を進めていただく、こういうことを特に要望しておくわけでありますが、この点についての御意見をお聞きをしておきたいと思います。
#43
○田中(宏尚)政府委員 林業関係の信用保証につきましては、先生も御承知のとおり件数が非常に少のうございますし、全体としての保証金額も余り大きくないということから、現段階では全国一円でやっておるわけでございますが、これを仮に農業とか漁業と同じように都道府県段階の保証、それから全国レベルの保険というようないわゆる二段階制ということになりますれば、多額の基金、基本財産を造成するとかあるいは人を抱えた組織をつくるというようなことで、事業規模に比べましてかなり非効率になるというような問題がございまして全国一円の事業として行っておるわけでございます。しかし、末端の林業者の方々のいろいろなニーズというものは全国一円でございましても十分吸収してやっていくことが必要でございますので、現在でも例えば都道府県ごとに相談員を委嘱するというようなことを通じまして、全国一円ではございますけれども、末端のニーズに十分にこたえ、円滑に運ぶという仕組みを行っておりますので、現状を維持していっても信用保証上支障はないものと理解しておるわけでございます。
#44
○眞木政府委員 第二点の今後の業務内容の改善についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、全体の制度の適切な運営を図っていくという中で、それぞれの制度の農、林、漁の中でいろいろな意見あるいは要望等寄せられておるという現実を踏まえまして、関係者からのそういう要望なり意見を十分伺い、また現実的な必要性といったものも踏まえまして新しい組織で検討を続けてまいるようにしたいと考えております。
#45
○田中(恒)委員 新法人の役員でありますが、この役員は、理事長と副理事長に代表権があるということになっております。理事長に代表権があるのは当然でしょうが、副理事長は理事長が任命をするということになっておるわけであります。代表権を持つ役員が幾つかあるということは承知しておりますが、この規模で各部門ごとにいるようです。それがいいのかどうか、この辺は私どもも素人ですからよくわかりません。しかし、理事長に代表権があり、副理事長に代表権を与えるという形がどうしても必要なのかどうか実はよくわからない。この点が一つ。
 それから、運営審議会が新しく設けられるわけであります。これは構成団体、利用者の意見を吸い上げ、緊密な協力、理解を求めていくという意味から大変いいことだと思うし、この運営審議会をきちんと位置づけて、全体の業務運営に大きな発言というか、理事会とは違いますけれども、そういうものにする必要はあろうかと思います。この運営審議会委員の数とか設置基準とか位置づけとかはどういう方法でやっていくのかこの点をとりあえずお示しをいただきたいと思うのです。
#46
○眞木政府委員 まず、副理事長に代表権を与える理由についてでございますが、新しい法人は三法人の業務を引き継いで行うということで、農、林、水の信用補完制度をめぐる情勢が先ほどから申し上げておりますように大変厳しいものになっておりますし、また制度、事業それから関係者もそれぞれ異なっておるというような条件のもとで円滑な業務運営を図っていくために、法人全体の管理を行う理事長のほかに、理事長を補佐して法人を代表して業務に当たる副理事長二人を置くことにしたわけでございます。この二人の副理事長の事務分掌については定款で定めることにしておりますが、理事長が農、林、水いずれかの業務の責任者を兼ねまして、他の二分野を二人の副理事長がそれぞれ担当するとともに、法人全体の管理は理事長が行い、業務運営の統一性を確保するように指導してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 第二に運営審議会でございますが、現在の三法人のこれに相当する評議員会等の人数を合計いたしますと九十八人でございますが、新法人の運営審議会の構成といたしましては五十人以内ということで考えております。この委員は、主務大臣の認可を受けて新法人の理事長が任命することになっておりますが、現在の三法人の総会、評議員会の構成員と同様、都道府県の農業信用基金協会等を初め、出資者の関係者をもって充てられることになろうかと考えております。具体的に申し上げますと、農業につきましては都道府県の農業信用基金協会と農林中金でございます。林業につきましては林業者等の団体でございます。また漁業につきましては都道府県の漁業信用基金協会、漁業共済団体等が委員として選任されるものと考えております。こういうことで、運営審議会につきましても、総合的なことを判断する部会のほかにそれぞれの農、林、漁の部会、漁の場合は信用保険と漁業災害の補償についての部会等を設けて関係者の意見の反映が適切に行われるようにしてまいりたい、このように考えております。
#47
○田中(恒)委員 農林水産省は今度新しい法人の行政指導や監督機関として位置づけられるわけでありますが、新しい法人との関係はどうも農、林、漁、つまり経済局と林野庁と水産庁がそれぞれこの三つと関係を持っていくというか、指導監督機関のようになるようであります。これはうまくやらないと、やはりそれぞれのセクトというか主張が出てきやせぬかと思うし、まあ代表権も実質的には三つに分けられるということでありますので、一つにまとめるというところの全体の運営執行機関の体制がとれるのかな、こんな心配をちょっと持っておるわけであります。その上に、この種の団体の役員は従来から天下りと言われて、役所の皆さんの後の行き先、こういうことも一般的に言われているわけでありますから、それはそれでいろいろ事情はありますが、ひとつその辺の全体の位置づけなり進め方については十分気をつけてやってもらわなければいけないのじゃないか、こういうふうに思いますので、これは私の意見として申し上げておきたいと思います。
 そこで、職員であります。これは現状をそのまま引き継ぐということなのでありますが、給与は、例えば給与表といったようなものは一本になるのか、今までの三つがそれぞれ生きていくのか、この点がございます。それから、農業の保険協会の方はこの間成立いたしました農林年金に入っておりますが、あとの二つは入っていないわけですね。そこで年金はどうなるのか。農業の関係の職員は厚生年金に変わるということのようでありますが、その際に、農林年金から厚生年金に変わることによって不利益になる面はないか。例えば、変わった人が福祉事業などで住宅を建てる、住宅資金を借りたいという問題が起きた場合に、今までは農林年金で借りられたが、厚生年金に入った場合直ちにはなかなか借りられないのじゃないかと私は思います。何年かの経過措置が要るかと思う。そういう問題がございますから、いろいろ部分的には幾つか出てくると思います。それらの問題については不利益な形にならないように十分そういう配慮をして進めてもらいたい、このことを要請というか意見として申し上げて、お答えをいただきたいと思います。
#48
○眞木政府委員 まず、給与等の勤務条件の点でございますが、職員が一体となった効率的な業務運営をやるということのためには、給与なり勤務条件が一体化される必要があると考えておるわけでございますが、これらについてはまず新法人自体で検討すべき課題であろうかと思います。ただ、その際に、農林水産省といたしましても、現在の三法人や他の政府関係機関の給与あるいは勤務条件等を勘案しながら、全体として現行より不利益が生ずることのないよう十分配慮する必要があると考えております。
 また、年金についてでございますが、御指摘のように、農業信用保険協会が農林年金に入っておるわけでございますけれども、新しい法人は政府の出資がございますし、また政府の関与する度合いも大きいということで、こういう点を考慮いたしまして農林年金の対象団体とはせず、したがって、厚生年金が適用されることになろうかと考えております。この場合、やはり農林水産関係特殊法人厚生年金基金からの給付といったものもあわせまして、不利益な状態が生ずることはないものと考えております。また、御指摘の個別の住宅等のローンの問題等につきましても、不利益が生ずることのないように、どういうことができるかということにつきましてこれから十分考えてまいりたい、このように考えております。
#49
○田中(恒)委員 ぜひ、給与なり今申し上げたような点については妙なことの起きないように、方法はあると思いますから、十分きめ細かい対策を立てておいていただきたいと思います。
 最後に、この基金法の附則の三十八条に売上税に関する条項があるわけですね。この売上税の問題は、御承知のようなことで議長の手に預けられて、二十七日で実質的に廃案になることが与野党の国対委員長の会談の中でも決定をしておるわけであります。今回のこの法案にも売上税に関する条項があるわけでありますが、これはどういうふうになっていくのか。これは実質的になくすればいいのですが、なかなか事務的には難しいという話も聞いているわけであります。この条項はどうなっていくのか、これはもうなくなるという理解で私たちは臨んでおるわけでありますが、御意見、御見解を承りたいと思う。
#50
○眞木政府委員 本法案の附則第三十八条の規定につきましては、与野党国対委員長会談の合意に従って処理いたします。
#51
○田中(恒)委員 処理するということは、死文という方法、それからまたいつかの機会になくなる、こういうことでありますか。これは大臣、あなたの方から。これはこの国会の一番の問題でありましたから。
#52
○加藤国務大臣 先ほど局長からお答えいたさせましたとおりでございまして、与野党国対委員長会談の合意に従って処理いたしたいと考えております。
#53
○田中(恒)委員 以上で終わります。
#54
○玉沢委員長 辻一彦君。
#55
○辻(一)委員 きょうは私、大臣の所信表明、特にOECDに参加されての各国とのいろいろな論議等について質問を行うと同時に、農業信用基金法案について若干触れたいと思います。
 では第一に、既にそれぞれ御質問があったわけですが、このOECDにおけるコミュニケについては、日本の立場、考え方というものが反映された面がかなりある。そういう点で日本代表部の努力、また特に担当の加藤農相の努力に敬意を表したいと思っております。そこで、このコミュニケの内容については既に答弁がありましたので割愛をして、またアメリカとの二国間の論議もあったわけですが、それらの論議の中で、米の輸入自由化を容認できないという日本の立場、考え方をいま一度整理をして、これは大臣専門でありますから聞かせていただきたいと思うのであります。
#56
○加藤国務大臣 もうたびたび申し上げてございますように、米は日本人の主食であり、また我が国農産物の基幹をなしておるものでございます。さらには、我が国の自然環境の保全にも水田稲作というのは非常に重要な役割を果たしておる、また、我が国の長い長い伝統、文化というものは米に関連してあるものである等々の考え方が一つあるわけでございます。また、衆参両院における米の自給決議というものがございます。こういうものを考えて、今後二国間による協議には絶対応ずることはできない、今までお答え申し上げたとおりでございます。
 ただ、ウルグアイ・ラウンド、ニューラウンドにおきまして、農産物の助成、農産物貿易に関するすべてのものが俎上に上がるということになった場合には、先ほど申し上げました我が国の自給の方針というものと、米が我が国にとって独特な非常に大切なものであるということを今後とも主張していくべきであるし、いかなくてはならないと私は考えておるところでございます。そういう意味で、先般、リン農務長官とお話ししたときも、二国間協議には応じないということをはっきり申し上げておいたわけでございます。また、カリフォルニア州の知事等が私を訪ねておいでになったときにもはっきりそういう点は申し上げておきました。ただ、先般もカナダ、イギリス、フランス等から、我が国の米の問題を、日本の農産物保護水準あるいは農産物貿易に対する高い障壁としての例を挙げていろいろな意見が述べられたこともまた事実でございます。
#57
○辻(一)委員 今の御答弁、先ほどの御答弁からして、いずれも国会でも随分論議をされたそれらの内容を踏まえて交渉し、発言されたことと思いますが、当然な主張点であったと思います。
 その中で私、一、二ちょっと論議をしておきたいことがあるのですが、きのう、ある新聞の紙上討論で、リン農務長官と大臣の討論の内容もちょっと拝見したのですが、なかなか整理されておると思うのです。そこで、我が国の食糧自給率が先進主要国に比べて一番低いということは、これは当然といいますかはっきりしている事実でありますが、それを論議するときに大臣の場合はカロリーベースで論議されている。私は、これをもう少し明確にするには穀物の自給率をもってやった方がよりはっきりするのではないか、こういうように考えておるのです。というのは、もうこれは釈迦に説法でありますが、とにかく我が日本の国民は、国産の米それから輸入した小麦を御飯とパンにして食べている。それから飼料を大量に輸入して、これを家畜の腹を通して肉や乳や卵という畜産物としてこれも食料として食べている。だから間接、直接の開きはありますが、言うならば、輸入したもの、国産のものを全部最終的には日本の国民が食料として消費をしている。そうすればその一番もとはこれは穀物ということになるのではないか。したがって、穀物の自給率をもって論議するならより明確に論議がされると思いますが、この点、いろいろOECDでも御論議されておるわけでありますので、いかがか、お伺いをしたい。
#58
○甕政府委員 自給率のあらわし方につきましては、ただいまお話がありましたように総合自給率あるいは穀物自給率、さらにはカロリーベースの自給率、それぞれの数字があるわけでございます。これはそれぞれのものにつきまして、それぞれの事情によりまして国内生産あるいは輸入と適切に組み合わせまして国内自給ないしは適切な輸入を図っておるわけでございますが、その目的に応じまして穀物自給率につきましては、米は国内で極力自給をする、しかしながら畜産の飼料等についてはこれを輸入する、したがって、ある程度その自給率が低くなるのもやむを得ない、三二、三%、こういう数字でございます。しかしながら、食生活全体における保障といった観点からいたしますとカロリーベースでどうかという数字も当然意味を持つわけでございますし、また、それぞれの価格に応じまして金額換算いたしました総合自給率というものも、国全体としてどの程度国内生産と輸入とに依存するかといった全体を見渡す場合に意味のある数字でございまして、どれが最も正しい数字がということにつきましては、その観点に応じてそれぞれの自給率を使うべきものと考えておりまして、そういった意味で、これまでも自給率についてはいろいろな表現をとっているという実情にございます。
#59
○辻(一)委員 私が指摘をしたいのは、カロリーベース等で計算をする場合、畜産物というのは多くは国内生産ということになりがちですね。しかし、実際、本当に日本の土地で生産された穀物や草をもって生産された畜産物というのは今で言えばごく少ない。北海道のいわゆる放牧地だとかそういうところを抜きにすれば、ほとんど外国から穀物を入れて、これを囲うような形で日本の畜産が成り立っている。そうすれば、国内で生産された畜産のカロリー云々よりも、畜産物自体を生産する原料の穀物がやはり自給度の尺度になるのじゃないか。そういう意味でこの穀物自給率というのは、家畜を通して人間が食べるという間接的な点はありますが、穀物自給率をもって論議をした方が非常にはっきりするのじゃないか。例えば、後でこの資料を求めたいと思いますが、カロリーベースでいえば五三%、きのうの新聞にも出ていました。ところが穀物自給率でいえば三三%、これは五年前の統計が一番新しいものですから、五年たてばもっと低くなっていると思われるが、これはこの数字の表現というか数字によってもかなり違うわけですが、そういう意味で、今世界の先進国で最も食糧自給率が低いということを端的にずばりとあらわすには、穀物自給率をもってあらわした方がよくわかるのじゃないか、こう思うのですが、これはいかがでしょう。
#60
○甕政府委員 先生のおっしゃいましたような観点からこの問題にアプローチいたしますと、そういう考え方も当然あるわけでございます。ただ、穀物自給率につきましては、先ほど申し上げましたように主として畜産の飼料としてこれを入れておりますので、その飼料を使いまして国内で生産された食肉あるいは酪農製品等も含めました自給率はどうかということになりますと、カロリー自給率でございますとかその他、そういったことが端的にわかるようなメルクマールとして別のものもあるわけでございます。
#61
○加藤国務大臣 どれを使うかということになると思いますが、この間のOECD閣僚理事会でスイスはカロリー自給率という表現を使っておりまして、念のために我がスイスはカロリー自給率六〇%である、よってという言葉がついておりましたが、カロリー自給率を使っておったということだけを御報告申し上げます。
#62
○辻(一)委員 従来、食糧自給率を論議するときに、政府の方はカロリーベースをもって論議をし、相当高いと言うのですね。私たちは、食糧自給率が非常に低いという点で穀物自給率をもって論議をしている。同じ自給率といっても違いがあるわけです、しかし、今まで農林省も我々から責められて、いや、自給率はそんなに下がっていません、相当ありますよという説明ならそれでもいいけれども、今日これだけの状況になって、アメリカもECもずばずば切り込んでくるという中でこっちも反撃しなくてはならぬ。だから若干過去の行きがかりは捨てて、穀物自給率をもってアメリカやECと論議をすべきであると私は思いますが、大臣、いま一度いかがですか。
#63
○加藤国務大臣 私も、実はあるときには穀物の自給率は三二%である、あなたの国が牛肉の自由化を要求すれば穀物の日本に対する輸出は逆に減りますよ、どちらをとりますかというような反論もしたりなんかいたしております。言うならば、ケース・バイ・ケースで使って言っておるわけでございます。
#64
○辻(一)委員 では念のために、一番新しい統計が八二年という数字で恐縮ですが、一番新しい数字と十年ぐらい前のを比べて、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、日本、こういう主要なる国がどれくらいの自給率になっているか、ちょっと数字を知らせていただきたいと思います。
#65
○甕政府委員 お尋ねの世界各国の穀物自給率の数字について申し上げます。一九八二年の数字を先に申し上げまして、一九七三年度の数字を後から申し上げたいと思います。
 まずアメリカでございますが、一九八二年が一八三、これが十年前の一九七三年度は一三三でございます。それからカナダにつきましては、八二年が二二二、七三年が一五八、フランスにつきましては、八二年が一七九、七三年が一七二、西ドイツにつきましては、八二年が九五、七三年が八〇といった数字でございます。なお、この農林水産省食料需給表ベースで日本を申しますと、八二年が三三、七三年が四〇、こういう数字になっております。
    〔委員長退席、近藤(元)委員長代理着席〕
#66
○辻(一)委員 この資料はOECDの一九七三年から一九八二年の資料から農林省が統計をとっておるのですね、国際的にOECDはこういう数字を使って比較をしているのだけれども、論議はカロリーベースでされている、カロリーベースで論議をすることもそれなりのちゃんとした正当な理由があるわけですが、この一覧表を見ると、十年前と十年後でどれぐらい穀物自給率が変化をしているかということが一目瞭然であって、こういうのをアメリカやECに見せればもっと大臣の論議は鋭さを持つのじゃないかと思いますが、いかがですか。
#67
○加藤国務大臣 そこら辺の問題は我々もよく認識しておりますし、また相手と折衝する場合にはそういう点も主張いたしております。カロリー自給率で申し上げたり、あるいは農産物の純輸入額が例えば百八十億ドルであるということをはっきり言ったり、相手の認識度合いを見て、こちらも言うことを適宜適切に言っておるわけでございます。
#68
○辻(一)委員 使い分けをされるのはそれはそれで結構でございますが、穀物自給率をこれから大いに活用して論議してもらうといいのじゃないかと思います。
 そこで、アメリカのリン農務長官は、日本は大量の穀物輸入国であることはわかっているけれども、米は自給で輸入しないというのはおかしいじゃないかと言って批判をしておる、この間リン農務相がこちらへ来たときの日本の論議でもそういうことが報道されておるし、いろいろな機会にこういう発言をしております。これに対して、穀物自給率という立場からはっきりアメリカに反論する方がいいのではないかと私は思うのです。大臣は十分このことは御存じで、随分論議をされておるとおりでありますが、穀物の七割からを外国から入れて、これで日本人の食糧が最終的には日本の米と合わせて成り立っておるのだ、だから国内自給率はそういう意味では三割だ。主要国の今の数字を見ても、西ドイツが九五%ということで一〇〇を割っておりますが、あとは全部一〇〇%を超えている。だから過剰生産ということも言えるわけでありますが、いずれにしても、大事な食糧はそれぞれ主な国は一〇〇%以上、二〇〇%前後のところもありますが、自給をしている、こういうことが非常にはっきりしているのではないかと思うのですね。
 先ほど大臣も触れられたが、穀物自給率をもってするならば、穀物の輸入の総量規制ということを考えてもいいのじゃないか。例えばえさは別じゃない、米も麦もえさも日本人の食糧の一つとして考えて、その中で七割輸入しているのだ、三割を切ることは絶対ならぬ、こういう言い方も明確に言えるのではないか。アメリカは、これは農業とは違いますが、繊維、鉄鋼、自動車、最近は工作機械等々でもみんな一定の輸入を超えれば、国内生産の絡みで国のいろいろな安全上からも規制をしている。それは名目は自主規制と言って、日本の方に自分でひとつ自主的にやってもらうという形をとってはおりますが、実質的には私はこれは規制に等しいと思うのですね。名前は美しいけれども実質は規制に等しい。そういう点で、我々もこれ以上自給率は絶対割ることはできないという総量規制的な考え方がもっと確立されてもいいと思うのですが、この点、大臣いかがでしょうか。
#69
○加藤国務大臣 総量規制的な考え方というのはちょっと考えさせていただきますけれども、私としたら、穀物自給率が百数十%の国というのは、本来輸出を目的にして生産をしたのではないかという点を相手国に指摘をいたしております。また、ある面で申し上げますと、我が国の穀物自給率を具体的に挙げまして、これで米は自給方針を貫く、しかし、国際的分業というか国際的性格をわきまえて、麦とかトウモロコシとか大豆というものは国内消費の七〇%ないしは九〇%のものを輸入しておるということはもう国際的に協力しておるのだ、それから、米その他我が国でも厳しい生産制限をして需給調整をやっておるわけですが、それらを国の助成によって輸出はしないのだ、いわゆる補助金つき輸出をやって世界市場の撹乱をするようなことはしてない、こういったことを相手国に主張し、あるいは理解を求めておるわけでございますから、ある面では先生がおっしゃった線を国際的折衝の場では使っておるわけでございますが、ただ、そこで穀物の総量規制云々ということになりますとまた国際的にいろいろな問題も起こってきます。午前中申し上げました短期的措置においては輸出国同士の間でのいろいろな議論があるわけでございますから、我が国としてはここら辺に対しては中間的立場、輸入国の立場があるわけでございますから、そこら辺を勘案しながら様子を見ていかなければならぬと考えております。
#70
○辻(一)委員 今のアメリカやECの輸出補助金政策による市場攪乱問題はもうちょっと後でお伺いしたいと思うのです。
 そこで、こういう論議をしていくと、やはり我が国がカロリーベースであれ穀物自給率であれ、自給率をどれぐらいに設定するかということが大変大事になってくるわけですが、今までいろいろな政府の基準もあります。また私たち社会党の方では、当面六〇%の自給率を目標に掲げておる。いろいろありますが、政府として、カロリーベースあるいは穀物自給率においてそれぞれどれぐらいを目指すのかということをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#71
○甕政府委員 自給率についてどういうメルクマールをとるかという論議は別といたしまして、食糧自給率につきましては七割程度を維持している、しかし穀物自給率になりますと三二%、こういうようなことでございますが、穀物として考えました場合に低い水準になりますのは、先ほどもございましたように、国土、資源に制約がある我が国のことでございますから飼料穀物の大部分を輸入に依存せざるを得ない、そんなところからこういう数字になっておる実態でございます。しかし、全体として考えますと、食糧が国民生活にとって最も基礎的な物資でございますし、一億二千万人に及ぶ国民にその安定供給を図っていくということが農政の基本的役割であることは言うまでもございません。そこで、これを国民の納得し得る価格で食糧の安定供給に努めることを基本にいたしまして、こういった限られた諸条件の中で極力生産性の向上を図っていく、またそれを通じまして食糧供給力を確保していくということを現在進めておるわけでございます。
 作目別にどうかということでありますけれども、飼料穀物等については先ほど申し上げましたようなことで、この相当数、大部分について輸入に依存せざるを得ないということがございますものの、米を中心に現に国内で自給する体制を確立しているものについては、需給調整の努力は必要でありますけれども国内自給を堅持していく、こういう考え方で臨んでまいりたいと考えております。
#72
○辻(一)委員 要は、穀物自給率でいった場合には現在を割らないだけの自給は何としても確保する、こういうことですか。
#73
○甕政府委員 米等を中心に自給率を維持していくということでございますから、全体の中におきましても、国の食糧安全保障に必要な自給率についてはこれは努力をしていくということでございます。
#74
○辻(一)委員 その論議はまたの機会に譲ることにします。
 先ほども大臣からお触れになりましたが、アメリカとECは日本の残っている十二品目、それから米の輸入自由化を求めて非常に強い圧力をかけております、しかし、世界における農産物市場の最大の問題は輸出国が大量生産によってこれに輸出補助金をつけて出しているということで、これが世界農産物市場の大きな撹乱要因になっていると私は思います。そういうことはもう随分と論議をされたと思いますが、これについての考え方と、どういう論議をOECDの場で日本の代表としてやられてきたのか、これをひとつ伺いたいと思います。
#75
○加藤国務大臣 今次閣僚理事会におきまして、輸出競争の激化の是正の必要性につきましては、日本のほか幾つかの国、カナダ、スイス等が指摘しました。それは国内補助の増大、技術革新が現下の農産物市場の悪化、混乱を招いているだけではなく、輸出補助の増大もその大きな原因の一つであるという意味での議論がございました。私は、我が国は現在農業の問題に対しては、輸入国と輸出国ではおのずと責任の度合いが違うとかねがね主張していたところでございますが、今回の会合において、各国が協調行動をとっていく場合我が国のことを一〇〇%主張するのもどうかと考えまして、各国が協調行動をとっていく場合はその国の立場に応じて均衡のとれた対応が必要であるということを主張しまして、全体的なコミュニケをまとめたわけでございます。
 ただ、私もショックを受けましたのは、出発する日でありましたかアメリカがソ連に対する小麦の輸出につきまして、トン当たり四十四ドル、十数%のEEPを九十万トンに対してつけたということは、OECDの閣僚理事会が始まるときにこういうことをどうしてしたのかなという問題も切実に思いましたが、過剰在庫を抱え、その処理の仕方をどうするかそしてまたそういうことをやればやるほど補助金がたくさん増加していくということについては、ある面ではアメリカもECも共通の問題として持っております。午前中お答えしましたように、この短期的な今日の前にある措置をどうするかということが最も白熱した議論になったわけでございますが、我が国の立場は今申し上げましたような立場で、均衡のとれた対応をしよう、英語でバランスドマナーを入れないと承知しないということ等を私も言ったのはそういう点を考えてのことでございます。
#76
○辻(一)委員 均衡ある対処というのは、それはコミュニケにうたいとげるのには表現として穏当なところであると思いますが、個々にはいろいろ論議されると思います。やはりアメリカも自分ではかなり勝手なことをやっている、私はそういうふうに感じます。ECにしてもアメリカにしても、輸出補助金というのが今日非常に大きな価格支持の政策になっておるし、それが財政赤字の大きな要因でもあるし、片方では随分それをやって十数品目の限られたものを日本に押しつけてくる。これはそれなりに歴史がありますが、もうちょっと自分のやっている方も厳しく反省してもらう、これは強く主張されたと思いますが、なおこれからひとつ強調してもらいたいと思うのです。
#77
○加藤国務大臣 したがって、私はOECDの場でも、農業補助金はアメリカは二百五十億ドルも出しておるじゃないか、ECは三百億ドルも出しておるじゃないか、我が日本はわずか二十九億ドルであるということ等も相当主張しておきました。
#78
○辻(一)委員 今お話がありましたが、OECDの農業保護基準というものですね、PSEまたCSE、生産者の場合と消費者の両方からの物差しがありますが、これがOECDの一番新しい基準である、物差しである、こう言われておるのです。果たして国際的に妥当な基準と言えるかどうか、問題があると思うのですが、それは新しい尺度であるということですから、概念をよくわかるように聞かしていただきたいのです。
#79
○塩飽説明員 今お話のございましたPSE、CSEについてお答え申し上げます。
 この概念は、各国のとっております農業政策が生産者面あるいは消費者の面にどういう数量的な効果を持っておるのかということから、OECDで新たに開発された分析の手法でございます。大変複雑な仕組みになっておりますので一口で申し上げるのは非常に困難なわけでございますが、生産者の保護を計測する手法でございますPSEについて申し上げますと、特定の産品、例えば小麦なら小麦につきまして、生産者が手取りの中に占める内外価格差、その他の国による助成に係る部分を比率として、あるいは助成の総額として計算したものを、各国のそれぞれの産品について一九七九年から八一年の三カ年につきまして計算をしたものでございます。この計算につきましては、一定の前提のもとに計算をされておりますが、各国の農業政策とPSEとの関連につきまして種々問題なり限界があると私どもは認識をいたしております。今回のOECD閣僚会議におきまして採択されました最終のコミュニケにおきましても、PSE、CSEという言葉は使っておりませんけれども、そういったものの分析の手法の限界を踏まえまして、今後これをさらに改善をする必要性につきまして我が国から強く主張いたしまして、それが最終的に盛り込まれた状況になっておるわけでございます。
#80
○辻(一)委員 この間、農林省からもらった説明資料にも一部載っておりましたが、PSEの中に土地基盤整備費とか災害復旧費、農業共済費というものを含めて計算をしておる。こうなれば、これは日本に対して極めて一方的な基準にならざるを得ない。何か日本を標的にしてこの基準がつくられたような感じさえ持つわけなんですが、こういう基準のとり方が妥当性を持つかどうかについては私は非常に疑問に思う。したがって、今国際部長のお話のように、コミュニケの中にもなお改善を必要とするということが入れられて日本の主張も反映しているということでありますが、なお明確な我が方の基準を示して見直しを要求すべきではないかと思います。これは大臣、また行かれるわけでしょうから、いかがですか。
#81
○加藤国務大臣 私は、このPSE、CSEの問題につきましては、ペイユ事務総長がわざわざ日本においでになったときもお目にかかりまして、その問題点を指摘しておきました。そして今回のコミュニケにおきましても、そういった問題が直接文章の上ではっきり出ないようにということと、この数字がベネチア・サミットやウルグアイ・ラウンドの下敷きになることは一番いけないことでございますから、そういう問題と、そしてこの数年間、我が日本は補助金の削減を平均一七%ぐらいやった、ところがアメリカは六十数%ふやしておる、ECは九十何%ふやしておる、こういう点等も注目すべきであるという発言をしたところでございます。
#82
○辻(一)委員 特に土地基盤整備のごときをこういう保護基準の中に計算するとすれば、日本の米の生産費のコストダウンを図らなければならぬということは当然な問題ですから、その点からすれば基盤整備というのは非常に大事なことで、これをやればやっただけ日本は保護基準が厚くなって国際批判を受けるというのでは、こういう基準を使われるのは非常に問題がある、この点を私は特に強調して、見直しの準備に具体的に取り組んでほしいと思います。
 さっき大臣も言われたのですが、日本が五千億円ぐらいの農産物の価格支持、それからアメリカは三兆五千億、ECが三兆七千億という数字をドルのベースでお示しになりましたが、こういう数字のあり方もあるし、それから農家二戸当たりあるいは農民一人当たり外国の政府がどれだけ補助しておるかという数字を調べると、アメリカあたりは非常に大きな数字になるし、我が国の場合は非常に小さくなる。だから、日本にとって一番都合の悪い基準を国際的に持ってきて公認させようというのはもってのほかと言わざるを得ないので、厳しくひとつ我が方のきちっとした基準を幾つか示して、これからぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それから、さっき内需拡大の問題が出ておりましたが、私たちはかねてから、日本の経済が超輸出中心主義、輸出重点主義をとる限りそのしわ寄せはいつか必ず農産物の輸入の押しつけという形になってはね返ってくるであろう、だから、その点は結局食糧自給率を下げることにもなって農業の縮小再生産の道につながっていく、こういうことを主張もしておったし、それから私も昭和五十二年二月五日に、参議院におりましたので、代表質問の中で農業問題を取り上げたときにこの問題を特に強調して、内需拡大の方に経済政策を切りかえない限り、日本の農業は縮小再生産に追い込まれざるを得ないのではないかということを強調したことがあります。さっき農林省が示した穀物自給率の数字を十年目盛りで見ると、解釈の仕方はいろいろありますが、しかし、明らかに日本の輸出中心主義の方向と貿易黒字の集積とあわせて日本の農業の自給率が下がり、農業が縮小再生産の方向に歩んでいるということは数字としても言えるのじゃないかと思うのです。そういう意味で、五兆円の補正予算をどうするかということも大変大事でありますし、輸出も重要でありますが、経済の基調を内需拡大という方向に大きく転換をさせていく、こういうことをやらなければ均衡ある産業としての農業は守り切れないというように思いますが、大臣、ひとつ御見解を承りたいと思います。
#83
○加藤国務大臣 いろいろな諸要因から農業生産あるいは自給率というものが落ちていき、縮小した場合、これを今度はアップし拡大するということは非常な困難と時間と金がかかるわけでございまして、今日の我が国の穀物等の自給度は最低ぎりぎりのものではないかと考えておりますし、また国民の世論調査も、最近とみにこの自給率の問題についてしっかりしなくてはならないという考え方が高まってきておるというように認識しております。そして、我が国内において輸出業者の、農産物を開放しないから輸出がたたかれるという議論、あるいはまた輸出し過ぎるから農産物の開放を迫られるという議論、国内の議論が二分されることにならないような立場というものを、私は閣僚として、また政治家として、そこら辺のコンセンサスを国内的に幅広くとっていかないと大変なことになっていく、こう考えておるところでございます。
#84
○辻(一)委員 基本的な方向としてはひとつ内需拡大へ力を置くように、ぜひ閣内でも頑張っていただきたいと思います。
 これに関連してですが、今回、五兆円規模の補正予算を組んで内需拡大をやるという中で、幾つかの項目に重点を置くが農業の基盤整備等は別だという棚上げのような財政当局の見解がかつて新聞に早々と流れておったのを私は読んだのですが、きのうの新聞を見ると、農林省はこれに非常に重点を置いて財政当局に要求しているということも報道されております。私は、基盤整備等を抑制していくというような方向があってはならないと思います。これから財政当局といろいろ論議されると思いますが、これについて大臣の基本的な態度をひとつ伺いたいと思います。
#85
○甕政府委員 農業関係の基盤整備につきましては、これはもう農山村におきます重要な産業でもございますし、その基盤整備が波及効果も大きい事業であるといったこと等も考え合わせまして、国全体の内需拡大あるいは農業の近代化のためにぜひとも必要な事業であるということはおっしゃるとおりでございます。したがいまして、この際、内需拡大のために政府全体といたしましても緊急経済対策を策定し、また補正予算も今後組んでいく、こういうスケジュールになっておりますけれども、そういった中におきまして私どもも、今申し上げましたような考え方に従いまして、十分これが反映されますように関係方面とも調整を図ってまいりたいと考えております。
#86
○辻(一)委員 事務当局の決意、考えはわかりましたが、担当大臣としての決意はいかがでしょうか。
#87
○加藤国務大臣 私は、閣議並びに政府・与党連絡会議の席におきましても、農林関係公共あるいは公共的事業を大いにふやさなくてはならないという点を主張いたしております。そしてその理由としては、用地費が小さく生産誘発効果が大きいということ、あるいは全国的に実施され中小企業への発注率が高いということ、事業費に占める労務費の割合が高く雇用効果が大きい等の観点から、景気の落ち込みが著しい地方の経済の活性化、雇用の拡大に農林公共を確保することは非常な効果があるということ、また、生産性の高い農業構造を確立する上からも事業進捗がおくれています生産基盤の整備推進が急務となっておる、ここら辺を考えて財政当局並びに総理の方へも強く訴えておるところでございます。
#88
○辻(一)委員 ウルグアイ・ラウンドの対応について一、二聞きたいと思います。
 日米首脳会談で、中曽根総理が米をテーブルにのせるということを約束している。それから今度のOECDにおいても、加藤農相、日本の代表団もこの米問題をテーブルにのせるということは約束しておるわけです。これについての考え方、決意はしばしば伺っておるのでありますが、OECCに参加をして、いよいよ次にはサミット、ウルグアイ・ラウンドという段階に入ってくるわけです。そこで、この米をテーブルにのせるについての考え方というものをいま一度大臣の方から伺いたいと思います。
#89
○加藤国務大臣 OECD加盟国二十四カ国も、ウルグアイ・ラウンドに対して積極的に参加し、何とかしてここで新しい貿易ルール、現在の社会の情勢に適応したものをつくりたいということはもう各国一致いたしておるところでございます。また、今回のOECDのコミュニケにもそこら辺ははっきりうたってあります。その場合、すべての農産物並びにそれに関係する貿易がテーブルの上にのってきますときには、私は米については、我が国の米の大切さあるいは自給率の確保に関する問題等々を強く主張していき、各国の理解を求めるように頑張らなくてはならないと考えておるところでございます。
#90
○辻(一)委員 これからの交渉はなかなか容易でないと思いますが、その決意でもってひとつぜひ頑張っていただきたいと思います。
 それから、OECDの中で農相の「苦い米」論議というのも新聞でちょっと拝見して大変いいことだと思ったのですが、日本にかなり近い、土地規模が小さくて、そして状況のやや似たようなところもEC+十二カ国のうちにはかなりあると思うのです。そういう国との連携を図って理解を求めるというのも大変大事だというように思うのです。相当いろいろな努力をされておると思いますが、これからこれについてどう考えられるか、いかがでしょう。
#91
○眞木政府委員 御案内のとおり、今回のOECD等の場におきましても、あるいはこれまでのガットの場等のいろいろな場におきましても、日本と同じような条件のもとにある国々、やはり農業は工業と違うんだ、自由貿易という方向は方向としても、その中で農業の特殊性と申しますか、そういうものを踏まえていろいろなルールづくり等をやっていくべきであるという国がございます。スイスなんかはその点をいつもかなり強く主張して、家族農業を中心としてスイスの農業をこれからも考えていくということを言っておるわけであります。御指摘のようにECの中でもさまざまでございまして、日本と全く同じということではございませんでしょうが、例えばフランスあたりはもともと農業を大事にする国でございます。中には小麦のように非常に大きなスケールを持った地域もございますけれども、また山岳地帯におきますと、やはりまだ規模が非常に小さいというところもございます。それからまた、新しく入ってまいりましたスペインとかポルトガルとか、そういう国は、これまでのEC六カ国あるいは九カ国で考えていたものとは違った農業についての見方を持っておるということも考えられるわけでございます。我々といたしましては、今後ウルグアイ・ラウンド等の交渉を通じていく中で、こういう立場の考え方に共通性を持った国々の中で十分話し合って、また束になって別の見方をする国々と話し合っていくということも非常に重要であると考えておりますので、委員御指摘の点も十分踏まえて対処してまいりたいと考えております。
#92
○辻(一)委員 ともすると、日本としてはアメリカとかEC全体ということになりがちですが、ECはあれだけの数の国がおっていろいろな意見もあるわけですから、より理解を深めていくということがこれから多国間協議に移る場合に大変大事なことではないかと思いますので、努力をひとつぜひお願いしたいと思います。
 それから、この問題では最後に米価の問題ですが、OECDのコミュニケはその第一項に農産物価格支持の引き下げや農業保護政策費の削減をうたっておるし、第二項では、食糧安保という観点から食糧の安定確保ということをうたっております。これらを両方から見て、いよいよ米価が熱い時期になってくるわけでありますが、このコミュニケ等から考えて当面する米価をどう関連づけて考えていくかということを、これはひとつ大臣にお尋ねいたしたいと思います。
#93
○加藤国務大臣 今回のコミュニケにおいては、長期的な各国の農業政策の方向づけとして、各国が協調してできるだけ市場原則に沿った農業生産や農業助成の削減を目指して努力すること、その際、食糧の安定供給の確保等の経済性以外の面にも配慮が加えられるべきだ、あるいは価格支持が過剰生産を招かないようにすること等がうたわれたところでございます。これらは、昨年の農政審報告の精神に沿った我が国の主張も盛り込まれたものであります、
 したがいまして、今後の農産物の価格政策の展開に当たっては、昨年十一月の農政審報告を踏まえ、構造政策の助長及び生産コストの低減に努めながら、生産性の向上や需給実勢が的確に反映され、将来の農業の担い手の経営発展が可能となるような運営を図り、内外価格差の縮小に努めていくことが重要であると考えております。
 そこで、最後の御質問の本年産生産者米価の取り扱いについてでございますが、端的に申し上げさせていただきますと、まだ何も決めておりません。そうは言いましても、いずれにしても本年の生産者米価につきましては、農政審報告の趣旨、昨年の米価決定の経緯等を踏まえ、現下の需給事情を考慮するとともに、稲作の生産性の向上等に配慮して、米価審議会の意見を聞き、食糧管理法の規定に従い、国民の理解と納得が得られるよう適正に決定してまいる考えでございます。
#94
○辻(一)委員 優等生答弁を伺いましたが、この米価算定の基準を見直す考えはあるのかどうか、これはいかがですか。
#95
○後藤政府委員 昨年の米価審議会で生産者米価につきましての御審議がございまして、答申をいただきました際に、昨年、政府試算に織り込みました単収平準化係数というような問題も含めまして、算定方式について検討することという宿題をちょうだいいたしております。米価審議会に米価を諮問いたしますのはまだ二月先の七月でございますけれども、そういう宿題がございますので、その前に一度米価審議会の委員懇談会のようなものでも開催をいたしまして、フリーな御議論をしていただこうかなというふうに考えておるとろでございます。
#96
○辻(一)委員 その点でもう一つお尋ねしますが、今食糧庁として、この問題は見直しをしたい、見直しをしなければいかぬということはありますか。
#97
○後藤政府委員 私ども、昨年政府試算に盛り込みました単収変動の平準化係数でございますが、これにつきましても昨年の米価審議会でいろいろな御意見がございまして、完全に考え方及びその係数の計算の仕方がこれでいいというふうなお墨つきをいただいたという形になっておらないところでございます。近年、ここ三年連続豊作でございますし、その前は四年連続の不作でございますし、その前はまた三年連続豊作というふうにどうしても作柄が片寄るということがございますので、この辺につきましては、米価審議会でよく議論をしていただきたいなというふうに思っておるところでございます、
#98
○辻(一)委員 いずれにしても、当面ではありますが、まだこれからの問題でもありますので、ひとつ十分農民の気持ちを酌んで米の問題には取り組んでほしいと思います。米価の問題はまた米審の前後に機会があると思いますから、それに譲りたいと思います。
 最後に、農林漁業信用基金法案の問題について質問をいたしたいと思います。先ほど同僚の田中議員の方から大事な点が既になされたわけでありますので、重複を避けて二、三お伺いしたいと思います。
 先ほどもお話がありましたが、臨調答申で、これはどうもならぬということで機械的に取り扱われたような感じがするのですが、こういう方向で三法人を統合することによって十分な成果を期待し得るというようにお考えであるかどうか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
#99
○眞木政府委員 この点につきましては、今回は、これまでの経緯等にかんがみましてとりあえず組織としてこれまでの三法人を一つにするということに主眼を置いているわけでございますが、農、林、水それぞれの制度なりその業務の改善につきましては、統合後におきましてもそれらが金融の円滑な実施に貢献できるようにそれぞれ考えてまいりたいと考えておるわけでございます。
 統合の直接のメリットといたしましては、役員なり総務部門の削減によります組織の簡素化あるいは資本の増加等による対外的信用力の増大、また余裕金運用の効率化、あるいは、これは少し時間がかかるかと思いますけれども、各部門間の人事交流等によります活性化等を通じて全体としての業務運営をより効果的にしていきたい、このように考えております。
    〔近藤(元)委員長代理退席、委員長着席〕
#100
○辻(一)委員 関連して伺いますが、地方では、三つの法人が統合すると機能が低下しやしないかという心配をいろいろしておりますね。統合後の姿を見ると、財務は区分経理をやる、今までどおり分けてやる、それから仕事も前のを大体引き継いでやっていくということで余り変化がないように思うのです。それが必要なのでしょうが、三法人を統合した意味というのは今までのことと同じようにやっていくのでは意義が薄いように思いますが、その点、もう一度いかがでしょうか。
#101
○眞木政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今回はこれまでの三つの法人を組織として一つにするということでございます。各統合をいろいろ議論する過程におきまして、それぞれの関係者から、それぞれの業務内容の後退があってはならないという強い要望等がございまして、これを踏まえてそういうことのないように、今回は区分経理の方法等によりましてこれまでどおりの仕事が続けられるという形を確保したところでございます。今後、それぞれの制度の改善につきましては、統合後におきまして鋭意また検討を進めてまいりたい、このように考えております
#102
○辻(一)委員 今まで三法人がそれぞれ存在したときは、地方の意見は少なくも府県単位で代表として発言する場が総会とかいろいろあったわけでありますが、今度は認可法人ですが財団的法人ということで、そうなりますと総会がなくなる。運営審議会が設置されているとのことですが、これで今まで吸い上げておったところの地方の意見を十分反映さすことが保証されるかどうか、これについてはいかがでしょう。
#103
○眞木政府委員 新しく運営審議会というのを設けまして、この中で各地方の方々の意見を適正に反映するように努めてまいりたいと考えております。特に農業につきましては、これまで、各県に置かれておりました基金協会が総会という形で中央にその意見を反映さす場があったわけでございますが、今度運営審議会ということになりますと、その点、人数の関係でどうかという問題があるわけでございます。しかし、この運営審議会の中に置かれますいわゆる農業関係の部会の場には、これまでどおり全会員と申しますか、それぞれ各県の会員の方が来られて、いわゆる県の基金協会でございますが、意見を申し出ることができるというような形をとることによりまして、これまでよりも意見の反映ができにくくなるということのないように措置をしたい、このように考えております。
#104
○辻(一)委員 地方の意見を十分反映することができるように、これは運営の上でもぜひ保証して努力してほしいと思います。
 この法律が成立をすれば三法人は統合されて、農林漁業の信用基金制度は一応整備をされると思いますが、近年、畜産とか漁業の不振によって新たな経営や事業を拡大するための前向きの金融よりも、大型畜産農家や船を持った漁業者の負債が大型化をしてこれらの対策に追われているというか金融としては残念ながら後ろ向きにならざるを得ないという状況があります。大型の畜産農家それから漁業者の負債の実態というものがかなり進んでおるようにいろいろ感じますが、この実態についてどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。
#105
○京谷政府委員 最近におきます畜産における負債の状況でございますが、御承知のとおり、最近の畜産経営の動向を見ますと、配合飼料価格の数回にわたる値下げ等によりまして畜産物の交易条件が好転をしております。その結果、畜産経営全体として見ますと負債は減少傾向、一方資産は増加している状況でございまして、農家経済調査で五十六年と六十年、酪農について畜産に対する負債の比率を見ますと二六%から二一%に低下、肉用牛生産では二九%から二二%に低下しておるという一般的な状況でございます。しかし、御承知のとおり、酪農、肉用牛といった部門について最近急速に規模拡大を行ってきた経緯もございまして、経営の一部に、経営力、技術力、資金力等が伴わないために負債が固定化をして借入金の償還が困難になっているという事例も見られるわけでございます。
 一般的には、これらの状況に対応しまして農林漁業金融公庫からの自作農維持資金の供給等が行われるわけでございますが、これを補完するために、酪農につきましては、五十六年から六十年にわたる五カ年間にわたりまして、約六百億円に上る酪農経営負債整理資金といった借りかえ措置を実施しております。また、肉畜経営でございますが、五十七年度に肉畜経営改善資金という形で約六百五十億円の借りかえ融資を行い、さらに、六十年から本年六十二年までの三カ年計画で総額約五百億円程度の特別借りかえ措置を実施をしておる、こういう状況に相なっております。
#106
○佐竹政府委員 漁業について御説明いたします。
 我が国の漁業は、ここ十年に燃油の二回にわたる高騰とかそれから米ソ二百海里体制の突入等によって著しい影響を受けておるわけでございますが、その影響は我が国漁業一般に及んでおりますけれども、なかんずく一番それを厳しく受けとめましたのは中小の沖合遠洋漁業でございます。したがいまして、中小の沖合遠洋漁業の経営が一番悪化しているわけでございます。
 その負債の状況について御説明いたしますと、まず中小漁船漁業、これは十トン以上で資本金一億円未満ということでございますが、一経営体の平均借入残高は六十年度末で一億四千万円でございました。最近五カ年間で約三割の増となっておるわけでございます、それから、これを主たる漁業種類別に六十年度の借入残高を五年前と比較してみますと、まず中型イカ釣りでございますけれども、これが約一億円で六割増でございます。それから遠洋カツオ・マグロにつきましては借入残高が一経営体六億でございまして、五年前に比較しまして三割増。沖合底びき網にありましては二億でございまして、やはり三割増。それからサケ・マス流し網漁業、最もソ連二百海里の影響を受けた漁業でございますが、これにつきましては約三億で七割増、かようなことになっているわけでございます。
 なお、若干つけ加えて申し上げますと、これは六十年度末の状態でございますけれども、この中小企業経営体の一経営体平均の収支につきましては五十九年度まで五年間連続して赤字であったわけでございますが、六十年度におきましては、燃油価格の下落等もございまして六年ぶりに黒字に転じております。さらに六十一年度においても引き続き燃油が下がっておりますからこれは収支にプラスに作用するというふうに判断されるわけでございますので、先ほど申し上げました数字は、減少傾向をたどることはあってもこれ以上ふえることは一般的にはないであろう、かように判断しておるわけでございます。
#107
○辻(一)委員 時間が限られてきましたので多くを聞けないのですが、私の長い間知っている友だちにも、漁業を何十年やっておった漁民ですが、やはり船を十年ほど前に買い入れて一億数千万の負債を背負い込んで、どうしてもその返却ができないというので今度やめるとかいう話を聞いておるのです。円高によって飼料がある程度下がり、燃料が下がってプラスの面も確かに出ており、経営の面でプラスになった面もあろうとは思いますが、それ以前に、大型の畜産農家、中小の漁業者が国、県あるいは農協や漁協の奨励策等もあってかなりな資金を借りて取り組んで、結果が大きな負債を抱え込んで動きがつかぬという例もかなりあるので、今御報告になった実態と聞く実態とはどうもかなり差があるように思います。これらの固定負債の拡大で今対策を必要とするこういう農家も漁家も相当あると思うので、これをもう一遍ひとつ調査をしていただきたい。私たちもこの負債対策というので少し勉強していかなければならないと思っておりますが、伺うと実態が少し感じが違いますので、なおひとつ調べていただきたいと思います。いかがでしょうか。
#108
○京谷政府委員 私ども、畜産農家の負債の状況につきましては、先ほど申し上げました過去におきます借りかえ資金の融通過程で、各都道府県とも連絡をとりまして各種の調査を行い、実情の把握に努めておるわけでございます。特に、御指摘のような事態を踏まえまして、新たな融資措置というよりもやはり個別の経営、財務管理の状況というものを的確に掌握をし、必要な指導をしていく必要があるということで、本年度から、生産者団体、各都道府県とも連携をとりまして個別の経営指導対策について体制整備をし、必要な調査、指導をしていくというような体制をつくりつつあるところでございます。
#109
○辻(一)委員 もう時間が来ましたから、なおひとつ実態を調べていただくということと、固定負債の対策についてはこれからもまた論議をして取り組んでいきたい、これを申し上げて終わります。
#110
○玉沢委員長 水谷弘君。
#111
○水谷委員 私は、OECD閣僚理事会の問題、それから大臣の所信に対して若干質疑をさせていただきたいと思います。
 大変御苦労さまでございました。行かれる前のいろいろなマスコミの論調と、帰ってこられた後の中身によって大分問題点が鮮明にもなってまいりましたし、また大臣が御努力をされたその姿があらわれております。OECD閣僚理事会に農林水産大臣として初めて御出席をされて、日本の農業について堂々と論陣を張ってこられた、私どももそのことについては大きく評価をするところでございます。その結果がコミュニケの中にも盛られているわけでありますけれども、しかし、日本の農業に対する国際的ないろいろな注文は依然として厳しいことは事実であります。
 今世界的に農産物の過剰基調の中で、本当にあり余り過ぎると言われているいわゆる先進国間、片方には大変な飢餓で苦しんでいる諸国もあるわけでありまして、食糧の過剰問題を議論するということは、そういう大変な飢餓にあえぐ国々にとっては本当に議論のできないような問題でもあるわけであります。しかし、そういう短期的な食糧過剰基調というものだけがクローズアップされて、一番大切な世界の全体の食糧が長期的に安定的に確保される、そういう一番大事な部分がもっと明らかにされてもよかったのではないかな、こう思っているわけであります。
 そういうことを前提にして、大臣が記者団のインタビューに答えられて、農政に対する我々の主張は間違っていなかった、一部の日本の誤った経済評論家、財界は目を覚ましてもらいたい、数々の国の賛同を得られたという趣旨の御発言をされたそうであります。本当に国内においては農政に対して大変な議論があり、それもまじめな議論が多いとは決して言えない、ためにする非難が横行している、そういうふうに私も受けとめておりますけれども、大臣、率直にこのように本当にお感じになったのかどうかお尋ねをいたします。
#112
○加藤国務大臣 パリにおいての記者会見で、先生が今おっしゃったようなことを私は確かに申しました。それは率直な感じでございまして、一億二千万の国民に食べ物を安定的に供給していくということは政治の原点でございます。そういう意味から、単に感情的に、あるいは十分勉強せずに今日の農政、農業を論ぜられる方々に対しては、大いに勉強してもらい、また大いに冷静になって議論してもらわなければならぬ、こういうことを思っておったところでございます。そういう中でも、国内における議論もいろいろな観点、いろいろな立場からされておられるところは、またある面では認めなくてはならぬ点もあるのはあるわけでございますが、単なる感情的あるいは勉強足らず、あるいは数字の使い方が間違っておられる方々に対し、ひとつよく御反省を願いたいという気持ちを込めて申し上げたわけでございます。
#113
○水谷委員 私どもも機会あるごとに事実に基づいていろいろ農政に対する議論は進めてまいりますが、まず大臣も、閣僚、党内、どんどんひとつ正確な農政の議論を展開していただきたいと存じます。
 そこで、このコミュニケに盛られた内容を今後実行に移していくわけでありますけれども、具体的にどのようにこのコミュニケの合意を我が政府として実行に移していかれるか、その方向についてお伺いをしておきたいと思います。
#114
○加藤国務大臣 今回のコミュニケは農業政策の長期目標、それから政策の原点、そうして短期目標等々が十九項目から二十五項目の間に示されておるわけでございますが、長期目標といたしまして、各国が協調しつつ、できるだけ市場原則に沿った農業生産や農業助成の削減を目指して努力をしていくことが必要であるという点があります。そうしてまた、先ほど来申し上げておりますような我が国の立場というものを主張しまして、食糧の安定供給の確保等の経済性以外の側面への配慮、あるいは各国の置かれた立場や事情を考慮した均衡のとれた対応の必要性、こういう点が盛り込まれたということで我が国の主張が取り入れられたということになるわけでございますけれども、このコミュニケの内容を今後実行していくというのはどういうことかどういう点があるかという御質問だと思うわけでございますが、今回このコミュニケに盛られた内容は、昨年十一月の農政審報告で示された農政の方向と基本的には一致しており、今後生産性の高い農業を目指す、内外価格差を是正することなどに誠実かつ着実に努力をしていく必要があると私は考えております。ここら辺に視点を当てた実行が大切である、こう考えておるところであります。
#115
○水谷委員 たびたびリン農務長官といろいろ議論をされたり、ヤイター代表とも大臣は日米の米問題について議論をされております、確認の意味で、日米貿易摩擦の問題になっておりますこの米、今後どういうふうに対処をしていかれるか多国間協議の問題を含めてお伺いをしておきたいと思います一、
#116
○加藤国務大臣 私は、アメリカのリン農務長官あるいはヤイター通商代表に、正式の会談あるいは個人的にお目にかかるたびにいつも申し上げておるのは、日本は世界最大の農産物の輸入国であり、また農産物輸出国のアメリカにとっては我が日本が最大のお客様である、お得意様である、このことをよく御認識いただきたいということ、そして今まで二国間で、ある面ではいろいろな問題が農産物についても起こってきたけれども、いつも誠意を持って話し合いし、解決してきておるではないか。今後ともある面では、例えば十二品目はもうガットの場でパネリストの手に任されておりますけれども、こういう問題を含めて二国間で誠意ある話し合いをしていくし、解決していく必要がある。しかし米は別である、米は二国間の協議には絶対応じないということを機会あるごとに申し上げておるわけでございます。
 また、今後ウルグアイ・ラウンドの合意に向かって進んでいくわけでございますが、ウルグアイ・ラウンドで米の問題がテーブルの上にのせられたとしても、我が国としては米の自給方針あるいは自給を堅持していくこと、あるいは米の重要性については大いに主張して各国の理解を求めていく覚悟である、こう申し上げておるところでございます。
#117
○水谷委員 十二品目の話も出ましたので、それでは次の質問に移りたいと思います。
 経済審議会の特別部会が四月二十三日に、日本の高過ぎる生計費の是正を求める部会報告をまとめられました。その際、これにあわせて経済企画庁は、日本の物価水準がアメリカ並みに下がった場合を想定して、家計負担がどのくらい軽くなるかを示す試算を発表されたわけであります。経済企画庁では参考までの計算とされました。今日、日本の食料品、とりわけ米、農産物の高い価格に対しては、外国や国内消費者から批判が強まる中、政府部内の試算の中で、国際的に高過ぎる価格水準が数字で示されたことは大変重大な問題であります。
 先週の木曜日だったかと思いますが、夜のNC9近藤経済企画庁長官がインタビューに答えられて、ここに出された試算の数字を使っておられました。すなわち、現在の平均価格から五二%も負担が食料については軽くなる、対現在比で四八%までになると大胆な数字を挙げられたわけであります。現在との対比で四八%との数字は、農業保護の見直しや農産物の輸入自由化論、また農産物の価格引き下げ要求、こういう議論の中でここのところ頻繁に使われ始めてきております。
 そこで私は、経済企画庁に対し、まず初めに、現在に比べて四八%と出てきた数字がどのような具体的な試算方法でなされたのかをお伺いしておきたいと思います。
#118
○金子説明員 お答えいたします。
 先生御指摘の試算でございますけれども、これは五月十四日に経済審議会から建議がございまして、その中で高い生計費、低い居住水準及び長い労働時間という三つが国民生活の質の向上を妨げている要因であるという指摘がなされているわけです。御指摘の本試算につきましては、その高い生計費の全体像を計数的に把握するために行ったものでございまして、円高が定着する中で、国民生活の質の向上を図る上で必要な生計費負担の軽減のための政策の方向を明らかにするための基礎的な資料とするという目的でつくられたものでございます。
 御指摘のように、試算によりますと、例えばアメリカ並みの価格水準を設定した場合には、生計費全体としては約三割、食料費については約五割低下するという結果になっているわけです。この試算は一体どうしたのかということでございますけれども、これは幾つかほかのものも使っておりますけれども、アメリカにつきまして主として用いましたデータは、アメリカの労働統計局が公表しております消費者物価の価格、これは商品、サービス、いろいろございますけれども、それを一ドル百五十五円で換算したものをまずとりました。我が国の価格につきましては、総理府が行っております小売物価統計調査報告、そこでアメリカで示された価格と対応するような品目を選んでまいりまして、まずそれの相対価格を出すわけです。ここでやっておりますのは、食料品なら食料品、あるいは生計費全体ということでございますので、いろいろ出てきたものを総合化しなければいけません、そのためには加重平均をするわけですけれども、そのときの加重平均の仕方というのは、消費者物価指数、やはり総理府が出しておりますけれども、そのウエートを用いまして、今申し上げましたいろいろな価格の相対比を加重平均しまして出したものでございます。こういう国全体としての価格水準を各国と比較するという試みは、これまで我が国のみならず世界的にいろいろな場所で行われているわけでございますけれども、このたび行いました試算もそれとほぼ基本的には同様な手法をとったものでございます。
 なおちなみに、OECDにおきまして、加盟国の価格水準の国際比較という作業が行われております。最近の数字は一九八五年において行ったものがあるわけですけれども、それですと余り細かいことが出ておりません。その第一回目の推計が一九八〇年のものについて行われておりますけれども、その結果を、例えば日米の場合ですと日本の物価、アメリカの物価をそれぞれ延長して計算をしてみますと、食料費について同じ一九八五年をとっているわけですが、我が国の価格水準はアメリカの約倍という結果になっておりまして、今回の試算とほぼ同様なものになるという結果になっております。
 なお、このような試算を行うときには、商品やサービスの質の相違がいろいろありますのでそれを厳密に織り込むことは不可能でございますから、試算結果、ここでは四八%となっておりますけれども、それを余り厳密にとらえることなく、ある程度の幅をもって解釈することが必要であろうかかように考えている次第でございます。
#119
○水谷委員 概要、今説明をいただきましたけれども、OECDの計算方式、これはつぶさに検証しておりませんが、それと大体同じ数字だからほぼ妥当であろうという考え方は改めていただかなければならぬと思います。
 そこで、先ほどの御説明にございましたウエートを加重平均というお話でございますが、食料に対するウエート総数は、いろいろな統計、家計消費支出を出す場合のウエートは全体で幾つになっておりますか。
#120
○金子説明員 アメリカとの比較の場合には、食料につきましては三〇・六%、全体としては五八%ぐらいという結果でございます。
#121
○水谷委員 大体、日本全体、全国で食料のウエート、これが三二九三ございますが、今回経済企画庁が試算をされた資料が私の手元にございますけれども、これを見ますとウエートは一〇八三となっておりますが、この数字は間違いございませんか。
#122
○金子説明員 この前御説明いたしましたときに、大変恐縮なんですけれども、一品目ばかり誤りがありまして、計算間違いがありまして、最終的には三〇・六ということでございます。
#123
○水谷委員 そうなりますと、約七割がこの比較の中から、カバレージの中から落ちているわけでございますね。三割をもって日米の比較をされておるわけでありますが、これはこの種の試算をする上で大変な誤りであろう。これではいわゆる日本の食料の価格がアメリカ並みの価格になった場合、我が国の食料はどれほどになるかという数字を出すのには余りにも乏しい内容ではないか、このように考えるわけでございます。
 食料については、私から申し上げるまでもございませんけれども、今申し上げた三割しかそれがカバレージされていない、極めて低いということがまず第一番。特に食生活、食文化というのは、それぞれの国に全く違うものがあります。そういう中で、特に日本の食生活の中で大切に位置づけられているものが、アメリカの食料と比べることができないものが相当あるわけであります。
 それから、食料品の小売価格、この食料品の小売価格の中には、加工経費や運賃、卸小売経費、こういうものがかなりのウエートを占めてまいります。平均でそういう経費が大体七割ぐらいであろう、こういうふうに言われているわけです。その場合に、この流通加工経費、こういうものを本当に明確に考えずに、仮にこの議論からいくと、国内生産者価格がすべて半分になった場合、そんなことになったら日本の農業は壊滅的に死んでしまうわけでありますけれども、例えば生産価格が半分になったとしても、最終的に小売価格というのは一五%ぐらいしか下がらないという、計算ではそうなるわけでありますが、経企庁の発表をそのまま受けた例えば国民の側にして見ますと、おお、どんどん輸入自由化を図ったり、いわゆる農産物の生産コストをどんどんどんどん下げていけば食料というのは半分になるのか、こういうふうな受けとめ方をされる危険性が私は非常に大きいと思うわけであります。国土条件や風土、食習慣や消費パターン、こういう国別の差というものも厳然としてある。また、先ほどもちょっと触れられましたけれども、食料品の品質格差、これも明確にあるわけです。
 さらには、私たちが今どんどんと推奨しようとしている日本型食生活、そういう中では、欧米と我が国における食生活上の、健康で豊かな食生活を推進する上でも、食のあり方というのはおのずから大きな差が出てきております。そういうふうに比べられない部分、残された七〇%の部分というのは、本当はその比べた三〇%と同じく、これを評価してはならない、比べるものがないわけですから。その手法は、同じ経済企画庁が出していらっしゃる保健医療などの試算方法の中には、これは全く制度が違うから比べられないということで、他の共通品目の価格差、そういうものとは別にしておいて、全く違うものについてはほとんど比較をなさっていらっしゃらない。であるならば、残された七割、その中の特に主要部分は少なくともそのまま比べた結果として加重平均をしてはまずかったのではないか、私はそう考えるわけでありますが、経企庁どうぞ、
#124
○金子説明員 御指摘のカバレージの点でございますけれども、この点につきましてお答えいたしますと、先生御指摘のように、対象品目のすべてが網羅できるということがよいことは言うまでもございません、しかし、公表されている資料による制約によりまして、通常このような価格水準の比較に当たっては、そのカバレージを一〇〇%とするということはほぼ不可能なわけです。
 こういう試算のときの考え方というものはどうなっているかということを若干御説明いたしますと、例えば食料について御説明いたしますと、食料、これは消費者物価指数を見ますと、穀類、魚介類、肉類、乳卵類等々と分かれているわけです。それで、確かに肉類、牛、豚、ハム、ソーセージ、ベーコンあるいは魚介類、いろいろあるわけですけれども、これは属するものがすべてとれればいいわけですけれども、現実には全部とれないということになりますと、ここにその何々類という中における代替性ということを想定しながらこういう試算を行っているわけです。
 例えば、現実にこういうことをしているわけではございませんけれども、御理解に資するために簡単な例を申しますと、肉類が豚肉と鳥肉という二つから成り立っているということを考えていただきます。その場合、豚肉はとれるのだけれども鳥肉はとれなかったということで、豚肉だけを比較して、それが肉類の国際比較ということで妥当かどうかという問題が出てくると思うわけですけれども、御承知のように豚肉と鳥肉の間にはある種の代替関係が働いているわけで、例えば豚肉が高くなれば鳥肉の需要がふえまして豚肉の需要が減るということが起こりまして、その結果鳥肉の価格は上昇し、豚肉の価格は下落するというメカニズムが通常働くということを考えているわけです。こうしたメカニズムは、日本だけではなくて世界各国に働くものであるということを考えてみますと、その豚肉と鳥肉との関係が日本とほかの国で非常に大きな、とてつもない差が出るというようなことは通常ないのではないかということを考えまして、豚肉だけについて日米間の比較を行っても、これをもってその鳥肉を含めた肉類ということで価格比較を行っても、鳥肉を含めた場合に比較して余り大きな相違は生じないのじゃないかという想定をとっているわけです。これまで各国で行われてきたこの種の価格水準の比較も、こういうような想定に基づいているものと考えております。
#125
○水谷委員 鳥肉、豚肉の議論はおっしゃるとおりだと思いますが、私が申し上げているのは、例えば魚介類、我が国の食生活の中で非常に大きなウエートを占めるものは魚介類、それから野菜、海藻、こういうものです。今肉の議論をしているのじゃなくて、全体の議論をしている。特に魚介類の場合は非常にウエートが低くなっている、野菜も特に低くなっている。どういうわけですか。時間がありませんから御指摘だけしておきます。
 私が申し上げているのは、やはり今こういう時期ですから、この種の数字というのは非常に慎重に取り扱っていただきたい。試算というならあくまでも試算の域を脱しない、公式の場へその数字がひとり歩きをしてこないように、そういう配慮が政府全体として必要だと私は思うのです。この件について農水省としてのお考えをここで伺っておきたいと思います。
#126
○甕政府委員 ただいま出されております経企庁の試算の件についてでございますが、最初にお断りしておきますと、これは経済企画庁が独自に算定をして公表されたものでございまして、当省としては実は関知しておりません。公表等について十分調整がなされなかったことは残念に思っております。
 試算についてどうかというお話でありますが、私どもとしてはいろいろ問題があるというふうに考えております。ただいまも御論議がありましたけれども、この試算の中で日米の共通品目、カバレージと申しますかこれは両国の食料消費内容もかなり違っておりますから、そういった違いを反映いたしまして三割程度というふうに承知をしております。しかし、これをもって全体を代表さしているということはやはり問題ではなかろうか。共通品目として、どうしても牛肉とか乳製品とかアメリカ人も食べるものが相当を占めるわけでありますけれども、こういったものは、土地資源の制約から我が国の方が割高にならざるを得ない。また、生理機能の違いということも言われておりまして、伝統的な食習慣もおのずから違う、我が国は総体的に消費量が少ない、こういうことになっております。また、これもただいま御論議が出たわけでありますが、我が国で一番手に入りやすくてなじみの深い魚介類、こういったものがほとんど除かれておる、こういうようなことでございます。
 もともと食生活が、国土条件でありますとか風土等の違いからいろいろ違ってきているのが実態でございます。アメリカ人の一人当たり消費量、牛肉では日本の八倍、牛乳・乳製品三倍、こんなのがある一方、魚介類は日本の方がアメリカの十倍、こんなような実態もあるわけでございますから、こういった差が無視され、あるいは品質格差、流通コスト等々についても十分反映されない、こういうことにはいろいろ問題があろうということでございます。価格の比較だけで、こういった両国の文化、伝統にも根差した食生活を単純に比較することは、率直に言ってなかなか難しいのではないかというのが私どもの考え方であります。
 しかしながら、そういった、我が国の土地資源の制約等のためにどうしても割高にならざるを得ないという事情はやむを得ない面もあるわけでありますが、構造政策の推進あるいは価格政策の見直し寺といったものを通じて、より安い、より安定した供給に私どもは心がけていかなければならないといった点は言うまでもないことと心得てやっているわけでございます。
#127
○水谷委員 最後に官房長がおっしゃったように、決して現在の価格水準がこのまま推移してよろしいという立場から経企庁の試算に対して言っているのではないのです。ただ、こういう重要な数字というのはよほど慎重でないと、国民から見れば、そうか、やはり半値になるのかこういうバラ色の夢だけを数字的に与えて、具体的政策というものが何もないのに、そういうことだけでいろいろな幻想を国民に抱かせる。そういう意味では、農水省としてもこういうものについては経企庁とも事前によく一歩踏み込んで、現在の行政機構の中でそれぞれの立場がありますからどうのこうのということではなくて、国民全体に、今の農政批判やいろいろな議論の中にこの数字がどんどん歩き出してくるわけですから、重大な関心を持った対応をしておくべきであったと指摘をしておきたいと思います、
 次に、既に与野党の合意で、この国会会期末で売上税は廃案、そういう時点を今迎えようとしておりますけれども、この売上税の問題について、公明党が四月二十二日に、農家経済に対してこの税制改正がどのような影響を与えるかという試算をいたしたものを発表いたしました。今回の売上税、全国民の大変な反対を受けたわけでありますが、当然であります、この問題は多く指摘されておりますけれども、この問題の中でいろいろな議論は別として、この構想が成案を得るまでの経過において大変性急過ぎたのではないか。国民の理解を得ることができなかった。ましてその内容がわかるに従って国民各層からどんどん反感と反発を招いてきた、内容が余りにもひどい内容であるために。
 そこで、これは大臣に申し上げておきたいのでございますが、去る三月三十一日に参議院の予算委員会において、我が党の鶴岡委員の質問に答えて加藤大臣はこのように答弁をしておられます。「ただ、計算してみますと、平均的農家というのは、農業所得が百七十万、それから給与収入が五百二十万、ここら辺の問題で、今回政府が提案いたしております所得税の減税、住民税の減税等の計算をやりますと、一戸農家当たりの平均減税額は十一万円、そしてこの売上税に関係するものが約四万九千円強ということになりますと、差し引き六万円ぐらい農家経営は楽になるのではないかと計算をいたしております。」このように大臣は答弁されておりますが、これはこのとおりですか。
#128
○加藤国務大臣 今先生がお読みになりました、三月三十一日参議院において鶴岡議員にお答えしたのは、そのとおりのお答えをいたしております。
#129
○水谷委員 答えたのは、そのとおり事実ではなくて、これは農水省で計算されたものですか、どこかの資料でございますか。
#130
○加藤国務大臣 売上税等の農家経済に与える影響等につきましては、農家の世帯構成、収入、支出の態様等により異なるところでございますが、先般参議院においてお答えいたしました数字は全中が試算したものであり、一つの試算例として御紹介申し上げたものでございます。
#131
○水谷委員 大臣、私は、この会議録はこのまま残るので明確にしておかなければいかぬと思って質問をしておるわけでございまして、そうならばそのようにお答えになるべきではなかったのですか。
#132
○加藤国務大臣 参議院の予算委員会の質疑というのは片道でございますので、なるべく簡単にお答えしなければいかぬと思いまして、全中の試算例というのを抜かしたわけでございます。
#133
○水谷委員 それはやはりぴしっとおっしゃっておきませんと、この会議録を読んだ私は誤解をしました。そういうこともございます。ここで平均的農家という表現があるわけでございますけれども、全中の試算をずっと分析してみますと、申しわけないけれどもその根拠は非常にあいまいで、平均的農家といってもどこをとっているのか全然わからない、明確なデータとしては考えられない、このように私、指摘をしておかなければいけないと思います。
 そこで、大蔵省は今回のこの税制改革を進められるに当たって、農家経済へ及ぼす影響等についてつぶさに検討をされておられますか。
#134
○薄井説明員 お答え申し上げます。
 今、御質問は税制改革全般についてという御指摘でございまして、私ども、今回シャウプ以来の大きな税制改革をするに当たりましては、家計に及ぼす影響ということについては十分関心を持ったわけでございます。ただ、資料の制約その他がございまして、平均的な国民の家計に所得税減税あるいは利子の課税の是正、法人税課税、それに加えまして売上税の導入がどういう影響を与えるかということについて、十分分析をして世の中にもお示ししたところでございます。
 なお、売上税という御指摘はございませんでしたが、売上税自体は税額表というものを使いまして、中立的な効果を与えるものというように私ども認識しておりまして、そういう意味ではどの家計にも同じような効果が行くことを期待している税金であるということをお答えを申し上げます。
#135
○水谷委員 今申し上げましたように、シャウプ税制以来の大改革ということであるならば、その改革をしようとするときには、経済に及ぼす影響というものをそれぞれの省庁とも十分に連携をとりながら、シミュレーションしたりいろいろ分析をして、その上で合意を図られるものなのかどうなのかそこから初めて議論が起きてくるのだと私は思うわけであります。
 今回の税制改革が農家経済に及ぼす影響について、売上税が食料の生産、流通に関しては特別の配慮を払っているので大した影響はない、むしろ、農林水産大臣の答弁でもあったように、農家は所得税、住民税の減税で大変有利な結果になるという理解が、実はこういう町違った理解が一般的で、相当な専門家でも農林水産省や農業団体の説明、見解等によってそのように思い込んでおられた向きが実はあるわけであります。とんでもない誤解であります。
 実は先ほど申し上げましたとおり、我が党で、今回の税制改革の及ぼす影響を時間をかけてかなり具体的に検討をいたしました。驚くべき試算が出てきております。これは農林水産省が本年二月に公表しております昭和六十年度についての農家経済調査のデータに基づき、可能な限り実態に近い農家モデルを設定して試算したものであります。この試算に当たっては、例えば売上税の場合、便乗値上げとか納税コストのように数字として明確に予測することが困難な要素は除外するなど、概して農家に対する影響は小さな数字になって出るように仮定してあります、したがって、大きな数字が出るように意図的にオーバーな、むちゃな仮定を設定して計算しているなどということは決してございません。その結論や試算の要領について詳細かつ丁寧にまとめたものを四月二十三日に公表いたしておりまして、農水省または大蔵省にもお渡ししてあるので、既に内容については承知をしておられるものと思います。
 ちなみに、その結論の概要について申し述べてみたいと思いますが、ここでは四人家族と五人家族を仮定するなど、その他にもいろいろな仮定を設定してみましたが、とりあえず夫婦二人、子供二人、老人一人の計五人で、子供二人のうち一人はサラリーマンと仮定した場合について紹介をしてみたいと思います。したがって、納税主体者は、まずサラリーマンとしての給与所得分を勤務先を通じて納税する子供が一人おり、さらにはこのサラリーマンの子供が稼ぐ給与収入を除いた農外所得と、自分の家で稼いだ農業所得を合わせ総合して課税するもう一人の課税主体者を父親とし、一軒の農家にこの二人の課税主体者がいるものと仮定しています。このことは、農家経済調査を見ても、全国平均で農家一戸当たりサラリーマンが一・一一人おり、農村的色彩の強い東北地方の平均で見ても一・〇九人となっていることから、実態に近い仮定となっているものと思います。
 いろいろ前提が長くなりましたが、全国の平均的農家においては、税制改正後の平年度の場合、所得税、住民税の減税が四万五千円、参考のために四人家族と仮定しても五万一千円、売上税の影響については、農業経営費の場合五万二千円、生計費にあっては七万八千円の負担増になる、利子課税については四万円程度の増税になる、となると、差し引き二戸当たり何と十二万五千円の負担増になるという結果となっております。
 これを東北地方の平均的農家で見ると、貯蓄額が少なくなることから、利子課税制度改正の影響が多少小さくなるが、それでも差し引き九万三千円の負担増となっております。また、特にここで問題なのは、東北地方の中でもさらに農家らしい農家といえる経営面積二ヘクタール以上の農家について試算をしてみました、そうしますと、規模が大きいだけに経営費の負担が大きい。したがって、それだけ経営に及ぼす売上税の影響も大きくなり、十一万一千円の負担増となってしまい、全体では差し引き十三万五千円の負担増になるという結果が出てきております。大変はしょって申し上げましたけれども、我が党の試算について農水省並びに大蔵省、細部にわたっては結構でございますが、包括的に、全体的にどのように評価をしておられますか。伺っておきたいと思います。
#136
○眞木政府委員 公明党の方で御試算されましたこの件につきましては、今後十分検討さしていただきたいと思っておりますが、とりあえずのコメントとして申し上げますと、売上税につきまして、農家が事業者として購入する物品、サービスに含まれております売上税は農産物価格に転嫁されないものということで試算を行われておるようでございますが、農家が消費者として購入する物品、サービスにかかる売上税は完全に転嫁されてきているものという前提を置かれているというようなところについて、必ずしも整合性があるのかどうかというようなところも教えていただきたいと考えております。
 そのほか幾つかの問題があろうかと思いますが、今後また十分に検討さしていただきたい、このように考えております。
#137
○杉崎説明員 ただいま御説明のほか先生御指摘になりましたように、このような試算をする場合にはどのような前提を置くかというのが大変重要なわけでございます。その場合に、農家所得の中で農外所得、特に給与等をだれが得てくるのかというようなことの想定が必要になってくるわけでございますが、この試算によりますと、世帯主の所得よりも、むしろ結果として世帯主の子供の所得の方が多目に出てきたりというような形に試算はなっているわけでございます。そういうふうなことが妥当なのかどうかその辺、さらに勉強さしていただけたらと思います、
 また、今回の税制改革は四本の柱からなっておるわけでございますが、その中の法人税の減税というのを全く考慮しないでいいのかどうか、その辺もあわせてなお勉強さしていただけたらと思います。
#138
○水谷委員 農水省の御指摘の、売上税がいわゆる生産資材等の購入において転嫁されないという前提に立っているということはございません。
 それから、大蔵省が御指摘をされた子供の所得の方が多くなっている、これは兼業農家、いわゆる一般的な農家経済調査に出てくる農家のパターンを設定しておりまして、その所得は厳密に数字に基づいて挙げてあることを申し添えておきます。
 しかし御指摘のとおり、これは一つ一つ細かいところまで指摘をされれば、それぞれ幾らでも試算の内容については批判ができると思いますけれども、全体として比較的うまく整理、試算ができたものと私どもは自負をいたしております。しかし、これは細かいことについて申し上げたいということよりも、やはりこれだけの大改革をなさろうとする場合に、その改革が与える影響性については国民の各界各層、また各産業分野ごとにそれを見て一体どうなるのか、明確にそういうものが国民の目の前に提示されていかなければ、国民的合意を形成し、これからこの税制改正はやはり進めていかなければならないものであるだけに、今後の問題として私は指摘をしておきたいわけであります。
 いろいろこの売上税の問題について、予算委員会の議論にもございました法人税減税が国民生活に減税メリットとして出てくるかこないか、これは立場、物の考え方によっても大分変わってくるものでございますけれども、いずれにしてもしっかりとした試算、シミュレーション、あらゆる観点からの問題点のチェック、それをするためにはどうかひとつ、これからもそうでございますが、他の省庁との連携を密にしていっていただきたい。私どもが農水省の方々にいろいろお伺いをしますと、そのことは大蔵省に聞いてもらわないとちょっとわかりません、こういうお話が返ってくる、返ってこざるを得なかっただろうなと私たちも思っております。大蔵省の方にもいろいろ最初の議論の段階から伺っても、それはこれから煮詰めてまいりますという話がたくさんございました。政省令の問題とかいろいろなことが議論されましたけれども、全部拙速過ぎた、急ぎ過ぎた、そして内容が非常に一方的な改革の内容であった、このように私は指摘をしておきたいわけであります。
 次に問題を移します。
 日米の米問題が相当沸騰をしてまいった時点から、日米の米の価格差についてのいろいろな議論が行われてきました。その価格差がどのくらいの価格差なのかいろいろの議論がございまして、五・六倍とか十倍とかそのような数字が各地で使われておりますけれども、巷間伝えられているその数字、事実を念のため確認をしておきたいと思います。
#139
○後藤政府委員 一般に、農産物の内外価格の比較につきましては、比較を生産者価格の段階でやるのか消費者価格の段階でやるのかそれからまた対象農産物につきまして、それぞれ品質格差とか銘柄格差はどういうふうに考えるかというようないろいろな問題がございまして、内外価格差を客観的な数字として示すことにつきましてはいろいろな技術的な困難が伴います一、
 そういうことでございますが、日本とアメリカとにつきまして米の価格を比べるということでやってみますと、仮に消費者価格につきまして日米の米の価格を比較いたしてみますと、これも我が国も標準価格米からコシヒカリ、ササニシキの上米までいろいろ価格がございます。それからまたアメリカの方も地域によりまして、また調査の対象になった店によりまして、それからまた、我が国に比べましてどうも五ポンド詰めとか二十五ポンド詰めとか包装の大きさによっても割合価格が違うというようなことがいろいろございますけれども、国際的な統計調査ということで申しますと、ILO、国際労働機関が調査をいたしております各国の小売物価の比較がございますが、これで申しますと、我が国は一九八六年時点で米国の二倍ということに相なっております。
 ただ、これは少し幅が小さ過ぎるのではないかというふうな御議論もいろいろあるわけでございますが、たまたま先月リン農務長官が来日をされまして、アメリカの農務長官がアメリカのお米の消費者価格について、御出発前にワシントンの近郊のスーパーマーケットを視察されまして、その値段を調べて円換算したものを紙に書きまして、それをお持ちになって写真を撮ってこられております、これはアメリカの農務長官のお墨つきのある消費者米価ととっていいのかなと思っておりますが、これがボタン米という銘柄の加州米でございますが、キロ二百十九円というふうに書いてございました。我が国の標準価格米が御案内のとおりキロ三百八十七円、上米が全国平均で五百二十円ぐらい、東京で申しますともうちょっと高く五百五十円とか五百六十円というふうなことになろうかと思いますが、したがいまして、標準価格米で申しますとアメリカよりも一二八倍、上米でございますと二・四、五倍というふうなことにこの数字からはなろうと思っております。
 それから生産者価格につきましては、我が国の政府買い入れ価格とアメリカの目標価格、これはマーケットプライス、市場価格を支持いたします上に不足払いを乗っけるというのがアメリカの米の価格政策でございます。その両方合わせました目標価格とを比較いたしますと、昭和六十年には我が国の価格はアメリカの四倍でございました。しかし六十一年に入りまして、急速な円高の進行によりまして、両国の生産者価格がともに横ばいでありましたにもかかわらず内外価格差が四倍から五・六倍に開いた、こういうことでございます。
 なお、十倍というようなお話がございましたが、これは恐らくウルチ精米のタイの国際貿易委員会公表の指標的なバンコクのFOB価格がございます。これは過去に例のないぐらいに今ドル建てでも下がっております。それに円高が加わっておりますので、円換算をいたしますとタイの十倍近くなっておるのは事実でございます。ただ、このような価格は国際価格において形成された価格でございまして、タイを別にいたしますと、アメリカその他先進国の国内価格がこういった水準にあるということではないというふうに理解をいたしておるわけでございます。
#140
○水谷委員 詳細に御説明をいただきました。円高等の影響もこれあり、やはり大きな価格差があることは認めざるを得ないと思うわけでありますが、単位面積当たりの生産費の比較、これは簡単に結論だけ……。
#141
○松山説明員 単位面積当たりの生産費でございますが、我が国の場合調査農家の平均規模が〇・九ヘクタールで、第一次生産費で十三万七千六百円余、第二次生産費で十七万六千六百円余というような結果を公表してございます。アメリカにつきましては生産費の対象にしております農家の作付規模は明らかでございませんけれども、一九八二年センサスの結果で百十四ヘクタールというような一農場当たりの規模、そういうような結果が出でございます。
 別途一九八五年、昭和六十年でございますけれども、アメリカ農務省の方から発表いたしております生産費の結果がございます。ただ、私どもの方の生産費と若干費用の概念が違うところがございますので、なかなか厳密にというわけにはまいりませんが、できるだけ比較可能な形に調整をいたしまして、その上で一九八五年当時の平均的な円レート、二百三十八円ちょっとになりますが、これで円換算いたしますと、第一次の生産費で十アール当たり二万円ちょっと、それから第二次生産費で二万九千円ちょっとというような数字になるわけでございまして、これを一とした我が国のそれぞれの数字は、第一次で六・八、第二次で六、こういうふうな結果になるわけでございます。なお、その後円高が進行いたしておりますので、その辺の事情を勘案いたしますれば、この格差はさらに拡大しておる、このように御理解いただいてもよかろうか、このように考えております。
#142
○水谷委員 ただいま答弁をいただきましたが、いろいろ比べることは非常に難しいわけでございまして、しかし、その中でも私の方で一九八五年の場合を例にとって比べてみた数字がございます。しかしアメリカというのは、コストは生産地または規模、これによって極端に違うものですから大変に難しいわけでございますが、コスト要因になっているその中身の中心は一体どこにあるのかというところに議論を絞っていきたいと思うわけであります。
 ここで私の方で使う数字は、我が国の農水省が行った生産費調査と、アメリカの農務省が行った生産費調査と、アメリカの農務省が行った生産費調査を農水省の農業総合研究所の専門家がすり合わせて作業を行いましたが、そこで出てきたものでございまして、為替レートは昨年十月の平均相場一ドル百五十六円を適用してみますと、最も注目すべきことは、その中で農機具や建物、土地改良設備に要するコストが十七倍になっております。労働費にかかわる部分では実に三十八・五倍、この二つの要因は他の要因の倍率に比べて非常に突出をしております。この二つのコスト要因にかかわる部分の合計が、日本の場合全体の生産コストの五七・四%にも達しているわけであります。こういう事情から見て、我が国の稲作の生産コストを低め、日米間のコスト差を少しでも縮小させるためには、この二つの要因に係るコスト部分をいかに合理化して圧縮していくかということが最大のポイントだと考えておりますけれども、そのために政府は今後どのような施策を講じようとされておられるか伺っておきたいと思います。
#143
○浜口政府委員 先生御指摘のように、日米の比較、その要素を分析いたしましてさらに比較ということになりますると、第一に、私どもの数字等におきましても、やはり労働費あるいは機械費といったようなものが一つの中心になろうかと思います。ただ、これも先生御指摘のとおりでございまして、それぞれの農業の形態、あるいはアメリカにおきましてもそれぞれの地域地域においての差というものがございますが、達観的に申し上げまして、この場合農機具費が特にキーポイントだと言われるにつきましては、米国では大規模な経営に適合した大型の高性能な機械が普及しているということもございましょうし、あるいは作業請負会社の航空機利用による播種、施肥、防除というのが極めて能率的に行われておるために、そういった費用が大幅に削減されているといったようなことではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、それぞれの生産構造といったようなものを十分前提にした上でやっていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
 翻ってみますと、我が国におきましてこの三十年間をとりますと、単収というものは四五%増加いたしました、労働時間も、バインダーの時代あるいは田植え機の時代あるいは自説型コンバインの時代という機械の創出等々によりまして、この三十年間に百九十時間から五十五時間に下がったということもございます。そういったようなことで、日本自体では労働生産性は約五倍に向上しているわけでございますが、米国との比較というようなことでは、今御指摘のとおり二戸当たりの経営面積が低いというようなこともございます、そういったようなことで今後努力をしていかなければいけないというふうに考えるものでございます。
 そういう意味で、そういう基本的認識の上に立ちますれば、土地基盤の整備、あるいは担い手の確保、あるいはこれらの担い手に土地の利用を集積する、あるいは集団的な組織をつくっていく、あるいは高能率機械、施設の導入等を行いますと同時に、それらの効率的利用を図っていかなければいけないというふうなことを考えるものでございまして、国、県あるいは農業諸団体一体になりまして生産性向上のための運動も展開していかなければいけないのではないかというふうに考えるものでございます。
#144
○水谷委員 時間の制約がありましてこれ以上突っ込めませんが、いずれにしても構造政策を推進しなければならない、大規模経営を育てる、そこに派生的に出てくる小規模経営者に対する対応、兼業化の進んでいる我が国農家に対する対応、また、それを急激に進めた場合には雇用問題が生じてくる、先ほど大臣がおっしゃっておりました農政審の報告の基本的方針をこれから遂行していく上で配慮しなければならないところは山ほどあると私は思っておりますし、重大な問題が余りにも多過ぎる、こう考えております。しかし構造政策を推進し、スケールメリットを出していかなければならないことは事実であろうと考えております。その場合に、具体的にこのスケールメリットを出していく、構造政策を推進していく、その基本について大臣に最後にお伺いをしておきたいと思います。
#145
○加藤国務大臣 中小家畜、施設園芸等の分野では規模拡大が進み、生産性の高い農業が生まれておりますが、稲作等のいわゆる土地利用型農業では経営規模の拡大が余り進んでおりません。しかし各地で、地域の実情に応じて借地や作業受委託などのさまざまな形での規模拡大が見られ、稲作単一経営の中核農家の経営規模は約三・五ヘクタールとなっております。また、中核農家を中心とする生産組織の育成も進んでおります。今後土地利用型農業の経営規模拡大を進めていく場合、高い地価等のために所有権移転によることは一般には困難と思われます。したがいまして、農用地利用増進事業を中核とした農地の貸し借りや作業受委託等によりまして規模の拡大を図っていきたいと考えております。これらを進めるに当たりましては、中核農家や生産組織の実態及び意向の把握と育成、中核農家と兼業農家の共存、土地、水管理を行う村組織機能の活性化、地域マネジャーの育成等が重要でございますので、これらの推進に努めてまいります。
#146
○水谷委員 先ほども私申し上げましたように、これだけ円高不況が日本列島を覆っており、農山村における経済は非常に逼迫をしている時期でございます。これから迎える米価の決定に当たっても、我が国の経済の中でも常に不況のときの下支えをしてきた農業、農村経済、そういうものを担っておられる方々に対する配慮、どうかこれをしっかりした上で農業政策を推進していっていただきたい、断じて失業者が農山村にあふれるような、余りにも経済合理性を追求し過ぎたためにそういう現象が起きてこないようにしっかりと配慮をしてお取り組みをいただきたいことを申し添えて、質問を終わります。
#147
○玉沢委員長 吉浦忠治君。
#148
○吉浦委員 私は、農林漁業信用基金法案について、私に与えられた時間は短時間でありますので、基本的な問題につきまして若干確認をしておきたいと思うわけでございます。
 まず、農、林、水の信用補完三法人の統合に至った経緯について、この点を先に御説明いただきたいと思います。
#149
○加藤国務大臣 農業信用保険協会、林業信用基金及び中央漁業信用基金は、対象分野は異なるものの、いずれも農林漁業経営等に必要な資金の円滑な融通を図るという共通の目的を有しております。このため、五十八年三月の臨調答申において、行政改革の一環として特殊法人等の整理合理化を推進する観点から、その統合を図るべき旨の指摘が行われたところであります。農林水産省といたしましても、この答申を受けまして三法人の組織の基盤、出資の形態を踏まえつつ、統合に向けての条件整備を進めてまいりました。このたび統合についての基本的な考え方がまとまりましたので、三法人の組織を統合して農林漁業信用基金を設立することとしたものでございます。
#150
○吉浦委員 今回の三法人統合のメリットについて伺っておきたいのですが、いただいた資料によりますと、三法人の組織統合を行うに当たっては七項目の方針が出ているわけであります。主なものを挙げてまいりますと、新法人は農、林、水の制度の特性、沿革等にかんがみ、現在三法人が行っている業務をそのまま継承する。また、新法人の財務運営については、農、林、水、それぞれ他と独立して行われるよう区分経理をする。また、新法人の業務運営については、農、林、水の関係者の意向が個別に反映されるよう運営審議会にそれぞれの部会を設ける。また、三法人の職員はそのまま新法人に引き継ぐ、こういうものでありますが、そうしますと、何一つ積極的な要素がない統合であると言えるのではないか、こう思うのです。臨調でやれと言われるから仕方なしにやっているような感じが強くするわけでありますけれども、どういうふうに受け取っていらっしゃるのかお答えをいただきたいと思います。
#151
○眞木政府委員 これまでそれぞれ三法人が信用補完業務を行ってきたわけでございますけれども、それぞれ相互に比較いたしますと、制度の仕組みあるいは政策とのかかわり合い方等が異なっておりますし、またその組織形態自身もいろいろ異なっておるということがございました。このため、臨調答申が出ました以後も省内での研究会あるいは関係者によります検討会等でいろいろ検討を行ったところでございますけれども、今回はとりあえずそれぞれの業務のあり方等はそのままの形で組織として統合するということで御提案を申し上げておる次第でございます。
 この三法人を統合いたしますことによるメリットといたしましては、直接的には、役員、総務部門等の削減によりまして組織の簡素化が図られるということ、また資本の増加等によります対外的信用力の増大や余裕金の運用につきまして事業運営の効率化が図られるということ、また長期的には、各部門間の人事交流等によります活性化等を通じまして業務運営の効率化を図ることが可能となるといったことが考えられるかと存じております。
#152
○吉浦委員 統合のメリットが、唯一役員数が三十五名から二十八名に減るということであるのじゃないかというふうに思うわけであります。逆に、三法人の事務所が、現在それぞれ大手町と有楽町と後楽園に分散されておるわけですね。これらは一つの法人として運営していくことになりますと、この面ではマイナス要因となるのではないかというふうに考えるわけであります。今回の三法人の統合がどのくらい合理化あるいは簡素化に貢献するものか私は疑問を持っているわけでありまして、大変具体的な話、みみっちい話で恐縮でございますけれども、臨調から言われております簡素化、合理化が金額的に見積もるとどのくらいの貢献度になるのか、大変質問しにくい内容ですけれども、お答えをいただきたい。
#153
○眞木政府委員 経費節減効果についてはなかなか計算がしにくいということは委員御指摘のとおりでございますけれども、まず、今御指摘のございました役員の数、常勤役員が二名城、それから非常勤役員が五名減となります。また、総会、評議員会の委員等の総数も、今度運営審議会に移ることによって四十八名が城となるということでございまして、これに伴う経費節減効果を現在の給与水準等を前提といたしまして大まかな試算をいたしますと、年間約三千万円程度の経費節減がこの面で期待できようかと考えております。
#154
○吉浦委員 臨調の趣旨を考えてまいりますと、現在大手町あるいは有楽町、後楽園というふうに三カ所に分散されております事務所を将来一カ所に統合されるべきではないかと考えますけれども、この点はどういうふうにお考えなのか、それは後で結構でございます。当分の間は分散して運営していく、これはいたし方ないだろうというふうに思うわけでありますけれども、その場合の本社機能といいますか理事長が机を置く主たる事務所は三カ所のうちのどこに置かれるのか。また今回、この三法人、総務部が三つありますが、それが統合の結果総務部が一つになりますね、あるいは経理課が一つというふうになる、こういうふうに聞いておりますけれども、具体的にどこに置かれるのか。この三法人のいずれかはそうした部門がまるっきりなくなってしまうところもあるだろうと思うのですが、その点をどんなふうに考えておられるかその三つの点についてお答えいただきたいと思います。
#155
○眞木政府委員 まず事務所でございますが、御指摘のように新しい法人の管理運営の効率化あるいは職員相互の融和とか第三者の利便等を考え合わせますと、事務所を一カ所に統合する必要がございます。しかし、最近事務所の賃貸料等が非常に高い水準にあるというような事情から、統合時点におきまして直ちに事務所を一カ所にするということは難しい状況でございます。そういうことで、暫定的に現在の三法人がそれぞれ使用しております事務所に分散せざるを得ないと考えておるわけでございますが、やはり将来事務所の一本化が重要であることは言うまでもないことでございますので、できるだけ早くその実現が図られるように指導してまいりたい、このように考えております。
 また、主たる事務所なり総務部経理課の場所でございますけれども、いずれにしてもこれらの問題は定款で定めるということになっておりまして、新法人の設立手続を進めていく中で関係者の意見も聞きながら検討していく問題でございますが、現在主たる事務所の問題につきましては、農業信用保険協会の事務所が置かれております千代田区内神田のコープビルに置こうというのが関係者の一般的な考え方であるということを申し添えたいと思います。
#156
○吉浦委員 新法人の運営審議会の構成について若干伺っておきたいんですが、運営審議会は、政府以外の出資者及び新法人の業務に関して学識経験を有する者五十人以内で構成する、こうなっておりますが、理事長の諮問機関としても設置するというふうに言われておりますけれども、その構成も農が二十五人、林が十人、水が十五人というふうに配分されて、それぞれ部会制を敷くこととなっていると聞いておりますけれども、現在、任命方針あるいは審議事項、各部会との関係等、明らかになっていないわけであります。「学識経験を有する者」とされておりますが、いわゆる学者と称される方々もこの中に入っていただくのかどうか。また、例えば農業信用保険協会の場合、現在の決議機関たる総会の役員は四十八あります。四十七都道府県の協会と中金、こうなっているというふうに聞いておりますが、統合後は最大で二十五というふうになりますから、半分の方はこの部会に入ることができないわけであります。この四十七都道府県からお出になっている会員は大体利害関係人であるというふうに私は思うわけでありますが、そうなりますと委員の任命方針、これをきちっとなさらなければ公正を欠くのではないかという心配をいたしております。一例ですけれども、ブロック別制を敷かれて交互に交代できるようになさるのも一つの案ではないか、これは私が考えている案でございますけれども、この点どのように考えて臨まれるのか、お答えをいただきたい。
#157
○眞木政府委員 まずこの運営審議会の委員でございます。これは三法人の総会、評議員会の構成要員のうちから選任されるということでございますが、御指摘のようにその数がほぼ半減するということでございますので、具体的な人選に当たりましては関係者の意向が的確に業務運営に反映されるよう、今後関係者の理解と協力を得ながら検討していく必要があろうと考えておるわけでございます。
 そのような中で、ただいま言及されましたいわゆる農業関係運営審議会の中に、まず幾つかの部会を設けるということで農業、林業、漁業、それぞれの部会を設けまして、またその上に総合部会というものを設けまして全体的な運営がうまくいくようにやっていきたいと考えておるわけでございますが、この農業関係の保険の部会になりますと、数が限られてまいりますので、ただいま御指摘ありましたように、現在の基金協会が会員となっておる組織のやり方と少し変わってくるということでございます。
 この場合には、例えば委員でない方についても、いわゆる各県を代表される基金協会でございますが、部会に出席して意見を述べる道を開くというような形で、できるだけ従来と余り変わらない形で意見が反映されるという方法も考えられようかと思っております。また、非常勤の役員としてフロック代表のような方に出ていただくということも一つの方法であろうかと思います。そういうような点をいろいろきめ細かく気配りをしながら、今後の適正な運営を確保する形で進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#158
○吉浦委員 直接この法案から外れるかもしれませんけれども、私は日ごろ水産関係に大変関心を持っておりまして、この機会に少しばかりお尋ねをいたしておきたいと思います。
 今回提案をされております法律案は農、林、水のそれぞれの保証保険機関を一つの機関に統合するということでございます。その業務内容については、今簡単ではありますけれども、質問をいたしてまいりましたし、政府から出されております参考資料を見ますと、この業務内容についてはある程度理解をいたしますが、この中に三基金の貸借対照表が出ておりました。当期損失金あるいは繰越欠損金を見てまいりますと、中央漁業信用基金の当期損失金は毎年五十億円を超えております。いろいろ調べてまいりますと、この赤字は保証保険勘定に発生しているものでありまして、昭和六十年度の場合、この勘定の保険金の支払い額は八十五億七千七百万円で、保険料と回収金による収入の約三十億円を大きく上回っているわけであります。この保険金の支払いのうち、緊急資金の事故によるものが六三%を占めておりまして、中央漁業信用基金の赤字の原因は、緊急資金の焦げつきにあると言っても過言ではないわけでございます、今後もこの傾向は続くものと思うわけでございまして、そこで緊急資金の性格について伺っておきたいと思うのです。
 この緊急資金の事故による赤字の処理をどうするのかが、漁業の保証保険制度の安定を図るために最も重要な問題であります。この際に、これまで相次いで出されてきた緊急資金がどのような性格のものであったかを明確にしなければ、関係者が合意してこの処理ができないと考えております。これまで相次いで出されてまいりました燃油資金などの一般緊急資金あるいは維持資金、再編成整備資金などの借りかえ緊急資金は、第一次、第二次の石油ショックあるいは二百海里による漁業規制など漁業環境の著しい変化に対処して、その救済のために政府が制度資金として融通してきたもので、そのときどきには漁業経営を継続するためには大いに貢献したものでありますけれども、余りにも金融措置に頼り過ぎて、そのツケが今の保証保険制度に来ているのであります。
 この間に思い切った魚価対策や構造対策を行わなかったことについては、政府も漁業者も、そしてまた我々も反省しなければならないことが多々あるわけでございます。金融でありますから、当然借りた金は返すべきものだというふうに単純に考えれば、緊急資金の創設の経緯を知っている者にはなかなか受け入れられないところでございまして、これまでの緊急資金はどのような性格のものであったのか。近代化資金や他の一般資金とは違い、政府の救済的な性格のものであった、こう私は思うわけでありまして、経営環境が現在のような状況の中ではそれなりの対処の仕方があったろうというふうに思うわけであります。長官、お見えのようですから、この点お答えをいただきたい。
#159
○佐竹政府委員 事実関係につきましては先生御指摘のとおりでございまして、中央漁業信用基金の赤字の大半は保証保険資金であります。それから保証保険資金の収支のギャップが緊急資金の焦げつきによって生じたもので、これは御指摘のとおりでございます。
 確かに緊急資金は、今、先生のお話にもございましたように、近代化資金等とは性格が違うわけでございまして、緊急資金の中の主要なものは燃油資金と国際規制関連資金があるわけでございますが、これらはいずれも第一次オイルショックあるいは五十二年のソ連二百海里の突入等によりまして、いわば経営の正常な資金の循環が妨げられるというような状態のもとで、後に魚価が上昇することを前提にいたしまして、とりあえず中期の運転資金を融資したという性格を持っておるわけでございます。
 第一次オイルショックあるいはソ連の二百海里突入の五十二年におきましては、幸いと申しますか、たまたま魚価の上昇がその後これに続いたわけでございますので、ほぼ当初想定したとおりその影響が後に及ぶことはなかったわけでございますが、五十四年の第二次オイルショック、あるいはその後の各国の国際規制の強化による影響を緩和するために措置された国際規制関連資金につきましては、魚価の上昇が伴わなかったために、結果的に見れば一種の赤字融資になってしまったわけでございます。これにつきましては、私どももその後の事態を踏まえまして、どうもこういうものを漫然といつまでも説けることは問題である、かような考え方から、五十七年に構造再編整備資金という、より長期、低利な資金を措置いたしたわけでございます。さらに、六十一年度からは漁業経営再建資金という、これもまた従来の金利の観念からすれば超低利の資金を用意したわけでございまして、いわば漁業経営を見直しまして、再建のめどの立ったものについてはそういう低利資金で長期に再建を図っていく、それからまたそのめどの立たないような経営について、いたずらに燃油資金等あるいは国際規制関連資金を融資することは負債の累増を招き、系統金融そのものに大変致命的な影響を与える、かような判断に立って計画的に代位弁済等を行っているわけでございまして、魚価水準につきましては、これはいろいろ議論もございますけれども、現在私どもの考えでおりますところによれば、価格を上げればたちまちに需要が減るという関係がございます。
 またもう一点現実問題として、魚と需要が競合しております食肉につきましては、価格が飼料価格の低下もあって安くなっておるわけでございます。いわば現在の魚価を前提にいたしましてそのように個々の経営を見直しまして、再建の見込みのあるものについてはより長期、低利の資金、それからそうでないものについてはこの際やはり代位弁済の実行、こういうようなことを図っているわけでございます。私どもなりに先生の御趣旨は体して事業の運営をしているつもりでございます。ひとつ御理解を賜りたいと思います。
#160
○吉浦委員 次に、保証保険の財務改善方針について伺っておきたいのですが、保険金の支払い増加に対処いたしまして、政府においては毎年五十億円を超える資本金を中央漁業信用基金に出資されまして、支払いの財源とする一方で保険料なりあるいは保証料の引き上げを行っておるわけであります。また、金融機関に対しては、協力出資や代位弁済に応じての特別出資を求めて、さらに代位弁済は倒産したものだけに限ることとするなど、保証保険制度はまことに締めつけた運営となっているというふうに私は思うわけでありますが、先ほど申した緊急資金の性格からして、このような運営が適当であるかどうか大変疑問を持っておるわけでありまして、このため事故率の低い近代化資金の保証料率までもが引き上げられておりますし、金融機関には不良債権が累積し、漁業に対する新たな融資を引き締めているのが現状であろうと思うわけであります。
 このようなことでは漁業の健全な発展のための融資を阻んでしまう結果となるわけでありまして、このような保証保険制度の財務状況を改善するめどがあるのかどうか、これからの計画、方法でそういうものがあったらば明らかにしてもらいたいと思いますし、関係者に聞いてまいりますと、緊急資金は過去の異常な事態に対処するものであったので、この資金についての保証保険は昭和五十七年、長官がちょうど漁政部長時代だと思いますけれども、そのときの漁済制度で、過去の赤字分を別途処理したように別の勘定に区分して、政府金融機関あるいは漁業者が一体となって今後これを整理することとして、新たな資金の保証は健全な保証制度のもとで行うのがよいのではないかという意見があるわけであります。これも一つの意見であろうというふうに言われるかもしれませんが、検討するつもりはないのかどうか。また、せめて現状の中では漁業を活性化するような資金、いわゆる漁業近代化資金など、こういうものについては、保険料などを農業や林業と同じ程度にする必要があるのではないかと思うわけであります。あわせてお答えをいただきたいと思います。
#161
○佐竹政府委員 過去十年間に日本の漁業を取り巻く条件が非常に大きく変わったわけでございまして、そのゆえにこそ、今日中小漁業融資保証制度の現状があるわけでございます。
 これを乗り切る方策でございますが、これはやはり関係者がそれぞれ応分の協力をする、こういうふうなことを基調に私ども制度の運用を図っているところでございます。国も財政状況の大変苦しい中でございますけれども、五十六年から六十一年まで五カ年間で約二百億の追加出資をしておるわけでございまして、この支払い不足の大部分は国がカバーしているわけでございます。ただ、何が何でも全部国ということでは、このような時期にすべてのツケは国に回すというような考え方は妥当でないというふうに思うわけでございまして、それに見合って保険料率の引き上げなり、あるいは金融機関から協会を通じての特別出資の実施とか、あるいは協力出資をするとか、そういうそれぞれ措置を講じてきているわけでございます。
 今後の見通してございますけれども、幸い昨年から燃油が下落いたしまして、六十年には六年ぶりに中小漁業にも黒字が発生いたしました。六十一年も同様に見込まれるわけでございます。一方、昨年北洋減船が実施されました。その影響も見込まなければならないかとも思いますけれども、今後著しく保険金の支払いが増大して現在以上に収支が悪化する、かようなことはないのではないかというふうに見込んでいるわけでございます。万一そのような事態が生じた場合には、先ほど申し上げましたように、それぞれが応分の負担をするという考え方で対応してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
 それから、この緊急資金の事故多発がその他資金にいろいろ影響しているのではないかという御指摘でございますが、この点につきましては近代化資金、緊急資金それからその他一般資金、こう区分いたしましてそれぞれ保険料等を計算しているわけでございまして、少なくとも直接的にこの緊急資金の事故多発が近代化資金等の融資保証に影響を与えていることはないというふうに判断しているわけでございます。
 それから、緊急資金に伴う赤字については棚上げして漸次償却していったらいいんではないか、こういう御提案でございますけれども、これは確かに五十七年当時の漁業共済基金についてはそのような措置を講じたわけでございます。これは漁業共済基金が、当時その支払いの財源の相当部分を中金から借り入れてきていたわけでございまして、長期に償却しようとしますと金利が非常にかさむということがございましたので、そのために漁業共済基金へ追加出資を政府がいたしまして、そして金利負担を棚上げしたわけでございます。現在中央漁業信用基金の保証保険勘定も大変苦しゅうございまして、確かに一時期借入金で支払い財源に充当したらどうかという意見もあったわけでございますが、一たびそういうことを始めますと金利負担が非常にかさむという問題がございまして、御指摘のような棚上げをしなければならないような措置にもなりますので、毎年財政事情大変苦しい中でございますけれども、五十億から六十億の出資を重ねているわけでございます。したがいまして、現在の段階では棚上げというようなことは特にしなくても差し支えない状態になっておりまして、こういう方向で私ども対応していきたいと考えております。
#162
○吉浦委員 時間になりましたので、終わります。
#163
○玉沢委員長 神田厚君。
#164
○神田委員 最初に、農林漁業信用基金法案につきまして御質問を申し上げます、
 この法案は、昭和五十八年三月の臨調第五次答申を受けまして、農業信用保険協会、林業信用基金及び中央漁業信用基金の三法人について統合を図ることを目的としているわけでありますが、私は、基本的にはこの法案につきましては賛成する立場を持っております。ただ、この法案が実施をされた場合、先ほどの質問でもいろいろ出ておりましたけれども、そういう意味においてどの程度の行革の効果があるのかまた金額に換算した場合どの程度の効果があるのかということについて、まず最初に御質問を申し上げます。
#165
○眞木政府委員 三法人を統合するメリットにつきましては、まず直接的には役員、総務部門間の削減等によりまして組織の簡素化が図られるということ、第二に、資本の増加等によります対外的信用力の増大や余裕金の運用について事業運営の効率化ができること、第三には、長期的でございますが、各部門間の人事交流等による活性化等を通じて業務運営の効率化を図ることが可能となること等が挙げられようかと考えております。
 また、金額的にどのくらい経費が節約できるかという点については、なかなか計算の方法寺難しいものがあるわけでございますが、直接すぐに効果の出てくるものといたしましては、役員の数が減るわけでございますので、常勤役員の減二名、非常勤役員の減五名、それから総会、評議員会の委員等の減四十八名がありますので、これに伴う節減効果を現在の給与水準等を前提に大まかに試算をしてみますと、年間約三千万円程度の経費節減が期待できると見込んでおります。
#166
○神田委員 それなりのメリットがあるという御答弁でありましたが、しかし、そのことによって今度は制度の円滑化に支障を来す、こういうことはないでしょうか。
#167
○眞木政府委員 今回の統合によりまして、これまで三法人が行ってきた制度、事業の適正な運用に支障が生ずるということになりますと、行政改革の趣旨にももとるわけでございます。このため、まず第一に、三法人の業務はそのまま新しい法人が承継をする、それから第二に、財務運営につきましても各業務ごとに独立して行われるようなやり方、すなわち区分経理を採用するということ、それからまた事業部門の組織につきましても、現在の三法人の組織構成を原則としてそのまま引き継ぐというような各般の措置を講じておるところでございまして、今後とも新しい基金が担っている制度あるいは事業が適正に運用されますよう努めてまいりたいと考えております。
#168
○神田委員 財政硬直化という状況の中で、農業の場合も補助から融資への移行、そういうことが今後とも進むことが予想されるわけでありますが、このように内外ともに厳しい農業環境の中で、信用保証業務の重要性は今まで以上に高まってくるわけであります。農家にとりましてもなくてはならない制度として一層の充実が求められてくると考えますが、これからの制度の充実に当たっての基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#169
○眞木政府委員 今回の三法人の統合につきましては、信用補完という業務の共通性に着目して、五十八年三月の臨調答申の指摘を踏まえて措置されるものでございます。この統合に当たりまして関係者どこれまでいろいろ検討を重ねてきたわけでございますが、三法人の業務内容それぞれに後退があってはならないという強い意向が関係の団体から示されてまいりました。したがって、現在の業務内容をそのまま承継することを基本として今回統合するということであります、今後、金融の果たす役割の増大に対応いたしまして、本制度の役割もますます大きくなってくるというふうに認識をしておるわけでございます。
 それぞれのこれまでの各法人の業務につきましては、国といたしましても必要な予算措置等を講じてまいったわけでございますが、今後とも県レベルの協会あるいは中央段階の新しい基金それぞれにつきまして、財務基盤の充実なり必要な予算措置の確保等につきまして努力をいたしまして、本制度の適正、円滑な運営を図ってまいりたい、このように考えております。
#170
○神田委員 この法案で最後に、附則第三十八条にいわゆる売上税関連がありますが、これはどういうふうに処理いたしますか。
#171
○眞木政府委員 この附則第三十八条の規定につきましては、与野党の国対委員長会談の合意に従って処理いたします。
#172
○神田委員 続きまして、大臣の所信表明につきまして御質問を申し上げます。OECDの閣僚会議、まことに御苦労さまでございました。それらの問題も含めまして、所信に対しまして以下何点か御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、農産物貿易問題でございますが、本年四月三十日あるいは五月一日、中曽根総理とレーガン大統領の日米首脳会談が行われました。ここでは、一つに農業貿易を新ラウンドのテーマとする、二つに米国農産品の日本市場へのアクセスは重要である、こういう発表がなされておるわけでありますが、これは次のベネチア・サミット、新ラウンドにおいて日本の農産物輸入を拡大するという観点に立って述べられておるのかどうか、また、その際に米についても例外として扱わないと受け取れる表現がありますけれども、その点についてはどのように考えられますか。
#173
○眞木政府委員 先般の日米首脳会談におきましては、私も総理に随行いたしたわけでございますけれども、会談自身においては、まずウルグアイ・ラウンドの積極的推進ということの関連で農産物貿易問題が話し合われたと承知いたしておるわけでございます。農業問題について今回の米国側の対応なり考え方は、現在米国政府としても国内の農業改革、財政支出の削減という文脈の中で進めようとしておるという状況にあるということと、穀物等の世界的な過剰傾向を早急に是正しようとしておる状況にあるということを背景として、農業問題を何とか早く解決したいという気持ちが大変強かったように認識をいたしておるわけでございます。
 ただいま言及のございました日本市場に対するアクセスの増大というのは、アメリカ側のプレスリマークスに入っておるわけでございますが、これはそういうことを日本側に述べたという文脈でございまして、そういうことを希望しておるということはあるわけでございますけれども、この件について双方が合意したということでは必ずしもないというふうに考えていただけたらと思っております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、プンタデルエステ宣言において、すべての農産物貿易に関係する措置を議論の対象とするということでございますので、このウルグアイ・ラウンドを積極的に推進したいということは、農業だけ突出する形ではなくて、全体としてこれを積極的に推進していこうということは日本側も同意しておることでございますので、そのように両方の合意という形で入っておるというふうに考えております、
 米の問題につきましては、米の問題を含めまして、個別の農産物問題について首脳会談で話し合われたということはございませんでした。ウルグアイ・ラウンドで農業問題での議論が進みまして、農産物についての各種の貿易措置が対象となって、新しい貿易交渉についてのルールづくりというものが具体的に展開される段階になりますと、我が国といたしましても米の問題を含むあらゆる農業問題、あらゆる国の農業政策といったものを討議することを否定するものではない、しかし、その場合も我が国としては、そういうガットなり新しいラウンドの場において、米の持つ重要性なり国内自給の方針について強く理解を求めていくという考え方に立っておるわけでございます。
#174
○神田委員 新前川リポート、四月二十二日に発表されました経済構造調整特別部会報告によりますれば、「国際化時代にふさわしい農業政策」ということが述べられております。その中で「内外価格差を縮小し、国民的理解の得られる価格水準」をとる、こういうふうに言っておりますが、具体的には米、小麦あるいは牛肉の値段を現在の価格の何分の一程度をめどにしているのかまた生産者はそれぞれの値段を幾らに置いて生産の合理化、省力化を推進したらいいのか、この辺のところについてはどういうふうに考えておられますか。
#175
○後藤政府委員 農産物の価格政策のあり方につきましては、昨年十一月の農政審議会報告でも大きく取り上げられたところでございまして、構造政策を助長し、あるいはまた農業の生産コストの引き下げに資するとともに、対象とする農産物の需給均衡の確保に資するように見直しを行うことが必要だという指摘がなされているわけでございます。
 米価あるいは麦価についてどうかこういうことでございますが、本年産の米麦価についてはまだ何も決めておりませんけれども、米価について申しますれば、こういった農政審報告の趣旨を踏まえまして、現下の需給事情を考慮いたしますとともに、稲作の生産性向上等に配慮しまして、国民の理解と納得が得られるような水準を目指していかなければならないというふうに考えております。
 それから麦の価格につきましても、麦をめぐります現下の諸情勢にかんがみまして、生産性の向上を的確に反映しますと同時に、国内産麦もかなり生産がふえてまいりました。したがいまして、良品質麦への生産誘導を図り得るような適正な水準を目指すべきであるというふうに考えておりまして、こういった考え方に基づきまして、具体的なデータが出そろいましたところで米価審議会に諮って適正な決定を行ってまいりたいと思っておるわけでございます。
#176
○神田委員 この新前川リポートではさらに、適切な輸入政策を通じて内外価格差の縮小を図る、こういうふうに書いてありますが、こういう形でこれを進めていくと当然のごとく食糧自給率がもっと下がってくる、こういうことが心配されるのですが、その辺はどういうふうに考えておりますか。
#177
○甕政府委員 ただいま御指摘のように新前川レポート「構造調整の指針」ということで経済審議会から建議されたものにおきまして、今後の農政の推進に当たりまして「国内農業の生産性向上とあわせて適切な輸入政策により、内外価格差を縮小し、国民的理解の得られる価格水準で食料の安定供給を図ることを基本とすべきである。」こういうふうに述べられております。そこで内外価格差の縮小でございますけれども、この点につきましては、既に農政審議会におきましてもそういった基本的な方向が示されておりまして、経営規模の拡大あるいは生産性の向上といったことでこれを実現していこうというふうに考えておるものでございまして、このことが直ちに食糧自給率の引き下げに結びつくものではないと考えております。
 いずれにしましても、与えられた国土条件等の制約の中で極力生産性の向上を図り、コストダウンを実現していくということでございますので、米でありますとか国内で自給する体制にあるものにつきましては、一層の生産性の向上を図ることによりまして供給体制を維持する、また、国内生産とあわせて輸入によりその供給を図っておるものにつきましては、国内生産につきまして一層コストダウンに努めながら適切な輸入政策を図っていく、こういったことで今後ともやってまいりたいと考えております。
#178
○神田委員 次に、ガットの問題でありますが、現在の貿易のあり方につきまして、ガットそのものは自由貿易の推進がその精神にあるわけでありますが、アメリカのウエーバー条項、通商法三〇一条あるいは輸出補助金等の保護主義、相互主義が各国におきまして今なお現存をしておる状況であります。こういう中で、現況におきましてどのような農産物貿易体制が今の日本にとりまして適切であると考えておるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#179
○眞木政府委員 委員御指摘のように、ガットは一般的には自由貿易の拡大というようなことを目指しているわけでございますが、農業貿易問題につきましては、ガットの条文そのものの中に、農業についてあるいは農産物についての例外的取り扱いが明記されておるということに明らかなように、歴史的に見ましても農業の特殊性というものが容認されておると考えておるわけでございます。また、現在各国において、農産物につきましてただいまおっしゃいましたようないろいろな貿易制限措置等を設けておるのは、やはり農業が工業とは同一には律し得ないという事情が背景にあるものだと考えておるわけでございます。
 我が国といたしましては、今回OECDの場でも主張いたしましたように、農業が土地、気象条件等資源の有限性によっていろいろ影響されるという特殊性の問題であるとか、あるいはまた食糧の安定供給、それから国土環境保全等多面的な役割を果たしているということ、そういうような点が、ガットにおきます新しい貿易ルールづくりの交渉の中でも十分考慮されていくことが重要であると考えておるわけでございます。そういう考え方のもとに、国際貿易と国内農業の健全な発展との調和といったものをどのような形で見つけていくかということが必要ではないかと考えております。
 したがって、今回新しいルールづくり、特にその中で輸入につきましては、我が国以外の、例えば米国のウエーバー、ECの輸入課徴金、それから現在我が国がとっております輸入割り当ての制度、そういったものもみんな一緒に議論をして、公平でそういう点を考慮に入れた納得のいく、また実際上運用が効果的に行えるようなルール、そういうものを目指して我々も交渉に参加してまいりたい、このように考えております。
#180
○神田委員 次に、OECD閣僚理事会などの問題につきまして御質問申し上げます。
 まず最初に、農林大臣がパリで十日に共同通信の記者と会見をして、米価の引き下げ等の問題について言及をしている報道があります。ここでは大臣の言葉を引用して「六十二年産の生産者米価決定に関連して「生産者が血を流すことも必要だ」と米価引き下げはやむを得ないとの判断を示した。」こういうふうに言われております。結局最終的には農政の失政によって現在日本の農民、農家は大変な打撃を受けているわけでありますが、そういう現状の中でさらに「生産者が血を流すことも必要だ」、こういうような表現をなさったかどうかはわかりませんけれども、報道によりますとそういう書かれ方をしている、こういうふうな考え方といいますか感情、そういうのは現時点におきましては農家や農民の人たちに非常に酷宣言い方だと思っております。その点は大臣はどのようにお考えになりますか。
#181
○加藤国務大臣 私もあの共同記者のインタビューには応じましたが、まず申し上げておきたいことは、米価問題について血を流すというような意味を言ったことはありません。ただ、我が国の農業政策というものをOECDの加盟各国に理解してもらい、納得してもらい、そしてまた我が国の主張を堂々と相手国に言う場合においては、国内においても生産者も大いに努力してもらわなくちゃならぬ。その点について私は、今まで汗を流し、血を流すような努力をしてもらわなくちゃならぬと言っておったが、努力だけではいけないので、血を流すような本当の意味の努力をしなくてはならないと全体的なことを申し上げたら生産者米価云々に結びつけられたということで、私自身も大変驚いたわけでございます。我が国の今日置かれておる国内情勢から見まして、生産者が真に血を流すような努力をしておることが国民全体から農業、農政に対する理解を得ることになるのである、こういう意味で発言したわけでございます。したがいまして、我々が外国に対して日本の農政の立場というものを堂々と言う場合には、国内においてもそれ相応の努力をしなくちゃならない、また、国内においても生産者が国民全般、あるいは消費者に理解と納得をしてもらわなくちゃならない。これはある面では農政審の答申と同じ線を申し上げたわけでございますが、表現がそういうようになったわけでございます。
 また、生産者米価につきましては、けさほど来いろいろお答えいたしておるわけでございますけれども、農政審の報告の趣旨ということ、それから昨年の米価決定の経緯を踏まえまして、さらに現下の需給事情を考慮するとともに、稲作の生産性向上等に配慮して、米価審議会の意見を聞き、食管法の規定に従い、これまた国民の理解と納得が得られるように適正に決定する考えでございます。
#182
○神田委員 それでは、この閣僚理事会の中で、報道その他によりますと、食糧安保の考え方が幸いにしてある程度の理解を得られた、こういうふうに言われておりますが、それはどの程度の話になっておりますか。
#183
○加藤国務大臣 コミュニケの中の二十一項のbに、「農業改革の長期的目標を追求するにあたり、食糧の安定供給の確保、」フードセキュリティーというものですが、「環境保全あるいは雇用全般等の純経済的でない、社会的及びその他の要請に配慮することができる。」こういうような表現で盛り込んでおります。
#184
○神田委員 時間がありませんので、もう少しお話を聞きたいのでありますが、食管問題で大臣、前に食管問題についてはその根幹は守るという考え方を言われたことがありますが、現在もそういうお気持でありますか。また、その根幹というのは何を指しておりますか。
#185
○加藤国務大臣 国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによりまして、生産者に対してはその再生産を確保し、また消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすことが食管制度の基本であると考えておりまして、これが私の申し上げておる根幹を、あるいは基本を維持しつつということに通ずると考えております。
#186
○神田委員 次に、水産問題、日韓の漁業問題について御質問を申し上げます。
 昨年来交渉が行われております日韓間の二百海里問題、この問題につきましては先週の月曜日から三日間、実務者レベルでの協議が行われ、また政治レベルでも五月初旬に外務大臣、先週末には自民党の安倍総務会長が訪韓をされたようで、この問題は両国間の大きな問題になっております。しかし、韓国の崔外相は、根本的な骨組みを変えないで実態的解決をしたい、こういうふうに強調したと伝えられておりまして、日本側の立場と大きく離れていると考えております。
 そこで、両国の現在の基本的な考え方についてでありますが、まず、韓国側が根本的な骨組みと言っておりますのは具体的に何を指しているのか。現在の日韓漁業条約そのものを言って、合意議事録などの改定で現在の事態を解決しようとしているのか、それとも取り締まり権の旗国主義だけは守りたいと言っているのかあるいは両国の十二海里領海だけは守ると言っているのか、このあたりの考え方を御説明いただきたいと思うのであります。
 さらに、日本側の考え方といたしまして、先週の当委員会などでの水産庁長官の発言を聞いておりますと、昨年あたりと考え方が大分変わっているのではないか、こういうふうに思っております。二百海里の全面適用は後回しにして、韓国側の言うように実態面の解決をまず図ろうという姿勢が見えますが、そのような姿勢で現在の日韓間の漁業のトラブルが解決できると考えているのかどうか、これらについて基本的な考え方をお聞かせいただきたいのであります。
 最後に、外務省に来ていただいておりますが、竹島問題、二百海里設定を行うということになりますと、どうしても竹島問題など領土問題に触れないわけにはいきません。政府として二百海里を全面設定するという方針であるのなら、関係国と領土問題も解決するための協議が行われてよい時期であろうと考えますが、そのような協議が行われておりません。政府として本当に二百海里を設定する考えがあるのかどうか、これらの問題についてお伺いをし、協定切れが目前に迫っておりますが、見通しをお聞かせをいただきたい、このように思います、
#187
○佐竹政府委員 ただいま先生御指摘ございましたように、日韓間ではアプローチにつきまして基本的に考え方の違いがあるわけでございます。私どもは、日韓漁業協定を締結して以来もう二十年余を経過しているわけでございまして、その見直しが必要であるというふうに主張しておるわけでございます。
 私どもが見直しを提案している理由というのは二つございまして、一つは、現在の日韓の漁業関係を規律するシステムが、北海道沖につきましては自主規制措置、それから西日本においては漁業協定が結締されて漁業協定によって規律されておる、その規律する択捉が違うというのはどうもおかしいではないか、やはり東日本も西日本も両方共通の枠組みに従って両国の漁業関係は調整されるべきであろう、こういう点から枠組みの見直しを言っております。
 それからもう一つは、韓国の違反漁船の大部分が船名を隠ぺいして操業しているという状態のもとでは、旗国主義に基づく協定の通報システムでは的確に約束したことが守られるという保証がないではないかということから、その取り締まり権の確立ということを主張しているわけでございます。
 韓国側が、特に現行枠組みを見直す必要はない、現行の枠組みの中で解決すべきであるというふうに言われているのは、主として後者の点であろうかと思います。つまり、取り締まり権の確立という点につきまして韓国側は非常にこだわっております。交渉の過程を通じてこだわっているように私どもにはうかがわれるわけでございまして、その理由としては、第一に、かつて漁業協定締結当時、いわば旗国主義というのは日本側が主張してああいうふうな規定が入ったのである、それを二十年たって事情が変わったからというので直ちに旗国主義を捨てるというのは理解できない、あるいは取り締まり権を強化するということは韓国国内で大変な政治問題になる、そのようなところから枠組みの見直しには反対である、これが韓国側の主張でございます。
 それから、御質問の第二点の、二百海里の全面解決を後回しにして実態問題を解決するというふうに考え方は変わってきているようだけれども、一体そういうことが可能なのかどうか、この点でございますが、私どもは考え方が特に変わったというふうには考えておりません。要は、日韓漁業関係では話し合い、協議を通じて解決するのが最もベターな方法である。逆に申しますと、二百海里を一方的に適用することは、日韓漁業協定が存在している現在法律的にもできないわけでございまして、したがいまして、二百海里を全面適用するためにはいわば協定を解消しなければならない。ところが、この解消をするに当たって、後でどういう姿ができ上がるかということがわからないで解消することはなかなか難しゅうございまして、いずれにしても話し合いで解決する以外にはないのだろうと考えているわけでございます。
 ただ、御懸念のように、話し合いでは大変時間がかかるのではないか、だらだら協議が続くのではないか、こういう懸念は確かに私ども持っていたわけでございます。先般の協議の過程を通じまして、韓国側から、こちらが指摘した問題海域においてどういうふうに操業を自粛するかという具体的な提案が韓国なりに出てきたわけでございます。これはどのような枠組みを採用するとしても、日韓両国がお互いに排除し合うということは共通の資源を使っているわけでできないわけでございますので、そうなりますと、枠組みをどうするかとは別に実態問題について詰めていくということで、韓国側も現在の事態を放置することはできないという認識を持っている点で、解決する可能性が、大変細い道ではございますけれどもあるのではないか、かように判断しているわけでございます。
 取り締まり権の問題につきましては、確かにいろいろ過去に経緯はあろうかと思うのでございますけれども、船名を隠ぺいしているという現実がある限り、これは今の旗国主義、それぞれの沿岸国が旗国に通報するというシステムでは解決しないことはだれが考えてもそのとおりなわけで、いわば道理でございます。この道理を粘り強く主張することによって取り締まり権の問題も解決を図りたいと考えているわけでございます。
 竹島の問題については外務省から……。
#188
○神田委員 見通しは。
#189
○佐竹政府委員 見通しにつきましては、今申し上げましたように大変細い道であり、困難な問題ではございますけれども、韓国側もこの問題を放置できないというふうに考えている以上、これから精力的に十月まで交渉を続けて、何とか解決したいと考えているわけでございます。
#190
○渋谷説明員 政府といたしましては、竹島の領有権に関する日韓間の紛争は、あくまでも平和的手段によって解決を図るという基本方針に立っております。この基本方針にのっとりまして、外交経路を通じ、韓国政府に対し、韓国の竹島に対する領有権の主張は認められない旨厳重に申し入れるとともに、累次の巡視結果に基づき、韓国が各種の施設を設け、不法占拠を続けていることに対して繰り返し抗議、申し入れを行うなど、外交的な努力を続けております。
 例えば、昨年だけをとりましても、九月の日韓外相定期協議及び十二月の日韓定期閣僚会議の際の外相会談において、また、ことしの五月初めの第二回日韓外相定期協議において倉成大臣からこの問題を提起いたしまして、日本側の立場を明らかにしたところでございます。また、昨年十一月には、例年海上保安庁によって行われている竹島の巡視を行いました。このような日本側の累次にわたる抗議、申し入れに対しまして、韓国側が今のところ応ずる気配がないのはまことに残念でございます。政府といたしましては、竹島問題は日韓国交正常化の際に取り交わしました紛争の平和的解決に関する交換公文にのっとり、外交上の経路を通じ、今後とも粘り強く話し合いを続けていく方針でございます。
#191
○神田委員 終わります。
#192
○玉沢委員長 藤田スミ君。
#193
○藤田委員 まず最初に、農林漁業信用基金法案についてお伺いをいたします。
 今回の法案は、農、林、水の信用補完のそれぞれについては、その制度、業務内容などは独立したままで引き継ぐことは法律上一応明記されておりますけれども、臨調の答申によっていわば無理やり三者三様の組織を一本化する、こういうことになったわけであります。したがって、今後いや応なく各分野でさまざまな変更が迫られることは避けられないことだと思っています、例えば農業信用保険協会が役員を選出する場合も、主務大臣及び理事長の任命制に変わる、こういうこともありますし、あるいは基金協会は保険協会の会員であったものが単なる出資者に変わって、おのずと下からの意見の反映は弱まっていかざるを得ない。少なくとも農業分野では、このように明らかに民主的な後退が出てくると考えざるを得ませんが、この点はいかがお考えですか。
#194
○眞木政府委員 この新しい法人は財団的構成を考えておりますので、会員制の農業信用保険協会のような総会といったものはなくなるわけでございます。しかしながら新法人におきましては、業務の運営に関する重要事項を調査、審議する機関といたしまして運営審議会を設けることにいたしております。この審議会の運営につきましては、農、林、水の各分野の関係者の意向をそれぞれ反映させるため、その中にまた部会を設けることにいたしておりまして、御指摘のございました農業信用基金協会などの意向がそういう場を通じて新法人の業務運営に的確に反映されるようにしていきたいと考えておるわけでございます。数の点で、四十七の都道府県の基金協会が、新しい運営審議会、その中の関係の部会に全員が入ることは難しいわけでございますが、委員でない方につきましても、部会に出席して自由に意見を述べてもらう道を開くという方法もとりまして、今申し上げましたような関係者の意見、意向反映が十分できるような形に運営をしてまいりたい、このように考えております。
#195
○藤田委員 都道府県の協会からは、農業信用保険協会は自分たちの組織であったけれども、これからはもうお上の組織に変わったんだ、こういう批判の声が出ているということだけ申し上げておきたいと思います。
 この問題に関連もありますけれども、前回の委員会でも取り上げました鹿児島市農協の問題について、ここでももう一度お尋ねをしておきたいわけであります。
 農水省は、国としても積極的に関与することを私の質問でもお答えいただきました。ただ、この経営困難の原因となった鹿児島市農協の乱脈融資の実態については、県の問題であるということで国としての解明を避けておられるわけであります。
 私は今、手元にサラ金会社のレイクの有価証券報告書を持っておりますが、それを見ますと、十八期昭和五十五年、十九期五十六年、二十期五十七年、この三期連続で「鹿児島農協」という名前が出てまいります。直接レイクに問い合わせましたが、これは間違いなく鹿児島市農協だということであります。そして、このサラ金会社に十八期で九百二十五万円の融資、十九期で五百六万円の融資、二十期で八百万円貸しているわけであります。それだけではなしに、経営的に困難をきわめながら、この鹿児島市農協は、これも手元に資料がございますが、昭和四十九年から五十四年までの分を見ましても、自民党鹿児島県連に毎年五十万円から百万円の政治献金をしているわけであります。五十四年当時自民党の県連の会長は今の時の人二階堂さんでございますが、農水省は一体こういう実態を御存じなのか。また、地方公共団体から補助金をもらっております市農協が、県レベルの政治団体に献金をするのは違法じゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
#196
○青木政府委員 鹿児島市農協の経営不振の原因につきましては、四十六年ごろから主として不動産業者等に対する大口融資がなされまして、その固定化が大きな原因であるというふうに聞いております。その固定化の実情等につきましては、現在地元で合併計画なり再建計画の詰めの段階で当然精査されているわけでございまして、私ども現在この場でその詳細について御報告できるような実態は把握いたしておりません。
 それから、鹿児島市農協の政治献金の問題でお話しがございましたけれども、鹿児島市農協が政治献金を行ったかどうかにつきましては、農林水産省としては承知をいたしておりません。農協団体が政治活動の一環として政治団体に対しまして寄附を行うことはあり得るわけでございますけれども、この場合におきましても、いやしくも系統団体が政治資金規正法に抵触する等の違法な行為がないように、私ども従来から指導を行ってまいっているところでございます。
#197
○藤田委員 これは明らかに政治資金規正法の第二十二条の三の「地方公共団体から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人」ということで、これにひっかかってくるのじゃないですか、大臣、私があえてこういう問題を取り上げざるを得ないのは、サラ金で随分泣かされているでしょう。しかも、今度そのサラ金に融資していた農協が、三百六十名もの農協労働者が一斉に全部首を切られるというようなことになっているのです。それだけじゃないのです。十億八千百万円の出資金のうちの三分の二の七億二千万円が減資になってゼロになってしまうわけです。そういうような状態で多くの人が泣いているのです。だから私はこの問題を今回も取り上げざるを得ないわけです。
 にもかかわらず乱脈融資の実態というのは、職員にも出資者にもまた準組合員にも犠牲をかぶせて、そしてまさに強権的に推し進めようとしているところに問題がある。だから大臣、直ちにもっと国としてこういう乱脈融資の実態と、それから違法の疑いのある政治献金の問題についても、私はこれは出す方も悪いけれどももらう方も大分悪いと思いますので、そういう点でもぜひ国としてもっと責任のあるお取り組みを要求したいわけですが、いかがでしょうか。
#198
○青木政府委員 鹿児島市農協の再建問題につきましては、系統の信用保持の観点から系統組織内において検討を進めているところであります、国におきましても、県を通じましてその実情把握と適切な指導に努めてまいる所存であります。
#199
○加藤国務大臣 鹿児島市農協は貯金者並びに組合員の数も多いことから、鹿児島市農協の再建を図ることが貯金者の保護並びに系統農協事業全体の信用を維持するために必要であると考えております。このため、農林水産省としましても、県並びに関係団体に対し、鹿児島市農協の再建が円滑に行われるよう指導を行ってきたところでございます。
#200
○藤田委員 政治献金はどうですか。
#201
○青木政府委員 政治献金の問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、その農協が補助金等の交付を受けてから一年以内に、一年を経過しないうちに政治献金をするということは政治資金規正法上許されないことになっているわけですね。ですから、そういった実態があればそれは先生のおっしゃるとおり違法の問題になるわけでありますけれども、私ども、現在のところ鹿児島市農協の政治献金の事実については承知をいたしておりません。その辺のことも含めまして、今後県を通じ、実情等につきましては把握に努めたいと存じております、
#202
○藤田委員 次に、OECD閣僚理事会の問題についてお伺いいたします。
 今回のOECD閣僚理事会で決められたコミュニケを見ますと、将来日本の農業にとって深刻な影響を与えることになると予想される農業改革の諸原則が日本を含めて確認されたわけです、コミュニケでは「農業助成の漸進的かつ協調的な削減」及びデカップリングと言われる「農民の所得支持は、価格保証、あるいは生産、または生産要素に結びついた他の措置を通じて行われるよりも、むしろ、適切な場合には、直接的な所得支持を通じて行われるようにすべき」と書かれております。日本農業へのこの点の影響について、農水省の御見解をお伺いしたいわけです。
#203
○塩飽説明員 私の方からデカップリングの問題についてまずお答え申し上げます。
 農家に対する所得保証と価格支持の関係につきましては従来から種々の議論がございますが、最近におきます主要農産物の過剰問題、その解決をいかに進めるかというのが今回のOECD閣僚理事会における主要な問題認識であったわけでございますが、そのための手法の一つといたしまして、所得の支持が生産に直接結びついた形で行われる場合に過剰生産を刺激しやすいという観点に立ちまして、所得支持と価格支持等のその他の政策を切り離す、これをデカップリングと言っておるわけでございますが、それを過剰解消のための一方策として進めるべきであるという議論が今回の議論の中に一つ大きくあったわけでございます。
 我が国といたしましては、価格支持の方式は国によって違いますし、また生産の状況によりましても所得政策の効果というものはそれぞれ違うわけでございまして、デカップリングを一律に各国の政策の中に適用することには種々問題があるであろうということを強く主張いたしました。その結果、最終的に採択をされました閣僚コミュニケの中には、かかるデカップリング的な政策を推進するに当たっては、適切な場合にこれを採択すべきであるという考え方が取り入れられまして、一律にデカップリングを進める考え方は排除されたわけでございまして、我が国の主張が一つ盛り込まれた点でございます。
 それから、そのほかの問題につきましては、先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますように、長期的には各国の農業支持政策を漸進的に削減するという方向が打ち出されておるわけでございますが、我が国といたしましては食糧自給率の非常に低下している実態、あるいはその裏腹といたしまして輸入農産物に対する依存率の大きさ、農産物の大輸入国としての立場が十分反映されるように主張いたしまして、食糧の安定供給の確保など、経済性以外の側面についての配慮を同時に加えていく必要があること、あるいは農業改革を進める場合におきましても、各国のそれぞれの立場、輸入国、輸出国の立場、あるいは輸入国でも自給率の低いあるいは高い状況に応じて対応が可能となりますように、均衡のとれた対応が必要であることが認識をされたわけでございます。また、政策の選択に当たりましても弾力性を認める必要があるということも盛り込まれたわけでございまして、これらの点がすべてコミュニケの中に盛り込まれたことによりまして、我が国の今後の農政の展開におきまして一応対応が可能になったものというふうに理解をいたしております。
#204
○藤田委員 デカップリングについても「適切な場合には」と入り、日本の主張がコミュニケの中に入ったというわけですが、しかし私は、基本的にこのコミュニケに同意をした日本として、そういうことでよかったですねというようなものではないと思うわけです。
 農業助成の削減についても、従来臨調行革で削減し続けてきたものを、今後は国際的な約束事だということで国内的に押しつけてくる。しかも、これは長期にわたって将来的にというようなことになってくるわけなんですね。結局、新たな農業破壊の約束を行ってきたというふうに私は思わざるを得ないわけで、そういう歴史的役割を大臣は果たしてこられた、大変遺憾だというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#205
○加藤国務大臣 私はたびたび申し上げておりますが、今回のOECD閣僚理事会におきましていろいろなことを訴えたわけでございますけれども、その中で今先生の言われた問題についてお答え申し上げます。
 私が主張した中の一つに、我が国は過去数年にわたって農業保護の助成の削減を一七、八%行ってきておる、アメリカ並びにECは、六十数%あるいは九十何%その間に助成を増加しておる、よって、助成をふやしておる国が一番に削減すべきである、また、我が国は世界最大の農産物の輸入国である、したがって、今回の世界における農産物貿易の不況、停滞あるいは過剰在庫といった問題は本来輸出国の責任である、我が日本は世界農産物貿易の維持拡大に貢献し続けてきておる、こういったことを申しておるわけでございますし、そこら辺がコミュニケに入れられておるわけでございます。
 先ほどお答え申し上げましたように、食糧自給率の低い国、そして輸入大国という立場を考えたコミュニケにいたしてみたり、あるいはまた、政策の選択はそれぞれの国の自由に任すという意味を入れたりなんかいたしまして、日本の立場をはっきりコミュニケの中に入れたわけでございまして、そういう点、大きい、重い約束を背負って帰ったとは考えておりません。
 しかし、申し上げておきたいのは、そういう主張はいたしましても、今回の世界的なこういう農産物不況という中において、やはり日本も全然責任がゼロとは言えない、何がしかの責任はございますということを認めたのは事実でございます。そしてまた、これから農業補助に対する削減を、順次それぞれの国の事情に適しながらやっていくということも私は認めました。農政審の報告を昨年十一月にいただいておるわけでございますが、端的に申し上げまして、今回のコミュニケの線と農政審の二十一世紀の我が国農業を目指しての基本的な考え方は一致しておると思ったわけでございまして、農業における改革を外国に要請されてするものではなくして、日本国民の自覚によって、そして国民の英知を結集してやっていくという立場は堅持しておるつもりでございます。
#206
○藤田委員 それじゃ大臣にもう一度お伺いしますが、大臣はOECDに出席される直前に、農家にも汗の出る、血の出るような努力をしてほしいと言ってきたが、これからは血を出して努力をしてほしい、血を出してくれとおっしゃったわけです。OECDに出席される直前に血を出してくれとおっしゃった、OECDから帰ってこられた今も農家に血を出してくれとおっしゃるわけですか。
#207
○加藤国務大臣 例えば昨年決定し、今各農家にお願いいたしております水田農業確立対策というものは、農民にとって大変厳しい、血を流してもらう要求になっておると私は考えております。田んぼの減反目標平均三割もやっていただくということ、私はそういうことを指して申し上げておるわけでございまして、生産者も国内の消費者、すなわち国民に理解していただき、納得していただき、応援していただくためには血を流していただきたいということは、私はどこへ行っても、日本国内あるいはまた外国へ行っても申し上げておるところでございます。
#208
○藤田委員 このOECDが終わりましたときに、新聞の記事の中で、農産物の輸出国間の対立のとばっちりで輸入国日本の補助金を削れというのはかなわない、これは外務省の経済局の方の御発言でありましたが、私はその上に、さらに大企業の輸出ラッシュで大幅にふやされた黒字を解消するために、日本の農家や日本の食糧が犠牲にされるのほかなわないというふうに言わざるを得ません。いみじくも大臣は、コミュニケの考え方は農政審の方向と一致している、日本独自でやるんだとおっしゃるけれども、しかしもともとこの農政審の方向とコミュニケの方向とは一致しているんだということで、農民にこれ以上血を流せという言い方は、本当にどういうふうに考えて言っておられるのか、私は理解に苦しみます。あなた自身が、つい先日の一斉地方選挙で自民党の大敗北の原因として、農業切り捨て論に対する相当の抵抗があることを感じた、そういうふうにおっしゃったばかりじゃありませんか。私は、日本の農民にはもう流す血もなくなってきているというふうに言わざるを得ませんが、大臣、どうなんですか。
#209
○加藤国務大臣 血を流すという意味が、受け取り方に誤解があってはいけませんが、先ほど申し上げましたように、水田農業確立対策を誠実にことしやっていくことは血を流すことにつながる、私はこう思っておるわけであります。あるいはまた、いろいろな農産物についてある面では生産制限、ある面では数量制限等をやらざるを得ない事情、これも私は農民の皆さん方に血を流していただいておる、こう思うわけでございます。
 ただ、一番恐れますのは、先ほど先生がおっしゃいました今日の日本の貿易、経済問題をとらえて、輸出メーカー、輸出産業がどんどん輸出するから農業が痛めつけられるんだという論理と、農業が開放しないから、市場アクセスを改善しないから諸外国の日本に対する経済摩擦の非難の声がさらに大きくなってくるんだという、国内世論が二つに分かれるようなことだけは何としても調整していかなくてはならない、そこら辺に今日の日本国内を考えた場合の重要なポイントがあると思います。
 そしてまた、選挙中あるいは国会で申し上げました農業切り捨て論が選挙云々ということは、私は今回の選挙でいろいろなところで申し上げました。またオーバーな表現をすると、今日の日本の情勢を考えるときに、農業が全滅するか日本農業が生き残れるかという大変厳しい立場に置かれておる。その日本農業が生き残っていくためには、私は生産者である農民の皆さん方も大変な努力をお願いしたい、それが私の表現いたしました血を流すという、決意といいますか気持ちといいますかお願いの気持ちのあらわれでございます。
#210
○玉沢委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後四時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時二十六分開議
#211
○玉沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。藤田スミ君。
#212
○藤田委員 けさも問題になりましたけれども、今農業問題で多くの誤った議論や試算が数多く出されているわけです。そしてそれに基づいて農業に対する攻撃が行われています。例えば国内で言えば、三月十日付の三菱銀行の調査特報、国際的に言えば農業保護水準を示すOECDのPSE、こういうことだと思いますが、この二点について農水省の御見解をお伺いしたいと思います。
#213
○甕政府委員 ただいまお話のございました三菱銀行の調査で、農畜産物の価格支持をやめればこうなる、例えばGNPが一%上昇するといったような見解が表明されたことは承知をしております。ただ、これは農産物の価格支持を撤廃することを前提としておるわけでありますけれども、そもそも価格政策というものは、農産物の生産が天候等自然条件の影響を受ける、生産価格が不安定になりやすいというような性格から、価格の過度の変動を防止する、あるいは消費者家計、農業生産の安定を図るといった趣旨で、主要な農産物についてそれぞれの目的に応じてこれは設けられておるものでございますから、試算とは申しましても、こういった趣旨を無視いたしまして、仮定のもとで議論されるということは適当なものではないと考えております。
#214
○塩飽説明員 OECDにおきますPSE、CSEの問題点等につきまして御説明申し上げます。
 PSEあるいはCSEというふうに略称いたしておりますが、政府などによりとられております政策がなくなった場合に、所得維持の見地から、生産者なりあるいは消費者にどれだけ補てんしなければいけないかということをあらわしたものといわれております。具体的には、品目ごとに農家等の受取額に対しまして、内外価格差のほか各種の政府の助成額を単純に加算して、割合あるいは絶対額で出すものがPSEでございます。
 これにつきましてはいろいろな問題点がございます。全部は非常に長くなりますので、主な問題点を申し上げますと、御承知のように、農業政策は単に農業者の経済的な条件の改善だけのためにとられているわけではないわけでございまして、食糧の安全保障ですとかあるいは国土の保全、地域の均衡ある発展等、経済的な論理だけでは包摂されない多目的の目的のために実施されているわけでございますが、PSEの計算に当たってはそういった要因が必ずしも十分に反映されない点がございます。
 それからもう一つの問題点といたしましては、国によりまして農業を行う土地条件なりあるいは自然条件、それから歴史的な背景によりまして生産条件が非常に違っているわけでございます。それに応じまして構造政策など政策措置の必要性、具体的な政策の内容が変わってきているわけでございますが、そういったことについても、これがPSE上反映されないという問題がございます。さらにまた、内外価格差がその要素の一つに含まれているわけでございますが、この内外価格差の計算上、当然外国の価格との換算の問題が生じてまいりまして、その結果、為替の変動の影響をどういうふうに見るか、あるいは外国から供給される価格には当然当該国の輸出補助金等による効果が反映されているわけでございますが、そういった輸入国のコントロールのきかない他律的な要因によってPSEが非常に影響を受けるというような問題もございます。
 さらにまた、我が国のように自給率が非常に低い、その反面、海外からの農産物の輸入に大きく依存している国の姿というものがPSE上必ずしも的確に取り入れられないというような欠点もございます。そういった幾つかの問題がございますので、これまでのOECDの検討におきましても、我が国はこれらの点につきまして繰り返し主張してきたわけでございます。その結果は、今回コンセンサスによりまして承認の対象になりました農産物貿易スタディーの総合報告書におきましても、今申し上げたような問題点があることが的確に記載をされております。また、それを踏まえまして最終的に採択になりましたコミュニケにおきましても、PSE、CSEという言葉は使っておりませんけれども、OECDで開発された手法を今後はさらに改善していく必要があるのだということが規定をされております。
 私どもといたしましては、こういった概念が将来におきます交渉で直接的にこれが交渉の対象になる、あるいは交渉の基礎として使われるということが一番問題であるというふうに認識をいたしておりまして、今申し上げたような問題点を踏まえて、これが今後の交渉などに直接的に使われて、我が国に大きな影響を及ぼさないように十分注意をして取り組んでまいりたいと思っております。
#215
○藤田委員 私もおっしゃるとおりだと思うのです。特に一九七九年から一九八一年、期間のとり方ではこの期間の平均値をとっておりまして、その後アメリカの輸出補助金やマーケティングローンなどの本格化がされている、そういう実情というものは正確に反映していないわけであります。
 ところで大臣、この問題は日本のマスコミが大々的に宣伝をしているわけです。もう本当にショッキングな宣伝の仕方をしておりまして、だから日本の国民に農業保護の誤った印象を与えてしまっていると思うのです。したがって私は、農水省としても、このOECDから出されたPSEというものについてはもっと正しい見解を明らかにして、国民の認識を正していくべきじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#216
○加藤国務大臣 私もPSE、CSE問題、大変重要に考えておりまして、あるいはもうお読みいただいておるかと思いますけれども、閣僚理事会においてもこの問題にも触れまして、いろいろ言っております。
 いみじくも先生がおっしゃったと同じように、過去この数年をとると、我が日本は補助金を一七%削減しておる、アメリカ、EC、国はわざと挙げなかったのでありますが、二倍近く補助金をふやしておる国があるということで、最初からこの問題については数字がひとり歩きしまして、その根拠やウエート、中身が議論されないままにひとり歩きするということは非常に危険であるということでいろいろ意見を言い、ペイユ事務総長が一、二カ月前に日本へわざわざ来られたときにも、私はその問題点を指摘しておいたわけでございます。今回のコミュニケで、最新のものとし、そしてまた改善していくということを入れさすことができたのはせめてものと思いますけれども、農水省としては、国民各界各層の皆さん方に誤解を与えないためにも、このPSE、CSEの問題は、正しい解釈の仕方あるいは間違っておる点を今後相当PRしなければならないと考えておるところでございます。
#217
○藤田委員 昔から「一人虚を伝うれば万人実を伝う」ということわざがございまして、だれかがでたらめを言い出すと、ありもしないいいかげんなことを言い出すと、多くの人がそれを事実として世間に広めてしまうということわざであるわけですが、私はどうも中曽根さんの政治を見ておりますと、そういう虚を利用してアメリカとか財界の意向を強引に組み入れていこうとする、そういうふうに思えてなもないわけであります。PRしていくということでございますのでぜひともPRをしていただいて、国民のコンセンサスというその前提には、やはり必ず正しい認識を確保する、データというものも正しいものでなければならないと思いますので、特にお願いをしておきたいと思います。
 カナダは、OECDのPSE作業のアプローチは有用ということで、早速その指標をウルグアイ・ラウンドで活用しようと考えているわけであります、そこでお伺いいたしますが、今後予定されているベネチア・サミットに対して一体どう対応しようとしておられるのか。OECDではそのウルグアイ・ラウンドについて、交渉の雰囲気を悪化させるような行動を差し控える、こういうふうに言っておりますですね。私は何かたがをはめられたなというふうに思わざるを得ないわけですが、この点はいかがでしょうか。
#218
○加藤国務大臣 私は、帰ってまいりまして中曽根総理に報告申し上げたときに、ベネチア・サミットにおいては、短期的措置がアメリカとECの間で大分問題になるのではないかと思いますという御報告と、先ほど御質問がありましたが、デカップリングにつきましてカナダとECの間の論争があるいはあるかもわかりません、そういう全体の問題を通じてあるいは日本に飛び火が来るかもわかりませんが、OECD閣僚理事会で決まった枠内、土俵の中で大体やるのではないかと思います。そしてパリからイタリーの方へ外務省の高官が飛んでいくことになりましたから、その高官に対して私はパリで、OECDのコミュニケの枠内でやるようにということの根回しを十分にするようにとよく言っておきましたが、そこら辺が問題になるのではないかという、これはもちろんわかりません、私の感じでございます。
 それからウルグアイ・ラウンドの問題につきましては、私、今回のOECDで一番心配し、頭を悩ましたのは、農業問題だけが突出して、先に解決しようという一部の国の考えがあったわけでございますが、他のものと並行して一般的に、包括的にやるように実は努力したわけでございますけれども、そこら辺の問題も――ウルグアイ・ラウンドの成功は期していかなくてはなりません、そしてまた日本も積極的に参加していかなくてはなりませんけれども、農業だけが突出して特別な議論を行うことは避けることができたと考えております。
#219
○藤田委員 大臣は先ほど、日本の農業は今全滅するかどうかの瀬戸際にあるとおっしゃいましたけれども、本当は私は、日本の農業がそういう瀬戸際までに立たされているとしたら、まさにその責任を大臣に感じていただきたいなというふうに思うわけです。本当に日本の農業を守り、発展させる立場に立ち切らなければならない。大体、大臣もおっしゃっておられますが、日本と比べて対照的なのがECですね、ECでは、日本が自給率を下げ続けているときに、農産物の自給率を高めて輸出をしていくというような大きな変化を遂げております。私はそういうことと比較すると、日本の農政というのは本当に自主性がないな、農民を本当に大事に考えているのかというふうにいつも考えざるを得ないわけであります。
 最後になりますけれども、米価の問題については白紙だとおっしゃいました。そこで、新聞報道では五%程度引き下げるんだというようなことも書かれておりますけれども、OECDの農業助成の削減の結論をことしの米価にリンクさせようと考えておられるのかおられないのかこの点が一点です。
 それから、先日の予算委員会においても、米の輸入自由化の問題について我が党が質問しましたけれども、総理は国会決議を尊重したいという発言に終始されておられます。RMAは米問題で再提訴との動きもありますので、ガットのウルグアイ・ラウンドでも米を議題にすることについて、これが輸入の自由化を阻止し、米の一〇〇%自給を守るという点で大臣はどういうふうなお考えをお持ちなのかどういう態度を貫こうとしておられるのか、最後にこれだけお伺いをしておきたいのです。
 大変恐縮ですが、厚生省からわざわざお見えですので、もう一点厚生省にもお答えいただくために三点目。
 現在、米の輸入自由化を先取りする形で、米粉の調製品の輸入が急増しております。円高の進行によって、米の粉の調製品の精製コストを含めても現在の加工米よりも安くなっているわけです。農林水産省としてその輸入の実態、国内の流通についてつかんでおられるのか。それから、調製品ですから米粉以外のものをまぜてこなければならないわけです。それを振り分けているわけですが、その安全性について厚生省の方からお示しをいただきたいわけです。
 以上です。
#220
○後藤政府委員 米粉の調製品につきましては、昨年まで貿易統計上穀粉調製品ということで、小麦粉の調製品と区分されておりませんでしたので正確な把握ができておりませんけれども、輸出国別の統計から推定をいたしまして、約一万一千トン程度と推計されます。ことしに入りましてからは、関税局に話をいたしまして、米粉が五〇%以上入っているものにつきまして統計上わかるようにしていただきまして、一−三月の第一・四半期で二千八百トンという実績になっております、
 米、米粉それから米飯とかもちは輸入制限品目でございますが、調製品になりますと昭和三十七年から自由化されているということでございまして、最近国際的な穀物価格の低下と円高の急速な進行ということで輸入が増加をしているというふうに見ております。私どもも米の大卸でございますので、関係業界には国内米の愛用ということを日ごろからお願いをしておりますし、それから、今回の水田農業確立対策で他用途利用米の拡大ということで、あられとか米粉用のモチ米、こういうものを三万三千トン安く供給するというようなことで国内米の需要の確保を少しでも図っていきたいということで努力しておるところでございます。
#221
○大澤説明員 我が国に輸入されております食品等の輸入時における安全性のチェックにつきましては、各検疫所ごとにおいて過去の違反状況あるいは使用が予想される添加物等、これらを考慮して検査を実施しておるところでございますが、今御質問の、米粉を主要原料とする米粉調製品につきましては添加物の使用状況が検査の主たるものとなっておりまして、過去五年間の違反の状況でございますが、添加物の使用基準、これの違反が一件ありまして、これについてはもちろん廃棄処分を措置しております。今後とも輸入食品等の安全確保につきましては監視指導に十分努めてまいりたい、かように考えております。
#222
○加藤国務大臣 米価については、たびたびお答えいたしておるように白紙でございます。
 それからまた、自給決議、これは憲法の条項が、国会は最高の決議機関であり、唯一の立法機関であるというその前半の部分が私は頭の中にはっきり入っております。OECDのコミュニケ等によって、それに従って米価を下げるとか下げないとかいうことはありません、外国の要請や何かにおいて国内産価格をやるのではなくて、これもたびたび申し上げております国民のコンセンサス、理解と納得の上にやっていくということでございますので、圧力によって云々ということはないということをはっきり申し上げておきます。
#223
○藤田委員 時間が過ぎていますので、これで終わります。ありがとうございました。
#224
○玉沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
#225
○玉沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、農林漁業信用基金法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#226
○玉沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#227
○玉沢委員長 この際、本案に対し、月原茂皓君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田中恒利君。
#228
○田中(恒)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合、日本共産党・革新共同を代表して、農林漁業信用基金法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   農林漁業信用基金法案に対する附帯決議(案)
 政府は、農林水産業の振興を図る上で金融の果たす役割が益々重要になっていることにかんがみ、今後とも農林水産金融制度の充実に努めるとともに、本制度についても、左記事項に留意し、これらと一体となった運用ができるよう万全の体制を確立すべきである。
       記
 一 最近の金融情勢の変化等に対処し、農林漁業経営等に必要な資金の円滑な融通を図るため、信用補完事業の機能が十分に発揮できるよう、組織・財務基盤の強化、債権管理の適正化等の体制を整備し、本制度の適切な運用に努めること。
 二 新法人の設立の趣旨、沿革等にかんがみ、今後とも出資者、利用者等関係者の理解と協力が得られるような業務運営体制を整備し、その的確かつ効率的な運用に努めること。
  なお、新法人の業務を円滑に行うため、必要な役職員数を確保し、適材適所による人員配置を行うとともに給与等の雇用条件については不利益を生ずることのないよう措置すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
#229
○玉沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 月原茂晧君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#230
○玉沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤農林水産大臣。
#231
○加藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努めてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#232
○玉沢委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#233
○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#234
○玉沢委員長 内閣提出、集落地域整備法案を議題とし、審査に入ります。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。加藤農林水産大臣。
    ―――――――――――――
 集落地域整備法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#235
○加藤国務大臣 集落地域整備法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 近年、集落及び周辺の農用地の地域において、いわゆる混住化、兼業化の進展等により、虫食い的な農地転用による農業生産機能の低下、無秩序な建築活動による居住環境の悪化等の問題が生じております。他方、生産性の高い農業の確立と良好な都市環境の確保に対する要請はますます強くなっております。
 このような状況に対応して、良好な営農条件及び居住環境の確保を図る必要がある集落地域について、農業の生産条件と都市環境との調和のとれた地域の整備を推進するとともに、適正な土地利用を実現することが重要な課題となっております。このため、集落地域の計画的な整備を推進する制度を創設することとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、都道府県知事は、都市計画区域内であり、かつ、農業振興地域内である集落地域について、その整備または保全に関する集落地域整備基本方針を定めることとしております。
 第二に、市町村は、集落地域整備基本方針に基づき、集落地域の特性にふさわしい整備及び保全を行う必要がある場合には、都市計画に集落地区計画を定めることができることとしております。
 集落地区計画の区域内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築等の行為を行おうとする者は、市町村長に届け出なければならないこととしております。
 第三に、市町村は、集落地域整備基本方針に基づき、農業振興地域整備計画を達成するとともに、集落地域の特性にふさわしい農用地及び農業用施設等の整備を一体的に推進する必要がある場合には、集落農業振興地域整備計画を定めることができることとしております、
 集落農業振興地域整備計画の区域内にある一団の農用地の所有者等は、農用地の保全及び利用に関する協定を締結し、市町村長の認定を受けることができることとしております。
 また、この協定の締結等を促進するため、市町村は、一定の農用地に関し、交換分合を行うことができることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#236
○玉沢委員長 次に、補足説明を聴取いたします。鴻巣構造改善局長。
#237
○鴻巣政府委員 集落地域整備法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一に、集落地域整備基本方針の策定であります。
 集落地域整備基本方針には、集落地域の位置及び区域、土地利用に関する基本的事項などを定めるものとし、このうち一定の事項について、農林水産大臣及び建設大臣の承認を要することとしております。
 第二に、集落地区計画の策定であります。
 集落地区計画には、当該集落地区計画の区域の整備及び保全に関する方針、集落地区整備計画等を定めるものとし、集落地区整備計画においては、集落地区施設の配置及び規模、用途の制限等建築物等に関する事項並びに土地の利用に関する事項のうち必要なものを定めることとしております。
 また、集落地区整備計画が定められた区域内において、市町村長は、届け出に係る土地の区画形質の変更、建築物の建築等の行為が当該計画に適合しないと認めるときは、設計の変更等必要な措置をとることを勧告できることとするとともに、当該計画の内容に関し、必要に応じ、市町村の条例で、建築基準法上の制限として定めることができることとしております。
 さらに、集落地区整備計画に適合して行われる開発行為については、市街化調整区域内における開発行為の基準に該当するものとして開発許可をすることができることとしております。
 第三に、集落農業振興地域整備計画の策定であります。
 集落農業振興地域整備計画には、土地の農業上の効率的な利用に関する事項並びに農業生産の基盤の整備及び開発、農業の近代化のための施設の整備等に関する事項を一体的に定めることとしております。
 集落地域における農用地の保全等に関する協定につきましては、市町村長は、協定の内容が集落農業振興地域整備計画の達成に資するものであることなどの要件に該当するときは、認定するものとしております。
 また、認定を受けた協定の区域内の一団の農用地の所有者の要請に基づき、市町村が農用地区域を定める場合には、一定の手続を省略できることとしております。
 さらに、協定の締結を促進し、またはその維持を図るため、特に必要があるときは、市町村は都道府県知事の認可を受けて、協定区域に係る一定の農用地に関し、交換分合を行うことができることとしております。
 なお、このほか、建築基準法、都市計画法、農業振興地域の整備に関する法律その他の関係法律について所要の改正を行うことといたしております。
 以上をもちまして、集落地域整備法案の提案理由の補足説明を終わります。
#238
○玉沢委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#239
○玉沢委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#240
○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、来る二十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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