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#1
第108回国会 本会議 第5号
昭和六十二年二月三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和六十二年二月三日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
 議員請暇の件
    午後二時二分開議
#2
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(原健三郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。塚本三郎君。
    〔塚本三郎君登壇〕
#4
○塚本三郎君 私ども日本国民が敬愛してやまなかった高松宮宣仁殿下の御薨去に対し、心から哀悼の意を表します。
 私は、総理の施政方針演説に対して、民社党・民主連合を代表して、民社党の主張を述べつつ質問いたします。
 昨日、自民党税制改革推進本部長の伊東政調会長らは、党本部に各省庁の官房長を呼び、売上税導入を中心とした税制改革法案の早期成立に向け、各省庁の協力を要請した。これに対し、各省庁は、いずれも所管団体の説得など、それぞれの立場からの協力を約したと報道されております。憲法第十五条に「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と明記されております。これは明らかに憲法違反であります。また、既に各省は、所管団体に圧力をかけ、売上税に反対する者は許認可を考えねばならぬと恫喝しているところが出ております。これは職権の乱用であり、綱紀の紊乱であります。ゆゆしき事態と言わなければなりません。総理大臣として、自民党総裁として、まずその姿勢を正さなければなりません。その対応によっては、私どもは異常な状態を余儀なくされるでありましょう。(拍手)
 日本は、今ただひとり、極めて不透明な荒野に立たされております。そこには前を示す教科書もなければ教師もおりません。日本が兄貴と頼り、教師とあがめたアメリカは昔日の面影もなく、ただいら立ちのどなり声のみが大きく響いてまいり、西の中国もまた、洋々たる前途を控え自由化を目指す友と信じて疑わなかったのに、自由化の指導者が後退して揺れ動き、仲よく協力してきた途上国は、今や日本の第二次産業を決定的に脅かす恐るべき経済競争の巨大なライバルと化してしまいました。一体日本はこれからどうすべきか。戦後の日本は貿易立国としてひたすらに走り続けて四十年、今世界一の貿易大国としての実績を築きながら、その先頭に立つ者の宿命を味わわされております。
 さきの中曽根総理の施政方針は、言葉は美しく、そして、前途に華やかなバラ色の幻想を振りまかれましたが、今国民は前述のごとき混迷の中で途方に暮れて、解決の方向を失い、このままでは日本経済は崩壊すると叫ぶ人、日本は世界から孤立すると憂うる人、おれたちは何をして生きていくのだと迷う人、マネーゲームだけが天井を超えてこれでよいのかと訴える人々に総理は何一つこたえてはおられません。(拍手)特に、貿易に携わるものはひとしく米ドルがこの先どうなっていくかが最大の課題であります。二百円ならば妥当であるが百八十円では苦しい、しかし何とかやってみせる。しかし、百五十円ではやっていかれるはずがない。これをどうしてくれるか。あなたが今こたえなければならないのはこの一点に尽きます。
 大蔵大臣が行かれてなお不透明ならば、総理みずからがなぜ動かれないのか。一体あなた御自慢のロン・ヤスの関係はどうなったのか。このときにこそ両国のために生かすべきでありましょう。(拍手)あなたが東欧に飛ばれるよりも、なぜ今このときにワシントンに行かれないのか。そして、アメリカがドルの垂れ流しを改めること、それでもなお聞いてくれなければ、某生保の社長が言われたごとく、これ以上アメリカの債券を買って損を重ねることはできなくなるとなぜ叫ばれないのか。ドルを下げても、台湾、韓国などとの関係をも改めなければ事態の解決にならぬことも強く言うべきでありましょう。反面、そして日本はもっと輸入をふやしまてまた、これこのとおり内需拡大のためにこれだけの予算をとり、法的措置をとりますと約束し、実行すべきでありましょう。
 加えて、国民には円高は悪いことばかりではないと叫ばれたそのメリットを、もっと国民の目にはっきりと映る政策を敏感に打ち出すべきであります。円高はG5という政治施策によってなされたことを国民は片時も忘れておりません。円の行き過ぎを戻すのは、これを仕掛けた日本政府の責任である。総理はこれにどうこたえられますか。
 昨年の暮れから本年正月にかけ、私は、産業構造の変化に伴う不況対策のため全国の不況地域を回り、不況の深刻な実態を調査し、その対策に心血を注いでまいりました。
 明治以来の企業城下町が、その産業の崩壊とともに町自体が壊滅の危機に直面し、鉄の町、造船海運の町、繊維の町、鉱業の町、明治以来、否徳川時代からの町が産業とともに戦後の日本を支えてきたが、重厚長大の衰えていく産業構造の変化に対応すべく必死の努力を続けつつある途中で、途上国の追い上げに足をすくわれ、一年で四〇%という円高の高波にひとたまりもなく押し流されつつあります。円高さえこなければ予定のごとく体質の改善と一部の転換によって必ず生き残れたであろうという叫びに、私は政治家の一人としてその責任を痛感いたしてまいりました。
 巨大企業が閉鎖するときには、まずその下請は一片の通知で切り捨てられ、従業員は職を解かれ、これらの人は六十万人とも九十万人とも推定されます。国鉄はみずからの責任で立ち行かなくなって、なお手厚い雇用対策を受けているのに、おれたちはどうしてくれる、戦後の日本のために、鉄は、造船は、繊維は、海運は、鉱山は、みんな日本を支えた最大の功労者であったはずだという叫びに総理は何とこたえられますか。政府は、一千億の予算で三十万人の雇用対策を説かれましたが、総理、単に形だけを整えるのではなく、あなたみずからが、国鉄と同様これらの不況産業に働く労働者の雇用確保のために各省庁に対策をとるよう具体的に指示すべきであります。
 完全雇用の確保は政治の最大の責務であります。民社党は、各党に先駆けて雇用開発促進法の制定を提唱いたしました。縦割り行政の枠を超えて、雇用の確保に各省庁の施策を一本にまとめ、産業雇用開発機構を設立すること、不況地域で企画、立案された事業に対し公共事業の優先発注を行うこと、失業者を出す前に、一定期間労働者を抱えながら企業の責任において再就職先を探す場合、その賃金の全額を助成すること、再就職先の情報やそれに必要な職業訓練の情報を収集、提供すること、これらの事業に必要な資金を産業投資特別会計、雇用保険特別会計から投入することなどについての総理の御見解を伺いたい。
 売上税について。
 我が国税制については、中堅所得者の重税感の解消、サラリーマンと他の所得者との不均衡の除去、累進税率の緩和、法人税の軽減等々、世界で最も高率の所得税、法人税の軽減は私ども民社党が何年も前から主張し続けてまいりました。政府・自民党は、財源の不足を理由に毎年これを拒否し続けてこられました。しかるに、昨年の春突然、所得税、法人税の減税を中曽根総理みずからが主張されました。これは明らかに選挙目当てと受け取られました。特に年収四百万から八百万円までの中堅サラリーマンの生活は大変である。高校、大学に通う子供の学費の支払い、あまつさえ住宅ローンの支払いに追われている。これらの人たちに大減税をと訴えられたその日ぶりは、まさに民社党の主張そのものでありました。
 だが、今回の税制改革案は、総理の公約とは異なり、中堅所得層のうち年収六百万円までは減税ではなく増税となってしまい、政府の改正案は、売上税という名の大型間接税を導入するための口実に減税という言葉を利用したにすぎないと言わなければなりません。そのことあるを察知した私どもは、衆参同日選挙中、大型間接税反対の主張を繰り返しました。総理は、選挙戦を通じて、国民や自民党が犬型間接税とみなすものは絶対に導入しないこと、そして、政府税調で決めても反対すると強く公約されました。しかるに、今回の売上税は、総理お得意の小細工が幾段階にも施されてはおりますが、大型間接税であることは紛れもない事実であります。現に山中自民党税制調査会長は「売上税を導入すれば中曽根総理はうそをついたと思う。公約違反だと思う」と堂々と述べられ、かくて自民党東京都連、京都府連、岡山県連などが、国民の怒りにこたえざるを得なくなってか、はたまた良心に耐えかねてか、堂々と売上税導入反対を決議されたことは前代未聞の出来事でありましょう。
 さらに今回の政府案は、一つの大きな誤りを糊塗するために次々と誤りを重ねてしまいました。すなわち、年商一億円以下には非課税措置を設けましたが、生産及び流通段階で非課税業者が入ると、税額控除票を得られない次の業者が全額を負担せざるを得ず、結局課税業者にならねば仕事が与えられない結果となる。あるいはその分をあらかじめ値引きして契約せざるを得なくなる。かくて、ついに一億円以下の業者は課税業者となることもできると妥協案をつくられました。国の税金を、納税者が自分の選択によって税を納めるか否かを選択できるような法律がいまだかつてあり得ましょうか。(拍手)
 また、大蔵省原案では、生活にかかわりのある七品目の非課税が、二週間の間に、非課税を求める業界の圧力によってか、五十一品目にふえたことはどうしたことでございましょうか。これは新たなる利権政治をもたらすものと言われ、全く不明朗であり、財政民主主義の根幹を否定するものであります。これに比べ、イギリスの場合は、付加価値税のために三年の準備期間を設け、延べ二万二千回の講習会を開き、その結果、この税制のために二万四千人の税務職員を新たに設けたではありませんか。またアメリカは、税制改正の際、今回の売上税を検討しながら結局導入を取りやめたのは、納める側の論理としてはよくない方法だという点にあり、納税者の納税コストが大きく、また、徴税のための人員も多いということでありました。中曽根総理、あなたの総理大臣としての第一の使命は行政改革であったはずでありましょう。増税しやすい仕組みは必ず大きい政府、重税国家とならざるを得ません。土光さんが、行革は道半ばと叫んで引かれたことを忘れないでほしい。
 今、我が国経済は構造不況にあえいでおります。第二次産業が悲鳴を上げ、辛うじて第三次産業が健闘しているとき、この第三次産業に冷水を浴びせれば一体日本経済はどうなるか。まさに日本経済全体の命取りになると言わざるを得ません。(拍手)生産部門は下請制度や協力会社組織でがっちりと縦割りで組み立てられ、流通部門また伝統的に川上から川下にと素材、生産、加工、流通、問屋、小売等々、日本経済の特有な生産構造、販売構造ができており、それが日本の産業、経済に独特の力を発揮してまいったはずであります。そこへ大蔵省役人が土足で踏み込み、勝手に控除票を示せということは、納税より先に、経済構造そのものを攪乱することになるとお気づきになりませんか。(拍手)経済の仕組みを知らざる者の思いつきによって、税さえ納めさせればよいという発想に業界は怒りと混乱の極に達しております。
 今、日本経済は円高と貿易摩擦の吹雪の中に懸命に耐えんと必死の努力を重ねております。その最大の焦点は、政も官も財も内需の拡大に言葉を合わせております。このとき、売上税の導入は内需拡大に致命的な打撃となります。去る二十一日、宮澤大臣はワシントンでベーカー財務長官と会われた折、同長官から、この売上税の導入によって日本経済はデフレに陥ると懸念を表明されたはずであります。山中税調会長は、去る一月十八日の民放テレビで、「国民には買わない権利があるのだから増税になるとは断定できない」と話しておられました。しかし、売上税がまさか消費を抑えるための税制ではないはずであります。
 一国の総理が、選挙に際し繰り返し約束された公約を公然と破り、なお、言いわけのために一つの過ちを糊塗するために次のさらに大きな過ちを重ねて、ついに百害あって一利なしともいうべき悪税と化してしまったことは、そもそもその出発そのものに誤りの根源があったことを御反省なさるべきであります。これは議会政治の根幹を崩すものと言わざるを得ません。よって、政治に対する国民の信頼を回復する道は、直ちにこの売上税の導入を撤回することであります。(拍手)
 また、マル優制度は、その限度管理の施策が一歩前進したばかりなのに、一部に不正利用があるという理由だけでこの制度を廃止し、二〇%の課税を強行することは本末転倒であると言わざるを得ません。高齢化社会が進行している今日において、マル優制度の重要性は一層高まっており、一挙にこの制度を廃止することは断じて容認できません。この見地から、マル優制度廃止は撤回するよう要求いたします。
 さて、私ども民社党は、税制についてまず中堅所得者の重税感の解消を目指し、累進税率を緩和するとともに、扶養控除を現行三十三万円から四十万円に引き上げ、妻の内助の功を評価する二分二乗方式を導入し、加えて住宅、教育、パートなどの政策減税を拡充すべきであると主張いたします。一方、法人税については、構造不況、円高不況に苦しむ企業の活力を引き出し、それを通じて雇用を守るため、法人税の基本税率を引き下げるべきであると主張いたします。加うるに、投資減税の拡充と設備の法定耐用年数の短縮を実現することによって企業の競争力を高め、産業各分野の活力を呼び起こすため、五カ年計画で所得税、法人税、総額五兆九千億円の国民減税を断行するプランを用意いたしております。
 民社党は、その財源として、行政改革による歳出の削減、不公平税制の是正、資産課税の強化、積極経済への転換による税の自然増収などを訴えております。特に、行政改革はできないもの、金を吐き出させないものと断定的に考え、膨張を抑えるだけに憂き身をやつして、どうして新しい時代に対応する政治ができ得ましょうか。政府がわざわざ売上税と呼称し、利益ではなく売り上げそのものに課税をするという限りは、最近最も華々しく騒がれている株式の売り上げはどうするのか、むしろあれは別という議論は整合性を欠くことになりはしないか。そしてまた、私が今最も指摘しなければならないのは、売らずしてじっと所有していてその資産が天井知らずに値上がりしている大都市中心部及び周辺の不動産に対する評価と課税についてであります。
 機関投資家や大企業、大地主と言われる人たちが保有する資産は、みずからの努力よりも客観情勢によって倍々に値上がりしても、売り上げがない限り税の対象とされないことが不公平税制の最大の課題であります。しかも、そのことが住宅難の根本である土地暴騰の原因となっていることは天下周知の事実であります。これを放置したまま、目につく売り上げのみに焦点を当てることは、すべての流通を阻害する悪税というべきではありませんか。税制の根本的改革は、この保有する資産に対しての論議がなければならぬと思うが、総理はいかにお考えでありましょうか。(拍手)
 次は、行政改革についてであります。
 政府は、国鉄などの三公社の改革を除き国民の期待にこたえておりません。政府は、制度の見直しを伴わない一般歳出の一律削減方式や、国民にとって真に必要な福祉を後退させ、補助率の引き下げによって地方に負担をツケ回し、肝心の国みずから身を削る行政機構の改革は、公務員をわずかに減らしたのみで、単なる機構いじりや看板のかけかえに終始し、許認可総数はほとんど減らず、逆に天下りのため公益法人を毎年二百ずつも増設するなど、高級官僚の権益拡大に狂奔しているありさまであります。官僚機構に根本的にメスを入れず、行政改革の名において国民や地方に負担をしわ寄せし、巧みに行革熱を冷まし、それはもはや限界であるとの錯覚を抱かせ、そのかわりに売上税の導入を図ろうとする政府の魂胆は、時代の逆行も甚だしいというべきであります。今こそ政府は、みずからを不況産業と同じような立場に置いて、肉を切り、骨身を削るまでの行革の断行を行うべきだと考えます。
 民社党は、このような立場から、政府に対し、昭和六十二年度を初年度とする五カ年の行革による歳出削減計画を策定し、その実行を強く求めます。
 その第一は、国の予算の二五%を占め、国費の膨大なむだを招いている補助金を大幅に削減することであります。例えば、公民館や集会施設など同じような公共施設に対する補助金が、各省庁から六十八種類もばらばらに交付されている実態や、同じ敷地内にこれら施設を一緒に建てた場合、各省庁のメンツを立てるため、わざわざ入り口や事務室などを別々に設けさせるなどのばかげたことは直ちにやめるべきであります。また、政治家の集票の手段として利用されている奨励的補助金も大幅に削減すべきであります。また、補助金交付にかかわる膨大かつ複雑な事務は大幅に簡素化すべきであります。民間の調査によれば、都道府県の職員の約六割、市町村の約四割が国の補助金関係の事務に携わっており、申請などの手続を二、三割簡素化するだけで地方公務員の一割以上、金額にして一兆円以上の額が節約できると言われております。この見地から、公共事業関係補助金は一括して地方自治体に一任するという第二交付税を早急に実現すべきであります。
 第二は、国家公務員を五カ年で一割純減を図ることであります。現在国家公務員の約六割、約五十四万人は地方出先機関に勤務しております。戦前のように東京から地方への出張が二日ないし三日も要した時代ならともかく、今日では全国どこへでも二、三時間で行けるし、電話は全国直通で瞬時に連絡ができるのに、国の地方出先機関を持つ意味はありません。少なくとも、現業を除いては、管理指導に携わる国の地方出先機関は、原則としてこれを廃止すべきであります。このような地方出先機関の整理や補助金の整理、許認可件数の縮小などを進め、退職者の補充をやめるなどの措置により、公務員の大幅な純減は可能であります。
 第三は、役人の天下りや退職金の二重取りのため利用されている特殊法人、認可法人、公益法人を大幅に整理し、これら法人への補助金、出資金を大幅に削減することであります。
 第四は、住民の強い批判の的となっている地方公務員の高額給与、退職金などの是正、学校給食などの業務の改善による地方公務員の一割純減など、地方においても国に準じた行政改革を徹底的に行うということであります。
 以上の計画を実行すれば、国、地方合わせて五カ年間で約五兆円の歳出削減は十分可能であり、売上税などの増税に頼ることなく大幅減税を行うことができます。総理は、行革による歳出削減計画を実施する決意はあるのか、明快な御見解を求めます。
 また、さきに民営化されたはずのたばこの販売に当たって、販売の許可権を公社から大蔵省財務局にその権限を移すなど、政治の目の届かないところで権力の維持を図っております。同様に、電電公社が民営化しNTTとなったのは、電気通信事業が企業の自由な競争原理の導入、情報化時代に対応する多種多様な通信サービスのためでもありました。したがって通信料金も、この自由競争の中で企業の自主性を十分生かした価格決定がなされるのが本来の姿でありましょう。
 政府は、通信の公共サービスの側面をとらえ、料金を認可制としました。これは、自由競争のもと、料金の値下げによる利用者の便利が許認可権によって失われるおそれが出ていることを指摘しないわけにはまいりません。今秋の通信の自由化を前にして、いつまでも政府の統制下に置くことなく、四社と言われる後発の通信各社を加え、お互いに自由で、そして、公正な競争が民営化と合理化の趣旨であり、せっかく民営化して、なお政府が料金の許認可権を乱用することは断じて許してはならないと思うが、いかがでありましょう。
 日本の農業は、今や転換期に差しかかっております。日米間の貿易摩擦を背景に、アメリカからは農産物自由化の要求が突きつけられ、米の自由化さえも求める動きになりました。一方、国内においては、各産業が円高に対応するために厳しい合理化努力を行っている中で、農産物について円高の利益が国民に還元されない仕組みはおかしいという批判が高まっております。農業に関しては三兆円近くの国費が投入され、価格維持などさまざまな施策が行われておりますが、農業の生産性の向上ははかばかしいものとは言えません。このような状況を生み出したのは、農家の自主性の発揮による生産性の向上を図ることに失敗した政治の責任であります。農業を産業として自立させることによって国民の消費生活を豊かにすべきは当然であります。総理は、農業政策の見直しを提唱されておりますが、諸外国からの自由化要求にどう対応されるのか、食管制度をどのように改革されるのか、そして、日本農業の生産性向上をどのようなビジョンのもとに行っていくのか、お伺いしたい。
 また、日本は経済大国であるにもかかわらず、日本人の生活水準はGNPにふさわしいものとはなっておりません。特に、食糧問題とともに住宅の問題が国際水準を大きく下回っております。しかし、この問題の解決を阻害しているのは明らかに土地問題であります。そこで、いわゆる都市近郊農地の線引きの見直しの推進や調整区域内の優良な開発事業の促進、さらに東京、大阪、名古屋などの大都市圏の特定市街化区域内農地においては、生産緑地制度の活用を図り、それ以外のものについては原則宅地並み課税とするなどの措置により良質な宅地の供給を図り、居住水準の向上を進めるべきだと考えるが、総理のお考えをただしたい。
 次に、安全保障について。
 いわゆるGNP一%枠は、それ自体合理的な根拠を持つものではありません。しかし、それがこれまで予算面で一つの歯どめ的な役割を果たしてきたことは事実であり、政府は、これを守ることを再三にわたって国民に約束してきました。しかるに、来年度予算案において一%枠が突破されたことは、国民に対する政府の約束が破られたという意味で遺憾にたえません。私は、防衛費が一%枠をわずかでも突破すれば日本は際限なく軍事大国化していくという議論にはくみしません。しかし問題は、今日の厳しい財政事情のもとで、医療、文教、福祉など国民生活関連予算について軒並み削減が行われている中でひとり防衛費のみが聖域なのかと国民に映るのは当然であります。
 歴代政府の防衛政策は初めに金ありきで、予算編成に当たり正面装備、つまり艦船、航空機などをそろえるための防衛費争奪に終始し、いかなる理由でその装備が必要なのか、国民には余り知らされず、国民の納得を得ないまま毎年増加の一途をたどってきたことが問題であります。すなわち、防衛費を必要とするのは脅威が存在するからである。脅威なきところに防衛は必要としない。政府が国民に対し防衛予算の増額を求めたのは、我が国周辺に脅威の存在を認識したからだとしか考えられないが、ではどのような脅威なのか。これについて政府は、わずかに六十一年度防衛白書で、「わが国周辺地域において、極東ソ連軍の顕著な増強どこれに伴う行動の活発化によって、わが国に対する潜在的脅威が増大している。」と述べるにとどまっている。「潜在的脅威」などあいまいな表現でなく、国民に、なぜ増額を求めたのかその脅威の実体を示すべきであります。
 防衛予算の論議は今日まで一%枠の論議の陰に隠れて、三兆五千億を超える莫大な金がどうして使われねばならないのか、その実体は議論されることが余りに少なく、国会でもこれを論ずる場の乏しいのが問題であります。例えば総理は、直接侵略は海空の防衛力で洋上または水際で撃破するとの考えを述べておられるが、水際を突破されたらどうなるのか、陸上の防衛力も含めて陸、海、空の有機的な運用こそが防衛力整備の基本ではないか。あるいは北方重視の防衛力整備をかねて総理は表明されており、陸上自衛隊の三分の一を北海道に投入している。北方重視はもとより重要であるが、南北三千キロに及ぶ日本列島の防衛をあらかじめ特定することは賢明な対応であるか。最近のソ連、北朝鮮の軍事的接近、あるいは日本海におけるソ連艦隊の増強を考慮するとき、防衛力整備は特定地域に集中することなく、日本列島の地理的特性も考慮し、西日本防衛も大丈夫か等々、国民の持つ不安に政府と国会はどう対処していくかが論じられてしかるべきでありましょう。
 かくて私どもは、防衛に対する最も基本的な歯どめは、政府の決定を国民の代表たる国会の審議のもとに置くことであります。このため、国会には安全保障特別委員会が我が党の主張によって設置されましたが、残念ながらほとんど活用されておりません。よって、この際、この特別委員会を常任委員会に格上げし、国会のシビリアンコントロールを強化し、この委員会で防衛大綱、防衛計画を国会報告事項として審議することであります。安全保障特別委員会の常任委員会への昇格はもとより国会の問題であるが、自民党総裁として中曽根総理の所見を求めたい。
 教育について。
 いじめ、校内暴力など深刻な教育荒廃を克服するためには、これまでの文部省と日教組という教育行政の狭い枠の中では解決は不可能であり、これら双方を改めない限り教育の改革は難しいと我々は考え、いわゆる教育臨調なるものを提唱し、その結果、臨時教育審議会の設置を見たと信じます。しかるに、この臨教審なるものは依然として改革の本山たる文部省と日教組に手をつけず、枝葉末節の議論を繰り返しております。否、臨教審にそれらの議論をさせないようにしむけた政府自身が、出発からしてその手足を縛ったというべきではありませんか。それでは教育の改革の実を上げることができず、結果、入試の方法など小手先の改革に終わります。今は各省庁の枠を超えた問題の解決が必要であります。例えば、小さな子供を預かる幼稚園は文部省、保育園は厚生省と所管が分かれ、それぞれ両者の間に教育上の格差がある上、非効率な二重行政が全く手がつけられていません。どうして幼保の一元化くらい実行できませんか。
 また、塾については、小学生は六人に一人、中学生の二人に一人が塾に通っております。父兄は子供を塾に通わせる理由として、勉強に興味と関心を持たせてくれる、一人一人丁寧に教えてくれる。役に立たなければ子供は行かない。塾は成り立ちません。これは、本来学校教育が果たすべき役割を今や塾が担っているということであります。これほど今日の学校教育の問題点を浮き彫りにしている事実はありません。
 教育の原点は人にあり、教師としての適格者をいかに確保するか、その中身と態度こそ問われねばなりません。この見地から我が党は、大学卒業後一年間の実地研修、教員免許の一定期間ごとの更新制度の導入、学校管理体制の確立などを求めてまいりましたが、これら諸点に対する総理の御所見を伺いたい。また、さきの国会で約束された医科・歯科学生の定員の削減についても触れていただきたい。
 定数の是正は先国会での合意であり、衆院の定数是正について抜本的改正は当然の責務と思いますが、いかがでありましょう。
 最後に、フィリピンで誘拐された三井物産の若王子支店長の救出について、国民は他人ごとならずと心配しており、一日も早い救出を願っております。去年の春、フィリピン政変の折、私は、党の調査団長としていち早くマニラを訪ねて、新生フィリピンの前途に明るい希望を見つけました。マニラを立つ前日、在マニラ駐在の商社の代表が私に歓迎会をしてくれました。そのとき若王子支店長は、「フィリピンを助けてやってください。この国はきっと立派に立ち直ります。日本政府にぜひ強く働きかけてください。特にマニラは治安のよいところです。日本からわずか三時間で着きます。今度はゆっくりと来てください」と言われた言葉が思い出されます。
 総理、人命の救助と凶暴、残忍なテロに対する態度はもっと厳然としてしかるべきではありませんか。昨年の東京サミットでのテロ排除の声明はあなた御自身が叫ばれたはずであります。折しも、レバノンではアメリカ及びドイツ両国人の誘拐事件が発生し、レーガン大統領は直ちに声明を発し、国を挙げて誘拐事件に対処する姿勢を内外に表明しております。本件は、もとよりフィリピンの国内事件であり、同国の懸命の捜査にまつよりほかに手段はないかもしれないが、日本人のやるせない気持ちに政府はどうこたえられるか、一言あってしかるべきではありませんか。経済大国日本のために国際社会で活躍している外交官、商社員、学生等々及びその家族は、祖国の厳然たる姿勢を信じて頑張っていることをつけ加えて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 塚本議員にお答えをいたします。
 まず、高松宮宣仁親王殿下の御薨去に対しまして、謹んでお悔やみ申し上げる次第でございます。
 昨日の衆議院本会議における土井議員の質問に対する答弁の中で、減税額について約十四兆四千億円と申しましたが、それは一兆四千億円と訂正させていただきます。御迷惑をおかけいたしました。
 次に、塚本議員から御質問がありました自民党の会合の問題でございますが、これは、自民党税制改革推進本部と各省庁官房長との間で懇談会を開いたものであります。その席上では、売上税の趣旨を国民によく説明して、質問があればこれに答え、誤解があればこれを解くようお互いに十分努力する旨の意見調整を行ったと聞いております。決して権力的に強制を加えるような言動はしてはおらないのでございます。議院内閣制のもとにありましては、政府の政策方針について政府と与党との間で意見調整を行い、法令の許す範囲内でお互いに協力するのは許されることであると思います。売上税の導入を含む税制改革は、税制改正の要綱として一月十六日に閣議決定をいたしております。政府の方針であり、各省庁はその所掌事務の範囲内でこの方針に即応した行動をとることは認められてよいものと考えております。
 次に、日本の進むべき進路でございますが、世界経済は緩やかながらも息の長い景気拡大を続けております。米国の財政赤字、主要国における対外不均衡、これらを背景とする保護主義的な動き、さらには、開発途上国における累積債務問題など多くの問題を抱えている状況でございます。我が国経済は、今後行財政改革の基本路線のもとで、調和ある対外均衡と国内均衡の実現という内外均衡の同時達成を図ることが必要であります。そういう意味からも、やはり内需の振興、為替の安定、それから雇用対策の充実ということが急務であると考えております。これらにつきましては、今後とも懸命に努力をいたすつもりでおります。
 次に、円高対策でございますが、為替相場の安定は経済の持続的成長のために重要であります。為替相場の安定のためには、基本的には各国の政策の協調が重要であり、この一環として、昨年十月末に日米蔵相間で協議が行われ、また、先月二十一日にも為替市場の諸問題について協力を続けていく意向を確認したものでございます。宮澤訪米につきましては、私から親書をレーガン大統領に出しまして、その親書につきましては、ホワイトハウスとよく打ち合わせをして行ったものなのでございます。したがいまして、私の真意は十分レーガン大統領にも浸透しておるものと考えております。現に、宮澤訪米後、乱高下に対しましては協調行動をとるということが約束されておりまして、部分的には実現も見ておるわけでございます。今後もこのような協調行動を我々は実行してまいりたいと思う次第でございます。
 なお、米国債への民間の投資の抑制という問題は、やはり規制を行うということは、現在自由化をやっている情勢上、特に資本・金融の自由化あるいは円の国際化を進めておる現在の状況におきまして、適当でないと考えております。
 内需の拡大等につきましては、先般来いろいろ申し上げているところでございますが、まず金利の引き下げ、それからさらに、累次にわたる総合政策の推進、六十二年度予算におきましても公共事業費の五・二%の増額あるいは為替レートの長期的安定、そのような政策を総合的に今努力しておるところでございます。
 円高差益の還元につきましては、内需の拡大、国民生活の向上といった観点からも重要な課題でありまして、昨年来、累次にわたって行っております。本年一月から電力、ガス料金も再度引き下げまして、約二兆円を消費者に還元いたします。輸入牛肉の展示販売における小売目安価格を約二〇%引き下げる等の諸施策も実施いたしております。昭和六十一年の物価上昇率は、昭和三十三年以来二十八年ぶりに一%を切るという一層の安定をもたらしました。その効果は経済全体に相当程度浸透してきていると思われます。政府としては、今後とも為替レート、原油価格の動向等を注視して、円高のメリットをさらに物価に反映するように努力する決心でございます。
 円高不況に対しましては、鉄鋼、造船、海運、繊維あるいは非鉄鉱業等を初めとした我が国産業の業況には厳しいものがございまして、これらにつきましては、全力を振るってこの業況の回復の対策に努めておるところでございます。やはり経済の基礎条件を適正に反映した為替レートを長期的に安定させるということがまず大事であります。また、産業構造の転換の円滑化、地域経済の活性化、これを行うために、今回産業基盤整備基金等を設置するとともに、他分野への転換に必要な生産設備に対する特別償却制度等税制上の支援策を講ずべく、今国会に新たな立法の提案を行おうといたしております。昨年十二月に実施した特定地域中小企業対策臨時措置法に基づく三・九五%の低利融資等、特定地域対策等の着実な実施に万全を期するとともに、下請企業に対しましては、新分野進出等構造調整を円滑に進められるよう、新たに技術開発補助や五・〇%の低利融資制度等の支援措置を講ずることとしております。
 雇用問題への対応でございます。これも非常に重要視しているところでございまして、政府。与党雇用対策推進本部を設置して、私みずから本部長となって努力しておるところでございます。
 完全雇用確保ということは、御指摘のとおり、政治の理想、目標でございまして、今後とも、内需の振興あるいは産業構造の高度化、地域経済の活性化等を行い、三十万人雇用開発プログラムの実施等、あわせまして雇用対策の格段の強化を図る所存でございます。なお、地域雇用対策のために法案を今回国会に提出するとともに、産業構造の転換の円滑化を図るため、特別立法の準備も進めているところでございます。なお、全国を八ブロックに分けまして、これらのブロックに中央並びに地方公共団体を網羅いたしました雇用対策の協議機関を設けまして、そして、各地域ごとに中央地方一体になって雇用対策を進める予定で、近く第一回、北海道を早目にやろうとしておるところでございます。
 減税につきまして売上税との関連で御質問がございましたが、我々といたしましては、塚本さんおっしゃいましたように、選挙でも大型の所得税、法人税等の減税を公約いたしまして、何とかこれを実現したいという念願に燃えておったわけです。しかし、これが財源をどうするかということでありますが、赤字公債に依存することは子孫にツケを回します。そういう意味におきましていろいろ検討し、また、税調答申等も受けまして、売上税を導入するということに決めたわけでございます。
 これによりまして、年収三百万の給与所得者、夫婦子供二人の場合には、所得税と住民税を合わせた負担額は三六・三%軽減されます。年収九百万の場合は二一・四%軽減される。おおむね二けた台の大幅な負担減となるのであります。法人税についても、企業活力を増大するために税率の引き下げを行うことといたしております。これは、国際的な競争条件を均等にするためにも、できるだけ早期に行う必要が出てきておるのでございます。以上の点につきましてはぜひ御理解、御了解を得たいと思う次第であります。また、売上税の創設やあるいは利子課税の見直し等を含む税制改正全体を見ましても、働き盛りの四十、五十代の方々に対する負担は軽減されるものと考えております。
 次に、公約との関係でございますが、いわゆる大型間接税というのは、大内書記長に御回答を議会で申し上げたとおり、多段階、包括的、網羅的、普遍的で、そして縦横十文字に投網で全部をひっくくるような、そういうタイプのものであると申し上げておるところであります。これには大きな制限を付してありますので、今回はかからないと考えておるわけであります。山中税調会長のお考えは、私の公約に合うように努力をしていただきましたものでありまして、成案は公約に合致しているというふうに党でも考えておる次第なのでございます。
 次に、売上税の準備の問題でございますが、この売上税につきましては、まず、免税点制度につきましては、税制調査会答申において「売上税においては、小売業者等の中小零細事業者に配慮するため、年間課税売上高一億円以下の事業者を非課税とする。なお、中間段階に非課税事業者が入った場合、税の累積が生ずるおそれがあること等にかんがみ、こうした非課税事業者にも課税の選択を認めることが適当である。」と言われて答申されておるわけであります。年間課税売上高一億円以下の事業者の扱いは、こういう方針にも沿って行ったものであります。非課税品目については、税制調査会答申に示されている考え方を踏まえて、各省庁の意見も伺いながら決定したものでありまして、漁船については、昨年の十二月の党税調において既に決定しておったものなのであります。今回の税制改革につきましては、私から税制調査会に諮問をいたしまして、税制全般の根本的見直しについての諮問は昭和六十年九月に行いまして、それから十分に検討を重ねた上決定したものであって、準備不足というような御指摘は当たらないものと考えております。
 売上税と行政改革との関係でございますが、売上税の創設に当たっては、納税者の事務負担を最小限にするために税率は五%の単一税率にする、税額票については最長三カ月のまとめ発行を認める、請求書や納品書等を活用することができるので新たな書類作成は必要ではない、税務署に提出する必要もない、課税期間(三カ月)及び申告納付期限(課税期間終了後二カ月以内)については、これは諸外国の例に比べて長期にしてあります。年間課税売上高一億円以下の小規模事業者が課税を選択した場合に、簡易な納付税額の計算方法を認める等の工夫をしております。このような選択制度というものは、利子課税につきましても源泉分離をやるか総合課税をやるか選択を認めたという、そういう例もあると考えております。なお、この執行に当たりましては、個別消費税の廃止等による要員の活用、事務の合理化あるいは省力化等を図ることによりまして増員数を圧縮いたしまして、六十二年度の国税職員の増員は六百人でありまして、これは国鉄職員からこれを採用する、こういう考えになっておるわけでございます。
 さらに、経済との関係でございます。売上税は消費税の一種であり、物品・サービスの売り上げに対して課税され、その負担は物品・サービスの値段に含まれるものでありまして、事業者に負担を求めようとする考えではございません。税制改革が経済に与える影響については、個別の税目のみを取り上げて論議することは必ずしも適当でなく、今回の税制改革全体で論議すべきものと考えます。今回の税制改革においては、個人所得課税及び法人課税について思い切った大減税を行おうとしておりまして、勤労意欲、事業意欲には好ましい影響を与え、活力を与えるものと考えております。売上税の消費に対する影響につきましても、所得減税による個人の可処分所得の増加がこれは先行いたしまして、これによっておおむね相殺されるものと考えておるわけであります。
 次に、売上税が経済制度を攪乱しないかという御質問でございます。税制の中立性は今回の税制改革の基本理念の一つであります。売上税の創設に当たっては、この基本理念を踏まえまして、極力中立性を阻害することのないよう、税率は五%の単一税率とする、取引の回数等により税負担が異なることのないようにする等、我が国における従来の取引形態を攪乱することのないように工夫を施しております。
 売上税を撤回する考えはございません。
 次に、マル優の問題でございます。現在、個人貯蓄の約七割が非課税貯蓄制度の適用を受けて、多額の利子が課税対象から外れております。また、現行制度は高額所得者により多くの恩典を与える結果となっておりまして、不公平税制の一つと指摘されてきたものであります。非課税貯蓄制度は、もともとは貯蓄奨励の見地から設けられたものでありますが、今日では、非課税となっている利子の額約十三兆円は、法人所得の総額約二十四兆円の半分程度という巨額なものになっておるわけであります。以上にかんがみまして、今回、税負担の実質的な公平を進める見地からこの制度を見直して、老人、母子家庭、身体障害者等に対する利子非課税制度に改組することといたしました。一般の利子所得に対しては、二〇%の源泉分離課税を適用することといたしたのでございます。弱い方々に対しては十分配慮しておるところであります。
 次に、民社党の税制改正の御提言でございますけれども、御提言の内容について、増減税の内容についてはなおつまびらかにしない点がございますが、税源確保の見積もりあるいは実際の運用がどういうふうにいくか等々についてもよく勉強したいと思います。御提案については十分検討いたしてみたいと考えております。
 株式の売り上げと売上税の関係でございますが、株式等の有価証券の譲渡については、売上税では非課税になっております。有価証券の譲渡は、性格から見ると資本の移転と考えられまして、消費税としての性質を有する売上税の課税対象とすることにはなじまない、そう考えた次第でございます。
 なお、不動産に対する課税等につきましては、土地取引の状況を踏まえまして、資産課税の適正化等の観点から、超短期重課制度の創設、それから長短区分の見直し等土地税制について所要の措置を講ずるほか、土地に関する登記に対する登録免許税の負担を引き上げることといたしております。保有する土地の含み益に対する課税については、未実現利益に課税することになり、慎重に対処すべきことであると考えております。なお、固定資産税等の評価については、引き続きその適正化に努める考えでおります。
 次に、さらに行革を推進すべきであるというお考えについては、原則的に全く同感でございまして、従来の御鞭撻に心から感謝申し上げる次第でございます。その結果、今までやりましたことといたしましては、戦後初めての本格的な省庁再編成となった総務庁の設置、国家行政組織法の改正、地方支分部局の整理合理化を初めとする機構改革、昭和五十八年度以降五年間で約二万人に上る国家公務員の純減をやっております。許認可等の整理合理化の推進など各分野においても成果を上げつつあります。しかし、行政改革はまだ途中でございますので、今後とも引き続いて努力をしてまいるつもりでおります。
 第二交付税についての御提言でございますけれども、厳しい財政状況のもとで、臨調答申等の指摘を踏まえ、補助金等の整理合理化にさらに積極的に取り組む必要があることは同感でございます。しかし、第二交付税制度という御提案の内容は、国と地方の役割分担のあり方にかかわることでありまして、国庫補助負担制度の意義を大きく変更することとなるので、慎重に検討を要します。効率性の問題あるいは政策の一貫性の問題あるいは全国的均衡性の問題、こういうような問題についても検討させていただきたいと思います。
 公務員の五年間一割削減の御提言でございますが、政府は、これまで各段階の地方支分部局の整理合理化等を推進するとともに、定員についても六次にわたる定員削減計画を実施してまいりました。昭和六十二年度以降においても、ぎりぎりの合理化努力をさらに行うべく、行革審答申を踏まえまして、新たに五年間五%の削減を内容とする第七次定員削減計画を策定して、着実に実施しているところであります。地方出先機関の原則廃止等により五年間で公務員の一割削減を図れとの御意見でございますが、国の地方支分部局を原則廃止することについては、国と地方の任務分担、地域住民に対する行政サービスのあり方、地方の声等種々検討すべき問題がありまして、慎重に検討いたします。なお、定員の合理化については、六十二年度においても三千四百三十二人の純減を図っておりまして、四年間連続して三千人以上の純減を達成しており、今後も引き続き努力する決心でございます。
 特殊法人、認可法人の整理につきましては、御趣旨は全く同感でございます。昭和六十二年度におきましても、特殊法人たる日航の廃止、完全民営化を予定いたしております。今後とも、特殊法人の改革については引き続いて努力してまいります。
 さらに、認可法人等の補助金問題でございますが、特殊法人、認可法人等に対する補助金等についても、個々に事業の緊要性等を勘案しつつ、重点化、効率化に努めております。今後とも特殊法人、認可法人等に対する補助金等も含めて整理合理化を推進してまいります。
 地方行革につきましては、地方行革大綱に沿って鋭意推進しておるところでございまして、減量化、事務事業の見直し、組織・機構の簡素合理化、給与及び定員管理の適正化等引き続き推進してまいります。
 たばこの販売許可権の問題でございますが、行革の一環として日本たばこ産業株式会社をつくりました。これに伴い、従来の小売人指定制度を廃止いたしましたけれども、小売店への激変緩和措置として、御要望に基づきまして、当分の間小売販売業許可制を採用し、許可事務を財務局が実施することとしたものでありまして、新しく権限を拡大したわけではございません。
 通信サービス料金の認可制に対する考えでございますが、事業者間の有効かつ公正な競争を通じて、高度情報社会にふさわしい電気通信事業の効率化、活性化を図り、料金の低廉化を図るようにすることは、電気通信制度改革の目標の一つでございました。通信料金の認可制等行政の関与のあり方についても、その方向で適切に運用していくべきものと考えます。今後とも、運用の適切を期してまいりたいと思います。
 農産物の市場開放の問題でございますが、農は国の基と申し上げているとおり、農業は国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧の供給を初め国土、自然環境の保全あるいは地域社会における就業機会の提供あるいは地域経済社会の健全な発展を図る上でも、いわゆる民族の苗代として重視すべきものであります。農産物市場開放問題への対応に当たりましては、関係国との友好に留意をしつつ、国内農産物の需給動向を踏まえ、我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行う、そういう考え方であります。先般の農政審議会の報告を尊重して、ガット・ニューラウンド交渉との関連も十分考慮しつつ、適切に対応してまいりたいと思います。
 食管制度の運営でありますが、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによって、生産者に対しては再生産を確保し、消費者に対しては安定的な供給を果たす、そういう食管制度の基本は今後とも守ってまいりたいと思います。農業についてもある程度市場原理の導入は必要でございまして、過度の価格政策依存は農業の停滞を招くおそれもあると考えます。この考えから、先般の農政審報告を尊重いたしまして、農業者、農業団体と一体になりまして、相協力して農政の刷新、改善に努めてまいりたいと思っております。
 農業の生産性向上という問題もこれからの大きな仕事でございます。それには経営規模の拡大、生産基盤の整備、技術の開発、普及等、各般の施策を農業者及び農業団体とも協力して実行していく必要があると考えております。
 優良な宅地開発の促進につきましては、線引きの見直し、市街化調整区域における開発許可の規模要件の引き下げ等により開発適地の拡大を図る、宅地開発指導要綱の行き過ぎの是正等を図る、宅地開発コストの軽減等の施策を実施しております。今後も努力してまいるつもりでおります。
 宅地並み課税については、昭和五十七年度において市街化区域農地の宅地並み課税について、長期・安定的な税制の観点から改正が行われました。これにより、対象農地が逐次減少する等それなりの効果を上げております。昨年十月の税制調査会の答申においても「税制の安定の観点からも引き続きその推移を見守ることが適当」とされておりまして、土地利用規制の状況等を考慮しつつ、引き続き推移を見守ってまいりたいと思います。
 防衛費の問題でございますが、おおむね塚本議員の御意見に私も賛成でございます。特に、大綱水準の早期達成を図る、そういう基本方針のもとに、三木内閣の決定した五十一年十一月の閣議決定の精神を尊重しつつ、節度あるものにしていくという考えで努力してまいりたいと思っております。
 御提言の防衛論議の問題でございますが、やはり防衛につきましては、我が国周辺の軍備の状況であるとか、我が国の防衛力の内容であるとか、それの緊急対応力の問題であるとかあるいは国民的協力の基盤の問題であるとか、そういうさまざまな基本的問題を十分国会において論議する必要があると私も痛感いたしております。防衛問題の本質にかかわる論議を十分行えという塚本議員の御趣旨には全く私も同感でございまして、自民党としても今後大いに努力してまいりたいと思うのであります。
 陸、海、空の有機的運用についても全く同感でございますが、やはり我が国の防衛としては本土に着上陸をさせてはならないのであります。本土に着上陸する以前にまず侵略を起こさせないように抑制すること、それから起きた場合には、洋上または水際で撃砕して本土に戦火が及ばないようにする、これがやはり基本であると思います。そうして、単一の防衛機能に依存するということは、これは必ずしも適当でございません。各段階において、その特性に応じた抵抗力、破砕力というものを防衛として持っておる必要があると思います。陸上防衛力は着上陸した侵攻部隊を排除する最後の拠点となるものでありまして、その存在は、相手に対して、例えば洋上での戦闘で勝利ができても、なおかつその先に強靱な抵抗力が存在しているということを知らしめて、事前に侵略を断念させる、そういう抑止力にもつながるものであり、重視する必要もあるのであります。いずれにせよ、今後とも三自衛隊を通じて、我が国の地理的特性や防衛技術の動向等も踏まえまして、一層統合的見地に立って効率的な整備を図ってまいるつもりであります。
 北方重視と西日本との関係でございますけれども、いかなる地域にいかなる侵略が起きても対処できるようにするということが防衛の本質でございます。そういう意味において、西日本等を軽視しているわけではございません。陸上防衛力については、中期計画において、北部日本にあっては戦車等の重装備を主体に戦闘力を強化し、その他の地域にあっては対戦車火器等を主体に機動力を重視して充実を図る、そういう方向で今整備を行っております。いずれにせよ、均衡のとれた効率的な防衛態勢の整備に今後とも努力をいたしたいと思います。
 国会の安保特別委員会を常任委員会に格上げするという御提言につきましては、自由民主党は大賛成でございます。御提言があれば我々としては賛成いたしたいと考えます。
 次に、防衛計画等の安保委員会への報告でございますが、防衛計画等について国会において十分審議が行われることは望ましいことであります。御指摘の防衛計画等の委員会への報告については、国会の御判断を待って慎重に対処すべきものでありますが、でき得る限り協力いたしたいと考えております。
 教育改革につきましてでございますが、今や全国民的関心事になっておりまして、臨教審も最後の詰めを行っておる段階でございます。臨教審の運営はあくまで自主的、主体的に行われておるものでありまして、今まで教育行政や教員についても必要な御提言をいただいております。
 いわゆる幼保一元化の問題につきましては、臨時教育審議会においても検討され、その審議経過が公表されております。今後さらに審議が詰められるものと思われますが、その「審議経過の概要」の中では、幼稚園と保育所の目的、機能の違いを踏まえ、それぞれの制度的充実を図ることが適切である、こういう趣旨の経過概要が説明されております。臨教審の最終的答申を待っておるところでございます。
 学習塾の問題、教員の資質向上の問題等についても、お考えの考え方については我々も同感でございます。学習塾通いの問題については、学校教育関係者がこれを真剣に受けとめまして、保護者の信頼を確保するとの観点から、学習指導の充実に積極的に取り組むことが望ましいと考えます。そのためにも、教員の資質向上を図ることは重要な課題であると認識しまして、具体策を今検討中であります。初任者研修は、昭和六十二年度に試行を行うこととして予算を提出しております。教員免許の更新制は、他の類似の資格との均衡等もありまして、これもまた慎重な検討が必要であります。学校には教育の場としてふさわしい基本的な秩序が確立されることが必要でありまして、そのためには、校長を中心として全教職員が一致協力する体制を確立することが重要であると考えております。
 国立大学の医学部、歯学部の問題でございますが、有識者による検討結果を踏まえ、医師、歯科医師の需給、医学教育、歯学教育の改善充実等の見地から、昭和六十年度よりその削減を実施いたしております。六十二年度においては所要の措置を講ずることといたしております。六十二年度において、医学部において、国立大学においては大体三校、六十名の削減、歯学部におきましては二校、四十名の削減、これを予定しており、私立大学におきましても、医学部の入学定員厳守を申し合わせております。また、歯学部募集定員一〇%減を六十一年、六十二年度、申し合わせておるわけであります。
 衆議院の定数是正の問題については、昨年の百四回国会において、衆議院議長初め各党の御努力により措置されました。その際、六十年国勢調査の確定人口の公表を待って抜本改正の検討を速やかに行うという衆議院本会議の決議がございます。今後各党において、この決議に沿い、抜本改正に向け鋭意検討が進められると考えられますが、私としても最大限に御協力申し上げる考えでおります。
 若王子支店長の誘拐事件でございますが、全く胸を痛めておるところでございます。きのうも申し上げましたけれども、奥様やお子さんの身になってみますると、どれぐらい御心配なすっているか察するに余りあるものがございます。先般来、私の特使として梁井外務審議官を、また、自民党総裁特使として石原慎太郎議員その他をフィリピンに派遣いたしまして、人命尊重と早期救出ということを強く要請いたしました。アキノ大統領も、今までも努力してきていただいておりますが、陣頭に立って懸命の努力をすると言明していただいた次第でございます。レーガン大統領のレバノンに対する声明は、これはテロとは妥協しない、そうして、レバノンに住んでいるアメリカ人はできるだけ早く撤去することが望ましい、そういう趣旨の声明をいたしたのでございます。いずれにせよ、これらの人命救助、早期救出につきましては本当に全力を尽くしたいと考えております。
 残余の答弁については大蔵大臣等から答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 塚本委員長から、売上税の実態に関する問題につきましてお尋ねがございまして、お答えを申し上げます。
 まず第一は、年商が一億円以下の事業者の場合に関することでございました。その事業者が、例えば商店街におりまして、その地域の最終消費者を主としてお得意にしておるというような場合には、これはもう非課税が明らかに有利でございますから、そういう人々にとってはこの制度は恩典になることは間違いないと思いますが、御指摘になりましたように、そういう事業者が生産、流通の中間の段階に入りましたときには税額票の発行ができませんので、そこで取引から排除される、取引上不利になるという心配があるとおっしゃいますことはそのとおりでございます。そこで、そういう場合には、別段失うところはございませんから、その事業者は納税義務者になりたい、そういうふうに考えることは十分あり得ることであって、その場合にはそういう選択を私は認めることがいいというふうに考えるわけでございます。
 この制度が結局事業者自身にとって有利であると考えましたら非課税者に、免税者になればいいわけでございますし、納税義務者になった方がいいということであれば、その選択を認めることがいい。その点は、付加価値税を採用しております国でやっております。その制度と同じことでございます。我が国でもそうすることが好ましいであろう。ただ、その場合に、零細な業者でございますから、余りその納税について複雑な手間をかけることはよろしくないと思いますので、納税者であることを選択いたしました場合には、その仕入れを推定する、つまり売り上げの八〇%を仕入れとみなす、あるいは卸売業者であれば、それだけマージンがありませんから、売り上げの九〇%を仕入れとみなす、そういうみなす規定を置きまして、もちろん御本人が自分で計算した方が有利であれば計算されて構わないわけですが、そういうことにいたしましたら納税が簡素になると思います。そういう特例を一つ設けたいと思います。もう一つは、そういう人につきましては、この税の納付期間を三カ月から六カ月に、年二回に長くいたしました方が簡素である、及び金利の上でも幾らか有利になると考えますので、そういう特例も設けたいと思っております。
 それから、次にお尋ねがございましたのは、このたびの非課税品目について、何か最初に七項目であったのが五十一項目に膨れて、その間、利権、政治的なものがあったのではないかというお尋ねのように伺いましたが、それは、事実はそういうことではございませんで、この税制を最初に検討いたしましたときに、諸外国でどのような分野の項目が非課税になっているか、例えば食料であるとか、薬であるとか、医療であるとか、教育であるとか、いろいろございますが、そういう分野を諸外国の例を見ながら例示的にまず提起いたしましたのがその七分野であったわけでございます。それを議論をして詰めてまいりまして、最終的に今法律にいたすわけでございますけれども、ただ教育というようなことでもちろん書くわけにいかないものでございますから、それを一つ一つの項目として確定をしなければならない。その数が五十一になったというわけでございまして、七つのものに四十四が加わったというような意味ではございません。
 それから、次に御指摘のございましたのは、委員長からこういう仰せがあったわけでございます。このたびの税によって、税務官吏が税額票を手にして非常に緊密にできている縦割りの取引の中へ土足で踏み込むようなことではないか、こういう御指摘がありまして、この点は一番私どもが注意をしなければならないところと思います。
 もちろん、非課税取引あるいは非課税業者については問題がないわけでございますが、要は、税額票にどういうことを書くことを必須とするかということになると思います。税額票は税務署に提出する必要はないわけでございますが、委員長が言われますのは、恐らく仕入れの単価を税額票に書くということになれば、これはもう取引の実態マージンが全部わかる、こういうことをおっしゃっていらっしゃるのであろうと思います。またそれは、そうなれば確かにそういうことに相なりますから、税額票には仕入れの単価は記載する必要はない、こういうふうにいたしておきたいと思います。売り上げがわかるという意味では、これはどうも現在の請求書や納品書でも売り上げというのはある程度相手にはわかるわけでございますので、その点はやむを得ないことではないかと思っております。
 それから最後に、株式についてお触れになられました。これは申し上げるまでもなく、売上税は消費を課税の対象といたしますので、株式の場合は資本の移転でございますからこの課税対象にはならない、非課税といたしたわけでありますが、他方で、言われましたように、株式取引につきましてはキャピタルゲインの強化、あるいは土地の短期譲渡につきましては重課をするといったようなことを、このたびの税法改正で別途に考えておりますことを申し添えておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(原健三郎君) 佐藤敬治君。
    〔佐藤敬治君登壇〕
#8
○佐藤敬治君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、政府の施政方針演説に対し、中曽根総理並びに関係各大臣に御質問いたします。
 質問に入る前に、きのうの我が党の土井委員長の質問に対して総理は、売上税と防衛費を一緒にされるのは迷惑だと言い放ちました。これはまことに高圧的な物の言い方であります。ジャーナリズム等でも、売上税が軍備拡張の財源になるのではないかとの批判があります。国民の疑問を解明するこの質問に対して、迷惑だなどとい三言葉は不穏当きわまります。国民によくわかるように説明するのがあなたの義務ではありませんか。取り消しを求めます。(拍手)
 中曽根総理は、年頭の記者会見において、野党は審議拒否などしないで堂々と議論をしろと、何か挑戦めいたことを言っておりましたが、今回提出された予算の中には、審議以前の問題が数多く含まれております。
 その第一は、昨年七月の衆参同日選挙の際に、総理は、大型間接税などはやらないと言ったら絶対にやらない、私の顔がうそつきに見えますかと大見えを切ったそうであります。今、国民はあなたのお顔をどんな思いで見ていることでしょうか。(拍手)公約違反であるかどうか、党首で公開討論をやりましょうと申し入れたけれども、とうとう応じませんでした。
 第二は、シャウプ税制以来の抜本的大改革と言いながら、予算だけ出して、歳入の根幹である売上税を含む税制改革案はいまだに出しておりません。歳入の中身がわからないで、どうして予算の審議ができますか。
 第三番目は、政府予算案は一ドル百六十三円のレートで組み立てられております。ところが、円高台風はこの土台を吹き飛ばしてしまいました。まさに砂上の楼閣、足のない幽霊予算ではありませんか。(拍手)宮澤・ベーカー会談の合意がほごになった時点で、六十二年度政府予算もまたほごになったのであります。ほごになった予算を審議なんかできません。
 四番目は、防衛費のGNP比一%枠の問題であります。きのうの代表質問で、総理は、経済成長率が低くなったので一%枠を守れなくなったと答弁しておりましたけれども、防衛予算の中には既に約四百億円に及ぶ円高差益が発生しております。この分を是正修正するだけでも、やる気があれば一%枠は十分守ることができます。(拍手)新しい歯どめの一つとして、三木内閣の閣議決定の精神を尊重するなどとぬけぬけと言っておりますけれども、破っておいて尊重するもないもの。初めに一%突破ありきではないでしょうか。
 六十二年度予算案を見ておりますと、ほかのことは何にもしなくてもよろしい、一%枠だけ突破せよというあなたの突撃ラッパが聞こえてくるようです。これらの問題は、予算案審議以前に政府みずから国民の前にその態度を明らかにしなければならない大きな矛盾であります。なお、この予算案については、いまだ審議にも入らないうちから、既に自民党の首脳、閣僚からさえも、こんな予算では三・五%の経済成長も達成できない、直ちに補正予算を組むべきだと、極めて異例の批判が出ております。急がば回れと言います。予算案をつくり直して再提出した方が結局は早道ではないでしょうか。総理並びに大蔵大臣の御答弁を願います。(拍手)
 総理は、その演説の中で、税制改革でゆがみやひずみを是正すると言っております。しかし、自分の演説の中でさえ名前もはっきり出せないようなこの売上税は、公約違反と言われないはうに非課税の例外をやたらにたくさん設けたために、ひずみを是正するどころかかえってひずみが増大して、産業界は大混乱に陥っています。(拍手)この一月二十六日、野党四党の呼びかけで売上税等に関する懇談会が開かれましたけれども、百貨店協会初め多くの業界の人たちが参加されました。そこでこんな発言があります。自民党を全力で応援した結果、三百四議席を与えてこんなひどい目に遭っている、いわば自業自得だけれども、二度とこんな過ちは犯さない、参加者の多くは自民党を応援して後悔していると言っております。
 我が国の税制改革史上、これほど多くの国民、保守革新を超えた圧倒的多数の国民から反発された税制はありません。総理は、演説の中で「独善を排し、衆議を求め、常にみずからを反省し改革を行う」と言っておられますけれども、それが本気であるならば、公論に従って潔く売上税法案を撤回すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 また、売上税の税収見込みについて御質問いたします。
 大平内閣時代の政府税調の一般消費税特別部会が昭和五十三年九月に出した報告によりますと、新税の税収は、五十一年度ベースで、一千万円以下を非課税とすれば、税率一%で四千五百億円程度の税収が見込まれるとしております。したがって、単純に五%では約二兆二千億円となります。この金額がネットの収入であることは、昭和五十三年九月二十二日の衆議院大蔵委員会で当時の主税局長の答弁で明らかであります。また、国民所得は、五十一年度百四十兆二千億円、六十二年度は約二百八十兆円と推計されております。約二倍であります。したがって、一%で約九千億円程度が見込まれる、五%では約四兆五千億円であります。
 一方、一月十六日の閣議決定では、物品税の廃止等を除いた売上税のネット収入は、平年度で二兆九千億円であります。税率が同じ五%で、国民所得が二倍になっているのに、なぜ税収が同じであるのか、ネットで約一兆六千億円の差額はどこへ行ってしまったのか。政府は売上税の収入を少なく発表しているのではないか、そういううわさも流れております。総理、大蔵大臣、算定の根拠等詳細な資料を提示して、国民の疑問に答えてください。(拍手)
 発表された四全総中間報告は、地方切り捨てであるとして総反撃を食らいました。中曽根総理のツルの一声で東京一極集中になったと言われておりますが、地方からの反撃の強さに驚いて、泡を食って地方対策なるものを一月十三日に発表いたしました。それによりますと、関西に文化首都圏、東北に首都機能の一部移転、北海道は先駆産業の場、中部は産業技術首都、中国、四国は瀬戸内経済圏の形成、以下九州、沖縄と続いております。まあ次から次へと下手な手品のように簡単に出てくるものだとあきれざるを得ません。いかにも見え透いた御機嫌取り。本音は全く変わっていないでしょう。恐らく四月の地方統一選挙が過ぎますと、再び逆戻りして東京一極集中に後戻りすると思います。地方を愚弄するにもほどがある。地方住民の憤慨するのも当然であります。(拍手)
 国土計画を達成するためには長い年月と努力が必要であります。いわゆる国家百年の大計の最たるものであります。首相に言われたからといって、いとも簡単に多極分散から一極集中へ、地方から批判が出されたからといってはまたまた簡単に逆戻り。多くの官僚、学者、専門家を集めて、長い時間をかけて検討した計画がこんなにも簡単にぐるぐる変わる。まことに場当たり的な、ずさんな計画と言わざるを得ません。四全総中間報告を見直すとともに、国土の均衡ある発展について総理の所信をお伺いいたします。
 円高不況によって鉄鋼、造船を初めとし、基幹産業における壊滅的な合理化、炭鉱の閉山などによって深刻な雇用不安が全国に広がっております。
 一例を挙げれば、秋田県北部は銅鉱山を十近くも抱えた日本一の非鉄金属鉱山地域でありましたが、円高のために今や大館に一山、小坂町に一山、わずか二つの鉱山しか残っておりません。さらに円高が進めば、この二山も前途は明るくありません。昨年暮れには日本唯一のすず鉱山、兵庫県の明延鉱山が円高で閉山、岐阜県で日本最大の亜鉛鉱山、神岡も安全ではありません。これで金を除いた日本の非鉄金属鉱山は文字どおり全滅します。一つも残りません。非鉄金属はいわゆるレアメタル、貴重な希少金属であります。しかも、これらの鉱山は探鉱、選鉱、製錬等世界に冠たる技術を持っております。鉱山とともにこの貴重な技術をもすべて失ってしまうということは、国家的な大損失であります。このことは、他の産業においても同様であります。造船所がなくなれば、長年培ってきた優秀な造船技術が失われ、繊維、鉄鋼なども皆同じ憂き目に遣おうとしております。
 政府演説を聞いておりますと、経済構造調整特別部会を設けて、今春を目途に審議し、それから構造調整を行うとしておりますけれども、円高がさらに進行する中で、まことにのんきな話であります。しかも、構造調整とはいっても、対策は企業に金を貸し付けることしかありません。しかし、たとえ無利子でも、返さなければなりませんから、先の見通しがつかなければ借りることもできないのです。政府の言う産業構造調整とは、円高についていけなくなった企業は死になさい、どんどん倒れていけば、生き残ったもので自然に調整がついていくだろう、淘汰に次ぐ淘汰を見守っているだけで、結局は何もしないで終わるということにほかなりません。(拍手)円高に苦しむこれらの産業で働く労働者は、これまで頑張って日本経済を発展成長させてまいりました。ところが、経済が成長したら、円高で企業はつぶれて失業する、まことに残酷物語ではございませんか。
 政府は、アメリカの機嫌をとって、防衛費はどんどんふやすけれども、一方、円高で死ぬほど苦しんでいる産業を助けるとアメリカからしかられるので、補助も助成も一切まかりならぬと言っております。どうしても助成できないならば、ただ死ねというだけではなくて、もっとほかにいろいろ方法を考えてみることもできるでしょう。電気料金をもっと値下げしてはどうですか。円高差益の還元ならば、アメリカも文句はないでしょう。あるいは企業が空白になった土地に代替企業の誘致を強力に指導するとか、やろうと思えばいろいろな対策があるはずであります。もっと真剣に取り組むべきだと思いますが、総理の決意と具体的対策の提示を求めたいと思います。
 さらに、雇用問題について伺います。
 一月三十日、閣議に報告された昨年十二月の労働力調査の結果によりますと、完全失業率は二・九%と過去最高値と同率となりました。昨年一年間を通じた平均失業率は二・八%に達し、過去最悪の記録となりました。失業率が三%台に乗るのはもう時間の問題になっております。激しい円高によって地場産業に深刻な打撃を受けた国民、特に地方住民は、生活の前途に大きな不安を持ち始めております。政府が緊急雇用対策の目玉としておる三十万人雇用開発プログラムは、従来の制度に若干上積みしただけのものにすぎません。しかも、地域においてはそれすら活用するエネルギーが残っていないところが多いのであります。現在の失業率の上昇は、一時的、過渡的な不況によるものではございません。円高の荒波にのみ込まれた地域ぐるみの倒産、合理化によってつくり出された失業であります。したがって、地方の失業は大都市の失業とは様相が異なっております。
 先般、我が党の雇用調査団が各地で調査した結果によりますと、政府は簡単に事業転換、職業転換とか言っておりますけれども、転換すべき事業がない、職業訓練を受けても再就職の場所がないという最悪の事態に追い込まれているところがたくさんあります。事業転換で何人、職業訓練で何人、合わせて三十万人だというマクロな数字のつじつま合わせのみの緊急対策では、実際には何の役にも立たないでしょう。国鉄の場合は一人の解雇者も出さないとしました。円高も政府の無策によるものであります。具体的な血の通った政策を示して、雇用確保を約束していただきたい。総理の所信と労働大臣の具体的方策をお尋ねいたします。(拍手)
 以上述べましたが、今日の日本経済混乱の重要な原因は、円高の差益が国民に十分に還元されないところにあります。
 先日、経済企画庁が発表した試算によりますと、円高と原油安による差益の額は十四兆一千億円に達しております。そして、その五四%が消費者に還元されているとされております。しかし、実際には、国内の消費につながっている額はまだその半分にすぎません。すなわち、十四兆一千億円のわずか四分の一しか内需拡大に役立っていないのであります。残りの膨大な金額は企業や流通過程の中に吸収されて、三十日の午後には、ついに東証平均株価を二万円台に乗せるような財テクの資金に化けているのであります。このように、円高のメリットがデメリットのサイドに、還元されないままに推移するならば、日本じゅうに不公平が蔓延して、社会不安も起こりかねません。円高差益をどう還元するのか、特に、政府の価格政策対象品目や輸入総代理店制度など、差益還元率の非常に低いものを見直す必要があると考えますが、総理の具体策をお伺いいたします。(拍手)
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 昨年秋の全米精米業者の提訴以来、アメリカの米自由化の圧力が増しまして、日本農業の根幹が揺らごうとしております。現在の米論議は、ほとんどが価格の論議であります。日本の米は高いから安いアメリカの米を買えというのは、余りにも短絡に過ぎます。また、農業は過保護だという声も聞かれます。農業は付加価値生産性が低いために、どこの国でも保護されていることは周知のとおりであります。だからといって、農業を切り捨てた国がどこにあるでしょうか。まして、我が国のように、財界からも、輸出の邪魔だからつぶしてしまえなどという乱暴な議論の出ている国はどこにもありません。
 今、深刻な第二次産業の空洞化が進んでおりますけれども、農業が単なる経済合理性から切り捨てられることになれば、失業の増大、自然破壊、人口の大都市集中となって、国土と産業の均衡ある発展が著しく阻害されて、やがて地域社会は崩壊していくでありましょう。離農促進計画を絵にかいたような農政審議会答申をもう一度白紙に戻して、生産資材の価格引き下げ、兼業農家をも含めた集落共同経営の拡大など、農家が立ち行くような生産性向上を図る計画を策定し直すことを強く要望するものであります。総理のお考えをお聞かせください。(拍手)
 あわせて、林業についてもお伺いします。
 現在、日本の林業は外材との競争で極めて厳しい状況下にあります。国土の七割を占めている森林は荒廃し、他方では、輸出国もまた乱伐によって荒廃し、今や地球規模の環境破壊が進んでおります。我が国もそれに手をかしていると批判されております。山はまさに国土そのもの、この際、国の財政によって積極的に山林育成の道を開くため、制度の抜本的改革を行うべきだと思いますけれども、総理の御所見をお伺いいたします。
 続いて、教育問題について御質問いたします。
 鳴り物入りで発足した臨教審も、この夏で任期を終えることになります。しかし、あの激しい議論の結果、日本の教育は改善されたのでありましょうか。一月二十三日に公表された臨教審の「審議経過の概要」を読んでみましても、国民には一向にわかりません。いじめの対策はどうなったのか、受験地獄は解消されたのか、学歴社会はどう是正されたのか、何一つ解決されたものは見当たりません。臨教審そのものが、元来政治的に中立であるべき教育を政治的に利用して、財界の要望にこたえて権力に忠実な国民をつくろうとしているという指摘がありますけれども、第一次答申は東京都議会選挙前、第二次答申が衆参同日選挙時、そして、第三次答申が今度の統一地方選挙に合わされようとしておりますが、これを見れば、この批判もなるほどとうなずくことができます。
 特に、六十二年度予算に初めて計上されました初任者研修制度はまさに政治のにおいぶんぶん、新任の先生が一年間、任命権者である教育委員会の息のかかった指導教員にみっちり指導されたならば、一体どんな先生ができるのか、権力の鼻息をうかがう没個性の教員が果たして臨教審のうたう個性重視の教育などできるだろうかという痛烈な批判があります。それよりも、父母の要望も高く、政府が年来約束しております四十人学級を一日も早く実現して、先生がもっと余裕を持って子供たちに接することができるようにしてやってはどうか、総理のお考えをお聞かせください。(拍手)
 最後に、地方行財政についてお伺いいたします。
 さきにも申し述べましたとおり、今地方の多くの自治体、とりわけ、いわゆる企業城下町と言われるところは、大変な状況下に置かれております。企業城下町においては、企業の撤退は自治体の崩壊につながります。商業、医療、福祉、教育、鉄道や上下水道など、住民生活のあらゆる分野の存立が危うくなり、自治体そのものの存続が問われかねない状況に陥ります。合併しようとしても周囲も皆同様、通産省、労働省等の不況地域指定や地方交付税等の上積みぐらいでは到底対策とはなりません。自分の立っている大地が一挙に陥没するようなもので、ある意味においては過疎や離島よりも深刻な問題であります。高島町を思い出していただけは十分であります。私は、例えば企業城下町再建特別措置法とでもいうような何らかの特別立法が必要だと思いますけれども、総理、自治大臣の御見解をお伺いいたします。(拍手)
 現在、地方財政に対する政府のやり方は余りにも一貫性がなく、でたらめで、地方軽視としか思われません。昭和五十年度以来発生した膨大な地方財政の赤字を、制度の改正だと称して借金に次ぐ借金で穴埋めをし、地方交付税法六条の三の二項は完全に無視されました。そのために、今や地方財政の借金残高は六十三兆円を超えるに至りました。また、地方交付税特別会計の借り入れに対して、元利償還は国が支払うという約束をほごにし、今後借り入れをしない、財源不足になったら交付税をふやすと約束して二分の一を地方に押しつけ、いまだ唇のぬれている翌々年、たちまち約束を破って借り入れをしてしまった。五十九年度、退職者医療制度の発足に際しては、加入者の人数を過大に間違えて四百六万人分の補助金を削り、二千八百億円も負担をかけながら、結局一千三百六十七億円しか返さない。このために国保税は軒並み大増税であります。
 六十年度補助金一律一割カットの五千八百億円は一年限りの約束。ところが、六十一年度もカット延長。地方の損害は何と一兆一千七百億円であります。これも、今後三年間カットもしない、率も上げないという覚書まで交わして確約した。ところが、またもやだまされて、六十二年度予算で一部のカット率を上げ、カットの対象事業も広げた。これで一兆五千億の損害。よくもまあ地方の弱みにつけ込んでやりたいほうだい。今や地方財政は、空証文の覚書と借金の山に埋もれて、何が何だか実体がわからなくなってしまっております。
 こんなことをしておいて、自治大臣からは毎年毎年、地方財政は先を考えて計画的にやりなさいと自治体に指示が来るのです。自分ででたらめをやって、人にしっかりやれとは、余りにもでたらめな話ではございませんか。(拍手)こんなことでは、地方自治体が行政も財政も安心して計画的にやることなど到底できるはずがございません。だから、地方自治体は東京へ出てきて陳情行政を展開して、借金であろうが何であろうがお構いなしに金をあさり、後は野となれ山となれ。無責任の風潮が次第に地方にあらわれてきております。最近地方自治体に不祥事が盛んに起こっております。これもその一つのあらわれでありましょう。
 総理は、演説の中で「地方公共団体の自主性、自律性の強化を図る」と言っておりますけれども、地方自治体に権限も財源の移譲も行わないで、ただひたすらに補助金のカットばかりしていれば、自主、自律どころか、やがて何でも国に頼ろうとする結果、自治、分権の気風、気概が次第にむしばまれて、中央集権体制をあおる結果となり、やがて民主政治の崩壊にもつながりかねない懸念を抱かざるを得ません。(拍手)前国会で成立したポスト行革法は、地方行革と農業をターゲットにしていると言われておりますけれども、こんなでたらめをやっている政府に、地方行革を語る資格があるのでしょうか。改革しなければならないのは国のやり方そのものなんです。削った補助金をもとに戻して被害を補てんし、以後借金財政は抑制しますと誓って、国と地方との信頼関係をもう一度取り戻すことが何よりも必要なことではないでしょうか。総理、大蔵大臣の所信をお尋ねすると同時に、こんなことを唯々諾々と受け入れている自治大臣は一体何をしているのか、御所見をお伺いしたい。(拍手)
 総理の施政方針演説を聞いて、きれいな言葉が羅列している割には心にぴんと感じるものはない。なぜかと考えてみました。気がついたことは、総理の言っておられることは、やっていることと言っていることが大変かけ離れているということであります。
 演説の中でこう言っております。憲法を守ると言い、あるいは「戦争直後の燃えるような情熱が減衰し、」と言っております。戦後の燃えるような情熱の最たるものは不戦の誓い、もう戦争なんか嫌だということであります。すなわち憲法第九条であります。しかし、あなたは軍備拡張に狂奔しております。「さらに、政治倫理の向上につきましては、国民からいやしくも疑念を持たれることのないように」ということを聞くに至っては、まさにあいた口がふさがりません。(拍手)今国会は税制国会であるはずなのに、売上税のウの字も言わない。何かで見ましたけれども、ことしはうさぎ年、ウサギにウの字がなくなればサギになる。戦争の最大の抑止力は、自由な情報交流であると信じますと言っております。しかし、本心はそれを信じてないとみえまして、スパイ防止法をまたまた提出しようとしております。
 二十一世紀のことを随分たくさん言っておりますけれども、二十一世紀も大変大切でありますが、今も大切なんです。(拍手)あなたの演説を聞いておりましても、あなたがもたらしたところの円高による倒産、失業に苦しむ人たちに対する思いやりが全然感じられない。感じられるのは、やたらに自己顕示ばかりであります。ナルシズムのにおいさえ感じられる。一国の総理として、もっと国民の中に踏み込んだ率直な発言をなすべきではないかと思います。そこに、あなたが言っておられる「思いやりと合意を中心にする日本人の生き方」が生まれるのではないでしょうか。一言感想を申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 佐藤議員にお答えを申し上げます。
 まず、売上税と公開討論の問題でございますが、やはりこの段階になりますと、国会、特に大蔵委員会とか予算委員会、委員会で一問一答するのが一番適当ではないか、こう考えておる次第でございます。
 次に、税法案と予算審議の関係でございますが、予算は、新年度開始後遅滞なく政府の諸施策が図れるように早期成立が必要でございます。いわゆる総合国策の推進は予算でございますから、十分御審議の上、早期成立をお願いいたす次第であります。(拍手)
 次に、円高と予算との関係でございますが、予算の積算レートは、これまで固定レートであったときにはその固定レートにより、その後は、近年では予算の編成時までの一定期間の相場の平均値をとっております。現在は、六十一年十一月の平均値、百六十三円一ドル、こういうふうにいたしております。六十二年度予算におきましては、現在の景気の状況等も考えまして、思い切った公共事業の事業費の拡大、すなわち、五・二%の伸びを確保するほか、住宅対策や雇用対策等についても懸命の努力を払っておるところでございますし、どうしても一日も早い成立が景気回復のためにも必要であると考えておりまして、御指摘のような予算の組み替えは考えておりません。
 次に、一%の問題でございますが、これは累次御説明申し上げましたように、政府は「防衛計画大綱」水準達成を目的に努力してきたところでございます。一方においては、三木内閣の閣議決定も守るように懸命の努力もしてきたところでございます。六十二年度におきましては、一面においては円高や石油の下落という問題もございますが、一面においては、今のような中期防の達成という面から見まして、隊員の待遇の改善であるとかあるいは円高による労務費の問題であるとか、訓練の充実であるとかあるいは通信機能の充実であるとか、そういう面についても節約をいたしましたが、ぎりぎりやむを得ず一%を上回るという結果になったのでございます。しかし、依然としてこの三木内閣の閣議決定の精神は尊重して、節度ある防衛力を整備していくという方針は変わらないのでございます。
 次に、経済見通しと六十二年度予算の関係でございますが、やはり外需は円高の影響から引き続き減少していくと思います。内需を着実に増加させることが我々の大きな今後の目的でございます。そういう意味におきまして六十二年度予算を編成いたしました。この線に沿って一日も早い成立を念願しておるわけでございます。
 売上税の非課税取引の問題でございますが、この非課税取引の選択につきましては、与党初め関係各方面、各省庁の意見を十分伺いながら決定したものであって、恣意的に決定したものではございません。それは国民生活に密接に関連する分野の多くを非課税といたしたものでありまして、これでひずみがふえるという問題は起こらないと考えております。
 次に、国土の均衡ある発展の問題でございますが、多極分散型の国土の形成を図るという考えでこれをまとめようとしております。東京、大阪問題を私が指摘いたしましたのは、地価対策が欠けているではないかという意味で東京、大阪プロブレムということを申し上げたのでございます。四全総の策定に当たっては、国土における大都市圏、地方圏、それぞれが果たしている役割を十分踏まえつつ、均衡ある発展を図るという考えで策定いたします。
 円高不況への対応策でございますが、鉱山、造船、鉄鋼、繊維等々あるいは地場産業等々、厳しい状況にあることはよく認識しております。これらの情勢に対応して地域経済についても影響が出てきていることも認識しておるところでございます。これらにつきましてはまず内需の拡大、それから相場の安定、産業構造の転換の円滑化、地域経済の活性化、こういうような考えに立ちまして、まず、今回の新しい政策といたしまして産業基盤整備基金を設置いたしまして、不況の著しい地域における第三セクタープロジェクトの事業化、新規立地等の促進に資する措置を講ずるとともに、他分野への転換に必要な生産設備に対する特別償却制度等、税制上の支援を講ずるべく今国会に提案する予定でございます。電気、ガス料金等も一月から年間約二兆円に上る暫定料金の引き下げもありまして、そういう効果も産業界に浸透していくものであると考えます。
 雇用の確保は本年度の大事業でございまして、いわゆる三十万人雇用開発プログラムを着実に推進してまいります。特に、不況地域あるいは不況業種に対する雇用対策については重点を入れる考え方でおります。中央で行うのみならず、全国八ブロックに分けまして、各地域において中央と地方公共団体一体となった協議会をつくっておりまして、これらの協議会によりまして適切な施策を実行するように推進しており、北海道において第一回を近く開催する予定で進めておるところでございます。
 さらに、週休二日制の問題でございますが、労働時間の短縮については、長期的な雇用機会の確保や国際社会における我が国の地位にかんがみ、週休二日制の普及に努める考えでおります。昨年十二月の中央労働基準審議会の建議に沿い、法定労働時間の短縮等を内容とする労働基準法改正法案を今国会に提出する予定であります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 円高不況につきましては、先ほど来申し上げましたが、内需を中心とした景気の着実な拡大を図ってまいる考えでおります。六十二年度予算においては一般公共事業の事業費の確保、地方財政との協力、住宅金融公庫融資の拡充、雇用対策の充実など、経済情勢にも適切に対応してまいりたいと思っております。そのほか、消費者金融の利子の引き下げ、所得税、住民税減税の先行実施等により消費の拡大を促進してまいりたいと思っております。為替レートの問題につきましても、先般のG5の結果をわきまえ、さらにG7という点も将来考慮いたしまして、国際協調によりまして長期的、合理的安定を目指してまいる考えでおります。
 円高差益の還元につきましては、懸命の努力をしておるところでございますが、例えば公共料金については、本年一月から電力、ガス料金を再度引き下げまして、年間約二兆円を消費者に還元するほか、輸入牛肉の展示販売における小売目安価格を約二〇%引き下げる等の諸施策も実施いたしております。輸入総代理店制については、現在、並行輸入及び輸入総代理店に関する調査を実施しておりまして、輸入総代理店により競争制限行為が行われることのないように監視を強化してまいります。
 次に、農家の問題でございますが、今日ほど農政について関心の持たれている時代はないと思います。農は国の基であり、今後、農業を産業として自立させて、担い手が明るい希望を持つようにすることが大事であると考えます。先般の農政審議会の報告を尊重いたしまして、農業者あるいは農業団体と一体となりまして、農業の生産性の向上あるいは国際的対応等について万遺憾なきを期してまいるつもりでおります。農は国の基でありますから、これは単に経済性のみならず、やはり社会性という面もある程度は考えていかなければならない。我々も親身になって考えていきたいと考えておるところであります。
 林業の問題につきましては、森林は木材の供給、国土の保全、水資源の涵養、生活環境の保全等幅広い公益的機能を持っております。また、国際的にも森林資源の保全は急務とされておるところでございます。こういうような観点を踏まえまして、昨年十一月の林政審議会の報告、活力回復五カ年計画を初め各般の施策に積極的に取り組んでまいります。
 臨教審につきましては、いよいよ最後の詰めの段階に入っておりまして、長期的視野に立った着実な提案を歓迎いたしたいと思っております。臨教審はあくまで主体的に、自主的に審議が行われるものでありますが、その中でも、初任者研修制度は教員の使命感や実践的指導力を養う上で極めて重要であると考えております。四十人学級については、昭和六十六年度までの十二年計画によって実施することとして、昭和六十二年度予算においても所要の改善措置を講じております。
 企業城下町等に対する地域経済対策につきましても、鉄鋼とか石炭、繊維、造船、非鉄等、企業城下町と言われる地域における諸問題等についても今懸命の努力をいたしております。既に講じている特定地域における中小企業対策に加え、地域雇用の開発の促進、産業構造の転換の円滑化のための立法措置の準備等を図りまして、地方公共団体が行う地域の実情に即した地域経済の活性化対策の一層の推進に努めてまいる考えでおります。
 地方財政対策については、従来よりその運営に支障を来さないように細心の注意を払っております。補助負担率の見直し等に当たっても、所要の地方財政対策を講じておるところであり、今後とも、地方団体が安定した財政運営を行うように努力いたします。
 また、地方自治は民主政治の基盤であり、今後とも、地方自治の一層の充実発展に努力してまいりたいと思います。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 為替の問題でございますが、昨年の十一月、十二月と安定をいたしておりましたが、ことしの一月初旬から中旬にかけまして、ヨーロッパの情勢等々反映いたしまして大変に不安定になりました。そこで、これは昨年ベーカー財務長官と相談をいたしましたいわゆる二人で相談をすべきケースであると考えまして、会談をいたしたわけであります。その結果といたしまして、このような状況は一時的に確かに不安定な状況である、そういう認識のもとに、両方で積極的に協力をし合おうということを再確認をいたしたわけでございます。
 その後になりまして、米国の国際収支が十二月非常に改善をした。どうしてもジグザグのコースかと思いますが、そういう傾向が見られるように思われますので、そういうことも考えてまいりますと、ある程度為替が安定をいたしまして、我が国としてもこのような低金利でございますし、それから在庫がかなりもう少なくなっておりますから、在庫調整の終了といいますかあるいは在庫の補てんといいますか、そういうこともあり、また、円高メリットそのものもだんだんに浸透してまいります。そういたしますと、三・五%の成長というのは、運営よろしきを得ればそんなに高望みではない、公共事業も一生懸命五・二%の積み増しもいたしておりますので、私はそういうふうにその点を考えております。
 それから、防衛予算につきまして、ここに円高の差益があったはずではないかというお尋ねがございまして、確かに三百億円ほどの円高の効果があったというふうに、今回予算編成のときに計算をいたしました。そういうことでございましたので、昨日申し上げました後方経費等々の充実をいたしましたが、一%問題はともかくといたしまして、防衛費の伸びといたしましては、今回の伸び五・二%は、昭和三十五年度以来の、伸びとしては低い伸びになっておるわけでございます。これはやはりおっしゃいましたような、円高のメリットというようなものが予算編成に当たって働いたということであろうかと存じます。
 それから次に、売上税収の税収見積もりが昭和五十四年のときの一般消費税で考えておったのよりどうも少ないではないかというお尋ねであったわけですが、これは、あのときと今回とでは、非課税の範囲が非常に今回大きゅうございます。それから免税点も非常に高こうございます。それからもう一つは、あのときには物品税を残すつもりでおったわけでございますが、このたびは物品税を吸収しておるといったようなことで、両方の比較が必ずしも簡単でございません。今回の私どもの見積もりは、それならばどうしたかということでございますが、大体マクロに考えまして、昭和六十二年度の課税対象額、平年度でございますと百十六兆円と推定をいたしまして、これはGNPが三百五十兆でございますのでほぼ三分の一でございますが、その五%ということで、平年度でグロスで五兆八千億円と計算したわけでございます。その上で物品税等の今度廃止いたします税目を差し引きますので、それが二兆九千億円でございますから、残り二兆九千億円を税収といたしたわけでございました。
 それから最後に、地方財政についてただいまも総理から御答弁がございましたが、このたび、何とかして公共事業の事業費を確保したいということから、補助率、負担率の引き下げをお願いをいたしました。これは、今までのいきさつからいえば甚だ適当でないではないかという御指摘は、私ども、決して地方財政に余裕がある、楽だというふうに考えておるわけではございませんけれども、何分にもこういう状況でございましたので、地方にたって御理解と御協力をお願いをいたしたというような事情でございまして、所要の財源措置は講じまして、地方財政の運営に支障がないように対処をいたしたつもりでございますが、この点は切に地方に御理解と御協力をお願いいたしたいと思っているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣平井卓志君登壇〕
#11
○国務大臣(平井卓志君) 雇用対策についてお答えいたします。
 現下のまことに厳しい雇用失業情勢に対処するためには、基本的には内需を中心とした景気の持続的拡大を図ることは、これはもう極めて重要なことであります。同時に、関連諸施策との密接な連携のもとに、総合的な雇用対策を積極的に推進する必要があります。このために、三十万人雇用開発プログラムとして、雇用調整助成金の助成率の改善等従来の施策の大幅な改善に加え、地域における雇用開発のための助成制度の創設等総合的な地域雇用対策の整備、さらに、不況業種における職業転換訓練に対する助成制度の創設、設立準備中の産業雇用安定センターに対する援助を通じた労働移動の円滑化等、新たな施策を実施することとしたところであります。
 特にお願いをしております本年度予算は二兆三千七百億でございまして、昨年度当初予算に比べ一〇・三%増でお願いをいたしております。したがって、決して議員御指摘のように従来の制度を若干上積みした程度のものとは考えておりません。特に地域の雇用対策につきましては、従来の枠組みを超えた強力な措置が必要なために、雇用開発のための新たな法案を提出することとしたところでございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
#12
○国務大臣(葉梨信行君) 企業城下町に対します地域経済対策についてお答え申し上げます。
 一昨年来の円高の急速な進展等、最近の我が国を取り巻く社会経済情勢の変化によりまして、鉄鋼、石炭、造船、非鉄あるいはその他我が国の産業は厳しい状況にございまして、そのような業種に大きく依存している地域の経済は大きな影響を受け、また、雇用の面でも厳しさを加えているところであります。このような情勢に対処しまして、関係所管省庁におきましては、既に実施されている施策に加え、地域雇用の開発促進、産業構造の転換の円滑化等のための施策が準備されていると聞いているところでございます。自治省といたしましては、かねてから、地域の安定的な経済基盤を確立するため、地方公共団体を中心といたしまして施策を進めてまいりましたが、最近の厳しい情勢にかんがみまして、関係省庁とも十分連携をとりました上、地方公共団体の意向等も踏まえて、地域経済の活性化、雇用の安定に一層努力してまいりたいと考えている次第でございます。
 次に、国と地方との財政の関係につきましての御質問にお答え申し上げます。
 地方財政は、巨額の借入金残高を抱え、極めて厳しい状況にございます。自治省といたしましては、毎年度の地方財政対策を策定するに当たり、その健全性を図るとともに、自主性の向上が図られるよう努力してきたところでございます。このところ極めて厳しい国の財政状況を背景といたしまして、国庫補助負担率の引き下げ等地方財政に関連する制度の変更が幾つか行われておりますが、このような場合には、常に地方団体の財政の運営に支障が生じないように、必要な地方財政措置を講じてきた次第でございます。また当面、地方債の増発等借入金に依存せざるを得ない面もございますが、それが将来の地方財政の運営を圧迫することにならないよう、国の責任におきまして適切な措置を講ずることとしている次第であります。
 自治省といたしましては、今後とも、地方団体が安定した財政運営を行うことができますように国、地方の財政関係や負担関係を極力安定的なものとするように努力します一方で、地方財政の健全化及び自主性の向上のために一層の努力をしてまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○副議長(多賀谷真稔君) 不破哲三君。
    〔不破哲三君登壇〕
#14
○不破哲三君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、中曽根首相に質問します。
 まず、売上税の問題ですが、総理が選挙公約を踏みにじって売上税という名の大型間接税導入を決定しながら、施政方針演説でこれに二言も触れなかったのは、総理の政治姿勢の問題として極めて重大であります。これは、間接税制度の改革と言ってごまかせる性質の問題では絶対になく、新しい税制の導入そのものであって、そういうものとして国民の批判と審判を仰ぐべきが当然であります。この見地から、総理が売上税を導入する基本的な考え方について、特に選挙時の公約との関係について、責任ある説明を行うことをまず強く要求するものであります。(拍手)
 総理は、公約違反でないとするゆえんについて昨日来いろいろ弁明を試みていますが、売上税が間接税の一形態であることは、幾ら総理でも否定されないでしょう。問題は、これが大型であるかどうかという点であります。
 第一に、売上税は特定の品目にだけかけられる従来の物品税や酒税等とは違って、指定された特定品目を除く全商品・全サービスにかけられる間接税であります。非課税とされる一部の品目にしても、課税されないというのはその価格構成のごく一部にすぎません。それは自民党のパンフレット自身が「導入時にはすべての物やサービスの価格が引き上げられる」と、その包括的な性格を自慢しているとおりであります。課税対象は国民生活の三、四割程度だと本気で主張するのなら、売上税が一円もかからないで消費者の手に入る商品がどれだけあるのか、商品名で具体的に示してもらいたいと思います。(拍手)
 第二に、売上税は取引の全段階にかけられる間接税で、首相がいみじくも特徴づけた投網的な性格を持つ大型課税であります。政府は、免税点を設定したから限定的だなどと弁明しますが、一体製造から小売までの間に、段階としてこの税を免れる段階がありますか。免税点とは、全段階に税をかけるという網羅的な性格はそのままにして、それぞれの段階で例外措置を設けるというだけのことであります。だから、非課税業者は例外扱いされることによって取引から締め出される危険が大きい。その救済を求める声に対して、自民党のパンフレット及び大蔵大臣が与えた回答は、売上税を支払う道を選べば締め出されないで済むから「心配はありません。」まさに驚くべき助言でした。これは、売上税体制のもとでは非課税業者には営業の保障がないこと、免税点以下の業者でも、不利益な目に遭いたくなかったら進んで課税業者となるべきだということ、免税点なるものが一時逃れのごまかしにすぎないことを自民党みずからが天下に宣言したと同じではありませんか。(拍手)
 第三に、売上税の年間総額は政府の予想で五兆八千億円、今回の増税分だけでも二兆九千億円に上り、税収の規模からいっても所得税、法人税に次ぐ第三の大型税であります。しかも、五%の税率が固定的なものでなく、将来さらに引き上げられるだろうことは確実です。現に、政府税調の答申は、将来の財政上の要請に応じて弾力的な対応も可能になると公然と述べているし、自民党のバンフも今後の税率引き上げを否定せず、それがどんな手続でやられるかの説明を一生懸命行っています。政府の計算でも、税率が一%上がれば一兆一千六百億円ずつ国民の税負担は膨れ上がるわけで、売上税の大型ぶりは将来を展望すれば一層悪質であります。
 以上、私は三つの角度から売上税の性格を見てきましたが、どこから見てもこれが大型間接税以外の何物でもないことは明白であります。総理は、これでも売上税が大型でないと主張するのですか。あなたが同時選挙に際して、大型間接税は導入しないことを繰り返し日本の全有権者に公約したのは、今さら隠しようもない事実であります。その総理が、売上税と名前だけ変えて、紛れもない大型間接税を持ち込もうとしている。総理は、一体この公約違反の責任をどうとるつもりか、明確な答弁を求めたいのであります。(拍手)大型間接税に公約に違反するものとしないものと二種類あるといった詭弁は、首相の公約をその耳で聞いた八千六百万有権者の前では絶対に通用しないのであります。
 選挙であれこれ国民受けのする公約を並べて、それを実行しない公約違反はもちろん許されませんが、絶対にやらないと公約した増税を平気で強行する公約違反は一層言語道断であります。(拍手)日本共産党・革新共同は、国民の生活を守る立場からはもちろんのこと、選挙と議会を空洞化する民主政治の破壊を許さないためにも、大型間接税の導入、マル優廃止という増税計画の撤回を強く要求するとともに、増税反対の一点であらゆる勢力と共同してこの計画を阻止するために全力を尽くす決意を表明するものであります。(拍手)
 次に、私は、大型間接税の導入が、その内容と動機からいって、中曽根内閣の悪政の文字どおりの集中点となっていることを指摘しなければなりません。
 今回の増税計画の根底には、まず、年ごとに膨張する軍備拡大予算の財源づくりのねらいがあります。中曽根内閣は、これまでも財政再建のためと言って福祉や教育を冷酷に圧迫しながら、軍事費を突出的に増額する道を突き進んできました。財政再建計画が完全な破綻に陥っている最大の原因も、軍拡優先のこの路線にあります。政府は、このことを反省するどころか、従来型のやり方では増大する軍事予算を貯えないとして、今度の大増税に踏み出したのであります。政府が、大型間接税の導入と同時に、軍事費はGNPの一%以内という十年来のみずからの決定を投げ捨て、歯どめなき軍拡に足を踏み出したことこそ、増税計画が軍拡路線と不可分であることの政府自身の行動による告白ではありませんか。(拍手)
 国民が、財政困難の条件のもとでは、とりわけ軍事費の削減による国民生活の防衛の施策を求めていることは、世論調査の一致した結論であります。政府に国民の意思と生活に責任を負う気持ちが少しでもあるならば、新たな軍拡の重荷を新たな増税で国民の肩に担わせるなどは絶対にやるべきではありませんが、総理の所見を問うものであります。また、軍拡優先の方針で公約どおり昭和六十五年度までに赤字国債発行をゼロにすることができるのか、明確な答弁を求めます。(拍手)
 政府は、五カ年計画の軍事予算総額を明示することで新たな量的な歯どめをつくったと称しています。これは国民を欺くものであります。中曽根内閣が一昨年決定した軍拡五カ年計画は、八五年度価格で総額十八兆四千億円。あなたの内閣に先立つ田中、三木、福田、大平、鈴木、五代の内閣が十年間に使った軍事費の合計さえ上回る軍事費倍増の軍拡計画であり、政府自身、この計画遂行が必要だということを一%枠撤廃の最大の論拠としたではありませんか。五カ年計画とは、軍拡の歯どめどころか、歯どめなき軍拡へのてこだというのが動かしがたい歴史の結論であります。総理は、今回の政府決定が軍拡推進の新しいレールを敷いたものであることを正直に認めた上で、国会と国民にその是非の検討を求めるべきではありませんか。(拍手)
 突出軍拡の正当化のために政府がよく持ち出すのは、国の独立を守るのは独立国の当然の義務だという議論であります。しかし、現在の日本での最大の問題は、自衛隊が自国の主権と安全を守る独立国の軍事力ではなく、違憲の存在であると同時に、米国の極東戦略に組み込まれた対米従属の軍隊であって、これが増強されればされるほど、日本がアメリカの戦争に巻き込まれる危険が強くなるという点にあります。総理が力説する国際国家日本なるものの危険な実態も、まさにこの点にあるのであります。(拍手)
 国民大多数の希望に反して強行されている軍備拡大の規模とテンポは、一体どこで決定されているのでしょうか。日本の軍事費をどうするかは、日本の国民と国会自身が決すべき問題ですが、日米首脳会談や政府軍部間の接触のたびに、アメリカ側から軍備拡大のテンポを速めることが要求されているのは隠れもない事実ではありませんか。この一月に発表されたアメリカ政府の国防報告は、中曽根内閣の軍事費突国政策について、中曽根首相が公式に認めた義務を遂行したものと位置づけています。総理はこの評価を認めますか。そうであるならば、アメリカや西側軍事同盟諸国に対し、どんな義務を、いつ、どういう形で公式に認めたのか、国民の前に明示してもらいたいと思います。(拍手)
 また、軍備増強の内容自体がアメリカ側の青写真に沿ったものであります。例えば、政府が特に力を入れている対潜哨我機P3Cは、ソ連の原子力潜水艦を捕捉、撃破するためにアメリカが開発したもので、これによる対潜作戦綱はアメリカの海洋核戦略の柱の一つであります。このP3Cを自衛隊が、今回の予算案によれば六十八機持つことになります。西側軍事同盟が西太平洋、南太平洋、インド洋の全域に配備するP3Cは、発注済みの分を含めても百十五機ですから、日本は一国で実にその六割を占めることになります。例の五カ年計画ではこれを今後さらに三十一機増強するわけですが、日本を異常な対潜大国にするこの計画は、アメリカの対ソ戦略の事事分超以外には説明のつけようがないではありませんか。(拍手)
 さらに重要なことは、対ソ戦における自衛隊の作戦計画までが今、日米間で詳細に決定されつつあることであります。政府の国会での答弁は、外国の武力侵攻に備えるという決まり文句に終始しています。しかし、一九七九年以来のガイドラインに基づく日米軍事協議の場では、アメリカ有事の際、自衛隊が米軍の側に立って参戦することが既定の事実とされ、すべての作戦計画がその前提のもとに立てられています。政府が幾ら否定しても、統合幕僚会議議長あるいは陸上、海上、航空の各幕僚長としてこの協議に参加した当事者たちが、日本有事とは中東その他の地域で米ソの武力対決が発生し、それが極東方面に波及してくるという状況以外には考えられない、それが日米共同作戦の発動だということを異口同音に言明しています。
 そうだとすれば、日本有事なるものも実際にはアメリカの戦争への参戦計画の一ケースにしかすぎないことになります。しかも、ソ連や中国が核兵器の先制使用を否定しているのに対し、米国側は公然と核先制使用論に立っているのですから、日本はいや応なしに核戦争放火の片棒を担がされるのです。総理は、核兵器の先制使用を認めますか、はっきりした答弁を求めるものであります。(拍手)
 日本有事に備えての日米共同作戦の文書は既に一昨年十二月、両国の代表者によって公式に署名されました。昨年十二月にはシーレーン共同研究の文書が署名され、極東有事の研究も八二年から続けられています。まさに、アメリカ有事のさまざまな場合について、ケースについて、日本をアメリカの戦争に引き込み、作戦任務を分担させる具体的な取り決めが、両国代表が署名する拘束力ある正式文書の形で進行しているのであります。国会では別の言葉を弄して国民とその代表を欺きながら、日本の運命を左右するこの重大問題を日米間の秘密取り決めにゆだねるなどは、民主政治の許さないところであります。アメリカ有事の参戦準備だという我が党の指摘が事実に反するというのなら、政府は、首相の承認のもとに統合幕僚会議議長が署名した二つの文書の内容を国民の前に発表すべきであり、総理にこのことを厳しく要求するものであります。(拍手)
 アメリカの核戦略への加担という点で国民が憂慮しているもう一つの問題は、日本の核基地化の問題であります。昨年は、核トマホーク積載が確実視される戦艦ニュージャージーの佐世保寄港が強行された上、原潜の寄港も四十一隻と戦後最高を数えました。政府が非核の保障だとしている一九六〇年の安保協議以来の日米取り決めなるものは、全く保障のていをなしておりません。総理は、施政方針演説で、元駐日大使ライシャワー氏の著書「日本史」の序文の一節を今後の中曽根政治の指針ともなるものとして引用しましたが、この同じ著書では、核持ち込みの問題で、アメリカの核積載艦が日本水域を通過することは禁止されていないというのがアメリカ側の解釈で、日本政府がこのことを国民に説明するのに余りにも憶病であるため事態が混乱しているのだ、そういう率直な言明があります。総理は、ライシャワー氏のこの言明をどう評価しますか、伺いたいと思います。(拍手)
 私たちは、最新の資料も含め、本国会でこの点を立ち入って究明したいと思っていますが、とりあえず国民の疑惑にこたえるために、非核の保障のより突っ込んだ措置をとるつもりはないか、それとも核兵器の有無は明らかにしないというアメリカの言い分をうのみにするだけで、核基地化の疑いを無限に残す灰色の道をいつまでも歩き続けるつもりなのか、総理の考えをまず伺っておきたいと思うのであります。(拍手)
 我が党は、政府の現在の軍拡政策を日本の国民と国土の安全を脅かし、さらに日本をアメリカの核戦争の計画に結びつける、そういうものとして強く糾弾し、日本の平和と安全のためにも、軍事費を当面昨年度より一兆六千億円以上削減して、軍拡から軍縮への大転換を図ることを要求するものです。
 とめどもない軍拡の最大の根源が、日米安保条約とそのもとでのアメリカ側の要求にあることは既に述べました。総理にとっては、軍事同盟は事実上絶対不可侵の存在で、それのない世界も軍事同盟に参加しない日本も考えられないようですが、軍事同盟とは一国の運命を他の軍事大国の戦略に従属させることであって、真の独立自主の道は、そのくびきを取り払って初めて保障されるのであり、世界平和の大勢もまた非同盟、独立、中立の道にあります。
 実際、総理が世界のすべてであるかのように言う西側軍事同盟参加国は、国連参加百五十九カ国のうちの二十カ国余り、東側も十カ国程度にすぎず、最大多数は非同盟の諸国であります。また、アジア・太平洋地域でも、アメリカが五〇年代に張りめぐらした軍事同盟の網の目の中で、今日ほぼ原形どおり存続し続けているのは日米と米韓の軍事同盟だけで、あとはすべて解体や亀裂の運命にさらされてきたではありませんか。日本共産党は、日米安保条約を廃棄し、日本が軍事同盟のあらゆる拘束から抜け出して、真に独立した非核、平和、非同盟の道に踏み出すために引き続き全力を尽くすものであります。(拍手)
 大型間接税の目的と動機にかかわるもう一つの大問題は、中曽根政治における大企業中心主義の問題です。総理の好きな民間活力という言葉が国民の生活の活力ではなく、大企業、財界の繁栄を指した言葉であることは、政府の施策の全体に貫かれてきた点ですが、今度の税制改革はそのことを一層あからさまに示しました。増税がすべて国民の肩に、それも上に薄く下に厚い逆進的な形でかぶせられるのに対して、減税は一兆八千億円は企業に対する法人税減税、所得減税の方も金持ち優遇の逆進型減税であります。中堅サラリーマンの負担の軽減などは中身のない看板にすぎません。大蔵省が発表した試算が法人税減税を国民の家計増に数え入れているのは、経済学の初歩も無視した暴論ですが、総理も本気でそう考えているのですか、伺いたいと思います。この暴論的な計算部分を除けば、大蔵省の試算でも、今回の税制改革は八割の国民にとって確実に増税になるという結論になりますが、総理はこの事実を認めますか。計算は政府自身が行ったものであります。
 しかも、法人税減税の内容は、百六十二万に上る日本の法人のうちわずか二千余りの大企業、資本金十億円以上で黒字の法人企業が一兆三百億円の減税分をひとり占め、平均減税額を見ても、資本金一億円未満の企業の六十二万円に対して、資本金十億円以上の企業は五億七百万円、トップクラスでは一社の減税額が三百億円にも上ります。また、マル優の廃止で庶民に重税をかける一方、金持ち優遇の最たるものとされる利子所得分離課税の税率を三五%から二〇%に引き下げ、利子所得十億円当たり一億五千万円もの減税だというのですから、大企業、金持ち優遇は明々白々な事実ではありませんか。(拍手)
 現在の税制自体、大企業、大資産家への特権的減免税にこそ最大の不公正があります。公式発表でも、大企業ほど法人税の実質負担率は低くなっており、大企業への減免税は、八四年度の公表数字で計算して、主な十八項目で三兆三千三百億円に上ります。政府は、大企業の特権的地位をさらに拡大する今回の措置を撤回し、不公平税制の是正措置をこそ講じるべきであります。軍事費の大幅削減に加えて、大企業、大資産家に対する世間並みの課税を断行するならば、それだけで、我が党が主張し、国民が要望している増税なしの三兆円減税を十分実施することができ、さらに、国民の福祉、生活、教育の要求にこたえる財源をも生み出すことができるのであります。総理の見解をただします。
 もう一つの重大問題は、大企業中心主義がアメリカ追従の外交姿勢と結びついて、日本の経済の全体に前例のない空洞化の危険をもたらしていることであります。総理、あなたは、昨年四月の日米首脳会談で、いわゆる前川レポートの実施をレーガン政権に公約してきました。自分の私的諮問機関が私的に出した報告を、国会にも語らずに対外公約とすること自体不見識きわまることでありますが、一層重大なことは、そこに示され政府が実行に移しつつある政策の内容であります。マル優の廃止も、ほかならぬこの対米公約の一部をなすものでありました。
 産業政策について言えば、第一に、政府は、貿易不均衡を口実としたアメリカの市場開放要求に譲歩して、石炭産業の壊滅的な縮小や農産物の輸入自由化の拡大などの措置をとっています。これは全く不当きわまるものであります。まず、不均衡についての米国側の主張自体が道理ある根拠を持たないものです。アメリカの主要な大企業が多国籍企業として日本でも大規模な活動をしている今日、輸出入のバランスだけで両国間の均衡を考えるわけにいかないことは現代の常識であります。その国の企業が相手国に進出し、その国で販売している分をも加えて計算するなら、政府の発表数字で計算しても、日本国民一人当たりの米国商品消費量は年間四百五十二ドル、アメリカ国民一人当たりの日本商品消費量は二百三十七ドルとなって、日本の譲歩の理由となるべき不均衡などはどこにも存在しないのであります。総理は、この事実を無視して、以前日本国民がアメリカ製品を百ドル余計に買えば貿易摩擦は解消する、こんな安易きわまる勧告を行いましたが、今でもその考えに変わりはありませんか。
 総理、長い視野で見るならば、食糧とエネルギーの二つの分野で経済自立の基盤を強めることは、経済政策の最優先課題の一つであります。ところが日本では、穀物の自給率は一九六〇年代初頭の八八%から現在の三二%へ、エネルギーは五六%から九%へと急低落し、現在世界で外国依存度の最も強い国の一つになっています。その現状を打開するどころか、道理のないアメリカの要求に屈して、食糧とエネルギー市場の明け渡しを構造政策の柱にするなどは、もってのほかの暴挙ではありませんか。(拍手)さらに、主食の米の自給まで脅かされることになれば、日本民族は食糧の面で外国に生殺与奪の権を握られる事態にも陥るのであります。
 我が党は、日本民族百年の大計からいっても、このような無責任な市場明け渡し政策を直ちにやめ、農業及び石炭産業を含むエネルギー産業の民主的再建策に大規模に取り組み、経済の自主的基盤を強化する対策こそ緊急重大だと考えますが、総理の見解を求めるものであります。
 第二は、政府が大企業の生産拠点を海外に移すことを構造政策のもう一つの柱にしていることであります。この政策は、多国籍企業としての発展と膨張を目指す日本の財界、大企業の戦略に沿った発想ですが、日本の経済と産業にとっては、その空洞化を最初からの目的とした破壊的な政策であることをます指摘しなければなりません。政府や財界の関係機関の計算でも、この政策のもとでは今後十数年間に新たに二百万人を超える失業者が発生し、空前の失業雇用不安の時代を迎えることは必至だとされています。失業は現に既に深刻な状況を呈しています。その有効な解決策も立てないまま産業空洞化政策を推進するとは、無責任のきわみではありませんか。
 解決すべき日本経済の構造問題は、今日確かに存在しています。しかしそれは、前川レポートや政府の構造調整政策が問題にしているようなところにあるのではありません。現在日本の輸出総額は年間約四十兆円、そのうちわずか三十の巨大企業が二分の一の二十兆円を占めています。円高で輸出関連の企業の多くが泣いた昨年でも、大企業はさらに輸出をふやし、上位十社は前年より八千億円の増、総輸出に占める比重も三〇%から三二%に拡大しました。この状態が放置されているから、異常円高のもとでも貿易摩擦は一向に緩和されず、むしろ悪化の道をたどっているのであります。
 この大量輸出の最大の武器となっているのが大企業製品の低コストであります。その根底には、アメリカよりも年間二百五十時間、西ドイツより五百時間多いという労働時間の驚くべき長さ、購買力平価でアメリカの五四%、西ドイツの六四%という低賃金の体制、他の資本主義国には例を見ない下請企業への差別と締めつけの体制、さらに住宅、下水道、公園、福祉施設など、発達した資本主義諸国の中でも劣悪な社会投資と生活環境があります。
 日本経済の国民的利益は、労働者や中小企業の犠牲の上に立つこの低コスト構造にメスを入れることを緊急に求めています。労働時間の短縮を実現し、購買力でせめて諸外国並みの賃金引き上げを実現し、下請に対する単価、工賃などの差別や締めつけをやめさせ、生活基盤整備を重点に社会資本投資を推進する、こういう構造政策こそ、異常円高や貿易不均衡の根源からの解決に役立つ日本側の抜本措置となるとともに、本当の内需拡大への最も効果的な力となるでしょう。さらにこの政策は、雇用の拡大と失業一掃に向かう決定打ともなります。労働時間の問題だけを考えても、もし平均労働時間がアメリカ並みに短縮されたら三百万人以上、西ドイツ並みなら七百万人以上の雇用拡大が必要となるからであります。
 政府が日本経済の前途を真剣に憂慮するのならば、生産拠点の海外移転の促進という産業空洞化推進策をきっぱりと中止し、勤労者の生活と雇用、生活環境を守り拡大する諸政策の推進で大企業の低コスト構造を改める方向に立つことが今何よりも求められているのであります。総理の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 最後に、民主主義の問題です。総理が施政方針演説で戦後民主政治全般にわたる検討を強調したことは、総理の年来の主張である改憲問題を初め危惧の念を深くさせるものですが、ここでは、当面の最も緊急の問題についてだけ質問したいと思います。
 私は、先ほど日米共同作戦や核兵器持ち込みの問題を質問しましたが、国民の命運にかかわるこれらの重大問題が国民に報告されず、国権の最高の機関である国会に対しても秘密にされているのが、日米安保条約下の日本の機密天国とでもいうべき実態であります。日本の国民的利益にとって必要なことは、国民に真実を隠す政府のこの秘密主義を打破して、国民の知る権利を保障することであります。国家機密法は、まさに日米軍事同盟の危険な実態を強権をもって国民の目から隠すことを直接最大の動機としてつくられました。総理は、施政方針演説で日本国憲法四十年に言及しましたが、国家機密法とは、この憲法の原理に反するものとして排除された法令の一つ、国防保安法の復活にほかなりません。このような法案をみずから葬る態度をとることこそ、憲法の四十年を記念するにふさわしい行為であります。私は、この見地から、総理が国家機密法案再提出の企図を速やかに断念することを要求するものであります。(拍手)
 次に、我が党の国際部長宅に対する盗聴事件についてであります。昨年来の調査によって、この盗聴工作が警察権力の関与のもとに組織された犯罪であることは紛れもない事実となりつつあります。日本共産党の国際活動に対するスパイ工作は、一地方警察の活動にはなじまないものであって、一層奥深い権力的背景があることを推測させますが、いかなる勢力が関係していようと、反対党に対する盗聴工作やそのもみ消しが民主政治に対する反逆的な挑戦であることは、アメリカにおけるニクソン辞任の例を振り返るまでもなく明瞭であります。私は、国民の自由と権利を確立する見地から、政府及び検察当局にこの問題の徹底した捜査、糾明、処断を要求して、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 不破議員にお答えをいたします。
 まず、施政方針演説の問題でございますが、これは、施政方針とありますように方針を述べるので、実は政策の内容、税の名前等は大蔵大臣の演説に譲っていいと思ったのであります。別に他意はございませんでした。
 それから、いわゆる大型間接税という問題でございますが、これは公明党の当時の矢野書記長、民社党の大内書記長さんにもお答え申し上げて、いわゆる大型間接税という定義を私から申し上げて、約束したわけです。その定義というのは、多段階、包括的、網羅的、普遍的で、縦横十文字に投網で全部ひっくるめてしまうような意味のものである、そう申し上げたのです。それが大型間接税と言っておるものでありまして、これに対して、今度の税は相当の限定性を持っておるもので、大型間接税に当たらない、こう申し上げているとおりであります。
 次に、売上税の性格の問題でございますが、売上税のかかる物品については材料がありますから、材料の流れる過程においてはあるいはその前段階において売上税が一部がかることもあり得ましょう。しかし、これは消費物品の性質上そういうことになるので、普通あることであってやむを得ないことである、そう考えております。
 それから、売上税は多段階という問題については、上からだんだん下へおりる過程におきまして、これが大体一貫して流れてくる可能性はかなりあると思いますが、しかし、その流れから除外されるものも場所場所によっては十分あり得る、そういうような意味におきまして、これは例外がかなりあるというふうに考えて結構でございます。
 次に、売上税やマル優の廃止の撤回は考えておりません。
 次に、一%の問題と売上税の問題でございますけれども、これが直接関連しているということは全然ないのであります。防衛は防衛で、いろいろ国の経費のバランス等も考えまして、また、三木内閣の決定等も考えまして、十分慎重に独自に決定したものであります。
 それから、これが大幅軍拡の資金になるのではないかという御質問でございましたが、そういうものとは毛頭考えておりません。
 次に、売上税に関する歯どめの問題が一つありましたが、外国におきましては、これの税率を上げるとか自然増収が出たという場合には、大体所得減税等の減税に回される場合が多いようです。私は、当然これは法律事項でありますから国会がお決めになることでありまして、国民世論によって国会がそのとき厳重に審議して決めていただくべきものであると思います。自然増収で伸びた分等については、私は、やはりこれは目的税というふうに硬直した考え方ではなくして、運用面において減税に充てるとかあるいは高齢化社会を迎えて社会福祉に充てるとか、そういうようなことが適当ではないか、そのように考えておるところで、参議院で答弁したところでございます。
 六十五年度特例公債脱却、この旗はおろしません。政府の肥大化を防いで、子孫に負担を残さないように、歯を食いしばって頑張っていきたいと考えておるところでございます。
 また、防衛費に関する歯どめの問題でございますが、やはり防衛に関する今までの諸原則、すなわち、専守防衛あるいは非核三原則、そういうものは厳守しつつ、今回は中期防で五年周で十八兆四千億程度、六十年度価格、こういうふうに金額で決めてありまして、したがって、これは厳重な歯どめになるわけでございます。私は、今までよりも厳重な歯どめである、そういうふうに考えておるわけであります。そして、これが五カ年計画が終わった次の段階はどうなるかという場合でございますが、これについても、三木内閣の決定の精神を尊重して節度あるものにする、そういう考えで一貫しているわけであります。
 米国の国防報告につきましては、これは日本が日本でやるべきことをやっている、そういう意味において共鳴的な意思表示をやった文章でおるように思います。しかし、「義務」と書かれていることは間違いでありまして、これは不適切であります。日本の防衛は日本独自の見解においてこれは行っておるものなのであります。
 P3Cの整備の問題につきましても、防衛力整備はあくまで日本の自主的判断に立って、本土防衛を中心にして我々は防衛力の整備をやっておるわけであります。したがって、アメリカの対ソ戦略の軍事分担という批判は当たりません。
 それから、アメリカの核兵器先制使用云々という御質問がございましたが、これは、やはり核兵器というものは抑止力としてこれを維持しているという戦略であります。そういう意味において、抑止力を保全するという意味においてこれに対する言明を避けている、そのように私は考えておるものであります。レーガン大統領も「核戦争には勝者はいない」とはっきり言っておるのでありまして、そういう点は十分わきまえておるのであります。
 次に、シーレーン防衛共同研究の問題でございますけれども、これは、五十九年末一応の区切りがついた共同作戦計画についての研究は、日本に対する武力攻撃がなされた場合に、自衛隊及び米軍が日本防衛のため整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に共同して実施するためのものであり、これらの内容については、事柄の性質上公表を差し控えたいと前から申し上げているとおりであります。
 ライシャワー博士の発言につきましては、あの発言等がありましたときに外務大臣から駐日大使等にも申し入れがありまして、アメリカ側も、非核三原則はよく知っておるし、アメリカも事前協議条項は遵守する、そう明確にこれは確認しておるところでございます。
 次に、防衛費の削減の問題でございますが、今回はやはり指揮・通信機能の充実あるいは教育訓練の推進、隊員の待遇改善の問題あるいは円高に伴う労務費の問題等々でやむを得ず一%を少し超すということになった次第でございます。
 日米軍事同盟から離脱せよというお考えでございますが、我が方は自衛隊及び日米安全保障方式によって国の安全を守っておるのでありまして、貴意に沿いかねるところでございます。
 今回の税制改革につきましては、増税ではないかと言われましたが、これは、中堅サラリーマンの減税を非常に考えまして、思い切った所得減税を中心に考えておるところでございます。例えば、年収三百万の給与所得者、夫婦子供二人の場合は、所得税と住民税を合わせた負担額は三六・三%減税されます。年収九百万の場合は二一・四%減税され、おおむね二けた台の大幅減税になっておるものなのであります。
 次に、金持ち優遇ではないかという御質問でございますけれども、しかし、例えば利子の分離課税の問題にいたしましても、あれを一番利用しているのは割合お金のある人であると言われております。限度いっぱい家族の名前まで使ってやっているという方もおるやに聞いております。お金のある人は何日も河口も持っておる、それが免税になっておる、そう言われておって、税務署で指摘されたものも多々ございます。そういう面から見ますというと、やはり母子家庭とかあるいは老人とか身体障害者のような本当に困っている人は面倒を見るけれども、一般的には二〇%をみんなにかけて、そしてそういう漏れのないようにする、これが金持ち優遇でないという証拠ではないかと私は思っておるのであります。(拍手)
 その次に、百ドル購入と貿易摩擦の解消の問題でございます。貿易立国たる我が国が健全な経済発展を遂げていくためには、輸入の拡大によって貿易の拡大均衡を目指すことが必要であります。縮小均衡をとらないわけです。そういう意味におきまして、私は、皆さんできるだけデパートへ行って外国の品物を買ってください。一人百ドルとか二百ドル買っていただけば全体的には随分多くなります、そういう意味で、先頭に立って皆さんにお願いするために象徴的に説明をした、そういうふうに御了解願いたい。それ等によりまして、それ以来、大体今までインポートバザールというものが二万カ所以上で行われておりまして、かなりの日本人の皆さんが外国の製品を買っていただくようになっておるのでございます。
 食糧の問題については、これはやはり基礎的な物資でありまして、安定供給の確保は国政の重要課題の一つであります。先般の農政審議会の報告を尊重して、農家や協同組合の皆さんと手に手をとり合ってこれが政策を遵守して実行してまいりたいと考えているところであります。
 エネルギーの外国依存の打開という点につきましても、我々は今後とも努力いたします。したがいまして、原子力発電等についてもぜひ御賛成願いたいと思うのでございます。(拍手)
 主食の米の自給についても努力すると前から申し上げているとおりであります。農業につきましては、農政審議会の報告を尊重して、農業協同組合や農家の皆さんと一緒になってこれが改革に前進する決意でございます。
 石炭産業につきましても、最近の経済の動向から見まして、鉄鋼の方が国内炭を受け入れなくなってきつつあるわけであります。それは、外国炭との格差が余りにも大きくなり、鉄鋼産業自体が非常な危機に陥ってきつつあるからであります。そういうような情勢を踏まえて、やむを得ず最近の改革を行わんとして、昨年十一月、石炭鉱業審議会からの答申を受けて、最終的にはおおむね一千万トンの自給ということで今御協力を願って、それに対する対策を全面的に講じておるところでございます。雇用問題については、我々も本当に地場の皆さんと一緒になって心痛して、対策を講ずる考えでやっておるところでございます。
 企業の海外進出につきましては、これはやはり経営者が株主等と相談をしてみずから決めることでございまして、我々が介入すべきものではございませんが、しかし、日本が海外投資を行うということは、外国は非常に歓迎をしておりますし、現在のドルの蓄積の状況から見ましてもそれは好ましいことであるとは考えております。しかし、これは企業家がみずからお決めになることであります。そしてこれに伴う諸般の対策については、我々も今十分な検討も行っておるところであり、特に空洞化とか失業問題については、我々は真剣に検討を行っておるところでございます。
 さらに、国家機密法案の問題であります。いわゆるスパイ防止法案という問題については、前から申し上げておるとおり、この必要性は、独立国家である以上はほかの先進国並みにおいて我々は考えなければいかぬと申し上げておるとおりでございます。自民党において、この種の立法が必要であるという立場からいろいろ検討されておりますが、国民の基本的人権やいわゆる知る権利などにかかわる問題もありまして、十分御理解を国民から得る必要があり、慎重に検討いたしておるところでございます。
 日本共産党幹部宅の電話盗聴事件、お尋ねの件は、現在捜査当局において捜査中と承知しています。この種の違法行為に対しては厳正な態度で臨むべきものであると考えております。
 以上で答弁を終わりにいたします。(拍手)
#16
○副議長(多賀谷真稔君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#17
○副議長(多賀谷真稔君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 河野洋平君から、海外旅行のため、二月十二日から三月一日まで十八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○副議長(多賀谷真稔君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#19
○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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