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#1
第108回国会 本会議 第16号
昭和六十二年五月十四日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十五号
  昭和六十二年五月十四日
    午後一時開議
 第一 国有財産法第十三条第二項の規定に基づ
    き、国会の議決を求めるの件
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 国有財産法第十三条第二項の規定に
  基づき、国会の議決を求めるの件
 昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保
  を図るための特別措置に関する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(原健三郎君) 御報告いたすことがあります。
 元本院副議長田中伊三次君は、去る四月十一日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る五月六日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに本院副議長人事委員長労働委員長ロッキード問題に関する調査特別委員長の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等田中伊三次君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 日程第一 国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の護法善求めるの件
#4
○議長(原健三郎君) 日程第一、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長池田行彦君。
    ―――――――――――――
 国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔池田行彦君登壇〕
#5
○池田行彦君 ただいま議題となりました国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本件は、去る二月三日薨去された故宣仁親王殿下の御所有であった財産を、遺贈により総理府所管の皇室用財産として取得することにつきまして、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めようとするものでありまして、その概要は次のとおりであります。
 故宣仁親王殿下は、東京都港区高輪に所在する御所有地等を、皇室用財産とすることを条件として国に遺贈するとの御遺言をなさいました。
 この財産は、隣接する国有地部分とともに高輪皇族邸を構成しているものでありまして、同殿下の御遺志をお受けして、これを皇室用財産とする目的で取得することにより、皇族殿邸を国において一体的に管理していくことが適当であると認められることから、皇室用財産として取得しようとするものであります。
 本件につきましては、昨五月十三日宮澤大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、質疑終了後、直ちに採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本件の委員長の報告は可決であります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案
 (内閣提出)の趣旨説明
#8
○議長(原健三郎君) この際、内閣提出、昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣宮澤喜一君。
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがあり、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定、向上を図るためには、引き続き財政の改革を強力に推進し、その対応力の回復を図ることが緊要であります。
 このため、政府は、昭和六十二年度予算におきまして、歳出の徹底した節減合理化を行うとともに、現下の経済情勢にかんがみ、景気の着実な拡大に資するためできる限りの努力を行うこととしているところであります。
 まず、歳出面におきましては、既存の制度、施策の改革を行うなどあらゆる分野にわたり経費の節減合理化に努め、全体としてその規模を抑制す周一方、社会経済情勢の推移に即応するため、公共事業の事業費確保、雇用対策の充実を行うほか、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることといたしました。
 これらにより、一般歳出の規模は、三十二兆五千八百三十四億円と前年度に比べて八億円の減額となっております。これは、昭和五十八年度以降五年連続の対前年度減額であります。
 他方、歳入面におきましては、最近における社会経済情勢の著しい変化に即応し、税制全般にわたる抜本的見直しを提案するとともに、税外収入につきましては、可能な限りその確保を図ることとしております。
 しかしながら、昭和六十二年度におきましては、なお財源が不足するため、特例公債の発行を行うこととするほか、国債費定率繰り入れ等の停止などの措置をとらざるを得ない状況にございます。
 本法律案は、以上申し述べましたうち、昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置として、同年度における特例公債の発行、国債費定率繰り入れ等の停止、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例について定めるものであります。
 以上、昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#10
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。早川勝君。
    〔早川勝君登壇〕
#11
○早川勝君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま提案されました昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。(拍手)
 政府の六十二年度に四兆九千八百十億円の特例公債の発行を行いたいとの法案を前に、今我が国は政治的にも経済的にも重大な局面、重要な選択を迫られているとの思いを抱くものであります。税金は政治そのものだ言われておりますが、それは民主主義の発展の歴史の産物でもあり、税制改革はその国の民主主義の成熟度を示すバロメーターとも評されております。過般の売上税導入を骨子とした政府の税制改革に対する国民の審判、院内における議長裁定による決着は、我が国の民主政治の一歩前進と評価するとともに、国民の負託にこたえるべく全力を傾注することの重要性を確認いたしたいのであります。憲法の三十条で国民の納税義務を、八十四条では租税法定主義を規定しております。その重みと精神を今後の税制改革で具体化することを強調しておきたいのであります。
 さて、恐慌をめぐっての諸説、出版がブームを呼んでいるのは、我が国経済はもとより世界経済面での不安定さを反映しているからにほかなりません。円高・ドル安によって円は現在の百四十円からどこまで上がるのか、日本と米欧間の貿易黒字問題はいつ決着するのか先行き不透明であり、その一方で土地、株の暴騰がこれまたとどまるところを知らない状況であります。賃金、雇用、物価面でのデフレ現象と土地、株の世界でのインフレ現象とが共存し、国民の生活不安、中小零細企業の経営難が次第に高まっているのが今日の我が国社会の姿であります。これは自民党政府の積年の経済財政政策の失敗の集積物であります。しかも、我が国への批判は国内からにとどまらず、世界各国から集中している現状を見るとき、国際的政治家を自負される総理にその資格ありや、大いに疑念を抱かざるを得ないとともに、ひとり総理の問題でなく、一億二千万人の生活にかかわる問題であるだけに、その失政を強く指弾するものであります。(拍手)
 ところで、中曽根内閣の緊縮財政、行政改革路線による財政再建は完全に破綻したことは言うまでもありません。がしかし、この五年間の予算編成を見ますと、一般会計の伸び率は七・四%に抑えられている中で、防衛費は実に二七・七%も増額され、今年度予算の主要経費別分類では五・二%と最高の増加を示したのであります。同じ期間に社会保障関係費、教育関係費はそれぞれ一〇・四%、〇・六%にしかすぎないのであります。軍事費を抑え、平和的予算を組み、それによって生活の向上と経済の発展を続けてきた我が国の財政の体質を、双子の赤字で世界を動揺させているレーガン軍事型財政へ変質させることは絶対に容認できないのであります。防衛費の対GNP比一%枠の厳守は、我が国が世界平和に貢献するための世界に誇り得る象徴であり、また、責務でもあります。それに逆行する中曽根財政は、我が国の将来を誤らせるものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 以上の立場から総理にお伺いいたします。
 まず第一に、中曽根内閣が今日まで進めてきた経済財政政策が現在の難局を招いた要因であり、今や厚い壁、限界に達したことについて見解をお聞かせいただきたいのであります。
 円高の問題、日米貿易摩擦の深刻化等は、親密な日米、なかんずくレーガン大統領との友情関係を誇示されてきた総理の経済政策の帰結としては余りにも国民への打撃が大きいのであります。この事態を前にしての率直な所感を伺いたいのであります。
 予算編成の面では臨調行革、財界の意を優先させ、当初予算では緊縮予算の編成を続け、そのツケを補正予算で処理するという財政運営は失敗であったと断ぜざるを得ないのであります。すなわち、当初予算で福祉、教育と地方自治体に負担を転嫁する一方で、防衛費を突出して増額させ、景気対策は補正予算という方式が中曽根内閣の予算編成の手法であり、財政運営でありましたが、それは個人所得、個人消費、内需拡大の面で積極的、先導的な役割を果たし得ず、誤れる経済財政運営であったと考えるものでありますが、中曽根内閣の経済財政政策の総括的な見解をお聞かせいただきたいのであります。(拍手)
 第二には、財政再建の目標の達成が不可能になったとともに、税制改革については国民の不信、不満を高めてきたことについてであります。
 「増税なき財政再建」、「六十五年度赤字公債脱却」の方針を掲げてきたその結果は、いずれも実現できず、逆に経済財政状況を困難な局面に追い込んでいるのが実情であります。内需拡大、大型減税の国際公約を実行するに当たっては、今やこの二つの方針は足かせとなって国際的不信を助長するのではないかと危惧するものであります。従来どおり堅持していくことが財政再建の道を開くと今なお確信されているのか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 また、中曽根内閣の税制改革構想、提案もその位置づけ、内容は明確でなく、かえって税制改革に対する国民の不信を高めたことは、売上税問題がそれを如実に示したのであります。(拍手)「増税なき財政再建」と税制改革とは一体どのような関連を持つのか。税制改革は増税による財政再建への転換を企図するものであってはならないし、そうでないと断言できるのか、国民の素朴な疑問にお答えいただくことが必要であります。(拍手)それなくして税制改革の大前提となる国民の信頼を回復することは不可能であります。改めて改革のねらいを明らかにしていただきたいのであります。
 次に、宮澤大蔵大臣にお伺いいたします。
 第一に、今こそ大臣の持論であられる積極財政を展開することによって財政再建を可能にする展望を開くべきときであると考えますので、見解をお伺いいたします。
 そのためには、当面の対策として欠かせないのはいわゆる減税先行、しかも、二兆円を超える所得減税の実施が内需拡大にとって必要であります。単年度収支バランス論では個人消費振興の効果は期待できず、中期的な観点に立っての減税政策をとるべきであり、減税財源は例えばNTT株の売却益を充てるとともに、各種の不公平税制を着実に是正して確保できるのであります。また、財政再建の目標も十年間延長することによって財政の弾力的運用を図ることが必要であります。今年度の特例公債の発行限度額四兆九千八百十億円、公債依存度も一九・四%で、近年にない低い依存度と政府は言われますが、それは国債整理基金への一般会計からの定率繰り入れを停止したことによるもので、いわば見せかけの改善とも言えるのであります。新たな便法を講じての財政再建への取り組みもやがて限界を迎え、破綻せざるを得ません。なお、この定率繰り入れも今年度で連続六年間停止することになりますが、償還財源の確保と減債基金制度の先行きについてどのような見通しを持たれているのか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 第二に、六十二年度補正予算、六十三年度予算編成の問題であります。
 そもそも、当初予算が成立しない前から補正予算の必要性が言われるなどということは、当初予算がいかに欠陥商品であるかを端的にあらわしているものであります。まずもって財政責任者としての反省を求めておきたいのであります。(拍手)
 かかる事態の繰り返しを避けるためにも、思い切った積極財政政策への転換に六十二年度補正予算を契機に着手すべきだと考えます。個人消費拡大と住宅を軸に据えた生活関連の社会資本の計画的投資を図ること、減税政策と国債の活用が欠かせないことは衆目の認めるところであり、大蔵大臣の大英断が待ち望まれておりますが、いかなる方針でもって予算を編成し、国民の期待にこたえようとされるのかお示しいただきたいのであります。(拍手)
 最後に、国際協調に当たっての我が国の対応の問題に触れなければなりません。
 言うまでもなく、我が国が今日の世界経済の中で果たす役割は大きく、それだけの責任を負わざるを得ないのであります。その際、できることを約束し、約束したら実行するという姿勢が欠かせないのであります。その点から考えますと、今年度の経済成長率、経常収支の黒字幅等は、当初の経済見通しのような状況が期待できるのかどうか、春闘、輸出の動きを見ますと、国際的不信を高めるのではないかと危惧せざるを得ませんが、経済企画庁長官の見通しと、今後必要な対策を伺いたいのであります。
 以上申し述べましたとおり、今回提出された法案は、我が国経済の輸出主導型から内需主導型への転換、不公平税制の是正、軍縮と福祉重視、積極財政運営等への政策転換が求められていたにもかかわらず、それを実施することなく糊塗策を講じてきたことの結果によるものであります。しかも、この法案の提案によっても何ら問題の解決にならないことを指摘いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 早川議員にお答えをいたします。
 まず第一は、今日までの経済政策の認識の問題でございます。
 政府といたしましては、臨調路線に沿いまして堅実な財政政策及び行政改革を推進してまいりました。この道は誤っていたとは思いません。しかし、最近における日本の貿易黒字の累積あるいはアメリカにおける財政赤字の累積等々によりまして急激な円高・ドル安の現象を生じまして、緊急対策を行う必要を感じておるところであり、この路線は、臨調答申あるいは新行革審におきましてもお認めいただいておるところでございます。このような見地に立ちまして、与党の自由民主党が策定いたしました当面の経済対策の要綱、これをもとにいたしまして、本予算成立後適当な時期に、臨時緊急の措置として現在に対応できる強力な内需振興等の政策を実行したいと考えておるところでございます。なお、引き続き各国とも協調いたしまして、円レートの安定化を図るということが非常に重要であると考えております。これらにつきましては、国際会議あるいは二国間の協議等を通じまして今後とも努力してまいります。
 次に、緊縮財政の限界いかんという御質問でございますが、我が国財政は、公債の残高が六十二年度末で百五十二兆に達する見込みでありまして、また、利払い費が歳出予算の二割を占めるという極めて厳しい状況にございまして、引き続き財政改革は推進していかなければならぬと思います。この基本方針のもとに、現下の経済情勢に弾力的かつ機動的に対応する方針のもとに今申し上げたような政策を推進したいと考えております。
 予算編成と内需拡大の問題でございますが、各年度の予算編成におきましては、財政改革を強力に推進するという基本方針のもとに、経済情勢に対応した内需拡大等にも配慮して今まで努力もしてまいりました。公共事業費等も実質的な事業量を拡大もしてきたのでありますし、また、適時補正予算等も編成してきたところでありますが、今後とも、このような方針に基づきまして適切に機動的、弾力的措置を講じてまいりたいと思います。
 財政改革につきましては、厳しい財政状況からいたしますと、財政改革の推進は緊要な政策課題でありまして、今後ともこの政策課題は遂行されていかなければならぬと思います。歳出面において既存の制度、施策の見直しを行う、あるいは一般経費の徹底した節減を行う等々、合理化に努める必要があると思います。しかし、今の情勢から見ますと、やはり公共事業費や社会資本の充実、いわゆる内需の拡大という要請も円高の状況から見まして出てきておりまして、先ほど申し上げましたような機動的、弾力的措置を講じてまいりたいと思います。
 次に、財政再建目標の延期の問題でございますが、六十五年度特例公債依存体質脱却の努力目標の達成は極めて厳しい状況にありますが、やはり引き続いて財政改革の基本路線を守る所存であります。政府の肥大化を防いで、子孫に負担を残さないように最大限努力していくことは我々の責務であります。これを安易に先延ばしするということは、一層の特例公債の累増を招いて、今までの歳出節減の努力が水泡に帰する危険性なしともしません。そのような考えに立ちまして、引き続いて堅実な路線を歩んでまいりたいと考えております。
 「増税なき財政再建」の問題でございますが、この基本方針は持ちつつも、今後この方針のもとに、公共事業の事業費については前年度以上の伸びを確保する等、経済情勢に適切に対処してまいりたいと思っております。
 「増税なき財政再建」の方策とは矛盾しているではないかという御質問でございますが、今回提案いたしました税制改革もいわゆるレベニュー・ニュートラルという考えに立って御提案申し上げた次第なのであります。税制改革案と財政再建の関係でございますが、今回の税制改革は現行税制のゆがみ、ひずみ、租税の重圧感等を除去して、国民の理解と信頼に裏づけられた安定的な租税構造を構築することを目標としたものでございまして、いわゆる税収増を目的とするのではございません。税収中立性の原則は六十二年度においても堅持されております。
 今後の税制の問題については、議長あっせんに基づく協議会の推移を見守ってまいりたいと思うところでございます。
 残余の答弁は、関係閣僚が御答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 減税の問題につきましてお尋ねがございました。
 政府におきましても、個人の所得税、法人税等につきましてある程度の先行を含みます御提案を申し上げたわけでございますが、財源措置として売上税の新設等々をいわゆる歳入中立ということで御提案をいたしておりまして、御承知のように、議長のごあっせんによりましてこれらの問題は今後協議機関で御検討になるということになったわけでございます。私どもといたしましては、協議機関御設置の暁には、これらの問題を御勘案の上、私どもに減税につきましても御提示をしていただくことを期待をいたしておりますところでございます。
 NTTの株式を減税財源にするかどうかということにつきましては、現在、NTTの株式の売却益は国債償還に充てるということが法律に決められておりますが、御指摘のように、これ以上の売却益がございましたときにどうするかということは、これからの問題でございます。私といたしましては、これは国民の過去の努力の蓄積でございますので、できれば財産形成的な投資の財源にするのがよろしいのではないか、どちらかといえばそういうふうな考え方をいたしております。それに加えまして、この売却益は、まだ二、三年売却をするわけでございますけれども、それにいたしましても恒久的な財源とは申せませんので、減税の財源に使うことは果たしてどうであろうかと私は考えております。
 それから、財政再建目標につきましては今総理がお答えになられました。
 補正予算、六十二年度予算の編成についてでございますが、ただいま六十二年度予算がまだ国会において御審議中でありますので、補正のことを軽々しく申し上げることは御遠慮をいたさなければなりませんが、過般、自民党におきまして総合経済対策要綱を決定をいたしました。私どもとしましては、今年度予算が成立いたしましたらこの具体化を図りたいと思っておりますが、御記憶のように、昨年十月に補正予算をいたしましたときにある程度の建設公債の増発をいたしております。今回は内外ともに事情が昨年よりははるかに厳しくなっておりますので、建設国債の発行にいたしましても、昨年を大幅に上回る発行を覚悟をしておかなければならない、そう考えております。
 六十三年度の予算編成につきましては、これも同様な事情から、従来の努力はそれなりの財政再建の成果を生んでまいりました、そのこと自身は大事でございまして、これからもその精神は決して失ってはならないと思っておりますけれども、しかし、やはりここで一つの新しい発想が要るのではないか、六十三年度予算編成につきましてはそういうことも考えてまいりたいと思っております。
 最後に、国債整理基金の問題でございますが、確かに、定率繰り入れを停止いたしましたが、現行の償還ルールに基づく償還に支障は生じさせないでやってまいりました。今後の財源につきましては、先ほどのNTTの株式の問題あるいは今後の歳入歳出の動向等、具体的にただいま将来のことを申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、国債の償還に支障がないように、国債の信用を傷つけることがないように、財源確保は必ずいたしてまいります。(拍手)
    〔国務大臣近藤鉄雄君登壇〕
#14
○国務大臣(近藤鉄雄君) 最近の経済の現状を見ますと、国内需要は緩やかに増加しておりますが、輸出が弱含みであること等から景気の足取りが緩やかであり、特に、製造業を中心に企業の業況判断には停滞感が続いており、雇用面も厳しい状況となっているところでおります。六十二年度の経常収支につきましては、このところの円高の進展いかんの影響を慎重に見きわめる必要がございますが、円高による輸出数量の減少、輸入数量の増加に加え、原油価格の回復等の動きが見られますので、これらの効果が持続いたしますと今後国際収支の黒字幅は漸次縮小していくものと期待をしております。
 このような状況のもとで、見通しの達成のために、六十二年度予算成立を待って速やかに内需拡大のための積極的な経済政策を推進すべく、総理の御指示を受けまして、現在、鋭意準備を進めているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(原健三郎君) 森田景一君。
    〔森田景一君登壇〕
#16
○森田景一君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆる昭和六十二年度の財源確保に関する法律案について、政府の財政経済政策の問題点とあわせ総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 今国会も余すところあと十三日間であります。与野党の合意によって会期どおり二十七日に閉会となることになったのでありますが、国会はこの半年間、自民党が衆院予算委員会で六十二年度予算案を強行採決するなどまさに異常事態の連続でありました。この原因は、言うまでもなく、中曽根総理が公約違反の売上税導入、マル優廃止を強行しようとしたことにほかなりません。衆院議長の調停によって売上税関連法案は会期終了と同時に廃案となることが確定されているのでありますが、円高不況が進む中で、政治の混乱をもたらした中曽根総理の政治責任は極めて重大であると言わなければなりません。(拍手)
 まず、総理に対し、政治の混乱をもたらした責任をどのように認識されているのかをお尋ねするものであります。
 総理は、いまだに大型間接税導入に意欲を示されているのでありますが、私は、選挙における公約を踏みにじり、国会を混乱に陥れ、国民の政治不信を増幅させた中曽根総理は、もはや税制改革に取り組む資格を失っていると言わざるを得ません。(拍手)あわせて、総理の率直な所見をお伺いするものであります。
 さて、周知のとおり、総理は、就任以来財政再建を国民に公約し、六十五年度赤字国債脱却の目標を掲げてまいりました。そしてこの間、財政再建のためと称し、ゼロシーリングあるいはマイナスシーリングによって緊縮財政を推し進め、国民生活に負担をしわ寄せしてきたのであります。しかしながら総理、この結果財政再建はどこまで進んだのでしょうか。現実は、六十五年度赤字国債脱却は全く見通しが立たない上に、逆に財政体質を悪化させてきたのであります。六十二年度では、既発国債の償還財源を賄うために発行される借換債が初めて新規発行債を上回る額に達し、国債費定率繰り入れも六年連続停止されようとしているのであります。総理は、このような現状をどのように認識されているのか、お尋ねするものであります。
 また、減債基金制度は形骸化されつつありますが、今後どのようにこの制度を維持するのか、大蔵大臣に御答弁をいただきたいのであります。
 それにも増して問題なのは、いまだに緊縮財政を柱とした誤った財政再建策に固執しているため、一昨年秋からの急激な円高にもかかわらず本格的な内需拡大策が見送られ、我が国経済をかつてない厳しい円高不況に陥れていることであります。私は、完全に破綻している上、内需拡大策の障害となっている六十五年度赤字国債脱却の目標を延期し、実現可能な財政再建計画を策定すべきであると主張するものでありますが、総理の見解を明らかにしていただきたいものであります。総理がもし、あくまでもこの目標を堅持すると言うのであれば、本法律案によって予定する六十二年度四兆九千八百十億円の赤字国債発行額を六十五年度までにどのように減額していくのか、これを明らかにする責任があると思います。総理の答弁を求めるものであります。
 一ドル百三十円台という異常な円高のもとで、我が国経済は現在大きな岐路に立たされております。このまま推移するならば、六十二年度の実質経済成長率は二%台にとどまり、失業問題もますます深刻化することは必至であります。また、対外経済摩擦の緩和も到底不可能であります。私たちは、今日まで一貫して、財政再建を着実に進めるために、我が国経済を内需主導の安定成長軌道に乗せ、税の自然増収を確保するとともに、不公平税制の是正、行政改革の推進を主張してまいりました。財政再建を進める上でも、当面の最大の課題は思い切った内需の拡大であります。総理の訪米や本年二度にわたるG7で国際公約となっているこの内需拡大は、従来のようにかけ声倒れに終わるというようなことは決して許されるものではありません。
 政府は、六十二年度予算の成立次第、補正予算の編成に取り組む方針を明らかにされております。総理から、どのような規模でどのような内容の補正予算案をいつごろ国会へ提出されようとしているのか、お示しいただきたいものであります。特に私は、建設国債を財源にして住宅、都市整備を柱に、生活関連公共投資を大幅に増額すべきだと考えるものでありますが、総理の方針をお伺いするものであります。
 円高不況を克服するためには、六十二年度補正予算で積極的な内需拡大策を講じ、さらに六十三年度予算につなげていかなければなりません。
 さきに発表されたOECDの経済見通しによれば、我が国の実質経済成長率は八六年二・五%、八七年には二・二五%と、昨年末の見通しから下方修正されております。経済企画庁長官は、六十二年度の政府見通しの実質経済成長率三・五%の達成は難しいという見方をされているようでありますが、この点について経済企画庁長官にお答えいただきたいものであります。
 また、来年度予算の概算要求基準では、マイナスシーリングを見直し、積極財政を展開すべきでありますが、大蔵大臣から、その用意があるかどうかをお答えいただきたいのであります。
 さて、財政再建のためにも不公平税制の是正は緊急の課題であります。今後、衆院議長のもとに設置される与野党協議機関における税制改革論議においても、まずこの点から協議を始めるべきであります。このために、まず直接税の中に存在する多くの不公平、例えば有価証券譲渡所得、土地譲渡益などキャピタルゲイン、さらには資産に対する課税の適正化や、法人税であれば各種引当金、準備金などを全面的に見直す必要があるのであります。総理から、この不公平税制の是正に今後どのように取り組まれるのか、方針を示されたいのであります。
 総理は、所得税減税をかたく公約してまいりましたが、税制改革に関する与野党協議機関の合意を前提としているようでありますが、結論が得られなかった場合にどのように対応されるのか、お示しいただきたい。
 私たちは、かねてから、税制改革については時間をかけて検討することとし、六十二年度においてはNTT株式の売却益等を活用して、現行税制のもとでいわゆる戻し減税方式によって所得税減税を行うよう主張してまいりました。NTT株式の売却益は国民共通の財産であり、所得税減税の財源として活用することは適切であるはずであります。このような主張に対する総理の見解をお尋ねするものであります。
 総理、不公平をあいまいのまま直間比率の是正と言っても、国民が納得するものではありません。ましてや、売上税を衣がえして福祉目的税を考えたいというのは、これまでの経緯を全く無視したものと言わざるを得ず、私は、このような考えは到底認めることはできないのであります。この点について総理の見解をお尋ねするものであります。
 国民の納得する財政再建を進めるには、行政改革を徹底して進めることが重要であります。中央省庁の統廃合、さらに国家公務員の純減数の拡大は急務と言わなければなりません。政府として今後どのように行政改革に取り組まれるのか。
 最後に、防衛費のGNP一%枠は政府の努力次第では堅持できる状況であります。守る決意の有無を改めて確認し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 森田議員にお答えをいたします。
 まず、売上税問題に関する国会混乱の問題でございますが、まことに遺憾な事態でありました。議長のあっせん案を遵守いたしまして、各党の協議を見守り、この協議に対して政府といたしましてもできるだけ御協力申し上げたいと考えております。
 次に、税制改革に関する所見の問題でございますが、税制改革はぜひともなし遂げなければならない喫緊の課題であると考えております。原衆議院議長のあっせんにおきましても、税制改革問題は、現在における最重要課題の一つであり、「直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」こう書かれております。私も同じ認識を持っておるものであります。六十二年度予算の衆議院通過を待ちまして、直ちに衆議院に「税制改革に関する協議機関を設置し税制改正について検討を行う」とされておりますが、できるだけ早く発足させていただき、お手伝いをさせていただきたいと考えております。
 次に、六十五年度赤字公債依存体質脱却の問題でございますが、この努力目標の達成は容易ならざる状況にございますが、やはり財政改革の基本路線としてこれは今後とも守っていきたいと考えております。なお、定率繰り入れの停止は、定率繰り入れを停止しても現行償還ルールに基づく公債の償還に支障がないと見込まれる状況を踏まえた上で措置いたしておるものでございます。
 次に、財政再建計画の問題でございますが、六十五年度赤字国債依存体質脱却を図るための具体的な施策の組み合わせは、毎年度の予算編成過程において検討すべきものでありまして、あらかじめ定量的でかたい財政再建計画の策定というものはいたしておらないのであります。いろいろ税外収入の問題とかその他の問題もありまして、そういうようなものも幅広く今後は考慮に入れる必要があると考えております。
 補正予算とその財源の問題でございますが、政府としては、内需拡大を図るために、先般自民党で決定されました総合経済対策要綱の考え方を尊重して、六十二年度予算が成立した後に緊急経済対策を決定して、実施に移していく考えでおります。
 次に、所得減税の問題でございますが、所得減税は思い切った減税を行いたいという念願を私は従来から持ち、選挙でも公約してきたところであり、今回の税制改革におきましても、これを一つの重大な主眼と考えてその法案を提出させていただいたところであります。いずれにせよ、所得減税やその財源措置の問題も、今日におきましては、本院に設置される協議機関において、税制改革の一環として検討されることになりましたので、全体の税体系がいかに整合性のある税体系としてそれが実現していくか、大きな関心を持って注目してまいりたいと思うところであります。
 NTT株式売却益と所得減税の問題でございますが、NTTの株式は国民共有の貴重な財産でございまして、これは法律によりまして国債償還に充てるものとして制度的に確立されておるものであります。この法律が現存する以上、政府はこの法律を守っていくというのが政府の考え方であります。
 不公平税制の是正の問題でございますが、税負担の公平確保は、国民の理解と協力を確保する上で不可欠の前提であり、従来からも努力してきたところでございます。やはり税につきましては公平の原則というものが一番重要ではないかと考えております。租税特別措置については、この観点から、社会経済情勢の推移に応じて、適時この見直しを行ってきたところであり、今後もその考え方でおります。今回の税制改革でも、政府案では、法人の受取配当益金不算入制度、引当金制度、外国税額控除制度等について見直しを行い、法人税の課税分野の拡充、合理化を図るほか、有価証券譲渡益課税や土地税制についても課税の強化や適正化を図る等、所要の改正を盛り込んでおるところであります。
 直間比率と福祉目的税の問題でございますが、
 これらはいずれも今日におきましては協議機関の結論を待つという考え方でおります。
 行政改革はあくまでも今日においても重要な政策で、これを推進してまいる考えでおります。臨調あるいは新行革審の御意見を尊重しつつ、今後も努力してまいります。これは、いかなる場合においても小さい政府、効率的な政府、むだのない政府というものを考える上において引き続いて努力していかなければならない課題であると考えております。
 防衛費の一%の問題につきましては、政府は、防衛力整備につきましては、五十一年十一月の閣議決定を尊重して、これを守るように努力してきたところでございますが、六十二年度予算編成につきましては、中期防の着実な実施を図るという観点から、いろいろな節約をやりました、円高あるいは油価格の低下等を考えまして行いましたが、やむを得ず一%をやや上回るものとなったものであります。この五十一年十一月の閣議決定の節度ある防衛力の整備を行うという精神を引き続き尊重してまいりたいと考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 大部分総理大臣が御答弁になられましたが、減債基金制度の問題でございます。
 定率繰り入れは停止いたしましたけれども、NTTの株が国債整理基金特別会計に属しておりますので、そこに財源がございまして、減債制度そのものは支障なく守られております。今後の問題でございますが、今後のNTTの株式の問題あるいは税収の見通し等々、将来のことを具体的に今申し上げることができません。計数的にはできませんけれども、いずれにしても、この償還ルールは間違いなく守ってまいります。国債政策に対する国民の信頼を損なうようなことは断じていたさないつもりでございます。
 それから、マイナスシーリングのお話がございました。六十三年度予算編成との関連につきましてでございますが、長いことこのマイナスシーリングをやってまいりまして、あるいはゼロシーリングをやってまいりまして、その結果たくさんの制度の改善が行われました。また、物の考え方につきましても、例えば受益者負担といったようなことも、随分考え方が変わってまいりまして、大変な成果が今日まで上がっておると思います。そういうことは今後忘れてならないことでございますが、ただ、それにいたしましても、六十三年度の予算編成につきまして内外からの要請を考えますと、投資的な経費につきましては、今までと同じようなことをやっておるわけにはどうもいかない、新しい考え方を出さなければならないということを昨年の暮れから実は事務当局に検討をしてもらっておりまして、間もなくその検討の中間報告を私聞くつもりでございますが、新しい発想を取り入れなければならないというふうにただいま考えております。もう少し時間がたちませんと具体的に申し上げることができませんが、心構えとしてはそのように考えております。(拍手)
    〔国務大臣近藤鉄雄君登壇〕
#19
○国務大臣(近藤鉄雄君) 経済の現況を見てまいりますと、国内需要は緩やかに増加をしておりますが、輸出が弱含みであること等から景気の足取りは緩やかでございます。特に、製造業を中心に企業の業況判断には停滞感が続いており、雇用面も厳しい状況となっているところでございます。とりわけ、このところの円高の進展の影響等を慎重に見きわめていく必要がございます。
 このような状況のもとで、六十二年度の実質経済成長率を見通しのとおり達成するためには、今般のOECD閣僚理事会においても合意されましたように、国際的な政策協調を進めてまいる必要があると思いますが、同時に、内にありましては、六十二年度予算成立を待って、財政主導によって積極的な経済対策を速やかに実行すべく、目下政府部内において鋭意準備中でございます。
    ―――――――――――――
#20
○議長(原健三郎君) 大矢卓史君。
    〔大矢卓史君登壇〕
#21
○大矢卓史君 私は、民社党・民主連合を代表いたしまして、ただいま提案をされました昭和六十二年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案について、中曽根総理並びに関係各大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 質問の第一は、財政改革についてであります。
 現在、我が国の経済は、一部を除いては極めて深刻なものとなっております。一ドル百四十円前後という急激な円高は、我が国の産業基盤を根底から覆そうといたしております。今日の不況は、輸出産業のみならず、内需産業にも波及し、地域経済の存続さえ危うくなっているのであります。このような状態は非常事態以外の何物でもないと断定せざるを得ないのであります。政府は、無能な傍観者としての立場を直ちに改め、日本経済の非常事態宣言を発するべきであると声を大にして主張いたしたいのであります。
 今、政府がなすべき緊急課題は、円高不況の克服であり、対外経済摩擦の解消、さらには産業構造の円滑な転換と雇用不安の解消であります。我が党は、再三にわたって積極型の予算を編成するよう強く求めてまいりました。にもかかわらず、中曽根内閣はこれを無視し、五年連続のマイナスシーリングによる縮小均衡型予算を編成したことは、無為無策と批判せざるを得ないのであります。政府は、これまでの財政運営が重大な誤りであったことをこの際率直に認め、積極財政への大胆な転換を進めるべきだと考えますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 また、既に破綻した見せかけだけの財政再建目標、すなわち、昭和六十五年度赤字国債脱却にいたずらに固執することは、財政再建を真剣に考える姿勢とは到底言い得ないものであります。既に六十五年度は必ずしも合理的な目標ではないと思うのでありまして、非常事態に柔軟に対処するためには目標年度の変更は当然と考えますが、中曽根総理及び大蔵大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
 第二は、行政改革についてお尋ねをいたします。
 政府は、電電、国鉄等三公社の民営化を除いては、行革の名に値するものを何ら実行しておらないと断ぜざるを得ないのであります。円高、構造不況に企業が苦しみ、必死になってコストダウンを実行している現状を見習い、政府は、官僚機構にも根本的にメスを入れる徹底した行政改革を断行すべきであると考えるのであります。(拍手)
 我が党は、国の予算のおよそ二五%を占めている補助金のうち、社会資本の整備拡充の建設に投下するものを除き、大幅に削減することを要求しております。特に、地方の自主性を著しく妨げ、国費の膨大なむだを招いている奨励的補助金をも大幅に削減することを要求いたしております。また、戦時中からの惰性でほとんど手つかずのまま存在し、二重、三重行政を生む地方出先機関は税金のむだ遣いそのものと考えております。その統廃合を含め、我が党は国家公務員を五年で一割純減することを主張してまいりました。さらに、官僚の天下りや高額退職金を得るために利用されておる特殊法人、認可法人、公益法人を大幅に整理することをも急がなければなりません。(拍手)そしてまた、一方、厳しい批判を受けておる地方公務員の高額給与、退職金等の是正及び地方公務員におきましても一割純減など、地方行革もぜひ実行すべきものであります。
 土光さんは、行革審の最終答申で、行革はなお道半ばだと申しました。これからこそが胸突き八丁と思いますが、大槻新行革審が設けられました今日、抜本的な行革に取り組むことこそが急務と言えるのではございませんか。総理は、我が党が主張する本格的な行革を断行する決意ありや否や、言明していただきたいのであります。(拍手)
 第三は、減税公約の実施についてであります。
 政府目標の六十二年度実質三・五%成長の達成は、当初から実現不可能と断ぜざるを得ない無責任きわまるものであります。昭和六十一年の経済成長率は名目四・三%、実質二・五%という、昭和五十年以来この十二年間で最低の数字となっております。とりわけ、民間最終消費支出の冷え込みは深刻で、昨年十月から十二月期は前期に比べマイナスとなり、昭和四十九年十月から十二月期以来初めてのことでありました。
 このような消費低迷を打開するには大幅な所得減税の公約実行こそが求められるのであります。重税に苦しむ中堅サラリーマンに厚い減税を実施するには、累進構造の緩和に加え、大幅な扶養控除の引き上げ、二分二乗方式の導入、サラリーマンの必要経費申告制度、そして、とりわけ住宅に重点を置いた政策減税の拡充が絶対に必要不可欠であると考えます。また、円高、構造不況に苦しむ企業に活力を与えるためには、法人税減税も断行すべきであり、設備投資促進のため、法人税の基本税率の引き下げに加え、投資減税の拡充、法定耐用年数の大幅短縮こそ急務と言わざるを得ないのであります。中曽根総理は、みずからの重大な公約である大幅減税の実施を断行することをこの場で約束していただきたいのであります。
 第四に、政管健保に関連して、保険制度の具体的な取り組みについてお尋ねをいたします。
 この特例措置は、政管健保の財政決算が黒字に転じたことにより、本来ならば積立金として被保険者に還元すべきものを、国家財政の単なる数字合わせのためとられた措置であり、私は極めて不満であります。本来なら七千二百十八億円あるべきものを、一千三百五十億円も削って五千八百六十八億円としてしまうのは余りにも横暴であります。
 政管健保は、従来三K赤字の一つとして何度も抜本改正が行われてまいりました。これらの改正を通じて、患者負担の増大、保険料の引き上げなどが強行されるとともに、医療費抑制対策の着実な前進によって黒字に転じたものであります。したがって、その黒字額は特別会計に積み立て、給付改善に充てるのが妥当な措置であると考えます。この見地から、老人健保を除いて医療保険の給付率を、家族に対する七割の給付率の改善を含め九割で統一すべきであると考えるものであります。九割給付について厚生大臣の具体的な答弁を求めるものであります。
 私は、この特例措置に反対すると同時に、六十年度九百三十九億円、六十一年度千三百億円を一般会計から繰り入れるべき現状にかんがみ、これらの繰入額は特別会計に返済することは当然であり、かつ、返済に当たっては利子を含めるべきであると思うのであります。これらを含め、返済計画を国民の前に明示することを求める次第であります。
 最後に、総理の国際公約についてお尋ねをいたします。
 総理、あなたは、半導体問題をめぐる日米経済摩擦解消等のため、初めてのアメリカ政府による公式招待を受けられ、訪米をされました。私も、あなたがワシントンをお立ちになってから、IPUのニカラグア会議を終えてワシントンに参りました。在外公館によりますと、あなたのアメリカにおける人気は絶大だと聞かされました。半導体問題に対する制裁も、あなたの訪米時における反対運動の盛り上がりを抑えるためのアメリカ政府のあなたに対する思いやりの措置ではないかとも聞かされたのであります。あなたのアメリカにおける人気と健闘にもかかわらず、今回の訪米の成果はマイナス点がなかったことをよしとする点だとも聞かされたのであります。
 あなたは、国会や国民に対し何ら率直に語ろうとしないのに、アメリカに対しては多くの約束をしてこられたのであります。その一つは、与党自民党が決定をされました五兆円を上回る財政による景気刺激策を含む総合経済対策の実施、今後三年間、三百億ドル以上の完全なアンタイド資金の開発途上国に対する還流、さらに日米文化交流促進のための新たな百万ドルの拠出等々、予算措置を必要とする約束をしてまいられました。これらの国際公約は実行しなければならないものばかりであろうと思います。しかし、出発前も今もなお、国会と国民には何ら率直に考えを披瀝することなく、アメリカにだけは物わかりのいい約束手形を発行してこられたのであります。
 あなたは日本国の総理大臣である以上、私どもはこの国際公約は果たすべきだと考えており、また、協力をすべきだと考えておりますが、今後どのような道筋で国会や国民が納得するように実行していこうとせられるのか、明確にお示しをいただきますことを要求いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 大矢議員にお答えをいたします。
 まず、積極財政への転換の問題でございますが、お話しのように、やはり行政改革は引き続いてこれを推進していかなければならぬと思いますし、日本の財政も、国債の利払い費が予算の二割を占めるというようなこういう厳しい状況にあるのであります。したがって、六十二年度予算におきましても、公共事業の事業費の確保に一方において努めると同時に、一方においては、一般会計の通常経費というものはできるだけ圧縮するように努めてきたところであります。六十五年度特例公債依存体質脱却の努力目標は容易ならざるところではありますけれども、やはり引き続いて実行していかなければならないと思います。これを先延ばしするということは、一層の特例公債累増の危険性を招きまして、今までの努力が水泡に帰する危険性もなきにしもあらずであります。
 補助金の削減の問題は、この行革路線に沿いまして今まで努力しまして、ゼロシーリングあるいはマイナスシーリングで御迷惑をおかけしてきたことも、この補助金削減のための一つの方法でもあったのであります。今日の厳しい財政状況のもとにおきましても、引き続き行財政改革の精神を持って推進してまいりたいと思うところでございます。
 公務員の純減の問題でございますが、行革に基づきまして過去五年間に国家公務員については二万九十人純減を達成しておりますし、地方公務員についても減少しているところであります。今後の合理化については、昨年八月に策定した第七次定員削減計画を着実に実施し、地方公務員についても国の措置に準じて行っていただくように指導してまいるつもりでおります。
 所得減税の問題でございますが、これにつきましては既に法案として提出したところであり、今次の税制改革の大きな目標の一つは所得税、法人税の軽減を目的とするものであったのでありますが、現状におきましては、各党の協議を見守るということで推移を見守ってまいりたいと思うものであります。
 法人税の改正につきましても、我が国経済、社会の国際化に対応して、企業活動の活性化を推進するため、法人税の基本税率を引き下げることを提案いたしました。また、減価償却資産の法定耐用年数は、資産の物理的寿命に経済的陳腐化を加味して客観的に定められているものであり、実態調査結果等を踏まえつつ、適宜、実態に応じて見直しを行うべきものであると考えております。従来から、厳しい財政事情のもとに、費用対効果の観点にも十分留意をいたしまして、緊要なものに限って、例えば研究開発、エネルギー基盤の高度化、中小企業の経営基盤の強化等に資するため、民間設備投資促進のための措置を講じてきておるところでございます。
 次に、政府管掌健康保険特別措置の問題でございますが、一般会計の財政状況にかんがみ、政管健保の運営に支障がないような範囲内で、国の財源の確保を図るために特例的な措置としてとってきたものであります。この繰り入れ特例措置による減額分については、後日政管健保事業の適正な運営が確保されるよう、収支状況を勘案して、繰り戻しその他の適切な措置を講ずることといたしております。
 経済対策の実行につきましては、先ほど来申し上げたところでございますが、急激な円高・ドル安等にかんがみまして、自民党が取りまとめた内需拡大の基本方針、総合経済対策要綱の考え方を尊重しつつ、予算成立後速やかに決定できるよう今検討しておるところであります。
 次に、私がアメリカへ参りましていろいろ公約してきたと言われる点についてお答えを申し上げますが、内需の振興やあるいは資金還流の問題は、自民党が決定しましたことを紹介いたしまして、予算が正式に成立した以降これを実行に移したい、そういうことで説明をしてきたものであります。なおまた、日米交流基金の問題につきましては、日本が経済大国で、従来のようにエコノミックアニマルと称されないようにする文化的な行為の一環として今までもやってまいりましたが、今回もそのような措置を講じたところでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十五年度に赤字国債体質を脱却する問題につきましては、私からもお答えをせよということでございました。
 基本的には、総理が言われましたように、これはなかなか容易ならざることでございますけれども、そこでこの目標を今改めるといたしますと、現在の財政状況からいたしますと、新しい目標を必要とするであろうと思います。その場合には、これからの経済状態あるいは財政状態、殊に昨今は国際経済の状況も見通しまして一つの展望を持ちませんと、新しい目標というものを掲げられないわけでございますから、そういうことをどうするかという問題がございまして、もし現在の目標を改めるとすれば、それにかわるべき達成可能な目標を考えなければならないという問題がございます。そういう用意なしに現在の目標だけをおろすということでございますと、今の財政としては非常に問題が多い、かように考えておるわけでございます。
 それから、耐用年数についてお話がございまして、これはいわゆる物理的な寿命ばかりでありませんで、技術進歩によります陳腐化というものがこのごろは非常に問題でございますから、そういうことをよく考えながら、実情に合いますように見直しを絶えずしていこうと思っておりまして、御指摘のとおりでございます。
 それから、投資減税につきましても、基本的なことは総理がお答えになられましたが、そういう考えのもとに、六十二年度、今回考えました投資減税は、例えば産業の転換円滑化のための特定産業あるいは特定地域の中小企業対策、それからいわゆる民活関連の償却率の引き上げ等々、今年度の新しいニーズに基づきましたものを税制改正でお願いをいたそうと考えております。
 最後に、政管健保が余裕がございますので、会計間の繰り入れ調整をいたしたわけでございますけれども、今後ともこの制度の運営に支障が生じませんように、この結果については対処を必ずいたします。この点は法律の第四条の二項に定めてございまして、この制度の運営に支障がありませんように、今後において対処をいたすことにいたしております。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
#24
○国務大臣(葉梨信行君) 地方公務員の給与、退職手当につきましては、従来から、給与水準が著しく国を上回っております団体や、国の支給基準を上回って退職手当を支給しております団体等に対しまして、是正措置を指導してきたところでございます。今後とも、給与、退職手当につきまして一層の適正化が図られるよう指導してまいりたいと存じます。
 次に、地方公共団体の定員管理につきましては、自治省といたしましても、かねてから定員モデル等を活用し、適正化を図るよう指導助言してきたところでございます。この結果、地方公務員の総数は最近三年連続して減少しておりまして、三年間で一万四千六百三十四人の純減となっております。また、教育、警察、消防及び公営企業等を除きます一般行政部門では、五年連続の減少となっておりまして、五年間で二万七千二百八十五名の純減となっておる次第でございます。なお、今後とも、国の第七次定員削減計画をも参考にしながら、地方公共団体の定員管理が適正に行われるよう、必要な指導助言に努めてまいりたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣斎藤十朗君登壇〕
#25
○国務大臣(斎藤十朗君) 医療保険の給付率についてのお尋ねでございますが、今後の医療保険の給付と負担のあり方につきましては、六十年代後半のできるだけ早い時期に全制度を通じて公平化を図ることといたしており、給付率につきましては、八割程度の水準で統一するとの考え方をお示しいたしておるところでございます。
 制度の一元化につきましては、各方面にさまざまな御意見があるところでございますので、今後、関係者の御意見を伺いながら検討を進める所存でございます。なお、本年一月、社会保険審議会に制度の一元化を見据えた基本的な問題について検討をお願いいたしたところでございます。
 なお、繰り入れ特例措置に伴う減額分の繰り戻しにつきましては、総理及び大蔵大臣から御答弁されたところでございます。(拍手)
#26
○議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#27
○議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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