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1947/10/10 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 決算・労働連合委員会 第8号
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1947/10/10 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 決算・労働連合委員会 第8号

#1
第001回国会 決算・労働連合委員会 第8号
  付託事件
○國家公務員法案(内閣送付)
○國家公務員法の規定が適用せられる
 までの官吏の任免等に関する法律案
 (内閣送付)
――――――――――――――――
昭和二十二年十月十日(金曜日)
   午後二時七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(下條康麿君) 委員会を開会いたします。前回の質疑を続けたいと思います。前回は第一章、第二章が大体済んだように思いますので、今度は第三章第一節通則並びに第二節職階制のところまで、即ち第二十七條乃至第三十二條、ここは相当問題ではないかと思います。この点を纏めて御質疑を願いたいと思います。先ず政府委員の説明を願います。
#3
○政府委員(井手成三君) 先月に引続きまして簡單に御説明をいたしまして、後は御質問にお答えさして頂きたいと思います。第三章以下は、この國家公務員の職に如何なる方法で入つて來るか、入つてから如何なる方法でこれが取扱われるか。その地位に就いたものはどういうような待遇を受け、どういうような身分上の取扱があるか。それからどういう場合にやめるか、やめた後にどういうふうな恩典を受けるかという、これが実体の規定を定めておるものでございます。先ず只今問題になります第一節、第二節でありまするが、その中でも最も根本的なことを規定いたしておるわけであります。先ず公務員の地位になり、或いはなつてからすべて平等に取扱われる、いわゆる門閥とか学閥とか、或いは男女非常に差別をつけるとかいうような差別がないという大きな原則を書いております。それから「情勢適應の原則」というものを置きまして、時々刻々機動的に妥当であるようなことによつて運用されなければならない。そういう趣旨でこの法律が動かされるということを目的としておる大きな原則を掲げております。
 それから職階制、これが從前の官吏制度を眼本的に変えまして、職階制を基礎にして、これによつて資格、分限、給與その他をやつて行こう。その職階制というものはどういうものかということを第二節に書いておる次第であります。職階制につきましては前から度々御質疑もございましたし、又説明もありましたから略さして頂きたいと思います。それで人事院規則でございますが、三十條の二項に「人事院規則でこれを定める。」という條文がございますが、これは三十三條の二項にもございます。その他根本基準の次に大抵こういう條文を置いておるのでありまするが、これは法制局長官から御説明したかとも思いますが、法律の実施規定を定める、それは憲法によりますと、この憲法の條項、又は法律の條項を実施するために政令が発することができると書いてありまして、別段の規定を置きませんと政令によつて実施規定を書いて行くことになるのであります。それは非常に技術的なことで、又人事院の方に特別の権能を與えて行く。そうして後人事院規則は総理大臣の承認を得るという恰好において内閣の責任と繋つておりまするが、一應相当自主的な規則を作らせて行ごうという立場から政令でやらずに人事院規則でやつて行く。又法律でやるということは勿論その上でありますから、法律で定める場合は別であるが、それ以外の実施は人事院規則で具体的なことをやつて行くということを書かんがために出ておるのでありまして、別にこの人事院規則で何を書くかということもここでいちいち御説明するまでにはなつていないのでありますが、大体において政令以外に人事院規則の方向で行くのだということを書かんとするのがその趣旨であります。三十一條の二項でありますが、これは官職の分類それから格付上の職制というようなことがありまして、それを再審査する、或いは改訂するというような非常に技術的なことを人事院規則で定めようと考えておる次第であります。
#4
○委員長(下條康麿君) 御質疑がありましたら……。
#5
○北村一男君 この二十七條などは、これは憲法にこういう規定があると思いまするが、こういうものをわざわざここへ持つて來て、この法律を複雜にしなければならんという理由は一体どこにあるか。御説明願いたいと思います。
#6
○政府委員(淺井清君) 御答えいたします。お説のように本條は殆ど憲法に規定のある部分でございます。併しながら憲法の條文それ自体といたしましては政治的、経済的、社会的、こういう言葉がございまして、当然その中には公務員関係も含まれるとは存じますけれども、万々一にも、そのいずれにも公務員関係が入らないというような誤解を生ずる虞のないように、ここに再び書いた次第でございます。それからもう一つこれの狙つておりまするところの効果は、これの官職の基準の一番初めに日本國民の平等取扱の原則というものを高い調子でここに一つ書いて置くということがやはり効果を生ずるであろう。こう考えた次第であります。
#7
○北村一男君 私は始終あなた方に御注文しておるのですが、一体この法律は誰に読ませるのか。どういう目的を以て書いたのか。私は各委員会に出て質問するのですが、こういうものは役人が読む法律でなくて、國民が読む法律であります。こういうものを書くことによつて非常に複雑になる。そういうことを書く理由は僕は必要がないと思うのですが、御見解をもう一遍お伺いしたいのです。
#8
○政府委員(淺井清君) 憲法の條文と、この條文とは全部違つた法典として國民に與えられておりますから、或場合においてはこれをこちらの方へ取入れることが複雜になるのではなくして、却て國民に読む上に便宜を與えて、その観念を明確ならしめるものと存じます。
#9
○北村一男君 これから先は見解の相違でありまするが、兎に角法文は成るべく簡単に分るようにして頂きたいということを私は希望して別にお答を求めません。
#10
○中野重治君 今の政府委員のお答を認めるとしまして、第二十七條の中で「人種、信條、性別、社会的身分又は門地によつて、差別されてはならない。」ということが書かれておりますが、人種、信條、性別、社会的身分、門地によつて差別されてはならないことは、大体今日では常識になつておると思います。常識になつておることが言葉を以て表現されることは差支ないのですが、憲法との関係において特に重大な、政治的見解によつて差別されないということが、ここに除外されておるのはどういうわけかということをお聽きしたい。人種、信條、性別、社会的身分又は門地という他に政治的見解というものが入るのが当然でしよう。人種、信條、性別、社会的身分、門地ということが仮令省かれても、政治的見解によつて差別されてはならないということこそ力を入れて表現されねばならない。ところがこの法案を見ますと、こういう点が抜けていて、先日も問題になりました人格が高潔で、とかいうことが書かれておる。そういうことのバランスの点から、更にここに政治的見解ということが抜けておることが、大きなウエイトを持つて響いて來るわけですが、兎に角今のお答を基本的に承認するとしても、尚且ここに政治的見解によつて差別されてはならないという明確な規定が取除かれておる。又政治的見解という語を、ここへ明確に挿むことに反対の意向を持つておられるかどうか。若し反対の意向を持つておられるとすれば、その理由は何であるか伺いたいと思います。
#11
○政府委員(淺井清君) お答をいたします。第二十七條は憲法第十四條をその儘受けて参ることを妥当と考えたものでございまして、御承知のごとく十四條には、「人種、信條、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」こうございまするものですから、それをその儘素直に受けて參つたのでありまして、只今お示しの政治的見解というのは、この「信條」の中に入つてよろしいものかと存じております。尚政治的見解によつて区別されないということは、固より当然のことでありまして、その点は全く御同感でございます。
#12
○中野重治君 そうしますと、信條というものは宗教上の信條と政治上の信條とを含めて、或いはその他これに伴うものを含めて、ここに言葉として書き表わされたものと取つてよろしいと思いますが、そうする場合、日本の現状における信教の自由の問題と、政治的立場の自由の問題を明かにすることが妥当であると思われる。実情上…。信條という言葉はその儘の形で残すとしても、その次、或いはその前に政治的見解というものをはつきり入れる方が憲法第十四條ですか、今政府委員の引かれたものをこの法律の條文として書き表わされるには、その方が妥当であるとこう考えますが、お考はどうですか。
#13
○政府委員(淺井清君) 誠に御同感の御意見でございまするが、私共はここに特に政治的見解の相違ということを書きませんでも、それでよろしいというふうに考えておつた次第であります。決して御見解に反対の趣旨を持つておるものではございません。ただ問題は、これを書かなければそれ程不安であるかどうかという現状に対する見解の相違だと思うのでありますが、御見解の点は全く議論のないどころだと私は存じております。
#14
○中野重治君 同じことをもう一度繰返すようで済みませんが、第二十七條に関する限りにおいては、今のお答えで或る程度私も満足できますが、他の條文において、やはり同じことの繰返しになりますが、公務員法案は、能率増進のためだとか、或いは人事官は人格高潔でなければならないとか、そういうふうなことが、一方では無益に頻りに使われておる。それに比べれば、ここで政治的見解ということをはつきりすることは一層必要になる。こういうふうに考えます。つまり仮に前に人格高潔でなければならないというふうな言葉があつてそれを法文に残すとすれば、尚更ここではその点をはつきりさせることが必要になる。こういうふうに釣合上も考えられますが、そういう釣合の点についてはどんなふうにお考えになるでしようか。
#15
○政府委員(淺井清君) これは見解の相違と申す外にないのでありますけれども、前の人事官云々の資格におきましては、この人事官というものが初めて現われる制度でありますから、特にインストラクティヴな若干のものを入れる方が妥当と存じておる次第でございますが、二十七條の方は、これは憲法の建前から申しましても、最早御論旨の点は当然だと思いまするものですから、そこでこの通りに相成つておるのでございまして、決して御見解に反する立場にあるものではないと思つておりまする
#16
○中野重治君 その問題についてもう一つだけお尋ねしたいと思います。インストラクティヴということは、よく意味合は分りますけれども、実際問題として考えますと、人格高潔というようなことは、本当はインストラクティヴな意味を実効としては表わさないと私は考えます。併し仮に高潔なる人格ということを書くことすら、指導的な意味、新しい行政機構ができるについて指導的、教育的な意味を持つとすれば、第二十七條では尚更政治的見解という言葉をはつきり入れることこそ、前の方の條文に照し合せてそのインストラクティヴな点を表わすことになるだろう。又ならざるを得ない。こういうふうに考えます。それですから、むしろ人格が高潔で、というようなことを書くことは、あまりインストラクティヴでないと考えられますが、それが仮にインストテクティヴであるとすれば、その精神を第二十七條へ活かして、そこで信條というふうなものの理解の仕方において、まだまだ日本人は一般に不明瞭なものですから、尚更ここで政治的見解ということをはつきり言葉としても表現して入れておく方がインストラクティヴな点を本当に活かす方式だと、こう私は考えますが、その点についてどう考えておられるか。
#17
○政府委員(淺井清君) どうもこれ以上は見解の相違で、お答えのいたしようがございませんですが、御論旨はまことに御同感でございます。ただ立法技術上、憲法の條文を受ける関係もございまして、これでよろしいかと考えておつたわけでございます。御論旨は十分尊重さるべきものと存じます。
#18
○山下義信君 第二十九條に関連をいたしまして、この職階制並びに等級別に関しまする大体の御構想を伺いたいのでございます。つまり職種別、幾種類ぐらいの職種別になりまするお見込でございましようか。尚職階制に関します実施について、必要なことは、第三十條によりますと、人事院の規則の方でお定めになるようでありますが、この職階に伴います……どう申して宜しうございましようか、能率に関連しますことまでもお触れになりまして、そこでお定めになりますか。そういうことは又別のなんで、何かできるのでございましようか。職階制に関する規則のところに、職階に伴うエフィシエンシイの点まで触れてお定めになるのでありましようか。承りたい。且これは齋藤國務相にお伺いいたしたいと思いますが、この職階制がいよいよできまするというと、私共これは実に画期的な制度であると存じまして、その効果につきましてもかなり期待を掛けておるのでございますが、今申しますような職務の取扱い方、取り運び方というものが、非常に能率的にうまくできますれば随分諸官庁の行政事務というものが、非常に捗つて参るようになるのではあるまいか。固よりその目的のために、この本法案ができるのでございますから、從いまして大体の大臣の見透しは如何なるものでございましようか。余程現在の官吏が数が少くて済むようになるような御見透しでございましようか。それは固より將來のことでございますから、行政機構の面、又行政事務の増減などとも関連いたしまして、一概には申しにくいことと思われますけれども、大体の御見透しといたしましては、現在の官吏が余程少数で済むのではないかと、私共そう考えるのでございます。現に日本に進駐しております連合國あたりの事務のとり方などから照し合せて見ましても、現在の日本の行政部の、いわゆる役人というものが、非常に缺員多数に相成つておりまして、無駄が多いということは、國民の齋しく見ておるところでございます。大体半分ぐらいで済むのではないかというようなことを申す者もありますので、その辺の御見透しを承りたいと存じます。
#19
○國務大臣(齋藤隆夫君) 職階制ということは、今度初めて日本に行いまするので、併しこれを急に徹底的に行うことができませんで、相当の時を要するかと思います。先ずこの原則を科学的に決めまして、それに應ずるところの試驗をやりまして、そうして適材を適所に置いて、同時に能率をば発揮せしむるという、この目的で職階制が現われる。これはアメリカにおいても、長い間の経験によつて漸次に発達した制度のように心得ておりますからして、日本でもこれをやりましたからと言つて、直ぐに十二分の効果が徹底的に現われるものとも思いませんけれども、結局併しこの方法をとることが、いわゆる能率を増進することは、職務を行いまする上においてよろしいというところからして、この制度を採用することになりましたので、やはりこれをやりますれば、今のようなだらしない仕事の仕方が、おのおの能力に應じて職務を行いますので、その関係からして、官吏の数も減るように思いますが、今これをやりましたからというて、日本の現在の官吏がどれだけ減るのであるかということは、これからこれを運用する上において、自然に現われて來ることと思いますが、数字的にどうなるかということはお答えいたし兼ねますが、悪くは決してならんとこういう考を持つております。
#20
○政府委員(淺井清君) 只今國務大臣が御答弁申上げられました以外の点について補足をいたします。お尋ねの第一点の職種と等級とがどれほどになるかということは、全く只今分らないのでございまして、お手許に差上げてありまする試驗調査の結果の職種と等級を大体御参照下さるようにお願い申上げます。
 それから能率のことでございまするが、これは職階を定めまする人事院規則で定められるものではなくて、この法案の七十一條の能率に関することを定めまする人事院規定で定めるのでございまして、これは別個のものになろうと考えております。
#21
○山下義信君 この法案の実施ということにつきましては、現在の官公吏が非常に関心を持つておるのであります。それはいうまでもなく將來の日本の行政組織、行政運用の点に関心を持つにあらずして、それもありましようけれども、実際直接に現在の自分の身上がどうなるかということについて非常な関心を持つておる。こう私は解しております。即ち職階制が布かれるということになると、第一番は自分達が果して試驗を受けたらどうなるかというところの憂慮であります。優秀な人はどういう制度が変ろうと何ともない。併しながらいろいろむずかしい試驗で本当の能力がテストされていくということになるとどうなるかという一つの心配、それからこういうふうに段段と組織替になつていくというと、いわゆる無駄なものが淘汰されて來て、又その上でどうなろうかという点があるだろうと思います。そういうことで多分に現在の人達が心配しておることであろうと思ふのでありますが、私共はこの制度が逐次布かれて參りますると、不適当なる者はどんどんと淘汰されて行く。そうして欠員は固より整理されて行くということが、この法案の大きな効果であると考えておるのでございまして、それ等に関しまして第三十條、即ち職階制を実施できるものから逐次これを実施して行くというこの本條でございますが、これは大体どういうふうなものから制度を実施しておいでになるお見込でございましようか、その辺を伺いたいと存じます。
#22
○政府委員(淺井清君) これはちよつと只今の御答弁になりますかどうか分らないのでございまするが、まだ全く決まつておりませんのでございまして、今後よく研究いたしまして先ずでき得る部分から、行政各部の中、でき得る部分から逐次実施して行く。先ずお答えにはなりませんが、この点は全くまだ研究中でございますから、どうぞ悪しからず御了承願います。
#23
○岩間正男君 第二十八條についてお伺いしたいと思うのでありますが、この行政適法の原則、それを徹底するのは、本法案によりますると、これは社会の一般行政の変化に適應するように、國会の定める手続に從つて変化する、給與、勤務時間その他勤務條件、こういうようなものの決定が殆ど一方的に決定されるようなことになつておるのであります。これに対しまして現在の情勢を見ますというと、官公吏には労働法によるところの團体交渉権、若しくはそれによつて協約されましたところの労働協約というものが持たれておるのであります。この行政の適用による変化のときに、この労働協約を如何ようにこの法案との係りあいにおいてこれを用いて行くかという、この点についてお伺いしたいと思うのであります。
#24
○政府委員(井手成三君) 第二十八條の趣旨をちよつと御説明いたしておきます。第二十八條は、こういうような根本的のことは、國会にその権威を発するんだということと、もう一つは機動的に行い得るようにする。この両面の要求を充たしたいということを、痛切に考えておる次第でございます。次に御質問の本体でありまするところのこの法律と、労働協約等との関係如何ということでありまするが、一口に申しますと、現在の制度とは変らない。現行の例えば官吏の俸給令というものがありまして、その俸給令の中で具体的にどの程度に一人当りの給與を決めて行くかということは、團体交渉によつて、これが決まるということになれば、それでできます。その運用さるべき基準が、現在は官吏の俸給令――これは勅令でございまするが、近い機会に或いはこの國会の会期中に、暫定的ではありまするが、官吏給與法案を出す積りでおります。これと現在の俸給令と、或いはその他手当に関する法令とは、同じ関係にありまして、その法令を片方に立てつつ、その法令の運用につきまして、これを使用者側の政府と、從業者側たる政府職員との間において、運営について團体交渉の許される限度においては、労働協約が成り立つて行くだろうと思います。その点につきましては、この法律に基いて、例えば給與準則が非常に細かくなつてしまつて、そうしてもう何も交渉の余地がないというようなことになりまするか或いはそれが現在の俸給段階を改変しておつて、それに対して大体どの程度を給與の一般のベースにするかという問題が許されるかということは、給與準則の決め方或いはその給與準則その他の法律でありまするが、具体的な法律の問題でありまして、この法律といたしましては、別段そこまでは入つておりません。申上げることは、現在の労働基準法或は労働組合法等によつて決められておりまするところの労働協約その他いわゆる從業者の権利関係を、この法律によつて拘束するというような意図の事項は、私どもは入れていない考でございます。
#25
○岩間正男君 只今の説明によつて幾分分つたのでありますが、しかしこの法案から受ける感じは、勤労大衆としての官公吏、そういうものに基本的に與えられておる権利が、ここではつきり規定されていない。それで一方的にこれが行われるような印象を受けるのであります。それで、労働法においてはつきり基本的に認められておる権利であるならば、この中に官公吏の権利としてこのものを決定する時に、團体協約によつてはつきりこれを規定するというような條項に、積極性を持たせるということが、非常に現段階においては重要に意味を持つんじやないかと思うのであります。無論それについては國会の定める手続に從うということは、この点については私は賛成を表する者でありますけれども、この労働協約について積極性を持たせるという点がないことを、非常にもの足りなく思うのであります。それからなぜそういうことを現段階で申上げなくちやならんかと申しますというと、ともするというと官公吏のこの労働組合というものは、非常な拘束を受けて、そうして外の一般労働者とのあいだに、違つた或特殊な形を取らせられるような情勢にある。そうしてそのために日本の官公吏が、現在においては終戰後の非民主的な、独善的な態度を、ここにおいてこそはつきり民主化して、人民との接触を十分に持ち、そうして人民との横の繋がりにおいて緊密な関係を結んで、これから人民の公僕としての仕事を果して行かなければならないという段階にあるときに、そういう見地が積極的に認められないということは、この民主化の方向に対して非常に將來一つのマイナスになるのじやないかというふうな点があるのであります。むしろはつきりと、この法案において労働協約によつてこれを認め、そうして適切な運営によつて遂行するということが認められることが、非常に重要な段階と思います。殊に現在のような生活條件が非常に刻々に変る段階において、例えば今までの例を上げますと、官公吏給與令によつて生活條件が規定されてあるけれども、そういうような場合には、いつもこの生活條件が立遲れになつてしまう、そうして御承知のように官公吏の生活の破壊ということが現実に起つております。そのために何が起るかというと、官公吏の涜職問題、それから官公吏としては不適当な利権に馳せるというような行爲が起るのであります。そういうものをここで除去するためには、これをいつも官公吏の方から積極的にその問題を持出すというような、積極性を持たせることがこの法案に謳われることがこの法案の健康な姿じやないかとこういうふうに思うのであります。この点から考えましてどういうような見解を持つておられるか。むしろ積極的に條文の中に労働協約によつて、これを決定し、そうして國会の定むる手続に從つて、変更されることを考えておちれるかどうかということをお伺いしたいのであります。
#26
○政府委員(井手成三君) 只今仰せになりました点につきまして、多分に私共同感を感ずるのでございます。例えば官吏の大部分が労働者としての眞の要求をし、そうして世間がこれを認めるという点におきまして、官吏が何となく別の扱を受けておるという疑を拂拭すべきであるという点におきましても、又全部の産業はどうか知りませんが、目立つておる産業從事員と比べると給與的に苦しい立場にある。それがために正しい行動がむしろ阻碍される虞れさへもあるというような点につきましては、私共も多分に同感し得るところがあるのであります。この法文においてそういうことを前提にして規定を置いたらどうかという点でございます。実は、この間も申上げたのでありますが、この國家公務員法案の中に給與その他の規定がございますが、これは使用者がこれを決めるというような角度から御覧を願わないで頂きたい。仮にこの法案は政府案として出ておりますが、國会に御発案を願つた場合を考えますときに、これは政府側の立場、從業者側の立場というので立てたのでなく、契約についての民法規定のようなもので、これが柱が立つておつて、その土俵の上で然るべき協約その他が行われるというようなものでなければならんと、私共は考えておるのであります。官公職員が現在の労働関係調整法とか労働組合法に認められる権利を十分に発揮し、又世間もこれに対して十分な理解をし、或いは支援をするということは啓蒙期の段階において必要だと思います。私はこの法律が出ましても、それはもとより憲法に尾を引いております、労働基準法、労働関係調整法、労働組合法という大きな労働立法と相並んで兩々相俟つて行くというように考えておる次第でありまして、今度の立法によりまして、官公吏は一般的に労働調整法、労働協約その他の点につきましての團結の点につきましては、普通の産業陣営の方と同じであります。又特別の公益的な事業におる産業陣営の人は、一定の制限を受けておる。或いは又現業以外の官吏が一定の制限を受けておるという、労働法制の立て方は、現在一應これで了承し、納得していいじやないか、これに対して代るべき性質をまだ持合わしていないという段階でありまして國家公務員法によつて、労働の三大立法に対する例を特別に大きく掲げて、又ここに重複して掲げるという態度をとらなかつた次第であります。この点についてはむしろ労働法制の根本的なものが十分に、いわゆる政府側、從業者側、世間一般から理解されて、徹底的に実施されるという方向において、政府側は努力いたしたいと考えておる次第でございます。
#27
○岩間正男君 只今のお話によりまして、立法者側からこの法案を眺めて貰いたいというお話でございますが、それも一應そうでございますが、これは同時に適用を受ける側の立場から眺めることも必要だと思います。そういう観点からするときに、ちやんと労働法によつて受けておる権利をはつきりここに規定されることは、労働者の恐らく大きな希望だろうと思います。なぜかならばこれがはつきり規定されないために、ともすると今まで問題がすり変えられる。そうして法案の審議のときにいろいろな附帶事項があり、解釈の仕方がその事情に即應するように適用されておつても、この法そのものが單独の威力を発揮して、この條項の適用によつて問題が処理されることが甚だ多い。そういうことから考えますときに、むしろはつきり認めておる法案を、例えば先ほどの二十七條におきまして、憲法十四條における條件を、「人種、信條、性別、社会的身分又は門地によつて、差別されてはならない。」としてはつきり謳つたのだと言われておりますが、同じような深切を、労働法によつて謳われている條件を、ここにはつきり明記することが、寧ろ非常に重要じやないか。二十七條における趣旨が二十八條においても適用されることが重要じやないかと考える、この点についての意見を訊したいのです。
#28
○政府委員(井手成三君) 繰返しての御質問でございましたが、私共といたしましては、法案の立て方といたしましては、労働法制はともかくも議会にかけられて、相当これは十分なる審議を受け、非常に関心が深く、その法の運営には新しく労働省等も設置されまして、十分にその法の運営でできるものである。この國家公務員法はそれと相背馳しない。それと歩調を共にするので、別に繰返して規定する必要はないと考えた次第であります。
 この点については一つの法律はいろいろな法律と関係しております。それと抵触するとか排除するとか、それを特に引つぱつてきて特別規定を置く場合以外には、書くといろいろな要求が出て來ると思いまして、特に書かなかつたのであります。しかし書かなければ非常に関心が薄い、曲げられる虞れがあるじやないかと仰しやつたのでありますが、この三つの大きな労働立法は、ほかの立法のために影が薄くなる。関心が薄れるものでなく、労働省の設置と共に、大きな関心を持つて、非常に強く世人の理解に訴えるという考を以ちまして、特別にここに置かなくてもいいという考でございますが、それ以上は、岩間さんの仰しやつたように書いてくれた方が一般職員にいいじやないかと仰せになりますと、私共は見解を異にするところでありまするから、考のみを述べてお許しを願いたいと思います。
#29
○岩間正男君 只今の御説明によりまして、とにかくこの條項については労働者の既得権であるところの、團体協約のごとき基本的な、労働法による権利が、何等拘束されるものでないことを、先ず第一に確認しまして、更に團体協約によつてこれを決定するという希望が非常に強くあることを確認して、この問題を打切りたいと思います。
#30
○深川タマヱ君 もう一度二十七條に帰りたいと思いますが、これには「すべて國民は、この法律の適用について平等に取扱われ、人種、信條、性別、社会的身分又は門地によつて、差別されてはならない。」とありますが、私はむしろこれは不可能で、大いに差別されなければならないではないかと考えます。
 第一、人種でございますが、これはいくら敗戰國になりましても、まだ外國人が日本の官吏になることは許されないだろうと思います。これは恐らく帰化されておる人間のことだろうと存じますけれども、幾ら帰化されておりましても、從來の観念から考えまして、日本の官吏とするにはどうかと思われるような方もあるかと存じます。これは例は差障りがあるので挙げにくうございますので、從つて「人種」という項目などはむしろ書かないのが混・乱を生じないでよいのではないかと思います。その次の「信條」でありますが、これは「信仰」というのでございましたらば肯ずかれます。けれども「信條」となりますと、これは思想なんかも入ると存じますが、現に法案の別の項目のところに、時の政府を暴力によつて破壊することを目的としておる政党、或いは團体に所属しておる人間なんかは適用されないことになつております。そういうことを參照いたしましても、この「信條」によつて差別されないというようなことは実行不可能なことでありますので、これにも当嵌まらない。それから「性別」でありますが、男女によつてやはりおのおのその向き向きもございますので、採用試驗をいたします時にも、予め男女の別をして注文することもありましようが、第一勤務時間とか、勤務條件などにおいても、大いに差別扱いを受けなければならないものであつて、その次の「社会的身分」、これも例えば水平社のようなものであつたらば、これは区別してはなりませんが、例えば前職が國会議員であるとか、長官であるとか、いろいろな議員なんかしたとかいうような、社会的信用のある身分といたしますれば、大いにこれは参考にしなければならないので、現にこの法案で、第三十三條においては、「試驗」のところにある「能力の実証」というふうなものの参考にしなくてはならんと思つておりますが、能力を実証するというようなことは、前の職業が何であつたかということが大いに参考材料になりますので、ただ「門地」ということについてはちよつと疑問を持つておりますが、今申上げましたような事情によりまして、第二十七條で、これ程國民を差別待遇しないというふうなことは私実際においてできないことでないかと思います。
#31
○政府委員(淺井清君) 御意見ではございまするけれども、憲法第十四條によりまして、差別されてはならないということになつておりまするものを、この法案の第二十七條で差別するということはこれはどうもいたし兼ねると存じます。尚暴力を以て破壊する政党云々との條文の関係は、一般法と特別法、一般的規定と特別的規定との関係で解決できる問題かと存じます。尚仰せになりましたようないろいろの御注意につきましては、この法案の二十九條の枠の中で十分考えられる、合理的な基礎の下に考えればよろしいことだと存じます。
#32
○中野重治君 先程山下委員から御質問があつたことに関連して伺うのですが、第三十條のこの言葉を読みますと、非常に不安を感じます。それはいろいろ説明の中では、職階制というものが、日本で全く新しい非常に重要なものだということが強調されております。そうしてその強調される意味は私にもよく分るわけです。ところが三十條の條文そのものを読みますと、「職階制は、職階制を実施することができるものから、逐次これを実施しなければならない。職階制の実施につき必要な事項は、この法律に定のあるものを除いては、人事院規則でこれを定める。」こうなつておりまして、そうして人事院規則はできていない。且説明を聽きますと、大体のプランとしても、どういう順序で、何から先に職階制を決めて行くかについては、まだ具体的なプラン、或いはプランについてのプランもできていないというふうなお話です。そうしますと、こういう言葉がここに書かれてあるけれども、併し書かれてないのとあまり違わないような感じで受けとられる。これが実情として私は感ずるわけであります。それですから「職階制を実施することができるものから」という場合に、これが先ずできて、その次にこれができるというようなことを、誰が如何にして認定するかということ、これはその次の「この法律に定のあるもの」という問題と、それから「人事院規則でこれを定める。」ということに関係して來るのではありまするけれども、それとの関係においてどういう……大体においてでよいんですから、どういう大体の見透しが立つのか、それからそれとも関連して、「逐次これを実施しなければならない。」とありますが、「逐次」というのは、限定のように見えて無限定に近いように受取られます。それですから、これを新しい法律として作るとすれば、少なくとも「実施後一年以内」とか、或いは「実施後一年以内」として、これは早い程よいことには異存がないのですから、何か一つ時間的な区切りを今から前方に作つて置くということが必要であるように考えます。そうでありませんと、ここには限定されておるように見えて、何ものも限定されていないという形で條文ができておりますから、具体的な時間の点で、「逐次」という問題を「逐次」自身に一つはつきりした限定を與える、これが必要のように思います。それで例えば「実施後一年以内に」というふうにはつきり限定するその意思が立案者の方にないかどうか、それをお聽きしたいと思います。殊に職階制ということは、さつき申しましたように全然新しいもので、重要な意義のあるものであるということを説明されましたが、この法案をずつと読みますと、職階制に関してはいろいろ言われておりますけれども、職階制そのもの、その中味については、具体的な規定は殆んどない。それですから、これは先日十人の証人の意見を我々も聽いた時にもありましたが、職階制については特別のはつきりした法的規制を別個に作つてはどうかという意見に私も賛成する者ですが、その点について、その後この案の起草者達の方には意見がありませんか、どうかそれをお聽きしたいと思います。
#33
○政府委員(淺井清君) お答えをいたします。本案第三十條が殆んど意義を持たないじやないかというような御懸念がございましたが、決してそうではございません。却てこれは立案者の非常な熱意を示しておると存じまするが、つまり職階制の実施と申しますれば、誰しも全部の実施を予想いたすのでございます。併しながら全部の実施に至るまでの道程は、只今お示しのように、多少の時日を要します。併しそれまで待つていてはいけないんだ、できるものから一刻も早くこれを実施しなければならないんだ、逐次に、やれるものから直ぐにでもよいからやつて行け、こういう熱意を示したものがこの「逐次」の意味でございます。然らば誰がそれを決めるのかという仰せでございまするが、これは人事院が人事院規則でこれを決める。こういうふうに相成つております。
 そこでその次のお尋といたしまして、一体そういうことを人事院及び人事院規則に任せ切つてしまつてよいのであるか、むしろこれは法律で或程度抑えることが必要でないか。こういう御懸念でございまするが、これは極めて專門的なる仕事でもございまするし、又人事院というような公正な機関においてこれをなしまするならば、決して國会の立法権を干犯するというような結果にならない。こういう考の下に、これを人事院に委せたものでございます。尚御参考までに申上げまするが、アメリカのような、極めて三権分立のやかましいところにおきましても、二つの機関に対しましては、立法権が廣汎に委譲されておるのでございます。その第一は最高裁判所の規則制定権でございまして、令度の我が憲法におきましても、最高裁判所は訴訟手続その他について廣汎なる立法権を持つており、場合においてはこれを下級裁判所にも委讓することができるように相成つております。
 もう一つはこの人事院に與えられておりまするところのこの人事院規則の立法権でございます。これは只今申しましたように、事柄が極めて專門的であり、且裁判所と同じような、極めて忠実公平なる立場におる國家機関でございまするが故に、これに立法権を委讓いたしましても、決して弊害なきものと認めておるのでございます。
#34
○中野重治君 「逐次」の解釋についてお答を得ましたが、これができるものからできるだけ早く、一日も早く実現しなければならないという大きな熱意を示すものであるという説明がありました。この熱意ということはわかりますが、熱意が若し強いならば、実施後一年内にというふうな時間的な先きくぎりをつけることに反対する理由は自然に消滅すると私は考えますが、その点はどうでしようか。
#35
○政府委員(淺井清君) 只今のお答が少し不足しておつたと思います。私共のそのいわゆる熱意といたしましては、凡そ二年くらいにおいてこれを完成したいと考えております。ただそれを法案ではつきりと抑えるということは果して二年でできるかどうか、これは前途にいろいろ困難もございますることが予想されまするから決定いたされませんので、ここに書かなかつた次第でございまして、この点に関しましては御懸念は御無用かと思います。
#36
○吉川末次郎君 今の中野委員の御質問に対する政府委員の答弁に関連とてでありますが、先般の十人の証人の中の、公法研究会の諸君及び官公廳労組の諸君等から、中野君が問題にせられましたような職階制に対するところの規定は、この法律案の中において僅かに四條に過ぎないのであつて、非常に不親切である。職階制については別個の法律を制定すべきものであるということを、公法研究会の諸君も要求し、文官公廳労組の諸君も同樣の意見書を我々の手許に送つて來ておるようでありますが、これに対して淺井政府委員の御答弁があつたのでありますが、私は中野委員が問題にせられたこと、及びこの公法研究会の諸君や官公廳労組の諸君が要求いたしておりまする答弁には、どうも十分に該当しておるように思わないのであります。それは今、我々が問題にしておりまする第二十八條の情勢適應の原則からいたしましても、いろいろな職階制の官職の基準等に関することは、國会中心で定めて行くというような原則がここに謳われておると思うのであります。又政令に成るべくよらないで、できる限り國会の議決によるところの法律によつて物を運んで行くということが、今日要求せられておると思うのでありますが、そういう見解からいたしますると、浅井政府委員の、すべてを人事院規則でそういうものを定めて行くということは、それに背反するものであるということが考えられます。又アメリカの例を何かお引きになりましたようでありますが、併し行政調査部から我々の手許に送つておられまするところの一九二三年のクラシフィケーシヨン・アクトでありまするが、それによりますると、相当廣汎に、やはり浅井政府委員が人事院規則に委ねて十分公正な結果を見られると言われておられるようなことが、相当詳細にこの一九二三年の職階法でありますか、クラシフイケーシヨン・アクトの中にも規定されておるようでありますから、どうも浅井政府委員のお話と、少しくその点は違うように思われるのでありますが、どのようにお考になるのであるかということを、もう一つ重ねて御答弁を願いたのであります。
 それからこれも一般質問のときに問題にされたことだと思うのでありますが、同様に公法研究会の諸君は、先にあつたことでありますが、特別職の範囲を非常に廣くして、そうして少くとも局長及び政策決定の衝に当るところの課長級の者までも、これは自由任用にしなくちやいかん。当然にそういう職階制の適用を受ける者であつてはならないということを主張しておりますが、これは先に私が山川菊栄女史を例に引きまして申した見解と実は合致するのでありますが、あのときにおけるところの答弁も、私は甚だ不満なのでありますが、この職階制に関する法案の逐條審議の今日において、もう一度それに対する見解を承りたいと思うのであります。
 それから尚もう一つ附加えて、これはお教えを願いたいのでありますが、アメリカの例によるところのクラシファイされるところの役人と、そうしてクラシファイされないアンクラシファイの役人とはどういう違いがあるのであつて、その職階制を受けないアンクラシファイとせられておる役人とはどういうものであるのであるか、行政調査部では、いろいろアメリカの例案をもお調になつておると思いますが、我我非常に多忙でありまして、十分調査をする時間を持つておりませんので、それをお教え願いたいと思います。と申しますのは、一九三九年の、ここのライブラリーにあるウオールド・アルマナックを見ますと、クラシファイされるところの役人とアンクラシファイの役人との比率というものが、段々クラシファイされる役人の数が多くなつておるのでありますが、併し一九三九年の統計によりましても、三分の一はアンクラシファイの役人であります。それでこれは政府委員の諸君の今日までの調査によつて一つ数字も私にお教えを願いたいと思つております。御答弁によりまして尚又質問いたしたいと思います。
#37
○政府委員(淺井清君) お答をいたします。御説の如くアメリカにおきましては、全部人事院規則にこの職階のことを委讓いたしておりませんで、一部分が法律になつておるということはお説の通りでございます。但し只今御引用になりました一九二三年の職階法と申しまするものは、一八八三年にアメリカで公務員法が制定いたされまして以來、実に三十八ケ年を経た後でやつと完成したものでございます。只今我我の直面いたしております情勢にお声ましては、もつと早くこれを急ぐのでございますから、そのような法律の手続を待つておるということは不可能でございまするし、それからその職階法の内容といたしましては、大体その官職の或極めて大雜把な職種と、それから等級とが書いてあるのでございまして、それ以外の廣汎なる部分におきましては、やはり人事院のルールに委讓しておるのでございます。そこで只今仮にこの職階法を國会で御制定を願うといたしましても、我々といたしましては、まだその職種や等級でさえもその中にお書きを願えるかどうかということさえも調査不十分でございますから、結局只今職階を法律で決めたといたしましても、それは結局枠の法律でございまして、中身実は殆ど空白になり、やはり同じように大きな部分が人事院規則に委讓されて参る。そういう結果に相成るかと思うものでございまするから、これは日本の現状といたしましては、人事院でやつてよろしい。こういうふうな見解を持つております。
 尚このような重要なことを國会中心でやらなければならないということについては、これはもうすべての立法は國会中心でございまするから、御同感ではございまするが、若しこれを國会の御発案によつてなされるというようなことになれば、これはできない。恐らくお説はそれを法律の形によつてやるべきもの、こういうお説かと存じますが、その点については只今申上げましたところと、先頃お答を他の委員にいたしましたところによつて御推測を願いたいと存じます。尚アメリカのクラシファイドされない三十%の中には、例えば次官以上の高官者もおりまするが、單純なる労務に服する者、それが相当大きなパーセンテーヂを占めておると存じます。それから尚國家の委員、顧問、参與、そういうような種類に属するものが相当多く占めておるものと思つております。只今詳しい数字はここに持合せておりません。ただ大体のことをお答え申上げます。
#38
○政府委員(井手成三君) 局長、課長のあたりまでも特別職にしたらどうだろうかという問題に関連してお尋ねがございましたので、その点についてお答えいたします。先日山川さんが労働省の局長になられる。ああいうような拔擢方法と言いますか、民間の適材を持つて行くことが、この新公務員法によつて現在より困難になるのではあるまいかというような御質問に対しまして、先日の答が些か不十分であつたようだからもう一回聽きたいという仰せでございます。この三十六條の第一項の但書でございますが、大体局長のような、次官の直ぐ下にいる相当重要な責任のポストにつく場合においては、一般から試験をしてそうしてその中の点数から選んで来て、果して從來がどういう経歴であつたか、どういう人であつたか分りもしない人が赴任して來る。そうしてそれを嵌めるというようなことでは、成る程如何にも十分でないような場合が多いのでありまして、恐らくこの但書によりまして、選考という方法によつて局長を民間から採るなうなことが起るだろうと思います。山川さんを先日局長さんに採用するという問題につきましては、現在の手続では、一級官の選考委員会の方に過去の経歴、御本人のいろいろの業績というようなものの資料を出しまして、そうして労働省のどういう部門の局長にはよろしいという選考を受けまして、そうしてお就きになつたわけであります。今選考委員の連中は、大体内閣部内の高級の官吏が中心でありますが、この三十六條によりまして、恐らくこの選考機関は、もう少し科学的と言いますか、もう少しこれにふさわしい組織になろうかと思いますが、ああいうような方を採用することにおいては、今日以上に正しい判定をするのじやあるまいか。恐らく三十六條の但書によりまして、現在より以上に不便になり、人材の登用が妨げられることはないだろうと考えておる次第であります。それから一般的な御質問としまして、課長、局長も次官と同じように一般職にしないで特別職にしたらどうかという点であります。この点につきましてもたびたび質疑應答があつたかも知れませんが、もう一遍当局の考を述べさして頂きたいと思います。大体新憲法によりまして、國会が國の最高権威として行政の大方向を決定し、そうしてこれを受けて政府は実施して、行政府はむしろポリシーを決められたものを忠実に実施して行くということが本当の姿であろうと思うのであります。それで行政府を構成するものは、内閣が迭つて、その度に相当大きな動揺が來て、そうしてそのときに事務の引き継ぎ、或いは事務の停滯ということが起らないようにという一面の要求、それから一面に又國会が最高の権威として決めたポリシーを正しく把握されて、正しく受入れられて、実施されて行くという、両方の共通点の要求を実施しておられます。私共の案では、從前の政務官、参與官という自由任用のそれ以外の事務官僚の一番上層部におるところの次官を一般職から外しまして、自由に任用し得る政策を最もうまく受入れ、最もうまく事務当局に傳達し得る者という所に置こう。その以下はクラシフイケーシヨンによつて、最も適格であると判定された者を置いておる。そうしていわゆる熟練技術者、熟練行政官としてこれをつけて置いた方がよろしい。この方が調和が一番いいというので、これを書いた次第であります。お考によりまして局長までもそうじやないか。或いは大藏省の局はそうだが、或いはもつと逓信省の局なんかは、これは一般職でいいというような区別ができるかも知れません。或いは課長と言いましても、往年の保安課長というような、巨大な権力を持つた者もありますけれども、その辺は見解が違つて來ると思います。私は各省を通じて次官というところでいいのじやあるまいかと考えた次第であります。大体以上のような考え方であります。
#39
○吉川末次郎君 政府委員の御答弁によりまして、その職階制は、差当りこの法案の中においては四ケ條しか規定がない。併しその内容の詳細については、差当りは人事院規則による。併しながら原則として國会中心主義の立場から、法律によることは良いのである。殊に第二十八條の情勢適應の原則の規定内容等について、私が質問の中に申しましたような考を、大体政府の方でも同様な見解を持つていらつしやるものであつて、その結果としては、時が來て、いろいろな事情の成熟を見るならば、その人事院規則に今委ねられているところの、職階制の詳細なるところの内容は、國会によつて決定されるところの、いわば職階法というような別個の法律が不日制定されるのが正しいのであるという、公法研究会の見解や、私の申しましたようなことと同様の御見解をやはり持つていらつしやるものと、この際解釈していいのであるかどうかということを、もう一度御答弁を願いたいと思います。
 それから私は山川菊栄女史の任用のことを例に引いただけのことでありますが、三十六條によつて、「人事院又はその定める選考機関がこれを行う。」という、その選考機関によつてそうした特別職と同じようなる自由任用の範囲は拡大されるものであるということを、法制局次長はお答になつたのでありますが、私十分具体的に明確に把握することができませんでしたので、その選考機関というものの具体的内容について、もう一度お示しを願いたいと思います。なぜそうしたことをたびたび私が繰返して質問いたすかというと、結局今まで私が尋ねました、又その他のこの間の準公聽会の証人諸君も、同樣に問題とされました、この法律が全然アメリカと政治的事情の異なる日本にそのまま押付けられておるということに対する基本的な私の思います欠陷に、やはりそれが還元されて來るのでありますが、荷重ねて申しまするならば、今日日本は民主革命の時期であるということが言われておるのであります。これはロシア革命について申しまするならば、我々は共産党の諸君と見解を異にして、共産主義を否認しておるものでありますが、併し、レーニンやスダーリンの人達がロシアの革命を決行したそのときにおいて、どうしてあの革命がただこの政府の極めて上層部の少数の人間だけの入れ替によつてあの革命が完成されるものであるとは思うことができないのであります。同樣に共産主義革命ではないが、ここに自由主義革命が今日進行しておるところの過程にあるかに日本があるといたしますれば、やはりそうした心からの民主主義者、肚のどん底からの民主主義的な見解の把握者というものが、相当行政機構の下部組織にまで浸潤して行くのでなければそれは行われないと思うのであります。共産主義者が、やはりロシアの全行政機構というものを完全に支配することができるような人的配置ができるのでなかつたならば、私はあの共産主義革命は完成されなかつたと思うのでありまして、特に私はこの点を重視するという建前から、改めて三十六條の選考機関の具体的内容というものについて、もう一度私が会得することができるように詳しく御説明が願いたいと思います。
#40
○政府委員(淺井清君) 職階制の部分につきましては私から御答弁申上げまするが、その他の部分については法制局次長から御答弁を申上げると存じます。第三十條に関しまする部分でございますが、これはこの法律に定のあるものを除いては、人事院規則で定める、こう相成つておりまするからして、將來この法律が改正せられまして、この職階制の部分にもつと沢山の規定ができ、從つて只今の職種や等級の基本とでもいうべきものがその中に入つて來るというようなことは、無論あり得るだろうと存じておりますから、これは決して差支えのないことであろうと存じております。ただ只今この職階制を極めて敏速に施行いたしまする上におきましては、ここに立案されておりまするような方法で行くのが一番いいのだ。こう考えた次第でございます。
#41
○吉川末次郎君 そうするとこの別個の法律を、職階法というような法律を作るところの意思は、今日においてはない。その必要があれば、この法律を改正して行くということの御見解なんでありますか。
#42
○政府委員(淺井清君) はあ大体そうなのであります。ただ今出せませんから……
#43
○委員長(下條康麿君) それでは第三節の方に移りまして、第三節試驗及び任免に移りまして、第三十三條から第六十一條までの範囲で、説明と御質疑を願うことにいたします。
#44
○政府委員(井手成三君) 先ず第三節は試驗及び任免のことでございます。この要点は、先ず職員の任用は、新規の採用、下の方から上に上つて行く昇任、他の方から移つて來る轉任、それから下に下がる降任、この四つの場合を含んでおりますが、いずれも情実その他の角度からでなくして、試驗成績或いは勤務成績その他本人の持つておる実力に應じてやつて行くということが根本となつております。そうして次は任免権の問題でありまするが、これはいろいろ官職の種類に應じまして、現在の立て方を頭に入れまして、内閣の閣議によつて決めて、任免して行くもの、総理大臣にやつて頂くもの、各省大臣その他各省にお願いするものという工合になつております。この補充の方法につきまして、多少人事院が統轄的、調整的の権能を持つことになつております。次に職員の新規採用は、原則として公開競爭試驗によつて、その成績順を前提として何人かの中からこれを採つて行くということにしております。それから昇任、下から上る方も、原則として下級者の間の競爭試驗によつておりますが、併し能力の実証に基くところのいわゆる選考という方法でやることが可なり多くなるだろうと思います。それから新規採用の場合は、一應官界に永久に先ず恒久的職員として入れてよいかどうかという点につきまして、試験の実績だけで、採られたというだけで、案外やつてみると大したことはない。或いは役所になずまない。役所には向かないというようなことになつても困りますので、一應條件付の任命にしておきまして、一定の期間無事に勤め適應性が示されるということになりまして、初めて恒久的な任命になるというような制度を作つておりまするが、例外としまして緊急の場合に、本來の手続によらない制度をも、この法案としては用意いたしております。それで、あとは六十一條におきまして、他の、身分、進退の権限は先程述べた本來の任命権者がこれを行うというように規定いたしてございます。それからこの中に入つております人事院規則でございますが、三十三條の第二項と、先程三十條の第二項に申上げました如く、政令で実施規定を書かないで、人事院規則で実施規定を作つて行く、必要な施行規定を作つて行くということを書いております。それから三十五條で、「法律又は人事院規則に別段に定のある場合を除いては、」任命権者が、自由自在に採用――外から採ろうと、下から上げようと、轉任で行こうと構わないというようにして、一應任命権者の任用の自由を認めておりまするが、相当な人数がある場合に、いつもその中の三〇%は下から上げろとか、それからあとの七〇%は新規採用にしなさいと、こういうことによつて新陳代謝をやつて、下から上る者の意氣を沮喪させないというような措置をとつて人事院規則で決めるとか、その役所のそのポストについて、下から上げて、そうして一向能率が上つていないという場合に、轉任で外の方から採つて來い。或は又新規採用でやれということを、特別の場合に人事院が指定をしようというような考であります。それから三十六條の第一項で、人事院規則の定める職種、等級、これが先程言いました例の一つでありまするが、これにはいろいろのヴァラエテイーがございますが、タイピストとか筆耕とか製本屋というようなものにつきましては、競爭試驗というようなことは、別に要らない。タイピストの能力があるかどうか、筆耕能力があるかどうかということによつて、選考して採ればよろしい。運轉手、看護婦の免状を持つているというようなものは、いちいち試験しなくても、顔を見て採つて行く。果して運轉ができるかどうか、多少実地をやらすということもあつて結構ですが、公開試驗でやつて行く必要はないと考えておる次第であります。医官というようなものも、実はなかなか……私共も人事に関係しましたが、容易にないわけであります。例えば非常な宗教的信念が強い或いは非常な考え方を持つておるというような人で、且医者の免状を持つておるという人は少いので、これを一般公募して採点をして行くということになりましても、容易に人が得られません。そういう場合も可なりあろうと思います。それから先程申しました民間から非常な適材を、而もそのポストが非常に重要ポストであつて、公開試驗で、形式的な基準と、実質的な基準が情に合わないという場合が出て來るのであります。それで先程吉川さんの御質問がありましたので、序にちよつとここで答えさして頂きたいと思いますが、自由任用というのと選考任用というのとは、私共は区別して考えておるのであります。自由任用というのは、從前の祕書、國務大臣、内閣……今の官房長官のようなものでありまして、これは任命権者がこれを採りたいと思えば、他の方の意見を聽かないで、直ぐに採れる。従つて学歴も過去の経歴も、何であろうと一向構いません。要するに任命権者が採りたい人を自由に採れるのであります。選考して行くというのは、自由に採れるのでありませんで、一定の能力があり、一定の実力があるということを過去の経歴なり御本人の実際の活動によつて示しておる場合に、それを何らかの判定機関にかけて、任用いたして参るのであります。公開試驗によらないけれども、一定の資格が何らかの機関によつて判定されて然る後に任命するというので、これは自由任命と異にしているわけでありますが、一般職にありながら、三十六條の但書にありますのは、例えば今の婦人兒童局長、婦人労働問題に非常に見識があり、或いは著述があり、或いは実際に活動していらしたとか、相当に一級官として堂々勤められるという、いろいろな角度から実証がある場合であります。そういう人を採ります場合には競爭試驗はしないというようなことを、人事院が承認をする規則を根拠としてやろうと考えております。
 それから三十六條の二項でありますが、基準を決めるのは二種類ありまして、形式的な基準と、実質的な基準があると思います。書面選考であるとか、或いは御本人を呼出して必ず面接して選考する。或いは両方を併用するという選考のやり方の基準の内容であります。これが一般職以外の公職の点が、例えば電氣局長を採る場合に、民間の電氣方面を勤めた経歴を一対一として見るか、或いは民間でも大きい小さい会社で実績を違えて見るか、或いはどういう俸給をとつて、どういうポストにいたかということを具体的に当つて、その基準を一應示しておくというようなことになろうと思うのであります。
 選考機関の問題が出ましたから、ちよつと序に申上げで置きたいと思いますが、これは実は決定的にはまだ決つておりません。現在では大体自由任用それから選考任用、資格任用という大雜把になつております。資格任用というのもいろいろございます。官吏の三級官を八年やると二級官に当然なれる。これも一種の資格任用であります。それから高等試驗を通つておれば二級の行政官になれる。これも資格任用であります。自由任用というのは秘書官、大臣、法制局長官、書記官長、これは全然資格なく自由自在にいつ何時でも任用して入れる。その中間に当るのが選考任用でありまして、今一級官吏の選考委員会がございまして、この問事務官でありました山川さんのやうな場合で、こういう人を選考するのが第一部で、第二部が技術官、教官を選定しております。その委員は事務系統の第一級官につきましては大体事務系統の人が当つております。それから選考の中で技術官、教官のような方の一級官の選考委員の方は、大学教授、内務省土局長のような技術出身の一級官がこれに当り、それから法制局は私のような者が当つておる次第であります。二級官は全部高等試驗委員に任してあります。これは外交官系統と一般行政官系統とに分れておる次第でありまして、原則として役人である高等試驗委員が当ることになつておりまするが、高等試驗委員は顧問その他を以て問題の場合には、それに聽くことができることになつております。現在は大雜把に教官、技術官、事務官の程度、それから一級、二級の程度で二級官につきましては各省、各廳で例えば府縣廳は昔は役所で、府縣知事の下に……、現在では大藏省、内務省というような役所に、三級官につきましては選考委員を作つております。これは技術官、事務官、教官と言わず一緒にやつております。そういう程度の荒つぽいものでありますが、今後これによつて予定されておるものは、まだ決定いたしておりませんけれども、人事院が定めますることになりまするので、今私が申してその通りになるかどうか分りませんが、昭和二十二年九月一日、行政調査部、職郡及び職團一覽表というものがございまして、グループとして一、経済及政治学、二、法律学、三、人事、四、報道編輯、五、会計檢査及び財務、六、調弁、七、監督調査、八、飜訳、通訳、九、統計学、十、工学、十一、理学、十二、農学、生物学、十三医師、歯科医師及び保健ということになつておりまするが、そういう職務の性質の似ておるもののグループによつて、選考委員が恐らく決つてくるだろうと思います。
 又責任制に應じて非常に事務の中の一番末梢的な仕事の部分、やや中間的りもの、或いは或程度の部局の責任者たる者というような、横に切られることによりまして、選考の方法も変つてくるわけであります。それが全部、まちまちになつてはいけませんから、人事院が心棒になり、両方の調整をとることになろうと思います。これは決つておりませんので、職郡及職團一覽表の縦割がここに出ておりますから、それに対して等級的な割り方が幾つかできる。そのコンビでまたそう沢山選考委員を作つても仕方がありませんから、專門的に向き得る、且他のグループの間に調和を失わないという、恐らく選考機関ができると思いますし、私共予算その他を、それによつて要求して、そういうものを作りたいと考えておる次第であります。
 三十六條の三項は、復職と外國の制度なんかで言つておることだろうと思いまするが、嘗て在職した経歴ある者は、單なる新規採用と違つて、一度役所において公職として何等かの実績を示した人でありますから、これを実際の採用に当つて認めていいじやないかと考えておる次第であります。併しそれにしても非常に古い、昔やつたから採つてくれという人がありまするが、非常に時代が変つておるのに、そこに置くわけには参りませんから、どれくらいの昔の程度のならばよろしい。又過去の勤務成績等を勘案しまして、一定の標準を決めておる。それから同等の、これ以下にしか採用を認めないというような、いろいろなことをこれは決めることになろうと思います。一番大きな点は退職後再就職を認めるのに、職種によつて変つてくると思いますが、あまり古くなつた人は排除することが出てくるだろうと思います。
 三十七條三項でありまするが、これまた選考機関のことでありまして、先程の問題と同じと御了承を願いたいと思います。
 三十八條、禁治産者、準禁治産者、禁錮以上の刑、懲戒免職その他についてでございますが、禁治産者は全然心身能力を欠いておる。これは問題になりませんが、假に禁錮以上の刑に処せられたことがあつても、非常に下級な職ならば、人を殺してしまつたというようなことでは非常に困りますが、外の理由でやめた。併し運轉手で免許はちやんと取つてあるような場合、運轉手として一向困らない場合には、人材といふほどでもありませんが人事の合理化の見地から使つていいじやないか。それから重要でないような統計、飜訳事務、英語の飜訳事務が非常にできる。それが何かの彈みで懲戒免職を食つた。それは役人として不適当ではなく、不道徳でないというほどではないけれども、外で懲戒を食つたような場合は、重要なことには就けないでも、重要でない飜訳はやつて貰つていいじやないかということを考えております。
 三号に「人事院規則の定める懲戒免職の処分に準ずる」場合、会計檢査院が体が悪くて失官するというような場合でなく、非行があつた場合に失官するという決定を受けた場合は、これを同じように「二年を経過しない」間は、再び公務員にはしないと規定しております。その外に裁判官彈劾法というものが、今審議を受けておりますが、その中でもこれに準ずるものが起れば、これによつて定めたいと思います。今後如何なる制度ができるか分りませんから、こういう規定を置いて、如何なるものも受容れができるようにして行きたいと思つております。
 それから四十二條、人事院規則がありますが、試驗の時期、程度、科目のようなものがこれによつて決められると思います。
 四十四條では年齢による制限、例えば警察官は滿二十才以上とかいうようなことを書くようなことになろうかと思います。それから具体的條件として先日政府側から御説明しましたが、実際に從事する者に対して盲目、色盲であつては困るというようなことを書くだろうと思います。
 四十七條の三項に参りまして公告、これは官報とか、主要新聞とか、ラジオとか、郵便局というような一般の接触の多いところに掲示するとか、試驗をいつする、試驗の時期の前いつ頃に公告するとか、何回公告するということを定めることにならうと思います。
 四十八條はこれは試驗はどういうものであるか、これはやはり中枢的なものとそうでないもの、非常に地方的なものということに分れて來るだろうと思います。これもまだ決定的にはなつておりませんが、大体そういうような三つくらいのグループに分れるだろうと思います。
 それから、五十條でありまするが、名簿の作成は人事院が行うのでありまするが、何通作るとか、それから試驗科目及びその得点を記載する或いは職種によつて総点数を書くとか、こういうようなことを書くと思います。
 それから五十四條で任用候補者名簿がいつまでもあつて新しく試驗を受けた人がうまく行かんといつたようなことがあると思いますので、試驗が受かつても一定の年限に採用されない者は駄目だというような考でありますが、一年を経つた以外に、例えば人事院が定める事由というのは、候補者が欠格事由が生じた、或いは欠格事由であるということがはつきり分つたときとか、名簿の作成が故意、又は過失があつて誤記があつたとか、或いは一定の或役所にも推挙されたけれども、どうしても採つて貰えない。一番から五番まで試驗をするのですけれども、いつでもその人が落される。そうするといつまでもその人が頑張つて下の方の人が採用されるチャンスがないというので、この名簿から落してしまうというようなことを考えておるのであります。
 五十五條の三項、これは機関の長は現行の三級官程度の職員には現在職員の任命権を委讓してありますが、任命権をその方に委讓するということをやりたいと思います。
 五十八條、これは詰らないことですが、氏名、本籍、現住所、履歴の大要試驗成績、本人の希望というようなものをここに書くことになると思います。それから五十九條の一項でありまするが、これはいわゆる條件付採用、條件付で本格的の公務員とするかどうか暫くの間見ようというようなわけですが、これは非常な下級の職なんかはそういう必要はない。先程の運轉手とか、或いは守衞であるというようなところは、そういう條件付とかなんとかいう必要は一向ないように思うのであります。それから又最上層部、例えば局長、局長が六ケ月したら辞めるかも知れんというようなことでは行政処分の行政責任がとれない。部内の統轄等もできないというような要求の強いものにつきましては、これから外れることになると思います。五十九條の二項、條件付採用者に対しては、條件付期間の最長限の規定が六ケ月を下らないとありますから、どれくらいの間條件付にして置くか。條件が満たされない場合には、どういう工合にして人事院との間に連繋して通知し合うかということを書くと思います。
 六十條、これは臨時的任用が許される場合でありますが、新たに職種ができた、即ち新たな職種ができて直ぐ埋めなきやならんときに、勿論それにふさわしいような試験が行われている筈はないのでありますから、任用候補者名簿はないわけであります。それから任用候補者が不足して速かに試驗を行う余地がないという場合、それから一定のタイム・リミットを切つて調査、統計、飜訳をやらなければならん場合というようなことをここで書くことになると思います。人事院の承認方針といたしましては、どういうようなわけでこういう臨時任用をしたいか。その理由と職種、等級、それから人員の数というようなものを人事院の方へ承認を受けに行くだろうと思います。それから任用される者の選択標準、臨時任用と言つても大体どういうふうなプールから採るかといつたような、丁度昔の町村長のような臨時代理者みたいなもので、全然経驗のない人が臨時代理をやつても困るというので、臨時採用の期間とかいうようなものを出して、承諾を受けることになろうと思います。
 大体少し飛ばして走りましたが、それくらいのことだと思います。
#45
○委員長(下條康麿君) どうぞお尋を願います。
#46
○中野重治君 これは私審議の性質上前の方にいくらか戻ると思いますが、さつき吉川委員のお話のあつたことにも関連しますが、政策の面にもちよつと触れるが、任用は職階制の枠から外してはどうかという意見がありまして、意見としては私もこれに賛成ですがこのことについての当局者のお答を聽いていますと、自由任用乃至選考任用ですか、試驗任用ですか、そういうことにして当局の方では普通の常識とはちよつと駈け離れた考え違いがあるのではないか、或いは何と言いますか、非常に消極的な少くとも態度があるのではないかというふうに考えます。それについてお尋ねしたいのです。それは大体この公務員というものは、一般的に人民が選んで、そうしてその選んだものを決めてこれを使えばいいのであつて、廣い意味ではそういう方式で自由任用というものが基本的なものとして納得される必要があるとこう考えます。ただそういうことが無制限には行われないのでありまして、必要上試驗制度というようなものが必然に出て來るとこういうふうに考えます。さつき山川さんの場合が例に挙げられましたが、山川さんの場合、その人事が大方の承認を得たということは、つまり第三十六條の但書によつて補われた例だということを一方では裏書するのですけれども、大体そういうことが但書によつて僅かに補われるというふうな方式そのものが基本的に打開される必要があるこの点について例えば山川さんなんかの場合には、三十六條の但書によつて捉まえることができるようになつておるからいいという考え方は非常に消極的である。但書によつて僅かに補足し得るということを根本的に改めて、もつと積極的に但書でなく、本條そのものにおいてこれが網羅される方式を、法文に一貫してやられてはどうか、そういうふうな積極的なお考があるかないかこれをお聽きしたいのです。これは試驗にも関係して來まして、大体どういう人が試驗官或いは試驗委員になるか、或いは試驗の題目と言いますか、それがどういうものが試驗の題目になるかということも、さつきの自由任用、廣い意味での自由任用、それがそこへ反映されなければならない。そういうことがなかつたために或る種の人々が試驗委員になり、そうしてその人々によつて試驗の題目が上から決められるということがあつた場合に、例えば先日この問題に対して十人の証人が來られて、その話を聽きましたが、あの中には杉村章三郎君ですか、東京帝大の行政部のあの人の意見を聽きますと、この法案は全然読んでいない、いないから分らないが、併しこの法案には賛成だという、そういうようなことを公然とあそこで言つております。そういう人が今度試驗委員に現になつておる。つまりそういうことは丁度任用に関して、自由任用と選考任用とがアプリオリになつて、そこから選考任用を補足するものとして自由任用のための條項を但書で食つつけて行くというような法の制定の精神が基礎にあつたために、ああいう人が高等試驗委員になつてしまつたということも結果として生じたとこう考えられます。ですから自由任用乃至選考任用というような言葉の解釈の問題は別としまして、直ぐ試驗制度、試驗のために必要な諸機関、それから一般の任用というものも、原則的にはこれが民主的に選出され、民主的に任命される。これはあとの方で又問題になるでしようが、当然呼戻しとか、彈劾権とかも関連させて積極的に作り上げられる。こういうふうに進まなければならんのではないかと私は考えるわけですが、その点について細かいことはようござんすから、大掴みな点を答えて頂きたいと思います。
#47
○政府委員(井手成三君) この法案の立て方としましては大きく二つに分けております。特別職と一般職でありまして、その一般職という分類に入れましたものについては、この法案の生命は、いわゆる本人の能力があるかどうかということをはつきり確かめて、その能力のある者を嵌めて行く。そのために職階制がありまして、この職種にはこれだけの責任と、これだけの仕事の複雜さがある。從つてそれに應ずる資格のある者がこれに嵌まつて行くというのがこの法案の生命であります。從つて一般職につきましては一定の資格が実証されるということが、これは絶対の私共としましては要求でございます。若しそれが不可能でありますれば、特別職の方に廻さなければならない。ただ競爭試驗によつてやつて行くということは如何にも迂遠であるというようなものがあると思います。こういうものについては選考という方法を採るということにいたした次第であります。さてその能力の実証を判定する、その如何に判定するかということは、これは実に神でない以上は非常に困難であると思います。人事院がいかなる構成でこれをやつて行くかということにつきましては、私としましてはまた選考機関につきましては、先程申上げましたような構想を持つて予算その他を要求しようと考えておるだけでありまして、はつきりとはしておりませんけれども、從前のような高等試驗委員がよく言われます漢学中心である。法律経済中心であるというような少なくとも姿はすつかり消してしまいたい。この点は現在の高等試驗委員を選ぶにつきましても、非常に政府当局は苦慮はいたしておるのでありまして、努力はいたしております。でお説のような指摘されました点につきましては、十分に私共同感で反省いたしておる次第であります。まだ御批評を受けまする如く不十分であればもつと勉強したいと思いますが、この國家公務員法の実施を機会としまして、本当に能力の実証を正しく判定できるような人をこの選考機関にしたいと考えております。さて試驗の内容、或いは選考の内容等もこの法案が実際的な内容を持たなければいけないという試驗のところに條文が置いてありまするが、これは單なる訓令規定ということでなく、むしろこれに反するような試驗が行われればむしろその試驗は無効になつてしもうというぐらいの考でこれをやらなければならないと考えておる次第であります。細かいところはいいと仰しやつたので、この辺で御了承願いたいと思いまするが、一般職になります以上は少くも能力の実証が何らかの方法で示される。それは試驗であるか、或いは選考であるか、そのどちらでも結構でありまするが、そういう工合にしたいと考えておる次第であります。
#48
○山下義信君 私は三点程伺いたいと存じます。この節には相当御質疑が同僚諸君にもあろうかと存じまするので、三点だけに限りまして伺いたいと存じます。
 第一は欠格條項の第三十八條の点でございますが、第三号に懲戒免職の処分を受けたる者が、処分の日から二ケ年を経過すれば採用ができるということになつておりますが、実にこれは由由しき私は條項ではないかと思います。懲戒免職を受けるが如き者はすでに官吏たる資格のないもので、それが二ケ年経つというと、又資格ができるということはどういう理由によるのか殆ど第二号の禁錮の刑にでも匹敵すべきような場合に、概ね官吏は懲戒免職で済ませると言つた場合が多いのでありますが、官吏として懲戒免職を受けるが如きこの第三号の如きは、全く最早官職に就かしむべきものでないもののように思うのでありますが、それが二ケ年経過いたしますと、再び官職に就く能力があるという理由はどういう点でございましようか、伺いたいと思います。それから第五号に、これは随分問題がある点じやないかと思いますが、私は意義だけを質疑いたしておきます。暴力で政府を破壊することを主張する政党とこうあるのでありますが、かような政党は存続を法律上許されない筈なんであります。まあ仮にあつたとしまして、暴力とは如何なる意味を含めてございましようか。且又「その他の團体」とこうありますが、「その他の團体」という意味を承りたいと存じます。これが一点でございます。
 それから第二には第三十六條つまり職員の採用の方法のところであります。先程からこれに関連しての各委員の御質疑がありましたが、細部については競爭試驗或いは選考と又いわゆる特別任用、その中には自由任用があり、この第三号の如きものがあります。その選考機関、選考方法というものが只今承りますると、自由任用と言つたような意味を除外いたしまして、而も非常に幅の廣いものであつて、よく出ます山川女史の例、ああいう方々からタイピスト、運轉手、といつた技術的な職種のものまでも含められる随分幅が廣い。私思いますのに、意見は差控えますが、つまりそういうものが俗に言う情実人事、これは技能その他いろいろ能力、つまり別の試驗の方法により得るのでありましようが、言い換えますると、競爭試驗でなくして情実人事に属する。見ておりますというと、相当情実人事の幅がこの中にあります。殊に前職員の採用に特別な何と言いますか、恩典と言いますか、既得権と言いますか、そういうものが採入れられてある。これは余程人事院規則をお定めのときに、その範囲を限定に相成る必要があるのぢやないかと思いますので、どういう程度まで限定なさいます考か、その辺が承りたいと思います。且又官職員はその職を辞しまして、或一定の年限二ケ年でございますか経たないというと、いろいろ営利系統の團体や会社に入ることが、就職することができないと思いますが、その採用の場合には、そういう一旦官吏をやめまして、営利團体、そういう関係の團体に入つておりました者が、つまりこの條項によりまして、再び職員に採用されるときには、その会社や企業團体をよしまして、或一定の又年限を隔てさせられるお考えであるか。そこに全然そういう制限をお附けになりませんか。小さいことでございますが、承りたいと思います。これが第二点であります。
 第三点はこの採用と昇任の場合でありますが、つまり第三款になります。この場合につまり職員がポストを塞いで行きまする場合に、つまり採用と昇任とあるわけでありますが、私思いまするのに、非常に門は廣くしてある。つまり官職というものは一般國民に公開されてある。誰でもその職に就くといつたような方法だけは廣くされてあるようであります。一見そういうふうに見えるけれども、いよいよ官職に補せられるということになると、これは非常に狭くこの法案はできておるように考える。これは先刻來委員諸氏からも出たのでありますが、使う方の側の都合を考えたか、使われる方の都合を考えたかというようなことが出ておりましたが、これを通じて見まするというと、尚任用権者の都合のよいように、都合のよいようにできておるようであります。これはこの辺は新規採用と昇任者というものと、どちらを任命するかというような場合に、或一定の枠でもお作りになりますお考がありますか。その点を伺いたいと思います。
#49
○政府委員(井手成三君) 先ず第一に懲戒免職を受けた者が二年経つと又官職に就く能力を復活するのはどういうことかという点でございますが、実は懲戒免職を受けます事由にもいろいろあろうと思うのであります。非常に破廉恥な行爲であつては問題にならない。或いは又本人の職務上の過失ではあるけれども、これは一時高いというような意味において嚴罰にしなければならんけれども、本人の勤務その他から見て、又復活さして戻してやらなければならんというようないろいろな理由があろうと思うのでありまして、一應はこの二年経てば復活さしてよいという資格は戻りまするが、あとは任命権者の方で、そういう任命権者で余程のことがなければ任用しない。或いは過去にそういうことがあつても、特に任用してもよいというようなことは、任命権者に任せよう、一應それで資格だけは復活させようということが、この基礎の考え方でありまするが、具体的には現行の制度を踏襲しました。更に國会で御協賛を得まして実施されておりまする國会職員法の前例も、これと同じになつております。敢てこれと異なることをしないで、先程の考え方を踏襲して行こうということにしたのが、実際上の制定の経過でございます。
 それから第三十八條の五号の意味如何ということでございますが、そこで政府以外の團体とありまして、團体とはどういうものであるか。政党法というものがはつきりしました場合に、政党のような実際内容を持つておるけれども、いわゆる祕密結社というようなものがあつても、それはそういうことが確認できれば、これによつてその官職に就く能力を失なわしたいと考えておりまして、必ずしもはつきりした形式的な政党ということに拘束されることはないと考えておる次第であります。暴力で破壊するとはどういうことかと仰しやつたのでありますが、非合法な手段一切を考えておる次第であります。併しそれが偶発的にどうかしたというのでなくて、「主張する」とありまするから、事実上明白に党で綱領として掲げておるか、或いは掲げておると同じようなことになつておるというようなものを、我々は「主張する」という言葉で解釈したいと考えておる次第であります。それから二年経つた後に前職者が復活することが非常に簡單のようだから、どういう程度に制限守るのであろうかと仰せになりました。実はこのクラシフィケーシヨンを中心にしましたこの國会公務員法におきましては、その一定の資格が、或能力によつて資格が示されるということを非常に要求しておる次第であります。ここに書いてありまする如く、三十六條の末項でありまするが、採用すべき官職と同一の職種、同じような職種で、且つ、同等以上のもので、それより上の方におつた者という者は、即ち新しく任用しようというポストに対して適格性を先ず示しておるわけなんです。即ち資格を持つたわけなんです。それを一應認めようというわけであります。併しそういう古いものを採るか採らんかということにつきまして、自ら任用権者の方でなんと言いますか、適正なる任用方法を執ることと思います。併しごの國家公務員法としては一應の資格を規律して行つて、あと任用権者がああせいこうせいと、そう手取り足取り規定はできないのでありますが、あまり乱脈になつても因るというので、大体退職後の年限を切りたい。十年も前に法制局参事官をやつておつたからと言つて、又務まるものでない。又在職当時或いは勤務成績が好かつた。或いは辞めるときの理由がどういうことであつたか、そういう点をあまり濫に陷らないように、人事院の方の規則で制限して行きたい。一應は仕用権者の自由活発な運用を認めつつ濫に至らない。或いは他の役所との間に調整を紊らないという意味において、人事院規則で制限を加えたいと思つております。先程、辞めて二年民間の業には入れないのに、これはどういうことになるか、その点はどうかという御質問でございましたが、民間との関係は、役所における間に、何せ行政権の一部を担任するということで、何らかの情実を作つて置いて、民間に入つて行くということは、非常に官吏、公務員としての弊害がありまするから、禁じたのでありまして、官吏同士の関係におきましては、同様の趣旨を考えることは別にないので、任用権者の方で好ましくないと思う、前に同僚と仲が悪くて辞めたという者は採らないということは、事実任用の方針になつて行くだろうと考えておる次第であります。
 もう一点は、形は非常に廣く採用し得るようになつておるが、具体的になつて來ると非常に狭いというような……。ちよつとその点忘れましたので恐れ入りますが、もう一囘同……。
#50
○山下義信君 今のお答、いろいろと詳細に承りましたのでございますが、私の三十六條の末項のお尋ねした分は、ずつと先に行きますと、これは先のことでございますが、百二條の所に、先程あなたも仰せになりましたように、密接な関係にあつた営利企業の代表の地位には就けない。二ケ年間は……。こうあるのであります。そういうようないろいろ私企業の職員になつておりました前職員が、これは能力のあることをここでお認めになるのはよろしうございますが、その採用のときには一向それは触わりにならないのか。こういうことを伺つたのであります。
 それから今一つ、任用の場合に五十六條と五十七條の関係を実は私は伺つたのでありますが、採用候補者名簿と昇任候補者名簿とある。採用候補者は言うまでもなく、新旧採用も皆入つておる。昇任候補者は、その職階、その関係の所から、順次職員が就任するようになつておる。ここに一人の空きましたポストができまして、そこを塞ぎますのには、一体どちらを採るかということは、任用権者の自由になるようではございまするが、採用、新規採用、どんどん撃て行くことになりますと、昇任の道が狹くなりますし、次第に昇任者を採るべきが至当のよりであります。塞ぐということになると、新規採用の面が少いし、それらは任用権者の自由ではありまするが、その辺に何か官職員が昇給、昇任ということにつきまして、相当ずつと見透しのつくような規定をお作りになりますお考があるか、こういう意味で伺つたのであります。
#51
○政府委員(井手成三君) どうも失礼いたしました。御質問の趣旨を多少取り違えておりまして……。民間におつた者が、役人を一旦辞めて民間に入つておつた者が、今度その民間と関係のある役所に戻つて來るというときに、何らかの制限を置かないかというお話でございまして、実は現在弊害が起つておりまする方は、大体においてまあ役所の方で恩を賣つて、民間に入つて行くということが非常に多いので、民間の人が実は自分の関係の方に入り込んで何とかしようというような弊害の方が少い現状なんであります。いわゆる天降りという方を大いに抑制したのでありますが、民間から入つて來る場合に、関係の密接の役所に入つて來ることを止めます場合は、前に前職官吏であつた場合のみならず、新規の人についても亦同樣のことが起つて來るわけであります。官吏の経歴はないけれども、民間におる、これがその関係の役所に入る。例えば東横電車に勤めていた者が運輸省に入つて來るという場合に、前に運輸省におつたということがあつてもなくても同じようなことになるわけでありますが、そういう場合に何らかの制限を置く必要がないだろうか、これは御尤もの点でありますが、今のところそういうことによる弊害をあまり感じておりませんものでありますから、この法案としては、その辺は用意いたしませんでした。更に五十六條と五十七條と関係して、三十五條の運用につきましてお尋がございまして、もうお尋の中には大体方向を御承知のようで、何かうまい手はないだろうかというような御質問がございまして、実はこれによりまして一應は任用権者の自由にさせないと、資格が全部決められる、そうしていろいろなことに拘束を受けておる。その資格その他については、併し後相当に自由な幅を認めませんと行政の責任を持つております官廳としてはやつていけない。この法案としましては、一應は行政担当者、即ち任命権者の任意且自由なる採用方法を承認はいたしておりまするが、これが今申されたように、あまり内部の職員の結束に押されて、内部から押されて行くと一つも清新の氣が入らない。或いはそういつたことは一向構わないが、外部からばかり入れて來ると内部の下の者は上へ上れない。いずれも非常に弊害がございます。その弊害が強くなれば、例えば十人の中三人は外から或いは七人は中から、それも必ずどの役所の部門にどうだということは予めとても決まらないのであります。これは相当運用しまして、或省は非常におかしいことをやるから、この省にはこれをやる。併しこの省にはそういうことがないということになりますとやらないというようなことで、これは三十五條の人事院規則、及び人事院の見るところに実際に即してお任せを願わないと、これこそなかなか法定できない問題であります。確かに山下さんの仰しやるように、何とかこの方法でうまくしてやりたいと念願しておる次第でございます。
#52
○岩間正男君 「欠格條項」の中で第五号について先程説明がありましたが、このような者を欠格者とすることは、これは当然のことであつて、ひとり公務員だけにこういうものを適用するというようなものでない。全國民誰でもが適用を受ける條項だと思うのであります。それを公務員のみにここで特別に謳つて置くということは必要がないというふうに考えられるのでありますが、この点に関してどういうふうな見解を持つておられるか伺いたいと思います。
#53
○政府委員(井手成三君) 全面的の問題としましては、これは憲法で國民の地位……これは國家公務員法でありますから、この國家公務員法としまして國家公務員に要求しておる基礎的な資格、例えば禁治産者はいけないというようなことを、特に最低限書きたいと思つて書いたのでありまするが、然らばこういうものは一般的の問題であるじやないかということになりますと、それはむしろ憲法の解釈に任して、例えば國民は一般的にこれは平等である。何事にも政治的にも平等であるということが一面あります。併し又一面國民の権利その他が社会の大きな福祉の方から、そういうことが濫用されてはいけないということの運用で、おおらかにやつて頂いた方がよいので、特にこの規定を一般的に押し拡めて書くというようなことは、我々はどうであろうかと思います。それに任して置けばよいので、公務員としてはやはりいらんじやないかという御質問かも知れませんが、私共といたしましては、何と言いますか、内閣から信任を受け、國会から信任を受けて、行政法を作つて、そうしてこの憲法の條項を忠実に実施するということのこの國家公務員の要求は、憲法にも規定がございます。そういう特別なことを憲法も公職にある者につきまして、附則の方でありましたか、十章でございましたか、九十九條でございますか、「天皇又は攝政及び國務大臣、國会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と特に書いてございまして、それをこの基礎的な資格に置きたいというような見地から規定した次第でございます。
#54
○岩間正男君 こういうものははつきりここで規定される、そういうことによつて、而もこの判定ですね、政府を暴力で破壊する、そういうような行動を起した者、主張した者、殊にこれが現在の労働組合運動との連関が非常に大きいんじやないか、経済闘爭という観点から、労働組合が、例えば罷業権の発動をなす。ところがこれに対して政府が飽くまで政治的闘爭だというような見解で、これは見解の分れになつて、そのために非常に過去にもそういうような闘爭みたいなものが捲き上つておるのでありますけれども、こういうような條項があるために、労働組合の運動そのものが制限される、行動そのものが制限されるという面が大いにあると思うのであります。從つてこのような不安定な、解釈の仕方によつては、又見解の相違によつて何とでもなるような條項が漠然と残されておることに対して、むしろ公務員の現段階において、一つの大きな拘束になるんじやないか。こういう点です。その点について現段階では、むしろこういうことは必要はないのであるという意見を持つ者でありますが、これに対する御意見をお伺いいたしたいと思います。
#55
○政府委員(井手成三君) 先程申上げましたように、「暴力で破壊することを主張する政党その他の團体」とありまして、当然綱領として明記する。或いは明記しなくても、事実上そういうようなことになつておるというような性質を持つておる團体を考えておるのであります。我々は我が國の職員組合、こういうものがこれに触れるというような考え方でこれを書いたわけではございません。それでそういうことの経済的な闘爭が、誤つて政治的な闘爭と考えられる。そうして経済的闘爭が中心であるに拘わらず、これに引つかかるような虞れがあつて、労働組合運動の健全なる成長を妨げるじやあるまいかというような御質疑であつたと思います。この三十八條の五号は確かに重大な事項を規定しております。從つてこれに対しましては、非常に愼重なるこれは判定が必要だと思います。我我はこの議会の審議の席上において、これは如何なる範囲かということを明確にして置いて頂く、私共はそれに対して原案と言いますかこの提出いたしました政府案としましては、先程申上げましたような意味の説明をいたすのでありますが、更に不明確でありましたならば、もつとこれを明確に國会でやつて置いて頂き、そうして更に運営上誤りがあれば、最高裁判所等も判定をするであろうと考えておる次第であります。それで先程政府側の説明で、主張するということの説明と、暴力ということの説明によつて私共は先ず明瞭であつて、労働團体、職員組合その他の運動を拘束する、健全なる成長を止めるというような虞れはないものと考えておる次第であります。
#56
○中野重治君 二つの点でお伺いします。一つは第三十八條の問題、もう一つは受驗の「欠格條項」及び「受驗の資格要件」の問題です。第三十八條は官職に就く能力を有しない者の規定と、こう受取ります。そうして官職に就く能力を有しないという根本規定の除外例が設けてある。それは「人事院規則の定める場合を除くの外」という條件がついてある。それですから、人事院規則の定める場合は次の如き各号の一つに該当する者でも、官職に就く能力を有することになる。こう解釈せざるを得ないと思います。尤も人事院規則そのものはまだ決められていないんですから、その点は勿論私共も分りません。そうしますと、これなんかも人事院に白紙委任されてできるところの人事院規則は、第五の「日本國憲法施行の日以後において、日本國憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の團体を結成し、又はこれに加入した者」について、どういう場合に官職に就く能力を有しないということについての除外認定をするのか、どういう場合にこういう第五の條項に該当する者を官職に就く能力を有する者と認定するのか。詰りそういうものとして人事院規則がここで予定されておりますが、その予定された人事院規則にすれば、どういう場合にそれがなされるのか。それについてお答を伺いたい。それが一つです。それから四十三條と四十四條の問題は、この四十三條それから次いで四十四條と読んで見ますとここに書いてあることは言葉としては何と言いますか。誠に尤も至極で、別に算術的な意味では異議がないように感ずるのですけれども、もう一遍読んで見ますと、やはり少し解せん氣がします。大体第四十三條を見ますと「第四十四條に規定する資格に関する制限の外、官職に就く能力を有しない者は、受験することができない。」というのですが、官職に就く能力を有しない者は受驗することができないという規定は、成る程これは間違つていないといえば間違つていない。これ程間違つていないことはないでしようが、非常におかしい。このおかしいということはあまり説明を要しなかろうと私は思います。第四十四條では「職種及び等級に應じ、その職務の遂行に欠くことのできない最小限度の客觀的且つ画一的な要件を定めることができる。」となつておりまして、これは「定めることができる。」という言葉か、定めるという意図を含んでおるものと思われますが、このことはつまり第四十四條が暗默の中に要求しておることは、受驗そのものによつて実行されるのであつて、試驗によつて篩い落される前に受驗そのものでこれを制限するということは、私はこの政府案が持つておる性質の線においても不必要であると、こういうふうに考えられるので、第四十三條、四十四條は私は削つてしまう方が、廣く人間を採用して行く、勿論その採用に當つては、公正な試驗を實施して行くという建前から、削つた方が妥当ではないかとこう考えるわけですが、これについてのお考を、この二つの点を伺いたい。
#57
○政府委員(井手成三君) 三十八條と四十三條と関連する御質問が先ずありましたが、先ず三十八條の方からお答えいたしたいと思います。第三十八條で人事院規則でどういうものを除外するのかという御質問でございまするが、先程申上げましたように、非常にこの一号で、例えば禁治産者というような者は、殆どこれは活動能力がありませんから、これは除外ができないだろうと思います。そうして又人事院の人事官又は事務総長の職にあつたものが云々、これはもう相当高いポストにおつた人でありますから、これを目標にした除外ということも、決つて來るというようなことで、いろいろ区別があるだろうと思います。次に先程言いましたように、一般的には非常に程度の低い職にあつて、その者が過去に一つの傷が附いたような経歴があつても、そう國家公務を担当するに差支ないというようなことが抽象的な一つの基準になろうと思うのであります。又特定の技能を持つておる一藝に秀いでる者を使いたいという人物経済の見地から見て、過去の傷は大して害にならないという調和点から見てできるということが大きな抽象的標準でありまするが、具体的にこのポストにはこれはいけないとか、ああいう者はいけないとか、例えば人事院の人事官とか事務総長は恐らく人事系統の職には認められないと思うのです。そういう工合にいろいろのことになろうかと思うのでありまして、今人事院規則はきちつとこういうことになるということは申上げるということができないと思いますが、この五号の者は、恐らく國家公務の職からは除外される。恐らく人事院の規則の定める場合ということがないのじやなかろうか。これは但し、私が考えておるだけでありまして、政府が將來こうしようと決定した次第ではありませんが、そういう工合に考えております。それから四十三條の表現がどうもおかしいというような御質問でございますが、これは実はこの規定を置かないでおいても実行できることも考えられるのです。例えば刑の執行猶予中の人が假にある。試驗だけは受けさしておいて、執行猶予期間が無事過ぎれば、三十八條の二号の要件がなくなりますから、これは又資格能力ができますから、試驗だけは假釈放を受けておる間に受けることも可能でありますが、そこまでやる必要はない。又再び執行猶予中に妙なことが起つて、本当に執行されるかも知れないという点を考えまして、これは受験資格を奪つておいていいじやないか。それによる利益の方が弊害より少いのじやないかというふうに考えたわけであります。
 それから四十四條は、これはいつかも御質問受けたのでありますが、試驗を受けさして篩えばいいじやないか、御尤もだと思います。併し一例で申上げますと、國立療養所の医官にする、看護婦にするというときには、試驗をして見て、その人が聽診器を当て、注射もうまい、或いは看護婦として繃帯の巻き方もうまい、或いは薬品の処理ができる。そういう試驗を通つても、一面において國民医療法とか、或いは國民医療法に基くところの看護婦関係の法令によつて、免許状を要求しておる。そういうものはどうしても、受驗の資格として看護婦免許を有する者というようなことにしなければならんと思います。或いは又電氣取扱関係の技術者にしようとすれば、電氣技術者についての一定の資格を要求しておる。こういう場合に、最小限度の客観的且つ画一的な要件として、免許を得ておる者でなければ試驗が受けられない。そういうことに考えておりますが、門戸は成るべく開こうと思いまして、できるだけこれの発動は少くしたいと考えておる次第であります。從つて最小限度というのは、これは言葉の形容でなく、実際において最小限度にし、能力のある者は試驗さえ通ればいいというふうに持つて行きたいと考えております。
#58
○中野重治君 お答を聽きますと、試驗に関する條項はおのずから試驗に関する單行法ができる必要があるというところに落ち着いて行くように私には考えられるのです。單行法として定められる方がいいということを私も申しましたし、他の方面でもそのようですが、當局には試驗に関するものを單行法として提出する意思がありますか。それから三十八條の一号は分りましたが、そうであるとすればこの五つの項目の内、一及び五は、三十八條内の一及び五としては妥当でないということを説明者自身が認めておると、こう受取つて差支なかろうと思う。これは個人としてでも結構ですが、若しこれがこの形で扱われるならば、言葉その他に多少の修正が加えられることが、よしあるにしろ人事院乃至人事院規則は一及び特に五の項に該当する者について、而も官職に就く能力があると認定することがあり得る。そういうものとして既にこの第三十八條の本文が、人事院及び人事院規則を予定しておるということになれば、それ自身憲法を破壊するものだ、こう取れるからであります。
#59
○政府委員(井手成三君) 最初の試驗の問題を法律で決めたらどうかという御質問でございましたが、今日お答えしておりまするごとく、恐らく抽象的なことしか枠は決められない。具体的にクラシフィケーションによりまして、各官職に必要な資格要件というものが決つて參りまして、それに適應するポストが、どれ程新しい行政組織を作るというような問題と噛み合つてできて來ましても、それに具体的な必要な試驗をやるということになるから、これは恐らくその試驗法というものは非常に抽象的な枠を決める。その認定は人事院規則、或いは政令でやらざるを得ないということになるのではないかと、私共は密かに考えておる次第であります。而してその試驗の内容は恐らく非常に技術的な問題であつて、仮に人事院規則、その人事院規則は人事院の專門的な見地で研究して、内閣総理大臣の承認を経て出るものでありますが、非常に技術的な点から來るものでありまして、ポリシーを含んでいないと思いますので、私共はこの國家公務員法の大きな枠の下に人事院規則で決めていいのじやないかというのが原案の考え方であります。それから三十八條でありまするが、一号の中でも、準禁治産者の中には、活動能力のある唖のようなものもあると思います。程度の低いようなポストには或いは唖でもなし得るというようなことも考えられます。五号一号につきまして、私は大体において人事院規則は、これは外さないと考えております。然らば人事院規則は三号乃至四号について外し得るという工合に細かく決めた方が妥当じやないかと仰しやれば、或いはこの法文は少し荒つぽく書いてある。併しこれは左の各号の一に該当するもの、但し二号四号のものについては特例を置くというような書き方も勿論正しいと思います。併し準禁治産者のものにつきましては多少例外があるだろうと思います。三十八條におきまして人事院規則がそれを外すというようなことを別に予想して書いたのではありませんが、この程度の表現で先ず十分にその点は規定できると思つて書いたので、別に他意あつた次第ではございません。
#60
○帆足計君 ちよつと話が前に戻りますが、暴力を以て政府を倒そうとする團体というのは、只今の政党の中にはそういうものは私はないように記憶しておりますが、只今の憲法下におきまして暴力を以て政府を倒そう、非合法の手段を以て倒そうとする團体、又は政党というものの存在は、現在認められておりますでしようか。疎いことをお尋ねするようですが、ちよつとその点を……。
#61
○政府委員(井手成三君) 現在このような政党は、私共は存在していないし、認められていないと思います。これは併し実際問題でそういうものがあるということを、或いはないかということについて、調査いたしておりませんが、事実問題として、こういうものが存在しておりますれば、或いは將來存在しますれば、三十八條の第五号に該当すると考えております。
#62
○帆足計君 お尋ねしましたのは、現在ないということでなくして、暴力を以て破壊しようとする團体、又は政党が若しありました場合は、それは直ぐ解散になるようになつておるものでありましようか。又はそういうものがありました場合は、默認されるものでございましようか。
#63
○政府委員(井手成三君) この点につきましては、後刻調べて御返事をさせて頂きたい。少し重要な事項と思いますから。
#64
○山下義信君 私どなたか御質疑があるかと思つて待つておりましたが、只今までのところはありませんので、簡單に一つ伺います。それは三十九條の禁止規定の所でございます。非常に廣汎で、これに該当するものはいろいろ任命權者にもあり、官職員、つまり公務員そのものにもあり、いろいろこれに該当するものがあるようでございますが、特にちよつと伺いたいと思いますのは、今日の実情といたしまして、このいわゆる職員團体というものが人事権に相当容喙をしております。これは実情でございますから、遠慮なく申上げます。各位も御承知であります。この條文に照し合せて見まするというと、そういう團体を以ちまして、このいろいろ退職、休職というような処分に、それに不服を唱える。或いは第三号の如きは、任用昇給というようなことについて、推薦をするというようなことを若し職員團体などが、團体の要求といたしまして任命権者にそれを要求をいたします。この三十九條の末文になりますと、要求し、若しくは約束し、又はこれらの行爲に關與をし、という所まで擴げてございまするが、そうすると、只今の実情で考えまする職員のつまり多数のものがそういうことを任命権者にいろいろ要求いたしますような場合は、この第三十九條の禁止規定に該当いたすものでございましようか、その点伺いたいと思います。
#65
○政府委員(井手成三君) この三十九條は実にわかりにくいという御質問を他の機会に伺つたのでありますが、実は三十九條で規定いたしたいという事項は非常に沢山の事項を持つておるのであります。これをわかり易く分けて書きますと、約五ケ條ぐらいに分ければ一番簡單にわかるのでありまするが如何にもこの國家公務員法は処罰法みたいな感じがしますので、私共はでき得るだけこれをつずめて見ようと思つて苦労した結果が三十九條一條になりまして、却て非常にわかりにくい條文になつて、今日では恐縮いたしておる次第であります。先ずこの條文でございますが、この一号、二号、三号あたりから退職という言葉は自動詞と他動詞と両方含んでおるわけであります。自分が退くから金を呉れというような場合もいけないのであります。それからあの男を退かせるから金を寄越せ、これもいけないことになつておる。休職又は任用の不承諾、いずれもあの男に不承諾させる。自分が任用されることを承諾しない。自動詞、他動詞を含んでおるようなものを一に書いておるわけであります。それから三十九條の構成としましては、無論一つの目的を持つております。この目的を実現するためにというこの目的が一つあるわけでありまして、あとは行爲が書いてあるわけです。普通の法律でありますと、一つの犯罪を書きまして、その未遂はこれを全部罰すというような規定で書いてありますが、これを全部未遂罪という形でなくして、本來の罪という立法方策をとつたので、約束したとか、いろいろなことを入れます。先ずこれだけの前提を承知して頂きまして、あとはどういうことになつておるかというと、「金銭その他の利益を授受し、提供し、要求し、若しくは授受を約束し、」というので、一つの理由文でございます。それから「脅迫、強制その他これに類する方法を用い、」というのが一つでございます。それから「直接たると間接たるとを問わず、公の地位を利用し、その利用を提供し、要求し、若しくは約束し、」というのが一つであります。今ちよつと早口に読みましたが、「直接たると間接たるとを問わず、公の地位を利用し、」とポツとなつておりまして、「その利用を提供し、要求し、若しくは約束し、」とありまして、二つのもののような恰好でありますが、「公の地位を利用し、」というのは、例えば私が法制局の次長としまして、俺の知つておる彼を採用して呉れるならば、お前の出す法案を通してやるぞというようなことを言うと、公の地位の利用になるわけだと思います。商工省の局長が、若しあの男を、今度お前の弟の所属を止めて、俺の知つておる者を入るポストを與えて呉れるならば、一つその方は許可してやるというようなことをやると、公の地位を利用してやる。その地位を利用してしまわないでも、俺は利用することを約束しよう。やつてやろう。或いは利用して呉れと要求する。或いはなんと言いますか、この公の地位の利用というものも、その利用というのは、公の地位の利用ということになる。職員組合が職員組合として活動することが公の地位で、その役所における係長とか課長というものの職務上の権限実施ということの利用であつたり、その提供であつたり、約束でありますると、ここに引つかかりまするが、ただ職員組合があの人間は不謹愼だから辞めさして呉れというようなことを人事課長ならば人事課長に申し出るということは、直接にはこれに嵌らないだろうと私は考えております。職員組合の運動が公の地位かどうかということが、或いは問題になるかと思いまするが、これには嵌らないつもりで規定を書いた次第であります。
#66
○委員長(下條康麿君) 今日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時から本会議と並行しで開きたいと思いますから、一つ奮つて御出席を願いたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十分散会
 出席者は左の通り。
  決算委員
   委員長     下條 康麿君
   理事      山下 義信君
   委員      岩崎正三郎君
           吉川末次郎君
           北村 一男君
           竹中 七郎君
           平野善治郎君
           深川タマヱ君
           小川 友三君
           小野  哲君
           鈴木 憲一君
           伊達源一郎君
           帆足  計君
           山崎  恒君
           千田  正君
  労働委員
   理事      堀  末治君
           小川 久義君
           栗山 良夫君
   委員      木下 盛雄君
           植竹 春彦君
           紅露 みつ君
           奥 むめお君
           竹下 豐次君
           中野 重治君
           岩間 正男君
  國務大臣
   國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
  政府委員
   (法制局長官) 佐藤 達夫君
   (法制局次官) 井手 成三君
   総理廳事務官
   (行政調査部公
   務員部長)   淺井  清君
ソース: 国立国会図書館
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