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1947/10/14 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 決算・労働連合委員会 第9号
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1947/10/14 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 決算・労働連合委員会 第9号

#1
第001回国会 決算・労働連合委員会 第9号
  付託事件
○國家公務員法案(内閣送付)
○國家公務員法の規定が適用せられる
 までの官吏の任免等に関する法律案
 (内閣送付)
――――――――――――――――
昭和二十二年十月十四日(火曜日)
   午前十時三十六分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(下條康麿君) それではこれから連合委員会を開きたいと思います。最初に前囘、帆足さんの御質問に対して答弁が残つておりますから……
#3
○政府委員(井手成三君) 先日帆足さんから、三十八條の第五号に関連しまして、暴力で以て、憲法又はその下に成立した政府を破壞することを主張しておるような團体を、或いは解散を命じ或いは又、その責任者を処罰し、そういうようなことができるような法令があるかどうか、ないとすれば默認されるかどうかという御趣旨の質問がございました。これは今日のところ、終戰後、從前の思想その他の取締法令は一通り綺麗さつぱりと整理されたのであります。然る後に昭和二十一年勅令第百一号、これは昭和二十一年二月二十二日に最初出まして、その後多少改廃をいたしております。これは「ポツダム宣言ノ受諾二伴ヒ發スル命令二關スル件ニ基ク政黨、協會其ノ他ノ團體ノ結成ノ禁止等二關スル件」いわゆる緊急勅令に基きまする委任の命令でございますこの第一條の第七号でございますが、ちよつと関係のところを読み上げて見ますと、第一條「政黨、協會其ノ他ノ團體ニシテソノ目的又ハ行爲が左ノ各號ノ一二該當スルモノハ之ヲ結成スルコトヲ得ズ」、一から六までいろいろなことがありまして七に「暗殺其ノ他ノ暴力主義的計畫ニ依ル政策ノ變更又ハ斯カル方法ヲ是認スルガ如キ傾向ノ助長又ハ正常化」、こういうことを目的としておつたり、その行爲がこういうことを目的としておるような團体等は結成が許されないと書いてあります。そうしてその第二項に、「政黨、協會其ノ他ノ團體又ハ個人若ハ集團ハ前項各號ノ一二該當スル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ」、こういう工合に、先ずそういうことはいけないとありまして、第二條になりまして、「前條」、後とも少し関係がありますが、「ノ規定ニ該當スル團體トシテ内務大臣ノ指定スルモノハ解散ス」、先ず第一條で、一般的にそういうものを禁止しておりまして、第二條で、具体的にそういうことがありますと、西務大臣が指定して解散をする、そういうことになつております。
 そうして罰則が第六條にできてございまして、「第一條ノ規定ニ違反シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス」こういう法令が現在ございまして、これは三十八條の第五号と必ずしも同じような文句は使つておりませんが、この三十八條第九号のような政党その他の團体を結成したり、加入した者について、適用になつて行くと考えております。その外には、今のところ具体的の法令はないと考えております。
#4
○帆足計君 只今のお答でその点は了承いたしました。それから第五号ですが、「又はこれに加入した者」という言葉がありますが、これは以前に加入した者というのか加入しておる者というのか……。
#5
○政府委員(井手成三君) 只今御質問ございましたが、これは現に加入しておる者は固より、過去に加入しておつた者もいけない。こういう考でございます。
#6
○中野重治君 同じことですが、今の点から言いますと、加入した者の過去というと、「日本國憲法施行の日以後」に掛かりますか。掛かりませんか。
#7
○政府委員(井手成三君) 掛かります。
#8
○中野重治君 掛かりますね。それによつて限定されると……。それから今五号について説明がありましたが、確かこの前の時は、この五号の「暴力で破壞することを主張する政党その他の團体」ということのはつきりした説明が、今日あるように聞いたのですが、つまりあの時は、あなた自身あの場では答えられないから、重要な問題だからこの次答えるという話だつたと覚えておりますが、今の説明では、二十一年二月二十二日附の勅令第百一号の規定に結付けて解釈される限りにおいて、この五号を解釈できると、こういうお話ですか。
#9
○政府委員(井手成三君) 先日私は帆足さんの御質問に対しまして、法令が具体的にちよつといつ出たものであるかというようなことを正確に記憶していなかつたものですから、その点だけを保留いたしたつもりでありまして、三十八條の五号は、他の委員の御質問に應じまして、不十分であつたかとも存じますが、御説明をいたしたように考えておりましたので、今日は帆足さんの御質問に対して、保留した分だけをお答えしたのでございます。
#10
○中野重治君 そうすると続けてその点に関して、これでいろいろ疑問がありますが、その第一は、これもやはり今まで問題になつたかとも思いますが、憲法施行の日以後において、こういう團体は成り立ち得ないわけですから、それを成り立つもの、又は現にあるもの、或いは現実的にあり得るものとして、こういう條項を入れることは、当然政府が與えられた職能において執行すべき処罰、解散その他のそういう執行力を否定することになりはしないかどうかということこれが一つ。
 それからもう一つは、外の一、二、三、四との関係について言いますと、例えば一の禁治産者及び準禁治産者というような者は役人になれない。ところが禁治産者及び準禁治産者という者は現にあるし、それから又あり得るわけです。ところが五の場合は、現にないし、あり得ないと考えるのですが、そういう者は公務員になれないというふうに規定して、ここに法律に書き出すことは、一、二、三、四との関係において非常におかしい。例えばこれは現実になく、又現実に存在の可能性のない者を役人になれないと規定するのですから、例えば大雜把に言えば、河童は公務員になれないというようなことを法律に規定するのと同じであつて、こういうことは、法律自体を非常に自ら侮辱するものと考えますが、そういう現になく、又現実に存在が可能でない。そういう者をどうしてこういうふうにするかということ。これが第二の問題です。それからこの第二の問題は一、二、三、四の釣合においても考えられるわけです。それから第三は、日本では前に治安維持法を作つたとき、やはりこういう方式で、一方的な規定で、一般人民の生活を護るための運動を禁止してきたわけでございます。例えばそういう政府が、治安維持法で引掛つたような政党、又政當ばかりでなく、労働組合その他の運動を、國体を変革するとか、私有財産を否認するとかいうふうな、役人の一方的な規定を押し付けることで、彈出してきた事実があるので、これとこの第五号の入れ方とは非常に似ている。血縁関係があるように思われるし、又そうしか思われない。殊に日本で現在こういう暴力で破壞することを主張する政党、つまりそういうことを党のプログラムに掲げておる党はないので、第一の質問で説明しましたようにあり得ないのだから、つまり政府その他の機関がなすべき義務を盡して、こういうものに対する取締を執行するという権利義務を否認しない限りは、こういうものはあり得ないのですが、現実には例えば、日本共産党に関して、共産党はこの日本における民主主義の革命の平和的達成の可能ということを力説しておるけれども、それは表看板で、実は暴力で破壞する肚を持つておるのだというふうなことを、相当責任のある人間もしやべり散らしておるという事実があるのであつて、そういうことは日本における共産主義運動、及びそれと別個に労働組合その他の運動を彈圧する口実となり得るということは、丁度治安維持法の場合と、さつき言つたような血縁関係において考えられ、且説明される。そのことについて、そういう関係を当事者はどういうふうに説明するかということ。その三つを大体お聽きしたい。
#11
○政府委員(井手成三君) 三十八條の第五号は、他の号と比べまして、確かに多少趣を異にいたしております。で先ず第一点の、こういうものはないではないか。又今後起らないではないだろうか。そういうものを前提にして規定しておるがその点はどうかということでございます。これは正に今後政党法等ができましてもこういうような内容の政党は勿論公認されないと思います。且又先程読み上げました勅令の内容としましても、こういうものの発生することを禁圧しております。併しこれは前にも御説明いたしました如く、公認していなくとも、祕密團体であつても、これは適用になるのでありまして、先ず法規的の観念としては、こういうものを目的として書くということは可能であると思います。然らばその次に、なにが故に、併しそれは観念であつても、現実にそういうものはないし、又起る筈もない。殊に禁治産者、準禁治産者等と並べて、如何にもおかしいじやないかという御質問で、この点御尤もと思われる点もございます。これはこの前申上げました如く、公務員につきましては、憲法でも特に第九十九條を置きまして、公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負うということを明確に憲法に規定しておるわけであります。その意味におきまして公務員につきましては、特に憲法、及び憲法下にある政府の大部分を構成する職員でありまするから、その政府を暴力で破壞して行くようなことを目的とするような團体に入つた者、或いは結成した者はいけないということをこの九十九條に照應さして書いた次第であります。この法文の書き方としまして、一号と四号までは違うから、別に書く、勿論禁治産者及び準禁治産者等は三号から四号までのような、本人の、何と言いますか、意思によつて、何か悪いことをするというようなことと違いまして、一号は又四号とも違つて居ると思います。これは條文を分けるということも勿論可能であり、或いはその方が分りやすいということも考えられるかと思いますが、いずれにしましても欠格條項というものを一つに纏めようとしてここに並べた次第でありまして、他のものとこれは必ずしも同じような趣旨から出て來たものでないということは御了承願います。ただこういうことを置くことによつて、一般的に何と申しまするか、國民の正しい動き方に対して暗い彈圧的な感じを與えるのじやないかという意味の御質問のように伺いましたが、これは決して治安維持法というような、処罰法というようなものとは性質を異にしまして、ただそういう事実というものに対してその事実を抑えて就官能力を、公務員の能力の欠格と書いただけでありまして、むしろそういう印象があるとしますれば、先程読み上げました法令の方の問題であろうと思います。私共は先程読み上げました法令においては決してそういう意図がないということをここで申上げておきたいと思います。
#12
○中野重治君 そうすると、新しい憲法の下に成立した政府を暴力で破壞することを綱領に掲げた祕密政党というようなものが、それに対する行政的な処分を認めつつ、ここへ掲げねばならんという意見ですか。
#13
○政府委員(井手成三君) これは現在の段階におきまして、先程述べました法令が、今後尚存続せしめる必要があるかどうかどいうことは別個の問題でありまして、今のところまだその法令は制定後そのまま存続いたしております。今後如何なる形態においてこれを改善し、或いは改廃するかは、まだ私共として十分なる意見は持つておりませんが、その法令と別に関係なく、こういうような祕密團体が興るというようなことがあれば、或いはそういう祕密團体が興ることを予想しなくても、憲法九十九條と相應いたしまして、こういう條文をおいておきたいと考えておる次第であります。
#14
○委員長(下條康麿君) それでは……
#15
○中野重治君 もう一つだけ……そうすると憲法との関係において、こういう團体が生れ得ないということが認められても、今のところはおいておきたいというつもりだ、こうお答になるわけですね。
#16
○政府委員(井手成三君) 憲法におきまして、公務員が特に憲法を尊重し、その憲法の精神を発揮することを擁護する義務を負うという工合に規定されております。それは公務員のみならず日本國民全部が、挙げて新しい憲法が完全にその内容が発揮されるように私共は期待いたしております。從つてこういうものが出るであろうということを大体頭に予想するとか、しないとかいうような問題を今特に申上げたのじやありませんで、私どもとしましては、或いはこの法令の、法案の提出に当つた政府全体としては、決してそういうものが目前に出て來る、或いは出るであろうというような、大きな予想を以て書いたのじやありませんで、ただ若しそういうものが興るとすれば、今の憲法の趣旨から見ても、公務員としては最も不適格者であるということを、はつきりしておきたいという点から出たものでございます。
#17
○松井道夫君 今の点は、これは存外簡單に簡易化することのできない問題ではないかと今考えておるのでありますが、一号から四号ははつきりしたものでありまして、これは公に文書によつて直ちに証明できることなんであります。五号になりますと、これは人事院関係の人がそう認定したということたけで、官職につく能力を有しないという危險がございます。これを團体がこういう團体であるとして指定されて、解散を命ぜられたとか、或いはそういう團体を結成しようとした者とか、その中の有力な者が処罰されたとか、そういうことを要件とする必要があるじやないかと存ずるのでありますが、その点についてお答を願いたいと思います。
#18
○政府委員(井手成三君) 只今の御質問は御尤もと存じます。実際問題といたしまして、こういう号を動かしまして、就官能力がある、ないという問題は、現実に起るであろうというようなことはあまり実はないことを希望するのでありまするが、仮に、そういう問題が起りますれば、先程読み上げました法令或いは今後これに代るような何らか法令がございますれば、それに基く運用、例えば行政処分、或いはそれに基く処罰というものと勿論関連してこれは具体的妥当性を欠くだろうと思いますが、この法令としましては仮にそれと関連がないというような場合におきましても、この法令の中を御覽頂きますると、不利益な処分を受けた場合においては、然るべく矯正処置をとつて行きます。極端に議論をいたしますれば、今後個人が何らかの違法なる処分によつて利益を侵害せられ、或いは不当なる義務を課せられたという場合には、新憲法によりまして裁判所に出訴して行く理論的に突き詰めて行きますると、その判定は最高裁判所まで持つて行かれるということになりまして、國民のあれは、先ず誤りないことになると私共は確信いたしております。
#19
○松井道夫君 今の点ですが、これは仰しやるような行政処分、その他判決があつた場合には、それでよろしいのでありますが、それを要件としておきませんと、この内部の決定、公務員の内部の決定、自分が果してどの点を理由として就官できなかつたか、どうかということが分らない。從つてそれに対して申立てて見ようもないと存じますが、その点は如何ですか。
#20
○政府委員(井手成三君) 公務員が不利益な処分を受ける場合には、これは後でその問題のところに入ると思いますが、第六節分限、懲戒及び保障という方の後の方を見ますと、「不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行おうとするときは、その処分を行う者は、そり職員に対し、その処分の際、処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない」ということになつておりますが、その説明書を見まして、自分がどうもこれは間違つた処分だということになりますれば、然るべきこの救済の手段をこの法律は講じております。更にそういうような條項を別にいたしましても、先程申上げましたように、違法処分によつて権利義務の不当なる侵害があれば、裁判所に出訴ができるという國民の基礎的権利がございまするので、その方によつて、これは何と言いまするか、國民の一個人の権利を十分に保障できると思います。但し、そういうようなあやふやなことが分らないで、内部的にいいくらいにするということは、我々は絶対にこの運用において起るということは予想いたしておりません。
#21
○委員長(下條康麿君) それでは第四節給與、第五節能率とは関係がありますから、一括して第六十二條から第七十三條までを問題に供します。政府委員から御説明を願います。
#22
○政府委員(井手成三君) 第四節給與の規定でございますが、今日まで給與につきましては、從前の憲法において大権事項になつておりましたので、概して國会の方で御審議を煩わしていなかつたのでありますが、新憲法におきまして、これは法律によつて、國会によつて十分に判定をして頂く。むしろ根本を決めて頂き、それを政府は運用して行く、実施して行くということは御案内の通りでございます。この給與の問題につきましては、別個に給與準則という言葉でありまするが、実際は給與の基本を定めておる法律という意味であります。ちよつと準則ということは、部内でももう少し強く……準則というと誠に大体のことを決めるような印象を與えるのでありますが、給與基本法でございますが、これが別個に立法されまして、具体的にはこれを御審議を頂くことになろうと思いますが、その給與準則に盛らるべき根本基準を掲げておるわけであります。そうしてその給與準則も人事院が人事行政の專門的の角度から立案し、そうして内閣は財政その他の点からこれを纏めまして、國会に提案することになろうと思います。勿論法律案でありまするから、國会の方の自らの御提案があり得ることは当然でございます。この給與準則も固よりこの國家公務員法の骨子といたしております職階制というものも頭に、睨み合せまして、從前のやり方に対して相當大きな改革が加えられると思います。そうして給與準則の中にはいわゆる基本給と考えられまする俸給表が規定になると思います。この俸給表の外に給與準則には手当の問題とかいろいろなものが出て來ると思いますが、根本は何と申しましても基本的な俸給でございます。その俸給表は職階制によつて職務の責任、複雜性というようなものを中心にいたしまして、一つのポストに対しては何段階か大体決める。或いは次官というようなものに対しては、たつた一つの俸給が決まるような場合もあると思いますが、大体においては一つのポストに対しまして、何段かの階段の給與ができて行く。能率によつて段々上に上つて行くということになると思います。それから生計費とか、民間における賃金事情その他のものを勘案して、十分に正しいものが作られなければならんということをこの法律として要求いたしております。それから今まで給與については大藏省が支拂、歳出の経理というような角度においてこれに対してタツチし、更に事後に会計檢査院が会計檢査の角度からこれを監視いたしておりましたが、それと相並んで人事院も人事行政の正しい立場を把握するという立場から給與の運用につきまして、各廳を監視する権限を與えられております。そうしてその基本になつております給與表というものにつきまして、檢査いたしたり、是正いたしたりすることになつております。
 それから次は、職員の能率の規定であります。これは度々皆さまから御質問を受けておりまする如く、少ししつこい程能率云々のことを挙げております。併し役所仕事は能率が挙らない。非常に非科学的であるというような批判を可なり承つております。私共又内部におりまして、いろいろな事情もあるのでありまするが、その世間の批判は可なり我々としては頂戴します。そうして十分その反省の下に新しい國家公務員法は打ち立てられなければならんということを考えておる次第でありまして、少ししつこい位に出ておるのであります。職員の能率発揮の根本基準をこれに掲げておりまして、そうして勤務成績の評定、それから能率増進計画の樹立実施というような能率増進のために具体的措置の方向を示しておるわけであります。その外に七十三條に非常に粗つぽい條文になつておりまするが、人事院が全体を統轄いたしまして、各廳毎の職員は教育訓練、保健、それから元氣囘復計画、安全保持、厚生というような事項に関しまして、從前のようにばらばらの無計画というのではなくて、徹底的に全体を把握しながら、今現実に実効の挙がるような計画が立てるべきであるということをこの法は規定いたしております。この点もいずれも、これは方向を示しておるのでありまして、固より具体的な問題は、この法以下の問題が多くなつておるのでありまするが、その大きな方向だけは、この國家公務員法として示しておいて頂きたいと考えておる次第であります。それで給與のところ及び能率のところで、人事院規則に考えられるものがどういうものかということを申上げたいのでありまするが、七十一條の二項に人事院規則のことがあります。これは先般來申上げておりました如く、この法律の実施は政令というのでなくして、人事院が全体の角度から、一定の一貫した方針の下に実施規則を決めさせることがよろしいというので、人事院規則に実施規定を任した次第であります。
 それから六十八條の二項でありまするが、給與簿の樣式、内容を作成し保管方法等を決めることになつております。「政令又は」となつておりますのは、人事行政だけじやなくて、会計経理というような見地がございまするので、そういう限度においては、人事院のみに任せないで、もう少し廣い角度で、いわゆる行政規則になるところの政令に任した次第であります。その振り分けは今言いましたように、人事行政だけでないようなものについては、他の分野に関係するものは政令、人事行政の角度から規定するものは、人事院規則になると考えておる次第であります。
#23
○委員長(下條康麿君) お尋がありましたら、どうぞ……。
#24
○平野善治郎君 この六十三條に関連することでありまするが、職員の給與のことにつきまして、実は官廳自身は給與についてはこの通りに守るかもしれませんが、官職の組合その他において、現在非常にその廳内においては有價物の支給をそこでやつておるのではないかという疑を世間では言つておるものがありますが、例えば商工省或いは安本等において、いろいろな生活必需物資の配給品と称せられるものが、有價物で以て、官職自身がやつておるのではないだろうけれども、この中にあるところの別の組織によつて、こういうものが配給せられておるということになりますると、官廳としてはこの六十三條で有償物を支給してはならないのでありますけれども、そこにおりまするところの職員だけは、國民と別な配給物をマル公を以て入手できることが多いというようなことによつて、國民が非常にこれを嫌うのではないか、この点について政府は六十三條の趣旨によつて、將來官廳自身が行わなくても、官廳内におけるところの如何なる組合とか、その他の團体名を以てしても、この趣旨に反するようなことは十分取締まられる意思があるかどうか、これをお聽きしたいと思います。
#25
○政府委員(前田克己君) 六十三條の趣旨は、政府自身が、無償で金銭若しくは有價物を與えてはいけないという規定を言つたものであります。共済組合でありますとか、或いはその他の施設によりまして、相当の代價を取りまして、いわゆる配給をやる場合は、この條文には触れて來ないわけであります。それで各廳におきまして、職員の厚生施設といたしまして、普通の社会常識から認められる範囲で、或程度物資の配給をするということは、こういう時節でありまするから、全然やめる必要もありませんし、適正な範囲であるならば、むしろこれは続けて行つて差支ないと思うのであります。ただそれが、その役所の地位或いは公務員の地位等を利用いたしまして、普通の世間の人では手に入らないような品物を安い價格で配給するというようなことになりますと、これは又六十三條とは違いました別な社会道義上の点から非難さるべきこととなるのであります。これは別途そういうことは、濫に流れないように取締を考えなければいけない。かように考えております。
#26
○岩間正男君 この法案の中で、やはり一番問題になつて來るところは、非常に一方的な、上からの権限の発動ばかりやつて、これを受けるところの官公吏の諸君の自主的な、自発的なこれに対應する方策というものが講ぜられていないところに、現段階の民主革命の過程におけ官僚機構の改正と連関して、非常に大きな問題があるのじやないかと思うのであります。そういうような点が、この條項の中に沢山不明確なままで規定せられておる。例えばここの六十三條の問題でありますが、給與の問題について、これも一方的に上からの定めによつてそれらが規定されるというような條項だけがはつきりしておりますけれども、現段階において、いつでも諄く申上げるようでありますけれども、労働組合自身が團体協約を持ち、又この給與その他勤労條件等について取決めを行なつておる。ところかそういうような條項について何ら規定しておるところがない。少くともこの給與の問題というものは、これは官吏の生活條件の最も基本的な問題になりますので、これについて官吏自身の権限の発動として、やはりそういうような点については、はつきり謳われて置くということが必要じやないかと考えられるのであります。更に同じような精神の現われ方は第七十三條の方を見ますというと、これは人事院がいろいろな計画をしなくちやならない。例えば職員の教育訓練、保健、元氣囘復、それから安全保持、厚生等に関するいろいろな條項を計画して、実施しなければならないというように規定されておりますけれども、日本の官僚機構の今までの根本的な欠点というものは、いつでも上から天下りに計画されて、それが下部に押付けられ、そうしてそれが実情に適すか適さないかということは第二の問題として、それが一つの服務として規定されて來たところに、大きな問題があつたと思うのであります。これに対して今の官僚機構の改善というものは、どうしてもそれを適用される者の発動、そういう者の積極的な参加、それに対する手段、それに対するところの自分自身の良心的な参加によつて、こういう問題が改善される以外に途はないと思うのでありますけれども、そういう條項については、一方的にだけこの人事院規則、公務員法案が謳つておるというこの点について、大きな問題があるのじやないか、と思うのであります。
 更に、これはさつき時間がなくて質問する機会を逸したのでありますけれども、例えば五十五條に戻りまして、その第二項の任命権の行使でありまするが、こういうものについても、やはりこのままの適用を受けるとすれば、恐らく一方的な人事行政が行われるところの危険が非常にあると思うのであります。こういうものに対しても、現段階においては、その官職内に、それぞれの、例えば任命委員会というようなものが民主的に構成されて、その適用が民主的にうまく行われるということが非常に重要な段階で、これを多くの公務員諸君は期待しておると思うのでありますが、單にこれは一方的な規定になつており、更にこの運営については、これは恐らく運営の問題であつて、今後これについて十分な運営をするというようなことを答えられるに過ぎないだろうと思うのでありますけれども、私は大体この立法当局に対して、立法者として、この責任者として、どういうようなこれに対する現段階との睨み合せにおいて運営を考えておるかという問題それからもう一つは、若しこれが民主的な十分な運営をするということを考えておられるのであつたならば、それをなぜこの條文の中に謳わないか。謳つた方がむしろはつきりするのではないか。それを謳わないことによつて、將來非常に独善的にこれを運営されるところの危險が非常に大きいということを感ずるのであります。この点について意見を質したいと思います。
#27
○政府委員(井手成三君) 只今岩間さんからお話になりました御趣旨はよく私共分りました。先日來申上げました如く、先ず第一の問題で、この給與準則というようなものが、一方的に、何と申しまするか、上から示されるような工合であつて從前の間違つた行き方を尚温存するような虞れがあるのではないかというような御質問でございましたが、この間から申上げました如く、これは政府、使用者がこれを決めるというように御解釈を願わないで、この給與準則は法令でございまして、國民を代表する國会にお決めを願うと、即ちこの給與準則は土俵でありまして、仮に問題が相撲となりますると、その土俵の上で如何なる相撲を取るか、或いは陸上競技ならば、一定のルールがあつて、その上でどうするかというのでありまして、現在でも給與制度は、不満足でありまするが、俸給今というものがありますが、一号から何号までかありまして、初任者はその中の何号になるとか、家族を持つておる者はどうなるとか、どのくらいの経歴を持つておる者はどうなるとか、その規矩準繩によりまして、具体的に労働組合その他の職員の権利をその法によつて実施する。そうして然るべきとこの給與準則で一方的に決めてしまつて、いわゆる他の労働者、一般勤労大衆の権利が抑圧されるというようなことを、全然私共は考えていなかつたような次第であります。この給與準則は一つの枠であつて、この枠が如何に正しく運営されるかということは、他のすべての法令、或いは民法もあるでしよう。或いは労働立法もあるでしよう。そういうようなものによつて実施されるのでありまして、給與準則が一方的に決めて、これを拘束してしまう。年の幾つの者は幾ら、何は幾らというような決まり方には恐らくならないだろうと……、現在におきましても、俸給の表がある。それに基きまして、それを如何に当て嵌めるかということは、然るべき方法によつて決まるので、その間におきまして、労働立法の精神に基きまして、一般の從業者側の意見が正しく盛り入れられることができるならば、その限度において、十分にその余地があり、又そのことを十分に活用することが私共は期待できると考えておるわけであります。
 次に七十三條の点でございますが、これは仰せの如く、正に從業者側と協力し、從業者側の意見を十分に盛り上げて作らなければ、一向空念佛に終るだろうと、その点は同感であります。こういうような法律は、從前とかく官廳におきましても、合理的な科学的な計画及び研究が足らなかつた。且又予算がないというような点において、等閑に附せられておつた。一方において職員の正しく、そうして自分の全能力を発揮することを要求されておりながら、他の方におきまして、いろいろとそれに相当する源泉たる力を養つて行くというような基礎的な施設がないということを痛感いたしまして、こういう條文を特に置いたのでありますが、勿論この條文は、人事院、人事行政の政府側における取纒めをやつておる、何と申しますか、総括的な責任者及び各官廳の人事を扱つておるところの関係廳において義務を負つておるということを書いて、あるのでありまして、この義務の実施につきましては、從業者側の十分なる熱意を盛り込んで行われるということは、我々は勿論期待しなければならんし、又そうしなければうまく行かんと思います。その点はそういうものを排除するというのでなくて、そういう義務を負わせるということを書いて、それが総括的に且科学的に行われるということをこれは規定した次第であります。
 次に第五十五條の任命権の問題でありますが、その任命権は誰が任命するという形を決めたのであります。例えば現在では、一級官は内閣がこれを任命する。二級官は内閣総理大臣がこれを任命する。三級官は誰が任命すると一般的になつております。そういう工合に公務員という地位を持ち、又公務員という地位を外れるためには、形式的なけじめがつかなければ、果して公務員であるのかどうか、行政面につき義務を負わせるには、形式的なる区切りがなければならん。その形式的なる区切りは、誰が辞令を出すかということを規定したのでありまして、その任命権者が、なんと申しますか、全然私勝手の考え方で人を任命するというようなことは全然考えておりません。五十五條の運用としては、形式的な、誰が辞令を出すかということは私共は分りませんが、任命権者がこの辞令を出すことには相違ないと思うのです。そのことは何人も現在否定しないだろうと思います。ただその任命が非常にその人の思い附きであるとか專断であるというようなことが悪いのだろうと思います。この方としましては職階制をとりまして、そうして正しい資格のある人を正しく任命して行くということを考えております。それ以上におきまして職員組合等がその任命に関與するかどうか。これにつきましては相当な問題があります。私は職員組合がどの程度まで任命に関與するか、それも形式的に関與するか、或いは実質的にその意向を反映するかという、いろいろな意見もあると思いますが、この点についてはすでにいろいろな問題が起つておりましてこれは政府におきましても苦慮いたしておりまするし職員組合の関係の人も、十分なる考究をして下さつておると思いますので、ここでどの程度に関與させるかということにつきましては、私共としては、答弁をお許し願いたいと思います。
#28
○岩間正男君 もう一点について質問したいと思いますが、つまり今の運営についても、これは説明だけをお伺いしますと、尤ものように思うのでありますが、今までもこの立法のときに当つて何時でも尤もな説明だけで終つてしまう、そうして現状をどうするか現実の問題をどうするかというところにこの憲法との連関で一番重要な問題が私は残されておると思うのであります。そういう点から考えまして今のような意向を持たれておるならば、それをなんと言いますか、今までの旧弊を完全に拂拭することができないような形式的な規定だけをして、それが運用に当つて、説明はどうあろうとも、実際問題はこの條文に囚われたところの官僚的な硬い運営をやつてしまう。そのために法文が死んでしまうということは非常に多い。それを少くとも現在の現段階の立法に当つては、それを救済するような條項が挿入されなければならないということを私は確信しておるのであります。そういう点から行きまして、例えば実質的にこの運用に当つて、民主的な労働組合の意向を大いに参酌するというようなことが考えられておるならば、それを條文の許す範囲内において挿入するということは非常に重要な段階じやないか。こういうように考えております。この点に対する御答弁がなかつたようでありますが、この点についてお願いしたい。
#29
○政府委員(井手成三君) 岩間さんの仰しやつたことは、現段階において重要な問題だと私は考えております。この法は條文を見ますと、非常になんと言いますか、紙を噛むように、如何にも形式的なことが書いてある。その運用方針はどうか、そのことをもつと書くようにしたらどうかという仰せでありましたが、私共はこの法の第一條に、丁度今の運営の問題でありますが、「民主的な方法で、これを選択し、且つ、指導すべきことを定め」るというような條文を置いておりますので、この條文の精神に反するような運営をされるということはないと思つておりますが、第一條におきまして國会その他におきまして、政府当局の運用につきまして、十分なる御指導と御監視を頂きたいと考えておるわけであります。
#30
○岩間正男君 それでは今の問題に直接関連いたしますが、第六十三條に戻ります。この條項において見ますというと指定される面は非常に多いのでありますけれどもやはり公務員の一つの権利として少くとも社会一般の水準を下らない文化的生活を維持するに足るだけの給料を受けるというような、権利的な面の規定が、現段階においては非常に重要ではないかと考えられるのであります。ところがこの條項では、さつき申しましたように指定される面だけがありまして、そういうような積極的な面がない。こういうことをはつきり謳つていることが非常に重要じやないかと思いますが、この点について伺いたいと思います。
#31
○政府委員(井手成三君) 政府のいわゆる職員たる國家公務員についてのみ特別の、何と言いますか、手厚いような給與を與えられるというようなことも、これを規定するのはどうかと私共考えております。正に國家公務員のその内容にふさわしい適正なる給與が與えられて然るべきものだと考えております。今の仰せの御趣旨は、この法律と、それから労働基準法その他の関係でございまするが、この法律で労働基準法に特に変つたような規定があるというようなことならば格別でありまするが、そうでない限りは、労働基準法は官公私すべてを通じての労働條件の最低を示しております。更に向うべき高い方向を労働基準法において指し示しております。我々は國家公務員にも他の労働者、他の從業者、他の勤労者と同じ角度において、労働基準法が適用せられ、そうして労働基準法の精神が行なわれる。その意味において國家公務員について特別な規定を置きませんのでございます。併し六十四條の二項におきまして、生計費、民間における賃金その他の事情を勘案して、それと歩調をとりつつやるということに考を置きまして、他は労働基準法が、特に官公職員が別の勤労者であるというような印象を與えることを避けまして、一般に労働基準法の精神を尊び、この労働基準法によつて文化的な健康的な國民としての生活が維持できるということを念願いたしている次第であります。
#32
○岩間正男君 拘束規定として、例えばさつき問題になりました第三十八條の第二項ですが、むしろこういうような必要もないような方面の規定は非常に多いのでありますけれども、積極的な、やはり官吏の権利というような面の規定は、これは現段階では、私は非常に重要だというふうに。体験を通して考える者であります。御承知のように現段階では公務員の生活というものは、非常に破局に瀕しておる。このために非常に腐敗した涜職のような問題が起つている。更に可なり無氣力になつている。こういうときにむしろはつきり規定して、安心した基礎に立つて公務員としての職務を行なつて行くという規定を與えることが必要である。これは公務員法を作られた責任者が官吏であるという点から、牽連的にそういうような御答弁がさつきありましたけれども、そういう点は、むしろこの法の上から積極性を欠くものではないかというふうに考えらるのであります。從つて他の條項においては、憲法などを引合に出しまして、はつきり規定して置くのであつたならば、公務員法案の最も土台となるべき生活の問題をはつきり規定して置くということが、現段階では特に必要だと思いますが、如何ですか。
#33
○政府委員(井手成三君) 内容につきましては、全く同感でございます。これは先程來申上げたことを繰返すことになるのでありまするが、これは労働基準法その他労働法制は、この中に十分に動いている。そうして後はこの法がそれに対しまして、國家公務員という角度において必要な事項を書いて行くというような態度をとつて、規定したかつたのでありますが、これは見解の相違になると存じます。私共としては、この程度でよかろうと考えております。
#34
○川上嘉市君 この官公吏の能率問題でありますが、実は日本の公務員の能率が非常に悪いということは、殆ど天下の通説だと考えております。これをどうして能率を上げるかという問題が大問題でありますが、この新しい法案において、それをどんなふうにして上げるかということを実はお伺いしたいのでありますが、その一つの例をお話いたしますが、例えば改定になりました後の物價政策であります。この根本の基準を昭和十年前後の三年間の平均の物價の六十五倍というのを安定帶とする。それに対して近付くようにと言いますか、それを標準にして、段々に物價のマル公を上げておるのでありますが、その上げ方が、見ておると非常に遅い。最近に至るまでまだできないのがあるようでございますけれども、而もその調査たるや、或いは三ケ月以前、或いは六ケ月以前にその調査した基礎を以てやつておるかの如く感ぜられる問題が沢山ある。例えば木材なんかその一つであります。木材のマル公を、実は半年前に上げる必要があつたかの如くに見えた。ところがその後になつて形勢が一変しまして、上げる必要もない。闇の方がマル公より安いというような状態になつたに拘らず、前の調査を基準にして、やはり二倍以上に上げたのであります。当業者自身もその必要もない。或いは迷惑だと考えておる者もある。そういうことが起るのであります。何故起るかというと、やり方が怠慢である。直ぐやれば非常によかつたかも知れない。よかつたかも知れないけれども、形勢がこの頃のように急変してあるに拘らず、ただ机上で以て三ケ月前、或いは六ケ月前に調査した。それがあるが故に必要だ。こういうふうにやると、とんでもない結果になつて來るのであります。最近の物價政策が誤つておる結果から見ても明瞭に証明できるのでありますが、その誤つておるというのはそういうふうな原因によつておると考えられるのであります。
 それからもう一つ、これは大分前の話でありますが、一つの例として明瞭にそういうことが分ると思いますから申上げますが、事変の終りの頃、その頃には日本の輸送力が非常に減つてしまつた。それでそれを補うのに貨物自動車、これを動員しなければならんというので、一生懸命にやりましたが、代燃装置が不完全で、その総修繕費が非常に多い。調べて見ると年に一億七八千万円修繕費を使つて、そうして全体の七万台の内二万台、三分の一しか動かないというような状態になつておる。これは戰爭が勝つか負けるかという境目の時に当つて、これだけの修繕費を出して、そうして三分の二以上というものが寝ておるということは重大問題だと思いまして、そうして、実はその当時の運輸大臣に会つて、その話をしたのであります。そうしてもうドイツの方では代燃装置を使つておる。それは木炭でありますが、それまでは運轉手がガソリンの運轉であつたために、代燃装置の扱い方が悪い。それについて私は意見書を出したのでありますが、それから二月ぐらい経つてから、それと同じようなことが「ドイツ」という雑誌に出ておりました。それを聽いて見たらどうか。ドイツに速かに問合して見たらどうか。それにはどうするかというと、國際電話で話をすると、その日の内に分るからと言つたことがありました。私共戰時中に軍需品をやつておりましたけれども、その時にドイツの「ユンカース」という飛行機会社から特許を買つたのですが、戰爭中で通信ができませんし、又人が交通することもできん。そこで仕方がないから直ぐに電話を十囘程、私自身が出て話をして、そうして大体の要点を掴んで、それを実施することに話をしたのであります。多額な支出をしないから、而も持つておる輸送機関が殆ど動かんというようになつたに拘らず、全然放つておくのはいかんじやないか。直ぐこれは國際電話を掛けたらどうかという話をした。それからこちらでどういう点を調べたいと、その箇條を言つて、向うに四百人程日本人がおつたから、これを傳えて、これを調べて、一週間或いは三日以内に返事をしろと言えば直ぐ返事が出來る。又代燃装置の構造なんか、もつと知りたければ直ぐ電送写眞を使つたらいい。電送写眞を使つて、ヒットラーの写眞なんか來ておるので、普通の通信はできないけれども、電送写眞、國際電話、無電というようなものができるから、直ぐやつたらどうかと話をした。直ぐ四五日前でありますが、中部日本新聞なんかが、近藤日出造という人の漫画を載せておる。その日にできたものをなんで送つておるのかと聽いて、みたら、午後三時に電送写眞で送ると、すぐ四時の印刷に間に合う。そこで私はこう言つた。そういうようにどんどんやればいい。人間の顏といつたようなむずかしいものでも、誰々と明瞭に分るから、况や線で以て書いた図面なら直ぐ分るのだから、直ぐおとりなさいと言つた。大臣が非常に感激して、直ぐ私の前で局長と課長を呼べというようなことを言いつけられておりましたが、到頭実行されませんでした。私共はそういうことをみるというと、実際に日本の公務員の責任感ということを非常に疑う。もつと熱心にやりさへすれば、恐らくは世間の通念であるように、いわゆる三分の一の人で以て、それ以上の仕事ができるかも知れないと思うのでありますが、今何を一つ取るにいたしましても、三月も掛かるというようなことであると、日本の政治というものが、行政というものがうまく行きません。それでそれらに対してこの新しい公務員制度というものはどんなふうな規定を以て、どんなふうにそれを達成するつもりでありますが。従來職事中一時貨物が一月以内にそれを到著させなければならんというような法律ですか、勅令ですか、それが出たように覚えておりますが、今後そういつた問題について、どんな方法でそれを監督され、どうして能率を発揮させられますか、大体の構想をお願いたいと思います。
#35
○政府委員(前田克己君) 結局新しい公務員法におきまして能率のことを規定いたしておりますのは、七十一條から七十三條まで、その中に勤務成績の評定と、いわゆる考科表、それから七十三條で、いわゆる職員の厚生施設とも言うべきものを規定しておる。直接能率のことを規定しておるのはこの條文であります。全体的に能率ということを大きな旗印として掲げております。これらの発揮につきましては、やはり職階制ということの運営に大いに期待をいたしておるわけであります。今までの役人が能率が上がらなかつたことについて、只今いろいろ御指摘のような点がありましたのは、一つには責任ということがはつきりしなかつた。今一つには役員が轉々として地位を変えて、少しも専門化されておらなかつたということが大きな原因となつております。この点は職階制によりまして、それぞれの地位の資格要件というものがはつきりいたしました。それと同時に、義務と責任というものも明確に定まつて参りますると、こういう弊害は余程救済し得るのではないかということを考えておる次第であります。
#36
○川上嘉市君 從來この事務の遅かつた主なる原因の一つは、比較的上級の方の官吏が始終迭りまして、いわゆる属官が何時までも動かない。例えば地方行政なんか特にそうであります。下の方の判任官程度の人は殆ど十年も十五年もその仕事の主といわれるまでになつておりまして、新しく学校を出て二、三年たつたものが課長になつて來る。課長になつて來ても仕事は分らん。而も直ぐ迭るという前提の下に仕事をしておりますから身を入れてやらん。從つて下の人の鼻息を伺いながら、そうして自分は直ぐに出世するために本当に本腰が入らんというようなのが大いなるものではなかろうかという感じがするのであります。もう一つは西洋の官廳と比べて見て日本の方はいわゆる属僚政治と言いますか、上の人が責任を持つてやらない。アメリカなんかそうでありますが、課長なら課長というものは、一つの仕事をする。その課長のところに行くと即座に話が決まる。日本では決まらん。それは責任の所在というものが非常にどつちかというと、責任逃れというような仕事をしておりまして、自分で引受けて、うんといつてやろうという人が殆どない。そのために何をやりましても、その場で決まるということは殆どないのであります。ドイツなんかでもそうでありますが、非常に或課長なら課長に何か言つて來て、仕事を決める時に、課長なら課長という人が一人で以て呑み込んで全部行けるようになつておる。日本ではそれができない。みんな属僚任せで、属僚の手を経んければいかんというような関係があるために、それができないということが一つ、もう一つはいわゆる他の関係の課でも、それらの意見をいちいち聽かなければならん。これは例えば一つの例を申上げますと、私は日本博物館協会の理事長をやつておりますが、その方が文部省の補助を本年十万円でしたか貰うことになつておりますが、それが決まりましてから、判を取るのに、二十幾つも判を取らなければならん。そのためにやはり非常に遅れてしまう。私共はそんなことはどうでもよいのであつて、その課で以て決めてしまつて、その課の主管の課長が責任を持つて、他に関係あるものは事後承諾なり或いは廻覽するというようなことでよいと思いますが、それが日本では全部廻しております。そんなことでは幾らたつても仕事は進むものではないと思います。この新しい職階制の規定におきまして、もつとこの責任の所在というものを、関係の課なら課というものに、それが責任を持つてやる、他の課の人にも関係があるから知らさなければならんということであれば、事後承諾なり廻覽でもよいし、その代りそこで以て責任を持つて、どこまでも一つ十分に調査してやるというふうな仕組にしたらば非常によくはないかと考えますが、これらの点はどんなふうに実現されるか、そんなことについて、何か御構想でもありましたら伺いたいと思います。
#37
○政府委員(前田克己君) 先程申上げましたように、職階制では各地位の責任というものが資格要件と共にはつきりいたしますから、すべて從來の日本のように、極端に言うとあらゆる処分が大臣の判がなければ決裁できない。こういうことはなくなりまして、それぞれの地位で、その地位に與えられました仕事は果せるようになると思います。ただ横の問題につきましては、これは非常にむずかしい問題でありまして、最近のように行政が非常に多くなりますと、相関連するところが多いので、或程度やはり他に協議とか他の判を取るということも必要と思うのでありますが、むしろこれはできるだけ行政機構というような方で、行政の配分を合理的にいたすというようなことで從來の弊は矯めて行くより外ないのじやないか。かように考えております。
#38
○栗山良夫君 官吏の能率増進の問題につきまして、いろいろ御発言がございましたが、そのいずれも勿論大きく関心を拂わなければならない問題であると思いまするが、ここでこの能率の問題に関連いたしまして、官吏の給與の問題が如何に密接に而も重要なフアクターを示しておるか、そうして現在の官吏の給與は如何に賃金労働者の各水準を見まして低位にあるか、こういうような問題についての能率増進対策についての御発言が乏しいように感ずるのであります。併しこの七十三條の第一項第三号にありまする「職員の元氣囘復に関する事項」、この言葉の表現は誠に奇妙な言葉に私は感ずるのでありますがこの職員の元氣囘復に関する根本的な問題は、これこそ給與の問題であると私は思うのであります。然るに先程給與の改善につきまして、岩間委員から質問がありまして、こういうような一方的な仕組においてはなかなか行なわれない。もう少し労働組合としての團体交渉の実際の運用の在り方を法規の中にはつきりと明記したらどうか。こういうような厖大な國家機構の中における官吏の給與というものは、なかなか團体交渉をやりましても、簡単には通らないのは皆さん方すでによく御承知になつておる現実の問題でお分り願えると思います。ところで、そういうような事情があります一ので、官吏の給與は、何時も民間企業、民間賃金或いは自由労働者の賃金に比較しまして、その額におきましても、或いは実施の時期におきましても、非常に大きなずれを何時も生じております。そうしてこのずれが生じ、そのずれを回復するためにも、官吏の方々は非常な努力を拂つておりますが、このことが如何に業務能率に大きな阻碍を與えておるかということの認識を新たにしなければならないと思うのであります。過日米窪大臣は、業種別平均賃金の千八百円、あれを甚だしく破つた企業が民間にあるようであるが、若しあれば調査をいたしまして、適当なる拘束をしなければならない。こういうようなことを言われたのでありますが、これは千八百円の生活が苦しいがためにそういうような問題が現場において解決をされつつあるのであります。これは逆に表現いたしまするならば、そんなに民間の企業がどんどん上げて呉れたのでは、官吏の給與を上げ切れないから困る。こういうことが、あれから表現されるんではないかと私は考えるのであります。私はアメリカにおける例を一つ申上げたいのでありますが、アメリカの公益事業である電氣、水道、ガス、こういうような関係の労働者は、殆ど労働組合を通じての紛争は起きていない。起きましても極く局部で、又稀であるということを聽いております。そうしてその大きな理由は何かと申しますると、公益労働者は一般賃金労働者に比較いたしまして、極めて高い殊遇の賃金を與えられておる。從つて組合運動を通じて、賃金の問題で紛爭を起すところの必要がない。專念して公益事業に盡し得る。こういうことも言われております。日本の官吏が今まで業務能率が云云され、或いは更には忌わしいところの醜聞が社会に流布されておりました根本問題は、この給與が極めて一般的な水準よりも低いというところにあつた。これを大幅に一般企業よりも更に優位に持つて行く。このことが能率増進の最も大きな要点であり而もこのことなくしては官吏の刷新もでき得ない。こういうふうに私は考るのであります。然るに七十三條においては、誠に奇妙な「職員の元氣回復に関する事項」というようなことで表現されておりまするが、只今私が申上げましたことを給與の問題と直結いたしまして、七十三條にもう少し明確にされる必要があるのではないか、こういうことを感じまして、政府のお考えを伺いたいのであります。
#39
○政府委員(井手成三君) 只今仰せになりましたことは、官吏の現実の給與の問題に照しまして、又現在の物價の非常な混乱と申しまするか、高騰をしておる段階におきまして、殆どいちいち御尤もで、私共全く同感でございます。國家公務員が國家公務員としての重要なる職責を完全に果させまするためには、労働基準法の第一條に書いておりまする如く、人たるに値するところの生活の維持ができるように、十分なる給與がなされなければ、これは楯の一面のみを規定したものであつて、その根本が確かに欠けておることになるだろうと思うのであります。これは私共といたしまして、財政の状況とか、いろいろなことがありまして、その理想が果してどの程度まで具体化するか知りませんが、この法案の建前、根本の考え方としまして、全く同じ考でおりました。で、私共としましては先刻來申し上げました如く労働基準法の最低の枠、又労働基準法が目がけている動向というものは、勿論我々……我々も妙でございますが、國家公務員の全体の給與につきましてその他の労働條件につきまして、十分にこれが活用されなければならないと考えておる次第であります。ただ労働基準法の門容、或いはそれにもう少し色艶をつけたものをこの法令に表わしまするかどうかということは別問題でございますが、少くとも今仰せになつたところは全く同感であります。
 次に私申上げたいのでありますが、何しろ敗戰後、終戰後の我が國の状況はいろいろな要求が沢山あります。それが理想通りに実現できない。こちら側の要求、例えば財政は非常に窮迫いたしております。そうして我々はこのインフレを止めなければならないために、國家の財政支出は少くならなければなりません。且つ又國家の公務員は人たるに値する生活を十分に保障する。そうしてその職能を十分に発揮して貰わなければなりません。例えばその二つを以てしましても、大きな、どうしても到達しなければならない一つの政策があります。この二つがうまく実現できないというところが、私共現在の日本國民全体が嘗めている苦しみであろうと思うのであります。私共は今の財政支出をできるだけ止めて健全なる財政を持ち、一面において國家公務員に十分と言いますか、適正なる給與を與える。この二つの調和にできるだけ努力したい。而して尚且つそれが一〇〇%はおろか、或程度までしか実施し得ないということは、これはもう現実の告白でありまして、この点につきましては、何ともこれは私共といたしましても智慧のないところ、何と申しますか、努力が至らないのかも知れませんが、その現状を曝け出しまして、これに対して然るべき方策を皆さんに御考究願い、教えを願う外ないと思うのであります。答にならないかも知れませんが、今申されましたところは、全く私共同感であります。少くとも私共としましては、そのような方向にありたいと考えております。只今の國家公務員法が國家の一つの法典としまして、他のいろいろな法制、民法、商法、労働立法その他いろいろな法令と相携えて、一つの基礎に行こうという考えでありまして、重要な事項をあちらかもこちらかも全部盛るというのも一つの態度と存じまするが、この点は他の法令の運用を十分にこれは考えておけばいいので、ここに特にもう一遍レピートすることはないというのかこの法文を書いた経過であり、考え方であります。
#40
○栗山良夫君 この能率増進の問題は、官吏個人に対しての問題が対象になつているのが多分な部門であろうと思いますが、只今の御説明の中で、給與の問題が、國家財源の問題に結びつけられたのでありますが、このことについて一言申上げたいのは、成る程國家財源は非常に窮迫しておりますけれども、大藏省の財務関係の職員の人達が言つておりまするには、財源がないのではなくして、人が足りないのと給與が低いのである。このために十分に税金の取立て、或いは更に新しい構想の計画というようなものが十分なし得ないのであるということを、血の出るような叫びを挙げているのを御存じだと思います。このことは、私共國民としても十分に聽きまして、國家財政の確立のために、あらゆる努力を傾注しなければならないと思いますが、私聞くところに依りますと、米國並びに英國の如き先進國におきましてすら、徴税率、税金の取り立て額と実際の取立に要する費用との比率でありますが、この徴税率が五分乃至三分のような高額を占めておる。これに対しまして、日本の実際の状況はどうかと申しますと、八厘という話であります。左樣に低い数字がはつきり出ておるにも拘らず、尚且、この税務当局の機構、人員、給與、そういうものを整備する努力が、政府当局において全然なされていない。そういうことを、默認しながら、國家財源がない故にこういうことができない。そういうことを仰しやるのは、まだもう少し政府の方に努力の余地が残されておるのでありまして、國民として恐らく了解し得ない点であろうと思うのであります。この点につきまして、もう一度お答を願います。
#41
○政府委員(前田克己君) 只今の税源捕捉に関するお話でございすが、この点は私共からお答するのは聊か筋違いかと思いますが、先般聞きましたところでは、大藏省におきまして、相当税務官吏の増員を計画しておるのでありますが、やはり專門的な仕事でありますために、なかなか人が得られず、全國的には三万人、或いは間違があるかも知れませんが……程の欠員がある。こういう状況であるそうであります。でございますから、計画はあるのでありますが、実際はなかなかそれに伴はないというのが実情でございます。全体の只今の御趣旨は、よく大藏省の方にも申傳えまして、遺憾なきを期したいと思います。
#42
○原虎一君 只今の給與の問題がいろいろ論議されておりますが、この七十一條の後にあります人事院規則でこれを定めるということになつております。そこで問題は先程から政府が答弁されております中に、基準法についても十分考慮し、立法の精神を取入れてあるということでございますが、この人事院規則で、給與の問題その他を決めるといたしますと、基準法によります第九章八十九條との関係はどういうふうに相成つておりますか。それから第九十條との関係はどういうふうに扱われるのでありますか。これは先程から政府委員が十分基準法の精神を取入れてやつておられるというならば、これが具体化されなければならんのであります。これは予算に何も関係のないことでありまして、法的関係のみでありますから、この点を御説明願いたいと思います。
#43
○政府委員(井手成三君) お答えいたします。只今御質問の労働基準法の八十九條は就業規則の規定でございます。それから九十條は就業規則の作成、変更等の手続の規定でございます。この就業規則と、この法律、今は能率の問題を取上げて御質問を頂きましたが、就業規則は御承知のように非常に廣い。何と申しまするか、勤労條件のこと全体に亘つおります。この全体の就業規則の作り方としましては、大体法令で決つておることも、もう一遍レピートする。法令で決つていないことも、これを就業規則に決めて行く。それから法令に任されておる枠内のことを就業規則で決めておる。こういう三つの事項が入つております。私共の、この國家公務員法との関係は、労働基準法の就業規則は、これは國家公務員法が施行されましても、労働基準法の八十九條と九十條はこの法の適用はその儘あると考えております。但し、先程申しましたように、就業規則の中で決めらるべき内容の第一は、即ち法令で決つておるものがレピートすることになりますが、そのものが法で決められ、國家公務員法の決められた限度においてレピートする部分が殖えて來る。その法が決つていない部分につきましては、從前この法がなかつたと全然同じであります。その意味におきまして就業規則の内容は八十九條、九十條は、いずれも決めらるべき内容と、その手続を決めておるのでありまして、決めらるべき中味はどういうような御馳走が盛られるかということは、八十九條、九十條の問題でなく、労働基準法の他の條項にあるわけでありまするが、その内容は先程申しました如く、勿論この法案としましても、國家公務員法の適用があると考えております。労働基準法の要求しておる内容でございますがその内容を具体化して行く、かかる手続でございますが、八十九條が、御馳走を如何に盛るのであるか、それからこの盛り方を決めるにはどうするかという條項は、いずれも適用がございます。今申しましたように労働基準法により就業規則の中に書かれる事項が、法律で決められれば決められるほど両者の相談、これは過半数云々とありますが、その場合にその儘法令でレピートする部分が殖えるか減るかという問題は勿論でございます。或いは御質問の趣旨を取違えたかも知れませんが、その法律と八十九條と九十條の関係はさように考えております。
#44
○原虎一君 もう少し分らんところがありますのですが、具体的に言いますと、人事院規則がこの就業規則に、即ち基準法の八十九條にある如きものを決める場合において、基準法に基く九十條の適用はどうなるのかということを、もう一点伺いたいと思います。
#45
○政府委員(井手成三君) 御趣旨が分りました。先程申上げました如く、就業規則では、例えば退職に関する事項の中で、法律で或いは法律に基く委任命令で決める事項もありますれば、それをこの儘これを規定することになる。それに対して九十條によりまして意見を聽いて見たところで反対とか賛成とかいうことはあり得ない。法律で決つておるものにつきましては、これは意見を聽くために出しますが、その通り決まつて就業規則に出るものと考えております。それで人事院規則もその点につきましては、法律でこの八十九條の一号から九号にかけて決まつておるものもあります。同樣のものが、法律に基きまして、実施細目が人事院規則に定められ、それはその儘表れて來ると思いますから、その点は就業規則の中に盛られておるけれども、これを法令で決めますと、これはその通りこれを規定する外はない。その他は九十二條に「就業規則は、法令又は当該事業場については適用される労働協約に反してはならない。」と労働基準法の九十二條に書いてある。人事院規則はこの法令と一緒であると考えております。
#46
○原虎一君 今の御答弁のことは分りましたが、そういたしますと基準法の精神を十分この公務員法が汲んで行なつて行くということになりますると、就業規則に等しいものがこの人事院規則においても作らるれるのであります。就業規則の一部に等しいものが、全部とは申しませんが、一部に等しいものが人事院規則で作る、そのときにはすべて九十條の労働組合の代表者の意見も聽かなければならん。労働組合がない場合におきましては、労働者の過半数の意見を人事院規則の中に、表すということがどこにもないということであります。私の知る範囲においては……。そういたしますというと、基準法の精神、九十條の精神というものは具体的にどこにも盛られていない。今まで調べたものがあるのですか。その点はどうですか。
#47
○政府委員(井手成三君) 只今の御質問でございますが、労働基準法は法律でございます。これに基きまして労働基準法の、その他労働立法の施行的な規定が仮に労働省令というもので決まれば、九十二條の法令ということになつて参りまして、法律で決まつた労働基準法の枠、それを実施するために出て來る労働省令というようなものが決まつて参りますと、その労働省令は実体的には勤労大衆の意見を聽き、いろいろな意見を聽いてできるかも知れませんが、法の形式としましては労働大臣が自分の権限におきまして労働省令を作ると思います。これは労働基準法の枠内においてでございまするが、労働基準法と等しく、この九十二條の法令ということになりまして、その労働省令は、九十條の適用を形式的には受けないで、就業規則の一部になるものが、実体的に決まつて参ります。それを就業規則としてはレピートする外はないということになります。それと同樣にこの人事院規則も、これは大臣が出す省令ではございませんが、人事行政の面から出るこの法の一つの実施でありまして、それがこれに適用になつて來る。こういう工合に考えておりまして、その点は同來であると思います。ただこの法律自体が、労働基準法は最低のところを示しておるという、この法の精神から見まして、これを打ち破るということはできない。少くともその最低を確保しながら、それよりも尚よいところを目懸けて、先程言いました労働省令であろうと、或いは政令であろうと、この人事院規則であろうと定めなければならんということは、労働基準法が最低のものであるということを一條の二項に書いておりますから、その点からは確保されておると考えております。
#48
○原虎一君 政府委員は最低のものであるから確保されておると言いますが、私の申しますのは、九十條の労働者の意思が就業規則に類する人事院規則というものに反映しないという点においては、法律で出て來るんだから、それでいいんだという御解釈であるか。それを労働者の意思を反映せるところの途というものは開かんでいいのであるかという御見解を聽きたい。何故開かんでいいのかという御見解を聽きたい。
#49
○政府委員(井手成三君) 労働條件の重要なる事項につきまして、この人事院規則はどういうところが出るかということをここでいちいち檢討して頂きたいと思いますが、先日來申上げておりました如く、今例に上りました人事院規則の七十一條は、「職員の能率は、充分に発揮され、且つ、その増進がはかられなければならない。」放つておけばこの條項は政令に基いて実施がなされるのであります。その政令は然らばこの九十條の精神に基いて労働者の意見を聽いてやるだろうかと仰せになりますると、同じような答をすればいいのじやないかと思います。即ち七十一條の二項は、放つておけばこの実施は政令でなる。それをこの際専門的官廳であるところの人事院で定めさせようということであります。政令でありましようが、人事院規則でありましようが、その点は同じような関係になるのでありまして、その政令が仮に就業規則の中味に当て嵌まるようなことがあつた場合に九十條の精神から見て、その政令は事業場毎の労働者の過半数の意見を聽いてやるというようなことになるであろうと思うのでありますが、私共としましてはそれは事実できないと思います。且又七十一條は、法律の規定の実施のために出る程度のものでありまして、この精神は、精神と言いますか、目標ははつきりと法律にあるのであります。ただその具体化である。即ち何と言いますか、専門的なる言い表わし方というようなことが中心になるのでありまして、九十條に表から合致しなくても一向差支ない。勿論それが大きな勤労者の福利に影響するというようなことになりますれば、この法の外において人事院、或いは政令であれば内閣自体は賢明なる判断をするということは、実際の政策の問題になるのであろうと私共考えておる次第であります。
#50
○中野重治君 第五節の能率のところでいろいろ書かれておることが、すべて今まで日本の官僚の仕事が非能率的、非科学的であつたというはつきりした認識の上に立つて、それをうんと引き上げて行く。科学的にし、能率的にして行くということを眼目にして書かれておるという説明がありまして、それでよく分りますが、その説明の中にある非科学的、非能率的ということの中には、今まで日本の官僚に、外國のことはさつき川上委員、その他からお話がありましたが、特にくつついておるように思われる官僚個々の人及び官僚の仕組そのものに必然的なもののように思われる腐敗、こういう腐敗を許すような事情があつたこと、そのことをも非科学的という中に含めて考えられるのであるかどうかということ、ということは、腐敗した場合、これが繩附きになつた場合は、これも明らかな問題ですが、私が腐敗として問題にして答を得たいというのは、なんと言いますか、言わば合法的な腐敗、法律に基いた腐敗例えばいろいろな問題について要求が人民の側からありますと、大体尤もであるけれども、予算がないという言葉で、これが撃退されることがしばしばあつたのですが、問題の全体的及び部分的の差異はあつても、私が直接知つておる人間の若干さについて言えば、それは議会なんかで大臣が答弁するその原稿を作るようなクラスの人、そういう多数の役人たちは年度末になると、剰つた予算を定められた期間内に使つてしまわなければならんというので、方々へ旅行なんかに出掛けて行く、金を使うために……。これが中國に対する戰争、それから太平洋戰争の初め頃になると、段々そういうことが國内で、東京の近所で大つぴらにやれなくなつたので、飛行機に乗つて大連あたりに飛び出て遊ぶ。その遊ぶというのはレクリエーションの意味でなくて、七十三條にある職員の元氣回復に関する事項とは全く違つた意味で、そういうことをやつておる。そのことがすべて合法的にやられておる。この合法的にやられておる腐敗の仕組、このことが日本の官僚の仕事の能率的でないこと、非科学的であることの中に可なり傳統的に入つておつたと考えられるのですが、そのことをも呑めて考えておられるかということ。
 それからもう一つは、今まででもそういう状態にあつた官吏が、官吏に附随しておつたところの上長官に対する服從の義務とか、專制とかいうことは今まであつたかも知れませんが、今度この法案では九十五條以下服務の問題で宣誓の問題がやはり出てきておるが、そういう宣誓の点については、官吏として祕密を守るというような点について、それから恩給が貰えるというような点について、それから身分が分限令とかいうもので保障されるというような点で、こういう今言つたようなことをも呑めて、今私の言いましたそういう合法的な腐敗ということを、今までの日本の官僚の仕組の非科学的乃至非能率的の中に含めて考えておられるかどうかということと、それを除外して考えられておる場合にも非能率的、或いは非科学的ということは、今までの官吏が服従の義務を十分に盡さなかつたから、或いは祕密を守らなかつたから、或いは恩給が安過ぎたから、或いは身分が保障されなかつたから、それだから非科学的になつたというふうに考えられるかどうか。時間の関係上私の意見をも序に申しますが、その点を第三のお答として得られれば幸いです。
 私の考によれば、官吏が上の者に対して、甚だ服從的であつたために、或いは祕密を頻りに守つたために、そうして祕密でないものまでも祕密として守つたために、それから一般社会保險制度とは別個の恩給制度で縛られておつたために、或いは身分が一般勤労者とは別個に保障されておつたために、そういうために非科学的に、非能率的になつたというふうに考えられるのですが、つまり今まで服從しなかつたから、或いは祕密を守らなかつたから、そういうようなことから非能率的になつたかどうか。それから却て服從したから、祕密を守つたから、守らなくてもよいものまでも祕密として守つたから、そういうようなことから非科学的になつたのではないか、この三つの点について……。
#51
○政府委員(井手成三君) 只今の御質問の点でありますが、從前の官廳の非科学的な点はどういうところにあるのかというような問題に触れておりました。私共は官廳の内部に相当長くおりましたので、これはいろいろなところに原因があつて、これを綺麗に分類して、一番少ない言葉で盡すということはなかなか困難だと思います。それは沿革もあり、日本の國という國柄全体から來ておるというような点もあり得ると思うのであります。先刻來川上さんが仰しやつたような点は技術的な面から見て非常に非科学的になつておつたところじやないか。例えば下から下からと積み上げていかなければ最後の決断に行かない。少くとも多少の関係があれば相談をして、そこに納得を得なければ物が決らないというような、役所の事務の執り方というものにも、随分大きな欠陷があつたように考えられるのであります。これは制度の問題ではなく、幾らでもその役所で改善できることでありますから、上に立つ者さえ考え方を直せばよいと思うのであります。例えば少数でも構いませんが、よい人が外から入り、又中におる人も上層部の人が非常に努力を傾けられておるというようなところにおいては、可なり改善されたと思いますが、大きな流れからは確かに川上さんが指摘されたような点があつたと思うのであります。
 それから科学の採り入れ方が非常に少かつたのじやないかという点でありますが、これは日本國民全体の……非常に失礼な言い方でありますが……欠陷が官廳にも現われたのじやないかと思われます、例えば事務の取扱方にでも科学的と言いますか、職業適性を決めるというのに、最近においては学校で心理学を專攻した人に科学的にやつて貰う。心理学を行政に採り入れたという面において最近の職業に行政が変つて來る。こういうものを迂闊に見逃して來たという点も随分大きいのじやないかと思います。
 それから私共が一番考えるのですが、日本の行政というものは元々監督行政から起つて來たものであります。それが最近行政が非に複雜になつて來ておるのに、相変らず監督行政のやり方でやつて行く。例えば非常に企業的な行政、非常に能率発揮を要するような行政であつても、すべて会計法も官吏制度も官廳機構も同じような制度でやつて行きます。從つて健康保險というような一般の保險会社の仕事に近いようなものでも、或いは学校の教育行政であつても、或いは警察署の行政であつても、或いは鉄道のような行政であつても、同じような会計法が大体要求されます。從つてその部門において最も能率を発揮しようと思つてもやり樣がないのであります。例えば六点主義。十点は採れないが、漸く六点でやつております。それを逆に思うようになつて來ますと、非常に大きな弊害が起るのを恐れるというような点から、大体六点で会計法でも、官吏制度でもやつて行こう。非常に優秀な者ならそれを駅長にでも、鉄道局長にでもする。これは非常に正しいのでありますが、それを一面やつていきますと、警察署長に單なる思い附で不適当な人が入つて來る。そういうことを恐れるがために、官吏任用制度は悪い者が入つて來ないように一律にやるということになりますから、本当の人材があつても浮び上れない。こういうことで、どうも六点平均主義ということが可なり禍いされて來たのじやないかと思います。そこで最近行政機構について根本的な変革が考えられております。又公務員法で從來と考えを変えて職務制度を採つたということもそういう点をすつかり打破しようとしておるわけでありまして、つまり役所の部局をきちつと振り分け、その責任に当る人がこれに入つて行く。その責任はできるだけその部署において決めて行こう。公務員法はまだ決つておりませんが、そういう考をもつておるわけであります。これが前提でありまして、私が役所の内部におつて、いろいろとどうして能率が挙らないかということを考えておつたその断片的なことを申上げたわけでありますが、会計法その他沢山のものが関連しなければ、これはうまく行かないと思います。この國家公務員法ができただけで、今言つたようなことがうまく行くかと言うと、そうではなくて、あらゆるものが改善され、且又國民が行政について十分なる関心を持つて、堪えず督励し、且又監督するという態勢がしつかりしなければいけないだろうと思うのであります。次に具体的に恩給制度、それから祕密何とか義務、そういうものがむしろ非能率というものに役立つていたのじやないかという意味の御質問を受けました。
 私は祕密を保持するという義務は今といえども公務員に必要だと思うのであります。ただそのために……。(「簡單」と呼ぶ者あり)それでは簡單に申上げます。私は今後と雖もそういう点が要るのであつて、それが濫用されないように監督しなければならないので、それを全部監督するということはやはり能率の点から悪いと思つております。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
#52
○中野重治君 私の問に答えて下さい。一つは、そういう合法的な腐敗というものを腐敗として、その原因の一つに教えられるかどうか。それからそういう祕密を守らなかつたために、そういうことが起つたと考えるかどうか。それがあるために起ると考えるかどうか。最後の点は今答えられたものとして私は聽いております。
#53
○政府委員(井手成三君) この國家公務員法は、合法的な腐敗が前提となつておる。それを考えた上かという点でありまするが、國家公務員法はその点は別に特に意識しておりません。会計法とが、その他の問題について、そういうことの改善が行われなければならんだろうと思います。それから從前祕密保持の義務があつたために、能率を非常に発揮しなかつただろうかという点でありますが、これは、そういうような濫用された面があつた限度においては、確かにそうだと思いますが、非常に濫用されたというふうには考えておりません。
#54
○委員長(下條康麿君) それでは食事時間ですから、ここで一旦休憩いたしまして、午後二時半から会議を継続いたしたいと思います。
   午後零時二十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時五十九分開会
#55
○委員長(下條康麿君) それでは休憩前に引続きまして会議を開きます。片山総理大臣がお見えでございますから、この際総理大臣に対する御質疑のある方はお願いいたしたいと存じます。
#56
○川上嘉市君 國家公務員法が出ましたその理由は、日本の行政をもつとよくしよう。こういう趣旨でありまするから、実はこの法案に即した質問でありませんけれども、結局これの目標がそこにあるということを感じますので、折角総理大臣がお見えになつておりますのでお尋ねいたします。実は近來の官吏の綱紀というものが非常に紊れまして、例を挙げますというと、私共の知つておる者で、或地方に出ておる者が、殆んど日曜以外の毎日、家で飯を食つたことがない。いつでも九時か十時頃に帰つて來る。そういうような例が非常に多い。実は料理屋も閉鎖しておる筈であります。こういうふうなときに官公吏がそういうような例を実際に我々に見せるということは、誠に遺憾なことでありまして、実は御承知と思いますが、地方で一度勤めたことがある人が東京に戻ることを非常に嫌がります。先ず部長とか課長級というような人で、若し轉勤になつて東京に來るというとこれは迚も困るというので、直ぐ地方へ出して貰いたいという運動を殆ど皆するように聞いております。それはやはりそこにいわゆる役得というものが殆ど誰もが認めておるような現状であります。この現状をお調になつて、なんとかしてこの綱紀を粛正するのでなれけば、官吏の本当の役目ということは到底盡すことができんと思います。日本の再建をやるのは、先ず第一に公吏が本当の範を示して、祖國の再建を一生懸命にやるということを見せて頂きたいと思います。それで実は將來行政を段々よくする。能率を上げるというような、いろいろな点について進んで参りますその第一前提として、現状をもう少し改良するように工夫、御指導ありたいと思います。
#57
○國務大臣(片山哲君) 御尤もな御意見でありまして、新憲法制定に基き、官僚的機構に革新を加えまして、民主政治の徹底をはかりたいと考えておりまする政府といたしましては、さような問題について、極力その成果を上げたいと考えておるのであります。つきましては公務員法もその精神に基きまして、新憲法の意を体して、民主政治に精進する官吏、即ち國民の公僕の観念に徹する官吏の職責を果さなければならないという趣旨におきまして、制度の改革をやらなければならないと考えて、御審議を願つておるような次第であります。
 尚又只今のような不正なことをするとか、御馳走にありつくとかいうような問題につきましては、行政監察制度というものを実施いたしまして、官吏の執務状態から、不正のありや否や、能率を十分上げておるや否やという点について、民間からも委員に加わつて頂きまして、眞に監督の美を挙げて、そうして官吏の腐敗堕落を一新し、綱紀粛正を現わさなければならないと考えておるのであります。又近く御審議を願いたいと思いまする警察制度の改革やら、或いは地方制度の改革等も、これらと一連の関係を持つのでありまして、眞に官紀の紊乱を防いで、そうして正しき政治の行われるように、その実績を挙げたいということに最善の努力を拂つておるような次第であります。
#58
○山下義信君 簡單に伺いたいと思います。片山内閣の政綱の中に、官僚制度に対しまする御政策が誠に力強くお示しに相成つておるのであります。官僚制度に対しまする内閣の御政策は、私共が了承いたしまする範囲におきましては、いわゆる官治政治、官僚政治というものを打破して、全く民主政治にこれをなさろう。こういうお考、且亦官僚制度の悪弊を打破して行こう。こういうお考であると了承しておるのであります。然るに片山内閣御組織以來五ケ月、今日までの内閣の政治をなさいまする所を伺いますというと、官僚政治の打破どころではない。益々官僚政治を増長なさつておいでになるのではないか。つまり言うと、官僚政治の上にちよこんと片山内閣が載つておいでになるという感じを我々が持つておるのでございます。これはお互によく分るのでございまするが、帰するところ政党の勉強の足りないということ、從いまして官僚の力、あの頭腦、あの思慮というものに依存しなければならんということは、よく分るのでございまするけれども、その官僚に依存するということが、この内閣になりまして、非常に強いように感ずるのであります。安本の如きはその具体的の一例でございます。その官僚政治から民衆の政治に移つて行くということを、この内閣で力強く期待いたしまする我々といたしましては、奇異の感に打たれるのでございます。この点に関しまして、首相の御所見が承りたいと存じます。且官僚制度の打破、即ち言換えまするというと、官僚の悪弊の打破、これができて行かなければなりません。殊に御政綱の中に、御政策の中に官紀の粛正ということが特筆大書してございます。これは本議場におきまして施政方針の御演説にお示しになつておるところでございます。只今川上君もその点にお触れになりましたが、私はこの内閣で官紀の粛正がなされたということをまだ承知いたしておりません。具体的なる事例をお示しが願いたい。例えば靜岡の破獄事件というが如きことができまして、何人がその責任を負うておるのでございませう。一刑務所長を罷免して足れりとするが如きことでないと私は存じます。詳しいことは質問でございまするから、省略いたしますが、全國到る所囚人の脱走、破獄ということは、昨年中でも、四百七十件、本年に入りましても七月までに二百七十件、頻々としてござりまするので、これに対する所の当局の措置というものがなされておらなければなりませんのに、靜岡の破獄事件の起きましたる当初の処置の如きも、実に遺憾千万の点が多々ございます。これに対して相当高級の責任者が浩然としてまだその職におりまするというが如きは、これは官紀の粛正ではあるまいと存じます。例えば大藏省が全燒いたしました。これ何人の責任でござりましよう。且亦最近に承ります所によりますると、運輸大臣に何か忌わしい物資を送つたということが傳えられてござります。これは一私人でございますれば、尚恕すべきことでござりませうけれども、苛くも一國の政治家の上に立ちまする閣僚といたしましては、仮令それが家族の誤つた行ないでございましても、これ何とか責任を明らかにさせなければならんことであると存じます。然るにいまだ官僚に対しまして責任が明らかになりましたことを承知いたしません。かようなことでは私はこの内閣が官紀の粛正と仰しやいました。この実行が如何であろうかと思うのでござります。只今行政監察制度をやつて、その委員会を作つたということでござりまするが、丁度よい機会で私はあれはなにを監察なさるのであるかと思うのでござります。あの委員の顔触れを見ますると、皆課長でござります。而も或省のごときはその省から金を貰つておるところの民間の團体の役員が、委員になつております。なんのことでござります。なにを監察いたしまする。これでは私は行政監察は名ばかりでござりまして果して実が挙がるかどうかということを危ぶむ者でござります。官紀粛正をどのくらいなさるのでござりますか。只今申上げましたような一、二の具体的の例、それを如何に御解決なさるお積りでありまするか、承わりたいと存じます。
 第三、最後に屡々仰しやいまする曾ての社会党の政策、且又この内閣でもたびたびお洩らしに相成つたと思うのでござりまするが、天下の認めておりまする官吏の冗員でござりまする。あの多数の官吏、これをどうなさるお考でござりましよう。やがて整理いたしまして適当の人員に大縮小、大減小なされまして國民の負担を軽減なされ、能率を増進なさるお考でござりましようか、如何でござりましよう。聞きまするところによりますと、連合軍の民政部におきましては、日本の官吏は約四割これを減少する余地があるということでござりまする。総理大臣は如何にこれをお考に相成りまするか。やがていたさなければならんのでござりまするならば、至急予告を與えて支度をせてやりませんと、いや官吏は馘きる積りはない。一人も辞めさすことはないと言つて、土壇場まで言つておきまして、ぼこつとやるというようなことは不深切に相成りまするから、凡そ官吏も相当整理する必要があるというお見込でござりまするならば、半年や一年も前からそれに対する支度というものがござりまする。労働者階級の方におきましても、凡そ失業保險、失業手当、それぞれの施設も御準備に相なつておりまする。官吏の冗員につきましても檢討なさるお考がござりまするならば、はつきりお示しなされまして、それぞれの支度も要ろうかと思うのでござりまする。これはかねて内閣の政策としてお示しに相成つておりまする官僚制度の悪弊の打破、官僚政治の打破又、官紀の粛正、又官吏の冗員の淘汰ということに対しまして、総理の御所見を伺いたいと存じます。
#59
○國務大臣(片山哲君) いろいろの問題について御質問がありましたが、先ず初めに安本の例をお引きになりまして、官僚の立案にその儘乘つかつておる。こういう御意見でありましたが、私共は初めから官僚制度の打破を目標といたしておるのでありまして、乘つかつているというようなことはないのであります。そのわけは成る程今までの官僚が立案するというようなことがありまするが、その立案で今日に適当なもの、又必要なものがありまする際には、これを閣議で採用いたしまして、或いはこれに筆を加え、改正すべき点は改正、修正等をいたしまして、そうして内閣の大綱の線に沿いまして、必要な政策として採用いたしておるのであります。責任は閣議でこれを決定いたしておるのでありまするから、官吏が立案したるものをその儘鵜呑みにしておるということはないのであります。
 尚私の考といたしましては、これからの國家の仕事というものは非常に廣汎に亘ると思うのであります。國家が眞に國民の幸福のために、公共福利のために、各方面に活動を開始し、仕事をしなければならなくなつて來るのでありまするから、國家は國民のために仕事をするという意味におきして、いろいろの方面に、即ち経済、産業方面にも手を延ばすということは当然のことと思うのであります。これは決して取締でありまするとか、或いは上から押え付けるというような意味ではなしに、新憲法による國家の使命、國家のなすべき仕事を國家の役人にやらしめる。その方法はどこまでも福利民福を國民のために考えて行く。こういうふうでありまするから、今までのようにサーベルで押え付けるとか、肩書で大威張りをして仕事をするとかいうようなこととすつかり趣を異にしておるのであります。民衆のために國家が仕事をするという建前でありまするから、その点は氣持において、基礎観念において非常に違つて來ておるということを御了承願いたいのであります。
 それから官紀粛正でありまするが、官紀粛正は最も重要なことでありまして、その点につきましては、御意見通り極力やらなくてはならないし、又今日においてもそれをやるべく努力いたしておるのであります。併し今お挙げになりましたような問題は、その当時担当の大臣から具体的に御説明いたしたかと思いまするが、まだその段階に達していないものもありまするし、又調査の結果各般の資料によりまして、その程度で止めておくべきこともあつたであろうと思います。具体的のことはそれぞれ御報告いたしたことと思いまするが、苛くも不正あればどこまでも糺弾する、正しい者の権利を保護し、法網を潜つて私利を図るとか、或いは一般大衆に非常なる迷惑を掛けるというような者に対しては、断乎たる手続きをとることに対しましては、決して躊躇するものではないのであります。その点は十分に御了承を仰ぎ得るかと存じております。
 行政監察員のことでありまするが、できるだけ民間の團体の代表者も御参加を願つたり、或いは民間の御意思を十分に反映せしむるようにしたいと思いまして、労働團体でありまするとか文化團体であるとか、婦人團体であるとか、そういう方面に御意見を伺つて参加を求めておるのでありまして、中には今御指摘のような方が或いはあつたかも知れませんけれども、それによつて意思を左右せられるような方ではないと思つております。公正な立場に立つて、そうして眞に官紀を粛正しなければならない建前に立つて、事務をとられるであろうということを、信頼いたしておるのであります。恐らくはさような意味で公正に仕事をとつておられることと思つております。そういう意味で國民の意見が十分に反映するような方策、方法を講じたいということを常に考えつつ処置をとつておるのであります。
 尚官吏の数が非常に殖える。或いは行政機構の改革によつて官吏の数を減らす等の問題について御意見がありましたが、勿論合理的に処置をとりたいと考えております。併し大体の見当は戰爭のときには間口を拡げまして、やたらに掻き込んだというような感がありまするので、段々これを合理的に処理いたしたいと考えておりまするが、こういうふうな経済逼迫の際にやたらに失業者を街頭に放り出すということも忍びないことでありますから、できるだけ配置轉換によりまして按配し整理しようと考えておるのであります。
 鉄道の例を仮に取つて見まするならば、非常に技術を要しまする所、又労働の相当超過されております方面には、人が非常に足りない。又簡單な仕事の方面には人が余つておる。こういうような片寄つた状態であるように思われますので、できるだけ熟練者を養成いたしまして、その技術を磨いて、そういう方面に人を廻し、又簡單な方面には人を減らしてその按配をよくしよう。こういうふうに考えておるのであります。相当その意味において人員も沢山要するのではなかろうかと考えておりまするが、目下これらの問題について合理的に処理する最中であります。
 以上のような状態でありまして、決して昔の官僚的なやり方をそのまま踏襲してやろうというような考は寸毫もありません。できるだけこれを民主化して、最後は閣議の責任において、内閣の責任において、即ち國民から選ばれたる内閣であるということを自覚いたしまして、その認識を常に深めつつ、即ち自粛しつつ國民の幸福のために官吏を仕事に従事せしめなければならない。官吏は國民の公僕であるという観念に徹して執務せしめなければならないと、こういうことを考えて、窓口の改善でありますとか、執務に関する訓令等も出しまして、一に民主化のために最大の努力を拂いつつあるような次第であります。
#60
○山下義信君 この内閣が非常に眞面目に政治をしておいでになりますということは、國民一同がよく認めております。政治の善し悪し、巧拙は別といたしまして、全く首相の人格が反映して、実に誠実にやつておいでになりますということは我々のよく承知するところでございます。是非とも官紀の粛正をお願いしたいと思います。これはただに不正ということだけではなくいたしまして、苛くも政治上、政策の上に御失敗があつたならば、必らず責任を負うということも、これ官紀の粛正であろうと存じます。
 例えば安本が小包米、縁故米ということをいたしました。当時の説明では小包米で三十万石集まり、縁故米で五十万石集まるというようなことを仰しやる。これらの政策が失敗したということに相成りますると、当然そこにやはり政治の責任を負う。これ即ち官紀の粛正であると私は考える。今日十一月の黒字説、かくのごときことも、若し十一月に全く千八百円ベースで以て黒字が出ないということになりますれば、当然これは責任を明らかになされませんでは、政治の責任がございませんので、官紀の粛正ということも行われるわけがございません。これらの政策に対しましても、相当の責任を明かになさいますお考がありますかどうか。重ねて伺いたいと思います。
#61
○國務大臣(片山哲君) この政策の問題につきましては、只今仰せになりましたように、その政策が十分の成功を收めなかつた。思う通りの成功を收めなかつたというわけで、その立案者、その担当者の首を切つてしまうというようなことは、あまりに過激であろうと思います。非常な害惡を流したとか、飛んでもないことをやつたとかいうような場合においては、官紀粛正も必要であろうと思いますが、その辺は各方面の情勢を睨み合せると共に、政治的な常識やら、或いは又道義と申しますか。し來たり等、各般の問題を睨み合せまして、適当な処置を政府でも考えておるのでありますが、一概に政策問題を取上げて、直ちにそれでその人間の責任を追及するというようなことは、過激ではないかと考えております。
#62
○岩間正男君 國家公務員法案の現段階に持つておるこの重要性というものは非常なものでありまして、この法案が現状に即應して、眞に正しいところの規定となり、そうしてそれがよく運営されるがどうかということは、日本の民主化の面から言えば、非常に重大な位置を決定するものだと思うのであります。そういう点から非常に努力を盡して、何囘かの審議が重ねられて來たのでありますけれども、併しながら問題はあまりに大きい、そうして今までの、先程から述べられましたような、官吏のいろいろな悪弊に対して十分な手が打たれる。徹底的な改善がなされる。そうして又國民がそれを期待しております今日においては、國民の前にこの官吏制度というものはじりじりと解決を迫られておる。徹底的なこの解決というものは、國民大衆によつて要望されておるのであります。從いましてその意思を十分に反映して、ここで十分な審議がなされなければならないということは、そうして又それを盡すことは、我々議員の最も重大な責任として考えて、今日までやつて参つたのであります。ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
#63
○委員長(下條康麿君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#64
○委員長(下條康麿君) 速記開始。
#65
○中野重治君 今問題になつたことと関係がある問題でありますが、國家公務員法に関する限り、これを早く法律として定めて、日本の非常によくない官僚制度を民主化することを急がねばならんということは明瞭なんですが、それについて今まで議院の中でも、それから外でも審議に日を限つておるというふうな話が、ぼんやりとした形で我々の耳にも入つていましたが、総理大臣の話では、そういう点で議員乃至委員の了解が得てある筈だというふうな話がありましたけれども、この問題に関して國会及び議員という形では今まで話が何もないのが事実であつて、そういうことが噂としてはありましたけれども、又プライベートな話としてはありましたけれども、國会に或法案を上程するという正式の手続の上では一つもない。そのことは総理大臣もよく承知しておいて貰わねばならん。こう思います。それですから噂としてあつた。或いはプライベートな事の運びの中で、そういうことが耳に入つたという、これは確かに事実ですが、それが事実であるということを以て國会の正規の手続に振り替える積りであるかどうか。それをお聽きしたい。それからこの前参議院と衆議院との決算委員会の連合審査会が半ば公聽会の役目を兼ねるかのような形であつて、そのとき十人の証人が出て來て話をしましたが、その場合私の聞いたところでは、十人の中三人が原案に賛成して、そうしてその三人の中早稻田大学の先生と帝大の先生として、前者は吉村教授、後者は杉村教授ですが、この二人の方の証言は、学問的にも常識的にも取るに足らない。ただ元の法制局長官でありましたか、村上氏の言葉だけが賛成の根拠が明かであつて……。
#66
○委員長(下條康麿君) ちよつと御発言中失礼ですけれども、私司令部の方に用ができましたので、この席を山下委員にお願いいたします。ではどうぞ……。
   〔委員長退席、理事山下義信君委員長席に着く〕
#67
○中野重治君 村上氏の言葉では自分は保守的な立場に立つておる人間であるから、この原案に賛成であるというこういうお言葉で、これはそのことに賛成すると否とを問わず、根拠は非常に明瞭でありました。ところがその日この法案に対して根本的な、或いは全面的な反対を表明した労働組合関係の代表者達の言葉にも、事ここに至つては止むを得ないから、根本的な修正を加えるとか、或いは審議未了にして欲しいというふうな言葉がありまして、その事ここに至つてはとは、何を意味するのか説明がありませんでしたから私には分らず終いでありましたけれども、併しそれは考えて見るのに、やはりこの法案の國会における審議に外部的な時間的制限が付せられておるということを暗示しておるようにしか取れなかつたのです。それで何故何処からそういうことが、そういう噂が拡まつたのか、そういうことについて政府としてはそのことを知つておるかどうか、又知つておるとすれば、それに対してどういう措置をとられる積りかということを特に第二にお聽きしたい。
 それから第三には、この点が明瞭になれば第一の点、第二の点は謂わばどうでもいいようなことになりますが、それは國家公務員法案をどういうものとして我々が審議し、どういう國家公務員法を作るかということは、日本の將來に関係して來るのであつて、非常に時間的に無論急がなければならない。而も内容的にこれを完全に仕上げなければならない。この二つを切離して、ただ時間の上で駈け足で行きさえすればいいことにはならない。そのことには見解の相違はあり得まいと思います。それであらゆる方面からの日本の官僚制度を民主化するために完全な國家公務員法を作る。これをできるだけ急いでやらねばならんという要求には、それは私自身の要求でもありますから、どこまでもそれで行く用意があります。そのためには一定の特にこの問題の審議の進行に照し合せて考えて見るとき、つまり十月十五日というふうな限定を與えるということは、折角日本の官僚制度を民主化しようとするその問題を極めて官僚的な手続で押し付けてしまうことになる尚民主化するという仕事が、民主化の案の紙の上に書かれることが必要であると同時に、その案が討議に付され実現にまで運ばれるその手続自身が、同時に民主的でなければ何にもならない。これは日本の今まで官僚が長い間やつて來た実績に照して見てこのことは明瞭に言える。それで総理大臣として、この際いろいろの言葉でその言葉はあるにしても、又あつたにしても、十月十五日に上程して決めてしもうのだというようなことはないし、間違いだ。できるだけ早く仕上げねばならんということは事実であるけれども、そういう極めて眼の前のちよつとばかりの所に時間上の限定を置いてやつてしまわねばならんというのは間違いだということをはつきり明言するお積りがあるかないか。そのことをお聽きしたいと思います。この点が明かになれば、私のお尋ねした第一、第二の問題の答は、おのずから呑まれますから、若しこういう話は間違いであつて、そうしてそういう危険はないし、あつてはならん。そういうものとして政府はこの案を國会に付託するのだという言明があれば、前の二つは答えて頂かなくてもよろしい。合せてその二つを伺いたい。
#68
○國務大臣(片山哲君) 噂、或いはプライベートとしては非常に急いで頂かなければならないし、大体の目安も決つておるということをお聞きになつたようでありまして、恐らくはそれは國会の御審議を願う上において、日限を限つて御審議を願うというようなことは面白くないことであるので、プライベートにそういうような御了解を得て、特殊なる事情の下に特殊なお話がプライベートにあつたということで、政府といたしましても、そういう御了解の下に進んだのではなかろうかと思います。即ち記録上にこの御審議は或日限を決めて御審議を願わなければならないというようなことは、國会法として許すべきことではないのでありますから、その意味において記録には載らず、公式の話とならなかつたと考えます。併し特殊なる関係から御審議を急いで頂かなければならないし、大体はこの限度で仕上げて貰いたいというような御了解の下に進んで頂きたいというような意味で私は先程から申上げたのでありまして、諸君におかれましてもこういう事情は十分酌んで頂けることと私は考えておるのであります。今中野君のお話で、民主的にやるのには、先を決めてやるようなことは甚だよろしくない。こうお話がありました。御尤もでありますが、表面上においては決めてはないのでありまして裏面の御了解の下に決めてやるということも、現下の情勢においては万止むを得ないということも、これ又お互の間の了解、お互の間の申合せ、お互の間の以心傳心によつて、議事を円満に進行し、日本民主化を図らしめる上から必要であるというような点に意見の一致を見て頂くということも、民主的に必要なことであろうと思うのであります。無理を言つて押付けるとか、無理なことを是非ともやれというようなことは甚だよろしくないと思いますが、筋道を立てて、何でも事情を明かにいたしまして御審議の便に供するというやり方を私共はとりたいと思つておる意味において、この事情を申上げたのでありますから、その点は御了解を仰げるかと存じております。私のお答えする意味は以上でありますので、これによつて御了解を得たことかと存じております。
#69
○小野哲君 私は総理大臣に、三点について御所見を承りたいと存じます。
 先ず第一は、今囘政府提案の國家公務員法案このことにつきましては、目下審議中でありますし、只今各委員からも、それぞれ総理に対する御質問もあつたのでありますから、私は内容的な問題は省略いたしたいと存じますが、この國家公務員法案の狙つておるところは、この法律案の第一條にもありますように、公務員の能率を発揮させて行こう。最大の能率を発揮し得るように民主的な方法でこれが選択をしたり、或いは指導をして行こう。かくして國民に対して公務の民主的且能率的な運営を保障するのだ。これを目的としておるということがはつきりと出ておるのであります。併しながら從來の、現行の官吏制度、将來の國家公務員制度、これは單にこの種の法律によつて能率的なものに変えられるということは、望むことが非常にむずかしいのではないか。從つて一應國家公務員制度がこの法律の成立によりまして我我は具体化し得るのでありますが、同時にこの國家公務員が現実に働く仕組み、言い換えれば行政組織を如何なる形に整えるか。最も能率的な方法によつて、行政組織が運営されるということを関連いたしまして、これが実際の効果を我々は期待しなければならないと思うのであります。從いまして今回の國家公務員法ができ上りますと、相並んで、内閣総理大臣といたしましては、行政組織について如何なる御構想を持つておられるか。特に先程お触れになりましたが、今後の実情によつては國家が相当、助長行政の意味において、各種産業に関與いたさなければならない。こういう御方針のようでありますが現在における國営事業の実相から考えまして、如何なる形態において能率的な運営を國営事業においてなし得るかということにつきましては、会計制度の方面、その他各般の点について改善をいたさなければならない点が多かろうと存ずるのでありますが、國営事業に関して総理大臣は如何にこれを、能率的な運営をなさしめるように改善させるお見込であるか。この点についての御所見を伺いたいと思うのであります。
 第二は、從來ややともいたしますると、官吏諸君が、政策の論議に非常に興味を持ちまするがために、自然いわゆるセクシヨナリズムというものが起つて來るのではないかということを心配しておる向が多いのでありますが、今囘の國家公務員法の狙つておりますところは、その官吏の採用、その他身分等につきましても、極めて合理的な、例えば職階制を確立するとか、或いは試験制度による任用の方法を認めるとか、種々な改善を目途といたしておるのでありますが、かような方法で参りまするというといわゆる官吏が政策の論議に参與するという機会が段々と少くなつて参りまして、いわば機械的に國家の仕事に從事する。こういうことになるのではないか。かように思うのでございますが、総理大臣といたされましては、國家公務員法案の意図するところがかような点にあるということについて、如何にお考を持つておられるか、御所見を伺いたいのであります。
 第三といたしましては、新しい憲法によりまして、民主政治の確立を意図して、私共及ばずながら努力をいたしておるのでございますが、同時に現在の内閣、或いは將來の内閣は、議院内閣制を取るべきが当然であるし、又政党政治というものが、將來、現在においても同樣ではございますが、確立されなければならないことは申すまでもないのであります。然るに冒頭で申しましたこととも関連いたしますが、國家公務員制度、並びに行政組織というものが、果して議院内閣、或いは政党政治の円滑なる運営に適しておるかどうか。この目的を達成するためには内閣総理大臣の権限を強化することによつて政党政治、議院政治の理想を達成する必要があるのではないか。かように思われるのでありますが、これに対して内閣総理大臣の具体的な御所見を承りたいと存じます。
#70
○國務大臣(片山哲君) 第一の、國家が仕事を段々と営むということについて、國営事業を更に強化するか、從つて現在の國営を如何に処理しで行くかというような御質疑だつたと思いますが、先程も申しましたように、眞に國家の目的が、國民の幸福のために存在し、國民の幸福になる政治を立て、從つて國家の事業は、一部に独占されることなくして、眞に民主的に、且國利民福を考えるという趣旨において、仕事が段々と行われて行かなければならんと思つておりますので、現在の國家事業もできるだけ民主化いたしまして、國民のために仕事をするという観念に徹せしめたいと考えております。例えば鉄道におきましても、或いは逓信事業におきましてもその通りでありまして、徒らに官吏風を吹かせて、國民を下の方に見下して、サーベル式のやり方をさせない。本当に國民の便益を中心として仕事をやらなくてはならないという、民主化に徹底せしめたいと考えておるのであります。又目下御審議を願つておりまする、石炭増産を目当といたします管理法案につきましても、國家が関與するからといつて、これを官僚的にやらすというような考は毛頭ないのであります。できるだけ民主的にやつて、眞に國家は産業発展のために、國民代表としての仕事をしなければならないという意味に徹するものであります。尚國営事業を更に強化するか否やという点につきましては、現在の状態におきましては、國家管理問題は石炭に限つて、他の問題は今のところはまだ考えていないのであります。我が國の経済は御承知の通り窮乏状態でありまして、祖國再建のために、産業発展のためには、どうしても建直して行がなければならないという、大きな仕事がありまするから、インフレを防止するという点に集中し、産業発展に目標を置きまして進んで行きたいと、今のところは考えて、その方面に努力をいたしておるような次第であります。尚國家の官吏は今までは位を得るとか、いわゆる立身出世主義でありましたが、そういう自己本位の観念はどこまでも打ち捨てて、本当に仕事本位に能率を上げて、國民の公僕として奉仕しなければならない。こういうことが必要であろうと考えておるのであります。その意味において、この公務員法案なども大いに役立つものであると考えております。大学を出て文官試驗を通り、ところ天式で上つて行くことが簡單なる出世主義であるという観念を捨てまして、人才登用主義、能力主義、野に遺賢なきを期する意味において、働き次第でその能力は十分に発揮されるようにして行きたいと思つております。從つてその地位を、或いは栄誉を十分に表彰するという問題につきましても、目下政府におきましては、栄典制度を如何に立てるべきか。國家全般の問題として、文化國家建設の建前から申しましても、この栄典制度を如何に考慮したならばいいかということを、根本的に檢討し直そうと考えて、委員を挙げまして檢討中であります。
 それから第三は、私共はこの政党政治、議会政治、國民代表としての内閣制度、内閣を構成いたしまする政府は、國民から選ばれる。選ばれるが、やはり議会で選ばれる。こういう形が必要であろうと思つておるのであります。徒らに人民の選んだものを政府とするというようなことでは、一國の民主主義的政治体形の秩序を紊すことになりまするから、結局は國民の政治的要求を達成せしむる段階といたしまして、政党が必要になつてくると思うのであります。その意味において政党の最も健全なる発展を要望して止まないものであります。又選挙も公正に、國民の政治的意見が正比例に反映する選挙が公正に行われることを要望して止まないのであります。選挙が正しく行われ、政党が健全に発展して、初めて議会政治、政党政治というものがその特色を発揮することができると思つております。國民の意思を政治に現わし、國民が政治をする。憲法の精神による主権在民の思想を実際政治の上に現わす意味から申しまして、政党政治、議会政治が民主主義政治の最も能率的であり、又効果を十分に現わすよき制度であると考えております。日本民主化、日本の政治を民主主義に徹底せしめるということを一言で具体的に申しますならば、議会政治であると私は考えておるのであります。その意味において我が國におきましても、新憲法の精神に則り、議会政治を十分に発揚せしめて、國民の総意が議会に反映するように進めたいと思つております。尚同時に國民が造る政府は、議会で選ばれる政府であるという建前で、政党内閣制度がやはり新憲法の精神に副う民主主義政治であると考えておるのであります。その建前によりまして、健全なる政党政治が発展することを心より期待いたしております。併し議会運営の問題について、又議会、立法府と政府との関係を、如何に運営の効果、或いは摩擦を少くして、そのお互の効果を十分に発揮せしめる方法がどうであるかというような問題になつて参りますると、外國にもいろいろの型がありまするが、我が國の実際政治の面に照し合わせまして、最もよりいい方法を諸君の御意見をも徴し、十分連絡の下に、或いは御協議の下に、その成果を挙げることがよかろうと考えておるのであります。これが私の大体の考でありまして、官僚制度、封建思想を一掃する上から申しましても、基本的民主政治を一日も早く確立いたしたいという考については、諸君と同樣であるということを申上げたいと存じます。
#71
○小野哲君 只今総理大臣から御抱負を伺つたのでありますが、私の或いは言い方が少し足りなかつたのか、聽き漏らした点があるのかと存じますので、具体的にこういうふうな点についての御所見を重ねて伺いたいと思います。と申しますのは、國家公務員制度が能率を目的として今囘でき上ろうとするのでありますが、これだけでは足りないので、行政機構の能率的な運営が相俟たなければならない。この点に関して総理といたしましては、具体的にどういう構想を持つておられるか。
 もう一つは、從來の官吏の中には政策の論議に興味を持ち過ぎるがために、各省間のセクシヨナリズムが起る虞れが多分にあつたのでありますが、今囘の國家公務員制度の趣旨を檢討いたしますと、機械的に國家の仕事に從事する。こういう体制ができ上ることを目的といたしておる次第でございます。この点について特に先程総理が御指摘になりましたように、政党政治が今後強化されて行かなければならないということでございますが、これは御説の通り私も全く同感でございますが、そのためには國家公務員制度が新たに打立てられると相俟つて、内閣総理大臣の権限が強化される必要があるのではないか。かくすることによつて、政党政治が円滑に運営せられ、議院内閣としての使命が完全に完了されるのではないか。この点について重ねて御所見を承りたいと思います。
#72
○國務大臣(片山哲君) 官吏の能率を増進することが必要であり、官吏は官吏としての職務を十分に遂行せなければならない。政治をする者は、國民に、選ばれたる政党であり議会である。こういうそれぞれの職責が異なつて出てくると思うのであります。そうしてこの官吏の能率を如何に十分に発揮せしめて、政治場面と行政能率と相俟つてその政策を十分に滲透せしめる。この関係を内閣総理大臣権限の下に行使せしめる。こういう建前で行くことが必要であろうと思いまして、目下この問題につきましては行政機構調査委員会、齋藤國務相を中心といたしまして檢討中でありまするが、御趣旨の通り官吏の能率を十分に発揮せしめる対策をとり、官吏は官吏としてどこまでも盡さなければならない。政治家は、選挙によつて選ばれたる政党に、或いは議会に所属して、政治の大きな問題、政策の遂行に邁進する。こういうような建前で行くことがよかろうかと今日考えておるような次第であります。
#73
○深川タマヱ君 六月以来私達が委員会に出席いたしまして、いろいろな法案を審議いたして参りましたが、その多くの場合は、私達がここで審議いたしますことが、直ちに法の内容を修正いたしたり、それから少くともその法を実施するに当つて、希望條件としてその所轄の長官のお耳に入れることができておりましたので、非常に心強い思いがいたしておりましたけれども、この國家公務員法はそれとは類を異にいたしまして法案の中で最も大切な殆どのものは、極く少数の人事官によつて決定されることになつております。而もその人事官が今決定されていて、そこに出席されているのならば或いはその人達の前で審議いたしたり、或いはこういうふうに希望條件を申上げておることをお耳に入れて頂くこともできると思つて非常に心強いと思いますけれども、將來決まる人事官は、只今どこで何をなさつているかも分らないような次第で、ここで審議をいたしておることが果して採用して貰えるのかどうか。空念佛に終るのじやないかというふうな心細さを感ずる次第でございます。それもいたし方ございませんが私の一番惧れますのは日本の官吏が何人あるか存じませんが、とにかく相当大勢の人間がありますが、その人達の運命を極く少数の三人や五人の人事官によつて決められるとすれば、私は非常に心細い思いがいたします。日本國民が七千五百万人といたしまして、その人達の生命財産、運命を決するために、七百十六名の國会議員が選ばれておりますが、それとの按分比例を申すのではございませんが、少くとも官吏全体の運命を左右するような立場に置かれる人達が、僅かに三人や五人の人事官では非常に心細いと思います。而もこの人達の運命を左右するような重大な問題はできるだけこの議会において決定すべきものであつて、人事に関することでありますならば、どうしても最後に決を採る人が必要でありますから、こういう人事官も必要でございましようけれども、そういう場合には、三人どころか、少くとも各界を代表する有力な三十人、五十人を必要とするのじやないか。少くともそうでなければ私は安心することができないと存じます。この法案の目的は官吏の能率と民主政治の達成にあるようでございますが、私は民主政治の一つの狙いは、極く少数の人間に大切な権力が委託された場合には、どうしても暗い影がさしやすいので、権利はできるだけ大勢の人に分散して持たして置く方が、買收、情実というものがなくて非常によいと考えておりますので、この人事官というような人間をうんと殖やして貰いたいと思うのであります。
 その次は官吏の給與の問題でございますが、只今全官公の人達によつて、非常に給料の増額が要求されております。勿論生活に必要な物資がすべて公定値段で配給して貰えない現状では、私は増額も止むを得ないと存じております。ただそれがインフレを促進しない賃金の範囲でなければならないということだけを注意いたして、増額も止むを得ないと存じておりますが、ただおのづからそれには緩急と程度の差別をつけるべきだと思つております。今日本では傾斜生産が行なわれておりまして、生産方面では炭鉱の從業者などには食糧及び生活必需物資の増配などが行なわれておりますように、この待遇の場合におきましても、私は全部の官吏の中で、警察官をこの際優先的に優遇して頂きたいと存じます。私が申上げるまでもなく、軍隊が解散された後におきまして、日本の秩序を維持するのは、警察官を措いて外にないと思いますが、非常に只今の状態では虐待されております。私は警察懇話会の会員として内容を聽いておりますけれども、初任給が数百円、実家からの仕送りや妻の内職がなければ、警察官は立つて行けません。この頃集團の犯罪も多くなりまして、朝出たならば、晩は生きて帰るか死んで帰るか分らない危險な職業に携わつて、而も國家の秩序を維持しなければならないような人達には余程待遇を良くして頂かなければ、後顧の憂なく思うような活動をすることはできません。闇を封じて実質賃金を上げることを目途となさつている現政府といたしましては、それを取締る警察官の待遇を惡くしていることは、木に縁つて魚を求めるようなものだと存じております。
 それからもう一つ、監獄の囚人の番をしている看守ですが、看守が囚人の自宅に出入して、米やメリケン粉を貰つて帰るような状態では、どうしても日本の秩序は維持されないと存じますので、その点をお願いいたして置きます。
#74
○國務大臣(片山哲君) 只今深川君から人事委員をふやすというようなお話がありましたが、つまり今までは官吏は政府が首を馘つたり、任命したりする。こういう建前であつたのです。ところが今度は官吏は人事委員で別個に人事委員の協議によつてその任命等を決める。こういうことになつて本当に能力を本位として情実に囚われないで、人材を登用するのに試驗制度によつて、能力ある人は労働者でも婦人でも農民でも、どしどしとその試驗に應ぜられる。門戸閉鎖を開放して、大いに國家の仕事に参画して貰いたい。こういう建前でありますから、あまり大勢の人事委員が寄つてああだこうだというように言つておつたのでは、能率は上らないのです。つまり代表者、即ち最高人事委員として三名なり五名なりの委員が決められて、その方によつて指揮せられる。こういうふうに能力を審判し、適当なる官吏を國家の仕事に從事せしめるということに専念する。こういう建前でありまするから、能率本位になると思います。その意味でこれは十分に條文の御審議を願つておられると思いまするから、その特色を十分お認め願いたいと思います。
 それから警察問題は近くお手許に御審議を願うことになりまするが、今度の警察は根本的に改革いたしまして、國家警察と自治警察というふうにして、自治團体に警察を委讓することになるのであります。殊に新聞でそういう要綱を御覽になつたことと思いまするが、そういう意味において警察制度も根本的に変りまして、自治警察、自治團体が警察を支配する。つまり自分の選んだ首長なり、上長なり、そういう人の下に國民の公安を維持し、國民の身体、財産を擁護して貰うという國民の公僕たる警察官、こういう意味に今度は変わるわけでありまして、國家公務員法と相並んで、警察制度の根本改革を断行することによつて、段々と今お述べになりましたような御趣旨が自治團体の働き次第で、國民の意思によつて実現せられるのではなかろうかと期待いたしておる次第であります。今までは國家警察でありまして、政治的にこれを使つたり、選挙の際に警察力を使つて、反対派を縛つてしまうとか、氣に入らないものは、内閣が迭る毎に署長から小使まで全部取替えてしまつたというような、今までの弊害を一掃し、國民がみずからを守るための警察を持つという、こういうふうになるのでありまするから、御意見は自治警察の上に十分に現れるであろうと期待しておるような次第であります。
#75
○理事(山下義信君) この際ちよつと委員長から総理に伺いたいと存じますそれは只今の中野委員、岩間委員などから御質疑がありましたことに関連いたしまして、当連合委員会の全体の心持として、念のために伺いたいことがございます。それはかような審査の日限の少い重大法案、それが衆議院におきまする御審議が非常に遅れておるわけでございます。おそらく明日衆議院の御審議が済みまして、これが参議院に囘付されるということになりますれば、参議院といたしましては、僅かに数時間の審議期間しか正式に申せばないわけであります。超然内閣ならばいざ知らず、與党三派の現内閣といたされまして、與党側を激励遊ばされれば、とつくに御審議が進捗しておる筈であると我々は考えております。この点につきまして政府の方におかれまして御努力、御盡瘁が足りないのではないかという考をもつておるのでございますが、この点、重ねて首相の御見解を御披瀝願いたいと存じます。
#76
○國務大臣(片山哲君) 細かい進行状態はよく了承しませんですが、私は両院において審議が進行し相当活発なる質問もあり、言論も闘わされたと聞いておつたのでできるだけ早くその成立を見るであろうと考えておつたのであります。色々そういうようなことがあると思いまするが、できるだけ一つ御努力を願いまして、その成立を見られるようにお願いしたいと思うのであります。色々の段取りはよく承知いたしておりませんので、法制局長官から御囘答申上げることにいたします。
#77
○理事(山下義信君) この際皆樣に申上げますが、総理は公務の御都合もありまして、四時に御退席の御予定でございます。総理に対する質疑はこの程度で止めたいと思います。御了承を願います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○理事(山下義信君) 先程の点を政府委員から……。
#79
○政府委員(佐藤達夫君) 只今の國会に、衆議院関係の審議の段取りについてのお尋ねであつたようでありまするが、衆議院におきましては、こちらの予備審査と同樣に非常に熱意をもつて御審議を頂いて参つておつたわけであります。私共も勿論色々お願をしておりますが、我々の方がお願いすると如何とを問わず、大分熱心に御審議を下さいまして今日に至つておるわけであります。今のお尋の趣旨はさような趣旨であろうと考えまして、一應お答えいたします。
#80
○理事(山下義信君) それでは法案の審議に移ります。本日は第六節、分限、懲戒及び保障、第六節全体につきまして御審議をお願いします。
#81
○政府委員(井手成三君) 第六節につきまして、簡單に御説明をさして頂きたいと思います。第六節は分限、懲戒及び保障の事項でございます。これの根本基準は公正に行われなければならないということでございます。分限に関しましては、身分保障それから欠格による失職、本人の意に反する降任及び免職、本人の意に反する休職、休職の効果というような事項を規定いたしております。申すまでもなく職員は國民全体の奉仕者として、全力を注いで職務に服しますと同時に、安んじて職務に專念いたすようにしなければならんと存じます。從つてこれに対しまして、その身分につきまして一定の基準を法によつてはつきりして頂くということは、是非とも必要でございまして、この点につきまして現行制度の良いところ惡いところを勘案いたしまして、今囘のような制度にいたした次第でございます。
 次に懲戒でございまするが、これも現行の制度を勘案いたしまして、これに対して新制度の國家公務員法にふさわしいような修正を加えて新しい制度といたしてございます。それから大きな点では、從前は懲戒につきましては、程度の高い懲戒もございまするが、事前に委員会にかけまして、その判定を待つて実施いたしておりましたが、今囘はその事前に該当する場合においては、これに対して懲戒を加え、事後にその救済の途を講ずるというようなやり方をいたしました。いずれがよいか、多少の利弊が考えられるのでありまするが、今囘の制度の方がよいと考えて、その点も改めておる次第であります。
 それから第三款は保障でございます。これは從前から官吏が不当に自分の上層部から身分上の処置をせられるというようなことにつきまして、必ずしも十分でなかつたのでありまするが、今囘は苟しくも不利益な処分であれば、これに対して発言の機会を與える。しかして又分限、懲戒というようなはつきりした不利益な処分であつて、その内容が違法であるというようなものにつきましては、人事院に対しまして適当なる救済方法を願い出て、それに対して然るべき処置をしなければならないというような制度を設けまして、職員の正しい人事行政に対する運営を保障することにいたしてございます。それからこの関係で出て参りまする人事院規則のことを簡單に申上げます。七十四條は從前申しましたと同じように、この法律の條項の実施は政令で規定するというよりは、人事院規則の方で実施規則を決めて行くというような意味で書いてございます。次に七十五條の二項、これは降給、俸給が下るわけでありますが、どういう場合が……これは人事院規則で予想しておりまするのは、勤務実績が挙らない。これは今まで時々申上げました如く一定の評定を行う。それは科学的に公正に行うようなことになろうと思いまするが、一定の評定に從つて勤務実績が挙らないということが立証された場合、それから降任、等級の違う方に下げられた。そうして從前受けていた俸給に相当するような俸給がないような場合、その場合には降給せられなければならない。それから七十六條でございますが、七十六條は丁度三十八條の除外例の場合と裏腹になつておるわけであります。三十八條は欠格條項は書いてあるが、非常な程度の低い、そうして技術的でないような仕事には從事さしてもよろしいということを三十八條で除外することになつておりまするが、七十六條の方も、そういうような程度の職にある場合においては除外ができるというようなことを書こうと思つております。それから七十七條でありますが、これは降任と免職の振り分けを書くことになつております。二箇條に分けるということも勿論可能なんでありまするが、内容が似ておりまするので、ここに一箇條に纏めてあります。勤務成績が挙らない場合の認定方法、それから心身故障の認定方法、欠格顯著の認定方法というようなことをここに書きたいと思つております。降任及び免職の場合をどうして区分けするかという点でありますが、第一号の場合は降任、第二号の場合は免職ということに大体しようと考えております。
 次には八十條でございます。これは一應こういう臨時的職員等につきましてはこの法律に規定しておりまする嚴重なる分限規定は排除いたしておりまするが、この職員につきましても不当に身分、取扱をするという趣旨は決してございませんので、適当なる分限規定をこの人事院規則によつて定めたいと考えておるのであります。この点につきましてはできるだけこの法律の趣旨に從つた人事院規則にしよう、こういう工合に考えております。それから懲戒の方には別にございませんので、後は御質問に應じてお答をさして頂きたいと存じます。
#82
○北村一男君 私はこの具体的事実についてお尋ねいたしたいと存じます。それは目下農林委員会におきまして、農林当局に対して質問をして、まだ完全なる答弁を得ないのであります。又私が前に本委員会において質疑いたしましたのに対しても、納得行ける答弁を得られない、重ねてお尋ね申上げたいと存じます。それは、今回この農林委員会に、農業生産調整法という法案がかけられたのでございます。その法案は御承知の方もおありと存じまするが、要するに農業生産と供出の関係を確保する。こういう建前からいたしまして、農民に対して生産を割当てるのみならず、面積を指定する。更に場合によりましては作物の種類を指定する。更に種類の中の品種も計画的に割当てる。若しもこれに從わない場合は面積の場合は、三年以下の懲役、一五円以下の罰金、それから作物の品種について違反しましたる場合は、一年以下の懲役一万円以下の罰金ということに相成つております。然るに農業におきましては、適地適作ということが根本原則でございます。ところが私がこの点を懸念して農林当局に対して、かようなことは農民が一番よく知つているので、官吏などは知らないのだ。若しも誤つた指令を出しますと、農産物の生産ができないか。若しくは減産するのみならず、これは個人的に非常に経済上の迷惑でありますのみならず、國家に対しても非常な損失である。かような割当をした場合に、その割当が誤つた場合、それからこの方法では、農業計画と同時に肥料と農機具を割当てることに相成つておりまするが、若しその肥料が参らなかつた場合、或いは農機具が参らなかつた場合、若しくは肥料が届いても時期を誤つた場合、或いは適当ならざる肥料を配給した場合、農業生産にやはり至大の影響がございます。延いては國家に非常の迷惑が及ぶという場合に、かような衝に当つた官吏は、一体如何なる責任をとるのであるか。農民は宿命的にどうしても農産物を生産しなければならない。その生産するに当つて、適否或いはその他の條件は悉く官廳に握られておる。この命令に服さなければ、只今申上げましたように刑法上の制裁がある。或いは罰金を課せられる。こういう時に当りまして、これを割当てる官吏というものが、その割当を誤つた場合においては、どういう責任をとるか。こういう質問を本委員会にもいたした場合におきまして、これは只今ございました勤務実績が挙らない場合、七十七條にございまするが、これを以て処断する。かような御囘答がございました。農林委員会におきましては、まだ答辯に接しません。これは研究して、いずれ答弁があるものと考えまするが、私は今日まで各委員が、この官吏のいろいろの待遇、給與とかその他の條件について交々これではいかん。いろいろの條件を挙げなければならんという御意見には全面的に賛成するものでありまするが、かように、各委員が熱心に待遇條件の改善について御努力なさる半面において、この條件を受ける官吏が、どういう責に任ずるか。私はこの懲戒の一項に、追放というこの懲戒事項を加えまして、一度この法に該当した者は、永久に官界て復活することができないという程度の懲戒規定をおくことは、決して不当でないと考えるものでございますが、御見解へ承りたいと存じます。
#83
○政府委員(佐藤達夫君) 大変むずかしい御質疑でございます。具体的の例をお示しでございますので仮りにその例の場合に則つた考え方を一通り申上げてみたいと存じます。これは例えば割当の場合に例をとりますというと、割当が誤つた場合ということになります。それをあらゆる面からその場合を考えて見ますと、これは又その場合場合に應じましていろいろな段階があると存じます。先ず第一に、分類に走つて恐縮でございますが、第一の種類を考えますというと、本人の能力が一体割当をするだけの能力がない。何も惡氣はないが、能力がちよつと拔けているというような理由で、割当を誤るということが、第一点として考えられると思います。これは最初北村委員が御指摘になりました「勤務実績が挙がらない場合」ということになりますか、或いは又七十七條の三号の「その他その職種又は等級の官職に必要な適格性を欠く場合」ということに該当する降任とか或いは免職問題になり得ると思います。非常に本人は惡氣のないという場合で申上げますと、そういうふうになると思います。それから今度は本人の多少、能力でなしに、何か惡い点があるという場合を考えますと、今の第二に御指摘になりました懲戒の問題になると思うのであります。即ち八十一條の第二号の「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」、これに該当する場合が想像できる。免職、停職その他のことがそのものに行くわけであります。それからもう一歩ひどくなりまして、例えばそれについて職権濫用の行爲があつたということで刑法の條項に該当する場合があると思います。それは刑法の方で処断するということになりますので、そこで追放という言葉がありました。実に適切なお言葉と拜聽したのであります。八十一條の懲戒のひどいのは懲戒免職であります。懲戒免職になりますと、お言葉のように追放というか、免職になつた後二年間は官職に就けないということになつておりまして、前の任用資格に当つている。さようなことになるのではないかというふうに考えております。
#84
○北村一男君 ちよつと関連します。簡單です。私が申上げるのは農民と、農民と申しましても、三千万人口がございますから、この三千万の農民がさような、或意味においては不自由な目に遭うている。或いは場合によつては刑を科せられるというような、自分のただ職業をやつて行く上において、さような目に遭うのであるから、これとバランスをとるようにしなければいけない。こういうことから二年経つたら又復活するというようなことでなしに、少くとも一生官界に復活ができないというような懲戒を設けられる意思がないか。こういうことなのでございます。
#85
○政府委員(佐藤達夫君) この案といたしましては、私が先程述べましたような程度のところで、一應適当であろうということで立案しておるのであります。只今申述べられましたような大きな見地からこれを判断いたします場合においては、そういう官吏に仮に不届な者がおつて、不当な割当をする、そうしてその及ぼすところの惡影響が非常に多数の人に及ぶというような場合におきましては、これはその官吏を、何と申しますか、使用しておる方の態度と申しますか、その方の問題に、或いはなるかも知れませんが、公務員法といたしましては、一應この程度でよろしいのではないかというふうにまあ考えておつたわけであります。
#86
○帆足計君 懲戒の項目でちよつとお尋ねいたしますが、前の委員のお尋のような場合に、不良官吏を彈劾しまするのは、國民自身が弾劾する途がついてなくてはならないと思うのでありますが、それはどういうふうにお考えになりましたのか、それから現状を以てみますると、特に警察などは、顔役と結託したり、又隠匿物資の問題で、殆ど縦横に闇を繞らしたりしておりまして、殆ど我々は現在の警察その他を信頼し得ないという現状でございます。又暴力團、顔役等とも殆ど兄弟姉妹の間柄のようになつておる警察官が多々ある現状であります。從いましてこれは官廳の上役の人が、懲戒に附すという手ぬるいことでは駄目であつて、國民自身がこれに対して彈劾し得る手段方法を確保されておることが必要である。憲法にわざわざそのことを明記してありますのは、そういう意味だと思います。憲法にわざわざ一條が設けてありますものが、この公務員法案に設けておるというのは、私はどういう法制局のお考かと疑問を持つております。從いましてこれに対しましては、口答又は書面を以て、殆ど無学の一農民、一手工業者でも、口答又は書面を以て彈劾し、そうしてそれを調べて貰う。勿論官吏側から言わせれば、十分に抗弁の機会も持ち、職員組合その他の弁護もなされるチャンスを與えることは勿論必要でありますが、それに対しまして、委員の皆様からは彈劾の必要があるという御議論が出ましたけれども、私は不良官吏を彈劾する必要があるだけではなくて、それが極めて簡單な方法で行われなければ、これは無意味である。非常に偉い人に、複雜な手続で以てなさねばならん彈劾では無意味であつて、全く無学の一農民でも、その人格を傷つけられ、そうして不正を見ましたときは、直ちに彈劾できるような規定を設けねばならん。これに対してどういうお考えであるか。それから第二には、現在の監察委員会、これは將來どういうふうになさるお考えでありますか。私はこの問題とも関係して、一制度を設けるとするならば、この問題の関連も考えておかなければならんと思います。
 第三には別の機会に申上げますが、警察司法の問題が幸にして、この法案とは別個になつておりますので、我々は十分なる時間を頂いて、十分に審議したいと思つておりますが、私自身の経驗からしまして、現在の警察官の大部分というものは、極めて凶惡な思想を持つております。又刑務所における看守の如きは、囚人より遙かに劣等兇暴な連中でありまして、私も自分が投げ込まれて驚いたわけであります。民主政治の旗の飜つておる今日、こういう人達がまだそういうところにおるということは恐るべきことである。將來國民の平和と幸福の維持が、警察制度の強化によつて行われなくてはならんとするならば、これに対しましては、もつと思い切つた、國民の安心できる措置が必要である。私は現在の刑務所制度、警察制度等に対する政府の態度は、極めて怠慢である。私の良心に問うて、そうして政府に対して遺憾の意を表せざるを得ない現在の現状、これが民主革命下における日本の警察並びに司法及び刑務所制度であるかと言いたいのであります。從いまして私暇があれば、私自身一度刑務所の中に放り込まれて見て、そうして現状がどう変つておるかということを確めたいとさえ思つております。これは私自身が苦い経驗を嘗めた一市民であるだけではなくて、恐るべき世界がそこにある。そうして何万人の人達が苦しんでおるという問題でありますから、政府当局におかれましても、もう少し眞劍になつて頂きたいと思います。第一と第三の問題に対してだけ御答弁を願いたいと思います。
#87
○政府委員(佐藤達夫君) 第一に官吏に対する國民の彈劾についてお言葉がございました。我々この法案を立案いたしまする過程において、國民に官吏の彈劾権を與えるような規定を設くべきじやないかというような議論を、すでに立案当時に認めております。從つてその点も一應考慮に入れて立案したのでありまするが、帆足委員に講義がましいことを申上げて大変恐縮でありますけれども、この憲法十五條は、國民固有の権利であるというのは申すまでもありませんが、いちいち具体的に選任行爲或いは罷免行爲を、國民が直接やるものでないということは、皆さん問題なしにお考になつておるでありましようが、さようなところにこの趣旨はある。根源が國民にあるというふうに考えておるのであります。勿論國会議員の方々も、公務員であられますけれども、少くとも政府職員に関しまする限りにおいては、この國民固有の権利が、如何なる形において具体的に現れるか。仮にこれを選任の場合に考えて見ますというと、この國民の代表機関でありますところの國会が決めましたこの任命、罷免についての法律、それに基きまして又國会が選任した國民代表の國会によつて選ばれた内閣、その内閣の系統でその任免等の人事を扱わせるというような形で、すべてそれ等の権能の現れというものは、國民に基いて、國民から流れ出ておるというふうに一應考えられます。選任の場合を仮に申しましたけれども、逆に罷免の場合もそういう趣旨で一應國会の監視の下において内閣に預けるというのが、まあ大筋だろうと思うのであります。その大筋に更に直接國民の発動という形を、國会とは今度は別の形で、國民の罷免請求と言いますか、そういうものが発動する場合も、これは勿論理論上考えられます。それを一概に否定すべきものとも考えませんけれども、併し第一技術的に考えまして、我々自身非常に迷うのであります。指導精神の問題といたしましても、國会を又別にして、國民が直接働きかけるというのが一つの問題かも知れませんけれども、それは別といたしましても、第一技術的の問題として、どこでどういうふうにそれを捌くか、或いは又國民が直接罷免投票をするという考え方もありましよう。或は又人事院に罷免の訴をするということも考えられましよう。或いは國会直接訴えるというような途もいろいろございましようが、なかなかこれは技術的に簡單に参りません。又何百万という官吏のすべてのものをそういう彈劾の対象とするかどうか。どの点で打切つて……上の方で止めるか、上の方で止めたのでは、むしろ第一線の官吏に対するのはどうなるのか。これ等のむしろ技術的の問題があります。かたがた本案には、この彈劾についての條項を入れなかつたのであります。尚新憲法には、只今御指摘の第十五條の確か次でありましたか、憲法自身がこの請願権を規定いたしました中に、公務員の罷免についての請願権を、憲法自身が取上げて書いておるわけでございます。請願の形におきましては、これが國会に直結して、國会に出る場合もありましようし、政府の方に罷免の請願が出ます場合もあります。これが政治的には非常に大きな私は働きをするものではないかと思います。國会に來ますれば、國会でお調になつて、政府をお叱りになる結果になることもありましよう。政府が自粛して取調べて、政府限りで國会のお叱りを受ける前に、措置をしてしまうということも、運用としては大きな効果を持つものであろうと存じて、傍らそういう考をも持つておつたわけでございます。そこで只今丁度行政警察委員会のお話がございましたので、それに話が又繋がるのでございますが、行政監察委員会におきましては、今の丁度御指摘のような趣旨のことを、何とかして運用の上に現わしたいということが一つの狙いでございまして、実は別に制度のおもてでどうということは決めておりませんけれども、実際の、例えば一般に対する発動等におきましても、成るべく投書を歓迎するというような形をとりまして、そういうものに基いて嚴密なる調査をして、監察委員会が発動するというようなことの建前にして、今日やつておるわけであります。御承知の通り、監察委員会はまだ発足早々でございます。まだこれという成果は挙つておりませんでしようと存じまするが、この成果を一つ見極めまして、國家公務員法が現実の働きを始めます際に、この監察一委員会をどうするかということは、そのとき又よく考えまして、善処いたしたいと存じておる次第でございます。
#88
○帆足計君 ちよつと関連をいたしますから、お尋をしますが、私は只今のお答では、どうも憲法の趣旨に副うておると考えるわけに行かないのであります。というのは人民固有の権利と言いますのは、國民が極めて簡素な手続で、直ちに、而も効果の現われる方法で、その権利が確保されておることが必要で、國会への請願などという廻りくどいことでは、とても一般市民は怖がつて、こういうところに近附きはしないと思います。従いまして何らかの我々もそれを研究いたしますが、具体的な方法が必要かと存じます。更に日本の現状から見まして、ますますこれが必要であるということを痛感するのであります。それから今の監察委員会でありますが、自分が自己を監察するということには、どうしても限度がございますから、私はこういう監察に関する仕事というものは、やはり國会と直結して、國会がそういう委員の選任に当るのが、そういう制度が必要ではなかろうかと存じます。行政と立法との混同ということが言われますけれども、行政制度を作るとか、直すとか、又はこれを監督するという問題は、立法と或いは非常に接触面の深い仕事でありますから、立法府の方から出た線で以て監察し得るという途がついておることが必要ではないかと思いますが、これは意見に亘りますから、このくらいにしておきます。
#89
○栗山良夫君 第七十八條、第七十九條について、休職の点でお伺をいたしたいと思います。七十九條によりますと、休職の期間は一ケ年ということに定められておりますが、勿論今ここで申上げるまでもなく、心身の故障のため長期の休職を要する場合、こういうような場合は、頭惱労働、現業労働を含めまして、只今の生活の困窮により栄養度が非常に落ちておりますので、一旦罹病いたしますと、極めて全快しにくい状態であります。特に結核性の病氣なども、その罹病率は非常に高いのでございます。到底一ケ年を以て囘復し得るというような事例は乏しく、私共の承知しておりますところの実績に徴してみましても、どうしても二ケ年の日数を與えなければ、健全なる身体として再び職場に迎えるということは、困難な実情にあることは、これは実例が示しておるのであります。從いまして、私は優秀な國家公務員法によつて新発足するところの優秀なる官吏の方が、若し病で暫く職を退く必要が生じました場合でも、速かに健康体に一日も早く囘復せられまして、再び國家のために奉仕せられる。こういうようなためには有らゆる便宜を與えなければならないと思うのでありまするが、このことについて、休職の期間の延長の問題、満二ケ年にはどうしてもしなければならない。もう一つは、この休職者に対する休職期間の俸給の問題でありまするが、これは三分の一と相成つております。懲戒処分により八十一條によつて、減給は一月以上一年以下俸給の三分の一以下に減ずる。停職の場合にそういうようなことがありますが、この懲戒の場合とは全然意味が違うのである。病に倒れた人を再び官職に戻すための全快の期間、全快なすまでの期間の生活の保障をこれによつてするのが、私は妥当であると思う。すでに民間企業におきましては、このような事例の場合における休職期間中においては、全額の俸給を出しておる会社が多々あるのであります。私は八十一條の場合と照し合せまして、この休職期間中少くとも七十八條の第一項第一号に該当するというような場合においては、全額を政府は支給すべきものである。こういうように考えるのであります。更に第二号の刑事事件に関し起訴された場合におきましても、これは恐らく新憲法の精神から言えば、懲戒の性質を帶びるものではない。その事件が裁判所に繋属する間、そうして故障が完全に消滅すれば再び自動的に復職が命ぜられるのでありまして、このような場合も、第一号の場合と同樣に扱いまして、その休職期間中の俸給はもう全額を支給して一向差支ないものである。こういう工合に考えるのでございます。この休職期間の問題、休職期間中における俸給の問題、この二点についてお尋ねいたします。
#90
○政府委員(佐藤達夫君) この期間の問題でございますが、期間はお示しのように考え方があり得ると思います。確か現行法におきましても、或種のものは二年、或種のものは一年ということになつておつたと思います。ここではそういう点は官職によつて差別をつけるということは意味をなしませんから、一年というふうに統一して考えたわけであります。ただこの一年の長さをどうするという問題は、これはございましよう。論議の余地はあると思います。ただ附けたしとして我々が立案の際に参考にいたしましたのは、最近できました、本年できました國会職員法の例を、実はこれを踏襲いたしまして、むしろそれに引き合わしたと正直に申上げた方がいいかとも存じます。私としては一年でも結構であろうと思うのであります。殊に本文の方で「休職することができる。」と書いてあります。
 それから休職給の問題は、生活保障について御心配がございましたけれども、これは何分にも実際職務を全然執つておらん人でありますから、この人に全額を支給するということは聊か困難な事柄ではないかと考えるわけであります。但し、この例えば「心身の故障」というものが公務上の理由に基いた故障である場合には、これは後にありますものを以て、例の保障の規定がございまして、公務上の面から來る災害傷病者についての手当というものはございますから、あれこれ綜合して見ますれば、相当妥当なところに落着くものではないかと考えておる次第であります。
#91
○中野重治君 第八十八條に関してですが、これは一つは、第三十八條の第五号について、ちよつとお晝前説明のあつたところにも関するのですが、今三十八條に必ずしも返らなくてもよろしうございますが、八十八條の問題としてお尋ねいたしますが、お晝前松井委員からこの第三十八條の五号について、少くとも第五号が削除されないまでも、これが欠格條項として活き得るためには、行政処分、裁判所の判決というふうな確定的なはつきりした條件が付かなければ勝手になされるという質問があつたとき、第八十八條の規定によつてそれが防がれるという説明がありましたが、これはどうも照し合せて読んで見ますと分らなくなるので、第八十八條はそれとは違うのではないか。これは一旦職員になつた者についての規定であつて、三十八條の場合は、官職に就く能力を有しないという規定なんだから、恐らく受驗資格を、受驗の場合ならば奪われるだろう。仮に受驗し得たとしたならば、それは試驗の成績を調べるまでもなく、予めなくされてしまう。それだから第三十八條の問題は、第三十八條の問題として別箇に考えるとしましても、三十八條の第五号に関して松井委員の質問に対して、そのことは八十八條によつて防がれると言つた場合のその八十八條は、そういうものとしては適用されるのではないと、こう考えるのですが、どうですか八十八條は職員になつているものについてのことであるように読み取るわけですが。
#92
○政府委員(佐藤達夫君) 私午前中おりませんので、前の政府委員の答えましたところと、どういう関係になりますかこれは存じませんが、その只今中野委員の仰しやいます任用のときには、これは八十八條は掛からんだろうという点は、正にその通りだろうと思います。恐らく午前中の説明は、途中でこれに該当したために、失職したとか、退職したという場合のお答をしたのではないかと存じますが、そこで個個の認定の問題は、私はこれは結局統一的の一つの基準というものを決めて置かないと、或省ではこう見た、或省ではこう見たということになりますから、例えば人事院、そういう綜合調整を掌る人事院というものの当然の職務として何か統一的の、何と言いまするか、基準と言いまするかを、これについて決めるべきではないかと実は期待しておるのであります。
#93
○栗山良夫君 先程の問題に関連いたしまして申上げるのでありますが、休職期間中の俸給の問題は、非常に簡單にお答を頂きましたが、八十二條の停職の場合、懲戒処分による停職の場合でも、三分の一は支給は受けるのであります。その八十二條の場合と七十九條の場合とは、その考え方は、給與を出す、同じ三分の一の給與を支給するにいたしましても、全然これは性格が違うのではないかと考えるのであります。七十九條におきましては、少くとも病氣の場合には、この病氣の由るところの療養を安んじてさせるだけの思いやりがなければ、罹病者は安んじて実質的に療養に專念することはできないのであります。そういう意味におきまして、この休職期間中の俸給の全額と私は申上げましたが、これは民間企業において、そういう事例があるからこそ申上げたのであります。そこまで行けなければ、更にもう少し率を高めるか、こう言つたような問題についてもう少し眞劍にお考え頂きたいと、こういうことを申上げたのでありまして、休職期間の問題も同じであります。御囘答に対しまして了解いたし兼ねる点がありますが、もう少し新公務員法案によるところの新しい官吏の個個の生活の面、そういうものを実態を深く掘り下げて頂きまして、そうしてそれに適切に合うような施策を講じ得るような途が講ぜられて然るべきではないかと、こう考えるのであります。
#94
○政府委員(井手成三君) 御尤もの御意見であります。これは先程法制局長官から申上げました如く、公務員として職務に就いていない。その方面から一率に規定した次第でありますが、この七十八條は支給することはできるということになつております。実際は現行制度としましては、三月なら三月はじつと休んでおつて全額俸給が貰える。然る後に、こういう措置とか、こういうような制度になつておりましてそういう運用でやる。病氣のために休む。そうして給與が減るということにつきましては、いわゆる社会保險制度が公務員にも適用になるのだ。或いは代行の共済組合がこれに当るような給付をやつて行くという制度になつております。そういうふうな政治はまだ不十分でありますが、その辺においてこの解決を見付けたいという考で、この制度としましては、役所に來ない、そうして身分が備つておるという点から、実質は正に仰せの通りでございまして、いろいろな制度を調整いたしまして、できるだけ安んじて病氣の療養に專念できるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
#95
○中野重治君 彈劾の問題で大分疑問が出たと思いますが、これは参議院としては連合委員会、或いは懇談会の形で彈劾の問題を法律として挿入しなければならんということに一致しておるが、政府委員のお答から、こういう場合に、つまり草案を書いた人の側においても彈劾の規定を挿入することに根本的に反対ではない。唯一つはどういうふうにその手続乃至機関というものを作るか。それはなかなか面倒が予想されるということと、それから監察委員、或いは請願の途が開けておるということによつて、これが一部補われるからという。こういうふうな理由によつて、法律にはこれを入れない。つまり、いわば根本的に、原則的にはこれをはつきりさせなければならないということは認めるけれども、そういう実際上のと言いますか、そういうものによつて入れない。こういうふうな意見ですか。ということをお尋ねするのは、私は法律のことは、全然ずぶの素人でありますから申上げませんが、つまり彈劾の問題は日本の國民が憲法をみずから実践して行くということに、必然的になると言いますか、本質的に附属する問題だと、こういうふうに考えるわけです。それだから監察委員とか、査察委員とかというものが、あろうが、なかろうが、彈劾権を行使するということは、義務と分けた権利というようなものでなくて、それと食つついた一心同体のものだ。それだから是非そのことがはつきりしなければならないということと、それからさつき山下委員のお話にもあつたと思うのでありますが、監査委員という、いわゆる上から、水戸黄門のように廻つて歩くようなものを幾ら作つても、これは逆に言えば、何と言いますか、私はよい言葉を知らないから、惡い言葉で言いますと、御馳走になつて歩く。買收されて歩くということになり勝ちなんです、実際上の問題としては……。言葉は幾らでも訂正しますが……。それから請願の途は開けておりますが、幾ら開けておるからと言つて、日本は今まで請願の途はありましたが、実際はなされません。さつき帆足委員からも意見が出ましたが、彈劾ということは、彈劾権が賦與されておるというようなことが法律のどこかに書き込めるということよりも、実際彈劾的な文字の書けないような人が、それが実際実行することができるということが大事なことなのです。現在の日本は特にこういうことが大事なのです。そういう意味から、どうしてもこのことは法律で直ぐ適用できるような簡便な機関、手続を決めて実行しなければならないと私は考えますが、原則的には賛成であるけれども、手続或いはそういう機関を作るのが面倒だから、或いはまだそのプランがないからというならば、そういうものはあまり面倒でなく、直ぐ公正な機関ができ得ると思うのですが、そういうことが分つたならば、はつきり入れてもよいという考え方でありますか。
#96
○理事(山下義信君) ちよつとこの際皆さんにお願いして置きますが、只今の中野委員に対しまする政府委員の説明が終りましたら、誠に恐縮でございますが、第七節以下を一應御審議を願いまして、又全体をひつくり返して御審議を又お願いする。こういう順序でお願いしたいと思います。
#97
○政府委員(佐藤達夫君) 率直に感じを感覚的な言葉で申上げることになるかも知れません。彈劾という制度をここに考えることは悪いこととは決して考えておりません。併しながら当然にここに入れるべきであつて、是非入れなければならんものであるというふうには、これは考えておりません。而もそれらの点は國会においてお決めになることでありますから、國会でお決めになるのを我々としては待つより外にないのであります。ただ先程述べましたのは、立案の過程において確かに考慮に値するものであるというふうに考えまして、あらゆる角度から眞劍に研究した結果、かような立案になりましたということを申上げたのであります。それから請願は、この新憲法の下におきまして、私は請願は、これは非常に重くなつたものと確信いたしております。請願法も新憲法に即應して変りました。國会法も請願に関する取扱は非常に変つておるわけであります。現に國会は請願をお採上げになつて御審議になつておるのは、これは非常に重くお取扱になつておるものと考えまして、あれやこれや考えまして、請願についても実は力説したわけであります。それだけちよつと申上げます。
#98
○理事(山下義信君) それでは第七節服務以下一括いたしまして、最終まで御審議を願います。
#99
○政府委員(井手成三君) 重複になりませんように、簡単に御説明さして頂きたいと思います。
 第七節は、職員の服務でございます。なんと申しましても今度の國家公務員法の大きな改正は、從前のいわゆる天皇に忠実である政府の職員という点から、國民全体の奉仕者と変つた点でございます。その点につきまして服務におきましては、そういう面からこれを規定するということが第一の根本のところでございます。それから從前の服務規律を、これを檢討いたしまして、従前の官吏制度においてあつたが、今日においては不適当なものはこれを落します。又その適当な事柄は拾つております。今回の制度には採入れました。更に公務員が一般の勤労者とは特別なものであるというような角度から、倫理的な規定をここに入れておりましたが、そういうものはなるべくこれは落しました。そうして國家公務員という特別の地位から來る要求を最小限規定した積りでございます。
 それから第八節は、退職者に対する恩給の規定でございます。恩給制度は公務員として相当期間、忠実に勤務した者の老後の生活の保障のための所得を得せしめる途であります。現行制度はその趣旨でできておるのでありまするが、新國家公務員法の見地から、可なりこれは調整をしなければならないという角度から、その恩給制度につきましては、別途立派なこの公務員法に相應しい計画ができ、それが立法化されるということを、この法としては要求するに止めまして、これは國会の御協賛を得ることになろうと思います。今他の公務に基く補償の制度というようなものと関連しながら、急いで我々としては研究を続けておる次第でございます。第四章は罰則でございます。これは必要な限度の罰則を定めまして、いわゆるこの法が罰則固めで行くというようなことはできるだけ避ける。そうして最小限度の罰則を置いた次第でございます。
 それから附則でございますが、この第一條は、今日問題になつておりまするが、できるだけ早く臨時人事委員制度を発足して準備に掛りたい。何と申しましても、職階制度は新しい制度でございまして、沢山の國家公務員の職を分類し、格付けするのでありまするから、一刻も早く急ぎたいという点から、こういう規定を置いた次第でございます。この点は先程來総理大臣のあれがございますので、十分に御了承頂きたいと思います。そうして少くとも実体規定は七月一日からやるということが中心であります。そうして実行の可能な限度からどんどんやつて行く。それから附則の軍要点は本格的の人事院ができるまで、臨時人事委員会ができる。それには今の準備が第一でありますが、途中から本格的な仕事もやり得るように制度ができております。あと新制度に切り替えの際の現職者の処置につきまして、いろいろの規定が置いてあります。上級の地位にあります者は、いわゆる暫定的の職員といたしまして、これを新しい制度に切り替えて、そうして資格がある者でなければならないように切り替えたいと思いまするが、中堅以下の職員といたしましては、行政の能率的運営、その他の見地から見まして、一應その職には資格があるというように考えておる次第でございます。尚もう一件の法律におきまして、この新公務員法が適用になりまするまでの暫定的の処置のことを規定いたしまして、経過的に一刻も……一刻というのは何でございまするが、何とか間に合うようにいたしたいという考でおる次第でございます。人事院規則……九十五條でございますが、これは今まで度々申上げました実施の規則は、人事院規則で定めるという点でございます。九十六條の宣誓の内容、樣式、これは宣誓を必要とするのは全部の職員に必要とするかどうかというようなことをやりたいと思います。それから九十九條の第三項は、祕密を外から公開を要求された場合において、拒み得る場合はどういう場合であろうか。これは社会上、経済上、或は外交上重大な、又不測の、國家の利益に反するような虞れがある場合、特別な負担をして利得又は損失を受けしめるような場合、それから手続としては、閣議に諮つて、そうして監督廳の承認を得るというような場合に拒み得るということにしようかという考でございます。第百一條では、この趣旨は先般來申しましたように、政党に入つておるというような基礎的な問題は別でありまするが、特に立候補して、何と言いますか、一つの党派的な意見に対してはつきり主張を世間に訴えるというようなことになりまして、職員の執務上支障が起り得るようなことは、これから百一條におきましては、いけないのでありますが、そういうような影響のないものにつきましては、人事院規則で別段の規定をいたして構わないようにして行きたい。農地委員のようなものを只今考えておる次第でございます。それから百二條でございます。これは先日來御質問が大分ございました。百二條の三項でございまするが、これは所轄廳の長が勝手にやれますと、大体都合が好いですから、人事の運営上都合が好いからどんどん許可をする。それでは困るから、先ず各廳に対して中正な、中立的な人事院で定めたようなケースに当らなければ許可させないというような、濫用に至ることを防ぎたいと思つております。この人事院規則は卑近なことを書くようになるので、私共はその枠を非常に抽象的な枠で書くのは当らないから、この人事院規則ならば割合卑近なことも書き得るのではないかと考えたのであります。それで法律と書かなかつたのであります。尚四項にも株式所有の関係を株の銘柄であるとか、一定の株数以上、一株一株報告しても大変でありますから、資産の状況等を一定の限度で採ろうと思つております。それから尚外にその次の項にも人事院規則でその関係の存続を一定期間が経つて適当な株の買手がない時には、どういう工合にしたらいいか、或いは相続とか、そういうようなことで、本人の意向にも拘らず、入つて來た時にはどうしたらいいかというようなことを書こうと思つております。それから百五條では職員の賜暇とか、或いは服装とか、或いはいわゆる勤務地に住居を有することを原則とするというようなことを書きたいと考えております。それから附則の九條に規定がございまするが、如何なる官職の在職者がこの法律に基く如何なる試驗に合格した者とみなすかというような事項、それから現在の在官者が如何なる職種及び等級について嵌つて行くものかというようなこと、或いは新職階に直ちに嵌らないというようなものについては、どういうようなモデイフイケーシヨンをするかというようなことを書きたいと思います。それから附則の十一條にも、又人事院規則があります。局長、次長その他それに相当する官職に、原則として一應暫定的に任命される。併し新制度による試驗又は選考が行われますときは、三年以内と雖も退かなければならん。即ち試驗その他に当らなければ、その職を失なわなければならないというようなことをこの規定の内容として考えております。
 その附則の十三條は大分重要な事項でございまして、全般的の御質問のときに皆さんの方から御質問を受け、又私共お答えいたしました。これは特別職と中間的に近いものもあり、漸次一般職に近いものもあります。その色合は濃いのも薄いのもございます。どういうことを書くだろうかと申しますと、外交官につきましては、特に在外職員等につきますると、人事院がいろいろに統轄するのも困難でございます。外地におる給與、服務等におきましても、特例を設けなければならん。例えば妻手当というものも、外交官の特例として與えておりますが、そういうものが出て來なければならんと思います。
 学校職員につきましても、その学校職員の任用は、いわゆる大学なら大学の自治ということが言われております。又教員につきましては、委員会制度があつて、行政官廳的の臭いの任命はどうかということもございます。人事院がこれを統轄するとしても、ふわつとした統轄でいいじやないか。又服務も、学校の先生が朝から晩まで出て來るということでなく、自分の家で研究しておるという服務体制の必要な先生もあろうと思います。裁判所職員、檢察官につきましても、可なり御質問も應じてお答えいたしました如く、可なり裁判官に近い制度を採用しなければならんじやないかと考えております以下そういうようなものをここに寄せて書いて行きたいと思います。これは実態事項は法律で立てるべきものと考えております。例えば人事規則を在外公館については、人事院が持たないで、そちらでやつておる能率等のやり方をどうするかというような、実質的の細かい事項で、重要な事項は、必ず法律でやらなければならんと思います。この法文は「法律又は人事院規則」と粗つぽく書いておりますが、私共はそう考えております。
 附則十四條の経過規定の点も、「法律又は人事院規則」と書いておりまするが、これも今言いましたようなスタンダードで振り分けることになろうと思います。経過規定は、現行規定の懲戒に基く休職期間はどうかとか、恩給の通算等についてどうするかとか、例えば雇傭員等もこの公務員法によることになるので、官吏、非官吏の区別がなくなりますのでどうするか、というような事項を書きます。人事院規則は技術的な、実質的な細末的なことに、規定が現れてくると存じます。以上簡單でございますが……。
#100
○理事(山下義信君) 速記を中止して下さい。
   〔速記中止〕
#101
○理事(山下義信君) 速記を始めて下さい。暫時休憩いたします。
   午後五時二十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時二十七分開会
#102
○理事(山下義信君) 休憩前に引続いて審議を続行いたします。どうか御質疑を願います。
#103
○小川友三君 百六條の恩給なんですが、恩給亡國と言われる程一時は日本の恩給額は莫大な金額に上つたのでありますが、又再びここでこの恩給という條項が現われまして、國民が非常に苦しむのではないかということが先ず想像されるのでありますが、政府は今軍隊の恩給がなくなつておりますが、他に恩給を拂つておる額が毎年どのくらいになつておりますか、お教えを願いたいのであります。それから今後この法律ができ上りまして、どのくらいの率で恩給を支拂つて行くかという予想がお分りと思いますので、お知らせを願いたいのであります。それから戰爭中はインフレであるが、戰爭が終つて数年経ちますと勿論デフレ時代に入るのであります。それを想定に入れて恩給額を決めんとしつつあるかどうかということをお伺い申上げるのであります。この公務員のみが恩給制によつて擁護せられております関係上、非常に第一條に掲げてあるところの能率的な仕事をする公務員が少いのでありまして、むしろ恩給は附けないで、その時時の褒賞制で行つた方がよいんではないかと思う例は、農民に恩給がないのでありまするが、併し農民は孜々営々として國民のために供出をやつておるのであります。併し反面闇賣りをしまして、儲けておるという農民もあるのでありまするが、恩給問題に対しては十二分な研究をなすつておられると思いまするけれども、その点についてお伺いいたしたいのであります。又百二條の私企業からの隔離という問題でありまするが、新憲法によつて男女同権でありまするから、自分の職業を妻に讓つて、或いは子弟に譲りまして、この公務員に就業するということは許されるものだと思いまするけれども、それに対する見解並びに株主としての存在が非常にやかましく規定をせられておりますが、これも妻や子にその株券の名義を譲渡するという建前で行つた場合には、この公務員の採用條件というものはどういう工合に変つて來るものでありますか、お尋を申上げたいのであります。それから九十五條の、公務員は國民全体の奉仕者であると明記したからには、憲法の十五條によつて、罷免するという條項はどうしても書き加えた方が良い法律ができる。かように信じて疑わないのでありまするが、これにつきまして御答弁をお願いいたします。
#104
○政府委員(井手成三君) 只今御質問頂きました事項中、材料がちよつとございませんので、即刻にお答のできない点もございまするので、別の機会に譲つて頂きたい点もございます。それは現在まで恩給はどういう額であつたか、軍人恩給がなくなつた結果どうなつたか。案はこの点は外の資料を持つて來たのでありまするが、丁度今手許にございませんので、別の機会に、実は恩給法の関係の改正法案が今期議会には出ると思つておりますので、そのときに十分に御審議頂きたいと思いまするが、この委員会がいつ頃まで続きますか、御審議頂きまするか、ちよつと不安なものでありまするから、できるだけこの委員会にその点を報告さして頂きたいと思います。非常に減つたという抽象的なことを申すことは、多分五分の一ぐらいに総額としてはなつたのでないかというように、軍人恩給がなくなつた結果考えておりますが、今ちよつと的確には分つておりません。從つて今後どれ程要るのかということも見透しの数字を実は持つておつたのでありますが、只今持つて來ませんので、甚だ残念でございますが、御報告することは後刻に譲らして頂きたいと思います。それからインフレというような物價問題を頭に入れながら、今後の恩給制度ができるかという点でございますが、この法が忠実に勤務した者に対して、先ず第一に恩給を與える。そうして公務に基く負傷等でのびた者に対しても恩給を與えるという制度を作りまして、百七條で大体本人の退職又は本人の死亡後、適当な生活を維持するということを目標にいたしておりますから、当然この法律によつて要求されておりまする恩給制度は、そういう恩給でなければならんと考えております。実は恩給制度もここに書いてありまする如く、今後健全な基礎の下に計画されて、そうして人事院によつて運用されるものでなければならん。成るべく早くその案を作ろうとするのでありまして、実はこの今後の機会に國会の御協賛を頂くことになるのでありまするが、ざつくばらんに申上げまして、十分なるこういう制度の恩給制度ができるという確信がまだあつてこれを出した次第ではありません。率直に申上げて今後の研究に俟ちたいと考えております。大方向といたしましては、今までは官吏だけでありましたが、官吏、雇傭員に通ずる制度になると考えております。それから恩恵的な要素を取除いて、所得能力の欠如の保障を中心とする健全な基礎の下にということで、成るべく保險計算的に行つて、國庫にその時その時に、思いも掛けんような圧迫を加えないような計画が、できることが望ましいと考えております。それから養老年金を成るべく中心にする。そうして所得能力を失つた者の生活安定を図る方向に行きたいと思つております。官吏、國家使用人のみに恩給制度があるのは農民等との関係からどうか、という御質問であります。農民等は自己営業者でありますので、いわゆる社会保険におきましても対象となることは非常に困難に考えております。併し被使用者であるいわゆる俸給生活者と官吏とを通ずる社会保険制度、或いはもつと廣い社会保障制度というようなものが大きく取上げられますれば、恩給制度もこれによつて、多分に変更を加えられるだろうと思いますが、まだその見透しが付きませんので、この國家公務員法としては恩給制度の存続を考え、而も國家公務員を目標にして一應作つております。從つて農民等についてどうするかという仰せにつきましては、社会保障、生活安定の保護法というような面においては別でありますが、こういう國家から年金を與えるというような制度としては、今日のところ計画がございません。それから私企業からの隔離と関連して、妻が商賣をやる。或いは子供が商賣をやる。或いは株を子供や妻の名義にするという点は、どうかという点でございますが、御質問の中にございました如く、正に一個々々の人間として権利能力を尊重されておりますから、この法案としては、表向関係いたしておりません。併し実際は妻という名義において、本人が事実その商賣をやつておるというようなことになれば、これは法の表は自分が営なんでいないといつても、事実確認されればこの服務制度の違反になつて來るだろうと思います。それから罷免について條項を置いたらどうかという点でありまするが、先程から長官が説明いたしました如く、この制度としては、理論的には一應はそういう制度がなくても憲法上は差支ないということで出ましたが、非常に適切な制度があつて、そういうような案が入りますれば、これは又我々として決してそれを否定する必要はないし、非常にうまい運用ができるように、我々としては十分に考慮し得るものだと考えております。
#105
○小川友三君 関連して……。
#106
○理事(山下義信君) 簡單に願います。
#107
○小川友三君 先程片山首相は、來年の五月か六、七月頃にこれを実施したいという御意向でございますが、この法案には、昭和二十四年の一月一日には設置されなければならないということになつておりますが、総理大臣は嘘を言つたのであるか、これを知らなかつたのであるか、見当でお答えしたのであるかということに対してお伺い申上げるのであります。占領下の我が國の状態であつて是非これは早くやりたい。そうして野に遺賢なからしむるところのいわゆる人材を拔擢登用して行くという方法であると総理大臣は縷々申されまして誠に結構な法律ではありまするが、特に恩給法を制定するというような場合があるのでありまするが、それに対してインフレとデフレと境目であるところの重大なる國家の運命の岐路にあるときに人材をどういう方面から特にそういう方面に拔擢をするかという具体案がなくて、ただこうした法律の條項のみを羅列しておるということは、総理大臣が言われた人付拔擢主義というはつきりした名目に副わない点があるのではないか、かように思いますのでちよつとお答えを願います。
#108
○理事(山下義信君) 小川委員に申上げますが、総理大臣はおいでになりませんので……。
#109
○小川友三君 政府委員から御答弁を願います。
#110
○理事(山下義信君) 何かお答になることがありますか。
#111
○政時委員(井手成三君) 総理大臣がどういう趣旨でおつしやいましたか私聞きませんでしたが、恐らく第一條で七月一日で実体規定ができて行くという点につきまして、五月六月七月というような、何か少し茫洋とした言葉でしたが、これをおつしやつたのだと思います。人事院は少くとも昭和二十四年の一月一日には実施する。それから臨時人事院はこの案では準備は直ぐに始める、実体規定は來年の七月一日から、そうして実体規定につきましても中味もできるものからどんどんやつて行く、従つて恩給制度はこの実体規定として置きまするが、成るべく早く立派な案を作つて國会の協賛を経ろということを要請せられておりまして、その規定ができるのでありまして、これができるだけ早くできるということをこの法律は要求しておる次第だと思います。具体的の人事のことは私存じておりませんが、少くとも臨時人事院につきましては、この法律が成立しまして直ぐに実施されるということになりますれば、総理としてはおのずから構想があることだろうと考えております。
#112
○岩間正男君 恩給制度のことについてでありますが、恩給制度はこれを全面的に廃止すべきであるという意見を持つものであります。その理由としまして、いろいろ考えられると思いますが、先ず第一に天皇の官吏から、人民の公僕として発生するこの新公務員法案において、そういう特権的な存在を必要としないのじやないか。それから從來の恩給制度の弊害として官吏が恩給に頼り過ぎて、非常に無氣力になる。自分の十分な職責を果すというよりも、何とか年限を繋いで行つて、それで以て恩給を貰おう。つまり恩給亡國というような言葉が先の委員からもお話がありましたけれども、その亡國の意味は、單に経済的な加重というような意味だけでなくて、実は官吏自身の勤務の消極性、そういうふうなところに原因して來る。更に第三の最も大きな理由として挙げられるのは、これに対しまして全官の諸君が恩給制度の廃止を望んでおることであります。この適用を受けるところの公務員諸君が、その意向としまして、恩給制度の全面的な廃止を望んでおる。そうしてその代り、それに対して退職の際には、法律の定めるところに從つて退職当時の本人及び扶養家族の生活を何とか維持するに必要な退職手当を支給して貰いたい。つまり退職手当としてそれに当てて貰いたいというような、これは要求と書いてあるのであります。こういう点から考えまして、今の説明によりますというと、從來の恩給の観念とは大分違つて、社会保障的な意味を持つておるような恩給の立案ということを政府は考えておられるようでありますけれども、併しそういうような中途半端なものをこの際むしろ廃止して、大胆に新しい体制に即應して行くことが必要じやないかと、こういうふうに考えられる次第でありますが、これに対して政府委員の御意見伺いたいと思います。
 尚次にそれと関連して、この新しい恩給法が施行されるというようなことになつた場合に、現在の恩給を受けておる人達、そういう人達が非常にこれはインフレによつて、殆ど過去に受けたところの恩給、その恩給の支給方法というものは何ら改正されていない。そのために全面的な生活の崩壊が來ております。例えば具体的な例を挙げますというと、相当長年の勤続をして、まあ教員の場合でありますというと、三十年くらい勤続をしておる。ところが大体それで月二百円の恩給を受けておつて、何とか老後の生活を保障されておつたのでありますが、併し現在においては、全然そういうようなものは、二百円を受けたところで全然意味をなさない。こういうようなものと連関して、新しい社会保障の立場からどういうように考えられるか。新しい公務員法案は、單に新しい公務員だけの生活を規定するというようなものであるか。それとの連関において、過去のそういうような利益を受けておつた人達の生活が、どの程度保障されるかということを考えておられるか、この二点についてお伺いいたします。
#113
○政府委員(井手成三君) 現在の恩給か特権的な制度と考えられるというような点は、実は恩給の内容が、民間会社の相当な給與、この頃はいろいろな制限を大きな会社でも受けておりますが、從前と比べて必ずしもよいものだとは私思つておりません。且恩恵的な、特権的な存在であるというようなことになりますと、むしろ一般職員にはお氣の毒な感もするのであります。併し一面先程お話のありました農民その他そういう何と言いますか、休職、退職時の給與を貰えないような人にとつては、これは非常な特典であります。いろいろ全官の方で、一時金の方にしたらよかろうと言つておりますが、この法律では年金を考えております。併し言葉としては恩給という言葉でどういう制度ができますか、実はまだはつきりしておりませんが、一時金にした方が非常によいのじやないか。併し大体商賣というような能力が殆どない者に沢山の一時金を一遍に與えては、それを何らかの方法ですつてしまりというような点から見て、果して官公吏の退職時にそれが適当であるかどうか、この一時金制度と年金制度との利害得失はまだ檢討の余地があろうと思つております。恩給制度があるが故に恩給年限までは無事に勤める。大した仕事もしないが、成るべく失敗もしない。上官とうまを合せていくというような無氣力な点が、この恩給制度から出ておるとすれば、これは恩給制度が非常に惡い方に影響したのだと思いますが、この点については他の角度から打開が考えられてよいのじやないかと思うのです。今岩間さんは、恩給制度を廃めてなにか違う制度と仰しやつたが、恩給制度の名においても、可なり今言われた改善ができるのじやないか。我々は、今日まで続いて來た恩給制度を一挙にして廃めて、これに代る制度を打ち立てていく自信がまだありません。そういしてそういう制度を敢然として掲げるだけの自信がなく、今の恩給の内容を改善した恩給制度をやりたいというのがこの制度の狙いでございます。更にもつと高い、もつと優れた意義から、もつといいものが考えられるかも知れませんが、今日我々としては、それに対して幾多のまだ研究不十分なるものもあり、出すことができないので、恩給制度というものを維持し、そうしてその内容をよくしたいという方向で考えた次第であります。
 それから恩給が現在のインフレその他の関係では、もう殆ど從前の意図したところと外れておるという点につきまして、非常に苦慮いたしております。この点につきましては、いずれ恩給法の関係法令の改正におきまして、國会の御審議を受けると思いまするが、関係方面と非常に折衝しております。そうして現在の恩給受給者に対する問題を、何らかの方法で打開したいと思つて、今非常に苦慮いたしております。決して等閑にいたしておりませんが、なかなか関係方面の了解も進みませんで、進行していない次第でありまして、非常な決意で恩給当局をも督励してやらしております。政府の首腦部でも非常に関心を持つておられると私は考えております。新公務員法ができますれば、新恩給制度で受けます者と、從前からの恩給受給者はどうなるかという点でございまするが、新公務員法の恩給制度が発足しますれば、恐らく同じような條件において、それ以後はそれに代るだろうと思います。ただ過去の不足分が遡つて貰えるかということになりますと、恐らくそれは困難であるんじやなかろうか。こういう工合に考えております。
#114
○北村一男君 私は簡單にお伺いしたいのですが、恩給という言葉から來る感じが非常に惡いのであります。これは誰が一体恩給するのか、恩給という言葉を一つ改めて頂きたいと思うのであります。つまり年金とか、まあ私も今適当な言葉はありませんが、少くとも恩給という言葉は、これは改めなければならん文字である。かように考えるものであります。
 それから岩間委員も仰しやいましたが、私もやはり恩給は、これは農民、さつき小川君も言われましたが、農民との釣合から見まして、成る程農民は雇われたものでないから、恩給という制度はどうも適用されんというお話でございますけれども、今日の農民は、自分の意思で自由にやれるというような時代と違つておりますから、さような意味におきまして、官吏にばかり恩給というような制度を残して行かれるということについては、どうしても農民が納得できないと思います。昔いい若い者が恩給がついたと言つて、天氣好いときに鳥を飼つたり、魚釣りに行くというようなことに対して、どんなに反感を持つたか、こういう事実から思い合せまして、こういう制度は止めまして、やはりそのときどきの経済事情に即應したような一時金をやることが適当だと考えます。御答弁は、この恩給という文字を改められるような御意向が政府にあるかどうか、その点だけで、後は私の考を申上げたのでありますから、その点について……。
#115
○政府委員(井手成三君) 確かに恩給という言葉が、あまり内容を妥当に表していないというので、この法案の進行の途中に対しても、相当首をひねつた次第でございます。何か代るべき言葉をお教え願えれば、勿論私共はこれについて行くことに吝ではないのでありますが、結局智惠がなくて、こういうことになりました。然らば恩給というものはどういうものであろうか、これは公務員法ができてしまえば、誰から恩を受けるのだろうと聽かれると、恐らく國家全体のために奉仕したのであるから、國家全体からこれを頂くということに解釈して行くのだろうと思いますが、從前の印象もありまして、非常に妥当な言葉とは私も思つておりません。そのことを率直に申上げまして、それに代るべき言葉がなかつたために、從前のまあ内容を表わすのには、一番こういう内容のものだということは、恩給といえば直ぐ分かるものでありますからおいた次第でございまして、非常にこれがいいといつて固守する政府は考は毛頭ありません。
#116
○中野重治君 やはりそういう問題に関係するのですが、今の恩給という言葉の問題に関して見ますると、これは恩給という言葉が、その内容が変わるのだから、正しい言葉とは思わない、というような言葉がありましたが、これは惡い言葉だということをはつきりして、いい言葉ではないけれども、恩給というのは便利だということを使うという限りにおいては、從来の恩給思想で、これが與えられているという現実事情はよく分つて頂かなければならんと、こう私は考えます。それでは大体これが今までの恩給思想に基く恩給とは別個のものになつて行かなければならんという感じは、政府委員の方でもお分りのことと、私としてはとりましたので、それだけに止めますが、この問題は経済的な保護という面では恩給という言葉になつて現れて来ますが、服務の場合の第九十六條、それから九十七條、九十九條、百一條なんかにも関しますが、とにかく九十六條、九十七條、九十九條というふうなところに現れている宣誓の義務、それから服從の義務、それから祕密を守る義務、こういうものと結付いていると私は考えます。その点私は恩給が廃止されねばならんと同時に、それと結附いている宣誓、服從、秘密遵守と、こういうものが全面的に削除されなければならん、こう考えるのであります。何故かといえば宣誓の問題は、これは人事官の問題の時にもありまして、あの場合は人事官は何を誰に宣誓するのかという質問に対して、その時何かお答があることはあつたのですが、とにかく最高裁判所長の面前において、宣誓書に署名するというような言葉が書き表されていることは、最高裁判所長に対して宣誓するというお答があつたのでありますが、その思想がここにも流れて來ていると思います。この場合は人事官でなくて、一般公務員の場合ですが、この服務め宣誓ということは、私はそういうこの案が作られたイデオロギーから切り離して言葉として見れば、これは九十五條にも公務員の根本規定がありますし、サービスの根本規定がありますし、その他方々にあります。こういう宣誓を更に形式的になさねばならんということは無駄なことと思います。それからその次の、上司の命令に從う義務というものも同樣であつて無駄です。ところがこういう無駄が、なぜこういうふうに法律に制定されねばならんと思われて來ておるかということの、日本の今までの役人の生活というものは、こういうもので縛つておく。そうして併しながら恩給は呉れる。こういう仕組になつておつたかに考えます。それですから、例えば九十九條の「職員は、職務上知ることのできた祕密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同樣とする。」こういうことが出て來る。それで秘密というものは守られないでもよいか。守らねばならないかというふうな問題を出せば、一部は守らなければならないということがあるに違いない。併しながら政治を民主化し、いわゆる官僚主義というものを徹底的に民主化するということは、別の言葉で言えば、いろいろの公務員の全体、政治的、又公務員的活動が何と言いますか、俗な言葉で言うと、ガラス箱の中において行われる。それですからいわゆる祕密というものを官公吏の仕事からできる限り排除する。徹底的に排除して行くというところに、官公吏の民主化ということがあるのですから、祕密というものを成るべく作つて、それを守るというようなことは原則としてはないように話を持つて行かなければならん。こう考えます。ところが祕密を漏らしてはならない。而も「職を退いた後といえども同樣とする。」ということが、今まで日本の官吏服務紀律というものがあつたかないかどうか私は知りませんが、こういうことは実にべら棒なことであつて、これは基本的人権の侵害と言わなければならん。こう考えます。それでそんなような祕密を守らせるというようなことは、今まで日本でどう行われておつたか。又こういう規定によつて恩給なんかと結附けられておる以上は、どう受取られておるのかと言えば、非常に滑稽な、腐敗的なことが行なはれておる、簡単明瞭に言いますと、私共は、今は煙草の配給がちよつと前と変つておりますが、煙草屋で煙草が買えたことがある。煙草屋で煙草が買えなくなると、そうすると煙草の値が上る。卵屋から卵が姿を消す。そうすると必ず暫くたつて卵が値上りする。これがもつと大きな問題で、金融に関する問題、私はその方のことはよく分りませんが、とにかく新円と旧円との切り換えとか、そういうようなことがあつた場合には、こういう祕密は一般人民にはうまく守られる。併しながら業者、その上層部には必ず筒抜けになる。そうしてそれを守つたけれども、その方面の特殊の早耳で云々、特殊の早耳という言葉を平氣で使われて来ておりますが、それによつて大きく利得される者には祕密は全然守られていない。それで一般人民に対しては、祕密は必ず守られる。それは官吏に祕密を守れということを強制して、強制する方は自分の利益になるようなことは、一般人民に祕密にするということを一般化してしまつて、そうして官吏は祕密を守らねばならんという方式でやつて來たわけであります。あらゆる場合にそういうことが現われておる。それですからその他の基本條項によつて、官公吏が人民の公僕として仕事をしなければならんということは決り切つたことであつて、改めて宣誓し、改めて服従の義務を担ぎ、それから役人を辞めた後にも祕密を守らねばならん。服從は直接には直属長官に服從するという形になつておる。そうしてそれが恩給の場合なんか、長い間忠実に仕事をした場合は恩給を呉れる。この忠実に勤めたということは果して國民の公業として仕事を忠実にやつたということになるか。それとも直属長官或いは直属でなくても、上役の髭の塵をどれだけ忠実に拂つたかということになるか。非常に曖昧になるわけであります。今までの日本の行き方では、それがやはりそのままここに現われておる。私は職を退いて後と雖も祕密を守らねばならんといずことはべらぼうなことだと思います。服從というようなことが官公吏の活動のイニシアチーブを発揮させないで、とにかくはみ出ないように守つて行く。欠格條項に落ち込まないように、それだから一方では判が沢山必要になつて來るし、ちつとも活発に動かない。つまり非能率の根源、それから祕密というものはどうかと言えば、それが絶滅されなければならんのに、祕密が保たれ、その祕密は一般人民に対してのみ保たれて、少数の特権者には必ず筒拔けである。その方はガラス張りだ。それから役所なんかで、いろいろ材料なんかにゴム印の祕密の祕と書いた判を捺しております。あれを見ると実に下らないものに判を捺して、中には特祕などやつて、あれを持つて歩き賣つて歩くわけです。これが非常に沢山ある。
#117
○理事(山下義信君) ちよつと中野委員にお願いいたします。御質疑の要点を……。
#118
○中野重治君 こういうような実情から、私は九十六條、九十七條、九十九條を全部削除すべきもの、それから九十九條の「その職を退いた後といえども」というようなことは言語道断であるというふうに考えるわけです。そういう点に関して、私の説明は少しどたばたして皆さんに大変御迷惑をかけましたが、その意味合から言つて、削除に賛成されないかどうか。
#119
○政府委員(井手成三君) 御趣旨はよく分りました。先ず最初に恩給制度に関連して、それと裏表になつておる、こういうような制度があるじやないかという点が、第一点のように思いました。この恩給制度は場合によつては社会保障制度或いは一時金制度というものに変り得ることがあるかも知れないと思います。併しそういう場合と雖も今言いました服務のこの規定は存続しなければならんと考えております。恩給を將來與えるから、こういう制度を置くということとは一應関係がなく、國家公務員として、國家行政権の活動の一部に当つておる。その実施の一部を担当するということから、行政権の職務上関係のある祕密を守るという義務が出て來るのでありまして、昨日辞めたから今日はよろしいということでは、これは行政の何といいまするか、祕密が……この秘密の問題ですが、非常に祕密というものを濫用するとか、そういう運用の惡いことは別であります。正に中野さんの仰しやつたように、これは十分に正しく運用されなければならん。一般には祕密であつて或部分の特権者には祕密ではない。そういうべら棒なことがありますれば、これは徹底的に皆やつて、なくさなければならんと思いますが、そのことが事前に出るということによつて、非常に衝動を起す、外交上非常に險悪なるものになる、或いは一部の者が非常に利得するというようなことがあれば、これは在職中と雖も、又退職後と雖も、やはり必要だろうと思うのであります。要はその運用だと思うのであります。これはたびたび引合に出して惡いのですが、國会職員法等もこういう規定がございまして、職を退いた後ということがございまして、私共は、この前例は惡いものではないと思つて踏襲しております。上官に対する服從義務、これは單なる封建的な服從はいけないというので、今囘は從前の制度に変えまして、職務上の問題について服從する。これは上下の紀律を置く以上は、なければならないと思います。上下の階級があつて仕事をして行くには、署長のいうことを巡査が聽かないということでは、行政の活動はできませんから、職務上の限度においては必要と思います。
 宣誓は新しい制度でありまするが、新しい國家公務員法の発足に当りまして、公務員の地位に就くというときに、こういう心を新たにするというような機会があるということは、私共はよいものと考えております。
 それから忠実にということはどういうことかという仰せでございましたが、これは正に上官に対して追從するという意味では決してございません。若しそういうことに運用されれば非常に悪いことでございまして、我々は十分御鞭撻頂きたいと考えております。
#120
○理事(山下義信君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#121
○理事(山下義信君) 速記を始めて。それでは本案全部を一括いたしまして御審議を願うことにいたします。尚この際、國家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律案、この件も併せて御審議を願いたいと思います。
#122
○千田正君 私の質問は、罰則の條項の第百八條には、「第三十九條の規定による禁止に違反した者は、」云々と書いてありますが、この際この規定の中に、轉職ということを理由としまして、從來例えば嘗ての政党華やかなりし頃に、樺太の山林拂下事件のような、一営林局長若しくは課長が轉任に際して、一つの党の利益のために山林の拂下をやつたというような忌わしいところの涜職罪が、しばしば嘗ての政治史上に見受けられたのでありますが、この点の罰則に対して今度の公務員法案の中に織り込んでおられますかどうか、この点を一つお伺いいたしたい。
#123
○政府委員(井手成三君) この公務員法案におきましては、人事、即ち轉任試驗、或いは休職、退職というような人事という行政の面のもののみに触れております。轉任に際して職務上の地位を利用して職権を濫用して或者に利益を得させる。或いは又利得を得るということは、これは一に懸かつて刑法の涜職罪の方の規定で行きたいと思つております。現在の刑法が大体賄つておると思いますが、そこに不十分な個別がございますれば、その方の系統でやらして頂きたいと考えております。これは利得を得て人事行政を左右するという方の問題をとり上げておりまして、人事の異動に際して、他の方の惡徳行爲をするというようなことの方は、その刑法の方の問題として、我々としては考究させて頂きたいと考えております。但し、申されたような問題は非常に重大な問題でありますから、若し不十分でありますれば、十分政府としては考究して、よい制度にしなければならないと考えております。
#124
○理事(山下義信君) 私も一つ質問いたしたいのですが、第九十五條に服務の根本基準がありまして、國民全体の奉仕者としての心構えでやれよ、こうあります。第八十一條には、懲戒規定の第三号には、「國民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」とあるのですが、この國民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行とは、例えば事例を挙げてお示し願いますれば、どういうことでございましようか。或いは人民に対して非常に威張る。生意気そうなことを言う。横柄な態度をとるというようなこともこの第三号に入るのでございましようか。その点を一つお示し願いたいと思います。
#125
○政府委員(井手成三君) 只今の御質問でございますが、第八十一條の第三号は、これは非常に、どういう例かというと、もう千変万化であろうと思いまして、具体的になかなかむずかしいと思いますが、今お示しのような例が相当の程度に達しますれば、当然これに当嵌まるものだと考えております。
#126
○天田勝正君 私は第五條第一項、第二項と、それから第八條の第五項について質問したいと思います。この問題については、本委員会におきましても、一番論議されたところでありまして、過ぐる頃、齋藤國務大臣は、結局これは見解の相違であるから仕方がないということで終りになつたのでありますが、もう一遍質問したいと思うのです。それは第一の点は、この第五條第一項、第二項の規定というものは、こういうものを原案として作つて、関係方面に持つて行つたから、こういうことになつたのか、或いは又初めからこういうサゼツシヨンがあつて、斯樣な規定をしたのか、それが一つであります。それからもう一つは、どうしても特に第五條の第二項はこれを入れなければ、どうしても不都合があると認められて、かような規定を入れられたのか。この二つでありますが、特に少々事由を申させて頂きますならば、私はかような規定があるということは、憲法の精神の破壞である。こういうふうに考えるからでございます。その一つの理由といたしましては、第一項の方では、人格高潔で云々と言つて、大変むずかしい條件が附けられまして、かようなむずかしい條件を附けられた人事官というものが、一方の院において承認されて、他の院において承認されないという理由がないのであります。あべこべに、両議院において承認されないような者は、第一項の條件は到底満たすことができない人間でありまして、さような者が人事官になり得ないというのが私共の考え方であります。それから第二項の終いに、「日本國憲法第六十七條第二項の場合の例により、」こういうことで、総理大臣の指名の例に倣つておるのでありますが、どう考えましても、総理大臣の指名というような、あれは行政の最高権を握ります総理大臣でありまするから、一日も空席にして置くことはできない。こういうようなところから、非常止むを得ざる措置として、誰かが早く決定しなければならないというので、両院のまあ精神というものを、極端に言えば多少曲げて、さようにしなければならない。こういうことであつた筈なのに、こういう人事官のことにまでいちいち持つて参る。本來國会法等によつていろいろ私が調べて見ましても、両院制度というものは、飽くまで両院平等が建前でありまして、特に衆議院の方が優先するというのは、憲法六十七條第二項の場合であるとか、或いは予算の先議権があるとか、或いは又法律案についての参議院からの囘付案についての、三分の二の同意というような措置についての場合であるとかいうことでありまして、その他の議案についても、いちいち一院で差支ないのだというようなことになりますれば、どう考えても憲法の精神に背馳するというふうに私は考えるわけであります。そこでこれはもう説明でありまして、決してさようなことにお答え願わなくてもいいのでありますが、最初申しましたように、どうしても関係方面のサゼスシヨンがあつたが故に、かような第一項、第二項というような、いわば背反するような文句を並べたのか。或いはこちらの方でこういうものを作つて持つて行つたが故にかようになつたのかということと、それからどうしても第二項をここに存置したければ不都合がある。当然これにつきましては第八條五項のこともさようでありますが、この人事官の中三人以上が同一政党に属することになつたという場合は、第三項を第五項で縛つておるわけでありますが、かようなことまでいちいち、いわば参議院は下風に立つというようなことになりましては、恰も縣廳と地方事務所の関係のような、ただ書類をそこを通して行くというようなことだけになつてしまうのではなかろうかと、かように存じますので、この点をはつきりして頂きたいと存じます。
#127
○政府委員(井手成三君) この点は國会の両院制度の根本に関係しておりまする重大問題でありまして、先日齋藤大臣がお答えになりました以上に、私如き者から附加えますることは、非常に恐れ多い感じがいたします。(委員長下條康麿君著席)これはこの前の齋藤さんのあれでお許し願いたいと思いますが、それ以外のことにつきまして、お尋のことについてお答えしたいと思います。サゼスシヨンがあつたかどうかの点でありますが、実は私非常にいろいろな仕事をやつておりまして、最後の方に法制局長官に代つて、実は向うに折衝した部面を持つております。それ以前の段階は法制局長官がやつておりまして、もつと基礎的なことは行政調査部の方でやつておりまして、このことがはつきり向うのサゼストであつたか、こちらが持ち出したかは、実は私がはつきり申し上げ難いのでありますが、多分会計檢査院の例でやろうということで、恐らくどちらが引出したか知らないですが、決つたのじやないか。その点について非常な強い向うの主張があつたかどうかは、私ちよつとはつきりは……、そうじやないだろうかというような感じがいたします。これは併しその時の具体的事実に私当面しておりませんが、多分会計檢査院の例でやろうということになつたのだろうと思うのであります。
 さてそれの経緯はともかく、こういう制度がないと困る。絶対困るようなことになるかという点であります。これは第一項のこういう嚴重な條件を恐らく両院の同意を得ることができるだろうと思うのであります。理論的に追究しまして、総理大臣が欠ければ正に困るが、それなんかとは大分違うだろうと仰しやるのでありますが、会計檢査院も人事院の方も、事務当局には代理することの規定がなく、事務当局の総長は、人事官会議を構成して、人事官会議を通して決めなければならんことを代理することはできない。從つて人事官が欠けますと、一應日本全國の公務員の人事行政が停まるという格好になりますので、理論としましては、これは欠けると困るということが言えるので、若し両院が一致しないで、そうしてできないということになれば困るのじやないかと言われれば、單にこれは理論でありますが、そういうことは言えるだろうと思います。併し事実はまあそういうことはあまり予想されないので、むしろこれは理詰にこういうことになつておるというような御批評の方は、或いは当つておるかも知れません。経緯のことはその程度で、若し必要でございますれば、尚調べて見たいと思います。
#128
○栗山良夫君 八十八條に関連してちよつとお伺い申上げます。八十八條は職員に対して不利益な処分を行なわれたときの各般の措置の問題が掲げられておりますが、ここで私は轉勤の問題についてちよつと伺いたいのであります。轉勤は人事の有機的な運用を図りまして適材適所に置くという意味において、これは勿論最も好ましい形で行われ、活発に行われなければならないことは当然でございます。特に高級の職員においては問題のないところでありますけれども、下級の職員におきましては、この轉勤はその性質上極めて多くの関心が拂われております。而も今までの各般の事例を考えて見ましても、下級職員におきましては、上司との間の意見不一致その他いろいろな名目を以ちまして、この轉勤が一種の懲罰、懲戒のような形で行われておるのはこれは現実の問題であります。特に私の耳にしておるのでも、教員の間においては、この弊は相当に著しいのであります。かようなことは民間企業においても相当行われますので、労働組合ができましてからは、経営協議会の中にこういうようなものを持ち込みまして、こういう不利益なことの行われることを防止いたしております。又官業労働におきましても、おそらくそれぞれの経営協議会を通じまして、人事のこのような問題が派生することは、現在すでにあらゆる処置を講じて防止するように努力が拂われておると思うのであります。たまたま八十八條にはつきりとこういう工合に書かれます以上は、このような問題も当然取上げて然るべきものだと思うのでありますが、これに対する見解を御質問申上げたいと思います。
#129
○政府委員(井手成三君) 轉所、轉職というような点が本人の不利益になるという場合は勿論あろうと思います。從つて裁判官というような、特に職務執行の妥当性を期するものにつきましては、職務の妥当という外に、それによつて人事を勝手にやられるということを防ぐために、転職についても、從前から或程度の保障があつた次第であります。併し一般的に見まして、人事異動が一般行政官に対しまして、それ程拘束されるということになりますると、これ亦國家の能率発揮、先日來から役人は能率が挙らない。もつと能率を挙げるようにしろというような要求からいたしまして、おのずからそこに妥当なことがあろうと思うのであります。ここに「いちじるしく」と書きまして、轉職というものを挙げておりませんが、極度に不利益だというようなことが如何にも客観的に考えられる場合におきましては、この第二項を使つて、本人側から昨日轉任して一週間目に又轉任した、又々轉任したというのでは、とてもたまらない。そういうようなひどい例になつて來れば、当然これは第二項によりまして、自分は不利益な処分を受けたということを申出て、説明書の交付を請求することができると思います。又何と言いますか、これに対して認めなければ、違法なる処分によつて権利義務を侵害されたというようなことから、更に出訴の途もあろうと思いまするが、ただ轉職が不利益であるかと言いますと、全部がそうなるとは考えません。非常に客観的に見てひどいというような場合は、そういうことになると思いますが、その制定はむずかしいのですが、本人側からも、そういう要求ができるように八十八條第二項を置いた次第でございます。
#130
○山下義信君 ちよつと伺いますが、第七十五條の降任、降給のところでございますが、降給は必らず降任が伴ないますか。それとも降任とは別に降給というのがあるのでございましようか。それから人事院規則でお定めになるということになつておりますが、降給、つまり給料が減らされるという場合は、概ねどういう場合でございましようか、又降給には階段でもあるんでございましようか。そういうところをちよつと伺いたいと思います。
#131
○政府委員(井手成三君) これはちよつと技術的なことになりまするが、例えば例が惡いですが、今の例じやありませんが、例で申上げさして頂きます。昔書記官、事務官、属と仮にあつたとします。書記官から事務官と、等級が今後はそういう制度を作りませんけれども、降しますと、書記官から事務官に降任されるわけであります。その書記官の中の給料が仮に千五百円千三百円、千二百円、千円という工合にありまして、たまたまその人が千五百円という書記官で、事務官の方の給料は千三百円、千百円、九百円というようにありますと、自分が降りた方には該当する俸給がありませんからして、必ず降給されると思います。しかし降任は必ずしも俸給を下げることを要求しておりませんから、書記官の方にも千三百円の給料があり、事務官の方にも千三百円という俸給があれば、降任のためにどの俸給を上げるかということは又選択の余地があろうと思うのであります。この辺のことは実際職階制度がはつきりしませんと的確に申上げ兼ねまするけれども、大体において降任されれば現実に降給という制度がついて來るという工合にお考になつて結構だと思います。一等級一俸給というような例があれば、必ずそれはもう降りる。そういう場合があり、又級が下に下つたときに俸給の内容も一緒に下るということが多いので、それを二項の人事院規則の定めるところで書きたいと考えておるわけであります。降任された場合に從前の俸給から下る。殊に相当する俵給がなければ、当然下るということになると思います。更にその他に二項で降給する例は、勤務実績のない者は、降任はしないけれども、千三百円のランクから千二百円。千百円という工合に降します。八十点以上取つた者はどう、六十点から八十点の者はどう、六十点以下の者はどうというふうにアメリカあたりの例もございますようでございますが、今後その辺を研究しまして、日本に向くようにしたいと考えております。
#132
○天田勝正君 この八十八條ばかりではありませんが、特に降任という問題についてお伺いしたいのですが、現在小学校などでは、校長先生になるには確か選挙制度によつてやつた筈なのですが、ああいう場合に、ずつと前でありますると、高等官何等待遇などとかいうことがありまして、首席訓導もそうであります。そういうことになつて今度は首席訓導からよその学校に行つた場合に、それより下る。校長で高等官待遇であつた人が、校長でなくなつたというような場合に、別に高等官というその方は一向影響がなくて、ただ校長という名目から校長でない名目の一般の訓導になつた。こういうだけであつたはずです。ところが恐らく職階制度が実施されますれば、校長というものは、首席と申しますか、言葉は惡いかも知れませんが、首席と、その他の一般の訓導というものと、皆それぞれ職階で決つたもので、どうしたつて校長が普通の一般の訓導になるということは、これは降任、こういうふうに見るより仕方がないと私は思うのですが、そうなりますると、現在のような教員同士の選挙によつてこう行われたという関係は、今度のこの降任というか、或いは同時に昇任もそうであります。昇任というようなものは、どういう関係で結び付けるお考であるか。その点をお伺いしたいと思います。
#133
○政府委員(井手成三君) 選挙と仰しやつたが先生同士の選挙ですか。
#134
○天田勝正君 これは私も全部研究しおりませんから、多少当らないかも知れませんが、埼玉縣あたりでは、明らかに選挙をやつたわけであります。それで二十五の人も校長になり、今の校長先生が普通の訓導に滑り落ちたというのが、実際に沢山例があります。明かに選挙であります。
#135
○政府委員(井手成三君) 実際問題としまして、この間都立高等学校の校長を補充されます場合に、部内の選挙を事実やつたそうでありますが、実際問題といたしまして、今の例は府縣では、校長が五等待遇の校長先生が非常に有能である。又学校指導に有能であるというので視学に持つて來る。視学は昔から判任官にしか当つていないわけであります。有力な校長が判任官になつて來るというようなおかしな例があつたことは事実でございます。今後は、然らば御本人の持つている視学能力に感じたポストにつく。そういう能力によつて校長にも割振る。視学にも割振る。大きな小学校の教頭、場合によつては学級主任、もう少し小さければ受持主任というような、クラシフインケーシヨンをして、一定の程度の者を校長に当てる。同じようなグレードのものを大きな学校の教頭にも当てる。或いは縣の学務課の首席視学にも当てる、という工合にいたしまして、即ち本人の同じ資格の者が校長にも教頭にも行き得るような制度にいたしまして、身分の下るようにしたくないというのが、この職階性の狙いなのであります。昔は校長ならば高等官になれた。視学は言葉が悪いですが、視学は高等官三等級のポストである。校長もそうであるとなれば、同じようなポストを今度は官制と申しますか何になるか知れませんが、割振つて行くことになります。校長の中にも高等官三等又は判任官の一等、どれでもいい。若い人でも判任官一等でも、いきなり校長にしてもいい。又高等官三等くらいの人もいいというような割振り方もいたしまして、從前のように職が変つたら必ず官等を下げなければならんという不合理なことは、今後は撤廃したいということは職階性の運用で考えている次第であります。
#136
○中野重治君 八十八條のことですが、ここに「いちじるしく不利益な処分を行い、」「又は行おうとするときは、」という言葉があるのですが、言葉をお尋ねしたいのですが、いちじるしく不利益な処分を行うという場合、「行おうとするときは」にかかりますね。
#137
○政府委員(井手成三君) さようでございます。
#138
○中野重治君 そうしますと、これはその処分の当不当とは無関係であろうと思われます。というのは不当な処分を行うということはあり得ないわけでありますから、そうしますと、いちじるしく不利益なというのは当不当とどういうふうに概念上差別されて扱われるのでしようか。もう少し説明しますと、つまり惡いことをしたために免職になるという場合ですね。そのことは当然なことであつて、いちじるしく不利益なということにそれも入つてしまうのか、それとも入らないのか。
#139
○政府委員(井手成三君) 第八十八條の「いちじるしく不利益な処分」には、必ずしも違法を要求いたしておりません。非常に不当な処分が入つております。
#140
○委員長(下條康麿君) 暫時休憩いたしまして、食事をいたします。
   午後七時二十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後八時五十四分開会
#141
○委員長(下條康麿君) それでは休憩前に引き続き会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
   午後八時五十五分散会
 出席者は左の通り。
  労働委員
   委員長     原  虎一君
   理事
           堀  末治君
           小川 久義君
           栗山 良夫君
   委員
           天田 勝正君
           千葉  信君
           山田 節男君
           平岡 市三君
           植竹 春彦君
           紅露 みつ君
           奥 むめお君
           川上 嘉市君
           竹下 豐次君
           松井 道夫君
           中野 重治君
           岩間 正男君
  決算委員
   委員長     下條 康麿君
   理事
           太田 敏兄君
           西山 龜七君
           山下 義信君
   委員
           岩崎正三郎君
           北村 一男君
           平野善治郎君
           深川タマヱ君
           小川 友三君
           小野  哲君
           伊達源一郎君
           帆足  計君
           千田  正君
           西田 天香君
  國務大臣
   内閣総理大臣  片山  哲君
  政府委員
   総理廳事務官
   (行政調査部公
   務員部長)   淺井  清君
   総理廳事務官
   (行政調査部総
   務部長)    前田 克己君
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局次長   井手 成三君
ソース: 国立国会図書館
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