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1985/04/23 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 国民生活・経済に関する調査特別委員会技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会 第1号
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1985/04/23 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 国民生活・経済に関する調査特別委員会技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会 第1号

#1
第104回国会 国民生活・経済に関する調査特別委員会技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会 第1号
昭和六十一年四月二十三日(水曜日)
   午後零時十二分開会
    ―――――――――――――
昭和六十年十二月二十四日国民生活・経済に関す
る調査特別委員長において本小委員を左のとおり
指名した。
                梶木 又三君
                関口 恵造君
                長谷川 信君
                平井 卓志君
                山内 一郎君
                佐藤 三吾君
                矢原 秀男君
                吉川 春子君
                藤井 恒男君
同日国民生活・経済に関する調査特別委員長は左
の者を小委員長に指名した。
                梶木 又三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        梶木 又三君
    小委員
                関口 恵造君
                長谷川 信君
                山内 一郎君
                佐藤 三吾君
                矢原 秀男君
                吉川 春子君
                藤井 恒男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○調査報告書に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(梶木又三君) ただいまから国民生活・経済に関する調査特別委員会技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会を開会いたします。
 調査報告書についてお諮りいたします。
 本小委員会は、昭和五十八年十月五日、技術革新に伴う産業・雇用構造等について検討することを目的として設置されて以来、三カ年にわたり調査を進め、その間二回の中間報告を行ってまいりました。
 このたび、二回の中間報告及びその後の調査結果に基づき、各派懇談会で各小委員の御意見もお聞きしながら協議を行い、お手元に配付いたしましたとおり本小委員会調査報告書案を作成したところであります。
 本日は本案を本小委員会の報告とすることの決定をいただきたいと存じます。
 本案について吉川春子君から発言を求められておりますので、この際これを許します。吉川君。
#3
○吉川春子君 今日の国民生活経済調査特別委員会・技術革新に伴う産業雇用構造検討小委員会の報告書に対して我が党は別の見解を持つので以下我が党の見解を述べます。
 技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会のこれまでの調査の中で、またこの間の政府の技術開発の施策を見るに及んで、政府の進める大企業中心の技術開発が巨額の国費を湯水のように使いながら、先端技術の軍事利用、中小企業、地場産業つぶし、人減らし合理化による雇用不安、労働強化等々、国民の利益と相入れない方向に向かっていることがいよいよ明らかになりました。前二回の小委員会中間報告、そして今回の最終報告は部分的には評価すべきところもありますが、全体としてこうした政府の進める技術開発施策を追認するものとなっています。特に最終報告となる今回の報告は小委員会としての「提言」を含むものであり、今後の技術開発の方向づけにも一定の影響を与えるものであるだけに、我が党としてはこの報告には到底賛成するわけにはいきません。報告案作成に当たっては事前にメモで我が党の意見を表明しましたが、ほとんど加味されていません。また、出された報告案は一、二の字句の修正によってはとても補い得るものではありません。そこで我が党としては、この最終報告に名を連ねることはせず、ME化、バイオテクノロジー、新素材開発などの技術革新の進め方について独自の見解を以下述べることとします。
 ME、バイオ、新素材の技術の進展は、原子力の利用、農業、医学の発展等、国民生活の向上と安定、社会福祉に大きな展望を与えています。特に職場のME化はこれを労働者の立場に立って進めれば、労働条件の改善に役立たせることが大いに期待できます。技術革新の成果を国民に還元するために次のことが必要です。
 第一は先端技術の軍事利用を一切許さないことです。
 武器技術の対米供与が公然と行われ、中曽根首相はレーガン大統領に対して国会決議にも反してSDIへの参加を検討すると約束しました。SDI構想は相手のミサイルを撃ち落とすことでみずからの核戦争を勝利に導くという核戦争遂行の危険なものであり、際限のない核軍拡競争の悪循環を宇宙にまで拡大し、核兵器廃絶を後景に追いやる口実にもされています。こうした先端技術の軍事利用、日米軍事技術協力を一切許さず、あくまで平和と国民生活向上のために役立てることが必要です。そのためには憲法の平和条項、原子力基本法の平和利用三原則、宇宙開発事業団法の平和条項などを厳守し、日本の科学技術の軍事利用の規制を抜本的に強化する必要があります。また、安保条約を廃棄し、日本の非同盟中立を実現して、軍事利用の危険な環境を排除することが必要です。
 第二は公害、災害、環境破壊をもたらさないことです。
 各地に続々進出している半導体製造工場が多種類の有毒ガスを使用し、労働者の生命に危害を及ぼしています。これ自体重大な社会問題でありますが、こうした危険な工場が今後公害を発生させ環境を破壊させる元凶となるおそれは十分あります。厳重な監視体制をつくり、安全が確認されるまで工場誘致はしないこととし、公害や災害を防止し環境を守るためにこそ先端技術を駆使すべきであります。
 第三に情報化社会への対応と情報・通信事業の発展、サービス向上の問題です。
 電電公社の民営化によって、情報・通信事業の公的な性格が否定され、国民の負担の増大、サービス低下、また巨大企業による情報操作の危険、個人のプライバシー侵害が危惧されています。情報・通信事業の民主的発展とサービス向上のためには通信事業を公社形態に戻し、意図的な情報操作を行わせない民主的な情報管理と個人のプライバシー保護の徹底を図ることが必要です。
 第四は中小企業、地場産業の振興に寄与することです。
 ハイテク産業を中心とする大企業の利益、内部留保が年々膨れ上がっている一方、中小企業の倒産件数は毎年のように記録を更新しています。また地場産業、伝統産業はブームに乗ったごく一部を除いて低迷しています。日本経済の土台は中小企業であり、これを振興し、そこで働く労働者が潤ってこそ初めて消費も伸び、経済は安定するのです。中小企業振興対策の充実、技術援助、情報提供の場を拡大することが必要です。
 第五は職場のME化を労働者の立場で進めることが必要です。
 現在、職場のME化が急速に進んでいます。資
本の立場で生産性のみを追求する結果、労働者をなれない仕事に追い立て、あるいは失業に追い込み、労働災害、精神障害を多発させています。ロボット殺人、テクノストレスによる障害、自殺が各所で起こっているだけでなく、ほうっておくと今後ふえていくことが予想されます。こうした被害を防ぐためにFA化、OA化を進めるに当たっては次のことに留意することが必要です。
 一、労働時間、賃金、安全衛生の各面で労働条件の改善を図り、特に労働時間短縮は国際的にも要請されており、焦眉の課題として位置づけられなくてはなりません。またME化に伴って問題になっている超過密労働を解消することの必要です。
 二、完全失業者は一昨年百六十一万人、失業率は二・七%と年々深刻になっています。技術革新によって失業者をふやさないことまた無理な配転・出向を行わないことや派遣労働者などの不安定雇用を増大させないことなどの対策が必要です。
 三、FA化、OA化に当たっては労働時間内に企業の責任で教育訓練を保障しなくてはなりません。特に、中高年者、女性に対しては、過密な訓練を押しつけるのではなく、意思を尊重し、十分な時間をとるなど配慮がなされなくてはなりません。
 第六は、技術教育の偏重によって学校教育をゆがめないことです。
 財界は、技術者の大量養成が必要だとして、高校での専門学校並みの技術教育や大学への情報工学部の軒並み新設、ひいては小中学校段階からパソコン操作を正規の授業に導入するなどの教育改革を強く要求しています。学校教育が一定の社会の要請にこたえていくことは必要でありますが、今日の財界からの技術者養成の要求は、企業教育の肩がわりを学校の教育に求めるものであり、また学校をハイテク産業の新たな市場としてねらっているものであり、もしこのように学校教育を産業界の要請に従属させるならば、憲法、教育基本法によって立つべき学校教育をゆがめることは必至です。職業教育はそれとして充実させつつ、小中学校へのパソコン導入は、教育効果と弊害を十分研究した上で慎重に行わなくてはなりません。高校、大学についても同様です。
 第七は、産学協同研究の基準を明確にする点についてです。
 大学の研究費が極端に少ないことから、大学の研究者は、企業からの研究費を導入し、共同研究、受託研究を請け負わざるを得ないのが実態です。また、商品開発と結びついて自然科学、中でも工学部偏重が著しい実態があります。基本は、科研費など国庫による研究費を抜本的にふやし、民主的な配分をすることによって、大学、研究機関を充実させ、真の基礎研究を重視することが必要です。産学協同研究を行う場合、学問の自由を守り、大学人の自主性を重視する立場から、研究内容、成果の公開、研究費の出所と額を明らかにすることが必要です。また、軍学協同は絶対に行わないことが必要です。
 第八は、テクノアセス、環境アセスを確立し、厳格な実施をする必要についてです。
 テクノアセス、環境アセスは、自治体や民間で多く研究がなされ、数多くモデルも出されています。国レベルでのテクノアセス、環境アセスを確立し、先端技術導入に当たってはそれの厳格な実施をする必要があります。
 以上、技術革新を進めるに当たっての我が日本共産党の考えを申し述べて、発言を終わります。
#4
○小委員長(梶木又三君) それでは、本案を小委員会の報告として委員長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○小委員長(梶木又三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、委員会における口頭報告の内容につきましては、これを小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○小委員長(梶木又三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 この際、小委員長から一言申し上げます。
 冒頭にも申し上げましたが、昭和五十八年十月の設置以来三カ年にわたり、政府からの説明聴取、参考人からの意見聴取、質疑、委員派遣及び視察等に各小委員の積極的活動をいただきまして、本日調査報告の決定をいただきましたことに対し、心より御礼を申し上げます。
 まことにありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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