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1985/04/22 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 補助金等に関する特別委員会 第4号
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1985/04/22 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 補助金等に関する特別委員会 第4号

#1
第104回国会 補助金等に関する特別委員会 第4号
昭和六十一年四月二十二日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     粕谷 照美君     高杉 廸忠君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     鈴木 一弘君     中野 鉄造君
     橋本  敦君     佐藤 昭夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         嶋崎  均君
    理 事
                北  修二君
                倉田 寛之君
                真鍋 賢二君
                矢野俊比古君
                穐山  篤君
                村沢  牧君
                中野  明君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                金丸 三郎君
                河本嘉久蔵君
                小林 国司君
                坂元 親男君
                添田増太郎君
                竹山  裕君
                松岡満寿男君
                吉川  博君
                吉川 芳男君
                吉村 真事君
                佐藤 三吾君
                高杉 廸忠君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                鈴木 一弘君
                中野 鉄造君
                佐藤 昭夫君
                橋本  敦君
                吉川 春子君
                井上  計君
                栗林 卓司君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  今井  勇君
       農林水産大臣   羽田  孜君
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
       運 輸 大 臣  三塚  博君
       郵 政 大 臣  佐藤 文生君
       建 設 大 臣  江藤 隆美君
       自 治 大 臣  小沢 一郎君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
        長官)
       (沖縄開発庁長
        官)      古賀雷四郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       山崎平八郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       総務庁長官官房
       審議官      百崎  英君
       総務庁行政監察
       局長       竹村  晟君
       北海道開発庁総
       務監理官     西原  巧君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁調整
       局審議官     宮本 邦男君
       経済企画庁総合
       計画局審議官   勝村 坦郎君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
       沖縄開発庁総務
       局長       小谷 宏三君
       沖縄開発庁総務
       局会計課長   五郎丸日出昇君
       国土庁長官官房
       長        吉居 時哉君
       国土庁長官官房
       会計課長     斎藤  衛君
       国土庁長官官房
       水資源部長    志水 茂明君
       国土庁土地局長  田村 嘉朗君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       大蔵政務次官   梶原  清君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       亀井 敬之君
       大蔵省主計局次
       長        保田  博君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省理財局長  窪田  弘君
       大蔵省証券局長  岸田 俊輔君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文部大臣官房総
       務審議官     五十嵐耕一君
       文部大臣官房会
       計課長      坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省教育助成
       局長       阿部 充夫君
       文部省社会教育
       局長       齊藤 尚夫君
       文化庁次長    加戸 守行君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   山内 豊徳君
       厚生省社会局長  小島 弘仲君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       水産庁長官    佐野 宏哉君
       運輸大臣官房国
       有鉄道再建総括
       審議官      棚橋  泰君
       運輸省運輸政策
       局長       栗林 貞一君
       郵政省貯金局長  塩谷  稔君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省都市局長  牧野  徹君
       自治大臣官房審
       議官       持永 堯民君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   参考人
       日本銀行総裁   澄田  智君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する作
○国の補助金等の臨時特例等に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(嶋崎均君) ただいまから補助金等に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の補助金等の臨時特例等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁澄田智君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(嶋崎均君) 次に、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○穐山篤君 最初に、この法律案の提出手続についてもう一度確認をしておきたいと思うのです。
 昨年一年間限りであるという確認のもとに法律案が成立をしたわけです。言ってみれば時限立法の性格を持つわけであります。そこで私どもは、去年審議の際に同じような轍を踏まないようにという警告を発しておったわけでありますが、今回も同じような取り扱いでありまして非常に残念であります。
 そこで、法制局長官に伺いますが、こういう時限立法の場合の法律の取り扱いですね、これには幾通りかあろうと思いますけれども、法制局としてはどういうふうにお考えでしょうか。
#6
○政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。
 委員のただいまの御質問、時限立法についての取り扱いはどうすべきかということでございますが、私の理解といたしましては、むしろいわゆる目切れ法案と申しますか、そういったものについての御質問ではないかというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、時限立法は御承知のとおり一定の期限が参りますれば当然に法律としての効力を失うものでございまして、これについては特に法律的な問題はなかろうかと思いまして、むしろ最初におっしゃいました法律案の提案の仕方というものに絡めて申し上げれば日切れ法案の関係ではないかというふうに、大変僭越でございますが理解をいたしまして御答弁を申し上げたいと思います。
 目切れ法案につきましては前々から申し上げておるところでございますけれども、今回の例えばいわゆる補助金等の特例法案につきましては、これは予算の裏づけとなる法律案でございまして、したがいまして、予算が四月一日から施行されるということでございましたら当然にこれも四月一日から施行されるべきものである、そういうふうに考えるのは当然でございます。したがいまして、四月一日までにこの法律案が国会で成立いたしまして、そして予算とともにいわば来年度の政府の施策、これがその両方にのっとって実現していくというのが普通の姿でございます。
 その意味も込めまして、昨日大蔵大臣からもお話がございましたように、法律の提案の時期の問題でございますけれども、いずれにしましても、この法案の内容は予算編成と同時にこれと並行してどのような法律案が必要であるかということがいわば確認され、そして決定されまして、そうして法律案として実るわけでございます。したがいまして、その提案の時期というものはどうしても予算の提案とほぼ並行して行われるということにならざるを得ないのは現実でございます。特に今回の場合には、先ほど申し上げましたいわゆる目切れ法案であるということの意味も含めまして、これもまた大蔵大臣からもお話がありましたように、予算とともにこの一月二十四日にいわゆる予算関係法案のトップを切りまして御提案を申し上げておるわけでございまして、そういう意味でこの年度内の成立を目指して政府としてはお出しを申し上げたというのが現実でございます。
#7
○穐山篤君 大蔵大臣、去年は一年、今年度限りである、それから十分専門家の間で検討はしてみると。しかし同じような提案の仕方は避けてくれ、これが私どもの意見であったはずであります。そこで三月三十一日が到達をすれば、一年限りでありますから補助金の法律というものは消減をすることは明白であるわけですね。そこでどうしても注文をしたい。この前も昨年もしたわけですが、当然前広に法律案を提案をして十分審議が終わった上で予算の措置をする、こういう正攻法でいくべきではないかというふうに昨年も提案をしたわけです。昨日の答弁でも若干大蔵大臣から見解が述べられましたが、どうしてそういう道をとらなかったのか、あるいはとれなかったのか明確にもう一度御返事をいただきたいと思うんです。
#8
○国務大臣(竹下登君) 昨年いわゆる委員長見解をちょうだいしたと、したがってその線に可能な限り沿わなければならぬという考え方は基本的にまずございました。
 で、まず臨時国会にこの法律案を出して、そして可能ならばそれを成立さしていただいて、その上で予算編成に取っかかる、こういうことの手法をとらえたのほかっての行革国会はそういう手法であったことは私も十分承知いたしております。私どもとして、いわゆるこれは八条機関じゃございませんが、補助金問題関係閣僚会議こういう閣議決定に基づくものをつくって、そしてその中で検討会に村長さんや市長さんや知事さんもお入りいただいていろいろ御論議していただいた。その報告が結果として十二月二十日と、こういうことになったわけでございますので、いわばその時点で法律案をお出しするには時間的いとまが率直に言ってございませんでした。その検討会の結果を参考にして二十二日でございましたか、いわば予算編成前にそういう方針だけを決定をした。したがって結局予算書提出と同時に提出をしたというのが、私どもいろいろ工夫しましたが、結果としてそのようなことにならざるを得なかった、こういうことでございます。
 それから、なおもう一つの問題は、いわば一括法ということに対する問題点が昨年も指摘されたわけでございます。この点についても種々議論をいたしましたが、中身はいわゆる一律一括というものではございません。確かにそれぞれの事務事業の見直し、費用負担のあり方、こういうことで昨年とは変わったものになっておりますが、総じて財政上の問題であるということ、そしていま一つは、総覧していただくということがまた総合的に把握していただけるによりベターではないか、こういう判断からして一括法ということにいたしたという二つの点であろうかと思っております。
#9
○穐山篤君 昨年の審議の経過を率直に申し上げますと、尊重をしていない態度であるというふうに言わざるを得ないと思う。今後もあるわけですが、例えばこれが三年間というふうになっていますね。そうしますと、四年後にもまた同じ問題が出る可能性があるわけです。そのことを考えますと、この手順についてあるいは法律案の提出の仕方について節度ある方法をとるべきではないかというのが私の意見でありますが、大蔵大臣、三年後のことはどういうふうにイメージとしてお持ちですか、その点をお伺いをしておきます。
#10
○国務大臣(竹下登君) 確かに、私ども一年かかって議論をして、可能な限り安定性があった方が補助率はいいに決まっておりますから、そういう結論を出したいということでございましたが、残念ながら生活保護の問題につきましては両論併記という形にもなりました。
 そしていま一つは、いわゆる国税、地方税のあり方等々につきましての抜本審議が税制調査会で一方行われておるということから、個人的には私の頭の一隅には、財政再建期間中、すなわち五年というようなものが頭の中になかったわけではございませんが、結果としてやはり三年ということが妥当であろうということで御提案を申し上げた。さようしからば、今度は三年後どうするか、こういうことになるわけであります。およそ大きな変化というものが今予測されるものではございませんが、やはりその時点における国、地方の財政状況等々を勘案して、政府の責任でその後の措置は決めるべきものであろうというふうに考えております。
 その際の法案提出のあり方につきましては、その時点にならないと明確なお答えはできないと思います。が、私の考え方の中にも、いわゆる行革国会みたいなものが仮に開ける環境にあるとすれば、可能な限りそういうものが好ましいと思いますが、その時点の政治情勢等を今から予測するわけにもまいりませんので、結論から申しますならば、昨年また今年御審議をいただいておりますところのいろんな御意見等を念頭に置きながら、その時点で適切な対処をすべきであろうと。もう一遍検討会を設けるとかあるいは八条機関を設けるとか、そういうことをにわかに今決めておるわけではございませんが、当然のこととして、各方面の意見を十分聞いて決めなきゃならぬ課題であろうというふうに考えております。
#11
○穐山篤君 大蔵省が提案をします各種の法案というのはいつも問題の多い性格がありまして、今後十分に注意を払ってもらいたいと思うのです。
 さて、そこで事務当局にお伺いしますが、今回の四十九項目の中で、昨年一律ダウンしたわけですが、それと比較をして、補助金の率が上がったもの、横滑りのもの、それからさらにダウンをしたもの、その数と基準についてお伺いをしたいと思います。
#12
○政府委員(保田博君) 今回の補助率の変更に伴いまして補助率の引き上げが行われたもの、引き下げが行われたもの、それから見直しをしましたものの据え置かれたもの、その数を御質問になりましたのですが、その数え方はなかなか大変なんでありまして、一定の基準に基づきまして後ほど数字は御説明させていただきたいと思います。
 基本的な考え方から申し上げますと、まず公共事業以外のいわゆる非公共の部門から申し上げますと、まず第一に、社会保障が中心でございますけれども、いわゆる老人ホームでございますとか社会福祉施設のいわゆる措置の関係につきましては、事務事業の実態を見直しをいたしまして、その性格づけを従来の機関委任事務から団体委任事務に見直しをする。いわば地方住民に密着した団体が住民に身近な行政をやっていただく。そのためには国の関与の度合いを低くして、地方が自主性を持ってその事務に当たる方がより住民のニーズに合ったきめ細かな施策ができるのではないかといったような観点から事務の性格づけを改めるということを行いました。それに伴いまして、そのような事業については、原則として国と地方が二分の一ずつ負担するのが適当なのではないかといったようなことから、これらの経費につきましては従来の十分の八、六十年度の十分の七から十分の五に引き下げております。これは金額からしますと非常に大きいわけでございます。
 それから、据え置きのグループの非常に大きなものは生活保護の系統でございます。先ほども大臣が御答弁申し上げましたが、検討会の意見も必ずしも一致をいたしませんでしたし、その事務も国の機関委任事務ということで性格づけを変更するにも至らず、十分の七に据え置いたわけであります。これとの関係で、結核、精神病に対する国庫負担につきましても、生活保護との関連を考えまして、五十九年度までの十分の八、六十年度の十分の七、この十分の七を据え置いたということでございます。
 なお、金額的には細かいのでございますけれども、いわゆる在宅福祉の関係につきましては若干の補助率の引き上げを行ったものもございます。
 以上が非公共事業でございますが、公共事業の分野につきましては、非公共におきまするような同様の観点、言いかえれば、国と地方との間の機能分担あるいは財政事情の変化といったような状況も踏まえながらのことでございますけれども、一般会計の財政事情が非常に苦しいものでありますから、一般会計ベースでの国費の予算額を削減せざるを得ない。反面、現在の経済情勢のもとでは事業費をふやさなければならない要請にこたえるといった面もございまして、六十年度の高率補助についての一割負担に引き続きまして、原則として補助事業についてはさらに一割程度の補助率の引き下げを行う、これによりまして一般会計の予算では二・三%の減でございますけれども、事業費では四・三%の増にするといったようなことが内容でございます。
 基本的な考え方は以上でございます。
#13
○穐山篤君 昨年の審議の中では、機械的に一律カットしたものについて非難があったわけです。
 そこで、当時のことを思い出してみますと、国と地方との性格から考えてみて、事業の分担あるいは費用の分担というものをしっかり洗い直しをする、その上に立って補助金も考える、こういうお約束であったはずであります。その当時の議論として住、抽象的ではありましたけれども、見直しを行って上がるものもあれば下がるものもあると、こういう答弁であったわけです。しかし、今お話がありましたように、基本的な部分あるいは根幹になる部分は補助金が復活をするということは全くないんですね。専ら財政的な立場で補助金の率を下げるという気持ちが非常に強いんですね。この点はまことに遺憾であります。
 本来、もっと国と地方との仕事の見直しをして、思い切ってなくすものもあってもよろしいし、思い切って憲法なりあるいは生活保護法の基本に沿って補助率を高めるものがあってもしかるべきだと思う。しかし今回の提案を見ますと、ことごとく財政的な見地からしか補助率の見直しがされていない、こういうふうに思いますが、大蔵大臣並びに自治大臣、考え方をお聞かせいただきたいと思うんです。
#14
○国務大臣(竹下登君) 御指摘なさいましたように、確かに昨年の場合、まさに財政的見地からいわゆるアバウト一割カットの一括法案と、こういう感じでありました。したがって、一つ一つのあるべき姿について見直しをして、一年間かかってそこでお出ししますと、こう申し上げておって、それで補助率の見直しをしました具体的なものとしては、これまで国の機関委任事務であったものを団体委任事務に改めるもの、すなわち老人ホームへの収容等、そして更正援護施設への入所措置等、あるいは育成医療の給付等、未熟児に対する養育医療の給付等、都道府県能力開発計画の策定、こういうようなものはしたがって団体委任事務に改めさせていただく。
 それから、国から地方への権限委譲、これは更生医療機関の指定、それから育成医療機関の指定、それぞれの権限について厚生大臣から知事さんへと、こういうことでございます。
 それから、制度自体の大幅な見直しを行うものは失業対策事業費の補助金、すなわち失業対策事業就労者の年齢制限等の措置をとりますことによって失業対策事業のお方に退職金を払うという表現はちょっと適切でありませんが、そうした内容のものによって事業の縮小をやった、こういうのがいわば見直しの結果あらわれたものであるというふうに考えます。
 それから、社会保障一般につきましては、財政的見地が全くなかったなどとは申しません、やっぱりあったわけでございますが、おおよそ身近なものは半々としようということを一つのベースとして議論をし、そして見直してきたということになります。そして補助率を上げたものというのは在宅福祉の関係というようなものがあったというふうに考えられますから、一律一括ということではなく、問題ごとに権限委譲等を含めてそれなりの見直しをやったという内容で整理をして、御審議を賜っておるというのが実態でございます。
#15
○国務大臣(小沢一郎君) ただいま大蔵大臣から詳しく御答弁がありましたけれども、今度のいわゆる国の補助負担率の引き下げにつきまして投資的経費、公共事業等のことにつきましては内需拡大、それによって地域振興という要素が強くございますから、それは若干考え方、ニュアンスは違ってしかるべきと思いますけれども、経常的な経費部門、ただいまの御答弁にありましたが、社会保障関係の保育、児童、老人等の問題につきましては団体事務に移しまして、それなりに国と地方の役割分担をほぼ明確にした。もちろん地方の負担増につきましては、私どもといたしまして交付税措置によって対処していかなければならない、またそのつもりでございますが、その中で一番大きい問題が生活保護費でございます。これにつきまして結論が出なかったのは御案内のとおりであります。今後私どもといたしましては、これを大きな一つの課題、そしてまた、その他の問題につきましても、まだまだ事務事業の見直しあるいは国と地方の役割分担、そういう中で検討を加えていかなければならない、それによって補助負担率のあり方というものを決めていくべきである、そのように、考えております。
 もちろん、こういうような国の財政状況でございますので、財政からくる議論というものが強い議論となってくることは否めない事実でございますけれども、今後私どもといたしましては、ただいま申し上げましたようなきちんとした国と地方の役割分担とその議論の中からの負担率のあり方、これの筋道を立てていかなければならない、そのように考えておるところでございます。
#16
○穐山篤君 補助金問題検討会の審議状況を見ますと、それぞれの省庁あるいは地方の公共団体から意見を聞き、十分審査したことはわかりますが、いわゆる国と地方とのあり方の問題について、この議事録を見る限りでは十分な議論が積まれているとは考えられません。しかし、この検討会の報告書の中には、配られました資料を見ますと、「国と地方の関係」という項目がありまして、抽象的には理解ができる程度の意見の具申があるわけであります。
 そこで総務庁長官に伺いますが、補助金というのは単に財政的な見地のみならず国ど地方との役割分担というものがまずあって、その上に補助金をどう位置づけるかという議論にならなければならぬわけですが、今回、国会に事務の合理化法案ですか、総務庁関係のものが提出をされているわけですが、地方公共団体としては地方への権限の委譲、あるいは全面的な機関委任事務から団体委任事務に変えてほしいという圧倒的な意見があるわけでありますが、この事務の合理化法案というものの状況を見ておりますと果たして今国会、成立するかどうか危ぶまれているやに感ずるわけであります。そうしますとカットの方だけは先行して、それの裏づけになります側面であります機関委任事務の団体委任という問題が宙に浮いてしまう可能性があるわけですね。そう考えますと、非常に地方公共団体としては不安を持つのは当然だと思うんです。
 したがって、お伺いをしたいと思いますのは、今、国会に提案をしている法律案の概況と補助金の取り扱いと、そちら側の審議の経緯によっては同時に成立をしない場合が生ずる、その場合の対応策というものを伺いたいと思うんです。
#17
○国務大臣(江崎真澄君) 非常にこれは情理を尽くしたお話だと私も承っております。ただ、御意見としては私も傾聴いたしますが、今度の機関委任事務の整理合理化法案というのは、昨年の七月二十二日の行革審の答申に沿って地方公共団体の自主性、自立性の強化を図るという観点から機関委任事務の整理合理化と国の許認可権限等を地方へ移そうと、こういう内容でございます。それから一方、補助率の総合的見直しを行った上に提出されたこの補助金特例法案、これはもう何度も大蔵大臣から答えておりますからその手続等一々申し上げませんが、臨調答申の趣旨を踏まえ、財政資金の効率的使用を図るために国の補助金等に関する臨時特例の措置を決めたわけであります。ですから、機関委任事務の整理合理化法案と補助金特例法案とは一応趣旨、目的は基本的には違う。
 ただし、おっしゃるように御質問の点は重要で、本来、一方で少なくしたら委任事務も任せて、そして簡素合理化、能率的にすべきではないか、その点私はもっともだと思うんです。ただ、これは内閣委員会に今御審議をお願いしておりまして、速やかな審議をお願いしておるところですが、補助金問題と必ずしも関係しないということを私が今申し上げる意味は、例えば第百国会、機関委任事務の整理合理化、これは御審議をいただいたことがございます。それから重ねて地方公共団体に対する国の関与、必置の規制の整理合理化、これは百二国会、今は百四国会ですが、そして所要の法律改正を行って地方の自主性、自立性の強化に努めた、こういう経緯があります。
 ですから、その当時の補助金の問題とは関係なく、やはり機関委任事務の地方への権限委譲ということは今までも繰り返して行ってきておるわけでありまして、御質問のように一緒に上げていただければ非常にこれは望ましいことでございます。でありますが、おっしゃるようにひょっとするとおくれる可能性もある。がしかし、それは根本的には軌を一にしない、やはり権限委譲の問題は今までも数回にわたって行っておるように、今度も速やかな成立は求めますが、補助金そのものと必ずしも関連性を持つものではない、そういうふうに御了解を賜っておきたいと思います。
#18
○穐山篤君 理屈の上では多分そうだろうと思うんです。経緯を調べてみますと、昨年の四月それから五月に補助金の特別委員会があったわけですが、その際に、私も事務の見直し、事業の分担という問題を当時の後藤田さんに質問しました。全くそのとおりであると、こういう回答を得て、その後行革審の方で答申がされたわけです。ですから、まあ別個ではあります。しかし、この補助金の検討会の中で地方公共団体の代表は、単に金を削る補助金の見直しだけでは能のない話だ、同時に事務の見直しをしなければこれは片手落ちになると、そういう強い意見が述べられて、ある程度まあ機関委任事務が団体委任事務にかわることが約束をされた。そこでことしの地方公共団体は去年ほど騒がなかったんです。それは法律案を人質に取った去年のようなものではありませんので、まあ騒ぎも少ないわけですが、その騒ぎの少ない一つの側面としては今の問題があるわけです。
 そこで自治大臣、そういう圧倒的に強い地方公共団体の意見を踏まえて、当然この際、補助金問題と同時に事務の見直しについては行うべきである、あるいはもっと範囲を拡大すべきであるというふうに思いますが、その点いかがですか。
#19
○国務大臣(小沢一郎君) ただいまの国と地方の事務事業の見直しをもっと積極的に行うべきではないかという御趣旨でございますが、その点につきましては私どももかねがね主張しておったところでございますし、今後ともそういう問題につきましてはもっともっと詰めた議論をして、本当に地方において行ってもらった方が適切だという問題まだたくさんあると思います。したがいまして、その点の詰めを、今後とも見直しを進めていかなければならないと、そのように考えております。
#20
○穐山篤君 次に、五十九年度の地方財政についての決算は報告をされています。六十年度はまだ決算をするところまで行っていません。六十一年度は財政計画を見る以外に評価のしようがありませんけれども、昭和五十九年度の地方財政の分析をした結果、特徴としてはどんなものが挙げられるのか、その点自治大臣からお話をいただきたいと思います。
#21
○政府委員(持永堯民君) 昭和五十九年度の地方財政の決算につきましては、国会にも御報告を申し上げたところでございますが、歳出決算規模で見ますと、普通会計でございますけれども、五十三兆八千七百億円ということでございまして、前年度比三・〇%の伸びということでございます。この三・〇%の伸びと申しますのは、昭和三十年代以降では三番目に低い率ということに相なっておりまして、いわば抑制基調の決算になっておるということでございます。収支の結果といたしましては、全体では八千億余りの黒字ということに一応なっておりますが、これはまとまった額としてはかなり大きいわけでございますけれども、地方財政の場合は三千三百団体の決算の集合でございますから、仮に単純に平均しますと一団体当たりにすれば二億とか三億とかいうことでございまして、個別に見ればそう大きなものではございません。
 しかし、一応そういう黒字決算にはなっておりますものの、その背景といたしましては、五十九年度の当初段階で地方財政につきましては一兆五千百億ばかりの不足が出るであろうという見込みを立てまして、その見込みに基づきまして一兆二千億余りの地方債の増発を行いました。またあわせまして地方交付税につきましても、特例措置あるいは交付税特別会計の借入金の償還を先に送るというような措置もとったわけでございまして、そういった背景に、そういう借入金なりあるいは返済の繰り延べという措置をとった結果、今申し上げましたようなことに相なったというような状況でございます。
 そういうことで、依然としてやはり多額の借入金に支えられておるということでございまして、その結果、地方債の残高あるいは経常収支比率も上がってきております。そういうことから硬直化が進んでいるわけでございますので、今後とも経費の節減なり、あるいは財源の充実に努めていく必要があるのではなかろうかというふうな理解をいたしております。
#22
○穐山篤君 大蔵大臣にお伺いしますが、今もお話がありますように、決算で見る限り非常に硬直した構造になっているわけでありまして、それから地方税の収入が非常に伸びていない、こういう問題があります。それから、ことしに至りますと、五十年代から借り始めました地方債がいよいよ返還の時期を迎えるわけでありまして、この借金の元利返済の金額が非常に高くなってきている。こういう意味で地方財政の問題につきましてはゆゆしい状況ではないかというふうに思うわけです。その上に、期待をしておった補助金がカットをされる、ますます地方では独自の政策がとりづらい、こういう問題が生じているのは御案内のとおりであります。
 ところが、地方公共団体にしますと、高齢化社会を迎えて何らかの施策をとらなければならぬ。あるいは先端技術の問題につきましても、地方も可能な限り取り入れるというふうな問題があります。さらには町づくり、村づくりというふうに意欲的には取り組んではおりますけれども、その裏づけになります財政措置が非常に貧弱である。こういう状況を考えてみた場合に、国が苦しいから地方も苦楽をともにしろと言うだけでは十分な説明がつかないと思うんですが、その点いかがですか。
#23
○国務大臣(竹下登君) 具体的に申しますと、我が方と自治省と、いわば地方財政計画マクロベースでは支障のないところの措置をとらしていただく、これは基本でございます。しかしいずれにせよ、いわば金利あるいは返済というようなものがマクロベースの中で基準財政需要の中へ入ってきたといたしましても、言うならば、従来、不交付団体等は別としまして、厳しい財政の中でいわば地方独自のもろもろの施策が行われておる、そういう余裕とでも申しましょうか、選択の幅が窮屈になるということは私も総体的に言えることだと思うわけであります。そこで、国も一生懸命で行財政改革をやります、しかし地方も、一部いろいろ批判もございますので、スリムな財政体質というものに努力をしていただくということは、地方行革等においてお願いをしておるということであります。
 だから、いずれにせよ車の両輪でございますから、国が苦しいから、したがってやたらと地方で、その分財政措置のぎりぎりのことはするとしても、国の負担分の肩がわり的なことを地方にお願いするということがすべていいことだとは私もいつも思っておりません。なかんずく、地方財政富裕論というものがそれは一部にございますけれども、だからいわば補助率等の変更があってしかるべきだということを、初めに富裕論ありきという態度で対応すべきものではないというふうにこれは自重自戒をいたしております。
#24
○穐山篤君 四十七都道府県の六十一年度予算、これは骨格予算のところも一、二あるようでありますけれども、これを私なりに見ますと、どこもかしこもまず緊縮予算というスタイルが非常に多いですね。それから先ほども申し上げましたが、地方におきます税収の伸びが非常に悪い。それから非常に投資が抑制をされている予算であります。それから昨年もあったわけですけれども、財政調整基金であるとか地方債の管理基金であるとか、いわゆる貯金の取り崩しというのも顕著であります。それから、去年、ことし非常に多く見られますのは、各種の公共料金あるいは公共料金的なものの値上げがもうものすごいラッシュになっているわけですね。それから新規の事業をやりたくてもできないというふうなことが分析をされるわけです。
 そこで、お伺いをしますのは、例えば授業料とかあるいは使用料とか手数料とかあるいは賃貸料とか入場料とか、たくさんの公共料金あるいは公共料金的なものがあるわけですが、値上げラッシュであります。これは自治省ですか文部省になりますか、値上げの状況について、傾向をひとつ明らかにしてください。
#25
○政府委員(高石邦男君) 高等学校の授業料について申し上げますと、昭和六十一年度の地方交付税の単位費用積算基礎単位額は月額で六千九百円に改定されたわけでございます。これを受けまして昭和六十一年度における各県の授業料の推移は、月額六千九百円にした県が二十六県、六千五百円の県が六県、六千四百円の県が二県、六千二百円の従来のままの据え置きの県が十三県という状況でございます。
#26
○政府委員(持永堯民君) ただいま高等学校の授業料につきましては文部省の方からお答えがあったわけでございますが、一般的に使用料あるいは手数料でございますけれども、常々これは社会経済情勢の変化なりあるいは物価の上昇、あるいは所要経費の増高、そういったものを見ながら見直しをしていくということで私どももそういう指導をいたしておりますし、各地方団体においてもそういう積み重ねをしてまいっておるわけでございます。高等学校につきましても今説明があったとおりでございまして、考え方としては三年前に上げて以来のことでございまして、三年間の人件費のアップ等に見合った引き上げをしておる。それから公営住宅等につきましては、これは建設省の方で基準をおつくりになっておるわけでございますが、やはり建設費の上昇といったようなことを加味して見直しをしておるというような状況でございます。
 それから、全体として予算額がふえておるという面もあるわけでございますけれども、これは単価のアップももちろんございますが、あわせて例えば、公営住宅がふえるとかあるいは高等学校がふえるという、使用料を徴収する対象の施設がふえるということから金額がふえるという面もあるわけでございまして、単価あるいは対象両方の面で予算額はふえてきておるという状況でございます。
#27
○穐山篤君 時間の都合で余り細かくは指摘をしませんけれども、きのうの答弁では、長年据え置いたものを上げることになった、それがたまたまみんな一緒であったというふうなごまかしの答弁をしておるのは甚だ遺憾だと思うわけです。去年も入場料とかあるいは入園料だとか、入所料とか、そういう公共料金的なものが一斉に相当値上げになっているわけです。六十一年度ことしの計画を見ましても、非常に広範囲に値上げになっているわけです。もちろんそれは補助金だけがカットされたからというふうに言うつもりはありませんけれども、これも大きな要素になっていることを十分に考えてほしいと思う。結局はどこに負担が偏るかといえば、一般の家庭の皆さん方にそれが全部かぶさる、そういうことを考えなければならぬというふうに思います。いずれこれはそれぞれの委員会でも追及がされると思いますけれども、まじめな態度でひとつ事に当たってもらいたいというふうに思っております。
 それから次に、きのうお配りしました資料について、前倒しのところであります。建設大臣ちょっと、きのう資料をごらんになったと思いますが、昭和五十六年度前倒しが七〇・五%、五十七年度が七五%、五十八年度が七〇%。きのうも提案がありましたように、ことしは上半期九月までに戦後最高の八〇%をとりたい、予定をしたいという考え方が述べられました。その五十七年のときを数字でお示しをしてあるわけですが、最終的にどうなったかといいますと、なるほど前倒しによりまして前半は固定資本の形成につきましてもGNPにつきましてもある程度期待ができたわけです。ところが、後半戦に行きますと非常に落ち込んでしまって歴然としているわけです。そのために五十六年度は補正予算で二千六百三十一億円、五十七年度は五千二百二十二億円、五十八年度は四千四百六十五億円の補正を組んでいるわけです。
 ことしの状況を考えてみますと、仮に八〇%前倒しをしたとすれば短期間の間には盛り上がるとは思いますけれども、後半がっくり落ち込むというのは過去の例からいってみても当然だと思うんですが、この辺の数字の分析について建設大臣どういうふうにごらんになっているでしょうか。
#28
○国務大臣(江藤隆美君) 公共事業の前倒しにつきましては例年これを実施してまいりまして、一番高い年は、目標はそうでありました、五十七年には建設省分は執行率七八%やったことが実はございます。
 そこで、前倒しが内需拡大あるいは景気刺激にどの程度役に立つかということについては、特別に前倒しの分だけ取り出しておるわけではございませんからこの評価は大変難しいと思いますけれども、景気というのは多分に精神的なものでもありますし、景気刺激あるいはまたそうした心理的な面で私どもはかなりの影響がある、こういうふうに思っておりますと同時に、やはり年度がわりに仕事をなくしないようにする必要がある。したがいまして、ことしに入りましても、先生御承知のように二月に補正予算を実はお願いをいたしまして、ゼロ国債によって六千億、それから建設国債によって災害復旧分五千億、合計一兆一千億の実は補正をやらしていただいた、こういうことでございますが、八〇%の前倒しを目標としてやるということになりますというとなかなかのことでございますから、過去のもろもろのそうした各年の状況、またことしの置かれておる経済情勢などを慎重に検討しながら今後対処してまいりたい、こう思っておるところでございます。
#29
○穐山篤君 経企庁長官に伺いますが、例の経済対策七本柱のこともありますけれども、財投含めて八〇%の前倒しをするということになれば当然景気が大いに刺激をされる、こういうふうに分析をするのはごく常識だろうというふうに思います。しかし、再三指摘をしますように後半戦が非常に冷たくなる可能性を持っておる。そうなりますと必然的に十月以降の景気をどう支えるかということでなければならぬと思いますけれども、経企庁長官としてはその辺のことについてどういうふうに分析をされておりましょうか。
#30
○国務大臣(平泉渉君) 年度後半の見通しについてでございますが、最近の我が国経済の拡大テンポは緩やかになっておりますが、それでも全体としての拡大傾向は続いておる。他方、最近の急速な円高の進展等を背景に、このところ企業の景況感にちょっと影響が出てきております。
 以上のような経済情勢を踏まえまして、政府は先般四月八日の総合経済対策を決定し、今おっしゃっておられますような公共事業の施行の促進等の措置を講じておるわけでございますが、さて年度後半については原油価格低下の影響がいよいよ本格的にあらわれてまいる、そういうことで円高の交易条件の改善効果も本当に出てくるんではあるまいか。またこれまで二度にわたり公定歩合を引き下げ、またさらに昨日も公定歩合の引き下げをいたしたわけでございますので、これらの措置が投資環境に好ましい影響を与えることとなってくるんではあるまいか、こういう点を勘案いたしまして我が国経済は引き続き着実な拡大を続けていくであろう、かように考えておるわけでございます。以上でございます。
#31
○穐山篤君 大蔵大臣、数字をごらんになってもうおわかりのとおり、またことし、六十年度の補正でも明らかなとおり、どうしても後半戦のことを考えますといずれは補正ということを考えざるを得ないと。きのうの答弁では、まだ予算執行の始まったばかりで補正予算のことは禁句だというふうに言われましたけれども、ことし、昭和六十一年度の予算というものは補正予算含みの予算である、私はこういうふうに認識をしますけれども、いかがでしょう。
#32
○国務大臣(竹下登君) まあ穐山さんの補正予算含み予算ということは、一つには恐らくお願いをして給与改善費を盛り込んでいない予算というようなことから、そういうようなことをも念頭にあってのお尋ねだろう、こう思っております。
 その際申し上げましたのは、これは出た時点において諸般の状況を勘案して適切な対処をすると、こう申し上げておるわけでありますが、今その答弁を変えようというふうにも思っておりません。まあ予備費とかあるいは流用とか節減とか、いろんな手法もあるでございましょう。きょうのまた問題点の一つは、いわば朝三暮四、朝四暮三でございますか、そういう形の執行をやればその暮三の方は腹が減ってくるじゃないか、そうなれば当然補正予算が必要ではなかろうかと、こういうお尋ねであろうと思うのであります。
 で、私なりに考えておりますが、この法律を通していただくといよいよ各省いろいろ検討していただいて、各省ごとの可能な限りの前倒しということが行われる。昨年の予算ベースで四・三%公共事業費自体が伸びておる。それからいま一つは、いわゆる経済企画庁長官の言葉にありました交易条件が変わってくるということから、卸売物価等が下がってまいりますから、現に下がったもの、棒鋼とかそういう公共事業に必要なものも二〇%とかというふうに下がっておりますので、結果として、余りいい例じゃございませんが、百メートルの道路ができたものが百十メートルできるというようなことになることも期待できるではないかと。そうしますと、下期に対しましてもかなりいわば工程の期間が延びてくるから契約の前倒しで仕事は少しそれだけ期間的に埋めるだけのものが生じてくるではないか、そんなことを折々考えておるところでございます。
 で、今までも災害復旧、江藤大臣からお答えになりましたように、これはあるとすれば当然その規模によっては補正対象になるべきものでございましょう。それから五十七年からやりましたですか、いわゆる債務負担行為の追加、俗称ゼロ国と、こういうものでなだらかな年度つなぎが行われておる、まあそういうようなことを、過去の経験に照らしていろんな措置が考えられますし、また今江藤大臣のお答えにありましたように、経済学とは心理学である、こういう一面も持っております。等々を総合的に勘案して対応すべきものであろうと思いますが、現段階、まだ法律を通していただいて執行態勢に入る前に補正予算を考えておりますと言えば、あしたにでも補正予算持ってこいと、こういうのが一般論としてつながっていく論理でございますので、現段階において、今補正予算等は考えておりませんと、こういうことをお答えするのが必然ではなかろうかというふうに考えます。
#33
○穐山篤君 大蔵大臣長々と釈明をしているわけですが、すればするほど補正予算は必要である、こういうふうに理解をするのが常識ではないかなというふうに思います。まあこれ以上この問題については問いませんけれども、十分後半の予算執行について考えてほしいというふうに申し上げておきます。
 次に、昭和五十七年度の行革国会で成立をしました年金国庫負担金の返済の問題であります。これは私も五十七年の行革国会ではその点、返済計画を明確にすべきではないか、あるいは返済方法についても明示をすべきではないかということを申し上げたわけですが、ことしも同じようにお返しはできませんと、こうなっているわけですが、やっぱり年金の財政基盤を考えてみた場合に、このまま放置をしておくということは絶対に許されないと思うんです。だから、ある程度の意思を示さなければ政府に対します信頼というものが非常に欠けてくると思うんですね。この問題について大蔵大臣の考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
#34
○国務大臣(竹下登君) いわゆる厚生年金の繰り入れ先送りの問題についてその返還計画等を速やかに出せと、こういうことは昨年以来、いや五十七年度以来と言った方がいいかもしれません、いろいろ御意見をちょうだいしておるところでございます。したがって、今回の法案におきまして、年金財政の安定が損なわれることのないよう特例期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ積立金運用収入の減額分を含む年金国庫負担金の減額分を繰り入れるものとする、これが法律に基本的な考え方をまず明らかにしておるということでございます。ただ、返済の期間、方式等返済の具体的内容につきましては、今後の国の財政状況を勘案する必要がありまして、現時点で明らかにできないところでありますが、政府としては国の財政改革をさらに一層強力に推進する等誠意を持って対処して、一般会計が特例公債依存体質から脱却した後において、行革関連法及び今回の措置による年金国庫負担金の減額分について、積立金運用収入を含めてきる限り速やかな繰り入れに着手する所存であります。
 で、毎年御指摘を受けますのは、返すという約束で計画がないというのは、私企業におけるいわゆる借金の際もその論理は通らないじゃないか、こういう御指摘を受けておりますが、まずは法律にその基本的考え方を明示することによって御理解を得たいという考え方でございます。
 ただ、この機会でございますから、私先般の会議、その前にも一回経験いたしましたが、よく日本の場合厚生年金の積み立てというものが、あれは外国の見方からするといわば財政の黒字であるという見方をする人がございます。あれをもっと使えばいいじゃないかと。そういうものを使わないように国会でいじめられておるところに日本のまだ財政運営の健全性がある、こういうことを私は常日ごろ国会でいじめられるたびにいいことだなと、これはまだ日本は大丈夫だ、こんな感じをいつも持ちます。
#35
○穐山篤君 財政当局に伺いますが、五十八年から四分の一カットしているわけですが、今年度を含めて総額は幾らになりますか。
#36
○政府委員(保田博君) お尋ねの厚生年金国庫負担の繰り延べ額の累積でございますが、五十七年度以降六十一年度の見込みまで含めまして累計で一兆二千五百十億円になります。これに運用収入の予定額を一定の仮定のもとに計算をいたしますと、二千百七十億程度であります。したがいまして、減額分と利息相当額を合計いたしますと一兆四千六百八十億円程度になろうかと思います。
#37
○穐山篤君 大蔵大臣、先日私は後年度負担等を伴う財源対策という数字をお配りをしました。額の上で多少違いがあるかと思いますが、総体的には大蔵省の持っているものと変わりないと思うんですが、膨大なツケが残っているわけです。これをどうやって返すんだろうか、大蔵大臣の頭の中は相当悩んでいるだろう、こう思うわけですが、その話はまた別の機会にきめ細かくやるとして、この一兆五千億円という元利合計のお金を国が果たして返してくれるであろうか、そういう不安を持つのは当然であります。特例期間が経過をした後、厚生年金の財政全体を見て、危ないようならば返したい、返していくというふうなお話ですけれども、一兆五千億円に近いお金が、年金の分野で言えば政府にお貸ししてある、政府から言えば年金の方に借りがある、こういう関係になるわけですが、果たして返還をする意思があるであろうか、そういうことを国民は非常に心配をするわけです。いずれ何らかの方法で棒引きにするのではないだろうか、こういう懸念があるわけですが、その点について大蔵大臣、どういう態度でしょうか。
#38
○国務大臣(竹下登君) 確かに今の場合、我が国の厚年が諸外国の年金制度に比べれば未成熟でございますから、いわばお借りいたしておりましても、年金給付そのものには影響をもたらさないという現状でございます。しかし、長期に展望しますと二十五年ぐらいすると空っぽになるんでございましょうか、将来すべて空っぽに仮になったとすれば、それこそ若者のいわば負担によって毎年毎年の年金の歳出に見合うものを徴収しなきゃならぬ、こういうことになるわけでございましょうが、したがって、年金問題も二十一世紀はおろかあと四、五十年後をにらんで今から設計というものをして、長期安定する設計をしなきゃならぬということが政治課題として存在しているわけです。
 これも先ほどのお話じゃございませんが、四十年ぐらい先の話をしますと、そこまで君の国は考えるのかとこう言われて、私もやっぱりそれでよかったなと実は思うんでございますけれども、原則的に言えばおっしゃるとおり、穐山さんと私、年は一緒でございますから、本当に年金が空っぽになるときはあるいはこの世に存在しておるかどうか別といたしまして、やはり長期的な安定をもたらすために、今確かに借りておるわけでございますから、したがって、これは我々はいささかでも歳入という感じを持っちゃいけない。あくまでも国民の皆さん方のお金をお預かりしておるという考え方で、これは財政再性期間終了後には運用益をも含めたもので計画的にお返ししていくということで、やっぱり四十年、五十年を見た場合にも安定した年全体系というのをこれからも構築していかなきゃならぬというふうに考えておりますから、棒引きにしようなんということは片時も考えてはならぬと思っております。
#39
○穐山篤君 現在のような財政運営をやっている限りは、膨大な後年度負担というのはなかなか返せないというふうに言わざるを得ないと思うんですね。幾つか解決の道が想定をされるわけです。多額の税収、大型間接税ですか、そういうふうなものを志向する、あるいは官業をみんな民間株式会社にして株で収入を得るというふうな道もあるでありましょう。それから戦後手っ取り早い方法として、結果としてそうなったわけですが、インフレによって帳消しにしたという歴史もあるわけであります。しかし、インフレという政策をとるわけにもいくまい。そうしますと、前者の二つというふうなことが予想をされるわけですね。きょうはこれ以上論争をしませんけれども、この膨大なツケをどうやって返済をするか、国民の前に確固たるものを明示をする責任が政府はあるわけです。そのことを強く指摘をしておきたいと思います。
 次に、国保の問題について厚生大臣、退職者医療の見込み違いがありまして、結果として補正を組むことになったわけですが、その際の大蔵大臣、自治大臣、厚生大臣の申し合わせがあったというふうに聞くわけですが、その内容はいかがですか。
#40
○国務大臣(今井勇君) ちょっと手元に資料がございませんので、早急に調べてみたいと思います。
#41
○穐山篤君 自治大臣、大蔵大臣でも結構です。
#42
○政府委員(持永堯民君) 昨年の暮れの補正予算に関連いたしましての御指摘かと思いますが、その際の三大臣の申し合わせというものはなかったと記憶しております。ただ、地方団体なりあるいは国保中央会の方々が厚生省に対しまして、結局三分の二相当が穴埋めされたわけでございまして残りがあるということで、基本的にはこれはやはり国の責任で全部埋めるべきじゃないかということを御主張され、六十年度の決算はまだ出ませんから、引き続き国保の状況を見た上で適切に対処してほしいという申し入れをされまして、厚生省としては、今後とも国保の安定が図れるように努力をするという趣旨のお答えがあった。そういう経緯がございましたけれども、大臣の申し合わせという形のものはなかったと記憶しております。
#43
○穐山篤君 影響額二千八十億円相当に三分の二を乗じて千三百六十七億円、こういう補正であったと記憶をするわけであります。
 そこで厚生大臣、六十年度のまだ決算が行われていませんので何とも言えませんが、もしこれだけの補正でもなおかつ補正をしなければならぬ、そういう事態が生じた場合に国の責任のとり方としてはどうお考えですか。
#44
○国務大臣(今井勇君) 先ほどは大変失礼申し上げました。
 おっしゃいますように国保の問題は、国保の特別交付金の千三百六十七億を計上したわけでございますが、これまでの国保財政の状況とか今回の措置等を総合勘案いたしますと、全体としては六十年度の市町村の国保の財政運営において支障が生ずることはないものだと考えているのでございますが、いずれにしましても、国としては今後とも市町村国保の財政状況、あるいは退職者医療に伴います影響の推移を見守りながら、その安定的な運営が行われるように十分配慮していかなきゃならぬ、このように考えているものでございます。
#45
○穐山篤君 後で問題になるといけませんから再確認しておきますと、この千三百六十七億円の補正でもなおかつ穴があくという場合はきちっと穴埋めをする、そういうことでいいですね。
#46
○国務大臣(今井勇君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、今後とも市町村国保の財政状況とか、いずれにしましても穴があくのかあかないのかきちっとしまして、安定的な運営が行われるように配慮してまいらねばならぬと考えております。
#47
○穐山篤君 まだ抽象的な答弁ですが、それ以上突いても今のところは出ないでしょう。
 さてそこで、昭和六十一年度の見込みですね、赤字にはならないというふうに計算をされているでしょうか。そこの見込みについて明らかにしてもらいたい。
#48
○国務大臣(今井勇君) 六十一年度の対策でございますが、影響額は約千五百億円程度と見込まれまして、これに対しまして、老人保健制度の見直しや特別交付金の交付で対応できるものと考えております。
#49
○穐山篤君 状況を調べてみますと、赤字の市町村が百二十四団体から四百二団体にふえているわけです。今も御答弁がありましたけれども、もっと正確に状況を判断をすると同時に、これは国の責任できちっとしなければ、三分の一であろうが何分の一であろうがそのしわ寄せが全部地方市町村に行ってしまうわけですね。そうなりますと、市町村では新規の仕事が全くできなくなってしまう、こういうことが懸念をされるわけですが、もう一度、六十一年度はもしそういう事態が発生した場合は国の責任においてきちっと始末をつけます、こういうふうに答弁してもらえますか。
#50
○国務大臣(今井勇君) 先ほどは数字を申し上げませんでしたが、影響額は千五百億円程度と見込まれますが、それに対しまして、老人保健制度の見直しで約千三百億円の軽減の効果、あるいは特別交付金の二百三十億の交付で対処いたしたいと考えておりまして、これでやっていけるものだと考えております。
#51
○穐山篤君 後は私の意見になりますけれども、老人保健法の改悪をして銭をたくさん集めて補てんをするというふうな安易なやり方は全く賛成しがたいところです。私のお伺いをしているのは、そういう方法でなくして、千五百億円になりますか何億円になりますかわかりませんが、穴があいたときに国が責任を持って措置をしてもらえるかどうかということを聞いているわけでありまして、老人保健法についてもまだ審議が全然進んでいないという状況の中でそういうお話というのは適当な答弁ではない、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#52
○国務大臣(今井勇君) これは今後の推移も随分ありますし、各町村でのそれぞれの努力もございますので、そういう推移を見てやはりしかるべき対処をするということの御答弁をいたしたいと思います。
#53
○穐山篤君 終わります。
#54
○委員長(嶋崎均君) 午後二時三十分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
   午前十一時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三十七分開会
#55
○委員長(嶋崎均君) ただいまから補助金等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#56
○中野鉄造君 まず初めに、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この一両日の急激な円高について質問いたします。
 この件については昨日も同僚委員から質問がなされておりますけれども、御承知のように、きょうはついに百七十円を割りまして、最高値の百六十八円六十銭を記録いたしました。昨年九月の二百四十円から約八十円、三割の上昇でございまして、我が国の経済の実力から見てこれはもう明らかに行き過ぎではないかと思うんですけれども、政府の今後の対処のお考えをお尋ねいたします。
#57
○国務大臣(竹下登君) 今ちょうど二時半で百六十九円五十銭と。おっしゃいますように、確かに先週後半からかなり急速にドルの全面安。その背景には、もちろん円が急騰して確かに今のような状態になっておる。それは、一つには米ドルの金利低下予想、すなわちこの間〇・五%、〇・五%とお互いやったわけでございますが、若干なおアメリカの金利が下がるんじゃないか、こういう予想。したがって、そうなるとドルの先安感というものが出てきて、それが市場の思惑的な動きによるところが多いではないか、こういうことが一つの評価でございます。
 だがいずれにせよ、ここのところの為替相場の動きはかなり急激であります。相場が一方に行き過ぎればいずれ今度は是正の動きがまた出てくるということで安定に向かうということが一般論として言えるわけでございますが、したがって、やっぱり安定ということが最も好ましい。相場の動きが急に過ぎて乱高下と判断される場合には適時適切に介入をするという考えを持っておるわけであります。ただ、何ぼしたかとか幾らのときにはするのかということについては、いつやるか、どうするかわからないところに本当は市場に対する影響があるわけでございますので、それのコメントは差し控えたいというふうに思っております。
 そこで、なぜかと、こういうことになりますと、為替相場はいろんな要因によって影響されますので特定するというのは困難でございますが、一つには石油価格が低下して、日本と西ドイツ、これは買うだけの国でございますから、三十五ドルのときから言えば半分で済むということが一つは円高、マルク高、こういう要因ではないかと思われます。
 それから、米国の経済が、いろんな指標があそこはたびたび出ますが、予想されたよりちょっと低調だということがございます。したがって原油価格が下がりますと、ますます経常収支の差が開いできます。こちらが払うべきものを少なく払うわけでございますから、そういう大幅な国際的対外不均衡というような点、この三つがやっぱり一般論としての問題ではなかろうか。一番近いところでは、最初申しました金利低下予想というようなことがありはしないかというふうに考えております。したがって、私ども慎重に見守りながら乱高下という判断をしたら、これは市場介入を適時適切に行うということの姿勢で対応していこうという考え方でございます。
 適正相場がどうか、こういうことになりますと、やっぱり原則的には市場で決めることでございますので、なかなか明確に適正相場というのを言うわけにはまいりませんけれども、いずれにしてもここのところ急激に過ぎるという問題意識は十分持っております。
#58
○中野鉄造君 まあ大臣の御答弁は過ぐる予算委員会当時の御答弁とほぼ一緒のように思いますけれども、今もおっしゃるように、介入ということについてでありますが、現在の急激な円高、これについては百八十円台を切るころからG5の政策介入は日本にとっては不利なレートを押しつけられたんじゃないか、失敗ではなかったかと、こういうようなことが一部言われておったわけですが、それがまさに現実化した、こういったような感じもするわけですが、この点についていかがですか。
#59
○国務大臣(竹下登君) 恐らく中野さんおっしゃるのは、先般の、一番近いところでG1〇がありまして、そのときに私もいわゆるG5の皆さん方にも個々にお会いしまして、ベーカーさんと話しして、要するに合意をいたしましたのは、安定することが望ましいという表現をお互い使いました。それで多くの方々が、当時百八十円前後でもんでおりましたから、あの辺を適正な為替相場として両者が合意したじゃないか、こんな印象を与えたと思うのでございますが、確かに当時から見ますと、私もちょっと傾斜が激し過ぎるという問題意識は持っております。したがって、適切な対応を注意深く見ながらやっていかなきゃならぬというふうに思っております。
#60
○中野鉄造君 既にもう去る二月の初めに、アメリカのヤイター通商代表あたりは百七十五円を目標とするといったようなことも言っておりますし、また一部のアメリカの学者の中にはこれと同じような発言をしている方もいらっしゃられます。つまり元国務次官であったリチャード・クーパー・ハーバード大学教授、あるいはまたもっとひどいのになると、マサチューセッツ工科大学のレスター・サローという人なんかは計算上は百円になっても当然だといったような、そういう非常に極端な見方をしている方もいらっしゃるようですけれども、今も大臣がおっしゃるように、ここまで予想以上の非常に急激な値下がり、大臣も恐らくここまで来るとは予想されていなかったと思いますが、事態はまさにこういうようなことになっております。そうしますと、そろそろやはりこれは政府の部内でも目標水準といったようなものを統一して、先ほどからおっしゃっているように、これは大幅な逆介入というものはもちろん、諸外国にも協調介入を要請し、また実行させるべきではないかと思うんですが、この点いかがですか。
#61
○国務大臣(竹下登君) 中野さん恐らく意識していらっしゃるのは、今度は逆介入というのは要するにドル買いするわけですから、円を使うわけでございますから、外貨準備が多いの少ないのという心配もございませんし、その限りにおいては我が国としては外貨準備などを気にすることがございませんだけに非常にやりやすい環境にある。さて協調介入かということになりますと、ある国は外貨準備のない国もございますし、したがってその国々の何といいますか、そういう力関係で一挙にやるということは、あるいはその国々の通貨当局、なかんずく今も御指摘なさいました産業界の代表の方等で見れば、またもっとドルが安い方がいいという考え方がございますし、それから学者さんの議論の中には、為替レートだけで貿易インバランスを計算してみれば、今おっしゃったように百数十円というような価格も計算できると言う方もいらっしゃいますので、いろんな意味において各国とも今のところ非常に注意深く見守っておる状態であろう。しかし、もともとが乱高下するときには協調介入あるべしという合意というものが原則的には存在するわけでございますから、それらのことは問題意識としては十分持っていなきゃならぬ課題だということは、おおむね考え方は中野さんと私とそう懸隔があるとは思っておりません。
#62
○中野鉄造君 大臣、参考までにお尋ねしますけれども、アメリカの今後の景気というものについてどういうように推移していくとお考えなのか。ということは、つまり再度金利の引き下げといったようなことがアメリカで起こるということを予想されているのかどうか、その点いかがでしょうか。
#63
○国務大臣(竹下登君) 前回私とベーカーさんとでは、いわゆるロンドンG5のときにもお互いが合意したように、インフレはまあ日本と比べればまだインフレ率高いのでございますけれども、かってに比べれば両国とも大変落ちついておる、したがって利下げの環境は整っておると。その後私はこちらへ帰りましたが、ボルカーさん、澄田さんらいろいろ恐らく御協議いただいたでございましょう。そしてたまたま公定歩合は同じ日に、発表が一日ずれておりますが、同じ日に行われて、きのうから公定歩合が下がった。そこで確かにドルの先安感、金利下げがもう一遍あるじゃないか、あるいは日本は〇・五でもアメリカは一%だと思っておった人が多いとかいう話は私も聞いておりますが、いわば原油価格の下落というものがインフレをかなりまた鎮静する方へ回るわけでございますから、したがってアメリカの景気というものは、私はそういう利下げの環境というものは今日もなお存在はしているだろうと思っておりますが、やっぱり公定歩合下げますと市中金利に完全に連動するには一月かかりますので、今きょうあすという環境じゃなかろうというふうに思っております。
 あるいはもう一つ御心配なさっておるのは、ドルの暴落にでもなってはこれまた世界的な大きな問題になりますが、今の状態等から見ますと諸指標は必ずしもいいとは言えませんけれども、暴落懸念につながるほど悪い指標とは言えないじゃないかなというふうに見ておるところでございます。
#64
○中野鉄造君 やはり私心配するのは、為替相場の変動というものの効果が出るのが八カ月から一年かかるというようなことが言われておりますし、先ほども大臣おっしゃったように、円高というこうした操作だけで貿易黒字が是正されるというわけにはまいらない、こう思います。
 そこで、先ほどもちょっとお伺いしましたように、やはりこういうような昨今の情勢から見て、またしかもその効果の遅効性というようなところから考えると、国民としてはもっともっとこれは円高になっていくんじゃないかという不安がぬぐえないわけなんですね。ですからそういうような観点に立って、大蔵大臣が大体この辺が水準じゃないかというようなそういうお考えを明らかにしていただくことによって、かなりそこのところのいろいろな面で影響はあるかもしれませんけれども、国民も非常にそこのところをある程度の不安をぬぐい得るんじゃないかというような気もするんですが、その点いかがですか。
#65
○国務大臣(竹下登君) 私は先々週の日曜日、岐阜の多治見へ参りまして、全く陶磁器そのものの町でございますから、全国のシェアが一八%、それから隣の関の孫六の関市、あそこは刃物のこれが八〇%でございますか、そういうところへ参りましていろいろ話を聞きました。
 少なくとも、ある種の相場観を与えてくれればそれで我々の仕事もできやすいと。ただ、そこのところ通貨当局者の至上命題みたいなもので、通貨当局者が一つの相場観を出すということは、より以上に投機が起こる危険性が多いんじゃないか、だから言葉を選んであの時点で安定が望ましいと、こういうことをお互い相談して言ったわけでございます。確かにおっしゃる意味はよくわかります。
 それでまた、その岐阜の方おっしゃっていましたが、私ども日米経済摩擦を起こしたことはない。そのとおりです、アメリカにつくられぬものをおつくりになっているわけですから。ただ、韓国、台湾、香港あるいはシンガポールというところにシェアが完全に逆転といいますか、完全に取られてしまうという大きな打撃を受けておる。しかし、なお体質改善して内需向けあるいはいいものをつくる、量産から質的なものとでも申しますか、そんな努力はしようと思うと。しかし、そういうことに対しては先般通していただいた法律によってお金だけは貸しましょうというところまでの話し合いでございまして、それは各産業によってみんないわば自分のものをつくるためのレートというのはいろいろお考えになって、おれのところはこれでやれるとか、あるいはおれのところはもう一段階低いところでないといかぬとかいろんなことがばらばらにあるわけでございますが、なかなか相場観というものをお出しするというのは厳密な意味で言っては難しいことだ。しかし、おっしゃる意味は私も非常に理解できます。
 また、時に思いますのは、大スペキュレーション、大投機みたいなものが起こって仮に私どもが申した相場観というものが大きく崩れたら、これはまた国家補償みたいな感じのものにもなってきやしないかなどなど考えながら、大変本当に日夜悩み、三十分ごとに為替レートを見ては一喜一憂しておるというのが率直な心境でございます。おっしゃるようにメリットの方は時間がかかります。今メリットの出ておるのは外国旅行者の方だけでございます。
 ちょっと長くなって申しわけありませんが、ただ二月末はまだ原油価格にしても二十七ドルでございましたが、三月末入ったのがやっと二十二ドルで、きょうきのうというのがやっと二十ドルぐらいだそうでございます、今契約してからこっちへ船で運んでくるわけでございますから。したがって、それが本当のメリットとして出てくるのは確かにおっしゃったようにあるいは六カ月とか、六カ月というと去年の九月から考えればもうそこへ来るわけでございますが、やっと幾らか出てくるかなと。だから、この間の総合経済対策で電気、ガス、そういういわゆる管理価格、政府が関与できる価格で一兆円ぐらい還元すれば一兆円の減税と等しい効果になるとか、いろんなことを広範にやっていかなきゃならぬ課題だというふうに思っております。
#66
○中野鉄造君 この問題について最後に一言お尋ねいたしますけれども、こうしたきのうきょうのこういう円高、これを契機に今後さらにドル暴落の可能性があるんじゃないか、この点についてはいかがお考えですか。
#67
○国務大臣(竹下登君) アメリカのいわゆる金利先安感とかいうようなものが一番ホットな理由としてはそういうものであるとしますならば、私はそれはやっぱりある時期に反転するであろう、安定の方向に向かうであろうと。そして諸指標が予測したより悪いとはいえ、一般的にドルの暴落をもたらすというそういう指標の環境にはまだ私はないというふうに見ておりますが、非常に注意深く今後とも見守っていかなきゃならぬと思ってはおります。
#68
○中野鉄造君 では次に、行政改革推進審議会の報告について内閣としては今後最大限の尊重をしていくと、こういうことを過去総理もたびたび明言されておりますけれども、近く最終答申がまとまると聞き及んでおります。ところで、現在の各小委員会の審議の状況、また今後のスケジュールについてお尋ねいたします。
#69
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほどはおくれて大変恐縮でございました。
 行革審におきましては、昨年の十月以降いわゆる推進状況調査小委員会、それから地方行革推進分科会、もう一つ特殊法人問題等小委員会、これが開催されました。そして、それぞれ臨調答申の推進状況と財政再建の道筋の問題、行政の広域化問題を含む地方行革問題、これは市町村合併などにもあるいは言及するかもしれません。それから個別法人の見直しを含む特殊法人の活性化方策の調査とか審議が進められている、こういう報告を受けておるわけであります。
 そこで、こういった小委員会は四月末、今月末ですね、もう既に下旬に近づいておりますが、五月初めを目途に報告を受けた後、これは五月末ないし六月の初めごろまでに審議会としての現段階における最終意見の取りまとめ、これが総理大臣に提出される予定、このように報告を受けておる次第であります。
#70
○中野鉄造君 一方、去る四月八日に厚生省の高齢者対策企画推進本部というのが報告書を発表しておりますけれども、この報告書は行革審の社会保障の部分とはどういう点が違うというふうに見ておられますか。
#71
○国務大臣(今井勇君) 今の行革審の問題でございますが、実は行革審の推進状況調査小委員会と言うのですか、その報告については私はまだ十分伺っておらないものでございますからコメントのしようがないわけでございます。
#72
○中野鉄造君 これは四月十六日の新聞にも中間的に報告されていますよ。先ほど総務庁長官がおっしゃったように最終的なものじゃないにしても、中間的なものは四月十六日に報道されているのです。そこに盛られている中身の問題と、先ほど申しました高齢者対策企画推進本部が四月八日に出したものと比べてみるといろいろ違うのです。そこをお尋ねしているのです。
#73
○政府委員(北郷勲夫君) 行革審の方ではまだ検討中の段階と聞いておりますが、新聞報道に出ておりますものは私どもも承知いたしております。それによりますと、特に年金につきまして支給開始年齢を六十五歳に引き上げるとか、あるいは年金の給付水準を変更するというようなことが書かれておるわけでございますが、この辺につきましては、厚生省でこの間発表いたしました高齢者対策企画推進本部の報告の内容と若干、高齢者対策の中で申しますと六十五歳に年金の給付水準を引き上げるというような問題につきましては、雇用の問題が非常に関係いたしますのでやや慎重な態度を私どもとっておるのでございますが、その辺に若干考え方の相違があるかなという感じがいたしております。
#74
○中野鉄造君 私これを読み比べてみて若干じゃない、かなり明確に違うのですね。そうしますと、これが食い違った場合に、それは最終答申ではないとは言ったものの、果たしてどちらを優先されるのか。総理は、もう行革審の答申については最大限に尊重していくということを前々からよく言われております。それだけに私も非常にこれは心配なんですけれども、その点いかがですか。
#75
○国務大臣(江崎真澄君) これは日本の新聞というのは、マスコミと言った方がいいかもしれませんね、なかなか競争激甚でございまして、いろんな報道がなされるわけであります。ただ御指摘のように、現在財政再建の道筋、それから行政分野における制度、施策の見直し、こういったことを行っておるその一つの対象として社会保障の分野についても検討しておることは事実です。ところが年金、医療の項目について検討が進められてはおりますが、その御指摘の、例えば食い違っておると思われる御指摘は具体的にありませんが、例えば支給開始年齢の引き上げがどうなるかとかあるいは給付水準の見直しの問題等、これは一部の参与から議論が出たその中間のいわばニュースをキャッチしたものだというふうに私どもは聞いております。したがって現段階において、これは厚生省側が独自の見解を持っておられることももちろん不思議ではありませんし、そういう何人かの委員の中で議論が出た、こういうふうにお考えをいただきたいと思います。
 結論に向けては、先ほど申し上げたように五月初めごろ、あるいは早ければ四月末ということで何分の答申がなされる、これはそういう状況でございまするので御了承おきを願いたいと思います。
#76
○中野鉄造君 厚生大臣は今お答えがありましたそのことについてはまさにそのとおりで、昨年八月にも厚生省から出されているそうした考えは今後も変わらない、こういう確信を持って言えますか。
#77
○国務大臣(今井勇君) この行革審の推進状況の問題は、今お話がありましたようなことでございますが、私どもは、いずれにいたしましても高齢者の対策企画推進本部というものをつくりまして、将来のプロジェクトチームではございますが、そこでせっかく考え上げましたものでございますから、これはやはり厚生省の方針とだんだんにいたしていきたいと思っておるわけでございます。
 また、今の行革審の問題でございますが、これは今の段階では私も十分存じませんが、詰めていけば根本的にそう大きな差がないものだろうと、こう私は予想しておりますので、今後すり合わせしていかなきゃならぬと考えております。
#78
○中野鉄造君 つまり、先ほどからお話があっていますように、近々最終答申という形での報告書が提出されると言われておりますけれども、先ほどもちょっと触れられましたけれども、それは一部の委員の中からそういう提言というか発言があった、それがさもそういうような傾向に進んでいるというような報道がされたといったようなニュアンスのお答えでしたけれども、そこで再確認の意味でお尋ねしますけれども、この年金改革ということに絞って申しますならば、その支給開始年齢の引き上げがまたなされるのじゃないかというのがまず一つの心配なんですが、これは国民の老後の生活設計に大きな関係があるわけでして、厚生省は先ほどから申しておりますように、昨年の年金改革審議の際に、支給開始年齢については昭和七十三年度から八十五年度までの間に六十五歳まで段階的に引き上げていく、こうなっていますね、保険料率の将来見通しもそこで立てていたわけですけれども、早くても、いわゆる私ども国民としては昭和七十三年ぐらいからというその発表をそのまま信じているわけなんです。それが国民のコンセンサスじゃないかと思うのですけれども、年金担当省として従来の路線は変わらないということをまたここで明言していただきたいのですが、いかがですか。
#79
○政府委員(北郷勲夫君) 年金支給開始年齢の問題につきましては、今七十三年という先生のお話でございますが、これもまた確定的なものではございませんで、結局この問題は高齢者の雇用、就業動向、これが非常に関係いたすものでございますから、高齢者の雇用の動向を踏まえて今後検討すべき問題と、こういう認識をいたしておるところでございます。
#80
○中野鉄造君 そうすると、まだ七十三年というのは確定したものではない、こういうことですね。
#81
○政府委員(北郷勲夫君) お答えいたします。
 年金の法案審議の際に、そういう参考資料を提出したかと存じますが、これはまだ一つの試案的な、試算的なものでございまして、これはあくまでも高齢者の就業が進まない限り年金の支給開始年齢というのは簡単に動かせる問題ではないと私どもは考えておるところでございます。
#82
○中野鉄造君 さらにその報告書の中で、給付の水準についても現役世代の可処分所得とバランスのとれるよう給付水準の見直しを行うと、こういったようなことも言われておりますけれども、これまた昨年の年金改革によって大幅に給付水準の引き下げが行われましたし、働く世代と年金受給者の世代とのバランスをとったということになっているんですけれども、それを今後またそういうように引き下げるというと、まるで公定歩合の引き下げじゃないけれども、短い期間に何回も何回もそういうようにしてやられるとこれはもう本当に困るんですけれども、その点いかがですか。
#83
○国務大臣(江崎真澄君) 今の問題につきましては臣下検討中という以上には物の言いようがないわけですが、しかし、整合性のない形で答申が出てくることはちょっと困る点もありますね。ただ、財政再建という問題の検討の過程においてそういう議論が出ておるということも、これもどうも否定もしにくいわけです。しかし、今整合性のないものが次から次へ出てくるのは困るじゃないかという中野さんからのここで御意見があったということは、私の方からも行革審によくお伝えをいたして審議にまちたいと思います。
#84
○政府委員(山内豊徳君) 行革審の報告内容につきましては大臣も申し上げましたように、私どもは現段階で存じておりませんのですが、先生御指摘のように、この四月から実施されました新年金制度、国民年金、厚生年金通しましてかなり思い切った給付水準の適正化を行ったわけでございます。私どもとしまして、厚生省としましては今の段階でこの水準を見直すということは少し考え切れないというのが現状でございます。
#85
○中野鉄造君 今もお答えがありましたように、何かしら初めに財政ありきというところから始まったのでは急速な高齢化、自然増というものに本当に相矛盾していくんじゃないかという気がしてならないんですけれども、年金の給付水準は財政のいかんを問わずと言ったらこれは非常に言い過ぎかもしれませんけれども、少なくとも維持していくということをお約束していただきたい、こういう気持ちなんですけれども、今後の財政の次第によってはまた流動的であると言われると非常にそこに不安が残ってくるんですけれども、いかがですか。
#86
○国務大臣(江崎真澄君) やはりこれは行革審の権威に一応委託をしておりますので、その審議中にそういう御意見がありましたということは私率直に伝えます。しかし、問題はやはり結論待ちと、こういうことでございます。よく御趣旨の存するところは伝えておきたいと考えます。
#87
○中野鉄造君 厚生大臣。
#88
○国務大臣(今井勇君) 先ほど政府委員が答弁いたしましたが、給付水準というのは私どもはこれを堅持してまいりたいと考えております。
#89
○中野鉄造君 そこで、一つ気になるのが民間活力の導入とその活用でありますけれども、例えば既に医療保険において民間保険がその補完としていろいろな商品が導入されておりますけれども、民間保険に加入できる人たちだけが保険による危険分散ができるように今後だんだん拡大していっているんじゃないか、経済的に余裕のある人とない人との格差が非常に開いていく、そういう危険性があるわけですけれども、民間活力の導入、活用でこういった心配をどのように解消しながら行政を進めていくお考えであるのか、基本的なお考えをお聞かせいただきたい。
#90
○国務大臣(今井勇君) 我が国の社会保障というのは、従来から年金であるとか医療につきまして国民の皆年金あるいは皆保険体制を基本として進めてきたところでありますが、今後もやはり私はこのような基盤的な制度につきましては公的の制度というものの役割を堅持していきたいというふうに考えております。すなわち医療につきましては、必要かつ適切な医療の確保、年金については老後の基礎的な生活の確保につきましては公的制度で対処するという考え方でいきたいと思っております。
 そこで、民間保険のことでございますが、これはあくまでも公的制度を補完するものというふうな考え方で、個人の選択によります格差をこれ以上拡大するつもりはありませんし、また拡大しないように十分に配慮していきたい、こう考えております。
#91
○中野鉄造君 そうおっしゃいますけれども、例えば国民年金を例にとって申しますならば、いよいよ国民皆年金四月一日から発足しましたけれども、一方では民間の保険会社あたりでは現に、あんなもの入ったってもうばからしい限りですよと言わぬばかりのいろいろな勧誘でそういうようなものを持っていくと。今後いろいろとそういったようなことで民間のそれに類似したような商品が開発されていく。そうすると年金制度そのものの存在の意義がもう薄れてくる。極端に年金財政までどうこうというところまではいかないにしても、非常に意義がなくなってくる。要するに相互扶助というものと個人のそういう年金の給付取得というものを横並びに考えてどっちが得かというような、そういう考えの方々が非常に多いわけですね。そういう点について大蔵大臣、今後民間の保険会社あたりのそういう商品の何か規制と言うとあれですけれども、何かお考えありますか。このままに放置しておくんですか。
#92
○国務大臣(竹下登君) 各種年金商品、これは確かに私どもも、基本的に公的年金は物価や賃金の変動に対応して年金額の実質価値の維持を図っていくことが可能であって老後生活の基盤となるものである、これはやっぱり年金の哲学じゃないかと思っております。今厚生大臣からお答えがありましたまさに基礎的部分ということでございます。だから、企業年金、個人年金はこれは自助努力というもので、公的年金を補完する役割だということにはやっぱり徹しなきゃならぬというふうに私どもも思っております。
 ただ、今金融自由化のさなかでございますから、いろんな知恵を出していわば魅力ある商品の開発というようなことが行われてきておりますが、ただ私どもとしましても、あくまでも国民の自助努力にこたえることを目的とするものであるという意味において適正な販売を行うということを、これは今日も指導してきたところでございますが、したがって、公的年金と民間金融機関による年金商品とは役割も機能も異にするものだから、両者いずれが有利であるかという観点から比較することは適当でないというふうな指導もいたします。したがって今後とも、言ってみれば消費者の方に対していわゆる誤解を与えるようなことはしないように、これはやっぱり厳しく指導をすべき課題だというふうな考え方を持っております。
#93
○中野鉄造君 厚生大臣にお尋ねしますけれども、国民年金等についての場合ですけれども、国民年金、これは掛けなかったからといって別にペナルティーがあるわけでない、ただ本人がもらえないだけ、こういうことですけれども、一方、政府としては国民皆年金をと、こう言っております。現在七千百円の掛金であるだけに、夫婦になりますと一万四千二百円、これを毎月毎月コンスタントにずっと納めていくということは、いろいろ先ほどからお話ししていますように、何だかばからしくなって嫌だというようなことで途中で掛けるのをやめる人もいるかもしれない。やめたからといって別に、今申しますようにそこに罰則があるわけでも何でもない。そういうようなことが今後十分予想されるんですけれども、そういうことを予想してどういう対応をなされますか。
#94
○国務大臣(今井勇君) これは先生御案内のように、義務加入になっておりますのと、今度の改正に伴いまして、保険庁でひとつこういうことでございますからというふうにPRにさらに努めるということで、何とかして皆さんに入っていただくような努力をするということが今お答えをできる限度だろうと思います。
#95
○中野鉄造君 それで解決できるならばそれにこしたことはないんですけれども、もう少し何か手の打ちようはないのかと思う。おまえはどうだと言われると、私もちょっと何とも言いようがないんですけれども、もう少し前向きの姿勢でやっていかないと、今始まったばかりですけれども、先行き非常に私は不安でならないんです。一生懸命今後努力をするということですから、今始まっただけに、ここ当分その推移を見守っていかざるを得ないと思いますが、その点ひとつ。
#96
○国務大臣(今井勇君) 御趣旨をよく踏まえまして精いっぱいの努力をいたしたいと思います。私も皆さんの、特に今度新しく婦人の年金権などもできますものですから、例えばの話でございますが、お相撲取りの親方衆の御夫人の中で入っていない方が大分いらっしゃるんですね。そんなことで、PRを兼ねまして参りまして、ひとつPRをしようというようなことも内々考えていることでございまして、そんな意味を含めまして、省を挙げましてまた皆さんにPRをいたしましてこの問題を解決を図ってまいりたい、こう思いますので、どうぞひとつお力をおかしいただきたいと思います。
#97
○中野鉄造君 次に、補助金問題検討会の報告と老人福祉施設等への入所事務に関する見直しとの関係についてお尋ねいたします。
#98
○政府委員(小島弘仲君) お答えいたします。
 補助金問題検討会におきましては、国と地方の機能分担の見直しの方向といたしましては、事務の地域性・効率性、総合性というような観点から、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な団体において処理されるよう事務の性格に即した見直しを進めていくべきだという考え方に立ちまして、先生御指摘のような福祉の関係の事務につきましては、多様な地域のニーズにきめ細かく対応できるよう地方公共団体の自主性の尊重という観点から、これを従来の機関委任事務から団体委任事務に改めるのが適当であろうというような御報告をいただいております。これに基づきまして、別途御審議をお願いいたしておりますいわゆる国の機関委任事務の整理法の中で、これらの事務を従来の機関委任事務から地方公共団体の団体委任事務にかえる関係法案を盛り込みまして提案申し上げておるところでございます。
#99
○中野鉄造君 ですから、補助金問題検討会の報告の今おっしゃった補助金に関する関連部分、そういうようなことが、つまり基本的要件に限っては国が定め、具体的要件については地方公共団体にゆだねるという、今おっしゃったような地方のニーズにこたえて云々といったような、そういうことが下敷きになってこういうことが今提案されていると思うわけです。したがって、この補助金問題検討会の考えによりますと、補助率が決定されるということは事務の見直しの結果であってその逆ではないと、そういうように考えていいんですか。それともまた、今回の補助金特別法案の考え方も同じであると、そのように考えてよろしいんですか。
#100
○政府委員(北郷勲夫君) 今回の補助率の見直し、全般的には財政資金の効率的な使用とか補助金の整理合理化と、こういった要素を総合的に勘案して行われておるということでございますが、ただいま社会局長が申しましたように、社会福祉の分野につきましては地方の自主性尊重という観点から事務の見直しが行われる、これが関連をしておると、こういうことでございまして、結果というか、いわば並行、横に見て補助率の決定が行われた、こういうふうな考え方でございます。
#101
○中野鉄造君 大臣。
#102
○国務大臣(今井勇君) 今、局長が答弁したようなことでございますが、社会福祉の分野の補助率の見直しにつきましては、やっぱり地方の自主性の尊重という観点からの事務の見直しということも考慮に入れておるわけでございますから、そういう意味で事務の見直しとの間に関連性があることは事実でございますが、いずれが先というふうな関係にあるとは考えていないわけでございます。
#103
○中野鉄造君 そうすると、補助率決定の要素の一つに国、地方の財政状況が挙げられるということは、これはもうよく理解できますが、事務の見直しと補助率引き下げとはこれは一体の措置であると私は思うんですが、この点を確認したいと思います。
#104
○政府委員(北郷勲夫君) 社会福祉関係の分野で密接な関係があるということは事実でございます。
#105
○中野鉄造君 事務の見直しと補助率引き下げとがこれは一体の措置であると、一体とはおっしゃいませんでした、非常に密接な関係がある、こう言われたわけですけれども、いずれにしましても、そうであるならば、事務の見直しが少なくともこれは恒常的な措置である以上、社会福祉施設関係の補助率というのは三年経過後、半ばこれは恒常的に同じ率で推移するのではないかと、そういう考えに立たざるを得ないわけですけれども、となると極端に言えば、この三年というのはこれはもうほとんど意味がないんじゃないか、仮にそういう形をとっただけじゃないかと、このように思いたくなるんですが、いかがですか。
#106
○政府委員(北郷勲夫君) 三年の暫定期間の問題につきましては、大蔵大臣がたびたび御答弁申し上げておりますが、一つは、生活保護が補助率について両論併記でございまして、三年間暫定的に十分の七とする、改めて三大臣で協議すると、こういうふうなことが一つあるわけでございます。それからもう一点は、検討会の報告にもございますように、国と地方の財源配分のあり方についての見直しが今後の課題とされている、こういうことを踏まえまして、この二点を踏まえまして全体的に三年間の暫定措置とされたものと考えております。
#107
○中野鉄造君 大蔵大臣、いかがですか。
#108
○国務大臣(竹下登君) 今の答弁に尽きるわけでございますが、確かに私は恒久とは、やっぱり申されておりますように、国、地方の役割分担と費用負担のあり方というのは絶えず見直していかなきゃならぬ問題だという課題であるということと、したがって、一方財源配分の中にどういう影響を与えるかは別として、一応国税及び地方税のあり方というもので一方諮問しております。これの仮に答申をいただいた場合、若干の変化も皆無であるとは言えない。そうしますと、六十二年税制からやっても、普通税制の場合は平年度化するのは二年はかかるというような一つ考えがございました。私は本当は、財政再建期間中で五年という気が頭の一隅にございました、口に出したわけじゃございませんけれども。かれこれ考えるとやっぱり三年というところかな。だから、本当に三年であらねばならぬという理由を言えとおっしゃいますと、率直に正確な答えはできない。かれこれ総合的に考えて三年というところであろうなというふうな最終的に政策選択の判断をしたということが偽らざる実情でございます。
#109
○中野鉄造君 じゃ、終わります。
#110
○佐藤昭夫君 本法案の質疑を進めるに当たって私がまず指摘したいことは、去る十八日の本会議での我が党の神谷議員の質問に対する総理などの答弁が極めて不誠実、無責任であった問題であります。
 神谷議員は第一に、政府はかねてより補助金カットによって地方財政が支障が出ぬよう万全の措置をした、国民に被害を与えないと言っていることはうそである証拠としえ、各自治体の予算では財政調整基金などの取り崩しが大幅に増大をしていること、ほとんどの自治体で一斉に公共料金引き上げや住民サービス事業の補助金の廃止、縮小が起こっていることなどの具体例を挙げて、その見解を明確にするよう迫ったところでありますが、総理、自治大臣などは、自治体に対し十分な手だてをした、住民負担の増大はないと、具体的な事実の指摘には何ら答えず逃げの答弁に終始をされたのであります。この問題は、今次法案による三年の補助金カットの可否を国民が判断する前提であり、政府は明確に答える義務があるので、改めてお尋をするものであります。
 まず、地方財政に支障はないと言いますが、六十年、六十一年度と引き続く補助金カットの穴埋めのために地方債が大増発をされる。したがって、地方財政の圧迫要因となることは、これは自治大臣、紛れもない事実ですね。
#111
○国務大臣(小沢一郎君) 地方債の残高がふえていくということにつきましては、交付税措置を今後ともしていき、そのための元利償還の総枠も確保するということで対処していくわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういうような意味におきまして地方財政のやりくりが非常に厳しくなっていくということは、その意味では事実でございます。
#112
○佐藤昭夫君 さらに重大な問題は、地方債の増発にとどまらずより広範囲に影響があらわれているということであります。その一つが財政調整基金や減債基金など、これらの基金が六十年、六十一年度に一斉に取り崩されていることであります。
 お聞きをしますが、四十七都道府県について財政基金を設けているのは四十三団体かと思いますが、これが五十九年度、六十年度、六十一年度、この財政基金取り崩しの団体数と金額の総計は幾らになるのか。五十九年度は決算で、六十年度はまだ決算が出てない模様ですので九月補正で、六十一年度は当初予算で、河団体、金額総計は幾らでしょう。
#113
○政府委員(持永堯民君) 都道府県におきます財政調整基金の取り崩しの状況でございますが、五十九年度の決算におきましては二十九団体で、全体で六百七十七億円でございます。五十九年は割合税の伸びもよかったこともございましてそういうことになっております。六十年度の九月補正後の予算計上額では、これは決算は出ておりませんけれども団体数で三十九団体、金額が二千四百六十九億でございます。六十一年度の当初におきましては四十団体で、二千百五十三億ということに相なっております。
#114
○佐藤昭夫君 ただいま報告がありましたように、基金の取り崩しが急増をしているということは否めない事実だと思います。こうしたもとで自治省の資料でも五十九年度末までの財政基金残高の推移、これを見ますと、どこも毎年数十億から数百億の基金が安定して確保されておったのが、残高が底をつくような事態、これが深刻に進みつつある。六十一年度に基金残高が底をつくと予想される団体が、私の調べたところでも都道府県で十団体もあります。例えば北海道、五十九年度末残高百五十六億円が六十一年度末残高でゼロになる。青森県、同じく五十九年度末残高三億円がこれがゼロになる。群馬県、百十八億円、これが四億円に落ち込む。鳥取、四十億円が利子三億まで見込んでもゼロになる。福岡県、五十九年度末三百六十九億円が三億円になるという、これらどれも六十年、六十一年度の取り崩しで一挙に底をつくような状態に突き進んでいるわけであります。
 こうした姿は、都道府県だけでなく市町村も同様にあらわれていると見られるんでありますが、こうした姿こそまさに異常な事態、補助金カットの影響はないとどうして言えるのでしょうか、自治大臣。
#115
○国務大臣(小沢一郎君) 基本的に国の財政状況も厳しい、また地方におきましても今日の経済状況全般の中で大変厳しい財政の状況であるということは間違いないと思います。財政調整基金の取り崩しにつきましては、いわゆる今年度の予算についても見込まれておりますし、事実そういう面もあるわけでございますけれども、この財政調整基金の取り崩しは単に補助負担率の変更のみによってもたらされるというふうに即断するべきものではないのではないか。いろいろな地方財政の支出の状況、今後のいろいろな事情の中でそういう現象が出てきておることは事実でございますが、私どもといたしましてはそのようなことも念頭に置きながら、今後地方財政が大変厳しいという状況のもとで、今後の地方の運営に支障のないようにということで全力を挙げて対処してまいっていくということでございます。
#116
○佐藤昭夫君 しかし自治大臣、多くの地方自治体、地方財政に関する雑誌や出版物、こういうものの中で自治体の関係者が、国の補助金カットによって自治体の財政運営が非常に苦しくなってきている、その中で不時の場合に備えての各種基金、これを取り崩さざるを得ないという地方自治体の財政運営についての苦衷をいろいろ語っておる、そういう報道など知らぬというわけではないと思いますけれども、本当に補助金カットの影響がこういう面で出ているというふうにお思いになりませんか。
#117
○国務大臣(小沢一郎君) 地方団体におきまして大変財政事情が厳しくていろいろやりくりにおきましても御苦労なさっておるというその実情についてはいろいろお聞きいたしておりますし、その点については私どももそれだけに何とか運営に支障を来さないようにということで全力を挙げておるわけであります。
 ただ、先ほど申し上げましたように、この財政調整基金の取り崩し等につきましては、それぞれの自治体によりまして今後の財政需要に対応するためとか、いろいろな要因の中で行われておるものであろうと思います。したがいまして、私どもといたしましてはそのこともまた十分配慮しなければなりませんし、今後とも地方の財政状況の厳しい状況を認識して適切に対処していかなければならない、そういう思いは先生と同様私も強く持っておるところであります。
#118
○佐藤昭夫君 次は、この補助金カットがもたらす影響の第二の問題として、ほとんどの自治体で公立高校の授業料や保育料、保育所料金、水道料、公営住宅家賃など、その他図書館や動物園などへの入園料等々、これらの各種公共料金、手数料等の値上げが急増をしておるという問題であります。
 自治省、地方財政計画では公共料金の引き上げを何%と推定しているんでしょうか、六十一年度について。
#119
○政府委員(持永堯民君) 公共料金と申しますか、地方財政計画の上では、これはマクロ的な数字でございますけれども、使用料、手数料の伸び率を四・九%見込んでおります。
#120
○佐藤昭夫君 ところで、都道府県の公共料金引き上げの実態であります。六十一年度の都道府県の予算、これを通して見たときに、全体として実態的には何%ぐらいの手数料等、使用料等の引き上げが起こっているんでしょうか。
#121
○政府委員(持永堯民君) 都道府県の当初予算の状況で計算をいたしますと、前年度対比で六・一%の使用料、手数料等について予算の伸びになっております。これは先ほど申しました四・九と申しますのは地方財政計画でございますので、都道府県、市町村全体のマクロ的な数字でございますが、その中で特に高等学校でございますとか、あるいは公営住宅でございますとかいうものが都道府県側に割合ウエートが高いという状況もございますので、全体の伸びよりはやや都道府県側の方が伸びが高くなるというような背景があるわけでございます。
#122
○佐藤昭夫君 今数字的に明らかになりましたように、政府・自治省としてこの程度の公共料金、手数料等の値上げであろうというふうに推定をした地方財政計画を超えて、実態としての手数料、使用料などの値上げがどんどんと始まっているというこの数字が雄弁に語っているという問題であります。
 さらによく調べてみますと、現に六・一%というこの数字が示しますように、四十七都道府県のうち三十四団体が地財計画を上回る引き上げになっているというこの点を見たときに、自治大臣どうでしょう、補助金カットの影響がこうした面でも使用料、手数料を初めとする公共料金値上げに拍車をかけている、その証拠のあらわれがこうした点に出ているんだというふうに大臣はお思いになりませんか。
#123
○国務大臣(小沢一郎君) 使用料、手数料の値上げにつきましては、これは受益者負担の原則に基づきましてその経済社会の動向に従って各地方団体において適正な料金というものを決めていくものであると思います。私どもといたしましては、今回の負担率の引き下げが即この手数料等の引き上げに結びついておるというふうには考えておらないところでございまして、地方の補てん分につきましてはそれなりの措置をとっておるわけでございまして、そのような考え方のもとに私どもも今後も対処をしていくところでございます。
 ただ、地方財政が先ほど来申し上げましたように厳しい状況であることは現実でございますので、結果としてそのようなことにならないように今後とも適切に対処していかなければならないということは肝に銘じておるところであります。
#124
○佐藤昭夫君 補助金カットの影響が使用料、手数料の値上げにストレートに結びついておるというふうには思わないというふうにおっしゃるわけでありますけれども、そうであれば、地財計画で示した四・九%の手数料等の値上げというこの推定に、全国の都道府県を見て半分ほどはそれよりも上をいっている、半分ほどはそれよりも下をいっているということであればそういう論法も通るかしれない。しかし、圧倒的多数がそれを上回る引き上げをやらざるを得ないという姿になっておるというのを、これをどう見るべきか。
 しかも、先ほどの政府委員の説明によりますと、都道府県は公立高校を運営をしておって、公立高校の授業料値上げの年に当たっていて、したがって市町村も含めた平均よりも少し高い数字が出てくるというのはいわば当然だと言わんばかりの説明をなさったわけでありますけれども、これは実態をよく調べないで国民を非常にだますこれまた言い分になってくるんじゃないかというふうに私は思うんですよ。
 私は、公立高校の授業料引き上げに関係のない政令都市を除く県庁所在地の三十二の都市の使用料、手数料の引き上げ状況を調べてみました。公立高校を持っていないところです。これを調べてみますと、地財計画の四・九%を下回るところは三十二団体のうち九団体、他はすべて、すなわち三十二団体のうち二十三団体はやはり地財計画の数字四・九%を上回って、ここら平均しますと六・一八%という、こういう使用料、手数料の引き上げをやっておる、こういう数字なんです。これこそ事実は雄弁であって、やっぱり補助金カットの影響がこういう面でも否めない。政府の説明というのは全く詭弁だということがいよいよ明白になってきているんではないかというふうに私は思うんですけれども、大臣、どうでしょう。
#125
○国務大臣(小沢一郎君) 私どもといたしましては、この負担率の引き下げにつきましてはそれなりの財源措置を十分講じ、そして今後も、自治体の苦しい状況の中でもこれによって財政運営に支障を来たすようなことがないようにということで対処していくつもりでございます。したがいまして、先ほどの繰り返しになりますが、今回の負担率の問題が即使用料、手数料ということになってきたのではないであろうというふうに私どもとしては考えておりますが、いずれにしても地方財政が大変厳しいことは先生御指摘のとおり、我々も認識として十分持っておるわけでございます。
 したがいまして、いろいろなやりくりの中で、結果としてそのようなことを助長をすることのないように今後とも対処してまいりたいということを申し上げておるわけであります。
#126
○佐藤昭夫君 ところで、厚生大臣に聞きます。
 多くの自治体では住民の要望にこたえて国の福祉にいわゆる上積みをしています。これは憲法二十五条の国民の福祉向上という点から見て好ましいことだと思われるでしょうか。
#127
○国務大臣(今井勇君) 自治体それぞれがなさることでございますからとやかく言うことではございませんが、できるだけの福祉の向上をすることは決して悪いことではありませんし、むしろ望ましいことだと思います。
#128
○佐藤昭夫君 このような地方自治体の単独事業が廃止されたり縮小されたりすることは全体的に見れば福祉の後退になります。こういうことがあれば、国民の福祉に責任を持つべき厚生大臣として当然反対の声を上げられるはずだと思うのでありますが、どういう態度をとられるでしょう。
#129
○国務大臣(今井勇君) 自治体それぞれのお考えに基づきましてやっておられることでございますから、一概に言えないものだと私は考えます。
#130
○佐藤昭夫君 福祉に責任を持つ大臣として大変嘆かわしい答弁だと思いますね。
 自治大臣・六十一年度の地方自治体予算を見ますと、第三の補助金カットのあらわれ、例えば老人いこいの家、学童保育所、児童図書館などの福祉、教育、さらに農水関係など、地方単独事業の補助金などが数えれば二百数十項目も廃止、縮小されているのであります。こうした動きも国の補助金カットとは無関係と言えないと思いますが、どういう見方でしょう。
#131
○国務大臣(小沢一郎君) まず社会保障の関係の中で老人、児童等の四項目ですか、これにつきましては補助金問題の検討会の報告におきましても、これは団体事務として身近なものは地方団体にやらせた方がいいのではないかという結論に基づきまして補助負担率も引き下げたわけでございます。このことから来るいわゆる地方の財政増加分につきましては、交付税におきましてもそれを補てんし、見ることになっておるわけでございます。
 したがいまして、今後具体的ないろいろな条件については、地域の地方公共団体においてそれぞれの地域に合った、適合した形の中でそれが定められ、また財政措置がなされるわけでございます。その意味におきましては、地域においてある意味においては違いが出てくるかもしれませんけれども、私どもとしては財源措置もしておるわけでございますので、これによっていわゆる国と地方の負担率の変化が給付水準の低下というような形であらわれてくるとは考えておりませんし、また先生がいろいろお話しになりましたけれども、公共事業を中心にいたしましてのそういう経緯につきましては、若干これは今言った社会保障経費等の問題とは、いわゆる内需振興、またそして、地域の振興という中から地方の財政にもはね返ってくる問題でありますので、この点は若干ニュアンスは違いますし、意味は違ってくると思いますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましてはこの負担率の変更によって給付の水準あるいは地元の事業の水準が落ちるということがないように、基本的に財源措置等を通じまして補てんをし、対処いたしたつもりでありますし、今後ともそのようにいたしたいと考えております。
#132
○佐藤昭夫君 大臣は依然として事実に合わない弁明を繰り返しておられるわけですけれども、本当にもう少し自治体の実態を真剣に調査し、自治体の担当者の声に耳を傾けていただく必要があると思うんです。
 私も、この質問に当たって幾つかの自治体の財政担当者にいろいろ声をお聞きをしました。これらの人たちは、補助金カットについて手当てをされるんだというふうに政府は言っているけれども、結局は一般財源からの持ち出しがふえざるを得ない、こういうふうに言っているんです。一般財源からの持ち出しがふえれば、まず何よりも単独事業などが削られるというのは容易に想像のつくところであります。
 こういうふうにして、補助金カットの直接対象となった事業だけじゃなくて、私が三つの角度から指摘をしたわけでありますけれども、地方財政危機をますます深刻化し、住民への負担増、住民サービスの切り捨てとなっているということはもはやどのような弁明も越えて明白な事実となってきているんじゃないかということを重ねて強調をしまして、大臣もちょいと触れられました公共事業の問題について次に質問をしていきます。
 さきの本会議で神谷議員は、公共下水道の新五カ年計画が前の計画より下回っているじゃないか、これも補助金カットの影響じゃないかと、こういうことで質問をしましたのに、総理は前の計画の実績よりはふえているんだということで答えたのでありますけれども、これほど国会と国民を愚弄する答弁は私はないと思うんです。前期計画の実績、すなわち進捗率、これは七四・七%かと思うんですけれども、これを下回らぬというのはこれは当然のことで、それを下回らぬからといったって、これはいささかも威張れる話じゃないというのは建設大臣も同感のことと思うんです。
 大臣、今年度からの新規五カ年計画、これは前期の五カ年計画に比べて計画事業量はふえるのか減るのか、どうなんでしょうか、計画事業量という点で見て。
#133
○国務大臣(江藤隆美君) 先般の国会答弁にかかわります関連のことだと思いますので、間違えてはいけませんからメモを見ながらお答えさせていただきます。
 第六次の下水道整備五カ年計画は、計画総額ではいわゆる調整費込みで前五カ年計画の三・四%の増ということになります、こういうことでございまして、また調整費を除いた額においても新五カ年計画は前五カ年計画の実績を上回る額を確保しております、これはもう当たり前のことであろうと思います。
 それからなお、新五カ年計画の事業量については、前五カ年計画の実績を踏まえまして、昭和六十五年度末の処理人口普及率を四四%に達するようこれから努力をしてまいる、そのように目標を設定しておるということでございます。
#134
○佐藤昭夫君 そうすると、もう一遍念を押しますけれども、計画事業量、この点で比較をしますと、新計画は前計画に比べてその八九%だ、調整費を含めると三%増だと、こういうことですね。
#135
○国務大臣(江藤隆美君) 前計画は五カ年間で十一兆八千億でございまして、今回の第六次は十二兆二千億。
#136
○佐藤昭夫君 いや、調整費を入れると。
#137
○国務大臣(江藤隆美君) 調整費が二兆二千二百億、御承知のとおりでありますが、これは三年先に見直すということになっておりますから、そのときの経済状況、財政状況等を勘案しながら、これほど下水道に対する要望の強い国会内の審議も踏まえまして、私どもは何としてもこれを事業費に組み込むことができるようにこれから努力をしてまいりたい、こう考えておるところであります。
#138
○佐藤昭夫君 でありますから、総理の本会議で行った答弁は、うっかりしているとだまされかねない。すなわち、新しい計画事業量を前計画の実績と比較をしてふえていますという、こういう非常にたちの悪い答弁をしておる。
 で、調整費を入れるとそれは確かに数字の字面としてはふえた格好でしょう。ところがどうですか、この調整費というのは見せかけのからくり数字であって、調整費が過去に使われた例が今まであるんですか、どうですか。
#139
○国務大臣(江藤隆美君) 資料が手元にありませんから正確なことはよくわかりませんけれども、何か一回あるとか聞いておりますが、余り今まではない。しかし、前例がないからこれからもないということではありませんで、これからは努力してまいります。
#140
○佐藤昭夫君 私の知っている限りでは、第三次計画で予備費を一千億のうち百六十四億使ったというこの例だけで、調整費を使ったという例はないというふうに私ども理解しております。
 ところで、話を進めましょう。だから、そのことからはっきりするように、調整費を加えて、したがって比べてふえていますからということで胸を張れるようなものではさらさらないということを重ねて言っておきたいと思うのであります。
 そこで話を進めますが、建設大臣、この新五カ年計画で計画事業量で対比をして、一般公共事業も地方単独事業もいずれも減っているという理由は何ですか。
#141
○国務大臣(江藤隆美君) 下水道ですか。
#142
○佐藤昭夫君 下水道。
#143
○国務大臣(江藤隆美君) 意味がわかりませんが、もう一回恐縮ですがお尋ねくださいませんか。
#144
○佐藤昭夫君 要するに、国の財政的な困難からということで、結局事業量を減らさざるを得ないということになっておるんでしょう。
#145
○国務大臣(江藤隆美君) 前期十一兆八千億だったものが、調整費のいわゆる大小は別としましても、総体では十二兆二千億になったわけですから、今後の努力次第ではおっしゃるような御意見のとおりではない、私はこういうふうに思っております。
#146
○佐藤昭夫君 何遍も同じことを言いなさんな。調整費を加えた数字で説明をしたって、そんなものは国会をだますだけだ、そんな今まで使った例があるのかということを言っているんですから、余り繰り返すとみずからの品位を落とすだけだから、おやめになった方がいいと思います。
 とにかく、この財政的手当てが難しいからということで計画事業量を減らさざるを得なくなっていると。加えて地方債の制度からいって、過去の五カ年計画での回収、これを第五次計画に組み込まなくちゃならなくなってくる、そういう借金返しのツケが来ているということなどが理由になって、事業量を縮小せざるを得ないということになっているんじゃありませんか。
 そこで、こうした点から考えてみて、今回の下水道に関する公共事業を通してみても、この国費負担の減額、カット、これは結局地方自治体に負担を転嫁し、国民の望む下水道整備をおくらせる、こういうことにならざるを得ないというふうに大臣、お思いになりませんか。
#147
○国務大臣(江藤隆美君) これ以上言うと、また品位を落とすと言われると私も大変心外でありますが、政治家として一つの信じることを申し述べ、また御提案申し上げておることを正しく御説明しようという熱意に燃えての説明でありますから、その点は御理解をいただきたいと思いますが、とにもかくにも、日本で下水道事業というものが本当に議論されるようになったのは、フランスのように三百年も前のことではないので、昭和四十五、六年に公害国会で随分と議論をされまして、それからようやくにして下水道事業というものが軌道に乗るようになった。その点においては、私は国会の議論というのは大変ありがたかった、こういうふうに思っております。
 それが全くなかったものがようやくにして、わずかな期間でありますが、不十分とはいえども三四%、三六%になり、また今度の五カ年計画で四四%、調整費を入れると四六ですが、そんなインチキ言うなと言われるかもしれませんが、とにもかくにもこれから先、私どもは今世紀末には何としても目標までひとつ達成しようということで一生懸命やっておるわけでありますから、余りそういうふうにおっしゃらずにひとつ応援をいただきたいと思います。よろしく。
#148
○佐藤昭夫君 それでは、さらに聞きましょう。
 昨年八月に、今後の下水道整備はいかにあるべきかという都市計画中央審議会の答申が出ています。いわゆる二十一世紀初頭への長期計画として人口普及率を総人口比九割程度まで引き上げようという方向を打ち出しているのでありますが、しかし、一番そのスタートである第六次計画、ここで対前計画比八九%だということは先ほど来私が申し上げているとおり。これで一体九割目標を達成するという決意があるのかと言わざるを得ない。二十一世紀初頭までに九割普及を実現をするために、今後毎年何%、どういうテンポでそこへ二十一世紀初頭までに到達をするのか。その所要額、毎年の所要額は幾らになるのか、示してください。
#149
○国務大臣(江藤隆美君) 今回の五カ年計画でもって昭和六十五年度末においては、調整費を全部使いましたときには四六%のいわゆる整備率まで持っていこうと、こう思っておるわけであります。そういたしますというと、あと残りが十五年あるわけでありますから、先般来、省内でいろいろ検討を加えました結果、何とかして毎年、仮に二%ずつ事業を伸ばしていくことができますというと、あと十五年ですから、これから六六%、約七〇%近くにまでやっていける。そういたしますと、二十一世紀初頭には人口比九〇%のいわゆる整備率にしなさいと、こういうわけでありますから、二十一世紀のいつまでということは書いてありませんが、少なくとも今世紀末に六六%か七〇%ぐらいまで十五年かかって頑張ることができないかなと。それから二十一世紀の初頭に向けて、答申にあるような九〇%に持っていくように最大の努力をしたい、こういうふうに考えておるところであります。
 金額が幾らかということになりますと、そこまで計算しておりませんから、それは御勘弁をいただきたいと思います。
#150
○委員長(嶋崎均君) 佐藤委員、時間でございますので質問を終わらせていただきます。
#151
○佐藤昭夫君 はしなくもあなたが今数字的にも確認をされたように、百歩譲って調整費を使ったとしても四六%、今後二十一世紀初頭まで十五年ある、年二%掛けると三〇、合計したら七六。九〇%にはほど遠い姿だということがはっきりしているじゃありませんか。どうしてそれでこの答申を尊重していくというふうに言えるのか。しかもこれは大蔵大臣としても、財政再建その道のりほど遠い、そしてこの三年間はとにかく財政の緊縮だと、こういっているときに、それを保証をされるような、財源数字は示せませんとこう言ったんですから、それはそうでしょう、ということだと思うんです。こうした点で、私は幾つかの事例を挙げて国民生活に被害はないという政府の説明のごまかしを指摘をしたんでありますが、こういう国民を欺く論法で本法案の強行を認めるわけにはいきません。
 したがって、ここで委員長に御提案をしたいと思います。政府は当委員会に対して、本法案が地方自治体と国民生活にもたらす影響についてその試算をはっきりすること、それから見解を明確にすること、こういう資料を本委員会に提出をするようひとつ指示をしていただきたい。しかる上で、後日またその資料をもとに審議を進めたいというふうに思います。委員長、お願いをします。
#152
○委員長(嶋崎均君) ただいまの佐藤君の要求につきましては、理事会で検討いたします。
#153
○佐藤昭夫君 終わります。
#154
○井上計君 本法律案は高額補助金のカットということが主体になっておりますけれども、余り本法律案に対象となっていないような、昨日も私質問で申し上げましたけれども、零細補助金の中にかなり不急不要のものが多くあるのではなかろうか、こういう感じがするわけであります。特に、零細補助金といっても、これらを整理統合することによって、見直すことによって、やはりこれはかなりの金額になるものも相当あるのではなかろうか、こういう観点から同僚委員は大変次元の高い質疑を行われておりますが、やや次元が低くなりますけれども、以下幾つかひとつお伺いをしたい、こう思います。
 まず、文部省主体にお伺いするわけでありますが、社団法人全国公民館連合会という団体が、文部省の所掌であろうと思いますけれども、この団体に対して補助金が出ておるのかどうか、まずこれを最初に伺います。
#155
○政府委員(齊藤尚夫君) 出ております。
#156
○井上計君 六十年度あるいは六十一年度金額は幾ら出ておりますか。六十一年度は幾ら予定になっていますか。
#157
○政府委員(齊藤尚夫君) 全国公民館連合会の全国大会に要する経費として二百十三万九千円、海外事情調査といたしまして二百三万一千円、合計四百十七万円、二分の一定額補助ということで補助をいたしております。
#158
○井上計君 それは六十年度。六十一年度の予算はどうなっていますか。
#159
○政府委員(齊藤尚夫君) 社会教育関係団体に対する補助金につきましては一括計上いたしておりまして、その配分の仕方は社会教育審議会の議を経て配分するということでございますので、本年度はまだ決まっておりません。
#160
○井上計君 金額はわずかでありますが、いずれにせよ補助が出ておるということであります。
 ところが、地方自治体が不当、不合理な押しつけということで大変長年困っておるというふうないろんな苦情が出ておるわけでありますが、その中にありますけれども、このようないわば上部団体が負担金を強制割り当てをしておる、こういうケースがあるんです。これは今お話しの公民館連合会だけではありません。相当いろんな団体がこれらのことを行っておるということでありますが、まずその公民館連合会の規程の中に、公民館振興事業分担金に関する規程というのがありまして、この第二条に、「全公連は都道府県公民館連合会に対し、国庫から市町村に交付される公民館施設整備費補助金の、百分の〇・五パーセントに当る額を、事業分担金として割当て、補助金交付の内定と同時に市町村別の補助金内訳を付して通知するものとする。」という規定があるんですね。実際にはどうも〇・五%じゃなくて一%取っているようでありますが、これについて文部大臣あるいは自治大臣関係いたしますけれども、あるいは大蔵大臣も御承知であるかどうか、御承知であるとするとこういうふうなケースが果たしていいのかどうか、これについてちょっとお伺いしたいんです。
#161
○政府委員(齊藤尚夫君) 先生御指摘の公民館におきます振興事業分担金に関する規程、これは団体によりまして昭和五十八年度限りで廃止をされておるわけでございます。先生御指摘のように、会費の一部に充てるために会員であります都道府県の公民館連合会を通じまして補助金の算定の基礎に基づきました一定の額の会費を徴収していることは事実でございますが、それが分担金というような形で補助金と直接関連のあるような誤解を受けるということを解消するためにこの規程は廃止したというふうに聞いております。
 この会費の徴収方法につきましては、法人が自主的に正規の手続によって定めているものでございますし、その徴収に当たりましては市町村の理解を得た上で団体として決めておるということでもございますので、自主的なものであるということを御理解をいただきたいと思います。
#162
○井上計君 いつ廃止をしたんですか、この規程は。
#163
○政府委員(齊藤尚夫君) 昭和五十八年度限りで廃止ということでございます。
#164
○井上計君 この規程を廃止したということだと、ちょっと私も調べておりませんから一応それはそのように解釈をしておきますけれども、たまたま公民館連合会のことを申し上げましたけれども、これに類する方法をとっておる団体が建設省関係でも土地区画整理協会等初めとして二、三ある。農水省関係でも土地改良事業団等幾つかある。あるいは厚生省関係でも下水道協会であるとかいろいろある、こう聞いておるわけです。だから確かに会費という形で取っておるかどうかは別として、やはり補助金の幾らというふうなものでいわば分担金として割り当てしていることは補助金の性格をかなりゆがめておるんではなかろうか、私はこういう感じがするんですね。一種の、やくざの組織じゃありませんが事実上の上納金方法である。しかも、補助金等の割り当て等についてこれらの上部団体がかなりの権限といいますか、申請あるいは交付、割り当て等についての相当な役割を果たしておるからこういうことが行われるのではなかろうか、こんな感じがするわけでありますが、大蔵大臣いかがでしょう。どうお考えでしょう、こういう方法がいいのかどうか。あわせて自治大臣も、地方自治体に関係することでありますが、こういうふうな方法がとられておることについてどういうふうにお考えでありますか。
#165
○国務大臣(竹下登君) いわゆる負担金の場合いろんな形で、例えば私ども関係したことがあります団体等では、私は森林関係の団体に多くおりましたが、全体のその自治体の森林面積でございますとか、そういうのはある意味において分担の一つの基準になるのかなと思っておりますが、従来私どもも経験しております、いろいろ議論してみたがなかなか適当な基準がないというので、いわゆる事業費の何%というような基準が当てられておるというケースがあって、それは実際余り適当なことではないではないかということで、そのことが表面へ出ていくことはやめられるような方向になっておるというふうに承っております。
 いずれにせよ公共事業の補助金があって、その補助金の何%かがその団体に分担されるといいますと、いかにも補助金そのものはその事業に対する補助でございますから、そこのところに矛盾を感ずると。自主的な団体が存在するのは結構でございましょうが、それに対するさて基準ということになると、勢いそういうものがあり得るのかなという問題意識は私も過去において持ったことがありますから、好ましい姿では必ずしもないと思っております。
#166
○国務大臣(小沢一郎君) そういうようなことについては私詳細は知らなかったのでございますけれども、いろいろな団体は、例えばみんなで力を合わせて予算を獲得しようとかあるいは事業の相談に乗るとか、そういうそれぞれの目的でつくられたのであろうと思っておりますが、それがただいわゆる補助金の、言葉は悪いですが見返りみたいな形で何%とかということで強制的に分担金的な性格を持って、本来の目的と必ずしもあれしない形でなされるということは余り適当ではないのではないかと、そのように考えます。
#167
○井上計君 今大蔵大臣、自治大臣お答えありましたけれども、補助金の何%というふうな割り当ての仕方、これはもう大変な誤解を招きます。同時にそれが、やはりそれらの上部団体がそれぞれの各省庁に対する重大な役割をいたしておるということを明らかにこれは示しておる、こういうふうなことであろうと、こう考えますと、やはり補助金の整理あるいは統合、見直しという中で、そういうふうなもののあり方がいいのかどうかということについてもこれは大蔵大臣、自治大臣、特に各省庁のそのような問題非常に多いわけであります。実際に各省庁から出ますけれども、地方で受ける側は、地方自治体が言えば一生懸命獲得した零細な補助金の中から、さらにまたそういうふうな、言い方は悪いですがピンはねをされておるわけでありますから、それらについてもやはり御検討いただきまして、そういうことの改善もぜひしていくべきであろう、このように思います。
 次に、これまた非常に零細なことでありますけれども、文部省は各図書館に対しての補助金を出しておられる、こう聞いておりますけれども、概略で結構ですけれども、どういう状況になっておりますかお伺いをしたいと思います。
#168
○政府委員(齊藤尚夫君) 図書館の施設整備に要する経費の一部について補助をしておるということはやっております。
#169
○井上計君 図書購入は……。含めているでしょう。
#170
○政府委員(齊藤尚夫君) 図書の購入費につきましては補助いたしておりません。
#171
○井上計君 図書購入費については補助していないそうでありますけれども、図書館の施設整備という中に、図書館によってはそういうものが含まれておるやに私実は確聞しておるんですけれども、まあそれはともかくとして、各図書館に対して中央省庁の外郭団体が発行しておる出版物等、これの強制割り当てが相当多いと聞いておるんですね。だから、これらもどの程度あるのか詳細なことはわかりませんし、また文部省としても全部を掌握しておられないのは当然だろうと思いますけれども、このようなこともまた貴重な補助金を言えばむだに使っておる、むだと言うとまた語弊があるかもしれませんが、そういうことになろうかと思いますので、これは文部大臣、各省庁に、各省庁の外郭団体に対しても何らかのそういうことについての自粛を強く求められる必要があるんではなかろうかと思いますが、文部大臣どうでしょうか。
#172
○政府委員(齊藤尚夫君) 図書館連合会は優良図書の推薦を行っております。したがいまして、その推薦をされた中でそういう書類、資料、文献等があるということは起こり得るわけでございますが、これはあくまで会員相互の便宜のために行っているものでございます。
#173
○井上計君 政府委員のお答えを聞いていると、それはもうそのとおりです。ただ私が申し上げるのは、言えば表面上決まったことでなくて、実際にはそうでないことが多いということをさっきから申し上げているので、あなたがおっしゃっているように、優良図書のこうこうに使うと、これはもうよくわかっていますが、だからこの補助金、零細補助金の末端での使用等々について表面に上がっていない、規定以外の、いわゆる規定の枠を超えた、あるいは規定の間を縫ったような、実際にそういうふうな補助金の使われ方があるという前提で申し上げておるわけですから、細かくそれ以上言いませんけれども、御留意をひとついただいて、それらのことが現実にあるわけですから、どうするかということについても検討をいただく必要がある、これはこういうことで申し上げておるということです。
 それから次に、これはまさに文部省にお伺いするんですけれども、文化財保護法によって埋蔵文化財等の遺跡の指定あるいは保護等が行われておるわけであります。これについてちょっとお伺いしたいんでありますが、国及び地方公共団体は埋蔵文化財包蔵地についての云々ということが第五十七条の四にあります。この場合、国が指定した場合と地方公共団体が指定する場合、もちろん地方公共団体の指定についても文化庁長官の云々がありますけれども、この場合、地方公共団体が指定したものについてもやはり国の指定と同じような後の扱い等々をされておるかと思いますが、それはいかがですか。
#174
○政府委員(加戸守行君) 史跡につきましては、国指定のもの、都道府県指定のもの、あるいは市町村指定のものと三段階ございます。そして国が指定したものにつきましては、現状変更等の許可は文化庁長官が与える、あるいは例えば史跡の買い上げ等に対します補助金を交付する等の諸般の措置で対応しておるわけでございます。市町村段階あるいは都道府県段階のものにつきましては、それぞれ市町村あるいは都道府県段階におきます許可権限あるいは財政措置等が講ぜられるということになっております。
#175
○井上計君 その地方自治団体の指定したもの、それの買い上げ等については国の補助は全くないわけですか。
#176
○政府委員(加戸守行君) 地方公共団体指定の分につきましては、国の補助金は支出しておりません。
#177
○井上計君 両方あるということがわかりました。
 そこで、さらにお聞きいたしますけれども、五十七条の五によって届け出があって指定した場合には、現状を変更することとなるような行為の停止または禁止、ただしその期間は三カ月を超えることはできない。それからその次に五十七条の五第五項で、この三カ月の間に調査が完了しないときには期間をさらに延長する、ただし第二項の三カ月と通算して六カ月を超えることはできないと、こうなっておるわけですが、この場合六カ月を超えたものについてはどういう方法がとられておるんですか。
#178
○政府委員(加戸守行君) ただいま先生御質問がございました、六カ月を超えた事例は現実に存在しておりません。
#179
○井上計君 ちょっとここでは実際のなにを、はっきりとしたものを申し上げることは差し控えますけれども、特に最近非常に多いんですね、こういうふうな埋蔵文化財の史跡指定。滋賀県、京都あるいは奈良県等々は従来からありますが、それ以外のやつがどんどんふえている。さらに多いろんな地域で相当ふえているわけですね。これによって土地所有者等が大変な迷惑といいますか、困っておるという事態があるわけですよ。
 ある地域でありますが、私がもう大分、数年前から陳情を受けておりますけれども、全く知らない間に指定を受けた、これは本人のミスであります。要するにいろんな周知の方法があったそうですが、そこに居住していないものですから全く知らなかったということでありますけれども、指定をされたためにどうにもならない。ところが、埋蔵物があるといっても実際どこにあるのか、一向にその後全くそのようなものが発掘調査されたという例がない。宅地でありますが、依然として現状維持の、変更ができない。県の方に再三問い合わせをしても、それは国のものであるからということで全く県が何とも取り上げてくれない、こういうふうなことが寄せられておるんですが、そういうふうなケースが実際にあるんじゃないでしょうか、どうですか。
#180
○政府委員(加戸守行君) 一般的に、埋蔵文化財がどのような地域にあるのかという調査を行いまして、いわゆる周知の埋蔵文化財包蔵地につきましては、遺跡地図等によりましてこのあたりにはこういった埋蔵文化財があるというようなことは、一般住民に周知できるような体制はとっているわけでございます。
#181
○井上計君 今申し上げたように、現実にそういう例があるんですけれども、今六カ月以上というふうな現状維持の禁止をする例はないということでしたが、しかし実際にはあるんですね。そういうことについてどうですか、こういうお尋ねなんですよ。
#182
○政府委員(加戸守行君) 先ほどお答え申し上げましたように、六カ月以上というような例はございませんが、現実にはそういった埋蔵文化財等が出てまいります。あるいはそういったところの調査をお願いするわけでございますが、現実には発掘の調査に相当の時間がかかる。したがって、例えば六カ月を超えるような事例もあり得るわけでございまして、それは一種の指示等に基づきまして調査を行っているその期間が延びるということによって、開発側に御迷惑をかけているような事例ではないかと思います。
#183
○井上計君 くどいようですがね、先ほどの答弁はいわゆる六カ月を超えるものはないということでしたが、実際には調査等によって六カ月を超えるものがあるということですね。そうすると、六カ月を超えて何年もということが現実にあるんだが、これはどうですか。
#184
○政府委員(加戸守行君) 先生が引用なさいました文化財保護法の規定は、そこに新たな遺跡が発見された場合の対応措置でございまして、それに基づくいわゆる六カ月を超えたような事例はないということをお答え申し上げました。具体的にいろいろトラブル等があると思われますのは、発掘の調査をお願いするわけでございまして、発掘のために時間がかかっている、そのことによって開発がおくれる、そういったようなことでいろいろと問題があり得るという事例でございまして、その文化財保護法の規定に基づいた工事の中止命令によるものではないと理解いたしております。
#185
○井上計君 ちょっともう一度、文化財保護法による工事の中止命令ではないということですが、じゃ、何によって発掘調査をやり、その発掘調査についての規定といいますか、要するに私有物に対して事実上の現状維持の禁止命令がやはりあるわけでしょう。それが三年も五年も七年もそういう状況でずっと置いておるということは、それはどういうふうな根拠でそういうことがなされておるんですか。
#186
○政府委員(加戸守行君) 発掘調査の根拠規定は、文化財保護法の五十七条の二という規定でございまして、それは周知の埋蔵文化財包蔵地を発掘しようとする場合の規定でございます。その場合には、第二項によりまして、文化庁長官が発掘に関し必要な事項を指示することができる。この指示に基づいて具体的な発掘が行われる場合に長引くケースがあり得る、そういう意味でのトラブルではないかと思います。
#187
○井上計君 どうもお答えが、繰り返すようですが、だからこれは三カ月という規定があるでしょう。これがなお三カ月で済まない場合には第五項で、引き続き延長できるけれども、しかし通算して六カ月を超えることはできない、こうなっておるわけでしょう。
 ところが、今のお答えでは、発掘調査の依頼をする、発掘調査がおくれておる例があるということですが、その六カ月をさらに超えても全くもってどうなるのか、発掘されるのかあるいは解除されるのかということが全く決まらぬというのは何を根拠にしてされておるのかというお尋ねなんですよ。
#188
○政府委員(加戸守行君) 先ほどから先生御質問なさっています三カ月、六カ月につきましては、五十七条の五の規定によりまして、そこで工事を行っているときに新たに、つまり遺跡がないと思われていたところで新たに遺跡が発見された場合に関します規定でございまして、その場合には工事中止命令を出すということでございます。その場合の三カ月という根拠規定でございます。
 それで、一般的な今私ども申し上げました事例は、埋蔵文化財があるという周知の地域について工事を行おうとするときには発掘調査をしてくださいということを指示するケースがあるわけでございまして、その場合に発掘をしていく期間、もちろん工事と同時並行もいたしますけれども、規模あるいは内容等によりまして、実質的に発掘調査に何カ月とかかる例があるわけでございまして、それは三カ月という制限規定ではなくてまさに必要な調査をお願いしているわけでございまして、調査の内容によっては調査の結果長引くという事例があり得るということでございます。
#189
○井上計君 私が頭が鈍いせいか、どうもよくわからないんだが、一つ例を引用して言います。
 昭和四十四年にある地域、これは地名は言うのよしましょう。約五百坪を会社の寮として買ったわけですね。買ったときには既にその付近一帯は埋蔵物があるというふうな遺跡指定という形でなされておったそうですが、買った会社は全く知らなかった。これは会社の怠慢でやむを得ぬ、こう思います。そこで宅地造成をして、そこに寮を建てようと思ったらストップがかかった、現在既に十何年、約二十年近くなるわけですね。県の方に再三問い合わせをしても、それは国のものであります、国に買い上げの予算がありませんからだめですと、こういうことでずっと今まできているわけですよ。だから買い上げをするとしても、安くしか買い上げしてもらえませんよと。どうしてかと聞いたら、買ったのは宅地ですが、その付近は山林指定になっておるから山林の価格でしか買い上げしないと言うから、実際に購入した金額の何分の一である。だから仕方がないから泣き寝入りで今までおっぽり出しておる。時々見に行っても草ぼうぼうであって、全く付近一帯はそのような調査をしている形跡もないし、何も手がつけてない。一体どうすればいいんだろうかという実は問い合わせがあるわけです。それを実はお聞きしているんですが、今のお答えでは全くわからないんですね。
 だから、発掘等があって工事をすれば三カ月、三カ月で六カ月だが、しかしそれらのものが出るかどうかわからなければ全然関係ないと、こういうふうに理解してもいいんですか。
#190
○政府委員(加戸守行君) 私の説明が不明瞭で申しわけございませんが、整理して申し上げますと、いわゆる何もないと思っていたところに工事をしていて遺跡が発見されたという届け出があった場合には三カ月、三カ月という規定が適用される。それ以外の埋蔵文化財包蔵地と言われているものについては調査をしてくださいというお願い、それは期間は別に区切っておりません。そういった違いがございます。
 そこで、今の先生の御質問の趣旨でございますが、国が指定した史跡につきましては公有化を進めておりまして買い上げを促進していただき、それに対して緊急性を要するものから文化庁では補助金を交付して購入を促進しているわけでございます。どうもただいまの先生の具体的な事例はお話の様子からしますと、史跡ではなくて、いわゆる周知の埋蔵文化財包蔵地ではなかろうかという感じがいたします。
 これにつきましては、買い上げ促進とかあるいは買い上げに対する補助という制度は適用されないものでございまして、そこでもし開発しようとしますれば内容によって発掘調査をお願いすることはあり得ても、現在国が補助金を出して買い上げを進めるような地域ではないのではないかというぐあいにどうも想像いたしております。
#191
○井上計君 大分理解ができました。
 そこで、じゃ、もう一つ伺います。そうすると発掘調査をしてくださいというのは、そういうふうなケースの場合にはだれに言うんですか。だれに依頼するんですか。その土地所有者ですか。
#192
○政府委員(加戸守行君) 発掘調査をお願いいたしますのは、開発事業者に対して指示をするわけでございます。
#193
○井上計君 私は、もうやめますけれども、全く理解できない。だから土地を所有している者に発掘調査をしなさい、しかし発掘調査を本人がしなければ実はどうするかという問題がありますね。ところがそれらの場合に、先ほど買い上げすることはあり得るということですが、これは補助金の問題と若干違いますけれども、余りにも広範囲に網をかけ過ぎておる、そういうふうな指定の場合。何でもかんでもとにかく文化財、埋蔵物がある、そういうふうな遺跡の何といいますか、そういうふうな可能性があるとなると、やたらに網をかけ過ぎておるという批判や不満が相当あるわけですけれども、もっとそれらについて、これは補助金の問題と違いますが、やはり民間の活力あるいは宅地開発というような面から見ても、かなり慎重に検討していただく必要があるんではなかろうかというふうに考えます。
 もう一つは、指定の方法等々ありますけれども、文化財保護法について第二項の命令によって「損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。」という明らかな条文があるわけですが、これらについても文部省、もっとお考えをいただく必要があるんではなかろうか、このように考えまして、たまたませっかくの機会でありますからこれを取り上げてお尋ねしたということであります。もっと詳しいまた私資料を取り寄せて直接文化庁との間で詰めます。詰めますけれども、これに類することが他にあるように聞いておりますから、あえてひとつ文部大臣にお聞き取りをいただいたということであるわけであります。質問を終わります。
#194
○下村泰君 今回の補助金、もろもろカットというような問題に直面しておるわけでございますけれども、その補助率問題の中で引き上がったものもあるんですね。厚生省関係ですが、デイサービス事業というのがあるんです。この具体的な内容についてお伺いをまずいたします。
#195
○政府委員(小島弘仲君) デイサービス事業につきましては、障害者関係と老人関係とあります。内容は大体似たものでございまして、在宅の老人や障害者の方々の福祉の拠点としていろんな事業活動をしようと。
 中身といたしましては、一つはいろいろな御相談に応ずる、それから老人の方々なんかについては入浴サービスをしたり、あるいはリハビリをしたり、それから生きがい対策としていろんな創作活動をやっていただくというような中身のものになっております。またそれを拠点として、ホームヘルパーの派遣事業を行うというような事業も考えております。
#196
○下村泰君 そこで、先般もここで総理のお答えの中にあったんですけれども、よく研究して、国として何ができるか考えさせていただきたい、こういうようなお答えだったんです。それから後で厚生省の方々に打ち合わせに行かせますというようなお言葉で、厚生省の方々とまたお話をさせていただきました。
 ところで、お互いに何かいい知恵があればそれを出し合って、そういう例えば小規模作業所、こういう方たちのことについても面倒見ようじゃないかというような、大変和やかな雰囲気になったんですが、ここでこれは私の提案なんですけれども、そういった関係者の方々といろいろ話し合った結果、このデイサービスというのを小規模作業所とうまくドッキングできないものなんだろうか。つまり授産施設を核としまして、そういう小規模作業所が支店的な扱い、出張所みたいな扱い、いわゆるブランチシステムというふうなことを考えて、そしてこの小規模作業所とドッキングさせてみる。その際に、五人以上とかあるいは職員の配置などの規定は、これはあっても当たり前だと思うんです。何とかしてデイサービスと施設をうまいことドッキングできないものなんだろうか、こういうようなことを考えてみたんですが、いかがでしょう。
#197
○政府委員(小島弘仲君) お考えのところは一つの方法論だろうと思っております。ただ、すべてのものがそのブランチシステムのようなことで考えられるか、あるいはブランチということが成立するかどうか、その辺は十分詰めさせていただきたいと思いますが、デイサービスの中身として創作活動、軽作業もあるわけでございますので、できるだけ物的、人的設備を活用できるような方向で検討はしてみたいと思います。
#198
○下村泰君 これはもう今すぐやれるという問題でもありませんし、すぐやってくれとも私は極端な御要望はいたしませんけれども、例えば研究会をつくるとか、何か専門家たちの会議をつくってみるとかいうような方法で、極端な言い方すれば、年内にそんなお集まりをしていただくとか、あるいは来年度にでもそういう形のものができ得るものかどうなのか、その辺の予測はいかがでしょうかね、まことに急なことなんですけれども。
#199
○政府委員(小島弘仲君) 現在、福祉関係施設の全体系をもう一度有機的な連携をとれぬかというようなことについて、全体を今検討するという形で関係審議会の方にもお集まり願って、そういう場を設けております。ですが、ただいつまでという期間の設定は無理な問題がありますが、その一つの重要な課題として検討してまいりたいと思います。
#200
○下村泰君 今の話をお聞きになっていて、厚生大臣のひとつお考えを聞かせてください。
#201
○国務大臣(今井勇君) うちの局長が答弁を申し上げたとおりでございまして、確かに考えとしては私、何かデイサービス事業の一部として活用ずみ道があるんじゃないかなと、こう思うんです。はいわかりました、すぐやりましょうと言うにはちょっと時間が要るものでございますから、これは検討させていただきたいと思います。ひとつできるだけ先生のお気持ちが反映できますような道があるかないか、ひとつ実態をよく把握してみたいと思っておりますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
#202
○下村泰君 心強いような心細いようなお答えでしたけれども、しかし小規模作業所の方たちにとっては今の局長、それから大臣のお答えがどのくらい明るく与えられるものか、これは局長、大臣では想像のつかないほど今のお答えというのは明るいんですよね、小規模作業所で今現在やっていらっしゃる方々にとっては。ですから、そういう方々にできるだけ失望を与えないように、何とかひとついい方向へ向かっていっていただきたいと思います。
 それから、文部大臣に伺いますけれども、この間も大臣には、もう先般の大臣のときにもいろいろお願いした筋がございますけれども、養護学校なんですね。これは後ほどちょっと御説明しますけれども、そういった障害者を抱えているお母さん方が、中には自分のお子さんがそういう養護学校で義務教育をされる、させていただけるということを知らない方もいらっしゃるんですね、僕はびっくりしました。そして通知をいただいて、ああ、このハンディをしょったうちの子供たちにも義務教育があるのかということで、改めて知って驚いているお母様方もいらっしゃいます。そして国の施策に対して、日本という国はこういうことまで面倒見てくれているんだなと改めて驚いているお母様方もいらっしゃいます。そうかと思うと、そういうことを盾にとって、またいろいろと政府に食いついている方もいらっしゃいましょうけれどもね。
 そのお母様方のお話によりますと、これは新宿区の方々なんですけれども、もうパンクしそうなんだそうです、養護学校が。つまり今まで知らなかった、知らなかったのが知らされた、知らされたから喜んでその学校へ行くということになりますると、急激に今ふえてきているんだそうです。パンク状態になって、これからもどんどんふえるであろうと、こういう予測がされているんですけれども、いかがなんでしょうか、増設その他、いろいろ施設についてのお考えはあるんでしょうか。
#203
○国務大臣(海部俊樹君) 突然の御質問でございましたので意を尽くさないかもしれませんが、全体の方向としては、先生御指摘のように昭和五十四年度に義務化をいたしましてでき得る限りの整備充実をしておるところでございます。
 そこで現在、調査しましたら、希望者の方がおいでになったら全部お入れするように努力をしておりまして、ほとんどお入れはしておるけれども、基準面積に達しないところが多くて、計画して、あるべき整備の姿と申しますか、そこからいくとまだ三二%ほど未達成の基準面積がある、現在で。ですから、今年度も予算をとりまして養護学校の整備充実を図っておりますけれども、これからも三二%もまだ基準面積の足りないところがあるというんですから、全面的にこれは一〇〇%きちっとできるように努力を続けていかなければならない、養護学校教育の充実を文字どおり図っていかなきゃならぬ、このように心得て対処していきたいと思っております。
#204
○下村泰君 この件につきましては総理の発言もありますので、去る日にテレビで総理が発言した言葉があるんです。それもまた総理が出席のときに引用させていただいてもっと詳しくやりますけれども、実は二十日の日曜日に新宿区の障害者の方たちを御招待しました、私どもの運動しております「あゆみの箱」で。そして欧風列車というのに乗せていただきました。なかなかよくできています。乗ったことがありますか、大蔵大臣。あれ一度お乗りになってみるといいですよ。オリエント急行みたいな式になりまして、そして今までの向かい合いのぎゅうぎゅう詰めの列車でなくて個室になっておる。大体一車両で四室ぐらいありますか、大変すばらしい。ブルートレインを改造したんだそうですが、前後にサロンカーがついておりまして、それに身体障害者の方々を御招待して、大月で降りまして、大月から河口湖へ参りまして、それから甲府から帰ってきたんです。そのときに新宿区のお母さん方からそういうお話があったわけです。
 ところが、その中に子供さんでいろんな症状を持っている子がいるんですね。ダブルカウントとかスリーカウントみたいな方がいらっしゃる。なまたまお母さんが重そうに抱いていらっしゃるお子さんを私がかわりに抱いて、いろいろ遊んでおったんですけれども、顔だちはちょっと子供じゃないんですね。伺ったら、子供でも赤ん坊じゃないんです、九歳なんだそうです。背丈がちょうどこのくらいなものですね。そして手を支えてやれば歩ける。ところが言葉はしゃべれないんですね。ただ、ちょっと奇声を発しまして、指をさしてあっちへ行け、こっちへ行けと指示を与えるんです。
 この子のお母さんが言うには、養護学校でも状態が状態で入れない。お医者さんに聞きますと、この子は精薄の方にも行くし、それから身体障害者の方にも行く。そのほかにもしそういう症状があるとすればそちらにも入ってしまう。どこにも受け付けられない。このお子さんが例えば養護学校の方へ行きますと、いやこれは精薄扱いだ、うちの方はこういうのはだめなんだ、身体障害の方に行けと。で、身体障害の方に行くと、いやこれは精薄の方へ行ってくれと。こんなような状態で、なかなか行き先が決まらないんだそうです、学校自体が。こういうお子さんもいらっしゃるんです。そういうお子さん、ほかにもたくさんいらっしゃるわけです、そのときのお母さんの集まりで聞いてみると。
 そういう状態なもんですから、せっかく養護学校というものを今、海部大臣がおっしゃったように熱心にあと三十何%を埋めるとしても、つまり出先の現場のそういうような状態ですとこの施策は何も生きてこない。つまり血道が通わないということになるわけです、結果的には。ここのところが私は心配なんですよ。そういうことに対して、果たして文部省としてはどういうような御指示を与えられるのか、一言だけ聞かせておいてください。
#205
○国務大臣(海部俊樹君) 私も養護学校の現場を視察させていただいて、今おっしゃるような状況の子供さんをそれこそ手をとり足をとって先生が指導していらっしゃる。本当に頭の下がる思いで、教育にはこういう尊い現場もあるのかと身につまされて見てきて、私も励まして帰ってきたんですが、なるべくそういう児童生徒の障害の状況に応じて、どこへ行って学んでいただいたらその児童生徒のために一番ふさわしいかということは、教育委員会が、たしか進学何とか委員会といいましたですね、進学決定委員会というんですか、そういったものにきちっと各界のお医者さんとか精神科医の人も入って、どこへ持っていったら一番ふさわしいかということで決めて御推薦をしておると私は承っておりますので、そういったことがより適切に行われるようにこれからも指導をしていかなきゃならぬ、こう心得ます。
#206
○下村泰君 私の持ち時間は五時までいいですね。
 今度は労働省の方にお伺いしますけれども、労働大臣いらっしゃらないですね。労働大臣はいなくても大丈夫です。職業安定局長、精薄者の雇用率、またこの問題についてお伺いしますけれども、何か精薄者に対する動きがあるような模様にちょっと承っておるんですけれども、どういうふうになっていましょうか。
#207
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 予算委員会のときから御答弁申し上げておりますように、精神薄弱者に対します雇用率制度の適用につきましては、現在身体障害者雇用審議会の場において御検討いただいております。この身体障害者雇用審議会の中に小委員会を設けまして、その前に先生御指摘になったいろいろ報告があったわけでございますが、それらをもとにしながら昨年の九月十七日から毎月一回のペースで進めさせていただいておりまして、六月ないし七月に身体障害者雇用審議会に対してこの小委員会の結論を出していただくように、さらに本場の審議会へ上げるわけでございますが、鋭意検討の内容を詰めさせていただいておりますので、そういうことで御了承いただきたいと思います。
#208
○下村泰君 多少裏の方をもうお聞きしていますので、今無理にここで内情をどうのこうのとは申し上げませんけれども、よろしくお願いします。
 それから、労働省に伺いますけれども、八王子に「新いまいうずら」という会社がありまして、この会社が閉鎖しました。そして閉鎖になった理由その他はくどくどここで申し上げませんけれども、この「新いまいうずら」という会社が倒産して、その後どうなっているかというようなことはお調べになったことがございましょうか。
#209
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 昨年の十一月二十二日の読売新聞に掲載されていた件だと思います、「詐欺に泣く身障社員」ということで。これは昨年の二月に事業所が閉鎖されまして、精神薄弱者十八名を含む従業員二十七名が離職したわけでございますが、雇用保険を受給しておりまして、さらに現在精神薄弱者十八名中、職場適応訓練受講中の者が八名を含めまして十二名が再就職をいたしております。一人は企業において実習中でございまして、一名は施設に入所中、それから一名は施設に入所希望、一名は入院中ということでございまして、あと三名残るわけでございますが、公共職業安定所によりまして現在職場を探しているという状況でございます。
#210
○下村泰君 実は、職業安定局長も内情をお調べになっておわかりのことと思いますけれども、ここの従業員の大多数がいわゆる精神薄弱者なんですね。この精神薄弱者の方たちがここで採用されまして、ウズラを育てている間なかなか時間がかかったそうです。ところが、ウズラを飼うことによってこれが赤字経営ならともかくも、精神薄弱者の方が主力となって作業をしてこの「新いまいうずら」というのが黒字経営になった。その黒字経営になった会社が、いいかげんな経営の仕方からして倒産をしたというならともかくも、これは詐欺にひっかかったんですね。詐欺にひっかかったがためにこの方たちが職を失って路頭に迷った。かといって、こういう方たちはすぐに転職してどこの職場にも合うという体質の方たちじゃないわけですね。ですから、ほかの職業につくとなればまた何年か訓練も受けなければならないし、受けたからといって即その仕事ができるわけじゃないというような方たちなんです。
 ですから、これはもう安定局長にお願いしておくんですけれども、行政として何かバックアップできないか。これから何か手を打ってこの会社が経営ができないか。それから、できるようになるならどうしたらいいのだろうかというようなことを考えていただけるのかどうか、それだけお伺いして私は終わりたいと思います。
#211
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 確かに先生おっしゃるように、取り込み詐欺に遭って非常に気の毒な状態であるわけでございますが、そのほかウズラが非常に温度が高いところで死亡するとかいろいろな経営の問題もあったようでございます。しかし現在の我々の持っております手段では、この企業そのものを再建するというのはなかなか難しい問題でございまして、そこに働いておられた精神薄弱者の方々を何とか再就職さしていきたいということで努力いたしている状況でございます。
#212
○下村泰君 終わります。
#213
○委員長(嶋崎均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後五時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時六分開会
#214
○委員長(嶋崎均君) ただいまから補助金等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#215
○穐山篤君 最初に日銀総裁に伺いますが、きょうの為替相場まことに異常であります。何か新聞報道によりますと、この円高についてはレーガン大統領も支持をしているというふうな報道がなされているだけに非常に憂慮すべき状況にあると思うんです、
 そこで、この急激な円高・ドル安の背景、原因というものについて見解を伺いたいと思います。
#216
○参考人(澄田智君) お答え申し上げます。
 円相場は三月から四月の前半まではおおむね百七十八円から百八十円というような範囲で比較的小幅に変動がとどまっていたわけでありますが、しかしながら、先週末ごろから市場に一段と円高・ドル安機運が高まりまして、本日は御指摘のように一時百六十八円台、終わり値は百六十九円三十五銭というようなところまで円高が進みました。この間、ドイツ・マルクなど欧州通貨もドルに対して上昇を見ておりまして、これもかなり顕著な上昇でございます。ここ数日の為替相場の動きは、円高というよりはむしろ全面的なドル安というような商状でございます。
 背景といたしましては、先週発表された米国の鉱工業生産などの経済指標が総じて先行きはともかくとして足元の景気の弱さというものを示すようなものであったことや、これに伴って米国の金利の先安感、これが一段と強まったこと等があると思います。また円との関係、円高との関係につきましては、欧米の一部においてなお一層の円高を求める、そういう雰囲気がいろいろと伝えられる、そういうようなことから為替市場の円高・ドル安センチメントを強める結果になっていると、こういうようなふうに思われるわけであります。
 基調としての円高は、対外不均衡是正のためにこれは望ましいことである、こういうふうに考えるわけでありますが、ここのところの動き、殊に先週末からの動きというのはかなり思惑も絡んだ非常に急速な動きである、これはぜひ安定することが望ましいわけでありまして、そういう意味で私どもも非常に注意深く対応している次第でございます。
#217
○穐山篤君 先ほども申し上げましたが、レーガン大統領が円が高くなることを支持しているというふうな情報があるわけですが、日銀と米国の連邦準備制度理事会とはいつも御連絡があると思うんですが、この点についての見解はいかがでしょう。
#218
○参考人(澄田智君) 日本銀行は、これは前からそうでございますが、とりわけ昨年九月のワシントンにおけるG5の会議以来、米国はもちろんでございますが、それ以外主要国の通貨当局と為替市場の動きについて密接に常に情報の交換をいたしております。そしてお互いにそれに対する対応というようなことも話し合い、市場の動きを見守りつつ連絡をとっている、こういう次第でございます。
 米国の通貨当局におきましては、ドルの急落というようなことに対しては、これに対しては非常な深刻な警戒心を持っておりますが、現在のドルの状況というものはまだそういうものでは全くない、こういうような考え方でございます。しかし、かなりドル高の修正というものは進んでいる、こういう点については認識を同じくしているものでございます。
#219
○穐山篤君 昨年の夏以来国会では、ドルが高過ぎるあるいはアメリカの金利が高過ぎる、こういう問題を指摘をして議論をしてきたわけですが、急激にドルが安くなり円が高くなった。そこで総裁は、注意深く見守りたい、こう言っているわけですが、この百六十何円というのは客観的に言えば異常な状況だと思うんです。したがって単に見守るというだけでは能のない話でありまして、何らかの介入が必要であろう、こういうふうに考えますが、その点いかがですか。
#220
○参考人(澄田智君) 先ほどは一般的に注意深く見守るというような表現を用いましたが、もちろん単に手をこまねいて見守っているわけではございません。私どもといたしましても、できるだけ手を尽くすという意味においては努力をいたしておるものでございます。
#221
○穐山篤君 仮の話でありますけれども、百六十円台あるいは百五十円台というふうな水準で安定をするというふうな予想もないわけではないんですけれども、そういう場合に日本経済あるいは国民生活に与えます影響について、総裁はどういうふうに分析をされていますか。
#222
○参考人(澄田智君) 昨年の秋以来の円高のテンポがかなり急速でありましただけに、輸出関連産業にあっては採算の悪化とかあるいは受注の減少等、影響が既に生じているということは私どもも十分承知をいたしております。たまたま本日、日本銀行におきましては支店長会議を開催しているところでありますが、各地の支店長からもそういった報告が多く聞かれているところでございます。こうした状況にかんがみまして、今後さらに急激な、水準自体の問題というよりも急激に円高が進むということ自体が対応を非常に難しくする、こういう面がございますので、当面のところは何よりも安定が望ましい、こういうふうに考えるわけでございます。
 こういう状況にかんがみまして、政府におかれては先般総合経済対策の一環として種々措置を講ぜられているところでございますが、私どもといたしましても、本年に入りましてからこのたびの公定歩合の引き下げを含めまして三度にわたる公定歩合の引き下げを図り、これによる内需の拡大を促すというようなことを期待をしている次第でございます。
#223
○穐山篤君 世間では、三回行った公定歩合の引き下げについて評価もしているわけですが、こういう状況になれば第四次も準備をされるのではないか、こういう観測を下しているわけですが、その点の感想はいかがでしょうか。
#224
○参考人(澄田智君) ただいまの御質問でございますが、第三次の公定歩合の引き下げはようやく先週土曜日に決めたばかりのところでございます。これに伴う諸措置、例えば預貯金金利の引き下げ等は五月の十九日でございましたか、それからということになるわけでございます。今の時点においては、第四次というようなことは全く念頭にないところでございます。
#225
○穐山篤君 公定歩合が下がり、それに連動して金利も低下をしているわけですが、そこで最近の指標を見ますと、株式だとか証券の方にかなり移動をしている傾向が強いわけであります。それからまた土地の価格の問題につきましては、目下は都市部にやや高騰の気配があるわけですが、投機的なことも予想がされるわけです。それからさらに長期資本の流出が、最近公表されました数字を合計をいたしましても、最近は約七百五十億ドル前後ではないかなというふうに数字の上では見えるわけでありまして、非常に低金利という問題がいろんな分野で影響を与えているわけです。
 そこで、まずこの株式とか証券に非常に寄っているという傾向について、国民的な立場からいえば結構な話ではありますけれども、最後のツケがもう一度国民のところに負担がかかるという心配をするわけですが、その点いかがでしょうか。
#226
○参考人(澄田智君) 御指摘のように、株価やあるいは債券の市況がなり上昇を見るわけでございます。また土地につきましても、都心部の中心に大幅な上昇を見ているというような状態でございますので、これを過剰流動性の兆しというような見方も一部にございますが、しかし株式や債券市況の上昇は、基本的には原油価格の下落とこれに伴う世界的な金利低下を反映したものであると思っております。また都心部の地価の上昇も、情報化社会といった社会の進展といったことに伴うビルの需給の逼迫という実態面、この事情が背景にあるものと思います。したがって、こうした現象が金融緩和を直接の原因としているものではないと、かように考えるものでございます。
 全般的な物価動向という点から見ますると、現在消費者物価も前年度に比べて一%台の上昇、卸売物価に至りましては前年に比べて、輸入物価の下落もありまして八%台も下がっている、こういう状況でございまして、極めて安定した動きを示しております。円高や原油の値下がりというようなことから見ても、当面こうした基調が崩れるということは全く予想しがたい、こう考えております。
 したがって、現状が過剰流動性あるいはそれによるインフレの懸念といったような状態にあるとは見ておりませんが、金融が既に十分緩和した状態にあることは、これはまた事実でございます。加えて、金利水準も今回の公定歩合引き下げにより非常に低いところまで低下をしているということでもありますので、今後の動向、金融緩和下における今後の動向については十分な注意を払ってまいりたい、かように考えております。
#227
○穐山篤君 総裁はどうぞ退席されて結構です。
#228
○委員長(嶋崎均君) どうぞ退席してください。
#229
○穐山篤君 さて、そこで総理に伺うわけですが、先日の首脳会談では為替の問題について率直な議論をされたかどうか、あるいは日本が持っております懸念についてレーガン大統領とどういう話をされたのか、その点をまず伺いたいと思います。
#230
○国務大臣(中曽根康弘君) 首脳会談の席上におきまして率直な話をいたしました。
 為替につきましては、昨年の九月二十二日のG5以来顕著に変化があった、これは好ましい方向の変化であったと。しかしその後のいろんな変化等も見てみるというと、最近の動向については変動が激しい、むしろ為替について望ましいことは安定性である、そういうことを私は強く強調したのでございます。
#231
○穐山篤君 その際のレーガン大統領なりあるいはアメリカの財政、金融関係の責任者の御意見はいかがだったですか。
#232
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、昨年の秋以来世界経済全般の動向として二つのことが顕著に出てきていると。今度のサミットにおいてもその点は特に積極的に考えていきたい。一つは政策協調という問題です。もう一つは構造改革である。
 政策協調の問題については、G5以降いろいろな点のいい結果も出てきておると思う。構造改革については、アメリカ内部においても膨大な財政赤字をなくすためにグラム・ラドマン法という法律まで出てきて構造改革に取り組んでおる。ヨーロッパも労使関係の弾力性、産業構造の調整、失業問題の解決に積極的にいろいろ財政政策も考えつつやってきている。我々の方も内需の増大とかあるいは経構研の研究会の報告を我々自体が今度はどういうふうに料理していくか、そういう問題で我々としては今検討を始めようとしておる。こういうわけで、積極的な構造改革及び政策調整が世界的に進んできたということは、世界に明るさをもたらし、この延長線でさらに進めていきたいと思っている。
 そういうことを言いまして、そして通貨の問題につきましてもできるだけ経済の基調に合うように、言いかえればファンダメンタルズにそれが反映されるような形が長期安定で望ましいやり方である。最近の情勢を見るというと日本の円・ドルの関係というものは我々の側から見るというと急激過ぎる、自分はそう思うと。それで、こういう急激な変化というものよりも長期安定をもたらすという方向に自分たちは努力していきたい。そういうことを強調したのでありますが、レーガン大統領の返事はそのときはありませんでした。
#233
○穐山篤君 外務大臣は首脳会談にも出られて、さらにパリにも向かわれたわけですが、外務大臣の立場からこの急激な為替相場の変化という問題についてはどういう注文をされてきたんですか。あるいはパリの会議では、閣僚理事会ですか、どういう考え方を日本政府として代表して述べられたのか、その点いかがですか。
#234
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日米首脳会談では、今総理がお述べになったような基本的な姿勢で対応してまいりました。私自身もシュルツ長官との話し合いの中で、為替の急激な変化というのは日米経済だけじゃなくて世界経済にも悪い影響を与えるおそれがあると。G5によるところの円高基調というものは非常にいい方向に進んでおったけれども、しかしこれがさらにまた急激に変化するというのはむしろ経済を悪化させるということで安定性が重大だということを主張した次第でございます。
 また、OECDの閣僚会議におきましては、去年はどちらかといいますと日本がいわばターゲットにされまして、日本の黒字問題に対しまして非常な攻撃が集中したということでありまして、私もことしもまた日本が集中攻撃を受けるんじゃないかというふうな危惧も持って行ったわけでございますが、ことしは幸いにいたしまして世界経済が好転をしたといいますか、特に先進国経済がいわゆる為替相場の調整もありましたし、また最近の原油の価格の低落、そういうものもございまして経済に明るさが出てきたということで、むしろ世界経済のこうした協調を踏まえながらマクロ的にインフレのない持続的な安定成長をさらに進めていかなきゃならぬというような一つの方向性が全体として打ち出されて、どこを攻撃するということじゃなくして、お互いに政策協調していこうと。特に、今度のOECD閣僚会議の特徴は、やはり国際的に構造政策、これをお互いに相協力しながら見直してひとつ立て直していこうじゃないかという点で大いに議論が盛り上がったというのが一つの大きな特徴であったように思っております。
#235
○穐山篤君 まあ日銀は日銀としての介入といいますか、方法があるだろうと思うんですが、大蔵大臣としてはこの事態をどう分析をし、どういう対応を考えておるんですか。
#236
○国務大臣(竹下登君) 分析ということにつきましては、日銀総裁からお話がありましたように、私どももおおむねドル安というのは一層の米ドル金利低下予想とそれに伴うドルの先安感、これに市場の思惑的な動きによるところが多いのではないか、こういう種の分析というのは大体同じでございます。確かに先週後半からかなり急速にドルの全面安ということになっておるわけでございます。で、一般的に申しますと、相場が一方に行き過ぎればいずれ振り子の原理と申しますか、是正安定に向かうということがよくあるわけでございますけれども、相場の動きが急に過ぎて乱高下と判断される場合には、やっぱり適時適切に介入をする考えでありますが、具体的に介入の有無ということにつきましては、事柄の性質上コメントを差し控えたいというふうに考えております。
 日米首脳会談前にいわゆるG10がございましたときに、ベーカー財務長官との話し合いは、お互いが安定することが好ましいということは合意いたしておるところでございます。
#237
○穐山篤君 先ほども指摘をしましたけれども、けさの新聞ですか証券二十三社の中間決算の数字が発表になりました。これを見ますと、手数料につきましてはばらつきがありますけれども、売買の損益のところではもう軒並み大幅にもうかっている。それだけ市況が活発化したということになるだろうと思うんですが、低金利時代に入ったためにこの傾向はますます強くなると思うん、ですが、どちらかといいますと、数字を見ますと、株の値段、けさの新聞を見ても、従来常識的な株価が、異常な会社で異常な値上がりが行われておったり、それから予想もしないところが値段が下がっているというふうにやや投機的な要素があると思うんですが、その点大蔵省どう見ておりますか。
#238
○政府委員(岸田俊輔君) お答えいたします。
 最近の株式市況でございますけれども、御指摘のように金利の低下とか原油安、加えて世界的な株高傾向を背景にいたしまして上昇の傾向を続けておりますが、三月三十一日の株価、日経ダウでございますが、史上最高の一万五千八百五十九円というような状況でございまして、その後上がったり下がったりいたしておりまして、本日の状況を見てまいりますと、本日ではダウで百十四円下がっているというような状況でございます。
 私どもといたしましては、市場が過熱をいたし非常に不安定な状況になることについては十分注意をしてまいりまして、先ほど来二回にわたって規制をしているという状況でございまして、今後とも投資家の不測の損害のないように十分監視してまいりたいというふうに考えております。
#239
○穐山篤君 国土庁長官、土地の価格の状況はいかがなものでしょうか。
#240
○国務大臣(山崎平八郎君) お答えいたします。
 近年、地価そのものは全国的には安定しておりますけれども、東京等の都心部、商業地等におきましては非常に高い地価上昇を見ております。この東京等の都心部、商業地等の地価上昇につきましては、その理由は基本的には旺盛な事務所需要によるものと考えられます。このため事務所用用地を供給するということに大いに努力を払いますとともに、投機的な土地取引等を抑制すること等によりまして地価の安定に努力いたしておるところでございます。
#241
○穐山篤君 先ほども指摘をしましたけれども、最近の国際収支、資本の流出の状況を調べてみますと、五十五年はともかくとして、仮に五十六年の数字で見ますと百四十九億三千四百万ドルでありますが、これが今日では七百億ドルを超える、こういう異常と言っては語弊がありますけれども、資本、特にこれが証券で投資をされているわけです。貿易黒字が五百億ドルありながら、日本国内ではそういうものが十分に投資がされないで、金利が少しでも高いところ、あるいは自分が設備投資をした諸外国のところにみんな金が流出をしているわけです。まあ企業には国境がないからそういうこともあり得るという理屈もあるわけですけれども、現実に貿易摩擦などの議論のときには国対国という壁の問題がいつも出るわけです。
 そこで大蔵大臣、この異常な証券投資の状況についてどういうふうに分析をされていますか。
#242
○国務大臣(竹下登君) 昨年九月以降円高が進む中で、米国の債券相場、これが金利低下期待から極めて堅調であるということが一つの理由となって対外債券投資を中心に本邦の資本の流出超過が続いておる。しかし、四月に入りましてから対外債券投資は、米国債券相場の高値警戒感による利食い売りの増加等から、これまでのところ処分超となってきております。
 こうした債券投資は、今しばらく前、金利差が相当にありましたときには、為替リスクというようなのは余り考えないで流れていったということがございました。去年の七、八月ごろでございます。で、九月に、そういう点については、これは一般論としてでございますが、総理からのいろいろ御示唆もございまして、いわゆる為替リスクというものには注意しなさいよという一般的な注意を行っておりましたが、金利差が三%をはるかに超えておりますと、余り為替リスクを考えないでやる傾向が確かにございます。今は金利差は三%でございます。
 したがって、債券投資は最近においては円高によるいわゆる為替リスクを避けるための為替ヘッジを伴ったものが多うございますので、キャピタルゲインねらいの対外債券投資が中心となっておりまして、円高によって資本流出が生じておるというふうには理解をしていないというのが現状でございます。したがって、去年の八月ぐらいの状態のときの資本流出とは異なる。その意味においては、いわゆる為替ヘッジを伴うということが性格的には違ってきておるというふうに見ております。
 ただ、この資本流出の問題というのは、あの当時の議論は、要するに貿易で黒字を稼いだ上にそれを今度は資本流出、向こうで言えば資本流入になるでございましょうが、それでまた利ざやを稼ぐというような議論もあったわけでございますけれども、今金融資本の自由化、国際化の時代ということからしますと、これを何らかの手法をもって封ずるとでも申しますか、原則的にそうしたことは、傾向としてはとる措置ではないではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#243
○穐山篤君 その点は、また別の機会に意見を申し上げたいと思うんですが、郵政大臣、今や郵便貯金も最低の低金利状況になってきました。
 さてそこで、先ほども申し上げましたけれども、金の移動が行われているというふうに考えられるわけです。郵便貯金は一番安全ではあるけれども金利が安い。もっと高いものに、例えば信託であるとかあるいは国債中期ファンドであるとか、いろんなものに、さらには株に投資をする。そういう状況があると私は見るわけですが、今の貯金の残高傾向はいかがなものでしょう。
#244
○国務大臣(佐藤文生君) 昨年の暮れで郵貯の残高が百兆円を超したことは先生御承知のとおりでございます。こういう事態で、ことしに入りましてから公定歩合が三回下がりまして、との段階で国際金融の市場の中で全般的に金利が下がっていく、それとの関係を十分考えていかなくちゃならぬ。それから国内においては市中銀行との整合性もこれは考えていかなくちゃならぬ。三番目に、内需の思い切った拡大にこれは対応していかなくちゃならない。四番目に郵貯の特性である、例えば四百六十万に及ぶ福祉年金をいただいている方方をどのように守っていくかということ、あるいは原爆被爆者の方々をどのように守っていくか、私としてはこの四点から考えまして対応をしてきたわけでございます。
#245
○穐山篤君 総理と大蔵大臣に伺いますが、公定歩合が下がる、それに連動して金利が下がる、これは下がり方の問題はまた議論があるにしてみても現実に下がっているわけですね。ところが依然として下がらないものがあるんです。例えば住宅ローンですね。さらにはカードローン。このカードローンになりますと、これは大蔵大臣の方の所管になるかとも思いますけれども、もうほとんど従来と同じですね、一〇%を超え一三%ぐらいの幅で動いているわけです。このローンについて言えば、金利の部分もあるでしょう、手数料の部分もあるでしょう、あるいは集金上のコストのこともあると思いますけれども、各信販を調べてみましてもあるいは銀行を調べてみましても、ここの部分じゃ全くサービスがない。これは国民の消費購買力を弱めることには作用しても強めることにはならぬと思うんです。この事態をどういうふうにごらんになって、これを下げる努力をしなければならぬと思うんですが、その点いかがでしょう。
#246
○政府委員(亀井敬之君) ただいま御指摘のカードローンその他の金利でございます。
 先生御指摘の問題、多々広い面でございますが、今回の公定歩合の引き下げに伴いまして一般的な市中の短期金利等は低下をいたしているわけでございます。御指摘のありましたカードローン、住宅ローンでございますけれども、住宅ローンは例えば三月の三十一日に遡及をいたしまして、大変低い水準に今下げております。従来、御承知のような五・五%というのを五・四にし、今五・二五というふうにいたしておりますが、これは一方でまた、既に大変低い水準になっておりますこと、また一方で補給金等もかかっておりますこと、そういった状況でございますし、水準が低いということで御理解をいただければありがたいと思っております。
 また、カードローンでございますけれども、これらにつきましては、消費者金融のこれからの方向ということで私どももできるだけ指導等をいたしておりますけれども、基本的には金融機関の自主的な経営判断ということで、それぞれいろんなコスト等もかかってまいりますので、そういう形でやっておりますので、個別の金利のところまでを指導していくのはいかがなものか、こういうふうに考えております。
#247
○穐山篤君 それぞれコストがありますから、コストを割ってまでもやれとは言いませんけれども、金利が下がってきたという事実を踏まえて、依然として一〇%を超えるような手数料、まとめて手数料を取るようなことは、これは現在の状況から考えてみて適切ではないというふうに思うわけであります。
 物品販売の関係は通産省でありましょう、それからいわゆるカードローンの指導というのは大蔵大臣、これは貸金に関する法律で適用をしているわけでありますので、どちら側の責任かということはなかなか言いがたいと思いますけれども、この低金利時代に即したカードローンの取り扱いをさせるようにこれは検討してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
#248
○政府委員(亀井敬之君) 今御指摘のありましたカードローンの金利でございますが、先生おっしゃいましたいわゆる出資法と言っておりますが、これによります最高金利、現在は七三%というような高い水準になっております。これ以上取りますと罰則がかかるという金利でございますので、その中で、現実にはある程度それよりも少し低いような段階での取引が行われております。
 ただ、御指摘のこれをどんどん下げるというような点でございますけれども、私どもは今、金融制度調査会の中に今後の消費者信用のあり方に関する専門委員会というのがございまして、今御指摘ような勉強、研究をいたしておるわけでございますけれども、若干その御議論を御紹介しますと、金融界の気持ちといいますか、そういう中には、今の金利規制がありますが、そういった規制をむしろ外して上に、上にと言うと言葉が悪いんですが、個々の動きを少し広くするようなことによって消費者の信用度とかそういったものに応じたような消費者金融をできるだけコマーシャルベースに乗せまして、拡大するといったような面も一つの考え方ではないかといったような考え方もございます。もちろん金利がどんどん上がっていいということを申し上げるつもりでは決してございませんけれども、こういった金利と量、そういったあらゆる面を考えて勉強をしていきたい、また実際今、専門委員会で勉強をいただいておる、こういうところでございます。
#249
○穐山篤君 まことに不満でありますが、前に進みたいと思っています。
 地方財政の問題に移りますが、いろいろ準備はしましたけれども、時間の都合がありますので、一、二の問題にとどめたいと思っています。
 大蔵、自治両大臣あるいは政調会長との間に覚書が結ばれているわけです。この三年間の暫定期間は国と地方との間の財政関係を「基本的に変更する」ようなことはしない、こういう申し合わせであります。この「基本的に変更する」というのは何を想定してこの覚書が結ばれたのかということが一つ懸念をされるわけです。今回の財政措置でも、大幅な増税はしないとかということを言いながらたばこ消費税の値上げを急遽やるというふうな政治の手法を見ておりますと、どこまでが信頼できるのか否か非常に疑念を持つわけであります。したがって、「基本的に変更する」ことがないというこの柱ですね、輪郭は何であるのか、これは大蔵大臣と自治大臣に伺っておきたいと思うんです。
#250
○国務大臣(竹下登君) まあ可能な限り補助率というのは安定性があった方がいい、したがって三年間は基本的に変える考えはございませんと。で、なぜ「基本的に」という言葉を使ったかといいますと、例えば、まだ税制調査会で一方税制議論がなされておる、仮に税源配分とかいうようなことに変化が生じたら全く変えないとは言えない。それから、事務事業の見直しによって例えば一般財源化するものが出てくるかもしらぬ。そういうことがございますので、やっぱり基本的には変えませんよ、今のものを大体三年間定着して行いますと。あえて「基本的」という言葉を入れましたのは、もしそうした変化が生じた場合のこと、全くないとは言えぬわけでございますのでそのような言葉をつけたというふうに私の方では理解をしております。
#251
○国務大臣(小沢一郎君) ただいま大蔵大臣から答弁のあったとおりでありますが、この覚書につきましてはいわゆる補助負担率に関して結ばれたものでございまして、私どもといたしましては、現在の財源配分の仕組みを前提といたしまして、いわゆる六十年、六十一年のような補助負担率の変更によって国と地方の財政負担の割合は変えないということを意味しておる、そのように解釈しております。
#252
○穐山篤君 来年度予算の編成にも関連して農水大臣に伺いますが、いわゆる二百海里時代といいますか、これに突入をしたわけです。で、過去いろんな交渉の結果、減船を余儀なくされたりあるいは転職をするということが今日まで続いているわけです。日米加の漁業協定あるいはこれからの日ソサケ・マス交渉というものをいろいろ考えてみますと、日本の漁業も重大な岐路に立たされていると思うんです。まだ十分な計算はできていないと思いますけれども、この漁業関係の影響というのは地域の経済に重大な影響を与えます。それから漁民の生活にもこれまた大きな犠牲が強いられる。必然的に北海道を初めとして漁業基地につきましては地方財政にもいささか影響をするわけです。そのことを考えてみますと、ことしの後半戦あるいは来年度の予算編成は非常に重要な問題を抱えるというふうに思うわけですが、今申し上げた点について農水大臣どんなふうな見解でしょう。
#253
○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 このたびの日米の関係並びに日ソ関係、これの交渉の結果、どのような被害を受けるかということについての検討は今進めている最中でありまして、特に日ソの方はまだ漁業委員会の方が継続しております。これも近日中に解決すると思いますけれども、そうなりますとどうなるのかということで、私も実はつい先ごろ、先週末でございますけれども、北海道釧路、根室、稚内、こういった地域を見てまいりました。
 釧路、特に根室、稚内につきましては、もう根室の場合にはおよそれ〇%ぐらいが漁業関係で生活をしておる。あるいは稚内の場合も七〇%以上を超えておるということでありますし、またちょうど五十二年のときにも大きな影響を受けたわけでありますけれども、当時は一つの青天のへきれきみたいなものであったんですけれども、今度の場合には力がだんだんなくなってきておるところにもってきて、またこういう状況であるということでございまして、漁業者の皆さん方ですとか水産加工業者、こういった皆さん方に対してどういう対応をするのかということ。それから原料不足なんかもございますので、こういった原料に対してどう対応していくのかということもございます。そういうものに対しまして、私どもはその状況というものをよく見きわめながら、国際規制関連経営安定資金、こういったものの発動、あるいは水産加工経営改善強化資金の融通、こういったものを、これはなるべく早い機会にやっぱりやっていかなければいけないということで、来年度予算というよりは、これを今年度の中でどう対応するのかということを私たちは検討しなければいけないと思っております。
 いずれにしましても、これはどのくらい減船するのか、あるいはほかに回すことができるのかというようなこと、それからずっと工場が休んでおったこと、あるいは休漁して係船しておったこと、こういったことによって大変大きなダメージを受けておりますので、そういったものを全部見きわめなければいけないということで、そういったものの検討を今進めているところであります。
#254
○穐山篤君 ことしは一兆一千七百億円総額で財源不足を生じ、たばこ消費税とそれから地方債の増発ということで便法を講じて何とかつじつまを合わせたわけですが、さて来年地方財政計画をつくるのに当たりまして、ある程度の保証がなければ地方は大変なものだと思うんです。また自治省としても財政計画はでき上がらないと思うんですね。例えば条件を同じに仮に仮定をしたとしてみても、来年も一兆一千億程度のものが不足をするわけです。これをどう国がきちっとしてくれるかということは、当委員会としても十分に担保しなきゃならぬと思うのですが、その点いかがですか。
#255
○国務大臣(竹下登君) 地方財政計画には支障を来さないような措置はいたしますということはお約束をしておるわけでございます。
 今現行の施策、制度あるいは成長率等もそのまま置いた計算からいえば、今穐山さんおっしゃったようなことになるわけでございますが、今後どういうふうな成長率が期待されるか、あるいは税の自然増収、そうしたものが弾性値がどういうふうになっていくかというようなこともございましょう。が、ことしは確かにたばこというのは最終的にとっさに、とっさに考えたという表現は適切でございませんが、たばこを来年そのまま置くかということはございません。これはまさに臨時異例の措置として一年限りの措置にしようと。たばこの税そのものは別の面で、いわゆる間接税のあり方という問題で恐らく税調では議論をしていただける問題でございますので、必ずしも今たばこというものを来年も幾ばくかでも当てにしてという考え方は持っていないということでございます。
 従来もいろいろな措置をしておりますが、出口ベースでマクロでは地方財政に支障がないような措置を講ずるということはお約束をいたしておるところでございます。ただ、私どもと自治省との間の協議はいわゆるマクロの話になりますので、個々の地方団体に対しましては自治省の方でまた適切な措置をおとりいただけるものであろうというふうに考えております。
#256
○穐山篤君 去年の補助金削減のときにもそうでありましたが、地方に実質的に負担をかけるようなことはいたしませんと、こう公言をされましたけれども、結果としていろんな負担が、きのうきょう議論されておりますように地方は犠牲を負っているわけです。あるいはそのことのツケが直接県民、市民にいろんな形で回っているわけです。
 そこで、もう一度お伺いしますが、地方財政計画には支障はさせないと思う、させませんということですが、例えばどういう方法があるんでしょうか。たばこ消費税は来年三月三十一日で切れますね。もう財源は当てにならぬです。それからことしの地方財政を調べてみますと、借金を返す金額の方が地方債の起債よりも多くなっている、こういう事態になっているわけですから、これまた地方債の増発というふうな安易な道はとれないだろう、こういうふうに順に詰めていくと何が財源としてあるんだろうか、そういうふうに思うわけですが、その点いかがですか。
#257
○国務大臣(竹下登君) たばこというのは現在念頭にない。ことしの場合、例えば今回の補助率の問題がなかったとすれば、出口ベースで大体基準財政需要に見合う措置ができたと。で、あったわけでございますから、それに対しての措置を行わしていただいた。おっしゃるとおり建設地方債の発行とたばこの問題でございます。
 来年の場合、これからの推移を見てどういうふうに変化していくかわかりませんが、ただ、今まで過去に行われた措置はいろいろございますが、その分のどの手法をとりますとか言うのにはいささか今日早いではなかろうか。ただ、原則的に申し上げますことは、いわゆる基準財政需要を満たすだけの地方財政計画には支障のないような措置は行います、こう申し上げるに尽きるんではなかろうかと思います。
 起債の問題につきましても、それは政府においても、今御案内のとおりことしの公債発行額と利払い等から申しますと、今穐山さんが御指摘なさいましたような状態になっておることは事実でございますが、いずれにせよ、地方債の問題の元利償還等につきましても、基準財政需要をもとにした地方財政計画の中では支障のないような措置を行いますと言うに尽きると思うわけであります。
#258
○穐山篤君 自治大臣、今の大蔵大臣の答弁で自信がおありですか。
#259
○国務大臣(小沢一郎君) 財政の最高責任者が支障を来さないようにやると言って約束いたしておるのでありますから、私どもはその点を信じておりますし、支障を来さないような措置を私どもも努力してしなければいけませんし、ただいまの答弁をそのとおり受け取っております。
#260
○穐山篤君 まあ内容不明のものを受け取ることになるんで、これはまたさらに当委員会で質問をしたいと思います。
 それから総理、午前中の審議の中で再び私、前倒しの問題を取り上げたわけです。簡単に言いますと、戦後最高の前倒しをやりたいと、それも八〇%程度、それから北海道その他地域を考えて前倒しについても若干の配慮をしたい、こういう意味の説明があったわけです。従来の実績から考えてみまして、十月以降の後半戦の作業量がないということになればどういう事態になるかというのはもう明らかであります。そこで私は、結論的に昭和六十一年度予算というのは補正予算含みの予算であったな、こういうふうに位置づけているわけですが、その点総理の見解はいかがでしょうか。
#261
○国務大臣(中曽根康弘君) 六十一年度の予算が通ったばかりで補正予算のことを言うのは見識がない、こう言われるだろうと思います。
 これからの景気の模様、円ドル関係、金利の問題あるいは油の問題、世界的な情勢をじっとよく見詰めながら弾力的措置を考えていくということに尽きると思います。
#262
○穐山篤君 多分そういう返事だろうと思いますが、しかし、そういう問題を議論をするのはちょうど総裁選の前後になろうというふうに思うわけですが、十分日本の経済状況を見詰めていただいて、適切な措置をとってもらうということで注文をしておきたいと思うんです。
 それから、経構研の問題でありますが、私は一一問うことはしませんが、この報告書をアメリカにもよく説明をしたり、それからヨーロッパの諸国にもよく説明をされた、こういうことに相なっているわけです。それを総理は政策協調、構造改善という名前で締めくくったわけですが、この報告書をよく読んでみますと、非常に重要なことが書かれているわけです。「従来の経済政策及び国民生活のあり方を歴史的に転換させるべき時期を迎えている。」、こういうふうに一つは指摘をしているわけであります。それからもう一つ重要な問題は、輸出型の構造でなくて輸入型の構造に変えていく。それから、我々関心を持っております郵便貯金の問題についても触れているわけです。
 そこで二つお伺いをするわけですが、この研究会を具体的な行政のレベルに乗せなければならぬわけですが、どういう組織をつくられて仕事を始められるのか。それから、この中をよく読んでみますと、当面の問題と中期的な問題と長期的な問題がある。中長期のことはいずれお伺いをするとして、当面何を予定をしているのか。当然サミットには一応の見解の表明をされるんでありましょうが、最低限度そのくらいのことは総理も見解の表明をされると思うんですが、その二つについてはいかがでしょうか。
#263
○国務大臣(中曽根康弘君) 当面といいますと、この間、四月八日に総合的な経済対策をやって内需の拡大に努めることをやりました。あるいはさらに、日銀の主導によりまして金利の低下を三度目をやりました。こういうようなことはもう当面やっていることに入ると思います。まあ内需の拡大というような面が一番今努力してやっておるターゲットになっているだろうと思います。それからやはり減税問題というのがありまして、これは今税調でやっておりますが、党といたしましても今検討してもらっておりまして、これは秋にはそういう法案を用意していく、そういう形にもなると思います。
 大体以上のような、まあ需要の喚起というようなこと、こういうものが当面ということは考えられるんではないかとも思います。
#264
○穐山篤君 前段の行政レベルにどういう仕掛けで乗せるか、そこのところ。
#265
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、きょう政府・与党の会議をやりまして、先般の経済対策閣僚会議において経構研の報告というものに対して我我はまことに時宜に適しかつ貴重で、これを評価する、そういうような評価をいたしまして、そしてきょうはそれを推進する、推進するというのはそれを参考にして政策を練る、そういうための仕組みをつくりました。これは官房長官を座長にしまして、関係閣僚及び党の主要幹部が入りまして、そして推進会議をつくったわけです。ここで仕分けをしまして、当面やること、中期にやること、長期にやること、そのアイテムを、対象項目を整理して、そして今度は具体的にどういうふうにそれを実行していくか政策内容を練っていく、そういう段取りになるだろうと思います。
#266
○穐山篤君 この報告書の印象を申し上げますと、私が今冒頭に読み上げたように、「経済政策及び国民生活のあり方を歴史的に転換させる」、これは日本の文化を変革をするという考え方ではないか、国民の思想、気持ちというものを変える、日本の置かれた立地条件というものをこの際転換をしてしまう、そういう意味で非常に私は注目すべき提起だなというふうに思っているわけですが、言ってみれば国民のニーズ、産業界のニーズというものを変える、そういうふうに理解をして正しいんでしょうか。
#267
○国務大臣(中曽根康弘君) 文化のルートを変えるというようなことはとても不可能なことだろうと思いますけれども、戦後日本が、主としてこれは通産省が推進したんでしょうが、輸出か死かとか、あるいは輸出の一滴血の一滴、油の一滴血の一滴と言われましたけれども、そういうような言葉で表現されるように輸出指向ということで非常に努力をしたわけです。それはもう戦争に負けて外貨がなかったために、外貨獲得ということで血のにじむような努力をした。商工省は通産省と名前が変えられて、通商産業というふうに通商という面にすらもなって、通産省というものは輸出省のことでもあった。そのために技術も蓄えていくということ、そういうような形で出てきたと思います。
 そして、いわゆるコンビナートを中心にする重化学工業国家というものができましたし、ジェトロというものができましたが、あれは輸出の政府関係機関とも言うべきものであったと思うんです。それはある程度成功しまして、日本は今のような輸出大国に成長したわけでありますが、それが今はこういうふうに国際的批判を呼んだ、労働時間も外国から見れば非常に経済的富に対しては長過ぎるじゃないかとか、あるいは税の問題にしてもそうじゃないかとか、そういうようないろんな面の批判も呼んで、やはり何と申しますかマチュアードデモクラシーといいますか、熟成された民主国家に転換しなさいと、そういう批判が出てきているし、私は部分的に正しいと思っておるんです。
 ですから、外国人が日本を言うのは輸出指向型国家、エクスポートオリエンテッドとかそういう言葉を使っておりますが、そういうようなところの批判はやはり受けとめて、そして輸出輸入のバランスのとれた、そして国民が労働時間やあるいはレジャーというものに対しても正しい理解を持っていくような国、余り行き過ぎるというと英国病とかドイツ病というのになりますから、それを適切に調和を保った国家に進む。じゃ、輸入大国になるのかといえば必ずしもそういうものじゃない、バランスのとれた国家になる。じゃ、バランスとは何ぞやといえば、日本はやはり資源のない国で貿易で生きていかなければいけないということは日本の属性でもあります。じゃ、どの程度のバランスか、そういう問題になりますと、これはやはり貿易をやっていくに必要なインベントリーファイナンスをやる外貨が要ります、あるいは外国に直接投資する外貨が要ります、あるいは外国に経済協力をする外貨が要ります。そういうやはりある程度必要な外貨はちゃんと持った程度のそういうバランスのとれた国家という方向に、ある意味における整形手術をするときに来つつある、私はそう思っておるんです。
 ですから、その部分は正しいと思っておりまして、そういう方向に行ったらどうか。ただし、これは整形手術ですから相当痛みますから、余りみんなが神経質にならぬようにうまく順序よく、そして自然に動くように持っていくのが政治のうまいところじゃないか、これから苦労するところだと。それにはやっぱり時間が若干かかる、時間はかかってもそういう方向に徐々に進行していくべきである、そう思っておるわけであります。
#268
○穐山篤君 本問題についてはまだ別の機会にいたします。
 時間の都合がありますから、最後に労働サミットについて伺いますが、きょう外国代表を含めて申し入れがあったと思うんですね。その申し入れはどんなものであったのか、また総理はどういう態度を表明をされたのか、その点についての御意見を伺いたいと思います。
#269
○国務大臣(中曽根康弘君) 本委員会へ来る前、二時間ばかり各代表にお会いいたしまして、いろいろ申し入れを受け私の考えも述べ、皆さんと懇談をしたところでございます。
 一つは、やはり日本の輸出超過、膨大なる黒字、これは国際経済に調和した形にできるだけ早期に直すべきである、こういうことが一つの大きなポイントです。それから第二に、労働時間、ILO条約の採用、こういうような問題も指摘されておりました。それから科学技術、新しい技術の導入と失業問題との関係であります。これは調和のとれた形でやらないというと、社会の無秩序あるいは非常な不幸を起こす、そういうような話がございました。
 それから、発展途上国や債務国に対する態度、あるいは通貨の調整、安定、それからガット、ニューラウンドに関する問題、それからあとは軍縮と平和、それからテロに対する対策。テロについては皆さんは絶対許してはならぬ、こういう問題は我々は労働組合であるけれども人類の一員として国際協力で断固として対決といいますか、テロに対しては向かわなければならぬ、そういう態度でありました。それから南アのアパルトバイト、これも人間差別であって許すべきではない、そういうさまざまな御意見があったわけであります。
#270
○穐山篤君 それについて総理は何か意思表示をされましたか。
#271
○国務大臣(中曽根康弘君) 皆さんの御意見は東京サミットにおいて議長国として参加の皆さんにもお伝えをいたしますと。それから私は、今度の東京サミットというものは今までのものと比べてみて、より積極的な国際協調、政策協調、それからより積極的な構造改革、これは各国がやるべきときに来た。アメリカは膨大なる財政赤字、日本は膨大なる輸出黒字、ヨーロッパは膨大なる失業、そういうような問題を抱えておるし、それから発展途上国や債務国の問題も放置を許さない。世界経済というものは循環してぐるぐる回りをやっているところに初めて繁栄と拡大があるので、したがって、先進国あるいは北の方だけで繁栄するということは許されない。そういうふうに世界経済を循環させるという方向で我々はこの際積極的に努力しなければならぬと思う。またテロに対しては全く同感である。アパルトバイトに対しても、日本は外交関係を持ってない数少ない先進国にもなっているし、今後もそういう点では協力していく等々私の考えも申し述べておきました。
#272
○穐山篤君 終わります。
#273
○大川清幸君 私は、限られた時間の中で、国の補助金の臨時特例に関する問題では特に内需拡大に重大な関係のある公共投資問題についてお尋ねをしていきたいと思っておりますが、この公共投資あるいは内需拡大についても重大な関係があると思いますので、先ほどから論議になっております為替相場の問題について一応質問に入る前に確認をしておきたい点が何点がありますのでお伺いをいたします。
 今回の第三次公定歩合の引き下げ、これは報道によりますと日米協調による利下げであるというようなことが言われておりますが、この点は間違いございませんか、いかがでしょうか。
#274
○国務大臣(竹下登君) 双方の利下げの環境が整っておるということが私どもの合意で、そして政策協調の中の一環としての利下げ、利下げそのものを協調したといいますと通貨主権といいますか、各中央銀行のメンツ、そういう考え方ございますので、政策協調の一環としての利下げ、こういうふうに御理解いただければ幸せです。
#275
○大川清幸君 そうしますと、一応基本的な問題では双方で合意をして今回の措置がとられたという解釈ができますが、今回の第三次公定歩合の引き下げにつきましては、円高・ドル安の進行を阻止するとかあるいは為替相場の安定的な状態を保ちたい、こういうのがねらいであったように思います。本日の報道等によっても百六十円台に突入をした、こういうことでございますが、これはアメリカで話し合いをしていた当時も予想はしておられなかったベースじゃないんでしょうか、どうなんでしょうか。
#276
○国務大臣(竹下登君) 相場自身を確認し合ったわけではございませんが、安定が好ましい、こういうことは合意でございます。今度の公定歩合の引き下げについて三つばかりの要素がございますが、日銀総裁からも言われておるように為替相場というものも配慮して行った、こう言われておるわけでありますが、きょうの日銀総裁のお答えにもありましたように、アメリカの方のなお金利先安感というものに思惑が生じた、こういう表現をしていらっしゃいましたが、その限りにおいては思惑が生じたわけでございますから、我々が予測しておったとは言えないと思います。
#277
○大川清幸君 ちょっと意地の悪い言い方で大変恐縮なんですけれども、やっぱり円高に対する国民の不安、特に中小企業なんか深刻だろうと思うんです。急激なところが一番困るわけでございますが、ちょうどG5、この前のときですか、百八十円台のころの話ですが、政策介入、これは日本にとって不利なレートをどうも押しつけられた形跡があるんではないかということがちょっと世上言われておって、対応としては失敗したといいますか、そうした点では判断のミスがあったのではないかというようなことも言われておるんですけれども、あの当時からの対応の仕方としては何か反省をなさっておりますか、いかがですか。
#278
○国務大臣(竹下登君) これは難しい問題でありますが、九月の二十二日のG5が一つの段階。その次が、ロンドンのG5が一月でございますから、それが一つの段階。そして先般のG10ということの三つになると思っております。
 それで、G10の際が、御指摘なさいましたとおり百八十円を挟んで非常に小さい動きであった。その場合にお互いが安定を、きょうも日銀の総裁のお答えにもありましたように、一部なお日本の円は、あるいはドイツのマルクは強くてもいいじゃないかというふうなことを思っていらっしゃる方もないわけではございませんでしたが、安定ということについてはだれも合意をいたしておりましたし、それからやっぱり為替相場というのは、おまえのところは大体これぐらいだといって要請されるとか、押しつけられるべき性格のものじゃございませんので、その点は大変な政策選択のミスをしたとは思っておりませんが、円は上がりましたが私の評判は下がったという認識はしております。
#279
○大川清幸君 きょうの夕刻の報道なんかを見ましても、どうもこういう為替レートの状況にあっても、アメリカ側では今のところ積極的な介入なり対応はしないような考え方も報道されておったんですが、そうなりますと、やはり現在の円高トレンドはどうも底がたいという感じが私としてもするわけです。そうなると、せっかくの第三次公定歩合の利下げ、この効果が円高阻止とかあるいは安定の意味では多少効果が出るかもしれませんが、利下げ効果が円高阻止に働く働き方が、アメリカの方で何にもやらないということになるとどうも余り効果が出てこないんではないかなという心配をいたしておりますが、その辺の感触はいかがでしょうか。
#280
○国務大臣(竹下登君) 一般論として言えますことは、必要な場合は協調していわゆる介入あるべしと、こういうことでございますが、どういう場合にどのような基準でやるということは、それを言うことは差し控えなければならぬというふうに思っておりますが、よく言われる話といたしましては、今度はいわばドル買いであるならば、日本の金でやるんだから日本自身は少しも困らないんじゃないかとか、いろんなそういう意見もございますが、きょうも申しましたように、注目しながら適切な措置をしなければならぬと思っております。
#281
○大川清幸君 ところで、アメリカ側の方からいろいろな報道が聞こえてくるわけですが、ヤイター通商代表も過去において、二月ですか百七十五円を目標としているというようなちょっと発言があって、そんなことも市場に影響があったのは御承知のとおりでございますが、どうもアメリカの国内の南門家の意見の中には百七十円あるいは百六十円、あるいは極端なのは百円のベースまで、いろいろ議論があるようでございます。
 そういう点から考えますと、日本側の努力にもかかわらず、アメリカ側からこちらの経済対策なりあるいは金融対策なりについて、かつての四十六年のニクソン・ショックですとか、あるいは五十三年のカーター・パッケージのときのような要求もそろそろ向こうからぶつけられるようなことにもなるんではなかろうかというような心配もありますが、その辺についてはいかがな感触でしょうか。
#282
○国務大臣(竹下登君) 私が考えております現在の心境で申し上げますならば、一応きょうの報道にもありますように、レーガン大統領は今日までの円高・ドル安基調への努力は評価する、相場観はさすがにノーコメントと、まあこうおっしゃっているようでございますが、だからその評価はそれなりにいただけるであろうと。しかしこういう問題は、要するに産業界を代表される方はいつの場合でもいわゆる自分の企業採算ベースで、どっちかと言えば自己中心的な相場観をよくお出しになりがちなものであります。それからもう一つ学者の議論の中には、いわゆる為替操作だけで両国の経常収支のインバランスを解消するとすればこれぐらいだ、こういうのが学者の議論としてあり得るというふうに思うわけでございますけれども、今私どもが、政府が決定しております総合経済対策等を着実に行うことによって、態度と実効で示すべきであるというふうに思っておるところであります。
 かつてのいわゆる機関車論というようなものは、世界全体がインフレなき持続的成長を目標としておるときに余り大きな声では出てこないだろうというふうに私は思っております。
#283
○大川清幸君 そこで、先ほどからの議論の中でも円ドルのトレンドというかベースをどのくらいにするかということについては、具体的なお答えをいたしますといろいろ相場その他にも影響があるから数字は言えないという背景については私もよく理解するわけです。ですから、ここで金額は言っていただく必要はありませんけれども、国際経済社会の中で日本が国内の経済の安定あるいは中小企業擁護、そういう点から考えましても、腹の中である程度の目標、数字を決めて、そしてG5なりG10なり、いわゆる話し合いのできるそうした先進国との間における何と言いますか、お互いの協調介入、こういうようなものを要請するような段取りをなさっておいた方がいいんじゃないかと思いますが、その辺はどう考えますか。
#284
○国務大臣(竹下登君) まあ腹の中に置いて、仮に要請するということになりますと、それはある種のターゲットゾーンを国際通貨体制の中へ持ち込むという議論にもなるわけでございますので、その点は慎重たらざるを得ない。ただ、いわゆる為替相場の安定のためにはいろんなことを考えなきゃいかぬということは、今の御忠告を含め十分腹に入れさしていただきます。
#285
○大川清幸君 総理、この為替問題、円ドル問題につきましては、まあ西独がどう今回対応するかというようなこと、ちょっと課題で残っておりますが、サミットも近いことでございますし、この辺の各国との協調の問題についてはどのような要請というかお話し合いをするおつもりでございましょうか。
#286
○国務大臣(中曽根康弘君) 為替相場の問題は、やはりスロー、スロー、スローで、それで安定的な状態が維持される。変化は当然あり得るものです。しかし、やはり安定性というものが非常に大事なので、その安定の基準はどこであるかと言えば、経済のファンダメンタルズを反映したものがまず長期的に安定する可能性が一番強い、そう思うんです。
 現在の日本の円の急騰というものを見ると、これは余り急過ぎる、変化が過激過ぎると。そう私は思うので、今まで一般的にこういう過激なときには介入も辞せず、そういうことを言ってきましたが、介入も辞せずという状態だろうと私は思っております。ただ、こういうものは一つの時の勢い、リズムがありあるいはサイクルがありまして、柔道みたいにやたらに小わざをかけてもかかるものじゃないんで、やっぱりタイミングを見てすぱっと一発かけるというようなのも、やっぱりこういう生き物でございますから考えなきゃならぬが、事態はそういう環境にあるであろう、そう私は考えております。
 東京サミットにおきましても、ともかく去年の秋以来世界じゅうの先進国が積極政策をとってきたことは非常によろしい。それは一つは政策的協調、これが積極的にどんどん出てくれば、これは途上国も喜ぶであろう、何もしないで自由経済でそのままほっておけばいいという程度のものではない。しかし自由貿易は擁護しなきゃならぬ。それからもう一つは、構造改革について積極的になってきた。アメリカはグラム・ラドマン法という法律まで出して赤字財政を直そうとして出血までやろうとしておる。日本もいろいろな点でこの膨大な黒字について対応策を今研究している。ヨーロッパも膨大な失業その他についても、国によっては非常に厳しい財政政策をとっている国もありますし、さまざまでありますが、皆それぞれ対応しつつある。そういう意味において、今後債務国の問題とかそのほかの問題についても積極策をとっていくということが正しいし、東京サミットはそういう積極的な政策調整や構造改革という一つの時期に、前進の時期にしていきたいと考えておる次第であります。
#287
○大川清幸君 ところでもう一つ、どうも先走った心配かもしれませんが、アメリカの経済のいろいろなデータを見ますと、一時ちょっと上向いているような報告も中間では報告されておりますが、全体的に見ると内容としては決して芳しいものではないように思うんですね。
 したがいまして、こんなに円高・ドル安が急激に極端に起こったということで、幾らかの揺り戻し等は各国の市場でそれぞれ現象としてはあらわれるんだろうと思いますが、しかし円高基調が底がたいということであれば、次のアメリカ側での、日本と別に話し合いをしなくても、自国の経済に対応するために公定歩合の向こうで引き下げなりいろいろ対応することもあり得るんだろうと思いますが、一部にささやかれておりますように、このままの経緯をたどっていくとすると、さっきの総理のお話ではありませんが、どこかでひょんなきっかけでドルの暴落といいますか、アメリカの国内におけるいわゆるインフレ現象なんというものが意外にちょっとしたきっかけで起こってきそうな感じもするわけでございまして、その辺についての心配は今のところ全くしなくてよいと思っていらっしゃいますか。あるいはアメリカ側から何らかのそうした経済通からの情報なり何なりがございますでしょうか。いかがでしょう。
#288
○国務大臣(竹下登君) 確かに今おっしゃいますように、この間ちょっといい指標が出たら、中を分析してみたら在庫とかいろんな問題があって必ずしも最高の評価はできないというようなことは私どももいろいろ聞かされておりますが、しかしいわゆるドルが暴落する、私はどの指標を見てもそういうことは考えなくていいんではなかろうかと、素直にそういうふうに見ております。ただ、きょう総理がいいお言葉をお使いになりまして、スロー、スローと、確かにスロー、スロー。クィック、クィックというのがいけないという感じがいたしました。
#289
○大川清幸君 ところで、政策協調やあるいは構造改革ですか、そういう点から内需拡大に関連して考えてみると、どうも日本の国内の消費者の皆さんの感触とか懐ぐあいの実情ですね、耐久消費財その他今本当に充実をいたしまして何でも間に合っていまして、一体国民の懐は、どうしたら財布のひもが緩むかなというようなことを私も日本経済それ自体のために随分心配をして考えてみたんですが、どうも消費意欲を引っ張り出すような材料は余り見つからないんですね。そしてすぐにでも手が出せる、条件さえ整えば財布のひもを緩めたいなと思っているのは恐らく住宅か土地じゃないでしょうか。これならすぐ手が出そうです。奥様方も財布のひもは緩めるような気がいたします。あと自動車なんかは二年、三年に一遍各企業や事務所でかえますし、これは今までの波の中であるわけですから余り大きな影響はないんですが、大きな需要喚起ということでいうとやっぱりその辺なんです。
 残念ながらきょうはこのことには答えは要りませんが、住宅対策についても何か借家志向の方にもなっている。まあしかし、住宅獲得については貸出金利を下げていただいたり適切な措置は講じていただいたんですが、それも建設省の方で考えていた四つか五つの問題の中で一つか二つしかやってもらえなかったわけですから、そう考えますと、内需拡大と我々も言うし総理も大蔵大臣もみんなおっしゃるし、経済企画庁長官も盛んにおっしゃっていただいているんですが、内需拡大の中身で具体的にさてどうするかなと腕組んで考えてみますと、これならもう諸国から貿易摩擦も解消できる、喜んでもらえるわというような具体的な対策がちょっと見つからないような感じがいたしておりますが、何か名案はお持ちでございましょうか。いかがですか。
#290
○国務大臣(竹下登君) やっぱり先般の総合経済対策を着実に実行するというのが当面の課題ではなかろうかというふうに思っております。
 確かに即効性という点につきましては、いつも思いますけれども、いろんな試算の前提は別として、例えば五兆円減税して輸入がふえるのは七億ドルじゃないかとか、三兆円の公共的事業でふえるのが十五億ドルじゃないかとかというようなことになりますと、それが非常に即効的に問題が見えるというようなものはございませんので、まさに総合対策の中で、輸入品のフェアも含めて、そういうものの中で内需拡大の環境をつくっていくということであろうというふうに考えます。
#291
○大川清幸君 そこでとりあえず政府の立場というか、そういう立場で政策的に対処していくとなれば、何といっても公共事業等について重点的に配慮をしていただく点が効果的な問題だろうと私は考えておるし、減税を一緒にやっていただければなお結構だと思っております。
 そこで、先般の本会議でも御質問申し上げたんですが、確かに大臣のおっしゃるとおり財政再建という大きな足かせというか責任がある以上は、財政運営も苦しいのはわかりますけれども、公共投資抑制を三年やってきたわけで、財政運営をそろそろ転換をしていただく方がよいんではないか。財政再建、五十六年赤字公債脱却の看板外せとはきょうは言いません、やれるんなら頑張っていただきましょう。その上で、しかし今の状況を考えたならば内需拡大の一環としての政策というふうに考えるならば、やはり拡大均衡型の財政運営なり今後の対処をしていかざるを得ないんではなかろうかというふうに考えますが、いかがでございましょうか。
#292
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃいました公共事業の問題とそれから減税というお言葉もございましたが、まさに減税のかわりという表現は適切でないかもしれませんが、減税と同じ効果を持ってあろうというのがいわゆる円高並びに原油価格の下落等からするところの消費者還元、電力料金、ガスと、こういうことはそれに当たると思います。
 それから、公共事業というものはこれはもちろん内需拡大の大きな要素でございます。したがって今度の場合、いわゆる厳しい中にも補助率等で工夫をいたしまして四・三%の増と。さらに私が今朝来申しておりますのは、卸売物価の低下によりましていわゆる事業量というものを見たときに、より一層の効果が期待されるんではなかろうかというふうに思います。それからなお、地方単独事業につきましても八兆七千三百億の事業費を確保しておりますので、地域の実情に応じた効率的な事業実施によって地域のまた内需振興に役立つであろうと。
 総じて言えますことは、経済政策は私は拡大均衡まことに結構だと思っておりますが、財政の受け持つ分野というのは、公共事業は別として、やはり何といいますか縮小均衡と申しますか、財政がむやみに拡大均衡の場合はまた後世代に相当なツケを回すことになりはしないか。経済は拡大均衡であって、財政の受け持つ分野というのはそこにやっぱり適切な何といいますか、限界というものを絶えず身に言い聞かせておかなきゃならぬというふうに思っています。
#293
○大川清幸君 ところで、経済見通しに関連して名目成長の中でいわゆる固定資本形成、これがどういうふうになっているかということを見てみますと、昭和五十七年度では当初が二十四兆二千億で実績で二十三兆九千八百億、やっぱりこれもちょっと当初に到達をしていませんし、五十八年度、が二十四兆一千億ですが実績は二十三兆二千六百五十億、五十九年度になりますと、当初で二十三兆六千億が実績が二十二兆九千三百九十億、いずれも当初に到達をしていない毎年度の実績でございますし、六十年度は特にひどくて当初二十三兆円で実績見込みはこれは補正を入れまして二十一兆六千億ですから、実際落ち込みが激しいわけで、六十一年度は後ほどまた触れますが、それなりに固定資本形成については事業費等の確保をする努力をしたことについては評価しないわけではありませんが、当初の二十一兆八千億、これが従来の実績からいうと前倒し等をやっても到達がどうなのかなということを私は心配をいたしておるわけでございます。
 公共事業で頑張ってくださいという意味は、いろいろな学説がございますものの、先ほどお話をいたしましたように、アリメカの景気指数も実態は決して芳しいものではないということが一つありますし、百六十円台に突入して、百六十円台でしばらくこのままいくのかどうかわかりませんが、せっかくの三次にわたる公定歩合の引き下げ合計一・五%、これも小わざでなくて、当初か二度目のときに〇・五じゃなくて一%ぐらいやった方がいいんではないかと言っている人もいます。十円違いますと、これはいろいろ分析の仕方で多少数字の幅はあるんだろうと思いますが、対GNP比十円違いますと〇・六ぐらい引き下げる効果が出るという考え方があるようでございまして、これは公定歩合の引き下げよりも、むしろ円ドルの落ち方による差の方が効果がどうも大きいらしいんですよ。そういうようなことを考えますと、国内に対する景気あるいは内需拡大等を考えたときに、先ほど言ったように一般消費者の懐を緩めるような具体的なアイデアなり方策がどうもなかなか見つからないとすれば、とりあえず政府としてやっておいていただくことは公共事業に頑張っていただくしかないんだ、こう思うんですね。
 したがいまして、この六十一年度、過去の過ぎちゃったことはいたし方ありませんが、毎年度実績では当初に比べてやっぱり落ち込んでおりまして、円高あるいは原油価格の引き下げ等によって材料も安く買えるし、そのうちいろいろ効果が出てくるでしょうと言いますが、今のところはマイナス面の効果の方がどうしても先行しておりまして、そうした円高あるいは原油の価格の低下部分については、消費者に還元される部分もありますが、全体的な効果として経済全体にあらわれてくるのは常識として半年先だろうというようなことを考えますと、公共事業はここのところで大分頑張っておいていただかなきゃならないということになりますが、この点は先ほど前倒しのお話も出ておりましたが、その辺の、まず後の方はとっておきまして、前倒しによる効果でどのくらいの見通しといいますか、効果を期待しておられますか。まずその点を聞いておきましょう。公共事業の前倒しによる効果、どうでしょう。
#294
○政府委員(保田博君) 公共事業の前倒しが経済成長に与える影響でございますが、これを計数的につかんで幾らというふうなことはなかなか申し上げにくいと思います。ただ、契約が早くなりますので、それによりましていろんな波及効果が経済全体に浸透していくということは間違いのないことであろうと思います。
#295
○大川清幸君 それでは、委員長ちょうど予定の時間が来ましたから、この辺にしておきましょう。
#296
○委員長(嶋崎均君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 明二十三日、午後一時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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