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1985/04/26 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 補助金等に関する特別委員会 第8号
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1985/04/26 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 補助金等に関する特別委員会 第8号

#1
第104回国会 補助金等に関する特別委員会 第8号
昭和六十一年四月二十六日(土曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     石井 一二君     坂元 親男君
     大川 清幸君     田代富士男君
     刈田 貞子君     服部 信吾君
     佐藤 昭夫君     橋本  敦君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     坂元 親男君     降矢 敬義君
     添田増太郎君     水谷  力君
     石本  茂君    大河原太一郎君
     吉川  博君     志村 哲良君
     佐藤 三吾君     粕谷 照美君
     安恒 良一君     中村  哲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         嶋崎  均君
    理 事
                北  修二君
                倉田 寛之君
                真鍋 賢二君
                矢野俊比古君
                穐山  篤君
                村沢  牧君
                中野  明君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
               大河原太一郎君
                金丸 三郎君
                河本嘉久蔵君
                小林 国司君
                志村 哲良君
                竹山  裕君
                降矢 敬義君
                松岡満寿男君
                水谷  力君
                吉川  博君
                吉川 芳男君
                吉村 真事君
                粕谷 照美君
                菅野 久光君
                中村  哲君
                安恒 良一君
                田代富士男君
                服部 信吾君
                橋本  敦君
                吉川 春子君
                井上  計君
                栗林 卓司君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       法 務 大 臣  鈴木 省吾君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  今井  勇君
       農林水産大臣   羽田  孜君
       運 輸 大 臣  三塚  博君
       労 働 大 臣  林  ゆう君
       建 設 大 臣  江藤 隆美君
       自 治 大 臣  小沢 一郎君
       国 務 大 臣  江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       古賀雷四郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  山崎平八郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       臨時教育審議会
       事務局次長    齋藤 諦淳君
       警察庁刑事局長  仁平 圀雄君
       総務庁長官官房
       審議官      百崎  英君
       総務庁人事局長  手塚 康夫君
       総務庁行政監察
       局長       竹村  晟君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁国民
       生活局長     横溝 雅夫君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
       国土庁長官官房
       長        吉居 時哉君
       国土庁土地局長  田村 嘉朗君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       大蔵政務次官   梶原  清君
       大蔵大臣官房審
       議官       亀井 敬之君
       大蔵省主計局次
       長        保田  博君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省理財局次
       長        足立 和基君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       国税庁次長
       国税庁直税部長
       事務取扱     塚越 則男君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文部大臣官房総
       務審議官     五十嵐耕一君
       文部大臣官房会
       計課長      坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省教育助成
       局長       阿部 充夫君
       文部省高等教育
       局長       大崎  仁君
       文部省高等教育
       局私学部長    國分 正明君
       文部省体育局長  古村 澄一君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生大臣官房審
       議官       木戸  脩君
       厚生大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   山内 豊徳君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省保健医療
       局老人保健部長  黒木 武弘君
       厚生省社会局長  小島 弘仲君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
       社会保険庁医療
       保険部長     花輪 隆昭君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房総務審議官   眞木 秀郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       農林水産省畜産
       局長       大坪 敏男君
       食糧庁長官    石川  弘君
       通商産業大臣官
       房審議官     松尾 邦彦君
       通商産業省生活
       産業局長     浜岡 平一君
       運輸省運輸政策
       局長       栗林 貞一君
       労働省労働基準
       局長       小粥 義朗君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省建設経済
       局長       清水 達雄君
       建設省住宅局長  渡辺  尚君
       自治大臣官房審
       議官       持永 堯民君
       自治大臣官房審
       議官       渡辺  功君
       自治商業政局選
       挙部長      小笠原臣也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第五局長   秋本 勝彦君
   参考人
       大阪大学名誉教
       授        木下 和夫君
       日本銀行総裁   澄田  智君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国の補助金等の臨時特例等に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(嶋崎均君) ただいまから補助金等に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の補助金等の臨時特例等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として大阪大学名誉教授木下和夫君及び日本銀行総裁澄田智君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(嶋崎均君) 次に、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○安恒良一君 私は、きょうは連休前の土曜日でございますので、できればきょうこの委員会が連休明けにあればと思っておったのでありますが、政府・与党のたっての強い希望でありました。
 そこで、ひとつ問題にして、どなたがお答えになるのかお聞きをしたいんですが、私は大臣を、十大臣御出席をお願いしました。ただし、そのときに、いわゆる政府の代理としての公用であるとか、私の用事でも例えば御親類に御不幸があったとか、こういうことがあればお申し出を願いたい、その大臣についてはと、こう言ったんです。官房長官は、御承知のように、きょうは本四架橋の問題で政府代表ということですから結構でございますと言って、あと建設や国土庁からもございましたが、官房長官一人行かれて、私の質問が終わった後にお行きくださるのはそれは御自由でございますと、こういうやり方にしたんですが、お国入りをするからぜひひとつ譲ってもらいたい、こういう平泉長官の方からのお申し出がございました。私はそれはまかりならぬ、本当ならお国入りしたいのは私どもである、こういうことでしたんですが、平泉さんお国入りはもうおやめになったんですか。――そうですか。それじゃ結構ですから。そういうことで、委員会を招集された以上、やはり全大臣、要求大臣を出すということになっておりますから、そういうことでお願いをしたいと思います。
 そこで、今、撚糸工連問題で大変お忙しいようですから、そのお忙しいところから先にやらさしていただきます、順序不同になりますが。
 まず、平和相互銀行問題についてお聞きしたいのですが、私は三月の予算委員会で、平和相互銀行問題は金融自由化の大蔵省の検査のあり方と政治の信用、名誉の根本姿勢を問う重要な政治倫理の問題があるということで、大蔵大臣を初め法務大臣等にいろいろ質問をいたしました。その仲で、いわゆる「時代行列」の代金の流れについて、八重洲画廊の真部氏の入金状況とその先の資金の流れについて大蔵省、法務当局で調査すべきではないかとか、さらに株式譲渡不履行と「時代行列」購入問題については、平和相互銀行の経営陣に背任の疑いばありはしないか。それからまた、これを仕組んだ連中には詐欺の疑いが持たれるが、厳正な捜査を要求いたしまして、法務大臣もいわゆる約束されましたが、その後まだ状況があらわれてきておりません。撚糸の後というお考えなのかもしれませんが、何かお忘れではないでしょうかという感じを持ちますので、これらの問題点についてどのように進んでおるのか。その考え方を法務大臣、それから税制は大蔵でございますので、大蔵大臣等からお答えをお願いしたいと思います。
#6
○国務大臣(竹下登君) あるいは国税庁からお答えするのが適当かと思いますが、個別の事柄につきまして答弁を差し控えなければならないという立場は御理解をいただきたいと思います。
 一般論として申し上げるならば、予算委員会において私からも答弁をしておりまして、国会で御論議された事柄や新聞、雑誌等で報道された事柄については重大な関心を持って対応すべきものであると考えております。必要ある場合には税務調査を行うなどして、大蔵省の立場で言えば課税の適正を期したいということに尽きると思います。
#7
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましても、平和相互銀行に関連いたしましていろいろな報道がなされていることや国会で御論議されていることは承知いたしておるところでございまして、この関係につきましては関心を持って対応しているところでございます。ただ、個々具体的な事柄につきましては申し上げかねるところでございます。
#8
○安恒良一君 竹下大蔵大臣、あなたが言われたことは予算委員会で言われたんですよ。国税当局としても重大な関心を持って対応するというのは、もう同じことを二回言っているが、対応していますかどうかと聞いているんです。対応していますかどうかと聞いているんですよ。
#9
○政府委員(塚越則男君) 大変恐縮でございますが、個別にわたる事柄でございますので答弁を差し控えなければならないということを御理解いただきたいと思います。
 予算委員会で大臣からも御答弁がございましたように、国会での御論議をいただいた事柄等につきまして重大な関心を持って一般論として対処していくということだけをお答えさしていただきたいと思います。
#10
○安恒良一君 いや、中身を言えと言っているんじゃないのです。予算委員会では重大な関心を持って対応させますと言われたんだから、国税当局はそのことを受けて対応されていますかどうかと。それで、対応していますが中身については言えない、こうおっしゃるならそれはわかるんですが、対応しているかどうか、それを言わなさやだめだよ。
#11
○政府委員(塚越則男君) 国会で御論議いただきましたような事項につきまして、重大な関心を持って課税上有効な資料を収集してまいるということでございます。
#12
○安恒良一君 それじゃ両大臣に申し上げておきますが、ひとつ厳正な対応をぜひやっていただきたいと思います。
 それから次に、検査の姿勢にかかわることでこれも聞いておきたいんですが、いわゆる銀行の検査官ですね、特にこの主任検査官が、検査が終わった後、今度はその銀行に天下りをする、こういうのがあらわれているんですね。
 例えば、私は、平和相互銀行だけの検査官を、五十二年の六月から行われた年の検査官を調べたら、五十二年の六月の検査官中源三さんは平和相互銀行に天下りしています。同じく五十四年十一月の矢津さんは地相互銀行に天下りをしています。同じく五十六年八月の検査官森主任検査官は八十二銀行に天下りをしています。五十八年十月の検査官岩田さんは大生相互銀行に天下りしていますね。六十年八月の大坪さんは、まださすがに去年ですから天下りしていないようですが、このようにこれは平和相互銀行だけのことですか、恐らくこの傾向はほかにもあるんじゃないかと思います。私は全部資料をいただいておりませんが、少なくともその主任検査官が検査をした銀行に天下りするなど、私は官僚の皆さん方がある一定の年齢でやめられて第二の人生を求められることについて決して否定をいたしません。人生八十年時代ですから、天下りするななどということは言いませんが、しかしこれはちょっと私は政治の姿勢としておかしいの心やないか。主任検査官が銀行の検査をやってそこへ天下りしていくということになると、本当に検査が厳正に行われているのかどうかという疑惑を持つことになります。この点、大蔵大臣どうでしょうか、今後どう対処されますか。
#13
○国務大臣(竹下登君) 率直に言いまして、いわゆるそういう対応の仕方について学識経験のある皆さんを自然の状況の中で、これは天下りというよりも、本当は何といいますか、頼まれてというのもちょっと表現が適切でございませんが、自分のところの検査体制をむしろ充実するためにそういう人が欲しいという場合は私はあり得るだろうと思っております。
 ただ、これは一般論でございますが、今御指摘なすったように、今まで私どもがこの種の問題について具体的に御質疑をいただいておる問題もございますので、銀行局長からその点はお答えをさすことをお許しください。
#14
○政府委員(吉田正輝君) ただいま大臣が御答弁されましたとおり、国家公務員等が再就職した職場におきまして、そういう場合にはそれぞれの長年にわたる知識や経験が活用されることがございますので、本人にとりましても再就職先あるいは社会にとっても望ましいものというケースが多い場合があると思っております。もちろん国家公務員が再就職することによって、当該国家公務員の在職した国の機関の所管する行政がゆがめられてはならないことは当然のことというふうに私ども認識しておるわけでございます。御指摘の主任検査官の中で同行し就職したケースでございますけけども、これは離職後二年間の就職制限期間経過後のものでありまして、人事院規則に抵触はいたしませんし、国家公務員法に抵触するものではないと考えております。
 しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、国家公務員の在職した国の機関の所管する行政がゆがめられてはならないというふうに私ども考えて、それに対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#15
○安恒良一君 どうも気に入らぬね。私はある程度の再就職の道もやむを得ないと言っているのですけれども、何か専門技術を持っているから検査官が自分の検査した銀行であろうと何であろうと行くのが正しいという言い方だったら理解できませんね。私はやっぱりそういうことは極力できるだけ廃止をする方向でいきたいという話があってしかるべきであって、大蔵大臣もしくは、きょうは官房長官の代行は江崎さんと承っておりますから、そこらどうですか。そんな言い方ないじゃないですか。私は少なくとも国民に疑惑を持たれたらいかぬと思うのですよ。それぐらいのあれはあっても、私は何もきょう厳しく声を荒らげて言うつもりはなかったのですけれども、何となく今の答弁を聞いておると、主任検査官が自分が検査した銀行であろうと二年間たったら行って専門技術を生かすのだという、それで国民はわかるでしょうか、納得するでしょうか。私は政治というものはそういうものじゃないと思うのですよ。どうですか、それは。
#16
○国務大臣(竹下登君) だからこそ本当は二カ年間の期間がありまして、そういう対応の仕方をしておるわけでございますが、確かに問題のあった銀行へ自分が検査に行っておってという場合、不自然さを私も感じないわけじゃございません。ただ、本当にこの場合はいわゆる専門的な知識を欲せられる場合が間々ある、その場合、私は会社のためにもなるほどそういう専門家が必要とされるであろうなと思うことが間々あるというふうに申し上げましたが、不自然な印象はもとより与えるべき問題ではないと私も思っております。
#17
○安恒良一君 私はこれ以上これで時間をとるのはもったいないからやめておきますが、やはり国民に不自然に思われるような再就職のあり方というのはお互いに考えなきゃならぬことではないかと思うのです。そのことは厳に要望しておきます。直らなければ、また今度は具体的に資料を調査して次から次に委員会で私は追及しますから、それだけ言っておきます。
 次に、円高・ドル安に対処する問題についてお聞きをしたいのですが、最近の急速な円高・ドル安に対処するための、一つは為替相場の安定化方策というのがいろいろあるわけですね。それから内需拡大とかいろいろな問題があるのですが、どうも我が国は後手後手を踏んでいるのじゃないかという感じがするのです。そして、我々が国会で聞きますと、特に為替相場問題なんか聞きますと、当事者でありますからと言ってなかなか竹下大蔵大臣、口がかたいのですが、ところが国会以外ではいろんなことをお話しになっているのです。ですからひとつ少しお聞きしたいのですが、例えば二十四日の竹下さんの派閥の会合の中で、きょうもベーカー長官と連絡をとり合った、すぐにきちっといく状況にないようだが、私とベーカー氏は親密な間柄なので近い時代に改善されるだろうということを述べたとか、それから中曽根さんは、これは国会でしゃべられたことですが、いわゆる為替政策は柔道のように小わざを乱発してもだめだ、一発大仕掛けをしなければ効果がない、こう言って円高是正のための思い切った措置を出すような考えを言われていますが、これらの中身はどういうことなんでしょうか。
 例えば、少し答えを正確にしていただくためにお聞きしたいのですが、一ドル百六十円台に突入をした動機というか、どういうところに問題があったのか。例えば一つの説は、サミット相場だという説もいろいろ言われていますね。サミットまでそうだが、サミットが終わると下がるんだろうとか、円が安くなるんだろうとか言われていますし、それからいま一つの説は通貨外交に誤算があったんじゃないか、こういうことも言われていますね。例えば、米国はやはり今もって円高を容認する、そして貿易の不均衡を為替相場で是正したらどうだという考え方すらある。国務長官も、例えば相場安定のための協調介入は考えないという談話を出されています。そして円高・ドル安を容認する、こういう姿勢がいろいろ示されていますから、この問題についてどうしようとされるのか、そしてぜひ国会の中でお聞かせを願いたい、この点についてお考えを聞かせていただきたい、こう思います。
#18
○国務大臣(竹下登君) きのう東京の引け値が百七十円台になりまして、今ニューヨークの引け値はやっぱり百六十七円台に今度はなっております。
 これらの分析でございますが、サミット相場というのはこれは世間の評判の話だろうと思いますが、今御指摘ありましたように、確かに微妙な心理状態が働く市場でございますから、いろんな発言が若干の影響をもたらすことがございます。例えばクライスラーのアイアコッカさんがベーカーさんに会ったら、もっと円高になると言った、会った日にちは二月の話だったそうでございます。それでその後、あれは冗談だったと言って打ち消したとか、あるいはベーカー財務長官とボルカーさんとがそれぞれ国会で証言されましたが、これはまた非常に平面的なお話をなさったとか、そういうようなことが影響があることは否定するものではございませんが、私が別にベーカーさんに、連絡は確かに密にしておることは、私のみならず通貨当局者はそれは密にしておるわけでございますけれども、ちょうど二十四日の日は参議院の木曜クラブの先生方がお集まりになっているところへ遅く参りました。それで皆さんが、いや為替でも大変でしょうねというような発言があって、そして間もなく電話がかかりまして、出たら何がベーカーさんに電話をかけたんじゃないか、考えてみるとその時間はベーカーさんは恐らくまだ起きてないような時間だなと思って、いろんなことが飛ぶものだ、その晩に政治部と経済部から緊急懇談を求められたというようなことがございまして、まさにそれほど注意しなきゃならぬものだということを感じたわけでございます。
 が、問題は、安定が重要であるという考え方は持っております。それには、今おっしゃいましたように、まさに政策協調が大事だ。が、相場が余りにも急なときには、これは適切に介入もあり得るという一般論を絶えず合意しておるわけでございます。常日ごろから連絡を密にしておりますので、具体的にいつはどのような話をしたとかいうことになりますと、これは為替市場への影響もあることでございましょうので、私も言わないようにいたしておるわけであります。ただ、きょうの相場の評価というのを毎日するわけでございますけれども、これはニューヨーク市場の評価でございますけれども、いわゆるマルクが円以上にちょっと高くなっております。言うなればドルの全面安という状態ではないか。それは、マルクが高くなりましたのは公定歩合の引き下げが見送られたということが一つと、それから、あすこも貿易収支の発表があって目標よりも高かったということが理由で、それにつられて、マルク高につられて他通貨もドルに対して高くなっておるというのが一般的な評価であるようでございます。したがいまして、私どもは絶えず安定に気を使わなきゃなりません。
 それから、中曽根総理がちょっと、私も聞いておりましたが、小わざではだめで大わざが必要というような表現がございましたが、この小わざと大わざが、どういうものが小わざでどういうものが大わざかということになりますと、これはちょっとなかなか表現がしにくいわけでございますが、あるいは介入の手法等につきましてもちょぼちょぼたたいていくのとこ週にやる場合とか、よくプロの人が小わざだ、大わざだ、たたきだなんて言いますが、本当は余り私もその具体的な手法はわかりません。感じとしては何かわからないわけでもございませんけれども、具体的な手法は私は素人でこれはわかりません。
#19
○安恒良一君 いや、なかなか言いづらいということですか。そうすると、竹下大蔵大臣としては日米協調逆介入が必要だということで働きかけをされているのかどうかということですね。それからいま一つは、中曽根さんは、一発火わざをかけなきゃならぬ、こう言われるわけですね、小わざの乱発ではだめだと。だから私は官房長官出てこいと言ったんですが、出てこられないということで、あなたに答えてもらうということですからね。
 具体的に、一発火わざをどういう中身でいつおかけになるつもりになっているのか。というのは、今、円高問題というのは非常に、後からずっとほかの日本の経済に及ぼす影響も聞いていきますけれども、大変なものですから、国会でそういうことを言われたということですから、中身があって私はおっしゃったんだろうと思うんですね、一発火わざ、小わざの乱発じゃだめだと。一発火わざをかけなきゃとてもこれはどうにもならぬ、こう言われているんですから、その中身を聞かせていただきたいと、こういうことを言っているんですよ。
#20
○国務大臣(竹下登君) 協調介入を働きかける働きかけないというのも、これもやっぱりこの場で申し上げるべき筋のものではなかろうと思いますが、ただ、協調介入というのは、あれはG5で合意いたしております一般論というのは、いわば二国間というような感じではなく、総体的に、もちろん各国それぞれが外貨準備の不足している国もございますし、同じ歩調でやれるわけのものではございませんけれども、一般論として協調介入必要と認める場合はこれをやるというその姿勢は持ち続けております。
 それから、大わざ小わざは、結局やっぱり感覚的な問題で、私も毎日為替の動きを見ておりますけれども、一日に二十五徳ドルぐらいありましたり、それから六十何億ドルというようなときがありますが、そういう場合は売って、すぐ買って、売って買ってという、投機筋の恐らく小さい幅の利食いなんかで動いていくのが小わざのうちへ入るのかなと。だから、こいつばかりはちょっと、かなりの専門的知識がありませんと、売りが出た途端に買いが出るとか、買いが待っているとか、その辺の事情というのはちょっとこれは竹下登さんの説明の外と御理解をいただかざるを得ないと思います、
#21
○安恒良一君 それではわかりませんから、また機会をとらえて御本人から聞くことにいたしましょう。
 そこで私は、安倍外相にもお出まし願っているのは、もう今日のこの日米間の問題、その他いろいろ考えてみますと、円高問題というのは、さっきも私が言ったように、通貨外交政策だけではもう片づかないところに来ている。そういう意味から、きょうは特命にもお出向きを願っているんですが、やはり何といっても、一つは日本とアメリカのこの問題について、総理もアメリカに行かれたし、竹下さんも行かれたし、安倍さんも行かれていろいろとされているようですが、やはり円高問題を解決するためには、私は通貨外交以外、全般的な日本の貿易収支の問題からありとあらゆることについて積極的に取り組まないと、アメリカ側は今の円高は当然だ、おまえのところの貿易の黒字をまず減らせ、内需を拡大せい、このこと一点張りなんですよね。しかし、この前から同僚委員がいろいろ聞いているように、今の円相場というのが必ずしも妥当なのかというと、我が国にとっては大変厳し過ぎるということになっていますね。そういう点について、この問題を、そしてまた国内的にも、例えば宮澤さんや河本さんから建設国債の増発問題、いわゆる積極財政への転換が提起されていますね。それから野党からは大幅な減税の問題なり内需喚起問題等いろいろ提起をされていますね。そういう問題について、本当に政府が外交的にも内政的にも考えて、総力を挙げて取り組まなきゃならぬところに来ているんじゃないだろうかと思いますが、これらの点について、それぞれ関係大臣のお考えを聞かしてください。
#22
○国務大臣(江崎真澄君) これは、さっき大蔵大臣も御答弁しておりましたように、ちょうど隣同士ですから、毎日、円高の情勢、そして取引量を見ておりますと、ふだんは二十五、六億ドルですな、それが六十億ドルとか、やっぱりスペキュレーダーが何か参加して特に操作しておる様子が見れるわけです。
 そこで、確かに現在の情勢というものは円が高くなり過ぎた。しかし、フロート制のもとで介入をするということも、これはなかなか大蔵大臣が言いますように、そう簡単じゃないと思うんです。日本が介入したということになれば、逆にその情報によってまた売り方に回る人もあるだろうし、それに便乗する人もある、そのときの情勢によって。ですから、なかなか大蔵大臣が説明しにくい面があると思いますし、私どもも国際経済の特命相でありますから、絶えず隣同士で動向を見せてもらっておるわけです。一体、後どうするんだ。まさに、困った中小企業についてはこれは再度にわたって対策をしてきたところでありますし、それこそ転換を含めての不況対策をどうするか、これはもう政治的には当面の極めて重要な問題だと認識をいたしております。そしてまた、通貨当局においてそれぞれ大っぴらには動きはできませんが、やはり少し行き過ぎだぞという話は、そのためのグループ5でありグループ10であろうと、こういうふうに思います。したがって、一々ここで説明はないものの、それなりの責任者としての対応は当然しておるものと。
 ただ、ここでもう一つ考えられることは、日本の経常収支が五百億ドルにもなった、多過ぎる、アメリカとの貿易インバランスも七百億ドルにももうなるんじゃないかというような、それだけのことだけでアメリカが日本をいじめる、そう私は単純なものだとは考えておりません。なぜかならば、アメリカもだんだん金利を下げましたね。日本は三回にわたって下げておりますね。これは、そういう態勢になってまいりますと、ドル安ということになれば世界の何といっても基軸通貨であるのはドルでございますから、このドルが全面安というようなことにでもなればアメリカは一体どういうことになるのか。債務超過国の問題は多くを申さなくても御承知のとおりであります。それの一番貸与をしておる、資金協力をしておるのはアメリカでありますから、当然アメリカ側の経済的な大きな破綻にもなってくるんですね。これは日本の円が貿易収支の異常なインバランスのうちにマネーゲームに走ってアメリカの高金利に投資しておった、いやそれは往復びんたじゃないか、貿易でもうけてまた金利でもうける、それはそっちの勝手でやっているんじゃないかと言ったが、まさにあの当時、去年の秋、一昨年来、昨年にかけて五百億ドルぐらいというものが常にアメリカ市場に投入されておりましたね。しかし、それはアメリカのドルの権威というものを維持する上には大きく一面では役立っておったと思いますよ。それがだんだん金利も安くなる、ドルも安くなる、妙味がなくなるということになりますと、アメリカにドルが還流してこなくなる、投資も少なくなるというようなことになったら、これはアメリカだけの問題じゃなくて、その次は日本も相当な融資を世界各国にしておりますから大変なことになる。だから、フロート制というものもやはり考えようによっては自律性のあるもので、アメリカが日本だけを特段に痛しめようと思って痛しめられるものでない。やはり下がっていくというとこれは大変なことを起こすし、一つ間違えば世界的な大きな経済的な影響も出てくる、こういうわけでありますので、ここのところはやはりそれによって犠牲をこうむった人に対策をする。
 それからもう一つ、長くなって恐縮ですが、物が高くなったというときには、これはもう与党も野党も挙げてけしからぬということで、物価の高くなったことにはお互いに関心が深いわけでありますが、これだけ円が高くなって、もう優に七カ月を経過したというならば円高メリットの還元ですね、痛い痛いと言って痛みを訴えておる人の声は大きくこれは届いておりますね。けれども中にはほくほくで、不当利得を懐にして笑いがとまらぬという、円高メリットの恩恵に浴しておる人もあることを忘れてはならぬと思うんですね。これをどういうふうに還元するのか、これは各党、各派でやろうじゃありませんか。特に与党が先頭に立ってやっぱり円高メリットの還元、これは当たり前のことです。もっともプラス要因になればこれは税金でがっぽり国税庁がいただくでしょうけれども、その前に消費者に還元してもらわにゃなりませんね。この運動をもっと国会を通じて私大きく声を上げたいものだと、これが私の率直な意見でございます。
#23
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日米関係につきましては、先般も総理大臣も私も参りましたが、日米関係というのは非常に安定した、いわば同盟関係でありますし、話し合いはあくまでも外交、防衛、あるいはまた貿易、経済、援助といった全般的なものにわたったわけでございますが、そういう中で、金融とか通貨というのは、これは非常に専門的な分野になるものですから、どちらかというと大蔵大臣の分野ということで、これまでG5等で交渉が続けられておりました。しかし、そういう中でも円の最近の急激な上昇ということによりまして、日本経済にもいろいろと面倒なことが出てくるという空気もありまして、さらに上がりそうだというふうな状況もありまして、そうした国内の空気をも踏まえて、アメリカには大統領に対して総理大臣も、またシュルツ長官に対しては私からもやはりこの円ドル相場というのは安定をさせることが必要である。急激な乱高下というのは日米関係だけじゃなくて、世界経済に非常に悪い影響を与えるので、やはり安定ということを考える必要があるということを強く言った経緯があるわけでございます。
 しかし、これがどういう形でやられるかということは、これはやはり通貨当局間、依然として協調体制といいますか、そういう枠組みというのは崩れていないわけでございますし、各国間のそういう枠組みの中でいろいろとこれからも行われるのではないだろうか、こういうふうに思っております。
#24
○安恒良一君 サミットも行われることですから、もちろん為替相場とか通貨問題は大蔵大臣の専管事項でありますけれども、私はもう大蔵大臣のところだけじゃ片づかぬところに来ておるという意味で申し上げていますから、このサミットを契機に、やはり大臣が答えられましたように、今の円高というのは異常だと思うんです。率直なことを言いまして異常だと思います。ですから、これはこの安定についてサミットの機会にじっくりお話し合いをしてもらいたい。というのは、安倍外務大臣も同盟国だ、同盟国だと言っても、貿易、経済問題になると必ずしも、じゃ今の動きは本当に同盟国的な動きになっているかどうかというのを国民側から見ると心配になるんです、率直なことを言いましてね。ですから、軍事関係だけの同盟国じゃ困るわけですから、そういう意味で幸いサミットが近くございますから、ここで私は、この円高の正常化問題については、通貨当局だけの問題じゃなくて、総理、外務大臣、関係大臣を含めてやはりお話し合いをされて、俗称サミット相場なんというのも、これも俗称と言われましたけれども、なるほどそう言われたとおりサミットが終わったら安定化の方向に向かったなということになれば、これはなおいいことなんですから、そのことを要望しておきます。
 次に、六十一年度の円高マイナス効果で実質経済成長がどうなるかということを、これも予算委員会で私物め各党からいろいろ質問をしたんですね。ところが平泉長官は、いや心配せぬでいい、実質四%は間違いない、こういうことを言われておったんですが、御承知のように日本興業銀行が二十四日に六十一年度の経済見通しを発表しました。日本経済は、円高マイナス効果が原油安を上回る結果、六十一年度は二・七%だろう、特に下半期に公共事業の一兆円の追加を見込んでも政府の見通しの四%を大きく下回る、こういうことでかなり具体的な数字を使って説明していますね。長官、今日になりましても、今日の円高・ドル安の状況でも依然として自説である四%間違いないということを御主張でしょうか。それならば、興銀の指標が出ていますから、これと同じように定量的にこういう計算になるからやっぱり四%だということの御説明をお願いしたいと思います。
#25
○国務大臣(平泉渉君) おっしゃるとおり、政府見通しをつくった後、円高それから原油価格の値下がり、こういう相当重要な変化があったことはおっしゃるとおりでございます。当然円高になれば輸出数量は減少が始まってきております。また輸入数量は当然増加の傾向になってくる、こういうことでございますから、当然国民所得計算上は実質GNPに減少傾向が出てまいりますが、ただ、同時に円高の交易条件改善というようなものも効果が出てまいりますし、それから一方、原油価格の大幅な値下がりというのが既に今月ははっきりあらわれてまいっておりますから、そういうことから実質所得が増大をする、そういうことで消費の影響が出てまいりまして、いい影響が出てくる、物価も非常に御承知のとおり落ちついておるわけでございまして、実質的に見た政府部門の寄与も高まる、こういうことでまた設備投資の動向につきましても、従来見ておりますと一応順調に拡大をする傾向が見られる、こういう状況でございます。
 全般的に見ますと、政府の当初見通しに比べますと、外需から内需へと重心が移るという形でGNPの構成が、割合が変わってまいる、こういうことにはこれはなるわけでございますが、全体としてのGNPの総合的な動きは、ことし全体で見た場合に政府見通しの基本線と変わらないのではあるまいか、かように判断をいたしております。ただ、時期的に見ますと、おっしゃるとおり円高の交易条件改善の効果、原油価格低下の効果が本当にあらわれてくるまでに若干のタイムラグが出てまいる、こういうことでございます。また、最近のところでは円高がちょっと急激でございますので、企業の景気に対する景況観といいますか、景気の先の見通し観に影響が出てまいっておる、どういう状況でございます。政府は非常にこういう情勢を注意して見ておるわけでございまして、内需中心とした景気の維持拡大を確実なものとしなきゃならぬということで、去る八日には総合経済対策を決定したわけでございますし、さらに公定歩合の再々々引き下げということも二十一日に実施をいたしたわけでございます。
 大体こういうことでございますが、今せっかくお話でございます日本興業銀行の見通しというのが出ておりますので、これは細かい数字の問題、さらに項目別のお話をお求めでございますから、専門家の政府委員から細かく御答弁をさせていただきたいと思います。
#26
○政府委員(赤羽隆夫君) 大臣の御答弁に補足して数字的な点を申し上げたいと思います。
 若干認識の説明におきまして大臣の御答弁とダブる点がございますけれども、それは御寛容いただきたいと思います。
 四%の政府見通しを作業いたしましたのは十一月の後半から十二月の前半でございますから、もう既に五カ月たっております。その間に主要な前提条件でございます円レートの想定、それから石油価格、これにつきまして大きな変化がございました。しかし、そのマイナス面、プラス面ということを考えますと、必ずしもマイナスの方が大きいわけではない。それに加えまして公定歩合の三回にわたる引き下げ、あるいは欧米主要国の経済見通しがむしろその当時よりは明るくなっている、こういう外的な条件もございます。そういうことで、結局内需主導型、GNPの構成が変わるというお話がございました。この内需主導型への移行が促進されるだろう。それからさらに物価が一層安定するということで、インフレなき成長、内需主導の成長というパターンへの方向が出ている、こういうことではないかと思います。そこで、興銀の数字と若干比較して申し上げますと、興銀の数字も大勢として内需主導の成長へのパターンの変化ということが顕著でございますけれども、例えば民間最終消費につきましては、興銀は四・三%の実質成長、これが政府見通しては三・六%でございます。それから住宅五・一%と見ておりますけれども、政府見通しては四・六%でこれも低い。設備投資につきましては、五・一%で政府見通しの七・五よりは低うございます。しかし、その反面で政府の支出、これは消費と投資がございますけれども、消費が四%、投資が八・一%と、こういう見通してございます。これに対して政府は両方平均して二%、興銀の見通しは平均をいたしますと大体六%になるかと思います。そういったような点を比べてみますと、むしろ政府よりも内需主導の見通し、こういう形になっているのではないかと、こう理解しております。
 ただ、一層の円高あるいは原油代金の支払いの節約、こういうことでございまして、差し引きいたしまして若干黒字がふえるだろうと、こういう認識においては政府もそれから興銀も変わらないところだろうと、こう考えております。
#27
○安恒良一君 これは後で資料をいただきたいと思います。それでまたやらないと、これで時間をとっておったら大変ですから。これは一年たてばすぐもう結果がわかることなんですからね。ですから、私はあえてきょうこれを取り上げたのは、こういう数字も出ているからやはりこの円高問題をぜひ注意をしてもらいたいということでこの問題を取り上げているわけですから、担当大臣はその点をよく十分お考えになってください。でないと、四%成長と言ったがふたをあけてみたら二%だった、三%だった、大変なことになったというときじゃもう遅いわけですから、そういう意味で、
 そこでやはり問題は、どうしてもこの円高問題を解決していくための一つの問題は、また諸外国からも求められているのは内需の拡大ということだと思いますね。内需拡大問題についても、もう予算委員会でいろいろ議論してきたところですが、私はその中の一つの大きな柱として住宅政策というのがあると思います。ですから、やっぱり私は円高問題を解決するためには経済構造、社会の転換と国民生活を豊かにしていく、いわゆるヒューマンなライフスタイルを創造していく、こういうことを考えていかないとなかなか内需拡大にならぬ。その中の一つとして住宅政策があります。
 機能の同僚委員の質問に対して、建設大臣が現在日本の住宅は平均五十平米だと、そこで大都市では九十平米に、それから地方では百二十三平米ぐらいの住宅を持つということを建設大臣が強調されました。私は、住宅政策非常に結構なことですが、私はやはり建設大臣が言われました平米でありましても、ECやアメリカに比べるとまだ小さいと思うんですね。ですから、私はやはりもうアメリカに次ぐGNP第二の経済大国になったのですから、平均四人家族ですから、四人家族で言うなれば四部屋とダイニング、しかも部屋の広さは、平米というよりも私は畳の間で言った方がわかりやすいものですから言いますと、最低八畳ぐらいの部屋という方がいいんではないかと思うんです。
 そこで、住宅問題を解決するためには広い家を建てよう建てようということで資金問題、それから税制問題等々、それから土地政策、これが三位一体となってやらないと片づかないんじゃないか。今のところ例えば住宅金融公庫の貸出金利の問題であるとか、それから与野党で住宅政策に向けての住宅減税問題、こんな問題は話が進んでいますが、肝心の土地政策というのが少しもないわけですね。ですから、特に大都市において住宅を建てるときの土地政策について、これは建設大臣それから国土庁長官、どうお考えなのか。というのは、依然として大都市においては土地の値が上がっていくわけですね。ですから、これは私は税制と住宅資金だけでは片づかぬ問題だ。ここのところについて、これから内需拡大の一つのかぎである住宅問題に対する具体的な土地政策を大都市の場合どうしようとされているのか、両大臣から聞かしてください。
#28
○国務大臣(山崎平八郎君) お答えいたします。
 ただいまお話しの土地政策でございますが、近年地価といたしましては全国的には比較的安定いたしておるわけでございますが、住宅建設促進のためには現在の地価の安定傾向をさらに長期的に定着させる必要があると存じます。このため、国土利用計画法の的確な運用等に努める所存でございますが、しかしながら、また東京の都心部、商業地等一部の地域におきましては非常な大幅な地価上昇が起こっておりますことは御承知のとおりでございます。このため、東京都とも連携をとりまして、事務所用地等の供給の促進、投機的な土地取引の抑制等の総合的な対策を講ずるようにいたしております。
 去る四月十五日に東京の鈴木都知事ともお目にかかりまして、一つは土地の供給対策を東京都においてはどのようにすべきかという問題。もう一つは土地取引の調整、特に投機的な取引が起こらないようにこれをしっかり抑制しなきゃならない。この二つの問題を中心にいろいろ話し合いをいたしましてお互いに了解し合ったわけでございますが、特に小規模な土地取引に対する指導の強化をしなきゃならぬという意味で、できますなら国土法自体の改正には日時を要しますので、東京都の条例等による届出の創設、新しい小規模なものを個々に取り上げていくというようなことについてもお互いに了解し合った次第でございます。
#29
○国務大臣(江藤隆美君) 私どもは、先ほどお話しがありましたが、五十平米に満たない家庭というのが三百九十五万世帯ございます。これをなるべく早く解消したいというのが第一目標、それから都会地では御意見のように土地がなかなかありませんから、まあ四人家族で九十一平米、一戸建て、もしくは地方においては百二十三平米、四部屋というのがありますけれども、夫婦は一緒の部屋に寝た方がいいと思いますので、三LDKということを考えておりまして、四人家族四部屋とは実は考えていないわけであります。
 そこで、一体土地をどうするんだという話がこれは当然出てきますわけで、先般来、四月八日に経済閣僚会議で政府の方針が決まりまして、まず土地を供給するためには規制の緩和が必要ではないか。例えば、東京を例にとりますと、環状六号線内に四百九十一ヘクタールの一種住専というのがある。これほど土地が高くなったのにまだ低い家でこうして住まっておるというのはいかにも不合理ではないか。したがって、なるべく早い機会に一種住専を二種住専に誘導するようにひとつしていきたい。これは東京都知事と建設省で合意をしたことであります。
 それからもう一つは、東京ばかり言っておって恐縮ですが、手元に資料がありませんから、この東京都内のいわゆる開発というものを考えたときに八千七百ヘクタール、そのうちのとにもかくにも半分以上というものを宅地の開発地域、早速やろうではないかという地域、あと半分余りを開発誘導地域、これは将来の問題としてひとつ考えてもろもろの施策を講じていこう。
 それにはまずどういうことをやるかというと、線引きの見直しというのが一つあります。五年ごとに見直すというのが実は余り進んでおりませんで、今私ども十五年たったわけですから、せっかく十五年たったので、実情に合うように線引きの見直しを実は都道府県に対して求めておりまして、随分と進んでまいりました。線引きの見直しをする、それから調整区域内の開発許可基準のこれもやっぱり見直しをする。あるいは余り許可に時間がかかり過ぎるという問題もあります。あるいは二十ヘクタール以上でなきゃだめだという面積の制限もありますから、こういうものはひとつ五ヘクタールに引き下げて開発ができるようにしよう。あるいはまた、宅地開発の指導要綱を見てみますというと、ひどいところになりますと十二メーターの道路をつくれ、あるいは公園をだだっ広いのをとれ、思い切り公園をとれ、学校もとれ、下水道もやれ、こういうことになりますと、住居面積というのが狭められるし、また民間の場合は投資が多額になってくるわけですから、なかなかもってそういうことでは安い宅地の供給ということになりません。ですから、ひとつそういう指導要綱の見直しというものもやって、そんなに十二メーターの道路は要らないのではないですかという適切な実態に沿った宅地開発というものを考えていったらどうか。
 それから、ことしから優良計画開発事業促進制度というのを実はつくりまして、宅地開発について千五十億ほど準備をいたしまして、建設大臣がこれは大変いい宅地開発だという五ヘクタール以上のものについては、区画整理あるいは宅地造成について、道路、公園、下水、あるいはまた河川改修、そういうことについて助成策を講じながら宅地の供給をしていこう、そして税制、融資制度、宅地供給、三本柱で住宅を進めていこう、こういう考えております。
#30
○安恒良一君 私は、今いろいろ聞きましたが、抜本的にやるために、率直に言って個人の住宅を建てるための土地の百坪以内の売買は別ですが、大規模な土地の取引によるところの土地転がしによる利潤を大幅に抑制するということを考えるべき時期に来ているのじゃないか。
 これは、イギリス、西ドイツ等を勉強してみましたら、土地の取引は、まず国ないし地方公共企業体が優先をします。個人の売買は、イギリスもやはり我が国の憲法と同じに所有権を認めています。しかし、個人の売買をやりまして、今私が申し上げましたような本当の個人の住民のささやかな住宅の取引は別ですが、そうでないような土地について取引をしますと、利潤が上がりますと、ほぼ一〇〇%近い税金がかけられるという仕組みになっているわけです。戦後土地の値上がりはどこの国も悩んだんですが、非常にイギリスや西ドイツは日本に比べると悩みが少ないわけです。日本は、一時一億総不動産屋と言われるような時代まで来て、むちゃくちゃに上がってしまったわけです。これは何も私は政府・自民党だけの責任だとは言いませんが、かなりそちらに責任がある。私たち野党側にも土地問題に手をつける勇気が少しなかったわけです。それはなぜかというと、憲法による個人所有権というものをどうしても優先的に今日まで政治の場で考えて。きました。しかし、憲法による個人の所有権ということと土地の利用権というのは別だと思うんです。
 だから、そういう意味からいいますと、今の税制はむしろ土地を売らせるために緩和の方向に竹下さんの考えが一つあるわけです、これは。しかし、果たしてそれだけで今日の問題が解決するかということになると、私はイギリスの仕組みとか西ドイツの仕組みというのは非常に参考になるのじゃないか、そういうふうに考えます。この点についてもう時間がありませんから答弁を求めようと思いませんが、一遍ぜひ研究をお願いをしておきたいと思います。答弁を今ここで求めようと思いません。これは建設大臣も国土庁長官も、諸外国の土地騰貴が抑えられたということに、一つは今言ったことが非常にあるわけですから、これは与野党とも大胆に私は取り組むべき時期にこの問題は来ているのじゃないかと思いますから、関係閣僚の方で御研究をお願いしておきたいと思います。
 次の問題に入ります。やはり、内需拡大のためには、私は一つは労働時間の短縮問題を、これは予算委員会で取り上げたんです。そうしたら、最近総理の諮問機関である国民生活審議会から、「長寿社会の構図」ということでワークシェアリングということでいろいろの貴重な提言がされています。年間の総労働時間を二十一世紀の初めで千八百時間ということになっています。一方、私が予算委員会で通産大臣や労働大臣にお聞きしましたときは、「二十一世紀産業社会の基本構想」の中の中間報告では、二十一世紀へ向けて千九百時間ということだったわけです。そこで私は、千九百時間を二十一世紀に十五年かかって達成するのは遅いじゃないか、もう少しスピードを上げなさいとあのとき言ったんですが、明確な答弁をいただいたとは余り覚えておりません。そうしたら、さすが総理の諮問機関ですから、今度は二十一世紀に千八百時間と、こう出てきちゃったわけです。私は正しいと思う。
 そこで、総理も私的諮問機関がお好きで、私的諮問機関で建議されるとアメリカまで持っていっていろいろ御説明されて、総括のときに議論になったから、もう私は繰り返そうと思いませんが、これは総理の公的諮問機関なんですね。そこがこういうことを提起したのでありますから、国民生活審議会の労働時間担当は経企庁長官だそうでございますから、この問題について経企庁長官、労働大臣、具体的なプログラムを早急におつくりになる必要があると思うんです、千八百時間にしようということですから。
 それから、定年制についても六十五歳までの延長、その他いろいろ提起されています。ですから、この点について労働時間を二十一世紀に向けて千八百時間にするための具体的なプログラムをどういうふうにお考えになってどのように実行されようとしているのか、経企庁長官とそれから労働大臣からお聞かせを願いたいと思います。
#31
○国務大臣(平泉渉君) 先般、私も今御指摘の報告を受けておりまして、これはおっしゃるとおり大変大きな目標を掲げ、現在西ドイツ、フランスなどの水準を考えますと、既にそういうところに到達をいたしておるわけでございます。
 我が国は、まだ週休二日制が完全に普及し切っておらないというような問題もございますので、おっしゃるとおり相当努力をしていかなきゃならぬと思うわけでございます。そういう意味でも労使の自主的な努力というものがあくまでも基本でございますが、企業の規模、業種、業態などの実情を踏まえて、週休二日制の普及、年次有給休暇の消化促進、そして連続休暇の定着等のことにつきまして、各業界団体等への働きかけ、また現労働時間法制のあり方の検討などの推進によりまして、労働時間短縮のための環境整備に一層努力をしてまいる所存でございます。
#32
○国務大臣(林ゆう君) 国民生活審議会の政策委員会報告では、労働時間は二十一世紀に向けて欧米先進国並みの水準を目指すべきである、こういったことがなされたわけでございますけれども、これは一つの重要な指摘であると私どもは受けとめております。もっとも具体的な水準といたしましては、一つの姿として千八百時間が念頭に置かれておりまして、産業構造審議会では千九百時間内とされるなどのいろいろな考え方がございます。労働省といたしましても、二十一世紀に向けての長期ビジョンについて長期労働政策ビジョン懇談会というものを設けまして、今議論をしていただいているところでございます。
 労働時間の短縮は行政の重点課題の一つでありまして、かねてから内需拡大に関する政策などに基づきまして、当面の目標といたしましては、昭和六十五年度までに休日の十日程度の増、あるいはまた年間の総実労働時間二千時間の達成を定めまして、週休二日制の普及などを重点に今積極的に推進をいたしているところでございます。具体的には、労働時間シンポジウムの開催などによりまして社会的、国民的合意の形成を促進する、こういったこととともに、労働時間短縮援助事業の実施などによりまして、労使の自主的な努力を援助促進をしてまいりたいと考えております。また、労働基準法の改正につきましては、労働基準法研究会報告を受けまして、今後中央労働基準審議会の審議を踏まえて検討していくと、こういったようなことを考えておるところでございます。
#33
○国務大臣(江崎真澄君) 公務員の方の勤務担当ですから簡単に補足しますと、御承知のように今四週五休制をとっておりますが、六休制に向けて試行中ですね、四分の二で。特に、この八月から郵便局の窓口が銀行と歩調を合わせて閉鎖します。そういうことになれば、この四分の二のせめて四週六休制に向けて、八月のこの動向を眺めながら、人事院が直接我々に勧告する立場にありますが、これはぜひせめて四週六休の方向を進めたいと、こういう努力をしております。
 二十一世紀にかけてのスケジュールは、今両大臣から答えられたとおりでございます。
#34
○安恒良一君 私は三人の大臣にお願いしておきたいんですが、これもこれ以上論争する時間がありませんから、私はまず一つは、いろんな提言があるというけれども、産業審はこれは通産大臣の諮問機関ですわね。ところが片一方、これは総理の諮問機関ですからね。ですから、総理の諮問機関が出したやつは千八百時間ということですから、あれもある、これもあると迷う必要ないと思うんです。そして千八百時間に向けて、労使の自主的ということを両大臣強調されますけれども、私はやはり具体的なプログラムをつくり、法改正の必要なものはして進めていかないと、労使の自主的なことだけでは、現在二千二百時間ぐらいですから、それをこの十五年間で千八百時間までにしようということですから、これはやはり政府として総合的な政策を持ち、具体的なプログラムを関係大臣でお立てになって意欲的に推進をされないと、私はなかなか進まないと思うんですよ。ですからそのことをお願いをしておいて、この問題は終わりにしておきたいと思います。
 次に、これもいろいろ最近政府は次から次に発表されますから、厚生省関係でお聞きをしたいんですが、吉村さんが中心となる高齢化社会における総合政策を検討していました高齢者対策企画推進本部が四月八日に一つの報告を出しました。その報告の中で、いろいろ問題になることがたくさんあるんですが、きょうは全部やる暇がありませんので一、二点だけちょっとお聞きしたいんですが、一つは、今後の医療費の増加と国民所得の伸びの問題についてです。手元におありと思いますから私は具体的に細かく引用いたしませんが、率直なことを言って、戦後我が国は医療費の伸びが国民所得の伸びを大きく上回った。そういう中で、これはもうとても負担にたえかねるということで、医療費の伸びを国民所得の範囲内にしようではないかというのが政府の大きい方針で、医療保険制度の改正とか、医療制度の改正とか、診療報酬支払いのあり方とかということを一貫をしてやってきたと思うんです。
 例えば、軍事費だったらGNPの一%以内というのが一つの指標ですね。それから、財政再建問題で幾ら私どもが竹下大蔵大臣や総理に、いわゆる六十五年赤字公債脱却の旗をおろしたらどうですか、破綻しておると言っても、絶対おろせないと、こうおっしゃるんですね。掲げておかぬと、一遍枠を外すと大変になると、これも予算委員会で耳にたこができるほどお互いのやりとりがあるんですね。そういう中においても私はやっぱり、この医療費の問題についても国民所得の伸び以内ということは一つの歯どめだと思うんです。だから、医療費は安かろう悪かろうではいけないと思う。しかし、一たんこの歯どめを外してしまいますと、医療費というのは非常な勢いでふえていくということになると、負担の問題は大変なことになると思います。そんな意味で、どうも肝心の厚生省が医療費の増加は今後は国民所得の伸びを上回るという形でいろんな数値を使って推計していることがわかりませんので、この点について厚生大臣の考え方、それから財政を預かる竹下さんとしてこんなことでいいんでしょうかということについてお聞かせください。
#35
○国務大臣(今井勇君) 医療費の問題でありますが、医療費の国民負担を適正なものとしていくためには、先生おっしゃいますように。医療費の伸びというものを国民所得の伸びの範囲内にとどめることが理想でございまして、これを当面の私どもは政策目標として医療費の適正化に努力しているところでございます。
 そこで、今、推進本部のことを申されましたが、私どもはこの報告というのはこれから十分精査しなきゃいかぬと考えておりますけれども、私は医療費の伸びというものを国民所得の伸びの範囲内にとどめるという政策目標を、これは変更する考えはございません。そこで、この目標を達成するために、これまで以上に医療費の適正化のためのいろんな問題を講じてまいろうと、こう思っておるところでございます。
#36
○国務大臣(竹下登君) 二十年前、安恒さんが中央医療協議会委員でありました当時、私一週間ぐらい勉強させていただいて覚えたファンダメンタルズなお話でございますが、それは今、厚生大臣からお答えがございましたように、基本認識は変わっていないというふうに私も理解しております。
#37
○安恒良一君 基本認識は変わっていないということですから結構ですが、私はどうも事務当局は人口の高齢化、それから人口の増加等で将来は伸びが上回るというような感じを持っているようですが、私は人口の高齢化ということについては、やはり成人病の予防医学の徹底ですね。そういうことに全力を上げるべきであって、人口が高齢化するから、老人の罹病率が高くなっていくからということで安易に私はこの医療費の伸びを国民所得の範囲内にと――私はその範囲内で適正な配分がされるべきだと思いますから、このことは重ねて注文をしておきたいと思います。
 次に、この中でいま一つお聞きをしておきたいんでありますが、どうもきのうも同僚の佐藤委員も地方の事務移管問題と絡んでいろいろお聞きしたんですが、いわゆる国民健康保険をどうしようとされているのかというのが、これは厚生大臣、自治大臣両方に関係することですが、非常に私は重要なことだと思いますが、あれでしょうか、これはまず、厚生省の高齢者対策企画推進本部が四月八日に出された報告書は、いわゆるこれからの厚生省の長寿社会に向けての基本方針としてまず受けとめていいでしょうか。
#38
○国務大臣(今井勇君) 今の高齢者の対策本部のことでございますが、我が国は今非常に高齢化が進んでおりますが、とりわけこれから二十一世紀の当初までの間というのは本格的な高齢化の社会に移るわけでございます。そこで、スムーズな移行のためには今から整合性のある高齢化対策を考えていく必要があろうということのために対策本部を設けまして、いろいろ協議をして、その結果を取りまとめたものが先般の報告書でございます。そこで、今後さらに検討すべき課題もありますけれども、大筋として厚生省の高齢者の対策に関します考え方をこれは集約したものだというふうに私は考えております。
#39
○安恒良一君 私、一読しましたところ、民活導入に代表されるように国庫負担が非常にふえていく、これを何とか抑えたい、こういう面が強く出ておりますね。そういう印象を実は受けます。
 そこで、私は今回は医療保険の面だけに絞って質問をしているわけですが、国民健康保険の現状をどう認識をされているのか、そしてこれをどういうふうにしようとされているのか、これを見るとなかなかわからないわけです。というのは、五人未満の事業所の被保険者に政府管掌を適用していく、さらに必要に応じて組合管掌へと行くことについて私は何も反対じゃないし、我々も主張してきたところです。ただ、その部面がだんだん抜けていきますと、国保財政の基盤が崩れるわけですね。そうすると、国保の対象者を減少さしてスリム化する、それだけが先行していって、何となく一時は国保をなくしてしまうんじゃないか、こんな心配が今度出てくるわけですね。ですから私は、五人未満の事業所の従業員をいわゆる政保に入れていくということについてはいいことなんですが、そういう状況の中で国民健康保険制度というのを厚生大臣としてはどういうふうにしていこうとされるのか、またこれらの事務その他をいろいろ受け持っておられる自治大臣として、これはどういうふうにしてこの国民健康保険制度を今後運営されていこうとするのか、この報告書を見ますとどうもわかりがたいんですが、そこらはどうなんでしょうか。
#40
○政府委員(幸田正孝君) 国民健康保険の今後の問題につきましては、今御指摘のありましたような五人未満の事業所の被用者保険への移行という問題がありますが、それ以外に国民健康保険は高齢化の影響を最も強く受けている集団でありますし、さらに国民健康保険内部におきましても、都市部と農村部との間で保険者の規模なりあるいは財政力の格差というものが拡大をしている状況であります。さらに、年金受給者を初めといたしますいわゆる無職の方が非痛に国保の中でふえている、こういうことでありまして、御指摘のとおり、今後の国民健康保険制度の維持発展ということについては非常に厳しい環境でありますが、私どもは、やはり今後の我が国の医療保険制度を考えました場合、被用者保険と並びまして地域保険である国民健康保険は大きな二大主柱である、こういう考え方であります。したがいまして、これを維持発展させるという考え方でありまして、そういった方向に向けてどういう具体的な手だてを講じていったらいいかというのが私どもの今後の大きな検討課題である、こういう認識であります。決して国民健康保険をなくすというような考え方は毛頭ございません。
#41
○政府委員(持永堯民君) 国民健康保険は、今御指摘ございましたように、特に最近では退職者医療制度の見込み違い等もございまして、大変厳しい状況にあるわけでございます。したがいまして、今後国保の安定化を図るためにはやはり医療費の適正化の問題、あるいはヘルス事業を徹底しまして疾病の予防に努めるという問題もあると思います。さらには保険者間の負担の調整という問題もあろうかと思いますが、そういうことを積み重ねることによりまして、基本的には現在の仕組み、現在の枠組みを今後とも守っていくべきだろう、このように考えております。
#42
○安恒良一君 私はこれもいろいろ何回か聞きたいと思ったんですが、三十一分までしかありませんので、またほかの問題がありますからこの程度にしておきますが、私は大臣に要望しておきたいのですが、行政の現実への妥協だけではいけないんだ、やっぱり将来についてあるべき姿というものをきちっと追求をする、そういう面がどうもこの報告書を見ますとやや欠けている点が、これは国民健康保険のところですよ、あると思います。ですから、やはり今後十分な検討を重ねてもらいたい。そして、他の諸政策との整合性というものがないとできない。これは六部門か何かに分かれてつくられて、最終的に次官のところでまとめられた、こういうことでありまして、ある部面にはかなり具体的な提起がありますが、ある部面はまだ本当に問題点の指摘というようなことで、それはなぜかというと、今も大臣が言われたように、今後の厚生行政の基本方針に据えたいと思っている、こういうことですから、基本方針に据える以上、今言ったようなことについてきょうは具体的に一つ一つのことを指摘する時間がございませんでしたから、また改めて時間があれば指摘をさしてもらいたいと思いますが、そのことを要望しておきます。
 そこで、次は補助率引き下げ問題について少し議論したいんですが、これももう総括の段階から、さらにきのう同僚の佐藤委員から補助率引き下げが地方財政へ与える影響のマクロ的なものはもうかなり議論されたと思いますね。ですから、マクロ的なものも時間があればと思って、少し私は私なりの観点からやろうと思って用意をしておったんですが、残りの時間がありませんのでやむを得ませんので、マクロ的な説明は今までの同僚委員の質問に答えていただいたということにして、感想だけ少し申し上げておきますが、どうも数字合わせがなされている。そして、補助金削減に伴い地方への肩がわりは大変問題が私はあると思います。
 そこで、ミクロ的な問題で少し議論をしてみたいと思いますが、まず建設地方債によって経常経費を賄うことが可能なのかどうか、それはどんな便法を用いるんですか、そのことをちょっと聞かしてみてください。
#43
○政府委員(持永堯民君) 財源措置といたしまして、経常経費の財源につきまして、マクロとしては今御指摘がございましたようにたばこ等で二千四万億を穴埋めをしたものを除きまして三千七百億を地方横で賄う、全体の収支はそういう形で合わせることにいたしております。
 ところで、個々の地方団体に対します財政措置でございますけれども、個々の地方団体の経常経費系統の影響につきましては地方交付税で全額算定をいたすわけでございます。そういたしますと、地方交付税の財源が足りなくなりますので、それは従来投資的経費に充てられておりました交付税からいわば振りかえをいたします。そうしますと、結果として投資的経費の財源が不足する、こういうことになりますので、そこに三千七百億円の建設地方債を充当するという玉突きのような方式をとるわけでございまして、市町村なり県で予算を編成される場合には経常経費はあくまで一般財源で充当し建設事業について起債が入ってくる、こういう形に相なるわけでございます。
#44
○安恒良一君 すなわち建設事業から財源を回して、その分を経常経費でふえた一般財源の負担に充てる、これが調整債の増発による財源対策の実態だというふうに私は思うんです。ところが、そういう数字合わせでは、例えば公債費率が高い団体や適債事業のない団体は建設事業によって一般財源に弾力性を持たせることはできないのではないかと思いますが、どうですか。
#45
○政府委員(持永堯民君) 公債費率の高い団体もかなりあるわけでございますが、今回の調整債の元利償還につきましては元利償還年度におきまして地方交付税で財源措置をすることにいたしておりますので、確かに数字の上では公債費は当然ふえますけれども、その分は別途地方交付税の算定を通じて財源措置をしていく、こういうことに相なっておりますから、この起債がふえることによって形の上では当然公債費はふえますけれども、実質的に非常に窮屈になるということには相ならないと考えております。
 それからもう一点の、適債事業のない団体についてのお尋ねでございますが、これは実は私どもも昭和六十年度におきましても同様の問題がありまして、やや初め心配しておりましたが、県はもちろん心配ございませんけれども、小さな市町村でどんなものだろうかということで綿密に各県の地方課を通じまして調べたところ支障はなかったということでございまして、それから六十一年度の場合におきましては去年よりも調整債がかなりふえます。ふえますが、この部分は大部分都道府県、ほとんど都道府県の方で消化をするという予定にいたしておりますので、現実問題としてこの受け皿がないという事態は考えられないというふうに考えております。
#46
○安恒良一君 考えられないと言われていますが、私はそのような市町村では当然経常経費がふえる、それを一般財源で充当しなきゃならぬ、こういうことになりますと、なかなかこれは一般財源では充当はできない。そうすると、手持ちの財源の中で捻出をするということになると、例えば経常経費の社会保障関係の補助率の引き下げによる負担増はまともに影響を受けることになりはしないかというふうに思います。ですから今年度から三カ年ということですが、六十一年度の分はこの地方財政対策は、建設地方債の増発のできる団体は経常経費の一般財源の負担増にも耐えられるが、公債費率の高い団体、それから適債事業のない団体は、経常経費の一般財源の負担増というものは従来の枠の中で捻出するしかなくなってくる。そうすると財政力の格差が拡大する、こういうことになりはしないか、市町村ごとによって財政力の格差が拡大するということになりはしないかと思いますが、その点自治大臣、どうですか。さっきから事務当局ばかり答えさせぬで、あなた答えなきゃだめですよ。
#47
○国務大臣(小沢一郎君) 私も余り具体的な仕組みの点までについて定かに理解をいたしておらないので政府委員から答弁させておきましたけれども、ただいま御指摘の点につきましては、この措置によりましていわゆる個々の地方団体間の財政力の格差をますます助長させるのではないかということでございますけれども、私どもといたしましては、そのような結果にはならないし、またそういうような個々の地方団体の具体的な状況につきましても十分把握をしながら対処してまいりたい、そのように考えております。
#48
○安恒良一君 なるほど答弁に立たれないはずですわ。わからないんですよね。それじゃやむを得ませんから、少し中身について聞いてみたいと思います。
 例えば保育所の措置費を例にとりますと、補助率の引き下げを受ける自治体側から見ると、五十九年度までは地方団体の負担は十分の二でよかったわけですね。六十一年度は二分の一を負担しなければならなくなります。そうすると、この自治体は二・五倍の保育所措置費のための一般財源を必要とすることになるわけなんです、一般財源。そこで、一般財源に余裕のない市町村は、その場合にどういうことになるんですか。
#49
○政府委員(持永堯民君) 保育所の措置費につきましては、今御指摘ございましたように、十分の二が十分の五になりますから二・五倍になりますが、これは先ほど申し上げましたように地方交付税の基準財政需要額の算定に当たりまして、若干技術的な問題でございますけれども、単位費用の引き上げあるいは密度補正の単価の引き上げ等によりまして、いわば二・五倍の措置費に対応できるような需要の算定をいたしますので、一般財源は確保できるものというふうに考えております。
#50
○安恒良一君 これも同僚委員からいろいろ議論があったように、あなたたちはそういうふうに一般財源は確保できるものだという全国的な視野で言いますけれども、私は経常収支比率、これは公債費率の高い自治体では一般財源に余裕がないんですから、同僚委員からもいろんな心配がありましたような、いわゆる保育所の統廃合や合理化が進められる。または今度は逆に利用者に負担増と、こんな形でこれがはね返ってくることは事実ではないかと思いますが、厚生大臣、自治大臣、そういうことは絶対ございませんね。統廃合とか、それから利用者に対する負担増とか、今回の二分の一にしたことによっていわゆるそういうことはないと、こういうことは厚生大臣も自治大臣も言明していただけますね。迷惑をかけることはないと、こう言っているんですから、両大臣どうですか。
#51
○国務大臣(小沢一郎君) 先ほど政府委員からも答弁ございましたが、今回の負担率の引き下げにつきましては、その地方財政の増加分につきましては、交付税によって一般財源を見ていくということにいたしておりまして、それによりまして先生の御指摘のようないわゆる行政サービスの水準の低下というようなことは絶対もたらされることのないように、私どもも今後さらに個々の地方公共団体の実情も把握しながら対処してまいるつもりであります。
#52
○国務大臣(今井勇君) 保育所の統廃合の問題でございますが、もう児童がだんだんといなくなりまして、その結果なくなるということは私はあり得るんじゃないかと思いますが、財政上の都合によってこういうことが行われるということはないと、そのように考えております。
#53
○安恒良一君 最後の質問をします。もうたくさん聞きたいことがあったんですが、時間がありません。
 そこで厚生省に聞いておきたいんですが、団体事務移行後は厚生省はこの保育行政について、事務についての条例、準則を作成していく考えがあるのかどうか。それから保育料も条例を根拠にして今後徴収していくことになると思うが、その点はどうなのか。また、この入所基準などについてはどういうふうにするのか、こういうことについてお答えを願いたいと思います。
#54
○政府委員(坂本龍彦君) 保育行政事務が団体委任化された場合におきましては、ただいまお尋ねのとおり、各市町村におきまして条例という形で基準を決めていくわけでございますが、国におきましても一定の水準を確保して、あるいはできるだけ全国的に公平な措置が行われるように入所措置あるいは費用の徴収につきましてガイドラインといいますか、準則のモデルと申しますか、そういった性格のものを地方にお示しして、それで実施していただくように考えておる次第でございます。
#55
○安恒良一君 最後に結論で私は指摘をしておきますが、今までずっとあらゆる角度で聞いてまいりましたが、政府の補助率見直しの底流には公的福祉をできる限り縮小もしくは撤廃をさせる危険がある、そして市場競争原理を取り入れて民間部門にできるだけ任していく、これは臨調行革の考えですが、どうもその考えを中心に今回このような一括法案になっているということを、私は非常に問題がある、危険性があるということを指摘いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#56
○委員長(嶋崎均君) この際、木下参考人がお見えになりましたので、木下参考人に対する質疑に移りたいと存じます。
 木下参考人におかれましては、本日は御多忙中のところ、しかも急な時間的な制約の中での当委員会の出席要求にもかかわりませず、早速に繰り合わせ御出席をいただき、まことにありがとうございました。
 本委員会は連日熱心な審議が行われてまいったわけでございます。本日は私が委員会を代表いたしまして、ただいま議題となっております国の補助金等の臨時特例等に関する法律案につきまして、これまでの委員会審議の中で補助金問題検討会について問題となっております事項につきましてお尋ねいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 まず第一は、補助金問題検討会の性格、機能、審議内容はどうか、また審議に当たって地方公共団体の代表の主張、さらに昨年の補助金一律カットの法案審議の国会論議、記録等がどのように参考にされたか、お伺いいたします。
#57
○参考人(木下和夫君) それではお答え申し上げます。
 補助金問題検討会と申しますのは、御案内のとおり補助金問題関係閣僚会議の御要請に応じまして補助金問題、中でも特に昭和六十一年度以降の補助率のあり方について検討を行い、意見を具申するべく集まったものでございます。
 また、私どもの検討会の報告がどのように活用されるかという点につきましては、これは専ら関係閣僚会議の判断によるものと、このように解釈をいたしております。私どもの検討会に特別の機能があるとは全く考えておりません。
 さらに審議の対象でございますが、今申し上げましたように補助金問題、特に六十一年度以降の補助率のあり方についてでございまして、具体的には提出いたしました報告の「はじめに」と題しております部分に詳しく述べておりますように、六十一年度以降の補助率のあり方につきましては、社会保障を中心といたしまして国と地方の役割の分担及び費用の負担のあり方の見直し等とともに慎重に検討を重ねたところでございます。
 なお、御質問にありました問題でございますが、検討会のメンバーには知事、市長、村長が加わっておられまして、地方公共団体の行政の責任者の生の声を聞く機会を得ることができました。また、議論を進めるに当たりまして極めて有意義かつ大いに参考になったと存じております。
 最後に、昭和六十年度の予算に関連いたしました補助金整理特別法案の国会審議の際の主要な御論点につきましては、国会の議事録等をもとにいたしまして勉強させていただいたところでございます。
#58
○委員長(嶋崎均君) 第二番目としましては、国と地方の事務事業の見直しをどのように検討をされましたか。
 また、国と地方の費用負担のあり方について検討会でどのような形で審議が行われたか、その内容についてお伺いいたしたいと思います。
#59
○参考人(木下和夫君) 検討会におきましては、社会保障を中心といたしまして、国と地方との役割の分担及び費用負担のあり方について広範囲な角度から検討が行われたものと考えております。例えて申し上げますと、社会経済情勢の推移、事務事業の地方公共団体への同化定着の状況等を踏まえまして、個々の政策分野の特性に配慮しながら行政の守備範囲をどこまでとすべきであるのか、また国と地方とでどのように機能の分担、費用の分担をなすべきか等の議論がなされたところでございます。
 国と地方との機能分担の見直しにつきましては、基本的には住民に身近な行政はでき得る限り住民に身近な団体において処理されるよう、事務の性格に即して見直しを進めるということがそのあるべき方向であると考えました上で、地方の自主性、独自性がよりよく発揮できるよう政策分野の特性に配慮しながら事務事業の見直しを図る、制度の簡素合理化を図る、地方への権限委譲に努力するということが必要であるという旨の御報告を申し上げたところでございます。
 なお、費用負担のあり方につきましては、基本的には国と地方との関係についての幅広い角度からの見直しや事務事業の見直しをも踏まえまして検討すべき問題でございまして、費用負担のあり方だけを切り離して私どもは考えてきたわけでございますが、議論をいたしましたのは費用負担のあり方に集約はしたものの、これだけ切り離して議論をしたわけではございません。強いて申し上げれば、補助率の決定要素の議論とかあるいは補助率簡素化の議論などはまさに費用負担の面に重点を置いたものでございます。
 報告に述べておりますとおり、補助率体系の簡素化、あそこでは数字が出ておりまして三分の二、二分の一、三分の一というような例示が出ておりますが、この補助率体系の簡素化の問題につきましては種々の御意見がございました。その点につきましては、そのいずれの意見についても報告の中でそのままこれを記録にとどめまして紹介をいたしておるところでございます。
#60
○委員長(嶋崎均君) そこで第三の問題でございますが、委員会の質疑の中でも、また法案審議のために出席を願った地方自治体の代表の方々からも、いわゆる地方富裕論に対するさまざまな議論が出されておりました。
 そこで、検討会におけるこの地方の財政状況の問題、すなわち地方富裕論というような問題についての審議と、あわせて補助率の引き下げの基準、それから対象の選び方、その中で特に生活保護の問題、それとともに憲法二十五条に規定されている生存権保障との関係等につきましてどのような議論をされたか、お伺いいたしたいと思います。
#61
○参考人(木下和夫君) まず、検討会での御議論といたしましては、国と地方とは基本的にはともに厳しい財政状況にあるという認識があったと存じております。
 このような共通認識の上に立ちまして、まず全体としての地方財政における財政状況というものと国の財政状況とを比較すると、公債の依存度とか公債の残高などの指標で見て、国は地方に比べてより厳しい財政状況にあるという御判断ないしは御意見というものがございました。その一方におきまして、他方におきまして、地方は約三千三百に上る団体の集合であって、これをマクロ的に見るということではなしに、それぞれの個々の地方公共団体の財政状況というものを見ればかなりの差異がある、一概に財政が国よりも豊かであるという判断はできないんだという御議論もございました。したがいまして、検討会といたしましては、今仰せのいわゆる地方富裕論を基礎にして御議論をしていただいたことは全くございません。
 次に、昭和六十年度の予算編成のころ以降の経緯でございますか、これを踏まえまして、検討会におきましては社会保障を中心に論議を進めたわけでございます。
 生活保護につきましての論議の内容は、提出いたしました報告書に集約されているとおりでございまして、その補助率は、まず、総論に述べておりますような補助率体系簡素化の観点に立ちながら最高三分の二とするのが適当であるとする意見がございました。しかし他方では、生活保護についての国の責任の度合いというものを考慮いたしまして、五十九年度以前の補助率に戻すことが適当であるとする御意見がございました。いずれの御意見にいたしましても、生活保護の考え方の源が、先ほど御指摘の憲法第二十五条の生存権にあるという御議論については十分私どもも論議の前提として考慮をいたしておりまして、この認識はメンバーの方々すべてを通じて共通していたものと考えております。
#62
○委員長(嶋崎均君) そこで第四番目の問題でございますが、補助金問題検討会の報告を受けた後の政府の措置についてでありますけれども、両論併記となった事項についての政府の取り扱いの仕方、また経常経費、投資的経費とも、たばこ消費税で賄った分はともかくといたしまして、建設地方債の増発で補てんをされているわけでございますけれども、この措置についてどう考えておられますか、お伺いをいたしたいと思います。
 さらにまた、検討会の報告の提出が十二月の二十日に行われ、予算内示が同月二十三日という経緯から見まして、報告の扱いが妥当であったかどうか。質疑の中で、検討会を隠れみのに使ったのではないかというような議論も出ておりますので、この点についての座長の御意見をお伺いいたしたいと思います。
#63
○参考人(木下和夫君) まず、生活保護につきましては検討会で十分御論議をいただいたところでございますが、その補助率のあり方につきましては最後まで意見が分かれました。したがいまして、残念ながら報告では両論併記とせざるを得ませんでした。その後、関係閣僚会議では、当面三年間、六十年度と同じ十分の七とする旨の決定がなされたと聞いておりますが、検討会といたしましては、一つの答えを出しておりません以上、関係閣僚会議の決定に対して私から何らかのコメントをなし得る立場には置かれていないと考えます。
 次に、検討会の報告には「補助金等の整理合理化に当たっては、」、途中省略いたしますが、「地方公共団体が円滑な行財政運営を行うために必要な経費については、地方財政計画の策定等を通じて所要の地方財源を確保する」ことができるよう、ここも中略でございますが、「適切に措置すべきである。」という旨を報告書の中に書いております。したがいまして、たばこ消費税と建設地方債の増発によって地方財政の運営に支障がないよう措置されたと聞いております。
 さらに、私どもの検討会では、メンバーのそれぞれが日程調整をして多忙の中を集まりまして、前後十二回検討会をやったわけでございますが、常に時間オーバーをいたしまして、非常に広い検討対象につきましてかなり激しい意見交換を行いながら検討を進めてまいりましたので、時間がかかりました。そのため報告の提出が遅くなりました点は御指摘のとおりでございまして、これは、一つには取りまとめ役でございました私の力量不足ということであったと思います。しかし、予算の内示前に何とか報告を出すことができましたのは、せめてとにかく責任は何とか果たし得たのではないかと考えておるわけでございます。
 そこで、先ほどお話ございました実態の追認とか隠れみのではないかという御批判でございますが、この点は私も耳にいたしております。しかし、検討会では予算編成の過程におきまして大蔵省と各省庁の間でいかなる議論がなされているか、いわゆる実態追認論の実態というものについて当局から説明を聞いたことはございません。いずれにいたしましても、検討会の報告をどのように活用なさるのかあるいは活用すべきかを判断なさいますのは関係閣僚会議の役目だと思います。検討会といたしましては、報告を提出いたしました段階でその任務は完了というように考えておるわけでございます。
#64
○委員長(嶋崎均君) そこで第五番目にお伺いしたいことでございますが、報告の一番結びの方で「国・地方の財源配分のあり方についての抜本的な見直しは今後の課題」とされていますが、六十年度の審議の経過を踏まえ、今後の課題にどう取り組み、検討することが必要だとお考えか、座長としての今後の考え方についてお話を承りたいと思います。
#65
○参考人(木下和夫君) 国と地方との間の税財源配分の問題につきましては、地方税、地方交付税、地方譲与税及び補助金等のあり方、さもには国と地方との機能分担、すなわち行政事務配分のあり方等を総合的に考慮いたしまして、国、地方間の財政状況の現状をも踏まえながら、今後引き続いて幅広い見地から検討を行っていくべき問題であると考えております。
 今回の補助率の見直しを恒久措置とすることは適当でないと判断をいたしました理由の一つとして、御指摘のような意見を私どもは報告の中に述べておるわけでございます。しかし補助金問題検討会といたしましては、国と地方との財源配分のあり方一般について検討を行うことを閣僚会議から要請されていたわけではございません。むしろ国、地方間の財源配分にかかわるもろもろの手だてのうち、特に補助金について、しかも六十一年度以降の補助率について国と地方の役割分担及び費用負担のあり方の見直し等とともに検討を行うことに限定されたものでございます。
 私個人といたしましては国、地方の税財源配分の手だてといたしまして、まず国税、地方税の配分の問題、二番目には地方交付税の問題、第三には補助金等の問題に大別できると考えておりますが、このうちの一部についての検討の任に当たりました私どもが、このような広い範囲の問題の全体に対する取り組みの方向について何らかのお答えあるいは意見を申し上げることは、私どもに与えられました分を越えるものになると考えております。
#66
○委員長(嶋崎均君) 以上で私の質疑は終わります。
 時間的な制約もありまして、私の方から言葉足らずの簡潔な質問をいたしましたにもかかわりませず、非常に要を得た御返答をいただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。(拍手)
 午前の質疑はこの程度とし、午後零時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時三十分開会
#67
○委員長(嶋崎均君) ただいまから補助金等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#68
○粕谷照美君 本法律案の総括的な質疑は既に終わっているわけであります。私は文部省関係について重点的な質問をしたいと思っております。
 昨年の一括法で、教職員の旅費及び学校の教材費が国庫負担法から外された、恒久的な制度になってしまったというところに、教育の質をどのように確保していったらいいのかという点で非常に危機感を持っているわけでございます。そういう意味で、文部大臣にまず義務教育費国庫負担法の制度というものの発足の理念というものはどのようなものであるかということについて、お伺いをしたいと思っております。
#69
○政府委員(阿部充夫君) お答えいたします。
 義務教育費の国庫負担制度は、古くさかのぼれば明治以来という長い経緯があるわけでございますけれども、戦後、特に昭和二十八年に新しい姿での義務教育費国庫負担法という形で再スタートをしておりまして、その時点での考え方は、この法律の第一条に書いてございますように、義務教育について、国民のすべてに対してその妥当な規模と内容を保障するために国が必要な経費を負担するのであると、こういう趣旨のことが記されておるわけでございますが、まさにこのとおりであろうと思っております。
#70
○粕谷照美君 それでは、もう少し詳しく沿革について説明をいただきたいと思います。
#71
○政府委員(阿部充夫君) 最初は、先ほども申し上げましたように、大変古い話でございますけれども、明治二十九年に年功加俸についての国庫負担制度というのがスタートいたしまして、その後、大きな改正といたしましては、大正七年に俸給そのもの、教員の俸給について国庫負担の対象にするという市町村義務教育費国庫負担法というのができております。以後、戦後に至るまで、主として教員の給与関係につきまして各種の手当等を逐次対象に加えていくというような形で進んでまいったわけでございますが、昭和二十五年に、戦後でございますけれども、地方財政平衡交付金制度の実施によりまして国庫負担制度が一時廃止になったわけでございますが、その後さらに、やっぱり義務教育のためには必要であるということで、二十八年に現在の姿の義務教育費国庫負担法という形で再スタートをしたということでございます。
 特に、この二十八年以降の経過といたしましては、逐次、特にその当時の地方の財政事情が大変悪かったというようなことを踏まえまして、旅費、教材費等を新たに加える、あるいはその補助率を引き上げる、さらには恩給、それから共済関係の経費、公務災害補償関係、児童手当等々についてだんだんと対象を広げてきたということでございます。御案内のように、昨年の一括法によりまして、このうち旅費と教材費に関する部分については一般財源化という最近の実態に応じた措置がとられたという経緯になっております。
#72
○粕谷照美君 阿部局長、もう一つ大事なものを忘れちゃ困りますね。四十九年に学校栄養職員が入ったということ、これをお忘れいただきますと、その次の質問とも関連いたしますので、困っちゃうわけですよね。
#73
○政府委員(阿部充夫君) 大変失礼をいたしました。
 戦後の二十八年度以降におきまして、学校事務職員がまず対象となり、そして先生御指摘のように、四十九年から学校栄養職員を対象とするというようになっております。
#74
○粕谷照美君 文部大臣、この義務教育費国庫負担法が果たしてきた役割というものについて、大臣はどのような認識を持っていらっしゃいますか。
#75
○国務大臣(海部俊樹君) 義務教育が全国的にあるべき一定の水準を保ちながら妥当な内容になっていくようにしたい、こういう願いでこの制度は起こったものと思いますし、また全国的にそのような役割を果たしてきたと私は受けとめております。
#76
○粕谷照美君 大蔵大臣、去年教材費と旅費が減らされた、外されましたね。教材費が減らされたということは、今文部大臣のおっしゃったこの全国的な水準がこれから維持できていくのだろうか、その私の疑問にどのようにお答えいただけますでしょうか。
#77
○国務大臣(竹下登君) ちょうど私が昭和二十二年の十二月一日から昭和二十六年の三月三十一日まで教師をしておりました。あの平衡交付金のときで、それで県議会へ出た後、たしか国庫負担法が、二十六年から出ましたから、それは一年後ぐらいにできたというふうに思っております。が、去年、教材費ということは、言ってみれば国と地方との費用負担、役割分担の中で大体ある種の水準というものには到達できるであろう環境が整ったというような認識であったというふうに記憶いたしております。
#78
○粕谷照美君 それじゃ、大蔵大臣のその御答弁が正しいかどうかということを少し立証してみたいと思うのでありますが、文部省、去年実態調査をしたと思いますけれども、その報告をいただきたいと思います。
#79
○政府委員(阿部充夫君) 昭和六十年度から教材費についての一般財源化を行ったわけでございますが、六十年九月補正後の段階において各県を通じまして調査をいたしましたところによりますと、全国的な予算措置の総額はおおむね前年度と同程度、あるいはわずかでございますが上回っているという状況にございます。しかしながら、これを県単位に分けて見てみますと、三十三の県において前年度を下回るという状況が出ておるわけでございます。残りの県については前年度と同等あるいはそれを上回るという状況に相なっております。これにつきましては、申し上げましたように九月補正後の段階でございますので、私どもの方としてはその後も指導を重ねております関係で、幾つかの市町村においてその後もさらに補正を行っているというケースを聞いておりますけれども、全国的な数字は現在調査中で、最終的に六十年度全国でどうなったかという数字はまだつかんでおらないわけでございます。
#80
○粕谷照美君 文部省にお伺いいたしますけれども、確かに三十三の自治体が、県が前年度に比較をして減額されているという実態が出ております。しかし、これは県としての平均でありまして、それぞれ市町村ではないわけですね。その点はいつごろきちんとした統計の報告をしていただけますか。
#81
○政府委員(阿部充夫君) 御指摘のように、教材費につきましては各市町村で計上するというものでございますから、私ども市町村について現在調査を行っているわけでございますけれども、単にそれぞれで幾らの金額を計上したかということでなくて、それに加えまして、一体どういう事情になっているのかというあたりのところも十分聞きながらやりたいということで調査をしております関係上、なおもうしばらく時間がかかろうかと思っておるわけでございます。
#82
○粕谷照美君 その際に、例えば国庫負担分とそれから地方交付税措置分との比較をしないと正しい数字が出てこないというふうに思いますけれども、それはどうでしょう。
#83
○政府委員(阿部充夫君) 前年度の予算額との比較ということでやっておりますので、要すれば国庫負担二分の一、五十九年度までやっていたわけでございますから、二分の一の国庫負担、それと同額を市町村がつけ加えて予算として計上しておった、それと六十年度とはどう違うのかということで調査をいたしております。
#84
○粕谷照美君 施設整備教材等委員会が、国庫負担制度の改正に伴う教材費の実態及び特色ある施設設備の調査というものを実施しております。たくさん市町村がある中で十の市町村に限ってやっておりますし、そのやった市町村の中でも回答が不十分であったために七とか八とか力とかという回答数しか統計することができなかったという不十分さはありますものの、集計結果は五十九年度と比較して減額となった学校、増額の学校、同額の学校の割合は、減額が全体の七割、増額の学校は二割、同額の学校は一割、こういうふうになっているわけでありまして、私どもが心配したとおり、教育水準の低下につながる教材費が各学校に減額されて配分されている、こういう実態を物語っているというふうに思います。文部大臣、この点についてどのようにお考えでございますか。
#85
○国務大臣(海部俊樹君) 制度がそのようになりましても、私どもは教材整備十カ年計画というものを持っておりまして、その制度において果たそうとした水準はぜひ守ってもらいたいということを地方の自治団体にそれぞれ指導もいたしてまいりましたし、また地方交付税措置において昭和六十年度には二・八%を上回るように措置していただいたと聞いておりますので、そのようなことが末端で起こらないように十分心がけて指導を続けていきたいと考えております。
#86
○粕谷照美君 昨年のやはり特別委員会で我が党の久保委員が質問をし、当時の古屋国務大臣がこう答えているわけですね。「交付税が大体前よりも減っているというお話でございますが、これはまた私文部省とも話しまして、これは地方の市町村が交付税のうちでどういうふうに配分するか基準を示している。その基準を恐らく、どういう理由かわかりませんけれども、いろいろの理由によって減らしておるのではなかろうかという私は感じがしているのであります」と、それで何とかしなければならない、こういうことをおっしゃっておりますので、文部省は自治省と十分連絡をとりながらこれが減らないように、今文部大臣おっしゃったように努力をしていただきたいと心からお願いを申し上げます。
 次に、今回の補助金等の臨時特例措置で、義務教育費国庫負担法の一部改正と称しておりますが、私は改悪だというふうに考えております。共済年金に係る追加費用及び恩給費用等について国庫負担率を二分の一から三分の一に引き下げる、こういうものでありますけれども、削減額というのはどのくらいになりますでしょうか。公立養護学校関係についてもあわせて御報告をいただきたいと思います。
#87
○政府委員(阿部充夫君) ただいま御指摘がございました共済費の追加費用とそれから恩給費、退職年金等の関係でございますけれども、合わせまして八百四十二億円減額になるという数字でございます。
#88
○粕谷照美君 これは三年間に限るわけでありますけれども、大蔵大臣、三年間でおしまいなんですね。三年たちますともとへ戻るわけですね。いかがでしょう。
#89
○国務大臣(竹下登君) 三年後の補助率のあり方ということについては、その時点で、すなわち六十四年度予算編成の時点で責任を持って事務事業の見直し、費用負担のあり方等を含めてまたきちんと決めるという考え方であります。したがって、ことごとくが五十九年度予算の状態に返ってくるという性格のものではございません。
#90
○粕谷照美君 これは大変な問題だというふうに思うんですけれども、文部大臣、この点についてどのようにお考えになりますか。
#91
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣のおっしゃっておるとおりであります。
#92
○粕谷照美君 大蔵大臣、二分の一の補助が三分の一に引き下げられた、これは財政が非常に厳しいから率を引き下げだということでは、まあまあ、まだ納得のいく説明にもなろうかと思います。しかし、この制度を国庫負担制度から外してしまうのかどうなのか、どうもちらちらと外すのではないかというようなにおいがしてくるものですから、その点については絶対にそんなことがあっては私はいけないというふうに思いますけれども、いかがお考えですか。
#93
○国務大臣(竹下登君) これは事務事業の見直しでありますとか、これはもう毎年毎年やらなきゃならぬという性格のものでございます。したがいまして、単純に現時点ですべてのものを確定づけるというわけにはまいらないというのが実態でございます。
#94
○粕谷照美君 大変慎重でありますけれども、しかし先ほどから話がありましたように、この義務教育費国庫負担制度がずうっと歴史的な重みを持って定着をしてきた、特に恩給費については昭和三十一年からここの中に取り入れられた、昭和三十七年からは共済費について取り入れられた、この重みを私は簡単に消すようなことがあってはいけない、このことだけは申し述べておきたいと思います。
 次に、大蔵大臣、このようにだんだん切り込まれていくわけですけれども、人件費には該当させてはならないというふうに思いますが、いかがでしょう。
#95
○国務大臣(竹下登君) 大体、今おっしゃいますとおり、恩給費は昭和三十一年、共済費追加は昭和三十七年、それぞれ主として当時の財政事情を考慮して国庫負担の対象にこれを繰り入れた。
 今日の時点で国と地方との財政事情ということになりますと、これはいろいろ見方はございますが、地方財政当局とも相談の上で共済費追加費用と恩給費等について六十一年から六十三年まで三年間の暫定措置として引き下げることとしたものであります。人件費並びに人件費相当分とでも申しますか、これに切り込むべきでないと御指摘でございますが、一般的に申し上げますならば、やっぱり今後厳しい財政事情のもとで聖域を設けることなく各種の制度について見直しを行っていくことが必要でございますので、各種文教施策につきましても各方面の意見を聞きながら、引き続き勉強していかなきゃならぬ課題だというふうなのが大体整理したお答えでございます。
 実際問題、私は、補助率とか補助金のあり方というのは、可能な限り定着した方が、安定した方がいいわけでございますから、したがって、あるいは五年間ということをお願いしてみようかとも頭の中では考えましたが、一つは、やっぱり社会保障関係の生活保護等について両論併記という検討会の報告をいただいておることが一つと、それからもう一つは、いわば国、地方の税制の抜本的なあり方について御審議いただいておるという税制調査会の現状というものもあるならば、この辺でやっぱり三年でお願いすべきものが筋かなという結論になったわけでございますので、三年であらねばならぬというような哲学は率直に言ってあるかと言われると、必ずしもない。しかし、三年間様子を見まして、税源配分の変化が全くないとも言えませんでしょうし、そしてまた国、地方の財政がどうなっていくかということを見ながら、やはり人件費は完全に対象外だと今断定するわけにはまいらない課題であろうというふうに考えております。
#96
○粕谷照美君 文部大臣はこの点についていかがお考えですか。人件費は対象外と断定できないというふうな大蔵大臣の今御答弁なんですけれども、私は制度の根幹にかかわる問題だというふうに思うものですから、文部大臣としては絶対にこの点は守り抜いていただかなければならないと思いますけれども、いかがでしょう。
#97
○国務大臣(海部俊樹君) 私どもは、いろいろな経緯の末、三年間の暫定措置であろうと、こう受けとめておるんですけれども、今大蔵大臣のいろいろな御意見の陳述等もあり、またその時期になったら私どもの希望もしっかりと申し上げて御相談をさせていただかなければならぬ、こう思っております。
#98
○粕谷照美君 文部大臣、三年間の暫定措置というのは、共済の追加と恩給の問題ですね。私が今伺いましたのは、人件費にこんなようなことを拡大してはいけないというふうに思うのだがどうですかという質問なんです。
#99
○国務大臣(海部俊樹君) それぞれの義務教育の段階においては、国と地方が責任を分担して、最終的な責任は国が負ってやっていく、こういうことになっておりますので、そういう立場からいって望ましい姿、形と、現実のいろいろな他の政策との整合性や、経済、財政事情と別の角度からのいろいろな議論もございましょうから、そういったことを一切政策の整合性の中でいろいろ御相談をしていかなきゃならぬ問題でありますから、よく相談をさせていただきたいと思います。
#100
○粕谷照美君 文部大臣、これじゃ大変心配ですよね、現場の人たちは。我々の給与費がいつ国庫負担法から外されるのか、それもわからない。文部大臣もそれを守りますという答弁をいただけない。これでは困るんですよね。もう一度お考え画しくださいませんか。いかがですか。
#101
○国務大臣(海部俊樹君) 具体的に言いかえますと、例えば現場で学校運営の基幹的な職員として、教長先生を中心に学校事務職員の皆さんやら学校栄養職員の皆さんが基幹的な職員として頑張っていただいておる実情は私もよく承知をしておりますし、そういった方の立場、処遇というものは極めて大切だと、こう基本的に考えております。昨年いろいろ御議論になったときも、これは制度として守っていきたい、このことを強く財政当局にもお願いをして、現にそのようになっておるわけでありますから、そういう日ごろの考え方はもちろんきちっと大切に貫いていきたいと思いますので、今後のことについては、いろいろ私の考えをもとに財政当局ともよく御相談をさせていただいて、文部省としてはそういった考えを大切にしていこう、こう思います。
#102
○粕谷照美君 今の文部大臣の御答弁を伺っておりますと、普通の教員の話は出てこないんですね。だから、教員は義務教育費国庫負担法の中に当然入るんだという前提で今御答弁をしていらっしゃる。どうも学校事務職員と栄養職員については、何か大変難しい条件が去年あったような感じの今御答弁でありますが、大蔵大臣、何か去年は圧力をかけられたんですか。
#103
○国務大臣(竹下登君) 何だか被害者と加害者を並べておいて御質問いただいておるような気がいたしますが、加害者意識などは毛頭持っておりません。
#104
○粕谷照美君 どうも意地悪な質問になりましたでしょうか。済みません。
 ですけれども、学校事務職員や栄養職員はもう学校の本当に基幹的な職員であるんだと文部大臣もおっしゃった。その他にも多くの声が上がっている。そのことは十分御存じだというふうに思いますが、いかがですか。
#105
○国務大臣(竹下登君) これは、各方面から政党政派を問わず今先生がおっしゃったような議論がございましたし、予算編成の段階でもそれらを総合勘案いたしまして今回のような措置をとっておるということでございます。
 ただ、私が窮屈なことを言っておりますのは、一つの制度が永遠不滅であるわけでもございませんので、また先の人に御迷惑をかけてもいけませんので、自由裁量の余地を残しておるとでも申しましょうか、そういう範囲でお答えをしておるというところであります。
#106
○粕谷照美君 今のところはっきり言えないけれども、よくそのことはわかっているという温かい気持ちは持っているというふうに理解をいたしまして、この次大蔵大臣じゃないんですよね、多分。私はそういうふうに考えているわけでありますけれども、そういう意味では、ぜひこの制度というものは大事にしていただかなければならないと思います。大蔵大臣も現場の経験があると先ほどおっしゃっておりましたけれども、小中学校へ行きますと事務職員というのは大体一人か二人ですね。二人いるなんというのは県費の事務職員と市費の事務職員、あるいはPTAで、これはちょっと問題があるんですけれども、入っているというような、そういう事務職員の実態です。千人いる学校でもそんな状態だと思うんですけれどもね。高等学校へ行きますと、また事務職員の部屋がありまして、随分大勢の県庁職員が事務をとっているわけでありまして、義務教育における事務職員の方々というのは大変な激務というんですか、もう本当に何もかも事務職員の方に雑務がかかってくるような感じだと思いますけれども、学校内における位置づけの認識をどのようにお持ちになっておられますでしょうか。
#107
○国務大臣(竹下登君) 私の生まれ在所は大変な田舎でございまして、私ども教師が全部で、中学校でございますが、六人おりまして、事務に関することは時々役場から来ていただいたり、我々が代行しておったり、そういう時代でございました。ジャパニーズ・ティーチャー・ユニオンもそう力がなかった時代であったかもしらぬというふうに思いますけれども、その後、私もいろんなところで学校を見させていただいておりますと、事務職員の方の事務量というものも随分ふえたものだなという認識は持っております。
#108
○粕谷照美君 いろんなことが整理をされてきますと、学校に備えつけなければならない書類、帳簿というんですか、これだけでも大臣が教員をしていらっしゃったころとはもう格段の違いがあるわけでして、本当にこの人数は配置ももう不足で、足りないぐらいだというふうに私は思っているわけでありまして、こういうところに国庫負担法の切り込みをするなどということは絶対にやめていただきたい、こういうふうに要望しておきます。ですから、もっと逆に言いますと、義務教育費国庫負担法の適用対象を変更したり、さらに縮小したりするようなことはしないでいただきたい。そしてまた、国と地方間の財政関係を基本的に変更するような措置はもうとらないでいただきたい、こういう要望であるわけでございます。一応ここのところを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
 義務教育諸学校施設費国庫負担法、これも十五条関係で改正になるわけであります。この六十一年から六十二年度、補助率を引き下げるということについて臨時特例法でありますけれども、一体どのくらいの削減額になるのでしょうか。
#109
○政府委員(阿部充夫君) 御質問の点は、この法律によって公立文教施設関係で削減される額という御指摘だと思いますが、約六十億円と、こう記憶しております。
#110
○粕谷照美君 今回のこの法案は、急増市町村も政令で定める急増市町村も区別なく十分の五・五に引き下げているわけですね。ところが、先回はそうではないわけでありまして急増市町村は十分の六、政令で定める急増市町村は七分の四と、この補助率に区別があったわけであります。この区別はどのような理由でつけられていたのか、そして、今回この区別を取り払ったというのは一体どのような理由によるのですか。
#111
○政府委員(阿部充夫君) 昭和六十年度の際には、一般の急増市町村の中でも財政力に余裕のあるところについてはさらに一層御協力を願うという意味で七分の四という十分の六よりも若干低い額で適用さしていただいたわけでございますが、今回は十分の五・五という数字を出してまいりましたので、全体がそれにのみ込まれるという関係、で特に差をつけるということをしなかったわけでございます。
#112
○粕谷照美君 何というんですか理由がないと、こういうことですか。
#113
○政府委員(阿部充夫君) 六十一年度は、十分の五・五という補助率を六十一年度以降三年間ということにいたしたわけでございますけれども、それは六十年度に設けました十分の大それから財政力に余裕のあるところについては七分の四という補助率のいずれよりも低い率で十分の五・五というものを決めたということでございますので、そこまで下げた以上富裕団体であるからといって差をつけることもないだろう、こういう判断をしたわけでございます。
#114
○粕谷照美君 次は、施設費国庫負担法のこの規定によりますと「教育を行なうのに必要な最低限度の面積として政令で定める。」となっておりますが、これを根拠にして政令は最低基準として「学級数に応ずる必要面積」を定めていると思います。小中学校全体の必要面積はどのくらいになりますか。そしてまた、保有面積は一体何%ぐらいになりますでしょうか。
#115
○政府委員(阿部充夫君) 御質問にございましたように、義務教育諸学校施設費国庫負担法におきましては学級数に応じて必要面積を定めるということに相なっております。これによりまして全国の小中学校の必要面積の総計をいたしますと、大変大きな数字でございますけれども一億二千万平米くらいに相なるわけでございます。これに対しまして全国の小中学校が持っております保有面積はやはり一億二千二百万平米というようなことで、総体としては必要面積を上回って保有をしておるわけでございますが、ただ、個々の学校ごとに見ますと、個々の学校で自分のところは大変たくさん持っているあるいはこっちは足りないという状況がございます。そういう意味で、個々の学校ごとに積み上げました保有面積の割合を私ども整備率と言っておりますが、これだけ足りないという率でございます。それは九二・四%ということでございますので、あと七・六%程度上積みをすれば完全なところにいくと、こういう段階までまいっているわけでございます。
 なお、一人当たりの校舎保有面積を念のために申し上げておきますと、昭和六十年五月一日現在で児童生徒一人当たり七・三〇平米となっておりますが、十年前六・一五平米という時代に比べますとここ十年間で二〇%ほど子供一人当たりの面積も増加をしている、かような状況にございます。
#116
○粕谷照美君 未整備面積大体七・六%と、こういうふうに報告いただきましたけれども、この数字は何が原因でこのように残っているのでしょうか。
#117
○政府委員(阿部充夫君) 個々の学校にはそれぞれの事情があろうかと思いますけれども、全体的な傾向として申し上げますれば、最近数年、ここ十年間ほどの間にかなり基準面積そのものの引き上げを行ってまいったわけでございます。例えば、体育館の面積も引き上げをいたしましたし、あるいは多目的スペースのための面積の引き上げというようなことも昨年でございましたか行うというようなことで、いろいろな形で相当程度面積基準を引き上げてまいりました。そこにまだ整備が追いついていないというのが非常に大きな理由であろうと思っております。
 なお、文部省といたしましては、そういった資格のある面積についての予算要求が参りますれば、それには全面的に対応するというつもりで対応してきておるところでございます。
#118
○粕谷照美君 これは必要最低基準なんですね。ですから、それを上回るのが当然でありまして、この基準の最低のものさえ守られないというような状況じゃ困ると思いますが、要望があれば文部省としては必ずそこに予算措置をする、こういうふうに言われました。そうすると、要望がないからではないかと思うんですね。その要望がないという理由をどのように分析をしていらっしゃいますか。
#119
○政府委員(阿部充夫君) 必要最小限の面積ということに相なっておるわけでございますけれども、これはまた一方において補助の基準面積ということでもあるわけでございますので、私どもの方としましてはその水準をできるだけ引き上げていきたいということから、その基準面積に達するまでは基準を上げないということではなくて、基準をむしろ前に上げてそれで追いついてきていただくという、そういう特別の手法をと申しますか、そういう形での整備を図りたいということで努力をしてまいっている。そういう意味で、一遍つくった学校をすぐ翌年基準が上がったからその分継ぎ足すというわけにもまいらないということで時間的なタイムラグがあるんだろうと、かように思っております。
 なお、御参考までに、これは最近二十年間の比較になっておりますけれども、面積基準の引き上げの状況でございますが、昭和四十年に比べまして昭和六十年は、例えば小学校の校舎の場合には五〇%引き上げておりますし、屋内運動場の場合には七〇%引き上げているというようなかなり大幅なアップを図ってきているという状況でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#120
○粕谷照美君 今の話は了解しましたけれども、しかし文部省としてはこういうふうに考えませんか、補助金カットがずっと続いてきている、そういう中でこのような状況もまた生まれている、それはどうですか。
#121
○政府委員(阿部充夫君) 施設費の補助金につきましては、法律の題名にもございますように国庫負担制度でございますので、文部省としては必要なものにはこれに対応するという姿勢で従来からやってきておるわけでございます。そういう意味で、最近、補助金そのものが減ってきておりますのは、各市町村の計画事業量が減少してきているということによるものでございまして、文部省の方で法律上明確に制度になっておるものについてカットをするという方式で切っているわけではないわけでございます。そういうことでひとつ御理解をいただきたいと思います。
#122
○粕谷照美君 私はなかなかそういうことで理解ができないわけであります。やっぱり補助金カットが続く中で地方自治体が事業計画を断念しているのではないか、こういう気持ちを持たざるを得ません。そういう意味ではぜひ自治体が意欲を減退させないような措置というものをこれからとっていくのが政治ではないだろうか、こういうふうに考えているのでございます。
 ところで、それに関連いたしまして、本法律とは直接関係がないわけですけれども、過大規模校、この分離促進を含む急増用地費補助制度の五年間延長の措置がとられたということは、私は大変いいことだというふうに思っております。また、本年から急増市町村以外の市町村で一定の条件のもとで同じような措置が実施されるということは評価するわけです。しかし、この補助率とか補助単価が改善をされていないわけでありまして、この実施率というものに対して何か暗い前途があるような感じがしてなりません。この過大規模校の現状、それから解消の実現率、実現数、このようなことについて御報告をいただきたい。
#123
○政府委員(阿部充夫君) いわゆる過大規模校といたしまして、私ども一応三十一学級以上のものを対象に当面施策を進めておるわけでございますけれども、最近ではかなり減ってまいりまして、全国的に見ますと、昨年の五月現在で千五百校余りというような数字に相なっております。各都道府県を通じまして市町村と調整をした結果によりますと、昭和六十五年度までにこの約八〇%に当たる千二百五十七校を解消するというような見込みが立ちつつあるところでございます。つまり内訳を申し上げますと、児童生徒が自然減になって減ってくるというケースのものが八百六十六校。それから学区の、通学区域の調整によってこれを解消するという計画で進んでおるものが四十五校。それから新しく学校を分離新設するという形で過大規模校の解消をしたいと言っているものが三百四十六校というような数字に相なっております。
 このうち分離新設をするというケースにつきましては、先ほど先生の御質問にもございましたように用地費の問題というのがあるわけでございますが、そういった中で、それ以外の部分は既に用地の確保ができておりますが、二百七十校分は用地の確保がこれからだというようなことでございますので、先ほど御質問にも出てまいりましたように、昭和六十一年度から五年間ということの計画でこれらに対する特別の助成制度をスタートさせるというようなことにいたしたわけでございます。
 なお、これの計画が予定どおり六十五年までまいりましても、残りの約三百校はまだ過大規模校という状況が解消されないわけでございますが、これらにつきましては、いわば都会のど真ん中にあるとかいうようなことで全く物理的に用地の探しようがないというようなケースがあるわけでございます。これ自体はやむを得ないことだとは思っておりますけれども、それにしてもそういうことで単にあきらめずに、なお方法がないかどうかは十分検討してくれということで各市町村に指導をしておるところでございます。
#124
○粕谷照美君 先日、文教委員会でいじめ問題についてのいろいろな質疑がありました。また、自殺事件が起きました中野の富士見中学校の問題なども具体的に取り上げられました。私はあのときに、俵萌子さんなども参加をし準公選で随分活躍をした中野の教育委員会であった、夜も教育委員会を開いた、地元の人たちの意見も直接に教育委員会が聴取をするような場所もつくった、事務局との対話ももう本当に口角泡を飛ばすような討議をし随分苦労しながら教育委員会をやってきた、こういう中でどうしてあのような問題が教育委員の耳に入らなかったのだろうかという非常に胸の痛い思いをして発言をしたわけでありますが、あの富士見中学校を視察されました方からこういう意見が出たんですね。あそこの学校へ行ってみて運動場というか、そういう子供たちが力いっぱい遊ぶような場所というものが非常に足りない。そういうものを何とか変えていかなければならないというような発想が教育委員会になかったというような御指摘がありました。
 私は、教育委員会はそういう指摘をできるような今まで条件にはなかったと思うのです。俵さんのあの教育委員会の記録を読んでみましても、教育委員が知らないうちに予算が全部決められている。しかも、船に乗せて何百人かの子供たちをずっと連れていこうなんというような、教育委員会が思いもしないようなことが事務局で出されているなどというようなことがありまして、今阿部局長がおっしゃった、何らかの措置がとれないか、何らかの対策がないだろうかという、これはとてもいい発想だというふうに思うんですけれども、その辺はどんなようなことが文部省としては考えられるのでしょうか。
#125
○政府委員(阿部充夫君) 私どもも名案があればこれこれと、こういうふうに申し上げるわけでございますけれども、具体的にこういう解消策を持っているというわけではございません。ただ、非常にそういうところでもってどうにも分離新設ができないというような場合には、学校の運営体制、例えばこれは高等学校の例でございますけれども、埼玉県あたりの大規模の高等学校では特別の運営体制をつくるとかいうような仕組みのところもございます。あるいは東京の都内のある小中学校、幼稚園の場合には、これは学校としては本来好ましくはないわけでございますけれども、建物を高層化して同じ建物の中に入れ込むかわりにある程度の運動場を確保するとか、いろんな工夫はそれぞれ行われているわけでございますけれども、私自身はこういうことでやれば大丈夫であろうというような名案を持っておりませんが、なお各地の状況等を見ながら私自身も勉強していきたいと思っております。
#126
○粕谷照美君 文部省の広報、昭和二十七年の三月十三日発行のあれを読んでみました。この義務教育費国庫負担法をどうしてもつくりたいという文部省案について述べているわけであります。その中に、まず概要として「義務教育にどれだけの費用がかかるかということをこの法律で明らかにする。教職員の給与費は、それぞれの学校の規模に応じた適正学級数を算出して、これに必要な教育員数が必ずえられるようにし、これをもととして適正な給与費を算出する方法を定める。」、こうありまして、二番目に「学校維持費は過去の実績をもととしていろいろ研究した結果、教職員の給与費の三五%が必要であることが明かになったので、これを確保できるように定める。これによってPTAによる多額な寄附金を解消し、将来教科書、学用品、給食等も無償で支給できる途をひらいておく。」、こういうふうに説明があるんですね。
 そうしますと、今のこの施設費の国庫負担法にしろ給与等に関する国庫負担法にしろ、憲法によっての義務教育は無償とするというこの思想をやっぱり貫くためにこの法律があるし、この法律はその憲法があるんですから守っていかなければならないという前提に立つべきだというふうに思いますけれども、文部大臣いかがでしょうか、この点は。
#127
○政府委員(阿部充夫君) 義務教育につきましては、国と地方公共団体とがいわば共同責任でこれをやっていかなければならない、そしてまた、制度を決めている国としては最終的に責任を負わなければならないという性格のものでございます。そういったことから、給与費についての国庫負担制度、それから施設費についての国庫負担制度というのが車の両輪のごとくできておるわけでございますので、この制度の基本は大事にしていかなければならない、私どもはそういうふうに考えております。
#128
○粕谷照美君 文部大臣に聞きましたのに、局長がかわって答弁するなんてけしからぬですね。
 それじゃ局長、もう一つ伺いますけれども、とにかくこの国庫負担制度、法律ができるときに、大蔵省は大体補助とするんだということを主張した。文部省は負担とするべきだと、こう主張した。これは私は単なる言葉の争いではないというふうに思いますけれども、負担法になっているということの重みをどのように文部省としては主張していかれますか。
#129
○政府委員(阿部充夫君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、負担ということで義務教育に対する国の責任を明確にしているものだと、こういうふうに思っておりますので、このことは非常に重要なこととして受けとめておるわけでございます。
#130
○粕谷照美君 その国の責任においてということに関連をいたしまして、会計検査院から大分法律補助についての厳しい指摘をいただいておりますね、補助金について。ちょっとこの一、二年の具体的な文部省としての把握、実態認識、御報告いただけますか。
#131
○政府委員(阿部充夫君) 先生の御質問は、いわゆる水増し問題でございましょうか。
#132
○粕谷照美君 まだほかにありますか、指摘を受けたもの。
#133
○政府委員(阿部充夫君) 最近で会計検査院から御指摘をいただいておりますのは、一つは教職員定数についてのいわゆる水増し問題でございます。これは各市町村の小中学校が毎年四月に新しい学級編制で臨むわけでございますけれども、児童生徒の異動等が三月から四月にかけて相当数ある、それによって学級編制に影響がくるというようなことがございました関係上、実際に異動していなくなった生徒をそのままいるかのごとくしておくというようなケースが幾つか全国の例で見られたわけでございます。これはとにかく事実に反することでございますし、それによって国庫負担金を多額に、過大に支給を受けるということに相なるわけでございますので、まことに遺憾なことだと考えております。
 これらにつきましては、直ちに過大交付になった国庫負担金についての返還の措置を講じたところでございますし、また文部省といたしましては、特にこういった児童生徒数の状況について正確な把握をし報告をするということが絶対に必要であるということと、それから万一いろいろな諸般の事情でどうにもやむを得ないような場合があった場合には、それぞれの県なりあるいは市町村なりで工夫をして、それに単に形式的に処理をするのではなくて、弾力的な対応をするという方策がないかどうか十分検討してほしい、こういう二点についての指導を昨年の暮れに文書で行ったところでございます。
 なお、そのほかに会計検査院から御指摘をいただきましたのは、公立文教施設の整備につきまして、七件ほど補助対象外であるべきものを補助対象に入れてしまったというような手違いと申しますか、その点につきましての指摘をいただきました。これについても全額過大交付分については返還をさせ、その後そういうことがないように関係の団体に対して指導を行っておるところでございます。
#134
○粕谷照美君 私も現場におりましたので、その現場の苦しみはわかるわけですよね。入学すると思っていたのに急に工場がなくなって生徒が減ったとか、あるいは転校していったとか、たくさんの例がある。すると、クラスができているのに途中で二つに分けるなどということができない。二つになっていたものを一つにするなどということも、例えば小学校一年生なんかは特に微妙な段階でありますので、なかなか困難である。親の方もぜひ今のままでやってもらいたい、こういうことが積み重なってきているという事情があるということもまた了解をしていますが、法律というものを守らなきゃならないと教えている教育委員会や学校長がそういうことをやったということは、やっぱりこれは厳しく指摘をされるということはやむを得ないことだというふうに思います。当然のことだというふうに思います。ところが、今局長がおっしゃった何とか市町村がうまいぐあいにそういうような問題を解決できないだろうか、こういうことを言われましたけれども、具体的にそんなことができるんですか。
#135
○政府委員(阿部充夫君) どういうやり方があるかということでございますけれども、例えば現在の標準法によります教職員定数の算出は、各学校ごとに算出をしてこの学校が何人と決めているわけではなくて、県全体として何人ということを決めておるわけでございますので、具体にその数の教員をどのように分配するかということは各県で考える余地があるわけでございます。そういった中で、幾つかの県におきましては若干のいわばプール定数のようなものを持っておりまして、特に必要なところに追加配分をするというようなケースもあるわけでございますので、非常に問題のあるようなケースにつきましてそういう仕組みを適用するということもあり得るのではないかと、こう思っておるわけでございます。ただ、これをまた余り大声で申しますと、今度は非常に児童生徒数の見通しを立てる場合に、安易に立てられるということになりますと始末がつかないという問題にもなってまいるわけでございます。そういう意味で、運営が難しいわけでございますけれども、やり方が全くないわけではなかろうということで、事情等を十分把握しながら工夫してほしいと、こういう指導をしたわけでございます。
#136
○粕谷照美君 プール定数というのもありますけれども、こういう定数というのは大体県単なんですよね。県単ですから負担法の中にはなかなか入ってこない。したがって定数はどんどん減っていく、こういう実情にあるというふうに考えております。とにかく、何らかの形で具体的に困っている学校には措置をするということについての文部省としての積極的な指導を私は要望しておきます。
 さて、今施設関係と教職員の問題についてはあったんですけれども、もう一つ、私学の振興財団に対してでありますけれども、文部省関係しているわけでありますから、この辺はいかがなものですか。
#137
○政府委員(國分正明君) 検査院の指摘事項にかかわります私学助成関係でございますが、概括的に申し上げますと、五十八年度の会計検査におきましては六件、約六千三百万円、それから五十九年度の報告におきましては九件、約六千一百万円の不当事項の指摘がございます。
 これらにつきましては、いずれも補助金配分基礎資料の作成に関しまして学校法人が技術的に誤りをしたという性格のものでございますが、私学振興財団におきましては、指摘されました過大交付額につきましては全額返還させる措置を講じております。また、文部省といたしましても、私学振興財団とともに、当該学校法人のみならず学校法人全体に対しまして、このようなことがないようにという注意喚起をしているところでございます。
#138
○粕谷照美君 次から次へと補助金がカットされ、あるいは補助率が低められていくときにそのような不当な事項が起きるということは、逆に言って非常に反発を招くわけでありますから、きちんとした体制というものをとるように御指導いただきたいと思います。
 最後に大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、臨教審が教育改革と財政問題について大蔵省にヒアリングをしておりますね。そのときに、大蔵省としては一体どのような態度で臨教審の財政問題に対しての意見を申し述べられたでしょうか。
#139
○政府委員(保田博君) 三月の十九日であったと思いますが、臨教審の運営委員会懇談会というのが開かれまして、その懇談会に臨教審側からの求めに応じまして、主計局の方から現在の財政の窮状並びに将来にわたる展望をまず一つ述べました。そういうものを踏まえた上で、教育改革に対する財政当局の考え方を申し述べたわけであります。
 まず第一点の財政の現状と展望でございますけれども、御承知おきのように、我が国の公債依存度が非常に高いこと、したがって五十八年以降四年間連続で一般歳出を対前年度同額以下に抑えざるを得なかったということ、それから将来にわたりましてもこのような財政事情からしまして財政改革に向けて苦しい道を歩んでいかなければならないというようなことを申し述べました。
 そういう我が国の財政の現状並びに将来に対する展望を踏まえまして、教育改革に対する我々の考え方といたしましては、現在の公財政支出教育費、これは地方の負担も含めてのことでございますけれども、この公財政支出教育費はここ十数年来我が国では非常に大幅に上がってきまして、国際的には一番高い水準に既に到達をしておる。それから総行政費比率の中におきましても最も高い水準にありますので、この総体の財政支出を将来にわたってそう大幅にふやしていくわけにはいかないのではないか。したがいまして、教育改革を進められるに当たりましては資金の効率的、重点的な配分が大切である。スクラップ・アンド・ビルドという考え方に立って既存施策の見直しも積極的にやっていただき、新しい諸施策に充てる財源を捻出していただきたい、こういうことを申し上げたわけであります。
#140
○粕谷照美君 時間が参りましたのでこれで終わりますが、大蔵省の今の態度は教育改革をやろうという態度ではないということだけを申し述べて、私の質問を終わります。
#141
○吉川春子君 それでは質問いたします。
 戦後政治の総決算の名のもとに、中曽根内閣は文字どおり我が国社会保障や福祉の積み上げてきた成果を転換、転覆させました。本法案もしばしば指摘されてきたように、憲法二十五条の具体化として創設、継承されてきた国の負担金や補助金の負担率等を一挙に覆すものです。その上、さらに政府は主に国民の負担を強めることによって高齢化社会に対処しようとしているのではないですか。
 厚生省に伺いますが、厚生省が過日発表いたしました「高齢者対策企画推進本部報告」を拝見して驚きました。まず高齢者対策の基本原則として五つ挙げておられるわけですが、「自立自助と支援システムの構築」、それから「社会の活力の維持」、「地域における施策の体系化と家族への支援システムの強化」、そして「公平と公正の確保」、「民間活力の導入」、こういうふうに挙げておりますが、例えばその中で「自らの能力と責任による人生設計を行うことが可能となる環境づくりを行う」、こういうことが述べられておりますし、また「公平と公正の確保」のところでは「より一層給付と負担の両面において公平かつ公正であることが重視されなければならない。」「この場合、同一世代内での公平とともに世代間の公平をも確保する必要がある。」、こういうことも述べているわけなんです。
 ここには自立自助、みずからの責任による人生設計とか、負担の公平とか、民間活力の導入とか、要するに専ら国民よ努力せよ、負担せよということばかりで、国や政府が社会保障、福祉の充実に第一義的に責任を持つ、そういう姿勢がないわけで、憲法二十五条の精神が全然ないと言わなくてはなりません。厚生大臣、これでは国民の福祉や社会保障の充実に責任を持っている厚生省が、率先して憲法二十五条の空文化に走っていると言われても仕方がないんじゃありませんか。
#142
○政府委員(北郷勲夫君) 高齢者対策本部の報告で五つの項目を挙げていることはそのとおりでございます。
 今、先生のおっしゃいました例えば「公平と公正の確保」というような点でございますが、高齢化の進行に伴いまして社会保障給付が非常に増大するわけでございまして、非常に膨大な給付でございますから、給付と負担と両面にわたりまして公平、公正を期するということは社会保障制度の安定の上で不可欠の問題でございます。そういった考え方からこういった「公平と公正の確保」、給付と負担のバランスというようなことを基本原則の一つと考えておるわけでございます。ほかの「地域における施策の体系化」、それから高齢者を支える「家族への支援システムの強化」、こういったような問題につきましても将来ともぜひ必要なことと考えておるわけでございまして、福祉の問題について厚生省として後退するというような考え方は一つもないと私どもは思っております。
#143
○吉川春子君 今、高齢化社会の問題で反論されましたけれども、こういう論法は現行の国民負担方式の延長線上にあるわけで、もともと我が国社会保障は労働者の負担が非常に大きくて事業主負担が相対的に軽いのが特徴であります。力のある大企業等から応分の負担を求めるという発想が全然ないわけで、こういう発想こそ情勢の変化に対応した方法であるということが言えると思うんです。最初、大臣に質問したんですけれども、大臣いかがですか、この問題について。憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活保障、そういうものを空文化することに厚生省が走っているのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#144
○国務大臣(今井勇君) 今回の高齢者対策の問題で私どもが考えておりますのは、やっぱりこれから二十一世紀の当初までの期間本格的な高齢化社会へ移行する過渡期でありまして、その間に整合性のある高齢化対策を考えていくことが極めて大事だということで、私どもが高齢者の対策本部をつくりまして、そしてそこでいろいろ対策を練らしたわけでございまして、先ほど局長が答弁いたしましたようにこの問題は高齢化対策の基本原則とか、各施策の改革の方向について自由に討議したものでございまして、私どもは憲法二十五条の精神に沿ったものと考えておるものでございます。
#145
○吉川春子君 とんでもない答弁だと思います。
 それでは伺いますが、社会保障の後退は明らかであると思うんです。例えば厚生年金についで、「高齢者雇用の動向等を踏まえつつ年金支給開始年齢問題について検討していく必要がある。」と五ページに述べられています。医療保険については、給付の公平化の名のもとに「原則八割程度で統一する。」と十ページに述べられておりますけれども、本気でこういう方向を目指すんですか。
#146
○政府委員(北郷勲夫君) 年金の支給開始年齢の問題につきましては、これは高齢者の就業動向に非常に大きく関連する問題でございまして、その報告におきましてもそういうことを述べておるところでございまして、就業の年齢が上がってくれはまた考えることでございまして、就業動向を十分踏まえて検討していく、こういう考え方をとっておるわけでございます。
 それから、医療保険の問題につきましては、これはかねてから給付の公平という観点から、各制度を通じまして、現在の状況を申しますと、国保については給付率が低いわけでございます。それから被用者保険については給付率がそれに比較して高い、こういう状態がございますので、全国民的な給付の公平ということを考えますと八割程度に統一したい、こういうようなことはかねてから方針として持っておるところでございまして、そのことを述べておるところでございます。
#147
○吉川春子君 今の答弁は明らかに福祉の後退を目指している、そういう答弁であったと思うんです。
 その上、さらに驚いたことに「民間活力の導入」、こういう考え方、単なる考え方だけではなくて原則にしている、こういうことも初めて出てきたと思いますけれども、大変な驚きです。その中で、「今後とも国民皆年金・皆保険体制などを通じて公的システムで対応することを堅持するが、これに併せて、民間の創意工夫を生かした適切な私的サービスを導入し、助成し、」云々と、こういうことを書いているわけです。
 厚生大臣、この考え方を進めると、力のある人はますます富み、負担能力の乏しい人との格差がますます拡大するというふうになるとは考えないんですか。
#148
○政府委員(北郷勲夫君) 社会保障の分野におきます民間活力の問題につきましては、当委員会でも以前に議論になったわけでございますが、医療あるいは年金の部分につきまして公的な制度、公的な医療保険、公的年金、これを基盤として堅持していく、民間の制度につきましてはこれを補完的なものとして考える、こういうことはたびたび申し上げているところでございます。
 そのほかに、今回の報告書で述べておりますのは、いわゆる高齢者のシルバー産業の問題が主に意識されて書かれておるわけでございます。高齢者は非情にふえるわけでございますが、このうち七割ないし八割は健康な老人でございまして、しかも今後年金の充実によりまして所得もかなりの水準に達すると考えられるわけでございます。いわば寝たきりの方あるいは所得の低い方以外の一般の老人の方につきまして、こういった方々の孤独の解消でございますとか、あるいは生きがいの対策というようなことをこれから考えていく必要があると思っておるのでございますが、例えば老人向けの住宅をどうするか、手すりのある家、あるいは車いすでも動ける部屋というようなことでございますが、あるいは老人向けのスポーツあるいは老人向けのレクリエーション、こういったような問題を今後高齢者が非常にふえる社会でございますので考えていく必要がある。こういった面につきましては非常に幅広く考えなきゃなりませんので、公的施策だけでこれに対応していくというのはなかなか困難な面がございます。
 これまでこういった面での企業その他の民間の活動が、どっちかというとまだ不十分でございますので、こういった産業面での対応につきましてもう少しその考え方をそっちの方に振り向けていく必要がある、そういったところを今回の報告書で民活導入の大きな分野として考えておるというようなことが民活の中心になっておるわけでございます。
#149
○吉川春子君 さらに「公的医療保険と民間保険」、この問題についても、「公的医療保険において、今後一層多様化する国民の医療ニードのすべてにこたえることには限界がある。そこで、公的保険は必要にして適切な医療を保障するという基本方針は堅持し、民間保険については、その補完という立場から、公的保険との整合性に留意しつつ、適正な導入を図る。」、こういうような問題とか、非常に民間活力の導入、そして私的保険というようなことが出てきておりますけれども、まず政府が公的な社会保障の充実にこそ力を注ぐべき責務があると思うんです。それなのに、公然と社会保障制度に私的保険制度を導入したり、あるいは結合させる方針というのは政府の責任放棄につながるのじゃないかと思うんですけれども、厚生大臣、この点はいかがですか。
#150
○政府委員(幸田正孝君) ただいまもお答えを申し上げましたように、国民皆保険体制は私どもも今後とも堅持をいたしてまいる考えであります。必要にして適切な医療は公的な保険で保障する、こういう考え方は従来と全く変わっていないわけでありますが、例えば健康保険で認めております一部負担の問題、あるいは健康保険で公に認めております保険外負担の問題等については、民間活力の導入ということで民間保険の導入を考えてもいいんではないか、こういうことでございます。私どもは、社会保障についての国の責任を放棄するという考え方は全くございません。
#151
○吉川春子君 公的な保険制度を充実するのではなくて、そういう方向に持っていくということは、経済的な余裕のある人はそれはいいでしょう。しかし、経済的に余裕のない、そういう民間の保険に入れない人たちにとっては非常に悲惨な状態になるわけです。先ほども触れましたように、中曽根内閣になって、医療保険、年金制度の大改悪を初め、児童扶養手当、児童手当まで改悪して、またその上、社会福祉補助金の補助率を引き下げる、こういうのが本法案なので、その日実は高齢化社会に対応するためであり、実態は国庫負担の全面的な削減、そして患者と国民に負担を転嫁するものということで、私は絶対に許すことができないと思うわけです。
 さて、次の問題に進みたいと思うのですが、大蔵大臣に伺います。
 先ほども少し出ていましたが、臨教審とのヒアリングあるいは臨教審に対して教育改革と財政問題に関する基本的な考え方、こういうことを大蔵省はお示しになり、その中でスクラップ・アンド・ビルドという形でいろいろなことを言われているわけですけれども、これは臨調行革の原則を教育改革にも当てはめると、こういうことでございましょうか。
#152
○政府委員(保田博君) 教育改革の必要性は我々といたしましても十分に認識をいたしておるわけでございますが、教育改革の実施のためには、その項目によりましては巨額の財政負担を伴うというものもあるわけでございます。他方、我が国の財政は、先生も御承知おきのような厳しい事情にございます。これからの高齢化社会を迎えるに当たりまして、社会保障の充実もしなければいけない、あるいは国際的社会の一員としてODAその他の経費についても世界から増額を要請されている、そういうような将来の見通しに立ちますと、財政改革もまた緊急の課題なのであります。
 したがいまして、当面、教育改革と同時に、あわせて財政改革との両立を図るということが必要なのでありまして、いずれかだけ優先するというふうな考え方に立つわけではもちろんございません。息の長い教育改革を進めていくためにも、当面は財政改革を進めていくことが必要なのではないか、こういうふうに考えております。
#153
○吉川春子君 大蔵大臣に伺いたいんですが、国が進めております臨調行革、これと教育改革の関係ですけれども、やはり教育改革というものもこの臨調行革という大きな基本方針に合わせるべきだ、そういうふうに大臣はお考えなんですか。
#154
○国務大臣(竹下登君) いわゆる臨時行政調査会、それからその後行革審、こういうところでそういう角度からの分析をいろいろしていただいております。一方、新しく教育臨調というものができて、教育の中長期にかけた抜本改正をやっていこうと。しかし、その中に、教育のプロの方々のいろいろな議論の中にも、財政そのものを全くネグレクトして御議論をいただく性格のものではなかろう。したがって、私どもといたしましては、財政的に実現可能なものとするためには、厳しい財政事情の中であるからスクラップ・アンド・ビルドの考え方に立って既存施策の見直しについても具体的検討が必要ではございませんでしょうかと、こういうような意見を申し上げておるわけであります。
 したがって、総じて一つの枠内の議論にしてくださいと、必ずしもプロの先生方にそういうことを申し上げるわけのものではございませんが、財政的な立場から考えると、このような環境にありますと、その中でもろもろの工夫をやっていただくならば、スクラップ・アンド・ビルドというものも必要な手法としてお考えいただかなければならないでございましょうかというような御意見を申し上げておるという立場でございます。
#155
○吉川春子君 それでは文部大臣、この大蔵省の教育改革に対するスクラップ・アンド・ビルドの考え方についてはどうお考えでしょうか。
#156
○国務大臣(海部俊樹君) 私どもはきょうまでの文教施策の中でも既に目的を達成したのではないかとか、あるいはここはもう少し我慢をしてもいいのではないかというようなところは、もうきょうまでぎりぎりの我慢をしながら詰めて努力をしておるつもりでございますから、先生今おっしゃる効率的に見て有効に必要なところにお金を使っていけという方針は、我々もそれは当然受けていかなきゃならぬことだと思いますし、現下の財政状況の厳しさは私どももよく承知しております。
 けれども、その中で我慢するところはしますけれども、これは大切だからどうしてもやらなきゃならぬという政策、例えば四十人学級の前進であるとか、私学振興助成法に基づく手当てであるとか、諸外国との関係をよくしていくためにいろいろな学術研究の峰を高くしたり、留学生の交流とか科学技術の研究費というのは、総額厳しい抑制の中にありましてもこれは横ばいないしは少しは芽を出していこうと、そのような努力を一生懸命文部省といたしましては省内でぎりぎりの努力をしておりますから、スクラップ・アンド・ビルドという言葉は私は必ずしも好きな言葉じゃないんですけれども、文部省の中で必要なものには重点を置いて一生懸命努力をしてきた、このことだけはどうぞ御理解をいただきたいと思います。
#157
○吉川春子君 教育改革を進めるという方向を政府は一方で出しながら、もう一方では臨調行革で大なたを振るう。本当に教育改革をやる気があるのかどうかということは疑わしいわけですが、臨調行革の名のもとに教育予算を削っていくということは許されないと思います。
 それで、具体的な問題に入りますが、きょうは養護学校の問題について少し伺います。
 養護学校の建設補助金もこの臨調行革のあおりを受けまして、この五年間で何と二八・四%、公立学校施設整備費が削られている中で非常に大きなしわ寄せを受けているわけなんです。今度の補助金一律カットの対象となったものの一つに養護学校の建設費補助金があるわけですけれども、このカットは障害児教育のための充実に足を引っ張るもので、養護学校のマンモス化の解消にも支障を来しています。昭和五十九年度に埼玉県久喜養護学校が建設されましたけれども、このときの国庫補助は幾らだったんでしょうか。もしこの国庫補助が今回提出の法案どおりに減らされていると幾らになったんでしょうか。数字わかりますか。
#158
○政府委員(阿部充夫君) 久喜の養護学校のケースについてのお尋ねでございますが、昭和五十九年度に久喜の養護学校の校舎の新増築事業ということで小中学部と高等部と両方につきましての補助をいたしております。小中学部につきましては、事業費が五億円余り、補助率三分の二でございますので、国庫補助金で三億三千五百九十万八千円、また高等部につきましては、事業費が二億円余りで、補助率は高等部の場合は二分の一ということになります。したがいまして、国庫補助金が一億九百六十六万四千円というような数字で、合計いたしまして事業費総額七億円余り、国庫補助金が四億四千五百五十七万二千円ということで、地方の負担費が二億七千七百六十一万九千円ということでございます。
 今回の十分の五・五という補助率が適用された場合にどうなるかということになりますと、高等部につきましては影響がございませんが、小中学部につきましては補助率の引き下げがあります関係上、国庫補助金が二億七千七百十二万四千円ということになりまして、五千八百七十八万四千円従来のケースよりは減ると、こういうケースになるわけでございます。
 なお、念のためつけ加えさしていただきますけれども、この差額分につきましては全額起債による措置を認め、そしてそれの後年度負担につきましては元利償還すべて交付税措置をする、こういうことにいたしておりますので、後年度まで含めた全体の姿でごらんいただければ、地方の負担増ということではないというふうに考えております。
#159
○吉川春子君 この埼玉久喜養護学校というのは、実は春日部養護学校が児童生徒数が多過ぎまして、いわゆる過大規模校の分離のために建てられた学校なんです。私はこの二月二十日にマンモス養護学校である春日部養護学校を視察してきました。久喜養護学校が完成してここに百三十三名の生徒が移りましたが、視察した段階で春日部養護の児童生徒数は二百七十七名、埼玉県内最大のマンモス養護学校です。ここで教室数が不足して養護訓練室、図書室、図工室、理科室などを普通教室として使っているのが現状で、運動会は一学年一種目、朝一番で競技すると、あとの時間はすべて見学に回っているという教育上好ましくない事態です。また体育館の使用も、障害児教育にとって毎日規則正しく体を動かすことは欠かせないわけですけれども、使用できるのが一学年週一回ということです。今年度プールもでき上がりますが、使えるのは二週間に一回になるかもしれないという先生の声も聞いてきました。
 埼玉県はこれまで二十一校の養護学校を開校して設置数全国第四位となっていますが、それでも児童生徒数二百名以上のマンモス養護学校が五校あります。県内では引き続いてこのマンモス校の解消に努めて、六十二年度の大宮養護を開放するのを含めて六十四年までに四校を開校する計画ですけれども、補助金の削減がこういう計画に多大な影響を与えるということは明らかなんですね。
 それで伺いますが、全国で児童生徒数が二百名以上在籍する養護学校というのは数は幾つあるんでしょうか。
#160
○政府委員(阿部充夫君) 児童生徒数二百名以上という御指摘でございますが、養護学校が二百一名から三百名までのものが七十七校、三百一名から四百名が十三校、四百一名を超えるものが一校ということでございますので、九十一校であろうかと思います。
#161
○吉川春子君 さっき局長が御答弁になりました一校当たりの負担率、今度のカットによる影響額というのは五千万とか六千万とかいう金額なんですけれども、これが全国で九十一校の養護学校のマンモス校化を解消するためということで、数字で見ますと非常に大きな数字になって自治体にかぶっていくと思います。また、学校だけではなくて、体育館の建設などについてもやはり今度の補助率のカットの影響を受けるわけで、私はマンモス校の解消、そして行き届いた障害児教育をするためにも、やはり今度の補助率のカットというのは、起債の措置があるというお話でしたけれども、それもまた地方自治体の借金でございまして、そういう点を考えるとマンモス校の解消ということが進まなくなるのではないか、こういう懸念を持たざるを得ません。
 それで、東京都の場合、学校建設費国庫補助率の削減による影響額は六十一年度で二億九千六百万円ほどなんですけれども、いろんなところが全部切り込まれますから、そういう中で、じゃどういう方向でこの負担を解消しているかという一つの例ではないかと私は思うんですけれども、東京都の教育委員会では、昭和五十九年の十一月に足立聾学校、久我山盲学校、文京盲学校、三校の寄宿舎の廃止計画を提示してきました。文部省は、この計画については話を聞いておられるでしょうか。
#162
○政府委員(阿部充夫君) 先生から御質問があるということで東京都に電話で問い合わせ等をいたしましたところ、都内の盲聾学校十三校ございますけれども、そのうち寄宿舎のある学校が盲学校四校、聾学校二校であるということでございます。
 近年、交通機関の発達等がございまして、通学困難な児童生徒が減少していることなどを考慮いたしまして、盲学校関係四校の寄宿舎を二校に、それから聾学校関係二校にある寄宿舎を一つに統合したいという計画があるということだけは聞いております。
#163
○吉川春子君 障害児学校の寄宿舎の設置に関して学校教育法ではどういうふうになっているんですか。七十三条の二です。
#164
○政府委員(高石邦男君) 学校教育法の七十三条の二では、「盲学校、聾学校及び養護学校には、寄宿舎を設けなければならない。ただし、特別の事情のあるときは、これを設けないことができる。」として、同じく「寄宿舎を設ける盲学校、聾学校及び養護学校には、寮母を置かなければならない。」、「寮母は、寄宿舎における児童、生徒又は幼児の養育に従事する。」ということで、幼児の養育に従事するというねらいのために寄宿舎を設置しているわけでございます。
#165
○吉川春子君 今御答弁がありましたように、障害児学校の寄宿舎の設置というのは原則としてこれを行わなきゃならない、行わなくていい場合は特別の事情のある場合だと、こういうふうに法律で規定しているわけですね。そして、東京都の寄宿舎の問題で、児童生徒の数が減った、あるいは交通機関が発達したと言いますけれども、児童生徒数の減は確かに小学校全体で減っていますからあるんですけれども、しかし逆に寄宿舎に入る子供の比率というのはふえているんですね。今度なくされる足立の場合も、子供たちの収容率が八割から十割だと、こういうことなわけなんです。だから、全体の児童生徒の数が減ったからということで寄宿舎をなくしていいという理由にはならないというふうに思うわけですし、また、例えば交通機関が幾ら発達しても、いろいろな障害を持った方が遠いところから通学するということは非常に困難を伴うわけで、介添えも必要なわけで、そういうことも考慮に入れなくてはいけないと思うんです。
 それで、さっきの法律の七十三条の二に書かれているように、障害児学級の義務化に当たって文部省が障害児の就学や生活、教育の保障にあわせてこの寄宿舎の役割を正しく評価してこれを法律に格上げしたわけでしょう。東京都のこういうやり方は、障害児の教育を受けることを困難にして法の原則にも反すると思うんです。こういうことを提案してくる背景にはやはり補助率の一割カットの影響もないとは言えないんじゃないか、こういうふうに思うわけなんですけれども、この点はいかがですか。
#166
○政府委員(高石邦男君) 寄宿舎は、本来通学に困難を伴う子供たちのためにあるわけでございます。東京都の場合には具体的に寄宿舎に入る希望者が非常に減少しているということが一つと、それかう施設が非常に老朽化しているというような実態を背景にいたしまして整備計画を進めているということでございまして、本来希望する必要な子供たちの収容を狭めるという角度でないと承っておるところでございます。
#167
○吉川春子君 老朽化したから建て直すというのだったらわかるんですけれども、老朽化したからやめちゃうというのはどういうわけなんですか。これはもう納得させる理由にならないと思いますし、先ほども申し上げましたが、寄宿舎の収容者数に対してそれを満たしている率というのが八割から十割なわけですから、これは入寮を希望する子供たちが減っているというふうにはならないわけなんですね。
 この計画が、文部大臣、もし実施されますと、視覚障害者、聴覚障害児、そして東京の東にある足立区や葛飾区から西の立川や八王子に転校しなければならないんですね。だから、足立から立川にどうやって通っていくのか。足立に住んでいるわけじゃありませんけれども、その近辺に住んでいる人が今度立川や八王子に転校しなければならない。そして、それに伴って家族の負担とかいろいろなものがかぶってくるわけなんです。さらに最近では障害が重度化する中で基本的な生活習慣の獲得、友達同士のかかわりの保障など生活指導面での寄宿舎の果たす役割も大きくなっていて、その重要な場を奪うものであると思うんです。だから、遠くへ通わなきゃならなくなるとすれば、寄宿舎へはもう入れられないとかいろんな問題があるわけなんですね。そういうわけで、こういう問題について文部大臣としてはどういうふうにお考えなのか。
 さらに言えば、文京盲学校を例に挙げますと、通学困難な子供が寄宿舎を奪われ、もし自主通学のために生活指導の場を奪われるとすれば、例えば飯田橋の駅はホームと電車の間が広くあいていますね。そして、しかも国鉄の分割・民営化の中で国鉄のホームから職員がいなくなるんですよ。ホームから転落して亡くなったという盲人の方の例があって、十数年間裁判で争われてきましたけれども、そういう危険を冒して子供たちは通学しなきゃならなくなる、こういうような状態になりますので、何とか寄宿舎の廃止というような問題は文部省の指導によってやはり思いとどまるようにしていただきたいと思いますが、大臣いかがですか。
#168
○国務大臣(海部俊樹君) 詳細はいろいろ局長が御答弁申し上げたようなことであろうと思いますけれども、私も御質問を聞いておりまして思い出しますことは、自身養護学校を見せていただきに行ったことがあります。そうして、あそこで行われておる至れり尽くせりの教育を見て、本当にこういう教育もあるのだと。特に教えていらっしゃる先生方には率直に敬意を表しました。
 そのとき、帰っていく児童生徒も見送ったんですけれども、みんな特別のスクールバスに乗ってそれぞれのお宅に帰られるのを、私は二つの養護学校を見て二つながら見てまいりました。それで、直ちに寄宿舎の制度だけがその児童生徒にとっていいのかどうか、やっぱりそういう至れり尽くせりの車があるならば、別にプラットホームから無理して電車に乗っていただかぬでも、送り迎えできるならば、それでお宅へ帰っていただくことが、親子の心の通い路というものも大切でございましょうし、結局はその児童生徒のためになるような教育をどうして行うかということで養護学校もできておると思いますので、具体な問題につきましては、そういった点に十分重点を置きながら東京都ともよく相談をさせてみようと思っております。
#169
○吉川春子君 ぜひ東京都の実情をつかんで文部省でも正しい指導をしていただきたいと思いますが、一点、送り迎えの問題は、東京の広い、しかも交通渋滞の中で、今でも新宿まで集まって、新宿までバスが来てそれで養護学校へ通う、通学している子供たちはそういう方法をとっているんですね。だから、立川や八王子まで足立の方からスクールバスが通っていく、あるいは東京のいろんなとこうから、もう一カ所になるわけですから、すべての系統を回ってスクールバスで送り迎えするということが実は不可能なんですね。だから、今、送り迎えはできないということも含めてこの寄宿舎の廃止に強く反対の声が出ているわけなので、重ねてお願いいたしますけれども、ぜひ東京都のこういう計画を思いとどまらせるように、あるいはまた養護学校の児童生徒や父母の過大な負担にならないような方向で御指導いただきたいと思います。――文部大臣が頭をうんとうなずかれましたので、私は期待をしております。
 続きまして、厚生省は一月の九日に国立病院・療養所の全面的な再編成計画を公表いたしました。この結果、簡単でいいんですけれども、どういう中身か、ちょっと御説明いただけますか。
#170
○政府委員(木戸脩君) それでは簡潔に御説明をいたします。
 国立病院・療養所の再編成は、他の医療機関が担うことが困難な高度の専門医療及び政策医療を初めといたしまして、臨床研究や教育研修といった国立医療機関にふさわしい指導的役割を果たせるように、国立医療機関全体の質的な強化を図るということを目的といたします。再編成計画は、おおむね十年で施設同士の統廃合及び他の経営主体への経営移譲ということを行う、こういう内容でございます。
#171
○吉川春子君 十年を目途にハンセン氏病の療養所を除いて二百三十九施設中七十四施設を切り捨てる、経営移譲が三十四、統廃合は四十、それからまた百六十五施設を機能強化を図るという名目でナショナルセンター、基幹施設、高度総合医療施設、専門施設等に振り分けていく、こういう計画なわけなんですが、きょう伺いますのは、この国立病院・療養所の統廃合によって、そこに附属して設けられている養護学校の運命がどうなるか、こういう問題でございます。文部省はこのことについて具体的につかんでおられるんでしょうか。
#172
○政府委員(高石邦男君) 厚生省で計画の対象になっていることについては、公にされておりますので承知しているわけでございます。その関係でいいますと、四十四カ所が養護学校ないしは分校、特殊学級ないしは訪問教育の対象になっている施設に該当するというふうに見ているわけでございます。
#173
○吉川春子君 私の調査によりますと、養護学校等を併設する施設は百一施設ある。うち統廃合の対象になっているのが三十二で、地方自治体への移譲対象が四だ、こういうふうに聞いておりますが、今の局長の答弁はちょっと数が違うようですね。
#174
○政府委員(高石邦男君) とらえ方が違うのか基礎のデータが違うのかわかりませんが、現在厚生省において進められている国立病院・療養所の再編成計画の対象になっている施設が全体で百二十三カ所というふうに承っているわけでございます。したがいまして、その百二十三カ所にございます養護学校、分校それから特殊学級については先ほど申し上げたような数字であるということでございます。
#175
○吉川春子君 そうしますと、この国立病院・療養所を統廃合する、こういうことで養護学校も同じ運命にあるんだということは、事前に知らされて文部省としてもやむを得ない、そういうことで厚生省の方に了解を与えているんですか、それともいないんですか。
#176
○政府委員(高石邦男君) これらの施設に併設されている養護学校等が幾つかの学校に統合されるようなこともございますし、それから統合されることによって、今までそこの病院に訪問教育をしていたのが、新しく統合された施設に収容されるところに行かなきゃならないというようなことになるわけでございまして、現に収容されている子供たちの教育に支障のないような対応が当然されるというふうに見ておりまして、したがいまして、新たな統廃合のところにまた統合された養護学校が整備されるというふうに理解しているところでございます。
#177
○吉川春子君 全国一律ではなくて、いろいろな条件、いろいろな場所に国立療養所があり、それに附属している養護学校があるんですから、厚生省の出してきた数字をトータルとして文部省がこれはオーケーというふうに言うことはできないんじゃないかと思いますが、もしオーケーというふうに言うについては、一つ一つの養護学校がこれはなくなっても構わないのか、あるいは存続してもらわなきゃならないのか、そういう具体的な検討をしなければ、この厚生省の計画を認めることはできないと思うんですね。厚生省は統合したいという方ですから、それは今より悪くしますということは言わないでしょうが、厚生省のそういう提示に基づいて、文部省が一つ一つの養護学校あるいは分校、特殊学級などについて実情を調査した上で、今局長がおっしゃったように、それで結構、こういう結論を出されたわけですか。
#178
○政府委員(高石邦男君) 先生御存じのとおりに、病院に置かれている養護学校は通常は都道府県立養護学校ということが多いと思います。したがいまして、そうなりますと、地元の教育委員会とそれから統廃合の対象になる病院側、そういうところと十分な話し合いが行われた上で計画が実行されるということで、文部省が直接この施設に養護学校をつくるつくらないという決定権を持っているわけではなくして、その決定権は、具体的には都道府県の教育委員会が決めるわけでございます。したがいまして、今まであったところに病院がなくなって養護学校がなくなるという場合には、どういう形でその子供たちを教育していくか、そしてどういうふうにして子供たちの教育について遺憾のないようにしていくかということを十分話し合いをした上で具体的な整備計画が進められていくものである、また、いっているというふうに承知しているわけでございます。
#179
○吉川春子君 そうしますと、各都道府県から具体的に統廃合の問題についてこうなんだという、その報告がもうかなり文部省の方に来ている、こういうことですか。
#180
○政府委員(高石邦男君) 六十一年度においては、具体的な内容が進められているようなところでは、既にそういう話し合いが行われているという二、三の報告は承っておりますが、文部省が全部個別の内容についてチェックしてオーケーを与えるという仕組みではございませんので、先ほど申し上げたような形で教育上十分な配慮を加えて対処されるように、文部省としては厚生省に事実上の話し合いをしているところでございます。
#181
○吉川春子君 そうしますと、確認いたしますが、基本的にはこの統廃合の計画に文部省としては異存はない、こういうことですか、一言で言えば。
#182
○政府委員(高石邦男君) 病院の統廃合に異存がある、ないを言う決定権、権限は文部省にないわけでございます。したがいまして、養護学校の教育に支障のないようにしてもらいたいということを文部省は申し上げるべき立場でありますし、県の教育委員会はそういう角度から具体的な個別の問題について話し合いをしているというふうに承知しているわけでございます。
#183
○吉川春子君 国立病院・療養所に併設する養護学校は、病虚弱養護学校がほとんどで、しかも重度重複児や重症障害児が多く在籍しています。つまり医療を必要とする障害児なのですから、そういうことになるわけなんです。このような子供たちの学校を統廃合したり自治体へ移譲したりすることは、大変多くの問題を抱えることになると思うんですけれども、養護学校を統合するということで、じゃどんな問題が発生するかということについては文部省はつかんでおられないわけですね。
#184
○政府委員(高石邦男君) 具体的個別の内容はそれぞれの県の教育委員会で十分承知した上で、つかんだ上で、そして現在まで行われている養護教育に支障のないような形で具体的な統廃合並びに養護学校の整備というものが行われるように指導しているところでございます。
#185
○吉川春子君 全部県に任せているというお話ですけれども、例えば国立病院や療養所が統廃合されて、そして養護学校もなくなったりなんかするわけですけれども、その場合に、一つは通学の非常に遠距離化ということが言えるわけですし、またそこに勤務している教職員の通勤や生活の条件の変化、あるいは重症心身障害児の場合は同じ県内があるいは県をまたいでかわかりませんけれども、とにかく移動することになれば、気候とかさまざまな条件が変化するわけで、体に及ぼす悪影響ということも考えられます。ぜんそくを持っている子供などの場合は、途中で息を引き取るというような事態さえ発生するのではないか、こういうことも現場の教職員から指摘されているわけですけれども、文部大臣、この養護学校の統廃合というのは病院も重大問題だと思うんですよね。それをいとも簡単に、これは文部省じゃなくて自治体がよく話し合ってやればいいと、こういうような方向だけでオーケーを与えているとすれば、それは非常に問題なのじゃないかと思うんです。
 仮に、じゃ県がどうしても反対だと、そういうような態度を示してきた場合に文部省は厚生省とかけ合ってやめさせる、そういう決意まであるのかどうか、そういうことも含めてこの問題について大臣のお考えを伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#186
○国務大臣(海部俊樹君) 施設の統合の問題は、厚生省で今慎重に検討が進められておると聞いておりますけれども、私どもはそれに付随する養護学校、そこを必要としておる児童生徒の教育のことについては、これはもう十分配慮をして計画を立てていただきたい、このことは強くお願いをし要望をしておるところでございます。
#187
○吉川春子君 もしこういう問題で地元の県がどうしてもやらないでもらいたい、こういうような意見が住民の要望としても県の当局の意見としても上がってきた場合に、文部省としてはどういうふうに対応されますか。県立養護学校を特別につくる措置でもとられますか。
#188
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、具体的にはそのことを今聞いておりませんけれども、そういうことが起こる可能性があるとすれば、その起こる前に十分話し合いをしていただきたいし、また文部省側としては、そういった反対が起こらぬようによく御配慮を願いたいということを強く要望するものでございます。
#189
○吉川春子君 自治体への移譲の場合に、自治体財政は今、補助金一律カットその他でかなり苦しいわけですけれども、自治体への移譲というふうになった場合に財政的にどれくらいの影響があるかということを自治省はつかんでおられますか。
#190
○政府委員(持永堯民君) 地方団体に具体的にどういう病院が移譲されるかということはまだ決まっていないわけでございまして、私どもといたしましては、今お話がありましたように地方財政も大変厳しい状況にある、それから地方団体が現に持っておりますいわゆる公立病院の経営も大変苦しいわけでございまして、そういったことから、地方団体への移譲という問題については慎重に対処してほしいということを申し上げているわけでございまして、今のところ地方団体が移譲を受けるというところまで具体的に詰まったという話はまだ聞いていない次第でございます。
#191
○吉川春子君 慎重に対処してほしいというのが自治省のお考えだそうですけれども、慎重に対処しても移譲というようなことが起こった場合には財政的な措置についても何か考えがおありなんですか。
#192
○政府委員(持永堯民君) 地方団体では、例えば地域医療の確保とかいろんな多くの観点から検討をされまして、その結果移譲を受けるということが仮に決まりました場合には、これは例えば新しく病院をつくるのと同じような形で地方債等の財源措置をしていく。ただ御提案されております法律にも書いてございますが、例えば職員も全部ひっくるめて移譲を受ける場合には無償であるとかというようなこともあるようでございますけれども、基本的には今申しましたようなことで必要な財政措置はとっていくということでございます。
#193
○吉川春子君 さっきちょっと高石局長の答弁にもありましたけれども、六十一年度着手となっている施設があるわけですけれども、これはどことどこですか。
#194
○政府委員(木戸脩君) 六十一年度の着手は、箇所は八カ所で十八施設でございますが、このうちいわゆる養護学級等があって問題になりますのは北海道の帯広病院、それから三重の静澄病院、それから高知の東高知病院の三カ所でございまして、これは病棟内で教育を行っているという状態にあります。
#195
○吉川春子君 三カ所ですか。
#196
○政府委員(木戸脩君) 統合に関係する施設は十八施設ございますが、そのうち養護学級が移動しなければならないという問題になります施設は、今申し上げました帯広病院、静澄病院、東高知病院の三カ所でございます。
#197
○吉川春子君 山口の宇部はどうかということを伺いますが、それからこの六十一年着手の問題について、そうすると文部省はこれは了解しているということなんですか。
#198
○政府委員(高石邦男君) 先ほど申し上げましたように、文部省が権限を持って了解する立場ではなくして、具体的な養護学校を設置している設置者である都道府県ないしはそれを処理している都道府県の教育委員会が病院側と十分に話し合って、統廃合によって養護学校がなくなる、ないしは他のところに統合されるというようなことになった場合にも、子供の教育上十分支障のないような配慮をして対応してほしいという話し合いをしているということでございます。
 それからなお、統廃合で併設されているものは、大部分がその病院に入院している子供を対象にするわけですから、通学上の問題は別にないわけでございます。
#199
○吉川春子君 今六十一年度から実施されようとしているこの四つの施設について、この養護学校が統廃合されても障害児教育の上で支障がないんだと、そういう立場で文部省はいるんでしょうか。全部県の問題なんだと言ったって、義務教育は文部省の責任じゃないですか。具体的な施設を建てるかどうかというのは県の権限だとしても、こんなにたくさんの養護学校が減らされて、しかも六十一年度からこういう形で出てくることについて障害児教育を進める上で支障がないと、そういう実態まで把握して文部省はそういうのんきな態度をとっているんですか。
#200
○政府委員(高石邦男君) 先ほども何回も申し上げておりますように、例えば三つの病院が統合して二つになる、ないしは一つになった場合に、そこに入院している子供たちは全部一つのところに入れられるわけです。その入れられている子供たちをそこに養護学校をつくって教育すれば何ら差し支えがないということでこの計画は全体的に進められているというわけでございまして、現に養護学校がなくなって教育が受けられなくなるというような事態は一般的に予想されていないわけでございます。
 したがいまして、そういう養護学校が三つあったのが一つになるとか、それから今まで行っていた病院がなくなって訪問教育をほかの病院に行ってしなければならない、そういう変化はありますけれども、基本的に子供たちの教育を受ける権利がこのことによって侵害されているというふうには理解していないのでございます。
#201
○吉川春子君 初市局長の御答弁とも思えないですね。大変冷たいと思うんです。机上のプランで、こことこことここを一緒にしてここへ入れればいいじゃないかと、そういうことで子供の、しかも重症の心身障害児の家族やらいろんな人たちのことを考えたら、そういうことが言えますか。私は、むしろこの質問をしたら文部省は、臨調行革の方針でけしからぬけれども、心ぐらいは痛めていると思ったんですよね。今の局長の答弁には、そういうことが私は残念ながら片りんも感じられなかったんです。非常にけしからぬことだと思いますね。
 それで、いろんなところへ統廃合されて子供たちが移されればどういう影響を与えるかということは、先ほど言いましたので局長もお聞きになっていたと思うんですけれども、この問題の最後に文部大臣に伺いますけれども、こういう事態が起こっていて、特に重症の心身障害児なんというのは一番の弱者ですよね、社会的に。そして、起き上がることもできない、口をきくこともできないとか、いろいろもう私たち健康な者の立場からちょっと想像だにできないような、そういう負担を負って生きている子供たちなんです。その子供たちが机上のプランであっちへ移されたりこっちへ移されたり、そういうことが平然とやられるといことはもうとにかく許せないと思うし、文部省としては、全部これは自治体で決めることだじゃなくて、こういう統廃合の問題についてやっぱり一つ一つ実態を調べて、適切なのかどうか、そしてこれが義務教育を一〇〇%の国民に受けさせるということとの兼ね合いでどうなのかということも含めて、ぜひ真剣に検討していただきたいと思いますけれども、大臣いかがですか。
#202
○国務大臣(海部俊樹君) 教育の必要性を痛切に感じておりますから、例えば学校とか施設へ来れない人のためには教師の方から出ていって教育を巡回してするというところまで心を配ってやっておりますので、今度の施設の統廃合に伴いましても、それらの子供さんたちに対する教育に悪い影響が出てこないように、これは厚生省にも地方自治体にも特に配慮していただくように強くお願いをし、指導をしていきたいと思います。
#203
○吉川春子君 最後に大蔵大臣に申し上げます。質問ではありません。
 まだまだいっぱい今度の補助金カットあるいは臨調行革の中で国民の生活にどういう影響を与えるかということはたくさんあるんですけれども、とにかく弱い層、貧しい層、それから健康でない層に国の補助率の削減とか臨調行革で予算が減るということの影響がもろにかぶっていっているわけですよね。だから私は、こういう問題についてやはり非常に罪深いことをやっていらっしゃると思うんです、大蔵大臣は。そういうことは私は許せないと思うんですね。そのことだけ最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#204
○橋本敦君 私は、罪深いことの一つとして、地方財政問題に関連をして質問をさしていただきたいと思います。
 言うまでもありませんが、今回国庫補助率の引き下げということで、地方負担一兆二千八百億、まさに昨年の倍に余るわけですから大変なものでありますが、これをどうやって措置をしていくかということについては、既にたばこ消費税率の引き上げ、これで二千四百億、それから残りの一兆四百億がすべて建設地方債の増発ということになっているわけでありますから、地方の負担は大変であります。
 そこで、地方財政の現状を示す一つの指標として政府に伺いますが、地方債残高は現在でどれくらいになっておりますか。そしてまた、その関係で公債費負担比率が二〇%、いわゆる危険ラインを超える団体がどれくらいあって、全体の何%になっておりますか。まず、この点をお示しいただきたいと思います。
#205
○政府委員(持永堯民君) 地方債残高でございますが、普通会計の地方債残高が、六十一年度来の見込みでございますけれども、四十三兆六千億ということでございます。
 なお、そのほかに、いわゆる借金と申しましょうか、私ども言っておりますものは、文体税特別会計の借入金の残高が五兆六千九百億ばかりございます。それ以外に、企業債の残高のうち普通会計で負担すべきものが九兆五千億ばかりございまして、全体のいわゆる借金は五十八兆八千億ばかりということでございます。
 それから公債費比率でございますが、二〇%を超える団体でございますけれども、これは五十九年度で申し上げますと、団体数が千三十三団体でございまして、全団体数に占める割合は三一・三%ということでございます。
#206
○橋本敦君 大蔵大臣も今お聞きのとおりでありまして、地方財政というのはそれ自体大変な状況であります。
 そこで、建設地方債の増発分、これは国として地方との関係でどのように財源手当てをしていくかということでありますが、この点は大蔵大臣に伺いたいんですが、いかがですか。
#207
○政府委員(保田博君) 建設地方債は、総計でたしか九千三百億円増発をさせていただくわけでございます。なお、この元利償還が将来出てまいりますけれども、これらにつきましては毎年度の基準財政需要に算入されることになりますので、交付団体におきましては交付税が交付されるということに相なるわけであります。したがいまして、今回の補助率引き下げによりまして、一時的にといいますか、形の上では確かに地方債の残高がふえるわけでございますけれども、交付団体におきましては将来の元利償還について実質的な負担増にはならない、こういうふうに考えております。
#208
○橋本敦君 具体的に聞きますけれども、まず経常経費の穴埋めのための建設地方債増発分ですね、これは四百億、六十六年度以降の地方交付税特例加算ということでやるということじゃありませんか。
#209
○政府委員(持永堯民君) 御指摘のとおりでございます。
#210
○橋本敦君 公共事業関係について聞きますが、これは補助率の引き下げによっての直接影響分が四千二百億と計算されておりますが、これと下水道関係一千百億、これの穴埋めとしての建設地方債増発分は合計で五千三百億になるわけですが、その二分の一、二千六百五十億、これについての元利償還、これがまた交付税特会に繰り入れる、こういうことになっているのは間違いありませんね。
#211
○政府委員(持永堯民君) 公共事業のいわゆる補助率引き下げ分については、二分の一を繰り入れることになっております。
#212
○橋本敦君 そこで、今も問題になりましたが、次の問題として、経常経費の穴埋めのための建設地方債増発、これのうち交付団体の影響額、この二分の一に相当する額が二千四百四十億ですが、これを六十六年度以降暫定的に交付税に特例加算する、こういうことになっている。そういうことですね。
#213
○政府委員(持永堯民君) そのとおりでございます。
#214
○橋本敦君 そこで大蔵大臣、これは大臣に御答弁していただきたいんですが、この六十六年度以降の交付税特例加算、これは三年後に自治、大蔵両大臣が協議をして正式に決めるということになっているとも聞いておるんですが、大蔵大臣、これはいかがなんですか。
#215
○政府委員(保田博君) 御質問の意味が多少判然としないところがございますが、仮に御指摘が二千四百四十億のことであるとすれば、これは暫定的に加算をするということでございますから、暫定期間の終了後、自治省と我々との間で協議をして加算すべきかどうか相談をする、こういうことでございます。
#216
○橋本敦君 そこをはっきりもう一つ聞きたいんですが、自治大臣、この暫定的だといっている問題についてどういうようにお考えですか。
#217
○政府委員(持永堯民君) 二千四百四十億につきましては、今お話ありましたように、補助率が現在のところ三年間の暫定措置でございますので、暫定期間を終わりました後に両省でさらに調整をしていくということでございます。
#218
○橋本敦君 この問題で調整してどうなるかということが一つは非常に重大な懸案事項で残っているわけで、大蔵当局の責任ある措置というものが大事だと思うんですね。今のようなことをやっても、残りは四千九百十億円ということがどう手当てされるかが問題になってくる。これはどうされるんですか。
#219
○政府委員(持永堯民君) 四千九百十億と申しますのは、発行する地方債のうち、将来、暫定分も含めて国が加算をするというものを除いた分だと思いますが、これにつきましては、現在のところといいましょうか、今の段階で具体的にこれをどう扱うか、どういう財源措置をするかということは決まっていないわけでございます。したがいまして、将来の毎年度におきましてこの元利償還は当然払っていくべきものでございますけれども、これは毎年度の地方財政の収支の状況を見まして、毎年の地方財政計画の策定によって全体としての地方財源を確保する、必要によっては交付税の特例加算ということも別途考えまして、全体として地方財政の運営に支障がないように、この償還が出ることによって地方財政が回らなくなるというようなことがないように対応をしていくべき問題であると考えております。
#220
○橋本敦君 今、事情によっては地方交付税の特例加算というお話が出ましたが、どっちにしても特例加算がはっきりするということならばそれはそれとして、交付税で手当てをしていくということになりますと、これは国の政策で自治体に課せられたやむを得ない借金、つまり建設債の増発ですけれども、本来固有の財源である地方交付税で先取り的にそこはもう埋めていかなくちゃならぬ、こうなっていくわけですから、これは地方自治体にとってはまさに将来の交付税がその分先食いされていく、こういうことになっていかざるを得ないという、そういう問題であるわけですね。それが果たして地方財政の確立ということから見て妥当なのかどうかということになりますと、これは私は大変な大問題だと思うんです。
 例えば、今日までの状況でオイルショック以来地方財源不足ということでいろいろ穴埋めをしてやってきたわけですが、そのために増発された財源対策債、減収補てん債、こういった元利償還分を毎年交付税で措置してきたわけでありますけれども、六十一年度これが一兆四千七百七十億円になっておる。これは時間がありませんので聞きませんが、数字は間違いないと思います。同時に、地方財源不足穴埋めのために借り入れてきた交付税特会借入金の二分の一が地方負担にさせられてきたわけですが、その利子分を毎年度の交付税総額から差し引かれている、これも事実ですね。それが六十一年度で三千五百四十七億円、こうなっている。以上の数字は間違いありませんか。
#221
○政府委員(持永堯民君) 御指摘のとおりでございます。
#222
○橋本敦君 そこで、もう一つあるわけです。この借入金の元金の償還が六十六年度から始まるわけです。そうしますと、これを年平均でならしていきますと五千六百九十四億円、これが交付税総額から引かれていく、こうなっていくわけですね。
 そこで伺いますが、六十一年度の国税三税、これの三二%ということで地方交付税を見ますと、その金額は十兆七百九十七億円、こうなります。そこで、今お話をしたまず第一の財源対策債、この元利償還費、これが一兆四千七百七十億、二つ目の交付税特会の借入金の利子分を加えるとこれが一兆八千三百十七億、これを差し引きますと、六十一年度の国税三税の交付税が名目的に三二%で十兆あるといっても実質はどうなるかといいますと、これを引きますと六十一年度交付税は国税三税の二六・一%にしかならないという、こういう状況になっている。間違いありませんか。
#223
○政府委員(持永堯民君) 計数的にはちょっと正確な数字は算出しておりませんが、いずれにしても三二%分から利子を払い、かつ財対債の償還を払うということは御指摘のとおりでございます。
#224
○橋本敦君 そこで地方交付税、三二%というけれども、国の政策の結果実質的には三二%ない、今私の試算によれば、六十一年度二六%程度しかないという状況になってきている。これは言ってみれば大変なことでありますから、臨調行革で地方交付税をもっと下げたらどうかというような議論もありますけれども、それは地方財政確立という建前から見ればとんでもない話で、地方交付税の引き下げなどは絶対に考えるべきでない、むしろ引き上げこそ地方の要求であり考える課題であるというように言うべきことははっきりしていると思うんですが、大蔵大臣いかがですか。
#225
○国務大臣(竹下登君) 今の六十一年度の数字の点をあらまし私も目の子算をしてみましたが、おおむねそのとおりであろうと思っております。いずれにせよ、出口ベースで地方財政についての御迷惑がかからないようにしよう、これだけは大局的に決めておるわけであります。交付税率の引き上げ等による国の恒久的財源を地方に回すという余裕はないと考えなきゃいかぬ、三三とかにして回すという状態にはないと理解をしております。
 そこで、地方交付税の議論が時々あることは私も承知しておりますけれども、結局、国と地方との財源というのは、税源配分をどうするかあるいは交付税をどうするか、補助金等がどうあるか、密接な関係にございますので、交付税というものをやっぱり議論しますときには、国と地方との間のまさに基本的財源配分にかかわる問題ですから、地方税、地方譲与税あるいは国と地方との機能分担、費用負担のあり方、そういう総合的な幅広い見地から検討していくべき問題でございますので、短絡的に、若干比較していいから下げるとかいう性格のものではないというふうに、私も私なりに位置づけをいたしておるところであります。
#226
○橋本敦君 端的に言うならば、今私が指摘したように、地方交付税三二%という問題は、大臣もお認めのように、実質的には三二%丸々行かないという状況がやっぱり恒常化しつつあるわけですから、いろいろな評価、検討はあるとしても、こういう状況ですから、地方交付税率三二%、これを下げる、そういうことは大蔵大臣としても当面考えていないということは、そう伺ってよろしいんですか。
#227
○国務大臣(竹下登君) 仮定の話をして申しわけありませんが、例えば税調で税源配分ががらっと変わってくるとかいうことになった場合には、下げることも、あるいは上げることもあり得るかもしらぬ。これは、たまたま税調が今あるものですから、税調にはあらゆる予見を挟まないという前提をとっているものですから、そういうことはどちらのことも皆無とは言えない。しかし、現実の問題としてこれを仮にいじるということになりますれば、それこそ税源配分から何から全部検討した上でないと軽々に考えるべきものでないという問題意識は私も持っておるつもりであります。
#228
○橋本敦君 まさに軽々に考えるべき問題でないことを私は指摘したわけですが、自治大臣としては、こういう現状から交付税率三二%の引き下げということは、これは賛成できないというように前にも御答弁いただいたと思っておるんですが、お考えはどうでしょうか。
#229
○国務大臣(小沢一郎君) 地方の財政状況につきましては、先生御指摘のとおりであろうと思います。そして、地方交付税の中に占める公債費の負担率も上がってきております。したがいまして、今後交付税総額を何としても確保していかなければならないというのが私どもの立場でございます。したがいまして、今の財源配分の仕組みを前提としてですが、引き下げるなどということは私どもとしては考えられる現状でない、そのように思っております。
#230
○橋本敦君 そういうことに関連して別の角度からお伺いをしておきたいんですが、私の手元に自治省からいただいた「普通補助負担金等を伴う経費の内訳」という資料がございます。これで非常に重要な幾つかのメルクマールがあるわけですが、臨調行革が始まる昭和五十六年度とそれから昭和六十一年度を比較すると非常に重要なことが出てくるわけです。
 この表でいきますと、生活保護費負担金、これを見ますと、五十六年度の国の負担は九千九百億、七九・七六%、地方負担は二千五百億、二〇・二四%。ところが、臨調行革が始まって六十一年になりますと国の負担は七一・二二%に減りまして、地方の負担が二八・七八%と増大をする。身体障害者保護費負担金を見てみますと、五十六年度国の負担は七七%あったのに六十一年度になると何と半分近い四九%に激減。逆に地方負担は二二%から五〇%に激増であります。公共事業について見ますと、治山治水では、五十六年度風の負担は五七・二一%、それが六十一年度後退をして五〇%になる、地方負担は四二%から四九%に増大をする。道路整備を見てみますと、五十六年度国は六四・九八%の負担、六十一年度は後退して五六%、地方は逆に三五%から四三%へと負担が大きくなるわけです。
 だから、臨調行革が始まったこの四年間に国と地方の負担割合を主な事業について見れば、国の負担が減って地方の負担がふえているというのはもう歴然と出てくるわけです。これを総括的に地方財政における補助事業全般で見てみますと、五十六年度国の負担は六四・一三%、地方は三五・八七%、こうなります。それが六十一年度には国は五五%に減り、地方は三五%から四四%にふえる、こうなっていくわけです。この数字に間違いありませんか、自治省。
#231
○政府委員(持永堯民君) 生活保護、身体障害者、それから道路、治山治水については御指摘のとおり確認をいたしております。
 最後におっしゃった数字についてはちょっと算出いたしておりませんので、多分傾向としてはそういうことだろうと思います。
#232
○橋本敦君 自治省からいただいた資料ですから、御答弁のとおり間違いないんですが、この点について自治省としては、これは明らかに地方財政に新たな財政需要をつくり出しているということであることは明白ですが、この点について自治省はどうお考えになっておられますか。
#233
○政府委員(持永堯民君) 今御指摘のとおりの数字でございますので、地方の財政需要がふえておる、財政負担がふえておるということは、そのとおりでございます。
 それのよって来るゆえんは、まさに今御審議をいただいておりますこの法案に基づくわけでございまして、その法案の趣旨といたしましては、この経常経費、生活保護は若干問題がいろいろございますけれども、身障者、保育所等については一応事務の見直しをした上で、経費の負担割合を暫定的でございますけれども変更した。公共事業につきましては、国の大変厳しい財政状況の中で、一方で内需の拡大ということも必要である、あるいは地方公共団体としても公共施設の整備をやっぱり促進したいというようなことから、これも暫定的でございますけれども負担割合の変更をした。こういうことの結果、地方の負担がふえてまいったということでございます。
#234
○橋本敦君 この法案によって補助金カットがこれから三年間ということになりますと、今私が自治省からいただいた資料で傾向づけたこの傾向は、つまり国の負担割合が減って地方の負担割合がふえ、それだけ地方の財政需要が大きくなるというこの傾向はさらに助長されるということは当然予測されると思いますが、自治省はどう見ていますか。
#235
○政府委員(持永堯民君) 今回のお願いをいたしておりますこの補助負担率については三年間の暫定ということでございまして、それ以外にこの間におきまして基本的に補助率をいじるようなことはしないという取り決めもあるわけでございますので、三年間の間は少なくとも現状のような負担割合で推移するだろう、ただ単価のアップとかそういうことで金額はふえることはあり得ますけれども、割合としてはそう大きな変化は三年間はないのではなかろうかと考えております。
#236
○橋本敦君 そう大きな変化はないと言うけれども、よくなる可能性なんというのはゼロなんです。そうでしょう。
 そこで、もう時間がなくなりまして最後の質問になりますけれども、こういう状況を見ますと、先ほどの問題にもう一度立ち返らなくちゃならぬのですけれども、こういった新たな財政需要の増大、こういうことに対しての財源として、これはどうしても交付税率の引き上げを含めて、現在の国税三税の三二%というこれにやっぱりプラスしていかなくちゃならぬ、積み上げていかなくちゃならぬ、そうしないと地方財政の確立ということはあり得ないということが数字の上でいよいよ明白だと思うんです。そういう意味で、最後にもう一度重ねて自治大臣に、今後地方財政充実のために一層の努力をなさることを期待して、御見解を伺って質問を終わります。
#237
○国務大臣(小沢一郎君) 御指摘のように、地方の財政状況も大変厳しいわけでございます。したがいまして、交付税の総額をとにかく財政需要が賄えるようにしなければいかぬということで、私ども努力いたしております。
 税率あるいはその仕組み等につきましては、税制の抜本改正等の問題もこれあり、そういった結果を見なければどのような仕組みにするかは答えられませんけれども、そういうようなことがもし出るとすれば、その中においても地方財源、地方税源を充実する方向で努力いたしたいと思います。
#238
○橋本敦君 終わります。
#239
○村沢牧君 私は、最初に撚糸工連問題について質問いたします。
 撚糸工連の汚職事件で自民党の稻村佐近四郎代議士が東京地検特別捜査部の取り調べを受けた。新聞報道によれば、特捜部は起訴に踏み切る方針だという。元自民党副幹事長、総務長官、そして国土庁長官の経歴が示すように内閣の要職にあった人、しかも総裁派閥に属する人がとうとう検察の取り調べを受けたこと、このことはまことに不名誉なことであり許すことのできないことであります。同時に、国会と国会議員の品位を傷つける問題であります。総理は、自分の派閥に属する人がこのような事態を引き起こしたことについて真相をどのようにつかんでいらっしゃっているのか、また今回の撚糸工連をめぐる一連の事件についてどう思うのか、率直な気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
#240
○国務大臣(中曽根康弘君) きのうも参議院の本会議で申し述べましたように、撚糸工運の事件が稻村代議士にまで波及したことにつきましては、まことに遺憾なる事態であり、深く反省をし、これを将来再び起こさせないように党とも戒めてまいりたいと考えております。事件につきましては、司法当局の手にある問題でございますので、推移を見守ってまいりたいと思っております。
#241
○村沢牧君 法務省に聞きますが、稻村代議士に出頭を求めて取り調べていることについて、その容疑の内容を明らかにすることはできませんか。
#242
○政府委員(岡村泰孝君) 取り調べ等を行いました被疑事実でございますが、衆議院の商工委員会委員としての職務に関して、昭和五十七年九月ごろ、撚糸工連の小田前理事長らから現金数百万円を収賄した、こういう容疑でございまして、その職務関係について申し上げますと、昭和五十七年八月六日の衆議院商工委員会で横手議員が通産省側に質問するに当たりまして、横手議員に対しまして、撚糸工連の行う設備共同廃棄事業の早期実施方を求める質問をするなど撚糸工連のために尽力してもらいたい旨働きかけるとともに、通産省側に対しましても撚糸工連に有利な答弁をするよう働きかけた、その謝礼の趣旨の全員であると、こういうことでございます。
#243
○村沢牧君 稻村代議士は本日の記者会見で、横手代議士に仲介をしたこともないし、また撚糸工連から金をもらったということもないと、こう言っているわけですけれども、検察当局は事実関係について自信がありますか。
#244
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましては、証拠に基づきまして、ただいま申し上げましたような被疑事実が認められるということで捜査を開始したところでございます。
#245
○村沢牧君 衆議院選挙が告示をされ、検察当局の取り調べを受けている容疑者あるいは今後取り調べをしようとするような人が候補者になった場合、捜査活動との関係はどうなりますか。
#246
○政府委員(岡村泰孝君) お尋ねの件は仮定の問題でございますので、具体的にこういうことだということはお答えいたしかねるのでございますが、一般論で申し上げますならば、検察当局はいかなる状況のもとにおきましてもこれに適切に対処するよう努めているところでございます。
#247
○村沢牧君 撚糸工連の問題についてはこの国会でもいろいろ指摘をされており、徹底的な究明が求められているところであります。検察当局の半年余りになる粘り強い捜査によってここまでこぎつけてきた努力は評価をしますが、今後黒いベールが次から次へとはがされるであろうというふうに思います。検察当局は職務権限の新しい判例をつくるつもりで、また政界、官界、業界の黒い癒着を断ち切るために徹底的な捜査をすべきであると思いますが、その用意を持っていますか。
#248
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましては、これまでも刑罰法令に触れる行為につきましては厳正公平に対処する、こういう方針でやってきたところでございまして、今後ともそういう方針に変わりはないものと思っております。
#249
○村沢牧君 稻村代議士の活動は党の政務調査会を基盤としていたことが報道されていますが、族議員と言われる人たちがその力を背景に役所に圧力をかけ、その見返りとして業界から活動資金の提供を受けるというようなことは絶対にあってはならないことだと思います。このようなことがあったとするならば、それは単なる個人的な問題として片づけられるべき問題ではない。総理の見解を求めます。
#250
○国務大臣(中曽根康弘君) 議員個人個人はいわゆる政治倫理をわきまえて行動しなければならぬと思い、その政治倫理綱領も国会におきまして各党合意の上でできておるわけでございまして、そういう意味におきましては廉潔をもって身を持していかなければならぬ、そう思っております。
#251
○村沢牧君 撚糸工運から献金を受けたと言われる自民党議員は同代議士のほかにも何人がおることは、本院予算委員会において同僚委員から具体的に指摘をされているところであります。金を受け取る手段において、よしんばそのことが職務権限に該当するか否か、あるいは面接刑法に触れるか触れないかの問題は別といたしましても、政府に補助金や低利融資の施策をつくらせるために努力したとか、あるいは業界にその施策を適用させるために便宜を与えたというような理由によって金をもらうということは、まさに邪道であります。
 総理は、このようなことが自民党内に存在しないと言い切れますか。みずからの党内にこうしたことがあったとするならば、いかなる措置をとりますか。
#252
○国務大臣(中曽根康弘君) 自由民主党員は、この政治倫理綱領のもとに、これを厳格に順守しつつ行動していると確信しております。
#253
○村沢牧君 そのことは言い切れますか。
#254
○国務大臣(中曽根康弘君) そのように確信しております。
#255
○村沢牧君 今回の事件が発生し、しかも名前が挙がった人だけでは済まないというようなことが言われておる。また、政府の職員も逮捕されておる。このことは政界、官界そして業界との癒着の金権体質が依然として払拭されておらないことを物語っています。腐敗の根は深いわけです。今大事なことは、政治倫理の確立をすることが総理としても国会としても最優先課題であり、解散、総選挙どころの話じゃない。総理は、この種事件を徹底的に調査し、国民に対して政治の信頼を取り戻すべきでありますけれども、具体的にどうなさいますか。
#256
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく事件は司法当局の手に移りまして、厳正なる聞き取りやらあるいは捜査が行われておることでございますから、我々の方といたしましては、これを静かに見守って推移を見詰めていきたいと考えております。
#257
○村沢牧君 こういう事件が起こった際でありますから、この際政治倫理を確立するために総理として何らかの措置をとる、そういうお気持ちはありませんか。
#258
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく遺憾な事態でありまして、深く反省していかなきゃならぬと思っております。しかし、刑事事件として司法当局の手に渡っていることでございますから、事件についてはこれを見守っていくという態度でまいりたいと思います。
#259
○村沢牧君 時間の関係で次の問題に移ります。
 税制改革に関連して伺いますが、政府税調の中間報告が昨日出されましたが、政府はこの報告を尊重して税制改革の第一歩を踏み出す考えてありますか、総理にお尋ねします。
#260
○国務大臣(中曽根康弘君) あれは定性的な中間報告であります。よく党とともに検討して、大いに参考にしていきたいと考えております。
#261
○村沢牧君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、税調報告は所得税、法人税の軽減合理化の大まかな考え方の方向を示しているだけであります。給与所得者あるいは法人の減税がどのようになるのか、一向これではわかりません。減税規模と方向についてどのようになっていくのか、おおよその考え方を示してください。
#262
○国務大臣(竹下登君) 今も村沢さんから御指摘があっておりますように、ちょっと簡単に税制調査会の会長談話を申し上げますと、「中間的なものであって、」「中間報告を対外的に公表することとし、これを契機に、税制改革についての国民の理解と関心が一層高まり、各方面で活発な論議が展開されることを期待するものであります。」と。したがいまして、今度の中間報告はまさにいわゆるその方向が定性的に示されたということに尽きると思うわけでございます。
 したがって、総合的ないわゆる安定した財源確保という点につきましては、これは今後の税制調査会の結論を待って適切に対処すべき問題である。したがって実際問題が、諮問の仕方も増、減ということは言わないで、あるべき抜本的な姿と重圧感、ひずみ、ゆがみ、こういうところから入ってくださいと、こういうことを総理から諮問されておるわけでございますから、いわゆる仮にアバウトでも、頭の中でこれぐらいになりますというようなことは今度の中間報告で読み取ることはできない。言ってみれば、まさに今後の「包括的税制改革の中で一体として」論議されるべきものであろうと思っております。
 もう一つだけ簡単に読みますと、「今回のとりまとめは、負担の軽減、合理化に資する方策を中心に部分的に定性的な方向を示すにとどまるものである。」と、こういうことが書かれてありますが、全くそういうふうに理解しております。
#263
○村沢牧君 この報告を受けて大蔵省としてはどのような作業を進めてまいり、そしていつごろまでに報告に基づくような結論を出そうとされるのか。その際、予算の審議の際に申し合わせをした与野党の書記長・幹事長会談の合意事項だとか、こういうものとの関連はどういうふうになりますか。
#264
○国務大臣(竹下登君) 若干私見も入りますが、今度の報告でまさに「累進構造の緩和」、「配偶者に対する特別の控除」、「給与所得控除の性格の明確化と実額控除選択制度の導入」と、こういうふうに所得税で言えば三本だと思います、粗っぽくまとめますならば。したがって、そういうことに対して恐らく税調から刻みの分類とかそういうことをいろんな資料として作業が当然命ぜられると思っております。そういう資料はあらゆる角度からの分析をしたものを税調に御報告を申し上げていくと、こういうことになろうかと思います。
 それから、党の幹事長・書記長さんとの話し合いの問題でございますが、これは私見と申しましたのはあえてその部分でございますけれども、年末までにと、こういうことをおっしゃいましたのは、恐らく税制調査会の進みぐあいを横目で見ながらその意見も反映するような形で進めていこうということではなかろうか。したがって、これに対しては、大蔵省にはこうしたものを出せとかいろいろな御指示がございますので、それに忠実に御協力をすべき課題だというふうに思っております。
#265
○村沢牧君 減税は当然やるべきでありますが、その場合、国税はもとよりのこととして、地方の税収入がより落ち込むであろうということは予想されます。国税と地方税の配分についてどう考えるのか。また、補助金カットに加えて地方税収入の落ち込みに対する一般財源の補てん等についてはどう考えますか。
#266
○国務大臣(竹下登君) 原則的には、いつも申し上げますように、各年度の地方財政収支見通しに基づく所要の地方財政対策を講じて、絶対に地方行財政の運営に支障は来さないように措置をいたしますというのがこれは原則で、今度の税調でこれらがどういうふうな方向へ地方税の審議が進められていくかというのは、ちょっと私もまだ足かな方向を察知しておりません。
#267
○村沢牧君 税調の審議がそこまで進んでおらないとしても、一般財源による補てん、地方税収入の確保は地方財政運営上一体のものとして手当てをしなければならない。そうしなければ安定的な地方財政の確立にならないというふうに思いますので、この税制改革に関連をして地方財政の確立のためにひとつ一層努力すべきだというふうに思いますが、どうですか。
#268
○国務大臣(竹下登君) まさにゆがみ、ひずみ、重圧感、そこのところから御審議いただいて、国民の皆様方に議論の素材を提供しようという形であえて公表したと、こういうふうに書かれてあるわけでありますが、国税、地方税の基本的あり方についてというのは、これは税調で、諮問あるなしにかかわらず、いつでもこれは基本に置かれておる考え方でございますので、それらは当然のこととして国会の問答等も正確に報告し、緻密な議論が行われるであろうというふうに私も期待をいたしております。
#269
○村沢牧君 総理、減税は我々も期待をするところであります。政府税調の中間報告が出されて大蔵省は作業を進めていくというふうに思いますけれども、その財源をどうするのか。やはりこの財源が同時に示されなければ国民は納得するものではないというふうに思いますが、減税をするとするならば、その必要な財源対策をどのように考えますか。
#270
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく国民の皆様方あるいは野党の皆様方からも、シャウプ税制以来長い間、ゆがみ、ひずみ、不合理性あるいは重税感、そういうようなことは訴えられておりまして、まずそれを直す、直すにはどうしたらいいか、どこが中心部でメスを入れるべきか、そういうような考えで諮問がまず行われ、大体定性的な報告が出ました。特に所得税等におきましては地方税を含めて六〇%台、それから地方税を含む法人課税が五〇%台という一応の基準が明示されてきたという点は今までにないことであるだろうと思います。これは我々としても大いに検討していくべき問題であると思っております。そして、今度はこれで国民の皆さんに大いに議論していただく。これがどうあるべきかという点について、やはり新聞も大きく取り上げましたし、それから新聞の論説がみんな出てきております。そういう意味において国民的論議が今起こりつつある、非常に歓迎すべきことです。
 税の問題というものは国民の一番関心を呼んでおる問題であり、また国会が最も大きな対象として議論すべき問題でもあるから、国民を中心にこれが動いていくということは望ましいので、そういうやり方をやったわけであります。次に税調におきまして財源等についても今度は御議論を願って、そして秋には包括的一体として案をまとめていきたいと、そういうスケジュールで進んで、これからの税調の論議を見ていきたいと考えております。
#271
○村沢牧君 税調の中間報告が出されたといっても、また論議をしてもらいたいといっても、一体幾ら減税になるのかこれは全然わからない。論議のしようがないわけですね。大蔵省の作業だって進んでいない。これは国民に論議せよといったってわからないですよ。現実にこれだけの人がこれだけ減税になりますということがなければ論議の対象にならない。
 そこで、総理はかねがね言っておりましたように、今も答弁がありましたように、まず減税の方法を出す、それから秋にはその財源を出してもらうということでありますから、減税の作業も進んでいませんから、財源と減税と一緒に出したらどうですか。その方がわかりやすい。そうすべきだと思いますが、どうなんですか。
#272
○国務大臣(中曽根康弘君) まず一番不平不満の多い、国民がさわってほしいというところにさわるのが政治の順序だろうと、そう考えたわけであります。
#273
○村沢牧君 政治の順序ではあるけれども、わからないんですね。総理、わかりますか。何かやって幾ら税金になりますじゃ、中堅サラリーマンはこれだけ減税になりますよということが全然わからないじゃないですか。論議のしようがない。大蔵大臣、わかりますか。
#274
○国務大臣(竹下登君) これは、きのう中間報告が出まして、まさに言われているとおり、「中間報告を対外的に公表することとし、これを契機に、税制改革についての国民の理解と関心が一層高まり、各方面で活発な論議が展開されることを期待するものであります。」と、こう税制調査会会長の談話が出ておりますが、ゆうべのテレビ、それからけさのテレビから、八百万をどうして、税率をどう割った場合はどうなる、あれは大変な論議が行われて、こっちがついていくのが大変だぞというぐらいな気持ちを本当は私自身テレビを拝見しておって感じたわけでございます。
 それから、今数字で出ておりますのは、それこそ今も総理からお答えがありました、累進構造の中における税率の簡素化を図るため、所得税と個人住民税を合計した最高税率の六割台ということと、刻みを大幅に削減するということが出ておるわけであります。それから、法人税については五割を下回ることとなるよう検討していくのが適当であろう、それが出ているわけです。したがって、それに対していろんな数値を前提とした、テレビを見ておった関係でございますけれども、いろんな博士さんが出られまして議論されておりますから、これはやっぱり税調会長さんの意図しておられたように、一億総税理士みたいな感じにならないかというぐらいな気持ちがけさいたしましたので、これが契機で、国民のいわゆる本当の国民次元に論議がおりていくではないか。最終的には総合的なものを含めて秋に答申をもらって、その後が政策選択、こういう順序ではなかろうかと思っております。
#275
○村沢牧君 各機関や報道関係がそこで自分で分析して出すのじゃなくて、大蔵省は自分でやったらどうですか。その方が一番国民にわかりやすい、信頼するんですよ。
 その作業がいつごろになるか知りませんけれども、この年の暮れになるなんということじゃ、幾ら減税やりますといったってぴんとこないんですよ。どうですか、いつまでにやるんですか。
#276
○国務大臣(竹下登君) 政策選択は、それは最終的な決定は予算編成の際といたしまして、法案提出しなきゃならぬわけですが、どうした前提を置いたらどうなるという作業は、それは国民が信用するということをおっしゃっていただいた大蔵省でございますから、一生懸命いろんなことを前提に置いた作業はしておると思っております。これからも税調で審議されるに当たって、もちろんそのような正確な資料は提出していかなきゃならぬと思っておるところでございます。
#277
○村沢牧君 総理、そんな状態では、選挙も近づいてくるようですけれども、その選挙に向けて政府はこれだけ減税しますなんということは言えませんね。これはわからないですね。選挙に向けて減税の公約はしませんね、自民党として。
#278
○国務大臣(竹下登君) やっぱり政府が定量的なものを出して選挙に備える性格のものではございませんが、各党ともそれはいろいろお出しになるのじゃなかろうかと思っております。
#279
○村沢牧君 総理、どうでしょうか、自民党の公約として、あの税調の中間報告を見て、これだけやりますよというようなことにはこれはいかないですよ。どうですか。
#280
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府税調がああいうのを出しまして、党税調も同じように並行して検討してきて意見の表明もございました。いずれ政調会全体で審議していただく、選挙の公約というものは政調会で審議した結果出てくるもので、おたくの政党と同じ手続を経てやるものであります。
#281
○村沢牧君 その程度のことだったら余り公約しない方がいいですね、中身わかりませんから。
 時間がないから次に進みましょう。
 それから、この補助金特別法案が本委員会へ付託をされて以来、各委員が熱心に質問を展開してまいったわけでありますが、政府のあいまいな答弁のために幾つかの問題点を残しているわけです。私は、確認の意味で何点か質問いたしますので、明快な答弁をひとつしてもらいたいというように思います。
 まず、政府の法案提出の時期がおくれるために予算と法律の乖離が生じ、国会、特に参議院の法案審議に制約を受けている。とともに、地方団体に多大の迷惑をかけておるわけです。昨年もこのことが大きな問題となり、本院特別委員長見解や附帯決議をもって、かかることのないように政府に強く要請をいたしておるところであります。
 私も先日の総括質問で質問しましたけれども、しかし政府はことしも同じことを繰り返している。本委員会でも強く批判をされているところであります。したがって、今後はかかることは絶対に行わないこと、そのためには法律案の作成、国会提出時期等に特段の留意をすべきでありますが、総理の前向きな答弁を求めます。
#282
○国務大臣(竹下登君) 正確に答えますと、今回の措置の場合は補助金検討会十二回、そして十二月二十日の検討会の報告、それを最大限尊重するということで、いわばまさに十二月予算編成ぎりぎりに結論が出たわけであります。したがって、昨年委員長見解等で示されております本委員会の見解につきましては、可能な限りの努力は行ったものの、その趣旨が十分に生かし得たとは私どもも思っておりません。せめて、私ども申しましたのは、予算案と同日に提出したということがぎりぎりの努力でありました。今後とも国会で十分かつ速やかな御審議をいただき、法律に基づいて予算の執行を適切かつ速やかに行うためにも、法案の早期提出についてできる限りの努力を払っていく所存でございます。
#283
○村沢牧君 次は、一括法案についてであります。
 国の制度、施策の根幹にかかわるような法律改正を今回のように四十九をも一括して提案することは、これまた国会審議を冒涜するものであります。このことについても、昨年の本院特別委員長の見解として政府に要請をしておる。その際、総理も国会の意思を体して検討しますと、こういう答弁をされておるわけです。今後このようなことはしないようにすべきである、これもまた特段の配慮をしなければならないが、どうなんですか。
#284
○国務大臣(竹下登君) これも委員長見解から、一括法とすることの問題点等々の御指摘があったわけであります。したがって、その委員長見解に基づいて慎重に検討しましたが、今回の問題につきましては、最近における財政状況と累次の臨調答申等の趣旨を踏まえて行われる財政上の措置であること、二、国の補助金負担金等について行われる措置であること、三、財政資金の効率的使用を図るために行われる措置であり財政収支の改善に資するものであることという、これをいわゆる共通の性格として私どもが位置づけたわけであります。したがって、その趣旨、目的は一つであり、一体をなしていることから、一本の法律として提案することが適当であると最終的に判断するに至ったわけであります。また一方、全体として総覧していただくことによって、その立法趣旨に基づいてとられる措置を総合的に把握することが可能になるものという考えも持ったわけであります。
 今後におきましても、法案の策定に当たりましては、法案の趣旨、目的に沿って十分検討の上、委員長見解が存在し続けておることも踏まえて、適切に対処してまいりたいと、このように考えております。
#285
○村沢牧君 大蔵大臣、補助金カットという同じような性質だから一括提案したと言いますけれども、大臣御承知のように、我が党のこの委員会における質問は、それぞれ文教なら文教、地行なら地行、社労なら社労、専門家を立てて一つ一つの問題について質問したんですよ。なるほど補助金をカットするということについては同じかもしれないけれども、中身は違うのです。ですから、これらを一緒にして提出することは間違っている。それから、全体として一覧してもらうのに都合いいというけれども、そんなのは大蔵省が一覧表をつくればわけのないことだ。法律の方が難しくてわかりにくい。ですから、今後はこんなことは絶対あっちゃいけない。どうですか。
#286
○国務大臣(竹下登君) 委員長見解並びに村沢理事の御指摘は今後とも十分配慮して対応する課題である、こういうふうに考えております。
#287
○村沢牧君 課題であることは承知していますから、ぜひもう一回答弁してください。
#288
○国務大臣(竹下登君) 大変重大な課題であると思っております。
#289
○村沢牧君 去る二十一日の総括質問で、私の質問に対して政府から満足な答弁が得られないために理事会で預かりになった問題について、改めて答弁してください。
#290
○国務大臣(小沢一郎君) 去る四月二十一日の本委員会における村沢委員の御質問に対しまして補足説明いたします。
 六十一年度の地方財政は、補助率の引き下げを行う前では、臨時財政特例債の元利償還金を地方財政計画の歳出に計上した上で収支均衡することとなり、このため、六十一年度における補助率の引き下げに伴う地方財政への影響について別途所要の地方財政対策を講じ、地方財政の運営に支障が生じないよう措置することとしたところであります。
 このような状況を踏まえ、六十年度にお約束しました六十一年度において交付税に加算すべき臨時財政特例債の元利償還金の二分の一相当額については、中期的な地方財政の健全化をも考慮し、六十六年度以降精算すべき交付税に加算することとし、交付税の一部改正法において御審議をお願いしているところであります。
 昨年の法案審議におきまして、臨時財政特例債の元利償還金の二分の一相当額については、六十一年度以降交付税に加算する旨の御答弁を申し上げたのは事実であり、その点につきましての変更について何とぞ御了解を賜りたいと存じます。
 今後とも、地方財政対策につきましては万全を期してまいる所存であります。
#291
○村沢牧君 ただいまの答弁は自治、大蔵の統一見解であろうというふうに思いますが、六十年度に約束した方針の変更については何とか御了解を賜りたいと存じますということでありますが、国会答弁に相反する行為をとったこと、また、六十一年度から交付税に加算すべきものをすべて六十六年度に先送りしたことについて、何とも了解することのできないことを改めて申し上げておきます。
 国会で答弁をしたこと、国民に約束したことについて、これを変更する場合には事前に話があるとか、百歩譲っても、議員の追及によってそのような統一見解を出すのではなくて、この委員会の審議に先立って釈明があってしかるべきだ。こうしたこともなく、別途交付税法の改正案として提出していることは許せない。今後は再びこのようなことをしてはならない。自治大臣、大蔵大臣の見解を改めて求めます。
#292
○国務大臣(小沢一郎君) 国会で答弁いたしました事項につきましては、誠実にこれを履行しなければならない義務があるものでございます。したがいまして、先生御指摘の意を踏まえまして、今後十分そういう姿勢で対処してまいりたいと考えております。
#293
○国務大臣(竹下登君) 御指摘を受けました後、私どもも検討をいたしまして、結果として先ほど自治大臣が統一見解を申し述べたとおりでございますが、よしんば中期的な地方財政の健全化を考えた一つの手法であったとしても、国会で答弁をしたことの手法を変えるわけでございますから、少なくとも当該委員会の冒頭とかあるいはそれ以前に事前了解とか、そういう手段はとるべきものであったと私も反省をいたしております。
#294
○村沢牧君 昨年の臨時特例は六十年度限りということであったので、六十一年度以降交付税に加算するという答弁は当然の答弁であったと考えます。したがって、昨年の答弁が極めて常識的な答弁であった。そうだとするならば、それと同じように、本法改正案による財政措置は、理論的に言えば六十四年度から行うのがこれまた当然だと考えますが、どうですか、自治大臣。
#295
○国務大臣(小沢一郎君) この点につきましては、六十六年度といたしましたことについては、いわゆる特会の元金の償還等も始まるわけでございまして、そういう意味におきまして、地方財政の中期的な健全化を図る上にはそのようにした方がよろしいであろう、そういうような観点も踏まえましてそのような措置にしたわけであります。
#296
○村沢牧君 大蔵大臣、交付税特会の償還が始まるからこういう措置をとったというのでありますが、私はそれだけではないと思う。大蔵省と自治省と協議してこういう措置をとったのでありますから、これはやっぱり政府の財政再建との関連もあったと思いますが、どうですか。
#297
○国務大臣(竹下登君) 財政再建の期間というものを私ども絶ず念頭に置いておることは、これは否定すべきことではございませんが、中期的な地方財政の健全化を考えていった場合に、六十六年から、どうせという言葉はちょっとおかしいんですが、交付税特会の借入金の償還が始まるわけですから、それに平仄を合わせて差し支えないとでも申しましょうか、そういう考え方に立ったわけであります。それにしても事前に了解を得るべき課題であったということは、逃げも隠れもいたしません。
#298
○村沢牧君 そこで、六十六年度約束をしても、政府の公約とする六十五年度特例公債脱却、これが軌道に乗らなくてもこのお約束どおり六十六年度からこの措置をとりますか。
#299
○国務大臣(小沢一郎君) この点につきましては、この約束に基づきまして法律改正を行うこととしておるところでありまして、したがって国の財政状況のいかんにかかわらず、法律の定めるところによりまして地方交付税総額に加算されるものと確信しております。
#300
○村沢牧君 大蔵大臣、六十五年度になっても、一生懸命やってみたけれども赤字公債から脱却できなかった、したがって今六十六年度ということにしておるけれども、六十六年度になればもっとこれを延長して先送りをしていく、そんなことは絶対にありませんね。財政再建に関係なく、このことは実行していくのですか。
#301
○国務大臣(竹下登君) 厳密に言いますれば、「暫定的に、昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税交付金の額に加算されるものとし、その取り扱いについては、」「暫定期間終了後、両省間で調整するものとする。」と、こうなっております、この読み方は。しかし、適切に対処してまいるということは、やっぱりそのとおりで、今自治大臣からお答えの趣旨のとおりでありますというふうにお答えすべきであると思います。
#302
○村沢牧君 今の大蔵大臣の答弁は私理解できませんが、事務当局、答えてください。
#303
○政府委員(保田博君) ちょっと大臣、質問の意味をお取り違えになったのかと思いますが、御質問の点は、少なくとも交付税法の規定が厳然として存在するわけでございますから、大蔵省とすればその法律の規定を遵守すべき立場にあると思います。
#304
○村沢牧君 大臣、私がお聞きしたのは今自治相が答弁したことであって、あのとおりでありまして、六十六年度になっても財政再建がうまくいかない、だから六十六年ということを約束したけれども、また先送りをすることは絶対ないのかどうかということです。
#305
○国務大臣(竹下登君) 今、自治大臣並びに保田次長からお答えしたとおりであります。私は一ページ先を読んでおりました。
#306
○村沢牧君 次長が答えたとおりであると言いましたけれども、次長はまだ肝心なところは答えてない。だから、六十六年度以降になっても先送りすることはありませんね。
#307
○政府委員(保田博君) お尋ねの点につきまして、六十六年度以降の交付税の精算ということを決めましたその六十六年というのは、当然、国の一応の財政再建といいますか、特例公債依存体質から脱却する時期が六十五年度であるという前提に立ったものであることは間違いないわけでございます。少なくとも現在の法律では六十六年度以降それを精算するということになっておりますから、それを可能ならしめるべく財政改革に全力を尽くす、そういうつもりでおります。
#308
○村沢牧君 その点が自治大臣の希望と大蔵省の見解とは違うわけです。六十五年度赤字公債脱却のために努力して、そこで赤字公債、特例公債から脱却できれば六十六年から措置ができるかもしれない。できなくてもやるかどうかということを聞いているのです、大臣、法律をことしつくるのだから。六十五年度赤字公債脱却はできなかったから、そうは言ったけれども、また六十六年と言ったけれども、もう少し先へ送ってくださいというような法律改正はしませんね。
#309
○国務大臣(竹下登君) 論理的に六十五年の旗をおろさないで今日来ております。したがって、現在のところ、その掲げた旗をおろさざるを得ないようになってはならぬということで努力しておるわけでございますから、今仮に、もしそれができなかった場合はということを、やっぱりできなかった場合のお答えをすることは現時点ではお許しをいただきたいと思います。
#310
○村沢牧君 そんなことを言ったって、財政措置によって、地方交付税の改正のまた法律が出ているのですよ。六十六年から払いますとなっているでしょう。それを今大蔵大臣の答弁じゃ、危なくてこんなもの、どっちみちそんなの私も反対ですけれども、認められないじゃないですか、そんな六十六年と言ったってわからないということじゃ。
#311
○国務大臣(竹下登君) 反対であっても別に御質問なさるのは結構なことでございますから、それこそ今の村沢さんの御趣旨を体して対応してまいります。
#312
○村沢牧君 自治大臣、この問題どれほど大蔵省と詰めているのですか。あなたは期待しているだけですか。
#313
○国務大臣(小沢一郎君) 先ほど御答弁いたしましたように、また主計局次長からも答弁がありまして、次長さんは頭のいい方ですからいろいろ豊かな表現をいたしておりますけれども、簡単に言えば私が先ほど申し上げたとおり、法律改正を行うわけでありますし、その法律に基づいて当然履行されるものと、そのように思っております。
#314
○村沢牧君 こんなのは危ない問題ですね。危ないことだ。これもまた別途法律の審議もありますから、そこへ譲りましょう。
 そこで、先ほど同僚委員から質問しておったことについて、時間がありませんから簡単に申し上げますが、本年度の補助率カットについては、たばこ消費税の引き上げで完全に面倒を見たと政府は言っていますが、経常経費のうち地方債で処理した分が三千七百億円、この中で交付団体分は二千八百三十億円あるが、このうち四百億円は六十六年度以降の交付税に加算することにしており、残り二千四百四十億円については暫定となっていますが、これは四百億円も六十六年度以降交付税に加算するとなれば、二千四百四十億にしたって同じように考えればいいが、どうなんですか。
#315
○政府委員(持永堯民君) 御指摘の二千四百四十億円でございますけれども、これは六十一年度の国庫補助負担率が三年間の暫定であるということにかんがみまして、暫定的に六十六年度以降に加算をしようということにいたしておるわけでございまして、確定したというところまでは申し上げかねるわけでございます。そういったことで、暫定期間が終わりました後に自治省、大蔵省、両省でさらに検討をし調整をしていくということでございます。
#316
○村沢牧君 ですから、全部地方債で面倒を見たと言っていますけれども、今言った数字は暫定期間が終わった後にまた自治省と大蔵省で協議をして決めるということですね。これまた財政再建と関連してくるというふうに思いますが、財政再建がうまくいかないと六十六年度以降交付税に加算しないということもあり得るのではないか。そんなこと絶対にありませんか、大蔵省。
#317
○政府委員(保田博君) ただいま国会で御審議をいただいております法律が成立をいたしましたら、我々は誠実にこれを実行したいと思っております。
#318
○村沢牧君 成立したら、財政再建とは関連なく、今言った二千四百四十億は六十六年度以降、先ほど申しました四百億円と同じように加算する。いいですか。
#319
○政府委員(保田博君) 先ほど御答弁申し上げましたことと全く同じでございます。
#320
○村沢牧君 ですから、先ほどの六十六年度と同じことですね、六十六年度以降先送りしたいと。ですから、補助金カットで地方に迷惑をかけない、国会がうるさいからかけてはいけないと言って、また地方団体の反対運動を何とか抑えなければならないから、建前は国が返しておこう、そして六十六年度時点でそれもできなくなった、自治省、大蔵省で協議したけれどもできなかった、そのときはそのときのことだ、こんな程度のことじゃありませんか。
#321
○政府委員(保田博君) いずれにいたしましても、毎年度の予算編成のときに、地方財政計画を策定する際、地方公共団体のあらゆる財政需要とそれから財源を洗い直しまして必要な財政需要はこれを賄うような財源措置を講ずる、これは間違いないことでございます。その際に、交付税につきましては現在はいわゆる所得税、法人税、酒税の三二%を基本といたしておるわけでございますが、地方財政全体として足らざる部分がもしあるとすれば、先ほど来御答弁申し上げておりますような交付税の加算と起債ということによって万全の財政措置を講ずる、そういうつもりでございます。
#322
○村沢牧君 今申し上げた数字を暫定として、大蔵、自治両大臣で話し合った。自治大臣、そのときは私が今指摘をしたようなこと、必ず大蔵省は交付税に算定をする、そういう約束はできていますか。その時点になって協議をしようということじゃありませんか。
#323
○国務大臣(小沢一郎君) 二千四百四十億の点につきましては当面、六十六年度以降加算するということになっておるわけでございます。したがいまして、そのときのいわゆる地方財政の全体の状況等も見なければわかりませんけれども、私どもといたしましては、今後とも地方財政が大変厳しくて、その時点においても窮屈になっているというような状況下でこの二千四百四十億を加算する措置が必要である、そのように判断される場合には、何としても今回の約束のとおり加算していただきたい、そのように考えておりますが、いずれその時点の全般の状況を判断しながら協議をいたすこととなっておるわけであります。
#324
○村沢牧君 それもおかしいじゃないですか、その時点になって地方財政が厳しければ二千四百四十億をぜひ加算してもらいたいなんて。二千四百四十億円は加算しますということでことしの財政措置を講じたということなんですよ。自治大臣、昨年も同じようなものが一千億あった。ことしはその二倍以上になっているわけですね。政府が完全に返すことを約束し、かつそのことを完全に実行しなかったならば、国の赤字を地方に肩がわりをさせる、それ以外の何物でもないじゃないですか。もうちょっとあなたは自治大臣としてしっかりしてもらわなければ、今言った答弁では納得できませんね。今約束したけれども、その時点になって地方財政が苦しかったら大蔵省にひとつ話をして何とかということでは約束が違うじゃないですか、趣旨が。
#325
○国務大臣(小沢一郎君) 私が申し上げましたのは、当面の、今回の約束といたしましては二千四百四十億円加算するということになっておるわけでございますけれども、いろいろ例えば税制の抜本改正等もその間に行われるかもしれませんし、いずれにいたしましても、全般の状況を見ながら、今後その意味においては協議、調整の余地があるということであると思います。
#326
○村沢牧君 それは今まで説明したこととは違うし、そんなことを地方団体が聞いたら怒り出しますよ。いいかげんなことじゃないですか。その時点になって地方財政が苦しかったら大蔵省と話をして少し何とかしましょうなんて、違うよ、そんなのは。暫定にはしておるけれども、これは交付税に入れます、そのように私どもは解釈しておるし地方団体だって解釈しているんです。そうしなきゃ、ことしの地方財政対策のつじつまが合わないじゃないですか。そんないいかげんな答弁だめだよ、自治大臣。
#327
○政府委員(持永堯民君) 先ほど申し上げましたように、この二千四百四十億分につきましては暫定的に加算するという、これは覚書にも書いてあるわけでございまして、確定はしていないということでございます。これにつきまして今後両省間で調整をするわけでございますが、補助率の問題との絡みもございますけれども、自治省といたしましては極力措置がされるように努力をしてまいりたいと考えております。
#328
○村沢牧君 どうもすっきりした答弁がいただけなくて、ですからこんなことで総括を終わってしまっては私も大変だというふうに思います。これでは締めくくりにならない質問でありますから、また問題を残して終わるということになってしまって極めて残念であります。いずれかの機会にまた追及してまいります。
 そこで大蔵大臣、ことしはたばこ消費税の引き上げで何とか切り抜けた、来年からは六十二年度財政対策をまってその対応をするということであろうというふうに思いますけれども、そういう答弁を大蔵大臣はしていますが、その方向は、一般財源で見るべきもの、交付税の対象とすべきもの、建設地方債を活用するもの、来年以降もおおよそこの三点ではないかと思われますが、どうですか。
#329
○国務大臣(竹下登君) おおよそ私もそう思います。
#330
○村沢牧君 その場合において極力一般財源で補てんをし、地方財政運営に支障が生じないような万全の措置を講ずべきである。そして、その具体的な措置を予算編成ごとに明示をすること。お約束いただけますか。
#331
○国務大臣(竹下登君) ことしも恥を忍んでたばこをお願いしたりしたのでございますから、基本的には、やはり各年度の地方財政収支見通しに基づくいわゆる地財対策に対しましては運営に支障を生ずるようなことは絶対してはいかぬと、これだけは私ども絶えず念頭に置いておるところであります。
#332
○村沢牧君 ですから、六十二年度財政対策の中において、地方にことしみたいな、たばこ消費税を無理に値上げをして、こんなウルトラCみたいなことをやるのじゃなくて、ちゃんと税制の中で考えていく、そういう措置をしていく、そのことが必要だと思いますが、どうですか。
#333
○国務大臣(竹下登君) それは本筋そのとおりだと私も思います。
#334
○村沢牧君 昨年は一年限りであるという約束で行った補助金のカット、国会では一年限りの暫定措置とすることの附帯決議も行っています。また、地方団体も政府から一年限りであるという約束を取りつけている。今回、必ずしも皆さんは延長とは言わないけれども、しかし三年間の継続というのも、これも約束違反だ。三年のうちにまた見直しをやるようなことがあってはならないし、あくまで三年間の臨時特例措置である。特例期間後はどうするのか、明確にしてください。
#335
○国務大臣(竹下登君) たびたび申し上げましたが、確かに、私どもの側から言わしてもらうならば、去年は、一年間かけて検討します、その間のアバウト一割一律一括法でございます、よろしくお願いします、こう申し上げて、したがってそれに基づいて一年間議論をいたしまして、検討会の意見を尊重して閣僚会議で決めて閣議決定をしてもらった。しかしながら、その検討会の意見の中にも両論併記があり、そしてまた補助金閣僚会議においてもどちらかにまとめることができなかった。したがって、十分の八を十分の七という措置が一つ残っておるわけでありますが、それも確かに三年間の暫定にした一つの大きな要因であるというふうに思っております。
 そこで、三年後どうするか。この問題につきましては当然政府部内におきまして責任を持って、今後のあり方につきましては六十四年度予算の際にはきちっとした結論を出さなきゃならぬというふうに思っております。
#336
○村沢牧君 この法案の審議に際して、政府は補助金問題検討会で検討してもらったとずっと言っているわけです。なるほどそうでしょう。しかし私は、大蔵大臣、この検討会の検討の内容と事実と違うと申し上げておきたいと思うんです。
 当委員会は先ほど検討会の木下会長に参考人として来てもらって、ここで参考人の意見を徴しました。その際、木下会長は、この検討会は社会保障を中心にして国と地方の機能分担等についていろいろ話をしました、費用分担についてはこれを切り離して検討したわけではありません、また財源配分の検討等は関係閣僚会議から要請はされておりません、こういうことをおっしゃっているわけですね。だから、この検討会の検討の中身は、あなたたちが言うほどすべて満足したものじゃない、不十分である。これを盾にとって検討しました、検討しましたと、そういう理屈は成り立たない。大蔵大臣は検討会の本当の検討内容を知っているんですか。ですから私たちは、議事録を出しなさいと言っている。あなたが今まで答弁したことと若干違うんですよ。
#337
○国務大臣(竹下登君) 確かに社会保障を中心にして御議論いただいたことは事実でございます。その際、事務事業の見直し、費用負担のあり方等を念頭に置いて議論をしていただいた。いわゆる公共事業関係費の補助金に対しましては御議論はいただいて、中間では私も聞いておりますが、要は結局今日の経済情勢下における事業費の確保というようなものが、一番やっぱりまず事業費の確保ありきと、こんな感じで我々閣僚も、そして各公共事業担当大臣との予算の折衝もそういう点で行ってきたということでございますが、検討会で社会保障以外は全く外に置かれておったというものではございません。
#338
○村沢牧君 ですから、私は総括質問のときにも申し上げましたけれども、国の補助金問題は費用分担のあり方とか国と地方の行政の領域のあり方等を第一義的に考えてやらなければ、ただ補助金カットだけが前面に出たのでは、これは地方財政の運営その他にも大きな支障を来すし国のとるべき措置ではないということを申し上げたんですが、先ほど申しましたように、そこまで検討会は本当に検討していないんです。
 ですから、質問が最後の時期になって残念ですが、あなたが、また政府が検討会、検討会と、そういうことを言ってきたことは、私は賛成できない。そのことを申し上げておきましょう。
 そこで、行革審においては一説によるとまたまた補助率の総合的な見直し検討がされ、三分の二、二分の一、三分の一の補助率を整理するというような案も検討されているというふうに聞いております。また、地方交付税の国税三税の三二%引き下げを検討している。国会で補助金法案を審議しているときに、行革審が早くもまた補助率の再検討を行っているということは極めて不謹慎であり国会軽視も甚だしい。どういうふうに思いますか。
 大蔵、自治両大臣の覚書にもあるとおり、国と地方の財政関係は崩さない、そして補助率の再見直しは基本的部分、すなわち極端な零細なもの等を除いて行わないこと、補助対象の変更は行わないこと、ましてや交付税の引き下げなんてことは絶対やってはならないと思いますが、どうですか。
#339
○国務大臣(竹下登君) いわゆる国と地方を通じる行財政改革を推進するために補助金等の整理合理化は今後とも推進していくという、これはずっと続いておると思うのでございます。したがって、毎年毎年の予算編成に際して、補助事業の廃止とか縮小とか、あるいは同化定着したものを一般財源に移行するという大原則は絶えず考えておかなきゃならぬと思いますが、今回の法律をつくるに当たりまして合意しましたのは、今御指摘なさいましたとおり、「暫定措置の期間内においては、国・地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じない」、補助率に関して議論しましたときにはそういう申し合わせをいたしておるわけであります。ただ、一般論としての補助事業の全体の問題というのは絶えず見ておかなければならない課題であろうというふうに考えておるところでございます。
#340
○村沢牧君 交付税は。
#341
○国務大臣(竹下登君) 交付税は、いつも申し上げますように、これは本当の基本的財源配分のあり方でございますから、地方税、地方譲与税、そして機能分担から費用負担、すべて幅広いところから検討していかなければならない課題である、いつでも問題意識としてはそう思っておるところであります。だから、仮にもし国・地方税のあり方ということについて大転換でもあれば、税源配分が違えば別といたしまして、私は総合的に検討すべきもので、短絡的にこれだけをとらえて税率を引き下げるというようなことは安易に対応すべきものではないというふうに思っております。
#342
○村沢牧君 時間が参りましたので私の質問を終わりますが、先ほど何点か指摘をしたように、大蔵大臣、今日の法律改正なり地方財政対策について完全に措置をしたと言っているけれども、政府が明快に答弁できないものが幾つかある。こういう法律の出し方でもって、何とか地方財政は大丈夫だから安心してくださいというようなやり方はいけない。極めて不十分でありますけれども、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
#343
○中野明君 連日御多忙のところを日銀総裁に来ていただきまして非常に恐縮に存じておりますが、月曜日に私、円高の問題につきまして、戦後最高になったということで総裁と議論をしたんですが、あれからまだ一週間しかたっておりません。連日高値を更新してまいりまして、きのうの終わり値で大体百七十円二十銭、一時よりやや戻した感じはありますが、百七十円ぎりぎりであります。この今週全体の為替の動向というものを日銀としてはどういうふうに分析をしておられるか、また今後どう対応していこうとされるのか、最初に伺いたい。
#344
○参考人(澄田智君) お答えを申し上げます。
 おっしゃられましたように、先週末ごろから円相場はドルに対して一段と上昇して、二十二日以降百六十円台の相場もつけているわけでございます。これは円だけでなくて、ドイツマルクなど欧州通貨もドルに対して顕著に上昇を見ているわけでありまして、最近の為替相場の動きは円高というよりはむしろ全面的なドル安といった様相を呈している、そういうふうに見られるものであります。この背景は、大きくは原油価格の下落や米国金利の低下にあると思うわけでありますが、ごく最近につきましては、先週発表されたアメリカの鉱工業生産などの経済指標が総じて足元の景気の弱さを示すものと受け取られたことや、それから海外におきまして一層の円高を求める趣旨のいろんな人の発言があったと伝えられることなどが材料とされている、こういうふうに見られるものでございます。ただ、この急激な円高にはかなりいわゆる思惑筋の動きが絡んでいるように思われますので、一方においてはさすがに急速な円高に対する警戒感というのも市場で見受けられる、こういうふうに思うわけでございます。
 私どもといたしましては、当面におきましては円相場がより安定した動きとなることが何よりも望ましい、こういうふうに考えております。今後とも相場、為替市場の動きを注意深く見守りつつ適切に対応していくことに努力するつもりでございます。
#345
○中野明君 伝えられるところによりますと、日銀はしばしば介入をされたというようなことで、この急激な円高を防止するための逆介入をやられたと私は思います。そこで、日銀としてはこれだけの急激な伸びですから当然米国、欧州の中央銀行への政策介入というものを要請したと私は思うんです。これはG5の約束でもあります。その諸外国の反応はどうでしょうか。
#346
○参考人(澄田智君) どうも為替市場の介入につきましては、為替市場に非常に影響を与える当事者というような立場でございますので一般論的な言い方しか申し上げられないのでその点はお許しをいただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、為替市場が乱高下するような状態にある場合に適時適切に行うものである。日本銀行といたしましては米国を初め主要国の通貨当局と為替市場の動きにつきまして常に密接に連絡し、情報を交換しつつ適切に対応するということに努力をしてきているところでございます。
 ただ、介入に関しましては、介入の有無を含めいかなる場合にいかなる形で行ったかというような具体的なコメントは、冒頭申し上げましたような趣旨で私の口から申すことはお許しをいただきたい、かように存ずる次第でございます。
#347
○中野明君 ヨーロッパの方へ何か密接な連絡をとっているということしか申されないんですが、連絡をとったその結果の向こうの反応はどうなんでしょうかということをちょっとお聞きしているんですが、わかりませんか。
#348
○参考人(澄田智君) 為替市場の動きを、それぞれの市場の状況というのはお互いに連絡をとるわけでございますし、それに何らかの対応をするという場合にも対応するということも連絡をして対応する、こういうことをいたしている次第でございます。各通貨当局の対応とかそういう連絡に対する姿勢等につきましては、これはお互いにその市場との関係も考慮しつつ、それ以上申すことはお互いの通貨当局同士の信義の問題でもございますしそれは差し控えさしていただきたい、かように思う次第でございます。
#349
○中野明君 総裁、日本が連日最高値を更新して、そして日銀も今当局者の立場としておっしゃいませんけれども、もう介入しておられることは明らかだと私は思うんです。けれども、一国の介入だけではもうどうにもならない、こういうところへ来て、G5の合意というのは私も見せてもらっておりますが、結論の十八では、協調介入をしてお互いに、前回は日本が、アメリカが困ってそして日本の円を高く誘導するということに協調介入をしたわけですが、今は日本は中小企業はもうぶっつぶれようかというような困った状態になっている、そのときにG5の諸外国が政策協調してくれないということになるとG5の精神に反するんじゃないか。逆にヨーロッパあるいはアメリカが日本の要請をもし受けないということになると、日本のレートはまだ低過ぎる、このように向こうは判断しているんじゃないかと、こういうふうに思いますが、総裁はどう考えますか。
#350
○参考人(澄田智君) お示しのように、昨年九月のニューヨークのG5で申し合わせを合意をしたわけでございますが、その内容は、主要国の為替相場が各国のファンダメンタルズを十分に反映するようにドル高の是正を進めていく、そのために有用な場合には緊密に協調すると、こういう合意を見たわけで、その方向で協調介入を行ってきたわけでございます。この合意の精神は、本年一月のロンドンのG5においても確認をされたところでございます。現在におきましても、こうしたドル高修正という合意の精神に沿って日本を含め各国とも対応しているわけでございます。
 私どもといたしましては、あくまでも為替相場がファンダメンタルズを十分に反映するように適切な対応に心がけているところでありまして、この点は他のG5の国も同じ考え方に立っていると、こういうふうに承知をしているものでございます。
#351
○中野明君 総理、昨日も党首会談を次々おやりになったようですが、どの党からもやはりこの円高の問題は今日本にとりましては最大の問題でありまして、要請があったんじゃないかと伝えられておりますし、またそのとおりでしょう。最近の円レートが急激過ぎるというこの判断、日米首脳会談でレーガン大統領に為替市場への介入をお話しになったのかどうか、それについてレーガン大統領は何かお答えになったのか、その辺はどうなんでしょう。
#352
○国務大臣(中曽根康弘君) 昨年の九月二十二日のプラザアコードと言われるいわゆるG5以来の変化というものについてはやはりG5は成功であった、そうしていわゆるドル高の是正というものは貿易関係の調整にも役立ってきている、そういう点においては認識は一致した、それから政策協調は今後も話し合っていこう、その点においても一致した。しかし、介入するとかしないとかというそういう問題は日本銀行とか向こうのリザーブの関係がやることであって、我々政治家がそういうことに入るということは慎んだ方がいいと、そういう考えでおった。しかし、私は最近のこの円の急上昇というものはちょっとひど過ぎると自分は思っておる、日本の国内においても中小企業やそのほか近ごろ大企業でも非情に困難なものが出てきつつある。そういう意味において我々の方の認識としては余り急過ぎる、乱高下の気配があると、そういう認識を申し述べておきました。
#353
○中野明君 ところが、先ほど日銀総裁もお答えになっておるように、米高官の円高あおりですか、そういう発言もやっぱり円の急上昇の引き金になっているということも否めないわけです。ですから、せっかくアメリカにお行きになってレーガン大統領とお会いになっている、その後から後から、かえって円高をあおられて押しつけられているんじゃないか、そういうような気がしてならぬのですけれども、総理はそう思いませんか。
#354
○国務大臣(中曽根康弘君) 我々政治家は一般的政策問題について話し合っておるので、個別的に専門家がどう言ったかというようなことは余り我々がコメントすることは適当でないと、そう思っておりますが、しかし最近のこういう世界通貨に対するドルの急落という問題については、世界的にも関心も呼んでいるしアメリカ内部においても心配している人もなきにしもあらずだろうと私は思っております。
#355
○中野明君 大蔵大臣、G5ですから、もうここまで日本が困ってきたら、やはり協調介入の時期じゃないかと私は思いますが、その辺は大臣どうでしょう。
#356
○国務大臣(竹下登君) これは日銀総裁からもお答えになりましたとおり、我々は、G5の原則は今でもこれは生きておるわけでございますから、したがいまして絶えず緊密な連絡をとって対応すべき問題であると。
 この問題は、これは中野先生、やりますとか、やりませんとか、どういうときですとか、あすですとか、あさってですとか、きのうでしたとか、こればかりは、特に今総理からもお話がありましたように、非常にドルの全面安を心配しておる向きがありますので、ちょっとした発言が引き金になって世界じゅうの通貨の混乱という表現が適切か、いろいろな思惑等を生じちゃなりませんので、中野さんのおっしゃる意味は私どももよく理解をいたしておるということでお答えにさしていただきたいと思います。
#357
○中野明君 百七十円台にちょっと戻したように見えますけれども、ニューヨーク市場、ロンドン市場の終わり値、本日の日本時間に直した終わり値で見ますとやっぱり百六十七円、百六十八円と、こういうことです。ですから当然来週も再び百六十円台に突入するのは必至だろう、こう見ておりますが、一般に百八十円が日本の企業のぎりぎりの採算レートというふうに言う人が多いんですが、既にもうそれよりも十円上回っております。各地から悲鳴が聞こえてくる感じがしますね。ですから、もう円がとめどもなく上昇する危険、心配というものが中小企業の不安を一層増幅させることになります。
 ですから、日本としては円のもう天井だという感じを持つべきじゃないかと、こう思うんですが、通貨当局としてはなかなかこれは総裁至言えないことでしょう。レーガン大統領は円は完全に修正されていないというようなそういう表現をなさっているんですね。ですから、総理も方針というものを、定数的に数字で言えというそんなむちゃなことを私思っているわけじゃありませんが、レーガンさんもそういうことを言っているわけですから、ともかく経済全体から見て判断されて現状の円が適当なのかどうか、そういう発言というか、レーガンさんがそういうことを言っているわけですから、やはりそういうことを発言される必要はあるのじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
#358
○国務大臣(中曽根康弘君) 政治家が、特に財政金融にも関係している政治家が、具体的な問題について具体的な発言をするということは適切でない、これは両国とも同じです。
 しかし、アメリカ側の事情を見ますと、いわゆるオムニバス法案と言われる保護主義法案が委員会を通過して本会議を待っておる。それで、秋のやはり選挙を控えて民主党、共和党の内部おのおのの中においてこの法案をどうするかということ。ある場合には、今予算あるいは税制関係で血道を上げていますけれども、ある瞬間にさっとこれが出てくる危険性が十分ある。もしそういうことで課徴金なんかまたつけさせられたりすると、かえってこれは世界経済は停滞して悪影響を及ぼす。アメリカはそういう点で、議会が保護主義的傾向にいくのに対して極力警戒して、ホワイトハウスや行政当局はそういう介入とか統制主義的方向を排除して自由主義を守ろうとしておる。そういう意味において、介入の問題についてもそういうような基本的立場を今の状態では持っておるんです。基本的認識はそういうものだろう。議会を恐れておると、そういうことが政治的に我々は観察されると思っております。
 しかし、我が方の立場からしますと、これは円は急上昇し過ぎる、ドルはまた急落し過ぎている、そういう認識を持って、そして、これはいわゆる乱高下に入るんではないか、為替に関する投機筋が相当動いてきているんではないかと、そう見ておって、これが適正であるとは思っていない。その適正であると思っていないことを日銀や何かがどうするかということは専門家がやることでありますが、私の認識はそういうことであると、そう思っておるわけです。
#359
○中野明君 これは本題でないので、こればかりやっておると時間がなくなりますので、最後に。
 もうここまで参りますと、これは東京サミットを目前にしておりますが、サミットでやはりこれは大きな議題となる。私は、してもらわなけりゃならぬと思うんです。そして、サミットでいわゆる協調介入の理解を求めるというのが総理にとっての一つの大きな仕事じゃないかと、こう思うんですが、いかがでしょう。
#360
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際通貨関係の安定という点は、みんなやはり願っておるところであり認識も似ている。今までのサミットでもそういう話をしてまいりました。それと同時に、政策調整の必要性という点も一致していると私は思うんです。そういう意味において、この安定性とそれから政策調整の必要性というものをさらに強調していきたい、そう考えております。
#361
○中野明君 日銀総裁、どうもありがとうございました。
 それでは法案の問題に移りたいと思いますが、中曽根内閣は何か少し、私たちの感じではすべて先手先手と打っていかれるように見ておるわけですけれども、どうも国内的な問題につきまして、特に法案の提出とかそういう手続の問題については後手後手に回っているんじゃないかという気がしてならぬのですが、結局、民主政治というのは、総理もう百も御承知のように、手続の政治とも言われておりますが、重要な手続が間に合わない。そのために無理が出てきて、結果として去年に引き続いて同じような苦しみを政府も、そしてまた議会もやっているわけです。これがこの法案の一番の私たち悩みでございまして、国会の審議権まで制約をするような法案の提出の方法というのは、先ほど同僚委員から追及ありましたのでこれ以上言いませんけれども、きょうも連休前の土曜日です。もうこれだけ大勢の人、ここに出ている人だけじゃない、この裏に大変皆さんに御迷惑をかけているわけですね。もう本当に気の毒なことだと私は思います。総理もその点はおわかりだと思います。
 私たちは一番この問題で去年から続いて悩んでいるのは、参議院の良識、そして国会の権威。参議院の良識のうちには、国会の権威を守るということも入っているでしょう。しかしながら、今日の政治状況を考えたらどうしても何とかしなきゃならぬと、反対ですけれども。そういう参議院の良識と国会の権威を守ろうというはざまで物すごく悩むんですよ。こういうやり方というのはもう改めてもらいたいなと。いつも参議院へ全部しわ寄せがくる、去年に続いて。少しは工夫されています。それは認めます。去年よりは一歩も二歩も前進して工夫はされているけれども、苦しみは同じなんです。与野党とも本当にこのことについては、今申し上げたように苦しいぎりぎりの選択を迫られて、きょうここへ来てしまったわけです。
 ですから、こういうやり方というのは今後もう余りとられるべきじゃないと、このように思うんですが、総理、御感想を聞かせてください。
#362
○国務大臣(中曽根康弘君) まことに恐縮に存じております。それで連休前の土曜日まで御審議を煩わしておりまして、本当に申しわけないような気がいたしております。一歩ずつ改革してまいりたいと思っております。
#363
○中野明君 ぜひお互いに、我々の方も知恵を出しますが、両方が知恵を出して工夫をせぬとたまらぬです、これは。
 それで、予算編成の手続の問題で先日も大蔵大臣とちょっと議論をしたんですが、きょうは総理にお尋ねをするんですが、先ほどもお話が出ておりました補助金問題検討会、これの報告が出たのが十二月二十日ですね。そして明くる日には補助金問題関係閣僚会議で、もう全面的にこれを受け入れてやりますと、こういうことです。そして、もう二十三日には予算編成方針が決まって内示が出ているんです。ですから、これは手続の後追いになっているような気がするんですね。自治大臣も厚生大臣もそのときおられなかったものですから、ぱっとかわっているからもう言いようがないんです。大蔵大臣が一人残っているだけなんです。ですから、本当に補助金問題検討会の報告書を真剣に検討する時間があったと思えぬのです。大蔵大臣は何回も大蔵大臣を続けてやっておられますから頭に入っているんでしょうけれども、本当にこういうやり方、しかも総理のいわゆる諮問機関である地方制度調査会というのはこれははっきり法律に基づいております。ところが補助金問題検討会というのは、今はやりと言えば言葉が悪いですけれど、あなたのお好きなど言うのですか、どう言ったらいいんでしょうか、これがやっぱりいつも議論になるんですが、私的懇談会です。そしてけさほども来ていただいたんですけれども、はっきりそうおっしゃっています、権限も何もありませんと。それはそのとおりだと思います。
 そういうことを考えますと、地方制度調査会の答申は十一月二十七日に出ているんです。この補助金の問題についての内容を私見てみますと、検討会の報告よりもよほど豊かで合理的で納得ができることが多いんです、地方の側にとっても我々国会から見ても。ところが、それがもう先月、前の月に出ている、一カ月ほど前に出ているのに、一番後の補助金問題検討会の報告が出てくるのを待っておって、それが出てきたら、はいと言って全面的にこれを予算に活用しましたと言うけれども、活用する間がないから結局後追い、この検討会はいわゆる追認の役目を果たしただけじゃないか、こういうふうにしか私にはとれないんですよ。
 ですから、せっかく同じことを議論するのでしたら、総理の諮問機関である、あなた自身が任命をされた法律に基づいた諮問機関の専門家が集まって長い歴史を持ってやっているところの方が一カ月も前に出ているのに、それには目もくれないで補助金問題検討会の結論を用いるというこのやり方は、私はやはり私的諮問機関に対する批判の一つになっている、こう思うんです。ですから、こういうやり方を改めて、こんなの二重でしょう、あるんですから。それをぜひ改めてもらいたいなと、こういうように思いますが、どうでしょう。
#364
○国務大臣(竹下登君) 中野さんのおっしゃる意味はわかりますが、いわば地方制度調査会の方は地財側から見た意見が出て、また財政制度審議会ということになりますと財政中心的意見が間々出がちなそういう性格もあろうかと思っております。したがって、今度の場合はいわゆる補助金問題関係閣僚会議というもので決めようと。しかし、会議は必ずしもみんな専門家がおるわけじゃないからというので、参考にさせていただくために検討会をつくって、検討会十二回、その都度聞かされております、大体の問題点を。そこでまとめてもらったのを翌日の閣僚会議で決めて、そして閣議了解をいただいたということでございますから、ある意味においては行政府の権限で決めていくというのも行政の一つのあり方ではなかろうかというふうに思うわけでございます。いわば厚生大臣、そしてまた自治大臣、大蔵大臣、それぞれの立場に立ちながら対等な三者会談とかいうものでやるわけでございますから、行政の措置として位置づけするためには、閣僚会議に基づく閣議決定というのも一つの見識のあるものではなかろうか。ただ、その際も、地方財政制度の関係の答申等も十分念頭に置かせていただいたから、いろいろな措置でもって出口ベースだけは守らなきゃいかぬという合意の背景もそこにあったではないかというふうに思っておるところであります。
 しかし、今おっしゃいますように、八条機関等を活用すべきであるという御意見は、それなりに十分ちょうだいできる御意見だと思います。
#365
○中野明君 同じ問題をやるのにこういうやり方はよくないなと私は思います。しかも、今申し上げたように結論、報告が出て、明くる日にはそれをうのみにしているというのじゃ、これは話にならぬということです。
 それで、地方の方は、地方団体は国の財政が極めて厳しいことは承知しておりますと。ある程度の協力はやむを得ないと考えていたが、地方団体が反発するのは、その金額に対してよりも補助金等の削減の手法に対して反発をしているのであって、筋の通った補助金の整理ならむしろ地方団体が引き受けてもよいという姿勢でありましたと。ところが、地方団体の主張は各方面の強い反対に遭って、補助金等の整理は地方団体の納得するやり方で行われなければならないという立論は十分に実らなかったと、こういう不満を述べている人もおるわけですね。ですから、やはり国と地方は総理もいつも言われるように車の両輪ですから、だからそういう面ではどうしても地方の意見というものも反映してあげないとこれはうまくいかないのじゃないかと、このように思うわけです。
 そこで、先日私、補助金問題検討会に大蔵省、自治省その他が説明のために提出した資料を要求したら来ましたのですが、自治省が出した提出資料の中にこういうことを書いておりますね。「単なる補助負担率の引下げは、公経済の中で国から地方への負担を移すだけで、公経済全体としての支出が抑制されるものではない。」、そのとおりだと思います。ところが、いろいろ言われていますけれども、結論として、一番心配しているこれになって、自治省の考え方と全然違う、無理に抑えつけられたと言わざるを得ぬような結果が出ているわけです。そこで、総務庁長官にも来ていただいているんですが、今回のこの法律案を静かにごらんになって、そしてこれは行政改革から見てどうなんでしょう。どうごらんになっていますか。
#366
○国務大臣(江崎真澄君) これは行政改革の面から申しますと、やはり聖域は置かない、それから地方の情勢に合ったものはやはり地方にお願いをし、また中央が引き受けるものは中央が引き受ける、そして簡素効率化を図っていこう、こういう見地に立って慎重に検討した結果の答申が前回累次にわたって出ておるわけで、それを踏まえて今度の検討会へと、こうなったわけであります。したがいまして、それはそれと。
 それから、さっき村沢さんの御質問にありましたように、地方交付税の交付税率の見直しまでやるんじゃないかと。これは新聞で私も拝見しました。しかし、そういう税の根本に関することももちろん議論の中では出たと思います、マスコミにのる以上は。けれど、そういうことは結論にはなっていないというふうに聞いておりますので、ついでの折ですからお答えしておきますが、そういうふうに聖域なしにいろいろな議論はしておられる。その積み重ねの上に、累次にわたって行ってきたところの結果、検討会において三年延長をした、こういう道行きになっておる、そういうふうに御理解を願います。
#367
○中野明君 今私がお尋ねしているのは、公経済の中で国から地方に移しかえるだけでしたら、これは国の方は何とか行財政改革になったかもしれませんが、地方は逆ですものね、移しかえられたんですから。そうすると、公経済の中での行政改革になっておらぬじゃないか、こういうことなんですが、一どうですか。
#368
○国務大臣(江崎真澄君) これはもう仰せの点はよくわかります。国の財政も苦しい、地方の財政も苦しい、その度合いの違いは国よりは地方の方が豊かなところもありますが、しかし、一々それを今ここで議論しようとは思いません。やはり地方になじむものについては権限委譲もしてそうして担っていただこう、こういうことで適正化を図った、三年間の延長を図った、こういうわけでございますので、その点は御理解おきを願いとうございます。
#369
○中野明君 ちょっとお答え納得できないんですが、公経済の中でこうやっただけですから、国の方は行財政改革の一環かもしれませんけれども、地方は公経済全体から見たら何も節減にもなっていないし、振りかえられただけだから、こんなものをもって行政改革という認識を持たれたら困る、行政改革というのはそんなものじゃないということを私は言いたいんですけれども、まあいいでしょう。
 そこで、先ほどの円高の問題ですが、けさほど総務庁長官もお答えになっていましたが、円高の差益還元ということで、これはやはり国民にその差益は還元しなきゃなりません。我が党の鈴木副委員長が政府に対して質問主意書を出されまして、それをつぶさに私も拝見をいたしましたが、まことに答えは消極的ですね。もっと本気になってほしい、こう思うんです。
 まず運輸省、何かこの円高差益還元で、運輸省関係でも質問主意書が出ているんですが、運輸大臣、お考えがあったらお答えをいただきたいと思います。
#370
○国務大臣(三塚博君) 円高差益が出ますれば、直ちにやるのが政治の原則だとは思います。ところが、運輸関係、御案内のように、バス、タクシー、国内航空、旅客船、トラックをとりましても、費用構成に占める人件費率というのが圧倒的に高いわけでございます。タクシーでいいますと七五%、こういうことで大体七〇台。燃費の構成比は一〇%以下というのが多いわけであります。旅客船は二一・二%程度でございまして、率ということになりますと、今回の円高は、占める比率は〇・七で、額で百十億円というのがバスです。タクシーはLPGでありますが、〇・六で百二十億、こんなことに相なりまして、全体で九百二十億、こういうのが輸送関係に占めるメリットであります。
 ところが、御案内のように、今日の景気停滞というんでしょうか、輸送の状況からいいますと停滞状態にございまして、このことがこれを引っ張り、到底このことを料金の下げに回すにはまだそういう状況にございません。こういうのが率直に申し上げて現状であります。しかしながら、今後の諸状況を踏まえながら取り組んでいかなければなりません。
 ただ、一点言えますことは、国際航空、これはどうだと言われるわけでございますが、この点は、ドル建てで料金をいたしますものでありますから、この分について国際航空は逆に五百億円程度マイナスになります。しかしながら、総体で見てみますと、それでも七十億程度ということで言われますほどに相なりません。外航海運はドル建てでありますから、逆にこれは五百億円近い赤字が出て、海運・造船に足を引っ張られるという結果に相なっておるということであります。
#371
○中野明君 要するに、国民の皆さんにやはりそういうことをわからす必要がありますね。普通、タクシー料金でも、値上げのときには、油が上がっからといってもうどんどん値上げをして、この質問主意書にも書いておりますように、四十七年から五十四年の間にオイルショックというようなことで倍になっていますね、基本料金が。そういうことがみんな印象にあるわけですよ。油が上がったからタクシーの料金を上げてくれといって、もう何遍も上げて倍になっちゃったという印象が残っているわけですね。それが今度の円高、しかも油の値は下がった、二重に安くなっているんだからという――それをやはり国民の皆さんに納得させるようにしないと、けさほども総務庁長官との議論で聞いておりましても、国民としては何かこう期待をしていますよね。それがひとつも下がらぬと、これはどういうからくりになっているんだということになるわけです。
 農水省もそうなんです。農水省も、日本はもう世界一食糧を輸入している国だと。魚介類もそうですね。それらが目に見えて一割下がったとか二割下がったということになってくると、ああこれは円高のありがたみだなということになるわけなんですけれども、一切そういう話は聞かぬのです。ですから、その辺を関係の各省はもっと力を入れて、私たちもそれは実態調査をしたりしてやっていきますけれども、力を入れてやはり国民の皆さんに還元をしていく、そういうことをしていくことが政治の責任だろうと思いますので、その辺は総理ひとつ各省を督励してぜひやっていただきたいと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
#372
○国務大臣(中曽根康弘君) 円高に由来する余剰があるという場合は、できるだけこれは消費者に還元するというのが原則であるべきであろうと思って、その趣旨に沿って努力してまいります。
#373
○中野明君 次の問題は減税の問題であります。
 きのう政府税調が中間報告を出しました。先ほどお話が出ておりましたが、今回は、大蔵大臣にこれは反省もしてもらわなきゃなりませんし、国会ではいつも、何か税金のことを言うと政府税調やと言ってそこへ逃げ込んでそこでやっておられますので、我々が余計なことを言うと、予見を差し挟むとか言って非常に聖域にしておられるんです。きのうのテレビもごらんになっておったとおっしゃるから申し上げるんですけれども、政府税調の小倉会長が非常に不満を漏らしておられますね、あのテレビを通じても、きょうの新聞でも。こういうことが、やっぱり国民に政府税調というもののあり方についても不信を持たせる、そういうことになってくると思います。
 特に小倉会長がきのうテレビで不満を漏らしておられたのは、政府税調の審議内容を自民党税制調査会がいいところだけ取り上げて一日早いこと発表している。これはさっきお話が出ておりましたように、総理、選挙目当てや言われてもしょうがないんですよ。それで、増税の方は秋に最終報告ということになるわけですからね。こういうやり方。だから小倉会長は、「政治と行政のいまの関係がいいとは思っていない」というふうに不信を持って批判をしておられますね。こういうことが、今情報が発達しているときですから、もうテレビ、私も気になることですし、国民は皆見ておりますよね。一体政府税調というのは何してくれているんじゃ、こういうことになってきます。また、総理が何とかして税調に活力を入れようということで、何人か、新聞の記事では「暴れ馬」とか書いていますけれども、こういう表現がいいかどうかしりませんけれども、この人がやはりむなしさを吐露しておられる。要するに「外部から入って感じるのは、委員を長くやらせてはだめだということ。官僚と発想が同質化してしまうからね……」、こういう批判を率直に漏らしておられるわけですね。
 だから、そういうことをいろいろ考えますと、新聞の報道ですからどこまでということを言われると私も自信がありません。本人に聞いたわけじゃないんですけれども、小倉会長も、増税の手だてが固まらないうちに大幅減税を打ち出されてはたまらないと、大蔵省から報告の中身に歯どめをかけられたことに加えて、今度の自民党からの一日早い発表ということで非常に不満を持っておられるわけです。こういうことを改めていただかないと、税金に対しては今国民の関心は、先ほど総理も大蔵大臣も答えておられたように、最大の関心が集まっているときでしょう。そのときに、何かその税金のことを一生懸命審議してくれる税調の会長が不満を持っているというのでは困りますね。その辺、大蔵大臣どう思われますか。
#374
○国務大臣(竹下登君) 政府税調の過去からの経過を見ますと、確かに政府税調の御答申を政策選択の段階で実行できなかったこともございました。それとてその都度了解を得ておりますが、これはやむを得ないこともそれはあろうかと思っております。また、今年のように、たばこを政府税調が済んでからお願いするとか、そういう反省すべき点も確かにあろうと思っておりますが、にもかかわらず本当に熱心に御討議をいただいておりますので、私どもはやはりこれは最大限に尊重して、そしてあらゆる協力を惜しまないということで、謙虚に意見を聞くべき問題であろうというふうに思っております。
 党税調との一日早かったかどうかの問題については、ちょっと私の論評の外に置かしていただきたいと思います。
#375
○中野明君 そういう点を、総理、やはり世論は敏感なものですから、そういう批判が出るようなことはやはり慎むべきじゃないかなと、このように思いますので、あえて申し上げておきました。
 それから、今たばこの話が出ましたが、先日も当委員会で仕掛人は私でございますと素直に認められまして、すべての責任を一身にお受けになっているということに私は大したものだなと思っておりますが、しかしながらたばこの値を上げられたんですから、僕もこの委員会をやってから一箱余分に吸うようになりましたよ。ずっと長いですからね、毎日。これで上がったらたまらぬなという感じがあるんですが、来年はどうされるのか。これまた税調だとおっしゃるんですけれども、決断は政府ですからね。大蔵大臣、たばこの自動販売機を、あれは全部じゃないんですが、変えないといかぬですね。それに一台八万円ぐらいかかるんですよ、直すのに。全国に何万台がまだあるんですよ。あなたが仕掛けたために、小売はそれだけ余分に金が要るんです。これは内需拡大になるのかどうか知りませんけれどもね。それで、来年またもとへ戻すとか、来年それよりももっと上げるとか、こういうことになってきたときには困りますよ。
 だから、こういうことはそういうこそくなことをやらないで、まだ税調でまたどんなことが出てくるかわかりませんね。もうこれはやめておきなさい、もとへ戻せということが出てくるかもしれませんけれども、だからあのやり方はよくなかったですね、税調が終わってからのやり方は。この点は小売店の人たちに迷惑をする人がおりますからね。そしてまた、来年どうなるんだろうかというふうに余計な心配までさすんですから、やっぱりその責任はありますな。もう自白なさったんですからこれ以上言いませんけれどもね。
 最後になりますが、総理、きのうから、これはよその党のことになって申しわけないんですけれども、おたくの党の中で有志の議員が同時選挙反対や言って決起大会を開いて、文書をつくって自民党の全議員に配るというようなことの動きがあったやに伝えられているんですが、同じ自民党の中で、総理は総裁ですから、だから総理の言動、総理を取り巻く周囲の人の言動の中に、自民党の議員さんの中で、各派閥からやっぱり集まっていたらしいんですが、そういう不安を与えるということはよろしくないなと。
 同時にまた、野党まで連動して、もう衆議院は大騒ぎしていますよね。これは同じ党の人たちにもそういう不安を与えるというのはよろしくないなど、こう思うんですが、内政干渉になると怒られたら私困りますので余り言いませんけれども、総理、同時選挙などここで皆もううろうろせぬように、国会の審議もほったらかして国元へ帰ったりするようなことのないように、参議院は土曜までこうやって頑張っているんですから、何かここではっきり、ただ考えておりませんだけじゃ余計いかぬのです。もうちょっとはっきり何かみんなに余り慌てるなという方法はないんですかね。自民党さんまで慌てているから、ちょっとこっちも慌てます。どうでしょうか。
#376
○国務大臣(中曽根康弘君) 解散は考えておりませんと前から申し上げているとおりです。
#377
○中野明君 声がちょっと小さくなったから、なおまた皆走り出すんじゃないかと思うから、もうちょっと大きな声でおっしゃったらどうでしょう、もう一度。
#378
○国務大臣(中曽根康弘君) 解散は考えておりませんと前から申し上げているとおりであります。
#379
○中野明君 終わります。
#380
○橋本敦君 私は、問題の撚工連事件からまず質問に入りたいと思います。
 この問題についてはついに政権与党の自民党の有力代議士にまで波及をするという事態になりまして、事は極めて重大であります。かつてはロッキード事件がありました。そしてまた、最近マルコス疑惑の問題が取りざたされておるのでありますが、それに増して撚工連事件は具体的な政界腐敗という状況が国民の前に明白になってきつつある重大な事態を迎えております。この問題は、我が国の政治の体質に深くメスを入れなきゃならぬ重大な事態でありますが、国民の政治に対する信頼をも損なう、そういった面の重大さを考えても、総理として事態は重く認識していらっしゃると思いますが、まず最初に重ねて総理の御認識を伺いたいと思います。
#381
○国務大臣(中曽根康弘君) 撚工連事件につきまして、事件が稻村代議士にまで波及してまいりまして、甚だ遺憾でございます。きのうも申し上げましたとおり、深く反省をして、こういうことが再び起こらないように戒めていきたいと思っております。
#382
○橋本敦君 刑事局長にお伺いしたいのでありますが、この問題については先ほど稻村代議士に関する容疑事実の説明がございました。私は検察官はこの問題に関しても不正な犯罪行為は許さないという厳正な立場を貫いて捜査を遂げつつあるように期待をしておりますけれども、いやしくも国会議員に対して事情聴取を特定の容疑事実について行うという段階に検察庁が踏み切るということは、その事実について、あるいは法律の適用についても犯罪の成立の可能性が十分あるということについて確信を持っておやりのことだと、こう思いますが、いかがですか。
#383
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましては、証拠に基づきまして事実を認定し、また法律を正当に適用いたして解釈いたしまして、収賄の容疑事実を認定いたしたところでございます。
#384
○橋本敦君 今おっしゃったように、収賄の容疑事実を具体的証拠に基づいて認定したということであります。
 そこで、まず伺いますが、収賄の金額としては幾らと認定しておりますか。
#385
○政府委員(岡村泰孝君) 数百万円ということでございます。
#386
○橋本敦君 それから、問題の職務権限でありますが、私もこの点は法務委員会でも刑事局長と若干の意見の交換、質問をいたしましたが、稻村代議士が商工委員として商工委員会において法案の審議あるいは国政調査権の発動による問題の審議、こういったことに直接の職務権限を持っていることは明白でありますが、そういった職務権限を基本的に持っている稻村代議士が横手代議士を通じて質問するように仲介、あっせんする行為、そして同時に、みずから通産省に働きかけをして、それに対する答弁を業界要求どおり有利に答弁するようにと働きかける行為、このいずれについても職務行為そのもの、あるいは本来の権限ある職務行為と密接に関連した職務行為、こういうことで収賄を成立せしめるに足りる職務権限ありという認定を法律的にも確信を持たれたと思うんですが、いかがですか。
#387
○政府委員(岡村泰孝君) 御指摘の二つの行為が職務に関する行為であると、かように考えておるところでございます。
#388
○橋本敦君 したがって、法的にも事実からも容疑事実は極めて明白であります。しかも、これについて十分客観的証拠によって確信を持って事情聴取に踏み切ったということも明らかであります。
 重ねて刑事局長にお伺いしますが、今、国会開会内でありますから、逮捕に踏み切るためには逮捕の許諾請求が必要でありますが、そこまでの手続を今おとりになっていない理由は、特段の理由があるのですか。
#389
○政府委員(岡村泰孝君) 任意の取り調べで十分であるという判断でございます。
#390
○橋本敦君 本人は記者会見をして全面的に否定をしておりますけれども、今日の裁判や捜査は、いわゆる自白偏重ではなくて、捜査の常道は客観的証拠を収集し積み上げることにあることは、今日の刑事訴訟法の規定から言って明らかであります。本人が全面的に否定しているにもかかわらず、任意捜査で事足りるという現在の判断をしておられるということは、客観的によっぽど確信ある証拠を入手しておられるというように推測し得るのですが、そう解してよろしいですか。
#391
○政府委員(岡村泰孝君) 証拠に基づいて事実を認定いたしておるところでございます。ただ、具体的な個々の証拠については申し上げかねるのでございます。
#392
○橋本敦君 私は、あえて逮捕せよということを決して言っているつもりではないことを言っておきますが、任意捜査で事足りるということであれば、任意捜査でやるのもこれも捜査の常道でありますから結構であります。しかし、今お話しの法的判断の確信、それから客観的な容疑事実に対する証拠の収集という点からいいますと、普通なら逮捕状を請求し得るだけの資料はもう十分収集している状況にあると、こう見て差し支えないと思いますが、どうですか。
#393
○政府委員(岡村泰孝君) 任意捜査でやっているのでございまして、ただいまの点につきましてはお答えいたしかねるのでございます。
#394
○橋本敦君 総理にお伺いしたいのでありますが、今私が質問いたしましたように厳正に検察庁としては捜査を遂げつつある。しかも、それは有力な客観的証拠に基づいて、本人の全面否定にもかかわらず、法的にも、事実の証拠の上でも確信を持って進められておる。かつて伊藤検事総長は巨悪を逃さないということをロッキード事件の際にも名言として言われましたけれども、検察のそういった正義感あふれる姿勢というのは私は当然正しいものだと、こう思うわけでありますが、今検察のそういった答弁を踏まえても、全面否定を本人がしているにもかかわらず、この問題について客観的に物事を判断するならば、事態の重大さは一層明白であります。
 そこで、私は総理にお伺いしたいのでありますが、この稻村代議士は総理の中曽根派の有力政治家であり、また中曽根内閣で閣僚にもなった人である。同時に政権与党の有力政治家でもある。私はこの問題について、政権与党が国民と政府に負っている責任の重大さを考えますと、この問題について総理は総裁としても、また総理という立場において国民との関係においても厳正な処置をもって臨まれる姿勢が必要ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
#395
○国務大臣(中曽根康弘君) 司法当局の捜査の推移を今見守っているという状況であります。
#396
○橋本敦君 本人は否定をして、離党する意思がないということを記者会見で言ったようであります。それは本人の自由な意思であります。しかし、私はそれを本人の立場でとやかく言うのではなくて、事態の重大さと、それから総理が本来負っていらっしゃるべき責任の重さを考えるときは、捜査の推移を見守るとおっしゃったその進展のいかんによっては襟を正して、本人に離党勧告など厳正な処置をとられることが政治の信頼を回復する上で重大な一つの手続になると、こう思うのでありますが、捜査の進展を見てとおっしゃるそれに関連をして、今私が指摘したことについてのお考えを伺いたいと思います。
#397
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく司法当局の捜査の推移を見守っておる、こういう状況ております。
#398
○橋本敦君 総理、くどいようでありますが、私は総理の厳然たる姿勢を伺いたいのであります。まさにあなたの派閥の有力政治家なればこそ、また総裁でいらっしゃる自民党の政治家なればこそ、このことを私はあなたに聞けるわけでありまして、事態の推移いかんによっては本人に離党勧告することもあり得るというのは総理の断固たる姿勢の一つとして当然のことではないかと思うのですが、違いますか、重ねて御答弁をいただきたいのであります。
#399
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく司法当局の手に渡った司法刑事事件になっておるのでございますから、ともかく捜査の状況、今後の推移を見守っておるという態度を持しております。
#400
○橋本敦君 法務省に伺いますが、捜査を遂げれば当然起訴という方向に踏み切られる、そういう状況はあるように新聞その他にも報道されておりますが、私は事実が腕白となれば、当然起訴ということも検察官はお考えの中の一つに置いて厳正な捜査を進めているに違いないと思うのですが、いかがですか。
#401
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局におきましては捜査を遂げました結果、何らかの処分をいたすものでございますが、処分につきましてはまだ今後の問題でございますので、今の段階でどういう処分をするかについては申し上げかねるのでございます。
#402
○橋本敦君 明確に処分の結果を今聞こうとは思いませんが、私が言うのは、今法務省がおっしゃったように、職務権限の関係についても事実についても客観的証拠を持って、確信を持って捜査を進められておるわけですから、その捜査の結果、起訴することもあり得る、そういうような考えでおやりになっているのではないか、当然のことではないかと思うんですが、もう一度答えてください。起訴することがあり得ないということで捜査しているわけないでしょう。
#403
○政府委員(岡村泰孝君) 一般的には御質問のとおりでございますが、具体的本件につきましての答弁は差し控えたいと思います。
#404
○橋本敦君 したがって、総理がおっしゃる事態の推移によってはということは、次に新たに起訴ということの段階を踏まえて、その時点で、それもこれからの推移の一つの重要なプロセスとして考える必要があるというようにお考えの上で、推移を見るというようにおっしゃったわけですか。
#405
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく、司法当局の手に渡った、刑事事件となって案件中の問題でございますから、推移をよく見守っておるという態度を持しております。
#406
○橋本敦君 私は、問題の政治的重要さを思いますと、総理としていま一歩踏み込んだ厳正な姿勢があってしかるべきだと思うのでありますが、その段階に御答弁がとどまっておるようでありますから、先へ質問を続けていきたいと思います。
 私は、ここで総務長官にお聞きしたいのでありますが、仁の問題は、一つは撚工連が直接に通産省の役人に働きかけて、いわゆる接待その他わいろ攻勢をかけたというルートがあります。これは、通産省の役人が既に起訴をされている。一方、政治家に対してわいろを贈って、有利になるように国会で取り上げてもらう、あるいは直接通産省に働きかけてもらう、こういう工作があったようであります。
 そこで問題は、問題となったあの機織り機械、より糸機械の設備共同廃棄事業の問題でありますが、この事業について、そういった業界のわいろ攻勢、直接の通産官僚への働きかけ、あるいは政治家を通じての働きかけによって、本来公正であるべき通産省のこの共同廃棄事業に関する事業、あるいは設備構造改善に関する事業が公正にやられたのか、曲げられたのか、そこにそういった影響力が入った結果、設備共同廃棄事業が継続をされ、早期に実施をされ、構造改善事業が五年の延長になるというようなことになっていったのか、これは、行政の立場で私は厳密に検討すべき必要があると思うんです。法務省は犯罪の捜査を厳正にいたします。しかし、犯罪の捜査とは別に、行政みずからがこの事件についてみずからの手で行政監察という建前を貫いて、そういった観点を貫いて調査をするという必要がこの事件には出ているのではないかというように思うのでありますが、お考えはいかがですか。
#407
○国務大臣(江崎真澄君) 政府の監督下にある団体に関連してこういう不祥事が出たということはまことに遺憾なことだと私も考えております。
 この撚工連事件は、今、総理も答えておりますように、既に司直の手に渡っております。それから共同のいわゆる設備廃棄事業、これについても直接官庁である、所管省である通産省が関係者を出して、しかも逮捕をされたということから、通産省としても二度とこういうようなことがあってはならないということで厳重にこれらの取り締まり、また見直しを行っておるところであります。したがって、我々監察権を持つ総務庁としては、司直の動向は司面の動向といたしまして、とりあえず行政官庁である通産省の対応、そうしてその厳正な対応によって再びこういうことの起こらないようにする調査、管理、この動向を厳重に見守っておるところがただいまの姿勢でございます。
#408
○橋本敦君 総務庁に伺いますが、通産省に対して、この事業にかかわってこれまで行政監察を行った事実はありますか、ありませんか。
#409
○政府委員(竹村晟君) この事件に関しての調査というのはございません。
 今までやりましたもので参考までに申し上げますと、中小企業倒産防止共済法あるいは中小企業地域情報センター事業、この種のものについて調査をしております。
#410
○橋本敦君 総務長官、私の手元に昭和四十八年度版の「行政監察年報」というのがあります。これによりましても、行政監察の目的は、行政管理庁が政府部内にありながら、政府部内としても客観的、公正な立場を貫いて、行政に対して政府の自律的な内部統制機能、これを行い、そのことによって行政の公正と効率的な運用、さらに綱紀の粛正、維持、これを図ることがその目的として掲げられていますね。
 したがって、そういう点からいいますと、まさに行政の公正さ、綱紀の維持、こういう点について今重大な事態が発生しておるわけでありますから、今、総務長官がおっしゃるように、まず当該官庁がえりを正して調査をする。当然でしょう。しかし同時に、総務庁は、重大な調査権限と機能を持っている役所として、通産省の調査の結果を踏まえて、本件について必要あらば行政監察を行って、この本に書いてあるように、その責任を明らかにし、綱紀の維持を図り、将来の予防的効果の確保、こういった問題についてもしかるべき措置をとるということを検討する必要があるのではありませんか。
#411
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は全くそのとおりだと思います。したがって、主務官庁である通産省の厳正、公平、しかも二度とこういうことが起こらないように、また仕組みに一体どういう不合理があったのか、これらの監察結果を待って、厳重にこれを見守り、注視し、必要があれば私どもが当然公正を期して監察をする、これはありますが、まず主務官庁にゆだねておるというのが現段階であります。
#412
○橋本敦君 会計検査院にお伺いしたいと思うのであります。
 この問題についてはこれまで国会でも数々の論議がありましたが、撚糸工連事件で、国の資金の融資や補助を受けまして、しかもそれが虚偽の申請によって、廃棄の数に入っているのに入っていないようにして国の資金の補助や融資を受けるということになりますと、これはまさに詐欺的行為であります。国の資金の流れがそういうことに使われるということは、会計検査院としても見逃すことのできない重大な事態だと思うのですが、この点についての御関心はいかがですか。
#413
○説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。
 会計検査院といたしましても、今回の事態を大変重大なものとして受けとめているわけでございます。中小企業事業団の設備共同廃棄事業に対しまする貸し付けにつきましては、現在、逐次検査を実施しているところでございます。そして、その検査におきましては、従来同様に不適正な事態の有無の調査をすることはもちろんでございますが、また御指摘のように、制度自体に問題はないか、またその有効性は確保されているのか、そういう点についても検討しなければならない、かように考えております。
#414
○橋本敦君 重ねてお伺いいたしますが、この問題でもう一つの問題は、撚工連が国から受けた融資や補助を一部債券投資その他に運用して運用益を上げて、その金をいろんな官界、政界工作に使った、そういった疑いも報道されているわけであります。もし、それが事実だとしたら、国から受けた補助金やあるいは融資をそういった不正な金を生み出すために運用するなどということは、これまたもってのほかであり、国の資金の流れを厳正にやらなくちゃならぬという立場から見ますと、これも会計検査院が当然重視をすべき違法、不当な事項になると思いますが、いかがですか。
#415
○説明員(秋本勝彦君) そのような点も含めまして検討をいたしたいと思っております。
#416
○橋本敦君 だから、したがって今回の撚工連事件については会計検査院としても全面的に重視をして調査するという方向を一層今後とも強化されることを私どもは期待するわけでありますが、そういう方向で調査を鋭意急いでおやりいただくということを要求したいのですが、いかがですか。
#417
○説明員(秋本勝彦君) 今、鋭意検査をしているところでございます。
#418
○橋本敦君 早く厳正な検査を遂げて、結論を明確に国民の前にしていただきたいと思うのであります。
 ここで自治省に伺います。
 今、刑事局長が答弁をされましたように、稻村代議士が収賄したと見られる金額は数百万円であります。昭和五十七年あるいは五十八年、そのころこの数百万円と見られるお金が、つまり政治的寄附、献金として正当に政治資金規正法に基づいて届け出がなされている事実がありますか、ありませんか。いかがですか。
#419
○政府委員(小笠原臣也君) お答えを申し上げます。
 本日御連絡がございましたので私ども調べてみたわけでございますが、稻村議員及び稻村議員の指定団体である産業構造研究会につきまして、自治大臣に提出をされております五十七年分及び五十八年分の収支報告書には撚糸工連からの寄附の記載はございません。
#420
○橋本敦君 重ねて伺いますが、この前も伺ったことがあるのでもう明白なんですが、受け取っておりながらそれを届け出していないとなりますと政治資金規正法違反という問題が起こると思いますが、いかがですか。
#421
○政府委員(小笠原臣也君) 政治資金規正法第十二条第一項の規定によりまして報告を政治団体の会計責任者はしなければならないということになっておりますが、これに違反をして収支報告書に記載をしなかった場合には、政治資金規正法の第二十五条の規定によりまして罰金に処するということになっております。
#422
○橋本敦君 自治省、罰金だけじゃないでしょう。禁錮五年以下でしょう。
#423
○政府委員(小笠原臣也君) 失礼いたしました。「五年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。」と、こういう規定になっております。
#424
○橋本敦君 軽くしちゃいけませんよ。法律どおり答弁しなくちゃ。
 したがって、こういった政治資金規正法違反という容疑も明らかであります。
 時間がなくなったのでありますが、この撚工連事件については、伝えられるように、三、四十人を含む多数の政治家への献金、これが問題に、議論に新聞紙上でもなっております。それらは、パーティー券、盆暮れのつけ届けあるいは旅行のせんべつ、いろんな形をとっておりますし、あるいは選挙のときの支援ということもありましょう。しかし、それらは、この撚工連事件に関連をして動いた金として法務省は犯罪になる範囲において徹底的に捜査をいたしますが、国会としては政治的、道義的責任を明確にする意味からいっても、また自治省としては政治資金規正法の厳格な適用からいっても全面的に洗って調査をするのが当然であります。こういう立場でこの問題が全面的に国民の前に解明されなければならぬと私は思っておりますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
#425
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかくこの事件が司直の手に渡っておるわけでございますから、事件の全貌がどういうふうに展開していくか、それをよく見守っておると、それが今の立場として正しいと思っております。
#426
○橋本敦君 それじゃ、時間が参りましたので、最後に刑事局長にもう一度伺いますが、問題となっておる横手代議士、稻村代議士に限らず、収賄の容疑があればもちろんですが、政治資金規正法違反という、禁錮五年以下の刑に相当する犯罪の成否についてもあわせて徹底的に調査をされることを厳しく要求したいのでありますが、いかがですか。
#427
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましては、刑罰法令に触れるような事案につきましては、適切に捜査をいたしまして、具体的事案に即しまして処理をいたすものと思っております。
#428
○橋本敦君 じゃ終わります。
#429
○井上計君 最初に、平泉経企庁長官にお伺いをいたします。
 去る三月二十五日の長官の新聞記者会見では、当時、私ども予算委員会審議に非常に支障を来しまして困ったことがあります。しかし、一月後の昨日の長官の記者会見でお述べになりましたことについては大いに賛意を表し、また期待をしておるわけでありますが、そこでお伺いをいたします。
 長官は、昨日の記者会見で急激な円高で中小企業など深刻な影響が出ておるので、大蔵、通産両省と協議を急ぎ云々というふうなことを述べられたようでありますが、さて具体的なこの円高対策、緊急な輸出中小企業向け等々に属する対策について具体的にどのようなことをお考えになっておられますか、まずお伺いをいたします。
#430
○国務大臣(平泉渉君) 昨年の九月以来円が急激に上がってまいりまして、殊に最近のテンポが非常に速いと、こういうことでございますので、御存じのとおり我々の方といたしまして去る八日に総合経済対策というのを決定いたしまして、中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度の貸付金利の引き下げ、また下請企業への不当な円高の転嫁を防止するための指導の強化、また産地中小企業活路開拓アドバイザーというものを新設をいたしまして指導助言を行う、また産地対策推進協議会というものを設置する云々ということを決定いたしましたことは御承知のとおりでございます。
 まだそれから日数がたっておらないわけでございますが、急速に円高が進行いたしておるわけでございまして、私ども経企庁におきましても、また通産当局において実際に各地の産業の状況把握をしておるわけでございますが、情勢を見ておりますと相当な景気観に影響が出ておるということでございます。深刻な情勢であると私もよく認識をいたしておりますところでございまして、通産当局に対しましても情勢をさらに一層よく把握をしてほしいということも要請をいたしておるわけでございます。そういう中で、経企庁が中心となりまして通産、大蔵、関係の省の事務当局に協議をしてもらうことをいたしておりまして、今鋭意
対策を検討中でございます。大変真剣に問題に取り組んでおるつもりでございます。
#431
○井上計君 具体的にいろいろのことをもっと積極的にお考えをいただきたいと、こう思いますが、そこで長官、記者会見で述べられた中にあるようでありますけれども、輸出型産地の中小企業の現状については、担保能力などの問題があり、金利が安くなったからといってその恩恵を中小企業が得られるとは限らないと、こう指摘をされておるようであります。全くそのとおりであろうと、こう思います。担保ももう既に使い果たしておりますし、あるいは中小企業転換法によって担保枠の指定業種についての拡大等々が行われておりますが、それとても使えないというふうなほど中小企業の実態は悪化しておるわけでありますが、それらのことについても経企庁として十分新しいひとつ具体策をお考えいただきたい、これは要望しておきます。
 そこで、もう一つお伺いしたいんでありますが、菜は一昨日のやはり当委員会の総括質問で大蔵大臣に私特に要望したわけであります。それは財投金利の引き下げです。もう既に公定歩合が相次いで引き下げをされまして、いわば最低というふうなプライムレートが出つつあります。そこで、現在政策金融は、中小企業に対する特に今回の円高対策等についての政策金融も五%というふうなことになっておりますが、これではもう本当の意味での政策金融にならない、こういう深刻な事態になって。したがって私は大蔵大臣に要望いたしましたのは、資金運用部資金法を改正して、すなわち昭和三十六年ごろのいわば高金利時代に決められたこの利率を、低金利時代に即応できるような資金法の改正を行って財投金利を下げるべきであるということを大蔵大臣に要請いたしました。
 きょうは、もう大蔵大臣にはそれを伺っておりますからお聞きする必要はありません、大蔵大臣のお答えはわかっておりますから。そこで、それらについて経企庁長官はどうお考えでありますか、お伺いをいたします。
#432
○国務大臣(平泉渉君) 言うまでもなく、所管は大蔵大臣の所管の問題でございますが、今おっしゃっておられる問題は、私ども経済官庁は共通の認識として非常に重要な問題であるということで、我々はそういう問題を含めて検討しなきゃならぬという認識でございます。
#433
○井上計君 共通の認識ということを承りましたので、大いに期待いたします。したがって、これらの問題等について今後大蔵、通産両省と慎重に協議をし検討して云々ということでありますから、ぜひその面も含めて経企庁としても御検討いただき、また既に通産省は大蔵省に対してこの財投金利の引き下げ等についてはもう要望しておるかに聞いておりますから、一緒になって経企庁も積極的に働きかけをしていただきませんと、おとといの大蔵大臣の答弁はなかなか慎重過ぎまして私としては期待に反する、こういうふうなことでありますから、ぜひひとつ経企庁長官が大いに御努力をいただきたい、この点をひとつ要望しておきます。
 そこで総理、お休みで恐縮ですけれども一言お伺いしたいんですが、昨夜テレビで「総理にきく」という番組がありました。私もこのテレビを拝見いたしました。その中で総理、直面する大きな政治課題等々につきましていろいろとわかりやすく国民に対してお述べになりまして、私もなるほどなと、あるいはこれだから総理の支持率が高いんだなというふうに改めて感じたわけでありますが、その中で特に、先ほど来同僚委員からもお話が出ておりますけれども、急激な最近の円高に対応して内需喚起、財政金融政策などあらゆる面で応急政策をやる、このようにお述べになりました。また、そのためにも為替相場の安定と輸出関連中小企業救済については全力を挙げる、このように言われておりますが、改めて総理の具体的な方針、さらに御決意をひとつ承りたい、かように思います。
#434
○国務大臣(中曽根康弘君) 円の急上昇のために時間的余裕もなくて、中小企業やあるいは既に大企業の一部でも対応することが難しくなってきつつあるという現状を我々は憂えております。したがいまして、これらに対応する政策を政府としてもよく考えなければいけない。これはいろんな総合的な対策でいくべきであって、一つだけで立ち向かえるというものではない。ある意味においては国際的な政策協調という問題もございましょうし、ある場合には、国内的な金融政策やら、あるいは公共事業そのほかの内需振興政策やら、あるいはさらに輸入関連からくるところの余剰利益の消費者還元の問題とか、あるいは中小企業に対するさらなる金融的な措置とか、そういうあらゆる政策の組み合わせを考えつつ、中小企業に対して何とか手を差し伸べていきたいと考えておる次第です。
#435
○井上計君 既に同僚委員からも同じような趣旨の要望、また総理のお答えもいただいております。私も既に、今度サミットに臨まれるに当たりましての総理に対していろんな御努力を要請しておりますからもうこれ以上申し上げませんが、そのような中で今後の対策として、先ほど経企庁長官にも申し上げましたし、また先日大蔵大臣にも要望いたしましたが、財投金利の問題等々につきましても、非常に難しい問題ではありますけれどもあわせてひとつ御検討いただきたい、こう思います。
 特にまた、資金法を改正するとしてもそう容易なことではなかろうと、こう考えます。したがって、当然のことながら国民金融公庫等の中小企業金融公庫に対するいわば金利の逆ざやが生じることはもう間違いなかろうと、こう考えます。既に、そうでなくても六十一年度の利子補給が中小企業対策予算に大幅に食い込んでおるわけでありますから、これはもっと食い込んでいくことになると事実上中小企業対策は何もできない、こう申し上げてよろしいと思いますが、あわせてそれらの点につきましても格段の御努力をいただくようにひとつ要望しておきます。これはもう総理、御答弁は結構でございます。
 次に、昨日のやはり新聞報道にありますけれども、自民党税調では新しく財源として日本型付加価値税を検討したと、このように新聞に大きく報道をされております。第九十一国会すなわち昭和五十四年の十二月二十一日に衆参両院において国会決議がなされました。それはもう言うまでもなく財政再建に関する決議でありますが、その中に、これは既にもう大蔵大臣十二分に御承知のとおりでありますけれども、「政府が閣議決定により昭和五十五年度に導入するための具体的方策として、これまで検討してきたいわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。従って財政再建は、一般消費税(仮称)によらず、まず行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に」云々と、こうあるわけであります。
 そこでお伺いしたいのは、まず日本型付加価値税とは何ぞや、EC方式とは違う独自の日本型の付加価値税をということでありますけれども、まず総理にお伺いしたいのは、この国会決議を中曽根内閣としてどのように受けとめておられるのか、現在でもこれを尊重するという御意向をお持ちであるのかどうか、まず総理に最初にそれをお伺いしたいと思います。
#436
○国務大臣(中曽根康弘君) お示しの国会決議については、これを尊重してまいりたいと思います。
#437
○国務大臣(竹下登君) これはまさに私大蔵大臣でございました、当時。この決議の案文をおつくりになるときも、御親切に一緒に入れていただいたりいたしましたので、これはただいま総理からお答えがあったとおり、守るべきものであると考えております。
#438
○井上計君 中曽根内閣としてもこれを尊重し守っていくと、こういうふうなお答えであります。
 そこで具体的にお伺いいたしますけれども、新聞報道ではありますけれども、自民党の税調の中間報告を受けて大蔵省が検討中の付加価値税の仕組みというのが出ております。結局は最終消費者にいわば転嫁するわけでありますから、先ほどの国会決議にある一般消費税と現在検討をしておられるという日本型付加価値税とどう違うのか、この点ひとつ明らかにお答えをいただきたい、こう思います。
#439
○国務大臣(竹下登君) まず税制調査会でやっていただくべきものであります。それもいわゆる課税ベースの広い間接税のあり方という問題が税制調査会として広範な検討領域の中に入っておりますので、取りまとめの手順からすれば、税制調査会の、きのうまでが前半とすれば、後半の審議課題となるであろうというふうに行われておりますし、それでまだ全く審議が何も行われていない段階で役所が具体的な考え方をまとめたという事実は全くなりこれは私の想像であったとしたらお許しいただくといたしまして、納品・請求書で確認というような記事はいわゆる推測記事というものではないかなというふうに考えております。
#440
○井上計君 それぞれお答えをいただきましたが、私がまずお伺いしているのは、具体的な検討をしていないということでありますから、していなければやむを得ないなと思いますけれども、新聞報道によると、既に具体的な検討を大蔵省は始めておる、その仕組みはこうであるということは実はちゃんと新聞に載っているんですね。それから見ると、日本型の付加価値税とは言いながら事実上は消費税なんですね、末端の消費者に転嫁されることはもう間違いないんですから。したがって、さきの国会決議による一般消費税(仮称)ではありますけれども、それを導入しないという国会決議、それを守ると先ほど総理も大蔵大臣もおっしゃったわけでありますけれども、それとの乖離はどうであるかということが実はお尋ねの主眼であるわけであります。いかがでありますか。
#441
○国務大臣(竹下登君) 税調の後半の審議でございますだけに、日本型付加価値税(仮称)とでも申しましょうか、これをまだ全く検討していないというのが実情でございますから、比較して云々するということはちょっと今の段階ではできないんじゃなかろうか。あくまでも従来税調で指摘されておりますのは、課税ベースの広い間接税のあり方について今後検討しなさいよというところまでが限界でございますし、一つ一つあのときにいろいろ考えておりました、いわゆる一般消費税(仮称)との相違がどこにあるかというような議論は、今ちょっとまだこの決議というものに対しても余り部内でもそう勉強すべき課題ではないじゃないかなと思っております。あのときの議論は、いろいろ参加した諸君もまだ随分おりますけれども。
#442
○井上計君 きょうは時間がありませんので、これは重要な問題でありますから、また別の機会にもっと具体的にお伺いし、具体的に指摘し、また具体的な反論を申し上げたいと、こう考えておりますが、新聞報道等でありますから、どこまで大蔵省は検討されておるのか、税調がどこまで検討されておるのか全くわかりませんけれども、いずれにしても、今後検討されるとしても、やはりこのような仕組みであるなら国会で導入をやめるということを決議した一般消費税と全く変わらぬということ。それから、先ほどちょっと大蔵大臣お話しになりましたが、EC型と違うと言っても、じゃECの送り状方式と日本の納品書とどう違うのか。大体日本では納品書で送り状という人もある。伝票を使っている人もおります。全く同じである。インボイスと日本の納品書と違うと言われるとどこが違うのかな、こういう疑念を持っておりますので、その点についてひとつまた改めてお伺いをいたします。
 所得減税をということについても新聞報道にあります。確かに大変結構でありますけれども、じゃこの財源をどうされるのか。この財源が、新聞にもありますけれども、大幅な所得減税を行うためにこの日本型付加価値税を導入するということであるとすると、全くこれは羊頭狗肉の、さらに国民から反対をされる大きな問題であると、こう考えますので、この点についてはお答えは要りませんけれども、強く指摘をし、また大いにひとつ今後とも御検討いただくことを要望しておきます。
 次に、私どもが今審議に参加しておりますこの法案であります。三年の時限立法ではありますけれども、先ほど来大蔵大臣はその後どうするかというふうなことについて同僚委員からの質問にいろいろとお答えになっておりますが、また政府委員からも先ほどお答えがありましたけれども、私は、この三年の間に財政がもっと変わってきた場合、変わる可能性は多分にあると、こう思います。よくなることもあるでしょう、これはめったにないと思いますが。悪くなることは可能性大であると、こう考えますが、どんなに財政状態が悪くなってもこの法律案にあるように三年間は補助率等々の変更を行わないと、こういうことをお考えであるのかどうか、これが第一点。
 もう一つは、零細な補助金あるいは箱物補助金の整理等については、当然引き続いて続けていかなくちゃいかぬ。その結論が出た場合に、これは三年間の期間中であって、その場合にそのような補助金の整理等々について起きる法律改正は行うことがあるのかどうか。
 この二点をお伺いいたします。
#443
○国務大臣(竹下登君) まず第一点でございますが、この暫定期間内におきましては国と地方間の財政関係を基本的に変更するような補助率の変更を行うことは考えていない。
 それから二番目の問題は、箱物補助金とか奨励補助金とかは、これは絶えざるいわゆる合理化の対象として毎年予算のときに引き続き検討を続けていかなきゃならぬ、すなわち廃止するものも一般財源化するものも依然としてあってもいいというふうに考えております。
#444
○井上計君 そのお答えを子として、今後またこの推移については重大な関心を持ってまいりたいと、こう思います。
 時間がなくなりましたから最後に総理にお伺いしたいんでありますけれども、我が党が党首会談で、三月二十日でありますけれども、我が党の塚本委員長から総理に申し入れをいたしましたときに、現在の行革審の存続について申し入れを行うておるわけであります。行政改革はようやく入り口の段階であろうと、私どもはそのような理解でありますし、さらにまた膨大な補助金の整理、見直しもこれからという段階でありますが、したがってこれからさらに行革審の存続が必要になってくると、こう考えておりますが、総理は今後行革審の存続についてどう考えるのか、また現時点で行革審の果たしている役割の評価等についてはどのようにお考えでありますか、それをお伺いいたします。
#445
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革審が臨調に引き続いて果たしておる役割については、非常に大きなものがあると感謝もし評価もしております。今後どういう形で後のことをやるかということについては、まず第一に行革審内部においてどういう意見があるか、そういうこともよく徴してみたいと思って、現在のところは白紙の状態でおります。
#446
○井上計君 終わります。
#447
○下村泰君 私は常に障害者のことしかお尋ねいたしませんけれども、今度の法案の中におきましても、この委員会の中におきましても、総理からたびたびありがたいお言葉をいただいておりまして、なお意を強くしておりますけれども、まだまだ何といっても日本はスウェーデンあたりに比べると大変恥ずかしい状態なんです。
 私、できるだけ障害者の方々も普通学校へ入れていただいて、健常者と一緒に勉強させるという方法が一番いいことはいいんですね。それが一番また親御さんたち色願っておることなんです。
 ここに、ある女性の方がスウェーデンの盲学校ということについて調査をなさっている。恐らくこのリポートは文部大臣もお読みになったことだろうと思いますけれども、念のために、総理はこちらの方まで気がお回りにならないと思いますから、一応ちょっと御報告だけさせていただきますけれども、首都のストックホルムのはずれにあるトムテボーダという盲学校があるんだそうでございます。ここは盲教育百八十年という歴史を持っている学校なんだそうです。ところがこの学校が今度閉鎖されました。なぜ閉鎖されたかと申しますと、アメリカよりスウェーデンが一足遅く障害児と普通児を一緒に勉強させる統合教育を一九五〇年代から始めたために生徒さんがいなくなった。
 これが大きな原因なんでございますけれども、このスウェーデンあたりの教育の方法を見ますと、普通学校へお子さんを入れます。そうしますと、何にも教えないんだそうです。この教室で勉強したら次に今度はこっちの教室へ行くということについても、ここをこう行ってこう行けよと言うだけで、手を引いてやるわけでも何でもない。ですから、その子供さん自身が自分の足で完全にその教室まで行かなきゃならない。ただし、歩いていくところに障害物があると、それを今度は健常者の生徒がどけることはするんだそうです。そういうふうな配慮はするんですけれども、手をとって助けるというようなことはしない。あくまでもその学校に学んでいる間に社会に出ていかれるだけの力をつけさせる、こういうような教育方法なんだそうでございます。
 この中に中学校二年のお子さんの言葉が出ているんですけれども、「ぼくは普通学校にもっと早くくればよかった。いずれは社会に出るんだもの。早く慣れていたほうが楽だからね。ぼくは音響技師になりたいんだ」、こういうふうにおっしゃっている。この人は全音です。そして、この盲学校が閉鎖されたためにそこに働いていらっしゃる先生方は大変不安に襲われだそうです、自分たちの職場がなくなると。ところが、閉校したその盲学校は、視覚障害児教育センターとして今度は国内的に大きな活動を始めたんだそうです。ですから、そこにいらした先生方は、今度は巡回して普通学校へ行って、このお子さんたちの面倒を見るというような仕事に変わってきているんだそうです。
 その巡回教師のプレムリングという方がいらっしゃるんですが、この方が、これは日本のことをずばり指しているような感じなんですけれども、「自治体によっては、統合教育は教育費がかかりすぎると苦情をいう。でも、トータルに考えると、自立した障害者を育てることは社会にとって、得なんです。自立出来ない人を一生、社会が面倒をみる費用を考えてごらんなさい。社会にとっても家族にとっても重荷になりますよ」、こういうことをおっしゃっているんですね。これはちょっと耳の痛い話です。そしてなお、このスウェーデンの現在の厚生副大臣は盲人の方だそうです、スウェーデンでは。
 ところが、日本の場合にはどうかと申しますと、文部省は必ず答えは決まっております。「文部省としてはあくまでもお子さんのためになるような教育をしています。社会的、教育学的にいって、百年の歴史をもつ盲学校が盲児の教育の場として、一番ふさわしいとの見解から、盲児は盲学校にいっていただいております。従って、統合教育の実態を把握しておりませんし、調査もしておりません」、これが常に文部省のお答えなんですね。ですから僕がここまで話をして、文部大臣いかがでしょうと言うと、恐らく文部大臣はこれしか答えてこない。何かありますか。いや私はそんな考えじゃない、もうちょっと進歩的な考えだという考えがございましたら答えてみてください。
#448
○国務大臣(海部俊樹君) 文部省といたしましては、その児童生徒の本当にためになるような教育をして、その児童生徒が社会により早く自立できるような教育、指導をすべきであるという基本は持っておりますが、先生、ただ文部省の場合も、点字をどうしても身につけていただかなきゃならぬという必要な方と、それから少し教科書の活字を大きくすれば弱視でこれは見ていただけるという方にはちゃんと配慮をしまして、一般の学校の特殊学級で一般の字よりもうちょっと大きい弱視児用の教科書で、そういうところは統合教育とは違いますが、交流教育というようなことで、一生懸命社会の環境になれてもらうようなそういう進路指導等もしておりますが、盲学校の方では、盲人となられた方のハンディをどうして補っていったらいいのか、日常の生活体験とか。あるいは特殊な教育領域の中で、職業訓練とか自立していただけるに必要ないろいろなものを身につけてもらえるような、そんなカリキュラムを組んだ方がよりためになると思うところではそういったような専門教育を続けておると、こういうことでございます。
#449
○下村泰君 やっぱりこの答えから余り出ていませんね。
 ところが、じゃ世間の方はどうかと申しますと、東京世田谷区上北沢に「障害児を普通学校へ・全国連絡会」というのがあるんだそうです。ここで、毎年二月と十月に電話相談を行っているんだそうです。ここで二月一日から三日間、やっぱり電話相談を受けました。そうしますると、全国から百七十八件電話相談が来ているそうです。それは今も申し上げましたような、できるだけ統合教育してほしい、普通学校へ行きたいというお父さん、お母さん方の願い。百七十八件に上っておりますけれども、来なかったのは青森、栃木、富山、福井、岐阜、滋賀、鳥取、徳島、ここが来なくて、あとは全部来だそうです。そして、朝から夜まで電話が鳴りっぱなしだったそうです。それで、その相談の内容は今申し上げたようなことなんです。
 これは何回お尋ねしてもこれ以上はお話は進まないでございましょうが、ただし、こういうことは、先日申し上げました佐賀県の県立高校の神埼高校、ああいう問題になってくる。その後これは文部省の方お調べくださいましたでしょうか。
#450
○政府委員(高石邦男君) 御質問を受けまして、早速県の方に問い合わせをしているわけでございます。県の方からは正式に文書でその経過を報告するということになっております。
#451
○下村泰君 それで、今度はこれとつながるんですけれども、こういった例えば知恵おくれのお子さんとかあるいは体にハンデを持っておるお子さんが、じゃ普通の学校に行くとどういう結果になるか、こういう投書があります。これは一月三十日、朝日の「テーマ談話室」というコーナーに投書されております。
  双生児の私の姉は知恵が遅れています。小学生になって、他の子供たちは殴るけるはおろか、熱く焼いた王冠を顔に押しつけてやけどさせたり、石の入った雪を投げつけるなど、かばう私までしょっちゅう痛めつけられていました。必死で逃げ回り、耐えていました。
 私たちは、弱者を守ってくれる大きな力をいつも望んでいました。それは学校側の指導です。見かねた母がすがるような思いで訴えると、先生方は口をそろえて特殊学級へ転入させるようにと言うばかり。けがをさせないためとか、一緒の学校にいれば私がつらかろうとか。何という偽善ぶりでしょう。弱者への思いやりもなく、ただ学校にとっての厄介払いがしたいだけ。担任の先生は、姉を特殊学級へ入れる手続きに骨を折ることで義務が果たせると本気で思っているようでした。
 授業中に悔しくて忍び泣く私を、私の担任の先生は指名せずそっとしておいてくれました。どうすることもできないから、せめてそっとしておいてくれたその先生のほうに、一応はいじめっ子たちをたしなめる格好をする先生よりずっと誠意を感じたものです。
これは多摩市の中島よし子さんという方の投書なんです。だから、私もこういうのを見ると悩むんですね。統合教育というものは私は望んでいる。ところが、実際にそういうお子さんが学校に行くとこういう目に遭う。
 そうして今度は、日本でも珍しいんだそうですね、十八歳以下を対象とした全国でも珍しい子供専門精神病院、これは東京都立梅ケ丘病院、ここに最近いじめられて精神分裂症に陥るというようなお子さんが大変入院しているんだそうです。これも問題ですわね。そして、昨年度は四十九人が登校拒否で入院して、その半数がいじめなんだそうです。そして、昨日もどなたかやはりいじめの問題から、ちょうど岡田有希子という子が、これはプロダクションのあれも悪いだろうと思うんですけれども、自殺したことが引き金になりまして、四月中でも大変な件数が出ています。それから、五十八年の調査を見ましても、自殺した少年六百五十七人のうち七十三人、五十九年には五百七十二人のうち五十九人、これが全部年間を通じて四月が一番多いんですね。ですからちょうど変換期ですね、四月、こういう時期にこういう行為をするお子さんが多い。そして、この都立梅ケ丘病院にもこういうお子さんが入ってきている。いじめをなくするにはどうすればいいのだろうかということがやっぱり一つの大きな社会問題だと思います。
 一つには、総理、私はこういうことを思うんですよ。最近の子供たちというのは昔と違いまして大家族の中に住んでおりませんわね。総理のお年ぐらいの方はほとんどもう大家族でした、これは竹下大蔵大臣もそうだろうと思いますけれども。その大家族の中で、兄弟が多ければ多いほどそういう子はいじめられもしないし、いじめにも回らないんですね、兄弟同士でなぐり合いますから。それで、兄弟同士の中で淘汰されて育ってきます。ですから、兄弟というのは一番社会の最小公倍数みたいなもので、そこでお互いが切磋琢磨してきているから、こういう家庭に育った子供というのは意外といじめっ子にもならないし、いじめられもしないんですね。
 ところが、最近核家族ですから、もう一人っ子あるいは二人っ子、大事にしますわ、過保護で。こういう子というのはどうしても運動不足になったり、外へ出ても、うちの上の孫なんかそうですけれども、まあよたよたしてどうにもならない。今一生懸命教育はしていますが、これが育ったらいじめられる方に回るんじゃないかと今から心配しておりますけれども、そういうような状態が非常にまたこういうふうな環境をつくり出しているんじゃないかと思うんです。
 したがって、できればやっぱりある程度の何といいましょうか、昔の修身とまではいきませんけれども、そういった子供たちに対する思いやりといいますか、人間として人間を愛するような心を植えつけるような教育時間を一週間に一度、一時間でも結構ですが、その中に必須科目みたいにして入れていただいて、もっと人間と人間が愛というものを持てるような、自分のほっぺたをひっぱたいて相手の痛さがわかるくらいの子供をつくっていかないと、いじめというのは私は永久になくならないと思うんですがね、今のところの情勢では。どういうふうにお考えでしょう、まず大臣、お答えください。
#452
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、家庭の教育機能というものが、いい悪いは別でございますが、最近低下してきておるとよく言われます。私自身も六人兄弟でしたから、弟とけんかするときは柱や机のない方にそっと投げるぐらいの配慮はしたつもりでございますし、我が身をつねって人の痛さを知れというようなことは家庭の中で身につけました。出てくるスイカの大きさが違うときは、おれは上から二番目だからこれはおれのものだという確保だけはしましたけれども、決して一番大きいのはとりませんでした。それは争いを好まない平和愛好主義者でありましたと言うとこれはうそになるわけでして、親が年の順に食べると言うからそうしただけのことですが、それが家庭の教育力だったと、私なりにこう思っておるんです。
 ところが、いい悪いは別にして、このごろ御家庭からそれが消えていきますと、同世代年齢が初めて出会うのが学校の場ですから、そこで初めてぶつかったときにはいろいろ訓練――訓練と言うと言葉は悪いですね、兄弟げんかなんてやっていませんから、だからそういうところでいろいろ形態が変わってきたんじゃないだろうかと心配されておりますので、今先生具体に御指摘のように、学校教育の現場の中で、人に対する思いやりとか家庭で身につけることのできた兄弟の間柄とか、そういったようなことを接触の中で身につけていく、いろんな方法があろうと思います。
 道徳の時間にお話しするということよりも、ある学校のように、給食の時間に学校兄弟をつくって、上の者は熱いものを持ってこい、下の者はこぼれたものを拾え、そういうことの御指導でも心の交流はできると思いますし、またルールに従ったスポーツとか学校行事をやっていただく。汗を流して時間とかエネルギーをそちらへ持っていきながら、人に対する思いやりとか、やっていいこと悪いことがわかってくると思うんです。
 ですから、学校現場にお願いしています教育課程の中で、今も道徳領域の指導はございますが、それでいいのかどうかも教育課程審議会に今審議をお願いしておるところでありますし、私たちはそれよりも、もっとそれを乗り越えて、授業の時間や体操の時間や放課後の時間等も含めて、学校活動全体の中でもやっぱりちょっと目をかけていただくとか声をかけていただくとか、人生最初の教師であるお父様お母様にも特に御家庭で気をつけていただくとか、先生はお孫さんのことまでお気配りいただいておりまして、そういう家庭や社会みんなが心を寄せ合って、心を開いて相談し合って、手を差し伸べて引っ張ってあげるような体制ができていくことが一番望ましいことで、いじめというのはルールに違反した最もよくないことであるということを徹底させることが望ましいと考えております。
#453
○下村泰君 大変また御自分の御経験からいろんなお話をしてくださいましたけれども、とにかくある程度、統合教育までいかなくても、そういった学校へ健常者の生徒を行かせてボランティア活動させる、こんなものも一つの私は方法だと思うんですよね。それから、私に言わせてもらえば今の先生は頼りないですから、幾ら先生方に頼んでも大した効果は上がってこないと思うんですよ。私らの小学校時代の先生と今の先生と比べると、大変差があるような気がするんですね。ですから、私は昔の先生に殴られた覚えもございますけれども、それは当然悪くて殴られたという経験しか持っておりません。先生に頼っているとどうしてもこれはできませんから、できるだけ親の方がちゃんと心配しなきゃいかぬと思います。
 ところで、今私の申し上げたようなことで総理のもしお考えがございましたら、一言お願いしたいと思います。
#454
○国務大臣(中曽根康弘君) カリキュラムをどう組むかという問題に関係してくると思いますが、これは文部省が専門的に今いろいろ研究、検討しておるところだろうと思いますが、やはり今文部大臣がおっしゃいましたように、総合的に目を配ってやるということが基本的には大事だと思います。しかし、やはり一週間に一時間、私らの場合は月曜日の朝、最初の一時間でしたけれども、昔は修身というのがありまして、どういうふうに生きていくかという一番素朴なしつけを教えられましたですね。それはやっぱり教えられて初めてなるほどそういうものかというのでわかってきたという、自分の経験ではそうですね。
 しかし、それがまた行き過ぎると非常に硬直した教育になったり、あるいは国家主義を教え過ぎるとか、そういう変な面に曲がっていってはいけませんけれども、人間として生きていくために必要な基本の型を教える、そういう点は動物と人間と違う一番のポイントでありますから、言葉で教えてくれるということは、「キタキツネ物語」という映画を見たことがありますが、キツネはキツネでも動物的に教えていますね。しかし、人間は人間らしい教え方というのがあると思うんです。
 そういう意味で、新しい今の時代に合った教え方というものを基本的な生き方として教えていく必要があるんじゃないだろうか。柔道でも何でも基本の型を教えなければこれは始まらぬのです。応用を先にやったのでは、とてもこれはメダルをもらうわけにいかぬ。やっぱり基本の型からスタートしなければならぬ。やっぱりそういうような要素が日本の教育課程にも必要ではないかと私は個人的に感じております。
#455
○下村泰君 どうもありがとうございます。
 私が質問するときは、本当に総理の顔は和やかな顔になりまして、それで理事の方もいろいろと御配慮なさってくれたんだと思いますけれども、どうぞひとつ文部大臣もよろしく障害児のことは考えていただきたい。厚生大臣もよろしくお願いいたします。御返事は要りませんから、厚生大臣。
 終わります。
    ―――――――――――――
#456
○委員長(嶋崎均君) この際、小沢自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小沢自治大臣。
#457
○国務大臣(小沢一郎君) 先ほど村沢委員に対する答弁の中で、「何とぞ御了解を賜りたい」と申し上げましたが、「何とか御了解を賜りたい」ということに訂正させていただきたいと存じます。
    ―――――――――――――
#458
○委員長(嶋崎均君) 以上をもちまして質疑は終局いたしました。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#459
○穐山篤君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 言うまでもなく、本法律案は、国庫補助率の引き下げに関するもの、国庫補助金の一般財源化に関するもの、厚生年金等特別会計の国庫負担繰り延べに関するものなど四十九項目、四十八法律に及ぶものでありますが、財政的見地から共通の措置であるとして一括したものと詭弁を弄しておりますが、昨年の補助金特別委員会の審議経過を全く無視したものであり、政府の暴挙は断じて許すわけにはいきません。
 しかも、本法律案提出の経緯についても指摘しなければなりません。政府は、補助金問題検討会の報告を最大限尊重するとしておりますが、検討会の議事録の公表を拒否し、また各段階の地方公共団体の意見にも十分耳を傾けようともせず、さらには地方制度調査会の答申は一方的に無視するという御都合主義、独善的な手法は言語道断と言わざるを得ません。
 臨調、国鉄監理委員会等、総理好みのメンバーを集め、また経構研に見られるごとく、私的諮問機関による非民主的な誘導政治は、かつての危険きわまりない権力政治の体質を感ぜざるを得ないのであります。
 中曽根内閣の予算編成に明確にあらわれております社会保障、国民福祉の後退に比べ、軍事費の突出ぶりはこのことを端的に物語るものであり、バターより大砲への道をとろうとする政治姿勢に強く警告を与え、以下反対の理由を申し上げます。
 第一の理由は、六十年度限りという前提で成立した補助金一括法が、六十一年度以降三年間延長され、しかも補助率が一段と切り込まれるなど、政府は昨年の審議経緯を無視したものであり、重大な公約違反を犯しているのであります。
 昨年度の法律は時限立法であったことは言うまでもなく、本年四月一日をもってもとの補助率に戻ることが地方公共団体との約束ではなかったのではないでしょうか。地方の時代が叫ばれて久しくなりますが、地方は目下、自律、自主性確立に向けて努力をしている際であります。このときに、国自身がこれを崩そうとしていることは、全く遺憾千万であります。
 しかも、国と地方との役割分担、財源配分のあり方について明確な指針もつくらず、地方財政富裕論にくみし、単に国の財政事情のみを口実として地方への負担転嫁を強化し、さらに地域住民の負担と犠牲を押しつけていることは、地方自治、地方財政法の精神にも反するもので、到底容認することはできません。
 六十一年度一兆一千七百億円に及ぶ地方財政への負担押しつけに対し、財政上の措置を講じたとしておりますが、その実態は、たばこ消費税の引き上げと建設地方債の増発であります。これらは地方財政の危機に一層の拍車をかけ、将来財政基盤をますます弱くする以外の何物でもありません。また、返済についても、金額、時期などについても自信のある態度も示されず、納得は絶対にできません。五十八兆円の借入金残高を抱え、公債費負担比率二〇%を超える団体が千三十三団体にも膨れ上がっている地方の実態をどう理解しているのか、甚だ疑問であります。
 第二の理由は、本法律案の提出時期などの手順に関する問題であります。
 昨年度の審議におきまして、委員長見解及び附帯決議において、「制度施策の根幹にかかわり、かつ予算執行に関連する法案については、参議院の審議が制約を受けることのないよう国会提出の時期等の問題点に留意すること。」の一項目を設け、政府に対し、同じ轍を踏まないよう警告を与えていたところであります。
 しかるに、本年も全く同じく一方的に財政負担を転嫁しておきながら、地方を人質にとり、法案の早期処理を強要する態度は審議権を無視するものであり、これまた到底容認できないところであります。行革特例法の例を引くまでもなく、重要な制度の変更を伴う場合には、事前の審議が必要であり、その上に立って新制度に基づく予算編成を行うべきであり、これこそ財政民主主義の基本であることを強調しておきたいと思います。
 第三は、厚生年金等特別会計への国庫負担繰り延べを行うなど、安易な帳じり合わせであります。
 五十七年度から今年度までの操り延べ額は、運用収入を含めて一兆四千億円余の巨額に上っていますが、この返済計画すら明示しない態度は極めて不当であります。これ以外にも、国民年金標準化措置、政管健保への国庫負担繰り延べ策など、本来予算計上しなければならない経費を先送りすることはいわば隠れた財政赤字を増大させるものであり、財政審が指摘しております財政の質的改革にも逆行するものであります。財政をゆがめると同時に、私が指摘をしました財政赤字下の後年度負担の数字に見られるごとく、ますます財政再建を困難にするものであります。
 以上、簡単に反対理由を述べたところでありますが、なお、補助金は国民の血税であります。したがって、補助金の執行に当たり不法、不当な事件が発生しないよう厳格な執行を特に注意を喚起して、私の反対討論を終わります。
 以上です。(拍手)
#460
○倉田寛之君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案について賛成の討論を行います。
 今日、我が国財政は巨額の公債残高を抱えながらなお多くの公債に依存し、歳出の主要項目の第一位は公債利払いのための国債費であるという極めて深刻な事態となっております。今後の人口の高齢化の進展や国際国家としての責任の増大を考えれば、これまで以上の徹底した財政改革なかりせば二十一世紀の活力ある日本経済の展開は困難であります。このためには、社会経済の大きな変化に対して財政がこれに対応できる力を回復することが肝要であります。この観点から、一般歳出の四割以上を占める補助金等の見直しを行うことは、財政改革を進めるに当たって避けられぬ緊急の課題であります。
 申し上げるまでもなく、補助金等は特定の施策を推進する政策手段として主要な機能を持っておりますが、反面、地方行政の自主性を損ねたり財政資金の効率的運用を妨げるなどの問題があり、従来から既得権化、惰性的運用等種々の指摘が行われ、その見直し、是正が求められていたところであります。
 本法律案は、こうした状況を踏まえ、補助金問題検討会の報告の趣旨にのっとり、社会保障を中心に事務事業の見直しを行いながら、補助率の総合的見直しを行っております。一部に、昭和六十年度一年限りとした補助率一律カットを延長したもので地方に負担を転嫁するものであるとの指摘がありますが、これは全くの誤解に基づくものであります。また、補助率の見直しに当たっては、たばこ消費税の税率引き上げという極めて異例の措置を初めとして、地方財政の運営に支障を生じないよう補てんすることとしております。
 言わずもがなでありますが、地方財政もまた巨額の借入金を抱え、国と同様、厳しい対応を余儀なくされている状況の中にあって、従来とも国と歩調を合わせ行財政改革を推進して経費全般について節減合理化を行っておりますが、今回特に補助金の引き下げ措置について地方団体の納得をいただきましたことは、これを是とするものであります。
 この際、政府に一言申し述べます。
 まず、今年度の一般歳出額を前年度以下に圧縮する中にあって、一般公共事業費については四・三%も伸ばしておりますが、本案の成立遅延により公共事業の前倒し執行も社会資本の整備にも重大な支障が生ずるわけでありますが、とりわけこの公共事業に多くを依存している地域経済への影響ははかり知れないものがあります。
 そこで、本案成立後、直ちに公共事業の箇所づけが行えるよう万般の準備を行うこと。さらには、今後とも国、地方を通ずる行財政改革を喫緊の重要課題として受けとめ、地方自治を尊重しつつ、補助金を含む歳出全般にわたる節減合理化を推進して、限られた財政資金の効率的運用を願いたい。また、補助金等がむだ、不正に使われることのなきよう十分チェックし、厳正なる執行を強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#461
○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 今日、我が国を取り巻く政治、経済等内外の諸情勢は、一段と深まる国際化時代の中で極めて厳しい状況にあり、その対応は一歩誤れば我が国経済及び国民生活に甚大な影響を及ぼすものばかりであります。
 昨秋のニューヨークG5以降の急激な円高によるデフレ圧力は、政府の円高メリット発言とは裏腹に、輸出関連中小企業に深刻な影響を落としております。また、対外的には五百億ドルを超える貿易黒字に対する海外からの市場開放圧力は一段と強まり、我が国は文字どおり内憂外愚の間で、これまでの他力本願的な外需依存型経済から内需型経済への転換を強く迫られているのであります。
 しかし、中曽根内閣の経済政策は、民活だの、やれ規制緩和だのと、お金を使わない掛け声だけの政策であり、その実態は内需拡大策とはほど遠く、歪むしろこの間に経済の実相はますます外需型へ傾斜を強めてきたと言っても過言ではありません。さらに、中曽根総理はさきの訪米に際して、事前に国会に一度の報告もなかった私的諮問機関にすぎない経構研の報告を、あたかも国民的合意事項であるがごとく米国政府に説明しているなど、その言動は国民感情を逆なでする以外の何物でもありません。中曽根内閣の独善的政策に強く警告し、以下、順次反対の理由を具体的に申し述べます。
 反対理由の第一は、国の財政悪化による歳出削減を一方的に地方に転嫁しているばかりか、本措置が何ら行政改革に役立っていないことであります。
 昨年度からの一方的な補助負担率の引き下げにより、六十年度五千八百億円、六十一年度は一兆一千七百億円ものツケをすべて地方に押しつけようとしておりますが、これにより地方財政は財政調整資金等積立金の取り崩しや公共料金等の値上げに追い込まれ、その影響は、政府の影響なしとの答弁とは裏腹に極めて深刻化しております。また、補助負担率引き下げの多くは、補助金問題検討会で地方代表者の強い反対があったにもかかわらず、政府側による論拠不十分な地方財政富裕論をよりどころに強引に決められたものであり、これこそ地方独自の行財政改革の努力をじゅうりんする中央政府の暴挙であり、断じて容認できません。
 また、既に役割が終わったり、あるいは零細と言われる補助金の整理こそまず手をつけなければならないにもかかわらず、単に補助負担率を引き下げただけの措置は行政改革とはほど遠く、補助金の零細化を一層強めたにすぎず、政府に反省を促すものであります。
 反対の理由の第二は、補助負担率の引き下げは六十年度限りの措置であると約束したにもかかわらず、さらに補助負担率を引き下げ、しかも三年間も延長する改悪となっていることであります。
 昨年度の審議の際、再三にわたる質疑に対し、政府は補助負担率引き下げは一年限りの暫定措置であると明言したのであります。しかるに政府は、補助金問題検討会での議論等を経て再度国と地方の事務事業の見直しを行ったものであり、単なる昨年度の延長ではないとの理屈をもって補助負担率を一段と引き下げ、しかも六十三年度までの延長をもくろんでいるのであります。
 さらに重大なことは、六十四年度には五十九年度の率に戻すべきであるとの我々の主張に対しては明言を避けているばかりか、同法の再延長もあり得るかの答弁をしているのであります。
 このような政府の態度こそ、国と地方の信頼関係を裏切り、政治不信をますます助長する以外の何物でもなく、到底認めることはできません。
 反対の理由の第三は、昨年度の本院での議論を無視し、再び四十八法律、四十九項目にまたがる事項を無理やり一本化していることであります。
 近年の財政悪化に伴い、政府は苦し紛れに法案の一本化によって当面を糊塗することが多くなっておりますが、本来、趣旨の異なる法律は別個の法律として提出するのが近代法治国家の責任ある対応であることは申すまでもありません。昨年の我々の鋭い指摘に対し、政府は今後その趣旨に沿って努力すると答弁しておきながら、本年再び同様の誤りを犯しているのは国会軽視も甚しく、断じて容認できるものではありません。
 さらに、本法律案の附則において、その執行を四月に遡及させようとしておりますが、これでは本法律案がいつ成立しようとその執行には関係なく、政府にとって全く痛痒を感じない仕組みとなっており、こうした手法は議会制民主主義の否定につながるものと断ぜざるを得ず、到底認めることはできません。
 最後に、本法律案のような制度、施策の根幹にかかわる重大な政策変更は、五十六年の行革関連法がそうであったように、予算編成前に国会の承認を得ておくべきであることも昨年の大きな論点であったにもかかわらず、本法律案の提出が本年になってから行われるなど、昨年の問題点が何ら改善されていないのは極めて不満であります。
 このような政府の国会軽視の姿勢に強く抗議し、以後国政の重大な政策変更の場合には、事前に国会で十分論議を尽くすよう政府が配慮すべきであることを申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)
#462
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対し反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本案が地方財政危機に拍車をかけ、社会福祉や教育、生活密着型公共事業の後退など、国民生活に深刻な影響を与えるという点であります。
 政府は、補助金等は削減しても、財政上の万全の措置をとっており国民に直接影響はない、国と地方の負担区分の問題にすぎないと言います。しかし、それがどんなに欺瞞に満ちた説明であるかは、地方債の深刻な増発、財政調整基金、減債基金などの取り崩し、さらに児童館など住民生活に密着している地方単独補助金の廃止や縮小、保育料、公立高校授業料値上げなど、住民負担の増大、住民サービスの切り捨て等を見れば明らかです。
 昨年度、六千四百億の補助金一括削減は一年限りと答弁しておきながら、ことしはさらに二倍以上の一兆二千八百億の負担を地方自治体に転嫁しました。しかも、今回の補助金一律カットを三年間の臨時特例と言っていますが、三年後にもとに戻される保証は何もなく、むしろ憲法、教育基本法などを踏みにじる全面的な制度の改悪へ導く危惧さえあるのです。
 第二は、本案が地方自治の破壊につながる危険を持つという点であります。
 自民党中曽根内閣は、国庫負担、補助率の一括削減を地方行革の重要な一環と位置づけるとともに、地方の自主性の尊重という美名のもとに事務整理合理化、地方行革大綱の全面実施及び裁判抜き代執行の導入などで地方自治を行財政の両面から一段と締めつけています。このため、自治破壊が一挙に進もうとしています。本法案は、臨調行革も五年国に入ったことし、軍備拡大と国民生活に犠牲を強いる路線を一層推し進めることは明らかです。これは戦後政治の総決算、国際国家日本、国家改造の美名のもとにアメリカに追随し、大企業に大いにサービスする一方で、戦後、民主憲法のもと、営々として築かれてきた諸制度を根底から突き崩そうとするもので、断じて容認することはできません。
 第三は、本法案に見られる法案の一括処理方式が、議会制民主主義の形骸化を一層推し進めるということであります。
 本法案には、国民生活に密接な社会保障、社会福祉関係の法律十三本、教育関係四本、国民生活密着型の公共事業関係十九本など四十八本の法律が含まれておりますが、これを一くくりにして一挙に処理しようとするものであります。
 今日、中曽根首相は、経構研などの私的諮問機関を利用することを、反動的政治を推し進める手段の一つに使っています。本法の一括処理方式での提出も、国民の角を封じて悪法の成立を図ろうとするもので、議会制民主主義を踏みにじるファッショ的な手法と言わざるを得ません。
 本法案は、衆議院でも極めて不十分な審議のまま本院に送付され、本委員会における審議は六日にも満たないものであります。
 我が党は、本法案の重要性に照らして、慎重で徹底した審議を求め、国民の席を反映させるための地方公聴会、関係参考人の意見聴取を強く主張してきましたが、本日、審議不十分のまま議了されようとしています。
 我が党は、このような国会審議のあり方についても強く抗議をして、反対討論を終わります。(拍手)
#463
○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 第一の理由は、一律補助率のカットは六十毎度限りの暫定措置とすべきとの国会の意思に反し、その上補助率カットの対象を拡大し、しかも三年間の暫定措置として補助率カットを強行することであります このことはまことに不満であり、国会を軽視したと言わざるを得ません。
 第二は、補助率のカットにより、国が本来一般会計で負担すべきものを、地方公共団体の借金に肩がわりさせることであります。国の財政政策の失敗を地方公共剛体にしわ寄せする政府の姿勢はまことに遺憾であります。
 第三は、地方への負担の転嫁にとどまらず、補助率カットの穴埋めとして、たばこ消費税の増税という形で国民に対し負担を転嫁したことであります。
 補助率を単にカットするだけでは、国、地方合わせた公費の負担は変わらず、行革に逆行する措置であります。十分な行革を行わず負担を国民に転嫁することに対し、政府は反省し、その誤りを認めるべきであります。また、税調の審議終了後、予算のつじつま合わせのため、たばこ消費税の増税を決めたことは、税調をないがしろにしたものであり、このようなことは今後断じて繰り返すべきではありません。
 第四は、補助率カットに伴う地方財政対策は十分措置したといいながら、それは今年度についてのみであって、来年度以降十分な財政措置を行う保障が全くないということであります。
 第五は、補助率カットに対する地方財政対策として、建設地方債の元利償還を地方交付税で措置する傾向が強まるに伴い、地方団体固有の財源である地方交付税が国庫補助金的性格を強め、それだけ地方独自の施策の範囲を狭めてしまうことになっていることであります。
 また、過疎地など、投資的事業に一〇〇%近い地方債の充当が認められている地域では、経常経費に充てる一般財源が乏しく、経常経費部門の事業に支障を来すおそれがあり、地域間の格差を拡大することになるということであります。
 以上が反対の理由でありますが、最後に、昨年と同様本案の衆議院通過がおくれたため、参議院の審議に支障を来し、さらに地方団体の財政運営に多大な影響を生じせしめたことに対し遺憾の意を表し、討論を終わります。(拍手)
#464
○委員長(嶋崎均君) 以上で討論は終局いたしました。
 それでは、これより採決に入ります。
 国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#465
○委員長(嶋崎均君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、穐山君から発言を求められておりますので、これを許します。穐山君。
#466
○穐山篤君 私は、ただいま可決されました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は次の事項について十分配慮すべきである。
 一、制度、施策の根幹にかかわり、かつ予算執行に関連する法律案については、参議院の審議が制約を受けることのないよう特段に留意すること。
 予算と表裏一体の関係にある法律案について、本院の審査が予算成立後の後追いとなる場合、国民や地方公共団体に迷惑をかける事態を回避するよう努めること。
 二、今回の措置は、国庫補助金等に係る三年間の暫定措置であることに鑑み、六十二年度以降も地方の行財政運営に支障を生じないよう、万全の措置を論ずるとともに、具体的な措置内容を予算編成崎ごとに明示すること。
 暫定措置期間中は、国と地方の財政関係を根本的に変更するような補助率の変更は行わないこと。
 三、厚生年金等に対する国庫負担の繰延べに係る元利の返済に当たっては、計画的かつ速やかに行うこと。
 四、特例措置に伴い発行する調整債の元利の償還について、発行の経緯に鑑み、交付税の基準財政需要額に適切に算入すること。
 五、今後の税財政制度の改革に当たっては、地方財政の自主性を尊重し、財源の国と地方の均衡を図り、安定的地方財政の確立に努めること。
 六、国と地方の事務事業の在り方について、引き続き検討を進めること。
 七、補助金の執行に当たっては、不法、不当など国民の血税の使い方で指弾を受けることのないよう厳格に行うこと。
 八、公共事業前倒しに当たっては、地域振興、地域格差の是正等地方の実情を十分配慮すること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#467
○委員長(嶋崎均君) ただいま穐山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#468
○委員長(嶋崎均君) 多数と認めます。よって、穐山君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
#469
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
#470
○委員長(嶋崎均君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#471
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#472
○委員長(嶋崎均君) 一言ごあいさつ申し上げます。
 ただいま議了いたしました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案につきましては、委員の皆様方の御協力を賜りまして、連日にわたり審議が行われ、本土曜日に議了するに至りました。
 この間、委員長といたしましては、至らぬ点も多々あったかと存じますが、会派を超えた委員の皆様方の御協力に対し、ここに衷心より厚く御礼申し上げ、ごあいさつといたします。本当にありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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