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1985/05/16 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会 第3号
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1985/05/16 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会 第3号

#1
第104回国会 対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会 第3号
昭和六十一年五月十六日(金曜日)
   午前十一時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     内藤  功君     上田耕一郎君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     矢田部 理君     片山 甚市君
     和田 静夫君     上野 雄文君
     近藤 忠孝君     吉川 春子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田中 正巳君
    理 事
                石井 一二君
                海江田鶴造君
                平井 卓志君
                久保  亘君
    委 員
                岩動 道行君
                岡野  裕君
                工藤万砂美君
                志村 哲良君
                杉元 恒雄君
                西村 尚治君
                林 健太郎君
                村上 正邦君
                山内 一郎君
                上野 雄文君
                片山 甚市君
                和田 静夫君
                服部 信吾君
                和田 教美君
                上田耕一郎君
                近藤 忠孝君
                吉川 春子君
                関  嘉彦君
                秦   豊君
   国務大臣
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局経済部長  厚谷 襄児君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       大蔵省関税局長  佐藤 光夫君
       大蔵省国際金融
       局次長      橋本 貞夫君
       国税庁調査査察
       部長       日向  隆君
       通商産業省通商
       製作局長     黒田  真君
       通商産業省貿易
       局長       村岡 茂生君
       通商産業省機械
       情報産業局長   杉山  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       総務庁行政監察
       局監察官     竹内 幹吉君
       外務省経済協力
       局審議官     太田  博君
       会計検査院事務
       総局第五局長   秋本 勝彦君
   参考人
       海外経済協力基
       金総裁      細見  卓君
       海外経済協力基
       金理事      熊谷 和秀君
       国際協力事業団
       総裁       有田 圭輔君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○フィリピンに対する経済援助等に関する調査
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田中正巳君) ただいまから対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十四日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として上田耕一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田中正巳君) フィリピンに対する経済援助等に関する調査を議題といたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(田中正巳君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日、本件調査のため、海外経済協力基金総裁細見草君、同理事熊谷和秀君及び国際協力事業団総裁有田圭輔君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(田中正巳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(田中正巳君) この際、黒田通商政策局長及び村岡貿易局長からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。黒田通商政策局長。
#7
○政府委員(黒田真君) 今般、円借款に関連いたします経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省の四省庁の共同によりまして、ソラーズ文書の分析等の事実関係確認作業の一環といたしまして、円借款に関し我が国の関係企業に対する事情調査を行いましたので、便宜私より四省庁を代表いたしましてその概要につき御報告をさせていただきます。
 まず、調査の内容でございますが、ソラーズ文書におきまして円借款プロジェクトについてコミッションにつき言及のある事項について、主としてコミッションの支払いについての事実関係及びその後の資金の流れについての認識を中心に調査を実施いたしました。ソラーズ文書において円借款プロジェクトに関しフィリピン企業に対して手数料が支払われたと思われる記載について、その事実関係の確認を行ったものであります。
 その結果でありますが、まず手数料の支払いの事実関係について調べたわけでございますが、約半数近くのものにつきましては、ソラーズ文書記載どおりの手数料の支払いがあったとの報告を受けました。残余のものにつきましては、既に企業側の文書保存期間が過ぎて文書が廃棄されておりましたり、あるいは相当の年月がたっておりますことから当時の担当者からも確認をとることができないといった事情から、記載どおりの手数料の支払いがあったとの確認はできなかったわけでございます。
 次に、支払いがあった手数料に関して、その資金の使途についての認識を調査いたしました。
 この点につきましては、すべての企業が代理店の活動に見合う代理店手数料として支払ったものであり、この資金が不明朗な使途に用いられるとの認識はなかった旨述べております。また、各企業は、輸出に関するニーズや受注機会などについての現地情報の収集及び提供、専門知識の提供、物品検査の代行などの物品納入業務など、各種の役務に対し手数料を現地の代理店に支払うことは通常の商取引の一部を構成するものとの考えを述べております。さらに、これら企業のうち中小の商社からは、現地駐在員も極めて少なく、受注活動を展開する上で現地代理店への依存度が高くならざるを得ないとの指摘もございました。
 このほか、カガヤン電化プロジェクトに係る談合及び関係省庁への協力要請に関する記述につきましては、いずれの企業もそのような事実はないと述べていたことを申し添えます。
 なお、企業名及び個別の回答内容につきましては発表を差し控えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
#8
○委員長(田中正巳君) 次に、村岡貿易局長。
#9
○政府委員(村岡茂生君) 引き続きまして、外国為替及び外国貿易管理法上の手続に関します調査につきまして御報告申し上げます。
 通産省におきましては、ただいま御報告申し上げました四省庁共同によりますところのいわゆるソラーズ文書に言及のある円借款プロジェクトに関します実態調査と並行いたしまして、同調査により海外への手数料支払いの事実が認められましたケースにつきまして、当該支払いの外為法上の手続に係る事実関係に関しまして調査を行いました。
 いわゆるソラーズ文書で記載されている内容につきましては、そのほぼ全体が昭和五十五年の外為法の大改正前の事柄であるという事情がありましたため、本件調査につきましては、公訴の時効の問題、さらには所将官庁等におきます書類保存期間の問題などの制約がございます。したがいまして、外為法上の手続に関します本件調査につきましては、関係の企業に対し当方から質問を発し、企業に任意に回答をしていただくという形で行ったものでございます。
 以下、その概括的な結果を御報告申し上げます。
 海外への手数料支払いの事実が認められました支払いは、件数にいたしまして二十件でございます。そのうち、ソラーズ文書に記載されております支払いについて改正前の外為法上の適法の手続をとっていたことが資料によりまして確認されたものは六件でございます。また、ソラーズ文書に記載されております支払いについて改正前の外為法上の適法な手続をとっていたか否かということが現段階では確認できていないものが十四件ございました。そういう事実が現在までのところ明らかになっておるわけであります。
 調査の概要は以上のような状況でございますが、今申しましたもののうち適法な手続をとっていたか否かが現段階で確認できていない案件につきましては、改正前の外為法に照らし問題がなかったかどうかについてなお詳細に調べる必要があると考えております。これらについてできるだけ早く結論を得、もし問題があったことが確認されました場合には適切な措置を講じたいと考えております。
 なお、輸出代理手数料の支払いにつきましては現行外為法では原則自由とされておりますが、本件調査で問題となります昭和五十五年の抜本改正以前の外為法におきましては、原則として輸出額の一〇%以下のものは外国為替公認銀行の承認、一〇%超のものは通産大臣の許可を要するものとされていたという点を念のため申し添えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#10
○委員長(田中正巳君) それでは、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○久保亘君 ただいまの事情調査の報告に関連をして質問いたしますが、最初に、四省庁によって行われた事情調査はいつ行われたのか明確にしてください。
#12
○政府委員(黒田真君) お答えいたします。
 五月七日から五月十二日の間にこれを実施したものでございます。
#13
○久保亘君 調査を行った四省庁のそれぞれの責任者はどなたですか。それから調査に応じた企業側の出席者は企業のどのような地位にある人物か、御報告をいただきたい。
#14
○政府委員(黒田真君) 経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省の担当官が共同して実施したものでございますが、それぞれ担当官のレベルはおおむね課長レベルの者でございます。それから企業側は企業を代表し得る方であるということでございます。
#15
○久保亘君 そういう答弁をされたら困るんですよ。四省庁を代表して事情調査に当たったのはだれかと聞いているんだから、何々課長、だれだれときちんと言ってください。
 それから調査に応じた企業側がその企業を代表し得る人物ということではわからない。だから、名前は言えないというなら、どういう地位にある人かをまず聞いておるんです。副社長とか専務とか何々営業本部長とか、いろいろあるでしょう。その地位をお尋ねしておるんです。
#16
○政府委員(黒田真君) 四省庁のそれぞれの円借款を担当しております課長レベルの担当者でございますが、役所の場合は組織を代表して聞いておるわけでございまして、固有名詞を申し上げることが適当かどうか、ちょっと差し控えさせていただいた方がよいのではないかと思います。
 企業側は、会社によって肩書きが違うようでございますけれども、それぞれやはり事業に責任を持っている部長以上の企業を代表し得る立場にある者というふうに考えております。
#17
○久保亘君 部長が企業を必ずしも代表し得るということになりませんよ。企業を代表し得るということならば代表権を持った取締役でないとだめでしょう。企業を代表し得るわけないじゃないですか。どうしてそれを言えないのかな。あなたは通産省だから、通産省だけでもたれか言いなさいよ。それから外務大臣や経企庁長官はだれに担当させたんですか。
#18
○政府委員(黒田真君) 通商産業省におきまして円借款を担当しておりますのは経済協力企画官安達俊雄でございます。
#19
○政府委員(赤羽隆夫君) 経済企画庁におきましては調整局の経済一課長でございます。小川と申しました。現在、転勤をいたしまして、来週早々にはロンドンへ赴任することになっております。しかし、引き継ぎは十分に受けております。
#20
○政府委員(藤田公郎君) 外務省の場合は有償資金協力課長が責任者で事情聴取も行いました。
#21
○政府委員(黒田真君) 大蔵省の場合は国際金融局の投資二課長が担当課長でございます。
#22
○久保亘君 時間がないのでてきぱき答えてもらいたい。企業の側がどういう地位にある人物かということが明らかにならないとこの内容について質問をしにくいわけなのでお聞きをしているんだが、これは言えないんですか。
#23
○政府委員(黒田真君) 企業に対しまして調査を要請いたしました際に私どもの方から、当該企業を代表し得る人物を派遣してほしい、かように要請をした上で、各社がそれぞれ異なった肩書の方ではございますが、調査の場においでいただいておるということでございますので、肩書はいろいろではございますが、私どもが企業あてに、いわば社長あてに出しました要請に対する一つの答えという意味では代表し得る立場にあるとみなしてよろしいのではないか、かように考えておるわけでございます。
#24
○久保亘君 東陽通商はだれが来ましたか。どういう地位の人。
#25
○政府委員(黒田真君) 個別の事項に関しては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#26
○久保亘君 どうせそういうことだろうと思っていましたが、結局、企業を代表し得る人物に出てくるようにとあなた方の方が要請されたらどういう人が来たのか、それがわからないと、本当に企業を代表してあなた方の事情調査に応じ得たのかどうかというのが私どもは非常に疑問が残るわけです。
 次に、今御報告された方がひとつ四省庁を代表して、それじゃまず答えてみてください。報告された内容は企業側がこう言いましたということだけにとどまっておりますが、企業側から事情を調査した結果、政府側のこれに対する判断と評価はどうだったのですか。そして、その調査に基づいて今後いかなる対応をされるつもりか。それを報告者それぞれひとつ答えてみてください。
#27
○政府委員(黒田真君) 私、四省庁の調査につきまして便宜代表して先ほど御報告をさせていただいたわけでございますが、御報告の内容は、関係の企業から聴取いたしましたところの概要を御報告したわけでございます。
 これについて政府はどういう判断をしたかという御質問でございますけれども、これに判断を加えると申しましてもなかなか難しいわけでございまして、そういう調査の結果が出ておりますということをこの際明らかに御報告をしたというのが第一段階で、その後それに対応してどういう措置をとるかということに関しましては、今後の問題として関係者の間で相談をさるべき事項だということでございまして、今日まで、今この段階で、その結果何らかの新しい措置をとることについて関係者間で決めたということではございません。
#28
○政府委員(村岡茂生君) 外国為替及び外国貿易管理法上の手続に関します調査におきましては、先ほどの御報告で申し上げましたように、私ども二十件にわたって調査をしたわけでございますけれども、そのうち適法であったということが確認できなかったものが十四件ございます。そのような評価をいたし、かつ、これらについてはなお詳細に今後とも調べるという対応を決めておるところでございます。
#29
○久保亘君 それでは要領を得ないから、私の方から具体的にお尋ねいたします。
 ソラーズ文書において円借款プロジェクトについてコミッションにつき言及のある事項について、主としてコミッションの支払いについての事実関係及びその後の資金の流れについての認識を中心に調査を実施した、こういう御報告でございましたが、コミッションにつき言及のある事項はソラーズ文書の中で何件、幾つの企業であるのか、そしてそのすべてについて事情調査を行ったのかどうか、この点について数量的に明確にしてください。
#30
○政府委員(黒田真君) 調査をいたしました企業数は十二企業でございます。ソラーズ文書の中におきまして円借款プロジェクトについてコミッションにつき言及がある事項というふうに御報告をいたしたわけでありますが、言及の仕方もいろいろ区々でございますので、これをどのように数えるかというのはやや技術的に細かい点にもわたりますので、十二社についてその関係するところを聞いたということで御了承いただきたいと思います。
#31
○久保亘君 コミッションにつき言及のある事項についてすべてをおやりになったということではないのですか。少なくともコミッションについて言及されている企業は全部やったということではないんですか。
#32
○政府委員(黒田真君) 私どもといたしましては、十二社がソラーズ文書におきましてコミッションにつき言及のある事項にかかわりのある企業のすべてだというふうに理解しております。
#33
○久保亘君 コミッションについて言及があるという場合に、例えばソラーズ文書、マルコス文書とも呼ばれておりますが、この文書の中でBBBという記載がございますが、このBBBという記載は調査に当たられた政府の側としてもこれはいわゆるコミッションをあらわすもの、こういう判断をして、言及されているものとして取り扱われたのですか。このBBBをどのように解釈されたんですか。
#34
○政府委員(黒田真君) 巷間伝えられておりますところによりますと、これらがコミッションの額を示しているのではないかということでございますので、一応そういうふうに考えて言及のある事項であるという前提で調査をいたしました。
#35
○久保亘君 そうすると、このソラーズ文書の中に出てまいります企業の数は十二よりも多い。この十二を選定されたということは、十二を超える企業についてはそのような言及の記載はない、こういうことですね。
#36
○政府委員(黒田真君) 我が国企業に関連して言及のある企業数は十二だというふうに理解しております。
#37
○久保亘君 件数についてあなたの方は明確にできないということでしたが、貿易局長の方は海外への手数料支払いの事実が認められたものは二十件、こういうことで数字を明確にして御報告になっております。あなたの方では約半数近くについてはソラーズ文書記載どおりの手数料の支払いがあったというその事実を確認したということでありますが、これはひとつ正確な数字で出せないのですか。同じ報告が一方は数字を明示され、一方は約半数近くということになっておりますが、この約半数近くというのは何件。
#38
○政府委員(黒田真君) 貿易局長からお答えいたしました件数は、海外に対する支払いあるいは海外送金というものが行われることに、いわば手続的には一件ごとに許認可あるいは承認を要する案件である、こういう立場からその件数の総体を細かく数えているものでございますので、数が比較的わかりやすいと申しますか、ある数の範囲で調べた、こういう御報告が可能だったと思います。私どもの場合には、社数に関してはこれは十二というふうに特定できるわけでございますが、先ほどもちょっと申しましたように、ソラーズ文書というのはいろいろな種類の文書が入っておりまして、それの中におけるコミッションあるいはコミッションらしきものについての言及の仕方というものが大変区々でございます。したがいまして、私どもといたしましては、この中の何件のものをどういうふうに調べだというような御報告の仕方はかえって事態を混乱させると申しますか、よく実態を反映していないということにどうもなりそうだという判断から、実は約半数近くのものについてはソラーズ文書記載どおりの手数料の支払いがあったという報告を受けたというふうにお答えをさせていただいたわけでございます。
#39
○久保亘君 それじゃ、膨大な数を調査されたのかもしれませんけれども、調査対象となった十二企業のうちソラーズ文書記載のコミッション支払いの事実を認めた企業数は幾つですか、一件でも認めた企業。
#40
○政府委員(黒田真君) 約半数近くのものでございます。
#41
○久保亘君 企業としても半数近くだということですが、そうすると、ソラーズ文書を詳細に翻訳されたものでありますが、私も見せていただきましたが、この中には非常に明確にコミッションを支払ったその経過が金額も明らかにして出されているものがかなりあります。そして企業の数としても、あなたが約半数と言われれば、そちらへ出てくる企業の数とも大変よく照合できるわけなんで、大体これを認めた企業も明らかになってくるわけでありますが、これらの人たちがコミッションを現地の代理店に支払うことは通常の商取引の一部を構成するものである、だから何も特別なものではないという意味のことを述べた、こう言われておりますが、ソラーズ文書におけるコミッションの性格、それから平均的に一五%というコミッションの率、これらについては企業側が述べた通常の商取引の一部を構成するという認識と調査をした側の四省庁の認識とは同じ認識に立たれましたか。
#42
○政府委員(黒田真君) 先ほども御報告をいたしましたように、支払いがあった手数料に関してその資金の使途についての認識を調査いたしました際に、すべての企業が代理店の活動に見合う代理店手数料として支払ったものであり、この資金が不明朗な使途に用いられるとの認識はなかった旨述べておるわけでございます。私どもといたしましては、それ以外の裏づけなり判断をする資料もないわけでございまして、ここではそういう企業側の報告についてその概要を御紹介しているということでございます。
#43
○久保亘君 あなた方は一体何のためにこの調査をやられたのか。一応何かやらないと格好がつかぬということでおやりになっているのかもしれぬけれども、大変私は問題だと思うんですよ。特に、支払われた資金が不明朗な使途に用いられる認識はなかった、こういう報告をされましたけれども、支払われた資金が不明朗な使途に用いられる認識はなかったと企業の側は言うかもしれないけれども、調べたあなた方の方は不明朗な使途に用いられた事実があり得ると、今度のマルコス疑惑全体を通じてそういう認識があるから事情を調査されたのではなかったのですか。
#44
○政府委員(黒田真君) 関係企業が代理店として起用していたフィリピンにおきます代理企業からいろいろな形でお金が流れていたのではないかというのが、まさに御指摘のように本件の疑惑のポイントであろうかという点についてはそのとおりだと思いますが、私どもが調べましたのは、日本側の企業が当該フィリピン側の企業に資金を支払う際の認識について調査をいたしたわけでございまして、その認識は、先ほども御報告いたしましたような不明朗な使途に用いられるものであるという認識はしていないと述べているというところを御報告したわけでございます。
#45
○久保亘君 こんなことを質疑応答をやっておっても私は問題は明らかにならないという気がするんですね。だから外務大臣も予算委員会の段階では、この問題は徹底的に究明をせにゃいかぬ、こういうことを言っておられるので、それであなた方の答弁を聞いていると、とにかく企業が問題がなかったと言うんだから問題はなかったんだということで済ませようということのようですが、今度の事情調査の前提になっているソラーズ文書とあなた方が呼ぶからソラーズ文書で構いませんが、そのソラーズ氏自身はこう言っているんですよ。米国では間違いなく贈収賄になるでしょう。公開された資料によれば、有名な米国企業が少なくとも一社、マルコス政府とマルコス氏自身にリベートを払っていました。幾つかの日本企業がリベートを払っていたとも記されています。マルコス政府に日米の企業がわいろやリベートを払っていた、その事実を裏づけるには日本、米国、そしてフィリピンでの大がかりな調査活動が必要です。これはソラーズ氏自身が日本で語った言葉であります。
 その文書を背景にしてあなた方が事情調査を行われたにしては今の政府側の答弁というのは余りにも情けない、無責任だ、こう言われても仕方がないと思うのでありますが、外務大臣と経企庁長官はどう思われますか。私、これから先も質問をしていく上に、担当大臣がもう少しきちんとした意思を表明されないととてもあなた方の部下は答えない。それで大臣の所見をまず聞きましょう。
#46
○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府としましては、対比援助を正規の手続に従って処理をいたしておって、この実施は適正に行われておると信じておるわけですが、これに関連して疑惑を招きかねないようなうわさも種々伝えられるので、その真相究明に努めてきているわけであります。その一環として、今般四省庁共同によりまして我が国の関連企業に対し、ソラーズ小委員会公表文書において円借款プロジェクトとの関連でコミッションにつき言及のある事項について調査を実施したわけでございますが、企業の任意の協力による調査という性格上、個別調査内容については、先ほどから政府委員がしばしば申し上げているように、公表できない点は御理解を得たいわけでございますが、いずれにいたしましても政府としては一連の調査結果をも参考としながら改善すべき点があれば改善に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#47
○国務大臣(平泉渉君) 今回のこの調査、手数料の問題を調査いたしたわけでございますが、現在までの段階では、これが向こうの企業側の方では代理店の活動に見合う代理手数料として払った、こういうふうなことを言っておるわけでございまして、また今後調査を続行する、こういうことでなけりゃならぬと思っております。
#48
○久保亘君 それでは大臣並びにOECFの総裁に聞きたいけれども、企業の側は一五%に及ぶコミッションが通常の商取引の一部を構成すると答えているが、この一五%というかなり常識を超えるようなコミッションが支払われておったという事実は、基金の方も担当省の方も承知をしておったことなのかどうかですね、承知しておったかどうかについてだけ明確に答えてください。
#49
○参考人(細見卓君) 承知いたしておりません。
#50
○久保亘君 そうすると、このコミッションというのは契約の中にはあらわれていないということになりますね。通常の商取引の一部を構成すると言っているものがなぜ契約に出てこないんですか。
#51
○参考人(細見卓君) 御承知のように、契約といいますか事業の経費というものは、機材とかあるいはそのための建設の役務費とかいうような格好になるわけでありまして、言われておるように、代理店手数料というのは広義の役務費の中で調達費の中に入っておるものだと思います。
#52
○久保亘君 そうすれば、契約の事業費の総体の中に一五%のコミッションが含められておって、そしてこの借款を提供した基金の側はどれだけのコミッションが払われたのかは一切知らない、恐らくその事業費の中に含まれておってそれで処理されたのであろう、こういうことになれば、これは借款を提供した側にも非常に大きな責任が出てきませんか。そして結果として、そのコミッションが疑惑に包まれるような使途になったということが今問題になっているわけですから、それでいわゆるマルコス疑惑というものが完全にシロであって、マルコス自身の手にそのようなリベートが渡ったことは一切ないという立証ができない以上は、そういう形で契約の中に含められて常識を超える多額のリベートが支払われているということについて、提供した基金の側はどう思っておられますか。
#53
○参考人(細見卓君) 先ほどの四省庁の企業からの事情調査の御報告にもありましたように、代理店手数料というものは事業の形態によりまして非常に多く代理店に依存しなければならぬ、つまり現地の企業に依存しなければならない部分もある事業もあるでありましょうし、比較的少ないものもあるでありましょう。いずれにいたしましても、事業を遂行していく上に、日本側企業あるいは現地の代理店、それぞれが事業の完成のために協力して事業のコストを分担する、それが結局事業の経費として、あるいは事業完遂の借款の金額の中から支払われるという仕組みになっておるわけでございます。
#54
○久保亘君 だから、そういうような仕組みになっておることに問題はないか。そこから今度の疑惑が起こってきているんです。
 それではもう一遍局長の方にお尋ねしますが、あなた方が調査されて、ソラーズ文書記載どおりの手数料が支払われたものが半数近くの企業において相手方が確認をした、こういうことでありますが、確認をした以上はそのコミッションの支払われた相手方についてもあなた方はお聞きになったと思いますが、支払われた相手方を確認されましたか。
#55
○政府委員(黒田真君) 支払ったという報告を行った企業は、その支払い先についても確認をしておるところでございます。
#56
○久保亘君 そうすると、この支払い先にアンヘニット社という会社がございます。これが非常に支払いの相手方としては主要な役割を果たしてきたことが文書によって極めて明白であります。
 そこで、基金の総裁が先ほど、いろいろ代理業務としての実際の仕事があるということでございましたが、このアンヘニット社というのが、先ほどの報告にありましたように輸出に関するニーズや受注機会などについての現地情報の収集及び提供、専門知識の提供、物品検査の代行などの物品納入業務などの役務を企業にかわって代理をしたということが言えますか。それを基金の側としては、このアンヘニット社というコミッションを受け取った相手方がそういう代理業務を行っているということを確認できますか。
#57
○参考人(細見卓君) 我々の方の文書ではそこまでは確認できません。
#58
○久保亘君 そうすれば、これは企業とマルコス政府の側とその代理人との間で随分仕組まれた事業の契約等について基金は全く盲目である。そして、やられっ放しにやられている。これはあなた方が出してい香お金は国民の税金や貯金でしょう。それを使うお金が、契約金額の中に膨大なリベートが上乗せされて、それがあなた方がわからないまま処理されて、そしてこれがマルコスの不正な資産形成に使われていったというこの責任は私は極めて重いと思いますよ。こういうことについて基金の側は一切責任がありませんか。
#59
○参考人(細見卓君) いろいろ物議を醸すようなことになりました、私どもの仕事に関してそういことになりましたことは大変残念なことだと思っておりますけれども、先般来申し上げておりますように、私どもはフィリピン政府に、これこれの事業をやりたいからこれこれの金額を援助してくれ、あるいは借款で貸してくれということでお貸ししておるわけでありまして、フィリピン政府は我々から借りましたお金とフィリピンの財政から賄いましたお金と、大体多くの場合六割とか七割とかが借款で残りの金は現地の金で行うわけで、その場合にフィリピン政府は、我々から借款いたしました金はフィリピン国民の名のもとに返還をいただくわけでありますから、フィリピン政府としてその日本から借りた金も含めましてできるだけ効率よく、間違いなく使うというのは、基本的には事業を施行するフィリピン政府の責任であろう、またそのことを信用して我々は借款を提供しておるというのが筋書きでございます。
#60
○久保亘君 それが筋薄きどおりいっていないんだよね。筋書きが違ってフィリピンの国民にも迷惑をかけておるんですよ、この借款をめぐって。そして、そういう不当なコミッションに消えていったものをフィリピンの国民が返還せにゃならぬでしょう。こんなことに日本政府が手をかしたということになれば、その責任は私は大変重いと言わなければならぬと思うんです。
 今、事情調査の結果を聞いても、また基金の総裁のお話を承ってもやはり私どもは到底納得がいかぬのであります。そうなれば一体契約書でどういうものをあなた方が審査をされているのか、入札の経過はどういうものを審査されているのか、その文書を出してもらわにゃいかぬのです。その文書をぜひ私はこの委員会に提出をしてもらいたい、こういうことをお願いをしたいわけです。そうしなければ、この問題についで実際にどうなっていったのか国民は知ることができないです。
 今後一兆円を超えてもっと大きくなっていく海外援助費というのが、国会では予算を決めるだけ、あとはあなた方のところと相手国政府との間で話し合われてそこへ企業が介在して、そしてその金は消えていく。それが本当に相手国国民の福祉や生活や文化の向上に役立って援助にふさわしいものになればいいんだけれども、そのうちのたとえ一部たりとも不正な金に化けていくということを我々は日本国民の名において一切認めるわけにはいかぬ。あなたは今フィリピン国民のと言われたけれども、我々はそうだと思うんですね。私が今言っていることは間違いがありますか、大臣。
#61
○国務大臣(安倍晋太郎君) 基金総裁も今お答えをいたしたんですが、結局問題はフィリピン政府と業者との問題であって、フィリピン政府がそうした業者に仕事をさした。そして、もし疑惑に言われるように、そこからマルコス一派の方に何かコミッションというものが流れておるということになれば、それがフィリピンの法律でもし違反あるいは汚職ということになればその法律に従って厳正に処理されなければならない、こういうふうに私は思っておるわけでございます。
 日本としましては、こうした日本の企業が関連しておるということから、日本政府としてもこの点は解明をしていかなければならぬ、やはり援助の金ですから明らかにしておかなければならぬということで、いろいろと調査もし、また業界、業者等にも聞いて、今御説明申し上げましたような、すべて協力を求める、強制的に求めるわけにいかないものですから、自主的な協力を求めて今そうした調査を進めておる。その他いろいろと情報を集めながら、もし日本の業者とかあるいはまた日本で関連した人たちが問題があれば、日本の法律によってもし違反ということになれば、これは日本の法律によって処理されなきゃならぬことはもちろんのことであろう、こういうふうに思います。
#62
○久保亘君 事情調査の中でもう一つ聞いておきたいのは、この円借款プロジェクトの中で、フィリピンの国家電力公社とかあるいは輸出加工区庁とか、こういうところを相手に行った事業などがございますが、この政府の機関の行った事業に対してコミッションが支払われた、こういうことについても幾つか確認をされましたか。
#63
○政府委員(黒田真君) 個別の具体的な内容について答弁することは差し控えさしていただきますが、円借款の対象となっております相手方の事業、主体は、すべてと言えるかどうかわかりませんが、多くの場合そういった公共機関であるということは言えるのではないかと思います。
#64
○久保亘君 そうすると、そういう公共機関の事業を受注するのに一五%のコミッションが必要になる理由というのを、一般的な商行為の一部を構成するという解釈はどこからも出てこない。そしてこのあなた方の報告の中に、カガヤン電化プロジェクトに係る談合及び関係省庁への協力要請の事実はないということであったという報告がありますが、この調査は東陽通商の役員がマルコス大統領にあてて送ったという手紙がソラーズ文書の中に含まれておりますが、これに基づいて調査をされたものなんでしょうか。
#65
○政府委員(黒田真君) 相手が公共機関あるいは国の機関でありましても、情報の収集あるいは事実上その物品が輸出され、現地の工事現場へ届くというような物の流れ等もあるわけでございますので、検査の代行等々の物品納入業務というものはあり得るのではないかと思われるという点が第一点でございます。
 それからカガヤン関連の特定の書簡をベースにして聞いたかという御質問でございますが、具体的な内容に触れることは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、カガヤンの談合の話というのは、今御指摘の書簡の中で触れられているということはそのとおりでございます。
#66
○久保亘君 そうすると、東陽通商の役員から送られた文書を前提にして企業にお尋ねになったんですから、当然ソラーズ文書によれば東陽通商もあなた方の事情調査の対象になったことはもう間違いのない事実なんです。それをあなた方は言わぬと言われようとも、はっきり出ておるわけですから、コミッションを支払った企業として。これをあなた方が取り上げられなかったはずはないんだが、そうすれば東陽通商の役員が送ったこの文書について、カガヤン電化の談合一件について事情聴取をされたということになれば、この手紙の中に出てきている企業にお尋ねになったものだと私は思うんですね。そうしないと聞く意味がないんだから。ここであなた方が呼ばれた企業は特定されてくるけれども、それじゃこの手紙の送り主である東陽通商にもこの問題についてお尋ねになりましたか。
#67
○政府委員(黒田真君) 先ほど来お答えいたしておりますように、個別の具体的な調査の相手ないしは内容についての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#68
○久保亘君 もうそんなことを育ったってわかっていることじゃないですか。これはソラーズ文書の中でBBBコミッションに言及されている企業はみな呼んだ。みな呼んだというんだから、東陽通商は呼ばれたんですよ。出席したんですよ。そしてカガヤン電化に係る談合の件についてあなた方が尋ねたのは、東陽通商が送った手紙に基づいて質問されている。それならば手紙の送り主に対しても聞かないわけはないんだ。聞かないわけがない。私が聞きたかったのは、手紙の発信元である東陽通商はカガヤン電化の談合についてどう言いましたかと聞きたい。あなた方はそういう事実はないと企業が言ったと答えておられるが、その手紙の発信元もそういう事実はないと言いましたかということを私はお聞きしたいんです。
#69
○政府委員(黒田真君) 先ほどの御答弁を繰り返すわけでございますが、特定の具体的な個別の内容についての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、今御指摘の東陽通商が出した書簡の発信人というものは、現在故人になっておられるというふうに私は理解しております。
#70
○久保亘君 これは、それこそあなた方がさっき言われた企業を代表するものですよ。企業を代表する立場で、その役職に基づいてこの手紙が出された。役職、肩書を入れて出されているんです。だから、その出した人が死んでいるからといって東陽通商が関係ないということはないんだ。だから、聞かれた東陽通商もそんなことはありませんと言ったとすれば、これはまた一つ問題が残るわけだ。だから、あなた方の調査というのは私が考えるよりももっと非常に幼稚な調査になって、実際は問題を究明しようという立場からではなくて、何とか形をつけてこの問題を終わりにしよう、そういうやり方ではないかと思われて仕方がないのであります。
 私の時間がもうありませんので、引き続き私はこの問題についてまたお尋ねをしたいと思っておりますが、最後に、国税庁はこのコミッションについて調査をされているやに聞いておりますが、この調査の状況について御報告いただけることがあったら報告していただきたい。
 それから会計検査院は、今日、このような国民の疑惑を生む海外経済協力について会計検査院として、国民の税金の行方ですから、これを検査すべきものだと私は思っているが、これらの経済協力について検査院の権限、体制、そういう点において改善を行えばもう少し海外経済協力についてもチェックが可能であるとお考えになっている点があれば説明をいただきたい。
#71
○政府委員(日向隆君) 委員御指摘のコミッションは取引に関連して代理店に支払う手数料のことと存じますが、これにつきましては、代理店等の役務の提供があり、その役務の提供と支払われた金銭との間に相当性がある等の場合には正当な手数料として損金に算入されますが、それ以外の場合には、その実態に応じ交際費、寄附金または使途不明金として課税されることになります。このような課税上の見地から、私どもが現在実施している調査の中で、このコミッションの実態の解明にできるだけ努力し、その解明されたところに従って課税すべきものは課税するよう適正に処理してまいりたいと思っております。
#72
○説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。
 会計検査院といたしましては、たびたび御説明しているところでございますけれども、この問題については重大な関心を持っておりまして、官房あるいは他局からの応援も求めまして既に体制の整備は済んでおります。こういう整備したスタッフのもとに私ども基金の検査をやるわけでございまして、基金の窓口におきましてどのような書類を見て、どのような判断のもとにお貸し付けになったかということを私どもももう一遍再点検したいと。その中におきまして、こういうところの審査は不十分であったんではないかとか、あるいはもう少し、今回の事態にかんがみまして、とれるような資料があるならばおとりになったらばいいんじゃないかとか、そういうようなことをこれから検討する、そういう心づもりでございます。
#73
○久保亘君 最後に私、委員長にお願いいたします。
 きょう行われました四省庁による事情調査の報告について大変納得がいきませんので、これらの報告についてさらに私ども自身でも究明をするために必要な基金の資料、必要な人物の出席等について別途理事会に要求をしたいと思いますので、ぜひお取り上げをいただきたいと思っております。いいですね。
#74
○委員長(田中正巳君) お申し出が具体的にございますれば理事会で相談をいたします。
#75
○和田静夫君 まず、前回の委員会で取り上げたソニーの件について外務省の調査結果を尋ねます。
#76
○政府委員(藤田公郎君) 先般、四月二十四日開催の当委員会におきまして和田委員より、情報・教育全国普及事業への円借款供与決定以前に株式会社ソニーの社内報に本件が取り上げられ、その実施がうたわれていたとの御指摘がございました。早速ソニー社内報を取り寄せ精査いたしましたところ、和田委員御指摘のとおり、誤解を生じかねない表現を含む記事が掲載されておりました。本委員会における御議論を踏まえ、政府といたしまして同社に注意を喚起いたしましたところ、同社は、円借款供与の決定があたかも同社の働きかけの結果であるような表現を用いたのは誤りであり、同記事は適切さを欠くものであるとして遺憾の意を表明しました。政府といたしましても、社内報といえどもかかる誤解を掃くような言動は好ましくないと考えております。
 以上、御報告申し上げます。
#77
○和田静夫君 そこで、ソニーの説明によりますと、既にフィリピン単独の事業が先行してあったとされているわけです。しからば先行する単独プロジェクトにおいてソニーは何セットのべータマックスを売り込んだのでしょうか。
#78
○政府委員(藤田公郎君) 九百セットを納入したというふうに承知しております。
#79
○和田静夫君 外務大臣の日程の関係がありますから、予算委員会さらには前回の引き続きですが、まずプラント協会ですが、この質問に入る前に通産省、四月二十四日の質問であなたが後刻調査をして提出すると約束された資料が全然出てこないのはどういうわけですか。
#80
○政府委員(杉山弘君) 前回お尋ねがございました資料でございますが、プラント協会の運営特別負担金の詳細及びその賦課の要領といったものでございますが、これはその際にも御答弁申し上げましたとおり、社団法人である日本プラント協会の内部におきます会費負担の問題でございますし、しかもその問題については通常の各社別の頭割りということではございませんで、一定の基準に基づき、しかもその基準が各社の事業活動と相関をするようなものでございまして、プラント協会内部におきましても会員相互の間でもこれは明らかにしていない、そういう性格のものでございますので御提出を差し控えさせていただきたいということで考えているところでございます。
#81
○和田静夫君 いや、その辺は私が調査した係結果、若干の数字は述べたとおりちゃんとわかっているんで、おたくから裏保証をもらわなくたってよかったんですが、一番ポイントは発電バージFS調査団の団員所属企業ですよ。
#82
○政府委員(杉山弘君) その点につきましては、その後私ども調査しましたところ、前回お尋ねのございました北村亮介氏でございますが、日立造船に所属をしているということが判明いたしております。
#83
○和田静夫君 このくらいのことはこの委員会が開かれるまでにちゃんと持ってきてもらわなきゃ困るんですが、そこで、この日立造船の社員が入っている。あのとき情報産業局長は学識経験者を含めた専門家と答弁されたわけですね。実際には私が指摘したとおり企業がプラ協職員の名刺を持って行っている。実態はそういうことですね。
#84
○政府委員(杉山弘君) 前回私が御答弁をいたしましたのは、一般的なプラント協会が派遣をいたしますFS調査団等の構成一般論について申し上げたわけでございまして、お尋ねのプラントバージに関しましては、これは二回にわたりましてFSの調査団が出ておるわけでございます。第一次のFS調査団につきましては、その構成は私が御答弁の中で申し上げました一般原則に従いまして、これは日立造船以外の企業の専門家も含むという格好で構成をされております。
#85
○和田静夫君 だとすれば、過去五年分の派遣団員の所属企業、これは明らかになりましょうか。
#86
○政府委員(杉山弘君) この点につきましては、検討をいたしまして、御提出できるかどうか後ほど御連絡を申し上げたいと思います。
#87
○和田静夫君 通産省、プラント協会には電気プラント委員会と産業プラント委員会という二つの委員会があるわけであります。これは何の委員会でしょうか。
#88
○政府委員(杉山弘君) プラント協会の中には御指摘の電気プラント委員会と産業プラント委員会という名称の委員会が置かれておりますが、電気プラント委員会、産業プラント委員会におきましては、前者は電気プラント、後者につきましては電気プラント以外の一般的なプラントにつきまして会員の情報収集及び意見交換の場として利用されておりますし、またそれぞれの分野に関連をいたしますプラント協会の事業活動、例えば調査団の派遣、その編成といった問題につきましてもこの委員会で検討をしていく、こういうふうになっているものと承知いたしております。
#89
○和田静夫君 これはずばり言って実は談合委員会であります。私は、プラント協会がプラント委員会参加企業に送付した議事録を、受け取った参加企業の中から調査中に手に入れましたが、これまさに談合なんですね、談合である。例えばバングラデシュのコンバインドサイクルプロジェクトについてはこういうふうにうたっていますよ。本件は、石川島播磨重工業及び日立製作所の共同提案議題である旨付言された。引き続き、石川島播磨重工業委員より補足説明がなされ、席上、東芝及び三菱重工業委員からそれぞれ本件フォロー中であるとの発言があり、審議の結果本件に関心ある向きは何月何日までに事務局に申し出ることで了承された。なお、関係者の話がつけば、次回本委員会の審議を待たずFS調査団を派遣することがあり得る旨、まあちょっと抜きますが、了承されたと、これはまさに談合なんですね。
 スリランカの水力発電プラントにつきましても同様です。東芝と三井造船から共同提案がされていますね。富士電機が当社もフォロー中であると発言をする、そういう審議をされている。この委員会でFSをやることになると、国からの補助金によってFS調査団が派遣をされる。その団員は提案企業の従業員である、お認めになったとおりなんです。そのFSの結果、受注に成功すれば成功負担金を協会に支払うということになることは前回私が指摘しておいたとおり。この負担金は現在では運営特別負担金と称されているんですが、数年前までは受注成功負担金と呼ばれていた。ここもこの間指摘しておいた。額は受注契約額の〇・四%から〇・一%まで。この協会の役割は以上のとおりなんですね。
 あるプロジェクトについてあらかじめ談合を行う。一社に絞る。その母体がプラント協会の委員会である。そして受注に成功すれば負担金を支払う。これは一種の談合金ですよ。通産省、実態はこのとおりなんですが、プラント委員会のすべての議事録、私は一部分しか手に入れておりませんから、すべての議事録を出していただきましょう。
#90
○政府委員(杉山弘君) ただいま御指摘のございました点につきましては、昨日の夕刊に一部報道がされておりましたので急遽私ども実情の把握に努力をいたしたところでございます。それで、先ほど御答弁申し上げましたように、プラント協会の電気プラント委員会、産業プラント委員会につきましては情報収集その他プラント協会の事業活動に関する会員の活動するグループでございますが、その活動につきましては各社の営業にも密接な関連がございますので、委員会としての議事録につきましては参加をしております会員会社に限ってお渡しをするという、内部的にも極めて取り扱いに注意をしているものでございますが、それがどういう経過でございますか、外に出たということについては非常に意外に感じておるところでございます。
 ただ、先生お話ございましたように、その小委員会というのは談合の場ではないかということでございますが、私どもといたしましては、あくまでも先ほど御答弁申し上げましたような情報収集活動、意見交換さらにはプラント協会の一般的な事業を具体的に遂行する場というふうにとらえておるわけでございます。
 お読みになりました中にフォローをしているというようなこともございましたけれども、これはむしろ私どもの理解では各社別に興味を持ってその案件についての情報収集に努めていると、そういうような種類の発言というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、この場を通じまして談合が行われている、これについては独禁法等々との問題もあるわけでございますが、そういう法に触れるようなことがこの委員会の場において行われるということはないものと私どもは考えております。
#91
○和田静夫君 きょうはそこのところを明らかにしません。
 さらに、この議事録によれば、アルゼンチンの地熱発電プラントについてですが、FSは三菱重工が行ったんでし。よう。本件具体化の際には東芝、富士電機と別途話し合うこととなったと、こういう報告になっていますね。つまり、この委員会では本体の受注についても話し合いが行われているんですよ、いかに抗弁されてみたところで。これ議事録ですからね、外に出たのはおかしいと言われたって、我々いろいろ疑惑の問題を調査しているんですから、どこかから手に入れるのは当然でありまして、企業の側も結果的には正当と思えば我々に議事録をちゃんと提示されますよ、それは。
 外務省、この地熱プラントは援助案件ですね、そうじゃないですか。
#92
○政府委員(藤田公郎君) 円借款案件とは承知いたしておりませんが。
#93
○和田静夫君 外務大臣、FSは三菱重工が行う、本体の受注に関しては三菱重工と東芝、富士電機が話し合う、こういう仕組みなんですが、これはまさに談合でしょう。
#94
○政府委員(杉山弘君) 先生のお手に入れられました議事録についてのお尋ねでございましたので私の方から申し上げておきますけれども、私どもといたしましては、先ほども御答弁いたしましたようにこの委員会の場が談合の場として行われているのではない、ただいまの件につきましては、FSについては三菱が行うとしてもその結果等についてはその案件に興味を持ちあるいは入札等に参加する者については広く公開をされる、情報等の問題については特定の会社に限定されない、また場合によっては他の会社にもその後いろいろプラント協会の事業活動について助力を求めることもある、そういうふうな趣旨の話し合いであったというふうに承知をいたしております。
#95
○和田静夫君 本件具体化の際には東芝、富士電機と別途話し合うこととなった、そして結果的には三菱重工、こういうことになると。
 そこで公正取引委員会、先ほども答弁の中にあったんですが、仮定の話ですが、このプロジェクトが日本の国内市場で行われればこれは独禁法に抵触する疑いが非常にあると私は考えるのですが、いかがでしょう。
#96
○政府委員(厚谷襄児君) お答え申し上げます。
 先生、今、仮の問題であるということでございましたが、仮に事業者団体が国内におきましてその団体の構成事業者が国内から受注する事業につきまして一定のルール等を定めて受注予定者あるいは入札参加者を決定するようなことがあれば、独占禁止法に抵触する疑いはあると思います。
#97
○和田静夫君 そこで、フィリピンには独禁法ありますね。
#98
○政府委員(厚谷襄児君) 現在公正取引委員会の手元にあります資料によりますと、フィリピンにおきましては改正刑法の第百八十六条が独占禁止法に相当する規定であろうかと思います。競争を人為的に妨げる共謀や結合が犯罪行為になる旨規定してございます。
#99
○和田静夫君 公取なんですが、例えば円借款がついた発電バージの場合は特別円借款でタイドですね。これはプラント委員会でフィリピンの場合には日立造船がやることになったんですが、フィージビリティースタディーの調査団は一九八二年三月に派遣をされたんですよ。この調査団員の中に冒頭指摘しましたように日立造船の社員が入っている。FSの報告書は日立造船が作成している。そして受注したのも日立造船である。要するに、FSをどこの会社がやるかで受注が決まるんですね。それを決定する場所がプラント委員会という談合機関なわけです、私の言葉で言えば。これはしかもタイドですから国際入札は行われない。したがってプラント委員会の決定が最後まで通用するわけです。そういう事実関係からして、これはフィリピンの独禁法というか、今の刑法に抵触してくる可能性を否定することはできないと私は考えているんですが、いかなる見解をお持ちになりましょう。
#100
○政府委員(厚谷襄児君) 先ほどお答えいたしましたように、改正刑法の第百八十六条がどのように運用されておるかということにつきましては私ども承知していないところでございます。ただ、その中に、法文を見た限りでは談合入札が競争制限的な行為として当たるかという、法文を見た限りでは言えるかと思いますが、その詳細は承知していないということでございます。
#101
○和田静夫君 委員長、通産省は出さないと言っているんですが、今私が論議をしていることはかなり重要なんですよ。したがって再度要求をしておきますが、この二つのプラント委員会のすべての議事録をひとつ提出をしていただきたい。委員長に預けておきますが、理事会でお諮り願いたいと思いますが、よろしいでしょうか。
#102
○委員長(田中正巳君) 理事会で相談します。
#103
○和田静夫君 外務大臣、まだちょっと時間がありますから。
 発電バージはこのフィリピンだけでなくて、バングラデシュあるいはパキスタン、タイ、エジプトなどでもやっているわけですよ。バングラは石播がやって、パキスタンは石播と東芝、タイは日本鋼管と三井造船、こういうふうになっています。またエジプトは三井造船、さらにペルーでは三菱重工、そういうぐあいにまた非常に巧みに分けているんです。これらが結局談合の成果だと思うんですが、これら諸国の独禁法に触れてくる可能性が今公取の答弁にもありますようにあるわけですよ。政府はアンタイド化を進めるとしていながら、一方では実質的なタイドを促進している。それだけではなくて、諸外国の法律違反を国の補助金を使って奨励していると言っても私は過言ではないようにこの状況を見るわけですが、大臣、これは国際的な信義に私はもとると思うんです。大変問題のある補助政策であると考えるんですが、どういうふうにお考えになりましょう。
#104
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全体的に見まして我が国の援助は、国際的なルールはもちろんありますし、基本的にそのルールに従っていることは当然でございますが、やはり相手国の立場というものも考えながらやっておると私は思っております。アンタイド、タイド化といいますけれども、無償の場合はもちろん全部タイドですが、有償の場合はいわゆるこのLDCアンタイとそれから一般アンタイということになってきておりますし、LDCアンタイにいたしましても我が国だけの企業じゃなくてLDCのその他の企業も参加できる仕組みになっておりますし、フィリピンで最近行われているような一般アンタイについては、LDCだけじゃなくてどこの国の企業も参加できるということですから、いわば国際入札という点は相当強く出ているわけでありますし、完全な純粋なタイド化ということは最近の円借の事業では少なくなっておる。これは今後とも相手の国の立場もありますし、国際的な今後のやはり援助のアンタイド化という方向も踏まえて我々としてもこれからも努力をしていかなきゃならぬ一つの点であることは十分承知をいたしておるわけです。
#105
○和田静夫君 しかもこれは補助金の不正使用であると言ってもよいわけですね。特定企業の社員がFS調査団の団員として派遣され、自社の都合のよい仕様でFS報告書を作成する。この補助金は通産省、そういうぐあいに使われていってもよい、そういうふうに使われることを目的としているんでしょうかな。
#106
○政府委員(杉山弘君) プラント協会に私どもから出しております補助金でございますけれども、そのねらいは、プラントにつきましては国際入札等の機会に初めて手を挙げましてもその段階では手おくれになるわけでございまして、いわゆるプロジェクトファインディングと申しますか、工業化プラント建設の話がある段階からできるだけそれにコンタクトできるような体制が必要でありますし、またフィージビリティースタディー等を我が国が行います場合にはさらに受注しやすくなるような環境がつくられる。したがいまして、そういうような活動につきまして政府としても助成をしたいということでございます。
 フィージビリティースタディーにつきましては、相手国の要請に応じてやるわけでございますし、結果的にはそれが経済協力の効果を持つというものでございますし、またその費用を仮に我が国の企業が負担するということになりましても、フィージビリティースタディーを実施したから直ちにそれが受注に結びつくというものでもないわけでございまして、そこにおのずからリスクがございますので、そういったリスクのある事業、経済協力的な意義のある事業につきましては、これを国が助成をする必要があるということで実施をしているものというふうに理解をいたしております。
#107
○和田静夫君 外務大臣、これを最後にしますので、約束の時間ですから。あと一分ぐらい残っているはずですから。
 通産はあれこれ言っているんですけれども、この補助金の使われ方は補助目的を私は逸脱していると思う。FSというのは客観的中立的に行われるべきものであると私は思う。FSをやる者は本体の受注企業とは別のコンサルタントでなければ中立性は担保されません。これは世界じゅうの私は常識だと思うんですね。本体を受注したい企業がFSの調査に行けば、自社に都合のいいようにFS報告書が書かれるのはこれも私は当然だと思う。したがってブラント協会のFSは、FSの要件を私は著しく欠落しているんじゃないかと思うんです。したがって、これは補助目的を逸脱しているということになると思うんですが、外務大臣の見解を伺います。
#108
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私自身が事情を十分把握しておりませんが、日本の企業がもちろんFSに参加していることは御承知のとおりですが、私は相当正確に公正にやっているんじゃないだろうかと思いますし、その結果としての事業そのものが国際入札等を義務づけておりますから、そして談合を排するという形でございますから、結果としての事業そのものについては私はそうした競争原理というものが十分適用されて動いておる、こういうふうに考えております。
#109
○和田静夫君 総務庁、このプラ協のFSが私が今指摘してきたようにFS本来の要件を満たすためには、プラ協の職員がFSをやるか、それとも客観的な第三者に委託するものでなければ私はならぬと思う。したがって、これは補助目的にかなった使われ方になっていないことを私は指摘しておきますから、実態をきちんと調査されるように求めますが、いかがですか。
#110
○説明員(竹内幹吉君) 先生御承知のとおり、行政監察につきましては政策単位にとらえまして、例えば住宅行政であるとか畜産行政であるとか、そういう政策単位にとらえましてその制度運営の調査というのを実施いたしております。したがいまして、こういう個別補助金だけをとらえての個別案件という調査はいたしておりませんので、御理解いただきたいと思います。
#111
○和田静夫君 河川しゅんせつプロジェクトなんですが、対フィリピン円借款の中に河川しゅんせつプロジェクト2というのがありますが、これはいつ交換公文を結んで、幾ら円借をつけましたか。
#112
○政府委員(藤田公郎君) 河川しゅんせつの計画につきましては、一九七八年十一月七日交換公文を締結いたしまして、供与額二十四億二千九百万円を供与いたしました。
#113
○和田静夫君 八インチパイプライン用のしゅんせつ機の入札日はいつでしょう。
#114
○政府委員(赤羽隆夫君) 基金から報告を求めましたところ、翌年一九七九年の八月であったと報告を受けております。
#115
○和田静夫君 調達官オスカー・ロドリゲス氏からマルコス前大統領に送った覚書、私は社会党調査団が入手をして持ち帰ったのをずっと通読をいたしましたが、日付は八二年九月二日なんですが、この覚書によれば八二年七月六日午前十時に入札が行われているんですね。この入札に参加した企業、一番札を取った企業はわかりますか。
#116
○参考人(熊谷和秀君) ただいまの先生の御質問ですけれども、私契約にがかわることでございますので公表を差し控えさせていただきたいと思います。
#117
○和田静夫君 知っているが言えないということなんでしょうがね。
 この入札に参加した企業は、太平、丸紅、日商岩井、川商、川鉄物産、ピー・アンド・エヌ等でありますが、結果的に丸紅が落としました。そこで、この入札に関して非常に疑問に思うのは、入札の摘要の中に次のような項目があることなんですね。1として八インチ吸引パイプラインしゅんせつ機。1(a)として附属品とパイプライン。1(b)として五千時間使用分のスペアパーツ。そして1(c)としてスペアパーツ。これが問題なんですが、総コストの一五%。1(d)として工具類となっているわけです。これは私非情に奇妙にこの一覧表を見ながら思っているんですが、五千時間使用分のスペアの部品が入っているにもかかわらず、その上、総コストの一五%のスペアの部品をつけている。OECF、これはどういう意味でしょうね。
#118
○参考人(熊谷和秀君) 今の先生の御指摘の件ですが、これもちょっと私契約にわたることであれですが、一般論といたしましてはトータルコストの一定比率に相当するスペアパーツも応札者に求めるということはございます。
#119
○和田静夫君 ところが応札した企業の中には一五%のスペアパーツを入れていない企業もありますよ。太平、丸紅、日商岩井、川鉄物産は一五%のスペアパーツを入札物件の中に入れていますが、川商とピー・アンド・エヌは入れてないわけですね。OECFは入札承認審査でこの事実関係をつかんでいるはずですが、どうでしょう。
#120
○参考人(熊谷和秀君) お答えいたします。
 先ほど来申し上げておりますように、内容につきましては、フィリピン側と受注企業との間の私契約にかかわる事項でございますので確認することは差し控えさしていただきたいと思います。
#121
○和田静夫君 常識的にはこんな入札というのは日本ではあり得ないと考えますが、どうでしょうか。
#122
○参考人(熊谷和秀君) 先ほど申し上げましたように、一般論といたしましてトータルコストの一定比率に相当するスペアパーツというものも応札者に求めるということは、これは慣例としてあるというふうに聞いております。
#123
○和田静夫君 この総費用の一五%のスペア部品というのは私は実は奇妙だと思うんです、その上にスペアのあれがちゃんとあるわけですからね。そうすると、ひょっとするとリベートであるかもしれないんですが、少なくとも部品と称しながらも実体はこの段階では何もないことだけは明らかでしょう。これは円借款の実質的な水増しなのではないかと思うんですがね、そういう見方はいかがでしょう。
#124
○参考人(熊谷和秀君) 今の先生の御質問ですが、一五%に相当するスペアパーツを特記してほしいというそういう入札はございます。
#125
○和田静夫君 さらにおかしいのは、このロドリゲス書簡では、丸紅と契約を結びたいとマルコス氏に上申書を出しているんですね。そう出しているんですが、丸紅が入れた価格というのは、先ほどあなたの方が答弁されませんでしたが、二億七千五百四万七千四百十円なんですね。これは最低価格じゃ実はないんですよ。最低価格は太平の二億三千九百九十一万三千三百六十九円なんですよ。それからピー・アンド・エヌが二億六千二百八十万円、丸紅よりも低い価格を入れている。そういう企業があるわけなんですが、結果的にこれは丸紅が落とすんですが、先ほど来プラント協会のいろいろな動き等との関連もずっと考えながら考えてきているんですが、OECFはこういうようなことをどういうふうに説明されますかね。
#126
○参考人(熊谷和秀君) お答え申し上げます。
 個別具体的な関係につきましては、先ほど来申し上げておりますように発言を差し控えさしていただきたいと思いますけれども、一般論といたしまして、入札の評価は技術それから仕様の適合性、それから納期、メンテナンスの容易さ、そういう面を総合的に評価するものでございまして、必ずしも価格だけで決定されるものじゃないということでございます。
#127
○和田静夫君 私はこの契約は不自然だと思うんです。一番札を入れた太平と契約すべきである。あるいは今の条件を勘案してみてもその他条件を満たすところがある。それにもかかわらず丸紅と契約をしている。OECFは当然この契約を認められたわけですね。
#128
○参考人(熊谷和秀君) 先生に先ほど来たびたび申し上げておりますように、私契約にわたることは発言を差し控えさしていただきたいと思います。
#129
○和田静夫君 これは認めたか認めないかぐらいはできるでしょう。
#130
○参考人(熊谷和秀君) やはり相手国の事業実施者と受注企業との関係でございますので、恐れ入りますが発言を差し控えさしていただきたいと思います。
#131
○和田静夫君 いや、契約をしているということはお認めになったんでしょう、丸紅と。そんなことまであなた答弁できないの。
#132
○参考人(熊谷和秀君) 再三申し上げておりますように、発言を差し控えさしていただきたいと思っているところでございます。
#133
○和田静夫君 私はきょうここで主要な政治家との問題などというものを丸紅との関係で指摘しようとは思っていませんけれども、もっとこの辺のことを整理してからの話なんですがね。ともかくこの入札過程というのは不自然ですよ。不自然であるとお思いになりませんか。
#134
○参考人(熊谷和秀君) 先ほど申し上げましたように、一般論として申し上げますと、価格だけではございませんで技術それから仕様、納期それからメンテナンス、そういうものを総合的に判断してやっておりますので、我々としましては一応公正に評価したというふうに考えております。
#135
○和田静夫君 そう言うことは結果的には契約は認めたということじゃありませんか。どうしてそんなつまらぬ答弁の逃げ方ばかりされるんですか。もっとこの特別委員会ができ上がった趣旨に沿って十分にこの論議が詰まるようなそういう答弁をしてもらいたい、結果的に何回かやっているうちに認めるわけですから。
 委員長、これは注意を喚起しますよ、答弁者側に。
#136
○委員長(田中正巳君) 海外経済協力基金の参考人に申し上げますが、いま少しく委員会の審議が具体的に進むよう努力をして答弁していただきたいと思います。
#137
○和田静夫君 それで、私はやはり入札承認に関する関係書類の提出を求めたいと思います。これも委員長にお預けしますので、理事会で十分な御協議を得たいと思います。よろしいでしょうか。
#138
○委員長(田中正巳君) 理事会で相談をいたします。
#139
○和田静夫君 まとめますと、時間ですからあれですが、この入札過程で妙なのは第一に最低価格者が受注していないと見られることですね。それから第二に、入札対象があいまいな総費用の一五%分のスペア部品というものを含んでいるということです。それから五千時間運転分のスペア部品という項目がないのならともかく、その上にどんぶり勘定的なスペア部品がつくというのはどういうことなんだろうか。私は素人ではありますが、リベート的性格を持った円借款の水増してはないかとここのところを強く考えています。したがってここの部分はずっと追い続けますが、企画庁長官、そういうことはありませんか。
#140
○国務大臣(平泉渉君) 事態は十分究明をしてまいらなければならぬと思っております。
#141
○和田静夫君 通産省、この総費用一五%分のスペアパーツは輸出承認はされていますか。
#142
○政府委員(黒田真君) 輸出承認品目であるかどうか当該品目について十分承知しておりませんし、また実際に承認が行われたかどうかということも承知しておりません。
#143
○和田静夫君 通産省、ここのところをちょっと調査していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
#144
○政府委員(黒田真君) 調査いたします。
#145
○和田静夫君 OECFはこの点は確認できますか。
#146
○参考人(熊谷和秀君) お答え申し上げます。
 我々としましては適正な入札それから評価、契約をやりまして、その後LCが発行され、船積みが行われて、その船積み書類に基づいて我々は金を受注業者に支払っておると、こういうことになっております。
#147
○委員長(田中正巳君) 本件に対する調査は午前はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時五十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時一分開会
#148
○委員長(田中正巳君) ただいまから対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#149
○委員長(田中正巳君) 休憩前に引き続き、フィリピンに対する経済援助等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#150
○和田教美君 私は、午前中の事情聴取に関する通産省の人を食った抽象的な説明、報告について押し問答を続けるつもりはございませんけれども、確認の意味で一、二聞いておきたいと思います。
 まず、黒田局長の報告の要旨は、ソラーズ文書にコミッションについて言及のある事項の中の約半数がソラーズ文書の記載どおりに手数料の支出を認めだということが一点と、それから調査した対象の企業は十二企業である、そしてその半数近くがこの手数料の支払いを認めたと、こういうことですね。
#151
○政府委員(黒田真君) そのとおりでございます。
#152
○和田教美君 十二企業の半数といえば大企業ですね。これはもう幼稚園児でもわかっていることですが、それを半数近くと言っているということは六社に満たないということですか、その認めた企業は。
#153
○政府委員(黒田真君) そのとおりでございます。
#154
○和田教美君 六社に満たないというのは、例えば五とか四とか具体的な数字は示せないんですか。
#155
○政府委員(黒田真君) 余り個別の点に関する具体的な内容は差し控えさせていただいておりますので、その辺をだんだん絞り込んでいきますと具体的なものに近づくということで、あえて半数近くというようなことでお答えさせていただいております。この際重要なことは、それが三であるか四であるか五であるか六であるかということではなくて、おおむね半分近いケースについて記載の事実があったということではないかという意味でお答えしているつもりでございます。
#156
○和田教美君 私たちが調べたところでは、ソラーズ文書に登場する企業の中で一五%というリベートを払ったという記載があるのは七社だと思います。そして、その中で一社は倒産をしているわけで、結局六社だというふうに僕らは思っているんですけれども、この半数近くの手数料支払いを認めた企業の大部分は一五%を認めたのか、それとも一部が認めたのか全部が認めたのか、その点を明確にしてください。
#157
○政府委員(黒田真君) 先日もお答えしたところでございますけれども、中には一五%を支払ったという報告をしたところもございますし、また一〇%あるいはもう少し違った数字の手数料を支払っているという報告をした企業もございます。
#158
○和田教美君 一五%が要するに大部分であったかどうか、主なる部分であったかどうかということを聞いているわけです。
#159
○政府委員(黒田真君) けさほどもお答えいたしましたが、この支払いの件数というものの数え方はなかなか厄介でございますが、まあおおむね半分ぐらいは一五%と申し上げても間違いはないのではないかと思います。
#160
○和田教美君 この十二社の調査はあくまでソラーズ文書、つまり我々の言うマルコス文書ですね、これに限定して行われたのかどうか。というのは、マルコス文書に出てくる円借款プロジェクトは、七三年の三月から七七年の四月まで、つまり第一次円借款から第五次の一部までしか含まれてないわけです。ところが、我々が入手した資料によりますと、いわゆるインプリメンティングオフィサー、調達官がつくりました第一次から第十二次までの全プロジェクトについての受注一覧表というか、借款の契約の一覧表というものがあるわけですけれども、これは十二次まであるわけですね。そうして、それによりますとこの一次から四次、五次まで出てくる企業がその後もどんどん受注をしているわけです。したがいまして、一次から四次、五次までに限定して調査をするというのはまことに不自然だと思うので、当然その後のこともついでに聞いているのが常識ではないかと思うんですが、その点いかがですか。
#161
○政府委員(黒田真君) 私ども、いわゆるソラーズ文書と呼ばれておりますが、アメリカの下院のソラーズ・アジア・太平洋小委員長が公開いたしましたところの文書におきましていろいろな記載が行われている、それらについて事実を確認するということをその任務というふうに心得たわけでございまして、その範囲に限って調査をしたということでございます。
#162
○和田教美君 報道にもありますけれども、我々が集めた情報によってもこの一五%というリベートは当時マルコスに行ったリベートの額であって、さらに二%、三%とその周辺に取られて二、三〇%になったというふうなことを言う商社の人もおりますし、逆に、一五%というこの水準、平均は当時の一次から四次ぐらいまでの間のことであって、その後リベートの額は少しずつ落ちてきている、一〇%を切っているということを証言する人もおります。ですから、そういう点については当然聞くのが私は政府としての常識だと思う。し、責任であると思うんですが、全くやってないわけですか。また、そういう今言ったようなことについて全く承知されていませんか。
#163
○政府委員(黒田真君) 私どもの四省庁共同して行いました調査は、ソラーズ文審におきまして円借款プロジェクトについてコミッションにつき言及のある事項というものに限定をして行っておるわけでございまして、その中には一五%のものも半分ぐらいあるし、それ以下のものも残りであるということは全体の約半数近くについて確認されておるわけでございますが、それ以外の諸問題については調査はいたしておりません。
#164
○和田教美君 午前中の答弁で、一五%という高率のリベート、手数料というものは、事情聴取をした相手側は不正なものではないということを皆言っておると。しかし、四省庁としてそれが要するに不当なリベートであるというふうに判断するかどうかについては全く判断停止で、これから考えるというふうな答えでございましたけれども、安倍外務大臣はかつて私の予算委員会における質問で、一五%というような数字がもし事実だとすれば、これは手数料というよりももろにわいろ性の強いものだという趣旨の答弁をされたことを記憶されておると思うんですけれども、外務大臣は今でもそういう考え方に変わりはございませんか。
#165
○国務大臣(安倍晋太郎君) 当時の答弁はよく私も記憶しておりませんけれども、一五%というのは相当な手数料であることは事実だと思うんですね。しかし、一割だとか一五%あるということをその後いろいろと私も聞きました。五%という数字もあるでしょうし、やはりコンサルタントの働き次第でそういうことになる場合も私はあると思います。ですから、これは一概にそれが違法性だとかなんとかいうことを言うことはできないと思いますが問題は、やはりその手数料、これは一五%であっても一〇%であってもたとえ五%であっても、それが例えば正当なコミッションとしてコンサルタントに払われるんじゃなくて、それが何かマルコス周辺に行くとかマルコスに行くとかいうことになるとこれはフィリピンの法律で恐らく罰せられるんじゃないか、日本だってそれは当然罰せられるんですから。そういうことになっていくのではないだろうかというふうに私は思っておりますし、そういう趣旨のことを申し上げたと。ですから、一五%というのは相当やはり手数料としては高いものだという私の率直な気持ちと、しかし、一五%であれ一〇%であれ、問題は、それがマルコスさんの周辺あるいはマルコスさんに行ったとすれば、そこがわいろということになっていくんじゃないだろうか、フィリピンの法律では。その辺のことを言っておるわけであります。
#166
○和田教美君 次に、四月の末だったと思いますけれども、日本に来ましたオンピン蔵相が東京からサロンガ委員会に電話をかけて、日本政府の閣僚からフィリピンでの情報リークを防止するよう要請された、言ったということがございます。そして、この東京からの鹿話があったということは、その後委員会のダザ委員も認めております。また、これはほかならぬ自民党の武藤嘉文代議士が八日に行政管理委員会のダザ委員に会った会談内容が出ておりますけれども、それによると、日本のある人から参議院選挙の六月二十二日までにサロンガ行政管理委員会委員長あるいはダザ委員が訪日しないようにしてほしい、調査結果については公表せずに外交ルートを通じて日本側に連絡を欲しいと告げられたと、こういう記事が出ておりまして、行政管理委員会としてはこれは日本政府からの圧力であるというふうに受け取っておるように読める記事が出ておりますけれども、その点は外務大臣はいかがお考えですか。
#167
○国務大臣(安倍晋太郎君) オンピン大蔵大臣が見えましたときには中曽根総理にも会われたし、竹下大蔵大臣にも会われたし、また私自身も会って会談をいたしました。その他相当多くの要人に会われたんじゃないかと思います。しかし、今お話しのような日本が圧力をかけたとか、そういうふうなことは我々としては全く承知しておりませんし、日本とフィリピンの関係はそういう関係ではないと私は思うわけでありますし、そして我々はむしろオンピンさんとめ間で早く十三次を推進しましょう、同時にまた新しいこれからの援助についても積極的に協力していきますし、政府間のそういう話し合いを早速始めていきましょうという積極的な話し合いをいたしておりまして、オンピンさんも大変それを喜んでおられたわけでございます。ですから、いろいろと今お話があったようなことはどういうふうに受け取られたか知りませんが、しかし圧力といったようなものじゃない、こういうふうに思います。
#168
○和田教美君 円借款の仕組みは非常に複雑で、相手国の政府からの要請があって、そうして交換公文、さらにLA、借款契約の締結、相手国政府による入札、それからいよいよプロジェクトの着工、完成、さらに政府と基金による事後のプロジェクト評価というふうな手続があるわけですが、この全過程でいろいろな政府の公文書、双方の政府の関係機関の公文書ないしは契約書類だとかそういうものがたくさんできるわけですけれども、その中で一体日本政府が公表しているものは何と何ですか。官報に交換公文が掲載されるということは承知しておりますけれども、それ以外に何が公表されるんでしょうか。
#169
○政府委員(藤田公郎君) ただいま御指摘のように先方から要請が参りまして、通常、委員も御承知のとおり、要請は私どもが供与しますものよりも多いものが参りまして、それでいろいろ交渉を経まして我が方として対応が可能であるというものについて合意を見ます。合意を見ます合意の形式は、我が国内の手続としましては閣議決定でございまして、閣議決定を経た後交換公文の署名に至ります。交換公文署名後、今御指摘のように官報その他の方法により公表が行われております。この交換公文中には借款の条件、案件、概要、供与限度額が記してございます。
 それからそれ以外に公表しているものは何かという御指摘でございますが、国会の御要望等によりまして、フィリピンの例で申し上げますと、商品借款について非常に御議論がございまして、商品借款の対象の品目はどういうものかという御質問がございまして、その御質問に対しまして第十二次の商品借款の対象品目の内容を国会に御提出申し上げでございます。積極的に公表するという性格のものではございませんけれども、国会の御要望で御提出を申し上げている、こういうことでございます。
 それから最後の、最後と申しますか、後での評価活動というものを私ども、それから在外公館、海外経済協力基金、JICA等で行っておりますが、この経済協力評価報告書というものが年間約百件程度の世界じゅうのプロジェクトを評価しておりまして、この報告書を毎年一遍公表いたしております。三回今まで公表が行われておりまして、近く第四冊目の公表が行われる時期に来ている状況でございます。
#170
○和田教美君 そうすると、例えば円借款供与に関する借款契約の内容だとか、あるいはまた入札に当たって基金に入札の承認を求めてくる入札書類だとか、あるいはまた入札評価結果の審査に関する書類だとか、実際に落札した工事、プロジェクトが進行するわけですけれども、それに関する書類といいますか概要だとか、そういうふうなものは一切公表してないわけですか。
#171
○政府委員(赤羽隆夫君) 個別の契約にかかわることについては公表しておりません。ただ、プロジェクトの概要説明、こういったようなものについてはそれぞれ公表しているものがございます。
#172
○和田教美君 プロジェクトの概要説明というのはどの程度のことを言っておるわけですか。
#173
○政府委員(赤羽隆夫君) 新聞発表ということでございまして、例えばここに手元にございますけれども、第八次商品借款につきまして借入人、これはフィリピンの中央銀行であるということ、金額、金利、償還期間、調達条件等々ということで発表しております。また、プロジェクト借款につきましても、これにつきましては借入人はフィリピンの共和国政府であるということ、それかる対象案件及び金額につきましてそれぞれ個別のプロジェクト、個別と申しますか、ここにございますものでは、例えばメトロマニラ排水ポンプ施設修復事業三十億一千二百万円、金利が三・五%、償還期間三十年、うち据え置き十年と、こういったようなことで発表してございます。
#174
○和田教美君 ここに、経済企画庁が民間の研究機関、これは野村総研ですけれども、委託をしましたフィリピン援助に関する事後調査の報告がございます。これは国際開発センターにこれまた委託したものですが、この援助案件供与・実施過程に関する調査、これは野村総研が六十年の三月、つまり去年の三月ですね、第九次円借款による地方通信施設拡充事業、これは七十六億円でございますけれども、これを中心とする通信事業といいますか、電気通信事業についての調査をやったものでございます。
 この地方通信施設拡充事業、中心になっております地方通信施設拡充事業というのは、電話線を張るなど電気通信事業の経済協力案件でございまして、八一年六月に借款契約をしております。フィリピンの中の五十四都市を一万一千回線で結んで、そのほかに伝送設備だとか電話だとかテレックス、交換機も設置して軍用にも利用する大通信事業だというふうに報道されておるわけですが、我々が手に入れております資料によりますと、このコンサルタント会社は日本テレコム、そしてプロジェクトを担当する会社は東陽通商であります。事情通の商社の人たちなんぞの話を聞きますと、これは東陽グループがいかにマルコスに食い込んでいたかということを示す典型的な例だというふうに言われておるものです。つまり、アメリカのITTだとかATTだとか、ドイツのシーメンスだとか、そういう超有力企業が国際入札に参加したんだけれども、それをけ飛ばして結局この東陽グループが受注をしているというものでございます。
 ところが、この案件調査の結論部分ですけれども、これは部外秘ということで要約しか企画庁で出しませんから要約で申し上げますけれども、こういうふうに書いてございます。「まだ本プロジェクトが完成していないので、案件の評価は困難である。」というふうに結論をつけておるわけです。ところが、この報告が出ましたのが昭和六十年の三月でございますが、それからわずか数カ月後の昭和六十年十二月二十三日に第十三次の円借款の交換公文が取り交わされまして、その中に新たに地方通信施設拡充事業第二期というのが入っております。これは八十三億二千万円が計上されておるわけで、またこれは凍結されておりますから実際には契約はしていないんだと思いますけれども、私が聞きたいのは、こういう委託調査をして、その案件の評価について評価困難であるというふうな報告を受けておりながら、それからわずか数カ月後に数十億もかかる新しいプロジェクトの決定をするというのはどう見ても常識的には理解できない、こういうふうに思うんですが、その点はどういうふうになっておるんですか。
#175
○政府委員(藤田公郎君) この地方通信網の拡充計画と申しますのは、そもそもの計画の段階で非常に大規模のものでございまして、これを今委員御指摘の第一次の、フェーズTと申しておりますけれども、第一次の計画で約半分程度を実施いたしまして、残りの半分程度をフェーズUという形で、この二つのフェーズに分からましてフィリピンの地方の通信網を拡充しようというのがそもそもの構想でございました。
 したがいまして、ただいま御指摘のございました部外秘と指定されております。その経済評価の報告書で言っておりますことは、恐らくはこの第三のフェーズ、今御指摘の第十二次の円借款に要請としては入っておりますけれども、要請として入り、かつ交換公文が締結されておりますけれども、この第二のフェーズを終わりました段階で全体として地方の通信網が完備するという形になっております。したがいまして、恐らくはそこでの言及はそのようなことを踏まえたものかと存じますし、第十二次円借款で先方から地方通信計画という要請が参り、我が方の政府としてそれに合意いたしましたのは、第二次をもって全体の一つの通信網計画が完備する、こういうことで私どもも合意をしたと、こういうことでございます。
#176
○和田教美君 その説明はどうも納得できないわけで、とにかく本プロジェクトは完成していないので案件の評価は困難であると言っておるわけですから、評価についての思考停止をこの調査はやっているわけですから、もしそうだとすれば、さらにもう一度政府として果たして案件が少なくとも第一次についてはこれが有効に働いておるかどうかということを確かめてから第二次というふうになるのが当然だと思うんですが、第一次、第二次とフィリピンから要請があるから、もう評価の問題は後回しにしてとにかくやっちゃえというふうなことで走っておるというふうにきえ受け取れるわけですが、その点はどうですか。
#177
○政府委員(藤田公郎君) 国際協力事業団が行いましたFS調査も、一つの調査で行いましたものを、先ほど申し上げましたようにかなり大規模な計画だったものでございますから、フェーズT、フェーズUと分けました。したがいまして、委員御指摘のとおり、そのフェーズTというものはその限りにおいては完成と申しますか実施が行われたわけでございますが、十三次で合意しておりますフェーズUが終わりました段階で全体としての通信網が完備するという姿になります。ちょっと口頭で御説明をいたしますとなかなか複雑になると思いますので、後ほど地図を作製いたしまして、フェーズTがこういうものフェーズUがこういうものということでお渡しいたしますので、それの方がおわかりいただけるのではないかと存じます。フェーズTというものとフェーズUというものがそれぞれ補完するような形でのプロジェクトになっておりますものですから、そこでそういう評価になったということで御理解いただければと思います。
#178
○和田教美君 余り納得できないけれども、次に進めましょう。
 次に、いわゆる要請主義という問題についてお尋ねをしたいわけです。円借款の援助プロジェクトはあくまで被援助国の要請によって出すかどうか検討が開始される、これが要請主義で、外務省はその建前はあくまで貫いておると言っておるわけですけれども、それは全く名ばかりのものであって、実際にはそうではないのではないかというふうに思われるわけですが、いかがですか。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
#179
○政府委員(藤田公郎君) 我が国の経済協力の基本的な考え方が開発途上国の自助努力を支援するという立場に立っておりますので、協力プロジェクトの遂行に不可欠な条件でございます先方政府の意思及び能力の存在を確保するという観点から、要請主義というものの基本を貫いております。したがいまして、先方が一番優先的に日本の協力を仰ぎたいというものについては、先方の予算における先方の努力のあかしと申しますか、そういうものも必要でございますし、先方の責任を持ってもらうという点からもこの原則はやはり貫いていくべきものだと考えますし、その基本は守られていると存じます。
 ただ、その要請主義と申しましても、一部誤解を与えておりますように、全く私どもが受動的で先方の言うがままになっているということではございませんで、案件の決定権、決定権と申しますか、優先度の決定権というものは先方の考え方を尊重するということにほかなりません。したがいまして、国によりましては官僚制度と申しますか、事務的な能力等々が余り完備してない国等につきましては案件の発掘、形成等をお手伝いするということもございますし、それからそのほか通常のフィリピンを含めますASEAN等のかなり発展した国につきましても、調査団の派遣とか年次協議等の場を通じまして案件の形成、発掘のお手伝いはいたしております。また、総合的な案件の形成ということからも、相手国の経済開発計画、五カ年計画等の策定の前に非常に大型の調査団を先方に派遣いたしまして、開発計画の策定の段階から、内政干渉にわたらぬ範囲ではございますけれども、お手伝いを申し上げるということもいたしているということでございまして、その限りにおいては、その要請主義というものもかなり弾力的な運用を行っているというのが現状でございます。
#180
○和田教美君 今のお話のお手伝いなのかどうか、そこが非常に問題だと思うので、関係業界の話なんかを聞くと、日本企業が受注を有利に運ぶためにコンサルタント会社それから商社、メーカー、こういうところがスクラムを組んで、フィリピン政府が日本政府に対して要請を出す前に事業計画をフィリピン政府にどんどん売り込む、そういう仕組みになっておる。つまり日本企業主導型だということを言います。そして援助案件の計画だとか、こうすればOECFはもうオーケーだというふうな入れ知恵だとか、そういうものも全部事前に行われておる。ですから、結局フィリピン政府の要請というのは実際にはその日本企業を中心とするグループによってつくられておる、こういうことがよく言われておるわけです。
 そればかりか、今のお話もございましたけれども、国際協力事業団、JICAが相手国政府の要請を受けて技術協力調査団を派遣して開発計画の立案を行うというふうなことがあるわけなんですけれども、これも実際には民間の例えばコンサルタント会社などに調査を委託するというふうな形で、そのコンサルタント会社は実は商社やメーカーともう初めから組んでおったというふうな例が間々あるというふうに聞いておるわけなんですけれども、実は「経済協力の現状と問題点」というこれは通産省が出された本でございますが、この「経済協力の現状と問題点」の中に「円借款手続きフロー」という表が出ております。この表は非常に正直でございまして、商社、メーカー、コンサルタントが一つの枠になっておりまして、そしてプロジェクトファインディングにいろいろとかかわっておる、そして相手国政府の要請があれば可能性調査もやるし、というふうなことの全部一覧表、関係図が出ております。
 そういうものがあって初めて借款の要請になる、こういう表が出ておりますが、外務省のおつくりになっておるこの「(プロジェクト借款)のしくみ」。というのは、いきなり相手国政府の要請というところから始まっているわけで、要するにそのコンサルタントだとか事前にJICAなんかが関連している部分が全く抜けているわけですね。そういう意味では通産省のこの資料が非常に正確というか正直だと思うのですけれども、もしこれをお持ちでなかったらここにプリントしたのがございますからごらんになって、その比較論を少し感想を述べてください。
#181
○政府委員(黒田真君) ただいま先生御指摘のように、私どもが刊行しております「経済協力の現状と問題点」の中で、相手国の要請に先立って商社、メーカー、コンサルタント等の果たし得る役割がプロジェクトファインディングというような形で書いてあるということは事実でございます。この点は、先ほど藤田経済協力局長がお話をしましたように、日本の援助がプロジェクト主義、要請主義と呼んでおるようなやり方をやってきておるわけでございまして、そういった一つの仕組みに対応してそのプロジェクトをつくり上げていく、拾い上げていくという過程で、実際問題として日本の、あるいは外国の場合もあり得ると思いますが、民間の企業がお手伝いをするということは私はあっても構わない、あるいはなければなかなか実際は進まないのではないだろうかというふうにも思うわけでございます。
 若干議論を広げて大変恐縮でございますけれども、援助には有償、無償という分け方もございますが、同時に国際収支を応援する、あるいは一般の財政を応援するというような形で、お金をぽんと差し上げるというような形での援助というものも形としては現にあり得るわけでございます。ただ私どもは、日本としてはプロジェクトというものに着目をしながら、国民の税金等が利用されるのだからそれが相手国の民生の向上、福祉の増進に役立つ形で、目に見える形で使われるということが援助の本旨ではないだろうか、こういう考え方に立っておりますと、どうしてもそこで相手のニーズに即応し、かつ、我が国から言えば我が国のいろいろな持てる力、技術力等を生かし得るような、そういったようなことを頭に置きながらいろいろプロジェクトというものを考えていくというプロセス自身は、現在の制度を一つ前提といたしましたときに、ある意味で自然に起こる経済活動であるというふうに考えておる次第でございます。
#182
○和田教美君 相手国政府から技術協力の要請があった場合にJICAがフィージビリティー調査をやるというのがこの表に出ておりますが、また相手国政府が直接可能性調査をやるということも出ておりますが、JICAがそういう形でフィージビリティー調査を相手国政府から要請を受けてやったというのは、フィリピンのプロジェクトの中で大体どのくらいでございますか。
 それからもう一つは、JICAが直接そういう調査をやるのか、それともコンサルタント会社に委託をしてやるのか、その辺のところの事情はどうなっておるか明確に説明をしてください。
#183
○政府委員(藤田公郎君) 国際協力事業団が技術協力の一環といたしまして行っておりますフィージビリティー調査でございますけれども、これはあくまでも技術協力の一環として国際協力事業団が行われるものでございまして、資金協力とは一応切り離した形で、そのもの自体としての価値がある技術協力という形で行われております。したがいまして、このFS調査を行いました結果は相手国政府に提出されますが、この調査結果をどのように利用されるかということは相手国の判断に任されているということになっております。
 このやり方でございますけれども、国際協力事業団が行います場合には、適当な技術者を有します民間のコンサルタント等に調査業務を実施せしめておりますけれども、調査の基本的な方向づけにつきましては、関係各省の専門家及びJICA自体からまず調査団を派遣しまして、先方政府と協議の上決定をいたし、かつ、民間コンサルタント企業による実際の調査に当たりましても、調査の取り進め方、技術的内容等につきましては、外務省初め関係省庁、国際協力事業団等より常時指導監督を行っておりまして、国際協力事業団としてのFSということで相手国政府に提出をいたしております。
 最後に、御質問のフィリピンに対します円借款供与全案件、第一次から第十二次まででございますが、のうちフィリピン政府が国際協力事業団による調査に基づきまして円借款の要請を行いましたものの割合は全体の約三割ということになっております。ちなみに国際協力事業団が行いました全FS調査のうち、その後の資金協力、円借款に結びづきましたものの割合が約四割ということになっております。
#184
○和田教美君 今私がいろいろ取り上げてまいりましたことでもわかるように、コンサルタント会社というのは非常に役割が重要なんですね。相手国政府から要請のある前に大体もう新しいプロジェクトの形というものがコンサルタントを中心に形成されておるということさえ言われておるわけなんですけれども、さらにこのコンサルタント会社は、いよいよ借款契約が行われて、そして民間の業者とフィリピン政府との契約ということになった場合に、ここでもまたコンサルタントとして契約をするというふうなことが資料によりますと全部行われておるわけです。
 例えば第九次の地方通信施設拡充事業七十六億、さっき取り上げたものですけれども、これによるとコンサルタントの日本テレコムは三億二千五百万円のコンサルタント料、契約の四・五%を取っております。ところが、これは借款契約以後の計画の実際の進行に関するものですから、さっき私が言いましたフィージビリティー調査だとかあるいは事前にいろいろとフィリピン政府に売り込むというふうなものですね、そういう経費、そういうもののコンサルタント料というものは当然入っていないんだろうと思うんですが、そういうものは結局自己の危険負担においてやっておるのか、あるいはJICAその他から補助金みたいなものが出ているのか、その点はいかがですか。
#185
○政府委員(藤田公郎君) 今の御質問を必ずしも私正確に理解できたかどうかわかりませんが、国際協力事業団の行いましたFS調査……
#186
○和田教美君 いや、国際協力事業団のとは違うんですよ。
#187
○政府委員(藤田公郎君) FS調査を行ったものが円借款のコンサルタントにもなっているものがあると、こういう御質問でございますね。
#188
○和田教美君 コンサルタント会社一般は、その後でもまたそういう事業の進行についてコンサルタント料を取っているじゃないですかと、契約で。
#189
○政府委員(藤田公郎君) FS調査を行いましたコンサルタントが次の段階でございます円借款の中での、エンジニアリングサービスと言っておりますが、設計、施工、監理等のいわゆるコンサルタントになるという例、同一の企業がなっている例があるではないかという御指摘かと思いますが、たまたまそういう結果になるということはございますけれども、FSの調査自体は言うなれば資金協力の前提になる調査でございます。円借款を行います際の円借款の一部として設計、施工、監理を行いますコンサルタントは、選定は円借款を実施します主体から相手国政府が決定をいたしますものですので、結果としてFSを行ったものが有利になるとかいうようなことはあるかとも思いますが、これは事実上の問題でございまして、性格的には全く別の次元の仕事だということが申せるかと思います。
#190
○和田教美君 どうも僕の質問をちょっと誤解しておるわけですが、つまりフィリピン政府が日本政府にプロジェクトについての要請をしてくる前に、実際問題としてJICAに頼まれてコンサルタント会社がいろいろ調査をするということもあるでしょう。それはJICAが恐らく負担するんでしょう、その経費は。しかし、直接商社やメーカーが組んでフィリピン政府にいろいろプロジェクトを売り込むと、そのためにはやはり調査の金がかかるわけですが、そういう金は一体どこが持っているのか、コンサルタント会社の自己負担、危険負担でやっているのかと、こういう質問です。
#191
○政府委員(藤田公郎君) 通常それは恐らく商業ベースで行われる場合が多いのではないかと思います。すなわち相手国政府がコンサルタント会社にFSをやってもらうという形で行われているのが多いのではないかと私は思いますけれども、もし要すれば他の省から御答弁をお願いします。
#192
○和田教美君 もっと明確に答弁できるなら答弁してください。
#193
○政府委員(黒田真君) ただいま経済協力局長が商業ベースと申しましたのは、相手国がみずから予算を組んで、そしてそういうコンサルタントを公募し、あるいは指名をしてお金を払って仕事をさせているというケースが一般的にあるのではないかと思います。そして、そういう仕事に対して場合によっては技術援助等が行われるということは当然あり得ると、こういう整理でよろしいのではないかと思いますが。
#194
○和田教美君 そうすると、日本の商社だとかメーカーだとかのグループがコンサルタントを雇って、雇ってと言っちゃおかしいけれども、そうして一つのプロジェクトの候補をつくってフィリピン政府に持ち込むというようなことは全くないということですか、そういうケースは。
#195
○政府委員(黒田真君) 要請に至ります前段階というのはいろいろな段階が考えられるように思います。借款のもう直前まで相当成熟をいたしましたというか詰まった段階では、相手国がまさに主導権を握ってフィージビリティースタディー、可能性調査というものを行うように思います。ただ、その初期の萌芽の段階では、あるいは先生御指摘のように企業グループが何かのアイデアのようなものをつくって持ち込むということの可能性を排除できないわけでございますが、その辺の点について詳細調査したものについて私ちょっと承知はいたしておりませんが、非常に萌芽的な段階ではあるいはあるかもしれない、だんだん固まってくれば相手国が主体的にやるものだということで多分間違いはないと思います。
#196
○和田教美君 次に、入札ですけれども、プロジェクト本体の入札の前にまず事業の設計、総合実施計画案などエンジニアリング部門を請け負うコンサルタント会社の入札が行われる。そして、この入札に限ってはLDC、つまり開発途上国アンタイドローンの方式がとられておる。ということは、開発途上国と日本のコンサルタント会社しか入札に参加できないということですが、これは事実ですか。
#197
○政府委員(藤田公郎君) 一般アンタイドを基本方針とするという五十三年度以降の方針がございますけれども、早急に一般アンタイド化ができない国または分野等につきましては、タイドの援助から一般アンタイド化に移行する過程の過渡的措置ということでOECDにおきましても認められておりますLDCアンタイドという措置を適用しているのは事実でございます。その中に、コンサルタント業務につきましても原則としてはLDCアンタイドで行うということになっております。
#198
○和田教美君 そうすると、具体的にフィリピンのケースを考えた場合に、現実に日本のコンサルタント会社の技術というのは非常に優秀で実績も十分ある。ところが、開発途上国のコンサルタント会社の能力は非常に落ちるというふうなことが実情だと思うので、そうなると簡単に日本側が落札しちゃうということになると思うんですね。そうして、日本のコンサルタント会社が落札すると、そのコンサルタント会社が担当する設計というのは当然、例えばJIS規格だとか日本の技術水準、そういうものに基づいて進められるということで、実際問題として本体の工事も日本のメーカーでなければ難しいというふうなことになるのじゃないか。
 ですから、今入札は一般公開入札だというふうに概括的によく政府は言いますけれども、その頭の部分でこういうLDCというのを忍び込ませているということによって事実上隠しひもつきのものになっているのではないか、こう思うんですが、この点はどうですか。
#199
○政府委員(藤田公郎君) 全般的に申しまして、できるだけ一般アンタイド化していこうという考え方と、それとともにやはり我が国の資金による援助であるということのアイデンティティーと申しますか、それをどういうふうに確保していくかということでいろいろの考え方があり得ると存じます。コンサルタントの部門につきましては、各先進諸国ともほとんどが自国にタイドということにしまして、本体についてはアンタイドにする国につきましても、コンサルタント部門については、ソフト部門と申しますか、それについては白国にタイドにするというのが全般的な姿でございますので、我が国もそのような考え方に立っているというのが一つ指摘できるかと思います。
 しかしながら、第二に申し上げたい点は、そのような状況下におきましてもコンサルタントの中立性というものはコンサルタント本来のあるべき姿ということで基金の方でもきちんと確保されておられますし、コンサルタント自身の名誉と申しますか、名声にも響いてくる話でございますので、きちんとした対応をとっておられるというのが今の状況かと思います。
 ちなみに第三点としまして、ただいま委員が我が国のコンサルタント業界も随分成長してきてもう一流になってきているという御指摘がございました。確かにコンサルタント業界もかなり力をつけてきてはおりますけれども、つい先般発表されましたアメリカの統計等によりましても、世界のコンサルタント上位二百社のうち、我が国が入っておりますのはわずか十二社ということでございますし、我が国のトップのコンサルタントというのは世界で数えて上から十三番目、第二位が二十何番目というようなことでございまして、まだまだ他の先進各国に比べますとコンサルタント部門というのは非常に立ちおくれている。こういう面ではやはり日本ももう少し力をつけていきまして、少なくとも日本の援助については、できるだけ日本のコンサルタントが日本の援助であるというアイデンティティーを発揮していただくようにしていただきたいというのが私ども援助の実務を担当しております者の考え方でございます。
#200
○和田教美君 今の問題について経済企画庁長官は非常に専門知識が豊富だと思いますが、どうお考えですか。
#201
○国務大臣(平泉渉君) 今の局長の答弁と大体同じ趣旨でございます。
#202
○和田教美君 私がなぜそういうことを申すかというと、要するにフィリピン政府から正式の要請のある前にいろいろな日本のグループのからくりがあるということはいろいろな報道があるから申すわけですけれども、一つには一五%という高額のリベートがこのからくりの中で生まれてくるのではないかというふうに考えるからであります。そういうことを証言するフィリピンの側の人も多いわけでございまして、フィリピン側の借款の要請の際に日本側に提出される工事見積書の段階で既に一五%、二〇%近い水増しが行われておって、そのリベート分を含む見積もりは日本の商社とコンサルタント会社がもう十数年前から行っていたというふうなことも新聞などでしばしば見かけるわけでございます。その点はどうなのか、そういうことは全くOECFなどは考えておらなかったのかどうか、その点が質問の第一点です。
 それともう一つは、円借款事業には国内の公共事業費などにはない予備費というのがございますね。正規の予算の大体一〇%から二〇%程度予備費に組んでおるわけですけれども、工費とか、それからリベートとかというもので費用がかかり過ぎて赤字になるというふうな状態が起こった場合に、この予備費で操作するということが可能なようなシステムになっているのではないかというふうに思われるわけですけれども、OECFの見解をお聞きしたいと思います。
#203
○参考人(細見卓君) お答えいたします。
 先ほど藤田局長の方からもお答え申しましたように、日本の援助というものの中には、プロジェクトができ上がるということももちろんその国の民生にとって大変大事なことでありますけれども、同時に技術を移転する、日本のここまで到達した技術をいろいろな意味でそういう途上国に移しかえていく、その意味におきましてはコンサルタントというのが非常に重要な役割を果たす一面もあるわけでございます。そうだからLDCアンタイドにするということではございませんけれども、御承知のようにコンサルタントというのはいわゆるだれにも信頼される技術的に権威ある職業でございますから、仮に日本のコンサルタントがそういう仕事を引き受けましても、その結果は先生御承知のように一般国際入札に付するわけでございますから、日本のコンサルタントが国際的な技術水準から見て見劣りのするようなことをしておったのでは、自後そういうコンサルタントはいわば自殺行為になるわけですからそういうことはないというふうに、つまり国際競争ということが牽制するだろうと思っております。
 それから二番目の予備費の点でございますけれども、国内の場合でございますと、率直に申し上げまして予算はいわば単年度主義になっておるわけでありますが、こういう援助に基づきますプロジェクトというのは多くの場合五年、場合によってはおくれるようなことがあって間々御叱責をいただいておることでございますが、いずれにしましてもかなり長くなるものでございますから、最近は経済情勢がかなり変わってまいりましたけれども、こうした案件がありましたころには国際的なインフレというようなもので金額がかさむということがあったわけです。ただ、たびたび申し上げておりますように、円借款というのはいわば貸し出しのマキシマムで、そこまで貸さなきゃならないということではなくて、そこまでは面倒を見ますということでございますから、貸し出しの額は現実に物を買い、役務を調達した金額が支払われるということで、そういうことを勘案して予備費をつけておる。これは長期にわたるものであり事情の変更に対応できる、そして金額をふやすということは交換公文で決められた金額をさらに改めることでございますから、事業費というものの段階で予備費としてある程度のものを取っておるというわけでございます。
#204
○和田教美君 時間が大分なくなってまいりましたから次に進めますけれども、ロドリゲス調達官、インプリメンティングオフィサーですね、これはフィリピン側の窓口として調達官が存在をしておって、オスカー・ロドリゲス氏がもう長年この職にあるということはすっかり有名になっちゃったわけですけれども、この調達官制度というのは日本の円借に特有の官職で、アメリカなどの場合には各プロジェクトを管轄する事業官庁が米側と個別に折衝するという形をとっております。ところが、一本化した窓口である調達官制度というのは、実は日本側の要請によってこういうことになったんだということをロドリゲスさん自身が新聞のインタビューだとか、あるいは雑誌のインタビューなどで語っております。ここに私が持っておりますのは朝日ジャーナルの五月二日号でございますけれども、その点はOECFはお認めになりますか。
#205
○参考人(熊谷和秀君) お答えいたします。
 ロドリゲスさんがお話ししたということは我々直接聞いておりませんので、その点はよくわかりませんけれども、先生御指摘の調達官制度を比例に要請したと、そういう記録はございませんし、基金としてそのような要請をしたということは考えられません。
#206
○和田教美君 次に、同じロドリゲス氏の発言ですけれども、OECFとフィリピン政府との借款契約、これは限度額だということをさっきおっしゃいましたけれども、それに比べて実際の工事契約額が低くなるという場合があるわけですね。しかしその差は追加注文に転用できるんだという発言を同じ場所でロドリゲスさんがやっているわけです。
 例えば第一次円借のカガヤンバレー電化事業、これはここにございます資料によると川鉄物産、兼松江商、トーメン、伊藤忠、住友コーポレーションが受注したものでございますけれども、フィリピンの国家電力公社が非常に頑張って「業者と交渉、工事価格を借款契約額の七〇%に下げることに成功した。」と、こう言っておるわけです。そして、「三〇%も差が生じたわけだが、この差額はプロジェクトの追加注文のために使えるものだ。もちろん、それにはOECFの承認が必要なわけだが、OECFはいつも私たちの申し出を認めてくれた。拒否されたことはない。カガヤンの場合には、変圧器や電線を買った」というふうに言っておるわけですね。
 それで、私たちが入手した資料によると、一九八〇年の二月二十九日の段階、これはどういう資料かというと、ある段階におけるロドリゲスさんのところの契約の一覧表というようなものですね。それによりますと、一九八〇年二月二十九日の段階での各企業との契約のトータルアマウントは四十七億余りになっているんですね。ところが、借款契約の限度額は五十一億九千百万円、その差は大体四億八千五百万円、約五億ぐらいあるわけですね。しかし、これは借款契約額の約八%です。ですから、三〇%なんということはないわけで、したがってロドリゲスさんの言っているように、こういったことがもし事実だとすれば、第一次円借の契約のときに三〇%ぐらい余っていたのが、だんだんだんだんそれ以外の物を買っていって結局八%分ぐらいが残ったということになるんではないかというふうに思うわけですね。この資料が事実かどうかを確かめてくれと言っても、それはもう全然あなたの方は言わないでしょうからそれを言うわけではございませんが、結局この契約は最終的に完了していると思うんですが、全部使い切ったのか、それともどの程度要するに余ったのか。その決算の状況をひとつ知らしてください。
#207
○参考人(熊谷和秀君) お答えいたします。
 先ほど先生お話しのように、借款契約の金額、承諾額は五十一億九千百万円でございまして、実際に使いました金額は五十一億五千百万円、八一年の十二月に貸し付けを完了しております。
 以上です。
#208
○和田教美君 そうすると、もうほとんど使い切っているということですね。ほかの、要するに第一次から第十二次までもう既にあるわけですが、その中で工事が完了している、決算ができるというものについては大体全部そういう傾向ですか。
#209
○参考人(熊谷和秀君) 未使用残のといいますか、使い残しにつきましては、その後そのプロジェクトそのものの能力がより一層効果が発揮できるとか、あるいは自後の運営に役立つという場合、借款契約及び交換公文の範囲内で認めるケースはございます。
 それで、今先生のお話の貸し付け完了した案件ですね、これについてどうかということでございますけれども、貸し付け完了した案件は四十三件ございまして、これの承諾額が千百二億円になっております。それに対しまして貸し付けを実行いたしました金額が千八十八億円、こういうふうになっております。
#210
○和田教美君 差がどのくらいある。
#211
○参考人(熊谷和秀君) 差が十四億円でございます。
#212
○和田教美君 さっき前の委員がちょっと取り上げておりましなけれども、発電プラントのパージの問題ですけれども、これまた経済協力効果研究報告書、通商産業省がアジア経済研究所に委託したものですね。これはここにございます。これには調査対象として日比友好道路とそれからバターンの輸出加工区と、それから今申しました発電バージ、この三つが対象になっておるわけです、輸出加工区だとか、あるいは日比友好道路についてはもう既にいろいろなことも言われたし、報道もありますが、発電バージについては余り取り上げられていないわけで、多少聞いてみたいと思うわけなんです。
 これはさっきもちょっとお話ございましたけれども、単にフィリピンだけではなくて、バングラデシュ、タイ、ジャマイカ、それからエジプトなんかにもこのバージは、今つくられたり、もう既に稼働中であったり未稼働であったりしているわけなんですけれども、少なくともフィリピンについては二次の特別円借款によって二隻ずつ、結局四隻既に稼働中だというふうに聞いております。この通産省の委託調査報告が取り上げた段階ではまだ二隻しかできていなかった時点における報告ですけれども、それにもいろいろ問題点があるということが書いてございます。
 要するに、東部ビサヤス地区にこの発電バージを持っていったんだけれども、ここはフィリピンでも最も貧しい地区であって、一般家庭には電気を引くだけの所得がないため、電力のほとんどは肝心なところでは使われずに遠くの市、タクロバン市に送電されているというふうなことも書いてございますし、また地方の実力者の政治的な力関係によってこのバージが一地区に固定しちゃう、そういうこともあるというふうな問題点が指摘されておるわけです。このバージについて、その後政府はこれが民衆の福祉のために実際に使われておるのかどうかというふうなことについて十分追跡調査をしたかどうか、したとすればどういうふうに評価をしているかお聞かせ願いたい。
#213
○政府委員(黒田真君) ただいま委員御指摘のように、五十八年三月に出ておりますアジア経済研究所の経済協力効果研究報告書の中で、発電プラントバージに関連をいたしまして幾つかの問題点が指摘されておることはそのとおりでございます。
 ただ、ここにございます、例えば電気の値段が動かないというような点の指摘もございますが、これは、急いで電気の供給を行うという量の確保にどちらかといえば重点があるようなプロジェクトでございまして、価格の引き下げというものは地元の発電所の完成を待たなければならないというような説明もできるかと思います。・先生御指摘の二隻が政治的に一カ所にとどまっておるのではないかという点につきましては、その後の調査によりますと、各地を相当移動して数カ所において使われるという形で利用されているということでございますし、さらにフィリピンに対しましては、その後も二基追加をされております。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
これらも六十年の六月以降パティ島、セブ島など数カ所を移動して、フィリピンにおける電力事情の改善と申しますか、応急的な電力事情改善のために役に立っておるというふうに理解しておるわけでございます。
#214
○和田教美君 タイ、ジャマイカ、これはもう既にそれぞれ一基ですけれども稼働中ですね。バングラデシュ、エジプトはまだ未稼働だそうですけれども、そのフィリピン以外の稼働中のものについては実際に調査をしているんですか。
#215
○政府委員(黒田真君) 今まで相当数多くの発電バージというものが先生御指摘のものを含めて出ているわけでございます。それらについてまとめた形で報告書というものをつくっておるわけではございませんが、私どもの理解しておりますところでは、それぞれ順調に稼働をしているという報告を受けております。
#216
○和田教美君 時間が参りましたので、残した質問はまた別の機会にやることにいたしまして、最後に一つお伺いしたいのは、予算委員会の審議でも私ちょっと指摘したんですけれども、プロジェクト借款、商品借款の双方について相手国政府と外務大臣との交換公文を結ぶ際に、適正確保のための二条項が交換公文に明記されております。ここにフィリピンとの交換公文がありますけれども、それにも明記されております。つまり、適正使用条項というのは、円借款は適正に事業目的に沿った形で使用されること、プロジェクト借款に基づいて建設する施設は適正かつ効果的に維持され使用されること、この二点でございます。さっきの事情聴取の報告によると、各企業は不正なことをやったつもりはないと言っているということですけれども、しかし同階に、一五%のリベートというのは異常に高いものだということももう明々白々のことだと思うわけです。
 そこで、フィリピンの調査もこれから進むと思いますが、仮にこの事業費の水増しによる不正蓄財というふうな判定が下るというふうな事態が起こった場合に、これはもうこの適正条項に明確に違反するということになってまいります。外務省はそういうことがあっても相手国政府内部の問題だと、さっきの外務大臣の答弁でも相手国が処罰する問題だと言っておりますけれども、しかし私はそうは考えない。この条項があれば、これを厳密に解釈すれば、政府やOECFはこの条項を層に相手国政府と共同調査をする、あるいはまたいろいろと申し入れる、調査をする権限が当然あると思うし、通産大臣はかつて答弁で、そんなようなときには全面的に洗い画して、不正不当な使用があった場合には返却を求めるべきだというふうなことさえおっしゃっておったわけでございますけれども、その点は安倍外務大臣はどういうふうな見解をお持ちですか、最後にお聞きして私の質問を終わります。
#217
○政府委員(小和田恒君) 円借款の適正使用条項の解釈の問題でございますので、私からお答えいたします。
 御承知のように、この適正使用条項というのは、我が国の供与する円借款について、それが所定の使用目的、所定の実施手続に従って使用されるということを確保するために必要な措置をとることを相手国政府に対して条約上の義務として課しておる、こういう規定でございます。そこで、そういう枠組みのもとで特定の行為が適正使用条項の違反に当たるかどうかということは、もちろん具体的な事例によって判断する必要はございますけれども、仮に円借款が使用目的以外の目的に使用されるとか、あるいは所定の手続を経ないで使用されるというようなことになれば、これはこの条項の問題になってくるわけで、この条項に書いてありますように、この取り決めのいわゆる協議条項に基づいて相手国政府と協議をする、こういうことになるわけでございます。
 ただ、今お尋ねの手数料との関連について申しますと、手数料あるいはコミッションが流れだというような場合には、これは受注企業から発注側に対して支払われるという性格のものでございますから、具体的なケースによるとは思いますけれども、一般論として考えますと、これが円借款資金を供与された使用目的であるプロジェクト以外の目的に使用されたというケースには必ずしも該当しないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 もちろん、先ほど御指摘がありましたように、相手国の国内法令に違反するような不正なリベートの支払いがあるというようなことになってくれば、これは相手国政府が行政上あるいは司法上の措置をとるということになるわけでございますけれども、これは円借款の取り決めにある適正使用条項違反の問題とは一応別な問題だと。したがって、そういう司法上、行政上の措置というものは、その国内法令違反というケースとして処理されるということはございましょうけれども、そうでない限りにおきましては、あるいはその円借款取り決めそのものの問題としては、それが使用目的に従って日本国政府とフィリピン政府との間において適正に行われているかどうかという見地からこの条項の適用があるというのがこの条項の趣旨でございます。
#218
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今条約局長の申したのは条約解釈上の非常に詳しい説明でありますし、そのとおりであろうと思っております。適正条項に違反するということになれば、これはもう政府として相手国政府に対して改めるということをさせなければならない。これはもう外交上の、条約ですから責任がお互いにある、守らなきゃならぬ責任があると私は思っております。ただ、この件が、今条約局長も申したように、そうした適正使用という目的に当たるのかどうか、そこらのものに当たるかどうかということについては、私も条約局長と同じ考えですし、特に今度の場合は挙げてフィリピン政府とフィリピン政府が発注をした企業、これは日本企業も随分受けているわけですが、その企業との間の問題である。これが非常にフィリピンの法律に違反している。例えば贈賄というようなことになれば、これはフィリピン政府と企業との閥で国内法に従って厳正に処理されなければならぬし、また日本の企業がこれに関連しているということで日本も非常に関心を持っておるわけですが、どうしてもまた援助ということになりますから、我々関心を持ってこれを解明しなければならぬと言っているわけですが、日本企業がフィリピン政府から発注を受けて援助を実施するという場合において、これがもし日本の企業そのものが日本の法律に違反するというふうな事態になっておれば、これはまた日本政府、日本の国内法によって処置されなければならぬことは当然のことであろう、こういうふうに思っております。
 いずれにしましても、こうした援助については今後ともいろいろと疑惑が起こって国民から援助自体についての信頼を損なうことがないように、今後はやはり相手国政府との交換公文とか、いろいろその間実施とかあるいはまたプロジェクトの選定とか、そういう問題については慎重にやらなきゃならぬし、また改善すべき点があれば改善していかなければならない、私はそういうふうに思っております。こうした審議も受けまして、我々これから援助を拡大するわけですから、そうしたいろいろ反省の上に立って、ひとつこれからも信頼を回復し確保するための努力は続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
#219
○和田教美君 終わります。
    ―――――――――――――
#220
○委員長(田中正巳君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま矢田部理君が委員を辞任され、その補欠として片山甚市君が選任されました。
    ―――――――――――――
#221
○上田耕一郎君 安倍外務大臣は先日のこの委員会で、一義的にはフィリピン政府の問題であって我が国は当事者でない、そう答えられました。けさの黒田通産省通商政策局長の報告を拝見しましても、日本側が悪かったのは多少正直過ぎて相手を信頼し過ぎたこと程度で、特に日本の政府ですね、そういう印象なんですが、ソラーズ委員長に言わせてみますとマルコス政権は泥棒の集まりだと、ああいうやり方を日本政府が知った上で円借款その他をずっとやっていたとするとかなり事態は変わってくるんじゃないかと思うんです。
 世界の六月号にフリージャーナリストのアルファロ女史が「「フィリピン株式会社」の構造」という論文を書いているんですね。これは、とにかくマルコス政権はフィリピンの経済、政治機構をそっくりそのまま私的蓄積の手段にしてしまったと。マルコスの二十年間の恐怖政治を支えてきたアメリカと日本の絶えざる直接資金援助、この責任を糾弾しているんですね。これはフィリピンの雑誌に載る論文だというんですけれども。だからこういう事態を、日本政府は相当親しかったし、情報も集まっていたわけだから、まるきり知らないということは考えられない。
 アジア経済研究所、とれは通産省認可の特殊法人で、政府の委託調査なんかも大いにやっているわけですね。先日の委員会で内藤委員が政治腐敗問題についてアジア経済研究所の「現代フィリピンの政治構造」を引用して聞いたわけです。ここにちゃんと報告がある。選挙用の歳出が六八会計年度歳出の九・五%から二三%に及んでいるという報告があったというんですね。経済の問題では、このアジア経済研究所のナンバー三二二「発展途上国のビジネス・リーダーシップ」という論文集がある。これを読むと、この中の第六章というところに「マルコスの盟友たちの財閥」という章があるんです。
 これを読むと、これ二つの実例が出ているんだけれども、ちょっと驚くべき事態です。クローニーズ・キャピタリズムという新語が使われている。クローニーというのはマルコスの盟友たちの企業グループの名前だそうです、ちょっと田中ファミリーを思い出しますけれども。二つの実例が追及されておりますけれども、その一つはCDCP社、コンストラクションアンドデベロプメントコーポレーションオブザフィリピン、これは七二年にはわずか百二十八名の建設会社だったけれども、たちまち数年にしてフノリピン最大、東南アジア最大の国際的土木建設会社にの上がっていったと。それが八一年に全くめちゃくちゃなやり方で破産するんですな。破産してマルコス政権は国家資金による救済策に出るわけです。
 これは詳しいことをぜひ読んでいただきたいんだが、七十億ペソ、政府金融機関が融資をすると。この七十億ペソというのは、フィリピンの通貨供給量の二七%だというんですね。それで、こういうフィリピンの通貨供給量の三割近い融資をして、それでもうフィリピン経済は大変撹乱されたということで、この論文はこう書いてある。「クローニーズ・キャピタリズムを支えてきたのはマルコス政権およびその保証の下でクローニーたちが借り入れてきた巨額の海外借款であった。」と。そうすると、日本はこれは有名なことだけれども、外務省監修の「フィリピンの経済社会の現状」の中に数字が出ていますけれども、二国間の援助では日本が第一位です、五〇%です。八一年から八三年の平均で五一・四%、アメリカが三五・二%だからアメリカの二倍です。フィリピンの二国間援助で日本が最大の責任を負っているわけだから、そういう海外借款がこういうクローニーズ・キャピタリズムを支えてきたと。日本が最高大きな責任を負っているということになるんですね。
 それでひとつ安倍外務大臣にお伺いしたいんだが、このアジア経済研究所に書かれておりますCDCP社に対するこういうマルコスの違法の国家金融機関の援助等、こういうとてつもない事柄が起きているということを大体外務省は全く知らなかったのか。もし知らなかったとしたら、これは外務省の情報収集能力、フィリピンの情勢検討能力、結論に大きな欠陥があったということになる。もし知っていたとしたら、こういうことを知っていて、しかしずっと続けていて円借款をどんどんやっていくと、これもまた今度は政府の能力の欠陥ということになってくると思うんですが、振り返っていかがですか。
#222
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は残念ながらそれを読んでおりませんけれども、フィリピンのマルコス政権の末期に、今のアキノ大統領の御主人が殺されたというようなこともありまして、相当政治が混乱をして不安定な状況になってきた、経済も非常に悪くなってきたと。そういう中でフィリピンの野党側からマルコス政権の腐敗に対していろいろと批判が出てきましたし、日本の国会でもフィリピン援助をめぐっていろいろと指摘もありまして、やはりフィリピンの政治経済の状況が非常に悪くなっているということは私も非常に強く認識をしましたし、マルコスさんのやり方にもいろいろ問題があるなどいう感じは持ったわけでございます。
 そういう中で、しかし経済が悪いですから、やはり日本と友好関係にありますし、我々もマルコス政権を維持するということは、助けるということじゃなくて、フィリピンのそうした経済が悪くなれば国民生活にそのまま悪い影響が出てきますから、これは何とかやはり協力して国民生活の安定のために日本も力をかさなきゃならぬということで援助は続けてきたわけで、ずっと平均して日本はフィリピンに援助をしております。アメリカと並んでの最大の援助国ですが、その援助は全体的に見れば非常に適正といいますか、効率的に行われたのじゃないか、これはプロジェクト等ではっきりしていますから評価も後でしておりますし、全体的に見れば私はそうだった、こういうふうに今でも思っておるわけでございますが、マルコスが沈没して、そうしてマルコス文書というのが出て、ああいういろいろな疑惑が指摘をされるということになって、これはやはりこういう点は解明をしていかなきゃならぬ、これは日本の援助そのものが疑われる、信用を害されることになったら大変なことですから解明をしなきゃならぬ、そういうことで政府自体としても調査を始め、国会でもこうした調査委員会を設けられている、こういうことになったと思います。
 これはフィリピン政府そのものが今やっておりますから、そうして先ほど一番初めもお話がありましたように、まさにだんだんと突き詰めてみますと、結局フィリピン政府と要するに業者との間の問題、第一義的にはフィリピンの問題であるということははっきりしておるわけでございます。しかし、それに関連して日本にも問題があれば、それはやはり明らかにしなきゃならぬということは私は当然だ、こういうふうに思っておるわけです。
#223
○上田耕一郎君 二義的にせよ日本に問題がある場合は解明したいというふうに受け取ったのですが、さてこのクローニーズ・キャピタリズムでマルコスの相手役が日本の大商社、大企業なんですね。ここに、ちょっと古いのですが、七七年九月二日付の週刊ポストの記事があります。これは三菱商事と米国三菱、MIC、裏帳簿を利用したリベートの送り方を詳しく当時報道したものです。これを見ますと三菱の関係者はこう言っている。「リベートの送り方には二通りある。一つは契約額の中に含めてしまう場合。現在大蔵省、日銀では契約総額の十五パーセントまでの手数料ならフリーパス。」と、ここでもう一五%という数字が七七年に出ているのですね。「これを超える分についてはチェックが厳しいのでMICから送金する。」「フィリピンのように多額のリベートを要求される場合は、MIC経由でなければまず不可能でしょう」。幾つか具体的な数字がこれには出ているのです。六六年のフィリピン賠償、三菱ヘリコプター二機二百万ドル、一一%のリベート、最高幹部への十一万ドルは夫人の訪米時、MICがニューヨークで渡した。六九年のブルドーザー輸出、これはリベート三三%、やはりMICから香港支店経由で送った、こう謹言が載っている。
 当時、同じ七七年の一月に朝日新聞が「総合商社」という連載をやりました。この連載で三菱商事の田部社長の話を載せてありまして、わいろについて聞かれて、一切そういうものをやらないと大きな市場から撤退しなきゃしようがないのだということで、わいろも認めているということがあるのですね。これは当時の雑誌報道。
 私はもう一つ別の問題である筋から、非常に問題になっている東陽通商を仲介にした日本とフィリピンの賠償取引、やはり六八年夏です。鋼材取引の実例をつかみました。資料配付をしていただきたいのですが、この資料の一ページに載っております。これやはり三菱商事なんですね。マルコス・スクール、学校です。一万三千六百ユニット分、八幡製鉄から三菱は三十八億二千万円で買って、契約額は五十三億円です。リベートは東陽通商への仲介手数料が一三%、六億九千万円、マルコスへのリベートは一二%、六億三千万円、合わせて二五%、マルコスへのリベートは本契約が日本政府の承認を得るや直ちにマルコスへの支払いが実施された。方法はMIC、米国三菱がニューヨークでマルコスの側近に支払うという形でなされています。
 こういうふうに支払ってしまうと後で交互計算というのをやるのだそうです。これも週刊ポストの七七年の記事のとおりです。三菱商事の本店とMICの間で裏帳簿を使って調整操作が行われたというのですね。これは六八年夏の賠償の取引なんだが、これは私は事実だと思うのですね、ある筋からわかった数字ですが。こういうやり方が今でも続いているんじゃないかというふうに思うのですね、ずっと、最近のマルコス腐敗の現状から見て。三菱だけでなくほとんどの商社で行われているんじゃないかと思うのですが、こういう問題についても調査していただきたいと思いますが、いかがですか。
#224
○政府委員(黒田真君) ただいま御指摘の一連の事件は賠償時代のことということで大変古い話でございまして、なかなか現在の時点でこれを調査することは難しいように思われます。
 その後そういうことが続いておるかどうかということでございますが、マルコスさんの関連でソラーズ文書に記載された事件に関しましては、その調査結果について冒頭本日御報告申し上げたとおりでございます。
#225
○上田耕一郎君 これは古い例だというのだけれども、読売新聞の四月五日で大きく報道された東鉄工業の社内報に大数見さんという同社の線路部次長が書いちゃった。「価格には、公然の秘密である要人への謝礼金二一%が含まれる」、これはマニラの都市縦貫鉄道軌道工事なんですね。私ども、これ大数見さんに言ったら、ちゃんと書いたとおりですと彼は確認したのです、報道のとおりだと。どうですか、この東鉄工業並びに大数見氏に事情を聞きましたか。これピー・アンド・エヌ、また川田工業など名前が出ているのだが、調査しましたか。
#226
○政府委員(黒田真君) 今回私どもが四省庁共同で調査いたしましたのは、ソラーズ文書にコミッションの言及のある円借款プロジェクトに関連する事項でございます。東鉄工業のことにつきましては、私もどうも新聞報道でそういう報道がなされていることは承知しておりますが、本件は円借款あるいは政府資金とは関係がないものであるというふうに了解しておりまして、調査の対象にはなっておりません。
#227
○上田耕一郎君 これはベルギーの借款事業なんですけれども、新聞でも「円借款でも高額リベートを、どんな形でもぐり込ませていたがが不明だっただけに、東鉄工業のケースは、真相解明への重要な手がかり。」と、こう指摘されているのだね。やはりそれは日本の円借款じゃないからといって、こういうものをこれだけ報道されても調査もしないというのはいかぬと思うのだな、調査を要求したいと思います。
 それで、私が取り上げたのは賠償問題なんですね。三菱商事、MIC、東陽通商がかんでいる。これはちょっと一つ大きな問題がある。六五年にマルコスが当選するわけです。当選した翌年、日本の賠償資金に対する事業契約を凍結するという大統領命令を出した。それで佐藤首相がお兄さんの岸信介特使を派遣したわけだ。それで岸・マルコス会談が行われたわけですね。東京新聞三月二十七日付によりますと、この岸・マルコス会談の結果、それまでは政府部門は二〇%だった、賠償が。それを逆にして八〇%政府部門に、公共事業に転換した、こうしてほとんどの賠償がフィリピン政府を通過するようになったという分析がある。この経過は事実ですか。
#228
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 ただいま御指摘の件でございますけれども、昭和四十年の十二月三十日にマルコス氏が大統領に就任いたしまして、翌四十一年の一月にマルコス政権により賠償調達手続を一時停止する命令が出されたというふうに承知をいたしております。
 それからただいまの公共事業分野に重点が移されたのではないかという点につきましては、マルコス政権が成立いたしましてから、賠償分野につきましてそれまでの民間部門中心から公共事業分野を中心とする政策に変更されたというふうに承知いたしております。
#229
○上田耕一郎君 やはり事実なんですね。
 それで周知のように東陽通商、当時の奥村社長、これは佐藤首相、岸元首相と大変親しかった、こう言われているわけで、私が取り上げ、また週刊ポストが取り上げた三菱商事の例、これはやはり岸・マルコス会談以後、公共工事中心に賠償が変わってしまって、それで本当にすべてほとんどがマルコス政権通過という状況になってからのことだと思うのですね。それで東陽通商は一三%のリベートで、マルコスグループ一二一%、合わせて二五%なんという私の調べた鉄鋼の実例なんか出てくるんですな。極めて大きな疑惑がやはりここにありますよ。それで、こういう問題は岸さんをここに呼んで聞いてみたいと思いますが、安倍外相も賛成されるだろうと思いますけれども、きょうはひとつもう一つ別の問題を取り上げたい。
 それは日本とフィリピンの貿易に関する疑惑です。資料の二ページを見ていただきたい。これは国際開発ジャーナル、八五年十二月号に載っている朝日の論説委員の林さんの論文です。傍線を引っ張っているところ。これはCRCというフィリピンの民間シンクタンク、調査情報センター、ここのデータです。六五年から八二年の日本のフィリピンからの輸入額は百五十九億何がし、これに対してフィリピン側の対日輸出額は百二十三億千四百万ドル、差し引き三十六億四千八百万ドルの差額がある。この行方も原因もこれまで何ら発表されていないという指摘があるわけです。この主張について大蔵省はどう考えますか。
#230
○政府委員(佐藤光夫君) 今お示しの資料を完全に読了してからお答え申し上げる方がよろしいのかと思いますが、さしあたりこの傍線の部分だけにつきまして反応と申しますかお答えをいたしますと、フィリピン側の対日輸出額総計百二十三億ドル余、これはあるいは通常いろいろな国がやりますようにFOBベーシスの数字、それに対しまして日本側の対比輸入額百五十九億ドル余というのはCIFベーシスの数字、したがって両者の間に運賃保険料の差があるということが考えられはしないかという気が直観的にいたしますけれども、すべてこの文章を正確に読みまして、そういったことは既にカウントした上でこれだけ差があるとおっしゃっているのだとすると別な理由を考えなければいけないなというようなことでとりあえずのお答えにさしていただきます。
#231
○上田耕一郎君 大蔵省、そういうお答えがありましたけれども、そうじゃないんです。これは八三年のフィリピンの関税統計なんです。今度私どもの調査団が参りまして、こういうものを現地で八〇年代のを何冊も買い込んできた。それでこれを見ますと、フィリピンの統計ではFOB価格とCIF価格と両方全部書いてあるんですよ。だから、今の指摘もCIFで両方比較した上の差額だと思う。それで、私どもこの指摘が確かかどうか、なかなか大変な作業だったんですが、八三年、八四年についてこの中のジャパンというのを全部足したのです。残念ながらCIFについては総計がないんですよ、FOBについてはありましたけれども。だから、ジャパンの項目を全部拾って足してみた。なかなか大変な作業だったのですが、時間が余りなかったので多少ラフになっているかもしれませんが、資料の三です。それに計算の結果を挙げてあります。このフィリピンの対日輸出、CIFのところを見てください。そうすると、先ほどの指摘と違いましてフィリピン側の方がちょっと多いんですよ、同じCIFを比べますと。日比の通関統計、八三年百三十四億ドルと百三十億ドル、八四年百四十五億ドルと百四十一億ドル、日本側の方がちょっと少ない、逆に。ただし、大体とんとんと、大まかに言えばそういう数字が出ている。
 ところが、この中身を調べるともっと大変なことがあるわけです。先ほどの林さんの論文でもCRCの指摘があるんですが、アンダーインボイス、送り状をアンダーインボイスのやっともう一つ公式のやっと二つつくって、それを使うからくりがあるというのがこの私論文でもCRCの指摘として言われているんですけれども、それが驚くべき規模で発見されました。木材輸入をめぐるアンダーインボイスについては、先日の商工委員会で市川議員が、十三日の衆議院のマルコス特別委員会で正森議員が追及しました。それで、私ども今度ここに挙げたのはバナナ、パイナップル、ドロマイト、鉄鉱です。バナナとパイナップルはアンダーインボイス、もう明白です。
 八四年のバナナを見てください。フィリピン側の日本に対するCIFの輸出額一億六千二百九十九万ドル、日本側は二億一千四百万ドル。もうまるで違うわけですよ。だから五千万ドル差額が出る。二億一千万ドルと一億六千万ドル。この五千万ドルというのは大体百二十億円ですよね。そうするとフィリピン側は二つ、アンダーインボイスとそれから契約額どおりのインボイスを使って、契約額どおりのものを銀行に出して、アンダーインボイスの方を日本側の業者に送るわけですな。それで日本側の業者は正式の安い方の側を銀行に払って、それでこの差額を香港に送金するというふうに思われる。
 バナナはフィリピンで独占企業が三つあります。アメリカ系企業、チキータ、デルモンテ、ドールです。これはほとんど日本向けです。日本向けの農園経営をしていまして、商社は香港に本社があります。タグム・アグリカルチュラルニァィベロップメント・コーポレーション、社長はフロリエントさん。マルコス側近です。これが香港に商社を置いてこういうアンダーインボイスを使って何と五千万ドル、約百二十億円、当時の金でバナナを通じて香港にリベートを積み立てているのではないかという疑いがこの統計から出てきます。パイナップルは、額は少ないんですが、約十二億円これから出てくる。なお、バナナは日本側は極東フルーツが輸入商社だ。恐らく極東フルーツは、これは有名な商社ですが、このからくりを私は知っているんじゃないかと思うんですね。
 さて、鉄鉱、ドロマイト、これも驚きました。これは逆です。これは商社は川鉄商事の扱いです。この鉄鉱のところを見てください。八四年、フィリピン側の数字は二億六千百三十万ドル、日本側は一億六千万ドル。これは一億ドルちょっと逆の差額が出るんですな。これ約ニ百四十億円です。ドロマイトについては約四十億円ぐらい出てくるんですね。これはプリントミスじゃないですよ。一つ一つのデータを見ると、もう何十倍ものがあるんですから、フィリピンのCIFと日本のCIFとが、商品によって。これは驚くべきもので、これはもうぜひ皆さんに見ていただきたいんだが、これで推察できることは、前者はアンダーインボイス、これは香港のタックスヘーブンにマルコスやクローニーの裏金を隠すためのものであろう。後者はどうも、専門家に聞いてみたんだけれども、オーバーインボイスの場合は日本から全部送金したとも限らぬし、これはちょっとなかなかわからぬけれどもかなり複雑だと。とにかく海外からフィリピンに裏金を取り込む操作じゃないかと、そういうのが私どもがこれを調べて専門家に聞いた一つの意見ですが、こういう事実を大蔵省はどう思われますか。この調査を要求したいと思います。
#232
○政府委員(佐藤光夫君) 大変膨大な資料をこれだけよく、まず、おまとめになったなという感じがいたします。
 それで、これから申し上げることはとっさに拝見しましたものですからあるいは推測等が入るかもわかりませんが、そこはお許しをいただきまして、(c)の欄「CIFJAPAN」というのが、私どもの通関貿易統計をやっている人間から見ますと、余り国際的にはポピュラーでない統計項目だなという気はいたします。通常、輸出の場合にはFOBでとりますものですから、相手国、仕向け国、この場合日本ですが、のCIFというのを統計に掲上するということは非常に難しいということがあると思います。そこで、こういう統計があるとすれば、かなり――これからは推測でございます。あるいは間違っているかもしれませんが、推計の要素が入っているかもしれないなという気がいたします。
 それから二番目に、もともとのこの金額表示がドルで出ていたのか、あるいはペソで出ていたのかという問題もあるような気がします。もし後者であるといたしますと、どういう換算率を用いてドルに換算したのかという、そこのところからくるギャップもあるかもしれないなという気はいたします。
 あと、これも推測でまことに申しわけないんでございますが、バナナ、パイナップルというのはあるいは向こうでのエキスポートタックス、輸出税の対象になっている品物かもしれません。そういたしますと、できるだけアンダーインボイス、御指摘のように輸出税の課税標準を減らそうとするインセンティブが働くかもしれないなと。それに比べてドロマイト、鉄鉱については恐らく輸出税の対象になっていないというようなこともこれあり、ただ、そのことはオーバーインボイジングの理由は説明しないんですけれども、バナナ、パイナップルにつきましてはそういうエキスポートタックスの問題が絡んでいはしないかと。
 まことにあやふやなことばかり申し上げまして恐縮でございますが、せっかくお示しの資料でございますので私どもも勉強させていただきたい、かように存じます。
#233
○上田耕一郎君 これはドルでちゃんと出ているんです。仕向け地別にCIFで出しておる。我が国の通関統計は、輸出はFOB、輸入はCIF価格で行っておる。フィリピンは輸入はCIF価格のみであるが、輸出はFOB、CIF両方の統計をとっておる。これは今調査するとおっしゃいましたけれども、ぜひ調査していただきたい。この私論文にも、アンダーインボイス、この差額分が政財界の個人的懐に入っているんだということが指摘されておりますので、ぜひ調査をしていただきたいと思います。
 きて、次の問題は、商品借款問題です。これは何度も取り上げられてまいりました。もう時間も余りありませんので少し飛ばしますが、円借款がプロジェクト借款と商品借款に分かれているということは御承知のとおりですが、商品借款方式にはLC、信用状、レター・オブ・クレジット方式とリインバース方式があると。私も、呼んでいろいろ勉強させていただきました。
 これは毎日新聞の四月二十三日付が指摘したところですけれども、一次から七次のフィリピンの商品借款だけ全面的にリインバース方式がとられたと。これはほかの国と比べても異常だというんですね。全面的にリインバース方式がとられると、レシートのコピーだけで基金が中央銀行に払い込む、ノーチェックの現金貸付みたいなものだというふうに言われているわけです。なぜフィリピンだけこんな方式に一体したんですか。私、呼んで聞いたときにも不思議に思ったんですが、フィリピンに商品借款やるというのは、これ外貨が不足だからやるんだという説明なんですよね。外貨不足だから商品借款やるのに、リインバース方式だと外貨を向こうが使うわけですわね。これは矛盾しているじゃないか、おかしいじゃないかと聞いたんですが、いかがですか、これは。
#234
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のように、商品借款と申しますのは、被援助国の国際収支が悪化している場合に当該国の要請を受けて供与するものでございますが、具体的に、ただいま御説明のありましたリインバース方式にするか、それからLC方式にするかはそのときのいろいろな条件等を考慮いたしまして決定されておりまして、これはフィリピンに限りませんで、リインバース方式の場合、それからLC方式の場合、またケースによりましてはこの両者の組み合わせの方式が適用される場合と、いろいろな方式によって実際の商品借款が供与されております。
#235
○上田耕一郎君 いや、それは説明になっていないですよ、私の質問の。じゃなぜフィリピンだけ全面的にリインバース方式を採用したのかと、外貨不足だからというのに外貨を使う方式を全面適用というのはおかしいじゃないですかというんだから。
#236
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 御指摘のように、リインバース方式というのは、一たん被援助国側の借入金で決済を行ったものを後に支払うということでございますが、これも外貨が不足している場合には、通常の輸入、これが先細りになるというおそれがあるような場合に、このリインバース方式を導入いたしますと引き続き必要な輸入を行うことができる、そういうメリットがあるわけでございます。
#237
○上田耕一郎君 一番の疑惑は、マルコス政権がこのリインバース方式を使って、こういう架空のレシートなんかどんどんやると、それでどんどんそのレシートだけで払い込んじゃうというので政治資金に極めて使いやすいということなんだ。もし架空のレシートが送られてきた場合、チェックする方法はありますか。
#238
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 具体的に送られてまいりましたレシートが架空のものであるかどうかということについてチェックする体制にはなっておりません。
#239
○上田耕一郎君 つまり、こういうことなんですよね、もう本当にマルコスの勝手気ままと。非常に使いやすいリインバース方式が一次から七次まで使われてきたんです。これが全部選挙と関係があるんです。三木内閣、七六年九月、第五次円借款のうち五十億円の商品借款だけを先取りに供与を決定した。一カ月後に憲法改正国民投票。福田内閣、七七年十一月十七日、第六次円借款のうち五十億円の商品借款だけを先取り的に供与決定。ちょうど一カ月後の十二月十七日、大統領信任国民投票。鈴木内閣、八一年六月九日、総額四百二十億の第九次円借款。これはちょうど十二日後、大統領選挙。これは商品借款は入っていませんけれどもね。
 ずっと調べてみると、やっぱりマルコス側は選挙のたびに頼むわけですよ。そうすると、選挙のたびに先取りで商品借款だけ、三木内閣も福田内閣も早く商品借款を決定してあげるということが日取りをずっと見ると出てくるんですよね。それで、これは私は泥棒国家に追い銭みたいなことをやってきたんだと思うんですね。商品借款というのは七九年以降やめてきたんだが、中曽根内閣になって八四年に莫大なものが復活したわけです。ここに大きな疑惑が出されています。「世界」の四月号の論文を見ますと、殺されたアキノ氏の実際の弟、今のアキノ大統領の義弟のアカピト氏は、選挙資金としてマルコスに流用される危険があるから十二次、十三次の円借款を後に回せということを訴えていました。それからダザ委員も、この商品借款が十二次に決まったこと、三百五十余億の際立って高額だったと。これは選挙直前だったということで、これもまさに選挙と関係あると。調べてみないと何とも言えないが、日本側へのキックバック、還流の可能性があるかもしれないとまでダザ委員は言っているわけですね。なぜ復活したんですか、これは。改めてお聞きします。
#240
○国務大臣(安倍晋太郎君) 上田さんの話を聞いていますと何か推理小説を読んでいるような気がしますけれども、全く推理がほとんどじゃないかと思いますよ。特に、今いろいろ内閣の歴史で商品借款が選挙のたびごとに行われたような話ですけれども、日本の援助というのはそう軽々しく行っているわけじゃありませんし、きちっとした、特に円借等については積み上げ方式でずっと調査をしたりやっておるわけですから、そうこれが何かほかの目的に使われるということはあり得ないわけなんですよ、交換公文も交換していますしね。
 特に、今度中曽根内閣になって商品借款にしたというのは、これは挙げてフィリピン経済が大変悪化して、そして外貨が不足をして、IMFも調査に入って、フィリピンの経済再建のためにやはりいろいろとこれからやらなきゃいかぬ、こういう状況で、日本も友邦として経済の悪化をそのまま見捨てておくわけにはいかない。マルコス政権をてこ入れするということじゃなくて、フィリピンの経済悪化、そして国際収支が非常に悪くなってきている、外貨が不足している、こういうことで、もちろんフィリピン政府からの要請もあってこれにこたえて商品借款の道を開いた、こういうことでございますから、おっしゃるようなこれが政治資金に使われるとかあるいはまた選挙資金に使われるなどということは絶対にあり得ない、私はこういうふうに思っております。
#241
○上田耕一郎君 絶対にあり得ないところか、インチキレシートをつくったってチェックすることはない、あり得ないと言うんだから、やる体制もないと言う。向こうの言うとおりですよ。泥棒国家ですからね、三千足のイメルダ夫人の靴から数千着の着物から、それだけじゃなくて国家予算の何倍にも上るマルコス財産、それへ日本の国民の税金やそれから資金運用部資金を使う場合には国民の郵便貯金それから年金の積立金が流し込まれておるんだから、絶対にあり得ないなどということを言うんじゃあなたの先ほどのやろうという熱意は怪しいものだ。
 私はいろいろ調べた。資料の4を見てください。一つおもしろいのが出ている。四月一日に私はサンロケ・ダム問題を中曽根首相を相手に聞きましたけれども、サンロケ・ダムとこの商品借款とのかかわりがあったということが出ておるんです。これは社団法人海外建設協会の会報のとじ込み、海外建設協会というのは平泉大臣も多少関係おありになる鹿島が会長の協会です。ここの私は八三年、八四年の会報をまた全部調べた。その中でサンロケ・ダム、この問題が十二次、十三次で商品借款にかわっていった経過が二十二ページに出ている。これコピーで並べてあります。これはフィリピンの新聞の引用です。
  ベラスコ・エネルギー大臣によると、フィリピン政府は、サンロケダムに対する十二億ドルの建設資金を含む、十二プロジェクトに対する第十二次円借款二億三千万ドルの交渉を進めていたが、最近これらのプロジェクト借款を商品借款に切り換える交渉を求めているとのことである。
下の方を見てごらんなさい。
  なお、十二次円借款に次ぐ第十三次円借款に対する商品借款の要請は、日本のルールでも不可能とみられている。
  また、十二次円借款に対する商品借款についても、フィリピンの公的債務の再建を討議するためにまもなく開催を予定しているパリ会議のあとでなければ、日本政府は認めないであろうとしている。
 これパリ会議の前に日本だけやったんですね、周知のように。だからサンロケ・ダム問題というのは、八三年の五月に中曽根・マルコス会談で、マルコス大統領の要請に応じて中曽根首相がフィージビリティースタディーをやろうと、オーケーしたということはもう明らかになっているわけだ。何で十二次、十三次にサンロケ・ダムが出てこないのかなと思ったら、商品借款にかえようと、これ選挙目当て、政治危機の中でどう乗り切るかと。商品借款がすぐにでも選挙資金に使えるからですよ。軍人その他のボーナスを上げたり月給を何とかしたり、これは有名な話でしょう。そのために……(「ないよ」と呼ぶ者あり)あんたが否定したってこうなっているんだから、これは。こういう報道がフィリピンの新聞にフィリピンのエネルギー大臣の証言で報道されているんです。私はこれでからくりがもう一つわかりました。
 さて、平泉さんにお伺いしたいと思います。私、鹿島建設のある幹部に今度会いました。そしたら六五年の大統領選挙のときに、マルコスと対決した当時の大統領マカパガル側を鹿島建設は支持したと、そのために失敗したんだと言いました。だからマルコスとのルートがないと、相手側を支持しちゃったんだから。それで、受注企業リストを見てごらんなさい、フィリピンに鹿島建設の受注は一件か二件しかないですよ。非常に少ないのね。それで鹿島は、フィリピンに対するやっぱりいろいろな意欲を燃やすわけです。それで七五年、イメルダ夫人を呼んで、鹿島平和研究所、これ今会長は平泉さんですね、この鹿島平和研究所がイメルダ夫人に鹿島平和賞を授けたと。中曽根自民党幹事長もその授賞式に出席したと新聞に出ている。華麗なる外交活動と国際親善活動が授賞理由だと言うのだけれども、ちゃんちゃらおかしいと今振り返って思いませんか。会長さん、いかがですか。会長さん、平泉さん。
#242
○国務大臣(平泉渉君) ここで御答弁するのが適当かどうかは存じませんが、せっかくのお尋ねでございますから。
 当時のイメルダ夫人は大変立派な政治家としてフィリピンで活動しておられる、こういうことでございましたから、いろいろ諸般の情勢を考慮して当時の役員会において授賞を決定した、こういうことだと承知しております。
#243
○上田耕一郎君 さてそれで、鹿島はやっぱりサンロケ・ダムにいろいろ関心があった。ここにもう一つ資料の4、4'を見てください。これは鹿島の代理店と称する息地という、これは「将軍」というあだ名の人です、フィリピンに事務所を持っていますけどね。この人がサンロケ・ダム問題で、私は鹿島の代理店だと言って、マルコス大統領にやらしてくれというこれは文審であります。こういう文審があったので私ども調べましたけれども、鹿島側はこれ全く事実でないと言うもので、ブローカーが鹿島の代理店と称してマルコスさんあてに出したかどうかわかりませんけれども、これちゃんと署名もありますよ。こういうやや怪文書めいたものが流れるほど鹿島とサンロケ・ダムの意欲はマニラでも有名だったんですね。
 さて、中曽根内閣ができて俄然ハッスルを鹿島は始めるわけです。中曽根・マルコス会談が八三年五月です。八三年の夏に鹿島昭一社長がフィリピンを訪れて、マラカニアン宮殿でイメルダさんと会って握手もして、フィリピンの新聞に写真が載りました。これ鹿島に聞きました。そうしましたら、イメルダ夫人に鹿島平和賞を下さったのでお礼に鹿島守之助さんの御夫人の卯女さんを招待した。ところがもうお亡くなりになっていたので息子さんの鹿島昭一さんが行ったと。これはちゃんと鹿島建設から私に対する正式の答弁ですよ。さてそれで、やっぱりイメルダ夫人につながりを持っていますね。
 それで鹿島建設は、これは鹿島の有価証券報告書に載っておりますけれども、K・Rデベロップメント・コーポレーションという合弁会社を八四年に設立しています。K・Rというのは鹿島、ラモスの略です。ラモスというのは、私どもの調査では、イメルダ・プロジェクトの設計施工を一手に引き受けていた設計技師と言われている。だから鹿島はなかなかやっぱり、中曽根さんとも姻戚関係あるわけだが、中曽根内閣になってから意欲を持って、社長が訪比するし、合弁会社まで設立しているんですよ。きょうはもう時間もありませんので、中曽根さんは私が四月一日に出した疑問に対してえらく否定をされていましたけれども、中曽根首相も鹿島もこのサンロケ・ダム問題では極めて強い関心を持っていたし、歴史的にマルコス大統領選挙のときに相手側を支持したという失策を取り返すためのさまざまな長い経過があったと。こういうことがサンロケ・ダム問題の大きな背景になってあったということを指摘しておきます。
 さて最後に、先ほど私は三菱商事問題を取り上げましたが、国税庁いかがですか。八四年に外為法を改正されたんだが、八四年までもしこういうアメリカのMICなどを使って、二重帳簿を使って裏金でフィリピンその他こういうことをやっていたら私は大問題だと思うんだけれども、調査を要求します。それが一つ。その問題をまず答えてください。
#244
○委員長(田中正巳君) 国税庁は参っておりません。あなた通告してありますか。
#245
○上田耕一郎君 さて通告したかどうか、私も今大変忙しくて。いなければどうするかな。委員会もきょうで終わりだしね。
 残念ながら、どうもちょっと失礼しました、通告が行われていなかったようで。ただ、問題がこういうところにあるということはぜひきょうおいでになった方々も聞いていただきたい。
 それで最後に、きょう私は一部を私どもの調査に基づいて問題提起をしたんですけれども、本当に外務大臣の言われたように、日本側も事実を本当に解明するという点で私は証人喚問を要望したいと思います。
 一つはMICの問題もあり、三菱商事自身の裏金の問題もありますので三菱商事の社長の三村庸平氏、それから貿易関係ではバナナについて日本側の商事の極東フルーツ社長の氏家永氏、それから鉄鉱石並びにドロマイトに関係の川鉄商事の社長の三和煕氏、それからやはり鹿島建設の鹿島昭一社長、この四人の証人喚問を要請したいと思いますが、委員長、よろしくお取り計らいをお願いいたします。
#246
○委員長(田中正巳君) 今のお申し出については後刻理事会で相談をいたします。
#247
○上田耕一郎君 では質問をこれで終わります。
#248
○秦豊君 外務大臣、アメリカ政府は近くフィリピンに対する緊急援助的援助を決定しなるべく早く実行に移したいと、こう言っているようであります。日米間にも何らかの話し合いが持たれているのではないかと思いますけれども、あくまで日本の安倍外交の独自な問題ですから、そこで伺うんですけれども、我が国は、今非常な窮状のどん底にある新生アキノ政権に対して緊急援助的援助、これを具体的にどのように構想していらっしゃるのか。例えば無償を含め、あるいは商品借款の再開ないし実行、応用等を含めて、今安倍外務大臣はどう考えていらっしゃるのか。まずその辺から伺っておきたい。
#249
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンに対する援助は継続してさらにこれを発展して行いたいと。特に今経済は悪いですし、新政権ができたんですからそう思っております。十二次の借款も商品借款等含めて十分まだ消化をされていない。それから十三次の借款もこれから始まるということで、これから実施に移す相当膨大な量がまだ残っているわけですね。そして、これがスタートを切れば、また早速十四次といいますか新しい借款援助というものの話し合いに入りたいと実は思っておるわけでございまして、これは早くそういう点ではフィリピン側との具体的な事務的な交渉をスタートさせたい、こういう考えを持って今詰めておるところでございます。やはり一番大事なことは、十二次と十三次、十二次の方は残りを片づけて十三次をスタートさせるということじゃないだろうか、こういうふうに思います。
#250
○秦豊君 たしか外務大臣、ASEANの拡大外相会議、六月の下旬ですよね、マニラで。しかもあたかもマニラですね。そうすると、外務大臣が今度行かれるASEAN拡大外相会議、私は二年前からこの第十二次円借款問題をあなたにも中曽根総理にも追及してきて、公文書のコピーでサンロケ・ダムを初めてやったり、マルコス大統領の署名入りでやった。あのような当時から継続してこの問題に関心を有する一人の特別委員として、やはり今度のASEANの拡大外相会議で安倍大臣が何をどう発言されるか、これは大変大きな一つの転機だと思うんです。
 今のお話では、十二次の商品借款の未消化分と十二次をなるべく早く、これはわかるんですよね。わかるんですけれども、今度の場合には、仮に再開するとなった場合、実行するとなった場合には無償援助、無償協力というふうなものも範囲の中に含まれると考えてよろしいですか。
#251
○国務大臣(安倍晋太郎君) 六月の拡大外相会議は私も非常に重要に考えております。特にマニラで行われるということで、日本の援助の今後のあり方について積極的な発言をしたい、こういうふうに思って今いろいろと検討を進めております。
 それからそれまでの間にオンピン蔵相もまた日本にお見えになって、フィリピンの経済について、これはもう日本だけじゃなくて、債権国でこれからリスケとかそういうものを進めていかなきゃならない、話し合いもしなきゃならぬ、こういうことでありますし、またラウレル副大統領・外務大臣も日本に招待しておりまして、これはASEANの拡大外相会議の議長をしておられるものですから、議長はその前に日本にお呼びするということになっていまして、そういうこともあって大体近くお見えになるんじゃないか。そこで、今の援助問題等についても今度はカウンターパートですから十分ひとつ話し合ってみたい、こういうふうに思っています。
#252
○秦豊君 ひとつこれ大臣、耳にとめていただきたいんですけれども、私はうちの方の第二次調査団として今度マニラに渡ったときに、四月二十一日から七十二時間ですが、アキノ大統領はもとよりコンセプシオン大臣等々一連の閣僚に会ってまいりました。それで大臣から訓令されてASEANの六月下旬の拡大外相会議の前に、やはり事務的な吸い上げを全部完了すると。それにはオンピンさんだけじゃ足りません、チャンネルが。やはりコンセプシオン大臣、これは今アキノさんのナムフレル以来最も信頼の厚い閣僚の一人と言っても過言ではないでしょう。情報量も多い。だから、ぜひオンピン氏とコンセプシオン大臣等その他含めてマニラ駐在大使から十分にフィリピン側の意向を吸い上げて、それをこなした上で大臣がマニラで積極的な発言をされると、こういう期待を実はしたいと思いますが、いかがですか。
#253
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろんそうした考え方で作業を進めたい、今もう進めておりますが、作業を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#254
○秦豊君 それからあえて言えば、今度六月下旬のマニラにおけるASEAN拡大外相会議の安倍演説というものは、私はやはりこれまでの日本からフィリピンに対する経済援助が残念ながら我々がつとに指摘したように黒い疑惑に包まれ過ぎていると。これからは巨大なプロジェクトより中小のプロジェクト、つまり経済効果、目に見える華やかな経済効果だけをねらった巨大プロジェクトが実はハイエナに食い荒らされて民衆に届かなかったというふうな苦い体験はぜひ踏まえるべきであると。アキノさんと私が会見したときにも、私の提案として、例えば一次産業の付加価値を高めるための中小の適正規模のプロジェクトに対する日本の援助あるいは中小企業の育成、あるいは主な島々における地場産業の育成、あるいは貧民窟の一掃というふうな、これこそ地味だけれども、民衆の目には緩やかに見えてくる貧民窟一掃の計画への日本の援助など、そういうふうなものに、次第に疑惑の解明が段落を迎えたときには、ぜひまじめに与野党が話し合い、あるいは外務当局が情報を摂取してそういう方向に切りかえるべきではないかという私は提案をアキノ氏にいたしましたところ、もう全面的にそういう方向を歓迎したいと、一日も早くそういう方向が日本の対比援助というさまざまなチャネルの中で実現されることに私は強い期待をつなぎますと、こういう発言まであったわけです。全体的な方向として、私の今申し上げたような今後の援助の方向ないし質、流れ。
 それからもう一つは、マニラにおける安倍スピーチは、めり張りをつけて言えば、あなたがこれから新たに国内政治で大きな飛躍、次のステップを上らなきゃならぬ時期ですから、いい時期だから、安倍ドクトリン的なものを六月下旬、あたかもよし、時もよし、ところもよし、ぜひぶち上げて、問題はもちろんフィリピンを踏まえた日本の対外援助のあるべき姿、こう思いますが、そういうことについてはどうお考えですか。
#255
○国務大臣(安倍晋太郎君) 御激励をいただきましてありがとうございました。そのとき外務大臣でもちろんおれば、これは積極的に私も出かけてまいりまして、やはりアジア重視というのを私はことしの外交の大きな課題に掲げております。私も四年近く外務大臣をやりまして、最終的には日本外交の原点はアジアであるという感じが強くするわけですし、アジアも非常に新しい時代に入った、転換期に入った。そういう中で日本とアジアの結びつきというのを、ただ物の面だけじゃなくて、心の面においても強化していくというのが今ほど大事なことはないと思います。
 そういう中で、もちろん援助もさらにこれは重点を置いていかなきゃならぬと思います。援助の質も、いろいろとこれは日本として、これはもう議会でもこうして御議論いただいておりますし、我々もこれまでの援助の歴史を踏まえて改めるところは改めるということで、大いにこれから本当にASEANの皆様方にも本当に心から喜んでいただける効率的な援助というものにならなきゃならぬ、国民から支持される、信頼される援助というものになっていかなきゃならぬ。そういうことで、全体的にアジア重視という立場から今度のASEAN拡大外相会議には臨んで、そして日本とASEAN諸国との連帯感というものをさらに盛り上げたいというふうに思っておるわけであります。
#256
○秦豊君 ですから、まあ方向はそれでいいと思うんですね。私が申し上げたのは、やはり単なる毎回定例の拡大外相会議における日本外務大臣のスピーチというにとどまらない、アクセントをつけた、今後の対比援助の見直しを含めた新たな構想が今回のやがて行われるASEANの安倍スピーチでは盛り込まれるというふうに理解してよろしいのかどうか、これが一つ。
 それから私がフィリピン援助の見直しについて申し上げたその方向について安倍外務大臣としては肯定的なのかどうなのかを含めて、重ねて答弁を求めておきたいです。
#257
○国務大臣(安倍晋太郎君) 秦さんの言われるほどめり張りがつくかどうかわかりませんが、しかし基本的にはおっしゃるような大体精神といいますか、そういう考え方で外相会議に臨みたいと。そして、いわばこれからの日本とASEANとの新しい関係というものを打ち出してまいりたい。これはもう援助問題も含めて打ち出してまいりたい、こういうふうに考えております。
    ―――――――――――――
#258
○委員長(田中正巳君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。
    ―――――――――――――
#259
○秦豊君 めり張りがついていましたね。
 外務省は、これはアジア局長の範囲ではないかと思うが、ちょっと質問を確認の意味でしておきたいんだが、これは政府、特に外務省は、一貫しての答弁等を見ると、借款の適正使用ないし借款の要請時代から、第一義的には相手国の問題ないし要請によると言っていらっしゃるんだけれども、この場合は相手国というのはマルコスのフィリピンという意味だったのではなかったかという点が一つと、法的にこれを切ってみると、後藤さん、七三年の憲法によるマルコスのフィリピン、こういう法的状態と今日のアキノさんを支えている暫定憲法によるアキノ新大統領の法的な地位ないしその継続性、憲法と暫定憲法、二つありますね、これ。憲法が二つあるわけだ。それで政権がかわったわけだ。この場合の継続性というものについては外務省としてはどういうふうな理解なのか、ちょっとこれ念のために確認しておきたいんですよ。
#260
○政府委員(後藤利雄君) お答えいたします。
 ただいま私どもが検討しております問題で、特にこのマルコス疑惑が一義的にはフィリピンの問題であるとよく言っておるわけでございますけれども、これはマルコス政権がどうであったとか、あるいはアキノ政権が新しい政権としていわば革命的政権であるというようなことで言っているわけじゃございません。その点では、問題となっている事柄の性質を踏まえまして、私どもとしては、政権の交代ということとは関連なく、この問題は一義的にはフィリピンの問題である、こういうように申しておるわけでございます。
 それから七三年の憲法と新しい暫定憲法でございますが、アキノ大統領は七三年憲法でも、今度の暫定憲法ではあるけれども、それが合法的なもの、正当なものはできるだけ自分たちの暫定憲法の中でも生かしていきたいということを申しておりますので、その点で今の御質問の件につきましては継続されるものはされると、こういうように御理解いただいたらいいと思います。
#261
○秦豊君 それからアキノ政権の発言をずっとトレースしてみると、対外約束はマルコス政府のものも引き継ぎますと言っているんだけれども、一方ではアキノ大統領の発言の中では一般的な継続性を否定しているんですよ。それでもなおさっきの後藤答弁は生きるわけですか。
#262
○政府委員(後藤利雄君) 例えば、アキノ大統領が今度たしか、私の記憶が正しければ、七日のフィリピンにおけるテレビのインタビューにおきまして、マルコス大統領はフィリピンの名のもとに借款を借り入れたわけであるから、自分という我が国、いわゆるフィリピンの名誉にかけてもこれらの債務の返済はしていきたいということをはっきり申しておられるわけでございます。もちろん、その返済の条件というものについてはできるだけ緩和をするということについて各国の理解を求めたい、そうでないと、要するに金利の返済分が輸出の四〇ないし五〇%も占める現状というものについてあるけれども、名誉のためにもこれは返していきたいということを申されておるわけでございます。
#263
○秦豊君 私がなぜこのようなことを殊さらにと思われるかもしれませんが、これからの質問に関連するのでコンブアームをしたかったんですよ。私が言いたかった意味を収れんしますと、したがってマルコス政権のこの不正を追及する、疑惑を解明するという行為の全体は、アキノ大統領にとっては単にフィリピン国内問題じゃなくて国際的、対外的な取り組みをも担っていると、つまり国際的に共同をして、例えば日本とフィリピンとかスイスとフィリピンとか、フィリピンとアメリカとかいうふうに国際的に共同すべき問題としてのとらえ方が私は根底にあると思うんですよね。当然だと思うんですよ。
 そこで、私がお会いしてきたサロンガさんやコンセプシオン大臣などはこう言っているんですね。マルコス不正というものは根本的に許されないんだから、不正の最後のかけらまで判明し次第すべてを公表すると。ただし順位はアメリカ、スイス、日本の順でまず不正蓄財を発見し、その資産の返却を求めてそれに伴った事実の公表をすると、こういう方針を述べているんだけれども、フィリピン側が仮にこういう順序で公表を始めた場合、その中に日本関係の事実がフィリピン政府の公式発表に含まれている場合には、それに対応して日本政府も関係資料を明らかにするんでしょうね。その点はどうなんですか。
#264
○国務大臣(安倍晋太郎君) このマルコス疑惑というのは、あくまでも第一義的には私はフィリピンの問題だと思います。ですから、アキノ政権がこの疑惑を追及していく、明らかにするということはもちろん当然のことですし、全力を挙げておられると思います。それに関連して国際的にも協力を求められれば協力はしなきゃならない、こういうふうに思っておるわけであります。
 なお、こうした疑惑に関連していろいろと日本での違法行為とかそういうものが日本の中にあるとすれば、それは日本の法律によって措置されるべきものであろう、こういうふうに思います。
#265
○秦豊君 きょうはカガヤンバレーの問題をちょっと具体的に追及しておきたいと思いますが、その前に一つだけ、これも藤田さん、お見えですな。
 さっきから同僚議員が盛んに質問しているリインバースを含めた商品借款の問題で、あなたはこの前の委員会で私に対して、現金貸付方式は一件二万ドル以下の小口商品にしか適用しないことになっていたけれども、昨年六月十万ドル以下に修正したため云々という答弁をたしかなさった。あのときには時間が切れたから確認をしなかったんだけれども、なぜ二万ドル以下が十万ドル以下というふうに修正されたのか。フィリピン側の要請が前提なのか、あなた方の判断が主因なのか、この辺をまず確認しておきたい。
#266
○政府委員(藤田公郎君) 第一は時期でございますけれども、六月じゃございません、九月でございました。九月に変更いたしました。
#267
○秦豊君 六月じゃなくて九月。
#268
○政府委員(藤田公郎君) 九月でございます。失礼いたしました。
 それからLCスイッチ方式とリインバース方式、二万式がある、もう委員よく御承知のとおりでございます。当初出発いたしましたときには、リインバースメント方式は一時的にせよフィリピン側の、これは立てかえ払い方式という仮訳にも示されますように、先方がとりあえずは外貨を使うという形になるものでございますから、フィリピンの国際収支の負担軽減ということもございましてLCスイッチ主体ということで出発いたしました。そこで、このリインバースメントの方式は一件二万ドル以下ということで出発したわけでございますが、その後、累次にわたりまして国会でもいろいろ御指摘を受けましたように、フィリピン経済の停滞が基本的な要因ではございますが、なかなか商品借款の消化状況が思わしくないということで、日比両国政府でこの消化の促進についていろいろな改善策をとってまいりました、対象品目の拡大とかです。その一環といたしまして、このリインバースメント方式、これは第一次から第七次まで御承知のとおり供与しておりました商品借款は、フイリピンに対しましては……
#269
○秦豊君 その部分は簡明に、理由だけ。
#270
○政府委員(藤田公郎君) それはリインバースメント方式だったものですから、リインバースメント方式の場合には銀行による信用状の開設という手続も必要ございませんし、消化促進ということから申しますとリインバースメント方式が非常にフィリピンに使いやすいということもございまして、双方で合意をいたしまして一件二万ドルの制限を十万ドルまで引き上げた、こういうことでございます。したがいまして、もちろんフィリピンの希望にも合っておりますし、私どももそれは好ましいことであるという判断をしたということかと思います。
#271
○秦豊君 交換公文を取り交わし後にこのように修正をしたケースというのはほかの国との商品借款であったのかどうか。これは僕の印象ではフィリピンに対する特例措置の一つですよ、これ、違いますか。
#272
○政府委員(藤田公郎君) 事実の問題としまして、ほかの国との関係で商品借款の仕様の方式を変えたという例はございません。
#273
○秦豊君 いや、だからフィリピンに対する特例になるでしょう。
#274
○政府委員(藤田公郎君) 特例と申しますか、フィリピンの場合は非常に経済状況が悪くて消化が悪かったということにかんがみましてとった改善策であると、これはほかの国との間の商品借款では大体二年で消化をされます。もちろん延長している例もございますけれども大体は二年間で消化されるということでございまして、方式自体御承知のとおりLCスイッチでもリインバースでもどちらでもとっております。大体半々ぐらいでとっておりますので、ほかの国の場合にはそれほど改善措置を一生懸命とらなきゃならないような経済情勢の悪化というものがなかったということがあえて申すれば原因、説明の理由がというふうに思いますけれども。
#275
○秦豊君 藤田さん、あなた非常に巧みな答弁の一つと言ってもいいんだが、これ決して褒めているわけじゃないんだよ、シニカルに言っているんだが。つまり客観的には特例なんだよ。だけれども、あなたは改善策、しかも双方が合意したと、あうんの呼吸だと、うまい、とにかく典型的な答弁だと思うんだが、これはフィリピンに対する特例扱いになるわけよ、これが。特例の積み重ねがマルコス不正蓄財の温床になっているわけだ。その辺はあなたに何万通聞いたって、大臣に聞いたって、平泉さんに聞いたってそれはもう芳しい日本語が返ってこないからあえて答弁は求めないんだが、そういうあなた方の基本認識がそういうものを助長してきた。だから抜本的に見直さねばならぬ、こういうふうなのが私の認識なんです。
 そこで、次の問題ですけれども、これは貿易局長の範囲じゃないかと思うんだけれども、さっきのヒアリングのときに私失礼、在席をしなかったが、口頭で行われたらしいいわゆる聞き取り調査の、それもこの前私少しあなた方に意見を言っておいたけれども、この外為法改正、実際には改悪だが、改正以前にも送金方法に不正の疑いのあった商社というのはやはり何社があったのではないか。企業名は絶対に言わない、これはあなた方の鉄則だ。だけれども、そういう企業は何社があったのかどうか。また、あなた方がいよいよ聞き取り調査をした中でそういう送金方法の中で企業名とか担当者の名前なんか求めたってむなしいんだから、そうじゃなくて、どんな手口があったのかというところぐらいまでは聞き取り調査をしたのか、この辺も聞いておきたい。
 例えば、こういうふうな報道が今もう大胆に出ているわけだ。業界関係者、これ商社の幹部ですよ、これは毎日新聞の五月十三日付夕刊によると、送金方法に関連して、「業界関係者のなかには「カバンに数億円つめて香港に運び、比政府要人に手渡した」と証言する者もおり、当時の法律を無視した黒いビジネスの一端が浮かび上がっている。」と、こういう報道さえ堂々と行われているくらいこれについての疑惑は解けていない。そういう点について、では外為法改正以前のことなんだから当然法的にはもうかかわりがないんだと、じゃ今後とも何の処置もしないのかどうか、この点を聞いておきたい。
#276
○政府委員(村岡茂生君) お尋ねの二十件、私どもが調査をいたしました支払い案件につまましていろいろ調査をしたわけでございますが、そのうち十四件について適法な手続がなされたか否かということがいまだに判明……
#277
○秦豊君 なされていなかった。
#278
○政府委員(村岡茂生君) なされていたかいなかったかいまだに判明していないということを申し上げたわけでございます。その点につきまして、現段階で違法の状態が確認されたという意味ではないということはひとつ御注意いただきたいわけでございます。本件につきまして、本件はほとんど全部昭和五十五年外為法大改正以前の事柄でございますが、私どもといたしましては、今後調査を続行いたしましてこの十四件についていろいろ必要があれば、違法状態が確認されれば適正な措置をとりたい、こう思っておるわけです。
 さて、どういう手口かという御下間なのでありますが、残念ながらこの段階で申し上げるほど熟してわかっているわけではございません。
#279
○秦豊君 局長、じゃこういうふうにとっていいのかな。あなたの慎重な答弁を私なりにリライトすると、適正か不適正かはいまだ判明いたしてはおらぬと。しかし、判明させるための聞き取り調査は今後も続行すべきであると考えていると、こういうふうにとってもいいわけだろうし、十四件というのはあれですか、十四社が介在したというのじゃなくて、商社名と件数は一致しないんでしょう。
#280
○政府委員(村岡茂生君) 調査の方法はともかくとして、今後とも調査は続行するということでございます。
 それから十四件というのは商社の数ではございません。支払いの案件でございます。
#281
○秦豊君 じゃ今後は聞き取り調査の重点、それからいつごろからどう始めるのか、ほぼいつごろまでに終えたいのか、そういうタイムスケジュールはMITIとしては全くないのか、その辺どうなんですか。
#282
○政府委員(村岡茂生君) けさほど冒頭申し上げましたように急いで調査を完了したいということでございます。御懸念のように長々と時間をかけるつもりはございません。
#283
○秦豊君 委員長、少し関連資料を皆さんにお配りしてよろしいですか。――じゃお願いしますね。(資料配付)
 これはOECFの関係者に聞いておきますけれども、例のカガヤンバレーの電化計画ですね、これのOECFが審査をしたときの文書というのは今存在していますか。
#284
○参考人(熊谷和秀君) ございます。
#285
○秦豊君 ありますか。これは非常に話がしやすくなりました。廃棄したと言われてもここにあるから別に困りませんけれども、ちょうど皆さんお持ちなら大変結構。
 それじゃカガヤンバレー電化計画の完成報告書というのも当然あるんでしょうな。
#286
○参考人(熊谷和秀君) お答えいたします。
 ございます。
#287
○秦豊君 はいはい、結構。これは外務大臣がどなたかに答弁されたように推理小説みたいだなんて言われないために、非常にこれ直近のね、割と新しいんですよね。いかなOECFでも廃棄処分ができないぐらい新しいような文書を特定して少し二、三質問をしておきましょう。
 ではあなた方、熊谷さんお持ちのこの文書をちょっとごらんくださいよ。外務省の六十年三月付のこの資料、経済協力評価報告書とそうしてNPCからのこの報告書、これをつぶさに見てもらいたい。つぶさに見ると時間がかかるからポイントだけを言いますと、明らかな矛盾があるんですね。例えば今お手元にお配りした簡略な資料をちょっと開いていただきたいんですけれども、一ページ目ですね、資料で言えばこれ二枚目、表紙の次だから。
 このNPCの報告書には、プロジェクトの入札後に契約内容が「ターンキイ」、つまり「ターン キイ」というのは例のプロジェクトの契約部分を完成の状態にして引き渡すというテクニカルタームですけれども、「ターン キイ」から「供給のみ」というふうに変更されたとあるんだけれども、これは事実なんですか。
#288
○参考人(熊谷和秀君) ただいま先生から拝見しました書類にありますように、当初予定しておりました一括の請負方式から資機材の供給部分と比測地場業者による工事部分、そのように分けました。このような施工方式の変更は向こう、フィリピン側で決定されたことになっております。
#289
○秦豊君 熊谷さんね、それが違うんですな。私が聞きたいことは二、三点あるんです、よく聞いてくださいよ。
 契約の変更によって、建設等の労働力はフィリピン側の国内業者、いわゆる請負ですな、そのことによってOECFの貸し付けた借款分がかなり余ったはずだという認識が私の前提にあります。どれぐらい余ったかという点を次第に明らかにしますがね。NPCの方はこう言っているんですよ、OECFに対して。契約変更によって事業が遅延したんだと、こう言っているんです。しかし、あなた方は借款手続のふなれ等が遅延の理由であると。明らかに食い違っているんですよね。あなた方の答弁が正しいのかNPCのリポートが正しいのか、どうなんです。
#290
○参考人(熊谷和秀君) お答えいたします。
 ただいま先生申されましたように、施工方式が途中で変更されたと、これは事実でございます。それからNPC、電力公社にとりましては円借款、これは初めてだということでいろいろ事業がおくれた、ふなれな関係からですね。そういうことも原因になっておるかというふうに考えております。
#291
○秦豊君 少し先を急がねばならぬが、OECFによる経済協力の評価報告によりますと、カガヤンバレーの電化事業には五十一億九千百万円の円借款が供与されて、事業費実績も当初計画どおりであったとしているんですよ。ところが、よくこの資料を調べてみますと、NPCから逆にあなた方に来たいわゆる完成報告書、この金額をちょっと注意深くごらん。願いたい。
 この私のお配りをした資料の三枚目、邦訳では「工事費」と書いて、「(1)当初見積工事費と実際の経費」というのがあって、上の欄が日本文、下の欄が英文と、こうなっていますね。これをごらんください。これを対比してみますと、NPCの完成報告書では当初見積もりの円借款部分が合計五十一億九千万円ですね。それから実際の経費の円借合計はどうなっているかというと、七十六億三千三百三十万円になっているんですよ。これならば小学校の児童にでも計算ができるくらい、二十五億円の差額に当然なりますよね。との差額というのは一体どのようなものからどのようにして、だれがそれを許容して補われたんですか。埋められたんですか。処理したんですか。
#292
○参考人(熊谷和秀君) 基金といたしましては、事業の実施状況のレビュー、効果確認等のために八三年の九月に現地調査を行っております。その結果、本件の借款につきましては、先ほど先生おっしゃいました当初の外貨分の見積もりが五十一億九千百万円、これに対しまして、私ども基金が実際に金を出しましたのが五十一億五千百万円でございます。
 それで、ただいま先生から拝見したこの七十六億三千三百万円でございますか、どうしてこれが違っておるかということをいろいろ検討しましたんですが、我々としては、推測の域を出ませんけれども、カガヤン地域におきましては本プロジェクト以外でもNPC、電力公社が行っている事業がありますので、NPCの報告書にはこれらも合わせて入っておるんじゃないかと、このように推測しております。
 以上です。
#293
○秦豊君 なるほど、じゃ流用は自在たるべしというふうな許しがあったわけですね、事前に。関連した事業をやっていると、どの部分の費用をこちらに埋め合わせに使ってもいいというふうな許可はあなた方が与えていたんですか。
#294
○参考人(熊谷和秀君) 先ほど申し上げましたように、私たちの対象の事業につきましては承諾額、外貨分五十一億九千百万円に対しまして実際に使いました額は五十一億五千百万円、こういうふうになっておるわけでございます。
#295
○秦豊君 それに関連しまして、熊谷さん、その資料のちょっと次の方をごらんくださいよ。
 このカガヤンバレーについてはまだまだ調べなきゃならぬ問題がたくさんあるんだけれども、あなたの今の答弁にちょっと触発されてついでに聞いておきたいことがあるんだがね、費用の問題について。カガヤンバレーの電化事業のアンブクラオ発電所からサンチャゴ変電所間は当初計画では一回線だったんですよね。それが複線化したのは一体なぜなのか。フィリピン側の調査結果によるものなのか、日本側の例えばコンサルタントと称する人のサセッションなのか。いつだれがそれを決めて、そして複線化したことによって増大した経費は幾らとあなた方は把握しているのか、その辺を確認しておきたい。
#296
○参考人(熊谷和秀君) お答えいたします。
 アンブクラオ‐サンチャゴ間の送電線の複線化はマガットの水力発電所の建設に伴いまして必要になったものであると、これはフィリピン政府が電力供給の計画見直しを行いまして決定したものであるというふうに我々は承知しております。
 あと、次でございますが、その金はいかがかということでございますが、具体的な内容はフィリピンの事業実施者と受注企業の関係になりますので差し控えさしていただきたいんですが、本件につきましてはカガヤンバレー農村電化事業の対象としてこれは取り上げております。
#297
○秦豊君 あのね、あなた方のところに資料があるはずなんだが。つまり、私は慌ただしい滞在だったから、飛行機に乗る前に、朝のうちにNPCの技術担当の副総裁のラマス、ラモスじゃなくてこの場合ラマス、ミスターラマスね、メモしておいてくださいよ。彼に会ったんだけれども、彼ははっきりこう言っているんだ。熊谷答弁と違うことをずばっと言っています、正直にね。つまり、これはフィリピン側が考えたことじゃないの。そんなアイデアじゃないの。これは日本のコンサルティングを担当していた電発の勧告によって複線化をした。こういう事実もあなた方は把握していらっしゃらないのか、それが一つ。
 それから費用はフィリピン国内の業者と向こうのNPCの関係だからちょっと遠慮しますと言ったが、これははっきりしているんで、単線から複線にダブルにしたために生じた経費の超過分というのは十二億八千万円あるんですよ。さっきのは二十五億ね。今度は十二億八千万円。これは推理小説じゃなくて事実なんです。そういうことも把握していらっしゃらない、OECFは。
#298
○参考人(熊谷和秀君) 先ほど先生おっしゃいました七十六億三千三百万と五十一億五千百万につきましては、先ほど申し上げましたように、我々の対象の分は五十一億九千百万の承諾額に対しまして実際に使いましたのが五十一億五千百万と、こういうことになっております。
 それからあと回線をふやしたということについての御質問でございますが、それは金額については発言を差し控えさしていただきたいと思いますけれども、カガヤンバレー農村電化事業の対象として取り上げたと、こういうことでございます。
#299
○秦豊君 外務大臣と平泉長官、ちょっと伺っておきたいんですが、さっきから同僚議員もるる述べておりますように、実際に国民の血税その他を財源とする対外援助、とりわけフィリピンに対する援助実行の現状というのは、チェックポイントというのが非常にルーズになっている。甘い。もちろんOECFにしても外務省にしても、さまざまな機関を設けているのはチェックポイントを厳正にしたいと、箱根の関所はたくさんつくりたいとお思いでしょうけれども、実際には、援助をチェックするためのアメリカの関連のスタッフは二百人に対して、僕はよく言うんだが、マニラではせいぜい数名と。これは日本の貧寒な現状。これは一人一人の個人の善意を超えた体制の問題です。システムの問題です。国家の基本方針の問題です。だから、大きいことはよいことだではなくて、どう効果的に、また疑惑なく実施されるかに責任を最終的に負うのはときどきの政権である。しかもその政権は継続している。これは日比ともにそうですよね。
 だから言うんだけれども、やはりこういう状態、今私が指摘したのは具体的な一つ二つの事実なんだけれども、朝から同僚議員は同じような方向で突いているわけですよ。このチェックポイントを強化するためには一体外務大臣としては、平泉長官としては具体的にどんなことを考え始めているのか、ちょっと中間的に伺っておきたい、お二人に。
#300
○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろな国会での議論等も大変これは傾聴して一つの反省の材料にしなければならぬと思いますが、やはり援助といいましても主権国家同士のことでありますし、それから援助の基本というのは相手の自助努力を補完的に助けていくということでありますから、相手が主体になってくるわけです。そういう中で、やはり交換公文を結んで援助を実施するとしても、介入するという面ではおのずから限界があることは主権の問題ですからあるわけでありますし、それはお互いの国が十分相談をしてしっかりするということが基本的には大事ではないか。
 ですから、今度、例えばアキノ政権と日本政府との間でこれからの援助問題を話し合うときも、こういう今までのマルコス疑惑に見られるようなそういうことにならないように、両国が十分そのポイントを話し合って援助が適正に実施されるということを協議して、そしてその方式を場合によっては打ち立てていくということが大事なことじゃないか、またそれはできるんじゃないか、こういうふうに思っております。オンピンさんともそういう点について話し合ったわけですし、ラウレルさんとも話し合いたい、こういうふうに考えております。私はやはりこれらはこれからの問題として十分できることだと……。
 それからあと評価の問題、これは日本政府としても、これはフィリピンだけじゃありませんけれども、実施した援助の評価を確実にやっていくということもこれ非常に大切なことであろう。そういう面では外務省だけがやるんじゃなくて、この評価についてはやはり第三者機関といいますか、第三者の方々にも参加してもらって適正な評価をしていくということも大事なことじゃないだろうか、こういうふうに思います。
#301
○国務大臣(平泉渉君) 今外務大臣の話に大体尽きておるわけですが、非常にやはり難しいのは相手が主権国家であるということですね。それから殊に援助をするという場合に、相手の国にもやはり援助を受けるということから来る、そこで非常にその監査を厳重にするということになるとまた向こうの方からは非常な反発も出てくる、その辺の非常に微妙なところに難しさがあると私は見ておるわけでございますが、そういう中で、そういうせっかくの援助が相手との間に友好関係がますます増進されるという形の援助であるためにはどうしたらいいか、これは非常にいろいろ多角的に見ていかなければならぬ。我々は今、今度のサミットの宣言でも後進国援助というような問題は非常に大きな問題になっておるわけでありますから、その辺に不正が起こったり、あるいは友好関係を傷つけないように立派な援助をしていかなきゃならぬという問題については、十分問題意識を持っていろいろな面から検討していかなきゃならぬと思っております。
#302
○秦豊君 OECF、熊谷さん、これ聞いておいてくださいね。このNPCの報告書をつぶさに見てみると、あなたは答弁をはばかったんだけれども、この単線化と複線化の差額十二億八千万円をどう補ったか書いてあるんだ、あなた。あなたも英語は堪能なはずだからね、横を縦に直して読んでみなさい。これにはPH−P19という文書、つまりカガヤンバレー農村電化事業によって補ったと、こう書いてある。だから主幹線系統であるカガヤンバレーの電化事業の経費超過分というのは、支線の方ね、ローカルの方、横に、傍らにあったより小さいものの農村電化事業の方で埋め合わしているんですよ。その辺がまことにルーズになっているの。まことにおおようになっているの。しかもそれをチェックするポイントがないの。これほど寛大な援助というのは恐らく他に例を見ないでしょう。
 それからなお、時間がないからこれこの次の委員会にしますけれども、大臣、これはよく聞いてくださいよ。
 例えばあなた方が作文をつくりますね、経済協力評価報告書なんて、これもっとこんなに分厚いんだけれども、面倒くさいから持ってこなかったんだが。その中に、例えばカガヤンは実行しました。とうとい血税です。おかげさまで電化率は物すごく高まりました。三百十一ページ。だらだらだらっと書いてある、麗々しく、パーセンテージを。実に精密ですよ、七七年一二・二%、八二年三一・三%。ところがそれが、あなた方の作文が笑われているんです。漫画になるんです。なぜかと言うと、NPCからOECFに来たリポートによりますと、例えば消費者数、世帯数、人口なんていう数字が空欄になっているんです、全部。何も真っ白なんですよ。NPC、肝心の援助を受けた国が踏まえるべき数字がないから空白、空白、空白、空白にしているのに、援助を与えた日本側の報告書には事細かに何十一・何%と誇らしげに書いてあるの。
 ところが、NPCというのは向こうの電力公社ですよ、そうでしょう。それが空白で出さざるを得なかった。あなた方は麗々しくパーセンテージまで出して、どうだ、国民の皆さん、またうるさい野党、マスコミどうだ、ちゃんとやっているんだと。ところがこれを見ると何回見直したってゼロはゼロですよ。真っ白なリポートが来ている。日本の官僚機構ないしその周辺は相当チェックが事務的にはうるさいというのは知っていて、空白のままで堂々と出してきている。しかも、あのあたりは新人民軍が能動的に活動している地域だから、マニラに駐在している日本の外務省のスタッフやその他OECFのスタッフがのこのこ行って、さて普及率は、そんなことをできる状態じゃない。それは現地のNPCを信用する以外にないんだが、経済効果の報告書には麗々しくこういう作文はできても、肝心のフィリピン側は空白で出さざるを得ない。まことにあいまいなものが実行されていて、しかもでき上がったんだ、民衆は喜んでいる、地域の電化率も高まっているんだというふうな報告を国会にされることはまことに納税者に対しては不遜な態度ではありませんか。一体OECFは何の資料から電化率を麗々しく割り出したのか、その辺を最後に聞いておきたい。
#303
○参考人(熊谷和秀君) うちのミッションは、調査団は、NEA、配電公社から資料を受け取ったというふうに私、報告を受けております。
#304
○秦豊君 側かおっしゃったかな。
#305
○参考人(熊谷和秀君) 失礼しました。
 NEA、配電公社――NPCじゃございませんですね、配電公社から資料を受け取ったというふうに私は報告を受けております。
#306
○委員長(田中正巳君) 秦君、もう時間だが……。
#307
○秦豊君 一分ありますね。確認だけ。
 これは、あなた方が膨大なアンケートのあれを求めて、NPCに、NPCから来たこれは書類なのよ。熊谷さん、事実誤認があるようだからそれをあなた是正してください。
 これは、この問題を含めて、先ほどの金額の問題も極めてあいまいなままだから、次回にそっくりそのまま繰り越したいと、委員長、思います。
 終わります。
#308
○委員長(田中正巳君) 本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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