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1985/04/03 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 科学技術特別委員会 第3号
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1985/04/03 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 科学技術特別委員会 第3号

#1
第104回国会 科学技術特別委員会 第3号
昭和六十一年四月三日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月八日
    辞任         補欠選任
     竹山  裕君     亀井 久興君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         馬場  富君
    理 事
                岡部 三郎君
                志村 哲良君
                稲村 稔夫君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                長田 裕二君
                成相 善十君
                林  寛子君
                安田 隆明君
                穐山  篤君
                片山 甚市君
                伏見 康治君
                佐藤 昭夫君
                山田  勇君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       河野 洋平君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      矢橋 有彦君
       科学技術庁長官
       官房審議官    川崎 雅弘君
       科学技術庁計画
       局長       長柄喜一郎君
       科学技術庁研究
       調整局長     内田 勇夫君
       科学技術庁振興
       局長       藤咲 浩二君
       科学技術庁原子
       力局長      中村 守孝君
       科学技術庁原子
       力安全局長    辻  栄一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       文部省学術国際
       局学術課長    佐藤 次郎君
       資源エネルギー
       庁長官官房総務
       課長       山本 貞一君
       資源エネルギー
       庁長官官房省エ
       ネルギー石油代
       替エネルギー対
       策課長      田中 徳夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和六十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、昭和六十一年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、昭和六十一年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(科学技術庁))
    ―――――――――――――
#2
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月八日、竹山裕君が委員を辞任され、その補欠として亀井久興君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(馬場富君) 去る三月二十八日、予算委員会から、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁について審査の委嘱がありました。期間は、本日の午後一時までであります。
 この際、本件を議題といたします。
 河野科学技術庁長官から説明を求めます。河野科学技術庁長官。
#4
○国務大臣(河野洋平君) 昭和六十一年度における科学技術庁の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 昭和六十一年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、科学技術庁の歳出予算要求額といたしまして三千三百四億八千二百万円を計上いたしました。
 また、総理府、大蔵省及び通商産業省の共管による電源開発促進対策特別会計歳出予算要求額のうち、科学技術庁分といたしまして九百三十二億七千二百万円を計上いたしました。さらに、産業投資特別会計から、日本科学技術情報センターに対し四十億円の出資を予定いたしております。以上の各会計を合わせた科学技術庁の歳出予算要求額は四千二百七十七億五千四百万円であります。これを前年度の当初歳出予算額四千二百九億七百万円に比較いたしますと六十八億四千七百万円の増額となっております。
 この歳出予算要求額のほか、国庫債務負担行為限度額といたしまして、一般会計一千二百三十五億八千百万円、電源開発促進対策特別会計四百五十九億七千万円を要求いたしております。
 次に、歳出予算要求額のうち主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、科学技術会議の方針に沿って科学技術振興に必要な重要研究業務の総合推進調整を実施するたあの科学技術振興調整費を拡充するとともに、同会議の審議機能を充実し、科学技術行政における総合的企画調整機能の一層の強化を図るための経費として七十九億四千三百万円を計上いたしました。
 第二に、産学官等の連携による基礎的、創造的な研究の推進のため、二十一世紀の技術革新を目指した先端的基礎研究、すなわちフロンティア研究を国際的に開かれた体制のもとで長期かつ流動的に行うために必要な経費、産学官のすぐれた研究者を弾力的に組織化して、次代の技術革新を担う創造性豊かな新技術を創出することを目的とした創造科学技術推進制度による研究の推進及び本制度等による研究成果に基づき出願された基本的特許をもとに民間企業等の参加を得て、周辺特許等の新しい技術への展開を図るハイテクコンソーシアム制度を創設するために必要な経費、民間等との共同研究を促進するための経費、客員研究官の受け入れに必要な経費等として四十六億七千九百万円を計上いたしました。
 第三に、研究開発のための基盤の整備のため、遺伝子資源の収集、保存、提供体制の強化のための経費、日本科学技術情報センターにおける科学技術に関する各種データベースの整備、新オンラインシステムの開発、国際科学技術情報ネットワークの構築等内外にわたる科学技術情報の流通を促進するための経費等として一般会計に二十億八千五百万円を計上するとともに、産業投資特別会計から同センターに対し四十億円の出資を予定しております。保
 第四に、科学技術国際協力を通じた国際社会への積極的貢献を図るため、日米協力を初めとする先進諸国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力、人材交流等の国際協力に必要な経費として三百二十五億九千四百万円を計上いたしました。
 第五に、原子力の研究開発利用の推進のため、原子力安全規制行政及び原子力の安全研究など安全対策を進めるための経費、海外におけるウラン資源の調査探鉱、ウラン濃縮、使用済み燃料の再処理及び放射性廃棄物の処理処分等核燃料サイクル確立のための経費、高遠増殖炉及び新型転換炉の研究開発のための経費のほか、核融合の研究開発、多目的高温ガス炉の研究開発及び原子力船に関する研究開発のために必要な経費並びに国立試験研究機関等における原子力研究開発利用に関連する各種試験研究を行うための経費などとして一千八百十八億九千九百万円を計上いたしております。
 第六に、宇宙開発の推進のため、海洋観測衛星一号、技術試験衛星V型、通信衛星三号、放送衛星三号、静止気象衛星四号及び地球資源衛星一号の開発、技術試験衛星M型の開発研究など各分野の人工衛星の開発等を進めるための経費、第一次材料実験システムの開発、米国宇宙基地計画の予備設計段階の作業への参加のための経費、HTロケットの開発及び一九九〇年代における大型人工衛星の打ち上げ需要に対処するためのHUロケットの開発などを進めるための経費のほか、宇宙科学技術の基礎的、先行的研究を行うための経費などとして九百二十五億八千二百万円を計上いたしております。
 第七に、海洋開発の推進のため、潜水調査船「しんかい二〇〇〇」による深海調査技術の研究開発、六千メートル級潜水調査船の建造、海中作業実験船「かいよう」による潜水作業技術の実海域実験等総合海洋科学技術プロジェクトを進めるための経費などとして六十六億四千八百万円を計上いたしております。
 第八に、高齢化社会への対応及びライフサイエンスの振興のため、フロンティア研究における老化の仕組みの解明のための研究など急速に到来しつつある高齢化社会に対応するための研究、遺伝子組みかえ技術を用いたがん本態解明のための研究、放射線によるがんの診断治療のための研究等ライフサイエンス関連研究を推進するための経費として六十一億六千六百万円を計上いたしましたほか、科学技術振興調整費等から三十三億四千五百万円の充当を見込んでおります。
 第九に、材料科学技術の研究開発の推進のため、金属材料技術研究所及び無機材質研究所における各種試験研究、創造科学技術推進制度及びフロンティア研究における材料研究を推進するための経費として七十一億二千七百万円を計上するほか、科学技術振興調整費から二十一億円の充当を見込んでおります。
 最後に、その他の重要総合研究等の推進といたしまして、地震予知、震災対策、雪害対策等防災科学技術に関する試験研究、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」による飛行実験等航空技術の研究開発及びレーザー科学技術研究等を行うための経費並びに新技術の企業化の促進のために必要な経費のほか、資源の総合的利用のための各種調査に必要な経費等として二百二十四億九千九百万円を計上いたしております。
 次に、電源開発促進対策特別会計歳出予算要求額のうち、科学技術庁分の主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 まず、電源立地勘定におきましては、原子力施設の立地対策として、原子力施設周辺地域の住民等に対する給付金の交付及び周辺地域における雇用確保事業の推進を図るとともに、関係地方公共団体の公共用施設の整備のほか、放射線監視対策、原子力防災対策などの原子力安全対策等に必要な経費として百二十三億二千六百万円を計上いたしました。
 また、電源多様化勘定におきましては、高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉に関する研究開発等新型動力炉の開発を進めるとともに、使用済み燃料再処理技術の開発及びウラン濃縮技術の開発を行うための経費など八百九億四千六百万円を計上いたしております。
 以上、簡単でございますが、昭和六十一年度科学技術庁関係歳出予算要求額につきまして、その大略を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほど、お願いいたします。
#5
○委員長(馬場富君) この際、お諮りいたします。
 昭和六十一年度科学技術庁予算についての矢橋官房長の説明は、これを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(馬場富君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(馬場富君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○岡部三郎君 六十一年度の科学技術庁の予算案につきましては、今御説明がございましたように対前年比一〇一・六%ということであります。昨年開催されました国際科学技術博覧会関係の経費を差し引いて比較しますと一〇三・九%となっております。一般歳出の伸び率がゼロという大変厳しい本年度の財政事情下では、予算総額という面から見ましてもまずまずの成果と考えるわけでありまして、大臣、といいましても、この原案をつくられたときは前大臣でございますが、大臣初め事務当局の御努力に深く敬意を表する次第でございます。
 この内容につきましてお尋ねする前に、基本的な問題につきまして大臣にお伺いをいたしたいと思います。それは、本年三月二十八日に科学技術会議の十二号答申を踏まえまして科学技術政策大綱を閣議決定されたわけであります。この大綱決定のねらいは一体どこにあるのか、また、その背景にはどのようなことがあったのかをお伺いいたしたいと思います。
#9
○国務大臣(河野洋平君) 先生御承知のとおり、科学技術の振興は、二十一世紀への展望を持つためにも、あるいは日本の置かれている現在の立場を考えましても最も重要な問題だと考えております。国家的に重要なこうした政策課題を重点的に効率的に推進していく、そういうことのためには一つの政策大綱をきちっとしておく必要があろうというふうに存じまして、科学技術の振興について政府としての基本方針を明確にし、さらに関係省庁が一丸となって体系的に科学技術政策の推進を図るということが重要だ、こうした観点から科学技術会議からの答申をも踏まえまして閣議で御決定をいただいた次第でございます。
 私といたしましても、この大綱に基づきまして基礎的研究を中心とした創造性豊かな科学技術の振興に全力を挙げたい、そのための一つの方針がはっきりとこれで打ち出されたというふうに認識をいたしまして、今後の科学技術行政の腰が定まった、こんなふうに考えている次第でございます。
#10
○岡部三郎君 科学技術行政の歴史の中でも私はこれは非常に画期的なことだというふうに高く評価をするものでございますが、特に、今お話にもございましたような創造性豊かな科学技術の振興を図るために基礎研究ということが非常に大事である、これを中心に進めていくべきだ、こういうお話でございました。大変力強く感ずる次第でございます。
 そこで私は、きょうは時間もございませんので、この基礎研究の問題を中心に御質問をいたしたいと思います。
 そういうお話でございますけれども、我が国の場合には、従来主として基礎的な研究分野というものは政府の研究開発投資によっておったわけでありますが、これが全体の四分の一程度であるということで、先進国の中でも大体の主要国が五〇%前後なのに比べましても大変に少ないわけでありますし、さらに最近民間における研究開発というものが非常に活発になっておりまして、十一号答申等にも述べられておりますけれども、その伸び率が年平均一〇%以上にも上る、こういうことでございます。これに対しまして政府の研究開発投資の方は、大変御努力をされた今回の予算案でも全省庁で四・八%アップにすぎない、こういうことでございますから、研究費の政府負担割合というのは確実に下がりつつあるというのが現状であります。
 したがって、基礎研究資金の確保ということは、これは大変な問題でありまして、政府の開発投資の一層の拡大充実を図らなきゃならぬということは言うまでもないわけでありますが、それと同時に、やはり民間にも相当の協力を願わなければならないのではないかというふうに思います。最近は民間の会社でも基礎研究所というものを設立するとかいったような面で基礎研究に対する関心というものが非常に高まっております。また、円高差益等で経営的にもある程度ゆとりのある分野も出てきたようでございますので、この際、科学技術庁初め政府の実施している研究開発の内容を再検討し、比較的応用研究に近い分野のものについては極力民間に任せて、政府の実施するものはどうしても民間では不可能な基礎分野の研究に限るべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
#11
○政府委員(長柄喜一郎君) 科学技術政策大綱にもございますように、今後の科学技術振興の基本は、従来の改善、改良の枠を超えた独創的な技術開発、科学技術の推進にあるわけでございます。そのために、先生おっしゃいますように、基礎研究の強化充実、こういうことが非常に大事になってきているわけでございます。このたびの大綱でも示しておりますけれども、国の今後重点を置いて研究、推進すべき分野として三領域十六分野ということを示していますが、その中でも特に基礎的、先導的なものに重点を置くようにということを明示したわけでございます。
 先生今おっしゃいましたように、民間企業は過去この十五年ほどの間に非常に着実に力をつけてきておりまして、開発から応用へ、さらに基礎研究へというふうに民間企業も非常に大変な投資をしてきております。こういうことにあわせましえ、我々としては国の研究投資というのは従来よりもさらに基礎へシフトしていかなきゃいかぬ、こういうふうに考えておりまして、民間にゆだねられるものは極力民間にゆだねるということが必要かと考えております。ただ、原子力とか宇宙のように大変なリスクを伴う、長期間の期間を要するというふうなもの、大規模プロジェクトにつきましては国としても引き続きかなりの投資を続けていかなきゃいかぬ、こう考えている次第でございます。
#12
○岡部三郎君 大変難しい問題でございますけれども、こういった公民研究分野の再調整によりまして民活による基礎研究の振興ということも今後の課題としてひとつ御検討をいただきたいと思うわけであります。
 基礎研究を進める上に際していま一つ重要なことは、これは言うまでもなく、公的研究機関においてその中心的担い手となる創造性豊かな研究者をどうやって確保していくかという問題であろうと思うわけであります。最近、若いすぐれた研究者がとかく民間や海外に流出して日本の大学の研究室や国公研に居つかないというふうな話をよく聞くわけであります。その理由は、一つは研究者の処遇の問題があろうと思います。二つ目には広い意味での研究環境の問題があるのではないかというふうに思うわけであります。
 一昨年私は、先般文化勲章を受けられましたバイオサイエンスの世界的な権威であります利根川進教授をボストンのMITの研究室にお訪ねをしたわけでありますが、あそこは世界各国から若い研究者が二十数名集まって昼夜を分かたない研究を進めておるわけであります。しかも、これらの研究者のほとんどの人が実はアリメカ政府あるいはロックフェラー等の民間の財団、あるいは自国の政府のフェローシップを受けてやってきておる、したがって生活の心配もなく研究に没頭できるというふうなことを聞いたわけであります。
 日本でも昨年から、おくればせながら文部省に特別研究員制度というのができまして、こうしたポストドクターでも奨学金が受けられる道が開かれたわけでありまして、これは働き盛りのフレッシュな研究者が生活の不安なく研究に従事できるという面で大変喜ばれておる制度であるわけでありますし、また、この基礎研究の推進という面からも非常に重要な制度であるというふうに考えておるわけでありますが、六十一年度におきましてこの関係の予算はどうなっておるか、文部省からひとつお伺いをしたいと思います。
#13
○説明員(佐藤次郎君) お答え申し上げます。
 先生から御指摘いただきましたように、独創的、先端的な基礎研究を進めるに当たりまして、その研究者の養成、特に若いすぐれた研究者の養成確保というのは極めて重要な課題というふうに考えております。このため文部省におきましては、大学院の博士課程の修了者に加えまして博士課程在籍者を含めまして、すぐれた若手研究者に二年間、大学院博士課程修了者にありましては、助手の初任給相当分の研究奨励金月額二十万九千円を支給するとともに、研究費といたしまして科学研究費補助金から年間百二十万円以内の研究費を支給する、こういう若手研究者に対して自由な発想のもとに本格的に研究に専念させますフェローシップの制度、特別研究員制度を昭和六十年度より発足をさせまして、現在日本学術振興会の事業として実施をいたしているところでございます。
 初年度の六十年度におきましては、百四十四人の採用のところ全国から約千五百名の応募者がございまして、このフェローシップの制度に対する期待は非常に大きいものがあろうというふうに考えておるわけでございます。来年度、六十一年度の予算案におきましては、新規の採用者の数を本年度に比べまして百人ふやしまして二百四十四人といたしたい。総採用者の数で言いますと、二百四十四人増の三百八十八人というふうに拡充をいたすとともに、研究奨励金につきましても単価の増額を行いその充実を図ることといたしておりまして、このために必要な経費といたしまして、前年度比二億三千四百万円増の七億六千八百万円を計上いたしているところでございます。
#14
○岡部三郎君 ぜひ、この制度を今後とも発展をさせていただきたいと思うわけでありますが、できればその対象期間を、二年というのは非常に短いわけでありますので、これを必要に応じて延ばしていただきたいと思いますし、また諸外国、特にアリメカ等ではむしろこういったフェローシップというのは民間の方が多いわけでありますので、民間でもこの種のものが設けられるようなPRなり御指導なりをお願いしたいと思うわけであります。
 次に、研究環境の問題でございますが、我が国の国公研の研究施設等は近年相当改善をされてまいりました。特に筑波の研究学園都市等は今や諸外国の研究者の注目の的でありまして、見学者が絶えないというふうな状況であるわけでありますが、それにもかかわらずこの筑波で最近研究者の自殺が相次ぐというようなことがあります。こういうことを見ますと、ハード面の整備は十分されておると思うのでありますけれども、そういうもので補い切れない何かソフト面での欠陥があるのではないかというふうな気もいたすわけでありまして、こうした面で徹底した調査検討をお願いをしたいと思うわけであります。
 また、科学技術万博が成功裏に終わりまして、幸い八十数億の益金が残りそうだというふうなことを聞いておるわけでありますが、もちろん後処理が未完了の段階でございますから最終的にはどうなるかわかりませんけれども、最終決定がありました後には、こうした剰余金を例えば今極端に不足していると言われております研究者の国内外にわたる交流経費等にひとつ充当をしていただきまして、基礎研究の推進に役立つような使い道をお考えいただきたいと思うわけであります。余り時間がございませんので、以上、要望にとどめておきます。
 次に、国公研研究者の高齢化対策でございますが、先ほど申しました利根川研究室の例でも、研究者のほとんどは二十歳台あるいは三十歳台でございまして、リーダーの利根川教授も四十歳台、こういうことでございます。博士の言をかりますと、生物学等の第一線の研究というのは知力のみならず相当体力を要する、したがって四十を超えるとなかなか大変だというふうなことも言っておられるわけでありまして、これに比べますと、日本の国公研の研究者の平均年齢というのははるかにこれを超えておるわけであります。したがって、なかなか効率的な研究というものが難しいのではないかというふうにも考えられるわけでありますし、若い人たちが伸び伸びと独創的な研究に従事できるという環境にはほど遠いような気がするわけでございます。こうした国公研における研究開発を活性化されるために、高齢化した研究者を行政面で活用するとか、あるいは民間への転出を促進するとか、何らかそういった特性を生かした方策を講ずる必要があるのではないかと思うわけでございますが、その点いかがでしょうか。
#15
○政府委員(長柄喜一郎君) 現在、国立試験研究機関の定員がこの数年間ずっと抑制されてきたというふうなこともございまして国立研究所の研究者の平均年齢が年々上がってきております。現在四十三・〇歳というふうなことで、過去この十年間で約三歳平均年齢が上がっているというふうな事態でございます。岡部先生がおっしゃいましたように、特に基礎研究に従事される研究者というのは知力並びに体力が必要というようなことで、過去のいろいろな業績を上げられた方のそのときの年齢などを調べてみますと、やはり三十歳台前半くらいまでに非常にいい仕事をされているということでございまして、平均年齢四十三歳というふうな状態は非常に憂慮すべ音ことかと、こう考えている次第でございます。
 本件につきまして、非常に難しい問題でございますけれども、昨年の臨時行政改革推進審議会の答申でもこの高齢化問題についていろいろ提言しておりまして、各省庁は、その研究者の行政部門への配置転換とか開発途上国への技術援助に使うとかサービス部門に転換するというふうな、今いろいろな方法で長期的な人事計画をつくるようにということを言われております。また、科学技術会議の十一号答申におきましても、研究者のライフステージということを考えて、若いときにはそういう基礎的研究に向ける、ある程度年をとってきたらその経験なり知識なりを生かすまた別の職場を探すというふうに、研究者のライフステージということを考えてこの問題に当たらなければいかぬということを言っております。
 それで実は、科学技術会議の第十三号諮問でございますけれども、昨年十二月に総理よりいただいたわけでございますが、国立研究所の中長期的あり方についての検討ということを現在科学技術会議でやっておりまして、その中でこの国研の活性化に合わせて国立研究所の研究者の高齢化問題を最重要課題の一つといたしまして検討していきたい、こう考えているところでございます。科学技術庁といたしましても、この科学技術会議の国研の活性化の検討の結果に従いまして若返りの方策をいろいろ実施していきたい、こう考えている次第でございます。
#16
○岡部三郎君 最後に、研究評価制度についてお伺いをいたしたいと思うわけであります。
 研究開発を効果的、効率的に推進していくためには、適切な研究評価を行っていくことが重要であるというふうに言われておりますが、この問題について科学技術庁では現在どのようにお考えになっておるか、お伺いいたします。
#17
○政府委員(長柄喜一郎君) 近年の研究が非常に大規模になってきている、一方、研究資源と申しますか、研究費なり研究人材というのは非常に限られてきているというふうなことで、研究評価というのは非常に重要なものだというふうに認識しているところでございます。ただ、研究評価というのは非常に複雑多岐にわたっておりまして非常に難しいものでございますし、国レベルで評価するようなもの、また研究所レベルで評価するもの、各省庁レベルで評価するようなもの、いろいろなレベルもございますし、基礎的研究と応用研究ではまた評価の仕方が違う、こういうふうなことで、画一的な評価法というのは実はございません。そういうこともございまして、残念ながら日本では、この研究評価というのは総論としてはいろいろ言われておりますけれども、各論としてはまだ定着していないというのが実情でございます。
 それで、昨年の春からでございますけれども、科学技術会議の中に研究評価指針策定委員会というものを設けまして、産業界の方、大学の方、国立研究所の方、それぞれの専門家に集まっていただきまして、内外の研究評価の現状なり問題点、どういうたぐいの研究にはどういう方法がいいかというようなことで現在検討しております。近く総論的な部分についてはこれが完成するという段取りになっておりまして、それができ次第公表することにしております。さらに各論につきましても引き続き検討をすることにしておりまして、国立研究所の特別研究課題に適応するような方法としては例えばこういうものがいいんじゃないかというふうな、一種のガイドラインみたいなものを策定していきたいということで、我々としては、この研究評価というものが日本全体に定着するように今後とも努力を続けていきたい、こう考えております。
#18
○岡部三郎君 一昨年、原子力船「むつ」の存廃問題が生じまして、国会でもこのときに与野党を挙げて科学技術政策に関する公正な評価制度をつくるべきだというふうな議論がなされたわけであります。また、事前に十分な研究評価をしておればこういう問題は生じなかったというふうな意見もあったわけでございます。しかし、これはなかなか難しい問題でございますし、今お話にもございましたとおりであります。
 そこで、当時、岩動大臣の御指示もございまして、私、政務次官をしておりましたが、関係者とともに先進国の研究評価制度がどうなっているかというようなことをいろいろ調べてみたわけであります。その結果は報告書も出しておりますし、また科学技術庁が編集協力をしております「プロメテウス」という雑誌がございますが、この四十四号に十ページにわたりましてサマリーを記録しておりますので、ぜひひとつお暇がありましたら大臣にもお読みいただきたいと思うわけでありますが、要は、先進四カ国をいろいろ調べてみましたけれども、どこにもこういう巨大プロジェクトの成否を決めるような権限を持った研究評価機関というのはないということでございます。
 日本でも有名な、OTAという技術評価局ですか、アメリカにこういう機関がございますが、とれの局長をしておりますギボンズという人に私も会いましていろいろ話を聞いたわけでありますが、OTAの業務というのはこのような特定プロジェクトの評価を行うということではない。したがって、原子力船「むつ」の存廃を判断するためにOTA類似の組織を設けようというふうな議論が仮にあるとすれば、それはOTAの役割を正しく理解しているものではないということをはっきりと言っておるわけであります。
 しからば、こういう評価機関というものが科学技術政策の決定に全く無益なのか、こういいますと、決してそうではないのでありまして、要するに研究評価機関というのはあくまでも政策の優先度を決めるための材料を提供するべきものでありまして、それに基づいて最終判断を行うのは、これはもう行政府の責任者である大臣あるいは国会で決めることだろうと思うわけであります。したがって、研究評価をしても決してそれによって賛成、反対というふうな意見がなくなるわけではありませんけれども、しかし正しい分析を正確に示せば推進論あるいは反対論のギャップというものは確実にこれは縮まるということが諸外国の例でも明らかでございまして、そうした意味で我が国でも研究評価機関というものの設立をぜひ真剣にお考えをいただきたいと思うわけであります。
 以上、基礎研究を推進するに必要な資金や人材の確保、あるいは研究評価等の問題につきまして述べたわけでございますが、これに対する大臣の御感想なりあるいは基礎研究推進の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#19
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど岡部先生からも御引用がありました利根川先生のお書きになった幾つかのエッセイも私拝見をいたしましたけれども、非常に比喩的な書き方ではありますけれども、例えば先生は、科学技術の振興のためには膨大なむだを覚悟しなければいかぬとか、あるいは非常に流動的な研究体制をつくらなければいかぬ、あるいは国籍などに余りこだわってはいかぬをいうようなことをあちこちで書いていらっしゃいます。我々に与えられた条件の中で十分にやっていける御指摘とそうでない御指摘といろいろございますけれども、非常に示唆に富んだものだというふうに私は感じて拝見をした次第でございます。今申し上げましたように、私どもには私どもに与えられた一つの前提条件、例えば財政上の問題でございますとか行政の権限の問題でございますとか、与えられた条件も幾つかございまして、必ずしも先生の御指摘どおりにはいかない部分もございますけれども、非常に示唆に富んだ御指摘をいただいたというふうにも思いまして、実はいろいろと私なりに考えたこともあるわけでございます。
 本日、岡部先生からも非常に適切な御指摘をいただきまして、私は基礎研究重視という姿勢をしっかりと踏まえて進んでいきたい、こう考えておりますと同時に、科学技術庁の中でも先生が残された研究評価という大きな提言が今でも残っておりまして、そうしたことも少しずつではございますけれども研究を進めておるところでございます。先ほど局長から申し上げましたように、さまざまな分野がございまして必ずしも一律にいくということにもならないようでございますけれども、しかし非常に重要な問題だというふうに受けとめておるわけでございます。さらに、若手研究者の登用でございますとか国研の活性化でございますとか、こういった点にも十分配慮をしながらしっかりと科学技術の振興に努力をしたい、こう考えております。
#20
○岡部三郎君 終わります。
#21
○稲村稔夫君 六十一年度予算の科学技術庁所管にかかわるものを審査するに当たりまして、特に私は、我が国の科学技術のあり方というものを考えていったときに、資源とのかかわりというものを十分に考えていかなければいけないのではないか、そんなふうに常日ごろ思っているわけであります。特に我が国は資源小国であるということをいろいろと言われる向きもあるわけでありますけれども、果たして本当に資源小国ということが言えるのかどうかというようなことも科学技術の進歩に伴っていろいろと再評価をされなければならない、そういう側面も持っているのではないか、こんなふうに考えておりますので、そうした観点から、時間の関係もございますので二つの問題に絞りましていろいろと御質問を申し上げてみたいと思っております。
 最初に、自然エネルギーの研究開発というものに対して予算配分はどういうふうになっているであろうか。エネルギーはほとんど我が国は化石燃料に頼り、そのほとんどを輸入しなければならない、こういう形になっているわけでありますけれども、エネルギー資源というものは自然の中にも随分あります。我が国の周囲はかなりそういう面では自然に恵まれているものもあるわけであります。これが今の予算の説明書の中ではどの程度に位置づけられているかわかりませんので、これがどのくらいあってどんな取り組みが行われているのかということをまずお伺いしたいと思います。
#22
○政府委員(長柄喜一郎君) 科学技術庁では、各省庁のエネルギー研究開発費の集計を行っており、また、エネルギー研究開発基本計画策定の事務局をやっているわけでございますが、六十一年度のエネルギー研究開発関連予算、これは各省すべてでございますけれども、トータルで三千四百億円でございます。このうち自然エネルギーに投入される予定のお金は約百五十億円ということで、全体の約五%を占めております。その内訳は、この自然エネルギー研究の大部分は通産省が担当されているわけでございますけれども、太陽エネルギー関係の研究費に七十七億円、地熱エネルギーに六十億円、これが主なものでございます。自然エネルギーの研究と申しますのは非常に長期的な課題でございます。そういう意味で、我々としてはこの課題を長期的な課題として非常に重要視し、着実に伸ばしていかなければいかぬと考えておる次第でございます。なお、科学技術庁でも自然エネルギーに関する基礎研究、非常に基礎的なベーシックな研究を行っておりますけれども、その総額は約二億五千万円でございます。
#23
○稲村稔夫君 そこで、私は、自然のエネルギーというのはいろいろとあるだろうというふうに言いましたが、これは科技庁でもいろいろと試算をされたことがあるようですが、これの賦存量というのはどのように推計をし、どのように把握をしておられますか。
#24
○政府委員(長柄喜一郎君) 自然エネルギーの賦存量、資源量をどういうふうに評価するかという問題、いろいろ手法的にも難しい問題がございます。今から四年ほど前でございますけれども、科学技術庁の資源調査会がいろんな仮定を設け、理論値と申しますか、そういうものを使いまして自然エネルギーの賦存量の推計を行ったケースがございます。これによりますと、年間の発生電力量に換算しまして水力で六千七百億キロワットアワー、地熱で二千三百億キロワットアワー、風力で八百九十億キロワットアワー、波力で五千三百億キロワットアワー、潮力で千二百億キロワットアワー、太陽エネルギーが百六十兆キロワットアワーというふうな数字が出ております。これは、例えば太陽エネルギーにつきましては、日本の国土の三十七万平方キロ全体のエネルギーをある効率で電気にかえた場合に幾らかということでございまして、これがマキシマムという数字でございます。
 ただこれは、そのような計算をしたものでございますけれども、資源として勘定する場合には、その資源を利用し得る空間が利用可能なのかどうかというような問題、さらにその資源を経済的にエネルギーに変換するだけの技術があるかどうかというふうな問題がございまして、ただいま私が申しましたのは、技術も空間も一〇〇%すべて利用した場合にそういう数字になるということでございまして、実際になるかどうかは空間の広さないし技術の進度によって決まるものと、こう考えている次第でございます。
#25
○稲村稔夫君 予算の関係でいくと、今の御説明では通産省関係が大体主力になっている、こういうお話でありますので、そこで通産省にお伺いをいたしますが、こうした自然エネルギーの実用化への道のりといいましょうか、どの程度のところまで進んできて、どういうものが今めどとしてつき始めているかというようなことをまずお知らせをいただきたいと思いますし、そして、もしそこにいろいろな隘路があるとすれば、その隘路についてもお知らせをいただければありがたいと思います。
#26
○説明員(田中徳夫君) 御説明申し上げます。
 自然エネルギーの現状でございますが、うち、水力について申しますと、水力はずっと前から実用化は当然されておるわけでございますが、五十九年度末の電源設備で申しますと千八百四十七万キロワット、全体の一二・四%の発電量でございます。これが七十年度末で現在から見通しますと二千二百五十万キロワット、約一一%程度になります。それから地熱でございますが、電源設備五十九年度末で十八万キロワット、これはまだ小そうございまして〇・一%。電源設備の見通し、七十年度末でございますが、百五十万キロワット、〇・七%までふえるのではないかと期待しております。それから太陽熱エネルギーでございますが、民生用のソーラーシステムに活用されておりますのが一番多うございまして、累計で約二十三万台、住宅用の太陽熱の温水器につきましては約四百九十万台というのが五十九年度末で普及ということで考えております。この後も民生部門で利用拡大というのが見込まれるというふうに考えております。
 それから太陽光発電でございますが、既に電卓用の電池の代替としては使用されております。価格につきましても、サンシャイン計画が始まりました当初に比べれば十分の一以下になってきております。今後、小型の独立電源でございますとか遠隔地でのディーゼルとの併用の発電などで徐々に進んでいくのではないかというふうに期待しております、それから風力発電につきましては、極めて規模の小さい十キロワット以下というようなものが地方の自治体でございますとか大学などの自家用電源ということで活用されることにとどまっております。今後やはりディーゼルとの併用とか、そういうような活用がなされるというふうに期待しております。
 全体といたしまして、自然エネルギーにつきましては、我々は、言ってみますと、枯渇することのない国産エネルギーであるということ、あるいは環境負荷が小さいというようなこと、さらにローカルごとにいろんな特性に応じた開発ができるというようなことがございまして積極的に進めていきたいと思いますけれども、問題点としては、非常に開発の規模がそれぞれに応じて小さくなることもございまして特性が個別で違ってくる、したがいましてコストが大変問題になってくることが最も問題であろうかと思います。したがいまして、大量に供給されるものと違いまして、その問題を解決していかないとなかなか普及しないのではないかというふうに考えております。
#27
○稲村稔夫君 今いろいろと実用化に向けてのお話が通産省の方からありましたけれども、こうした自然エネルギーというのは、私は、まだいろいろと何といいましょうか発想の転換を図っていくことによって、いろんな面がまた開発をされるといいましょうか、そういう可能性も持っているというふうにも思います。また、ある意味ではそれぞれ、今の通産省さんのお話ですとやはり規模が小さく、そしてそのためにコストもなかなかかかる。確かにエントロピーを拾い集めるというのは容易なことではないと思います。しかし、考えようによってはそれはそれぞれの地域、ローカルエネルギーとして定着をさせていくことによってそこに雇用も創出をいたしますし、クリーンであり、さらにコストの面がある程度解決をする方向がいろいろとうまくできてくればそれこそ願ってもないそういうエネルギーとして活用ができるのではないか。一〇〇%利用ということはもちろん考えられないでしょうけれども、そんなふうにも思うわけであります。
 そこで、今この自然エネルギーの研究開発のこれまでの成果というものをどういうふうに踏まえておられるか。あるいはその課題、そこで出てきている課題というものはどんなふうにとらえられているのか。特にこの点は、今私は私の意見を申し上げましたけれども、エネルギー源として、資源としての位置づけをどのように考えているかということについて、これはひとつ長官から御答弁をいただければありがたいと思います。
#28
○国務大臣(河野洋平君) 私も、先生御指摘のとおり、この自然エネルギーをどうやって活用するかということは我々が非常に大事に考えていかなければならない問題だというふうに思います。水力はもう既に相当活用されておりますけれども、太陽エネルギーでございますとか、今もエネルギー庁からお話がありましたように、地熱でございますとか、こうしたエネルギーはかなり我々の周辺に恵まれておるものでございますから、これをどういうふうに使っていくかということに我々は関心を持っていくべきであると思います。ただ、一般的に言いまして、何と申しますか、エネルギーの密度が低いと申しますか、そういう問題が一方にある、しかしこれは技術でそれをどう解決していくかという問題だと思います。それから例えば季節性の問題があるんじゃないかというような点も指摘がございます。したがいまして、これらのエネルギーは補完的なものとして当面は考えていった方がいいのではないか。それ自体が主役になるというところまではまだ少し時間がかかる、あるいは今先生もおっしゃいましたように、経済効率の問題でございますとか、あるいはそれを使いやすいエネルギーにかえるための技術あるいはスペース、そういった問題でまだまだ越えなければならないハードルも少なくないというふうに思っておるわけでございます。
 そうしたことを考えますと、やはり現状ではしっかりとした主役がまず確立されて、それを地域的あるいは季節的に補完をしていくエネルギーとして研究開発をしていく、こういうことが大事なのではないかというふうに考えております。しかし、先生御指摘のように、我々はこの自然エネルギーというものに関心を持たなきゃなりませんし、しっかりと長期的に開発を進めていくという必要があろうというふうに考えております。
#29
○稲村稔夫君 ここへこんなものを持ってきてあれですけれども、今さっきお話がありましたアモルファスのカード電卓ですね。私はこのアモルファスの開発をされたあれをいろいろ本などで読んでみますと、シリコンとはまさに逆の発想に立ってそして初めて完成をしたというそういうものでありまして、今通産省の御指摘のあったように、サンシャイン計画でいけばこのような廉価なものができてくるとはその当時はまだ考えていなかった、発足当時は。しかもこれは電卓ばかりではありませんで、もう最近ではこれで動かせる小さなモーターなども開発されてきていますから、少電流で動くものが。ということになってまいりますから、これは一つには、こうしたものが一方では普及していくことによって例えば今までの電池のあり方というようなものにもいろいろ大きな変革をもたらすということになると思いますね。
 私は、通産省が研究開発をされていくときは、これは当然、今可能性としてすぐ目に見えるものというのが対象になって開発をしていくと思うんですよ。しかし、先ほど御答弁にありましたように、我が国の自然エネルギーの賦存量ということから考えていくと、これは相当な活用というものが研究次第、技術の発展次第によってはあり得る。それにはこうしたアモルファスのときが一つの例、示唆を与えているので、いろいろな発想の転換も含めてまさにそうした基礎研究なども十分にやらなければならないのではないか、こんなふうに思うわけであります。そうした中で、先ほどのお話でいきますと、予算のうちの大半が通産省さんの予算で、科学技術庁は二億五千万円、といいますとこれは総予算の何%になりますか。その辺のところで私は大変科学技術庁のあり方の一つとして問題点があるのではないか、こんなふうにも思うのでありますけれども、その辺、長官いかがでしょうか。
#30
○政府委員(矢橋有彦君) 科学技術庁の昭和六十一年度予算の総額は、先ほど大臣から御説明申し上げましたように四千二百七十八億円でございます。その中の比率でございますから〇・〇五%になろうかと思うわけでございます。こういったローカルエネルギー等の方面にその予算をもっと活用すべきではないかという御指摘でございまして、その点につきましては、私ども必ずしも原子力、宇宙といったいわゆる大規模プロジェクトだけでなくて、極力、今お述べになりました事項、さらにはライフサイエンスあるいは材料その他もろもろの分野に幅広く予算を充当する上うに最大の努力を今後とも続けてまいりたいと考えております。
#31
○稲村稔夫君 まだ私の聞いていないことまで言われましたけれども、原子力の予算に偏重しているのではないというお話もありましたけれども、気持ちとしてはそうしてはいないということを言われましたけれどもね。しかし、それにいたしましても二億五千万、まさに我が国独自の資源を生かしていこうというそういう姿勢があれば、こんな程度の予算づけではとてもやれないということはおわかりになるのじゃないかと思うのでありまして、そこのところにもう既に考え方の基本的な問題点があるのじゃないかと思うんですけれども、その点、長官いかがですか。
#32
○国務大臣(河野洋平君) 科学技術庁に託されております大きな役割の一つに原子力があったり宇宙開発があったりしているわけでございまして、この自然エネルギーの研究開発につきましては、科学技術庁でももちろん先生御指摘のとおり基礎的な研究については私どもが担当をいたしておりますが、既に太陽熱の利用でございますとか、その他幾つかのプロジェクトについてはそれぞれの地域で手がかりをつくって具体的に進んでいるということから、自然エネルギー全体では百五十三億近い予算が計上されているわけでございます。私どもは、もっともっと基礎的な研究について担当をしておるわけでございますから、その分野についてさらに現在科学技術会議からの御答申などもございまして、エネルギー研究開発基本計画というものが策定をされて内閣総理大臣の決定によって出てきておりますから、こういうエネルギー研究開発基本計画に沿いまして関係省庁とも十分相談、協力をしながらやってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#33
○稲村稔夫君 私は、化石燃料に頼っているという現状というものにも非常に大きな問題があると思うんですよ。それだけに、我が国はみずからの持っている資源、クリーンなエネルギーというようなものを生かしていく。私は、自然エネルギーだけを申し上げる、今取り上げているのはそうですけれども、そのほかのソフトエネルギー関係いろいろとありますけれども、いずれにしてもエネルギーは補完的とおっしゃったけれども、補完的にするにしろある相当な比重を占めるように持っていかなければ、我が国のエネルギーの問題として非常に重要な問題、一方では食糧安保とかいろいろと言いますけれども、エネルギーの問題というのも、そういう点でも非常に大事な問題だと思うんですよ。そうすると、科学技術庁としてはそうした観点も踏まえながら政府としての政治的な一つの展開方向というものを提起をしていく、このくらいの意気込みがぜひ欲しいんですけれども、その辺いかがですか。
#34
○政府委員(長柄喜一郎君) エネルギー研究開発基本計画は、科学技術会議の答申に基づいて内閣総理大臣が定めているわけでございますが、これにつきましては、ほぼ毎年いろいろその事態の推移を見ながら改定しているわけでございます。我々としては、いろんな資源量また技術の推移、そういうものを見きわめながら適宜的確にこの自然エネルギーの研究開発の位置づけというものを見直していきたい、こう考えております。
#35
○稲村稔夫君 だんだんと口が悪くなってきて申しわけありませんけれども、目は口ほどに物を言いというようなことわざもありますけれども、金は、予算はそれこそ口よりもよく物を言っているというふうに私は思うんですよ。わずか二億五千万程度のものをもってして、今お話しになったような、あなた方答弁されたようなそんな姿勢になっていると言えるんですか。その辺のところ私はどうしても割り切れませんがね。もう一度答えてください。
#36
○国務大臣(河野洋平君) 稲村先生の御指摘、非常によくわかりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、この自然エネルギーの研究開発は相当息の長い研究開発をやるという腹でおります。直ちに現在日本のエネルギーにどれだけの貢献ができるかということになりますと、先生御指摘のように、食糧安保というような観点から、じゃエネルギー安保といいますか、そういう問題はどうかと言われれば、これは私どもが今非常に開発に力を入れております原子力発電を初めとする核燃料サイクルというようなものをしっかりとつくり上げるということが急務であろうというふうに考えまして、先ほど来私申し上げておりますように、そうしながら一方で自然エネルギーを補完的なエネルギーとして育てていく、あるいは研究をしていく。それで、これにはやはり一定の時間がかかっていくのじゃないかというふうに私どもは考えておるところでございまして、ぜひそうした、もちろん財政的な裏づけというものがなければ研究は進んでいかないと思いますけれども、時間というものも同時にお考えをいただけないものか、こう思うわけでございます。
#37
○稲村稔夫君 いや、その時間のことはよくわかります。時間のことはよくわかりますが、時間というものも一方では一定程度の経費をかけながら体制をつくっていかなきゃ、幾ら待ったって時間が解決してくれるわけじゃありません。そういう意味で私は申し上げておりますので、どうぞひとつその辺をよろしくお願いいたします。
 時間の関係もございますので、それこそ時間の関係が出てまいりますから次の海洋開発の関係に移らせていただきたいと思います。
 これも私同じような視点がございまして、資源の確保ということからいって、我が国の周囲を取り巻いている海洋の資源の利用というものは非常に重要な意味を我が国の場合は持っている、こういうことが言えると思うわけであります。もうマンガン団塊であるとかあるいは熱水鉱床であるとか、コバルトクラストであるとかという重要な鉱物資源も海底にあることがわかり、その利用などもいろいろと研究、調査されているという段階のようでありますけれども、こうした海洋資源についてもいろいろな調査をしておられると思いますけれども、どんな調査をしておられて、そして今発見された鉱物資源を中心にいたしましてその賦存量というのはどういうふうに推計をされているだろうか。それに伴う採取技術等についても、これは一方では実用化へ向けてのいろんな研究がされているということになりましょうが、やはりそれに伴っての、さらに発展をさせていくための基礎研究というものも非常に重要な役割を持っている、こんなふうにも思うわけであります。そこで、こうした海洋資源の開発についての取り組みというものは、科学技術庁の立場ではどのような段階にありますでしょうか。
#38
○政府委員(内田勇夫君) ただいま海洋における鉱物資源の賦存量、どれぐらいあるかというような御質問がございましたので、数量的なことだけまずお答えさせていただきます。
 海洋における鉱物資源の賦存量というのはこれから探査をする段階でございまして、まだ具体的な数字というものはよくわからないわけでございますが、一応の推定量といたしまして、海洋開発審議会が第一次答申を出しましたときに一応推定した数字がございます。それについてお答え申し上げますが、海底石油につきましては五千五百億バレル、それから深海底のマンガン団塊につきましては、マンガンが四千億トン、ニッケルが百六十四億トン、コバルトが五十八億トン、銅が八十八億トン、それから海中に溶けておりますウランの溶存量が約四十億トンというように非常に多量な鉱物資源の可能性があるというふうに考えております。
#39
○稲村稔夫君 今御答弁がありましたけれども、それはほんの一角がのぞき見をされて、そこから推計をしたという段階だと思うんですが、かなりの豊富な資源があるということが想像されるわけであります。しかし残念ながら、マンガン団塊にいたしましても熱水鉱床にいたしましてもコバルトクラストにいたしましても、海洋に囲まれた我が国でそういうものがあるというのを見つけたわけではない、外国の発見によるものであります。それだけに、資源に恵まれていながらその資源を発見できないでいたというところに、やはり我が国の科学技術のあり方の一つの何か問題点を指摘されているような感じがするわけであります。
 そこで、このマンガン団塊、熱水鉱床あるいはコバルトクラスト等についてどの程度の実用化に向けての研究というものがされているのでありましょうか。これは商業ベースで何とかやりたいというようなことでプロジェクトもできていろいろと研究をされているようでありますから、その進捗状況みたいなものもあわせて御報告をいただければと思います。
#40
○説明員(山本貞一君) 御説明いたします。
 今、先生から研究開発の御質問ございましたが、その前に、私どもが調査をしております状況を簡単に申し上げたいと思います。
 マンガン団塊につきまして、五十年度から賦存状況調査を開始いたしまして、五十五年度から専用船であります第二日嶺丸というのを使いましてハワイの南東で、いわゆるマンガン銀座と言われておる地域で調査を行っておりまして、ほぼめどをつけたところでございます。これをもとにして、御存じの海洋法条約、まだ発効しておりませんけれども、その中で鉱区の分捕りというか区割りが行われるわけですが、そのもとにするための調査を日本が行ったということでございます。極めて優良な資源が膨大に存在することが確認されております。それから熱水鉱床につきましては、六十年度から、これはメキシコの沖の方でやはり第二日嶺丸で賦存状況調査を開始したところでございます。もうサンプルの採取もいたしました。これも極めて有望ということでございます。コバルト・リッチ・クラストというのもございますが、これはまだ我が国ではあれしておりませんで、来年度あたりから進めたいと思って、今鋭意勉強をしつつあるところでございます。
#41
○稲村稔夫君 たしか新聞報道にあったと思いますが、例えば今のコバルトクラストでは、東海大学の研究船というんでしょうか、そういうもので採取されたものは〇・五%以上くらいのコバルトの含有率であったというようなことで、むしろコバルトクラストが〇・五%以上あれば実用化への、採算性とかそういうことを考えていったときは一番有望なんではないかというような新聞記事などもございましたけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
#42
○説明員(山本貞一君) 今御指摘のように、まさに陸上というかあるいは陸中にあるものより十倍もの品位がございまして、極めて有望だと思っておりますが、コバルト・リッチ・クラストはまさにこれからでございまして、東海大学でも独自に調査をされたものがございますが、資源エネルギー庁で研究会を今始めたところでございまして、来年度からコバルト・リッチ・クラストについては力を入れてまいりたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、マンガン団塊についてはかなりのめどが立っておりまして、国際的な区割りの問題が済めば商業開発に入ることも可能な状態にはなっていると思います。
#43
○稲村稔夫君 今も通産省から御報告がありましたように、今三つのものが非常に有望な資源として浮上してきているということになるわけであります。その実用化の線路はもう既に敷かれていると言っていいのでありましょう。これは通産省の方でいろいろと御研究になっている、こういうことでありますけれども。別の観点からするならば、こうした三つのものに限らず海洋の資源というもの、これが発見をされたということは私たちに一つの教訓を与えている、海洋国としての我が国に。そうすると、その海洋の中の資源というもの、ほかの資源もいろいろと工夫をして発見に努めるという努力も必要でありましょうし、調査に努めるということも必要でありましょうし、そのための技術の研究開発というものも非常に重要な役割を持つのではないかということが一つあります。
 それからもう一つは、これが本当に実用化、今の例えばマンガンはかなり有望でありますというお話、そうすると、これはもう具体的に日程に上がるのもそう遠くない。そのときに今度問題になってきますのは、海底資源と環境の問題というのが当然大きくクローズアップしてくるわけでありまして、環境の問題もおろそかにするわけにいきません。我々は、かつて公害列島と言われたときのことを忘れてはならない。これらのことをあわせて、やはりこれは今からいろいろと研究開発に伴っての言ってみれば地味な研究分野というもの、これは民間にやってくださいといったってやってくれはしないのですよ、なかなか。まさに国の機関がやらなければできない、こういうものになると思うのでありますけれども、その辺はどのようにお考えになっていますでしょうか。
#44
○国務大臣(河野洋平君) 海洋に関する研究というものは、極めて重要だというのは先生御指摘のとおりです。そしてまた、私どもがこの海洋の問題に触れてみますと、この海ぐらい関係省庁の多い分野もないわけでございまして、かなり多数の省庁がそれぞれの分野で関係を持っているわけでございます。そうしたさまざまな省庁がさまざまな分野で関係を持っているこの海洋の開発につきまして、私ども科学技術庁が総合調整機能を持っているということで、共通した技術でございますとか、あるいは共通した調査などには我々が当たるということになっておるわけでございます。御承知のとおり、現在、科学技術庁は深海調査船をつくらせていただいて、既に二千メートル級の「しんかい二〇〇〇」につきましてはこれを運用いたしておりまして、またその成果を踏まえて今度は六千メートル級の建造に着手しようといたしておるわけでございます。
 私、考えますのに、海の問題には非常に歴史的あるいは文化的なさまざまな人間とのかかわり合い、我が国とのかかわり合い、あるいは海を取り巻くさまざまな国とのかかわり合いもございまして、一方の側面からだけ切って海を論ずるということにはなかなかいかない。したがいまして、どこかの研究所と申しますか、どこかの研究機関が相当さまざまな側面に触れた研究をする必要があるんじゃないかというふうに私どもは考えております。現在、私どもの研究機関でございます海洋科学技術センターにおきましては、まだまだそういう歴史的、文化的な、総合的なと申しますか、そういうところまでまだいっていないのが私にとりましてはいささか残念な思いをいたしておりますが、でき得べくんば、そうした厚みのある、それから幅の広い総合的な研究のできるものがあれば大変いいのではないかという感想を持っております。
#45
○稲村稔夫君 今、長官から、私もぜひそうあってほしいと考えておりますので、そういう大変いい御意見があったわけでありますが、そうすると海洋開発関係の予算というのは、これもまた科学技術庁の中ではどんな位置づけになっているんでしょう。これは科学技術の国際協力関係の経費と比べてもその半分にもならない金額しかないわけでありまして、さっきの自然エネルギーのように、これも時間をかしてくださいみたいな話にはならないのでありまして、もう既に海洋科学技術センターなども稼働しているわけでありますから、むしろ長官の言われたそういう幅広い研究開発、そういうものに発展的に持っていくぐらいの意欲と御努力がなけれはいかぬのじゃないかと思うんです。そういうふうに考えれば考えるほど、国際協力の半分にもならないというこの予算編成はどういうことになっているんですか。
#46
○政府委員(内田勇夫君) 科学技術庁の海洋開発予算は約百三十二億円でございまして、そのうち六十四億円が海洋科学技術センターに対するお金でございます。全体で海洋開発の技術開発関連予算というのは四百九十一億円でございます。全体として少ないではないかというお話でございますが、私どもは、ただいまお話のございました海洋の調査のためにやはりどうしても人間の目で確認をするということが必要でございまして、六千メーターまで潜れる潜水調査船の建造を来年度着手するということにいたしておりまして、総額百二十五億円の予算で今後四年間でこれを完成させるということで、その初年度の予算を六十一年度予算案に計上させていただいております。そういうことでございまして、今後とも海洋科学技術センターを中心といたしまして海洋開発の予算については強化拡充に努力をしていきたいというふうに思っております。
#47
○国務大臣(河野洋平君) 海洋開発の予算について委員から御指摘、御心配をいただいておりますが、先ほど私申し上げましたのは、海洋の問題について私の夢と申しますか感想を申し述べたわけでございまして、現状におきましては限られた財源の配分の中で精いっぱいの努力がなされてこの数字になっているというふうにぜひ御理解をいただきたい、将来ともに海洋開発について委員の御助力をお願い申し上げたいと思います。
#48
○稲村稔夫君 長官の意欲も伺いましたので、そういう方向へ向けての御努力をぜひお願いしたいというふうに思います。私どもも、それはそういう観点からいろいろと今後の推移も見守りながら私自身もいろいろと御意見も申し上げていこう、こんなふうにも思っております。よろしくお願いいたします。
 時間ももう経過をしましたので、最後に宇宙開発関係について若干お伺いをしたいと思います。
 一つの問題だけになりますが、先日、放送衛星のBS2bが打ち上げられたわけでありますけれども、これはBS2aのときに故障を起こしまして、そして大分国民の中にも不信感を買ったような面があったと思うのであります。今度のBS2bはそういう教訓を踏まえていろいろと御努力になって、もう信頼性は随分上がっているんだと思いますけれども、今度はそういう間違い、間違いと言ったら言葉は悪いんですね、失敗ですね、というのはないという自信をお持ちでしょうか。この辺はいかがでし。ようか。
#49
○国務大臣(河野洋平君) 放送衛星二号b、いわゆる「ゆり」二号bにつきましては、BS2aで生じた中継器などのふぐあいに関する宇宙開発委員会の原因究明の検討結果に基づきまして宇宙開発事業団が所要の対策を施した上、慎重に地上での試験を行うなど、その信頼性の向上に最大限の努力を払ってきたところでございます。私も就任をいたしましていろいろとこの点も聞いてみましたが、非常に慎重な原因究明が征われたようでございまして、そり原因究明の結果に基づいた十分な入念な試験が行われたというふうに報告を受けております。
 二月の十二日に打ち上げられたBS2bは、現在、暫定的な静止軌道、これは東経百十七度だそうでございますが、静止軌道上で衛星の機能確認試験を行っておりまして、中継器についても正常に作動をしているという報告を受けております。いずれ本来の静止軌道でございます東経百十度、現在そこに2aがとまっているわけでございますから、それとの入れかえが行われるということが予定されております。今後とも引き続き慎重に試験を行って本衛星の機能確保に万全を期してまいりたい、こういう状況でございます。
#50
○稲村稔夫君 宇宙、この問題にもきょうは私はまだもう少し伺いたいと思った点が幾つかあったわけであります。特にその打ち上げ保険料の問題については、ほかの国の今まで上げていったものに比べると随分高い、保険料率が三一・何%などというべらぼうもないものになっている。こんなことにも非常に大きな問題があるという、今後の問題としてこれをどうしなきゃならぬのかというようなこともいろいろと伺いたいというふうに思っておりましたけれども、そこのところはひとつ、これはできるだけ保険料というのは安い方がいいんですから、そういう御努力をいただきたいということにとどめておきまして、最後に、予算全体について私はお伺いをしたいと思うのであります。
 今の宇宙開発の予算というのは、科学技術庁の予算の中でも原子力に次いで多くとっているわけであります。しかし、原子力関係予算と宇宙開発予算との合計をいたしますと科学技術庁の予算総額の八三%余ですね。あるいはこれは債務負担行為も含めて計算をいたしますと八四%余りの額になってしまいます。この予算全体の中の八〇%も占めている。これは私は一つの省庁のあり方としては問題ではないだろうか、科学技術庁という名前をやめて原子力宇宙庁とでも名前を変えていただかなければならないような、そんな状況だと思うんです。先ほど来いろいろと私は申し上げてまいりましたけれども、科学技術庁というのであれば科学技術庁らしい、だれが見てもそう思われるような予算の配分のやり方もされていなければならぬのじゃないか、こんなふうに思うわけでありまして、先ほど原子力だとかそのことだけをやっているんじゃないという言いわけがありましたけれども、予算の配分に関する限りはそうなっている、この辺は私は大変異常だと思います。今後の問題としてどういうふうにお考えになっているか、これは長官からぜひお伺いをしたいと思います。
#51
○国務大臣(河野洋平君) きょうは予算の御審議でございますから、予算の数字に基づいて先生御指摘でございますから、その数字に関する限りはこの予算についてはもう先生の御指摘のとおりだと思います。
 ただ、科学技術庁という役所は、もう釈迦に説法で、十分先生御存じでおっしゃっておられるわけでございますが、総合調整機能というものが科学技術庁にとりましては非常に重要な役割でございまして、この総合調整機能というものは予算の数字にはそう出てこない部分が多うございます。むしろ科学技術庁として、御指摘の原子力とか宇宙とか海洋とかという、言葉が適当でないかもしれませんが、現場を持っている部分の数字がここに出てくるわけでございまして、もし先生の御指摘を私が一〇〇%踏まえて申し上げるとするならば、原子力が多過ぎるとか宇宙が多過ぎるというよりは、科学技術予算全体が少な過ぎるという点にあろうかと思うわけでございます。しかし、現在の科学技術庁に期待されている役割、これは科学技術会議その他からの御指摘もそうでございますが、これから先も科学技術庁というのは総合調整機能をもっと重視してその役割を果たせと、こういう御指摘でございますから、そういう役割にもっと徹していくということが重要ではないか、少し角度が違った返答になりましたけれども、そんなふうに心得てこの役所を一生懸命やってまいりたい、こう考えております。
#52
○稲村稔夫君 原子力宇宙庁にならないように、まずよろしくお願いいたします。終わります。
#53
○伏見康治君 私の前に発言されました同僚議員、岡部君それから稲村君の御発言と似たようなことを私考えておりましたので、それについての御質問をまず申し上げて、それから自分自身の質問の領域に入っていこうかと思います。
 岡部君は評価の問題を議論されたわけでございますが、評価の議論というのは大変大事な問題でございまして、ぜひとういう仕組みがいいか大いに検討をしていただいて、いろいろやっていかれないと困る時代に私は入っていると思いますね。つまり、高度経済成長の段階で国費が相当ふんだんにあるという時代にはいろんな開発プロジェクトがある、相当大きな度胸でおやりになってよかったと思うんですけれども、これだけ大蔵省のお金が赤字続きであるということになりますというと、そうあったに研究開発プロジェクトを打ち出すわけにいかなくなっているわけです。今のところは既存のプロジェクトを維持すあだけで辛うじて賄っているといったふうな感じさえ受けるわけで、新しいプロジェクトを打ち出すことさえできなくなっているのじゃないかと思うんですが、それだけに、今継続しているプロジェクトを適当に打ち切るべきか、新しいプロジェクトをさらに出していくべきかといったようなことで、プロジェクトに対する評価の問題というものは昔よりはるかに深刻な問題になっていると思うんですね。ぜひその方面で科学技術庁が何か具体的な方策を打ち出していただきたいと思うんです。
 きょうちょっと申し上げてみたいと思ったのは、そういう評価システムの背後にあるべき批判精神というものですね、それをもう少しいわば奨励していただきたい。
 こういうことを申し上げて関係者の方には御迷惑かと思うんですが、何年か前、まだ国会議員にならずに学術会議の会長をしておりましたときに、先ほど話題に出ました「プロメテウス」の編集者に頼まれて作文をしてことがありますが、それは科学技術庁のいろいろな政策に対する批判を書いたんですね。ところが、その批判がいささか強過ぎたと見えまして、編集者が謝りにこられまして原稿を返却していただきました。私は非常にラジカルな人間ではございませんので、それほど悪口を書いたつもりはないのですけれども、批判的なことを書いたために没書になったという経験がございます。あの「プロメテウス」というのは多分科学技術庁が面倒見ておられるのだと思いますので、その辺のところは評価問題の基礎になるところだと思いますので、ひとつ改善していただくようにお願いいたしたいと思います。
 なぜしかし批判精神が、お互いにすぐ隣の人がやっていることを批判するということが空気として余り醸成されていないんですが、科学技術会議に出ておりましたときに二、三の方とその点について議論をした経験があるのですが、そのとき、どうしてそういう批判精神が表に出てこないのかということがよくわかりました。それは、お互いに競争するプロジェクトがあるといたしますと、当然Aというプロジェクトの人はBを批判する、BがAを批判するという形になるんですね。そういう批判の声が出ると、大蔵省はどっちもだめだと思って両方に予算をつけなくなる、こういう思想がある。
 ですから、河野長官にお願いいたしたいのは、批判精神というものは健全なる選択をするための必要な土台であって、そのプロジェクトが悪いという意味ではないだということを大蔵省のお役人にひとつ説得をしていただきたいと思います。皆さんは予算がなくなることを非常に恐怖を持って見ておられますから、大蔵省の目を見ながらいつも物を言っておられるという感じがいたしますが、そういうことが気兼ねなしに物が言えるような、そういう雰囲気を河野新大臣に大いに醸成していただきたい、こういう注文をいたしたいんですが、大臣の御所見いかがでしょうか。
#54
○国務大臣(河野洋平君) 本日も、関係者もここに来ておりますから、私が申し上げるまでもなく、先生の御意見はしっかりと受けとめられたに違いないと考えております。
 私も批判精神の重要性というものを認識しておるつもりでございます。健全な批判がなければ進歩がないというふうに思いますし、それからまた、何事も社会の批評、批判にたえ得るものでなければこれはまた後世に残っていくとは思えないのでございます。しかし、ともすると情緒的な批判であったり、ためにする批判というものもなくはない。私たちは、それが健全な建設的な批判であるのか、お互いに足を引っ張り合うというレベルの低い批判、批評であるのかということをしっかりと見分ける目を持たなければいけないし、またそういうものでお互いに進歩成長を図っていかなければならないというふうに考えております。
#55
○伏見康治君 大臣、ありがとうございました。そういう方針でぜひひとつやっていただきたいと思います。
 次に、稲村君の発言に関連して、少し科技庁のあり方についての考え方が行き違っているような感じがいたしましたので、私の考えを申し上げてみます。
 科技庁というものをおつくりになった、これは国会議員の方がイニシアチブを持っておつくりになったんだろうと思いますが、要するに、日本の科学技術研究というものは文部省関係でもやっている、農林省でもやっている、通産省でもやっている、それ全体を見渡すような科学技術政策を立てないといけないというのがまず根本にあったと思うんですね、それが一つの要求。もう一つは、先進国、アメリカやヨーロッパの諸国ではみんな大体において軍事的計画に基づいて大変壮大な計画をおつくりになってきたわけですね、戦中、戦後にかけて。原子力がその一つですし、それから宇宙というのも軍事的なものが先行していたわけです。日本にはそういう軍事的な要請がございませんので、その先進国でてきていたそういう大プロジェクトに相当することが日本ではそれをスタートさせるということが極めて難しい。平和利用という建前でそういうプロジェクトをスタートさせるためには今までの役所ではだめであって、いわば新しいそれ専門のところをつくらなくちゃいかぬということで、原子力とか宇宙とかいうものを抱えた役所をつくりたいという二つの要求があってできたのだと思うんです。
 この二つの要求は、それぞれ大いによくやっていただいたと思うんですけれども、お互いに邪魔し合う面があるわけです。例えば科技庁の一方の方の、横断的に全政府のやっている科学技術研究開発を見るという建前から申しますと、通産とかなんとかいうものと調整をとらなくちゃいけないわけですが、それをやるときに、自分自身が予算請求する原子力、字価を抱えているということで、公平な立場で科技庁は通産のものを見ていないおそれがあると通産側は考えがちなわけですね。つまり、科技庁を敵に回して競争者として考えるという傾向がどうしても出てくるわけです。そのために調整ということがやりにくくなっているという面が私はあると思います。
 それで、その辺のところの行き違いといったようなものをもう少し明瞭にお打ち出しになって、科技庁の一つのファンクションはこういうことである、もう一つのファンクションはこういうことである、その二つは分けて考えているんだということをはっきりなすった方がいいと私は考えるんですけれども、長官いかがでしょうか。
#56
○国務大臣(河野洋平君) 先生の御指摘は当たっている部分があると思います。科学技術庁という役所が、先ほど稲村先生にも御答弁を申し上げましたけれども、現場を持っていることがいいかどうかという御議論は、私はやっぱり議論としてはあったんだと思います。そして事実、現在でもそういう議論をなさる方もあろうと思っております。ただ、役所の雰囲気の中に私、今役所に身を置いてみますと、しかしそれはもうこの二十年、三十年の間にだんだん、だんだんそれは通産との間にも科学技術庁の存在というものがはっきり定着をして、今はもうそういう見方、考え方はほぼなくなっておる、しっかりと科学技術庁の中に原子力の問題は定着をしておるという感じを受けております。しかし、先生御注意のように、二つのファンクションがあって、それを一つずつしっかりといつも認識をしてやっていかなければいけない、それをごちゃごちゃにしてやってはいけないという御指摘は、私は全くそのとおりだろうと思います。なお、もう先生十分御承知のとおり、科学技術会議を初めとする行革その他の御答申をいただきまして、むしろ科学技術庁としてはこの総合調整機能を思い切って強化していくべきだという、そちらに多くの期待が集まっているということも私どもは改めてきちっと認識をしておるつもりでございますから、なお一層そうした点も気を配って行政をやってまいりたい、こう思います。
#57
○伏見康治君 科学技術会議を頂点とする調整機能の方、少し前までは、もう何度も言うことでお耳に入っているかもしれないんですけれども、科学技術会議というのはホッチキス委員会であるとか言われておりまして、各省庁から出てくるプロジェクトをただ束ねているだけだという批判がございましたんですが、そういうことが言われないように、ひとつ科学技術会議としての独自の政策を打ち出していただくようにお願いいたしたいと思います。
 それでは、私自身が考えてまいりましたことを、例の大綱ですね、科学技術政策大綱を斜めに読んだときの印象から二つ三つ疑問点を拾い出してみたいと思うんですが、第一ページに、要するに「シーズ」と「ニーズ」という言葉が出てまいります。この表現だけから判断して言うのはどうかと思うんですけれども、この表現だけから見ますと、シーズというものは左手の方に並んでいる、ニーズというものは右手の方に並んでいる、それでその両方を結婚させる媒介業が科学技術庁であるという感じの表現がしてあるような感じがするんですね。ニーズはこっちに出そろっている、シーズはこっちに出そろっている。それがうまく結びついていないからうまくいかないんだ、それをうまく結びつければうまくいくんだというようなふうに聞こえるんですが、私の長い経験から申しますと、シーズはしばしばニーズというものが念頭にあってシーズというものが生まれてくる。また、ニーズというものはシーズがあって初めて生まれてくるものであるということがしばしば起こるわけでありまして、その単なる結婚媒介業ではないはずだということが僕の頭の中にはありますので、多分そうではないのだと思うんですが、この表現だけを見ますとそういうふうに聞こえますので、その点を強調しておきたいと思うんです。
 つまり、例えば生まれたばかりの赤ん坊は必ずしも乳を飲まない。乳房にしゃぶりつかないんですが、一遍口の中に無理に押し込んで乳の味を覚えさしてやりますと、それから急におっぱいを欲しがるようになるという話を聞いたことがあるんですが、うちの奥さんに言わせるとそうらしいんですが、それは要するに味をしめて初めてニーズが出てくるわけですね。味をしめないと、理論的に考えればそういうニーズがあるはずだと思っても本人としてはそのニーズを感じない。僕はその一番いい例が実は雪国日本の雪に対する対策だと思うんです。先進国で日本のようにたくさん雪の降るところというのはほかにございません。豪雪という経験を持っている大都会というようなものは、人間がたくさん住んでいる土地であれだけたくさんの雪が降るというところはほかにはないわけです。したがって、科学技術を日本に取り入れたときに、習うべき豪雪に対抗する科学技術というものの先例がなかったわけですね。それで雪に対する対抗策の科学技術の適用というものが非常におくれていると思う、ほかの科学技術に比べて。ほかの科学技術の水準からいえば、あの数メートルの雪ぐらいは退治するのは何でもないはずだと私は思うんですが、それが非常におくれているというのは、その先例がないものですから、ニーズはポテンシャリーにはありながら、それを何とかしてやろうという気持ちが非常に出にくかったんだと思うんですね。
 これは人の悪口になるおそれがありますが、ある旅で一緒になった先生に、元新潟大学におられた人ですけれども、広島大学に彩られたという先生に会ってお話をいろいろした。どうして大学を変えられたんですかと言うと、とても雪でもってまともな生活ができない、こういう御返答なんですね。しかもそれは工学部の先生なんで、私は遠慮なく、先生のその工学の知識を使って雪を征服するということをなぜお考えにならなかったんですかということを申し上げた覚えがあるんですけれども。ようやく十年ぐらい前から雪に対応する、雪を何ですか克雪という言葉がありましたかな、雪にかつ。それから利雪、雪を利用するというような言葉が生まれているようでございますが、そういう精神がようやく出てきたと思うんです。こういうのは私は、ニーズというのは理論的に考えたら、そういうニーズはもう明治時代、科学技術が取り入れられたときからあったはずだと思うんですが、それがやっぱり何か出てこないと、要するにおっぱいを一遍飲んでみないと、そういうものが退治できるものだというふうに考えられないのではないかという感じがいたしますね。それで私は、シーズとニーズをもう既にでき上がったもので、それを媒介すればいいんだという感じでなくして、そのニーズならニーズを、ポテンシャリーにあるニーズを掘り起こしてくるという、そういうこともひとつぜひやっていただきたいという感じがいたします。そういうことを申し上げて、どうですか。
#58
○政府委員(長柄喜一郎君) ニーズとシーズの関係につきましては、まさに伏見先生のおっしゃるとおりでございまして、ニーズがシーズを生み出す、必要は発明の母というようなこともございますけれども、そういう関係もございますが、シーズが生まれればそれがニーズを掘り起こすというケースが同じくあるという、こういう関係かと思います。その意味では先生の御指摘のとおりでございます。
 この答申では、従来日本は、シーズについてはどちらかといいますと、欧米先進国からでき合いのものを輸入してきて日本のニーズに組み合わせていったというのが在来の研究開発の形態かと思うのでございますけれども、日本の技術がこのように進んできて非常に世界的な水準になってきたということから、今回のこの科学技術政策大綱では、シーズ自身を日本の力で生み出して、それで新しいニーズを掘り起こしていくということが非常に重要であるということで、基礎的研究の強化というのがこの答申の大綱の基本になっている次第でございます。そういう意味で、ニーズとシーズの関係につきましてはまさに先生のおっしゃるとおりでございまして御理解を願いたい、こう考えておる次第でございます。
#59
○伏見康治君 「国立試験研究機関」という言葉が出てまいりますので、それに関連して伺います。
 背は試験所というのが非常にたくさんございました。工業技術院傘下の電気試験所というのがございまして、それがただいまは電子技術総合研究所という研究所になっている。いろんな試験所が研究所というふうに看板を塗りかえているんですが、これはどういう変化であったのかということを教えていただきたい。どういう必要があって、どういうふうなことで試験所が研究所になったか。
#60
○政府委員(内田勇夫君) 伏見先生から御質問がございましたので実はちょっと調べてみたんですが、昭和四十年度にございました国立試験研究機関六十四機関のうち、その後、名称変更、これは統合であるとかあるいは役割の変更であるとかそういったことに基づくものでございますが、名称変更のあった機関が十六機関でございまして、その十六機関のうち七つの機関が試験所というような名前から研究所あるいは研究センターというような名前に変えております。
 これは、国立試験研究機関と申しますのは、社会経済情勢の変化に応じて業務内容の見直しがなされておりまして、名称が試験所から研究所に変わったということは、研究活動の強化を図ろう、こういうことで体制を整備したものだというふうに考えております。内容、体制を整備いたしまして名称を変更したというのは、その研究を強化するという一つの方針のあらわれと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
#61
○伏見康治君 そこで伺いたいのは、私にはごく具体的には電気試験所のことしか頭にないんですけれども、電気試験所時代には、いろいろなメーカーがおつくりになる電気器具類の試験、検定といったようなお仕事をやっておられたと思うんですね。さらにその背後には、例えばオームならオームという電気の単位を正確に表現することが必要と思うんですけれども、その標準みたいなものをお守りするといったようなそういう仕事もあったと思うんですが、とにかく建前は日本のいろんな電気器具の性能を検定する、試験するといったようなところにあったと思うんですが、その業務は今どういうことになっておりますか。
#62
○政府委員(内田勇夫君) かつて電気試験所が持っておりました試験、検定部門は、日本電気用品試験所あるいは日本電気計器検定所というような格好で国立電気試験所から分離独立いたしまして、ルーチンの仕事として実施をされております。
#63
○伏見康治君 個々の製品のそういう性能のようなものを実際に検定するという仕事は民間団体にお任せになるということは、いろんな意味で大変いいことだと思うんですが、そのほかに、そういう検定業務をやるという場合には必ずその背後にそれを支えるような研究というものがあるはずだと思うんですね。これは私の頭の中にはアメリカのビューロー・オブ・スタンダースというのがあるわけでございますが、ビューローオブ・スタンダースというものの仕事の非常に多くはいろんな基準を確立するという、基準を確立するためには相当な研究業務をやらなければできてこないわけでございまして、それに相当することをどこかでやるべきだと私は思うんですが、そういう面は今どこでやっているんでしょうか。
#64
○政府委員(内田勇夫君) 私もNBSは何回も訪問いたしまして、大変立派な研究をしているということで強い印象を受けておるわけでございますが、我が国におきましても、国立研究所におきましてそういった機能は持っておるというふうに思います。計量研究所であるとかあるいは電子技術総合研究所の中にも一部そういうふうな機能もある。そういったそれぞれの研究所で、検定等に必要な研究というような研究的な面については、それぞれ国立研究所でその役割を果たしておるというふうに考えております。
#65
○伏見康治君 もう一度お伺いいたしますが、つまり今試験所から看板を塗りかえて研究所になられたというところには、従来やっておられたルーチン的などとは民間にお任せしたとしても、民間がおやりになるときの基準ですね、基準を確立するための仕事というものが依然として残っているはずだと思うんですが、それは研究所という看板の中でいじめられているのではないかという感じがするんです。試験研究というものは自由なものであるというのが一般的な考え方でございます。自由なる基礎研究をやるというのはえらいことになっている。そして何か目的のためにやるということが非常にげびたことてあるような雰囲気が一方にあるものですから、それで心配するわけでございますが、その関係はどうなっているでしょうか。
#66
○政府委員(内田勇夫君) 先生の御覧附、なかなか難しいところでございますが、やはり研究には自直な基礎研究もあれば目的研究もあるということでございまして、当然国立研究所はその両方を担っていくところだというふうに考えております。
#67
○伏見康治君 これ以上やっても何も出てこないおそれがあります。
 次に、この大綱の中に出てくる言葉だけにひっかかって申しわけないんですけれども、産学官の緊密なる関係を大いにうたっておられると思うんです。私もこの産学官の関係を大いに有機的なかつ健康な状態で育てるということは非常にいいことだと思っているんですが、しかし、同時に私は、昔アイゼンハワー大統領がおやめになるときに軍産複合体、ミリタリー・インダストリアル・コンプレックスということを言って、それが将来アメリカの政治に対する脅威になるおそれがあるという警告を発してやめたわけですね。そのいるいろな分野の方々が協力して仕事をするということ自身はいいのですが、その結合が余りに固くなり過ぎて癒着といったような言葉で言いあらわされるような状態になりますというと、またそれぞれいろいろな弊害が出てくると思うのでございます。研究者の多くの方は研究費が欲しいとお思いになるのは当然のことなんですが、研究費が欲しい欲しいと思っていると、ついに研究するために研究費を取るのじゃなくて、研究費を取るために研究するという転倒した状態になるおそれがありますね。そうなりますというと、お金の方が何といっても先に立ちますので、自分の学問的追求心の方向で物事をやるのではなくて、そういう癒着した全体の利益のために何かやるという傾向がどうしても私は出てくると思うんですね。
 それで、この産学官の緊密なる協力ということ自身を排斥するつもりはさらさらないのですけれども、そこに出てくるそういう影の面といったようなものに対して、大臣、何かそういうことが出てこないような用心というか、そういうことはお考えになっているでしょうか。
#68
○国務大臣(河野洋平君) 先生御指摘のとおり、産学官の連携というのは少なくとも現状では必要なことだ、そしてそれをやることによって相当なプラスが考えられる、しかしその相当なプラス、それからまた現状において望まれている形態ではあるけれども、そのプラスに伴った影の面もあるのではないかという御指摘は私も同様に感じております。あってはならないことでございますけれども、公務員の綱紀が乱れるなんということが指摘をされたこともございまして、とりわけ研究者の方々の中には、ともすれば研究に没頭して社会的には弱い面を持った人も少なくはないわけでございます。そうした点がこの産学官の連携という名前のもとで悪用されるということがあっては、せっかくの産学官の連携という今進めていこうとする我々の考え方、まさに社会的ニーズに沿った新しい体制づくりというものに大変な汚点が残ってしまいます。こうした点は十分に気を使いながらやっていかなければならぬ。
 しかし、今先生御指摘の、非常に大きな意味ではアイゼンハワーの指摘もございますし、非常に小さな部分では民間との癒着、ささやかな癒着から大統領が心配するような大きな癒着まで、さまざまな癒着と申しますか問題があるわけでございますが、私どもはそういうものを何かのマニュアルをつくってぴしっとというわけには、なかなかそんな知恵は正直すぐには出てまいりませんし、そういうことはできないと思いますが、それぞれの分野で、それぞれの段階でみんなが身を持するという緊張感を持って当たらなければいけないと思います。
 したがって、私もこの産学官の連携というものが、もう全くマイナスのない、心配のない、ただやればいい、やればいいというものだというふうには思っておりません。やはりそこにはおのずから限度もあるし、けじめもあるし、しっかりとした物の考え方というものを踏まえていなければいけない。しかし、こうした新しいと申しますか、当然、現在産業界には産業界のさまざまな研究もありますし、ニーズもありますし、先ほど御指摘のシーズも産業界にもある。学問の分野には学問の分野でそうしたものが相当蓄積をされている。行政の面にもそうしたものがあるというならば、これを有機的につなぐことによって相乗効果をもたらさせ、さらに一歩踏み出すことができるわけでございますから、びびってしまって、シュリンクして何もしないということであっては私はこの時代やっていけませんから、一歩踏み出す勇気を持つと同時に、慎重さもあわせて持つというふうにやっていきたいと思っております。
#69
○伏見康治君 大臣、どうもありがとうございました。大変御立派な、またぜひその線でやっていただきたいと思うんです。
 先ほどもちょっと言いかけたことでございますが、別の問題ですが、ビッグサイエンスと呼ばれているものですね。ビックサイエンスを日本語に訳しまして巨大科学と言うのですが、この言葉が文部省の学術審議会の中で出ましたときに、私は原子力関係のことをやっているものですから、いわゆる巨大科学的な領分にいるものですから、有馬啓先生という方が、この方は生物の方の先生なのですが、私のような零細科学に属している人間から見ると巨大科学という言葉は甚だけしからぬ、巨大科学というのは科学の価値、科学としての価値が巨大であるように聞こえるが、実際は金を余計に使うだけのことなんだから巨費科学と言えという御提案を受けまして、私はそれ以来巨費科学という言葉を専ら使っております。たくさんのお金を使う研究者やその他の御関係の方々は、この基礎科学をやっておられる先生方からの今言ったような批判を私は謙虚に受けとめないといけないと思っているんですね。
 実際、うっかり巨費科学を打ち出しますというと、それが景気が上げればいいほど零細科学の方の方々を圧迫しているおそれがあるわけです。言わず語らずのうちに圧迫しているおそれがある。私は初期のころにはそう考えなくて、巨費科学というものは今までの研究費の分野を食うのじゃなくて外へ伸びるものである、だからそれほど零細科学を圧迫することなくして成長するものだというふうに考えて自分を慰めていたわけですけれども、近ごろのように全体のパイが有限であるということがますますはっきりしてまいりますと、その中での巨費科学のあり方というものはよほど念を入れて慎重に考えなければいけない問題だと思うわけです。
 殊に一つ、先ほど申し上げたことですが、経済成長が終わって、そのときにやりましたいろいろなビッグプロジェクトが実は軒並みに並んでおりまして、その中には進歩が非常に遅くなってしまっているものも幾つかあるわけでございますが、そういうものをどうするかといったようなことが真剣に考えられるべき時期だと思うんですね。それで私は、実はこの大綱の中にそのことがどこかに少しでも書いてあるかと思ったのですが、残念ながら、そういうことを書くとやはり大蔵省からまた予算が減らされるという御配慮なのだろうと思うのですが、巨費科学の見直しといったような点が触れられていないのはいささか残念だと思いますので、そういうことをひとつ慎重にやっていただくようにお願いして、大臣の御意見を伺って終わりにしたいと思います。
#70
○政府委員(長柄喜一郎君) 伏見先生御指摘のように、ビッグプロジェクトといいますか、巨費科学のために他の零細研究と申しますか基礎研究が圧迫されるようなことであっては絶対ならない、こう思っております。この政策大綱におきましても重点分野というのがございますが、そこの項で新しい発展が期待される基礎的、先導的科学技術の推進ということを第一の重点に置いております。それから経済の活性化とか生活の質の向上等の課題についてもそのための基礎科学に重点を置くということをこの大綱で述べておりまして、大綱全体をごらんいただければ御理解いただけると思うのでございますけれども、基礎研究強化ということでこの大綱の一本筋を通しておるということで、経費につきましてもそのように基礎科学、基礎研究が圧迫されることがないようにやっていきたい、こう考えております。
#71
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘、十分配慮してやりたいと思います。
#72
○伏見康治君 終わります。
#73
○塩出啓典君 いろいろ同僚の議員の皆さんから質問もございまして、多少ダブる点もあるわけでございますが、二、三お尋ねしたいと思います。
 御存じのように、今まで我が国の研究予算は非常に民間依存が多い、アメリカとかヨーロッパに比べて。そういう意味でどうしても民間依存は基礎研究が軽視されるんじゃないか。日本はそういう基礎研究の面において力を入れないで成果だけをとるという、こういう国際的批判もあったわけですが、しかし、先ほど質問がありましたように、現実には非常に民間の研究投資の方がますます比重を増しておる。昨年十二月発表の科学技術白書では昭和五十八年度の研究投資の七七・七%が民間である。かつては七、三と言われておったのがだんだん八、二になってきているわけですね、そういう方向をどう考えるのか。これはやむを得ないものなのか、あるいはそういう中で基礎研究を重視するという国際的なそういう要望にもどうこたえていくのか。
 それともう一つは、我が国のこの全体の研究費の中でいわゆる基礎研究に使われるのが一四%である。昭和四十年には三〇・三%であったのが二十年足らずの間に半減をしてきているわけでありますが、これは政府、研究機関、大学、そういうものが応用の方に傾いてきた結果だと言われておるわけでありますが、今後、今国会にも研究交流促進法という法律案を出して、国の研究機関がさらに民間とも共同研究をしていく、こういうことになりますとますます基礎研究に対する重視という方向と逆の方向に行くんじゃないかな、そういう心配が私はあると思うんですが、こういう点についてどうお考えであるのか、これをお伺いいたします。
#74
○政府委員(長柄喜一郎君) 研究開発投資につきまして民間主導の傾向で国の負担割合が下がっているという御指摘と、もう一つは、国全体としての基礎研究割合が下がってきて応用中心じゃないかという御指摘かと思いますが、先生御指摘のとおり、かつては政府負担が三、民間負担が七というふうな状態が現在は二対八というようなことで政府負担の割合が下がってきておる、こういうのが事実でございます。これは財政逼迫というようなことがございまして政府負担が比較的伸び悩んでいるのに比べまして民間の研究開発活動が非常に旺盛である、ここ数年間は毎年一〇%近く伸びておるというようなことで政府の比率が下がってきたわけでございますが、民間が非常に活発にやっているということにつきましてはこれは非常に喜ばしいことで、我々としても歓迎すべきことでありますが、問題は政府負担が下がるということはどうしても基礎研究の比率が下がるというようなことにもつながりますので、私たちとしては政府負担比率をできるだけ維持ないし引き上げるという方向で今後とも努力していきたいと考えております。
 また、基礎研究費の割合でございますけれども、民間企業の旺盛な研究開発投資というのが大部分が開発ないし応用にも向けられているということから、その結果として基礎研究比率が下がってきております。絶対額はふえているのでございますけれども、基礎研究費以外の分野の伸びが非常に速いということからこのような結果になっておりまして、これも先ほどの科学技術政策大綱にございますような基礎研究重視ということの逆コースを今歩いているわけでございまして、これを何とか食いとめ、さらにこれを上向きに持っていくというふうに努力したいと考えております。
 なお、産学官の交流によって基礎研究がまたますます軽視されるのではないかという御心配でございますけれども、決してそのようなことのないように、基礎研究費の充実に努力してまいりたい、こう考える次第でございます。
#75
○国務大臣(河野洋平君) 塩出先生、御心配をいただいておりますが、今局長から御答弁申し上げましたように、一つは民間の技術開発への投資が非常に意欲的に伸びたということがございます。政府の予算も決して減っているわけではないのですが、伸び率が民間が非常に伸びているということから割合が少し下がっているということが言えるのだと思います。しかし、それについても私どもは決してそれで満足をしているわけではございません。さらに、御答弁がダブって恐縮でございますけれども、民間の技術開発への投資はやはり商品化に近いところに非常に投資が行われることもあろうと思うわけでございまして、国の研究開発への投資はできるだけ基礎部門に重点を置くべきだということは私もそのとおりだと考えております。したがいまして、これから先はさらに一層そうした考え方を具体的に移していかなくてはなりませんから、科学技術振興調整費によります基礎的研究の強化でございますとか理化学研究所におきますフロンティア研究の推進、こういった基礎的研究を重視した施策をやっていく、そういう方策をとろうとしているわけでございます。
#76
○塩出啓典君 これでは、最後に一つだけ要望したいわけですが、先ほどから科学技術庁はいわゆる総合的調整機能を果たしていく、こういうお話でございますが、この問題はまた次の機会に譲るとして、今いろいろな一つの研究にいたしましても、国の研究機関でもやっているし大学でもやっている。例えばバイオの問題なんかは同じ大学で、工学部でもやっているし理学部でもやっているし農学部でもやっておる。また、最近いろいろ国の研究機関等においても今までの研究からかなりはみ出た研究もやっているわけですね。
 そういう意味で、どこでどういう研究をしているかということですね。これは先般工業技術院の研究所へ参りましたら、工業技術院では一つのオンラインでこういう研究テーマとか研究内容とかそういうものがすぐわかるようにしているわけですが、私は科学技術庁として、国全体のいろいろな研究が、どこでどういう人が研究しているかという、もちろん文献になっている場合は科学技術情報センターで調べれば、検索すれば出てくると思うんですけれども、それ以外の研究もあるわけで、そういうものを、そういう情報センターというかデータベースをつくることが非常に必要じゃないかなと、そういう点を御検討いただきたい、この点、今の実情を簡単に御答弁いただいて質問を終わります。
#77
○政府委員(内田勇夫君) ただいま先生の御質問、国のどこでどういう研究をやっているかということについての取りまとめがなされておるかということでございますが、私ども、「国の試験研究業務計画」という、こういうものでございますが、取りまとめをしておりまして、ここで国の研究機関、これは国立研究所における特別研究から人当研究費でやっております一般的な経常研究に至りますまで全部網羅しております。また、国からの委託研究等そういったものも全部包含した国の試験研究業務計画というものをつくっておりまして、これによって研究者の方がお互いにどこで何をやっているかというようなことがわかるような、そういう便に供するようにいたしております。なおこれは、先ほどオンラインの話もございましたが、科学技術情報センターでオンラインのサービスをするということになっております。
 それから今お話しがございました、科学技術庁は大学を除く国の試験研究業務計画を取りまとめておりまして、文部省の方で大学のそういったものを取りまとめております。これをドッキングするようなことを今後考えてまいりたいと思っております、
#78
○佐藤昭夫君 まず第一は、研究交流促進法案をめぐる問題であります。
 私は、三月の十一日に河野長官にお会いをして、研究交流促進法案は国会に提出すべきではないということを共産党・革新共同議員団を代表して申し入れてまいりました。しかし、残念ながら三月十四日には閣議決定、三月二十日に国会提出が強行されたのであります。
 提出すべきじゃないと申し入れた大きな理由の一つは、研究交流促進法案が科学技術の軍事利用に公然と道を開いているということであります。一例を挙げれば、この法律案で言う「試験研究機関等」及び「研究公務員」に防衛庁の研究機関としての研究員が含まれるという問題でありますが、実はこうした問題について、私は昨年の十一月二十七日、この当委員会で当時の竹内科学技術庁長官に同様の問題で質問をいたしました。それは、昨年七月の行革審答申が産学官の研究交流の促進ということを強調しているということに関係をして、この官の中には防衛庁も入るといえば入るんですから、したがってこのスローガンのもとに軍事研究の導入を図られるというおそれ、したがってこういうことはないというふうに確認をしていいのですねと質問をいたしますと、これに対して竹内長官は、「私たちも産学官の実際の連携の進め方にありましては、いやしくも軍事研究にわたるものがないように、十分な注意はしてまいりたい」、こう答弁をされています。
 したがって、今回の研究交流促進法案はこの昨年の国会での大臣答弁にも反するものではないかというふうに私は思わざるを得ない。今回提出を決断されました河野大臣としては、この前大臣の答弁との関係を深く考慮を払われたかどうか、この点お尋ねをします。
#79
○政府委員(長柄喜一郎君) 今回、国会の方に提出さしていただきました研究交流保進法案は、国の研究機関が産学官あるいは外国との共同研究、研究交流を推進する上での法制上の隘路となっている点を除くことを目的としたものでございます。したがいまして、国の試験研究機関として設立されております防衛庁の機関についても排除することとはしておりません。一方、科学技術庁といたしましては、我が国全体の科学技術の振興を任務としており、専ら防衛に用いられる技術、防衛技術の研究は防衛庁の所管であり、科学技術庁は各省庁に共通的な技術の研究開発を行っております。このような当庁の性格は本法案の内容いかんにかかわらず何ら変わるものでないというふうに考えております。科学技術庁といたしましては、今までどおり各省庁に共通的な技術の研究開発を本法案を使って効率的に進めたいと考えており、その際科学技術庁が進めている産学官等の連携に軍事研究の推進を目的とするものは考えておりません。
#80
○佐藤昭夫君 長い長い答弁をされますけれども、非常に限られた時間ですからちょっとそういうことは慎んでいただきたい。私の聞いていることにずばり、前国会での大臣答弁との関係を考慮されたのかと。提出を決断された長官、どうですか。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
#81
○国務大臣(河野洋平君) 私といたしましては、竹内前長官のお考え、国会におきます御答弁なども当然頭に入れて今回の提案を決断した次第でございます。
#82
○佐藤昭夫君 前国会での大臣答弁、当然考慮に入れているということであれば。それこそ当然今回の法案に、目的条項あたりに研究交流とその成果の利用は平和の目的に限ると、原子力基本法とか宇宙開発事業団法の例にもありますように、そういうことが当然入るんじゃないかと。にもかかわらず、出てきた姿というのは逆に防衛庁の関係からどんと入ってきたということでありますから、これは国会答弁のじゅうりん、科技庁方針の重大な変更というふうに思わざるを得ないと思うんです。どうでしょう。
#83
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど局長から御答弁申し上げましたが、この法律案を作成し、御提案を申し上げました一番のポイントは、国の研究機関が産学官等との研究交流を推進する上で法制上の隘路となっている点を取り除くというところにこの法律案の一番のポイントがあるわけでございまして、本来からいえば各省庁がそれぞれ産学官との交流についていろいろ苦心しておったものを全部一つに集めてこの法律案をつくったものでございまして、科学技術庁といたしましては、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、私どもとしては今までどおり各省庁に共通な技術の研究開発を本法案を使って効率的に進めたいと考えておって、その際科学技術庁が進める産学官等の連携に軍事研究の推進を目的とすることは考えておらないところでございます。
#84
○佐藤昭夫君 これは科技庁に今度は聞きましょう。
 日本学術会議が一九四九年発足をするわけですけれども、このときに科学者の戦後再出発の決意表明とも言うべき声明を発表していますね。どういう内容ですか。
#85
○政府委員(長柄喜一郎君) 日本学術会議の昭和五十一年六月三日の科学研究基本法の制定についての勧告は承知しておりますが、先生がおっしゃいます四九年の声明については今手元に持っておりません。
#86
○佐藤昭夫君 やはり長官、科技庁の局長以下そういう皆さん方、口では科学研究の平和的あり方、これについては絶えず考慮を払っておるとおっしゃっても、日本の科学者が戦前の反省の上に立って戦後どういう方向で再出発をしていくかという、いわばその憲章とも言うべき、ドクトリンとも言うべき日本学術会議発足時のこのときの決意表明、声明、これ、すっと出てこないんですから、ですから平和の問題よく考えているとおっしゃったって私は信用できませんね。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
とにかくこの中でこういうふうに書いているんです。「われわれは、これまでわが国の科学者がとりきたった態度について強く反省し、今後は、科学が文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に、わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓うものである。」という総会決議ですね。こう朗読しますと、長官は御記憶は戻りますか。
#87
○国務大臣(河野洋平君) たくさんの資料を勉強をいたしまして、恐らくその資料の中にあったんだろうと思いますが、はっきり今先生がおっしゃったものがあのあれだというほど明確には覚えておりません。申しわけありません。
#88
○佐藤昭夫君 大臣向けに局長なんかが準備した資料の中にあったら、局長の答弁でずっと出てくるはずですよ。私はそう思いませんね。さっきも言いました原子力基本法や宇宙開発事業。団法では、平和目的に限定するとの規定が法律上明記されているわけです。一体その理由は何か。実は今、私、引用いたしました学術会議声明にあらわれている日本の科学者の戦後再出発に当たっての痛切な誓いと決意、これが科学者の中にほうはいとしてあったればこそ、伏見先生なんかも原子力基本法制定のときに随分活躍されておると思うんですけれども、この原子力基本法や宇宙開発事業団法にこういう目的規定がはっきり明記されるということになっているんだというふうに大臣思われませんか。
#89
○国務大臣(河野洋平君) 先生御指摘の考え方は、科学技術庁の設置法を読んでもそういうことが読み取れるわけでございまして、当然、科学技術庁が提案をいたします法律案はそうした考え方が根底にあって、基礎にあって法律案を作成して国会に提出をしてきたものと思っております。ただ、それを国会で立法府が御議論をいただく中で、さらにもっとはっきりさせようと、あるいはさらにはっきりとこういうことも書いた方がいいと言って国会決議のような形で補強をされたり、あるいは時には国会の立法府の手によってそういうものがつけ加えられたりしたこともあったんだろうと思うわけでございます。しかし、いずれにいたしましても科学技術庁は科学技術庁の発足当時の、発足以来の役割というものをきちんと踏まえて、そうした役割に基づいて法律案を提出をしているわけでございまして、私どもの考え方が補強をされたということはあっても、変わったというふうには私は思っておらないのでございます。
#90
○佐藤昭夫君 今、長官も言われた科学技術庁の設置目的それ官体、平和の科学を進めるというそういうことだと。だからこそと言いたいんですけれども、この法案の準備過程で、科学技術庁が取りまとめに当たるということで第一次案から第四次案までつくられていますね。この段階まででは防衛庁は入ってなかった。それがいよいよその最終段階というこの段階で突如として防衛庁研究機関関係研究員と、こういう内容が入ってきた。科学技術庁だけが変身したというふうに私は思わないわけで、何者かのそこに声と力が働いたというふうに思わざるを得ないわけですね。こういうことで第一次から第四次まで入ってなかったそれが最終案で突如として入ったその理由は何ですか。
#91
○政府委員(長柄喜一郎君) 今回の研究交流促進法案は、当初から研究を行っている国の機関及び研究に従事している公務員の方々は幅広く対象とするという考えで検討してきたものでございます、その結果、現在提案しております法案に落ちついたわけでございますが、法案の検討に際しましていろんなアイデア、例えばこの法案を基本法的なものにするか特例法的なものにするかとかいろんなアイデアがございまして、いろんなアイデアを検討した結果今のようになっているということでございます。
 その中で、特に防衛庁の問題、今御指摘ございましたが、身分法関係で防衛庁の研究者の方は特別職になっている、その他の省庁の方は一般職であるというふうなことで、一つの法律で両方を規定するのが妥当かどうかというふうな検討をしたことがございます。先生のおっしゃいます、第一次から第四次というふうにおっしゃいましたが、我々としては、そういうふうな番号もつけておりませんし、いろんな案が同時並行的にあったというのが事実でございます。これは、防衛庁の職員を入れるか入れないかということにつきましては、防衛庁職員が研究交流促進の措置が不必要という意味ではございませんで、他の一般の研究者と同様の扱いをすべきことは当然でございますが、立法技術上どうやったらいいかということでいろいろ検討したものでございます。
#92
○佐藤昭夫君 一次、二次、四次と番号はつけてなかった、私どもその中間報告を受けておったことは事実なんですからね。しかも、言っていますまうに、いわゆる一次から四次に至る間にはなかった、それが最終案で入ってきた。入ってきたにはかくかくしかじかの合理的根拠があるんだということを余り強調をされますと、あなたが優秀なスタッフだということで自負されている最初つくっておった案が非常にずさんだったということをみずから告白するようなことになるんですからね、余力言わぬ方がいい。言うんだったら、句者かの声と力が働いたんだということを正直におっしゃった方がむしろ正直だ。
 今あなた、局長がちょっと触れられた、現行の法体系では防衛庁の職員は一般の国家公務員と区別して特別職になっているという、まさにそのとおりでありまして、したがって防衛庁の職員の場合には給与法なども違うわけですね、別建てだと。身分や職務規定も自衛隊法によって別途国家公務員とは違う独自の定めをしている。当然でして、それは自衛隊員の場合、自衛官の職務の特殊性、こういうものがあるわけでありますから一般の公務員と異なった法律上の規定をしなくちゃならぬ。さらに、自衛隊法六十四条で「団体の結成等の禁止」というのがあるわけでしょう、自衛隊の場合は。研究公務員はいろんな自分の専門研究に基づいて研究サークルをつくったり、あるいは何をつくったりということは当然ある。ところが、こういう団体等の結成ということが禁止されるんですよ、防衛庁の研究者。
 しかし、これを一本の法律にこういう形で研究交流のためにという目的をうたいつつ持ち込んでくるということについては、大変な無理と間違いがそこから出てくるというふうに思わざるを得ないんですがね。もう余り持ち時間ないからそのことを申し上げておきましょう。今の点で何かありましたら。
#93
○政府委員(長柄喜一郎君) この法案は、国の行います研究交流の促進のために公務員制度や財産管理制度の隘路となっている点を取り除くことを目的として、必要な措置を設けたものでございます。それで、御指摘の点でございますけれども、一般職と特別職を分けて別の法体系で措置するということも一つの方法ではございます。が、研究業務に従事しているという点では特にこの両者を区別する必要がないので、国家公務員等の旅費に関する法律では一般職も特別職も同工法律で扱っている例もございます。こういう例に倣い、立法技術上同じ法律でくくることにしたものでございます。
#94
○佐藤昭夫君 同一の法律でくぐっておるというのはごく限られた問題でしょう、例えば旅費法とか。ほとんどの問題は別建ての法律体系になっているんですよ。そういうもとで今回研究交流、これをこの一本の方へ持ってきたというこのことについてこれは疑問が出てくるというのは当然のことなんですよ。しかも、今局長の答弁の中では、この団体等の参加、結成の禁止条項、自衛隊法におけることの関係の問題については答えはなかったけれども、答えは難しいですわね、できぬでしょう。
 それで、一つは、このように現行法の体系も無視をした、そして当初のこの四次にわたる検討案もいわば踏みつぶすような形で突如防衛庁関係、これがどんと入ってきたというこの目的というのは、これはどう見たってこの科学技術研究交流に名をかりて科学技術を公然と軍備増強に利用していく、とりわけ今急速に進められようとしているSDIなど対米軍事技術協力を積極的に推進しようという中曽根内閣の強力な意図のあらわれ以外の何物でもないというふうに私は強調をしておきたいと思うのであります。
 もう一つ、二つ別の角度から聞きますが、この法案で「国際共同研究」という用語が出てまいります。これはこういう形で防衛庁も含めての法律でありますから防衛庁の参加を当然の前提としているわけでありますが、この「国際共同研究」の概念の中には武器技術に関する日米共同研究、開発、これも含まれるのか、それともそれは含まれないというふうに言い切れるのか、この問題が一つ。それから第十条で「配慮事項」というのがあります。すなわち、誠実な履行について特別の配慮を払うとされている。条約その他の国際約束、これを誠実に履行し、その特別な配慮をしていく。こうなりますと、対米武器技術供与に関する日米間取り決め、これが当然入ってくるんではないかと思わざるを得ないのでありますが、この二つの点で簡単に答えてください。
#95
○政府委員(長柄喜一郎君) 先ほども申し上げましたように、本法案は、国の研究機関が産学官及び外国との研究交流を進める上での隘路となっている点をなくそうとするものでございまして、特定分野の研究の推進を画的としたものではございません。そういう意味で一種の特例法案と言っていいかと思います。特に共同研究につきましては日本の一般の財産管理に関するルールとそれからヨーロッパ、アメリカのルールが違っているということから、従来共同研究を進める場合になかなかかみ合わないという点がございました。そういう点で、国際共同研究につきましては財産管理法上の特例を設けて、日本とアメリカ、ヨーロッパが同じルールで相互主義的な協力ができるようにということで設けたものでございまして、この新しい措置によってどのような技術を研究していくかということは、別途これは政策判断の問題でございまして。今回の法律ではそういうことは一切考えておりません。
#96
○佐藤昭夫君 この法律提出の目的がルールづくりだと、それはよしとしましょう。私が聞いているのは、そのルールづくりをしたその上で、国際共同研究、この中には武器技術に対する日米共同研究、これも含まれるのが含まれないのか。それに対する今のお答えは、今後の政策選択だ士。こうなりますと、含まれることもあるということにならざるを得ないじゃないですか。含まれないというふうにここで断言できないわけですね。
 それからもう一つ聞きました第十条「配慮事項」、条約や国際的な約束、これで取り決めたことについてその誠実な実施について特別な配慮をするという中には、例えば武器技術供与に関する日米間取り決め、この誠実な実施、これに特別な配慮をしていく、こういうことも含まれみのか、これも今後の政策選択の問題としてあり得ると、こういうことになるのかならぬのかはっきりしてもらいたい。
#97
○政府委員(長柄喜一郎君) この第十条の趣旨は、国の約束とか国際的な平和及び安全の維持について特別の配慮を払うということは当然のことでございまして、特にこの法律の各条項を適用するに当たっては、そのことを確実に守るようにということを喚起するために、喚起するといいますか、それを十分配慮するようにというためのものでございまして、国の約束した条約その他はすべてこれに含まれることになります。
#98
○委員長(馬場富君) 佐藤君、時間が過ぎております。
#99
○佐藤昭夫君 わかりました。
 やっぱり当然そのことが入る。だから、条約や国際取り決めに基づいて取り決めた対米武器技術供与に対する日米間取り決め、こういうことは誠実履行、特別配慮、この条項の中に入ってくるというふうに私はあなたの答弁は理解をしますよ、今の問題は。
 それで、もう時間がないようでありますから……
#100
○政府委員(長柄喜一郎君) 委員長。
#101
○佐藤昭夫君 いや違う、そういうふうに答えがあったから。
 それで、いろいろお尋ねをしましたけれども、この法案の一つの目的は、産学協同というようなことで、この研究の成果、蓄積を大企業奉仕の方向へ持っていこうということと、もう一つの重大な問題として軍事利用の危険、これをいろいろと指摘しました。とりわけSDI問題が重大になっておるこういう時期でありますので、ぜひ大臣としても、もう一遍この内容、経緯についてよく検討を加えていただいて、私は、これはひとつ進んで撤回をされるように改めて申し上げておきまして、質問を終わります。
#102
○国務大臣(河野洋平君) 佐藤先生からいろいろ法案の中身について御審議をいただいてありがとうございます。
#103
○佐藤昭夫君 いや、審議していない、撤回せいということを私は言っている。
#104
○国務大臣(河野洋平君) 本法案は、一般的な研究交流の促進を図る上での特例措置を集めて一つの法律に整備しようというものでございまして、今先生御指摘のように、SDIでございますとかそういった特定のものについて考えているものではございません。さらに、先ほど局長が御答弁申し上げましたけれども、先生御指摘の第十条等につきましては、この法律では外側の枠を言っているのでございまして、つまり国際的な約束事をはみ出してはいけないよという、外側の大枠について誠実に守れという趣旨のことを第十条に書いてあるわけでございまして、先生御指摘の特定の何かをやれとかやるなとかいうものではないことをぜひ御理解をいただきたいと思います。
#105
○山田勇君 科学技術関係の文書を読んでみまして今一番問題視されているのは、我が国の研究開発は民間主導型で、企業性の強い経済効率の高い分野には強くても、基礎的な先導的な分野には弱いということであります。昨年暮れの総務庁統計局の昭和五十九度を対象とする「科学技術研究調査」によりますと、我が国の研究費は全体として約七兆八千九百億円となり、米ソに次ぐ第三位の水準となっておりますが、民間の研究費の伸びが前年度比では一二・一%増と好調であるのに対し、国、自治体などの公的部門は三・三%と低く、その結果、企業性の強い開発研究が重視され、学術的な基礎的な分野が弱いということになっております。我が国では研究開発の四分の三を民間が負担をいたしておりますし、したがって経済効率の高い研究開発に多く金がつぎ込まれている。これも現状ではいたし方のないことかもしれませんが、しかしながら、二十一世紀に向かって科学技術立国を目指す我が国といたしましては、今のままでは決してよいとは思いません。
 国全体として考えた場合、研究開発について、国など公的部門と民間とのバランスは今後どうあるべきだと科技庁はお考えになっておりますか。我が国の科学技術の特色として基礎的な先導的な分野が弱いということに対して、科技庁としてはどう認識を持っておられるか、あわせてこの二点をお伺いいたします。
#106
○政府委員(長柄喜一郎君) 研究費の政府負担、公的部門の負担割合が非常に低いということと、もう一点は、新しい技術を生み出す基礎研究が弱いという御指摘でございますが、確かに統計で見ますと、総務庁統計で、先生おっしゃいましたように、企業の研究開発投資意欲が非常に旺盛である、一方、財政が逼迫したというようなことで国の投資がそれほど伸びていないということで年々政府負担が下がってきております。どうしても民間企業の投資というのは開発、応用に重点がある、これはやむを得ないことだと思いまして、そういうことでできるだけ政府の、主として政府の分担しております基礎研究部門への投資を今後ふやして、そしてバランスのとれた格好に持っていかなきゃいかぬというために、基礎研究費の充実ということをここ数年来科学技術庁としてもいろいろ努力しているところでございます。
 もう一点は、我が国の基礎研究の成果がどうかということかと思いますが、従来我が国は、外国の科学なり研究のシーズというものを導入してそれを改良発展させて製品なりサービスなりにしてきたという、後段の方が非常に強うございまして、前段の方はどちらかといいますと欧米諸国に頼ってきたというのが事実でございます。しかしながら、我が国も世界の一割国家をもう過ぎたというふうなことで、日本もそれなりの応分の努力をし、それなりの負担をして新しい技術の芽を生み出し、そしてそれを世界各国に提供していくという主導的な立場にならなきゃいかぬということでございまして、それには何よりも基礎研究費を充実させるとか研究環境を改善するとか、特に若手研究者を大いに活用するとかいうふうなことで、いろんな施策をそのために講じていきたい、こう考えております。
#107
○山田勇君 これからの我が国における科学技術は、国民の関心が単なる量的な充足ではなく質的にも充足されたもの、さらに人間性、文化性を加えたより高次のものへと移りていくと思います。また、国際社会に役立つような独創的な新技術を開拓し、国際的にも信頼を高めるようなものでなければなりません。そのためには、新技術創出の基盤づくりのため、国公立試験研究機関などにおける基礎的研究の強化といいましょうか、独創的な新技術創出のための研究者の能力を発揮させるため、その運営改善を図らなければならないと思いますが、この点についてお考えをお聞かせいだだきたいと思います。
#108
○政府委員(長柄喜一郎君) 我が国が今後創造性豊かな科学技術の振興を図るためには基礎研究の強化ということが不可欠でございます。基礎研究といいますと、主として大学それから国立試験研究機関が担うわけでございまして、国立試験研究機関の活性化ないし基礎研究重視ということはぜひやらなきゃいかぬことと考えております。科学技術庁といたしましては、厳しい財政状況のもとではございますけれども、六十一年度予算におきまして科学技術振興調整費をかなりの額、増額するとか、特にその中で重点基礎研究費の増額というようなことを図っておりまして、国立試験研究機関の基礎研究部門の強化ということについては今後とも努力をしていきたい、こう考えております。
 なお、国立試験研究機関の究極的なあり方と申しますか、再活性化といいますか、活性化につきましては、昨年末、内閣総理大臣より科学技術会議あて諮問が出ておりまして、国立試験研究機関が基礎研究中心にいろいろ活発な活動をするためにどういう方策をとればいいかという趣旨の諮問が出ておりまして、現在この諮問に対する検討を開始した段階でございますが、一年半くらいのうちにその答申を得まして、その答申の線に沿って国立試験研究機関の活性化ということを図ってまいりたい。こう考えております。
#109
○山田勇君 先ほど局長、若い研究者に触れられましたが、そこで、独創的な研究開発能力は年齢が三十歳前後にピークになると言われておりますが、現在の若い研究者は地味な基礎的な研究を敬遠する傾向にあるとも言われておりますが、三十歳前後に自主的な研究が推進でき、人物、お金など研究資源がある程度自由に動かすことのできる研究エリートといいましょうか、の育成が必要だという考え方もあるようですが、科技庁としてはこの点についてはどう思っておられますか。
#110
○政府委員(長柄喜一郎君) 過去のいろいろ非常に独創性に富んだ立派な研究業績を上げられた方方の追跡調査、ケーススタディーをやってみますと、やはり科学技術における創造性というのは、ある年齢に達するとピークに達し、後は下がってくるということがわかっておりまして、大体二十歳後半から三十歳前半くらいが一番ピークだろう、こう言われております。
 日本の研究開発は、先ほども申し上げましたように、従来、開発とか応用が中心でございました。こちらの方はどちらかというと集団で仕事をするということで協調性ということが非常にたっとばれまして、非常に変わったことを言うとか変わった行動をするというのはどうも嫌われたという傾向がございますが、創造性というのは、むしろ非常に個性がある研究者、若い個性のある研究者にとにかく仕事を与えて、優秀な指導者がついて、主体性を持って思いっきり仕事をしてもらうということがぜひ必要だと思います。そういう意味で、国立研究機関の先ほどの検討におきましても、本当に若い優秀な研究者が自分の持っている創造性を遺憾なく発揮できるような研究のシステムとはどういうものか、そういうことを検討してもらおうと思っておりまして、若い方々はその自分の持っている創造性を発揮する、また、ある程度年をとってまいりますと自分の知識なり経験なりを生かすような研究についていただくとか、そういうライフサイクルというものも考えて検討してまいりたい、こう考えております。
#111
○山田勇君 創造的な研究開発を阻害している要因として、国公立研究機関などにおける研究者の高齢化の問題があります。また、独創性を重視する研究管理者が少ないことなどを指摘する向きもありますが、これからのこの点の改革について局長はどうお考えになっておられますか。
#112
○政府委員(長柄喜一郎君) 若手研究者に大いに活躍、活動してもらわなきゃいかぬというのが今後の科学技術政策にとっての最大の問題でございます。そのためには、定員がございますので、高齢研究者の方々を、非常にこれは難しい問題がございますけれども、他の職務に転身していただいて、そのすき間を若手で埋めるというふうなことが必要であろうと考えておりまして、この問題は、先ほどの科学技術会議の第十三号諮問「国立試験研究機関の中長期的あり方について」という課題の中で最大の問題として検討していくこととしております。
#113
○山田勇君 我が国の科学技術が欧米の模倣ではなく独創性の高い、国際社会からも信頼される研究開発を推進するためにはいろんな面で環境整備が必要であると考えます。子供のころからの教育、個性的で主体性のある人づくり、また今後、我が国が科学技術立国を目指すには単に研究者のみならず、国民全般に広く科学に対する親しみと理解を深めることが肝要です。昨年の科学万博のような大きなイベントも大いに効果があったと思いますが、最後に長官の今後の科学技術行政に対する熱意をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
#114
○国務大臣(河野洋平君) 先生御指摘のとおり、科学技術が進んでいくためには国民の理解というものが重要だというふうに私考えております。もっと言いますれば、我が国の国民が、科学というものは何なんだということをみんなが考えていくという、そういう環境が日本の科学技術というものを進めていく上で非常に重要だと思うんです。若い人たちも、つまり科学というのは別にコンピューターをいじってみたりメカをさわってみるというのが科学ではなくて、真理を探求するといいますか、非常に科学的合理性みたいなものについて真っ正面から取り組んでみるという、子供のころからのそういう姿勢、教育、そういったものが必要なんじゃないかというふうにも実は私は思っておるわけでございます。
 これは文部省の守備範囲でございまして、科学技術庁として余り言及するのはどうかと思いますけれども、しかし初等中等教育におきましても、一つ一つの事柄、一つ一つの事象について、その真理をまじめに自分で追求していくというそういう行動様式のようなものが身についていくということが必要なのであって、与えられたものをそのまま素直に受けとめて、そういうものなんだといってただそれを便利に使っていくというだけであっては、この科学する心というものは十分ではない。みんなが科学する心というものを理解し、評価したところに科学技術というものは進んでいくのではないかというふうに考えておるわけでございまして、私は、科学技術庁の仕事に携わりますにつきまして、やはり科学技術というものは機械万能ということでは決してない。むしろその背後に文化とか歴史とか伝統とか、そういったものがきちっとあって、そういうものを踏まえた上で人間の快適な生活というものをつくっていくためにみんなが研究をしていく、そういうものであるべきだ、こんなふうに考えておるわけでございます。
 今、先生御指摘のとおり、昨年の筑波の科学万博に二千万人という大変多くの方々が見に来られて、あれを見られていろんな感想をお持ちになったのじゃないかと。ただ、何かやたらに見せ物的だったというふうにごらんになった方もあるかもしれませんけれども、やはりそうではなくて、いじってみたり実際に自分の目で確かめてみたり、あるいは考えさせられるものに出会ってみたり、いろんな感想を持って帰られたのではないか。もしそうであればあの科学万博は大成功であったなというふうに思っておるわけでございまして、大勢の人たちが科学とかあるいは科学技術というものに期待を持ち、正しく理解を持つということが我々にとって非常に重要なことでございまして、先ほど来から御議論になっております科学技術政策大綱の中でも、「国民の理解」、特に「青少年の科学技術への関心を深める」ことというのを重要な柱にさせていただいております。こうした点にもぜひ先生方の御理解をいただいて、しっかりとした間違いのない科学技術行政を進めてまいりたい、こう考えております。
#115
○委員長(馬場富君) ほかに御発言もないようですから、質疑は終了したものと認めます。
 これをもって昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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