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1985/04/11 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 科学技術特別委員会 第4号
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1985/04/11 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 科学技術特別委員会 第4号

#1
第104回国会 科学技術特別委員会 第4号
昭和六十一年四月十一日(金曜日)
   午前十時三十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         馬場  富君
    理 事
                岡部 三郎君
                志村 哲良君
                稲村 稔夫君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                長田 裕二君
                成相 善十君
                林  寛子君
                安田 隆明君
                片山 甚市君
                伏見 康治君
                佐藤 昭夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       政府委員官)   河野 洋平君
       科学技術庁長官
       官房長      矢橋 有彦君
       科学技術庁計画
       局長       長柄喜一郎君
       科学技術庁研究
       調整局長     内田 勇夫君
       科学技術庁振興
       局長       藤咲 浩二君
       科学技術庁原子
       力局長      中村 守孝君
       科学技術庁原子
       力安全局長    辻  栄一君
       外務大臣官房審
       議官       松田 慶文君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        逢坂 国一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       総務庁統計局統
       計調査部経済統
       計課長      加藤 雅夫君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電課長   上村 雅一君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全審
       査課長      神戸 史雄君
   参考人
       宇宙開発事業団
       副理事長     園山 重道君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(馬場富君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本調査のため、本日の委員会に宇宙開発事業団副理事長園山重道君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(馬場富君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○岩動道行君 最初に河野長官に、これは国務大臣としてまずその立場も踏まえて伺いたいのでございますが、我々は自由民主党でございます。河野大臣は新自由クラブの代表でいらっしゃいます。そこで、新自由クラブの政治姿勢、そしてまた政策等、自民党と一体となって今大臣は科学技術の大事な問題に取り組んでおられますが、そこら辺に別に違和感はなく一体となって、あるいはまた新自由クラブの政策をどのようにこの科学技術の政策に反映していかれようとしているか、その基本的なことをまず伺っておきたい。
#7
○国務大臣(河野洋平君) 岩動先生から、私が所属しております新自由クラブの政策について御質問をいただきました。少し科学技術庁の長官としてはみ出したお答えになるかもしれませんが、その点はお許しをいただきたいと思います。
 私ども新自由クラブは立党以来ことしで十年になるわけでございます。我々が立党当初から考えておりました党としての政策の重要な柱として、教育立国ということをうたってきたわけでございます。これは、日本の国にとって最も重要なものは教育であろう、教育によって日本の国を初めて支えることができる、こう主張をしてきたわけでございます。この点は、かねてから科学技術庁創設三十年にわたります歴史の中で常に歴代長官がおっしゃっておられた、日本の国は資源が乏しい、その資源の乏しい国にあって人間の英知という資源に着目をしていかなければいけない、そしてそれが日本の科学技術を育てて、その科学技術こそが日本の未来を開く、こういうお考えでこの科学技術庁というものを指導してこられたと考えておりますが、私どもが主張しておりました教育立国はまさにその延長線上にそうした考え方がある、こういうふうに理解をしておりまして、現在全く従来の科学技術庁の考え方に違和感を持っておりません。
 むしろ科学技術を振興する上でより教育に新たな考え方を盛り込まなければいけない。それは、岩動先生御承知のとおり、今後の日本の科学技術に期待されておりますのは、創造的なと申しますか、本来の科学技術に対する姿勢というものをもう一度想起しなければいけないということを考えますと、今日の教育がややもすれば受験対応型の教育になって、型にはまり、暗記力を重視するという教育になり過ぎているのではないか。私はやはり教育のあり方をもう一度点検をすることが独創的なと申しましょうかあるいは創造的な人間をつくることになるのではないか。したがって、科学技術政策は教育政策と密接不可分の関係にあって、そうした分野にまで、これは私冒頭に申し上げましたように、科学技術庁長官としては少し出過ぎた発言にあるいはなるかと思いますけれども、教育政策についてももう少し考えるべきところがあるのではないか、こんなふうに考えている次第でございまして、先生から御指摘をいただきましたが、目下のところ全く違和感を感ぜずにこの科学技術行政をさらに推進したいという意欲を持っているところでございます。
#8
○岩動道行君 かねてから河野大臣初め新自由クラブの皆さんは、文教問題については大変御熱心なグループだと私も承知をいたしております。また、大臣今お話しになったように、教育と基礎的な科学研究体制の促進ということは非常に密接な関係があるわけでございまして、今のお話は、科学技術庁の長官というよりもむしろ国務大臣として私は大いに大臣の見識を発揮していただくことが大事であり、またその御決意を伺ってこれからも頑張っていただきたいと思います。特に、後でもちょっと触れる時間があるかと思いますが、産学官の研究の交流促進ということになりますと、これはどうしても学問の分野、大学の分野、そういうところと密接な関係が出てまいりますし、そういう意味で大臣のかねてからの抱負というものをそういう場面で十分に閣内でも生かしていただけるということで私どもは大きな期待を持っているわけでございます。
 さて、時間もそう多くございませんので、突っ込んだ一点集中主義の方に行った方がいいのかもしれませんが、しかしせっかくの所信表明でございますので、その流れに沿って若干質問を進めてまいりたいというふうに思います。
 科学技術庁創設三十周年を迎えました。そして昨年は科学万博、筑波万博が関係の皆さんの大変な御努力で成功を見たことはまことに御同慶にたえません。ここに安田元長官もおられますが、大変な御努力であったわけでありますし、また委員の諸先生の非常な御協力、御支援があって世界的にも大変な反響を呼んだわけであります。
 そこで、科学技術博覧会の成果、そしてまたそれを単なるイベントで終わらせないということが一つのコンセンサスであったと思うんですが、その成果、評価と、そして後をどのようにしてやっていくのか。新しい財団をつくってやっていく、そして若い人たち等々に大きな寄与をしていくということでありますが、その財源が実は、二千万人が二千三十万人になったので大変成功だとは言えますけれども、大阪万博のようにもっともっと人が来てもっとお金ができればこれはもう立派な財団になったわけでありますが、百億足らずかその前後の財団ということになると余り大きなこともできない。大きな期待もできない。しかしこれは一つの種であって、これを大きく育てていくということが大事であろうと思いますが、その辺について大臣の基本的なお考えをお伺いしておきたいと思います。
#9
○国務大臣(河野洋平君) 科学技術庁は昭和三十一年に正力松太郎初代長官からスタットをしてことしで三十年になるわけでございます。この三十年間の中で大きな催し物として昨年、今先生御指摘のとおり大ぜいの方々の御努力、御協力によって科学技術万博が開催をされまして、二千万人という大変多くの方々に見ていただくことができたわけでございます。この科学万博は、思いますのに過去、現在、未来にわたる人間と科学技術とのかかわり合いというものを親しく多くの人に見せることができた。従来我々の先祖がどういう科学技術というものをつくり上げ、現在それがどうなっておるか、そしてさらに未来にどういう人間社会とのかかわり合いになっていくかということを見ていただいた。それによって多くの方々に科学技術というものが本当に我々の周りにある、我々は言ってみれば科学技術の中に住んでいるというような認識を持たれ、さらにそれが正しく利用、活用されることによってこういう未来社会というものが存在するということを御理解をいただけたと思っております。
 ただ、今私が申しましたように、我々は科学技術の中に住んでいると言っても過言でないような現在でございますけれども、しかし、それが果たして非常に快適であるかどうかということについてはかなりいろいろ議論もあるところでございまして、科学技術の目指すものがまさに人間、そして生きとし生けるものにとって快適な環境をつくるというものでなければならない。また経済の発展あるいは国際的な平和に寄与するものでなければならないということを考えつつ私も万博を拝見したわけでございます。多くの方々、とりわけ国際的にも、海外からも多くの反響を呼びまして、日本の科学技術について多く知らせるところがあったというふうに考えております。
 先生御指摘のように、これが一つの催し物で終わってしまってはならないと私も思っております。したがいまして、予定を超えた入場人員によってもたらされた科学技術万博の剰余金約八十億余の金額をもちまして筑波万博の記念財団を創設いたしまして、これから先も科学技術の振興発展、青少年に科学技術への親しみを持って正しく理解してもらえるように、そうしたようなことをこの記念財団で十分御討議をいただいてそうした方向に進めていっていただけるもの、そう承知をいたしている次第でございます。
#10
○岩動道行君 次に、昨年でしたか、カナダの才クワでいわゆる科学サミットが催されたんでありますが、これは私が一番最初に話をして、ようやくこれが実現できたわけでありますが、それの評価と、そしてさらにこれが続けられるのかどうか。さらに、いわゆる本物のサミットといいますか、東京で近く開催されますが、そのサミットでも科学技術に対する国際的な分担、研究開発をやろうということで幾つかのテーマが出されたのでありますが、そういったようなものはこういう科学サミットの方で引き受けてそういうものをさらに促進していくとか、そういったような役割も必要ではないだろうかというふうにも考えるんですが、この科学サミットについて大臣のお考えをお伺いしておきたい。
#11
○国務大臣(河野洋平君) 科学サミットは岩動先生、科学技術庁長官当時大変なお骨折りをいただきまして、世界各国に対する当時の岩動長官の呼びかけで開かれたものと承知をいたしております。
 世界経済の活性化あるいは資源エネルギー問題への対応、こういったことはいわゆる先進国首脳会議でも話題になりまして、そうした問題の解決のためには科学技術の開発以外にないんじゃないかというような議論さえあったと伺っておるわけでございます。そして、こうした問題を討議し解決策を見つけ出すためには国際的な協力しかない、こういうところまでは各国首脳の合意点であったというふうに理解をいたしております。つまり岩動長官のヨーロッパ、アメリカに対する呼びかけはまさに先進国首脳会議での議論というものと同じ趣旨、同じ方向を目指しておられたというふうに思います。そして昨年十月、カナダにおきまして日本、アメリカ、イギリス、西ドイツ、イタリー、オーストラリア及びカナダの七カ国が集まりまして、科学技術サミット、科学技術担当大臣の会合が開かれたわけでございます。この会合は主要先進国の科学技術担当大臣が初めて一堂に会したという意味で、言ってみれば歴史的なものだというふうに私どもも感じておりまして、各国の科学技術推進の長期的な基本政策等について意見の交換が行われた。竹内前長官が御出席になられまして、いわゆる十一号答申その他を踏まえて我が国の科学技術の振興策などを御説明になって大変大きな評価を受けたというふうに伺っておるわけでございます。
 こうした会合、非常に意義のある会合と存じておりますけれども、今後の開催については、カナダの会合のときに次回の問題について特別の具体的な取り決めがなかったというふうに聞いております。それは、一つは定期的にというよりは随時そうしたテーマがあればというふうにお考えの方が多かったのではないかというふうにも理解しているわけでございまして、いずれの国からか、こうしたテーマでやろうじゃないかという御提案があれば各国が協議をして次の会合に向けての準備が始まるのではないか。私どもは、そうした呼びかけがあれば外務省その他と御相談をしながら対応したい、こういうふうに考えている次第でございます。
#12
○岩動道行君 先進国首脳会議はやっぱり経済問題を契機として設けられたわけでございます。そういう中で、経済の活性化は科学技術と不可分のものである、したがって、この科学サミットというものがやはり先進国首脳会議のシェルパの役割をしていくことが必要であるし、また、お互いに合意のできたテーマについては、ややもすれば忘れられてしまって、私どもは余り承知しておりません。そういうこともありますので、これは随時ということも結構ですが、ぜひ河野大臣、これを定着できるように御努力をいただき、この秋ぐらいには大臣、ひとつ東京で開くなりどこかで開いて、シェルパの大きな役割を果たしていただくようにお願いをしたいと思います。
 さて、科学技術についての基本的なことは科学技術会議を中心として科学技術庁がやって、総合調整という役割を果たしているわけであります。科学技術庁の役割は、私流に表現するならば、いわば科学技術政策、行政の参謀本部の役割を果たしていくべきものではないか、こう考えているわけでございます。そこで、この七月には行革等の関係から科学技術庁の部局の再編をおやりになる、これは所信表明に至言っておられますが、その基本的な方向と、そして参謀本部的な役割はその中でどのように生かされるのか、この点について御説明ください。
#13
○国務大臣(河野洋平君) 詳細は官房長から御答弁申し上げますが、今岩動先生御指摘のとおり、科学技術の振興についてまずます役割重大と考えております。私が申し上げるまでもないと思いますけれども、レベルの高い、質の高い技術開発というものが世界的に競われておりますが、そうした中で創造的、基礎的な研究をやっていこう、こう考えますと、学際的あるいは国際的、あるいは各役所を超えたさまざまな協力とか研究というものが必要になってまいります。そうしたことを踏まえれば踏まえるほど総合調整機能、そういったものも重要になってくるというふうに考えておりまして、内部の機構改革等を含めてこの重要な役割を担っていく、そういう決意でございます。
 機構改革の詳細は官房長から御説明させていただきます。
#14
○岩動道行君 簡単でいいですから。
#15
○政府委員(矢橋有彦君) ただいま先生御指摘のとおり、私どもといたしましては七月一日から内部部局の大幅な再編成を予定しております。
 具体的に申し上げますと、現在五つ局がございますが、そのうち計画局、研究調整局及び振興局を、科学技術政策局、科学技術振興局及び研究開発局に改めようとするものでございます。この考え方でございますが、これは昨年の行革審答申を受けて行うわけでございますが、私どもの主たる目的は三つございます。一つは、総合的な企画調整機能及び科学技術会議の事務局機能を強化するということ。二番目には、科学技術振興のための体制、条件整備の推進体制を強化するということ。それから三つ目には、社会のニーズの変更に的確に対応できる体制を整備するという三つの目的で機構改革を行うものでございます。
 なお、ここで大切なことがあると思っておるわけでございますが、それは科学技術庁の職員の自覚、意識の問題であろうと考えているわけでございます。この点は岩動先生、大臣御在任中の指導内容の重要な一つであったわけでございますけれども、私ども、今日ほど科学技術に対する社会のニーズが高まったことのない時期に科学技術行政の一端を担わしていただいているというわけでございます。よい意味での一流官庁の意識と申しますか、自負心と責任に対する自覚を持って一生懸命やってまいりたい、かように考えておるわけでございます。よろしく御指導を賜れば幸いでございます。
#16
○岩動道行君 今、官房長から、まず庁の役人の皆さんの自覚が大事であるということ、これは大変大事な点だと思います。やはり使命というものを自覚をし、その使命感に燃えてやらなければいけない。しかし残念ながら、科学技術庁はまだまだ寄り合い世帯であります。したがって、各省庁から出向して何年かたてばまたもとの役所に帰る。そうなってくるとどうしても母屋の方を気にしながらしか仕事をやれない。これでは本当の仕事はできないんです。したがって、私はまず自前の科技庁の人たちを十分に育てていくということ、と同時に、各省庁からも優秀な人材を大いに糾合して、人材のスカウトをやって、そしてまさに参謀本部であるという具体的な事実を人によって示していく必要があろうかと思うんであります。そういう人材の養成、これは極めて大事であります。形だけではございません。そしてまた各省庁との協調、協力もいただかなければなりません。それにはやっぱり立派な人を各省庁から出してもらって、移住の精神じゃだめなんです。もう帰らない、おれはここへ骨を埋めるんだ、そういう人をぜひ各省庁から糾合して、そして日本の科学技術政策、日本の科学立国というものを確立していただきたい。この点について長官の御所信をお伺いしたい。
#17
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど来申し上げておりますように、科学技術庁が創立三十年ということで、科学技術庁ができてから科学技術庁に入省された方がもう十分育ってきておられます。こうした方々、あるいは今先生から御指摘のように、他省庁からおいでをいただいている人たち、そういう人たちが実際に力を合わせて日本の科学技術行政の中核になる、そういう決意でこの問題に取りかからなければならぬと思います。総合調整役が、総合調整機能を果たすべき役所が、先生御指摘のとおりどこか特定の母屋に気を引かれているということであっては、調整機能は発揮できないわけでございますから、科学技術行政に携わる人間、一致して先生の御指摘を踏まえて、決意を固めてこの行政に取り組みたい、こう考えます。
#18
○岩動道行君 大臣の所信表明の中に、これは冒頭の方だったんですけれども、アメリカのスペースシャトルの事故で犠牲になられた宇宙飛行士があったわけでありますが、まことに痛ましいことであり、また私どもも心から弔意を表したいと思いますが、昨年私もアメリカに参りまして、NASAの長官と会い、また打ち上げも見ることにして現地に行きました。そのときにはベッグズ長官と一緒に打ち上げの現場まで行ってみたのでありますが、秒の、あと十秒、九秒というふうに秒読みに入りました。まさに打ち上げに入るのかなと、もう煙も上がっておりました。そして五、四、三と、そこで秒読みがとまってしまったんです。それで打ち上げはストップということになったわけです。そこで、これはコンピューターがそういう指令を出したわけでありますけれども、そういうようなことでコンピューターが打ち上げの危険といいますか、打ち上げてはいけないんだ、どこかに何かトラブルがあるんだ、こういうことでそのときには結局打ち上げに至らなかった、三秒前にとまった、これもすばらしい科学技術の一つの力であったと思います。
 ところが、先般のは何回もトラブルがありながら、それを延ばし延ばししてとうとう打ち上げてあのようなまことに残念な事故につながってしまった。オニヅカという日系二世もそれに乗って犠牲者になって、まことに痛ましい限りであります。私はオニヅカ中佐にも昨年会いました。この次自分が行くときには握り飯を持って宇宙飛行の旅に出るんだ、こう言って意気軒高としておりました。また、いろいろな施設をみずから案内をしてくれて、こういう点は大変窮屈だから直してもらわなければいけないとか、いろんな具体的な体験談を聞いたわけでありますが、私ども日本人といたしましても、新しい三人の宇宙飛行士が今訓練中でありますけれども、その先を行く日系のオニヅカ中佐が犠牲になられたことは本当に残念でなりません。しかしこれを乗り越えていかなければいけないと思います。ただ、そのことによっていろいろな計画が遅延するという問題もあるわけでありますが、これらの点については、時間もありませんのでまた別の機会に譲りたいと思いますけれども、いずれにしろこの宇宙開発計画の国内体制そして国際協力、国際協力という点になってくるとアメリカというものを中心としたことになる、しかしヨーロッパも無視するわけにはまいらない。そういうようなことで、宇宙については国内の自主開発を進めると同時に、国際協力についてはむしろアメリカを叱咤激励しながらおやりになっていただきたいと思うわけであります。
 さて、研究交流促進法は既に衆議院で審議を開始したと聞いておりますが、この問題につきましては、いずれ法案を中心とした審議の機会があると思いますので、その点は詳細にわたる質問は避けたいと思いますが、基本的に私は伺っておきたいのは、産学官という言葉の中に、産学官といっても、それが今度の法律でどこまでができてどこまでは法律でないけれども運用でやれるのか、運用でもできない別の分野があってこれからさらにそれを補足していけば全体として形ができ上がるということになるのか、その点について伺いたいと思うんです。
 まず官と官ですね、国の研究機関同士の間のことをまず先にやらなければいけないと思います。それから官と学、これは国立の大学ということになると思いますけれども。それから官と産の問題、それから学と学の問題、あるいは学と産の問題、あるいは産産の問題、いろいろな段階といろいろな結びつきがあると思います。こういうものを総合して初めて産学官の国家的な科学技術の交流促進ということになるわけであります。したがって、官と官といっても、その場合には国と国だけではなくて地方公共団体というものも入ってくると思うんです。あるいは学といっても国立大学だけではなくて私立大学という大変重要な役割を果たしている分野もあるわけです。あるいは公立大学も入りましょう。したがって、そういう総合的な産学官というもののポールピクチャーをまず頭に置いて、そのうちまず今度は、身分上の問題あるいは特許権等財産上の問題については、こういうことは今度の法律で解決したけれどもこの点はおくれていると。例えば大学との関係は、今臨教審でいろいろなことをやっているからその点についてはそっちの方の答申も踏まえつつやらなければいけないからある程度その点は抜けているというか、後回しにするとか、こういったようなことにもなっているように思うんでありますが、この基本的なことだけをこの際伺っておきたいと思います。
#19
○国務大臣(河野洋平君) 法案の詳細、局長から御答弁申し上げますが、今まさに先生御指摘のとおり、産学官の有機的な結合というものをやりやすくすることによって研究のスピードを速める、あるいは効果を十分持つということは今非常に重要だと思っております。私は、筑波研究学園都市というのはまさにその一つの実験の場でもあるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。御承知のとおり、筑波研究学園都市には非常に多くの国の研究機関が集まっておりまして、また筑波大学という国の大学がそこにございます。あるいはまた、最近では民間の研究機関も筑波に、随分あの周辺にできるようになってまいりました。そうしたものがまず地理的条件という意味からももっともっと交流が進んでいいのではないか、こう思っておりますが、正直なところ、せっかくああいういい場所に研究機関が集まりながら、横のつながりというものは実際は必ずしも十分だとは思えないのでございまして、極めて残念に思っておりまして、科学技術庁長官になりましてから急いであそこへも行っていろいろ見せていただいてまいりましたけれども、交流センターという施設をつくって、交流を図ろうとしていろいろ努力、工夫はしておられますけれども、必ずしもまだ十分だというふうに思っておりません。
 今回御提案を申し上げております法律は、必ずしもそうしたことすべてを考えているのではなくて、むしろ国と国以外のものとの間の研究交流の隘路を直していくというところにとどまっております。先生御指摘のとおり、まだまだいろいろなつながり方というものを促進するような私どもでできるお手伝いを考えていかなければならぬと思っておりますが、今回の法律に関します限り、国と国以外のものとの研究交流の法的な隆路を取り除くということに絞って法律案をつくっておりますことを御理解いただきたいと思います。
#20
○岩動道行君 これ、法律は改めて別の機会に中身に立ち入ってやりたいと思っておりますので、今の大臣の基本的な認識は私も同じでございます。やはり垣根が、研究機関の中でも各省庁の縄張りといいますか、そういうものがあって総合的な機能的なことがなかなかできていない。ですから、まず国で一番やりやすいのは、各省庁の国立の試験研究機関、そこがもっと有機的なつながりを持つということ、これは法律なんかそんなに必要ないかもしらぬし、もっともっと促進ができるんじゃないか、こういうことを私思っておりますので、そのことだけを申し上げておきます。そして今度のこの研究の交流促進法で何か大変御苦労なさったことはよくわかる。財政当局とも大変難しい交渉をされたこともわかる。身分法の問題で、どこかよそに行くとまたすぐ退職金だとか何とか、年金の問題とかいろいろあるから、それは苦労して、これは財政当局もかなりの理解を示して相当のものができたと思いますけれども、ただ、これで事足れりとしてはいけないのであって、これが画期的なものだといったような、何か大いにやったぞといったように威張れるものだとは必ずしも私は思わないんです。前進であり、評価はしますけれども、もっともっとまだやるべきことがあるということをこの機会に申し上げておくだけにしておきたいと思います。
 それから、交流促進法もやりながら、基本的な基礎研究ということが大事だということは長官もおっしゃっています。そのとおりであります。ところで日本の研究投資というものの実態は、これは私、具体的な数字は余り承知しておりませんが、八兆円からあるいはそれを超して九兆円近くになっているのかもしれません。金額はそれといたしましても、国と民間との研究投資の割合から見ますと、最近の数字は私は知りませんが、かつて私が承知した時点においては、国が二三%ないし二四%、残りの七六、七%は民間の研究投資である、ここにやはり日本の基礎的な研究の実態が出ているんじゃないだろうか。よその国で見ますと、やっぱり国と民間とで大体五〇、五〇というような姿になっているわけですね。どうしても民間で研究投資をするということになると、それは直ちにやはり商業、応用の方に向かわざるを得ない。これはもう当然だと思うんですね。会社の金を使ってやるんですから、企業ですから損するわけにはいかない。配当もしなければいけない。そうしなければ研究の投資もできないわけですから、どうしても応用分野に行ってしまう。基礎的なところが抜けてしまうんです。だから、やはり国はもっと研究投資をふやしていく、これはもう絶えず努力をしているけれども、今のこういう財政の状況だから難しい難しいと。しかし難しいでは済まないと思うんです。
 財政再建、そしてやがて税の基本的な抜本改正も我々今検討しております。そういう中において、私たちは入るをはかって出るを刺さなければいけないんですけれども、出る方の分野においては、特にこの研究分野の国の割合をふやしていくということに力を入れていかなければいけない。だから、どうでしょう長官、ノーベル賞の受賞者の数、これ始まって以来今日まで自然科学分野で三百七十人になりますかね。日本は何人ですか。四人でしょう。四人ですよ。このことは端的に日本の基礎研究がおくれている、やはり模倣、創造性のない導入型の科学技術であったということを証拠立てているものじゃないでしょうか。私は大変残念であります。したがって、これについては所信表明でもいろいろなことをおっしゃっています。そして歴代の長官も、ここにおられますけれども、皆さん大変努力をしてこられた。しかしまだまだ十分な対応ができていません。したがって、この点についてはさらに大臣に努力をしていただかなければならないわけであります。
 予算の関係から言いましても、万博で相当の金がついたわけです。それで、私のときでもそうだったんですが、万博の基本的な投資が済んだということで、それはもうゼロになるわけだったんですが、それを全部科学技術の振興のために使わしてもらった。今度もそうなっています。しかし大臣は今度はそういうもののない予算編成に直面しなければならぬのですよ。そういういい財源がもうないわけですよ。そこに私はこれから大臣の大きな役割があると思うんです。そのことをひとつ、御認識を持っておられると思いますけれども、大臣の手腕はここにかかっているんですから、頑張っていただきたいんですが、その点についての覚悟のほどを伺っておきたい。
#21
○国務大臣(河野洋平君) 前段、先生が御指摘になりました研究投資でございますが、御承知のとおり、五十九年度の研究投資は日本の国は七兆二千億。国と民間との割合は残念ながら八対二という、かつて七、三、こう言われた時代があったようでございますけれども、現在では八、二というバランスになっております。しかしこれは歴代長官、あるいは科学技術に御関係をいただく多くの先生方の御努力もございまして、国の予算が減っているわけではないわけでございますが、民間の研究投資が非常にふえていると。これはうれしいことでございますが、民間の研究投資の伸びが一〇%近い伸びを示す。国の予算も決して減っているわけではない、今先生御指摘のとおり、この厳しい財政状況下でほかがみんな横ばいの中で、御努力で研究投資も伸びてはおりますものの八対二になったというのが現状でございます。
 そして、まさに御指摘のとおり、ポスト万博におきましては従来の万博に向けられていた予算を、今度は本来の科学技術の振興のために使っていくということで、ことしの予算は、こういう言い方はどうかと思いますけれども、厳しい財政状況下にございましては、他の省庁なかなか厳しい予算編成の中で、皆さん方の御努力によって万博の後の予算を万博が終わったからといってその分だけ削られることでない予算を組んでいただいたということを大変感謝をいたしております。私は、今御指摘がございましたように、これから庁内力を合わせて、また多くの方々のお力もいただいて、二十一世紀に向けて極めて重要な時期でございますだけに、この科学技術予算というものを少しでも実りのある予算をつくっていかなければいけない、このように考えているところでございます。また多くの先生方のお力添えもお願いを申し上げる次第でございます。
#22
○岩動道行君 財源については一般財源もあれですけれども、これこそ百年の大計なんですからね、何か、科学研究債券ぐらい、国債ぐらい発行するぐらいの意気込みでひとつ財源づくりをおやりになって、これは二十一世紀に我々の後継者が恩恵を受けるわけですから、そういう意味では、大した金じゃないですから、それくらいのひとつ新しい発想を、新自由クラブの大臣なんですから頑張っていただきたいと思います。
 時間もなくなってきましたので、まだまだ伺いたいこともあるわけですが、一つだけ申し上げておきたいのは、ライフサイエンスの時代になってきた、そしてバイオテクノロジーが非常に大きな役割を果たすときに組みかえDNAがどんどん進歩しております。そういうときに、それの基礎になる遺伝子資源、これの収集、保存、情報化、これをひとつしっかりやっていただきたい。これは各省庁にまたがる問題であります。したがって、各省庁おのがじし垣根をつくることも必要かもしれないし、それぞれの特色でその分野はありましょうけれども、そこはやっぱり総合調整をする機能の科学技術庁としてはどこが何をやるという分担をよく決めて、そして世界的にもなくなっていく野生植物等の収集も早くやっていかないと絶滅をしていく貴重な遺伝子資源、こういったようなものに着目をして速やかにこの対応をやっていただきたいと思うのであります。これについては先般関係省庁で世界の有数な植物園の視察等もされて、それをもとにしてさらに具体的な推進を図られておりますけれども、これは長官、ひとつ農水大臣あるいは厚生大臣、文部大臣等々、関係大臣ともよくお話しになって、そして速やかにおやりにならないと日本の科学技術はこの分野で立ちおくれてしまう、もとがなければどうにもならぬですから。このことを特に要望を申し上げておきたいと思います。
 それから、科学技術庁の一つの大きな仕事としては原子力の問題があります。宇宙、海洋等ございますけれども、そこまで入る時間の余裕もございませんので原子力について若干申し上げたいわけでありますが、何といっても原子力は平和利用と安全そして信頼性がなければ進めるわけにいきません。長富もこれは所信表明でもそうでありますが、先般の原産会議においても長官の私は所感を伺いましたが、まさにおっしゃるとおりであります。そこで、そのようなものをどのようにして確保していくかといえば、結局は原子力委員会と原子力安全委員会というものが非常に大きな支えになって、これがきちんとしていなければ私はいけないんではないか。そういう意味で原子力委員会、原子力安全委員会の重要性というものを大臣はどのように認識をしておられるのか。改めて聞くほどのこともないと思いますけれども、やはりこの機会にこれに対する基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
#23
○国務大臣(河野洋平君) 原子力の開発利用は年一年と充実をし活発になってきております。一例を挙げれば、原子力発電の発電量は日本の総発電量の二六%になった、これは石油を抜いて一位になったという状況でございます。民間のこうした活発な動きというものを考えますと、先生御指摘のとおり、原子力委員会、原子力安全委員会、こういうものがますます重要度を増してきているというふうに思います。民間のそうした活発な行動というものを見るにつけても、もちろんそれは十分な安全対策を施し十分な配慮をした上での作業ではございますけれども、原子力行政というものを考えて長い将来というものをしっかりと踏まえた原子力委員会の仕事がこうした人たちに指針を与えていく、目標を与えていくという面で非常に重要だ、また同様に原子力安全委員会の存在というものも極めて重要だと思います。私は原子力産業会議の新年のごあいさつでも申し上げましたけれども、アメリカ、イギリスの事故などを、あるいはトラブルなどを聞くにつけても、決してこの事柄になれてはいけない、上手になり過ぎて上手の手から水が漏れるようなことがあっては決してならない、我々はいつでも初心を大事にして、緊張をしてこの問題に取り組んでいかなければいけないと思っておりますよということを原産会議の方々にも申し上げたところでございます。安全性というものを第一に、そしてしかし日本のエネルギーの中核としての原子力というものをやはり我々は重要に考えてこれから先も進んでまいりたいと思っております。
#24
○岩動道行君 そこで、若干具体的なことに触れてみたいと思うのでありますが、日本の原子力はそこまで進んで日本の産業、経済そして国民生活に非常に大きなウエートを占めてきたわけでありますが、いわゆる核燃料サイクルの確立が大事だ、これはもう改めて申し上げるまでもありません。
 そこで、再処理の施設とウラン濃縮の施設と低レベルの廃棄施設、これ、いろいろ問題ありますからまた別の機会になにしたいと思いますが、とりあえずきょうは、この三点セットのうちの低レベルのものについては、これは日本原燃産業株式会社というのができてそこが責任を持ってやるということになったわけですね。そこで、地元での反対はまだ残っているわけなんですが、どうなんでしょう、廃棄物ができるのは電力会社がウランを燃やしてできてくる、それを別の会社が処理をしてやっていく。やはりそこには安全性とかいろいろな問題があるわけなんでして、そういうものをつくった会社、事業者が、おれのところはもう済んだよといってほかの会社に任せちゃって、法人格、別の人に渡しちゃって、もうおれは知らぬよと言うわけにはいかないんだろうと思うんですね。そこら辺に対する対応というものがどうなるのか。電力会社も大いに力をかすと、こう言っているんですけれども、そこら辺はやはり原因発生者というものの責任体制、責任感というものをはっきりさしておく必要があろうかと思うのですが、この点について一つ。
 時間がなくなったのでもう一つつけ加えて申し上げますが、こういう三点セットをやる場合に、再処理あるいは濃縮等いわゆる動燃事業団というものは大変長い間努力をして、そして技術開発をやり改良をしてきたわけですね。この技術移転の問題がここに起こってくるわけです。したがってこういう関係と、それから動燃自体の将来というもの、やはり極めて重要な役割がまだまだあるわけなんで、そういう意味で動燃の将来というものについてどういう認識を持っておられるのか。
 さらにもう一点。プルトニウムがだんだんに再処理の結果ふえてくる。つまり、フランスにお願いしてやっているわけですが、プルトニウムの活用ということをどういうふうに考えるのか。
 あと、いろいろ問題があるんですけれども、時間がなくなってしまったんです。日中の原子力協定の問題あるいはアメリカとの原子力の協定の改定問題、これなんかも大変大事なんでいずれ日を改めて伺うことになるかもしれませんが、今言ったようなことについて簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
#25
○政府委員(中村守孝君) 先生から今いろいろの御指摘がございましたので、一つ一つ詳細は差し控えたいと思いますが、まず第一に低レベル廃棄物につきまして青森県下北半島に設置することについての発生者責任との関係でございますが、この点につきましては、我々も発生者の責任というものは最後まで貫かれなければいけないという基本的な考え方に立って今、国会の方にも御審議を煩わしております法案の中にその内容を盛り込んでおるわけでございますが、まず発生者である電気事業者がみずからの廃棄物を処理するのにどういう方法がいいだろうかということをみずからが考え、その結果といたしまして集中的に処分しようと計画し、そういうことで、そのためには新しい組織をつくって、少なくともその運営についてはそこが責任を持つような体制というものでやっていこうじゃないかということで、電力会社がほとんどの資金を出資しまして新しい組織の原燃産業という会社をつくったわけでございまして、その会社が実際の運営それから第三者に対する一元的な、例えば賠償責任等は一元的に負うという形にしてあるわけでございますが、発生者である電気事業者は、その事業者に発電所からの廃棄物を引き渡すにつきましては、その廃棄事業者が十分に安全に処分できるようにぴっしりとした形で物をまとめてお渡しをするという責務を依然として負っておりますし、その廃棄事業者が末永く健全な運営ができるように電気事業者としての支援をするということにつきまして原子力委員会でもそういう決定をいたしてございますし、また電気事業者自身もはっきりとそういう責任体制で臨むということを明言しておるところでございまして、この点についてはきちっと発生者の責任が貫かれるものと考えておる次第でございます。
 それから、動燃事業団の三点セット、すなわち再処理、濃縮、低レベル廃棄物の処分、こういったものに対する動燃事業団とのかかわりでございますが、再処理施設につきましては、原燃サービスが再処理工場を計画するにつきましては動燃事業団の技術陣が積極的にこれに協力いたしておりますし、また逆に原燃サービスの方が動燃事業団のこれまでの経験と技術的蓄積というものを十分に取り入れて計画し、進めていくということでございまして、具体的には、例えばこの再処理施設の基本設計というようなものにつきまして、簡単な言葉で申しますと、いわゆるチェック・アンド・レビューというようなものを動燃事業団が請け負うというようなことをいたしておりますし、両者の間で協力についての基本協定、実施協定というようなものを結びまして技術移転が円滑に行われるようにしておるわけでございます。
 濃縮事業につきましては、これはまさに動燃事業団がこれまで開発してまいりました濃縮技術をもとに新しい工場を建設するわけでございまして、動燃事業団と原燃産業とが密接な協力のもとに我が国の燃料サイクルを確立するための新しいプラントを建設する、こういう関係で対処をしておるわけでございます。
 動燃事業団の将来につきましては、まさに先生御指摘のように、今後まだまだ残されているといいますか、新しく切り開いていかなければならない仕事がたくさんございまして、高速増殖炉の開発はもとより、燃料サイクル関係におきましては、こういった民間の再処理工場とかあるいは濃縮工場の一層の技術の向上に動燃事業団が大きな役割をしていくばかりでなく、その再処理技術につきましては、さらに高速増殖炉の再処理技術の開発という大きな仕事もございますし、それから廃棄物の処分、特に高レベル廃棄物の処分というような問題につきましては今後動燃事業団に期待されている部分が非情に大きいわけでございます。こういうことで、動燃事業団の職員が将来に向けてますます意気軒高に業務に邁進してもらうよう我々としても期待し、指導していきたいと思っておる次第でございます。
 それから、プルトニウムの活用についての御質問がございました。
 現在、フランス、イギリスに再処理を委託しておりますが、こういったプルトニウムを国内に持ち帰りましてこれを利用するということが基本でございますし、現在計画を進めております下北の再処理工場から出てまいりますプルトニウムについてもこれを積極的に活用していくということが資源の少ない我が国においては重要な課題であるわけでございます。もとより、プルトニウムの利用は高速増殖炉において真価を発揮するといいますか、本格的に非常に大量のものが利用されるわけでございますが、高速増殖炉が実用化されるまでの間におきましても、現在動燃事業団が開発し、電源開発が計画を進めております新型転換炉においてはこのプルトニウムを既に燃料として使用しておりますし、さらには一般に使われております軽水炉の発電所におきましてもこのプルトニウムを使う。既にこの点につきましては、ヨーロッパ等においては多くの試験研究も進みまして、実用に近い規模での試験も終わっておるわけでございますので、我が国でも早晩、できるだけ早くこのプルトニウムの軽水炉での利用というものを実用化してまいりたいと考えておる次第でございまして、高速増殖炉につなげる間このプルトニウムを有効に利用できる技術的基盤というものをきっちりと確立していくというために、ある程度の産業的規模においてプルトニウムを活用していくということが必要であろうかと思っておるわけでございます。
 こういったプルトニウムの活用という点におきましては、動燃事業団はまさに今国内において唯一の豊富な知見を持っておるところでございまして、こういうプルトニウムの燃料をつくるという技術は動燃しかございません。そういう意味で、先ほど先生から御指摘の動燃事業団の今後の大きな仕事の一つと考えておる次第でございます。
 以上でございます。
#26
○岩動道行君 一言だけ大臣に最後に。今言ったように、原子力についてはまだまだいろいろな大きな問題が残っております。しかも、石油価格がこういう状況になってきた場合でもやはり原子力というものは日本の代替エネルギーとしては大変重要でありますので、特に原子力エネルギーについての大臣の基本的な考え方、そして核燃料サイクルについても、これはトイレや台所のないマンションに住んでいるようなものですから、ウサギ小屋以下かもしれない。だからこれは推進してもらわなきゃいけないし、そのための推進会議というものもできているわけですから、十分に御活用いただきたい。大臣、最後に御決意を伺って終わりたいと思います。
#27
○国務大臣(河野洋平君) 我が国の原子力研究開発利用につきましては、原子力基本法に基づいて、平和の目的に限り、安全確保を前提に進めるというのが私どもの最も重要な姿勢でございます。
 先ほども申し上げましたように、原子力発電は、石油代替エネルギーの中核として我が国において既に二十年に及ぶ安全な運転の実績を積み重ね、我が国社会に不可欠なエネルギー源として定着をいたしております。今後の石油需給につきましては、今先生お話しのようにさまざまな見方が存在しておりますが、長期的には石油依存度の低減を図っていくことが日本のエネルギーの安定供給にとって必要でございまして、石油代替エネルギーの中核として原子力の開発利用を着実に進めていくことが肝要だと心得ております。このため、今後とも安全性の確保に万全を期しまして、原子力発電技術の一層の高度化、核燃料サイクルの確立、将来の原子力発電の主流である高速増殖炉の開発、核融合などの先端的研究開発の推進を積極的に進めてまいる所存でございます。また、原子力技術は、世界の共通課題であるエネルギー問題の解決に役立ち得るものでございますから、今や原子力先進国の一員である我が国として、国際的な原子力の平和利用の推進に積極的に貢献していくことが重要であると考えております。
 今、先生御指摘のとおり、こうした重要な原子力の開発利用を考えますと、少なくとも当面する大きな課題は放射性廃棄物の安全確実な処理処分の問題がございます。この問題につきましては、国民各位の御理解をいただきながら、この問題の解決なくして日本の原子力の本当の定着はないという気持ちで取り組んでおるわけでございます。一層努力をしてまいります。
#28
○片山甚市君 宇宙開発政策の現状と問題点についてただしていきたいと存じます。
 私は、常任委員会では逓信委員会に所属しておりまして、去る三月二十七日にNHKの六十一年度収支予算を審議した際、放送衛星「ゆり」二号a及びb、あるいは昭和六十五年度に打ち上げる予定のBS3についての問題点をただしてきたところであります。また、NTTにおいては通信衛星「さくら」2a及び2bを利用し、KDDにおいても国際電気通信衛星機構、インテルサットの通信衛星システムを利用するなど、人工衛星は今日、情報通信産業においては不可欠の存在であります。高度情報化社会への道を歩んでいる我が国にとって、宇宙の平和利用に重大な関心を持つ必要があるということは言うまでもございません。利用目的、これは平和利用か軍事利用かについての目的でいえば、私たちは平和利用を徹底的に追求する、開発体制には膨大なお金がかかりますからその経費をつくらなければならない、利用体制としては機能喪失によって混乱が起こることがないように十分な配慮をしなきゃならぬなど、一歩誤ると国家の存立さえも危うくする事業であり、本委員会の任務も、管理監督の立場にあるものとしてその責任は極めて委員会としても重大であると思っております。こうした立場から、当面する問題点の幾つかをただすことにするので、明快な長官の御答弁を賜りたいと思います。
 まず第一に、去る三月十二日、宇宙開発委員会による宇宙開発計画が明らかにされておりますが、その概要について御説明を賜りたいと思います。
#29
○政府委員(内田勇夫君) お答え申し上げます。
 宇宙開発計画は、内外の情勢、国内の研究及び開発の進捗状況、宇宙の利用に関する長期的見通し等を踏まえ、我が国の宇宙開発の基本方針である宇宙開発政策大綱の趣旨に沿って具体的な開発プログラムを定めたものでございまして、毎年度これを見直し、所要の改定を行っておるところでございます。
 本年三月十二日に策定いたしました宇宙開発計画の改定されました主要点は、磁気圏の観測を目的といたしました磁気圏観測衛星について昭和六十五年度に打ち上げることを目標に開発を行うこと。粒子加速器を用いた大型科学実験、これはSEPACと呼んでおりますが、これを六十一年度に再実験を行うことを目標としてその準備を進めること。資源探査等を目的とした地球資源衛星一号につきまして昭和六十五年度に打ち上げることを目標に開発を進めること。二トン級静止衛星打ち上げ能力をも有するHUロケットにつきまして、昭和六十六年度に試験機の第一号を打ち上げることを目標に開発を行うこと。それから大型静止衛星バス技術の確立を目的とした技術試験衛星のY型につきまして所要の研究開発を行うこと。さらに、放送衛星二号aの故障によりまして二号bの打ち上げ時期を延期せざるを得なくなったことに伴いまして、予備用のHTロケットの試験機、放送衛星三号aの打ち上げ用HTロケット三号機について、これらの打ち上げ目標年度を変更するといった点を変更いたしたところでございます。特に放送衛星三号につきましては、放送衛星二号a中継器の故障により二号bの打ち上げを延期し、さらに二号aの故障の経験を踏まえまして、信頼性の一層の確保のために中継器を国産化し、従来以上に地上試験を十分行うことといたしまして、六十五年度及び六十六年度に打ち上げ目標の目標年度を延期したものでございます。
#30
○片山甚市君 そうすると、「まえがき」には「これまでに三十一個の人工衛星を打ち上げ科学研究及び実利用の両分野にほぼ所期の成果をあげている。」と書かれているわけです。ところで、昭和六十年三月十三日決定の宇宙開発計画と異なるものの六つの項目とは、すべてこれまでの研究開発及び利用が満足する結果に基づいたと理解してよろしいですか。
#31
○政府委員(内田勇夫君) 今回の六つの変更点でございますが、その大部分は、従来の研究開発の成果を踏まえまして、さらにこれを発展させるという内容でございます。
 ただ、最後に申し上げました放送衛星二号aのトラブルによります二号bの打ち上げ、それに伴います他の衛星の打ち上げ時期の調整、これは先ほど申し上げましたように、二号aのふぐあいに対しまして十分な対策をとり、このようなことが二度とないように十分な信頼性のあるものをつくるという観点から調整を行ったものでございます。
#32
○片山甚市君 そういたしますと、HTロケットの大型化の研究のためにおくれたというんじゃなくて、放送衛星の場合はBS2aのふぐあいを検討した結果bを打ち上げた、そこで次のBS3については年度がおくれた、こういうことですか。
#33
○政府委員(内田勇夫君) 放送衛星三号につきましては、二号aの中継器のトラブルの経験を踏まえまして、こういった失敗は二度と繰り返さないという信念のもとに、宇宙開発委員会に特別委員会を設置いたしまして十分な原因の解明を行い、それに対する対策を立てて十分な信頼性を持ったものをつくる、こういうことで所要の調整を行ったものでございまして、ロケット側の事情ではございません。
#34
○片山甚市君 もう一度念を押しておきますが、ロケット自体の大型化開発のみで、衛星本体の機能開発とは無関係に打ち上げられるべきものではないと考えるので、打ち上げ目標年度の変更は衛星の機能開発に全く関係ないかと言ったら、それがあったので六十五年度になったという理解をします。私の解釈です。関係があるとすれば、結局これまでのBS2aなどの事故は、開発計画を変更してでも究明されなきゃならない課題であったと判断したからではないのか。そうすると、宇宙開発計画が予定とおりの発展とするのは少し我田引水ではないか。BS2aの失敗というのは、順調にいったことにならないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
#35
○政府委員(内田勇夫君) ただいまの放送衛星三号がおくれた理由につきましては、ただいま御答弁申し上げましたように、二号aのトラブルを踏まえまして、特に中継器につきましては十分な手当てを行いましてこれを信頼性のあるものにするという方針で、そのために所要の研究開発及び試験のための時間が要るということで打ち上げ年度を六十五年度にいたしたということでございまして、放送衛星につきましては、二号aの経験を踏まえまして十分に信頼性のあるものをつくる、そのための時間ということでございまして、ただいま先生から御質問がございましたように、そういった衛星側のトラブル、それに対する所要の手当てということで開発が延びたわけでございまして、そういう意味におきましては、この点につきましては必ずしも当初の計画どおりではない、所要の調整を行った、こういうことでございます。
#36
○片山甚市君 BS2bがうまく機能すれば今のお話もまともになるんですが、神に祈るばかりの三万六千メートル上で今安定をし始めていますから、私としてはやはり成功して使えるようにしてほしい。莫大な金を使っておる、またお金を出しておる国民の側、税金を出しておる立場からいえばそうでありますが、リスクが非常に大きいだけに安易な気持ちで取り組めない。順調に発展したように書いてあるので、少しそれは行き過ぎではないか、そのところにも若干は心の痛むような文章があってもいいじゃないかということで、我田引水ではないかと言いました。これは再質問しません。努めて科学技術庁の方ではそういうことについて神経質なほど十分な配慮をしてほしい。宇宙開発事業団も通信機構も、NHKやNTTもありますが、しかしそれらを統括するのは、先ほど言った総合調整機構としての科学技術庁がきちんとしたタクトを振らないと責任がどこに行ったかわからなくなる、こういうことでありますから、念を押しておきます。
 我が国の積極的な宇宙開発計画とは裏腹に諸外国からの衛星売り込みも活発であるということであります。既に昭和五十九年一月にはヒューズ社、伊藤忠を通じて衛星売り込みが報じられておりましたが、昨年四月一日からの電気通信事業の自由化によって設立された通信回線事業者である日本通信衛星、これは伊藤忠、三井物産、アメリカのヒューズ社の共同出資ですが、これがヒューズ社製の衛星をフランスのアリアンロケットで打ち上げ、宇宙通信は、三菱商事、三菱電機などが出資してアメリカのフォードエアロスペース社製の衛星をスペースシャトルかアリアンロケットで打ち上げると。今のところスペースシャトルはちょっと無理であるからアリアンロケットで打ち上げると。さらに未認可のサテライトジャパン、これはソニー、丸紅、日商岩井、オリエントエースなどが出資していますが、これもアメリカのRCA社の通信衛星を利用して我が国の電気通信事業に参入してくることになっております。
 そこで、宇宙開発計画の「まえがき」では「諸外国においては、米国におけるスペースシャトルの運行、宇宙基地計画の推進、欧州におけるアリアンロケットの実用化等宇宙開発の積極的な推進が図られている。」と紹介されています。本計画は、内外の情勢、宇宙の利用の長期的見通し等を踏まえて具体的開発プログラムを定めたものであると書かれております。アメリカ、ヨーロッパにおける実用化開発の積極的推進とは、一方では経済摩擦解消という恫喝を盾にした金もうけの手段であり、一方では我が国自前の宇宙開発に協力すると称しながら軍事技術と密接な関係があり、衛星の部品等をブラックボックス化して開発技術の肝心なところは握られたままであります。こういう現状なのに、歯の浮くような宇宙開発計画の文言からは深刻さがみじんも感じられないが、科学技術庁長官としてこのような現状についてどのような改善を図られていく決意であるか、所信をお聞きしたいと思います。
#37
○国務大臣(河野洋平君) 宇宙開発は国際的なプロジェクトとして極めて重要な問題だという一面と、自主技術の開発というものを大事にしなければみずからの自在な宇宙開発についての政策を発揮することができないという一面とがあると思います。これはすべて自主的なもので賄い切れるかというと、必ずしもそうでない部分がございます。さらばといって全く外国に依存をしていいかというと、それでは我々の技術開発という点で十分でない部分もあるわけでございまして、その点を十分考えながらやっていく必要がある。私たちは、そこにうたってありますように、外国とのおつき合いの仕方も宇宙開発政策との整合性を確保しつつやってほしいということを関係先に申し上げておるところでございまして、こうした点、国際的に極めて流動的な状況でございますから、よくそうした動きを注視しながら私どもの政策を着実に進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#38
○片山甚市君 そこで、NTTは今度通信事業が開放されて非常に伸び伸びしておるのですが、NTTも、将来通信衛星を外国製で調達することは制約されていないと社長真藤さんが言っておるのですが、どのようにそれを受けとめられますか。といいますのは、技術開発の一番大きな、民間になりましたけれども、国家的にいえばNTTの予算というのは大きかったし、電気通信技術研究所などというのはやはり大きな功績を残したと思うんですが、そのNTTがロケットじゃなくて衛星をアメリカから買いたい、こう言っておるんですが、それについて科学技術庁としてどう思っていますか。
#39
○政府委員(内田勇夫君) ただいま大臣御答弁申し上げましたように、我が国といたしましては、広範多様な宇宙開発活動を安定的に遂行していくためには独自の技術力を確立することが不可欠であり、通信衛星に関しましてはNTTにおきましても基本的には同じ考え方でございまして、国と協力して必要な技術の開発を進めておるところでございます。具体的には、先生御案内のように、CS3につきましてはそのミッション機器はNTTが開発し、バス機器につきましては宇宙開発事業団がこれを開発し、宇宙開発事業団がこれを一体化し打ち上げを行うというようなことでございまして、両者協力して開発を進めているところでございます。
 今後の通信衛星等の商業衛星は、国際市場において技術的にも経済的にも競争力を有するものでなければならないというふうに考えておりまして、開発の目標もそこに置いておるわけでございます。このため、将来の大型の高度な通信衛星に関する信頼性のある技術の確立を目指して、現在我が国独自の技術で技術試験衛星Y型の開発を進めるというような努力をいたしておるところでございます。
#40
○片山甚市君 スペースシャトルが失敗した後、アリアン社が来てお話をしたところによると、やはり対抗し得るだけの技術とコストを持っておる、引き続きヒューズ社の衛星を打ち上げたいとおっしゃっておることを見ておると、やはりこれは競争でありますから、技術の問題でありますから、どこの国がどうとは言いませんけれども、ブラックボックスをもらって打ち上げた打ち上げたと喜ぶようなことだといけない。一番肝心なところが結局いまだ我が国では開発ができておらないということで、基礎研究の問題を含めて長官が先ほど岩動さんにきちんとしたお答えをしていますから、取り組んでもらいたいと思います。
 といいますのは、「まえがき」には「これまでの開発経験から得られた数々の貴重な教訓を活かしながら」とありますが、「貴重な教訓」とは何か。開発にはつきものの失敗はそう呼ぶのであって、やむを得ないということであれば、「貴重な教訓」と著かずに、開発についてはつきものの失敗だと書くべきではないか。そんなときでも失敗の危険負担はすべて国税または利用者の負担であることを忘れてもらっては困る。特に実用化を目的にする場合は、放送衛星のような場合はなおさらであります。放送衛星「ゆり」二号aをめぐるNHKの負担あるいは難視聴解消などに期待をし、受信料値上げなどにも応じてきた視聴者国民の負担に対し「貴重な教訓」程度の認識では済まされないということで、言葉じりをつかまえるんじゃなくて、やはりそういうことは率直に、失敗したことは失敗した、成功したら成功したように書いた方がずっと国民に信頼性があると思うんですが、長官いかがですか。
#41
○政府委員(内田勇夫君) ただいまの「貴重な教訓」というお話でございまして、これは放送衛星二号aのふぐあい等を指す、そういうことについてどうか、こういう御質問かと思いますが、技術開発と申しますのは、それまでに得られた多くの開発経験を踏まえてさらにこれを発展させていくということが極めて重要でございまして、御指摘のように、ふぐあいなどが生じた場合には二度と同じことを繰り返さない、そのためにその原因を十分に究明して必要な対策を講じていくということが必要でございまして、その経験を積極的に生かしていくことが重要であるというふうに考えておる次第でございます。宇宙開発計画に記載されておる趣旨もそういうことであろうと思います。
 それで、具体的には放送衛星二号aのふぐあいにつきましてはこれを厳粛に受けとめまして、宇宙開発委員会に放送衛星対策特別委員会を設置し、原因究明及び今後の対策について二十数回にわたる審議検討を行い、その報告を踏まえて、放送衛星二号bにつきましては熱真空試験等十分な試験を繰り返しまして信頼性を確認の上所要の対策を講じましたその対策の信頼性を確認いたしました上でこれを今年の二月に打ち上げたところでございます。今後ともこういった開発経験を十分に反映させていきたいというふうに考えております。
#42
○国務大臣(河野洋平君) 先生御指摘のとおり、BS2aのふぐあいについては私どもといたしましても非常に重大なことだというふうに受けとめております。多くの方々の御理解、そして国民の貴重な財源を使っての作業でございますから、こうしたことを繰り返さないように、こうしたまさに貴重な経験を糧として次へ進んでいかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
 先生も十分御承知のとおり、我が国の宇宙開発が自主技術の開発によって能力を高めていくということが本来の目標でございますけれども、昭和四十年代の開発当初におきましては、十分な技術がないということからアメリカからでき上がったものをちょうだいしてくる、こういう時期もあったわけでございまして、そして技術を導入してその技術を徐々に徐々に自主技術に置きかえていく、あるいは自主技術として消化していくという時期があったわけでございます。私どもはこうした自主技術に置きかえていく作業を懸命にやってまいりまして、現時点ではかなりその作業は進んできた、こう考えておりますが、まだまだ宇宙開発をすべて自主技術で賄い得る段階には至っていないというふうには思います。しかし、これまでの各般の技術開発段階を経まして、現在二トン級静止衛星打ち上げ能力を持つHUロケット及び大型衛星バスの開発を自主技術によって懸命に進めておるところでございます。こうした技術開発を昭和六十年代後半においてしっかりと保有するということを目指してこれからも努力をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#43
○片山甚市君 宇宙開発と利用については慎重の上にも慎重を期される必要があろうと思います。比較的に安定している通信衛星CSについても、リスクの大きい放送衛星も、静止軌道上では打ち上げられる個数が制約されており、地球的規模において有限の資源であります。その意味から早く打ち上げて陣取りをするという必要もあろうけれども、これは国際ルールのもとで運用されるべきものであると思い、日本はそのルールを守っておると思いますが、また、宇宙開発、衛星利用は平和利用の目的以外には絶対認めないということに徹し切ってもらい、さらに通信、放送衛星以外はコストが回収できないものでありますから、コストを計算してお金を下さいというようなものでありませんだけに、国が率先して宇宙開発の仕事をしてもらわなきゃならぬ。私が申し上げるのは、通信衛星、放送衛星などはコマーシャル、いろんなスポンサーがつきますが、それ以外はやっぱり国民の税金を中心に国の政策としてやらなきゃならぬ。ですから、それだけに自主技術というものを大切にしながら基礎研究ができる状態をつくり、科学技術庁がもう少し総合調整機能を持つ機関としての役割を果たしてもらいたい。さまざまな理由から見ても無理な国産化衛星・ロケット開発の促進も、また安易な外国製の衛星購入だけでいいといういずれも問題がある。宇宙開発は国策という大方針のもとでの事業である以上、利潤追求にばかり走ったり公益性、公共性が否定されることではならないと思います。しかし現状から見れば、実用衛星を利用して、情報通信産業がもうけの手段になっておるのではないかという大きな不信が、不安がありますが、そのことがないように、仕事は郵政当局がするんですが、科学技術庁が打ち上げるときにも公共性、公益性、国家の安全保障という立場からしっかり考えてもらいたいと思いますが、長官、いかがですか。
#44
○国務大臣(河野洋平君) 科学技術庁は技術開発という点で総合調整機能を果たせ、こういうことでございます。ユーザーがどういう形でどういう現在姿勢を持っているかということについては、それぞれ郵政省を初めとする所管官庁がいろいろ対応しておられると思いますが、私どもといたしましては、今先生御指摘のとおり、安全性とか技術の面におきまして確信の持てる技術開発をやっていくための総合調整機能をきちんと果たしていきたいというふうに考えております。
#45
○片山甚市君 CS2のaとbとで八千回線の通信ができることになっておるんですが、一千回線は警察等公用扱い、そのほかに三千回線を電電及び離島通信などに使って四千回線が遊んでおるんです。せっかく打ち上げても八千回線のうち四千回線しか使っていないということは、長官、やはりぜいたくだと思う。私の説です。さらに今度ヒューズ社などを含めて三つの星が打ち上がる、これからまたCS3が打ち上げられると全部で中継器が二百ほどになるそうです、トランスポンダーが。アメリカが現用しておるのは四百で、全部カバーしておるそうです、アメリカの大陸を。私はそれについて需給調整をせよとか言いませんけれども、金がもうかると思うとわっと集まってきて、もうからないとなるとさっと引き下がる。これは開発途上国における日本の投資と同じように、外国の人たちから見ても国民から見ても歓迎されざることと思いますから、慎重の上にも慎重に国務大臣としても判断をお願いしたい。これは答弁要りません。四百のトランスポンダーでアメリカ大陸は全部今通信をしておるわけです。日本は、これを全部郵政省が認めたならば中継器が二百になります。そういう意味で、今も一度言いましたように、「さくら」二号のaとbで八千回線の通信ができるのに四千回線しか使っていない。目的が目的でしょうが、安くつくといっても使わないということはどうも合点がいかないということを一議員として、国民の代表として言っておきます。
 そこで、宇宙開発事業団にお聞きします。その役割と予算について聞きたいのですが、事業団はどのような業務を行っているのか。二つ目に、事業団に対する科学技術庁の助成経費の使途は大まかに言ってどのようになっているのかということでお答え願いたいと思います。
#46
○参考人(園山重道君) お答えいたします。
 まず、宇宙開発事業団が行っております業務でございますが、これは御承知のとおり、私どもの仕事の基本になっております宇宙開発事業団法におきまして、第一条に総括的に書かれておりますのは、「平和の目的に限り、人工衛星及び人工衛星打上げ用ロケットの開発、打上げ及び追跡を総合的、計画的かつ効率的に行ない、宇宙の開発及び利用の促進に寄与すること」ということでございまして、具体的な業務につきましては、これも事業団法で定められておりますが、宇宙開発委員会の議決を経て内閣総理大臣が定める宇宙開発に関する基本計画に基づいて行うこととされております。この基本計画の中で、具体的な仕事につきましては、先ほど局長からも御答弁がございました、毎年改定されます宇宙開発計画で具体的に仕事の概要が示されることになっております。
 この仕事というのを若干かみ砕いて申し上げますならば、従来から基本になっておりますのは、今申し上げましたように、人工衛星及び人工衛星打ち上げ用ロケットというものを開発いたしましてこれを打ち上げまして、打ち上げた後、衛星の追跡、管制を行うことでございます。しかし御承知のように、最近、人工衛星、ロケットというのもだんだん高度、複雑になっておりまして、御承知のように、アメリカのシャトルというようなものは、ロケットの機能、衛星の機能、両方を持っておりますし、それから、今アメリカとヨーロッパ、日本、カナダ共同で開発しようとしております宇宙基地、宇宙ステーションというものは、一つの衛星でございますけれども、これは非常に高度な、まさに人間が常駐するようなものでございます。こういったものがだんだん発展してまいりますので、私どもは、現在必要といたします、先生御指摘のような通信衛星、放送衛星、気象衛星や、あるいはこれらの開発のための技術試験衛星といったものの開発、打ち上げ、それの追跡、管制という仕事とともに、今申し上げました将来の宇宙開発に向かいましての研究開発、こういったことを鋭意進めておるところでございます。
 これに対しまして、第二の御質問でございます、科学技術庁からどういう資金をいただいておるかということでございますが、六十一年度の計上されております予算によりますと、政府出資金といたしまして八百二十二億円、補助金といたしまして八十四億円、合計九百六億円を出資金または補助金としていただくことになっております。この補助金の方は人件費等の経費でございますけれども、出資金の方は、先ほど申し上げましたロケット、人工衛星、これの開発、製造、それからこれらの打ち上げ、追跡等の経費に充当され、また、その一部分が、先ほど申し上げました将来に向かっての研究のための資金として使われておるわけでございます。
#47
○片山甚市君 そこで、逓信委員会の審議においても、宇宙開発事業団の役割とか存在意義が話題になったことがしばしばありますが、それは、端的に表現すると、少し言い過ぎですが、我が国衛星・ロケット開発メーカーへの資金流入のトンネル機関ではないか。二つ目に、社会的ニーズへの対応を看板に、NHK・BS、NTT、当時の電電公社・CS、通信衛星、運輸省・気象庁のいわゆる気象衛星をスポンサーに取り込み、拙速に開発スピードを加速させる道具にした。三つ目に、打ち上げ結果に責任なく、スポンサーの負担と、保険業者をもうけさせる機関ではないかという見方があります。これらを輸入衛星販売促進グループの流説とのみ言えないのでありまして、科学技術庁としてはどう受けとめ、事業団としても、そのようなことはないと思いますが、私たちが議論するときには、責任がどこにもなくて、結局発注したと称するNHKが責任をとってみたりなにかする。そのNHKは大衆の受信料に転嫁しておるということになりますから、長官と事業団から一言ずつコメントをいただきたい。
#48
○政府委員(内田勇夫君) 宇宙開発事業団の役割でございますが、私ども、宇宙開発のような大型でリスクの高い技術開発は国が中心となって行うことが必要であり、欧米においてもそのように進められておるというふうに理解しております。我が国におきましては、宇宙開発委員会の方針に従いまして、小型ロケット及び科学衛星の開発につきましては宇宙科学研究所が担当いたし、大型ロケット及び実利用を目指す大型衛星の開発並びに宇宙基地や宇宙環境利用等新たな分野の開拓等につきましては宇宙開発事業団が関係機関の協力を得ながら進める、こういう体制で進めておるわけでございまして、このような宇宙開発事業団の役割は、我が国が宇宙開発を自主技術により進めていく上で非常に重要であるというふうに認識をいたしております。
 ただいまの宇宙開発事業団は十分に機能を果たしていないんではないかという御指摘でございますが、宇宙開発事業団はみずからも研究試験設備を有し、自主技術の開発、あるいはメーカーが製作した機器の試験、評価等を行い、技術の蓄積を図っておるわけでございます。
 先生から御指摘の点は、BS2aのときの対応等から見て必ずしも十分ではないのではないかというような御指摘だと思いますが、確かにそういった面も全くなかったことは私どもはないというふうに思っております。これは、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、我が国の宇宙開発は外国技術を導入いたしまして、それで開発を始めまして、これを自主技術に置きかえるという努力を続けておるところでございまして、現在はその過程にあるということでございますので、そういった問題も全くなかったわけではないというふうに理解しております。私どもこれをさらに進めまして、先ほどから御説明をしておりますHUロケットあるいは技術試験衛星による大型バス技術の開発、こういったものを今進めておりまして、これが完成する段階におきましては完全な自主技術において、その時点で国際的に技術的にも経済的にも競争力のあるロケット並びに衛星が開発できる技術を持つことができるというふうに考えておりまして、鋭意その努力を進めておるところでございます。
#49
○参考人(園山重道君) 大変厳しい御指摘でございまして、三点ほどあったかと思いますが、まず第一のメーカーに対するトンネル機関ではないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたような毎年の予算の中で、大部分のものが確かにメーカーに、開発、製造の発注に回ることは確かでございます。しかし私どもの行っておりますのは、まさに先ほど申し上げましたように、衛星、ロケットの開発、打ち上げ、追跡、管制という一つの大きなシステムとしての仕事をいたしております。例えば日本の企業の中で、衛星、ロケット、それぞれございますけれども、これを一社でまとめて全部できるというようなところはございません。御承知のように、人工衛星を開発し、ロケットを開発いたしまして、それを組み合わせて打ち上げるということにおきましては、非常にその間におきます、インターフェースというような言葉を使っておりますけれども、すり合わせ、調整ということが大事でございまして、それぞれのロケットの性能が衛星に影響し、衛星の性能がまたロケットに影響するということがございますので、こういったものを総合的に調整いたしまして、これを計画どおり効率的に、かつ安全性を確保しながら進めていくというためには、衛星、ロケット全般にわたる知識、技術、経験、こういったものが必要でございまして、そういう立場で私どもは全体の開発から打ち上げ、追跡、管制ということを進めておるわけでございます。これは決してトンネル機関というようなことではございません。口幅ったいようですが、私どもがおりませんとこういう仕事は進まぬのではないかと思っている次第でございます。
 なお、先ほども申し上げましたように、このロケット、人工衛星というのもどんどん進歩発展してまいりますので、こういうものを、先を見ながらどういうものを研究し開発していくかというようなこと、これも私どもの重要な任務だと思っておるところでございます。
 また第二の御指摘として、失敗があっても責任を感じてないのではないかという御指摘がございましたけれども、私ども大変にこのBS2aのトラブルにつきましては責任を感じておりまして、これはもちろん開発計画等でお決めになっておられます全体の仕組みと申しますのは、まさにユーザーと私どもの共同開発という形になっておりますけれども、現実にこれの開発を先ほど申し上げましたようなことで取り仕切ってまいりますのは私どもでございます。この責任は非常に痛感いたしておるわけでございます。したがいまして、この辺につきまして私どもは、先ほど局長からも御答弁ございましたように、全力を挙げましてその原因究明、対策をいたしておるわけでございます。おかげさまで今回の2bにつきましては今のところ非常に順調にいっております。しかし、これで安心しておるわけではございません。まだこれから長い期間、極端に申し上げますならば全寿命期間を終えるまで私どもとしては気が抜けないところでございます。そういったつもりで仕事をいたしておるわけでございます。
 また、ユーザー等を取り込んで金を集めて何か勝手にやっておるのじゃないかというような御指摘もございましたけれども、この辺につきましては、先ほどの計画等でお示しいただいて、計画の段階でいろいろユーザーの方々とのお約束、これはもちろん科技庁、宇宙委員会での御調整がございまして、そこで経費負担を何割でやっていくというふうなことをお決めになりまして、それに従ってお金をいただいて私どもは進めておるわけでございます。いずれ将来におきましては、これはいわゆる開発と事業の相乗りということではなくて、技術が完全に確立しましたときには、これはユーザーさんがメーカーに発注するという時代も来るかもしれません。私どもとしては、現在ではこういう形で進めていくのが一番効率的ではないか、このように考えておる次第でございます。
#50
○国務大臣(河野洋平君) 長官といたしまして、我が国の宇宙開発を進めるに当たっての基本的な考え方として、先生から御指摘がございましたように、平和目的を基本理念とするということを大前提といたしまして、社会的必要性及び国力との調和を考える、あるいは宇宙開発活動を自在に展開できるようにするための自主技術の開発を目指す、国際的な活動との調和を考える、こういったことを我々は基本政策としておるわけでございまして、この基本政策に沿いまして宇宙開発事業団が適切な活動をするように十分指導してまいりたいと考えております。
#51
○片山甚市君 時間が来ましたから、若干残余の質問があるんですが、また委員会もありますからそのときに質問させてもらうことにして、終わります。ありがとうございました。
#52
○委員長(馬場富君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十一分開会
#53
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本政策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#54
○稲村稔夫君 私は、ちょっと予算委員会のときの続きみたいな形から入っていきまして大変恐縮でございますが、イギリスのセラフィールドの使用済み核燃料再処理工場の事故の問題というのは、我が国にもいろいろと今後考えさせられる問題があるというふうに考えます。そこで、予算委員会のときには、あれは予算委員会という席でございましたから、我が国に対する影響というものが出てこないように、あっては大変なので、その辺十分留意をして今後に対処をしていただきたいという観点で大臣のお考えを伺う、こういうことでございましたけれども、その辺の再確認からで大変恐縮でございますけれども、我が国に、こうした再処理を委託しておるわけでありますから、それだけに深刻な影響があってはならない、こう思いますので、まず長官のあれをもう一度伺いたいと思います。
#55
○国務大臣(河野洋平君) イギリスにおきまして現在稼働している再処理工場で何度かトラブルが生じて、こうした状況下でイギリスの下院環境特別委員会の提言があったということは、先般の予算委員会のやりとりでも先生からも御指摘のあったところでございます。イギリスの再処理工場は逐次トラブルを克復してきており、さらにその実績を踏まえて新しい工場の建設を進めている状況だというのが私どもの認識でございます。イギリスのエネルギー省、原子燃料公社とも新工場を建設する意向を変更する考えはないということは確認作業をいたしております。私といたしましては、今後とも我が国が再処理委託を行っているイギリス、フランスの再処理工場の状況などについて十分関心を持って対処していかなくてはならない、こう考えております。
#56
○稲村稔夫君 まず長官のそうした基本的なお考えをもとにして、これからの原子力行政の中で、特にこの再処理問題についてどう対応しなければならないかということをいろいろきょうはお伺いをしたいと思っておりますが、それに先立ちまして今の英国のセラフィールドの再処理工場関係についてもう少し私は伺っておきたいと思うことがございますので、よろしくお願いしたいと存じます。
 そこで、現在これに委託をしている数量というのはどのくらいになるのでありましょうか、また現在の原発の稼働期間としてどの程度というものを今後委託されるということになるのでありましょうか、というようなことがいろいろ気になってくるわけでありますが、当面、現在どの程度の委託をしておられるか、それをまず教えていただきたいと思います。
#57
○政府委員(逢坂国一君) お尋ねのイギリスのセラフィールド工場に対する再処理の委託の量でございますが、現在、我が国九電力会社及び日本原子力発電株式会社が英国の核燃料会社に委託している再処理量は、軽水炉につきまして約二千三百トン、ウラン換算でございます。そのほかに、ガス炉に関する燃料の契約数量が一千百トン、ウラン換算でございます。それで、先生がお尋ねの現在の原発の稼働期間としてどの程度になるかということでございますが、いろんな仮定を置きますと、現在の標準的な百万キロワットの発電所の一年間の稼働率で七〇%程度というふうに換算いたしますと、これは昭和五十九年度の発生量の量から換算しますと、軽水炉につきまして約四年分ぐらいのものになろうかと思います。
#58
○稲村稔夫君 四年分というのは、これは今のセラフイールドの工場ということですか。
#59
○政府委員(逢坂国一君) 百万キロワットの発電所が一年間動きますと、大体ウラン換算で二十五トンぐらいになります。それで今約二千五百万キロと、こういう換算をいたしますと、その二千三百トンという数字がちょうど四年分ぐらいに相当する、こういうことでございます。
#60
○稲村稔夫君 現在我が国で再処理の作業をしていないわけでありますから、原発については、ですから、それだけにこの委託をしているという問題がどう今後展開するかということは非常に重要な問題になってまいります。
 そこで、私も実はセラフィールドというよりも、英国の環境特別委員会の報告書というのを資料としていただいたのでありますけれども、原文でいただいておりますので、これは読みこなすのはなかなか容易じゃありませんので、今すぐにこの中に書いてあることがどう問題だというようなことは私も提起はできませんけれども、しかし新聞報道等の中を見てまいりますと、例えばこの特別委員会報告の中には、海外から使用済み燃料の再処理について再検討する必要があるというような部分もあると触れられておりました。操業停止というのが一番大きな問題になるでありましょうが、そのほかいろいろな観点から検討されて、海外のものが縮小されるとかなんとかというようなことが起こってきても我が国にはいろいろな影響が出てくる、こういうことになると思うのでありますが、こうした特別委員会の報告書の内容をどのように受けとめておられるでしょうか。
#61
○政府委員(中村守孝君) 英国の環境特別委員会の報告書につきましては、今先生から御指摘ございましたように、この再処理工場の新しい建設計画等につきまして、それを取りやめた場合の経済的影響とかその他もろもろの点を調査して検討しなさいというようなことも入っていることは事実でございます。しかしながら、先ほど大臣からもお話しございましたように、英国のエネルギー省並びにその再処理工場を直接運営しております原子燃料公社とも、この報告に対しましては検討はするんでしょうけれども、引き続き再処理を実施していくし新しい工場の建設をしていくということを明快に意思表明をいたしておるわけでございますので、私どもといたしましては、現在のところこの公式な声明というものを信じておりまして、特に今この再処理工場の建設が中止になるというようなことについてまで考え及んでいるわけではございませんが、先ほど大臣からもお話しございましたように、これらの今後の動き等につきましては十分に関心を払いまして情報を入手し、必要に応じ、そういった動向によって必要が生じるような状況になればいろいろ対応を検討していきたいと考えております。
#62
○稲村稔夫君 私、局長のお話、どうも大変言葉が悪くて恐縮ですけれども、少しのんびりし過ぎているんではないかという感じがするんです。といいますのは、一つには、燃料公社あるいは政府当局が予定を計画どおり何とか進めたいという意思を持って一生懸命努力をしておられるそのイギリス側の努力というものは、それは一応評価をするといたしましても、やはりこれは議会の特別委員会が提起をしている問題でありますから、それだけに普通、雑誌の論文にあったとかなんとかというものとは性格が違うと思うんです。
 それからもう一つ、イギリスにおきましては、やはり環境問題というのは我が国とはまた性格的に少し違ったといいましょうか、別の形でかなりシビアなところもいろいろとあります、こういうことになるわけでありますから、この問題がどう発展していくかということは非常に問題があると思うんですね。ですから私はむしろ積極的に、今どういうふうになっているかという、政府の側ではだれか人でも派遣をして調査を具体的にやるというくらいのことがあってもいいんじゃないだろうか。ただ報告を聞いてそれで信用しています、信用しないわけにはいかないんでしょうけれども、しかし信用していますというだけで我が国の方は済まないんではないだろうか、こう思うのですけれども、いかがでしょうか。
#63
○政府委員(中村守孝君) 英国の状況につきましては、私どもも外務省の大使館に私どもの方の職員から出向して派遣されている専門家もおりまして、英国の事情等には情報を得ておるところでございますし、報告書は直ちにやめろということではございませんで、そういうこれから先のやめた場合の影響、当然これは英国国内の問題といたしましても雇用問題を初めいろいろなことがあるわけでございますので、それらについてまず調査をしなさいということでございますので、その調査の動向を見きわめるということが現在の対応ではないだろうか、そう考えておりますので、調査して、調査の過程におきましてだんだんその成り行きというのがどちらの方向に向いていくかなというあたりは明らかになってこようと思いますので、そういったことで、そこら辺の動向はできるだけ早くいろいろ情報を入手して対応していくということでございます。今すぐ、こういう報告書が出たからといってちょっと何か日本政府として直ちにアクションを起こさなければならないというような状況というぐあいには私ども現地の情報等からして受け取ってはいないわけでございます。
#64
○稲村稔夫君 ちょっと質問の観点、変わりますけれども、そうすると英国燃料公社との契約の内容はどういうふうになっているんでしょうか。今のウラン換算の二千三百トンの委託をいたします、そしてその処理については、あと何か内容的にはいろいろと条件などもあるのでありましょうか、その辺のところはいかがですか。
#65
○政府委員(逢坂国一君) 再処理の委託契約の中身は、本来私的な契約、電力会社との関係でありますので、私どもはそれほど詳しくは存じておりませんけれども、聞いておりますところでは、先ほど申しました使用済み燃料の二千三百トン、ウラン換算での処理、量を幾ら処理するかということはもちろんでございますが、それに伴います料金あるいは回収ウランやプルトニウム、それから生じた残渣などについての扱い、こういうようなものが決められております。先ほど先生御懸念の契約上御心配ということでございますが、私どもといたしましても科技庁の答弁と同様でございますが、今直ちにこの契約がどうなるというふうには考えておりません。今後の推移も見守りたいとは思っております。
#66
○稲村稔夫君 答えられない部分が結構あるというのはわからないわけでもありませんし、またできなくなるというようなことを仮定しての議論というのは、なかなか推定で物は言えないというそのこともわかりますが、しかし、もしイギリスのセラフィールドで処理し切れないというような場合が起こったときは、これは契約の中に何かあるんでしょうか。
#67
○政府委員(逢坂国一君) そういう場合も対応を協議するという中身があるというように聞いておりますが、具体的なそのやり方につきましては具体的な事象ごとに協議されることになろうと思います。具体的な事象がはっきりいたしませんとどういう取り扱いになるかということが決まらない、こういうことでございまして、今の先生のような御懸念がもしあって、どうなるんだということになりますとそれは両者の協議になりますので、一方的に処分されるということはないというふうに私ども考えております。したがいまして、それぞれの国の事情を考えながら、その状況により協議されて処理されるというふうに理解しております。
#68
○稲村稔夫君 一応契約の内容についてはそれでわかりましたということにいたしまして、そうすると私は、操業停止になった場合ということは、これはイギリスでも今の自分の国の問題などもあってなかなか操業停止に持っていくというのは容易なことではないでしょうと、逆な面ではあると思います。がしかし、海外からの受注問題についてはいろいろと調整していくということは、これからの進展いかんによってはあり得るんじゃないかということを懸念をするんでありまして、そこで我が国が委託予定をしているものが減る、処理してもらえる分が減るということになったとき、ではどういう対応ができるということになりましょうか。
#69
○政府委員(中村守孝君) あくまでも仮定の話でございまして、現在私どもそういう事態にならないというふうに思っておりますけれども、せっかくの先生の御質問でございますので、万々が一そうなったときにどんなことになるのかということでございます。
 具体的に言いますと、先ほど申したようなことで、私どもまだこうしようということを決めておるわけでもございませんので、めったやたらなことを申し上げてかえって誤解したり後々あのときこう言ったじゃないかと言われても困るわけでございますが、現在発電所等におきますプールの貯蔵容量、こういったものの余裕の活用とか、あるいはフランスの再処理工場、これはまだ受注の余力があるわけでございますので、こういったところへの委託替えといったようないろいろなことが考えられようかと思いますので、そういう懸念が具体化し、何か対策をとらなきゃいかぬよというような事態になればそういったいろんなことについて検討したいと思いますが、今のところは、英国のエネルギー省及び燃料公社につきまして我々が接触しておる限りにおきましてはそういったおそれはないというぐあいに理解をしておるわけでございます。
#70
○稲村稔夫君 私が少しまだのんびりしているんじゃないかというような言い方をして大変恐縮でありましたけれども、しかし私は、かなりこれは神経質に考えていかなきゃならない問題だというふうに今でも思っております。
 といいますのは、これはイギリスだけの問題とは必ずしも限らないわけでありまして、新聞報道等からいきますと、魚の大量汚染というようなことでかなり周囲でも問題になってきているということだと思うんですね。ある新聞によれば、「アイルランド海は世界で最も放射能の高い海となっている」と批判をしているというようなことで、海の汚染ということをかなり問題にしているということも書かれているわけであります。また、スウェーデン紙等がやはり魚の汚染を心配をした記事を出しているとか、いろいろそういうことが言われるわけでありまして、そうするとイギリスだけの事情で対応し切れないということだって起こり得る、そういうことだと思うんですね。それだけに私は、かなり神経質になってあらゆる情報を集め、行けるところは行って調べるというくらいの積極的な努力が展開されていないと、今局長が御答弁になったような、それで最悪の場合の対応はこういうことができますというその最悪のところだけ幾ら言われてもなかなか、そのとき例えば、局長、大体フランスとそれぞれの原発のプール等でというふうに言われても、じゃ、そのセラフィールドがかなり大幅に縮小をされるとかなんとかというふうなことが起こったり、あるいは国際的な観点の中で一時的に操業を停止しなきゃならぬなんということが起こってきたときには、これはなかなかカバーし切れない量というものが出てくる可能性だってあるわけでありますから、それだけに私は神経質に対応してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
#71
○政府委員(中村守孝君) 海洋の汚染のお話しございまして、先ほどの報告書の中でも、スウェーデンの沿岸でとれた魚に微量の放射性物質があったというような記述も見られるわけでございますが、しかしながらその報告書の中では、このセラフィールド再処理工場からの放射性物質の放出により人体に悪影響を生じてはいない、こういった前向きといいますか、記述もございますわけでございます。しかも、セラフィールドの再処理工場も初めのころは放出基準等が緩やかだった点もあるわけでございますが、最近ではそういったものをきつくするというようなことで改善措置もとられてきているわけでございます。いずれにいたしましても、先生御指摘の点につきましては、我々として全く無関心でほっぽらかしにしているということではもちろんございませんで、各大使館にいる専門家を通じましてヨーロッパの動向等については逐一情報を入手し、必要な対応をとっていくつもりでございます。
#72
○稲村稔夫君 ぜひ、それこそこういうことは神経質な上にも神経を使っていただくということが大事だと思います。しかし同時に、今の局長の御答弁の中で、私はこれからまたさらにいろいろと乾かない議論みたいな形になっていくことが大変悲しいんでありますけれども、議論の問題が含まれておりましたのは、そういう安全ということについてどう見るかということでありまして、例えば報告書で人体に影響がないというふうに、今の時点ではこう言っておられると仮にしても、それをただそれだけで大丈夫ですというふうに言い切れないのが今の科学の実態ではないかというふうにも思います。その辺のところはまだいろいろとこれからも議論が出てくるところだと思います。そういうような観点で、既成の観念の中で、ここで安全だと言ったんだからこれで安全だという、そういう決めつけ方は絶対にしないでいただきたいということをぜひこれは要望しておきたいと思います。
 次に、再処理の必要性とプルトニウムの利用についていろいろと伺ってみたいというふうに思います。
 そこで最初に、去る三月二十八日に通産省の総合エネルギー調査会の原子力部会が「二十一世紀への軽水炉技術高度化戦略」なるものを発表されました。次世代軽水炉などということが提起をされているわけでありますが、この内容はどのようなものなんでありましょうか。
#73
○説明員(上村雅一君) 先生から御指摘の報告書につきましては、総合エネルギー調査会の原子力部会におきまして五十九年の二月からの検討の結果を取りまとめた報告書でございます。
 その内容は、軽水炉技術の高度化のための目標の設定及びその達成のために新たに必要な技術開発課題の摘出、それから、その開発のあり方等について総合的に検討が行われ取りまとめられたものでございます。検討の内容も、御指摘がありました次世代型軽水炉のみではありませんで、現在運転中、建設中の軽水炉につきまして一層の技術的改善努力を続けていこう。それから現在開発の最終段階にあります新型軽水炉、いわば日本型の新型軽水炉でございますが、この開発につきましても、さらに開発を推進し早期導入を図るというような方向でありますとか、それから、その後を受けて次世代型軽水炉、すなわち、ただいま申し上げました新型軽水炉を踏まえて、その新型軽水炉に一層の改良を加えるということで、その開発目標と開発課題を提起したのが次世代型軽水炉でございます。
 具体的には、二十一世紀初頭を見通しまして、軽水炉に要請される社会的、経済的要因といたしまして四つほどの課題を整理してございます。第一点は経済性の向上ということでございまして、既に御承知のとおり、昭和六十年度におきましては発生電力量の二六%を原子力で供給いたしまして、石油火力の供給量二五%を一%超えた状況でございまして、原子力が石油による発電を上回る原生油従の時代に入ってまいったわけでございます。今後も原子力発電の発電量はふえてまいります。そういたしました場合に、電力料金そのものが原子力発電コストによって影響を受ける度合いが大きくなってまいりますので、原子力発電の経済性の向上に一層努力しようといった観点が第一点でございます。
 第二点がウラン資源の有効利用という観点でございます。現在の軽水炉は必ずしもウラン資源を有効に使っているとは言いがたいわけでございまして、技術によりましてウラン資源をより一層有効に利用するための改善をする努力を重ねる必要がございます。特に我が国の原子力発電規模は現在世界の原子力発電規模のちょうど一割でございます。こういたしますと、ウラン資源も世界の一割を消費していることになるわけでございますが、今後アメリカあるいはヨーロッパにおきまして原子力発電、ただいまは電力の需要停滞で開発ペースはダウンしておりますが、これがいずれ回復してまいります。一方、中国を初め中進工業国におきまして原子力発電への新規の参入努力がなされております。こういう状況を考えますと、日本といたしましては、依然その全量を輸入に頼っておりますウラン資源については技術力によってその節約の技術を開発するということは、日本のナショナルセキュリティーのみならず、国際的な貢献をすることにもつながる、こういう観点が第一点でございます。
 第三点は、原子力発電は何といいましても地域社会の理解と協力がなければその立地は推進できないものでございますから、この地域社会との調和という観点から原子力発電所の運転に伴って発生してまいります低レベル廃棄物の発生量自体を少なくしようという技術的な改良が必要でございます。また、運転・保修作業に伴いまして作業者が放射線を受けるその量をできるだけ少なくするという技術的改良が必要でございます。
 それから第四点は国土の有効利用という観点でございます。現在の原発は岩盤に立地をいたしておりますが、これを高層ビル同様に岩盤でない地盤にも立地できるような技術的な改良ということでございます。
 こうした観点につきまして、最近の原子力技術自体も、炉心の設計でありますとか燃料設計あるいは耐震設計等で技術が進歩し、最新の知見が得られております。また一方、先端産業分野におきましては、エレクトロニクスあるいはコンピューター、光通信技術あるいはセンサー、ロボット、新材料といった面ですぐれた要素技術が開発されております。したがいまして、こうした要素技術あるいは新しいシステム技術を積極的に取り込んで軽水炉技術をハイテク化していこうという考え方でございまして、その目指すべき姿を次世代型軽水炉という形で開発目標、開発課題を掲げたものでございまして、これから検討を始めようということでございます。これから検討を始めますので、ここの報告書で掲げました開発目標とか技術開発課題はその検討の過程で専門家によって逐次討論され、検討されるべきものでございまして、今の報告書のとおり進めるのだということは現時点では一概に申し上げられないわけでございます。その検討を始めようというのがいわばこの報告書であり、次世代型軽水炉の位置づけでございます。
#74
○稲村稔夫君 今のいろいろと御説明をいただいた中で、これだけでもかなりまたいろいろ伺わなきゃならない気になるというところが出てきたわけでありますが、きょうの時間配分の中ではとてもそれぞれを全部お聞きすることはできないと思いますので、ごく一部についてとりあえずちょっとまたざらにお伺いしたいと思います。
 これは科学技術庁の所管になってまいりますあれになりましょうが、原子力長期計画というのが五十七年でしたかに定められて、また今度改定されるわけですね。それとのかかわりというのはどういうふうになりますでしょうか。
#75
○説明員(上村雅一君) 昭和五十七年六月に原子力委員会で原子力開発利用長期計画が決定されております。この中で、軽水炉につきましては「民間が中心となって、一層の軽水炉技術の向上を図っていくことが期待される。」と述べられております。私ども、この原子力委員会の基本方針を受けまして、その具体的な進め方につきまして専門家に御審議いただいて報告書がまとまったものでございます。
#76
○稲村稔夫君 これは燃料にプルトニウムを利用するんですか。
#77
○説明員(上村雅一君) 燃料にプルトニウムの利用というのは、軽水炉におけるプルトニウムとウランの混合酸化物燃料の利用、こう理解いたしますと、私どもプルサーマル計画と呼んでおりますが、これにつきましては既に国の計画に従いまして電気事業者がその第一段階の実施に向けて鋭意努力中でございます。すなわち、プルトニウムを濃縮ウランのかわりに微量入れました軽水炉燃料、燃料体自体は軽水炉の普通のウラン燃料と全く寸法も形も同じでございまして、その熱の発生する性能、特性等も全く同じものでございますが、これを第一段階といたしましては、BWRにつきましては日本原子力発電の敦賀の一号炉にMOX燃料、プルトニウムとウランの酸化物の混合燃料を二体装荷するということで、つい最近一体は輸送を終わりました。近々二体目の輸送がなされますと、ことしの五月ごろの定期検査の段階で燃料取りかえの一環としましてウラン燃料の中に二体だけ入るわけでございます。PWRにつきましては関西電力の美浜一号炉におきましてプルトニウムをまぜた燃料体四体を装荷することになっております。この燃料体は既に製造されまして発電所にあるわけでございますが、やはり地元自治体の御理解と御協力を得て進める必要がございます。
#78
○稲村稔夫君 そっちの方は要らない。使うのかどうかということを聞いているんです。
#79
○説明員(上村雅一君) 新型炉、それからこの次世代型軽水炉につきましては、この国のプルサーマル計画に従いまして当然にその導入の段階におきましては現在の軽水炉と同様にプルトニウムをウランにまぜました酸化物燃料が使われるもの、こう考えております。
#80
○稲村稔夫君 再処理をして回収をされたプルトニウムを燃料として稼働する、そういうシステムとしては高速増殖炉の計画ということで、これは長期計画の中でもそういうことを目指して努力をしておられるという形になるわけでしょう。そうすると、なぜその軽水炉でこれをたぐというあれを考えておられるんですか。
#81
○政府委員(中村守孝君) プルトニウムの利用につきましては、長期計画におきましても高速増殖炉で利用するということを究極的には非常に考えておるわけでございますが、高速増殖炉が実用化するまでの間においても新型転換炉とか軽水炉とか、そういったものでプルトニウムを積極的に使っていきましょうということは現行の長期計画の中でもうたっておるところでございます。
#82
○稲村稔夫君 この報告書を作成するに当たっては、今の高速増殖炉の開発計画がかなりおくれるのではないか、そういうこと等も見込まれているというふうに伝えられておりますけれども、その辺はいかがですか。
#83
○説明員(上村雅一君) 現在の原子力委員会の原子力開発利用長期計画におきましても軽水炉の位置づけは、軽水炉は発電用原子炉として世界で最も広く利用され、今後とも長期間にわたり我が国の原子力発電の主流となる炉型であると位置づけられております。
 FBR原子炉の開発の最終目的、目指すべき姿は、それは高速増殖炉でございますが、その高速増殖炉が実際に実用化される段階におきましては、安全性は当然のことでございますが、信頼性あるいは経済性につきましても現在の軽水炉と少なくとも競合できることが必要でございます。そう考えますと、特に経済性につきましては、フランスのスーパーフェニックスが二・三倍の建設費、フランスの軽水炉に比べて二・三倍、こう言われております。これを行く行くは一倍に近いところまで革新的な技術によって経済性を向上さしていく必要があるわけでございます。我が国におきましてもこれと同様な努力をたゆまずFBRについて続けていく必要があるわけでございまして、FBRが実用化されるまでの間は軽水炉において、軽水炉が一層の信頼性と一層の経済性を発揮してつないでいく必要がございます。その観点から、現在の運転状況に満足することなく一層の改善努力を行う、それがしかも技術によって可能である、こういう理解でございます。
#84
○稲村稔夫君 今のお話と関連をしてきますが、高速増殖炉の開発計画というのが実用化するというその目標については計画どおりに進んでいきますか。
 それから経費的には、今もフランスのスーパーフェニックスなんかの問題などがあって、建設費が相当高いということが問題になってきております。「もんじゅ」についても、当初の伝えられていたものよりはやはり高くなっているというふうにも思いますし、ということになってまいりますと、経済性の問題というものまで解決をするにはかなりの時間も要するということになるのではないかと思いますが、その辺はどのような進捗状況でしょうか。
#85
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 現行の原子力開発利用長期計画におきましては、高速増殖炉を一九一〇年ごろの実用化をめどに開発していこう、こういうことで現行の長期計画ができておりますが、フランスでの技術開発の先例等々からいいましても、確かに先生御指摘のようにコスト高の面があるわけでございますし、一方、全般的な世界的な原子力発電といいますか、エネルギーの需給が緩やかになってきたというようなこともあって原子力発電の伸びが鈍化している、そういったことからのウランの需給状況、こういった両方からにらみ合わせますと、高速増殖炉の実用化の時期というのはおくれぎみであろうと思っております。ただ、それがどのくらい先になるかというようなことにつきましては、私ども今明快に申し上げる段階にございませんで、近く始めます長期計画の見直しのところでまたいろいろ各方面の方の御意向も参考にしながら次の開発目標を定めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#86
○稲村稔夫君 長官、私は今の報告書、聞きようによっては非常に重要な問題を提起しているんじゃないかという気がするんですよ。といいますのは、プルトニウムの実用利用計画というものが、高速増殖炉による実用化というものがおくれていく、片一方では再処理をしなきゃならないようにどんどん使用済み燃料は出てくる、再処理をする、プルトニウムは回収をされる、そのプルトニウムの始末に困るからやっぱりどうしたって早く処置はしなきゃならぬということになりますと、一・一倍か一・何倍かのコストになるまでというのは随分先遠い話で、とてもじゃないけど待ってられないわいと、それよりも、そうすれば軽水炉でこれをある程度は消化していけるような、そういう研究開発の方が急がれるではないか、こういう格好で、言ってみれば私は産業界の方が、挑戦状というと言葉は随分刺激的になりますけれども、そういうことにもなるんじゃないだろうか。聞き方によっては私にはそんなふうにも受け取れるんでありまして、この辺は原子力委員会の所管ということにもなりましょうけれども、最高の責任ある長官としてはこの辺をどのように受けとめておられるのか。今後の原子力行政にとっても重要課題だと思いますので、御見解を承りたい。
#87
○政府委員(中村守孝君) ちょっと私、先ほど発言の中で現行の長期計画実用化の時期につきまして、私自身は二〇一〇年ごろと申し上げたつもりだったんですが、何か一九一〇年と申し上げたようでございますので訂正させていただきます。
 それから、通産省の方で軽水炉技術の高度化の計画をいろいろ進めておられますことは、先ほど申しましたように、ウランの需給状況も緩んでおりまして、軽水炉が主流を示す時期というのがかなり長くかかるのではないか、そういう見通しのもとに一層軽水炉の技術の高度化を図っていこうということでございまして、これは、ここの開発はプルトニウムを燃やすということを目的にということではございませんで、軽水炉そのものの向上でございまして、それと並行してプルトニウムを熱中性子炉で利用していこうという目的があるわけでございます。そういうことで、もちろんこの開発していく新しい軽水炉、改良されていく軽水炉でもプルトニウムを燃やしますけれども、プルトニウムを燃やすことを目的とした軽水炉の開発、こういうことではないわけでございます。
 いずれにいたしましても、プルトニウムの利用につきましては、現行の原子力利用長期計画にも掲げてございますように、一朝一夕にプルトニウムの利用の技術というものが確立するわけでもございません。着実にプルトニウムを燃料として活用し、行く行くは高速増殖炉で本格的に利用する、そういうことに向かってこの軽水炉時期におきましても積極的にプルトニウムを活用していこうという考え方でございます。
#88
○稲村稔夫君 ちょっとその辺、まだもう少し私としてはそちらでおっしゃることがどうもよくわからぬ。というのは、何も無理をして軽水炉でプルトニウムを燃料の一部として使うということをお考えにならなくてもいいんではないか。逆に言えば、軽水炉でプルトニウムを燃料として有効に利用できるというのであれば、高速増殖炉というものに多大な経費をかけて開発をしていくということについても疑問が出てくるのではないか、こんなふうにも思うんですけれどもね。
#89
○政府委員(中村守孝君) 軽水炉でのプルトニウム利用と高速増殖炉でのプルトニウム利用とはもう根本的に違っているわけでございます。軽水炉でプルトニウムを利用する場合には、幾らプルトニウムを燃やしても、そこから生まれてくるプルトニウムは、燃えた燃料以上のプルトニウムが生まれるわけではございませんので、燃料は、ウラン資源はどんどんどんどん減っていくということになるわけでございますが、高速増殖炉につきましては燃やしたプルトニウム以上のプルトニウムが生まれる。要するに燃料がどんどん、どんどんふえていくというところに高速増殖炉と軽水炉の大きな違いがございまして、逆に言いますれば、高速増殖炉を核分裂における究極の開発目標として我々が若干時間はかかってもこれを開発していかなきゃいけないという考え方に立つゆえんでございます。
#90
○稲村稔夫君 私は、そこでおっしゃるように、高速増殖炉によって今後燃料をそれこそ効率的に確保していく、こういう観点からこの開発計画を進めなきゃならないとおっしゃっているその理論的根拠はそれなりにわからぬわけではありません。しかし私は、一つには、それによって今後廃棄物というものが出てくる心配がなくなるんだというような保障があるとか、そういう側面がもしあるならばそういうこともお聞かせいただきたいと思うし、それからまたもう一つ、これは伏見先生のような専門の大学者を前において極めて素人の初歩的な疑問というのを申し上げて恥ずかしいわけでありますけれども、そういうふうにどんどん、どんどんと新たなものが次から次へと局長のおっしやるように出てくるという、言ってみれば魔法のような燃料というのが本当にできるのでありましょうか。そうすると極端なことを言えば世の中少し変わってくるんじゃないか、そんな感じまでするので、その辺のところは局長の言い回しがまだ不正確なのか、それともそういう夢の燃料なのか、その辺のところも明らかにしていただきたい。
#91
○政府委員(中村守孝君) 高速増殖炉の開発につきまして、廃棄物の量が少なくなるということを積極的に言えれば、これまた一つの大きな特徴かと思いますが、今そのことにつきましては、私どももまだ声を大にしてそういうことを言うということではございませんで、私どもが高速増殖炉の開発を、大変なお金がかかって時間もかかる、しかしながら、そういうものを乗り越えてやっぱり開発していかなきゃならないと言うのは、先ほど申しましたように、装荷した燃料よりも燃やした後で新しい燃料が生まれてくる、それが燃えた燃料以上のものであるということにそのねらいがあるわけでございます。
 それで、それは決して魔法でも何でもございませんで、天然ウランの中にはウラン238という元素とウラン235という元素があるわけでございまして、通常の軽水炉での核分裂におきましてはこのウラン235だけが核分裂に寄与するわけでございまして、ウラン238という元素は核分裂に寄与しないわけでございます。したがって、エネルギーを出すに至らないわけでございます。しかしながら、そのウラン235が、あるいはプルトニウム239というものをウラン235のかわりに入れてやりますと、プルトニウム239が核分裂してエネルギーを出すわけでございますが、いずれにしろ、ウラン235なりプルトニウム239が核分裂を起こしました際に中性子が飛び出すわけでございます。この中性子は二つか三つか飛び出してくるわけでございます。そしてその中の中性子がウラン238という元素に吸収されます。そうしますと、そのウラン238という元素がプルトニウム239という元素にかわるわけでございます。そうすると、このプルトニウム239というのは、先ほど申しましたように、核分裂性物質でございますので燃料として使えると。そこを、核分裂で飛び出しました中性子を次のプルトニウムなりウラン235にぶつけて核分裂を起こさせるのと、それからウラン238というものにぶつけてそれに吸収させてプルトニウム239をつくらせるのと、そこら辺の組み合わせをうまいぐあいにやりますと、ウラン238をプルトニウム239に転換する量というのが非常に多くなりまして、炉心の中に装荷しましたプルトニウムの量以上に新しいプルトニウムが生まれて炉外で再処理をしてプルトニウムをまた再利用できる、こういう段取りになるわけでございます。
#92
○稲村稔夫君 これまた議論をしていると時間がなくなってしまうんで、どうも時間ばかりが気になってしまうんですけれども、そうすると、僕らが学生時代に教わりましたエントロピーの法則との関係はどういうふうになるのかななどということを私はまたちょっと気にしたりしているわけでありますけれども、その辺は一応おくことにいたしまして、今とにかくそういうことで増殖炉の計画を進めていますということ、それはわかりました。
 そこで、先ほど来申し上げているのは、しかしそれは随分時間がかかっていきますと、そうすると、もうプルトニウムの利用というのは軽水炉でもってやっていくということで、ここのところはもう踏み切ってどんどんそっちの方を先行していこうじゃないか、言ってみればそういう研究に対する一種の不信感みたいなものが一方では出てきているんではないかというふうに私はやっぱり受けとらざるを得ない。その辺は長官、どういうふうにお考えですか。
#93
○国務大臣(河野洋平君) 現在の技術開発は、まさに日進月歩と申しましょうか、本当に目が離せないほど急速な技術開発が行われているわけでございます。そういう状況の中で、軽水炉はこれまで安定した運転実績を積み上げてまいりまして、国際的なウラン需給などから見て今後ともかなり長期にわたり原子力発電の主流をなすものというふうに認識をいたしております。このため、稼働率の向上でございますとか、大容量化などを目指して軽水炉技術の一層の高度化を図ることは意義のあることだというふうに認識をいたしております。
 しかし、一方で高速増殖炉は、今も御説明を申し上げましたように、消費した以上の核燃料を生成し、ウラン資源を最大限に有効利用できる原子炉ということでもございまして、将来の原子力発電の主流をなすものだという説が強いわけでございます。資源に乏しい我が国といたしましては、国産エネルギー資源と考え得る使用済み燃料から回収されるプルトニウムを高速増殖炉において積極的に利用することによりまして原子力発電における対外依存度を軽減し、エネルギーセキュリティーの確保を図ることが大切だ、こう考えております。したがいまして、今後とも軽水炉の高度化と並行して高速増殖炉の開発を着実に推進していかなければならない、こう考えておるところでございます。
#94
○稲村稔夫君 そうすると、またこれはエネルギー庁の方に伺いたいわけでありますが、プルトニウムを軽水炉で燃料として使うということについて、これは何といっても安全性がまず第一にありますが、その影響というようなものについてはどのような実績をお持ちになり、また今後どういう検討をしていかれるのですか。先ほどの話では、何かまだほんのちょっと混合燃料を始めてみたばかりのように伺いましたが、その辺のところはどうですか。
#95
○説明員(上村雅一君) 先生御指摘の、私どもプルサーマル計画と呼んでおりますが、これは原子力委員会の長期計画に基づきまして着実に推進いたしておるものでございまして、先ほど申し上げましたとおり、まだその第一段階にようやく取りかかるという状況でございます。二体ないし四体というような少数の燃料集合体の規模での実証計画を経た上で、その次に第二段階として、実用規模での実証を経て一九九〇年代半ばごろには終了して、いわば本格的な利用の第三段階に入るという基本方針が示されておるわけでございます。この基本方針に沿いまして現在努力しているところでございます。先生から御指摘の安全性の問題につきましては、これは、二体あるいは四体というような少数の燃料集合体を現在運転中の軽水炉に装荷いたします場合も厳重な安全審査をいたしまして、その通産省の安全審査結果は原子力安全委員会のダブルチェックを受けて手続を進めておるところでございますし、自治体を初め地元の方々の御理解と御協力を得て進めているものでございます。
#96
○政府委員(中村守孝君) プルトニウムとウランを混ぜました燃料、MOX燃料と称しておりますが、これの軽水炉におきます照射につきましては、今通産省の方から御答弁がありましたように、我が国ではまだその実績は出ておりませんが、西ドイツにおきましては、沸騰水型で百六十体、それから加圧水型で百四十一体既に燃焼炉に装荷をした実績がございます。そのほか米国、フランス、欧州各国において幾つもの実績が出ておるわけでございます。我が国におきましても、動燃事業団が開発しました新型転換炉、これで敦賀に建設して運転しております「ふげん」という炉でございますが、これで五十四年以来MOX燃料の燃焼の実績を積んでおりますので、安全上の確認をするための技術につきましては十分な蓄積ができておるところでございます。
#97
○稲村稔夫君 「ふげん」のことはまた後でちょっと伺いたいと思っていることがありますが、軽水炉、今のあれは今後の計画として現在のものの改良、それから新型に、そして次世代軽水炉にと三段階の大体計画を立てて、そして総額で二千三百億円ですか、というような計画を立てておられるようでありますが、私は、いろいろあれですけれども、何かこの辺の開発費というのがこれで果たして済むんだろうかなという気もしないわけではありません。やはり業界としては経済性ということがどうしたって重要な課題になるんでありましょう。そういたしますと、こうしたプルトニウムを燃料として利用していくという、全部ではないにしても一部として利用していくというためにいろいろと経費をかけていくということよりも、むしろ例えば、電力中央研究所の方がことしの「エネルギーフォーラム」にも書いておりますけれども、いわゆるこれは何と言うんですか、ワンススルーと言うんですか、俗にそう言われているようでありますけれども、そういった使用済み燃料というのを言ってみればもう燃度を上げていって、そしてできるだけそれを効率的に利用してあとは安全に貯蔵する、こういうような方向へいった方がいいんじゃないかというような議論もどうもあるみたいなんでありますけれども、この辺とのかかわりはどういうふうになりますか。
#98
○政府委員(中村守孝君) プルトニウムの軽水炉利用につきましては、ちょっと私の聞き間違いかもしれませんが、先生、先ほど総合エネ調の方の新型炉、次世代炉につきましての開発費が何かプルトニウム利用のための経費というようにも受け取られる御発言がございましたけれども、先ほど来申しておりますように、通産省の軽水炉の改良計画と申しますのは、あくまでもプルトニウム利用ということではなくて軽水炉自身の本質的な技術改善ということで、経済性の向上とか被曝低減化とか、そういったことを目指してやっておるわけでございます。
 プルトニウムを軽水炉で燃やしていくことにつきましては、特段大きな開発費というものがかかるわけではないわけでございますが、それは別にいたしまして、プルトニウムを軽水炉で利用することの経済性の問題でございます。これはいろいろな試算が言われておるところでございますが、一番国際的に各方面の専門家が集まって試算した例といたしまして、ウランを使い捨てにする、一度軽水炉に入れたら後はもう再処理しないでそのまま捨ててしまうという、いわゆるワンススルーというケースと、再処理しましてプルトニウムを再利用するとした場合の経費、これはウラン濃縮の段階から最後、廃棄物の処分あるいは使用済み燃料を再処理しない場合もこれまた処分に相当な金がかかるというか、むしろ再処理した後のガラス固化体の処理よりも余計かかるのではないかというような話もあるぐらいでございますが、そういったものを全部ひっくるめたところで計算した例といたしまして試算がございます。これは経済協力開発機構、OECDの原子力専門の機関でございますが、NEAという機関がございまして、そこで世界各国からのデータをもとにしてやりまして……
#99
○稲村稔夫君 僕は局長にこれ聞いているんじゃないんだよ。こっちでどうしてこういう計画を立てたのかということを聞いているわけだから。
#100
○政府委員(中村守孝君) 失礼いたしました。
 一〇%高いという程度になっておりますが、セキュリティー、それから、エネルギー資源のない我が国としては、むしろこの程度のことであれば積極的にプルトニウムを活用していくということが必要ではないかというぐあいに我々としては考えておるわけでございます。
#101
○説明員(上村雅一君) 先生御指摘の点につきまして、報告書で今後の開発費二千三百億という数字を出しておりますが、これにつきましては、先ほど御説明申し上げました、現在運転中、建設中の軽水炉を一層技術的に改良していこうというために約六百億程度、それから現在開発の最終段階にあります新型軽水炉、これにつきましては、六十一年度で開発が完了するものでございますが、これはその総額が約七百億円と見込まれております。それから次世代型軽水炉、これにつきましてはこれから検討する段階でございますので、技術開発課題を積み上げまして、およそ一千億前後であろうというような積算に基づいてこれらの合計を二千三百億としたものでございます。
 それから、先ほど原子力局長から御答弁がありましたとおり、通産省のこの報告書では、この軽水炉を一層技術的に改善していこうということでございまして、プルトニウム利用のための軽水炉の改良を主眼とするものではございません。また、その開発の進め方につきましても、軽水炉は既に実用炉でございますので、これは電力メーカーを中心とします民間が主体で進めるべきものという基本方向が報告書で示されております。
#102
○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、私はこれ、今後プルトニウムの利用ということについてはまだいろいろと解決していかなければならない課題というのがたくさんある、こういうふうに思うわけですね。それだけに今後いろいろな問題をまだ残しているんではないか、こんなふうに思います。少なくとも私は、いかに便利なというか、先ほどのあれではありませんが、増殖をしていくというそういう燃料であるといたしましても、採算性の問題あるいはその安全の問題、こういうものをおろそかにすることができない、こういうことになるわけでありますから、その辺のところを十分に腹に置いていただきたい、こう思います。時間ももうなくなってまいりましたので、あと一つの問題についてお伺いをすると大体なくなっちゃうのじゃないかと思っております。
 そこで、原発関係の事故と寿命という問題について少し伺いたいというふうに思います。原発で起こっておりますいろいろな事故というものについても、本当は私は事故件数の傾向等でまたいろいろと検討したいというふうにも思っていたことがあったわけでありますけれども、そのことは省かしていただいて、原発関係では一つこのことをお伺いしたいと思うんですね。
 というのは、蒸気発生器、言ってみればこれは心臓部と言ってもいいと思うわけでありますけれども、発電ということを考えてみたときですね。私もこの言葉はよく知らなかったんですが、最近各原子炉で蒸気発生器の中の細管のこの施栓数というのがいろいろと問題としてはあるような気がいたします。それで、私もいただいている資料の中で見てまいりましたところが、例えば美浜の一号炉については、許容施栓率というのが二八%で、そして、そういう中で現在地栓数の本数が二千二百二十七本というような格好で報告を受けているわけであります。そういう表があるわけであります。これは、美浜の一号炉でありますとか、大飯の一号炉でありますとか、あるいは高浜の二号炉とかいうものにつきましてはこうした施栓率がものすごく高いというように出ているわけでありますけれども、こうした施栓率というのがだんだんと上がって許容施栓率に到達をすれば、それで許可出力というものの限界、そこのぎりぎりのところに来るのだろうと思うんですね。さらに施栓率が上がれば今度は出力ダウンをしなきゃならぬ、こういうことになるのでしょうか、その辺のところは。
#103
○説明員(神戸史雄君) 今の御質問でございますが、先生御指摘のとおりに、美浜、大飯と施栓率が確かに上がってきております。ただいまの先生お使いいただきました許容施栓率という言葉でございますけれども、これは私ども実際に日常使っております言葉でありますので私どもにも責任があるところでございますが、実はその許容施栓率というのは、必ずしも適切な用語というふうには正確に議論をするとならないというふうに考えておるのでございます。つまり私どもが施栓率として使っております、例えば今先生の御指摘になりました美浜についての二八%というその数値は、私どもが安全審査をするときに審査をする安全解析の仮定として仮に二八%と置いたらどうなるかという、仮定をした施栓率でございまして、その施栓率に従って安全解析をいたしまして、その安全解析の結果安全上問題がないということが確認されれば、今、美浜の場合は、二五%といいますから、二八%でやって大丈夫なんですから二五%でも十分安全であるというふうな意味合いの、実は解析上の仮定の数値でございます。したがいまして、それを超えたら不安全になるという性格のものではございません。そういうことでございます。
#104
○稲村稔夫君 伺うとなおさら何かいろいろと疑問が出てまいります。これは改めてまた時間があるときに一度やりましょう。そうじゃないとどうもだめなようです。時間がもうほとんどなくなっています。中途半端に伺ってもかえって悪いと思います。
 ではもう一点だけ。安全の問題について僕は動燃の方の関係のもいろいろと伺いたいと思いましたが、それはもう時間がなくなりましたからきょうは省略しますが、コンクリートについてのチェック、調査というのは原子炉ではやっておられますか。
#105
○説明員(神戸史雄君) コンクリートは原子炉建物では原子炉の基礎マット、それから原子炉建屋、タービン等いろいろなところに使われておりまして、非常に極めて有用な構造物の部材でございます。いずれも基本的な設計方針を決めます段階、つまり安全審査の段階ではいろいろなところで使われますが、その使われますコンクリートにどういう荷重がかかるか、すなわち、平常に運転している場合、それから事故が起こりました一場合、それから地震などが起こりました、そういうケースを全部想定いたしまして、それらを全部総合的に組み合わせて最も大きい荷重がかかる状況においても十分強度を保つように設計をすることということをまず基本的な設計段階で確認をいたします。
 その次に、詳細な設計段階では本当にそのように強度計算がされているかどうかということを私どもは確認をいたします。そうして、さらに実際に施工し、管理して、でき上がった段階でもって、もう一度使用前検査という形でもって工法というか、今の設計に予定されたとおりの強度があるかどうかを確認いたしているわけでございます。
 以上です。
#106
○稲村稔夫君 もう時間がありませんから、主として意見を申し上げて、最後に長官から伺いたいというふうに思うのです。
 私が今コンクリートのことを伺いましたのは、極めて唐突なように聞こえるかもしれませんが、いつでしたか、前の委員会で私はコンクリートのアルカリ骨材反応の問題と、それから脆化の問題を取り上げました。これは建築物ということについての問題でありますけれども、コンクリートには五十年そこそこの歴史しかなくて、しかも脆化の問題はこれから問題だということでいまいろいろと建築関係の中でも問題になってきているようであります。したがいまして、アルカリ骨材反応などというのはごく最近になってからいろいろと話題になってまいりましたので、原子炉の設計の段階、今のチェックの段階の中では恐らくなかったことだと思います、初めのころのものは、ということになります。これは今のコンクリートの強度だけを問題にして設計をしたということだけでは解決できない新しいいろいろな課題を提起をしていると思うのです。重要な役割を果たしておりますだけに、コンクリートの問題というのはかなり神経質にいろいろと考えていただかなければならない問題ではないか。幸い科学技術庁なんでありますから、そういう科学知識と技術をフルに駆使してこの問題はやはりきちんと対応を今後考えていただかなければならないのではないかというふうに思います。これは事務当局だけの問題ではないと思いますので、長官からも御見解を聞きたいと思います。
#107
○政府委員(辻栄一君) ちょっと事前に御説明をさせていただきます。
 原子力発電所に限らず、いろいろなプラントの寿命の問題は非常に重要な問題であろうかと考えております。特に先生御指摘のアルカリ骨材反応がございましたので、その点につきましてのことを若干御説明申し上げますと、アルカリ骨材反応につきましては、やはり使用する骨材の性質、これが大きな影響を及ぼすということでございまして、この点については、御指摘のとおり、昔の発電所についてはまだアルカリ骨材反応というような余り難しい話はなかったと思いますけれども、最近におきましては、使用する骨材につきましては、このアルカリ骨材反応に関連する基準を満たすような材料を使っているという状況でございますし、なお念のため過去において建設された発電所につきましても、所在といいますか、骨材の発生場所がわかっておりますので、一応チェックをしておりまして、特に問題のあるような骨材が使われているケースはないというふうに通産省で判断しておると聞いております。このほか、さらにいろいろな、例えば原子炉圧力容器の中性子による劣化等の問題につきましては、既に実際の炉の中にテストピースがほうり込まれておりまして、これについて検査のときなど時々取り出しまして、その劣化の状態を調べているというような配慮もいたしております。別途、原子力研究所でこれらの影響についての研究も種々行われているわけでございまして、こういったような信頼性の問題につきましては、いろいろ注意をしながらやっているわけでございます。
#108
○国務大臣(河野洋平君) 原子力発電もだんだん歴史を重ねてまいります、一定の時間が経過をいたしてまいりますと、さまざまな新しい注意しなければならない問題も出てくるであろうと思います。そうした点、関係省庁そしてこれに関係する民間の方々、英知を集めて安全性を十分維持できますように努力をするつもりでございます。
#109
○稲村稔夫君 終わります。
#110
○伏見康治君 私は、きょうは創造性の問題と、それからSDIの問題、二つのテーマについていろいろ長官の御意見を伺いたいと思っているわけであります。
 長官の配られました所信表明の中にも創造性という言葉が出てまいりまして、それから、午前中の岩動君の質問に対するお答えの中にも創造性という言葉がうたわれております。今まで日本国民は専ら物まね国民と言われてまいりまして、あらゆる産業というものはほとんど全部よそ様のまねごとをしてきた、それがだんだん成長いたしましてまね以上になってお師匠さんを超えるようなところがたくさん出てまいりました。それが貿易摩擦の原因になっているということでございますが、それにしても日本人はいまだに物まね国民と言われるのを完全には捨て切れていない面がございます。そういうことで、皆さん日本人は何とかして創造性を獲得しなければだめだ、そして世界に文化的に貢献する民族にならなければならないと考えるのはまことにいいお話でございまして、私も年来そのことばかり言っていたような感じがいたします、余計なことですけれども。
 科学技術会議の十一号答申を拝見いたしますと、何が大事かということが書いてありますが、「第一は、創造性豊かな科学技術の振興である。今後、我が国が二十一世紀に向けてより豊かな社会を築いていくためにも、また、我が国が国際社会において主体的貢献をしていくためにも、これらを支えるべき創造性豊かな科学技術の発展が不可欠であり、そのための積極的な研究開発活動を展開していくことが必要である。」というようなお話がいっぱい出てくるわけです。もうちょっと読みますと、「とりわけ、今後の研究開発の展開に当たっては、原理、現象に立ち返った技術シーズの創出を図るとともに、これを社会的ニーズと結び付け、改善、改良の枠を超えた独創的な科学技術の創出を図っていくことが重要である。」云々という言葉が出てまいります。
 ところで、改良といったような線を超えてもっと一歩先んじた科学技術をやっていくということを何で見たらいいかという問題が起こるわけでございますが、手っ取り早い一つの指標といたしまして、総務庁の統計局が出しております技術貿易収支というのを見てみますと、数字はお調べくださったかな、ひとつお願いします。
#111
○説明員(加藤雅夫君) 最近の技術貿易収支の動向ですけれども、輸入額に対する輸出額の割合で申し上げますと、昭和五十七年度が六五%、五十八年度が八六%増加してきておりまして、昭和五十九年度におきましては九九%、輸出入がほぼ一対一の状態になってきております。
#112
○伏見康治君 今お話しのように、五十九年度の数字は九九%になっておりまして、恐らく六十年度、昨年末のもし数字が出ていれば一〇〇%を超えている。ということは技術輸出、つまりパテントの輸出額と輸入額とがちょうど匹敵したということでございまして、つまり物まね国民がようやく一人前になれたという一つの指標にはなるかと思うんですね。
 それで、時あたかも科学技術庁を創設して三十周年の年でございますし、私は、河野長官に何かお祝いをしたらいかがかというようなことを伺ってみたいんですが、いかがでしょうか。
#113
○国務大臣(河野洋平君) 今、総務庁からお調べをいただいた数字を申し上げたわけでございますけれども、確かにパテントの出入りがバランスをしたということは大変うれしい、喜ばしいことでございます。ただ、これはもう先生十分御承知のとおり、その中身の問題が多少あろうかと思うわけでございます。対先進国とのバランスあるいは開発途上国との間のバランス、こういうところにやっぱり着目をしなければまだいけないのではないか。もちろん考え方でございまして、開発途上国に技術を提供していくということも意味のあることでございますから、そうしたことの価値を低く見るという必要は毫もないと思いますが、技術のより高い水準を目指そう、こう考えますれば、私は、今お祝いを考えるよりはより高いレベルに近づくためにもう一段の努力をする必要がある、こんなふうに考えているのでございますが。
#114
○伏見康治君 まことにごもっともなお答えでございまして、今申し上げました指標は一つの指標にすぎなくて、手がかりにはなるんですけれども、日本全体の創造性の尺度として果たしてそれがいいものであるかどうかということはいろんな意味で疑問があるわけでございます。今長官が言われましたように、日本が売っておりますパテントは主として発展途上国的な方へ売っているわけでして、買う方は専ら先進国から買っているというそういうことでございますので、必ずしもお祝いするに値するかどうかわからないというのは長官の言われるとおりであります。
 もう一つわからないところがあるんですが、この同じ貿易収支を日銀の方の統計で見ると数字が違っていると思うんですが、その数字を教えていただいた上で、その違いが何によって起こっているかということを説明していただけますかしら。
#115
○説明員(加藤雅夫君) 確かに数字が違っておりまして、今年度の白書を見ましても、数字、五十九年度と五十八年度の差はありますけれども、ちょっと違うのじゃないかということで申し上げてみますと、科学技術研究調査は、御承知のように我が国の科学技術に関する研究活動の実態を明らかにするという意味で、会社、研究機関、大学を対象にその研究開発費や研究関係従事者数などを把握するものでございます。したがいまして、会社については、さほど研究開発を行っていないと見られます卸、小売業、サービス業などの産業を除いておりまして、これらを除く資本金五百万円以上の産業を対象にしております。また技術貿易の面に関して申し上げますと、あくまでも民間企業に限定しておりまして、これら民間企業が外国との間において特許、ノーハウ、技術指導などの技術の提供や受け入れを行った場合を対象としております。一方、日銀の国際収支統計の方を見ますと、為替送金されるもののうち送金目的が技術援助であるものを対象にしておりまして、このため、例えば宇宙開発事業団といった研究を目的とした特殊法人とか、あるいは先ほど申しました卸、小売、サービス業で技術の輸入をやっているというようなところもすべて入ってくるということで、その範囲において差があります。このため、輸入面について申し上げますと、科学技術研究調査では卸、小売、サービス業などが除かれているのに対し、国際収支統計ではこれは含まれている。それからまた輸出面について申し上げますと、科学技術研究調査ではプラント輸出が含まれているのに対し、国際収支統計では、これは現金のやりとりじゃないということで、物であるということで対象から除かれているという差がございます。こうしたことが両統計間の差の主な要因ではないかと考えております。
#116
○伏見康治君 そういうようなわけで、統計的な数字を頭から信用してすぐ結論を出すわけにはいかないわけなんですが、それではほかにどんな日本人の創造性をはかる指標があるだろうかと考えまして、まず第一にだれでも思いつくのは、日本はノーベル賞をもらった数が幾つあるかという話になると思うのですが、これは申し上げるまでもなく非常に残念なことに小さな数でございまして、全世界の国々が、それぞれの国がもらっている数、例えばアメリカは四十九、いや、これは人口で割った数字ですな、人口一億人についてアメリカは幾つノーベル賞受賞者を出したかというと四十九人、イギリスは六十一人、西ドイツが二十四人というふうになっているわけでございますが、日本は三・三人という勘定になるわけです。ところが、全世界の国々を平均して幾らもらっているかという数字を出しますと実に四・八でございまして、日本という国民がもらっているノーベル賞の数は世界平均をいたしましても劣っているということになるわけですね。これを見るというと甚だ悲観してしまいまして、日本人の創造性を高めるというのはこれは容易なことではないという印象を受けるわけです。
 それはちょっと余りひど過ぎますので、もう少し勇気づけられるような指標がほかにないかということをいろいろ探ってみた人がおります。私の友人でそういうことをやるのが大好きな村上幸雄君というのがおりまして、私のところに、こういうのはどうだ、こういうのはどうだというたくさんのインデックスを持ってきております。たくさんありますが、その中で長官にも考えていただきたいと思ったのは、サイテーションインデックスのお話でございます。
 サイテーションインデックスというのは、アメリカで行われて商売になっているお話なんでございますが、ある論文がその後どれだけのほかの学者によって引用されているかという数字を調べます。ある論文がどれだけ価値があるかは、ほかの人がどれだけそれを学問的に評価して後の人がどれだけそれを引用しているかということによって判断しようというわけでございますね。それを克明に調べまして、それが電話帳のようなものになっておりまして、何か科学技術者を雇いたい方がそのサイテーションインデックスに相談なさいますというと、この人はこのくらいサイトされているから立派な研究者でございます、この人は論文の数は多いけれども余り人には採用されておりませんというような報告を与えてそれで商売をしておられるわけです。しかしこれもどこまで確かな客観的な評価になるかというのはなかなか難しいんじゃないかと思うんです。自分のことを申しまして申しわけないんですが、私が半世紀前に書いた論文が近ごろようやくサイトされておりますので、五十年待たないと評価されないということになるかもしれません。
 個々の人の創造性の評価にもなりますのですが、同じ統計でどの雑誌が一番立派な論文を載せているか、日本の学術雑誌の中でどれが一番立派な業績をたくさん載せているかというようなことは、その雑誌に出た論文がどれだけサイトされているかということを調べればわかるわけですが、現在の時点でその村上君が勘定したことによりますと、「ジャーナル・オブ・バイオケミストリー」というのが一番、名前は英語ですけれども日本の学界が出しているものですね。それから物理学界誌とか科学界誌とかいったようなものが割合世界的にいいもののうちに入っているわけです。
 そういうサイテーションインデックスといったようなもので国を評価するということができるのではなかろうかと私は考えているわけなんですが、そういう例を幾つか申し上げまして、長官にお願いいたしたいのは、政治家といたしましては国のそういう創造性を増すようないろいろな仕組みを考えて、例えば科技庁関係で申しますと新技術開発事業団がやっている創造性に関する企画がございますが、あれは非常にいい企画だと思いますけれども、そういうような企画が果たして有効であったかどうかということのためには創造性があったかないかということを何か測定する尺度を持っていないといけないと思うんですね。ただめくらのように、創造性というのは言葉は非常にわかりやすい言葉ですけれども、しかし実際ある仕事が本当に創造性があるのかないのかということを判断するということは決して生易しい、客観的には必ずしもできないことでございますので、何かそういう客観的な尺度を探しておくということは極めて大切なことではないかと思うわけです。それで科学技術庁のお仕事として、何かそういう創造性をはかるような新しい尺度を研究していただきたいと思うんですが、長官いかがでしょう。
#117
○政府委員(長柄喜一郎君) 科学技術活動、非常に複雑多岐にわたっているわけでございますけれども、一般に日本の技術は強いとか弱いとか、科学が弱いとか強いとか言われるわけですが、じゃ何をもってはかったらいいかというインディケーターの話だと思います。今、先生は創造性のことだけ触れられましたが、私たちとしましては、この科学技術政策を本当に的確にやるためには、科学技術活動というものを全体をうまくはからなきゃいかぬ。そのはかるのも個人レベルでどうなのか、集団レベルでどうなのか、国レベルでどうなのかというふうにいろんなレベル、いろんな分野でどうなのかということをはかりまして、客観的にもしはかることができて、しかも目標に対して非常にこの部分が弱いというふうな点については、その結果をフィードバックさしてまた政策にはね返す、こういうことがぜひ必要だ、こう考えている次第でございます。
 そこで、これは国際的にも科学指標と申しますか、サイエンスインディケーターズと言っておりますけれども、開発する必要があるということで、現在OECDの科学技術政策委員会の方でいろいろ国際的に科学技術指標をつくろうという動きがございます。それから米国の全米科学財団、NSFと言っておりますけれども、ここが非常に精力的にこの指標開発ということをやっております。国内でもこういうものはぜひ必要だ、研究開発資源には限りがある、これをいかに有効に使うかということで、その資質力を何をもってはかるかということで、実は科学技術庁の資源調査所というのがございますけれども、そこでこの科学技術手法の調査研究ということを既にもう始めております。いろんな大学の先生方、銀行の方とか経済学者、こういう方も入っていただきまして検討しておりまして、現在その基本的な構造についていろいろ検討しております。その中で当然この創造性というものをどうはかるかということも必要だというふうに考えております。
 それで、今の検討過程でございますが、創造性をはかる一つの指標として、まだまだ検討は必要でございますけれども、先生のおっしゃいましたサイテーションがどうなっているか、それから有名な、著名な国際的な学術雑誌にどう論文が収録されたか、それから非常に大きなイノベーションを引き起こすようなものを何件づくり出したか、それからいろいろな賞の受賞者数がどうか、こういうものを含めまして創造性というものの指標体系をつくっていきたい、こう考えておるところでございます。
#118
○国務大臣(河野洋平君) 先生から非常に示唆に富む御意見を賜りまして、まことにありがとうございます。
 今局長から申し上げましたように、私どももフォローアップと申しましょうか、確かに何がしかの尺度を考えていかなければならないというふうに考えます。これは余り厳しく型にはめるというものでなくて考えていかなければならないというふうに思っております。
 それからもう一つ、私、全く別のことで思いますのに、日本ほどマスターとかドクターとかというものに対する社会的な評価が、大変失礼な言い方でございますけれども余り高くない国はないのじゃないかという感じもするわけでございます。正直、外国へ参りまして博士にお目にかかるということになりますと社会的には非常に高い評価がなされるわけでございますが、日本の場合にはどうもそれがそれほどではない。それは一体どこに理由があるのかというようなことも私どもはもう少し深刻に考えた方がいいのではないかと。例えば大学を卒業する場合に、これもまた少し踏み出した発言で恐縮でございます、お許しをいただきたいと思いますが、大学を卒業した者に皆学士を与えるということで今果たして学士というものの評価はいいのだろうかという感じすらするわけでございまして、多少こうした議論は臨教審の場その他で論じられてしかるべきものだなと実はかねてから思っておったわけでございます。これは全く所管が違って、こうしたことを申し上げる場ではないと思いますが、いろいろなところから知的な評価というものを、あるいはソフトの面の評価と申しましょうか、そういった面をしっかりと考えていく、そういう時期に来ているというふうに思います。
#119
○伏見康治君 どうも長官ありがとうございました。その線でひとつお考えを進めていただきたいと思います。
 次に、創造性のお話はそのくらいにいたしまして、SDIの方について伺いたいと思います。SDIはまだ日本が参加するかどうかは決めていないということで、何を伺ってもまだ決まっておりませんというだけの御返事しか承れないのではないかとひそかに恐れているんですが、きのうですか、おとといですか、この間出した調査団が帰ってきているという時期でもございますし、これはもう三度目の調査団の派遣でございますので、SDIに関する一定のお考えはもう相当成熟しているはずであると思いますので、そういう意味でいろいろ御質問を申し上げたいと思います。
 SDIという言葉をレーガン大統領が八三年の三月に言い出しまして、そのときのレーガンの気持ちというものは、中曽根首相ではございませんけれども、理解できないわけではない。というのは、レーガンが日本へ来たときも見たことでございますが、いつも黒いかばんを持って歩いているわけです。その黒いかばんの中にはボタンがありまして、そのボタンを押せば一瞬にして何億かの人間が死ぬようになっているわけです。そういう恐ろしい責任をしょって一人の人間がしょっちゅう歩いているということは、よほどのんきな人でない限りは、本当に真剣に考えたらこれはもう非常に耐えられないことだろうと思いますですね。何とかレーガン大統領としてはその重荷から逃れるように考えたいと思うのは、これはもう至極当然のお話でございまして、その限りにおいて私は中曽根首相と同じように理解を示したいと思うんですが。
 ただ、現実に進行し始めている、SDIOというお役所がやり始めている中身とは非常に食い違っている面が多いわけですね。きょう来た「フィジックス・ツデー」をちょっと眺めてみましたら、その中の投書の中に、SDIを分類してSDI1とSDI2に分けないと話が混乱して困る。つまり、レーガンのヒューマニスティックな考えから出てきたそのアイデアというものと、それに多少関係はもちろんあるんですけれども、しかし本質において違っている科学技術者やあるいはお役人が考えているSDI構想というものとの間には非常に大きな開きがあるわけです。その二つを区別して考えないと非常に話が混雑するというそういう投書が書いてあるのを読みましたんですが、私はまさにそうだと思います。それで、今現に進行しているのは、レーガンがどういうヒューマニスティックな考えを抱いたかということではなくして、現に進行しているSDIOというお役所が進めているその話を的確に見なければいけないと思っているわけです。
 その食い違いの一つの面を例えば申し上げますと秘密の問題がありまして、レーガンはある新聞記者との談話では、これは人類共通の敵である核兵器をやっつけるんだからソビエトにも協力してもらう必要がある。何ならソビエトと共同研究でやってもいいといったようなことを言っておられるんですが、現実のSDIOの方のお役所の方では絶対の秘密であると。これはまあ当然の話ですが、そういう意味でもまるで話が違っているわけですね。ですから、この二つをまず区別して考えるべきだと思うのですが、長官のお考え、どうでしょう。
#120
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど先生がおっしゃったとおり、SDIについて政府は何もまだ決めておらないわけでございまして、ここで具体的な御答弁を申し上げることができないのでございます。先生御指摘のとおり、第三次の調査団が一昨日帰ってまいりました。近々私はその報告を聞こうと思っております。昨日も衆議院の委員会等がございまして十分時間の余裕がございません。元気で帰ってきました、よかったな、こういう程度のやりとりでございまして、まだ十分その内容については聴取いたしておりませんので新しい情報を実は得ておらないわけでございます。
 今の先生のおっしゃいましたお考えは一つのお考え、つまり少なくとも今までの新聞その他の情報の中に出てくる一つの考え方ではあろうかと存じます。
#121
○伏見康治君 人によって解釈が違うということは、アメリカのいろいろな政治家の言っていることがいろいろまちまちであるという点も非常に興味があると思うんですが、三月二十日、上院歳出委員会でプロクシマイアその他の方々がSDI計画をお調べになりまして、その研究報告を公表したというお話でございます。その実物をまだ手に入れたわけではないのでございますが、それを伝えている新聞の記事によりますと、全体としてのSDIに対する評価は技術的に極めて悲観点な見通しであると。つまり、恐らく二十一世紀にならなければ全然物になるまいというような意味の悲観的な見通しを立てておられると書いてございます。全くこういうSDIをつくろうといたしまして科学技術者が一生懸命になってもなかなか現実に物はできそうもないということは極めてありそうなことだと私は考えているわけですが、私なりの根拠を、プロクシマイアさんとは違った意味での私の根拠を申し上げてみますというと、原子爆弾が初めて落ちたときとか、あるいは水素爆弾が落ちたときとか、あるいはスプートニクが飛び上がったときとかいうときには、みんな科学技術というものはすばらしいことができるものだという印象を世界じゅうの人間に与えてしまったと思うんです。
 ところがその後の発展を考えてみますというと、例えば同僚議員の稲村さんが先ほどの質問で盛んに質問されておられた増殖炉といったようなものを考えてみますというと、もう三十年近くその方をやっておられる専門家は悪戦苦闘しておられますけれども、いまだにちゃんとしたものができていない。つまり、爆弾はあっという間にできましたんですけれども、平和利用の増殖炉といったようなものはなかなか物にならないわけです。私自身が関係しておりました核融合の研究というものも、スタートしたときにはインドのハーバー博士が二十年たてば物になるよと言ってくれたんですけれども、二十年はとっくに過ぎましてそろそろやはりこれも二十何年、三十年に近づこうとしているわけですが、これも今のところ実用性という観点から申しますればまだまだどうにもならない。さらに遠い将来に期待しなければならないというわけで、つまり、二十世紀の四分の三ぐらいのところまでは科学技術というものが非常に勢いのいい時代でございましたけれども、それから以後は非常に難しい時代に来ている。
 考えてみると、ある意味では当然の話でございまして、易しくできることは先に済んでしまう、後になるほど難しいことが残るということでございまして、ある意味では当たり前な話なんですけれども、とにかく世界じゅうの皆さんが科学技術に期待する、その期待の仕方が初めのころの景気のいいお話でいろんなことを判断されるものですから、その次に来るものも恐らく多少苦労してもやがてはできるだろうという期待が非常に強いと思うんですけれども、私はそういう時代ではなくなってきていると思うんですね。非常に苦労すればできないとは思いませんし、SDI推進派が言っているように、あるいはレーガン大統領がだれかの質問に対して答えたように、原子爆弾だって素人は初めはそんなものはできっこないと言ったではないか、素人ができっこないと言ったものがやがてできるようになるのが科学技術だという返答をなすったそうでございますけれども、それはいささか安易な答えであると私は考えるんですが、長官、どうお思いになりますか。
#122
○国務大臣(河野洋平君) 今日の科学技術の進歩というものは本当に夢のような部分が多うございます。正直、宇宙開発にいたしましても、その他幾つかの分野で我々が夢にも思わなかったような部分が次々と開発をされてくる、そういうことが現実としてございます。それだけに人間が人間としての節度を持ってこれに臨まなければいけない、そう考えます。
#123
○伏見康治君 私の申し上げたかったのは、要するに、科学技術というものはすばらしいものではあるけれども、皆さんが考えるほど安易なものではないということを十分承知していただきたいということでございます。
 SDIの問題で一番私が心配し、その点をよく考えてSDIに対する処置を考えていただきたいと思うことは機密の問題なんでございます。その機密の問題に入る前に、アメリカの軍事技術といいますか、予算の上でアメリカの研究開発費というものを眺めてみますというと、ここにグラフを持ってまいりましたですけれども、レーガン政権のもとでは国防に関するRアンドDというものがウナギ登りに上がっております。それ以外の研究費も徐々に上昇はしておりますけれども非常に少ない上がり方で、一九七〇年代には国防関係のRアンドDとそれ以外のものとが大体同じ数字であったのが、今や三倍か四倍になっているわけですね、国防関係の方が。そういう状況は日本では到底考えられない状況でございまして、アメリカの大学の先生たちの研究費というものが、ほかの研究をやっていたのではその研究費にありつけない、SDIに関係すれば何か研究費が出てくるというわけで、余りそういうことを、そういう政治的な背景をお考えにならない先生方はこのSDIのばらまいているお金に飛びついていっているという状況ですね。それに日本ももし飛びつくというようなことがあると、それは非常に考えが浅薄なことである、思慮のないお話だと私には考えられるわけでございます。
 それで、そういうことをしたときにどういうことが起こるかということを、いろいろなアメリカの「サイエンス」とか、あるいは「フィジックス・ツデー」とか、あるいは「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスト」とかいうような雑誌を眺めておりますというと、それでぐあいの悪くなる例が幾つか書いてございますのですが、それは主としてアメリカが軍事機密にするということをグラシファイと申しますが、そのクラシファイするのは一体どこからクラシファイするのか。つまり基礎研究であって、これはだれが見ても普通の研究として考えればいい、自由に公開された研究と考えていいという部面があるのは確かですね。それから非常に軍事に密着していて秘密にしなければならない研究もこれもあるだろうと思うわけですが、その中間が要するにわからないわけです。
 それで、初めはSDI関係のお金を出す場合にも、お役人側はまだ自由な研究の段階であるから、あなたにお金は上げるけれども、要するにクラシファイなんでいうことば全然考えなくてよろしいと言って自由に研究させるわけです。ところが、その研究が進みまして、例えば電子ビームの強度がある大変いい値になったとするというと、いつの間にかそれはグラシファイを担当しておられるお役人の方からその研究はもうクラシファイされたという御託宣を受けるわけです。そのビームの強度が幾らになったらグラシファイされるかということがあらかじめわかっていれば、その研究者は途中でここから先をやるとえういことになるから、この辺でやめておこうということが働くんでしょうけれども、ところがそういう基準というものは、つまり、どこから先をクラシファイするかということはグラシファイされているわけです。そういうものは決して外へ漏らさないわけですから。ですから、その研究者は知らないうちにクラシファイの領域に入っていってしまうわけですね。そうすると、もうそこから抜け出られなくなってしまう。一たび要するに秘密を知ってしまったならばその網の中から抜け出すことはできなくなるわけです。こういうふうにしてアメリカではクラシフィケーションという網目の中に知らず知らずのうちに多くの科学者が取り込まれていっているというのが現状であると私には考えられるわけですが、そのお相伴を私は日本もする必要はさらさらないと思うのですが、どうでしょう。
#124
○国務大臣(河野洋平君) SDIについては、先ほど申し上げましたように、現在調査団が帰ってきて報告をこれから聞こうという段階でございます。そしてSDIにつきましては、政治的、外交的、防衛的さまざまな側面、さまざまな角度からの研究があるのだろうと思っております。私ども科学技術行政を担当する人間といたしまして、その問題に対応するときに心しなければならないポイントが幾つかあるだろう、そう考えまして、今私自身心の中でそうした整理をしなければいけない、そう思っているところでございます。先生の御意見は御意見として拝聴させていただいた次第です。
#125
○伏見康治君 これからSDIにどうなさるかという判断をなさる時期に、先ほど申し上げたようなことを長官の頭のどこかに置いておいていただけるということを希望しておきたいと思います、これからも似たようなことを二、三申し上げますが。
 日本は本当に今いい国でございまして、研究者はみんな秘密といったようなものに煩わされずに、ある意味ではのんきな研究をみんなやっておりますが。ところで、西側諸国の科学というものが非常に繁栄してそして東側の科学が余り発達しないという、どこまで客観的にそれが言えるかは別として、皆さんそう考えているようですね。そうしてその東側の科学が十分発達しなかった最大の理由は、スターリン時代のルイセンコ事件というのがございまして、要するに政治が優先して、政治が科学研究を支配したということのためにひどいことになったわけです。スターリンが亡くなってからそういう呪縛が幾らかなくなりまして、自由なる研究がソビエトの中でも行われるようになってきているとは思います。それに似たようないろいろな規制といったようなものがいまだに東側にはあるかもしれないとは思っておりますが。しかしとにかく西側が東側に対して優越を言えるというのは、西側が学問の自由というものを非常に高く評価してきたというところに私はあると思うんですね。その学問の自由があって、学会のような組織をつくってそこで自由に討論する、甲諭乙駁することによってインチキな研究は捨てられ、すぐれた研究がその中から選び出されてくるというそういうプロセスを経なければ本当の研究というものは伸びないわけですが、それを行う場所というのはオープンでなければいけないはずなんですね。それが閉ざされた社会になりますというと途端に研究というものはまやかしのものになっていくおそれが非常に強いわけです。
 ですから、アメリカ自身が軍事研究のクラシフィケーションというものをやるときに相当気を使っているわけでございまして、つまり、しばらく軍事研究としてやっていてもちっとも進歩があらわれないというような領域がございますというと、そういうものは簡単にデクラシファイいたします。公開してしまいます。公開することによってその方の研究が進展するということを期待してそうするわけです。秘密の中に閉ざされてしまってごく数人の人間だけがやっているということは学問研究の上から申しますと非常に嫌な条件でございまして、そういう分野が今SDIの名のもとにアメリカでどんどん広がっているということは極めて危険な兆候だと思うんですね。つまり西側が一番大事にしているその自由というものをみずから捨てていくというプロセスだと思うんですね。相手が悪いからこっちも悪くなるということなのかもしれないんですけれども、それは本末転倒で、何とか西側諸国の本当の価値あるところを守るというそういう意識があるべきだと思うんですが、これは長官の意見を聞いてもまた同じような答えが出てくるかと思いますので。
 それから、日本が参加したような場合に一体どういう悪いことが起こるかということを、もう一つ歴史上の事実に基づいて申し上げてみたいと思うんですが、原子爆弾ができるいわゆるマンハッタン計画というのがございました。このマンハッタン計画の初期には、イギリスの科学者、フランスの科学者、カナダの科学者がみんな参加していたわけです。イギリスは独自にアメリカよりもむしろ早目に原子爆弾の研究を始めたわけですが、とてもドイツの空爆下で仕事になりませんものですから、その人たちが全部大挙してアメリカへ移って一緒に仕事を始めたわけです。ところが、いよいよ原子爆弾が完成に近づいた段階で、アメリカは、お前たちは帰れといってイギリス人を帰してしまいました。フランス人も帰した。カナダ人も帰してしまいました。要するに、アメリカがその共同研究のいいところは独占してしまって、イギリスもフランスもカナダも追い帰されて、はじき出されてしまったわけです。それがあるために、イギリスは戦後になって独自に爆弾計画をやらざるを得なかった。また意地でもやらざるを得なかったという感じがいたしますね。
 私は、SDIに参加するということの日本の科学者たちの運命も恐らく同じことになるだろうという感じを非常に強く受けるわけです、歴史がそういうことを教えてくれているわけですから。つまり、もしそれに参加して日本が何か本当にコントリビュートしたとするとクラシファイするということで、アメリカ人になってしまえばいいですよ、アメリカ人になるか、あるいははじき帰されるかという落ちになるであろうということを私はひどく心配いたします。こういうことも河野長官がSDIに参加するかしないかをお考えになるときの一つの材料にしていただきたいと思います。
 いろいろなことを言いたいんですけれども、ある意味では繰り返しになりますので、もう一つの面を申し上げて私の知っている日本の研究者たちと今度のSDIとの関係を考えてみたいと思うんですが、私の知っている研究者でこのSDIに最も近い仕事をしている人は大阪大学の山中千代衛先生という、大変強いレーザーをつくって、それを極めて小さな目標にぶつけまして、それを加熱して、その高熱・高圧によって核融合を起こそうというそういう研究をなさっている方です。その目的は核融合の平和利用にあるわけですから、全く平和なことを念頭に置いた純粋な平和研究です。しかし、その強力なレーザービームを使うという意味におきましてはSDIの研究と紙一重のところにいるわけですね。現在までのところ、その似たような研究をなさっているリバモアの研究所、ロスアラモスの研究所といったようなところがその山中先生と同じような研究をやっておられるわけですが、そこにおられる人たちと山中先生とは核融合の研究という看板のもとでは自由に話ができているわけです。アメリカでも核融合研究というものはオープンでございますから、その範囲内では山中先生は自由にお話ができて、つき合って、お互いに研さんし合っているわけですね。ところが、SDIが出てまいりますというと、核融合というものもそろそろそのSDIの縁のところにありますから、先ほど申しましたように、その縁のところがだんだんグラシファイの枠の中に取り込まれていくわけです。それで、今まで山中先生はある意味では極めて安楽に核融合という聖域で仕事をしてこられたと思うんですけれども、これから恐らく山中先生は極めてつらい立場に置かれることがあるんではないかと思うわけですね。恐らく非常に強いお誘いがアメリカ側から来るんじゃないかと思うんです。少なくとも今のところ山中先生はそういうものには絶対参加しない、私はあくまでも平和利用の研究に徹するということを言っておられますが、しかしいろいろなあの手この手でもって誘惑してくるんではないかと私はひそかに恐れているわけですが。
 そういう研究を日本ではほかにも幾つか考えることができます。そういう方々たちが無事にその平和利用の領域の中で本当の平和な研究に徹しられるようにひとつ長官考えてあげてほしいと思うんですね。それは政治的に何らかの意味において防護してあげないと、個人個人の科学者はやっぱりいろいろと弱い面がありまして、例えば非常にたくさんの研究費を目の前に見せられますとつい誘惑されてしまうといったようなことが起こりがちでございますので、そういう点も河野長官ひとつ大いに考えていただきたいと思うわけです。
 それからもう一つ気になりますのは、エドワード・テラーというマンハッタン計画の中の生き残りの、学問的には偉い、しかし大変右翼の学者がおられるわけですが、このエドワード・テラーさんがSDI関係のいわばイニシアチブのイニシアチブをとった方ではないかと思うんですが、例のエックス線レーザーというものですね、原子爆弾を破裂させたそのエネルギーによってエクサイドされたアトムを使ってエックス線のレーザーのいわばエネルギー源にする、原爆をエネルギー源にしたエックス線レーザーの研究を指導した人です。そのエックス線レーザーができたということがエドワード・テラーをしてレーガンにSD1を勧めるきっかけになったといううわさがございますが、そのテラーさんが言っている新聞の情報を申し上げますと、SDIに協力して何か研究成果を出したとする。そうすると、その研究に日本も金を出していないのならば、日本の場合では実はなかったんですけれども、日本も金を出すのでなかったならばその研究の成果というものは完全にアメリカのものであるということを言っておりますね。ですから、そういう研究に参加するということの実際上のメリットは、そういう意味では日本には出てこないのではないかと思います。
 その種のお話がいろいろございますが、最後にもう一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、これは長官に聞いてもお答えが出てくるはずだと思うんですが、対米武器技術供与取り決めというのがございますね。これにはいろんな省庁が関係しているんですが、科学技術庁は参画していないわけです。今度のSDIには科学技術庁も参画している。この違いは一体何によって出てきたんでしょうか。
#126
○政府委員(内田勇夫君) お答え申し上げます。
 科学技術庁は科学技術に関する基本的な政策を所管する官庁でございまして、我が国の今後の科学技術を企画、立案、推進していく上で科学技術全般に影響を与える可能性のあるSDIの動向を十分把握していくことが重要と考えておりまして、このような観点から関係省庁の一つとしてこれに関与しているところでございます。一方、対米武器技術供与と申しますのは、もっぱら武器の設計等に係る技術を日米相互防衛援助協定に基づいて米国に供与するというものでございまして、当庁はこれには関与はしておらないわけでございます。
#127
○伏見康治君 新しい科学技術の可能性を絶えず承知していなければならないということ、その面はよくわかるわけですが、しかし同時に、科学技術庁が取り扱っておられる原子力の分野、宇宙の分野では平和利用に徹するということがあからさまに打ち出されておりまして、殊に宇宙などというのはSDIに極めて密接に関係があると思うんですが、そういう平和に徹するというみずから立てた旗印に何か抵触するような感じがするんですが、そういうおそれはないのですか。
#128
○政府委員(内田勇夫君) 先生御指摘のように、原子力、宇宙につきましては平和目的に徹するという基本的な方針のもとに進めておるところでございます。
 ただ、科学技術庁は従来原子力と宇宙ばかりやっている役所でそれではいかぬのじゃないか、こういう非常に厳しい御批判がございまして、もう少し科学技術全般について企画、立案し、総合調整するという点を強化していかなければいかぬという御方針でいろいろ御意見をいただきまして、私ども今後そういう方向に進みたいということでいろいろな努力をしておるわけでございまして、そういう意味で、科学技術全般に影響を与える可能性のあるSDIの動向というものは十分に把握していかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
#129
○伏見康治君 河野長官に特に申し上げておきたいのは、三十何年前に日本で原子力が始まるときに学術会議の場で、いわゆる原子力の平和利用に関する三原則というものを立てさせていただいたわけなんですが、つまり原子力を平和利用に限るんだという非常に強い旗印を立てたればこそ、今日の日本の原子力発電がいろいろな困難はあったにしてもとにかく非常に大きな成長を遂げてきたと思うんですね。その旗印をもし持たなくて、絶えず原子兵器との区別が不明瞭な状態であるならば非常に困難なことになったろうと思います。それで申し上げたいのは、SDIに関連しても平和利用でいくという線を捨てないようにしていただきたいと私は思います。実際、戦後の四十年の歴史の中で日本は一遍も戦争をしないで済んできたというのは、もちろんほかの条件もいろいろあることですが、また原子力とか宇宙とか、もっぱら軍事利用というものによって刺激されてできたテクノロジーは軍事の背景がなければだめだというそういう考え方を、日本は明らかにそれを否定してきたと思うんですね。軍事の背景がなくても平和利用だけで立派に産業を育てることができるということを実証してきたと思うんですね。そのことをひとつ忘れないようにしていただきたい。
 それから、先ほど言われたように、科技庁として先端的な技術がどうなっているかということに絶えず目を光らしているということも極めて大事だろうとは思うんですが、SDIというものを単に先端技術の何か発生地であるというふうに見るならば、そういう意味で眺めていけばいいので、つまり、フランスのミッテランが、ユーレカという言葉で表現されるような先端技術の要するに研究体制というものを打ち出すということをもってSDIに対抗したように、日本も日本版ユーレカというものを打ち出してSDIに対抗なさったらいかがかと私は思うわけですね。ユーレカというのは大変いい言葉で、つまり、アルキメデスが浮力の発見をしたときに、ふろ場に入っていてそれを発見したときに裸のままユーレカ、ユーレカと言って飛び出してきたというその言葉で、つまり新発見を意味するわけですが、その科学技術の新発見ということだけに目をつけて軍事的背景を捨象してしまったその計画を科技庁としてお立てにならないように長官にお願いしたいのですが、御意見を伺います。
#130
○国務大臣(河野洋平君) 今日の科学技術の分野におきまして、日本が国際的に評価されるような科学技術を身につけたのにはそれなりに先輩の方々の御努力、御苦労が多かったのだろうというふうに私は思います。そうした先輩の御労苦というものを忘れないようにこれから先の科学技術行政にも当たらなければならないというふうに考えます。今先生から御指摘の点は、私なりに十分受けとめてさらに勉強をさせていただきたいというふうに思います。
#131
○伏見康治君 少し疲れましたので、これでおしまいにいたします。
#132
○委員長(馬場富君) 速記を中止してください。
   〔速記中止〕
#133
○委員長(馬場富君) 速記を起こしてください。
#134
○佐藤昭夫君 まず、三宅島のNLP建設問題で少し質問いたしますが、三宅島における火山対策、地震対策の関係で科技庁の防災センターがあります。この防災センターの地震計は防災科学の上でどういう役目を果たしておるか、まず簡単に御説明願いたい。
#135
○政府委員(内田勇夫君) 科学技術防災センターは、地震につきましては関東地域を中心といたしました微小地震の観測を分担いたしておりまして、各地に微小地震計を設置いたしましてそのデータを解析をしておるということでございます。三宅島におきましても、その一環といたしまして火山性の地震を含めた微小地震の常時観測を行っておりまして、そのために微小地震計が一基設置されておるわけでございます。
#136
○佐藤昭夫君 今もありましたように、三宅島における地震計は気象庁の観測とあわせて我が国の地震予知、火山対策に重要な役目を果たしていると思うわけでありますが、一方、政府はアメリカの要請に基づいてこの三宅島に米軍の空母艦載機の発着訓練基地建設を計画をして、今島民挙げての大反対が起こり、重要な政治問題になっております。この訓練基地建設をめぐっては、地震や火山の専門家、学者、研究者の間から、ジェット機の離着陸だけで約二百トンの衝撃波を地面に与える、あるいはジェット機の離着陸や爆音の衝撃波は本物の火山性地震と見誤りやすい、あるいはまた電気的障害なども指摘をされる。こうしたことで、この三宅島におけるNLPの建設を理解できない、絶対やめるべきじゃないか、こういう専門家の声が大きく上がっていることは御存じのところと思います。とりわけ著名な地震学者、元東大の地震研教授の宮村摂三さんは、火山の監視には今後、地磁気や地電流の観測も重要で、電子装置で基地を固めればこうした観測データも得にくくなる、三宅島に今必要なのは、火山監視体制のむしろ充実こそ必要じゃないか、こういうことを発言されておることも御存じのところだと思いますが、こうしたことを受けて先日、四月二日から行われました日本地震学会、あるいは続いて四日から行われました火山学会、こうしたところでも大きな議論になって、こうしたNLPの建設計画、これを取りやめるべきだというのが今大きな声として起こってきておると思いますが、科学技術庁としてこういう専門家の意見をどのように検討をされているでしょうか。
#137
○政府委員(内田勇夫君) 私ども、この防災センターの微小地震計でございますが、NLPでございますか、の訓練によって現在のままの装置でございますと観測に多少の影響が出る可能性もあるというふうに考えております。しかしそういう場合でございましても、専門家の意見によりますと、適切な対策を講ずれば現行の観測水準を維持することは十分できる、こういうふうに判断しております。
#138
○佐藤昭夫君 多少の影響が出るということは否定できないけれども、適切な方法を講ずれば別にそごは起こらぬだろう、こういう今の答弁でありますけれども、三宅島を初めとするこの地域というのは最近群発地震が頻発をしているということは御存じですね。
#139
○政府委員(内田勇夫君) 三宅島は、先生御案内のように、火山の問題もございますし、常時、防災センターにおいて観測をいたしておるところでございます。
#140
○佐藤昭夫君 群発地震が頻発をしているというのは改めて言うまでもないことですけれども、非常に噴火ないし地震が発生をする一つの危険信号があらわれておるということの証明だと思いますけれども、であればこそ、先ほど紹介をいたしました地震研教授の宮村摂三さんが、この地域というのは今程度の観測体制にそこが起こらなければそれでいいという問題よりは、もっと万々が一の場合に備えての観測体制の充実こそが今求められておる地域なんだという発言が出てくるゆえんもそこにあるわけです。こうした点で、まあまあ影響は否定できないけれども何とかいけるだろう、こういう態度で済まされるんだろうかというふうに私は思うんですね。
 そこで別の角度から、この地域には非常に珍しい野鳥なんかもおり、そういう生態学、環境保護の角度からも随分重視をされていて、御存じのとおり生態学会、これは既に昨年の段階から学会の大会において特別決議をして、こういう基地建設をやめるべきだという意思の表明もやられているわけでありますけれども、実は四月一日の朝日新聞の夕刊に紹介をされておりましたが、長官と同じ新自由クラブに所属をしておられます小杉環境庁政務次官が野鳥の会の案内で現地を視察されまして、いろいろ実情を調べられて、「村民感情からすれば、飛行場に反対する気持ちも理解できる」、こういうふうに発言をされたということが新聞の報道で伝えられています。
 そこで、長官に改めてお聞きをするものでありますけれども、河野さん個人としては、小杉さんのこうした発言もあるんですけれども、同様のお考えだろうなというふうに私思うのですけれども、どうでしょうか。
#141
○国務大臣(河野洋平君) 小杉議員に先日会いまして、話を聞きました。小杉議員は、たまたま日曜日を利用して八丈島に趣味のマラソン大会に田場すべく出かけた。そうして八丈島でマラソンをやった後、全く個人の資格で私的に三宅島に立ち寄った。そして三宅島の自然を見てきました。環境庁の政務次官という立場ではなくて、全く私的に自然を愛する個人として島をめぐって、全く素朴な感想を漏らした。しかし新聞に引用をされたものは完全な私の真意ではないということを小杉君は私に言いました。十分に真意が伝わらなかったというようなことも言っておりましたけれども、それはもちろんだれでも自然を愛する人間は、豊かな自然の中に身を置けば心地よい思いをするのは私は当然だろうと思います。残念ながら私はまだ三宅島に行ったことがございませんから、三宅島についてコメントをする資格がございません。そしてまた、小杉議員自身もNLPについては、これはやっぱりいろいろな角度から考えなければいけない問題であろう。例えば日米関係でございますとか、あるいは日本とアメリカとの間にある条約の問題でございますとか、こうした点も十分考えなければならないのであって、一面的なことだけで事柄を判断するというわけにはいかないものではないかということも言っていたことを申し上げたいと思います。
#142
○佐藤昭夫君 私どもの環境委員会担当議員の方から小杉さんにお尋ねをしておるその中でのニュアンスとはちょっと違うんですけれども、それはいいでしょう。
 ことしの年の初めですけれども、一月八日の朝日新聞に、新閣僚ざっくばらんインタビュー、ここに河野さんが御登場になっておる。ここで非常に大事なことをおっしゃっているんです。前段は中曽根批評ですけれども、中曽根さんは明快に自説を主張される首相だ。その一方で人の意見もよく聞き、自説が十分説得力を持たないと思えば、いつでも変える。これはよい姿勢だ。あの防衛費のGNP比一%枠問題のときも、当初は撤廃せざるを得ないというふうに中曽根さんは言っていたが、みんなの意見をよく聞いて引っ込めた。云々とありまして、「仮に問題が起これば、新自ク代表として入閣している以上、意見を申し上げる。」というふうに河野さんはここでおっしゃっている。
 私は、まさに今、この「意見を申し上げる」、そういう決断をされる段階に来ているんじゃないか。本当に先ほど来言っています地震関係、火山関係の専門家の人たちが、影響は否定できないところかもっともっと充実をしなければならない、これに逆行をする事態が起こるということで、地震予知問題の責任官庁科学技術庁の対応を強く専門家の方が求めておる。こういう時期に、その長であります河野大臣、しかし同時に政治家個人としても、村民挙げてこういう大きな反対運動が起こっておる、こういう状況に即して中曽根首相に対して一定の進言があってしかるべきじゃなかろうかというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。
#143
○国務大臣(河野洋平君) 新聞に私はそう申しました。閣議に列する人間として、ただ単に所管の問題だけではなくて、申し上げなければならぬ問題があれば意見は申し上げたい、こう今でも思っております。しかしそのときには、やはり閣僚の一人として意見を申し上げるということになる場合には、それなりに、さっきも申し上げましたけれども、国際的な見方あるいは外交上の考え方、もちろん科学技術行政から見た考え方、そういったものをいろいろ考えた上、確信を持って申し上げなければならないわけでございまして、今先生御指摘の問題について、もっともっと自分自身が研究をして、もし申し上げなければならぬということであればそれからの問題だというふうに思います。少なくとも現時点では、防衛施設庁等が三宅島の村民に対していろいろと説明をしようという姿勢で、村の方々との話し合いの機会を探っておられるというふうに伺っておりまして、村の方々がどう対応されるか、今は非常に慎重な対応と伺っておりますけれども、十分対話をして進めたいということで施設庁も考えておられるようでございますから、そうしたものもよく見ていかなければ、私は軽々に物を言うというわけにはまいらないのでございます。
#144
○佐藤昭夫君 よく問題を研究をして対処について慎重に判断をしたい、こういう御答弁でありますので、恐らくこの問題はまだ相当の期間こうした政府側と町民の皆さん方、あるいは地震などの専門家の皆さん方の意見というのは対立が続いていくに違いありません。そういうことでありますので、できるだけ速やかにひとつ決断あらんことを、政治家河野さんとしても、また責任官庁科学技術庁の長官としてできるだけ速やかに決断あらんことを重ねて要望しておきまして、この問題を終わりたいと思います。
#145
○国務大臣(河野洋平君) 科学技術庁所管の国立防災科学技術センターで地震の問題を所管いたしております。この国立防災科学技術センターの考え方は担当局長その他を通して十分聞きまして、適切な対応ができるものと思っておりますが、先生の御指摘の後段につきましては、まず所管の防衛庁、防衛施設庁等の努力というものが現在続けられておるわけでございますから、先生は早急にとかいろいろおっしゃいましたけれども……
#146
○佐藤昭夫君 私の要望です。
#147
○国務大臣(河野洋平君) この問題、私が先ほど申し上げました、言うべきときには言わなきゃならないと申しましたのも一般的な問題について申し上げたのであって、この問題にばかり、この問題を特別取り上げて今研究をしておるとか、検討しておるとか、何か言う時期を考えておるとかということではございませんので、誤解のないようにお願いを申し上げます。
#148
○佐藤昭夫君 それでは次の問題でお聞きをしますが、四月八日、日本原子力産業会議の年次大会において有沢広巳会長が、原子炉の例えば緊急炉心冷却装置ECCSなど安全確保に役立っていない過重な装置は除去すべきだと発言をされたとの報道がありますけれども、これは事実でしょうか。
#149
○政府委員(辻栄一君) 原産の有沢会長が今年度の年次大会の冒頭、所信表明におきまして、安全の確保を図りつつ設計面についてのバランスを考えるための努力をすべきであるという趣旨の御演説をされたということでございます。新聞に書かれているように、新聞の中身はそうでもないのですが、表題に書かれているようにECCSは要らないというような御発言をされたのではないと思います。
#150
○佐藤昭夫君 正確な発言の内容がどうであったかということは、恐らく原産会議の年次大会でありますから、一定の時期に出版物になって出ると思いますので、その段階でも確認ができることではありますけれども、もしも新聞報道にあるような、もうECCSなんというものは不要だ、こんなものはつけなくてもいいといったような、有沢さんが言うたか言わぬかということはともかく、そういう論ですね、いわばECCS不要論、こういうものがあるとすれば、これは私は重大な意見だというふうに思わざるを得ないわけです。言うまでもありませんけれども、ECCSというのは万々が一の事故に備えての安全装置として開発されて、今日国際的にも原子炉にあまねくこういうものは大体つける、こういうことになっておるものでありまして、この役割を否定するというような議論があるとすればこれは重大です。こうした点で、いわゆるECCS不要論、これについて確かめるまでもないと思いますけれども、科技庁の見解はどうなんでしょうか。
#151
○政府委員(辻栄一君) ECCS不要論というものが、日本においてはもちろん国際的にも存在しているとは考えておりません。原子力発電の利用に当たりまして、安全性の確保が大前提であるということは言うまでもないことでございまして、ECCSは安全確保上極めて重要な設備でございまして、これが不要であるとは科学技術庁は毛頭考えておりません。またECCSの性能を評価する安全審査指針につきましても、現時点でその見直しをするようなことを考えていることはありません。先ほど申し上げましたように、新聞の表題が少しオーバーな表現ではなかろうかと思っておりまして、十九回大会におきまする有沢会長の発言の趣旨は、安全性の確保を前提としつつ、経済的で安全上もバランスのとれたものに、そういうような設計に努力をすべきではないかという趣旨であろうというふうに理解いたしております。
#152
○佐藤昭夫君 念のためにエネルギー庁にも聞いておきますが、総合エネルギー調査会原子力部会のもとで軽水炉技術の高度化ということで軽水炉のいわゆる改良問題についていろいろ議論をされ、一応のまとめ報告がこの間三月二十八日に出されておりますが、その報告を見ましても、今の、仮にということでありますが、ECCS廃止論、こういったようなことはおよそ検討課題にも上っていないというふうに私あの報告書を見ているんですけれども、そういうふうに理解していいでしょうね。
#153
○説明員(上村雅一君) 三月二十八日に総合エネルギー調査会の原子力部会で決定されました報告書は、軽水炉の技術の一層の高度化の目標とその達成のために必要な新たな技術開発課題の摘出を行ったものでございまして、ECCSの見直しにかかわる開発目標の設定とかあるいは見直しのための技術開発課題というようなことについては検討をいたしておりませんし、報告書の中にも含まれておりません。軽水炉技術の高度化に当たりましては、安全性の確保が大前提であることは当然でございまして、この安全確保の大前提を踏まえて一層の技術の高度化を進めるものでございます。
#154
○佐藤昭夫君 次の問題でお尋ねをします。
 先日の四月七日に例の国際協調のための経済構造調整研究会、ここが総理への報告を提出いたしました。その内容は、今日の経済摩擦の元凶である大企業の集中豪雨的な輸出を全く免罪して、産業調整と称して中小企業や農業、石炭産業などに一層の壊滅的な打撃をしわ寄せをしょうとする、私としては非常に反国民的な提言だというふうに言わざるを得ないのでありますが、その報告の中の一項目に、二十一世紀に向けて新たな科学技術の創造に貢献するため、基礎科学技術の国際的共同研究開発をやろうということを提言しているわけであります。そして、この具体化として、総理は近く行われます日米首脳会談や五月のサミットにおいて、日本が資金の多くの部分を負担して基礎科学技術の国際的共同研究開発機構を中曽根総理が提言する、こういう報道があります。また、こうした総理のアクション、これに沿って既に科学技術庁ではヒューマン・アンド・アース・サイエンス計画など一定の構想を検討中だと報道されておるんですけれども、事実はどうでしょうか。
#155
○政府委員(長柄喜一郎君) 経済構造調整研究会の報告の中に、科学技術面における国際貢献を大いにしなければいかぬというのは事実でございますが、総理がサミットに提言されるという記事については我々は、総理はどうお考えになっているのか、その点については十分承知しておりません。また、科学技術庁がいろいろ、ヒューマン・アンド・アース・サイエンス・プログラムというふうなことで大型の基礎研究構想というものを、まだ構想段階でございますけれども検討中であるのは事実でございます。
#156
○佐藤昭夫君 そうしますと、ことしの六十一年度予算で、例の理研のもとにフロンティア研究機構というものをつくるという新しい予算が片一方登場をしている。そして片一方、国際的なそういう基礎科学の共同研究開発機構をつくっていこうという報告がある。まだ中身については検討中ということでありますけれども、一定の腹案みたいなものも科技庁で検討が始まっている模様だと。この関係がどうなるかということでちょっときのうも聞いてみますと、いや、この二つの関係というのはこれからの検討問題で、何とも今の段階では言えませんという話なんですが、これはちょっと役所の仕事としては私は何か不可思議に思うんですね。しかしそれはともかくとして、この新しい組織の国際的な研究組織をつくっていくというこの構想が一兆円規模とも言われる相当なでかい規模だと。しかし、それが法的に認知をされた審議会でもない総理の私的諮問機関、一研究会の意見、これが出るとぱっとそれに飛びつくように、専門家の入念な検討もないままにそんなのがぱっぱっと日米首脳会談とかサミットとか、こういうところで提言ということで出ていったとすれば、これは国際的信義からも、そこで何か物を言った以上、後戻りできないことになるだろうということで、私はちょっと今の動きというのはいささか軽率な動きじゃないか、もっと専門家の入念な検討を経て一歩一歩内容を固めていくというそういう手続が要るんじゃないかというふうに思うのですけれども、大臣どうでしょうか。
#157
○政府委員(長柄喜一郎君) 科学技術庁におきます大型の基礎研究構想でございますけれども、まだ構想段階を脱したものではございません。考え方としましては、科学技術政策大綱にございますように、日本のこれからの科学技術の重点というのをまず基礎研究を強化しよう。それから人間のための科学技術ということに徹する。それから三番目に国際的な貢献を果たす。こういうことが書いてございますが、この三つに共通する問題として我々はかなりの金額を投入して国際的にも十分評価され、しかも基礎的なものをということでこの構想を考えているわけでございます。
 それで、現在研究の対象と考えておりますのは、人間、生命の本質を探求するというのが第一点。それから第二の問題は、人間を取り巻く地球、また自然、そういうものを十分理解しよう。そして、それと人間の活動はどういう相互関係になるかということを理解しようということでございまして、そういう構想をまず考えまして、また通産省におきましても若干似たような構想もございます。それで現在こういういろんな構想をまとめて、まとめてと申しますか、構想を科学技術会議の政策委員会というところで日本としてどういう構想がいいかということで検討しているという段階でございます。
#158
○佐藤昭夫君 しかし、科学技術会議の一定の組織で検討すると言ったって、もう日米首脳会談目の前でしょう。サミットと言ったって遠い先じゃない、五月初めでしょう。ここへ何かの一定の提言をした以上、国際会議の場で提言した以上、そんな簡単にあれはやめだというようなことに後でするわけにはいかぬというふうに私は思うんですよ。そういう意味で本当にもっと慎重な検討が経られて練り上げられるべき問題じゃないかというふうにこれは言っておきます。
 そこで、最後に大臣に再びお尋ねをするのでありますけれども、私は何よりも重大だと思うのは、この新しい国際共同研究機構が平和目的に徹して進められるのかどうかという問題であります。現在この種の科学技術研究の国際協力構想としては、さっきもありました一つはアメリカのSDI研究、それからミッテランのユーレカ計画、こういうものがありますが、いずれも軍事利用が面接ないし究極の目的になっているということは否定できない。
 そこで、元旦三日の委員会でも私触れたことでありますが、去年の十一月の当委員会で、さっきから言っていますフロンティア研究、これに軍事研究が導入されるのではないかという私の質問に対して当時の竹内長官が、断じて軍事利用を目的とした研究は考えていないと答えられたように、今の日本の国内研究の制度のもとでは国民の監視もありますから大きな制約がある。したがって、そこをすり抜けて軍事利用に踏み込んでいく道を開くための一つの策としてこんな新しい国際的共同研究機構というものが発想されるとすれば、これは大変だというふうに私は思うんです。いや、おまえのそういった心配はもう全く当たらない、こういった新たな国際共同研究開発機構組織、そういうものはあくまで平和目的に徹して行うんだというふうにお約束がいただけるかどうか、大臣、どうでしょう。
#159
○国務大臣(河野洋平君) 竹内前長官と佐藤議員との間に議論がありました論点は、フロンティア研究機構についてのやりとりであったと承知をいたしております。明確に竹内前長官からお答えを申し上げてあると承知をいたしております。科学技術庁には科学技術庁の設置の目的が明確にあるわけでございまして、私どもは科学技術庁の設置の目的を外れるような研究のイニシアチブをとるというようなことはあり得ないことでございます。
#160
○委員長(馬場富君) 佐藤君、時間が来ております。
#161
○佐藤昭夫君 抽象的に言われておりますけれども、そのことは平和目的に徹して科学技術庁としては検討し、取り組みを進めていくということに私理解をしておいたらいいんでしょうか。
#162
○国務大臣(河野洋平君) 専ら防衛技術にわたる研究をするとか、そういうようなことは全く科学技術庁の従来とってきた態度ではございません。私は、これから先も科学技術庁は本来の目的に沿って研究を進めたい、こう申し上げておるわけでございます。
#163
○佐藤昭夫君 終わります。
#164
○委員長(馬場富君) 本件についての質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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