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1985/05/19 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 科学技術特別委員会 第11号
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1985/05/19 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 科学技術特別委員会 第11号

#1
第104回国会 科学技術特別委員会 第11号
昭和六十一年五月十九日(月曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     菅野 久光君     福間 知之君
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     福間 知之君     松前 達郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         馬場  富君
    理 事
                岡部 三郎君
                志村 哲良君
                稲村 稔夫君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                長田 裕二君
                工藤万砂美君
                竹山  裕君
                成相 善十君
                林  寛子君
                安田 隆明君
                穐山  篤君
                片山 甚市君
                松前 達郎君
                伏見 康治君
                佐藤 昭夫君
                山田  勇君
       発  議  者  稲村 稔夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       河野 洋平君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      矢橋 有彦君
       科学技術庁原子
       力局長      中村 守孝君
       科学技術庁原子
       力安全局長    辻  栄一君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   堀田 俊彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       資源エネルギー
       庁長官官房企画
       調査課長     林  康夫君
       資源エネルギー
       庁公益事業部開
       発課長      関野 弘幹君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全管
       理課長      神田  淳君
   参考人
       青森県副知事   山内 善郎君
       泊漁業協同組合
       理事       滝口作兵エ君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び
 原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法
 律案(稲村稔夫君外三名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として福間知之君が選任されました。
 また、去る十七日、福間知之君が委員を辞任され、その補欠として松前達郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(馬場富君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案、及び原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(馬場富君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として、青森県副知事山内善郎君及び泊漁業協同組合理事滝口作兵エ君の出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(馬場富君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(馬場富君) これより参考人の意見聴取を行います。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 山内参考人、滝口参考人には、御多忙のところ貴重なお時間をお割きくださいまして、まことにありがとうございます。
 当委員会は、ただいま議題となっております両法案につきまして慎重に審査を重ねているところでございますが、本日はそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りまして、審査の参考といたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 議事の進め方でございますが、まず参考人の方々からそれぞれ十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に答えていただきたいと存じます。
 それでは、山内参考人から御意見を承ります。山内参考人。
#7
○参考人(山内善郎君) それでは意見を申し上げます。
 今国会に提出されております法改正案の主な内容は、第一点が、廃棄物埋設及び廃棄物管理の事業について許可制度を設け、その規制に関し所要の規定の整備を図ることであり、第二点が、指定検査機関等に溶接の検査等を行わせることができることとし、これに伴う規定の整備がなされることと承知をいたしております。
 昨年十月、原子力委員会及び原子力安全委員会は、専門の廃棄事業者が集中的に廃棄物を処理処分する場合には、その安全確保の責任を廃棄事業者が負うこととすることがより適切である旨の決定をしており、今回の改正案は、この趣旨に沿ったものと理解をいたしております。本職といたしましては、安全確保の観点から、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設の設置者であります日本原燃産業株式会社に対する規制と責任の明確化がなされるものと評価をいたしております。また、原子力委員会は、返還廃棄物の貯蔵を再処理事業から独立した業務とすることができる場合は、実施主体が廃棄事業者として、返還廃棄物の貯蔵についての安全確保の法律上の責任を負うことが、より適切である旨の決定をも同時にいたしておりまして、今回の改正案はこの決定を踏まえたもので、日本原燃サービス株式会社を廃棄事業者とすることによりまして、その責任を明確にしたものと評価をいたしております。
 次に、溶接検査等の代行制度の導入につきましては、指定検査機関等に対して厳正かつ公正な検査等が行われるよう、国の厳格な監督を望むものであります。
 最後に、このたびソ連のチェルノブイル原子力発電所で発生いたしました事故は、その事態の重大性から、本県原子力発電所等の建設予定地域の住民はもとより、県民に対し多大の不安感を与えたところでありまして、まことに憂慮にたえないものがございます。原子燃料サイクル等原子力の平和利用に当たりましては、安全性の確保がすべての前提となるものと認識をいたしておりますので、国におかれましては、今回のソ連での事故に関し、その原因、状況等を可及的速やかに調査をいたして、早急にその結果を明らかにされるとともに、今回の事故を重大な問題と受けとめ、安全対策に万全を期するよう、この機会をおかりいたしまして要請をいたすものでございます。
 以上でございます。
#8
○委員長(馬場富君) ありがとうございました。
 次に、滝口参考人にお願いいたします。滝口参考人。
#9
○参考人(滝口作兵エ君) 滝口でございます。
 私は、青森県六ケ所村泊漁業協同組合の役員として、昭和三十七年より二十四年間、微力ではございますが、組合の運営のために働いておる者でございます。今回、参議院科学技術特別委員会より参考人としてお呼びくださいまして、意見を述べさせていただく機会を与えてくださいましたことは、まことにありがたく光栄に存ずる次第でございまして、厚くお礼を申し上げます。
 今回の原子炉等規制法の一部を改正する法案の内容は、我々六ケ所村の海を生活の根拠としている者にとりましてはまことにありがた迷惑でもあり、反対の立場から意見を申し上げてみたいと存じます。
 御承知のとおり、電事連から核燃料サイクル三施設の立地が県へ正式に要請されましてから、立地の第一条件であり、またそうであるべきはずの住民の満足な合意も得られず、また安全性につきましても多くの疑問があるこの危険な核燃料サイクル施設を、しかも、たったの七カ月か八カ月そこらで立地を決定されてしまいまして、我々漁民は大変な不安におののいているのが実情でございます。また、三施設の規模等は、今さら私ごとき者が申し上げるまでもなく、世界でも例のない年間八百トンの再処理と、しかも濃縮ウラン、それに三千トンの使用済み燃料の貯蔵プールや、ドラム缶にして当初は百万本、最終的にはドラム缶三百万本の低レベル放射性廃棄物貯蔵施設、これは世界的にもその例を見ない巨大なものであります。それがゆえに建設場所の予定地の選定に当たりましては、沖縄はもとより鹿児島の徳之島あるいは長崎県平戸、また高レベル廃棄物貯蔵施設の立地要請されております北海道の幌延町等、我が六ケ所村よりは発展の非常におくれているいずれの地域におきましても、核のごみ捨て場になることを恐れ、危険な放射能施設としてあまされ、立地を拒否されてきたのも先生方既に御承知のとおりと思います。
 また、安全性の問題を取り上げて見ましても、今、六ケ所村へ立地が決定してあります再処理と濃縮貯蔵のこの計画によりますと、三施設から大気中へ放出される放射性排気、また三施設から毎日千三百トン近くの放射性廃液が海へ直接垂れ流しされるわけでございますけれども、この規制は一体濃度規制なのかあるいは容量規制なのか。また、その排気、廃液の中にどれくらいの一体トリチウムやクリプトンが含まれて垂れ流しと吐き出しをされるのかどうか。また、人工放射能の人体への濃縮蓄積の問題等、我々としては判断材料のすべてにわたりまして今もってその安全基準の目安さえ示されずに、また私ども組合では説明会をしてくれるように原燃二社に対し要請しているにもかかわらず、今もってただの一回も説明がなされていない現状であります。
 また、この海域は、我々漁民にとりましてもかけがえのない海資源豊かな主要な漁場でありますし、私ども組合所属の多数の漁船が毎日のように操業しているのでありまして、さまざまな放射性廃棄物を積載した危険な運搬船が激しく港へ出入港するわけでございます。また、外国から軍艦で護衛されて返還される高レベルの返還物等、それによって引き起こされるであろう衝突の危険性と漁船操業への制限、あるいは一〇〇%出ることを予想される風評被害等、私ども六ケ所村の基幹産業をなしているところの農漁業者から見た場合、果たしてこの核燃料の企業立地がどのような利益を一体我々に与えるものかどうか。我々はこれが提起されて以来、漁業者、農業者とも本当に共存が可能なのかと、今まで苦しみ悩み、そして学習をしてきたのでありますが、幾ら考えてみましても、私に言わせれば基幹産業でありますところの農漁業者にとりましては百害あっても一利なしと断言せざるを得ないのであります。
 もし立地を許したならば、我が国最後で最大の公害吐き出しと垂れ流し企業と断定せざるを得ないのであります。しかも、立地予定の二キロの近接地には五百万キロリットルの石油備蓄基地があり、またわずか八キロの地点には三沢対地射場があるのは御承知のとおりであります。この区域は特別管制区域となっておりまして、過去五年間でも十回もの誤爆や航空機の墜落事故が起きておりますし、この三施設を一カ所に集中立地させるということはそれだけ非常に危険性を増すことになりまして、一つの施設の事故が他の施設の事故をも誘発し、最後には我々が想像もできないような悲惨な大事故となり得る危険性が十分あるのでございまして、そのときはもう六ケ所村はもとより、青森県も日本の国もこの世には恐らく存在しないだろうと、私はこう思うのであります。これはわずか百万キロワット一基のソ連のチェルノブイリの原発事故で既に実証済みであります。
 このような最も危険性のある核燃料サイクル施設をこのまま立地強行されるならば、事故の不安に脅かされ、夢も希望もなくしまして、しかも重大な障害を、我々の郷土や子々孫々にまで悔いを後世に残す結果になることを私ども漁業者は一番恐れるがゆえに、この施設の立地には、今回の原子炉等規制法の改正以前の問題として、私ども組合員存亡の問題として反対し続けてまいったのであります。今回の法改正では、各原子力発電所にあふれておりました放射性廃棄物をすべて私どもの六ケ所村へ集結し、核のごみ捨て場にしようということですから、今まで申し上げてきましたように、我々の死活にかかわる問題と考えます。何としましても、放射性廃棄物は発生者の責任のもとに、発生させた各原子力の発電所の敷地内で処理処分すべきでありまして、何の約束も責任もない遠く離れた我が六ケ所村に設置する方式は絶対とるべきでないと存じます。放射性廃棄物の発生者である電力会社が法的に安全の確保、損害の賠償を負うのは当然の理でありまして、廃棄物業者に法的責任を課し、発生者が責任を免除されることは道理に反することではないかと思うのであります。
 また、国が検査業務に責任を持って当たっているのに、検査業務の一部とはいえ、民間業者にゆだねることはもってのほかであります。核施設についてはどんなに厳重に検査をしても、し過ぎることはないのでありまして、民間の機関に移行させた場合には、どなた様が考えましても甘く緩い検査になることは火を見るより明らかであります。予算の問題で民間検査の代行は適当でないと思うのであります。また、放射性廃棄物のうち、低レベルのドラム缶を将来埋設することを考えているようだが、とんでもないことでございます。埋設に値するものをどう区分し測定するのか、あるいはアルファ、ベータ、ガンマの諸放射線の有無をどのように測定するのか。その安全性が確保されることなくして埋設するということは絶対許されないことと思うのであります。
 また、北村青森県知事は立地受け入れが公平に行われたと言っているようでありますが、それは全くのごまかしであります。核燃推進側がいかに強引に立地受け入れをしようとしているかを、六ケ所村泊漁協の例をお話し申し上げたいと存じます。昨年五月の定例総会におきまして、原燃二社から出されております核燃料サイクル立地のための海域調査の受け入れ要請に対する諾否は、組合員の生活に極めて重要なことであるので、理事会、役員会でなく、臨時総会において決定しなければならないという議決がなされました。そして、七月の臨時総会で諾否の件が話し合われるはずでございましたが、推進派理事と組合員で書面議決書が、三百八十に近い者が買収をされまして、これが判明しまして総会会場で糾弾され、その総会は流会となったのであります。県と原燃二社から、核燃サイクル立地を推進しようとする理事ら四人は、自民党の有力な県議会議員のさしがねを受けて、当時公務で交通事故で入院中の私の組合長を書面解職という青森県で初めての、私に何らの弁明の余地も与えずに、ただただ、単に定款に各当選理事で互選すると、こうあるのを逆手にとり、私を書面解職をしたのであります。そして四人の理事で理事会の決議もせずに調査受け入れを決めて、原燃二社に同意を渡しているのが現状でございます。
 この暴挙に対して、正組合員の過半数が、理事会には調査受け入れの決定権がないこと、新たに臨時総会を開くべきだという開催請求の署名がなされました。その請求による臨時総会が一月十日に開催されまして、この危険きわまりない核のごみ捨て場の立地調査に対しては、立地されることによって我々の海は死んでしまうのであります。そのために移転を含めた漁業補償等千四十二億の支払いかない以上、調査には同意をしないことを満場で決定したのであります。そして、原燃二社に対して推進側の理事が勝手に渡した同意書の返却と千四十二億円の動議書を発送、通告したのでありますが、開封されないまま送り返されてきております。その後も原燃二社からは何ら回答が得られない状態であります。
 その後も推進派理事は組合員多数の意思を無視し続けましだので、再び組合員過半数の署名をもちまして板垣理事の理事解職のための総会請求を理事会に対して起こしたのであります。推進派の理事四名は不当にもこの請求を受け取ろうとしなかったために、理事会での臨時総会が開けず、やむなく監事招集による臨時総会が三月の十九日に行われたのであります。ここで満場一致で板垣理事の理事解任が決定されました。しかるに推進派理事は、またしても理事会での正式な討議のないままに三月二十三日に臨時総会を招集したのであります。この総会の異常ぶりは新聞などの報道によりまして皆様もよく御存じのことと思いますが、十九日の総会で理事を解任されている板垣組合員が、私服警官とガードマン三十名ほどに守られまして、出席者の確認もせずに、事務局にも提出されていない書面議決書なるものがあるものとして、前もって用意されておりましたメモを読み上げ、すぐに私服警官に守られ退場したのであります。その間一分三十五秒足らずの総会であります。全くのやらせ猿芝居が行われたわけであります。それに対して青森県も原燃二社も口をそろえて、その総会は有効であり、調査受け入れが決定されたとして、今既に海域調査の申請がなされているのであります。
 板垣組合員が読み上げましたメモを原文のまま読み上げてみますと、これがその当時のメモであります。板垣組合員が読み上げたメモは、組合員の出席者が書面議決書と委任状などを合わせ四百二名で、総会が成立したので開会します、きょうの議案は配付しているとおり二件です、一号議案はこれまでいろいろあって皆さんもよく承知と思います、二号議案は私の解職の問題です、この際私に議長をやらせていただき議案の採決をします、一号議案による同意が四百二名で過半数を超えているので決定する、二号議案は同じく反対三百九十九名で否決することに決定します、これで閉会するということで終わったわけでございます。これが板垣組合員の読み上げたメモの全部であります。以上のとおり、板垣は、正組合員の出席者が書面議決書、委任状などを含め四百二名で総会が成立した旨発言しているが、総会の受付業務をしている当組合の事務職員がたれ一人として書面議決書も委任状も受け付けしていないのであります。受付業務に立ち会いをした村畑、赤石理事の二人も見ていないのであります。三月二十三日の総会からあと三日もすればもう二カ月になるわけでございます。前にも申し上げましたように、このようなメモの朗読という前代未聞といったらいいのか、常軌を逸したやり方の総会でも、県知事も村長も原燃二社も総会が有効であるとして八戸保安部に海域調査の申請がなされております。この民主主義の日本においてこのような暴挙が許されていいのでありましょうか。
 私は、北村知事の余りな干渉には我慢できなくなりまして知事に抗議に行ったわけですが、知事には会えずに、きょう同じく参考人としておいでになっておられる山内副知事さんにお会いいただきましたので、総会のいきさつを報告、総会の無効を訴えたのでございます。ところが副知事も、総会が有効であるとの見解であり……
#10
○委員長(馬場富君) 発言中恐れ入りますが、参考人に申し上げます。本日は原子炉等規制法の一部を改正するというその意見でございますので、議題以外のことにつきましては御遠慮願いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#11
○参考人(滝口作兵エ君) 関連性がありますので、あと一分で終わります。
 その理由はとお尋ねしたところ、四百二名の書面議決書があるからと答えましたので、副知事さん、あなたその書面議決書を見てますかとお聞きしたところが、コピーを見たとはっきり言明したわけです。我々は見ていないから見せてくれないかと、今おいでになっている副知事にお願いしたわけでございます。我々は一日も早く泊にもどのような平和が訪れるようにしたいのであります。放射能のごみをどっさり持ってこられることは御免です。
 さらに、私が、この法案に反対する最大の理由は、この法案が通って原燃二社が責任主体になることの恐ろしさにあります。原燃二社が六ケ所村においてこれまでやってきておられる行為を見ますと、こんな会社に恐ろしい放射能の管理を任せてはおけないと強く思うのであります。企業利益のためには何でも強引にやってしまうとしか思われないのであります。ソ連の原発事故で放射能の恐ろしさは改めて認識されようとしております。どうか参議院議員の先生方の慎重な審議をもちまして、恐ろしい核のごみ捨て場に安易にされるような法案改正がなされないようよろしくお願い申し上げまして、私の意見といたします。
#12
○委員長(馬場富君) それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
#13
○岡部三郎君 山内副知事さん、また滝口理事さん、きょうは本委員会のために参考人としてはるばる青森からおいでいただきまして、貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。若干の質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、滝口理事さんにお伺いをしたいと思いますが、本委員会は目下、原子炉等規制法の改正についての審議をしているわけでございますので、それについてのひとつの御意見を賜りたいと思う次第でございます。
 ただいま滝口参考人は、六ケ所村に予定されておる原子燃料サイクル三施設の立地につきまして、本法以前の問題として安全性の面から大変疑問である、安全性の面に疑問があるから反対である、こういう御意見であったわけでございますが、そうした面を考えましても、本法においては、例えば低レベルの放射性廃棄物については、現行法ですと、その発生者である例えば原子力発電をやっている各電力会社にさまざまな規制をかけて、これをチェックをするというふうなことであるわけでありますが、実際にその廃棄物の処理をするのは六ケ所村の現地でございますから、現地で最終貯蔵をする日本原燃産業株式会社、これに責任を持たせて、これに規制をかけて厳重なチェックをしていく、安全面からのチェックをしていくということの方がはるかに効果があるのではないかというふうに我々は考えるわけでありますが、この点いかがでございましょうか。
#14
○参考人(滝口作兵エ君) お答え申し上げます。
 確かに先生のおっしゃるとおりでございますけれども、原因の発生者はあくまでも原発でございます。恐らく日本の九電力会社のほかに原発の会社は一社か恐らく二社だろうと私は思います。資本力におきましても、恐らく優秀な総力のある各電力会社だろうと思うんでございます。その電力会社が原因をつくっておりながら、しかも小っちゃい会社にそれを任せてしまう、こういうことに対する不安が我々はあるわけです。これはあしたに必ず稼働しますというと一〇〇%放射能による被害等が出てくるのは確実なわけです。それをなせ小っちゃい原燃二社にその責任をかぶせてしまうのか。私は責任逃れではないだろうか、このように思います。
 それにもう一つ申し上げますというと、今まで原燃二社の私ども生まれ部落にとった行動によりますと、例えば今も、おしかりを受けるかもしれませんが、三月十九日に板垣理事の解職の総会があっておったんですが、三月二十三日のいわゆる推進派の総会が有効であると、十九日の……
#15
○岡部三郎君 質問はそういうことじゃございませんので、質問にだけお答えを願いたいと思います。
#16
○参考人(滝口作兵エ君) 十九日の総会はいいと、だから二十三日に出て十九日はだめだと、出なくてもいいと、こういうふうな会社の社員を使っての反対運動をしているわけです。
#17
○委員長(馬場富君) 滝口参考人に申し上げますが、質問者の質問内容にだけ答えてください。
#18
○参考人(滝口作兵エ君) だから、そういう関係でございますので、私は全くこの会社がもうひどい会社である、内政干渉も甚だしい会社である、そういうイメージを持っております。以上です。
#19
○岡部三郎君 次に、山内参考人にお伺いをしたいわけでございますが、青森県とされては六ケ所村むつ小川原開発地区に原子燃料サイクル三施設の立地を認める、こういうことで五十九年四月以降いろいろ県論の集約にお努めになりまして、大変御苦労をされたわけでございます。さらに、そうした県のさまざまな方々の御意見を踏まえまして、政府並びに原子力事業者とも交渉を重ねてこられたことだと思いますが、現段階でまだ未解決の問題は例えばどういうふうなものがおありなんでしょうか、教えていただきたいと思います。
#20
○参考人(山内善郎君) 岡部委員申されたとおり、電事連から立地の協力要請を受けて以来、県といたしましては、県内各層各界の代表の方々約三百二十名に対しまして二回にわたって意見聴取をいたしたわけでございます。それによりまして、最終的には県議会の全員協議会を開き、また六ケ所の村長から正式の文書もちょうだいをいたしまして、立地の協力要請を受諾いたした次第でございます。
 現在残っている問題がないかというお話でございますが、陸上の調査は順調に進んでおりますし、海上の調査も過般、全関係漁協の承諾を得まして、近く海上保安部から許可が出次第調査に入る予定といたしております。
 この段階ではまあまあ事が順調に進んでおるものと考えておるわけでございますが、ただ、先ほども申し上げましたように、ソ連の事故が起きまして以来県民が非常に不安を感じておりますので、県といたしましては、あの報道がなされた直後、知事が科技庁に参りましてこの問題をお話し申し上げ、また関係電力に対しましても今後の対応等について要請をいたしたところでございますが、早速国におかれましては五月の二日に担当官を派遣くださいまして、電源二社ともどもこの問題に対して第一回の説明があったわけでございます。それはもう御承知のとおり、日本の原発とソ連の原発では大体タイプが違うものである、それから日本におきましてはアメリカのスリーマイルアイランドの事故の発生以来国内の原発に対して厳重な審査、規制をいたしまして、なお一年に一回厳重な検査をしておりますので、ソ連におけるような事故は恐らくは起こらないであろうという御発言がございましたが、ただこれだけでは県民がまだ不安を感じている面が非常に多いのでございますので、県といたしましては文書をもちまして関係官庁、関係各社に対しまして今申し上げたようなことを、原因の正しい調査をしていただき、県民に対して安全性の確認ができるようなひとつ御説明をいただきたいということを要請をいたした次第でございます。現在懸案と申しますか、抱えておる問題はこの問題一つでございます。
#21
○岡部三郎君 地元の最大の要望であるし、また現在残された最大の課題が施設の安全確保の問題であるということは、これはもう当然の話であろうと私どもも考えるわけでありますし、特に今回のチェルノブイル発電所の事故に関連してただいまも強い御要望があったわけでございます。
 このことにつきましては、既に国会でも本会議で決議がなされておりますし、また施設の構造上の差異等から、ソ連でああいう事故が起きたから直ちに日本の施設が不安だというものではないと思いますけれども、しかし安全性ということに関してはこれは絶対ということはあり得ないわけでありますから、我々といたしましても、今後もひとつ政府を叱咤勉励いたしまして、安全性の面につきまして万全を期するべく努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
 青森県とされましては、この事故を契機として、この三施設の立地に対する従来の県の方針というものに何らかの変更があるというふうなことはございませんでしょうか。
#22
○参考人(山内善郎君) 従来の方針については変わりがないと存じております。
#23
○岡部三郎君 県がこういう施設を県内での立地を認めるというためには、安全性の面が大前提であるということはもちろんでありますが、それと同時に、やはりこういう事業を通じてこの地域の発展振興を図るといった面をお考えの上でこういう御方針を決められておられることだと思いますが、そうした地域住民の雇用の確保あるいは所得の増といったような面につきまして、御要望がございましたらお述べをいただきたいと思います。
#24
○参考人(山内善郎君) おっしゃるとおり、この問題は何といたしましても安全性の確保が第一義的なものでございますが、やはりこれを受け入れる以上は、地元住民または県民に対して何らかのメリットがなければいかぬということは我々も十分考えておるところでございまして、既に関係電力二社、青森県知事、六ケ所村長、電事連会長が立ち会いのもとに協定書を締結をいたしておりまして、地元に対する雇用の拡大、またそれに関連する、電源三法交付金にとどまることなく、その他の施設についても地元の発展のために協力をしていただくような協定を結んでございますので、これはぜひひとつ実行をしていただきたいと存じておる次第でございます。
#25
○岡部三郎君 ありがとうございました。
#26
○稲村稔夫君 お二人の参考人には遠いところをわざわざ、現在審議をしております法律についての言ってみれば直接関係を持たれる現地という立場から、いろいろと御意見をお聞かせいただくためにお運びをいただきましたことを、心から御礼を申し上げたいと存じます。私、社会党の稲村と申します。大変貴重な現地の御意見ということでございますので、そこで私からも何点かについてお伺いをし、率直な御意見をお聞かせをいただきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 最初に、山内参考人にお伺いをしたいのでありますが、私は今山内参考人が、県民の中にもまだ安全性等についてはいろいろと不安が残っている部分もあり、そうした不安を解消していくということが非常に大事だという観点で物をおっしゃったということには私も同感でありますが、その安全性について県としてどのように受けとめておられるかということについて、若干お伺いをしたいのであります。
 私は、今回のソ連のチェルノブイリの事故の原因の細かいことはまだそれぞれ情報が入っていないからわからないというところもございますけれども、いずれにしても人間が操作をしているものということの中で、その人間の甘さといいましょうか、そういったものがどこかで働いていたのではないかなというふうにも想像もするわけです、アメリカの原発事故につきましても、やはり人為的なミスがついて回っているというのが普通のようでありますし、そういたしますと、原発に限らずそのほかのいろいろな事故、大きな事故小さな事故にかかわらず、やはり常に人間が操作しているものについての事故が発生をした場合には、人間のミスというものがそこに介在をしているという、残念ながらそういうことになっていると思うんですね。
 ですから、例えば機械的に安全をチェックしていくときに、装置としては二重三重に安全性をチェックできるようにという装置がされます。しかし、そういう装置を二重にも三重にもやっていっても、また何かの人間のミスというものが起こって事故につながる。こういうことがあるだけに、今度は人間の体制としてのチェックの体制というものがやはり二重三重というものになっていることで、またある程度機械によるチェックだけではなしにより安全性を高めていく、こういうことになるのではないかと考えているわけです。
 この立地を受け入れられるという御方針になりました青森県としては、そうした今の廃棄二社の関係のいろいろな安全チェックの体制と同時に、国の方もいろいろな規制の法律等で規制をする分もございますけれども、県として、今度はこうした安全のチェックの体制をどのようにしていかれるのか、いかれようとしているのか。その辺のところを十分御検討をいただいた上で立地ということの御判断に踏み切られたのかどうか、こんなことについてお伺いをしたいと存じます。
 まず、山内参考人からお答えをいただきましょうか。
#27
○参考人(山内善郎君) おっしゃるとおり、これは非常に危険なものでありますので、これをいかに防護をいたしまして安全性を確保するかということが問題であろうかと思うわけであります。お説にもありましたように、機械的には何重にもこれを防護いたしまして、また人的にもこれをチェックをするということが必要であろうかと思う次第であります。さきに青森県では、原船「むつ」が青森県に係留されたのでありますが、これに対しましても事業団だけにチェックを任せるのではなく、県自体もこれをチェックする体制を整えてこれに臨んだ経験がございます。したがいまして、このサイクルの問題につきましても、今後、建設に当たりましては国の厳重な審査が行われて、これに合格して建設をされることになると思うわけでありますが、県といたしましても、国の指導を得ながら県自体としても何らかの措置を講じていく必要があるのではなかろうかと存じておるわけでございます。
#28
○稲村稔夫君 ちょっと私は、今のお話ではまだ体制としては何か理解しかねるところがございます。といいますのは、やはり大きな不安がいろいろと住民の中にはある。そういうものであれば、当然不安が出ないような体制づくりというものを行政の推進の側としては積極的に行っていく。そういうことによって、安全性を県としても積極的な面でチェックをする体制があるんだということをやっぱりお示しをいただかなければ、なかなか納得できないというところがあるのではなかろうか、こんなふうにも思うんです。そういう観点から、例えば監視なり何なりという形で、住民の監視体制といいましょうか、そういったものについて県の方はどういうふうにお考えになっていますか。
#29
○参考人(山内善郎君) 住民自体の監視体制が必要でないかというお話でございましたが、そういう御意見のもう既に出ていることは私も承知をいたしております。ただ、住民、県も含めて、原子力の問題につきましては専門的な知識がなければなかなかこれを判断することは面倒なわけでありますので、住民の監視体制、専門的に完全に知識があってそれを監視し得る体制が整うのであれば、そういうことも考えてもいいのではないかと考えておりますが、今のところは具体的に住民自体による監視体制をつくるかどうかということは決定をいたしておりません。
#30
○稲村稔夫君 決定をしておられないけれども、技術的に可能であればそういう体制をつくっていくことも検討してよろしいと、こういうふうに受け取ってよろしいんでしょうか。
 今、専門的知識というふうにおっしゃいましたけれども、確かに一つ一つの事象についての専門的知識の問題というのは重要なポイントの一つであります。しかし同時に、それらの専門的知識というのは、いろいろな学者なり研究者なりというような人たちと御相談をいただけるような体制をつくっていくことで一定程度の可能性というものを持っておりますので、その辺のところはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
#31
○参考人(山内善郎君) サイクルの問題は県としても非常に重要な問題でございまして、方針その他は最終的な決定はまだいたしておらないわけであります。これからも地域住民の方々、あるいは国の御指導、あるいは専門の学者の方々の御意見を聞きまして、最良の方法でこういう問題を進めてまいりたいと存じておりますので、今申されました体制につきましても、そういうことで今後検討してまいりたいと存じております。
#32
○稲村稔夫君 安全についての住民との対話といいましょうか、県としてその辺の住民との意見交換あるいは要望の吸い上げ、こういうような作業をいろいろと受け入れられるからにはお考えになっておやりになったんだと思うんですけれども、今までそれはどの程度おやりになったんでしょうか。
#33
○参考人(山内善郎君) 県といたしましては、先ほども申し上げましたように、このサイクル問題のことにつきましては、技術的にもこれに通ずる職員等も少ないわけでございますので、まず国内のこの問題についての造詣の深い専門家の方々十一人に委嘱をいたしましてこの問題の御検討をいただいたわけでありますが、それにつきましては最終的に、基本的には安全性が確保し得るという御回答をいただいて、報告書をちょうだいいたしたわけであります。その報告書につきましては、非常に分厚いものでございますので、あらまし要約したものを印刷をいたしまして県下に配布をし、また新聞、テレビ等でこの学者の先生方の結論を県民にPRをいたしたわけであります。その他、先ほども申し上げましたが、県下の各界各層の代表の方々約三百二十人につきまして御意見を二度にわたってちょうだいをいたしまして、また六ケ所村内におきましては、村民約四百名の方々が茨城県の東海村を視察をして、その認識を深めていただいたわけでございます。そういうことで六ケ所村におきましては、そのほか各部落ごとに、先ほど滝口参考人さんは余り説明もなかったようなことをおっしゃいましたが、各部落ごとに説明会を開催し、村民の理解を深めていただきまして、最終的には六ケ所村から正式文書で立地に対する協力要請受諾の文書をちょうだいし、県議会も全員協議会を開催いたしまして、県議会の意見を拝聴し、知事の最終態度を決めた次第でございます。
#34
○稲村稔夫君 私は、今のお話を伺いながら一つ疑問がまた新たに出てきたのでありますけれども、それは要は安全性について専門家の皆さんからいろいろと御意見をお聞きになった、これは一つの手続としてといいましょうか、みずからが理解を深めるという面でも非常に大事なことでございましょう。そして報告書を要約をされて各関係の皆さん方に配布をしたりあるいはテレビでいろいろと報道してもらったりというような御努力をされた、こういうお話でありました。しかしその場合に、住民の側からいたしますといろいろな疑問とか心配とかというのを持っております。それに対して、そうすると説得の立場で当たられたんでしょうか、それとも住民の側のいろいろな疑問というものを吸い上げてそれをまたさらに検討するというような形をとられたんでしょうか、その辺のところはどのような運営をされましたでしょうか。
#35
○参考人(山内善郎君) この問題につきましては、県といたしましては初めにこうやるという意見を持たなくて対処したわけでございます。今申し上げたような段階を経て最終的に県の態度が決まった、こういうことでございます。しかしこれは、立地に対する協力要請を受け入れたのでございますが、しかしながらソ連の事故等もございまして県民にまだまだ不安が残っていると感じておりますので、今後とも住民の御意見、県民の御意見を十分聞きながらそれに対応してまいりたい、かように存じております。
#36
○稲村稔夫君 ありがとうございました。
 まだ私の持ち時間というのもございますので、今度は滝口参考人にお願いをしたいのでありますが、いろいろと漁協という運営の中で御苦労してこられたというお話もございましたが、そのこととは今回の法案との直接のつながりということとは別ということで、そのことはひとつわきに置きまして、住民という立場あるいは生活者というのでしょうか、その地域に住んでいて生活をしておられるそういう立場から、どういうふうにお考えになっているかということをお伺いをしたいと思うんです。
 今、山内参考人からお話のございました安全性についての関心というものが高いから、そこで部落ごと等に懇談会なんでしょうか座談会でしょうか、そういう言ってみれば機会を持って皆さんの御意見は聞いたというふうに言っておられるんですが、先ほどの御意見の中ではこうした安全性について十分な意見聴取はなかったというふうに言われたと思います。それで、その辺の関係についてどのように受けとめておられるのか、伺いたいと思います。
#37
○参考人(滝口作兵エ君) 今、規制法とは、またおしかりを受けるかもわかりませんけれども、これくらいのいわゆる世界に例のない規模の大きい事業を立地されるものですから、当然まず何より住民の合意が一番大事だろうと私は思うわけであります。今、副知事さんおっしゃっておられますが、私どももこの核燃料サイクルにつきましては、先生方も恐らくそうだと思うんですが、非常に難解な問題がある。一組合員、漁師の我々ではとても容易ならざる問題がありましたので、昨年の二月二十四日に放射線遺伝学の埼玉大学の市川先生をお招きして、水産大学の先生と二人で、特にお願い申し上げまして学習会を持ったわけでございます。人によりましては慎重・反対派の人と言うかもわかりませんが、それで私ども組合員全員とそして部落の総代さんにお願いして学習会を開いたわけでございますが、一たん公民館の場所を提供したにもかかわらず、翌日になりましたら貸せないということがあったんです。これは公民館長の権限なわけですけれども、なぜ貸せないのかと言いましたら、講師に問題があると。御承知のように遺伝学のムラサキツユクサで有名な市川先生でございます。やはり我々は素人なものですから、これらのいわゆる放射性物質がさまざまな問題を通して人体に蓄積される、あるいは濃縮される、いろいろな放射性物質がいいのかどうかということで学習をしたわけです。
 そのように本来は村で、当然県でやらなければならない説明会、学習会なのに、我々にろくな学習の場を、しかも公民館を貸さないと。私はその当時議員でもありましたが、大変議会で問題にしましたが、あくまでも村長の入れ知恵だろうと。私に言わせれば、この部落、今、副知事さんに反論したことはないんですけれども、確かに一万四千人あるうち四百人の方が東海村を視察されました。あるいは特別委員会がつくられまして四回ほど会合を持ったことがあります。それと、うちの方は、六ケ所は三十三カ所部落がございます。うちの方が一番大きくて約千五十戸あります、戸数にして。人口四千人なんです。その部落に十時から対策委員会の名のもとに説明会が一回あったきりです。しかも七十名の、時間帯が十時という、御承知のように泊時間といって、二時間か三時間おくれることを泊時間と言いますが、この時間帯も、漁師は夜行って昼寝ておるわけですし、一時からやればかなりのお父さん方も若い方々も見えるわけですが、故意に我々の目、耳、口をふさぐようにろくな勉強をさせない意図のもとに十時からなんです。七十名の方が出席して説明を受けていますけれども、それでも今副知事さんおっしゃったように住民には説明会をやったと、こういうことになるわけです。我々もそのために大変に苦慮して、公民館を貸さなかったものだから。私の方には立派な研修センターがあるわけですが、部落の一番の端っこで非常に人の集まりが悪い、そういうことで特に役場にお願いしたわけです。このように住民に知らせる、住民の合意を得るということは勉強させるのが一番の前提になるわけです。
 ところが、私も反論するわけじゃないけれども、絶対短い期間に、だれもが知らないうちに、覚えれば皆さん大変反対が強くなる、特に泊の漁師は大変だろうと、そういうことで一日散にこれを進めてしまった。私も全員協議会の議員として、今おっしゃった二回目の各界各層の意見聴取だったわけですが、それが一月の十八日だったんです。私の方の六ケ所の村議会で決定をしたというのが十六日なんです。決して決定してはおりません。これは非常に大きい問題だからいずれまた再度検討してみて、それでその日は特別委員会から出た三十七項目に対するいわゆる報告にとどめたわけです。それが十七日、翌日には何と七項目に圧縮して全員協議会で全員了承したという、うそでごまかしをしているわけです。はっきり副知事さんおっしゃっているとおり、知事が十八日に六ケ所の議会、そして六ケ所の村長に対して非常に謝辞を述べているわけです。私は心外でならなかったんです。全然決まっておりませんでした。いずれ後で、大事な問題だから、再度委員会を開いてさまざまな各界から意見を聞いてやりましょうと、こういうことでその日は結論を得たのに、もう次の日に、十七日に勝手に議会を軽視して言っているわけです、村長が。こうやって十八日に知事が、全員協議会で決定したという、この決定が非常に大きかったわけです。三百人くらい集まった人でも、いや六ケ所の地元が決定したのだから異議ないんじゃないかということになったんです。そのように、非常に捏造された討議であったということを私はこの席で申し上げたいと思います。以上です。
#38
○伏見康治君 青森県からはるばるとおいでくださいまして、お二人の参考人に対して感謝を申し上げたいと思います。
 青森県と申しますと、私たち特に遠くの方におります者にとりましては、すぐ原子力船「むつ」のことを思い起こすわけでございます。随分長い間、地元の皆様に原子力船「むつ」では御迷惑をおかけしたのではないかと思うんですが、しかし全く無関係な立場からあの「むつ」の事件を回想してみますというと、本質的でない、何か瑣末なことで騒いでいたという感じをどうしても否みがたいわけでございます。例えば放射線漏れということと放射能漏れといったような、非常に本質的に違うことを混同してしまうといったようなことで騒ぎを大きくしている。これはだれの責任であるか、新聞記者の責任であるのか何かわかりませんけれども、物事の本質でない、何か周辺的なことでいたずらに物事を紛糾させてきたといったような感じを遠く離れた人間としては感ずるわけでございますが、しかし地元におられる方々にとってはもっと真剣な問題で、本当に大変御苦心になったんだろうと、こういうふうに考えるわけでございます。青森県におられる方々は「むつ」について、もちろん過去におけるいろいろな経過を十分御存じだと思いますが、それから今度のことに対する何か教訓を得られたはずだと私は思うのでございますが、まず山内さんからそういうことをお伺いいたしたいと思います。
#39
○参考人(山内善郎君) 原子力船「むつ」につきましては非常に長い間いろいろなことがございまして、再入港の折には私が正面に立っていろいろ国の方にお願いを申し上げ、地元の説得に当たった経緯もございます。
 ただいまお話がありましたように、放射能が漏れたのでもないのに何であんな騒ぎになったのかなと、こういうことでございますが、やはりその前に強行出港というような地元の完全に了解を得られない前に船が強行突破をして試験航海に出たという経緯がございます。そういうことでございましたので、やはり放射能だか放射線たかの区別もつかない方々も多いわけでございまして、何だ、あれほど安全だと言っていながらそういうトラブルを起こしたじゃないか、我々がもう少しみんなに了解を得られてからこの試験航海に出た方がいいと進言をしたのに強行突破をしたからこういうことになったんだという意見が大半であったように存じております。したがいまして、今度の問題につきましても、やはり建設をし、これを操業するまでには、県民の本当の御理解と御協力を得た上で進めなければいけないと、かように存じておる次第でございます。
#40
○伏見康治君 ありがとうございました。
 滝口さんにも同じような御質問を申し上げたいと思うんですが、滝口さんは、そのときは「むつ」からは離れた場所にお住まいで、また行政の責任者でもなかったと思いますので、山内さんとは違った立場だとは思いますが、しかしお近くで、同じ漁民でいらっしゃるというような観点から御関心が深かったかと思うのでございますが、どういうふうにあの「むつ」の事柄をごらんになっていたでしょうか。
#41
○参考人(滝口作兵エ君) 御指摘のとおり、御承知のようにむつ湾というのは私ども太平洋東岸と違いまして非常に流れが緩慢でございます。したがいまして、自然の浄化といいますか浄化力といいますか、そういう関係につきましては非常に要注意な場所であるわけです。でありますので、近年、御承知のようにホタテ産業があの湾内で百億に近い生産高を誇っている。こういうことで、地域の漁民にしてみれば、ちょっとの汚れも、太平洋の我々とは違いまして非常に、即それから離れていく。しかも今、御承知のように消費者のいわゆる嗜好というのが全然違ってきている。ちょっとの野菜でも肥料さえ使わない、農薬も使わない、こういうことのような考え方ですので、漁民にしてみれば、騒ぎが大きくなり関心が大きくなるのは当然のことだと思います。以上です。
#42
○伏見康治君 どういうふうにすればもう少し円滑に事々が運んだであろうかという御感想をいただきたいと思います。
#43
○参考人(滝口作兵エ君) やはり今の核燃サイクルの立地と同じで、非常に住民の合意の仕方がなされていなかったと。今も副知事さん言われますように、強行出港のようなのは最たるものであります。これはもうやはり今からはすべてにわたってそうなんですが、住民の合意が一番大事だと。今も我々がやっている反対の運動、闘争というものと、ここの委員会に来て申し上げるのは確かに原力炉の規制法の一部改正でありますけれども、地元ではそれ以前の問題として、特にソビエトの原子力発電所の事故、あるいはまたいわゆるアメリカの事故等を見まして、安全であるとは言いながら、やはり高度な技術を駆使すればするほど、技術が高くなればなるほど、それを使うのは人間でありますし、最後には人間の操作がやはりそういう重大な事故を起こす。物が危険だからゆえにそういう結果になるんだと。いかに二重に三重にしようとも、そこでの人間のちょっとした過ちでそれがぶっ飛んでしまう、こういうことに対する懸念だろうと思うわけです。以上です。
#44
○塩出啓典君 両参考人の方には、大変遠路、いろいろありがとうございました。
 山内参考人にお尋ねしますが、下北半島に原子力関係の三つの施設が設置されると非常に集中し過ぎるのではないかという、こういう意見があります。確かにそう言われてみると大変な施設が集中するという、しかし一方では、やはり一つの技術的な安全性の管理という点から見れば、余りあちこち散らばってもやりにくい点があるのじゃないかという両方あるわけですけれども、集中という点についての青森県民の皆さんの受けとめ方はどうなんでしょうか。
#45
○参考人(山内善郎君) 三施設集中して同じ場所に立地されるということにつきましては、これは非常に危険度が多くなるという意見の方々もございますが、しかしながら、何といたしましても安全性を確実にするということになれば、三つ一緒になりましても、ただいまも言われましたが、管理その他ではむしろいい面もあるのではないか、かように考えております。
#46
○塩出啓典君 この法案につきましてはそう急ぐ必要はないじゃないか、そういう意見がありますし、廃棄物の処理は何十年、何百年将来にわたる問題だからもっと慎重に論議をすべきじゃないかと。しかし一方では、既に二つの会社ができていて、今ごろ法律を出すのは後追いじゃないか、そういう点からするならばもっと早くこの法案を審議して、その後会社ができるのが本当じゃないか、そういう意見。私たちもどちらも一理があるな、そういう感じがするんですけれども、青森県としてはその点はどのようなお考えでしょうか。
#47
○参考人(山内善郎君) この問題だけでなく、地元の我々といたしましてはやはり先送りのものをなるべく少なくしたい。具体的にお決めをいただいて、それに基づいて県民、住民の方々に説明をし、納得を得ながら進めてまいりたいと存じておりますので、できますれば物事はなるべく具体的なものを先送りしないで決めていただきたいという感じでございます。
#48
○塩出啓典君 滝口参考人にお尋ねします。
 滝口さんは、今回の法案に基づいていわゆる発生者の責任が、この原燃サービス、原燃産業と二社に責任が移るということについて、こういう会社に責任が移るのは非常に心配だ、こういう御意見だったと思うんです。既にこの二つの会社は存在をしているわけでありますが、今日までのこの二社との接触において何か具体的にこういうことだから信用できない、そういう何かがございますのでしょうか。もしあればそれをお聞かせいただきたいと思います。それとも、そういうことじゃなしに、いわゆる発生者の責任がこの新しい会社に移るということは、発生者の責任がなくなるという点に問題があるということからの御意見なんでしょうか。その点お伺いいたします。
#49
○参考人(滝口作兵エ君) 確かに御指摘のとおりでございまして、原燃二社といいますと、できたての、私の素人目から見た場合に資本力も非常に少ない、やはり法的に、いわゆる発生きしている大きな電力会社の逃げ口じゃないのかと。この真下にかなり再処理工場なんかができますというと、私さっきも申し上げましたように、一体排気の中にどれくらい出るのかと。そういうことで、恐らく五年たたないうちに私どもの生産する魚、野菜は放射能の汚染があるのではないだろうかという、今の人間の核に対する恐怖心から当然問題になると思うんです。その場合のいわゆる補償体制が一体この小さい会社でできるのかどうかという懸念が一番あるわけです。発生させたら発生させたその会社がとればいいんです。東北電力だったら東北電力がとればいい。私そこが一番心配なわけですし、またさっきもおしかりを受けましたけれども、私の方にはまだ二会社とも説明が一回もなされていない。私は二回ほど組合長として要請してあるはずですが、一回もこれについての内容、概要についての説明がなされなかった。ただいま問題になっている海洋調査については、お願いしながら、調査はこういうものですと来ましたけれども、二回ほど要請したのに一回も説明をしていない。そのような状態で、私の方も四千人の人口のある部落ですので、当然各家庭をお回りになってPRするのは一向構わないんです。私も川上という副所長に、それは一向構わないと。
 ただ、さっきも言いましたように、重大な組合に対する内政干渉をしておる、県と一緒にやっておるのか村と一緒にやっておるのかわからないけれども。というのは、今言う解職の総会がありましたら、我々、一時半に理事会があって、それを決定する二十二日の総会を既に十時にこの原燃会社二社の職員が知っておるわけです。覚えておって、うちの方の組合員に十九日の総会はもうこれでだめだから出なくてもいいと。二十三日は、これは推進派の板垣組合長だから出なさいと、各家庭を回りながら。これは内政干渉だと私は思うんです。原子炉規制法とは違いますが、これは先生の質問ですから答えますけれども、そのように全く住民との対話がもうやらせの原点に立っている会社である。そういう関係で我々から見た場合に非常に危険性のある会社だと、やっていることはとても信用できないと、こういうことも一つの大きな要因になっております。
#50
○塩出啓典君 これは最後に両参考人にお尋ねをしたいわけですが、両参考人とも住民の合意が大事であるということはおっしゃいました。確かに我々もこういう原子力発電を推進するにはやっぱり科学的な安全性だけではなしに社会的安全性が必要であるという、これは神奈川大学の川上先生が言われたわけで、社会的安全性というのはやっぱり住民の合意だと思うんですね。しかし、じゃ一人でも反対したらできないかというとなかなかそういうわけにもいかない。そういう場合に一つの目安は、住民の代表であるそれぞれの議会が賛成か反対かということが一つの判断ではないかと思うんですが、それで山内参考人に、青森県、他の市町村、あるいはこの下北半島の周辺市町村等で議会の意向はどうなのか、これを簡単に時間がもうありませんのでまとめていただきたいと思います。
#51
○参考人(山内善郎君) 県議会、市町村の議会そのものの意見はどうかということでございますが、これはやはり革新その他で、イデオロギーで反対する議員さんは多少おりますが、大半はどの町村、県も賛成ということになろうかと思います。
#52
○塩出啓典君 滝口参考人にお尋ねしますが、いろいろお話を聞きまして、確かに説明の問題にしても非常に行き違いというか、あるいはいろいろそういう説明も十分受けていない、あるいは将来この施設から放射能を持った物質が流れて影響があった場合の補償をどうするかとかそういうような点の問題、あるいはその施設から実際に放射性物質がどれだけ出るのか、そういう心配があるのかどうか、こういうような点について、私は当然漁業者の皆さんとして納得いかなければそう軽々しく賛成はできない、そのお気持ちはよくわかりますが、そういう点はやはり十分話し合いをして、それでもなおかつ最終的にはある程度の多数決の原理で従わざるを得ないんじゃないかなというそういう気がするんですけれどもね。だから今参考人のお話は、そういう話し合いというか、そういう過程がまだお話からは不足しておるわけですが、最終的にはやっぱりある種の、一人の反対があってもできないというわけにもいかない、大体の合意が得られれば進めなければいけないのではないかと私は思うのでありますが、あと一分しか時間がないわけなんですが、簡単に御意見をお願いします。
#53
○参考人(滝口作兵エ君) 一月十日の総会を核燃だけの問題で開催しまして、組合の皆さんに御相談申し上げました。やはり核燃三点集中立地、御承知のようにこれはもう大変な規模でございます。それに隣接して、約千メーターから二千メーターのところにすぐ五百万キロリットルの石油備蓄がある。しかも毎日のようにF16のいわゆる対空、対地の演習が射場でなされている。それに隣四キロの地点に新たに原子力発電ができる。そういう観点から、私の方の組合ではもうだめだと、わずか十戸の部落から千戸まで栄えた、四千人の人口を擁する、集落をなした部落ですけれども、ほとんど一〇〇%の人はだめだろうと。将来展望に立って、皆さん都会の方々が本当に賢くなって、だれも我々のとった魚を買ってくれる人がいないのではないのか。百姓もそうなんです。せっかくへんぴなところだという名で知られてきた六ケ所が、今は農業の関係では大変な野菜生産高を誇っているわけです。なぜなれば、僻地だからゆえに野菜も高い野菜はとっていなかったわけです。菜種が収益の高いものだったんです。ところが今、ナガイモ、ニンジン、ニンニク、そういう高級な野菜の生産、しかも、うちの六ケ所を中心にして、上北は御承知のように酪農と野菜生産では青森県一なわけでございます。この地場産業といいますか、これが恐らく壊滅的打撃を受けるであろう。我々漁師は、そういう関係から、一千四十二億の漁業補償、移転を含めて、もうだめだと、これであったら応じますと。決して反対していません。(「結局金ね」と呼ぶ者あり)そのとおりです。
#54
○佐藤昭夫君 どうもお二人の参考人の方御苦労さまでございます。
 最初に、山内さんに二つほど質問いたしますが、先ほども、県当局としては、住民との対話をそれなりに重視をしているし、できる限りのことをやってきたような意味のことをおっしゃっていたかと思うのでありますが、実は私は青森に少し友人もいまして聞いておるのでありますけれども、核燃料サイクル基地の問題で、科学者・文化人の会、この会から公開質問状を出しているんだけれども、県当局からは、そういうものに逐一回答する必要はない、県議会で議員の質問に答えているのをもって回答と心得よと、こういう態度だということを私耳にしているんですけれども、当局の真意のほどはどういうことかということが一つです。
 それからもう一つは、今日まで原子力関係の諸施設、発電所が主だったと思うんですが、そういうものをつくるということは地域の経済振興に役立つ、過疎地が多い、そういうもとで地域の繁栄に役立つんだということがいろいろ言われてきました。しかし、そういう中で、私、最近、同じ東北の福島県、東北の中では原発のかなり総体的に集中立地をしておるところでありますけれども、ここが昨年の六十年三月、「原子力行政の現状」という県としての原子力白書とも言うべきものを出されているんですけれども、この中で「地域振興対策」という一つのチャプターを設けて、そこでいろいろ統計もとりながら記述をされているんです。その中で「商業」、県のこの地域の商業の状況はどうかということで、「四十一年以後県全体の伸びを上回っているが、その内容を見ると酒場・バー・クラブといった特殊な分野の伸びが極端に高くなっており」、こういう点で、「このことは質的にみて必ずしも立地が商業基盤の充実につながっていないといえる。」というふうに書かれています。
 また、自治体の町村財政の問題について、いわゆる電源三法交付金の交付、こういうもので一時は収入がふえたと、しかしこれらの事業の終了や固定資産の償却の進行に伴ってこれらの収入は急激に減少していくことが確実であるために、町村財政に与える影響は深刻だということで、一生懸命今日まで原発誘致をしてこられた県としては、控え目の表現でありますけれども、かなり精いっぱいといいますか、無条件、手放しで結構結構と言うわけにはいかぬ、そういう問題があるんだということを言われておる。こうした点で、青森県として、この三点セット、このサイクル基地、これを受け入れるという問題をこういう地域振興という点との関係でどういうふうに考えておられるか、この二つ、まずお伺いいたします。
#55
○参考人(山内善郎君) 第一点の御質問でございますが、文化人の会からそういう質問状が参ったことは事実でございます。県といたしましては、公式な団体からの照会であれば知事として正式に御回答申し上げるという態度で今まできておりまして、個々の個人的な御意見に対しましては、正式な文書で回答をするまでもなく、県議会あるいは新聞等で県の意見を出しているわけでございますから、文化人の会の御質問も、議会等で逐一全部知事答弁として発表をいたしておりますので、これによって御理解をいただきたいと、こういうことできております。
 第二点の福島県のその本でございますが、私もぜひこれは一遍読まねばいかぬなと思っていながら、どうも不勉強で今まで読んでおりませんが、ただ私……
#56
○佐藤昭夫君 去年の三月ですよ。
#57
○参考人(山内善郎君) 私、数年前に福島の原発の状況を視察に参りました。その当時は、今のこの核燃サイクルの問題はございませんでしたが、我が方では東通村の原発が計画されておりましたので、それの参考にしようと思って福島県に参ったわけでありますが、私のその当時の感想といたしましては、交付金が来るといってこういう大きな施設をつくっていいのかな、後で維持管理に非常に苦労するのではないかなという感じを率直に受けたわけであります。したがいまして、私どもの方で原発が具体化し、交付金が来るような時点になりましたら、県として地元町村に、やはりこういうことを十分考えながら、将来生産の上がるような施設をつくるように指導しなければいかぬなということを強く感じたわけでございまして、福島の場合は、まさに私その当時からそういうことを感じた次第でございます。
#58
○佐藤昭夫君 第一点のあれについてそういう理由を申されておりますけれども、私は、少なくとも相当数の科学者・文化人の会として、一人の個人が質問しているということじゃないですから、やっぱりそういうものに対しては、当然対話を重視するということであれば、適切な対応がとられてしかるべきじゃないかというふうに思いますが、これは意見として申し上げておきます。
 そこで、山内さんにお尋ねをしておった第二点とのかかわりで滝口さんにもお尋ねをしたいと思いますが、そういう地域振興という名をもってどんどんこういうことがやられてくる、これが実際は地域にどういう影響をもたらすのかというこの問題で、きょうも滝口さんはいわば土地と海は孫子末代へのかえがたい財産だと、一時の金をもってかえられないという、今日までしばしばそういうことが各地で起こっております漁協の方々から言われてきたことでありますけれども、そうした点でこの場で訴えたいということで先ほど来お話があったかと思うのでありますけれども、そういういわば金をもって住民の魂をかすめるようなやり方といいますか、こういうやり方についてどう思われるか。既に下北の地域で、企業の側といいますか、事業連の側というか、こういう側で何か具体的な動きが出ているかどうか、こんな点、滝口さんおわかりでしたら御説明いただきたいと思います。
#59
○参考人(滝口作兵エ君) さっきもいろいろの先生から御指摘がありましたが、新しい動きがないかということですが、二、三日前に下北、上北地方の市町村長さん方が、ソ連の原発による地域住民の声が、非常に大きく危険が騒がれまして、というのはやはり事業立地される核燃の関係でありますが、会議を持って知事に強力に要請しているはずです、早く説明をしろということで。それと、いわゆる立地が、今先生御指摘のとおり、最後までその地域の振興策につながるのかどうかと。私もさっき申し上げましたように、いわゆる基幹産業である農業、酪農、いわゆる野菜生産農家、私ども海でなければその生活能力のない漁師は絶対に両立できないと思うんです。私は基幹産業を中心にした内陸型の企業、地域的に恵まれない六ケ所ですからなかなかそう簡単にはまいらないと思うのですが、やはり自然なままの状態にして努力して待つべきである。あえて危険なものを持ってこられて、それに千人か千五百人の就労ができたとしても、基幹産業である一万四千人の非常な人口を擁している漁業者、農業者、酪農者、その方々がもう既にできなくなる。こういうことになりますというと、福島県の例にもありましたように、六ケ所の場合は絶対に私は振興策はない。それは確かに役場自体には電源三法でもっこり入りますから箱物は建つでしょう。今まででもむつ小川原開発でその経験はあります。
 我々もやみくもに、ただイデオロギーで反対しておるんじゃないわけです。現に山内さんここにおりますけれども、国防上の重要性を認識して、私の方ではむつ小川原開発と同時に今まで対空射場があったわけです、六ケ所の役場の前に。だけれども、むつ小川原開発の進展に従ってじゃまになる、そういうことで泊の漁協の漁業権の中へ移転してくれないか、そういうことで、七月から十一月の十五日まで、これは漁業権の三分の一を一年近く制限を受けているんです。我々だって国民ですから、やみくもに何かのイデオロギーで反対していると思われては困ります。かなりうちの方でも騒ぎがあったんですが、我々もやはり国防上のそういう認識をして協力すべきだと、こういうことで今もって協力しているわけです。
 ただ、限られた海をそのようにさまざまな制限をされて、最後に漁師がどこへ行くのか。御承知のように、国際的には二百海里の問題で規制が激しくなって追い出されて、沿岸のみやられる。今までサバのまき網なんかでもこんなに近くには来なかったけれども、やはり締め出しのおかげで何としても沿岸に来なければだめだと。我々みたいな経営能力のない五トンか十トンのものが非常に困る。そういう観点からしても、我々にはもうこれ以上漁業を阻害するこういう建物は要らないと、こういうことなんです。以上です。
#60
○佐藤昭夫君 ありがとうございました。
#61
○山田勇君 両参考人、大変御苦労さまでございます。同僚議員の今までの質疑の中を聞いておりまして、大変参考にもなりましたし、賛成、反対という両極論の御意見も出たかに感じております。
 そこで、滝口参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど来のお話を聞いておりますと、投棄する安全審査の基準といいますか、検査、そういうものに大変不安を持っておられる。これは当然のことでございましょう、それと同時に、日本原燃産業と日本原燃サービスの二社に一応ある意味では限定をして投棄処分をするんですが、それに対する資本力云々についても御不満を持っておられるようです。若干我々法案を審議しておりますので、その法案の審議の内容からいきますと、例えば廃棄事業の認可は内閣総理大臣が行い、その際原子力委員会と原子力安全委員会のチェックが条件になっております。施設の使用前検査や定期検査、基準に適合するかどうかの確認も国が行うこととなっております。そういうことになってまいりますと、滝口さんが持っておられます、これは法案の内容をそのまま朗読さしてもらったわけですが、そういう安全審査の不安といいましょうか、基準といいましょうか、そういうものについて法案の中ではこのぐらいチェック機関を持ってこれを投棄するということですが、その点についての滝口さんの御意見を伺わさせていただきたいと思います。
#62
○参考人(滝口作兵エ君) 確かに国の法律で規制するものですから、そういう面においては心配ないと言われればそういう心配はないということになると思いますけれども、やはり我々は基本的な考えからして、核燃集中立地されようとすることに対して非常に危険であると、こういう見解を持っているわけです。今の規制法以前の問題であると。御承知のように、非常に三点、一点でも各地域では地元の合意を得るに大変だったと思うんです。一点でも。今現に北海道の幌延さんは高レベルのいわゆる貯蔵施設の研究というだけでも大変な地域住民の反駁を買っているわけです。三点セット、恐らく高レベルのが入ってきたら、これはもう五点がそこらになるんでしょう、入っていないのを含めますと。大変な危険性を含んでおると私はそう思うんです。
 そういう関係から、もうこれは規制以前の問題として、現実にはもうこれはあべこべということになるんでしょうけれども、我々は今そこを盛んに論議しているんです。三点セット立地が一体どうなのかという、危険性があるんじゃないかということなんです。ずっとそれを通り越して、いわゆる原子炉の規制法の一部改正でそういう二業者に委託させるというようなことになって、ますます我々はそういう不安感を持っているわけです。だから、あくまでも発生したところへ持っていけばいいんだと。何も我々のところへ、今まで僻地だとか六ケ所だとばかにしておいて、何もこんなのを持ってくる必要はないんだと。我々はそんなに東京のように高度な生活をしなくても、我々でも人間らしい生活が今からでもできますから、今までできてきましたので。もう核の一切のごみは御免である、こういうことです。
#63
○山田勇君 山内参考人にお尋ねをいたします。
 現実、三十三基という原発、九電力会社はもう稼働しております。そういう中で、こういう放射性物質、廃棄物が出てくるんですが、これはいつか処理をしなければいけない。それが青森県に白羽の矢が立って、県なりの御調査をなさいまして、立地条件等として受け入れの態勢をお持ちになりました。そこで、こういう施設ができるということによって、先ほど来同僚議員からもありました、福島の例も言われましたが、青森県としてのこういう施設ができたとしてのメリットといいましょうか、また完成後の青森県としての県の姿勢といいましょうか、その辺を簡単で結構でございますので、述べていただければ幸いでございます。
#64
○参考人(山内善郎君) エネルギーは原子力を考えないで考えることはできないわけでございますので、だれかがこういう施設を引き受けなければいかぬと私は思う次第でございます。青森県にぜひこれの立地をという要請も国の位置づけとしてもございましたので、県としては民生安定上支障がなければこれを引き受けることにいたしたいという最終結論を出したわけでございます。やはり県としてお願い申し上げたいことは、青森県、一番今足りないものは雇用の場でございます。県外出稼ぎ者が毎年六万人以上超えるという県でございまして、やはり地元に雇用の場がないために家族と離れて遠く県外に出て仕事をしなきゃいかぬという、それによってまたいろんな問題も起きてきておりますので、これを立地することにいたして、建設期間はもとより、運開、施設ができました後も相当な地元雇用の場ができることをまず期待をいたしている次第でございます。
#65
○山田勇君 私も先日、関西電力の小浜の発電所に行ってまいりました。その当時からの記録を見ておりますと、先ほど来滝口参考人が大変心配しておられます、そういうかなり温度の高い排水をしております。魚一匹寄ってこないだろう云々ということで反対の方も大変唱えられましたが、現実は今まで集まらなかったクロダイ等々が今、回遊でずっと回ってきて、それで御承知のとおり、これは汚染されたタイであるというような宣伝が出たもので、電力会社の社長みずから放射能汚染を含んでいるか含んでないか、食べるということで食べております。私らも同盟の組織でそういう施設へ行くので常にそのタイを何年間食べております、小浜のクロダイを。これも格安の値段で市場へ出回っております。これを食べております、そういう形で。
 そこで、滝口参考人にお尋ねするんですが、これは法案のまだ過程でございますので、この法案が通ったとか、この施設ができるということを前提ということではなく、こういうものは法規制の中で仮に施設が、こういうものが青森県にできた場合、そういう悲観論的なことばかりでなく、何か国にまた県に、僕はそういう魚を養殖するような何か巣づくりみたいなものを海の中へ投入するとか、何とかそういうふうな漁業全体としての御努力的なことも前向きな建設的な考え方ができないものであろうかと思います。
 ただ、誤解をしないでほしいのは、いかなる立派な施設であろうが、安全を確認しようが、地域住民の犠牲の上に成り立つ施設というのはございません。十分これからも県も地域住民との対話を何度も何度も重ねながらぜひ御努力をいただきたいと思いますし、私はいつも申し上げるんですが、科学に、また新しいこういうものに安全というものはまずないというふうな極論を持っております。しかし、より安全性を高めるために国、行政、電力、そういうものは日夜努力しているということも事実でございます。そういう形で僕はぜひ安全性を確認しながら、ぜひこの施設ができることをひとつ望む、私は賛成の立場で望むんですが、そういうことでございますので、ひとつ滝口参考人また山内参考人、最後の質問になりますので、簡単な御意見で結構でございます、お述べいただければ幸いでございます。
#66
○参考人(滝口作兵エ君) 先生には何か原子力発電と、今私どもに立地が決定しております核燃サイクルの施設との考え違いだろうと思うんですが、確かに原子力発電の場合は温排水が出ます。かなり高度な高い温度ですから大変困る。魚種によっては出ると思いますが、これは決して放射能は含まれていない、海水から冷却水になるだけなんです。ところが、今私どものところへ立地がされているというのは、核燃のこの廃液の中には必ず御承知のように使用済み燃料を切って、そうして溶かしてある程度薄めてやりますので、必ず排水の中にまじって海水に出るわけです。温度とは違うわけです。原子炉の場合には温度がありますので、やはりアワビの養殖あるいはタイ、そういう関係も私も何回も見ております。だがしかし、この核燃サイクルの再処理施設から出るものは決してそのようなものでありません。必ずこれも何種類かのいわゆる放射性物質を含む核種が出るわけです。これは原発の温排水とは全然違いますので、そこを先生ちょっと誤解のないようにしてもらわなければ全然違ったことになります。以上です。
#67
○参考人(山内善郎君) 安全規制の問題は国において厳重に審査された上、建設が許可されるわけでございますので、必ずしも滝口参考人が言われたようなことは私は起きないのではないかと思っている次第でございます。また、先ほど滝口さんは、こういうものができれば六ケ所の魚は全然売れなくなる、これで損害をこうむるんだというお話もございましたが、原船「むつ」の場合も風評によって魚が売れなくなったり値段が安くなるという心配が地域住民、漁民の方からございましたので、国の方にお願いを申し上げまして基金をつくっていただいてこれに対応したわけでございますが、風評によって陸奥湾の魚が値段が下がったりあるいは売れなくなったという事実は今まで全然ございませんでした。
#68
○山田勇君 結構です。
#69
○委員長(馬場富君) 他に御発言もないようでございますから、以上をもって参考人の意見聴取を終わります。
 この際、両参考人にお礼を申し上げます。
 山内参考人、滝口参考人には、当委員会のために貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#70
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案、及び原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#71
○松前達郎君 規制法関連の質問を今からさせていただくわけですが、まず最初に、原子力発電に関連して、エネルギー生産の状況を大まかに私自身も把握をしておきたいと思うので、その点についてお伺いをいたしたいと思うんです。
 現在の原子力による電力生産、この状況、パーセンテージは恐らく二〇、三〇にいったかいかないか、それにちょっと足らないぐらいだと思うんですが、現状では一体どういう実態なのか。それからさらに、原油が大分値下がりしておりますが、この原油価格といわゆる原子力発電による電力コストですね、これの問題。あるいは、原油が値下がりすると言いましたけれども、円高、逆に言えばドル安かもしれませんが、そういった関係で輸入価格が恐らく原油に関しては相当実効的には下がっているはずですから、こういったようなものも含めていわゆる電力そのものの価格ですね、コスト、これについてどういうふうに考えておられるか。これは恐らく通産省の方がいいと思うので、通産省の方からお願いいたしたいと思います。
#72
○説明員(関野弘幹君) 昭和六十年度におきます原子力発電による発電電力量は千五百九十億キロワットアワーということでございまして、これは全発電電力量の二六%に相当いたします。六十年度に初めて石油火力を抜きまして、日本の原子力発電は発電の最も大きな比重を占める電源になった、こういうことでございます。設備量は二千四百五十二万キロワットで、これは全体の一六%を占めております。
 それから原子力の発電コストにつきましては、最近の経済状況あるいは燃料価格等を考慮いたしましても、私どもは最も経済的な電源と考えております。これは先生のお話のように、原油がただいま下がってきておりますが、発電コストを考えます場合には、現在の原油価格がどの程度長期的に維持されるかという点が最も重要な点かと存じます。こういうことから考えますと、原油が一時的に大きく下がりましても、また一時的に大きく下がれば下がるほど反騰は早期で、かつ大きくなるというふうに私ども考えておりまして、今後エネルギー石油危機も考慮いたしますと。現在の石油代替電源開発の基本は、今後とも原子力あるいは石炭開発等によって行っていくという基本的な考え方を維持するべきだというふうに考えております。
 また、この円高及び原油価格の値下げに伴いましては、御高承のとおり、電力、ガス両方合わせまして総額約一兆八百六十億円の還元を行うということを決定しておりまして、五月十五日、電気事業につきましては、電気事業法に基づく通産大臣の認可を行いまして、六月一日から実施することとしているところでございます。
#73
○松前達郎君 現状での原子力発電のコストはどのくらいになるんでしょうか。
#74
○説明員(関野弘幹君) 私ども通産省で計算しております耐用年発電原価という、耐用年にわたる発電原価の試算をいたしてみますと、原子力がキロワットアワー当たり十円程度になるのではないかというふうに考えております。
#75
○松前達郎君 かつては十一円とか十二円とかそういう時期もあったと思うんですが、十円程度。それと、電力生産は何も原子力だけじゃないわけですから、火力発電ですね、これもちょっと資料があったら教えていただきたい。火力発電のコストというのは一体どのくらいですか。
#76
○説明員(関野弘幹君) 火力発電の発電コストにつきましては、今後の為替レート、あるいは先ほど申しましたような原油価格がどの程度どういう水準で維持されるかという点が見通しが非常に難しいわけでございますが、一定の仮定を置いて計算いたしますと、石油火力が十二円程度になるのではないかというふうに私ども考えております。
#77
○松前達郎君 今後の石油価格、原油価格ですか、これの変動というのはこれは予測ができないわけですし、それにまた絡んできているのが円高の問題ですね。こういうものが絡んでいますから、この辺の数字は恐らく相当フラクチュエーションがあるんじゃないか、こう思うんです。だけれども、大体そう余り大差なくなってきつつある、これが現状だと思うんです。将来の予測がどうあるということはこれは別にいたしまして、現状からいってそういう状況であるというふうにまず頭に置いておきながら、もう一つお伺いしたいのは電力の需給問題です。
 かつてエネルギー需給のバランスシートが発表された時点で、非常に将来ともGNPがどんどん伸びていけばそれなりにエネルギーの需要が、需給関係がどんどん上がっていく、こういうふうな状況の中で予測が行われておったんですが、何度かその予測について修正をされておりますね。一番新しいのは昨年ですか、出たのは。その修正というのはおよそ下方修正ですね、見てみますと。これは日本の国内における電力消費等が、あるいはエネルギー全体といってもいいんですが、非常にかつて予測したよりは少なくて済むようになってきた。これはいろんなテクノロジーが開発をされたということもあるでしょうし、またそのほかいろんな要因があると思いますけれども、この電力の将来の必要量、この辺について、需給バランスの表についてやはり下方修正せざるを得ないと私は思っているんですが、その点いかがでしょうか。
#78
○説明員(関野弘幹君) 御指摘のとおり、昭和五十四年、五十五年にかけまして第二次オイルショック後電力の需要が大幅に停滞いたしまして、そのときに何回かにわたりまして将来見通しの下方修正を行ってきたわけでございます。現在、私どもが指針にしております将来予測は、昭和五十八年十一月の「電気事業審議会需給部会中間報告」の数字でございますが、これによりますと、昭和七十年度には電気事業用の電力量で約七千億キロワットアワーということになっておりまして、これは五十九年度の実績から見ますと、年率二・七%の増加ということになっております。五十八年以降、私どもこの見通しを改定しておりませんが、これはほぼ現在の状況がこの五十八年十一月の「電気事業審議会需給部会中間報告」のラインに沿って需要も伸びているということからでございまして、私どもは今後、経済の安定的な成長に伴いまして電力需要はほぼ二・七%程度、さらに最大需要電力は三・一%程度の伸びで今後とも安定的に増加していくというふうに考えております。これに対応いたしまして、電源開発をやはり計画的に進める必要があるわけでございまして、現在この五十八年十一月の電気事業審議会需給部会の報告のラインに従いまして、各電力会社もその設備の拡大、拡張に努めているところでございます。
#79
○松前達郎君 今おっしゃいました電力の必要性についての伸びですね、これは経済の状況その他からの影響というのは非常に大きいと思うので、これもまた今のような状態で経済が推移していく場合、また数字が多少は変わってくるだろうと思うのですが、さてその中で、原子力発電については一体将来どの辺が、電力の生産のパーセンテージとしてどのくらいが一体限度だ、このあたりがいいんだという目標等がおありでしょうか。例えば電力総生産量の三〇%程度が原発でやるべきであるとか、フランスみたいにもっとたくさんの数字を出すとか、あるいはもうそろそろこの辺でサチュレーションだ、この辺でもうそろそろ原発については新たに企画しなくてもいいんだ、これはいろんな問題が後、尾を引いてまいりますので、そういう見通しというのは立てておられますか。
#80
○説明員(関野弘幹君) 先ほど御説明いたしました五十八年十一月の「電気事業審議会需給部会中間報告」では、昭和七十年度におきます原子力発電の発電電力量に占めます比率は現在の二六%から三五%まで上昇する、このときの設備量の比率では現在の一六%から二三%まで増大するという計画になっておるわけでございます。
 御質問の原子力発電をどの程度の割合まで開発するかという点につきましては、長期的な視点に立って原子力発電の技術開発の進展、あるいは電力の需給の構造、あるいは燃料の状況、燃料価格の相対関係等を踏まえて総合的に判断すべき問題であるというふうに考えておりまして、私ども現時点ではこの五十八年十一月の電気事業審議会需給部会にある見通しに沿って開発を進めていくというのが現在の方針でございます。
#81
○松前達郎君 そうすると、特別、我が国としての原子力発電における電力生産のパーセンテージのリミットというのは設けない、あるいはさっきおっしゃいました数字の中に三五とかそういう数字がありますが、三〇%あるいは三五%ぐらいが大体我が国には適当な数字であるというふうに判断されているのか、それが一つ。
 どうしてこういうことを申し上げるかということは、廃棄物の問題とこれは関連するわけですね。今後、原発ができればそれなりに廃棄物がふえるのは当たり前でありまして、これを処理処分するのに一体どうするかというのがまだ確定していませんから、テクノロジーその他もすべて含めて。そういう意味で質問さしていただいているのですが、感じとしてどうですか、やはり三五%ぐらいで抑えるというか、リミットがあるんじゃないか、これはもうすべての要因を含んで、感じですよ、どういうふうにお考えになっておられるか。恐らく出てこないと思うのですが、もしかお考えがあったらお願いします。
#82
○説明員(関野弘幹君) ちょっと私ども今の御質問に直接お答えするようなまだ状況になっておりませんので、直接的なお答えはいたしかねますけれども、私どもとしましては、この三五%が特にマキシマムのリミットであるというふうには考えておりません。いずれにいたしましても、今後の長期的な視点に立った技術開発の進展や需給動向等を考えながら、今後検討していくべき課題だというふうに考えております。
#83
○松前達郎君 まあパーセンテージをここでおっしゃるわけにいかないと思うので、これはこのくらいにしておきますが、私自身の考え方ですと、原子力発電がいい悪いというのはこれは別においておきまして、現在、電力生産を原発に頼るとするならば、原発そのものが持っているいろんな条件がありますね、さっき申し上げたような放射性廃棄物等の問題、あるいは後でまたお伺いしますが、廃炉の問題等もそろそろ出てまいりますから、そういったような問題もすべて踏まえて、我が国のシチュエーションとして一体どのくらいが適当なのかということぐらいはある程度検討しておかなければならないと私は思っているのです。一〇〇というわけにもいかないでしょうね、当然。また同時に、全然ゼロといっても現在もう既に三〇%近い数字は生産しているわけですから、それをまたゼロにしろといってもそう簡単なわけじゃない。そういったような中で、やはりある程度のバランスがとれた目標値というものを設定していかないと、どうも考えようがないのですね。
 これについていろいろ関連したものを考えようとしてもなかなか考えられない。そういうことなんで今質問さしていただいたのですが、そろそろ頭打ちにきているんじゃないかと私自身思っているのです、いろいみな状況を考えまして。やはりこれ以上新たに原発の新設等はそう簡単に、ただ原発に頼れば非常に安定したエネルギーが供給できるということだけで、あるいはそれに関連したことだけで決めるべきでもないし、エネルギー確保に関する安全保障上の問題からしても検討しなければいけないでしょうし、それから、あるいは国際間のいろいろな協定等に含まれているような問題がありますね、原子力協定、たくさんあります。そういったような問題も含めて考えなければいけないでしょうし、また同時に、産業界そのものが実は原発産業に相当従事しているわけですね、そういう点も含めてある程度考えていかなければならない。すべての面からやはり包括的に、総合的な面からの検討というものをしておかないと、ただ、いい悪いと言ったって、どうもなかなかそこの判断がしにくいというのが恐らく国民の皆さん方の見方じゃないかと私は思っているのです。まあそういったようなことで今質問さしていただいたわけなんです。
 さて次には、原子力発電を推進するというその中に核燃料サイクルの問題があるのですね。やはり経済的に燃料を使っていこうという問題がある。これらについてもやはり技術的にまだまだ一〇〇%完成されているものでもない。これはもう当然の話ですが、また同時に、これについて相当の費用を投入しなければ開発ができていかない。そういうことがあるわけなんですが、これらについてもまだはっきりした数字がつかめてないかもしれませんが、こういったサイクルを実現するための投入するべき今後の経費等が、相当莫大な経費になるんじゃないかと思うのです。これが一体どのぐらいのめどになるのか、それが一つと、それからさらに、このサイクルを実現するために処理機関その他を全部運転していくための経費等もあると思います。そういったような経費等が、これはエネルギーコストに関係してまいりますから、一体大体どのくらいの規模のものなのか、その点、もしか見当がついていましたらひとつお教えいただきたいのです。
#84
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 今の全体的な費用のかかり、どのくらいかということかと思いますが、具体的なことといたしまして、現在、青森県の下北半島に進めております原子燃料サイクルの三施設、民間の第二再処理工場、それからウラン濃縮施設、低レベルの放射性廃棄物貯蔵施設ということの計画を持っておるわけでございますが、この計画で、再処理施設が約七千億、ウラン濃縮施設約千六百億、低レベル放射性廃棄物が約千億ということでございまして、概算すれば約一兆円というものが当面下北の開発に投じられるという形になります。
#85
○松前達郎君 規模は大体わかりましたけれども、その施設がもしかできたとすると、今おっしゃったのは投入金額でありますね、それの運転経費がありますね、運転というのか施設を動かしていく経費、これはどのくらいですか。
#86
○政府委員(中村守孝君) ただいまの運転コスト幾らかということでは、個別にどの施設で幾らということをちょっとなにしておりませんが、核燃料サイクル全体としてどのくらい費用がかかるかということにつきましては、実はOECDのNEAというところで原子力についてのいろいろな問題を討議いたしておりますが、そこでの計算といたしまして、例えば再処理をしない場合と再処理をした場合というようなことで計算をいたしまして、天然ウランの値段、それから転換、濃縮、成形加工、それから途中の輸送だとか貯蔵だとか、最後の処分まで含めました計算といたしまして、ちょっとあの試算した時期が現在のような為替レートになっておりませんので、一ドル二百五十円としてここでの計算を勘案いたしますと、再処理したケースにおきましてキロワットアワー当たり、これは取り扱いの量によって変わってまいりますので、そういう意味では発生電力量はキロワットアワー当たり幾らかという計算がよろしいかと思うのですが、それでは二円十四銭という数字が計算されております。
#87
○松前達郎君 再処理するのにかかる費用、それからもう一方、違う考え方でいいますと、使い捨てというんですか、再処理しないでそのまま使い捨ててしまった方が安いんだとかいろいろな考え方が、これは各国違うと思うんですけれども、やはり多少経費はかかっても再処理して使った方がいい、もしくは、例えば燃料の原材料が多量に入手できる、いつでも入手できる状態になってその辺の心配がない場合にはあるいはそのまま使い捨ての状態にした方がいい、この二つのうちどっちがいいんですかね。この辺ちょっと教えてください。
#88
○政府委員(中村守孝君) 先ほどのOECDのNEAの計算でございますが、これは原子力発電を推進しておる各国から資料を持ち寄りまして、そこで集大成するといいましょうか、そういったものを総合的に勘案して試算をした結果でございますが、先ほど申しました再処理のケース、再処理した場合ということで二円十四銭という数字を申し上げましたが、再処理をしないでそのまま使用済み燃料を処分するというようなことも考えた方でいきますと、これがキロワットアワー当たり一円九十五銭という数字が出ておるわけでございます。この程度の差でございますと、原子力発電全体に占める燃料コストの比率からいいましても、どちらがいいとか悪いとかという結論を早急に出すというものではなく、それぞれの国のエネルギー事情等によりまして、その国の政策的な判断でどちらを採択するかという問題だろう、こういう感じの報告になっております。
 私ども日本の場合で申しますと、何分にもエネルギー資源がなく、世界のエネルギーの十分の一を我が国で消費しておる、そのくせ自前のエネルギーがないというような国情を考えますと、我が国としてはできるだけ、原子力発電の結果出てくるプルトニウムの再利用、それから燃え残りのウランの有効活用、こういうものが、エネルギー貧源がなくて、かつなお大量にエネルギーを消費する国として、国際的な上からいってもこのプルトニウムの利用という選択の道をとるべきではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
#89
○松前達郎君 価格にそう差がないということですね。原材料といいますか、例えば天然ウランの入手あるいは核燃料の入手、こういうものがある程度大量に入手できる保証があれば、どうなんでしょうか、私はそこの問題というのはおのずから解決していくと思うんですね。ですから一言でいえば、それがないからなるべく効率よく使っていこう、そういうことになろうと思うんです。そうなりますと、もう一つ問題となるのは再処理技術等の問題なんですね。再処理の施設そのものが安全に運転されていくべきなんですが、果たしてそういうものが技術的にも担保されているかという問題、それからさらに、一言でいえばいわゆる安全性ということになろうと思いますが、そういうものが果たして確実に確保されていくであろうか。今は完全に安全だとは恐らく皆さんもおっしゃらないと思うんですが、そういったようなものとの兼ね合いが出てくるんじゃなかろうか。ですから、我々、この原子力問題、いろいろ考えているときに、やはりそういう問題をどうしても考えざるを得ない。さっきのコストの問題、経済的な効率の問題だけでいいますとそう大きな差はないですね。再処理であろうと、あるいは石油、原油等による値下がりも含めた上でのいわゆる火力発電とか、そういったようなものとの差というのもそう大きくはないですね。しかもこれは変動的である。ですから、ある面では非常にバランスがとれて、優劣がどっちともつけがたいような事態が今の状況じゃないかと私は思うんです。これは世界の経済の動き、あるいは化石燃料の入手の価格等も含めて、非常に判断のしにくい時代になったのじゃないかと私は思っておるわけです。
 ちなみに、化石燃料等については何年後かにはいずれ枯渇してしまうんだ、これはローマ・クラブのかつての警告があったわけですが、枯渇ということは私はそう簡単には起こらないと思っているんです。これは採掘する手間さえかければ、コストが高くなると思いますが、絶対に一滴もなくなってしまうということはあり得ない。当分の間ある程度の量は確保できるんじゃないか、こう思うんですね。ですから、ローマ・クラブ時代のああいうセンセーショナルなサゼスチョンというのは確かに人類の将来には必要だけれども、しかし現時点として、すぐこれだけですべてを倒していくというわけにはいかないわけですね。ですから、ちょっと私自身もいろいろな考えになって、そういったいろいろな状況を見ますと、どうも原子力発電というものについての特別なプラスの面といいますか、圧倒的にプラスの面があるんだというような議論というのは恐らく今後まかり通らなくなっていくんじゃないか、こういう気がしてならないわけであります。かつての段階ではそういった非常にセンシブルな時代がありましたから、原料の問題から含めて。確かにそうだったかもしれませんが、その点でちょっとバランスがとれてきてしまったという感じを抱いておるわけなんですが、恐らく国際的にも各国とも経済事情とかいろんな事情で、発電所を売り飛ばそうなんというフィリピンの決定はこれは別ですよ、ですけれども、そうじゃなくて全般的に見て、各国とも原子力発電の計画等について、国によっては新しいものについてストップという状態に持っていっている国もあるでしょうし、あるいはそれをどんどんと縮小していく、そういう計画を持っている国もあると思います。これらの状況について説明していただければと思います。
#90
○説明員(関野弘幹君) 現在、国際原子力機関、IAEAの報告によりますと、一九八四年末現在で、原子力発電所を持っておりますのは台湾を含めまして二十六カ国でございまして、三百四十五基、二億一千九百万キロワットの原子力発電が設備されているわけでございます。これは一九八四年の世界の全発電電力量の一三%を生み出した、こういう状況になっておりまして、将来予測によりますと、OECDのNEAの作業でございますが、二〇〇〇年における設備規模は五億百万キロワットから五億八千三百万キロワットくらいの間になるのではないかというふうに見通されているわけでございます。現在、確かに石油が非常に下がっておりますけれども、いずれにいたしましても供給の安定性とそれから経済性という面から、私どもはやはり石油代替電源の中核として今後とも原子力の地位は拡大していくというふうに考えているわけでございます。
 それからチェルノブイル事故後、各国の原子力発電計画の見直し等につきましていろいろ新聞等で報道されております点は私どもも承知しておりますが、現時点ではまだ未確認のものが多いので、これについてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いすれにいたしましても当省としては、現在チェルノブイル事故後の各国の動きについて情報収集に努めているところでございまして、今後ともこの努力を進めてまいりたいというふうに考えております。
#91
○松前達郎君 今のソ連のチェルノブイリのことはまた後で多少お伺いしたいこともありますので後に回したいんですが、今いわゆる化石燃料の問題をちょっと申し上げたのですけれども、化石燃料が入手が非常に不安定である、いつどうなるかわからない、そんなことを言っていると、今度は恐らく防衛庁の方はシーレーン防衛ということになってきちゃうんですね、非常にいろいろと関係が出てきますから。しかし、化石燃料については今のところ安定的供給を受けていることができる、ただし、一たん何か事が起こるとこれがなくなる可能性もある、こういうお話でしたけれども、そういうこともあるかもしれません。
 原子力の関係での燃料、これについても国内でのいわゆるウラン鉱石というものの採掘というのはコスト的にはほとんど話になりませんし、海水からとるといってもそう簡単に、また物すごいエネルギー要るかもしれません。ですから、これも日本にはほとんどないわけですね。だからこれを確保して、サイクルを描きながらフルに利用しようという考え方、考え方としてはいいと思うんですけれども、そのかわり、今度逆に非常に安定化してないからという反面、問題としてはその後の処理、廃棄物等も含めてその処理というものも出てきてしまう。だから、総合的に見て一体どっちがいいのかという問題。こういう問題が、さっきから私も何回も申し上げますように、非常にバランスのとれた状況になっちゃっていますから、なかなかこれが絶対いいんだという判断ができないという問題がある。私、ここで申し上げているのは、だから今の原子力発電所、すぐあしたからとめちまえなんて言ったらこれは電気がとまっちゃうから、そんなことを言っているのじゃないんです、そういうことではありません。やはり我々としては、総合的にこういう推進するならする、あるいはしないならしないで、総合的に見て、エネルギー全体を見ながら将来のビジョンを立てるべきだということで今申し上げたわけなんです。
 今度はどんどん細かくなりますが、今議題となっております法律に関係しての問題なんですが、この法律、大ざっぱに見ますと二つに分けられると思うんですね。一つは廃棄物、これに対しての問題。それからもう一つは検査。これは原子力発電所も含めてだと思うんですが、いただいた資料だと溶接という言葉も使われていますが、こういう検査を科学技術庁が今までおやりになっていた、これを今度は民間の事業者の方に移管できるという、大きなところこの二つだと思うんですが一私の解釈でよろしゅうございますか。
#92
○政府委員(辻栄一君) 今回の法律改正の基本的な問題はその二点でございますが、あわせて原子力損害賠償法もこれに関連して一部改正を行っております。
 なお、検査の代行の問題の関連でございますが、これについては科学技術庁は現在、原子力発電所の検査はやっておらないわけでございまして、今回の代行制度の対象となりますのは、科学技術庁が規制を担当している部分、すなわち開発段階にある原子炉、具体的にいえば「ふげん」ですとか「もんじゅ」ですとかこういったもの、それと核燃料サイクル関係の施設が対象となるわけでございます。
#93
○松前達郎君 そうしますと、商用になっている原子炉、通産の方の管轄下に入るような原子炉についての検査、これについて特に溶接だけ例えば例に挙げた場合、これはどこがやるんですか。メーカーに全部一任ということになるわけですか。
#94
○政府委員(辻栄一君) これは通産省がお答えする部分かもしれませんが、これにつきましては、通産省の方で検査を所管しておるということでございまして、電気事業法による検査を実施しているわけでございます。
#95
○松前達郎君 細かくなりますけれども、溶接の検査、科学技術庁で今までやっておられた検査の内容というのは、一体具体的にはどういうことをおやりになっておられますか。
#96
○政府委員(辻栄一君) 検査といたしましては、基本的には今度対象としておりますのは使用前検査でございます。検査としてはこのほかに定期検査というものがございますし、施設の種類によっては施設検査という名前でしているところもございます。そのほか立入検査というようなものが検査の中にはございますが、今回の検査を指定機関に行わせる部分といたしましては、この使用前検査あるいは施設検査、これのうち同じこういったようなものの検査でも構造検査、性能検査といったようなものがございます。従来、性能検査、構造検査のうちの構造検査のまたその一部でありますところの溶接の部分についての検査、これを指定機関に代行させるという考え方を持っておるわけでございます。
#97
○松前達郎君 それは全体からいくとそうですけど、今例えば溶接検査一つ挙げますと、書類的にやっておられるのか、それとも実際にエックス線検査とか超音波の検査とか、そういうものも器具を持っていって具体的に当たって溶接部分を検査されているのか。どうしてこういうことを言いますかというと、どうも溶接が一番日本は得意だと言いながら、一体化しているかどうかというのは大変な問題なんですね。これは後で事故等が起こったら大変だということですから、そういうことをちょっとお伺いしたかったわけです。いかがですか。
#98
○政府委員(辻栄一君) 溶接の検査として具体的にやりますのは、検査でございますから現場へ行って物を見るわけでございまして、まず材料の検査から始まるわけでございまして、これに使用する材料あるいはこれに使用する溶接用の資材、こういったもの用のもののチェックをいたしますが、あらかじめ図面審査等によりまして溶接の方法についての認可をするわけでございますけれども、それに基づいて検査が実際にそのとおりに行われているかどうかということを現場立ち会いによってチェックをするということでございまして、まず溶接の開先面の検査をやります。それから溶接の仕上がり状態の検査もやります。それから溶接に関する熱処理でございますね、そういったようなものが適正に行われているかどうかということも見ます。もちろん先生御指摘のエックス線検査による欠陥の有無、エックス線検査のみならず、物によってはその他の非破壊検査法も併用いたしまして欠陥があるかないかというようなことも検査をいたしますし、また一部分につきましては溶着金属についての機械的性質等についても試験を行う。最終的には全体として圧力をかけるべきような部分につきましては圧力試験を行うというようなことによって検査を行うわけでございます。
#99
○松前達郎君 そうしますと、一応すべての分野で技術的な面も含めた検査を行っておられるというふうに私、今お聞きしたわけですけれども、これを今度は外に出すということになる。科学技術庁じゃなくて民間業者がやることになりますけれども、恐らくやるとなれば同じことを全く同じような仕様に基づいて行い、しかもその結果について報告をさせていくというふうなそういった段取りになっているのじゃないかと思うんですね、多分そうだと思いますが、これはそうじゃなかったら大変なことになりますので。これは御返事要らないですが、通産省の方の商用原子炉についても全く同じようにやっておられますか、検査について。
#100
○説明員(神田淳君) 検査の内容につきましては、今の安全局長の答弁のとおりと理解しております。
#101
○松前達郎君 それは通産省の方がお出かけになってやっておられるのか。
#102
○説明員(神田淳君) 溶接検査につきましては専門機関、発電設備技術検査協会という専門機関に移管いたしまして、この専門機関が国の代行という形で溶接検査をしております。
#103
○松前達郎君 専門機関、信頼置けるんでしょうね、その辺の。これは結構です。
 そういうことで、今後、民間の方にその検査が回っていくわけですけれども、これの検査、これはいわゆる商業としてやるわけですから、やはりなかなかがっちりとした検査の条項その他すべてを含めての厳守が行われるかどうかという問題がここにあるんじゃないか。溶接部分は非常に多いですからね、恐らくその溶接部分にもしか欠陥でもあればほかのところよりそこの方が先にいかれていくので、その辺の問題が特に重要な問題であろう、こういうふうに思ったものですから今質問さしていただいた。それからもう一つ、廃棄物の処分ですね。この問題が一つこれに盛り込まれているんですが、この廃棄物というもののレベル、要するに放射線レベルですね、これのレベルで分類をされているようですが、これは大まかに言ってどういう分類をされているんですか、段階とか。それから、もしか代表的な対象物があればそれをおっしゃっていただきたい。
#104
○政府委員(辻栄一君) 実は今の御質問には後ほど原子力局長より答弁していただきますが、先生の御質問の中で、この検査指定機関につきまして民間企業というようなお話がございましたが、私ども考えているのはそうではございませんで、公益法人にさせるということにいたしておりまして、最近、検査会社いろいろ出ておりますが、そういった民間企業にやらせるという趣旨ではございませんで、中立、公正な財団法人を考えておるわけでございます。その点ちょっと補足説明さしていただきます。
#105
○政府委員(中村守孝君) 放射性廃棄物につきましては、大きく分けまして低レベル放射性廃棄物と高レベル放射性廃棄物と言われておるわけでございますが、低レベル放射性廃棄物につきましては、主として原子力発電所等で発生するものでございまして、これはまあ実際に機器の修理、点検等に使います紙だとか布だとかそういった関係のもの、あるいは衣類だとかそういったもののほかに、発電所で使いました水、放射能で汚れた水なんかにつきまして、これも蒸留したりしまして薄めて外に放出しておりますが、そのあとに濃縮されました部分のものとか、そういったものがあるわけでございます。高レベル放射性廃棄物につきましては、再処理施設でできます実際に使用済み燃料を溶かしました液体等が、これらの中に一種の核分裂によって発生しました廃棄物が入り込んでおりますので、こういった種類のものが主体でございまして、これは現在、液状で東海村の再処理工場にためておりますが、これは行く行くはガラス状に固めて処理処分しようということで、これは通常ガラス固化体というような物の言い方をしております。
 低レベル放射性廃棄物につきましては、一般に気体とか液体のものにつきまして、許容の量以下のものにつきましては、十分安全を確認した上でそれぞれの事業所から環境に放出されておるわけでございます。発電所の中で発生しました固体のもの、紙とか市とかこういったものは焼却をいたしまして、例えばセメントで固めるとか、それから液体状のものにつきましても、先ほど申しましたように、蒸発等なんかいたしまして濃縮いたしますので、その濃縮されました残りのものをセメントで固める等のことをしておりまして、現在ドラム缶におさめて発電所の敷地内の保管施設に安全に保管しております。そのほか発電所で発生するものといたしましては、炉の構造物修理等によって生じました構造物等が一部ございますが、こういったものは一般の低レベルより若干放射能が余計にあるというようなものにつきましては、例えば発電所のプール内に貯蔵するとか、そういったような形で現在安全に保管をしておるわけでございます。
 これらの低レベル放射性廃棄物につきましては、いずれ最終的な処分をしなければならないわけでございまして、このうち低レベル放射性廃棄物の中でも放射能レベルの低いもの、今回の法律でいろいろ御審議いただいております無拘束限界値からそれを前提にいたしまして、埋設しても差し支えないと見られる濃度の上限値、これの間に入るような低レベル廃棄物につきましては浅い地中に埋設をするという方法を考えております。この濃度の上限値を超えるような低レベル廃棄物につきましては、引き続き安全に人間の管理の行き届く形で保管をいたしまして、その放射能がいずれ逓減をして埋設が可能になるような時点で埋設をするというようなことを考えております。
 それから再処理工場において発生いたします高レベル放射性廃棄物につきましては、これは先ほど申しましたように、安定した状態にするということでガラス固化体にいたしまして保管をするということを計画いたしております。これにつきましては非常に熱が発生するものでございますので、放射能が逓減していく過程におきまして熱が発生いたしますので、三十年ないし五十年は十分人間が直接管理できる形で貯蔵をした後、熱の発生量が少なくなったその後におきまして地中数百メーター程度の深地層中に処分をするということを考えておる次第でございます。
#106
○松前達郎君 よくいろいろな週刊誌などに、無拘束限界値以下のものは産業廃棄物並みに処理できる、一般的な工場から出てくる産業廃棄物並みにこれは処理するというなら、何も業者は関係ないわけですね。どこでも廃棄をする業者だったら構わないということになるんですね。その辺が問題だというふうなことがよく言われてきておるわけですが、そういうこともありましたのでちょっとお伺いをしたんです。
 また、これについて後で同僚議員から質問があると思いますので、私、ほかの方に移らしていただきたいんですが、今回のチェルノブイリ原発の事故があったわけですが、これでいろいろなことが、事故の原因とかそういうものはまだはっきり明確にならない。恐らくソ連でもわかっていないとこの前も言っていましたから、確定した原因が出てきていないと思うんですけれども、結果としてはああいう結果が出てきている。それで一つだけ、機器類が正常に常に作動しているかどうかという問題とか、あるいはさっき申し上げた溶接部分が悪くなってそこからいろいろなものが出てくるとかいう問題とか、そういうのはちょっと別にしておきまして、これは技術上の問題ですね、製造技術も含めた問題ですけれども、そうじゃない分野がどうもこれから非常に大きな問題となってくるのじゃないかと思うんです。それは何かといいますと人的ミスなんですね。
 これは、春になると時々情緒不安定の人がふえてまいりますけれども、それだからソ連のが起こったとは言いませんが、とにかく人的ミスを一体どう防いだらいいのか。コンピューターであるから安全であるということも言い切れませんけれども、しかし人間が扱うべき部分というのが必ずあるわけなんで、こういった人的ミスを防ぐための手段、いろんな方法、方策等が今後大きな課題となってくると思うんです。TMの事故、これも恐らくそれに起因するところが大きいのじゃないかと思うんですね。それからチェルノブイリも恐らく今、私自身が入れている情報ではそういうことが十分考えられる。日本におけるそういった事故とか故障とかそういうものも結果的にいうと、例えば洗った水をどぶに流しちゃったとか、そういうやってはならない人的ミスですね。ミスというのか知らないでやったのか、これは大変なことなんですが、そういったような人間の要素が非常に入った部分でこういった大きな事故とか汚染につながる可能性があるので、その点についての問題は恐らく今後重要になってくると思うんですが、その点何か考えておられますか。
#107
○政府委員(辻栄一君) 御指摘のように、スリーマイルアイランドの事故に際しましても人的ミスの問題が大いに問題となりましたし、今度のソ連の原発事故におきましても、まだ御指摘のように詳細わかっていないわけでございますが、もう既にいろいろマスコミ等で人的ミスがあったのではないかということも仄聞されておるわけでございまして、この問題は非常に重要な問題であると考えております。スリーマイルアイランドのときにおきましても、人的の問題については五項目ばかりを取り上げましてその対応策としておるわけでございます。
 そもそも施設の設計におきまして、運転員の誤操作あるいは誤判断等を防止いたしますために、安全サイドに働くいわゆるフェールセーフというような考え方を持っていろいろ施設の設計をやっておるわけでございます。また、原子炉の保護設備、工学的な安全施設等の安全装置は極めて信頼の高い設計をしており、事故時にできるだけ自動的にやるという建前になっているわけでございます。ところが、事故が起こった後を見ますと、そういったフェールセーフを、わざわざ人がフェールセーフシステムをつぶしてしまったというような誤操作も出てきたわけでございます。こういったミスの防止については、設計面のハード面のアプローチと、それから管理面のソフト面からのアプローチが必要でございまして、先回のスリーマイルアイランドの事故に関しましても、制御盤の設計であるとかその他につきまして人間工学的な要素を配慮したような設計に改善するような対策はとられたわけでございます。すなわち、中央制御盤のうち事故時や機動停止時に用います制御盤は専用としてしまうというような制御盤の改善をやるとか、あるいは表示装置をカラーブラウン管に改めて非常に色彩感覚を取り入れられるようにすることができるようになりました。あるいは計器、警報操作スイッチなどは、その機能や重要性に応じましてこれまた色分けするといったような格段の工夫はしておりまして、できるだけそういったミスの起こらないような対策をとるように努力はいたしてきております。
 また一方、管理面におきましても、これは教育訓練という問題になってくるわけでございます。もう一つはマニュアルの整備というようなことになってくるわけでございまして、教育管理面におきましては、先生御承知のようにPWR、BWR、それぞれシミュレーターを持っておりまして、そこで教育訓練をやっておるわけでございますけれども、このカリキュラムにつきましてもいろいろな一般的な運転対応ではなくて、事故が起こった場合にどうするかというようなのをやはりプログラムに入れておきまして、それに対する対応をやらせるというようなことなど係を入れておきまして、またそういった既存の運転員の定期的な技術向上のためのシステムも導入して、ただ一たん本職になったらもうそのままでいいというのではなくて、やっぱり定期的にそういったシミュレーターのところに行って教育訓練を受けるといったような制度もやっておるわけでございまして、今後ともそういったような面におきましてもできるだけ力を入れてやっていく必要があると思いますし、今度のソ連原発事故もおいおい内容がわかってまいりますればいろいろな具体的な対応すべき事項が出てくると思いますので、それをできるだけ取り入れてそういった面の改善にも力を入れてまいりたい、かように考えているところでございます。
#108
○松前達郎君 いろいろな手段でもって情報が直接、しかもはっきりとコントロールする立場の人のところに入ってくる、これはいろんな工夫が必要だと思うんです。ところが、一人でもしかそれやっているとすると、その人が居眠りしていたら終わりになっちゃうので、あるいは判断の仕方が悪いとまた終わりになるから、何かもうひとつ幾つかの多重制御といいますかね、そういった面までどうもやらないと、必ずしもその辺がうまく一〇〇%コントロールされているかという、信頼しないといえばそれっきりなんですけれども、人間、信頼というのは、これ、政治の世界でも全然信頼置けませんので。ただし、技術の世界ではある程度訓練された人だからあれでしょうが、その辺も今後検討課題になるのじゃないか、こう思うんです。
 それからもう一つは、事故が起こらないことを前提とされているようですから、事故を起こしたときの問題をここで言ってもなかなか取り扱いに図られるかもしれませんが、例えば今度のソ連の事故の場合の情報入手。これはどうしてかというと二つあります。原子炉そのものがなぜこういうことを起こしたのかという技術的な情報ですね。それからもう一つは、さらに起こした結果として出てくる人間への被害、影響といいますか、こういったような問題、この二つがあると思うんです。あるいはもっと後になると、それの今度は治療の問題、医療関係の問題、こういう問題も出てくると思うんですね、これは現実に起きたのですから。
 そこで、いろいろとその情報の問題について検討してみると、まず最初に確認したところはあのランドサットという衛星です。あの衛星の情報が確認の最初だったと思うんですが、スウェーデンで放射能が検出されたと、これもあるんです。だけれども、実際ビジブルな問題として確認されたのがランドサットの情報だ。これも本来ですと、たしかスウェーデンのキルナで受信しているんだと思うんですが、この情報が余り正確でなかったから結局データトランスファー衛星を使ってアメリカの方で直接ワシントンの郊外で入れて、そしてそのおろした情報をもとにコンピューター処理して画像ができている、それを新聞に発表されたと、こういうふうな段取りなんですが、こういった情報収集。
 それからもう一つは気象情報ですね。気象情報が余り正確でないために科学技術庁の方でたしか日本には放射能の影響がないだろうということをおっしゃったら、その後すぐ影響が出てきた。影響というのは、人間の生活に影響するものでないにしても、ある程度の放射線の検出がされるということになります。これなんかもアメリカあたりだと商務省、農務省共催でいわゆる農業気象というのをやっているのです、全地球の。これはNOAAという衛星を使ってやっているわけです。ですから、これがしかももう既に、この事故が起こったすぐ後に、すぐ穀物の相場が上がるであろうということを予測をした発表をしていますね、その相場が上がるとかの問題で。私言っているのじゃないんですが。
 それで、しかも放射能が、爆発したかあるいは普通の火事みたいに上がったかわかりませんが、その気流に乗って拡散をしていく。拡散の仕方が上層と下層では全然違う。下層の方はヨーロッパの西の方に拡散をしていきますし、上層の方はそれが今度逆に日本の方に向いてくる。こういう予測は当然つくわけなんで、事故のあった場合、こういったような予測も含めてWHOあたりは世界的な総合的な情報交換機構をつくったらいいんじゃないか、こういう提案ももう既につい数日前にしているわけです。ですから、事故が起こることを前提としてというとどうも余り乗り気になられないかもしれませんが、しかし起こる可能性もあるので、何もこの原子炉の事故だけじゃなくて、やはりそういったようなことも今後、将来の問題として考えていかなきゃならないんじゃないか。
 これは気象庁の皆さんがおられると大変喜ばれるかもしれませんが、いずれにしてもそういった総合的な、もう今一カ所で済む問題じゃないんですから、全地球的に考える問題ですから、そういったシステム等も率先して我が国として取り組んでいくべきであろう、こういうふうに私は思っておるわけですが、その点について新しい情報等入手がありましたらひとつ発表していただければ、なければないで結構ですが、さっき私が申し上げたような総合的な情報入手機構といいますか交換システムといいますか、こういうものをつくった方がいいという考えを持っているんですが、その点どういうふうにお考えになりますか。
#109
○政府委員(辻栄一君) 私ども先生と同様の所感を持っておるわけでございまして、同時に私どもだけではなくて、これは国際的にもその必要性が認識されております。既にIAEAにおきましてそういった国際的な情報の体制をこれから検討していこうじゃないかという話にもうなっておりますし、IAEAの事務局長がソ連に参りました際に、そういった情報交換についても一応合意をしてこれからやっていこうという基本的な話ができてきつつあります。
 それで、具体的なあらわれとして、ソ連は七カ所に国境付近にモニタリング装置を置きましてその情報を入れてきておりまして、もう既に私どもの方の安全局のファックスにも毎日その情報は入ってきております。最近やや落ち着きを見せてきておりまして、最も発電所に近いところ一約七十キロぐらいのところにオスターという場所があるんですが、そこのデータが一番発電所に近いものですから、そのデータをあれしますと、この一日、二日は大体〇・二ミリレントゲン・パー・アワーというレベルに下がってきております。これは決して低い値ではありませんけれども、そういったようなところで少しずつ改善が図られていくんじゃないかなというふうに思っております。これは、国際的にはそういうことで、恐らくIAEA等を通じてそういった問題がこれから具体的なスキームにまとめられていくディスカッションが行われることになると思います。
 国内の問題についてちょっと御説明さしていただきますと、私ども安全だ安全だと言うばかりではございませんで、一応防災体制につきましてもスリーマイルアイランド以降いろいろやってきております。特に、放射能の放出とその予測につきましては、事故直後から原子力研究所におきましてこういった予測システムの開発に着手してまいりまして、もう最近では実用化の段階にまいりまして、既に実用化の一号機をつくっております。これはSPEEDIという名前をつけているんですけれども、コンピュータープログラミングでございまして、原子力発電所のある日本の細部の地形が全部コンピューターに入っております。それからこれと気象庁のアメダスは、テレビでは雨の数字だけ出てきますが、あれだけじゃなくて、風向、風速、温度、そういったデータも全部あのアメダスに入ってきておりますので、アメダスとそこをコンピューターでつなぎまして、そういう気象データが入ります。そうすると、インプットデータとしては発電所からどのぐらいのキュリー数が放出されたというのが出ますと、そのコンピューターでどのぐらい放射能のプルームが流れるかというのがディジタルで目に見えるようにできてきております。ことしの秋ぐらいまでにはこれと安全委員会とをつなぎまして、安全委員会の方にディスプレーをつくるというような形にまで整備されてくると思いますので、そういった方面の情報流通には大いに使われるのではないかというふうに考えております。
#110
○穐山篤君 時間の関係で、最初にエネルギーの需給見通しの問題について伺います。
 いただきました資料は五十八年十一月策定のエネルギー需給見通しの表であります。そこで伺うんですが、たしかその前の昭和五十七年四月の需給見通しでいきますと、原子力の場合に、六十五年度が四千六百万キロワットアワーであったと思うんです。それが三千四百万に下方修正をされた。それから五十七年の策定では、昭和七十五年度の試算では九千万キロワットアワーであったものが六千二百万キロワットアワー程度というふうに相当修正をされたわけです。そこで、先ほども質問がありましたが、もう一度伺いますが、これは具体的にどういう理由でどういう算定根拠をもって相当程度の下方修正をしたのか、その点をまずお伺いします。
#111
○説明員(林康夫君) 長期エネルギーの需給見通しにつきましては、御指摘のとおりこれまで逐次改定を行ってきたわけでございます。これは理由といたしましては、石油危機とこれに伴う景気回復のおくれ、あるいは産業構造の変化、省エネルギーの進展等エネルギーを取り巻く内外の情勢変化を踏まえて、より現実に合った指針とするために行ったものでございまして、実際に御指摘のとおりに改定を行っておりますけれども、エネルギー全体に占める原子力のシェアという意味では、五十七年度の見通しにおいても約一一%でございますし、五十八年度の秋の見通しにおきましても一一%程度ということでございまして、全体におけるシェアは大きな変化を示しておりません。
 もう一つの、どうやって改定をするのかということでございますけれども、これは現実に各電気事業者の立地の計画等を逐次積み上げまして全体の規模を出すものでございまして、現実にはそういうヒアリングベースで積み上げを行っているということでございます。
#112
○穐山篤君 計算でいきますと、五十七年の四月対五十八年十一月策定のものを見ますと、今私が申し上げました六十五年度で千二百万キロワットアワー、七十五年度では二千八百万キロワットアワー、特に七十五年で計算をしますと、一年分違うわけですね。かなりの下方修正だと思うんです。
 そこで、五十七年四月当時見通しをつけられたときの原子力行政の将来展望、それから五十八年十一月に策定をしたころの原子力の将来展望、これは設備、施設その他を含めてでありますが、相当変わったのではないかなというふうに判断できるわけですが、その点はいかがですか。
#113
○説明員(林康夫君) この見通しは総合エネルギー調査会の需給部会の見通してございますけれども、原子力に対する考え方という点では、私どもといたしましても、日本がエネルギー政策を展開する上で、日本のエネルギー供給構造が極めて脆弱であるということを踏まえて、今後とも原子力に依存する程度は相当あるのではないかと考えておりますし、またそのエネルギー政策の基本的路線も堅持していかざるを得ないというふうに考えておりまして、原子力に対する見方という点では、我が国が非常に脆弱なエネルギー構造を持っている中で極めて重要なエネルギーという点では、五十七年の見通しの際にも五十八年の見通しの際にも基本的には見方を変えていないわけでございます。
#114
○穐山篤君 今までの原子力行政というものを私なりに見ておりますと、従来の政策というのは、軽水炉、これを定着させる、あるいは改良をしていく、効率化を図っていく、その上に立って高速増殖炉の原子力行政と、過去の例をずっと見るとそういう感じがするわけです。そこで、下方修正をしたためにその政策がいささかでも変化をしてきたのか、あるいは変化をせざるを得なくなってきたのかという点についてはどういうふうに考えられましょうか。
#115
○説明員(林康夫君) 先ほど御答弁申し上げましたように、この下方修正は全体のエネルギー需要の減退ということを踏まえて行ったものでございますので、基本的にはその見通しもエネルギー需要の状況に従って年次が先に延びたということでございまして、方向としてエネルギー政策の内容が変わったというようなことはございません。
#116
○穐山篤君 今私が申し上げたように、軽水炉から高速増殖炉の原子力政策は変えないと、ただ実際の問題として、下方修正をした、あるいはその他の原因もあって実用化のおくれが現実問題としては発生をすると、こういうふうに理解をしていいんでしょうか。
#117
○政府委員(中村守孝君) 先生今御指摘の軽水炉から高速増殖へという基本的な炉型戦略の考え方は現在変わっておらないわけでございます。先生御指摘のように、エネルギー需要の長期的展望が下方修正をしてきたという中にありまして、高速増殖炉の開発計画、我々も早くから取り組んではまいりましたが、現実問題としては、立地問題その他もございまして計画はかなり当初から比べるとおくれております。それで、現在実用化時期につきましては、前回、五十七年度に原子力委員会の長期計画を策定いたしましたときには、西暦二〇一〇年ごろに実用化するんじゃないだろうかという見込みを立てておりましたが、その後世界的な情勢から見ましてもやはりこれは若干後送りになるのではないかというぐあいに考えておるわけです。ただ、我が国の高速増殖炉はようやく原型炉を現在建設中という段階でございまして、フランス等に比べますと相当なおくれを見ておりまして、今後実用化までには実証炉の建設等の段階を経まして、実際に軽水炉と競合できる高速増殖炉ができ上がって初めて実用化と、こういう段階になってまいります。何分にも原子力開発の懐胎期、懐妊期間と申しましょうか、そういうものは長いわけでございまして、現在我々は原型炉の建設に一生懸命取り組んでおると、こういう状況にございます。
#118
○穐山篤君 ちょっと参考までにお伺いしますが、「常陽」ですね、これ目下稼働しているわけですが、当初考えました建設費と最終的な建設費の比較はどんなものでありましょうか。
#119
○政府委員(中村守孝君) 大変恐縮でございますが、実験炉「常陽」、かなり前でございますので、ちょっと今数字を手元に持ち合わせておりませんので、当初の計画とちょっと申しわけございませんが……。
#120
○穐山篤君 それでは今話の出ております原型炉「もんじゅ」ですけれども、これは最初私どもが聞いたときの数字は四千億程度と、こうなっていたと思うんですが、これが最終的にどのくらいの金額で竣工するんでしょうか。
#121
○政府委員(中村守孝君) 先生今御指摘のように、原型炉の「もんじゅ」につきましては、工事、いよいよ立地を最終的に決めて具体的に取りかかるという段階での見積もりが四千億円でございまして、これは現在約五千九百億円ということで、あくまでもこの範囲に全体の建設費がおさまるよう一生懸命努力をしておるところでございます。
#122
○穐山篤君 非常に値段としては高い品物だなという感じがします。
 そこで、もう一つお尋ねをするわけでありますが、プルトニウムの需給関係ですね、これはどういうふうに推移をすると見ておりましょうか。
#123
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 現在プルトニウムにつきましては、国内的には高速増殖炉実験炉の「常陽」とか、それからこれから建設いたします原型炉の「もんじゅ」、それから新型転換炉「ふげん」という炉を現在敦賀で運転をいたしておりますが、こういったものに燃料を供給するためのプルトニウムの需要というものが当面の需要でございまして、これらにつきましては、東海再処理工場で再処理いたしましたものに加えまして、フランス、イギリスにお願いしてあります再処理の結果出てくるプルトニウムを国内に持ち帰って利用しておるということでございまして、当面はこういったものの需要と見合っておるわけでございます。
 さらに、行く行くは出てまいりますプルトニウムを、先ほどもお話ありましたように、本来は高速増殖炉で使うということが究極の目標でございますが、それまでの間は軽水炉とか新型転換炉で、いわゆる熱中性子炉で積極的にこれを利用していこうという政策に立ちまして、軽水炉につきましてもプルトニウム利用についての試験的利用から本格的利用ということを考えておるわけでございまして、そういったことで、軽水炉の利用までを考えますと、これから民間で建設いたします再処理工場での出てくるプルトニウム等々も考え合わせましていきますと、原子炉を、例えば軽水炉とかにつきまして、BWR、PWR、そういったものが数基ずつ程度軽水炉でこのプルトニウムの燃料を利用するというようなことを考えていきますと、西暦二〇〇〇年からちょっと先ぐらいのところまで累積するプルトニウム量というものはバランスをするというような状況になっております。
#124
○穐山篤君 私、素人なものですからちょっと数字を教えてもらいたいんですが、「ふげん」と「常陽」で毎年どのくらいのプルトニウムが必要であるのか、それからこれからでき上がります「もんじゅ」を含めますと毎年どのくらいのプルトニウムが必要になってくるのか、最終的に需要と供給がバランスするというようなお話でありますが、海外に注文をしてありますプルトニウムの供給体制、この点はいかがですか。
#125
○政府委員(中村守孝君) プルトニウムにつきまして原型炉「ふげん」での年間の使用量は、年によって取りかえ燃料の差異等がございますが、多いところでは年間約百十キログラム・プルトニウム・フィセル、核分裂を起こしますプルトニウムの量で約百十キログラム前後、それから「常陽」におきましてやはり同じく年間百キログラム程度でございます。それから原型炉「もんじゅ」になりますと年間約四百五十キログラムぐらいのプルトニウムの所要量が出てまいります。それから長期的には東海工場におきまして出てくるものと、それから民間がこれからつくります第二再処理工場、それから海外の委託をしております再処理工場等から再処理した結果できるプルトニウムを国内に持ち帰るというような計画でございまして、このような体制で先ほど申しましたような「ふげん」、「常陽」、「もんじゅ」、それから今後出てくる大間で建設中のATRの実証炉、それから軽水炉関係の本格的利用に備えたい、このように考えておる次第でございます。
#126
○穐山篤君 先ほども同僚委員から質問が出ていたわけですが、今後のエネルギーの中で原子力発電というものを重視していきたい、こういうお話があったわけですが、しかしそのためにはいろいろな周辺の整備の問題があると思うんですね。例えば、先ほども出ておりましたが、コスト、経済性の問題もあるだろうと思う、それから原子燃料サイクルの問題があるだろう、それから何といいましても安全の担保ということが我々にしてみれば最大、最高の問題であろうというふうに素人なりに考えますけれども、こういう分野についての科学技術庁長官なりあるいはエネルギー庁の方の考え方をこの際明らかにしてもらいたい。
#127
○国務大臣(河野洋平君) エネルギー政策を考えますときには、今先生おっしゃいましたようにただ単にコストだけで考えるというわけにもいかないと思います。国際的に見ましても外国にエネルギー源を依存する我が国でございますから、国際的な環境、つまり平和が維持できているかどうか、あるいは地域的に分散してエネルギーの供給を考えるとか、そういった国際的な配慮も必要でございましょうし、あるいは国内的には今先生御指摘になりましたような周辺の環境あるいは整備、こういった問題も勘案しなければならないと思います。先ほど来から御論議がございましたように、現在極めて原油の価格が下がっておる、円高ということもあって強いて円高のメリットを考えればそういったところにもあるではないか、そういう御議論もあったように伺いますけれども、ただ単に今現在の原油の価格だけを考えてあれこれするというわけにもいかない、長期的に安定した供給というものがどうやって確保できるかということを考えなければならぬと思います。さらにもう一方、科学技術の進歩ということも想定していかなければならないわけで、日進月歩というと少し言い過ぎになるかもしれませんけれども、科学技術の進歩というものも我々は頭の中に入れて考えていくべき必要があろう、こう考えるわけでございます。
#128
○穐山篤君 長期見通しの問題については以上で終わります。
 さて関連をして、原子力船「むつ」、今日ただいまどうなっているのか、あるいは将来どうするのか、その点いかがですか。
#129
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 原子力船「むつ」の計画につきましては、当初から比べまして研究開発のスケジュールが大幅に遅延をいたしております。さらにいろいろな関係から経費の増大を招いているということで大変遺憾に思っておるわけでございますが、何分にも資源小国の我が国であり、さらに世界有数の造船海運国であるという我が国として、長期的な展望に立ちますときに、将来の船舶用の原子炉の研究開発というものは非常に重要な問題であろうかと思っておるわけでございます。
 それで、原子力船用の舶用炉の開発につきましては陸上でのいろいろな実験も可能なのではないか、そういうことで陸上でいろいろ基礎的な研究を進めたらどうかという御意見も多々あったわけでございますが、原子力船特有の問題といたしまして、やはり海上における波による振動その他陸上に大きな振動台をつくってということでは非常に大変なお金のかかる話でもございまして、海上での実験というものが必要になるわけでございまして、そういう意味からはこの原子力船「むつ」というものが非常に貴重な実験材料になるわけでございますので、ぜひこの「むつ」を使いまして得がたいデータを得たいということで、私ども関係方面の各般の御意見を踏まえて慎重に検討いたしまして、昨年の三月三十一日に新しく基本計画を策定して、現在その計画に沿って進めておるわけでございます。
 この基本計画は、端的に申しますれば現在関根浜の港を建設中でございますが、この関根浜の港を建設後そこを基地にいたしまして、約一年程度の間海上における貴重なデータを精力的に得まして、その後原子力船を解役する、こういうことで六十五年度には一応「むつ」としての研究開発計画を終了させるということで現在鋭意準備を進めておるところでございます。
#130
○穐山篤君 私もかつて決算委員会に所属しておりまして、この金食い船のあり方の問題について随分議論がありました。膨大な国費を使って、リスクがあるのはやむを得ないにしても期待どおりのことにならずに、与党・自民党の中にも廃船にしなさい、こういう圧倒的なお話があるわけです。この原子力船「むつ」の建設、当時の意見としては陸上で実験をすればいいじゃないか、そして十分に見通しがついた上で商業用に転化をしてもそれはいいではないか、私はこういうふうに主張をしたわけですけれども、急ぎ過ぎた結果がこういう状況になったと思うんです。研究が終わった後これをどういうふうに転用をしていくのかという点についてはいかがですか。
#131
○政府委員(中村守孝君) 先生の御指摘は、原子力船「むつ」そのものが実験終了後どういう扱いになるかと、こういうことかと思いますが、原子力船「むつ」につきましては、実験が終了しました後は原子炉を解体いたしまして後いわゆる廃船という、言葉はちょっとあれでございますが、をするということでございまして、その船を解体してしまうか、あるいは原子炉を取り除いた後の船につきましてはほかに使い道があるということで御希望の向きが出てくれば、そういった扱い方も考えようかと思っておりますが、現在のところまだ原子炉を解体するというところまででございまして、それから先の有効に使うという意味では具体的な計画をまだちょっと詰めかねております。
#132
○穐山篤君 この場では余りふさわしくない意見ですけれども、高い買い物をし過ぎたな、国民の血税を使い過ぎたなと、こういう気持ちがしてならないわけであります。商業用にはソビエトなど若干の船がありますけれども、そもそも日本ではこの計画はむちゃであった、こういうふうにきょうのところは指摘をしておきたいと思うんです。
 原子力基本法ができて三十年ですか、科学技術庁ができてこれまた三十年になるわけですけれども、そこで現在三十二基の原子炉が稼働をしているわけでありますが、耐用年数はそれぞれの型によって違いがあると思うわけですけれども、これは私ども勉強の限りでは三十年ないし四十年というふうに理解をしているわけですが、一般論で最初ひとつ耐用年数というものを紹介してもらいたいと思うんです。
#133
○政府委員(中村守孝君) 原子炉の耐用年数につきましては、明確に幾らというようなことを決めたどこかのオーソライズ機関の、何といいますか公的な機関で幾らと決めたということはないわけでございますが、法人税法などで適用されている減価償却では、この発電所用の鉄筋コンクリートが四十五年、汽力発電設備は十五年というような数字がございまして、これが援用されるんだろうと思いますが、実際の問題としてどのくらいもつのだろうかということにつきましては、私どもも専門家といろいろお話ししておりますが、先ほど先生御指摘ございました三十年ないし四十年ということが現在の皆さん方の御意見でございます。
#134
○穐山篤君 そうしますと、今世紀中に耐用年数の目いっぱいくる原子炉が発生をするわけですね。当然のことながら、さらにそれを修復して延命を図るか、あるいは廃炉にする、そういう方法が技術的には考えられるわけです。これまたどういう方向で研究されていますか。
#135
○政府委員(中村守孝君) 我が国で一番古い商業用の炉が昭和四十一年の運転開始でございますので、この炉がいわゆる東海村にございますコールダーホールタイプの原子炉でございます。これが一番最初の廃炉の対象になろうかと思うんですが、一方、研究用の炉としてございます、日本原子力研究所に出力は小そうございますが、実際に発電をした原子炉がございまして、これはJPDRと言っておりますが、この炉につきまして、今後の原子炉の解体に必要な技術開発の一環として、この炉をひとつモデルにしてやろうじゃないかということで、現在まで数年間解体に要する要素技術、エレメントの技術についての開発を進めてまいりまして、本年からこのJPDRの解体作業に入るということを計画しておるわけでございます。
 長期的に我が国の廃炉をどう進めていくかということにつきましては、原子力委員会の専門部会でも検討いたしまして、五十七年六月に原子力委員会が策定しました長期計画においてその基本的な考え方が示されておるところでございますが、これではまず安全の確保を大前提に地域社会との協調を図りつつ進めるべきだと。特に敷地につきましては、原子力発電所としての用地として引き続き有効に利用していく。何分にも我が国としてはこういう国土狭隘なところでございますので、有効に活用していくという意味でそういうことがうたわれておるわけでございます。
 したがって、その原子炉を廃止するための措置の進め方につきましては、引き続き使用できる施設、これは原子炉そのものはやめるにしても、周辺に使えるような施設等がいろいろあるわけでございます。そういったものの再利用を十分考慮した上で、原子炉の運転終了後できるだけ早い時期に解体撤去することを原則とする。個別にはそれぞれの立地地点におきます諸事情がございましょうから、必要に応じ適当な期間は要するに人が入らないように、それから放射能を封じ込めるという意味での密閉管理という方法、あるいは遮へい隔離という方法、この二つの方法で進める期間というものが必要になる場合もあるだろうということでございまして、この期間は原子力施設を解体撤去するのではなくて、かなりな部分は取り壊しますが、肝心な部分はいわゆる閉じ込めて人が入らないようにするというようなことをするわけでございます。
 そういったようなことにつきまして、ある期間はそういう状況にしておきますが、最終的には解体撤去をして跡地を発電所に利用するというのが原子力委員会としての考え方でございまして、私どももその線に沿って長期的な展望をし、そのために必要な技術開発を先ほど申し上げましたようにJPDRの解体ということを一つの中心的なプロジェクトとして進めてきておるところでございます。
#136
○穐山篤君 廃炉にするということは放射能の固まりをどうするかということになるわけですが、この原子力発電を考えました今から三十年前ですね。この廃炉の問題について十分に研究がされないままに専ら建設の方に開発の重点が置かれておったというのは、非常に国民の一人として驚くわけです。これは何か特別の理由があったんでしょうか。
#137
○政府委員(中村守孝君) 先生御指摘のような、原子炉をそもそもつくる三十年前、いろいろ研究開発をしていたときに廃炉の問題をどう考えていたかということにつきましては、確かに建設をするということがまず先にあって、最初から廃炉についてどうするこうするという詳細な技術開発というようなプロジェクトはなかったことは事実でございます。それがどうであったかということにつきましては、特段のどうだからそうしなかったということは、資料もございませんので私ども断定するわけにはいかないわけでございますが、私個人の推測といたしましては、解体の技術については今後の技術開発等によりまして、方法論は何といいますか、経済性という点においてはいろいろ今後の技術開発をすることは必要でございますけれども、本質的に取り壊しすることなりが全く技術的に不可能であり、それを片づけなければ原子炉の開発は進められない、そういうような理解は当時しなかったんだろうと思いまして、今後の解体までの間に十分な技術開発をして、経済性のありかつより一層安全性が確保できる技術の開発は十分実現可能である、そういうような判断をしたのではないかと考えております。
#138
○穐山篤君 この原子炉の中で発生するいろいろな物質があるわけです。稼働している間に出てくる物質あるいは例えばセシウムであるとかストロンチウムであるとかプルトニウムであるとか、そういう問題の半減期の問題も十分考えなければなりませんし、原子炉の容器のニッケルなりあるいは銅の含有量、そういうものも当然原子炉をつくる場合には技術的に言えば念頭にあるわけです。それが途中でどういう事故、災害に遭うかもわからない。あるいは最終的に耐用年数が来ますと、若干のものは設備、施設の転用ができますけれども、その母体について言えば廃炉にするという可能性が一〇〇%近いわけですね。したがって、原子力の発電のための研究開発というものも当然でありますけれども、その途中のトラブルあるいは将来的な廃炉の問題についても当初から研究をしておかなければ十分安全性を担保することは不可能だというふうに私は考えますけれども、その点については科技庁の御意見はどうなんでしょう。
#139
○政府委員(中村守孝君) 今先生御指摘にございました銅の含有量というようなものは恐らく圧力容器の脆化の問題にかかわるものと思いますが、そういった問題につきましては、原子力発電所の安全性という点につきましては、原子炉を設置する段階におきます安全審査の段階で世界的ないろんな資料を集めまして、材質も含めて十分安全性を確認した上で許可をし建設をし運転をしておるわけでございます。
 廃炉につきましては、我が国はこういう国土狭隙の地でございますので、基本的に解体撤去をして跡地は有効に利用していくというのが我が国の考え方でございますが、その開発の当初において解体撤去するというところまでは考えなかったところもあろうかと思いますし、実際にお国によっては、先ほど申しました密閉管理といいますか、コンクリートで封じ込めてしまう、原子力発電所の中で一番放射能の高いところはコンクリートで閉じ込めてしまう、こういうようなことで処理をしておるところもあるわけでございます。我が国ではそういったことでなく、周辺の皆さん方の御理解も得ながら進めていかねばならない原子力発電所でもございます。そういうことで、解体撤去をして跡地はまた有効に利用して地域とともに繁栄をしていこう、こういう考え方で現在鋭意より安全なより経済的な解体技術というものを目指して努力をしておるところでございます。
#140
○穐山篤君 目下研究中のようですから、最終的な正確なお答えは出ないかもしれませんけれども、例えば東海村にあります原子炉を解体する場合、解体したと仮定をして、どの程度の放射性物質が出てまいるものでしょうか。あるいはそれを解体、廃炉にするために必要な経費というのは大ざっぱに言ってどのくらいかかるものでしょうか。
#141
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 実用炉について具体的に東海村という特定のところについてどうだという数字は持ち合わせておりませんが、エネルギーについての通産大臣の諮問機関でございます総合エネルギー調査会の原子力部会が昨年の七月に廃炉についての試算をまとめております。発生する廃棄物量は、百十万キロワットクラスの原子力発電施設におきまして、全体で放射性廃棄物であるものもそれから非放射性廃棄物であるものも含めまして五十ないし五十五万トン出てくると。そのうち放射性廃棄物として扱われるべきものは約二%程度であろうという試算がなされております。そうしますと、五十ないし五十五万トンでございますので、そのまま二%を掛けますと一万ないし一万一千トンという数字が放射性廃棄物の量として出てまいります。外国の数字といたしましては、米国の原子力規制委員会が調査した数字といたしまして、百二十万キロワットのものにつきまして放射性廃棄物の量が一万五千ないし二万トンだというような試算もなされております。おおよその数字はそのレベルのものではないかと考えておる次第でございます。
 それから費用の点でございますが、これにつきましては大体建設費の一割程度がかかるのではないだろうかということでございまして、先ほどの総合エネルギー調査会の原子力部会の報告によりますと、例えば百十万キロワットクラスでありますと、いきなり壊すのではなくて五年程度は安全に貯蔵した後ということでございますと約三百億円ほどかかるのではないか、こういう試算もなされております。
#142
○穐山篤君 この間のソビエトの原子力発電所の事故で、新聞で仄聞するところによりますと、あの爆発事故によって数十種類の、例えばストロンチウムほかたくさんの何と言うのですか、核分裂物質と言うのでしょうか、が報道されていたわけですが、すぐ私どもその場合に一つ一つの物質の半減期がどのくらいだろうということを想定したわけですが、そういうことが専門的に新聞には書かれていないわけですね。今説明のありました廃炉にした場合、解体をした場合、放射性物質としては約一万トンというから、鉄道の貨車一車が十トン車として、大変な物が発生をするな、こういう感じがするわけです。
 そこで、一般論で結構でありますが、日本で今実用化されて稼働中のものが廃炉にした場合にどういう種類の核分裂物質ですか、どのくらいの数の物が発生をするのか。それから一番長い半減期のものはどういう物質であるのか、その点ちょっと説明をしてください。
#143
○政府委員(中村守孝君) 先生の大分難しい御質問で、今の御質問のすべてにちょっと今にわかにお答えできない点もございますが、原子力発電所を解体撤去した場合の放射性物質の問題でございますが、先生お挙げになったセシウム、ストロンチウムというようなものは半減期三十年程度でございますが、この種のものはいわゆる燃料体の中に入っておるものでございまして、今回のソ連の原子力発電所の事故の場合は、燃料が破損したために恐らく燃料の中に入っていたものがすべて飛び出してしまったというような、すべてといいますか、燃料体の中にあったものが飛び出してしまったというようなことから、セシウムだとかストロンチウムだとかいうものが検出されたんだろうと思います。そういうことでございますと、燃料の中にはプルトニウムだとか、いろいろ、それこそ一万年以上の半減期のあるようなものもあるわけでございます。
 しかし、我々が平和利用の原子力発電所を解体する場合におきましては、燃料体というのはそもそも別に処理をするわけでございまして、したがいまして基本的には原子炉の中でどういうものかというと、例えば圧力容器なんかが高い放射線にさらされているために放射化されているというようなことでございまして、そういうことになりますと例えばコバルト60というようなものが中心になるわけでございまして、こういうものでございますと半減期は五年程度というものでございます。燃料体につきましては、先生御心配の半減期の長いものにつきましては、燃料を再処理工場に運び込みまして、そこで分離をして、そういうものはいわゆるガラスの固化体という形に処理します。そして、これは数百メーターの地層の中に埋設して再び人間の生活圏に戻ってこないような処置をしよう、こういうことを考えておるわけでございます。
#144
○穐山篤君 いずれその問題についてはまだ別の機会に伺います。
 次に、きょうのテレビ放送でもあったんですけれども、原子力発電にかかわる重大な緊急事態という問題について伺います。
 先日、私は内閣委員会で、安全保障会議設置法に絡んで、通常の緊急事態、それから重大な緊急事態というものを原子力にかかわって整理整とんをしてみると、どういう状況が通常の緊急事態であってどういうものが重大な緊急事態であるかということをお伺いしたわけですが、余り胸に落ちるような説明がなかったんですが、この原子力の分野ではその点どういうふうに整理をされておりましょうか。
#145
○政府委員(辻栄一君) この前、内閣委員会では私が御答弁したわけでございますけれども、私ども、通常の緊急事態として考えておりますのは、やはり何といいましても原子力発電所の事故であろうかと思っております。この場合において、原子力発電所から大量の放射性物質が外部に放出されるというような事態が起こります場合は、これは基本的には災害対策基本法が適用されるという事態に相なろうかと思います。こういう事態につきましては七年ほど前のスリーマイルアイランドの事故の教訓がございまして、放射能による災害対策につきましての当面の対策ということを中央防災会議におきまして決定いたしたわけでございまして、それによりまして関係行政機関なり何なりの協力体制等が決められておりまして、またその線に沿いましてその後相当の予算対策もいたしまして、緊急時の連絡通報体制その他の整備、あるいは緊急医療用の資材の整備等を図ってまいっておるところでございまして、基本的にはこれで対応できるものというふうに考えておるわけでございます。
 その安全保障会議における重大な緊急事態ということが具体的にどういうふうになるかということにつきましては、これはやはりケース・バイ・ケースの問題でございますけれども、こういった災対法による事故対策本部等によって対応できないような社会的な大混乱がこれに伴って発生したというような場合があったとすれば、その部分が重大な緊急事態として安全保障会議の方の担当になるというふうに考えておる次第でございます。また、政治的意図を持ちましたいわゆる核ジャックが発生した場合につきましてもこの安全保障会議で検討されることがあり得る事態も出てくるかもしれないということを御答弁したわけでございますが、概略そのように考えておるわけでございます。
#146
○穐山篤君 私は、先日述べましたのは、科学技術庁設置法に基づく科学技術庁長官が処理できる範囲内は通常の緊急事態であろう、それを総合しますと災害対策基本法に述べられている範囲で処理できるものであろう、そういうふうに一般論としては理解をします。ところが、先日も指摘をしましたように、原子力発電所でトラブルが発生をした、いろいろなケースがあるだろうと思いますが、例えば住民を避難させるような場合もケースとしては考えられる、あるいは水であるとか、あるいは魚であるとか野菜であるとか、そういうものについての政府の統制といいますか、指揮命令の管理に入る分野も出てくるだろう、それを一つ想定をしました。それからもう一つは、核ジャックというそういうものが理屈上あり得る。こうなった場合は単純に通常の緊急事態というものではないような感じがする。それから第三番目には、日本の周辺、日本海であるとか太平洋側で、日本の責任ではないけれども、原子力潜水艦と何とかの船が衝突をした、そういうふうなケースも当然考えられる。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
それからこの間のソビエトのような事故で放射能が降ってくる、いろいろなケースが考えられていたわけです。
 たまたまきょうテレビを見ておりましたところ、再処理されたプルトニウムを積載した船がグリーンピースに乗っ取られた。もちろんそれは略奪をしたわけではなくて、そこがちょっと憎いんですけれども、管理が悪いからこういうことが起きるぞ、いつでも、核兵器をつくる材料というものの管理について国際的に警鐘乱打をしたと。なかなか憎いやり方なんですけれども、これも私が指摘をした部分の一つであったわけです。
 そこで、重大な緊急事態、私が申し上げたようなものも原子力発電を考えたときあるいは開発をしたときに当然ケースとして想定をされたと思うんですが、通産省なり科学技術庁としては、私が申し上げたようなケースについてその対応を今まで研究をされてきたかどうか、あるいはそういう場合の対応のために必要な機具の整備、そういうものも十分に準備をされてきたかどうか、その点いかがですか。
#147
○政府委員(辻栄一君) 防災対策関係、つまり原子力発電所の事故の問題に関しましては、先ほど御説明を申し上げましたように、防災対策に必要な諸般の資機材なりあるいは体制なりについての検討が一応整っておる状況にあるということが申し上げられると思います。
 核ジャックの問題につきましては、これは国際的にもかねてから問題となっているところでございまして、核物質防護措置ということで呼ばれておるわけでございますが、これにつきましては国際原子力機関、IAEAにおいて検討が行われまして、既に各原子力施設に対します核物質防護の基準が定められておるわけでございます。これは核物質が容易に盗取等によってジャックされないように施設面あるいは施設の管理面において防護措置を講じておくという基準を定めているわけでございまして、我が国におきましてもこのIAEAの基準を踏まえまして原子力委員会において検討が行われて報告が出され、その報告を踏まえて関係行政機関において所要の防護対策が講じられているところでございます。
 これは、その施設に内蔵するところの核物質の種類においてレベルが幾つかの段階に分けられておるわけでございますけれども、各発電所、あるいは特にプルトニウム等を扱います東海村の動燃事業団のプルトニウム関連施設においては最も厳しい基準が適用されておりまして、すべての核物質の収納場所は堅固なる倉庫に入れてきちっと施錠する。出入りにつきましてはきちっとした管理をやり、かつ中央監視所におきまして人々の出入りについてはすべて監視をする。周囲には高い塀をめぐらして、さらに監視カメラを設けてこれを集中監視するといったような基準が定められておりまして、日本の原子力施設はこういったIAEAの基準のレベルに沿った対応をしているわけでございます。その中には、やはり治安当局との連絡問題についても基準があるわけでございまして、もしそういうような事態が発生した場合には直ちに治安当局に連絡をとる、かような体制になっているわけでございまして、それから先の話はこれはとても私どもの手に負えるところではございませんので、治安当局の方にその対応を任せるということにいたしておるわけでございます。
#148
○穐山篤君 今も指摘をしたところですけれども、日本はプルトニウムを海外、フランスなり何なりに再処理を依頼して、船なりあるいは航空機による輸送ということになるわけですね。昭和五十九年度でしたか、そういう問題が発生をしたことも記憶に新しいわけですが、きょうの報道を見ますと、イタリアからイギリスに回航します船がジブラルタル海峡で一時的にグリーンピースに乗っ取られたわけです。プルトニウムそのもの、あるいは鉛そのものを爆破するという計画ではなかったからまあまあ話で終わったようなものですが、そういうことも今後考えられる要素ではないかなというふうに思うんです。
 そこで、IAEAの申し合わせ、規則、協定というものは最大限尊重しなければなりませんけれども、核ジャックだとか、あるいは今言いました核兵器に活用のできますプルトニウムを奪取するとか、あるいは不測の事態や事故が発生しないとも限らないわけであります。そういう点についてまだ大きな現実問題に直面をしませんから、なかなか対応としては卓上のプラン以上のものは出ないと思いますけれども、これだけの原子力発電所を持っている以上は、一つ一つについて十分な安全確保という問題を考えなければならぬし、またその周辺地域の方々にもこういう事態が想定をされる、された場合にはこういうことをしなきゃならぬという意味で、心構えなり訓練というものが当然必要だと思うんですね。
 ところが、原子力発電所をつくるときには随分資金は周りにまきますけれども、そういう問題についての啓発、PRというものは非常に少ない。これは安全ということが絶対一〇〇%担保されているから心配ないんだということであるかどうかはわかりませんけれども、しかし世界各国の事故、トラブルを見てみますと、予想されない事態が発生をしているわけです。そういう意味で十分な対応を、もっともっと現実的な対応というものを考えてほしい。またそれも発表すると、何といいますか周辺住民に不安を与えるというふうな気持ちからかどうかわかりませんけれども、そういうものについて公表した例というのは余り見ていないわけですね。そういう点について十分配慮してやってもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#149
○政府委員(辻栄一君) 原子力施設の安全確保を第一とすることは言うまでもありませんが、万が一の保険としてこういった防災対策についても十分な配慮を払っていくことは重要であるということは当然でございますし、これがまたスリーマイルアイランドのアメリカの原発事故の教訓でもあったわけでございます。先ほど申し上げましたような当面の対策におきまして、先ほど私申し上げました資材面の整備についてと同時に、原子力安全委員会の専門部会におきまして、そういった防災における避難計画の策定であるとか、あるいは教育訓練の問題等についても一応の基準は設定してありまして、既に原発所在地の周辺各市町村を含めまして防災対策計画というものはまとめられております。
 そしてこれの訓練につきましても、毎年九月一日の防災の日に相前後いたしまして、各こういったものの行政担当官レベルの訓練は行われておるわけでございます。先生御指摘の地方住民に対する参加の訓練の問題もあるわけでございますが、この点につきましては実際に対応する県あるいは市町村における考え方でいろいろ違うところもございます。非常によくやっているところもあれば、まだ不十分なところもございますので、今後こういった点についてのPRその他につきましても意を用いてまいりたいと思っておるところでございます。
#150
○穐山篤君 安全性の確保という面でもう一つ伺いますが、低レベルの放射性廃棄物を今回の法律では業者に任せる、そういう法律になっているわけですが、そこで勉強のためにしっかり聞いておきたいのは、今まで低レベルの廃棄物につきましては海中投下をした例があるわけですね。たしか記録によりますと千六百六十一本のドラム缶が二千五百メートル下の海底に投下された、こういうふうになっているわけですが、もう既に十年以上経過しているわけです。この間、科技庁にしろあるいはエネルギー庁にしろ、さらには海上保安庁にしろ、これは結局は重いから沈んでいるようなものなんですけれども、浮遊の状況であるとか、あるいはドラム缶の破損の状況であるとか、その後お調べになっていると思うんですけれども、その点いかがですか。
#151
○政府委員(辻栄一君) 御指摘の海洋投棄につきましては、当時の日本放射性同位元素協会というのがございまして、昭和三十年から四十四年にかけまして相模湾、駿河湾及び房総沖におきまして計十五回にわたりまして放射性同位元素協会による放射性廃棄物の海洋投棄を行ったわけでございます。投棄された廃棄物は、この協会が放射性同位元素を取り扱いました際に生じました放射性廃棄物を主としてドラム缶の中にコンクリートで固め込んだものでございまして、固化体は全体で千六百六十一本、含まれていました放射能は当時の値で約四百七キュリーという報告になっております。
 これらの投棄につきましては、投棄物が放射性物質の漏れ出しにくいコンクリート固化体でありますことと、それから投棄物中に含まれまするところの放射性物質がほとんど海中に溶け出しにくいコバルトによって占められている。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
それから放射能量は、コバルトは半減期が約五年ですか、でございますので、現時点におきましては約四十キュリー程度に減衰しているわけであります。また水深が二千メートル以上である。それから投棄海域周辺につきまして、これまで太平洋沿岸の放射能バックグラウンドの把握という点から、水産庁がプランクトン等の生物と海底土の放射能水準の調査を行っているわけでございます。これは毎年、専用の調査船に行っていただいて調査をしていただいているわけでございますが、その結果から特に異常は認められていないということ等から、現状において特に安全性上の問題はないのではないかというふうに考えています。
#152
○穐山篤君 二千五百メートル下まで入ってお調べになったわけじゃないですよね。それは海上保安庁も途中のプランクトンを調べて、どの程度であろう、コバルトの半減期が短いから、今日では四百七キュリーがせいぜい一割ぐらいに落ちているであろう、こういう推定ですよね。その意味では、私ども目でしっかり確認をしたわけではありませんから、この問題についての不安は依然として消えない、こういう気持ちを持っているわけであります。しかし、ただ疑うだけでは能のない話でありますので、十分に海中、海底調査をしてほしい、こういうことをこの際申し上げておきたいと思います。
 なお、質問の通告にはなかった話ですけれども、今科技庁なり海上保安庁その他が持っております、海中にどの程度まで潜れるか、潜水ができるかという意味では、六百ないし七百メートルというふうな説明が予算委員会で河野長官からあったわけですけれども、世界の深海艇では何メートルぐらい下がれるんでしょうか。質問の通告がなくて恐縮ですけれども、参考までにお伺いしておきます。
#153
○政府委員(矢橋有彦君) 私の承知しております範囲では、フランス及びアメリカが持っております六千メートルであると考えます。
#154
○穐山篤君 喜屋武先生が例の終戦前後の船舶の沈没の問題について長官に質問されておったわけですが、あの当時、日本の設備、技術では無理だ、こういうお話がありましたが、今のお話でアメリカ、フランスが六千メートル、私が知っております深海艇は四千メートルという記録があったわけですけれども、長官、そういう意味で喜屋武先生の質問に十分答えられるように、これは番外の話ですけれども、研究をひとつ、取り組みをお願いしておきたいと思っています。
 さてそれから、もう時間がありませんが、同僚委員が最初第一回目に質問をしました廃棄物についての、政令でそれぞれお示しをします、こういう答弁になっているわけですが、その政令を決めるのは、ことしの八月、原子力安全委員会ですか、ここで十分検討してからでなければ出てこないという話があるわけですが、そうなりますと、改正後の第五十一条の二第一項第一号という問題については、この法律が成立する瞬間でもわからないということになるわけですね。この法律が最終的にどういう処理をいつ、されるかは別にして、成立をした暁にはこの法律は官報に公示がされるわけです。ところが廃棄物の問題について、国民は抽象的な高レベルとか低レベルの廃棄物ということは目にいたしますけれども、どういうものが、どのくらいのものが低レベルであって、それは第何項に該当するのかということが全くわからないままにさらされるという事態になるわけです。
 本来は、この政令も十分準備をして、法律と一緒に国会に提出をして、それで賛否を問う。どちらの道を選択するかを議論するのがオーソドックスな道だと思うんですね。私どもも、どう読んでみても拘束値の問題につきましても明確にならないままに法案の審査が終わってしまう、そのことを非常に心配をしますし、この種の法律の審議に当たっては適当なやり方ではない、適切なやり方ではないというふうにいまだに考えているわけですが、この点、長官いかがでしょうか。
#155
○国務大臣(河野洋平君) 政令にゆだねる部分が極めて重要な部分ではないかという先生の御指摘でございますが、この政令にゆだねる部分につきましても、法律によってその粗筋、骨格を指定いたしまして、この骨格の中で政令によってきちっと書くというつくり方になっております。先生ただいまおっしゃいましたように、政令の部分もすべて細かい数字も入って審議をする方がいいではないかという御意見は、それも大変オーソドックスな一つの考え方であろうかと思いますが、今回のこの法律案を御審議いただきますにつきましては、御審議いただきます間に再三御説明を申し上げましたように、国際的な考え方を日本的に読んで数値を決めるという作業等が現在原子力安全委員会等で進んでおるという事情もございまして、今回は政令の部分について完全な形でお示しをすることができなかったわけでございます。しかしながら、委員会でのさまざまな御指摘等につきましては、でき得る限りメモ等で御提示をいたしまして御審議いただけるような形を整えてきたつもりでございまして、どうかひとつその点は御理解をいただいてぜひ御審査をいただきたい、こう考えておる次第でございます。
#156
○穐山篤君 きょう午前中から参考人が賛成の立場、反対の立場で意見が開陳をされたわけです。その際、もちろん反対論は三点セットが青森県に持ってこられること自体に反対なんですけれども、反対理由の一つの中に、果たして安全性が十分確保されるものであるかどうかという内容が鮮明にされていないために、疑心暗鬼の人はどちらを選択するかといえば反対ということになるのは当然であります。また、我々もこの廃棄物の処理それから検査の代行の問題について皆さん方とはは違った考え方を持っていることは間違いありませんけれども、それでも中身がわからないままにこれの処理をしてくれというのは少しむちゃがあるんじゃないかなというふうに思うわけです。
 一般論としてはガラスで固めますとかいろんなことが言われておりますけれども、最終的には政令と総理府令ということにならざるを得ないわけですね。その手のうちを全部見なければ、我々もあるいは地域住民も、これが本当に外部の下請業者に任せていいかどうか、あるいは検査の代行を下請業者にやらしていいかどうかというその判断は非常に難しいと思う。専門的なだけにその点非常に難しいと思うんです。そういう意味で、政令案が準備された後に一緒に提案をしても遅くはなかったじゃないかというふうに考えるわけです。当然のことでありますけれども、三点セットというのは法律が決まったからあしたから青森にできるわけじゃないですよね。十分な準備というものが必要になるわけです。その意味では今度の法案の提出というのは若干時期的に選択を誤った、こういうふうに言わざるを得ないと思うんですが、その点長官もう一度ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#157
○政府委員(辻栄一君) 先ほど御説明いたしましたように、残念ながら今の段階で埋設の対象となる廃棄物の濃度上限値あるいは無拘束限界値の数字を具体的にこれだと示すことができないのは、今原子力安全委員会で検討中の状況であるからでございまして、ただ、その点について全くわからないというわけではございませんで、この安全委員会で検討している物の考え方が、国際的なIAEAという国際原子力機関の検討の結果をベースとして物を考える、しかも対象となるものは当面コンクリート、アスファルト等によって固形化された廃棄物でありまして、その放射能濃度がただいま申し上げました濃度の範囲内にあるということを申し上げているわけでございます。
 同時に、その範囲内につきましても日本ではまだ具体的に決めておりませんので、幾ら幾らという数字は御指摘のように八月ごろまでお待ちいただきたいわけでございますけれども、もう既にIAEAで決まっております放射能濃度というものをお示しいたしまして、まあこれよりか日本的な検討で厳しいものになるということで御説明を申し上げているわけでございます。私どももできれば法案と同時にこの数値を御提示いたしたかったわけでございますけれども、そういう事情でまだ原子力安全委員会の報告が最終的に固まっていないという状況でございますので、ひとつその点は御了解をお願いいたしたいと思うのでございます。
#158
○穐山篤君 そう簡単に賛成というようなことにはならないんですよ。これはまじめな意味でそう私どもは考えるわけです。もう時間がないので一々申し上げることができないんですけれども、責任のとり方の問題についてもまだ鮮明ではないという感じがします。
 そこで、私ども日本社会党は、議員立法で発生者責任というものに基準を置いた代案を提案してあるわけでありまして、そのことによって日本の原子力安全の問題について最後まで国が責任を負う、あるいは発生者が責任を負う、その体制をまだまだ当分の間は続けていく必要がある、これで安全だというのにはまだまだ時間が足りないような感じがするわけです。私ども社会党の分析から言うならば、三十二基が稼働はしておるものの、まだまだ試しの時間帯である、開発途上の時間帯であるという分析であります。完成されたものであるという理解には立っていないわけです。したがって、安全性の問題については二重、三重の縛りをかける、その意味を込めて私どもの議員立法が提案をされているという真意は十分にひとつ理解をしていただきたい、このことを強く要請をしてきょうの質問は終わりたいと思います。
#159
○伏見康治君 これは通告してないことなんですけれども、今の同僚議員の質問に関連してちょっと伺ってみたいんですが、放射性同位元素協会が海の底にほうり出した物の行方がどうなっているかというお尋ねがございました。そのときに、世界で一番深いところに行っているのはフランスとアメリカで六千メートルまでというお話がありましたが、日本にも「しんかい二〇〇〇」というのがあるはずでございまして、ちょうどその辺のところに実は放射性同位元素のほうり出したものがあるんじゃないかと思うんですが、どうして「しんかい二〇〇〇」をお使いになってそれを調べようとなさらないのか。特に、この海洋科学技術センターというのは科技庁が面倒を見ておられるところだと思うんですが、その点はどうなんでしょう。
#160
○政府委員(辻栄一君) この海洋投棄問題につきましては、実はこの前に規制法を改正いたしまして海洋投棄に関する手続規定を入れたころ非常に問題となったポイントの一つでございます。その当時、新聞にもいろいろ多く出ましたし、私どももこのために特別の調査をいたしたわけでございます、当時はまだ「しんかい二〇〇〇」はできておりませんでしたけれども、昭和五十五年――ちょっと年次は相前後するかもしれません、多分五十五年ごろだったと思いますが、水産庁及び海上保安庁の船舶にお願いいたしまして、投棄地点周辺の海底土につきましても、簡単に言えば上からやりを突き刺しまして海底土を採取して、それの放射能分析をやるというような調査をかなり入念に行いまして、東海海域周辺についての放射能の漏えいというようなことについてはまず問題なかろうという結論を出しておりますし、また周辺の海底のプランクトン等につきましても、海底周辺のものにつきまして特に水産庁にお願いして採取をしていただいております。固化体そのものにつきましては先ほど御説明いたしましたとおりで、コンクリート固化されたものでございますので、まずそれが露出するという危険は多分ないと思いますけれども、念のためということでかなりいろいろな調査をやって、その結果、まあ大丈夫であるという判断をいたしておるわけでございます。
#161
○伏見康治君 それで「しんかい二〇〇〇」を使うという話はどうなったんですか。
#162
○政府委員(辻栄一君) そういうことでございますので、今のところ私どもとしては「しんかい二〇〇〇」を使ってまで調べねばならぬほどの問題ではないというふうに理解しておるわけでございます。
#163
○政府委員(矢橋有彦君) 「しんかい二〇〇〇」が使えないかという御質問につきましては、ちょっと時間の余裕をちょうだいいたしまして、先生の御質問の時間の中で後からかいつまんで申し上げたいと思います。
#164
○伏見康治君 それでは通告をいたしました質問でやっていきたいと思いますが、今回の法律改正で原子力施設の検査体制に変化が起こるんだそうでございますが、今まではどういうやり方でやってきたのか、そして今度それがどういうふうに変わるのかということをちょっと説明していただきたい。
#165
○政府委員(辻栄一君) 今までは、先ほど松前先生の御質問にありましたような検査を、使用前検査の中の構造検査の一環として国の検査官が行っていたわけでございます。今回、この部分を、溶接検査の部分だけを特掲いたしまして、その部分を指定検査機関に実施させるということにいたしますわけでございますが、検査を実施する事項、検査のやり方、方法等につきましては従来と変わるところはないというふうに考えております。
#166
○伏見康治君 なぜ溶接部分だけをいわばそういうふうに新しい仕組みに変えたのであるかというその理由を述べてください。
#167
○政府委員(辻栄一君) これは検査全体を指定機関にやらせるという方法も一案ないわけではございません。こういうふうに検査全体を民間の公益法人にやらせているという例の典型といたしましては、例えば船舶検査とか、そういったようなものがあるわけでございまして、これらは立派な検査機関がございましてやっておるということは先生よく御存じのとおりであろうかと思います。しかし、原子力分野の部分につきまして一挙にそこまで持っていくということはいかがなものであろうかという点が第一でございますし、特に原子力施設の検査につきましてはいろいろな複雑な問題もございますので、むしろこの検査の中から、比較的検査の手法が確立している、判定方法についても確立していると目されます溶接検査に限ってこれを指定代行させるということを考えているわけでございまして、これは先般の臨時行政調査会の報告におきましても、定型的に実施できる部分については民間移行を積極的に考えるという趣旨に沿ったものであろうかと考えておるところでございます。
#168
○伏見康治君 今、溶接の検査をする、民間ですか、指定する機関というものは具体的には何が想定されているんですか。全く新しくつくるんでしょうか。
#169
○政府委員(辻栄一君) これは法律ができました後、申請によって指定を行うという制度でございますので、今私どもの方からこれこれと決めつけるわけにはいかないわけでございますが、基本的にはまず公益法人であることということが前提でございますし、それからそこに必要な知識経験を有する検査員または確認員が一定数以上いると。それから業務を適確に遂行するに足る技術的な、経理的な基礎があるといったような問題をチェックいたしまして、その団体に指定をするというやり方をとっていくわけでございます。
 具体的には私ども、今は放射線障害防止法に基づく指定検査機関あるいは指定確認機関等になっております財団法人放射線安全技術センターというのがございますが、ここがこの指定機関となるべく準備を進めているわけでございまして、多分申請がそこから出てまいるというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、厳正な審査を行った上でこれを施行するというやり方をとってまいりたいと思うわけでございます。
#170
○伏見康治君 先ほども、そういう指定機関に任せるというのは臨調の答申の精神に基づくものであるという御説明があったと思うんですが、臨調答申は私は非常に尊敬して、その方向にいろんなものを、今国が直接やっております検査機構というものをそういう方向へ任せるという基本方針には私自身は大賛成なんですが、しかし日本国民の従来の感じからいいますというと、お上にやってもらわないと信用できないというそういう不思議な感情が、余り民主的でないと思うんですが、そういう感情がいまだに残っていて、実際民間に任せるとときどきエラーを犯す点がなきにしもあらずという場合がある。したがって、今度の指定機関というものはお上以上に立派なことをするんだという条件を整えないといけないと思うんですが、それはどういうふうにしておられるんでしょうか。
#171
○政府委員(辻栄一君) おっしゃるような気風があることは私どもも十分認識しているところでございまして、この法律ができた場合のその運用については、慎重の上にも慎重を期してやっていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、今回の法案におきましても、今度の代行機関、指定検査機関にいたします場合には、審査の基準といたしまして、そういった技術能力、経理能力、信頼できる中立的な機関であるかどうかということはもちろん審査の基準としておるわけでございますが、実際にその検査を行う検査員の資質につきましても今度の法律では認可事項ということにいたしておりまして、この団体の監督につきましては、こういった指定機関につきましての監督規定、法律によっていろいろまちまちでございますが、私ども恐らくいろんな法律の監督規定の中で一番きついところを全部拾い上げたというふうに考えておりまして、この代行機関の技術的水準とその中立性については特に意を用いてまいりたい、かように思っているわけでございます。
#172
○伏見康治君 特に中立的であり公正であるという条件は非常に大事だと思うのでございますが、科学技術庁というか原子力局というか、昔まずいことがありまして、分析化研事件というのが起こりまして大変世の中を騒がせたと思うんですが、ああいうことにならないためのいろいろな条件づくりを万全にやっていただきたいと思うわけでございます。
 その一つの条件というのは、やはりこういうお役所が面倒を見てつくる団体というものは結局お役所に頼りたいところがあるものでしょうから、いわゆるお役人の天下りということの人事が非常にしばしば行われる。そのために、結局お役所と一体化してしまって第三者検査機関としての性格が失われるということがしばしばあるんですが、そういう点についてももちろん御用心をなさるということだと了解してよろしいですか。
#173
○政府委員(辻栄一君) 先ほど申し上げましたように、一番重要なことは検査員の充実、技術水準の向上ということであろうかと思います。この指定検査機関の検査員に必要な知識経験を有する者を充てる、これらの者につきましては、広く各界からしかるべき能力のある人を集めてきてやらせるということになると考えておるわけでございます。そういったようなことによりまして、やはり技術、能力優先ということでこの大事についても考えてまいりたい、かように思っているところでございます。
#174
○伏見康治君 私は、私の友人たちがつくっている第三者検査機構研究会というふうなものに参加して勉強しているわけなんですが、そこで幾つかの第三者検査機構が持つべき条件というものを考えているわけです。その実際の検査に当たる方の判断ですが、これは合格である、これは不合格であるという判断はその検査機構に完全に任せないといけないわけでして、つまりこういう検査をしてくれという、発注者の方がこういう答えを期待しているというそういう暗示を与えてしまいますというと、その暗示に従った答えが出てくるおそれがある。第三者検査機構と言う以上は、本当に第三者として判定の結果というものを完全にゆだねるという姿勢が問題を出す方、つまりお役所側の方に完全にないといけないと思うんですが、それはそういうことでしょうか。
#175
○政府委員(辻栄一君) おっしゃるとおりで、判断についてはその検査員にきちっと任せるということが必要でありまして、それにいささかも何らかの圧力を加えるということは最もいけないことであろうかと思います。したがいまして、その一つの方法といたしまして、私どもは判断は機関に任せるわけでございますが、検査の方法並びに判定基準につきましては総理府令によりましてきちっとしたものをつくってこれを渡す。そこの機関の検査基準が国のそういった定めた検査基準を少なくとも下回るものではない、それより上回ればいいんですが、そういうことを一つのベースといたしておるわけでございます。
 あわせてもう一つ、国じゃないから、例えば民間であると業界からの圧力がかかってきてともすれば検査が安易に流れるかもしらぬというようなことをあるいは御心配になる面があるかもしれませんが、この点につきましてはまず基本的に手数料制度にしているということでございまして、手数料はこの法律によって定める、かつ手数料の額もこの法律による政令によって定めるということによりまして、要するにこのサービスを相手の会社に売るという性質のものではない、したがいましてそういう面からの圧力につきましては極力これを排除して中立的な立場を保たせる、そういう環境をつくってやりたいということで、そういう方向で法案を用意しておるわけでございます。
#176
○伏見康治君 第三者検査機構というものは、専門技術に関しては非常に水準の高い人たちの集まりであるべきだ、こう思うわけですが、そういう意味合いから申しますと、溶接なら溶接一般を取り扱う方がいいのではないかという感じがするわけです。原子力関係の機器の中の溶接を検査するんじゃなくて、原子力関係以外のもっと広い範囲の溶接作業全部に通じている方の方が専門家としていいのではないかと思うんですが、それについてはどういうお考えでしょうか。
#177
○政府委員(辻栄一君) いろいろな団体があろうかと思いますし、それは業務量との関係でいろいろまたバリエーションがあると思います。ただ、私どもこの面につきましては、こういったことで使われる材料といいますか、そういったようなものも原子力施設ということである特徴がございますし、そういう面について専門的にエキスパタイズされることがより望ましいんではないかなというような気もしているわけでございまして、その辺については具体的にまた申請が出てくる段階で検査員の資質などの面についても配慮してまいりたいと思っております。
#178
○伏見康治君 官房長、何か答案を持ってこられたのですか。
#179
○政府委員(矢橋有彦君) 先ほどのことについて調査をいたしました結果を申し上げます。
 まず、「しんかい二〇〇〇」で可能な調査は何かということでございますが、一般的に申しまして水深が二千メートル以浅の海底における写真撮影、泥ないしは海水の採取でございます。他方、先ほど来御審議の対象となっております投棄物はほとんどが水深二千メートルより深いところにございます。したがいまして、技術的限界を超えているということでございます。なお、仮に浅いところのものがありましても、他方で「しんかい二〇〇〇」の作業計画がぎっしり詰まっておりますし、一方調査には相当長期の事前準備期間が必要でございます。そういったことを考慮いたしますれば、先ほど安全局長から申し上げましたように、本件投棄物に関して現時点で安全上問題なしと判断される現状では、この問題については慎重に考えたい、かように考えるわけでございます。
#180
○伏見康治君 多くのものが二千メートルよりも深いところにあって「しんかい二〇〇〇」では届かないというお話はいささか残念ですが、そうでない二千メートル近所にあった場合には、写真に撮ると言われた、目で見るということが私は極めて大事な要素だと思うんです。
 この間の日航機の災害というのを回顧してみますというと、あの三十分の間、パイロットは自分のしっぽがないということに気がつかずに、要するに操縦盤の上に並んでいるメーターだけをにらんで操縦を続けた、非常にお気の毒な状態に置かれたわけですが、もし自分のしっぽを眺めることができて、しっぽがないという条件を早くつかんでいたら、恐らく操縦士の操縦の仕方というものは変わっていて助かったかもしれないとさえ私は思います。
 一般的に申しまして、近ごろの操縦装置というものはメーターばかりたくさん並べるというくせがついてしまって、マン・アンド・マシーンの関係というものを無視しているものが非常に多い。TMIの事故の場合にも何十というアラームが一どきに鳴り出して全く茫然としてしまったというお話がございますけれども、そういうつまり計器に頼るようなシステムだけでは物事はつかめないのでして、やはり全体像を描いてみるという、そういう人間のもう一つの知恵ですね、それの方をもっと働かせるようなことを考えないといけないと思うんです。海中に投棄したものなんというのはどういうふうになるかわからないというような場合には、まず目で見るということが私は一番大事だと思うので、「しんかい二〇〇〇」の方のスケジュールは非常に込んでいるだろうと私も想像いたしますが、しかし原子力にとってこの問題は極めて重大な問題なのですから、ほかのスケジュールとの軽重の度合いをお考えくださって、割り込まさせたっていいはずだと私は思うので、お考えおき願いたいと思います。
 それではその次の問題に移りたいと思いますが、この前も申し上げたことでございますけれども、TMIの事故、今度のソビエトの事故ももちろんですが、その方はまだよくわかっていないと思うので、TMIの事故のことについていろいろ伺ってみたいと思うんですが、このTMIの事故が日本の原子力安全の体制といったようなものにどういう影響を結局与えたのかという点をまず教えていただきたいと思います。
#181
○政府委員(辻栄一君) 第一番目は、これについては相当アメリカから情報の提供がございました。引き続きまた、先般御説明しましたように解体作業も進んでおりますので、さらにいろいろな情報が入ってこようかと思いますが、当面、事故直後から約一年をかけまして原子力安全委員会におきまして米国原子力発電所事故調査特別委員会というのをつくりました。ここでこの事故を反映すべき事項といたしまして、五十二項目という事項を摘出いたしまして、検討する検討テーマにまずいたしました。
 検討テーマにつきましては、安全審査指針に反映すべきもの、あるいはその下位の幾つかの基準に反映すべきもの、あるいは運転員の資質の向上のために配意すべきもの等々幾つかに分類をいたしまして、それぞれの専門の部会におきましてさらに検討いたしました。その結果が昭和五十五年と五十六年の委員会決定となって幾つかの改善が行われているわけでございまして、基本的にあの段階におけるスリーマイルアイランドの事故で学ぶべき事項というのが現在の原子力発電所の安全設計の審査指針やら、あるいは検査あるいは運転員の訓練に反映されておるわけでございます。
 そのほかに、もう一つ防災の問題についても新しい問題を提起いたしまして、その件につきましては、先ほど穐山先生の御質問の中にもございましたので重複しては申し上げませんけれども、あの分野におきまして日本の原子力防災対策というものが一段と進んだということは言って差し支えないのではないかというふうに考えております。
#182
○伏見康治君 もう同僚委員がいろいろ伺っておられて、むだな重複になるおそれもありますが、私自身の責任がややある問題が一つあるんですね。
 それは原子力の初めのころ、原子力の安全性を考える最初のころに、原子炉立地条件というものを考えさせられたことがあります。つまり原子炉をどこかに置いたときにそれが何か事故を起こした、放射能をまき散らされた、原子炉の周囲にそのおそれのある場所をいわば人の入らないところにしておこう、一般人の自由に入れる場所から要するに原子炉を遠ざけておこうということで立地指針というものをつくっていただいたわけでありますが、放射能をばらまくといっても、どういう事故を想定するかによっていろいろ変わってくるわけでございます。
 そのいろいろな段階のものを考えたわけですが、言葉で申しますというと、技術的に見て可能な最大事故でしたかな、何かそういうようなこと。さらに、その上のものを考えたわけでして、技術的にはあるとは考えられないけれども、仮想した重大事故を考えようというようなことで、用心には用心を重ねたつもりなんですけれども、ですから今その線に沿って、原子炉をおつくりになる方はそういう重大事故、仮想事故による放射能の分布がどうなるかという計算をなさって安全委員会に提出なさるわけですね。それは今でも続いているんでしょうな。その数字がTMIの事故のようなものを土台にしてどういうふうに変更されているか、これは私自身の昔の携わったことのある問題なものですから、それがどうなっているかは非常に責任を感じますので、お伺いしたい。
#183
○政府委員(辻栄一君) 先生のおつくりいただいた基準は、ストリクトリーにいまだに守られて作業が進められておるところでございます。しかし、スリーマイルのときに結果として格納容器の外に放出された放射能、これは希ガスと沃素について申し上げますと、希ガスは二百五十万キュリーという数字でございまして、沃素は約十五キュリーということになっておりまして、これはもうアメリカのNRCが最終的に決めた数字でございます。先般の参考人の数字はちょっとうろ覚えだったので違っております。一方私どもの方で、先生のおつくりになったいわゆる仮想事故において想定しておりますものを申し上げますと、TMIとほぼ同じ大きさの八十九万キロワットの炉について申し上げます。これは例えば伊方の三号炉の場合でございますが、このときの仮定の事故というのは、希ガスで二十万キュリー、沃素で二千三百キュリー、こういう数字を想定して計算をやり、それで立地の基準をやっているわけでございまして、この数字を見ますと、放射性希ガスはTMIの場合にはこの基準を上回っておったということでございます。
 その件について、先ほどの事故調査委員会におきましてもいろいろ検討が行われましたが、結論といたしましては、この数字、現在の仮想事故の数字を変更する必要はないという結論になっております。その理由は、スリーマイルのときの事故がどうしてそんなに出たかということに起因するわけでございます。これは事故のときに原子炉圧力容器から放射性の希ガスあるいは沃素を含みました廃液が炉内にたくさん出たわけでございますが、これが格納容器の底にたまりまして、自動的に排水ポンプでこれが外へ出たというわけでございます。
 それで問題は、その格納容器はきちっとしておりますが、幾つかの貫通部分があるわけでございまして、その両側に隔離弁という弁がついてございます。これは自動操作になっておりまして、事故があるとパルプが閉まる、こういうことになっておるわけでございます。スリーマイルのときにはバブコック・アンド・ウィルコックスというBWのそのシグナルが、格納容器の圧力高という信号だけで作動する、格納容器の圧力が高くなると閉まるという条件だけでしか作動していなかった。このために、本来ならば事故が起こっだときにすぐ隔離弁がとめられて、それでポンプが作動してもポンプの底の水が外へ排出されないというぐあいになるのがならない。五時間排出され続け、やがて別の信号でこれは閉になります。一たんとまるんですが、運転員がここでまた大エラーをやらかしまして、また後であけてしまうわけです。それで、その結果またどんどん出ていく。その結果が希ガスが大量放出したということによるもののようでございます。沃素が比較的少なかったのは、沃素が中で雨を降らしたりなんかしてガスをできるだけ抑えるというようなことで、意外にそういったものであらわれる、あるいは格納容器内に沃素がべたべたついちゃって外へなかなか出てこないというようなことで、沃素というものは意外に出ないものだなというのが一つの教訓だったようでございます。
 そこで、ウエスチングハウスの日本の設計を見てみますと、格納容器隔離条件が非常用炉心冷却設備が作動すると入るというふうになっておりますので、まず基本的には、ウエスチングハウスの炉の場合でしたら、ああいった排水ポンプからどんどん水が外へ出てくるということはなかったろうということが考えられるわけで、特段対応する必要は基本的にはなかったわけですが、なお、念のためということで、この辺の関係についてはいろいろな検討が行われまして、ウエスチングハウスの設計の場合に予想されるそういったそのほかの条件も含めまして検討が行われた結果、隔離弁に対する信号の出し方について多少の変更が加えられまして、まず、どういう状況においても隔離弁がとまることはない、単に隔離弁の作動状況につきましては、そこだけでなく、ほかの貫通管についても全部手当てをするというやり方をいたしまして、この点については安全審査指針そのものは変えませんが、その条文に即した具体的内容につきましてまた基準を新たにつくりまして、それで対応していく、こういうことであればこの仮想事故の数字を現段階で修正する必要は全くないという判断で、そういう対応で落ちついておるということでございます。
#184
○伏見康治君 ありがとうございました。
 時間が来てしまいましたから……。
#185
○佐藤昭夫君 きょうは高レベル放射性廃棄物対策の問題について質問いたします。
 本法案の背景となっています昭和五十九年八月の原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会の中間報告、この中に同時に高レベル廃棄物の処分方策も述べているわけでありますが、その際、この地層処分を行う場合の有効な地層、この考え方については結論が出たということになっているわけでありますが、それはどういうことを考えているのかということでありますけれども、質問の答弁ということですと、長々お話がありますと時間を食いますので、私からこういうことですかと聞きますので、イエス、ノーで答えていただきたい。
 この報告の「我が国における「有効な地層」としては、未固結岩等の明らかに適性に劣るものは別として、岩石の種類を特定することなくむしろ広く考え得るものであることが明らかとなった。即ち、同一種類の岩石においても、それが賦存する地質条件によって地層処分に対する適性にはかなりの差が認められることから、岩石の種類を特定するのではなく、むしろその地質条件に対応して必要な人工バリアを設計することにより、地層処分システムとしての安全性を確保できる見通しが得られた。」と、結論部分はここですね。
#186
○政府委員(中村守孝君) 先生御指摘のとおりでございます。
#187
○佐藤昭夫君 そこで、問題はこの中間報告でありますけれども、この結論には私はいろいろな疑問点を感ずるわけであります。
 まずその第一点でありますが、「岩石の種類を特定することなくむしろ広く考え得る」、こう述べていますけれども、確かに完璧な岩石というものはなくて、それぞれ一長一短はあるわけでありますけれども、よりベターな岩石というのが考えられるのじゃないか。そこで、質問の通告をしておきましたが、これが実物ですけれども、昭和五十七年度文部省科研費研究報告(B)の五七三〇六〇二八というナンバー、「高レベル放射性廃棄物の安全処分に関する研究」という報告書の中に、英文と並んで訳文も丁寧につけて紹介があるわけでありますけれども、一九八二年九月に国際学術連合、ICSU、ここが高レベル放射性廃棄物処分に関する研究と開発についての調査報告書、このころは伏見先生が学術会議の会長だったというふうにも書いてあるんです。この報告書の中で各国の高レベル廃棄物処分計画の概要が紹介をされています。各国とも岩石の種類を特定する、あるいは大体こういう岩石を重点にしたらよかろうという考え方がかなり具体的に出ているんです。
 紹介しますと、ベルギー、これはブーム粘土、カナダは結晶質岩、西ドイツは岩塩層に主として限定する。フランスは花崗岩体に重点、オランダは岩塩ドーム、スウェーデンはかたい岩石、特に花崗岩、スイスは結品質岩石(花崗岩と片麻岩)、ソ連は岩塩、花南岩、砂岩、英国は結晶質岩石に重点、米国は岩塩ドーム、岩塩層、玄武岩、花崗岩、凝灰岩等に重点という、各国がこういう方向で検討をやっているということの紹介があるわけですけれども、こう見ますと、我が国のさっきの原子力委員会専門部会の報告、特にどの岩石をということで特定するというのは余り適当じゃない、こういう結論というのは驚くべき、何といいますか、上品な言葉で言えば寛大さ、私に言わせれば非常にルーズな結論になっているんじゃないか。こういうことで高レベル廃棄物の処分というような数万年にも及んで安全性が問われるような問題に対処していいのかどうかというふうに疑問を持たざるを得ません。
 特に日本の場合は雨量も多い、地下水脈が発達をしている、また地震国としての地殻の活動も活発だと、にもかかわらず、日本の場合、さっき私が対比して示しましたようなそういう緩やかな有効な地層の選定、こういうことで一体いいんだろうかというふうに思わざるを得ないんですけれども、どうでしょうか。
#188
○政府委員(中村守孝君) 原子力委員会の報告書の中で、特定の岩石ということに絞らなくてもいいということは、例えば花岡岩でなきゃいけないとか、そういう特定のものでなければいけないということにする必要は別にないということでございまして、先ほど先生から御指摘いただきました各国の中身もそれぞれ違っておるように、例えばどうしても花南岩、結晶質のものでなきゃいけない、こういう傾向は出ていないわけでございまして、これにつきましては国内でのいろいろな岩石、火成岩だとか古い第三期以前の堆積岩とか変成岩とか、そういったいろんなものがあるわけでございまして、そういった岩のどれかに固定しなければいけないということではないということでございまして、今後いろいろさらに研究を進めていくわけでございます。実際の候補地を具体的に決めるにつきましては、こういった岩質の中で得られる候補地の中で最善のものを選んで実際の処分地としていく、こういうことになろうかと思う次第でございます。
#189
○佐藤昭夫君 しかし、そのような詭弁のようなことを言うたって私は通らぬと思うんですよ。各国は確かに一つに限定しているというふうには言い切れないかもしれません。だからそれが単数であるか複数であるか。しかし、幾つかのより好ましいのはこんなような種類の岩石じゃないかということで各国は大体取り組みをやっておる。そのときに日本の場合には、いやそんなものは何でもいいんだと、一体本当にこの地下に埋め込んだ放射性物質がいろんな水分なんかでしみ出るのを極力食いとめるためには何がよりベターか、何がよりベストかと、どれだけの真剣な検討をやっただろうかというふうに思わざるを得ないんですよ。
 次に二つ目の問題。この同一種類の岩石でもそれが賦存される地質条件によってかなりの差が認められるということはそのとおりだと思います。したがって、有効な地層という場合、岩石の種類とともに地質条件、地質構造、これが重要な要素となるということは当然であります。そこで、さらにこの中に出てきますが、ICSUの陸上処分に関するワーキンググループ、その報告で、第一の必要条件として、十キロ立方メートル程度の容積を持つ地殻の単一ユニットであり、最小の透水性を持ち、将来百万年にわたって変動や透水性の変化の徴候がないということをワーキンググループが研究報告をしているわけですね。
 また、昭和六十年の七月、北海道知事がこの廃棄物処理問題で欧米調査団を道として派遣をされておるそのときのレポートがあります。その二十三ページにこういう報告が出ている。米国では、一、乾燥地帯であること。二、雨量が少ないこと。三、透水性が低いこと。四、川、泉、湖、海から遠ければ遠いほどよいこと。五、地殻が動かないこと。すなわち地震帯でないこと。六、地層中に貴重な地下資源が含まれないことなどが条件として挙げられているというふうに報告にあります。
 ところが、この原子力委員会の中間報告、これでは有効な地層たる条件がほとんど全くと言っていいほど示されていない。わずかに条件とされているのは、さっき私が最初に引用朗読しましたように、未固結岩、すなわちまだ固まってない岩石ということではいけませんと。こんなのは当たり前であって、そんな岩石だったらもう自由自在にしみ出るわけですから、こんなものは条件というようなものにならない、議論の前提と言うべき問題だと思うんですけれども、こういうことでもって有効な地層何たるやということの選定はほぼ終了したというのは、これはもう全くずさんと言うほかにもう言葉がないというふうに言わざるを得ないと思うんですけれども、大臣どうですか、外国の例それから北海道の調査団が行かれたときの米国側の証言、こんなようなものに照らして、まだ河野さんが大臣に就任しておられない時期の原子力委員会ですけれども、本当にこの万全の検討がやられたかというふうに、感想程度のことでいいですけれども、どうですか。
#190
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 ただいま先生御指摘の点は、個別の、これから第二段階としてやろうとしております候補地の選定の際のいわば基準というようなものでございまして、そういう意味で私ども今どういう候補地をこれから選ぶかということについての基準、こういったものを先生の今のいろいろ御指摘あったことも含めまして、現在専門家の方々に集まっていただいて検討を進めているところでございます。
#191
○佐藤昭夫君 念のため聞きます。
 今私が問題にしております原子力委員会の中間報告が出ましたのは五十九年八月ですね。国際学術連合でしたかICSU、この報告が出ましたのは昭和五十八年三月です。その一年半ほど前ということですが、こういう内容なんか原子力委員会の専門部会での検討のときに検討の一つの参考材料として上っていますか。
#192
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 直接にその資料を使ったかどうかはちょっと私そこまであれしておりませんが、検討いたしました専門部会の先生は、先生御指摘の文部省の方の委員会にも参加しておられる方と何人かダブっておりますので、そういう先生方も十分そういった報告の内容について御承知であろうかと思います。
#193
○佐藤昭夫君 専門部会の報告が出ましてから北海道の知事調査団は出たというのでその後ですけれども、さっき米国側のそういう証言を紹介しました。さらにあるんです。この北海道知事の欧米視察レポート、これによりますと、アメリカの地質調査所が回答しているんですが、「処分をする場合、色々な不確定要素があるので、天然の多重バリアが必要である。多重バリアは、最終的に予測できないのを守るということであり、人工バリアは確信が持てない。」、こう言っているんです。
 要するに、この人工バリアに依存をして放射性物質ががあっとしみ出てくるのを食いとめるというこのやり方では完全にそのことを全うできないということを米国の地質調査所なんかは言っている。もちろん人工バリアが全く役に立たぬというふうにも私は言わぬわけですけれども、しかしさっきありましたICSUの報告によると百万年にわたる安全性の確保が必要だと。こういうスケールで考えた場合に、やはり人工バリア、これに期待をかけるということじゃなく、天然バリアによって最終的には安全を担保するという、これを基礎条件とすべきじゃないか。したがって、天然バリアをどう選ぶか、その要件などについて慎重な検討結果に基づく厳密な条件をクリアするような地層を選定する、こういうことでなければならぬと思うんです。
 ところが、この中間報告では、地層という天然バリアについての厳格な条件を示さず、地質条件に対応した人工バリアによって安全性を確保できるとしている。この考え方と今の米国の地質調査所の考え方とは格段の差がある。とりわけ日本の場合、アメリカのような砂漠地帯があるわけでもない、雨は多いし地下水脈が発達している、加えて地震が多い、人口密度も高い。こういう日本では諸外国と比べてみても最も厳格な基準を策定していくと、こういう基本的姿勢で、ぜひ今からでも遅くない、よく考えてもらう必要があるというふうに思いますが、まずこの基本姿勢、大臣どうでしょう。
#194
○国務大臣(河野洋平君) この問題はできるだけ慎重に検討すべきものだというふうに考えております。
#195
○佐藤昭夫君 さらにこの北海道の視察報告、この中で米国の未来資源研究所の所長らがこういうことを言っています。重要なことは、まず厳格な規制基準をつくり、その後調査すべき候補地を決める。規定、基準もないうちに調査をすると内々決めている場所に合わせて基準がつくられる。ちょっと頭の痛い言葉ですね。こういう指摘もしているわけであります。さらにその前段で、日本は地震や火山活動があり、安全に地層処分ができる場所はないと考える。こういった点で非常に大切な指摘だと思います。
 さらに専門部会の中間報告、ここでは有効な地層の選定は終わった、考え方の選定は終わった、こういうことで一体それはどこかというと、そんな別に特定の場所を決めたものではないということで逃げる。幌延が有効な地層に含まれるのかといえば、どこの地層が有効な地層かを具体的に評価したものでもない。その幌延に計画しているのは貯蔵施設であって最終処分地ではない。有効な地層に含まれるかどうかには関係ない。こういう言い方でありますけれども、しかしそれならば、幌延に当面計画しているのは貯蔵施設だけれども、しかし将来にわたって最終処分地とはしないということを断言ができるのかどうか、この点どうですか。
#196
○政府委員(中村守孝君) 幌延の貯蔵工学センターについては、少なくとも私どもが今計画しているのは、あくまでも三十年ないし五十年の間高レベル廃棄物並びにTRU廃棄物を貯蔵するということと、それから将来の処分地を探す上でいろいろ先生今御指摘のように科学的にやれと、こういうことを十分我々も慎重にやらなければいけないということでいろんなデータもとらなきゃいけないわけでございますので、そういう意味で深い穴を掘りまして深地層中におけるいろいろな現象を調べよう、こういうための深地層試験場、それからそれと付随いたしまして陸上でもできるような深地層処分に関する研究をやるための環境工学試験施設、こういったものをつくろうということにしておるわけでございます。
 そういうことで、幌延につきましては先ほどの未固結岩のところではないわけでございまして、一つの将来探り得る候補地としてのデータが得られるところの一つであろうかと思っておるわけでございますが、私どもそれをそのまま最終処分地にするような適地の条件が備わっているかどうかもそういう意味でわからないわけでございまして、現在私どもはそこを処分地にするということは考えていないわけでございます。
#197
○佐藤昭夫君 私は今の説明にも多々疑問を感じますね。この原子力委員会の報告を出したときの「有効な地層」というこの中に幌延は念頭にないというふうに本当に言うんだったら、一体この深地層処分のための試験というものをなぜやるのか、この計画概要にも出ていますけれども、そのことは将来処分場ということが含まれているんじゃないかという危惧を持たざるを得ない。それで、もし有効な地層にこの幌延は含まれているんだ、こういうことになりますとこの有効な地層なるものを、ずっとこの前段でるる述べたように、いかにずさんな検討、選定をしてきたのかというふうに言わざるを得ないのであります。
 もう一つ例を挙げましょう。朝日新聞の昨年の十二月二十三日付「論壇」に、八木健三さんという北大・東北大名誉教授、岩石学の権威、この方が幌延問題、そして原子力委員会の専門部会報告、ここらの問題に関係をして非常に厳しい意見を述べておられます。詳しく紹介している時間もありませんけれども、この幌延開進地区の岩石、地質とその構造などからして処分場の候補として失格だというふうに断言されている。さっき以来紹介しております国際学術連合の研究報告、これにも八木教授は深くかかわってこられた方でありますけれども、そういう点からもこの全世界の中心的学者が集まってまとめたこれに照らしても、今の日本の進もうとしている方向は極めて危険だということであります。
 質問通告をしておきましたけれども、朝日「論壇」に載っておるこの八木教授の見解、どう受けとめですか。
#198
○政府委員(中村守孝君) 先ほどの幌延の問題に関連するわけでございますが、私ども今この処分地としての候補地の選定をしなければいけないという段階に来ておるわけでございますので、その意味で現在地質学者のほか、原子力の放射能の物質についてのいろいろな知識のある方等々にお集まりいただきまして、広域調査についての具体的な進め方を検討していただいておるところでございまして、先ほど来先生御指摘のいろいろな問題を踏まえてどこを選定していくかということをやっているわけでございます。そういうことでございますので、個別地点として幌延が処分地に適するとか適さないとか、あるいは処分地にするんだとかいうような段階ではないわけでございまして、私どもはあくまでも現在は貯蔵工学センター、いわゆる試験研究施設として考えておるわけでございます。
 それで、今先生御指摘の八木先生の「論壇」につきましては、まさに処分場にするということの前提でいろいろ言っておられる問題でございまして、私ども処分場とするというようなことにもし現在考えているのであれば、十分そういったお考えを慎重に受けとめて検討しなければならない問題かと思いますが、現在私どもそこまでのことを考えておらないわけでございます。
#199
○佐藤昭夫君 そういう言い方をされるんでしたらもう一遍聞きます。
 さっきの局長の答弁では、幌延については当分の間は貯蔵施設だ、処分場というようなことは念頭にないと。念頭にないというか課題に上ってないということであったんですが、そのことは文字どおり当分の間であって、その当分がどれくらいの年数がはともかくとして。というので、将来処分場にもするということはあり得るというのか、そういうことはあり得ないというのか、どっちですか。はっきりしてください。
#200
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 私どもは、今の当分というか長期的というか、考えていないわけでございますが、論理的に言って、おまえ全く可能性ゼロ%なのか、こう言われますと、先ほど来申しておりますように、個別地点のどこを候補地としていくかということにつきましては、今いろいろ選定条件について専門家にお聞きをしている段階でございますので、論理的にゼロでないということでございます。
#201
○佐藤昭夫君 だから重大でありませんか。だから幌延の地域の北海道の皆さん方が強く知事を初めとして反対をしておる、その不安も実はそこにあるということでありますし、そして先ほど来るる言っているように、例えば八木先生もそういうこともあり得るということで、そんなようなことがもし万が一起こるとすればこれは大変なことになるよという警告として、科学者の立場からこういう意見が述べられておるということじゃありませんか。何も処分場が前提の議論だからどうだこうだということで切り抜けられる問題じゃないでしょう。論理上あり得る問題なんだからということでもっとこの問題を厳粛に受けとめて、よくよく国としての対応を考えてもらう必要があると思うんですよ。
 結局こういうふうに見ていきますと、今回の原子力委員会の中間報告なるものは、この幌延をも将来最終処分場の候補地としてあり得るかもしれないそのことを排除しないためにまとめられた、非常に科学的検討も不十分、おろそかなままにまとめられたそういう政治文書じゃないかというふうに私は言わざるを得ないんですよ。
 なぜなら、大事なことを言っているんですよ。このICSUの報告書の七十六ページ、この報告の結論とも言うべき「要約」という見出しで十項目ほどだったと思いますけれども、結論を述べておるその中の第二項目に非常に含蓄あるというか、耳を傾けるべきことが結論として言われております。「サイト選定の規準は安全性と科学によって決定さるべきであり、実際の選定にあたってはこれらの要素が含まれることも考えられるが、経済や政治に左右されてはならない。」と、こう書いてある。もう全く当然のことだと思うのでありますけれども、八木博士もこのことを朝日の投稿の中で触れられておるんですけれども、当然この基本原則は厳守してやってもらえるんでしょうね、大臣。
#202
○国務大臣(河野洋平君) 科学的な判断というものは常に一番前提となってくるものであろうと思います。こうした問題を論議するときにいたずらに情緒的に流されていくということは、時として非常に結論を間違えることがあるというふうにも思うわけでございまして、先生どういう意味でお使いになったかよくわかりませんが……
#203
○佐藤昭夫君 いやいや、使ったんじゃない、ここに出ているんです。
#204
○国務大臣(河野洋平君) 私どもとして答えを導き出す場合に政治的な判断というものが余りに入ることは好ましくない、こういう気持ちは私どもも持っております。
#205
○佐藤昭夫君 もう一つの問題でありますが、この間の十六日の委員会で私は、この廃棄物の処分に当たって本法案に示される最も肝心な問題であるところの放射能濃度基準、これを今後の政令事項にゆだねていることの不当性を取り上げました。これは六ケ所村に核燃料サイクル基地をつくろうとか、敷地内管理が狭隘となった発電会社の要求に追随をして、国民の命と健康にかかわる安全基準をあいまいのまま今次法案を提出してきたその政府の無責任さを示すものだということで言っておったのでありますけれども、こういう企業追随のもう一つの証明、お聞きをしたいのでありますが、この今次法案の対象となってない放射性同位元素、RIの処理処分問題、これは今度の国会には出てないわけですね。もちろんそういうのを業者に任せるということで民間団体の指定は既に決まっているということであるにしても、RI処分に当たっての濃度基準、これははっきりしてないということでそこはそういうまま、そして発電所の廃棄物、これのどういう形で処理処分をやるかということだけを先行させる形でこの法律が出てきているというこのことは、やっぱり企業の要求に追随をしているという批判を免れないと思うんですよ。何か釈明があればしてみてください。
#206
○政府委員(辻栄一君) 放射線障害防止法につきましては、廃棄の業の問題につきましては既に現行法で廃棄の業というものは決められておるわけでございます。問題は、RI廃棄物の埋設処分なりあるいは無拘束限界値をどういうふうに取り扱っていくかという問題であろうかと思うわけでございまして、私どもは基本的には、こういった無拘束限界値あるいは将来RIについても陸地の埋め立て処分が行われるという事態が来るならば、この辺の数値は同じものを使うことができるというふうに思っております。
 ただ、RIの問題、今回改正案を出さなかったという理由の一つは、やはり陸地処分についての具体的なプロジェクトがまだ計画されてないということで、これについての法改正を急にやる必要もないという点が一点と、もう一つ、無拘束限界値のようなものを定めた場合に、規制を具体的にどういうふうにやっていくかという問題について核物質の事業所とは根本的に違いがある。これは非常に小規模の事業所が多いわけでございまして、ただ革に無拘束限界値の導入をやりますと、この場合にそれに便乗して無拘束限界値に達しないようなものが安易に捨てられてしまうという可能性が非常に高いわけでございまして、これらについての規制体制といいますか、その辺の実態論を少し詰めてまとめておかないことには具体的な法律改正に到達できないということでございます。
 無拘束限界値を導入するかどうかは、実はRI法を改正しなくてもできるわけでございまして、これは核燃料物質についても同じでございます。現在の府令、政令等で扱っているところの扱いを変えればできるわけでございますけれども、RIについて今それを踏み切らないところの理由は、一つには最も大きな点は、それのチェック体制をどうするかということについての検討がまだ進んでいないという点でございます。現在、RIの廃棄物につきましてはほとんどアイソトープ協会がこれの集配、それから廃棄物処理をやっているわけでございますが、最近ようやく岩手県の滝沢村にこれの保管施設をつくるというプロジェクトができてきたのがようやくでございまして、しばらくの間はこれによって全国各地のものをここに保管するということで対応できております。将来、こういった問題につきましてはさらに検討して、十分チェック体制ができるという見通しがつきました段階でこの対策に踏み切っていくという考え方でございます。
#207
○佐藤昭夫君 意見ありますけれども、また後日。
#208
○委員長(馬場富君) 両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 次回は明日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
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ソース: 国立国会図書館
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