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1985/05/20 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 科学技術特別委員会 第12号
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1985/05/20 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 科学技術特別委員会 第12号

#1
第104回国会 科学技術特別委員会 第12号
昭和六十一年五月二十日(火曜日)
   午後一時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     後藤 正夫君     石井 道子君
     松前 達郎君     福間 知之君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         馬場  富君
    理 事
                岡部 三郎君
                志村 哲良君
                稲村 稔夫君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                石井 道子君
                長田 裕二君
                工藤万砂美君
                竹山  裕君
                成相 善十君
                林  寛子君
                藤井 孝男君
                安田 隆明君
                穐山  篤君
                片山 甚市君
                福間 知之君
                伏見 康治君
                佐藤 昭夫君
                山田  勇君
   発議者          稲村 稔夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       河野 洋平君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      矢橋 有彦君
       科学技術庁原子
       力局長      中村 守孝君
       科学技術庁原子
       力安全局長    辻  栄一君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   堀田 俊彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全審
       査課長      山本 欣市君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全管
       理課長      神田  淳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び
 原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法
 律案(稲村稔夫君外三名発議)
○研究交流促進法の制定反対に関する請願(第二
 七四九号外一件)
○研究交流促進法案反対等に関する請願(第二七
 五〇号外二件)
○原子炉等規制法の一部改正案反対に関する請願
 (第三三三一号)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、松前達郎君が委員を辞任され、その補欠として福間知之君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(馬場富君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案、及び原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○稲村稔夫君 私は、政府の御提出になりました法案について十四日の委員会で、特に重要な問題が政令あるいは総理府令ということになっていて、その内容が概念としてしか述べられていないで具体的内容がわからぬということで大分長い時間そのやりとりでとってしまいました。この問題は私の方が了解をしたり理解をしたりしたということではございませんけれども、できれば政府の方からも私どもにできるだけわかりやすく、しかも端的にお答えをいただくということで御努力をいただきまして、できるだけ内容が明らかになるようにあらかじめお願いをしておきたいと存じます。そういう格好でぜひ大臣にも質問ができるようになりたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 そこで、入ってまいります順序といたしまして、最初に、やはり今私どもの大きな関心事になっておりますこの法案とも関連をしていると思いますので、原発の事故の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
 通産省、お見えになっておりますか。――アメリカにおきまして最近原子炉壁に中性子による脆化が起こっている、特に圧力容器の脆化ということが問題になっているということで、これは衆議院でも議論になったそうでありますが、そうした中で特にこの脆化の問題は、材質の中に含まれている銅の含有率が一つ大きく左右をする、こういうことのようでございまして、私の方もそれでは銅の含有率について各原発でどの程度のものになっているか調査したものがあればということで資料をいただきました。そこで一つは、この資料にありますのは、例えば関西電力美浜一号〇・一六%、二号〇・一二%、以下こういうふうにして各炉ごとに出していただいておりますが、しかしこれは圧力容器のどこをお調べになったのか、そしてまた、これは平均値なのであるか、あるいはこういうところをとれば大体間違いがないということでとったという値なのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
#5
○説明員(山本欣市君) 先生お手持ちの資料、美浜一号の〇・一六という数字につきましては原子炉容器の母材の数値でございまして、最大値ということでございます。
#6
○稲村稔夫君 そうすると、これは母材の銅の含有率、中性子脆化とのかかわりでいきますとこの銅の含有率も問題ですけれども、同時に、何といいますか、構造物となった圧力容器は母材のとおりですべてが理解できるというわけではないと思うんですね。いろいろな形につくられますから、それなりに例えば溶接による変化もいろいろとありましょうし、あるいは力がかかることによって変わってくる変化もありましょうし、いろいろあると思うのでありますが、その辺はどのように見ておられますか。
#7
○説明員(山本欣市君) 一般的に中性子脆化の問題につきましては、原子炉容器の母材部の銅の含有率、それから溶接部の銅の含有率というようなことで両方重要な意味を占めておるというふうに考えております。
#8
○稲村稔夫君 そこで、私がこのことを伺いますのは、ソ連のチェルノブイリの原発事故というのは我々のところとは型が違うということで、何と
いいましょうか、安全対策というものもいろいろな形で別のものがある、こういう理解もあろうかと思います。しかし我が国で使用している型の原発についてもこうした中性子脆化というものが見られるということになってまいりますと、それなりに安全性の問題として少し神経質にならなきゃならない問題ではなかろうか、特に古いといいましょうか、年月がたつに従ってそのことがやはり問題になってくると思うんです。そこで、こうした脆化についてはどのような検討をしておられるのか、調査なり何なりしておられるでしょうか。
#9
○説明員(山本欣市君) アメリカにおきまして、一九八〇年ごろアメリカの古い炉でございます銅の含有率が〇・三%以上のものにつきまして特に中性子脆化の問題ありというようなことでございまして、我が国におきましても、そういうような意味から各発電所ごとの銅の含有率、これは母材、溶接材両方調べでございますが、いずれにいたしましても〇・二%以下というようなこと、それから原子力発電所運転中に試験母材を入れまして、それによりまして中性子脆化の状態を把握しております。その結果によりまして特に問題ないということの確認をいたしてございます。
#10
○稲村稔夫君 今の検査、一つは母材が重要な要素であるということは、これはわかります。しかしその母材だけではなかなか判断がつかないものもあるでしょうと申し上げたんです。そのあれについてはそうするとテストピースと言うんでしょうか、試料を入れて検査をしておられる、こういうことなんですね。ところが、そういう試料を入れられても、例えば応力であるとかそういうものはこれにはかからぬわけですね。力の関係というのはどういうふうに。
#11
○説明員(山本欣市君) 試験片につきましては特に応力がかかってございません。
#12
○稲村稔夫君 そういたしますと、こうした中性子脆化の問題というのについては当分大丈夫というお話でありますが、その当分というのはどの程度というふうにごらんになっておりますか。
#13
○説明員(山本欣市君) 一応、日本におきます原子炉の運転寿命といいますか、そんなようなことで四十年程度を考えでございます。
#14
○稲村稔夫君 四十年程度というと原子炉の大体寿命とのあれでうまくバランスをとられたような感じもしないわけでもありませんが、いずれにいたしましても、私は今の御返事だけではどうも調査については極めて不十分な感じがいたします。
 といいますのは、今の母材とテストピースだけということではなしに、やはりいろんな圧力もかかったり、あるいは先ほど申し上げたように溶接というのはいろいろな面で材質の変化をもたらすものでありまして、その周辺にはいろんな現象があらわれているわけでありますから、そういうものについての調査というものもかなり厳重にしていかれないとこれは大変重大な問題になりますので、脆化ということは。そのことについては今後どのような対応をしていかれようとしていますか。
#15
○政府委員(中村守孝君) 先生今御質問の圧力容器の中性子脆化の問題につきましては、これは一番いわば原子炉で大事なところでございますので、この原子炉の安全研究に携わる者は前々からこういう実験をしておるわけでございまして、原子力研究所でも実験をしております。
 今、先生御指摘の一つとして、中性子は圧力が加わった状況の中で中性子が変わったら複合してその性能が変わるんじゃないだろうかという御疑念が一つあろうかと思うのでございますが、この点につきましては我が方の専門家、いろいろこの原子炉をつくり出しました、そもそも圧力容器をつくり出しましたのはアメリカでございまして、アメリカに非常に多くの研究がございます。例えばORNLというところの研究所でやった研究結果も出ております。そういう研究成果からいきまして、圧力がかかっているということで中性子脆化が進むというデータはないということで、圧力が中性子の脆化にはほとんど影響を及ぼさないという確認ができております。
 我が国では、そういうことで高温下、温度の高い状況の中での中性子の照射試験を実施しておりまして、この圧力容器の中で中性子照射の非常に条件が厳しいところの条件を設定いたしまして、その安全性について確認しておるわけでございます。これはIAEA、国際原子力機関との共同研究の一環としてもやられておるものでございまして、先ほど先生御指摘のように、いわゆる圧力容器の本体になるところの母材だけでなくて溶接材につきましても試験片を取りまして研究データを得ておるところでございまして、こういう研究成果をもとに現在安全を確認するためには同じ圧力容器の、同じ何といいますか、鉄をつくるときの同じ材料を試験片として原子炉の中に入れましてその後の経年変化を調べておる、こういう状況にあるわけでございます。
#16
○稲村稔夫君 今の圧力容器の問題は、さらにまだいろいろとお聞きしたいところもありますけれども、時間の関係きょう私はかなり限られておりますので、ちょっと先へ進ませていただくといたしますが、もう一つ、コンクリートの脆化の問題もやはり大変気になることでございます。
 私は、前に本委員会でアルカリ骨材反応の問題をどうとらえているかということを伺いました。これは安全局長だったと思います、たしかそれはチェックをしておりますというお話がありました。しかしそのアルカリ骨材反応が問題になる以前の建設の原子炉については何か調査をしておられますか。
#17
○説明員(山本欣市君) アルカリ骨材反応につきましては、昔は余り問題にならなかったわけでございますが、新しい採石や採砂の採石場の開発によりまして使用経験のない岩石が骨材として利用されることになったこと等から取り上げられるようになった問題でございます。そのため通産省といたしましては、アルカリ骨材反応問題が起きる以前に建設されました原子力発電所につきましては、一つは外観検査、一つは試験等によりまして問題がないことを確認いたしてございます。
 具体的な試験の方法でございますが、骨材を粉末にいたしましてアルカリに対します溶解性を調べるというような化学的な方法で確認をとってございます。
#18
○稲村稔夫君 それは各発電所についてそれぞれ行っているということですか。
#19
○説明員(山本欣市君) 各発電所ごとに調査を実施してございます。
#20
○稲村稔夫君 それから次に、昨年の「原子力工業」に日本原電の敦賀一号炉においても中性子脆化が起こっているというそういう報告、これ私はきょうまでにその確認ができなかったんですけれども、そういうふうに聞きましたので、大変気になりますが、その辺はどうなんでございましょうか。
#21
○説明員(山本欣市君) 委員から御指摘の点につきましては、一九八五年の八月号の「原子力工業」という雑誌に「照射脆化に関しては原電敦賀炉でもいえることである。昭和五十六年、同炉では放射能のリーク問題をおこしたが、その同じ時期に実施されたサーベランステストの結果はかんばしくないデータであった。すぐに安全性の問題とはならないが、何とか基礎研究を進めておかねばならない課題である。」というような書き方のところだというふうに理解してございますが、その件につきましては敦賀発電所一号炉につきまして過去五回監視試験片の取り出しが行われておりまして、試験結果が評価されておりますが、いずれの結果も問題のないことを確認いたしてございます。なお、これらの監視試験片の試験結果につきましては、通産省に設置してございます原子力発電技術顧問の意見を聞いて問題のないことを確認しているところでございます。
#22
○稲村稔夫君 私がこういうふうに脆化についていろいろと伺いましたのは、先ほども申し上げましたように、これは一たん何かが起こってからではもう大変なことでありますので、そうならないようにという最大の努力をしていただかなければならない。だから、今現在問題がないということ
だけですべては解決できないだろう、常に早期発見できるような、そういう努力が常に続けられていなければならないんじゃないか、そんなふうに思いますので、それで特に伺ったわけであります。
 次に、最近はアメリカの原発のキャンセルというのがかなり多くなっていまして、報道によると百基以上になると聞いておりますが、これはどういう理由によるものでありましょうか。商業原発のことでございますから、特に経済性の問題についてのものがあれば通産省の御見解も伺いたいと思いますし、全体として掌握をしているのは科技庁から伺いたい。
#23
○政府委員(中村守孝君) 先生御指摘のように、米国でかなりな数のキャンセルがございました。一九八四年までに発注済みの原発のキャンセルが相次いだわけでございますが、一九八五年以降は新しいキャンセルは出ていないようでございます。
 それで、このキャンセルが相次いだ理由といたしましては、一つには電力需要の停滞ということがございまして、初期のころに、非常に将来電力は伸び、原子力発電も相当大幅にふやさなきゃいけないだろうという展望のもとにかなり前広に注文がなされたきらいがございまして、そういう電力需要の低下に伴って大幅に将来の需要が下方修正されたというようなことが一つの原因でございます。
 それからもう一つは、アメリカの原子力発電所の建設につきましては、いろいろな手続関係等もございまして、非常に工期が長くかかるという傾向が年々多くなってまいりまして、アメリカは御案内のように非常に金利の高いところでございます。そういったことと、アメリカの、今は若干鎮静化していると思いますが、インフレの傾向もあったというようなことから原子力発電所の建設費が非常に高騰した。建設工期が長期化するということと高金利、そういったようなことが大きく電力会社の資金的な圧迫になったわけでございます。
 米国の電力会社は、米国全体の電力需要は非常に大きいのでございますが、電力会社の経営規模というのが我が国の電力会社に比べて非常に小さい会社も多々あるわけでございます。こういったようなことから非常に財務体制が悪いので、まあ原子力発電はこの際見送ろうというようなところが多々出てきた、このように私ども理解をしておるわけでございます。
#24
○稲村稔夫君 通産省はありますか。
#25
○説明員(神田淳君) 今の原子力局長の答弁に尽きるかと思いますが、私どもが聞く限り重要な点が二点で、一つは工期が非常に延びていて、アメリカは金利が高い。金利が高くて工期が延びるということで経済性が劣ってきているというのと、それから電力需要の全体的な伸び悩み、この二つが主な理由と私どもは聞いております。
#26
○稲村稔夫君 私はこれでまた長い議論をしている時間がないのでありますけれども、問題は、アメリカでやはり経済性にいろいろと問題が出てきていることを私は重視しているわけであります。特に安全性の問題等の絡みもあって、いろいろな安全についての配慮を払えば払うほどやはり経費面ではコスト高になってくる側面もあるわけでありますから、その辺では私は我が国の原子力発電の行政についてもいろいろと検討しなければならない課題があるのではないか、こんなふうに考えております。
 それはそれといたしまして、原子力発電そのもののコストとしてこうした廃棄物の処理の問題というのも私は、かつて原発が、廃炉のことも余り考えずにと言うとあれですが、経費のことなどを余り検討しないままに建設をされてきて、そして今廃炉の問題や廃棄物の問題やということを議論しなければならなくなった、そういうやはり出発のときの大きな間違いがあった。間違いと言うとあるいは反論があるかもしれませんが、少なくとも問題点があった、こう言えると思うんですね。ですから、この廃棄物を扱うについてもまたその出発点で問題を残したまま出発するということは、私は非常によくないことだと思うんです。それだけにいろいろな問題点というのは十分はっきりとさせていかなければならない、こんなふうに思っております。
 そこで、実はきのう私は、同僚の穐山委員の質問、そしてそれを引き継ぎましての伏見先生の質問に対しての政府側の御答弁を伺ってちょっと奇異に感じたのでありますが、それは例の海中投棄したRUというんですか、の実態把握の問題についてでございます。
 「しんかい二〇〇〇」をなぜ使わなかったかと言われる御質問に対しては、何か技術的にはそれは現在の段階ではまだ困難であると。それはわからぬわけじゃありません。しかし「しんかい二〇〇〇」を使ってだけしかでは調査ができないかと。いや、そのプランクトンのところは調査をしておりますが、その程度で大体大丈夫ですという答弁でしたが、伏見先生も言われておりましたが、やはり最大限目で確認できる状態をつくっていくということは大事なことなんだと思うんですね。今の我が国の技術でいきましたら、それは「しんかい二〇〇〇」を直接使わなくてもいろいろな形であそこの海底の状況を掌握するための技術はあるはずであります。そういう技術を駆使して一定期間をもちながらきちんとした調査というのをする必要があるのではないかと私はきのうの問答を聞きながら感じていたんですが、その辺はどうなっておりますか。
#27
○政府委員(辻栄一君) この投棄が行われましたのは昭和三十三年から四十四年にかけてでございまして、投棄されたものの全体は四百七キュリーですが、そのうち四百五キュリーまではコバルト60でございます。大体半減期が五年ということでございますので、現在の時点におきましては約四十キュリー程度の量に減衰しているということが一つございます。先日の御説明では私も多分触れたと思うのですが、プランクトンの調査だけではございませんで、実はこの問題は昭和五十五年ごろ、一般の海洋投棄を進めたいということで私どもいろいろやっていたそのころにちょうど非常に問題になりまして、新聞にも取り上げられましたし国会でも御質問がございました。そのときに海上保安庁の船によりまして周辺の海底土につきましての特別調査も実施したわけでございまして、そういった結果から見ましてコバルト60そのものによる海洋の汚染は全く認められておらないわけでございます。
 基本的に、安全という面から考えますと、私はほとんど調査をしなければならないという状態ではなかろうというふうに基本的には考えておるわけでございまして、きのうも官房長が答弁いたしまして、今後「しんかい二〇〇〇」の作業計画ともにらみ合わせた上で慎重に検討していきたいということでございましたが、大部分は二千メートルより深いところでございますので、「しんかい二〇〇〇」では多分発見するのも難しかろうというような予測もございますので、その辺も含めまして今後の課題にさせていただきたいと思うのでございます。
#28
○稲村稔夫君 今後の課題ということで取り組まれるということは、ぜひそう頼みたいんですけれども、例えば超音波とか音波等を使っての探索とか、そのほかいろいろな方法もありますし、それからまた、水中カメラで状況把握という方法もあります。いろいろな我が国の今の可能な科学を使って、ゼロになったという確認ができているんなら別ですよ、海底にあれしたものが。まだ四十キューリー程度はあるだろうと推定をされるという状況なんでありますから、それだけにその辺のところは私はきちんとした調査をしていかなきゃいけないんだと思うんですが、その辺は今後そういう積極的な御調査をなさいますか、していただきたいと思うのですが。
#29
○政府委員(辻栄一君) 技術的に可能であるかどうかの問題もございますので、前向きに検討させていただきたいと思います。
#30
○稲村稔夫君 ぜひそうお願いをしたいと思います。
 そこで、この間の質問の続きということになってまいりますが、この改正法案の五十一条の二の第一項の第一号、ここの中で濃度上限値、低レベル廃棄物の埋設処置についての基準として考えられるものが、無拘束限界値を基準にして濃度上限値との間の中で埋設処置をするものが出てくるように伺っておりましたが、この辺の関係はどういうふうになりますか。
#31
○政府委員(辻栄一君) 先生おっしゃるとおりでございます。原子力安全委員会の専門部会の報告書におきましては「廃棄物の処分に起因する被ばく線量が被ばく管理の観点からは拘束する必要のない線量である場合には、放射性廃棄物としての特殊性を考慮する必要がない。」、この線量を「放射能濃度に引き直し、この放射能濃度を無拘束限界値として判断の指標とするのが実用的である。」、こうしているわけでございまして、その無拘束限界値の検討状況についてはこれまでの委員会でもるる御説明してきたとおりでございます。
 そこで、濃度上限値の定め方でございますけれども、私ども御提出申し上げました資料の中にも原子力安全委員会の考え方が載っているわけでございますが、「濃度上限値は、処分される廃棄体の放射能レベルが無拘束限界値以下に低減することが有意に期待できることを基本として導かれる。」、こう書いてあるわけでございまして、ある一定の濃度上限値を定めますと、何年か後に放射能が減衰して無拘束限界値まで至るであろう、その期間といたしましておおよそ三百年ぐらいを目標に数字をはじき出して、それをベースといたしまして濃度上限値を定めるというのをまず基本的なアイデアといたしたいと思います。
 これは大体セシウム、ストロンチウムが約三十年程度の半減期でございますので、それをベースにして考えたいと思います。しかしこれらにつきましても廃棄体の形状、コンクリート固化体であるか、あるいはアスファルト固化体であるかによりましても無拘束限界値の数値は変わってまいりますので、その辺も参考にしながら廃棄体の形態に応じて決めていくという考え方に相なるわけでございます。しかしながら、一部には短半減期のものもございますので、こういったものをこういう考え方のベースでいたしますと余りにも濃度が高くなり過ぎるという問題もございますので、そういった半減期については別のクライテリアから廃棄物の埋設が可能であるレベルにつきまして別途の条件で検討して数値を定める、こういったような考え方でやってまいりたいということでございます。
#32
○稲村稔夫君 もう少しわからぬからあれですが、そうすると無拘束限界値、これはこの間から委員会でいろいろと議論のあった中で、ほぼIAEAの規制免除の数値よりもレベルを下に抑えて大体いきたい、こういうことでしたか、これは国際水準との比較ということでわかります。しかしIAEAの中にはそうすると濃度上限値のような考え方というのは基準として何かできていますか。
#33
○政府委員(辻栄一君) IAEAにおきましては無拘束限界値だけを決めております。IAEAにおいて濃度上限値を決めようという動きは現段階ではないわけでございまして、これにつきましてはアメリカ、フランス等でそれぞれのお国柄によりまして適宜数値を決めているようでございますが、これはかなり高い値を使っております。
 私どもの安全委員会の考え方によりますと、これらアメリカやフランスの数値よりはずっと低い数値で決められることになるであろうというふうに考えております。
#34
○稲村稔夫君 私はどうもわからぬのですね。今度の法案でできてきた無拘束限界値という言葉を私は聞いているわけですが、今度の法案で初めて聞いているわけですが、それに当たるものを規制免除濃度ということで国際原子力機関で決める。言ってみれば規制免除をする最低の、ぎりぎりの基準というものを決める。これは理屈の上でわかるわけですね。しかしさらに今の濃度上限値というのは何年かたつとそうなるであろうということを見込んで処置をしますということになるわけですね。ここのところにやはり私はまた議論の問題がいろいろとあるんじゃないかと思うんですよ。なぜ国際的にこれは議論にならないということなんでしょうか。何か掌握しておられますか。
#35
○政府委員(辻栄一君) 埋設のやり方等につきまして、それぞれ各国考え方も違うようでございまして、無拘束限界値の問題については国際的に一定の物事を考える共通の基盤があるわけでございますけれども、濃度上限値においては、やはりそれは実際に埋設の方法によりまして安全性の観点からのチェックの仕方も変わってくるということで、それぞれお国柄がいろいろ出ているということから、国際的なそういった統一基準をつくろうという動きがまだ出ていないということであろうかと思っております。
#36
○稲村稔夫君 そうしますと、今フランス、アメリカあたりの例を挙げられましたが、それらの国々では同じような考え方を持っている、だが国際的にはお国柄でいろいろと違いがあるから議論にまだなっていない、こんなふうに今御説明になったと思うのですね。しかし、私がきょういろいろと御質問申し上げる中では、やはり放射性物質というものの持っている性格がいろいろと私どもには重大な影響を与えるだけに、その辺のところはもっともっと厳密にいろいろと議論をしていただかなきゃならない問題だし、国際的にも我が国が積極的に議論を持ち込んでいくようでなければならぬのじゃないかというふうにも思います。
 そこで私は、濃度上限値というものの考え方について、やっぱりひっかかるんであります。といいますのは、――その前にもう一度伺いましょう。これはそうすると核種ごとに上限値というのを決めて、そして取り扱いは核種ごとに違ってくる、こういうことになるんでしょうか。
#37
○政府委員(辻栄一君) それぞれの固化体の形状に応じて核種ごとに定めるという考え方でございます。
#38
○稲村稔夫君 そうしますと、核種がわからない、核種が判別をしない、定かではない、そういう固化体は対象外ですね。
#39
○政府委員(辻栄一君) そうではございませんで、核種ごとに定める、それは主要核種については核種ごとに定めます。それから、核種といいましても非常にたくさんあるわけでございまして、同じような性質の核種がございますから、そういうものについてはグループに分けてグループごとに決めるという考え方もあるわけでございます。
#40
○稲村稔夫君 私は今、核種が定かでない、何が入っているかわからぬ、そういうものは対象外ですね、こう言って聞いたんですよ。
#41
○政府委員(辻栄一君) それは核種ごと及び核種のグループごとということで、核種全体については包含されるという考え方でございます。
#42
○稲村稔夫君 どうも僕の頭が悪くて納得ができないのかどうだかわからぬのですが、だって今の、固化体の中にいろいろな核種が入っています、それはこの間の議論の中でいけば、例えば濃縮廃液の固化体であれば固化体で大体こういうものが入っています、こういうことをサンプリングでもってある程度確定をしています、こういうお話は聞いていますから、大方のものはそれはわかるということになっているんだろう、そう思いますけれども。核種がわからぬ、あれでしょう、固化してしまったら後ではもう現実の今の技術ではまだはかれないんでしょう。調べられないんでしょう。そうしたら、どういう核種が入っているかがわからないというものが出たときはどうするのですか。
#43
○政府委員(辻栄一君) 核種がわからないものが出た場合は、これはチェックのしようがありませんから埋設の対象にはならないわけでございます。恐らく御質問の趣旨は、核種分析をやるといたしましても、いろんな核種あります。これを基準の方では一々リストアップして基準はつくりますけれども、実際に各発電所でロットごとに廃液についての核種分析をやります場合にはその中における主要核種についてやるわけでございまして、ここに、法律にリストアップされている全部
の核種について一々手入れをするという作業は実際問題としてはやらないわけでございます。これにつきましては、やはり発電所の廃液なら廃液、そういったようなものに関連いたしまして一定の比率というものがございますので、その廃棄物に含まれる主要核種幾つかについて分析をやる。その結果によって全体をこの基準と合っているかどうかについての判定をする、こういうやり方になろうかと思います。
#44
○稲村稔夫君 私はこの間、十四日の質問のときに資料要求をいたしまして、そして各原発ごとに核種検定をしているのがどうなっているかということで資料を要求をして、いただきました。原発のそれぞれの名前は出すわけにいかないということでありますけれども、それぞれA、B、C、Dでずっと出していただきました。しかしそれはやはりすべての核種の量が網羅されているというものではもちろんないわけですね。それこそ主要な核種ということでコバルト60とセシウム137についての推移を、あれをいただいたわけです。
 そこで、これについてもやはり私疑問があるので、これはちょっと通告をしていなかったけれども、資料を出したところでおわかりになりますでしょうか。例えばセシウム60もコバルト60もA原発は五十八年までは検定していなかった。五十九年に検定をした結果これはノンである、ないと、こういう結果が出ています。そうすると例えばこの例で言うように、原発によっては、この間は大体五十二年四月以前と以後というようなことで話がありましたが、しかしこれを見ますと、五十八年というよりも、これ建設をした段階の違いということでこうなるのかもしれませんが、こういう検定にノンというのが出ているものでわからない部分が結構あるんですね。例えばずっとほかの年には出ていたのが、ある年にノンであるというようなこともあります。そうすると、これはそれぞれその年によって何かの状況でこうしたばらつきというものが起こるということなんですか。
#45
○説明員(神田淳君) 提出した資料でございますが、例えばA発電所は五十五年から五十八年まで棒線でございますが、これは五十八年までまだこの発電所は動かしてございませんので、もちろんないと。
#46
○稲村稔夫君 稼働してなかったということ。
#47
○説明員(神田淳君) はい。
 それからH発電所でございますが、五十五年から出ておりまして、五十九年度棒線でございますが、五十九年度、この時点におきましてはまだ廃棄物は出しておりませんでしたので、この時点の資料におきまして出しておりませんでしたので棒になっている、そういうことでございます。それから……
#48
○稲村稔夫君 じゃ、J発電所。
#49
○説明員(神田淳君) H発電所も五十九年度の実績をまだ出しておりませんでございましたので棒線。それからK発電所は五十七年まではまだ運転開始していなかったということでございます。
 それから、表中NDというのは検出限界以下ということで、測定値の検出限界のさらに小さなものという表現でございます。
#50
○稲村稔夫君 私がJとここでつぶやいていましたのは、例えばJ発電所を見たら、五十六年には3かける10ひく7という数値がありますね。ところがそのほかは全部NDですね。つまりないわけです。というようなものが、こうしてある年には検出され、ある年には検出できなかったというような低いレベルになっているのは、これはそういうばらつきなんですか、こういうばらつきというのが年ごとによってあるのですか、何か要因があるのですか、こう聞いております。
#51
○説明員(神田淳君) この濃縮廃液というのは床ドレーンや洗濯廃液等の廃液を煮詰めたものでございますが、こういったものが年ごとによって微妙なばらつきがございましてこういう結果になったということでございます。
#52
○稲村稔夫君 時間だけがたっていって弱っていますが、要するに、こうした原発から出てくる廃液の固体化したものというその廃棄物を無拘束限界値をもとにして埋設処置をするということについて私はやはり心配がどうしても残るんです。それはなぜかというと、核種というのは固化されてしまうともう調べようがありません。それで、この間のお話ですと、それはサンプリングのときに時には立入検査などもいたします、こういうことでありました。ではコンクリート固化されたものの中に廃液以外の形でアルファ放射体が絶対に入っていることがない、こういう保証というのはどうやってできるでしょうか。
#53
○政府委員(辻栄一君) いろいろ御疑問があるようですが、ひとつその前に一言申し上げておきたいのは、これから埋設するものの主要部分といいますか主力は、これからつくる、新しくできる廃棄物が主体であるということがまず第一原則でございます。既存のものについてはこういったことで資料がありまして、今度つくる基準に合うか合わないかということのはっきり判定できるもので、合格することがはっきりわかるものについてだけ埋設を認めるという考え方でございます。したがいまして、既存の今五十八万本あるものがすべて廃棄物の対象になるというわけではございません。ちゃんと記録のあるものだけにしているということでございます。
 御質問の点でございますが、いわゆるTRU廃棄物というのは、基本的には原子力発電所から出てくる廃棄物ではございませんで、燃料加工業者あるいは再処理事業者、そういうアルファ物質を直接扱っている原子力施設から出てくるものでございまして、基本的には原子力発電所から出てまいります低レベル廃棄物にはアルファ核種は含まれていないのが原則でございます。それはそもそも燃料被覆体の中に発電所ではアルファ核種はおさまっているわけですから、そういう意味で基本的にTRU廃棄物は出てこないということでございますが、しかし中には、例えば問題になりましたような美浜の原発のように、被覆棒が破損した、それによって中のウランあるいはプラトニウムが冷却材の中に溶け出したというようなことがあるものもございますので、そういうものにつきましては、これはチェックする場合にはそういう疑いがあるものについてはプルトニウムなりウランなりの分析をすることによってチェックをすることができるということを先般来申し上げたわけでございます。
#54
○稲村稔夫君 この間の参考人の皆さんの御意見の中にもいろいろとあって、そして今の局長のお話のように、ある程度身元あるいはヒストリーというんですか、そういうものが明らかなものについてはというふうに、私はその話はそこまではわかるんです。しかし私には、こう言っては大変企業を経営している方には申しわけありませんけれども、企業に対してのやはり不信感というのがございます。つまり、いろいろな形でのチェック機構が働いていないと、やはり経済の原則というのがあるわけでありますから、その経済の原則に従ってやはりその衝動で動かされるということは往々にして起こることなんですね。
   〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕
私自身も、例えばメッキの廃液問題であるとかそのほか幾つかの問題で随分いろいろとトラブルの中に巻き込まれた経験もございます。それだけに私はその辺のところ、今の例えばアルファ放射体が絶対に入らないようにするためのいろいろなチェック体制というものがどういうふうにできているかということ、これはどうしても確かめておきたいんですよ。そうしませんと、もうでき上がったもの、後で非破壊の方法で調べることができないというものであればあるほどその辺のところをきちっとしておかないと怖い、こういうことがあるんですが、その辺のチェックの体制はどういうふうにして考えておられますか。
#55
○政府委員(辻栄一君) 先ほどから申し上げましたように、発電所の場合に低レベル廃棄物にアルファ核種が混入するとすれば、燃料体の破壊、破損事故があったような場合しか基本的には考えられないわけでございます。ピンホールがときどき被覆管から発見されるというような事態がございますけれども、この場合におきましても溶出して
まいりますのは希ガスであるとか沃素であるとか、そういったような非常に気体性の物質が出てくるわけでございまして、アルファ核種のような大きい粒のものがピンホールを通して出てくることはないわけでございます。
 かつ、このピンホールの問題につきましては、冷却水の監視並びに毎年の定期検査の際にそういったピンホール等についての検査が行われるわけでございますから、こういうところにいよりまして、過去の原子力発電所の運転経歴あるいは検査経歴、こういったようなものによって冷却水の中にウランが入り込まないというのはまず原子力界においては定説でございまして、基本的には私どもそういったアルファ核種の測定をやらなければならないという性質のものではなかろうかと思っておるわけでございます。
 そういうことでございますので、基本的にはただいま申し上げましたようなことで、疑いのあるような、燃料破損の起こったようなところについてはそういうものについての分析資料を要求するなり何なりしてそのアルファ核種のないということを判断してまいる、これが基本で考えているところでございます。しかし、もしどうしてもそこのところのエビデンスを出せということでございますれば、今後の作業といたしましてそういった冷却水中のウランの含有率、これについての分析をやってみることは幾らでもできると思います。
#56
○稲村稔夫君 私は、重大な何かが、欠陥が起こったときというのは、それは余り心配していないんですよ。それは心配ですけれどもね。いわば企業の立場からそれを闇の内で処置をするなどということはないだろうと思うんです。ですから、その辺があからさまになるとまた役所の方も積極的に取り組むでしょう。しかし重大にならないと判断をしているそういう範囲のときが怖いんです。それで私はチェックの体制というものについて念押しを何回もしているんです。先ほどの、この間のあれでいったら、サンプリングの核種の検定をやるときに立ち会うようなこともされるということでしたけれども、これはそうするとどういう場合にされるんですか。それからもう一つ、破壊試験等もいたします、こういうお話がありましたが、その破壊試験というのはどういうときにやられますか。
#57
○政府委員(辻栄一君) これはケース・バイ・ケースに考えてまいりたいと思います。基本的には先ほど私申し上げましたようなことでございますが、例えば、余り具体的な例を申し上げてはぐあいが悪いんですが、燃料破損を起こしたような経歴のある発電所がどうしてもこの廃棄物を埋設に持っていきたいという御希望があれば、それではそのエビデンスのために非破壊検査をやるなり何なりしてそういったものの分析結果を出してチェックしなさいと、こういう話ができますよということを申し上げたわけでございます。個々具体的にケース・バイ・ケースでそういうことを判断してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
   〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕
 なお、各発電所における分析データというのは、基本的にはこれは保安規定等によりその分析を義務づけて、それに対して罰則もかけるというような形での規制を基本と考えておりますけれども、先生御指摘のような点がもし心配であるとすれば、時折立入検査をすることによってそういった核種分析がきちっと行われているかどうかということを、これは時々チェックするという意味において行うことは可能であるというふうに申し上げているわけでございます。
#58
○稲村稔夫君 私が経営者でありますならば余り良心的な経営者に多分ならないでありましょう。見つからないでうまくやればうまくやろうというふうに思いますよ。私がなれば悪い経営者だと思いますということを申し上げたんですが、いずれにしても、これは今後放射性物質というものを扱っていきますだけに大変重大な問題でありますから、私は万が一などということが起こらないようなあらゆる手だてを尽くしてもらいたい、こう思います。
 そこで、もう一つ先に進ませてもらいます、また局長のを聞いていると結構長いから。
 これは、この間ちょっと参考人にも伺いましたが、人工放射性物質、人工的につくられた放射性物質というものの人体に対する影響あるいは生物に対する影響、これはどの程度御検討になっていますか。
#59
○政府委員(中村守孝君) 環境に放出されます放射性物質の人体への影響というものにつきましては、遺伝的な影響等非常に長期間の研究を要するものもあるわけでございますが、原子力安全委員会のもとで策定いたしました環境放射能安全研究年次計画というのがございまして、この計画に基づきまして放射線医学総合研究所を中心に研究が行われております。
 この放射性物質が人体に与える影響というものは、放射線の種類とか被曝を受ける体の部位、そういったものについて、通常レムという単位ではかっておりますが、そういうレムという単位ではかった量が同じであれば影響は同じであると、ここまではそういうことなわけでございます。それで通常私ども人工放射能も自然放射能もそういう意味で差がないと申し上げておるわけでございます。
 ただ、人工性の人工放射性物質と自然の放射性物質と違う。これは自然の放射性物質相互の間でも核種が違えば違うわけでございますが、人体のある部位に、例えば骨に沈着する度合いがどうであるとか、あるいは魚に濃縮される度合いがどうであるとか、これは全部核種によって違っておりますので、そういう意味では自然の核種でも違いますと同様に人工的にできた放射能と自然放射能物質との間で差が出てくるということはあるわけでございます。ただ、それは最終的に人体が受ける影響は、レムという単位ではかったときにはレムではかったものが同じ数字であれば影響は同じであるということでございます。
 しかしながら、その人体に沈着する部位などが非常に影響しますし、食事するときは点への濃縮というのがいろいろ影響してくるわけでございますので、そういう意味でのいわゆるこの人工のもののプルトニウムとかストロンチウムとかそういった放射性核種につきましては、生物濃縮係数とかあるいは体の中の沈着部位、あるいは生物学的な専門用語で半減期といっておりますが、そういったようないろいろなデータにつきまして放射線医学総合研究所等を中心にいろんな数字が既に得られて知ります。幾つかの例を必要でございますれば申し上げますが、そういった数字が主要核種については得られておるわけでございます。
#60
○稲村稔夫君 天然の放射能と人工放射能の違いというものの一つは、天然に存在するものについては随分長い間かかっても生物はその放射能を体内に蓄積をしない、蓄積をしない生物がまた違う言い方をすれば生き残ってきた、そういう側面も持っているわけですね。物によっていろいろな違いがあるということもそれは私はわかります。しかし人工的につくり出されたものについては生物の中で濃縮をされる。それはまた生物によっても違いますね。魚のお話もありましたが、植物もありますし、いろいろそれぞれの生物の中で濃縮をされる。ですから蓄積をされたもので、外部被曝と違うわけでしょう、内部被曝が起こる場合と。その内部被曝についてはまだまだ未知なものが随分いっぱいあるんですね、現実の問題としては。首かしげておられるけれども、内部被曝それじゃもう全部わかっていると言い切れますか。
#61
○政府委員(中村守孝君) 人体に与える放射線の影響というのは、体の各部位についていろいろな研究がなされておりまして、そういう意味での先ほど申しましたようにレムという単位、これで評価をすれば人工放射能であろうと自然放射能であろうと、あるいはエックス線、レントゲンで浴びたものであろうとそれは同じであるという意味においてわかっておるということでございます。
#62
○稲村稔夫君 あなたは物理学を中心にして物を考える。そういう技術的な専門家がどうかという
こと、これは別にしまして、担当が原子力局長でいらっしゃるからそういう立場で物を考えられると思いますが、しかし生物体というものはあなたがおっしゃるようにそんなに簡単なものではないですよ。それは一つの今の目安として考えられていることの中でいろいろの判断というのがあるわけでありまして、例えば体内に蓄積されるものだって、部位はわかっておるとおっしゃるけれども、それは核種によってまた蓄積がある部分に集中的に蓄積するものもありまずし、分散的にするものもありますし、それによってまた影響はいろいろと違いがあるんですよ。ですから、生物学的にと私は申し上げたけれども、生物学的、医学的にと言ったときには、実はそっちの方の専門家が言ったらまだわからないことがいっぱいあると。現実に僕らがその本を見るときには書いてありますし、そういう方の意見も聞くんですよ。
 ですから、私がこんなことを申し上げましたのは、それはそれなりに積極的に検討しておられる、今の環境部会ですか、というところでやっておられるということですが、その研究というのはどの程度のところまで研究が進んでいるんだろうか、私なりに伺って判断できるそういうものをお聞かせいただきたい、そう思って質問をしているわけなんですから。
#63
○政府委員(辻栄一君) 私も放射線生物学の専門家ではございませんので、先生の御指摘に的確にお答えできるほどの放射線医学の知識は持ち合わせてはおりませんが、安全規制の観点から少し私どもの考えを御説明させていただきたいと思います。
 先生御指摘のように、また先ほど原子力局長が答弁しましたように、人工放射能の問題については、基本的には人工放射能も自然放射能も人体に対する影響としては変わりはないということは、これは一つの定説であろうと思います。放射線の影響の研究というのはもう過去百年以上の歴史を有しておりまして、有害物質の中での研究では相当進んでいる分野であろうというふうに私は認識しております。と同時に、先生御指摘のようにまだわからない部分がいっぱいあるということもまた事実であろうかと思っております。だからこそ放射線医学総合研究所におきまして、例えばプルトニウムの低線量被曝の問題については、数十億の実験棟をつくりましてこれからその実験的な研究をやるとか、いろいろな面での研究を進めてきておるわけでございまして、全体の趨勢といたしましてはやはり低線量被曝による将来の遺伝に対する影響というところに研究の主力が向いてきているというふうに考えておるところでございます。
 それで、私ども安全規制をやる場合の放射線の取り扱いでございますが、基本的にはそういった面の最新の科学技術的知見をベースといたしまして、国際放射線防護委員会、ICRPでございますね、あそこに世界の権威の方が集まっていろいろな基準を出している。その考え方は、これまでわかってきたことをベースとして、そして実は放射線の影響に閾値があるかどうかというのが一つ大きな問題であるわけでございますが、その点については、仮説として閾値はない、閾値はないということで安全規制をやっていった方がいいんじゃないかということでそういう仮定に基づいた勧告の数字を出しているわけでございます。私どもこのICRPの数字をベースといたしまして今後やっていきたい。
 それと同時に、もう一つ人工放射能の面に関して申し上げますれば、ICRPは、そういった低線量被曝問題についての最終的なソリューションというのはまだこれからの問題であるからということで、自然放射線はこれは避けようがないから、人工放射線についてはできるだけ低くしようということでそこの基準の中にALARAの精神というのを持ち込んだわけでございまして、人工放射線については合理的に実行可能な限りこの低減について努力しろ、こういうのが出ている。その線に沿いまして、私ども例えば安全規制をやっていく際に、ICRPの定めた許容線量、一般公衆に対する許容線量基準は五百ミリレムであるにもかかわらず、原子力発電所から発生するところの放射性物質に対する安全規制としては一応線量目標値として年間五ミリレムというような非常に、基準値が百分の一という管理目標値を設定して施設面でできるだけ人工放射能を抑えていこう、こういう方式をとっているわけでございまして、そういった方面の努力は今後とも続けてまいるという考え方でございます。
#64
○稲村稔夫君 聞いていることと食い違っているんです、いろいろと。私は、第一の前提は完全無欠ということはない、だから、万が一ということがあってはならないけれども、その万が一ということがあったときにいろいろな心配があります。そういう中で特に今生物学的にということを申し上げましたのは、そういうものの研究がどういう研究が今されているんだろう、そういう研究の中でどういうことが問題になっているんだろう、その問題意識というものをいろいろと検討してみなければならぬのじゃないか、そう思うからなんですね。
 そして今の、話としては単純な話に分解してお答えをいただいているけれども、例えば濃縮というのは二重、三重に起こるという可能性はないんだろうか。例えば植物が汚染をしておりまして、その植物の体内で濃縮をされて、それをまた家畜が食べます。家畜の体内でまた濃縮をされます。ケースによっては中にはそういうものもなかったわけではないという話も聞いたことがありますけれども、そういったいろいろな要素が加わってとんでもないことになるということがあるものですから、それで今の生物学的な研究についての言ってみればそれぞれのレベル、水準といいましょうか、そういったものについてのことを私は聞きたかったんです。その点はもう時間がなくなりましたから次へ進ませていただきます。
 次に返還廃棄物、イギリス、フランスに再処理でもって出しております。その再処理をされたものの後、廃棄物として戻ってくるわけでありますが、これについては過日いろいろと菅野委員との間で特にキャニスターの安全等について議論がありました。この点については私も若干疑問がございます。短い時間しかありませんけれども、なお伺いたいというふうに思っております。
 このキャニスターはステンレス製ということで、どんな仕様であるかということを伺いましたが、いろいろと企業秘密にかかわる部分もあるんだそうでありますが、しかしお示しいただいたこうなるであろうと言われるものの中でも例えばステンレス製キャニスターというものについて若干不明な点がありますので伺いたいと思います。
 第一は、材質は何でありましょうか。厚みはどのくらいでありましょうか。材質というふうに伺いましたのに柏崎原発で伺ったときのようなお答えでは困るんでありまして、ちゃんと大体どういうステンレスを使っているというふうに材質を言っていただきたいと思います。
#65
○政府委員(中村守孝君) 現在、返還廃棄物のどういう形で返すかという仕様につきましては当事者同士でいろいろ話し合っているところでございますが、私どもが承知している範囲で申し上げますと、キャニスターの材料といたしましては、耐食性のすぐれているクロム及びニッケルの含有量の多いステンレス鋼で、我が国のJISの規格で申しますとSUSの三〇九S、そういうものに相当するものが採用されるのではないかと見られております。その厚さは五ミリ程度というぐあいに聞いております。
#66
○稲村稔夫君 わかりました。それではSUSの三〇九、SUS三〇四よりはちょっとニッケル等が多いということでありますが、私が今まで聞いていた情報ではSUS三〇四ぐらいのものだというふうにも聞いていましたから、その辺ちょっと食い違いがあるようですが、それはいずれにしましても、SUS三〇九というステンレス、これも塩害には大変弱いですね、御存じないですか。
#67
○政府委員(中村守孝君) 先生、SUSの三〇四という数字をちょっと今お話しになりましたが、
我が国の動燃事業団で現在ガラス固化体のキャニスターとして考えておりますのが、炭素含有量の極めて少ない耐食性にすぐれているステンレス鋼ということでSUS三〇四Lというものを採用するということでやっております。先ほどの返還廃棄物に使われますJISのSUS三〇九S、これも耐食性の点につきましては、クロムとかニッケルの含有量の多いものでございまして、耐食性の高いものというぐあいに聞いております。
#68
○稲村稔夫君 クロムは言わなくていいんですよ、あなたクロムを言ったけれども。ニッケルの含有量が高いものが耐腐食性が強くなってきますので、普通一八−八ステンレスなんて言うでしょう。それは一八がクロムで八がニッケルなんですよ。そういう形の中で、クロムは同じであっても、ニッケルの度が、含有量が高くなれば耐腐食性も強くなりますということなんですがね。
 ただ、問題は海の水ですね。海水等についての腐食の問題については、まだステンレスは長時間耐えられるというものには技術的にはなっていません。ですから私は、この間の論争では溶接部のピンホールの問題でいろいろと議論になりましたけれども、キャスクの中に入っているから安心とかなんとかということだけでは通らないので、もし万が一事故などということがあったときは、これは海水の中に放出される部分が出てくる可能性がありまして、そうなると大変その辺は今度は海の汚染ということが長い時間の中では心配をされます。議論をしていることは、お断りしておきますけれども、短時間の間のことだけを私は申し上げているのじゃありませんからね。非常に長い時間かかっての、我々の子孫の代にまで至ることで心配をして申し上げているわけでありますから、その辺のところも十分に仕様等については考えてチェックしていただきたい。
 輸送等についてもやはり万が一のことがあってはなりませんということで、その点についても十分に考えていただかなければ大変なことになるということを、これはもう私は意見として申し上げておきます。
 もう時間がなくなってまいりましたから最後に伺いたいのでありますが、これは大臣からお答えいただきたいと思います。
 この法律によって今度は六ケ所村に電事連の計画に基づいて廃棄物の貯蔵、再処理というそういうものができるわけでありますけれども、それから幌延でも今動燃との関係で地元住民との間でいろいろあります。それから六ケ所村も、きのうの参考人の皆さんでもはっきりと意見がいろいろと対立している、十分納得いくような説明もされていないという片側では受け取りがあります。
 こういうあり方というのは私は民主主義の観点から言っても非常に問題だと思う。直接国が介入するという形のものでないにしましても、いろいろとやはり行政もこれの関係動かしていくわけでありますし、一つは、科技庁としてどの程度合までの経過を知っておられたのだろう、きのう出た話などをどの程度承知しておられたのだろう、そしてまた、住民が納得しない中であえてやらなきゃならぬなどということが起こらないようにぜひしてもらわなきゃならぬと思うのですけれども、その辺について科技庁長官としてどうお考えになっておりますか。
#69
○国務大臣(河野洋平君) 核燃料サイクルの確立が我が国の原子力開発利用にとって重要だ、こういう我々は基本的な立場、認識に立っておるわけでございます。そうした観点に立ちますと、青森県六ケ所村に核燃料サイクル施設の建設をしようというそういう計画が進んでいるということに対しまして我々は重大な関心を持っているわけでございますが、この建設計画が今先生御指摘のように地元の理解と協力のもとに進められるということが何よりも基本だというふうに考えております。私どもも、今申しましたように、この地元の理解とか協力というものが基礎にあるということが大事だと考えておりますから、青森県を初めとして関係者の方々の御意見、あるいはこの問題に対するさまざまな御発言などを注意深く聞いてきたつもりでございます。
 青森県は電事連の立地申し入れを受けとめてまず専門家による安全性に関する検討に入った、この検討作業の中で県内のいろいろな方々の意見を十分聞かれたというふうに私どもは聞いております。当然六ケ所村を中心として周辺の方々の意見も繰り返し聞いておられる、そして、そうした方々の御希望やらあるいは御意見、そういうものを踏まえて手続を踏んだ上で立地受け入れの判断をされたものというふうに私どもは伺っているわけでございます。
 もちろん、電事連を初めとする六ケ所村に施設をつくろうとしている二社は施設の安全性その他地元の方々にできるだけ直接的に説明をして理解を得る、そういう作業をしてこられたというふうに伺っておりますが、私自身も実は四月に現地へ参りましていろいろ説明も伺いました。その際に事業者の方々に対して、地元の一部にはまだ納得をしておられない方もおられるやに聞いておるから、こうした人たちに対する対応は十分丁寧に理解を求める作業をこれから先も続けてほしいということを申し上げてきたところでございます。事業者の方々も、当然これから先も仕事の内容あるいは安全性について理解を得るべく、説明の機会があれば説明を申し上げていくというふうに言っておられました。
 国におきましても、施設の安全性等についてパンフレットの作成、配布、あるいはテレビによる広報など広報活動を行ってきたわけでございますが、六十年二月には青森県内において説明会を開催するなど、国として安全確保を具体的にどう図っていくかについて地元の方々の御理解を深めるための努力もしてきたわけでございます。今後ともいろいろな機会を通じて地元の方々の理解を深めていくための努力を続けていかなければなりませんし、さらに、これはもう全く当然のことながら、安全審査の段階できちっとした厳正な安全性の確認ということをやっていきたいと考えております。
 本日の先生の御質問の中でもいろいろ御注意をいただきました。そうした先生の御注意などを真剣に受けとめて厳しいチェック体制を我々はとっていきたいというふうに考えているところでございます。
#70
○稲村稔夫君 時間がなくなりましたから私は一言だけ申し上げておきたいと思うのですが、それは少数であるか多数であるかということは別にいたしまして、そこに住んでいる人たちのやはり傘とかかわって考えておられる問題ということなんでありますから、そこはやはりどんなことがあっても納得がいくような話し合いというものを続けていただきたい。それがないからいろいろな疑心暗鬼も生まれています。実は私のところにきょう原爆の図で有名な丸木位里さんの奥さんの方、俊さんがお見えになりました。私のところへ布に書いたものを置いていかれました。それは「ソ連の原発事故で世界中が心配している。日本の国会では低レベルの死の灰なら地中に埋めてもよいという法案を衆議院で多数決通過した。なんということか。子どもが危い。水が危い。ガンが。鳥たちがすべての生類が危い。」、こういうふうに言っておられます。やはり放射能の問題というのはわずかのことでもゆるがせにすることができない問題だということを改めて私は強調して、時間が来ましたから終わりたいと思います。
#71
○佐藤昭夫君 十四日の委員会以来三回にわたって質疑をしてまいりましたが、その中で指摘をした重要な問題についてもう一回確かめておきたいと思います。
 まず、最近の「エネルギーフォーラム」五月号の対談において元原子力委員の島村さんが、今政府が進めている核燃料再処理政策に対して事業の民営化や巨大化などについて重要な疑問を呈しておられるというこの問題を取り上げまして、また大方の賛同を得られたとされている島村私案なるものの提出を求めたのでありますが、当局として調べてみるということでしたが、結果はどうですか。
#72
○政府委員(中村守孝君) 先生から資料の御提出がございましたが、その際もお答え申し上げましたように、この資料は原子力委員会としての公式な検討という形での資料として提出されたものではございませんで、島村先生が個人的に若干の関係者にお配りして御意見をもらったという性格のものでございます。そういうことでございますので、私どもから出す、出さないというわけにもまいりませんので、島村先生に、こういう佐藤先生からの御要求があるのですがいかがいたしましょうかということで御相談申し上げましたところ、これは自分の私的なものでもあるし、審議過程においてなにしたものでもあるので自分としては国会にお出しするような性格のものではない。大体自分の言いたいことはフォーラムの中に書いてあるからそれでよろしいのではないか、こういうお話でございました。
 状況はそういうことで、資料御提出ということはできなかったという次第でございます。
#73
○佐藤昭夫君 プライベートなペーパーだからちょっと遠慮したい、まことにその点は残念でありますけれども。しかし後段言われておりましたように、フォーラムの誌上で言われておることは、大筋そういうことをしゃべったということでありますので、これは原子力委員会の内部においても重要な点で異論が出ておったということの証明だろうと思うのです。
 そこで、大臣に確認をしたいんでありますが、そういういろいろ議論があったという経過をひとつ大臣としてもよく念頭に置いて、今後の核燃料の再処理や処理処分問題については本当に慎重に慎重を期す、こういう立場で今後の方針を決めていくということでやってもらいたい。そこの基本的見解を大臣にお聞きします。
#74
○国務大臣(河野洋平君) 原子力委員会でさまざまな意見が出ることは決して悪いごとではないと私は思います。むしろ意見が出なくなったらこれは私流に言わせれば少し不安があるわけでございまして、さまざまな角度からさまざまな御意見が出てくることは悪いことではないというふうに思います。要は、そうした御意見が最終的に一つに集約されて合意を見て政策が決まっていくということが望ましい姿であろうと思います。佐藤先生御指摘のとおり、いろいろな意見が出れば原子力委員会の委員の方々はそれぞれの分野で極めて高い見識を持った方々が出席をしておられるわけでございますから、さまざまな御意見、十分真剣に受けとめていかなければならないし、また今までもそうしてきているというふうに考えております。
#75
○佐藤昭夫君 大臣、一遍ちょっと「エネルギーフォーラム」よく読んでいただきたいんです。経過で意見があったけれども、最終的に今の政府の施策で意見は一致したんですというふうには書いてないんです。どうも今もなお御異論があるやに受け取られるような、そういう対談なんですよ。ですから、本当に慎重に慎重を期して、今後の方向が誤りなきように大臣としてぜひやってもらいたい。
 次に、今後の原子力行政の重要な判断の基礎として、現状の原子力諸施設は果たして安全かという問題であります。五月六日の衆議院の科学技術委員会で我が党の山原議員、翌日の七日の当委員会で私からも、現状でも事故が頻発しているという内容のアメリカのグレン上院議員による八五年度のアメリカ会計検査院報告、また、マーキー下院議員によるNRC報告、これを取り上げまして、ぜひ政府として至急に入手し、国会に報告するよう要求をして、政府としてひとつ入手方努力してみたいということでした。以来二週間近くたちましたけれども、報告は手に入りましたか。
#76
○政府委員(辻栄一君) 山原先生御質問のその日の晩にワシントンの方に連絡を入れて、調べるように言ってあるわけでございますが、実は、この両報告ともそれぞれのところでまだ作文が終わってない、したがいまして報告するに至ってないということでございまして、これは報告書がパブリッシュされ次第入手してお届けいたしたいと思います。
#77
○佐藤昭夫君 その晩から手を打ったけれども、まだ正式の報告書ができてないので入手できてない。確かに報告書の全文詳細、これはもう少し時間がかかるということかしれませんけれども、その要旨ぐらいは簡単に手に入るんですよ。ここに私持っておるんです。その最初のグレン議員が新聞記事に発表したという、ここにかなり詳細に出ていますけれども、大体ポイントは。というので、科学技術庁としてアメリカに駐在の諸君もおるはずだから、本当に国会で指摘をしたことをまじめにひとつやっていこうというなら私はすぐ手に入るはずだというふうに思うんですが。ともかく大臣、本当に原子力行政に誤りのない判断をするために、やはり私は、この二つというのは非常に重要な資料じゃないかということで、ぜひ至急に入手して国会に報告してもらいたい。もう会期末で、国会終わったら後は知らぬ、こういう態度をとられないように、ちゃんとひとつ誠実に入手して報告していただく、委員のところへ届けてもらうということでやってもらいたいと思うのですけれども、大臣。
#78
○政府委員(辻栄一君) 御趣旨のとおり取り計らいます。
#79
○佐藤昭夫君 ところで、今回の法案で核廃棄物の処分に当たって一番の肝心な問題、すなわち放射能濃度の基準が政令にゆだねられているというこのことについて、国民の命と健康に重大な不安をもたらすとして批判が集中をしておるわけであります。核廃棄物の処分に当たっての放射能濃度基準、これは世界各国でいろいろの取り組みをやっておりますが、国際的に科学的にこれで間違いない、そういう基準がはっきり確立されるには至っていない。
 そこで尋ねますが、今日まで廃棄物処分によるトラブル、環境汚染として全世界でどういう例が出ていますか、簡単に述べてください。
#80
○政府委員(辻栄一君) これまで外国の処分場におきまする事故例といたしましては数件の事例が報告されておりますが、いずれの場合につきましても周辺住民への影響はないと聞いております。
 まず第一に、アメリカのケンタッキー州マキシーフラットの低レベル廃棄物処分場におきまして、一九七二年、表層土壌、排水路等でコバルト、ストロンチウム等の放射性核種が検出された事例が報告されております。また、アメリカのニューヨーク州ウェストバレー処分場で一九七五年におきまして、サイト内の水サンプルからトリチウムが検出された事例が報告されております。これらの処分場は、日本で計画しているのとは異なりまして、素掘りトレンチ方式ということで、いわゆる土にただ溝を掘っただけというものでございまして、雨水の排水に対する考慮が不足していることによるトレンチ内の水位上昇が原因であるというふうに聞いております。
 このほか、フランスのラマンシュの廃棄物貯蔵所においても、処分されました廃棄物に起因するごく微量のトリチウムの検出が報告されております。
 放射性核種の漏えいに関係しない事例といたしましては、イギリスのドリッグの処分場におきまして、不法に処分されました金属ナトリウムによる火災等が報告されているということでございます。
#81
○佐藤昭夫君 今の報告で冒頭言われたように、環境への汚染や人体への被害、そういう例はないということでありますが、これ去年出版されたものですが、岩波新書で「ヒバクシャ・イン・USA」、こういうのがあります。もちろん、ネバダの核実験場の風下地域でがんの患者が多発をしているという問題にとどまらず、非常に無造作に核廃棄物が捨てられて、例えばキャノンズバーグ、こんなところで住民への健康被害が出ているといういろいろの詳しい報告であります。この間、一昨日のTBSのテレビでも深夜やっておったというこの問題でありますけれども、政府としてはこうした核廃棄物による本当に人体被害例が出ていないかということで調べたことがありますか。よ
そから来る報告書のうのみじゃなしに、日本政府として何か調べたことがありますか。
#82
○政府委員(辻栄一君) 調べる程度はやはり外国の情報しかございませんのですが、私どもの調べた範囲でわかっております点は以上のところでございます。ただし、私ども軍事用の廃棄物処分場におきます事例については調べておりませんので承知しておりません。
#83
○佐藤昭夫君 軍事用の原子炉の処分場、ここが危険なんですね一番。それだけにとどまらず、さっき安全局長から御説明があったような廃棄物処分場の若干の事故例、これを見ましても、アメリカの処分場は今二つでしょう。三つのうち二つ事故を起こしているのですよ。イギリス、一つのうち一つ事故起こしているのですよ。フランス、一つのうち一つ事故を起こしている。一つのうち一つといったら一〇〇%の事故率。ですから、こう見たら本当に日本の場合も果たして、おまけにこういう形で民間事業体に廃棄物処理事業を任じていくという場合に一体安全かという不安が起こるのは当然なこと。いや、国としてきちっと規制基準をつくって監督やりますと、だから大丈夫だと言ったって、そんなこと言えば民間企業の公害たれ流しなんてことは起こるはずがない。ところが現に起こってきたということは、幾ら国がきちっと基準つくって監督やりますといってもそのとおりにはならぬということの不安がそこから出てくるのは当然でしょう。こういった点で、私はもっと政府として廃棄物の処理処分、このことによって、軍用も含めてですよ、どういうことが今地球上で起こっているかということについて真剣によく調べてもらいたいと思うんです。そのことを本当によく判断の基礎に置いてこれからの我が国の施策を決めていくということで考えてもらわなくちゃいかぬ。
 時間がありませんので問題を進めますが、もう一つの大きな問題は、子々孫々にまでも及ぶ重大事について、関係する住民や自治体の意向を民主的に反映する制度がなく、検討もされていないという問題であります。
 実は、アメリカの一九八二年放射性廃棄物政策法というものがあります。この法律の中では、高レベルの最終処分場建設について、関係する州またはインディアン部族は議会に対して拒否の通告ができる。この拒否は議会の上下両院で多数決により、九十日以内に覆されない限り有効である、こういうふうに定めているわけであります。こうした州及びインディアン部族、いわゆる住民のこの拒否権は最終処分場建設の場合だけじゃなく、ほぼ同様の規定が暫定貯蔵施設の場合も定められる。監視つき回収可能貯蔵施設MRS、これは幌延の貯蔵施設に対応するものじゃないかとも思われるのでありますが、それはさておいても、の場合についても、議会が承認したMRSの開発には施設拒否の通知も含めて処分場計画について定められている州及び部族との協議及び協力と同じ手続が必要である、こう書いているわけであります。
 こういう点からすれば、日本の場合も今六ケ所村あるいは幌延、いろいろ大きな不安が巻き起こっているそういう地域があるわけですけれども、関係自治体の意向、または住民の意向、こういうものが民主的に反映される法令上の制度、手続規定、こういうものが早急に検討され、つくり上げられるべきじゃないかというふうに私は思うのでありますけれども、長官の御見解どうでしょうか。
#84
○国務大臣(河野洋平君) 今、先生の御指摘になりました一九八二年放射性廃棄物政策法、この法律については御指摘のとおり、ちょっと長くなりますけれども、高レベル放射性廃棄物及び使用済み燃料の処分場のサイトを大統領が連邦議会に推薦した場合、エネルギー庁長官は当該サイトのある州の知事または議会、場合によってはインディアン部族の執行部に対してこのような決定を通知しなければならない。当該サイトのある州の知事または議会、場合によってはインディアン部族の執行部は、通知後六十日以内に立地不承認の通知を連邦議会に対して行うことができる、こう書いてあるわけでございます。
 そこで、その場合当該サイトは不承認となるが、連邦議会が不承認通知書を受理した日から最初の連邦議会の連続会期の九十日以内に立地承認決議が上下両院の過半数により可決された場合にはこの限りではない。先ほど先生はそうでない場合には拒否される、こうおっしゃいましたけれども、それは裏返して言えば九十日以内に上下両院の過半数によって可決されればそれは拒否できない、こういうことになるわけでございます。確かに住民の拒否権といいますか、住民が納得しなければそこにはできないぞということを法律によって一部そういうことを書いているわけです。最終的には上下両院の多数決、過半数、こういうことになるわけでございます。
 一方、我が国におきます原子力施設の立地につきましては、これはもうかねてから衆参両院委員会等で私ども申し上げておりますように、立地に当たっては地元の理解と協力がなければ進めませんということを私どもは申し上げてきたところでございまして、法律に書いて九十日以内に過半数が賛成すればやってしまうよという法律をつくっておくことと、周辺の人たちの理解と協力をベースに進めますよという考え方で進むことといずれがいいかと、こういう判断の問題ではないかというふうに思うわけです。
 いずれがいいかということをここで議論しても仕方がないわけでございますが、いずれにしても、繰り返し申し上げることになって恐縮でございますが、地元の理解と協力なしにはこうした仕事は進められないし成功しないだろうというふうに私は実は思っているわけでございます。したがいまして、立地に当たってはぜひとも地元の方々の理解を得る最大限の努力をするということで、行政はそう考えて関係者を指導してきておるわけでございまして、先生御指摘のとおり地元の意向を無視するな、こういう御主張でございますが、私どもも地元の意向を無視するということのないように十分慎重に事を進めたい、こう考えておるわけでございます。
#85
○委員長(馬場富君) 佐藤君、時間が来ておりますから。
#86
○佐藤昭夫君 もう最後ですが、行政上の配慮事項として地元の意見というものは尊重してまいりますというこのことと、法律の上に拒否権を明定をするというこの問題とはやはり本質的な違いがあるということで、何もこのアメリカのとおりにやるということが、これがベストだというふうに私は言っているわけじゃない。法律上にそういう州並びに住民の拒否権を明定しておるというここが重要だということを、これは大臣よく注目をしてもらいたい。
 そこで、最後にもう一つですが、原子力諸施設の今のようなそういう安全を確保するための住民や自治体の発言権、これを確立をしていくためにも、その判断の基礎として原子力行政に関するすべての資料や情報が公開をされなくちゃならぬ。この点で実はこの間、先週の十六日の当委員会で参考人を呼んでいろいろお聞きをした。与党の御推薦で来られた原子力研究所の宮永理事も私の質問に答えて、アメリカなどに比べて日本での原子力行政に関する資料や情報の公開は大変おくれているというふうにお答えになった。またお答えにならざるを得ない日本の実情だと思うんですよ。こういう点から考えて、長官、あなたの仕事の大きな一つとして、原子力情報公開のためにぜひひとつ、大臣いつまでかというようなことは言いません。あなたの仕事の大事な一つとして全力をひとつ原子力情報公開制のためにやってもらいたいということであります。
#87
○国務大臣(河野洋平君) 前段御指摘になりました問題は、アメリカと日本の国情の違い、つまり法律で何でもかんでも書いて問題を進めていくという国情もありましょうし、十分に話し合いで進めていくというやり方もございますので、その点、私どもは日本の従来の経緯あるいは民族性、そういったものを十分考えながら慎重に進める、
こう申し上げる以外にないと思います。
 後段につきましては、情報の公開については、恐らく私思いますのに、結果についてすべて公開はされているものと、こう考えます。また、先ほど来いろいろ御議論がございましたけれども、原子力発電所等につきましては非常に詳細な、ささいなといいますか、細かい事項についてももうできるだけ公表をしていくようにという指導をかねてからしてきているところでございまして、そうした点も含めて先生今御指摘の情報の公開については十分研究をしてまいりたい。どの時点で公表していくことがいいのかという問題はいろいろ研究をする余地があろうかと思いますので、十分研究をさせていただきたいと思います。
#88
○佐藤昭夫君 終わります。
#89
○委員長(馬場富君) 以上で核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#91
○委員長(馬場富君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま後藤正夫君が委員を辞任され、その補欠として石井道子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#92
○委員長(馬場富君) それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#93
○稲村稔夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいままで審議されてまいりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行うものであります。
 以下、本法案に反対する主な理由について申し述べます。
 その第一は、本改正案において専門の廃棄業者が扱うこととされている放射性廃棄物の安全規制について、具体的内容については政令、府令にゆだねられ、かつ、中でも一番重要な、いかなるレベルの廃棄物であるかを判断すべき基準値が明らかにされないまま本改正案が提案されているということであります。例えば、低レベル放射性固体廃棄物については国際原子力機関の基準にはない濃度上限値なる我が国独自の基準を設けながら、その具体的な数値については八月ごろの原子力安全委員会の結論待ちだというのであります。また、フランス、イギリスに委託された使用済み核燃料の再処理によるガラス固化された高レベル放射性廃棄物たる返還廃棄物についても、その具体的な仕様等の詳細については不明なのであります。さらに、この仕様書などについては企業秘密のベールに包まれており、その安全性について政府以外の第三者には確かめるべくもないのであります。しかも、その最終的な仕様書はこの秋か年末ころに来るというのであります。なぜこれらの基準値や仕様が明らかになってからの法改正という手順を踏まなかったのでありますか。法改正だけを急いだ理由が何としてもわかりません。
 その第二は、放射性廃棄物の安全について政府がどこまで真剣に考えているのか疑問だということであります。甚だ残念なことに、この点については審議を通じて疑問が解消するどころか私には逆にますます強まってしまったのであります。例えば濃度上限値なるものの考え方についてであります。何年かたてば無拘束限界値になるとして埋設処理をするというのでは、国際原子力機関の規制免除濃度とは一体何のための基準なのでありましょうか。十年だては、二十年たてばと都合のよいように基準値を拡大緩和できる可能性に道を開くということにはなりませんか。さらに、高レベル放射性廃棄物の処理処分の技術についてはまだ未完成の技術だと言えるにもかかわらず、一地方に集中し、しかも大量に管理するということはまさに無暴な計画だと言われてもいたし方ありますまい。
 その第三は、発生者責任の問題であります。原子力損害賠償責任が廃棄事業者にあるとされ、核廃棄物の発生者である電力会社の責任が明文化されていないという点であります。なるほど本改正案の審議の中では発生者の責任を免除するものではない旨の答弁がされておりますが、原燃サービス、原燃産業という廃棄業者はいずれも株式の大方を九電力会社が持っているのでありますから、電力会社の意向には逆らえない会社であり、かつ事故などの責任の方は第一義的に負わされているわけであります。万が一のときに電力会社の盾にされるのではないかとはだれでもが容易に想像できることではありませんか。発生者責任をなぜ明記しなかったのか、この点も納得いかない点であります。
 第四は、国による指導監督がうたわれておりますが、その指導監督の内容についてであります。例えば低レベル放射性廃棄物の中にアルファ放射体が混入されることが絶対にないという保証はどのようにしてやりますか。電力会社が濃縮廃液などを固化する前に行うサンプリングによる核種などの検定結果をそのまま信ずる以外にないというのでは余りにも無責任過ぎませんか。一たん固化されてしまったら非破壊による検出測定の方法がないだけに、チェックを必ず固化前に厳重に行うなどの国の体制が必要ではありませんか。
 五番目は、万が一放射性物質が環境に漏れた場合の生物学的、医学的な面からの影響についての検討が極めて不十分だということであります。もちろん放射性物質の環境への漏れなどがあってはならないものでありますが、しかし人間のなせるわざには時として思わざる結果をもたらすことがあるのであります。絶対にないという前提を立てることは科学技術の過信だということが言えませんか。チェルノブイリ原発事故、TMI原発事故、チャレンジャーの事故、日航機事故その他の重大事故がこのことに警鐘を鳴らしているではありませんか。
 以上のほか、溶接等の民間委託、立地に当たっての関係住民とのコミュニケーション問題に対する指導の姿勢など、一たん誤ったら回復することができない重大な結果を招きかねない核廃棄物の処理であるにもかかわらず、本改正案はその配慮を欠いていると断ぜざるを得ません。本改正案の撤回を求め、反対討論を終わります。
#94
○志村哲良君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について賛成の討論を行います。
 原子力の研究開発に乗り出してから約三十年が経過し、既に原子力はエネルギー資源に乏しい我が国の重要なエネルギー源の一つとしてなくてはならないものとなっております。このような原子力の研究、開発、利用の進展状況に対応し、今日これらの原子力活動に伴って生ずる放射性廃棄物の処理処分を適切かつ確実に行っていくことが重要な課題であります。このため、現在青森県におきまして、各原子力施設に保管されている低レベル放射性廃棄物を集中的に処分する計画や、海外に委託した使用済み燃料の再処理に伴って生ずる放射性廃棄物を受け入れ貯蔵する計画が具体化してきているところであります。これらの事業が適切かつ確実に実施されるためには、放射性廃棄物の処理処分の事業に係る安全確保の責任をより明確にして、国の厳格な規制のもとに行われることが不可欠であります。
 我々は、今回の法改正によって放射性廃棄物の廃棄の事業が創設され、放射性廃棄物の処理処分に対し万全の安全規制が行われるとともに、廃棄事業者が廃棄の事業に係る原子力損害賠償責任を負うこととすることが適切であると考えるものであります。
 次に、原子力施設の検査体制等の充実の点であります。
 安全の確保を大前提としつつ原子力利用を推進していくためには、原子力施設に対して十分な検査等を実施していくことが不可欠であります。これらの検査等については今後急増していくことが
予想されますので、このうち基準が明確で手法も確立しているものについては国の厳格な指導、監督のもとに中立公正な機関の活用を図っていくことが適時に厳格かつ入念な検査等を実施していくために必要なことであると考えます。
 この法律改正により、国による厳格な検査等と知識経験を有する専門家を結集した指定機関による検査等が相まって万全の体制が整備できるものと期待するものであります。
 以上をもって本案に対する賛成討論を終わります。
#95
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、原子炉等規制法の一部改正案に反対の討論をいたします。
 スリーマイル島原発事故のわずか七年後に発生したチェルノブイリ原発事故は、改めて原発推進政策の再検討を迫っています。本改正案の中心的内容である放射性廃棄物の管理処分方策についても、こうした原子力開発利用政策全般にわたる抜本的見直しの中で慎重に検討されるべきものであり、本改正案は廃案とし、なお慎重に再検討すべき問題点が多々あります。
 すなわち反対理由の第一は、本改正案が放射性廃棄物の安全規制の根幹にかかわる事項についての科学的検討を不問に付したまま、法的枠組みづくりだけを先行させようとしている点であります。原子力の安全方策を図るに当たって、科学的、技術的検討が前提となるべきは当然であります。しかるに本法案は、放射性廃棄物の処理処分の安全性に直接かかわる重要事項、すなわち放射性廃棄物として扱う必要のない放射能レベルを意味する無拘束限界値や埋設廃棄可能濃度上限値などが政令にゆだねられているばかりか、その中身も今後の検討に基づき決めるものとして案さえ示されていません。これでは近い将来に予定される原発の廃炉措置に伴う膨大な廃棄物も含め、たまる一方の放射性廃棄物の処理処分に安易な方法と安い費用で対処しようとしている電力会社の強い圧力のもとで安易な規制基準となりかねないとの懸念が出されているのも当然であります。
 反対の第二は、放射性廃棄物の安全確保の法的責任を原子力事業者の下請とも言うべき民間廃棄事業者にゆだね、しかも発生者責任の原則を法的に明確にしていないという点であります。低レベル放射性廃棄物といえども、その安全管理を要する期間は政府の説明でさえ数百年という長期に及ぶものであります。加えて、一たび事故が発生すれば人間社会や環境に重大な否定的影響をもたらすものであることは既に幾つかの実例が示しているところであります。したがって、事業の継続性という点からも、国民の安全に万全を期すという点からも、国など公共機関が事業主体となるべきであり、技術上も経営上も不安定な一民間業者にゆだねられる性格のものでないことは明白であります。
 反対する第三の理由は、放射性廃棄物の処分・貯蔵施設の立地に関し、関係住民や自治体の意向が民主的に反映される法的制度が考えられていない点であります。アメリカの一九八二年放射性廃棄物政策法は、州政府やインディアン部族に拒否権を付与しており、原子力の積極的推進策をとっているその他の国においても手続規制がさまざまな形で設けられています。我が国においても法的手続規制を早急に確立すべきことを強く要求しておきます。
 このほか検査代行制度の問題がありますが、原子力施設の検査は国の責任で厳格に行うべきであり、溶接検査など一部といえども民間機関に代行させることは極めて安易だと言わざるを得ません。
 以上が主な反対理由であります。これらの重大な問題点を残したまま、不十分な審議で性急な結論を出すべきでないことを最後に強く主張し、私の討論を終わります。
#96
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成討論を行います。
 賛成理由の第一は、放射性廃棄物の埋設及び管理をそれぞれ一元的に行う体制をつくることは必要な措置と考えるからであります。エネルギー資源に乏しい我が国にとって石油にかわるエネルギー源として原子力の平和利用は必要なことであり、そのためには原子力利用によって生ずる放射性廃棄物の処理処分が適切かつ確実に行われ、二十一世紀以後の後代に至る安全性が保障されなければなりません。現在のように、発生者がそれぞれ処理処分をするには限界があり、総理大臣が認可した放射性廃棄物の処理処分の事業者が行うことのできる道を開き、その事業者に対する政府の責任及び事業者の責任を明らかにしていることは適当な措置と考えます。ただし、原子力委員会も指摘しているように、廃棄事業者がその事業を適切に行うことに関して放射性廃棄物の発生者が責任を持つことが原則であり、その精神に立って本法案の運用を誤らないよう政府に要望しておきます。
 賛成理由の第二は、原子炉施設等の溶接の検査の一部を国の指定する中立公正な検査機関が行えるようにすることは時代の要求にこたえたものであり、適切と考えるからであります。原子力平和利用の安全性確保のため、原子炉施設等の検査は重要であり、より高度化し、より信頼性を高めなければなりません。これらの検査をすべて政府が行うことには限界があり、本法案の趣旨は時宜を得たものであります。しかし、いかなる組織も運用するものは人であり、この機構がその使命を果たし、安全性向上に貢献するよう政府の責任ある対応を強く要望します。
 この法案の審議を終了するに当たって政府に申し上げたいことは、原子力平和利用の推進のために、科学的安全性とともに住民の合意が不可欠ということであります。民主主義社会においては、一部に反対があっても多数の賛成を得て推進する場合もあると考えますが、それに至る過程においては原子力基本法の自主、民主、公開の原則を守り、粘り強く時間をかけて説明をし、反対の立場をとる人の意見にも十分耳を傾けるべきであります。この点から考えて、本法案の提出は一方では性急過ぎるとの批判があり、また一方では後追い的であるとの意見があり、また重要な項目が政令にゆだねられるものが多い等、国民の立場から見て理解しがたい点があることもゆえなしとはしません。政府としては今後政令の決定など、この法案の運用において国民の理解と協力そして信頼を得られるよう最善の努力をされることを要望して、討論を終わります。
#97
○山田勇君 私は、民社党・国民連合を代表し、今日まで議題となってまいりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の討論を行うものであります。
 エネルギーの安定供給は、国民生活の向上、国民経済の発展に必要不可欠な問題であります。しかしながら、我が国のエネルギー供給の構造はその大宗をなす石油資源をほぼ一〇〇%海外に依存するなど極めて脆弱であります。このことは、第一次及び第二次石油危機により、大幅な経済成長の鈍化と長期不況により雇用不安など国民生活を大きく圧迫した事実で実証されております。エネルギー供給構造の脆弱さを克服し、増大するエネルギー需要の安定供給を確保することは政治に課された重要な使命であります。
 かかる見地から、我々は原子力、石炭新エネルギーなど石油にかわるエネルギー開発を急ぐべきだと主張してまいりました。中でも原子力の平和利用は代替エネルギーの中核をなすものであり、その推進なくしては今後の国民生活の向上は不可能と言っても過言ではないと考えます。既に総電力に占める原発依存度は現在二六%に達し、家庭の四軒に一軒は原子力による灯がともっているという現実を無視することはできません。これは原子力発電所が国民生活にとって不可欠なものとなっていることを示しております。
 こうした現状を踏まえて今後とも原子力開発を進めるには、これに伴う廃棄物の処理を円滑に行
わなければなりません。廃棄物は今低レベルのものが二百リットル入りドラム缶で約五十八万本、高レベルのものが百二十リットル入り容器で約二百本が全国に蓄積されております。西暦二〇〇〇年にはそれぞれ百五十五万本、また数千から一万へとふえる見通しと聞いております。したがって、原子力発電や再処理の業務から独立させて明確な班業区分と安全規制を行う本法案は、原子力発電の促進に資するものとして賛成するものであります。
 去る四月、ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で事故が発生し、死者など被害者を多く出す惨事となりました。私は原発推進の立場からこれを大いなる教訓とし、原子力発電全般に対する安全性の向上、確立に政府が今後とも全力を投入するとともに、国民の理解と賛同を得るよう、一層の努力をされるよう強く要求して賛成の討論を終わります。
#98
○委員長(馬場富君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(馬場富君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 岡部君から発言を求められておりますので、これを許します。岡部君。
#100
○岡部三郎君 私は、ただいま可決されました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、以上四会派の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、放射性廃棄物の処理処分が適切かつ確実に行われるため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一、昭和六十一年三月四日付原子力委員会決定(「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」等の一部改正について)を踏まえ、放射性廃棄物の処理処分は、原則的には発生者の責任であることを常に念頭において、本法に基づく行政処分その他本法の運用を行うこと。
 二、放射性廃棄物の発生者に対し、廃棄事業者が行う事業に要する費用の負担及び廃棄事業者への適切な支援を確実に行うよう厳重に指導すること。
 三、放射性廃棄物の運搬及び廃棄事業の実施に当たっては、特に環境を損なうことのないよう、安全の確保のため厳格な指導監督を行うとともに、国による適切なチェック体制を確立すること。
 四、埋設による最終的な処分を行うことが可能な低レベル放射性廃棄物の範囲についての政令を定めるに当たっては、国際原子力機関の見解を踏まえ、原子力委員会及び原子力安全委員会の意見を守って、安全性の確保に遺漏なきを期すること。
 五、廃棄の専業に関する安全規制を実施する上で重要な各種基準を、速やかに整備すること。
 六、廃棄事業所の立地に当たっては、住民の意見及び生活環境への波及効果等に最大の考慮を払いつつ、地元の理解と協力を得るよう廃棄事業者を指導すること。
 七、高レベル放射性廃棄物の安全な処理処分に関する調査研究を強力に推進すること。
 右決議する。
 以上でございます。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#101
○委員長(馬場富君) ただいま岡部君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#102
○委員長(馬場富君) 多数と認めます。よって、岡部君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、河野科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河野科学技術庁長官。
#103
○国務大臣(河野洋平君) ただいまの附帯決議に対しましては、その附帯決議に盛られました御趣旨を十分尊重し、政府といたしまして万遺漏のないよう意を用いてまいりたいと思います。
#104
○委員長(馬場富君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(馬場富君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#106
○委員長(馬場富君) これより請願の審査を行います。
 第二七四九号研究交流促進法の制定反対に関する請願外五件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#108
○委員長(馬場富君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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