くにさくロゴ
1985/03/28 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 環境特別委員会 第3号
姉妹サイト
 
1985/03/28 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 環境特別委員会 第3号

#1
第104回国会 環境特別委員会 第3号
昭和六十一年三月二十八日(金曜日)
   午後一時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢田部 理君
    理 事
                山東 昭子君
                吉川  博君
                菅野 久光君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                上田  稔君
                星  長治君
                矢野俊比古君
                寺田 熊雄君
                安恒 良一君
                高桑 栄松君
                近藤 忠孝君
                青木  茂君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  森  美秀君
   政府委員
       公害等調整委員
       会事務局長    菊池 貞二君
       環軍政務次官   小杉  隆君
       環境庁長官官房
       長        古賀 章介君
       環境庁長官官房
       会計課長     山下 正秀君
       環境庁企画調整
       局長       岡崎  洋君
       環境庁企画庁政
       局環境保健部長  目黒 克己君
       環境庁自然保護
       局長       加藤 陸美君
       環境庁大気保全
       局長       林部  弘君
       環境庁水質保全
       局長       谷野  陽君
       運輸省地域交通
       局次長      松村 義弘君
   説明員
       警察庁交通局交
       通規制課長    中野 公義君
       総務庁行政管理
       局企画調整課長  八木 俊道君
       農林水産省構造
       改善局建設部長  平井 公雄君
       通商産業省機械
       情報産業局自動
       車課長      黒田 直樹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (公害対策及び環境保全の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(矢田部理君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策及び環境保全の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○山東昭子君 最近の新聞報道によれば、臨時行政改革推進審議会において特殊法人問題の審議が行われ、公害防止事業団については廃止も含めて検討されているとのことであります。本日はこのような状況も踏まえ、この問題につき環境庁の基本的な見解をお聞きしたいと思います。
 公害防止事業団は昭和四十年に創立されて以来、これまで公害防止に対する助成の専門機関として重要な役割を果たしてきたと考えますし、事業者のこの事業団に寄せる期待も大きなものがあると聞いております。私はこのような事業者からの強い要望、また今日の複雑多様化する環境問題の状況を考えますと、公害防止事業団の役割は今後一層重要になると思うわけでありますが、行革審においてどのような審議がなされているか、まず事務当局より御説明を願いたいと思います。
#4
○政府委員(岡崎洋君) 経緯を御報告いたしますと、さきの臨時行政調査会、これは五十八年の三月に答申を出されておりますけれども、その後を受けました臨時行政改革推進審議会で引き続き行政改革問題が検討されておりますけれども、このうち特殊法人問題につきましては小委員会が設けられておりまして、昨年の十月より二十近くの特殊法人を対象といたしまして、そのあり方の審議がなされているところでございます。
 公害防止事業団も昨年の暮れに取り上げられまして、その一つとして御検討をいただいておりまして、私どももその小委員会に対しまして、事業団の意義でございますとか現状等につきまして、求めに応じましていろいろヒアリングを受けておるというところでございます。現在、審議はまだ引き続いて行われているというのが現段階でございまして、事業団についてどのような取りまとめが行われるかということは今後のことというふうに承知をいたしております。しかし、いずれにいたしましても、私どもといたしましては環境行政工事業団の果たす役割は大変大きいものと考えておりますので、その点十分御理解をいただけるようヒアリング等においてはいろいろ理解を求めるべく努めているところでございます。
#5
○山東昭子君 既に昭和五十八年三月の臨時行政調査会最終答申において、公害防止事業団の今後の方向についての指摘がなされているわけですが、その内容はどうなっておりましょうか。
#6
○政府委員(岡崎洋君) 五十八年三月の答申におきまして事業団について指摘をいただいております大要を申し上げますと、「公害防止事業団については、公害防止対策に関する地方公共団体等との役割分担の実態を勘案し、建設譲渡業務について、国家的見地からみて緊急性が高くかつ大規模な事業を重点的に行う等業務内。客の転換を図る。」、また、「融資業務についても、これらの業務に関連するもの及び公害対策基本法に基づく公害防止計画等を推進するために特に必要なものに限定する。」というようなところが大要でございます。
#7
○山東昭子君 この答申を踏まえまして具体的にどのような対応を行っておられるのか、その辺のところを御説明いただきたいと思います。
#8
○政府委員(岡崎洋君) この答申をいただきましてから、私どもそれの対応といたしまして、大筋二つの側面でいろいろ答申に沿った対応をしてまいっておるというふうに考えております。
 一つは、事業団の日々の業務についてでございますけれども、御指摘をいただきましたように、建設譲渡業務につきましても融資業務につきましても御指摘に沿えますように、例えば建設譲渡事業につきましては、新たな最近の重要な政策課題でございます交通公害問題でございますとか、あるいは快適環境の確保増進というような新しい環境問題につきましても、現行法の範囲内でできるだけ対応できるようにというようなところで、拾い上げるプロジェクト等につきましてもそういう箇所に重点を置いて仕事を進めていく、そういうように進めるようにという指導に努めております。例えば、昭和五十九年度には新たに富山空港周辺の航空機騒音防止という観点からの緩衝緑地ということに取り組んでいるような次第でございます。
 また、融資業務につきましては、例えば湖沼対策等毎年私どもが重要と思われる事項に力を入れて融資業務をするようにということを年々の指導方針として事業団に通知をいたしておるところでございますし、また地方自治体との役割分担と申しますか、そのあり方につきましても地方自治体が行える程度の規模のものであればそれは自治体にお願いする。事業団はできるだけ重点的に行うという趣旨から、融資の内容につきまして、融資規模も原則として三千円よりも少ないようなものは、もうこれは自治体お任せということでいいだろうということで、行政的に線を引きまして、役割分担を明確にして資金の効率的な配分を図るというようなことをいたしております。
 以上が日常の業務に関しまする対応でございますけれども、もう一つ基本的に答申を踏まえまして、ひとつ私ども内部で事業団の今後のあり方について抜本的に見直して、時代の要請にふさわしい形にするにはどうすればいいがということについて勉強会をいたしましょうということで、五十九年の十月から内部に検討会を設けて勉強を進めてまいっております。この懇談会は現在、基本的な考え方につきまして議論が一巡をほぼした段階でございまして、ひとつ今後それを取りまとめてみようということで、今取りまとめ作業に入っておるところでございます。
 基本的な考え方といたしましては、産業公害につきましては従来は排煙その他大気汚染中心にかなり力を入れておったわけでございますけれども、今後予想される産業公害といたしましては、例えば産業廃棄物問題あるいは化学物質対策問題というのが今後予想されることであろうということで、そういうものへの対応ということを考えるべきではないかということでございますし、さらに最近意識として持っております都市生活型公害あるいは交通公害といったようなものについても対応できるよう制度の変更も含めまして少し積極的な形を考えるというふうなことで進んでいるところでございます。
 失礼いたしました。先ほど地方との分担で三千円と申しましたのは、三千万円でございます。
#9
○山東昭子君 それでは、ここで大臣より、一部に報道されている廃止論を含めまして、今後の公害防止事業団のあり方についての基本的な御見解をお伺いしたいと思います。
#10
○国務大臣(森美秀君) 先ほどから山東先生のお話を聞いておりますと、まことに私ども環境行政をつかさどっておる者にとりましてありがたいお話で、感謝を申し上げる次第でございます。
 まず第一に、結論から申し上げまして、どうしてもこの事業団はつぶすなどということは私ども毛頭考えておりません。今までこの事業団の果たした役割、車の両輪の規制と助成、その一方を担う環境行政上の大変重要な役柄であることは御承知のとおりでございます。今後とも融資事業と建設譲渡事業、この二本を柱としながら積極的な活動をしていってもらわなければならない、こう考えているわけでございます。と同時に、私といたしますと、今まで例えば硫黄酸化物だけであればよかったものが窒素酸化物ができてきたり、あるいは地上の水だけを考えていればよかったものが地下水に浸透していったりというように、環境行政というものが私はより深刻になってきておると思う。しかしながら、あの四十六年の環境庁ができたころと大分空気が違っていて、人によっては、環境庁どこにあるのなんて子供に言われるような環境行政であってはならないと私は考えておりますので、この事業団についてもより積極的な姿で前進をさせていきたいと、こう考えております。
#11
○山東昭子君 張り切っておられる森新大臣の力強いお話をいただきまして、事業団の仕事を支持する者の一人として大変一安心いたしました。今後は時代のニーズに的確に対応できる充実した事業内容が進められることを多くの人たちとともに期待いたしまして、私の質問を終わります。
#12
○寺田熊雄君 森長官の所信をお伺いいたしましていろいろと考えさせられたのであります。歴代の長官の所信をずっと一べつしてみますと、やはりそれぞれの時代の要請というものを反映しているようにも思えますし、かつ長官の世界観的なものが必ずしもそこににじみ出ていないとは言い切れない面があるように思うのであります。例えば四十七年に大石長官、初代長官が所信を表明されたときには、自然環境の保護というのが第一の抱負として挙げられておったようであります。ところが、このかけがえのない自然の保護という人類的な欲求というようなものが、歴代の長官によって次第次第に後回しにされてきておる状況も見受けられないではないのであります。それから、長官によりましては、いわゆる環境アセスメント法案をぜひ推進したい、法制化が喫緊の要務であるというようなことを強く御主張になった長官もいらっしゃる。その反面、その点は非常にぼかしてしまうというような長官もいらっしゃるわけであります。
 私はまず、最近ゴルバチョフなども地球共同体というような表現を用いて自然の保護の重要性を訴えておるようであります。長官は、この自然の保護というものについてどのような抱負を持っていらっしゃいますか。これはやはりそうした点について長官としての使命感をお持ちでないと、ただ任期をずっと過ごしてしまうことに終わってしまいかねないようでありますから、その点をお伺いしたいのと、もう一つは、歴代の長官によって見えつ隠れつしておった環境アセスメント法案に対するあなたの御熱意といいますか、その点はいかがか、その二点についてまずお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(森美秀君) 多少言葉が多くなりますが、お許しいただきたいと思います。
 実は六、七年前に私、社会党の亡くなった三宅先生のお供をしてブラジルへ行きまして、そのときにアマゾンに入りました。至るところ乱伐をされておりまして、それを見て三宅先生ともども、一体これでいいのかな、世の中こんなになっていいのかなという、そのときの思いが私はずっとしておりました。昨年十二月二十八日に私が辞令をもらったときに真っ先にきたのはそれでございます。やはり環境というものは自分の国だけで、この狭い国だけで守っていけるものかどうか、やはり大変な相関的な関係があるんだと、そういうことを一つ考えなきゃならない。と同時にいわゆる環境アセスメントというものについては、すべてが終わってから環境アセスメントがあるのではなくて、環境アセスメントというものは前になければならない。したがいまして、私ども今、私、千葉県人でございますので、東京湾横断道という問題に取り組まなきゃならない。しかし、東京湾横断道に取り組む以上、私はこれはすべてもう何もかも設計が全部できたところで事を処するのではなくて、本当の意味で、精神的な意味を含めて、事務的な意味はもちろんのこと精神的な意味を含めて、事前にやはり確たるものを持っていなきゃならないのだということをつくづく痛感しながら大臣をやらしていただいておりますので、どうぞ何かいろいろございましたら御注意願いたいと思います。
#14
○寺田熊雄君 今、アマゾンの熱帯林の問題が出ましたが、これは当委員会におきましても国際的な規模の自然の保護、これは高桑委員がたしか一度御質問されたように会議録からうかがうのでありますが、今、長官はいみじくもブラジルの熱帯林のことをお触れになった。これは非常に大切なことで、長官の抱負に敬意を表しますが、例えば南フランスなどへ行きますと、何百万という老若男女が夏のバカンスを海岸で楽しんでおりますね。その海水浴ができる海岸線なんというものは、私の自動車で走った経験によりますと、百何十キロにも及ぶわけです。日本の場合は、これは亡くなられた美濃部委員が御質問になっていますが、愛媛の織田ヶ浜の問題、あれなどは一・一キロの海岸が瀬戸内海では最も長いというようなことで、それをしも今は削ろうとしておる。ですからやはりもう少し、今、長官はブラジルのことをおっしゃいましたが、日本の国内においても、かけがえ
のない自然を保護するという点で、もうちょっとやっぱり環境庁は力点を置いていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#15
○国務大臣(森美秀君) おっしゃるとおりでございまして、環境というものは人間の生存の基盤でございますので、私どもできるだけの努力をしてやっていきたいと思っております。
#16
○寺田熊雄君 多少がみ合わない点もあるのですが、余りこの問題を長くやっていてもいけませんので、次に移りたいと思います。
 このたび環境庁の大気保全局から、大気汚染健康影響調査報告書というかなり分厚い報告書が出されました。これは、一読いたしまして大変科学的な検討、批判にたえるエナジェティックな調査報告であると思いまして、非常に環境行政の最近におけるヒットじゃないかというふうに考えておるのです。こういう極めて有意義な調査報告が出てまいりました。
 殊に、NO2の気管支系疾患に対する影響というものを余り各方面に気兼ねすることなく率直に肯定しておられる点は珍しい報告書であると思うのでありますが、これは今、公健法の第二条一項にある第一種地域の指定解除の基準を見直すという、そういう使命から中公審保健部会が開かれておりますけれども、従来はどっちかといいますと、SO2に重点を置いて健康に対する影響を調査しておったように思うので、今度はNO2が非常に大きな影響力を持つということでありますので、この調査報告書も十分その中公審の保健部会あるいはその部会内の専門委員会で討議の対象とすべきであると考えるのですが、その点いかがでしょうか。
#17
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のように、現在、中公審の環境保健部会にございます医学を中心といたしました専門委員会の中で、この御指摘の大気汚染の健康影響調査、これを現在資料も出しておりまして、そこで御審議をいただいているところでございます。また、今現在も検討を続けていただいておるところでございます。
#18
○寺田熊雄君 次に、この公健法第二条一項の第一種地域の指定解除の条件、基準の見直しというそのことは、この法律を目のかたきにしている財界、あるいはその財界の応援団とも見られる通産省、そういうものの圧力に屈してはいけない。やはりあくまでも環境庁は公害被害者の保護という使命に徹して、いささかも財界やその応援団と見られがちな通産省の圧力をはねのけて、科学的な結論というものを尊重していかなければいけないと考えるのでありますが、これはどうでしょうか。
#19
○政府委員(目黒克己君) 公害健康被害補償法の第一種地域のあり方につきましては、費用の負担者、それから被害者団体を初め生いたしまして各方面からさまざまな御意見が寄せられているところでございます。環境庁といたしましては、この問題は何よりもまず科学的かつ合理的な判断に立たなければいけないというふうに考えているわけでございます。現在、中央公害対策審議会で諮問をして御検討をいただいておりますけれども、この御検討をいただいているものの内容を待ちまして、中公審の御答申を待って適切に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#20
○寺田熊雄君 今御答弁がありましたように、あくまでも科学的に公正な結論が得られるようにあなた方も御努力をお願いしたいと思います。
 今、部長がこの報告書、大気汚染健康影響調査報告書、これはもう中公審の方に提出して検討を仰いでおるというお話でありましたが、この一編の趣旨は、結局NO2が気管支系の疾患を負うておる被害者、その疾病に極めて大きな影響があるのだという点を率直に肯定された点にあると思うのです。したがって、第一種地域指定の地域指定並びに解除の基準を策定するに当たりましては、当然NO2であるとか浮遊粉じんであるとか、そういうものの存在をSO2にも増して尊重して決定すべきであると考えるのですが、それはいかがでしょうか。
#21
○政府委員(目黒克己君) この問題につきましては現在、先ほど来申し上げておりますように、この専門委員会等で御審議をいただいているところでございます。この専門委員会におきましては、大気汚染とそれから健康影響などの評価ということで全般的な御審議をいただいているところでございまして、この答申が出ました後に私どもは対処してまいる予定でございますけれども、この先生の御指摘の点等につきましては極めて具体的かつ専門的な問題でもございますし、この辺につきましては中央公害対策審議会の環境保健部会で、あるいはまたこの専門委員会等で御意見が出されるであろうというふうに考えているところでございます。
#22
○寺田熊雄君 なお、私どもに対して公害被害者の方々からいろいろな御注文なり御要望があるのでありますが、その中に新しいこういう資料の検討の必要も生まれたことでもあるし、この問題は、もしも行政の領域で余りにも非科学的なようなことがかりそめにも生じた場合には、問題はまた司法の分野に持ち出されて、司法の分野の是正措置を求めるというようなことにもなりかねないわけで、それは決して行政当局の名誉になることでもありませんし、いやが上にも慎重に検討を進められて、科学的かつ中正な結論を得ていただくにしくものはないと考えるわけであります。そういう意味で、この被害者の方々が今憂えておることが、これは杞憂に終われば幸いでありますけれども、環境庁の方がともすれば中公審の方に圧力といいますか要望といいますか、そういうものを加えて審議を急がせる、速やかな答申をせき立てるというようなことがあってはいけない、そういうことを心配しておるようでありますが、これはいかがですか。
#23
○政府委員(目黒克己君) まず、この専門委員会のことでございますけれども、五十八年の十一月に諮問を環境庁がして以来、私どもとしては速やかな御報告をいただきたいというふうなことで、専門委員会につきましてはこの御報告を待っておるところでございます。今、ただいままでに、二年四カ月の間にこの医学の専門委員会は四十一回の審議をいたしているところでございます。したがいまして、この医学の専門委員会の審議等につきましても、私どもは専門委員会の御判断を尊重しているところでございます。
 また、御指摘の中央公害対策審議会の環境保健部会の諮問につきましても、これにつきましてもやはり私どもは審議会の部会の方でいろいろ御意見があろうと、このように考えておるところでございます。したがいまして、私どもの方といたしましては、やはり中公審の御意見を尊重する、こういうことでございます。
#24
○寺田熊雄君 あなたが中公審の自主性を尊重していくとおっしゃる意味は、決してあなた方の方から結論をせっつくとかせかすというようなことはないというふうに伺っていいんでしょうか。
#25
○政府委員(目黒克己君) 私どもはあくまでも中央公害対策審議会の御意見を尊重してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#26
○寺田熊雄君 余りくどく言うと嫌がられるから、余りくどくは言わないけれども、私がお尋ねしたのは、あなたとしては、なるべく早期の答申を希望することはもちろんだけれども、強くあるいは不当に結論の提出を急がせることはない、そういうふうに伺ってよろしいかということでお伺いしたんです。
#27
○委員長(矢田部理君) 的確に答えてください、問題をそらさないで。
#28
○国務大臣(森美秀君) 私も全く委員と同じ気持ちで、この三カ月間いろいろな角度からいろいろ質問をお役人にしておるわけでございますが、全く今、目黒部長が言ったとおりの感じで、つい最近になりまして、報告には間違いがないんだという気持ちでおりますので、御了承いただきたいと思います。
#29
○政府委員(目黒克己君) 私どもといたしましても、そのような御指摘のようなことがないように考えておるところでございます。
#30
○寺田熊雄君 大臣と部長の御誠意を信頼申し上げて、この問題はこれだけにとどめておきます。
 それから、これはもういかなる公害被害者の認定に当たりましても出てくる問題でありますが、その当該の疾病が、問題となっている公害源によるものか、両者の因果関係を判定するのは、あなた方が御任命になる認定審査会の決定にまつほかはないのでありますが、問題はその委員の選定ですけれども、これはかつてイタイイタイ病の認定の際にも出てまいりました。患者あるいは学者の間からも、委員の選定がともすれば官庁寄りに偏っておるぞというような批判があったわけであります。今回、後で御質問いたしますけれども、水俣病に関する熊本地裁の判決、そういうものを読んでおりましても、やはり知事に対する不信、行政に対する厳しい批判だけじゃなくして、認定審査会に対しても裁判所は必ずしも釈然としないものを持っておるということが判決からうかがえるわけであります。
 したがって、その委員の任命というのは、これはあくまでも所管の官庁から見て好もしい人物だけに限定するということは、かえって結果を過つおそれがあるのであります。ときにはやはり官庁から見てこれはどうも被害者サイドに立つのではないだろうかと思われる専門家でありましても、その道の権威者であればこれを認定医の中に加えるだけの度量がやっぱりなければいかぬと私は考えるのであります。今回、この中公審の問題でも、やはり被害者の方から見まして委員の選定に必ずしも満足していない。そこで、できればそういう委員の任命に当たっては被害者団体の意見をしんしゃくしてはどうか、あるいは意見を聞いたらどうかとさえ思われるのでありますが、これはいかがでしょう。
#31
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の環境保健部会の委員のことでございますけれども、これにつきましては、いずれも公害の対策にかかわります学識経験者から選任しているものでございます。また、大気汚染によります健康被害につきましてのこれに関する研究者とかあるいは患者の認定などに従事しているお医者さん、医師も入っているわけでございます。したがいまして、このようなことから考えまして、患者の実態も十分踏まえて審議が行われるものと考えているわけでございまして、私どもの方といたしましては、現在の部会の構成については適切なものというふうに考えているわけでございます。一また、患者さんの御意見を聞くということにつきましても、過去においても審議会としてそのようなことがあったというふうに聞いておるわけでございますし、今後も必要に応じて審議会の御意向に沿って十分患者さんの御意見が反映されるようになろうかというふうに考えているところでございます。
#32
○寺田熊雄君 それから、先ほどお話をしましたように、今回、熊本、鹿児島両県知事を相手に起こしました水俣病認定棄却処分取り消し訴訟、これの判決が熊本地裁で昨日あったようであります。この判決は、もう何か環境庁におかれては既に入手されておると。これはファクスか何かで熊本の県庁から送らしたのだろうと思いますが、そうしますと、裁判所の判断についてある程度のお考えはお持ちになることができるわけでありますが、この裁判所の判断を見てみますと、水俣病というのは、必ずしも中枢性神経系統の疾患だけに限るべきではないんだと。「血管、臓器その他の組織等にも作用してその機能を弱体劣化させ、これに起因して人体各所に病変を発生させ或いは既発生の病変を重篤化する可能性のあることを否定しえない中毒性疾患である。」、この両県知事の主張が「狭さに失し、」かつ「疫学的因果関係を軽視若しくは無視して、」おると、一辺の趣旨はそういうような判決であるようであります。
 私も、環境庁の皆様の御意見をいろいろ玩味しておりますと、ともすれば疫学的な因果関係というものよりも、何かそれに医学的な見地というものを対比させて、そして疫学的な結果というものを軽んずるというか、それを薄めるというか、その範囲をできるだけ狭めていこう、そういう意図がおありになるのではないだろうかというような懸念を感ずるのであります。できるだけ企業の負担を少なくしよう、あるいは国家の財政的な見地から補償を要求する人々の人数をできるだけ少なくしよう、そういう意図をかりそめにも持って被害者を狭めていく、そのために医学的な見地を強調していくということは結局、司法の分野の判断によって是正されてしまう、また国民の納得も得られないというふうに考えるのでありまして、これはやっぱり大所高所から大臣の御判断を仰いだ方がいいのじゃないかと思うんですけれども、そうしたことのないように希望して御質問をするわけですが、いかがでしょう。
#33
○国務大臣(森美秀君) 昨日の結果でございますが、水俣病の病像について、従来より県知事の方で主張しておったものが全く入れられてないというような見地から、極めてこのことは私どもにとりまして遺憾なことだと考えております。私どもは遺憾だと考えております。
#34
○政府委員(目黒克己君) 先ほどの先生のお話の中にございました病像云々のことでございますが、私どもの方の基本的な水俣病に対する考え方につきましては、医学を基礎といたしまして救済すべきは救済する、こういう考え方に立ってきているわけでございます。
 したがいまして、御指摘の病像の問題等につきましても、これは昨年の十月に医学の専門家によります意見が出まして、それを基本として行っているところでございまして、私どもとしては、やはり医学を基礎とした考え方でまいるというふうに考えているとしろでございます。
#35
○寺田熊雄君 しかし、医学で疫学的な因果関係を否定し切れるものじゃないと思いますがね。それは結局、疫学的な因果関係を、それは水俣病ではないんだという、水俣病の定義を掲げて、そしてそれを医学による結論であるということによってこの因果関係のある被害者を切り捨てるというだけの作用しか営まないんじゃないでしょうかね。どうでしょう。
#36
○政府委員(目黒克己君) やはり水俣病というものにつきましては特異的な疾患、つまり一定の原因で起こった疾患ということでございまして、これが患者であるかどうかということ、つまり医学的な面から見ての判断というものが基礎になるという考え方を私どもいたしておるところでございます。
#37
○寺田熊雄君 これは大臣は事務当局の結論をそのまま今お述べになったように見受けるのでありますけれども、これは一つには、そうした企業の営利本位の経済活動によって生じた被害者をいかにして救済するかという人道的な配慮がやはり基本になければいけないので、何とかそれを他の考慮から局限しようというような動機で結論をお出しになるということは、環境行政の面からは適切じゃないように思いますがね。大臣、いかがでしょう。
#38
○国務大臣(森美秀君) おっしゃっていることがわからないでもないのでございますが、やはり医学というものを何といっても基礎にしたい、こう考えておりますので、医学的な見地からいっての結論が出たところで私どもは判断していきたい。やはりこういうことがございますから、気持ちだけではやっていけないということは御了承をいただきたいと思います。
#39
○寺田熊雄君 それでは今すぐにその結論の変更を私が求めてもちょっと無理だと思うので、またこれは将来お尋ねすることにして、きょうはこれだけにとどめておきます。
 次に、農林省の方、来ていらっしゃいますか。
 この間、私どもこの環境委員会で中海の干拓事業というものを現地に臨んで考える機会を持ったのでありますけれども、最近、この中海干拓事業による淡水化によって水質の汚濁は生じないとする従来の調査結果に対して、両県の委嘱した別個の専門家のこれに対する批判的な、結論としては反対の意見が出たようであります。
 私どもは、部長もよく御存じのことと思います
けれども、岡山県の児島湖、これなども藤田地区のかんがい、米作に対する農業用水の確保というようなメリットがあることは否定していないわけですけれども、しかし何分にもあの広大な淡水湖の汚濁ですか、これの甚だしさには県民、市民を問わず、皆閉口しておるわけです。中海の干拓も同じような結果が生ずるといたしますと、これはもうよほど考えていただかないと、メリットに倍するようなデメリットが生ずるということになりますと、なぜそのようなことに巨額な財政投資をしなければならないのかという疑問が生ずるわけで、新たな公害が発生するということでありますので、これはよほど慎重に考えていただかなきゃいかぬとまず考えるんですが、あなたとしてはどういうふうにお考えになりますか。
#40
○説明員(平井公雄君) 先生御指摘のように、二月の末に県の方が委託いたしました助言者グループの報告というのを出された。我々もその内容は承知いたしておりますが、一方、五十九年に農林省の方から専門家のグループに従来依頼しております宍道湖・中海淡水湖化に伴う水管理及び生態変化に関する研究委員会、こういうのにずっとこの問題についての研究をお願いしておるわけでございます。せんだって、五十九年に中間報告という形で報告が出されたわけでございまして、その中間報告の結論は、総合的に判断すれば、淡水湖化は湖の現況程度の水質をほぼ維持しながら進めていくことが可能であろうと、こういう報告をいただきまして、五十九年の八月に、この水質問題についての地元の関心の高さ、環境保全の重要性を我々も十分認識しておりますので、両県に対して淡水湖化の試行についてということで、この中間報告に基づいた両県の知事の御意見を伺うということで協議をいたしておるわけでございます。その我々の協議に対して両県の知事さんが、やはりこれは専門家グループに検討していただいたらいいということで、例の助言者グループの。検討と、こういうことになったわけです。
 二月の末に出されました報告によりますと、我我の方の出した中間報告、かなりそれに対する批判的な見方もされております。我々といたしましては、この淡水湖化の試行については、あくまで両県知事の御意見を伺った上で、地元住民の不安も取り除きながら進めていきたいと、こういうことで考えておりますので、ただ二月に出された助言者グループの結論は、専門的な事項が、非常に難しい問題がございます。したがいまして、我々としては、この助言者グループの結論を我々の方で従来お願いしてきた研究委員会の先生方に検討していただいて、その助言者グループの報告書との整合性といいますか、問題点をその研究委員会の結論として研究してもらった上で両県に再度お示しして、最終的にはやはり両県知事さんの御判断をまつという形で今後これを、今までやってきた干拓事業でございますから、我々としてはできるだけ計画どおりに進めたいとは思っておりますが、今申し上げましたような地元の意向がございますし、環境保全の重要性もございますので、両県知事の御返答を待って今後慎重に進めてまいりたいと考えております。
#41
○寺田熊雄君 今、部長のおっしゃったような、非常に穏健といいますか、よくお考えになった態度で貫かれるならばこれは大変結構だと思うのですけれども、この際特にお伺いしたいのは、もっと高度な政策的判断といいますか、そういうものがなかったんだろうか。というのは、これを淡水化するそもそもの目的は、宍道湖の西南岸の方にある斐伊地区というんですか……
#42
○説明員(平井公雄君) 斐伊川。斐川町です。
#43
○寺田熊雄君 斐川町ですか。あの地帯に対する農業用水の確保というようなことがかなり大きな動機になっているようですね。そればかりじゃなく、中海の方の右岸にもあるいは海寄りの方にもやはり農業地帯を造成されておる。いろんなそういう主として農業の面に対する配慮が大きいようでありますけれども、御承知のように、我々がサンフランシスコですか、あんなところに行ってみますと、ずっと遠く三百マイルも離れた渓谷から水道用水を引いておるというようなことに出っくわしますね。ですから、この農業用水を確保するためなら、それだけにやはりあれを淡水化するために要する財政投資と大体同じような額の財政投資をして農業用水を確保する方法はなかったのだろうかと。それをやれば公害を発生せずしてあなた方の所期の目的は達成し得たのではなかろうかというような考え方もできると思うんですよ。何分にも児島湖の汚れ方、それからこれは建設省の方で担当なさったんだが、霞ケ浦の汚れ方ね。我我学生時代にボートをこいでいきますと、魚がボートの中へ飛び込んでくる、あの霞ヶ浦なんというのは実に美しい自然の中にあった。それがもう非常に今は汚れて、見る影もありませんね。そういう公害を醸すようなことがない財政投資というものがあり得るのじゃないかと考えるんですが、それはどうなんでしょう。
#44
○説明員(平井公雄君) おっしゃるように農地の用水、農業用水の確保ということでこの淡水化計画が立てられたわけでございます。当時やはり地元の方からは中海の干拓による農地造成、これとあわせて周辺の既耕地、約七千九百ヘクタールぐらいあるわけですが、そこの水手当てとあわせて要望があったわけでございます。計画を立てる段階で干拓地の用水は当然新規に求めなければならないわけでございます。既耕地の用水についても、ある地区については、例えばあそこの弓ヶ浜半島の米川土地改良区というのがございます。この辺についても、米川という水源は持っているんですが、非常に水量的に不安定であると。干拓地の用水をどこに求めるかということと周辺の用水をどういうように考えていくかということを総合的に考えまして、計画を立てた当時におきましては、やはり干拓地をつくって、周辺の農地に一番近いところで経済的に水が得られるというのがこの中海、宍道湖を一体的に淡水湖化する計画であると、種々の案が検討されております。
 例えば大橋川の入口で宍道湖だけを淡水湖化したらどうかとか、あるいは大橋川の下流に潜りぜきのようなものをつくったらどうかとかいろんなことを検討した結果、地域の立地条件、それから工事の経済性、水利用の利便性、今先生おっしゃいましたが、ないところでは遠いところからでも水を運んでくることを計画するわけでございますが、目の前にそういう淡水湖化することによって水源が確保できる、こういう条件もございまして、計画当時から関係方面といろいろ協議した結果、淡水湖化して、それで用水を確保することが最も適当である、こういう判断で事業をスタートしたものでございます。昭和三十八年でございますが、そういう計画で出発したものでございます。
#45
○寺田熊雄君 児島湾淡水湖化などはヘドロの除去に五カ年で一千百億程度の金をこれから必要とするようですが、そういうような新たな公害除去のための財政投資を余儀なくされるということになりますと、これは国民経済的な見地からもよほど考えていかなきゃいかぬというふうな考えを持ったわけであります。まあ部長、きょうはこれだけにしておきまして、よくお考えいただくと。
 もうあと時間がありませんので、通告いたしました質問、大分残ってしまったんですが、最後に、石垣島のサンゴ礁の保存につきましては、これはかってこちらでも美濃部議員でしたか、質問をして議論になったようでありますね。これは何か世界的なサンゴ礁のようでありますが、これを空港の建設のために犠牲にしようという、そういう今もくろみが進行しておるようでありますが、これは環境庁サイ下からやはりこれについては、私の方は何とかこれを食いとめる御提言があってしかるべきじゃないかと考えておるのですが、これは大臣、ひとつ慎重に検討をしていただくわけにはいかぬですか。
#46
○国務大臣(森美秀君) 局長に答えさせます。
#47
○政府委員(加藤陸美君) ただいまお話のございました石垣島の関係のことでございますが、石垣島全体がサンゴに包まれた島でございまして、今お話のございました石垣空港の予定地とされてお
りますところは、おっしゃいましたとおり、やはりサンゴ礁の発達した海域でございます。もっとも石垣島並びに西表島にかけましては、自然公園法、国立公園関係の指定地域がほかにございまして、この地域はそういう保護指定は受けておりません。しておりませんが、サンゴ礁の発達した海域であることは確かでございます。この海域を埋め立てて空港を建設するということにつきましてはいろいろな御議論がございます。これは沖縄県などからも詳しい状況報告なども受けておりますし、また新聞紙上その他でさまざまな論議を承知いたしております。
#48
○委員長(矢田部理君) 端的に答えてください。
#49
○政府委員(加藤陸美君) ただ、この計画の実施に当たりまして、環境庁とのかかわり合いでございますけれども、これは先生先刻御承知と存じますが、公有水面埋立法関係の手続がございまして、主務官庁は御承知のとおり建設省でございます。
#50
○寺田熊雄君 そういうことはわかっているんです。あなたがどうなさるかということです。
#51
○政府委員(加藤陸美君) その際に建設大臣から環境庁への協議と申しますか、そういう段階があるわけでございまして、適切な環境アセスメントを添えまして申請がされる場合には出てくるわけでございますが、この辺のものを踏まえまして環境庁としても慎重な御意見を申し上げる段階があるわけでございますが、まずは、現段階におきましては、県当局におきましてサンゴ礁の問題も含めまして十分な調査検討及び地元調整を慎重になさっていただきたいと考えておるわけでございます。
#52
○寺田熊雄君 終わります。
#53
○安恒良一君 私もまず水俣病についてちょっとお伺いをしたいんですが、昨日の熊本地裁の判決の中身はもうおわかりだと思います。水俣病の認定制度の認定基準を厳しく批判していますね。それから昨年の八月十六日の熊本地裁の判決も同じであります。ですから、私はもう司法の判断としては、水俣病の認定制度のもとでの認定基準の誤りを正すべきだ、こうする点が既に司法としては定着したと思うのです。これだけ判決が次から次に出ています。
 そこで、私は大臣にひとつ勇断を求めたいと思うんですが、私は実は公害問題ではスモン病を手がけてきました。全国の患者からミスタースモンとあだ名されているんですが、スモンは既に九九%解決している。これは当時橋本厚生大臣が非常な勇断を振るわれて、疑わしきは救済をするということを確認をし合ったんです。これは与野党で確認した。それから急激にばあっと進んで、今日もう九九%解決している。ところが、水俣はもう発見されて三十年になっているんですね。にもかかわらずに、裁判で次から次に負けながら依然として、私は医学的ということについて、今も答弁聞いていましたが、医学的ということを否定するものでありません。しかし司法が、その医学的な問題で水俣の認定制度の、いわゆる判断の条件の見直しを含む現行の認定制度の抜本改善を司法が迫っているわけですから、私はやっぱり同じ自民党の大臣で橋本さんはスモンの問題を見事に解決された。
 ですから、長官、あなたもここらで認定制度の抜本的改善、こういうことについてどうされようとしているんですか。医学的なことをしている、同じ医学的でも、やろうと思ってやるんです。そのとき一番重要なことは、疑わしきは救済をするということ。私はそこを忘れておると水俣病はうまくいかぬと思いますが、その点について大臣のお考えをお聞きしたいんです。
#54
○国務大臣(森美秀君) 安恒先生のおっしゃること、個人的にはよくわかります。しかしながら、令ともかく裁判進行中でございます。そういったことを含めまして、態度を鮮明にする時期もいずれはあろうかと考えております。
#55
○安恒良一君 裁判も、みんなみんな、あれもこれも負けてしまって態度を鮮明にするんだったら、それは能力ある大臣とは言わないんですよ。能力ある大臣というのは、ある程度将来の見通しを持たなければならぬ。その限りで言うと、既に司法の判断は水俣病の認定制度のもとでの認定基準の誤りを正しなさいと、こういうのが定着しておるんですから、私はここらで大臣に、やはりこれについてもう一遍抜本的に見直しをしてみるというお考えはないのですかと聞いているんです。やっぱり抜本的見直しを大臣お命じにならなきゃだめなんですよ。官僚にやらしておったら、やはり今までのことにこだわって一つも進まないんです。寺田先生も言われたように、人道的問題をやるときには、やはり政治家というものが高い角度から判断をして、この際もう一遍素直に、何回も裁判所から指摘されたことを洗い直すという謙虚さが私は政治にあっていいと思うんですが、その点どうですか、大臣。
#56
○国務大臣(森美秀君) 私の本腹を申し上げますと、もしこれが国と争っているのでしたら、やはりあるときに決心しなきゃならないということを認識しております。しかしこれは県とのことでございますので、やはり今までの方針どおりやっていきたいと考えております。
#57
○安恒良一君 県としても、国も県もやっぱり公な立場にあるわけですよね。私企業だけの問題じゃないんですよ、県も含まれているわけですから。しかも国と県との関係というのは非常にあるわけです、今や地方の時代と言われていますから。
 そこで、私はもうこれ以上これに時間をとるあれがありませんから、もう一遍申し上げておきますが、この際、判断の条件の見直しを含む現行の認定制度の抜本改善が今迫られているときだと。そこで、やはり大臣、県を含めてもう一遍この点についてお話し合いをしていただきたい。でなけりゃ裁判に負けて負けて、負けて負けて、そして最後にやろうとするときにはまた今から年数がたっている、これじゃ患者はたまったものじゃありません。幸いスモンという立派な経験を持っているわけですから、それを生かしながらぜひやっていただきたいということを要望しておきます。これは答弁要りません。要望しておきます。
 次に参ります。私はきょうは環境問題について、環境改善政策、特に交通公害問題を中心にいろいろお聞きをしたいと思います。
 この前大臣の所信表明を聞かしていただきました。環境改善政策の重要な柱として、環境保全長期構想というのが出されました。このポイントが何であろうか。この構想には、環境庁は積極的な姿勢を示しています。ところが、時間がありませんから予算の中身は細かく申し上げませんが、六十一年度の予算を見ますと、これは対前年度比五・四%、四年間連続マイナスになっています。これで政策の展開ができるかということを私は心配をするわけです。それから予算構成の重点課題の柱は七つとされていますが、その中で公共交通の立場からしますと、第一の柱は、安全で良好な環境の確保の中で交通公害対策、大気汚染防止対策が大きな関心事であります。しかし、この予算も対前年度比マイナス三・一パーセントであります。また、新しくこの環境保全型社会の形成の促進、これがこれまでの予見的、計画的環境政策の展開にかわって政策のテーマになっていますが、この予算も残念ながら四・九%のマイナスであります。ここでは近隣の騒音防止のためのモデルコミュニティの計画や国民の自主的な環境保全活動に関するマニュアルづくりを打ち出されていますが、こういう予算がどんどん減っている中で具体的にどう展開されようとしているんですか、お考えを聞かしてください。
#58
○国務大臣(森美秀君) 安恒先生が何かこの環境庁の立場になって叱咤激励していただいているお気持ち、大変うれしく受け取っております。しかし、ただ私は、現実に私が入ってきたときはもう既に予算組みの大綱が終わっておりまして、確かに残念ながら御指摘のとおり目減りを年々しております。しかし、私考えますのに、環境庁の行政というものはこれはもう大変大事なことだけれども、ともかく環境庁の長官以下が一心不乱になっ
て、他の諸省庁と並びながら一歩進んだような気持ちで行政に携わるということの方が大事じゃないかという意味で、この三カ月間、毎日のように叱咤激励してやっておるわけでございます。
 細かい部分の問題については局長からお答えをさせますが、まあ予算の減りましたことについてのこの我々の努力のなさもさることながら、今後私たちが展開していくだろう環境行政についてもひとつ御指導、御鞭撻をお願い申し上げたいと、こう考えております。
#59
○安恒良一君 それじゃ、まあ予算のところは大臣、私は、マイナスシーリングとかゼロシーリングというのは、財政再建のために政府の施策としておとりになることそのものを言っているわけじゃなくて、一律にやるのがやっぱり間違いじゃないか。環境のように重要なものについてもマイナス何%と決めたら、はあっと減らすということについて問題がある。これはまあ来年の予算編成もありますから大臣に頑張ってもらわにゃいかぬですね。やはり私は国家の財政再建そのものを否定しているものじゃありません。しかし、一律に減らすというからこういうことにこれはなっちゃうんですから、このことを申し上げておきます。
 そこで、今具体的なことを聞いたんですよ。近隣騒音防止のためのモデルコミュニティの計画や国民のマニュアルづくり、こういうことを打ち出していますが、具体的にはどういうことをするんですかと聞いているんですよ。具体的なことを言ってくださいよ。
#60
○政府委員(林部弘君) 今お尋ねがございました近隣騒音対策の予算関連の問題でお答えをいたします。
 近隣騒音に関しまして、近年とみに問題が社会的に大きくなってきております。その中にはいろいろなものが含まれているわけでございますが、深夜営業騒音のようなものにつきましては地域のレベルで条例の整備等によって対処されているわけでございますけれども、都市の住民の生活に伴います生活騒音的な近隣騒音につきましては、なかなかいわゆる規制という形だけでは解決ができない面が大変多うございまして、国民一人一人がやはりこの騒音の防止ということについて知識あるいは気配りを持っていただくということの普及ということが大切でございますし、また地域社会のあり方としても、そういうことが問題になりにくいような形に地域社会づくりをしていくということが重要ではないかと、そういうような考え方から今回予算を要求いたしました。
 これは一つは各種の啓発、普及活動を進めるということとあわせまして、具体的に地域を選びまして、関係地方公共団体の協力を得ながら騒音防止のための住民協定の策定のあり方とか、地元の組織づくりといったような地域社会におきます近隣騒音対策についてのいわばパイロット事業的な形のものを少し手をつけてみたい。そしてそれをモデル的に計画としてとりまとめまして、そういうようなものを普及することによって総合的な近隣騒音対策の推進に資するようにしたいというのが、この考え方でございます。
#61
○安恒良一君 時間がありませんから簡潔にひとつ答えていただきたいと思うんです、長く答えること必ずしも頭のいいこととは違いますから。
 交通公害対策が大きく取り上げられておりますから、交通公害の定義について聞かせてください。
#62
○政府委員(林部弘君) 定義でございますが、私ども環境庁が取り組んでおります交通公害の問題の中には自動車、鉄道、航空機といったような交通機関の運行に伴って生ずる騒音、振動、大気汚染がございます。それから法令の中で具体的に定義をされておりますものとしましては、道交法の中で、いわゆる道路の自動車の運行に伴っての大気汚染あるいは騒音、振動の問題が定義されているというのが現状でございます。
#63
○安恒良一君 何か抜けていやしませんか。排ガス、騒音のほかに、交通公害の定義は事故、混雑、こういうのが私は交通公害の定義の常識だと思いますが、あなたは渋滞とか事故、混雑、こういうことを一切言われませんでしたが、環境庁の言う交通公害にはこんなのは一切入ってないんですか。
#64
○政府委員(林部弘君) 私どもの取り組んできている取り組み方といたしましては、従来から典型公害と言われているような大気汚染、騒音、振動ということに着目をして取り組んできているということがございまして、定義の中にはそういう形のものが入るというふうには理解しておりません。もちろんこういうものが起こる原因としてそういうことがあるということについては理解をしているつもりでございます。
#65
○安恒良一君 私は、大臣ね、交通公害対策ということになると、今申し上げた排ガス、騒音ですね、それから渋滞、事故、混雑、こういうことをやっぱり考えておかにゃいかぬと思いますから、どうも局長は入ってないと言っていますが、これから公害を考えられるときにぜひあれをしていきたいと思います。
 そこで、私は一つお聞きをしたいんですが、こういうものが起こる背景には当然国の政策が介在する必要があると思うんです。ですから、こういうものをなくしていくための国の政策としては、環境を改善する立場における環境庁としての政策についてどのような具体的な政策をお持ちになっているのか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。きょうは環境庁だけでなくて運輸省も含めて全部来ているんだからね。
#66
○政府委員(林部弘君) 交通公害対策の基本的な考え方といたしましては、自動車の公害問題ということで申し上げますと、大きく分ければ発生源に対する取り組み方、それから道路構造の改善の問題、それから沿道の問題、こういう形になろうかと思いますし、それぞれの発生源対策の中には、自動車の単体に対するいろいろな規則の問題がございますし、それから先ほど先生のおっしゃいました走行状態の改善の問題、それから交通量の抑制的な面からはいわゆる公共輸送機関の活用、あるいは物流システムの合理化というようなものが入ると思いますし、道路構造の改善の面では遮音壁の問題、あるいは環境施設帯、緑地帯のような緩衝空間の確保、それから沿道対策といたしましては防音工事とかあるいは沿道の土地利用というものが含まれると思います。飛行機、新幹線等につきましても同じように発生源対策、それから構造改善、周辺対策というような形からそれぞれいろんな対策が進められてきているわけでございまして、そういう意味では総合的な見地から進められてきている、こういうことになろうかと思います。
#67
○安恒良一君 私は、時間が余りありませんから少し先に飛ばしながら聞きたいと思いますが、この国民生活の基盤の一つということの公共交通ですね。これが現在においては都市部においても地方においても大変苦しい状態になっておることは御承知のとおりだと思います。特に都市部における公共交通、これはバスについて交通公害との関連で申し上げますと、大衆、つまり不特定多数の人々が生活の手段として利用し合っているのがバスでありますが、いわばこれは国民からすると公共的な財産である、こういう立場にあるわけです。ところが最近、私的交通手段、すなわちマイカーを中心とするモータリゼーション、この波の中で非常に需給のバランスが大きく崩れて深刻な危機にあります。ですから、私はバス自体が交通公害の被害者であるというふうに思うのでありますが、ただ、こうした状況の中で何とか本来の機能を回復したいということで当該の労使を初め関係者が一生懸命努力をしています。ところがなかなかいまひとつという段階にあるんですが、こういう問題について環境庁として何か最も効果的な施策があるというふうにお考えでしょうか。
#68
○政府委員(林部弘君) 御指摘の点に関しましては自治体のレベルでいろいろな試みがなされているように思います。できるだけマイカーによる通勤通学というものを減らすためにやはり基盤的なものが必要でもありますし、またそういう輸送機関そのものの整備も必要である、こういうような
ことになると思います。
 その自動車利用そのものに対して抑制的に働く考え方としては、一つはやはり通行あるいは駐車ということに対して制限を加える、それからできるだけ自動車から公共交通手段への需要の誘導をするという点では、できるだけターミナルへのアクセスの利便化を図るとか、あるいは乗り継ぎの利便化を図るとか、あるいはバス等の定時運行についても輸送力の増強を図ったり、できるだけ便を多くするとか、そういうことがあるように考えております。
#69
○安恒良一君 いただきました「昭和六十一年度総理府所管一般会計環境庁予算案についての説明」の中にも、「新たに、大都市地域における自動車交通総量の抑制」ということがいろいろ書かれているんですが、何か最も効果的な施策はないかということについて、あなたはそのことを触れられなかったんですが、私は交通公害の解消あるいは抑制するに当たってまず基本的に考えなきゃならぬことは、自動車の総量規制が挙げられると思うんであります。もちろんこれは環境庁だけでできるものではありません。他省との関係があるこでありますが、他省との政策上の調整を含めて環境庁としてはこれをどう展開される考えをお持ちなんでしょうか、お聞かせを願いたいと思うんです。
#70
○政府委員(林部弘君) 今御指摘のありました、新規の予算の大都市交通総量抑制等計画策定推進費で私どもが考えておりますことは、いわゆる人流の面ももちろんあるわけでございますが、現在の都市の窒素酸化物対策としては、特にトラック輸送の問題が非常に窒素酸化物の汚染源として大きいということがございますので、できるだけ物流の効率化というものが図れるようにならないかということが一番の重要なポイントになっておりまして、現在、東京その他の地域で、小さな試みではありますけれども、業界単位あるいは地域単位でそういった物流の効率化、協同輸送といったようなものが少しずつこの十年ぐらいの間に広がってきているというような点に着目いたしまして、運輸省とも提携をして、そういうところがもう少し伸びられるような形に持っていけないかというのが、この計画のねらいでございます。
 そのほかにまた、エネルギーの転換という点からは、最近メタノール自動車あるいは電気自動車の活用ということも考えられないかという点がございますので、例えば電気自動車について言えば、実際にごみの収集等に具体的にもう少し導入できないかというようなことにつきましては、横浜市が厚生省と提携をいたしまして、そういう点もう少し伸ばせないかという検討も始めております。それからメタノール車につきましては、これは具体的に実用化されて、比較的これは小さなトラックになるかと思うのですが、実際にどの程度使えるかというようなことで、具体的にできておりますメタノール車を走らせまして実際の排出実態を調べていく。大きく分けますと、そういうような中身がこの予算の中に予定されているということでございます。
#71
○安恒良一君 いや、私は何もあなたに予算のことを聞いているのじゃないんですよ。いわゆる「交通公害防止対策については、新たに、大都市地域における自動車交通総量の抑制等を図るための計画策定」、こういうふうになっていますね。だから、その計画の策定という中において、あなたは、今お聞きをする限りにおいてはトラック関係だけをお考えのようですが、これは運輸省も来ておりますから両方にお聞きしますが、私はやっぱり自動車の総量規制ということをもう考えるべき段階に来ているんじゃないか。ちなみに、私のところに皆さんの方から資料を出していただきましたいわゆる我が国の可住地面積当たりの乗用車の普及状況の資料、これをいただいています。
 そうすると、イギリス、フランス、西ドイツなどの主要先進諸国に比べると、いかに我が国のこのモータリゼーションが急激であるかということは、おたくからいただいている資料にも歴然としているわけです。ですから、私はこのエネルギー問題を初め、資源それから空間等々の対策との関連から総量規制というものは緊急性が非常にある、こういうことだと思います。しかし、これは我が国の産業の根幹にかかわることですから簡単にいける問題だとは思いません。思いませんが、もうここまで来ましたら、真に国土の環境改善という崇高な大命題の視点に立つならば、今こそ私は効果的に具体的な案をつくり出すべきときに来ているんじゃないか、こういうふうに大臣この点思うわけですね。
 そこで、きょうは環境庁だけではいけませんから運輸省にも来ていただいておるんですが、大臣、あなたがやはり環境庁の長官ですから音頭をとって、関係各省の大臣なり事務当局との間でもう手をつけなければならぬところに来ているんじゃないか。大臣の手元にもあると思いますが、日本の乗用車の普及台数というのはものすごいものですよ。今もって野放しなんですね、自動車の方は野放しなんです。このままで行って本当に日本のいろんな環境が守れるんだろうか。交通環境の定義については私が申し上げました。そういうものが本当に守れるだろうか。こんな恐ろしい勢いで、どんどんどんどん野放しでふえている。このことについて、私はやはり総量規制という意味からいうと、このことを考えられるべきところに来ていると思いますが、まずそれぞれ関係省の御意見を聞かせていただいた上で、大臣ひとつお考えを聞かせてください。
#72
○政府委員(松村義弘君) 先生御指摘の自動車交通総量を抑制するということ、これは大都市におきまして交通公害対策として非常に重要なものであると我々運輸省は認識しております。ただ、これを直截的な格好で行いますのにはなかなか国民の皆様のコンセンサスを得るのが非常に難しいという実態がありますので、我々運輸省といたしましては、公共交通機関を何とかして育成して、そっちの方にいろんな人流、物流を誘導するという施策を今一生懸命やっている最中でございます。もし環境庁でもって音頭をとっていただくならば、非常にこれはありがたいことだと思います。全面的に協力してまいりたいと思っております。
#73
○国務大臣(森美秀君) 大変昔の話になるんですが、トラックのターミナルを羽田につくりまして、そのときに大変に努力をしたあるトラック会社の社長がおりました。アメリカでそれを見てきて、このままじゃいかぬということで、トラックターミナルをつくって、そしてトラックが無制限に都内へ入ってくることを防いだのは御承知のとおりでございます。
 私はいろんな意味で、この公共輸送機関というものですか、こういったものが、乗用車の乗り入れを何とかして公共交通機関によって満たしていくというような政策を総合的にとっていかなきゃならない時期が来ているような気がいたします。と同時に、どうしても入れてもらっちゃ困るというところは何とかして入れないでおいたらいいじゃないかな。しかし、これは私の環境庁の意見だけで通るものではございません。例えば、恐らく安恒さんがこれからお話になるかとも思いますが、皇居前の問題にしても、大変な私は交通量があって、したがって排ガスも相当なものだと思う。そこで一生懸命皆さんがジョギングをやっておられる、こういったところも本当にこのままでいいのかなという感じはいたします。しかし、それはまだ私の思っていることだけであって、それをどういうようにやっていくか、展開していくか、政治の世界のことでございます、一生懸命努力しながら一歩でも近づいて、交通公害というものを少なくしていかなきゃならないと考えております。
#74
○安恒良一君 トラックだけじゃないんですよ。大臣、お手元に資料あると思いますが、可住地面積当たりの自動車の普及台数は我が国は三百三十七台、アメリカが二百八十四台、イギリスは百十一台ですよ、西ドイツは百五十九台、フランスは六十二台なんですね、そしてイタリアが一番高くても三百一台なんです。そうすると、もう西ドイツの約二倍なんですよ。人が住める面積当たりの
乗用車ですね。ですから、これはこのトラックだけを規制しても交通環境というのは直らないんですよ。どうしても私は自家用車について考えなきやならぬ。
 私はかつて予算委員会で運輸大臣から各大臣ずらっと指名して、最後に鈴木総理が来たんです。そのとき、五人の大臣の意見が三対二で分かれたんです、三対二で。そこで鈴木総理に、あなたはどうするんですかと言ったら、いや安恒さん、私の主要閣僚五人の意見が分かれたものですからと、もう大臣、むにゃむにゃむにゃと、こう言ったんですがね、そのときは。予算委員会で私が全部、環境庁の長官から運輸大臣から各大臣、重立った大臣全部指名してやったことがあるんですから。ところが、そのころから比べるとさらに、この資料を取り寄せますと、非常な勢いでふえておるんですね。そうすると私は、諸外国を歩きますと、例えばシンガポールのようなやり方とかアメリカのニューヨークにおけるやり方とか、モスクワにおけるやり方とか、諸外国ではトラック、乗用車を含めていろんな知恵を働かしているんです。いろんな知恵を働かしています、いろんな知恵を。ところが、日本の場合なかなか知恵が働かない。それはなぜかというと、まず、自動車は国家なりという思想があるんですね、自動車メーカー、自動車は国家なりと。今の輸出総量のかなりの部分を自動車が占めている。そしてまた、自動車というのは、これは鉄の固まりですね、薄い鉄の固まりですから。鉄は国家なりという思想が日本にはあるわけです。ですから、私がこう聞きましても、なかなか大臣の歯切れが悪いんですよ、これは。日本の基幹中の、産業中の――もちろん今日では自動車、鉄のほかに電気とかME関係いろいろありますよ。ありますが、まだまだ日本の産業の中におけるいわゆる自動車の占める割合、鉄の占める割合、こういうものが一方の頭にどうしてもあるものですからね。
 しかし私は、いわゆる環境保全ということは、空気の汚染、騒音を初め、交通公害というものをこのまま放置しておくのはいけないんじゃないか。もう既に諸外国ではいろんな試行錯誤を繰り返しながらやっておる。ところが日本だけは全く野放しなんですよ、何にもないんです。今運輸省に聞いても、公共交通を拡充すればと。これは後から論争しますけど、公共交通を拡充することによってということで。本当に諸外国がいろんな知恵を働かしているような積極的な政策をどうして大臣とろうとされないんですか。いろいろな事例がたくさんございますがね。
#75
○国務大臣(森美秀君) せっかくの先生のお言葉でございますが、反論をさしていただきます。
 乗用車の交通規制、総量規制をしないことは、自動車メーカーに対する遠慮では私はないと思います。それほど今の日本の政府というものが個々の企業に対して遠慮をしているとは私はとりませんので、その点だけは申し添えておきます。
#76
○安恒良一君 いや、それはいいですが、じゃ大臣、諸外国では今言ったようないろんな知恵を働かしておるのに、日本はなぜ野放しになっているんでしょうかということを聞いているんです。なぜ日本は野放しにあなたはされるんですかということを聞いている。
#77
○国務大臣(森美秀君) 現在まで私を含めて、そういった総量あるいは部分規制に対する行政というものを怠っていたことは明らかでございます。
#78
○安恒良一君 私は、いろんな知恵を働かされたらどうか。例えば一つの例を挙げますと、きょうは警察庁は来ていませんが、駐車違反の問題一つをとらえても、交通公害をなくす一つの秘訣として、駐車場が十分じゃありませんので、運転手さんが乗って駐車されているのはやむを得ません。ところが、当然駐車をしていけないところにもうとまっているんですね。例えば一つの例を挙げますと、私は今、清水谷の宿舎に入っています。清水谷宿舎ですね、弁慶橋からあの間にでっかいホテルが二つあるわけですよ。そうすると、私ども宿舎に帰ろうと思うと、両方にだあっと駐車してまして、もうにっちもさっちもいかないんです。歩いても十分くらいでここまで来るんですが、下手すると三十分かかるんですね。それでそのたびに私は、あそこの駐車違反について、ホテルに食事にお見えになる方が駐車場に置かないでそこにぽんと置いていくというのはよくない、取り締まらぬかと、こう言ってやるんですよ。私が注意したときは一生懸命やっていますが、もう二、三日するとまた手抜きをやるわけです。ですから、駐車問題一つとらえても、私は、例えば東京都内なら東京都内において、環七となら環七の周辺に、例えばニューヨークでとっているように、駐車場をつくって、環七となら環七のところに車を置く。それから先は今度は地下鉄や国鉄やバスで中に入って行く。御承知のようにニューヨークではそれをきちっとやっているわけですからね。そういうやり方をやるべきじゃないかということで、かねがね積極的な提案を議員になって何回もいろいろするわけですね。ところが何一つ進行しないんです。というのは、私はやはりもう環状七号なら七号の内にトラックとかそれからいわゆる乗用車の乗り入れを禁止すべきときに来ている。例えばトラックの場合には、小型トラックに積みかえて入ればいいことなんですから、何も十トンというトラックが無理に入ってくることはないわけです。
 しかし、それがためには環境をやっぱり整備しなければいけませんね。駐車場をつくるものはつくるし、それから入ってくるために地下鉄、国鉄、それからバス等々が十分に機能できるように中を整備しなければならないのです。なかなか国民のいわば靴のような形にもう自動車がなっていますから。そういう政策について、これは環境庁だけじゃとれないんですね。今も言われたように環境庁なら環境庁が音頭をとって、環境庁の長官が音頭をとられて運輸省その他関係省全部集めてやられたらどうだろうか。というのは、恐らく私は東京は世界で一番込むと思いますよ、世界各国歩いても。イタリアもかなりひどいところがありますけれども、東京都が一番込んでいる。そして込むことによっていろんな交通公害がたくさん起こっているのが東京じゃないでしょうか、東京の例をとりましてね。ですから私は、そういうところについて、手をつけられるものについてはやっぱり前向きにつけていかなきゃならぬというふうに思います。
 ですから、大臣は何もおれは自動車産業に気兼ねしてないと、それは結構なことです。気兼ねしてないならないだけに、どうしてそういうことについて、環境庁が音頭をとって、他省と協力をしてこういう問題についてお取り組みくださらないのか、私はわからないわけです。大臣、今度は意欲的に取り組んでいただけますか。
#79
○国務大臣(森美秀君) 関係諸省庁と相談し合いまして、おっしゃるように環境庁が先頭に立って今後努力をしていきたいと思います。
#80
○安恒良一君 わかりました。それじゃ、大臣がぜひ関係省庁の大臣と音頭をとられて、率直に言って私も一遍にできるとは思いません、しかし手のつかるところからつけていく、国民に示していく、今の野放したということはやっぱり僕はよくないと思うんですね。ここまで来たんですから、そんなに一遍にきれいにさあっとできると私も思っていませんが、一つずつでも問題が片づいているということが私は非常に重要なことだと思いますから、やはり手のつくものから手をつけていくということについてぜひお取り組みを願いたい。
 そこで、運輸省にひとつお聞きをしたいんですが、遅々としていわゆる環境改善政策が進まない。そこで、今運輸省ははしなくもこういうことを言われたわけですね。公共交通を充実することによって交通公害の環境の保全に力を入れていきたいんだと言われたんですが、実はさきの百二通常国会に、都市における公共交通の環境整備に関する特別措置法案、こういうものを実は議員立法で出したんです。私はこれは非常に時宜にかなった内容を具備していると思います。もちろん不十分な点もあると思いますし、初めから完全なものができると思わないのでありますが、とにかく
私はこの法案の立法化に向けて努力をすべきときに来ているんじゃないか、こういうふうに思いますが、現在衆議院の運輸委員会において継続審議になっています。そこで、この法案の立法化に向けての努力について、運輸省としても環境庁としても十分な御協力がいただけるでしょうか、どうでしょうか。お考えを聞かしてください。
#81
○政府委員(松村義弘君) まことに申しわけございませんけれども、勉強不足でその法案のことを十分内容をそしゃくしておりません。これから詳査いたしまして先生にお答えしたいと思います。申しわけございません。
#82
○安恒良一君 そんなばかなことはない。都市における公共交通の環境整備に関する特別措置法案ということで、私ども議員立法で社会党が運輸委員会に提案をいたしまして、そして継続審議になっていますよ、これ。前々国会。それをあなたたちが知らぬと言ったら、それは大変なことだよ。知らないの。
#83
○政府委員(松村義弘君) 勉強不足で申しわけございません。
#84
○安恒良一君 これは困ったものだ。じゃ環境庁、何かありますか、このことについて。
#85
○政府委員(岡崎洋君) 私ども運輸省の方からも連絡を受けておりませんで、内容を存じておりません。よく勉強さしていただきます。
#86
○安恒良一君 いや大臣、これじゃ困るんですよね。正式に議員立法で出しまして、そして継続審議の扱いになっておることはもう間違いないんです、そして理由書は、「近時のモータリゼーションの進展、都市への人口の集中等に上り、都市における道路交通が慢性的な渋滞を来し、バス、路面電車等の公共交通の機能が著しく低下している等の現状にかんがみ、公共交通環境整備都市における公共交通の環境の整備のために必要な特別の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由」でありますということで、目的、定義、公共交通の環境整備計画、それから計画作成のための援助、事業の推進等々、きちっとした法律案を私どもは提案をしています。ところが、肝心の運輸省は勉強不足だとこう言いますし、それから環境庁、これも勉強不足だと言うんですね。予算委員会だったら、ここでまずストップをして、勉強をしてこいと、こういうことになるんですが、ここはそんなことやっても各党に御迷惑をかけますから、私は質問時間残りましたけれども、これは勉強してもらって次回にやらしてもらう、これしかないですね。勉強していないというのに幾ら攻めてみたところでどうしようもありませんから。(「成立したと思ったんじゃないの」と呼ぶ者あり)いやいや、しかし成立する成立しないは別にして、提案されたことについては十分やっぱり検討しておかなければいかぬわな。大臣どうですか、これじゃちょっと困りますね。
#87
○国務大臣(森美秀君) 不勉強でここへ出てきたことを大変申しわけなく、おわびを申し上げます。
#88
○委員長(矢田部理君) 委員長からも運輸省及び環境庁、十分勉強をするように注意しておきます。
#89
○高桑栄松君 最初に、国立公害研究所のことについて質問をさせていただきたいと思います。
 最初に総務庁に御説明をしていただきたいんですけれども、臨調による行革の一環として、省庁及びその附属機関についての見直しが進行しているようでありますが、これには何か方針があるのかどうか。それから、その中で取り上げられている国立研究所の昭和六十年度の対象というのかな、挙げられてきているのはどれくらい、どことどこでしょうか、教えていただきたいと思います。
#90
○説明員(八木俊道君) ただいまお尋ねの行政機関の見直しの問題でございます。昭和五十八年の三月の臨調の最終答申、第五次答申で組織全体の見直しが提言をされておりまして、これを受けまして政府が逐次計画的に実施するということにいたしております。五十九年度から実施に入っておりまして、五十九年度におきましては十八省庁四十機関。六十年度におきましては十六省庁三十一機関。それからこの四月から、六十一年度におきましては十四省庁二十八機関。主要な附属機関をおおむね四、五年程度で見直しを順次やっていきたい、こういう計画になっているわけでございます。
#91
○高桑栄松君 国立の研究所は幾つあるんですか。
#92
○説明員(八木俊道君) 国立の研究所につきましては、その中の相当のウエートでございまして、例えて申し上げますと、昭和五十九年度におきましては科学技術庁の航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所。それから法務省の法務総合研究所。それから厚生省の人口問題研究所、国立予防衛生研究所、国立衛生試験所。農林水産省の畜産試験場、果樹試験場、野菜試験場、茶業試験場、農業試験場。それから林野庁の講習所でございますが、林業講習所。工業技術院の地域別の工業技術試験所。それから運輸省の船舶技研。労働省の産業医学総合研究所。建設省の土木研究所等が五十九年度分でございます。
 六十年度のお尋ねでございますが、これにつきましては、警察庁の科学警察研究所。それから防衛庁の防衛研修所。それから科学技術庁の国立防災科学技術センター、無機材質研究所。環境庁の国立公害研究所。それから大蔵省の関税中央分析所。文部省の緯度観測所。厚生省の国立精神衛生研究所、同じく国立栄養研究所。農林水産省の草地試験場、土木試験場、農業試験場、家畜衛生試験場、食品総合研究所。それから通産省の工業技術院の関係、繊維高分子材料研究所、公害資源研究所。それから運輸省におきましては電子航法研究所、港湾技術研究所。建設省におきましては建築研究所等でございます。
#93
○高桑栄松君 今いろいろと伺いましたが、私、やっぱり医学関係のがお話に出るごとに気になって聞いておったんですけれども、案外医学関係の分が多いんだなと思いながら聞いておったんです。
 そこで、国立公害研究所の見直し問題ですが、私はつい三年前まではここの副所長をしておりましたので大変気になるんで、特に国立公害研究所のことを伺っていきたいと思うんです。
 御承知のように、環境庁には、研究所というのは国立公害研究所と水俣病研究センターでしたね、これだけがあるわけで、二つしかないんで、ほかの省庁ですとたくさん持っておられるところもあるわけで、この二つしかないということで、私、気になっているんですが、国立公害研究所からは改革案の原案的なものというのは上がってきているんでしょうか。
#94
○政府委員(岡崎洋君) 今総務庁の方からお話がありましたような経緯で、私ども国立公害研究所のあり方につきまして昭和六十年度に見直し等を含めて勉強しようということで、まず公害研究所自身にどういう形で今後行くのが一番よいかということを勉強していただきまして、その原案を作成された後にそれを私ども環境庁の方と打ち合わせをいたしまして現在検討を進めているという、今検討段階でございます。
#95
○高桑栄松君 私が承知している範囲で私の意見を申し上げさしていただきますと、国立公害研究所はできてから十二年目、十二年ですね。小学校でいうと六年、卒業するという程度でございますか。すぐ隣近所には、歴史的にいうと何十年、もう百年ぐらい昔からあるような研究所があるわけです。ですから、見直しというものに多分二つあるんだろうと。非常に古いものなら合理化というか、もう現代的でないものは転換するなり縮小、縮小ということはあるかどうか知りませんが、いわゆる合理化があるだろう。ただ、国立公害研究所のような発展途上というか成長過程にあるものは、見直しというのは、すぐ見直しというと合理化、縮小というふうに聞こえるんですね、何となく。これが大変乱、気になるわけです。私が行ってみてもそうなんですが、私、昭和五十五年から副所長で参りましたけれども、最初の三年、四年というのは何もなかったわけです。やっとでき
て、四、五年というところで私が行ったわけで、もちろん建物からすべてが途上にあったということでありまして、私は国立公害研究所の見直しというのは、どのように拡大強化するかという総務庁からの御下問であろうかと思っておるんですが、どういうふうにお考えになるでしょうか。
#96
○政府要員(岡崎洋君) 私ども見直しを受けとめて勉強しております視点は二つございます。
 一つは、基本的には国立公害研究所の現状、あるいは今までの経緯等は先生御指摘のとおりでございまして、私ども基本的には国立公害研究所は環境行政の基礎、基盤を支えるものとして、今後もっともっと充実強化していかなければいけないという基本的な考え方は持っております。その考え方は考え方といたしまして、現在歴史の長い短いは別といたしまして、それはその中で運営の簡素化、合理化ということが図られ得るべき余地があるところがあれば、それは避けることなく自分からも考えなければいけないという視点が一つでございます。それからもう一つ、環境行政はいろいろ変わってまいっておりますから、新しい研究のニーズ、新しい行政のニーズに対応するためにさらに幅を広めた展開なり深みを増す必要がある、そういうことに対してどうやって取り組んでいけばいいのかという、その二つの視点を置きまして現在勉強をしておるところでございます。
#97
○高桑栄松君 後段の件についてはしっかりやってもらいたいと思うし、後で私の意見も述べますけれども、前段の件については私はやっぱり異論があるんです。
 私が行ったときに茅リポートというのが出されて、これに基づいて研究所が設立をされたということで、世界にも類を見ないような非常に高いレベルの研究所であるということで、研究所員も私たち一同プライドを持って研究に従事しておりました。そこで、茅リポートの定員だけ見ますと四百九十一名、約五百名です。私が行ったときが二百四十六かな、それが今やっと二百四十九か何かで、ちょうど半分以下ぐらいです。ですからそういう半分ぐらいのところでおたおたとしているのでありまして、これは簡素化、縮小なんて言ったらなくなっちゃうんじゃないかという非常に心配があるわけです。ですから、定員だけを見てもまるで片肺飛行で、うっかりするとすぐ落ちるんじゃないかと思うような感じでございますので、これは大臣も心にぎっちり置いていただいて、研究所をどのように強化していくかということにやはり力を入れてもらわなければならないと私は思うのです。
 私が行ったときから大体懸案になっているようなものを見てみますと、例えば図書館にしてもちゃんとしていないとか、それからシステム設計室、遺伝研究室等々が目標を置いておきながら、まあ金の関係もありますし、実現の可能性がまだなかなか遠いのじゃないかという感じがするんですが、こういったことに対する見通し、めどというのはどうなんでしょうか、大臣いかがですか。
#98
○国務大臣(森美秀君) 私は研究所を見るのが好きなものですから、この前行ったときも真剣に見てまいったんですが、何か二つあるような気がするんです。
 一つは、施設についてはまだ金足らず、金がまだ足りていない。例えば蔵書の量にしてもすべてのものが足りないという感じ。それからもう一つは、研究のための種をぶち込んであるかどうかという、これは私は前人未踏のああいう研究所でございますから、手探りでやったにしろ相当種がまいてある。聞けば四十九年にできたというので、もうそろそろ十二、三年たちます。恐らくこの種というのは相当大きくなって培養されつつあるのじゃないか。これはただ黙ってふっと見たんしゃ見えないし、そろばんの上で、ああ年々四十何億使っているなという、この予算の上でも見えないというところに恐らく先生の今の御質問もあるのじゃないかと思うわけでございます。その意味で私は大変この研究所の将来を楽しみにして見ておる一人でございます。
#99
○高桑栄松君 大臣、大変いいお考えを述べていただいて、私もうれしいと思いながら聞いておるんですけれども、私が行ったときは、やっぱり機械設備がもう世界で一つしかないとか、アメリカからも日本にしかないからといって共同研究で来たりしているんですね。それから数年たちますと、もう同じようなものじゃない、もっといいものが外国にできているわけです。ですから、もう国立公害研究所が世界に第一級、本当の意味での第一級だと思っているのが、設備等々については次第にセコハン化してくるんじゃないかという心配があるんです。それを一遍投資したから、それでいいと思っておられたら、機器の発展というのは大変なものでございまして、エレクトロニクス関係だってもう大変でしょう、三年もたてば前のを使えないんですから。そういうことを念頭に置いていただいて、これはマイナスシーリングと言っていられないわけです。
 ですから、研究の維持、継続というのは非常に大事でございますから、これはぜひ今大臣がおっしゃったような意味で最大の努力を傾けていただきたいと思うんです。前の大臣となただったか、名前は申し上げませんけれども、私の務めの一つは、国立公害研究所をどのように強化することかということが私の非常に大事な仕事の一つだとおっしゃってくださいました。これはまあ研究所員は大変ありがたいと思って力にしておったわけですが、大臣どうぞひとつお願いいたします。
 それから、私がおりましたときからも一つありましたのは、自然環境保全研究所というものをつくるか、別にですね。それとも国立公害研究所に自然環境保全研究部といったようなものを置くかと、これは議論がありまして、本来私がいたときの私たちの考え方は、公害研究所というものにそれを持ってきて、あっちこっちから応援せいと言われたんではこれはもう仕事ができなくなると。だからどうするかということなんですが、新しく研究所をつくるのは大変であって、しかも自然環境が非常に重要な研究テーマであれば、これは新しく部を新設することはやぶさかではないと。しかし、それにあちらこちらから定員をかき集めることではなくて、新設しなければだめなんですね。それはもうそうしないといけないと思うのです。
 ですから、今十部ありますね、総務部を入れて十部かな。それをもしやるんならもう一部。しかし、自然環境という大きなものを一部と言ったって、ほかの部と同じ程度では困るかもしれませんよ。ですから、かなり大きな考えで一部をつくるか、あるいは二部制にするか。それは十部プラスでなければならないと思うんです。それは私のときからのテーマになっておりまして、研究所としてはかなり前向きにそれを進めてきたと思うのです。今、次官をしておられる山崎さんが自然保護の方の局長をしておられたときからの懸案みたいなものでしたから。そういうことがございまして、私はこの際、見直しについて、自然環境の保全研究部でもつくるなら、一部と言わず二部ぐらいを念頭に置いていただきたい。決して削減、よそから、スクラップしてビルドというスクラップの場がないということをお考えいただきたいと、こう私は強く希望、要望しておきます。
 それで研究というものを、今私が後段のことを特に申し上げたんです。研究には継続性というのが非常に重要なんですね。それはですから行政官と違うんです。もう二年やったからこっち側に行けと言ったって、これはだめなんです。そしてしかも研究者を養成していく必要がある。だから研究の継続性というのが要るわけでして、したがって創立して十二年というのは、研究所が建って五十年たったのが六十二年目に入ったのとはもう雲泥の差があるわけです。片っ方はもう研究者の後継者がずっとありますし、すそ野があっちこっちにあるわけです。それから入ってきているわけです。国立公害研究所はそうじゃありませんから、すそ野がまだありませんのでね。ですから研究の継続性ということを考えると、スクラップ・アンド・ビルドのような縮小ということはまあ私は考えられないことだと思うんです。そういうことで
結局、研究所はすべて、すべてじゃないな、国立公害研は特に長期展望に立って、そして研究者の養成に力を入れていくということにかなりのウエートを置いていただきたい、こう思います。
 それで、要するに研究所でもうかるようなもの、例えば新技術を開発して、それが生産性向上に役立つとかいうことですと民活でいいと思うんです。しかし、公害研究所というのはマイナス部分をなくするようなそういう形が主題になっていますね。ですから、民活でもうかるようなものではないんですね。したがって、この研究所こそ国立てやらなければいけない研究所である。これも私はやっぱり特に強調しておきたいと思うのです。つまり、経済性の効率を考えて見直しをしてもらっては困る。総務庁にもお願いしておきたい。経済効率だけでいったんではまさに日本は公害輸出国になるのじゃないかというようなことになりますので、それは後でまた私の意見を述べさしていただきます。
 つまり、政府の方針はチープガバメント、確かにそれはそれなりの本当に意味があることだと思いますが、研究所というのはやっぱりエクスペンシブなんです。エクスペンシブなインスティチュートだと思うのです。それに国立公害研究所は、ここに私持ってきましたが、英語には公害という言葉はないんですね。ナショナルインスティチュートフォーインバイランメンタルスタディスなんです。環境研究なんです。つまり、健康にかかわる環境を研究しているんですよ、だからマイナスの部分だけではないはずなんです。これは世界にちゃんと通用している名前でございますから。本当は名前も環境研究所とか何か変えた方がいいんじゃないかというのは昔から言われているんですけれどもね、何か法律があってどうとかと言っていますが、公害研究所というから公害が、例えばSO2が、だんだん環境のいろんな整備がされてSO2は基準値をかなり下回った、だから公害研究所は要らないんじゃないかと、こういうような、何となくそういうムードがありますね。だから、それは大変困ると思うんです。
 そこで、研究の動向をちょっと申し上げて御参考にしていただきたいと思うんですが、今まで公害と称しておったものは主として急性健康影響。それが、急性健康影響というものがあるレベルをカットされるようになったら、ゼロになったんじゃないんですね、慢性影響へと移行しているわけです。これは非常に重要なポイントなんですね。だから、先ほど寺田委員が質問をされた中にもありましたけれども、NOxの問題なんかはそこにかなり大事なポイントが出てくるのじゃないかと思うんです。ですから後で伺いますけれども、慢性影響に関しても、問題の有害化学物質といったものとか、廃棄物だとか、都市環境だとか、安恒委員が言われた交通公害だとか、まあいろんなものがそこに入ってまいります。それから環境研究ということになりますと、もちろん自然環境保全も入りましょうし、あるいはアメニティだとか、それから健康そのものをよりいい方向に維持する、そういうプロモートしていくというふうな、ヘルスプロモーションというふうな考え方も当然研究の中に入ってこなけりゃいかぬと思うんです。
 それからもう一つ大事なのは、これはもう大臣も言っておられたことですが、グローバルなやつですね、地球規模の研究というのがあります。実際問題として、炭酸ガスのことがこの間の予算委員会の総括でも問題になっておりまして、大臣もお答えになっておられました。それから酸性雨の問題ですね。酸性雨の問題も口ではちゃんと言っておられるけれども、ちゃんとした研究体制があるのかなと。私、今申し上げたのは、あなたに研究体制について言っていただきたいと思って申し上げているんです。それからフレオンガスが前から言われておりますね。フレオンガスが成層圏のオゾンを破壊する。オゾンを破壊することによって紫外線の投下量がふえてきて、皮膚がんがふえるのではないか。特にアメリカ等々白人の世界では非常に恐れているということがあるわけです。
 それからもう一つの重要なポイントとしては、炭酸ガス等々を含めまして国際的なモニタリングのセンターとしての役割を国立公害研究所が果たす必要があるんじゃないかというふうなこと、私の考えなんですが、今申し上げたこと、一例を挙げたんですが、この研究体制について国公研並びに国公研を柱とする日本の研究体制というのはどうなっているでしょうか。わかっておられる範囲でお答え願いたいと思います。
#100
○政府委員(岡崎洋君) 研究所の現状あるいは実態等については、もう先生の方が私より数倍知っていらっしゃいますので、どうも素人としていろいろ申し上げるのは何とも申し上げにくいことでございますが、今先生の御指摘ございました二、三の側面について私が知っておることを申し上げますと、一つは、国際的なつながりにつきましては、確かに個々の公害研究所にいる研究者と海外との交流でございますとか、あるいは学会等の交流ということでの連携はかなりやってくださっているようでございますけれども、各国々の研究所との組織としての結びつき方なり連携というのはまだまだ不十分だというのが現状であろうかと思います。研究所の方々もそういう面については大変意識を持っていらっしゃっておりますので、私どももできるだけサポートし得ることがあればサポートしたいというのが一つでございます。
 それからちょっと酸性雨の研究で例を引かれましたけれども、国内の公害センターなり公害研と地方のその他の研究所との関連につきましては、国立研究所がいろいろ音頭を取りまして共同研究なりあるいは講演会等を開いておられますけれども、まだまだその結びつきが薄い。逆に地方の研究所の方々はかなり国立公害研究所を頼りにしておられるという面もございますので、そういう点についてもまだまだ理想からいえば遠いところにあるというようなことが申し上げられるのではないかと思います。断片的に申しましたけれども、そういった今先生の理想像からいたしますれば、現在の研究所の状況というのは、まだまだそれにはほど遠い状態にあるということが実情であろうというふうに思っておりまして、そういう点も十分頭に置きながら、見直し等につきましても、そういう実態については総務庁にも御理解をいただきながら進めてまいるというのが私どもの基本的な構えでございます。
#101
○高桑栄松君 今、地方公害研究所とのつながりの話をされましたので、一応歴史的な経過を申し上げますと、私が行きましてから、地方の公害研究所長さんというのは衛生公害研究所長さんを兼ねていた人も多かったし、私の知っている人が随分多かったわけです。それから、公衆衛生学の教授をして研究所所長になった人も随分おりまして、東京都の公害研究所長もそうですよね。私知っている人が多かったものですから、皆非常に喜んでくれまして、ではひとつ地方公害研のネットワークをつくろうではないか。それで、その幹部には客員研究員というのになっていただきまして、自由に公害研に出入りできる体制をつくったんです。そういうことから地方公害研究所とのネットワークができまして、私がいればいたで、多分そういう意味の大きなプロジェクトを組んで、日本列島を縦断する研究テーマを出そうと思っておったところ、こちらへ来ちゃったものですからもう研究と切れてしまいましたけれども、そういったことがあったわけです。
 そういうことがありまして、今言われたので、大臣にもちょっともう一度思い起こしていただきたいんですが、この間の予算委員会の総括質問で、研究交流促進法のことで私はお礼を申し上げましたが、研究者が学会に行くときに、自分の休暇をとらないで、今度は義務免で準公用で行ける。非常に喜びましたね、皆さんもう喜びました。公害研究所の所長、副所長からお礼のお手紙が来ております。
 もう一つ出張費なんですよ。それで大臣、この間お話ししたんですが、研究テーマ、それは確認されているわけですから、研究費の一部を学会発表に使えないか。つまりそのテーマを発表すると
きですよ、これは流用じゃないと思いますが、その研究費の一部が使える。これは公害研だけじゃないんです、研究所全部のことなんです。これがあればもっと研究者が意欲を増しますし、そして意見を交換して、自分の発表したのを批判してもらわないと間違っているかもしらぬわけですよ。ですから、そういう意見交流もありますし、ストレス解消にも役立つんです。そして新しいアイデアも入ってきます。それでひょっとしたら、それならおれも公害研へ行きたいなといって研究者が来るかもしれない。そういうことを考えまして、やっぱり旅費をちゃんと組んでもらいたい。
 この間は科技庁でしたか、一万の研究者に一億の旅費、一人どれくらいでしょうね、一万円ですよね。もう筑波と東京を往復したって実費でも数千円かかるのですよ。ですから一万円なんです。これは倍にしても二万円なんです。とてもじゃないが問題にならぬわけです。ですから、そうじゃなくて、私は予算を増額するよりも、研究費の中で一部が使える。例えば五万円使えれば、東京を中心にすれば北海道でも九州でもちゃんと出張費は出るわけです。泊まり賃は出ませんけれども、五万円で飛行機代は出ますから。ですから、それを言いましたら、結局財政法でしたか、大蔵がどうとかと言っておりましたね。大蔵省が面倒らしいんです。ところが、義務免のことを言ったときも、十年ぐらい昔から言われておったのが、幾ら言っても、やれ人事院だ、やれどこだと言うものですから、あれはとうとう持ち回りでだめになったんです、あっちこっち責任転嫁されて。旅費も同じだと思います。ですから、これは公害研の中の一つとして、ほかの大臣とも御協力を願って、これは予算の増額じゃありませんので、大蔵省の財政法さえうまく通過すればいいんじゃないか。ぜひひとつお願いしたいと思います。
#102
○国務大臣(森美秀君) 勉強してみます。
#103
○高桑栄松君 次に、窒素酸化物対策なんですが、先ほど来いろいろ御質問もあったし、御答弁もありましたので、適当に私の考えておったことをはしょって質問させていただきますが、SO2の対策がうまくいっているにもかかわらず、NOxの対策がどうしてもうまくいかない。これは総量規制をやっている地域、東京、神奈川、大阪で比べても、昨年度でも七割から八割ぐらいが基準値をオーバーしているということになっているわけですが、それの原因と考えられるものは何でしょうか、御説明していただきたいと思うんです。
#104
○政府委員(林部弘君) 今、先生から御指摘がありました、総量削減計画が見込みどおりいかなかった理由は何かというお尋ねになろうかと思いますが、昨年四月以来、半年以上かけていろいろと私ども作業をいたしました。その結果を昨年の暮れに中期展望という形でおまとめをして御報告しておりますが、その中で要因として考えられることが幾つか掲げられております。
 その一つは、走行量の伸びの問題がございます。この伸びも特に普通貨物車などいわゆるトラックの窒素酸化物排出割合が非常に多い車種でそれが起こっておる。つまり、窒素酸化物の寄与率の高いような車種が伸びてくるという問題が一つございました。それからもう一つは、車がだんだん技術革新のせいかと思いますが、車がよくなっておりまして、段階的に単体規制はやってきているのですが、より新しい規制適合車へはかばかしく代替しなかったというようなことで、規制以前の車が依然として走っているものが多いということがございます。それから三番目は、これもトラックとかかわりがあるのですが、ディーゼル車、特にトラックの中でのディーゼル車の割合が予想以上に大きかった。それとの関連で、さらにディーゼルの中でも直噴式のディーゼルが多いというようなことが、総量削減計画とのギャップをいろいろ見ておりましたときに、結局は窒素酸化物の排出総量の中で占めるウエートとして、いわゆる直噴式のトラックから出てくるものが非常に大きなウエートを占めておる、こういうことが、これはもう既に新聞等でも報道されているところですが、それが確認されたということではないかと思います。
#105
○高桑栄松君 ついこの間、第二回アジアの人口問題国会議員懇談会の会合がございまして、そこでバンコクの人が、バンコクの大気汚染は大変だと、これはみんな日本製車両が大部分だと。日本製車両が悪いんだとは言わなかったですけれども、そういう言い方をしておりまして、私がこれに一応反論をしておいたんです。日本では少なくともSO2に関してはちゃんとやっている。NOxについては、どうしてもこれは空中窒素もあることだし、酸化物としては出てくる。だからこれは今日本もやっている最中だけれども、確かにバンコクのようなひどさではないと。だからコントロールの仕方が問題だというふうに、これは私は一応日本製自動車を擁護したつもりでございますけれども、確かにあなたのおっしゃるように、例えばディーゼル車なんか非常に問題なわけですよね。ですから、先ほど林部さんからも代替車のことをお話しになったので一応承ったのですが、メタノール車、電気自動車の開発されるめど、何年度くらいに実用化されるのか。通産省、運輸省ですか、それぞれやっておられるところから簡単にちょっと教えていただきたいのです。
#106
○説明員(黒田直樹君) 御質問の電気自動車、メタノール車でございますが、まず電気自動車の方でございますけれども、これにつきましては、遠く昭和四十六年から五十二年にわたりまして、通産省では、工業技術院のいわゆる大型プロジェクトをテーマに取り上げましていろいろ研究開発を実施いたしました。その技術開発面につきましては、その後昭和五十三年以降、民間の電気自動車の関連の企業、つまり自動車メーカー、あるいは電池関係のメーカー、あるいはモーター関係のメーカー等を中心といたします技術研究組合というものを発足させまして、まず第一段階では実用的な軽商用車、商業車でございますが、そういうものの研究開発を実施いたしたわけでございます。また、昭和五十七年以降は小型の乗用電気自動車ということで研究開発の実施を行っているところでございます。
 ただ一方、現実に電気自動車というのは動いているわけでございまして、その電気自動車の普及を促進いたしますために、昭和五十一年から通産省の機械情報産業局に設置いたしました電気自動車協議会というところで、関係省庁の御参加も仰ぎまして、電気自動車の普及の目標を定める。またその普及に努めているわけでございまして、現在のところは、いわゆる狭義の電気自動車という意味では道路を走るものが六百五十台ぐらい、それからオフロードのものが六百台ぐらいということで、千二百台強のものが現在実用化されているわけでございます。こういう普及事業を実施いたしますために財団法人日本電動車両協会というところを通じましていろいろな普及事業を実施するとともに、国におきましても物品税とか自動一車税、自動車取得税等につきまして軽減措置を講じてきているところでございます。
 それからメタノール自動車の関係でございますが、これにつきましても、通産省といたしましては、昭和五十五年度から財団法人日本自動車研究所が行いますメタノール自動車に関する研究開発に助成を行いますとともに、いろいろなメタノール燃料についての安全性、流通上の問題点等々につきましてフィージビリティ調査を実施してきております。また、昨年六月に資源エネルギー庁におきまして、新エネルギー導入ビジョン研究会というところでお考えをまとめていただきまして、そのお考えに基づきまして、現在いろいろ燃料規格の設定に関する試験であるとか、あるいはディーゼルエンジンの開発等につきまして研究を実施しているところでございます。また、関係の自動車メーカー等におきましても、また独自に研究開発が行われているところと承知いたしております。
#107
○高桑栄松君 ディーゼル車にかわるもの、あるいはディーゼルエンジンの触媒か何か知りませんが、NOxを減らすようなことを早急にやらなきゃいけないと私はやはり思うんですが、健康障害
との関係をもうちょっと詰めてみたいと思いますけれども、ディーゼル車の増加状況というのを伺いますと、昭和四十八年、乗用車が三千台だったのが、昭和五十九年で八十七万台、倍率で言うと二百九十倍、同じく四十八年、トラックが百五十万台だったのが五十九年に三百五十万台と、たかが十年、十一年の間に非常にもうふえてきている。したがって、今までのNOx規制がなぜうまくいかないかというと、出す方がどんどんふえていったのではないか、こう思うんですね。
 ですから、それを今度健康障害とあわせて見ていただきますと、環境庁がことしの三月七日に発表された大気汚染健康影響調査、これはもう私は環境庁は大変な力作を出したと思って評価していますが、これにはいろんなことが出ておりまして、これを見ますと、年平均でいくと、二〇ないし三〇ppbが今の環境基準で、三〇ppbを超すと、ぜんそく様の症状が急上昇してくる。それから、それ以下では平均値にやや近い。ところが、やはり例外的なものというのが、これは理由が書いてないわけですが、北海道で札幌、小樽、千歳ですか、そこを見ますと、三〇ppbに対しては一九、一八、一〇とかというのですから三分の二くらいですが、それでもぜんそく性症状というものが平均値よりはパーセントが多いというのが出ておりますので、これは複合汚染かもしれないし、もっと研究を続けていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、三〇ppbというのを一でも出ればだめで、一でも低ければいいなんという生体反応はないのであって、いずれも連続して変化していく中でのあるレベルですから、ですから一でも低いということでいいのだということはない。これは医学的にもうあり得ないわけですから、ですからその点では基準値というのはまさに基準値であって、これは一つの目標でありまして、それよりも下へ下げるという、それが努力だし、そういうのが研究というものだろう、ヘルスの、ヘルスプロモーションの研究だろうと思うのです。
 それで、ディーゼル排ガスの中に、だれでもわかるのは、ベンツピレンのような発がん物質が、燃焼産物で炭素を含んだような、黒鉛みたいなものには絶対ベンツピレンがあるということはもう常識でございますから、これはもうわかり切っていることです。それで特にディーゼル排気ガスの中には――ジニトロピレンによる発がん実験というのが国立がんセンターの研究所で発表をされた。これは相当な発がん率があると言っているわけですが、これは通常のものよりも多い量を使っているわけですから、そのまま日常生活の中ですぐ肺がんが起きる、皮膚がんが起きるということではないと私も思います。しかし、思うけれども、発がん物質が出ている、それがますますふえていくということは大変危険な状態でございます。何としてもやっぱり開発を急いでもらいたい。
 もう一つ注目をしたいのは花粉症ですね。私は実は花粉アレルギーのある人間でございまして、ニセアカシアでアレルギーが起きちゃうんです、もうそろそろ起きるので困るんですけれども、ところが、東京にここ数年どうして急にアレルギー、鼻のくちゃんくちゃんやるのがふえたかと。私は東京の人は敏感なんだろうか、何かストレスでもあって神経質にでもなっているのかなと思っておりましたけれども、これが研究発表見ますと、これは僕は大変なことではないかと思っているんですけれども、東大物療内科の先生が、一九八四年大気汚染学会で発表したのによりますと、ディーゼル排ガスの中の粒子、これを実験的に入れて、そして花粉アレルギー、杉だとかハウスダストだとか、そういうものを使ってやった結果は、明らかにディーゼル排ガスの中のすすを一緒に入れた場合には抗体を生産する機能が高まる、つまりアレルギーが強まるということが動物実験で証明されたと言っていますね、これは発表していますから。
 ですから、東京を含む大都会の人たちに花粉アレルギーがふえたというのは、もしこれが遺伝体質、遺伝であれば全国パーセントが同じわけなんで、そうじゃなくて東京に多いといたしますと、これは何らかの原因があるのじゃないか。耳鼻咽喉科学会で発表したのもあるんですが、そいつを見ましても、やっぱり鼻アレルギーの児童の罹患率が、大気汚染地区とそうでない地区とで明らかに違う。それから偶然かもしらないんですが、さっき昭和四十八年と五十九年のディーゼル車の増大が二百九十倍だとお話ししたんですが、昭和四十七年と五十七年ぐらいかな、と比べてみているんですね。その間に急激に鼻アレルギー罹患率が高まっているんですね、急激なんです。
 だからいかに都会のディーゼル排気ガスが問題なのかという、偶然かもしれませんが疫学的に出ているんですね。ただ、そうだという断定はできないと思いますが、そういう意味で、やっぱりディーゼル排気ガスのあの細かい黒煙、非常に小さい微粒子、それはもう肺の中に全部入りますから、肺胞の中まで入りますから、ですからそういうものが入ることによってアレルギー性が高まるんだとすると、杉をなくするか黒煙をなくするかなんです。どちらをおとりになるかは大臣に考えていただきますけれども、だから杉はまた杉で困るとしますと、やっぱり黒煙は過ぎたるは及ばざるがごとしで、過ぎてしまうと困るわけです。ですからこれは、私としては対策はありませんけれども、やっぱり開発を急げということ、先ほど安恒さんが言われた総量規制ですね、これを何とか考えていく必要があるんじゃないか。
 それから、単なる総量規制だけじゃなくて、あのアイドリングのときに一番黒煙が出るといっていますから、だから交差点をとまらないで進行する方法がないか、とまらないで。イギリスの交差点というのは、都会の真ん中ですと十字路ですけれども、そうでないところはロータリーが非常に多いんです。ほとんどとまらないんです。ずうっと回って、そっちへ曲がるのにもこう回っていきますから、入ってきたのはみんな左回りで、日本と同じ左側ですから、ロータリーが多いですよ。もうびっくりしました。何だろうと思ったんです。全部ロータリーで、どこへ行くのにもロータリーで入っていきますから、とまらないんです。そういうこともあり得るわけですね。立体交差ならとまりませんね。だから立体交差だってあるわけです。だから手がないわけではないということがあります。
 もう一つ、警察庁の方に来ていただいておりましたので、先ほど長官がジョギングの話をしておられましたが、皇居の一周ジョギングというのが新聞なんかでもしょっちゅう出まずし、国会議員の方もあれを毎日走っている方がおられるようで、そういう方々があの排気ガスを吸っているのではないか。それで、警察庁の方にせっかくおいでいただいておりますから、お昼のときにどれくらいあの周辺で車が通るものか、そしてそこのときに時間規制というものができないのか、時間規制ですね。例えば二つの交通を一方にして片方とめるとか、何かやっぱり知恵があるんじゃなかろうかと思うんですけれども、台数規制か時間規制か一方規制か、何かないんでしょうかね、ちょっとそれをお伺いしたいと思います。
#108
○説明員(中野公義君) 皇居一周マラソンが大変盛んに行われておるわけでございまして、ここで今先生御指摘のように、何か車をとめて快適なマラソンのコースにならないかという御提案でございますが、ここにつきまして現在の交通量を見てみますと、大変多うございます。内堀通りというのが皇居の東側の方を通っておるわけでございますが、ここの祝田橋交差点では、この時間帯につきまして約九千百台の交通量、これは都内で最も多い交通量のところでございます。
   〔委員長退席、理事菅野久光君着席〕
また、九段下の交差点でも五千二百余台がありまして、これも今の祝田橋と比べますと少のうございますけれども、大変交通量が多い、道路容量に比しまして多くなっておるというところでございます。車線も今のマラソンをやっておられるところを見ますと、一部片側二車線というところもご
ざいますが、片側一車線というところも多いと、こういう状況になっております。そういうところへもってきまして、特にここは皇居を取り巻くような道路になっておりまして、放射線がそれにつながっておりまして、その交差点を見ますと、例えば桜田門のところの交差点等はアルファベットのTでございますか、T字路になっておりまして、こういうところは、大変交差点における交通処理というのがなかなか難しい、実はいろんな仕組みをしないとさばけない、こういうような要するに道路の状況になっておると、こういうことでございます。
 そういうことを踏まえまして、今マラソンするときに片側一車線は少しあけていくというような御提案につきまして、実は今申し上げましたように大変交通量が多いところでございます。そうしたところで片側一車線にいたしますと、どうしても自動車が通れる道路の方が混雑をいたします。そして非常な渋滞が生じできます。そういたしますと、渋滞が生じますと、今も先生御指摘のように、アイドリングをずっとやっている。渋滞ですから当然車がとまっておりまして、前へ進むときにアクセルを吹かして出す。このアクセルを吹かして出すときは、環境庁からいただいております資料を見ますと、大変そのときには窒素酸化物が多量に出る、こういうことになってまいりますので、一車線にしたことによって確かに通れなく、通行禁止というような措置をした部分は環境としてはプラスになるようでございますけれども、車をそこの方へ押し込めたところが渋滞、あるいは停車したままエンジンを吹かして、あるいは発車するときに、より窒素酸化物がたくさん出る、こういうことになりますので、両方比較して一体どちらの方が窒素酸化物等の排出を抑えていくのにプラスになるかなということをちょっと考えますと、どうも現在のところでは、まあ今後も検討さしていただきますけれども、難しいのではないかな、このように考えております。
#109
○高桑栄松君 どうもありがとうございました。
#110
○近藤忠孝君 私は、今全国の公害患者が環境庁に大変熱いまなざしを向けている当面の重要な問題について、論点を絞りまして質問をしたいと思うんです。
 これは先ほども指摘のありました、ことしの三月に出ました大気汚染健康影響調査報告書でありますが、その解析結果を見ますと、NO2と呼吸器症状有症率との間に正の相関が認められております。
 第一に、現行NO2、環境基準のゾーン内でも、男女児童の「持続性ゼロゼロ・たん」と成人男女の「持続性たん」、これについてはNO2の増加に伴って有症率が増加している。それから第二に、現行NO2環境基準の上限値〇・〇六ppmを超えますと、これも今まで指摘がありましたように、男女児童の「ぜんそく様症状」及び「ぜんそく様症状−現在」、この有症率の統計的有意の増加が見られる。大事なことは、ATS調査のぜんそく様症状、これは病気に非常に近い内容の健康影響指標であると考えられますから、これが〇・〇六ppm以上で有意の増加率を示したということは極めて重要だと思うんです。ぜんそく様症状については、当然やっぱり安全率を見込む必要があると思います。
 これらのことを考えますと、七年半前に緩和した現行NO2環境基準、これは私たちに言わせれば、財界の政治的圧力でそうなったと思うんですが、この状況を見れば、これはもっと厳しくしなけりゃならないことは明らかではないか。環境庁は今回のデータをもとに、NO2環境基準の強化改定に着手すべきではないか、こう思うんですが、まずお聞きをしたいと思います。
#111
○政府委員(林部弘君) 御指摘の大気汚染健康影響調査報告書、つい先日公表したところでございます。この資料はもう先生の方にお届けしてございますので、限られた時間でございますから余りるる申し上げません。この報告書の三百六十九ページの「まとめ」のところに、今回の調査についてのまとめということで、今先生からいろいろ御指摘があったようなことが書かれているわけでございます。
 率直に申し上げまして、環境基準は疫学調査が非常に重要な判断資料というふうに私ども考えてはおりますが、疫学調査だけでもちろん環境基準の議論ができるわけでもございません。そういうような立場で今回の調査結果を眺めました場合に、「まとめ」のところに書かれておますような記述から私どもの率直な印象を申し上げれば、今直ちに改定を要するような結果であるというふうには、現在の段階ではそういう理解はしていないということでございます。
#112
○近藤忠孝君 この報告書の中身は、これは当然一致するわけですからね。その評価もこれは一致するんですが、問題はこの環境基準の問題です。今私が指摘した病気に近い指標の場合は、安全率を見込むということがやはり人命を大事にする、国民を大切にすると。まさにこれが環境行政の基本だと思うんですが、この点はある意味では政治的判断にも関係すると思うので、ひとつ大臣お答えいただけますか。
#113
○国務大臣(森美秀君) やはり健康を第一に考えなければならないと考えております。
#114
○近藤忠孝君 まさにそうだから、健康第一に考えれば安全性を見込んで、そして環境基準も考えるべきではないか。となりますと、これは前回、七年前に後退しているんですから、これはやっぱりもとへ戻すということが大切ではないか、これが私の質問で、大事にすることは一致しているんですよ。その先の話です。
#115
○政府委員(林部弘君) その点に関しましては、私が先ほどお答えをいたしましたような状況であると大気保全局は考えているというふうに大臣が御説明しているところでございます。
#116
○近藤忠孝君 しかし、何ら論拠が示されないのは大変残念なことだと思います。
 次の問題は、今回の調査結果で、喫煙、それからアレルギー素因、それから住宅環境などの大気汚染以外の諸因子の影響を取り除いても、男子児童の持続性ゼロゼロ・たん、それからぜんそく様症状、ぜんそく様症状――現在、それから女子児童の持続性ゼロゼロ・たん、それからぜんそく様症状、それかう成人男女の持続性たんのそれぞれがNO2との間に統計的に有意の関連性が認められた。これは一致すると思いますね。問題はその評価ですが、私はこの事実は、やっぱり公害病の原因があたかも喫煙や室内汚染あるいはアレルギー素因などにある、大気汚染とは無関係だというごとき主張をなされてきたんですが、これに根拠がないことをこの事実というものは示しているんじゃないか。これは評価の問題ですけれども、どうですか。
#117
○政府委員(林部弘君) 先ほど私、「まとめ」の中に書かれているというふうに申し上げまして、「まとめ」の中に書かれている記述自体については特に申し上げませんでしたが、今回の調査と今まで行われておりましたいろいろな疫学調査との間で、健康影響指標というものに何を用いるのかという議論が一つあるわけでございます。もうこれは先生よく御承知のことでございます。成人の場合には、従来から持続性のせき。なんというものが用いられた。俗に五プラス十。今回は、その五プラス十の問題については今回の調査では余りはっきりしたものは出ていない。しかしながら、持続性のなんというものについては、相関係数の大きさについての議論はあるけれども、有意な形で関連があるということは示されておる。そのことを私どもは「まとめ」の中に、この事実をそのまま忠実に記載をしたという形でございまして、そのことをどういうように評価するのかということについては、今回の私どもの発表した調査の中では触れていないわけでございます。それから児童につきましては、これは、こういう大がかりな児童に着目をした健康影響調査というのは今までやっていないわけでございます。確かに先生御指摘のように、ぜんそく様症状というものは、病気との距離が健康指標として考えた場合にかなり近いんじゃないか、こういう御指摘は
当然あると思います。また、そのぜんそくを疫学の一つの健康指標として使うということについてもいろいろな議論は必ずあると思います。そういう点に関しては、私どもは事実に忠実にこういうような状況であったということで報告した、こういうことでございます。
#118
○近藤忠孝君 ですから問題は、私が指摘したことは、そういういろんな素因があることによって、公害病が大気汚染とは無関係だという、これは主に財界、経団連などが言ってきたんですが、少なくともそのことは誤りである、これは言えるのじゃないかと思うんです。いろいろ素因がある、影響があることはこれはあるとしましても、しかし基本の問題は、大気汚染とやっぱり関係がないと言ったら、そんなことは間違いじゃないか。私は今回のこの調査結果からは、そういう根拠のない主張にはむしろ屈しないで堂々と対処するべきだ、こう思うんですが、これはむしろ大臣決意の問題になりますが、いかがでしょうか。
#119
○国務大臣(森美秀君) 少しばかり事務的なものでございますから、ひとつ……。
#120
○政府委員(林部弘君) なかなかアレルギー素因がありなしというあたりをどういうふうに解釈するかということについてはいろいろな議論があると思います。ただ、私が先ほどから申しましたように、今回の「まとめ」の中で、事実として相関係数が大きいか小さいかという議論もあるでしょう。しかし、事実としてこういうことがあったという点は、それは事実でありますから、その点については争いはないと思います。
#121
○近藤忠孝君 ですから、アレルギー素因があるかないかというその議論じゃなくて、問題は、そんなことを理由に大気汚染と無関係だという、こういう主張については環境庁が毅然たる態度をとるべきだと思うんです。
 次は硫黄酸化物の問題ですが、これが改善したから公害は終わったと、だから指定地域は解除すべきだという、こういう主張があったことが事の起こりだと思うんですね。しかし、今回の調査結果では、これは成人女子の持続性せき、それから持続性せき・たん、ぜんそく様症状、ぜんそく様症状―現在とSO2との有意の相関が認められて、過去のSOxの高濃度汚染への暴露の影響が現在もなお根強く残っているということが証明されたと思うんです。それはもう事実上間違いないんですが、したがって硫黄酸化物を汚染地域の指定要件としている現行公害健康被害補償法は引き続き堅持されなきゃならぬということが、私はこの報告書からのやっぱり結論だと思うんですね。ですから、このことだけ見ましても、SOxは改善した、もう公害は終わったから指定地域は順次解除せよ、補償制度も見直しなどというこういう主張にはやはり根拠はない、破綻したことは明らかではないか、こう思いますが、この点どうですか。
#122
○政府委員(目黒克己君) 先生からただいま御指摘いただきましたこの調査の結果とか、先生の御質問の趣旨についてでございますが、既に先生御承知の医学の専門委員会におきまして、大気局から出したこのATS調査等につきましては、これは審議の材料ということで一応今でも議論をしていただいているわけでございます。また、その事実というか、その数字と申しますか、その調査の結果というものにつきましても、その評価についても専門委員会において適切な御判断がいただけるものと、こういうふうに私どもで考えておるところでございます。また、この公健法の第一種地域の今後のあり方につきましては、専門委員会のこの御報告というものがあった後に中央公害対策審議会の環境保健部会におきまして御検討いただく、このようなことになろうかというふうに考えているところでございます。
#123
○近藤忠孝君 今の答弁は先ほどの寺田委員の質問に対する答弁と全く同じなんですね。私は別の角度から、また別の事実を示しての別の質問なんですから、全く同じ答弁というのは、これはやっぱり大変不誠実なことですし、私は環境庁自身の態度を聞いているんですよ。少なくともこれを見れば硫黄酸化物と、当然、主に過去の高濃度の汚染の暴露の影響と、これはやっぱり否定し切れぬじゃないか、あなた自身それまで否定するのか、これはどうですか。
#124
○政府委員(目黒克己君) あくまでも私ども大気の汚染とそれから健康への影響というものについての、ただいま先生の御指摘いただいたような評価ということを待って私ども対処していくというふうな考え方でおるわけでございます。したがいまして、やはり先ほど来申し上げておりますように、この専門委員会の報告並びにその報告に基づく環境保健部会の答申、そういうものを待って私ども対処していくというふうに考えておるわけでございます。
#125
○近藤忠孝君 大臣、どういう質問をしても同じ答弁なんですね。これは質問する意欲を大変そがれるし、またこのことに大変自分たちの健康問題、生活の問題をかけている公害被害者にとっては、大変これは環境庁に対して不信が私はわくのではないかと思うんですね。独自に環境庁で判断できるんだよ、こんなもの。それを専門の先生に、そういう態度、これどうなんですか、これはむしろ改めるべきだと思うんですが、いかがですか。
#126
○国務大臣(森美秀君) 今までの立場をとりますと、専門家の意見を聞いて、それで部会に語るとか等々をやっておりますので、今度もそういう方法で進んでいきたいと考えております。
#127
○近藤忠孝君 大臣も目黒部長の病気で汚染しちゃったですね。私はちょっと困るんですよ、本当に。しかし、時間がないので次に進みますが、これはやっぱり間違いない事実なんですよね。
 次は、東京都衛生局が、自動車排ガスのNOx汚染が児童にどのような健康影響を及ぼしているかを調査いたしました。報告書はまだ公表されていませんが、新聞報道によりますと、第一に、交通量が多く、NO2汚染の高い二十三区内住宅の児童の肺機能は、比較的汚染が少ない郊外部の児童の肺機能と比べて低い。第二に、尿中に排せつされるアミノ酸の一種、ハイドロオキシプロリンの星も、NO2汚染のひどい都心部の住宅地区の児童の方が郊外の児童のそれよりも増加する傾向にあることがわかったこと。第三に、環状八号線など都内主要幹線道路の住民の呼吸器症状有症率調査では、道路から離れるほど有症率が低下している。このように全体としてNO2汚染濃度の高い地域ほど有症率が高く、NO2濃度と有症率との関連性がはっきりつかまえられたという報告があります。私はこの結果も参考にして、自動車排ガス規制、とりわけディーゼル車規制、これは先ほど高桑委員からも指摘がありましたですね。その規制の強化、沿道の地域指定、これを早急に行うべきだと思いますが、答弁いただきたい。
#128
○政府委員(林部弘君) 移動発生源に対する単体規制の問題については私からお答えさせていただきます。
 これは中期展望でもお示しをいたしておりますし、中期展望の出る前に、既に単体規制の問題について御諮問いたしまして答弁をいただくということで作業が始まっておりますから、ですから今お話にありました、先ほど高桑先生からもお話がありましたディーゼル車対策というのは、単体規制という問題については既に具体的な作業は始まっているわけでございますから、現在の時点で、可能な技術レベルでどこまで規制の強化ができるかということになるわけでありますけれども、沿道の状況を改善する意味で単体規制は有効でございますから、そういう方向に向かって少なくとも現在進み始めている、そういう段階にあるということは言えると思います。
#129
○政府委員(目黒克己君) ただいまの沿道の問題につきましても、やはり先ほど来お答え申し上げておりますように、やはりいろいろな各種の学術報告あるいは資料といったようなものを総合的に専門委員会では参考にされていることと私ども考えておるわけでございます。あくまでもこの専門委員会の御判断あるいはどういうふうなお考えといったようなことにつきまして、やはり専門委員
会の御判断で行われるべきものと私ども考えておりますので、先生御指摘の点につきましても、やはり大気汚染の影響についてどうかということをまず専門委員会の方で御報告をいただきまして、その上でなければ、私どもの方としてはそういう報告をいただき、かつ部会の、先ほど来申し上げましたパターンによりまして私ども対処してまいりたいと、このように考えているわけでございます。
#130
○近藤忠孝君 また別の資料を出してね、別の質問をしているんですが、答弁は同じと。これは何を質問しても恐らく全部答えは同じですよ。大臣、大変残念なことなんですがね。しかし、ここで問題なのは東京都の調査、これ、御存じですか。この資料、入手していますか。当然これは入手して、見たと思うのですけれども、その感触、それを見た上でのそれなりの意見というのはあるでしょうが……。
#131
○政府委員(目黒克己君) 現在のところ、私どもも事務当局もまだ入手をいたしておりません。
#132
○近藤忠孝君 じゃ、入手していなければ、これは大変大事な資料ですよ。入手をし、十分生かすと、この点は約束できますね。
#133
○政府委員(目黒克己君) 専門委員会の御意見ということにつきましては、あくまでもこれは専門委員会の独自の御判断に従うと、こういうことでございます。
#134
○近藤忠孝君 だから、環境庁としてはこういうものを入手しましたと、専門委員会にお渡しをして、あとどうするかはそれは専門委員会の判断でしょう。何ですか、見せるか見せないか、それまでもあれですか、専門委員会の判断なんですか。
#135
○政府委員(目黒克己君) 先ほど来申し上げておりますように、専門委員会におきましては独自の立場で、専門的な立場からいろいろな学術報告、あるいは研究報告、あるいは調査といったようなものの資料をお集めになりまして、そしてそれを独自の判断で評価をしていただいておるわけでございます。したがいまして、私どもがその専門委員会に対して資料を、これを出すとか、あれを出すといったようなことではございませんで、あくまでも専門委員会として必要な資料は当然集めておられるわけでございます。したがいまして、私ども事務当局がこの資料をどうこうするということではございませんで、やはり専門委員会の独自性ということで、私どもこの専門委員会の御判断を待っているところでございます。
#136
○近藤忠孝君 これは国会に対する侮辱だと思うんですよ。大気保全局のこの資料だって、あなた、ずっと同じ答弁、同じ回答をしてきたんです、何度も何度も。それで私、大臣に会いに行きましたね。近々こういうものが出るから、これをちゃんと環境庁の責任において専門委員会にお示しをして、そしてよく判断してもらえと。大臣もそれはそうだと。今の部長の話を聞くと、何ですか、これを今度東京都のこの資料を見るか見ないかも、それも専門委員会に任せている、環境庁はもう全く何にもない。少なくともこういう今指摘したような資料があるんですから、これは環境庁、積極的に取り寄せ、しかもこれは専門委員会の方にお示しをする、それは当然でしょうが。この間私が大臣に会って言ったことはそのことなんですよ、この大気保全局の資料について。
#137
○国務大臣(森美秀君) 話をもうちょっと前にいたしまして、私も、先ほどもちょっと言いましたけれども、この環境庁の専門委員会に対する態度については、本当かな、それほどまでお任せしているのかなという疑問でおりまして、何度も何度も、もうほとんど毎日のように私は、一体そこまで専門委員にすべてを征して我々は後ろで待っているのかというチェックをしましたら、やはり確実にその点が、もうともかく専門委員にはいろいろな予見を与えちゃならないという立場を堅持していることが事実だということがわかりました。先般近藤先生が見えてからも、私この問題は二度も三度も話をしておるんですが、これは、せっかくここまで来たんだからもうしばらく、必ず専門委員の意見がまとまってくるからお待ち願いたいということで、今日まで待っている次第でございます。
#138
○近藤忠孝君 専門委員会の判断が本当は三月中に出るんじゃないかという話もあったけれども、これは出ずに四月以降になったんですがね。問題は、その判断が出る前にやっぱりより一層実態をよく見る、これが必要でしょうし、そしてそういうことにお手伝いするのが環境庁ですよね、余計な圧力を加えたりするのはこれはいかぬことですが。しかし、実際こういう資料がある。患者の実態やそういう病気をようく見ろ、また見てほしいと、その上で御判断をいただきたい、判断の中身にまで関与するのはこれは間違いだけれども、そういうことをするのが、むしろこれは事務局たる環境庁の仕事じゃないですか。それは当然やるべきなんです。率直にお答えいただきたい。あの人は同じ答えだからいいですよ、もうわかっているんだから。それは大臣だ。
#139
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘の点でございますけれども、お言葉でございますけれども、やはり資料のどの資料をとってどのような調査報告をまとめていくかということについても専門委員会の中で議論が行われているというふうに私ども聞いているわけでございます。したがいまして、先生のきょうの御指摘のことについては十分専門委員会の方には私はお伝えいたしますけれども、しかしながら、私どもの方から資料を出すとか、あるいは入手してどうするということではなくて、先生の御発言があったということを専門委員会の方へお伝えをいたしたい、このように思っているわけであります。
#140
○近藤忠孝君 じゃ、私の発言を伝え、それから恐らく、じゃ、そいつを見てみようかということになった場合に、いや、これから取り寄せますというのじゃ遅いんですよ。ちゃんと取り寄せておいて、そしてそれは要請されたらいつでもぱっと出すという、それくらいやってもいいでしょうが。どうですか。それができないとなると、これは大変な話だよ。
#141
○政府委員(目黒克己君) できるだけの努力をいたしてみたいと思っているところでございます。
#142
○近藤忠孝君 初めて別の答弁を聞きました。
 あともう時間がわずかですので、先ほどの中期展望の問題で、達成ができないという問題。これはやっぱり一層の対策強化を求めますが、質問は時間の関係で省略します。
 それから私はこの大気保全局の報告書を評価いたします。しかし、幾つかの問題点があると思うんですね。というのは、これは時間がないので端的に申しますと、単相関だけの解析でありますけれども、しかしこれは一年ごとの年平均値から、調査前六年間ぐらいまでの年平均値と有症率との組み合わせによる解析や重相関分析などを行ってみる必要がある。そういう意味じゃやっぱり不十分だと思います。それから年齢の問題でも、特に必要な意味のあるところに年齢の解析をもっとやるべきだと思います。
 それから地域のとり方にも問題がある。特にNO2濃度の高い地域、中程度の地域、低い地域とバランスをとって選定することとし、三年平均値で各年度ともほぼ二〇ppm以下が五地域、二一から三〇ppmが四地域、三一ppm以上が一地域となっていますが、この報告書では。しかし、NO2濃度と有症率との関連を調査するのには、NO2濃度の高い地域、中程度の地域、低い地域の割合を一対一対一にせずに、どうして一対四対五になったのか。高い地域を少なくすれば、NO2濃度と有症率との有意な関連が生じにくくなるのはこれは明らかで、この点でも問題があると思います。等々幾つかの問題があるんですが、これは後でまた具体的に指摘をしたいと思うんです。
 となりますと、今専門委員会で審議中だということですが、これをよくごらんになっているとは思いますけれども、今私が指摘したような問題点をさらに考慮して解析を行う、そういうさまざまな角度から検討して、慎重に審議すべきだと思います。問題点をさらに私、具体的に後であなたに
申しますので、今言いかかったこと、これはまた専門委員会に私が指摘したことは、この報告書の問題点としてこういう問題があるというのは伝えてくれるんでしょう。どうですか。それを伝えると何かあれですか、影響を与えるんですか。伝えた上で、あとは専門委員会に任すとしても、やっぱり十分に審議してほしい、これが近藤忠孝の意見だと、これは伝えるでしょう。
#143
○政府委員(目黒克己君) 大気保全局から出しましたこの調査報告書、これについては先生方も当然十分に審議しておられるわけでございます。したがいまして、先生が御指摘になられたことも、まあ私これは推測でございますが、当然いろいろ審議の対象になっているものと考えておるわけでございます。また、さらに先生の今御指摘のあった点につきましても、先生の御発言があったことについて専門委員会の方へ伝えることにいたしたいと思っておるところでございます。
#144
○近藤忠孝君 幾ら偉い人でも、幾ら専門家でもこれはやはり漏れる場合があるんですよね。ですから、私の言ったことは案外漏れておったかもしれぬので、これはひとつよろしくお願いしたいと思います。やっぱりそういうことを十分本当に客観的、科学的に見た上で、ひとつ専門委員会の判断を願いたいということを伝えてほしいと思います。
 あと残された時間一分ですので長官に、これは長官がじかにお答えできることなんで、要望を兼ねた質問をいたしますが、就任されてから全国公害患者会連合会とまだお会いになっていないんです。早急に時間をつくって、環境庁の庁舎内で会う機会をつくっていただきたい。これは大変強い要望であります。この間大臣に会ったら、私の身分は五月までとかなんとか言っておったけれども、そんなことを言わずに、ともかく任期中に、しかも早い時期にひとつ患者代表とお会いになる、できれば日もいつごろというのもお示しいただいて答弁いただけると大変ありがたい。五月過ぎてからはちょっと危ない面もありますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
#145
○国務大臣(森美秀君) 御指摘がありましたように、五月の二十二日を過ぎてまだまだやっておりましたら、時期については真剣に検討したいと思います。
#146
○近藤忠孝君 会いますね。
#147
○国務大臣(森美秀君) 時期については検討したいと思います。
#148
○近藤忠孝君 会うことは当然ね。
#149
○国務大臣(森美秀君) 会うことを含めて時期について検討します。
#150
○近藤忠孝君 ですから、今の答弁は、会うことが前提で、あと時期の問題、そう理解してよろしいですね。
#151
○国務大臣(森美秀君) 私は時期について検討をしたいと申したわけでございますが、官房長が会うことについての時期についてと、こう言っておりますので、そうさしていただきたいと思います。
#152
○青木茂君 私は長官と同じように環境の委員に任命されてからまだ二カ月ぐらいしかたってなくて、その意味においては一年生です。まあ五月過ぎたらこれはチェンジじゃないかと、似たような立場ですから、とてもまだ一年生ですから個別の項目について質問する能力はございません。しかし、次回から個別の問題についても御質問申し上げることのできるように、きょうは環境庁というものの基本的な性格、任務、使命、それは一体どこにあるのかということについて御質問を申し上げたいと思います。
 実は、きょうつぶさに一問一答を聞いておりまして、私自身環境庁の存在価値ですか、価値というものは十分これは理解して、諸官庁の中で最も大きく権限を持ってもらわなければならない官庁であるということは十分わかりながら、きょうの一問一答の中では、環境庁そのものの存在理由というものに対して疑問を持たざるを得なかったということです。
 私は、すぐ思い出したのは、ウサギとカメのレースですよ。あの物語の方では、ウサギが突っ走って、それで眠ってくれたから、カメが追い越したわけですわ。ところが、現実の例えば建設、国土の開発については眠ってくれなくて、向こうが突っ走るわけです。突っ走っておって、カメの方がのろのろ、のろのろ歩いておったのでは、これは僕は公害にしろ、いわゆる環境汚染は広がるばかりではないかという気がして仕方がなかった。つまり、後追いに過ぎるのではないかと。例えば、さっき出ました石垣のサンゴ礁の問題でも、水俣対策の問題でも、新幹線の騒音の問題でもいろいろ出ました。それからまた、今の専門の先生のあれを待って、繰り返し繰り返ししておったらもうおくれるだけなんですよ。そういうような状態であるならば、いかに存在理由が高い重要な官庁であっても、僕は公害防止事業団どころか環境庁そのもののレーゾンデートル、これは行革の対象にならざるを得ないという気が率直にした。これに対して、まず長官の御見解を承りたいと思います。
#153
○国務大臣(森美秀君) 今のお話でございますが、私も実は先ほどの近藤先生とのお話の中で、例えばお医者さんに、専門委員にいろいろなものを頼むというときに、何もしないで、こっちで手をこまねいているのは、私も自分自身こういう性格でございますから、こういう方法でいいのかなということで随分疑ぐりを持っておりました。しかし、これが出た結果について我々が前向きになってやるならば、この時間というものはむだじゃないんだという現在は自覚をしております。したがいまして、あるいはある意味で全体がカメの動きかもわかりませんが、私は出る結果というのは常に出ておりますし、出たことについて前向きになってやるという気持ちさえ失わなければ、私は環境庁というものは、ほかの各省庁というのは二十一世紀がよければいい、しかし我々は二十二世紀、二十三世紀のやはり子や孫やひ孫の時代をつくるわけでございますので、ひとつ時間のかかるところはお許し願って、その間に皆さん方の御激励によって、決まったものについては前向きにやるという立場をとらしていただきたいと思います。
#154
○青木茂君 ただいまの御答弁ですね、後半の部分は全く結構だと思います。ひとつ結果の出る時間ですね、時間をできるだけ環境庁のリーダーシップのもとにおいて促進をしていただく、それをひとつお約束できますか。
#155
○国務大臣(森美秀君) 検討したいと思います。それぞれのものに対して検討していきたいと思います。
#156
○青木茂君 それぞれのものについて検討というよりは、結果がのんべんだらりんと出たんでは対応もおくれてしまうんだから、その中で環境汚染の人々が非常にふえてきて、結局国民の健康で文化的な生活が汚染されてくるんだから、ひとつ前半の部分を含めて急がしていただきたいと、これはお願いですね、それは御了承いただけますか。
#157
○国務大臣(森美秀君) わかりました。
#158
○青木茂君 もうそうなりますと五月二十二日以後もぜひやっていただきたいですな。それは別問題として、次の問題へ移ります。
 これは環境庁の基本的な問題でございますけれども、環境庁は、環境庁であって環境省でないと。また何か新聞紙上、これはゴシップかデマかしれませんけれども、何かどうも長官という名より大臣という名の方がええというような話も漏れ聞いておるわけですね。私は環境庁が庁であって、省でないと。そこにいかなる前向きの理由があるのか、その前向きな理由に対してどのような対応を示されているのかというようなことについて長官の御見解を伺いたいと思います。
#159
○国務大臣(森美秀君) 何か職制上何と言いますか、総合調整官庁と称するものだそうですが、私はみずからは総理大臣の次くらに偉いと思っておりますから、決して庁であっても劣等感を持っておりません。よろしくお願いします。
#160
○青木茂君 別に劣等感を持っていただいちゃ困るんで、逆に。おっしゃるとおり総合調整官庁と
いうものは総理大臣を動かす、つまり縦割り行政の各省のいわゆる大臣より、それを横に水平的につなげまして、そこで縦割り行政の弊害を正すというのがまさに総合調整官庁の持つ私は意味だと思います。例えば民間企業なんかでは、そういう調整機能ですね、いわゆるコントローラー部、これは副社長が就任するわけですからね。だからそういう意味において、長官おっしゃるとおり、長官は総理大臣の次なんですよ、本当は副総理でなきゃいかぬわけですよ。副総理ぐらいの気持ちでやっていただかなきゃ困る。ところが、総合調整官庁でありながら、総合調整官庁というものの僕は任務ですね、やらなければならないこと、それが何か忘れられてしまって、何か縦割り行政の中に参加しようと。総合調整をやるのでなしに、縦割り行政の中に参加しようというどうもビヘービアが目立って仕方がないんだけれども、総合調整官庁として何をやらなきゃならないかということについて長官はどういう御見解でございますか。
#161
○国務大臣(森美秀君) 私は、ともかく四百何億しか予算がない、一体裁らは何やるんだというような気持ちで、えらいこれは大変なところだなということでございました。しかし、やってみますと、例えば閉鎖された湖に対する上下水道の問題とか、これは私たちの努力によって地方行政の方方も真剣に動いてくれる。むしろ一番我々が予算を持っているんじゃないかと、予算の面で言えば。ただ、それを建設省その他を含めて、あるいは地方公共団体を含めてやらせる意思があるかないか、この点が大変問題だと思いますが、今の環境庁のスタッフというのは、その意味では一生懸命やっている。したがって、潜在的な予算というものは恐らく環境庁が一番あるというふうに考えております。
   〔理事菅野久光君退席、委員長着席〕
#162
○青木茂君 また、色男金と力なかりけりということがございますから、本当に予算が少ないのは御同情申し上げるし、我々としても環境庁の予算はできるだけふやすように努力しなければいけないと思っております。ただ、総合調整官庁であるその武器ですね、武器を現実的な問題においてどのように今後発揮されるかということが私は問題だと思うんですよ。
 それでちょっと疑問なのは、環境庁が持っていらっしゃる伝家の宝刀と申しますか、いわゆる勧告権というのがございますね、この勧告権が何かさびついちゃっているんじゃないかと。環境庁が発足して十五年、ところが勧告権なるものが発動されたのは初期の段階において三回ぐらいしかないわけなんですよ。その後は皆無なんですね。そうすると、例えばこの十年間、一体勧告に値するような大きな問題ですね、大きな問題は一体なかったのかどうかと。なかったから勧告権なるものは出さなかったのか、あるいは環境庁が総合調整官庁であるということを何か忘れてしまって、ほかの省に遠慮してしまってよう出せなかったのか、ここのところはいかがでございますか。
#163
○国務大臣(森美秀君) 伝家の宝刀というものは抜いてしまったらそれだけのものになりますが、抜かないところに大変力があると私は思っておりますが、詳細は官房長からひとつ答えさせます。
#164
○政府委員(古賀章介君) 先生言われましたように、勧告権を行使いたしましたのは昭和四十六年、四十七年、五十一年の三回でございます。その後確かに勧告権は発動いたしておりませんけれども、関係省庁に対しては、私どもは従来から必要に応じて閣議でありますとか、各種審議会における発言でありますとか、それから法律に基づく環境庁長官への協議、法定協議と言っておりますが、そういうような協議などがあるわけでございます。そういうようなあらゆる機会を通じまして環境庁としては関係各省に意見を述べ、また必要な協力要請を行ってきたということでございます。
 今大臣が申されましたように、環境庁長官の勧告というのは、いわば伝家の宝刀とも言うべきものでございまして、特に必要があると認められるときは行うということでございますので、特に慎重を期する必要がある。五十一年以降はいろいろ大きな問題もございましたけれども、その調整機能を行使しなかったのではなくて、調整機能が効を奏したがゆえに十分環境庁としての意見を言ってまいったと、こういうふうに私どもは考えております。
#165
○青木茂君 どうも事前協議というのは余り役に立たないんですよ。伝家の宝刀、それは簡単に抜いちゃいけません。いけませんけれども、夜寝る前ぐらいはちょっと抜いてみて、光輝いているかどうかを点検すべきですね。十何年も抜かなきゃさびついちゃっているかもしれませんよ。それで相手さんに、これさびついているということを見破られて、何だ、抜く方ないじゃないかと。そうしたら総合調整官庁機能も何もありゃせぬですよ、なめられるだけですよ。だからそこを私は心配をしておるわけなんですよ。
 じゃ、今まで勧告に値するところのものがなかったかどうかということでございますけれども、これは私がこう素人なりに見ておりましても、このとき勧告しておいたらなという問題はあったんじゃございませんかね。例えば例の長野スーパー林道ですか、あれは行ってごらんいただくとわかりますけれども、大変見るも無残な状況になっておりますね。着工待ったの勧告があそこであったらなという後悔ですね、後悔は本当のアマチュアである私自身、あれを見るにつけてもそう思います。
 それから、きのうだかおとつい和解が出ました新幹線の騒音におきましても、何か環境基準はっくったけれどもずっと達成されてなかった、どっかで一回ぴしゃっとやるということがあってもよかったんではないかと。つまり、勧告に値する問題はこの十年間に私は多発していると思いますよ。そのとき伝家の宝刀抜いちゃったらだめだというわけで抜かぬでしまっておいた、そうすると、さびちゃうんじゃないかと思いますよ。それで環境庁のステータスが落ちるわけですよ。これは御答弁というより御感想を伺いたいですね。
#166
○国務大臣(森美秀君) まあそうかもわかりません。
#167
○青木茂君 何かどうも私に対しては率直な御答弁で、なかなかあれができないんですけれども、それじゃ今度は未来の問題ですね。
 これからいろいろ問題が進められていくんですが、例えば青秋街道の計画ですか、今、ブナ林なんというのは少ないですからね、こういうものが下手に破壊されやしないかという心配。それから、さっきも出ておりました中海の干拓事業ですね、これなんかも湖の水質を悪化させはしないかという心配。それから、今まさに今度の予算の中で問題になるであろうと思われる東京湾に道路をかけますね。道路をかけたときに、これは僕は環境汚染の巣になる危険もある。環境汚染どころか、東京湾を死滅さしてしまうような危険性もあると思います。つまり環境破壊を招く開発要因ですね、開発要因というのは私はメジロ押しにあると。こうしたものに対して環境庁は、案外あれよあれよということで手をこまぬいて見ていらっしゃるのではなしに、つまり後追いではなしに、もう先にこういう点は気をつけてくれというぐらいのアクションを起こしていただくべきだと。こういうこれからのテーマこそまさに調整官庁ですね、総理大臣の次のステータスを持つ調整官庁の仕事であり、そこに僕は環境庁のレーゾンデートルがあるはずだと。このレーゾンデートルをもし環境庁が放棄したとするならば、これはやっぱり要らぬじゃないかと、行革の対象に明らかになりますよ。この点長官、ひとつどういう御決意でございますか、伺いたいんですけれども。
#168
○国務大臣(森美秀君) 今おっしゃられた問題は、それぞれまだ私どものところに正式に耳に入ってない、来ない組織になっております。したがいまして、本店で私が何を答えるといってもはなはだ難しいわけでございますが、いろいろなことにつきまして、やはり新聞紙上で知ったならばどうしたらいいかというようなことを内々考える必要はあろうかと思います。
#169
○青木茂君 まだまだ伺いたい問題は多々ございますけれども、あと十分だそうでございますから、ひとつ国土庁と環境庁の相互関係、同じ総合調整官庁としての相互関係というものを実は伺いたかったんですけれども、ここは省きます。
 省きまして、もう一つぜひ伺っておきたいと思いますのは、これは少し何だか字句の揚げ足取りになるかもしれませんけれども、設置法三条で「その他環境の保全」という文言がございますね。この「その他」という言葉の意味なんですけれども、それを長官はどう御解釈になるか。と申しますことは、環境庁のスタート、環境庁華やかなりしころは四十年代の高度成長時代だったんですね。ところが、時代が移ってまいりまして、国民の健康で文化的な生活を守る環境問題というものに質的な変化が出てきたんじゃないか、あるいはそこにプラスアルファが何か出てこなければいけないんじゃないか。そのプラスアルファが「その他」というものの中に含める解釈というものが前向きにできないものであろうかということなんです。だから「その他」という意味について、まずお考えをいただきたいと思います。
#170
○政府委員(古賀章介君) 先生おっしゃいましたように、環境庁設置法の第三条には、環境庁の任務といたしまして、「公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全を図り、」云々と、こういうふうにございまして、「その他環境の保全」とは一体何かという御質問でございますけれども、御案内のように、環境庁は今申し上げましたように環境の保全に関する行政を総合的に推進することを任務としておるわけでございます。しかもその中心というのは公害の防止と自然環境の保護、整備という二本柱でございます。今申し上げた設置法の三条の「その他」というのは、この公害の防止と自然環境の保護、整備以外の環境問題を広く含む概念であるというふうに理解をいたしております。現在のところどのような具体例があるかというふうに申しますと、最近よく言われております、より質の高い環境問題として取り上げられております快適環境づくりというようなものが、この「その他」の具体例として挙げられるかと思います。
#171
○青木茂君 わかりました。その解釈について私も異論はないわけです。ただ具体例ですね、具体例が何となく抽象例のような気がするんですけれども、非常に思い切ったというか、乱暴な具体例を二、三申し上げますと、例えばサラリーマンが通勤するときの満員電車なんというの、あれだって私は生活環境から見れば非常に大きなデメリットだと思うんですよ。そうすると、あれだって僕は、環境庁が民間に対してか国鉄に対してか知らないけれども、ある意味の文句つけたって、環境庁の「その他環境の保全」の「その他」の中に入らないことはない、拡大解釈すれば。そう思いますし、行政というのは、国民のためになることなら幾らでも僕は拡大解釈してもらいたいと思うのですよ。ためにならぬことばかり拡大解釈されちゃ困りますけれどもね。
 それからもう一つ言えば駐輪場なんというものがありますね。自転車置き場、あれはそのまま野放しにしておきますと、救急車は通れませんよ、消防車は通れませんよ。そういうことも私は環境ということで我々として考えなければならない一つのテーマではないか。四十年代の公害という問題から常識的に考えればそれは大きく外れます。大きく外れるけれども、六十年代の生活環境ということになれば、私はそんなに外れる問題じゃない。
 それからもう一つ言えば、総合調整官庁なんだから、土木事業の穴掘ったり埋めたり、埋めたり掘ったりするやつ、水道を埋めるために掘りますわ、それで埋めて写真を撮って官庁に見せなきゃ許可がもらえない、その次は同じところへガスかなんか埋めるためにまた掘ってまた埋める、こういうことの繰り返しはとにかく税金のむだ遣い以外の何物でもない。そうすると、私の家の近くなんか夜中にやられるわけです。これは環境破壊ですよ。いかにそういうことで住民が迷惑に思っているかわからないということですね。だからそれは縦割り行政だからそういうことになるんです。だからその縦割り行政を総合調整官庁である環境庁がいちゃもんつけるというのか、文句言うというのか、指導するというのか、そういうことは当然やっていただきたい。つまり、繰り返してお願い申し上げますけれども、総合調整官庁は各省の縦割り行政との闘いの中にこそ存在理由があるんだということですね。これは私の言い方、乱暴でしょうか、長官ひとつ御所見を。
#172
○国務大臣(森美秀君) 決して乱暴とは申しませんが、ただ、今の環境庁としますと、NOxの問題とかあるいは地下水の汚染の問題とかあるいは水俣病の問題とか等々、何と言うんですか未解決である問題が大変多うございます。わずかな人間でやっておりますので、そういう幅広にやることもいいけれども、ともかく今あるものを少しでも早く皆様方の国民の健康のために、国民が喜んでくれるために我々努力しなきゃいけないんだ、こう考えておりますので、御意見よくわかりますが、そこまで手が届かないというのが実態でございます。
#173
○青木茂君 手が届かないということで、いつかは手を届かせようということですね。
#174
○国務大臣(森美秀君) いずれかの代の環境庁長官にやってもらおうかと思います。
#175
○青木茂君 今の長官に長いことやってもらいたいですな。とにかく四十年代の公害の後始末が完全にまだついているとは、それは確かに思えませんし、どんどんつけていただかなきゃならぬ。そのついてないというのを私は、さっきのウサギとカメで、ウサギは突っ走るんだけれども、カメはのろのろして、ウサギは少しも眠ってくれないものだから、いつまでたっても解決しないんだと。そこの促進ですね、その促進は当然図っていただきたい。そして同時に、もう今や自然環境の保護行政から、それから公害行政へ移ってきた環境行政が、これからは生活環境の問題、さらに言えば心の環境の問題まで広げたっておかしくないと存じます。そういうひとつビジョンをくれぐれもお願いをして質問を終わります。委員長、ちょっと時間が余りましたけれども、質問を終わります。
#176
○委員長(矢田部理君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト