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1985/04/03 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 環境特別委員会 第4号
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1985/04/03 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 環境特別委員会 第4号

#1
第104回国会 環境特別委員会 第4号
昭和六十一年四月三日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任
     寺田 熊雄君     久保  亘君
     安恒 良一君     村沢  牧君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢田部 理君
    理 事
                山東 昭子君
                吉川  博君
                菅野 久光君
                飯田 忠雄君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                上田  稔君
                梶木 又三君
                藤田  栄君
                星  長治君
                矢野俊比古君
                柳川 覺治君
                久保  亘君
                村沢  牧君
                高桑 栄松君
                近藤 忠孝君
                青木  茂君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  森  美秀君
   政府委員
       公害等調整委員
       会委員長     大塚 正夫君
       公害等調整委員
       会事務局長    菊池 貞二君
       環境庁長官官房
       長        古賀 章介君
       環境庁長官官房
       会計課長     山下 正秀君
       環境庁企画調整
       局長       岡崎  洋君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  目黒 克己君
       環境庁自然保護
       局長       加藤 陸美君
       環境庁大気保全
       局長       林部  弘君
       環境庁水質保全
       局長       谷野  陽君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       環境庁長官官房
       参事官      杉戸 大作君
       法務省民事局第
       三課長      田中 康久君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課長    加藤 三郎君
       水産庁振興部沿
       岸課長      堀越 孝良君
       運輸省港湾局管
       理課長      森谷 進伍君
   参考人
       日本道路公団理
       事        戸谷 是公君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、昭和六十一年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、昭和六十一年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(公害等調整委員会、環境庁))
    ―――――――――――――
#2
○委員長(矢田部理君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二日、寺田熊雄君並びに安恒良一君が委員を辞任され、その補欠として久保亘君並びに村沢牧君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(矢田部理君) 去る三月二十八日、予算委員会から、四月三日の午後一時までの間、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、公害等調整委員会及び環境庁についての審査の委嘱がございました。
 この際、本件を議題といたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(矢田部理君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件審査中、日本道路公団の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(矢田部理君) 予算の説明につきましては、去る三月五日の委員会におきまして既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○久保亘君 最初に環境庁にお尋ねいたしますが、志布志湾の国家石油備蓄基地の建設に関連して現地では賛否両論がありまして、十数年にわたっていろいろと問題を含みながらこの問題が進んできております。そして最終的には、志布志湾の埋め立てについて環境庁が同意をされたことによって着工されることになってきたわけでございますが、環境庁が同意をされますに当たって、国定公園の環境保全についていろいろと環境庁からも意見のあったところであります。この点について、現在進行中の備蓄基地建設のための埋め立てについて、環境庁として国定公園志布志湾の環境保全のためにどのような措置をとっておられるのか。現在進んでいる工事について環境庁がどのようなかかわり方をされているのか、この点について最初にお尋ねいたしたいと思います。
#9
○政府委員(岡崎洋君) ただいま先生からお話がございましたように、環境庁がこの工事につきまして、自然景観の保全あるいは工事中の水質汚濁の防止あるいは汀線の問題というような点について十分考慮をした上で仕事をしてほしいという注文をつけまして、それを考慮に入れた形でこの仕事が踏み切られたわけでございます。昨年から埋立工事が進められているというふうに聞いておりまして、現在までに護岸工事の一部が実施されているということになっております。
 なお、現在、工事において私どもが心配しておりましたような懸念される水質の濁りというものにつきましては環境監視が続けられておりまして、現在までのところ特段の問題が生じているというふうな報告を受けておりませんが、私どもは
工事の執行につきましては、事業者あるいは県を通じまして十分フォローアップしてまいりたいと思っております。
#10
○久保亘君 工事のためということであそこの保安林、松林の伐採が行われたことも御承知であると思いますが、この点に関しても、環境庁としてもいろいろと環境保全の立場からは御検討になっておられますか。
#11
○政府委員(岡崎洋君) 御指摘の点につきましても私ども考慮の中に入れて、報告等は承っておるところでございます。
#12
○久保亘君 これからも環境保全のために環境庁としては十分な指導なり監視なりが必要な問題だと思うのですが、具体的に環境庁は、この埋立工事について、現地で環境庁の立場からいろいろとおやりになるような態勢は整えられておるんでしょうか。
#13
○政府委員(岡崎洋君) 私どもが直接具体的に現地に対してアクションを起こすというような仕事のやり方は、システムとしても考えておりません。県を通じまして所要の対応を図ってまいるというのを基本といたしておるところでございます。
#14
○久保亘君 県は埋め立ての事業主体なんでありまして、やる方なんです。だから県を通じてということでなくて、私は環境庁も直接に調査をされたり、いろいろおやりになることが環境庁の任務ではないかと思っているんです。合意をした以上は、後は県からの報告を求めて、それで環境庁としては十分だということなんでしょうか。
#15
○政府委員(岡崎洋君) 県もいろいろな側面がございまして、工事主体であると同時に、県は県なりに環境部局もございます。そういうところを通じまして、環境保全上の行政につきましては十分配慮が行き届くものと思っておりますけれども、先生御指摘のこともございますので、私どももより積極的に、場合によっては実際に様子を拝見に伺うということも念頭に入れまして遺憾なきを期してまいりたいと思います。
#16
○久保亘君 きょうは大変短い時間ですから、現在この埋め立てをめぐって住民の間にいろいろと混乱もございます、また埋め立てが強行されたという立場の意見も多いわけであります、これらのことに関連して少し法的にどういうふうな理解をしたらいいのか、政府の明確なお答えを承っておきたいと思うのですが、まず最初に水産庁に伺います。
 共同漁業権の漁場区域が埋め立てられる場合の漁業補償についてでありますけれども、その場合に漁業補償を受ける資格のある者は、具体的に法的にはだれを指すとお考えになっておりますか。
#17
○説明員(堀越孝良君) 共同漁業権に対します補償につきまして一般論として申し上げますと、共同漁業権の実際上の受益者あるいは行使権者は関係漁民でございますので、通常は漁業補償金は関係漁民に渡るものというふうに理解をしております。
#18
○久保亘君 そうすると、漁業補償を受ける資格を持つ者は漁協ではなくて関係漁民だ、こういうことでございますね。
#19
○説明員(堀越孝良君) 具体的に公有水面埋立法におきましては、これは水産庁に解釈権限があるわけではございませんので、その点につきましての水産庁の解釈につきましては御勘弁をいただきたいと存じます。
#20
○久保亘君 現にあなたの方では、補償金の交渉や受け取りについては関係漁民からの委任状をとるようにという指導通達がございますね。だから、そういう立場の根拠になるのは、漁業補償の相手方は関係漁民である、漁協はその委任を受けて交渉に当たる場合がある、こういう理解でいいんじゃないですか。
#21
○説明員(堀越孝良君) 漁業権の側面から申しますと、共同漁業権の実際上の受益者あるいは行使権者は関係漁民でございますので、通常は補償金は関係漁民に渡るもの、先ほど申し上げたとおりでございます。
#22
○久保亘君 関係漁民というのは、その共同漁業権にかかわるすべての漁民、こういうことになりますか。
#23
○説明員(堀越孝良君) 通常は関係の漁業協同組合の組合員でございますが、協同組合によりましては、協同組合の一部ということもあるというふうに承知をいたしております。
#24
○久保亘君 今のどういう意味ですか。共同漁業権にかかわっている漁民の中で、漁業補償の対象にならない者があり得るということなんですか。
#25
○説明員(堀越孝良君) 具体的に申し上げますと、漁業協同組合が合併をする場合がございます。合併をした場合に、共同漁業権につきましては、もとの関係漁民だけで共同漁業権の受益者になるということがございます。そういうことでございます。
#26
○久保亘君 関係漁民というのは、その共同漁業権が設定されている海域にかかわっている者ということですから、それはわかりますよ。わかりますが、だから、いわゆる関係漁民は全員ということですね。
#27
○説明員(堀越孝良君) 漁業補償金を受け取る関係漁民は、通常一部の場合も全部の場合もございますけれども、それの全員というふうに理解をいたしております。
#28
○久保亘君 そうすると、例えば今度は漁業権の放棄が行われる場合に、漁業補償が要らないという意思表示が行われたことによって埋立事業者が漁業補償をしない場合は、その漁業補償は要らないという意思表示は多数ではだめなんであって、漁業補償を受ける資格を持つ者全員が漁業補償は要らないと言った場合にそれは成り立つものという理解でよろしゅうございますか。
#29
○説明員(堀越孝良君) 公有水面埋立法の関係でございますれば、事業実施主体を指導しております運輸省の方にお聞きいただければというふうに存じます。
#30
○久保亘君 この補償に関して水産庁の考え方というものをやっぱり示していただきたいと思うのです。それで、漁業補償交渉委員会あたりが事業者との間で話し合って、個々については漁業補償は要らないと言ったからということで、漁業補償を受け取る資格を持つ者で、要らないという意思を示さない者まで含めて漁業補償をやらないということは違法なんじゃないかということを聞いておるわけなんですが、それは水産庁としては一つの見解をお持ちにならなければいかぬのじゃないですか。
#31
○説明員(堀越孝良君) 共同漁業権の漁業権者は漁業協同組合でございます。漁業協同組合が三分の二以上の特別議決を行えば、漁業権の放棄はし得るというふうに理解をしております。
#32
○久保亘君 どうもあなたは話がよくわかっとらぬのだな。漁業権放棄は、あなたの言われることを一応私は理解しておきましょう。三分の二以上の特別決議でもって、この共同の海域の漁業権を放棄することを決める、それは決まったとしますよ。そうすると、今度は放棄したところについては当然着工に先立って漁業補償が完了せにゃいかぬわけです。そうすると、その漁業補償を今度は多数決でもって要らないということを決める権利があるかということなんです。そういうことが決められるか。
#33
○説明員(堀越孝良君) 水産関係施設をつくるために公有水面を埋め立てます場合に、漁業補償を行わないで公有水面を埋め立てるという事例は大変多い。逆に言いますと、そういう場合に漁業補償金が払われたという事例を私は承知しておりません。
#34
○久保亘君 通常今あなたが言われるような場合というのは、これは全員がそのことに同意をしてそんな形になっておるわけなんであって、全員が同意していない場合に、それぞれ固有に漁業補償を受ける権利を持っている者たちが多数の意思によってその意思を排除されるということは、これは漁業補償の、先ほどあなたの方から言われた、関係漁民全員が漁業補償を受ける資格を持つ、そしてそれは漁民に対して補償は行われるものであるということですから、水協法に基づいて三分の
二の特別決議で放棄されたとしても、補償を受ける権利というのはそれぞれの個々の漁民が持っているんであって、その補償を受ける意思を多数でもって消滅させることはできないのではないかというのを私は聞いておるのです。
#35
○説明員(堀越孝良君) 漁業権者は、先ほど申し上げましたように、共同漁業権につきましては漁業協同組合でございますので、漁業協同組合の決議によりまして漁業権を放棄することはできるというふうに考えております。
#36
○久保亘君 私が聞いておることわかりませんか。漁業権の放棄は、それは三分の二の特別決議で全員が仮に放棄させられたとしても、漁業補償は関係漁民が受けるんだとあなた言われたでしょう。そうすると、補償を受けるべき関係漁民が補償は要らないという意思表示をしていないのに、多数が、そういう交渉委員会がそう言ったからということでもって、漁業補償は要らないという意思を表示していない者の意思まで含めて漁業補償をやらないということができるかと言っているのです。
#37
○説明員(堀越孝良君) 漁協が漁業権の管理主体としまして補償交渉をどこまで締結できるか、あるいは補償金を独自に受領することができるかどうかにつきましては判例の解釈も分かれておるというふうに理解をしております。
#38
○委員長(矢田部理君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#39
○委員長(矢田部理君) 速記起こして。
#40
○説明員(堀越孝良君) 共同漁業権につきましては法律的にも非常に解釈が分かれておるところでございまして、あるいは伝統的な権利でございますので、非常に法律的な解釈が難しいというふうに理解をしておりますが、一般的に申しますと、漁業権の管理主体は漁業協同組合である。それで漁業権の受益者、これは関係漁民であるというふうに考えております。補償金につきましては、私ども漁業協同組合が受け取ることもできるというふうに考えておりますが、関係漁民との関係につきましては、それは一般論として申し上げますと、漁業協同組合が保有をしておくのではなくて関係漁民が受け取るべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
#41
○久保亘君 そうすると、関係漁民が漁業補償を受ける権利を持っているものを、今度はそういう固有の漁民の持つ権利を多数決とか、あるいは交渉委員会などという特定の機関が固有の権利を消滅させる決定をすることはできないのじゃないですかということを私は聞いておるのです。
#42
○委員長(矢田部理君) その今の説明の次をさっきから聞いている。そういう質問なんで、次を答えてない。
#43
○説明員(堀越孝良君) 先ほどから申し上げておりますように、関係漁民が補償金を受け取るのが一般的であるわけでございますが、それが権利として直接に主張し得るものであるかどうかにつきましては、これは疑問なしとしないということでございます。
#44
○久保亘君 何かえらい慎重になって、こわがっているんじゃないの。じゃなくて、あなた方の方は法律に基づいてそれぞれ権利を持つ者の権利を侵害するようなことにならないように適切な行政指導をやるべきなのであって、何か現に行われようとしていること、行われていることを正当化するような解釈を無理やりにつけるとおかしくなるんです。これはあなたが最初に言われたように、漁業補償は関係漁民が受ける資格を持つ、権利を持つ。だから、その資格はその本人の意思に基づいてしか、その権利は本人の意思に基づいてしか放棄できない。他人が個人の持つ経済的な権利を消滅させることはできない、そのことを私は言っているのであって、あなたは一般論としていろいろと言われるけれども、なかなか理解しにくいことなので、時間がないからもうあなたとここで押し問答をやっていてもしようがないと思うのだけれども、はっきりさせておきますよ。
 関係漁民が漁業補償を受ける権利を持つ。そうすると、その権利は、全体の意思が同意になった場合においてのみ放棄できるのであって、放棄をしようとするならば、放棄に同意した者だけしか放棄できない。固有の権利を団体でもって放棄させることはできない。そのことを明確にしておきたいと思う。
 ところで、今度は運輸省の方に伺いますが、公有水面埋立法六条一項は、埋め立ての際に漁業補償をやることを決めておりますけれども、この六条一項というのは、漁港とか漁船だまりをつくる場合の埋め立てにも当然に適用されるものだと考えますが、法律の適用についてはそういうことでよろしゅうございますか。
#45
○説明員(森谷進伍君) 一般的に申し上げまして、埋め立てを行う場合には免許の一つの条件といたしまして、「水面ニ関シ権利ヲ有スル者」の同意を求めているわけでございまして、そういう意味で権利を持っている例えば漁業協同組合等があります場合には、それに対して正当な補償をした上で行われるのが一般でございます。
#46
○久保亘君 そうすると、もう一遍確認しておきますが、漁港、漁船だまりをつくるための埋め立てであっても、関係漁民が漁業補償についてそれを放棄するという意思を示さない限り、法律は本来漁業補償をすべきものと定めている、こういうことでございますね。
#47
○説明員(森谷進伍君) 公有水面に関しまして権利を有する者が同意をした場合には免許が可能でございますし、また工事の着手に当たりまして補償をすべき場合には、当然その着手についても関係の組合の同意を得て埋め立てにかかるわけでございます。しかし特定の場合におきましては、補償をしない場合におきましても関係権利者の同意を得て着工するケースはございます。
#48
○久保亘君 わかりました。関係者のというのは、漁業補償の対象となる関係漁民の同意を得て着工すると、こういうことですね。
#49
○説明員(森谷進伍君) 公有水面埋立法で権利者としておりますのは、法律上「漁業権者又ハ入漁権者」ということでございます。
#50
○久保亘君 補償の問題ですよ、僕が言っているのは。埋め立て同意という問題じゃなくて補償の問題。それから補償の放棄を言っているんですから……。
#51
○説明員(森谷進伍君) 一般論でお答えするのは非常に難しいのですが、志布志の場合で申し上げますと、この漁業権者に該当いたしますのはいずれも漁業協同組合でございます。
#52
○久保亘君 それはどうもあなた方の答弁はすれ違いになるんだな。私が言っているのは、一番最初に確認したでしょう。関係漁民が漁業補償の権利者である。だから漁業補償の放棄に関しては、これは関係漁民の同意が必要なんであって、それで今言っているのは、公有水面埋立法の六条で、漁港や漁船だまりの場合でも当然漁業補償は法律上適用になるのであって、それを今度は、その漁業補償を放棄している例はいっぱいあるわけです。漁港をつくるとか漁船だまりをつくる場合あるわけですが、その場合には全体が同意して行われているのであって、漁業協同組合がそういう放棄を決める権限はないということを私は言っておるわけです。
 だから具体的に聞きますが、それじゃ国家備蓄基地の建設とかかわって鹿児島県の波見港の埋め立てが行われておりますけれども、この波見港の埋め立てについて、全体で国家備蓄基地をつくるための漁業補償が四十一億二千五百万支払われたのでありますが、この中で柏原、硯石両漁船だまりにかかわる補償金がどうなっているのかということが問題なんでありまして、それでこの漁船だまりの補償金は四十一億二千五百万の中に含まれたという理解をされているのか。この点については恐らくあなた方の方では、それは事業主体の県がやったことだと言われるでしょうが、既にこの埋め立てに関しては、運輸省との間でもきちっと事業主体の県の方との協議が事前に免許を出す段階で行われているのでありまして、その際に、この国家備蓄基地の建設に関連して漁業補償を行う消滅海域、制限海域について、きちんとした図面
に基づいてあなた方はそのことを決められたと思う。そのときにこの柏原、硯石の両漁船だまりは入っていたかいなかったか、そのことをはっきりしてもらいたい。
#53
○説明員(森谷進伍君) 船だまりについての漁業補償の積算の問題でございますが、補償の当事者であります鹿児島県に照会をいたしましたところ、当該船だまりの漁業補償については、漁業補償交渉の過程において、この地域は補償の対象にしないという明確な合意があった旨の返答がございました。
#54
○久保亘君 それでは四十一億二千五百万の中には、運輸省としてもこの船だまりに関する漁業補償は含まれていないと、こういうことでございますね。
#55
○説明員(森谷進伍君) そういうふうに理解しております。
#56
○久保亘君 ところが、含まれていないのはわかりますが、あなたの方もそういうことだとおっしゃったんで、それでいいですけれども、含まれていないということは、この地域は漁業補償の法的な対象外だということではないのであります。鹿児島県議会における最近の当局の答弁を見ましても、「柏原、硯石地区の漁船だまりについては、補償対象にしない旨の説明をし、同交渉委員会の了解を得、それを踏まえて両漁協の総会において同意されたものでございます。」、こうなっておるから、法的には漁業補償の対象であるが、それぞれの相手方の同意を得て漁業補償を行わないことにしたと、こういうことになっておるわけですね。そうすると、その同意というのが、漁業補償を受ける権利を持つ者全員の同意ではないということは、今日事実が明らかになっておるわけでありますから、そうすると、これは果たしてそういう漁業補償をやらないということについて法的に妥当性を持つのかどうか、その点をちょっと聞かしてもらいたい。
#57
○説明員(森谷進伍君) 公有水面埋立法の運用に当たりましては、まず免許に際しまして権利者の同意を得ているかどうかを確認するわけでございますが、その場合には、本件について申し上げますと、漁業権者であります漁業協同組合の同意書があるかどうか、また、協同組合の総会の議事録等によりまして確認をいたしております。
#58
○久保亘君 それは埋め立ての免許を出す場合の同意なんです。僕が聞いているのはそうではなくて、漁業補償をやらないということについての同意を問題にしておるわけです。これはもう大前提として、漁業補償の有資格者といいますか、権利を持つ者は関係の漁民であるということははっきりしておるわけですから、そうすると、個人の持つ権利を委任を受けている組合が放棄させられるような、そんな権利があるんだろうか。で、そういうことになってまいりますと、公有水面の埋め立ての免許は出ても、公有水面埋め立ての工事に着工する場合の今度は条件というのは、公有水面埋立法の八条が明示しておるわけでありまして、漁業補償をするか、着工への同意を得るかなんです。で、当然漁業補償をするということが前提になるわけでありますが、その漁業補償が行われていない。
 これはあなたの方も、この漁船だまりについては含まれていないという県の説明をそのとおり理解していると、こういうことでありますから、そうすると、一体ここに漁業補償の権利を持っていた関係漁民はその損失をどうしてくれるんだということになるわけであります、放棄に同意した人はいい、同意していない場合。だから、そこの問題が明確にならなければ、本来、公有水面埋立法八条の定めるところによれば工事の着工はできないと、こういうことになるのであります。だから、その点について全員の合意がないのに、漁業補償をやらないということを決めることができるかどうか。この点については、やっぱり今後も起こってくる問題でありますから、政府の見解というものは明確にされておかなければならぬと私は思うのですがね。
#59
○説明員(森谷進伍君) 私どもの理解といたしましては、公有水面の免許の際及び先生御指摘の工事に着手する場合についての権利者の同意につきましては、権利を有している本件の場合は、漁業協同組合の同意があれば可能であるというふうに考えております。
#60
○久保亘君 私は前に申し上げたことについてあなた方の説明納得できないが、仮にそうであるとしても、公有水面埋立法が埋立免許に関する同意と着エペの同意とを法律で明確に区分けをしているわけでありますから、着工への同意について全員の同意を得るような、たとえ漁業権者が漁協であるとしても、その漁協がそういう手続をとっていない場合には着工はできない、こういうことでよろしゅうございますか。
#61
○説明員(森谷進伍君) 八条の問題でございますが、先ほど県からの答弁にもありましたように、補償交渉の過程におきまして、該当する部分については補償の対象にしないという意味も含めて漁業協同組合の同意があったわけでございますので、八条の損害の補償をなすべき場合に該当しないということで、免許権者の工事着手は法的に可能であるということでございます。
#62
○久保亘君 じゃ時間が来ましたので、これで私の質問終わりますが、私は今のあなたの最後の答弁には同意できない。関係漁民の権利が侵害をされておる。しかも着工への同意に当たって、漁協の総会はそのような手続を行っていない。このような場合に着工を行うことは、公有水面埋立法に基づいても明らかにこれは違法なものと言わざるを得ない、このことを申し上げて私の質問終わります。
#63
○村沢牧君 公健法の見直しを検討している中公審専門委員会の報告はいつごろ出される見通しですか。
#64
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の公健法の専門委員会の報告でございますが、私ども環境庁といたしましては、専門委員会の審議については、あくまでも専門委員会の御判断を尊重しているところでございます。したがいまして、その報告の時期につきましても専門委員会がお決めになるものというふうに考えているわけでございます。事務当局といたしましては、専門委員会における御審議が最終段階に来ているということについては私ども承知いたしているわけでございますが、間もなくこの専門委員会の報告が中央公害対策審議会の環境保健部会に報告されるのではないかと、このように考えているところでございます。
#65
○村沢牧君 専門委員会が独自に検討しておることは知っておるのですけれども、いつごろその報告書が出されることぐらい環境庁、事務局では知っているでしょう。そんなことなぜ言えないのですか。
#66
○政府委員(目黒克己君) 最終段階に来ていることは事実でございます。しかしながら、極めて早い時期にそういう報告書が出されるであろうという、その可能性しか私どもは今のところわからないわけでございます。しかしながら、極めて早く出るであろうというふうに私ども理解をしているわけでございます。
#67
○村沢牧君 そんなところで時間をとりたくないのですけれども、その極めて早いというのは、それじゃいつごろですか。四月中に出されるかどうか、その辺のことは言えるでしょう。
#68
○政府委員(目黒克己君) これはあくまでも仮定のお答えでございますけれども、恐らく四月中に出る可能性はあるだろうというふうに考えているところでございます。
#69
○村沢牧君 この報告書を受けでどのように今後対応するのですか。
#70
○政府委員(目黒克己君) この報告書を受けますと、この報告書は環境保健部会の方へ専門委員会から提出されるわけでございます。したがいまして、その提出を受けました中央公害対策審議会の中の環境保健部会において、その扱い方等を含めまして御審議がいただけるものというふうに考えているところでございます。
#71
○村沢牧君 環境庁が本年三月七日に発表した大気汚染健康影響調査報告書、これを見ると、例え
ば環境基準以下の濃度範囲でも被害が出ていることが報告されたり、現行環境基準の妥当性が疑問とされるような問題もあるわけなんです。この調査は環境庁が五年がかりで、しかも三十二万人の人を対象にして実施したものであり、私は貴重な報告書だと思うのです。環境庁のやった仕事にしては、珍しくというわけではありませんが、これは貴重な報告だというように思うのですけれども、したがって、こういう報告書を中公審の専門委員の審議に活用することはもちろん、今後の公害対策樹立にも役立たせなければならないと思いますが、どうなんですか。
#72
○政府委員(目黒克己君) 今御指摘の大気保全局でやりましたATSの調査でございますが、御指摘の調査については、既に専門委員会で御審議をいただいているところでございます。また、十分御検討をいただいているところでございまして、その評価等につきましても、この委員会において適切に御判断いただけるのじゃないかというふうに考えているところでございます。
#73
○村沢牧君 でも今答弁の中で、専門委員会の審議はもう結論的な時期になってきておると、しかもこれが出されたのは三月でしょう。だって時期的に間に合わないじゃないですか。もうこれが出されたころには、もうほとんどその内容は検討が終わっているのじゃないですか、どうなんですか。
#74
○政府委員(目黒克己君) 三月の上旬から専門委員会の中でこの調査等に関しても十分に御審議をいただいておるというふうに聞いております。
#75
○村沢牧君 それでは、あなたは、この調査報告書に盛られたようなことが専門委員会の報告としても出されてくる、そのように期待をしているんですか、理解をしていますか、どっちなんですか。
#76
○政府委員(目黒克己君) やはり先生が御指摘のように、この調査というのは大変大部のものでございますし、当然このような調査の結果というものも、委員会の方ではその評価をいたしまして、御判断の中に入っているというふうに考えております。
#77
○村沢牧君 こういう専門委員会の報告が出され、その後いろいろと検討していくとあれですか、公健法の見直しにも関連をしてくるわけですか。
#78
○政府委員(目黒克己君) この専門委員会の報告について、この報告は、大気汚染の状況が健康影響にどのような影響があるかというふうなことを主として医学的な見地から御検討いただいておるわけでございます。したがいまして、当然この専門委員会の報告を踏まえまして、環境保健部会におきまして御指摘のようなことが十分御論議いただけるものと、こういうふうに考えておるところでございます。
#79
○村沢牧君 今の答弁を聞いていると、公健法の検討、見直し等にも将来なってくるというふうに思うわけでありますが、そこで大臣に要請をしておきますけれども、この調査報告を見ても極めて重要な問題が指摘をされておるわけであります。そして、現行の環境基準ですら環境庁の公約したようないろいろなことが実現されずにおるわけです。そしてまた、さらに今後、民活事業などによっていろいろな事業が興ってくるわけでありますが、したがって公健法の見直しということについては極めて慎重に行わなければいけないし、見直しをするならさらに充実をした方向にしなければいけない、そのように私は指摘をいたしますけれども、大臣の見解を伺いたい。
#80
○国務大臣(森美秀君) 公健法の見直しにつきましては、今目黒が申しましたように、近々専門委員会の結果が出てまいります。また部会にこれがかかりまして、慎重、真剣なる討議がなされると思っております。そういう見地から、今先生がおっしゃったように、ともかくいろいろな問題につきまして私どもは真剣な結論を出していきたいと考えております。
#81
○村沢牧君 時間がありませんから次の問題に入ります。
 低周波公害について聞きますが、低周波空気振動について環境庁が今まで行ってきた調査研究と今後の対応について明らかにしてください。
#82
○政府委員(林部弘君) 時間が余りありませんので簡単に申し上げますが、五十一年以来現在まで十年研究が続いております。それで五十八年の時点でそれまでの研究につきまして一度おまとめをいたしまして、もちろんこれは科学的なデータに基づきまして、専門家の御検討を経てまとめたものでございますが、その内容について簡単に申し上げますと、これは一つは低周波空気振動の実態調査、それから二番目は低周波空気振動による建具のがたつき等に関する調査、それから三番目が低周波空気振動の人体に及ぼす影響に関する調査と、大きく分けますとその三つでございます。
 結果に関しましては既に御報告いたしておりまして、一般環境中に現実に存在しておりますレベルでの低周波空気振動では人体影響、特に生理的な影響あるいは睡眠影響といったような人体に及ぼす影響というものが必ずしも明確にはつかめなかったと。しかしながら、今後の方向としては、一般環境中におきましては、低周波空気振動だけが単独に存在するというよりは、やはり騒音、特に可聴音と複合して存在しているというようなことが現実にはあるわけでございますので、今後は両者を複合した条件のもとでの諸影響についてさらに解明をする必要があるのではないかという御指摘がございまして、現在はその線に沿って調査研究が続けられておる、こういう状況でございます。
#83
○村沢牧君 環境庁が行った低周波空気振動調査報告書、五十九年十二月に出していますが、これを見ると、今答弁があったように、人体に及ぼす影響を証明し得るデータは得られなかったとか、建具のがたつきについては、低周波振動によるものか否か一概には判断できないというようなことが記されておるわけでありますが、低周波公害に悩まされている人が現実におる、発生源の除去について強い要請がある、こういうときに環境庁がこのような判断を行っていることは極めて軽率であり、現状認識が余りにも甘いのではないかというふうに思いますが、どうですか。
#84
○政府委員(林部弘君) 認識についてでございますが、人体影響の関係では生理的な影響、睡眠影響について調べております。これは心拍数とか、呼吸数とか、まばたき、血圧、脳波誘発電位といったような生理的な指標、それからストレス反応としての尿中のホルモン量、それから睡眠影響につきましては睡眠の深さに着目をいたしまして、これは実験室においてでありますが、低周波そのものを単独に取り出しまして、それを暴露実験をやりまして、それでその影響を見る、こういうようなことでいろいろテストをいたしましたが、低周波単独では、一般に環境の中で見られるようなレベルでははっきりとしたものが出てこなかったという、これはそういう事実を踏まえて私どもはまとめたわけでございまして、全く問題がないという言い方をしたつもりはございません。
 したがいまして、先ほど申しましたように、複合影響という形で可聴音と合併した場合、複合した場合にどうなるかということで、視点を変えて十年近くいまだに研究をやっている。
 それから対策につきましては、がたつきにつきましては、今、先生御指摘のようなことがレポートに書かれておりますけれども、現実に個別、具体的な事例の中で、がたつきのために有効と思われる施策を施した場合に、それは有効であるということはしばしばあるわけでございますから、それはいろいろな現場においては建具のがたつきのために有効と思われる施策というのは現実にはかなり行われている現状であるというふうに私ども理解しておりますし、昨年十二月でございましたか、これは道路とは限らないのですが、もういろいろなところから出てくる問題がありますので、低周波空気振動についての事例に具体的に適用のできる技術につきましては、一種の事例集と申しますか、マニュアルのようなものをつくってやっておる、こういう状況でございます。
#85
○村沢牧君 具体的な問題に触れます。中央道西
宮線の長野県阿智村地籍にある阿知川橋は長さ三百九十二メートル、高さ二十メートルの長大橋でありますが、昭和四十九年建設当時から橋の下の家屋に騒音、振動が発生し、建具を揺するだけでなく安眠を妨害され、日常生活が脅かされる。ついに五十一年七月四日には、この橋の下に住む一主婦が自殺をするという、こういう事態が発生しています。私は、昭和五十三年三月の本院予算委員会でこの問題を取り上げ、政府並びに道路公団に対して、公害防止のための積極的な対策を講ずるべきだと要請をした。その後、道路公団も一定の対策を講じたことは認めるけれども、関係住民は依然として振動、騒音あるいは日照不足に悩まされている。環境庁はこのような実態を承知していますか。
#86
○政府委員(林部弘君) 今、先生が御指摘されましたようなことは承知しております。
#87
○村沢牧君 環境庁はこの地域を調査していますか。
#88
○政府委員(林部弘君) 私どもの行いました調査といたしましては、全国調査の一環として実測調査を行っておりますが、調査を行いました時点は、もう十年近い前でございます。
#89
○村沢牧君 環境庁が調査をしたこともこの記録には載っております。そこで環境庁は、この公害は低周波の空気振動によるものであるということはお認めになりますか。
#90
○政府委員(林部弘君) 先ほどもお答えをいたしましたように、低周波のみの影響であるかどうかということについての判断はなかなか難しいと考えておりますし、先ほども申しましたように、低周波のみの影響というものの評価も現在の時点ではまだ未解明な領域がございまして、確立しておりません。したがって、複合的な見地からどういうふうに評価するかというあたりを現在調査をしているということでございます。
#91
○村沢牧君 今の答弁は、私は先ほど申しましたように国会でこの問題を取り上げたのですが、そのときの私に対する答弁と大分変わってきている。その当時は、環境庁は低周波による公害だということは認めている。時間がないからきょうはその問題は言いませんけれども、よく会議録見てください。
 そこで、長野県は昭和五十年から現在までこの地域の調査を四回行っている。県の弁護士会だとかあるいはその他の団体も調査をしているのです。昨年の八月行った調査結果を環境庁及び道路公団に提出して、それぞれの対応を要請しているわけでありますが、環境庁はこの調査の結果についてどのような判断をしていますか。
#92
○政府委員(林部弘君) この調査の結果につきましては、一言で申しますと、交通量が非常にふえている、それから大型車の混入率が非常にふえているということがどういう影響を及ぼしているか、そこが一番ポイントのように考えております。ただ、このレポートにも書いてあるわけでございますが、上端値、上限と下限と申しましょうか、そこのところは台数の変化というものと必ずしも並行していない、こういうような状況にあろうかと思います。それでこれをどう評価するかということにつきましては、先ほどお答えをいたしましたように、低周波振動そのものについての評価が私どもの段階でまだ定まっていないということでございますので、評価そのものについては、現在の時点でははっきりお答えはできないと思います。ただ対策の面では、先ほど申しましたように、有効と考えられる施策については、できるだけやっていただくということで現地に要望してきておる、こういうことでございます。
#93
○村沢牧君 すべての原因が低周波だとは言い切れないとしても、主たる原因は低周波である。このことはお認めになりますね。
#94
○政府委員(林部弘君) その点については、はっきり今の時点では、そういうふうに断定はできないというふうに思っております。
#95
○村沢牧君 断定はできないということは、もう少し時間があればここで審議をとめて、この前の会議録をここで見てもらうところですが、あなたの答弁は、前に環境庁が答弁したことと違っているのですよ。低周波であるということを認めている。だから、県の報告書を見ても低周波だということをお認めにならない。例えば県の報告書を見ると、昼間の測定値は前回調査に比べて余り大きな変化を示しておらないが、夜間では年を経るに従って増加傾向が認められ、特に中央値及び下端値の増加が顕著である。また交通量が多くなるに比例して振動が大きくなることが明らかである。これを見ても低周波であるとは言わないんですか。
#96
○政府委員(林部弘君) 私は低周波は関係がないと申し上げているのではなくて、低周波のみによって起こっているというふうには断定できない、そういうふうに申し上げているわけでございまして、先生の五十三年の御指摘の議事録も私何遍も拝見しておりますし、今も手元に持っておりますが、私どもの認識としては、低周波がかかわり合いのある問題であるということについては否定はいたしておりません。しかし、低周波によって起こっているというふうに評価をするには、低周波そのものに対する評価というものが、長い間の研究で低周波だけで評価することは難しいということで、複合影響という角度から現在調査研究をしている、こういう状況でございますので、低周波が関係がないということを申し上げているのではございませんで、低周波のかかわりはそれは認めております。しかしながら、低周波だけでこういうことになっているというふうには断定できない、こういう理解でお答えをしているつもりでございます。
#97
○村沢牧君 では今私が指摘をした県の調査結果を見て、環境庁としては、この程度の障害であっては余り騒ぐほどのことはないというようにお考えになるのですか、これは何とかしなければならないというようにお考えになるのですか。この判断についてお聞きをしたい。
#98
○政府委員(林部弘君) これはもう先生既に御案内のことと思いますが、県が私どもに要望してきていることは、早く環境基準をつくってくれということだけしか県は言ってこないわけでありますけれども、前回の私どもの方の答えでも、ガイドラインあるいは基準の設定ということについては相当の年月を要するというふうに考えると申し上げておりますし、そのことについては相当な年月がたちましたけれども、まだ低周波問題についての評価ということについては確定した答えを得るまでに至っておりません。
 しかしながら、対策の面で可能なものについてはできるだけ実現していくという方向でお答えをしているわけでございますから、先ほどがたつきに対する対策について若干私コメントいたしましたけれども、可能な限りの施策については現地で、当事者間でお話し合いをいただいて、できるだけ実現をしていただく、そういう形での要望はしてきておるわけでございます。ただ、その辺県の取り組みが、そこら辺がどういう形になっているかという点については基準待ちというような感じがございまして、必ずしも基準が出なくても当然可能なことは進めるべきだというのが私どものスタンスでございまして、そういう意味では、県に対してもそういう方向で取り組む必要もあるのではないかというように、昨年からことしにかけて県と私どもがこの問題について意見を交換した際も申し上げておるというのが実情でございます。
#99
○村沢牧君 きょうは道路公団に参考人として出席を求めておりますので、公団に聞くけれども、この地域の公害は、中央道阿知川橋を発生源とする振動障害である。このことはお認めになりますか。
#100
○参考人(戸谷是公君) 公団としましては、中央道阿知川橋の低周波等の問題につきましては、従来より重大な関心を持っており、実態の把握とか種々の対策を講じてまいったところでございますので、先生のおっしゃることもよくわかります。
#101
○村沢牧君 低周波振動によるものであるということはお認めになりますか。
#102
○参考人(戸谷是公君) 低周波もそのいろいろな現象のうちの一要因であろうかと想像しております。
#103
○村沢牧君 ちょっと待ってください。私は道路公団が地元へ配っておる公式文書持っておるのですけれども、低周波もなんて書いてない。低周波公害についてはと全部書いてある。主たるものは何ですか。ちょっと見てください。(資料を示す)低周波もなんて書いてない。
#104
○参考人(戸谷是公君) 私の申し上げましたのは、この阿知川橋付近の振動の問題、それから家屋のがたつきの問題、騒音の問題、それらを含めて申し上げたわけでございます。
#105
○村沢牧君 今言ったことは、低周波振動障害によるからあなたたちがいろいろな対応を加えた、この原因は阿知川という橋が原因をしておる、中央道が原因をしておる、このことは間違いないわけですね。
#106
○参考人(戸谷是公君) 従来この地域の問題は、いろいろな振動の中で、低周波振動が中心的な大きな問題であると理解しております。
#107
○村沢牧君 そこで環境庁、今答弁があったように低周波振動が原因であるという理解をしておる。公害については、発生源者の責任というのは環境庁はどういうふうに理解をしておるか、承知していますか。
#108
○政府委員(林部弘君) 発生の原因が明確である場合には、発生源者の立場でできるだけのことはしなければいけないという理解でございます。
#109
○村沢牧君 今まで指摘をしてきたように、この地域の低周波公害の発生源が中央道にあることは間違いない、これは道路公団も認めておる。したがって、中央道を建設した道路公団が公害の除去について努力をすることは当然のことでありますが、どうしても除去することができないとするならば、それなりの対応をしなければならない責任がある。どうですか。
#110
○参考人(戸谷是公君) この問題につきましては、既に工事中地元住民から苦情の申し立てがあったのでございますが、それ以来いろいろな調査を行うとともに、発生源の対策といたしまして、橋梁の伸縮継手部の前後の舗装の平坦性を確保するための補修工事であるとか、橋梁の上部鋼を補強して橋の剛度を高めることにより振動を低減させる橋げた端部の補強工事であるとか、橋げたの振動を減少させるダンパーの設置工事、あるいは通行車両の速度オーバーによる騒音の増大を防ぐ目的としての速度警告装置の設置、また反射音を吸収するために家屋前面に植栽工事を行う等やってまいりました。また受音点対策といたしましては、試験的ではございますが、パテ及びピンチブロックを戸、障子、建具等に取りつけることもやってまいりましたが、今後ともいろいろと研究して検討してまいりたいと思っております。
#111
○村沢牧君 いろいろ対策をやってきたことは私も承知をしており、今答弁のあったとおりであります。しかし、いろいろやってきたけれども、現実まだ振動障害がなくならない。そこで地元から強い要請があり、また対策を求めておるわけです。このようにいろいろやったけれども、まだ除去することができないという現実があるということは、この橋の構造あるいは設計上に欠陥があったのではないか、あるいは周辺対策に手落ちがあったのではないか、こう指摘をせざるを得ないのですが、どうですか。
#112
○参考人(戸谷是公君) 橋梁の規模とか形式につきましては、その地域の地形や道路前後の線形、施工性等から選定されるものでございまして、橋梁自体に欠陥があるということは考えておりません。今後さらに低周波振動軽減のための有効な対策を見出して、引き続きいろいろ検討してまいりたいと現在考えております。
#113
○村沢牧君 同じ中央道でも最近架橋した岡谷の長大橋、これは私が指摘をしている阿知川橋よりもはるかに大きいのです。これについてはそのような苦情も出ておらない。このことは阿知川橋に比べて構造が違う、あるいは橋脚の下の土地の買収も後からつくった岡谷の方がはるかに広く買収をしている。この状況を比較してみた場合にどうなんですか。
#114
○参考人(戸谷是公君) 構造は阿知川橋と岡谷の高架橋は先生御指摘のように違います。阿知川橋につきましては、これは山合いの非常に狭い地域に計画されたものでございまして、三百九十二メーターほどの橋長があるわけでございますが、形式は鋼三径間連続トラスと鋼四径間連続けたでございます。また岡谷につきましては、市街地を分断する開けた地域に計画されたものでございまして、橋長は五百九十三メーターございますが、形式はPC五経間連続ラーメン箱げたということになっておりまして、大きく申し上げますと、メタルとコンクリートの差があるわけでございます。道路面の高さも阿知川橋が十ないし三十メーターに対しまして、岡谷では六十メーターと非常に高いような状況でございます。
 また、御指摘のように岡谷高架橋につきましては、岡谷市街地の住宅密集地域を横過しておりますことから、環境施設帯を片側それぞれ車道端から幅十メーターずつ確保しております。
#115
○村沢牧君 道路公団が阿知川橋以後に建設した道路や橋梁でこのような低周波公害が発生したところはほかにありますか。
#116
○参考人(戸谷是公君) 低周波公害という名を打ってはございません。
#117
○村沢牧君 つまり、私が今指摘をしている橋は高速道高架の低周波のいわば試験台、モルモットになった、これしか言えないのです。こういう橋の経験から、その後はこんな公害が発生しないようにいろいろ対応した。ですから、この地域住民は今お話しがあったように、岡谷は市街地だからいろいろ手当てをした、しかし私が今指摘をしている阿知川の橋だって住家十分あるんですよ。ですから、この地域はモルモットになったんですよ。どう考えますか。
#118
○参考人(戸谷是公君) 低周波の発生問題につきましてはまだ十分解明されておりませんし、現実にこのような一般環境の中でも低周波というものは発生しておるわけでございますから、その後につくった橋梁が低周波を発生していないということは考えておりません。
#119
○村沢牧君 考えてないということはどういうことですか。
#120
○参考人(戸谷是公君) 考えてないということは、発生することも発生していることも多かれ少なかれあるのではないかと思います。
#121
○村沢牧君 いずれにしてもこのような問題が出たからその後道路公団も気をつけるようになった、こういう公害が発生してはいけないということで構造も変えたり、あるいは橋の下の用地も広く買収するようになった。ですから、この当時はそんなこと全然考えないからこういうことが出ている。したがって、道路公団は今後とも対策を講ずるというように言っておりますけれども、いかなる手段、方法を講じてもこの地域の公害を除去するために努めていかなければいけない。もしいろいろやってみたけれども、どうしても公害を除去することができないとするならば、その橋の下にある家屋は移転等も考えなければならない。今後どのように対応しますか。
#122
○参考人(戸谷是公君) 低周波に関する発生及び人体影響等のメカニズムは現在まだ解明されておりませんので、低周波もその一因であるとされております阿知川橋の周辺の家屋移転につきましては困難ではないかと考えておりますが、低周波の軽減に努めるよう、今後とも技術的な検討を続けてまいりたいと思います。
#123
○村沢牧君 いろいろ学問的、技術的な問題が解明されておらないとしても、公団のつくった長大橋によってこのような公害が発生をしている。したがって、今まで対策を講じたけれども、今まで講じた対策でもって終わりとするのでなくて、これからさらにいろいろな対策を講じていかなければいけない。あるいは地域からいろいろな要望が出ていますが、これについても相談に乗っていかなければいけない。あるいは関係の町や村からも要望が出ておりますけれども、これについてこた
えていかなければいけない。その用意がありますか。
#124
○参考人(戸谷是公君) 先生御指摘の諸点につきまして、今後十分意を用いていきたいと考えております。
#125
○委員長(矢田部理君) 村沢君、そろそろ時間が参りました。
#126
○村沢牧君 最後に環境庁長官にも要請しておきますが、このような問題が現実に発生をして地域住民大変苦しいんですよ。過去には自殺者も出た。その当時と大して今の現状は変わっていない。ですから県も何回も調査して、環境庁にも調査報告書を送っている。どういうふうに対応したらいいかという指導もいただきたいと言っているのです。それに対してナシのつぶてで何にも回答もない。公団も今言ったような調子なんです。そこで、関係の住民なりあるいは町村は環境庁長官にぜひお願いをしたいということで近く出てまいりますから、そのときには長官が対応してもらいたい。よろしいですか。
#127
○国務大臣(森美秀君) 先ほどからのお話、よく承っております。
#128
○村沢牧君 承っているじゃなくて、聞いているのは当然ですよ。私が質問したのをあなた聞いているのは当然だけれども、そういう要請があったら、環境庁としても誠意を持って対応していく、そういうお気持ちを持っていますか。
#129
○国務大臣(森美秀君) 検討してみたいと思います。
#130
○村沢牧君 時間ですから終わります。
#131
○石井道子君 きょうは当面する環境問題につきまして、何点か御質問をさせていただきたいと存じます。
 長官は先日の所信表明の中で、環境問題は往時に比べれば相当改善されてきたが、まだ残された問題も少なくない、また快適な環境の追求や地球的規模の環境問題への取り組みも重要であると申されました。私も全く同感でございます。今後、住民のニーズ、価値観の多様化、また社会情勢の変化に対応するような環境行政は、単に公害の規制とか自然の保護にとどまらず、公害や自然破壊の未然防止とともに、快適な居住環境を確保するための積極的な施策が求められていると思うわけでございます。そして多角的、広域的、総合的な対策が必要ではないかと思うわけでございます。しかし環境庁予算を見ますと、ここ数年続けて減少をしております。特に六十一年度予算では、対前年度比五・四%と大幅に減少しておりまして、対一般会計総額に占める比率も年々低下をしております。このような状況では、今後環境行政を進めていく上におきまして支障を来すのではないかと心配されますが、少ない予算で最大の効果を上げるために、長官はどのような覚悟で取り組んでいかれますか、お伺いをいたします。
#132
○国務大臣(森美秀君) 今、先生おっしゃるように、年々緊縮財政で、我が環境庁の予算も多少なりとも減りつつある現状でございます。しかしながら、この環境問題というのは、ある意味では今から二十年ほど前に起こった、あのもうだれでもかれでも環境の悪化ということを言われた時代と違って、もっともっとある意味では部分的に深く進行している環境悪化の問題があると思います。そういう意味におきまして、私どもは環境庁の予算だけではなくて、建設省、厚生省、その他すべてもろもろの環境に関する予算並びに財政投融資を含めまして、私どもは環境行政を幅広な見地からやらせていただきたい。そのためには関係諸官庁の御協力も得たい、こう考えております。
#133
○石井道子君 環境問題を地球的規模で見ますと、さまざまな問題がございます。世界の森林破壊とか砂漠化、また海洋汚染、酸性雨問題なども重要な問題でございます。
 昨年もナイロビに参りまして、UNEPの事務所に参りまして、世界の森林状況とか、あるいは地中海における環境問題についてもいろいろとお話を伺ってまいりまして、体制の違いを越えて諸外国がいろいろと話し合いのテーブルに着きまして活動しているという場面も見させていただいてまいりました。
 今度も国際協力におきます予算というのは珍しく少し増額予算になっているわけでございますけれども、長官の所信表明の中では、国連環境特別委員会あるいはOECD、UNEPなど国際機関を通じた国際協力等について述べられておりますけれども、これらの機関に対して我が国はどのように協力をし、そして貢献をしてまいったでございましょうか、お伺いをいたします。
#134
○国務大臣(森美秀君) この地球的規模で環境問題を取り扱おうというのは昭和五十五年だったと思いますが、当時我が環境庁で言い出しまして、そして五十七年ですか、原環境庁長官が向こうへ参って、UNEPの理事会を通じて環境問題の世界的な規模での発言を私どもの主導のもとにしたのは先生御承知のようでございます。
 そういう見地から、これからも日本という国が環境の先取りをして、東南アジアを含めて各国との協力のもとに二十一世紀というか、二十二世紀へ向けての環境づくりをしていきたいという所存でございます。
#135
○石井道子君 次に、廃棄物の処理問題についてお伺いをいたします。
 生活水準の向上及び製造、加工、販売等、産業活動の変化によりまして排出される廃棄物の種類も大変多様化をしております。また、その量も増加をしております。また、トリクロロエチレン等がWHOの飲料水の暫定基準、ガイドラインを超えて地下水から発見をされましたり、あるいは廃棄物の焼却処分等に伴いましたダイオキシンや水銀による環境汚染の可能性が指摘をされたこともありまして、有害化学物質による環境汚染の問題も大変社会的な問題になっていると思うわけでございます。その結果、国とか地方自治体の廃棄物の処理行政や環境行政の万全を期す上におきまして非常に困難な問題がたくさん生じているわけでございます。
 昨年七月、厚生省生活環境審議会適正処理専門委員会からの提言の中に、関係者の協議の場としての廃棄物の調査会を設置すること、また、製品が廃棄物となった場合の処理が困難にならないための自己評価の実施等の提言がなされております。また、使用済み乾電池につきましては、広域的回収・処理の促進が必要である旨の提言もなされておるわけでございますが、これを踏まえて厚生省はどのように対処をされましたでしょうか。
#136
○説明員(加藤三郎君) ただいま先生お触れになりましたように昨年の七月、生活環境審議会の専門委員会から大変画期的な内容を含む御提言をいただいたわけでございます。私どもその提言を受けますとすぐに、その提言に盛り込まれましたいろいろな対策を実現すべく今日まで努力をしておるわけでございますが、その概要をごく簡単に申し上げますと、まず事業者に、自分が生産したものなどが廃棄物になりましたときに処理を困難にしないようなための自己評価というものを求めたわけでございますが、その自己評価を円滑に実施するためには、やはり私どもでガイドラインというものをつくった方がいいということで、そういう提言を受けておるわけでございます。そのガイドラインを作成するということを当面の課題といたしまして、去る三月二十七日、同じ生活環境審議会の廃棄物処理部会の中に廃棄物調査専門委員会というものを設けてございます。
 それからガイドラインの作成のための下作業も私ども調査をいたしまして、六十年度から着手をいたしておるところでございます。
 それから使用済み乾電池につきましては、事業者によります乾電池の中の水銀の量を大幅に減らさせるということのほかに、既に分別保管された使用済み乾電池を、市町村によりまして広域的な回収・処理を推進させるというために社団法人全国都市清掃会議、私ども全都清と略称いたしておりますが、その全都清の中に廃棄物処理技術開発センターというものを昨年の十一月に設けさせまして、ここで鋭意準備してきた結果、本年二月に入りまして、同センターより使用済み乾電池の広域処理の計画が策定をされております。私どもと
いたしましても、その計画に沿って乾電池が安全に適正に処理されるように推進をしていきたいと思っております。
 それからもう一点、先ほど先生のお触れになりました報告書の中に、廃棄物処理の共同研究体制を整備せよということも盛られておるわけでございますが、これにつきましては、昨年の十二月に部内に共同研究体制検討委員会というものを設けまして、廃棄物の処理を共同で研究する体制づくりに踏み出したところでございます。
#137
○石井道子君 使用済み乾電池の回収につきまして、処理センターとして北海道の野村興産イトムカ鉱業所が指定をされまして、また運搬業者は日本通運が指定をされましたけれども、その理由についてお伺いをしたいと思います。
#138
○説明員(加藤三郎君) まさに先生お触れになりましたように、分別保管されました廃乾電池を処理するセンターといたしまして、北海道にあります野村興産株式会社イトムカ鉱業所というものをとりあえず当面指定をいたしております。しかし、これは既に全国で約五千トン余の乾電池がたまっておって、これを早急に処理をするということで、まず第一陣として指定をいたしたわけでございますが、専門委員会の報告書には全国数カ所に設けるべきだという、そういう御提言がございます。そこで私どもといたしましては、他の地域も今鋭意探しておる、全国都市清掃会議に探させておるところでございます。
 それからまた、この乾電池を北海道イトムカに運ぶのに日本通運株式会社に当たらせておりますが、これは広域回収・処理の趣旨を生かしまして、効率的、安全に乾電池を運ばせる、そういう趣旨から全国都市清掃会議でこの日本通運を指定をいたしておるわけでございます。
#139
○石井道子君 それから総理府の五十九年度の公害等調整委員会の調査報告によりますと約六万七千七百五十四件の苦情が出ておりまして、前年度五・九%の増加をしております。特にその中で産業廃棄物に対します苦情が大変増加をしておりまして、都市の近郊地区におきまして約千九百二件で、一一・三%の増加をしているわけでございます。産業廃棄物の処理対策につきましては長年の懸案になっているわけでございますけれども、非常に近年多量に産業廃棄物が排出をされますし、一般廃棄物と違いまして、民間中心で行われておりますので、処理体制が十分確立していないというのが言えるのではないかと思います。そして不適正処理が多く、環境保全上重大な問題を起こしておりますし、都市近郊の埼玉県などにつきましても非常に被害が多発をしているわけでございます。厚生省はその調査を行っておりますけれども、不法投棄の実態についてお伺いをいたします。
#140
○説明員(加藤三郎君) 先生御指摘のように、残念ながら廃棄物の不法投棄事犯というのは年々ふえているわけでございます。具体的に申し上げますと、昭和五十九年のこれは警察庁の統計でございますが、この中には一般廃棄物も含みますけれども、不法投棄事犯は四千七百十七件ということでございまして、ちなみに五十八年の数字を申し上げますと四千二百六十一件、また五十七年は三千八百四十八件ということでございますので、ここ数年増加をいたしております。また不法投棄、これは無許可の埋め立ても含むわけでありますが、投棄されました産業廃棄物の総量は約三十六万六千トンというふうになっておりまして、そのうち建設廃材が全体の約八割を占めておるというふうに見ております。
#141
○石井道子君 不法投棄の実態が大変多いわけでございますが、その原因と防止対策についてはどのように取り組まれていらっしゃいますか。
#142
○説明員(加藤三郎君) 不法投棄の原因はいろいろと区々になるわけでございますけれども、まず考えられますのが、一つが排出事業者におきます適正処理の意識が欠如しているのではないかということが考えられます。
   〔委員長退席、理事菅野久光君着席〕
 具体的に申し上げますと、無許可業者を使ったりあるいは委託契約を岩ちんと結ばないといったようなこと、あるいは低料金で処理を任せるといったようなことが一つの原因がというふうに考えております。またもう一つは、許可業者になるのが比較的容易ということで、そのために過当競争あるいは低料金、そういった悪循環をしているということも考えられます。それからまた、許可業者におきましても必ずしも適正処理意識というものが十分でないということも指摘できようかと思っております。
 こういった事態に対しまして、私どもとしても当然ながら重大な関心を持っておりまして、昭和五十八年から六十年の三カ年計画でございますけれども、産業廃棄物の不法投棄等を防止するための調査を実施いたしておるわけでございます。当面の措置といたしましては、都道府県におきます環境衛生指導員によります指導監督の強化、あるいは不法投棄を行った業者に対する厳正な行政処分の実施といったようなことによりまして不法投棄の防止に努めてまいりたいというふうに思っております。
#143
○石井道子君 排出業者とか処理業者の実態を十分把握いたしまして、その資格の許可基準の見直しとか、あるいは更新制度を導入したり総合的な検討が必要だと思われますけれども、今後の課題として御配慮いただきたいと思うわけでございます。
 それから最終処分場の確保というものがなかなか困難でございまして非常に苦しんでいるわけでございますけれども、今後ますます増大をいたします産業廃棄物の減量化とか資源化を推進するための技術開発を援助することも必要ではないかと思います。広域的な処置の観点からも公共関与事業のあり方を検討すべきではないかと思いますので、産業廃棄物の処理行政の今後の課題に対するお考えを伺いたいと思います。
#144
○説明員(加藤三郎君) 先生おっしゃるとおり、産業廃棄物について適正に処理するためには、例えば一つには発生源でのできるだけの減量化、資源化できるものは資源化をさせるということが一つでございますし、それから処理を徹底させるために非常に適正な許可を与える、そういったようなことも重要だと思っております。いずれにいたしましても、先ほど触れました検討会の検討が五十八年から六十年度にかけてやってございます。そういった成果を踏まえまして、この産業廃棄物の適正処理の徹底を期したいというふうに思っております。
#145
○石井道子君 国民の快適な生活環境を確保していくためには、河川、湖沼の浄化と同時に、廃棄物処理施設の整備というものも大変必要不可欠でございますが、現実にはごみ処理施設とか、し尿処理施設とか、最終処分場の整備には非常に反対がございまして、その確保には困難を来しているわけでございます。中には十数年もかかるケースもありまして非常に苦労するわけでございますけれども、環境問題の重要性というものを地域住民に理解してもらうための啓蒙、啓発が大変必要になってくるのではないかと思いますけれども、この点について厚生省と環境庁の取り組み方をお伺いをしたいと思います。
#146
○説明員(加藤三郎君) まず私どもの立場で申し上げますが、私どもといたしましては、廃棄物の適正処理というのは快適な生活環境確保、それから公衆衛生の確保、こういう観点から非常に重要だというふうに思っております。かつて古い施設、悪い施設で時々大気汚染を引き起こしたり、あるいは悪臭を発生させたりいたしまして、廃棄物処理施設といいますと非常に嫌われものといいますか、そういう認識も一部にあるわけでございますが、またそういう事態を惹起したことも否めないわけでございますが、最近は私ども立派な施設をつくり、立派に維持管理をすることによって住民の信頼を確保したいということで、鋭意努力を進めているつもりでございます。
 また、廃棄物処理施設が住民に受け入れられますためのいろいろな施策の一環といたしましては、建設時におきまして環境アセスメントを実施
して、その施設が環境を悪化させるということがないようにするといったようなことのほかに、例えば焼却工場の場合にそこから発生いたします余熱を利用いたしまして、温水プールあるいは老人福祉施設、そういったところに焼却工場の熱を利用するということで、地域住民にいわば還元するような努力もいたしております。このようないろいろなさまざまな観点から廃棄物処理施設に対する信頼といったものを高めるための努力を引き続き続けたいと思っておりますが、特に昭和六十一年度を初年度といたします第六次の廃棄物処理施設整備五カ年計画を策定したいということで、今努力をいたしておるわけでございます。こういった、できますればそういう計画に従いまして、みんなに安心して使っていただける処理施設の整備に努めてまいりたいというふうに思っております。
#147
○政府委員(谷野陽君) 環境庁の立場といたしましては、人間の経済活動の発展に伴いまして廃棄物というものが不可避的に出てくる、こういう実態を踏まえまして、それをいかに環境の中にいたずらな形で放出をしないかというのが考え方でございます。
 今御質問の、いろいろな地域の中でそういう処分場に対する感情というものがあることも私どもも十分承知をいたしておりまして、環境庁の立場から申しますと、廃棄物の最終処分場の基準につきまして、やはり一般に御安心のいただけるような状態にしていく。さらに、それのその後の管理の問題、そういうような跡地問題を含めまして、一般の皆さん方から御理解をいただけるような、きちっとした形でそういうものが運営されていくということがまず前提ではないかというふうに考えておるわけでございます。従来から最終処分場の基準等につきまして制度上の定めがあるわけでございますけれども、現在、跡地利用の問題を含めましてさらに検討を重ねておりまして、そういう中で、ただいま御指摘のございましたような点につきましても十分検討してまいりたいというふうに考えております。
#148
○石井道子君 先日来、ナショナル・トラスト運動が各地で広がりを見せております。身近な自然を住民みずからの手で保全していこうという、そういう趣旨でございまして、税制面におきましても昨年、一昨年と優遇措置がとられるようになりました。関係者から大変感謝をされているわけでございますけれども、今後この運動を推進するための啓発、啓蒙活動、また指導マニュアルというものが必要ではないかと思いますので、その基盤整備対策について環境庁からお伺いをしたいと思います。
#149
○国務大臣(森美秀君) ナショナル・トラスト運動というのは大変乱貴重なものだと考えております。何か先生も一度天神崎ですか、ごらんになったと聞いておりますが、今三万五千人会員がおりまして、きょう実は私も一人入りました。だから三万五千一人になったわけでございます。何といいうのですか、四月七日にも新宿で夜桜の会をやりますが、会費千円でやりますので、皆さん方傍聴の方もぜひともいらっしゃっていただきたいと思うわけでございますが、とにかく税制措置を大胆に講ずることによってこの運動をもっともっと幅広に広げていきたい決意でございます。
#150
○石井道子君 次に、酸性雨によります森林とか湖沼の生態系が破壊される現象が国際的に現在問題になっておりますが、昨年十一月に群馬県の衛生公害研究所の調査で、酸性雨被害による杉枯れが関東地方北西部に広がり、八〇%くらいが枯れ始めているというような、そんな調査が出ておりまして、その被害面積というものも数千平方キロメートルに及ぶと言われているわけでございますが、その分布と酸性降下物が多量に降る地域が重なり合うという調査結果が出ているわけでございます。環境庁はこの問題についてどのように対処しておりますでしょうか。酸性雨問題全般については、またどのように取り組んでこられましたか、予算額も含めてお伺いをしたいと思います。
#151
○説明員(杉戸大作君) 酸性雨問題につきましては、我が国ではヨーロッパあるいはアメリカ、カナダにおきますような湖沼とかあるいは森林に対します顕著な被害の報告は今のところは受けておりませんが、しかし、かなり酸性度の高い雨が各地で見られまして、それによります被害を未然に防止するという観点から現在いろいろな調査を行っております。
 その一つは、昭和五十八年度から酸性雨対策検討会を設けまして、酸性雨の生成機構の解明または実測調査、それから陸水土壌に対する影響調査、そのような調査研究を進めておりまして、その結果を踏まえまして今後適切な対応を図ってまいりたいというように考えております。
 それからただいま先生御指摘の、昨年群馬県の衛生公害研究所から発表されました例の関東平野におきます杉枯れの問題についてでございますが、その点につきましても、この報告の内容としては、直ちにそれが酸性雨によるものというような結論には至っていないのでございますが、環境庁としましては大変重大な関心を持っておりまして、その被害の実態とかあるいは地域の環境の状況につきまして、これは農水省の方とタイアップいたしまして現在調査に取りかかっておるところでございます。その予算額といたしましては、初めに申し上げました酸性雨対策検討会につきましては、これは三千六百万円、単年度でそのような程度の予算でございます。もう一つの杉枯れの調査につきましては、これは約八百万円でございます。今後ともこのような結果を踏まえまして、酸性雨によります被害を未然に防止するために積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
#152
○石井道子君 次に、自然環境の活用という面でお伺いしたいと思うのでございますけれども、科学技術が進歩し都市化が進行いたしまして、人々は自然と触れ合う機会というものがだんだんと狭められてまいりますし、騒然とした都会の生活をしている立場にとっては、ほとんどの人が緑は生活に安らぎと落ち着きを与えてくれるとしているわけでございます。自然との交流を望んでいるわけでございますけれども、緑というもの、また自然というものが人間の精神的、肉体的に及ぼす影響というものは、健全な意味で大変に大きなものがあると思うのでございますけれども、自然公園というものが国民共有の財産として自然環境の保全に配慮をしつつ、やはり野外レクリエーション活動とか自然科学の学習の場として利用され、健康づくりに役立てる、そんなようなことも行い、そして自然保護に対する理解も深めていく必要があるのではないかと思うわけでございます。
 最近は日本人が大変働き過ぎであるということで、労働時間短縮とかあるいは週休二日制とか、そういうようなことが言われているわけでございますから、それだけに健全な余暇対策の一つとしても自然環境を十分に生かしていく、そのことが必要ではないかと思うわけでございます。現在でも自然公園の利用者というものはますますふえているわけでございまして、非常に混雑をし、またごみがたくさんに発生をいたしまして、自然が破壊をされてしまうというようなケースも往々にして起こりがちでございますが、このニーズに即しまして、自然公園の施設を整備すると同時に、利用する人々の公徳心の涵養というふうなものも配慮しながら、いろいろと今後の政策を進めていく必要があるのではないかと思うわけでございまして、非常に今日的な重要な課題ではないかと思うわけでございます。
 かつて四十五年から整備が進められておりました長距離自然歩道というものは、まさにこのような要請にこたえてつくられたものだと思うわけでございますけれども、その中で首都圏自然歩道の整備の進捗状況というものはどんなふうになっておりますでしょうか。また利用状況についてお伺いをしたいと思います。
#153
○政府委員(加藤陸美君) お尋ねいただきました自然との触れ合いの増進のための国立公園あるいは国定公園の活用のお話、それから触れ合いの場としてのいろいろな手段、つまり身近な自然ということで、「小鳥がさえずる森」とか、「母と子の
森」とか、いろいろなことをやってきておるわけでございますが、その中の重要な一つといたしまして、自然歩道の問題がございます。
 長距離自然歩道は、その始まりは先生十分御承知のとおりでございますが、東海自然歩道でございます。これは相当前のスタートでございまして、これは完成いたしておるわけでございます。それに引き続きまして九州自然歩道、それから中国自然歩道、ここまでは完成いたしております。現在やっておりますのが首都圏の自然歩道、それから四国の自然歩道でございます。したがいまして、これでほぼ全国、東北がまだでございますけれども、先生おっしゃいますとおり、身近な自然という点では非常に活用されるものでございますし、されつつございますが、今後ともそれを進めていくためには首都圏の周り、つまり相当膨大な人口があり、身近でございますので、これはぜひ進めてまいりたいと思っておるところでございますが、ただいまご質問をいただきましたその進捗率というのは、実は非常にお粗末な状況でございます。まことに残念でございますが、パーセントで申し上げますと、まだ四割を切っておりまして、三四、五%というところでございます。もちろんこれは年次計画でやっておりますので、計画年次が完了しておるというわけではございませんけれども、なかなかこのままでは達成が困難である。相当な馬力もかけなきゃなりませんし、いろいろな方法もあわせながら促進してまいりたいと思っておるわけでございます。一生懸命にやらさしていただきます。
#154
○石井道子君 きょうは環境行政の当面する問題のごく一部についてお伺いをいたしましたけれども、その他交通公害とか湖沼の水質保全、河川の問題、あるいは公害被害、健康被害者の救済など非常に多くの問題が山積をしております。本年は環境庁が生まれて十五年になると伺っているわけでございますが、これからの環境行政の期待というものはますます高まってくると思うわけでございまして、国民のすべてが健康で快適な生活が送れる社会をつくり出すために一層の御努力を御期待申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#155
○高桑栄松君 それでは市街地土壌汚染問題について質問をさせていただきます。
 最初に、日本化学工業の六価クロム問題などはかなり長い間問題になり続けてきておりますが、そのほか都立小平南高とか目黒の清掃工場用地とか、いろいろなところで、特に重金属による土壌汚染が問題として挙がってきております。そういうことで、現在産業廃棄物で埋め立てをやって、そういう処分をしているところは全国で何カ所あるのか、あるいは一般廃棄物の埋め立て工場がどれくらいあるのか、まずそれを承りたいと思います。
#156
○政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、廃棄物につきましては最終処分場で処分をする、こういうことになっておるわけでございます。この具体的な行政につきましては、一つ一つの管理監督につきましては厚生省の方に御所管をいただいておりますので、私どもの方では正確に数字は把握はいたしておりません。ただ、現在私どもといたしましても、ただいま先生が御指摘がございましたようなことで、廃棄物の跡地問題が市街地における土壌の汚染の問題につながるおそれが将来出てくるのではないかということで、現在、跡地問題についての検討会というものを開いておるわけでございます。その中で、廃棄物の現在の法令に基づいて処理をされたもの、そのほかに現在の法令の体系になる前にそういうものがあったこと等がございますが、そういうものの実態についても今後整理をしてまいりたいというふうに考えております。
#157
○高桑栄松君 厚生省は私きょう呼んでいないので、これは数はわかりませんね。一ああ、わかりますか。
#158
○政府委員(谷野陽君) 厚生省の方からの間接的な数字でございますので、概数で御容赦をいただきたいと思うわけでございますが、ごみの埋立処分地の現況といたしましては、五十八年の数字で全体として二千五百程度のものがあるというふうに把握をされております。面積に直しますと、五千五百万平方メートルというような数字があるようでございます。
#159
○高桑栄松君 今のは産業廃棄物も入っていますか、それは別ですか。
#160
○政府委員(谷野陽君) これは一般の廃棄物でございます。
#161
○高桑栄松君 産業廃棄物は何カ所。
#162
○政府委員(谷野陽君) 恐縮でございますが、ちょっと産廃の数字を手元に持ち合わせておりません。
#163
○高桑栄松君 私の手元にある数字ですと千四百四十四カ所、これは産業廃棄物の埋め立てたと思いますね、処分場と書いてありますから。まあ約千五百近くあるのだろうと思うのです。そうすると、二千五百と千五百で、合わせて四千ばかり今埋立処分をしつつあるようなところがあるということでありまして、過去にもこの土地そのものが、今の埋立処分が終わると閉鎖宣言をして、そうすると後、土地は自由に使えることになっているというふうにこの前の質問のときに承ったのですが、そうすると現在、約五千ぐらいが処分の継続をしている、しかし閉鎖宣言をしているのが年間二百くらいでしょうというこの前のお話だったので、そんなふうに考えてよろしいのですかな。
#164
○政府委員(谷野陽君) 恐縮でございます。私ども個別の数字は厚生省の方にお願いしておりますので、直接的なお答えは申し上げかねるわけでございますが、私も先般の先生の御質問の議事録を読ませていただいておりますので、そういうお答えを厚生省の方から申し上げているというふうに承知をいたしております。
#165
○高桑栄松君 そこで、その際申し上げたのですけれども、そういう閉鎖宣言をして、その土地は使用目的いかんにかかわらず自由に使えるということになっているので、今のような土壌汚染のあるような場所ですと、いつか健康障害を起こすおそれがあるという意味で、私はこれについては何か土地の登記に記載して、履歴書を添えておくことができないかというふうに申し上げたのですが、そのときの法務省のお答えを承っておりますが、その後を含めて現在どうなっているのか、承りたいと思います。
#166
○説明員(田中康久君) それではお答えさせていただきます。
 土地といいますのは、今、土地の登記簿には土地の特定のために地番、地目、それから地積、まあ面積でございますが、それを書くようにいたしております。その中で地目といいますのは、結局、現在の土地がどういう状況にあるかということを一般の国民に知らせて、取引の便宜に取り扱ってもらうということで書いてもらうわけでございまして、その地目の定め方は、現況とそれから利用目的がどういうものであるかということで、今例えば田畑であるとか、それから山林とか宅地、そういう形のものとして公示をする。二十種類ほど定めておりますが、そういう定め方をいたしております。そのときに、その地団の定め方は今申し上げましたように、現在どういう状況にあるかということを重点に置いて定めておりますので、過去のことがどうであるかということは登記簿上は記載をしない扱いになっております。そういう意味で、現在の登記簿の扱いから言いますと、先生の御指摘のような点については、登記の趣旨からはちょっと合わないものでございまして、この登記の制度の中でそれを取り扱うということは、私ども余り相当でないのではないかというふうに考えております。
#167
○高桑栄松君 実はその辺が大変問題でございましてね。医者の立場で申し上げますと、現在どうであるかという、患者として医者のところへ行ったら必ず聞かれると思いますが、既往症というのがあるんです。前にどういう病気をしたか、それがあって、それを土台にして健康を考えていくのですね。土地にしても既往症がわからないで、現在だけを見ていくとしますとどうなるだろうか。
 そこで、日本化工の六価クロムですけれども、私思い出すんですが、私がアメリカへ留学したのは昭和二十九年ですが、昭和三十年にジョンズ・ホプキンス大学へ行ったんです。大学院の先生の講義を承った。それはドクター・アンナ・ベジャーという人で、今世界で最高のクロムの権威者でございます。この方が実験室を見せてくれた。そしてクロムで、がんができるかどうかという実験を五年間やったというのです。ついにがんが起きないと。つまり、がんができるんじゃないかと疑ったんだが、実験的には起きなかった、五年間ですよ。ついにマイナスのデータしか出なかったということで、学会発表とすると大変な労力を賞して、大抵の場合、プラスのデータが出れば喜んで発表するものですが、マイナスですと喜んで発表できない。喜ばないで発表するみたいな形に学者としてはなるのではないかと思うのです。
 私は昭和三十年、そのデータを聞いて、なるほどクロムというのは、鼻中隔は穴があきますね、だけれども、がんにはならぬのかなと。それはその当時、私は三十年前でございますけれども、クロムはがんを起こさないのじゃないかと思っていました。しかし、日本化工のクロム鉱滓の埋め立ての結果、クロムががんを起こすということが次第に、疫学的にはそういうことになってきたわけですね。ですから、私が今申し上げたいのは、本当に長い年月がたってからどうなるかという問題になるだろうということです。
 それで、例の米国のラブキャナル事件ですね。これを年数で思い出してみますと、一九四二年に化学会社の廃棄物で埋め立てた土地を五三年に市で買い上げて住宅地にしたんです。一九五三年です。それが何年か後に問題になっていって、米国の環境保護局が取り上げたのは一九七八年。つまり土地を買い上げ、利用させてから二十五年たっています。そして一九八〇年にカーター大統領が緊急避難命令を出しているんですね。緊急命令で二百三十九戸を立ち退きさせた。そして七百十戸は一時移転をさせた。
 ここで申し上げたいのは、二十五年後に問題になったということです。非常にこれはやっぱり問題なんですね。そのときに何で埋め立てたかがわかっていれば非常に対策、それに対する対応が早いと思うのです。それが、言うなれば土地転がしみたいに利用方法が自由になって、ころころ変わっていったら、もう昔何であったかなんということはだれもわからない。つまり、既往症というものがなければ、やはり健康診断が非常に難しいのだということを私は申し上げたいのです。
 これは法務省に申し上げておるわけじゃないので、理解をもらって、さて環境庁はどうこれに対応されるのかということを伺いたいのでありますが、この前の一昨年、委員会で質問を私がいたしましたときに、水質保全局長の御答弁がありました。それからその後間もなく試験的だったかなと思いますが、国有地の払い下げのときにちゃんと対応をされたということで、環境庁のこれに対する積極的な姿勢は私は評価しているんです。しかし、そのときの水質保全局長の御答弁をいただきますと、なるほどこういう形で土地台帳には書いていないと。しかし、そういった履歴を一般の方々に何かわからせるような工夫をしたい。それからそういうことによって土地の取得が難しくなる可能性がある、そういう意見もある。しかし、将来の国民の健康という立場から見れば、これはやらなければならないことではないだろうか、こういう御答弁を承っております。それで、環境庁はその後どういうふうにしてこられたか、それから今の土地台帳問題については、法務省との間に何かやっぱり御相談がなければいけないのではないかということについて伺いたいのです。
#168
○政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘のようなお話がかつて国会であったわけでございまして、その後の点について、まず第一は、私どもといたしまして当時答弁で申し上げておりましたが、国有地をいわゆる公共の目的に供するために、例えば東京都等にお売りをする際の、そういう市街地土壌汚染に関する基準のようなものをどうしたらいいかと、こういうことにつきまして、検討会を設けまして検討してきたわけでございます。これにつきましては、御案内のように、ことしの一月にその検討会での中間的な取りまとめが行われまして、国有地を公共用地として用いる際にはどういう基準で汚染を判断するか、さらに、その汚染の程度によりましてどういう対策を一般的に講じたらよいかということにつきましての一つの考え方というものをまとめたわけでございます。これにつきましては大蔵省でございますとか、そういう実際に国有地の処分をやっていらっしゃるところ、さらに地方公共団体でもこれに大変強い関心をお持ちでございますので、そういうところにお送りをいたしまして、実務の上に役立てていただくようにお願いをしておるわけでございます。
 それから第二の埋立処分地の跡地の問題でございますが、これにつきましても私どもといたしましては問題意識を持っておりまして、現在三年計画で検討会を行っておるわけでございます。ただいま御指摘がござい良したアメリカにおける例、その他大変私どもとして注意をしてこれを取り扱わなければならない例などもいろいろ情報を得ておるわけでございます。また、それに対する各国の過去における対応の状況でございますとか、あるいは我が国におけるそういう処分地の現在の状況、そういうようなものに対する各地方公共団体での取り組み、そういうようなことをまず調べまして、それに基づきまして最終年度にはこの問題についてどのように取り扱っていくかということについての方向の取りまとめを行いたいというふうに考えております。昭和六十一年度がその最終年度になるわけでございまして、昭和六十一年度におきましてはそういう取りまとめを何とかやれないものかということで、現在鋭意努力をしておるわけでございます。
 そういう検討をしてまいります中で、ただいま御指摘の土地の履歴というような問題についても議論をいたしております。この問題につきまして一つの問題点は、現在の法律の制度になりましてからのデータにつきましては、これはそれなりにまだそんなに歴史が長いわけでもございませんので、かなりの率で現在データは各地方団体、これは直接的には厚生省の御指導のもとに地方公共団体で御担当いただいておるわけでございますので、そういうところでデータが現在まだ残っておるわけでございます。ただ、ただいま御指摘のように、問題が起きるのが大変期間がたってからだということで、このまま放置をいたしますと、各県のいわば文書管理規則上の保存年限というような問題も将来は出てくる場合もあるだろう、こういう情報をどういうふうに今後管理をしていくか、こういう問題も私どもはそういう中での検討の課題であろうというふうに考えております。
 それからもう一つは、そういう法律施行後のものにつきましては、最終処分場の基準を環境庁と厚生省で御相談をいたしましてつくっておりまして、通常の利用でございますとさほど問題がないようになっておるというふうに私どもは思っております。非常に危険なもの、例えばただいまお話がございましたラブキャナルで捨てたようなものについて、ああいうような形で土の中に埋めるということは現在は許されないことになっております。もっと程度の軽いものにつきましても非常に厳しい遮断型の中に入れるというようなことをやっておりますから、そういう問題は私どもは将来注意はいたさなければなりませんけれども、ちょっと形の違ったものになるのではないだろうかという感じがいたします。ただ、過去においてそういう処分がなされたものについて、これをどうやって把握するのか、それができるのか、この点につきましては、地方団体等におきまして法律施行前についてのデータを収集するということは、そのこと自体が大変難しい問題になってくる、こういうことの問題があるわけでございます。
 ただいま申し上げましたようないろいろな問題を前提にいたしまして、私どもといたしましては、そういうデータを収集し、管理し、それからそれをどのような形で保存し、利用に結びつける
かと、こういう問題を含めて現在の検討会を運営してまいりたいというふうに考えております。
#169
○高桑栄松君 承りますと、いろいろ努力をしておられて、それなりの成果を上げようとしておられるということは私は評価したいと思います。ただ、法務省のお話にもありましたけれども、法律というものがあるからできないという考えだったら、立法府は要らないようなものでございますから、やっぱり立法府というのは、どうしてもここはこうしたいというときにはそこを何とか変えてでもやっていくのが立法府でございます。そうですね、大臣。ですからそういう意味で、しかも環境庁は総合調整的な機能にウエートがかかっておる。総合調整というのは、何というのでしょうかね、御用聞きに出かけて行って御用を承ってくるんじゃなくて、ある意味ではきちっと、こうしなさいと言うくらいの場にあるんじゃないかと思うのですね。だからそういう意味で、今法務省からは法規的な意味でのお答えがあったと、私はそう思っております。二年前と同じわけで、これはやむを得ないのでしょうが、そこはやっぱり環境庁は、今言ったような国有地の払い下げについてはこうするという体制をおとりになっているんだから、私が言うのは、民活になったときどうなるのかなという心配を持っているわけです。それで今言ったように、書類の保存期間がというようなことがありますからね、そういうことではいけないので、やっぱり個別にそれぞれ履歴が、要するに既往症というものを控えてもらって健康診断に役に立ててもらいたいと、こう思いますので、今法務省もおられますが、大臣これに対していかがお考えでしょうか。
#170
○国務大臣(森美秀君) 局長に答弁させます。
#171
○政府委員(谷野陽君) ただいまの御質問でございますけれども、私どももそういう問題意識は持っておるわけでございます。具体的な問題につきましては二つの段階があると思うわけでございまして、まずどういう法律、どういう制度でやるか、あるいはお願いをするかということにいたしましても、まず事実関係のデータがなければならない。こういうものはこういうふうになっているんだということをきちっと整理をするということが前提でございまして、これは当然環境庁がそれについての考え方を示しまして、厚生省その他関係官庁と御相談をして、まず事実関係、つまりどういう制度、どういう法律でやるにしても、どんな実態があるのかということを明らかにしなければならないというふうに思っております。
 それからまず第二段階の、そういうデータができたときにどういうふうにしてそれを整理し、保存し、利用できるようにするかという問題でございますが、これにつきましては、まだ全くそういう基礎となるものがないわけでございますので、各省庁と具体的な御相談ができる段階になっていないわけでございますが、将来の問題として考えてみますと、現在、土地についての属性を示しますものにつきましては、もちろん第一に重要なのは法務省の登記でございますが、そのほかに例えば市街化区域の図面でございますと、そういう都市計画上の問題あるいは建築の制限の問題、あるいは農地、森林についての問題、環境庁の所管では自然保護の問題、国立公園もあるわけでございますけれども、そういういろいろな土地の属性を示すものについて、それぞれの目的に従った資料の整理、それからその性質に応じたような一定の利用の方式というものもほかにもあるわけでございますので、そういういろいろな例をまた参考としながら、どういうやり方がその実態について最も適当であるかということを今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#172
○高桑栄松君 そこで、今お話しの件で、公共用地に転換される国有地に限定をしたのですね、今度のやつは。そこはなぜなのかなと。公共用地だけが危険であるかどうかではなくて、それはもう民有地であろうと非公共用地であろうとこれは同じわけじゃなかろうかと、こう思うのです。そういうことについては、どうして国有地の払い下げ、公共用地払い下げだけに限定したのか、ちょっと伺いたいと思います。
#173
○政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、今年の一月に公表いたしました報告書は、御指摘のとおり国有地を公共用地として払い下げるものを対象とするということになっておるわけでございます。私どもが検討いたします当初の段階で、この点につきましてはいろいろ検討がなされたわけでございますが、まず、例えば水でございますとか大気でございますとか、そういうところで行っておりますような環境基準なりあるいは排出の基準、こういうことの手続を考えてみますと、これにつきましては、例えば人体への影響についての詳細な科学的なデータを基礎といたしまして、それに基づいてすべてのものに対して適用をしていく、こういう手順を踏んでおるわけでございます。
 土壌の問題につきまして現在農用地につきましては、一応農用地汚染、土壌汚染の防止の法律がございます。これは環境基準ではございませんけれども、実際の取り扱いが法的に定められておるわけでございます。これは主として作物の生育につきましての長い間の実態の積み重ねがございまして、それに基づいて数値が決められておるわけでございます。私ども今回の問題を取り扱うときに、長期の視点から参りますと、このような科学的な知見の積み上げによりまして、一般に適用できるような制度に向かってさらに努力をしなければならないというふうに思っておるわけでございますが、当面の問題といたしまして、現在目の前にあります例えば目黒の試験所の跡地の問題、あるいはそれに類似する問題があるわけでございまして、それを何とか現実的な処理をしなければならない、こういうふうに考えたわけでございます。実は東京都におかれましても、これは公用地として買う方の基準でございますけれども、基準をつくっておられるわけでございまして、そういうところの例等につきましても私ども勉強いたしまして、どのような対応でやっていくかということを考えたわけでございますが、結論から申しますと、健康にどの程度のものがあれば直接的な被害があるということについての科学的なデータというものを確定するには至らなかったわけでございます。現在、今度報告書で整理をいたしておりますものは、市街地における現在の土壌の状況というものをサンプリング調査をいたしまして、それを統計的に処理をいたしまして、恐らく人為的汚染であると思われるところ、具体的に言えば三シグマという値をとっておりますが、それを超えるものについては、これは一応汚染というふうに見る。それをさらに水質汚濁防止法あるいは廃棄物の法律等を参考といたしまして、濃度に分けまして、それに対応した処理をしていく、こういうような手法をとらざるを得なかったわけでございます。そういう手法なんでございますので、いわば国という、非常に厳しくみずからを律すべき立場の場合に適用するのにはこれは一つの方法であり、また公共用地という性格からいってそれも一つの方法であるというふうにはなるわけでございますが、何分そういう性格のものでございますので、私どもといたしましては、これをそのまま一般の取引の問題に移しかえるについてはなお慎重な検討が必要だろうというふうに考えておりまして、そういう問題について今後さらに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#174
○高桑栄松君 大変丁寧な御答弁なものだから、僕の時間がなくなって困っているのですけれども、まとめて幾つか申し上げます。
 いろいろあるんですね。東京都の話が出ましたが、尼崎市でもそれぞれ独自のものをやっている。だから、環境庁は自治体の後を追っているということがいっぱいありますね。環境アセスメントもそうです。ですから環境庁は、日本全国が全部やらなければやらぬのではないかと。それなら、もう環境庁の存在理由というのはやっぱり減ってくると思うのだな。私、環境庁に職を奉じた人間でございますので、やっぱり環境庁の指導性というものを発揮してほしいのです。ですから、
人に先立つリーダーでなければならぬのではないかと思うのです。余り先走っても困るでしょうが、環境アセスなんかはまさにそうだと思うんだな。地方自治体で幾つもやっているんですから、これにしたってそのとおりですよ。したがいまして、自治体が自分勝手にやるものだから――勝手にという言い方は悪いですが、自由におやりになるものだから、レベルもみんな変わるわけだ。対象物質も変わるんです。そういうことを今度国はといったときに、その整合性がどうなるんだろうか、こういうことが一つあります。
 それから九つの有害物質に限られたようでありますが、これは水質汚濁防止法ですか、水濁法にあるものに限ったということであって、もう既に通産省の言っている化学物質審査規制法、化審法にはもうトリクレン系のやつが重点的に出てきているわけだ。だから、それはもうきょうのNHKテレビか何かにも出ていますよ。トリクレンがどうだったかで、もう地下水に出てきたということがいわれているのですね。ですから、それにしてもやっぱり九物質というのは少しお粗末ではないか、水濁法に限ってやっていると。それじゃもうどうにも何というか予防医学、私、予防なものですから、予防医学で物を言いたいんです。したがって、健康障害にシロかクロかを決める中間があるわけですよ。灰色のものをどう取り扱うか、私は予防というのはそこだと思うのです。シロかクロかというのは、これ決まっているんですから、灰色の部分をこそつかまえて、それに対してどう予防手段を打っていくかと、これが私はもう特に環境庁の使命だと思うのです。環境庁は治療行政じゃなくて予防行政だと、こう思います。したがいまして、やっぱり灰色のものをどうするか。
 それから五十三項目でしたかね、物質を挙げて検討しておられるようでありますから、この中でやっぱり幾つか灰色のものを早急に取り出して、灰色であると言ったっていいんじゃないかと。シロでもない、クロでもないからシロですと言うのじゃおかしいんで、シロでもない、クロでもない場合は、だからほっておけばシロということですよ。取り上げちまうとクロなんでしょう。それで困るんだったら、やっぱり灰色という部分で取り上げざるを得ないのじゃないか。ほっておくということはシロなんですからね、知らぬ顔しているんですから。これはもう問題になる部分ではないのかなと思うのです。
 ですから、そういう意味で私が一つ注文したいのは、五十三物質については化審法がある、そういうことで特に取り上げている通産省に環境庁は申し入れたのかどうか。それから化審法の中で東大の鈴木教授がこういうことを言っていますよね。原則的には毒性のデータが全くない物質は世の中に出してはいけない、その試験には金をたくさん投入しなさい、こういうことを言っているんです。ですから環境庁が全国のいろいろなところを点検をして、検査をしてどうとかと、今おっしゃったように研究費が要ると思うのですよね。
 私は今、その予算のことを言われてから思いついたものだからあれしていませんでしたが、環境庁の研究予算も非常に少ない。私いたものだからもうつくづくそう思っているんです。唯一の国立公害研究所もやはり研究費だけではなくて、人間も予定の半分にとどまっているということでございますから、この点で言うことは私いっぱいあるんですけれども時間になりましたし、今申し上げた点についてのお答えをいただきたいと思います。最後に大臣、まとめて。ひとつ私の質問にお答えをいただきたいと思います。
#175
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の物質につきましては、今私どもが行っております総点検調査の中で実施しているものでございます。この中のものにつきましては、
   〔理事菅野久光君退席、委員長着席〕
先生御案内のとおり、今回の化審法の改正案等の中でそういうふうなものについての解決と申しましょうか、先生御指摘のような趣旨のものについて入っているものと、こういうふうに私ども理解しているところでございます。
#176
○政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘の幾つかの点でございますが、簡単にお答えさせていただきますと、一つは各地方公共団体との関係でございますが、御指摘のように、数としてはそれほど多くはございませんけれども、幾つか東京都その他ございます。ただ、それぞれ対象とする土地の範囲でございますとか内容が違っておるわけでございますし、またそのほかの都道府県、市町村等におきましても現在御検討中のものがあるわけでございまして、私どもは今回の報告書をまとめます段階で、数回にわたりましてそれらの地方団体と連絡をとりながらやっておりますし、また今回のものもお送りをいたしておりますので、こういう私どもの報告が出たことを契機に、そのあたりにつきましての全体的なハーモニゼーションと申しますか、そういうものが進んでいくのではないか、またそうあってほしいというふうに思っておるわけでございます。
 それから排出規制の対象物質の数の問題でございますが、これは現在の例えば私どもの所管では水濁法でございますが、その姿、形というのがございまして、罰則のかけ方でございますとか、そういう問題がございますので、なかなかこれに乗せる手続というのは難しいという側面があることは御理解をいただきたいと思います。
 ただ、私どもも緊急的に場合によっては処理をしなきゃいかぬものがあるのではないかということにつきましては従来から考えておりまして、ただいま御指摘のトリクロロエチレン等三物質につきましては、既に指導指針という通達の形で暫定の処理をしておるわけでございまして、今後いろいろそういう各種の行政手段を使いながら、それぞれの必要に対応してまいりたいというふうに考えております。
#177
○国務大臣(森美秀君) 先ほどからのお話のように、やはり人命に影響があるということは私は大変な問題だと考えております。そういう意味におきまして今後この調査研究を進めるとともに、我々としても検討をして進んでまいりたいと考えております。御指摘ありがとうございました。
#178
○高桑栄松君 終わります。
#179
○近藤忠孝君 前回の三月二十八日の質問の際に、私は環境庁大気保全局の大気汚染健康影響報告書、これに基づきまして、NO2環境基準の強化改定について指摘をいたしました。これに対して大気保全局長は、今直ちに強化改定しなければならない状況ではないという答弁ですが、根拠を示されなかったのですね。これは推測するに、この局長答弁は、七年半前のNO2環境基準改定時、これは七八年七月十七日付ですが、大気保全局長通達、「環境基準の改定によって国民の健康保護に問題の生ずるおそれはなく、またこれを超えたからといって直ちに疾病又はそれにつながる影響が現われるものではない。」と書かれている。これが恐らく念頭にあったのじゃないかと思いますが、どうですか。
#180
○政府委員(林部弘君) つい先日お答えをいたしましたときの私のお答えの中身は、この調査の時間がございませんからということで、たしか三百六十九ページの「まとめ」というところに所見の総括が載っているのですが、この結果から見ると、直ちに改定を要する結果であるというふうには理解しておりませんと、こういうお答えをしたわけであります。もちろんその中には、今先生が御指摘になられたように、環境基準というのは本来どういうものであるかという理解を踏まえてお答えをしているということは言えると思います。
#181
○近藤忠孝君 だから恐らく念頭にあったと思うのですが、この通達が「環境基準の改定によって国民の健康保護に問題の生ずるおそれはなく、」と言っている点は、今回の大気汚染健康影響調査で、現行NO2環境基準年平均値〇・〇二から〇・○三ppm以下でも、NO2濃度の上昇に伴って有症率増加が認められているということから、実際問題が生じておることはやっぱり確認されたと思うのですね。環境基準以下でも有症率増加が認められた症状というものは、持続性せき 女児、それから成人女子。それから持続性せき・たん
成人女子。持続性ゼロゼロ・たん 男児、女児。それから持続性たん 成人男子、女子。ぜん息様症状成人女子。ぜん息様症状―現在、成人女子。この六つの症状に上っているわけです。これでも国民の健康に問題の生ずるおそれはないというお考えなのかどうか、この点を改めて確認したいと思います。
#182
○政府委員(林部弘君) 調査の内容にわたる御指摘がございましたので、若干私の方から内容の説明をさせていただきますが、先ほど私が申しました三百六十九ページのところで取り上げられてい。ないもので、単相関を見ると有意になっているものがあると、そのことについては先生が今御指摘になっていると思いますが、実は一言で申しますと、私どもはせっかくこれだけ大がかりな調査をいたしましたので、国際的にもこの調査そのものは評価してほしいという気持ちがございます。したがいまして、単相関で有意の相関であるということのすべてをそのまままとめのところに書くと、交絡因子の問題についての考察がないではないか、そういう指摘を受けるんじゃないかということで、交絡因子ということに着目をして仕分けをいたしまして、それで残ったものを最後のところに書いたと、こういうことでございます。
 したがいまして、今先生が御指摘になった有意の相関、相関係数そのものが小さいということもあったので、私どもはそこを非常に慎重に扱ったということでございますが、例えば全数で言えば、せきならせき、持続性せきが有意であったと。しかしながら、それをアレルギー素因の有無のような形に分解をしてしまうと、その相関係数が非常に小さくなって有意でなくなってしまうとか、あるいはたんのようなものは、呼吸器疾患の既往によっても非常に影響を受けるというようなことで、大人の場合にはたしかそういうのがあったと思いますが、そういうことで素因のありなしに分けてしまうと相関係数が有意なものでなくなってしまう、そういうようなものは一応全部まとめのところでは外して記載をしております。
 というのは、統計的に少しそういう分析が甘いのではないかというような意見もいろいろな立場の方がおるわけですから出てくるのじゃないか、そういうことで外している部分はあります。しかも、そうではあっても、なお二十ppbから三十ppbの間で御指摘のようなことが認められる部分もございますから、そういう意味で私どもは現行の環境基準そのものは妥当なものと考えておりますし、それから高くなるとどうなるかというのは、例の子供のぜん息様症状のところになりますが、これは三十一ppbと申しましょうか、三十ppbと申しましょうか、そこを超えると、いきなり高くなるという意味ではございませんので、その上のグループが有症率が高くなるということを記載しているわけでございまして、そういうことを総合的に判断をして、先ほど私が申しましたように良とめのところ、三百六十九ページにある記載からは直ちに改定を要するような結果というふうには私どもは今の段階ではそういうふうに理解していない、こういうことでございます。
#183
○近藤忠孝君 今の段階ではということは、さらにこの解析が進み、もっといろいろな問題点がありますから、そういう指摘も含めてやると将来その可能性もあるということですか。
#184
○政府委員(林部弘君) これはあくまで疫学調査に限った議論しかできないわけでございまして、環境基準そのものは疫学調査だけで決めておりませんで、やはり総合的に判断しております。私ども実は、この調査報告書の解析にあわせて文献についても独自に集めて精査をしております。まだそこのところで、今まで調べた限りでは、これもまた直ちに改定しなきゃいかぬような知見があるというふうには現在の段階ではまだ思っておりません。そういうことで今のようなお答えをしたわけでございます。
#185
○近藤忠孝君 先ほどの通達に戻りますが、現行のNO2環境基準値、年平均値〇・〇三ppmを少しでも超えますと有症率増加が認められる症状というのは、持続性せき 男児。ぜんそく様症状 男児、女児。それから、ぜんそく様症状―現在、男児、女児。この三つの症状に上っているわけですね。通達は、これを超えたからといって直ちに疾病またはそれにつながる影響があらわれるものではないと言っているのですが、これはやっぱり症状がこれだけ出ているということは、この通達自身に問題があるのではないか、むしろ通達が間違っていることが実証されたのではないかという、こういう批判に対してはどうですか。
#186
○政府委員(林部弘君) 今の御指摘の通達そのものが妥当か不当かということについては、ちょっと即答しかねるのですが、先ほど申しましたように、私ども現在の時点での判断ということでは、やはり大がかりな調査をやった結果がまとまったということが一点。それから環境基準そのものは、これだけで判断をするものではない。したがって、その他の文献等についても現在いろいろ集めている、そういうようなものを踏まえて判断をするということになると思います。基本的にはその通達に書かれている理念は今も私は間違っているとは思いませんし、理念としては変わらないのではないかというふうに現在でも理解いたしております。
#187
○近藤忠孝君 ぜんそく様症状及びぜんそく様症状―現在は、病気の気管支ぜんそくに近い健康影響指標で、こういう健康障害が環境基準を超えたときに出てくるということは大問題だと思うのですね。当然安全係数を考慮して強化改定することが緊急になっていると思うのです。
 そこで公害対策基本法第九条、そこでは新たな科学的知見が出たら見直す、これは第一項の点を見直すとされておるのですから、これだけの新知見が得られた現在、環境庁は国民の健康を守る、そういう立場ですから、当然これは環境基準強化改定という面から見直すべきだと思うのですが、どうですか。
#188
○政府委員(林部弘君) 調査を発表いたしまして一カ月近い日にちしかまだたっていないわけでございます。いろいろなお立場からいろいろな御意見が出てくると思います。現に御指摘のような御意見が出てきているということも承知をいたしておりますし、具体的に意見書を私どもの方にお寄せになった向きもございますので、その辺については、細部私どもなりに今検討をいたしております。ただ、私どもの現在の気持ちとしては、先ほど申し上げたようなお答えになるということでございます。
#189
○近藤忠孝君 十分検討するということですから、これは法の趣旨にのっとってひとつやってほしいと思います。
 次に、これは前回も指摘しました、東京都の衛生局が昭和五十三年度から五十九年度までの中間解析年度を除いた六カ年間にわたって行った複合大気汚染に係る健康影響調査、これはNO2を中心とする複合大気汚染の健康影響を疫学調査とそれから基礎的実験研究、この二つの側面から実施したものであります。
 内容を若干紹介しますと、恐らくまだ目黒さん、これを取り寄せて検討やってないと思うからこちらで指摘しますと、疫学調査の方は、一、症状調査、これは呼吸器症状の有症率と環境因子との相関についての調査。それから二、疾病調査、その一つが小学校学童の呼吸器系疾患の罹患傾向と環境因子の変動との相関についての調査。その二、小学校学童の肺機能発育曲線と環境因子との相関についての調査、このようになっています。大きな三として患者調査、その一が呼吸器系疾患患者の年間を通しての症状の変化と環境因子との相関についての調査。二、乳幼児の呼吸器系疾患有症率と環境因子との相関についての調査。大きな四、死亡調査、過去十年間の死因別死亡率について地域集積性、時間的集積性と環境因子との相関についての調査、こういう大きな四テーマ、六項目にわたるかなり大がかりな調査になっています。しかも三月二十八日の本委員会で私が指摘しましたように、その総合解析の結果は、NO2濃度と有症率などとの間に関連性を認める重要な知見を提供しております。
 今、東京都衛生局では、この調査報告書を印刷中と聞いておるのです。だから手に入ってなくてもしようがないけれども、しかしいずれ近いうちに出てくるわけでして、環境庁はこの調査結果が、しかもこういう重要な結果が出てくることをもう承知しているわけですから、これを取り寄せて専門委員会に提出をして十分調査審議を尽くすべきだと思うのです。前回聞きましたけれども、こういう中身を紹介した段階で改めて答弁を求めたいと思うのです。
#190
○政府委員(目黒克己君) 前回お答え申し上げましたことでもございますが、やはりそういう先生御指摘の東京都の調査につきましては、その後東京都に私どもの方でも確認をいたしましたところ、今先生も御指摘ありましたけれども、取りまとめにまだ時日を要する、最終報告内容及び公表の時期についてはまだ未定である、こういうふうなことを東京都の方から言ってきたわけでございます。したがいまして、私どもは先生の御指摘とあわせましてこの旨を専門委員会の委員長の方へ御連絡を申し上げたということでございます。
 なお、ちなみに先生がただいま御指摘になりました五十三年から実施しております複合大気汚染に係る健康影響調査の一部をなすこの沿道の調査でございますけれども、このアンケートの調査によりまして主要な幹線道路周辺の有症率等を調査したと、こういうふうなことも聞いております。
 なおまた、五十七年には中間報告が公表をされているわけでございます。この内容につきましても当然既に専門委員会に提出がなされておって、委員の中で御議論をいただいているというふうに私ども聞いているわけでございます。したがいまして、私どもの方といたしましては、現在なお先生の御指摘の点につきましても、これはあくまでも委員会の方の御判断ということで私ども考えているところでございます。
#191
○近藤忠孝君 これは、全国公害患者会連合会の代表が都の衛生局の幹部に会った際に、幹部の方からこう言われたそうですね。環境庁の方から積極的に資料提供をむしろ求めるなど、これだけじゃなくて全国にこういう自治体の実施している疫学調査というのはあるわけですから、これはむしろそういうものを環境庁が全体を把握して審議材料にすべきだ。むしろそういう意味では、自治体では自分たちのやったものを使われることを期待をしている。むしろ環境庁が積極的にやるべきだ。東京都にしますと、こういうのをやりましたからどうぞというよりは、やっぱりやっている事実を知られた以上は、むしろ積極的に活用してほしいということを率直に言っておったそうですね。こういう自治体の積極的な姿勢、これは環境庁、先ほど環境庁の指導性という問題も指摘されましたけれども、そういう立場から取り組んでほしいと思います。
 これは先ほど村沢委員の質問に対する答弁として、先ほど申し上げた大気汚染影響報告書などは、この専門委員会では十分議論をされているということで促すが、私は今申し上げた東京都の資料、それから大気汚染影響報告書の中身も相当まだ問題がある、まだ不十分な点があるということは、恐らく昨日、科学者会議が見解を公表いたしまして、この中には、この報告書を貴重な疫学データと高く評価している一方、半面重要データが数多く含まれているものの、それが大気保全局のまとめに反映されていない。そういう意味では問題の多い環境庁解釈がなされているのではないかと、こういう指摘もされておるのですね。私はそういうこともひとつこの専門委員会に十分に伝えて、本当に慎重な御審議――聞くところによるとごく近い、恐らくあすかもしれぬという話ですけれども、結論までいくのかどうかは、私はそこまでいっていないと思いますけれども、こういう指摘がされておるということですが、これは十分に反映すべきだと思いますが、大臣いかがですか。
#192
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘の点につきましても、これは前にもちょっとお話しいたしましたけれども、やはりどの資料を集め、どの研究報告を参考にするかということについては、委員の間でもいろいろ御議論があったというふうに聞いておるところでございます。したがいまして、先生の御発言の向きにつきましては、先日私の方で委員長の方へは御報告を申してございます。しかしながら、委員会の中で、やはりあくまでも私どもの方としては、専門委員会の御判断という考え方は変わってないわけでございます。
#193
○近藤忠孝君 大臣、最後の質問とあわせてひとつ御答弁いただきたいのですが、これは前回にも指摘されたこの専門委員のあるいは環境保健部会の構成員の問題、財界寄りじゃないかと。例えば名指ししてみますと、経済団体連合会環境安全委員会委員長の岩村さん、自動車技術会常任理事の景山さん、日本鉄鋼連盟立地公害委員会委員長小林さん、まさに業界代表なんですね。きょうは見えていませんけれども、梶木さんが環境庁長官時代にこのことを指摘しましたら、こういうぐあいに言われました。金を出してもらっているので代表になってもらっているんだと。そうであれば、公害被害者は、命をこれはもう持っていかれちゃってるんですよ。となれば、こういう財界代表を入れる以上は、そういう患者の代表も入れるべきだと思うのですね。これに対しては、恐らく答弁としては、専門的公正な立場からやってもらっていると言うのですが、もし本当に公正に行われていろんなら、むしろこういう代表に入ってもらって、中身を見てもらってこそ本当に公正だということになるんじゃないか。現実はそうでない疑いが持たれておりますので、むしろ私は、こういう財界代表にやめてもらって、患者代表をこういう委員の中に入れるべきじゃないかと思いますが、この問題も含め、私先ほどから指摘している問題について御答弁いただきたいと思います。
#194
○国務大臣(森美秀君) 大変御貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 例の専門委員の問題でございますが、これは目黒部長がたびたび申し上げておりますように、ともかくこちらから行政指導などという僭越なことをしないで、相なるべくはもう皆さん方の御意見だけにということで、もう努めて一歩も二歩も百歩も下がったところでやっておるわけでございます。したがいまして、先ほどからの御論議もございましたが、私どもとすれば、なるべく早く専門委員会の結果を出してもらいたいと考えておるわけでございます。四月中には何とかというような気持ちでおりますので、御理解いただきたいと思います。
 なお、患者を入れたらどうかという問題につきましては、これはやはりお医者様その他が患者の内容について本当に詳しく知って発言されていると思いますので、あえてお入れしなくともという見解をとっております。
#195
○近藤忠孝君 時間が来たので終わります。
#196
○青木茂君 環境問題を東京湾のいわば乱開発の問題に絞りまして御質問を申し上げます。私自身、今度の横断道路を中心とした東京湾の乱開発による環境破壊というものを大変心配をしておる者の一人でございます。で、いわゆる環境破壊はいろいろな側面から考えられますけれども、例えば今度の道路による交通量の増加だけという非常に狭い意味に限ってみても、何か調査によれば一日三万台通ると。これは完全に排気ガスだけで見たって大気汚染は避けられないわけですね。しかも僕は、この大気汚染というやつは道路の開口部である川崎ですね、ただでさえ公害が非常に多いと言われる川崎に集中してくるのではないか、川崎の大気汚染に拍車がかかってくるのではないかと思っておるわけなんですけれども、これは一例でございます。こういうことに関して長官どうお考えですか。横断道路の環境破壊の問題ですね。
#197
○国務大臣(森美秀君) 御承知のように私、千葉県人でございまして、東京湾横断道路を一刻も早くつくってくれという運動をこの十数年やり続けてきたものでございます。しかし今おっしゃいますように、やはり環境破壊という問題、この問題については真剣に考えねばならないという心境でおるわけでございます。そういう点につきまして、今までの環境庁と事業者との関係等につきま
して、より慎重に対処してやってまいりたいと考えております。果たして先生のおっしゃるようなことにならないように気をつけてまいりたいと思っております。
#198
○青木茂君 長官は千葉県人であるより先に、国民の輿望を担った環境庁長官なんですから、千葉県ということは忘れていただいて、つまり東京湾が今やまさに乱開発によって死にかかっていると。これは当然環境庁が真っ先に取り上げなければならないテーマなんですけれども、そのテーマ、それの集約されたものが横断道路なんですけれども、それについて事前に建設省あたりと何か御相談があったのか、あるいはなかったとすれば環境庁の方から申し入れているのか。ここら辺のところどうでしょう。
#199
○政府委員(岡崎洋君) 東京湾横断道路につきましては、それの環境にどういう影響を及ぼすかという点につきましては、まだ具体的にそれの影響評価の作業が完成しておりません。したがいまして、私どもとしては、その内容につきまして建設省と意見を交換しているという段階ではございません。
#200
○青木茂君 どうもそこら辺のところが前回も申し上げましたけれども、テンポの速いウサギが突っ走って、そのウサギは寝てくれない。どうも環境庁はテンポの遅いカメで、そっちが寝てしまっている。その間に現実破壊がどんどん進むような気がして仕方がないのですけれども、じゃそれに関連いたしまして、もう一つ御質問申し上げますけれども、長官は先日の環境委員会で、同僚議員の御質問に答えて、東京湾の環境アセスメント、これはすべてできた段階ではなしに、事前に十分なされなければならないというふうな御答弁ございましたね。ところが、事前に十分な環境調査がないままに、もう道路のできる法案がどんどんどんどん進んでいるわけですね。ここら辺の環境庁の立ちおくれ、環境アセスメントを環境庁独自で遅まきながら全力を挙げてやってみるということが必要なんじゃないかという気がしているのですけれども、あるんですか、環境アセスメントみたいなものは。
#201
○国務大臣(森美秀君) 先ほどの私の発言で、誤解があるといけませんものですから、これだけは訂正しておきますが、私は誘致運動は一生懸命やりました、それは過去において。しかし、現在は環境庁長官という立場を絶対逸脱しないつもりでございますので、その点だけは御承知おき願いたいと思います。局長にあと答えさせます。
#202
○政府委員(岡崎洋君) 現在のアセスメントのやり方につきましては、今先生御指摘のように事前にというお話、アセスメントはそもそも未然予防ということが基本でございますから、事前にということは大前提でございます。その事前にというのを、いつの事前ということでとらえるかというのは、いろいろ御議論がございます。非常に計画の初期段階で、いわば非常に抽象的なレベルでもいいから計画アセスメントというような形で取り組んだらどうかという一つの手法もございます。しかし、それは必ずしも計画が具体化されないと、それの明白な環境に与える影響というのがなかなか明確にキャッチできないと、こういう御意見もありまして、計画の中身がある程度固まった段階でアセスメントをやる方が効率的ではないか、こういう意見もございまして、現在私どもはその後者の方の考え方で、いわゆる事業アセスメントという形で事業者にやってもらうことを中心に進めておるわけでございます。ただし、アセスメントをどういうものにどうやるかということにつきましては、一昨年閣議決定をもちまして各省庁足並みをそろえてもらいまして、大型なプロジェクトにつきましては、かくかくの手続でこういうアセスメントを必ずやりましょうと、こういう足並みをそろえたところでございますので、そういった意味合いで、事業のアセスメントをやるという関門がございますから、それぞれの事業者は、前広に計画の初期段階からそういうことを頭に置きながら計画を策定し具体化を図っていくということで、そういった前広の効果というのはあるものであるというふうに、私ども今のアセスメントのやり方については思っておるわけでございます。
#203
○青木茂君 いつということを考えてしまうと、事前のつもりのやつが事後になってしまう。つまり現実がどんどんどんどん先に進みますわ。それで総合的な環境アセスメントといっても、つまり環境庁に私どもがやっていただきたいものは、やるかやらないかという価値判断を踏まえてのアセスメントであって、やるという前提で物を考えたアセスメントなんというのはよそでやればいいことで、僕は環境庁そのものの仕事じゃないと思う。だから環境庁としては、一体こういうことはやっていいのか悪いのか、それを国民の生活環境、経済環境という立場でやっていただく。だから、幾ら早くても僕は早過ぎることはないと思っておるのですけれども、どうでしょうかね、ここのところは。
#204
○政府委員(岡崎洋君) 計画の早期の段階からいろいろ私どもとして勉強し、あるいはそういう内容について、私どもが何か発言をすべきことがあるというような判断がございますれば、それはそのときの状況に応じてそれぞれ意見を申し上げるというようなことは当然のことだということで、これはいわばアセスメントの手続とか、そういうこととは別の話としてでも考えねばいけない話だろうというふうに思っております。
#205
○青木茂君 つまり、またこれが前回御質問申し上げました総合調整官庁の問題に移ってくるのですけれども、僕は東京湾に限って言えば、いろいろな大型プロジェクトというものが相互に脈絡がなく先へ突っ走っているわけですよ。例えばみなとみらい21ですか、そんなのもございますし、何かそれから羽田空港の沖合をどうするとかこうするとかいう問題がある。それからこの東京湾の横断道路の問題がある。そういうものが縦割り行政の中においてどんどんどんどん先に突っ走っている。それに対して向こうさんの計画が出てからと、総合調整官庁であるべき環境庁が向こうさんのあれが出てからでないとはっきりやれないというふうに僕はとまっておったのでは、これはちょっともう環境庁自身が環境破壊容認しちゃうようなものじゃないかと。もっと環境庁自信を持って各省に対してもう少し強いことを言っていただかないと、ちょっと僕は環境庁のやはりレーゾンデートル自体が問題にされかねないゆゆしき事態になるんじゃないかと思いますね。もっと他省庁に対して強く出てほしいですね。
#206
○国務大臣(森美秀君) 今の先生の心境が、まさに私が昨年の十二月二十八日に環境庁の長官をお受けしたときの心境でございます。そこで、ずうっと私、過去の歴史、つまり昭和四十六年に環境庁ができてから以後あるいはそれ以前、それから先般の閣議決定がされた以後、ずうっと歴史を見てみますと、現在のところは常に事業者が私どもの気持ちになりかわって、あるいはそれ以上に環境について真剣に事前調査をやっているということがわかりましたので、私個人としては、昨年十二月に重い気持ちでおりましたのが現在は、いや、やはり環境庁というものができたので、これだけの環境が悪化してないんだという気持ちになっておることをお伝え申し上げます。
#207
○青木茂君 私は企業にお世話になっているサラリーマンの代表ですから必ずしも企業性悪説はとりませんよ。企業性悪説はとらないけれども、今、長官がおっしゃっているように、それぞれの事業者が本来の収益活動と申しますか、そういうこと以上に環境のことをそんなに御心配になっているかという、僕は超性善説ですね、超性善説とっちゃったんじゃ甘いんじゃないかという気がして仕方がないんですけれども、そうしたらもう環境庁要らないんですよ、逆に言うならば。
#208
○国務大臣(森美秀君) 今の私の言った事業者というのは、直接やっている事業者ではなくて、県とかあるいは公団とか、そういったところを意味した事業者という意味で言ったものでございまして、直接利益を上げる企業家がそこまで思っているかどうかというのは、それは別問題にしていた
だきたいと思います。
#209
○青木茂君 今、内需拡大とか民活の名において非常に公共的な事業が僕は民間へだんだんだんだん移行されていくと思うのですよ。そうなりますと、まさに利益追求体ですから、それが環境に対して持つデメリットというものはかなり大きいと。それをやっぱり環境庁としては早くスピードアップしてチェックをしていただかないと完全に手おくれになってしまう。例えば、ちょうどアメリカのサンフランシスコで出たような、これは住民運動の形が一つの環境チェックをつくり出していった。それから今、東京弁護士会が保全法みたいなものをつくれというような提言をしておるのですけれども、それをそのままうのみにしろということを言っておるわけではございませんけれども、前回から申し上げておりますように、環境行政というものが縦割り行政の中に参加するんじゃないんだと、縦割り行政を横にチェックすることこそまさに環境庁の仕事なんだから、それを忘れてしまって、何か縦割り行政を後から後から追いかける、あるいは無理に縦割り行政の中で環境庁の存在意義を強調する、長官でなくて大臣じゃなければいかぬとか何とか。そうなってしまうと本当に疑われますよ。
 我々にとって、私は行政機構の中で環境庁というものは非常に重要なものだと思うのです。その重要なものが今の状態でいったら、本当に無用論出ますよ。これは参議院と一緒かもしれませんけれども、僕は参議院は非常に重要なものだと思いますがね。まあそれはあれとして、とにかく環境庁本来の総合調整というものは幾ら早くやったってやり過ぎることはないということを申し上げて、そういうことに対する長官の御見識を伺って質問を終わります。
#210
○国務大臣(森美秀君) 今、先生のおっしゃられたようなことを常に反省しながら、環境庁は環境庁としての存在価値を高めていきたいと。こう考えております。
#211
○委員長(矢田部理君) 以上をもちまして、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#212
○委員長(矢田部理君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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