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1985/02/12 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会 第1号
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1985/02/12 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会 第1号

#1
第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会 第1号
昭和六十一年二月十二日(水曜日)
   午後一時二分開会
    ―――――――――――――
昭和六十年十二月二十四日外交・総合安全保障に
関する調査特別委員長において本小委員を左のと
おり指名した。
                岩動 道行君
                大坪健一郎君
                倉田 寛之君
                高平 公友君
                曽根田郁夫君
                大木 正吾君
                瀬谷 英行君
                中西 珠子君
同日外交・総合安全保障に関する調査特別委員長
は左の者を小委員長に指名した。
                大木 正吾君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        大木 正吾君
    小委員
                大坪健一郎君
                倉田 寛之君
                高平 公友君
                瀬谷 英行君
                中西 珠子君
    外交・総合安全保障に
    関する調査特別委員長  植木 光教君
    小委員外委員
                安孫子藤吉君
                上田耕一郎君
                関  嘉彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       経済企画庁調整
       局調整課長    吉川  淳君
       外務省北米局北
       米第二課長    田中  均君
       外務省経済局国
       際経済第一課長  小川郷太郎君
       大蔵省国際金融
       局短期資金課長  金子 義昭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際経済問題に関する調査
 (経済摩擦に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(大木正吾君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会を開会いたします。
 国際経済問題に関する調査のうち、経済摩擦に関する件を議題といたします。
 まず、経済摩擦の推移と今後の対応について外務省から説明を聴取いたします。小川国際経済第一課長。
#3
○説明員(小川郷太郎君) それでは、経済摩擦の推移と今後の対応ということで外務省より考え方を申し述べさしていただきたいと思います。
 これまで日本の貿易収支または経常収支の黒字の問題というのは、いろいろな過去何度がにわたり大きな問題になりまして、それに対して諸外国との経済摩擦というのが何度か非常に厳しい状況になってきておりますけれども、これを経験的に見ますと、日本の経常収支の黒字が対GNPの比率で一・五%程度を超えるとかなり摩擦が表面化するというような状況が過去においてございました。特に一九七一年から二年にかけての時期、あるいは七七年と七八年の時期、それからまた、つい最近の八三年以降の問題でそういう状況があらわれていると思います。そして、こうした過去における経済摩擦の顕在化という問題は、二度にわたる石油ショック等もありまして、必ずしも諸外国の関係で完全に調整ないし満足がいく状態に至るということなしに現在まで続いているわけでございます。
 それで、今回の経常収支黒字につきましては、大体対GNP比で既に三・五%前後に達していることでございまして、額も非常に大きくて、かつ拡大の一途をたどっているということで、こうした今後の見通しにつきましても容易に縮小の兆しが見えないということで、各国の不満、いら立ちというのが非常に高まっている状況でございますが、これは先生方御承知のとおりでございます。それで今日本は、したがいまして世界最大の黒字国になりまして、かつてのOPECの黒字に匹敵するような黒字を抱えているという状況でございます。
 こうした経常収支の不均衡の問題といいますのは、もちろん為替レートとか各国の景気局面のタイミングの差とか、あるいは輸出競争力の問題というようないろいろな要素がかみ合って生じているわけでございますし、こうした点に関する各国の認識も次第に深まってきており、日本だけがこうした状況に対する責任があるということではないということについての認識もだんだん強まっているというふうに思われます。
 我が方としましても、各国からの批判に対して随時いろいろ反論等をしてきておりますし、こうした関係で、例えばOECDの閣僚理事会あるいは昨年のボンのサミット等におきましても、各国がそれぞれなすべきことというものを認識して、それの改善に努めるというような合意がおおむねできつつあるという状況でございます。しかしながら、余りにも今の日本の黒字が大きいということでして、日本に対して諸外国は、日本の市場が閉鎖的である、あるいは貿易その他の経済的慣行がアンフェアである、不公正であるというような批判を強めている状況でございますし、日本が世界の中における経済的な地位に応じた国際的責任を果たしていないというのが諸外国の非常に強い批判になってきております。こうした状況を我々の方も随時説明し、あるいは対策をとって、それなりに理解はされておりますけれども、こうした批判というのは理屈ではなくて感情論というようなものになっておりまして、今や政治的あるいは社会的な問題というふうになってきている、そういう要素があることは否定できないと思いますし、我々としましてはこうした要素、状況というものをよく留意する必要があるのじゃないかと思っております。
 それで、我が国としてどういうふうに対応すべきかということでございますけれども、日本自身が世界経済に大きな比重を占めるようになりまして、日本の行動というものがいろいろな意味で非常に大きくほかの諸外国の経済状況に影響を及ぼすという状況になっているわけでございまして、そういう状況から非常な経済困難に陥っている諸外国の状況を考えまして、世界経済との調和を図って、我が国にふさわしい国際責任を果たすという姿勢を明らかにした上で、かつ具体的に積極的な貢献を進めるということが必要だと思います。これは申すまでもありませんけれども、日本がやはり世界の中で一番経済パフォーマンスもいい状況にありますし、黒字も非常に大きいということ、それから日本自身あるいは世界経済相互間の依存関係というのが強まっておりまして、日本自身が諸外国の健全な経済関係に依存しているという面が非常に強くなっておりますので、こういうことはぜひ日本として対応していかなければならないと思います。特に、日本の経済というのはこれからも相対的にほかの国の経済に比してさらに伸びていくというように見込まれますし、そういう状況では特に国際協調というものを国民全体の課題のように考えて対応していくということがぜひ必要だろうと思います。
 それで、こうして具体的な措置をとるに当たって非常に国内的な調整というのが大きな問題になると思いますし、我々外務省としましても国内調整の困難さということは十分認識しておるつもりでおりますけれども、国内的な困難というのを理由にしていろいろな措置に対して消極的になるという状況ですと、一層国際的な非難というのが強まることと思いますし、日本としてはむしろ中期、長期の観点から、日本が自発的に自分の経済の将来を考えた上でこういう措置をとっていくのだということを決めて、世界に対してそうした姿勢を表明して具体的な措置をとっていくということがぜひ必要だろうと思いますし、そういう意味で具体的な措置と、それからさらに日本の立場を説明するための広報活動等も含めて今後重要になってくると思います。
 具体的にどんな方向に対応策を進めていくかということでございますけれども、やはり現在の状況を見ますに、我々日本がしなければならない対応の方向というのは非常に広範囲、多くの分野にわたってやらなければならないと思いますし、かつ中長期的な対策を考えると同時に、ある程度短い期間に何らかの効果が出るような措置というのも考えていかなければならないと思いますし、非常に日本としては困難な状況にあると思います。既に日本としては相当アクションプログラムを中心とします市場開放を進めておりますし、G5の会合以降の円高も定着して、どんどん進んでおります。
 それから、内需拡大策につきましても既に措置はとられましたし、今後もさらにどういうことが可能か、いろいろ検討をされている状況にあります。それから、総理の私的諮問機関としての経済構造調整研究会というものが研究を進められておりますので、こうした面で一層対策を進めていくということが必要だろうと思いますし、特に輸出が多くなって黒字がふえていくということもございますので、海外へ向けた直接投資、特に製造業を中心とした海外直接投資をさらにふやす方策、具体策を考えていく必要があると思います。それから、外国からの対日進出がさらにふえるように、いろいろな形で外国企業に対してそういった進出を勧奨して、これを支援していくという方策も必要かと思います。
 それから最後に、開発途上国の関係、これも日本の経済の発展にとっても非常に重要な要素でございますので、援助をふやすこと、それから開発途上国からの輸入を日本がどんどん拡大していくこと、そのためにある程度産業構造調整というものが必要になるかと思いますけれども、そうしたいろいろな分野で対策を進めて、全体として対外バランスをより改善した状況に持っていくということを国全体が力を合わせてやっていく必要があるというふうに私どもは考えております。
 簡単でございますけれども、総論的に申し上げました。
#4
○小委員長(大木正吾君) 次に、円高問題につきまして大蔵省から説明を聴取いたします。金子短期資金課長。
#5
○説明員(金子義昭君) それでは、最近の為替相場の動きを御説明したいと思います。
 前回、昨年の十一月十三日だったと思いますが、本小委員会におきまして為替相場の動向、それから九月のG5での会合の概要につきまして御説明いたしましたが、そのときには一ドル二百五円五銭というところでございました。本日は東京の寄りつきが百八十七円ちょうどでありまして、午前中の終わり値が百八十六円五十銭ということで、当時に比較しましてもさらに円高・ドル安となっておるわけでございます。この間の円相場の動きにつきまして簡単に御説明させていただきたいと思います。
 昨年九月のときのG5の会合では、もう既に御説明しましたように、対外不均衡是正のためには為替レートが役割を果たすべきであり、そのために為替レートが経済ファンダメンタルズをよりよく反映しなければいけないという認識のもとに、経済政策の協調を一層進めるとともに、為替レート適正化のため、より密接に協力することが合意されたわけでございます。お手元にグラフをお配りしてありますけれども、昨年の三月ごろをドル高のピークにいたしまして、その後三月から八月、九月と徐々になだらかなドル安が続いてきたわけなのですが、九月のときにそこにありますようにG5会合が行われまして、その後政策協調その他協調介入等が行われるということもありまして二百十円台に入っていったわけでございます。十月末に内外金利差が若干縮小いたしましたので、その関係でさらにドルが安くなりまして、大体十一月からその後はそこにありますようにほぼ二百円台の前半ということで、二百二、三円を前後する形で比較的落ちついた推移になったわけでございます。このころはまさに市場の動向と申しますのは、実需を背景にした自律的な動きを反映したものとなったわけでございます。
 こういう情勢、比較的落ちついた相場の動向の中で、本年に入りまして一月十八日、十九日両日、ロンドンにおきまして再び五カ国蔵相会議というのが開催されました。その五カ国蔵相会議におきましては、昨年九月以降の為替市場の状況をレビューいたしまして、その結果、それまでの為替レートの進展に満足するというようなことが言われ、昨年九月の合意が継続し、これまでの成果を無にしないというような合意がなされたと聞いております。
 一月のG5は、そういうことで基本的には為替相場の最近までの進展というものに満足するということで合意されたわけです。その後もしばらくちょっと為替相場は比較的落ちついた推移となっておりましたけれども、市場では一説には、春にかけてドル安方向ではないかというような見方もありましたし、それからアメリカの経済自体も思ったほど順調ではないのじゃないか、例えばアメリカの八五年、昨年の第四・四半期のGNPの成長率、これは前には三・二%と言われておりましたが、それが二・四%に下方修正されるというようなこともありまして、アメリカ経済が今申しましたように予想されたほど好調でないというような見方を背景にいたしまして、一月の下旬以降さらにドル安が進行したわけでございます。このようなドル安局面をとらえまして、日銀は公定歩合の引き下げというのを御承知のとおり実行したわけでありましたけれども、特に為替相場にはさほどの影響がなくて、円相場はその後も百九十円前後で推移したわけでございます。
 ここ今週に入ってからの動きをちょっと申しますと、今週に入りましてから円相場は百九十円を割り込みまして、今申しましたように東京市場は百八十六、七円というようなところにあります。ただ、この円高・ドル安の背景には特にこれといった材料なり要因があるということではございませんで、市場関係者の一部にドル安、先安ではないかという見方もあったようでありまして、そういう人たちがドル売りに出たということによって円が上がったということかと思います。
 欧州通貨と円の関係について見てみますと、必ずしも円だけが上がっているということではありませんで、ドイツ・マルクあるいはスイス・フランなども同じように上がっておるわけです。例えばドイツ・マルクで申しますと、若干時期によって上下はございますが、大体八十円前後という動きでありまして、一般的にドル安が進行しているということではないかと思っております。
 以上でございますが、繰り返しになりますけれども、最近の為替市場の動きというのは基本的には実需を背景とした、市場の自律的な動きを反映したものとなっておりますし、私たちとして、このような為替相場が我が国の対外不均衡の是正に寄与することを期待しているところでございます。
 以上でございます。
#6
○小委員長(大木正吾君) 次に、アクションプログラムの実施状況及び内需振興策について経済企画庁から説明を聴取いたします。吉川調整課長。
#7
○説明員(吉川淳君) お手元に三種類のペーパーをお配りしてございます。「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの実施状況」、それから内需関係では「内需拡大に関する対策」、それから横長でございますけれども、「「内需拡大に関する対策」(昭和六十年十月十五日決定)の実施状況」、以上三種類でございます。最後のペーパーは十月十五日の決定のフォローアップの状況を取りまとめたものでございますので、この点の御説明は省略さしていただきます。
 初めに、「アクション・プログラムの実施状況」でございますが、これは十二月末に政府・与党対外経済対策推進本部におきまして実施状況を取りまとめたものでございます。それ以後一カ月余りたっておりまして、若干それ以後の推移も織り込みおがら御説明申し上げます。例によりまして、アクションプログラムは六分野でございますので、分野別に御紹介いたします。
 初めに関税でございますが、臨時国会におきまして千八百四十九品目の関税の撤廃または引き下げの関税暫定措置法の改正案が御承認いただきまして、これは一月一日より既に実施済みになっております。
 それから、ワイン等の四品目につきましては、ことしの四月一日に施行したいということでまだ国会提出に至っておりませんが、政府の方では先週このための関税改正法案を閣議決定しておりますところでございます。
 それから、日米のいわゆるMOSS協議のエレクトロニクス会合の成果で、コンピューター部品等の九品目の関税の撤廃がございましたが、これは千八百四十九品目に入ってございまして、ただし両国間の手続の関係で一月一日に間に合いませんでしたが、やはり一月の二十日に既に実施済みでございます。
 それから、日米間の皮革、革靴交渉によります合意、それからその後、日・ECの合意に基づきまして八十八品目の関税の撤廃、または引き下げでございます。この件につきましては、やはり先週、関税改正法案として政府レベルで取りまとめてございます。
 それから、輸入制限でございますが、輸入制限の方はいわゆる日米間協定における農産物十三品目につきまして昨年来協議に入っておりますけれども、現在もアメリカとの間で協議の継続中ということでございます。
 それから、基準・認証、輸入プロセスにつきましては、十二月二十八日の決定以後進んでいると思いますけれども、なお現時点で把握しておりますのは、十二月二十八日現在のとおりでございまして、例えばこれは全体でアクションプログラムの決定事項といたしまして八十八項目ございますけれども、実施済みのものはそのうち一年以内のものが三十四、二年以内のものが一ということで三十五項目実施済みでございます。
 それから、なおこの関係では四法律につきまして規制緩和一括法の中で御決定をいただきまして、これは既に十二月二十四日に公布しております。ただし、実施につきましては法律によって個々でございます。
 それから、政府調達は既に去年の十月一日から実施済みでございます。
 それから、金融資本市場につきましては、十月一日の大口定期預金金利の自由化、MMC、CDの発行枠の拡大、以降、債券先物市場の発足等々を進めてきております。
 それから、サービス、輸入促進関係では、外国弁護士につきましては外国弁護士を受け入れる方向での法改正ということで、目下日弁連の方でなおこの検討がなされておりまして、随時アメリカともこの協議も加えながらなお進行中ということでございます。
 それから、コミューターサービス、ヘリコプター関係の規制緩和を昨年末にやっております。
 それから、航空法改正も先ほどの規制緩和一括法の中で決定になっております。
 それから、あと輸出入銀行及び日本開発銀行の貸付金利の引き下げ関係でございますけれども、この件につきましては昨年末で集計をやっておりまして、そこにございますような融資実績が挙げられてございます。
 それから、輸入促進では去年の秋に行いましたインポートバザール等の実施が全部終わっておるところでございます。
 それから、百三十四社の輸入拡大計画でございますけれども、これも本年度の上半期までに平均で五割の、これは成約ベースでございますが、進捗しておるということになっております。
 流通関係では、なお輸入品の流通等の問題につきまして検討が進んでおるところでございます。
 ほぼ以上がアクションプログラムの実施状況でございます。
 それから、やはり昨年末に「内需拡大に関する対策」を取りまとめてございますが、予算、税制関係の措置については十月十五日において決めがたいということで、年末の予算、税制の政府案の決定に関連いたしまして決定するということになっておったもので、いわば十月十五日に続く第二弾といった形のものでございます。これは内容的には三つの大きな項目がございます。
 第一は、財政投融資等の活用におきます公共事業の事業費について前年以上の伸びを確保するということで、実際には四・三%の伸び率を確保しておるところでございます。
 それから、減税の関係で住宅減税及び設備投資減税がございます。とりわけ住宅減税につきましては、いわゆるローン等の残高も一定割合、一%でございますが、これを三年間にわたりまして所得税額から控除する住宅取得促進税制といったものを創設しております。
 それから、この関係では住宅金融公庫につきましてもさらに金融上の措置を拡大しておるところでございます。
 それから、設備投資関連は次のページになりますが、エネルギー基盤高度化設備投資促進税制の創設に始まりまして四本の税制の創設及び拡充を行っております。
 それから、三つ目の柱は民間活力の活用に関する種々の措置でございまして、特にこの関係では三ページの4でございますが、東京湾横断道路につきまして建設に着手することの決定、同じく明石海峡大橋につきましても同様でございます。
 その他民間活力の活用による特定施設の整備事業の促進のための税制上の措置等もございます。
 それから、ちょっとおくれましたが、最初の財投等によります公共事業の事業費の拡充の中では地方単独事業につきましても措置をしておりまして、地方財政計画の上で来年度、前年比三・七%増の事業費を地方単独事業として見込んでおるところでございます。
 以上でございます。
#8
○小委員長(大木正吾君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は、小委員長の許可を得て順次卸。発言願います。
#9
○倉田寛之君 アメリカ商務省の発表によりますと、昨八五年の対日貿易赤字というのが四百九十七億、史上最高の赤字幅を記録した。日本の統計資料で見ますと、対米貿易黒字というのは三百九十五億ドルで、約百億ドルの実は差がある。また、大蔵省、日銀発表の昭和六十年貿易収支黒字額は五百六十億二百万ドル、円に換算すれば十三兆一千四百五十億円になるわけであります。
 この際、大変つかぬことを端的にお伺いをするようでありますけれども、この約五百六十億ドルの我が国の受取超過額、これは一体どこにどれほどどのような形で存在をしているというふうにお思いになりますか。
#10
○説明員(吉川淳君) お答えいたします。
 五百六十億ドルは去年の貿易収支ということで、輸出から輸入を引いた差でございます。したがいまして、当然日本経済の中にその部分があるわけでございますが、具体的な企業で考えますと輸出部門におきまして獲得された金額、そしてそれが実際には所得に回り、あるいは企業に留保され、そしてさらには、それがまた需要に回ってまいります。そういうもののいわば全体の合計といいますか、合計としてあらわれる輸入分、それとの差ということになりますので、それ自体がどこにとどまっておるかという形には直接お答えできないわけでございますけれども、いわば所得として見ました場合には当然雇用者の所得にも入っておりましょうし、あるいは企業の所得にも入っておりましょうし、あるいは利子所得を通じます財産所得等にも入っておるかと思います。それをどの部分がその五百六十億ドルの部分であるかという形を特定するのは無理ではないかと思われますが、いずれにいたしましても、国民所得を形成する上でそれに何らかの寄与をしているというふうに考えられます。
#11
○倉田寛之君 大変つかぬことを冒頭お伺いしたわけですけれども、こういう質問を申し上げましたのは、恒常的に発生をしている大きな貿易黒字をもって、例えば備蓄石油の購入であるとか食糧援助のための穀物の買い付けであるとか、あるいは国際経済協力基金のようなファンドの創設を求めるといった声があります。ところが、その資金調達に困難ではないか、こういうふうに考える節もあるので、実は冒頭お尋ねをしたわけであります。最近経済摩擦解消のために産業界からの、日本の理解を深める、例えば十億円基金であるとか、民間企業の出資による研究情報基金の創設について報じられたのを私は見たことがありますが、貿易黒字の活用という観点から大変歓迎すべき方向ではないかと私は受けとめております。
 そこで、政府は貿易黒字の活用についてどのように考えているのか、また、それを有効に活用するために政府として何ができるのか、こういった点についてお話をお聞かせ願えれば幸いと存じますが、いかがでしょうか。
#12
○説明員(吉川淳君) 黒字の活用ということは、いわば黒字が生じます水際での問題と、それが国内経済に、国境内に入りまして、その後所得からどのようにその部分を吸い上げるか、こういう話になるかと思います。
 それで、従来から議論としてございますのは、例えば課徴金の問題あるいは関税の問題等がございまして、こういう段階でのチェックというのがあるわけでございますけれども、これまでの検討の結果では、そういうものは貿易の流れをゆがめるという観点、あるいはまた、それを仮にやりましたら国内経済にいろいろなやはりゆがみをもたらすだろうといったことで、水際の問題につきましては一応の結論があるかと思います。
 それから、それが国内に入りまして所得を形成するということで、その所得の中からどのようにそれを特定し、そしてそれを吸い上げるかという問題が次に出てまいるかと思います。卑近な例で、先生御存じのとおり今石油の値下がり問題でいろいろ議論されておるところでございます。これは、それ自体がどの程度の所得を形成するのかどうかということで、なお確定的なものがつかめないという状況にあるわけでございますが、その石油の問題をひとつおきまして、ほかの議論といたしましては、輸出部門全体から吸い上げる方法がないかというお話がございます。これはしかしながら、税制上の問題といたしましても、それだけを特別に税制として措置するということはなかなか困難かと思われまして、そういうことでアイデアとしてはいろいろあるのは私どもも承知しておりますけれども、それぞれそれの実施に伴う問題があるのではないかというふうに考えられておるところでございます。
#13
○倉田寛之君 なかなか答えにくいテーマだと思いますので、それ以上質問を続けませんが、次に、MOSS協議の問題についてお尋ねをいたしますが、一応決着を見た。日米貿易摩擦は、だからといってすべてが解決したというわけではない。エレクトロニクスの分野において、半導体につきましては特に通商法三百一条提訴に関して両国政府が協議中というふうに私も聞いているわけであります。また、今月の二十八日から第二次のMOSS交渉が開始されるということも聞いておりまするが、今後のMOSSの交渉のあり方あるいは対象品目は一体何か、こういった点についてお聞かせいただければお聞かせいただきたい。
#14
○説明員(田中均君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、MOSSの四分野という、一つはエレクトロニクス、一つは林産物、一つはテレコミュニケーション、それからもう一つは医薬品・医療機器、こういう四分野につきまして昨年一年、ほぼ一年かけて協議をしてまいりまして、本年の一月、安倍外務大臣が訪米した際に、主要な問題についてはほぼ決着がついたということでございます。
 今後その四分野について残っておりますのは、今後のフォローアップ、いろいろな日本側の措置として実施をしていくものもございます。こういうフォーローアップをきちんとやっていくということでございまして、この間米国といろいろ話し合いをするということもあると考えております。
 新しいMOSSの分野でございますけれども、これにつきましては大統領が昨年の九月に新しい貿易政策を発表した際に、ぜひMOSSの新しい分野をやっていきたいということがございまして、今回米国で一連の教書が発表されました際にも、大統領はぜひ新しい分野を加えて日米で協力してこの問題をやっていきたいという趣旨のメッセージがございます。私どもも、基本的には日米双方が合意をして新しい分野を選んでいくということについては日米間で了解がございまして、そういう進め方になると思っておりますけれども、新しい分野につきましてはまだ米側から特段の意思表示がないというのが現状でございます。先生御指摘の今月二十八日というお話でございますが、この二十八日の協議と申しますのは、日米の経済関係、それから世界全体の経済関係につきまして日米間のハイレベルで協議をやるという日米高級事務レベル協議という会議でございまして、MOSSとは直接かかわり合いかないということでございます。これはむしろ日米間の経済問題全般についてハイレベルで話をしようということでございます。
 それから、先生御指摘の半導体の問題、まさに御指摘のとおり米国の通商法の三百一条ということで、半導体全般につきまして日米間の意思疎通をよくするという観点から、これは別途政府間で協議をやっておりまして、これについてもまだ具体的な日程の設定はございませんけれども、今後引き続き米国と話していくというのが現状でございます。
#15
○倉田寛之君 時間がなくなりましたので、もう一点だけお尋ねしますが、食糧の安全保障の確保というテーマにつきましては、本委員会におきましてもその重要性がたびたび指摘をされてまいりました。農産物十三品目の自由化はアメリカがかねてから強く求めてきているところであることは言うまでもありません。暫定協定の期限が四月の二十二日に期限切れになるわけでございますが、それまでに政府の対応が必要であろう、こういうふうに考えられるわけであります。最終決着に臨む政府の方針というようなものについて、事務当局としてはどういうような対応をされているか、この際お聞かせいただければ幸いと存じますが、いかがでしょうか。
#16
○説明員(田中均君) 農産品の十三品目問題につきましては先生御指摘のとおり、過去二年間の休戦協定というのがございまして、本年の四月にその期限が切れるということでございます。
 本件、米国の主張は、ガット上違法である、かかる数量制限の存在というものはガット上違法であるという基本的な立場を崩しておりませんで、基本的には自由化を求めるというのがアメリカの基本的なポジションであろうというふうに私どもは承知いたしております。
 この問題につきましては、昨年十二月に日米間で予備的な話し合いを行いまして、まず私どもとしてやっていかなければいけないのは、協定に基づきまして今の枠というものを拡大する等の措置をとってきたわけですけれども、今その実施状況というものがどういう形になっているかということを、日米の間できちんと認識を新たにしていかなければいけないというのが私どものとりあえずの基本的な考え方でございまして、米国もいたずらにガットの場に行くということでは恐らくございませんでしょうし、かかる現在の措置についての実施状況というものを中心にした話し合いを今後続けていくというのが今の状況でございます。
#17
○倉田寛之君 自余の問題については意見表明の中で申し上げたいと思いますので、以上で質問は終わります。
   〔小委員長退席、倉田寛之君着席〕
#18
○大木正吾君 答えにくい問題を少し聞くかもしれませんが、まあ辛抱してもらいたいと思いますが、国会が終わりますと東京サミットということになるわけです。先ほど外務省のお話の中に、総理の諮問委員会等で総合的な検討をしているという話もございましたけれども、どうもあの雰囲気からしますと東京サミット、今度の場合にはペーパープランを示したぐらいでは話が余りうまくいかないという感触が、最近の報道関係なり実際のアメリカとの関係だけ取り上げてみての、黒字関係ですね、摩擦問題を見ても感じがするのです。外務省としてどうですか、こういった前川さんが委員長である諮問委員会で、最近の産構審の小委員会の問題なども含めたものを出すのだと思いますけれども、実際問題として円高を誘導したこと以外に具体的に何か中身が示せるものがあるか、ペーパープランでもって相手が納得するかどうか、その辺のことについてどういう感触でしょうか。
#19
○説明員(小川郷太郎君) 先生がおっしゃいますとおり、諸外国のサミットを控えました態度というのもかなり厳しくなってきておりますけれども、第一に多くの諸外国が、これだけ日本が黒字がたまるということにつきましてやはり構造的な問題があるのではないか、そうした根本の構造的な問題をどうするかということを日本の対策として非常に知りたいという強い要請、要求等はあると思いますので、今前川委員会がやっておられるような研究テーマ、そしてそれに基づいて日本政府がどういうような方針を出すかということは、これは非常に外国からの関心が強いことだろうと思いますし、日本としてもそうした将来に向かった姿勢を示すということが非常に重要な要素ではないかと思っております。
 しかし他方、それだけで終わるということにつきましては問題もあろうかと思いますし、具体的に短期的にどんなことができるかというのは、やはりある程度できることを示していかなければならないと思います。そうした面で特に諸外国からの要請が強いものは内需拡大をしてほしい、それから為替レートの問題、引き続き円高が定着してそれがファンダメンタルズを反映するような形にすべきだ、そういう要請が非常に強うございまして、そうした面で何か既に政府としてもいろいろな措置をとってきていると思いますけれども、できるのかどうか、こういうものがかぎになっていくのだろうと思います。
 それから、先ほど私の方もちょっと触れましたけれども、国際収支バランスを改善するために、海外への直接投資等を促進するような具体策というのもやはり示していくことが重要な点ではないかというふうに思っております。
#20
○大木正吾君 大臣もおりませんからこれ以上突っ込んだことは伺えませんが、非常に難しい問題をはらむだろうということの感想は後で意見のときにまた述べていきますから、よろしゅうございます。
 次に、これは日銀は呼んでいませんので、ちょっと答えにくい問題で申しわけないのですが、短期資金課長もおいでですから。端的に申し上げて百九十円のときでも相当厳しい地域が一部、輸出関係をやっている燕の洋食器とかあっちこっちに騒ぎがありまして、今割り込んで百八十円台に向かってさらに円高が続いていこうという状況なのです。日銀総裁等はこれに対し介入しないということを述べているような感じなのですが、大蔵省御自身、これについてはあくまでも成り行き任せていくという考えでしょうか、どうなのです、その辺のことは。
#21
○説明員(金子義昭君) まず、為替相場を見ます場合に、為替相場の現状をどう見るかという問題があるでしょうし、それに対してどう対応するかという問題があるかと思います。ただ、私たちは為替相場の水準あるいは目標とか見通しとかそういうものを必ずしも頭に置いているわけではないわけでございます。昨年の九月のG5合意におきましても、基本的に為替相場が各国の経済ファンダメンタルズを反映することが望ましいということと、もう一点はやはり、現在の経済状況を見ますとなだらかな秩序あるドル安が望ましいということが合意されたわけでありまして、その後私たちは、もちろんそのときにも特定の為替相場水準を頭に置いたわけではありませんし、現在も特定の相場水準を目標にしておるわけではないわけです。基本的には為替相場は為替市場みずからが決めるというのが大原則でございます。
 そこで、今先生の御質問は、では現在の相場というのはいろいろ問題があるので何らかの対応をすべきではないかという御趣旨かと思いますが、これはなかなかお答えしにくい問題でございまして、私たちも基本的には、一つは為替相場が無秩序な状態になる場合、それから各国が介入することが有用であると判断し、合意ができる場合、こういう場合には市場に介入していくという基本方針は変わらないわけでございます。ただ、具体的にどういうところで介入するのか、あるいは今入るか入らないかということは非常に難しい、お答えしにくい問題でありまして、私たちも為替市場をよく見ながら対応していきたいということだと思います。
#22
○大木正吾君 これはその程度の答弁だろうと思っておりますが、ただ国内的には、これはお答え要りませんが、結果的にはやっぱり輸出に依存する中堅以下の企業、産業の影響は大変なものがありますから、通産省はおられませんけれども、政府全体としてもぜひこれは注目しておいてもらいたい問題で、別な面でそういった救済策を講じなければならぬ問題じゃないか、こういうふうに考えておるところです。
 次に、企画庁に伺いますが、実は大変な御努力を願ってきておるわけですが、ずばり申し上げまして、例えば内需型経済にということはここ両三年ぐらいずっとタイトル的には話になってきているのです。しかし、仕上げの段階になりますとどうしても外需依存型が、特に五十九年、六十年などはそういった傾向が強過ぎたというような感じを持っているのですが、今のような内容で本当に内需型にウエートを置いた経済の状態が実現できるというふうにお考えになっておられましょうか、どうでしょう、その辺は。
#23
○説明員(吉川淳君) 昨今の内需と外需との動きでございますけれども、余り四半期別の細かい数字を申し上げてもあれかと思いますけれども、ことしの夏ごろから輸出が鈍化してまいりまして、そして内需が出てくるという格好で、最近の動きを見ますとそういう動きがあるとは思っております。したがいまして、現在の動きは内需は出っ張っておるのじゃないか。その証拠に外需に依存しておりました業種の生産が落ちておりまして、その関係でやや鉱工業生産が今一進一退かと思われます。
 私どもは十月にも対策をやりまして、この効果が住宅投資なりそれから財政なり、あるいはそういうものを反映した在庫投資なりに出てくることを期待しておるわけでございまして、数字的にはまだ確認はしておりません。しかし、住宅金融公庫等の動きを見ますと、去年十一月、十二月第三回目の募集をやっておりますけれども、募集の数字よりも多い応募があったと聞いておりまして、数字的にも住宅建設着工戸数は上がりぎみでございます。問題は、今後それが定着するかというのがあるいは先生の御質問かと思われます。私どもといたしましては、その十月の対策に続きまして、これは四月からの実施を待つことになりますけれども、予算、税制面でいろいろな措置を今回やりましてその御審議をお願いしておるところでございまして、一刻も早くこの辺の実現を果たしたいと思っておるところでございます。
 やや中長期になりますと、これはまた今後の各国との関係も出てまいりまして、外需というからには当然日本の輸入、したがって外国の輸出が日本に対してふえねばならないわけでございまして、その辺の貿易パートナーとの絡みという問題がございます。この辺は中長期の問題でございますけれども、中長期の目標といたしましても当然ながら今回のパターンを定着さしてつないでいかなければならない、こう思っております。
#24
○大木正吾君 せっかくの御答弁ですが、実効は残念ながら過去二、三年来上がっていないということは認めざるを得ないことだと思います。
 今幾つか希望的な問題が並べられましたけれども、実はこういうことをお聞きしてはどうかと思うのですが、例えば企画庁は経済見通し等をつくる場合、今の日本の財政赤字、今度は百四十何兆になろうとしているわけだけれども、そういったことが大蔵省の主計局等との兼ね合いで結果的に足かせというか、そういった問題に絡んでいるのじゃないか、いるのでしょうと思うのですが、その辺の感想はどうですか。
#25
○説明員(吉川淳君) 財政赤字の問題につきましては、私が申し上げるまでもなくいろいろな議論があるところでございます。短期、中期ともいろいろあると思いますが、私ども短期の経済運営を担当する者といたしましては、十月の対策それから今回の対策も含めまして、やはり今の財政が置かれている状況のもとでいろいろ工夫をしていただいたというふうに考えておりまして、あとはこういう試み、例えば民間活力もそうでございますけれども、そういうものが財政の力をより発揮する方向で工夫されておるわけでございますので、その辺の効果の出ぐあいをやはり見てみたいと思っておるところでございます。なお、財政赤字の問題につきましては、当然それだけを問題にするわけにはいきませんで、経済全体の姿等々を見ながらその中でどう考えるかという大きな問題でございまして、申し上げればいろいろもちろんあるかと思いますけれども、やや短期の問題に限定さしていただければそのような感想を持っておるところでございます。
#26
○大木正吾君 質問はこれで打ち切りますが、今の答えに関連しまして申し上げますと、答えにくい問題には違いないですけれども、アメリカはあくまでも結果的には赤字公債を何とかバランスしようということで始まっているわけだし、日本に対する外国なり国内からも物すごい内需型の声が大きく沸き起こっているわけでしょう。ということになりますと、結果的には御苦労願っていることはよくわかりますけれども、皆さん方もおっしゃっている内需の結果論というものについてもここ二、三年来余り成果が上がっていないし、今短期的におっしゃっている問題についても四%成長ということをおっしゃっている。民間はみんな三%台か、強くともその辺にいってますから、余りことしもこれまた計画は内需の方向に向けているけれども、結果ふたをあけてみたらやっぱり外需が相当ふえてしまう、こういうことになるという心配がありまして、実際問題私たちが仮に計画をつくってみてもあれだけ赤字公債があったら、これは公債の発行は建設公債であってもなかなか難しいことはわかるわけです。そういった感想を持ちながら、実際実務的にやっているような方々に対して幾らかそういったことについての感触があるかないか、気にしながらつくっていることは間違いないでしょうけれども、聞いてみたわけです。あとは意見で述べますから、質問は打ち切ります。
#27
○中西珠子君 外務省にちょっとお伺いするのですが、先ほどアメリカの経済が非常に成長率が下がって二・四%ということに下方修正したというお話がありまして、一九八二年の不況以来の悪い状況だということも言えると思うのですが、そういった経済状況を背景にしてこの秋中間選挙がありますね。それで中間選挙に向けてやはり対日批判というものをエスカレートさせて、対日批判をうまく使って自分の党に有利に選挙戦を展開しようという動きが出てくるのではないかと心配しているのですが、この点はいかがでしょうか。
#28
○説明員(田中均君) お答え申し上げます。
 まず第一に、アメリカの経済でございますけれども、これはいろいろ説がございまして、必ずしもアメリカの経済が停滞に確実に向かっているということは言えない面がございまして、大統領が先般出しました経済報告でも実質成長率四%を見込んでおるということでございまして、ことしそういうことであれば、戦後最も長い経済的な繁栄の時期であるというようなことも経済報告では述べられているということでございます。
 他方、先生御指摘のとおり、米国の経済には幾つかの事情がございまして、今後の推移というものは経済摩擦との絡みでも十分注意してフォローしていかなければいけないというふうに考えております。
   〔小委員長代理倉田寛之君退席、小委員長着席〕
 アメリカの議会並びに中間選挙との関係でございます。
 本年十一月に米国の中間選挙がございます。昨年来私どもが非常に注意をしておりましたのが二つございまして、一つは日本だけが、日本がアンフェアであるということで対日批判がされるという状況というのはどうしても避けなければいけないということ。それからもう一つは、米国の議会の保護主義でございまして、米国の議会で保護主義の法案が成立いたしますと、それの影響というのは日本だけに限らず、まさに世界経済全体が縮小するということでございますので、これについては避けるということから、私どもとしても日本の対応ということで市場開放、内需拡大等を進めてまいったわけでございます。
 そういう基本的な状況というのは依然アメリカの国内にございまして、中間選挙に向けてやはり貿易問題というのが今のアメリカの経済の中で財政不均衡と並んで非常に政治的に目につく問題であるということがございます。これも相当大きな議論がされることは間違いがないというふうに考えておりまして、私どもとしてもそういうことが日本がアンフェアであるとか、あるいは保護主義に結びつくということがないようにその都度長期的な対応をやっていきたいということでございます。
#29
○中西珠子君 日本の市場開放努力というもの、そういったものを対米広報活動ということやこそれから対EC、その他東南アジア、アフリカなど世界各国に対して、海外広報活動というのでしょうか、そういった面ではどういう努力をしていらっしやいますか。
#30
○説明員(田中均君) 御指摘の、まさによくアメリカとの関係で言われます言葉にパーセプションギャップというのがございまして、日本の市場開放が進んでいるにもかかわらず、アメリカには必ずしもそういうふうに認識されていないという問題がございまして、私ども実は広報の持つ意味というものは極めて大事であると考えております。
 それで、先般もワシントンで政策広報会議というものをやりまして、その結果も踏まえて、広報のためのアクションプログラムというものを策定して、考えておるわけでございますけれども、基本的にはアメリカの場合に非常に国が広うございまして、ワシントンだけがすべてではありませんで、各州に対するきめ細かな広報、それから広報する相手も国会議員のみならず、やはり草の根に対する広報というものも大事であるということでございまして、総領事館を通じた広報活動も強化していくということでございます。
 他方、広報の持つ重要性のほかに、やはり米国等が非常に申しますのは、市場開放等が制度的にされてもその結果がなかなか目に見えて出てこない。一方では日米の貿易収支というものの不均衡がどんどん拡大していく。こういう状況の中で、なかなか日本の市場開放が行われたということがあっても、それで批判をやめるかというと必ずしもそうではない。数字がどんどんふえ続けるという状況の中で、やはりアメリカの国内でも非常に難しい政治問題になっている、状況としては依然残るというのが。私の率直な感じでございます。
#31
○中西珠子君 米国経済、産業の空洞化ということが言われていますね。それで、日本としては直接投資、現地生産をやってそういった空洞化を側面的に是正するように援助した方がいいのではないかということで、民間企業に働きかけて、直接投資をもっと推進するように呼びかけていらっしゃるということを新聞記事で読んだのです。直接投資によって現地生産し、雇用を創出する効果が確かにあると思うのですけれども、将来、今度は日本がアメリカと同じようなことになっていくという心配はないのでしょうか。経済企画庁、いかがですか。
#32
○説明員(吉川淳君) アメリカの空洞化問題につきましては各種の議論があると思いますけれども、その中では、やはりファンダメンタルズをある意味で反映しないドル高が長く続いたという点があるように思われます。したがいまして、やはりその辺の是正がありまして、今ドル高の是正という点が大きなものだと思います。私ども、ちょっとやや理屈っぽい話になって恐縮でございますけれども、円レートがある意味でファンダメンタルズを反映しておりまして、そのもとで投資が出ていき、つまりそのレートで計算して中期的に採算が合えば出ていくわけでございますから、その限りにおきましては、それはまだその段階で一つの均衡がとれるだろうと思っておりまして、円高が極端な方向へ行かない限り、過去にありましたドル高のようなことにならない限り、私ども基本的にはそれほど心配する必要はないのじゃなかろうかという感じはいたします。
 しかしながら、アメリカの教訓から得られることは、余りにもそれが進みまして、したがって海外の方が採算がとれるという格好で出ていきます場合にはそういう懸念はありますけれども、それでも現在はむしろ、なおそのレート以外のいろいろな要因がありまして、そう簡単に直接投資がいかないという状況にあるのじゃないか。つまり、為替レートが数字上ある程度詰められ得るものでございますね、そういうものを除いて、やはりアメリカとの関係で言えば、アメリカの労働市場の状況の違いとか、いろいろ数字になりにくいリスクといいますか、そういうものがあってなかなか進まないのじゃないかと思っております。ですから、これはまた私どもの率直な感想でございますけれども、今のレート水準からすれば、むしろもう少し出てもいいのじゃないかという感じがするくらいでございます。
#33
○中西珠子君 結局、円高によって輸出志向の中小企業が転廃業したり休業したり、それからまた極端な場合は倒産も既に出ているわけです。そういう人たちに対する援護策というのが必要だと思うのですけれども、緊急の課題としてはそういう人たちに対する援護策、そしてまた事業を転換するのならば、それを円滑に行っていけるようにいろいろの助成をする。産業調整と同時に産業構造の転換を滑らかにやっていくということが、これからの長期、中期的に見て必要なことだと思うのです。痛みを伴うかもしれないという御発言が外務省の方からございましたけれども、どのような面で一番痛みが起こると思っていらっしゃるのでしょうか。痛みを多少伴っても産業調整をやらなきゃいけないという御発言があったと思うのです。
#34
○説明員(小川郷太郎君) 確かに痛みを伴うことというのはいろいろな面で出てくると思いますが、その一番典型的といいますか、既に出始めているというのは、やはり先生御指摘の円高による痛みだろうと思います。
 それからあとは、今まで必ずしも十分対外的に開放されていない分野で外国からの開放要求といいますか、圧力が強まってくると思いますけれども、そういう面で何らかの措置をとるとしますと、現在の状況に対して痛みというものはやはり出てくると思います。
 具体的に今ここで、どの分野が痛みを忍んで開放すべきかという点はなかなか難しい問題で申し上げられませんし、個々のケースで非常に違うと思います。その痛みを伴うことに対して、やはり何らかの措置というものは考えていかなければならないと思いますが、その輸出余力、輸出の能力が非常にほかの国と比べて強過ぎるという分野に対してある程度そういうのを考えて、ただ他方、国内的な調整ないし対策というのを講じていく必要があるかと思っております。
#35
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
#36
○小委員外委員(上田耕一郎君) 日米経済摩擦のアメリカ側の原因、これはいわゆる双子の赤字にあると言われているのだが、去年十二月十二日にアメリカにグラム・ラドマン法が大統領の署名で発効して、今後五年間、一九九一年までに財政赤字をゼロにするということになったのです。ところが、連邦地裁からあれは違憲だという判決が出たり、日本の国内でもこの財政均衡法、効果はどうだろうかというふうに言われているのだが、北米課長、どうですか、この財政赤字、グラム・ラドマン法に基づいて大体五年間でゼロになるのかどうか、どんなふうに見ていますか。
#37
○説明員(田中均君) 先生の御質問非常に難しい御質問でございますけれども、御承知のとおりグラム・ラドマン法と申しますのは、一定の計画をつくって一九九一年までに財政赤字をゼロにする。ことしにつきましてはそれを千四百四十億ドルの範囲におさめるということでございまして、その決められた額を超えた場合にどういうふうに予算を切るかという仕組みが決められておるということであろうかと思います。
 今般、新しくアメリカの大統領の予算教書というものが報告をされましたわけでございますが、この中で現在の大統領の提案は、予算を千四百三十六億ドルの赤字の幅に落とすということを基本的な要素としておるわけでございます。他方、想像にかたくないのは、これは非常に大きな予算の削減というものを伴っておりますので、それが議会の審議に付されたときには、やはりそれぞれその関係の国会、議会、議員からそれを復活せねばならないという要請というのが強く出てまいるのであろうと思いますし、これは過去の議論でもそうでございましたけれども、なかなか具体的にどの予算を切っていくかということは非常に難しいことになるのであろうと思います。
 そういうこともございまして、大統領が今要請しているのは、それじゃその項目ごとの予算の拒否権を大統領によこしてくれということであるとか、均衡化のために憲法を修正すべきである、憲法で義務化すべきであるということを提案しておるわけでございますが、これも議会サイドにしてみますれば、議会の権限を損なうということがございまして、なかなか簡単にはいかないというのが状況でございます。
 したがって、見通しはやはり非常に困難が伴うということだろうと思いますが、これにつきましては今の行政府は非常に強い決意を持っておりますので、その状況というのも私どもも非常に注意して見守っておるというのが今の状況でございます。
#38
○小委員外委員(上田耕一郎君) 我々は、財政赤字の根源は軍事突出にあると見ているのだけれども、今度の予算教書を見ても六・六%突出で、あと大分日本に似てきて、社会保障から何からばっさばっさ切るという状況になっていて、これはなかなか財政赤字解消というのが難しいだろうと私は見ているのです。
 アメリカ側の問題は別としまして、日本側の問題なのですが、去年の十一月十三日にこの委員会で、私はアクションプログラムの問題について、どのくらい輸入はふえるかと聞いたら、吉川さんが、数量的にあらわすのは難しい、政策効果の分析という点ではちょっと未知の分野かなと思っているという答弁がありました。外務省の国広さんも、MOSSの方は輸入がたくさん急にふえるだろうというふうにはどうも見がたい、MOSSは余りふえない。アクションプログラムは未知の分野というと、結局効果は大してないだろうというふうに私、去年の十一月十三日のこの委員会で言ったのですけれども、先ほど国際収支の報告がありましたように、結局経常収支四百九十二億ドルの黒字ということになったわけだ、五百億ドル近いわけだね。
 それで、先ほど今後の対策ということをいろいろ言われていたけれども、どうも余り新しいものはそうなさそうなのだが、じゃ昭和六十一年度の経常収支、きょう皆さん方がいろいろ御説明になった対策を行って五百億ドルをうんと割ると、昭和六十年度の四百九十二億ドルの経常収支の黒字をかなり減らせるという見通しを持っているのですか。大体どのぐらいになりそうですか。
#39
○説明員(吉川淳君) お答えいたします。
 初めに、ちょっと先生のお話に関連いたしまして効果の問題でございますけれども、いろいろなところから効果の問題が出ますので、私どもその後も検討したのでございますけれども、やはり現在の状況のもとで市場アクセス、つまり商人なり何なりが市場に接近するときの状況はつくれたということで、あとさらに円高、それから購買、買う方で買いたい意欲が起こってくるという意味での内需といった、そういう一連のものが重なり合いまして輸入拡大につながるだろうと思っております。そういう意味で、一つの政策だけをシングルアウトしてなかなか効果は出しにくいというふうに思っておるわけでございます。
 ガット等でもいろいろ検討がございまして、実は市場アクセスに関連するNTBの問題はガットでもやられまして、あのときにも交渉の段階では当然それによってどういう効果があるからお互いに譲歩し合ってNTBを下げていこうというのがあるべきでございますけれども、なかなかその辺が数量的にやはり詰めにくいので、NTBの交渉というのが非常に難しいという状況でございます。
 それで、見通してございますけれども、来年度の見通しは一応現在経常収支ベースで五百十億ドルという見通しを立てております。遺憾ながら、ことしの実績見込みが五百十億ドルでございまして、ドルベースではなかなか改善がはっきりした額が出てこないというのがございます。ところが、円ベースでは現在ももう既に傾向が出ておりますけれども、円ベースでは次第にその幅が縮まっていく方向にございまして、見通してはほぼ一兆円程度の黒字の削減になるのじゃないかという見通しを立てております。難しいのはそういう予想であり、また現にその気配が出てきておるわけでございますけれども、アメリカの側でドルベースと円ベースを分けて説明してもなかなかわかってくれないという点が遺憾ながらございます。しかし、これはある時期を経ますと円ベースもドルベースもほぼ似たような動きになってまいります。それが例えば三・四半期後とか言われておりまして、これは五十三年の経験でございますけれども。そういう意味でもう少し様子を見ればやがてドルベースでも効果があらわれるだろうというふうに考えておるところでございます。もちろんその総額の問題、つまり五百十億になるかもっと多くて五百二、三十か、あるいは四百九十かというのもございますけれども、私どもとしてはその方向を定着させていきたいということで、幸い出ております今の円ベースでの動きの変化というものを今注目しておるわけでございます。
#40
○小委員外委員(上田耕一郎君) いろいろ聞きたいことがあるのだけれども、もう時間が大分たっているので、ひとつ先ほどの報告の中にはなかったのだけれども、原油の価格下落が日本の黒字を非常にふやすであろうと、これは各方面から早くも言われているわけです。今、吉川さんは見通しを言いましたけれども、今や原油一バレル二十ドル時代になった、十五ドルまで落ちるのじゃないか、そう言われ始めているわけです。それで、例えば東京銀行の真野調査部長は、もし一バレル当たり一ドルの価格下落、これで年間十二億ドルの対外支払い減少で、五ドルが下落すると六十億ドルの経常黒字要因になる、六十億ドルふえるというわけだ。それから、原油下落だと一次産品が不況になりますから、そうすると輸入はまた減るわけです。そうなると、原油代金の支払いが減ることと、それから一次産品の輸入が減ることで日本の黒字は相当ふえるのじゃないかというわけです。真野さんはこの新聞で、六十一年度はドル相場が幾ら大幅下落にもかかわらず経常勘定黒字は五百億ドル前後となろう、そういうふうに言って、これは大体もしそうなると四年間の累計が千五百億ドルになると。この千五百億ドルというのは、第一次オイルショックの昭和四十九年から五十二年の四年間にOPEC全体が計上した黒字にほぼ匹敵するので、先ほども話があったけれども、第二OPECと日本が言われているということを言っています。
 それから、日経の二月八日の「原油暴落の衝撃」という記事では、これは、もし一バレル十五ドルまで下がると経常収支黒字幅は六百十八億ドルに膨れ上がるであろうと言っているわけです。きょうの報告にはこの原油下落問題は入っていなかったけれども、どうですか吉川さん、原油下落、もし十五ドルまで落ちるかどうか別にして、先ほどの黒字見通し、少し円ベースで減るだろうというお話があったけれども、原油下落問題を入れてどうですか。私はなかなか五百億ドルをまた超すのじゃないかというふうに見ていますけれども、経常収支で。
#41
○説明員(吉川淳君) 現在の原油価格の状況でございますけれども、実は五十八年にも似たような状況がございまして、あの折には政府の販売価格が正式に五ドル下げられたわけでございます。しかしながら、今回の場合はそういう用命はなく、ただ市場の状況にある程度任せていくということでございまして、もちろんそういう意味から言いますと、市場の今の状況を考えますと先行き弱含みという感じがあると思います。
 ただ、その予測につきましては、今先生おっしゃいましたのも一つの石油関係のエキスパートの見通しかと思われますけれども、なかなか今の状況で、それでは経済運営として十五ドルといったものを考えてやっていくのかといいますと、石油市場のこれまでの反応といったことから考えますと、なかなかそういうふうな選定にすぐには移りにくいということはございます。これは実は五十八年のときにもそういう議論がございまして、五ドル下がったときに逆オイルショックじゃないかという話がありました。しかしながら、それはやはり今後の推移にもよるというふうな話で、慎重過ぎるという話が当時もあったわけでございますけれども、結果的にはその予測どおりにはまいりませんで小康を保ったという状況がございます。今回がそれではそういう格好に落ち込むのかどうかにつきまして、私どもも専門家じゃございませんのでちょっとはっきりしたことは言いかねますけれども、先行き弱含みになっていることは事実でございますが、にわかにそういう予測に移りにくいと思っております。
 あと、効果の点でございますけれども、これは決して今の御質問に対してそらすという意味じゃございませんのですけれども、石油の輸入あるいは一次産品の輸入にしましても、実はそういうものが膨れておるために日本の製品輸入の比率が上がらないといったような半面がございまして、そういう格好にしろ製品輸入は逆の面から上がってくるわけでございます。そういう感じのことを諸外国が喜ぶのかどうか、あるいは黒字がふえておるからむしろそういう原材料輸入もさらにふやすようなことをやるべきだと言うのかどうか、その辺はちょっと外国の反応がわかりかねておる面がございます。経済運営上もちろんプラスの面はございますけれども、他方でどの程度の国内での価格低下になるのか。それはもちろん十五ドルなんかで見ますとかなり落ち込みまして、あるいはこれはデフレ的な要素が強まるのかもしれません
し、その辺はどうも価格面の様子がなかなかつかみにくい面がございます。ただ、恐らく日本経済全体としては実質成長率としてはプラスに働くだろうと思っておりまして、その面からしますと、それがまた内需につながり輸入の増にもつながっていくだろう。これはやや中期的な感じでございますけれども、そういう面がございます。
 それから、すとんとそういうふうになるわけじゃございませんで、なだらかに恐らくなっていく可能性が強いわけでございます。その段階ではこれは喜ぶべきことか悲しむべきことかわかりませんけれども、価格体系の変更がございましてまたエネルギー消費型の需要が出てくる可能性があると思います。そういうものが今度はまた輸入の水準を支える方向にも働くだろうと思っておりまして、一切合財そういったものをどういうふうに判断するかというのがなかなか結論的な格好で今申し上げられない状況でございまして、当面は本当に今の石油価格が傾斜的に落ちていく状況なのか、それともかなりもみ合っていくのか、もう少し様子を見たいと思っておるところでございます。
#42
○小委員外委員(上田耕一郎君) 小川さんは産業構造の調整をちらと言われましたね。私はアメリカ、日本が今のような程度の体制、対策をとっていたのではこの日米経済摩擦、特に経常収支五百億ドルというような黒字幅の解消はなかなか困難だろうと思うのです。
 一つ質問したいのは、国際収支の中で六十年長期資本収支、そのうち本邦資本の流出四四・六%を超えて八百二十一億ドルになった。これは対外債券投資が五百三十五億ドルと前年に比べてほぼ倍増というわけです。マネーゲーム、財テクだな。つまり、貿易でもうけた黒字を日本の国内に投資しないでアメリカの赤字ファイナンスのための国債を買うわけだ。それでどんどんもうけるわけだね。二倍になっているというのだから、対外債券投資が。こういうやり方を何とかしないといかぬので、中曽根首相もこの資本流出規制をというようなことをちらと言ったようですけれども、私はこういうことに手をつけないとどうにもならぬと思う。しかし、こういうことに手をつけるという点では、小川さんが先ほど言った産業構造のかなり抜本的な変革に手をつけないと直らぬわけです。とにかく長い間輸出優先型の生産構造、蓄積構造でずっとやってきたのだから。その結果、世界最大の債権国にまでなってきたのだけれども、その世界最大の債権国が第二OPECと言われるような、日本ダラーなんという言葉が出るぐらいな状況になってくると、やっぱり内需拡大というか国内の内需優先型の生産構造、蓄積構造に日本の大資本のシステムを変えなきゃならぬのじゃないか。だから私は真の内需拡大をと言っているのだけれども、そこら辺の問題意識、ここを手をつけないとどうにもならぬと思うのだ。あなたはちらと産業構造の調整と言われたけれども、どの程度のことを必要だと見ているのですか。
#43
○説明員(小川郷太郎君) 産業構造の調整の内容あるいは方向につきましては、今、前川委員会で検討をしている一ということでございますけれども、やはり一つは海外で生産投資というものを行う必要があるということだと思います。
 それからもう一つは、やはり国際的な経済構造を変えていくということもある程度必要かと思いますので、競争力の程度に応じて、日本の中で国際的に競争力が比較的に落ちてきているものについては何らかの国内的な措置をとった上で、それを別の分野に振り向けていくという努力が必要ではないかというふうに思っております。特にこれは先進国との関係でも重要ですし、開発途上国との関係でも重要なものだろうと思っております。
#44
○小委員外委員(関嘉彦君) 最初にちょっと為替相場の問題で教えていただきたいのですけれども、第一は、つまり為替相場というのは基本的には経済のファンダメンタルズを反映するはずのものであるというふうにおっしゃいましたけれども、ファンダメンタルズというのはどういうものを指しておられるのか。貿易収支に手数料収入とか運賃収入なんかを加えた経常収支だけのものか、それ以外のものを含んでおられるのか。
 それから二番目は、それに関連して、昨年、一昨年ごろから既に円安・ドル高というのは、これは経済のファンダメンタルズを反映してないのだということは随分前から言われていたわけですね。去年の一月の蔵相会議なんかのときにも、これは経済の実勢あるいはファンダメンタルズを反映してないのだというふうな議論がかなりなされていたと思うのです。ところが去年の九月のG5以後はそれが反映したのか、急激に円が上がってきてドルが下がってきたわけですね。もし、非常に仮定的な質問で恐縮ですけれども、例えば八五年一月のあの蔵相会議のときに、去年の九月に行ったと同じような手を打ったとすれば一月ぐらいから既にドルは下がっていたというふうにお考えになるのか。あのときに財務長官が違っていましたから実際にやったかどうかはわかりませんけれども、もしやったとすればそのときからドルは下がっていたであろうか、どういうふうにお考えですか。
#45
○説明員(金子義昭君) まず第一点の、為替相場が各国の経済ファンダメンタルズを反映すべきであるという場合の経済ファンダメンタルズは何かという御質問だと思いますが、為替相場と申しますのはもちろんそのときどきの為替の需給によって決定されるのはこれは否定できないところであります。経済ファンタメンタルズと申しますときに、一体何を含んでそういうふうに言うかというのは必ずしも意見の一致を見ているということではないと思いますが、ただ通常言われておりますのは、基本的な各国の経済状況、例えば一つは雇用に関連しまして成長率と言ったり雇用と言ったりしますが、雇用、それから二つ目はやはり物価情勢といいますか、インフレがない状態かどうかとかいう物価情勢。それからやはり三番目は、対外的な均衡状態にあるかどうかということであります。その三番目の対外的な均衡といいますときに、一体国際収支を何で見るかというのはもちろん議論があるところでありますが、最近では基礎収支ということを言う人は余りおりませんで、どちらかといいますとやはり経常収支の均衡をもって対外均衡と言う場合が多いように思います。
 したがいまして、それは人によってもちろん違うわけでありますし、必ずしも完全なピタリとした目標なりコンセンサスがあるわけじゃありませんので、一般的にはそういう成長率、雇用、物価、それから経常収支を中心とした対外均衡情勢ということで考えているのが多いのじゃないかと思います。為替相場は基本的には対外の均衡を自動的に調節するという役割が期待されているわけでありまして、変動相場制のもとで経常収支をある程度均衡するように為替相場が動くだろうということが一般的に期待されておったわけであります。ただ、ここ何年かの動きを見ますと資本取引というのが非常に大きくなってきた関係もありまして、必ずしもそういう形での均衡が保たれない状況になっているというのはもう先生御承知のとおりでございます。
 それから第二番目の、いわゆる九月のG5合意というものを例えば一月に合意して同じことをやったらどうかという御質問ですが、これはやや個人的な見解になって恐縮でございますが、九月と一月では為替市場の状況にやや変化が見られるのじゃないかと思われます。と申しますのは、一月のときにはまだドル高が進行している段階でありまして、どちらかというとドル高を是正すべきだという認識はあったのでございますが、実際には一月から二月にかけてドル高が進行いたしまして、実際は二月末になりましてからドル高のピークを迎え、そこである程度の協調介入が行われてそれをきっかけに戻ったということでございます。ですから、一月の段階ではまだかなりドル高方向であるという期待が市場に非常に強く存在していたということだと思います。
 先生御承知のとおり、為替相場というのはなかなか人為的に動かすというのは非常に難しいわけでありまして、為替相場はあくまでも各国の経済の実態を反映した形で為替の需給が形成されてその結果出てくるものでありますので、なかなか一方的に何か相場を一定の方向へ持っていったり、どこかで抑えるというのは非常に難しい状況になっておるわけです。では九月のG5合意というのがなぜ成功したのかということを考えてみますと、やはり九月の段階ではドルはちょっと行き過ぎている、もっとドルが安くなってしかるべきではないかというそういう市場の見方が存在していたということが一つ挙げられますし、さらに加えて、先生もちょっと御指摘になりましたけれども、ドルについて責任を持っているアメリカ自体がやっぱりドル高是正を直すべきだというふうに考え方を変えだということが二つ目として大きな事柄でありますので、なかなか仮定のことというのはどうなるかというのはわかりにくいことでございますが、個人的な感触ということであれば、やはり一月のときと九月のときには若干環境の変化が見られて、九月はまさにそういうことが可能になるような環境にあったと考えていいのじゃないかと思っております。
#46
○小委員外委員(関嘉彦君) 去年の一月と九月と比較しまして、雇用にしても物価にしても経常収支にしてもそれほど大きな変化はないと思うのです。ところが市場において、一月のころはもっとドル高に進むであろう、九月になるとドルが下がるであろうと。というのは、我々学生時代にいわゆる為替心理説とかなんとかというのをアフタリヨンとかなんとかという人が言っていたのを講義を受けて、こういう学説はだめだというふうなことをそのときの先生が言っていましたけれども、そうするとその心理説というのがある程度の有効性を持っているのだということになるわけですがね。しかし私はそれよりも、財務長官がかわって政策を変えたということがやっぱり大きな要因ではなかったか、財務長官がかわったからこそドルが下がってくるのじゃないかという雰囲気が九月に生まれてきたのじゃないかと思うのだけれども、どうですか、それは。
#47
○説明員(金子義昭君) 為替相場の決定要因というのは、これはやや理論的な話で恐縮なのでございますが、確かに長期的にはいろいろな経済のファンダメンタルズ、経済の実態を反映して為替相場が動くということは言えるわけですが、短期的には先生おっしゃるとおりまさにその為替市場の心理というものが大きく影響するわけでございます。今先生の御指摘に財務長官がかわったということがありますが、もちろんそれも大きな一つの要因であったことは否定できないと思います。やはりアメリカを含めて世界の主要国がドル高を是正する必要があるということを合意したということが為替市場に大きなインパクトを与えたということであったと思います。ただ、必ずしもアメリカの財務長官がかわったということだけでなくて、やはり昨年の一月のころにはアメリカ経済が比較的順調で、さらに好調な成長を続けるとかそういう動きがありました関係で、市場関係者はアメリカの経済の動向を見ながら動いているということでもありました。ところが九月ごろになりますと、どうもアメリカの経済が思ったほどではないのではないか、ややペースが下がってきたのじゃないかという見方が出てきたこともありますので、一つはやはりそういうアメリカ経済に対する見方が変わってきたということ、それからアメリカを含めた主要国が本当にドル高の是正が必要だと考えたかどうかということ、その両者が相まってこういう結果が生まれたのではないか、かように考えております。
#48
○小委員外委員(関嘉彦君) その問題は一応別にしまして、時間がありませんのであとは簡単にお答え願いたいと思うのですけれども、昨年の七月にアクションプログラムを発表いたしましたが、それでもうこれ以上は門戸開放なり関税を引き下げる余地は全然ないのかどうか。これをお聞きしますのは今までも何回か、もうこれで七回目じゃないかと思うのですけれども、向こうから言ってくるたびに小出しに小出しにしてきて、これが私は日本の非常に対外的な不信義を招いているのじゃないかと思うのです。出せるものは一遍に出してしまって、それから先は何を言ってきてももうだめだというふうにやった方がいいのじゃないかと思うのですが、このアクションプログラム以外に、ここに列挙してあるもの以外にまだ開放すべき、あるいは関税を下げる余地があるというふうにお考えですか。
#49
○説明員(吉川淳君) アクションプログラムは今六分野ございまして、これはほぼ分野といたしましてはいろいろな貿易交渉の分野をカバーしているのではないかというふうに考えております。一番関心が高いのは関税でございますけれども、これはことし恐らく秋から新ラウンドが発足いたします。それが進みますと、日本といたしましては既にその対処方針をこのアクションプログラムに盛り込んでおるところでございますけれども、工業製品がゼロになる方向で、これは各国の出方によりますけれどもやっていくということにしておりますので、主としてやはり新ラウンドに対する対応ぶりということになっていくのじゃないかと思われます。
 問題は、今後ありますことといたしましては、サービス分野が今回新しく新ラウンドに加えられる可能性がございます。サービス分野につきましては、アクションプログラムでは特に新ラウンドに対して十分準備していくということはもちろんございますけれども、具体的な方針を固めているわけではございませんで、これは新ラウンドの交渉の推移を見ながら具体的な方針を立てていくということになるかと思われます。
 あと基準・認証、輸入プロセスでございますけれども、これはこれまでのいろいろな各国の不満といいますかそういうものをすべて取り上げまして措置したものでございまして、それで一〇〇%かと申されますとあれでございますけれども、ほぼこの分野はこの措置でカバーできるのじゃないかと思われます。ただもし漏れておって、例えばOTO等でいろいろな不満がまだある場合にはOTOの場で処理するとかということはございます。
 その他の分野では、もちろん輸入制限の問題では現在交渉が進んでおりますので、これはその推移によってどうなるかまだ予断は許さないかと思われます。
 大体そのような感じを持っております。
#50
○小委員外委員(関嘉彦君) きょういただいた報告の中で基準・認証、輸入プロセスのものは、アクションプログラムの項目一年以内のものが六十五、実施済みのもの三十四、作業中のもの三十一で、二年以内のもの、三年以内のものについても一応全部カバーしているわけですね。これは基準・認証のところで政府の発表したものによりますと、例えば明白にチェックする品目の範囲を拡大するというふうに対策を書いているのと、それから検討すると、これはお役所言葉がどうか知らぬけれども、そういうふうに書いてある項目とあるのです。例えば、炭酸飲料瓶詰については安全基準に合致しているかどうかを製造業者みずからの責任においてチェックする制度を導入する方向で検討する、これは方向は指し示してあるのですけれども、それ以外に単に検討するというふうに書いてあるものがかなり多いのです。検討するというのはアクションプログラムの項目の中に数として入っているのか、あるいは検討するというのは全部除外して、そしてこの方向で拡大するとか縮小するとか対策を書いてあるものだけが六十五項目とか十一項目とか十二項目とか、その中に入っているのですか、どちらなのですか。
#51
○説明員(吉川淳君) お答えいたします。
 検討という言葉が末尾に入っておりますものが私どもの調べによりますと十二項目ございます。これは七月末の段階におきまして、なおこの間も臨時国会にお願いいたしましたように法律事項になっておるような問題は、これは役人言葉と申しますか、先取りして決定するわけにもいきませんので検討するということで、したがいまして、この間の規制緩和の法律が御承認いただきましたことで、そういう関係の検討するは自然と落ちまして決定になっております。
 そのほかで検討となっておりますのはそれに似たもの、例えば審議会でなお皆様の御審議を得なきゃならないものとか、それから同時に進んでおりますMOSS交渉に関連するものとか、それからさらに、国際的な基準がまだ確定しておりませんで、国際的な基準づくりが確定すると実際にそれを実行し得るというふうなものに分けられるということでございまして、中立的に検討と書いているといいますよりも、むしろそういう条件がかぶっておりますので検討になっておりまして、私どもといたしましては、今申しましたような点が解決いたしますとそれぞれ実行になるというふうに考えておるところでございます。
 なお、もし詳細が御必要でございましたら、そういう分類で私どもの方でも分けたのがございますので、後刻お出しいたしたいと思います。
#52
○小委員長(大木正吾君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次に、経済摩擦につきまして小委員の皆様に御発言いただくことといたします。
 御意見のある方は順次御発言願います。
#53
○倉田寛之君 経済摩擦問題について、これまでの調査を踏まえて私の意見を申し述べたいと存じます。
 国際収支速報によれば、昨年の我が国の貿易収支は五百六十億ドルを超え、過去最高の黒字となっております。これは、ほぼデンマーク一国の国民総生産に相当する額であります。一方、アメリカ商務省の発表によれば、昨年のアメリカの貿易赤字は千五百億ドルに近く、うち対日赤字は約五百億ドルといずれも史上最高の規模に達しており、これを契機に議会を中心とする保護主義への動きが再び懸念されるようになってきております。我々はこの数字が発しておりますシグナルの意味を十分に理解しなければならないと思います。
 戦後、自由貿易の利益を最も享受したのは日本であり、一たん保護主義が台頭した場合に、最大の被害者となるのもまた日本であるとはよく言われる言葉であります。事実、我が国にとって自由貿易体制は必要であり、それは国益であります。しかし、保護主義の圧力は、我が国にとどまらず途上国を含む世界経済にはかり知れない打撃を与えることになりましょう。それゆえに世界は今この数字に困惑しており、我が国はここに象徴されている経済摩擦を解消するための責任と役割を積極的に分担しなければならない立場にあると思います。
 これまで経済摩擦の原因について、アメリカは日本の市場の閉鎖性を非難し、日本はアメリカの巨大な財政赤字を批判し、その責任を相互に転嫁することで問題の解決を困難にし、またおくらせてきた嫌いがありますが、ようやくその構造的な原因を認め合い、この面での改善が実行に移されつつあることは好ましい方向であると思います。
 私は、貿易摩擦には二つの問題があると思います。一つは我が国の市場開放の問題であり、もう一つは貿易収支の著しい不均衡の問題であります。我が国の貿易収支の黒字が史上空前の規模に達し、また、近い将来急速に縮小する見通しにないことが昨今では世界経済の攪乱要因とさえ見られるに至っております。私は、このような全般的な対外不均衡が、市場開放の問題よりは経済的、政治的により重要な問題であると認識しております。貿易摩擦の解消はこの黒字幅の縮小にあると思います。以下、これら二つの問題について我が国の対応を中心に述べたいと存じます。
 まず、市場開放についてであります。
 我が国は、これまでの市場開放策によって、関税や輸入割り当てといった明白な輸入障壁についてはアメリカを初めとする先進工業国に比べその壁はむしろ低くなってきていると思います。にもかかわらず、外国の企業の間では、我が国の市場に参入することの困難さについてフラストレーションがおさまらず、このため昨年七月にアクションプログラムが策定され、基準・認証制度を中心とする非関税面での改善が進んでいるところであります。木材製品など四分野に関するMOSS協議は本年一月に一応の決着を見ましたが、今月下旬から第二次MOSS協議が開始されると聞いております。個別分野の協議は、対外収支不均衡を是正する効果の上では疑問なしとしませんが、このような協議を通じて相手国に存在する数多くの誇張や誤解、そして不公正という思い込みを解消していくとともに、我が国の市場に歓迎されるような製品の工夫などの面で相手国の企業努力を要請すべきであります。
 我が国が貿易から際立った黒字を生む経済力を有していることを考慮すれば、我が国の市場は世界で最も開かれた市場であることが望ましく、そのためには参入機会の確保などについてなおたゆみない再点検が必要と思います。また、市場開放に当たっては、一省一庁の利益にこだわることなく、常に国益を優先して対応する姿勢が肝要であり、さらに、必ずその犠牲になる分野があることを理解し、何らかの方法でその被害が緩和される方策が用意されなければならないと思います。
 次に、貿易収支の不均衡の問題について申し述べます。
 第一は、為替レートの問題であります。
 日米間の貿易摩擦の急激な悪化は、これまでの歴史が教えておりますように、円・ドルレートが大きく変化し、貿易バランスが激しく動揺する際に生じております。今日においても、為替レートの不均衡がアメリカにおける貿易赤字の一因であり、そして強いドルは国内の膨大な財政赤字の結果であります。この財政赤字は、実質金利を押し上げ、外国資本を引き寄せると同時に、アメリカ資本を国内に引きとめ、それによってドルは競争的水準より上昇をしてアメリカ企業の競争力を弱いものとしています。幸いアメリカにおいては財政均衡法案の成立、G5後の市場介入という画期的な方向転換が図られ、ドル高・円安は急速なテンポで改善しつつあります。しかしながら、世界の為替出来高は年間五十兆ドルに上り、そのうち貿易取引に関係するのはわずか二兆ドルと言われており、資本市場のドルが魅力を失わない限りドル高が再燃する可能性はなお残っていると思います。
 金融資本市場の自由化の促進は日本から資本の流出を増加させ、円を弱くするという皮肉な面を持っています。大蔵省の国際収支速報によれば、昨年の我が国の長期資本収支は前年より三割ふえて六百四十八億ドルを超え、月平均にすれば五十億ドル以上の資本流出が続いていることを示しております。アメリカにおいては外国人投資家に対する優遇措置などがドル資産へのシフトを増大させており、我が国においては税制上から円資産への投資が増加しないという事情があります。円高基調を定着させるためには、アメリカは確実に財政赤字を削減し高金利を是正することが必要であり、我が国においては行政指導などによりその巨額な資本流出を制限することが必要ではないかと思います。貿易黒字に見合う余剰資金は、証券投資等ではなく、相手国の雇用や工業化に役立つ直接投資、技術協力や開発援助に活用されるのが望ましいと思います。
 また、為替レートを安定化させるためのターゲットゾーンの設定については、委員会において政府から消極的な発言がありましたが、対外収支の不均衡是正の効果は大きく、また、投機を防止するためには相場水準を非公開とする方法も考えられますので、通貨価値が大きくゆがんでいる状況においては十分検討の余地があるものと思います。
 円高基調は持続されるべきとは思いますが、それによってもたらされるデフレ効果は無視することはできません。既に輸出関連業界、中小企業には倒産が発生しており、円高に伴って国内に同時発生する所得効果のマイナスに対応する政策が必要であります。為替レートの修正効果のみに期待する政策スタンスは、日米間貿易のみならず我が国経済を縮小均衡に追いやる危険性を持っており、安定的な円高を定着させるにはマクロ面からの経済運営がぜひとも必要であると考えます。
 円高に伴う不況、倒産などの国内摩擦について、これを救済するための十分な対策がとられなければならないことは当然であります。また、円高のメリットを国民に均てんさせるよう輸入製品の値下げ誘導、円高差益の還元、電気、ガス料金の値下げ等を実施することも必要であると思います。
 第二は、輸出依存からの転換と内需拡大についてであります。
 国際収支の不均衡は国内経済の不均衡の反映でもあります。我が国の経済成長はこれまで主として輸出に依存してまいりましたが、今後拡大均衡のもとに輸出を減らし、輸入を増加して経済成長を持続するためには内需を拡大していかなければなりません。内需の拡大は投資と貯蓄のバランスを回復させ、安定的な円高の定着によって対外不均衡の是正に寄与するとともに、国民にゆとりある生活を約束することにもなります。
 そこで、輸出依存の経済から脱却するにはまず産業構造の見直しが必要であります。新興工業国や発展途上国の国際競争力の向上に伴い、原料を輸入し、製品を輸出するという我が国のこれまでの加工貿易中心の産業構造を変え、海外企業との合弁、技術移転などによる国際分業の促進を通じて、一部完成品や部品など中間材の製品輸入を増加させるような方向を目指すべきであります。また現在の産業構造のままでは、内需を拡大しても対外収支の不均衡是正に十分な効果を発揮することは困難と思いますので、この面からの見直しも必要であると思います。
 海外投資も重視されなければなりませんが、これによって生ずる我が国の雇用減少に対応するための新しい産業構造を構築するとともに、海外から経済侵略の批判を受けることのないよう十分配慮しなければなりません。
 内需拡大については、社会資本の整備が中心になるべきものと思います。民間部門と公的部門の投資を促進し、輸入の増加が図られるように努め、また民間活力の活用に際しては、民間と政府の分業体制を明確にすべきであります。我が国の住宅、上下水道、公園、道路等々社会資本の乏しさは、国際比較の統計をまつまでもなく内外に知られているところであり、国力の充実している現在こそ後世に残るような国家的資産の構築なども検討されるべきであります。
 消費の喚起や労働条件の改善も必要であります。経済審議会は、政府の中期経済計画に関する報告の中で、円高差益を還元し、経済成長の成果を賃上げや労働条件の改善に再配分して消費を伸ばすべきだと述べております。勤労者の実質可処分所得が伸び悩んでいる現状では、国民総支出の六割を占める個人消費を喚起すべきであります。また週休二日制の実施は、政府の内需拡大策においてもその推進がうたわれておりますが、通産省の最近の調査によれば、その実現による消費拡大効果は約三兆円に上ると試算されております。この額は、政府が昨年十月に決定をした内需拡大策の事業規模での効果約三兆一千億円に匹敵いたします。このような改善は貿易摩擦の解消に役立つばかりでなく、国民生活の向上も同時に実現することになり、望ましいことであると思います。
 最後に、内需拡大と財政の関係でありますが、内需の本格的拡大のためには、民間活力の活用とあわせて財政の出動が必要であります。石油危機以後にとられている財政の緊縮政策は国内需要の拡大を制約しており、またOECDの統計によりますと、名目GNPに対する一般政府赤字は、我が国の場合サミット参加七カ国中最低位にあり、私は、この際政府は建設公債の増発による内需拡大の姿勢を示し、その効率的実行によって国際収支の改善を図ることが優先する政策であると思います。
 以上のほか、今年に入りスタートするニューラウンドへの対応として、交渉促進のために工業製品の関税を撤廃するなど積極的な姿勢が望まれますし、日米両国において貿易収支の黒字または赤字額の削減計画を策定するような構想も意義があると思います。また、将来の経済摩擦に対応するためには新しい産業の育成が必要であり、このためには先端技術を中心とする科学技術の開発が不可欠でありますので、資源に乏しい我が国としてはレアメタルなどの安定的確保、代替エネルギーの早期開発などが重要な課題であることを指摘しておきたいと思います。さらに、我が国の対外経済対策がアメリカのみへの配慮に偏ることなく、EC、アジア諸国、途上国に差別なく行き届くことが必要であります。最近の石油価格の暴落等の影響を受けることの大きい債務累積国や途上国に対しては世界経済の活性化のため特段の配慮が望まれるところであります。
 世界のGNPの一割を占める我が国の動向は今や世界に大きな影響を与えるに至っており、経済摩擦の解消に当たっても、我が国の経済力をいかにして世界の繁栄と安定のために役立てていくかの視点が何よりも重要であると思います。
 以上でございます。
   〔小委員長退席、倉田寛之君着席〕
#54
○大木正吾君 貿易摩擦に対しましての見解を述べさせていただきます。
 政府は、アクションプログラム、市場開放、関税率引き下げ、MOSS、外国製品の輸入努力などの努力を行ってきました。そして昨年九月にはG5で為替レート調整に踏み切り、円高誘導を行ってきました。特に円高が定着し、その効果が本年末から明年にかけてあらわれるといたしましても、国際収支が均衡していた七八年から八〇年ごろの状態に返ることはもちろんのこと、現状黒字の大幅縮減は困難と考えています。
 日米間の貿易摩擦の基本要因は、アメリカの財政赤字と日本の内需不足にあると指摘されています。アメリカの財政均衡法の成り行きも注目に値いたしますが、アメリカ、EC、アジア、その他途上国との関係において、日本の経済政策のポリシーミックスを内需中心型に切りかえない限り、貿易摩擦の縮小の構図は描けないと考えています。
 政府は、外需依存型経済政策からの脱皮、内需拡大政策を二、三年来指向してきましたが、見るべき成果を上げていない状態にあります。むしろ、当初計画に反しまして外需依存型経済が引き続いています。本年度においても、四%の実質成長、内需型の経済計画見込みを示していますが、その効果は危ぶまれています。日本企業の旺盛な輸出競争力の強さは、オイルショック以後の産業構造、言いかえれば内需をはるかに上回る生産能力を備えてきたことにあり、これを見逃すわけにはいきません。資源の乏しい日本が貿易に頼る産業、経済政策を進めることはやむを得ないといたしましても、世界経済の秩序にまで影響を与えるに至っては明らかに行き過ぎであります。
 最近、産構審小委員会が、内需拡大のために労働時間を年間千九百時間までに短縮すべきなどを含む中間答申を示して注目を集めていますが、時間短縮による余暇の拡大がレジャー産業を刺激し、消費拡大するとの見解も時宜を得た指摘と言えます。時間短縮は、賃金引き上げとともに製造コストを引き上げ、分配率を高め、消費需要を拡大いたします。特に内需拡大の最大のシェアを占める個人消費の拡大につなぐことが重視されなければなりません。日経連などの経営者団体が、内外からほうはしとして起きています内需拡大のために、消費拡大、雇用者所得増の声に耳をかそうとしない態度は時代おくれと言わなければなりません。
 政府は、大型プロジェクトによるいわゆる民間活力で内需拡大を期待しているかに見えますが、日本の社会資本投資のおくれに対応し得ず、地域偏向あるいは一時しのぎのそしりは免れません。内需拡大にどれだけの寄与があるかが定かでもありません。
 現状のまま推移すれば、日本は世界一の対外資産保有国、資本輸出国となることは必然であります。もし政府が二十一世紀を目指し自由貿易の世界秩序の維持、日本の真の国益を守らんとするのでありますれば、東京サミットにおいては諮問委員会の答申などのペーパープランを示すのみではなく、具体的数量をもって内需拡大の実効を示すべきでありましょう。
 貿易摩擦解消のためとってきた関係当局の努力は認めながらも、現状の各種の政策、手法では若干の黒字縮減が図られるといたしましても、短期的にはもちろんのこと、中長期的にも公正貿易に向う解決策になるとは考えられません。
 今我が国にとって重要なことは、経済産業政策のドラスチックな内需型への転換でなければなりません。そのためには、内需主導型転換の足かせとなっている財政再建手法の見直しが欠かせないと考えます。すなわち、六十五年赤字国債脱却とか、概算要求基準方式による一律削減、公共事業費の長期抑制、一般歳出ゼロ方式などを抜本的に再検討すべきと考えます。
 ちなみに、六十五年度の赤字国債脱却は不可能であることが明白なのに、政治的願望に固執し続けています。そのことが財政経済政策の選択の幅を狭め、絶望的閉塞状態を招いていると指摘いたします。生きた経済の状況変化を盛り込まずに財政再建を考えても、それは経済の縮小均衡、税収の伸び率鈍化の悪循環を招くだけで、財政再建すらおぼつかないと考えます。このような内需型経済転換の足かせとなっている財政再建手法の見直しを前提といたしまして、次のことを提案いたします。
 大幅減税、それも大型間接税との引きかえではなく、いわゆるアングラマネーなどの金融取引に対する課税、輸出関係課税、さらに残されている特別措置等の不公平是正等に税源を求め、大型減税を行うべきであります。
 二つ目に、賃金抑制について日経連の態度を改める必要がありましょう。同時に、政府自身が予算に人件費ゼロとしたことについても納得はできません。
 第三に、欧米並み労働時間短縮を目指すことであります。
 第四には、円高差益の還元についてでありますが、キャピタルゲイン的な利益とも考えられますので、これはむしろ財政再建との関係において、課税として新しい税制度を検討すべきでありましょう。
 第五点といたしまして、建設公債の発行による生活型社会資本投資の拡大であります。
 第六点といたしまして、突出型防衛費の縮減と福祉抑制を取りやめることであります。
 第七点といたしまして、円高に弱い中小企業に対しまして、緊急な金融政策等を急ぐべきでありましょう。そして、外国への工場進出、輸入拡大、途上国への技術移転、資本援助等を強めることなどの総合対策が進められるべきであると考えます。
 最後に、貿易摩擦問題は今後も中長期的に検討を迫られる課題であります。我が国が国際社会で協調しつつ発展し、国民生活の安定、繁栄を図るためには、行政府のみに任せることなく、国会が常時検討を加えることが必要と考えます。そのために、例えば国会に国際経済問題の調整に関する委員会、内部的には産業構造調整や雇用問題等も含めて検討する委員会を設け、長期にわたって検討を続け、政府に助言すべきことを私は提起いたしまして見解といたします。
   〔小委員長代理倉田寛之君退席、小委員長着席〕
#55
○中西珠子君 最近の日本の市場開放努力にもかかわらず、欧米各国で強まりつつある保護主義の動きを阻止し、自由貿易体制を維持するためには、日本としてなお一層の努力が必要であると考えます。このためには、当面取り組むべき緊急の問題と、中長期的に達成するべき課題があります。
 当面の緊急課題の第一は貿易の黒字減らしです。G5の協調介入によってもたらされた円高は最近定着しつつあるように見受けられますが、経常収支の黒字縮小への効果はまだあらわれていません。
 一月十六日大蔵省発表の貿易統計によりますと、昭和六十年の出超幅は四百六十一億四千百万ドルに達し、これは米国に対しても史上最高、また米国ばかりでなくECに対しても中国に対してもともに過去最高の出超幅を記録したわけであります。円高にもかかわらず貿易黒字が史上最高というのは、逆Jカーブ効果のあらわれであり、一時的なものかもしれませんが、もっと積極的に黒字減らしの努力をしないと、日本への黒字批判はやがて世界的な包囲網を形成し、我が国が世界の中で孤立化してしまうおそれがあります。日本の大幅な輸出超過に対する非難と日本の市場の閉鎖性に対する非難は、日本社会全体が閉鎖的などの批判を呼び、日本人の商慣習や高い貯蓄性向、勤勉、節約などの文化的価値までが非難の対象となりつつあり、今や経済摩擦は文化摩擦にまでエスカレートして、社会的、政治的問題の様相も帯びています。
 このように深刻化し長期化しつつある摩擦を解消し、米国を初め各国で起きている保護貿易主義の高まりを阻止するには、思い切った市場開放策の推進と並行して積極的な内需拡大策をとり、中長期的には日本の経済体質そのものを外需依存型から内需主導型へ転換する必要があります。それと同時に、世界のGNPの一割を占める日本は、経済大国としての国際責任を強く自覚し、もっと積極的に世界経済の安定と発展に貢献しなければならないと考えます。
 当面の課題の第二は、市場開放と輸入の拡大の促進であります。
 政府は、まずアクションプログラムを早目に確実に実行し、既に相当の成果を上げてはおりますが、市場開放を一層推進することが急務であります。我が国の市場が閉鎖的であり、日本はアンフェアであるという諸外国の非難を払拭するには、関税面においても、基準・認証等の非関税面においても、日本の市場が国際水準を上回る開放度を早期に達成することが必要であります。
 次に重要な課題は、輸入品の流通機構の見直しと改善であります。
 中曽根首相が輸入促進策の一環として、一人百ドルの輸入品を買いましょうとテレビで国民に呼びかけたのはいまだ記憶に新しいことですが、一部の輸入品、とりわけブランド商品は国内での値段が高過ぎて庶民の手が届かないとの批判があります。輸入品が割高である有力な要因として国内での流通マージンの高いことが挙げられております。殊にブランド商品は輸入総代理店が独占的に取り扱っているケースが多く、競争を制限し、大きなマージンを確保して、小売価格を高く維持する結果となっております。これの是正策としては、輸入総代理店を通さずに並行輸入を奨励する必要があります。市場開放策を実効あらしめ、製品輸入の増加に資するため、諸外国からも閉鎖的、排他的との批判のある流通機構を見直しし、改善することは急務であります。
 次の課題は、円高差益の還元です。
 円高によって輸入価格が下がっても小売価格に反映しない場合が多いのですが、円高により利益を得ている企業は、速やかに消費者に対し円高差益の還元として小売価格を下げるように政府は指導するべきだと考えます。電力や石油、ガス産業の円高差益は一兆円に上ると報道されていますが、これを国民に還元するための効果的な方法を検討し、速やかに実施させるべきであります。
 もう一つの緊急課題は、輸出志向の中小企業の円高による倒産の防止です。
 中小企業庁の一月二十七日に発表した中小企業調査によると、円高による中小企業の休廃業や倒産が出始めていることが明らかになっています。公明党・国民会議は昨年来、中小企業の円高倒産を防ぐ対策が緊急に必要だと主張しています。大企業が円高による影響を下請企業に転嫁しないように政府は監視と指導を強化し、中小企業向けの官公需の発注を拡大する必要があります。あわせて、政府系の中小企業金融機関の融資についても、円高不況業種を対象に低利な融資枠の拡大や条件の緩和が不可欠であります。政府は公定歩合の引き下げにやっと踏み切りましたが、中小企業を援護する利下げにも踏み切るべきであります。輸出志向の中小企業の円高による倒産防止や事業転換の円滑化を図るための援護策が緊急に必要であります。
 一方、中長期的には日本の産業構造の転換を図り、産業調整を推進していく必要があります。ミクロ、マクロ双方をカバーする弾力的で柔軟性のある経済政策をとりながら、外需依存型の経済からの脱却を図り、内需主導型の経済成長を達成することがこれから取り組むべき中長期的な課題であります。それには積極的に内需拡大策を今からとらねばなりません。
 内需拡大にまず必要なのは減税であります。第一に大幅な投資減税を行って国内投資を刺激する必要があります。一方、個人消費の拡大を図る必要があります。このためには毎年の小幅な賃金上昇をほとんど相殺し、可処分所得の伸びを抑圧している現行の所得税法の改正による大幅な減税が必要です。
 また、労働時間の短縮による自由時間の増加も図られなければなりません。労働時間の短縮は、消費拡大という目的にとどまらず、国民生活の質の向上、国民経済全体としての雇用機会の増大、労働者の自己啓発機会の拡大に資する上からも重要であります。日本の長時間労働は、不公正な国際競争として非難され、経済摩擦の一因ともなっているわけですから、労働時間の短縮を推進することは経済摩擦解消と内需拡大に寄与するばかりでなく、これから高齢化社会に突入する日本の経済社会の健全な持続的発展にとっても必須であります。
 政府の内需拡大策として住宅減税による住宅建設の促進が挙げられていますが、これを一層拡充し、推進するべきです。日本は欧米に比べ居住環境や社会資本の整備が非常におくれています。日本の下水道普及率は三四%にすぎず、英国の九七%、米国の八五%に比べ格段に劣っています。下水道や環境の整備など社会資本の計画的整備を推進することが国民生活の向上と内需の拡大のためにも急務であります。
 内需を拡大し、内需主導型経済成長達成のためには、そのほかの公共事業の拡大、民間活力の活用、科学技術の振興、特に先端技術の一層の発達と産業構造の高度化を図ることなどやるべきことは山積していますが、時間の関係で詳細は省略して、次に、世界の中の日本としての国際的責任の遂行について触れたいと思います。
 日本は世界のGNPの一割を占める経済大国となったのに、相変わらず小国的な意識で自国の利益を守ることにのみきゅうきゅうとしていて世界経済の運営に積極的ではない、世界経済の安定と発展のために進んで貢献しようとしないとの海外からの非難が続いております。日本は世界最大の債権国となりつつある事実を踏まえて、自由貿易体制を堅持し、国際通貨体制における政策協調を続け、開発途上国に対する政府開発援助の量的、質的拡充を図る必要があります。政府開発援助の第三次中期目標をまず着実に実施することが必要ですが、特に政府開発援助の贈与比率、グラントエレメント、技術協力の比率などがDAC加盟国中最下位に近いことに思いをいたし、これらの改善に努めることが急務であります。また、膨大な貿易黒字を世界のいわゆる公共財の増加のためにもっと振り向けることを考えるべきではないかと思います。
 金融の自由化、国際化を一層推進することも必要ですが、最近急増している海外証券投資よりも、むしろ海外への直接投資を奨励する必要があります。殊に民間産業の直接投資、現地生産の促進は現地の雇用創設効果もあり、また、日本国内の過剰貯蓄の有効活用にもつながると思います。特に製造業を中心とした直接投資や産業、技術協力を一層推進し、我が国企業の活力を世界経済の発展に活用するとともに、水平的な国際分業関係の形成を推進する必要があります。
 最後に強調したい国民的課題は、国際的相互理解の推進であります。
 近年の経済摩擦は文化摩擦でもあると言われるほど日本の社会全体と日本人の生活のいろいろな面にわたる問題も絡んでいます。日本人の一人一人が国際人として世界への理解を一層深めるとともに、日本の文化や制度につき、外国に正しく理解されるよう不断の努力をしなければならないと考えます。我が国の市場開放努力についても、対外広報活動をもっと強化し、人物交流、文化交流を一層拡大し、各国間の相互理解を促進する必要があります。海外からの留学生や研修生の受け入れ、外国人の登用問題、海外帰国子女の受け入れ問題など、日本社会の閉鎖性を示す例として最近多くの例が挙げられています。日本社会をもっと世界に開かれたものにし、重要性を増しつつある我が国の国際的役割と責任を立派に遂行し、世界経済の安定と発展に寄与してこそ日本の繁栄と平和的な発展、国民生活の安定が図られ得るのだということを国民の一人一人が自覚し、国際的相互理解を深めるように努力しなければならないと思います。
 以上です。
#56
○小委員外委員(上田耕一郎君) 日米経済摩擦について意見を申し述べたいと思います。
 昨年のアメリカの対日貿易赤字は、アメリカ商務省発表によると、過去最高の四百九十七億ドルに上ったとされています。このこと自体、これまでの政府の摩擦解消策が何らの効果も上げてこなかったことの証明でもあります。
 原油下落とそれによる一次産品の不振で事態はさらに悪化しつつあります。原油輸入代金が減って黒字が拡大し、輸入がさらに落ち込むからであります。原油価格が一バレル二十ドルに低落すると、二十五ドルのときと比べて経常収支の黒字幅は五十億ドル以上ふえるものと見られています。したがって今必要なことは、これまでの対策そのものを根本的に再検討することです。すなわち、貿易摩擦を引き起こしてきたアメリカと日本のそれぞれの要因に徹底したメスを入れるとともに、根本的な対策を提起すべきであります。
 まず、アメリカ側の最大の要因として挙げなければならないのは、大軍拡、財政赤字に起因する高金利によってつくられたドル高であります。九月以降ドル高が是正されつつあるとはいえ、年間を通じて見れば極めて大きな要因となったことは明らかです。なぜなら、ドル高はアメリカの輸出競争力を低下させる反面、外国からの輸入の拡大を促すからです。昨年二月のアメリカ大統領経済報告でも、一九八〇年から八四年のアメリカの貿易収支悪化分約八百五十億ドルのうち、特殊要因を除いた六百から七百億ドルの大部分はドル高によるものと分析しています。G5の合意で是正されたとはいえ、レーガン政権の八七会計年度予算教書において、国防費が六・二%増、五年間で三八%もの伸びが想定されている大軍拡予算であることが示すように、大軍拡、財政赤字はますます拡大する一方であり、根源には手がついていません。
 さらに重要なのはアメリカの多国籍企業化であります。アメリカの巨大資本は、国内での生産よりも海外での生産を増大させてきた結果、産業の空洞化をつくり出し、輸出を減退させてきました。例えばジェトロによると、八四年、資本比率五〇%以上のアメリカ系在日企業からのアメリカへの輸出約二十億ドル、日本企業のOEM一相手先ブランド製品一輸出約五十億ドル、アメリカの完成品に欠かせない部品の輸出約八十億ドルです。アメリカの多国籍企業は、その企業戦略によってアメリカの対日貿易赤字の約三〇%をつくり出したということになります。
 次に、日本側の要因として重要なのは、日本の産業構造が貿易立国をスローガンにした輸出競争力強化の輸出優先型生産構造となっており、輸出の大部分が特定の大企業によって占められ、ここで輸出急増が起こっていることであります。その世界に冠たる異常な国際競争力の根源には、先進的な技術だけでなく、巨大企業による労働者に対する驚くべき搾取強化と下請中小企業に対する重層的な支配、収奪の構造があります。日本の輸出の三割が上位わずか十社によって、四割が二十社によって、五割が三十社によって独占されています。特に、自動車、電機、鉄鋼、重機などの大企業の競争力は群を抜いており、これら大企業の製品売り上げのうち輸出に向けられる部分が三割から七割もあります。
 これら大企業の強力な競争力を保障してきたのは、労働者の長時間超過密労働、低賃金、下請収奪と、それによる狭隘な国内市場です。例えば一九八二年の「日米労働コスト比較」(「経済と外交」一九八三年三月号)によると、製造業一般では時間当たり労賃が、アメリカを一〇〇とすると日本は四九、鉄鋼業では四六、自動車・同装置製造業では三七にすぎません。また、年間実労働時間で見ると、西ドイツ千六百五十六時間、フランス千七百十七時間、イギリス千九百十時間、アメリカ千九百八時間と比べ、日本は実に二千百五十二時間に達しています(ILO調べ、日米は八三年、他は八一年)。日本の労働者は、アメリカに比べ二百五十時間、西ドイツに比べ五百時間も長い時間働かされているわけです。これらが貿易収支の大幅黒字になることが避けられない日本の特有の再生産構造を形づくっているのです。このようなアメリカと日本のそれぞれの根本的要因にメスを入れてこそ真の解決への展望が開けてくると思います。
 ところが、政府が進めてきたアクションプログラム、MOSS協議、民活型内需拡大などは、以上の二つの根本問題に何らメスを入れるものではなく、逆に国民の暮らしと営業を脅かし、経済主権を一層売り渡す内容となっています。
 第一に、アメリカは日米軍事同盟を基礎に日本に揺さぶりをかけ、このままでは日米関係に重大な障害となるとか、米議会の対日報復の動きを抑えられなくなるなどと述べて強引に市場開放を迫ってきましたが、中曽根首相は卑屈きわまりない追従姿勢を示してきました。
 第二に、大企業を中心とする輸出急増のツケを国民の弱い部分にしわ寄せをして平然としているだけでなく、国民に対して犠牲を求め、四月十八日、日本プレスセンターでの首相講演では、日本は国際国家になり、個性や伝統だけを言ってはいられない、この改革は国民の意識革命であり、政府としては行政革命だなどと述べています。これは、アメリカの言いなりになる国民づくりを目指すものと言わざるを得ません。また、日本の行政そのものをアメリカが介入しやすいものに変える意図を明らかにしたものと言わなければなりません。
 第三に、電電公社が四月から民営化されたことと関連して、急成長の予想される情報通信分野で、新たなアメリカ資本の支配強化を許す事態が進んでいます。これは、国の神経系統とも言うべき電気通信分野をアメリカに売り渡す売国的行為と言わなければなりません。ATT、IBMは、激しい競争を繰り広げながら着々と対日支配の手を打ちつつあります。ATTは三井グループと、IBMは三菱グループと手を結んで大型VANへの進出を目指しています。このため、新事業への進出の登録など行政手続を簡素化せよとか、電気通信審議会にアメリカ系企業の代表を入れよなど、政策、制度の変更を求めています。
 今必要なのは、国民の暮らしと営業を守り、日本の経済主権を真に確立する立場から、これまでの対米従属的な対応を根本的に改めることであります。当面、これ以上国民に犠牲を押しつけるようなアメリカの不当な圧力を拒否し、自主的な立場に立って対応すべきであります。また、サミットで国民に犠牲を押しつけるような負担を新たに背負い込むことのないよう、自主的な姿勢で対処することを政府に強く要求したい。
 特に、日本の国内的要因にメスを入れることが差し迫った課題となっています。賃下げなしの労働時間の短縮、労働条件の改善、大幅賃上げの実現こそその第一歩であります。ところが政府は、民活による内需拡大と称して、電気通信事業やたばこに引き続き、国鉄の分割・民営化で全国的な公共交通機関を解体し、国鉄の長期負債を水増しして国民に押しつけ、都心の一等地にある国鉄所有地を大企業の略奪に任そうとしています。また、大企業の乱開発に対する規制を一斉に緩和して、国有地の払い下げ、都市再開発、東京湾横断道路、明石海峡大橋など、環境破壊の大型プロジェクトを強行しようとしています。
 八四年、日本の長期資本流出は十五兆円の巨額となり、これが問題化したため、国内投資、特に公共事業投資で莫大な利潤を大資本に保障してやるための民活となっています。しかも、真の内需拡大、つまり国民の総支出の六割を占める個人消費の拡大には一顧も払っていません。例えば竹下大蔵大臣は、働きバチ礼賛論まで述べています。大蔵大臣は、一昨年八月の軽井沢セミナーで、バカンスを一週間以上とる国民を調べたら、先進国はみんなとっていますが、日本はほとんどない、よく働くと述べ、褒め上げています。しかし、日本の長時間労働が対外的摩擦の重要な要因となっていることは今や世界の常識であります。
 二月六日に発表された産業構造審議会の「二十一世紀産業社会の基本構想 (中間とりまとめ)」は、全体として重大な問題を含んでおり賛成できませんが、しかし、労働時間に関しては次のように書いています。「日本の労働時間は、欧米諸国に比較して相当程度長いものになっており、特に完全週休二日制を享受している勤労者の割合はいまだ二七%にとどまっている。」、「全勤労者が完全週休二日制を享受し、かつ、ゴールデンウイーク、夏休み、年末・年始等にまとまった休暇を取得し得るような休暇制を確立すること等により、年間総実労働時間を少なくとも現在のアメリカ、イギリスの水準以下の千九百時間内にまで引き下げるよう努める必要がある。」と。さらにこの「基本構想」は、完全週休二日制が実施された場合、約三兆円の消費支出拡大効果があると述べています。大幅賃上げ、労働時間の短縮が国民本位の真の内需拡大になることはこのことからも明らかではないでしょうか。
 さらに、下請中小企業の擁護と振興がますます重要になっています。
 円高問題について触れると、昨年九月以降、アメリカの要請に基づいた政府の円高誘導政策のもとで、円はドルに対し四十円も値上がりした結果、輸出関連の中小企業の経営は、為替差損、契約激減などで大きな打撃を受けています。我が党は、全国的に輸出関連の中小企業の調査を行いましたが、その打撃は実に重大であります。貿易摩擦が起こるたびに、その犠牲は生産機構の底辺に転移されてきましたが、今回は、円高、市場開放、輸出規制が複合的に加重されているのですから、再生産構造に破綻が生じかねないところまできていると言えます。これに対して緊急の対策を進めることが必要であります。ところがアメリカ政府は、国内産業の保護につながるとして反対の意を表明したと伝えられていますが、このような圧力は不当なものであり、断固として拒否しなければなりません。
 円高によって、電力、ガス、大手石油会社など原燃料を大幅に輸入している大企業には、逆に莫大な円高差益がころがり込んでいます。このような円高差益を直ちに国民に還元し、内需拡大に役立てるべきであります。政府は消極的な姿勢を表明していますが、これは国民生活や中小企業の経営難を顧みない不当な姿勢と言わざるを得ません。我が党の試算によれば、円高差益、原油値下がり分、料金の上げ過ぎによるぼろもうけなどを国民に返せば、その総額は八六年度で三兆五千億円に上ります。これらを合わせれば、国民生活と中小企業の営業を守りながら、真の内需拡大を促し、貿易摩擦の根本的な解決につながっていくことになります。我が党は、政府が行っているこうした対米従属、国民犠牲の日米貿易摩擦対策に反対し、最大の責任を持つアメリカの財政赤字、大軍拡をやめさせること、日本側の根源である政策を転換して、真の内需拡大、大幅賃上げ、時間短縮、減税、社会保障の充実、中小企業の振興などの政策をとることを強く要求するものであります。
 野村総合研究所の「十年後の世界経済と金融資本市場」という報告書で、十年後には世界のGNPの一五%を持つに至るであろうと予測されているような日本であるだけに、今日の日米安保体制とそれと深いかかわりを持つ対米追随、大企業の輸出競争力最優先の再生産構造から真の国民本位、内需優先の再生産構造への抜本的転換が極めて重要な課題となっていることを指摘して、私の意見表明を終わります。
#57
○小委員外委員(関嘉彦君) まず初めに、序論。
 経済摩擦の問題については、私は今までほかの委員会でも折に触れて述べてまいりましたけれども、本日、小委員長より発言の機会を与えられましたので、ここで改めてまとめて述べておきたいと思います。
 日本では、貿易不均衡の問題につきまして、日本人が一生懸命に働いてよい品質の物をつくって輸出を伸ばし、その結果黒字が生じたのであって、それについて外国が非難するのは筋違いであるという考えを持っている人が経済界にはなおあるように聞いております。しかし、極端な場合、日本のみが黒字となって他の国が赤字を続けていけば、結局は外国は日本の商品を購入することができなくなり、世界貿易は成立しなくなる。それゆえ、日本が今後も貿易立国として生きていかんとする限り、長期にわたる巨額の黒字が継続するごとき貿易構造は改めていく必要があります。日本は今まで外国から指摘されて、やむを得ず門戸を外国に向けて開放するような印象を与えてきましたけれども、そのような印象を与え続けることは、日本の生存と繁栄にとって非常に危険であります。
 日本は、受け身の立場で外圧に応じて対策をとるのではなしに、先進的な経済大国になった現在、世界に恩恵を与える国として積極的に世界の繁栄に寄与するために門戸開放などの措置をとらなければなりません。その施策は、時として国内の既得利益に対する犠牲をもたらすことにもなりますけれども、その犠牲は国民全体で負担するごとき方法で産業構造の転換を図っていくことが必要であります。官僚はもちろん、政治家、国民すべてがこれまでの自由貿易の恩恵を受ける受益者の立場から恩恵を授ける授益者、ベネファクターの立場へ意識を切りかえることが今日ほど必要なときはないと思います。
 次に、緊急対策について述べます。
 一、門戸開放。
 政府は、昨年七月、対外経済問題諮問委員会の報告に基づき、いわゆるアクションプログラムを決定し、関税引き下げ、基準・認証制度の改善、政府調達の改善、金融サービスなどの門戸開放など一連の対策を公表しました。そして、その対策の少なからずのものは既に実施されつつあります。我々はそれを歓迎するものである。しかし、政府はその実施状況を逐次国民に報告するとともに、今後とも今回の見直しで漏れているものの改善を自発的に行うべきであります。また、例外的に規制を残したものについてはその理由を積極的に公表し、外国の誤解を解くように努力しなければなりません。
 二、輸出の自主規制。
 国内においても市場経済を維持していくためには、独占禁止法などによって公正な取引の枠を規制していく必要があります。国際貿易についても自由貿易を維持するためにはその枠の維持のために規制が必要である場合があります。例えば自動車や電気製品などの輸出が特定の市場に向かって集中豪雨的に行われれば輸入国の失業問題を激化し、輸入制限ないし報復的な措置を招き寄せる危険は非常に大であります。そのような場合、ある程度の輸出の自主規制を行うことはやむを得ないと思います。しかし、昨年自動車の対米輸出規制がアメリカの誤解を招いたその経験にかんがみまして、事前に相手国政府とも十分根回しを行い、不必要な誤解を招かないように配慮すべきであります。特に外交当局の努力を要請しておきます。
 次に、恒久的な対策。
 一、国内の需要喚起。
 経済摩擦の緩和のために国内需要の喚起による輸入拡大が必要なことは言うまでもありません。特に社会資本の整備においておくれている日本としては、道路や下水道の整備、公園の拡充、さらには住宅の質的改善のために一段の努力が必要であります。財政の再建、赤字公債の解消はもちろん大切でありますけれども、必要に応じて公共事業のための建設国債の発行や民間資本による場合の利子補給金なども一定の歯どめを設けた上で考慮すべきであります。また、税制面からの投資減税、住宅建設減税を行うことももちろん必要であります。他方において、今後貯蓄優遇税制を続けていく必要があるか再検討すべきではないかと思います。このことは貯蓄が不必要であるということを言うのではありません。特に今後の高齢化社会に向かうことを考えるときに、貯蓄をある程度維持していくことは必要でありますけれども、人為的にそれを高めていく必要があるかどうか、再検討のときではないかと思います。
 さらに内需拡大策として、労働時間の短縮と適切な賃金水準の引き上げが必要であります。日本人の労働時間が他の先進国に比して長いことは既に他の同僚委員も指摘したところであります。これを欧米水準まで段階的に短縮するとともに、適切な賃金引き上げにより低下傾向にある労働分配率を高めていくことが必要であります。もとより賃金水準は労使間の自主的交渉によって決められるべきものでありますけれども、民間の賃上げを妨げるごとき人事院勧告の不履行などを政府は行うべきではありません。もちろんこのことは、不必要な人員や行政事務を削減するという行政改革とは別個の問題であります。
 二、産業構造の改編の問題。
 貿易不均衡是正のためには、単に原料のみでなしに製品輸入の増加による水平的分業の促進が必要でありますが、これは日本の国内産業にも打撃を与えずにはおかない。その打撃を緩和するために政府は競争力の点から見てどのような産業は残し、どのような産業は外国に譲り渡していくかについて長期的な計画を樹立し、新しい産業構造に転換できるよう助成策をとるべきであります。
 その場合、特に問題になるのは中小企業と農業であります。日本の工業技術の優秀性は中小企業の技術のそれによるところが極めて大きいわけであります。政府は、特に中小企業がその技術を温存、発展させつつ、国内需要向けに業種の転換ができるよう金融上適切な手段をとらなければなりません。今般の円高に伴い、苦境に陥った輸出関連中小企業に対して政府はこの一月、金融上の助成措置とともに、事業転換の円滑化につき助成措置を行ったことは適切であります。しかし、その際、これらの措置が輸出助成のための措置であるかのごとき誤解を外国に与えないように十分説明すべきであります。
 農業は、単に経済政策の見地からのみ対処すべき分野ではないと思います。有事における最低限度の食糧の自給、環境問題、特に自然保護の観点から一定の農業生産力の維持、森林の保全、漁業保護が必要であります。しかし、そのことは、現在のごとき食糧管理制度をそのまま維持し続けていけばいいという問題ではないと思います。主食農業の生産性を高めるために、農地の統廃合による合理化、先端科学技術の研究、応用の促進などを行うとともに、農業の分野においても、あくまで温存すべきものと輸入を認めるものに分けて積極的な対応をなすべきであると思います。
 三、国際通貨、為替制度の再検討。
 昨年九月のいわゆるG5の協調介入とアメリカのドル高維持政策の放棄により、それまでのドル高が是正され、その後わずか四カ月余りでドルが二割以上も下落したことは極めて教訓的であります。これはアメリカの政策の変更が大きな要因をなしたと私は解釈しております。ドルの低下が日米間の貿易不均衡を是正するにはなお時間を要するとはいえ、早晩不均衡是正に貢献することは間違いないと思います。
 フランスのミッテランが提唱しているような、為替相場を一定の幅のターゲットゾーン内に維持するような政策については、その実行可能性についてなお検討の要があると思いますが、一定条件のもとでは、主要先進国の財政、通貨当局がお互いに協力して、相互の経済政策の調整により、ある程度までは為替相場の不均衡の是正をすることは可能であると思います。今後も先進国政府は常時緊密な連絡のもとに、経済の基調を反映しない為替相場の異常状態に対してはその是正策をとり、貿易の拡大均衡に寄与すべきであると思います。日本はそのことを特に外国に対して訴え続けるべきである。
 最後に、累積債務の問題について触れておきます。
 これは経済摩擦に直接関係する問題ではありませんけれども、長期的には世界の貿易拡大に大きな影響を与える問題として発展途上国の累積債務の問題があります。現在この問題は一応鎮静化しているように見えますけれども、問題は少しも解決されておりません。途上国の経済停滞は世界の景気回復に対して大きな障害になっております。現在、先進国の民間金融機関は途上国に対する不良債権の累積に困っていますけれども、国際的金融不安を防止するためにも、これら債権の肩がわりをするための新しい国際金融機関の設立などを各国間で検討する必要があると考えております。
#58
○小委員長(大木正吾君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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