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1985/02/14 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会 第1号
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1985/02/14 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会 第1号

#1
第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会 第1号
昭和六十一年二月十四日(金曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
昭和六十年十二月二十四日外交・総合安全保障に
関する調査特別委員長において本小委員を左のと
おり指名した。
                石井 一二君
                大木  浩君
                大鷹 淑子君
                鳩山威一郎君
                宮澤  弘君
                秋山 長造君
                久保田真苗君
                和田 教美君
                立木  洋君
                関  嘉彦君
                田  英夫君
同日外交・総合安全保障に関する調査特別委員長
は左の者を小委員長に指名した。
                大木  浩君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        大木  浩君
    小委員
                石井 一二君
                大鷹 淑子君
                久保田真苗君
                和田 教美君
                立木  洋君
                関  嘉彦君
                田  英夫君
    外交・総合安全保障に
    関する調査特別委員長  植木 光教君
   小委員外委員
                高平 公友君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外交問題に関する調査
 (外交問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(大木浩君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会を開会いたします。
 外交問題に関する調査を議題といたします。
 本小委員会は、第百二回国会において設置され、我が国の外交の現状と今後の強化策等について政府からの説明聴取、参考人からの意見聴取及び小委員間での意見交換を行い、また、第百三回国会においては国際平和年と日本外交について参考人からの意見聴取をするなどの調査をしてまいりました。
 本日は、外交問題に関する件について小委員の皆様に御意見をお述べ願いたいと思います。
 それでは、御意見のある方は順次御発言願います。
#3
○石井一二君 では、自由民主党の立場で私見を交えつつ、私は外交・総合安全保障に関する調査特別委員会の外交問題小委員会における意見の開陳をさしていただきたいと思います。
 開陳に当たりまして、まず、今日の世界情勢について若干申し述べたいと思うわけでございます。
 御承知のごとく、今日の世界情勢は多極複雑たる様相を呈しております。二大超大国米ソの厳然たる存在、共産主義勢力の侵略行動、経済摩擦に代表される先進国間同士の格闘、中進工業国の躍進、苦悩の様相を呈するOPEC諸国、第三世界での紛争の頻発と継続、累積債務に悩む発展途上国、飢餓や難民を抱え悩む低所得開発途上国等々が存在いたすわけでございます。このような背景のもとに我が国の国際的立場でございますが、自由主義社会に籍を置き、自由主義社会第二位の経済大国に今日は成長をさしていただいておるわけでございます。特に国際社会における政治的、経済的役割に対する期待は以上のような理由でますます増大をしておる。つまり、我が国の平和外交上の努力が大いに期待をされていると認識をいたしておるわけでございます。このような情勢を背景として当面する諸問題に対処するための外交上の諸施策として、以下大きく分けて四点にわたり意見の開陳をいたすものでございます。
 すなわち、一点は国連の改革について、第二点は国際経済協力に関して、第三点はアジア外交の重要性について、そして第四点は外交実施体制、特に人的体制と広報情報活動の観点からの意見の開陳でございます。では、順次意見を開陳してまいりたいと思います、
 まず、国連の改革についてでございます。
 皆様方も御高承のごとく、安倍外務大臣は去る一九八五年九月二十四日に国連総会において一般討論演説を行い、設立後四十年たって規模が肥大化、重複活動の目立つ国連や専門機関の行財政改革を目的とした国連効率化のための賢人会議の設置を提案いたしております。すなわち、国連組織とは別に独立した機関として、メンバーは西側、東側、第三世界からそれぞれ有識者を選び改革案を提案すると言うべきものでございまして、年間六千七百九十万ドル、日本円にいたしまして約百六十億円の大口拠出国の立場からの提案であるとされておるわけでございます。私は一たん提案したこの案というものが、その後カナダ、ノルウェー、オーストラリアなど十二カ国の共同提案という形で満場一致で可決されておるという経過も踏まえて、まず実を結ぶということのために全力を傾倒すべきであろう、そのように確信をいたすものでございます。
 特に問題点としては、先ほど申し上げましたような、いろいろと国連の組織自体が古くなり修復すべき箇所が目立ってきておるということに加え、このような会議を設けても、果たしてそこで決まったことが実行されるかということに多大の懸念もるるわけでございます。特に我が国は、当初は大統領や首相経験者の大物メンバーを想定いたしておりましたが、現実は実務者レベルに落ちついたため、各国への影響力の不足が心配されてもおりますし、また、国連の予算や人員の削減には開発途上国が一貫して反対しておる、こういった中で、果たして提案がどの程度まで実行く向けて実を結ぶかということも大いに懸念されておるところでございますが、まず、この提案の成果を大いに盛り上げ、その余勢を駆って、例えば国連事務総長の権限の問題であるとか、加重投票の問題、大国の拒否権と安全保障理事会の機能の問題等々、かねてより国連において改革されるべき点ではないかと言われておりますいろいろな問題に対しましても、強力な国連外交を展開して、世界に日本外交あるべしとの感を抱いてほしい、そのように思うものでございます。
 以上で国連に対する提案を終わりまして、続きまして、対外経済協力について若干申し述べたいと思います。
 私が特に対外経済協力について申し上げたいことは、大きく分けて二点の意見の開陳を申し上げたいと思うものでございまして、第一点は、援助哲学を変更すべきではないかということ。第二点は、ODA倍増計画の数字追いにのみ終始してはならない、いろいろ問題点があるということでご
ざいます。また、間接的な効果をねらって我が国のコンサルタント業務の活用をどしどし進めていくべきではないか。この三点から対外経済協力について以下若干の意見の開陳を試みたいと思うものでございます。
 御承知のごとく、我が国は予算の編成時期になりますと常にODA優先の声が上がってまいります。事実、過去の実績を見ましても、一九七八年から始まった三年倍増計画は見事に倍増を達成することができました。また、一九八一年から始まった中期倍増計画と言われる五年間のODA実績も予算面で九八%、実績でほぼ九割の達成が予想されておるところでございます。そしてODA第三次中期計画として、一九八六年から九二年の七年間にさらに八五年実績の倍増を図らんといたしておるのが現状でございます。
 こういった中で、私が第一点として申し上げました援助哲学を変更せよということでございますが、現在、債務繰り延べ国というものの数が非常にふえております。こういった国は債務が返済できないために繰り延べを要求する、そうするとさらに貸してもらえないという過去の悪循環があったわけでございますが、政府は、そういった国々の現状にかんがみまして、昨年の十月半ばごろにコスタリカ、ジャマイカ、ドミニカ等債務繰り延べ国への円借款の再開を発表いたしておりました。これらの国々から非常な賛意をいただいておるわけでございますが、私は悪循環に陥らないためにも、現在三十一カ国に及ぶと言われる債務繰り延べ国々に対しまして、やはり積極的にどんどん借款を供与していくという姿勢が必要ではないかと思うのでございます。
 また、かねてより言われております無償援助の比率を高めることもあわせて重要であろうと思いますし、また、供与基準の弾力的対処、特に現在は国別一人当たりのGNPとか融資期間、融資金額によって、かなりの供与規制というものがございますが、こういった面でも再検討をしていくべきではないかと思うわけでございます。また、資金援助のアンタイ化をもどんどん進めていっていただきたい、そのように思うわけでございます。
 以上が援助哲学を再検討してはどうかという考えでございますが、次にODAの倍増計画の数字のみを追ってはならないのではないかという点について若干申し述べたいと思います。
 御承知のごとく、対外経済協力、大きく言えばODAというのがその中心でござい産す。ODAはもう少し具体的に申しますならば三つのカテゴリーがあり、一つは二国間の贈与で、技術協力と無償資金協力がこれに属する。第二番目は、二国間の政府貸し付けでいわゆる円借款がこれに該当するものである。そして第三番目に国際機関への出資並びに拠出等があるわけでございまして、これら三つのカテゴリーを合わせてODAと称し、その倍増にのみ奔走いたしておるわけでございますが、本来対外経済協力というものは、世界的な購買力を増大し、世界的な経済規模を拡大し、世界的経済成長の促進を図り、ひいては世界人類の生活のレベルアップと世界平和への貢献をしようというものでございます。そういった面でODA以外にも、例えば対外経済協力と言われております俗に言うOOF、すなわちその他政府資金協力、例えば輸出信用あるいは直接投資金融、国際機関等に対する融資等もどんどん進めていかねばならないと思いますし、民間ベースによる協力、PFと普通呼んでおりますけれども、民間レベルでの輸出信用、直接投資、国際機関に対する融資等々、あるいはまた非営利団体による贈与等々もございます。
 したがって、結論として申し上げたいことは、ODAのみにこだわらずに広い意味で経済協力を進めていくことがより必要ではなかろうか、そのように考えておるわけでございます。
 よくODAの論議をしておりまして、数字がなかなか伸びないではないかということでございますが、やはり海外においていいプロジェクトがない限り数字が伸びないというのが現状でございます。私は、その意味で対外経済協力に関して三つの観点からの三番目として、コンサルタント活動をもっとやれということを申し上げましたけれども、現在我が国には海外コンサルティング企業協会初め、幾多のコンサルティングに従事をいたしております団体なり会社がございますけれども、これらの諸団体に対する政府の援助というものは極めて限られておるわけでございます。例えば海外コンサルティング振興事業費、総合開発計画調査委託費、海外コンサルティング活動振興税制措置等々がありますけれども、こういったものをもっともっと抜本的に改革していいプロジェクトが海外で生まれるような環境をつくることが、日本が世界的に打ち上げた大きな花火でありますODAの目標達成につながるものである、そのように確信をいたすものでございます。
 なお、対外経済協力に関しまして、昨今新聞紙上ではフィリピンの選挙の情報というものが大きく報ぜられておりますけれども、我が国は今回第十三次円借款の契約を一時延期するという態度に出ておるわけでございます。まことに私見でございますが、私の私見といたしまして、本来、対外経済協力というものは国民の血税を財源として実行される以上、これが本来的目的に使用されているということを確認する義務が私は政府にあると思います。そしてそれができていないと認められる場合には、やはり変更とか一時中止とかということがあってしかるべきであろう、そのように思うわけでございます。フィリピンの大統領にだれがおなりになるか、選挙が公平であったかといったようなことはやや内政干渉になるのでこれ以上の論評は差し控えたいと思いますけれども、かねてより、フィリピンの対外債務のうちの一部が不正に使われておるといった情報がいろいろと国際的な情報機関にも報道されておるわけでございまして、政府の慎重な対処を望んでおきたいのでございます。
 時間の関係で先を急ぎたいと思いますが、続きましてアジア外交について申し述べたいと思います。
 御承知のごとく我が国の外交の基本戦略は全方位平和創造外交でございましたが、やはり私は、その中にも何らかの力点を置くべきポイントがあってしかるべきだと思います。過去の歴史的背景、近隣諸国との地理的条件等々を考え、しかも昨今、ASEAN、SAARC等々アジアにおいてブロック化が進んでおります。過去においても日本の二国間援助の地域配分の約七割がアジアに行っておる、こういった中で私は、今後日本はアジア外交というものをもっともっと強力に進めていくべきであろうと思うのでございまして、本年六月にフィリピンのマニラで開かれる予定のASEAN拡大外相会議において、安倍ドクトリンとしてこのような姿勢というものが表明されるやに承っておりますけれども、ぜひそうしていただきたいということを強く強調をいたすものでございます。
 最後に、外交体制について若干申し述べたいと思います。
 特に外交は、金と人と情報に基づいてなされると私は理解をいたしておりますけれども、昨今マスメディアの発達とともに情報に対する国民の需要がふえ、情報活動は内外ともに極めて活発化いたしておることは御高承のとおりでございます。こういった中で、情報には入ってくる情報と出ていく情報というものがあるわけでございますが、我が国は現在、政府が広報、文化交流関係等の予算に使っております金額は、現在手に入る最新の資料である昭和五十七年の外務省調査によるとおおむね三百九十億円、これは外務省、国際交流基金、文部省、総理府、万博協会、NHK国際放送関係等を合算したものでございますが、この三百九十億円というものは、例えばアメリカの一千百億円、西独の同じく一千百億円、フランスの一千四百億円、英国の九百七十億円に比べて著しく少ないわけでございます。ODAを初めいかによいことをやってもそれが海外に正しく伝わらなければ本来の目的が達成できない、こういった面でひとつ再考を促しておきたいと思うのでござい
ます。
 また、入ってくる情報を的確に分析するということは極めて重要なことでございますが、米国のCIA、ソ連のKGBあるいはまた英国のSIS、小国ながらイスラエルのモサド等に比べますと我が国の情報機関というものは極めてお粗末ではないかと思うのでございます。内閣官房に内閣調査室国際部門、あるいはまた外務省の情報調査局情報課、陸上自衛隊の幕僚監部の調査第二課別室等々においていろいろとその仕事に当たっておられますけれども、私はこういったものを一元化し、特に最も近代的なメディアを加えた新しい体制をつくる必要があるのではないかと思うのでございます。現在、高度データ通信システムの導入が検討中であると聞いておりますが、私は一日も早くそれらのことが実現されることを望むものでございます。
 最後に人的観点から外交体制について一言申し述べたいと思うのでございますが、現在五千人体制を目指して外務省がいろいろと御努力をされておることに敬意を表し、現在の三千八百八十三名の定員全員が一丸となって日夜世界じゅうにまたがって努力をされていることに敬意を表しますが、私は、これらの中で約一八・九%、七百三十三名といわれる上級職、キャリア組は極めて生きがいのある仕事をされておると思うわけでございますが、中級、初級あるいは外交周辺要員といわれる派遣員、専門調査員等がやりがいのある仕事を意欲を持ってやっておるかどうか、特に小規模公館あるいは兼館、これらの場所で働いておられる方々は非常な環境上の御苦労もあろうと思うのでございます。私は、そういった面で人的外交体制という面についても根本的に、かつて外交サービスと領事サービスが分かれておった時代もございます。国際化時代でどんどん観光客あるいはまた商売人の方が出ていかれる、邦人保護の仕事のみがふえているといったような現状もあるやに承っております。総点検を心から希望をいたすものでございます。
 以上、大きく分けて四つの分野にわたりまして私見を開陳いたした次第でございますが、ちょうど時間となりましたので終わらしていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
#4
○久保田真苗君 この小委員会では、さきに各党が話し合いをしまして報告書を提出しておりまして、一般的事項についてはこれで一応カバーされているものと思うのですが、その後、本年が国際平和年であることなどにちなみまして、さらに審議を深めておりますので、私はこれに関連して若干の意見と提言を追加したいと思います。
 個別的な外交問題につきましては一応他の委員会に譲るとしまして、ここでは基本的に三つの項目、すなわち、その一つは日本外交の姿勢について、その二は国連の平和維持機能の強化について、その三は平和外交のシステムづくりについて申し上げたいと思います。
 まず、日本の平和外交の姿勢についてであります。
 先般の本委員会で、スジャトモコ参考人が、最近の十年間の特徴を評して、世界の緊急な政治経済問題が一方的あるいは二国間ベースで到底解決できないことを証明した時代であり、同時に皮肉にもマルチラテラリズムの後退した時代であるというふうに評しておられるのですが、日本外交も恐らくその例外であったとは言えないだろうと思います。
   〔小委員長退席、石井一二君着席〕
国連加盟三十年を経て、ようやく国際社会に貢献できる力を持った日本外交が、西側の結束のかけ声のもとに、この力をへんぱな使い方しかできないとすれば、それはまことに残念なことであります。
 さらに、西堀参考人が、国連という国際世論の集中する場における日本の評判の悪さを警告されたこともこのことと無関係ではないと思います。経済力ある国として応分の拠出もしながら、芳しかるべき評判が芳しくないということは、国民として全く心外なことであります。その理由として参考人は、ソ連の宣伝、我が国外交の自律性のなさ、対米追従、そのアメリカが総スカンになっていること、その要請による我が国の軍備拡張等を挙げておられますが、要するに、我が国の国是であるはずの平和外交の姿勢が国際社会の場でもはや余り信用されていないということではないでしょうか。
 よく、国連の政治化によるアメリカの国連離れということが言われますが、これを裏返してみれば、発展途上国の精神的アメリカ離れということになります。なぜ多額の経済援助も行いながら、アメリカはもちろんのこと、日本までが不評をこうむらなければならないか。このことはこの際本気で突っ込み考えてみる必要があるということであります。
 西側の結束というかけ声が東西の対立を深め、米ソ両核超大国の率いる軍事ブロック化を推し進め、このブロックの底辺への非同盟諸国の囲い込みを意味するものならば、我が国の平和外交には終止符が打たれるでありましょう。また、西側の結束が南に対して北の既得権を温存し擁護し、時には武力を背景にこれを強制することを意味するならば、南北のかけ橋どころか、我が国は国際社会で孤立化の道をたどるでしょう。多国間の相互依存関係に生存の基盤を置く日本外交は、緊張緩和、軍事ブロックの氷解、軍縮、核兵器の削減と廃絶、我が国自身の非核三原則、専守防衛、武器禁輸の堅持、戦略援助にくみさない、まんべんない経済協力による世界経済の活性化等に向かって、国連中心主義の平和外交路線をここでもう一度しっかり見据え、自律的な外交を取り戻すべきであります。
 具体的な例で言いますと、よく自分の座っているいすを自分で持ち上げることはできないと言いますが、西側の主要国はいずれも多かれ少なかれ過去に植民地時代を謳歌し、大方の植民地が独立した現在も植民地主義からなかなか脱することができません。
 例えばアパルトヘイトであります。この人種隔離と差別、抑圧と搾取というあらゆる人権侵害の複合体である植民地主義に対してその完成に時をかし、手をかし、パックス・サウスアフリカーナの定着をひそかに望むかに見える西側諸国の対応の仕方は、西側の信用を甚しく失墜せしめています。信用を失墜するばかりか、自由と民主主義を標榜する西側諸国自身のジレンマと道義的退廃が救いがたいものとなり、国内においてもこれに関する抗議運動が非常に活発に展開されているところであります。
 日本は、敗戦の大きな犠牲を払うことによって植民地主義から手を洗うことができた国です。上げ底なしの国民の労苦によって今日の経済的地位を築き得た国でもあります。この日本外交の一大資産を生かして、このような人権擁護について、あるいは非植民地化に向かって率直に物を言い、国際社会の場でリーダーシップをとるのが日本外交の責務であると考えます。
 先般、国連創立四十周年の総会における中曽根総理の演説には目を疑わせるものがありました。これが日ごろの同じ総理の口から出たものとは思えませんでした。しかし、このことは少なくとも外務当局がどうすれば評判がよくなるか、言いかえれば国際世論、国内世論が日本に何を期待しているのかを十分に承知しておられる証拠だと思います。
 したがって、多くを言う必要はありませんが、国連中心主義に立つ平和外交を気概を持って展開していただきたいと思います。
 私どもも、いろいろな紛争と問題の管理に関するチャレンジは、初めからそしてまた終わりに外交に帰結するのであるという、この言葉を想起しまして、このような外交づくりにできるだけ協力したいと思います。
 第二に、国連の平和維持活動、すなわちピース・キーピング・オペレーションを含む機能の強化について触れておきます。
 現在行われている国連軍の平和維持活動は、国連憲章の中に法的根拠を持たず、また国連の平和維持活動特別委員会においてもそのオペレーションの諸原則ないしガイドラインについて加盟国の合意ができるところまで行っていません。この委員会に所属している我が国はこの原則確立に大きな努力を払うべきであります。
 しかし、それにもかかわらずPKOが通常の軍隊とは異質の機能を持つとされるのは、第一次国連緊急軍を設置したハマーショルド事務総長がその経験をまとめた報告書の中で幾つかの原則的事項を指摘し、これがその後もプラクティスとして踏襲されてきたことによります。その原則とは、受け入れ国の同意、安全保障理事会の常任委員国及びその紛争に特別の利害を持つ国から軍隊の提供を受けないこと、中立であること及び武力行使の禁止であるとされます。PKOがこのような条件下で紛争の拡大防止に相当の実績を上げてきたことは高く評価されてよいと思います。しかし、その後、これらの諸原則がすべて完全に守られてきたということはできません。例えば、コンゴ国連軍は、安保理の決議によって三度まで武力行使を行い、過剰防衛と内政干渉のそしりを受け、国連軍から兵員を引き揚げた国もありました。
 また、ハマーショルド事務総長以前にさかのぼれば、戦闘行動を目的とし、かつ実行した朝鮮国連軍の例があります。この国連軍の総司令部はワシントンに置かれ、米国大統領が任命する指揮官が指揮権を持ち、作戦行動について国連は事後報告を受けるのみで、国連の立場からの政治的コントロールができないという重大な問題を生じたものであります。
 この経験から、その後このタイプの国連軍が創設されたことはありませんが、現在もなお朝鮮国連軍は存続し、米軍司令官が国連軍司令官を兼ねている事実はここで指摘しておかなければなりません。
 さらに看過できない問題は、国連の枠の外につくられる多国籍軍の例であります。先ごろレバノンに緊急駐留した米英仏伊四カ国による国際監視軍が、アラブゲリラ決死隊の襲撃を受けて多大の犠牲者を出し撤退したのは、つい最近の出来事であります。この国際軍は、国連の決議で設置されたものではないが、しかし国連のPKOに類似したものであるとの通告を事務総長に送って進駐しています。けれども、実際には艦砲射撃等の武力行使を行っております。また、いかに当事国政府の要請によるものとはいえ、外国の軍隊がそのままの形で他国の領土に駐留すること自体が国民感情を刺激せずにおかないという教訓を残したものと言えます。
 以上述べましたように、PKOをめぐる諸問題には、法的にも実際的にも未解決の点、疑義のある点が少なくないのであります。これらの諸点は、我が国のPKOへの協力を進めるに当たって、慎重に考慮されなければなりません。この国会において、PKOの問題は自衛隊の海外派遣と関連してしばしば取り上げられてきました。PKOへの協力というと直ちに自衛隊派遣に結びつけるのは余りにも短絡的過ぎます。そのこと自体、外務省の努力の不足を物語るものではないかと思います。自衛隊派遣についての政府見解は、御承知のように、任務、目的が武力行使を伴わないものであれば自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないわけではないが、現行自衛隊法は自衛隊にそのような任務を与えていないのでこれに参加することは許されないというものであります。ここから、それでは自衛隊法を改正して派遣すべしという議論が出ているわけです。しかし、さきに述べましたように、PKOが武力行使を伴わないという加盟国の合意による担保は何もないのであります。事実、決議によって武力行使を含む措置を現地が指示された例があります。また、現地部隊の活動の中で、軍事的行動と非軍事的活動に境界線を引くことも実際にはかなり困難であろうと思われます。まして、朝鮮国連軍や国連の枠外の国際軍を含む海外派兵についての要請を万が一にも招くような事態は避けるべきであると考えます。
 したがって、先方から武力行使の担保が得られない以上、平和憲法を持つ我々みずからがこれを担保するほかはありません。それはいかなる種類のPKOであれ、本来の戦闘を任務とする自衛隊を派遣しないことです。現状においては、非軍事的活動が明確に分けられる分野に限ってシビリアンをもってPKOに参加することが必要であろうと考えられます。緒方参考人の言われる国連協力隊を新たにつくるということがこの意味のものであるならば、検討に値する構想だと言えましょう。
 PKOは広範な紛争解決努力の一環ではありますが、PKOが紛争を解決するのではなく、あくまで主たる政治的交渉を容易ならしめるための環境づくりの一手段であるという位置づけができましょう。そこでPKO自体の活動も、後方支援、資料、技術、便宜の供与からさらに民生面での地域住民への食糧、医療、衛生業務の提供であるとか、破壊された生活施設の回復であるとか、農民への農業指導であるとか、爆撃を受けた学校等の再建や教材の確保、教員の補充等々、その活動は極めて多岐にわたっている例が多く見られるわけであります。
 また、PKO以外にも救援等の面で多くの国連の活動分野があります。難民救済、飢餓救済、災害救援等非常事態に敏速に効果的に協力できる国連援助体制をつくることは非常に望ましいことと考えます。
   〔小委員長代理石井一二君退席、小委員長
   着席〕
本委員会も今後このような研究を続けていってもよいと考えます。その場合、単に公務員を派遣するための名目的なトンネル団体等を安易につくるということは望ましいとは思われません。五十嵐参考人の指摘されたような、民間人の役割、貢献までも含む真に我が国にふさわしい国連協力体制を衆知を集めて考えていくべきだろうと思うのであります。
 また、PKOに要する経費につきましては、国連財政の窮乏化をもたらした一大原因となっております。例えば途上国から参加した場合、その経費の立てかえや国連からの支払いが遅延することなどのために、PKOに参加したい途上国があってもその経費負担には到底たえられない状況であると聞きます。資金面の協力は痛切に望まれているのでありますが、我が国の拠出状況を見ますと、割り当て率の決まっている特別分担金は別としまして、任意拠出について過去の例は極めて金額も少なく、極めて消極的であると思えます。このように現在すぐできる分野につきましても外務省はもっと努力すべきであります。
 さらに、いわゆる平和維持活動のほかに、国連としての平和維持機能全体の強化をもたらすために、いろいろの提案が多くの国から行われています。日本も紛争等の調査機能に関する安保理の強化、事務総長の事実調査に関する権限の強化を提案していますが、今後も粘り強く推進すべきものと思います。たとえ合意ができる前におきましても、事実工事務総長の調査が迅速、スムーズに行われるような慣行をつくるよう、加盟国の一員として大きなバックアップが必要と考えます。なお、日本自身がこのような国連の調査機能の強化を提案しているくらいですから、紛争地への国連調査団の派遣について、日本が否定的な投票を行うようなこのような矛盾した態度は厳に慎んでいただきたいと思います。
 最後に、平和のためのシステムづくりについて一言申し上げます。
 国際平和年や日本の国連加盟三十周年に当たって、外務省は連絡事務局を設けていろいろな行事に取り組んでおられますが、私はこの際、地味ではあっても平和外交を広い分野から支える平和のためのシステムづくりを考えてみていただきたいと思います。現状では、具体的な国連援助体制一つをとってみても、これを管理する体制は欠如していると思います。また、広く情報を収集し、研究分析をする体制も欠けています。
 最近、国連・軍縮局構想なるものが報道されましたが、その真偽や内容についてはよくはわかり
ませんが、現在の国連局軍縮課が、その実績にもかかわらず余りにも規模が小さく、所掌事務も限られていることは残念なことであります。先進諸国は局並みの軍縮、軍備管理の担当機関を持っているそうでありますが、我が国も、例えば地域における信頼醸成措置、軍縮委員会、あるいは地域の非核地帯設置構想等たくさんの研究課題があります。このような外交を通じての軍縮努力の実効を挙げるためにも、またシビリアンコントロールの実効を挙げるためにも、この面の外交体制の充実は当然検討する必要があると考えます。また、スウェーデン国際平和研究所のような権威ある研究機関を設けることも我が国に極めてふさわしい事業であり、この際ぜひ検討を始めていただきたいと思います。
 なお、前二回の国連軍縮特別総会は国民に大きな熱意を持って迎えられましたが、行ってみての結果は、政府と民間のギャップの余りの大きさに驚かされ、大きな失望をも呼んだものであります。平和外交に重大な関心を持ち、これを支持する我が国の国民人口は極めて大きいのですから、次回の軍縮特別総会に当たっては、民間団体との十分な意思疎通が図られるよう今から準備をお願いいたします。外務省は国民に理解される外交を望んでおられるのですから、国民の支持を背景として平和外交のためのシステムづくりにこの際着手していただくよう、強く希望いたします。
 なお、例えばアフリカ等の遠隔地の在外公館体制等につきまして、非常に他の在外公館との施設のレベルのギャップが甚だしいことに驚かされます。このようなものも査察によって十分途上国に対する援助が行われるよう努力をお願いいたします。
 また、青年協力隊につきましては、帰国後の活用についてどれだけの配慮がなされておるか、中にはその所を得ないでおられる方もあるやに伺います。ぜひ、これらの青年の苦労の体験がその後の活動に生かされるような、そのような拠点を国内にも海外にもおつくりいただくようお願いいたしまして私の陳述を終わります。どうもありがとうございました。
#5
○和田教美君 私は、昨年五月二十九日の当小委員会で、我が国の外交の現状と今後の強化策について意見を述べましたが、その際強調した諸点について今も大筋で考え方は変わりません。そこで重複を避けるため、本日はこの意見陳述を補足する形で幾つかの項目について見解を述べたいと思います。
 まず第一は、国連協力の推進についてであります。
 ことしは国連が定めた国際平和年であるとともに、我が国の国連加盟三十周年に当たります。国際平和年の主な目的は、軍縮、開発、人権、環境などを柱に据えて、平和のための基本的条件について国際世論を喚起することであります。私は、国際平和年の活動の柱の中でも当面我が国にとって最も重要な課題の一つは、世界的な平和と軍縮をいかに進めるか、日本はそのために何をなし得るかということだと考えます。
 そこで、私がまず提言したいことは、真の意味の軍縮の推進を国連協力の最重点目標と位置づけること、ひいては国際国家日本の重大な責任、役割分担であることを明確にすることであります。
 私は、昨年五月の意見陳述の際、アジアにおける地域的軍縮問題の話し合いの場づくりについて政府が全く不熱心であることに疑念を表明しました。そして、ヨーロッパでは幾つかの軍縮、軍備管理交渉の場が存在するのに、アジアではそれが皆無であるという現状は一日も早く打開しなければならないと指摘しました。昨年十一月の米ソ首脳会談以後の軍縮問題の展開の中で、私はこのことを一段と強く感じております。日本政府がことしこそ、アジアだけでなく広くアジア・太平洋地域の諸国に呼びかけて、地域的軍縮話し合いの場を設定することにイニシアチブをとること、そしてもっと自律的にアジア・太平洋地域の緊張緩和に向けての平和戦略を確立することを求めるものであります。
 中曽根総理は、去年十一月の米ソ首脳会談について、再開国会での施政方針演説で、「世界の平和と軍縮に向け話し合いのスタートが切られたことは、真に有意義であったと考えます。」と述べました。私もその点については同意見であります。しかしその反面、アジア・太平洋地域に住む人間の一人として私が懸念しますのは、レーガン・ゴルバチョフ会談の共同声明などを見る限り、両国首脳の軍縮問題への関心には明らかな地域偏差が見られるということです。米ソ共同声明に盛られている軍縮対話の枠組みは、核・宇宙交渉において全体的な核削減を目指しているほかは、専らヨーロッパを舞台とした対話の継続であり、アジア・太平洋地域を対象とする核を含む軍縮への枠組み設定はどこにも見当たらないのです。例えば中欧兵力相互削減交渉の顕著な成果の達成、欧州の信頼醸成と軍縮に関するストックホルム会議の重要性などをうたった部分はいずれも欧州軍縮に関するものであります。中距離核戦力、INFの削減問題について米ソ両国とも表向きはアジアを含むと言いながらも、これまでの経過から見て主たる関心が欧州におけるソ連のSS20と米国のパーシングーU、地上発射型巡航ミサイルの相互削減にあることは明らかです。
 昨年十一月の米ソ首脳会談が軍縮問題に関する限りヨーロッパ重点型だった背景には幾つかの理由が考えられます。しかし、ヨーロッパと比べアジア・太平洋地域では米ソ交渉の枠組みが全くつくられておらず、いわば野放しの状態に置かれている現状が米ソ首脳の軍縮問題に対する関心の地域偏差を一層増幅していると言えるでしょう。
 ジュネーブでは、現に米ソの包括的軍縮交渉が継続されているほか、さきに挙げたウィーンでの中欧相互兵力削減交渉、また欧州軍縮会議、CDEにおける信頼醸成措置などの検討が行われています。さらに、ジュネーブでは国連と密接な関係にある軍縮会議が継続的に開かれています。つまり、欧州には米ソを初め東西両陣営の各国が軍縮、軍備管理問題を討議し、対話のチャンネルを維持する場が数多く設定されているのに対し、アジア・太平洋では全くそれを欠いているのです。外務省はアジア・太平洋における軍縮討議の場づくりについて、長期的には望ましいが現在の時点では難しく、時期尚早であるという消極的態度で一貫してきました。その理由として、ヨーロッパではNATOとワルシャワ条約機構という二元的な対抗関係があって交渉の場がつくりやすいが、アジア太平洋は多元的で、しかもまだ流動的要素が多いことなどを挙げています。確かにアジア。太平洋の軍縮問題を考える場合、単に米ソ、あるいは米国、日本対ソ連の対抗関係だけでなく、これに中国が絡むこと一つを取り上げても、多元的で複眼的な視点を必要とすることは事実でしょう。しかし、それぞれの地域にはそれぞれの特殊性があるもので、アジア・太平洋地域の多様性だけを理由に挙げていつまでも軍縮交渉はすべて米ソ任せ、ジュネーブ任せの態度をとり続けることは政府の怠慢と言わねばなりません。
 地域的軍縮問題を話し合う場をどういう形で設定するかについてはいろいろなアイデアがあるでしょう。米ソ、中国を含め核、通常兵器にわたる軍縮、非核地帯の設定、緊張緩和などを真剣に討議するアジア・太平洋平和軍縮会議を日本が提唱する案が考えられます。また、直ちに米ソの参加が難しいなら、米ソを除く諸国に呼びかけてアジア・太平洋サミットのような形でこれらの問題を話し合い、米ソに軍縮を強く働きかける方法もあります。考えてみれば、地域紛争や地域軍縮の問題こそ地域内の諸国民が主体になってまずイニシアチブをとり、米ソに働きかけていくべき性質の課題です。私は日米安保による一定の抑止的効果を全く否定するものではありません。しかし、政府がいわゆる抑止と均衡の論理だけに寄りかかり、日本周辺地域のつまり肝心の足元の軍縮一緊張緩和について主体的な貢献をほとんどしない状態を続けるとすれば、国際国家として応分の責任を果たしていないという批判を免れないと思います。
 次に、国連の平和維持活動、PKOへの協力の問題について述べます。
 我が国外交の基本が国連中心主義であることから見ても、我が国が一般的に国連の平和維持機能の強化、紛争の平和的解決に協力することは当然であり、資金面だけにとどまらず、できる限りの平和的な協力を行うべきです。しかし、平和維持機能の一つである国連の平和維持活動、ピース・キーピング・オペレーションに自衛隊を派遣することについては、憲法上の疑義が消えないという立場から賛成できません。自衛隊の海外派遣について政府はこれまで、武力行使を伴うものは憲法上許されないが、武力行使を必要としない場合は憲法上の問題は起こらず、自衛隊法を改正すれば可能だという解釈をしてきました。この立場から、PKOの医療活動、通信、輸送活動、兵たん補給活動など、武力行使に直接結びつかない領域で自衛隊の派遣を認めよという主張が出ています。
 しかし私は、PKOというのは一般に国連が休戦、停戦監視団や治安維持監視用の小部隊を現地に派遣して紛争や事態の悪化、拡大を防止する活動を意味すると理解しています。そのような状況のもとでは、たとえ通信、輸送、兵たんなどの領域であっても、自衛隊は自衛のためにある程度の武装を要求するでしょうし、また、紛争の再発によって武力行使のやむなきに至るケースも否定できません。まして、一部で言われる監視パトロール活動への参加の場合はなおさらです。そうだとすれば、たとえ自衛隊法を改正して自衛隊にそのような任務を与えても、憲法上の疑義を解消したとは言えないわけで、PKOであっても自衛隊の海外派遣は認められないと考えます。
 なお、政府が昨年末設置を決めた海外における大規模災害に備える国際救助隊について、将来の問題として自衛隊の参加を考える議論が出始めています。我々は率先してこのような国際救助隊の設置を提唱してきましたから、緊急援助体制の整備拡充を急ぐこと自体に異論はありません。また、PKOに対する自衛隊の派遣とは事情が違い、この方は専ら災害救助を目的とするものですから、参加が直ちに海外派兵につながるとの見方はとりません。しかし、外務省自身、現状程度の国際救助隊の規模であえて自衛隊の参加を求める必要はないと言っています。また、救助隊の輸送に軍用機を利用する国もあれば、民間機をチャーターする国もあってまちまちです。この問題は将来検討すべき課題だとしても、自衛隊についての国民的コンセンサスがまだ固まっていない現状では、今度スタートした体制でやってみるのがよいと思います。
 次に、効果的、効率的援助の実施について申し上げます。
 日本経済は決して世界から孤立した形で繁栄するものではありません。国際社会における相互協力関係が円滑に機能することによって初めて安定と発展が持続する構造になっています。地味ではあっても発展途上国の経済振興に協力することが平和国家日本として世界に貢献できる道であり、それはどうしても果たさなければならない責任であります。昭和六十一年度予算案では、政府開発援助ODAは六千二百二十億円と対前年度比七%の伸び率となっております。これで昨年に続いてODA実績は世界第二位となることが予想されますが、我が国経済の実力からすれば遅過ぎたと言わなければなりません。また、政府は今年から始まる第三次中期目標として、一、七年間にODAの総額を四百億ドル以上とすることを目指す、二、最終年次の一九九二年のODA実績を八五年実績の二倍とするとともに、質の面での可能な限りの改善をすると決めています。しかし、我が国の援助については、金と物に偏っている、現地の事情に合わない、援助後の手当てがない等の批判があります。そこで、我が国として今後日指すべきは、援助案件の発掘から協力のフォローアップに至る各段階でのきめの細かい配慮を伴う心のこもった援助であり、特に援助におけるソフト面を一層重視しなければならないと考えます。
 以下、具体的に申し上げます。
 第一は、援助はあくまで開発途上国の経済的自立の補完と位置づけるべきです。
 まず、協力の準備段階においては、従来の要請主義の枠を超えて、援助関係機関が独自に対象案件を発掘するための調査を積極的に推進すべきです。その際、開発途上国のニーズを的確に把握するため、民間の情報を活用することも含め優良援助案件の発掘につながるシステムの整備を急がなければなりません。また、協力の実施段階においては、技術と資金の組み合わせによる相乗効薬や、特に後発途上国の場合、通常被援助国が負担すべき経費とされているローカルコストについても細心の配慮が望まれます。経済協力のあり方として、貧しい国を救う道義的立場だけでなく、開発途上国の成長による経済自立こそが累積債務を初めとする途上国問題解決のかぎになるという観点が必要です。途上国製品の日本の総輸入に占める比率は一三%で、まだかなり低い水準にあります。したがって、日本と途上国との産業調整を展望しつつ製品輸入の拡大が持つ経済自立への効果を重要視し、その視点から援助政策を位置づける必要があります。
 第二は、人材の問題であります。
 きめの細かい援助は、これを実際に行う援助要員があって初めて可能となるものであり、優秀な人材の養成、確保は何にも増して重要であります。人的資源のみにより発展を遂げ、技術大国として世界に重きをなすに至った経験を有する我が国は、一層の技術移転を推進し、途上国の人づくりに貢献すべきことは言うまでもありません。したがって、人材の養成の確保に当たっては、外務大臣の委嘱を受けたいわゆるODA研究会の報告書「政府開発援助の効果的・効率的実施について」にも見られるように、広く地方公共団体やNGO、民間部門にわたって門戸を広げるべきだと思います。
 第三は、援助実施体制についてであります。
 まず、現在十四省庁にまたがっている援助予算をできる限り一元化すべきです。我が国の援助には中核となる機関が明確でないとの指摘もありますが、新たな統括的援助機関の設置については、結果的に屋上屋を架するだけで実効が上がるとは考えにくい面もあります。むしろ既存の実施体制のもとで一元的調整を図るべきでしょう。
 第四は、援助評価の拡充と実施部門へのフィードバック体制の確立についてです。
 第一義的には、外務省や援助実施機関における評価体制を充実するため、ODA研究会が指摘する関係機関における援助評価連絡会議の設置構想の実現にまず期待しますが、援助評価をより中立的、客観的なものとするため、外部有識者により構成する第三者評価グループを組織するなど、評価における第三者的視点の強化を図るべきです。
 なお、国会でも取り上げられています対フィリピン援助について簡単に見解を述べておきます。
 政府は、昨年十二月に三十五億円の無償援助と四百九十五億円の第十三次円借款を決め、合意文書を交換しましたが、具体的な借款契約はしばらく延期ということです。第十三次を含めて対フィリピン円借款の累計は計四千六百六十七億円となります。問題は、これら援助が真に民生の安定に使われているかとの疑問が解消されないことです。外務省はこれまで政治的配慮は加えないと言ってきましたが、政治的配慮を行わないことが結果として極めて政治的な行為となることもあり得ます。政府が厳密なチェック機能を持たない以上、今回のフィリピン大統領選挙時に限らず、異常な政治的混乱期には援助を一時差し控えるなど柔軟な対応策をとる必要があります。
 次に、実効ある外交実施体制の整備について申し上げます。
 私は、去年五月の当小委員会における意見陳述の際、外務省の人的構成が他の先進各国に比べて極めて貧弱であることを指摘し、外交機能の強化を図るため、まず目標とする五千人体制を早急に実現することが必要だと述べました。ところが、六十一年度予算案で見ると、同年度の定員の純増
は九十人で、ようやく定員が三千九百六十八人と四千人ラインに達する程度です。このペースで進むと五千人目標に届くまで十年以上を要する計算になります。外務省の定員は主要国の中で最も少なく、米国の四分の一、英国、フランスの二分の一程度です。もちろん行革の時代に行政機構についてスクラップ・アンド・ビルドは必要ですが、それを外務省の枠内だけで考えるのではなく、不要な行政機関の縮小を図りつつ外交関係の機能は充実するという配慮が必要です。対外経済摩擦の激化に伴って経済担当部局の拡充強化が必要です。また、軍縮問題を重視する観点から見て、せめて国連局を国連・軍縮局にするなどの改革が望ましいと思います。
 終わりに、在外邦人保護対策について一言します。
 六十一年度外務省予算案では、重点事項の一つとして在外邦人対策の拡充が掲げられていますが、小規模在外公館における緊急時の邦人保護体制の整備をもっと急ぐ必要があります。一月中旬に発生した南イエメンの内戦で、外務省は一時在留邦人の消息がつかめず苦労しました。これは一般の通信回線がストップしたのに、現地大使館には非常用の無線装置がなかったためと聞いています。緊急時における通信手段の強化、さらに平素からの邦人脱出計画の整備などに予算を惜しまないよう特に要望して、私の発言を終わります。
#6
○立木洋君 私は、外交上の基本問題については既に見解を述べていますから、今回は国連外交の側面から若干補足をさせていただきます。
 国際連合は、言うまでもなく、二回にわたる世界戦争の惨害から将来の世代を救うために発足をしました。国連憲章の第一条、目的の項では、国際の平和及び安全の維持、人民の同権及び自決の原則の尊重、基本的人権の尊重などの達成が明記されております。
 私はここで、これらすべてについて詳細に述べることはいたしませんが、国連加盟三十周年、そして重要な第四十回国連総会を振り返って、国連における軍縮交渉と日本、民族自決権問題と日本ということに関して問題を提起したいと思います。
 まず、軍縮についてです。
 今日の軍縮の到達点、問題点を明らかにするために、私はまずこれまでの経過を簡潔に振り返ってみたいと思います。
 戦後の軍縮交渉は、国連ジュネーブ軍縮会議、これは以前の軍縮委員会ですが、また米ソ二国間交渉などで行われてまいりました。第二次世界大戦は、世界で初めて原子兵器という大量殺りく兵器が使用されたことが大きな問題となり、一九四六年一月二十四日、国連原子力委員会創設を求める決議の中で、原子兵器及び大量破壊に応用できるその他一切の主要兵器を各国の軍備から廃絶することが明記されました。そして国連での戦後の軍縮交渉は、当初はこの原子兵器の廃絶が主題とされ、この問題をめぐって交渉が進められたのです。
 しかしこの交渉は、バルーク案とグロムイコ案として対立をいたします。グロムイコ案は、いかなる事情においても原子兵器は使用しない、原子兵器の生産、貯蔵を禁止する、条約発効三カ月後に一切の原子兵器の貯蔵を廃棄するというものでした。これに対するバルーク案については、日本外務省発行の「軍縮問題と日本」によりますと、「原子力の国際管理機関を設け、「原子力開発を独占的に行わせるが、この機関が完全に機能するまでは、アメリカは核兵器を放棄しないという内容で、アメリカ以外の国の核兵器開発を抑えることをねらったものでした。」と指摘しています。
 つまり、査察、検証を優先するのか、まず核兵器廃絶、その条約を優先するのかということであったわけですが、交渉は対立したまま一九五〇年一月、原子力委員会はその機能を停止しました。
 一九五二年一月、国連原子力委員会と国連通常軍備委員会が合体して国連軍縮委員会が創設され、ここでは核兵器、通常兵器双方を一体にして全面軍縮をするか否かをめぐる交渉が開始されます。既に核兵器を開発し、核兵器保有国となっていたソ連は、当初核兵器廃絶優先を主張していましたが、一九五四年九月三十日、ソ連はビシンスキー提案で、核兵器廃絶の課題を軍縮の後段の課題とし、その後は、それに至るまでの間ある種の部分的措置をとる用意があると主張するようになりました。
 しかしこの間、ソ連が核兵器開発を進めてきた新しい状況に対応するアメリカの新たな戦略の確立、つまり核抑止力戦略が確立されたわけです。こうして一九五五年九月、軍縮小委員会でアメリカのスタッセン代表は、以前に行ったすべての軍縮提案に対して保留の態度をとると言明し、それまでのアメリカの諸提案をすべて棚上げしてしまいました。
 それまでのアメリカ側の提案は、段階論であるにしろ、核兵器廃絶を最終目標に掲げていたわけであります。しかし「軍縮交渉史」でアメリカのW・R・フライ氏が明らかにしているように、アメリカは、二九五五年夏に軍縮について重大な決定を行った。その一つは、原水爆の全面的廃棄はもはや企てないということであり、いま一つはヨーロッパと極東で満足な政治上の解決が達成されるまでは、アメリカは核軍備についても通常軍備についても、現在の水準から縮小しないということである。」との態度を表明したのであります。
 この時期以後、軍縮交渉は、軍備管理交渉とも言うべきものとなり、核兵器の存在を前提とした部分的措置の交渉が続くことになったわけであります。いわゆるデタント時代に幾つかの部分的措置の交渉は合意され、PTB、ABM、NPT、SALTIなど十数本の部分的措置に関する条約が締結され、これが核兵器廃絶への第一歩などと称賛されましたが、現実は厳しい軍拡の繰り返しでした。
 現にPTBが成立する以前の十八年間とそれ以降の同期間を比較すると、現に行われた核実験は、前回は四百八十八回、それに比して後者が七百八十三回となっています。一九五二年に四百八個だった核兵器は、六〇年に五千七百八十三個、六十五年に二万六千四百六十八個、七〇年に三万五千四百九十四個、八〇年に四万三千百二十五個、今や五万発以上ともSIPRIの計算ではなされています。核兵器を中心とする軍事費も一九五〇年ごろは一千億ドル程度であったのが、今や九千億から一兆ドルとも言われる膨大なものになっております。
 さて、今日、世界政治の日程に核兵器廃絶の課題が登場してまいりました。昨年一月八日の米ソ外相の共同声明では、あらゆる領域での核兵器完全廃絶を交渉の目標とすることが明記され、デクエヤル事務総長報告「核戦争の防止」や第四十回国連総会の諸決議に、今日、核戦争に勝利はなく、核戦争を決して戦ってはならないという国際的なコンセンサスがあると指摘され、また、核兵器完全廃絶に言及する決議も倍増しているわけであります。
 核兵器の脅威を一掃し、核戦争の危険を取り除く明確な政治的合意を確立するためには、核戦争の危険は核兵器の存在そのものから生じており、核戦争防止の最も効果的な保障は核兵器の完全廃絶であるという認識、核兵器の使用、保有はいかなる理由であろうと拒否するという見解が必要であります。これは核兵器の存在、保有を容認し、それを前提とする核抑止力論やバランス論ではいかなる意味でも両立することはできません。この点で私は、日本政府の軍縮に関する国連外交を根本的に転換することを主張するものです。
 第四十回国連総会で日本政府のとった態度は極めて遺憾なものでした。ドイツ民主共和国が提案した核兵器不使用及び核戦争防止、これには百二十三カ国が賛成をしました。また、インド提出の核兵器使用禁止条約は百二十六カ国が賛成をいたしました。アメリカは。二つとも反対しております。日本は前者に反対し、後者には棄権をいたしました。国連史上、核兵器使用禁止に関する決議に賛成したのは一九六一年、ただの一回だけてあります。あとは棄権であります。そして一九八〇
年以降反対し、国会で我が党が批判したら一九八二年に棄権となるなど、こうした一貫性のない態度、使用禁止の問題に関しては、これでは唯一の被爆国政府としては全く遺憾なことと言わなければなりません。
 それどころか、昨年に続いて日本政府は他の資本主義国と核時代における戦争防止を決議として提出しました。そこでは固有の個別的集団的自衛権の名のもとに、各国が抑止のために必要な措置をとり得ることを明記しています。これは山田国連元局長の発言によると、通常兵器の攻撃に対する自衛権の行使としての反撃の場合の核の先制使用ということでございますれば、通常兵器、核兵器にかかわらず現在の国際法上ではそれは禁じておるものがないと。ここで明らかにされているように、これは核を抑止力として肯定し、その使用さえ容認するという内容のものであります。言うまでもなくこの提案は国連では厳しく批判を受け、ついに支持されず、昨年同様決議案そのものを撤回するという極めて恥ずべき結果となっております。
 また、二国間核軍備交渉がユーゴスラビアから提出されましたが、これは米ソ交渉が核兵器完全廃絶をもたらすとの合意に留意し、核戦争は戦ってはならないという国際的合意が既にあることを考慮して、両国首脳会談が米ソ二国間交渉の早期に効果的協定を生み出すように促進することを求めるというものでありました。これは事後通告も含め百十六カ国の賛成がありましたが、これまた日本はアメリカとともに棄権をしたわけであります。
 第四十回国連総会で表決に付された核軍縮に関する決議は二十五本ありました。アメリカは十七本に反対、四本に棄権、四本に賛成でした。アメリカが反対した決議のうち、日本が賛成したのはわずか二本だけてあります。資本主義国でも一部の国を除いてギリシャ、デンマーク、ニュージーランド、オーストラリア、スペイン、ノルウェー、アイスランドなどはアメリカの立場に全面的に同調することをしていません。今や国連において核抑止力として核兵器の存在を容認し、その使用を肯定するなどという国がまさに少数であることは明白であります。
 世界政治が新たな核軍縮へ大きな転換を遂げようとしていることは、この一年間の各国政府の動向、国連における議論や決議の内容を見れば明白であります。日本政府は、こうした反核、平和への世界政治の新たな潮流に逆行することを直ちに中止をし、世界政治の孤立者となる憂き目に遣わないよう厳しく指摘をしておきたいのであります。
 次に、自決権の問題についてであります。
 この点については、前回も指摘をいたしましたように、反ファシズムの勝利と民主主義の擁護、民族解放運動の前進を反映し、国連は民族自決の権利に対する誤りを正し、自決権への制限や制約を取り除く上で役割を果たしてきました。
 自決権をめぐっての国連での議論は、何よりも一九六〇年の植民地諸国、諸国民への独立付与宣言に見られるように、植民地、従属国の人民の独立国家形成を初め、政治的、社会的体制を自由に決定する権利についてであります。さらに、他国に対する武力の使用に限らず、政治的、経済的その他の圧力をも内政干渉の手段として用いることを禁止する決議が採択されています。
 一九六五年の不干渉宣言では、すべての国家は人民と民族の独立と自決の権利がいかなる外部の圧力もなしに、人権と基本的自由を絶対的に尊重しつつ自由に行使されることを尊重しなければならないとされ、また一九七〇年の友好関係宣言でも、内政干渉を禁ずるとともに、人民の同権と自決の原則に従って行動し、それゆえ人種、信条、または皮膚の色による差別なく、その領域に属する全人民を代表する政府を有すると指摘をして、その国の人民の意思に基礎づけられた政府こそ、その国の国際的に代表する正統な政府であることを明らかにしています。また、自決権の確立は政治的独立のみにとどまらず、これまで長期間続いた開発途上国の植民地、従属国的経済構造を変革し、諸民族の経済主権確立を目指す方向を強めてきています。
 一九五〇年代討議を踏まえて、一九六二年、天然の富と資源に対する恒久主権の決議が採択され、それは経済的自決権の内容を初めて包括的に示したものでありましたが、さらに一九七〇年代には、すべての経済活動をもその対象とするとの主張がなされました。
 一九七四年、新国際経済秩序樹立に関する宣言では、あらゆる国家の天然資源及びすべての経済活動に対する完全な恒久主権が挙げられ、同年新国家の経済的権利義務憲章では、国有化に際しては国有化国が適切と認めるその国の法令及びすべての事情を考慮して適当な補償を支払うとされました。もちろんこの二つの決議は、これらの内容だけにとどまらず、新国際経済秩序の基本的枠組みに関するものであります。
 第二次世界大戦後の植民地支配あるいは外国支配のもとにあった諸国人民の政治的解放は大きく前進をしました。一九四五年には七億五千万人以上の人々が植民地に住んでいましたが、この四十年間にこの数字は三百万以下に減少しています。また、一九六〇年、植民地独立付与宣言を採択して以来のこの二十五年間には八千万の人々が独立あるいは自治を獲得し、その結果国連加盟国は百から百五十九にふえているわけであります。その後の事態の進展について詳しく述べることはいたしませんが、植民地からの脱却、自治権の確立をおくらせ、妨げている要因をも見逃すことはできません。
 植民地独立付与宣言の履行状況に関する特別委員会の調査によりますと、今日の時点で、まず第一に植民地支配の継続から利益を得ている外国の経済的権益を妨げ、おくらせる要因として指摘しています。例えばナミビアの鉱物資源に対する多国籍企業の搾取などであります。
 第二には、植民地保有諸国の軍事的利益を取り上げています。これはその地域における軍事活動だけではなく、基地や施設のための土地使用、住民を生産活動から引き離すなどの問題が指摘されています。
 さらに、民族自決と言う場合、不法、不当に侵入した外国軍隊の撤退問題や、禁輸などその他で圧力を他国に加えている問題等も繰り返し国連で取り上げられています。
 以上、脱植民地化、民族自決権尊重では、概念、理念のみでなく、現実にも大きな進展がありますが、真の自決権の確立への逆流、激しい抵抗が存在していることも事実です。この点で民族自決の普遍的実現をめぐって日本政府のとっている態度について幾つかの問題点を指摘しておきます。
 国連第四十回総会は、さきに述べた植民地独立付与宣言を採択して二十五年目の総会であり、本総会ではこのことの重要性を確認して、コンセンサスによる諸国民の自決権の普遍的実現と題する決議を採択しました。しかし日本政府は、百十八カ国の賛成で採択された、人権の効果的保障の遵守のため民族自決権を普遍的に実現し、植民地諸国と諸民族に速やかに独立を付与する重要性、と題する具体的内容を持つ決議には棄権をしたのであります。
 さらに、さきに挙げた脱植民地化を妨げている要因を取り除くための、略称外国経済権益活動と題する決議に日本は棄権をしました。これは賛成百二十五であります。また、脱植民地化を妨げているもう一つの主要因にかかわる問題の決議、植民地国及び国民の独立を付与する宣言の履行を妨げる植民地主義国の施政下における軍事活動及び調査、これは賛成百二十五カ国でありますが、これはアメリカとともに反対をいたしております。これらのことは、脱植民地化に日本政府が極めて好ましくない態度をとっていることを示しています。国連専門機関による植民地独立付与宣言の履行の決議にも棄権。さらに、ニカラグアに対する貿易封鎖と題する決議にも棄権。また、中東情勢のA、B、これはイスラエルの完全撤退や非難を内容としたものですが、これにも棄権、反対をい
たしております。これらは、民族の自決権にかかわる重要な内容をなすものであるにもかかわらずであります。ここで特に述べておきたいことは、これらは多数の賛成を得て採択された決議ですが、アメリカはすべて反対しているものだということであります。
 さて、アパルトヘイトによる南アの白人少数支配は、国連決議でも人類に対する犯罪、国際の平和と安全に対する脅威とされ、植民地支配の特殊な形態として国際社会の厳しい批判を受けています。第四十回国連総会でも、南アフリカの人種主義政権に対する包括的制裁と題し、アパルトヘイト廃止に向けての国際社会の強い決意を示した決議を賛成百二十二カ国で採択しましたが、日本政府はアメリカとともに反対をいたしております。日本はアメリカに次いで南アにとって第二の貿易相手国であり、一九八四年度の貿易実績は往復で三十四億四千九百万ドルに達しています。こうした経済関係を維持し、白人政権にてこ入れし、国際的なアパルトヘイト廃止に向けての意思に逆行する日本政府の態度はまことに遺憾と言わざるを得ません。
 これまでも、一九八四年十一月二日、国連総会でグレナダからの外国軍隊即時撤退決議に日本政府は棄権していますし、ニカラグアに対するこれまでの態度も同様、アメリカのニカラグア沖機雷封鎖、また経済封鎖についても理解を表明しています。民族自決権、主権の尊重、擁護という点で、アフガニスタンにおける人権及び基本的自由の問題の決議に賛成することはもちろん当然であります。しかし、このような態度ではまさに一貫性がないだけではなく、問題の基準が国連憲章で示されている自決の原則にあるのではなく、いわゆる西側、より言うならばアメリカの態度に求められているとさえ言い得るのではないでしょうか。
 私は、先般、サハラ・アラブ民主共和国を訪問し、大統領とも会見、懇談してきましたが、厳しい条件のもとでモロッコの侵略と拡張主義に反対し、民族の自決権のために闘っている実態を視察してきました。ところがまた、この西サハラの自決に関する国民投票を求める平和協定の締結と停戦のために、モロッコとポリサリオ戦線の双方に対して直接交渉を要求するという国連の決議に対しても、日本は棄権をしているのであります。さらに東チモールで、インドネシアの侵略と支配に反対し、民族の独立を目指す人民の闘いが続いていますが、ここでは七六年から八一年まで約二十万人が殺され、強制収容所に四十万人以上がとらわれたままというひどい状態ですが、東チモール独立革命戦線の国連代表は、日本政府の態度は極めて遺憾であるとさえ述べています。
 私は今、若干の例を挙げましたが、日本政府の態度は各国の政治的主権を尊重する点でも重大な問題を残しています。同時に、アメリカに追随しつつ、またアメリカの対外政策を補完し、国際的競争力を強め、また多国籍企業の形態での収奪、搾取を強化し、国連の目的の達成に逆行する少数者の道を歩んでいるということは、前回の西堀前国連大使の発言によるまでもなく明白ではないでしょうか。
 国連は、世界の問題を解決するための他に代用できない政府間の討議の場であります。もちろん、国連の万能などと言うつもりはありませんし、問題がないわけではありませんが、国連憲章の理念に沿って、これまでの国連外交の日本政府のあり方を抜本的に検討し、正すことを強く求めて発言にかえます。
#7
○関嘉彦君 我が国の外交の強化策につきましては、既に昨年、昭和六十年五月二十九日及び六月十二日の本委員会において、私見を加えつつ民社党の意見を開陳しました。本日、意見開陳の機会を再び与えられましたので、ここでは重複を避け、前回の意見を補完するための若干の具体的な提言をしたいと思います。
 なお、他の小委員会で述べたことはここでは省略いたしますので、あわせて参照いただければ幸いであります。
 一、国際協力の推進について。
 (イ) 国際機関及び青年海外協力隊派遣者の優遇措置。
 現在、日本は国際連合及びその関連機関に対する負担金では、国力に応じたかなりの負担を行っておりますけれども、そこで働く職員に占める日本人の割合は一般的に極めて少ないと言わざるを得ません。これには日本の社会の雇用形態の問題や、日本の国連への加盟がおくれたことなどの理由があって、早急には解決できないと思いますけれども、そのような機関で恒久的職員として、あるいは短期の出向の形の職員として働く日本人がふえることは、日本の発言力を増加させる意味で日本の外交にプラスになると考えます。その改善策としては、一方において、国連関係機関の行財政改革を先般設立されました賢人会議において推進して、国籍別職員数をその出資額に比例するように改善するとともに、他方においては、日本人の応募者の増大策を講ずることが必要であろうと思います。
 その具体案としては、育英会奨学資金受領者が国際公務員になったときは、その勤務年限に応じてその返済を免除することとか、あるいは出向者の場合においては、その在任期間に応じて退職金の加算を行うとかの優遇策を講ずることであります。
 また、青年海外協力隊の活動は、一般に海外においても高く評価されているところでありますけれども、今後も優秀な青年が数多く応募し得るように、奨学資金の返済などについての優遇策を講ずるとともに、その人たちが退職して他に仕事を求める場合において、官庁においても途中採用の道を拡大するよう配慮することが必要であると考えます。
 (ロ) 自治体外交の推進。
 今日、広義の、広い意味の外交、特に国際協力は、単に国家レベルだけでなしに民間及び地方自治体の間においても推進していく必要があります。特に、地方自治体においては姉妹都市などの関係を結んでいるところもありますけれども、そのような自治体相互間における物産あるいは文化の交流を促進するため、観光のPRであるとかバザーの開催、あるいは人物交流、セミナーの開催などについての援助、助言をする目的を持った仲介機関を、クリアリングハウスを政府の援助のもとにつくることを検討すべきであると考えます。
 (ハ) 国際災害救援隊の編成と自衛隊の参加。
 国連の平和維持活動に自衛隊を参加させることにつきましては、昨年五月二十九日の本委員会において強調しましたし、また、西堀前国連大使も昨年の本委員会での参考人意見陳述において強調されているところでございますけれども、その問題は一応別にしましても、先般のメキシコ大地震やコロンビア大災害を契機に、政府が計画している国際災害救援隊への自衛隊参加を認めるべきであると考えます。
 先般の日航機墜落事故の折の救援活動に見られるとおり、自衛隊はその機動力においても救援能力においても極めてすぐれております。中曽根首相は、自衛隊員の身分を総理府なり他の官庁に一時移しかえることでその派遣を考えているかのごとき発言をしておりましたけれども、そのようなこそくな手段をとることなく、自衛隊法を改正して堂々と派遣すべきであると考えます。戦闘のためではなしに、平和目的のために海外派遣することは何ら憲法に抵触するものではなしに、むしろ憲法の精神に合致するものであるからであります。
 (ニ) 国際協力デーの設置。
 日本人の国際的関心を持つような意識革命を一層促進する方法として、国際協力デーの創設を提唱します。
 日本が国際社会に復帰した適当な日を選んで国際協力日を設け、可能ならばその日を祝日として、その日に国際協力に関係のある催しを関係団体が行うとともに、その一環として国際協力に功績のあった人、例えば青年海外協力隊として殉職した人や長年勤続者、あるいはベトナムその他の難民救援活動に貢献した団体または個人、あるい
は前述の国際災害救援隊活動で殉職した人々に対して、政府として感謝し、あるいはその功績を顕彰する行事を行うことを提案いたします。その受賞者の範囲をどのように区切るかというふうなことはなお研究の余地があると思いますけれども、そのような日を設けて表彰式を行うことは日本人の国際化に寄与するところが大きいと考えます。
 (ホ) 学校における外人教師の大量採用。
 現在、国立大学において外国人教授の採用がごく少人数ながら始まり、公立学校における外国人英語教師の雇用などが徐々に進められていますけれども、その規模を数倍に拡大する必要があると考えます。
 国際交流基金の出資金を増大して、国公私立大学における外国人教師の雇用を補助するとともに、文部省は、自治体間、例えば前述の姉妹都市間の教員の相互交換、あるいは短期間でなく長期にわたって公立学校において英語の教師を志望する者に対してその地位を保証するごとく、地方の教育委員会に対して指導すべきであると考えます。現在、臨教審において特定の科目について社会的経験ある人に対して特別教員免許証の発行を検討しておりますけれども、語学教員として外国人にもそれを拡大することを提案いたします。
 二、外務省の機能強化。
 一般の官庁の行政改革は必要であるけれども、対外関係、特に外務省の職員の増加は、今日日本が直面している国際化の課題を考えれば緊急を要する問題であります。その増員の必要性については、既に前回述べましたのでここでは繰り返しませんけれども、ここで指摘しておきたいことは、日本人職員の不足を補うために現地人職員を活用することであります。
 最近では、それぞれの国の大学卒業生で日本語を学び、あるいは日本を研究した優秀な卒業生がふえてきております。日本語の普及につれて、そのような学生はもっと増加すると思われますけれども、せっかく日本語を修得しても就職の機会が極めて少ないのが現状であります。
 そのような人々の雇用に門戸を開く方策の一助として、単なる通訳としてではなしに、外交官事務を行う外国人職員の登用及びその身分保証を制度化すべきではないかと考えます。現在、在外公館においても現地人職員が採用されていますけれども、単なる補助的業務にしか使われていない公館もあるように思います。しかし、例えば広報関係の事務でありますとか、文化交流の仕事などはむしろそれぞれの国の出身者に任せた方が効果的であることもあるのではないかと考えられます。外務省として検討していただきたいと考える次第であります。
 三、議員外交の推進。
 最後に、これは政府に対する勧告ではなしに、国会特に参議院に対する提言をしたいと思います。それは、議員外交の推進についてであります。
 現在、国会において予算をとって定期的に議員の国際交流を行っているのは、春秋二回の列国議会同盟会議のほか年一回の欧州評議会議員会議、日本・EC議員会議などがありまして、参議院からも毎回それぞれに二人ないし三人の人が参加しております。
 これを次のような条件をつけて、このほか少なくとも北米、中南米、東南アジア、中近東諸国、オセアニア、東欧諸国などの地域にも議員派遣を拡大することであります。すなわちその条件とは、派遣団は単なる視察ではなしに、双方の共通の関心のある問題をあらかじめ設定し、その問題についての国会議員同士の意見交換の会議を目的とすること。派遣団員はしかし、全員が毎回かわるのではなしに、そのうちの一人は毎回同じ人が、ただし三年くらいで交代した方がいいと思いますが、参加し、対談に連続性を持たせること。政府への勧告を含んだ報告書を団員が互いに討議した上で、事務局任せの報告ではなしに、団員自身が討議の上でその報告書を提出すること。そういった目的を持った議員外交を促進すべきであると思います。もちろん、行政改革の折、経費の膨張を議会そのものが行うことは自粛すべきことでありますけれども、その程度の費用は国会の管理費などの節約、例えば、現在毎日議員の宿舎あてに速達で公報が送られておりますけれども、そういったものの廃止などによって捻出を図ることができるのではないか。また、多少の支出の増加を伴ったにしましても、議員外交によって国際間の理解増進に役立ては、国民もそれを認めてくれるものと信じております。
 以上、意見開陳を終わります。
#8
○田英夫君 私は、まず、現在の国際情勢に対する認識と日本外交のあり方という点を述べたいと思います。
 実は、私は今回この小委員会に新たに加えていただきましたので、やや今回の共通のテーマに背くかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 結論を先に言えば、現在の国際情勢の基本的な状況は、いわゆる東西対立てはなくなりつつあるということであります。
 第二次世界大戦後、世界はアメリカを中心とする自由陣営とソ連を中心とする社会主義陣営に鋭く対立をした。つまり、イデオロギー対立の時代であったわけでありますが、それが一九六〇年代ころから次第に変化を見せ始め、中国がソ連と対立をし、さらに一九七九年にアメリカと国交を樹立するに至って、決定的に東西対立の構造というものは崩壊し始めたというふうに認識すべきだと思います。
 この認識に立って見ますと、さまざまな変化に気づくわけでありますが、例えば最近数カ年間に起こりました世界の戦争という状況を見ますと、一国の中の紛争を除いて二国以上の紛争というものを見ますと、例えばフォークランド紛争、イギリスとアルゼンチン、イラン・イラク戦争、あるいはベトナムのカンボジアへの侵攻、ソ連のアフガニスタンへの侵攻、さらに、長く続いているアラブとイスラエルの戦い、いずれをとってみてもイデオロギー対立による戦争は一つもないわけでありまして、かつてまさにイデオロギー対立が火を噴いた朝鮮戦争、あるいはベトナム戦争もまたそういうことが言えると思いますが、そうしたものに比べてここ数年間の世界の変化というものは、戦争の例は好ましくありませんけれども、端的にイデオロギー時代の終えんを示していると思います。
 一方で、米ソは鋭く対立していることは事実でありますし、特にレーガン大統領になりましてから、アメリカ政府の姿勢は東西対立に逆戻りしたのではないかと思われる姿勢でありますし、ソ連もまた指導者が次々に変わりましたけれども、一貫してアメリカを敵視するという状況にあります。しかし、それにだけ国を奪われていることは誤りではないかと思います。例えば我々のすぐ隣の朝鮮半島は、残念ながら南北に分断されている。しかし、これはまさに東西対立時代にアメリカとソ連が分断をした。朝鮮民族自身は統一を望んでいたし、現在も望んでいるわけでありまして、しかもその一方である韓国は、いわゆる西側陣営という姿勢を現在もとり続けておりますけれども、一方の北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国はいわゆる東側陣営、社会主義陣営には属していない。むしろそうではなくて、非同盟諸国会議に参加をしたということは一つの知恵であった、先見性であったと言えると思います。
 それは、もし南北に分かれている朝鮮半島がその対立のとおり東西対立になってしまったならば、一方が自由陣営、一方が社会主義陣営になってしまったならば抜きがたい対立になるという考えから非同盟諸国会議に参加をしたというふうに見ていいのではないでしょうか。その非同盟諸国会議自身がまたこの東西対立の終えんを示していると思いますが、かつて極めて少数であった非同盟諸国会議が、現在では総会を開けば八十カ国を超える国々が参加をする。世界で百六十に近い国々がある中で、ほぼその半数が東側でも西側でもない非同盟諸国会議に参加をするということ自体東西対立時代ではなくなっているということを、イデオロギーの対立だけで国際情勢を認識す
ることは誤りであるということを示しているというふうに思います。
 そこで、日本の外交はいかにあるべきかということを考えなければいけないと思いますが、だからといって私は、日米安保条約を直ちに破棄しなければならないというようなことを言うつもりは全くありません。しかし、この東西対立てはなくなりつつあるという状況の中で日本の外交をいかに進めるかということを根本的に考えるときが、しかもそれは政府とか与党とかいうことではなしに、国民的に考えるときが来ているのではないかというふうに痛感をいたします。それでは、この状況の中で日本外交はいかにあるべきかという一つの方向は、いわゆる全方位平和外交とでも表現するような方向を目指すべきではないか。そして、具体的には唯一の被爆国であるということも含めて、核軍縮ということの世界的なムーブメントの先頭に立つという気概を持つべきではないだろうかというふうに思います。
 先ほど、米ソは鋭く対立していると申しましたけれども、実は一九六三年、いわゆる部分的核実験停止条約が結ばれたときに早くも示したように、核の問題については米ソは一定の共通の利害を持っているというふうに思います。そして、その場合には米ソは一致協力する、部分核停条約はまさに米ソの核優位を維持するために地下核実験だけを認め、大気圏、宇宙、海中の実験は禁止をした、他の核保有国あるいは非核保有国が追随することを許さないようにしたという意味で米ソが協力をしましたし、核拡散防止条約もまた同様の気持ちからつくったものというふうに理解すべきだと思います。早くも一九六〇年代ころから米ソは時によっては協力をするのだという、そういう状況の中で、いつまでも西側の一員という気持ちだけで外交を進めるということは誤りではないでしょうか。
 核軍縮ということを進める上で一つ私は重大な参考にすべきだと思いますことは、今既に南半球の三分の二は非核地帯になっているという現状であります。まず第一に、南極大陸が南極条約によってすべての軍事基地をつくってはならないということになりました。当然核基地もつくられない、核はないという状況であります。そして、一九六七年にトラテロルコ条約、中南米非核地帯条約がメキシコのロブレス外相を中心にしてつくられて以来、つい昨年一九八五年にはいわゆるラロトンガ条約、南太平洋非核地帯設置条約がニュージーランドのロンギ首相らのリードで結ばれました。この結果、南半球は三分の二が非核地帯になり、しかもその非核地帯は南極、トラテロルコ、ラロトンガという三つによってすべて接しているという注目すべき状況をつくり出しています。
 もちろん、五つの核保有国がすべて北半球にあるという状況の中で、特に日本を取り巻く状況は極めて核の問題については厳しいということは事実でありまして、日本を含めてアジア非核地帯というようなことを早急に望むのは無理だと思います。しかし、だからこそ日本自身の非核国家宣言、実はバヌアツ共和国というもとのニューヘブリデス諸島、もとイギリスとフランスの共同統治だったところですが、これが世界で初めて一つの国家として非核国家の宣言を一九八三年にしておりますけれども、そうしたことも一つの参考にすべきではないかということを申し上げておきたいと思います。
 次に、各委員も言われましたけれども、対外経済協力の問題について触れてみたいと思います。
 かつて私は、本院の外務委員会に対外経済協力に関する議員立法を提案いたしましたが、残念ながら多数の御賛同をいただくことができませんでした。今フィリピンの問題を各委員が言われましたけれども、フィリピンの現状、そして日本の対フィリピン経済協力ということを見ますときに、改めて対外経済協力に一つの基本的な哲学を確立しなければならないということを感じます。私の意見では、それは民主主義ということを一つの物差しにすべきではないかということであります。かつて私が提案いたしました議員立法もそうでありましたが、民主主義が抑圧されているような国、そうした独裁政権のある国に対して経済協力をすることは差し控えるべきだという意見であります。少なくとも慎重に検討しなければならない。
 このことはフィリピンの例が極めて明快に示しておりますし、第十二次の円借款四百億円の場合に、これは情報でありますけれども、このフィリピン側の要求の原案をつくったのは日本人のコンサルタントであり、フィリピン側の要請によって二〇%の水増しをしていたという話さえ伝えられているわけであります。今、昨日も安倍外務大臣が直接私に言っておられましたが、この十二次の円借款の商品借款についての使用状況を改めて検討し直しているということでも示されておりますし、十三次が今ペンディグにされているというあたりにこの辺の事情が示されていると思いますが、私は改めてこの対外経済協力に一つの日本政府として、日本としての哲学を確立すべきときだと思います。
 それから、国際的な災害救助の問題に各委員も触れられましたが、これも私見でありますけれども、各委員の御意見の中に自衛隊の海外派遣に絡んだ御意見があり、しかもその御意見の中にはそれぞれやや相違があったように思います。こういう状況の中で、しかし日本が平和の問題で、災害というような問題で国際協力をするということは極めて必要なことでありますから、何とか早急にこれを実現する方向を見出すべきだということから、今、実は自衛隊の陸上、海上、空の三つについての見直しということが言われております。つまり、大綱の別表の見直しという言い方で加藤防衛庁長官は言っておられますけれども、この状況の中で、主として陸上自衛隊員を中心にして、陸上自衛隊から離れて別の独立した災害救助隊とでも言うべきものをつくってはどうかということを考えます。
 これは国内における災害の救助にも出動するということで、いわば災害救助のプロフェッショナル集団というものを常時国内につくっておく。そして、もちろんヘリコプターであるとか海外にまで飛べる大型の輸送機であるとかいうものまでもこの救助隊が持つ。したがってかなりの規模のものになり、行政改革が言われる中で果たして通るかどうかという感じもいたしますけれども、今の日本の国際社会において果たすべき役割ということからするならば、自衛隊の海外派遣がいいか悪いかという議論をして、結局、今政府が既につくられている背広の各省庁の官僚群、しかもそれは海外に行ってもいわゆる活動部隊にはなり得ない、そういう状況でとどまってしまうのではないか、こういうことを懸念いたしますので提案をしておきたいと思います。
 それから最後に、外交体制のことも各委員が触れられておりますけれども、ひとつこれをちょっと皆さんにお配りしてください。(資料配付)もう各委員から触れておられますから、簡単に今表をつくってみましたので御説明いたしますが、既に外務省でもこういうパンフレットをつくって、「わが国外交実施体制の強化について」ということでいろいろな数字を挙げておりますが、今お配りいたしましたのは、防衛費がGNPのパーセンテージで論議されておりますので、それをヒントにしてサミット参加国のこうした数字を調べてみました。
 もうごらんいただけばおわかりのとおり、防衛費は別として、経済協力費、これは一九八四年度のものですけれども、日本の場合はサミット国の中で第四位、〇・三五%ということでありまして、一位がフランスでありますが、以下ごらんのとおりであります。それから外務省予算ということになりますと、日本は何と七カ国中第七位でありまして〇・一四%、イギリスがトップで〇・六〇%、こういう数字が出ておりまして、実際の人の数、それから予算の額ということもさることながら、GNPといういわば経済力、国力を表示する数字から見ても極めて残念な状況にあるということで、これはぜひ外交体制というものを一刻も早く
強化をしていただきたい、このことを申し上げて意見の陳述を終わります。ありがとうございました。
#9
○小委員長(大木浩君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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